548VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/05(火) 22:48:46.11pT6HglzWo (1/1)

なんか辞めさせるタイミングを見失ったのか、ファンがネタに利用しやすいキャラとして残したのかみたいな邪推をしてしまうわ
せめてもうちょい出番があればなぁ……


549VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/05(火) 23:03:01.83Snkgijsxo (1/2)

原作の京太郎は百合の方向に決まる前のプロトタイプ的な存在だからなぁ
百合漫画としてヒットして作者も京太郎を持て余してるように感じる

もし読者がよくあるハーレム展開を望んでたらまた変わった未来があっただろうな





550VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/05(火) 23:04:13.87Snkgijsxo (2/2)

もしくは百合展開で一発当てられなかった時の保険的存在
どちらとしても不憫だ


551VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/05(火) 23:04:54.72iokv09pno (1/1)

この雑談必要か?


552 ◆CwzTH05pAY2013/03/05(火) 23:58:37.72IcZKRbuSo (7/8)

お待たせしました! 最終話、投下していきます。
いろいろ延期してすみませんでした。

>>543
ナカーマ。

対局中の一時はへこみ、それでも必死に立ち上がり抗おうとして、それでも敗れて最後は号泣する。
そんな池田が大好きです。


553 ◆CwzTH05pAY2013/03/05(火) 23:59:56.54IcZKRbuSo (8/8)

京太郎の心にパキパキとひびが入っていく。
理不尽なツモ、理不尽な振込み、理不尽な配牌。
大切な何かが壊れようとしている、折れようとしている。
そんな中、親の陽皐が第1打に1筒を切り出す。
京太郎はそれにつられるように漫然とツモに手を伸ばした。

『京太郎配牌』
27m336s149p東北北白中 ツモ5m ドラ西

(六向聴が五向聴になったけど、どうするんだよ、これ……)

(国士? 6種7牌で? ありえない。何が何でも聴牌取らなくちゃいけないんだぞ)

(七対子か? いや、そんなもん聴牌欲しいときに狙うもんじゃない……)

(あぁ……何も、わからなく、なって)



554 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:02:37.748McqTxHHo (1/83)

実況席の2人はそんな京太郎の姿を見ながら話していた。

「清澄高校須賀、第1打から長考に入ります」

「どちらかというと、これからどうすればいいのか途方に暮れているんだろうな」

「確かに、聴牌欲しい状況でこの配牌は……」

「五向聴。面前で行くには苦しすぎるが鳴くには役がない。リーチも打てないという何もかもが悪すぎる状況だが」

モニタ上で青い顔をしている京太郎をこつこつ、と指でたたいた。

「だが、もう牌は配られた。これで何とか勝負をするしかない。さぁ、どうする?」



555 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:04:23.668McqTxHHo (2/83)

(まだだ、落ち着け。とにかく、受け入れを、広く。広くするんだ)

京太郎は長考の末、1筒を切り出した。

(真ん中を、集めるんだ)

朦朧とする意識、折れそうになる心。
それらを必死に繋ぎ止める。

【2巡目】
『京太郎手牌』
257m336s49p東北北白中 ツモ5s 打東

(これで、向聴数アップ……っていうかこの手恰好じゃ向聴数が上がらない引きのほうが少ないか)

そういったことを考えていると、対面から北が出た。
その北を鳴くか京太郎は考えるが、この巡目で役無しには受けられず、それをスルーした。
そして、場は続く。

【3巡目】
『京太郎手牌』
257m3356s49p北北白中 ツモ9s ツモ切り

【4巡目】
『京太郎手牌』
257m3356s49p北北白中 ツモ6p 打中

(役牌……出来たら重ねたい)

場に2枚出てしまった中をみて京太郎もそれに倣い中を切り出す。
この苦しい手恰好では役牌は是非とも欲しいところであった。

【5巡目】
『京太郎手牌』
257m3356s469p北北白 ツモ6s 打9p

【6巡目】
『京太郎手牌』
257m33566s46p北北白 ツモ3p 打2m



556 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:05:51.068McqTxHHo (3/83)

6巡目の打牌が終わったタイミングで京太郎は自分の手を見つめなおす。

『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 

(駄目だ……大分ましな形にはなったけど、面子ができない)

ぴしりと心のヒビが大きくなった音が聞こえる。
京太郎はその音を聞かないようにして、もう一度場を見た。
ちょうどそのタイミングで、親の陽皐から場に2枚目となる白が切りだされる。

(くそ、この白も、駄目か)

とりあえずこの白は安牌として抱えることに決め、自分のツモ牌を引いた。

【7巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ1m ツモ切り

【8巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ撥 ツモ切り

【9巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ1p ツモ切り

(この忙しいときに……!)

3連続無駄ヅモ。1筒を河に捨てながら京太郎は心の中で焦りを感じていた。
あと8順。単純に考えてあと8順の間に3枚の有効牌を引いて来なければならない。

(頼む……来てくれ)



557 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:07:00.788McqTxHHo (4/83)

その9巡目、現在3着目の北家、松本は力を込めてツモを取った。

『松本手牌』
【5】6m45567788s567p ツモ7m ドラ西

(持ってこれたっ!)

リーチをかければ出上がり跳満ツモり倍満確定。理想的なタンピン三色であった。
松本は手元の点数を確認しながら思案した。

(もう親はない。さすがにこの点差でトップを取りに行くのは無理だ)

(そもそも、次があるかどうかわかんねーな……清澄が飛んじまう。ならっ!)

力強く発生して、松本は7索を場に切り出した。

(リーチかけてツモなら2着だ。ここは当然っ!)

「リーチっ!」



558 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:07:45.738McqTxHHo (5/83)

(マジかよ……)

先制される。この手恰好から考えれば当たり前の話なのだが、余りにも苦しい状況であった。
そのリーチを受けて陽皐は手出しでリーチ宣言牌の7索を切り出す。
そして、京太郎のツモ番

【10巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北白 ツモ西 ドラ西

(ド……ラ?)

場を見渡す、どこをどう見ても西は切られていなかった。
超がつくほどの危険牌。吐きそうになりながらもその西を手に仕舞い込み、確保していた白を切り出した。
とりあえず1順しのぐが、あくまで問題を先送りにしたにすぎなかった。
そして、次なる試練が京太郎を襲った。



559 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:08:22.398McqTxHHo (6/83)

その10巡目、現在2着目の西家、上田はそのツモを見て長考に入った。

『上田手牌』
234m4【5】78s5567p西西 ツモ6s ドラ西

絶好の聴牌。ただ、親の現物は7索しかなく、それを切るということはほぼアガリを失う1打であった。

(つーか、そうした所で他の現物はないしな)

(まぁ、何とか頭を下げて清澄が飛んでくれるか松本が届かないツモをしてくれることを願うっていう手もあるけど)

上田はその思考を笑い飛ばした。

(ねーよな、そんなの。役無しドラ3だけど、それにこの待ちなら戦える。ならば)

「リーチだっ!」

(勝負しかねーだろ! 2位は渡さねぇ!)

その意思の元、5筒を卓に叩きつけ、1,000点棒を場に出した。



560 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:09:42.358McqTxHHo (7/83)

その二件リーチを受けて陽皐は自分の手を見た。

(何とか間に合ったか、やれやれ)

『陽皐手牌』
6789m33s999s8p西撥東

陽皐は途中で西をつかみ、その時点でこの局を諦めた。
2着目の風でドラ。生牌とあっては切れるものではない。
何事もなければ点数的にほぼ2着以上は確定している状況。
方向を修正して、安牌を抱え込んだのが正解であった。
撥も東も場に切られており、最低2順は稼げる。

ちらり、と京太郎を見る。
そこには必死に押し隠そうとしているが苦渋の色が漏れている京太郎の姿があった。
恐らく、前局の倍満振り込みが尾を引いているのだろう。

(精神状態はもう限界って感じだな。残り400点じゃ無理もないけど)

前局の南地獄単騎リーチに深い意味はなかった。
ただ、彼の中の第六感的なもの、感覚的なものが南でリーチを打てと告げていたから、打ったにすぎなかった。
デジタルとはかけ離れたカンの世界だが、陽皐はそれで勝ち続けてきた。
誰に何と言われようと譲る気はない自分のスタイルであった。

(女子チャンプの原村和がいるあの清澄高校だからどれほどの選手かと思ったけど、まぁ、全員が全員強いわけじゃないよな)

そう思いながら、撥を切り出した。
それを受けて幽鬼のような表情で牌をツモる京太郎の姿を見て、彼の第六感的なものが告げていた。

――こいつ、飛ぶな――



561 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:11:55.718McqTxHHo (8/83)

【11巡目】
『京太郎手牌』
57m33566s346p北北西 ツモ5m ドラ西

(が……ふ……)

危険牌じゃない牌を探すほうが難しい状態。
あまりの状況に涙が出そうになる。
京太郎はもう一度場を見渡した。

『上田捨牌』
一中撥白八⑨
撥九四5r

『松本捨牌』
南北中東⑨東
六27r一

『陽皐捨牌』
①③⑨八南二
白三27撥

(なんだよ、この状況)

共通的に通りそうなのは北の対子のみ。
ただ、これを切れば当然向聴数は下がる。
もう11巡目、北を落としたところで間に合うかどうかは非常に疑問であった。
「絶望」の2文字が京太郎の頭によぎった。



562 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:13:44.368McqTxHHo (9/83)

(なんで、俺ばっかり……)

(無理、だったのか。やっぱり)

(もってやるやつに勝ちたいっていうのは)

北に、手をかける。それを河に投げようとする。

(そう、無理だったのか……不相応な、願いだったのか)

ひびの入った彼の心がそれを後押しする。

(北を切ってとりあえず回って、聴牌とれたらいいな)

(そうだよ、しょうがない、これはしょうがない)

(しょうがないんだ)

指に力を込めて、北を持ち上げる。

(もう諦め……)

心が、今にも折れそうだった。


そして、その北を――



563 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:14:48.248McqTxHHo (10/83)

(……違う!)

だが、それでも京太郎は北を切らなかった。
すんでのところで、踏みとどまった。
ヒビだらけ、傷だらけの心であったが、それでも踏みとどまった。

(闘うって、決めたんだ。最後の最後まで。諦めずに、前に進むって決めただろ!)

西に指を向ける。超危険牌だがもう迷いはなかった。

(そうだ、格好にこだわるな。みっともなくてもいい、鼻水やら鼻血垂らしながら、泣きながら、這いつくばりながらでもいい)

そして、西を河に、投げた。

(どんな姿でもいい。だから、最後まで、諦めるな!)

場に、打ち出される西。

(通ってくれっ、頼むっ!)

発声は、かからなかった。




564 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:15:20.588McqTxHHo (11/83)

「これは、手を膨らませたの仇になったか! 手の中が危険牌だらけの状態。これは、厳しい!」

アナウンサーがあまりの悲惨さに悲痛な声を上げた。

「藤田さん、幸い今の西を通すことはできますけど、この状況は……」

「あぁ、かなり厳しいな。面子がないのには変わりないしな」

何か面白いものを見つけたように、まくりの女王と呼ばれているプロはにぃ、と笑った。

「しかし、一瞬北の対子を落とすか悩んだようだが……腹、括ったみたいだね」

笑みが崩れない。何かを楽しむかのように、モニタを見続ける。

「うん、いいまくりが、見られる気がする。なんとなくだがね」



565 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:16:19.108McqTxHHo (12/83)

1枚の牌を切っただけで、京太郎の精神は大きく削れた。
通ったことが確定したのだとわかっても、動悸が激しい。

(とにかく、通ったんだ)

(まだ、行ける。まだ、戦えるんだ)

涙がこぼれそうになる。叫びだしたかった。それでも必死に歯を食いしばった。
呼吸を整え、場を見る。下家も対面もアガリ牌は引けなかった。
陽皐は対面がツモ切った6萬に合わせて手出しで6萬を切った。
そして、その6萬に反射的に飛びついた。

「チーッ!」



566 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:17:35.968McqTxHHo (13/83)

【12巡目】
『京太郎手牌』
5m33566s346p北北 チー567 打5m

「そこからチー? で、でも役が」

普段自分が目にしないものを見て、驚いた様子で咲が声を漏らす。
そんな咲に幾分かは落ち着いた様子で和が言った。

「もう終盤です。須賀君は形式聴牌をとりに行ったんです。さっきも言ったようにように、聴牌を取らねばトビですからね」

画面の中では京太郎が本当に苦しそうな顔をしながら危険牌である5萬を切り出していた。

「じゃが、この形は……」

まこは京太郎の手恰好を見て唸るように言った。
直後、対面が北を切る。それにも飛びつく京太郎。

「ポンッ!」

モニタの中で必死の形相で北を仕掛ける。

【13巡目】
『京太郎手牌』
33566s346p ポン北北北 チー567 打6p

6筒も超危険牌だが京太郎は何とか切った。



567 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:18:13.428McqTxHHo (14/83)

「あ、あぁ、この形は」

優希も気づいたようにうめき声をあげた。

『京太郎手牌』
33566s34p ポン北北北 チー567

『松本手牌』
【5】67m45567788s567p

『上田手牌』
234m4【5】678s567p西西

「聴牌したら、当たり牌が出ちゃうじぇ……」

暗い顔で和が頷いた。

「……9索はもう全枯れですから考えなくていいとして、3索も6索も全員の手で使い切っています」

酷な現実を告げるように、和は続けた。その表情は非常に重苦しいものだった。

「つまり、3索や6索を暗刻らせて放銃を防ぐのは無理……ですね」

「えぇ。願わくば須賀君が2筒か5筒を先に引いて5索切りのシャボ受けにしてくれることを祈るのみね」

「でも、それって、4索か7索を先に引いちゃったら……」

最後に咲が言ったその言葉に返事を返すものは誰もいなかった。



568 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:19:50.048McqTxHHo (15/83)

【14巡目】
『京太郎手牌』
33566s34p ポン北北北 チー567 ツモ7m

(また危険牌っ!)

のたうちまわりたくなるほど苦しい状況だったが、そのままツモ切りしていく。
発声はかからなかったが、先ほどから京太郎が危険牌を切るたびに心臓が削り取られていくよう感覚だった。
京太郎はこの4枚連続の危険牌切りで心臓がなくなってしまったのではと思うぐらいであった。

(もう、時間がない。そんなにツモがない。そろそろ引かないと、マズイ)
そして、何も発声がかからないまま再び京太郎のツモ番が回ってきた。
そこに書かれた絵柄を見た瞬間、京太郎の心臓は跳ねた。

【15巡目】
『京太郎手牌』
33566s34p ポン北北北 チー567 ツモ4s

(……来たっ! ようやく聴牌!)

京太郎にとって、待ち焦がれていた聴牌となる牌だった。

(よし、この牌が通せればっ!)

そう思いながら、京太郎は3索に手をかけた。



569 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:20:25.168McqTxHHo (16/83)

清澄高校控室では京太郎は4索を引いた瞬間に悲鳴が上がった。

「そっちを、引いてしまったか……」

まこが天を仰いだ。画面の中の京太郎は3索に手をかけていた。

「あとちょっと、あとちょっとだったのに!」

咲が悔しそうに拳を握りしめた。


実況席の2人も思わず声を漏らした。

「あー、引いてしまいました。これで聴牌ですが、当たり牌が出る形」

「あぁ……本当に、頑張ったんだがな」


そう、その対局を見ていた会場の誰もが京太郎の振り込みを確信していた。



570 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:21:10.958McqTxHHo (17/83)

そして、京太郎本人も3索を切ろうとしていた。
牌を持ち上げ、河に切り出そうとした瞬間、それが目についた。

『上田捨牌』
一中撥白八⑨
撥九四5r【5】九
⑧中

『松本捨牌』
南北中東⑨東
六27r一六2


『陽皐捨牌』
①③⑨八南二
白三27撥西


『京太郎捨牌』
①東9中⑨二
一撥①白西五
⑥七

京太郎はそれに気づいた。気づいてしまった。

(……いやいやありえないだろ。仮に一人に通用してももう一人には通用しないぞ)

(それに、切らないとしてもどうするんだよ。もう順目は残ってないぞ?)

(大体、止めたとしてもどっちにしろ危険牌切らなくちゃいけないんだぞ? ありえない)

京太郎は頭では必死に3索を切れと訴えかけた。
だが、体が反応しない。
気付いてしまったから、体が動かない。

(……わかったよ)

(そうだよな。最後くらい、自分のそれを、信じてみたいもんな)

(行こうか、信じたほうへ)

長考であった。そして、京太郎は散々迷い、苦しみぬいて牌を抜いた。



571VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:21:39.058McqTxHHo (18/83)






33566s34p ポン北北北 チー567 ツモ4s 打4p








572 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:22:42.518McqTxHHo (19/83)

その打牌を見た瞬間、清澄高校部室では悲鳴とはまた違う驚きの声が漏れた。

「す、4筒!? なんで!?」

優希が驚きの声を上げる。

「ど、どうして? どうして?」

放銃を回避したはずなのだが、余りに不可解な打牌に咲も喜びより驚きが出ていた。

「わ、わかりません。3筒4筒が安牌というわけでもありませんし……」

「……不可解だけど、何かに気づいて、3索6索が危ないってわかったのかしら。というか、そうとしか考えられないわね」

和の動揺した声に久も自分の言っていることに疑問を感じながらそう予想した。

「た、確かに3索6索を止めると考えれば3筒4筒を払うのが一番広い、な?」

「え、えぇ。9索以外の索子を引けば聴牌ですが……」

一同は呆然としながらもモニタを見ながら京太郎の手牌の行く末を見守った。


その驚きは実況席でも同じであった。

「ふ、藤田さん。私はてっきり3索か6索を切ると思ったんですが、これは、どういうことでしょうか?」

アナウンサーが戸惑いながら靖子に助けを求めるが、考え込んだ後首を振った。

「正直、わからん。私も3索を切ると思っていた。まぁ、確かに場に索子は高いが、筒子が通る保証は全くないしな」

むしろ危険だ、そういって言葉を締めくくった。

「そうですよね……清澄高校、須賀。いったい何を考えているんでしょうか?」

「何を考えたのか、もしくは何かを感じたのか……やっぱり何か、起こりそうだな」



573 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:23:45.748McqTxHHo (20/83)

(通った、か)

京太郎は吐き気を堪えながら切った自分の4筒を見つめていた。
か細い理論、直感とある種の感情に任せて切った牌だったが、通った。

(だがこれからが問題だ)

余りツモは残っていない。その数少ないツモで聴牌を入れなくてはいけなかった。
心臓だけじゃなくて全身の血管が破裂しそうなほどの何かを京太郎は感じていた。
ツモ牌に手を伸ばす。

【16巡目】
『京太郎手牌』
334566s3p ポン北北北 チー567 ツモ4p 打3p

(お前じゃない!)

【17巡目】
『京太郎手牌』
334566s4p ポン北北北 チー567 ツモ3m ツモ切り

(お前じゃないんだ!)

内心のその声はほとんど悲鳴であった。
残すツモはたった1枚。ここで引けなければ終りであった。
京太郎の番が、回ってくる。



574 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:24:18.638McqTxHHo (21/83)

(頼む)

ツモ山に震える手を伸ばす。

(引かせてくれ)

最後の1枚に手を触れる。

(ここで、終わりたくない)

そしてゆっくりと

(まだ)

牌を、ツモった。




(麻雀がしたい!)



575 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:25:05.958McqTxHHo (22/83)

その後、3人とも最後の1枚をツモり、流局となった。

「ノーテン」

親の陽皐が手を伏せる。そして南家の京太郎に3人の注目が集まった。
だが、京太郎の体は動かない。

「君、宣言を」

審判員に注意を受け、その時漸く流局になったことに気づいた京太郎はびくりと体を震わせた。
そして、カラカラに乾いた口を開き、ゆっくりと牌を……倒した。



「聴牌」




『京太郎手牌』
3345668s ポン北北北 チー567m



576 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:25:48.428McqTxHHo (23/83)

京太郎はリーチ者2人の聴牌形をみて、内心ほくそ笑んだ。

(まさか本当に3索6索がアタりとはなぁ……麻雀の神様ってのは俺のことが嫌いなのか好きなんだか)

そう思いながら、京太郎はアガれずに若干悔しそうなリーチ者2人と、
何やら京太郎の手を驚愕の顔で見ている陽皐を見渡して、内心うそぶいた。

(どうだ、止めてやったぜ? ざまあみろ!)

上田  32,700(+-0)
松本  15,200(+-0)
陽皐  48,700(-3,000)
京太郎 1,400(+1,000)
(供託2,000点)


577 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:26:53.548McqTxHHo (24/83)

その聴牌形を見て陽皐は愕然としていた。
牌はもうすでに落とされており、オーラスの山が積まれていたが、それは陽皐の脳にはっきりと焼き付いていた。

(形式聴牌なのは想定通り。待ちが愚形なのはどうだっていい)

(だが、何故。何故その3-6索が止められたんだ!?)

自分の勘が外れたこと、ありえないブロックに陽皐の精神は激しく混乱していた。
まるで前局の京太郎のように若干の震えを伴いながら陽皐は配牌を取った。

(全ツッパだったはずだ。オリなど考えていなかったはずだ)

(なのに、何故そこが1点で止められるんだ!? 止めたことで切った3筒、4筒だって相当な危険牌だろ!?)

配牌を取り終わる。陽皐にとってはあるはずのないオーラス。

『陽皐配牌』
223m99s356p東西白白白 ドラ7p

面子候補は足りていないが好形。
役牌もあり、流すにはもってこいの形だった。



578VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:27:37.248McqTxHHo (25/83)

(とにかく、とにかくだ。さっさと蹴って終わらせる)

そう思いながら第1ツモを手に取る。4索を引き、さらに形がよくなる。
西を切り飛ばし、2巡ほど空振り4巡目。

【4巡目】
『陽皐手牌』
223m99s3456p東白白白 ツモ5p ドラ7p

磐石の形。ポンにもチーにも行ける理想的な形だった。
東を切り飛ばす。だが、1巡空振りして次の6巡目だった。

「リーチっ!」

3着目、松本からの早いリーチが入った。
捨牌を確認する。

『松本捨牌』
628北九⑧r

(また妙な捨て牌だな……)

そう思いながら自分のツモに手を伸ばす。

【6巡目】
『陽皐手牌』
223m99s34556p白白白 ツモ4m ドラ7p

ストレートな聴牌。だが2萬という危険牌を切ってまで聴牌を取る気はなかった。
何も考えず、ノータイムで9索の対子を手に取り場に打ち出した。



579 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:28:42.668McqTxHHo (26/83)

精神的な動揺があったのかもしれない。
万全の状態であれば勘が働き何かを察知できたのかもしれない。
だが、それはすでに場に打ち出され

「ロン!」

アガリを、宣言された。

『松本手牌』
111789m1119s111p ドラ7p

「リーチ、一発、純チャン、三色、三暗刻」

松本はゆっくりと役を数えた。
そしてゆっくりと裏ドラに手を伸ばし、めくった。
裏ドラは、9索。今ちょうど、陽皐が切った牌であった。

「……裏2! 三倍満で24,000は24,300!」


まくられた。陽皐がその現実を認識するのに多少の時間がかかった。


長かった対局が、終わった。

『終局』
上田  32,700
松本  41,500(+26,300)
陽皐  24,400(-24,300)
京太郎 1,400



580 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:29:28.178McqTxHHo (27/83)

それが決まったとき、実況席は一瞬の沈黙に包まれた。

「まさか、まさかの……インターミドル3位、陽皐がここで敗退です!」

あまりにドラマティックな展開にアナウンサーも最初言葉を失った。

「素晴らしいまくりだ、いい物を見れた」

隣でまくりの女王が満足そうな顔をして微笑んだ。

「藤田プロの言うとおりになりましたね……ここまで劇的な大まくりが出るとは……」

「そうだな。まず3着目の松本、南3局で大物手を潰されたのにもかかわらず、腐らずオーラスに望んだ。その執念をまずは褒め称えたい」

そして、と前置きしつつモニタの中でうなだれた表情をする京太郎をみた。

「自身は及ばなかったが、このまくりが出たのは南3局で清澄の彼が土俵際であきらめず踏ん張ったからだな」

「えぇ。普通であれば彼が飛んでこの局はなかったわけですからね」

「あぁ。無論彼は悔しいだろうが……。まだ若い」

モニタをこつりと指で軽く叩いて微笑みながら言った。

「この先もあのように諦めなければ、きっといい雀士になるな」



581 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:31:16.448McqTxHHo (28/83)

「ありがとうございました!」

対局後、挨拶の後喜びを隠せないように1位と2位は弾かれたように対局室を飛び出していった。
京太郎はそれを気にもせず、目の前の牌をぼんやりと眺めた。

『京太郎手牌』
456m224789s57p東東

東が鳴ければ、勝負になっていた。
だが、東は山に深く、場に打ち出されることはなかった。
結局京太郎の新人戦は一度もアガることなく、終わった。

「少し、いいかな?」

そうやって京太郎が自分の手を見続けていると声がかけられた。
京太郎ほどではないが、暗い顔をした陽皐だった。

「……なんすか?」

「いや、すまん。俺と話なんかしたくないとは思う。だけど、教えてほしいことがある」

陽皐は京太郎の返事を聞かないまま、殆どめくられることがなかった山を返し、京太郎の前に牌を並べた。

「南3局で2軒リーチが入ったてから、途中でこんな手格好があったと思うんだが?」

『京太郎手牌』
33566s34p ツモ4s ポン北北北 チー567

「あぁ、はい……」

京太郎はその手牌を見ながらあの時の状況を思い出し、頷いた。

「教えてほしい。何でここから、3筒と4筒を切り出していったんだ? 何故聴牌を取らなかったんだ?」

納得がいかないと言った顔をして陽皐は続けた。

「確かに、3索と6索は危険牌だった。だが、それまでも無筋を切り続けていたし、3筒と4筒だって安全じゃない。むしろ危険牌だ」

拳を握る陽皐。敗北の悔しさが徐々にこみ上げてきたのか、その言葉には有無を言わせない何かがあった。

「教えてくれ、頼む」



582 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:33:40.908McqTxHHo (29/83)

沈黙が流れる、陽皐は話すまで梃子でも動かないと言った空気が感じられた。
京太郎はそれを受けて若干悩んだ後、口を開いた。

「あの時、対面さんの捨牌……リーチの直前、確かこんな感じだったはず。全部は覚えてないけど」

『松本捨牌抜粋』
六27r一

「……確かに、そんな感じだったな」

「ほらこれ、ここ」

そういってリーチ宣言牌とその直前に切られた2索と7索を指差した。

「間四ケン。だから、危険だと思ってどうしても切れなかった」

「……はぁ!?」

陽皐は思わず間抜けな声が聞こえた。
間四ケン。今回のように2と7や3と8のように牌が切られた際に間のスジが危ないと言う読み筋である。
だが、読み筋の中では当てにならないと言われる物のひとつであった。

「あ、間四ケンって、それだけ? しかももう一人の立直にはまったく意味をなさないだろ!?」

陽皐の語気が荒くなった。
あれほどの1点読みをしたのだから何かしらのすさまじい理論か自分と同じ勘の打ち手だと考えていた。
だが、蓋を開けてみればそのどちらかでもなく、誰でも知っているか細い理論であった。

「わかってる。俺だって、馬鹿だなと思う。その証拠に切るとき、結構、迷ってただろ?」

「……あぁ、確かに」

京太郎の苦しそうに悩み、今にも死んでしまいそうな顔で4筒を打ったこととを思い出す陽皐。
それでも納得がいかなそうな陽皐をみて京太郎は天井を見上げながら、何かを思い出すように言った。

「でも、さ。間四ケンって言う知識は……」

あの日の部室での出来事を思い出す。
お互いに泣きながら、気持ちをぶつけ合ったあの日。
優希と笑いながら、話したあの日と出来事を思い出していた。



583 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:34:14.798McqTxHHo (30/83)

――そうだ、聞きたいことがあったんだが……間四ケンって――

――読み筋の話か? 間四ケンとかよりまだ――


「雀士としての俺が、初めて覚えたこと」

「俺が、もってなくても、勝てなくても、それでもやっていこうって決意して、初めて覚えたことなんだ」

「だから、どうしてもそれを信じてみたくなった」



584 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:34:44.088McqTxHHo (31/83)

それだけ、と言って京太郎は黙り込んだ。
陽皐は何かを言い返したかった。だが、何も言葉が出なかった。

(人のこと、言えないよな。俺だってありえない打牌して周りからいろいろ言われてきたってのに)

(自分が今までしてきたのに、自分が不条理な打牌をされて相手を咎めると言うのも、ないよな)

「わかった、ありがとう。また、機会があったら打とう」

軽くため息をつき、陽皐はそうやって京太郎に軽く礼を言った。

「……あぁ」

京太郎は、そう返すのが精一杯だった。
心の中に吹き荒れる激情を抑えるのが精一杯でそれ以上話すことが出来なかった。
陽皐はそれを見て何も言わず、対局室を出て行った。



585 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:35:33.588McqTxHHo (32/83)

京太郎もそれから少しして、ふらつきながら対局室を出た。
頭には霞がかかったようだった。
控え室に向かい、会場内の通路を歩く。
京太郎は周りは相変わらず人が多いがその喧騒が遠くから聞こえるように感じた。
すれ違う人にぶつかりそうになりながらも、京太郎は歩く。

(何も)

次のステージへの進出を決めたのか、一人の高校生が周りから撫で回されたり小突かれたり、手荒い祝福を受けていた。

(何も、できなかった)

このステージで敗退したのだろうか、一人の高校生が涙を流していて、顧問と思われる壮年の男性が何も言わずに頭を撫でていた。

(終わっちゃったんだ、な)

周りから自分はどう映っているのか、京太郎はそんなことを考えるがわかりったことだ、と即座に切り捨てた。

(俺の、新人戦)

ぼんやりとする頭の中で京太郎は自分の置かれている状況を少しずつ理解していく。
そんな時、目の前に見知った顔が居た。通路に立っている5人の顔。
まこ、優希、和、咲、久。皆それぞれ、痛ましい顔で京太郎を見ていた。


586 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:36:44.768McqTxHHo (33/83)

「京、ちゃん」

咲が京太郎の名を呼ぶが、その後が続かなかった。
咲は必死に慰めの言葉、励ましの言葉をかけようと頭を巡らせるが、何を言えばいいのかわからなかった。
それも至極当然のことであり、麻雀において常に強者で居た咲に、敗者に対して何を言えばいいのかわからないのは自明の理だった。
だが、ほかのメンバーも何を言えばいいのか、わからなかった。
あまりにも、一方的な敗北。善戦であれば何かが言えただろう。
だが、ここまで言い訳も出来ないほど完膚なきまでに叩きのめされれば言葉に迷うのも無理はなかった。
最後の形式聴牌で踏みとどまったことは驚きだったが、それが大した慰めにもならないことも、彼女たちは理解していた。

(なんだよ、まったく)

そんな5人の様子を見ながら、京太郎は苦笑した。

(俺以上に、つらい顔しやがって)

何か湧き出そうになる、どうしようもない感情に蓋をして、京太郎は笑った。

「すいません、負けてしまいました」

そう言って頭を下げる。
それを口に出した瞬間、感情が爆発しそうになったが、それでも京太郎は耐えて、頭を上げた。

「はは、俺なりに必死にやったんですけど、ほんと、すみません、み、みんな、一生懸命、お、俺の、た、ために」

言葉が震えてくる。笑顔が崩れそうになる。
そんな状況を必死でこらえながら、京太郎は続けた。

「そ、そうだ。な、なんか飲み物でも、買ってきましょうか。ほら、ほら、その、えっと、皆、喉でも渇いたでしょ?」


587 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:37:14.888McqTxHHo (34/83)

誰が見ても、無理をしているというのがわかる顔であった。
優希が顔を伏せる。和が口に手を当てて声を押し殺す。
そして、咲が泣きそうな顔で京太郎に駆け寄ろうとした。
だが、その手をまこが握り、そして、京太郎に向き直って言った。

「じゃあ、適当に頼む。金は、後で渡すけぇ」

「わ、わかりました。じゃあ、いって、きます」

もう限界だとばかりに、京太郎は顔を伏せてきびすを返した。
そして、走り出す直前の京太郎にまこがもう一度声をかけた。

「京太郎!」

「……はい」

振り返らず、押し殺した声でまこの呼びかけに反応する。
まこは、京太郎が見てはいないとはわかっていても、その背中に笑いかけた。

「会場は広いけぇ、迷うかもしれん。……ゆっくりでええからな」

「……ありがとうございます」

そう言って軽く頷くと、京太郎は駆け出して行った。


588 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:37:57.738McqTxHHo (35/83)

「染谷先輩、京ちゃんを、その……」

控え室に帰る道すがら、咲はそんなことを言った。
何かを言いたかったようだが言葉にはならなかった。

「京太郎も男じゃけぇ。プライドっちゅうもんがある。今は、一人にさせてやるんじゃ」

「……はい」

咲は不承不承、と言う感じで頷いた。
その様子を見て、3人を見渡しながらまこは続けた。

「なにより、今回の新人戦で勝者であるぬしらが敗者にかける言葉はなかろう」

しばらく、沈黙が続くがぽつりと優希がこぼした。

「京太郎、また麻雀がいやにならなきゃいいな」

「……そうですね。この敗北は心にくると思います。本当に、今日は巡り合わせが悪かったとしかいいようがありません」

和もそう言いながらどこか辛そうな表情をした。
まこがそんな空気を払拭するかのように、大きな声で言った。

「とにかく、京太郎を信じるんじゃ! まずは、帰ってきたら暖かく迎えてやろう。結果が伴わなかったとは言え、必死に戦ったんじゃ」

その言葉に、3人は小さく返事を返した。
そのとき、まこが何かに気がついたように辺りを見回した。

「ん? ……久は、どこへ行った?」

そういうと3人も辺りを見回したが、久の姿はどこにも見えなかった。


589 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:39:03.738McqTxHHo (36/83)

会場の一番はずれにあり、辺りには控え室も無い自動販売機コーナー。
京太郎はそこに全力で走り、辿り着いた。

「はぁ……はぁ……」

大した距離を走ったわけではないのだが、なぜか酷く呼吸が乱れた。
震える手でポケットから財布を取り出す。
小銭を取り出そうと財布の口を開いた瞬間に震えからか、財布を取り落としてしまう。
甲高い音が響いて、辺りに小銭が散らばった。

(何やってんだ、俺)

心の中で愚痴りながらも、しゃがみ込む。

「くそっ」

小銭を拾いながら、京太郎は言葉を漏らした。
何に苛立っているのかはよくわからなかったが、それでも何かを堪え切れなかった。

「くそっ」

目頭が熱くなってくる。

「くそっ」

鼻の奥がツンとした。小銭を拾う手が止まり、体が震えだす。
その時だった。
京太郎に影がかかる。その影は京太郎と同じようにしゃがみ込み、
一番遠くにあった最後の一枚の小銭を拾い上げた。

「はい」

そう言うと、影――久は微笑みながら手を差し出した。


590 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:39:43.438McqTxHHo (37/83)

「ぶ、ちょう」

「部長じゃないってば」

そう笑いながら小銭を京太郎に渡した。
京太郎はそれを受け取り、財布に入れる。

「ど、どうし、て?」

「ほら、6人分の飲み物持って帰るの大変でしょ。手伝ってあげようと思って」

久はいつもの笑いを浮かべながら京太郎に言った。
京太郎はそれに対してどう返せばいいのかわからず黙り込む。
そうしていると、久はせかすように京太郎の手を引いた。

「ほら、さっさと買っちゃいましょ?」

「……はい」

京太郎は小銭を自動販売機にいれ、適当にボタンを教えていく。

「ねぇ、須賀君」

久は自販機横のベンチに座り、京太郎の買ったジュースを自分の隣に置いた。

「なんですか?」

京太郎は自動販売機に向かい合ったまま、答えた。
久は少し間を空け、何かを迷う素振りをしたが、結局その言葉を発した。

「……麻雀、嫌になっちゃた?」

京太郎はその問いに、自動販売機のボタンを押す手を止めた。
そして、何かを考え込む。久は黙って、その返事を待った。
しばらくして、京太郎は途切れ後切れだが、久に向けて言った。


591 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:41:23.128McqTxHHo (38/83)

「……やっぱ、悔しいです。だけど、まだ、がんばれると思います。」

「あの南3局。たぶん、3人ともが俺のこと飛ぶって思ってたんでしょうが、なんとか、踏ん張れました」

「ただの頼りない理論、意味も無い勘でしたけど、当たり牌、止めること出来ました。その上で、聴牌できました」

「その瞬間、ちょっと、嬉しかったんです」

「苦しい苦しい対局ですけど、嬉しさも見いだせました。だから」

「だから、その、もうちょっと、がんばれるかなって、そう思います」



592 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:42:10.728McqTxHHo (39/83)

そこまで言い切って、京太郎は自販機のボタンを押した。
久はジュースを受け取り自分の隣に置いて軽く微笑み、そう、と言った。

「さ、行きましょうか。みんな待ってますよね」

「待って。須賀君、ちょっとこっちに座りなさい」

ジュースを手に取り歩き出そうとした京太郎に、久は自分の隣をぽんと軽く叩きながら言った。

「……なんですか? 何企んでるんですか?」

「いいからいいから」

口元は笑っていたが、どこか真剣な感じを受ける久に京太郎も何かを感じ取ったのか、言われるがままに隣に座った。

「はい、座りました。で、なんでしょうか」

京太郎が久に問いかける。すると、久は何も言わず、京太郎の頭を撫でた。

「……えっ?」

(そう、私は、あなたにとっていい部長ではなかったと思う)

「何ですか、先輩。何を企んでるんですか?」

(でも、あなたは私を責めることなく立派に成長した)

「先輩?」

(私は、あなたに対してほとんど何も出来なかった。だから)

「どうしたんで……!」

(これぐらいは、させて頂戴)

そう言いながら、京太郎の頭を自分の胸に抱いた。


593 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:43:11.048McqTxHHo (40/83)

「た、竹井先輩。ど、どうしたんですか? と、突然何を」

「いいの」

動揺した様子の京太郎の言葉をさえぎりながら京太郎は抱きしめた久の頭を撫でながら言った。

「あなたが麻雀を続けると言ってくれたことは嬉しい。がんばれる、といって笑ってくれることは嬉しい。でも」

さらに、京太郎の頭を強く抱きしめる。
京太郎は久のやわらかい胸の感触を感じつつも何故か下心も無く、それに身を預けていた。

「辛いときは、悔しいときは、泣いていいのよ?」

その言葉に、京太郎はびくりと反応し体を震わせた。
それでも尚、何かに耐えている様子の京太郎に久はその背中を撫でて言った。

「辛かったわね、苦しかったわね……。須賀君が苦しい中、一生懸命がんばっていたのは見たわ。あなたは、あなたは」

久の目にも涙が浮かんでいる。それを1回ぬぐい、再び京太郎の背中を撫でた。

「あなたはよくやったわ。お疲れ様、須賀君」

京太郎の精神はそれが限界だった。堪えていた何かが噴出していく。
涙が大量にこぼれ、久の制服を濡らした。


594 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:46:10.858McqTxHHo (41/83)

「うっ、うぅ、ぐ、ぐぅ……」

引きつった声を漏らす京太郎。
一度噴出したそれはもう堪えが聞かなかった。

「悔しい、悔しいです。あんなに、あんなに打ったのに。みんなと、あんなに……!」

「うん、うん」

「ぜんぜん、うまくいかなくて、お、思い通りにならなくて」

「うん……」

「な、なんとかしようとしたんですけど、で、でも、どうしようも、なくて」

「うん……!」

「できることをしようと、おもった、のに、たいしたこと、できなくて」

「うんっ……」

「みんな、と、みん、なとあんなに、がんばった、のに」

「えぇ……! あなたは、あなたは、頑張ったわ、須賀君」

久は京太郎の言葉に頷き、自分も涙を流しながら京太郎の背を撫でた。

「なのに、なのに、俺、俺……う、ぐ、ううううううああああああ」

それ以降は言葉にならなかった。
京太郎は久の胸の中で呻く様な鳴き声をあげた。
久の腕を掴み、子供のように泣いた。
久はそれに対して何も言わず、ただ京太郎を抱きしめて子供をあやすように背をさすり続けた。
沸き立つ会場の片隅で、京太郎の嗚咽の声が響いた。
それは、しばらく止むことはなかった。



595 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 00:47:09.998McqTxHHo (42/83)

本編はここまで1時過ぎぐらいにエピローグを投下していきます。
ちょっと休憩。

しかし投下だけで40分ぐらいかかるとか……


596VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:48:22.30Cn2Xkvj8o (1/4)


この京太郎は池田と仲良くなれる


597VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:49:07.75Xm37idJuo (1/4)

一旦乙
もうすぐ終わりかー
間違いなく京太郎SSとしては名作になると思う、キツい展開だけどね



598VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:49:29.54e3AapIYu0 (1/5)


素晴らしい。


599VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:49:55.99VOF35jlC0 (1/11)

いよいよ退部か・・・
まぁ仕方ないよな・・
こんだけ強い部員の中に一人だけ素人が混ざってたら目立っちゃうもん
ssの中で言われてたけど間違いなく新入生に舐められるだろうし
実際弱いからどうもできない。努力でもどうにもならないのがすごくもどかしい。




600VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:50:37.369eruYHML0 (1/1)


物語にぐいぐい引き込まれるな


601VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:51:57.052kdFh1qX0 (1/1)

乙ー!

もうここまで来たら何も言わん。
後は投下を待つのみよ!


602VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:53:41.68Vjdoh7TDo (1/12)

一旦、乙ー。
京太郎としては納得行かない形だろうけど、最後の闘牌には心震えたよ。
ただ、最後で出てくる部長がすっげぇあざといと思いました(コナミ感)
やっぱり京ちゃんの涙を受け止めてあげるのはわた、幼馴染の咲ちゃんにするべきだよ!!


603VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:54:08.42VOF35jlC0 (2/11)

このssが切っ掛けで京太郎鬱ssが流行りそうだわ
ヘルカイザーみたいに




604VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:54:22.47rJTa95lj0 (1/2)

キャップは先がある下級生が一回でも多く打てるように雑用を一手に引き受けてたのになぁ……
それに引き換えこの部長は…パンツも見せてくれないし、パンツも見せてくれないし



605VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:55:46.9375q/omNF0 (1/8)

乙!まさに、[ピーーー]ば助かるのに・・・どうせ死ぬなら強く打って死ぬでした。京太郎も死ぬ事で死中の生を拾った。
アカギは打った理由の説明と的確な助言が出来るので、後輩の指導に向いている気がします。

部長の場合、念願の全国が手に届く位置に来て、後人の指導が頭から吹っ飛んだのは無理もないけど、出来なかったではなく、しなかったじゃ・・・


606VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:56:11.78Cn2Xkvj8o (2/4)

>>603
京欝SSって割と見る気がするが
エタってたりするけど


607VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:57:17.24VOF35jlC0 (3/11)

>>606
悪いのがどんどん増えそうだよ
主に清澄メンバーを作者が断罪するような奴・・・


608VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:59:28.74itApx4wdo (1/1)

そうか、京久やったんやな……このスレ


609VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:59:36.12UvTUpWP1o (1/3)

麻雀に関わった時間とか考えても良く頑張ったなぁ

でもコレってものすごく良い平凡な話で鬱ではないと思う


610VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:59:36.63Xm37idJuo (2/4)

>>603
それほど鬱な作品ではないと思うけどな
ただ京太郎を生贄に捧げることによって面白くなったSS、という酷く捻くれた読み方もできるからなあ


611VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 00:59:46.14hO0/r65Bo (1/2)

鬱じゃなくて大多数の一般人は新人戦敗退するし良くある青春の1ページじゃない?
レギュラー落ち・個人戦負け・怪我してマネージャー化とか運動部なら割とある事だしね


612VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:00:24.77WZ0be9vjo (1/1)

え、俺むしろ京太郎が幸せなSSを書こうという意志が固まったんだけど


613VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:00:29.08Vjdoh7TDo (2/12)

>>603
そんな不確定な事を一々言わなくて良いと思うよ。
名作であるのは確かだし、影響を受けるスレはあるだろうけれど。
そういう言い方はスレ立てて、ここまで書いてくれたイッチに失礼だと思った(コナミ感)


614VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:00:49.71VOF35jlC0 (4/11)

思うにここまで原作の歪みを突っ込んだssは今までなかったよ。
原作からして一部を除いて能力持ち≧能力なしだもの。


615 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:01:00.068McqTxHHo (43/83)

もう少ししたらエピローグを投下していきます。
(※注意 人によっては気分を害する内容かもしれません)


616VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:01:16.24lg+roRP5o (1/3)


すぐオカルトとか異能に逃げるスレより100倍面白いわ


617VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:01:44.23qxWMhwzIo (1/1)

安易に上がらせるんじゃなくこの展開
上手いとしか言い様がないな


618VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:02:04.30+k7tCDy00 (1/1)

いやいや、ここから全国武者修行兼各地のおもち(がない)娘とフラグを立てる旅が始まるんだろ?


619VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:03:17.7575q/omNF0 (2/8)

断罪といってもロッカーは若さ故の過ちで悪いわけじゃない。
清澄麻雀部にもう一人、戦力外がいればお互い切磋琢磨出来ただろうけど、京太郎は魔物の中に紛れ込んだ兎かハムスター一匹だし。部を続けるとしたらマネージャーに専念するしかない。
京太郎に部を続けさせる為には麻雀をさせない。麻雀をさせるためには京太郎を退部させる。究極の二択、どっちを選ぶか。


620 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:04:21.508McqTxHHo (44/83)

ではエピローグに行きますー


621 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:05:02.918McqTxHHo (45/83)

それからも京太郎はただ麻雀を打ち続けた。
毎日毎日、打ち続けた。
そして、毎日のように麻雀部メンバーに負け続けた。

久が学校から去り、新入生が入ってきたときも打ち続けた。
ほかのメンバーに比べての実力の低さを笑われるときもあったが、それにも負けずに打ち続けた。
その真摯な姿に後輩も感じ入るものがあったのか、不思議と男女問わず信頼を得るようになった。
もともと、人当たりのいい性格と言うこともあり、慕われるようになった。

夏の大会で2回戦負けしたときも打ち続けた。
男子はメンバーが集まらず団体戦には挑めず、個人戦での参加となった。
その時、初めて公式戦で1勝をあげることができた。
結局2回戦負けとなり、清澄は女子だけ、などと揶揄されることもあったが勝利に胸を躍らせた。

夏の大会後、まこから部長職を引き継いだときも打ち続けた。
京太郎は自分の実力も考えて和のほうがいいと強く固辞したが、京太郎以外の一同が京太郎を推薦した。
結局京太郎は部長職を引き受けた。
周りからは一番実力が無い者が部長はどうなのかと懸念の声もあったが、それでも周りが京太郎を盛り立てた。

秋の新人戦で後輩たちが活躍したときも打ち続けた。
数少ない男子メンバーの一人が全国への切符を手にした。
もともと中学から打ち込んでおり、京太郎が教えられることはあまり無かったが、
それでも京太郎は後輩をかわいがり、公開も京太郎を先輩として敬意を持って接した。
その後輩が全国への切符を手にしたときは自分のことのように喜び、泣き、称えた。
胴上げをした際に危うく落としかけ、まこと和に酷く叱られたこともあったが。



622 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:06:13.198McqTxHHo (46/83)

そして、まこが卒業を控え最後に1卓囲んだときも京太郎は全力で打った。

「あっという間の3年間じゃったな。もう打つことが無いと考えると寂しくなるのぅ」

まこは麻雀中そんなことをぽつりと言った。
京太郎はそれを聞いて、何を言ってるんですか、と前置きした後に言った。

「みんな卒業してからでも、それこそ就職してからでも、打ちましょうよ。だって」

京太郎はにっと笑いながら残りの4人に笑いかけた。

「俺、まだ皆に勝ってないんですよ? 勝ち逃げは許さないです」

そういうと、全員がとても嬉しそうに、可笑しそうに笑った。

「そうじゃな……。うん、そうじゃったな」

「えぇ、時間を見つけて、また皆で打ちましょう」

「京太郎もたまにはいいこというじぇ!」

「ゆ、優希ちゃん。それはちょっとひどいよ」

「そうね、私も大賛成よっ!」

「どわっ! 竹井先輩、どっから出てきたんですか!」

そしてその局も勝てなかった。
それでも、打ち続けた。
辛いことがあっても、苦しいことがあっても、敗北に心が折れそうになっても、ただ、ひたすらに打ち続けた。



623 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:07:07.708McqTxHHo (47/83)

――――――――――――――――――――

―――――――――――

――――――

「ツモ。嶺上、混一色、ドラ3。3,000-6,00です!」

「ふぅ、最後の親が終わってしまいました……」

咲の発声に和が呻いた。ここまで焼き鳥だった咲の改心のアガリで点棒状況は大きく変動した。

『オーラス開始時』
京太郎 22,300
咲   26,600
和   13,300
優希  37,800(親)

「満直跳ツモで逆転か……」

あごに手を触れ、ざらざらとした感触を感じつつ京太郎は点棒を確認した。

「さて、京太郎。私をまくれるかな?」

オーラス、トップで親を迎えた優希がどこか不遜な態度でそう言った。
それに対して京太郎は口元に笑みを浮かべた。

「言ってろ。今日こそまくってやる」

そう言いながら京太郎は配牌を取った。
全員が、トップを取るために真剣な眼差しだった。

『京太郎配牌』
24m35779s34p東西北北 ドラ北

ドラヘッド。この状態から何かしらの手役を作れば跳満が見える。
配牌を見て、こういった状況で逆転の種が来てくれたことに感謝する。

「……(今日こそ、決めるんだ)」




624 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:08:28.318McqTxHHo (48/83)

場は進んでいく。優希を除く3人はごく普通の捨て牌だが和は捨て牌から国士無双であることが伺えた。

【8巡目】
『京太郎手牌』
45m57799s344p北北北 ツモ6s ドラ北

(いける、か?)

手ごたえを感じるカンチャン引き。7索を切り出す。だが、まだ手役が足りない。
ドラは6巡目に暗刻らせることはできた。だが、手役は見えずツモっても裏ドラ期待の手となってしまっている。

(咲なら、ここで北を引いてくるんだろうな)

そう思いながらツモに手を伸ばす。

【9巡目】
『京太郎手牌』
45m56799s344p北北北 ツモ9m ドラ北

(4枚目……)

場に3枚見えている9萬。
和の捨て牌が露骨に国士無双を訴えかけていた。
この9萬を止めることは出来るが、それだとほぼアガリを逃すことになる。

――国士無双。32,000です――

いつかの記憶を振り払うように、大きく息を吸ってから、切り出す。
和がちらりと京太郎のほうを見るが、発声は、かからなかった。
京太郎は胸をなでおろす。

そして、和のツモ番になった。

【和手牌】
1m19s19p東東南南西白発中 ツモ北

(一手間に合わず、ですか)

自分はここまでだ、和はそう思いながら心の中でため息をつき、場切れの白を切り出していく。

(後は、3人にお任せしましょう)



625 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:09:20.108McqTxHHo (49/83)

そして、10巡目。

(裏期待じゃ、駄目なんだ)

そんなことを思いながら京太郎は山に手を伸ばした。
裏ドラも確率である。乗る人間、乗らない人間と言うのもオカルトな話だ。
だが、京太郎は今までの経験上、こういう状況で裏ドラ期待の手を売って乗った試しがなかった。
ただ、聴牌したらリーチを打たざるを得ない。

(だから、俺に、あれを……くれ!)

京太郎は、強く念じながら力強く牌をツモった。

【10巡目】
『京太郎手牌』
45m56799s344p北北北 ツモ【5】p ドラ北

(! お前を待ってたぞ!)

待望の赤5筒引き。これで4役。リーチをかけてツモれば文句なしの跳満である。

「リーチ!」

力強く発声して、場に千点棒を出した。



626 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:09:47.058McqTxHHo (50/83)

(来たね、京ちゃん)

【10巡目】
『咲手牌』
333【5】5578m45567p ツモ7p ドラ北

その同じ巡目で咲も聴牌を入れる。
ツモれば2000-3,900でトップに届く。

(私だって、負けないよ)

先も5筒を切り出し追いかける。
それを見受て、優希は自分の手を睨みつけた。

(2軒リーチか)

もとより、優希は配牌がガタガタであり、ツモも噛み合わなかったためいまだ2向聴である。

(こりゃ、流局期待だな)

即オリを選択する優希。奇しくも、咲と京太郎の勝負と相成った。
11巡目、12巡目、13巡目……。
重苦しい場が進行していく。京太郎も咲も強く、強く念じながら牌を取っていく。
よもやの流局か、と和が思った、15巡目。

勝負はその巡目に付いた。




627 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:10:26.358McqTxHHo (51/83)

「ツモ!」

『京太郎手牌』
45m56799s34【5】p北北北 ツモ3m ドラ北 裏ドラ 2s

「リーヅモドラ4! 3,000-6,000だ!」



『終局』
京太郎 35,300(+13,000)
咲   22,600(-4,000)
和   9,300(-3,000)
優希  31,800(-6,000)



628 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:11:01.728McqTxHHo (52/83)

京太郎がそう宣言した後も沈黙が包まれた。
そんな中、咲が嶺上牌に手を伸ばした。なんとなく咲はわかっていたが、そこにあったのは9萬。
京太郎の引いた3萬を自分が引けばカンして嶺上ツモアガリであった。
咲はそれを見てくすりと笑って、言った。

「京ちゃん、トップだよ。おめでとう」

最初京太郎は呆然と我を失っていたようだったが、見る見る顔が血色ばんできて、喜びを爆発させてた。

「よっっっっっっっっしゃあああああああああああああああああ!」

あまりの声の大きさに周りの卓に座っていた者たちが何事かと京太郎の達を見た。
席から立ち上がり大きくガッツポーズをする京太郎。
雄たけび、と言っても過言ではないような勝利の咆哮であった。
世界中で今一番幸せなのは自分だ、そういいきれそうな満面の笑みだった。

「す、須賀君、声が大きいです」

和は京太郎の大声に思わずたしなめた。

「あ、あぁ、す、すまん」

京太郎はあわてて周りの人間にすみませんと頭を下げた。

「まぁ、でも、無理もないなー。長かったな、京太郎?」

優希はそんな京太郎の様子を嬉しそうに、本当に嬉しそうに見ながら言った。

「あぁ、ほんと」

京太郎はその言葉に頷きつつ、天井を見上げて言った。

「ここまでくるのに、15年もかかっちまった」



629 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:11:58.188McqTxHHo (53/83)

最上級生になり、それぞれの進路に向けて歩き出し、別々の道を進んでも京太郎たちはこうやって集まり時たま麻雀を打っていた。
それぞれが働き始め、仕事や居住地の都合もあり学生時代とくらべれば頻度は下がった。全員集まらないことも増えてきた。
それでも、その機会が途絶えることはなかった。

そして、15年目の今日、京太郎はようやく大願を成就した。

「まったく。もうみんなそろって三十路になっちゃったじぇ」

優希はみんなといると時々こうやって昔の口調に戻るときもがあった。
本人は気づいていないようだがあえてだれも指摘しなかった。

「だな。俺らも老けたな」

そう言いながら、京太郎は伸びてきた顎髭を撫でた。

「……やめてください。現実に戻さないでください」

「和は最近、年齢の話になるとそんなんだな……」

「女にはいろいろあるんです」

ぷいっと顔を背ける和。優希はそれを見て和をからかう。
そして咲は感慨深げな顔をしながら微笑み、誰にともなく言った。

「でも、とうとう、負けちゃったね、私たち」

「えぇ。今の須賀君の実力と確率を考えれば遅すぎるぐらいですが」

「まったくだじぇ」

3人娘――今もこの表現が正しいかは疑問だが――は笑いあった。
それを見て京太郎は笑いながらも少し真剣味を取り戻して言った。



630 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:13:32.478McqTxHHo (54/83)

「でも、皆には感謝してるよ」

「……どうしたの、京ちゃん?」

「15年間、たくさんたくさん打った。たくさん負けて、いろいろあって喧嘩したり、気まずくなったこともあったよな」

その言葉に3人は何かを思い返すような顔をしながら、京太郎の言葉の続きを待った。

「で、やっぱり仲直りして、またぶつかったりしたりしたけど」

「麻雀に関しては一度だって、手を抜かなかった。俺のことを1人前の雀士として扱ってくれて、いつだって全力だった」

「卒業後もそれぞれがそれぞれの形で麻雀に携わり続けて」

「皆、ずっと強いままで居てくれて」

「それが、なんていうか、すごく、うれしかった」

ありがとう、そう言って京太郎は3人に頭を下げた。
それを見て和があわてた様に言った。

「やめてください須賀君……どんなときでも、相手に対して全力を尽くすのは礼儀です。当たり前のことですよ」

「そうだよ、京ちゃん。そりゃ確かに京ちゃんにも勝ってほしい、って思うことはあったけど……手を抜いて京ちゃんが勝っても、それは京ちゃんを傷つけるだけだもん」

「そうそう、ライオンはウサギを狩るのにもなんとやら、ってやつ」

「ほざけ、タコス娘」

最後の優希の発言につっこみを入れつつ京太郎は笑った。
それに対して優希も笑うが、少し寂しそうな顔をして、京太郎に尋ねた。



631 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:14:30.208McqTxHHo (55/83)

「なぁ、京太郎?」

「なんだ?」

「京太郎は、これで満足か? 私たちに勝てて、もう、満足か?」

優希は恐れていた。
京太郎が自分たちに勝ったことにより、満足してこうやって皆で集まる機会は失われてしまうのではないか、と。
だからここ最近、優希は京太郎の勝利を願いつつも、心の底では勝ってほしくない、そんな複雑な感情を抱え、後ろめたい気持ちだった。
だが、優希のそんな発言を京太郎は軽く笑い飛ばした。

「なーに言ってんだよ! たったの1勝だぜ? 俺がお前らに何敗してると思ってるんだよ?」

尋ねた後、数えるのも面倒なぐらいだ、自分で答えて軽く笑った。

「これから俺の逆襲劇が始まる! 勝って勝って勝ちまくって、今までの負けを取り返してやる!」

そういうと京太郎はふっと落ち着き、何か訴えかけるように、ゆっくりと語った。

「だから、さ。これからも打とうぜ。もっともっとおじさんおばさんになっても、爺ちゃん婆ちゃんになっても」

一旦言葉を切り、その先を万感の思いを込めて、言った。

「俺は、このメンバーで麻雀が打ちたいって、そう思うんだ」



632 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:15:11.728McqTxHHo (56/83)

優希はその言葉を聴いて涙がこぼれるのを我慢できなかった。
自分だけではなった。もっともっと打っていたい、と言うその気持ちを持っているのは自分だけではなかった。
そう思うだけで、とても嬉しくて涙が出た。

「ま、まったく、犬の癖に、な、泣かせやがって」

「ゆーき……」

和は優希にハンカチを差し出し、優希はそれを受け取って目頭を拭った。

「あー、年取ると涙もろくなっていかんじぇ」

そう言って優希がぼやくとそのタイミングで和の携帯がなった。

「あっ、染谷先輩。竹井先輩と合流できました? はい、はい……はい、わかりました。じゃあ、今行きますね」

和は携帯を切ると脇においてあった車のキーを手に取り立ち上がった。

「染谷先輩と竹井先輩が合流して駅まで来てるそうです。ちょっと迎えに行ってきますね」

「おっ、そうか。今日は久しぶりにあのメンバーが揃うから楽しみだなぁ」

「おっと、のどちゃん、私もいく!」

「和ちゃん、気をつけてね」

「はい、それじゃあちょっと行ってきます」

そう言って和と優希は店を出て行き、京太郎と咲が残された。


633 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:16:11.608McqTxHHo (57/83)

「さーて、ちょっと休憩だな」

京太郎は手元のウーロン茶をすすり、肩を軽く回した。

「うん……」

(今なら……聞けるかな?)

咲の心には1本の棘が刺さっていった。
15年前の京太郎とのあの1件で心に刺さった棘であった。
あれから京太郎の中は修復され、ずっと仲のいいまま過ごし続け、傷は塞がったが、その棘だけは残り続けた。
その棘は京太郎と話しているとき、麻雀を打っているときに時々ちくりと痛んだ。

「ねぇ、京ちゃん」

その棘が刺さる原因となったあの一言、今だったらもう一度聞ける気がする。
咲はそう考え、京太郎に呼びかける。

「ん、どうした、咲?」

京太郎は咲のそんな決意を知らずいつもの笑みを浮かべながら咲に向き直った。
口を開こうとするが、直前になってまた迷い始めた。


634 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:17:19.098McqTxHHo (58/83)

(怖い、怖いよ。また、またあんなことになったらどうしよう)

(やだよ。あんな、あんな苦しいの、もう……)

あのときの絶望感は今思い出すだけで心が引き裂かれそうだった。
それを味わうぐらいだったら、棘の痛みぐらいには耐えるべきなのか。

(……でも)

咲は一瞬そう考えたが、自分の考えを否定した。

(でも、でも、私、私はやっぱり)

(聞きたいよ)

(京ちゃんの、あの言葉が聞きたい!)

決意して、咲は口を開いた。
声が震えないように大きく息を吸い込み、ゆっくりと噛みしめるように言った。

「京ちゃん。京ちゃんは……」



635 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:17:45.468McqTxHHo (59/83)






「私たちと麻雀を打って、楽しい?」








636VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:18:34.888McqTxHHo (60/83)

その一言を聞いて京太郎はぽかんとした顔をする。
言ってしまった、もう後戻りはできない。
そう考えて咲は叱られる寸前の子供のような顔で京太郎の言葉を待った。
最初はぽかんとしていた京太郎は――満面の笑みを浮かべていった。




「何言ってんだよ咲。馬鹿だなお前、当たり前だろ」





「すっげー楽しいよ、お前らと打つ麻雀!」


637 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:19:17.438McqTxHHo (61/83)

(!)

それは15年前に咲が聞きたかった言葉であった。
15年間咲が聞きたいと願っていた言葉であった。

(聞け、た)

それが今日、ようやく叶った。
咲の心に刺さった小さな棘、それがようやく抜けた。

(よかった、本当に、よかった)

咲の目から涙が一粒零れた。

「さ、咲?」

びっくりしたように京太郎が咲に声をかけた。
一粒零れたらあとはもう止めようがなかった。
ぼろぼろと涙をこぼし始める咲。

(よかった……よかったよ……)

自分でも泣きすぎだと咲は自覚していた。だが、涙が止まらなかった。
堪えようとも止めようともしているのだが、まったく止まる気配はなかった。

「咲、どうしたんだよ突然、だ、大丈夫か?」

京太郎がおろおろとしながら咲に声をかける。
咲はそんな京太郎の姿を見て涙を拭いながら考えた。

(ほら、京ちゃんが心配してる。私も言わなくちゃあの一言)

「京、ちゃん……」

「お、おう。どうした?」

京太郎が動揺しながらも返事を返す。
咲は涙を流しながらも笑顔を咲かせて言った。



638 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:19:53.038McqTxHHo (62/83)








「私も、京ちゃんと麻雀打てて、すっごく楽しいよ!」








639 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:20:34.898McqTxHHo (63/83)

カン!

一度使ってみたかった、この結び。


640VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:21:00.09VOF35jlC0 (5/11)

乙でした・・・・


641VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:21:20.52e3AapIYu0 (2/5)

おつー
すばらでした!

さすがに15年後って言われた時は噴いたけどww


642VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:21:42.31UVAyrW5zo (1/4)

完結乙
面白かった

が、正直15年はギャグにしかならんて


643VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:22:22.65GeykbC+m0 (1/2)

おつやで
まぁハッピーエンドでよかったわ
やたらと読み手のネガティブが気になったけど


644 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:22:53.278McqTxHHo (64/83)

弱者の闘牌が書きたかった。
聴牌入れるのも苦労して、焼き鳥だって嘆いて、デカい手打ち込んで凹んで、形式聴牌を取るのにヒーコラする。
そんなのが書きたかった。

咲本編に不足気味の青春物語が描きたかった。
友情があって、努力があって、挫折があって、涙があって、絆があって。
そんなのが書きたかった。

後悔はしていない


645VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:23:38.36Vjdoh7TDo (3/12)

乙ー!
ここの京ちゃんには本当、不撓不屈と言う言葉が良く似合うと思う。
本当にたった一回の勝利の為に何百回と敗北を繰り返してきたんだなぁ…。
それで最後まで皆で打つ麻雀が好きと言える京太郎が凄いと思いました。
小学生並みの感想だけれど、本当にこれしか思い浮かばなくて申し訳ない…。
京太郎もイッチも本当にお疲れ様でした!


646 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:23:45.718McqTxHHo (65/83)

ちなみに好きな言葉は1流のバッドエンドより3流のハッピーエンド。

っていうかバッドエンドにできなかった意志薄弱な>>1


647VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:23:50.26Xm37idJuo (3/4)


時間が経たないと解決しない、変わらないことってあるなあと思います

だが15年は予想外すぎて戸惑った、っていうか望んでいたものとは違った
あくまで個人的にそう思っただけだけど、>>1の苦悩を感じた、何にせよ乙でした


648 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:25:42.228McqTxHHo (66/83)

ちなみに私は友人に格ゲーで15年負け続け比較的最近ようやく1勝を挙げました。




649VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:26:45.82ttQKUP5lo (1/1)

すばらすばらアンドすばらです

お疲れさまでした


650VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:26:48.80VOF35jlC0 (6/11)

>>643
一言多いな
まぁ全部投げっぱなしエンドでも完結するだけ他より遥かにましだけどさ
もやもやはどうしても否めないわ・・・



651VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:26:59.48me7JkBhj0 (1/1)

乙乙
自分、涙いいすか?


652VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:27:06.20Vjdoh7TDo (4/12)

あの大会の後、またボロボロになって今度こそ退部するって言うバッドエンドはリアリティがあるけれど、
俺はこのエンディング好きだよ。
15年後も皆が一生、付き合っていける下地を感じさせて、
とても良いと思う。

後、イッチのお陰で京太郎スレ作る事にしたよ。
こことはまた路線が違うけれど、縁があったら見て欲しいと思う。


653VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:27:50.44euFA0+rXo (1/2)

お前のもやもやとかどうでもいいけどな


654VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:28:49.97dcEKULZMo (1/1)

乙!
麻雀頑張ろうと思った(小ナミカン)


655VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:30:53.09lg+roRP5o (2/3)




656VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:31:48.2975q/omNF0 (3/8)

乙!
15年後だと、酒の席で
京太郎「あの時は見限られたのかと思って不安でしょうがなかったですよ(笑)」
久「あの時、貴方に何も出来なかったのは悪かったって何度も言ったじゃない」
優希「何も出来なかったというより何もしなかった、させなかったが正しいじぇ」
咲・和「あははは・・・」
久「はう(胸を押えて蹲る)」
まこ「はは・・・耳が痛いのう」
京太郎「でも、雑用ばかり任され、何も教えて貰えず練習も余り出来なかったけど…俺の指導に時間を取られずみんなが練習に集中できて全国を取れたのは良かったと思うぜ」
とか笑い飛ばしていそうです。


657VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:32:31.52e3AapIYu0 (3/5)

いやー俺もこのエンディングでよかったと思うな。
最終回からエンディングに続く流れの描写は素晴らしかったわ。
逆にあそこで辞められてても違和感出たんじゃねえかな。
ほんまおつやで。他のネタも楽しみにしてるわ。


658VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:33:06.52UvTUpWP1o (2/3)


面白かった


659VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:34:09.47MuEm/Kt5o (1/1)

おつおつ面白かった


660VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:35:12.01VOF35jlC0 (7/11)

>>653

傑作というより問題作だわこれ・・・
TVアニメエヴァみたいな感じだ






661VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:35:31.21pOx0DXSr0 (1/1)

おつ
あんまりカタルシス感じなかったけど良い終わり方だったよ。
最後はもっと京太郎の心理描写を入れたら良かったんじゃね?って思った。


662VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:36:05.559dZ83Kp10 (1/1)

色んな配牌があってこそ。
色んなツモがあってこそ。
色んな和了があってこそ。
色んな放銃があってこそ。
色んな理不尽があってこそ。


麻雀だもの。

         しげる


663VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:37:54.74r1PpbgzG0 (1/2)

乙ー。まさかまさかの展開だったけどすっげぇ面白かった!!
勝つまでに15年ってのは正直やりすぎと思うけど、それだけの時間が必要だった以上はただ単に偶然が味方しただけじゃなく、彼女らとの間にある差を一つ一つ埋めていった結果のなんだろうなと思えてむしろ希望が増した感もある!
やたらと暗くもむやみに明るくもないけど心に染み入るこの作品らしい、いい意味でグレーなラストだったと思います、素晴らしい作品をありがとうございました!!


664VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:40:05.04I+8k+bejo (1/2)

エヴァのアレは正真正銘の超展開卓袱台返しENDでしょう……

このエンディングは理解できるし納得できる
なんていうか、安心した


665VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:41:19.98ufKzBl/ko (1/5)

完結お疲れさまです

高校の時やってた部活で全然勝てなくて、
あっさりやめちゃった俺にはいろいろ突き刺さるSSだったな
たしかにカタルシスはないかもしれんが、素直にこの京太郎には拍手を送りたいよ


666VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:41:58.24jF37acv+0 (1/2)

>>660
ずっとsageないお前の方が問題だけどな


667VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:42:24.36Vjdoh7TDo (5/12)

>>660君!ワイと一緒にROMに戻ろう。な?(マジキチスマイル
後、本気でそう思ってるんだったら、
どういうところでもやもやしたとか、
どうして投げっぱなしだと思ったかとかちゃんと言った方がええで!
その方がイッチも次に活かしやすいやろうし。


668 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:42:42.648McqTxHHo (67/83)

あっ、おまけ投下します。

注意!)読後感を台無しにする可能性がありますので嫌な方はそっ閉じ推奨!


669VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:44:03.958McqTxHHo (68/83)

(ある日のこと)

「ところで竹井先輩」

「なぁに?」

「以前加治木さんと打ったこと、覚えてますか」

「忘れるわけないでしょ……あれは悪夢よ」

「よかった、忘れてないんですね」

そういうと京太郎は悪魔の笑みを浮かべる。久は思わず後ずさりした。

「あの日の結果ってこうなってたと思うんですけど、間違いないですよね?」

店員  73000
久   -23000
京太郎 25000
ゆみ  25000

「えっ、えぇ」

「はい、店員さんがトップ。先輩がラス。これはいいです」

「そ、そうだけど?」

「俺と加治木さんは当然同点ですが……俺のほうが上家なんですよ」

「……」

「つまり、俺が2位で加治木さんが3位」

「……それで?」

「先輩、あの時言いましたよね。『私と加治木さんより順位が上ならご褒美あげる』と」

「う、うぐ」






670VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:44:21.84VOF35jlC0 (8/11)

いやいきなり時間すっ飛ばしたり
最初に提示した問題をさっぱり手付けないあたりそっくりだよ。

こういう作品は二次創作(この場合は三次)がたくさん作られる。





671VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:44:33.176RzBROqno (1/1)

いまから>>382の分岐やね(ニッコリ


672VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:44:47.28Vjdoh7TDo (6/12)

これはロッカーやろなぁ…


673 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:44:56.178McqTxHHo (69/83)

「あの時はあまりの衝撃に忘れてましたけど……まだその『ご褒美』もらってないですよねぇ」

ずぃっと久ににじり寄る。久はびくりとしながらもため息をついた。

「しっかり覚えてたのね……」

「当り前です。さぁ! パンツ! パンツ!」

「もう……。まぁ、約束は、約束だからね」

そういうと久は自分のスカートの裾を持った。囃し立てていた京太郎も思わず黙り込む。
久は、裾を持ったまま、ゆっくりとまくりあげていく。
タイツに覆われた久のふくらはぎが見える。京太郎は、思わず生唾を飲み込み瞬きもせず眺め続けた。

「す、須賀君。ごめんね、ちょっとだけ、目をつぶっててもらっていい?」

恥ずかしさに耐えきれなくなったのか、久は京太郎が今まで見たことがないような羞恥の表情で言った。

「ねぇ、お願い……」

京太郎が反論しようとするが妙にしおらしい態度に思わず反射的に目を閉じる。

「ありがとう」

そういうとごそごそ、と物音が聞こえる。
京太郎は今か今かと落ち着かない気分のまま、立ち尽くした。

「はい、いいわよ」

その声とともに、京太郎の手に何かを握らされた。
目を開けた瞬間握らされたものを、見た。


674VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:46:01.64I+8k+bejo (2/2)

>>670
手法の話だったのか、すまん


675 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:46:04.768McqTxHHo (70/83)












それは、パンツだった。まごうことなき、一点の曇りもない、パンツであった。















676VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:46:49.6175q/omNF0 (4/8)

咲達もピークを過ぎて相対的な差が縮んだ点、能力に陰りが生じ昔のような支配力が発揮出来ず経験による読み、技巧、ツキの割合が増してきた事も有るかと思います。
能力抜きでも充分強い訳ですから全く勝てないが、稀に勝てるに変わっただけかもしれない。京太郎も長く打っているので変化に気付き、みんな老いたなと勝って嬉しい反面、どこか寂しく感じているかも。


677VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:47:28.42GkS/Opwpo (1/1)

強調すんなwwwwww


678VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:48:28.32VOF35jlC0 (9/11)

>>674
いやいや
実際このssはエヴァみたいに何もかも放り投げてはないと思う。
なんかかゆいところに手が届かないというか・・・



679VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:49:10.04VOF35jlC0 (10/11)

またsage忘れた
ごめんなさい



680VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:50:03.40e3AapIYu0 (4/5)

誰のパンツだよww

>>678
今んとこ自分の思うようなエンディングじゃなくて不満でしたってしか見えんぞ


681VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:50:04.34Vjdoh7TDo (7/12)

京ちゃん!それを言い値で買おうじゃないか(ゲスカオ

>>670
TVアニメ版は時間飛んでないし、新劇だったらまだ終わっとらへん。
もう一個言うなら最初に提示した問題は15年掛けて京太郎が勝った時点で答えではないけれど
それらしいものは出しとると思うよ。
後、安価スレでもないのにID真っ赤なんは恥ずかしいし、age続けると本格的に荒らしやと思われるで!
同じくID真っ赤なワイとROMに戻ろう。なっ!



682VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:50:19.0375q/omNF0 (5/8)

ロッカーの卒業前なのか、後なのか。


683 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:50:26.008McqTxHHo (71/83)

ただし、未開封のものであったが。



「竹井先輩……?」

思わず目の前の久を見る。さっきまでのしおらしさはどこへやら、いつも通りの悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

「須賀君がいつ言いだしてきてもいいように、持ち歩いていたのよ。その婦人用サービス価格の298円のパンツ」

「い、いや、そうじゃなくてですね?」

「あら? 私はパンツを見せてあげると入ったけど、私が履いているパンツを見せるとはいってないわよ?」

「へっ、屁理屈だーーーーーーーーー!」

思わず叫びながら手に持ったパンツ(未開封)を地面にたたきつけた。

「残念だったわね、須賀君! まだまだ修行が足りないわ!」

そういいながら久は笑いながら去っていく。
後には京太郎がただ一人残された。

「……どうすんだよ、これ」

そういいながら思わず叩きつけたパンツを拾い上げる。
その時、後ろから何かの気配を感じ振り返った。

「京ちゃん……何、もってるの?」

「さ、咲ぃ!?」



684VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:51:18.78jF37acv+0 (2/2)

ぼくのりそうのえんでぃんぐじゃなかったのできにいらないよ

これだけだろ 具体案も出さずに手が届かないだの問題作だの


685 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:51:42.268McqTxHHo (72/83)

こんどこそカン!

最初は本編中でやろうと思ったんですけどいろいろ台無しなのでおまけに持ってきました。


686VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:51:54.54H9m68B7Io (1/2)

(あ、死んだな……)


687VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:52:26.98GeykbC+m0 (2/2)

ID:VOF35jlC0にはもう触れるなって!
これ以上騒いだら焼けばいいだけの話なんだし


688VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:52:54.05Vjdoh7TDo (8/12)

いや、落ち着いて良く考えるんだ。
これって何時京ちゃんがパンツの事言い出すかドキドキしながら待ってたロッカーが居たって事だろ?
あざといな流石ロッカーあざとい


689VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:53:09.03euFA0+rXo (2/2)

(確実に死んだな・・・)


690VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:53:46.49e3AapIYu0 (5/5)

本編中でやる予定があったのかよww
おつ。


691VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:55:04.653icYszXLo (1/1)

騒いでる間におまけが終わってたじゃないですかやだー!!
一点の曇りもないパンツで草生えた訴訟訴訟アンド訴訟

そしてお疲れ様でした。次回作期待っす


692VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:55:58.5175q/omNF0 (6/8)

卓上で咲から容赦のないオカルト役満を受け、後輩がドン引きするほど叩き潰されると。
咲にリタイア級にボコボコにされても麻雀を嫌にならずに続けられるタフさが京太郎が後輩から一目置かれる要因になったりとか。


693VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 01:57:49.69ufKzBl/ko (2/5)

どこに忍ばせてたかしらんが、これだけのために用意してたんかいw
咲が来るタイミングまで測ってたんじゃないのかと邪推したくなるわww


694 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 01:59:53.068McqTxHHo (73/83)

ちなみに>>382で考えていたもう一つっていうのは京ちゃんがオーラスで「理不尽」を味方につけることに成功して
相手を蹂躙しながら新人戦を勝ち進むんだけど、その能力はOFFにすることができなくてその能力の前には
咲たちの能力も無力で逆に咲たちが麻雀を楽しめなくなって部活に不和が……

とか考えてましたけど、やっぱハッピーにしたかった。



695VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:01:54.29Piz5k8OOo (1/2)

>>694
そっちもお願いします!


696VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:02:03.20lg+roRP5o (3/3)

変に能力つけなかったから面白かったよ


697 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 02:03:35.238McqTxHHo (74/83)

ともかく、予定より長くなってしまいましたがこの話は無事に完結でございます。
沢山のご感想、ご意見ありがとうございました。
明日の通勤時間中、改めてゆっくりと読ませてもらいます。

しかしなんだかんだで700レスぐらい使い切れてしまった……。
このスレは次回作安価のために使用することにして、本編自体は新スレを立てようと思います。

では、また明日改めて次回作の安価を取りたいと思いますので、
お時間があれば覗きに来てくれるとうれしいです。



698VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:03:59.96UVAyrW5zo (2/4)

15年間負け続けるのはもはや能力持ちと何も変わらないと思うが


699VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:05:28.71Xm37idJuo (4/4)

乙でした
次回作とは、色々書き込んだが素直に嬉しいです
待ってます


700VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:05:56.62VOF35jlC0 (11/11)

>>692
人として尊敬されるけど
でも実力がなきゃ麻雀での尊敬や信頼にはならないな。
1以外のエンドだとマネージャーになって麻雀を続けるのが一番合ってると思う。
さすがに1年やればルール知らない新入生にアドバイスとかできるだろうし。
新入生全員魔物とかなわけないし・・・


701VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:06:30.73sw1+Xnes0 (1/2)

乙でした。面白かったよー


702VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:09:09.75UXvVPyHIo (1/1)

乙ー!
名作ですわ。こういう京太郎SSはもっと増えてもいいと思う。


703VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:10:26.52Piz5k8OOo (2/2)


次回作も期待してるよー


704VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:12:04.9712EAoozio (1/1)


苦くて硬いでも面白かった


705VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:14:44.05r1PpbgzG0 (2/2)

改めて乙です。見返すと>>579の展開が染みるなー。京太郎は一位争いには最後まで加われなかったが、
だからといって勝負に影響を及ぼしていないわけではないという、麻雀を打つ上で忘れちゃいけないところを書いてる。
麻雀の楽しい所、ドラマティックなところを重点的に描いてる咲本編とうまい具合に対になった素晴らしい作品と思います。この京ちゃんにも麻雀で勝つ楽しさを十分に味わえる日があったと信じて……今までありがとうございました!


706VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:18:04.94ufKzBl/ko (3/5)

乙でした

IFルートはさすがにちょっとなぁ
このSSの京太郎には合わないと思うし、素直に尊敬できるからこれで良かったと思うよ


707VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:30:06.47UVAyrW5zo (3/4)

能力となることはなくとも、理不尽が京太郎に味方すること自体は起こるべきだったと思うけどね
15年間負け続けたことも相まって久の話が台無しになってるし


708VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:47:24.83gY99ELQdo (1/1)

面白かった
やっぱ挫折とか鬱屈した心情をちゃんと描く話はドラマがあって好きだわ

15年は長えとは思った、うん


709VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:50:16.69Qmn7Uv5W0 (1/1)

乙っす


710VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 02:52:18.53SW97eaNDO (1/3)

おつすばら!

ただ、全国屈指の打ち手たちに寄って集って鍛えられまくった京太郎が普通の新入生より弱いってのはさすがにやりすぎかなーと思いました(小波艦)




711VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 03:02:49.55HCIeU0Ivo (1/1)

乙でした
配牌もツモ牌もくそなら何したって勝てないもんだしな


712VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 03:08:59.04z/0jxqpDO (1/3)

いい話だ。
京太郎は異能はもってなかったけど、一番大事なものをもち続けたから報われたんだな。


713VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 03:42:59.06QMKt/Lkko (1/1)

あまり面白くありませんでした
こう言うと叩かれるんだろうけど、やっぱりもやもやしました


714VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 03:48:26.88/czZw9Xho (1/1)

なんぼなんでも15年はやりすぎ


715VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 04:02:48.19QefNk7710 (1/1)

もやもや厨うぜぇ、確かに15年はさすがに長いとは思うけど一々面白くなかったとかいう必要ないよね
あと、京ちゃん運なさすぎでもはやマイナスのレベルだな、描写を見る限り実力はついてるはずなのに


716VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 04:10:28.96Uc+7EX0to (1/1)

抜群に面白かった。もやもや感は確かにあるし、これを納得できる形で解決するのは困難だと思う。
それでも>>614が言ってくれてるように、皆が感じていながら扱いかねてた問題を
正面から突っ込んで書いてくれたことに尊敬の念を抱いてしまう。
15年云々もそのへんの歪みの表現というか、ノーマルエンドっぽくしながらも
いびつさを隠さないこの数字のほうが考えさせられる。


717VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 04:33:15.16t3I7wd7zo (1/1)

作品に対して産まれる感想は万人が同じでは無いから
感想に対して文句を言うのは筋違いとおも


718VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 04:45:50.194ifYPrss0 (1/1)

もやもや感があるのがいいんだろうに
ベストを尽くしてもベストの結果が得られない。だけど決してバッドでもない
このあたりが実にいい

全部の問題をくまなく全部きっちり解決する物語を想像してみればいい
それはただの算数のドリルみたいに味気ないものだから


719VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 04:52:38.57HAw4DiKko (1/1)

高校の三年間で勝てなかったのならこれぐらい時間かかってもおかしくないかもしれない
高校卒業後は対局機会が結構減ったようだし


720VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 06:33:32.64I9ER2q5AO (1/4)


パンツ渡したのが初めて咲達に勝った後の話にすれば不自然ではないな、うん


721VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 07:13:34.87tFUKfNjM0 (1/1)

ダ・サーク


722VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 09:22:08.44sahxIfbY0 (1/1)

簡単に復活したことと、その後の大会までの描写がほとんど無いということ、つらくても耐えれる理由が軽い、
それらが相まって、部を辞めると言うまでの過程に説得力がなくなった。


723VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 09:45:38.51UVAyrW5zo (4/4)

友情より重い理由ってなかなか無いと思うけど
麻雀自体に対する思いを理由にしてほしかったってことだろうか


724VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 11:14:35.22K0j50FW/o (1/1)

個人的には、持ってる持ってないの話で京太郎ってのは難しいんだなーとは思った
もってないから弱いって言いたくても、どうやっても初心者だから弱いってのが混ざるから
それがテーマに対するノイズになってた気はする


725VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 11:49:04.06tguyYCzAO (1/2)

京太郎「49か51か……今日はどっちに風が吹くかな」




マイナーかもだが麻雀職人による指導のもと天牌色に染まった京ちゃんも見たいなと


726VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 12:01:27.58coc1kKsno (1/1)


面白かったよ

苦しみながら打って、その結果の形式聴牌とその後の結果がもたざるものらしいなと思った
また1の闘牌描写ありのSSが見たいな


727VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 15:09:38.10sq2UPX4g0 (1/1)

説得力というと15年続けて一度も幸運が微笑まないなんてことがあるのか、とか
そういうところが若干気になるけど大した問題じゃない
大事なのは物語に引き込まれるかどうか
俺は序盤に咲ちゃんを泣かせるところからハートを鷲掴みにされてたよ


728VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 19:11:05.48lrXYZzEI0 (1/2)

面白かったです。
15年もかかってるけど、魔王さん達は京太郎が強くなるスピード以上に強くなっていって、
ここ数年でやっとそのスピードが衰えてきてようやく勝てたと解釈してます。


729VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 19:15:17.60SsL4D62Uo (1/2)

京太郎が全盛期の咲さんに勝つのは流石に何年も修行しても無理だろう
咲さんが歳を取って衰えてようやく勝てるレベルだと思う


730VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 19:16:40.9175q/omNF0 (7/8)

>15年続けて一度も幸運が微笑まないなんてことがあるのか
咲の世界なら普通に有ると思う。

ちょっと妄想
20年後、咲達と勝ったり負けたり(それでも全体的に負け越し)するようになり、自分が勝ちたかったピークの彼女達がいなくなった事を実感した京太郎は麻雀に対する熱意が急速に薄れて行くのだった。それでも半生を賭した夢を捨てる事は出来ず、麻雀を辞める事は出来なかった。
晩年の京太郎「勝ちたかったな…あの頃の皆に…」
京太郎の死後、経験も記憶も虚空に消えたが、最盛期の咲達に勝つその妄執とも言える行き場をなくした思いは過去の京太郎に憑依する事になる(二週目開始)。


731VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 19:53:52.46z/0jxqpDO (2/3)

全く本編と関係ないけど、京太郎は最終的に誰と結婚したのか気になる
てっきり咲と結婚したのかと思ってたけど…そんな感じじゃなさそう


732VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 19:55:04.35euyL+62ko (1/3)

>>731
この話的にはかじゅか部長じゃね?あくまで予想だが


733VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 21:00:12.33fjDYy0N00 (1/2)

もしかしたら咲とは「勝てたらプロポーズ」という話になってるのかも
でも実際はそんなロマンスはないんだよなー。まぁ飲み会で知り合った子と結婚してるとか
独身貴族を満喫してるとかそんな感じなんだろう
学生時代の恋なんてオカルト。現実は常にシビアだ……


734VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 21:12:58.30ufKzBl/ko (4/5)

最後のみんなとの会話からすると清澄の誰かではなさそうだが、
でも麻雀とも咲たちとも全く関係ない人と結婚してたら、
偶にとはいえこんな美女達と集まってると聞いたら嫉妬しそうだなw


735VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 21:25:44.6078fyaRIMo (1/1)

部長、かじゅなら理解ありそう
卒業したあとも気にかけてくれてそうだし


736VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 21:35:51.6075q/omNF0 (8/8)

何となく池田ァと結婚していそう。


737VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 21:52:44.28Vjdoh7TDo (9/12)

俺もあの卓の三人のやり取りを見るに結婚してなさそうだなぁ、と思った。
個人的にはかじゅであって欲しいが、あざとい部長も捨てがたい…。


738 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:08:55.938McqTxHHo (75/83)

            l   ヽ: : : :/. : : : : : : : : .\
           l  ,≦: :, < . : : : / . : : : : : . ヽ─ 、_
        /|/: :, <   \/<丿ノ |∧: : . ',: : : . .≧
        /.: /.: :/. : .\/ \       ∨: : l: : / /
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     /. : : : /. : : :, イ ====、     ´ ̄ ∨:| /
   _/ イ.: : :/. : :/V            ===、/.::|
       |/l.:/: : :人    ⊂⊃      '     / .:::|
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       V /.:/.:人: :l 、    l: : : : ノ   / :八 :|
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    ////// 〉、\  ヽ、   >- < /|::/   〃
  /////////> ‐- 、  、 /  |   `「厂l\/
 〃///////   、_〉、 ∨⌒ヽl   // //∧    _, - 、
 レ //////     、_」│  |   │ // ////∧┌〈_,   〉

帰宅後の次回作安価が楽しみで仕方ない仕事中の>>1


739 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:09:43.708McqTxHHo (76/83)

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     |\    。、    ノ ソ ノシ:;:;:;:;) ∥ /
     i  \_     _ - "   レ |:;ノ:;/ '
      |   `  /"´  \     レ
\     ー--_-/    {     ノ
\\    i  /     |
  \\  L  /  /|  ハ

部屋に入ってまず第一に異臭を感じる>>1


740 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:10:55.658McqTxHHo (77/83)

               ___
              ,..::';::;::::i、:::::、`ヽ
               /.._/!ハ;:、:!r:、....゙、 :: ヽ
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   `ー-、_ // ヽ i、、  /___/ ./ハヽ、. /|
     | `7/   iヽ、. | / ./=i  ヾ< iヽー┐
     |ノノ     Y\、レ/   ヾ/. `ー/ | ||
     `ー-r---、i  oY     ゙、ヽイ´  .| ||
          |    |    ハ      /-‐-、.|. ∥
          |   |   | i      |     ||
          |   |   o| ゙、      |      .||
          |..  |  |      .i       ||
          |     |   |       ゝ、    ||
          |   f-、  |      `ヽ    .||
          |   /   o|        ゙、   ||
_____ |   〈    .|       / >   ||
_____  ̄ ̄ ̄"""""ー――――-----、、、、、、、、
         ̄ ̄ ̄"""""ー――――-----、、、、、、、、

結局冷蔵室も壊れていて扉を開けてひどい悪臭にもだえ苦しむ>>1


741 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:12:15.818McqTxHHo (78/83)

はい、というわけで掃除とファブリーズ散布に1時間以上費やしました……。

そして30代ならもう結婚していると思い込んではいけない(戒め)
30代に近づくと、わかるで……


742 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:13:05.108McqTxHHo (79/83)

あ、次回作の安価はもう少ししたら出したいと思うので誰か踏んでくれるとうれしいです。


743VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:13:49.20PqNYd4L10 (1/2)

子供のころは30前後は、結婚して子供もいてマイホームで暮らしてるとおもってた…


744VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:15:03.95Vjdoh7TDo (10/12)

三人娘アラフォールートまったなし…だと…。
ちょっとのどっちに求婚してくる。

それはさておき、掃除乙。
次回作安価楽しみに待ってます。


745VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:16:19.39bfAevCE/0 (1/2)

高校生になったら彼女ができるとか思ってる中学のころ……
そして大学、社会人に


746VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:17:20.33euyL+62ko (2/3)

>>744
咲ちゃん→すこやん
のどちゃん→はやりん☆
優希→咏ちゃん

こんな感じなんだろうな……


747VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:17:41.56SsL4D62Uo (2/2)

一生独身でもいいじゃないの
人間だもの


748VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:18:19.88rJTa95lj0 (2/2)

ゾフィー兄さんこの話止めさせて!



749VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:21:50.37t8ercwqGo (1/1)

もうさ、結婚って聞くのも嫌


750VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:29:38.15tguyYCzAO (2/2)

アラフォー「麻雀が結婚しないでって、引き留めてくるんだよ」


751 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:32:11.978McqTxHHo (80/83)

自分で振っておいてなんですが鬱になるのでこの話はやめよう(震え声)

そして次回作ですが以前提示したもの以外にも候補を足したかったんですけど、プロットがまとまらずに挫折しました。
個人的に>>730はちょっと面白そうだなって思っちゃいましたけど流石にこのSS引っ張りすぎだしね……

んでは候補を出します。

1.京太郎「悪女」
  部長が部のために京太郎のことを体よく「利用」していく話(シリアス)

2.京太郎「俺が奴隷扱いされてるっていう噂が流れてる?」
  タイトルまんま(ギャグ)

3.京太郎「やらせてください! お願いします!」 まこ「なぜわしに言うんじゃ」
  タイトルまんま(ガチエロ……を目指す)  

というわけで初安価。ちょっとドキドキするなぁ。

↓7


752VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:32:52.89lrXYZzEI0 (2/2)




753VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:33:06.94Cn2Xkvj8o (3/4)

全部見たい


754VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:33:27.23sw1+Xnes0 (2/2)

1


755VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:33:50.41btR4wDSxo (1/1)

2


756VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:22.461ENYviN6o (1/1)

2だし


757VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:27.89Ljhxeipzo (1/1)

2


758VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:28.58Cn2Xkvj8o (4/4)




759VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:29.76euyL+62ko (3/3)




760VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:30.66I9ER2q5AO (2/4)




761VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:31.61PqNYd4L10 (2/2)




762VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:31.68VzihXKp8o (1/1)




763VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:36.97bfAevCE/0 (2/2)




764VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:34:38.29SW97eaNDO (2/3)




765VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:35:28.13vb9KbesMo (1/1)

>>758
サンキュースナイプニキ


766VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:35:29.08fjDYy0N00 (2/2)

この中なら1かな
まぁ自分が一番書いてみたいのでいいんじゃない?


767 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:36:14.518McqTxHHo (81/83)

皆どこに隠れていたの?

7とか遠すぎワロリーヌwww そんな人来るわけねーだろwww

とか思ってたらあっという間に埋まって思わず漏らしそうになりました。


768VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:37:10.29hO0/r65Bo (2/2)

京まこが見たかった


769VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:37:14.153f6adMi3o (1/1)

早いなオイ
とりあえず1を書いてから全部書けばいいんじゃないかな(ニッコリ


770VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:37:27.96m0+ZI/eOo (1/1)

2


771 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:40:47.518McqTxHHo (82/83)

というわけで次回作は部長モノとなりました。
プロットから順次起こしていくので早ければ明日、遅くても土日中には新スレを立てたいと思います。

全部は……うん、どうだろう。
安価スレもやりたいと言えばやりたいし。

どちらにせよまずは1を書き上げてからやな……


772VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:41:09.08I9ER2q5AO (3/4)

1か
ぶっちゃけ1はネタ的に外野が五月蠅くなりそうなんで嫌だったんだが……まあ安価の結果だ仕方ない


773VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:41:21.47SW97eaNDO (3/3)

いつか京まこがあると信じて臥薪嘗胆するよー


774VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:42:35.75Vjdoh7TDo (11/12)

ぐああああ、出遅れたあああ
イッチのシリアス描写は好きだけど、他にも見たいから、全部やってくれても良いんじゃよ?(チラッ


775VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:44:44.36q5ro/B6oo (1/1)

こいつァまた寝不足になりそうなタイトルだ(歓喜)


776VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:47:34.99fuX+LtOUo (1/1)

最終的にロッカーに入るんですよね(すっとぼけ)


777VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:48:26.89z/0jxqpDO (3/3)

出遅れた。決まるの早すぎィ!
2が面白そうだったけど…もう全部やってみたら?(適当)


とりあえず京太郎の前では悪女のように振舞いつつも、
心の底まで悪女になりきれない純な部長を期待


778 ◆CwzTH05pAY2013/03/06(水) 22:55:19.368McqTxHHo (83/83)

うむ、自分でプロット眺めても思う。
これは荒れる(断定)


とは言え、本作も絶対に

「京太郎ウジウジしすぎうぜぇ」

とか叩かれることを覚悟していたんですけど同情的な意見が多くて驚いた>>1
ほんと皆様の声援で何とか書ききれました。多大な感謝を。

残りスレは小ネタでも投下できたら投下していこうと思います。


779VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:55:47.09UvTUpWP1o (3/3)

コレだけのものかけるんだからわざわざ外野がああしろこうしろ言う必要は無いかなぁ
要望なんて基本個人の趣味が入るんだから>>1に全部任せる


780VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 22:58:51.63I9ER2q5AO (4/4)

>>779
要望ならまだ良いんだがなぁ……



781VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:01:53.10H9m68B7Io (2/2)

かじゅと部長による京太郎の奪い合いとか見たい(見たい)


782VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:04:16.41ufKzBl/ko (5/5)

あくまで個人的にだがハイスペックでモテモテの京太郎は食傷気味だったので、
持たざる者の苦悩を描いたこのSSは目新しくてよかったよ
原作で出番がなかったりするキャラが活躍するのは好きなんだが、
やっぱりそればっかりだと飽きるし


783VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:04:18.10YD5EeIrm0 (1/1)

>>778
『1流のバッドエンドより3流のハッピーエンド』
いい台詞だ。感動的だな。だが無意味だ。でも、嫌いじゃないわ!
最近はどの媒体もバッドエンドばかりで飽き飽きしてたところ。
>>1だけはいつまでも、ハッピーエンドを書き続けて欲しい……。


784VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:06:35.00LFyvGEWOo (1/1)

良く見てなかったが多数決じゃなかったのか


785VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:06:44.40Vjdoh7TDo (12/12)

荒れると思うなら、一気に書き貯め作って、一気に投下した方が良いかも。
その方が荒れるスレを見たイッチの負担にならないと思うし。

ここの京太郎は不屈の精神とか持っていない普通の男子高校生だと思った。
少なくとも俺は共感できたし、あそこから挑戦しようと思った京太郎が凄いと思うよ。


786VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:31:37.06WGuHpEuPo (1/1)

>>783
某ガンダム小説のあとがきで同じようなこといってたな
結構メジャーな言い回しなのかね


787VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/06(水) 23:46:34.52WTH2vgfdo (1/1)

>>786
つーかそれが元ネタじゃね?知らんけど



788VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 00:31:14.57CPmteCwl0 (1/1)

いまさらだが乙です。
さぁ>>1よ。ケツの毛は剃ったかい?
差し出せ。


789VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 00:44:46.29A9KQ8YHlo (1/1)

>>788
ケツ毛をか……


790VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 05:42:05.11tH9hJxnS0 (1/1)

>>789
変態すぎワロタwwwwww


791VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 08:29:28.79/xsk9YNDO (1/2)

処女のアソコの毛を持ってるとツキに恵まれるらしいけど


792VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 11:39:56.25Ql7d3Q5j0 (1/1)

咲「もつものと、もたざるもの」

あれ、なんだろうなんか違う意味に聞こえry


793VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 12:23:26.35DIlH+DJFo (1/1)

カンちゃん、ハウス


794 ◆CwzTH05pAY2013/03/07(木) 23:12:02.18IvaGbYZyo (1/2)

モチベーションが維持できるか不安でしたが、書き始めると意外とサクサクでした。
書ききってからの投下にすれば? という意見もありましたがある程度キリのいいところまで書くと投下したくなる衝動を我慢できない(ゲス顔)
というわけで次回作用のスレを立てていきますので立て終わったらこっちにもURLを貼ろうと思います。


ところで全く関係ないんですが、エロい話して恥ずかしがってる女の子に言われるひとことで、どの書き方が一番グッときますかね?


1.咲「……えっち」

2.咲「……エッチ」

3.咲「……すけべ」

4.咲「……スケベ」

5.咲「……へんたい」

6.咲「……ヘンタイ」


私は1がグッときます


795VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:16:05.52iuvBISskO (1/1)

圧倒的に1


796VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:17:12.98f1qhERmio (1/1)

1が可愛いのと3がむっつりなのはわかります


797VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:21:37.01wbMowequo (1/1)

1か4


798VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:23:16.01oXROFSkSo (1/1)

「へんたぃ~…」みたいな恥ずかしくて語尾がちっちゃくなるのが
ぼくは、だいすきです
次点1


799VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:23:39.48MgJ7Hluf0 (1/1)

話のレベル(内容)によるかなぁ


800VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:25:07.39RudjgzZbo (1/1)

1、5


801VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:26:31.90kEHhuOlAO (1/1)

1は名前付きで顔を赤くして
4はちょっと顔を反らしてボソッと
6はジト目で言って欲しいです


802VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:27:16.27QtdKmNUDO (1/1)

咲ちゃんなら3




803VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:27:38.34/xsk9YNDO (2/2)

1が可愛くて良いです
でも4のちょっと叱られてる感じもたまりません

何が言いたいかというと、要はキャラによってビビクンとくるセリフは異なるという事です
そのキャラに合っているセリフである事が大事なのです
咲なら1、まこなら4が個人的にビビクンときます


804VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:29:45.804OGVH9xA0 (1/1)

1だな
次点で4


805VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:30:47.00OzentMjpo (1/1)

1がいいと思います


806 ◆CwzTH05pAY2013/03/07(木) 23:40:10.97IvaGbYZyo (2/2)

皆好きやね(歓喜)
それぞれのこだわりが見えててすごくいいと思います。
いつかエロスレを書く機会があったときにでも参考にします。


そして次回作のスレ立て&初回投下が完了しました

京太郎「悪女」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362666103/


こちらのスレは折を見てHTML化依頼投げておきます。


807VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/07(木) 23:43:08.04OoSjl3KUo (1/1)

平仮名だと恥ずかしがるような、片仮名だと蔑んでいるように思える
なお個人的には1


808VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 00:06:59.75gTTWSmPu0 (1/1)

変態の各自の言い方は
透華「へ、へんたい・・・(赤面)」
和「変態(絶対零度の汚物を見る目)」
姫様「へんたい(意味が解っていない)」
カンちゃん「変態(面白いネタを見つけた目」
姉帯さん「へんたい(ごく普通)」
な感じ。透華が妙に可愛く感じるのは何故だろう。


809VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 01:00:45.39xxrg56Vp0 (1/1)

怜が4でりゅーかは3
クロチャーが2でお姉ちゃんが1ってイメージ


810VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 09:00:40.32aqh27JGE0 (1/1)

このスレの残りで小ネタをやってくれてもええんやで?
かじゅと良い雰囲気になる京太郎の話とか、家の冷蔵庫が壊れて大変な目に遭う池田の話とか


811 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:44:53.79gbLMlhduo (1/8)

新スレの制作も進めておりますが
>>810のレスを見て何やら電波を受信したので小ネタを投下します。

エピローグにゆみの描写なかったし、フォローも兼ねて。


812 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:46:10.42gbLMlhduo (2/8)

週中の夜。
京太郎は個人経営の居酒屋でビールを飲んでいた。
週中と言うこともありそこまで人は多くない上に、個室なため比較的静かな空気が流れている。

「そろそろ、かな?」

京太郎はちらりと時計を見た。
約束の時間から30分ほど過ぎているが、それについてはすでに謝罪の連絡が来ている。
どうしても手持ち無沙汰なため一杯だけビールを頼んだが、あまり進んでいない。

「やっぱこんな部屋でひとり飲んでてもなぁ……」

そうぼやきながら京太郎はお通しの枝豆を口に入れた。
その後、手持ち無沙汰になった京太郎は何気なく携帯を手に取った。
手馴れた手つきで操作し、ブックマークに入れたそのページを開く。
味も素っ気無いただのニュースサイトだが、そこに書かれた記事を読むだけで京太郎は笑みが止まらなくなった。
ニュースの掲載時期はもう1か月も前だが、それでもここ最近の京太郎は何気ないときにそのニュースを見るのが習慣になっていた。

「やっぱ、すげぇよな」

そんなことをポツリと呟くと個室に近づいてくる足音を聞いた。
京太郎は思わず佇まいを直す。
小走り気味のその足音はまっすぐ近づいてきて、扉を開けた。

「すまない、遅くなったな」

「いえいえ。お仕事お疲れ様です」

そんな挨拶を交わすと、店員にビールの注文をして、加治木ゆみは京太郎の目の前に座った。



813 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:47:26.53gbLMlhduo (3/8)

「思ったより対局が長引いてしまってな。待ったか?」

「ちょっとだけですよ。気にしないでください」

「そうか」

そんな会話をしていると店員がビールを持ってくる。
ゆみはそれを手に取り、京太郎に向けた。
京太郎もそれに続く。

「それでは、加治木プロの初タイトル獲得を祝って、乾杯!」

「若干照れくさいが……乾杯」

そう言って、グラスを合わせる。
小気味いい音が響いた後、二人はグラスに口をつけた。
ふぅ、とゆみはグラスから口を離してため息をついた。

「昔はビールなんて飲めたものじゃないと思ってたんだがな」

「少なくとも、最初の一口は大体の人がおいしく感じてくるんですよね」

そう言いながら二人はグラスを置いた。
すると京太郎は満面の笑みを浮かべながら口を開いた。

「でもほんと、おめでとうございます。中継、見てましたよ。最後の逆転手をアガったときは思わず大声出しちゃいました」

「ありがとう。とは言え、そこまでのビックタイトルではないんだがな。規模的には小規模だし、運に助けられた所も多かった」

「いやいや、運とかそういうのもひっくるめて麻雀じゃないですか。あと、小規模だろうと何だろうとタイトルはタイトルです」

そこまで言うと京太郎はグラスに残ったビールを一気に流し込んで言った。
殆ど何も食べていない状況で一気に流し込んだため多少クるものがあったがそれを堪えながら言った。

「俺、ほんとに嬉しかったんですよ。やっと、やっと、加治木さんに確かなものが手に入って」

「……そうだな。トッププロから言わせればタイトルのひとつぐらいで、と思うんだろうが。うん、やはり、嬉しかった。ようやく報われた気がするよ」

ゆみが柔らかく微笑んだ。
嬉しかった、その一言にいろいろな思いがこめられているのを感じて、京太郎は思わず目頭が熱くなった。
それを振り払うように京太郎はにやりと笑う。

「というわけで、加治木プロファンクラブとしてはどうしても祝わずには居られなくてこんな席を設けさせていただきました」

「なんだそれは……。ファンクラブがあるなんて聞いたことがないぞ」

「非公式ですがありますよ? メンバーは俺しか居ませんが」

「一人きりのファンクラブなど聴いたことがないが?」

「じゃあ、大々的に作りましょうか? 俺、会長やります! 声をかければきっと東横さんとかも……」

「やめてくれ」

言葉をさえぎって苦笑するゆみ。それにつられて、京太郎も笑った。



814 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:50:00.14gbLMlhduo (4/8)

それから、お互いの近況を話し合う。
誰々が結婚した、誰々が転職した、誰々に子供が生まれた。
もともと別々の高校の2人だったが、15年越しの付き合いとなってくると共通の知り合いと言うのも増えてくる。
しばらくそんな話が途絶えることがなかった。
それに伴いお酒の量も増えていき、テーブルに並ぶ料理も徐々に減っていった。

「そうだ。こんなお祝いの席でいうのもなんですが」

顔がすっかり赤くなり、多少呂律が怪しくなってきた京太郎が話題を切り出す。

「ん? どうした?」

こちらは多少赤くなっているものの、まだまだ平気そうなゆみが返事をする。

「俺、この前……ようやく、咲たちに勝つことが出来ました」

「!」

「やっとです。15年、かかっちゃいました」

怪しい呂律でも、その言葉にどれほどの重みがあるのかゆみは理解していた。
京太郎がどれほどの敗北を積み上げ、どれほど苦難の道を歩み続けたのか、ゆみにはわかっていた。

「そうか。よく、頑張ったな。おめでとう」

ゆみはそう言うのが限界だった。
それ以上何かを言おうと思ったが陳腐になってしまいそうだったので口を閉じた。

「ありがとうございます」

京太郎もそう小さく返した。目頭が潤んでいるのは酒だけのせいではないだろう。
それを隠すように京太郎は上を向いた。

「ほんと、長かったです。理不尽な振込みやらツモに苛立ったり、皆が嫌いになりそうになったり、何度もありました」

「……でも君はやり遂げた」

「正直、自分でも驚いています。15年前、歩き続けると決めて、ここまで来れた事に。途中でなんども倒れそうになったのに、でも立ち上がれたんです」

本当に不思議そうに京太郎は首をかしげた。
ゆみはそれを聞いて手元の日本酒に口をつけて微笑みながらそれに答えた。

「月並みで陳腐な言い方だが、君は強くなったんだろう。技術よりなにより、精神的に。感服するよ」

「そうですかね? 俺は、俺なんかよりまっすぐ背筋を伸ばして歩き続けている人を知っているんで、その人と比べちゃうと」

そういうと京太郎は赤くなった顔でにやり、と笑った。
ゆみは少し考えるようなそぶりをして、とぼけたように答える。

「さて、誰のことだ?」

「さぁ、誰でしょうね。ただ、その人は俺の目標で、憧れで……。俺に手本を示してくれたから、俺はそのあとをついて行っただけですよ」

「……そうか。ではその人も君を失望させないように頑張らないとな」

「うっす、俺も負けないように頑張ります。とりあえず、次は通算勝率1%を目指したいですね。多分、今勝率0.000……いくつでしょ?」

京太郎は笑いながらそんなことを言っているが、もどこか真剣な決意を秘めているのをゆみは感じていた。



815 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:52:07.99gbLMlhduo (5/8)

「しかし、先ほど君は15年といったが、そうなると私と君が出会って15年ということになるのか」

「そう……なりますね」

あれからさらに酒が進んでいた。
京太郎はもう真っ赤であり、ゆみも顔には出ていないがそれなりに酔いがまわっているようだ。

「お互い、年を取ったな」

「いやいや、加治木さんは相変わらずお綺麗で」

酒の勢いか、京太郎は普段ではとても言えないような軽口を叩く。

「おだてても、支払は割り勘だぞ?」

お猪口を片手にゆみは苦笑する。

「いやいや、ほんとですって! 流石、美人すぎるプロ雀士なんて評判になっただけありますね」

「……読んだのか、あの雑誌」

ゆみはタイトルを取った時、いくつかの麻雀専門紙の取材を受けた。
それもプロの仕事だと割り切って受けたのだが発売された雑誌の煽り分に「美人すぎるプロ雀士。初タイトルを奪取!」などと煽り文が描かれていた。
もともとあまり目立つつもりはなかったため、雑誌に載るなどといったことは誰にも言わなかったが、やはり見ている人間は見ているな、とゆみは頭を抱えた。。

「加治木さんがタイトル取ってからそれ系の雑誌全部チェックしましたから!」

どこか誇らしげに京太郎は胸を張った。

「今すぐ捨てるんだ」

「いやです」

「捨てなさい」

「いやです。保存用布教用観賞用で3冊も買ったんですから」

「なぜそんな無駄なことを……大体布教とは何だ布教とは」

「ファンクラブですから」

「それはもういい……」

酒の飲みすぎとはまた違う頭痛をゆみは感じていた。

「全く……周りから散々からかわれたんだ。勘弁してほしい」

「いやーでも、しょうがないでよ。俺が雑誌の編集長だったらあの煽り文を訂正するどころかよく書いたって褒めてやりますよ!」

「君まで私をかつぐんじゃない。全く」

そういってゆみは京太郎の額を軽くパシッとはじいた。
叱られている側の京太郎はなぜか嬉しそうに笑った。



816 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:53:14.68gbLMlhduo (6/8)

「うー……あー……」

ゆみの目の前で京太郎がテーブルに突っ伏して呻いている。典型的な飲みすぎであった。

「全く、調子に乗って飲みすぎだ」

「ずみまぜーん……ずごじやずめば大丈夫だどおもいまず……」

「今水をお願いしたから、少し休んでいるといい」

「あー……」

もはや返事を返す気力もないようで京太郎はそれきり黙りこくった。
ゆみは、そんな京太郎の姿を見ながらふと思った。

(私と彼は、いったいどういう関係なんだろうな?)

あの新人戦で交流が途絶えると思った二人だが、細く長く交流は続いた。
時たま一緒に麻雀を打ったり、受験の際は勉強を見たり相談に乗ったこともあった。
お互い働き始めてもメールや電話はしているし、こうやって時々飲みに行くこともあった。

(先輩後輩……というわけではないな。結局高校も大学も違ったわけだ)

(友人……まぁ、妥当な線だがどうもしっくりこない)

(同志……うん、しっくりくる。同じ物を志す、同志。うん、そうだ)

例え歩いている道が違っても、二人が目指しているものは一緒だった。
それはアレから一度たりとも変わることはなった。
京太郎もゆみもただひたすらに進み続けた。

(とはいえ)

すっと、机に突っ伏す京太郎に頭に手を伸ばしてみる。

(お互い、目標に対してそこそこの結果は得ることができた)

軽く撫でると京太郎は特に何も反応せず黙っていた。

(もちろんまだまだ、納得できるレベルではないが)

髪をやさしくかきあげ、ゆみは京太郎の顔を覗き込んでみる。
京太郎はぼーっとした目でゆみを見た。

「なんでずがー……」

(ちょうどいい、変わるきっかけなのだろうか)

(須賀君は、私のことをどう思っているのだろうか)

(私は、須賀君をどう思っているのだろうか)

「かじきさーん?」

再度呼び掛けられ、ゆみは我に返った。

「いや、なんでもない」

そういいつつも京太郎を軽く撫でる手は止まらなかった。



817 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:55:15.54gbLMlhduo (7/8)

(ただの飲み友達? 気の合う先輩? 仲間?)

(……それとも?)

(っと何を女々しいことを。バカバカしい。年を考えろ)

(いや、年を考えたから、か。月並みに私もそういうことを考える余裕ができてきたということか)

(だが、私と須賀君か……)

(……)

(うん)

(悪くないかもしれない)

(いいかもしれないな)

(そんな未来も、悪くないかもしれないな)

「須賀君」

「なんでずがー」

ゾンビのような声を出して京太郎は返事をする。
それに構わず、どこか真剣な口調でゆみは続けた。

「2人で、旅行にでも行かないか。お祝いも兼ねて」

「……えっ?」

一気に酔いが覚めたかのように、真顔になって京太郎は跳ね起きる。
そんな様子を見て、ゆみはくすりと笑った。


京太郎は慌てながらもその問いに対して、大きく頷いた。


818 ◆CwzTH05pAY2013/03/08(金) 23:56:00.61gbLMlhduo (8/8)

>>810が望んでいたものかはわからないけれども補完完了。

引き続き新作側の制作に戻ろう。


819VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 23:57:29.21X8narwhuo (1/1)

(32)


820VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 23:57:47.09xiUb3V7ao (1/1)

池田がないヨ(小声)


821VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/08(金) 23:58:22.03LpLbLX0qo (1/1)


誰かニヤニヤしてるキモい俺を止めてくれ


822VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:01:02.88ViGvyel6o (1/1)

胸に染みた


823VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:03:01.38B17MTCYR0 (1/2)



遅れてきた青春やな


824VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:10:23.90Zt83VPoK0 (1/1)

おつ
ええなこの関係
ようやっと一息つくことが出来たってのも


825VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:13:31.52OQw/tuX2o (1/1)

おつー
かじゅは酔う中の人みたいになるのか


826VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:17:21.53FqLhOfCDO (1/2)

電波を受信するとこんなすばらな話がサッと書けてしまうのか


827 ◆CwzTH05pAY2013/03/09(土) 00:47:58.312S/T5xaSo (1/1)

あれですよ。
ただひたすら何かに費やし、卒業してからもプロの世界で死に物狂いでやってきた女性が、
やっと結果を残せたタイミングで遅れてきた青春謳歌する。そういうの大好きです。

せっかくなんで残りスレは小ネタとかを拾って書いて行こうと思います。
なんか希望があれば書いていってください


828VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:49:43.62m+mbPiMjo (1/1)

京まこ!


829VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:53:48.745dgUjlKno (1/1)

>>817
の二人が気になるステルスモモさん


830VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:55:23.69/AgZfrLLo (1/1)

部長を


831VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 00:55:30.11tLgiEzaw0 (1/1)

何度も何度も咲達に挑んでは負け続け、挫けたり諦めたりやさぐれそうになった時にいつも励まし振るい立たせてくれた誰かさんと京太郎のエピソード


832VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 01:28:04.48YNsW1CKh0 (1/1)

いいなこの三十路達


833VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 01:39:28.18Ger/21Rio (1/1)

京太郎が麻雀部を辞める展開も見てみたいかも



834VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 01:56:43.65B17MTCYR0 (2/2)

続きの旅行編を是非


835VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 08:58:55.231gwm6W6A0 (1/1)

実に良い後日談でした。本当に乙です!

小ネタをあえてリクエストするなら
「面倒見のいい先輩」から一歩踏み出せないまま、京太郎の背中をさみしく見送る乙女なまこ、で


836VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 14:07:44.54XfXsSzZh0 (1/1)

京太郎(35)とかじゅ(38)の結婚式+それに参加した3人の様子とか


837VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 15:17:54.76r0dg2apG0 (1/1)

せっかく綺麗に終わったんだから咲ちゃんたちはそっとしておいてあげようよ……と思う反面
「ようやく自分たちも前に進める!」と喜んでいた清澄メンバーが
加治木プロと京太郎の旅行(しかも温泉)の噂を聞いて大荒れに荒れる話も見てみたかったりする


838VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 18:00:10.39UfZzImq5o (1/1)

池田は……


839VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 18:45:27.30bGbIL/bAO (1/1)

>>838
華菜ちゃんは犠牲になったのだ……ヒロインキャラとネタキャラの壁の犠牲にな……


840VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 21:50:08.41vsJyjjdW0 (1/1)

かじゅと京太郎の結婚
涙する優希と咲、婿に取れなかった事を悔しがるまこ、京太郎を素直に祝福する和、人妻も悪くないと思う久と京太郎の結婚はかなりの温度差が出そう。


841VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/09(土) 23:55:56.24FqLhOfCDO (2/2)

強すぎて逆に麻雀を打つのが楽しめなくなった照が
「もたざるもの」の京太郎に一本取られる話……

小ネタ向きの話ではないか。小ネタ向きのリクエストもむずかしいな


842VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 00:04:24.11+T+2pRAX0 (1/1)

次回作予定がシリアス、ギャグ、エロありで前作も今作もシリアスだからネタはなんでもいいから>>1のギャグネタ見てみたいな


843VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 00:05:02.18n2f0xWA0o (1/1)

咲の世界は多分50位までは全然若いからな
トシさんくらいになってようやくホウレイ線が出てくる程度


844VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 03:01:36.66Yd5ICQSDO (1/1)

やっと全て読み終えた、飲み屋での会話に15年の重みを感じられました。


845VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 21:41:53.16ZFu6sbRGo (1/1)

凡人の葛藤っていいよなあ


846VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 22:34:59.697QJPDgtW0 (1/1)

たしかに最初は凡人だけど、15年も目標に挑み続けて勝ったのなら最後はもう凡人じゃないよな


847VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/11(月) 01:58:48.10HuZenX840 (1/1)

咲達の衰えも有るからどうなんだろう。
能力による支配が衰え普通の麻雀に近付けば、偶に勝てたりするだろう。


848VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/11(月) 17:39:29.73xxWxPWo+o (1/1)

15年程度ならアラフォーと大して変わんないし能力の減衰もそうそうないんじゃねえの


849 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:14:43.60KunV5Wano (1/9)

早く帰ってこれたので新作側の制作を進めていたのですが、
酷い矛盾に気づいて手直しをする必要ができてしまい、
本日の投下はあきらめました。

そのため、>>828 >>835 からリクエストを戴いた京まこ物で
1本小ネタをこさえたので投下します。


850 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:16:21.52KunV5Wano (2/9)

夏休みももうすぐ終わろうしているある日。
まこは麻雀部部室に向かって校舎の中を歩いていた。
まこにとっての最後のインターハイは終わり、まこの最後の仕事は部長職の引き継ぎを京太郎に行うことだった。

(あっという間、か)

部長職を引き継いで1年。
いい部長だったのかはわからない。
失敗したこともあった。
それでも、自分にできることはすべてやり尽くしたとまこは考えていた。

(後は、京太郎がうまくやってくれるだろ)

実力は女子3人に劣るが、敗北の苦しみを知り、弱い人間の気持ちがわかる人間。
そして情熱にかける情熱とひたむきさは部内で随一だ。
京太郎本人は部長職を引き受けることを最後まで拒否していたが、
一番部長としての素質があるのは京太郎だというのは先輩、同級生後輩を含めた部内の共通見解だった。

(きっと、いい部長になるな)

そんな考え事をしているとあっという間に部室の前にたどり着く。
本日は京太郎と最後の引き継ぎを行う予定であり、これが終われば
まこの麻雀部で過ごす時間は終わりを告げることになる。

一瞬、ドアノブを握るのをためらうが1つ呼吸を置いて、扉を開けた。



851 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:20:08.60KunV5Wano (3/9)

「お疲れ……」

「しー!」

まこが部室に入りながら挨拶をした瞬間、部室の中にいた数人の1年生がまこに沈黙を促した。
突然のことに面喰い呆然とするが、1年生が指差す方向を見て納得した。

「くー……かー……」

小さく息を吐きながら京太郎が椅子に座ったままうたた寝をしていた。
その姿を見ながら1年生の1人が近づき小声でまこに告げた。

「今日は自主練だったんですけど、須賀先輩が見てくれるってことでさっきまで練習してたんですけど」

「昨日あまり寝てなかったみたいで、気づいたら……」

1年生同志顔を見合せてくすくすと笑っていた。
まこ頭に手を当ててため息をついた。

「まったく、何をやっとるんじゃ……」

「ふふふ。じゃあ、染谷部長。私たちは先に帰ります。これから引継ぎがあるんですよね?」

「ん? あぁ、そうじゃな……聞いておったんか」

「えぇ。最後の引き継ぎなんですよね? 須賀先輩、ちょっと寂しそうでしたよ?」

後輩がにやにやとからかうようにまこに告げた。
まこは苦笑しなが1年生輩の頭をぺしりと軽く叩いた。

「まったく。からかうんでない」

叱られた1年生はなぜか嬉しそうに笑いながらまこに頭を下げた。

「それじゃあ、お先に失礼します」

そう言い残し、1年生数人はまとめて部室を出ていき呆れ顔のまこと今だうたた寝している京太郎が残された。




852 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:21:23.16KunV5Wano (4/9)

「さて……どうするかのう」

叩き起こそうかと思ったまこだったが、あまりに気持ちよさそうに寝ている京太郎の姿に頭を掻いた。

「……先に書類関連の準備だけするか」

京太郎が寝ている横で机にファイルや書類を並べていく。
だが、大半の引き継ぎが終わっている状況ということもあり、あっという間に終わった。
まこは少し悩んだあと、再び京太郎の前に立った。

「まったく、気持ちよさそうに眠りおって」

何となく起こすのが躊躇われたまこは椅子を引いてきて京太郎の前に座った。

「いい気なもんじゃ。……ほれ」

軽く頭を撫でてみるが、起きる気配はなかった。
そうしているとなぜかこの2年間のことが思い出され、胸が締め付けられた。

(よく、わしのような部長についてきてくれたな)

(いろいろ失敗したり、頼りないところもあったというのに、わしを立ててくれたな)

(笑われたり、馬鹿にされたりすることもあったというのに、よく頑張ったな)

(毎日毎日、誰にも負けないぐらい一生懸命練習したな)

(それでも後輩の面倒も見て、部を支えてくれたな)

(ほんとに……ほんとに、自慢の後輩じゃよ。おんしは)



853 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:22:30.85KunV5Wano (5/9)

何気なく、まこは京太郎の顔を覗き込んでみた。

(おっ、ひげが生えとる。剃り残しっちゅうやつか)

(……そういえば、最近少し背が伸びたのう。少し見上げる必要がでてきたな)

(顔つきも……うん、どこか、子供っぽさが取れてきた、よう……な……)

じっと顔を見つめながらそう考えていると、まこの心臓はなぜか激しく高鳴った。
気恥ずかしい気持ちもあったが、なぜか京太郎目を逸らすことができなかった。

(子供っぽいと思っておったが、いつのまにか)

(こんなふうに、変わっておったんじゃな)

頬を軽く撫でてみる。剃り残しのひげがちくりとまこの掌に触れるのを感じた。
そうされても京太郎は起きず、気持ちよさそうに眠っていた。

(最初は軽い後輩だと思っておったが)

(いつの間にか、頼りになる男になっておったな)

(……いかん、なんじゃろうな、この感情。柄にもない)

頭の中でそんなことを考えつつも、まこは京太郎にもう少し顔を近づけた。




854 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:24:49.19KunV5Wano (6/9)

(寝息、聞こえるのう)

(息が、かかりそうじゃ)

(こんなところに、ほくろ、あったんじゃな)

まこの心臓が激しく鳴った。
自分自身の感情が理解できず、混乱していた。
ゆっくりと京太郎の頭に手を伸ばし、軽く撫でた。

(こんなに、近いのに)

(いやじゃ、ない)

(なぜ)

(なぜか、ひどく、京太郎が)

まこは、京太郎に向けて顔を近づける。
何かに導かれるように、ゆっくりと。

(ひどく、愛おしい……)

激しい心臓の鼓動を聞きながら、まこはその感情を抑えられずにいた。
まこの唇が京太郎の唇に、ゆっくりと近づく。

あと、ほんの少し。



855 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:26:47.07KunV5Wano (7/9)

「うぅ、あぅ……」

その時、京太郎が言葉にならない声を発した。
ただの意味のない寝言だったがその声はまこを現実に立ち返らせた。
びくりと体を震わせ、慌てて体を離す。

「わ、わしは、何をやっておるんじゃ」

まこは頬に手を当てながら頭を振った。
顔はひどく熱くなっており、掌に体温が伝わった。

「く、くそっ!」

恥かしさと悔しさが織り交じった感情に支配されるまま、まこは悪態をついた。
そしていまだに気持ちよさそうに眠りこける京太郎の頭をぱしんと軽くはたいた。

「うっあああっ!」

突然現実の世界に戻された京太郎は現状が理解できずあたりを見回した。
するとまこと目が合うと若干寝ぼけたまま口を開いた。

「……おはようございます?」

「やかましい! 最後の引継ぎだというのに気持ちよさそうに眠りこけおって!」

「うっ、あっ、す、すいません」

起き抜けということもあるがなぜか非常に不機嫌なまこのテンションに京太郎はついていけなかった。
呆然とするその姿にいら立ちを加速させたまこは京太郎を怒鳴りつけた。

「えぇい、アホ面晒してないでさっさと顔を洗ってこい!」

「え、でも、俺」

「い・い・か・ら。行ってこい!」

「は、はい!」

一旦は口を挟もうとするもまこの有無を言わさないその言い方に京太郎は慌てて部室の外に出て行った。
再び、部室は沈黙に包まれた。

(京太郎が、帰ってくるまでに、落ち着かねば)

(本当にアホじゃ、わし)

そんな中、まこは熱くなった頬と頭を冷ますのに悪戦苦闘していた。




856 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:28:36.51KunV5Wano (8/9)

――――――――――――――――――――

――――――――――

―――――

「あの時、そのままキスしとれば何か変わったのかのう」

まこは手元の綺麗に装飾された封筒を見ながら呟いた。
封筒には「WEDDING INVITATION」と記載されており、差出人の名前に京太郎の名前があった。
昨日届いたものであり、まこはそれを見ながら何となく高校時代のことを思い出していた。

「結局、先輩後輩のまま、か」

2人は卒業後も会う機会はあった。
一緒に麻雀をしたり、食事したり飲みにいくこともあった。
いまでも非常に仲がいい。だが、先輩後輩の範疇を出ることはなかった。
むしろ、まこ自身がその範疇を出ないように過度に意識していた。

「なぜあんなに意地を張っていたのか……まぁ、今更じゃが」

今、彼のことを異性として好きかと聞かれるとまこは返答に困るだろう。
だが、それでもまこは針で穴をあけたような小さな喪失感を感じていた。

「そう、全て、今更じゃな」

京太郎を男として意識したことも

京太郎に心をときめかせたのも

京太郎に確かな愛おしさを感じたことも

全て、あの部室の中でのひと時の出来事であった。

「やれやれ、若さとはためらわないこととはよく言ったもんじゃ」

まこは封筒をバッグに入れると立ち上がった。
玄関に向けて歩き出そうとする前に、壁に貼られた写真を見る。
まこがまだ高校2年生の時に、東京駅で撮った写真だった。
最前列でメンバーにもみくちゃにされている京太郎に、そっと、指を当てた

(ためらわず行動していれば、きっと……)

別の未来があっただろう。
そう思った自分の女々しさに苦笑をしながら、まこは踵を返し玄関に向けて歩き出した。
靴を履きながら携帯を取出し電話を掛ける。

「久か? 京太郎からの招待状……あぁ、届いたか。ん? あぁ、もちろん出るぞ。たっぷり祝ってやらんと――」

そんな会話をしながら、まこは部屋をでた。
扉を閉める直前に吹き込んだ風で、壁に貼られた写真が小さく揺れた。


857 ◆CwzTH05pAY2013/03/14(木) 00:29:32.96KunV5Wano (9/9)

以上です。あと1~2個ぐらいは小ネタを拾えるといいなぁと思ってます。




858VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 00:31:28.78LK+m2mlP0 (1/1)

ウワアアアアア

なんてこった おつー


859VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 00:40:51.47yH/63d5B0 (1/1)

乙!
小ネタは
京太郎と同じノリの咲達と打った後の後輩達のケアに奔走する京太郎と、それを見て凹む2年、3年の面々。手加減を知らず無経験者、低経験者指導経験のない咲達にフルボッコにされ折れかけ、牌も握れなくなった後輩を立ち直らせたりした地道な努力が部長就任の支持基盤になったのかもしれない。


860VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 00:46:35.80fDbL8plYo (1/1)

リク拾ってくれてサンキューイッチ
本編の1シーンみたいな感じかな 京まこもっと増えろ


861VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 00:47:08.60bnxD+ljb0 (1/1)

乙ー

切ねぇな……


862VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 02:11:57.18nh2hQbGDO (1/1)

こういうちょっとした女々しさとかセピアだよね。


863VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 08:09:08.24ldbqa9XDO (1/1)

最後の写真のくだりが実に切ない


864VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/14(木) 10:32:05.45GApasfSK0 (1/1)

乙乙
でも切ねぇよ!


865VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 14:08:27.24DwAbdZMAO (1/1)

前も書いたけど、シリアスしか見たこと無いからギャグが見てみたい
一応次回作候補にあったし、ギャグは難しいけど


866VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 15:39:48.66EMALI1Fl0 (1/1)

本編に上手く絡めた小ネタが来てて歓喜。
後は、残りの元清澄メンバーが高校時代の回想をしつつ京太郎の結婚式への準備風景を出していって、ブーケトスで締めとか良いんじゃないかな(チラッ
モモは、まぁ、本編に出番無かったし(震え声


867VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/15(金) 16:08:35.93g8tJCeql0 (1/1)

こういう青春時代の淡い恋心のお話って切ないけどいいよね

照で小ネタをリクエストしようと思ったんだけど…本編に全く登場してないキャラはダメ?


868VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 03:10:17.02vS2ejp000 (1/1)

かじゅ先輩との旅行について詳しく聞きたいですねフヒヒ


869VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 09:37:34.31vdsqxPjJ0 (1/1)

「年上なんだから余裕と節度を持った行動を…」と構えて京太郎との旅行に臨むも
手違いで同じ部屋で寝ることになったり、実は混浴だったり
何故か枕が並べてあったりで
涙目になるぐらい狼狽するウブなかじゅプロ見てみたい


870VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 13:02:14.9152Na5Q4m0 (1/1)

三十路でそれはどうなんだろか……


871VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 17:13:20.84iYLTIxxLo (1/1)

さすがにお互い童貞処女ってこともないだろうしな


872VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 18:52:16.12seRKp68c0 (1/1)

京太郎の純潔を奪ったのは誰なんだろう。
清澄麻雀部はそういう関係になりそうにない。咲達がその気でも京太郎は越えるべき目標として見れても異性として見る事はできないと思う。何度叩き潰されても挫けない、諦めない池田ァか、寂しがり屋合法ロリころものとの相性が良さそう。


873VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 19:21:44.87j5z/pjlDO (1/1)

先輩に誘われた風俗店で童貞ポイーとちゃうかな…(遠い目)


874VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/16(土) 19:35:35.05ycvM0Fjso (1/1)

多分マホあたり


875VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 09:00:14.00NNdEI5XTo (1/1)

>>874
夢野マホ(28)が参戦フラグかぁ
加治木ゆみ(32)とのドロドロバトルは見てみたいです、はい


876 ◆CwzTH05pAY2013/03/17(日) 14:49:47.16wqTf0sGOo (1/6)

突然ですが小ネタを投下。

>>829でリクエスト貰ったモモネタで思いついたものがあるので書いていく


877 ◆CwzTH05pAY2013/03/17(日) 14:50:36.72wqTf0sGOo (2/6)

最近の加治木先輩がおかしい。

私は最近そう思っている。高校大学プロチームとすべて一緒で相当長い付き合いだからわかる。
たとえば先週の話だ。
私はその日、事務作業のために所属するチームのクラブハウスに入った。

「お疲れさまっす」

見知ったチームメイトにあいさつしがてら、椅子に座って雑誌と睨めっこしている加治木先輩を見た。
まぁ、私の特性もあるだろうがそれ以上に何か必死に考えているようで、気づいていない。

「どうだろう。いつもの格好では地味すぎ……」

「かといってこれも年を考えるとちょっと……」

「こ、これはあまりにも……」

「いや、彼はこういうやつのが好きそう……」

ぶつぶつと何かを呟いている。
私は首をかしげながら先輩に声をかけた。

「お疲れ様っす。先輩、何読んでるっすか?」

「おっ、も、モモか」

そうやって先輩はファッション雑誌――普段先輩が読まないような系統の――から慌てて顔を離した。

「い、いや違う。ちょっと暇つぶしに読んでいただけで、別に、そんな」

「へぇ、先輩もこういう系の服着るっすか?」

雑誌を手に取りペラペラとめくる。
普段先輩が着ないような、少々派手目の服装が目についた。

「そんなわけないだろ……。私には合わんだろう」

念のため言っておくが、普段の加治木先輩のファッションセンスが悪いわけではない。
むしろ、いわゆるデキる女、と言った感じが出ていて女性人気も高い。

「いやいや、たまにはいいと思うっすよ。ほら、これとかどうっすか?」

「待て、そろそろそこまで足を出すのには抵抗があってな……」

「そんなことないっす、まだいけるっすよ! あっ、これかわいいっすよ」

「うっ、かわいいとは思うが私が着るのは……」

私はその日、肝心の用事を忘れしばし加治木先輩とファッション談義に華を咲かせた。
その日はそこまで疑問を抱かなかった。


878 ◆CwzTH05pAY2013/03/17(日) 14:51:10.41wqTf0sGOo (3/6)

また別の日、私はチームメイトと遠方に泊まり込みに行っていた。
試合日程も無事こなして帰りの電車の中。
チームメイト全員が疲れ切ってうたた寝をしている。
私も多少眠っていたが、ふと目を覚ますと隣で難しい顔でいくつかの旅行雑誌を読んでいる加治木先輩が目に入った。
またぶつぶつと、独り言を言っていた。

「いきなり海外はないとして……」

「妥当に東京や大阪に……遊園地に行きたいとか子供っぽいだろうか……」

「いっそ北海道や沖縄……いや、沖縄はマズイ。必然的に海に行くことになる……」

「温泉……さすがにいきなり距離を詰めすぎか……」

「いや、そもそも日帰り? 泊り? 泊まりだとしたら……部屋は……」

麻雀を打っているときは非常に凛々しい表情の加治木先輩がこれほど難しい顔をしているのは久しぶりに見た気がする。

「加治木先輩? 旅行にでもいくっすか?」

「わっ! も、モモ。起きていたのか」

明らかに驚きすぎなその姿に逆にこっちが驚いてしまう。

「い、いや、その、か、家族とな、その、あぁ、そうだ。家族とな」

「……その割には随分と難しそうに悩んでいたっすね? 距離を詰めるだのなんだの」

「そ、そんなこと言ってたか? そうだ、モモ。お前は旅行に行ってみたいところとかあるのか?」

露骨に話題を逸らされる。私は首をかしげながらも温泉に行ってゆっくりしたいと返答した。
それを聞いた加治木先輩はまた何かを悩み始めた。
この辺りから私の疑心は膨らみ始めた。



879 ◆CwzTH05pAY2013/03/17(日) 14:52:29.73wqTf0sGOo (4/6)

そしてこれは先日の話。
私と加治木先輩はチームの集まりで市内のホテルに足を運んだ。
まぁ、いろいろとめんどくさい大人の集まりというやつだ。
いろいろ偉い人にあいさつだのなんだのしなくてはならない。
私はようやく挨拶に一区切りつけ、一旦会場であるホールから抜け出して背伸びをした。

「……あれ?」

そうしていると視線の先に加治木先輩が立っていることに気づいた。
ここは2階だが、吹き抜けになっており廊下から1階の様子を見渡すことができた。
私は加治木先輩に近づきつつも1階の様子に目をやった。
どうやら結婚披露宴が行われていたようで、廊下で新郎新婦が去っていく友人たちを見送っていた。
加治木先輩はその様子をボーっと見ていた。

「幸せそうっすね」

「ん? あぁ、モモか」

「私たちも、もういい年っすからねー。そろそろそういうのを考える時期っすか?」

私は手すりにもたれながら新郎新婦の様子を見つめた。
大台の年齢に突入してしまった身としては、なかなか見ていてつらいものがある。

「……あぁ、そうだな」

「えっ?」

私はその加治木先輩の発言に驚きを隠せなかった。
昔似たような質問があるが、その時は今は麻雀に集中したい、と言って一刀両断されたのだ。

「意外か?」

「す、すみません」

「まぁ、うん。小さいながらもタイトルを取ることができた。だから……」

そこまで行って加治木先輩は苦笑しながら、天井を見上げ――何かを思い出すかのように――言った。

「そう言うことを少し考えてみてもいいかなって、最近そう思えるようになった」

その発言と、いつもの雰囲気とは違う、柔らかで優しげな加治木先輩の笑みに私は思わぬ発言に言葉を失った。
こう言っては大変失礼なのだが、ただひたすら自分の道を邁進し続けてそういったことは切り捨てていく人間だと思っていた。
これは一体どういうことだろう。


880 ◆CwzTH05pAY2013/03/17(日) 14:56:24.08wqTf0sGOo (5/6)

「……と、言うわけなんです。どう思うっすか、須賀君」

そして現在。私は今までのことを須賀君に話して相談をしている。
須賀君は私と加治木先輩の共通の知り合いだ。
昔、行き詰った須賀君を加治木先輩を救ったのが知り合ったきっかけだとかなんだとか。
その後、加治木先輩を通して私も知りあうことになった。

最初はまぁ、いろいろと勘繰った物だ。
だが2人の関係はそういうものじゃなくて、それをもっと超越したなにかが感じられた。
尊敬だとか、敬意だとか、そういった類のものだ。
加治木先輩にそういった感情を抱くのは、非常によくわかる。
そんなわけで今でも共通の飲み友達と言った感じで親しくしてもらっている。

『……』

電話の向こうの須賀君はなぜか沈黙を保っている。
様子がおかしい。

「須賀君? 聞いてるっすか」

『あっ、あぁ! 聞いてる聞いてる?』

「何故疑問形っすか? で、何か心当たりとかあるっすか?」

『こ、心当たり、ねぇ? さぁ、どうだろう、どうだろう」

露骨に動揺している。
それこそファッション雑誌や旅行雑誌の時の加治木先輩のように。

「……もしかして、恋人とか、好きな人とかできたんすかねぇ?」

『ど、ドウダロウネ』

今度は棒読みだ。
怪しい、非常に怪しい。
まさか、まさかまさか。

まさか15年目にしてこの男は……。

「須賀君……あなた、もしかして?」

『いや、してない! してない! 俺は何にもしてない!』

「……俺は、ねぇ」

『あ、いや、その深い意味は』

その発言を聞いて、私は座り直し長期戦の構えをした。

「さーって、まだ夜は長いっす。しっかり、聞かせてもらうっすよ」

まぁ、そのあと須賀君が白状した内容を聞いて私が驚きひっくり返るのはまた別の話である。


881 ◆CwzTH05pAY2013/03/17(日) 14:58:35.33wqTf0sGOo (6/6)

以上となります。
次回作のほうが最終回に向けていろいろ難航しているため気晴らしに。

次の作品はシリアスをやめよう。軽くかけるギャグにしよう(決意)


>>867
上手くからませられるかわかりませんがOKですよ
そして拾えるかどうかも(ry
全ては私が電波を受信するか否かで……


882VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 15:17:53.51jhwclPG2o (1/1)

おう次回作安価にあった京まこエロあくするんだよ


883VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 15:24:13.18eXXiHHhQo (1/1)

乙!
さぁ白状した内容を詳しく聞こうか


884VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 15:40:22.91as3Zlr7DO (1/2)

モモが仰天する内容…京太郎からは何もしてない…

あっ(察し)


885VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 16:12:02.04+3zNRmX40 (1/1)

咲さんにかじゅ先輩が壊される!!


886VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 17:08:08.75JSdDm+hZ0 (1/1)

モモ「信じていた先輩が男と温泉旅行に行って数か月後に結婚式の招待状を送ってくるなんて…」


887VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 17:44:07.59H3MILKSAO (1/1)

独身率高すぎだろこの業界wwwwww
小鍛治プロはまだ独身、はっきりわかんだね


888VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 18:10:07.86as3Zlr7DO (2/2)

憶測で独身と決めつけてはいけない(戒め)
でも、憶測だとプロ勢は大方独身っぽいんだよなぁ何故か

そして、おそらく咲ちゃんも…


889VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/17(日) 19:17:09.74jSb4TDU50 (1/1)

>>881
小ネタ乙っす。次回作の方も非常に楽しみにしてるんだが難航してるのか…
でも魅力的なんだよね「悪女」って

拾ってもらえるかわからないけど勘違い悪女てるてるをリクエスト
本人は「私は悪女」と思いこんでるけど、周りから見たらただのポンコツで…な可愛いてるてるお願い!


890VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 01:18:53.06ZdYUdEnv0 (1/1)

遅レスだが本編泣いた。ありがとう。
なんかすげー胸がいっぱいになったわ。本当にありがとう。


891VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 14:20:42.34hymQmndc0 (1/1)

こっちにも小ネタ投下されとる。乙ー
しかし小ネタを全部つなげてみると見事にかじゅの一人勝ちだな
咲さんやモモが少々気の毒になる


892VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 23:05:10.8118cjgck00 (1/1)

モモはともかく咲は仕方あるまい、一番京太郎から遠いんだから
モモと咲でウェディングベル歌ってくれないかな


893VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 02:36:39.3237l6iu77o (1/1)

SSで泣いたとかキモいなぁ


894VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 02:38:28.91jQs8DMlbo (1/1)

>>893
そんなレスに泣けるよ


895VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 07:33:18.7359q0hlG+o (1/1)

>>894
このスレに関して言えば話も面白かったが周りのレスが面白かったよなww

それぞれが「京太郎」という鏡で何を投影してるかってのがわかってすごく面白かったわ


896VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 07:53:19.082z/Vcjkxo (1/1)

恥ずかしい文だな、よく書き込めるわ


897VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 08:08:41.46g8KUxU/DO (1/1)

「もたざるもの」の京太郎にすっかり感情移入してしまった
高校3年でそれなりに努力したが大した成績を残せなかった部活を思い出したよ

高校卒業してからはその道を諦めたつもりだったけど、
この話にカタルシスを感じるあたり自分で思っているより割り切れてなかったんだな


898VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 09:57:37.39WoVa60NBo (1/1)

わざわざ雑談スレのレス持ってくるとかめんどくせーことしてんな


899VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 10:25:09.54lMQB4HkTo (1/1)

自分語りはいい加減ウザいんだよ


900VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 12:11:10.99FyxB5b0mo (1/1)

スマートフォンって書き込むたびにID変わるよね


901VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/24(日) 00:27:33.886Dgmnhzn0 (1/1)

やっぱりこのSSいいな


902VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 23:36:47.39tPF7ZBP10 (1/1)

京太郎が清澄麻雀部を辞めて、まこの雀荘か、別の麻雀教室に通っていたら


903 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 01:51:13.54Cw7gu7UDo (1/11)

いい加減こっちのスレを埋めようキャンペーン。

>>891 >>892を見て小ネタが浮かんだので投下しますー。


904VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 01:53:17.97KvfmaGRTo (1/1)

おお!


905VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 01:54:20.95dLbxzH1I0 (1/2)

こいよ


906 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:04:32.39Cw7gu7UDo (2/11)

市内のとあるバーで東横桃子は一人酒を飲んでいた。
座席はカウンターのみ10席ほどのバーに現在は彼女と二人のバーテンダー以外は誰もいなかった。
何処か思い悩んだ表情でグラスを傾ける彼女に2人のバーテンダーは何も言わずグラスやボトルを磨いていた。

「マティーニ。甘めでお願いするっす」

「かしこまりました」

手元の酒を飲みつくした桃子は新たな酒を注文していた。
ミキシンググラスにリキュールを注ぐバーテンダーを見つつちらりと時計を見た。

「そろそろっすかね……」

そんな呟きを見計らっていたかのようにバーの扉が開いた。
2人のバーテンダーは小さく来客を迎える言葉を呟いた。

「待ってたっすよ」

「ごめんなさい、遅くなって」

そう言いながらヒールを鳴らしつつ、宮永咲は桃子の隣の席に座った。

「私はジンフィズをください」

「かしこまりました」

もう一人のバーテンが咲の注文を受けてシェイカーを振り始める。
桃子は手元にやってきたマティーニを見つつちょっと楽しそうに笑った。

「お酒飲めたんすね」

「……知らないのに誘ったの?」

「いやー、誘ってからお酒を飲むような人かなーって疑問に思ったもんっすから」

「そんなには飲めないけど軽いお酒なら飲めますよーだ。あっ、来た来た」

咲は目の前に出されたグラスを手に取り小さく掲げた。

「とりあえず、乾杯?」

「そうっすね、乾杯」

グラスがチン、と小さく鳴った。


907 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:05:56.62Cw7gu7UDo (3/11)

「悪かったっすね。いきなり呼び出して」

「ううん、別に大丈夫だよ」

2人は昔からの知り合いではあった。
会えば普通にしゃべる程度の仲ではあった。
だが、こうやって個別に会って出かけるといったことはしたことがない。
そんな関係の2人であったが桃子は咲に話したいことがあるからと飲みに誘い、咲はそれを2つ返事で了承した。

「なんとなく、要件はわかってたし」

「あぁ、やっぱりバレてたっすか」

「まぁ、ね。タイミングもぴったりだったし。……これでしょ?」

咲はバッグから一枚の封筒を取り出した。
そこには「WEDDING INVITATION」と記されている。
桃子はそれを見て苦笑しながらも軽く頷いた。
手元のマティーニをぐっと飲み干した。

「正解っす。まぁ、前々から話だけは聞いてっすから驚かないと思ってたんすけど、形としてやってくると意外と」

「結構、心に来るよね」

「全くっす」

2人は苦笑気味に笑いあった。
咲は目の前のグラスを軽く傾けて小さく息を吐いた。

「多分、男女の違いがあれど似たような気持ちを抱えてるんじゃないかなーって思って」

「うん。その人選は間違ってないと思うよ」

グラスに入った酒は半分程度しか入っていなかったが咲の顔はすでに赤くなっていた。
それと対照的に桃子はまだ赤くもなっておらず、新たな酒を注文していた。
咲はちょっと驚きの表情で桃子を見た。

「お酒強いね」

「いやいや。加治木先輩とかもっと強いっすよ。私はまだまだっす」

桃子は手元のビーフジャーキーを口に入れ、それを咲にも勧めた。
咲は軽く礼を言いつつそれを小さくかじった。

わずかな沈黙が2人の間に流れた。


908 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:07:22.97Cw7gu7UDo (4/11)

「ずっと」

「?」

不意に、桃子が口を開いた。
グラスに口をつけていた咲はそれから口を離し、桃子の顔を見た。

「ずっと一緒に居たっす。私と加治木先輩」

「うん……」

「高校、大学、プロチーム。ずっとずーっと、一緒だったっす。まぁ、私が加治木先輩の後を追いかけたからなんすがね」

桃子はそこまで言ってふぅ、とため息を吐いた。
何かを言おうと口を軽く動かすが声にならず、手元の酒を流し込んだ。
そして、それで息を意を付けたように再びしゃべりだす。

「これからも2人で同じ道を歩んで行くんだな、って勝手に思っていたっす。変わらないまま」

「うん。わかる、よ」

桃子の言葉に咲も絞り出すような返事を返した。
喋る桃子も、聞く咲もどちらもどこか辛そうな顔をしていた。

「でも、加治木先輩は別の道を歩もうとしている。……わかってるっす。別に加治木先輩がプロをやめるわけじゃないし、そこまで大きく変わるわけじゃないって」

桃子はカウンターに肘をついて手を組み、それに頭を預けた。
まるで表情を悟られないように。

「でも、私にとって加治木先輩は憧れで、ヒーローで、目標で……本当に、大切な先輩っす。私自身、学んだことや影響を受けたことがたくさんあるっす」

咲が小さく頷く。
桃子はそれにも気づかずまるで独り言をつぶやくように続けた。

「でも、その加治木先輩が人のものになっちゃう。人の奥さんになって、苗字も変わって、別の人と2人で歩き始める。そう考えると」



909 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:08:35.72Cw7gu7UDo (5/11)

再び沈黙が流れる。
店内には二人のバーテンダーがグラスを磨いたりフルーツをカットする音のみが響いていた。
咲は何も言わず桃子の言葉を待った。
どれほどの時間が過ぎたか、ようやく桃子が口を開いた。

「そう考えると、私の憧れていた加治木先輩はもう居なくなっちゃって、私の中の憧れとかそういう気持ちまで取られた気がして……」

最後は絞り出すような声だった。
桃子は残った酒を一気に呷り、おかわりをバーテンに告げた。

「別に加治木先輩が悪いとか須賀君が悪いとかいうつもりはないんすけど、ね。きっと結婚したって加治木先輩は加治木先輩のままってのもわかってるんすがね」

八つ当たり、とぽつりとつぶやいて苦笑した。
咲はその言葉に小さく頷いた。

「わかるよ。わかる。理屈じゃないもんね」

「……吐き出せて少し楽になったっす。ありがとう」

咲は小さく首を振りわずかに残ったジンフィズを飲み欲した。

「すみません、ゴッドファーザーください」

「……大丈夫っすか?」

アルコール度数が高いカクテルを注文する咲に桃子は驚きの声を漏らした。
咲は赤くなった顔でにこりと笑って大きく頷いた。

「大丈夫。私も今日はちょっと飲みたい気分だし」

「そうっすか」


910 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:10:09.15Cw7gu7UDo (6/11)

桃子は赤くなった先の顔を横目で見つつ、前々から思っていた疑問を先にぶつけた。

「最初、私は須賀君と付き合ってると勘違いしてたっす」

「私が? 残念ながらそういうのは無かったなぁ」

「残念ながら?」

桃子の言葉尻を捕まえた問いに咲は少し悩んで小さく頷いた。

「うん。今思うと、ちょっとだけね」

咲はそう言って新たに来たカクテルを小さく口に含んだ。
口当たりはいいとは言え、強いアルコール度数に小さく息を吐く。

「京ちゃんとは仲がいいよ。一緒にご飯食べに行くことは沢山あったし、2人で遊びに行ったり買い物に行くこともあった」

その発言に対して疑問の声を投げかけようとする桃子だったが咲のでも、という声に遮られた。

「でも、そこまで。結局仲のいい友達だった。少なくとも京ちゃんは、それ以上になろうだなんて考えなかったと思う」

「わかるんすか?」

「うん。京ちゃんにとってきっと私は友達で、超えるべき壁で、目標で……そういう色っぽい何かが入り込む余地は、なかったんだ」

咲は少し多めに酒を口に含んだ。
喉が熱くなってくるが、こみ上げてきた言い知れぬ感情を飲み込むように酒を流し込んだ。

「……私が京ちゃんを男の人として好きだったかは正直わからないんだ」

「えっ?」

「でも、でもね」

咲はそう言いながらテーブルに零れた水滴に人差し指を当て、すっと軽く横に指を滑らせる。
カウンターにできた水滴の線を眺めつつどこか悲しそうに言った。

「京ちゃんとそういう関係になってみても、いいんじゃないかななんて、思ったことはあったよ」

顔を伏せた咲に何を言えばいいのかわからなくなった桃子は言葉の続きを待った。

「でも、駄目。私と京ちゃんの間には越えられない溝が、越えられない壁があって……」

あの時のことを思い出すと咲の胸は今でも痛む。
彼の苦しみを分かれなかったあの時。
あの時の拒絶の言葉は未来永劫忘れることはないだろうと咲は思っていた。

「だから、私は諦めたんだ。私と京ちゃんがそういう関係になるのは、無理なんだって。どうしようもないんだって」

桃子は以前、清澄の麻雀部でかつて何が起こったのかを大まかに聞いていた。
それが故に、何の事情も知らぬものだったら臆病すぎると切って捨てるかもしれないその発言に否定の言葉を返せなかった。

「まぁ、ほら、恋してたとかそういうのじゃないから。誰だって思うときあるでしょ? 誰々さんと付き合ってみたいとか、恋人になってみてもいいかなとか」

「……わかるっす」

慌ててフォローするかのように、取り繕うかのような咲の言葉に、桃子はそう返すのが精いっぱいだった。



911 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:11:54.50Cw7gu7UDo (7/11)

「だけど、京ちゃんが結婚するって聞いて、この結婚式の招待状を受け取った時にまた思ったことがあったんだ」

「……思ったこと、っすか?」

「うん。私、加治木さんと京ちゃんって私と京ちゃんみたいに、そんな関係にならないって勝手に思ってた」

咲は京太郎を通じてゆみと交流を持つことも多かった。
その時、咲の眼から見る限りは男女の関係というより、何か深い信頼だとか、強い意志だとか、そう言うどこか純粋な何かを感じた。

「ほんとにわかるっす、それ。2人とも信頼し合って、尊敬しあってた感じだったすからね。まさかそんな関係になるとは」

「うん。そう、だからこそ」

咲はカウンターに突っ伏した。
酒に酔ったわけではなかったが、顔を上げていることができなかった。

「加治木さんのことすごいって思ったんだ。恋愛以上に強い感情が最初にあったのに、それを乗り越えてその先に進んだから。……だ、だから」

カウンターに突っ伏したままの咲の声は小さかったがそれでも桃子の耳にしっかりと入ってきた。

「も、もしかして、壁とかそういうのを勝手に作ってたのは私じゃないかって……」

咲の体が小さく震える。
言い知れぬ感情に胸が痛くなるが、それを抑えて口を開いた。

「だから私も、壁とか、溝とか、そう言うこと考えずにほんのちょっと勇気を出して前に進んでみれば、何か変わったんじゃないかって……」

そこから先は言葉にならなかった。
桃子は何も言わず咲の背中を軽く撫でた。

「ごめんね……」

「いいっすよ。理屈じゃないっすもんね。こういうこと」

「馬鹿みたいだよね。自分ひとりで勝手にいじけて勝手に諦めて、人のものになってから後悔するなんて。行動しておけばよかったって思うなんて」

「しかたないっす。いつだって、誰だって後悔しない選択ができるわけじゃないんですから」

桃子はしばらく何も言わずに咲の背中を撫で続けた。
そんな時、桃子はふと思った。

(麻雀じゃ無敵。裏目引いたとか、受けを間違えたとか、フリテンが残ったとか、そういうことで後悔しているところなんて見たことないっすけど)

(あぁ、やっぱ、この人も人間なんすね。こんな風に後悔して悲しんだりすることも、あるんすね)

(むしろ普通の人よりよっぽど不器用っす。麻雀じゃあんな器用なのに……)

(あぁ、本当。人生ままならんっすね)

咲が落ち着くまで桃子は咲の背中を撫で続けた。



912 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:12:51.18Cw7gu7UDo (8/11)

「ご、ごめんね」

「いいっすいいっす。今日はこうやって愚痴を吐き合おうと思って集まったんっすから」

少し目が赤くなった咲が桃子に頭を下げた。
桃子はそれを笑いながら流した。

「さっ、私らも負けていられないっすよ。須賀君よりカッコいい彼氏見つけて2人に見せつけてやるっす! 婚活っすよ婚活!」

「こ、婚活……」

「何引いてるんすか。私たちもう三十路っすよ! 手をこまねいてたらアラフォー待ったなしっすよ!」

「そ、そっか。そうだよね! よし、頑張ろう!」

「その意気っす! さぁ、とりあえず今日は飲みましょう。改めてかんぱーい!」

「うん、かんぱーい!」

2人はその後、2時間に渡り飲み、喋り、歌い大いに楽しんだ。



そしてべろべろに酔いつぶれ見るも無残な姿になった咲に桃子が頭を抱えるのもその2時間後の話であった。




913 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:14:38.90Cw7gu7UDo (9/11)

カン!

関係ないけど塞ちゃんって可愛いよね、エロいよね。


914VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:16:24.84HWDHs80Bo (1/3)

乙乙
いい雰囲気だねー

塞ちゃんはあの前髪ぱっつんがセクシー……エロいっ!!


915 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:17:31.43Cw7gu7UDo (10/11)

あと1~2個ぐらいは拾えるだろうか。
というか拾っていきたい。


916VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:17:51.61ecKC8QC7o (1/1)


咲ちゃんさんアラフォーまっしぐらやんな……

塞さんは確かになんかエロい


917VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:17:56.96qnP27tBZo (1/1)

乙ー
しんみりするね


918VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:18:29.245PgdRofOo (1/2)

魔物は結婚できないジンクス


919VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:19:42.33/pOBk1iV0 (1/1)

おつやで
かじゅさんと京ちゃんの旅行の話とかでいいんじゃない?(適当)


920 ◆CwzTH05pAY2013/04/02(火) 02:20:20.52Cw7gu7UDo (11/11)

あと書き忘れてましたが>>1は百合描写がちと苦手でな。
女の子同士でちゅっちゅするとかそういうのはあまり期待しないでね……。
女の友情ものとかは大好物なのですが。

>>899
新スレ側にガチてるてる悪女の嘘予告を投下しちまったぜ……。
もしその話でスレを立てた際にはオマケか何かで書いていきたいです。


921VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:26:45.78HWDHs80Bo (2/3)

旦那さんが応援しに来た前でタイトルを獲得し、だっこされて祝福される加治木プロ



の、試合を解説する小鍛治プロ


922VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:29:09.79ss6u+6Bm0 (1/1)

試合後のインタビューでなぜか試合内容そっちのけで旦那との馴れ初めについて聞かれて真っ赤になる加治木プロ


923VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:29:30.11ar9qBidj0 (1/1)

すこやん、ガチアラフォーになっちゃってるからなぁ
笑えねえよ……


924VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:32:16.31dLbxzH1I0 (2/2)

すこやんは結婚しとるかも知れんやろ!!


925VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 02:34:39.19GA/W8fnDO (1/1)

それは有り得ない。


926VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 06:48:17.43jaLozuaAO (1/1)

何となくすこやんは結婚すると麻雀で勝てなくなるような気がするんだよなぁ……


927VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 08:39:53.00IdcE9Ww/o (1/1)

恋愛すると負ける将棋指しみたいなことを言うなww


928VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 08:50:29.79TCqlGaxR0 (1/1)

「もつものと、もたざるもの」の意味合いが変わってきてるよね
麻雀的なものから、伴侶とか家庭とかそういうものに……


929VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 08:55:20.18HWDHs80Bo (3/3)

アラフォーが結婚していないという風潮

なんでや、声優みたいに隠れ結婚してるかもしれんやろ!!


930VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 09:53:38.09esqSgqxAO (1/1)

>>929
実家でだらしない格好して母親にメロン切って貰ってる時点でお察し


931VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 10:14:05.49Js10fu0fO (1/1)

まあ>>1が描写しないだけでips技術が猛威を奮ってそれなりな世界になってるかも知れないし
アラフォーなのをみかねたこーこちゃんがもらってあげてるかも


932VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 15:38:44.77LPkPEyyDO (1/1)

せつないなぁ・・・。
麻雀で勝つことはできても欲しいものは手に入らなかったのか。
一歩が踏み切れずに、失ってから気付くってなぁ・・・


933VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 16:10:59.153nfVR9bx0 (1/1)

清澄メンバーは京太郎にとっての越えるべき壁のまま動く事が出来なかった。
こういう大人の苦さなドラマって良いですね。


934VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 18:31:23.57D9rs2HrZ0 (1/1)

自分たちが京太郎を傷つけたという自覚があったから動けなかったんだろうな
京太郎が咲たちに勝った時、お祝いという名目で手頃なホテルに強制連行しておけば……

最後に「もつもの」加治木プロと「もたざるもの」咲さん一同との麻雀勝負をリクエストしとく


935VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 18:41:26.445PgdRofOo (2/2)

新婚で嫁壊されるとか胸熱


936VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 19:00:55.29b9dHVGQjo (1/1)

乙です
しかし改めて考えても須賀ゆみって語呂悪いなww


937VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 19:29:50.24ZFSf8pmKO (1/1)

逆に加治木京太郎も発音はともかく文字にするとなんとも説明できない違和感が


938VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 19:39:20.870fJfu76Oo (1/1)

簡単な漢字が6文字っていう長さで並んでるからだな


939VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/02(火) 20:18:39.12G1yVxGAMo (1/1)

椋の全角2倍文字>木京


940VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/03(水) 06:34:21.54a9k9VYGxo (1/1)

>>939
子供の名前はそれ絡みだな


941VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/03(水) 13:39:23.82MRIoZiXko (1/1)

加治椋太郎


942VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/03(水) 20:29:56.8854BSsJfUo (1/1)

>>939
桔梗か


943VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/07(日) 12:34:54.76IRSIMlKQ0 (1/1)

名前的には須賀優希が一番ぴったりくると思うじぇ!


944VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/07(日) 16:43:49.949SjcIiDio (1/1)

名前で一番しっくりくるのは須賀恭子だろ


945VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/07(日) 18:25:58.71KFpEiImqo (1/1)

言いやすさなら須賀菫がダンチだと思う


946 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:15:53.414Hfa2lmyo (1/21)

さっさとスレを埋めようキャンペーン。
>>902を見て電波を受信したため、本編のエンドの1つとして考えていたものを少し手直しして小ネタとして投下いたします。

それにしても今読み直すと本編の誤字脱字が酷い。
というか闘牌ミスも多いね……。
せめてそれだけ訂正させてください。

>>183
誤:456m34678s34p西西 ツモ5p ドラ9s
正:456m344678s34p西西 ツモ5p ドラ9s

>>455
誤:11225588s東東中中南 ドラ4m 裏ドラ2p
正:11225588s東東中中南 ドラ4m 裏ドラ2s

>>557
誤:【5】6m45567788s567p ツモ7m ドラ西
正:【5】6m45567788s【5】67p ツモ7m ドラ西

>>561
『上田捨牌』
誤:撥九四5r
正:撥九四⑤r

>>567
『松本手牌』
誤:【5】67m45567788s567p
正:【5】67m4556788s【5】67p

>>570
『上田捨牌』
誤:撥九四5r【5】九
正:撥九四⑤r⑤九




947 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:28:40.354Hfa2lmyo (2/21)

「ツモ! 1000-2000の1枚!」

上家の大学生らしい男が元気よく牌を引きアガった。
京太郎はそれをちらりと見て点数に間違いないことを確認すると軽く返事をして、1000点棒と500円玉を渡した。
点棒のやり取りが完了し、牌を落としたタイミングで京太郎は口を開いた。

「2卓オーラスです。頑張りましょう」

頑張りましょう、とほかのメンバーが続く。
京太郎が雀荘のメンバーを続けてもう3年経っており、このやり取りもすっかりと手慣れたものだった。
配牌を取りながら京太郎は点棒状況を確認した。

『オーラス開始時』
上家  50,200
京太郎 13,400
下家  34,100
対面   2,300(親)

ダントツのトップが1人。それに追随する者が1人。ダンラスだが最後の親番の者が1人。
そして京太郎はそんな順位争いから若干置き去りになっている。
2着目の下家に跳満を直撃すれば2着浮上だが、ツモならば3倍満が必要だった。
トップを狙いに行くであろう2着目はある程度は前に出てくるだろうが、直撃を取れるかどうかは別問題だった。

『京太郎配牌』
【5】78m56s2246p東西白撥 ドラ8m

(ドラ赤だけど、微妙な形だな……)

そう心の中で愚痴りながらも赤が来てくれたことに若干の安心感を感じていた。
親が牌の切り出しを悩んでいる姿を見ながら京太郎は煙草を口に咥え、火をつけた。
何気なく、ちらりと雀荘内に置かれたテレビに視線をやった。

『さぁ、タイトル戦もオーラスを迎えました。点棒状況は……』

そんな映像を他のメンバーが見つめていた。
京太郎も同じようにそれに目をやっていたが、知った顔が出てきたタイミングで目線を卓に戻した。
ちょうど京太郎のツモ番であった。

(……あれは、別世界の話だ)

京太郎はそう思いながら、ツモに手を伸ばした。



948 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:29:36.024Hfa2lmyo (3/21)

その後、京太郎の手はかなり目覚ましく伸び、10順目で聴牌を入れた。

『京太郎手牌』
【5】678m5【5】67s22267p ドラ8m ツモ8s

赤5萬を切り出してリーチをかけ、高目が出ればメンタン三色赤ドラの跳満。
一応は2位を目指せる手が完成した。
京太郎は萬子に手を伸ばし、場に切り出す寸前にもう一度テレビを見た。
見知った顔が2万点離れたトップを追うために逆転のリーチを打っていた。
それを見ると、ちらりと心の中に芽生えたモノがあった。
だが京太郎はそれを即座に振り払った。
流れるような手つきで京太郎は牌を切り、宣言した。

「リーチ」

『京太郎手牌』
【5】678m5【5】67s22267p ツモ8s ドラ8m 打8m

立直、タンヤオ、赤赤。
相当都合よく裏ドラが乗らない限りはとてもではないが跳満に届かない。
だが、京太郎にとっては必然の1打だった。

(この麻雀は一発赤裏に500円のチップ)

(つまりこの手をツモればチップが2枚×3人で3000円の収入)

(1000点100円のこの麻雀では3000円は3万点分の点棒に等しい)

(3倍満ツモなんて逆立ちしても届かない上、2着目が高目を出してくれなきゃ変わらない順位)

(だったら3確でもいいから目の前の金を拾いに行く)

(これが正しい。これが正しいんだ)


949 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:30:56.924Hfa2lmyo (4/21)

京太郎の勤めている店ではメンバーに打牌制限はない。
順位の変わらないアガリも当然認められている。
別段マナー違反を犯したわけではないのだが、京太郎はなぜか普段感じない後ろめたさを感じていた。
そんな煮え切らない何かとは裏腹に、2巡後に京太郎はツモりアガった。

「ツモ。2,000-4,000の2枚オールです」

『京太郎手牌』
【5】67m5【5】678s22267p ツモ8p ドラ8m 裏ドラ1m 打8m

結果的には、赤5萬を切れば高目がツモれていた。
だが、それでも2位にはなれていないため、最終的な収支で考えると京太郎の選んだ選択肢が最善だった。
文句なしの1手だった。
だが、大した喜びもないまま京太郎は表情を変えず口を開いた。

「ラスト。ご優勝は田中さんです。おめでとうございます」

牌を卓に落とす直前、2着目の手配が見えた。
萬子の染め手。8索を掴めば出ていた可能性は十分にあった。

(結果論だ)

京太郎はなぜか芽生えた後ろめたさや罪悪感をそう切って捨てた。
そして、淡々と自分の負け分を支払っていった。
だが、負け分を支払っても先ほどのチップのおかげでこの局だけを見ればプラス収支。
文句のない内容だったはずだったが、京太郎の心は暗かった。

(何だってんだ、クソ)


950 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:32:19.884Hfa2lmyo (5/21)

清算後、待っていた客を案内して京太郎はふたたび立ち番に戻った。
他のメンバーの横に並びテレビに視線をやった。
見知った顔が残り少ないツモに手をかけている。
京太郎はその姿を見ながら先ほどの局を思い出していた。

(昔の俺なら、あの手は赤5萬切って何が何でも2位を目指していたよな)

高校時代、まだ京太郎が麻雀部で活動している頃のことを思い出していた。
心がじくりと痛む。
そんなタイミングでテレビの中で見知った顔が逆転の1手をツモりあがった。

『決まった! 優勝は原村和プロ! これでタイトル3冠、止まることを知りません!』

アナウンサーが興奮気味にまくしたてる。
テレビの中で見知った顔――和はにこやかな顔を浮かべていた。

「最近勢いすごいな、原村プロ」

先輩にあたるこの店のチーフがタバコ片手にそうやって話しかけてきた。
京太郎はコーヒーを飲みながらさほど興味もなさげに応対する。

「大学卒業してすぐに破竹の3冠っすからね。恐ろしい恐ろしい」

テレビの中ではインタビューを受けている和の姿があった。
その姿に重なるように、画面の下に和の略歴がテロップで表示されている。
それを見ていたチーフは何かに気付いて、京太郎に向き直った。

「清澄って確か、お前の出身校だよな。麻雀の名門の。そっか、原村プロと高校一緒だったんだな。そう言えば年も同じだし」

「……えぇ、まぁ」

「実は知り合いだったりしねぇの?」

「……一応、話したことぐらいはありますけど」

「マジで!? だったら原村プロと会わせてくれよ。俺ファンなんだ」

明らかに触れてほしくないと言った態度を示す京太郎を気にも留めず、チーフは勢いよく食いついた。
京太郎は内心の苛立ちを抑えながら、無理矢理にこやかな表情を浮かべた。

「だから話したことある程度で親しいってわけじゃないんですってば。高校時代から会ってませんし」

それに、と付け加えてテレビを見ると、トロフィーを受け取り涙を流している和が居た。
京太郎はそれを見て、一瞬辛そうな顔をした後、自嘲的な笑みを浮かべて言った。

「向こうは、俺のことなんざ覚えちゃいませんよ」


951 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:33:49.334Hfa2lmyo (6/21)

決定的な訣別をしたあの日からもうかなりの時間が過ぎている。
結局京太郎は最初の決意が揺るがないまま、麻雀部を退部した。
退部届をまこに渡した時、潤んだ眼を必死にこらえながら気丈に頑張ったことを褒めてくれた
京太郎は今でもその時のことを鮮明に思い出せた。

その後、何度か優希や和から引きとめられたが京太郎の意思は変わらなかった。
咲は特に止めもしなかった。ただもう一度、ごめんなさい、と謝られた。
そして、それを最後に麻雀部のメンバーと会話をすることはなかった。
休み時間でも学校行事でも話そうと思えば話すことはできたが、全員が意図的に交渉を持とうとはしなかった。

翌年のインターハイでは規模が大きくなった清澄高校麻雀部が辛うじて全国まで駒を進め、
そこそこの結果を残したことを聞いても京太郎は詳しく聞こうとも調べようともしなかった。
ただ、前年に驚異的な成績を残した咲があまり振るわなかったことを聞いたときは少し心が騒いだ。
その後の秋季、春季大会や3年次のインターハイでは龍門渕や風越の後塵を拝することも何度かあり、
周りが期待するほど圧倒的な力を発揮しなかったという点についても少し気になった。
だが、それらの感情を京太郎はすべて他人事だと、自分には関係ない話だとして深く考えようと、関わろうとはしなかった。

京太郎はそれからしばらく、無為に高校生活を過ごした。
1年間ほど麻雀から離れ、いろいろなことにチャレンジしようと思ったがすべて長続きしなかった。
大学も推薦で決まり、3年の秋口にはさらに暇を持て余すようになった。
結局、京太郎はとある雀荘でアルバイトを始めた。
最初はまこの店の扉を叩こうとしたが結局それはできず、全く関係のない店だった。
そして雀荘でのメンバー生活は楽しく、京太郎は自分がやはり麻雀が好きなことを再確認することになった。
その後、雀荘での仕事にのめりこんでいくことになった。
それは大学に入学してからになっても変わらなかった。

最初は真面目に講義を受けていたのだが、勉強していても友人と話していてもふと麻雀がしたくなりその欲求が止められなくなった。
どれだけ打ってもどれだけ勝ってもどれだけ負けても麻雀がし足りなかった。満たされなかった。
徐々に講義に出なくなり、最終的には全く大学に行かなくなった。
雀荘のメンバーとして客と打ち、アルバイト以外でも雀荘に行き麻雀を打つ日々。
そんな生活をしていればろくに単位など取れるはずもなく2年の時に留年が確定した。
それが露見したとき京太郎は散々親と揉め、大学を辞めて勘当同然で家を飛び出した。
慣れ親しんだ故郷を離れ、隣県である静岡県に辿り着き、とある雀荘のメンバーに落ち着いて今に至る。

(お手本のような転落人生だな、我ながら)

チーフに過去をつつかれたせいか、あれからのことを思い返した京太郎はあまりの悲惨さに乾いた笑いが出た。

「そうかい。まっ、確かにプロのご友人が体一つで転がり込んできてこんな場末の雀荘でメンバーなんざやってるはずないよな」

ある種無神経なチーフの発言にも京太郎は笑いで返した。
この人間が無神経なのはいつものことであり、そして言っていることも事実であるため京太郎はさして怒りも湧かなかった。

「そうっすよ。大学中退で親からは勘当されたダメ人間ですからね。麻雀プロ様とお近づきなんてとてもとても」

「おっと、ダメ人間なら俺も負けてねーぞ。もうすぐ三十路でろくに貯金もないのにまだこんな生活してるからな」

そう言い合いながら2人は笑った。



952 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:35:13.024Hfa2lmyo (7/21)

「そういや、今日だったか? 新オーナーが来るの」

「そう言えばそうでしたね。どんな人なのやら」

チーフがカレンダーを見ながらそう言った。
京太郎が務める店は先月まで別の人間がオーナーをやっていたのだが、その男が別の事業に失敗し借金返済のため店を手放すこととなった。
それを聞いた京太郎はすわ一大事と新たな勤め先を求めて右往左往することになった。
麻雀メンバーの給料は自分が打った際の負け分を引くとほとんど手元に残らない。
つまり京太郎の貯金は殆どないに等しいため、店がつぶれ仕事を失うとすぐに干上がってしまう。
チーフと慌てて探し回る日々だったがある日、旧オーナーから店の権利をとある雀荘グループが買ってくれたことを告げられた。
最近景気のいいそのグループは現在のメンバーもそのまま雇用することを保証してくれ京太郎は胸をなでおろした。

「噂によると結構美人の女らしいぜ。しかもかなり若いとか」

「マジっすか。この業界じゃ珍しいっすね」

「できる女社長ってやつか? そそるな」

そんな話をしていると客から少し切羽詰まった声が上がった。

「すんません、リーチ代走お願いします」

「あ、はーい」

京太郎は反射的にそう返事をして声を上げた客と席を替わった。
席を替わった客は慌ててトイレに走って行った。
手を見るといたって普通のリーチドラ1。待ちも普通の1-4索待ち。
京太郎はそれを確認して牌を取っていった。


953 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:35:42.374Hfa2lmyo (8/21)

そして、そのタイミングでドアベルがチリンとなった。

「いらっしゃいませ!」

チーフが元気よく声を出す。
京太郎もそれに続きいらっしゃいませ、と声を出した。
入口に背を向けて座っているため、京太郎から客の姿は見えなかった。
先輩メンバーが客に応対する声だけが聞こえてくる。

「フリーですか?」

「いや、私は今日伺わせて頂くことになっておりました……」

「あ、もしかしてオーナー、ですか」

「はい」

噂通りの若い女性の声だった。
だが、京太郎はその声を聴いてドキリと胸が高鳴った。
聞き覚えのある声だった。
そして標準語を話しているがイントネーションが微妙に関西圏のものであった。
思わず手が止まってしまう。同卓している他家から急かされて慌ててツモを手に取った。
そうしているとトイレから客が戻ってくる。

「状況は変わらずリーチ続行中です。ツモ番です」

京太郎はそう言って再び客と席を替わった。
そして、恐る恐る入口のほうへ向きなおった。

「わざわざ長野から? お疲れ様です。俺がチーフの……」

「あぁ、伺っております。少しこれからの話をさせて……」

チーフがやってきた新オーナーを伴ってバックヤードに向けて歩き出そうとしているところであった。
チーフは噂通りの若い美人のオーナーがやってきたことに相好を崩している。
だが京太郎はそれとは対照的にその新オーナーの顔を見て驚きの表情を隠せなかった。
すると、ぽかんと立ち尽くす京太郎とその新オーナーの目があった。


954 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:36:36.564Hfa2lmyo (9/21)








「染谷、せんぱい?」

「……京太郎? 須賀、京太郎か?」







京太郎と新オーナー、染谷まこはそう言ったきりお互いしばらく立ち尽くした。










955 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:37:52.274Hfa2lmyo (10/21)

「まさか、まさか買い取った店のメンバーに京太郎がいるとはのう」

「どんな天文学的確率だって話ですね」

京太郎とまこは現在雀荘を出てほど近い喫茶店で話をしている。
京太郎はチーフからはゆっくり話して来いと送り出されたが、後で根ほり葉ほり聞かれることが容易に想像できて多少憂鬱だった。

「しかし、最近勢いのあるあのグループが染谷先輩のご実家だったとは知らなかったです」

「まぁ、のう。若干手前味噌じゃが大学に通いながらわしが色々と動き回ったら意外と上手くいってな。今では長野県下にいくつか店舗を持てるようになったんじゃ」

「若き女社長ってやつですか。凄いですね」

「やめい。親父も現役だし、わしは所詮手伝いの身分じゃ。そんな大したもんじゃないわい」

まこはそう言って苦笑しながら手元のコーヒーに砂糖を入れてかき混ぜた。
京太郎はそれを見つつ手元のコーヒーに口をつけた。

「県外にも1店舗持ちたいという計画はもともとあったんじゃ。いろいろ探しとるうちに都合のいい居抜き物件があると聞いて」

「それがうちですか」

「そう。物件も設備も従業員も揃っているとあれば、1にも2にも真っ先に飛びついたんじゃ」

そこまで会話をして若干の沈黙が流れた。
京太郎もまこも話したいこと、聞きたいことはあったのだが口に出そうとすると躊躇してしまう。
たっぷり3分間ほどの沈黙が流れた後、口火を切ったのはまこだった。

「大学を辞めたというのは、風の噂で聞いておった」

「……そうですか」

「だが、なぜこんなところで雀荘メンバーをやっておるんじゃ?」

まこのその問いかけに少し躊躇しながらも結局あれからのことを正直にすべて話した。

麻雀から1度は離れたこと。
でも結局、麻雀に溺れたこと。
大学にも行かずひたすら麻雀を打ち続けたこと。
勘当同然で家を飛び出したこと。
流れに流れてこの雀荘のメンバーになったこと。

すべてを話した。


956 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:38:52.874Hfa2lmyo (11/21)

「そう、か」

「まぁ、貧乏でピーピーしていますがね。そこそこ楽しくやっていますよ」

京太郎はそう言って笑った。
だがその笑いはひどく空虚でまこは思わず目を逸らしたくなった。
まこは辛そうな、申し訳なさそうな表情をして京太郎に頭をさげた。

「すまん」

「……なんで染谷先輩が謝るですか?」

「わしがあの時、京太郎にも麻雀を楽しめる環境を作っていれば、こんな、こんなことには」

「やめてください」

まこの言葉を京太郎の言葉が遮った。
その有無を言わせぬ強い語気にまこはびくりと体を震わせた。

「全部、全部俺の責任です。俺が勝手に麻雀部をやめて勝手に麻雀に溺れて勝手に道を踏み外しただけなんです。染谷先輩の責任じゃありません」

「しかし……」

「やめましょう、この話は。それよりそちらの話を聞かせてください。竹井先輩と和がプロになったことは知ってますが他のことは全然知らないんですよ」

京太郎が乾いた笑いを浮かべてまこに向き直った。
何か言いたげにしつつもまこは麻雀部メンバーの近況を告げた。

久と和は京太郎も知る通りプロに進んだこと。
和に関しては知ってのとおり破竹の勢いで勝ち進んでいること。
優希は社会人リーグに所属していること。
そこで圧倒的な成績を残し、今年のドラフトの目玉になりそうであること。

そして咲は大学院に進み今も勉学に励んでいること。

「……咲」

最後に聞いた咲の近況に京太郎は思わずぽつりと言葉を漏らした。
まこは若干苦しそうな顔をしつつも先についての詳しい話を続けた。

「あれから、咲は麻雀に対して「何か」を失ったようでな。……あれからの大会の結果は聞いとるか?」

「まぁ、だいたいは」

「一応は麻雀部に所属し続けたのだが、前のような熱心さも楽しさも、あまり見られなくなった。そんな状態でもその辺人間じゃ手も足も出ないほど強かった。じゃが」

まこはコーヒーに口をつけ、胸にせりあがる苦い思いを無理矢理流し込んだ。
小さく息を吐き、淡々と続けた。

「全国レベルが相手となれば話は別。やはり、思うようには勝てなんだ。いろいろ期待はされていたんじゃがな」

京太郎は思わず謝罪の言葉を吐きかけた。
だが、数分前に言った自分の言葉を思い出し口を閉じた。

「結局咲は高校で麻雀を辞めた。今は大学で麻雀とは違う分野の勉強をしとるようじゃ。今でも時々会うが、楽しい大学生活を送っとるようじゃぞ」

まこがそう言った後、二人の間には再び沈黙が流れた。



957 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:40:39.024Hfa2lmyo (12/21)

そんな沈黙の中、先ほどまで昼のドラマを映していた喫茶店内のテレビのチャンネルが他の客によって変えられ昼のニュース番組に変えられた。
そこでは和が三冠を達成したことが取り上げられていた。

「和、凄いですね」

「ん? あぁ。そうじゃな」

ぽつりと呟いた京太郎の言葉にまこは若干戸惑いながら返事を返す。
京太郎はどこか遠くにあるものを見るようにテレビの画面を見つめながら口を開いた。

「一緒に麻雀打ってた時期があるとか、正直信じられないです」

「何を言う。半年間だけとはいえ、京太郎は清澄の麻雀部員じゃった。そのことに間違いはない」

「そう、ですよね……」

再び沈黙。
テレビの画面は政治家の不祥事についてのニュースに変わっていたが、それでも京太郎はテレビに視線を向けたままだった。
そんな様子を痛ましげな顔で見つめたまこは若干の迷いを見せながらも京太郎に問いかけた。

「なぁ、京太郎」

「何ですか?」

「麻雀部辞めたことを、今はどう思っとる?」

「どう、とは?」

「間違ってなかったと今でも思うのか。それとも……」

まこはそれ以上言わなかったが京太郎は言いたいことをなんとなく察していた。
京太郎は少し考え込み、若干言いにくそうに口を開いた。

「正直、少し後悔してます」

「そうか」

「最初は全く後悔してませんでした。解放されたって、喜びしかなかったんです。でも」

表情を変えず真剣に聞くまこの視線が辛くて、京太郎は視線を下げた。

「竹井先輩や和がプロに行って強い連中の中で必死に戦っているのを見ると、少しずつ考えが変わっていきました」

テレビで初めて久を見た時の感情は京太郎は今でも覚えている。
その日、徹麻明けに自宅に帰った時、気だるい体を引きずりながらテレビをつけると久が対局している姿が映った。
並居るプロに翻弄され、あの久が苦しそうな表情を浮かべながら必死に闘っていた。
それを見たとき、京太郎の心に初めて後悔の念が生まれた。

「プロの中で必死にトップを目指して戦い続けている中、俺は結局麻雀が捨てられなくて生活のために目の前の100円を拾う麻雀をしてる」

そう話ながら京太郎は、先ほど行った3確アガリを思い出す。
こうやって口に出して自分の気持ちを吐露して、ようやく分かった。
和と比較したとき余りにも惨めで、小さくて、そんな気持ちから罪悪感や後ろめたさを感じていたのだと。

「そう考えると、どうしても思っちゃうんです。あの時、麻雀から逃げ出さずに歯を食いしばって必死に戦い続けていれば」

自嘲気味に笑いながら京太郎は温くなったコーヒーを一気に流し込んだ。

「何か、違う未来があったんじゃないかって。……烏滸がましい話ですけど、俺だけじゃなくて、皆も」



958 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:41:27.884Hfa2lmyo (13/21)

「すまんな。言いづらいことを聞いてしまって」

まこは京太郎の言葉をひとしきり聞いた後軽く頭を下げた。

「いや、いいんです。俺自身誰かに話して気持ちの整理がつきました」

コーヒーカップに手を伸ばし、もう飲みきったことを思い出して水が入ったグラスを手に取り口を付けた。

「まぁ、後悔した所でどうしようもないですけどね。麻雀はやっぱり好きですから、もうちょっとメンバー生活は続けようと思ってま」

「京太郎」

そうやって自虐的に自分のことを話す京太郎の言葉をまこが遮った。
京太郎はあっけにとられながら、口を閉じた。

「確かに後悔した所でどうしようもならん。だからこれからのことを考えてみんか?」

「これから、ですか」

「あぁ、京太郎。……プロを、目指してみんか?」

「はあっ!?」

まこの突拍子もない言葉に京太郎は思わず素っ頓狂な声を漏らす。
だがまこは真剣な瞳で京太郎を見つめた。
京太郎は思わず息を飲んだ。

「冗談で言っとらん、わしは本気じゃ。うちで小さいながらも社会人リーグに参加するチームを作ろうと思っとる」

「チーム、ですか」

「あぁ。まだ紙面上の話じゃが、京太郎と話して猶更やる気が出てきたわ」

まこはそこまで言ってコーヒーに口をつけ、にやりと笑った。
京太郎はその雰囲気と笑みに気圧される。

「京太郎。うちのチームに来んか? 社会人リーグで活躍すればドラフトに引っかかる可能性もあるけぇ。そうすればプロの仲間入りじゃ」

「で、でも俺の実力じゃ」

「実力不足とは思わん。京太郎は京太郎なりに数年間必死に闘い続けてきたんじゃろう? 例え小さくとも、誰にも見られてなくとも、闘っておったんじゃろ?」

自信たっぷりなまこの問いかけに京太郎は小さく首を縦に振った。
それを見てまこは満足そうに笑った。

「自信を持ちぃ。京太郎が絶望の中、それでも麻雀が捨てられずに戦い続けて磨いてきた武器は通じるはずじゃ」

「あ……」

まこのその言葉に必死に反論しようとしていた京太郎の言葉が引っ込む。

「高校生の時、結局闘うことから逃げ出したことを後悔しとるのなら今度は後悔がないように、もう一度闘ってみんか? わしも今度は後悔のないよう、必死にいいチームを作ってみせる」

信用はないかもしれんがな、とまこはわずかに苦笑したのち真剣な面持ちに戻った。

「わしにもう一度チャンスをくれ。頼む」



959 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:42:28.984Hfa2lmyo (14/21)

京太郎はまこのその言葉に動揺していた。
余りにも突然な提案であった。
プロなど別の世界の話だとほんの数時間前まで思っていた。
だが、それに向けてもう一度戦わないかと今は誘われている。

余りにも骨董無形な話だ。
目指す頂が高すぎる。
新設チームが勝ちあがり、ドラフトに引っかかる活躍をするなど夢物語だ。
できるわけがない。

京太郎は頭の中ではそう考えていた。
だが、それとは対照的に胸は激しく高鳴った。

もう一度、戦える。
何かを目指して、戦える。
ただ目の前の生活のため、何かの渇きを満たすためにひたすらに麻雀を打ち続ける生活ではない。
何か高い頂を目指して進むということができる。

その事実が京太郎の血が熱くなった気がした。
麻雀部をやめてからずっと最低限の働きしかしてこなかった心臓が激しく動き出す。
全身に血液がいきわたり、頭が熱くなってくる。
思わず、握り拳を握った。

「染谷先輩」

「なんじゃ?」

「……こちらこそ、お願いします」

京太郎は頭を下げた。強く拳を握りながら。

「もう一度俺に、チャンスをください。もう一度、もう一度俺も闘いたい。後悔がないように、闘いたい」

京太郎のその言葉にまこは瞳を潤ませ、満面の笑みを浮かべて京太郎の手を握った。

「あぁ、あぁ! もう一度、もう一度じゃ。今度は、今度こそは……」

「……はい!」

まこはそれ以上言葉にならないようだったが、京太郎は何も言わずに大きく頷いた。


960 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 00:44:43.644Hfa2lmyo (15/21)

以上となります。

「もし京太郎があの時部をやめていたら」でした。
一応エンディングとしては考えていたものの一つでした。

この後、プロへの道をあきらめきれない各学校の実力が劣るメンバー達と社会人リーグで
プロへの道をかけて死闘を繰り返していくっていう展開を考えていました。

だけどオリジナル設定多すぎだしどう考えても1スレで終わる内容ではなかったのではお蔵入りと相成りました。


961VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 00:46:49.20gR/+2KXJo (1/1)



やはりまこ先輩は良心的先輩…


962VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 00:53:45.18n4zxutL10 (1/1)

乙ー

ここからまこルート、咲ちゃん復活ルートとかいけそう


963VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 01:21:14.055ydT9a2Ro (1/1)

咲ちゃん心が折れてオカルト封印しちゃったルートなのか


964 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 02:06:40.854Hfa2lmyo (16/21)

更におまけ。
>>921と>>922の合体技で軽めにひとつ。


965 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 02:08:55.704Hfa2lmyo (17/21)

(実況室にて)

恒子「さぁ、このタイトル戦もいよいよ大詰め! オーラスを迎えました! トップは現在のタイトル所持者、福路プロ!」

健夜「ほかの3人のうち2人はもう総得点的に望みはないけど、加治木プロは跳満をツモれば逆転だね」

恒子「あー、すこやんまた間違えた。今はもう加治木プロじゃなくて」

健夜「そうだった、須賀プロだったね……」

恒子「すこやんもいい加減慣れなってば。もう3か月は経つんだから」

健夜「わかってるんだけど、つい……」

恒子「そう言えばすこやん、須賀プロが結婚するとは思わなかったとか言ってたもんね」

健夜「うん、何度か話したときはそういうことに興味なさそうだったし……」

恒子「すこやんとしては独身アラサー仲間が減ってしまって残念って感じ?」

健夜「アラフォーだよ!」

健夜「何言わせるの!?」


シーン


カメラマン「……(うわぁ)」

音声「……(アカン)」

恒子「……(キツッ)」

健夜「ねぇ、こーこちゃん。振ったなら振ったで最後まで責任持って拾ってよ。折角体張ったのに」プルプル

恒子「おっと須賀プロ! ここでリーチが入った!」

健夜「無視っ!?」



966 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 02:11:08.394Hfa2lmyo (18/21)

(対局室)

ゆみ「リーチ」

美穂子「(来ましたか……闘える体制ではないのでオリるしかありません。流局なら私の勝ちです)」

プロA「(勝ちの目はないから)」

プロB「(見守るのみ)」

ゆみ「(あと2巡だがっ……ここでっ)」ググッ

ゆみ「! ツモッ。リーヅモタンヤオ三暗刻ドラ1で3,000-6,000!」

ゆみ「……間違いないな。500点差で、逆転だ」

美穂子「っ。引かれてしまいましたか……。最後の1枚がまだ山に残っていたんですね」

ゆみ「あぁ。その1枚を掴むのにかなり時間がかかってしまったがな」

美穂子「これで2冠ですね、おめでとうございます」

ゆみ「ありがとう。これからは追われる立場ということもあるから気を引き締めないとな……」

美穂子「苗字が変わってから、調子がいいですね。愛の力とは偉大です」ニコニコ

ゆみ「っ、やめてくれ。馬鹿馬鹿しい」プィッ

美穂子「ふふふ、ごめんなさい。さっ、記者の人たちも待ってますし、行きましょうか」

ゆみ「あぁ。正直憂鬱だが、これも仕事だしな……」

美穂子「しかたありませんね。私も正直インタビューとかは苦手です」スタスタ

ゆみ「あぁ、この扉の向こうにはマスコミが待ち構えているんだな。……気が重い。」ガチャッ


967 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 02:12:46.164Hfa2lmyo (19/21)

(対局前廊下)

京太郎「あっ!」

ゆみ「えっ?」

美穂子「あら?」

京太郎「~~~~~~~! ゆみさーーーーーーーん!」ダダダダダダ、ガシッ!

ゆみ「ちょ、や、やめ!」ワタワタ

京太郎「居てもたってもいられずに観客席から走って来ちゃった! おめでとおおおおおおおおおおおおおお!」カカエアゲ

ゆみ「きゃっ。お、おい! 人が見て……」

京太郎「ははは、やった。やった。2冠だ! ほんとにおめでとう!」クルクル

ゆみ「わひゃ!」クルクル

ガヤガヤ

記者1「おい、須賀プロを抱き上げてるのって」

記者2「最近結婚した噂の旦那か。一般人だからメディアには顔を出さないって聞いてたが」

記者3「とにかくいい絵だ! 撮れ撮れ!」

パシャパシャパシャパシャ!

ゆみ「お、おい。撮られてるぞ!」

京太郎「えっ? あっ……」ピタッ

ゆみ「まったく、人前だというのにこんな……」マッカ

記者4「すみません、須賀プロの旦那様ですかね?」

京太郎「あっ、はい」

京太郎「(しまった……。顔は出さないようにしてたのに)」

ゆみ「(まったく。だから止めたんだ)」

記者4「この度はおめでとうございます。奥様のご活躍を見られてどんなお気持ちですか?」

京太郎「いや、ほんと嬉しいです。感動です! ほんと、自慢の妻です!」デレデレ

ゆみ「ちょ、ま!」

美穂子「(嬉しさのあまり脳がとろけきって正常な判断ができていないのかもしれませんね……)

記者4「ははは、これはおアツい。このタイトル戦に向けて夫として何か協力したことはありますか?」

京太郎「もちろん! 勝負に集中できるように家事やなんかの雑事は一手に引き受けていました。スケジュール管理なんかも……」

ゆみ「こら、あまり余計なことは……」

記者1「須賀プロ、ちょうどいいので聞かせてください。旦那様とのなれ初めなんかを聞かせてもらえますか?」

ゆみ「えっ?」

記者2「そうそう、プロポーズはどちらからどのように?」

ゆみ「えぅ?」カオマッカ

記者3「お互い普段はどのように呼び合っているのですか?」

ゆみ「」プシュー

パシャパシャパシャ
ガヤガヤ


968 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 02:14:30.814Hfa2lmyo (20/21)

(再び実況室にて)

恒子「(モニタを見ながら)幸せそうだねー」

健夜「うん、そうだね」

恒子「すこやん、顔が能面のようになってる……怖いよ」

健夜「そう? ごめんね」グギッ

カメラマン「(その無理矢理な笑みは映すには忍びないな……)」

音声「(アカン)」

恒子「あー、すこやん。その最近はいろんな人生を送る女性がいるから結婚だけがその……」

健夜「でもこーこちゃんは6年前に結婚したよね」

恒子「いや、それは……」

健夜「うん、大丈夫だよ。別に嫉妬しているわけじゃないよ」グギッ

健夜「でもさぁ。最近不思議なんだ」

健夜「昔は結婚とかをネタにからかわれたのに最近はからかわれなくなったの」

健夜「私は独身主義者っていうことになってるみたい。不思議だね、そんなこと言ったことないのに。思ってもいないのに」

健夜「最近はさ、お父さんもお母さんも何も言わなくなってきたんだ。むしろ一緒に老後の話をするようになったんだ」

健夜「このまえ自立した女性ってかっこいいって若い女子プロに言われちゃった」

健夜「ふふ、おかしいな。おかしいよね」グギッ

健夜「あーあ、結婚したいなー。このまま老後も一人なのかなー」

健夜「ねぇ、どうすればいいと思うこーこちゃん?」グギッ

恒子「……カメラ止めろ」

カメラマン「ウス」

音声「(アカン)」


969 ◆CwzTH05pAY2013/04/11(木) 02:15:54.284Hfa2lmyo (21/21)

以上となります。
ごめんねすこやん。

あと30スレ。
後は適当に埋まるかな……。

以降の小ネタは悪女スレの余りを使って書いて行こうと思います。


970VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 02:41:02.61bJwzqNIHo (1/1)

乙!


971VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 03:22:23.49Y6eUDj+no (1/1)

乙ー
骨董無形て荒唐無稽のミス?


972VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 03:42:47.62LmqaKXVX0 (1/1)

おつやで
雑談でも埋まりそうだよなイッチのスレって


973VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 03:59:12.7478Jcc1sSo (1/1)

あと30スレ書いてくれるらしいから余裕やろ(棒)


974VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 04:13:25.55KYiZoJ+jo (1/1)

あと30スレも新しくSS書いてくれるのか
毒婦ずっと待ってるからね


975VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 07:13:22.85gsXjh1YF0 (1/1)


別にこれで建ててもいいのよ?


976VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 10:01:51.40lc/OZ5QUo (1/1)

おつおつ
チーム染谷は面白そうだな~
Jリーグ入りを目指すサッカーのチームみたいな感じになるのかな?

というか>>1は本当に弱い奴が頑張る系のネタが好きだなww


977VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 10:10:40.59y8ToimDio (1/1)

まこさんがぐう聖という風潮
ただの真理である


978VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 10:45:38.83ab2qVteIo (1/1)

(恋愛方面に)弱いすこやんが頑張るネタはないんですか?


979VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 13:45:47.690C2PHvMDO (1/1)

魅力的な話やから私も好きなんやけど、咲さんが報われねぇ。いや、悪女のほうで報われとるかもしれんけど。そしたら部長が・・・。
つくづく恋愛は壁を作ったり、自分の気持ちに正直にならんかったら負けなんやな


980VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 14:44:23.29KQ5RCAs1o (1/1)

30スレクソワロタ


981VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 17:37:24.88QgThmTJV0 (1/1)

まこさんのいい話がすこやんに全部持ってかれてしまったグギッ


982VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 22:05:42.43mIdvZ6qmo (1/1)

実際まこ個人のことを突っ込んだ話ってあんまりないんだよな

東風無敵の優希、悪待ちの上埜さん、デジタル神の和、嶺上魔王の咲さんに比べて能力も地味めだし
コンプレックスとかは感じたりしないのかな


983VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/11(木) 22:21:41.15MeL9ZzgGo (1/1)

まこのそういう話はいずれまこ愛の人が書いてくれると信じている

このスレは個人的には京太郎の葛藤というより加治木株爆上げスレになってしまった


984VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 00:07:18.69mVrmcSA2o (1/1)

社会人京太郎のお話凄く読みてぇ……お蔵入りはもったいないですぞー!!


985 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:02:12.36sCm9yq7Io (1/9)

微妙にレス余りしているので最後に投下。
いつぞやの部長パンツネタのシリアスバージョンとでもいいましょうか。
さくっと行きます。

>>971
やってまいましたな……
荒唐無稽で正しいです。
すみません。

>>973 >>974 >>980
ちゃうねん! レスの間違いやねん!
30スレとか無理すぎィ!

>>976
イメージ的には合ってます。むしろそれそのもの
漫画で言えば「ORANGE」とか「俺フィー」ですね。

弱いやつががんばるというより青春物語やスポ根が好きなんですよ。
前もちらっと書きましたけど、努力があって、敗北があって、恋愛があって、勝利があって、そんなの大好物です。

>>978
ワシには無理や……。

>>979
恋愛はままならんすな

>>982 >>983
まこさんはかなり好きだからエロ含めて色々ネタがあるんですが、まこさんネタは一人鬼才がいるから躊躇しちゃうのもある。

>>984
最初は安価スレ化しようとしてやろうと思ったんですがねー。
やはり舞台設定整えるだけでも結構時間かかっちゃうので。
いつかやってみたくはありますが。


986 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:03:06.59sCm9yq7Io (2/9)

すっかり冬本番となった12月。
俺は旧校舎の寒い廊下を部室に向かって一人歩いていた。
窓の外を見ると雪が降っている。
日本で有数の豪雪地帯である長野県にとっては珍しい光景ではないが、やはり雪は忌々しかった。

(これからまた雪かきが大変な時期か。めんどくさいなぁ)

今日は練習日でもないためさっさと帰ろうとしたのだが、部室に忘れ物をしたことに気付いた。
そんなわけで渋々と部室へ向かって歩いている。
天気予報によるとこれから雪はさらに振り続ける一方のようだし、さっさと回収してさっさと帰ろう。
そう思いながら部室の扉に手をかけた。

「あれ?」

そこで気づいた。
鍵は俺が預かっているのに鍵が開いている。
首をかしげながら俺は扉を開いた。

「あれ、竹井先輩?」

「あら、須賀君」

そこに居たのは竹井先輩だった。
部室の隅に置かれたストーブの前で体を小さくしていた。

「どうしたんですか?」

「暇だったからねー。部室でちょっとごろごろしてたら寝ちゃって……気づいたらこんな時間」

受験も推薦で決まり、ほぼ登校義務がなくなった三年生は気楽なものだ。羨ましい。

「須賀君はどうしたの?」

「俺はちょっと忘れ物を。おっ、あったあった」

部室の隅に置きっぱなしになっていた麻雀雑誌を回収する。
とりあえずこれで目的は完了した。


987 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:04:02.53sCm9yq7Io (3/9)

「これから雪は強くなるそうですよ。早く帰った方がいいっすよ」

「わかってるんだけどね。外寒いじゃない? 帰るのめんどくさいのよ」

まるで恋人のようにストーブの間近に座り込んでいる先輩を見ていると若干の可笑しさを感じる。
麻雀やっているときや、全校生徒の前で話しているときなどあんなに凛々しいのに一歩離れるとこんなものだ。
俺のクラスにも憧れている連中がいるというのに全くもってガッカリ女子だ。

「……須賀君、今すごく失礼なことを考えたでしょ?」

「いえいえ、そんなことありませんよ?」

そして妙に鋭いのにも困ったものだ。
最初はビシビシ指摘されて動揺していたがもう慣れたものだ。
最近はこうやって流せるようになってきた。

「怪しいわねぇ」

「俺は正直さと誠実さが売りです」

訝しげに見る竹井先輩に自分なりにキリッとした表情を見せるが、何故か先輩は噴出した。
うん、よっぽどこの人の方が失礼だ。

「嘘ばっかり。正直や誠実っていうのは私のような人のことを言うのよ」

「寝ぼけてるならコーヒーでも入れましょうか?」

「言うわね……」

「先輩の後輩ですから」

「なるほど、立派に育ってくれてうれしいわ」

「えぇ。俺も素晴らしい先輩が居てくれて幸せです」

ふふふと二人で笑いあう。
全くもって慣れたやり取りだ。
そうしていると、ふと思い出したことがあった。
先ほどの話の流れ、2人っきりのこの状況。

……チャンスだ。


988 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:05:34.72sCm9yq7Io (4/9)

「そういえば竹井先輩。以前加治木先輩と麻雀したときのこと覚えてますか?」

「忘れるわけないでしょ。あれは悪夢よ」

露骨に嫌そうな顔をして返事をする竹井先輩。
まぁ、ダブリースッタンなんぞに振り込めば誰でもそう感じるだろう。
ともかく、覚えていてくれたのは幸いだ。思わず悪い笑みが浮かぶ。
俺はカバンからシャープペンとルーズリーフを取り出して先輩に突きつける証文を書き始めた。
竹井先輩は首をかしげながら見ている。
そして書き上がったそれを差し出しながら続けた。

「あの日の結果ってこうなってたと思うんですけど、間違いないですよね?」

『対局結果』
店員  73000
久   -23000
京太郎 25000
ゆみ  25000

「え、えぇ。そうね」

竹井先輩の顔が歪む。
どうやらあの事を思い出したようだけど最後まで追い詰めさせてもらおう。
これは俺の正当な権利だ。

「店員さんがトップ。先輩がラス。俺と加治木さんは当然同点ですが……俺のほうが上家なんですよ」

ニヤリと、我ながら悪い笑みが浮かぶ。
先輩は思わずたじろいて何かを言おうとするが、させるものか。
今は攻めの一手だ。

「つまり、俺が2位で加治木さんが3位」

「……それで?」

平静を装っているが動揺が隠せていないですよ、先輩。
声が震えてます。

「先輩、あの時言いましたよね。『私と加治木さんより順位が上ならご褒美あげる』と」

「う、うぐ」

「あの時はあまりの衝撃に忘れてましたけど……まだその『ご褒美』もらってないですよねぇ」

「しっかり覚えてたのね……」

ぼそっと先輩が呟く。
忘れるわけがなかろう。
思春期少年の性欲なめんな。

「当り前です。さぁ! パンツ! パンツ!」

「ちょ、ちょっと。やめて!」

囃し立てる俺に先輩は何とかごまかそうとしているようだ。

「あれ? 先輩さっき言いましたよね? 正直と誠実は私のような人間のことを言うって」

「あ、う……」

「約束、破るんですか。酷いなー先輩。酷い人だーショックだなー。信じていたのになー」

白い目で見ながら当てつけのように責めてやる。
先輩も自分の発言がもとになって居るとあっては強く否定できないのだろうか。

「わ、わかったわよ。見せてあげるわ」

最後には不承不承、といった感じで折れた。
内心ガッツポーズをしたことは言うまでもない。



989 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:07:21.86sCm9yq7Io (5/9)

俺は椅子に座って先輩に向かい合った。
先輩は何やらモジモジと恥かしそうに手を擦り合わせつつも視線をあちこちに彷徨わせている。

「先輩?」

「だ、大丈夫よ。ちょっと、待ってなさい」

そういって先輩は大きく息を吸ってよし、と小さく気合を入れた後ゆっくりとスカートの裾を掴んだ。
優希とかと比べて、議会長らしく学校規定を守った長めのスカートは普段、先輩の足の大半を覆い隠している。
それが、今ゆっくりと俺の眼前に晒されていく。

黒いタイツに覆われていて、素肌が見えるわけではないのだがなぜか逆にいやらしく感じる。
普段はあまり見えない太腿が見えてくる。
ふっくらと膨らんだそれは、許しがあれば思わず頬を寄せたくなるほどの柔らかさを想像させられた。
指を這わせるとどうなるのだろうか。その白い肌が赤くなるほど強く撫ぜるとどうなるのか。

心臓が高鳴る。まだ肝心のものを見ていないというのにこの有様だ。
最初は余裕ぶって先輩をいじめてやろうと思ったのにそんな余裕はあっという間に消え失せた。
ストーブの燃える音だけが響いている静かな部室が、甘ったるい香でも焚いたような異様な空気になっている。

先輩は下着がギリギリ見えるラインでいったん手を止めた。
手が震えている。膝頭も震えている。
顔は普段は見られないような羞恥の表情を浮かべ、若干呼吸が荒かった。
その手は止まったままで、なかなか上に行かなかった。
ちらりとこちらを見てくる。
きっと期待しているんだろう。

――もういいですよ。
――ごめんなさい。調子に乗りました。

そんな言葉を。


990 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:10:01.90sCm9yq7Io (6/9)

俺も理屈では分かっている。
明らかに限界な先輩の様子を見ればそう言うべきだというのはわかる。
今ならまだ間に合うだろう。
謝ればまたいつも通り。
先輩はいつもの調子を取り戻し俺をからかってくるだろう。
しばらくはこのネタで弄られるだろう。
だが、全て元通り。
いつも通りの日常に戻れるだろう。

でも、その言葉は出なかった。

理由は明白だった。
最初はパンツが見たいっていう子供のような下心だった。
だが、今はそれだけじゃない。
普段は俺をからかう先輩が俺の目の前で羞恥の表情を浮かべている。
赤い顔。
揺れる体。
何か言いたげに震える唇。
何かを訴える瞳。

そして、その姿を見ているのが俺一人。
普段見られれない先輩を俺が独占している。

それらすべてが俺の今まで感じたことのない欲望を呼び覚ましていた。

もっと見ていたい。
その表情をもっと見たい。
その先へ。

「先輩」

先輩が期待を込めた目でこちらを見つめてくる。
俺は口元にわずかな笑みを浮かべてその期待を裏切った。

「手が止まってますよ?」


991 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:12:08.47sCm9yq7Io (7/9)

「わ、わかってるってば」

精一杯の強がりなのだろう。
明らかに限界な様子を見せながらも先輩は気丈に告げた。
だがその姿は俺の期待したもので、酷く満たされた気分だった。

ゆっくりと、残りわずかな部分をたくし上げていく。
視線を逸らし、ギュっと目をつぶり、手を震わせながらもゆっくりと。
思わず、生唾を飲み込んだ。
あと、少し。
もう少し。

「こ、これで、いいでしょ」

とうとう、黒いタイツのに隠れて、部長の薄い青のパンツが見えた。
わずかなレースで飾られたそれは俺の体温を熱くさせるのには十分だった。

頭が熱い。
ぐらぐらと、言いようのない感情が湧きあがってくる。
先輩は何度も手を下げて隠そうとするのを必死に耐えていた。
震えるほど強く瞑られた眼。
軽く唇を噛み、耐えるかのようなその表情。

あの、先輩が。
あの、部長が。
俺にこんなことをしている。
俺にこんな姿を見せている。

何時もの余裕はどこへやら。
その表情はひどく、ひどく魅力的だった。
がちり、と頭の中で何かのスイッチが入った。
もう、止まる要素は何もなかった。


992 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:12:35.12sCm9yq7Io (8/9)

「先輩」

もっと。

「な、なぁに? もう、いい?」

もっと。

「約束が違いますよ、先輩」

もっと、そんな姿が見たい。

「えっ?」

もっと、もっと綺麗な。

「タイツに隠れてパンツがよく見えません。だから」

綺麗な先輩が、見たい。



「タイツ、脱いでください。今すぐ」


993 ◆CwzTH05pAY2013/04/12(金) 02:13:42.81sCm9yq7Io (9/9)

おぉっと、ざんねん。

かききるには、れすのかずがたりないなー(棒読み)

なごりおしいですが、ここまでですねー(棒読み)


994VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:15:19.78VcDHFYGeo (1/1)

おいふざけるな(憤怒)


995VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:15:30.19VSdUP03no (1/1)

正に外道ww


996VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:15:42.98pntJvkBpo (1/1)

はなしがちがう


997VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:17:18.278ql6r79Mo (1/1)

悪女スレに続きを書くんですね?
解ってます


998VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:17:42.67V5a5zUi90 (1/1)

悪女スレで続きだね(ニッコリ


999VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:18:46.17rMFK4/dgo (1/1)

30スレ分待ってるよ(ニッコリ


1000VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/12(金) 02:18:51.80FYZWg5tko (1/1)

>>1000なら悪女スレに続きを書く