413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/18(月) 08:38:11.26hO9BWYlR0 (2/2)

あ、今回の件の前段階での話ね


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/19(火) 01:37:12.301RveCNf/o (1/1)

甘い考えでこれまでやってきた連中と
使えるものは全て使い、使えないやつは切り捨てるやつの違い
仲間になんぞなれるかよ


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:08:47.5379zqMZjf0 (1/16)




――カチャッ。




「……ただいま」



「おかえりなさい」



「……」



「なんかあんまり嬉しくないみたいね。こんな美人に出迎えられてなにが不満なわけ?」



「……愛は?」



「876プロのアイドルたちとお泊り会だって。断りきれなかったみたいだわ」



「あっそ」



「ずいぶん素っ気無いわね。今度はどんなお悩みを抱えてるのかしら?」



「……今日のご飯なに?」



「ロールキャベツとポトフ。作りかけだから少し待ってて」



「……手伝う」



「ふふっ。ありがと」


――



416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:10:22.9279zqMZjf0 (2/16)




「ご馳走様でした」



「はい、お粗末さま。……食器は私が洗うからアンタゆっくりしてなさい」



「それくらい自分でやるよ」



「ダメ。こういうのは主婦の仕事って相場が決まってるの」



「……」



――ジャァー。カチャヵチャ。




「それで、今度はどんなお悩みを抱えてるのかしら?」



「……」



「さっきは逸らかされたけど、今度はちゃんと聞かせてもらうわよ?」



「……あっそ」



「つれないわね。……まぁ、良いわ。早く話しなさい」



「……事務所、クビになった」



「そう」



「……」





417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:11:46.2579zqMZjf0 (3/16)




「でも、悩みはそれじゃないんでしょう?」



「なんでそう思うんだ?」



「簡単よ。アンタがクビになったくらいで落ち込むような人間に見えないもの」



「……」



「言葉にしなきゃ伝わらないわよ?」



「……そうだな」



「……」



「……」



「……」



「……“真美を泣かせた”」



「そう……」



「……やっぱり俺は、みんなの言った通り“最低のクズ”なのかな?」



「……そうね。……例えどんな理由があったとしても、“女を泣かせたヤツ”は最低のクズに違いないわ」



「……」



「まぁ……、私が言えた義理じゃないけどね……」



「……。“クズ”、か……」





418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:14:05.8779zqMZjf0 (4/16)




「……」



「……なぁ、舞さん」



「なに?」



「……正直、俺がこんなことを頼むのはお門違いかもしれない。バカにしても良い。軽蔑してくれても構わない」



「……」



「それでも、……俺の話を聞いてくれないか?」



「……どんな頼み事なの?」



「……」



「……」



「……もう一度だけ――」



「……」



「――“アイドルになってくれないか?”」



「え?」


――



419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:16:34.1979zqMZjf0 (5/16)




「――。考えておいてくれ」



「ムリよ……」



「……それは、……“母親”としての答えか?」



「当たり前じゃない。私には愛がいるもの」



「……俺は、……“日高舞”に聞いてるんだ」



「……。なんで今更……」



「……理由は色々ある」



「……」



「でも、一番の理由は……。舞さんが親父の宝だからだ」



「私が……、プロデューサーの、……宝……?」



「あぁ。自分の担当した中で最高のアイドル。……それが舞さんだった」



「……」





420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:18:11.6179zqMZjf0 (6/16)




「だけど、俺は……、舞さんも親父も嫌いだったから壊した。舞さんが大切にしてきた宝も、親父の宝も、全部な」



「……」



「……こんなことで許されるとは思ってない。……それでも俺は、……償いたいんだ」



「そんなの、……アンタの勝手じゃない」



「分かってるよ……。だけど頼む。俺にやり直すチャンスをくれないか?」



「……」



「……」



「……愛は、……どうするの?」



「……俺から話す」



「そう……」





421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:18:52.7679zqMZjf0 (7/16)




「……」



「……少しだけ、……時間をちょうだい」



「……分かった。……答えが決まったら教えてくれ」



「……」



「……それじゃあ、お休み。舞さん」



「えぇ。おやすみなさい」



――カチャンッ。




「……ホント、……最低なプロデューサーね……」



――



422VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 18:22:29.6879zqMZjf0 (8/16)

少ないですが、残りは8時頃にします


423VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:43:28.0679zqMZjf0 (9/16)




――「それでは登場して頂きましょう! 魅惑の女装アイドル、秋月涼くんです!」




「……」



――ピッ。




「はぁ……。暇だな」



~♬~♫♪~♬。




「はい」



――「……テレビをつけろ」




「え? あぁ、分かりました」



――ピッ。



「……音楽企業、――の代表取締役、――が今朝、逮捕されました」




「……へぇ」



「なお、被害にあった女性は裁判の構えを示しており、検事側が提示する証拠の他、匿名の記者からの情報もあって実刑は免れないとの見方が強まっています」






424VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:45:13.5479zqMZjf0 (10/16)




――「……これで満足か?」




「えぇ。すみませんね、無茶なことを頼んで」



――「……お前の言った通り、俺は全ての情報を売った。……例の件、……忘れてないよな?」




「分かってますよ。……“報酬はキチンとお返します”」



――「そうか。それを聞いて安心した」




「……それでは失礼しますね」












「――悪徳さん」












――



425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:49:52.1279zqMZjf0 (11/16)



真美
「おっはよ→!」


赤羽根
「真美!」


真美
「ん→? どったの兄ちゃん?」


赤羽根
「あ、いや、その……、大丈夫なのか?」


真美
「なにが?」


赤羽根
「なにがって……。昨日あんなことがあっただろ? 落ち込んでたんじゃなかって心配してたんだよ」


真美
「あー、大丈夫だよ」


赤羽根
「……ホントに大丈夫なのか?」


真美
「も→まんたい。兄ちゃんは心配性だな→」


赤羽根
「……」


真美
「それじゃ、お仕事に行ってくるね」


赤羽根
「……現場まで送るよ」


真美
「ありがと。でも、兄ちゃんも皆のお仕事を取ってくるのに忙しいでしょ?」


赤羽根
「俺のことは気にしなくて良い。それに、真美になにかあるよりマシだ」


真美
「……そうだね。じゃあ、送ってもらおうかな?」


赤羽根
「あぁ、すぐに車取ってくるよ」


――



426VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:51:49.0279zqMZjf0 (12/16)



真美
「おはよ→ございます!」



――「おはよう。……あれ? 真美ちゃん、今日はPさんと一緒じゃないの?」



真美
「白ちゃんなら辞めたよ」



――「え?」



真美
「クビだって」



――「そ、そうだったのか。辛いこと聞いちゃったな」



真美
「ううん。気にしなくて良いよ。……今日から兄ちゃんと一緒にお仕事することになったから、次からよろしくね?」


赤羽根
「……」


真美
「ほら、兄ちゃんも!」


赤羽根
「あ、あぁ……。今日はよろしくお願いします」



――「コッチの方こそよろしく」



真美
「それじゃ、お仕事始めよっか!」



――「……そうだね。真美ちゃん、今日はよろしく」



真美
「うん!」


――



427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:53:33.4979zqMZjf0 (13/16)




――カメラ確認OK。お疲れ様でしたー。



真美
「お疲れ様でした→!」


赤羽根
「お疲れさま」


真美
「あれ? 兄ちゃん、みんなの所に行かなかったの?」


赤羽根
「まだ時間に余裕があるから次の現場に送ってから向かうよ」


真美
「ふーん」


赤羽根
「それで、次の現場ってどこなんだ?」


真美
「えっと、次のお仕事は……」ペラッ


赤羽根
「……」


真美
「……」


赤羽根
「……」ジー


真美
「はぁ……。兄ちゃん」


赤羽根
「え?」


真美
「そんなに見られるとやり難いんだけど」


赤羽根
「あ、悪い……」


真美
「んっふっふ→。もしかしてセクシーな真美にメロメロって感じ?」





428VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:56:26.9979zqMZjf0 (14/16)



赤羽根
「……それ、Pから貰った手帳なんだよな?」


真美
「え? あぁ、コレね。……それがどうかしたの?」


赤羽根
「いや、大切にしてるんだなって」


真美
「……まぁね」


赤羽根
「なぁ、真美。……俺には、どうしてもお前がムリをしてるように見えるんだ」


真美
「なんでそう思うの?」


赤羽根
「勘、……かな? Pと変わるまではずっと見てきたから、なんとなく普段の真美と違うような気がするんだ」


真美
「……嘘ばっか」


赤羽根
「嘘なんかじゃない。それに、俺が嘘をついてないのは真美だって分かってるだろ?」


真美
「そうだね。……でも、兄ちゃんが見ていたのは真美じゃなくて、“みんな”でしょ?」


赤羽根
「真美?」


真美
「……少し、イジワルだったね」





429VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 20:59:52.5179zqMZjf0 (15/16)



赤羽根
「……アイツに、何をされたんだ?」


真美
「……」


赤羽根
「もし俺に言えないことなら小鳥さんや律子でも良い。それでもダメなら――」


真美
「……白ちゃんは何もしてないよ」


赤羽根
「――え?」


真美
「ねぇ、兄ちゃん。あの時、不思議に思ってたよね。初めて会った白ちゃんに真美がついて行ったこと……」


赤羽根
「あ、あぁ……。でも、俺が聞きたいのは……」


真美
「前までさ、真美も分からなかったんだ。兄ちゃんじゃなくて、白ちゃんを選んだ自分が……」


赤羽根
「……」


真美
「今になってようやく分かったよ」


赤羽根
「……」


真美
「……きっと、……“恋”、だったんだね」


赤羽根
「……は?」


真美
「最初は、あの白い髪が気になってたのに、いつの間にか“白ちゃん”が気になってたんだもん」


赤羽根
「ま、み……?」


真美
「でも、気づくのが遅すぎたみたい。……白ちゃんを引き止めることも、自分の気持ちを伝えることもできなかったんだから……」


赤羽根
「……」


真美
「兄ちゃん。……真美、……フラれちゃったよ」


――



430VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 21:00:38.8779zqMZjf0 (16/16)

明日また更新します


431VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 21:03:57.43stGewasDO (1/1)

屑P死ね


432VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 21:34:16.28zyduVCIzo (1/1)

Pは結局今も舞や真美を騙してる真性の屑なのか?


433VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/29(金) 21:34:54.04LrGMqbP8o (1/1)

赤羽根の方が屑すぎてどっちにも同情できん


434VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 04:23:43.01nDQbXVxQo (1/1)

あ、俺はやよぃとイチャイチャしてますね


435VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:24:23.69jRoHYUcw0 (1/40)




「ただいまーー!!」



――ガチャンッ!




「おかえり」



「あれ? お兄ちゃんだけ?」



「不満か?」



「そんなことないけど、……ママは?」



「買い物に行ってる。夕飯までには帰るらしい」



「そうなんだ」



「ところでお前、もうご飯は済んだのか?」



「まだ食べてないよ?」



「ふーん。なら丁度良いや」



「あっ! もしかしてお兄ちゃんが作ってくれるの?」



「作って欲しいのか?」



「うん! ……ダメ?」



「別に良いけど、お前も手伝ってくれよ」



「はーい♪」


――



436VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:25:58.80jRoHYUcw0 (2/40)




「なにが食べたいんだ?」



「うーん……。お兄ちゃんってなにが作れるの?」



「基本的なのなら何でも作れるぞ」



「へー、意外。男の人って料理が苦手なイメージだったけど」



「まぁ、一人暮らしが長かったからな。それで、リクエストは決まったのか?」



「うーん。……パスタ?」



「パスタかぁ……。いろいろ種類が多くて悩むな」



「あたしカルボナーラが良い!」



「はいはい。なら、俺はキノコでも使って和風パスタにするか」



「え? なにそれ美味しそう! あたしも食べたい!」



「お前、そんなに食べられるのか?」



「無理だよ! だから半分っこ♪」


――



437VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:28:21.11jRoHYUcw0 (3/40)



P・愛
『いただきまーす』



「熱いから気をつけろよ?」



「うん!」



「……」モグモグ



「美味しいー♪」



「大袈裟なヤツだな。市販品とあんまり変わらないだろ」



「そんなことないよ! すっごく美味しいもん!」



「そう言ってもらえるのは嬉しいが……」スッ



「ぁ……」



「口元には気をつけような?」





438VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:29:12.33jRoHYUcw0 (4/40)




「あ……。ごめんなさい……」



「反省したなら良いよ。……ほら」クルクル。スッ



「? ……あっ!」



「コッチのも食べたかったんだろ?」



「で、でも! これって!」



「いらないのか?」



「あ、え、その、えっと……。いる!」



「悩んだ割には素直だな。……はい」



「あ、あーん……」



――パクッ




「美味いか?」



「う、うん」


――



439VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:30:20.61jRoHYUcw0 (5/40)




「ご馳走様でした」



「ご、ごちそうさまでした!」



「なんかお前、顔が紅くなってないか?」



「そ、それは……」



「それは?」



(いきなりだったから驚いたけど、やっぱり嬉しいけど……。ぁあ、もうッ!)



「?」



「と、とにかくお兄ちゃんがいけないの!」



「俺?」



「そうだよ!」


――



440VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:31:33.44jRoHYUcw0 (6/40)




「さて、腹も膨らんだし、出かけるか」



「どこ行くの?」



「散歩」



「……あたしも行って良い?」



「当たり前だろ? 元々そのつもりだ」



「やった!」



「あ、でもプライベートだからって変装するの忘れるなよ?」



「うん!」



「どこ行こうかな~。そうえば、あそこの通りにアクセサリーショップが出来てたな……。帰りに寄ってみるか」



「ふふっ♪」





441VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:32:22.63jRoHYUcw0 (7/40)




「どうした?」



「なんかコレって、デートみたいだなーって!」



「そうなのか?」



「そうなのか、って……。お兄ちゃんは違うの?」



「いや、兄妹でデートは変だろ」



「えー! 仲の良い兄妹なら普通だよ!」



「へー」



「あっ! ちょっと待ってて! 着替えてくる!」



「転ぶなよー?」



「分かってるよー!」


――タッ、タッ、タッ



「……」


――



442VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:36:02.45jRoHYUcw0 (8/40)




「~♪」



「さて、家を出たばっかりだけど……、行きたい場所とかあるか?」



「ないよ! だから、お兄ちゃんがエスコートしてね!」ニコッ



「そんなこと言われてもなぁ……」



「お兄ちゃんが選んだ所なら、あたし何でも良いよ?」



「なんでも良いが一番難しいんだけど……。あっ、カラオケなんてどうだ?」



「カラオケ?」



「あぁ。久しぶりにお前の歌声が聞きたくなったってのもあるけど……、これなら二人っきりだろ?」



「え!?」



「冗談だ」



「もー! からかわないでよ!」



「悪かったよ。でも、お前の歌声が聞きたいってのはホントだから」



「ホントにー?」ジトー



「本当だ。ついでに鈍ってないかチェックしてやる」



「えー。それじゃあプライベートなのにレッスンみたいでヤダ!」



「ふふっ、お前がなにを歌うのか楽しみだ」



「むー! お兄ちゃんのイジワルー!」


――



443VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:37:57.92jRoHYUcw0 (9/40)




♫~♪♬




「愛し合うー、ふたーり、しーあわせの空。隣どおし、あなたと、あたしさくらんぼー♪」



――もういっかい!




「笑顔咲クー、君ーと、抱ーき合ってたい」



~♬♫~♪




「愛し合うー、ふたーり、いーつの時ーも!」



―― Uh Yeah Uh! Uh Yeah Uh!




「愛し合うー、ふたーり、いーつの時ーも! 隣どおし、あなたと、あたしさくらんぼー♪」



~♬♪~♫~♬♫~♪~♪






444VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:40:03.54jRoHYUcw0 (10/40)




「ふぅ……。ねぇ、お兄ちゃん! あたしの歌、どうだった?」



「そうだな……。愛らしくて良かったぞ」



「ホントに!? やったー!」



「ふふっ」ナデナデ



「ぁ……」



「どうした?」



「ううん。なんでもない」



「変なヤツ」



「ふふっ。なんだか懐かしいかも」



「……? なにが?」



「こうやって撫でてくれることだよ」



「……」



「お兄ちゃんの手、やっぱり暖かいね」



~♬~~♪~♫~♪




「あっ! コレ、お兄ちゃんの曲じゃない?」



「みたいだな」



「そういえば、お兄ちゃんが歌うところなんて初めてかも。どんな歌かな~?」


――



445VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:40:48.32jRoHYUcw0 (11/40)




~♬~~♪~♪~♫




「美しい人生よ。 かぎりない喜びよ。 この胸のときめきを、あなたに」



「……」



「二人に死がおとずれて、星になる日が来ても、あなたと離れはしない」



~♪~♫~~♬~♫♪




「え、えっと……」



「意外か?」



「う、うん。……なんで松崎しげる?」



「大人だからな」



(どうしよう……。お兄ちゃんが大人に対して変な偏見を持ってる……)


――



446VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:41:54.00jRoHYUcw0 (12/40)




「いや~、なかなか楽しめたな」



「そ、そうだね」



「なんでそんな微妙な顔してるんだ?」



「してないよ! それよりも、お兄ちゃん! 次はどこに行くの?」



「ん~。さっきは俺が選んだから次はお前が選んでくれ」



「えー! あたしが!?」



「俺はもうお手上げだ」



「むぅ。せっかくお兄ちゃんがエスコートしてくれたと思ったのに……」



「まぁ、こういうのもデートっぽいだろ?」



「……そうだね!」



「という訳でよろしく」



「うん! って言っても、あたしもノープランなんだよね」



「それなりにバリエーションがあって、色々と遊べるところなら別にどこでも良いぞ?」



「リクエストが多すぎるよ!」


――



447VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:43:06.82jRoHYUcw0 (13/40)




――ワイワィ。――ざわざゎ。




「……なんでゲーセン?」



「だってこれくらいしか思いつかなかったんだもん! 仕方が無いよ!」



「まぁ、良いけど」



「あっ! コレ新しいの出てたんだ! 久々にやってみようかなー?」



「なんか手馴れてるな。もしかして、こういう所によく来るのか?」



「うん! 絵理さんがこういうゲームに詳しくて、すっかりハマっちゃった!」



「へー」



「お兄ちゃんもやってみる?」



「手加減してくれるならやってみようかな」



「あはは♪ あたしがそんな器用なことができると思う?」



「……思わない」


――



448VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:44:05.17jRoHYUcw0 (14/40)




「……」クッ、クッ、ヵチャ、タッ、タンッ



――誰も傷つけたくないのッ! ――グォッ!? グォッ!? ガァッ!




(あと……、少し……ッ!)



――調子に乗りやがってッ! ゥオオオオオオッ! ドラゴンインストールッ!!




「――ッ!? た、耐えて……」



――ッチ。――ネクロ! ――グォッ!? グォオ!? ――SLASH!! ――You Win.




「あ、危なかった……」


――



449VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:45:51.18jRoHYUcw0 (15/40)




「ちぇー、良いとこまでいったのに」



「ちょ、ちょっと! こんなに強いなんて聞いてないよ!」



「そうか? たいして強くないだろ」



「えー! 強いよ! というか、お兄ちゃんもこのゲームやってたの?」



「少しだけな」



「へー。でも意外かも!」



「?」



「お兄ちゃんがゲームセンターに来てたことだよ! そんなイメージぜんぜんなかったもん!」



「まぁ、真美のお陰かな」



「どういうこと?」



「最初は真美のトレーニングが目的だったんだけど、気分転換の意味も込めてよく付き合わされてたんだ」



「……ふーん」





450VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:47:21.61jRoHYUcw0 (16/40)




「なにふてくされてるんだよ。もしかして俺が真美の話をしたからムッとしてるのか?」



「別にー。お兄ちゃんが誰と遊んでも、あたしには関係ないもん」



「分かりやすい嫉妬だな。はいはい。悪かった、悪かった」



「し、嫉妬じゃないもん! というか謝る気ないでしょ!」



「おー、よく分かったじゃないか」



「むぅ!」



「ははっ、完全にご立腹みたいだ」



「お兄ちゃんなんて知らない!」



「悪かったって。なんでもするから許してくれ」



「……ホントに?」



「本当だ。それで、どうしたら許してくれるんだ?」



「……あれ」



「?」



「あれで許してあげる!」


――



451VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:48:11.99jRoHYUcw0 (17/40)




――背景を選んでね!




「えーと……。これと、これと、後これかな♪」ピッ、ピッ、ピッ



「なぁ、愛。ホントにこんなので良かったのか?」



「うん! というか……」



「?」



「最初っからコレが目当てだったりして。……えへへ」



「はぁ。……小悪魔め」



「ごめんね?」



「気にするな。お前が楽しんでるならそれで良い」



「うん。ありがと♪」


――



452VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:49:57.62jRoHYUcw0 (18/40)




――ラクガキ・タイム!




「~♪」



「まだかー?」



「もうちょっと待ってー!」








「うん! これで良しっと!」




――バサッ。




「お待たせ!」





453VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:52:08.72jRoHYUcw0 (19/40)




「別に待ってないけど……、お前、写真はどうしたんだ?」



「写真じゃなくてプリクラだよ!」



「なにが違うのか分からん」



「シールにできるのがプリクラ!」



「ふーん。それで、そのプリクラは?」



「ん~、もうすぐだと思うけど……」



――ビィー。




「あっ! できたみたい!」



「へー、どれどれ……」



「お兄ちゃんは見ちゃダメ!」





454VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:53:02.86jRoHYUcw0 (20/40)




「なんでだよ。別に減るもんじゃないだろ?」



「ダメなものはダメなの!」



「ふーん……」ジーッ



「ぁぅ……」



「はぁ、……分かったよ」



「え?」



「なに書いたか知らないけど、そこまで嫌なら見ない」



「あ、うん」



「その代わり、ちゃんと自分で管理しろよ?」



「うん!」


――



455VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:54:19.75jRoHYUcw0 (21/40)




「さて、次は俺の番だな」



「どこに行くの?」



「今朝も言ったと思うけど、新しくできたアクセサリーショップにでも寄ってみようと思う」



「そんなところあったかな~?」



「まぁ、あんまり人目に入らないようなところだから、知らなくても無理ないと思うぞ」



「へー」



「見た感じ色々と揃ってたから、気に入ったのがあったら買ってやるよ」



「ホントに!?」



「あぁ。でも、ピアスとかはダメだからな」



「分かってるよー♪」


――



456VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:54:50.57jRoHYUcw0 (22/40)




~♬~♪♫♬~♬♪♫



――「いらっしゃいませー」




「あっ、この時計、ウサギの形してる! カワイイなー」



「なぁ、愛。こんなのどうだ?」



「ライオン!? あたし、そんなの使いたくないよ!」



「ちぇ、格好良いのに……」



「もう! 変なところで子供っぽいんだから!」



「はぁ? 俺のどこが子供だよ」



「そんなの選んでる時点で子供です!」



「むっ。じゃあ、お前の言う大人っぽいのってなんだよ」



「え? んーと……、こういうシックな時計とか……、飾り気のないタイピンとか……、そんな感じ?」



「……」ヵチャ、ヵチャ



「なにやってるの?」



「どうだ? 大人っぽいか?」



「うーん。どう見ても背伸びしてる高校生にしか見えないよ」



「……」ギュウゥ



「ぁぅ~~~ッ! ごへんなひゃい~~!」


――



457VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:56:24.95jRoHYUcw0 (23/40)




「さて、戯れはここまでにして……。買いたいの決まったか?」



「うん! あたし、コレにする!」



「ペンダント?」



「やっぱりハートが可愛いなーって」



「ふーん」



「しかもコレ……、ほら!」



「?」



「少し小さいけど、写真が入れられるんだよ!」



「いや、そんな大きさの写真なんて――。 あ……」



「気付いた?」



「お前……、まさか……」



「うん! さっき撮ったプリクラ、入れるつもり!」



「ふざけんな。そんな恥ずかしいの買えるわけないだろ」



「む! お兄ちゃん、さっき好きなの買ってくれるって言ったよ?」



「ぅぐ……」



「ふふっ。決まりだね!」



「ちくしょー。どんな罰ゲームだよコレ……」



「お守りにしよーっと♪」


――



458VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 17:57:32.73jRoHYUcw0 (24/40)

8時頃にまた来ます


459VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 18:16:38.20fQXLPe0To (1/2)

プリクラ…


460VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 19:12:04.51tuv1/thwo (1/1)

真美は報われないなぁ・・・


461VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 19:47:32.08eA6u61eDo (1/1)

この二人のPは結局のところやり方が違うだけでどっちが間違ってるという話じゃないと思う
実際赤の方もそのやり方で実績があるわけだし
ただ白の方は一度クリアしたゲーム~のせいか好きになれんなー


462VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:36:18.99jRoHYUcw0 (25/40)




♪♫~♬♬~




「5時か。……けっこう遊んだな」



「もう帰る時間なんだ。……時間が過ぎるのって、あっという間だね」



「なに感傷に浸ってるんだよ。もしかして帰りたくないのか?」



「……かもね」



「え?」



「嘘だよ。……でも、少し名残惜しいのはホントかな」



「……」



「ねぇ、お兄ちゃん」



「ん?」



「……今度は、……“どこに行っちゃうの?”」



「なんのことだ?」



「隠してもダメだよ。……もう、……分かってるから」





463VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:40:07.92jRoHYUcw0 (26/40)




「……知ってたのか?」



「なんとなくだけどね」



「……ホントは俺から伝えようと思ったんだけどな。……なんで分かったんだ?」



「だって今日のお兄ちゃん、なんだか優しいんだもん」



「……」



「あはは。そんな顔しないでよー!」



「……今まで厳しい兄貴で悪かったな」



「ふふっ。……でも、ホントに楽しかったな~」



「……」



「一緒に食事したり、ゲームしたり、プレゼントを貰ったり……。いつも素っ気ないお兄ちゃんが、今日だけは別人みたいだったもん」



「……」



「まるで……、あたしに“何かを償っている”みたいに……」



「――ッ」



「……やっぱり、……そうだったんだね」





464VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:41:40.52jRoHYUcw0 (27/40)




「なんで……、そこまで分かってて……、最後まで付き合ってくれたんだ……?」



「“最後”だからだよ」



「……?」



「あたし、気づいちゃったんだよね。……もしかしたら、また……“長いお別れ”になるのかもって」



「……」



「だから、今日の……ううん、今までの想い出を大切にしようって思ったの」



「……」



「ねぇ、お兄ちゃん。……また、帰ってきてくれる?」



「あ、……あぁ」



「そっか。……じゃあ、待ってる」



「え……?」



「だって、また帰ってきてくれるんでしょ? なら、“みんな”が帰ってきてくれるまで、あたし待ってるよ」



「……」



「やっぱり寂しいけどね。……えへへ」





465VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:44:43.53jRoHYUcw0 (28/40)




「……。なんで――」



「?」



「なんで……、そんなに純粋でいられるんだ……?」



「……」



「勝手にいなくなって、全部メチャクチャにして、……また、お前を“独り”にしようとしてるのに……。なんで、そんなに純粋でいられるんだよ……ッ!」



「お兄ちゃん……」



「許さなくて良い。恨んでくれて良い。……お前には、……その権利があるのに。……なんで……なんで……」



「そんなこと、できないよ。……あたしの気持ち、……お兄ちゃんも知ってるでしょ?」



「……ッ」





466VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:46:13.18jRoHYUcw0 (29/40)




「それに、あたしは独りぼっちなんかじゃない」



「え?」



「絵理さん、涼さん、……玲子さんに、石川社長、……春香さんや、真美ちゃん、……ママ、それにお兄ちゃんも……。みんな、あたしの味方だもん」



「……」



「あの時、お兄ちゃんが教えてくれたことだよ?」



「……」



「だから、大丈夫。……どんなに寂しくても、どんなに泣きそうになっても、……みんな、あたしと繋がってる。だから、あたしは一人じゃないもん」



「でも、俺は――」



「ねぇ、お兄ちゃん。約束して」



「……」



「遠くに行っても、離れていても、いつかは帰って来る。そう約束して」



「……」



「それが、あたしへの償い。……ほかに、……あたしは何もいらないもん」





467VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:48:14.36jRoHYUcw0 (30/40)




「……あぁ。約束するよ」



「うん! じゃあ、お兄ちゃん。約束の証拠!」スッ



「……懐かしいな」スッ



――キュッ




「指きりげんまん」



「嘘ついたら針千本のーます!」



――『指切った!』













「約束だよ?」












――



468VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:50:36.21jRoHYUcw0 (31/40)




――ガチャッ。




「ただいまーー!」



「ただいまー」



「あら、二人ともお帰りなさい。どこに行ってたの?」



「んー、カラオケとか、お買い物とか、色々かな?」



「あら、それってデートじゃない」



「うん! すっごく楽しかった!」



「ふーん……」ジッ



「なんだよ」





469VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:51:21.47jRoHYUcw0 (32/40)




「別に。……それよりも、アンタたちってもう食べてきたの?」



「ううん! まだ!」



「そう。じゃあ今からパパッと作っちゃうわ」



「あたしも手伝う!」



「愛は疲れてるでしょ? 少し休んでなさい」



「えー! 疲れてないよー!」



「良いから休んでなさい。P、悪いけど手伝ってくれない?」



「……分かった」


――



470VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:52:45.34jRoHYUcw0 (33/40)



――サクッ、サクッ。



「ねぇ、P。……アンタ、愛にあのこと伝えたの?」



「……まだ、舞さんのことについては伝えてない」



「ちょっと、話が違うじゃない」



「悪かったよ。でもまぁ、……最初っから気づいてたみたいだけどな」



「え?」



「さっき、愛に言われたんだ。“今度はどこに行っちゃうの?”って」



「……」





471VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:54:13.87jRoHYUcw0 (34/40)




「もう、アイツは全て分かってる。俺たちがいなくなることも……」



「そう……」



「……あいつは、……強い女の子だよ」



「……」



「これから先、辛い思いをするのも、寂しい思いをするのも分かってるのに、それを許してくれた」



「……」



「みんなが帰ってくるまで待ってる。なんて言葉、俺なら絶対に言えないな……」



「そうね。……たぶん、私も言えないわ」



「……」



「……ねぇ、P」



「なんだ?」



「さっきの話だけど、……やっぱり自分で伝えるわ」



「……そっか」


――



472VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:55:27.42jRoHYUcw0 (35/40)




――『ごちそうさまでした!』




「美味しかったー!」



「片付けは俺がやるよ」



「あっ! じゃあ、あたしも――」



「ねぇ、愛。……この後、……ちょっと良い?」



「?」



「話したいことがあるのよ」



「あ、うん……」



――ジャー。ヵチャ、ヵチャ。




「……」


――



473VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:57:25.61jRoHYUcw0 (36/40)




「それで、あたしに話ってなに?」



「……」



「ママ?」



「ねぇ、愛。これから話すことはとっても重要なことだから、よく聞いて」



「うん」



「……。私、……もう一度アイドルになろうと思うの」



「……うん」



「でも、あの事件をキッカケに引退した私に、復帰するチャンスなんてない」



「……」



「だから――」



「……」









「――Pと一緒にアメリカへ渡ることにしたわ」










474VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 20:59:14.99jRoHYUcw0 (37/40)




「……そっか」



「……驚かないのね」



「いなくなるのは、……分かってたから」



「そう……」



「……」



「……でもね、もし愛が“行かないで”って言うなら、私はこの話を断ろうと思うわ」



「え?」



「正直……、迷ってるのよ。あなたに寂しい思いをさせてまで世界に行く意味なんてないと思うから」



「……ママは、……どうしたいの?」



「私は……、愛さえいれば良いわ」



「違うよ」



「?」



「あたしが聞いてるのは、“アイドルとしてのママ”だよ。それに、母親としての気持ちは、ずっと前から知ってるもん」





475VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 21:00:47.88jRoHYUcw0 (38/40)




「……」



「……行ってみたいんだよね?」



「……えぇ」



「そっか……」



「……」



「……」



「……」



「……ママ」



「なに?」



「行ってきなよ。……アメリカ」



「え?」



「だってママ、もう一度アイドルになりたいんでしょ? なら、あたしのことは気にしなくて良いから行ってきなよ」



「で、でも……」



「それに、あたしの知ってるママはこんな弱気になったりしない。思いつきで行動して、いつもあたしを振り回すけど、自分の気持ちに正直な人だったよ?」



「……これでも親バカなのよ」



「ふふっ。それは意外だったかも」





476VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 21:02:40.98jRoHYUcw0 (39/40)




「ねぇ、愛。……本当に、……行っても良いの?」



「……あたしは、ママのしたいことを止めるつもりはないよ。……ううん。しちゃいけないの」



「……」



「でも、それでもあたしのことを気にしてるなら、ママの為に魔法をかけてあげる」



「魔法?」



「うん! とっておきだよ!」



「?」



「――“ママに勝ったアイドルはだ~れだ?”」



「……なるほど。そうだったわね」



「どう? この魔法、すごく効いたでしょう?」



「えぇ。確かにすごい魔法だったわ」



「えへへ。向こうのお土産、楽しみにしてるね!」



「きっと愛が驚くようなもの買ってくるわ。でも、その前にリターンマッチが先ね。……逃げないでよ?」



「心配しなくても大丈夫! チャンピオンはいつでもチャレンジャーの挑戦を受けるよ!」



「……ふふっ。言うようになったわね」


――



477VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 21:03:52.79jRoHYUcw0 (40/40)

今日はここまで。明日投下して、また不定期にしたいとおもいます。


478VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 21:23:45.09vVenJT/8O (1/1)

乙!
愛ちゃんの正妻の貫禄が凄い


479VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/30(土) 21:48:12.96fQXLPe0To (2/2)

愛ちゃん正妻過ぎて鼻血出そう


480VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:08:06.09UO+tBPRE0 (1/45)




――コンコン。



黒井
「入れ」



「失礼します」


黒井
「……貴様か」



「お久しぶりですね。黒井社長」


黒井
「フン。なにが久しぶりだ」



「あ、やっぱり怒ってます?」


黒井
「自分の胸に聞け。少なくとも、私は怒ってなどいない」



「ははっ。既にお見通しという訳ですか」


黒井
「……私の事務所に所属したにも関わらず、独断で海外進出。……これは、どういうつもりだ?」



「ささやかな嫌がらせです。……俺は、自分を嵌めた人間にノコノコついて行くような負け犬じゃありませんからね」


黒井
「なんのことだか分からないな」



「隠さなくても良いですよ。“優しい記者”が全て教えてくれました」


黒井
「……ッチ。金を積んでやったというのに使えんヤツだ」





481VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:08:55.51UO+tBPRE0 (2/45)




「ずいぶん強かじゃないですか。まさか、あなたが黒幕だったとは思いませんでしたからね」


黒井
「……」



「……でも、一つ腑に落ちないことがあるんですよ」


黒井
「なんだ?」



「わざわざ悪徳記者を雇い、その写真をあのサルに渡し、俺がここに来ざる負えない状況まで追い込んだ」


黒井
「……」



「そこまでして俺を引き入れたかったんですか? それとも、……なにか俺に恨みでもあるんですか?」


黒井
「フン。私の誘いを断る貴様が悪い」



「……そうですか。……でも、黒井社長。これだけは覚えておいて下さい」


黒井
「……」



「――俺に“首輪”を付けたこと、後悔させてあげますよ。……必ずね」





482VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:10:30.14UO+tBPRE0 (3/45)



黒井
「吠えるなら鎖を引きちぎった後にしろ。今の貴様では、見苦しく虚勢を張る負け犬にしか見えないな」



「……失礼します」


黒井
「――小僧」



「なんですか? もう俺は、あなたと交わす言葉はないはずですけど?」


黒井
「確か、……貴様の出発は来月の中旬だったな?」



「……えぇ」


黒井
「そうか……。なら――」



「……」


黒井
「“ジュピターも連れて行け”」





483VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:11:28.22UO+tBPRE0 (4/45)




「……は?」


黒井
「なにを呆けている。私はジュピターも連れて行けと言ったんだ」



「意味が分からないです。そもそも黒井社長は、あの看板アイドルたちを貸すつもりはなかったのでは?」


黒井
「気が変わった。貴様がホンモノかどうか見定めてやろう」



「……品定め、という訳ですか」


黒井
「ヤツ等のパスポートは用意してある。……私が合流するまで、貴様は好きに暴れてろ」



「黒井社長の意図は分かりませんが……、分かりました」


黒井
「フン」



「それでは失礼します」


――



484VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:15:08.72UO+tBPRE0 (5/45)




「終わった?」



「終わったよ。そっちも挨拶は済ませた?」



「そんなのとっくに終わってるわ。むしろ生意気なアホ毛がいたから教育してあげたけどね」



「そっか」



「さて、これからどうしよっかな~。帰ってもやることがないのよね。バッセンでも行こうかしら?」



「……」



「ねぇ、アンタもバッセンに行く?」



「……いや、俺は少し寄りたい所があるから遠慮するよ」



「ふーん。まだ夕飯まで時間があるから良いけど、……どこに行く気?」



「……フラワーショップ」





485VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:15:59.54UO+tBPRE0 (6/45)




「フラワーショップ? もしかして好きな子にでも会いに行くの?」



「……よく分かったな」



「へー、アンタに恋愛感情があったなんて意外ね」



「そんなじゃない。……大切な人に花束を贈る。それだけだ」



「それを恋愛っていうのよ。それで、お相手はダレなの?」



「……」



「教えなさいよ~」



「……。“舞さんに関わりのある人”、……かもな」



「私に? 誰なのかしら……?」



「悩んでるところ悪いけど、用事が終わるまでどこかで時間を潰してくれないか? 後で向かえに行くからさ」



「え? 嫌よ。アンタの相手がどんな子なのか、この目で確かめてやるわ」



「ついて来る気なのか?」



「えぇ、当たり前じゃない」



「……」



「ほらほら、行くんでしょ? さっさと案内しなさいよ」



「……まぁ、……良い機会かもな」



「?」



「気にしないでくれ。こっちの話だ」


――



486VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:21:00.13UO+tBPRE0 (7/45)




「へー、なかなか良い店じゃない」



「すいませーん!」



――「あれ、Pさん? 久しぶりだね」




「久しぶり。今日は店番か?」



――「うん。練習ないからお母さんのお手伝い」




「そっか」



――「ところで……、お隣の方はPさんの彼女?」




「冗談でも止めてくれ」



「ちょっと、そういう言い方ってないんじゃない?」



――「仲が良いんだね」




「そう見えるなら良い眼科を紹介するよ」



――「ふふっ。お花はどうする?」




「いつもの頼む」



――「分かった。少し待ってて」




「あぁ、悪いな。凛」


――



487VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:21:58.17UO+tBPRE0 (8/45)




「~♪」



「……」



「ねぇ、P」



「どうした?」



「アンタの好きな相手って、もしかしてあの子?」



「違う」



「そうなの? その割には、ずいぶん親しげじゃない」



「……欲しい花がここしか置いてなくてな。それで何年も前から来てるうちに、いつの間にかこんな感じになってたんだよ」



「つまり、何年も前からあの子を手篭めようとしてたのね」



「俺の話を聞いてた?」





488VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:23:38.85UO+tBPRE0 (9/45)




「はいはい。痴話ケンカはそこまで。Pさん、お花できたよ?」



「あ、ごめん。いくらだ?」



「1万2千円だね」



「はいよ」



「2万円お預かりします。……お釣りはどうする?」



「いらない。自分の懐にでも入れてくれ」



「ふふっ。いつも悪いね」



「偶にしか来ないだろ」



「細かいこと。……はい、Pさんのお花」



「ありがと」



「へー、キレイな花じゃない。……水仙、だったかしら?」



「知ってるのか?」



「バカにしないで。それくらい誰だって分かるわよ」



「へー。舞さんのことだから、花なんて雑草と同じにしてると思ったけど……、意外だな」



「アンタ、私をなんだと思ってるのよ」



「ごめん」





489VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:24:52.42UO+tBPRE0 (10/45)




「それにしても、“水仙”ねぇ……。ちょっと趣味が悪いんじゃない?」



「……どういう意味だ?」



「だって、水仙の花言葉って自惚れとか自己愛でしょ? そんなの渡したら“俺はナルシストだ”って言ってるようなものよ」



「……」



「なんだったら、私がもっとセンスの良い花を選んであげようか?」



「……いらない」



「なに意地になってるのよ。どうせ告白するんだから、少しは縁を担がなきゃダメでしょ?」



「告白……?」



「なぁ、舞さん。せっかくのアドバイスだけど……、俺はこの花を渡したいんだ」



「アンタも頑固ねぇ。なんでそんなにその花を渡したいのよ」



「……その人の“好きな花”、……だからかな?」



「その人の? ……はぁ。……なるほど」



「なんだよ」



「悪いことは言わないから、渡すのは止めときなさい」



「……なんで?」



「こんな花が好きなんて、どうせ碌な女じゃないわ」



「――ッ」





490VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:26:16.83UO+tBPRE0 (11/45)




「……お姉さん。……なにも知らないのに適当なこと言わない方が良いよ?」



「え?」



「それに、さっきの花言葉……、間違ってる。お姉さんが言ってるのは、白い水仙。……黄色い水仙の花言葉は――」



「凛。やめろ」



「でも……」



「でもじゃない。お前の仕事は、お客を不快にさせることなのか?」



「……。分かったよ」



「ごめんな、舞さん。悪気はないんだ。許してやってくれ」



「え、えぇ……」



「凛。そろそろ俺たち行くから。……迷惑かけたな」



「ううん。……また来てね」


――



491VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:29:36.42UO+tBPRE0 (12/45)




「ねぇ、P」



「なに?」



「アンタ……、ホントに好きな人に会いに行くの?」



「……」



「もしかして……、私は、なにか勘違いしてるんじゃない?」



「……間違ってないよ」



「ホントに?」



「あぁ。……でも、告白はしないけどな」



「……」


――



492VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:32:01.16UO+tBPRE0 (13/45)

8時頃にまた来ます


493VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 17:43:00.06aIRXk1Ldo (1/2)

乙!
まさかの凛ちゃん


494VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:43:09.60UO+tBPRE0 (14/45)




「――着いたよ」



「でも、ここって……」



「うん。……母さんと、……親父のお墓」



「……。そう……」



「……」



「アンタが渡したい相手って、お母さんのことだったのね……」



「うん……」



「……ごめんなさい。……知らなかったとはいえ、あんなこと言って……」



「別に良いよ。気にしてないから」



「……ごめんなさい」



「……」



「……」



「舞さん」



「……なに?」



「掃除、……一人じゃ大変だから手伝ってくれない?」



「……えぇ。分かったわ」


――



495VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:45:34.73UO+tBPRE0 (15/45)




「……」



「……」



「……」



「ねぇ。……その線香、一つ貰って良い?」



「……ン」スッ



「ありがと」



――カチッ。……フッ。




「……」



「……」



――スッ。






496VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:46:10.97UO+tBPRE0 (16/45)




「……そこに挿すな」



「え?」



「ごめん。……だけど、……ここは“母さんの墓”なんだ。……親父のは、そっち」



「ぁ……」



「悪いな」



「……気にしないで。……少し、無神経だったわ」



「……」


――



497VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:47:33.05UO+tBPRE0 (17/45)




(ここが……、あの人のお墓……。実感はないけど……、やっぱり死んじゃったんだ……)



「……」



(この香炉、ほとんど使われてないわね……)



――ッス。




「……」



「……」



「……ねぇ」



「なに?」



「……お父さんのこと、……どう思ってるの?」



「……」





498VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:48:42.91UO+tBPRE0 (18/45)




「聞いても、良い……?」



「……どうして、そんなこと聞くんだ?」



「……この香炉、ほとんど使われてないのよ。……もしかして、お父さんに手を合わせたことがないのかなって」



「……」



「まぁ、言いたくないなら深くは聞かないけどね」



「……」



「……」



「……嫌いなんだ。……“その人”」



「え?」



「あんまり記憶はないけど、いつも母さんを泣かせてた。……だから、嫌いなんだ」



「そう……」



「……」





499VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:51:31.44UO+tBPRE0 (19/45)




「でも、……お父さんのこと、そんな風に言うのは良くないわ」



「父親なんかじゃない」



「……」



「……確かに血は繋がってるけど、それだけだ。……俺は、……こんな人間が父親なんて認めない」



「P ……」



「それに、この人は……、母さんも、俺も、捨てようとしてた」



「……」



「……殺されて当然だよ。……こんなクズ」



「ぇ……?」



「……」



「……プロ、……あなたのお父さん、……自殺じゃ……なかったの?」



「……言っただろ。……“寄り添うように眠ってた”って」



「そう……、だったのね……」


――



500VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:53:18.39UO+tBPRE0 (20/45)




「……」



「……」



「……なんで、……だろうな」



「……なにが?」



「……ここに来たことだよ」



「どういうこと……?」



「舞さんは知らないと思うけど、……俺、……もうここには来ないって決めてたんだ」



「……」



「でも、なんでかな」



「……」



「今日で終わりにしよう。……もう来ない。……これで最後だから。……そうやって言い聞かせてるのに、……また、俺はこうして花を添えに来ている」



「……」



「こんな花、“渡しても意味なんてない”のにな……」


――



501VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:56:39.41UO+tBPRE0 (21/45)




「……ねぇ、もう一つだけ聞いて良い?」



「……」



「……その花、……どういう意味なの?」



「……聞いてどうするんだ?」



「……少し、……知りたくなったのよ。……“この人”も、……“アンタ”のこともね」



「……」



「……教えてくれない?」



「……」



「……」



「……」



「……」



「……白い水仙の花言葉は、……自惚れ」



「……うん」



「……黄色い水仙の花言葉は――」










       ――私のもとへ帰ってきて……。










――



502VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 20:58:46.15UO+tBPRE0 (22/45)




「……」



「……」



「……悲しい、……花言葉ね」



「……」



「ごめんなさい」



「……どうして謝るんだ?」



「だって、……知らなかったとはいえ、アンタを傷つけたのは確かだから。……それに、アンタのお母さんまで……」



「……気にしなくて良いよ」



「だけど……」





503VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:00:40.36UO+tBPRE0 (23/45)




「……なぁ、舞さん。……あの時、……なんであんたこと言ったんだ?」



「あの時……?」



「……こんな花が好きなんて、どうせ碌な女じゃない。……そう言ってたろ?」



「ぁ……」



「もしかして、この花……、嫌いなの?」



「……違うわ」



「じゃあ、なんであんなこと言ったんだ?」



「……これでも“親バカ”なのよ」



「そう」



「ごめんなさい……」



「別に良いよ」



「……」



「……花に“願い”を込める人もいれば、……“想い”を伝える為に花を贈る人もいる」



「……」



「それを覚えていてくれるなら、……それで良いよ」



「……えぇ。……分かったわ」


――



504VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:02:18.91UO+tBPRE0 (24/45)




「……」



「……」



「……そろそろ行こうか」



「……」



「舞さん?」



「……ごめん。先に行っててくれない?」



「え?」



「そんなに時間はかからないわ。……少しだけ、一人にしてほしいの」



「……分かった。車の中で待ってるよ」



「……ありがと」


――



505VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:03:37.27UO+tBPRE0 (25/45)




「……」



――ノ墓。




(この人が……、Pのお母さん……)



(あのPが慕うくらいだもの、きっと優しくて綺麗な方なんだろうな……)



(でも、私はあなたのことを好きになれそうにないわ)



(たった一人の子供を残して夫の下へ逝くなんて、同じ母親として許せないもの)



(……まぁ、……アイドルよりも女を取った人間が言えることじゃないけどね……)




――『 三流アイドルが笑わせんな 』





(……確かにアイツの言う通り、私は三流だわ)



(ううん。三流なんて優しいものじゃない。ただの……クズ)



(人の旦那を奪って、あなたや、アイツの人生まで壊して、責任も取らず逃げた)



(こんな最低の人間なんて、“クズ”がお似合いだと思う)





506VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:04:49.20UO+tBPRE0 (26/45)




――ノ墓。




(……ごめんなさい。……あなたの大切な人を奪って)



(もう返すことはできないけど、それでも償わせて下さい)



(……これから先、どんな罰も受け入れます。……私が差し出せるものなら、なんでも差し出します)



(愛の為にも死ぬことはできないけど、あなたが許してくれるまで、罪を償い続けます)



(だから……)







「これからもPを――」










            ――見守っていて下さい。









――



507VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:06:33.08UO+tBPRE0 (27/45)




「お待たせ」



「もう良いのか?」



「えぇ。少し感傷的になってただけよ」



「……」



――パン! ――プゥーッ!




「~~ッ!?」



「なに辛気臭い顔してんのよ」



「だからって、いきなり叩くなよ! ハンドルに頭ぶつけただろ!」



「あははは!」



「このババア……」





508VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:08:11.28UO+tBPRE0 (28/45)




「ふふっ。それよ、それ」



「は?」



「私たちの関係はそんなんじゃないでしょ? 同情なんて気持ち悪いから止めなさい」



「……誰がするか」



「ふふっ」



「なんだよ」



「別にー♪」



「……フン」





509VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:09:06.73UO+tBPRE0 (29/45)




「あ、それはそうと……」



「?」



「アンタの好物ってなに?」



「いきなりなんだ?」



「ただの気まぐれよ。たまにはアンタの好きなのでもつくってみようかなーって」



「……」



「それで、アンタってなにが好きなの?」



「……オムレツ」



「へー、ずいぶんシンプルなのが好みなのね。他には?」



「ハンバーグと、……カレー?」



「ふふっ、なにそれ。まるで子供じゃない」



「……悪いかよ」


――



510VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:12:08.94UO+tBPRE0 (30/45)




「たっだいまー!」



「ただいま」



「二人とも遅いよ! どこに行ってたの?」



「んー、デート?」



「えッ!?」



「誤解されるような言い方するなよ。961プロダクションに挨拶しに行ってただけだ」



「あ、そうだったの? 良かった……」



「でも彼女に間違えられたことはあったわよね?」



「いや、あれはリップサービスだろ」



「むぅ。ホントに挨拶しに行っただけなの?」



「ふふっ。心配しなくてもちゃんと行ったわよ。まぁ、帰りに少しだけ寄り道しちゃったどね」



「ふーん」



「さてと、……そろそろご飯にしましょうか」



「手伝うよ」



「ありがと。だけど、アンタが手伝ったら意味ないでしょ?」



「そうなのか?」



「そうよ。だから愛、ちょっと手伝ってくれない?」



「はーい!」


――



511VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:13:42.14UO+tBPRE0 (31/45)




「なんだか珍しいね」



「なにが?」



「ママがハンバーグつくってることだよ。いつも凝った料理しかつくらないのに、どうしたの?」



「アイツのリクエストよ。こういうのが好きなんだって」



「へー、そうだったんだ」



「子ども扱いされると嫌がるくせに、こういうのが好きなんて、やっぱり子供よね」



「ふふっ、そうかもね。……でも、それだけじゃないかもよ?」



「え?」





512VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:15:57.96UO+tBPRE0 (32/45)




「だって、カレーもハンバーグも、みんな“家庭料理”を代表する食べ物でしょ?」



「……」



「一人暮らしが長かったって言ってたし、もしかしたら寂しかったんじゃないかな」



「寂しい? アイツが?」



「うん。……たぶん、お兄ちゃんは一人で食べるご飯の味を誰よりも知ってるはずだもん」



「……」



「だから、……少しだけ甘えてるのかもね」



「……」




――……誰かと一緒になってご飯を食べるのも、悪くない。





「ぁ……」



「どうしたの?」



「ううん。なんでもない」



「?」



「……ふふっ。ホントに分かり辛いヤツ」


――



513VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:17:46.02UO+tBPRE0 (33/45)




――『ごちそうさまでした!』




「ごちそうさまでした」



「おいしかった?」



「あぁ。相変わらず料理上手だな」



「そっか。……ふふっ」



「?」



「……ふふっ」



「なんだよ」



「別にー♪」





514VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:18:55.89UO+tBPRE0 (34/45)




「ママー、お風呂ってもう沸いたかな?」



「んー、たぶん大丈夫だと思うわ」



「そうなの? じゃぁ、入っちゃおーっと!」



「ねぇ、愛」



「?」



「今日は一緒に入らない?」



「え?」



「ほら、私たちってもうすぐ行っちゃうでしょ? だから、少しでも一緒にいようかなって」



「……」



「ダメ?」



「……うん! 分かった! 今日はずっとママと一緒にいるよ!」



「ふふっ、ありがと」



「ママとお風呂かぁ……。なんだか久しぶりかも」



「それじゃ、楽しみにしてるところ悪いけど、お風呂を見てくれる?」



「はーい♪」



――タッタッタッ。




「アンタも一緒に入る?」



「入るわけないだろ」


――



515VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:19:56.36UO+tBPRE0 (35/45)




「ふぅ。……気持ち良かったわ」



「ずいぶん長風呂だったな」



「これくらい普通よ」



「ふーん。……ほらよ」



「お、気が利くわね。サンキュー」



「愛も同じので良いか?」



「うん! ありがと!」



「ふふっ。愛、飲みながらで良いからこっちにいらっしゃい。乾かしてあげるわ」



「はーい」



――ヴォーー。






516VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:20:52.65UO+tBPRE0 (36/45)




「……」



「どうしたの?」



「いや、なんか微笑ましいなって」



「あはは。まさかアンタからそんな言葉が聞けるなんて思わなかったわ」



「……俺もそう思う」



「ふふっ。ねぇ、P」



「なんだ?」



「アンタ、やることないでしょ?」



「……」



「私の髪、ちょっと拭いてくれない?」



「雑巾で良いか?」



「アンタに任せるわ」



「……はぁ。……わかったよ」


――



517VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:21:48.59UO+tBPRE0 (37/45)




「……」



――ヮシヮシ。




「んー、誰かに拭いてもらうのってやっぱり気持ち良いわね」



「ママー、もう少し下の方もやってー!」



「はいはい」



――ヴォーー。




「……ここら辺?」



「んー。もうちょっと左?」



――ヮシヮシ。




「……なんか、サルの毛づくろいみたいだな」



「その例え、他になんかなかったの? もうサルは懲りごりだわ」



「?」



「こっちの話よ」


――



518VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:23:44.94UO+tBPRE0 (38/45)




「ふぁ……」



「眠いの?」



「うん。ホントはもうちょっと起きてたかったんだけど……」



「ムリしないで休みなさい。夜更かしはお肌の大敵よ?」



「……」



「どうしたの?」



「ねぇ、ママ。……今日、一緒に寝ても良い?」



「え?」



「……なんていうか、……今日は一人で寝たくないなって」



「……」



「やっぱりダメだよね。変なこと聞いてごめんね、ママ」



「……」



「それじゃ、おやすみなさい」



――ガチャッ。






519VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:25:03.95UO+tBPRE0 (39/45)




「待ちなさい」



「ぇ?」



「なに勝手に行こうとしてるのよ。一緒に寝るんでしょ?」



「え? でも……」



「愛のワガママを断るはずないでしょう? 変な気を使ってるんじゃないわよ」



「……良いの?」



「えぇ、もちろん」



「ありがとう。……ママ」



「ふふっ。それじゃ――」



――ギュッ。




「今日は“三人”で寝ましょうか!」



「……は?」



「え?」





520VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:26:12.69UO+tBPRE0 (40/45)




「なによ、その反応。もしかしてイヤなの?」



「当たり前だ! 意味が分からないだろ!」



「寝るのに一々理由なんて必要ないと思うけど?」



「ヘリクツを……ッ」



「むしろ正論でしょ」



「愛だってイヤだよな!? 俺が一緒の寝室にいるなんてイヤだよな!?」



「あたしは別にイヤって訳じゃ……」ゴニョニョ



「この子も満更でもないみたいだけど?」ニヤッ



「ぐっ……」



「諦めなさい。ここじゃ私がルールよ」


――



521VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:27:05.05UO+tBPRE0 (41/45)




「……」



「ぁっぃ……」



「すぅ……すぅ……」



(なんだよ川の字って。これじゃ身動きもできないだろ)



「すぅ……すぅ……」



(はぁ……。お前はよくそんな無防備に寝られるな)



――ナデナデ。




「ン……」



(俺も寝よ……)





522VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:28:57.26UO+tBPRE0 (42/45)




――「ねぇ、……まだ起きてる?」




「舞さん? ……寝てたんじゃなかったのか?」



「少し、……眠れないくてね」



「まぁ、色々あったからな」



「……」



「……」



「……あの後、あなたのお母さんに手を合わせたわ」



「……そう」



「手を合わせて、誓った。私が逃げた罪を、これから償うって……」



「……」



「ごめんなさい。……あなたの“幸せ”を奪って……」





523VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:30:25.12UO+tBPRE0 (43/45)




「……舞さんは、責任を取った。俺はもう、それで十分だ」



「ホントにそう思ってるの?」



「……」



「無理、しなくても良いのよ?」



「……なら、“母さんを返せ”って言ったら、返してくれるのか?」



「それは……」



「……吐き出したところで“過去は変えられない”」



「……」



「自分の罪は、……自分で償うしかないんだ」



「そう、ね……」





524VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:31:55.25UO+tBPRE0 (44/45)




「……」



「……」



「俺、もう寝るよ」



「……自分の部屋、……戻らないの?」



「今日は、……いいかな」



「そう……」



「それに、……ここが一番“暖かい”んだ」



「……」



「それじゃ、……おやすみ」



「えぇ。……おやすみなさい」


――



525VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 21:32:47.30UO+tBPRE0 (45/45)

ここまでにします。


526VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/31(日) 22:33:06.58aIRXk1Ldo (2/2)

乙!


527VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/01(月) 02:20:56.45VgvPgPQwo (1/1)




528VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:19:59.62PY1aVeLN0 (1/10)




――ガチャッ。




「それじゃ、行ってくるな」



「うん! 向こうは危ない人が多いみたいだから、気をつけてね?」



「まぁ、なんとかなるだろ」



「もー! 心配してるんだから、ちゃんと聞いてよ!」



「はいはい」



「愛ー、私には何かないの?」



「お兄ちゃんに迷惑かけちゃダメだよ?」



「ひどッ! 私も心配してよ!」



「あはは!」



「まったく……、誰に似たのかしら?」



「間違いなく舞さんだろうな」



「ふふっ。それじゃ、……お兄ちゃん、ママ。行ってらっしゃい!」



「行ってきまーす」



「石川社長によろしくねー」




――ガチャンッ。




――



529VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:21:21.46PY1aVeLN0 (2/10)




「~♪」



「ご機嫌だな」



「当たり前じゃない。どんな得体の知れない化け物がいるのか、楽しみで仕方が無いわ」



「ふーん。……あ、そうだ」



「?」



「これ、今のうちに渡しておくよ」



「……CD?」



「向こうで歌う舞さんの新曲。……と言ってもカバーだけどな」



「聞いてみても良い?」



「使い方、分かるのか?」



「バカにしないで。それくらい分かるわよ」


――



530VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:22:50.72PY1aVeLN0 (3/10)




♪♬~♫~




「良い曲ね……」



「……」



「ねぇ。この曲、どういう意味なの?」



「ケースの裏側にカードがなかった?」



「あ、ホントだ」



♪~♫~♪♬♬~♫~




「……」



「……なるほど」



「舞さんにピッタリだろ?」



「確かにお似合いな曲ね」



「……」



「でも、……“アンタはそれで良いの?”」



「……どうでも良いよ」



「……そう」


――



531VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:24:13.61PY1aVeLN0 (4/10)




――ニューヨーク行きをご利用のお客様は961便までお急ぎください。




「遅いな……」



「ねぇ、ホントにあの子たちも来るの?」



「俺はそう聞いてるけど……」



――あっ! いたいた! あの白い髪は間違いないよ!




「?」


翔太
「おーい!」


冬馬
「……」



「……やっと来たか」


北斗
「お待たせしてすいません」



「時間ギリギリじゃない。どうしたの?」


北斗
「冬馬だけ荷物検査に引っかかりまして……」



「ふーん」


冬馬
「……別に良いじゃねぇかフィギュアくらい」


翔太
「というか僕たち旅行に行くんじゃないんだから、普通は持ってこないよねー」


冬馬
「はぁ……」



「話は後だ。時間がないから急いで行くぞ」


――



532VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:26:11.13PY1aVeLN0 (5/10)



CA
「チケットを確認させて頂きます」



冬馬
「……」スッ


CA
「ありがとうございます。チケットに書かれてるナンバーがお座りになる座席なので、間違いのないようお願いします」


冬馬
「どうも」



「ねぇ、後ろがつっかえてるんだから早く行ってくれない?」


冬馬
「あ、悪い」



――プシュー。




「おぉ、なかなか広いじゃない。さすがファーストクラスね」



「そんなとこで突っ立てないで早く座ってくれ」



「はいはい。それよりも荷物お願い」



「はいよ」





533VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:27:02.44PY1aVeLN0 (6/10)




――ゴトッ。




「みんなもう座ったか?」


北斗
「冬馬。窓側の席、譲ってくれない?」


冬馬
「ん? あぁ、良いぜ」


北斗
「ありがと」


翔太
「あれ? 僕だけ一人?」



「じゃあ私がそっちに行こうか?」


翔太
「良いの?」



「えぇ」



「……座ったみたいだな」


CA
「それでは皆様、快適な空の旅をお楽しみ下さい」


――



534VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:28:56.81PY1aVeLN0 (7/10)




「……」



――ワィワィガャガャ。




(ニューヨークまで、およそ13時間。……活動を開始するのは後にして、まずはボディーガードを雇うことからだな)


冬馬
「なぁ、白髪の兄さん」



「ん?」


冬馬
「俺たちは、あんたをなんて呼べば良いんだ?」



「どういう意味だ?」


冬馬
「……あんたとは初対面じゃねぇけど、あんまり面識がないからな。俺たちのプロデューサーって言われても、いまいちピンとこないんだよ」



「あぁ、そういえば自己紹介がまだだったな」


冬馬
「分かりやすく頼むぜ?」



「うーん……。876と765プロをタライ回されてクビになった落ちこぼれクズプロデューサーとでも思ってくれ」





535VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:31:31.90PY1aVeLN0 (8/10)



翔太
「えっと……。な、なんて反応すれば良いのかな?」



「はぁ。アンタねぇ……」


北斗
「こ、個性的な人なんだね……」


冬馬
「……ホントに信用できるのかよ、コイツ」



「いや、しなくて良いよ」


冬馬
「は?」



「なに驚いてるんだ? ほとんど初対面の人間を信用する方がおかしいだろ」


冬馬
「そうだけどよ……」



「じゃあ、逆に聞くが、……お前らは信用できるのか? こんなどこの馬の骨かも分からない人間を、そんな簡単に信用できるのか?」


北斗
「……」


翔太
「……」





536VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:33:12.50PY1aVeLN0 (9/10)




「俺はお前らに信用してくれ。とか、仲間だから、なんて言うつもりはない。俺は俺のやり方でお前らをトップアイドルにする。それだけだ」


冬馬
「……」



「だけど、その代わり……、俺が“信頼”に値する人間かお前らが決めろ。もしできないのなら、その時は遠慮なく切り捨てれば良い」


冬馬
「……なるほど。確かにオッサンの言う通り、毛色が違うな」



「……」


冬馬
「765プロから引き抜いたって聞いてたから、仲良しごっこで傷を舐め合ってるようなヤツかと思ったが、……気に入ったぜ、その考え方」



「それはどうも」


冬馬
「あんたの言った通り、しばらくは従ってやるよ。向こうじゃ右も左も分からない素人と同じだからな」



「……」


冬馬
「あんまり幻滅させるなよ、“プロデューサー”」



「精々期待に答えられるように頑張るよ」


――



537VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 22:35:30.71PY1aVeLN0 (10/10)

ここまでにします。



538VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/21(日) 23:33:52.71Bpa3sDW8o (1/1)

あまとう・・・お前ってやつは・・・


539VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 00:15:05.72quc+Hi67o (1/1)


あまとうがかっこいい


540VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 11:37:57.69iTa1gPPWO (1/1)

(この人フィギュア持ち込もうとして引っかかった人です)


541VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/22(月) 23:46:44.99tn5DPYEfo (1/1)

しーっ
今いい話しているところだから


542VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/23(火) 11:50:36.1221MsKRxh0 (1/1)

おもすれー


543VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:02:25.67vt+oUNVY0 (1/17)



冬馬
「それで、俺たちのデビューはいつになるんだ?」



「まだ活動を開始したわけでもないのに気が早いな」


冬馬
「こういうのは気持ちが大事なんだよ」



「ふーん。お前たちも聞きたいのか?」


北斗
「えぇ。準備は早い方が良いですからね」


翔太
「後ろに同じー」



「右に同じー」



「満場一致か」


冬馬
「別に減るもんじゃないだろ。早く教えてくれよ」





544VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:04:56.74vt+oUNVY0 (2/17)




「……向こうでの活動方針だけど、全員ソロで売り出そうと思う」


翔太
「え? ジュピターのままじゃダメなの?」



「それでも良いけど、せっかくアメリカまで来たんだ。それぞれの技術を磨いてみようと思ってな」


翔太
「ふーん」



「とりあえず、……北斗」


北斗
「あ、はい」



「お前のルックスはここでも通用すると思うから、俳優として売り出してみたい。……良いか?」


北斗
「面白そうですね。良いですよ」



「次に翔太」


翔太
「なに?」



「お前はダンスの技術が高いから、ダンサーとして活躍させるつもりだ。やってくれないか?」


翔太
「うーん。それっていろんな人のダンスが研究できるってわけだよね。良いよ」



「最後に冬馬だ」


冬馬
「おう」



「お前は全体的にバランスが良いから、アイドルのまま売り出そうと思う」


冬馬
「なんだ、俺だけ変化なしかよ」



「期待させて悪いな」


冬馬
「別にしてねぇよ」



「そっか」





545VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:06:57.53vt+oUNVY0 (3/17)



冬馬
「それで? さっきも聞いたけど、俺たちはいつからデビューになるんだ?」



「しないけど?」


冬馬
「――は?」



「勘違いさせて悪いな。だけど、しばらくの間、活動するのは翔太と舞さんだけだ」


翔太
「え? 僕だけ?」


冬馬
「おい……。ふざけてんのか?」



「ふざけてなんかいない。コッチも色々と考えがあっての答えだ」


冬馬
「だからって、なんで俺らのデビューが見送られなきゃならねぇんだよ!」



「納得できないのか?」


冬馬
「当たり前だ!」



「はぁ……。仕方が無いな……」


冬馬
「納得できるような答えなんだろうな?」



「たぶんな」


冬馬
「じゃあ、聞かせてもらおうか。どうして俺らをデビューさせないんだ?」





546VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:08:18.66vt+oUNVY0 (4/17)




「理由は二つある」


冬馬
「……」



「まず一つ目。……これは年齢的な問題だ」


冬馬
「年齢的な……?」



「……お前らも知ってるとは思うけど、女性アイドルの寿命は短いんだ」


冬馬
「……」



「いくら伝説のアイドルと言われようとも、ピークを過ぎれば落ちるだけ」


北斗
「……」



「ましてや30歳だぞ? もう、なりふり構っていられる程のチャンスは残されていない」


翔太
「……」



「だからアイドルとして活動できるのも、今だけなんだ」





547VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:09:34.41vt+oUNVY0 (5/17)



冬馬
「そうか……」



「分かってくれたか?」


冬馬
「あぁ。アンタが姉御を先にデビューさせる理由は分かった。……それで、二つ目は?」



「……それが最も重要なポイントだ」


冬馬
「……」



「俺がお前たちをデビューさせない一番の理由。それは……」


冬馬
「それは?」



「……お前たち、英語できないだろ?」


北斗
「……ぁ」


冬馬
「……ぁ」



「納得した?」


冬馬
「あー、うん。すげぇ納得した」





548VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:10:45.95vt+oUNVY0 (6/17)



翔太
「ねぇ、プロデューサーさん。僕も英語できないんだけど?」



「そうなのか?」


翔太
「うん。なのに、なんで僕だけ活動するの?」



「実はな、翔太だけは英語が話せなくてもマイナスにならないんだ」


翔太
「え?」



「もちろん英語ができるに越したことはないけど、ダンスなら実力だけで観客を沸かせられるだろ?」


翔太
「うん」



「とりあえずまだ不安なことだらけだから、最初は舞さんと一緒に腕試しをしてもらおうと思ってるけどな」


翔太
「腕試し?」



「あぁ。“アポロ・シアター”って場所だ」


翔太
「?」



「まぁ、プロへの登竜門だと思ってくれ」


翔太
「ふーん」



「でも、ブーイングされた時点で追い出されるから気をつけてくれよ?」


翔太
「えッ!?」


――



549VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 19:13:23.76vt+oUNVY0 (7/17)

ご飯食べてきます


550VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:21:37.70vt+oUNVY0 (8/17)




――ニューヨーク(ジョン・F・ケネディ国際空港)



冬馬
「おぉ! 来たぜアメリカ!」



「うるさいわね。もう少し静かにできないの?」


冬馬
「なに言ってるんだよ姉御! アメリカだぞアメリカ! テンション上がらない訳ないだろ!」


翔太
「冬馬くん、ムダに元気だね。僕はもう眠いよ……」


冬馬
「翔太は子供だからな! おっ! 見ろよ北斗! なんかボブ・サップみたいなのいるぞ! ははっ、すげー!」


北斗
「冬馬。頼むから黙ってくれないか? もの凄い恥ずかしいんだけど……」


冬馬
「普段から恥ずかしいセリフ言ってるヤツがなに言ってるんだよ!」


北斗
「……」





551VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:23:24.71vt+oUNVY0 (9/17)



冬馬
「プロデューサー! なんか買いに行こうぜ! 腹減ったー!」



「チェック・インの後なら良いぞ」


冬馬
「おっしゃ! なかなか話が分かるぜアンタ!」



「あんまり食べ過ぎるなよ」


冬馬
「なに食べようかなー。やっぱアメリカに来たからにはハンバーガーだよなー。いや、でもステーキも……」


翔太
「冬馬くん、もう食べ物のことで頭が一杯だね」



「もう放っておいて先に行かない? 眠たくて仕方が無いわ」


北斗
「名案ですね」


冬馬
「プロデューサー! 早く行こうぜ!」



「はいはい」


――



552VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:30:14.96vt+oUNVY0 (10/17)




――ヴォルルル。



翔太
「……スィ」



「……スゥ……スゥ」


北斗
「クゥ……」



――ヴォルルル……。



運転手
「It reached」
(着きました)



「Thank you. How much is payment?」
(ありがと。代金はいくら?)


運転手
「Since Mr. KUROI is ending with payment,you do not need to pay」
(既に黒井様がお支払い済みなので、あなたがお支払いする必要はありません)



「That is right.In it, it makes it only a chip to pass you」
(そうなんだ。それじゃ、渡すのはチップだけにするよ)


運転手
「You are welcome」
(ありがとうございます)





553VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:34:49.94vt+oUNVY0 (11/17)




「冬馬。悪いけど――」


冬馬
「あんた凄いな!」



「え?」


冬馬
「英語ペラペラじゃねぇか! もしかして海外に住んでたのか!?」



「練習したんだよ。それよりも――」


冬馬
「へー! 俺も練習したらあんな風に喋れるのか!?」



「お前次第だろうな。その前に――」


冬馬
「おぉ! なら、やるしかないな!」



「……」


冬馬
「勉強なんて嫌いだけど、英語は別だ! 見せてやるぜ、俺の底力!」





554VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:36:55.75vt+oUNVY0 (12/17)




――コツン。



冬馬
「痛ッ!?」



「うるさい」


冬馬
「だからっていきなり小突くなよ!」



「みんな長旅で疲れてるんだ。お前が元気なのは分かったから、少しは大人しくしろ」


冬馬
「あ、悪い……」



「分かってくれたなら良いよ。それよりも、舞さんたちを運ぶの手伝ってくれ」


冬馬
「分かった。……あ、北斗はどうする?」



「……起こすしかないな」


――



555VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:41:35.27vt+oUNVY0 (13/17)



北斗
「すみません、起こしてもらって。お手数かけました」



「こっちこそ悪いな。まだ眠いだろ?」


北斗
「ベットまで我慢しますよ。俺たちの部屋、どこですか?」



「奥から2番目。カギはあるから渡しておくよ」


北斗
「ありがとうございます」



「俺たちはその隣だから、なにかあったら呼んでくれ」


北斗
「麗しい女性と二人っきりですか。羨ましいですね」



「なら変わってやろうか?」


北斗
「なかなか魅力的ですけど、俺の趣味じゃありません」



「……すぅ……すぅ」


北斗
「それに、お姫様はあなたが良いみたいですよ?」





556VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:43:07.62vt+oUNVY0 (14/17)




「姫って歳かよ」


北斗
「女性はみんな天使であり、お姫様です。あくまで俺の持論ですけどね」



「あっそ」


北斗
「それじゃ、おやすみなさい」



「おやすみ。冬馬も悪いな」


冬馬
「気にすんな。でも、明日は付き合ってもらうぜ?」



「了解」


北斗
「食事の約束、ホントにしてたんですか?」



「まぁな」


北斗
「プロデューサーさんも律儀ですね」



「褒め言葉として受け取っておくよ」


――



557VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:46:33.67vt+oUNVY0 (15/17)




――ガチャッ。パチッ。



北斗
「へー、なかなか広い部屋だね」


冬馬
「そうだな。ところでコイツ、どこに寝かせる?」


北斗
「翔太はあんまり寝相も悪くないし、冬馬に任せるよ」


冬馬
「なら、真ん中にでもするか」


北斗
「……」


冬馬
「どうした?」


北斗
「いや、こうやって冬馬たちと寝るのって初めてだなって」


冬馬
「そうか?」


北斗
「そうだよ。俺たち、ジュピターとして活動するのは長かったけど、一緒に過ごすことなんて少なかっただろ?」


冬馬
「……そういえばそうだな」


北斗
「なんか……、新鮮かもしれない」





558VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:53:00.70vt+oUNVY0 (16/17)



冬馬
「まぁ、どうせソロになってバラバラに活動するんだ。しばらく我慢しようぜ」


北斗
「……俺は“そういう意味”で言ったんじゃないんだけどな」


冬馬
「?」


北斗
「まぁ、良いや。そろそろ寝ようか」


冬馬
「おう」



――カチッ。



北斗
「おやすみ、冬馬」


冬馬
「あぁ、おやすみ」


――



559VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 20:58:23.70vt+oUNVY0 (17/17)

ここまでにします


560VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 21:00:52.21GsUhFW8qo (1/1)

追いついた 乙
やっぱある程度のドライさは大事よね


561VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/28(日) 21:01:29.69YcYlkhT70 (1/1)


ジュピターとの絡みが面白くていいね


562VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 00:50:56.53vrDYGL+YO (1/1)

なんだかんだで良いPやってるよな白ちゃん
現実と理想の両方見てるし


563VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/29(月) 17:04:18.5386yA4yLX0 (1/1)

理想の上司ですわ


564VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 18:53:48.63Vna2yAL20 (1/15)




――コンコン。




「Who's up?」
(だれ?)



――「I'm receptionist. It is time for check-out, but what would you do?」
   (受付係の者です。 退室の時間ですが、どうされますか?)




「OK. I'm coming. Thank you for teaching it」
(すぐ行くよ。教えてくれて、ありがとう)




「……なんだって?」



「チェックアウトの時間だとさ」



「え、もう? まだシャワーも浴びてないわよ」



「一時間前にコールしてもらうように頼んだから、まだ時間はあるぞ」



「あら、そうなの?」



「俺はあいつ等の部屋に行くけど、舞さんは?」



「んー、時間があったら顔くらい出すわ」


――



565VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 18:57:14.17Vna2yAL20 (2/15)




――コンコン。



北斗
「誰ですか?」



――「俺だ。入っても良いか?」



北斗
「あ、はい。今開けます」



――ガチャッ。



北斗
「おはようございます。どうかしました?」



「いや、大した用事じゃない。もう少し経ったら退室するから、それを知らせに来ただけ」


北斗
「もうそんな時間なんですか。それじゃ、急いで支度しないと」



「まだ時間があるから、ゆっくりで良いよ。……そういえば、あいつ等は?」


北斗
「翔太はとっくに起きてテレビ見てます。冬馬だけがシーツに包まったままですね」



「はぁ……。北斗、悪いけど起こしてくれないか?」


北斗
「えぇ、分かりました」





566VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 18:59:24.79Vna2yAL20 (3/15)




「チェックアウトは8時だから、それまでにフロアに集合してくれ」


北斗
「8時? それだと一時間くらい余裕がありますよ?」



「早めに行動して損はないだろ?」


北斗
「なるほど。確かにそうですね」



「そろそろ俺は戻るけど、シャワー浴びるなら今のうちだぞ?」


北斗
「ははっ。それなら起きてすぐに済ませましたよ」



「そっか。余計なお世話だったみたいだな」


北斗
「お気遣いありがとうございます」



「こっちこそ邪魔して悪かった。それじゃ、冬馬たちのこと頼むよ」


北斗
「えぇ。任せてください」


――



567VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 19:04:07.95Vna2yAL20 (4/15)



冬馬
「ふぁ~あ。……おはよ」



「おはよう。よく眠れたか?」


冬馬
「おかげ様で良く眠れたよ。北斗も悪いな」


北斗
「そう思うなら頭の寝癖、なんとかしてこい。見っともないぞ?」


冬馬
「あ、ほんとだ……。プロデューサー、少し時間もらっても良いか?」



「トイレの場所、分かるのか?」


冬馬
「それくらい分かる。……たぶん」



「そこの青いパネルにMENって書いてある所がトイレだ。間違えるなよ?」


冬馬
「ン」



「目的地まで時間が掛かるから、他にも行きたいヤツがいるなら今のうちに行っとけ。後でトイレに行きたいって言っても知らないからな」


翔太
「けっこう時間が掛かるんだ。……僕も行ってこようかな?」


北斗
「そういえば冬馬のヤツ、毛櫛とか忘れたって言ってたな。……俺のを貸してやるか」



――ゾロゾロ。






568VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 19:05:58.27Vna2yAL20 (5/15)




「なんか修学旅行みたいね」



「なら、後で自由行動の時間でも設けてやろうか?」



「あら、良いの?」



「まぁ、誰かを付き添いにさせるってのが条件だけどな」



「それならアンタしかいないわね。荷物持ち、よろしく」



「俺は冬馬と食べに行く約束があるからムリだ。他のヤツに頼め」



「知り合って間もないのにそんな頼みごとできる訳ないでしょ」



「え?」



「なによ、その驚いた顔は」



「いや、まさか舞さんにそんな一般常識があるなんて……」



「ちょっとそれどういう意味よ!」


――



569VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 19:08:15.45Vna2yAL20 (6/15)




――ヴォルルル。



翔太
「ねぇ、プロデューサーさん」



「なんだ?」


翔太
「僕たち、どこに向かってるの?」



「んー。これから住む俺たちの家、……だな」


翔太
「家?」



「さすがに毎日ホテルを転々としながら生活するなんて金のムダだろ? だから、活動が本格化するまでは、全員一緒に過ごした方が良いって考えたんだ」



「ねぇ、P」



「なんだ?」



「もしかして、……私も一緒に住むの?」



「当たり前だろ。なんで舞さんだけ特別扱いしなくちゃならないんだ」



「いや、そうなんだけど……。私、女なのよ?」



「だから?」



「……襲われたらどうするのよ」





570VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 19:10:00.40Vna2yAL20 (7/15)




「安心しろ。そんな猛者は一人もいないから」



「はぁ!? どういう意味よ、それ!」



「誰だって相手くらいは選ぶってことだろ」



「なッ!? こんなイカ臭い野郎の集団に私みたいな美女を放り込んだら襲われるに決まってるでしょ! そんなことも分からないの!?」



「えーと。どこまで話したっけな?」


翔太
「僕たちが一緒に住むってところだよ」



「あぁ、そうだった。みんなで住むって言っても、やっぱりプライベートは必要だろうから各自の個部屋は用意してある。着いたら部屋決めしておいてくれ」


翔太
「はーい」



「話を聞けー!」



「それから、お前たちに重要な伝達事項があるぞ」


冬馬・北斗・翔太
『?』



「各自、貞操は自分で守れ」


冬馬・北斗・翔太
『はい!』



「……納得いかねー」


――



571VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 19:11:50.45Vna2yAL20 (8/15)

ご飯食べてきます


572VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:24:27.76Vna2yAL20 (9/15)




「着いたな」


北斗
「へー、ここが……」



「あぁ、今日から住む俺たちの家だ」


北斗・翔太・冬馬・舞
『……』



「なんかテンション低いなぁ。どうしたんだ?」


翔太
「いや……」


冬馬
「だってな……」



「?」



「どうみても普通の家じゃない。ホントにここが私たちのホームなわけ?」



「なにか不満なのか?」



「別にないけど……」


北斗
「俺はてっきりマンションでも借りてるかと思いましたよ」



「黒井社長に予算を制限されてるんだから仕方が無いだろ」


舞・北斗
『……』


冬馬
「なぁ、翔太。アメリカってさ」


翔太
「うん。プール付きの大豪邸とか……」


冬馬
「夜景の見える高層マンションだよな」


翔太・冬馬
『……はぁ』



「文句があるなら自分で探せ」


――



573VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:43:53.47Vna2yAL20 (10/15)




――ヵチャッ。




「へー。中は案外広いのね」



「だろ? 探すのに苦労したんだぞ」



「はいはい。ご苦労様」


冬馬
「プロデューサー。俺、この部屋にしても良いか?」


翔太
「あ! ズルイよ冬馬くん! その部屋は僕も狙ってたんだよ!」


冬馬
「は? お前そっちの部屋にする。みたいなこと言ってたじゃねぇか」


翔太
「やっぱり日当たりは重要だからね。だから冬馬くん。その部屋、僕に譲って」


冬馬
「ヤダ」





574VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:44:47.95Vna2yAL20 (11/15)



翔太
「そっか。どうしても争うしかないんだね……」


冬馬
「なんだよ、やんのか?」


翔太
「うん。例え冬馬くんを傷つけることになっても、僕はその部屋が良いんだ!」


冬馬
「へっ、良い度胸じゃねぇか。受けてやるよ」


翔太
「いくよ?」


冬馬
「おう」



――最初はグー! ジャンケン、ぽい! あいこでしょッ!




「……あいつ等、さっきまで不満気だったよな?」



「実は楽しみにしてたんじゃない? 知らないけど」



――あいこでしょッ!



冬馬
「ぅわぁああああ!!?」


翔太
「へへーん。頂き!」


――



575VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:47:26.12Vna2yAL20 (12/15)




「全員、部屋決めは終わったか?」


北斗
「プロデューサーさん」



「どうした?」


北斗
「一つだけ余った部屋があるんですけど?」



「あぁ、それは黒井社長の部屋にするから、気にしないでくれ」


冬馬
「げっ、おっさんも一緒に住むのかよ」



「他になにか聞きたいヤツはいるか?」



――シーン。






576VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:48:11.17Vna2yAL20 (13/15)




「無いなら話を進めるぞ。まずは今後の食事についてだ」



「食事?」



「さっきも言ったけど、黒井社長からは予算を制限されてる。それも、お前らのレッスンと生活費でほとんど無くなるくらい小額だ」


北斗
「……」



「だから、少しでも使える金額を増やすために、食事は基本的に当番制にして、自炊にしようと思う」


冬馬
「めんどくせぇ……」


翔太
「プロデューサーさん、それって今日から?」



「今日は色々とやることがあるから、明日からだな」


翔太
「ふーん」



「それで、話って終わりなの?」



「いや、まだある。今後、お前らが活動することになる事務所についてだ」





577VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:50:05.77Vna2yAL20 (14/15)



冬馬
「?」



「とりあえず……、まずはこの書類にサインしてくれ」


冬馬
「なんだこれ?」



「お前らの移籍書」


冬馬
「は?」


翔太
「どういう意味?」



「簡単に言うと、この書類は961プロダクションの海外支店へ移籍する証明書なんだ」


翔太
「うん」



「まぁ、アメリカで活動することになって、日本の事務所に所属したままだと経理なんかで色々と不都合なことが多いから、コッチのほうに移籍してもらうことになったって思ってくれ」


翔太
「へー」



「ところで、この事務所名なんて読むの?」



「“The Sting Production(スティング・プロダクション)”だな」



「へー。どういう意味?」



「……さぁ?」


――



578VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:51:20.94Vna2yAL20 (15/15)

ここまでにします


579VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 20:52:29.65nuM18fo1o (1/1)


Stingを調べたら不穏な意味が……


580VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/05(日) 21:02:20.222ao0IMfH0 (1/1)

乙です


581VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/06(月) 14:47:06.04gEZrdn0dO (1/1)

The STIGプロだって?(難聴)


582VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/07(火) 16:04:22.73qq1nP2Rj0 (1/1)

ポリスか何かか?(すっとぼけ)


583VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 19:47:59.85g4BaV+C20 (1/15)



冬馬
「はぁ……。やっと終わったぜ……」


翔太
「俺も。というか、移籍するだけでなんでこんなに書かなくちゃいけないんだ?」



「……」


翔太
「つかれたー」



「自由行動まだー?」



「……うん。全員、不備は見当たらないな」



「お、ってことは?」



「お待ちかねの自由行動だ」


翔太
「やったー!」


冬馬
「もう昼だぜ。……腹減った」



「そんな時間だったのか。とりあえず腹ごしらえだな。俺は冬馬と食べに行くけど、お前らはどうする?」


北斗
「どうするもなにも、食材が皆無じゃ話になりませんよ」


翔太
「僕たちもついて行って良い?」



「どうする?」


冬馬
「二人も全員も同じだろ。俺は構わないぜ」


翔太
「決まりだね」



「それじゃ、P。私の分もよろしく」



「……俺が奢るのかよ」


――



584VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 19:51:29.68g4BaV+C20 (2/15)



店員
「Hello, for here,or to go?」
(ここで食べるのか? それとも、持って帰るか?)



「Here」
(ここで食べるよ)


店員
「Thank you very much. Please call, if an order is decided」
(そりゃあどうも。注文が決まったら呼んでくれ)



「――さて、冬馬の要望でステーキ・ハウスに来たわけだが……」


冬馬
「美味そうだな」グー



「どれもこれもガッツリしてるわね。もっとサッパリしたのないの?」


北斗
「なんて書いてあるか分からない……」


翔太
「プロデューサーさん。僕、これにする!」



「お前らも決まったか?」


北斗
「俺は一応……」



「私も決まったわ」



「冬馬は?」


冬馬
「ステーキ!」





585VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 19:52:53.17g4BaV+C20 (3/15)




「全員決まったみたいだな。……鳴らすぞ?」


翔太
「はーい」



――チリーン。




「あ、言い忘れてたけど、注文する時は自分で頼めよ?」


北斗
「えッ?」



「ムリよ。前もって勉強してたならともかく、いきなり会話なんてムリに決まってるじゃない」



「だからチャレンジさせてるんだろ? 何事も挑戦だ」



「そうだけど……」



「危なくなったら通訳してやるから、とにかくやってみろ」



「はぁ。分かったわよ」


北斗
「これ、なんて読むか分かる?」


翔太
「いや、僕に聞かれても……」


冬馬
「腹減った~」グー


――



586VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 19:55:49.00g4BaV+C20 (4/15)



店員
「Oh my god ……」


翔太
「ワン! ワン! コーラ!」ビシッ、ビシッ


北斗
「This、……プリーズ!」



「ハンバーグ! サラダ! オレンジジュース! オールワン!」



「ははっ、やっぱり苦戦してるな。……ん?」


冬馬
「Tボーン・ステーク。それと、確か……フレンチフライ」


店員
「It is french fries and T-bone steak」
(フライドポテトとTボーン・ステーキだな)


冬馬
「あと……、ライス。ラージ」


店員
「OK,Are you sure you want to if you cooked?」
(わかった。焼き加減はどうする?)


冬馬
「え?」



「どのくらい焼くのか聞いてるんだよ」


冬馬
「えっと……、ミディアム」




587VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:01:38.36g4BaV+C20 (5/15)



店員
「Boy please wait a little.I’ll bring the meat of the best」
(少し待ってな坊や。最高の肉を持ってきてやるよ)


冬馬
「なんて言ってるんだ?」



「すぐに持ってくるって。それよりも冬馬。お前、英語できたんだな」


冬馬
「はぁ? どこがだよ。思いっきり片言じゃねぇか」



「片言でも通じたなら、それで良いんだよ。それに、初めてにしては上出来だと思うぞ?」


冬馬
「そうか?」



「あぁ。でも、ステーキの発音はともかく、フレンチフライなんて単語よく知ってたな」


冬馬
「まぁ、こっちで食べたいのは決まってたからな。頼む時に困らないように調べてたんだよ」



「良い心がけだ」


冬馬
「褒めてくれるのは嬉しいんだけどよ、あいつ等そろそろヤバいんじゃねぇか?」



「?」





588VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:03:34.98g4BaV+C20 (6/15)



北斗
「だから! これ! プリーズ! オッケー!?」


翔太
「コーラ! コォオラ! キュォオオリァ!」



「いい加減にしなさいよ、このボケ! 指差しで分かるでしょ!?」



「……これはひどい」


冬馬
「まだかなー」グー



「お前ら落ち着け。通訳は俺がやるから、一人づつ食べたいの教えろ」


北斗
「これ!」


翔太
「ハンバーガーとコーラ!」



「ハンバーグ! サラダ! オレンジジュース!」



「混乱するから一斉に話すな!」


店員
「I’m sorry to have kept you waiting.Drinks are on me」
(待たせたな。このドリンクは俺のおごりだ)


冬馬
「ぉお! 美味そう! いただきまーす!」


――



589VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:30:23.42g4BaV+C20 (7/15)




「アンタの所為で恥をかいたじゃない」



「それはこっちのセリフだ。おかげで注目の的だったぞ」


冬馬
「ふー、美味かった」


北斗
「冬馬はのん気で良いな」


翔太
「プロデューサーさん。この後のご予定は?」



「ない。強いていうなら、明日の買出しくらいだな」


翔太
「なら、少しだけ行きたいたいところがあるんだけど、良い?」


冬馬
「あ、俺も」



「あんまり離れた場所じゃなきゃ付き合うよ」





590VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:31:08.65g4BaV+C20 (8/15)




「ちょっと、私の買い物に付き合ってくれるんじゃなかったの?」



「それは冬馬と食事に行くって理由で断ったはずだけど?」



「ご飯ならもう終わったじゃない。先に予約したのは私なんだから、私を優先するべきでしょ?」



「北斗、悪いけど付き合ってやってくれ」


北斗
「あ、はい」



「英語ができないヤツが付き添っても意味ないわよ。通訳はアンタだけなんだから、アンタが来なさい」


北斗
「……」



「自分で話せるようになるまで我慢するって選択肢は?」



「ない」


翔太
「えっと……。僕の用事は大したことじゃないから、後で良いよ」



「はぁ。舞さんがワガママ言うから、翔太が気を使ってるだろ」



「ぐっ……」


冬馬
「ん? 翔太は止めるのか? なら、俺と一緒に行こうぜプロデューサー」


翔太
「空気読みなよ、冬馬くん……」


――



591VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:32:27.65g4BaV+C20 (9/15)



翔太
「そういえば、冬馬くんってどこに行きたいの?」


冬馬
「アニメショップ」


翔太
「だと思った」


冬馬
「そういうお前はどうなんだよ」


翔太
「僕? 僕はお菓子屋さん。なんかパンフレット見た時から、絶対に行こうって決めてたんだよねー」


冬馬
「お前も人のこと言えないだろ」


翔太
「ははっ、そうかも」



「……このままじゃ埒が明かない。北斗、パンフレット貸してくれないか?」


北斗
「どうぞ」





592VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:35:34.87g4BaV+C20 (10/15)




「えっと、俺たちが今ここら辺だから……。お前らが行きたい場所ってどこだ?」


翔太
「ここだね」



「私は……、こことここかしら」


冬馬
「ダウンタウンにあるアニメ・ジャングルって店」



「ってことは、順番は翔太、舞さんだな」


冬馬
「俺は?」



「却下」


冬馬
「なんでだよ!」





593VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:37:15.51g4BaV+C20 (11/15)




「だってな……。ダウンタウンってロサンゼルスにある街だろ? ここからだと、飛行機じゃないと行けないぞ」


冬馬
「なッ!? そんなに遠いのか!?」



「車で行こうと思ったら一週間はかかるな」


冬馬
「そ、そうだったのか……」



「悪いけど諦めてくれ」


冬馬
「……わかった」シュン


翔太
「見る影も無いくらい落ち込んでるね」



「というか、なんでそんなとこに行きたかったのかしら?」


北斗
「たぶん、新しいフィギュアでも買おうとしてたんじゃないですか? ……ほら」


冬馬
「ごめん、ホロ……。俺、会いにいけそうにないや……」



「なんか、……哀れだわ」


翔太
「でも、こういうのって自業自得って言うんでしょ?」


――



594VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:38:37.75g4BaV+C20 (12/15)



翔太
「ぉおっ!」


店主
「Welcom to Economy Candy!」
(エコノミー・キャンディーにようこそ)



「へー、昔ながらの駄菓子屋って感じね」



「こっちにもこういう老舗ってあるんだな」


翔太
「これと、これと、これも……。後どれにしようかな」


北斗
「買い過ぎだろ。寝る前にはちゃんと歯を磨きなよ?」


翔太
「わかってるよ~♪」





595VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:40:15.05g4BaV+C20 (13/15)




「おじさん、これちょうだい」


店主
「It is do you want? It will be 35 ¢」
(それが欲しいのかい? 35セントだよ)



「?」



「35セントだって」



「どれ使えば良いの?」



「その1って書いてあるお札だな」


翔太
「おじさん! お会計お願い!」


店主
「Oh. It will be $ 45」
(凄いな……。45ドルだよ)


翔太
「プロデューサーさん、これで足りる?」



「十分だ」


店主
「Here is 5 dollars change.Watch out so that a cavity does not have it」
(5ドルのお返しだね。虫歯にならないように気をつけなさい)


翔太
「なに言ってるか分かんないけど、ありがとね」


――



596VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:44:06.96g4BaV+C20 (14/15)




「さて、いよいよ私の番ね」


冬馬
「……」



「今日は買うわよー。ヤロウ共! ついて来い!」


冬馬
「行ってらっしゃい」



「はぁ!?」


冬馬
「プロデューサーはともかく、俺はいらないだろ? 俺、そこの店でアイス食べてるから買い物は4人で楽しんでくれよ」



「荷物持ちが減ったら買える量も減るでしょ。いい加減に観念しなさい」


冬馬
「いや、だってここ……」



―― Victoria’s Secret(ヴィクトリア・シークレット)



冬馬
「ランジェリーショップだろ……」



「下着くらいなによ、情けないわね」


冬馬
「でもよ……」



「あぁ、もう! ウジウジ男らしくない! 行くわよ!」


冬馬
「絶ッ対にイヤだ!」



「良いから来なさい! ついでに女への耐性も付けてあげるわ!」



――嫌だーーー!



北斗
「体格なら冬馬の方が勝ってるのに、ズルズル引きずられてますね」



「……なんて雄々しい」


――



597VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:46:52.44g4BaV+C20 (15/15)

ここまでにします


598VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:48:24.39UjTXBYdU0 (1/1)


みんな楽しそう


599VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 20:52:56.13ZtbrlxLDO (1/1)

クズPしね


600VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 21:47:22.80r0OvwI+AO (1/1)

正直765プロよりも黒Pイキイキしてる感はある


601VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/12(日) 23:14:10.97qaP3w/YfO (1/1)

>>599
もう病気だなお前


602VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/13(月) 08:57:34.88UaW3ZI3Lo (1/1)

ホロでワロタ


603VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:48:45.38iNbyk4WW0 (1/15)




「あ、これも良いわね」


冬馬
「なんで俺が……」ブツブツ


翔太
「もう諦めなよ」



「弱みを見せた時点でお前の負けだ」



「北斗くん、あれ取ってくれない」


北斗
「これですか?」



「ありがと。やっぱり買い物は男の子がいると楽ね」


北斗
「お役に立てて光栄です」





604VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:49:46.46iNbyk4WW0 (2/15)




「ところで、なんで女の買い物っていつも長いんだろうな」


翔太
「さぁ? 僕たち男の子にとっては永遠のナゾだよ」



「無駄口を叩いてるヒマがあるなら手を動かす!」



「はいはい」



「そこのアホ毛! ちょっと来なさい」


冬馬
「……」



「呼んでるぞ?」


冬馬
「……」


翔太
「どうせ逆らえないんだから、早く行きなよ」


冬馬
「……はぁ」





605VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:51:03.19iNbyk4WW0 (3/15)




「早く来なさい、このノロマ!」


冬馬
「なんだよ」



「どれが良い?」


冬馬
「は?」



「だから、どの下着が良いって聞いてるの」


冬馬
「いや、意味が分からないんだけど……」



「どっちか聞いてるのに意味なんてないわよ」


冬馬
「じ、自分で選べば良いだろ」



「良いから選びなさい。早くしないとマネキンに付いてる下着、アンタに付けるわよ?」


冬馬
「くっ……」





606VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:52:56.39iNbyk4WW0 (4/15)




「なんで悩んでるんだ? 適当に選べば良いのに」


翔太
「プロデューサーさん、冬馬の気持ちも考えてみてよ。いきなり呼ばれて“好きな下着を選べ”なんて言われたら戸惑うと思うけど?」


冬馬
「~~ッ」



「それにしても悩み過ぎだろ」


翔太
「根はマジメだからね。それに、選んだのは必然的に“自分の好み”にされちゃいそうだもん。そりゃあ悩んでも仕方がないよ」


冬馬
「これ……?」



「ストライプ? なんか子供っぽいわね~。アンタってこういうのが好みなの?」


冬馬
「あ、姉御が選べって言ったんだろ! 別に俺の趣味じゃねぇよ!」



「ダウト」


翔太
「嘘だね」


北斗
「冬馬は良くも悪くも正直だからなー」


――



607VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:54:45.36iNbyk4WW0 (5/15)



店員
「Here you are」
(どうぞ)



「なんで俺が……」



「なに言ってるのか分からないんだから当然でしょ?」



「それくらい事前に調べておけよ」



「あー、はいはい。小言は後で聞くわよ。それよりもアホ毛」


冬馬
「?」



「はい、これ」



――ファス。



冬馬
「……は?」



「パンツだって高いんだから、大事に使いなさいよ?」


冬馬
「い、いや、意味が分かんねぇよ!」



「意味ねぇ……。これから一緒に過ごすっていうのに、一々下着なんかでビビられたらコッチが迷惑なのよ。それくらいは分かる?」


冬馬
「そ、それは……、そうかもしれないけど……」



「だから! これ持って少しは耐性をつけなさい!」


冬馬
「でも……」



「返事は?」


冬馬
「……はぃ」


――



608VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:57:06.59iNbyk4WW0 (6/15)




「はい。これと、これと、これ。後そこにある一式もお願い」



「むり」



「なんでよ?」



「もう入りきらないんだよ。悪いけど、残りは自分で持ってくれ」



「はぁ……。せっかくアメリカまで来たんだから、こんな横長じゃなくて、もっと大きな車にしておきなさいよ」



「文句があるなら黒井社長に言ってくれ。俺だってこんな派手な車は趣味じゃない」



「ちぇ。じゃあ、そうするわ」


北斗
「まぁ、不満を漏らしたところで、“フン。低俗な人間にはこの車の良さが分らんのだ”。なーんて言われるのがオチですけどね」





609VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 20:58:12.44iNbyk4WW0 (7/15)




「さてと、まだ時間はあるけど、……どうする?」


翔太
「僕はもういいや。お菓子もいっぱい買えたからね」



「まだ買い足りないけど、もう入りきらないんでしょ? なら諦めるわ」



「北斗は?」


北斗
「俺は特に書いたい物もないので。……冬馬は?」


冬馬
「アニ――」



「却下」


冬馬
「……」



「それじゃ、今日のところは明日からの食材を買ってお開きにするか」


翔太・北斗・舞
『はーい!』


――



610VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:00:38.59iNbyk4WW0 (8/15)




――ガラガラ。



翔太
「プロデューサーさん。これ買って良い?」



「5ドルまでな」



「ねぇ、お酒がどこにも売ってないんだけど……」



「売ってる訳ないだろ。酒類は専門店でしか買えないぞ」



「そうなの? じゃあ、帰りにでも寄ってくれない?」



「パスポート持ってるのか?」



「え? 置いてきたけど、それがどうしたの?」





611VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:02:36.07iNbyk4WW0 (9/15)




「この国では身分確認ができないヤツに酒は売らないことになってるんだよ」



「へー。なら、アンタに買わせれば良いのね」



「……」



「仕方が無いから、私も付き合ってあげるわ」



「なんでそんなに上から目線なんだ?」


北斗
「――どっちが良いかなー?」


翔太
「なにやってるの?」


北斗
「ん? あぁ、いつ俺が当番になっても良いようにコーンフレークでも買おうと思って」


翔太
「あれ? 北斗くんって料理できなかった?」


北斗
「人並みには出来るけど……、全員分をつくるのって面倒だろ?」


翔太
「確かにねー。僕も似たようなこと考えてホットケーキミックス買ったもん」


北斗
「ははっ、さすが翔太だ。抜け目がない」


――



612VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:04:22.19iNbyk4WW0 (10/15)



店員
「Take out 315 dollars」
(315ドル出しな)



「ン」


店員
「thank you」
(どうも)


冬馬
「なんか感じ悪ぃな、あの店員」



「こんなもんだろ」



「日本じゃ考えられないわね」



「なんか忘れてるような……。まぁ、いいや。帰るか」



「ちょっと! 私のお酒は?」



「あ……」


――



613VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:06:19.22iNbyk4WW0 (11/15)




「ジン。ウォッカ。ブランデー。スピリタス。スコッチ。テキーラ。……カルーア・ミルクもあるんだ。口直しに頂いちゃおっと」


冬馬
「……」ヒクッ



「カルバドスにサングリア。あと、それと……。お、大吟醸まであるじゃない。これは買いね!」


北斗
「……」ヒクッ



「お待たせ」



――ドサッ。




「ふー。我ながら良い買い物をしたわ」





614VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:22:04.87iNbyk4WW0 (12/15)



翔太
「す、すごい量だね」


冬馬
「しかも、どれも強い酒ばっか。……どういう肝臓してるんだよ」



「なぁ、舞さん……。こんなに買って車に入りきると思うのか……?」



「さぁ。なんとかなるんじゃない?」



「どう考えても入る訳ないだろ! 戻してこい!」



「ヤダ!」



「ヤダじゃねーよ!」



――



615VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:23:25.29iNbyk4WW0 (13/15)




「~♪」



「……ッチ」


翔太
「はぁ。結局……」


冬馬
「俺たちが荷物持ちかよ……」


北斗
「まぁ、頼られるのは俺たちくらいないんだから仕方がないんじゃないか?」


翔太
「北斗くんは大人だねー。でも……」


北斗
「?」


翔太
「ねぇ、プロデューサーさん」



「なんだ?」


冬馬
「なんで僕たちだけこんな持たされて、お姉さんとプロデューサーさんは手ぶらなの?」





616VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:24:30.46iNbyk4WW0 (14/15)




「仕方がないだろ。こっちの法律で酒類を運転者の近くに置けないんだ。悪いとは思うけど、少しだけ我慢してくれないか?」


翔太
「ぶー。そんなの不公平だー! 横暴だー!」



「どうしてもイヤなら、舞さんと席を変えさせるけど?」


翔太
「え? じゃあ――」



「なに言ってるのよ。この子たちが私みたいな“かよわい女”に、こんな重いものを持たせる訳ないじゃない。そうでしょ?」


翔太
「……」


北斗
「翔太、俺たちの負けだ。諦めよう」


冬馬
「かよわい?」



「なに?」


冬馬
「……いや、なんでもねぇ」



「さて、なんだかんだ寄り道したなぁ。少し早いけど、夕飯でも食べて帰ろうか」



「ラーメンが食べたいわね」


翔太
「プロデューサーさん。僕、中華が良い」


北斗
「俺はイタリアンが良いですね」


冬馬
「……桃のハチミツ漬け?」



「お前もしつこいな。銀貨やるから勝手にさがしてこい」


――



617VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:25:21.93iNbyk4WW0 (15/15)

ここまでにします


618VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 21:27:49.748iQQ4YYd0 (1/1)

乙です



619VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 23:00:45.18GhZOFaoDO (1/1)

うぜぇP…さっさとしね


620VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 16:41:10.23lT6m3bE1O (1/1)

↑氏ね


621VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:32:19.95KE2spKF60 (1/12)



冬馬
「ふぁ~ぁ」



「おはよう。すごい欠伸だな」


冬馬
「……おはよう」



「寝ぼけてないで、顔でも洗ってこい」


冬馬
「……そういえば、今日の当番はだれなんだ?」



「初日は俺がつくるって昨日言ったろ?」


冬馬
「あー、そういえば……」



「目が覚めたら他の寝ぼすけ共を起こしてきてくれ。たぶん、それまでには用意できてるから」


冬馬
「ン」


――



622VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:33:46.46KE2spKF60 (2/12)




『いただきまーす』



北斗
「翔太。その醤油、取ってくれないか?」


翔太
「はい」


北斗
「ありがと」



「ねぇ、私の苺ジャム知らない?」


冬馬
「♪」



「各自、食べながらで良いから聞いてくれ。今日の予定だけど、冬馬と北斗は午前に英会話レッスンが入ってる。一応、日本語が分かる講師にしたけど、なにかあったら相談するように」


北斗
「わかりました」


冬馬
「はいよ」





623VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:36:54.02KE2spKF60 (3/12)




「まだ活動するには早いと思うから、今週はこの手帳を見ながら動いてくれ」


北斗
「……見事にスカスカですね」


冬馬
「しかも俺と北斗、ほとんど同じだな」



「次に翔太と舞さんなんだが……、来週の水曜に開かれるオーディションを受けてもらおうと思ってる」


翔太
「え、もう活動するの?」



「前にも言ったけど、このオーディションは腕試しなんだ。まぁ、勝てばTV出演くらいはできるかもしれないけど」


翔太
「ふーん」



「だから今週一杯までは、それぞれダンス・ヴォーカルに分かれてレッスンを受けてもらうことになる。これ、二人の手帳な」



「げぇ……。歌と英語でレッスン漬けじゃない」


翔太
「あ、僕の方はあんまり英会話ないんだ」



「それじゃ、食べ終わったヤツから支度してくれ。それから、食器は水に浸すように」



『はーい』



――



624VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:39:10.30KE2spKF60 (4/12)



北斗・冬馬
『行ってきます』



「二人とも、弁当は持った?」


北斗
「はい。ちゃんと鞄の中に入ってますよ」


冬馬
「俺もあるよ。というか出る前に確認しただろ」



「それもそうね」


翔太
「冬馬くん。レッスンが退屈だからって寝るのはダメだよ?」


冬馬
「バカにすんな。俺は一度だって授業中に寝たことなんかないぜ」


翔太
「自慢することなのかな……?」



「北斗。レッスン中にナンパするなよ?」


北斗
「ははっ。それは約束できないですね」



「あまりにも羽目を外し過ぎるようなら、黒井社長と同室にするからな」


北斗
「……善処します」



「さて、俺たちもそろそろ行くか。二人とも、初めての海外授業を楽しんできてくれ」


――



625VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:42:31.70KE2spKF60 (5/12)



翔太
「ありがとね、プロデューサーさん」



「翔太くん。タオルとか、飲み物とか、お弁当は持った?」


翔太
「うん。バッチリだよ」



「そう。それじゃ、行ってらっしゃい」


翔太
「行ってきまーす!」



「……」



「さてと……、みんなも送ったし、家に帰ってお酒でも飲もーっと♪ あ、帰りは特別に私が運転してあげるわ」



「おい、コラ」



「なに?」



「なに? はコッチのセリフだろ。なにシレっと初日からサボろうとしてんだ」



「えー」



「今さら勉強なんてイヤだろうけど、舞さんも行くんだよ」



「――ッ! お腹が急に……」



「トイレか? なら、そこの事務にあるから借りてこい。教室も近くにあるし、ちょうど良いな」



「ッチ。分かったわよ。行けば良いんでしょ、行けば」


――



626VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:44:10.87KE2spKF60 (6/12)




Wednesday, October 31 at 08:02.



――アポロ・シアター



翔太
「……空気が、……張り詰めてる」



「みんな生活を賭けてまでプロを目指してるようなやつ等ばかりだからな。たぶん、意気込みが違うんだろ」



「この感じ、なんだか懐かしいわ」


翔太
「……」



「緊張してるのか?」


翔太
「……少しね」



「そっか。……なら、欠伸をしながら上を見上げろ」


翔太
「え?」





627VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:46:39.94KE2spKF60 (7/12)




「緊張した際に、硬直しやすい箇所が首や肩だ。上を見るのは、この固まった筋肉を和らげるためだな」


翔太
「欠伸も?」



「それは……。まぁ、深呼吸よりもリラックスできる呼吸法だと思ってくれ」


翔太
「プロデューサーさん、説明できないのに勧めちゃダメだよ」



「悪かったよ。でも、効果があるのは間違いないんだ」


翔太
「へぇ。でも、試合前に欠伸なんてする人、普通はいないよ?」



「とりあえず騙されたと思ってやってみろ。文句はその後に聞くから」


翔太
「うん。……ふぁ~ぁ。……はふ」



「どうだ?」


翔太
「うーん。“いつも通り”、かな?」



「ははっ。なら良かった」


翔太
「ありがと、プロデューサーさん」



「お礼は勝って帰ってきてからにしてくれ」


翔太
「……そうだね。それじゃ、行ってきまーす!」


――



628VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:48:59.95KE2spKF60 (8/12)




「……今のがアンタなりの送り出し方なわけ?」



「意外?」



「えぇ。これまで頑張ってきただろ? とか、練習は裏切らない。なんて甘い言葉でも吐くかと思ってたわ」



「俺のキャラじゃない。それとも言って欲しいのか?」



「お願いできるかしら? ちょうどお腹が緩んでたところなのよ」



「……“舞ならできる。後ろには俺がいるから、自分らしく行ってこい!”」



「ねぇ……。さっきの、冗談で言ったのよ?」



「知ってるよ。これは、ただの嫌がらせ」



「はぁ。ホント捻くれたプロデューサーね」


――


629VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:52:41.31KE2spKF60 (9/12)




♬♪~♫……。




「――ふぅ」



パチ……、パチ、パチ。




(……アイツの所為で余計な感情まで入っちゃったわ)



パチパチパチ。



司会者
「Then, I wish to release a result. The first place ――」
(それでは、結果発表を始めたいと思います。第一位は――)



―――
――




司会者
「And the last prizewinner」 
(そして、栄えある最後の入賞者は……)




「……」


司会者
「It is Mai Hidaka!」
(日高 舞だッ!)



Fooooo!!




(アマチュアでこのレベル。なるほど……。しばらくは退屈せずに済みそうだわ)


――



630VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 22:54:11.99KE2spKF60 (10/12)




「終わったわよ」



「おかえり。どうだった?」



「発音が危うかったからヒヤヒヤしてたけど、ギリギリの入賞だったわ」



「……ふーん」



「なんだか嬉しそうじゃないわね。そっちは?」


翔太
「ヘヘッ」



「その顔を見るからに……。勝ったわね?」


翔太
「うん! 余裕の一位!」



「へー。凄いじゃない」





631VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 23:03:26.53KE2spKF60 (11/12)




「なにはともあれ、二人とも入賞おめでとう」


翔太
「これもプロデューサーさんのお陰だね」



「そう? 自分の実力だと思うけど?」



「俺から伝えることはないし、とりあえず午後のレッスンに向かおうか」



「えぇー。今日くらいサボっても良いでしょ?」



「ダメに決まってるだろ」



「ちぇー」


翔太
「プロデューサーさん。今夜はパーティーにしない? 祝勝会って感じでさ」



「そういうのは冬馬が得意だから、もし開くつもりなら冬馬に任せてみたらどうだ?」


翔太
「冬馬くんか……。ちょっと頼りないから、北斗くんにも声かけてみようかな」



「ねぇ。今日くらいはお酒飲んで良いでしょ?」



「別に良いけど、二日酔いにならないって約束できるか?」



「……オフまで我慢するわ」


――



632VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/02(日) 23:04:40.09KE2spKF60 (12/12)

ここまでにします


633VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/03(月) 00:10:51.67L0rfYCCN0 (1/1)

縺翫▽縺翫▽


634VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/03(月) 12:25:09.34qST/+GQuO (1/1)

乙!


635VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:31:39.41eMeDCwQR0 (1/10)




――パァン! パァン!



翔太・舞
『祝! アメリカ初勝利ー!』



「……」


北斗
「初舞台でいきなり優勝か。すごいじゃないか翔太」


翔太
「うん! ありがと!」


冬馬
「おめでとー」


翔太
「ちょっと冬馬くん! いくら興味がないからってテキトーすぎるよ!」


冬馬
「そんなこと言われてもなぁ……。たかがアマチュアの大会で入賞しただけだろ?」


翔太
「いや、そうだけど……」


北斗
「冬馬。……せっかくみんなで開いたパーティーなんだ。雰囲気を壊すようなことだけは止めてくれよ?」


冬馬
「なんだよ。俺が悪いのか?」


北斗
「そうは言ってないだろ。俺は少しくらい親睦を深めたらどうだ? って言ってるんだ」


冬馬
「……ッチ。気が向いたらな」


翔太
「ねぇ。冬馬くんって僕たちのこと嫌いなのかな?」ボソッ


北斗
「それはないよ。でも、このパーティーは冬馬にとって“仲良しごっこ”だと思ってるからな……」


翔太
「まぁ、否定はしないけどさ」





636VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:32:41.33eMeDCwQR0 (2/10)




「――話し合いは終わった?」


翔太
「あ、プロデューサーさん」


北斗
「えぇ、まぁ……」



「そっか。ところで、このクラッカー借りても良いか?」


北斗
「あ、はい」



「悪いな」



――パァン!




「全員注目」



「普通にやりなさいよ! 油断してる時に鳴らされるとビクッ。ってなるでしょ!」



「どうでもいい。それよりも、全員に渡したいものがある」


冬馬
「小遣いか?」



「そんな訳ないだろ。仕事の話だ」



「へー。どんなの?」



「とりあえず、今から名刺と書類を渡すから各自で目を通しておいてくれ」


翔太
「僕はバックダンサーだね」


北斗
「俺は任侠映画だ。アレ? この映画って……」



「見ての通り、日本の監督さんだ。お前もバラエティなんかでお世話になったろ?」


北斗
「あの人怖いんだよなぁ……。ハァ……。以外と世間って狭いんですね」





637VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:34:47.24eMeDCwQR0 (3/10)




「私は、……教会? どういうこと?」



「そろそろハロウィンだろ? この時期になると多くのアーティストたちがライブを開くんだ。舞さんはその前座」



「あ、そういう……」



「もっとも、普通の教会じゃなくて“セント・ジョン・ディヴァイン”っていう大聖堂で謡ってもらうけどな」


冬馬
「ってことは俺も前座か」



「他に質問があるヤツはいるか?」



『……』




「それじゃ、俺からのプレゼントは以上だ。それと、来週に黒井社長が合流するそうだから、それまでに部屋の片付けを済ますように」


翔太
「えー。なんで黒ちゃんが来るだけなのに掃除なんてしなくちゃいけないの?」



「仕方が無いだろ。気が付いたら黒井社長の部屋がいつの間にか物置に変わってたんだから」


翔太
「まったく! 誰だよそんなことした人は!」


舞・冬馬
『………』


――



638VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:39:21.51eMeDCwQR0 (4/10)




(撮影現場)



北斗
「い、イヤだ! 死にたくない! 助けて! なぁ助けてくれよッ!」



――カンッ! カンッ!



監督
「カットだ! カット! 同じこと何回も言わせんじゃねぇよ大根役者ァ!!」


北斗
「すいません……」


監督
「なにがすいませんだ! やる気ないんだったら失せやがれバカヤロウ!!」


北斗
「……」


監督
「ッチ。一時間の休憩だ! テメェはそれまでに頭でも冷やしてこい!」





639VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:47:10.20eMeDCwQR0 (5/10)



北斗
「ハァ……」



「よう」


北斗
「あ、プロデューサーさん」



「すごい怒鳴り声だったな。スタジオの外からも聞こえたぞ」


北斗
「えぇ。思いっきり怒られましたよ。なにがいけなかったんですかね?」



「んー。全部だろうな」


北斗
「え?」



「お前の演技を見て思ったんだけど、……なんで相手を見ながら話してるんだ?」


北斗
「だって命乞いをするシーンですよ? 助けてくれ。って頼む場面なんだから当然じゃないですか」



「それが間違ってるんだよ」


北斗
「どういう意味ですか?」



「人間は凶器を突きつけられたとき、本能的に凶器を見続けてしまう性質があるんだ。例え、それが命乞いをするような場面でもな」


北斗
「……そうだったのか」



「後はどうやって緊迫したシーンに仕立て上げるかだな。これもアドバイスが必要か?」


北斗
「……いえ、それは自分で考えてみます」



「そっか。まぁ、後で結果報告でも聞かせてもらうよ」


北斗
「はい。ありがとうございました」


――



640VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:49:00.30eMeDCwQR0 (6/10)




(セント・ジョン・ディヴァイン大聖堂)




「……神様とは無縁の生活だったけど、なかなか良い場所じゃない」



「……」



「それにしても……」









「広いわね……」









「まぁ、世界最大のゴシック大聖堂だからな」



「へー」





641VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:50:49.93eMeDCwQR0 (7/10)




「それよりも、曲は大丈夫なのか? 見てた感じ、かなり苦戦してたようだけど」



「仕方ないじゃない。英語と日本語じゃ、リズムも発音もまるで違うんだもの」



「俺は大丈夫なのかって聞いてるんだが?」



「心配しなくても大丈夫よ。一週間も猶予があれば完璧だわ」



「ふーん」



「それにしても、まさか自分の持ち歌を英語で歌うことになるとはねえ……」



「……勘違いしてるみたいだけど、あの曲はもう舞さんのじゃない」



「え?」



「少なくともIAの一件であの曲は既に愛がオリジナルになってる筈だ」



「はぁ!? なんでよ!」



「同じ歌で勝負して、舞さんは負けた。それ以外に理由はいるか?」



「あるに決まってるでしょ。あの時の言葉、忘れたなんて言わせないわよ?」





642VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:53:43.23eMeDCwQR0 (8/10)




「確かに俺は“わざと負けろ”と命令した。でも……」



「なに? 今になって言い訳でもするの?」



「――舞さん、本気を出して負けたんだろ?」



「……なんでそう思うの?」



「ステージから降りる時、一瞬だけど笑っていた。あれは脅迫されて負けた人間の顔じゃない」



「……」



「まぁ、俺の見間違いかもしれないけど」



「フン。よく見てるわね」



「やっぱり見間違いじゃなかったんだな」



「はぁ……。それにしても、たった一回負けたくらいで自分の歌まで持っていかれるとは思わなかった……」





643VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:55:09.68eMeDCwQR0 (9/10)




「負けた人間がなにかを失うのは当然のことだ。それは舞さんも例外じゃない」



「肝に銘じておくわ」



「そうしてくれ。……さて、そろそろ準備するか」



「あら。もうそんな時間?」



「あぁ。チラホラだけど今日の主役たちが入り始めてる」



「へー。私はてっきりお客さんだと思ってたけど」



「ずいぶん太い神経してるな。前座の言葉とは思えないぞ」



「だって私が主役だもの」



「自信があるのは結構だけど、……勝てるのか?」



「当たり前じゃない。私を誰だと思ってるのよ」



「負け犬だろ」



「……吠え面かかせてやる」


――



644VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 22:56:10.70eMeDCwQR0 (10/10)

ここまでにします。


645VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/16(日) 23:05:35.30QkQypoij0 (1/1)


アメリカ編面白いな


646VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/17(月) 03:17:43.40X5AmxlwDO (1/1)

クズPさっさとしね。キモい


647VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/17(月) 13:36:16.96BYRc41BlO (1/1)

相変わらず良い性格してるわ白P


648VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:01:48.26IxkmO0j60 (1/10)



神父
「 So that everyone can enjoy this night, I pray to God.…… Amen 」
(皆様が今日この夜を楽しめるよう、我が主に祈ります。……アーメン)



『 Amen 』



神父
「 Thank you for your attention. So,will hold a halloween party than this 」
(ご清聴ありがとうございました。……それでは、これよりハロウィンパーティを開催いたします)



――パチパチパチ。



神父
「 Before that, I’ll introduce your guests from the small island nation 」
(その前に、小さな島国よりアメリカへ渡られた客人をご紹介いたしましょう)



「……」


神父
「 Ms,Hidaka.Previous please 」
(日高。……前へ)



「 Thank you 」





649VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:02:46.18IxkmO0j60 (2/10)




……。




「 Everyone nice to meet you. My name is Mai Hidaka 」
(みなさん始めまして。私は日高舞といいます)


神父
「……」



「 I will sing this song today to be a good day 」
(今日が良い日になるよう、この曲を歌います)



……。




「 Please listen 」
(……聞いて下さい)








「―― ALIVE 」








――



650VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:04:24.11IxkmO0j60 (3/10)




「 There is no standard on this earth, but there is a wonderful world 」
(この地球に標はないけど、素晴らしい世界がある)



♫♪♬♬ ……。




「ふぅ」



……パチパチ。……パチ。




「な、なんで……?」



――ポンッ。




「?」



「 Thanks, it's going to be a good stage 」
(おつかれさま。お陰で良いステージになりそうね)




「え、えっと……」



「 That's right. Do not come back soon? I will not be out 」
(早く戻ってくれない? 私が出られないんだけど)




「ぇ?」



「 Huh.The exit is there. Will you understand like it ? 」
(ハァ。出口はあっち。それくらい分かるでしょう?)



「あ、あぁ……。戻れってことね」


――



651VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:07:37.94IxkmO0j60 (4/10)




――『 Hey! Hey! You! You!』



『 I don’t like your girlfriend! 』




「へー。流石メジャーアイドルだ。あの空気を一瞬で変えるとは」



――『 No way! No way! 』



『 I think you need a new one 』




「……ただいま」



「お帰り。どうだった?」



「惨敗よ。……祝福はしてくれなかったみたい」



「そうみたいだな」



「あー! むかつく! 歌もダンスも完璧だったのに! 日本人だからって見下してんじゃないわよ!」



「荒れてるな」



「当たり前じゃない! こんな屈辱、生まれて初めてよ!」



「……まぁ、グチは車の中でも聞くよ。とりあえず、今は帰るのが先だ」



「私がそれまで我慢できると思う?」



「負けたステージに未練がましく残ってる方が惨めだと思うけど?」



「……ッチ」


――



652VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:09:02.35IxkmO0j60 (5/10)



翔太
「おかえりー」



「ただいま」


翔太
「ねぇ。お姉さんどうしたの? 帰ってきたと思ったらすぐ部屋に行っちゃったけど」



「仕事先で上手くできなかったから荒れてるんだよ」


翔太
「へー。お姉さんでも失敗とかするんだ」



「舞さんも人間だってことだな」


翔太
「あははっ。なにそれ」



「でも、いつまでも引きずってるような人間じゃないと立ち直ると思うぞ」


翔太
「ふーん。僕としては今日の当番やってくれるなら何でも良いけどね」



「まぁ、そこの頃には立ち直ってるよ」


――



653VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:11:31.67IxkmO0j60 (6/10)




『 ご馳走様でした! 』




「後で洗うから食器は水に浸けておいて」


翔太
「はーい」



「アホ毛。私はもう寝るから後よろしく」


冬馬
「なんでだよ! 当番は姉御だろ!?」



「……」スクッ


北斗
「お出かけですか?」



「ちょっと黒井社長に向かえを頼まれてな」


北斗
「もう来るんですか? まだ部屋の片付けも終わってないのに」



「あいつ等……」


北斗
「こんな物置に人が住めるか! なんて怒るのが目に見えますよ」



「はぁ。とりあえず今日は北斗と一緒に過ごしてもらうか」


北斗
「冗談ですよね?」



「……」


北斗
「冗談ですよね!?」





654VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:12:33.27IxkmO0j60 (7/10)




「冗談だよ。黒井社長には申し訳ないけど、俺と同室になってもらう」


北斗
「良かった……」



「あ、そうだ。お前等のスケジュールだけど明日はオフにしておいたから」


冬馬
「は? なんでだよ」



「どうも黒井社長に行きたい場所があるみたいでな。奢りみたいだから少しだけ付き合ってくれないか?」


冬馬
「まぁ、特に用事がある訳でもねぇから良いけどよ」


翔太
「奢りだって。お姉さんなに買ってもらう?」



「そうね……。服もバッグも買っちゃったし……。翔太くんは?」


翔太
「僕は自分用の冷蔵庫かな。今の冷蔵庫だと使えるスペースないから」



「奢りだって言っただろ。貢がせてどうするんだよ」


――



655VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:14:01.84IxkmO0j60 (8/10)



黒井
「私は……、私は辿り着いたのだな。この異国の地へ」



ざゎ。ざわ。



黒井
「フ、フフ……。フハッハハハ! アメリカ! 本物のアメリカだ!」



ざわ。ざゎ。



黒井
「……」スゥ



ざわ。ざわ。



黒井
「アメリカで名を上げるのは、この黒井だーー!!」





――フハハハハハハ!! アメリカ最高ォオオオ!! アーッハッハッハ!!








656VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:14:59.25IxkmO0j60 (9/10)




「……」



「……」


冬馬
「……」


翔太
「……」


北斗
「……」



「なぁ……」


北斗
「……なんですか?」



「俺は……、アレに声をかけるのか?」


北斗
「……お気持ち察します」


翔太
「なんか初めてココに来た時の冬馬くんみたいだよね」



「ペットは飼い主に似るって言うからねぇ……」


冬馬
「俺、あんな恥ずかしいヤツじゃないだろ!?」


――



657VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 12:18:03.23IxkmO0j60 (10/10)

ここまでにします。それと……。


愛ちゃん! 誕生日SS書けなくてごめんなさい!!!


658VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 14:05:58.84p9AkItOJ0 (1/1)

黒ちゃんww


659VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 14:20:34.82BQmb+F6Uo (1/1)

黒ちゃん、セーブしよー!!


660VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:30:15.62dKAKl/i30 (1/24)




「あー、黒井社長?」


黒井
「おっ、小僧か! 出迎えご苦労だな!」



「えぇ。まぁ……」


黒井
「むっ。それよりもジュピターたちはどうした。私は全員で来るように指示したはずだが?」



「……あそこにいますよ」


黒井
「ん? なんであんな離れた所にいるのだ?」



「……」


黒井
「まぁ良い。――おーい!」



――やべっ! 見つかった! ――ぼ、僕はバレてないよね!? ――ここまで、……かしら。



黒井
「フハハッ。私に会えなかったとはいえ、そんなに恥ずかしがるな。さっさと来い」





661VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:31:31.62dKAKl/i30 (2/24)



冬馬
「ちくしょう……」


翔太
「こんな恥ずかしい思いをするくらいなら来なければ良かったよ……」


北斗
「いつもならナンパを口実に逃げられたのに……」



「帰って良い?」



「お前らなぁ……」


黒井
「小僧、行くぞ!」



「え、えぇ……。少し待って下さい。車を取ってきます」


黒井
「3分間待ってやる! お前らは40秒で支度をしろ!」



「……」



「帰って良い?」



「考えさせてくれ」


――



662VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:33:55.75dKAKl/i30 (3/24)




「……」


黒井
「♪」


翔太
「僕、あんな恥ずかしい思いをしたの初めてだよ……」


北斗
「俺も」


冬馬
「違う。絶対に違う。俺はあんな恥ずかしいヤツじゃない」ブツブツ



「認めなさい。アンタも初めてココに来た時はあんな感じだったわよ」



「それで、黒井社長はどこに行きたいんですか?」


黒井
「そんなことも分からないとは……。ハァ。嘆かわしい」



「……」イラッ





663VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:35:57.26dKAKl/i30 (4/24)



黒井
「ここはどこだ?」



「どこって……。アメリカですよ」


黒井
「そうだ! アメリカだ!」



「……」


黒井
「アメリカといったらなんだ? カジノだろう!!」



「えぇ。まぁ……」


黒井
「なら、カジノの本場といったらどこだ?」ニヤッ



「……まさか」


黒井
「そのまさかだ。私の行き先など、ラスベガス以外にありえん!」



「無茶言わないで下さい! ここから一週間は掛かりますよ!?」


黒井
「フン。セレブな私がこんな車で長旅なんぞすると思うのか?」



「?」


黒井
「既にジェット機をチャーターしてある。まぁ、向こうの都合でワシントンまで行くことになってしまったがな」



「――は?」


黒井
「という訳で、最初の目的地はワシントンだ。…… アンダースタァン?」



「……」


黒井
「分かったなら早く車を出せ!」





664VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:37:16.82dKAKl/i30 (5/24)






「これからラスベガスに行くみたいだよ!」


「マジで!?」


「黒井社長もずいぶん太っ腹だなー」


「なぁ! ラスベガスに行く前にダウンタウンに寄ってくれよ!」


「好きにしろ。ただし、すぐに戻ってくるんだぞ?」


「流石おっさんだぜ! ……あ、そうだ。誰かタキシード貸してくれ!」


「そんなのある訳ないだろ。というか、何に使うんだ?」


「ホロに会いに行くんだよ!!!」






「ハァ」



「アンタも大変ね」



「……同情するなら変わってくれ」



「え? 嫌よ」



「ですよねー」


――



665VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:39:08.15dKAKl/i30 (6/24)



北斗
「……凄いな」


機長
「 It waited. Welcome Mr. Kuroi 」
(お待ちしていました。ようこそ黒井様)


黒井
「 Likewise, I am sorry that I keep you waiting. Today thanking you in advance 」
(こちらこそ待たして申し訳ない。今日はよろしく頼む)


機長
「 Yes. Was the destination Las Vegas? Please enjoy comfortable air travel 」
(はい。目的地はラスベガスでしたね? 快適な空の旅をお楽しみ下さい)


黒井
「 Thank you 」


北斗
「……黒井社長も英語できるんですね」


黒井
「セレブとして当然の嗜みだ」





666VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:40:43.22dKAKl/i30 (7/24)



冬馬
「すげーーー!!」



「これよ、これ! これぞまさにアメリカって感じよね!」


冬馬
「だよな!」


翔太
「僕、今日ほど黒ちゃんに付いて行って良かったと思った日はないよ!」


黒井
「そうだろう! そうだろう!」


冬馬
「961プロ最高!」


翔太
「黒ちゃん最高!」


黒井
「フハハハハ!! 貴様ら! 今日は私の驕りだ! 思いっきり騒ぎ倒してやれ!」


冬馬
「ッシャァ! 一発ぶち当ててやるぜ! っと、その前に……。機長さーん! カジノに行く前にアニメショップ寄ってくれ!」



「荒稼ぎしてやるわ」


北斗
「楽しみだね」


翔太
「うん!」


――



667VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:42:13.11dKAKl/i30 (8/24)




――ダウンタウン。



冬馬
「くぅう~~! 待ち侘びたぜ!」


黒井
「早く行ってこい」


冬馬
「あぁ! 帰ったら祝福してくれ!」


翔太
「うん。いつもに増して気持ち悪い」


冬馬
「行ってきまーす!!」



――Hello. Can I help you? 嫁をくれ!!! What!?



翔太
「行っちゃったね。……冬馬くんが帰って来るまでどうする?」


北斗
「ただ待ってるだけって退屈だよな」





668VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:44:04.96dKAKl/i30 (9/24)



黒井
「……お前ら、少し付き合え」


翔太
「え? 黒ちゃん、どこか行くの?」


黒井
「せっかく豪遊するというのに、その服装はなんだ? 見繕ってやるからついて来い」


翔太
「えー。僕、あんまり堅苦しいのは苦手なんだけどな……」


黒井
「フン。嫌なら来なくて良い」



「ねぇ。それって私も含まれてる?」


黒井
「当たり前だ。なんでも好きなものを買え」



「じゃあ、お言葉に甘えようかしら」



「冬馬の分はどうするんですか?」


黒井
「アイツはタキシードだ。自分で言っていただろう? サイズは……、少し大きめにすれば良いか」


――



669VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:45:30.90dKAKl/i30 (10/24)



翔太
「ぉお! 見て! 街がすごいキレイ!」



「ホントね。これが百万ドルの夜景ってやつ?」



「それ香港だから」



「そうなの?」


北斗
「フッ……クック。と、冬馬。なかなか似合ってるじゃないか」


冬馬
「確かにカッコいいけどさ……。せめて普通のネクタイにしろよ」


黒井
「そろそろ到着するぞ。準備は良いか?」


冬馬
「プロデューサー。ネクタイ交換しようぜ」



「嫌だ。というか、そんなにイヤなら外せば良いだろ」


冬馬
「あ、そっか」


――



670VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:47:20.06dKAKl/i30 (11/24)



黒井
「ほれ」


冬馬
「え!? マジで!?」


翔太
「こんなにくれるの!?」



「ワォ。太っ腹じゃない黒ちゃん」


黒井
「フフン。私はセレブだからな」


北斗
「一万ドル(約100万円)って……。大丈夫なんですか?」


黒井
「心配しなくともポケットマネーだ。お前らは好きに使うと良い」


北斗
「まぁ、そういうことなら……。ありがたく使わせて頂きます」


黒井
「うむ」



「……」


黒井
「ほれ。貴様の分だ。せっかくここまできたのだ。貴様も参加するのだろう?」



「……遠慮しておきます」


黒井
「なに?」



「すみませんが、他人の金でギャンブルをする気はないので」


黒井
「私からの施しは受けないということか?」



「そういう意味じゃありませんよ」


黒井
「フン。なら貴様には一銭もやらん。後で貸してくれと泣きついても聞かないからな!」



「えぇ。分かってます」


黒井
「勝手にしろ」


――



671VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:49:44.08dKAKl/i30 (12/24)



冬馬
「お、おぉ……!」



―― Next up is No. 21! ―― BINGO! ―― Fuck! There is no more money!



北斗
「すごい活気だ」


冬馬
「見ろよ北斗! アイツまた当てたぞ!」


北斗
「おぉ! アレっていくらになるんだろ?」


冬馬
「どうでも良いんだよ! それより俺たちもあのくらいメダルを積み上げようぜ!」


北斗
「そんな上手くいくかな?」


冬馬
「弱気になってたら運まで持っていかれるぞ? 勝負だ! 勝負!」


北斗
「はいはい。冬馬は相変わらずだな」


翔太
「お姉さんはなにやるの?」



「カジノと言ったらルーレットよ。そっちは?」


翔太
「んー。どれも知らない賭けだからな~。まず最初は黒ちゃんと同じのにするよ」



「それが賢明かもしれないわね」


――



672VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:55:28.86dKAKl/i30 (13/24)



ディーラー
「……」


黒井
「フォーカードだ」


ディーラー
「 Congratulations. It is the victory of the player 」
(おめでとうございます。プレイヤーの勝利です)


翔太
「ねー黒ちゃん。コレって黒ちゃんの勝ちなの?」


黒井
「フフン。私の圧勝だ」


翔太
「ぉお! なんか一杯メダルがきた!」


黒井
「フハハハハ!! 私にかかれば十万ドル(約1000万円)など容易い――」



―― Flooooooooo!! Woooooooo!!



黒井
「……なんの騒ぎだ?」


翔太
「なんだろうね。あっちに凄い人が集まってるよ」


黒井
「フン。人がせっかく勝利の余韻に浸っているというのに」


翔太
「まあまあ。でも、あれだけ集まってるってことは凄く勝ってるってことだよね」


黒井
「む。私だって凄く勝ってるぞ」


翔太
「知ってるよ。でもさ、野次馬って人の性じゃない?」


黒井
「ツキのある者をジロジロ見るのは俗物がやることだ。止めておけ」


翔太
「行ってきまーす!」


黒井
「あ、コラ! ……私も行く!」


――



673VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:57:49.38dKAKl/i30 (14/24)



翔太
「んー! 人が多過ぎて見えないよ!」ピョンピョン


黒井
「ック。俗物め。ジャマで見えないではないか!」


翔太
「今の黒ちゃんも立派な俗物だよ。というか、なんでいるの?」


黒井
「野次馬は人の性だからだ!」


翔太
「それ、さっき僕が言ったセリフだよね?」



ザヮ……。ザワ……。



――「 Split 」



ディーラー
「……ッ」



ォオオオオオオオオ!!






674VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 21:59:15.24dKAKl/i30 (15/24)



黒井
「なんだ!?」


翔太
「黒ちゃん! 僕が上で実況するから肩車して!」


黒井
「なるほど! 良いアイディアだ!」


翔太
「よっと」グッ。


黒井
「見えるか? どうなってる?」


翔太
「……ブラックジャックかな?」


黒井
「そんなことは分かってる! この俗物共を寄せ集めている首謀者はどんなヤツだ?」


翔太
「あ、あはは。それなんだけど……」


黒井
「どうした?」


翔太
「……その首謀者、プロデューサーさんみたい」


黒井
「なに?」


――



675VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:05:30.75dKAKl/i30 (16/24)




「……」


ディーラー
「……ッ」



「 What's happening? The handing me the card early audience because waiting 」
(どうした? 観客が待っているから早くカードを配ってくれよ)


ディーラー
「ク……ッ」





――シュッ。





『 A 』  『 A 』  『 A 』  『 A 』





――Oh Crazy. ――Four pieces of A!? ――What's going on!?
(……イカレてる。 場にエースが4枚!?  おいおい。どうなってるんだ!?)






676VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:10:50.78dKAKl/i30 (17/24)







「 First piece first 」
(まず、一枚目)


ディーラー
「……」





『 K 』 『 A 』





―― Black Jack! ―― The following cards!?
(ブラックジャックだ! つ、次のカードはッ!?)






677VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:11:48.67dKAKl/i30 (18/24)






「 The second 」
(二枚目)


ディーラー
「……ッ」





『 10 』 『 A 』





―― Black Jack! ――Next!? ――You are disturbed! Show me to me!
(ブッ、ブラックジャック! 次は!? お前ジャマなんだよ! 俺にも見せろ!)






678VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:16:50.25dKAKl/i30 (19/24)






「 The third 」
(三枚目)


ディーラー
「 Why ――」
(なんで……)





『 Q 』 『 A 』





――Moreover, twenty-one!? ―― Do you pull it surely!?
(またブラックジャック!?  まさかッ!? 引いてくるのか!?)






679VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:18:59.75dKAKl/i30 (20/24)






「 The fourth 」
(四枚目)


ディーラー
「 Why will only the court card be pulled!? 」
(なんでこんなに絵札ばかり引いてくるんだ!?)





『 J 』 『 A 』





―― It succeeded! ―― Do we see the dream?
(や、やりやがった! お、俺たちは夢でも見てるのか?)






「……」





―― How much is it this!?
(おい! これいくらにるんだ!?)






680VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:22:53.40dKAKl/i30 (21/24)






……ン。……トン。





ディーラー
「What will sound?」
(……なんの音だ?)





――トントン。





ディーラー
「 Surely 」
(……まさか)



「……」トントン


ディーラー
「 Please say that it will be a joke 」
(冗談だろ……)



「 Do not make it to ending without permission. It is a double down 」トントン
(勝手に終わりにするな。ダブルダウンだ)






681VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:26:24.38dKAKl/i30 (22/24)






―― What!? Why does twenty-one pull the card in addition though it has been approved!?
(ハァ!? さらにヒット!? もうブラックジャックは成立してるんだぞ!?)






「 The certainty and the ace did because it was counted as one. All in Bet 」
(確か、エースは“一”とも数えられるんだったよな。オール・イン・ベット)





――「 Crazy 」
(狂ってる……)






「Among three, one piece is a queen of the heart. One piece is eight of the spades. 」
(三枚の内、一枚はハートのクイーン。一枚はスペードの八)


ディーラー
「……Card Counting? 」
(カードカウンティングだと?)



「 And, another piece 」
(そして、もう一枚は……)





――This card
(こ、このカードって……)





ディーラー
「Are you a satan or something!?」ゾクッ
(お前は、悪魔か何かなのかッ!?)






682VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:28:43.23dKAKl/i30 (23/24)






「……どうやら俺に微笑んだのは女神じゃなくて――」




















「――“道化師”だったみたいだな」




















――



683VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:29:47.22dKAKl/i30 (24/24)

ここまでにします。


684VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 22:55:23.26jWw5pP2+0 (1/1)


ブラックジャック詳しくない俺にダブルダウンとかカードカウンティング教えて


685VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/07(日) 23:29:45.24irnDYwtm0 (1/1)

倍プッシュの事なのかな


686VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/08(月) 13:15:28.81G0UFWNEKo (1/1)

ザワ…ザワ…


687VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/09(火) 05:02:23.99uD/CPwkho (1/1)

ダブルダウンはもう一枚引くから倍掛けさせろって意味
カードカウティングは今まで場に出たカードを見て山に残ってるカードを推測する技術
ちなみにフォーカードは日本語で、むこうではフォーオブアカインド(four of a kind)になる


688VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/09(火) 12:24:29.42ZIUTFePTO (1/1)

ざわ・・・

   ざわ・・・


689VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 21:22:45.57XWyo2HAd0 (1/13)




「フゥ。疲れた」



――ぐぬぬ……。小僧めェ……。




「黒井社長? そんなところで何やってるんですか?」


黒井
「フン! 少しくらい目立ったくらいで良い気になるなよ!」



「え? あ、はい」


翔太
「黒ちゃん。大人気ないよ」



「お前はなんで黒井社長の首に跨っているんだ?」


翔太
「あはは。気にしないで」


黒井
「私だってあれくらい……」ボソッ


翔太
「いい加減、負けを認めなよ。どう見ても完敗だったと思うけど?」


黒井
「私の強運を見くびるな! 絶対にコイツよりも目立ってやる!」


翔太
「ハァ。こうなったら止められないんだよね」



「お前も大変だな」


翔太
「もう慣れっこだよ」


黒井
「行くぞ翔太! ついて来い!」


翔太
「はいはい。それじゃ、プロデューサーさん。またね」


――



690VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 21:26:07.25XWyo2HAd0 (2/13)




ヵラヵラヵラ……。



ディーラー
「No.11」



―― Hooooo!! Moreover, it came true!
(ゥオオオオオオ!! また当てたぞ!)




「んー。やっぱり十万ぽっちじゃ稼ぎが悪いわね」



「……。ホントなにやっても騒がれるな」



「あら、P。って、どうしたのその大量のメダル」



「稼いだ」



「ふーん。いくら?」



「さぁ? まだ精算してないから分からないけど、ざっと見積もって二億くらいかな」





691VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 21:27:50.68XWyo2HAd0 (3/13)




「へー。なかなか良い金額ね。……ちょっと貸してくれない?」



「いくら?」



「んー。半分くらい?」



「返せるのか?」



「ハァ。守銭奴じゃないんだから気前よく渡せないの?」



「本気で言ってるなら正気を疑うな」



「じょ、冗談に決まってるじゃない。後でちゃんと返すわよ」



「あっそ」


――



692VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 21:51:59.40XWyo2HAd0 (4/13)



ディーラー
「――ッ。No.13」



「フフッ。やっと調子が出てきたわ」



(……どういうことだ?)



―― What successive victories is by this it? ―― They are ten successive victories.
(こ、これで何連勝だ……? に、20連勝だ……)




(一点賭けなんてバカみたいな賭け方で大勝? いや、それよりも気になるのは……)


ディーラー
「 Please your Bet 」
(お賭けください)



「 After you throw out, it Bet 」
(投げた後に賭けるわ)


ディーラー
「…… It has understood 」
(……分かりました)



――ヵラカラカラ。




「……」ジィッ



――ヵララララ。




「……」スッ


ディーラー
「 NO more Bet 」
(締め切ります)



――ヵラヵラ……。コォン……。



ディーラー
「N,No.23」





693VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 21:58:06.51XWyo2HAd0 (5/13)




「さぁ次も当てるわよ! 外す気がしないもの!」



(二、三秒くらいなにかを見ながら賭けた後は“まったく興味がなくなってる”ことだ。……まるで、当たると確信しているみたいに)


ディーラー
「 P,……Please your Bet 」



「 It is the same a little while ago 」
(さっきと同じよ)


ディーラー
「 OK.it starts 」
(分かりました。……始めます)



(なんだ? 一体、なにを見てるんだ?)



――カラララ。




「……」ジィッ



(視線は、……ホイール? いや、ボールも見ている)



――ヵララララ。




「……」スッ


ディーラー
「N,No32」



―― Hey. Does this woman by when win and follow? ―― I do not understand.
(おい。この女、……いつまで勝ち続けるんだ? ……知るかよ)




(……もしかして?)





694VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:00:11.81XWyo2HAd0 (6/13)




「 All the won amounts are added. Please throw out early 」
(倍プッシュよ。早く投げなさい)


ディーラー
「……OK. It starts 」
(……始めます)



――カララ……。




「……。ボールのスピード、少し遅くなったわね」


ディーラー
「……ッ」



「これで最後にするわ」






――ジャラララッラ。







「え?」





695VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:03:23.10XWyo2HAd0 (7/13)




「面白そうだから俺も参加させてもらうよ」



「美味しいとこ取りなんて良い趣味してるじゃない」



「いつも裏方なんだ。たまには目立っても良いだろ?」



「……好きにしなさいよ」








ヵラヵラ……。








P・舞
『“ ALL IN BET ”』








カラヵラ……。カン。コォン……。コン……。








ディーラー
「N,No.――」


――



696VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:05:10.99XWyo2HAd0 (8/13)




「おっも~い!」



「 Will you give the trunk case other? 」
(トランクケースをもう一個くれないか?)



「私、これ以上持てないからね?」



「それくらいは俺が持つよ」



「なら良いけど」



「……ちょっとやり過ぎたかもな」



「なに言ってるのよ。ギャンブルにやり過ぎも何もないわ」



「それもそうか。……ところで、本当にこのメダル全部貰って良いのか?」



「元々アンタのお金なんだから当たり前でしょう?」



「まぁ、そういうことなら遠慮なく」



「ふふっ。私の豪運のお陰ね」





697VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:06:42.72XWyo2HAd0 (9/13)




「なにが豪運だよ。あそこで止めてなかったら永遠に当て続けてただろ」



「なに? 私がイカサマしたって言うのかしら?」



「イカサマっていうか……。どこにボールが入るのか分かってたんだろ?」



「あら? どうしてそう思うの?」



「これは俺の推測でしかないけど……。最初の四点賭けはホイールの傾斜とボールのスピードを計算してたんじゃないのか?」



「……」



「そして誤差が修正できたところで荒稼ぎ。違う?」



「……ストーカー並によく見てるのね。でも、少しだけ違うわ」



「あれ? 違った?」



「えぇ。私は計算なんてないもの。どこに入るのかは感覚で分かるのよ」





698VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:08:08.96XWyo2HAd0 (10/13)




「なんだそれ。もしかして共感覚でも持ってるのか?」



「共感覚?」



「なんていうか、……絶対音感みたいに何かを他の感覚と共有してる能力のことだよ」



「んー。よく分からないけど、それが私ってことなの?」



「もしかしたらな」



「ふーん。でも、そうしたらアンタも共感覚なのかしら?」



「なんで?」



「だって、あんな大量のメダルどう考えても異常だわ」



「そうか? ちゃんと実在する技術なんだけどなぁ……」



「まぁ、私から見れば“アンタも普通じゃない”けどね」



「……俺は普通の人間だよ」


――



699VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:10:18.77XWyo2HAd0 (11/13)




「そろそろ良い時間ね」



「結構遊んだからなー」



「ねぇ、この後って外食なの?」



「いや、たぶんそのまま帰るんじゃないかな」



「ふーん。なら、早く帰りましょうよ」



「他のやつ等が集合してないのに帰れる訳がないだろ」



「ハァ。なにやってるのかしら?」



「探しにでも行くか?」



「面倒だからパス。後で向かえに来て」



「やる事ないんだろ? 良いから行くぞ」



「強引な男ってモテないわよ?」



「興味ない。というか、人のこと言えるのか?」



「どういう意味よ」





700VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:14:33.02XWyo2HAd0 (12/13)




「女子力ゼロ。魅力ゼロ。そんな男も寄ってこない寂しい婆さんにとやかく言われたくないって言ってるんだよ」



「はァ!? 私が!?」



「違うのか?」



「違うわよ! お、男なんて掃いて捨てる程いたものッ!」



「へー」



「それに! 付き合った男たちから“ビッチの日高”なんて称えられたことだってあるんだからね!」



「そっか。……自分で言って悲しくない?」



「な、なにが?」



「だって舞さん、“友達で終わるタイプ”だろ」



「ッ!?」



「そんな人間がビッチって。ハハッ。舞さんでもジョークが言えるんだな。意外だったよ」



「ジョークなんかじゃない! 私はビッチだもん!」



「そうなんだー。舞さんはビッチなんだねー」



「ちゃんと私の話を聞きなさいよ!!」



「聞いてる聞いてる。どうやっても友達以上に発展しないって話だっけ?」



「~~~ッ!!」



「ハハッ。顔がすごい真っ赤だな。ピザでも作るの?」



「アンタなんて大ッ嫌い!!!」



「はいはい。分かったから冬馬たち探しに行こうか」


――



701VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 22:20:07.32XWyo2HAd0 (13/13)

ここまでにします。



702VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 23:22:54.59DkEt6MOdo (1/1)

おつ!


703VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:21:04.46RyxCUBzC0 (1/15)




「 And, the other day ――」
(それで、この前――)



「 It is so 」
(へー、そうなんだ)



「 Do it schedule and do it exist after this?When it is good, a more interesting story is told 」
(この後予定ある? 良かったら、もっと面白い話をしてあげるよ)



「 Is it an invitation of the date? 」
(それって、デートのお誘い?)



「 Yes. Or, are you dissatisfied with me? 」
(うん。それとも、俺じゃ不満かな?)



「 Ahh. It is good on mouth. Well. It ――」
(あはは。口が上手いんだから。うーん。それじゃ、――)






704VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:22:56.63RyxCUBzC0 (2/15)




「こんなところにいたのか。探したぞ北斗」


北斗
「プロデューサーさん?」



「 Person of this  …… whom it? 」
(ねぇ。この人……誰?)



北斗
「 It is my superior 」
(俺の上司だよ)



「 Really? …… I return. Moreover, please invite it to the date 」
(そうなの? ……私、帰るよ。またデートに誘ってね)



――タッタッタッタ……。



北斗
「惜しかったなぁ。初の海外ナンパ成功だったんですけどね」



「あー、悪かったな。気が回らなかったよ」


北斗
「いえ、気にしないで下さい。次がありますから」





705VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:23:58.92RyxCUBzC0 (3/15)




「それにしても、いつの間に話せるようになったんだ? そんな流暢に話せるなんて知らなかったぞ」


北斗
「まぁ、俺に合った授業だった。ってことですね」



「冬馬も同じくらい話せるのか?」


北斗
「どうでしょう? かなり苦戦してたみたいですけど……」



「ふーん。後でも試してやるか」


北斗
「ところでプロデューサーさん。俺になにか用ですか?」



「大した用事じゃない。そろそろ帰るから呼びに来ただけだ」


北斗
「え? あ、ホントだ。もうこんな時間だったのか」



「ちなみに、他はもう集まってるぞ」


北斗
「うゎぁ……。黒井社長、怒ってるだろうなぁ……」


――



706VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:24:55.61RyxCUBzC0 (4/15)



黒井
「……やっと来たか」


北斗
「すいません、遅れました」


黒井
「時間は守れ。次は置いていく」


北斗
「えぇ。気をつけます」


翔太
「あ、北斗くんお帰り」モグモグ


冬馬
「おかえり」モグモグ


北斗
「ただいま。……というか、なに食べてるんだ?」


冬馬・翔太
『ハンバーガー』


北斗
「もうすぐ夕飯だってのに、よく食べられるなぁ……」


冬馬
「そんなに褒めたってコレはやらないぞ?」


北斗
「いらないから」


黒井
「もうすぐヘリの時間だ。さっさと食ってしまえバカ共」


冬馬・翔太
『はーい』モキュモキュ



「ところでアイツは?」


北斗
「アイツ?」



「Pのことよ。もう帰るっていうのに見かけないんだけど?」


北斗
「あれ? さっきまで一緒だったのに、どこ行ったんだろ?」


黒井
「今度はプロデューサーが迷子か。付き合ってられないな」





707VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:26:33.93RyxCUBzC0 (5/15)




――Prrrr。



黒井
「私だ」



『あ、黒井社長ですか? Pです』


黒井
「小僧か。今どこにいるのだ? 早くしないと置いていくぞ」



『そのことですが……。どうやら合流できなくなりました』


黒井
「どういうことだ?」



『少し稼ぎすぎましてね。どうやら交渉に応じるまで帰してくれないようです』


黒井
「……無事なのか?」



『えぇ。すぐに済みますよ』


黒井
「なら良い。さっさと片付けておけ」



『はいはい』





708VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:28:10.81RyxCUBzC0 (6/15)



黒井
「フン」


翔太
「ねぇ、黒ちゃん。プロデューサーさん、なんだって?」


黒井
「もう一勝負するそうだ。合流には間に合わないだろうな」


翔太
「えー。僕、お腹ペコペコだよ」


北斗
「……さっき食べてなかったか?」


黒井
「仕方がない。小僧が来るまでココで食事にするか。……要望はあるか?」


冬馬
「ステーキもハンバーガーも食べ飽きた感じがあるからな。俺は寿司が良い」


翔太
「あ、僕もそれが良い」


黒井
「北斗と舞ちゃんは?」


北斗
「俺もそれで良いです」



「私も」


黒井
「アメリカで初めての食事が寿司とは……」


翔太
「文句があるなら黒ちゃんが決めれば良かったのに」


黒井
「フン」





709VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:29:29.87RyxCUBzC0 (7/15)




「ねぇ。そういえば、アイツなんの勝負するって言ってたの?」


黒井
「なんでそんなこと聞くんだ?」



「決まってるじゃない。面白そうなら私も参加するのよ。それで? なんの勝負だって?」


黒井
「ただの交渉だ。舞ちゃんが期待するようなものではない」



「なんだ。そうだったの?」


黒井
「言っただろう。期待するようなものではない、と」



「ふーん。でも“交渉”かぁ……。誰が相手か分からないけど同情するわ」


黒井
「どういう意味だ?」



「だって、騙し合いと読み合いはアイツの独壇場だもの」


――



710VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:30:51.14RyxCUBzC0 (8/15)




――コンコン。



「 Please come in 」
(お入りください)




「……」



「よく来てくださいました。さっ、立ち話もなんですし、どうぞお座りください」




「ずいぶん日本語が上手なんですね」スッ



「え? あぁ、ココは日本からの観光客も多いので」




「そうですか」



「なにか飲みます? 生憎お茶はないんですけど、コーヒーと紅茶ならありますよ?」




「紅茶で。あ、砂糖やミルクはいりません」



「気が合いますね。私も何も入れないんですよ。紅茶は素材の味を楽しむものですから」




「……それで? 帰宅途中のお客に相談とは、どんな用件ですか、オーナー」


支配人
「ははっ。そんなに警戒しないでください。別に取って食べやしませんよ」



「いきなり怖いお兄さんたちに連行されたら、誰だって警戒すると思いますけど?」


支配人
「そうですね。ではストレートに言いましょう」



「……」


支配人
「――私のお金、返してください」


――



711VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:33:15.02RyxCUBzC0 (9/15)




「……ギャンブルで勝った金を返せとは、ずいぶん面白いことを言いますね」


支配人
「私だって心苦しいんですよ。お客さまには笑顔で帰って頂きたいのに、こんなことを頼まなければならないのですから」



「なら軟禁なんてしないで帰させてください。そうすれば俺も笑顔になりますよ?」


支配人
「それはできません。100万ドル(約一億円)ならともかく、50億ドル(約5000億円)なんて大金、払えませんので」



「それは残念だ。それで? どうするつもりですか?」


支配人
「こちらが払える額で我慢してもらうしかありません」



「ちなみに、どの程度まで?」


支配人
「そうですね……。5000万ドル(約50億円)までなら」





712VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:34:08.92RyxCUBzC0 (10/15)




「……それで納得できるとでも?」


支配人
「不満ですか? 普通の人間なら遊んで暮らせる額だと思いますけど?」



「それで満足できるなら、こんな稼ぎ方はしませんよ」


支配人
「あはは。確かにそうだ。……でもね、あなたは納得するしかないんですよ」



「へぇ。どうして?」



――ジャヵッ。



支配人
「こういうことだ」


――



713VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:35:55.04RyxCUBzC0 (11/15)




「……」ズズッ


支配人
「なんかリアクション薄いな。もっと驚いてくれないと私がマヌケみたいだろ」



「あぁ、すみません。気にしないで続けてください」コトッ


支配人
「……まぁ良いや。それで? 5000万ドルで手打ちにしてくれるか?」



「やだ」





――ダァンッ!!








714VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:37:25.51RyxCUBzC0 (12/15)



支配人
「いい加減にしろ。朝日が拝めるっていうだけじゃ不満か?」



「おー怖い。でも残念ながら夜行性でね。朝は苦手なんです」


支配人
「そんなくだらないことは聞いていない。交渉に応じる気があるのか。と聞いてるんだ」



「ありますよ。そちらが交渉する気があるのなら」


支配人
「……どういう意味だ?」



「こちらの意見も聞いてくれ。と言ってるんです」


支配人
「……」



「一方的な提案を押し付けるだけじゃ交渉とは言い難いでしょう?」


支配人
「……聞くだけ聞いてやる」





715VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:41:27.82RyxCUBzC0 (13/15)




「こちらからの条件は3つ」


支配人
「……」



「一つ。このカジノに訪れる有名人、及び芸能関係者を俺に紹介すること」


支配人
「……」



「二つ。とある機材を買って俺に渡すこと」


支配人
「……」



「三つ。――という人物を探して俺に教えること。以上がこちらからの条件です」


支配人
「そんな条件、受けると思っているのか?」



「飲んで頂くのなら、このお金、全てあなたにお渡しましょう」


支配人
「……」



「どうです? 少なくても5000万ドルよりかは安上がりだと思いますけど?」


支配人
「……なるほど。確かに俺のは交渉じゃなかったな」



「交渉成立、ですね」


支配人
「アンタには負けたよ。だが、最後の条件に関しては期待しないでくれ。相手はこの国のトップランカーだ。見つけられるかどうか疑わしい」



「まぁ、気長に待ちます。……帰って良いですか?」


支配人
「あぁ。金をココに置いてくれたらな」



「それならドアの向こうにいるお兄さんたちを呼べば解決ですね」


支配人
「ッチ。俺の部下は荷物持ちかよ」


――



716VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:43:16.82RyxCUBzC0 (14/15)




「遅くなりました」


翔太
「あ、おかえりプロデューサーさん」


北斗
「遅いですよプロデューサーさん。もう俺ら食べ終わるところですよ?」



「悪い悪い」


黒井
「フン。謝罪は良いからさっさと選べ。私は早く帰りたいんだ」



「それじゃ、お言葉に甘えて。……タマゴ二つ」


黒井
「20代とは思えないチョイスだな」



「人の好みにケチつけないでください」



「茶碗蒸しも頼めば? 絶品よ」



「マジで? 大将。追加で茶碗蒸し」


冬馬
「ついでにブリとアジとシラス追加!」



「……アンタまだ食べるの?」


――



717VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 17:43:49.32RyxCUBzC0 (15/15)

ここまでにします


718VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 20:18:17.612I4w6E710 (1/1)



誰と会う気なんだろうか


719VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:12:54.37KlJLfaBk0 (1/15)




「んー。昨日は楽しかったなぁ」


北斗
「ふぁあ。……おはようございますプロデューサーさん」



「おはよう。ご飯はもう出来てるから、顔を洗ったら食器を出すの手伝ってくれないか?」


北斗
「もう出来てるんですか? 相変わらず早起きですね」



「準備は早い方が良いだろ? 分かったらお前も早く顔を洗ってこい」


北斗
「はいはい。分かりましたよ」



「それから……」


北斗
「なんですか?」



「英会話のレッスンだけど、もう行かなくて良いぞ」





720VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:14:20.60KlJLfaBk0 (2/15)



北斗
「え? それって」



「あぁ。今日からお前も本格的に活動を開始する」


北斗
「……良いニュースですね。目が覚めましたよ」



「それはどうも」


北斗
「ただ、俺としてはちょっと残念かな」



「?」


北斗
「だってナンパする機会がなくなるじゃないですか」



「だったらタレントでも口説いてろ。その為の体裁なら整えてやる」


北斗
「おっ! それ良い考えですね。期待しちゃいますよ?」



「……ったく。お前がそういうヤツだってこと、すっかり忘れてたよ」


北斗
「女の子はみんな“俺のエンジェルちゃん”ですから」



「ハァ。全ての女は俺のモノってか? ずいぶん強欲だな」


北斗
「そんなこと言ってませんよ」



「ホントかよ」


――


721VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:17:29.24KlJLfaBk0 (3/15)




「それじゃ恒例のミーティングを始めるぞ」


黒井
「おい小僧。貴様はいつも食事の最中に会議をするのか?」



「いえ、今回は急に決まった件が多いので早めに報告するべきだと判断しました」


黒井
「フン。ゆっくり食事もできんとは……。まったく嘆かわしい」



「すみませんが、用がないのなら黙っていて下さい」


黒井
「……」



「話が逸れたな。まずミーティングを始める前に手帳を更新しておいた。各自、取りに来てくれ」



――ゾロゾロ。






722VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:19:15.29KlJLfaBk0 (4/15)




「ぅゎ……。レッスンが無くなった代わりにビッシリ仕事が入ってる……」


北斗
「さっそくトーク番組か。可愛い子はいるのかな?」


翔太
「ダンスバトル? ……って! この対戦メンバー、僕でも知ってる人ばっかりじゃん!」



「このスケジュールは明日からだ。ビックイベントは毎月ごとに盛り込んでいるけど他にも要望があるなら取り入れるぞ」


冬馬
「なぁ、プロデューサー」



「なんだ?」


冬馬
「俺のスケジュール、まったく変わってないんだけど……」



「当たり前だろ。英語ができなきゃ仕事にならないんだから」


冬馬
「……」



「今度レッスンの様子でも見させてもらうよ。それでもダメなら俺も協力する」


冬馬
「……悪いな」





723VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:21:24.66KlJLfaBk0 (5/15)



黒井
「小僧。私の予定はどうなっている?」



「黒井社長にはプロデューサーとして活動してもらいます。俺だけで何人もプロデュースするには限界があるので」


黒井
「フン。良いだろう。だが、私の担当となったアイドルには私のやり方に従ってもらう。それで良いな?」



「どういう意味ですか?」


黒井
「簡単なことだ。日高舞は私が担当する」



「なるほど。……ですが、それは承認できません」


黒井
「なに?」



「日高舞は俺の担当です。例え黒井社長と言えど、彼女を他のプロデューサーに預けることはできませんね」


黒井
「ほう……。貴様、私に歯向かうというのだな?」



「えぇ。こればっかりは譲れない」


黒井
「……イヌの分際で飼い主を困らせるとは。……潰すぞ小僧」



「アナタが飼い主? 笑わせないでください。……喰いちぎりますよ?」



――



724VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:23:35.48KlJLfaBk0 (6/15)



冬馬
「おい、見ろよ。オッサンに真っ向からケンカ売るなんてスゲェな」



「ねぇねぇ! これって私を巡っての修羅場ってヤツ!?」


北斗
「間違ってはいないと思いますけど……」


翔太
「でも、プロデューサーさんが意地になるなんて珍しいね」


北斗
「もしかして、お姉さんとプロデューサーって“そういう関係”なんですか?」



「そんなんじゃないわよ。……でも、悪い気はしないわね」


冬馬
「なぁ、そろそろ止めないとマズイんじゃないか?」





725VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:25:32.49KlJLfaBk0 (7/15)





黒井
「――あんまり調子に乗るなよ。貴様の代わりなんぞいくらでもいるんだ」



「やってみろよ。その時はアンタも道連れにしてやる」




翔太
「……僕、あの中に入っていく勇気はないよ?」


北斗
「冬馬。漢気を見せる時がきたぞ?」


冬馬
「俺に押し付けるなよ! お前が行けば良いだろ?」


北斗
「俺だってムリだ。さすがに猛獣のケンカに首を突っ込む気はないから」



「ったく。情けないわねぇ……。まぁ良いわ。アホ毛、ちょっとバケツに水を汲んでくれない?」


冬馬
「何に使うんだ?」



「あのケンカを止めるのよ」


冬馬
「……分かった。すぐに用意する」



「悪いわね」


――



726VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:27:40.98KlJLfaBk0 (8/15)



黒井
「大体、貴様のような二流が彼女を扱うこと自体がおこがましいのだ。身分をわきまえろニセモノ」



「あ゛? 黙って聞いていれば良い気になりやがって!」



――バシャァン!!




「――」



「あら、水も滴る良い男になったじゃない」



「……おい。……なんのつもりだ?」



「少しは熱が引いたかしら?」



「俺は“なんのつもりだ?” って聞いてるんだよ」ジロッ



「くだらないケンカを止めてあげてるのよ。感謝してよね」



「アンタには関係ない。余計なお世話だ」



「へぇ、まだケンカを続けるっていうの?」



「だったら何だ? 部外者は引っ込んでろ!」





727VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:31:12.99KlJLfaBk0 (9/15)







「 いい加減にしなさい!!!! 」






「――ッ」



「子供じゃないんだからこんなくだらないことでケンカしてんじゃないわよ!」



「……うるせぇな」



「なにがうるさいのよ!! それに、さっきの言葉使いは何? この人は仮にもアンタの上司なのよ! ムカついたからって挑発するなんてバカじゃないの?」



「……」



「謝りなさい」



「……」



「謝りなさい!!」



「……ッ」ギリッ





728VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:33:39.45KlJLfaBk0 (10/15)




「……すみません……でした」ペコリ


黒井
「……」



「――黒井社長」


黒井
「……なんだ?」



「コイツもこうやって謝っています。……この件、どうか許しては頂けませんか?」


黒井
「ン。まぁ、……そうだな」



「……」


黒井
「頭を上げろ。……私も、……その、なんだ。……言い過ぎた。この件は水に流すことにする」



「ありがとうございます。黒井社長」


黒井
「フン」


――



729VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:36:43.84KlJLfaBk0 (11/15)




――コンコン。




「……」



――ガチャッ。




「失礼しまーす」



「……」



「やっぱりアンタいるんじゃない。返事くらいしなさいよ」



「俺は入って良いなんて言ってない」



「よいしょ。っと」ポフッ



「勝手に座るな。出て行け」



「うるさいわね。どこで何しようが私の勝手でしょう?」



「……ッチ」





730VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:42:38.93KlJLfaBk0 (12/15)




「ねぇ。なんであんなに意地になってたの?」



「なにが?」



「さっきのケンカのことよ。いつもなら煙に巻くか適当に受け流していたでしょう?」



「どうだって良いだろ」



「もしかして、私が他の人にプロデュースされるのがイヤだった?」



「もしホントにそう思っているのなら、頭の交換をおすすめするよ」



「ハァ……。素直じゃないわね」



「……」



「でも、そうやってなんでも隠そうとするなら私……、アンタに愛想を尽かして離れちゃうかもよ?」



「……それは、……ヤダ」



「フフッ」



「なんだよ」



「いや、アンタって意外とカワイイ反応するのね」



「……」プイッ



「ごめん。ごめん。謝るからそんなに拗ねないでよ」



「……フン」





731VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:45:42.17KlJLfaBk0 (13/15)




「でも、少しくらい本音を話してくれても良いんじゃない?」



「……」



「そう。どうしても教えたくないって訳ね。なら――」



「ッチ。……日高舞をアイドルに戻すのは俺の責任だ。他のプロデューサーにその責務を任せたくなかった」



「え?」



「これで満足か?」



「……ふーん。それがアンタの本音なの?」



「だったらなんだよ」



「ハァ。くだらない」



「あ?」



「いい? 私のプロデューサーはアンタだけ。その私がアンタ以外のプロデューサーと組むわけがないでしょう?」





732VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:49:54.87KlJLfaBk0 (14/15)




「……“信用できない”」



「それもそうね。確かに私は信用できない、か」



「……」



「なら信じなくて良いわ。でも、アンタが“信頼”してくれるその時まで、私は足掻きながらでも隣を歩いてやる。それで良いでしょう?」



「……勝手にしろ」



「その代わり、アンタもしっかり手綱を握ってるのよ? じゃないと、いつの間にか離れちゃうかもしれないからね」



「もう良いだろ? 早く帰れよ」



「はいはい。お望み通り帰りますよーだ」



「フン」



「ちゃんと身体を暖めておくのよ?」



「言われなくても分かってるよ」



「なら良いわ。いきなり水かけて悪かったわね」



――カチャンッ。




「……フン」



――『 私のプロデューサーはアンタだけ 』




「分かりやすい嘘つくなよ。アンタにとってのプロデューサーは、一人しかいないだろ。……バカ」



――



733VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:51:40.38KlJLfaBk0 (15/15)

ここまでにします。


734VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 17:59:49.36ClXjG7Bd0 (1/1)




735VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/05(月) 12:03:38.32+DWvRbvPo (1/1)

ここまで来るとなんか別物に見えるな



736VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:23:45.805aqh1Nqo0 (1/13)




――バタン。



冬馬
「よお」



「冬馬か。そんなところに突っ立ってどうしたんだ?」


冬馬
「アンタ待ちだよ。送迎がいなきゃレッスンに行けないだろ?」



「……忘れてた。すぐ支度するよ」


冬馬
「まだ時間があるんだ。焦ることはねぇよ」



「なら無言でドアの前に突っ立ってるなよ。てっきり急かしてるのかと思ったぞ」


冬馬
「悪い。ちょっと聞きたいことがあってな」



「なんだ?」


冬馬
「アンタの処遇のことだよ。……もしかしてクビか?」



「雑用係だよ。しばらくあの三人は黒井社長が面倒を見てくれるらしいから、俺はお前の方に付っきりになるだろうな」


冬馬
「ッチ。俺は戦力外ってことか」



「そうふて腐れるなよ。英語ができるようになれば活動できるだろ?」


冬馬
「あぁ、そうだな。しっかし3人って……。あれだけ正面からケンカ売っていて格好つかないんじゃないか?」



「……言うなよ」





737VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:26:38.465aqh1Nqo0 (2/13)


――


コーチ
「はい。そろそろ授業を始めますね。冬馬くん、ちゃんと勉強してきた?」


冬馬
「まぁ、一応……」


コーチ
「そう。それじゃ、早速だけどテストするわ」


冬馬
「またかよ……」


コーチ
「第一問! 自分の部屋で女の子と二人っきりです。この時、彼女にかける言葉とは?」


冬馬
「えっと……。Is anything drunk?(なにか飲む?)」


コーチ
「違います! 正解は……。There are not a lot of sheets of substitution and do not worry(心配するな。代えのシーツはいくらでもある)。です!」


冬馬
「分かるか!! つーかセクハラだろコレ!?」


コーチ
「ん? 早くヤりたい。の方が良かった?」


冬馬
「ストレートに言えば良いって問題じゃねーよ!」


コーチ
「第二問!」


冬馬
「人の話を聞け!」


――



738VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:28:06.485aqh1Nqo0 (3/13)




――キィン。コン。カン。コォーン。



コーチ
「あら、もうこんな時間だったの? 仕方がない。今日はこの辺で終わりにするわ」


冬馬
「やっと終わった……」


コーチ
「一問も正解できなかった冬馬くんは罰として明日までにフロントホックブラジャーの説明ができるようになってること。分かった?」


冬馬
「ムリだよ!!」


コーチ
「北斗くんは出来たわよ?」


冬馬
「ぐっ……」


コーチ
「ということで、次の授業までに説明できるようになってるのよ? じゃ~ね~♪」ヒラヒラ


――



739VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:29:42.965aqh1Nqo0 (4/13)




「よう。ずいぶん疲れてるみたいじゃないか」


冬馬
「みたい。じゃなくて、ホントに疲れてるんだよ。……アレは授業なんかじゃねぇ。ただのセクハラだ」



「俺も少し見させてもらったよ。ほとんど遊ばれてるだけだったな」


冬馬
「他人事だと思いやがって。アンタの人選だろ? どうにかしてくれよ」



「ならやり方を変えてみるか?」


冬馬
「例えば?」



「そうだな……。在り来たりだけどアニメとかマンガで覚えるっていうのは?」


冬馬
「それでいこう」





740VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:31:25.875aqh1Nqo0 (5/13)




「決断が早すぎるだろ。……別に良いけど」


冬馬
「そうと決まればアニメショップに行こうぜ」



「それくらい通販で頼めよ」


冬馬
「え? こっちでも取り寄せって出来るのか?」



「できるよ。というか、メジャーなところだとアマゾンも活用されてるぞ?」


冬馬
「マジかよ……」



「とりあえず今はそれで様子を見るか。費用は俺が持つから好きなの買って良いからな」


冬馬
「マジかよ!」


――



741VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:33:59.835aqh1Nqo0 (6/13)



翔太
「ただいまー!」



「おかえり」


翔太
「はー。今日も疲れた。なんか僕だけお仕事多くない?」



「なによりじゃないか」


翔太
「ま、それもそっか。よれよりも僕、お腹ペコペコだよ。もうご飯の準備って出来てるんだよね?」



「あー。それなんだが……」


翔太
「どうしたの?」



「確か、今日の当番って冬馬だろ?」


翔太
「うん。冬馬くんって意外と料理上手だから、今日のご飯、ちょっぴり期待してるんだよねー」



「その冬馬なんだが……」


翔太
「?」



「どうやら部屋に引きこもってるみたいなんだ」


翔太
「……はい?」


――



742VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:35:34.375aqh1Nqo0 (7/13)




――コンコン。



黒井
「冬馬。そろそろディナーの時間じゃないのか? 私はお腹が空いたぞ」



「……」



北斗
「冬馬ー。なにがあったのか知らないけど約束を破るなんてお前らしくないぞー。だから早くご飯つくってくれー」



「……」



――ダン! ダダダン。 ダンッ! カッ。 ダン、ダダダン!




「50コンボだドン♪」


黒井
「ちょっ!? 止めなさい舞ちゃん! ドアが壊れる!」



「壊したら直せば良いじゃない。それよりもお腹空いたーー!!」ジタバタ





743VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:37:53.095aqh1Nqo0 (8/13)



翔太
「ワーォ」



「驚くだろ? かれこれ6時間くらい引きこもってるんだぜ?」


翔太
「むしろ、そんなに待ってるなら誰か代わりにつくっちゃえば良いのに」



「みんな意地でもつくりたくないらしい」


翔太
「まぁ、6人分だもんね。……でも、なんでこんなことになったの?」



「んー。たぶん俺が原因かもな」


翔太
「?」



「いやー。あまりにも冬馬の英会話が進展しないからさ、試しにアニメやマンガで勉強させることにしたんだよ。そうしたらご覧の通り、この有様だ」


翔太
「うわぁ……。それって完璧にプロデューサーの所為だよ」



「やっぱりそう思う?」


翔太
「うん。だから責任を持って冬馬くんを引きずり出して?」



「えー」





「おーなーかーすーいーたー!」ダン! ダダダダン!


黒井
「だから止めなさい! 本当にドアが壊れちゃう!」



北斗
「……」カッ! カカカッ! ドゥン! ドゥン!



黒井
「お前まで何やってるんだバカ!」




――



744VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:41:05.985aqh1Nqo0 (9/13)




――コンコン。




「冬馬、みんなお前待ちだ。早くココから出てきなさい」



「早くご飯つくれー!」


翔太
「そうだそうだー!」



「さっさと夕食の支度をしないと暴徒と化す勢いだぞ?」



「……」




「ったく。仕方が無いなぁ……」ガサゴソ



――ガチャッ。






745VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:43:05.545aqh1Nqo0 (10/13)



北斗
「開いた!?」



「さっきまでビクともしなかったのに何で!?」


黒井
「さすがだ小僧!」


翔太
「プロデューサーさん、どんなマジックを使ったの!?」



「ん? 普通にマスターキーを使っただけだぞ?」



舞・北斗・翔太・黒井
『…………はい?』




「いつも俺が管理してるだろ? 知らなかったのか?」



舞・北斗・翔太・黒井
『……………』




「え、なに? なんでみんなそんなに怖い顔してるの?」



舞・北斗・翔太・黒井
『そんなのあるんだったら初めっから使えよ!!!』




「うぉ!? ごめんなさい!?」


――



746VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:45:21.225aqh1Nqo0 (11/13)



冬馬
「……」~♫~♬~♪



「冬馬? みんなお怒りだ。これ以上暴徒を増やさない為にも、早く夕飯をつくってくれ」


冬馬
「……」~♫~♬~♪



「おい、聞いてるのか?」ヒョイ


冬馬
「あ! なにするんだ――。ってプロデューサーか。どうしたんだ?」



「どうした? じゃないだろ。何時だと思ってるんだ?」


冬馬
「え? えーと……、9時?」



「正解。そして今日の当番は誰でしょう?」


冬馬
「……あっ」



「やっと思い出したみたいだな」


冬馬
「悪い! すぐに支度する!」



「そうしてくれ」





747VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:52:32.065aqh1Nqo0 (12/13)



冬馬
「あ、そうだ! プロデューサー!」



「なんだよ」


冬馬
「 When the meaning is understood, English is easy ! 」
(英語って、意味が分かると簡単だな!)



「……は?」


冬馬
「せっかくの披露なのにその顔はなんだよ。……まぁ、良いや。すぐにできるから早くこいよ!」



――バタン。



「あ! やっと出てきた!」


「遅いよ羅刹!」


「アホ毛ー。早くつくってー」


「悪い。すぐにつくるから勘弁してくれ。……というかって羅刹って言ったヤツ誰だ!?」


「御託は良いから、さっさとつくれ。……お腹空いた」








「……いや、単純すぎるだろ。……アイツ」







――


748VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 21:53:59.525aqh1Nqo0 (13/13)

ここまでにします


749VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/14(水) 23:52:52.44GUszvtGMo (1/1)

あまとうwwwwww


750VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 00:14:06.93JVtlpJk00 (1/1)

乙かれさまです
そういや太鼓のアレって765だったな


751VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 14:01:22.44lTYRYO/KO (1/3)

愛「あたしという存在……」

との繋がりはわかるんだけどもこっちとあつ


752VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 14:02:52.83lTYRYO/KO (2/3)

途中投稿してしまった


あっちとこっち、どういう流れでかいたん?
向こうではこのssが前作になってるし


753VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 14:44:55.43OkK610jco (1/1)

>>752
以前に今と全く同じスレタイで中身がキンクリされたSSを投下
その後にその話の前日談的な愛ちゃんの話を投下
愛ちゃんのが完結したあと最初の真美の話をリメイク←今ここ


754VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/15(木) 14:57:15.49lTYRYO/KO (3/3)

>>753
なるほどやっと分かったよ
ありがとう


755VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 23:50:05.04HqCX9eq80 (1/3)



翔太
「おいしい! ホントにおいしいよ冬馬くん!」


黒井
「フン。なかなか美味ではないか」


北斗
「見た目も凝っていてオシャレだな。……おっ、隠し味は柚子か!」


冬馬
「へへっ。どうよ俺の実力!」



「まぁ、あれだけ空腹になってれば、なんでも美味しいけどね」



「そうか? 普通に美味いと思うけど。あっ、冬馬。お前の手帳、更新しておいたから」


冬馬
「おっ! やっとお前らの仲間入りか!」



「あぁ。やっと全員が英語を話せるようになったよ」


冬馬
「なに言ってるんだよプロデューサー。翔太はまだ話せないだろ?」


翔太
「おっと。その情報は古すぎるよ冬馬くん」



「むしろお前らの中で一番乗りだったけどな」



「そうなの?」


翔太
「うん! プロデューサーに教えてもらったからバッチリ!」


北斗
「は?」


冬馬
「はぁ?」



『はぁあああああ!!!?』






756VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 23:54:13.01HqCX9eq80 (2/3)

ここから英語をカットします。


757VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/17(土) 23:59:23.04HqCX9eq80 (3/3)




――ワィワィ。ガヤガャ。



黒井
「そういえば小僧、事務所に届け物が来ていたぞ。貴様宛てでな」



「俺宛に届け物……? あぁ。アレか」


黒井
「心当たりがあるのか?」



「えぇ。たぶん知り合いからでしょう」


黒井
「ほう。貴様の知り合いとやらはずいぶんな高級品をプレゼントするのだな」



「人のプレゼントを覗き見るなんて趣味が悪いですよ黒井社長」


黒井
「入り口の前で梱包もせずに置いてあったのだ。あれで見るなと言う方が難しい」



「そうですか」


黒井
「それにしても、あんな代物が我が961プロダクションに届くとは。……貴様に扱えるのか?」



「どうでしょう? でも、できれば使いたくないですね。あの機材、神経を擦り切らしながら使うので疲れるんですよ」


黒井
「フン。なら私が頂こう。それで構わないな?」



「どうぞ遠慮なく貰って下さい。……扱えるのならね」


黒井
「ッチ。本当に喰えんヤツだ」





758VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:00:23.44EYPu60/N0 (1/13)




「それで? 他になにか無かったですか? 例えば手紙が届いてたとか」


黒井
「……目敏いな」



「まぁ、梱包もしてないのに俺宛だと分かるくらいですからね」


黒井
「貴様の言う通り、手紙が届いていた。中身は見てないから安心しろ」スッ



「どうも」


黒井
「なんと書いてあるのだ?」



「……少し出かけます」


黒井
「は? お、おい! どこへ行くというんだ?」



「――ナンパですよ」


――



759VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:02:38.76EYPu60/N0 (2/13)




【 とあるBAR 】



カラァーン。



マスター
「いらっしゃい。ママのお使いかい、坊や?」



「ちゃんと成人してるよ。……ほら」スッ


マスター
「これは驚いたね。てっきり小学生かと思ったよ」



「……お邪魔しても?」


マスター
「ごめんね。今日は貸し切りなんだ。また日を改めて来てちょうだい」



「……ふーん」



――スタスタ。



マスター
「あ、ちょっと!」





760VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:03:43.70EYPu60/N0 (3/13)




――ドサッ。




「隣、良いかい?」



「……そういうのって、座る前に聞くんじゃない?」




「どうでも良いだろ。それとも、強引な男は嫌いか?」



「さぁね。でも、強引なだけじゃ女の子は惹かれないわ。それに――」



――ジャヵッ。



「私には怖ーいボディガードがいるから」



――



761VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:06:05.66EYPu60/N0 (4/13)



黒服の男
「良い子はもう寝る時間だ。クソガキ」



「……」



「これで分かったでしょう? 悪いことは言わないから大人しく帰った方が身のためよ?」




「……なぁ。この国では人の頭に銃を突きつけるのが流行ってるのか?」



「驚いた。眉一つ動かさないのね」




「まぁ、慣れてるからな」



「へぇ。とってもユニークよ、あなた」




「お気に召して頂いてなによりだ。……ついでに俺と“友達”になってくれると光栄なんだが」



「もちろん。……と言いたいけど、私と友達になるにはまだ足りないわ」






762VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:10:11.48EYPu60/N0 (5/13)




「どういう意味だ?」



「私、強い人にしか興味がないの」




「……」



「だから、あなたがそれを証明できるなら私の友達になるのを許可してあげるわ」




「できなかったら?」



「怖ーいボディガードが店の外まで送ってくれるでしょうね」




「へぇ。なら、簡単だ」



「あら、もしかして証明できるの?」




「あぁ。俺は“弱いヤツにしか興味がない”からな。アンタの隣にいる時点で証明されてる」



「……どうやらジョークで言ってる訳じゃないみたいね」





763VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:11:37.85EYPu60/N0 (6/13)




「さて、今度はアンタが証明する番だな。どうやって俺の強さを証明するんだ?」



「……あなた、手持ちは?」




「サイフの中身が寂しくてね。100万しかない」



「へぇ。奇遇じゃない。私も同じよ」




「……競技は?」



「ポーカー」




「乗った」



「そうこないと。マスター、ちょっとトランプ持ってきてくれない?」



――



764VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:13:48.34EYPu60/N0 (7/13)




――シャッ。シャッ。シャッ。




「ずいぶん手馴れてるな。このゲーム、よくやるのか?」



「ポーカー意外でもトランプを使ったものなら、なんでもできるわよ?」




「なるほど。手強い相手になりそうだ」



「さて、ゲームを始める前にルール説明でも始めようかしら」




「……」



「このゲームに引き分けは無いわ。同じ役でも数字が高い方が勝ち。マークはスペード・ダイヤ・ハート・クラブの順で勝敗を決めるわ」



「……」



「チェンジは二回までの一発勝負。ベットするのはチェンジが終了した後にするわ。なにか質問ある?」




「上限は?」



「ノーリミット。いきなりオール・イン・ベットなんてやり方もアリだから安心して」




「分かった」



「他に聞きたいことは?」




「いや、ない」



「そう。それじゃ――」




「あぁ、始めようか。……Ms. Lady Gaga」



――



765VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:17:01.22EYPu60/N0 (8/13)



Lady
「最初の親は私が貰うわ」



「どうぞ」



――スチャッ。



Lady
「2枚チェンジ」



「 A 」 「 K 」




「……3枚チェンジだ」



「 J 」 「 7 」 「 2 」



Lady
「1枚チェンジ」



「 10 」






766VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:18:16.84EYPu60/N0 (9/13)



Lady
「こんなものかしらね。……ベット。50」



「……」


Lady
「どう? この勝負、受ける気はある?」



「……コール」


Lady
「ありがと。でもレイズよ。さらに50」



「……それがアンタのやり方なのか?」


Lady
「なんのことかしら?」



「あんまり人をバカにするなよ。レイズだ」


Lady
「レイズ? あなた、100万しかないんじゃなかったの?」



「確かに100万だけだ。でも、……“俺の在り金が100万とは言ってないだろ?”」





767VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:20:00.61EYPu60/N0 (10/13)




――ドサッ。ドサッ。ドサッ。



Lady
「え?」



「100万ずつ束ねないと入りきらないからな。やっとトランクが軽くなったよ」


Lady
「呆れた。あなた、とんだ嘘つきね」



「嘘つきはどっちだ。わざわざ手を崩しやがって」


Lady
「あら、なんのこと?」



「まだ白を切るつもりか。なら、手札を見せてみろ。それで証明してやる」


Lady
「……」



「どうやら見せられないようだな」


Lady
「……なんで分かったの?」



「手の内を晒す勝負師がいると思うか?」


Lady
「そう。とても残念だわ。私たち友達じゃなかったのね」



「……アンタ、なかなか口が上手いな」


――



768VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:22:25.73EYPu60/N0 (11/13)



Lady
「それで、なんで分かったの?」



「……視線だよ」


Lady
「視線?」



「あぁ。アンタの視線は手札を左から一回ずつ移してた。つまり最低でもツーペア以上の役があったはずだ」


Lady
「……」



「捨て札を見ても、アンタの手はブタ。もしくは出来てワンペアだと容易に推測できる。だからムカついたんだよ」


Lady
「なるほど。ポーカーを選んだ時点で私の負けだったのね」



「違うな。俺と勝負した時点でアンタの負けだ」


Lady
「フフッ。そういう強気な言葉キライじゃないわ。でも、次は私が勝つ」



「その時は同じ言葉をアンタに言い渡してやるよ」


Lady
「えぇ。楽しみにしてるわ。……あなた、名前は?」



「……悪いけど教えられない」


Lady
「あら、どうして?」



「どうも日本人はシャイでね。俺に会いたいならココに電話してくれ」


Lady
「――961プロダクション?」



「呼んでくれたら、いつでも駆けつけるぜ?」


Lady
「ふーん」



「それじゃ、アンタからのラブコール楽しみにしてるよ」


――



769VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:24:17.12EYPu60/N0 (12/13)



Lady
「……ねぇ」


黒服
「はっ!」


Lady
「この事務所、あなた知ってる?」


黒服
「961プロダクション……。確か、破竹の勢いで名を上げている事務所だったと思います」


Lady
「そう」


黒服
「なにか気になることでも?」


Lady
「まぁね」


黒服
「……」


Lady
(日本で成功したからといって、この国で通用するほどココは甘くない。ということは、……あの坊や、とんでもないペテン師かもしれないわね)


黒服
「Lady?」


Lady
「フフッ。お望み通り、ラブコールをかけてあげるわ」


黒服
「……興味のある人物にちょっかいを出すのはあなたの悪いクセだ」


Lady
「悪い? でも、それが私よ」


黒服
「ハァ」


Lady
「さて、今度はどう楽しませてくれるのかしら?」


――



770VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 00:25:14.62EYPu60/N0 (13/13)

ここまでにします。


771VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 02:56:55.31Ijp/ttO7o (1/1)

言っちゃ悪いがもうオリジナルものだな


772VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 10:40:42.65tnTvgzXCo (1/1)

正直、真美の担当辞めてから方向性が迷子になってるように思う


773VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/20(火) 23:02:42.74JhTpYOK90 (1/1)

いいんじゃないのオリジナルでも好きだよ俺


774VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/21(水) 03:15:55.20aG+4PsPVo (1/1)

いい悪いの話ではないと思う
面白いしさ
ただ、アイマスでやる必要があるのかと言われると


775VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/21(水) 04:39:03.60BJ9+ZtQBO (1/1)

>>774
前から言われてるけどそれはほぼ全てのアイマスssに言えるよね

それでも言うならキャラが多くて性格もわかっていて口調もいい感じにばらけていて使いやすいからだと思う

登場人物が男A女Aみたいなのが沢山いてもわけわからなくなるし


776VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:27:50.83fKIpB44h0 (1/27)




【 961プロダクション(海外支店) 】



冬馬
「プロデューサー。今日のスケジュールってなんだっけ?」



「お前のスケジュール? 確か午前中はワシントンでトーク。その後フロリダで他のアーティストと競演だったかな」


翔太
「ねー。僕は?」



「翔太は……。というか手帳を見ろよ」



――Trrr。Trrr。



黒井
「はい。961プロダクションです」



『――』



黒井
「小僧。貴様に電話だ」





777VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:31:25.00fKIpB44h0 (2/27)




「あ、はい。――もしもし? お電話変わりましたPです」


Lady
『ハロー。お望み通り、ラブコールをかけてあげたわよ』



「……アンタか」


Lady
『なに? せっかく電話してあげたのに、私じゃ不満だった?』



「いや、心待ちにしてたよ。それで? どんな用なんだ?」


Lady
『用っていう用じゃないけど……。あなた、来月に予定ある?』



「夜ならいつでも空いてるよ」


Lady
『そう。なら良かったわ。来月の日曜日に私のライブがあるから、そこで昨日の続きをしましょう』



「おいおい。俺は一般人だぞ。まさかステージに上がれって言うのか?」


Lady
『フフッ。あなたのパートナーがいるでしょ? プロデューサーさん』





778VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:34:43.69fKIpB44h0 (3/27)




「……調べるのが速いな。それで? 場所はどこなんだ?」


Lady
『マイアミよ』



「マイアミ? もしかして――ってライブか?」


Lady
『あら、知ってたの?』



「あぁ。別のパートナーを参加させるつもりだったけど、なんでアンタが参加してるんだ? 出演者に名前はなかったぞ」


Lady
『エントリーするの忘れてたのよ。でも、残念だわ。私から招待する必要もなかったのね』



「いや、アンタが参加すると分かった以上、こっちも真打ちを登場させるよ」


Lady
『本命ってこと?』



「伸び代はないけどな」


Lady
『ふーん。相手が誰だろうと私の敵じゃないけどね。まぁ、楽しみにしてるわ』



――ッ。……ツー。ツー。ツー。






779VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:37:20.57fKIpB44h0 (4/27)




「……」


黒井
「ずいぶん長話じゃないか」



「えぇ。ガールフレンドからでした」


黒井
「フン。女に現を抜かす暇があるなら仕事をしろ」



「よく言いますね。しっかり聞き耳立ててたじゃないですか」


黒井
「部下の管理も上司の務めだ」



「……。それよりも冬馬」


冬馬
「なんだ?」



「いきなりで悪いんだけど、今日からお前の担当を外れる。ここからは黒井社長と行動してくれ」


冬馬
「は? お、おい! どういうことだよ!」



「……とあるラアイドルのお誘いで舞さんをエントリーすることになった。どうしてもそのライブで勝ちたいから、ここからは別行動にさせてもらう」


冬馬
「一点集中ってことか。……分かったよ」



「悪いな」





780VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:39:04.83fKIpB44h0 (5/27)



冬馬
「ッチ。そう思うなら俺にもビックイベントを持ってこいよ。こっちだって早くランク上げたいんだ」



「心配するな。そのライブに俺たちと一緒に参加することになってる」


冬馬
「そうなのか?」



「あぁ。それも、アヴリル・ラヴィーンっていうAランクのゲストがお前の相手だ」


冬馬
「……誰?」



「日高舞をアメリカで一番最初に負かしたアーティスト。とでも言っておくか」



「はぁ!? 私がいつ負けたのよ!」



「大聖堂の前座で大失敗して帰ってきただろ? その後に会場のムードを立て直したアーティストだよ」



「ッ!? あの小娘が!?」



「覚えてるのか?」



「当たり前じゃない! あの見下した顔、……忘れたくても忘れられないわ」



「……ステージの上で一悶着あったみたいだな」





781VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:41:00.13fKIpB44h0 (6/27)




「アホ毛! アンタの対戦相手、私に譲りなさい! コイツは私が仕留める!」


冬馬
「嫌に決まってるだろ! コイツは俺の獲物だ!」



「舞さん。冬馬の相手はこのアーティストで決まってる。それは決定事項だ」



「なに? やられっぱなしで我慢しろって言うの?」



「リベンジはこのターゲットを片付けてからにしてくれ」



――ファス。




「誰よこの女」



「レディ・ガガ。現状、Sランクに居座る最強のアイドルだ」



「……最強?」



「あぁ。ダンス・ボーカル・ヴィジュアル、そして知名度。どれを取っても他を寄せ付けないレベルだ。間違いなくこの国を代表するアイドルだろうな」



「……」



「相手にとって不足は無いと思うけど?」





782VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:42:28.01fKIpB44h0 (7/27)




「気に入らないわね……」



「なにが?」



「私を差し置いてソイツを最強認定してることよ」



「たかがAランクに惨敗するアイドルが最強? 笑わせるな」



「ふーん。なら、ソイツを倒せば私が最強って良いわね?」



「出来るのならな。その時は潔く認めてやるよ」



「それだけ聞ければ十分。さっさと始めましょう」



「なにやるのか分かってるのか?」



「知らない。でも、私と行動するってことは、なにかしらの準備があるんでしょ?」



「まぁな。時間が掛かりそうだから、ライブまでの仕事は全てキャンセルするつもりだ」



「……アンタも本気じゃない」



「俺はいつだって本気だよ。……黒井社長。後は頼みます」


黒井
「フン。貴様に言われるまでも無い」


――



783VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:44:04.21fKIpB44h0 (8/27)




「それで? これからどうするの?」



「とりあえず事務所にある広い空き部屋を使わせてもらおうと思ってる」



「空き部屋? そんなところで何するつもりなのよ」



「振り付けだよ」



「はぁ? 持ち歌の振り付けなんてとっくに覚えてるんだから、そんなの必要ないでしょう?」



「確かに普通の振り付けなら必要ない。だが、俺が求めるのは一寸の誤差も許されない正確無比な振り付けだ」



「?」



「まぁ、とりあえずやってみるか。最初は普通に踊って良いぞ。どこまで出来るのか試してやるよ」



「よく分からないけど、お手柔らかに頼むわ」


――



784VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:45:41.48fKIpB44h0 (9/27)




【 961プロダクション(空き部屋) 】



――キュッ。キュッ。タンッ。




「――ッ」



「これで分かったか? 俺がやろうとしてることが」



「……狂ってるわね、アンタ」



「まともで勝てる相手じゃないからな」



「OK。ここまでしなくちゃ勝てない相手だって分かったわ。でも、ホントにできると思ってるの?」



「俺は無意味なことが嫌いだ。それに、できないと思うのなら初めからこんなことしないさ」



「やっぱり狂ってるわね。……いや、それともバカなのかしら?」



「さぁな。でも、コレが出来ないと話にならない。勝ちたいなら死ぬ気でやれ」



「はいはい。……まぁ、“そういうバカ”、嫌いじゃないわ」


――



785VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:47:33.41fKIpB44h0 (10/27)




「おい、またズレたぞ。どうしたんだ?」



「このトレーニング。……思った以上にキツイ」



「弱音を吐くならもっと集中しろ」



「ったく、なにが振り付けよ。まったく別物じゃない」



「嘘は言っていないだろ?」



「ッチ」



「時間がないんだ。始めるぞ」



――タンッ。タンッ。キュッ。




「――っ!」



「またか。序盤でこれじゃ先が思いやられるな」



「あー! もうッ!」



「できないからってキレるなよ。それとも諦めるか?」



「冗談じゃないわ! もう一回よ!」


――



786VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:49:16.81fKIpB44h0 (11/27)




――タンッ。キュッ。キュッ。




「ダメだな」



「ま、た……?」



「こんなもんだよ」



「……」



「慣れないことしたから疲れただろ。今日はもう帰るから少し仮眠室で寝たらどうだ?」



「そう、ね。悪いけど、そうさせてもらうわ……」



「送るよ」



「大丈夫……。心配いらない、わ」



「そっか」



「……おやすみ」



「あぁ。おやすみ」



――ガチャンッ。




「……」



――ドサッ。




「……ッチ。……コッチも限界、か」


――



787VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:52:13.49fKIpB44h0 (12/27)



冬馬
「今ごろプロデューサーたち、秘密の特訓でもやってるんだろうな」


黒井
「急にどうしたのだ?」


冬馬
「なんか、……こう普通に仕事してると不安になってくるんだよ」


黒井
「……」


冬馬
「なぁ、オッサン。相手はあの姉御を倒すくらいの猛者なんだろ? ホントに仕事していて良いのか? あんまりレッスンする時間もないし……」


黒井
「一つのことも満足にできんヤツは他でも上手くいかん。そんなことを嘆くヒマがあるなら、次の仕事に集中しろ」


冬馬
「……そう、だよな」





788VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:53:28.33fKIpB44h0 (13/27)



黒井
「フン。確かに相手が相手だ。時間は多いに越したことはないと分かっている」


冬馬
「なら――」


黒井
「だが、お前には必要ない。レッスンも今まで通りで十分だ」


冬馬
「でもよ……」


黒井
「冬馬、なにを不安になっているのだ? お前は負けを知らぬ王者だろう。その程度の不安、自信で掻き消せ」


冬馬
「……」


黒井
「それに、お前にはこの黒井が付いている。お前はタイタニックにでも乗ったつもりでいろ」


冬馬
「……っ。……あはははっ!」


黒井
「むっ。なにが可笑しい」


冬馬
「だってよ。それって最後には沈むじゃねぇか」


黒井
「あっ……」


冬馬
「ぷくくっ」





789VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:54:56.96fKIpB44h0 (14/27)



黒井
「い、いつまで笑ってるのだお前は!」


冬馬
「悪い。やっぱり頼りになる社長だなって思ってな」


黒井
「当たり前だ! 私をダレだと思ってる!」


冬馬
「オッサンだろ?」


黒井
「ぐっ……」


冬馬
「あー、笑い過ぎて腹いてぇ」


黒井
「フン」


冬馬
「もう心配しなくても大丈夫だ。小難しく考えて悩むなんて俺らしくなかったぜ」


黒井
「元々心配なんぞしてない」


冬馬
「悪かったって。まぁ、オッサンには借りができちまったからな。こいつはライブの勝ちで返してやるか」


黒井
「当然だ。……だが、ただの勝ちに興味はない。やるからには圧倒的な力で捻じ伏せろ」


冬馬
「言われなくても分かってるよ。どんなヤツも軽く蹴散らしてやるから見てな」


――



790VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:57:29.48fKIpB44h0 (15/27)



翔太
「ただいまー!」


北斗
「ただいま帰りました」



「おかえり」


北斗
「あれ? プロデューサだけですか?」


翔太
「みんなは?」



「黒井社長と冬馬はレッスンに行ってる。たぶん、まだ帰らないんじゃないかな」


翔太
「ふーん。お姉さんは?」



「自室で寝てるよ。かなり疲れてるから起こさないでくれ」





791VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:58:22.67fKIpB44h0 (16/27)



翔太
「へー。あのお姉さんがこの時間まで寝てるなんて意外だね」


北斗
「プロデューサーさん、どんなトレーニングしたんですか?」



「振り付けだよ」


翔太
「振り付け?」



「あぁ、ただの振り付け。……ところで北斗、翔太。悪いけど、今日の夕飯は適当に済ませてくれないか?」


翔太
「え? うん。良いけど、どうしたの?」



「舞さんほどじゃないけど、俺も疲れた。……眠い」


翔太
「あー。確かにプロデューサーさん眠たそうだね。というか、そんなに眠たいなら僕たちを待ってなくても良かったんじゃない?」


北斗
「翔太。そんな言い方は出迎えてくれたプロデューサーに失礼だろ。……俺たちのことは気にしないでゆっくり休んで下さい」



「悪い。……それじゃ、また明日」


北斗
「えぇ。おやすみなさい」


翔太
「おやすみー」





792VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 17:59:35.21fKIpB44h0 (17/27)




――ガチャンッ。


翔太
「なんか誰もいないと広く感じるよ、この家」


北斗
「……」


翔太
「ねぇ、北斗くん」


北斗
「なに?」


翔太
「僕たちも負けてられないね」


北斗
「そうだな。でも、俺は負けたつもりはないよ?」


翔太
「意外と負けず嫌いなんだ。……まぁ、僕もだけど」


北斗
「お互い、追い抜かれないように頑張ろうな」


翔太
「うん!」


――



793VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 18:07:22.76fKIpB44h0 (18/27)

8時頃にまた来ます。

>>771さん。>>772さん。

率直な感想ありがとうございます。自分なりのテーマに沿って書いていたつもりなのですが、もしかしたらアイマスの世界観に合わなかったのかもしれません。

あと少しでこのssを閉じようと思いますので、それまでお付き合い頂けたら幸いです。



794VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:08:28.99fKIpB44h0 (19/27)




「おはよう」


北斗
「おはようございます、プロデューサー」


翔太
「今日は遅かったね。もしかして寝坊?」



「あぁ。久しぶりに熟睡できたよ」



「それにしたって遅いわよ。ご飯は持ってきてあげたから早く食べなさい」



「悪い」


黒井
「私より遅く来るとは良い身分だな」



「反省してますよ。遅れながらですが、おはようございます黒井社長」


黒井
「うむ、おはよう。ところで小僧、首尾はどうだ?」



「微妙ですね。そちらは?」


黒井
「言われるまでもない。完璧だ」



「そうですか」





795VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:12:17.70fKIpB44h0 (20/27)



黒井
「なんだったら対戦相手を交換してやろうか?」



「大丈夫ですよ。ライブまでには成功させるつもりですから」


黒井
「フン。なら良い」



「……ごちそう様でした」


黒井
「そろそろ私は失礼するとしよう。お前らも行くぞ」


北斗
「えぇ。分かりました」


翔太
「さて、今日も頑張りますか」


黒井
「冬馬、準備は良いか?」


冬馬
「むしろオッサン待ちだよ」


黒井
「ほう。言うじゃないか」


翔太
「プロデューサーさん、お姉さん。後はよろしくね」



「えぇ、分かったわ」



「いってらっしゃい」



――バタンッ。




「……こっちも行くか」



「そうね」


――



796VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:14:43.94fKIpB44h0 (21/27)




【 961プロダクション・空き部屋 】




「……どう?」ハァ、ハァ



「少しズレてる」



「ま、また?」



「あぁ。でも、初日に比べたら、かなり進展したな」



「お世辞なんていらないわ」



「率直な感想だよ。それに、誤差も観客からは気にならない程度だ」



「……」



「ここで終わりにするか?」



「イヤよ。ここまで来たからには、最後までいくわ」



「……」



「それに、粗の残ったステージなんて相手に失礼だもの」



「……そうだな」



「始めましょう」



「分かった。これで決めろよ?」



「言われなくてもそのつもりよ」


――



797VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:17:15.42fKIpB44h0 (22/27)



冬馬
「終わったぞ、オッサン」


黒井
「ご苦労。まずまずの出来だったな」


冬馬
「次は?」


黒井
「ダンスとヴィジュアルのレッスンが入っている」


冬馬
「やっとか。待ちわびたぜ」


黒井
「威勢が良いのは結構だが、しばらくレッスンコーチは不在だ。というより、断っておいた」


冬馬
「は? なんでだよ」


黒井
「しばらく見させてもらったが、やはりダンス・ヴィジュアル共に十分なレベルだった。お前にレッスンは必要ない」


冬馬
「ちょっと待ってくれ! まだ時間はあるんだぜ? ただでさえ少ないレッスンを削って負けましたじゃ話にならねぇぞ!」


黒井
「フン、心配するな。ここからは私が直々に鍛えてやる」


冬馬
「オッサンが?」





798VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:19:38.83fKIpB44h0 (23/27)



黒井
「既に相手の能力は掌握済みだ。攻略の糸口も掴んでいる」


冬馬
「……」


黒井
「後は、お前次第だな」


冬馬
「どういう意味だ?」


黒井
「私は、勝ちさえすればそれで良いと思っている。だから、私で不安ならこのまま凡人とのレッスンを続ければ良い」


冬馬
「……」


黒井
「決めるのはお前だ」


冬馬
「……本当に勝てるんだろうな?」


黒井
「私について来て負けたことがあったか?」


冬馬
「その返し方は卑怯だろ」


黒井
「フッ、決まりだな」


――



799VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:22:31.64fKIpB44h0 (24/27)



冬馬
「それで? 攻略の糸口ってなんだ?」


黒井
「まぁ、待て。順番に話してやるから、そう急ぐな」


冬馬
「……」


黒井
「以前に小僧が話した通り、お前の相手はAランクの一流アーティストだ」


冬馬
「……」


黒井
「お前はアイドルとの対戦経験は豊富だが、アーティストとの対戦など無に等しいからな。そこで――」


冬馬
「なぁ、アイドルとアーティストってなにが違うんだ?」





800VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:25:11.31fKIpB44h0 (25/27)



黒井
「……人が話してる時は黙って聞いていろと習わなかったか?」


冬馬
「悪い。でも、気になってよ」


黒井
「フン。仕方がない。お前でも分かりやすいように説明してやろう」


冬馬
「おう」


黒井
「アイドルとは、言うならばオールラウンダーだ。ダンス・ヴォーカル・ヴィジュアル・トークなど、多彩な科目を卒なくこなすバランス型だと思え」


冬馬
「……」


黒井
「それに対し、アーティストとは一点だけを極めたスペシャリストだ。その他一切を排除して、自身の得意分野に絶対の自信を置いている特化型だな。……ここまでは良いか?」


冬馬
「うーん。まぁ、なんとなく分かった」





801VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:29:33.43fKIpB44h0 (26/27)



黒井
「そうか。……先ほども説明したが、このアーティストがお前の相手だ。ヴォーカルだけを極めたこのアーティストに正面から挑めばコチラの勝機はない」


冬馬
「……」


黒井
「だから、あえてヴォーカルは捨て、ダンス・ヴィジュアルで勝負することにした」


冬馬
「それって、オッサンが言ったように俺もアーティストになれって言ってるのか?」


黒井
「少し説明が悪かったな。……なにも、まったく歌わないという訳じゃない。あくまでダンスやヴィジュアルを重点的にアピールするということだ」


冬馬
「へぇ」


黒井
「なにを呆けている。これからのレッスンに関わることだ。きちんと聞いてろ」


冬馬
「んなこと言われてもなぁ。結局まわりくどい説明ばっかで、なにやるか分からねぇんだ。仕方ないだろ?」


黒井
「ハァ。なら結論から言ってやる。アーティスト対策として私がつくった新曲、……というよりアレンジだな。これを使って勝負するということだ」


冬馬
「アレンジ?」


黒井
「あぁ。お前たちのAlice or Guiltyを私が独自に“ロックアレンジ”したものだ。本番のライブでもコレを使う」


冬馬
「なんだよ、そんな簡単なことなら最初っから言ってくれよ」


黒井
「分かりやすく話そうとしたのに、お前が話しの腰を折るからだろう。……まぁ、良い。さっそく取り掛かるぞ」


冬馬
「了解!」


――



802VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/24(土) 20:30:37.73fKIpB44h0 (27/27)

ここまでにします


803VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/25(日) 15:24:59.67978CaQNL0 (1/1)


いままでの事務所での交友が一部を除いてほとんどがアレだったからな
3つの中でここが一番相性がいいのかもしれない


804以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:25:39.94CDt23iN40 (1/41)




【 フロリダ州・マイアミ (楽屋) 】



――コンコン。



黒井
「入れ」



――ガチャッ。




「失礼します」



「ごめん、ちょっと遅れちゃった」


黒井
「遅い。まったく、こんな大舞台に緊張感のないヤツらだ」



「あははっ。どうも疲れが取れなくて」


黒井
「言い訳など見苦しいぞ。……それよりも小僧、準備は良いのか?」



「えぇ。既に終わらせてきました。そちらも終わってるみたいですね」


黒井
「貴様のようにバタバタとするのは性に合わないからな。事前に済ませてある」



「あはは。痛いところを突かないで下さいよ」


黒井
「フン。そろそろ前座共の消化試合が終わる。我々も出るとしよう」



「満足な見送りもできず、すみません」


黒井
「気にするな。……だが、我々が帰ってくるまでには臨戦態勢を整えておけ。良いな?」



「分かってます」




805以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:27:37.59CDt23iN40 (2/41)



黒井
「冬馬、行くぞ」


冬馬
「おうッ!」



「アホ毛。私のステージ、ちゃんと暖めておくのよ?」


冬馬
「むしろ俺の後に冷ますなよ?」



「言ってくれるじゃない。でも、それだけ言えるなら大丈夫そうね」


冬馬
「姉御はそこでどっかりと座ってな。すぐにバトンタッチしてやるからよ」



「楽しみにしてるわ」


冬馬
「……それからプロデューサー」



「あぁ。ぶっ潰してこい。お前ならできるだろ?」


冬馬
「当たり前だ! ド肝を抜かしてやるぜ!!」


――



806以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:29:51.45CDt23iN40 (3/41)




 パチパチパチパチ!!



Avril
『みんな久しぶりー。元気にしてた?』



 WHOOPEEEEEEEEEEE!!




Avril
『うんうん。元気そうでなによりだわ。今夜はカーニバルよ。歌って騒いで心ゆくまで楽しんじゃってね!』



 WOOOOOOOOOOOO!!



Avril
『それじゃいくわよ! 最初は私のデビュー曲――っと、そうだった。曲をかける前に紹介しなきゃいけない子がいたわね』



 ?



Avril
『私の対戦相手よ。すっかり忘れてたわ。……小さな島国からのチャレンジャー! えっと、……トゥーマ? タゥマ? アマガセよ!』



 パチパチパチ。



冬馬
『間違いだらけの紹介ありがと。それと、俺の名前はトゥーマでもタゥマじゃねぇ! トウマだ!』


Avril
『そうなの? 日本語って難しいわね』


冬馬
『……まぁ、良い。せっかく紹介されたんだ。少し時間を貰うぜ?』


Avril
『えぇ。でも、手短にね』





807以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:33:42.18CDt23iN40 (4/41)




 ……。



冬馬
『紹介に預かった天ヶ瀬冬馬だ。たぶん、ほとんどここにいるヤツらは始めましてだと思う』



 ……。



冬馬
『俺は持てる力を出し切ってこのライブに挑むつもりだ。もし気に入ってくれたら応援してくれ』



パチパチパチ。



Avril
「あら、もう終わり?」


冬馬
「あぁ、終わりだ。……先行はどっちにする?」


Avril
「もちろん私よ。なんでも一番じゃなきゃ気に入らないの」


冬馬
「気が合うな。でも、今は譲ってやるよ」


――



808以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:34:59.40CDt23iN40 (5/41)




 HEY! HEY! YOU! YOU!



『 I know that you like me! 』



 NO WAY! NO WAY!



『 you know it's not a secret! 』



 HEY! HEY! YOU! YOU!



『 I want to be your girlfriend! 』






冬馬
「へぇ。これがAランクの実力か」


黒井
「不安か?」


冬馬
「いや、むしろ安心したよ。これくらいやってくれないと張り合いがないからな」


黒井
「ほぅ。良いコンディションだ」


冬馬
「……オッサン、勝ってくるよ」


黒井
「お前は我が961プロが誇る最強のアイドルだ。胸を張って戻ってこい」


――



809以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:37:11.04CDt23iN40 (6/41)



Avril
『 NO WAY! NO WAY! HEY! HEY! 』



 HOOOOOOOOOO!! WOOOOOOOOOO!!



Avril
「まぁまぁね。……次はあなたの番よ?」


冬馬
「ご苦労さん。俺が完勝するところ、そこで指を咥えて見てな」


Avril
「あはは。お手並み拝見とさせてもらうわ」



パチパチパチパチ。



冬馬
『……』



 ♪♬~♫♭♬~♪~♬



ダンッ! ダ! ダッ! ダンッ!   



Avril
(へぇ、足でリズムを刻むなんて珍しいわね。それも、こっちまで振動が伝わるくらいに激しく……)



ダンッ! ダ! ダンッ! ダンッ! ダンッ!



Avril
(日本人だからって舐めてたけど、このスタイル。……まるでロックスターね)



ダンッ! ダッ! ダンッ! ダンッ!  ダンッ! ダッ! ダァアン!!



Avril
(クスッ。おもしろい。どこまで戦えるのか見させてもらおうじゃない)



――



810以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:40:31.97CDt23iN40 (7/41)




『 声の、届かない迷路を越えて。手を伸ばせたら 』


『 罪と、罰を全て受け入れて 』


『 今、君に裁かれようッ! 』





♬♪♬♫~♭♬♪






冬馬
(――ッ。さすがにロックアレンジとなるとキツイか。……だけどな!)




――タンッ!




Avril
「ワォ! バック・ハンド・スプリングから次のダンスに繋げた!?」





冬馬
「これが、……俺の力だッ!!」





 WOOOOOOOO!!! IT'S COOL!!





――



811以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:42:41.98CDt23iN40 (8/41)



冬馬
『 今、君の。……裁き、で! 』





 YEEEEEEAAAAAAHHHHHH!!!!





冬馬
「……ッ」ハァ。ハァ



パチパチパチパチ。



Avril
「素晴らしいステージだったわ」


冬馬
「……俺の、勝、ちだ」ハァ。ハァ


Avril
「確かに私の負けよ。……グルーヴィーだったわ、あなた」


冬馬
「言、っただろ。俺が、……勝つ、って」ッハァ


Avril
「……大丈夫なの?」


冬馬
「少し、疲れ、た、だけだ。す、ぐに治る」


Avril
「そう」


冬馬
「……」フゥ





812以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:44:45.57CDt23iN40 (9/41)



Avril
「ミスター・アマガセ」


冬馬
「?」


Avril
「次も、私と戦ってくれる?」


冬馬
「あぁ、いつでも来い。でも、次はちゃんと名前を覚えてくれよ?」


Avril
「えぇ。約束するわ」


冬馬
「ありがと。……俺はもう行くぜ。真打ちが控えてるんでな」


Avril
「おつかれ様。次に戦える日を楽しみにしてるわ。……Mr.冬馬」


――



813以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:46:29.02CDt23iN40 (10/41)



冬馬
「……」


黒井
「ご苦労だったな」


冬馬
「……約束通り、勝ってきたぜ」


黒井
「当然の結果だ。自惚れるな」


冬馬
「そうかよ」


黒井
「……まぁ、それでも良くやったと言っておこう」


冬馬
「どういう風の吹き回しだ? オッサンらしくねぇぞ」


黒井
「ただの感想だ。聞き流せ」


冬馬
「あっそ。でも、どうせならコッチの方が嬉しいね」スッ


黒井
「フン、良いだろう。こんな青臭いこと私には似合わないが、……特別だ」スッ



――パァン。



黒井
「最高のステージだったぞ」


冬馬
「ヘヘッ。当然だろ?」





814以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:48:40.99CDt23iN40 (11/41)




 ――ッ。ヵッ。



冬馬
「ぁ……」


黒井
「どうした?」


冬馬
「いや、もう一人伝えなきゃならねぇヤツがいるの忘れてたよ」


黒井
「?」



 ヵッン。カッン。



冬馬
「……」



 カッン。カッン。カッン。



冬馬
「……ちゃんと暖めておいたぜ、――姉御」



 カッン。カッ。ヵッ……。






815以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:52:51.84CDt23iN40 (12/41)




「……焚き付けられたわ、アンタのステージ」


冬馬
「次は、そっちの番だな」



「ふふっ。アンタがここまで暴れてくれたんだもの。私も負けてられないわね」


冬馬
「まったく、……頼りになる大将だよ、アンタ」




 カツン。カッン。ヵッン……。





「――“冬馬”」


冬馬
「?」



「あなた、とっても格好良かったわよ」


冬馬
「……あ、……あははっ。まさか姉御に褒められるなんて思わなかったぜ」



「誰かを褒めるなんて無いんだから、素直に受け取っておきなさい」


冬馬
「あぁ、受け取ってやるよ。その代わり――」



「えぇ。勝ってくるわ」


冬馬
「期待して待ってる」


――



816以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 12:56:58.36CDt23iN40 (13/41)



司会者
『こんな結果を誰が予想した!? あのAvrilを制し、まさかの番狂わせを起こしたのは、……トウマ・アマガセだァ!』



 Hoooooooooo!!!



司会者
『恐るべしジャパニーズ・アイドル! このまま二度も奇跡は起きてしまうのか!?』



 NO WAY!!



司会者
『ハッハー! 確かにありえない。奇跡は一度っきりだから奇跡だ! それを我らのエース様が証明させてくれるぜッ!』



 WoooooW!!



司会者
『さぁ、フィナーレの時間だ! 満を持して登場してもらおう! 遅れてきた英雄! レディ・ガガァーーーーーッ!!!!!!』



Lady
『 ヤー! みんなお待たせ! 』



 FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!!!



――



817以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 13:02:23.19CDt23iN40 (14/41)




 GAGA!! GAGA!! GAGA!! GAGA!! GAGA!!




「……さすがSランクアイドル。登場だけでこの歓声か」


黒井
「完全にアウェーだな」



「そうですね。……でも、これこそ俺が求めていたものです」


黒井
「?」



「逆境を楽しんでこそ一流。……でしょう?」


黒井
「フン。利いた風な口をきくじゃないか」



「ははっ。ですが、このアウェーを歓声にひっくり返したら面白いと思いませんか?」


黒井
「確かに面白いだろうな。だが、相手は伝説とまでに謳われた英雄だぞ?」



「なに言ってるんですか。伝説なんて所詮、“死んでから付けられる称号”ですよ? 俺たちの相手はゾンビじゃありません」


黒井
「……」



「それに、俺がどうやって自分のアイドルを伸し上がらせてきたか、黒井社長なら知っているでしょう?」


黒井
「クックック。そうだったな。……小僧、お手並み拝見させてもらうぞ」



「えぇ。とびっきりのジャイアント・キリング、見せてあげますよ」


――



818以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 13:15:55.10CDt23iN40 (15/41)




 GAGA!! GAGA!! GAGA!! GAGA!! GAGA!!



Lady
『はいはい。そこまでにしておきなさい。この後も一緒に歌うのに、声が枯れても知らないわよ?』



 GAGA!! GAGA! GAGA GA ……。



Lady
『良い子ね。それじゃ、さっそくだけど私の相手を紹介しようかしら」



 ……。



Lady
『日本からのチャレンジャー。マイ・ヒダカよ!』

 


 パチパチパチパチパチ!







819以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 13:18:01.55CDt23iN40 (16/41)




『紹介してくれてありがとう、Ms.Lady。もう少しでアナタのマイクを奪うところだったわ』


Lady
『おー怖い。さすがあの坊やが担当するだけあるわ』



 ……?


Lady
『あぁ、そういえばみんなは知らなかったわね。実は彼女、私の友達が担当してるアイドルなの』



 Hu-m。



Lady
『きっと強いわよ。なにせ私が勝てなかった相手のアイドルだもの。もしかしたら彼女にも負けちゃうかも』



 HAHAHAHAHAHA!!




『……』



Lady
『さて、ちょっとお喋りが長かったわね。そろそろライブを再開させるわ』



 ――!!



Lady
『最初からフルスロットルよ! 全員、私についてきなさい!!』




        OH YEAH!! 

 GAGA!! GAGA!! GAGA!! GAGA!!




――



820以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 13:20:12.57CDt23iN40 (17/41)




Lady
『 I was born this way hey! 』


 BORN THIS WAY HEY!


Lady
『 Hey! I was born this way hey! 』



 I’M ON THE RIGHT TRACK BABY



Lady
『 ―― Right track baby 』



 BORN THIS WAY HEY!



Lady
『 I was born this way hey! 』






  YEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA


 ―― WOOOOOOOO!!! ―― HOOOOOOOOO!!! ―― FOOOOOOOOO!!!

      
 AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHHH!!!!!!!!






――



821以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 13:22:40.29CDt23iN40 (18/41)




    YEEEEEEEEEEEEAAAAAAAAAAAAHHHHHHHH!!!!!




「……まるで地響きね」ビリビリ


Lady
「どう? これが私の力よ」



「えぇ。見させてもらったわ」


Lady
「次はあなたの番よ。この歓声をひっくり返せるかしら?」



「さぁ、どうかしら」


Lady
「あら、意外に弱気なのね」



「アウェーには慣れてないのよ。それに、この空気をひっくり返すのは私じゃないわ」


Lady
「まさか、あの坊やが参加するって言うの?」



「半分正解。気に入らないけど、今日の主役はアイツよ」


Lady
「へぇ、それは楽しみね」



「まぁ、そこで見てなさい。……みんなまとめて魔法をかけてあげるわ」


――



822以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 13:59:23.40CDt23iN40 (19/41)




 パチパチパチパチ。



―― ♫♭♬~♪♬





『 ひとつの命が生まれてくる 』


『 二人は両手を握りしめて喜びあって幸せかみしめ 』


『 母なる大地に感謝をする 』





Lady
「……」





『 やがて育まれて命は 』


『 ゆっくり一人で立ち上がって歩き始める 』


『 両手を広げて まだ見ぬ煌き探す 』





Lady
「……魔法をかける。なんて仰々しいこと言ってた割りに、この程度なのね」


黒服
「まるでビデオか何かでも見てるようだ。覇気もなにも感じられない」


Lady
「えぇ。正直、期待してただけに残念だわ」


――



823以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:02:13.43CDt23iN40 (20/41)




(ふふっ。やっぱり幻滅してるわね)




『 しかし闇は待ち受けていた 』





(でも、手の内を隠すのはここまで)




『 幸せ全てのみこまれ 』





(さぁ、始めましょうか。私たちの世界へ……)




『 希望失って悲しみにくれるなか 』





「 IT'S ――」




『 空から注ぐ光 暖かく差しのべる 』







―― SHOWTIME!!







――



824以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:04:58.80CDt23iN40 (21/41)





『 Trust yourself どんな時も命あることを忘れないで 』




黒服
「なッ!?」


Lady
「あ、……あはははっ!!」





『 Find your way 自分の進む道は必ずどこかにあるの 』





Lady
「……やってくれたわね、あの坊や」


黒服
「なんだこれは!? ダンスも! ヴォーカルも! まるで別人だッ!! こ、これじゃ、まるで――」


Lady
「えぇ、確かに魔法ね。まさか“現実を捻じ曲げる”なんて思ってもみなかったわ」





『 未来の可能性を信じて諦めないで 』





Lady
「王座交代、ね」


黒服
「ですがLady」


Lady
「私の負けよ。それは変わらないわ」





『 あなたはこの地球(ほし)が選んだ 大切な子供だから……。 』





 ―― Beautiful. ――まるで、泡沫の夢でも見てるようだ……。 




Lady
「……そう。……魅せられた時点で私の負けなのよ」



――



825以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:11:03.26CDt23iN40 (22/41)




『 Hope your brightness 大丈夫 全ては光へ続いている 』



『 Keep your dreams どんな想いも信じていれば いつかは届く 』



『 見守っててね 素敵な私が飛び立つまで 』





――っ。…っぐす。 ――ぇぐッ。 ――ひっぐ。





『 この地球に標はないけど 素晴らしい世界がある……。 』





           ……パチ。……パチ。

  パチパチパチパチパチ!!    パチパチパチパチパチ!!
         
       パチパチパチ!! パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

  パチパチパチパチパチパチ!!! パチパチパチ!!!

      パチパチパチパチパチパチ!! パチパチパチチパチパチ!!

             パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!







826以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:12:51.20CDt23iN40 (23/41)



黒服
「スタンディング・オベーション……」


Lady
「……」パチパチパチ


黒服
「Lady、あなたまで」


Lady
「彼女のパフォーマンスはココにいるみんなが認めているわ。なら、私もそれに従うまでよ」


黒服
「……」


Lady
「素直に歓迎したら? あなたも魅せられたんじゃないの?」


黒服
「まったく……。あなたには敵いませんね」



――パチパチパチパチパチ!!






Lady
「さぁ、新しいチャンピオンの誕生よ!」






――



827以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:19:09.23CDt23iN40 (24/41)





              ……パチ。……パチ。





「――ふふっ」






  パチパチパチパチパチ!!    パチパチパチパチパチ!!
         
        パチパチパチ!! パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!

  パチパチパチパチパチパチ!!! パチパチパチ!!!

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!

      パチパチパチパチパチパチ!! パチパチパチチパチパチ!!

             パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!







「これだからアイドルって止められないのよね」





828以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:20:49.81CDt23iN40 (25/41)




――「……おめでとう。良いステージだったよ」




「あら、アンタからそんな感想が聞けるとは思わなかったわ。どういう心境の変化?」



「別に。ただの気まぐれだよ」



「ふーん。まぁ、良いけど。……あっ、アンタあの約束、忘れてないでしょうね?」



「約束?」



「勝ったら私が最強だって認めることよ」



「あー。そういえば、そんなことも言ったな」



「それで? どうなのよ」



「……良いよ。認めてやる。日高舞こそ最強のアイドルだ」



「なんか含みのある言い方ね」



「まぁ、ギリギリの及第点だからな」



「ちぇ。いつか必ず認めさせてやる」



「はいはい。……そろそろ帰るか」



「そうね。アンコールに答えられないのは残念だけど、コッチも限界だもの」


――



829以下、新鯖からお送りいたします2013/09/08(日) 14:25:04.09CDt23iN40 (26/41)

夕方頃にまた来ます