1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:28:12.08X6rA0wpDo (1/11)

・京太郎SSです。苦手な方はブラウザバック推奨。

・京太郎は鶴賀に入学した設定です。

・開始時期は5月くらい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1361874491



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:28:58.65X6rA0wpDo (2/11)

京太郎「東横ー。いるか?」

桃子「いるっすよ。席に座ってるっす」

京太郎「ああ、そこにいたのか。何やってるんだ?」

桃子「パソコンで麻雀をやってるっす。見ればわかるじゃないっすか」

京太郎「見ればってお前……」

桃子「……」

京太郎「……」

桃子「……はぁー。ノリ悪いっすね! ここは『いや見えねえよ!』とか言うところっすよ!」

京太郎「それで悩んでる奴にいきなりそんなこと言えるか!」

桃子「まったく、次からは気をつけるっすよ」

京太郎「はいはい……。で、麻雀って誰とやってるんだ? ネット麻雀ってやつ?」

桃子「んーネットはネットっすけど、学内ネットでやってるっす」

京太郎「そういうのもあるのか。てことは相手は同じ学校の人だな」

桃子「そうっす。麻雀部が最近始めたみたいっすね。掲示板にチラシが貼ってあったっす」

京太郎「へー。挑戦者来たれ! みたいな感じか?」

桃子「そういう感じではないっすね。チラシには麻雀に興味ある人歓迎って書いてたし」

桃子「何度か勧誘も受けてるから部員集めの一貫だと思うっす」

京太郎「初心者歓迎ってことか」

桃子「興味あるなら須賀くんもやってみたらどうっすか?」

京太郎「いや、俺はいいよ。ノートパソコン持ってないし、そもそも麻雀の役もわからないしな」

京太郎「興味はあるからよければ観戦させてくれ」

桃子「いいっすよー。私の勇姿を見るがいいっす!」

京太郎「おう、期待してるぞ」


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:29:34.47X6rA0wpDo (3/11)

---対局終了---


桃子「くーっ! また勝てなかったっす!」

京太郎「麻雀部3人を相手に2位なら十分凄いじゃないか」

桃子「これでも麻雀の腕には自信があるんすよ。そこらの麻雀部員にも引けをとらないくらいには」

桃子「なのにこのかじゅって人にはなかなか勝てないっす」

京太郎「麻雀って運に左右されるんだろ? そういうこともあるさ」

桃子「20局以上打って勝ったのは数回だけ。さすがに悔しいっす……」

京太郎「20局で数回……。麻雀はよくわからないんだけど、それはどのくらい強いってことなんだ?」

桃子「ええと、そうっすね。風越女子は知ってるっすか?」

京太郎「そりゃもちろん。長野の女子麻雀部では一番強いとこだろ」

桃子「その風越でレギュラーになれる。少なくともそれくらい強いと思うっす」

桃子「まあもちろん、実際に打つのはダメって人も中にはいるっすけどね」

京太郎「そんなに強いのか……ん? なんか書いてるみたいだぞ」



かじゅ『打ち筋からしていつも打ってくれている人だろうか? 今日も来てくれてありがとう』

むっきー『また負けちゃいました。やっぱり強いですね。一度だけでも麻雀部に見学に来てくれませんか?』

カマボコ『しつこかったらごめんなー。でも毎日来てくれて本当に嬉しいんだ』

カマボコ『見学に来たから入れ、なんてことは言わないし、それに来てくれればきっと気に入ると思うんだ』

かじゅ『気が向いたら来て欲しい、と言いたいところなのだが私たちには時間がない』

かじゅ『だから君が麻雀のことを好きなら、ぜひ部室に来て欲しい。後悔はさせない』



京太郎「おお……。凄い勧誘だな。ほら、返事書こうぜ」

桃子「……今書くっす」



default player『気持ちは嬉しいです。でもごめんなさい』

---default playerはログアウトしました---


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:30:23.74X6rA0wpDo (4/11)

京太郎「……ってあれ?」

桃子「どうかしたっすか?」パタン

京太郎「いや、見学くらい行ってもいいんじゃないか? あれだけ熱心に言ってくれてるんだしさ」

桃子「……まあいいじゃないっすか。ほら、帰るっすよ」

京太郎「あっ、おい」

桃子「先に行ってるっすよー」

京太郎「ちょ、ちょっと待て。先に行かれたらまた見つからなく……」

桃子「校門から出るまでに見つけられなかったら明日の昼ご飯おごりっす!」タッタッタッ

京太郎「いきなり何言って……って待て、走るなー! 見つからなくてもおごらないからな!」

桃子「見つけたら私がおごってあげるから頑張って探すっすよー!!」タッタッタッ

京太郎「絶対見つけてやる……!!」

その後東横のことは校門の辺りで電話をかけて、その着信音で見つけた。
東横には卑怯っす! ノーカウントっす!! と怒られた。理不尽だ。


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:30:55.41X6rA0wpDo (5/11)

---3日後---


京太郎「東横ー、いるか? 今何やってる?」

桃子「パソコンで麻雀っすよ。見ればわかるじゃないっすか」

京太郎「見れたらこんなこと聞かないっての」

桃子「……他人のコンプレックスにズバズバ切り込んでくるっすね」

京太郎「この前スルーしたらノリ悪いとか散々言ったよな!?」

桃子「記憶にないっす!」

京太郎「まったく……。麻雀はこの間の麻雀部の人とか?」

桃子「そうっすよー」

京太郎「俺あれから役とか覚えてみたんだよ。また見せて貰っていいか?」

桃子「いいっすよ。今ちょうど終わったところなんでちょっと待つっす」

京太郎「了解」


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:31:56.68X6rA0wpDo (6/11)

桃子「……いつもはすぐ次の局に入るんすけど今日はちょっと時間かかるっすね。席を外してるみたいっす」

京太郎「まあそういうこともあるさ。ゆっくり待とうぜ」

京太郎「……ん? あれ、今日はこの前みたいにチャットで勧誘されてないんだな」

桃子「そうなんすよね。今日は勧誘してこないみたいっす」

京太郎「脈なしと思って諦めたんじゃないか?」

京太郎「4月が終わっても勧誘してたってことはメンバーが足りないんだろうし、他の人を探すことにしたとか」

桃子「そう、かもしれないっすね。まあ何度も断っちゃったししょうがないっす」

京太郎「……毎日のようにパソコンで打ってるんだし麻雀は好きなんだろ? なんで入らなかったんだ?」

桃子「んー、まあ大した理由じゃないっす。こういう体質っすから集団行動とか苦手なんすよ」

桃子「今までこんなに必要とされたことがなかったから嬉しかったは嬉しかったっすけどね。ただ……」

京太郎「ただ?」

桃子「言うのはちょっと恥ずかしいっすけど、やっぱり、直接言ってもらうのに憧れる」

桃子「目の前で、私の目を見て必要だって言って欲し――」

そこまで言ったとき、突然教室のドアが開かれ

ゆみ「麻雀部3年の加治木ゆみだ!」

そんなことをいいながら、上級生が1人教室へと入ってきた。
穏やかな放課後に突如乱入してきたその人は、教室の真ん中までツカツカと足を進め、忙しげに周りを見渡したかと思うと大きく息を吸い込んだ。
そして――

ゆみ「私は君が欲しい!!」

京太郎・桃子「「!?」」

大声でそんなことを叫んだ。


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:32:25.58X6rA0wpDo (7/11)

クラスメイト達は遠巻きにして成り行きを見守っている。
下級生の教室で突然あんなことを大声でいう上級生が相手だ。普通なら俺だって関わろうと思わない。
でも事情を知っているからにはどうにかしないとなーみたいな責任感が芽生えてしまう。
だからまずは、目を白黒させている友人を焚きつけてやろう。

京太郎「東横。よかったな、まだ勧誘諦めてなかったみたいだぞ!」

桃子「その笑顔をやめるっす!」

京太郎「でもほら、東横の望み通り直接誘いに来てくれたわけだし」
                                                                        ワタシノハナシヲキイテホシイ!!>
桃子「まあそれは心底嬉しいっす」

桃子「須賀くんは茶化してると思うっすけど、私の中では嬉しさが溢れかえってるっすよ」

マジか。いやまあ茶化しているわけではないんだけど。

桃子「ただそれはそれとして、今あそこに行くのはちょっと恥ずかしいっす……」
                                                                      ワタシニハキミガヒツヨウナンダ!!>
京太郎「注目の的になれるぞ。本望じゃないか」

桃子「限度があるっす!」

今も叫んでるもんな。見た目と違って情熱的な先輩らしい。
                                                                       スコシデイイ、ハナシヲシヨウ!!>
京太郎「冗談はともかく、ここまで来てくれたんだし、麻雀部に入りたいとは思ってるんだろ?」

桃子「それはそうっすけど……」

京太郎「よし、じゃあ行くぞ」

桃子「ちょ、手を引っ張らないで……!」


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:33:06.06X6rA0wpDo (8/11)

ゆみ「頼む、姿を見せて――」

京太郎「あの、ちょっといいですか?」

ゆみ「!! ああ! もち、ろん……だ…………」

念願の新入部員が来たというのになぜか語尾が弱々しい。
ってそうか、東横のこと見えないんだったな。

ゆみ「その、もしかして君が私たちと麻雀を一緒にやっていた人、なのか……?」

俺しかいないと思って目に見えて落ち込む先輩。
美人のしゅんとした姿を見ていると、なんというか、もっといじめたくなってしまう。
まあかわいそうだからやらないけど。

京太郎「あれは俺じゃないですよ。ちゃんと女子です」

ゆみ「本当か!! あ、い、いや、これは君が悪いとかそういうわけではなくてだな」

落ち込んだ様子から一転して明るい表情に。そして間を置かず見せる焦った姿。
ああ、可愛いなこの人。クールビューティーな見た目とのギャップが凄くいい。

京太郎「大丈夫ですよ、事情は聞いてますしわかってます」

ゆみ「そ、そうか。ありがとう」

京太郎「それで俺の隣にいるのが先輩の探しているやつです」

ゆみ「……? すまない。隣には誰もいないように見えるのだが」

京太郎「見えないけどいるんですよ。ほら、ここです」

桃子「どうも、初めまして。東横桃子っす」スゥ

ゆみ「」ビクッ

京太郎「あ、やっぱり驚きますよね。いつものことなんで気にしないでください」

桃子「他人に言われると無性に腹が立つっすね」


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:33:52.47X6rA0wpDo (9/11)

ゆみ「君は一体いつからそこに……いや、そうか。君はそういう体質なんだな」

桃子「自分で言うのもなんですけど、受け入れるの早いっすね」

ゆみ「チャットの会話から何か理由がありそうだとは思っていたのでな」

ゆみ「我ながら少々派手なことをしたかなと思ったが、結果的には間違っていなかったようだ」

京太郎「いま少々って言ったか?」ヒソヒソ

桃子「言ったっすね。ちょっと見習いたいっす」ヒソヒソ

ゆみ「聞こえてるぞ……まあ、それはともかくだ。改めて言わせてもらいたい」

ゆみ「東横くん。私は、私たちには君が必要だ。麻雀部に入って欲しい」

加治木先輩は、真っ直ぐに東横の目を見つめてそう言った。
傍から見ていてもこの上なく真剣に言っているのだと感じる。
東横の望み通り、もしかしたらそれ以上のシチュエーション。
これならきっと麻雀部に入るだろうと東横のほうを見ると

桃子「…………」

あれ、なんか微妙な表情。

京太郎「東横?」

桃子「うーん」チラリ

京太郎「?」

ゆみ「……」ソワソワ

桃子「えっと、一つ条件、というかお願いがあるっすけど……」

ゆみ「何だ? 何でも言ってくれ」ガタッ

東横はなぜか加治木先輩ではなく俺の方を向く。
そして――

桃子「……須賀くんも麻雀部に入って欲しいっす」

京太郎「……は?」

突然、そんなことを言い出した。


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:35:57.12X6rA0wpDo (10/11)

投下は以上になります。
気になるところなどあれば言って下さい。


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:53:44.549D0/U0ZDo (1/1)

乙期待


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 19:55:07.90pUlnOjW+o (1/1)

京桃はいいものだ…
そのまま続けてください


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 20:03:26.41tkcFRPtto (1/1)

おー期待


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 20:04:29.947UPfPBzIO (1/2)

もしかしてサクセスの人?


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 20:08:25.20mFXppv5lo (1/1)

期待


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 20:15:25.28MDjG8QsAo (1/1)

おつーん
また俺得なスレが始まったようだな


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 20:26:22.809R2MjorAO (1/2)

乙です。
京太郎頑張れ!君の活躍次第でモモが原作よりも強くなるかも。


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 22:39:37.04UyufPPhmo (1/1)

乙です

個人的には地の文ない方が読みやすいです、はい


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 22:59:05.583Emu58p+0 (1/1)

乙。
サクセスストーリーの人かな?
京モモやると言ってたから期待してたがこんなに早く始まるとは思ってなかった。


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 23:08:12.79X6rA0wpDo (11/11)

サクセスストーリーの人ではないですよー

なんで間違われたんだろうと思いましたが投下分見ると京モモですね
京かじゅにするつもりでやっています。期待された方は申し訳ない


21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 23:27:10.02KFeuyr8IO (1/1)

なぜスレタイにモモがいないのに京モモだと思ったのか


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 23:30:39.49/srGI7Rro (1/1)

信者って怖いね!


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 23:47:23.467UPfPBzIO (2/2)

鶴賀だからそう思ってしまったんだ
>>1申し訳ない


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/26(火) 23:51:40.379R2MjorAO (2/2)

>>17を
頑張れ京太郎!君の活躍次第でかじゅが原作よりも強くなるかも!
って事で、京太郎スレなら基本何でも好きです。


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 00:46:49.07uvr515Ei0 (1/1)

乙、京かじゅって短編でしか見たことないわ
期待よー


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 03:02:07.20puoW2yEZo (1/1)

>>21
京かじゅとは珍しい
 ↓
あれ?京モモか?
 ↓
あぁやっぱり京かじゅか



27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 11:45:06.27MZ2BD07no (1/1)

いやこれは間違いなくワハハスレ


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 20:03:01.025ZXVl3+to (1/1)

桃でもかじゅでもワハハでも
私は一向に構わんッッッッ!!!!
次も期待しております。


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 20:23:44.98/HYCUZ550 (1/1)

かおりんにも救いの手を・・・まだ出てないけど


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 20:43:13.185QtPJwfAO (1/1)

むっきーェ……


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:16:36.186i5e6hb9o (1/1)

>>1
おっつおっつ
京かじゅは珍しいから長く続いて欲しい(KONAMI)


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:18:27.37MTllbaSQ0 (1/1)

ムッキー、かおりん、ワハハ、ネタ以外では京太郎ssではほとんど活躍しないトップ3


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:21:07.27p9vlb4soo (1/1)

京ワハは何個か見たことあるぞ


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:23:34.96F9amZc2IO (1/1)

むっきーはまじで見ない
助けて


35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:26:50.31Xpo/xXuYo (1/1)

昔あった鶴賀スレではかおりん安価が取られた直後にイッチが失踪したことがあったな…


36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:42:57.07yZwx2sTQo (1/1)

かおりんって初心者で金髪でおもちも大きいのに
京太郎ssで絡んでるのほとんど見たこと無いわ


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 22:52:53.28yd5/I0Ys0 (1/1)

運の総量では圧倒的に負けてそうだけど同じ初心者なのにな


38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:01:29.08Yaey4GYb0 (1/1)

上位と比べるとやっぱ人気落ちちゃうからしょうがない、やっぱ人気が高いキャラの方が需要高いし
同じオモチ好きのクロチャーや原作でステルス同士のモモとかも話的に絡みやすいけどそこまで多くないし


39酉つけました ◆6ardW1rCAXVJ2013/02/27(水) 23:33:12.42m9mHuAdto (1/5)

なぜ私は2,3日くらいスレ立てを遅く出来なかったのかと激しく後悔
3レスくらいですが投下します


40 ◆6ardW1rCAXVJ2013/02/27(水) 23:33:58.99m9mHuAdto (2/5)

ゆみ「……その、須賀くん……でいいのかな」

京太郎「……へ!? あ、はい!」

ゆみ「今の東横くんの提案なのだが君としてはどうだろうか」

京太郎「ええと、そのですね……。と、東横? なんでいきなりそんなこと」

桃子「えっと、どうしても嫌なら無理にとは言わないっす。わけも……」チラリ

ゆみ「?」

桃子「……別に隠すようなことじゃないしすぐ教えるっす。ただ、出来れば須賀くんにも麻雀部に入って欲しいっす」

桃子「ダメっすか……?」ウワメヅカイ

京太郎「う……」

京太郎「か、加治木先輩はどうなんですか」メソラシ

ゆみ「あ、ああ。突然で驚いたが麻雀部としては断る理由はない」

ゆみ「……というか、その、入って貰わないと凄く困る」

ゆみ「君にとっても突然みたいだし困惑していると思う」

ゆみ「君にも都合があるだろう。だから助けると思ってとは言わない」

ゆみ「それでも、君がもし少しでも麻雀に興味を持っているなら、麻雀部に来て欲しい」

ゆみ「……だめだろうか?」ウワメヅカイ


41 ◆6ardW1rCAXVJ2013/02/27(水) 23:34:46.90m9mHuAdto (3/5)

京太郎「うう……!」

右を向けば東横が、左を向けば加治木先輩が、上目遣いで俺を見ている。
タイプは違うけれど美人といって差し支えない2人。

京太郎(……こんなの断れるかー!!)

京太郎「俺でよければよろしくお願いします」

ゆみ「本当か! ……ありがとう」フカブカ

京太郎「ちょ、頭を下げるのはやめて下さい!」

京太郎「さっき麻雀に興味があるなら来て欲しいって言ってたじゃないですか。だから入るんですよ」

ゆみ「……うん、そうか。須賀京太郎くん。入部してくれてありがとう」

ゆみ「東横くんは……」

桃子「女に二言はないっす! 加治木先輩、よろしくお願いします」

ゆみ「ああ、よろしく。……東横くん、ありがとう。君のおかげで私たちは大会に出ることが出来る」

桃子「私も興味があったからネトマしてたんですよ。何度も断ってたのに直接誘いに来て貰えたなんて……本当に嬉しいっす!」

桃子「それより、誘った私が言うのもなんっすけど須賀くんはこの場で決めちゃってよかったんすか?」

京太郎「どうせ放課後暇してたしさ。それに麻雀に興味を持ったってのも本当だぜ」

桃子「無理してないならよかったっす」エヘヘ


42 ◆6ardW1rCAXVJ2013/02/27(水) 23:35:26.02m9mHuAdto (4/5)

ゆみ「2人とも、入部ありがとう」

ゆみ「それでは早速だが、2人がよければ今から麻雀部に来て貰いたい。部員の紹介もしたいんだ」

桃子「私は大丈夫っす」

京太郎「俺も特に予定はないです」

ゆみ「よし、じゃあ私は先に廊下に出ているよ。あまり長居しても迷惑だろうし」

京太郎(……はっ!? 急展開すぎてここが教室だって忘れてた)

京太郎(冷静になるとクラスメイトの視線が痛い……!!)

ゆみ「ん? どうかしたか?」

京太郎「い、いえ、なんでもないです。廊下で待ってて下さい」

京太郎(明日の反応が怖いな……)ハハハ


43 ◆6ardW1rCAXVJ2013/02/27(水) 23:36:10.28m9mHuAdto (5/5)

以上になります
今度はもうちょっと書きためてから投下する予定


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:37:48.842CKh4nuGo (1/1)

おつー


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:38:22.62a9XV/Euao (1/1)

乙ー


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:46:31.65HJDFObpUo (1/1)


あと雑談は止めてくれ


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:48:27.60f5TYKDs/o (1/1)

おつー


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 00:16:11.49LgAWDLYoo (1/1)

乙よー
2.3日遅らせれば良かったって某スレの案の奴?


49 ◆6ardW1rCAXVJ2013/02/28(木) 00:37:55.22nYCQbhPwo (1/1)

>>48
そうですー
もう少し遅らせれば鶴賀スレ、もしかしたら京かじゅが増えたかもしれないのに……!


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 00:59:00.73kYYYIWpeo (1/1)

ぶっちゃけ今でもモモ目当ての奴の方が多いと思う
スレ汚しすまん


51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 01:09:48.839nA0Q2Roo (1/1)

>>50
お前空気読めよ


52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 01:19:14.36GIOGLpqi0 (1/1)

超期待してるよー正座待機だよー


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 01:45:36.06+gwP/4+Ao (1/1)

汚すな


54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 07:52:10.79QKcD3NH5o (1/1)

まあ俺は本筋でなかろうとモモ期待してるよ


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 07:56:41.99ijxReCJ5o (1/1)

京かじゅ期待


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/28(木) 12:22:49.33N5zOXQUz0 (1/1)

密かに鶴賀でプロットを練り始めている俺はあえてワハハを期待


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/01(金) 20:03:30.15Eo5vFQoL0 (1/1)

期待


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/02(土) 22:52:40.80Cv/cENdV0 (1/1)

期待機


59 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:35:29.74kM7NDKVdo (1/9)

いやあブラジルは強敵でしたね。
投下します。


60 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:36:13.84kM7NDKVdo (2/9)

加治木先輩が先導して、俺と東横はその後をついていく。
意識しないと声が聴こえないくらいの距離を取り、ついて来ているか確認しているのかときおりこちらを振り返る。

京太郎(東横と話しやすいように気を遣ってくれたのかな)

京太郎(せっかくだし今のうちに聞いておくか)

京太郎「なあ、東横。俺を誘った理由って何だったんだ?」

桃子「え? ああ、ほら、私ってこういう体質じゃないっすか」スゥ

京太郎「話してるときに消えるな!」

桃子「冗談っすよ。こうやって意識して消えることも出来るっすけど、基本的には人に見つけてもらえない厄介な体質なんすよ」

京太郎「ああ、知ってる。俺が見つけられたのも偶然だったしな」

桃子「加治木先輩が教室に来て、誘ってくれて嬉しかった。でも私がこういう体質なのは知らなかったじゃないっすか」

京太郎「まあそんな体質があるなんて普通思わないよな」

桃子「それで、こういう体質の私とコミュニケーション取るのって大変っすよね」

桃子「私から話しかければ驚かれる。話しかけて貰おうにも私のことは見えないから、いるかわからないところに声をかけるしかない」

京太郎「ん……楽と思ったことは確かにないな。けど面倒だとか思ったことも一度もないぜ」

桃子「ありがとうっす。須賀くんはそうやって受け入れてくれたっすね」

桃子「麻雀部の人たちは私を必要としてくれた。でもそれと私を受け入れるかっていうのは別っすよね」

桃子「加治木先輩もきっと私に合わせてくれると思うっす。だけど他の人たちもそうやって受け入れてくれるか不安だったっす」

桃子「だから私との付き合いに慣れてる須賀くんが入ってくれたら安心だなって。それが理由っすよ」

京太郎「……気にしすぎじゃないか?」

桃子「そういうと思ったっす。須賀くんは私の体質は知ってても苦労までは知らないっすからね」

京太郎「それを言われるとな……。まあ不安だっていうなら、俺でよければいくらでもいくらでも入るよ」

京太郎「でもあそこまでして必要としてくれる麻雀部だ。きっと東横の心配するようなことにはならないと思う」

桃子「私の取り越し苦労だったらそれが一番っすね。そうすると須賀くんには迷惑かけただけになっちゃうっすけど」ニコッ

京太郎「さっきも言ったろ。好きで入ったんだって。……お、着いたみたいだぞ」


61 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:37:14.11kM7NDKVdo (3/9)

ゆみ「ここが麻雀部だ。入ってくれ」ガラッ

京太郎「おじゃまします」

桃子「おじゃまするっす」

智美「ゆみちんおかえりー。期待の新入部員はどうだ……ってあれ?」

睦月「ええと、先輩。もしかして麻雀の相手はそっちの男の子だったんですか?」

ゆみ「ああいや、ちゃんと女子だったよ。ええと……」キョロキョロ

ゆみ「すまない東横くん。姿を見せて貰えるか」

桃子「はいっす。私はここっすよ!!」バーン

智美「」ビクッ

睦月「」ビクッ

ゆみ「」ビクッ

京太郎(おー、みんな驚いてるなー)

ゆみ「すまない、どうもまだ慣れていないようだ……」ドキドキ

桃子「私は慣れてるので気にしないで欲しいっす」

ゆみ「そうか……なるべく早く慣れるようにするよ」


62 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:38:18.68kM7NDKVdo (4/9)

智美「ゆ、ゆみちん……」

ゆみ「ん? どうした」

智美「私はついに霊感を獲得したみたいだ!」

ゆみ「失礼なことをいうな!」

睦月「その、先輩。彼女が新入部員ですか? 今のは手品かなにかですか?」

ゆみ「ああ、彼女が今日から麻雀部に入部する東横桃子くんだ。今のについては彼女自身から聞いたほうがいいだろう」

桃子「改めまして、今日から麻雀部に入部することになりました東横桃子っす」

桃子「私は極端に存在感が薄くて、中々気づいて貰えない体質なんすよ。さっきのも隠れていた訳じゃなくて私はずっとそこにいたっす」

桃子「こういう体質っすから迷惑かけることもあると思うっすけど、これからよろしくお願いします」ペコリ

睦月「そうだったのか……ごめんなさい、驚いてしまって」

智美「私もごめんなー。でももう驚かないぞ」ワハハ

智美「しかし世界は広いなー。こんな体質もあるなんて」

睦月「そうですね。目の前にいたのに気づけなかったなんて……」

京太郎(2人とも驚いたみたいだけど、気味悪がったりはしていない)

京太郎(別に特別な反応じゃない。普通の人なら誰だってこんな反応をするはずだ)

京太郎(まあでも……)チラリ

桃子「……」

京太郎「な、俺の言ったとおりだったろ」

桃子「……そうっすね!」


63 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:39:44.72kM7NDKVdo (5/9)

智美「ところでゆみちん。そこの金髪の子は誰なんだー」ワハハ

ゆみ「ああ、こっちは須賀京太郎くん。彼も同じく新入部員だ」

京太郎「須賀京太郎です。麻雀は初心者ですがよろしくお願いします!」

睦月「うむ、よろしく。一気に2人も入ってくれて嬉しいよ」

智美「君も新入部員かー。鶴賀麻雀部史上初めての男子部員だな!」

睦月「まあ共学化したのも今年からですしね」

京太郎「ははは……泥を塗らないように頑張ります」

智美「頼むぞー少年」ワハハ


64 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:40:26.22kM7NDKVdo (6/9)

ゆみ「さて、次は私たちが自己紹介する番だな」

智美「まずは部長の私からかなー」ワハハ

京太郎「えっ」チラリ

桃子「えっ」チラリ

ゆみ「……私は部長じゃないぞ」

智美「……このくらいでは泣かないぞ」ワハハ

京太郎「す、すみません!」

桃子「ごめんなさい!」

智美「冗談だよ、冗談。期待通りの反応してくれて嬉しいぞー」ワハハ

智美「私は蒲原智美だ。麻雀部の部長をやってるぞー」

京太郎「いやその、すみません。よろしくお願いします、蒲原部長」

智美「智美」

京太郎「え?」

智美「智美って下の名前で呼んでくれ。私たち3年生は早ければ6月の頭には引退しちゃうからなー。早く仲良くなりたいんだー」ワハハ

京太郎「ええと、それじゃよろしくお願いします。智美部長」

智美「よろしくなー京太郎」

桃子「よろしくっす! 智美部長!」

智美「よろしく……モモって呼んでいいかー?」ワハハ

桃子「……! はいっす! 嬉しいっす!」

智美「よかったー。よろしくなーモモ」


65 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:40:55.55kM7NDKVdo (7/9)

睦月「じゃあ次は私が。私は津山睦月。部長たちとは違って2年生だ」

京太郎「よろしくお願いします、えっと……」

睦月「……? ああ、そうか。よろしく、京太郎くん」

京太郎「はい! よろしくお願いします、睦月先輩」

睦月「うむ」

桃子「私もよろしくっす! 睦月先輩!」

睦月「うん、よろしく。モモ」

ゆみ「さ、最後は私か……」

京太郎「どうかしましたか?」

ゆみ「い、いや。なんでもないんだ」

ゆみ「2人とも知っていると思うが改めて」コホン

ゆみ「私は加治木ゆみ。3年生だ」

桃子「よろしくっす! ゆみ先輩もモモって呼んで欲しいっす」

ゆみ「ああ、わかった。よろしくな、モモ」

京太郎「よろしくお願いします、ゆみ先輩」

ゆみ「――!」カアァ


66 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:41:25.28kM7NDKVdo (8/9)

京太郎「……ええと、本当に大丈夫ですか?」

ゆみ「だ、大丈夫だ!」

ゆみ「よろしく、きょ、きょう……うぅ」

ゆみ「ちょ、ちょっと待ってくれ」スーハー

京太郎「はい、ゆみ先輩」

ゆみ「――――!!」カアァァァ

桃子(空気読まないっすねー)

睦月(あれはわざとやってるのかな)

智美(期待の新人だなー)ワハハ

ゆみ「……その、すまない。須賀と上の名前で呼ぶことにしていいだろうか」

京太郎「え? え、ええ。いいですよ」

ゆみ「それと私のことも加治木先輩と呼んでくれると助かる」

京太郎「わかりました……」

京太郎(俺嫌われたのかな……)ズーン

桃子「そんなことないから安心するっす」ポン

京太郎「え、今の声に出てたか!?」

桃子「顔見れば須賀くんの考えてそうなことくらいわかるっす」

桃子「……あ、そうだ。今度から須賀くんも私のことはモモって呼んで欲しいっす」

京太郎「ああ、これから頑張ろうな。モモ」

桃子「一緒に頑張るっす! 京太郎!」


67 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/04(月) 00:44:31.24kM7NDKVdo (9/9)

以上になります。
中々話が進みませんがご容赦を。


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/04(月) 00:48:38.84IX+2kvkbo (1/1)

乙ー


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/04(月) 01:12:39.18gN7nUnhso (1/1)

かじゅもモモもかわいい


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/04(月) 01:14:15.23YPUwCWmYo (1/1)

乙すばらっ


71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/04(月) 01:24:54.57CtcwJhvpo (1/1)


面白い


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/04(月) 13:09:45.30Qk3lwYxZo (1/1)

乙ー


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 13:44:37.64/czZw9Xh0 (1/1)

どっちかっつーとモモをヒロインにして欲しいもんだが……それはともかく乙


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 19:44:01.24Mex0hT4Eo (1/1)

>>73
お前しつこすぎ


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 20:41:57.70bccU6y+Po (1/1)

安価SSじゃなし、アイディア募集なわけでもなし、外からどーしたいこーしたい言うもんじゃないだろ



76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 20:48:48.80Y8Prf8VIo (1/1)

>>73
もう自分で書いてろよ


77 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 02:58:27.71eBYYz7sTo (1/18)

こういう展開が見たいくらいでしたらやることもあるかもしれませんが、さすがにヒロインを変える気はないのでご了承いただければと思います。
では投下します。


78 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 02:59:10.69eBYYz7sTo (2/18)

ゆみ「自己紹介も済んだことだし麻雀を打とうか。モモとはネットで何度も打っているが実戦での実力も知りたいしな」

桃子「私は実戦のほうが得意っすよー」フフフ

ゆみ「それは楽しみだな。須賀くんも一緒に入ってもらっていいか?」

京太郎「いえ、俺は実戦どころかネットでもやったことないので……」

ゆみ「それなら最初は見学からだな」

京太郎「はい、そうさせてもらいます」

智美「誰か一人のをじっくり見てるといいと思うぞー」

京太郎「わかりました。じゃあモモ……」

桃子「あ、私はやめたほうがいいっすよ」

京太郎「え?」

桃子「勉強するつもりなら私のは見ないほうがいいっす」

京太郎「……? まあそういうなら。ええとそれじゃあ――」

京太郎(やっぱり強い人のほうがいいよな。かじゅは加治木先輩だろうし)

京太郎「加治木先輩。見てていいですか?」

ゆみ「わ、私か!?」

京太郎「だ、駄目なんですか?」

ゆみ「い、いや。ちょっと驚いただけだ」コホン

ゆみ「私で良ければ参考にしてくれ」

京太郎「え、ええ。もちろんです」

智美「ゆみちん。そういうのちょっと直した方がいいなー」ワハハ

ゆみ「わ、わかってるっ」


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 02:59:21.00Vj3YJUUgo (1/1)

おっしゃ


80 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 02:59:36.32eBYYz7sTo (3/18)

智美「じゃあ始めるぞー」タン

桃子「負けないっすよ」タン

睦月「ネトマで何度も負けてるけど、先輩として最初くらいは……!」タン

ゆみ「私も譲る気はないぞ」タン

…………

………

……



【南二局】
智美「リーチ。ゆみちんをまくってやるぞー」ワハハ

桃子「……」タン

睦月(うーん……降りよう)タン

ゆみ(蒲原の捨て牌は……)チラ

ゆみ(こっちかな)タン

………

……




81 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:00:26.82eBYYz7sTo (4/18)

ゆみ「ど、どうした?」

京太郎「い、いえ。そんなことまで考えて麻雀をしているんだなと」

ゆみ「まあ必ず当たるわけではないし、そんなに大したことではないさ」

ゆみ「というか須賀くんはともかく、蒲原と津山は知っているだろう」

睦月「いえ、そういう技術があるのは知ってますがこんな身近に実践している人がいたなんて……」

智美「私はそこまでの余裕はちょっとないなー」

ゆみ「何もずっと見ているわけじゃないぞ? 重要なところだけ見ればいいんだ」

ゆみ「まあその辺りは対局が終わったら教えようか。雑談はこの辺りにして、次の局に行こう」

桃子「…………」

京太郎(そういえばモモのやつさっきから全然話してないな。集中してんのかな……?)


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 03:00:42.69CTXB+bj7o (1/2)

キター


83 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:01:27.89eBYYz7sTo (5/18)

【南三局】
睦月(ラス親かあ。まだ焼き鳥だしここでなんとか)タン

ゆみ(今のところトップで2位のモモとは約1万5千点差)

ゆみ(配牌は四向聴か)タン

タン タン タン タン タン……

桃子「リーチっす」タン

京太郎(モモは索子の染め手っぽいな。これくらいはわかるぞ!)

睦月(一向聴から中々進まない……!)タン

ゆみ(形聴は狙えそうだな)タン

智美(ううん、引きが悪いなー)タン

京太郎(あれ、リーチしたのにみんなあんまり反応してないな)

桃子「……」タン

ゆみ(役牌が重なった。これなら上がりも狙えるか)タン

京太郎(索子!? しかも1枚も見えてない三索!?)

桃子「ロン! 立直、混一色で7700っすよ!」

ゆみ「なっ!?」

智美・睦月「えっ!?」

ゆみ「モモ、リーチ宣言は……」

桃子「ちゃんとしたっす!」

京太郎「俺も聞いてました。そんな小さな声じゃなかったと思うんですが……」

ゆみ「ん……そうか。それはすまない」

ゆみ(さっきの反応からして蒲原も睦月も、モモのリーチ宣言を聞いていない)

ゆみ(かといってモモも須賀くんもリーチをしたなどという嘘を付きはしないだろう)

ゆみ(つまりおそらく――――)


84 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:01:53.49eBYYz7sTo (6/18)

【南四局】
ゆみ(配牌はあまり良くないか……どこまで対抗できる分からないが、やるだけやってみるとしよう)タン

智美(今のは何だったんだー?)タン

桃子(フッフッフ。ネトマのリベンジ達成はもうすぐっすよー)タン

睦月(リーチが聞こえなかったなんて、こんなの初めて)タン

ゆみ「チー!」タン

桃子(仕掛けが速いっすね)

ゆみ「ポン!」タン

智美(東を鳴かれたかー。いや、でもこれは速いというか……)

ゆみ「チー!」タン

睦月(こんな先輩らしくない無理矢理な仕掛けをなんで……?)

ゆみ「ポン!」タン

京太郎(四副露!? なんでここまで急ぐ必要が……)

桃子(ううー、なるほど。そういう手もあるんすね……)

ゆみ「ロン。東のみ」

1位 加治木ゆみ
2位 東横桃子
3位 蒲原智美
4位 津山睦月

【終局】


85 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:02:42.97eBYYz7sTo (7/18)

桃子「いやー参ったっす。初見では絶対負けない自信があったんすけどねー」

ゆみ「たまたま運がよかっただけだよ。トータルではおそらく私が負け越すさ」

桃子「そもそも東場で消えられるのが普通なんすよ。まさか南二局までかかるとは思わなかったっす」

京太郎「ええと、モモ。何の話?」

桃子「最後の二局のことっすよ。ゆみ先輩が私に振り込んだのは見たっすよね?」

京太郎「ああ。加治木先輩にしてはおかしいなと思った」

ゆみ「あのときだが、私にはモモの捨て牌が見えていなかった……いや、それでは正確ではないな」

ゆみ「私にはリーチ宣言も聞こえていなかった。モモのことが認識できていなかったんだ」

京太郎「……はい?」

睦月「よかった。聞こえなかったの私だけじゃなかったんですね」

智美「むっきーも聞こえてなかったか。私も聞こえてなかったぞー」ワハハ

京太郎「いや、確かにモモは存在感薄いですけど一緒に麻雀してて消えるなんて……」

桃子「ほら、来る途中にもやったじゃないっすか。私は自分の意志でも消えられるんすよ?」


86 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:03:10.68eBYYz7sTo (8/18)

京太郎「……あー。そういえば」

桃子「麻雀でやると私だけじゃなく牌も消せるんすよ。正確に言えば気づかなくさせるっすけど」

京太郎「つまり相手に警戒されなくなるし、振り込むこともなくなるってことか? そりゃすごいな」

桃子「気づかれない私の唯一の利点といっても過言じゃないっす! まあまさか初見で破られるとは思わなかったっすけど……」

京太郎「ああ、加治木先輩が鳴きまくってたのはそれで……」

ゆみ「破るなんて大層なものじゃないさ。たまたま運よく行っただけだ」

ゆみ「どうせ見えないなら防御するのも不可能だからな。上がられたら確実にまくられてしまうし、なら鳴いて速く手を進めてしまえというだけだよ」

桃子「まあ理屈ではそうっすけど……私が鳴けないから手が遅いってのもわかった上でやったんすよね。凄いっす!」

ゆみ「ネトマのときから極端な面前思考で気になっていたから試してみたんだ。上手くいって幸いだった」


京太郎「なんというか……追いつける気がしない」

智美「気にするな京太郎。私もだー」

睦月「私なんてリーチ宣言聞き逃したとしか思ってませんでしたよ……」


87 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:03:41.06eBYYz7sTo (9/18)

ゆみ「さて、じゃあもう1局打とうか」

桃子「次は負けないっすよー」

智美「京太郎、私が抜けるから代わりに入るんだー」ワハハ

京太郎「え!? でも俺ほんと初心者で……」

睦月「私も入ってすぐ打たされたよ。とりあえずやってみよう?」

ゆみ「とりあえず簡単なルールさえ分かっていれば大丈夫だ。別に練習だし軽い気持ちでいいぞ」

京太郎「……そうですね。よろしくお願いします!」

…………

………

……



京太郎「」ズーン

智美「見事に飛んだなー」

桃子「見事に飛んだっすねー」

睦月「先輩の倍満と跳満に続けて振り込み……」

ゆみ「その、すまない。どうも運がよすぎたようで……」アセアセ

京太郎「い、いえ。手加減しちゃ練習になりませんしね……」ハハハ


88 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:05:46.19eBYYz7sTo (10/18)

以上になります。
次あたりで入部初日終わらせたいです。


89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 03:08:20.06CTXB+bj7o (2/2)

すば乙なのよー


90しまった飛ばした。>>80の次から  ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:08:31.03eBYYz7sTo (11/18)

智美「テンパイ」

桃子「ノーテンっす」

睦月「ノーテンです」

ゆみ「テンパイだ」

智美「うっ、また止められてたか。今回はわからないと思ったんだけどなー」ワハハ

ゆみ「蒲原とは何度も打ってるからな。なんとなくわかるさ」

京太郎(南二局まで終わって、振り込んだのは睦月先輩と蒲原先輩が一回ずつ)

京太郎(加治木先輩ももちろんだけど、他の3人も全然振り込まないな)

京太郎(……見ててもどうやって止めてるのかさっぱりわかんねえ!!)

ゆみ「須賀くん? どうかしたか?」

京太郎「あーその。染め手とかは分かるんですけど、今のとかどうやって止めてるのかなと思いまして」

ゆみ「ああ、なるほど。基本的には捨て牌を見て予測しているんだ。筋とか色々あるんだが……まだ君には早いな」

京太郎「はい」キッパリ

ゆみ「そう断言されても困るな」ハァ

ゆみ「他にも相手を直接観察して理牌や目線を見ているが、これは慣れるまではやめたほうがいいだろう」

ゆみ「まあ特に理牌は相手の癖を知らなければわからないから、あまり使うべきではないのかもしれないが……ん?」

京太郎「」ポカーン

智美「」ポカーン

睦月「」ポカーン


91 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:09:28.26eBYYz7sTo (12/18)

ゆみ「ど、どうした?」

京太郎「い、いえ。そんなことまで考えて麻雀をしているんだなと」

ゆみ「まあ必ず当たるわけではないし、そんなに大したことではないさ」

ゆみ「というか須賀くんはともかく、蒲原と津山は知っているだろう」

睦月「いえ、そういう技術があるのは知ってますがこんな身近に実践している人がいたなんて……」

智美「私はそこまでの余裕はちょっとないなー」

ゆみ「何もずっと見ているわけじゃないぞ? 重要なところだけ見ればいいんだ」

ゆみ「まあその辺りは対局が終わったら教えようか。雑談はこの辺りにして、次の局に行こう」

桃子「…………」

京太郎(そういえばモモのやつさっきから全然話してないな。集中してんのかな……?)


92 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:09:54.19eBYYz7sTo (13/18)

【南三局】
睦月(ラス親かあ。まだ焼き鳥だしここでなんとか)タン

ゆみ(今のところトップで2位のモモとは約1万5千点差)

ゆみ(配牌は四向聴か)タン

タン タン タン タン タン……

桃子「リーチっす」タン

京太郎(モモは索子の染め手っぽいな。これくらいはわかるぞ!)

睦月(一向聴から中々進まない……!)タン

ゆみ(形聴は狙えそうだな)タン

智美(ううん、引きが悪いなー)タン

京太郎(あれ、リーチしたのにみんなあんまり反応してないな)

桃子「……」タン

ゆみ(役牌が重なった。これなら上がりも狙えるか)タン

京太郎(索子!? しかも1枚も見えてない三索!?)

桃子「ロン! 立直、混一色で7700っすよ!」

ゆみ「なっ!?」

智美・睦月「えっ!?」

ゆみ「モモ、リーチ宣言は……」

桃子「ちゃんとしたっす!」

京太郎「俺も聞いてました。そんな小さな声じゃなかったと思うんですが……」

ゆみ「ん……そうか。それはすまない」

ゆみ(さっきの反応からして蒲原も睦月も、モモのリーチ宣言を聞いていない)

ゆみ(かといってモモも須賀くんもそんな嘘を付きはしないだろう)

ゆみ(つまりおそらく――――)


93 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:10:31.25eBYYz7sTo (14/18)

【南四局】
ゆみ(配牌はあまり良くないか……どこまで対抗できる分からないが、やるだけやってみるとしよう)タン

智美(今のは何だったんだー?)タン

桃子(フッフッフ。ネトマのリベンジ達成はもうすぐっすよー)タン

睦月(リーチが聞こえなかったなんて、こんなの初めて)タン

ゆみ「チー!」タン

桃子(仕掛けが速いっすね)

ゆみ「ポン!」タン

智美(東を鳴かれたかー。いや、でもこれは速いというか……)

ゆみ「チー!」タン

睦月(こんな先輩らしくない無理矢理な仕掛けをなんで……?)

ゆみ「ポン!」タン

京太郎(四副露!? なんでここまで急ぐ必要が……)

桃子(ううー、なるほど。そういう手もあるんすね……)

ゆみ「ロン。東のみ」

1位 加治木ゆみ
2位 東横桃子
3位 蒲原智美
4位 津山睦月

【終局】


94 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:10:57.21eBYYz7sTo (15/18)

桃子「いやー参ったっす。初見では絶対負けない自信があったんすけどねー」

ゆみ「たまたま運がよかっただけだよ。トータルではおそらく私が負け越すさ」

桃子「そもそも東場で消えられるのが普通なんすよ。まさか南二局までかかるとは思わなかったっす」

京太郎「ええと、モモ。何の話?」

桃子「最後の二局のことっすよ。ゆみ先輩が私に振り込んだのは見たっすよね?」

京太郎「ああ。加治木先輩にしてはおかしいなと思った」

ゆみ「あのときだが、私にはモモの捨て牌が見えていなかった……いや、それでは正確ではないな」

ゆみ「私にはリーチ宣言も聞こえていなかった。モモのことが認識できていなかったんだ」

京太郎「……はい?」

睦月「よかった。聞こえなかったの私だけじゃなかったんですね」

智美「むっきーも聞こえてなかったか。私も聞こえてなかったぞー」ワハハ

京太郎「いや、確かにモモは存在感薄いですけど一緒に麻雀してて消えるなんて……」

桃子「ほら、来る途中にもやったじゃないっすか。私は自分の意志でも消えられるんすよ?」


95 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:11:53.95eBYYz7sTo (16/18)

京太郎「……あー。そういえば」

桃子「麻雀でやると私だけじゃなく牌も消せるんすよ。正確に言えば気づかなくさせるっすけど」

京太郎「つまり相手に警戒されなくなるし、振り込むこともなくなるってことか? そりゃすごいな」

桃子「気づかれない私の唯一の利点といっても過言じゃないっす! まあまさか初見で破られるとは思わなかったっすけど……」

京太郎「ああ、加治木先輩が鳴きまくってたのはそれで……」

ゆみ「破るなんて大層なものじゃないさ。たまたま運よく行っただけだ」

ゆみ「どうせ見えないなら防御するのも不可能だからな。上がられたら確実にまくられてしまうし、なら鳴いて速く手を進めてしまえというだけだよ」

桃子「まあ理屈ではそうっすけど……私が鳴けないから手が遅いってのもわかった上でやったんすよね。凄いっす!」

ゆみ「ネトマのときから極端な面前思考で気になっていたから試してみたんだ。上手くいって幸いだった」


京太郎「なんというか……追いつける気がしない」

智美「気にするな京太郎。私もだー」

睦月「私なんてリーチ宣言聞き逃したとしか思ってませんでしたよ……」


96 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:12:34.08eBYYz7sTo (17/18)

ゆみ「さて、じゃあもう1局打とうか」

桃子「次は負けないっすよー」

智美「京太郎、私が抜けるから代わりに入るんだー」ワハハ

京太郎「え!? でも俺ほんと初心者で……」

睦月「私も入ってすぐ打たされたよ。とりあえずやってみよう?」

ゆみ「とりあえず簡単なルールさえ分かっていれば大丈夫だ。別に練習だし軽い気持ちでいいぞ」

京太郎「……そうですね。よろしくお願いします!」

…………

………

……



京太郎「」ズーン

智美「見事に飛んだなー」

桃子「見事に飛んだっすねー」

睦月「先輩の倍満と跳満に続けて振り込み……」

ゆみ「その、すまない。どうも運がよすぎたようで……」アセアセ

京太郎「い、いえ。手加減しちゃ練習になりませんしね……」ハハハ


97 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/08(金) 03:13:43.38eBYYz7sTo (18/18)

改めて以上です。
グダって申し訳ない。
更新数見て投下多いなと思った人ごめんなさい。


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 03:14:38.70RAA1VNxjo (1/1)

投下乙


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 03:32:27.30CYqOc3mWo (1/1)

乙です。


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 04:50:58.43GXOJR7jAo (1/1)

乙です。
毎回楽しみにしてます。


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 06:51:05.42eKzCvFlt0 (1/1)

おつー


102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 07:57:45.00CS6o0ybf0 (1/1)


モモは可愛いなぁ


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 02:05:00.36uUGNwaII0 (1/1)

乙っす


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 12:49:01.47qguhDQOm0 (1/1)


やっぱ京太郎弱いのか


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 17:49:30.65dw8TeiK40 (1/1)

原作で出会わない人同士が出会うような改変するくらいなら
京太郎が昔から麻雀していたように改変してもいいと思うけど


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 00:01:12.83/TYZbJik0 (1/1)

一年の頃は初心者だったかじゅが同じ初心者の京太郎に教えて急接近っていうのが良いんじゃないか


107 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:19:35.98sWBk5acbo (1/10)

最初の投下する前はWBC終わる頃には終わらせたいなと思ってたんですが、今思うとあの頃は何考えてたんだろうという感じです。
投下します。


108 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:20:01.32sWBk5acbo (2/10)

――帰り道――

智美「それじゃあ私たちはこっちだから」

桃子「また明日っすー!」

睦月「さようなら先輩。京太郎くん、また明日」

京太郎「はい、お疲れさまでした」

ゆみ「ああ、また明日」

下校途中の大きな交差点。鶴賀の生徒の多くはここで大きく二手に分かれて帰宅する。
俺達麻雀部もそのご多分に漏れず、俺と加治木先輩は右へ、部長と睦月先輩とモモは左へと分かれることになった。


京太郎「……」テクテク

ゆみ「……」カラカラカラ

京太郎「……その、加治木先輩自転車押してますけど家遠いんですか?」

ゆみ「あ、ああ。学校まで大体自転車で20分ちょっとかかるな」

京太郎「そうなんですか。……急いでるようでしたら俺に気を遣わなくても大丈夫ですよ」

ゆみ「いや、今日は特に何もないから大丈夫だ。途中まで……い、一緒に帰ろう」

京太郎「そうですか……」


109 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:20:51.85sWBk5acbo (3/10)

ゆみ「……」カラカラカラ

京太郎「……」テクテク

京太郎(……き、気まずい!!)

京太郎(なんか会話もぎこちないし、嫌われたのか苦手に思われたのか……)

京太郎(こっちから話しかけないほうがいいかな。でもこのまま無言ってのも……)

京太郎(うん、悪いところがあったら直せばいいんだしな。もう一回声をかけて)

ゆみ「須賀くん!」

京太郎「は、はいぃ!!?」

京太郎(な、なんだ!? なんかしたか俺!?)

ゆみ「その、だな……」

京太郎「……」

ゆみ「……」

京太郎「…………」

ゆみ「……すまない、ちょっと情けないことで話すのに心の準備が必要でな」

京太郎「……?」

ゆみ「ふぅ……」スーハー


110 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:21:17.57sWBk5acbo (4/10)

ゆみ「……その、私は男子と話すのが得意ではなくてな」

京太郎「……は?」

ゆみ「君に対してそっけない態度を取っていると思うのだが、決して君のことが嫌いとかそういうわけではないんだ」

京太郎「え、いやでも部活とか教室ではそんなこと全然」

ゆみ「麻雀なら君に対しては指導するという立場でいられるからな。普通に話すのに比べれば大した緊張はない」

ゆみ「教室は……あのときの私はどうかしていた」カァァァ

ゆみ「部員を見つけることだけを考えていて、他のことは何も頭になかった。緊張なんてする暇もなかったよ」

京太郎「そうだったんですか」

ゆみ「だから、その、だな。君を不快にさせてしまったかもしれないが、決してわざとというわけではないんだ」

京太郎「ははは、嫌われたのかと思ってましたよ」

ゆみ「す、すまない……」シュン

京太郎「い、いえ。そういうつもりでは」

京太郎「言ってくれて嬉しかったですよ。言われなかったら誤解したままだったかもしれないです」

ゆみ「ん……そうか。そういってくれると助かる」

京太郎「でも意外ですね。男子とか苦手な風には見えないです」

ゆみ「ふむ、まあ女の子らしい見た目ではないからな」

京太郎「そんなことないですよ!」

ゆみ「はは……うん、そう言ってくれるのは嬉しいよ」

京太郎(本心なんだけどなあ……)


111 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:22:27.52sWBk5acbo (5/10)

ゆみ「男子と話すのが苦手な理由は、まあ単純に話す機会がなかったんだ」

京太郎「小さい頃から女子校だったんですか?」

ゆみ「いや、そういうわけではないんだが、私は小さい頃から何かと男子を注意するような役回りになることが多くてな」

京太郎「あー……」

ゆみ「今日一日一緒にいただけだが、何となく分かるだろう?」

京太郎「ええ、なんとなくわかります」

ゆみ「自分から言うことはそんなになかったんだが、女子から注意してくれとよく頼まれた」

ゆみ「そのせいで男子からは敬遠され、女子からはさらに頼られ、男子と普通に話す機会をほとんど持てなかった」

ゆみ「その上女子校に入学してしまったからな。自業自得ではあるんだが、慣れようがなかったんだ」ハハハ


112 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:23:45.98sWBk5acbo (6/10)

京太郎「共学化したときとかはどうだったんですか?」

ゆみ「麻雀部に来るかもしれないと思ってやはり緊張したよ。結果は……まあ今日見た通りだが」

京太郎「あはは……」

ゆみ「まさか1人も入らないとは思わなかった。まあ確かに麻雀をやりたい子がわざわざ鶴賀に来るわけはないんだが」ハァ

ゆみ「だから今日、モモと君、2人も入ってくれて本当に感謝している」

京太郎「モモはわかりますけど俺もですか?」

ゆみ「ああ、もちろんだ」

京太郎「でも俺は男子ですし、麻雀も初心者ですよ」

ゆみ「確かに大会には出たいし、そのために部員を集めていた。でも私が卒業した後、部員不足で麻雀部が潰れてしまっては悲しいだろう?」

ゆみ「女子だろうと男子だろうと、麻雀の経験があろうとなかろうと関係ない。私は君が入ってくれてとても嬉しかったよ」ニコッ

京太郎「――!」カァァ

ゆみ「うん? どうかしたか?」

京太郎「い、いえ。なんでもないです」

京太郎(ほんと先輩はストレートだな……!)


113 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:24:11.54sWBk5acbo (7/10)

京太郎「そういえば部員って今日いたので全員なんですか?」

ゆみ「? あれで全員だがそれが?」

京太郎「いえ、麻雀の団体戦って5人でやるじゃないですか。1人足りないんじゃないかと」

ゆみ「ああ、そのことか。確かに説明していなかったな」

ゆみ「蒲原には幼馴染がいるんだが、その子が4人集まったら入ってくれると言っているらしいんだ」

京太郎「ああ、じゃあモモが入ったからその人も入ってくれるんですね」

ゆみ「そういうことだ。彼女は初心者と言っていたかな。君と一緒だ」

京太郎「へーそうなんですか。よかったです、1人初心者で気後れしてたんで……」ハハハ

ゆみ「誰だって始めたときは初心者だよ。これから上手くなればいい」

京太郎「今日の加治木先輩とモモの会話聞いてたらそうは思えませんよ……」

ゆみ「モモのは彼女の生まれ持った資質だけど、私のは練習の賜だ。努力次第だが私くらいにはなれるさ」

京太郎「うーん、なれますかねえ」

ゆみ「なに、これから私たちが教えるんだ。独学で学んできた私より上手くなって貰わないとな」

京太郎「ははは、そうですね。ご指導よろしくお願いします」ペッコリン

ゆみ「ああ、任された」フフッ


114 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:24:49.00sWBk5acbo (8/10)

京太郎「それじゃあ俺はこっちなんで」

ゆみ「ああ、それじゃあ……もうこんなところか。君との話に夢中で気がつかなかった」

京太郎「ありがとうございます。――あ、そうだ。加治木先輩」

ゆみ「なんだ?」

京太郎「加治木先輩が男と話すの苦手っていうの、きっと思い込みだと思いますよ」

ゆみ「そうだったらいいが、現に私は君にぎこちない態度を取ってしまっていたと思うのだが……」

京太郎「全くないとは言いませんが、そういうのって大体俺が急に話しかけたときとかじゃないですか」

京太郎「多分話すのが苦手というよりは、何を話せばいいのか分からないんですよ」

ゆみ「それは確かにそうだが、その2つにあまり差はないんじゃないか……?」

京太郎「だってほら、先輩と俺、帰り道は普通に話してたじゃないですか」

ゆみ「ふむ、確かに言われてみればそうだな」

京太郎「あんまり固く考えなければいいんですよ。そうすればきっとすぐ直ります」

ゆみ「ああ、君の言うとおりかもしれないな。でも、須賀くんだからというのもあると私は思う」


115 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:25:14.51sWBk5acbo (9/10)

京太郎「えっ……」ドキッ

ゆみ「私に話しかけてくる男子はほとんどいなかったからな。高校に入ってからは須賀くんが初めてだ」

京太郎「あ、ああ。そういう……」

ゆみ「すぐには慣れないと思うが、これからも話しかけてくれると嬉しい」

京太郎「え、ええもちろんです」

ゆみ「ありがとう。それではまた明日。部室で」

京太郎「さようなら……」

京太郎「……」

京太郎「…………」

京太郎「天然でやってんのかあれは!?」


116 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/14(木) 03:26:14.74sWBk5acbo (10/10)

以上になります。
初日終わったらさくさく日程飛ばしたいです。


117VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 03:35:51.34k+HEN6gdo (1/1)

乙すばらっ


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 03:49:27.43dsqA0M6To (1/1)

乙です

桃がどの程度京太郎スキーかが重要だとおもいました。


119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 07:10:36.28fnsacGyAo (1/1)

おつ
かじゅみたいなキャラ相手は京太郎のほうがちょろくなるのも仕方ないね!


120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 13:40:24.87n2GDp14F0 (1/1)

原作からして京ちゃんわりとちょろいからね、仕方ないね


121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 16:10:39.20pNztjHqc0 (1/1)

次からメイド・イン・ヘブン……キングクリムゾンの方か。


122VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 20:49:16.67YLv3M3IYo (1/1)

でも、お前らかじゅにこんな事言われたらちょろくなるだろ?
俺はちょろくなる(断言)


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 21:49:12.20v8X8Ef+wo (1/1)

ゆみさんは立てられるより立てる側、はっきりわかんだね


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 21:30:44.582HcW+MIe0 (1/1)

ここの京太郎なら(環境的に)予選突破狙えるかな?


125 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:07:41.82cK99NmUno (1/8)

初日終わらせるのに20日かかるとは……
投下します。


126 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:08:14.55cK99NmUno (2/8)

――自室――

京太郎「お、咲からのメールか」

京太郎「1日ぶりだな。どれどれ……」

咲『京ちゃん元気?』

京太郎『おう、元気だぞ。昨日はメールなかったけどどうしたんだ?』

咲『本を読んでたらそのまま寝ちゃって……』

京太郎『はは、お前らしいな』

咲『うぅ……そ、そんなことより、今日私文芸部に行こうとしたんだよ!』

京太郎『おお、ついに入部し……行こうとした?』

咲『う、うん。その、ドアの前までは行ったんだけど、中がすごく和気あいあいとしてて入りづらくて……』

京太郎『まあもう5月だからなあ』

咲『どうしよう京ちゃん! 私文芸部に入れないよ!!』

京太郎『いやそのくらい気にせず入れよ……そもそもなんで4月に入らなかったんだ?』


127 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:09:12.66cK99NmUno (3/8)

咲『ええと、ほら、清澄に行った友達がいるじゃない?』

京太郎『ウチの中学から清澄に結構行ってたよな? 図書委員のやつ?』

咲『ううん、そっちじゃなくて班で一緒だったクラスの子』

京太郎『ああ、あいつか。結構仲良かったよな』

咲『そうそうその子。まあ京ちゃんとほどじゃなかったけどね』エヘヘ

京太郎(俺基準って……まあいいか)

京太郎『それでそいつがどうしたんだ?』

咲『うん、その子に一緒に文芸部に見学に行かない? って誘ったんだけど断られちゃって』

京太郎『へー、見学くらい行ってくれてもいいのにな』

咲『まあ先週誘った私も悪かったんだけど』

京太郎『先週!? ちなみにあいつ部活入ってるのか?』

咲『入学してすぐ園芸部に入ったよ。私も見学に付き合ったの』

京太郎『断られるに決まってんだろ!!』

咲『やっぱりそうだよね……』


128 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:09:35.47cK99NmUno (4/8)

京太郎『っていうか4月に行ってない理由にはなってなくないか?』

咲『ええと、さっき言ったとおり4月の初めにあの子と一緒に園芸部に行ったんだけど、私も体験入部したんだ』

京太郎『咲は花育てるのも好きだったよな』

咲『うん、最初はお花を育てるの楽しいし、本は1人でも読めるからここに入ろうかなと思ったんだけど……』

京太郎『ふむふむ』

咲『園芸部って土とかお花の鉢運んだりするんだ。それが結構重くて……』

京太郎『あー、それがきつくてやめたのか』

咲『そのくらいじゃやめないもん!』

京太郎『え? じゃあなんでやめたんだよ』

咲『ええと、頑張って運ぼうとしたんだけどお花植えてるプランターこぼしちゃって……』

京太郎『お、おう。まあでも一回くらいならやめるほどではないんじゃないか』

咲『ううん、何度も』

京太郎『…………』

咲『無言はやめてぇ!!』


129 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:10:19.58cK99NmUno (5/8)

京太郎『ま、まあ居づらくなって園芸部やめたのはわかった。それで?』

咲『え?』

京太郎『体験入部のうちにやめたんだろ? なら文芸部だって体験入部期間に行けたんじゃないか?』

咲『そ、それはそのう……』

京太郎『……うん、言わなくていいぞ。大体わかった』

咲『うぅ……で、でも勇気出したよ! 先週は友達誘ったし、今日は部室の前まで行ったもん!』

京太郎『まあなんだ。咲が頑張ったのはよくわかった。でももう少し頑張ろうな』

咲『京ちゃぁん……』

京太郎『入っちゃえば意外となんとかなるもんだぜ。俺も今日部活入ったけどみんな歓迎してくれたよ』

咲『京ちゃん部活入ったの!? 何部?』

京太郎『麻雀部』

咲『麻雀……京ちゃん麻雀出来たっけ?』

京太郎『いや全く。完全に初心者だよ。でも歓迎してくれた』

咲『そっか』

京太郎『咲は麻雀出来るのか?』

咲『……うん、出来るよ。昔よく家族でやってた』

京太郎『へー、なら麻雀部入ったらどうだ?』

咲『麻雀部?』

京太郎『ほら、清澄の麻雀部って聞いたことないからきっと強くないだろ? なら5月からでもウチみたいに歓迎してくれるさ』

京太郎『それに麻雀部なら大会でお前と会えるかもしれないしさ』

咲『……そうだね。考えてみる』

京太郎『まあ最終的には咲が後悔しないようにすればいいと思うけどな』

咲『これだけ言っておいて結局それ? ……うん、でもありがと』

京太郎『おう』


130 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:11:32.04cK99NmUno (6/8)

咲『ところで京ちゃん。大会で会えるかもってもしかして女子と合同の部活なの? そういえば鶴賀って元女子校だったよね?』

京太郎『ああ、というか俺以外全員女子だよ』

咲『な、何それ!!』

京太郎『何って……去年まで女子校だったし麻雀部も俺含めて今のところ5人だしな。そういうこともあるだろ』

咲『どうせハーレムだー! とか思ってるんでしょ!』

京太郎『初心者俺1人だぜ? そんな余裕ねえよ。……まあ嬉しくないって言ったら嘘になるけど』

咲『京ちゃんのバカ! もう知らない!!』

京太郎「おおう……まあ部活入れないって相談してきたのに、俺は部活でハーレムだって言ったらそりゃいい気分はしないか」

京太郎「なんて返すかなあ。ってあれ、咲からメールが」

咲『言い忘れてた、おやすみ!!』

京太郎『おやすみ。別に男子が俺だけだから入ったわけじゃないからな!』

咲『うん……その、私急に怒っちゃったけど、京ちゃん怒ってない? 明日もメールしていいよね?』

京太郎『これくらいで怒るわけないだろ? 明日は俺からメールするよ』

咲『京ちゃんありがとう!!』

京太郎『俺も悪かった。また明日』


131 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:13:57.15cK99NmUno (7/8)

京太郎「10時半か。ちょっと早いけどもう寝……ん? 加治木先輩からメール?」

ゆみ『今日はありがとう。男子と話したのは久々だったよ』

京太郎『いえ、俺も楽しかったですよ。それにしてもアドレス交換しましたけど、まさか今日メール貰えるとは思いませんでした』

ゆみ『蒲原に話したらその日のうちにメールするべきだと言われたんだが……』

京太郎(早く仲良くなるようにって部長が気を遣ってくれたのかな……うん、まあ嬉しいんだけど)

ゆみ『男子にメールしたのは初めてなのだが何かおかしなところがあっただろうか』

京太郎『いえありませんよ。せっかくですし、教本で気になったところがあるのでよければ教えて下さい』

ゆみ『勉強熱心だな。いいぞ、なんでも聞いてくれ』

京太郎『それじゃあ――』


132 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/18(月) 00:17:33.28cK99NmUno (8/8)

以上になります。
今週は3回くらい投下する予定。


133VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 00:20:04.25+6lnaY9Mo (1/1)

待ってた




134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 00:21:35.79KJoPZl/Fo (1/1)

乙ー


135VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 01:55:50.36Aos9c+Hco (1/1)

乙ー。
この咲ちゃんはポンコツ可愛い。
でも、かじゅはふつくしい。
次の投下も待ってます。


136VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 07:20:57.79zP5vv6igo (1/1)

咲さんかわいい!
かじゅもかわいい!


137VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 11:08:51.31IZBdmw3Fo (1/1)

乙ー


138VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 02:07:22.16dIMsalzB0 (1/1)

乙っす


139 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:11:57.85LGT541m0o (1/8)

WBC負けちゃいましたねー。決勝を放送しないようで残念。
では投下します。


140 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:12:33.30LGT541m0o (2/8)

京太郎「ロ、ロン!! 立直平和で裏ドラは……乗った! 3900です!」

ゆみ「む……」

京太郎「よっしゃあ! やっと加治木先輩から直撃取れた!」

智美「ついにゆみちんから直撃かー。気分はどうだー」ワハハ

京太郎「最高です!」

桃子「後は私から直撃取れば全員制覇っすね!」

京太郎「モモ、一度消えないでやってみないか?」

桃子「消える前に頑張るっす!」

京太郎「せめて東場は消えないでくれよ……」

桃子「気合で頑張るっす!」

京太郎「うぅ……」

佳織「うわー凄いね京太郎くん!」

京太郎「ははは、佳織先輩には負けますよ」

佳織「? 私加治木先輩からロンしたことないよ?」

京太郎「あははは……」

京太郎(代わりに初めての麻雀で役満上がってるんだよなあ……)


141 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:13:52.36LGT541m0o (3/8)

睦月「おめでとう京太郎くん。でもまだ打ってる最中だからほどほどに」

京太郎「あ、すみません。つい嬉しくて」

睦月「ふふ、私も初めてのときははしゃいだから気持ちはわかるよ」

京太郎「睦月先輩がはしゃぐのってあんまり想像つかないですね」

ゆみ「今の須賀くんのような感じだよ。まあそのうち見られるさ」

京太郎「そのうち?」

ゆみ「津山はプロ麻雀せんべいをよく食べているだろう?」

京太郎「そうですね。俺も睦月先輩に影響されて食べ始めましたよ」

ゆみ「いつの間に……まあいい。津山はレアカードが当たったとき、人が変わったように喜ぶんだ」

睦月「そ、そんなことないですよ!」

京太郎「へー。楽しみにしてますね」

睦月「しなくていいから!」

智美「3人とも、そろそろ次の局行くぞー」

ゆみ「そうだな。すまない」

京太郎「この勢いでトップを狙います!」

…………

………

……




142 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:14:34.79LGT541m0o (4/8)

京太郎「結局3位か。配牌は良かったんだけどなあ」

桃子「京太郎は牌効率がまだまだっすね。いくら配牌がよくてもそれじゃ勝てないっすよ」

京太郎「一応考えてるつもりなんだけど難しいな。筋とか壁とかそういうのは決まってるから覚えやすいんだけど」

桃子「え? もう覚えたんすか?」

京太郎「ああ、教本読んだり加治木先輩に教わったりしてるからな。もうバッチリだ!」

桃子「見た目と違って真面目っすねー……ってゆみ先輩に?」

京太郎「見た目は関係ないだろ! そうだけどどうかしたか?」

桃子「部活でそんなにじっくり話してるの見たかなーと」

京太郎「ああ、帰ってからメールで教えて貰ってるんだよ」

桃子「む。個人指導っすね」

京太郎「まあそうなるな」

桃子「羨ましいっす!」

京太郎「は?」

桃子「私もゆみ先輩に教えてもらいたいっす!」

京太郎「それを俺に言われてもなあ」

ゆみ「私なら構わないぞ」

京太郎「加治木先輩!?」ビクッ

ゆみ「あんまり驚かれると傷つくな……」

京太郎「す、すみません」

ゆみ「い、いや、冗談だ。気にしないでくれ。……それよりモモ、聞きたいことがあったらいつでもメールしてくれて構わないぞ」

桃子「ほんとっすか!?」

ゆみ「ああ、後輩の指導も先輩の役目だ。なるべく速く返信するよ」

桃子「嬉しいっす! ゆみ先輩大好きっすー!」


143 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:15:21.39LGT541m0o (5/8)

智美「ゆみちん、ちょっと来てくれ」コイコイ

ゆみ「?」テクテク

智美「部員が集まって嬉しいのはわかるけど、最近ちょっと詰め込み過ぎてないかー?」

ゆみ「そんなつもりはないんだが……」

智美「牌譜持ち帰る量も増えたし、他校の研究も本格的に始めたんだろー?」

ゆみ「バレていたのか」

智美「これでも部長だぞー」ワハハ

ゆみ「……まあそうだな。お前の言うとおり以前より熱心にやっているよ」

ゆみ「折角部員が集まったんだ。1回戦で負けて終わりなんて嫌じゃないか」

智美「それには同意だなー。でも少しくらい分けてくれてもいいんだぞ」

ゆみ「そうだな……」ムゥ

智美「私とゆみちんの仲だろ? 遠慮せず言ってくれていいぞ」

ゆみ「ん……こういうのはなんだが、私のほうが向いていると思うんだ」

智美「やっぱり私じゃ力不足かー」ワハハ

ゆみ「いや、性格的に」

智美「想定外の方向から突き刺さったな……」

ゆみ「遠慮するなと言ったのはお前だろう」

智美「そっちから来るとは思わなかったぞ」

ゆみ「まあ1人でやったほうが効率的だというのもなくはないがな」

智美「じゃ、じゃあアドバイスの方なら! それなら私でも出来るぞ!」

ゆみ「私がやると言ったことだしな。それを任せるというのも」

ゆみ「それに……」チラッ

智美「?」


144 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:16:19.22LGT541m0o (6/8)

桃子「むっちゃん先輩! この間話してた喫茶店に行く話っすけど、今日の帰りどうっすか?」

睦月「今日は予定もないし……うむ、行こうか」

桃子「かおりん先輩はどうっすか?」

佳織「~♪」

京太郎「佳織先輩、モモが呼んでますよ」

佳織「えっ!? ご、ごめんね桃子さん」

桃子「私はこっちっすよ」

佳織「あわわわ……」

京太郎「気にしないでください。そのうち見つけられるようになりますよ」

桃子「京太郎が言うんじゃないっす!」

睦月「あはは、京太郎くんはどうする? 一緒に行く?」

京太郎「行きたいんですが課題が残ってるので……」

睦月「そう……あ、そうだ。この前約束したプロ麻雀カード、ダブってるやつ持ってきたよ」

京太郎「おお、ありがとうございます!」

佳織「キラキラだねー」

睦月「結構貴重なレアなんだ。大事にしてね」

京太郎「はい!」


145 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:16:51.41LGT541m0o (7/8)

ゆみ「」ジー

智美「どうしたゆみちん。恋する乙女かー」ワハハ

ゆみ「なっ!? バ、バカを言うな!!」

智美(からかいがいがあるなー)ワハハ

ゆみ「……私はあんな風に仲良くなれていないからな。せめて麻雀で距離を縮めたい」

智美「そんなことないと思うけどなー」

ゆみ「それに実際大した負担ではないんだ。頼ってもらえるというのは純粋に嬉しいしな」

智美「まあゆみちんがそういうなら。でも無理はダメだぞ」

ゆみ「ああ、わかってるよ」

京太郎「智美部長、加治木先輩! 早く帰りましょう!」

ゆみ「すまない、今行く……っと」フラッ

京太郎「大丈夫ですか?」

ゆみ「少しふらついただけだ。心配ない」

桃子「先輩も喫茶店行かないっすか?」

ゆみ「ありがとう。だけど牌譜の整理があるから遠慮しておくよ」

桃子「残念っす……」

智美(……やっぱり心配だなー)


146 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/20(水) 02:19:07.33LGT541m0o (8/8)

以上になります。
京太郎も3位にはそこそこなってる設定。


147VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 02:31:56.07ACCy8pWmo (1/1)

乙ですー。
かじゅは確かに勝手に色々と背負い込んで、ギリギリまで頑張っちゃいそうなイメージ。
そんなかじゅが倒れて京太郎が看病する展開はよ


148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 02:39:10.08ZCEWZeIDO (1/1)

乙ー


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 02:40:32.16Z+5oZBl0o (1/1)

むっきーがかわいい
おつー


150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 03:04:45.43IYtXK6giO (1/1)

いっその事ここの咲ちゃんは文学少女ルートでも…


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 08:49:46.631yvgjI1/o (1/1)

乙ー


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 09:33:33.54u3PKF/Dyo (1/1)

むしろ倒れる前に気づく展開はよ


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 10:49:06.65HDazVWUMo (1/1)

京太郎の視線がよく自分の胸に釘づけになっていることにモモが気付いちゃう展開はよ


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/20(水) 20:52:46.65Coi1gM0To (1/1)

京かじゅスレだと言ってるじゃろうが


155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/21(木) 15:11:44.61LMqCOKsno (1/1)

>>153
しつこ過ぎワロタwwwwww


156 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:15:00.18lPrl/ZyTo (1/10)

センバツ始まりましたねー。今年こそ埼玉の優勝を見たいものです。
では投下します。


157 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:15:29.20lPrl/ZyTo (2/10)

京太郎「こんにちはー……ってあれ。部長だけですか」

智美「みんなまだみたいだなー」

京太郎「じゃあ来るまで教本でも読んで……」

智美「なあ京太郎、息抜きするなら何がいいと思う?」

京太郎「唐突ですね」

智美「いいからいいから」

京太郎「そうですねー……まあ普通に遊びに行くのが一番じゃないですか?」

智美「やっぱりそうだよなー」ワハハ

京太郎「急にどうしたんですか?」

智美「最近ゆみちん根詰めてるだろ? 息抜きに買い物に誘ったんだけど断られちゃってなー」

京太郎「そういえばたまに辛そうにしてますね」

智美「だろー? 大会まで時間がないのは確かだけど、あれで持つのか心配なんだ」

京太郎「時間がないといっても無理が続くほどではないですしね」

智美「気を抜いてくれればまた違うと思うんだけどなー。京太郎、何かゆみちんに息抜きさせるいい方法はないかー?」

京太郎「ただ誘うだけだとダメだったんですよね? うーん……」

智美「まあすぐじゃなくてもいいさ。考えておいてくれ」

京太郎「わかりま……」


158 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:16:16.21lPrl/ZyTo (3/10)

ゆみ「」ガラッ

京太郎「」ビクッ

智美「」ビクッ

ゆみ「ど、どうしたんだ?」

智美「い、いや。なんでもないぞー」ワハハ

ゆみ「怪しいな……何かよからぬことでも考えてたんじゃないだろうな」

京太郎「そ、そんなことないですよ! それよりその雑誌はなんですか?」ガタタッ

智美(ナイスフォローだ京太郎!)

ゆみ「バ、バカっ! 近い!」カアァァ

京太郎「はっ! す、すみません!」カアァァ

智美(……わざではないんだろうなー)

ゆみ「ざ、雑誌だったな。これは麻雀の専門誌だよ」コホン

京太郎「そ、そういえばそういう名前の見たことあります」

ゆみ「初心者向けのコーナーもある。参考になるだろうから読んでみるといい」

京太郎「へー、読んでみますね」ペラペラ


159 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:17:49.22lPrl/ZyTo (4/10)

京太郎「……ん?」

ゆみ「どうかしたのか?」

智美「どれどれ……高校生チャンプ宮永照?」

京太郎「ええ、はい」

智美「確かに美人だから気になるのもわかるけど、女子2人の前でそれは感心しないなー」ワハハ

ゆみ「須賀くん、そうなのか……」ジー

京太郎「違いますよ!」

智美「ワハハ、冗談だ」

ゆみ「わ、私はわかっていたぞ」

京太郎「加治木先輩……まあいいです。えっと、前に住んでたところに宮永って幼馴染がいるんですよ」

ゆみ「なるほど、同じ名字だな」

京太郎「そいつも女子なんですけど、なんとなく雰囲気が似てるなーと思いまして」

ゆみ「宮永照のいる白糸台は東京だろう? 須賀くんは前に住んでいたところも長野だったと聞いた覚えがあるのだが」

京太郎「ええ、そうなんですけど他人の空似とは思えなくて」

智美「ふーん。なら親戚なのかもしれないなー。その子も麻雀は強いのか?」

京太郎「いえ、そもそも打ってるところも見たことが……」

京太郎「あ、いや。そういえば家族麻雀はしていたみたいです。俺も最近聞いたんですが」

ゆみ「ふむ、仮に宮永照がその幼馴染の親戚だとすると、我が部には高校生女子麻雀チャンピオンの親戚の幼馴染がいることになるわけか」

智美「世間は狭いなー」

京太郎「近いのか遠いのか微妙な繋がりですけどね」ハハハ


160 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:18:37.81lPrl/ZyTo (5/10)

佳織「何を話してるんですか?」ガラッ

モモ「私も入れて欲しいっすー!」

佳織「わっ! 桃子さん!?」

睦月「最初からいたよ」クスクス

智美「みんな来たかー。今は京太郎が女子麻雀チャンプの知り合いだって話をしてたんだー」ワハハ

京太郎「ちょっと部長!?」

桃子「なんと、衝撃の事実っす! さては今までの麻雀素人っぷりも演技っすね!?」

佳織「京太郎くんそんな人と知り合いなの!? 凄いねー。でもおんなじ初心者だと思ってたからちょっと寂しいな」

京太郎「モモ悪ノリするな! 佳織先輩、智美部長のもモモのも嘘ですからね!?」

佳織「智美ちゃん嘘だったの? もう、信じちゃったじゃない」

ゆみ「正確にはチャンピオンの親戚の幼馴染かもしれないというところだな」

睦月「反応が難しいですね……」

京太郎「雑誌見てての雑談ですから! もうやめて下さい……!」

桃子「その屈辱は麻雀で晴らすっすよ! さあ勝負っす!」

京太郎「お前のせいでもあるからな!? 畜生、今日こそは勝ってやる!」

桃子「受けて立つっすよー!」

ゆみ「はは、今日は最初は1,2年生に譲ろうか」

智美「私たちは見学だなー」

睦月「ありがとうございます。モモも京太郎くんも、2人で盛り上がってるけど私も負けないよ」

佳織「私も頑張ります!」

…………

………

……




161 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:19:20.44lPrl/ZyTo (6/10)

――帰り道――

京太郎「それじゃみなさんまた明日」

佳織「また明日」

睦月「さようなら」

智美「2人ともまたなー」

モモ「今日の雪辱はまた果たすっすよ!」

京太郎「今日だけで何度も果たされたよ!」

ゆみ「はは、4人ともまた明日」


京太郎「……」テクテク

ゆみ「……」カラカラカラ

京太郎(何度も一緒に帰ってるけど、やっぱり別れてすぐは会話が途切れるなあ)

京太郎(俺から話しかければいいんだろうけど……)チラ

ゆみ「……」ソワソワ

京太郎(……うん、もうちょっと待ってみよう)

京太郎「……」テクテク

ゆみ「……」カラカラカラ

京太郎「……」テクテク

ゆみ「……す、須賀くんっ」

京太郎「はい、何でしょう」

ゆみ「その、だな。今日は初めての2位おめでとう」

京太郎「ありがとうございます!!」

ゆみ「うわっ」ビクッ


162 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:19:55.93lPrl/ZyTo (7/10)

京太郎「いやもうほんと嬉しかったんですよ! いつ話振ってくれるかなってそわそわして……って」

ゆみ「」

京太郎「そ、その、すみません……」

ゆみ「ふっ、くくっ……」

京太郎「加治木先輩?」

ゆみ「ふふ、すまない。ついおかしくてな」

京太郎「う……ついはしゃぎすぎましたけど、初めての2位なんですよ。嬉しくて当然じゃないですか」

ゆみ「それにモモの上を行ったのも初めてだった」

京太郎「そうです。目標が2つ同時に達成できたんですよ。そりゃ喜びますって!」

ゆみ「うん、まあ気持ちはわかる。でもな」

京太郎「?」

ゆみ「まだ君は部に入って間もないが、その努力を私は誰よりもよく知っているつもりだ」

ゆみ「君はよく努力している。そんなに喜ばなくともこれから何度でもなれるし勝てるよ。私が保証する」

京太郎「加治木先輩……」ジーン

ゆみ「うん? どうした」

京太郎「いえ、感動してました」

ゆみ「なっ!?」

京太郎「他人に真正面から評価されるってこんなに嬉しいものなんですね……!」

ゆみ「大げさだな……そういう感動はもっと大事なときに取っておいたほうがいい」

京太郎「じゃあ今度は1位になったときにまた言って下さい」

ゆみ「ん……まあいいだろう」

京太郎「はい、頑張ります!」


163 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:20:49.67lPrl/ZyTo (8/10)

ゆみ「ではそのためにはもっと実力を上げなければな」

京太郎「え……」

ゆみ「須賀くんの牌譜も集まってきたしな。ちょうど言いたいことがあったんだ」

京太郎「ええと、今日のところはいい気分のままでいさせて頂けたりとかは……」

ゆみ「1位を目指すんだろう? わかっているとは思うが、須賀くんの実力はまだまだ足りていないぞ」

京太郎「それはまあ、最初に2位になった後はいつも通り3位や4位ばかりでしたし……」

ゆみ「なら勉強だ。まず君は対子を集める傾向があるな。何か意味はあるのか?」

京太郎「いや、その、ポンってどこからでも鳴けるから得だなーと」

ゆみ「まあそんなところだろうと思っていた」ハァ

ゆみ「単純に有効牌の数を考えてみてくれ。塔子なら両面待ちで8枚、嵌張や辺張でも4枚あるだろ? 対して対子では2枚しかない」

京太郎「……おお、言われてみれば!」

ゆみ「まあもちろん場に出ている枚数や手役との兼ね合いもあるがな。基本的には対子より塔子を残すことを考えてくれ」

京太郎「勉強になります」

ゆみ「さて、次は……」

京太郎「ま、まだあるんですか!?」

ゆみ「当たり前だ……む、もうこんなところか」

京太郎「あ、分かれ道ですね。それでは俺はここで……」

ゆみ「帰ってからメールするから返信するように」

京太郎「ですよね……」

ゆみ「ああ、それじゃあまた夜に」カラカラカラ

京太郎「はい、さようなら」テクテク


164 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:21:21.04lPrl/ZyTo (9/10)

京太郎「加治木先輩結構スパルタだよなあ。まあ親身になってくれてるってことだけど」テクテク

京太郎「……ん? あれ、なんで加治木先輩歩いて帰ってたんだ? ……ん、メールが」


ゆみ『さっきはああ言ったが、正直君がモモに勝てるのはもっと先のことだろうと思っていた』

ゆみ『モモのステルスは偶然だけで勝てるようなものじゃない。麻雀を初めて一週間ほどで勝てたのは誇っていいと思う』

ゆみ『君の打ち方については帰ってからメールで言うつもりだったんだが……その……君に言われたことが恥ずかしくて、誤魔化すように言ってしまった』

ゆみ『きつい言い方になってしまったと思うんだが、よければこれからも頼ってほしい。すまなかった』


京太郎「……頼らないわけないのになあ」ハハ

京太郎(歩いてたのはすぐメールするためだったんだな)

京太郎「さて、なんて返そうかな。まずは気にしてないということと、それからお礼と……」


165 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/22(金) 21:23:24.21lPrl/ZyTo (10/10)

以上になります。
モモに勝ったので、かじゅ以外には勝ったことがあることになってます。


166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/22(金) 22:20:25.90V85LGz06o (1/1)

お疲れさんころりー


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/22(金) 22:21:18.98zXzjcWigo (1/1)

乙っす


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/22(金) 22:34:11.74QIQfnpjpO (1/1)

おつでー


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/22(金) 22:35:22.062Poj8Rd9o (1/1)

乙ー


170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/22(金) 23:59:20.92/iDV93d2o (1/1)

乙ー
そうだよなぁ真面目に連中とかしたら運も絡むし勝てることだってあるよな


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/23(土) 08:49:38.44nSXqaYzOo (1/1)

運の割合が大きいから半荘数回程度なら素人がプロに勝ち越すことだってあると本編で言ってたしな
魔物相手は無理だろうけど


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/23(土) 15:29:27.62LjkmljHSo (1/1)

配牌やツモが良くても他家が自分より早く和了したら負けるしな
のどっちも喰いタンで大三元流してたし


173 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 20:57:23.10q80RMOvLo (1/9)

3回投下をなんとか達成できて嬉しい。
投下します。


174 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 20:57:51.92q80RMOvLo (2/9)

――自室――

ゆみ『今日はここまでにしておこう。また明日』

京太郎『ありがとうございました。また明日よろしくお願いします』

京太郎「ふー……おお、2時間も付き合って貰ってたのか!?」

京太郎「部長に言われたばっかりなのに頼りすぎた……ちゃんと息抜きのしてもらい方考えないとなあ」

京太郎「ま、今はそれより咲からのメールに返信を……っと」

京太郎『悪い悪い、返信遅れた』

咲『もーいつもはすぐ返ってくるのに1時間も来ないから心配したよ』

京太郎『悪かったよ。それより今日は何かあるのか?』

咲『ううん、特にはないかな。今日は京ちゃんの話聞かせてよ』

京太郎『その言葉を待ってた! 聞いてくれ!』

咲『な、何?』

京太郎『今日初めて2位になれたんだよ!』

咲『京ちゃんおめで……2位?』

京太郎『2位だよ! 悪いか!』

咲『すっごく喜んでたから1位になったのかなって思ったんだけど……』

京太郎『初心者が麻雀部相手に2位になったんだから十分凄いだろ!』

咲『京ちゃんも今は麻雀部じゃない』

京太郎『それはそうだけど! 初めてトップ2になれたんだよ! 咲も麻雀やってたなら初めて2位になったときの気持ちわかるだろー』

咲『……そうだね。きっと嬉しかったんだと思う』

京太郎『思う?』

咲『昔のことだもん。でも、うん。昔は楽しくやってた気がする。だから思う、かな』


175 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 20:58:52.91q80RMOvLo (3/9)

京太郎『そうか……それと、咲に聞きたいことがあるんだけどいいか?』

咲『なあに?』

京太郎『今日麻雀の雑誌読んだんだ。それに高校生女子麻雀チャンピオンのインタビュー載ってたんだけど、そのチャンピオンの名前が宮永照っていうんだよ』

京太郎『その宮永照って人は東京の高校に通ってるんだけど、なんとなく雰囲気がお前に似てるから気になったんだ。もしかして親戚だったりするか?』

…………

京太郎「メール返って来ないな……なんかマズイこと聞いちまったか? とりあえず……」

京太郎『その、答えにくかったら無理に答えなくていいぞ? こっちも突然聞いて悪かったし』

咲『ううん、大丈夫……その人は、宮永照は私のお姉ちゃんだよ』

京太郎『お前にお姉さんなんていたのか?』

咲『うん、京ちゃんと会う前にお父さんとお母さん別居しちゃってたから』

咲『私は長野でお父さんと住んでるんだけど、お姉ちゃんは東京でお母さんと一緒に住んでるの』

咲『……そういえば京ちゃんに私の家族の話したことなかったね』

咲『ちょうどいいし聞いてもらっていいかな? ちょっと相談したいこともあるんだ』

京太郎『確かになかったけど……俺が聞いていいような話なのか?』

咲『別に隠すようなことじゃないし気にしないで』

京太郎『そっか。それなら咲、久々に電話かけてもいいか?』

咲『うん、いいよ。……ありがとう京ちゃん』


176 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 21:00:20.16q80RMOvLo (4/9)

京太郎『もしもし、聞こえるか?』

咲『もしもし、聞こえるよ』クスクス

咲『それじゃあ話すね。ええと、どこから話そうかな』

咲『家族麻雀をよくしてたって話はしたよね?』

京太郎『ああ、この間聞いた』

咲『私ね、実は家族麻雀そんなに好きじゃなかったんだ』

京太郎『そうなのか? 家族で出来るなんて楽しそうだななんて思ってた』

咲『うん、私の家ではね。お金をかけて麻雀やってたんだ』

京太郎『それで負けてたのか?』

咲『ううん、そんなことないよ。多分勝ち越してた』

京太郎『じゃあお金をやり取りするのが嫌だったとか?』

咲『それもちょっと違うかな。勝っても怒られてたんだ。負けたらお金を取られるし、勝ったら怒られる。京ちゃん、これどう思う?』

京太郎『なんというか……酷い話だな』

咲『でしょ? だから私は麻雀のことがそんなに好きじゃないんだよ』

京太郎『……』

咲『それで相談っていうのはここからなんだけど……』

京太郎『おう、ゆっくりでいいぞ』

咲『えっとね。京ちゃんが読んだっていう雑誌なんだけど、私も見たんだ』

京太郎『もう知ってたのか?』

咲『うん、お父さんから見せてもらってたんだ』


177 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 21:01:28.65q80RMOvLo (5/9)

咲『私ね、一度東京へ、1人でお姉ちゃんに会いに行ったことがあるんだ』

京太郎『1人で行けたのか?』

咲『ちっちゃい子じゃないんだから行けるよ! 京ちゃんは私のことをなんだと思ってるの!?』

京太郎『悪い悪い。続けてくれ』

咲『うん、それで家まで行ったんだけど、お姉ちゃんは一言も口を聞いてくれなかった――』

咲『お姉ちゃん、きっとまだ私のこと怒ってるんだ』

京太郎『怒ってる?』

咲『家族麻雀の話で、負けたらお金を取られる、勝ったら怒られるって話はしたよね? それで私はどうしたと思う?』

京太郎『どうしたって……麻雀をやらなくなったとかじゃないのか?』

咲『ううん、違うよ。私はね、±0にしちゃえばいいんだって思ったんだ。それならお金を取られないし、取らないから怒られることもないから』

京太郎『……は? いや、そんなの狙ってできるものじゃないだろ?』

咲『狙ってやったんだ。狙えるようになったって言ったほうがいいかな。ちっちゃい私の精一杯の抵抗だった』


178 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 21:02:13.90q80RMOvLo (6/9)

京太郎『……凄いな』

咲『あはは、ありがと。でもお姉ちゃんは私の勝ちを狙わないやり方が気に入らなかったんだと思う』

咲『きっと、だから今でも私と話してくれないんだ』

京太郎『……咲はお姉さんと仲直りしたいのか?』

咲『うん、だから雑誌の記事を見て、麻雀部に入ればお姉ちゃんとまた会えるかもしれないって思ったんだ』

京太郎『ああ、俺もそう思う』

咲『それで麻雀部に入ろうかどうか迷ってるの』

京太郎『結局文芸部には入らなかったんだろ? 麻雀部に入ればいいじゃんか』

咲『でもさ、京ちゃん。お姉ちゃんを怒らせた原因は麻雀なんだよ? その麻雀を使ってお姉ちゃんに会おうなんて余計に怒らせたりしないかな?』

京太郎『それは……』

咲『麻雀部に入らなければ、時間はかかるかもしれないけどその内お姉ちゃんは私のことを許してくれるかもしれない』

咲『麻雀部に入ればすぐお姉ちゃんに会いに行ける。でも、もっと怒らせて私のことをずっと許してくれなくなるかもしれない』

咲『京ちゃん、私はどうしたらいいのかな……』


179 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 21:03:34.70q80RMOvLo (7/9)

京太郎『……咲は麻雀のことどう思ってるんだ?』

咲『え?』

京太郎『だからさ、咲は麻雀のこと好きなのか?』

咲『……さっき言ったじゃない。あんまり好きじゃないよ』

京太郎『でもさ、それは勝つことじゃなくて、±0を目指してたからじゃねーのかな』

咲『……』

京太郎『俺はさ、麻雀始めたばっかだけど、勝てるとすげー楽しいよ』

京太郎『初めて3位になれたときでも嬉しかったし、今日初めて2位になれたときなんかは思わず叫んじまった』

京太郎『まだ1位になったことはないけど、なれたらきっともっと楽しいんだろうなって思う』

京太郎『咲はどうだ? 1位になって楽しいとか嬉しいって思うことなかったか?』

咲『……昔、まだ家族で仲良く麻雀でやってたとき、1位になれたら凄く嬉しかった』

咲『そうだね。京ちゃんの言うとおり、あの頃は家族仲良く、楽しく麻雀やってた』

京太郎『そっか。それなら咲は麻雀部に入るべきだ』

京太郎『今度は勝つことを目指して、楽しんで麻雀をすれば、それをお姉さんに見てもらえば、きっと咲のこと許してくれるよ』

咲『そう、かな』

京太郎『ああ』

咲『……うん、そうだね。会わなきゃ何も始まらないよね。わかったよ京ちゃん。明日、麻雀部に行ってみる』

京太郎『ああ、それがいいよ』


180 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 21:05:57.69q80RMOvLo (8/9)

咲『相談に乗ってくれてありがとう、京ちゃん』

京太郎『気にするな……そうだ。咲、ちょっといいか?』

咲『何?』

京太郎『さっきお前麻雀部に入ればお姉さんにすぐ会えるみたいなこと言ってたよな? 県大会に勝つ前提とは随分偉くなったなあ』

咲『ふぇっ!? も、もう、揚げ足取らないでよ! 京ちゃんのバカ!』

京太郎『ははは……実際咲は強いのか?』

咲『京ちゃんなんか足元にも及ばないくらい強いよーだ!』

京太郎『……』

咲『な、何か言い返してよぉ……』

京太郎『いやまあ、あの宮永照と家族麻雀で±0狙ってるやつだと思うと……』

咲『お、お姉ちゃんだって高校入って上手くなってるはずだよ!』

京太郎『と言ってもなあ』

咲『うぅぅ……』グスン

京太郎『はは、冗談だよ』

咲『もう、あんまりからかわないでよ……』

京太郎『面白いからついな』

咲『ついじゃないよ! こっちは本気で気にするんだからね!』

京太郎『悪かったって。それじゃあな』

咲『またね。……京ちゃん、今日はありがとう』

京太郎『気にするなって。またなんかあったら電話しろよ。大会で会おうぜ』

咲『うん、大会で』


181 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/24(日) 21:07:16.32q80RMOvLo (9/9)

以上になります。
この後咲ちゃんの出番は大会までない予定。
それと次は火曜日に投下するつもりですが、火曜日に出来なければ金曜日以降になります。


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 21:10:09.33RtG2o01Eo (1/1)

こうして長野に一人の魔王が生まれた・・・
おつー


183VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 21:29:14.582IKaCq9vo (1/1)

乙ー乙


184VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 21:30:26.85BwTFYYT9o (1/1)

乙ー


185VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 21:31:46.35rr/WTfLyo (1/1)

乙乙


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 21:53:07.140Iw6JJxJo (1/1)

乙ー。
咲ちゃんのヒロイン力があがっていく…1000…1200…
ばかな…まだあがるのか…!?


187VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 21:56:01.106IPmx2kfO (1/1)

おつー
京太郎スレだから咲ちゃんのヒロインパワー高いのは必然


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 22:51:50.48mE/470PAo (1/1)

すば乙ー


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/25(月) 00:48:11.309Ud750Ywo (1/1)




190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/25(月) 03:47:37.45tiCsKf1I0 (1/1)

乙ー


191 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:35:37.60J1Ww0Ezto (1/12)

もう少し進めたかったですが、なんとか出来上がりましたので投下します。


192 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:36:08.19J1Ww0Ezto (2/12)

女生徒「残りは私がやっておくから。須賀くんは部活行ってていいよ」

京太郎「いいのか?」

女生徒「いいっていいって。私帰宅部だし。部活頑張ってねー」

京太郎「おう、ありがとな」


京太郎(今日こそは1位になるぞー! ……あ、階段に加治木先輩が)

京太郎「加治木先輩、これから部活に行くところですか?」ウエミアゲ

ゆみ「ん、須賀くんか。そのつもりだよ」

京太郎「じゃあ一緒に行きましょう。昨日聞きそびれたところがあるんですけど途中で聞いていいですか?」

ゆみ「ああ、構わな……」フラッ

京太郎「加治木先輩!?」

ドタッドタタタタッ!

京太郎「いてててて……加治木先輩、大丈夫ですか?」シタジキ

ゆみ「あ、ああ、大丈夫だ。ありがとう、今どく……痛っ!」

京太郎「どうしたんですか!?」

ゆみ「き、気にするな。なんでもないっ」

京太郎「なんでもないわけないじゃないですか! ……足ですか?」

ゆみ「……そうだとしても君に迷惑をかけるわけにはいかない。先に部室に行っていてくれ」

京太郎「……そういうこと言うならこっちにも考えがありますよ」ムッ

ゆみ「?」


193 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:36:41.46J1Ww0Ezto (3/12)

京太郎「だっことおんぶと肩を貸す。どれがいいですか?」

ゆみ「……は?」

京太郎「保健室まで連れて行くって言ってるんです。さ、だっことおんぶと肩を貸す。どれにします?」

ゆみ「ま、待て! そんなどれを選んでも恥ずかし……い、いや。そもそも必要ないと言っているだろう!?」

京太郎「あんな声出して何言ってるんですか。選ばないならだっこで運びます」

ゆみ「なっ」

京太郎「よいしょっと」グイッ

ゆみ「う、うわっ! な、なんでよりにもよってお姫様だっこなんだ!? というかそもそも重いだろう!?」

京太郎「一番持ちやすいからです。それとむしろ軽いくらいですから大丈夫です……さあ、保健室まで行きましょうか」

ゆみ「わ、わかった! 肩を借りるから! だから下ろしてくれ!!」

京太郎「始めからそうやって人の好意を受け取ればいいんですよ……っと」

ゆみ「好意じゃないとは言わないが、とてもではないが素直には受け取れないな……」


194 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:37:12.81J1Ww0Ezto (4/12)

京太郎「加治木先輩、腕はちゃんと肩に回しました?」

ゆみ「ああ、回した」

京太郎「じゃあ行きますよ。ゆっくり歩きますね」

ゆみ「ありがとう」

京太郎「……」

ゆみ「……」

京太郎(加治木先輩と話すのは最近慣れてきたけどさすがにあんなことした後だとキツイな……)

京太郎(なんであんなことしたんだろう……)ズーン

ゆみ(ん……私が肩に手を回しやすいように少し屈んでくれているのか)

ゆみ(その体勢で歩くのは決して楽ではないはずなのに。……優しいやつだな)

ゆみ(さっきの強引な三択も、普段の須賀くんなら絶対にやらないはずだ)

ゆみ(それでもやったということは、それはきっと――)


195 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:37:53.13J1Ww0Ezto (5/12)

ゆみ「なあ須賀くん」

京太郎「はっ、はい!」

ゆみ「そんなに力を入れなくても……いやそういう話になるかもしれないな」

ゆみ「その、さっきのことなのだが……」

京太郎「?」

ゆみ「さっきの君は怒っていたのか?」

京太郎「……当たり前じゃないですか」

ゆみ「……理由を聞いてもいいか?」

京太郎「決まってるじゃないですか。加治木先輩がまた無理しようとしたからです」

ゆみ「私は無理なんて――」

京太郎「してるから倒れたんです」

ゆみ「ぐっ」

京太郎「無理して倒れたのに、なんでさらに無理しようとするんですか」

ゆみ「君には――」

京太郎「関係ない、なんて言わないでくださいよ。自分が麻雀部にどれだけ大切か知らないわけでもないでしょう」

ゆみ「むぅ……」

京太郎「ほら、早く言わないとまたお姫様だっこしますよ」

ゆみ「や、やめろ! わかった、言うから!」

ゆみ「……麻雀部は私が麻雀をもっと本格的にやりたいから、なんて身勝手な理由で作ったんだ」

ゆみ「だから自分で出来ることなら自分でやりたい。他人に無駄な負担はかけたくない」

ゆみ「雑務は私がやるから、君たちには純粋にただ麻雀を楽しんで欲しいんだ」


196 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:39:19.89J1Ww0Ezto (6/12)

京太郎「……はあ」

ゆみ「な、なんだ」

京太郎「加治木先輩は優秀なんですから、出来ること全部やろうなんて思ってたらパンクするに決まってます」

ゆみ「そんなことは……」

京太郎「実は部長から加治木先輩をなんとか息抜きに誘えないかって相談を受けてたんですよ」

ゆみ「何?」

京太郎「部活の仲間が辛そうにしてるのに純粋に麻雀を楽しむなんて出来ませんよ」

ゆみ「…………」

京太郎「あ、保健室ですね。その、無理しないって考えて貰えると嬉しいです」

ゆみ「……ああ」


197 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:39:53.65J1Ww0Ezto (7/12)

京太郎「失礼します……先生はいないみたいですね」

ゆみ「ああ、外出の張り紙はないからすぐ戻ると思うのだが……」

京太郎「とりあえずこの椅子に座って下さい。湿布探しますね」

ゆみ「ああ、ありがとう」

京太郎「ええと、湿布は……お、あった」

ゆみ「ああ、それじゃ渡してく――」

京太郎「それじゃ脱がしますね。足上げて下さい」

ゆみ「ああ……って、え?」

京太郎「」スルッ

ゆみ「んっ」

京太郎「」スルスルスルッ

ゆみ「ふあ」

京太郎(綺麗な足だな……触ってみた――はっ!?)

京太郎(な、何やってんだ俺!? 咲の手当てずっとしてたからその癖か!?)ダラダラダラ

京太郎(か、加治木先輩が意外と平気にしてるかも……)

ゆみ「……」カアァァァァ

京太郎(やっちまったー! ど、どうする!?)

京太郎(……ああ、でも白くてスラっとして艶々としてて、いつまでも見ていたくなるような――)

ゆみ「す、須賀くん。あまり見られていると、その、恥ずかしいのだが……」カアァァァ

京太郎「す、すみません!!」バッ


198 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:40:20.89J1Ww0Ezto (8/12)

ゆみ「あ……」

京太郎「あ……」

謝ろうと顔を上に向けると、顔を真っ赤にした加治木先輩と目があった。

ゆみ「……」

京太郎「……」

ゆみ「…………」

京太郎「……………」

ゆみ「――き」

保険医「誰かいるの? ごめんね席外しちゃ……」ガラッ

保険医「……ええと、お邪魔だったかしら?」

京太郎・ゆみ「「そんなことないです!!」」


199 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:40:59.63J1Ww0Ezto (9/12)

保険医「んー軽い捻挫ね。病院に行く必要はなし。湿布を貼ってれば明日、明後日には治ってると思うわよ。もちろん安静にね」

ゆみ「ありがとうございます」

保険医「それと疲れてるみたいね。顔色悪いわよ。若いから無理は効くでしょうけど、ちゃんと休みは取ったほうがいいわ」

ゆみ「……はい」

保険医「部活はやってるの?」

ゆみ「麻雀部に入ってます」

保険医「それならやっても大丈夫ね。これから行くのかしら」

ゆみ「そのつもりです」

保険医「そう。ここには松葉杖とかはないから、彼氏くんはちゃんと連れてってあげるのよ」

ゆみ「かっ……!?

京太郎「ただの後輩です!」

保険医「そう」クスクス

保険医「まあ無理はしないことね。大会も近いんだし怪我で実力を発揮できないのはつらいわよー」

ゆみ「……わかりました。ありがとうございます」

保険医「お大事にー」

京太郎「ありがとうございました」ガラッ


200 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:42:05.46J1Ww0Ezto (10/12)

京太郎(……さっきまでは怪我に気が行って意識しなかったけど、肩を貸すとかなり密着するな……)

京太郎(加治木先輩、普段凛としてるけど触れると女の子らしく柔らかいんだな……特に胸とかバストとかおもちとか)

京太郎(それになんかいい匂いも……)

ゆみ「須賀くん」

京太郎「ひゃいっ!」

ゆみ「ど、どうした?」

京太郎「い、いえ。なんでもないです」

ゆみ「そうか。……須賀くん、ちょっと聞きたいことがあるのだが」

京太郎「なんです?」

ゆみ「……君は躊躇せずお姫様だっこをしたり私のソックスを脱がしたりしてきたが……女性の扱いに慣れているのか?」

京太郎「……はい?」

ゆみ「普通はああいうことをやるときは多少なり躊躇するものだと思うのだが、君は自然にやるものだからこっちも反応が遅れてな……」

京太郎「お姫様だっこなんて慣れてないですよ! やったのも初めてです!」

京太郎「……その、あのときはちょっとカチンと来まして、勢いでといいますか……」

ゆみ「ふむ」

京太郎「脱がした方はですね。その、幼馴染みの手当てをいつもやっていたのでついそれと同じように……」


201 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:43:03.27J1Ww0Ezto (11/12)

ゆみ「なるほど……須賀くん」

京太郎「はい」

ゆみ「それは直したほうがいい。いつかきっと問題を引き起こす」

京太郎「あはは……でも大丈夫ですよ」

ゆみ「何?」

京太郎「大切な相手じゃなきゃあんなに焦ったりしませんから。そういう相手ならきっと怒るくらいで許してくれます」

ゆみ「――っ」カァァ

京太郎「加治木先輩?」

ゆみ「だからそういうところを直せと言っているんだ……」ハァ

京太郎「す、すみません。もしかしてそんなに嫌でした……?」

ゆみ「そういうわけじゃ……いや、もういいか」

ゆみ「須賀くん」コホン

京太郎「は、はい」

ゆみ「意地を張っていた私を引っ張ってくれてありがとう。1人じゃ保健室へ行くのは正直厳しかったと思う。手当てをしようとしてくれたこと、嬉しかったよ」

京太郎「……はい!」


202 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/27(水) 02:43:48.16J1Ww0Ezto (12/12)

以上になります。
次は多分日曜日に。


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/27(水) 02:50:19.23VcpuoqRUo (1/1)

おつーかじゅかわ!


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/27(水) 03:32:19.696hp3SV2Po (1/1)

おつおつ


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/27(水) 06:36:46.56/oTwGSoyo (1/1)

乙乙


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/27(水) 06:48:11.09s5Hswex/o (1/1)

乙ー


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/27(水) 21:46:09.615GQJvAKYo (1/1)

かじゅ可愛い


208 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/31(日) 23:23:03.34jLFtR2oZo (1/6)

前回はここまで書きたかった、というわけで短いですが投下します。


209 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/31(日) 23:23:39.18jLFtR2oZo (2/6)

京太郎「すみません。遅くなりましたー」ガラッ

智美「おお、2人とも何してた……」

睦月「そ、そんなにくっついてどうしたんですか?」

ゆみ「くっつ……! あ、足を捻ったから肩を貸してもらっているだけだ!」

佳織「歩けないみたいですけど大丈夫ですか?」

ゆみ「ああ、座っていれば大して痛まないし、明後日には治ると言われたよ」

桃子「そんなに重傷じゃなくてよかったっす」

智美「今日は部活やらずに帰るのかー?」

ゆみ「いや、痛むのは足だけだし参加するよ。須賀くん、すまないが椅子まで運んでもらっていいか?」

京太郎「もちろんです」

ゆみ「……っと、ありがとう。対局が終わるまで君の牌譜を見ていこう」

京太郎「よろしくお願いします」

…………

………

……




210 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/31(日) 23:24:28.86jLFtR2oZo (3/6)

智美「それじゃそろそろ帰るかー」

ゆみ「まだ早くないか?」

智美「怪我人は早く帰って安静にしなさい」

ゆみ「む……」

京太郎「はは……そういえば加治木先輩、その足で自転車に乗れますか?」

ゆみ「さっきに比べれば痛みも引いているしまあ大丈夫だろう」

智美「……ゆみちん、ちょっと歩いてみてくれるか?」

ゆみ「ああ……痛っ」

智美「ゆみちん、そんな足で自転車漕ごうなんて無理はよくないぞー」

睦月「そうですよ。悪化しちゃいます」

ゆみ「そう言われてもな。バスを使おうにも私の家からバス停までは遠いし、両親も仕事だ」

京太郎「家まで肩を貸す……のはちょっと外では恥ずかしいですね」ハハ

ゆみ「出来れば校内でもそう思って欲しいんだがな。もちろん感謝はしているが」ハァ

ゆみ「それに、そもそも須賀くんに家まで付き合わせるのは悪いだろう」

京太郎「俺が歩く分には大丈夫ですよ。いい運動です」

ゆみ「ん、そうか……」


211 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/31(日) 23:25:18.91jLFtR2oZo (4/6)

ゆみ「……ああそうだ。そんなことをしなくてもタクシーを呼んで――」

智美「思いついたぞー!」ワハハ

ゆみ「もら……蒲原、嫌な予感はするがとりあえず言ってみろ」

智美「失礼な。今回は名案だぞー」

桃子「どんな案なんすか?」

智美「京太郎がゆみちんの自転車でゆみちんを送ればいいんだ」

睦月「ああ、二人乗りですか」

ゆみ「ま、待て。他人の前でそんな……」

智美「肩を貸すくらい密着してたんだからこれくらいは大丈夫だろー?」

ゆみ「うっ……」

佳織「でも智美ちゃん、二人乗りなんてやってたら危ないし注意されちゃうんじゃないかな?」

ゆみ「そ、そうだ。だからタクシーを――」

智美「非常事態なんだしいいだろー。それに学校が見えなくなるまではゆみちんを乗せて押せばいいし」

佳織「そっか。それもそうだね」

ゆみ「妹尾!?」

桃子「まあいいじゃないっすか。タクシーは高いっすし、それに二人乗りやってるくらいじゃ誰も見ないっすよ」

睦月「二人乗りそんなに嫌なんですか?」

ゆみ「い、嫌というわけでは……す、須賀くんはどうなんだ!?」

京太郎「二人乗り自体は中学の頃よくやってたので、加治木先輩が嫌でなければいいですよ」

ゆみ「」


212 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/31(日) 23:25:46.65jLFtR2oZo (5/6)

桃子「問題が片付いたところで帰るっすー!」

智美「ゆみちん、置いてくぞー」

睦月「それじゃ、肩貸しますね」

ゆみ「ありがとう。ついでに頼みがあるんだがタクシーを――」

睦月「京太郎くん、自転車乗り場からはよろしく」

京太郎「任されました!」

ゆみ「ああ、うん。わかっていた。私はいい後輩たちを持ったよ」

京太郎「照れますよ」

睦月「照れますね」

佳織「照れちゃいます」

桃子「照れるっすよー!」

ゆみ「よし、お前たちは明日までに『麻雀何切る?』を1冊終わらせて来い」

智美「後輩たち、あんまりからかっちゃダメだぞー」ワハハ

ゆみ「蒲原は2冊だ」

智美「ワハ!?」


213 ◆6ardW1rCAXVJ2013/03/31(日) 23:27:20.02jLFtR2oZo (6/6)

以上になります。
明日から働き始めるので投下ペース落ちると思います。最低週一回は投下したいとは思ってます。


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 23:34:35.41PZEdjve40 (1/1)

乙です!


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 23:34:52.51nl5X3SEUo (1/1)


やっぱりゆみちんはかわいい


216VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/01(月) 01:55:32.50/rY4Dopho (1/1)

乙乙!


217VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/01(月) 02:05:23.751q2RbMnZ0 (1/1)

おつー


218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 04:20:56.89WfGw+rgRo (1/1)


完結まで頑張ってほしいわー


219 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:52:13.769loqSSyyo (1/18)

夜中に書けないとこんなにはかどらないものなんですねー
遅くなりましたが投下します


220 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:52:48.739loqSSyyo (2/18)

智美「ゆみちん、ここまで自転車を押して貰った気分はどうだ?」

ゆみ「見られてばかりで全く落ち着かなかった……二人乗りくらい目立たないと言ったのは誰だ」

桃子「二人乗りじゃなくて京太郎が押してたじゃないっすか。6人いて1人だけ自転車に乗って押されてればそれは目立つっすよ」

智美「どこの女王様だって感じだなー」ワハハ

京太郎「まあ嘘は言ってなかったですね」

ゆみ「嵌められたか……」

桃子「人聞きが悪いっすねー」

睦月「まあまあ、明日には誰も覚えてませんよ」

ゆみ「そうだといいんだがな」ハァ

京太郎「じゃあ前乗りますね」

ゆみ「ああ、今後ろに移る」

京太郎「よっ……と」

ゆみ「……そ、それじゃあ捕まるぞ」ギュッ

京太郎「!?」ビクッ


221 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:54:26.539loqSSyyo (3/18)

ゆみ「ど、どうかしたのか?」

佳織「わわわ……」カァァ

睦月「凄い……」カァァ

桃子「だ、大胆っすね」カァァ

智美「どうかってゆみちん、それはこっちのセリフだぞ」カァァ

ゆみ「え、えっ?」

ゆみ「だ、だって少女漫画とかでは二人乗りするときはこうやってギュッと抱きしめて……」

桃子「どんだけ乙女っすか!」

智美「本気で言ってるんだよなー……」

ゆみ「ど、どこがおかしいんだ!? ちゃんと捕まらないと危ないだろう!?」

睦月「抱きしめなくても腰を掴んだり荷台やサドルを持ったりすれば落ちないのでは……」

ゆみ「……!!」

智美「いや、そんなその発想はなかったみたいな顔されてもなー」


222 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:55:05.799loqSSyyo (4/18)

佳織「と、とりあえず京太郎くんを離してあげたらどうでしょう?」

ゆみ「え?」

京太郎「」パクパク

ゆみ「う、うわっ! す、すまない!!」バッ

京太郎「……はっ!? い、いえ! こちらこそ!」

桃子「何がこちらこそなんすか?」

京太郎「……いや、なんでもないぞ?」

桃子「ところで感想は」

京太郎「柔らかくていい匂いがし……しまった!?」

睦月「素直だね」

智美「正直者だなー」ワハハ

ゆみ「」プシュー


223 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:55:36.139loqSSyyo (5/18)

桃子「……さて、それじゃあそろそろ帰るっすか」

智美「邪魔者はお暇するかー」

京太郎「ま、待った! せめてこの空気をどうにか――」

睦月「そうですね。早く帰りましょう!」

佳織(何でもいいからここから逃げ出したいなあ……)

京太郎「睦月先輩!? 佳織先輩もだんまりはやめましょうよ!」

智美「それじゃあまた明日なー」ワハハ

京太郎「ちょっとー!?」

スタスタスタスタ……

京太郎「ほ、本気で帰りやがった……」

ゆみ「」プシュー

京太郎「え、ええと、その加治木先輩。さっきのは……」

ゆみ「い、いや、いいんだ。悪いのは私だから」

京太郎「そんなことは……」

ゆみ「と、ともかく! 自転車を出してくれ!」

京太郎「は、はい! 加治木先輩の家遠いですもんね!」

ゆみ「あ、ああ! 早く行かないと日が暮れてしまう」

京太郎「わかりました! それじゃしっかり捕まって――」ハッ

ゆみ「あ……」ジー

京太郎「そ、そういう意味じゃないですからね!?」

ゆみ「わ、わかっている! それじゃあ荷台を掴んで……」

京太郎「大丈夫ですか?」

ゆみ「ああ、ちゃんと掴んでいる」

京太郎「それじゃ出しますよー」

ゆみ「よろしく頼む」


224 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:56:09.409loqSSyyo (6/18)

京太郎「……」シャー

ゆみ「……」シャー

京太郎(中学のとき、咲とよくこんなふうに二人乗りしてたなー)

京太郎(初めてやったときは咲が憧れだったって言って横乗りしたっけ)

京太郎(ちょっと漕ぎだしたら咲が倒れそうになったからすぐやめたけど。あいつ悔しそうな感じで涙目になってたな)

京太郎(その後も何度か挑戦しようとしたから止めるのが大変だった。あいつ変なところで頑固だからなあ)

京太郎(咲とのどうでもいい話とか結構楽しかったな。そのうちあいつの重さがない自転車が物足りなくなったりして)

京太郎(風を切る感覚も感じる重さも似てるけど、見える景色はやっぱり向こうと違う。……当たり前か)

京太郎(……おんなじ長野なのにな)ハァ

ゆみ「なあ、須賀くん」

京太郎「なんですか?」

ゆみ「二人乗りはよくやっていたと言っていたな」

京太郎「そうですね。前に言った幼馴染をよく乗せてました」ハハ

ゆみ「そうか。……間違っていたらすまないのだが、今そのときのことを思い出してはいなかったか?」

京太郎「……もしかして声に出したりしてました?」

ゆみ「そういうわけではないが、ため息をついたり考え込むような顔をしていたからな」

京太郎「はは……加治木先輩には敵わないですね」


225 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:56:48.719loqSSyyo (7/18)

ゆみ「それで、これももしなんだが」

京太郎「何がです?」

ゆみ「今、寂しい、と思っていないだろうか」

京太郎「寂しい……ですか」

ゆみ「ああいや、違っていたらそう言ってくれ。別に何か特別な根拠があって言っているわけではないんだ」

京太郎「ん……考えたこともなかったですけど」

京太郎「けど、言われれば寂しかったのかもしれないです」

京太郎「俺、幼馴染……咲って言うんですけど、そいつと毎日メールしてるんですよ」

京太郎「昔からよくメールはしてたんですけど、引越す前は毎日なんてことはなかったです」

ゆみ「ふむ。聞いた私が言うのも何ではあるが、違うところにいるんだ。それくらい普通じゃないか?」


226 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:57:19.219loqSSyyo (8/18)

京太郎「いえ、そこじゃないんです」

京太郎「咲は地元の高校に行ったんで、やっぱり中学の友達もたくさん一緒のところ行ってるんですよ」

京太郎「咲とのメールにもよく出てくるんですけど、それがちょっと羨ましいなとかいいなとか思っちゃうんです」

京太郎「こっち来て使ってる道も、普段登校に使ってる道はもう見慣れた風景になってるんですけど、今こうやって違う道を行くとやっぱり全然見覚えがなくて」

京太郎「前のところはどこ行っても大体見慣れてたんで、自分はここの人間じゃないんだなとか感じたんです。それでさっきため息ついちゃったんですよ」

京太郎「そんなこと考えてると、俺はなんで1人でこっち来たのかなってちょっと後悔が」

ゆみ「……そういえば須賀くんがこっちに来た理由を聞いていなかったな」

京太郎「ああ、親の仕事の都合ですよ。まあ向こうで一人暮らしすることも出来たんで、決めたのは自分です」

ゆみ「高校生が1人で暮らすのは言うほど簡単じゃない。自分のせいだなんて思う必要はないさ」

京太郎「加治木先輩……」ジーン

ゆみ「……まあ私もしたことはないからどんなものかわかるわけではないが」

京太郎「加治木先輩……」ジー

ゆみ「と、ともかくだ! 自分が選んだからしょうがないなんて思わず、寂しければ素直にそう思えばいい。そのほうが楽になる」

京太郎「……そうですね。ありがとうございます」

ゆみ「……」シャー

京太郎「……」シャー


227 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:58:15.299loqSSyyo (9/18)

ゆみ(あまり表情は明るくなっていないな……ああ)

ゆみ「寂しくて、じゃあどうするかまで言わなければ片手落ちか」ボソッ

京太郎「何か言いました?」

ゆみ「いや、なんでもない」

ゆみ「……須賀くん。この先に急な坂道があるのが見えるか?」

京太郎「ああ、結構急ですね。しっかり捕まってください」

ゆみ「ああ」ギュッ

京太郎「っ!? か、加治木先輩!?」グイッ

ゆみ「きゃっ! ハンドルを急に切るな! 危ないだろう!?」

京太郎「それはすみません! でも何ですかいきなり!?」

ゆみ「き、急な坂だからしっかり捕まったんだ。それに……」

京太郎「それに?」

ゆみ「……このほうがいいかと思ってな」

京太郎「……ええと、それは、まあ、さっきのも嬉しかったですけど」

ゆみ「そ、そういう意味じゃない! 君は寂しいのかもしれないと言っていただろう?」

京太郎「そ、そっちですか」


228 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:59:03.199loqSSyyo (10/18)

ゆみ「私は地元を離れてはいないから、君がどれほど苦しいか分からない」

ゆみ「でも、君のつらさを和らげたいとは思う。そのためにはこうするのがいいと思った」

ゆみ「君の故郷にいなかった私が君のその寂しさを埋めたいというのはおこがましいかもしれないが、それでも私を頼って欲しい」

ゆみ「君は、私の大切な後輩だからな」

京太郎「……そんなに心配されるような顔してました?」

ゆみ「ああ、何かしてあげたいと思うくらいにはな」

京太郎「……まったく、加治木先輩は背負い込みすぎですよ。麻雀部のことだけで倒れちゃったのに、俺のことまで背負ってどうするんですか」

ゆみ「う……」

京太郎「でも、ありがとうございます」

ゆみ「ああ、いい声だ」

京太郎「これからも頼っていいですか?」

ゆみ「もちろん。いつでも頼ってくれ」

京太郎「それじゃ、加治木先輩も俺を頼ってください」

ゆみ「うん?」

京太郎「麻雀はまだ全然敵いませんけど、でも牌譜の分析とか出来ることはやりますから」

ゆみ「しかし……」

京太郎「ただでさえ倒れたのに、この上さらに加治木先輩に頼るなんて言ったら部長に何言われるかわかりませんよ」

ゆみ「だが私が勝手にやっていることで負担をかけるわけには……」

京太郎「加治木先輩が俺に大切だって言ってくれたのと同じで、俺にとっても加治木先輩は大切な先輩なんですよ!」

ゆみ「……それを言われるとはな」フゥ

ゆみ「量を減らそうと思っていたんだが、そう言ってくれるならお願いするよ」

京太郎「任せてください!」


229 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 22:59:53.709loqSSyyo (11/18)

京太郎「…………」シャー

ゆみ「…………」シャー

---------------------------------------

ゆみ(……今まで意識していなかったが、背中、広いな。それに固い)

ゆみ(男子とこんなに密着したのは初めてだが、体の作りがこんなに違うのか)ポー

ゆみ(……前はどうだろう)サワッ

京太郎「」ビクッ

ゆみ(腹筋の辺りも引き締まっている。細身だけど筋肉質だ。鍛えているんだな……今さらか。部活の前にお姫様だっこをされ――)

ゆみ(いかん、自分で考えていて恥ずかしくなってきた)カアァァ

ゆみ(いつの間にか鼓動も速くなっている)ドクンドクン

ゆみ(こ、これは須賀くんに伝わっているんじゃないだろうか)ドクンドクン

ゆみ(……もっとこう、トクントクンと可愛らしくならないものかな)ハァ

ゆみ(……須賀くんも緊張しているんだろうか)

ゆみ(……えい)ピト

ドキドキドキドキ……

ゆみ(私よりも速い。私よりも緊張してくれているのか。……なんだか嬉しいな)

ゆみ(心地いい音だ。もう少し、家に着くまでこのまま――)

---------------------------------------


230 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:00:45.989loqSSyyo (12/18)

---------------------------------------

京太郎(……ぴったりくっついてるな)ドキドキ

京太郎(加治木先輩と密着したの今日何度目だ!? 今まで一度もこんな経験なかったのに!)

京太郎(ああ、背中に柔らかいおもちが……いかん、運転に集中しろ集中!)

京太郎(ふー……うん、少し落ち着いてきた)

京太郎(柔らかく包まれてるみたいでなんか安心する。こういうの母性っていうのかな)

京太郎(加治木先輩が言ったとおり、ギュッとされてると寂しさが和らいできた)

ドクンドクン……

京太郎(……ん? なんだこの振動)

京太郎(これは……心臓の音か。もしかして加治木先輩も緊張して――)

ゆみ「」サワッ

京太郎(って!? な、何やってんだこの人!?)ドキドキドキドキ

京太郎(寂しさなんか吹っ飛んだけど! ただでさえ我慢してんのに!)

京太郎(この人ついこの間まで男と話すの苦手とか言ってたよな!? 話してなきゃいいのか!?)

ゆみ「ん……」ピト

京太郎(背中に耳を……まさか俺の心臓の音聞いてるのか? うおお、恥ずかしい!!)

京太郎(ど、どうしよう。何か話しかければ離れてくれ――)

ゆみ「――もう少し、このまま――」ボソッ

京太郎(……まあ、俺も加治木先輩の音聞いたんだしお互い様か)

京太郎(家まであと少しだし、このままでいいか)

京太郎(俺もそのほうが嬉しい……って何考えてんだ俺)ドキドキ

---------------------------------------


231 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:01:47.199loqSSyyo (13/18)

――加治木宅前――

京太郎「加治木先輩、家ってここですか?」

ゆみ「……ん? ああ、ここだ――」ポー

ゆみ「――っ!?」バッ

ゆみ「す、すまない! ずっとこんな、だ、抱き締めるような真似を……!」

京太郎「い、いえ、大丈夫です。全然」ドキドキ

ゆみ「そ、そうか。それとその、さっきの君のお腹を確かめようと思ったのも……」

京太郎「そっちも少しくすぐったかっただけですから大丈夫です」ドキドキ

京太郎「……って確かめ?」

ゆみ「っ! な、なんでもない!」


232 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:04:11.529loqSSyyo (14/18)

ゆみ「そ、そんなことより」コホン

ゆみ「私のためにこんな遠回りまでしてくれてありがとう、須賀くん」ニコッ

京太郎「っ!!?」ドキィ!!

ゆみ「うん? どうかしたか?」

京太郎「い、いえ。なんでもないです」ドキドキ

ゆみ「そうか、それならいいのだが……」

京太郎(な、なんだ急に? 加治木先輩の笑ったとこ初めて見たってわけでもないのに)ドキドキ

ゆみ「なんだか顔が赤いな……もしかして私が重くて疲れたのだろうか」シュン

京太郎「」ムッ

京太郎「そんなことないです!!」

ゆみ「わっ!」

京太郎「部活の前にも言ったじゃないですか! 加治木先輩は重くなんてないです!」

ゆみ「そ、そうか。そこまで強く言われると照れるな……」カアァァ

京太郎「あ……すみません」

ゆみ「まあそう言ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう」フフッ

京太郎「っ!」ドキッ

京太郎(さっきからのこれは)

京太郎(加治木先輩が自分のこと卑下するのがなんか嫌で、笑うと胸が高鳴って)

京太郎(ああ、もしかして)


京太郎(――俺、加治木先輩のこと好きになったのか)





233 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:05:06.929loqSSyyo (15/18)

ゆみ「須賀くん? 本当に大丈夫か?」

京太郎「大丈夫です。むしろスッキリしました」

ゆみ「? まあそれならいいんだが」

京太郎「それより加治木先輩。牌譜渡して貰っていいですか?」

ゆみ「ああ、そうだったな。それじゃあ半分――」

京太郎「全部下さい」

ゆみ「何?」

京太郎「これからは牌譜の整理と分析は俺がやります。加治木先輩は作戦を考えたり自分の練習をしたり、加治木先輩じゃなきゃ出来ないことをやって下さい」

ゆみ「しかし……」

京太郎「最初はやり方を聞くことになると思いますけど、でもすぐに覚えます!」

京太郎「麻雀部の、加治木先輩の役に立ちたいんです!」

ゆみ「……自転車に乗っているとき、お願いすると言ったしな」フゥ

ゆみ「わかった。それじゃあ牌譜の整理と分析は君に頼んだよ」

京太郎「はい!」

ゆみ「ちなみにこれだけあるんだが本当に大丈夫か?」ドサッ

京太郎「お、おお……すごい量ですね」

ゆみ「やはりこの量は……」

京太郎「いえ、大丈夫です! やってみせます!」

ゆみ「そうか……ただ、失敗を経験した者として言うが、無理だと思ったら私を頼るんだぞ」

京太郎「倒れる前に頼ります」ハハ


234 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:06:50.509loqSSyyo (16/18)

ゆみ「それじゃあ須賀くん、自転車の鍵を取ってもらっていいか?」

京太郎「あ、はい、これです。足まだ痛みます?」

ゆみ「ん……歩くのは少しつらいな。まあ明後日には治ると言っていたから大丈夫だろう」

京太郎「そうですか……その、加治木先輩」

ゆみ「なんだ?」

京太郎「明日の行きも送らせて貰えませんか」

ゆみ「なっ!? あ、明日の行きとはつまり登校のことか」

京太郎「はい」

ゆみ「し、しかし登校時間には人も多いし朝からというのは目立ちそうだな……」

京太郎「二人乗りが目立つなら、人が多くなったらまた押しますよ」

ゆみ「余計に目立つだろう!?」

京太郎「じょ、冗談です」

京太郎「無理にではないですけど、もし痛むようなら明日も大変かなと思ったので……」

ゆみ「むぅ……」

京太郎「……」

ゆみ「……」


235 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:08:04.539loqSSyyo (17/18)

ゆみ「……そうだな。お願いしてもいいだろうか」

京太郎「はい、喜んで!」

ゆみ「ありがとう。それじゃあこれを」

京太郎「これは……自転車の鍵ですか?」

ゆみ「ああ、明日も来るんだ。自転車のほうが楽だろう? どうせ私は使えないしな」

京太郎「ありがとうございます!」



京太郎「そろそろ帰りますね」

ゆみ「ああ、今日は助かった」

ゆみ「保健室へ連れて行ってもらって、家まで送ってもらって、牌譜を引き受けてもらって、明日も来てもらう。君には借りが随分と出来てしまったな」

京太郎「どれも好きでやってることですから。気にしないでください」

ゆみ「私はいい後輩を持ったよ。……何か埋め合わせをしないとな」

京太郎「いえ別にそんな……」

ゆみ「後輩に助けて貰いっぱなしの先輩というのも情けない。私に出来ることなら何でもいい、考えておいてくれ」

京太郎「……わかりました。考えておきます」

ゆみ「ああ」

京太郎「それじゃあ加治木先輩、また明日」

ゆみ「また明日。今日はありがとう」


京太郎(いい後輩かあ……)シャー

京太郎(いつか、後輩としてじゃなく俺を見てもらえるように、頑張ろう)


236 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/14(日) 23:09:28.719loqSSyyo (18/18)

いつもより長くなりましたが以上です。
次はもっと速く投下出来るようにするつもり。


237VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/14(日) 23:12:02.89SXlbnriho (1/1)





238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/14(日) 23:15:17.40A9gmgHMSo (1/1)




239 ◆tgjJhMQmbI2013/04/14(日) 23:59:44.57enjvPhLoo (1/1)

乙、京太郎弾け飛べよ


240VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/15(月) 00:00:08.84XA9eY+KQo (1/1)

乙!
マイペースでええんやで


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/15(月) 00:03:40.72Es1n2+tMo (1/1)

鳥を外し忘れていたでござる、すまねぇ、すまねぇ…


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/15(月) 00:19:48.39oDXtPUFX0 (1/1)

>>239
白淡京のイッチかwwww


243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/15(月) 00:23:22.06N7Yky74so (1/1)

おつー


244 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/15(月) 00:24:02.08C6WHcMkko (1/1)

>>241
お気になさらずー
かじゅスレ立つの楽しみにしてます(迫真)


245VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/15(月) 05:00:19.79M4JjoXAyo (1/1)

更新してたー
ゆみさんかわいいのう


246 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:29:13.78IjmOm/hYo (1/17)

昨日投下する予定だったんですが予想外に伸びてしまった。
投下します。


247 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:29:42.24IjmOm/hYo (2/17)

ヒソヒソヒソ……

京太郎「こんにちはー」ガラッ

桃子「こんにちはっすー!」

智美「おー京太郎、モモ」

睦月「思ったより気にしてなさそうだね」

京太郎「? モモなんかしたのか?」

桃子「特に覚えはないっすけど……」

佳織「あれ、もしかして噂になってるの知らない?」

京太郎「噂? 幽霊が出たって噂ですか?」

桃子「その喧嘩買うっすよ」

智美「それくらいじゃ今さら話題にもならないなー」

桃子「先輩だからって遠慮すると思ったら大間違いっすよ! 姿の見えない怖さを思い知るがいいっす!」

智美「実は最近、モモの居場所が匂いでなんとなくわかるようになってなー」ワハハ

桃子「なんと!?」

佳織「智美ちゃん、話が進まないよ」

智美「それもそうだなー」ワハハ

睦月「噂になってるのは京太郎くんたちの方だよ」

京太郎「俺ですか? というか"たち"?」

睦月「うん、京太郎くんと加治木先輩」

京太郎「そ、そうですか。どんな噂が?」ドキッ

睦月「ええと、二人乗りしてたカップルがいて、後ろの女の子が金髪の男の子をギュッと抱き締めてたとか」

京太郎「」


248 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:30:35.29IjmOm/hYo (3/17)

智美「鶴賀で金髪の男子と言ったら京太郎だよなー」

桃子「女子の方は男子の背中に顔をうずめてたと聞いたっす」

智美「まったく。私たちに隠れて大胆なことするじゃないか」

京太郎「」ビクッ

佳織「智美ちゃん、あんまりからかわないの」

睦月「うむ、昨日加治木先輩が抱きついてしまったときたまたま見られて、それが広まったんでしょう」

京太郎「ソ、ソウデスヨ」

桃子「まあそれはわかってるっすよ」

智美「噂話は伝言ゲームみたいなところがあるからなー」

桃子「幽霊がいたとかいう噂もあるっすよね。ちょっと私が見えづらいからって大げさっす」

智美「それは例としてどうかなー」ワハハ

桃子「まだ言うっすか!!」

佳織「もーダメだよ智美ちゃん」フフフ

京太郎「アハハ……」


249 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:31:17.58IjmOm/hYo (4/17)

ゆみ「」ガラッ

京太郎「!」ビクッ

ゆみ「すまない、遅くなった……なんだか騒がしいな」

桃子「あ、ゆみ先輩! 部長が酷いんすよー!」

ゆみ「なんだ蒲原? 後輩イジメは感心しないぞ」

智美「心温まる触れ合いのつもりだったんだけどなー」ワハハ

桃子「熱くはなったっすね。怒りで」

ゆみ「何をしているんだ……」ハァ

ゆみ「騒いでいたのはそれでか?」

桃子「いや、そもそもは京太郎と先輩のうわ――」

京太郎(まずい! このままじゃ昨日のことがバレちまう!)

京太郎「モモ、ちょっとこっち来い!!」

桃子「もう、なんなんすか?」

京太郎「いいから!」

桃子「あーれー」ズルズル

ゆみ「…………」ジー


京太郎「その噂はわざわざ加治木先輩に言わなくていいんじゃないか?」ヒソヒソ

桃子「え? いやでも京太郎みたいに知らないかもしれないっすし」

京太郎「加治木先輩だってあんまり触れられたいことじゃないだろ?」

桃子「むぅ……それは確かにそうっすね」

京太郎「だろ? だから話題に出すのは避けよう」

桃子「わかったっす」

京太郎(よし!)グッ


250 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:31:44.13IjmOm/hYo (5/17)

ヒソヒソヒソ……

ゆみ「……」ジー

睦月「どうかしましたか?」

ゆみ「えっ!? い、いや。なんでもない」

睦月「? ……ああ、さっきモモが言おうとした話ですね。それなら――」

京太郎「睦月先輩!! ちょ、ちょっとこちらへ」ガシッ

睦月「うわっ!? い、いきなりどうしたの?」

京太郎「とりあえず来て下さい。モモ、部長たちには頼んだぞ」

桃子「了解っす」

京太郎「それじゃあ睦月先輩。行きましょう」グイグイ

睦月「ちょ、ちょっと。あんまり押さないで……」

ゆみ「……」ジー


京太郎「」ペラペラ

睦月「」ウンウン

京太郎「」ペラペラ

睦月「」ンー

京太郎「」ペラペラペラ

睦月「」……コクッ

京太郎「」グッ


251 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:32:33.45IjmOm/hYo (6/17)

桃子「ジーっと見てどうしたっすか?」

ゆみ「っ!? い、いや。なんでもないぞ。そ、それよりさっきの話は……」アセアセ

桃子「あ、あれっすか? あれもなんでもないっす」アセアセ

ゆみ「そ、そうか」

桃子「そ、そうっすよ」

京太郎「ふう……」

ゆみ「あ、須賀くん」

京太郎「か、加治木先輩!?」ドキッ

京太郎(昨日と今日の朝は二人乗りの勢いで話進められたけど、改めて加治木先輩と話すと思うと緊張が!)

ゆみ「津山やモモと何の話をしていたんだ?」

京太郎「い、いえ。なんでもないですよ?」

ゆみ「だが……」

京太郎「モモ、速く麻雀打とうぜ!」ダッ

ゆみ「あっ」

桃子「えーと……待つっす京太郎ー!」タタタ


桃子「もーさっきからなんなんすか」

京太郎「り、理由はわかるだろ?」

桃子「わかるっすけど、やり方ってものがあるっす」

京太郎「うぅ……」

佳織「まあまあ、京太郎くんも焦ってたんだよ」

京太郎「佳織先輩……」ウルウル

佳織「もうちょっといいやりかたはいくらでもあったと思うけどしょうがないよ」

京太郎「ぐはっ!」

佳織「えっ、えっ!?」

睦月「悪気がない分キツそうだね」

京太郎「あ、睦月先輩。一緒に打ちません?」

睦月「立ち直り早いね……いいけど、今日も負けないよ」

京太郎「望むところです」


252 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:33:40.73IjmOm/hYo (7/17)

ゆみ「……」ジー

智美「どうしたゆみちん?」

ゆみ「いや、仲がいいなと思ってな」

智美「まあ2つ違いよりは同い年や1年違いのほうが話しやすいよなー」ワハハ

ゆみ「それはそうだが……」

智美「もしかして拗ねてるのかー」ワハハ

ゆみ「なに?」

智美「ゆみちんとの会話を途中で切り上げて他の女の子に走ったんだもんなー」

ゆみ「ん……」

智美「でもな、ゆみちん。あれには京太郎なりの理由があったんだ。だからあんまり責めちゃダメだぞ」

ゆみ「そうだな。それについてはそんなに気にしていない」

智美「ワハ?」


253 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:34:10.85IjmOm/hYo (8/17)

ゆみ「須賀くんは理由もなしにそういうことをする人間ではないからな。私に言えない何かがあったことくらいわかるし、詮索する気もない」

ゆみ「だから今の私は、蒲原が言ったとおり拗ねているんだろう」

智美「まさかツッコミがないどころか、言ったとおりなんて言われるとは思わなかったぞ」

ゆみ「はは……私は須賀くんとあんな風には話せていないからな」

ゆみ「帰りが一緒だから話す機会には恵まれていると思うのだが、だからこそな」

智美「そんなことないと思うけどな」

智美(キャラの問題もあるしなー)

ゆみ「だが……」

智美「どうしても気になるならこっちから歩み寄るなきゃダメだと思うぞ」

ゆみ「歩み寄る?」

智美「こっちは年上だからなー。後輩から話しかけるのはやっぱり気後れするだろー?」

ゆみ「ふむ……」

智美「だからこっちからこういう感じで話しかけていいんだぞと伝えないと、向こうも話しづらいだろ?」

ゆみ「なるほど」

智美「だからゆみちんから行動しないとダメだぞ。アプローチしたいならなおさらなー」ワハハ

ゆみ「な、なにを!?」

智美(からかい甲斐があるなー)ワハハ


254 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:34:41.09IjmOm/hYo (9/17)

――部活終了――

ゆみ「須賀くん」

京太郎「な、なんですか?」ドキッ

ゆみ「いや、昨日の話について確認しようと思ったんだが……」

京太郎「き、昨日のというと」

ゆみ「ほら、私に出来ることならなんでもやると言っただろう」

京太郎(なんでも……)ホワンホワン

京太郎(な、何考えてんだ俺は!)ブンブン

ゆみ「?」

智美「ゆみちん、あんまりそういうことは言わない方がいいと思うぞー」ワハハ

ゆみ「なぜだ? 昨日今日と助けられたんだからこのくらいはしてもいいだろう」

智美「健康な男子高校生には毒だぞー」

ゆみ「毒?」

智美「あー……」チラッ

京太郎「な、なんですか!? お、俺はなにも」

智美(大丈夫そうだなー)

智美「とりあえず、せめて京太郎以外には言わないようになー」

ゆみ「それはまあ助けてくれたのは須賀くんだしな」

智美「……まあいいかー」


255 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:35:36.69IjmOm/hYo (10/17)

桃子「それで京太郎は何を頼むんすか?」

京太郎「うわっ!? 突然現れるなよ」

桃子「失礼っすねー。で、どうするんすか?」

京太郎「えーと……」

桃子「エッチなこと頼んじゃダメっすよ」ヒソ

京太郎「ばっ、た、頼むわけねえだろ!?」

ゆみ「うん?」

京太郎「な、なんでもないですよ!」

桃子「ふふふ……それじゃあ私はむっちゃん先輩とかおりん先輩と先に行ってるっすよー」

京太郎「言うだけ言ってそれかこの野郎!」

桃子「野郎じゃないっすー!」タッタッタッ

京太郎「モモめ……」

智美「まあまあ。まだ決まってないんなら提案があるけどいいかー?」

京太郎「なんです?」

智美「日曜日にみんなで遊びに行こう!」

ゆみ「待て待て。大会も近いのに……」

智美「そうやって根を詰めすぎなんだよゆみちんは」

智美「京太郎とモモと佳織が入って本格的に大会を目指してから2週間、大会まで後2週間。休むにはちょうどいいだろー?」

ゆみ「しかし……というかそもそも須賀くんに対する埋め合わせなんだが」

京太郎「い、いえ。俺もそれがいいです」

京太郎(このまま1人で考えてると色々とドツボにはまりそうだしな……)

ゆみ「むぅ……」

智美「あーもちろん足が治ってないなら無理はさせないけどな。実際どうなんだー?」

ゆみ「まだ少し痛むが、まあ日曜日までには治るだろう」

智美「なら決まり。みんなには私から伝えとくぞ」

ゆみ「……まあ息抜きは必要か。須賀くんは本当にそれでよかったのか?」

京太郎「え、ええ。もちろんです」メソラシ

ゆみ「っ……」

京太郎(加治木先輩と遊びに……い、いや。他の4人もいるんだ。いつもの部活と一緒だ! うん!)

智美(やっぱりやったほうがよさそうだなー)


256 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:36:15.74IjmOm/hYo (11/17)

――分かれ道――

智美「それじゃまたなー」

京太郎「はい、さようなら……そうだ、部長。日曜日のことは」

智美「ああ、大丈夫大丈夫。ちゃんと言っておくから任せとけー」ワハハ

睦月「何の話ですか?」

智美「帰り道で話すよ」

ゆみ「別に今話してもいいと思うんだが……」

智美「まあまあ。それじゃあなー」

佳織「さようなら」

桃子「さよならっすー」

睦月「それではまた」

ゆみ「ああ、またな」


京太郎「……」テクテク

ゆみ「……」カラカラカラ

京太郎(や、やっぱり緊張するな……)

京太郎(何か話したいけど何も思いつかねえ)

ゆみ「なあ、須賀くん」

京太郎「は、はい!!」

ゆみ「部活の前にモモや津山と何か話をしていたな」

京太郎「えーと、それは……」

ゆみ「ああいや、別に何を話していたのか知りたいというわけではないんだ」

京太郎「?」

ゆみ「その、なんだ。私に言えないことも言えるような仲なんだなと思ったというか」

京太郎「い、いえ。そういうわけじゃ」

ゆみ「私は何を言っているんだろうな……すまない。忘れてくれ」

京太郎「は、はい……」


257 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:37:12.74IjmOm/hYo (12/17)

京太郎「…………」テクテク

ゆみ「…………」カラカラカラ

京太郎(ああもう、加治木先輩にあんな顔させて、何やってんだ俺)

京太郎(……ていうか今なら別に言ってもよかったんじゃないか? 元々モモたちにバレたくなかったわけだし)

京太郎(よし、それなら今からでも……)

ゆみ「須賀くん」

京太郎「!?」ビクッ

ゆみ「その、あ、歩いていたら足がまた痛んできたんだ」

京太郎「えっ? 大丈夫ですか!?」

ゆみ「ああ、まあ心配される程ではないんだが家まではちょっとつらいかもしれん」

京太郎「そんな……」

ゆみ「だから、その、もし良ければでいいん――」

京太郎「加治木先輩! 今日も俺に送らせて下さい!!」

ゆみ「」ビクッ

京太郎「悪化したら大変です! その、また恥ずかしい思いをさせることにはなりますが」

ゆみ「あ、ああ。須賀くんがよければこちらこそ頼みたい」

京太郎「俺のことなら気にしないで下さい。加治木先輩のほうが大切です」

ゆみ「う……」

京太郎「自転車借りますね。よ……っと。それじゃ後ろに乗って下さい」

ゆみ「あ、ああ」

京太郎「それじゃ出しますよ」

ゆみ「ああ、よろしく」

京太郎「」シャー

ゆみ(……ここまで本気で心配されると胸が痛むな)シャー

ゆみ(でもまあ、目の前で隠し事をされたんだ。これくらいは許されるだろう)ピトッ

京太郎「」ビクッ

ゆみ(おそらくこれが最後だろうし、たっぷりこうしていよう……)


258 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:38:17.65IjmOm/hYo (13/17)

――加治木宅前――

京太郎「つ、着きました」

ゆみ「ああ、ありがとう」

京太郎「明日の朝はどうします?」

ゆみ「それまでには治っていると思う。2日間ありがとう」

京太郎「気にしないでください。俺が好きでやってることですから」

ゆみ「そういうわけにもいかないさ。日曜日のとは別に何か言ってくれても構わないぞ」

京太郎「はは……じゃあ日曜日は麻雀のことは考えないで全力で遊んでください」

ゆみ「それは難しいな……」

京太郎「加治木先輩はそれくらいでちょうどいいですよ」

ゆみ「むぅ……そんなに麻雀ばかり考えているように見えただろうか」

京太郎「見えたっていうか事実じゃないですか?」

ゆみ「……それなら気をつけないといけないな」

京太郎「是非気をつけて下さい……それじゃ、そろそろ帰ります」

ゆみ「ああ、さよなら。……き、京太郎くん」カアァァ

京太郎「はい、さよ……い、今なんて!?」

ゆみ「き、聞き返すなバカ!!」

京太郎「す、すみません! そ、それでは失礼します。……ゆ、ゆみ先輩」カアァァ

ゆみ「あ、ああ。またな京太郎くん」

京太郎「はい、ゆみ先輩」

ゆみ「ああ、京太郎くん」

京太郎「はい、ゆみ先輩」

ゆみ「京太郎くん」

京太郎「ゆみ先輩」

ゆみ「……京太郎くん」

京太郎「……ゆみ先輩」

ゆみ「…………早く帰れ」カアァァ

京太郎「は、はい」カアァァ


259 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:39:34.45IjmOm/hYo (14/17)

---------------------------------------

智美「……というわけで、日曜日に遊びに行こうという話になったんだ」

睦月「元々部活のつもりでしたし大丈夫ですけど、結構急ですね」

智美「うんうん。それで、ちょっと相談があるんだ」

佳織「相談?」

智美「ああ、私たちはドタキャンして2人きりにしたらどうかなと思ってなー」

睦月「2人きりですか?」

智美「なんかゆみちんが京太郎とモモたちみたいに仲良く話せないとか思ってるみたいでなー」

桃子「そんなことないと思うっすけど」

智美「私もそう思う。ただまあこういうのは本人の気持ちの問題だからなー」

智美「それに実際京太郎が下の名前で呼んでないのゆみちんだけだから、あながち的外れとも言えないしなー。まあそれはゆみちん自身がそうさせたんだけど」

智美「部活とか帰り道じゃなくて、休みの日に2人で1日過ごせればそんなことも思わなくなると思うんだ」

睦月「うーん、言ってることはわかりますけど……」チラッ

佳織「そうだね。それだとちょっと……」チラッ

桃子「?」

智美「うん、まあだから最初はみんなで行こうって話にしたんだ。モモはどう思う?」

桃子「私っすか?」

智美「ああ、もちろんモモの都合もあるだろうから、嫌ならそう言ってくれて構わないぞ。仲良くさせる機会なんて他にも作れるからなー」

桃子「嫌なわけないじゃないっすか。私は賛成っすよ?」

一同「……」ポカーン


260 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:40:39.68IjmOm/hYo (15/17)

桃子「ど、どうしたっすか?」

智美「い、いや。ちょっと意外でなー」

睦月「うむ。本当にいいのか?」

佳織「桃子さん、嫌ならそうはっきり言ってくれていいんだよ?」

桃子「はっきりも何も、ゆみ先輩と京太郎が仲良くなるならそっちのほうがいいことじゃないっすか」

桃子「それはまあみんなで遊びに行けないのは寂しいっすけど、それはまた次行けばいいことっすよ」

睦月「そういうことじゃなくて……」

佳織「ええと、なんていうか……」

桃子「?」

智美「つまりだな。単刀直入に言うと、モモは京太郎のこと好きなんじゃないのか?」

桃子「好き……それはいわゆる男女関係的な好きっすよね」

一同「」コクコク

桃子「うーん……」

一同「……」


261 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:41:38.12IjmOm/hYo (16/17)

桃子「うーん……分かんないっす」

睦月「分からない?」

桃子「一人ぼっちだった私を見つけてくれた京太郎のことは好きっすよ。でもそれが恋愛的なものかどうかは分かんないっす」

桃子「元々深く人と関わったことがなかったっすから。友達的な好きなのか、恋愛的な好きなのか。区別がいまいちつかないんすよ」

智美「それなら判断がつくまで保留というか、少なくともデートさせたりとかはしないほうがいいんじゃないかー?」

桃子「それはそうかもしれないっすけど、でも今回はそうしたらきっと後悔するっす」

智美「後悔?」

桃子「京太郎は私を見つけてくれて、ゆみ先輩は私の世界を広げてくれた。……私は京太郎と同じくらいゆみ先輩のことも好きなんすよ」

桃子「高校に入るまで誰も私を見てくれなかったっすけど、今では5人も私を見てくれる人がいる。それはゆみ先輩と京太郎のおかげっす」

桃子「私にとってはその2人が仲良くなってくれることが何よりも大事っす。少なくとも今は」

桃子「もしかしたら後で後悔するかもしれないっすけど、今させなくても絶対後悔するっす。だから2人で行かせたいっすよ」

佳織「桃子さん……」ウルウル

桃子「ちょ、そんな反応されると恥ずかしいっす!」

智美「うん、そういうことなら日曜日は2人にさせるぞー」

睦月「わかりました」

智美「ゆみちんと京太郎の集合場所はあそこの神社の前にするから、みんなはあそこからちょっと離れたところに集合なー」ワハハ

佳織「覗くつもりなんだ!?」

智美「こんな楽しそうなこと放っておく手はないぞー」ワハハ

睦月「色々と台無しですよ……」

桃子「私にあれだけ言わせてオチを付けるとは思わなかったっす」

智美「そこまで不評だとは……じゃあやめるか?」

睦月「い、いえそれは……」

佳織「み、見守りたいかなーなんて」

桃子「行くっすよ!!」

智美「……みんな好きだなー」ワハハ


262 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/22(月) 21:42:40.71IjmOm/hYo (17/17)

以上になります。
というわけで次回はデート。どこに行かせるかは未定。


263VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 21:56:22.97DH1GtEuBo (1/1)

乙ー


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 22:03:50.68waB/0GhMo (1/1)

乙ー
みんないい子だなぁ


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 23:26:41.72yFvYNKK40 (1/1)

乙!


266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 23:53:11.43cS1phymFo (1/1)

乙!


267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/23(火) 00:08:32.30axDuLFd9o (1/1)

乙!


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/23(火) 18:46:28.19bfrCg3CRo (1/1)

乙乙


269 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:45:42.22w8X+atxXo (1/10)

デートまで行くかと思ったらそんなことはなかった。
まあ筆が進まなかっただけなんですが。
とりあえず出来たとこまで投下します。


270 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:46:21.62w8X+atxXo (2/10)

智美「みんな遅いなー」

智美「いや、来ていてもわからないのかもしれないな。私の変装は完璧だからなー」ワハハ

睦月「……もしかして部長ですか?」

智美「おお、よく見つけられ……どちらさま?」

睦月「津山です!」

智美「むっきーなのか!? 全然気づかなかったぞ……」

睦月「髪を二つ結びにしてメガネかけただけじゃないですか」

智美「ということはそっちにいるのはもしかして……」

佳織「私にも気づいてなかったの!? 智美ちゃん酷いよー」

智美「気づく気づかないというか、もはや誰って感じだなー……」

佳織「ストレートにしてコンタクトに変えただけなのに……」

睦月「そんなに印象変わりますか?」

智美「髪もあるけど服装がなー。2人ともそんな服持ってたのかー」

睦月「あ、これは昨日2人で交換しました」

智美「ワハ!?」

佳織「やっぱり普段の印象と変えなきゃダメかなって思って」

智美「ふ、2人ともやる気出しすぎじゃないか……?」

佳織「デートを覗くんだしこのくらいやらないと!」

智美「そ、そんなものか……?」


271 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:47:07.73w8X+atxXo (3/10)

佳織「それより、智美ちゃんのそれはちょっと……」

智美「え?」

睦月「サングラスに帽子、ですか……」

智美「て、定番だろー?」

桃子「むしろ余計目立つっすよ」

智美「モモいたのか!?」

桃子「最初っからいたっすよ! いやでも正直その変装はないっす」

智美「なっ!?」キョロキョロ

佳織「」サッ

睦月「」サッ

智美「な、なんで目を合わせないんだ」

睦月「いえ、まあその……」

佳織「ええっと、ひと目で智美ちゃんだってわかったかなって」

智美「!?」

桃子「言い出しっぺがそれはどうかと思うっすよ」

智美「そ、そういうモモは何も変装してないじゃないかー!」

桃子「……本気を出した私が見つかると思うっすか?」スゥ

智美「うっ……」

睦月「ま、まあどちらにしろ極力視界に入らないようにするわけですし」

桃子「見つからないように頑張るっす!」

佳織「気をつけてね!」

智美(絶対私はおかしくないんだけど……)

智美「なのにこの敗北感はなんなんだろうな……」ワハハ…


272 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:47:41.69w8X+atxXo (4/10)

桃子「それにしても京太郎もゆみ先輩も遅いっすね」

睦月「もう5分前なんだけどなあ」

佳織「あの2人が時間前に来ないなんて意外だね」

智美「ああ、集合時間は12時って伝えておいたからなー」ワハハ

桃子「えっ、私は11時って聞いたっすよ?」

智美「ここにいる3人には11時って連絡したんだ」

佳織「なんでそんなことを……」

智美「下手したらあの2人は30分前に集合しそうだからなー」

睦月「それはわかりますが……」

智美「まあまあ。それまでガールズトークでもしてようじゃないか」

桃子「ガールズトークって言うほど潤いのある会話は出来そうにないっすけどね……」

智美「女子がやってればそれがガールズトークだ。細かいことは気にするなー」ワハハ

佳織「智美ちゃん……」


273 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:48:14.15w8X+atxXo (5/10)

――15分後――

睦月「へえ、部長、免許取ったんですか」

智美「大会が終わったらみんなでドライブに行きたいなー」

桃子「楽しみっす! ――あ、京太郎が来た……って早いっすね!?」

佳織「京太郎くんは集合時間を12時って思ってるはずだよね……?」

睦月「50分前……」

智美「さ、さすがに予想外だな」

桃子「11時集合にしててよかったっすね……」

智美「だ、だろー」


――10分後――

睦月「あ、加治木先輩が……」

桃子「早すぎるっすよ!!!」

智美「あの2人のことをなめてたなー」ワハハ

睦月「加治木先輩、いつもこんなに早く来てたんですね……」

佳織「ま、まあ早めに集まってよかったよ」

智美「それもそうだなー。さて、それじゃかおりん。メールをするんだ」

佳織「うん…………これでよし。ちゃんと送ったよ」

睦月「私とモモは昨日送りましたから、後は部長だけですね」

智美「ああ、ちょっとしたら送るぞー」


274 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:48:41.70w8X+atxXo (6/10)

---------------------------------------

京太郎「あ、ゆ、ゆみ先輩。おはようございます」

ゆみ「まだ慣れていないんだな」フフッ

ゆみ「おはよう、京太郎くん。……というか早いな」

京太郎「ゆみ先輩だって40分前に来てるじゃないですか。どっちもどっちです」

ゆみ「まあそれはそうか」

京太郎「ん……あれ、佳織先輩からメールが」

ゆみ「私にも来たな」

京太郎「今日は行けません……佳織先輩もかよ!!」

ゆみ「これで私たちと蒲原以外が休みか……なんだか嫌な予感がしてきたな」

京太郎「同感です……」

ゆみ「まあ今から心配してもしょうがない。時間まで待とう」

京太郎「そうですね」

ゆみ「それまでは……そうだな。麻雀関連で何か聞きたいことはあるか?」

京太郎「今日は麻雀を忘れて遊ぶことにしたような……」

ゆみ「なに、集まるまでだよ。そんなに熱を入れるつもりはないさ」

京太郎「そういうことでしたら。そうですね……」


275 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:50:04.30w8X+atxXo (7/10)

京太郎「質問という感じじゃないですけど、皆さん守備堅いですよね。俺はどうしても振り込んじゃうので」

ゆみ「京太郎くんは押しすぎだ。相手が低そうに見えるからといって、何でもかんでも突っ張るのはやめたほうがいい」

京太郎「うっ……で、でも稼げるときに稼がないと勝てないじゃないですか!」

ゆみ「満貫以上のような高い手なら時と場合によるが、安い手で押すのは愚策だ」

ゆみ「ダマテンは仕方ないが、リーチに突っ張るのはリターンよりリスクのほうが大きい」

ゆみ「まあ余程の根拠があるか、自分の感覚を信じてやるのならそれはそれでいいんだがな。ただなんとなくというのであれば押すべきじゃない」

京太郎「おっしゃるとおりです……」

京太郎「ちなみにその守備はどうやって身につけたんですか?」

ゆみ「ああ、最初はネットを中心にやっていたからな。上がり重視より振り込みを少なくするほうがトータルで見ると成績がいいんだ」

ゆみ「3人ともそれで自然と身についた。たださっき言ったこととは逆になるがそれも良し悪しあってな……」

京太郎「振り込まないのはいいことじゃないですか」

ゆみ「ああ、それはもちろんだ。だが大会だとちょっと勝手が違ってな」

京太郎「というと?」


276 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:50:33.81w8X+atxXo (8/10)

ゆみ「ネトマなら4位にならなければレートは下がらないから、最下位にならないことを目指すんだ。そうすれば自然にレートは上がっていくからな」

ゆみ「だけど大会では得点で順位が決まるだろう? 特に団体戦では1位にならなければ次に進めない」

ゆみ「守備的なのは悪いことではないんだが、早めにオリるということでもある。得点を稼ぎづらいから、大会向きではないんだ」

京太郎「なるほど……」

ゆみ「昔からいる私たち3人はその傾向が強い。そういう意味でモモや妹尾には期待しているな」

京太郎「モモはステルスモードに入れば守備を気にしなくていいですからね。佳織先輩も役満バンバン出しますし」

ゆみ「ああ、2人とも頼れる部員だ。……まあモモはともかく、初心者の妹尾に頼るというのも情けない話だがな」

京太郎「情けないなんてことないですよ。同じ鶴賀麻雀部の部員なんですから、頼れることは頼っちゃいましょう!」

ゆみ「…………」

京太郎「あ、あれ。変なこと言いました?」アセアセ

ゆみ「いや、君の言うとおりだと思ってな。情けないなんて思う必要はない、か。きっとそういう意識が私には足りていないんだろうな」フッ

京太郎「ええと……?」

ゆみ「君に教えられたというだけだよ。あまり気にしなくていい。……ん、蒲原からメールか」

京太郎「今日は行けなくなった……ですか」

ゆみ「まったく、白々しい」ハァ


277 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:51:35.05w8X+atxXo (9/10)

京太郎「どうします?」

ゆみ「ここまでお膳立てされたんだ。2人で遊ぶことにしよう」

京太郎「俺はいいですけど……」

ゆみ「私も構わない。これで決まりだな」

京太郎「おお……2人乗りをあれだけ渋ってた人とは思えないです」

ゆみ「2人乗りとこれでは全然違うだろう」

ゆみ「……それに、この間の私の態度が原因だろうしな」ボソッ

京太郎「すみません、今なんて?」

ゆみ「何でもない。それより京太郎くん、エスコートよろしく頼むぞ?」」

京太郎「ま、まだこの辺りは全然わからないんですが……」

ゆみ「ああ、アドリブがどれほど利くのか楽しみにしているよ」フフッ

京太郎「えっ!?」

ゆみ「ほら、待ち合わせ場所でいつまで立たせているつもりなんだ?」

京太郎「はっ!? そ、それじゃあお昼も近いですしどこかで食べたりとか……」

ゆみ「そうだな。京太郎くんのオススメの店に案内してくれ」

京太郎「お、オススメですか……」ダラダラ

ゆみ「……すまない、からかいすぎたな」クスッ

京太郎「心臓に悪いんでやめて下さい……」

ゆみ「……? 確かにからかいすぎたとは思うが、いくらなんでも緊張しすぎじゃないか?」

京太郎「そ、それはその……」

京太郎(相手がゆみ先輩だからです!! とは言えねえ……!)

ゆみ「……まあいい、近くにファミレスがあるからそこへ行こうか」

京太郎「はい!」


278 ◆6ardW1rCAXVJ2013/04/29(月) 20:52:39.11w8X+atxXo (10/10)

今回は以上です。
どこ行かせようかさっぱり思いつかない……


279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 22:24:55.1967bBgVr4o (1/1)

おつー


280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 22:28:01.665pFNHhrR0 (1/1)

おつ!


281VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 23:54:58.74sl636Sc+0 (1/1)

乙ー
気長に待ってるよ


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 23:59:35.26yf6XS1vYo (1/1)

乙でござる


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/30(火) 11:32:48.62IUDOFpfzo (1/1)


週1の楽しみだわー


284 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:48:56.96ikW5G4wRo (1/24)

難産でしたがどうにか完成。
どういうわけかいつもよりさらに長くなりましたがお付き合いください。


285 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:49:24.36ikW5G4wRo (2/24)

智美「お昼はファミレスかー」

睦月「定番ですね」

佳織「わあ、デートしたことあるんだ」

睦月「……友達で遊びに行くときの定番ですね」

佳織「ご、ごめんね……」

睦月「いや、気にしないで……」

智美「なんで傷を抉りあってるんだ」ワハハ

桃子「ドリンクバー持ってきたっすよー」

智美「おお、ありが……このよくわからない色はなんだー?」

桃子「いやードリンクバーでミックスするの一度やってみたかったんすよ」

智美「今まで麻雀部でやられたことなかったから無警戒だったなー」ワハハ…

智美「さて、佳織とむっきーにはどんなジュースが……」

桃子「かおりん先輩には頼まれてたオレンジジュースっす」

佳織「ありがとー」

智美「えっ」

桃子「むっちゃん先輩はアイスティーっすよね」

睦月「うむ、ありがとう」

智美「ワハ!?」

桃子「私は烏龍茶で……」

智美「ちょ、ちょっと待った!」


286 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:50:05.39ikW5G4wRo (3/24)

桃子「どうかしたっすか?」

智美「な、なんで2人は普通のなんだ!?」

桃子「それを頼まれたからっすよ?」

智美「確かに何でもいいって言ったな……」

桃子「小学生の頃から一度友達にやってみたいって思ってたから感謝してるっす!」キラキラ

智美「そ、そうかー」ワハハ

智美(純粋な目で見られている……!)

智美(こ、これは飲まないとダメな雰囲気か……?)チラッ

睦月・佳織「」コクッ

智美「ううぅ……」

桃子「」ワクワク

智美「えいっ」ゴクゴク

睦月・佳織「……」

智美「……うまいっ!!」

睦月・佳織「えっ」


287 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:50:35.80ikW5G4wRo (4/24)

智美「これうまいぞー! よければこれからも作ってくれー」ワハハ

桃子「適当に混ぜたからまた作るのは無理っす……」

佳織「智美ちゃん、その色で本当においしいの?」

智美「ああ、佳織も一口飲んでみるかー?」

佳織「じゃ、じゃあ」ゴクゴク

佳織「……おいしい!!」

睦月「じゃあ私も」ゴクゴク

睦月「……ほんとだ、おいしい!!」

桃子「むぅ、おいしいなんてつまらないっす……」

智美「まあまあ。モモも飲んでみろー」

桃子「んー」ゴクゴク

智美「どうだー?」

桃子「……マズイじゃないっすか!!」

智美「うまいわけないだろー!!」

桃子「かおりん先輩もむっちゃん先輩もノリよすぎないっすか!?」

佳織「騙されたと思うと悔しくて……」

睦月「こうなったらモモにも飲ませようと思って」

桃子「くっ!! 思えばあれがおいしくなるわけないっすよね!!」

智美「だからなにを混ぜたんだ!?」

桃子「騙されたのに教えると思うっすか!?」


288 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:51:02.17ikW5G4wRo (5/24)

---------------------------------------

<サキニヤッタノハソッチダロー!
<ソレハソレッス!


ゆみ「向こうが騒がしいな」モグモグ

京太郎「そうですねえ」ジー

ゆみ「ここのパスタはなかなかおいしいぞ」モグモグ

京太郎「そうですねえ」ジー

ゆみ「……君はバカか?」

京太郎「そうですねえ」ジー

ゆみ「……おい!」

京太郎「は、はい!?」ビクッ

ゆみ「まったく、先に食べ終わったからといって上の空なのは感心しないな」

京太郎「す、すみません」アセアセ

京太郎(見惚れてたとは言えないな……)


289 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:51:32.53ikW5G4wRo (6/24)

ゆみ「京太郎くんとお昼を一緒に食べるのはこれが初めてだったな」モグモグ

京太郎「学年も違いますし、部で食べることもないですしね」

ゆみ「去年は何度かやったんだが……今度部室かどこかで食べようか」モグモグ

京太郎「いいですね。楽しみです」

ゆみ「ああ……ふぅ、おいしかった」

京太郎「ドリンクバー何か取ってきましょうか?」

ゆみ「いや、大丈夫だ。それよりこれからどこに連れて行ってくれるのか聞かせて貰わないとな」

京太郎「えっ!? い、いやさっきのは冗談だったんじゃ……?」

ゆみ「他人が話しかけているのに気づかなかったんだ。もちろん何か考えてくれていたんだろう?」

京太郎(意外と気にしてた!?)

ゆみ「ほら、あんまり待たせるとこのまま帰ってしまうぞ?」

京太郎「え、ええとですね……」


290 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:52:01.43ikW5G4wRo (7/24)

京太郎(な、何かないか!)キョロキョロ

京太郎(ん? これは……)

京太郎「ゆみ先輩! ここ行きましょう!」

ゆみ「どれどれ……水族館か」

京太郎「はい。多分そんなに行くことないでしょうし、久しぶりに行けば楽しいと思うんですよ」

ゆみ「確かにここ数年行っていないな」

京太郎「なら行ってみません? ちょうどここに優待券も置いてありますし」

ゆみ「……一応聞いておくが、それが目についたからという理由ではないよな?」

京太郎「あ、あはは……」

ゆみ「……まあいいか。そこへ行くとしよう」

京太郎「い、いいんですか?」

ゆみ「久しぶりなのは本当だしな。聞いてて行きたくなったよ」

京太郎「それならよかったです。もう出ます?」

ゆみ「そうだな。早く行こうか」


291 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:52:59.69ikW5G4wRo (8/24)

---------------------------------------

智美「2人を追って着いたのがここかー」

睦月「水族館ですか。デートコースの定番ですね」

桃子「まあ優待券ありきだとは思うっすけどねー」ピラピラ

佳織「イルカショーだって! 可愛いんだろうなー」

智美「2人がどこに行くかよく調べてくれたなー、モモ」

桃子「麻雀部に入って私の影の薄さは磨かれたっすからね! それなりに自由自在に出来るっすよ」

智美「おお、凄いなー」

睦月「さすがモモ」

佳織「桃子さん凄いよ!」

桃子「素直に褒められると照れるっすね」テレテレ

睦月「ふむ……体質を悪用するのはよくないと思うぞ」

智美「……あんまり他人の恋路に踏み入るのはどうかと思うぞ?」

桃子「先輩たちもノリノリだったじゃないっすか!」

睦月「いや、こういう反応を望んでいるのかと」

桃子「照れ隠しっすよ! わかって欲しいっす!」

佳織「わかってやってるんだよきっと」

桃子「きっとというのが不安っすね……」


292 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:53:28.35ikW5G4wRo (9/24)

---------------------------------------

京太郎「この水族館長野で一番大きいらしいですよ」

ゆみ「ほう、そうなのか」

京太郎「人も結構多いですね」

ゆみ「長野には海がないから……というのはあんまり関係ないか」

京太郎「それじゃあ早速入りましょうか」

ゆみ「ああ」

…………

………

……



京太郎「最初は熱帯ゾーンですね」

ゆみ「色とりどりの魚が可愛らしいな」

京太郎「アロワナは大きいですねー」

ゆみ「世界最大級の淡水魚だったか。見た目のインパクトも凄いな」

京太郎「あの口は特徴的ですよね。……おお、水から飛び出して虫を食べてる」

ゆみ「見た目によらず動きが早いな」

京太郎「あっ、クマノミがいますよ!」

ゆみ「ファインディング・ニモだな。親子の愛情が感じられて好きだったよ」

京太郎「今度続編もやるらしいですよ」

ゆみ「そうなのか」

京太郎「その……公開されたら一緒に見に行きませんか?」

ゆみ「えっ……ああ、いいぞ。楽しみだな」

京太郎「ほんとですか! やった!!」

ゆみ「よ、喜びすぎだ」カアァァ


293 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:53:57.04ikW5G4wRo (10/24)

京太郎「次は餌やりが体験できるコーナーですね」

ゆみ「凄い数の鯉だな」

京太郎「幸福池っていうらしいですよ」

ゆみ「ふむ、特定の色の鯉に餌をあげると願いごとが叶う……か」

京太郎「……特定の色ってなんなんですかね?」

ゆみ「……それも含めて運試しというところなのか?」

京太郎「とりあえず餌あげてみましょうか」

ゆみ「そうだな。珍しそうな色の鯉にあげてれば当たるだろう」

京太郎「えい!」ポーイ

ゆみ「それっ!」ポーイ

京太郎「……当たったかなあ」

ゆみ「それは神のみぞ知るだな」

京太郎「ゆみ先輩の願いごとはなんです? やっぱり麻雀で全国行けますようにとかですか?」

ゆみ「いや、違う。……それに、他人に聞くときはまず自分から言うものだぞ?」

京太郎「俺ですか? 俺は先輩たちが全国に行けますようにってお願いしました。一緒だと思ったんですけどね」ハハハ

ゆみ「ふふ、それならある意味一緒のようなものだよ」

京太郎「え?」

ゆみ「私は京太郎くんが全国に行けますようにとお願いしたからな。お互いがお互いに同じことを祈ったんだから一緒だよ」

京太郎「ぜ、全国ってハードル高いですね……」

ゆみ「言っておくが私たちも大会に出るのは初めてだぞ? 無理を言っているのは君も同じだ」

京太郎「それはそうですが……」

ゆみ「なに、所詮はおまじないだ。あんまり気負わず喜んでくれると嬉しい」

京太郎「……そうですね。俺も頑張ります!」

ゆみ「うん、その意気だ」


294 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:54:24.75ikW5G4wRo (11/24)

京太郎「お待ちかねのイルカショーですよ!」

ゆみ「確かに楽しみにしていたが、お待ちかねというほどではないぞ」ソワソワ

京太郎(そんなにソワソワして言われてもなあ)

ゆみ「どうする? 前のほうに行くか?」グイグイ

京太郎「どうするというか引っ張ってるじゃないですか!?」

ゆみ「な、なんのことだ?」

京太郎「先輩……まあともかく、前のほうはやめときましょう」

ゆみ「何故だ!? ドルフィくんが近くで見られるんだぞ!?」

京太郎「そのうちわかりますよ。だから座るのは真ん中辺りにしておきましょう」

ゆみ「君がそこまでいうなら……」


295 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:54:55.51ikW5G4wRo (12/24)

ゆみ「おお!」

京太郎「すげー、尾ビレで水の上歩いてる」

ゆみ「人を乗せて運んでる!?」

京太郎「プールの端から端まで鼻の上に人を乗せて……初めて見た」

ゆみ「おー!」

京太郎「定番ですけどジャンプで輪を連続してくぐるのは見てて楽しいですね」

ゆみ「……なあ京太郎くん。やっぱり前で見ててもよかったんじゃないか?」

京太郎「さっきが小さいジャンプだったから……そろそろですよ」

ゆみ「?」

調教師「さあ次はドルフィくんの得意技、大ジャンプです! 見事このハードルを越えることが出来るでしょうか!」

ゆみ「」ドキドキ

調教師「ドルフィくん行くよー!」ピッ

ドルフィ「」ジャンプ

バッシャーーン!!

調教師「見事ハードルを越えましたドルフィくんに、盛大な拍手をお願いします!」パチパチパチ

<ウワッビショビショニヌレタッス!!
<ダカラヤメトコウッテイッタロー!?

京太郎「ほら、前のほうだとあんな風にジャンプしたときの飛沫がかかることがあるんですよ」

ゆみ「思ったより大量にかかるんだな……」

京太郎「いや、あれはさすがに運が悪かったんだと思います」

ゆみ「なんにせよ君のおかげで濡れずに済んだよ。ありがとう」

京太郎「どういたしまして……それより前で濡れてた人蒲原先輩に似てませんでした?」

ゆみ「ああ、確かに似ていたな。だが周りに3年の友人も、妹尾や津山の姿もなかったから別人だろう」

京太郎「なんとなくあの辺りの雰囲気が麻雀部っぽかったんですが……まあでも先輩たちがいなかったんですから違いますよね」

ゆみ「そうだな。それに隠れてついて来ているなら私たちの前に座ったりしないさ」

京太郎「それもそうですね」


296 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:55:22.20ikW5G4wRo (13/24)

京太郎「最後は海水魚コーナーですか」

ゆみ「最後だけだいぶ括りが広いな」

京太郎「きっと色々あるんですよ。あ、2万匹のイワシ玉とかあるみたいですよ」

ゆみ「2万匹とは凄いな」

京太郎「えーと、でも……」キョロキョロ

ゆみ「……見当たらないな」

京太郎「ですねえ。あ、これ……」

ゆみ「……用意していたイワシはサメやアジに食べられてしまいました」

京太郎「……魚の世界も厳しいんですね」

ゆみ「狭い水槽だから玉になったくらいでは誤魔化せなかったんだろうな」

京太郎「……スイミー」ボソッ

ゆみ「あれは海だし、大型の魚に化けていただろう!」

京太郎「……」

ゆみ「……」

京太郎「次、行きましょうか」

ゆみ「ああ……」


297 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:56:23.42ikW5G4wRo (14/24)

京太郎「あ、先輩! カジキマグロですよ!」

ゆみ「ほう」

京太郎「え、ええと……加治木先輩とカジキマグロで……」

ゆみ「ああ」

京太郎「その……」

ゆみ「どうした? 続けろ」

京太郎「すみませんでしたぁ!!」

ゆみ「わかればいい」

京太郎「でも水族館でカジキマグロって珍しくないですか?」

ゆみ「カジキマグロは外洋で泳いでいる魚だからな。水槽の中では壁やガラスにぶつかってすぐ傷つくから、飼育に向かないんだ」

京太郎「詳しいですね」

ゆみ「昔何度もからかわれたからな。意地になって調べてやった」

京太郎「……すみませんでした!」

ゆみ「謝るな!」


298 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:56:50.45ikW5G4wRo (15/24)

京太郎「おお、マンボウ!」

ゆみ「初めて見たが思っていた以上に大きいな」

京太郎「知ってます? マンボウってプランクトンの一種なんですよ」

ゆみ「ああ、知っている」

京太郎「えっ」

ゆみ「プランクトンは浮遊生物という意味です。マンボウも泳ぐ力が弱くて海流に逆らえないため、プランクトンの一種に含まれます」

ゆみ「そこに書いてあるのを読んだんだろう? 私もさっき読んだよ」

京太郎「あ、あはは。よく見てますね」

ゆみ「こういうものが目につく質だからな。それにここに書いていないマンボウの特徴も知っているぞ?」

京太郎「へー。どういうのがあるんですか?」

ゆみ「さっき言ったようにマンボウは泳ぐのが下手で岩にぶつかってよく死んでしまうんだ」

ゆみ「水族館ではそれを防ぐためにネットやフィルムで保護しているが、それに引っかかって死んでしまうこともあるらしい」

京太郎「へー」

ゆみ「更にマンボウは寄生虫を取るために水中からジャンプして水面に自分の体を叩きつけるんだが、それで死ぬこともある」

京太郎「え?」

ゆみ「それと魚は泳ぐことで呼吸をしているんだが、マンボウは泳ぐのが下手だからすぐ酸欠になってしまう。場合によってはそのまま死ぬ」

京太郎「えっ?」

ゆみ「他にも……」

京太郎「他にも!? ちょ、ちょっと待って下さい! 何ですかそのひ弱な生き物! そんなのすぐ絶滅するでしょう!?」


299 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:57:23.13ikW5G4wRo (16/24)

ゆみ「マンボウは絶滅しないために、体を強くするのではなく子孫をたくさん残すことを選んだんだ。一度に数億個の卵を産むことは知っているだろう」

京太郎「いや知ってますけど!」

ゆみ「まあそういう生物もいるという話だ」

京太郎「こんな呑気そうな顔してますけど、厳しい競争を勝ち抜いてきたエリートなんですね……」

ゆみ「ああ、私たちもこのマンボウのように大会を勝ち抜かないとな」

京太郎「う、うーん……」

京太郎「……そういえばゆみ先輩、マンボウにも詳しいんですね」

ゆみ「ああ、カジキマグロのことを調べるときに目についたからついでにな」

京太郎「すみませんでした!」

ゆみ「だから謝るな!」


300 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:57:59.91ikW5G4wRo (17/24)

京太郎「おみやげコーナーですね」

ゆみ「地元だとあまり買うこともないな」

京太郎「麻雀部には……」

ゆみ「来なかったのはあっちだ。いらん」

京太郎(意外と怒ってたのか……)

ゆみ「京太郎くんは何か買いたいものがあるのか?」

京太郎「んー……はい。ちょっと買いたいものが」

ゆみ「そうか。なら私はここで待っているよ」

京太郎「はい、すぐ戻ります」


京太郎(ゆみ先輩に何か買いたかったけど、思ったより時間かかっちゃったからなあ)

京太郎(ここであげられそうなのを見つけないと……)キョロキョロ

京太郎(あ、イルカのストラップ)

京太郎(これくらいなら気軽に受け取ってもらえそうだな。あんまり待たせても悪いし……)

京太郎「すいません、これください」

店員「はい、ありがとうございましたー!」


301 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 00:58:54.70ikW5G4wRo (18/24)

京太郎「すみません、お待たせし……ってあれ、いない?」

京太郎「も、もしかして先に帰ったのか!? やばい、何かしたか俺!?」

ゆみ「待て、いくらなんでも連れを置いて帰ったりはしない」

京太郎「あ、ゆみ先輩!」

ゆみ「すぐ戻るとは言っていたが本当に早いな」

京太郎「お待たせしたら悪いですから。それよりゆみ先輩はどこ行ってたんですか?」

ゆみ「あーその……あまり聞くな」

京太郎「……? はい」

ゆみ「それじゃあそろそろ帰ろうか」

京太郎「はい。結構長居しちゃいましたね」

ゆみ「そうだな。だが楽しかったよ。誘ってくれてありがとう」

京太郎「こちらこそ。凄く楽しかったです。それとその……」

ゆみ「ん?」

京太郎「よ、よければ今日も家まで送ります」

ゆみ「なんだ。そんなことならかしこまらなくてもいい」フフッ

ゆみ「最後までエスコートを頼んだぞ。京太郎くん」


302 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 01:00:09.74ikW5G4wRo (19/24)

---------------------------------------

――帰り道――

佳織「そういえば智美ちゃん、今回のデートで2人にはどのくらい仲良くなってもらうのが目標だったの?」

智美「ん? そうだなー。名前で呼ぶくらいになってくれたら満足かなー」

睦月「あの2人だと難しそうですねえ」

桃子「え? それなら喫茶店のときにもう『ゆみ先輩』『京太郎くん』って呼びあってたっすよ?」

智美「えっ」

睦月「えっ」

佳織「それじゃあこの間帰るときにそう呼ぶようになってたのかな?」

桃子「そうみたいっすねー」

智美「……無駄な気遣いだったかなー」ワハハ……

睦月「そ、そんなことないですよ! きっともっと凄く仲良くなってると思います!」

智美「……付き合うまでいったら悔しいなー」

睦月「うっ」

桃子「そのときは全力でからかってその悔しさを晴らせばいいっす!」

佳織「凄く自分たちが惨めになりそうな……」

桃子「振り返っちゃダメっすよ! 勢いが全てっす!」

智美「……そうだなー。そのときは全力でからかおう! 部長として許す!」

佳織「部長とかって問題なのかな……?」

睦月「まあまだ付き合ってるわけでもないしね」

桃子「こういうことは先に決めておくほうがいいんすよ」

智美「嫉妬する心の準備もできるしなー」ワハハ


303 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 01:00:38.65ikW5G4wRo (20/24)

---------------------------------------

――加治木宅前――

ゆみ「着いたか……いつもありがとう」

京太郎「どういたしまして」

ゆみ「久しぶりに麻雀のことを忘れたよ。いい息抜きになった」

京太郎「大会まで後2週間ですね」

ゆみ「ああ、これからはまた厳しくやらせてもらうぞ」

京太郎「お、お手柔らかにお願いします」

ゆみ「それは君次第だな」フフッ

京太郎「あはは……」

京太郎「えっと、ゆみ先輩。ゆみ先輩に渡したいものが」

ゆみ「何だ?」

京太郎「水族館で買ったんですけど……イルカのストラップです」

ゆみ「わぁ……! 可愛いな。嬉しいよ。ありがとう」

京太郎(よかった、喜んでもらえた……!)ホッ


304 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 01:01:23.03ikW5G4wRo (21/24)

ゆみ「それでだな。その、私からも渡したいものがあるんだ」

京太郎「え?」

ゆみ「マンボウのストラップだ。キャラもののような可愛い系ではないから、男子が付けていてもおかしくはないと思うのだが……」

京太郎「お、俺にですか!? うわ、すっげえ嬉しいです!」

ゆみ「喜んでくれたか。よかった……」

京太郎「喜ぶに決まってるじゃないですか!」

ゆみ「マンボウが成長するように、君に大会を勝ち抜いて欲しいという思いも込めてみたんだ。よければ付けてくれ」

京太郎「そんな期待まで……! もちろん付けますよ! ありがとうございます!」

ゆみ「ありがとう。私もイルカのストラップ、付けさせてもらうよ」

京太郎「本当ですか! 水族館選んでよかった……!」


305 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 01:01:49.90ikW5G4wRo (22/24)

ゆみ「――――……正直なところ、私はどこでもよかったんだがな」ボソッ

京太郎「ちょっ、これでも必死に考えたんですよ!?」

ゆみ「君は耳がいいな」ハハ

ゆみ「別に悪い意味で言ったんじゃない。とても楽しかったのは本当だよ。久々で新鮮で、水族館でよかったと思ってる」

京太郎「まあ、ならよかったですけど。後何かその前に言おうと――」

ゆみ「それよりほら、あまり遅いとご両親が心配するぞ」

京太郎「いえ女子じゃないんですから……というか、まだそんな遅い時間でもないですよ」

ゆみ「なんだ、家に上がって行きたいのか?」

京太郎「どうしてそうなるんですか!?」

ゆみ「まだそんなに遅い時間ではないんだから家に上げろと言いたいんだろう? 一応言っておくが両親はいるからな」

京太郎「上がりづら……というか上がりませんよ! 帰ります!」

ゆみ「ああ、また部活でな」

京太郎「はい、さようなら。また学校で!」


306 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 01:02:30.40ikW5G4wRo (23/24)

ゆみ「……行ったか」

ゆみ(……危なかった。追求されていたら口を滑らせたかも……ああ、考えるだけで恥ずかしい!)

ゆみ(何より、君が私のために考えてくれたということが嬉しいんだ。だから正直なところ、私はどこでもよかったんだがな、なんて)

ゆみ(何を考えているんだ私は!! 考えさせたのは私だろう! それに口に出すなんて!)カアァァ

ゆみ「前半のほうを聞かれていなかったのは幸いか……」

ゆみ「……京太郎くんは、私のことをどう思っているんだろうな」

ゆみ「……いや、違うな。京太郎くんより、私がどう思っているのか……」


307 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/07(火) 01:03:32.71ikW5G4wRo (24/24)

以上になります。
後2,3回部活やったら大会に入る予定です。


308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 01:08:16.762MUVjm7Bo (1/1)

乙。みんなかわいい!


309VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 01:09:53.98Et/5hoZfo (1/1)

乙ー

加治木=楠らしい
そして須賀神社には
天然記念物の楠がある

ようするに京かじゅ最高って事だな


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 01:11:20.99gR5ht0mso (1/1)

乙乙
ああいいなあ正統派先輩後輩もの!


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 01:26:37.81VwShaxixO (1/1)

かじゅかわいい


312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 01:33:49.44Y5EzPZuMo (1/1)


須磨水族園までよくお越しなさった




313VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 01:37:19.93CIkDmhTno (1/1)

乙乙
先輩後輩いいね


314VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 02:47:08.14Z5Tns6too (1/1)

須磨水族園(長野)


315VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 02:48:15.29g4AGvurxo (1/1)

いいね


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 12:39:40.41XW3J8ZC9o (1/1)

期待


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 12:43:27.19meJMkb5ro (1/1)

ageるなよ…


318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/13(月) 00:32:51.18xAWdSS7mo (1/1)

追いついた 面白かった続きも期待


319 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:17:06.63ECkry6fRo (1/18)

>>309
おお、そんな豆知識が。いずれ何かで使いたい

そんなわけで投下します


320 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:17:35.92ECkry6fRo (2/18)

京太郎「こんにちはー。ゆみ先輩1人ですか?」ガラガラガラ

ゆみ「ああ、みんなまだ来ていないようだ。……ぜひとも聞きたいことがあるんだがな」

京太郎「あはは……あ、ゆみ先輩。この間言われてた牌譜の分析です」

ゆみ「ああ、ありがとう……うん、よく出来てるよ」

京太郎「ありがとうございます!」

ゆみ「だが京太郎くんは自分の打牌には甘いところがあるな。ほら、ここ」

京太郎「えっ?」

ゆみ「生牌ならともかく、1枚切れの嵌張に受けるくらいなら役牌の対子を残したほうがいい。順目も早いしな」

京太郎「あーなるほど」

ゆみ「別にミスがあることで責めたりはしないさ。ただ直さないのはよくないな」

京太郎「うう、見落としてました……」

ゆみ「自分の打牌は、なまじ意図が完璧にわかっている分ミスに気付きづらい。特に注意してみるといい」

京太郎「はい!」

ゆみ「うん、頑張れよ」

ゆみ「さて、次は他校の生徒の分だ。ここの牌譜が分かりませんと書いているな」

京太郎「そこはほんとにわかりませんでした」

ゆみ「そうか。この捨て牌の意図はな…………」


321 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:18:07.50ECkry6fRo (3/18)

桃子「入るっすよー」ガラガラガラ

智美「おー2人とももういるのかー」

睦月「早いですね」

ゆみ「ああ、4人で来たのか」

智美「途中で一緒になってなー」

ゆみ「そうか。私は京太郎くんと話しているから、先に始めていていいぞ」

京太郎「ゆみ先輩、もう大会も近いんですから俺の指導なんて後回しでいいですよ」

ゆみ「大会が近いのは君も同じだろう。それに牌譜はどうせ見るんだ。君に教えながら見たほうが効率がいいさ」

桃子「うーん、仲良くなったっすねー」

智美「気を回した甲斐があったなー」

ゆみ「元々悪くなんてない。いらない気遣いを」ハァ

智美「ちょっとゆみちんには金曜日の言動を思い出して欲しいなー」

ゆみ「き、記憶にないな」

智美「ゆみちん……」ハァ

智美「まったく、そんなに嫌だったのか?」ワハハ

ゆみ「そんなわけな……! そ、それとこれとは話が別だ!」

智美「素直なほうが人生得だぞー」ワハハ

桃子「ある意味すっごく素直っすけどね」

佳織「というか、用事があって休んだわけじゃないって気づいてたんですね」

睦月「ちょっと露骨すぎましたか」

京太郎「4人も休んで偶然だなんて思うわけないじゃないですか」ハァ

桃子「部員のことはちゃんと信じなきゃダメっすよー?」

京太郎「結局嘘だったじゃねえか!」

桃子「それは結果論っす! 信じるかどうかが大切なんすよ!」

京太郎「酷い屁理屈だな!」


322 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:18:40.05ECkry6fRo (4/18)

京太郎「……あれ? ゆみ先輩。そういえば俺が先輩のこと下の名前で呼ぶようになったのって、金曜日でしたよね?」

ゆみ「ん? ああ、私が京太郎くんと呼ぶのもそれからだな。しかしそれがどうかし……そうか」

睦月「?」

桃子「?」

智美「うん? それがどうかしたのか?」

京太郎「いや、普通少しくらい反応があるんじゃないですか?」

佳織「なんのこと?」

ゆみ「私が須賀くんではなく京太郎くんと呼んでいて、京太郎くんが私のことを加治木先輩ではなくゆみ先輩と呼んでいることだ」

4人「「「「あっ」」」」

京太郎「まるで知っていたかのように自然に受け入れてましたよね」

智美「そ、それはほら。あんまりからかっていいことでもないかと思って」

ゆみ「わざわざ2人きりで遊びに行かせるほど私たちの仲を気にしていたんだ。別にからかいとしてでなくとも聞くほうが自然だろう」

桃子「あ、あれっすよ! 今日学校で2人が喋ってるのを聞いて」

京太郎「残念ながら今日ゆみ先輩とは放課後しか喋ってない」

睦月「2人の呼び方が自然だったので違和感なく……」

ゆみ「さすがに苦しいな」

佳織「ええと、それじゃあ……」

京太郎「今それじゃあって言いましたよね!?」

佳織「ふぇっ!? い、いや、違うの!」

ゆみ「そもそも最初の"あっ"という反応でわかっている」ハァ


323 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:19:18.77ECkry6fRo (5/18)

京太郎「そういえばイルカショーのとき蒲原先輩らしき人がいましたね」

ゆみ「ああ、結局は君の言ったことが正しかったというわけか」

桃子「ほら、やっぱりあの変装じゃバレバレだったんすよ!」ヒソヒソ

智美「前の方に行きたいって言い出したのはモモだろー!?」ヒソヒソ

ゆみ「内輪もめはいい。それよりいつから見ていたんだ?」

智美「い、いやたまたま水族館に遊びに行ったら偶然ゆみちん達が……」

佳織「智美ちゃん、もうやめよう」ポンッ

睦月「待ち合わせのときからです」

京太郎「最初からですか!? 俺たち結構早く移動しましたよ!?」

ゆみ「遊ぶ場所は集まってから決めたし、待ち合わせ時間よりだいぶ早く動いたから安心していたんだが……」

桃子「先輩たちより1時間早く集まってたんすよ。部長に言われて」

智美「さりげなく私に責任を負わせるなー! 後をつけるのやめるかどうかちゃんと聞いたろー!?」

桃子「私たちは先輩が言わなかったら後をつけようなんて言わなかったすよ!」

智美「む……そもそもモモが言わなければ名前を呼んでるのにちゃんと驚けたんだぞー!」

桃子「話題に出したのはそっちじゃないっすか!」

ギャーギャー


324 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:19:45.60ECkry6fRo (6/18)

ゆみ「……おい、2人とも」ギロッ

智美・桃子「」ビクッ

ゆみ「騒いでうやむやにしようという努力は買おう」

智美・桃子(バ、バレてたかー/っすか……)

ゆみ「だがまあ……誤魔化されると思うなよ?」ニコッ

智美・桃子「ヒッ」

ゆみ「津山、妹尾。お前たちもだからな」

津山・佳織(黙ってやりすごせなかった……)

京太郎「せ、先輩? 穏便にしてくださいね?」

ゆみ「ああ、うん……まあ、京太郎くんは気にするな」ニコッ

京太郎(こ、こえー……)ブルブル


325 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:20:18.14ECkry6fRo (7/18)

ゆみ「さて、蒲原。次はこの局だ。まずどこが悪いと思うか言ってみろ」

蒲原「こ、ここかなー?」

ゆみ「ふむ、そこだけか?」

蒲原「こ、ここもかな?」

ゆみ「違う」

蒲原「ひっ」

ゆみ「そこのドラ切りは一見危なく見えるが、下家の手牌にドラがあることが濃厚だから通りやすい。少なくとも他の牌よりは安全だ」

蒲原「な、なるほどー」

ゆみ「大会も近いし、やはりもう少し厳しくしないとダメか……」ブツブツ

蒲原(ひ、ひええ)ガクガクブルブル


326 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:20:58.90ECkry6fRo (8/18)

京太郎「よっしゃあああ!!!」

桃子「くぅ、悔しいっす」

睦月「京太郎くん、おめでとう」

佳織「凄いよ、おめでとう!」

京太郎「ありがとうございます!」

ゆみ「ん? どうしたんだ?」

京太郎「ゆみ先輩、俺ようやく1位になれました!!!」

ゆみ「本当か!? 凄いじゃないか!」

京太郎「なんとかモモから逃げ切れました。先輩のおかげです!」

ゆみ「君の実力だよ。モモに勝てたんだな」

桃子「後一歩だったっすよー。今回は手牌もそこまで悪くなかったし、大会までにもう一度負けるとは思わなかったっす」

京太郎「ふっふっふ。1位も取ったし、これで残った目標は先輩に勝つだけです」

ゆみ「そうか、私もそう簡単には負けないぞ?」

京太郎「望むところです。さあ打ちましょう!」

ゆみ「ああ、勝負だ」


327 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:21:27.01ECkry6fRo (9/18)

智美「た、助かった……」

桃子「先輩は京太郎との勝負に集中してくれそうっすね。負けて悔しいっすけど、ある意味助かったっす」

睦月「京太郎くんも強くなったね」

佳織「そうだね。始めたの同じくらいなのにもう全然敵わないや」

智美「まだまだ2週間ちょっとだろー。佳織には役満があるんだし、これからこれから」

佳織「その役満が出るってのは偶然だと思うんだけど……」

睦月「いや、妹尾さんが役満で上がった数、私が今までに上がった役満の数より多いよ?」

佳織「えっ?」

桃子「もうちょっと自分の凄さを自覚して欲しいっすね」

智美「貴重な才能だぞー」ワハハ

佳織「そ、そんなこと言われても……」


328 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:21:59.14ECkry6fRo (10/18)

京太郎「先輩ー。速く席着いてくださいよー」

智美「ああ、悪い悪い」

佳織「いま行くよー」パタパタ

桃子「んー京太郎も強くなったっすけど、佳織先輩ももっと自信持って欲しいっす」

睦月「うん、爆発力は凄いし、1位になったことだって何度も……」


佳織「あ、ロン。清一色……かな?」

ゆみ「……妹尾、それは九蓮宝燈と言ってな。役満の一つだ」

佳織「えっ」

智美「京太郎のトビで終了だなー」ワハハ

京太郎「」

佳織「ご、ごめんね? 京太郎くん」

京太郎「い、いえ。さすが佳織先輩……」ハハハ…


睦月「……」

桃子「……」

睦月「なんで自信持たないんだろう」

桃子「ほんとっすね」


329 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:22:34.89ECkry6fRo (11/18)

京太郎「……立直です」

佳織「」ドキドキ

睦月「」ドキドキ

桃子「ううん」タン

ゆみ「……」タン

智美「んー」タン

京太郎「……ツ、ツモ! 2600・1300です!」

智美「おおー!」

ゆみ「1位だな。おめでとう」

桃子「むー、また負けたっすか」

睦月「おめでとう京太郎くん」

佳織「今日初めて1位になったのに、同じ日に2度もなるなんて凄いよ!」

京太郎「……」

ゆみ「京太郎くん?」

京太郎「…………よっしゃああああ!!!」

ゆみ「」ビクッ

京太郎「やっとゆみ先輩に勝てた! しかも1位! 2回目! うわ、すっげえ嬉しい!!」

京太郎「今日の俺凄いなー! ゆみ先輩、やりましたよ! ……ゆみ先輩?」


330 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:23:05.05ECkry6fRo (12/18)

ゆみ「……京太郎くん、まずはおめでとう」

京太郎「ありがとうございます!」

ゆみ「だが、いきなり大声を出すのはやめろ」

京太郎「あ、すみません」

ゆみ「それと……目の前でここまで喜ばれるとな。さすがにリベンジしないわけにはいかないな」ゴッ

京太郎「えっ」

ゆみ「蒲原、モモ。順番だと私と京太郎くんだが、私たちの代わりに津山と妹尾と交代して貰っていいか?」

智美・桃子「」コクコク

京太郎「えっ?」

ゆみ「さあ、京太郎くん。続けよう」

京太郎「……えっ?」

…………

………

……




331 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:23:35.42ECkry6fRo (13/18)

――帰り道――

京太郎「先輩……酷いですよ……」

ゆみ「す、すまない」アセアセ

京太郎「1位になってゆみ先輩に褒めてもらいたかったのに……」ボソッ

ゆみ「? 今なんて……」

京太郎「何でもないです!」

京太郎(ゆみ先輩、前言ったこと忘れてるのかなあ)ハァ

京太郎「それより、あの後3位とか4位ばっかりで心折れかけましたよ!?」

ゆみ「べ、別に負けたときから本気だったから実力が変わるわけでは……」

京太郎「ゆみ先輩は手牌読んだり出来るじゃないですか。俺の手牌集中して見てませんでした?」

ゆみ「うっ」ギクッ

京太郎「やっぱり!」

ゆみ「悔しかったんだ、わかれ!」

京太郎「逆ギレ!?」

ゆみ「……まあその、別に京太郎くんだけ見ていたわけじゃない。ただ調子がよさそうだから警戒を強くしたというか――」

京太郎「! ゆみ先輩!」

ゆみ「な、なんだ?」

京太郎「それって、俺のことを強い相手だって認めてくれたってことですか!?」

ゆみ「うん? まあそうだな」

京太郎「本当ですか!? やった!!」


332 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:24:05.67ECkry6fRo (14/18)

ゆみ「何をそんなに喜……ああ、君は勘違いしていたのか」

京太郎「勘違い?」

ゆみ「京太郎くんが強いだなんて前から知っているよ。警戒したのだって別に今回が初めてじゃない。というかそうでなければもっと早く1位になれていたさ」

京太郎「えっ」

ゆみ「前にも言ったが……そうだな。1位になったのだし改めて」

ゆみ「君の努力は私が誰より知っている。君は強くなった」

ゆみ「今回1位になったのも偶然じゃない。これから何度だってなれるさ。私が保証するよ」

ゆみ「京太郎くん、よく頑張った」ポン

京太郎「……!!」

京太郎「ゆみ先輩、覚えててくれたんですね……!」ウルウル

ゆみ「あ、当たり前だ。何も泣くことはないだろう」カアァァ

京太郎「いや、もうほんと嬉しいです。俺、これからも頑張ります!!」


333 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:24:36.10ECkry6fRo (15/18)

ゆみ「……しかし正直に言って、京太郎くんが入ったときは2週間でここまで上手くなるとは思わなかった」

京太郎「そこまで言われるほど上手くなりました?」

ゆみ「もちろんだ。特にモモにはステルスもある。私とモモがいる卓で1位を取るのは、早くても大会が終わってからだろうと思っていたよ」

京太郎「今日勝てたのは嬉しいですけど、ゆみ先輩とモモはもちろん、睦月先輩にも部長にもあんまり勝ててるわけじゃないですよ?」

ゆみ「そこまで上手くなられたら私たちの立つ瀬がないな」ハハハ

ゆみ「京太郎くん、大会でどこまで行ってみたいと考えてみたことはあるか?」

京太郎「どこまでというとやっぱり決勝リーグまで行ってみたいです。ただそもそもどんな感じなのかが……」

ゆみ「ふむ、そういえばそういう話をしたことがなかったな。それじゃあ分かる範囲で説明しよう」


334 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:25:09.87ECkry6fRo (16/18)

ゆみ「……説明するといったが、正直言って男子の方は私もよくわからん」

ゆみ「だがまあ、君は麻雀を初めたばかりの初心者だ。男子のほうがレベルが高いと聞くし、決勝リーグまで進むのはかなり難しいだろう」

京太郎「ですよねー」ガックリ

ゆみ「だが、ここ長野に限っては可能性がある」

京太郎「え? なんでですか?」

ゆみ「長野の男子には恐ろしく強い3人の選手がいるんだ。全国大会の1位から3位までその3人が独占していた」

ゆみ「点数も圧倒的でな。その3人とその他大勢というか、とにかく別次元の強さだった」

京太郎「そんな強かったんですか?」

ゆみ「その3人の誰かがいる卓では、1万点残ったら運がいいと思えと言われている」

京太郎「なんですかそれ!?」

ゆみ「信じがたいが本当だ。去年1人は卒業したんだが、まだ2人いる。予選では全選手と当たるからな。その2人とも当たることになる」

京太郎「ふんふむ」

ゆみ「その2人と当たったときにどれだけ点を取られないか。決勝リーグに出られるかどうかはそれにかかっている」

ゆみ「まあつまり、経験の少ない君でもその2人から上手くオリられれば、決勝リーグまで進める可能性があるということだ」

京太郎「そんな、予選が何試合あると思ってるんですか。そのうち2試合くらいで……」ハハハ


335 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:25:39.18ECkry6fRo (17/18)

ゆみ「……」

京太郎「……マジなんですか?」

ゆみ「ああ、一切誇張はない」

京太郎「……ちなみにもしゆみ先輩が戦うとしたらどうします?」

ゆみ「配牌で一向聴でなければベタオリだ。それでも5巡目までに聴牌しなければオリる」

京太郎「はい?」

ゆみ「まあ実際にはベタオリすら狙われるからな。自分の意志ではなく、ランダムな法則でいつオリるか決めたほうがいいんだろうが、基本的はそうなる」

京太郎「ちょ、ちょっと待って下さい。なんですかそれは」

ゆみ「なんですかもなにも私ならそうするという話だ。実際に打ったことはもちろんないが、それほど圧倒的な相手だ」

京太郎「お、恐ろしいですね……」

ゆみ「ああ、だからこそ決勝リーグも狙えると思う」

京太郎「正直その話聞いて自信なくしたんですが……」

ゆみ「何もその2人に勝てというわけじゃない。このペースで成長すればいい線まで行くと思うぞ?」

京太郎「……そうですね。どうせ初心者ですし、当たって砕けろですよね! 決勝リーグ目指します!」

ゆみ「うん、その意気だ。一緒に頑張ろう」

京太郎「一緒に……! はい、もちろんです!」


336 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/14(火) 01:27:45.73ECkry6fRo (18/18)

以上になります。
ようやく京太郎が1位に。鶴賀なら2週間あればきっとなれるはず。


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 01:43:22.68/SkvGPaTO (1/1)

乙!
鶴賀ならっていうか、清澄以外ならどこでもちゃんと成長出来る気がする
清澄は初心者には厳しい環境だと思うわ


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 01:47:15.661EjY/Lv4o (1/1)

乙ー
微笑ましいカップルでかわいい


339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 01:51:16.82Kga9gFZdO (1/1)

乙ー
清澄は仕方ないね


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 01:53:13.29dTp+RkCH0 (1/1)

>>ゆみ「長野の男子には恐ろしく強い3人の選手がいるんだ。全國大會の1位から3位までその3人が獨佔していた」

また例の京ちゃんのお友達か?

>>ゆみ「信じがたいが本當だ。去年1人は卒業したんだが、まだ2人いる。予選では全選手と當たるからな。その2人とも當たることになる」

残りは誰?


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 05:34:52.88p/BCRSqpo (1/2)


ゆみちんこんだけ貫禄あるけど麻雀はじめたの高校生になってからなんだっけ


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 06:24:34.16UnL4ueC9o (1/1)

乙ー


343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 07:40:11.34rJWWzFDYo (1/1)

おつおつ

>>341
何度読んでもちんこに目が行く


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/14(火) 09:57:07.29p/BCRSqpo (2/2)

>>343
あっマジだ
そんな気はまったくなかったんだスマン


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/15(水) 18:10:09.42g0TexsaUo (1/1)

>>343
貫禄あるちんこにしか読めなくなった訴訟


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/15(水) 20:18:50.92fHtH90vPo (1/1)

恐ろしく強い3人?……あっ(察し)

乙。次も期待してます


347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/18(土) 02:35:13.73ByUcmSAl0 (1/1)

まーた京ちゃん人外化フラグか


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/20(月) 03:37:32.15kUiZyERso (1/1)

まだ愉快な仲間たちと決まった訳じゃないけど、どうしても出てくるのはあの三人なんだよなww
乙。かじゅ可愛いし、何時も楽しみにしています。


349 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:53:23.86TLh0HGJAo (1/17)

3人は愉快な仲間たちですねー。まあ2人残ってますが本編では書いても1レス位の予定なのであまりお気になさらず。
それと鶴賀なら1位になれるはずというのはメンバー的な問題だったり。長野だと龍門渕も清澄も魔物がいるので。風越はキャプテンがどうにかなれば。

それでは投下します。


350 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:53:56.89TLh0HGJAo (2/17)

――食堂――

睦月「部のみんなでお昼を食べるのは久し振りですね」

ゆみ「ああ、妹尾と京太郎くんとモモが入ってきてからは初めてだな」

桃子「こういうの憧れだったんすよー!」

智美「たまには部活以外でも集まろうと思ってなー。大会も近いことだし。それと……」

佳織「それと?」

智美「京太郎が調子悪いだろー? それをゆみちんから相談されたんだけど、これで何か気分転換になればと思ってなー」ワハハ

桃子「あー、この間1位になったのに、それから3位とか4位ばっかりっすよね」

ゆみ「調子の波自体は誰にでもあるが、京太郎くんは初めて経験するだろうからな」

智美「大会直前のこの時期になるのは不安なはずだからなー。こういうのは部活以外で話したほうがいいと思うんだ」

睦月「そうですね。あんまりプレッシャーかかっちゃいけませんし」

佳織「ところでその京太郎くんは……?」キョロキョロ

ゆみ「そういえば遅いな」

桃子「いつもパンかお弁当だから手間取ってるんすかね? 私もそうだったっすし」

智美「モモはおばさんがモモのことを見つけられなかったからだろー」ワハハ

桃子「だから学食は困るんすよ!」

睦月「でもそのモモより遅いのはなんでなんだろう?」

ゆみ「ふむ……ああ、ちょうど来た、よう……だ……?」

佳織「うわあ……」

桃子「あ、あれは凄いっすね」

睦月「あれ食べきれるのかな……?」

智美「さすが男子高校生だなー」ワハハ


351 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:54:39.47TLh0HGJAo (3/17)

京太郎「す、すみません。遅くなりましたっ」ドスン

ゆみ「い、いや。それはいいんだが……」チラッ

桃子「それ食べきれるんすか?」

智美「山盛りの唐翌揚げに大量のエビフライ」

佳織「ハンバーグとメンチカツも2つずつ」

睦月「ご飯も2人分くらいあるね。それと申し訳程度にサラダが」

桃子「聞いてるだけで胃がもたれそうっすね」

京太郎「……死ぬ気で食べます」ゲッソリ

ゆみ「普段学食で食べているが初めて見るな。なんという料理なんだ?」

京太郎「メンズランチを注文したらこうなりました……」

睦月「ああ、男子が入って来てから出来たメニューだね。だから見たことないんだ」

佳織「今まで女子だけだったから、きっと食堂のおばさんが張り切ってこんなメニュー作ったんだね」

ゆみ「しかし学食で食べるのが初めてにしても、友人から聞いたりはしなかったのか?」

京太郎「今日は普段一緒に昼食べてるやつに、麻雀部のメンバーと食べるって言って来たんですよ。そしたらそいつ学食ではメンズランチがオススメだって言って……!」

桃子「あー……。まあご愁傷様っす」

京太郎「うう、あいつ覚えてろよ……!」


352 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:55:06.21TLh0HGJAo (4/17)

…………

………

……



京太郎「き、キツイ……」キュウ

ゆみ「だ、大丈夫か?」

京太郎「す、少し休憩すればまだ行けます」

睦月「うむ、まあ無理はしないように」

京太郎「はぁ……そうだ。最近俺スランプで、麻雀全然勝てないんですがどうすれば直りますかね?」

智美「おお、そっちから切り出したかー」

京太郎「はい?」

智美「いや、なかなか言い出しづらいだろうと思って、どう切り出そうか考えてたんだけど必要なかったなー」

京太郎「ああ、そういうことですか。まあ聞くは一時の恥って言いますし」ハハハ

桃子「ちなみに京太郎的には何が悪いと思ってるんすか?」

京太郎「んーネトマでは変わらずそれなりに勝ててるから、なんか癖とかあるのかなあって」

ゆみ「うん? ネトマのほうでは勝てているのか?」

京太郎「はい。部活でやるときだけどうも上手く行かなくて……」

ゆみ「ふむ……」


353 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:55:40.91TLh0HGJAo (5/17)

睦月「何か気になるんですか?」

ゆみ「いや、最近の京太郎くんの牌譜を見ると明らかに不自然な捨て牌があるから、ネトマでやっていないなら何が原因なのかと思ってな」

智美「確かにこの間見た牌譜は変なとこがいくつもあったなー」

京太郎「どのへんが変でした?」

ゆみ「具体的にではないが、そうだな。ところどころ比較的安全な牌を切らずに他の牌を切っているだろう? たまに向聴数を上げてまでしていることもある」

ゆみ「それにあからさまな危険牌を振り込むこともある。正直今の君のレベルからしたら不自然だと思うんだが、何か理由はあるのか?」

京太郎「それは……なんというか上手く言えないんですけど、感覚でこれを切ったらヤバイとか、これなら行けるみたいなのを感じるというか……」

ゆみ「……」

ゆみ(確かに読み切れそうもない難しい待ちを回避していることもある……)フム

桃子「勘違いじゃないっすか?」

京太郎「そんな気もするけど、ステルスとかいうお前が言うな!」

佳織「私はそういうの全然感じたことないなあ。まだ始めたばっかりだし、その内感じられるようになるのかな?」

京太郎「むしろ感じたことがないことにちょっと驚いてます」

佳織「えっ!?」


354 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:56:11.67TLh0HGJAo (6/17)

ゆみ「ちなみにそれは何割くらいで成功しているんだ?」

京太郎「体感で大体5割くらい……だと思います」

智美「結構高いなー」ワハハ

京太郎「まあいつも感じられるってわけじゃないんですけどね」

ゆみ「そうか……」

睦月「先輩はどう思ってるんですか?」

ゆみ「そうだな。ネトマではいつも通りに打っているんだろう?」

京太郎「そういえばネトマではないですね」

ゆみ「ならそれは対局相手の癖や雰囲気を感じているんじゃないか?」

京太郎「癖や雰囲気ですか? でもそういうのを考えたことはあんまりないですよ?」

ゆみ「この短い期間に何度も同じ相手とだけ打っているんだ。無意識に刷り込まれていてもおかしくはない」

智美「でもそれだと私たちも感じてないとおかしくないかー?」ワハハ

ゆみ「それは個人差があるだろう。京太郎くんがそういう面に優れているのかもしれない」


355 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:56:38.38TLh0HGJAo (7/17)

京太郎「うーん……」

ゆみ「ピンと来ないか?」

京太郎「はい。他の人はともかく、ステルスしてるモモ相手にもたまに感じることがあるので……」

桃子「そういえばそんなこともあったっすね。後で牌譜見てちょっと驚いたっす」

ゆみ「ふむ……モモもステルスとはいえ本当に消えているわけじゃない。見えていないが見ているということはあるんじゃないか?」

京太郎「ああ、なるほど」

ゆみ「まあこれはあくまで私の解釈だから、これを君にを押し付けるつもりはないよ」

ゆみ「……それより話が脱線してしまったな。京太郎くんのその感覚が観察によるものか、それとも他の何かかどうかなんてどっちでもいい」

京太郎「えっ」


356 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:57:09.36TLh0HGJAo (8/17)

睦月「バッサリ行きましたね」

智美「ゆみちん、もうちょっと言い方ってものが……」

ゆみ「む、結論から言ってしまおうと思ったんだが……」

京太郎「い、いえ。全然大丈夫です。続けてください」

ゆみ「そうか、よかった」ホッ

ゆみ「話を聞く限り、京太郎くんは感覚の通りに打った結果、それが裏目になって勝てていないんだろう?」

京太郎「はい」

ゆみ「なら簡単だ。感覚に頼ってスランプになっているんだから、それに頼るのをやめればいい」

京太郎「あっ」

桃子「何度か裏目った時点で気付いて欲しいっすねー」

京太郎「みんなこうやってると思ってたんだよ!」

京太郎「でも対策がわかったんだ! 今日は1位になるぞー!」

桃子「まあその前に目の前の食事を片付けるっすよ」

京太郎「うっ……」

睦月「あはは、少しぐらいなら食べてあげるよ」

佳織「私もちょっと手伝うよ」

京太郎「睦月先輩、佳織先輩……! ありがとうございます!」

ゆみ「……」

智美「ゆみちんどうかしたのかー?」

ゆみ「……いや、何でもない」

智美「そうか? まあゆみちん、悩んだときは当たって砕けろだー」

ゆみ「……まったく、わかっているなら聞くな」ハァ

ゆみ「でもそうだな。ありがとう」

智美「ワハハー」


357 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:57:52.66TLh0HGJAo (9/17)

――帰り道――

京太郎「ゆみ先輩、今日はアドバイスありがとうございました!」

ゆみ「アドバイスという程のものじゃないさ」

京太郎「そんなことないですよ! 1位にはなれませんでしたけど、久々に2位になれてめちゃくちゃ嬉しいです!」

ゆみ「……ちなみに、今日も切るべきかどうかという感覚はあったのか?」

京太郎「そうですね。半荘で3,4回くらいはありました。今日は言われたとおりそれ無視してやりましたけど」

ゆみ「それでいい結果になったんだな」

京太郎「はい! やっぱり基本に忠実にやったほうがいいですね」

ゆみ「話を聞いている限りでは振り回されているだけのようだったからな」

京太郎「アハハ……恥ずかしいですね」

ゆみ「……ただ、昼に言ったことと逆になるんだが、もったいないとも思っているんだ」

京太郎「え?」


358 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:58:43.50TLh0HGJAo (10/17)

ゆみ「京太郎くんのそれはきっと磨けば大きな武器になるはずだ。だから昼に言ったことが全部正しいわけじゃない」

京太郎「ええと、それなら昼はああ言ったのは……?」

ゆみ「さっき言ったとおり、君が振り回されているからだ」

京太郎「確かにあやふやな感覚に頼るくらいなら完全に無視したほうがよかったですね……」

ゆみ「京太郎くんは感覚に頼るのではなく、使いこなさなければダメだと思うんだが、大会までは時間がない」

ゆみ「付け焼刃の感覚を使おうとするよりは、無視したほうがいいと私は思う」

京太郎「使いこなすというと成功率を上げるってことですか?」

ゆみ「……それは出来るのか?」

京太郎「いやさっぱりわかりません」

ゆみ「だろうと思ったよ」ハァ

ゆみ「そうだな……例えば危険牌だとわかっていても押さなければならない場面や、おそらく安牌だと感じていてもオリたほうがいい場面があるだろう?」

京太郎「はい」

ゆみ「君の場合はそれをより正確に感じることが出来るわけだから、当然押し引きの基準も変わってくるはずだ」

ゆみ「これは単純な例だが、もっと複雑な場面も多くあるだろう? その時々で最も有効な打ち方を判断できるようになったら使いこなせたといえるんじゃないかと思う」

京太郎「なるほど……」



359 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:59:16.71TLh0HGJAo (11/17)

ゆみ「私が教えてあげられればいいんだが、なにぶん君にしかわからない感覚だ。君が実戦で磨くしかないし、それに基礎力ももちろん必要だ。そうすると大会までにはおそらく間に合わない」

京太郎「あっ、だから頼るのはやめろって……」

ゆみ「ああ、君は強くなった。普通に成長すれば決勝リーグに残ることもそう無理なことではないと思う」

ゆみ「私は大会が終わるまでは普通に練習をして、大会が終わってから、その感覚を活かした打ち方を見つければいいんじゃないかと思う」

京太郎「……私はってことは、他の道もあるってことですか?」

ゆみ「そうだな。今からその感覚を活かした打ち方を見つけるという方法もある。次の大会で全国に行こうと思うならこれが一番可能性があるだろう」

京太郎「ぜ、全国ですか!?」

ゆみ「まあ完璧とまで行かなくとも、ある程度完成させられればという前提だがな。ただおそらく無理だろう」

京太郎「き、厳しいですね」

ゆみ「当たり前だ。自分のスタイルなんてそう簡単に身につくものじゃない。前例にない特殊な打ち方をするならなおさらだ」

ゆみ「さらに言うなら、そこまで上手く行ったとしても可能性が出てくるという程度だ」

京太郎「どっちを選ぶべきか……」ウーン


360 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 00:59:49.80TLh0HGJAo (12/17)

ゆみ「……実はな、この話は言おうかどうか迷ったんだ」

京太郎「え? なんでですか?」

ゆみ「京太郎くんが迷うと思ったからだよ。誰だって全国は目指したいだろう?」

京太郎「そうですね」

ゆみ「だけどそのスタイルが完成するまでは、きっと昨日までのように負け続けることになる」

ゆみ「誰だって負けるのは嫌だろう? そんなことで京太郎くんが麻雀を嫌いになったら悲しいからな」

京太郎「そんなことは……」

ゆみ「……まあそれで嫌いになるというのも、私の勝手な想像だ。だから最終的には君自身に決めてもらうことにしたんだが」

京太郎「はい」

ゆみ「どっちを選んでもいいぞ。どちらでも出来る限りのサポートはしよう」


361 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 01:01:43.69TLh0HGJAo (13/17)

京太郎「……大会までは普通に練習することにします」

ゆみ「うん? そうか。わかった」

京太郎「あれ、ちょっと意外そうですね」

ゆみ「そうだな。正直京太郎くんは、今から感覚を活かした打ち方を見つけると言うと思っていた」

京太郎「3年ならそうしたかも知れないですけど、無理して次の大会で勝とうと思わなくても俺はまだ1年ですから」

ゆみ「ああ、確かに私もそう考えたから今は普通の練習をしたほうがいいと言ったんだが……」

京太郎「……あー、その。ですね」

ゆみ「うん?」

京太郎「ええと……」

ゆみ「?」

京太郎「……ゆ、ゆみ先輩が俺のためって考えてくれたのが嬉しかったんですっ!!」

ゆみ「なっ!?」カアァァ

京太郎(い、言っちまったああああ! ひ、引かれたりしないよな……?)

ゆみ「そ、そのだな」アタフタ

京太郎「……」ドキドキ

ゆみ「た、確かに京太郎くんは大切な後輩だし、君のために考えたというのも正しいが、それでももう少しいい言い方があるだろう!?」カアァァ

京太郎「っ!」

ゆみ「そ、それともわざとそういう言い方にしたのか?」


362 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 01:02:10.61TLh0HGJAo (14/17)

京太郎「……そ、そうなんですよー。やだなバレちゃいましたか」

ゆみ「や、やっぱりそうだったか……」シュン

京太郎(先走ったかあ……まあ、誤魔化せただけいいかな)ズーン

ゆみ「まったく、京太郎くんも言うようになったな」ハァ

京太郎「あ、あはは」

ゆみ「でも嬉しいよ。モモとはいつもこんな感じで話しているだろう?」

京太郎「モモはああいう奴ですからね。ゆみ先輩には、もし同じ学年でもモモと同じようには話せませんよ」

ゆみ「今言っていたじゃないか」

京太郎「そ、そうでしたね……」アハハ

ゆみ「これからも言ってくれていいんだぞ? 私は気にしない、というか楽しい」

京太郎「そうですか? 意外ですね」

ゆみ「今まであまり言われたことがなかったから新鮮なのかもしれないな。……それかもしくは」

京太郎「もしくは?」


363 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 01:02:42.25TLh0HGJAo (15/17)

ゆみ「……京太郎くんとは特別話しやすいからかもしれないな」

京太郎「えっ――」ドキッ

ゆみ「……」ジー

京太郎「……」ドキドキ

ゆみ「……ふふ、冗談だ。あまり後輩に言われてばかりではな」

京太郎「もう、俺が悪かったですから、からかうのはやめてくださいよ……」

ゆみ「ちょっとした仕返しだよ」

京太郎「まったく、ちょっと前までが男と話すの苦手とか言ってたの誰ですか」

ゆみ「……今も他の男子とはほとんど話さないし、話すのは苦手だ」

京太郎「えっ?」

ゆみ「私がこういうことをできるのは京太郎くんだからだよ。きっと」

京太郎「なっ」カアァァ

ゆみ「……」ドキドキ

京太郎「こ、こんな続けてはさすがに引っかかりませんよ!」ドキドキ

ゆみ「……ああ、そうだな」

京太郎「ゆみ先輩は冗談も真顔で言うから分かりづらいです……」

ゆみ「見分けられるようになることを期待しているぞ」

京太郎「努力します……それじゃあゆみ先輩、また明日」

ゆみ「ああ、もうこんなところか。また明日」


364 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 01:04:47.58TLh0HGJAo (16/17)

ゆみ(まったく、あまり慣れないことはするものじゃないな)ハァ

ゆみ(見分けられるように……そもそも私はどういう返事を期待していたんだ?)

ゆみ(自分でも分かっていないのにあんなことを……いや、やめよう。考えるのは大会が終わってから――)

ゆみ「そうか、大会が終われば私は引退……」

ゆみ「もう少しだけでも長く続けられればな。蒲原と妹尾と睦月とモモと、それに京太郎くんがいる今のメンバーで。大会がなくても放課後に集まって麻雀をして」

ゆみ「それも全国まで行けば、か……ただ楽しみが続けばと思うだけなのに、つらい道のりだな」ハァ

ゆみ(それでも、目指さなければ届かない……頑張ろう!)


365 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/22(水) 01:06:10.24TLh0HGJAo (17/17)

以上になります。
先週末立てこんでてちょっと遅くなりました。


366VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/22(水) 01:07:51.45/e+jHx2lo (1/1)

おつおつ
かじゅいい


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/22(水) 01:09:38.94Y/r0DyRgO (1/1)

乙ー


368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/22(水) 01:10:52.24BKRa2shbo (1/1)

乙ー
かわいい


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/22(水) 01:46:11.43gGR2jRwso (1/1)



かじゅかわいい


370VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/22(水) 21:49:47.45hPfUqiWBo (1/1)


メンズランチワロタww


371VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 10:47:12.46h1a8Uw4Lo (1/1)

乙っすよ
風越は池田も何気に強キャラだと思うですが、かじゅとも対等に打ち合ってたし


372VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 13:27:02.75A46QGpKvo (1/2)

池田は名門校の校内ランク2位でOBとの対戦でトップ率31%弱いはずないだろ


373VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 13:31:51.58wIxE+2/Oo (1/2)

あれで名門校と言われてもな


374VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 13:39:50.49A46QGpKvo (2/2)

6年連続で全国大会出てたんだから長野の名門校だろ
他校がイレギュラー過ぎたんや


375VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 14:03:38.28wIxE+2/Oo (2/2)

その6年周り強いの居ない気はするがな
キャップだけ抜けすぎで他がそこそこというより弱く見える


376VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 14:06:01.169eHTncwco (1/1)

>>371
初出場のかじゅと比較される池田ェ…


377VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 14:15:32.28MUjUWIs/o (1/1)

いや、かじゅはラブじゃんで長野随一の打ち手とか言われてた気がするぞ?
かじゅと比較されるって立派に名誉だろ


378VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 16:21:29.99HaHg/d+4o (1/1)

池田は個人戦11位か コメントに困る位置だなぁおい

というか個人戦はモモ>かじゅだったのね



379VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/27(月) 08:51:04.73hRweJrcZo (1/1)

>>378
モモの能力は普通の相手だとほぼ無敵だしな
振り込む危険が無いってことは高い手狙ってゼンツ出来るし
逆にリーチに対しあえて当たり牌切ることでチョンボによる罰符で稼ぐことも出来る




380 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:14:00.89UjoJiQpao (1/16)

池田は決勝で役満実質2度も上がってますし強いと思ってますよー。諦めない姿が大好きです。
上で挙げなかったのは安定感の問題ですね。池田より上の順位は稀になれそうですがキャプテンは……

それでは投下します。


381 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:15:14.37UjoJiQpao (2/16)

京太郎「こんにちはー。部長だけですか?」ガラッ

智美「ああ、みんなまだ来てないなー」

京太郎「そうですか。それじゃあみんな来るまで牌譜の整理でも……」

智美「まあまあ、そんなのいいからちょっとこっち手伝ってくれー」

京太郎「なにやってるんですか?」

智美「決起集会に必要なものを考えてるんだ」

京太郎「決起集会?」

智美「ああ、大会直前だから、気合を入れるためにもやっとこうと思ってなー」

京太郎「へえ。初めての大会ですしいいかもしれませんね」

智美「それで京太郎に決めて貰いたいことがあるんだ」キリッ

京太郎「む、責任重大ですね。なんでしょう?」

智美「ああ、きのこの山とたけのこの里のどっちを買えばいいかと……」

京太郎「真剣な顔してなにかと思えばそんなことですか!?」

智美「そんなこととは失礼だなー。きのこたけのこ戦争を甘く見ると痛い目にあうぞー」ワハハ

京太郎「じゃあ大袋のでいいじゃないですか。両方入ってますし量もありますから」

智美「おお、名案だなー。そうしよう」カキカキ


382 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:15:42.39UjoJiQpao (3/16)

京太郎「……ていうか決起集会で何をするつもりなんですか?」

智美「お菓子とジュースで楽しく過ごすつもりだ」ワハハ

京太郎「決起集会なんですかそれは!?」

智美「堅苦しいのは嫌だろー?」

京太郎「いやそれはそうですが……」

智美「まあ別になんとなくやってるわけじゃないんだ」

京太郎「ほんとですか?」

智美「ああ、最近大会が近いからかみんな緊張してるだろ?」

京太郎「確かに睦月先輩と佳織先輩は牌落としたりミスが多くなったりしてますね」

智美「うん、むっきーと佳織は分かりやすいなー。でもモモとゆみちんもだぞ?」

京太郎「そんなふうには見えないですけど……」

智美「例えばモモは消えるのが遅くなってるだろ?」

京太郎「え? あれって慣れたからじゃ……」

智美「慣れたくらいで見えるようになるならモモも苦労はしてないと思うぞ?」

智美「多分緊張からだと思うけど、牌を捨てるときに音が大きくなってたり、打ってるときにソワソワしたりしてていつもより目立ってるんだ」

京太郎「全然気づきませんでした……」

智美「京太郎はまだまだだなー」ワハハ


383 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:16:09.97UjoJiQpao (4/16)

京太郎「それじゃあゆみ先輩はどんな感じなんですか?」

智美「なんか考えこんでることが増えたなー」

京太郎「……それ緊張からですか?」

智美「うーん」チラッ

京太郎「?」

智美「……緊張じゃないかもしれないけど、何かあったんだろうなー。多分京太郎のせいで」

京太郎「俺何もしてないですよ!?」

智美「気にするなー」ワハハ

京太郎「しますよ!?」

智美「それに他人事みたいに言ってるけど京太郎もだぞー」

京太郎「露骨に話そらしましたね! でも俺は負けて元々ですしそんなに緊張は……」

智美「この間廊下で京太郎を見かけたんだけど、歩きながら教本見るのは危ないからやめたほうがいいと思うぞ」

京太郎「うっ」ギクッ

智美「ところで負けて元々だからなんだっけー?」

京太郎「いやー、初めての大会は緊張しますねー!」

智美「そうだろー」ワハハ


384 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:16:36.97UjoJiQpao (5/16)

京太郎「でもみんなのことよく見てますね。さすが部長」

智美「京太郎も殊勝なことを言うようになったなー」

京太郎「え?」

智美「初めて会ったとき、部長に見えないとか言われたの覚えてるぞ」ワハハ

京太郎「勘弁して下さい……」

智美「ワハハ。まあゆみちんのほうが部長らしいもんなー」

京太郎「そんなことないです!」

智美「ん?」

京太郎「最初自己紹介で下の名前で呼ぼうって言ってくれたじゃないですか。実際あれがなければこんなに仲良くなれなかったと思いますよ」

京太郎「モモなんかむっちゃん先輩とかかおりん先輩とか呼ぶくらいの仲になってますし」

智美「あれはちょっと驚いたなー。でもそれはモモ自身のことで」

京太郎「それだけじゃないですよ。ゆみ先輩たちのことも俺たち後輩のことも、色々と気を配ってくれてるじゃないですか」

京太郎「麻雀部に入って思いました。鶴賀麻雀部の部長は智美部長しかいません!」

智美「ワ、ワハハ」

京太郎「部長?」

智美「て、照れるじゃないかー」ワハハ

京太郎「でも本当に部長には感謝してるんですよ」

智美「そ、そういうのはもうちょっと遠回しに言ってくれると……」カアァァ


385 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:17:03.58UjoJiQpao (6/16)

ゆみ「まだ2人だけ……何をやっているんだ?」ガラッ

京太郎「あ、ゆみ先輩。今はいかに部長に感謝しているかということを――」

智美「京太郎に弄ばれてたんだ」グスン

京太郎「部長!?」

ゆみ「京太郎くん、詳しく話してもらおうか」ゴゴゴ

京太郎「ゆみ先輩も信じないでくださいよ!?」

ゆみ「別に信じているわけじゃない」

京太郎「え?」

ゆみ「蒲原の様子を見るに何かしたのは事実だろう。隈なく教えるように」ゴッ

京太郎「お、俺は悪いことしてませんからね」ビクビク

――説明中――

ゆみ「ふむ」

京太郎「何もしてませんよね?」

ゆみ「君が悪いな」

京太郎「なんでですか!?」


386 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:17:30.16UjoJiQpao (7/16)

ゆみ「悪気はないんだろうが、ストレートに言うのはもうちょっと控えたほうがいい。君と相手のためだ」

京太郎「そんなつもりはないんですが……ゆみ先輩がそういうなら」

ゆみ「……私以外にもそうだったんだな」

京太郎「えーと、まあ自覚してないので……」

ゆみ「そうか……」

京太郎「それがどうかしましたか?」

ゆみ「いや、何でもない」フイッ

智美「……要はヤキモ」ボソッ

ゆみ「何か言ったか?」

智美「何も言ってないぞー」ワハハ

京太郎「?」

桃子「こんにち……あれ、修羅場っすか。むっちゃん先輩、かおりん先輩。ちょっと外出てましょう」

佳織「あれ、桃子さんとじゃないんだね」

睦月「いつかやるとは思ってたけど部長ととは思わなかった」

ゆみ「京太郎くん、どういう意味だ?」ゴッ

京太郎「知りませんよ! 終わった話をややこしくするのは止めてください!」

桃子「あれは私を京太郎が見つけたとき……」

京太郎「特にお前に言ってるんだよモモ!!」


387 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:18:03.81UjoJiQpao (8/16)

…………

………

……



ゆみ「決起集会か」

智美「顧問もいないようなものだし、注目されてる部でもないから内輪だけだけどなー」

睦月「いいんじゃないですか? やりましょう」

佳織「でもお菓子とジュースって全然決起って感じはしないね」

智美「堅苦しいのはウチの部に合わないだろー?」

桃子「そうっすね! リフレッシュして大会に出るのもよさそうっす」

ゆみ「ああ、私も賛成だ。……しかし大丈夫かな。まだやるべきことが……」

智美「ないない。もう十分だ」

ゆみ「だが対策が出来ていない高校がいくつも……」

智美「1校にしか通じない対策を練るより、私たちが普段通りの麻雀が出来るようになるほうが効率いいだろー?」

ゆみ「……!」

智美「まあゆみちんが最後で全部捲ってくれるって言うなら別だぞ?」ワハハ

ゆみ「……私には最後で捲るほどの力はないからな。ここは蒲原の言うとおりにしておこうか」フフッ

智美「決まりだなー」ワハハ


388 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:18:33.84UjoJiQpao (9/16)

桃子「場所は部室っすよね?」

智美「ああ、ついに部費を使うときが来たなー」ワハハ

佳織「それはさすがにマズイんじゃ……」

智美「バレなきゃ大丈夫だろー」

京太郎「いや、バレたらシャレにならないことになる可能性が……」

ゆみ「そんなことで大会出場停止なんて笑い事にもならないぞ」

智美「しゅ、出場停止までは考えてなかったな。おとなしくお菓子とジュースは持ち寄るか……」

睦月「そうしましょう!」

ゆみ「……津山。みんなで食べるからってプロ麻雀せんべいばかり買ってくるんじゃないぞ」

睦月「そ、そんなことしませんよ!!」アセアセ

京太郎(持ってくるつもりだったんだな)

桃子(ブレないっすねー)

佳織(本当に好きなんだ)


389 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:19:01.69UjoJiQpao (10/16)

――帰り道――

ゆみ「最近調子がまた上がってきたようだな」

京太郎「はい、今日は久々の1位ですよ!」

ゆみ「まあ私がいる卓ではなかったがな」

京太郎「ぐっ……結局ゆみ先輩に勝てたのはこの間の1回だけでしたね」

ゆみ「そもそもあれから対戦数が少ないというのも……」

京太郎「どうかしました?」

ゆみ「いや、君には我慢をさせていると思ってな」

京太郎「我慢ですか?」

ゆみ「ああ、ここ最近は以前に比べて対局時間がだいぶ減ってしまっている。君には貴重な時間だというのにすまない」

京太郎「大会に向けて作戦会議してるんだから当然じゃないですか。そんなこと気にしないでくださいよ」

ゆみ「しかし私たちが話しているのは女子のことばかりだしな」

京太郎「この短い期間で男子の対策も立ててくれなんて言いませんよ。それに俺だって牌譜を見るくらい出来るようになりました」

京太郎「ゆみ先輩たちが女子の対策話してるとき、俺だって男子の牌譜見てどう打つか考えてます! 無駄になんかしてませんよ!」

ゆみ「……ありがとう。そう言ってくれると教えた甲斐があって嬉しいよ」ニコッ

京太郎「!」ドキッ

ゆみ「ん? どうかしたか?」

京太郎「い、いえ。なんでも」

京太郎(ゆみ先輩、人にストレートに言うなって言ってるんだから自分も気をつけてくれないと……!)カアァァ


390 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:19:30.42UjoJiQpao (11/16)

ゆみ「……本当に大丈夫か?」

京太郎「だ、大丈夫ですよ! そ、それより大会は勝てそうなんですか?」

ゆみ「大会か、そういえば細かいところは君に話していなかったな」

京太郎「はい、俺の方は当たって砕けろというか、いかにあの化け物達から逃げるかって感じですけど」

ゆみ「ああ、うん。まあ仮に砕けたとしても気にするな。あれは多分災害のようなものだ」

京太郎「気にするにも実力が必要ですよね。まあ、直撃で決勝リーグ行けないとかだとさすがに落ち込みそうですけど。それで女子はどうなんですか?」

ゆみ「そうだな……裾花はわかるか?」

京太郎「えーと、今長野の女子団体でランキング県3位の高校でしたっけ?」

ゆみ「ああ、そこだ。妹尾の調子が良くて、モモに相手が上手くはまってくれたという前提だが」

京太郎「だが?」

ゆみ「勝つことも夢ではない……というか五分五分以上で戦えそうだ。妹尾の調子が悪くても勝ち目がないわけじゃない」

京太郎「凄っ!?」

ゆみ「っ」ビクッ

京太郎「鶴賀って去年まで大会とか全然出てないんですよね!? それで長野3位に互角以上って、そんな先輩たち強かったんですか!?」

ゆみ「京太郎くん、とりあえず少し声を抑えよう」ドキドキ

京太郎「す、すみません。ちょっと驚いて……」

ゆみ「うん、分かってくれたらいい」コホン


391 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:20:04.81UjoJiQpao (12/16)

ゆみ「そうだな……まず何より、モモのステルスの強さは君もよく知っていると思う」

京太郎「理不尽ですよねーあれ。何度振り込んだことか……」

ゆみ「妹尾は何故か分からないがよく役満で上がっている」

京太郎「何度も飛ばされましたね……」フッ

ゆみ「……そういえば君はよく振り込んでいるな」

京太郎「何なんですかねあれ。……というか今そんなこといいじゃないですか!!」

ゆみ「ああ、すまない。脱線したな。津山と蒲原はどちらも大崩れはしないだろう?」

京太郎「2人とも守備堅いですもんね」

ゆみ「そして私自身もみんなが稼いでくれたリードを守るくらいの力はあると思っている」

京太郎(むしろ広げられると思います)

ゆみ「それに裾花レベルの高校であれば対策もしっかりしている。データのない向こうに比べればこちらがだいぶ有利だろう」

ゆみ「さっき話したのはそういう面も含めての勝率だな。まあ、麻雀である以上水物ではあるんだが」

京太郎「いやそれでも凄いですよ。本当に全国も夢じゃないですね!」


392 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:21:15.81UjoJiQpao (13/16)

ゆみ「……」

京太郎「……あれ?」

ゆみ「裾花は3位といったが、その上の1位2位はまた別次元なんだ」ハァ

京太郎「そんなに強いんですか?」

ゆみ「そうだな。まず風越は主将の福路が読みと洞察力に優れている上、対応力もずば抜けている。天江衣を除けば間違い無く長野一の雀士だ」

ゆみ「去年1年で大将をやっていた池田もおそらく出てくるだろう。彼女は高火力が武器だ。安定性では福路に劣るが、爆発力では妹尾並かそれ以上だろうな」

京太郎「佳織先輩以上とか想像したくないですね……」

ゆみ「まったくだ」ハァ

ゆみ「風越のことだし、去年いなかったメンバーもそれぞれ高い実力を誇るはずだ。正直勝ち目は薄いだろう」

京太郎「さすが名門ですね……。もう一つの高校は龍門渕でしたっけ? そっちはどうなんですか?」

ゆみ「龍門渕は去年全員1年で県大1位だったんだが、その時点で先鋒から副将まで4人とも全国レベルだ。隙がない」

ゆみ「そしてその4人が霞むくらいの脅威が大将の天江衣。昨年の決勝ではさっき話した風越の池田を圧倒しているし、全国大会でも平均打点はトップだ」


393 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:22:09.76UjoJiQpao (14/16)

京太郎「凄まじく強そうですね……勝てそうですか?」

ゆみ「遠慮無く聞くんだな」

京太郎「す、すみません」アセアセ

ゆみ「気にするな。こういうときのそれは直さなくてもいい」

ゆみ「まあそうだな……。万に一つ勝てればよしといったところだろうな」

京太郎「そうですか……」ズーン

ゆみ「君が落ち込んでどうする」

京太郎「それはそうなんですが」

ゆみ「なに、そもそも大会に出られるかどうかもわからなかったんだ」

ゆみ「妹尾とモモと、そして京太郎くん。いいメンバーに恵まれて大会に参加出来るだけで満足だよ」

京太郎「でも……」

ゆみ「ああ、もちろん諦めているわけじゃないぞ? 万に一つを掴めるようにどうすれば勝てるか必死で考えてきた。それでもそれは君が気に病むことじゃないさ」

ゆみ「……それにそんなに勝って全国に行くことに拘るなら京太郎くんが頑張るといい。私たちが団体で全国に行くより君が全国に行くほうがおそらく可能性が高いぞ」フフッ

京太郎「お、俺は決勝リーグ目標にしてる男ですよ!?」

ゆみ「君が言っているのはそういうことだよ」

京太郎「あ」


394 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:23:12.20UjoJiQpao (15/16)

ゆみ「砕けて元々は私たちもだ。まあもちろん砕ける気はないし、勝って欲しいと思ってくれるのは嬉しいが、もっと気楽にな」

京太郎「……ゆみ先輩にそれを言われるとは思ってませんでした」

ゆみ「君に言われた通りに変わったと思ってくれ」

京太郎「俺が言った通り変わるだなんてそんな……」

ゆみ「これは冗談じゃない。その……素直に、受け取って欲しい」ウワメヅカイ

京太郎「――です」

ゆみ「……? すまない、よく聞こえなかった」ズイッ

京太郎「はっ!? も、もうこんなところですね。それじゃさようなら!」

ゆみ「あ、おい! ……もう、なんなんだ」

ゆみ「……また明日くらいちゃんと言わせろ。バカ」


京太郎(何するんだあの人、今日2度目だぞ!? 危なかった! 好きですとか言うとこだった!!)カアァァ

京太郎(俺に言う前に自分を直してくれ!! 今度絶対やめさせ――)

京太郎「……あれ他の男にもやってるのか? いや、男と話すのはまだ苦手とか言ってたし3年に男子はいないしやってないはず……」

京太郎(……まだ注意しなくていいか。うん、大会前だし。無駄なことを意識させると悪いし。別にもっとやって欲しいとかそういうのじゃないけど!)


395 ◆6ardW1rCAXVJ2013/05/29(水) 00:25:22.53UjoJiQpao (16/16)

今日は以上です。
次で大会入る予定だったけど筆が滑ったのでもう1話挟みます。


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 00:26:54.93pXjlRQDmo (1/1)


良い感じに攻略されてますねww


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 00:31:26.42ZElEahqIO (1/1)

乙ー


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 00:34:14.76V1f6CwhXo (1/1)

乙です


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 00:36:34.22q7EFY/S1o (1/1)

乙ー
嫉妬しだす2人が愛しい


400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 01:09:56.00AHnmpT35o (1/1)


清澄も凄まじいけど、鶴賀も鶴賀でおかしなことやってるよなぁ


401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 01:23:17.48sg7QJEXKo (1/1)

乙ー

メインの二人は勿論だけどワハハも凄くいいね


402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 01:31:21.12Up8l8DKyO (1/1)


この二人の距離感ニヤニヤする


403 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:51:17.222viG+/Fco (1/24)

透ハギスレが久々に更新されてて嬉しい。ちょっと前だけどもう一つのほうが落ちたときは悲しかった。
それでは投下します。


404 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:51:44.132viG+/Fco (2/24)

智美「鶴賀麻雀部の健闘を祈って……かんぱーい!!」

一同「かんぱーい!!」

京太郎「こうしてるといよいよ大会だって気がするな!」

桃子「と言ってもお菓子食べたりするだけっすけどねー」パクパク

智美「まあ練習しないで休むことが目的だからなー。1人でいたらなんだかんだ休めそうにないし」ワハハ

ゆみ「確かにここのところ1人でいるとつい大会のことを考えてしまうな」

京太郎「ここのところ……?」

ゆみ「なんだ?」

京太郎「い、いえ。なんでも」

桃子「私もそうっすけど、先輩でも緊張するんすね」

ゆみ「それはまあ私にとっても初めての大会だしな」

京太郎「鶴賀の麻雀部は先輩と部長で作ったんでしたよね」

ゆみ「ああ、最後の最後で大会に出られるほどメンバーが集まってよかったよ」

桃子「そういえば、先輩はなんで麻雀部のある高校に行かないで鶴賀に来たんすか?」

ゆみ「ん? 元々は麻雀をやる気はなかったから、単純に通いやすさや校風を考えて選んだが」

智美「女子校の中からなー」ワハハ

ゆみ「う、うるさい!」


405 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:52:13.292viG+/Fco (3/24)

京太郎「……あれ、麻雀部作ったのは1年のときで、作ったのは本格的に麻雀をやりたかったからですよね?」

ゆみ「ああ、そうだな」

京太郎「最初は麻雀続ける気なかったんですか?」

ゆみ「続ける? そもそも高校を選ぶときは麻雀をやっていなかったんだが」

京太郎「え?」

桃子「え?」

ゆみ「ああ、言っていなかったか。私が麻雀を始めてやったのは1年の文化祭だ。本格的にやろうと思ったのはそれからだよ」

京太郎・桃子「ええっ!?」

ゆみ「そ、そんなに驚くことか?」ビクッ

桃子「ゆみ先輩って昔からの達人とかそういうのじゃないんすか……?」

ゆみ「麻雀歴ならモモのほうが長いと思うぞ」

桃子「うはー」


406 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:52:44.372viG+/Fco (4/24)

京太郎「麻雀歴2年ちょっとでそんなに強いんですか……」

ゆみ「私が始めて1ヶ月の頃は京太郎くんよりずっと弱かったさ」

京太郎「自分が2年でゆみ先輩くらい強くなれるとは思えないです……」

ゆみ「それは私の教え方が上手くないということか?」シュン

京太郎「そ、そんなことないですよ!」

ゆみ「冗談だ」フフッ

ゆみ「とはいえ私が教えられることは全て教えるつもりだ。3年生のときには、少なくとも今の私より強くなって貰わないとな」

京太郎「ど、努力します」

桃子「京太郎、責任重大っすねー」

ゆみ「モモ、お前もだ。ステルスは確かに強いがそれに頼りすぎているようではダメだぞ」

桃子「うっ、藪蛇だったっす……」

智美「まあまあ、ゆみちんもその辺で。今日はそういう話は置いとこう。ほら、むっきーと佳織を見習って」

京太郎「え?」クルッ


407 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:53:12.192viG+/Fco (5/24)

睦月「おおお……! 小鍛治プロのキラカードだ!!!」

佳織「わー縁起がいいね!」

ゆみ「……結局プロ麻雀せんべいを買ったのか」

睦月「い、いいじゃないですか! 1袋くらい!」

京太郎「でも小鍛治のキラカードってトップレアでしたよね? ほんと幸先良いですよ!」

睦月「だよね! 京太郎くん、分かってくれて嬉しい!」

京太郎「なんか分かり方が違う気がしますが、とりあえずおめでとうございます!!」

睦月「ありがとう!!」

智美「テンション高いなー。私たちも見習うかー」

ゆみ「あれは見習っていいのか……?」

智美「何事も気からだぞー」

佳織「運が向いて来そうだね」

桃子「テンションについて触れない辺りさすがっすね」

佳織「?」

桃子「あ、いや、何でもないっす」


408 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:53:38.532viG+/Fco (6/24)

京太郎「小鍛治健夜プロって国内無敗の伝説のプロなんですよね。憧れるなあ」

睦月「うむ、かっこいい。この写真も数少ない姿を収めたんだろうね」

桃子「どれどれ……レアカードってもっとこう、凛々しい感じのほうがいいんじゃないっすかね?」

睦月「レアだから普段見れない姿を載せてるんだよ」

ゆみ「前に見せてもらったときも、かっこいいというよりはその……親しみやすい姿が多かったように思うんだが」

睦月「普段やらない姿をカードにするなんて優しいですよね」

佳織「……普段からそ

智美「佳織、そこまでだ」

佳織「」ムググ


409 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:54:07.072viG+/Fco (7/24)

京太郎「でもジャージ姿は珍しいですね」

睦月「健夜っていう名前の通り、健康に気を使って運動も欠かさないんだろうね。文武両道、かっこいいなあ」

桃子「名は体を表すって言うっすけど……ううん?」

ゆみ「まあ体力があるかどうかは見た目では判断しづらい、が……」

智美「名は体を表すかー。ウチの部ではどうなんだろうなー?」

桃子「そうっすね、私は……あんまり桃っぽくはないっすね」

佳織「そうかな? そんなことないと思うけど」

桃子「桃って花も実も結構目立つじゃないっすか。私とは大違いっすよ」

京太郎「……十分桃らしいな」ボソッ

桃子「そうっすか? どのへんが桃っぽいんすか?」

京太郎「えっ、聞こえたか!?」

桃子「聞こえたっすよ。どのへんっすか?」

京太郎「い、いやほら、か、顔とか?」

桃子「なんで疑問形なんすか……んーまあ丸っぽいっすからねえ」

京太郎「そ、そうだな」アハハ

ゆみ「……京太郎くん、さっきはモモのどこを見ていたんだ?」ゴッ

京太郎「ひっ!」ビクッ

ゆみ「どうした? 素直に言ってくれればいいんだ」

京太郎「か、顔ですよ……」アハハ

ゆみ「ふむ、そうか」フッ

京太郎「は、はい」ホッ

ゆみ「……」ツネリ

京太郎「痛っ!?」

桃子「2人は何してるんすか?」

智美「気にするなー」ワハハ


410 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 00:54:41.442viG+/Fco (8/24)

桃子「むっちゃん先輩はどうっすか?」

睦月「私は1月生まれで睦月だからあんまり意味とかはなさそうかな」アハハ

京太郎「でもなんか月ってクールな感じするじゃないですか」

智美「それならむっきーにピッタリだなー」ワハハ

睦月「そ、そうですか?」テレ

桃子「プロ麻雀カードのときは……」

ゆみ「それは触れてやるな」

智美「私の名前もむっきーに負けず劣らずピッタリだと思うんだー」

京太郎「ああ、蒲の穂ってカマボコの語源らしいですね」

智美「なんでそんなこと知ってるんだ!? というかカマボコって何のことだー!?」

佳織「あー智美ちゃんよく笑うから確かにピッタリだね」

智美「佳織まで! だからカマボコはなんなんだ!?」

睦月「口の形ですよ」

智美「あー……って、私がピッタリって言ったのはそっちじゃなくて智美の智の方だー!」ワハハ

桃子「智に適当って意味なんてあったんすか」

京太郎「さすが智って名前にある人の話は勉強になるな」

智美「しまいにゃ泣くぞ―!」

ゆみ「2人ともその辺りにしておけ」

京太郎・桃子「ごめんなさい」ペッコリン

智美「謝る気あるのか!?」ワハハー!

佳織「まあまあ」


411 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:04:18.442viG+/Fco (9/24)

智美「佳織の漢字はどういう意味なんだー?」

佳織「私? 調べたことないから……」

ゆみ「妹尾の佳は美しいという意味だよ。佳人とか言うだろう?」

桃子「さっぱりっす!」

京太郎「初めて聞きました!」

ゆみ「お前たち……」

佳織「そういう意味なんですね。名前負けしちゃってるなあ」アハハ

智美「そんなことないと思うぞ?」

睦月「うむ、妹尾さんによく合っていると思う」

佳織「えっ、ええっ!?」テレテレ


412 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:05:11.662viG+/Fco (10/24)

智美「京太郎はどうなんだー?」

京太郎「よくぞ聞いてくれました。俺は……」

桃子「語感っすよね。苗字が2文字だと名前が長いほうがバランスいいっすし」

京太郎「ああそうだよ! よくわかったな!!」

桃子「本当にそうだったんすか……」

京太郎「ウチの親適当だからな……」トオイメ

ゆみ「つけた理由はそうかもしれないが、私は合っていると思うぞ?」

京太郎「え?」

ゆみ「京には人の集まるところという意味があるんだ。部員が集まったのは京太郎くんがいるからという部分もあるしな」

京太郎「ゆ、ゆみ先輩……」ウルウル

睦月「そんな意味があるんですね。京太郎くんに合ってると思うよ」

佳織「ピッタリだね!」

京太郎「睦月先輩、佳織先輩……」ウルウル

智美「私には負けるけどなー」ワハハ

桃子「罪悪感がなくなったっすよ!」

京太郎「そこの2人」


413 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:05:37.852viG+/Fco (11/24)

京太郎「ゆみ先輩も佳織先輩と同じですよね」

ゆみ「ん? どういうことだ?」

京太郎「え? ゆみって名前じゃないですか」

ゆみ「ああ、そういうことか。私の名前はひらがなで"ゆみ"と書くんだ」

京太郎「へー。なんとなく意外ですね」

ゆみ「まあひらがなの丸いイメージは私には合わないだろうな」

京太郎「ああいえ、そうじゃなくて」

ゆみ「うん?」

京太郎「美しいって漢字が入ってると思ったんでピッタリだなーと――」

京太郎「……はっ!? すみません今のナシで!」

ゆみ「……うぁ」カアァァ

桃子(相変わらずっすねー)

睦月(前から思ってたけどわざとやってるのかなあ)

佳織(確かにピッタリだなー)

智美「京太郎、早く直そうなー」

京太郎「」

…………

………

……




414 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:06:03.782viG+/Fco (12/24)

ゆみ「そういえば京太郎くんの幼馴染は麻雀部に入ったのか? ほら、チャンピオンの親戚とか言っていた」

京太郎「あ、言ってませんでしたね。入ったみたいですよ」

智美「チャンピオンの親戚かー。その子も強いのかなー?」

京太郎「親戚というか咲……あ、俺の幼馴染ですけど、咲はチャンピオンの妹だったみたいです」

一同「妹!?」

京太郎「わっ!?」ビクッ

ゆみ「なんだそれは本当なのか!?」

京太郎「そんなことで嘘つくようなやつじゃないんで、本当だと思います」

桃子「ダークホース出現っすね……」

睦月「ま、まあ妹と言っても強いとは限らないし」

佳織「そ、そうだよね!」

京太郎「ええと……」

ゆみ「知っているなら言ってみてくれ」

京太郎「小さい頃は両親と宮永照と咲で家族麻雀してたらしんですけど、咲は狙って点数を±0にしていたらしいです」

桃子「そ、想像以上にエグいっすね……」

睦月「狙って±0って……」


415 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:06:29.702viG+/Fco (13/24)

京太郎「ま、まあ少なくとも小中学校で麻雀はしてなかったからブランクもありますし、宮永照だってその頃からずっと強くなったから個人戦2連覇してるんですよ!」

佳織「でもきっと強いよね……」

ゆみ「ちなみにその宮永はどこの高校へ行ったんだ?」

京太郎「清澄って高校に行きました」

睦月「清澄……どこかで聞いたことがあるような……」

ゆみ「大会の牌譜は大体見たはずだがその名前は見覚えがないな」

京太郎「ええ、清澄も今年部員が揃ったみたいで、大会に出るのも初めてって言ってました。ウチと一緒ですね」

桃子「風越とかならどうしようと思ったっすけど、それならまだ勝ち目はありそうっすね!」

佳織「当たるのはいつになるんだろう」

智美「えーと、順調に勝ち進んでも決勝だなー」ワハハ

ゆみ「だいぶ先だな」

桃子「当たる可能性は低そうっすね」


416 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:07:14.652viG+/Fco (14/24)

睦月「……あ、そうだ!」

智美「どうかしたのかー」

睦月「清澄ってインターミドルチャンプの原村和が行ったところですよ! 前に雑誌でなぜ無名校にみたいな特集がありました」

桃子「い、インターハイチャンプの妹と、インターミドルチャンプがいる高校っすか……」

ゆみ「中々手強そうだな」

京太郎「手強そう……ってことは負ける気は全然ないんですね」

ゆみ「元々私たちは初出場で相手はどこも格上だ。1つ格上が増えたくらい、いまさら変わらないさ」

智美「ゆみちんの言うとおり今から怖がってもしょうがないしなー。私たちはまず1回戦突破を目指さないと」ワハハ

睦月「……そうですね。そんな先のことを考えられる立場じゃありませんでした」

桃子「負ける気はないっすけど、確かに部長とゆみ先輩の言うとおりっすね」


417 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:08:09.042viG+/Fco (15/24)

桃子「そういえば京太郎の方はどうなんすか?」

京太郎「俺か?」

桃子「自分たちで手一杯で気が回らなかったんすよ。勝てそうなのか聞きたいっす!」

京太郎「んーネトマではそれなりに勝ててるけど……」

睦月「雀荘に行ったりはしなかったの?」

京太郎「何度かは行きましたよ。ただ本格的にやってる人はあんまりいなかったです」

智美「それじゃああんまり参考にはならないなー」ワハハ

睦月「他の高校と試合出来ればよかったんだけどね」

京太郎「人数が揃ってる女子でも無理だったんですし、1人だけの男子ならなおさらですよ」

ゆみ「決勝リーグに進んでもおかしくない実力は付いているよ。それは保証する」

桃子「おかしくないってことは行けないこともあるんすね」

ゆみ「それはそうだ」

京太郎「うぅ……」


418 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:08:35.402viG+/Fco (16/24)

ゆみ「結局はあの2人に当たったときにどうなるかだな。無難にやり過ごせれば決勝リーグに行けるさ」

京太郎「他人次第って不安ですね……」

桃子「初めて1ヶ月で決勝に行けるかもしれないってだけで十分っすよ」

京太郎「それはそうなんだけどな」

智美「まあ麻雀なんて水物だからなー。そんなに気負っちゃダメだ」

京太郎「そうですね。男子1人の個人戦なら何があっても自分の責任ですし、精一杯頑張ります」

佳織「っ!」ビクッ

智美「佳織もだぞー」

佳織「ふぇっ!?」

智美「初心者の佳織を無理言って麻雀部に入れたのは私たちなんだから、勝てないかもなんて気にしなくていいんだぞ」

ゆみ「そんなことを気にしていたのか。団体戦はチームでやるんだ。少々失敗しても私たちが挽回すればいい」

佳織「智美ちゃん、加治木先輩……ありがとうございます」

佳織「でも私も鶴賀麻雀部の一員ですから、役に立てるように頑張ります!」

睦月「うん、期待してる」

桃子「かおりん先輩、役満頼むっすよー!」

佳織「そんな、無理だよー」アハハ

一同(……絶対1度は役満で和了るんだろうなあ)


419 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:09:06.792viG+/Fco (17/24)

智美「それじゃあそろそろお開きにしようか」

ゆみ「そうだな。あまり遅くなっては明日がつらい」

桃子「いよいよ明日は大会っすね。腕が鳴るっすよー!」

京太郎「俺は明後日からだから、明日は応援だな」

桃子「ちゃんと横断幕は用意したっすか?」

京太郎「今からしてやろうか?」

桃子「出来るもんならしてみるがいいっす!」

京太郎「俺が本気を出したら一晩で完成させられるぞ?」

ゆみ「そんなところで本気を発揮しなくてもいい」

睦月「というかそもそも掛ける場所ないからね」


420 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:09:33.542viG+/Fco (18/24)

佳織「そっか。明日はもう大会なんだね」

智美「何だ佳織、そんなことも知らなかったのかー?」ワハハ

佳織「ち、違うよ! そうじゃなくって実感がわかないなって思って」

睦月「みんなが集まってから1ヶ月経ったんだね……確かに実感わかないや」

智美「3人のときも楽しかったけど、6人になってからはもっと楽しかったなー」

ゆみ「そうだな、ようやく部活らしくなった気がしたよ」

桃子「……大会が終わったらゆみ先輩たち引退しちゃうんすよね」

京太郎「……!」

智美「うん、私たち3年は引退だなー。でも部活には顔を出すと思うぞ。な、ゆみちん」

ゆみ「ああ。大会に出られなくても麻雀は出来るし、後輩の様子も見たいしな。まあ受験勉強があるから毎日というわけにはいかないが」

智美「……ワハハー」

ゆみ「おい、なぜ目をそらす」

智美「ゆみちんは気が早いなー」ワハハ

ゆみ「むしろ遅いくらいだ」

佳織「応援しかできないけど頑張ってね」

智美「ついに佳織にも見捨てられたかー……」

佳織「智美ちゃん3年生じゃない」

智美「佳織は厳しいなー」


421 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:10:00.802viG+/Fco (19/24)

ゆみ「ほらみんな、いい加減帰るぞ」

智美「佳織に付き合ってたらいつまでも帰れそうにないし帰るかー」ワハハ

佳織「私のせい!?」

睦月「まあまあ」

桃子「ほら京太郎も帰るっすよー。……京太郎?」

京太郎「ん? あ、ああ。大丈夫、帰るよ」

桃子「どうかしたんすか?」

京太郎「何でもないから大丈夫」

桃子「ならいいっすけど……」

ゆみ「なんだ、どうかしたのか?」

京太郎「大丈夫ですって! ……ゆみ先輩、今日は送らせて貰っていいですか?」

ゆみ「え?」


422 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:11:07.382viG+/Fco (20/24)

京太郎「ほら、俺は明日試合がないけどゆみ先輩はあるじゃないですか。疲れを残しちゃいけませんし」

桃子「それなら私も送ってくれていいんすよ?」

京太郎「お前は自転車じゃないだろ」

桃子「贔屓っすー」ブーブー

京太郎「話は自転車を持ってきてからだ。……それでゆみ先輩、どうですか?」

ゆみ「まあ君がそう言ってくれるならお言葉に甘えようか」

京太郎「ありがとうございます!」

ゆみ「こちらこそ、ありがとう」


智美「青春だなー」

睦月「そうですねえ」

佳織「2人ともああいうことあったの?」

智美「……むっきー、抑えてろー」

睦月「はい」ガシッ

佳織「えっ、な、何? ど、どうしたの急に……あ、アハハハ!! く、くすぐったいよ! や、やめてー!!」アハハハ

智美「そういうこというやつはお仕置きだー!」コチョコチョ


423 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:11:35.652viG+/Fco (21/24)

――帰り道――

京太郎(寂しいけど、ゆみ先輩とは大会が終わったら会えなくなるかも知れないんだよな。少なくとも、今よりは絶対に会えなくなる)

京太郎(ゆみ先輩は受験勉強もあるから、これから先俺とゆみ先輩が会う時間はどんどん減ってく)

京太郎(待てば今より仲良くなれるか? ……ダメだ。考えるほど疎遠になるんじゃないかって考えちまう)

京太郎(それなら、今日告白したほうが……)


ゆみ(京太郎くん、今日はあまり話しかけて来ないな。明日が大会だから気を使っているんだろうか……そんなこと必要ないんだがな)

ゆみ(京太郎くんに送ってもらうのはこれが何度目だろう。足の怪我が治った後も何度か送ってもらったしな……)

ゆみ(……まあいいか。今日は静かな分京太郎くんの鼓動がよく聞こえて、これはこれで落ち着く)ギュッ

ゆみ(最初の頃に比べると随分鼓動が落ち着いているのは喜ぶべきなんだろうか)ウムム

ゆみ(……大会が終わったらこれも出来なくなるのか。それは、少し寂しいな――)


424 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:12:08.802viG+/Fco (22/24)

京太郎「ゆみ先輩、着きましたよ」

ゆみ「ああ、ありがとう」

京太郎「その…… ゆみ「今日は」」

ゆみ「っと、すまん、先にいいぞ」

京太郎「い、いえ。ゆみ先輩が先に」

ゆみ「そうか。まあ大したことではないんだが、今日は最近の君にしては珍しくあまり話さなかっただろう?」

京太郎「そ、そうでした?」ギクッ

ゆみ「いや、別にだからどうだというわけではないんだが……ちょっと考えこんでしまってな」

京太郎「考え込む?」

ゆみ「ああ。大会が終わったら京太郎くんとこうして帰ることもなくなってしまうのかと思うと少し寂しいな、と」

京太郎(ゆみ先輩も俺と同じことを感じて――)

ゆみ「つまりその、後1ヶ月程度しか君と2人で帰ることが出来ないと思うと凄く嫌で、だからもっと君と……ああ、もう! 私は何を言っているんだ! すまない忘れてくれ!!」カアァァ

京太郎「え?」

ゆみ「だ、だから忘れてくれ! 大会前で少し気が動転して――」

京太郎「あ、いえそうじゃなくて。後どの程度って言いました?」

ゆみ「だから本心ではな――いや本心じゃないわけじゃないんだが……ってうん? 1ヶ月程度と言ったんだ。全国に行けばそのくらいになるだろう?」

京太郎「……!」



425 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:12:56.942viG+/Fco (23/24)

ゆみ「それより私のさっきの発言は忘れて――」

京太郎「大丈夫です。正直よく聞いてませんでした」

ゆみ「そ、そうか……」シュン

京太郎「?」

ゆみ「それじゃあ次は君の話を……」

京太郎「いえ、そっちは大丈夫です」

ゆみ「私の時間なら問題ないぞ?」

京太郎「何でもなかったんです。また後でちゃんと言います」

ゆみ「ん、そうか。応援期待しているぞ」

京太郎「任せてください! 自分の個人戦以上に気合を入れて応援します!」

ゆみ「それはやりすぎだ。……まあ楽しみにしているよ」フフッ

京太郎「はい、期待しててください!」

ゆみ「ああ。また明日」

京太郎「はい、また明日」


京太郎「あー……俺はバカか。全国に行けばもっと長く部にいてくれるなんて、言われれば当たり前じゃねえか」

京太郎(ゆみ先輩はやっぱカッコいいな……。いやまあ、そういう人だから好きになったんだけど)

京太郎(大会が終わったら言いますとか言ったけど、俺がゆみ先輩に告白する資格なんて元からないんじゃないか……?)

京太郎「……まあ大会で勝てばいいんだよな。上手く行けば決勝、奇跡が起きれば全国だ! やってやる!」


426 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/05(水) 01:14:52.742viG+/Fco (24/24)

今日は以上です。
次はようやく大会。久々に咲登場の予定。


427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 01:23:33.98MaqX5UZeo (1/1)

乙ー
京かじゅいい!咲ちゃん登場でどう話が転ぶか楽しみ


428VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 01:30:30.45+iK0Ygf4o (1/1)

乙です


429VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 01:45:16.29OjeCNTxco (1/1)

乙ー

咲ちゃん来てしまうか……恐ろしい


430VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 01:47:33.34l9fptw3+O (1/1)



遂に大会
果たしてどう転ぶか


431VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 02:03:35.89jxcxIUO4o (1/1)

乙です


432VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 14:39:06.93BazpHTv+o (1/1)

咲ちゃんなのか咲さんなのかカンちゃんなのかそれが問題だ


433VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/05(水) 17:37:22.049q4G2LsHo (1/1)

カンちゃんとかまだ言ってんのか


434VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/06(木) 01:12:50.43siGLDnkzo (1/1)

乙ー
阿知賀のゲームが出るらしいから
久々に咲ポータブル起動して鶴賀で団体戦勝ってきた
原作オーダーとは変えたけど


435 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:07:59.039sMBataso (1/20)

鶴賀スレが復活してて嬉しい。
なんとか一週間で書き終えたので投下します。


436 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:08:31.059sMBataso (2/20)

――大会会場――

智美「ついに来たぞー!」

ゆみ「いよいよ本番だな……」

桃子「腕が鳴るっすよー!」

佳織「緊張してきたよ……」

睦月「私も……ちょっと気分が」フラッ

京太郎「む、睦月先輩!? 試合はまだですよ!?」

智美「むっきーはプレッシャーに弱いなー」ワハハ

ゆみ「まあ試合をこなせば慣れるだろう」

睦月「先輩たちは全然緊張してませんね……」

智美「いやーそんなことないぞー」ワハハ

京太郎「えっ、どこがですか?」

智美「失礼だなー。佳織なら分かるよなー?」

佳織「え? う、うん。もちろんだよ!」

智美「ほら、佳織を見習えー」ワハハ

桃子「どこで分かるか聞かないんすね」

ゆみ「ああ、察したんだろう」


437 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:08:59.009sMBataso (3/20)

京太郎「にしても人多いですねー」

ゆみ「年々参加者が増えているらしいぞ」

佳織「麻雀人気って凄いんですねえ」

智美「佳織みたいに全く知らないってのは珍しいと思うぞ」

佳織「か、簡単なルールは覚えたよ!?」

智美「結局全部の役は覚えられなかったなー」

佳織「特に役満だけど、麻雀は役が複雑すぎるよう……」

睦月「妹尾さんは役満を真っ先に覚えるべきだったとは思うよ……?」

佳織「でも役満って出づらいんだよね? なら出る役から覚えたほうが……」

睦月「う、うむ。それはそうなんだけど……」

ゆみ「まあ麻雀は水物だ。3つ揃えるということさえわかっていれば後はなんとかなるさ」


438 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:09:26.459sMBataso (4/20)

ザワザワザワザワ

京太郎「なんか騒がしいですね」

ゆみ「あれは……」


「風越女子だ!」

「部員80人を擁する強豪!!」


京太郎「あれが風越ですか。部員80人ってすげー」

ゆみ「ウチの10倍以上か……」

桃子「なんの、こっちは少数精鋭っすよ!」

佳織「えっと、桃子さん。初心者の私が鶴賀にはいるんだけど……」

桃子「……団体戦は5人いれば十分っすよ!!」

京太郎「仕切り直した」

智美「あっちは80人からの精鋭だしなー」ワハハ

桃子「そこ、うるさいっすよ!」

ゆみ「お前たちは緊張しないな」ハァ

睦月「あはは、でも見てると気が楽になりました」

ゆみ「ああ、そうだな」


439 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:09:53.199sMBataso (5/20)

ザワザワザワザワ

京太郎「また騒がしくなりましたね」


「四天王は2年になっても健在だ!」

「目立ってなんぼですわ!」


ゆみ「今度は龍門渕か」

京太郎「なんかあのメンバーの中から声が聞こえたような……」

智美「目立つのが好きなんだろー」

京太郎「……あれ、4人しかいないみたいですけど龍門渕は部員少ないんですか?」」

睦月「あそこは団体戦メンバーの5人しかいないみたい」

京太郎「それで全国……まさに少数精鋭」

桃子「団体戦は5人いれば十分って証明っすね!」

ゆみ「龍門渕と同じと考えれば私たちもやれる気になるな」

睦月「ものは考えようですね」

佳織「が、頑張りましょう」

智美「気楽になー?」


440 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:10:20.669sMBataso (6/20)

智美「それじゃあ対局室見に行くかー」

京太郎「はい、わかりまし……ってあれ?」

ゆみ「どうかしたのか?」

京太郎「あいつは……すみません、ちょっと待っててください」タッタッタ

ゆみ「あ、おい――」


咲「うぅ、ここどこ……」キョロキョロ

京太郎「おい」ポンッ

咲「ひぅっ! わ、私違います!!」ビクッ

京太郎「何が違うんだよ……咲、俺だよ」

咲「え?」クルッ

咲「きょ、京ちゃん!?」

京太郎「おう、久しぶりだな」

咲「うん、久しぶり! ……ってもう、脅かさないでよ! ほんとにびっくりしたんだから!!」

京太郎「久々に見つけたと思ったらいきなり迷ってるんだぜ? そりゃ脅かしたくもなるって」

咲「どんな理屈なの!?」

京太郎「まあまあ、案内してやるから機嫌直せよ」

咲「私を脅かしたような人の案内なんて……!」

京太郎「いらないのか?」

咲「……お願いします」ウゥ…

京太郎「分かればよろしい」


441 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:10:49.159sMBataso (7/20)

京太郎「それじゃあ先輩たちに断ってくるから咲も来い」

咲「先輩たち?」

京太郎「……お前俺がなんでここに来てると思ってるんだ?」

咲「えーと……女の子の物色?」

京太郎「あ、そうだ。迷子なら事務所に運んで放送してもらったほうが速く合流できるよな」グイッ

咲「じょ、冗談だから!! それはやめて!!」アセアセ

京太郎「まったく……それじゃほら、付いて来い」

咲「う、うん……」オドオド

京太郎「人見知りまだ直ってないんだな」

咲「そ、そんな早く直らないよ」

京太郎「麻雀部の仲間とは上手くやれてるのか」

咲「うん! みんな良い人たちだよ」

京太郎「そっか。ならよかった」ポン

咲「あ、頭撫でないでよ……」

京太郎「悪い悪い」


442 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:11:49.679sMBataso (8/20)

桃子「あ、戻ってきたっすよ」

京太郎「すみません、こいつが……」

智美「会場に着くなりナンパはどうかと思うぞー?」

桃子「さすがの私もドン引きっすよ」

睦月「ちょっと擁護できないかな」

佳織「いいことじゃないと思うよ?」

ゆみ「京太郎くん……」

京太郎「違いますよ! こいつは何度か話した幼馴染の咲です! 迷ってたから連れてきたんですよ!」

京太郎「……ていうか俺そんなことするやつだと思われてたんですか!?」

智美「日頃の行いだなー」ワハハ

咲「京ちゃん部活で何してるの……?」

京太郎「真面目に練習やってるよ! 畜生、なんだこの扱い!」

桃子「まあ冗談は置いといて、あんたが宮永咲っすか……」ジロジロ

咲「な、何ですか?」ビクビク

桃子「……京太郎と付き合ってたりするんすか?」

京太郎・咲「え?」

ゆみ「」ピクッ


443 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:12:31.239sMBataso (9/20)

桃子「身体の距離が近かったり頭撫でたり手引っ張ったりしてたじゃないっすか。もしそうなら……」

咲「あはは、やだなー。私が京ちゃんと付き合うって……そんなことあるわけないじゃないですか」

京太郎「そうそう。俺が咲と付き合うなんてありえねえ」

咲「どういう意味?」ムッ

京太郎「お前も同じ事言ってること忘れてないか?」

咲「私が言うのはいいけど、京ちゃんに言われると腹立つ」

京太郎「めちゃくちゃ言ってんなお前!」

桃子「……まあ違うならいいっすよ」

佳織「2人とも仲いいねえ」

京太郎「あーまあ、幼馴染ですから」

睦月「そんなに仲良くなるものなの?」

京太郎「そんなもんですよ」


444 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:13:27.509sMBataso (10/20)

京太郎「それで、こいつ迷ってるみたいなんで清澄のところに送って行っていいですか? すぐ戻りますから」

咲「ま、迷ってるって……」

京太郎「いや迷ってんだろ?」

咲「そうだけどそんなにはっきり言わなくたって……」アセアセ

智美「送ってきてもいいぞー。私たちは対局室見たら控え室に行ってるから」

京太郎「すみません、部長」

咲「あ、ありがとうございます!」ペッコリン

智美「気にするなー。初出場同士、お互い頑張ろうなー」ワハハ

咲「は、はい!」

京太郎「それじゃちょっと行ってきます」

睦月「気をつけてね」


京太郎「咲、部員はどこにいるんだ?」

咲「組み合わせ見てるって言ってたかな……?」

京太郎「よし、じゃあまずはそこ行くか……咲、そっちは逆だ」

咲「えっ!?」

京太郎「お前よく1人で東京行けたな……」

咲「下準備をこれでもかってくらいやったんだ」

京太郎「……うん、お前のそういうところは偉いと思うよ」

咲「でしょー」エヘン


445 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:14:22.599sMBataso (11/20)

智美「あれが宮永咲かー」

佳織「見た目は普通の女の子って感じだったね」

桃子「そうっすねー。見た目で麻雀の強さはわからないっすけど、チャンピオンの妹っていうからもっと威圧感あるかと思ったっす。ただそれより……」

睦月「うむ。幼馴染とは聞いていたけど、想像よりずっと仲良かったね」

ゆみ「」ピクッ

智美「……ゆみちん、さっきから全然喋らないなー」

ゆみ「え、なっ、何のことだ?」ビクッ

智美「それで誤魔化してるつもりなのかー……?」

桃子「まあ私も付き合ってたらお仕置きしてやろうと思ったっすけど、あの反応は本当に付き合ってないと思うっすよ?」

ゆみ「そ、そうかな」

睦月「そうですよ。幼馴染だとあのくらい仲良くなるもんだって言ってたじゃないですか」

智美「そうだぞー。私と佳織も仲いいだろー?」ワハハ

ゆみ「確かにそうだが、しかし男女であれは……」

佳織「幼馴染だと男女とかより家族って感じだと思います。だからそんなに落ち込まないでください!」

ゆみ「なるほど家族か……って、だ、誰も落ち込んでなんていない!」

佳織「ええっ!?」

智美(地雷踏んだなー)

桃子(相変わらず躊躇なく行くっすね)

睦月(私も妹尾さんの強さは見習いたいなあ)


446 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:14:59.979sMBataso (12/20)

ゆみ「た、ただ私は京太郎くんがああいうことを人前でするのは、あまりよくないのではないかと思ってだな……」ワタワタ

ゆみ「だから、べ、別に京太郎くんが仮に付き合ってたとしても、人前でああしないなら私は特に……何も……何も、うぅ」シュン

智美「ほら佳織、あんまりゆみちんをいじめちゃダメだぞー」ワハハ

佳織「わ、私何かした!?」

睦月「無自覚なのが一番怖いよ」

桃子「大物っすねー」

佳織「えっ!?」

智美「ゆみちん、対局室見に行こうか」

ゆみ「ああ……そうだな。そうしようか」

智美「それじゃあ行くぞー」ワハハ


447 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:15:27.149sMBataso (13/20)

京太郎「組み合わせ表はこの先か」

咲「うん……あ、みんな!!」

優希「咲ちゃん! 探したじぇ!」

和「心配しましたよ」

咲「ごめんね、ちょっと迷っちゃって……」

久「まあすぐ見つかってよかったわ。それでそっちの彼は?」

咲「何度か話に出した、私の幼馴染の京ちゃんです」

久「ああ、あの彼ね。初めまして、私は清澄高校麻雀部部長の竹井久よ」

京太郎「初めまして。鶴賀学園1年の須賀京太郎です」ペコリ

京太郎(……あの?)

まこ「おい、今何度かというたか?」ヒソヒソ

優希「言ってたじょ。一時期なんか毎日のように話してたのに……」ヒソヒソ

京太郎(視線を感じる……)

久「鶴賀? 聞いたことないわね……」

京太郎「ああ、ウチも清澄と同じで初出場なんですよ」

久「そうなの。どおりで……お近づきの印にお互い情報交換でもしない?」

京太郎「なんか怖いので……すみません」

久「ちぇっ」


448 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:15:59.109sMBataso (14/20)

和「須賀さん、咲さんを送って頂きありがとうございました」

京太郎「いえいえ、昔から俺の役目なんで」

咲「昔から私が迷ってたみたいな言い方……!」

京太郎「迷ってたろ?」

咲「……迷ってたけど」シュン

久「咲は須賀くんに随分助けられてたのね」クスクス

京太郎「高校に入ってからもメールで色々やってますからね。もう生活の一部ですよ」

咲「京ちゃんのバカ」ムッ

京太郎「なんでだよ!」

咲「なんでも!」

和「仲がいいですね」クスクス

まこ「妬けるのう」

優希「羨ましいじぇ」


449 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:16:33.829sMBataso (15/20)

京太郎「それじゃそろそろ戻るんで……」

久「ええ、ありがとう。人数ギリギリだし助かったわ」

和「鶴賀学園でしたよね。戦えるのを楽しみにしてます」

京太郎「伝えときます。それじゃ失礼します」

咲「京ちゃん、またね!」

京太郎「ああ、またな」


優希「さて、それじゃあ咲ちゃん……」

まこ「キリキリ話してもらおうかのう」

咲「え? 何をですか?」キョトン

久「とぼけようったってそうはいかないわよ。咲の話してたとおり中々いい子だったじゃない。見た目も70点ってとこかしら」

咲「とぼける……? でも見た目は高すぎですよ」クスクス

久「……あれ、低いって言ってくると思ったのに意外ね」

咲「だって京ちゃんですよ? せいぜい50点です」

久「き、厳しいわね」

まこ「基準があれじゃから辛口なんじゃろうか」

優希「なるほど……」


450 ◆6ardW1rCAXVJ2013/06/12(水) 01:17:00.599sMBataso (16/20)

和「試合の前に何をやってるんですか……それに悪趣味ですよ」ハァ

久「まあまあ、少しくらいいいじゃない。それで咲、須賀くんとは月にどのくらい会ってるの?」

咲「月にですか? 高校に入ってから会うのは今日が初めてですけど……」

久「ダメよ、ちゃんと手綱握っておかなきゃ。遠距離だからって何ヶ月も会わなかったら逃げられちゃうわよ?」

咲「逃げられる……? ……あ! もしかしてみんな勘違いしてます?」

優希「勘違い?」

咲「えっと、私と京ちゃんは別に付き合ったりはしてませんよ? 単なる幼馴染です」

和・優希・久・まこ「えっ!?」

咲「鶴賀の人にも言われたんですけど、私と京ちゃんが付き合うわけないじゃないですか」アハハ

咲「……あれ、みんなどうし――」

和「じょ、冗談ですよね!!??」ガッ

咲「わっ! ど、どうしたの和ちゃん!?」

和「毎日メールしてたり須賀さんのこと毎日のように話に出したりしてるじゃないですか! それで付き合ってないなんてそんなオカルトありえません!!」

咲「そ、そう言われてもメールしてるのは幼馴染だからだし、話は、その、話題が思いつかなくて……」

和「読書とか園芸とか色々あるじゃないですか!?」

咲「……あー」

和「天然ですかっ! 可愛いですねもうっ!」

優希「の、のどちゃん落ち着くじぇ」

和「はっ! ……すみません、取り乱しました」

咲「和ちゃん意外と早とちりなんだね」アハハ