1 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:11:09.766NP7K3h30 (1/15)

・まどか☆マギカとマクロス7のクロスです。

・掲示板SSを書くのは初めてなので、色々と勝手が分からない部分がありますが、
その時はお優しい人が教えてくれるとありがたいです。

・基本的にアニメ版準拠です。

・書くのは早くないので週、もしくは隔週単位での投稿期間になるかもしれません。


無事に完結させたいと思いますので、どうかお付き合いください。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353420669



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/20(火) 23:13:27.30NFaX8vS70 (1/1)

期待美!


3 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:22:13.386NP7K3h30 (2/15)

2009年。地球人類は初めて異星人と接触。その異星人、ゼントラーディという名の巨人の軍隊と宇宙戦争に突入し、地球は滅亡の危機に瀕した。

2010年3月。戦争終結。同年4月、新統合政府が樹立され、地球人類と異星人ゼントラーディは共存の道を歩み始めた。
希望するゼントラーディは、マイクローン化という技術によりその体を地球人サイズに変えた。

2011年9月。地球統合政府は種の存続を主眼に置き、人類移住計画を立案。翌年9月。
第一次超長距離移民船団メガロード-01が出航した。

2030年9月。メガロード級大型移民船団に変わり、超大型移民船団の新マクロス級1番艦が出航。百万人規模の移民船団となった。

2038年。新マクロス級7番艦を中核とした、第37次超長距離移民船団マクロス7出航。銀河の中心へと向かい旅立った。

そして2045年。突如バロータ軍からの襲撃を受けたマクロス7船団は、彼らの目的が「スピリチア」と呼ばれる生命エネルギーだと
いうことを突き止める。

さらに熱気バサラの歌が彼らが復活させた古代生物兵器プロトデビルンを封じることが出来ることが判明する。
そこで統合軍は熱気バサラたちが所属するロックバンドグループ、「FIRE BOMBER」を民間協力隊「サウンドフォース」として軍の指揮下に置く。

やがて、バサラの歌はプロトデビルンたちの心をも揺り動かし、彼ら自身が歌うことによって「スピリチア」を得ることを可能とさせ、
スピリチアを他者から得る必要の無くなったプロトデビルンたちは宇宙の彼方へと飛び去っていき、戦いは終結した。

そして今、歌で戦争を終わらせた熱気バサラは今一人、宇宙を漂っていた。

これはバサラが惑星ゾラから帰還した、その数日後のことである……。



4 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:23:27.276NP7K3h30 (3/15)



暗闇。

その彼方に、煌めく星々が見える。

バサラは、宇宙の、銀河のこの光景が好きであり、今も愛機であるファイヤーバルキリーにテザー(命綱)を付け、
宇宙遊泳を楽しんでいる。

ふと、腕を見ると発信機が信号を発していた。

機体に通信が入ったことを知らせる光を見て、バサラは苦い顔をしながら機体へと戻る。

コックピットのハッチを開き、中に入る。

広めの座席に座り、通信の主が誰かを確認しながらハッチを閉じ、重々しい宇宙服のヘルメットを外す。

バサラ「通信……?レイからか」

ボタンの操作をし、通信画面を開く。そこには、バンドのリーダーである見慣れた顔が映っていた。

レイ「バサラ。お楽しみの際中悪いが急な仕事が入った。すぐにシティ7へと戻ってくれ」

バサラ「なんだよ、レイ。いきなりそんな話されても訳が分からねえよ。それに、どこからの仕事の依頼だよ?
俺は音楽以外の仕事は受けないからな」

レイ「おいおい、まだラジオのCMに出たことを根に持っているのか?あの時はお前も結構ノリノリだったろう」

バサラ「あの時と話は別。それに俺は今、新しいサウンドを見つけることに忙しいんだよ」

レイ「まあ、そう言うな。それに、これは軍からの命令でもあるんだ」


5 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:25:12.536NP7K3h30 (4/15)

バサラ「軍から!?おいおい、馬鹿を言うなよ。俺はもう軍とは関わりねえっての!」

レイ「そんなことを言っても、その機体の整備やらなんやらは軍を通じて行なっているわけだし。
それに戦うわけではないのだから少しくらい言うことを聞いてやってもいいだろう?」

バサラ「……はあ、それで?その命令ってのは?」

レイ「詳しくは聞かされてないから知らないが、異星人とのコンタクトにお前の歌が必要になるかもしれないとのことだ。
だから一度戻ってもらわないと困るそうだ」

バサラ「全く、なんだか俺の歌を好き勝手に使われている様な感じでなんか気が進まねえが……分かったよ。
じゃあ、通信切るぜ。プツン

目標地点を設定して……あとは自動操縦にして、と……少し疲れたし、到着するまで寝るか……」


♫どうにもならないことだってあるだろ

(……どか……た一人の……)

バサラが寝言で歌い始めたその時、突如バサラの乗る機体を囲むようにして時空間振動が発生した。

マクロス7艦隊がその異常に気づいた時にはもう、その宙域にいたはずのバサラの機体は忽然と姿を消していた……



6 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:31:03.696NP7K3h30 (5/15)




1話
「ワイルド・ライフ」




7 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:34:04.166NP7K3h30 (6/15)


杏子(……このたい焼き、餡の甘さがくどいな。……冒険して違う店で買ったりしなければ良かった……)

不満を心の中で述べつつも最後の尾の部分を口に入れ、口に残った甘さをペットボトルのお茶で飲み干す。
飲みきったペットボトルを放り投げると、上手くゴミ箱の中へと入っていった。

杏子「お、ナイス。幸先が良いな……ん?なんだあれ……人が集まってる?」

いつも通る道に人だかりが出来るようなものがあったかと不審に思い、杏子は近寄ってその正体を確かめる。

近づくに連れ、何かが聞こえて来る。

ある程度の距離まで行くと、それが歌だということが分かった。




♫おまえに逢いたい この寂しさ 分かち合える

杏子(へえ……結構上手いじゃん)

そう思いながら、何とかして姿を見ようと背伸びをする。
だが想像以上に人の壁が厚く、おまけに同年代の中でもあまり背が大きくない杏子にとっては成人たちの
背丈を背伸び程度で超すことは難しかった。

♫おまえだけを 待ち焦がれて 時は過ぎる

杏子(う、見えない……少し前に行って見よう)

♫いつか本で呼んだ 遥か遠い星の

杏子(もうちょっとで見えそう……)

♫透き通る海に おまえを連れてゆこう OH YEAH!



8 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:35:59.876NP7K3h30 (7/15)



パチパチパチパチパチパチパチパチ

湧き上がる拍手と歓声に、杏子は戸惑いながらも釣られて拍手を送る。

バサラ「ありがとよ。今日はこの辺で終いだ。また来てくれよな」

「上手かったねー」「いいぞー!」ヒューヒュー

杏子(や、やっと前に出れた……ってうわ!すげえお札の山!)

次々と去りゆく人たちがさらにギターケースに放られたお札の山の上にお捻りを追加していく。
杏子はその量に驚き、食い入るように見つめていた。そして気がつくと、その場に残ったのは杏子だけとなっていた。

杏子(あ、やば……帰るタイミングを逃した)

「どうした、俺に何か用か?」

男が声をかける。
細身だが長身で、跳ねた髪型。そして、浅めにかけた丸淵のサングラスが特徴的な男だった。

杏子「え、ええと」

「……俺の歌、どうだった?」

杏子「あ、ああ。歌?上手かったと……思うけど……」

杏子の視線が、思わずギターケースの方へと向かう。

「まったく、こんなのいらないってのにな」

愚痴るように男がつぶやきながら、ケースの中にお捻りをまとめていく。

杏子の頬のが少しつり上がり、目を細めてそれを見た。

杏子「……なあ、そのお金……まとめるの手伝ってやろうか?ギターを持ったままじゃ大変だろう」

「……ああ、そうだな。じゃあ頼むぜ」

そう言って男がお金の入ったケースを杏子に任せる。


9 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:39:07.686NP7K3h30 (8/15)

札束や小銭が溢れるケースを閉じて駆け出そうとした瞬間、
男は杏子の背中の襟を掴んで動きを止めた。

「バレてるぜ。そういう手口は結構見慣れているんだ」

男ががぐい、と襟を掴む力を強めて杏子を引き寄せる。

「さあ……返してもらうぜ……?っておい、どうした……」

そこで、男は自分が持っているものが人間の体重にしてはあまりにも軽すぎる事に気がつく。

杏子?「ナーオ」

「え?な……猫!?」

少女だったものの姿が、見る見る内に猫の姿へと変わっていく。

猫「フーッ」

「わ……引っ掻かれた!一体どういう事だ……」

うっすらと血が滲む手を押さえつつ疑問に思いながらも、
ギターケースが奪われた事だけは確かだということが分かった。

「……って、さっきのやつはどこに行った!?俺のギターケース!!」



10 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:43:21.916NP7K3h30 (9/15)


路地裏

杏子「へへっ、たんまり手に入った。ひーふーみー……これだけありゃあ、
今月は食うものには困らないな」

杏子「……このケース邪魔だな……どっかに捨てて……
いや……あとで返しておくか……」

杏子がお金をポケットの中に押し込んだ時、ソウルジェムが光を放った。
それを見て、杏子は顔をしかめる。

杏子「魔女の反応……ちっ、こんなところでかよ!」

路地裏に止められた自転車は搭乗者もいないのにカラカラと回りだし、食材の入っていた空き箱がくにゃくにゃと
変形していく。空間が歪みだし、風景の色が変わっていく。

杏子(魔女に見つかる前に、こっちが先に補足しないと)

ソウルジェムを掲げ、杏子は身体を光に包ませる。
ほんの数秒で、杏子の格好は赤を基調とした衣服へと変化する。

杏子「反応は……って、さっき通った方角じゃん!」

ソウルジェムに目をやりながら杏子は路地裏だった場所を駆けていく。


魔女の結界

杏子(えーと、確かこのあたり……お、いた!使い魔が3体……魔女にはまだなってないのか)

杏子(なら、別に手を出す必要はないな……うん……ない。魔力の無駄遣いは避けなきゃ……)

その場を去ろうとした時、使い魔たちの声が響く中に場違いな音がするのが聞こえた。

杏子(なんの音……ギター?)

「なんだか知らねえが、俺の歌が聞きたいなら聞かせてやる!行くぜ、突撃ラブハート!」



11 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:46:24.516NP7K3h30 (10/15)




♫Let's go 突き抜けようぜ 夢で見た夜明けへ まだまだ遠いけど

杏子(あいつ……!さっきの……まさか私を追いかけてきて結界に巻き込まれたのか……!?)

♫May be なんとかなるのさ 愛があればいつだって

異形の使い魔と呼ばれる生き物達は歌で男の存在に気づき、囲むように距離を縮めていく。

♫俺の歌を聞けば 簡単な事さ 2つのハートをクロスさせるなんて

それぞれが聞きなれない言葉や歌のようなものを呟きながら近づいてくるのを見て、
男はそれに対抗するかのように声の力を増した。

使い魔たちの動きが一瞬止まり、害意を持った使い魔の手が男へと伸びた。
だがそれは男に届くことはなく、鎖でつながれた鞭のような槍によってその使い魔の身体は切り刻まれていた。

杏子「おい、お前さっさとここから逃げろ!」

♫夜空を駆けるラブハート 燃える思いを乗せて 

杏子の言葉には答えず、男は歌を続ける。
思わず、杏子は舌打ちをする。

杏子「くそっ、なんで私がこんな奴の為に……」

♫悲しみと憎しみを 撃ち落として行け

目の前で次々と使い魔たちが倒されていくのを見ながらも、男は歌うことをやめなかった。

♫お前の胸にも ラブハート まっすぐ受け止めて Destiny

杏子「こいつでぇっ!」

♫何億光年の彼方へも 突撃ラブハート!


12 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:48:43.186NP7K3h30 (11/15)


魔女の反応がなくなり、結界が消えて周りの景色が元に戻っていく。

杏子(はあ……結局全部倒す羽目になっちまった……)

杏子は男を睨みつけようと振り返り、開口一番に怒りを顕にする。

杏子「邪魔すんな!」「邪魔するんじゃねえ!」

偶然にも男と言葉が重なり、面食らったような表情をする。

杏子「それはこっちの台詞だ。言っておくが、助けたのはただの気まぐれだからな」

「なんで俺の歌の邪魔をする!なんで戦うんだよ!」

杏子「う、歌?お前、何言って……」

「あいつらは俺の歌の観客だ。それをお前は……」

杏子「……わけ分かんねえ。とりあえず、死にたいんだったら他所で勝手に死にな」

杏子「少なくとも私の目の前で死ぬんじゃねえよ、目障りだ」

杏子が槍を突きつけながら男に向かって言い放つ。
だが、男は顔色一つ変えずに杏子に言葉を返す。

「死にやしねえよ」

杏子「勝手なことばかり抜かしやがって。少し痛いに目に合わないと分からないのかよ」

「なら、お前も聞いてみるか?俺のサウンドを」

そう言うと、男はいきなりギターを弾き始める。



13 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:51:38.546NP7K3h30 (12/15)




♫どうにもならない事ってあるだろ どんなに頑張っても

杏子「な、何いきなり歌い出してんだよ、お前は!」

♫すべては真っ暗 星さえ見えない そんな夜が続く時

杏子「だー!うるさい、歌うなって」

♫俺は気づいたんだ とりあえず出来る事を すればいいと

杏子「歌うなって言ってんだろ!」

堪り兼ねた様子で、杏子が槍を振り回す。
本気で当てようとは思ってはいなかったものの、それらをバサラは何食わぬ顔でひょいと避けながら歌い続ける。

♫It's my WILD LIFE 自分勝手に行こう どうにか先へ進もうぜ

♫なんとか なってしまう ALL-RIGHT!

杏子「やめろって言ってるだろ、このっ!」

♫答えはついてくるのさ あの波に 飛び乗ろう

憤慨する杏子を物ともせず、バサラは一頻り歌い上げる。



14 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:52:36.296NP7K3h30 (13/15)


杏子「はーっ、はーっ……ああ、もう!分からず屋め!一体何なんだよお前は!」

「俺か?俺は……」

バサラ「バサラ。熱気バサラ。『FIRE BOMBER』っていうロックバンドのメンバーだ」

杏子「ロックバンド……?ふぁいやーぼんばー??」

バサラ「ああ。お前の名前は?」

杏子「き、杏子。佐倉杏子」

バサラ「そうか。よろしくな、杏子」

杏子「うん……じゃなくて!だから私が言いたいのは」

バサラ「ん?……あ!お前、ギターケース泥棒!?」

杏子「げ!しまった」

バサラ「俺のギターケース、返せよ!」

杏子「あ、後で返すつもりだったんだよ。ほんとだって!」

バサラ「どこにあるんだ?」

杏子「それなら、ここに……ってあ!」

杏子(やっば。邪魔だからって、魔女の結界内に置いたままだった)

バサラ「どうした?」

杏子「え、ええと。それが……さっきの結界の中に」

バサラ「結界?何の話だよ」

杏子「あ、いや何でも」

バサラ「何でもいいから、早いところ返せよ」

杏子「う……分かったよ。その、ちょっとむこう向いてろ」

バサラ「なんで?」

杏子「は、恥ずかしいんだよ。いいから!」


15 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:55:01.946NP7K3h30 (14/15)

バサラが不本意ながらそっぽを向くと、杏子は胸元のソウルジェムに手をかざし、光を放ちながら変身を解く。
私服に入っていた札束を握り、前に差し出す。

杏子「もういいよ。ほら、お金。これでいいんだろ」

バサラ「……!ふざけるな!」

差し出された札束を、バサラは払いのけた。
杏子の目が驚きで見開く。

杏子「な……!?」

バサラ「金なんざどうだっていい!」

杏子「は、え?」

バサラ「ギターケース、失くしたのかよ?」

杏子「あ……う、うん」

バサラ「はあ……ならそうと早く言えっての」

バサラはため息をついてギターを背負い直し、路地裏から通りへと歩いていこうとする。

杏子「っておい、お金!」

バサラ「いらねーよ」

振り返りもせず、その言葉だけを杏子に返しながらバサラは去っていった。
茫然と立ち尽くしながら、杏子は札束を力強く握りしめる。

何故かは分からないが、悔しさと歯がゆさが杏子の感情を占めた。
その感情が惨めと呼ばれるものであることに気づくける程、杏子はまだ人生の経験を積んではいなかった。





16 ◆DcdG4DxDDg2012/11/20(火) 23:58:42.696NP7K3h30 (15/15)

とりあえず今回はここまでです。

マクロス7の時系列はダイナマイト7の後、帰還ライブをやったすぐ後です。

しかし、まどか☆マギカの時系列ではまだほむほむが病院にいる頃です。なので1話にすらなっていません。

ラストシーンの構想はできてるんで頑張って行きたいです。



17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 00:02:55.28MR46ETR00 (1/1)

乙!
原作とは一変して今度は男1女2のトライアングルなるか?



18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/11/21(水) 00:25:24.75rJkbjpRho (1/1)

ほむ杏の予感…!


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/21(水) 04:10:48.07So/VlAsTo (1/1)


バサラが全然違和感なくまどマギの世界に馴染んでてこの先の展開が楽しみだ


20 ◆DcdG4DxDDg2012/11/21(水) 10:02:29.48E881x98j0 (1/2)

>>17
>>18
>>19
乙と閲覧をありがとうございます。
というか投稿期間、じゃなくて投稿間隔ですね。添削せずに書くとこうなるから怖い……

週1、隔週ペースで更新していきます。たまに小ネタ兼解説を含んでいきたいと思います。

とりあえず登場したマクロス側のキャラ紹介を少し。

・熱気バサラ

2047年時点で23歳(戦争は約1年続いたから開戦当初は21歳。それから放浪の旅に出てたりしてる)
ロックバンド『FIRE BOMBER』のメインボーカル兼リード

愛機であるファイヤーバルキリーに搭乗し、戦場に乱入しては自分の歌を聞かせる。
暴力が嫌いであり、元々戦闘用として作られたバルキリーにも武装を積む事を嫌がるほど。代わりにマイクやスピーカーポッド(持っている銃はスピーカーを打ち出す様になっている)が積んであり、ギター型の操縦桿で戦場を飛んで歌い回る。

どうしても他人の命の危険や仲間が襲われそうになった時以外、暴力を使うことはない。例え相手が不良でも、異星人でも、自分を殴り続ける相手でも、正体不明の敵だろうがなんだろうがとりあえず歌を聞かせようとする音楽バカ。

バルキリーの操縦は素人のはずだがずば抜けてセンスが高く、現役の軍人のエースや天才と称された人物たちも一目置くほどである。……ちなみに操縦桿が普通の機体にも乗ったが、その時はギターを弾きながら片手間に戦闘機の操縦をするという人間離れした技をやってのけた。

・レイ・ラブロック
『FIRE BOMBER』のリーダーでベース担当。開戦当初は28なので現在は30歳。だがぶっちゃけ老けて見える。苦労人。
元は軍のエースパイロットであるが、親友を任務中に死なせてしまった事に責任を感じ、退役する。
放浪していた時にバサラと出会い、その歌声に可能性を見出してバンドを組むことを決心する。

退役してからも軍とは繋がりが深くあり、バサラたちの機体はレイのコネによって手に入れたもの。
つまりレイが居なければ戦争は終結しなかったかもしれない。
仕事の手配なども行ったり気難しいバサラたちをまとめたり、影の功労者と言っても過言ではない。


では、また次回。過激にファイヤー!







21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 10:32:35.93aYqpVP1mo (1/1)

すげぇ、面白いし次回も期待してるぜと花束を持って立とうかww

ジャ○ラックが怖いけどな… 大丈夫だよな?


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 12:05:13.12yfobjZcIO (1/1)

魔女がバサラに共鳴して歌いだすのか
胸熱


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 12:28:26.799/g981al0 (1/1)

アニマスピリチアァ!


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 15:18:28.49kCsIO3TDO (1/1)

タイトル忘れたが、
バサラがほむらと同じ転校生の話ならあったな


確か、バサラはゾラからマクロス7船団には帰ってなくて
その後は宇宙回線通して一度メンバーとライブやったきり行方不明だった希ガス


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 17:53:07.62HUsgu0ISO (1/1)

俺得なSSだ
期待

ただゾラが最後だとREFireの曲とヴァージンストーリーが使えないのか…残念


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/21(水) 19:54:15.28LzJYPVTEo (1/1)

どうしよう・・・普通に面白いじゃねぇか・・・


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2012/11/21(水) 22:51:37.85E881x98j0 (2/2)

>>24
実は非売品のドラマCDでダイナマイト7の後に帰還ライブをやった話がある。
レイがお客様感謝デーの商品を読み上げるバイトをしていたりするww



28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/22(木) 00:05:52.92lcoW+12oo (1/1)

支援


29 ◆DcdG4DxDDg2012/11/28(水) 18:15:36.88nI2XipED0 (1/1)

たくさんの支援、感謝美!
出来れば今日、明日あたりに更新します。……はやくまどマギ本編に入りたいいい!

ちなみにReFIREの曲も使おうと思えば使えますのでご心配なく。流石に年代が違うものヴァージョンやヴァージンストーリーとかは厳しいですが。

前にバサラが転校してくるSSがありましたがあの作者とは別人です。というかあれに感銘を受けて書き始めました。
しかし同じキャラと同じ世界観を使う以上、どうしても場面や選曲で被る部分がでてしまうかもしれません。
ですが、とりあえずそのSSとは違った結末、違う過程をしっかりと作っていますのでご期待くださるとありがたいです。

バサラ以外のマクロス7のキャラも出していき、尚且つ世界観を尊重した作りが出来ればなあと思います。








30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/28(水) 18:53:08.20hRgU6k0a0 (1/1)

待っていたぞ!


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/28(水) 19:40:34.79sfkcwk4SO (1/1)

ゾクゾク美!


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/28(水) 20:05:28.21BMfC4pAE0 (1/1)

期待してるぜ


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/29(木) 10:40:17.67zODzfBZLo (1/1)

ガムリンを出さないとかありえんだろ…
いや>>1なら出してくれる。


34 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:08:11.8861GwPc+60 (1/14)

ようやく添削作業終了……日をまたいでしまった、これは……美ではない!

では投下行きます。


35 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:10:14.7961GwPc+60 (2/14)

薄暗い店の中で画面の光が席に座る人の顔に映る。

スロットの演出音とメダルの排出される音。

煙草の煙と染み付く臭い。

対戦ゲームから流れるアナウンスと必殺技の声。

重低音が激しいレースゲームのBGM。

それらを抜けたところに杏子はいた。
履いていたブーツをダンスゲームの筐体の横側に置き、素足で、軽やかなステップを踏む。
足が汚れるのもお構いなしに、皮が擦り切れそうな速さで足を動かし、交差させ、右へ、左へと、
文字通り飛び回るように、息をつく間もないほど連続した矢印型のマークを全て正確に踏んでいく。

見ているだけで足がもつれそうになるような矢印の波が、数字へと換わっていった。
表示される数字の桁はどんどん増えていき、600が間近になったところで曲が止まる。

STAGE CLEAR!

そのアナウンスがなると、杏子は背中にあるバーにもたれかかる。
魔法少女である杏子は常人よりも身体能力は遥かに高いが、
能力向上の魔法をかけずに最上級難易度を30曲もやると息が切れ、汗も玉の滴となって流れ落ちた。

表示された順位は1桁であったが、杏子はスコアに興味がないとでも言うかのように、適当にボタンを押し続けてゲームを終わらせる。

後ろを振り返るとギャラリーが数人できていたが、杏子が嫌な顔を向けるとそそくさと人はいなくなっていった。
ゲームセンターに備え付けてあるおしぼり機から数本を取り、ブーツを持って椅子に腰掛けると、黒ずんだ足を拭く。



36 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:12:40.2861GwPc+60 (3/14)

その日、杏子は朝から虫の居所が悪かった。
正確には、昨日、バサラと出会ってからずっと機嫌が悪かった。
しかも、自分がどうしてこんなにもむしゃくしゃしているのかが分からないのが更に苛立たしさを増していた。

拠点としているホテルに戻り、シャワーを浴びても、朝目覚めても、その苛立ちは消えず、
どうにかしてそれを解消しようと、杏子は今日1日中は好き勝手な事をしようと決めた。
好きなお菓子を食べ、気ままに買い物をして、今はゲームセンターで得意なゲームをプレイしていた。

だが、そのどれをやっても杏子の憂さが晴れることは無かった。
何故か。その答えを杏子は自分自身でよく分かっていた。
自分が心から望んでやっている事ではないからだ。

そもそも、杏子がゲームセンターに通うようになったのは、つい数ヶ月前の話である。
それまではゲームセンターという場所がどういう所なのかさえ知らず、
せいぜい、「不良がよく行く場所」や「集まりでプリクラを撮る場所」ぐらいの認識しかなかった。

杏子は苛立ちの原因である男の顔を思い出す。

杏子(あいつは一体何なんだよ……)

足を拭き終わるとブーツを履き、そのまま店の外へと出る。
外はもう日が沈みかけており、差し込んだ西陽に目を細めた。
次に何処へ向かうのかを、杏子は考えていなかった。

ただ、足が向かうままに歩き出す。学校帰りの学生たちが杏子とすれ違っていく。
その中で自分と同じくらいの年の生徒を見ると、思わず目を背ける。
万が一にしても、自分の事を知っている人と出会いたくなかった。
もし知人がいれば、嫌でも他者と自分の境遇を比べてしまうから。
自然と、視線が下がっていく。それでも、人の流れもあって歩みを止めることはなかった。

しばらく歩くと、杏子は自分が今日何をすれば良かったのかという答えをようやく頭の中に浮かべていた。
その答えを見つけるのと同時に、歩みを止めた。目的の人物の目の前へとたどり着いたからだ。

地面にあぐらをかいてギターのペグを回してチューニングをするバサラの前に立ち、その姿を少しの間見つめる。



37 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:16:31.1461GwPc+60 (4/14)

目の前に立って、杏子はまず何を言えばいいのかが思いつかなかった。
自分がしたことを思い出すと、相手の前に出ること自体、相手の怒りを買うような事ではないのかと。
そうしたことをぼんやりと考えていると、バサラが杏子の存在に気がつく。

バサラ「もう今日の分は終わっちまったぜ」

杏子「は?」

バサラ「歌を聞きに来たんだろ?」

音程を合わせたばかりの弦を鳴らしながら、バサラは聞いた。
いきなり、それも予想外の質問に杏子は戸惑う。

杏子「そんなわけないだろ」

バサラ「じゃあ、どうしたっていうんだよ」

杏子「あのさ……お前、私に聞きたい事とかないのかよ」

バサラ「何が?」

杏子「何がって!……昨日のやつらは何だったのかとか、私がその……変身した事とか!
色々聞きたい事があるものだろ、普通は!」

バサラ「聞いて欲しいのか?」

杏子「え、べ……別に……そういうわけじゃないけどさ」

バサラ「なら、どうだっていいだろそんな事」

ギターを背負い、バサラが立ち上がる。

杏子「どこに行くんだ?」

バサラ「そんなの俺の勝手だろ」

杏子「それは、そうだけど……あ、待てよ!まだ話は終わってな」グゥー

バサラ「ん?」

杏子「あ」

そこで、杏子は自分がお昼も禄に食べずにずっとゲームに没頭していたことを思い出す。
慌ててお腹を抑え、恥ずかしさに顔を背ける。

杏子「い、今のは……その……」

バサラ「奢ってやるよ」

杏子「え?」

バサラ「飯、食ってないんだろ?ついて来いよ」

杏子「め、恵んで貰うほど困ってなんか」

金銭に不自由はしていない事は事実だったが、
それよりも自分が昨日盗んだ事への後ろめたさもあり、素直に付いて行くことは気が引けた。


38 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:18:34.1761GwPc+60 (5/14)

バサラ「いいから来いよ。それとも、遠慮なんかしてるのか?ガキのくせに」

杏子「ガキって言うな!大体、路上で歌なんか歌っている奴がお金に余裕なんかあるのかよ」

その言葉の中には、自分がケースを盗んで失くしてしまった事でお捻りを集めることが出来なかったのではないのかという念もあった。
だが、杏子の言葉にバサラはポケットの中から皺のついたお札を数枚見せて答える。

バサラ「無理矢理押し込まれた金だしな。無下にするわけにもいかないし。
なんか食いたいものとかないのか?」

杏子「だ、だから別に恵んでもらう必要なんか」

バサラ「面倒な奴だなあ。いらないなら勝手に行っちまうぜ」

杏子「あ……」

頭の中では、自分が今からしようとする行動、物を盗んだ相手と食事を共にするという事がどれだけ異常な事かは分かっていた。
だが、この熱気バサラという人物には、例えそれがおかしな事であったとしてもなんでもない事のように思えさせてしまうような
一種の強引さがあった。

杏子「……分かったよ、行くよ!……全く……どうかしてるよ」

杏子は歩き始めていたバサラに、文句を言いながら駆け寄って近づく。
近づいてくるのが分かると、バサラは少し頬を緩ませて微笑んだ。



39 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:19:14.0061GwPc+60 (6/14)

ファミレス  店内


バサラ「よく来るのか、この店」

杏子「いいや。だってさ、こういう店ってなかなか一人じゃ入れないものだろ。私くらいの年じゃあさ」

バサラ「ふうん。そんなものか」

杏子「……それよりさ、どうしてあんな事をしていたんだ?」

バサラ「あんな事って?」

トクダイサーロインステーキヲゴチュウモンノオキャクサマハー オウ、オレダ

杏子「あいつらの前で歌っていただろ」

バサラ「ああ、あれか」

杏子は目の前の男の危機感の無さに改めて呆れる。

杏子「悪いことは言わないから、あんなことはもうやめたほうがいい。
もし魔女の結界に巻き込まれたらすぐに逃げ道を探しな。じゃないと……死んじまうぞ」

パインサラダヲゴチュウモンノオキャクサマー ハーイ

バサラ「魔女?結界?なんだよそれは」

杏子「あ……うん、まあ簡単に説明するとだな……魔女っていうのが人を襲う悪い奴らで、
そいつらが人を襲うのに作る空間が結界なんだ」

バサラ「じゃあ、お前はどうなんだよ。お前だって、その結界の中にいただろ?
逃げるどころか戦っていたじゃねえか」

杏子「私は魔法少女。その魔女と戦うのが私たちの使命さ。
ま、とどのつまり、あいつらは人を襲う悪い奴らで私が正義の味方って事。分かった?」



40 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:19:42.2461GwPc+60 (7/14)

バサラ「現実味の無い話だな」

杏子「しょうがねえだろ。事実なんだし。お前も見ただろ」

バサラ「正義だの悪だの魔法だのって。そんな事で戦うなんて馬鹿げているぜ」

杏子「なんだと!?」

バサラ「あいつらだって、歌を聞けば分かり合えるかもしれないだろ」

杏子「また、歌かよ……そもそもあいつらに耳があるのかどうかさえも分からないのに、
どうやって歌なんて聴かせるんだ」

バサラ「耳なんか無くったって心に響かせればいいんだよ」

杏子「心?……はっ、それこそ無理な話だって。あいつらに心なんてあるもんか。
狂ったように奇声を上げたり、見境なく人を襲ったりする化物共なんかに心なんてあるものかよ」

バサラ「やってみなくちゃ分からねえだろ」

話を割るように、ウェイトレスが近づく。視線が、そのウェイトレスの持つ皿に注がれていた。

ウェイトレス「おまたせいたしました。『渡り蟹のトマトクリームパスタ』とクリームソーダをご注文のお客様は……」

杏子「はいはーい、それはこっち」

ウェイトレス「こ、こちら……『激熱爆辛ハバネロカレー 辛さ30倍増し』になります……」

ウェイトレスの声が震え、臭いで涙目になっている。
何故、そんなものを頼むのだろう、そして、何故そんなものがメニューにあるのだろう、と。
それを運びに来たウェイトレスは勿論、その周りに居る者の殆どがその刺激臭に顔をしかめながらそう考えていた。

ただ一人、それを注文したバサラを除いて。

バサラ「おう。こっちだ。へへっ、良い感じに辛そうじゃねえか」

杏子「……注文してた時から思ってたけれどさあ……お前、それ本当に食えるのか?辛くて味も何もしなさそうだけど……」

バサラ「分かってねえなあ。辛いから美味いんだろうが」

そう言いながらスプーンに一杯掬ったカレーを口の中に入れる。
それを見た誰しもが思わず手を止め、固唾を飲んで見守る。

バサラ「~~~っ!辛えっ!けどうめえ!!」

杏子「信じられねえ……」

杏子はバサラの食べる姿と刺激臭のせいで、しばらく目の前の料理に意識が向かなかった。


41 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:22:17.2361GwPc+60 (8/14)


これから本格的に混み始めるという時間の前に、会計を済ませて二人は店を出る。
辺りは暗くなっていたが、冬の寒さはもう無くなっていた。

杏子「うえ……キツイ臭いだった。服に染み付かなきゃいいけれど」

バサラ「………」

杏子「ん、どうかしたのか?」

バサラはぼんやりと夜風を肌に受け、夜空の月を見上げていた。

バサラ「なあ、ここって……地球なのか?」

杏子「え……いや、当然だろ?何変なこと聞いているんだ?」

バサラ「そうか……星があんまり見えないんだな」

杏子「まあね。自然が多い場所に行けばもっと見えるんだろうけれど、この辺りは開発されちゃったからね」

バサラ「寂しくないのか?」

杏子「何が?」

バサラ「星が見えなくてさ」

杏子「別に。ずっとそうだったから、今更どうでもいいよ。
……最初から無いのなら望むこともないだろ」

バサラ「そんな事ないだろ」

杏子「……そういうものなんだよ。じゃないと……」

杏子は何かを言いかけたが即座にポケットへと視線を動かし、それからバサラの方を見た。

杏子「おっと、もうそろそろ帰らなくちゃ。じゃあな」

バサラ「ああ。もう人の物に手をだすなよ」

杏子「お前がこれからずっと奢ってくれるなら考えてやるよ」

杏子が走り去ると、バサラは耳を澄ませた。
風が、バサラの髪を揺らす。少しの間そうして立ち止まり、行くべき方向を決めた。





42 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:26:44.1761GwPc+60 (9/14)

路地

バサラの元を去り、相手の姿が見えなくなってから杏子はソウルジェムを取り出す。
それを見ながら、反応が強まる方向へと歩みを進める。人通りの少なさそうな寂れた店の裏側でその反応は一段と強くなった。

杏子「この規模じゃあまだ使い魔だな。
さて、と。邪魔はいないし……今度こそ魔女になるまで待たせてもらおうか」

変身した杏子が槍で空間を切り裂くと、裂け目から扉が現れる。
その中に入り、警戒しながら進むと異形の姿を見つけた。
物陰に隠れながら様子を伺う。3体の使い魔が辺りを飛び回っていた。

探しているのは、餌か。

主である魔女に献上するための贄か。

或いは、狂ったような声をあげる使い魔達の遊び道具か。

そんな事を考えながら使い魔たちを観察する。
杏子は、バサラの言葉を思い出しては小首を傾げた。

杏子「心……ね」

バサラがもし今ここで歌ったとして、それを使い魔達が聞くとはどうにも思えなかった。
歌い始めたところで、使い魔たちが襲いかかり無残な姿になるのが関の山だろう。
そう考えていると、バサラの歌が聞こえてくるような気がした。

杏子「何も知らないやつが……口なんか出すなっての……」

自分の境遇、与えられた使命、今や感じなくなった良心が咎める幾つかの事。
まだ幼い自分にとっては、どれもどうしようもないもの、どうにもならないもの。



♫どうにもならない事ってあるだろ どんなに頑張っても

視線を使い魔へと戻す。使い魔へと近づいてく影があった。

杏子「は……!バサラ……!?」

♫全ては真っ暗 星さえ見えない そんな夜が続く時

先ほどまで見ていた姿を見間違うはずがない。
店の外で別れたはずだ。跡をつけられるようなヘマもしていない。

♫俺は気付いたんだ とりあえず出来る事をすれば いいとぉー!

混乱した頭では、浮かんだ疑問ばかりを口にすることしか出来なかった。

杏子「そんな……どうして……あいつが、こんな所に!」


43 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:28:04.2661GwPc+60 (10/14)

使い魔たちがバサラへと近づく。なにか訝しげな物を見るかのように使い魔同士が顔(らしき場所)を見合わせていた。
子供の声に似た奇声を上げて使い魔の一体がバサラへと体当たりをする。

♫It's my WILD LIFE ! いいかげんでゆこう どうにか先へ進もうぜ

だが、バサラはそれを杏子が仕掛けた時と同じように眉一つ変えずに避け、すれ違いざまに浴びせかけるように歌を聞かせる。
2体、3体目も同じように跳びかかっていく。

♫なんとか なってしまう ALL-RIGHT!

危険なはずである。捕まれば、普通の人間ならいとも簡単に殺されてしまうはずである。
だが、物陰から杏子が見たその光景は、まるでライブパフォーマンスの一環のようにさえ思えるほどバサラの余裕を感じられた。

♫答えはついてくるのさ あの波に 飛び乗ろう! yey,yey,yey! wow!

杏子は、バサラの前に出る気を失いかけていた。
バサラの言葉に引っかかっていたわけではない。
使い魔が魔女へと育つまで待ってから、それを倒してグリーフシードを手に入れる。
それが、当初の目的である。そして、効率を考える魔法少女ならば誰でもそうするだろうという行動だ。
それなのに何故か、杏子はバサラの姿を見続けていたくなっていた。
例え相手が聞く耳を持たなくとも、必死に相手に歌を聞かせようとする姿。
その姿が杏子の胸を確かに叩いていた。

杏子(なんで……こんなやつが……)

♫避けて通れないことってあるだろ どれだけ逆らっても

よく見ると使い魔の数が1体減っていた。その事に気付いた時には、結界の奥から多くの使い魔たちが向かってくるのが見えた。

杏子「やべえ、仲間を呼んだのか……!」

♫巻き込まれたら 嵐の真ん中 慌てるな 落ち着けよ

数十体に増えた使い魔達が互いに示し合わせ、奇声を上げながら一斉に攻撃を仕掛ける。
飛んできた小さな爆薬のような物がバサラの足元で破裂する。

♫状況は最悪でも 考え方次第だろ チャンスはあるさ



44 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:31:35.8861GwPc+60 (11/14)

バサラの目の前に突然格子状の壁が出現し、突撃してきた使い魔たちがぶつかっては倒れていく。
物陰から飛び出した杏子が叫んだ。

杏子「何やっているんだ!逃げるぞ」

バサラ「おい、まだ俺の歌は終わっちゃいねえぞ!」

杏子「いいから来いっての!」

無理矢理バサラの腕を杏子がつかみ、引きずるように使い魔たちとは反対の方向へと逃げる。
しばらく行くと、読みにくい文字で「出口」と上に書かれた扉が見つかる。
急いで扉を開き、勢い良く閉める。
「またのお越しをお待ちしております」と一瞬だけ扉に浮かび上がり、その文字が消えると同時に扉も消えて無くなっていく。




路地裏

杏子「はーっ、はーっ、この……お前は!」

バサラ「なんで邪魔をする!」

杏子「お前、どうしてまた結界の中で歌ったりしていたんだ?私は、逃げろって言ったはずだぞ」

バサラ「風が教えてくれたんだ……ここに俺の歌を必要とする奴がいるって。
それに、観客を目の前にしてなんで逃げなきゃいけないんだ。俺は歌いたい時に歌う!ただそれだけだ」

杏子「そ……そんなわけの分からない理由で……!」

バサラ「とにかく、邪魔をするなよ。俺は俺のやりたいようにやるんだからよ」

杏子「邪魔はどっちだと……」

バサラの理不尽な言動に怒りと呆れを通り越し、冷静になる。
言い合っても無駄だということに杏子は気付いた。

杏子「はあ……悪いけれどさ、私にはお前の歌があいつらに届いているようには見えなかったよ。
あのまま続けていたら、お前の命がやばかった。違うか?」

杏子の指摘に、バサラは言葉をつまらせる。
使い魔達からの反応が薄い事をバサラも気づいていたからだ。

バサラ「だからって、諦めきれるかっての」

杏子「はあ、見てらんないよ。だからさ、提案がある」

バサラ「提案?」

杏子「私が一緒についてやるよ」

バサラ「何だって?」


45 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:33:28.2261GwPc+60 (12/14)


杏子「勿論あいつらにこっちからは手を出さない。けれど、身を守るための護衛は必要だろ?」

杏子「それに、私はあいつらが出現した位置が分かる。あんたはあいつらに歌を聞かせればいいし、
私は正義の味方らしくあんたを守ればいい。どうだ、悪くない話だろ?」

バサラ「なあ」

杏子「え?」

バサラ「なんでいきなり協力する気になったんだ?」

杏子「う……そ、それは……」

歯切れの悪い返事をする杏子にバサラは少し疑問を抱く。
少し思案をしてから、杏子が答える。

杏子「お、お前の歌……そう、歌に惹かれたからだよ!」

バサラ「……そうか!ようやくお前にも俺の歌の良さが分かったか」

杏子「え……う、うん。だから、これからは……」

バサラ「ああ。よろしくな」

バサラが手を差し出し、それを杏子が握る。

杏子の笑みはどこかぎこちないものであったが、バサラがそれに気づくことはなかった。



46 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 00:38:25.1261GwPc+60 (13/14)

今回はここまで。

くっはああああこのペースでいったら続かないなこれ。次回からはもうちょっと少なくなるかも。
というか文字数カウントしたらもう1万文字いっててこれもう普通の短いSS一本分だなとか思ったり。

ガムリン?出ますよ。でも1話は基本的に杏子とバサラだけです。2話からまどマギ本編かな……

ではまた次回。レッツファイヤー!


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/30(金) 00:40:28.14bCTbgvmSO (1/1)

おつ!

WIRDRIFE流しながら見てたら使われてるなにこれ怖い

そしていつ終わるんだろうなこれww
本編まだ入ってないwww


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/11/30(金) 01:08:09.08DhcyEPLYo (1/1)

追いついたぞ!
また面白いのが始まってるじゃないか!
そして乙!


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/30(金) 13:51:39.86WYrx9ktDO (1/1)

マクロスは全く見た事ないが歌だけでどうにかなるの?


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/30(金) 14:36:49.70YxnfejwLo (1/1)

×どうにかなるの?
○どうにかしてるの


51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/11/30(金) 17:11:18.666uNewz/Bo (1/1)

歌で敵の心を動かして味方につけたり
歌で敵の攻撃を相殺したりゾクゾク美させたり
歌で宇宙を泳ぐクジラと分かり合ったり
歌で次元断層を無効化したり

歌の可能性は無限大だなぁ……


52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2012/11/30(金) 19:17:03.61bO6JHj2M0 (1/1)


さて、バサラの歌がどんな影響を与えるのか今から楽しみだww


53 ◆DcdG4DxDDg2012/11/30(金) 22:55:34.2961GwPc+60 (14/14)

乙と閲覧を感謝致します。

あ、忘れてた。
DDRの素足プレイは真似しないでくださいね。ドカ踏みなどでセンサーが効かなくなったりする可能性がありますので。

ちなみに自分の作品に置ける歌のスタンスとしては、
「歌『だけ』で、どうにかなるわけありませんよ……メルヘンや……ファンタジーとか、相手が遺伝子レベルで歌に弱いっていうわけじゃあないんですから……」っていう感じです。


マクロス見たことのない人に「マクロス」の歌について簡単に説明すると……(TVのみ。OVAは省略)

・「マクロス」 歌で相手の戦闘民族に対してカルチャーショック(キスも知らない宇宙人にアイドルの歌とか見せたら混乱しまくりになった)を起こす。→攻撃を止めたり、和解することに繋がる

・「マクロス7」 敵「人間から生気(精神エネルギーみたいなの)吸うよ!」→バサラ「俺の歌を聞け!」→敵「歌えば自分でエネルギー作れるからもう人襲わなくていいや。気づかせてくれてありがとー」

・「マクロスF」  バジュラ(なんかすっごい強い生物)と戦いたくない→シェリル&ランカ「「あたしたちの歌を聞け!」」→バジュラ「人間って敵じゃないのか。襲ってごめん」

こんな感じです。作品によって、というか敵によって微妙にスタンスが違いますね。


まあこの辺の歴史とかもあとで小ネタみたいな形でやれたらなあと。



54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/30(金) 22:58:50.62OgWGtYXD0 (1/1)

「プラス」での歌が敵になった事も忘れてはいけないとオモウヨ...


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/01(土) 00:28:33.49nIBzHdxDO (1/1)

歌って凄いんだな


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/02(日) 23:18:01.69a0ymMCqG0 (1/1)

ワルプルギスがシャロン・アップルになってても違和感ないな


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/03(月) 09:39:37.68t/B9yauZ0 (1/1)

どっちも舞台装置込みってかww


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/03(月) 17:35:13.65TNmSG0qdo (1/1)

プラスの演出は凄く良かったわ


59 ◆DcdG4DxDDg2012/12/12(水) 00:08:33.19TdbH7GsY0 (1/1)

えーと、酉はあっているかな?
ドーモ、サクシャ=サンです。現在年末ということもあってシュラバから抜け出せそうにありません。
なので更新できるとしても結構量が少なくなると思われます。どうかご了承ください。

できれば明日か明後日あたりに更新したいと思います。うーん、杏子編を短くするわけにもいかないしなあ。

マクロスの3大要素である歌、三角関係、バルキリーを組み入れるのが大変です(泣)


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/12(水) 09:07:33.41zaMpZ8I9o (1/1)

アイエエエ!サクシャ=サン ドーモ、いつも楽しみにしてます。
今度マクロスのゲーム新作でるけど>>1は買う?


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/12(水) 22:09:28.54eA9Tm5HSO (1/1)

あれ死ぬほど欲しい

のにPS3持ってない畜生


62 ◆DcdG4DxDDg2012/12/13(木) 23:43:44.79PteBu0r50 (1/1)

買う予定は無いですね……というよりやりたいゲームがありすぎるのに忙しすぎて手がつけられないという状況。
バイオ6もEXVSもやりたいのにいいいい……

現在添削作業中。少なめですが投稿したいと思います。もう少しお待ちください。


63 ◆DcdG4DxDDg2012/12/14(金) 00:54:30.552JSgJJ390 (1/4)

人通りが多い、駅の階段を降りてすぐのちょっとした広場には数日前から歌声が聞こえるようになっていた。
音楽に興味のある者や、名のあるアーティストが路上ライブを開いたのかと勘違いをする者、
或いは単純に、興味を惹かれたり心を動かされた者達がその歌を楽しみにしていた。
だがその歌声は2日前からぱたりと止んでしまい、広場はまた以前の様に人の足音と広告を配る若者の声だけが
聞こえるようになっていた。

杏子「歌わないのか?」

杏子が屈みながらバサラに尋ねる。
バサラはというと、杏子の言葉に反応を示さず、あぐらをかいて舗装された地面に座りながらギターをいじくり続けていた。
音程を上げたり、わざと音を外してみたり、コードを変えてみたり……様々なことをしていたがそのどれをやっても
バサラの顔は曇り、首を傾げた。
時々、曲の始まりのようなものになったりもするが大抵は続かずにすぐに音が止まってしまった。
バサラは音を切り上げ、おもむろに立ち上がる。そして、ギターのストラップを肩にかけて背負い、歩き始める。

杏子「どこに行くんだよ?」

バサラ「どこに行こうが俺の勝手だろ」

杏子「勝手に行動するなよ。私らは組んでいるんだからさ」

バサラ「そんな事言って、もう2日も何にもないじゃねえか。いつになったら魔女や使い魔っていうのは出て来るんだよ?」

杏子「そんなこと知らないよ。向こうの事情なんか知らないし、向こうだってこっちの事情をお構いなしに襲ってくるんだ」

杏子「大体あんたは何の力も持たない一般人だ。私が居ないところで結界に巻き込まれて、歌っている間に殺されたりしたらどうするんだよ」

バサラ「……なんか、お前隠し事してないか?」

いきなりバサラは振り返って杏子を見つめる。

杏子「な、なんだよいきなり……」

バサラ「……ま、別にいいけどよ」

杏子「と、とにかく。どこか行くんだったら、私もついていくよ。じゃないと、危ないからな」

バサラ「好きにすれば」

バサラはそう言ってまた歩き始める。歩幅の大きいバサラに追いつくために、杏子は小走りでついていった。



64 ◆DcdG4DxDDg2012/12/14(金) 00:55:02.252JSgJJ390 (2/4)


ハンバーガーショップ

店員「いらっしゃいませー、ご注文は何になさいますか」

バサラ「チーズバーガーとコーラ」

杏子「それとてりやきバーガーのMセット」

店員「ご注文は以上でしょうか」

杏子「はい」

バサラ「おい、奢るなんて俺は一言も」

杏子「好きにしていいって言ったのはそっちだろ。それに、もう今さらだよ」

バサラ「ったく……仕方ねえなあ」

杏子「別にこれぐらい奢ってくれたっていいだろ?仲間なんだからさ」

バサラ「……なんかお前さあ」

杏子「なんだよ」

店員「おまたせしました。チーズバーガーとコーラ。てりやきバーガーのMセットです」

バサラ「……やっぱりいいや」

杏子「は?おい、気になるだろ」

バサラ「別に大したことじゃねえよ」

後ろでまだ騒いでいる杏子を置いて席へと食べ物が載ったトレーを運ぶ。

杏子「お前さ、いつも歌ってばかりいるけれど他にすることないのか」

バサラ「無いけど」

杏子「普通、大人は仕事とかするもんだろ」

バサラ「これが仕事だよ。俺の」

椅子に立てかけたギターの側面を軽く叩いてバサラは言った。

杏子「……ああ、そういや歌手なんだっけ?ふぁいやー……ええと」

バサラ「ボンバー」

杏子「ああ、それ。でもさ、悪いけれどそんな名前のグループ、聞いたことも見たこともないよ」



65 ◆DcdG4DxDDg2012/12/14(金) 00:55:29.452JSgJJ390 (3/4)

バサラ「ならこの星でもすぐに有名にしてみせるさ。全銀河中に俺の歌を響かせる。それが俺の夢だ!」

杏子「銀河って……世界なら分かるけれど随分子供みたいな無茶なこと言うな」

バサラ「無茶かどうかはやってみないと分からないさ。それに、ガキに言われたかねえよ」

杏子「ガキじゃないっての!」

バサラ「そういうお前はどうなんだよ。ここ数日俺の後をついて来て飯をたかって、何かやる事とかないのか?」

杏子「う……私は、いいんだよ。私は別に……」

バサラ「ふーん」

杏子「あ……そういやさ。バサラは私くらいの時、何していたんだ?」

バサラ「俺か?」

杏子「うん。学校とかさ」

バサラ「行ってねえ」

杏子「え……」

バサラ「今と変わらねえよ。ずっと歌を歌っていた。まだ子供だったからレイには施設に入れって言われたけれど嫌だって言って断った」

杏子「レイって?」

バサラ「うちのバンドのリーダー。レイと出会って旅をするようになってからも、
初めは誰も俺の歌を聞いちゃくれなかった。食うものにも困るような日がずっと続いた事もあったな」

杏子はまだ残っている手に持ったハンバーガーの事も忘れ、バサラを話を食い入るように聞いていた。
目の前の傍若無人な生き方をしている熱気バサラという人物がそのような生き方をしていた事があまりにも意外であり、
杏子は驚きを隠せなかった。

杏子「それで、どうやって生きてきたんだよ。お金とか、無かったんだろ?」

バサラ「俺の歌を分かってくれる人がいたんだ」

杏子「歌を……?」

バサラ「広場で歌っていたら、その近所のパン屋のおじさんがパンを分けてくれた」

バサラ「それで俺は気付いたんだ。諦めずに何度も挑戦し続ければ、いつか必ず分かってくれる人が出るって事にさ」

杏子「……そんな事、めったにあることじゃないよ」

俯きながら言う杏子の反応は重々しく、棘があった。

バサラ「……なんか不機嫌そうだな。話せって言ったのはお前だろ」

杏子はバサラから視線を逸らし、目の前のハンバーガーとポテトへと集中した。
底に溜まった細かな氷の隙間のコーラを吸い終わると、バサラがまだ食べ終わっていない杏子を横目に席を立った。

杏子「あ、まだ私は食べ終わって……」

バサラ「俺は先に行くぜ。別にお前について来てもらう必要もないからな」

自分の分だけ片付けるとバサラはギターを背負い、店の外へと出ていった。
杏子は一瞬呆気に取られ、我に返ると大急ぎで自分が頼んだ分を口の中へと入れ始めた。





66 ◆DcdG4DxDDg2012/12/14(金) 00:58:48.312JSgJJ390 (4/4)

ちょっと導入部分だけだけど今日はここまで。
はー、キツイ。仕事中に頭使いすぎて熱っぽくなったの初めてだよ。

ゲームやる暇もないほど忙しい!でもネタは浮かぶ!でも書く時間が無い!
というわけで次回もファイヤー……はー、疲れた


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/14(金) 02:17:15.84Tox4oMKn0 (1/1)

がんばれ


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/14(金) 22:50:46.67ORrHKLtzo (1/1)

うっは、面白いSS発見や!
無理せず、ゆっくり書いて行ってね!


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/16(日) 22:50:17.63qzapYxqn0 (1/1)

バサラってゾラから帰ってきた後またどっか行ったんだよな



70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/26(水) 20:21:21.92k80oCNxd0 (1/1)

楽しみ


71 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 12:49:13.40kwKiSC+10 (1/9)

うーん、未だに忙しい時期が続く。これ春までずっと忙しいな……

頑張って今日か明日には更新します。頭痛いけど2時までには外出せにゃならん。


72 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:17:05.94kwKiSC+10 (2/9)

おっし。まあとりあえず出来た分はいきます。


73 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:18:56.18kwKiSC+10 (3/9)



杏子「全く、ちょっとくらい待てっての」

バサラ「お前、勝手について来てるって事、忘れてない?」

杏子「うぐ……それで、これからどこに行くんだ?」

バサラ「買い物」

杏子「だからどこにだよ……」

肩をすかされるような答えばかりが返ってくる。
会話をしているはずなのに、言葉が届いていないような感覚を杏子は感じていた。

杏子「なあ、どうしてお前はそんなに……って、どうした?いきなり立ち止まって」

バサラの視線の先を杏子も見る。
そこにあったのは、バイクが何台も陳列された店先だった。
杏子の年齢ではまだ何の縁もないと言っていいような乗り物に、バサラは興味を向けていた。

杏子「バイク……?」

少し店頭に並んだバイクを見てから、自動ドアが意味をなしていない出入り口から店内へと入っていく。
少し場違いな感覚を覚えながら、杏子もつられて中へと入る。
店の中には、所狭しと様々な種類のバイク、パーツからヘルメット等が陳列されていた。
その中でバサラはバイクの幾つかへと目をやり、店の奥の方にあるバイクに目を付けた。

店長「何か探しているの?」

バサラの仕草が冷やかしの客のそれではなく、何かを買おうとする客だと踏んだのか、初老の店長が声をかけてきた。

バサラ「アレ、売り物?」

奥の整備場のような少し広めの場所にあるバイクを指さしながらバサラが聞いた。

店長「ああ、これ?やめておいた方がいいよ。少し前に売りに来たのを買い取った物なんだけれどね」

店長「元はいいものだけれど保存状態が悪かったみたいで所々サビだらけ。
おまけに走行距離も2万キロを超えているし、パーツも殆ど純正パーツが残ってない」

店長「正直、どこに行っても二束三文、もしかしたら逆に処分費用がかかるようなシロモノだよ。
どうしてもお金が必要って言うから仕方なく安く引き取ったんだけれど……いつ壊れてもおかしくないよ」

バサラ「ふうん……エンジン、かけていいか?」

店長「いいけど、まだ整備していないから気をつけてね」



74 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:19:47.29kwKiSC+10 (4/9)


バサラは挿しっぱなしになっているキーを回し、セルボタンを押す。
エンジンが低重音を上げて動き出す。
その音にバサラは目を閉じて聞き入る。
数秒、そうした後にエンジンを切って元に戻した。

バサラ「おっさん。これいくらだ?」

店長「おっさ……、いや、それよりも人の話、聞いてた?」

バサラ「売ってくれないの?」

店長「はあ……売り物になるか怪しいものだからねえ……うーん、それじゃ1万円でいいよ」

バサラ「買った」

店長「でも、本当にいいのかい?中古車でいいのなら、もっと整備されているのだってあるのに」

バサラ「ああ。こいつが気に入ったんだ。
それにこいつの音は、まだ走り足りないって言っていた」

店長「音?」

バサラ「あ、そうだ。悪いけれどこれ、このまま置いといてくれ。必要になったら取りに来る」

店長「いいけれど……整備とか出来るの?もう少しお金を貰えればやっといてもいいけれど」

バサラ「悪い、もう金が無いんだ。それにバルキリーに比べたら簡単だよ。それじゃあな」



75 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:20:25.85kwKiSC+10 (5/9)



バサラが店の外に出るとついてきた杏子が声をかけた。

杏子「バイク、乗れるんだ」

バサラ「まあな」

杏子「家、近くにあるの?それとも遠くから?」

バサラ「いや。家は無い」

杏子「え……って、おい」

そのまま歩き出そうとしたバサラを杏子は呼び止めた

杏子「お前、ならどこに泊まっているんだよ。それにさっきのでお金、全部使っちまったんだろ!?」

バサラ「どこだっていいだろ」

杏子は言葉に詰まる。
自分の環境が、他人を心配できるような状態では無いことを指摘されたような気がしたからだ。

杏子「信じられない。馬鹿じゃないのか!?無計画過ぎる……それでも大人かよ!?」

バサラ「何をそんなに怒っているんだ?」

杏子「はあ……もういいよ、全く」

バサラ「変な奴」

杏子「お前に言われたくない!」

憤慨する杏子に構わず、バサラは歩き出す。

杏子「今度はどこに行くんだ?」

バサラ「必要なものは買ったから帰る」

杏子「帰る……?さっき家は無いって言ってたじゃねえか」

バサラは杏子を尻目にそのまま歩く速度を早める。

杏子「おい!……全く、なんか調子狂うよ」




76 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:22:36.83kwKiSC+10 (6/9)


愚痴を呟きながら杏子はバサラを追いかける。
数十分も歩くと、町の郊外には自然が多く、まだ開発されていない山林のような場所も残されていた。
バサラはその方角へと歩みを続ける。ついていくのに疲れた杏子が思わず口を開く。

杏子「なあ、いつまで歩くんだよ」

バサラは杏子の言葉を意に介さずに歩みを進める。

杏子「野宿でもしてるのか?この辺キャンプ場とかもあるけれどさ」

バサラ「へえ、そうなのか」

杏子「そうなのかって……じゃあなんでここに来たんだよ」

バサラ「ついてくれば分かるさ」

杏子「あ、そこ立ち入り禁止って……」

バサラは黄色と黒の危険を示すロープを平気な顔でくぐり抜ける。

杏子「……知らないぞ」

そう言いながら、杏子もそれに習ってバサラの後を追っていく。
つい最近、人の足で踏み分けられたばかりという道とは言えないような茂みの中を進む。
山を訪れる人ですら滅多に訪れることの無い場所に、バサラの目的地はあった。

杏子「は……?」

杏子は目を疑った。何度も瞬きを重ね、口を開いたまま硬直した。


77 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:24:15.08kwKiSC+10 (7/9)

バサラ「なに突っ立っているんだよ」

杏子「なっ……はっ……!?だ、だって、これ!飛行機!?ロボット!?なんだよこれ!?」

バサラ「何って……バルキリーだよ」

自然の中にあるものとしては似つかわしくない真紅色のバルキリーが、
ガウォーク形態(手足のついた戦闘機の状態)でそこに存在していた。
バサラはその足元に背負っていたギターを立てかけ、コックピットに近寄るとハッチを開くボタンを操作し、
中へと入っていく。

杏子「こ、こんなのがどうして……お前、一体何者なんだよ」

バサラ「だから言ってるだろ。熱気バサラ、ロックバンド『ファイヤーボンバー』のボーカルだって」

杏子「普通の歌手はこんな飛行機…あ、いやロボット……?」

バサラ「バルキリー」

杏子「ば、バルキリーなんて物、持ってないっての!……大体、こんなもの何の為に」

バサラ「こいつで歌を聴かせるんだよ」

杏子「どこでだよ」

バサラ「空でも、地上でも、宇宙でも」

杏子「宇宙!?これ、宇宙にまで行けるのか!」

バサラ「当たり前だろ。バルキリーなんだから」

バサラはさも当然の事でも言うかのように杏子の問いに答えながらコックピットの中にしまってある道具を漁る。
目星のものが見つかるとバサラは座席から飛び降り、手提げ用の取っ手が付いた大きな箱を地面の上に置く。

杏子「……?なにそれ」


78 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:26:29.84kwKiSC+10 (8/9)

バサラ「サバイバルセット。テントとか、食料とか。
知らない星で不時着とかしても1週間はこれで生きられるようになってる」

杏子「知らない星で……?お前、じゃあもしかして……宇宙人……?」

バサラ「地球からしたらその呼び方でもいいかもな」

杏子「え……嘘……だよな?」

バサラ「なんだよ。嘘なんかついてどうするんだよ」

杏子「えええっ!?ほ、本当か……?」

バサラ「そんな驚くような事か?」

杏子「あ、当たり前だろ!宇宙なんて、そんな軽々と行けるような所なんかじゃないし。
ま、まさか侵略者!?インベーダー!?い、一体何の目的で……!?」

バサラ「お前、馬鹿じゃないの」

暴走しかけていた杏子に、バサラは冷ややかな視線を向ける。
その視線に、杏子は幾らか落ち着きを取り戻す。

杏子「な、だ、だってよ。そんなの、あり得ない話じゃん」

バサラ「そうか?俺には、魔法だの魔女だなんていう話の方が、よっぽど変だと思うぜ」

杏子「う、そ、それを言われると……確かにそうかもしれないけれど。でも、ならどうしてバサラはここに来たんだ?」

バサラ「分からない」

杏子「はい?」

バサラ「宇宙を飛んでたはずなのに、気がついたらこの星にいた」

杏子「なんだよそれ。記憶喪失にでもなったのか?」

バサラ「いや……多分だけれど、何かに呼ばれたような気がした。だから、俺はここにいるんだと思う」

杏子「何かに呼ばれた……宇宙人と交信でもしている奴がいたってのか?」

バサラ「あのさ、宇宙人っていうけど。お前の思っているイメージ、多分違うからな」

杏子「な、何を根拠に」

バサラ「なんかお前。宇宙人ってタコみたいなやつ全身銀色のやつとかを想像してたんじゃないか?」

杏子「そ、そんなわけ……少しくらいは、あったけど……ん?」

杏子はポケットからソウルジェムを取り出す。微かに光を放つそれを見て、にやりと笑った。

杏子「まあ、この際あんたが何者かって言うことは置いておいてやるよ。見たところ危険は無さそうだしな。
……それより、出番が来たよ」

バサラ「魔女か!?」

杏子「ああ、町のほうにな。まだ反応は弱いから、すぐに行けば間に合う」

バサラ「よっしゃあ!今度こそあいつらに俺のサウンドを聞かせてやるぜ!」

バサラは立てかけたギターを持つとストラップを肩にかけ、勢い良くかき鳴らす。

バサラ「行くぜ、ファイヤー!!」



79 ◆DcdG4DxDDg2012/12/27(木) 21:35:41.45kwKiSC+10 (9/9)

今回はここまで。
ようやく杏子編は4分の3ってところかな。

時系列は色々諸説ありますが、この話はゾラから帰って帰還ライブをやった後、
まあ少しの間は新曲の発表とかをしていたんじゃないかなと思い、
その合間に起こった事件として書こうと思っています。

ようやくバルキリーが出せてひとまず安心。


80VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/27(木) 22:11:36.16iRYzX+vSO (1/1)

おつおつ!
始まった当初から見ております
受験の合間に楽しんでおります


81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/28(金) 10:23:32.30a3I0WsrAO (1/1)

素晴らしいスレに出会ってしまった




82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/28(金) 11:03:00.49hK2hzNDC0 (1/1)

なんか杏子との話の噛みあわなさが
立ち位置は逆だけどエルマを思い出させるなww



83 ◆DcdG4DxDDg2013/01/08(火) 00:02:14.62b64j31LI0 (1/1)

明けましたおめでとうございました。
早速ですがここの所めっちゃ忙しすぎるのでしばらく更新できそうにありません。
生存報告くらいはしますが少しの間おやすみさせて頂きます。具体的には3月くらいまで。


……実は杏子編が書き終わってないのにもうマミ編が殆ど出来ていたりして。エタる可能性は無いのステーキとパインサラダでも食べながら戦闘中に女の話でもして待っていてください。



84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/08(火) 00:07:25.85YEmKSY2c0 (1/1)

乙!、まぁ1殿もリアルでイチャイチャやってるんだ・・うわぁ!!機体の制御が!


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/08(火) 01:48:24.52nuUy4IXwo (1/1)

眼鏡拭きながらまってる


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/08(火) 21:58:49.886D0LZTPd0 (1/1)

たかがこの程度の内容で時間をかけ過ぎ冗長
まさかとは思うが、バサラの歌で魔女に何かしらの影響を与えて問題が解決なんていう
まどか☆マギカを無視した糞展開ならないだろうね?


87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/08(火) 22:27:50.44y8blnHN9o (1/1)

乙! これぞ全裸待機美!!


88VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/12(土) 03:43:23.78GJZzFHRL0 (1/1)

>>86
その展開は既に他で出てるから、違う展開が来ると予想


89 ◆DcdG4DxDDg2013/01/18(金) 22:01:57.01n8CtqnFR0 (1/1)

俺、この戦いが終わったら……「文化」するんだ……

生存報告。続きはもうしばらくの間、お待ちください。
筆が遅いのは本当に申し訳ない……。
内容に関してですが、これでも色々と後の伏線になっていたりするので外せないのです。「展開おせえ」と思われるかもしれますんがどうかご容赦を。
あと、もしかしたら展開が遅いと感じる理由はこの話の展開が基本的にマクロスが基準となっているからかもしれません。
マクロス7は50話アニメ、まどマギは12話アニメ。展開や日常生活の見せ方に違いが出るのはしかたのない事ですね。

というわけでまだマクロス7を見たことがない人は、ほぼ総集編とも言える「劇場版マクロスFB7 オレノウタヲキケ」が2013年4月24日(水)にBlu-ray Disc2アイテム&DVDで発売されるので是非、見ておきましょう!見ればハートがビンビンするぜ!これぞ販促美!



90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/19(土) 22:33:45.97bXzfmC4e0 (1/1)

>>89これから毎話、ガビルポジションの魔女が撃墜されるんですね


91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/23(水) 01:22:51.1928WIweQp0 (1/1)

SSWikiのページを勝手に編集しましたが、気に食わないなら勝手に消してください


92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/02(土) 17:15:00.42WvVgDcVwo (1/1)

マダカー


93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/08(金) 07:16:25.82vhE+piPR0 (1/1)

杏子って、「あんた」「あたし」じゃね?仕様?


94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/08(金) 21:41:55.22/pSQb1lSO (1/1)

「あんた」は知らないがたしかさやか以外はみんな私だったはず


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/08(金) 23:33:53.48q/SsorISO (1/1)

>>93
「あんた」「あたし」で合ってる



96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/19(火) 22:38:20.898ZVeAziSO (1/1)

支援
受験生の者だけど大学受かってたよ!滑り止めだけ!行くけど!!(笑)


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/20(水) 20:41:53.73J6mTNMaIO (1/1)

生存報告。酉付けてないけど。
>>91
「サブタイトルは俺が言うってこと、よく分かってるじゃねえか!」
>>93
うげ、そうでしたか……迂闊だった。
以降はあたしに統一します。



98 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 22:33:20.59f3PJUu/c0 (1/7)

短いですけど更新します。



99 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 22:37:02.94f3PJUu/c0 (2/7)

結界内部

英字の書かれた積み木や人の背丈ほどの大きさのクレヨンが並んでいる。
以前の結界にはこのような具体的な物は見当たらず、抽象的な空間だけが広がっていた。

杏子(やっぱり、そろそろ頃合いか)

バサラ「おい、魔女はどこにいるんだ」

杏子「そう慌てるなって。……おっと、使い魔のお出ましだ」

結界の奥から数体の使い魔が笑いながら飛んでくる。

バサラ「行くぜ!」



LET'S GO 突き抜けようぜ 夢で見た夜明けへ まだまだ遠いけど

杏子「全く、よくやるよ」

靴やティーカップを模した顔の無い使い魔たちががバサラの歌に反応を示し、攻撃を行う。

MAY BE どうにかなるのさ 愛があればいつだって

杏子「やらせないよ!」

それを杏子の槍が払う。格子状の結界がバサラを守る。
バサラの歌が効いているのか、それともただ鬱陶しいと思っているのか、杏子には分からなかった。
使い魔達が金切り声を上げ、車や飛行機に姿を変えて結界の奥へと逃げていく。


100 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 22:40:41.25f3PJUu/c0 (3/7)

バサラ「何途中で帰ろうとしているんだ!最後まで聞いていけよ!」

杏子「バサラ、追うよ!」

使い魔達を追って、杏子とバサラが結界の中を駆けていく。
一面緑色の壁。スケッチブック。クレヨン。
バサラ達を歓迎していないのか、突然上から巨大な積み木やクレヨンが落ちてくる。
それらから逃げつつ進んでいくと、開けた場所に出た。

バサラ「こいつが……」

杏子「ああ。魔女だ」

そこにいたのは、金髪の少女の外見をした魔女であった。
魔女はこちらに目はくれず、床に何かを描き続けている。

夜空を駆けるラブハート 燃える思いを乗せて

バサラが歌い始めると魔女はようやくこちらへと視線を向ける。
だが、まるで興味が無いとでもいうかのようにまた絵を描くために床へと視線を戻す。

悲しみと憎しみを撃ち落として行け お前の胸にもラブハート まっすぐ受け止めて デスティニー

床に描かれた絵が動き出す。それらは使い魔となり、姿を自在に変えながらバサラ達の方へと向かう

杏子「こいつが描いていたのか!」

何億光年の彼方へも 突撃ラブハート

杏子はバサラの方へと攻撃が行かないように敵の注意を引き付ける。
だが、無限に増え続ける使い魔たちの攻撃は防ぎきれず、とうとう車型の使い魔の体当たりが杏子に当たる。



101 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 22:58:59.87f3PJUu/c0 (4/7)

杏子「かはっ……」

バサラ「杏子!」

バサラが思わず歌うのを止める。その時、絵を描いていた魔女が突然しゃくりあげた声をだす。

うえええええええええええええええええん 

うえええええええええええええええええん

バサラ「ぐあっ……なんだよ、この声は……」

泣き声がバサラの歌以上に結界内に響き渡る。
バサラは再び歌い出すことさえ出来ぬまま、相手の泣き声を少しでも防ごうと耳を塞ぐ。
だが、耳を塞いでも身体のいたるところから内側へと入り込むかのようにバサラの身体から力を奪っていく。

バサラ(なんだ……この、悲しい声は……)

バサラ「どうして……お前は……」

杏子「……っく、分かったよ。結局、そうかよ」

杏子がよろめきながら立ち上がる。そこに、飛行機型の使い魔の一匹が奇怪な声を上げて杏子へと爆弾を飛ばす。
爆弾が着弾したところに、杏子の姿は無かった。

杏子「悪いけれど、お遊びはここまでだ」

使い魔が一閃の元に切られて地に落ちる。空中に跳んだ杏子は槍を持ち直し、次々と使い魔たちを切り伏せていく。

バサラ「杏……子!?」

杏子の姿が分身し、泣きじゃくる魔女へと突きや切りを何度も繰り出す。
分身の内の一体が魔女の額を貫いた時、魔女は断末魔の悲鳴を上げて倒れていった。
同じように使い魔たちも次々と力を失うように動きを止めていき、消えていく。
魔女の倒れた後には、黒い幾何学的な文様をした物体が落ちていた。


102 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 23:03:44.16f3PJUu/c0 (5/7)

杏子「ふう……あったあった」

魔女の残滓から杏子は小さな物体を拾う。

バサラ「どうして手を出したんだ」

バサラが怒気を含んだ言葉を放つ。

杏子「……何だよ」

バサラ「どうして戦ったのかって聞いているんだ」

杏子「うるさいなあ。こいつを手に入れるためさ。数日間泳がしていた甲斐があったよ」

バサラ「っていうことは、本当は魔女がいたのにお前は見過ごしていたのか」

杏子「だからなんだよ。あたし達魔法少女には、こいつが必要なんだ」

バサラ「それは……?」

杏子「グリーフシード。こいつが無いと、魔法少女は生きていけない」

悪びれた素振りも見せず、拾ったものをしまう。

杏子「それに、これで分かっただろう。お前のやっていることは無駄なことだって。
お前がどんなに声を上げたって、誰も聞きやしない。現実はそんなに甘いモノじゃ無いって事がさ」

バサラ「例え相手が聞かなくたって、俺は歌い続ける!いや、聞かせてみせる」

杏子は奥歯を噛み締める。

杏子「いい加減にしろよ……」

バサラ「何がだよ」

杏子「無駄なんだよ!お前のやっている事なんて!」


103 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 23:10:28.07f3PJUu/c0 (6/7)

バサラ「杏子……?」

杏子の勢いにバサラは思わず一瞬怯む。

杏子「だって……そうじゃないと……あたしは……」

バサラ「なんで泣いているんだよ、お前」

指摘をされ、杏子は目を拭う。

杏子「っ、泣いてない!とにかく、これであたしとあんたの関係はもう終わりだ」

杏子「もし、またあんたが結界の中にいたとしても、あたしはもう助けないからな」

杏子は踵を返し、結界の外へと走っていった。

バサラ「おい、待てよ!……っぐ」

抜けた力がまだ戻っていないのか、追いかけようとした瞬間にバサラは膝をつく。
結界が崩れていく。辺りから積み木やクレヨンが消えていき、緑色の空間が現実的な配色へと変わっていく。

バサラ「……くそっ!」

バサラは自分の無力さを感じ、地面を叩いた。



104 ◆DcdG4DxDDg2013/02/27(水) 23:11:16.58f3PJUu/c0 (7/7)

取り敢えずここまで。



105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:12:41.560HDwqDbX0 (1/1)

乙美!


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/27(水) 23:21:22.61GkMmFKDG0 (1/1)


バサラの性格と信念は虚淵キャラとウマが合うわけないよね

歌はどんな奴の心にも響くぜ!→心に響くとか響かないとかどうでも良いから、そんな無意味な行動止めろよ→無意味じゃねえよ→もし意味があったとしても知らん、さっさと殺した方が早いわ
になるよな…例えアニマスピリチアが魔女に有効とかって話になったとしても信用しないか、あるいはどうでもいいって感じだろうな


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/01(金) 09:18:52.67yTbtIu2Qo (1/1)

バサラに信念って合ったっけ
事あるごとに俺の歌聞く気になったかい?しか印象にない


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/02(土) 01:12:54.308gzr7Qqr0 (1/1)

>>107
歌で戦いを止めようとして、それをやってのけた男だぞ
スパロボだと敵の改心もしちゃって味方にしてたな


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/10(日) 00:23:08.67HBosEEhAO (1/1)

バサラは信念っていうより、情熱だぜ


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/25(月) 00:40:45.20isHNwwLSO (1/1)

マダー?


111 ◆DcdG4DxDDg2013/03/25(月) 16:29:02.65SO8XubWk0 (1/1)

一難去ってまた一難なぶっちゃけありえない状況が続いてます。
杏子って結構キャラがぶれてるなー。後付でようやく固まったっていう感がすげーっす。

今週中には投下するよていですので少々お待ちを。あと2回くらいで杏子編は終わりそうです。


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/25(月) 18:06:04.31F0X0lVXq0 (1/1)

へーい

>>109
確かに情熱って感じだな
でもあんこちゃんとかほむらみたいに感情<実益みたいなタイプと相性最悪だよな、例え歌で魔女を止めても魔法少女達はグリーフシードの為に魔女を殺しに掛かるだろうし
バサラは例え魔女相手だろうと武力に頼るのは好きじゃない、でも魔法少女は嫌でも武力に頼らないと生きていけない…仲良くする方が難しいわ


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/25(月) 22:42:20.97hKkxnAg10 (1/1)

杏子は悪ぶって感情を押し殺して燻ってるタイプだから大丈夫なんじゃないの?
このssでもなんだかんだでバサラにお節介焼いて、否定しながらも微妙に期待してるっぽいし
相性が悪いのは目的のために手段を問わないほむら、織莉子とかだろ
後、個人的にまどさやがバサラにどういう感情を抱くかは大体想像つくけど
マミさんがどう対応するのか想像できない


114 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 20:52:46.503UnV2Cyl0 (1/9)

お久しぶりです。EXVSにカスタムサウンドトラックでマクロスの曲を入れてやりこんでたらこんなにも月日が経ってしまった……投下します。



115 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 20:56:43.193UnV2Cyl0 (2/9)


雑踏する駅前。少し前から、駅の改装工事の為に通路が一部制限されていた。
白いバリケードが通路を作っている。
風見野市は隣町である見滝原市への通勤に便利ということで、この数年の内に急速に発展しつつある町である。
人混みから外れた場所で、杏子は人の流れを見つめていた。
あまりよく覚えてはいないが、自分が小さかった頃はもっと人通りが少なかったはずだと思い起こす。

杏子「やっぱり、いないか」

確認の為にそう呟く。決して、落胆の感情を持って言ったわけではない。そう自分に言い聞かせる。
広場の一角に、少し前までは頭のおかしいミュージシャンが居た。今でもパフォーマンスをして自己を表現しようと
するものはいるが、そのどれにも人が群がる事は無かった。

ベンチから立って辺りを見回す。ポケットの中を探り、残金がどのくらいあるか確認する。
500円玉が1枚。100円硬貨が2枚。30円と1円が4枚。
外食に限られる今の環境では、せいぜい2食か3食分といったところだ。
心許無い財布事情はいつもの事だが、バサラと一緒に居た時は食べ物の残金を気にしなくても良かった事を思い出して
少しため息をついた。

杏子「まあ、元々関係無いやつなんだから仕方ないよな」

と、ボヤきながら駅とは反対の方向へと歩き出す。
行く宛は無かったが、それでも歩き出したい気分だった。

駅前の賑やかな通りを抜けて、路地へと入る。
食欲を誘う匂いが時折杏子の足を立ち止まらせるが、チェーン店以外で食事をするには杏子の手持ちでは心細かった。

杏子「ちぇっ」

軽く舌を打つ。手持ちが無いのならば、杏子のやることは一つだ。
店頭に商品の出ている店へと歩みを進める。
商店街に並ぶ店の一角に、いつもその目的の青果店がある。
杏子はポケットの中に手を入れ、グリーフシードを握る。それがほのかな光を発すると共に、杏子の姿は
周囲から認識されなくなった。
店頭にある果物へと手を伸ばす。




116 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 21:00:01.143UnV2Cyl0 (3/9)


『もう人の物に手を出すなよ』


杏子「うるさいな!そんなの人の勝手だろ!」

頭の中に沸き起こった声に思わず反応し、声を出してしまう。そうなると、折角の魔法も意味を失くす。

店員「何かお探しですか?」

店の奥から主人が現れ、杏子は伸ばした手を思わず引っ込めた。

杏子「あ……な、何でも……何でもないよ」

杏子は逃げるようにその場を離れる。

それから何度か同じような事をしたが、その度に頭のなかでバサラの声が響いた。
声を振り払おうと、夢中で走る。
自責の念が、杏子を襲う。

杏子「なんだっていうんだよ……一体!」

何故こんなにも、バサラの言葉が響くのか訳が分からなかった。
ふと、見上げる。十字架が目に写った。

杏子「は……?」

大分走っていたようだ、と杏子は思う。前は向いていたが、周りの景色が見えていなかった。
知らなかった道で、知らなかった建物を見つけた。

杏子「教会……?」

その建物に興味を持ち、近づく。
入り口に近づくと、パトカーが数台止まっているのが見えた。建物の中から、警察官と年老いた白髪の女性が出てくる。



117 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 21:01:32.063UnV2Cyl0 (4/9)


警察「行方不明が何度も起こるなんて異常ですよ……」

女性「ですけど……私は何も……」

警察「とにかく、あなたに一番疑いがかかっているんですからね!そのつもりでお願いしますよ」

警察がきつい口調で言い、門の外に出る。一瞬だけ杏子と目があったが、杏子の方から目を逸らす。
パトカーに乗って走りだすのを、老いた女性は最後まで見送り、それから深い溜息をついてその場に膝から崩れ落ちる。

杏子「ちょっと……!?大丈夫か、おばあさん!」

杏子は思わず駆け寄って老婆の身体を支える。
女性は支える杏子の顔を見て、一瞬驚く。

女性「あなたは……?」

杏子「え、と、ただの、通りすがり」

しどろもどろになりながらも杏子は答える。十字架がやけに目についた。

女性「ありがとう。もう大丈夫だから」

杏子「何かあったのか……あ、いや、あったんですか?」

女性「ええ……。実は……」

女性が話をしようとした瞬間に、腹の音が鳴る。顔を赤くして杏子は目を逸らす。

女性「折角だから上がっていって。お菓子もあるから」

立ち上がって、門を開ける。
いつもなら、見栄を張ってでも断っただろうが、杏子には断ることの出来ない理由があった。

杏子(アレの前じゃ、そんな事するわけにもいかないか)

一際大きな建物の上部に取り付けられているシンボルが、日を浴びて杏子の目に眩しく写った。



118 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 23:28:16.313UnV2Cyl0 (5/9)

杏子たちは建物の中に入ると、ウレタン塗装がされた木の床の入り口で靴を脱いだ。
事務室のような場所へと女性が入っていくのを見ながら辺りを杏子は落ち着きなく見回す。

女性「あまり聞き覚えが無いかもしれないけれど、児童養護施設っていうの。知っている?」

杏子は首を横にふる。

女性「そうでしょうね。私はここの園長をやっているわ。はい、お菓子と、お茶」

杏子「あ、ありがとう……ございます」

初対面の人物に対し、こんなにも気を許すものかと杏子は少し疑問を持つ。
対面の席に座ると、院長は手を組み合わせた。その所作を杏子は知っていた。

杏子「お祈り……」

園長「あ、そうね。ごめんなさい。ここの習慣だからつい……別に気にせずにどうぞ」

杏子「いや、いいよ。私もするから」

そう言って杏子も手を胸の前で組み合わせる。

杏子「天におられる私達の父よ
   皆が聖とされますように
   みくにが来ますように
   御心が天に行われる通り、地にも行われますように。
   私達の日ごとの糧を今日もお与え下さい。
   この言葉を 我が主の名の下に通します。
   
    アーメン」

杏子は、自分の口から出た言葉に自分で驚いていた。
もうすっかり神様など信じてはいないと思っていたが、どうやら小さな時から身に染み付いた習慣というものは
忘れようと思っても忘れられるものではないらしい。

園長「あら、お祈りの言葉を覚えているなんて……」

杏子「大したことないよ。家が教会だったから、それで……」

園長「教会……?」

杏子「あ……」

杏子は慌てて口を噤む。もしかしたら自分の身の上を知っているかもしれない。
そうなると、少し厄介だ。杏子の親に対して、世間がどんなイメージを抱いているかくらいは
なんとなくは理解しているつもりであった。

杏子「あ、あのさ。この飾ってある絵は子供が書いたの……ですか?」

園長「ええ、そうだけれど」

杏子「へえ。これは飛行機……これはボールで遊んでる……。養護施設って言っていたけれど、
ここって、孤児院みたいな場所なのか……あ、いや……ですか?」

園長「色んな理由で親と暮らせなかったり、独りになった子供たちを預っているわ。小さい子では、
それこそ赤ちゃんから、上の子は高校生まで」

杏子「色んな理由?」

園長「経済的な理由だとか、虐待を受けているとか……或いは親と死別して親戚にも宛がないだとか……」



119 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 23:29:25.103UnV2Cyl0 (6/9)


それらの理由は杏子にとっては特別なものではなく、身近に感じられるものであった。
そう思うと、途端に施設内の物にも興味が湧いてくる。
辺りを見回す。壁に立て掛けてある折りたたみ式の机がこの園のおおよその人数を教えてくれた。
白い壁紙には子供が書いたらしい落書きの跡がうっすらと見受けられる。
消そうと試みたようだが、上手く行かなかったようだ。

杏子(モモと同じくらい歳の子かな……)

ふと、そこに自分の妹が居るような感覚がした。
クレヨンを床に散らばせ、親に怒られながらも出来た作品を満足そうに見つめる妹と過去の自分。

杏子(私だけじゃないんだな)

自分がこの世で最も不幸な人間だと自惚れていたわけではない。
だが、少なからず自分は特別な人間なのだと思っていた。
幸せになるために魔法少女になったが、そのおかげで家族は心中し、自分は父親に魔女と蔑まれた。
同じ境遇の者など、居るはずが無い。
少なくとも、今まではそう思っていた。

杏子(私の望みなんて……)

園長「佐倉さん?」

杏子「あ……え、何?」

園長「いえ……涙が出ていたから」

そう言われて、杏子は自分の目元を手で拭う。確かにじんわりと湿っていた。

杏子「いや、これは……違くて……」

不意に涙が流れてしまった。
何が悲しいという具体的な理由は無い。

杏子「違う、これは、そうじゃなくて……」

安心?優越?同情?

どれとも言えない感情が杏子の中に渦巻く。
グリーフシードを持つようになって、杏子は複雑な感情を抱くことをやめていた。
悩みはグリーフシードを濁らせ、戦いにおいては迷いを生み出すからだ。

園長「……あなたも、辛いことがあったのね」

杏子「え……?」

見透かされたような言葉に、杏子は驚く。

園長「長い間色んな子供たちを見てきたわ。色んな事を抱えて、色んな辛いことがあって……。
でもね、『哀しみ』という感情はみんな同じものなのよ。
あなたが感じたのも、きっとそう。だから、違うなんて事は無いわ」

なぜ、自分が涙を流したのか分からなかった。
言われた事が、本当に正しいのかも分からない。

杏子「……うん」

でも、それが正しいのだと思った。
少なくとも、胸につっかえていたものが軽くなった気はした。



120 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 23:29:54.743UnV2Cyl0 (7/9)


杏子「ありがとう…ございました」

慣れないお礼の言葉を言いながら見送りに来た園長に頭を下げる。
ふと、疑問が起こった。ここで、生活が行われているのであれば誰かがいるはずだろう。
なのに、先程から子供の声が聴こえない。人の気配すらもしなかった。

杏子「あの、さ。ここの子たちと会ってみたいんだけど」

杏子がそう聞くと、途端に園長は顔を曇らせた。

園長「……どうして、あの子たちが」

杏子「え……」

園長「……行方が分からないの」

杏子「あの子たちって……何人くらいが」

園長「夜消灯を確認した時には全員いたはずなのに、翌日の朝にはもぬけの殻だった。
ここに居た子供たちが、まるで魔法のように人が一夜の内に消えていた……」

園長の声は震えていた。自分が見たことを自分でも理解できていなかったからだ。

杏子「魔法……」

園長「何を言っているのと思うでしょうね。警察にもまるで聞き入れてもらえなかったもの……」

驚愕や焦燥が入り混じったため息をつく。唖然とする杏子に、苦笑を向ける。
そんな事を、初対面の人に言うべきでは無かったという自嘲の意味も含まれているのだろう。

杏子「信じるよ」

園長「え?」

杏子「おばさ…園長さんは優しい人だし、嘘なんかつかないと思う。
居なくなった子供たちだって……きっと帰ってくるよ」

苦笑に対し、杏子は素直な笑みで答えた。

園長「……そう言ってもらえると嬉しいわ。ありがとう」




121 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 23:32:37.963UnV2Cyl0 (8/9)


施設を離れて、数分ほど歩いてから杏子は自分が発した言葉に対して後悔をした。

杏子(なんであんな事言っちまったんだろう)

希望を祈れば、それだけ絶望も深くなる。
自分では、そう分かっていたはずだった。だが、口から出たのは苦笑いが出るほどの根拠の無い楽観的な希望。

杏子「それでもさ……言えないじゃん」

「何を言っているんだい?杏子」

前触れもなくかけられた声に驚く。
だが杏子はすぐに平静を装い、沈んでいた表情を苛立ちに変える事で誤魔化す。

杏子「いきなり何の用だよ、キュウべえ」

そこに居たのは白く耳の長い小動物。
杏子はこの動物とは見知った間柄だが、どういう生き物なのかについては殆ど知らない。
ただ、この生き物と魔法少女の契約を交わした事で希望と絶望を一遍に手に入れたということ。
そして、キュウべえという呼び名と言葉を伝えるのに口を動かす必要が無いということは知っている。

QB「随分不機嫌な様子だね。魔女を倒してグリーフシードも手に入れたというのに。
何か悪いことをしたのなら謝るよ」

杏子「なんだよ、知っていたのか。ああ、それとお前のまるで心の篭っていないような謝罪なんて聞きたかねえからな」

QB「人間のそういう論理的でない所は全く理解が出来ないよ」

キュウべえが困ったような声を出す。

杏子「あんたがわざわざ声をかけてくるって事は、何かあるってことか?」

QB「その通りだよ。実は君に協力して貰いたいことがあるんだ」

杏子「協力?」

QB「君が一番適任だと思ったからね。大した事ではないけれど」

杏子「ふうん……ま、あたしもあんたには聞きたいことがあったから丁度いいか」

QB「僕に聞きたいこと?」

首を傾げるキュウべえに、杏子はまっすぐ見つめながら問う。

杏子「魔女の正体って、何だ?」


森林公園

バサラは丸太の上に座り、曲を書いていた。
用紙上には、音楽の知識がある者でも何人が理解できるだろうかというような
複雑さと難解さを持った音符のような何かしか書かれていないが、分かる人には分かるらしい。
思いついたフレーズを書いては弾くが、音が合わずに書いたばかりのフレーズを消す。
それを消すと、更に前の部分も合わないことに気がつく。

譜面が丸められて灰ばかりの薪の中へと投げ入れられた。

バサラ「何かが足りねえ……」

空を見上げる。ゆっくりと雲が流れていく。
曲にならないコードをギターで弾く。

バサラ「空……青いな……」


空の色が変わる頃になっても、バサラの目の前の譜面に曲は書かれていなかった。




122 ◆DcdG4DxDDg2013/03/31(日) 23:38:21.403UnV2Cyl0 (9/9)

今回はここまで。

やっとキュウべえ登場。あと結構オリジナル展開入ってます。
自分としては、杏子編はよくあるOVAで言う第0話みたいな本編に入る前の話っぽく書いていますので
「本編はよ」、という人はもう少しお待ちを。

なるべく隔週ペースに戻しますので気長にお待ちください。



123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/01(月) 20:08:37.34CE2qMpldo (1/1)

乙!
たのしみにまってるぞ


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/05(金) 18:10:31.962LOAr2KL0 (1/1)

乙。
なんという俺得スレ


125VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/08(月) 00:40:37.21aHxqTSXM0 (1/1)

スレ見てる人の数って、
書き込んでる人の十倍はいるよな


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/08(月) 22:22:10.90azk6KY2Z0 (1/1)

>>125
え、そうなの?


127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/18(木) 13:47:23.59XL8p0KDt0 (1/1)

ま、まだか…


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/19(金) 13:03:55.963wK4sFMAO (1/1)

4月は色々と忙しいと思うが無理せず続けてほしい

サブマリンストリートで待機してる


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/19(金) 18:46:21.62TAGHwT6P0 (1/1)

「全機、サブマリンストリート!」


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/19(金) 19:28:11.30pkJye3tB0 (1/1)

>>126
十倍は言いすぎた。
三倍よ、三倍。


131 ◆DcdG4DxDDg2013/04/21(日) 17:45:05.90awznPD3n0 (1/1)

とりま生存報告。
新年度って忙しすぎワロエナイ
ようやく色々余計なことから解放されつつあるので大丈夫です。
「自分の時間を持つ」「人間関係も良好に保つ」
両方こなさなきゃいけねーのがSS書きの辛いところだな……


132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/25(木) 14:53:01.81hxNZXdVAO (1/1)

乙。

>>129隊長の指揮に従い、1を待ち焦がれる覚悟はいいぜ
オレはできてる


133 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 19:16:15.83IqRXu/Lm0 (1/13)

投下を開始する。今回と次で杏子編は終わりそう。
杏子編でやりたいこと詰め込んだら意外に長くなった。全機、フォーメーションプラネットダンス!


134 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 19:54:27.92IqRXu/Lm0 (2/13)


塀の上に登り、まるで猫のような姿勢でキュウべえは杏子に話しを続ける。

キュウべえ「魔女の正体?それを聞いて、君はどうするつもりなのかな?」

杏子「なんだよ。どうって、別に」

キュウべえ「君がそれを知る必要はないと思うけれど。何故そんな事を急に聞こうと思ったんだい?」

キュウべえの言葉には、困惑や動揺の素振りは見受けられなかった。
その態度に杏子は自分の興味に自信を少し失う。
杏子の脳裏に映ったのは養護施設に飾ってあった絵である。何故かは不明だが、それらが初めて見たものとは思えなかったのだ。

杏子「ただ、ちょっと気になることがあったから。でも、大した事じゃないだろう?教えてくれたっていいじゃないか」

キュウべえ「君たちは自分たちが毎日食べるものについて、その生育や食材になるまでの過程をいちいち知りたいと思うのかい?」

杏子は言葉を詰まらせる。

キュウべえ「それとも、それは君にとって余程重要なことなのかい?それなら……」

杏子「ならいいよ、そこまで知りたい事でも無いし」

キュウべえの呆れたような表情をした。

キュウべえ「なら、僕の話に移ろうか。さっきも言ったけれど、君には頼みたいことがあるんだ」

杏子「頼み事なんてめずらしいな。面倒な事ならお断りだけど」

そう言いながら、杏子はいやな予感もしていた。キュウべえが、どんな依頼を投げかけてくるのか予想がつかなかったからだ。

キュウべえ「簡単なことさ。君は、熱気バサラという人物を知っているかい?」


135 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 20:01:43.80IqRXu/Lm0 (3/13)

杏子「はあ!?なんでお前があいつを」

今、一番聞きたくない人物の名前を予想外の相手から聞かされて杏子は動揺する。

キュウべえ「その様子だと彼の事にはやっぱり詳しいようだね」

杏子「う、く、詳しいわけじゃないけれど」

キュウべえにそう言われて、杏子は改めて自分があまりバサラの事をよく知らないことを思い知る。

杏子「でも、なんだってあいつの事なんかをお前が知りたがるんだよ」

キュウべえ「君は、彼がどうして常人には見ることさえ出来ないはずの魔女の結界の中へと入ることが出来るのか、知りたいとは思わないのかい?」

杏子「!……それは」

キュウべえ「彼の存在はとてもイレギュラーだ。だから彼の行動が予測できない上に、君たちにとって有益かどうかさえも分からない」

杏子「それであたしにお前の手先になれってか。はっ、面倒だし嫌だね」

そのまま、キュウべえのいる側とは反対の方向へと歩き出そうとする。

キュウべえ「本当にそう思っているのかい?」

立ち去ろうとした杏子をキュウべえが呼び止めた。

杏子「……どういう意味だよ」

キュウべえ「これでも、僕は君たち人間の事をよく調べているつもりだよ」

キュウべえ「君たちはたまに自分の本心でない言葉を口にすることがあるという事も理解しているつもりさ」

杏子「あたしが、嘘でもついてるっていうのか?」

キュウべえ「君だって、部外者に魔法少女の戦いの中に入られるのは嫌なんじゃないのかな」

顔だけを少し振り向かせ、キュウべえは杏子にそう言う。
赤い瞳に、杏子の後ろ姿が映る。

杏子「あたしは……」

キュウべえ「無理強いはしないよ。別に彼を四六時中監視してほしいだなんて言うつもりじゃない」

キュウべえ「ただ彼を見て、何か気づいたことがあったら教えてほしい」

杏子「……ちっ」

舌打ちをして、返事をしないまま杏子は歩みを進めた。

キュウべえ「全く、人間という生き物は合理的でない行動を取ることが多くて困るね」


136 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 20:43:43.69IqRXu/Lm0 (4/13)

日がすっかり沈む頃になると、公園を訪れる人は一気に少なくなる。
敷地が広く、キャンプ場にもなっている森林の中を杏子は気配を消しながら歩く。

杏子(あいつの思惑通りに動くっていうのは気に入らないけれど……)

バサラのバルキリーが視認出来る距離から辺りを警戒しながら少しずつ近づく。
ほんのりと焚き火の灯りが見える。切り株の上に腰掛けたバサラの目の前には譜面台が置かれていた。

杏子(あいつの事を調べろっていってもなあ……)

どんな顔をしてバサラに会えばいいのか、声をかければいいのか、杏子は分からなかった。

杏子(いや、私は悪くない。そもそも、あいつが首を突っ込むから)

おもむろにバサラが立ち上がる。動きに思わず杏子は身をすくめる。
しかし、立ち上がったバサラはその後すぐに立つ力をなくし、足元がふらつきだす。

杏子「あ、ちょっと!?」

どうにか最後の力で火の方には倒れなかったものの、地を背にしたままのバサラへと思わず杏子が駆け寄る。

杏子「おい、大丈夫かよ!?」

大きな腹の音が聞こえる。一瞬自分かと思った杏子は自分のお腹を抑えたが、どうやら自分では無いらしい。

バサラ「腹……減った」

バサラが、杏子の顔を見上げながら言う。

杏子「お前……馬鹿か」


137 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 20:45:10.65IqRXu/Lm0 (5/13)


杏子がサバイバルセットの中から食料を取り出してバサラに渡すと、
バサラはその渡された食べ物の袋を開け、すごい勢いで口の中へと入れていく。

杏子「腹が減って倒れるって、どんな状況だよ。あたしだって、流石にそこまではないのに」

バサラ「ずっと曲を作ってた。それで、2日くらい全然飯を食っていなかった」

食べながらバサラが答える。その集中力に呆れて杏子は言葉をなくす。

バサラ「それよりも、なんでお前はここにいるんだ?」

杏子「う、そ、それは……」

正直に答えるわけにもいかず、少し思案顔になる。
それを見てバサラは突然察したような声を上げた。

バサラ「ああ、なるほどな」

杏子「え、何が?」

バサラ「お前、俺の歌を聞きに来たんだろ?」

杏子「は、はあーっ!?」

バサラ「違うのか?」

杏子「そんなの、違うに……」

そこまで言いかけて、しかし他に適当な言い訳も思いつかない事を頭のなかで思い直す。

杏子「……いや、やっぱりそうかも」

バサラは杏子のその返事を聞くと、嬉しそうに微笑した。
そして、側に立てかけてあったギターを手に取ってかき鳴らす。

バサラ「マンツーマンライブだ。遠慮無く聞いていけよ!」



138 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 20:47:18.96IqRXu/Lm0 (6/13)

♫どうにもならない事ってあるだろ どんなに頑張っても

♫全ては真っ暗星さえ見えない そんな夜が続く時

♫俺は気づいたんだ とりあえずできることをすればいいと

♫It's my WILD LIFE いいかげんでゆこう

♫どうにか先へ進もうぜ

♫なんとかなってしまう all right

曲の間だったが、バサラは手を止めた。
黙って曲を聞いていた杏子はそのまま俯いたままだった。

バサラ「どうしたんだよ」

杏子は、はっとして顔を上げる。

バサラ「なんで俺の曲を聞いているのにそんな顔しているんだよ。聞きに来たんじゃないのか?」

杏子「……分かんない。自分がどうしてこんなことやってんのか」

バサラ「どういう事だ?」

杏子「柄にもない事言ったり、余計なことばっかりしたり。もう、そんな事しないって心に決めていたのに」

杏子「なんだか、自分で自分が分からなくなってさ」

吐き捨てるように言い、塞ぎこむ杏子を前にしてバサラは頭を掻く。そして、再び曲を弾き始める。

♫It's my WILD LIFE いいかげんでゆこう

同じフレーズをもう一度弾く。

♫どうにか先へ進もうぜ

また、同じフレーズを弾いた。



139 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:03:55.66IqRXu/Lm0 (7/13)

杏子「何を?」

バサラ「歌ってみろよ。そうすりゃ、歌の良さが分かるぜ」

杏子「私が……歌を?」

バサラ「ああ、行くぜ。俺の後に続けて歌え!♫どうにもならない事ってあるだろ」

何を勝手なことを、と杏子は内心呟き、冷ややかな目でバサラを見る。
だが、バサラの歌は止まらない。彼が使い魔や魔女の前で歌った時のように。

杏子「やめろよ。そんなことしたって」

♫全ては真っ暗星さえ見えない そんな夜が続く時

杏子「だからさあ……」

♫俺は気づいたんだ

杏子「やめろっての!!」

♫とりあえずできることをすればいいと

♫It's my WILD LIFE 自分勝手にゆこう

杏子「っ……ああ、もう!イッツマイワイルドライフ 自分勝手にゆこう!」

このまま止めようとしても止まらないのならと、自棄になって杏子は後に続けて歌っていく。
それを見て、バサラは表情を和らげる。



140 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:12:51.65IqRXu/Lm0 (8/13)


♫どうにか先へ進もうぜ

杏子「どうにか先へ進もうぜ」

♫なんとか なってしまう ALL RIGHT!

杏子「なんとか なってしまう オールライト」

♫答えはついてくるのさ

♫あの波に飛び乗ろう

YEAH YEAH YEAH

♫It's my WILD STYLE 笑って生きてやる

♫ぶつかっても構わない

♫涙は 飲み込んで OH YEAH!

♫運なんて向いてくるさ 光を

♫目指す限り!

バサラのリードに乗せられ、前に路上で聞いた時の歌詞まで歌う。
歌っている間、杏子は自分が思ったよりも夢中になっていることに驚く。
まるで普通の年頃の少女が歌うように、例え一時であっても憂鬱な事など無いかのように。

バサラ「よおっし!」

バサラはバルキリーのコックピットに乗り込むとボタンを幾つか操作する。
ホバーが発生し、風圧に杏子は少し怯む。


141 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:28:10.37IqRXu/Lm0 (9/13)

バサラ「おい、杏子。乗りな!」

杏子「乗るって、それに!?」

バサラ「ああ。星を見に行くのさ」

空を指さしながらバサラが言う。

杏子「星?星なら、ここからでも見えるだろ」

バサラ「分かってねえなあ。お前が見てるものなんか、この宇宙のほんの一部にしか過ぎないってこと教えてやるよ」

急かすバサラに渋々といった様子で従い、差し出されたバサラの手を取って操縦席に飛び乗る。
抱えるように杏子と席に座り、ギター型の操縦桿を下ろす。

バサラ「舌を噛まないように口を閉じて、しっかり掴まってろよ」

杏子「お、おい。掴まるってどこに!?」

バルキリーが垂直に上昇し、空中で戦闘機の形態へと変形する。
バーニアに火が灯ると、急激に加速し、そのまま弧を描くように上昇していく。

バサラ「行くぜ!」

杏子「うわっ!おい、バサラ!」

杏子の声も聞かずにバサラはギター型の操縦桿で曲を弾き始める。
掴まるところを探し、無いと諦めた杏子は一瞬躊躇ってからバサラの身体に掴まる。



142 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:34:46.30IqRXu/Lm0 (10/13)



♫夢を見たんだ 君の夢を

♫青いコスモス 胸のロケット

上昇するたびに杏子の身体に重力がかかる。耐えられないほどでは無いが、慣れない感覚に目を瞑る。

♫シンプルだろう 答えなんてさ

♫ヘッドフォンから 懐かしいメロディ

街の光が小さい点になる。雲を抜けて、まだ上昇を続ける。

♫後先考えず 進んできたけど

♫いつも 明日は そう笑いかける

上昇が止まった。
圧力を感じなくなり、杏子は目を開ける。
黒と青のコントラストが目に映った。
その青色が自分の住む地球である事に気が付き、言葉を漏らす。

杏子「本当に……宇宙だ……」

♫満天星屑ハイウェイ

♫君に見せてあげたい

♫突然軌跡描く 流星(シューティングスター)

♫六感 引き寄せられてく

言葉を失くし、それからしばらくの間杏子は操縦席から見える景色に心を奪われていた。
バサラの言ったとおり、星の数は地上から見える数より遥かに多かった。


143 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:39:15.28IqRXu/Lm0 (11/13)

杏子(馬鹿みたいだ)

心の中で呟く。

杏子(あたしが知っている事なんか、ほんの少ししか無いのに)

杏子(それなのに、全部分かったような気でいて……)

♫どこにもない 虹を探し

♫螺旋の中 俺は進んでいく


~見滝原市の路地裏~

QB「どうしたんだい、マミ」

マミ「ううん、なんでもない。けど……」

使い魔を倒した巴マミが不意に立ち止まる。
結界が晴れて、建物の隙間から空が見える。

♫生まれ変わる 全てスクラップ&ビルド

♫でも希望は この胸の中さ

QB「けど、なんだい?」

マミ「歌が……聞こえた気がしたわ」

♫どこまで行っても空は続いてる

♫俺の一歩 全て 始まりさ

マミ「降り注ぐような誰かの歌声が」



144 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:48:36.21IqRXu/Lm0 (12/13)

~見滝原市 住宅街~

まどか「それにしても、さやかちゃんと同じクラスで良かったあ」

さやか「へっへーん。困ったことがあったら何でも頼りなさい」

まどか「勉強とか……」

さやか「ゴメン。それは……パス」

♫燦然 輝くリズム

♫君に 感じてほしい

まどか「あれ……?」

さやか「ん?どうしたの、まどか」

♫琴線 触れる熱い言葉

まどか「さやかちゃん、何か音楽流してる?」

さやか「いんや?CDプレーヤーは持ってるけど電源は入れてないよ」

まどか「なんだろう……この歌なんだか凄く……」

♫もっと空に撒き散らそう

それからしばらく、バサラの演奏が続いた。
熱が冷めるまで歌い、杏子はそれを聴く。

♫満天星屑ハイウェイ

バサラたちが再び地に着いたのは、日が青色の球体の裏側から出てきたのを見届けてからであった。




145 ◆DcdG4DxDDg2013/04/26(金) 21:49:23.77IqRXu/Lm0 (13/13)

とりあえず今回は以上です。
次で杏子編ラストに出来れば……いいな


146VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/26(金) 22:11:43.81LCX5d89M0 (1/1)

おつおつ


147VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/26(金) 23:11:42.11Ds/iMxUAO (1/1)

乙!更新美!

このバサラさんマジバサラさんだな
そして杏子ぐうかわ

続き楽しみにしてる


148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/27(土) 20:58:19.75CxXAb4+t0 (1/1)

シビルに銀河を見せてもらったバサラを今度は見せる側の役にしたか
なるほどな~


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/08(水) 17:50:25.916ap+Pho00 (1/1)

乙!


150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/09(木) 22:00:13.15dwXZuAs3o (1/1)

バサラさん相変わらずな格好よさだ
杏子の心にしっかり歌が届いたな


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/11(土) 14:20:24.48Mw3qzrNxo (1/1)

ゾクゾク美!


152 ◆DcdG4DxDDg2013/05/12(日) 23:50:24.41Gv4dsfui0 (1/1)

乙と閲覧に感謝いたします。今週は法事などで忙しかったので更新は来週の予定です。

見返してみると結構誤字などが多くて泣ける……
あと歌詞の前に♫って入れるのと入れないのどちらがいいのでしょうね。
前回は杏子の歌との差別を図るために入れたのですが、その前では入れてなかったので統一したほうがよかったのかなあと。
杏子編書き終わったら清書しようかなあ……。そんで本編はまた新スレ立ててからにしよ。


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/13(月) 01:33:08.93mvfIfSd60 (1/1)

♫が入ってる方が良い


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/13(月) 22:04:39.65SJnBNRCSO (1/1)

施設の子供は使い魔に殺られたか、それか口づけでおびき出されたか、どっちなんだろう


155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/15(水) 19:31:00.667+q9ZnmAO (1/1)


統一感とかそんな細かく考えんでも
の匙加減はその時の気分でいいと思う
正直そっちより話の続きの方が気になる



156 ◆DcdG4DxDDg2013/05/24(金) 22:57:35.32nLO7rN8a0 (1/1)

うp主です。
少し精神汚染的な内容にしようと「きみのためなら[ピーーー]る」と「赤ちゃんはどこから来るの」を聞きながら書いてます。
明日更新する予定なのでもう少しお待ちください。


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/25(土) 00:51:13.653sHNWglAO (1/1)

乙!


158 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:16:01.80EP33AN470 (1/9)

さーてと。予想以上に長くなった&使用曲も増えた杏子編もようやくラストとなります。はー長かった。
それでは投下開始します。


159 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:17:55.69EP33AN470 (2/9)


杏子「ん……朝……?」

杏子が目を覚ましたのはテントの中である。服は着たまま。持ち物も残金も変わりはない。
昨晩、バルキリーに乗って歌い明かした杏子は地上に着いた途端に眠気に襲われ、
バサラに言われるままにテントへと向かい、髪留めだけ外すと寝袋に入ってすぐに眠ってしまった。

杏子「……!いや、何もするわけないか。あいつのことだし」

テントの外に出るとバサラが火を起こしているのが見えた。

バサラ「おう、杏子。起きたのか」

杏子「う、うん」

バサラ「じゃあ、これ」

そう言うとバサラは飯盒を杏子の前に差し出す。

杏子「何これ?」

バサラ「水汲んできて。あと、ひどい寝癖がついてるぞ」

杏子「え……あ!わ、分かったよ馬鹿!」

杏子はバサラからひったくるように飯盒を奪い取ると、水場へと向かう。

バサラ「……なんで怒ってんだ?ぅアチッ!?」

呆れるように呟いた瞬間に火おこし器で起こした火花が着火剤に燃え移り、熱に思わず手を引っこめた。



160 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:22:35.78EP33AN470 (3/9)

蛇口から流れる水を手で掬い、顔を洗う。山から直接引いたという水はひんやりと冷たかった。

杏子「デリカシーってのが無いのかよ、もう」

呟きながら髪をまとめ上げる。寝癖で乱れた髪を直し、慣れた手つきでポニーテールを作る。

杏子「……でも、あたしは本当に宇宙に行ったんだよな」

眼の奥に宇宙で見た星々が映る気がした。振り返って、バサラがいた方向を見る。
着陸の際に辺りの木を倒してしまったせいか機体が木々で隠しきれず、杏子がいる場所からでも機体の翼部分が見えた。

杏子「あれ、まずいよなあ」

ふと、ポケットの中に手を入れる。ソウルジェムを中から取り出して眺めた。
宝石のような形状をしたそれは、太陽の光を受けて輝く。

杏子(ここんところ、グリーフシードは使っていないってのに全然汚れていない……)

杏子は近いうちに自分の身の回りに起こったいつもとは違うことを考える。
バサラの事しか思い当たらなかった。

杏子(あいつの歌が?)

キュウべえに言われた事を思い出す。バサラがイレギュラーな存在だということ。
魔法少女に対して、有益な存在か害を与える存在かも分からないということ。

杏子(あいつがどういう奴なのかは、まだあたしも分からない……けど)

そう思った刹那、手に持ったソウルジェムが反応を示した。



161 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:23:39.34EP33AN470 (4/9)



杏子「お前、これからどうするんだ?」

朝食を食べながら話を切り出したのは杏子の方であった。

バサラ「俺が?」

杏子「このままこんなのを置いておいて、いつか誰かにバレるかもしれないだろ」

杏子がバルキリーを指さして言う。

バサラ「バレるって……何が問題なんだ?」

杏子「普通の人はこんな物持ってないの!持ってたら、警察に捕まっちまうよ」

バサラ「バルキリーを持っているだけで逮捕されるのか?……変なの」

杏子「……もうなんかそういうのは慣れた」

杏子は食べ終わった食器を置いて立ち上がってバサラの前に立つ。

杏子「あたしがこいつを魔法で上手く隠しといてやるよ。その代わり、頼みがある」

バサラ「頼み?」

杏子「……もう一度、あたしにお前の力を貸してほしい」

複雑な心持ちだった。
元々、バサラとの出会いはギターケースを盗んだ事から始まる。
そして、一度は歌を否定し、一度は彼を利用した。
虫のいい話で、怒声を浴びせられる事も覚悟していた。

バサラ「俺の歌を、またあいつらに聴かせるってことか?」

杏子は頷く。

バサラ「いいぜ」

バサラの返事は簡潔で、早かった。

杏子「ほ、ほんとに……?」

バサラ「何を驚いているんだよ。歌ってほしい奴がいて、歌を聞かせたい奴がいる。それだけの話だろ?」

杏子「……なんでお前はそうやって簡単に考えられるんだよ。あたしだって、もっと色々考えるのにサ」

バサラは杏子の愚痴など聞こえていないとでも言うかのように手にとったギターを持って適当に歌っていた。


162 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:24:32.31EP33AN470 (5/9)


風見野市~路地~

バサラ「随分、早い時間から現れるんだな」

杏子「こんな時間に現れるって事は、それだけ規模のでかい魔女ってことだよ」

バサラ「前に、お前が倒したのは?」

杏子「……多分、あれは使い魔が成長したものだと思う。今思うと、あれを倒している間に本体が成長したんだと思う」

杏子は話しながら路地を進む。ソウルジェムの反応を見て結界の方向へと進んでいく。
しかし、杏子の探知能力は魔法少女の中でも特別優れているというわけでも無く、漠然とした反応を頼りに歩みを進めていた。

杏子「なあ、お前は前に魔女の結界に巻き込まれた事があったよな。ひょっとして、魔女の居る位置はお前にも分かるんじゃないのか?」

バサラ「いいや。はっきりとは分からない。けれど」

杏子「けれど?」

バサラ「あの時は確かに聞こえたんだ。俺を、俺の歌を呼ぶ誰かの声が」

杏子はため息をつきながらも、妙に納得した。バサラには、自分の聞こえていないものが聞こえて、見えないものが見えるのだと、
何となく分かった。

杏子「今はどうなんだ?」

いきなり、バサラは無言になる。

杏子「バサラ?」

バサラ「……何か聞こえないか?」

杏子「聞こえる……?いや、何も聞こえないけれど」

バサラ「足音……子供の声……泣き声か?」

杏子「お、おい。いきなり走るなよ。危ないだろ!」

バサラ「向こうだ!」

杏子「ほ、本当かよ!?」

バサラの後を追って、杏子も走る。少し走ると、扉が目に入る。
バサラはそれを勢い良く開け、杏子も後に続いて中に入る。
扉は閉まると「毎度ありがとうございます」という文字が浮かび上がり、扉は結界の壁と同化して消えた


163 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:25:05.54EP33AN470 (6/9)



~魔女の結界内部~

前と同じ、辺り一面緑色の風景。
ところどころ、青や赤色で歪な形の星や月が描かれている。そして、クレヨンや積み木などの子供の遊び道具。
ふと、杏子は以前組んでいた魔法少女の姿を思い浮かべる。

杏子(そういや、魔女っていうのは何か目的を持って行動をしているってあいつがが言っていたっけ)

この魔女が、何を目的としているのかを考える。
見たところ結界の中は子供の遊び場のようである。
そして、無差別に人を襲っているというわけでは無い。では、被害者は?
養護院がまっさきに思い浮かんだ。

杏子(まさか……行方不明ってやっぱりこいつの……)

子供を集めるだけなら、幼稚園や小学校などでも良いはずだ。
それが、あの養護院である理由が分からなかった。杏子はソウルジェムを見直す。

杏子(魔女の反応は前と比べて強い。思ったよりも深化しているのか?)

バサラ「おい、杏子」

考え事をしている杏子に、バサラが呼びかける。

杏子「なんだよ」

バサラ「また扉が出てきたぞ。でも、なんか入ってほしくなさそうだけれど」

今までの扉とは違い、扉の前に大きな鎖付きの鍵穴が付けられていた。
杏子はそれを一瞥すると躊躇なく槍で叩き切り、ドアを蹴り開ける。


164 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:25:56.97EP33AN470 (7/9)

杏子「は……?」

扉の中は今までのように辺り一面緑色の部屋では無く、
部屋の中を思い起こさせるようなフローリングの床、壁紙には白を基調とする様々な模様のついたものが使われていた。
そして、目に映ったのは遊んでいる子どもたちの姿である。
追いかけっこをしていたり、ボールを蹴って遊んだり、積み木を積み上げては崩す。
そんな、子どもたちの遊ぶ姿がそこにあった。

子供だけならば、違和感は無いはずである。しかし、杏子よりも年上であろう人たちも同じように遊んでいた。
突然、目の前で一人の青年が子供を蹴り飛ばす。

杏子「お、おいお前!何やってるんだよ!?」

杏子が駆け寄って青年の胸ぐらを掴む。だが、青年は全くたじろぐ素振りは見せずに虚ろな目で杏子を見た。

青年「何って、ボールを蹴っているんだよ。見れば分かるだろ」

杏子「ボールだって?どう見ても子供じゃねえか!」

話にならないと分かり、子供の方にも近づく。
痛がっているはずの子供は、膝を抱え、その場で小さく跳ねて転がっていた。

杏子「お前、大丈夫か……?」

子供「ボール」

答えたのは、それだけであった。唖然とする杏子を尻目に、青年は再び子供を蹴りに行く。
杏子はすんでの所で子供を抱え上げてそれを避けさせる。

杏子「やめろよ、そんな事!」

そう言った杏子の目にさらに信じられないものが飛び込む。

「いーち、にー、さーん、よーん、ごー」

大縄跳びをしている子どもたちがいた。
子供の腕同士を組んだ人間の大縄を掛け声をかけて飛ぶ。
10も数えない内に、真ん中の子供が組んでいた腕が外れ、回転の勢いで宙に飛ばされる。

バサラ「危ねえな!」

地に落ちる前にバサラが落下点に立っており、子供を受け止める。
子供の腕は、折れてはいなかったが肩が外れていた。

バサラ「お前ら、何をやってやがる!」

子供「遊んでいるんだよ」

バサラ「そんな遊びが、あってたまるか!」

青年「嘘をついたから、遊び道具にならなくちゃ」

バサラ「嘘を?」


165 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:26:37.38EP33AN470 (8/9)



子供「嘘をついたから」

少女「嘘をついたから」

青年「嘘をついたから」


部屋の壁が、天井が崩れ始める。
景観が変わって白色の壁は再び緑色に戻り、天井は真っ暗なドーム状になった。
崩れた壁の奥から魔女が姿を現す。


「かくれんぼだ!」

子供の一人が突然叫ぶ。

「鬼は?」「じゃんけんしようよ」「いいよー」「じゃんけん、ぽん!」「あーいこでしょ」

何回かあいこを繰り返すと、鬼が決まる。
その場にうずくまって目を伏せて数を数え始める。

1、2、3、4、5、6、7、8、9、10 もう、いいかい?

もういいよ!

鬼は子供たちを探し始める。しかし、たいして広いわけでもなく隠れる場所も限られている結界の中では子供たちが見つけられるのにそう時間はかからなかった。

「見いつけた」

「あー見つかった」

「これで最後?」

「うん、そうだと思うよ」

鬼役の子がそう答える。

「嘘だね」

隠れていた子供の表情が変わる。

「うん、嘘だ。嘘をついた」

鬼役の子供も、表情を一変させる。先ほどまでの無邪気な笑みはそこにはなかった。

「酷いや」「酷いや」「酷いや」

魔女がぐずり声をあげる。
見つけられていないのは、魔女だけだ。あんなに大きな体で、隠れようにも隠れられないのに、それでも見つけてもらえない。
杏子はその異様な光景の一部始終を見て立ち尽くしていた。

「嘘つきはボールにならないと」

その言葉で、杏子は我に返る。
使い魔たちが鬼役の子供に向かっていくのが見えた。何をするのかは分からなくとも、それが危害を加えようとしているのは分かる。
だが、杏子が動くよりも先に、バサラがその鬼役の子供を抱えて使い魔たちの攻撃を避けた。

バサラ「お前ら、正気じゃねえのか」

子供にそう問いかけるが、周りの子供たちは勿論、抱えた子供でさえ、その言葉に反応を示すことはなかった。

バサラ「なら、目が覚めるような熱い魂の歌を聞かせてやるぜ!!」


166 ◆DcdG4DxDDg2013/05/25(土) 23:32:38.54EP33AN470 (9/9)




♫Power to the Dream

♫Power to the Dream Power to the Music

♫新しい夢が欲しいのさ

♫Power to the Universe

♫Power to the Mystery

♫俺達のパワーを伝えたい

杏子(バサラの歌……あの時の私はただ邪魔なものだけとしか思っていなかったけれど)

♫やっと掴んだ 希望が

♫指の隙間から 逃げてく

♫ブラックホールの 彼方まで

♫ずっとお前を追いかけてく

杏子(今なら、この歌の意味が、バサラの気持ちが分かる……!)




167 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 01:40:09.33XYxzxqLN0 (1/9)

バサラへと向かう使い魔たちの攻撃を杏子が防ぐ。
子供たちは苦しむように呻きながら、歌を聴くまいと耳を塞ぐ。
魔女のむせび泣く声が大きくなる。使い魔の数が一層増える。

♫Power to the World

♫Power to the Lovers

♫本当の愛が見たいのさ

杏子(もう諦めたりなんかしない。あたしが、あたしをもう一度信じる為にも。その為なら、どんな無茶でもやってやる)

♫Power to the Rainbow

♫Power to the Future

♫諦めたら おしまいさ





168 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 01:44:43.72XYxzxqLN0 (2/9)

杏子の胸のソウルジェムが赤く光り輝く。
バサラの周りに光り輝くものが見え始める。

バサラ(これは……)

♫輝く彗星の きせきが

♫メロディにソウルを 与える

杏子「お前ら、聴けよ」

♫人は1人じゃ生きられない

杏子「バサラの歌を聴けよ!」

♫愛する誰かが必要さ

♫Power to the Dream

♫Power to the Dream Power to the Music

♫新しい夢が欲しいのさ

♫Power to the Universe

♫Power to the Mystery

♫俺達のパワーを伝えたい



169 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 01:52:14.70XYxzxqLN0 (3/9)

杏子もバサラと共に歌い出す。バサラの周りの光が更に強くなる。
耳を塞いでいた子供たちは糸が切れたように力を失って次々に倒れていった。
飛んでいた使い魔たちも、苦しそうな声を上げながら失速して地に落ちていく。

杏子(効いてる……バサラの歌が、ほんとに効いたんだ!)

魔女も動きを止め、泣き声も挙げずにうずくまったままでいた。
バサラたちは尚も歌い続け、杏子の顔も緩んだ。バサラと目があって、恥ずかしさから目をそむけた。

うずくまっていたはずの魔女が再び動き出す。
そして、その場にあった巨大な積み木の一つを抱え上げる。

杏子「おい…まさか……」

魔女が狙っていたのは、倒れた子供たちであった。
抱え上げた積み木をそのまま振り下ろそうとする。
積み木を槍で切ろうと考えたが、それでは破片が子供に当たる可能性があることに気がつく。
魔女本体の動きを止めるしか無かった。
杏子は今、自分だけが最大の悲劇を防げると瞬時に理解して駆け飛ぶ。




170 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 01:53:14.22XYxzxqLN0 (4/9)

戸惑いながらも魔女の眼前へ飛ぶ、その勢いのまま槍を顔の真ん中へと繰り出す。
魔女の口元が僅かに動いた。

杏子「っ!お前!?」

刺した槍の勢いで、魔女が後方に倒れる。刺した槍を引きぬくことも忘れて、杏子はその場から飛び退く。
地に倒れると同時に、宙に浮いた積み木が落ちて魔女の体をぐしゃりと潰した。

杏子「……なんで……こうなるんだよ」

引き抜くときに杏子が聞いた言葉は、断末魔の怨みや苦しさの声ではない。
その言葉で、杏子は魔女の意図を知った。杏子の身体が震えた。

杏子「……馬鹿野郎……ばっかやろう……!」

バサラ「………うおおおおおおおおおああああああああ!!!!」

押し黙っていたバサラが、突然シャウトを放つ。

杏子「バサラ……」

バサラ「あああああおおおおおおおお!!!!」

悔しさや苛立ちや悲しさが入り混じった叫び声。

杏子(……そうだよな。バサラだって……)

そう心の中で呟いて、杏子も同じように叫び始める。
気がつけば、二人は目から涙を流していた。
結界が晴れるまで、二人は心の底から声を出し続ける。


落書きの魔女Albertineはこうして消滅した。



171 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 01:53:42.67XYxzxqLN0 (5/9)



翌日

バイクを走らせる若者と、その後ろに座る少女。
養護施設の外の広場で遊ぶ子どもたちの姿が見える。

バサラ「行かないのか?ここに来たいって言っていたから来たのに」

杏子「うん……あたしは、いいよ。ねえ、バサラ」

バサラ「ん?何だよ」

杏子「……やっぱり、なんでもない」

釈然としない杏子に、バサラは背を向けたまま口を開く。

バサラ「……俺は絶対に諦めたりなんかしないからな」

杏子はバサラの後ろ姿に一瞬だけ視線を向けた後、口元を腕の中に隠して微笑を浮かべた。
養護院の奥から歩いてくる人影が見えた。

杏子「あ、やばい。バサラ、出して!」

慌てて杏子はバサラへと催促をする。
だが、バサラは反応を見せない。
門を開けて、道路の脇に止めているバサラたちの元へと院長が歩いてくる。

杏子「バサラってば、あ……」

ようやく振り向いたかと思えば、バサラは杏子をバイクから降りるように促す。
目配せをしたが拒否は出来ないと分かり、渋々それに従って降りると肩を軽く押される。

園長「佐倉さん、よね」

園長が杏子に声をかけてきた。流石に、杏子も目の前にいる相手に対して無視するわけにもいかず、頷く。

園長「子どもたちが戻ってきたの。本当に良かった」

杏子「そ、そうですか。良かった……?」

言葉とは裏腹に、園長があまり明るい顔をしていないことが杏子は気になった。

杏子「何か、あったんですか?警察とか」

園長「いいえ、警察の方々にはもうお礼は言ったし……そうではなくてね」



172 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 01:57:16.07XYxzxqLN0 (6/9)

園長は少し躊躇いがちに話し始める。

園長「一人だけ、まだ戻ってきていないのよ。一番最初に行方不明になった子が」

杏子は、その顔も知らない行方不明の子供が誰なのかを知っていた。
拳を握りしめて俯く。何故か、相手の顔が見れなかった。

杏子「……一つ、言ってもいいですか」

園長「ええ、どうぞ」

杏子「戻ってこない子はもう諦めた方がいいんじゃないですか?」

園長「そんな事は、絶対にしないわ」

即座に、毅然とした表情で園長は答えた。強い意志を感じて、杏子は自分の失言が分かっているだけにたじろぐ。

杏子「……でも、そんなんじゃ辛いだけだよ。現実的に考えて、帰って来ないのなら」

杏子(何言ってるんだよ私は!そんな事、言うようなことじゃないのに……!)

いつの間にか、敬語ではなく、いつも通りの言葉遣いになっていた。自分が、何を言わせたいのか、何をさせたいのか。
それが分かって、さらに自己嫌悪に陥る。けれど、口から出る言葉は止められなかった。

園長「佐倉さんは、優しいのね」

園長が返したのは世辞や皮肉などが込められていない本心からの言葉であった。
その言葉で、杏子は口を噤む。目に薄っすらと涙が滲む。

園長「でもね、あの子が帰る場所はここなの。だから、私はずっと待ち続ける。それが、私の、子供の面倒を見る者の義務だから」

その言葉を聞いて杏子は強く頷く。そして、羨ましいとも感じた。

園長「……ねえ、もしあなたさえ良ければ」


173 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 02:47:50.87XYxzxqLN0 (7/9)

バイクのエンジンをかけ直す音が聞こえた。杏子は慌てて振り向く。

杏子「え、ちょ、ちょっと!?」

バサラ「じゃあな。俺は行くぜ」

杏子「行くって、どこにだよ。そんな勝手に……」

園長「ええと、お兄さんでいらっしゃる?」

杏子「まさか!全然、そんなわけない、ただの知り合い」

慌てて否定する杏子を、バサラは鼻で笑う。

バサラ「あ、そうだ」

右手の親指を立てたグッドサインを杏子へと向けた。

バサラ「お前の歌声、なかなか良かったな。また一緒に歌おうぜ」

バイクが動き出す。少しの間、杏子は掛ける言葉を探した。
そして、思い立つと走り去るバサラに向けて杏子は声を飛ばした。

杏子「バサラーっ!ギターケース失くして、ごめんよー!!」

バイクのエンジン音で、はっきりとその声がバサラに聞こえたかどうかは分からない。
だが、杏子の顔は晴れやかで、心の中にはずっと歌が響いていた。


♫It's my WILD LIFE 自分勝手にゆこう





174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 08:03:46.12dnWxHP+30 (1/1)

乙です!


175 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 08:57:00.30XYxzxqLN0 (8/9)

というわけで杏子編は終了です。


……寝落ちしてしまった







176VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 09:00:38.76lx41mHmM0 (1/1)

乙!



177VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 10:54:29.45ZzQJETFHo (1/1)

乙です


178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/26(日) 18:25:20.25hwggm4hAO (1/1)

乙!!!



179 ◆DcdG4DxDDg2013/05/26(日) 19:37:47.70XYxzxqLN0 (9/9)

展開変わったりしたので収拾つけるのにまた一苦労しそうです。養護院の関連部分は最初入れる予定無かったのですがね……
次回から本編ですがその前に

おまけ


ミレーヌ「バサラ、一体どこに行ったのよ!」
バサラ「魔女だか何だか知らねえが、俺の歌を聴かせてやるぜ!」
ミレーヌ「それより私の出番はまだ?」
ほむら「信じても裏切られるのであれば、最初から信じなければいい」
バサラ「そんな事知るかよ!俺は歌うだけだ!」
ほむら「次回『もう誰も信じない』」
バサラ「過激にファイヤー!」








180VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/27(月) 08:17:39.59kxQQsx6Co (1/4)

>>114>>183>>136>>69>>69>>48>>104>>77>>117>>167>>164>>153>>197>>48>>121>>65>>140>>128>>134>>39>>6
>>127>>84>>2>>120>>169>>90>>128>>199>>60>>42>>181>>195>>110>>50>>42>>13>>126>>159>>179>>89>>111
>>137>>32>>39>>76>>160>>173>>115>>165>>88>>41>>48>>89>>160>>17>>179>>87>>15>>38>>129>>196>>33>>38
>>74>>50>>171>>33>>29>>60>>144>>3>>197>>175>>42>>73>>134>>14>>187>>98>>102>>27>>146>>191>>187>>162
>>74>>177>>6>>2>>172>>38>>39>>17>>112>>89>>188>>144>>117>>48>>88>>119>>44>>62>>161>>116>>196>>175
>>94>>76>>129>>39>>66>>116>>200>>35>>189>>177>>41>>190>>149>>79>>29>>166>>190>>118>>153>>134>>34
>>21>>153>>44>>83>>113>>159>>78>>88>>61>>172>>163>>190>>10>>29>>105>>10>>64>>94>>186>>104>>83>>134
>>112>>99>>172>>29>>52>>106>>63>>51>>127>>15>>95>>10>>128>>54>>88>>15>>115>>59>>178>>104>>68>>7>>9
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184VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/27(月) 17:57:14.99nm6B/N5h0 (1/1)

なんじゃコレ?


185VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/27(月) 20:09:59.34lkZLISiSO (1/1)

何がしたいの?


186 ◆DcdG4DxDDg2013/05/27(月) 22:27:00.16pcazXoPY0 (1/1)

乙に感謝。

わーたくさんレス付いたーと思ったら安価爆撃でしたか……なんかまどマギスレが狙われているみたいですね。
前に作者が書いた部分だけを抜き出してこういう風に煽る人がいたような気がしましたがその真似か何かでしょうか。
欠点指摘するのはいいんですけどね。煽りはやめてほしいです。



187VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/05/29(水) 23:58:19.82wIHJ47OAO (1/1)


次回予告が脳内再生余裕すぎてやばい


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/03(月) 18:11:14.14fEEwx0+e0 (1/1)

まだかのぉ……


189 ◆DcdG4DxDDg2013/06/05(水) 22:05:22.92rmbf7iCu0 (1/1)

うp主です。夏コミ受かったのに当日参加出来ないというこの歯がゆさ。
今日か明日には更新します。


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/06(木) 20:34:07.011ZOtHEIAO (1/1)

うp主(笑)
お前のいない世界なんて 炎の消えた世界なんて
あまりにも寂しすぎるから


191 ◆DcdG4DxDDg2013/06/06(木) 23:39:43.36CosnDtYE0 (1/6)

うp主っておい俺……合間に動画投稿してた時の癖が抜けてなかったか。
投下します。ようやく本編スタート!


192 ◆DcdG4DxDDg2013/06/06(木) 23:40:20.72CosnDtYE0 (2/6)


(あなたの、あなたの為なら、私は……)

激しい慟哭を感じながら目が覚める。
何度も経験したことのある息苦しさ。
繰り返す度に、その苦しさは強くなっていく様な気がした。
だが、立ち止まることを選ぶわけにはいかない。
健常者と何ら変わらない足取りでベッドから出て歩き出す。
当然だ。もう心臓の病は無い。そして、これからするべき行動も全て覚えている。
ふと、鏡の前に立ち、自分の顔を見た。
酷い顔だ。

なぜ私はこんな酷い顔をしている?

……ああ。
仲間だ。
いや、仲間と称した……邪魔者だ。
私は必死に戦った。全員が生き残れるように考えた。武器も揃えた。グリーフシードも集めた。強くなった。
それでも、必ずあいつらが私とまどかの邪魔をする。
目を閉じ、ゆっくりと開く。リボンを外す。これは、決心だ。
もう迷わない。
もう失敗したりしない。

(もう、誰も信じない)

そして、私はまた歩みを進める。まどかを救うために。そして、私が私を裏切らない為にも。
……ああ、なるほど。決心というのはこういうものか。
こんなにも気持ちが軽くなるものなら、もっと早い内にしてしまえば良かった。
僅かに双瞼に熱いものを感じた気がしたが、それはすぐに乾くだろう。

きっとすぐに……。



193 ◆DcdG4DxDDg2013/06/06(木) 23:47:48.92CosnDtYE0 (3/6)




OP SEVENTH MOON




194 ◆DcdG4DxDDg2013/06/06(木) 23:49:28.28CosnDtYE0 (4/6)



マクロス7艦隊 シティ7

ミレーヌ「ええーっ!バサラがまたいなくなったの!?」

喫茶店で、大声を出す少女の姿があった。その向かい側には、真面目そうな服装をしたいかにも真面目そうな男がいた。
周りの客やウェイトレスの視線が一斉にその二人組に集まる。

ガムリン(し、しーっ!お、落ち着いてください、ミレーヌさん。声が大きいです)

真面目そうな男、ガムリンが小声でミレーヌをたしなめる。

ミレーヌ「落ち着いていられるわけ無いでしょう!
はーあ。この前ようやく帰ってきたばかりで、ライブの予定もたくさん入っているのに……もう!バサラったら!」

ミレーヌは大きく息をついた。ミレーヌの肩に乗った、ペットである宇宙ネズミのグババも「ギューイ」と怒った顔をして鳴く。

ガムリン「あいつが、こんな風にいきなりいなくなるなんてことは、よくあることだと思っていましたが」

ミレーヌ「だから怒ってるのよ。プロとしての自覚が全然足りてないんだから!」

ミレーヌは膨れっ面をしながら紅茶にミルクを注いでティースプーンでかき混ぜる。

ガムリン「……実は、バサラがいなくなった時におかしな反応があったのです」


195 ◆DcdG4DxDDg2013/06/06(木) 23:53:08.69CosnDtYE0 (5/6)

ミレーヌ「おかしな反応?それって何なの」

ガムリン「何でも、フォールド反応が僅かに検出されたそうです。といっても、私も詳しくは聞いていないのですが」

ミレーヌ「じゃあ、その反応にバサラが関係しているってこと?」

ガムリン「いえ、まだそうだとは決まったわけでは」

ミレーヌ「いいえ!絶対関係しているわ。だって、バサラだもん。バサラなんだから何か関係があるに決まっているわ!」

ガムリン「いや、なので、それを今解明している最中で」

ミレーヌ「こうしちゃいられない!すぐにパパに話をつけて……いえ、許可なんて無くったって捜しに行ってやるんだから!」

ガムリン「あ、ちょ、ちょっとミレーヌさん!?
そうなるだろうと思って既にあなたの機体を使えなくされているから無駄だと艦長に……あー聞いてない。
行ってしまった……か……」

1人店の中に残されたガムリンは寂しくため息を漏らす。

ガムリン「……しかし、今回の件にはどうも不可解な部分が多いな。
未知の異星人との接触も間近に控えているというのに……バサラの奴は一体どこに」

「あのう」

ウェイトレスに声をかけられて、ガムリンは顔をあげる。

「ご注文のいちごパフェ。お持ちいたしました」

ガムリン「あ、それはミレーヌさんの……あ、いえ。置いてください。自分が……食べます」

何が悲しくて男一人でいちごパフェを食べなければならないのだろうかと思いつつ、
憐れむような視線の中、ガムリンは苺とクリームをを口へと運んでいた。



196 ◆DcdG4DxDDg2013/06/06(木) 23:56:12.06CosnDtYE0 (6/6)


見滝原中学校


和子「転校生を紹介します。じゃ、暁美さん、いらっしゃい」

ワー ウオスゲービジン スッゲ オオー

ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

まどか「えっ?嘘……まさか……」

ほむら(……様子がおかしい?まさかもう奴等と接触した……?)

和子「ええと、暁美さん。あなたの席は……」

ほむら(……いや、考えすぎだろう。この数日間まどかに
見つからないように周囲を監視していたけれどまだ奴等が接触に成功した様子はなかった。
大丈夫。今度こそ、うまくやれるはず……)

和子「あの、暁美さん?そろそろ席の方へ……聞いてる?」



197 ◆DcdG4DxDDg2013/06/07(金) 00:00:07.38lV/rSfKb0 (1/6)

休み時間

女子A「暁美さんって、前はどこの学校だったの?」

ほむら「東京の、ミッション系の学校よ」

女子B「前は、部活とかやってた?運動系?文化系?」

ほむら「特に何もやって無かったわ」

(どうにかしてまどかと会話する機会をもたないといけないわね。
……とはいえ、前のように唐突に話しかけても不審がられるだけでしょうし、
それに私と関わりすぎて契約したら本末転倒ね……なら、ここは……)

ほむら「ふぅ……ごめんなさい。なんだか緊張しすぎたみたいで、ちょっと気分が悪いわ」

女子A「え、あ、じゃ私が案内してあげる」

ほむら(いらないことしなくていいから!)

女子B「あたしも行く行く」

ほむら(便乗しないでほしいのだけれど!……でもここで事を荒げるわけには行かない)

ほむら「いえ、おかまいなく。係の人におねがいします。鹿目まどかさん。あなたがこのクラスの保健係よね」

まどか「え?えっとあの…」

ほむら「連れてってもらえる?保健室」

作り笑顔が上手く出来たかどうかは分からない。
だが、まどかの表情を見る限りでは失敗したように思えた。


198 ◆DcdG4DxDDg2013/06/07(金) 00:05:05.18lV/rSfKb0 (2/6)

廊下

ほむら(なんとか二人きりになることは出来た。さて、なんて話を切り出すべきか……)

まどか「あ…あのぅ…その…私が保健係って…どうして」

ほむら(……しまった、少し性急過ぎたかしら。機会を伺うのって面倒ね)

ほむら「早乙女先生から聞いたの」

まどか「あ、そうなんだ。えっとさ、保健室は…」

ほむら「こっちよね」

まどか「え?うん。そうなんだけど。いや、だから、その、もしかして…場所知ってるのかなって」

ほむら(しまった……また私は……)

まどか「あ…暁美さん?」

ほむら「ほむらでいいわ」

まどか「ほむら…ちゃん」

ほむら「何かしら?」

まどか「あぁ、えっと…その…変わった名前だよね。い、いや…だから…あのね。変な意味じゃなくてね。その…カ、カッコいいなぁなんて」

ほむら(……分かっていた。けれど、この反応を見るのはいつも心が苦しくなる。
この時間軸のまどかは私を知らない。でも私はまどかの事を知っている。知っている、知っているのよ!)

ほむら「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

まどか「え…えっと…わ、私は…。大切…だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」



199 ◆DcdG4DxDDg2013/06/07(金) 00:05:34.27lV/rSfKb0 (3/6)

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」

ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね。
さもなければ、全てを失うことになる」

まどか「え…?」

ほむら「貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

ほむら(……そう。私が過去に戻ったのは、あなたを守るため。あなたに救われた事への恩返し。
それさえ忘れなければ、私は何度でも立ち上がることが出来る。
……もうあんな、悲しい顔をまどかにさせたくはない……!)



200 ◆DcdG4DxDDg2013/06/07(金) 00:07:16.84lV/rSfKb0 (4/6)

放課後 校門前

さやか「ねえ、まどか。あとでCD屋に付き合ってくれない?」

まどか「また上条くんの?」

さやか「へへ。まあね」

仁美「では、また」

さやか「じゃあね」

まどか「バイバーイ」

さやか「今日は何のCDを持って行ってあげたらいいかな?バッハ?シューベルト?ドビュッシーとかかな」

まどか「え、ええと。私、そっちの方はあんまり詳しくないから」

さやか「バイオリンって奥が深いよねえ。同じ曲でも演奏者が違うと全然違うの!例えば前に私が買ったCDだと……」

「なあ、ちょっといいか?」

さやか「は、はいぃ!?」

まどか「さやかちゃん驚きすぎだよ……」

さやか「え、ええと?な、何でしょうか」


201 ◆DcdG4DxDDg2013/06/07(金) 00:07:54.63lV/rSfKb0 (5/6)

男が、突然まどかたちに話しかけてきた。
まず二人の目に入ったのは、
ギターのケースが横に積まれている真っ赤に塗装されたバイク。
そして、次に声の主の格好。楽そうな服装にジーンズ。そして逆立った髪型に、丸縁のサングラス。
そこまでならば、少し風変わりなだけで済むが、
さらに背中には、その男の個性を主張するかのようなアコースティックギターが背負われていた。

「道を聞きたいんだけど?」

さやか「え、えと、何か?あ、み、道?」

「ああ。楽器屋ってこのへんに無い?」

まどか「あ、それならちょうどこの道路を道なりに曲がっていけばありますけど……っとわっ!」

さやか「あ、あのっ。わたしたち用があるんで、それじゃ」

「ん、そうか。じゃあ、ありがとな」

お礼の言葉を短く言うと、男はバイクのエンジンを掛けて走り去っていく。

さやか「……ほっ、よかった」

まどか「今の人、何か変わった雰囲気の人だね」

さやか「まどか、駄目。あれは不良よ。あんなのに私の嫁であるまどかが興味を持っちゃいけません!」

まどか「嫁って……いつからそうなったの」

さやか「変な色のバイクにあんな不良っぽいちゃらちゃらした格好をした男の人に、まどかが毒されたりしたら……!」

まどか「でもギターを背負ってたよ。音楽家なんじゃないかな」

さやか「そ、それは……きっとギターを武器にする人なんだよ!なんか昔のアニメとかゲームでそういうの見たことあるし。
ほら、ああいうのに関わっちゃいけないから早く、行くよ!」

まどか「わっとと、そう……かなあ……?」




202 ◆DcdG4DxDDg2013/06/07(金) 00:10:00.44lV/rSfKb0 (6/6)

今回はここまで。
ちょうど1話目の半分くらいの所ですね。
書き溜め次第、なるべく早く投下して行きたいと思います。


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/07(金) 00:14:41.44422TNqW8o (1/1)

乙です


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/07(金) 07:30:16.18knzmkrAAO (1/1)

乙!


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/18(火) 01:38:22.31nLydTQ470 (1/1)

みんな待っとるよー


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/18(火) 22:14:06.59WBRtokbAO (1/1)


おまーえにあいーたーいー


207 ◆DcdG4DxDDg2013/06/19(水) 10:15:09.53xrlsMnAk0 (1/3)

本日中に更新します。
マミ編のバサラの出番が想像以上に少なくなりそう。杏子編で結構やりたいことやったからまあ仕方ないんだけれど。


208 ◆DcdG4DxDDg2013/06/19(水) 23:52:32.47xrlsMnAk0 (2/3)


CDショップ

さやか「うーん、新しいのは無いか……じゃあ、この辺から何か無いかな……」

まどか「♪」

さやか「ん……、何聞いてるの?」ヒョイッ

まどか「わ、取らないでよお」

♪コダマハカエルヨ♪ヘイヘイホー♪ヘイヘイホー

さやか「……演歌?」

まどか「うん……演歌」

さやか「中学生で演歌って……」

まどか「やっぱり、おかしいかなあ……」

さやか「ま、まあ。いいんじゃないかな?私だって、恭介のおかげでクラシックに詳しくなったけどさ、
意外だってよく言われたりもするし。」

まどか「そう、だよね!この曲も古典的な感じだけどすごくいいんだよ!」

さやか「へえ、何て名前なのこれ?」

まどか「与作!」

さやか「……そりゃまたクラシカルな名前だこと」




209 ◆DcdG4DxDDg2013/06/19(水) 23:53:01.69xrlsMnAk0 (3/3)

(助けて……!)


まどか「……え?」

(助けて!、まどか!僕を助けて!)

さやか「ん……どうしたのまどか?」

まどか「声が……どこからかして、助けてって……」

さやか「はあ?……ははーん、あの転校生に毒されてまどかもとうとうそういうキャラに目覚めたの?」

まどか「違うって!ええと、多分、こっち!」

さやか「あ、まどか!まだCD買ってないんだけど!?」



210 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 00:14:42.82s5l6Qrpi0 (1/9)



しくじった。

この時間軸に来て、初めてそう言えるほどの失態を犯してしまった。
本来ならば、魔法少女同士が行える念話。
それを、あろうことかQBはまだ一般人であるまどかへと飛ばしたのだ。
しかも、よりにもよって数発の弾丸をわざと受けた状態で。
あいつらの身体の限界は、いくつも排除してきた私にはよく分かる。
弾丸の数発ごときでは、活動を停止することはない。それを、向こうもよく理解しているのだろう。
生死の重要性など微塵も考えていない癖に、痛みを感じさせるような悲壮な声をあげ、まどかを呼び寄せようとする。

そこまで、まどかとの契約は魅力的か。
そこまで、なりふり構わず契約させるつもりかインキュベーター。

悔しさとその行動を想定できなかった自分の不甲斐なさに思わず奥歯を噛む力が強くなる。
舌打ちで気を紛らわしながら、インキュベーターの気配を追って走る。
まどかがあれを見つけるよりも前に、なんとしてでも探しださなくては……!

まどか「どこにいるの?あなた…誰?」

キュゥべえ「助けて……」

まどか「あなたなの?……!、ほむらちゃん…」

……最悪だ。

出会ってしまった。奴等とまどかが。
インキュベーターの無表情な顔が、その裏側で笑いをこみ上げているのを抑えているようにさえ、今は感じる。
私は拳銃を抜き、インキュベーターに向かって突きつける。

ほむら「そいつから離れて」

まどか「だ、だって、この子、怪我してる。ダ、ダメだよ、ひどいことしないで!」

ほむら「貴女には関係無い」

そう、関係ない。あなたは何も知らなくていい。知ってはいけない。
知れば、助けずにはいられなくなる。何かをせずにはいられなくなる。
それがあなたという人だということを、私はよく知っている。

まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって」

ほむら「そう」

時を止めて、奪い取って排除するか……いや、魔力を魔女との戦い以外のこんなところで消費するのは勿体無い。
だが、このまま奴を野放しにすれば、まどかが……っ!?煙!?いや、消化剤か!誰が!?

まどか「え…?えぇ?」

さやか「まどか、こっち!このっ!」

まどか「さやかちゃん!」

完全に不意をつかれた。
投げられた空の消化器を避けつつ、私は煙幕の中からまどかの逃げた方向を見定める。

ほむら「こんな時に」

やはり、美樹さやかはこの時間軸においても、たとえ魔女化をしなくとも私の障害と成り得るようだ。
前の時間軸でも、アレの存在のお陰で私の話は聞き流された。口惜しさに拳を握る。

……ああ、良かった。覚悟が無ければ心が折れかけていたかもしれない。

そうだ、もっと早く覚悟を決めるべきだったのだ。

ほむら「!、魔女の結界が……近くに……」

奴らめ、まさかこれも見越していたというのか。
危険な状態に陥れ、契約を誘う。そんな下劣な手段を使おうとしていることを、まどかは知らない……!

ほむら「まどか……今助けてあげるから……!」


211 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 00:15:19.89s5l6Qrpi0 (2/9)


さやか「何よあいつ。今度はコスプレで通り魔かよ!つーか何それ、ぬいぐるみじゃないよね?生き物?」

まどか「わかんない。わかんないけど…この子、助けなきゃ」

さやか「あれ?非常口は?どこよここ」

まどか「変だよ、ここ。どんどん道が変わっていく」

さやか「ああもう、どうなってんのさ!」

空間が歪み、建物の中にいるはずの二人はいつの間にか見知らぬ空間の中に立っていた。
ひょこひょこと人の神経を気味悪がらせるような容姿をした生き物が出てくる。

まどか「やだっ。何かいる」

さやか「冗談だよね?私、悪い夢でも見てるんだよね?ねえ、まどか!」

何を言っているのかは分からなかったが、気味の悪い生き物たちが
自分たちに害意を持っていることを、まどかたちは本能的に察知していた。
二人は怯えながら、互いに恐怖を和らげようと抱き合う。

まどか「こんな……誰か……助けて……」

その火薬音が生き物たちを破裂させ、殲滅させた時、まどかたちは恐怖から立ち直って意識をはっきりとさせた。

マミ「危なかったわね。でももう大丈夫」

QB「マミ!……助かったよ」

マミ「あら、キュゥべえを助けてくれたのね。ありがとう。その子は私の大切な友達なの」

まどか「あ……私、呼ばれたんです。頭の中に直接この子の声が」

マミ「ふぅん…なるほどね。その制服、あなたたちも見滝原の生徒みたいね。2年生?」

さやか「あ、あなたは?」

マミ「そうそう、自己紹介しないとね。でも、その前に……ちょっと一仕事終わらせちゃってもいいかしら?」



212 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 00:48:03.56s5l6Qrpi0 (3/9)


WOOOOOOOOOOO!!!!!

マミがスカートを持って翻すとその中から大量のマスケット銃が現れ、それらを撃ち放とうとした時。
結界内全てに響き渡るようなシャウトボイスが、マミの手を止めた。

マミ「え……?」

バイクのエンジン音。そして、現れる真っ赤な機体。
エレキギターのコードをバイクに取り付けられたアンプに挿し、かき鳴らす。



バサラ「俺の歌を聞け!!」

♫Let's GO 突き抜けようぜ! 夢で見た夜明けへ

まどか「な、何これ……?」

さやか「コスプレ少女にハードロッカー!?そんな組み合わせって……」
 
♫まだまだ遠いけど May be どうにかなるのさ 愛があればいつだって

マミ「っ……ちょっと、あなた、一体何なの、何のつもりなの!?危ないわよ!」

気を取り直したマミが銃声を響かせる。
だがその音を聞いた瞬間、バイクにつながれたアンプから出るギターの音が大きくなり、歌声も力を増す。



213 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 00:51:41.98s5l6Qrpi0 (4/9)

♫俺の歌を聞けば 簡単なことさ

さやか「な、なんかすごい事になっちゃてる……なんかよく分かんないけれど……」

まどか「……すごい」

♫2つのハートをクロスさせるなんて

♫夜空を駆ける ラブハート 燃える思いを乗せて

♫悲しみと憎しみを撃ち落としてゆけ

マミ(……あああ、もう!一体なんなのよっ!この人は!!)

歌を意識をしないようにマスケット銃を撃つが、どうにも照準が上手く定まらない。
それどころか、使い魔たちが逃げ出しているようにも見えた。向かってくるのならばまだ狙いやすいが、逃げる相手は捉えにくい。

お前の胸にもラブハート まっすぐ受け止めて DESTENY 

何億光年の彼方へも 突撃 ラブハート!

曲のサビが終わると同時に魔女の結界が閉じだした。

マミ「ええっ!?ちょっと、まだ必殺技も何も……」

バサラ「おいおい、もう行っちまうのか?もっと聞いていけっての」

マミとはベクトルの違う不完全燃焼さを感じながらバサラは呟く。

マミ「……ちょっと、あなた、なんであんな危ないことをしたのよ!それに、あんな所で歌ってたりしたら戦いの邪魔でしょう!」

バサラ「邪魔?戦いなんざ、しないほうがいいだろうが」

マミ「そんなわけにはいかないの!ハア……こっちの事情も知らないで」

さやか「あ、あの~、私達、もう帰ってもいいですかね?」

マミ「あ……ご、ごめんなさい。忘れていたわけじゃないのよ。それより、大丈夫だった?」

まどか「はい……なんとか……」



214 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 00:54:15.16s5l6Qrpi0 (5/9)

♫俺の歌を聞けば 簡単なことさ

さやか「な、なんかすごい事になっちゃてる……なんかよく分かんないけれど……」

まどか「……すごい」

♫2つのハートをクロスさせるなんて

♫夜空を駆ける ラブハート 燃える思いを乗せて

♫悲しみと憎しみを撃ち落としてゆけ

マミ(……あああ、もう!一体なんなのよっ!この人は!!)

歌を意識をしないようにマスケット銃を撃つが、どうにも照準が上手く定まらない。
それどころか、使い魔たちが逃げ出しているようにも見えた。向かってくるのならばまだ狙いやすいが、逃げる相手は捉えにくい。

お前の胸にもラブハート まっすぐ受け止めて DESTENY 

何億光年の彼方へも 突撃 ラブハート!

曲のサビが終わると同時に魔女の結界が閉じだした。

マミ「ええっ!?ちょっと、まだ必殺技も何も……」

バサラ「おいおい、もう行っちまうのか?もっと聞いていけっての」

マミとはベクトルの違う不完全燃焼さを感じながらバサラは呟く。

マミ「……ちょっと、あなた、なんであんな危ないことをしたのよ!それに、あんな所で歌ってたりしたら戦いの邪魔でしょう!」

バサラ「邪魔?戦いなんざ、しないほうがいいだろうが」

マミ「そんなわけにはいかないの!ハア……こっちの事情も知らないで」

さやか「あ、あの~、私達、もう帰ってもいいですかね?」

マミ「あ……ご、ごめんなさい。忘れていたわけじゃないのよ。それより、大丈夫だった?」

まどか「はい……なんとか……」



215 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 01:06:28.79s5l6Qrpi0 (6/9)

※修正

♫俺の歌を聞けば 簡単なことさ

さやか「な、なんかすごい事になっちゃてる……なんかよく分かんないけれど……」

まどか「……すごい」

♫2つのハートをクロスさせるなんて

♫夜空を駆ける ラブハート 燃える思いを乗せて

♫悲しみと憎しみを撃ち落としてゆけ

マミ(……あああ、もう!一体なんなのよっ!この人は!!)

歌を意識をしないようにマスケット銃を撃つが、どうにも照準が上手く定まらない。
それどころか、使い魔たちが逃げ出しているようにも見えた。向かってくるのならばまだ狙いやすいが、逃げる相手は捉えにくい。

♫お前の胸にもラブハート まっすぐ受け止めて DESTENY 

♫何億光年の彼方へも 突撃 ラブハート!

曲のサビが終わると同時に魔女の結界が閉じだした。

マミ「ええっ!?ちょっと、まだ必殺技も何も……」

バサラ「おいおい、もう行っちまうのか?もっと聞いていけっての」

マミとはベクトルの違う不完全燃焼さを感じながらバサラは呟く。

マミ「……ちょっと、あなた、なんであんな危ないことをしたのよ!それに、あんな所で歌ってたりしたら戦いの邪魔でしょう!」

バサラ「邪魔?戦いなんざ、しないほうがいいだろうが」

マミ「そんなわけにはいかないの!ハア……こっちの事情も知らないで」

さやか「あ、あの~、私達、もう帰ってもいいですかね?」

マミ「あ……ご、ごめんなさい。忘れていたわけじゃないのよ。それより、大丈夫だった?」

まどか「はい……なんとか……」


216 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 01:07:00.48s5l6Qrpi0 (7/9)



ほむら(一体何なの……あの歌は……)

見間違えでなければ、あの男の歌が使い魔たちを退けたかのようにも見えた。
だが、そんなことはあるはずがない。
……いや、魔法少女と魔女の関係上、そんなことはあってはならないはずだ。

ほむら(私以外のイレギュラー?……いや、イレギュラーだとしても、あまりにも異質すぎる)

マミ「……魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい。今回は譲ってあげるから」

物陰に隠れ、考え事をしていた私の気配を察知したのか、声をかけられた。
巴マミ……マミさん。出来ることならば、一番敵にしたくない相手だ。
錯乱しつつも的確な行動の出来る戦闘能力、特に私の魔法は彼女の拘束魔法と相性が悪い。
それに、マミさんからは色々なことを教えてもらった恩がある。
たとえ何度時間を繰り返したとしても、向こうが覚えていないとしても、それを忘れたわけではない。

ほむら「……私が用があるのは」

まどかだけ、とすぐに言葉を続けるつもりだった。だが、私は自分でも嫌になるほど口下手だった。

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言っているの。
お互い、余計なトラブルは無縁でいたいとは思わない?」

違う、と私は叫びたかった。意図した事が伝えられないもどかしさに、胸が引き裂かれそうだった。
形としては、インキュベーターの策略にまんまと乗せられたような気がして、それが悔しさを増長させる。
だが、私には今ここでどんな弁解をしたらいいのか見当がつかなかった。

これ以上、何かをしてマミさんやまどかに不信感を与えるのは上策ではないだろう。
そう判断した私は、その場を去ろうとする。そう決めた瞬間に、男の真っ直ぐな視線に気づいた。

敵意ではない何かをむけようとする男の視線の意味が、私には理解できなかった。




217 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 01:22:33.36s5l6Qrpi0 (8/9)


いきなりの身の危険からようやく開放されて、まどかたちは大きく息をつく。

キュゥべえ「ありがとうマミ」

小動物がマミに向かって礼を言う。傷は、もう無い。

まどか「あの、あっちにいる人は……?」

まどかが先程まで歌っていた男の方を指差す。
男は、まだほむらがいなくなった先を見つめていた。

マミ「さあ、彼も通りすがりじゃないかしら?まあ、何にせよあなた達のお陰でキュウべえは助かったわ」

キュゥべえ「どうもありがとう。僕の名前はキュゥべえ」

まどか「あなたが、私を呼んだの?」

キュゥべえ「そうだよ、鹿目まどか、それと美樹さやか」

さやか「何で、私たちの名前を?」

キュゥべえ「僕、君たちにお願いがあって来たんだ」

まどか「お…おねがい?」

キュゥべえ「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」



218 ◆DcdG4DxDDg2013/06/20(木) 01:23:43.74s5l6Qrpi0 (9/9)

本編1話が終了しました。
マミ編はさっくりと終わらせるつもりですので、気長にお待ちいただけるとありがたいです。


219VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/20(木) 01:30:47.02f7ZZkUjc0 (1/1)





220VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/20(木) 03:40:35.52SLkT+O/Jo (1/1)

マミ編はさっくり

つまり三話でさっくりと


221VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/20(木) 06:11:36.12pdhR4hMOo (1/1)

乙です


222VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/20(木) 08:41:14.81IUtXKEQAO (1/1)

乙!


223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/21(金) 00:25:40.73VGFK0Vga0 (1/1)

きてたー!


224VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/28(金) 08:42:19.90auOhdYJk0 (1/1)

気長に待ってる


225 ◆DcdG4DxDDg2013/06/29(土) 21:45:36.29VhCL+V/d0 (1/1)

今日か明日辺りに更新します。

機体紹介

・VF-19改 ファイヤーバルキリー
バサラの愛機。バンドのリーダーであるレイが軍人時代のコネを利用して調達した。
バサラの天才的な操縦センスを見込んで制式採用の評価試験運用と歌の有効性を実証するという役目も兼ね備えている。
正式名称はVF-19改 エクスカリバー・熱気バサラスペシャル 
だが、通称としてカラーリングからファイヤーバルキリーと呼ばれている。
大気圏内、外どちらでも運用が可能であり、最高時速はそれぞれマッハ5.5とマッハ25以上にまで達する。
試験機の時は複座式だったが、単座式に切り替えられている。そのため、座席部には多少の余裕が確保されている。

スロットルレバーは存在せず、ギター型のコントロールスティックを利用して操縦する。というか、演奏することで操縦出来る。
VF-19に元々積まれている武装以外は全て歌をエネルギーに変換する装置が装備された。ちなみに、バサラの好みで頭部に「口」が付けられているが、別に歌うことで動いたりするわけではない。

・CBR1000改 ファイヤーブレードボンバー

バサラがバイク屋で中古で購入したバイク。
元々赤が基調の配色になっているが、黄色などを追加してより炎をイメージしたデザインになっている。
前の持ち主が至る所を改造(一部を加工したり純正以外のパーツを取り付けたり)していたが、それをバサラも引き継いで使っているため扱いは普通のバイクよりも難しい。音楽がよく聞こえるように、とマフラー部分の消音をさらに自分でもしている。
リアキャリアにギターアンプを設置しているためエレキギターを使用することも可能。




なお、ホ○ダの製品とは特に関わりは無いことをここに書いておきます。まあ、イメージ的に、というだけです。


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/29(土) 22:32:48.69h4bTvehr0 (1/1)

カワサキ製でもいいのよ


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 07:49:00.25hSw+PntAO (1/1)

カワサキか…


228 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 21:46:45.811JMPq0KN0 (1/11)

若干短いかもしれないけれど投下します。


229 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 21:56:43.251JMPq0KN0 (2/11)

バトル7 艦長室

『艦長 ブリッジイン』

機械のアナウンスの声と共に、青髪の艦長が中に入る。
中身は既に老境に差し掛かっている年齢であるはずだが、その容姿は青年期と遜色がない。
艦長席に座ると、横にいるゼントラーディ人の顔に視線をやる。

マックス「エキセドル参謀。例の異星人とのコンタクトはどうなっている?」

エキセドル「はい。例の異星人との交信記録を解析したのですが……どうにも不可解な点が見受けられますな」

マックス「不可解な点?」

エキセドル「解析結果によりますと、彼らは、どうやらこの宇宙上には存在しないものたちだと」

マックス「存在しないだと?それでは……まるで幽霊だ」

美穂「え!わ、私、幽霊苦手なんだけれど……」

話を聞いていた女性オペレーターの1人が、小声で隣と話し始める。

サリー「何よ、今時幽霊なんて信じているの?あんなものただのプラズマよ、プ・ラ・ズ・マ。気にする事ないわ」

美穂「でも、前に遊園地のお化け屋敷に行った時、結構騒いでた記憶があるんだけれど?」

サリー「あ、あれはその場の雰囲気に合わせただけよ。それに、いきなり扉が」

艦長の咳払いの声で、お喋りを始めそうになったオペレーターたちは慌てて顔をモニターの前へと戻す。


230 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:03:17.421JMPq0KN0 (3/11)

マックス「向こうからは一方的にコンタクトをとれるが、こちらからは不可能ということか」

エキセドル「そのようですな」

マックス「参謀のデータにも、彼らの情報は無いのか」

エキセドル「お恥ずかしい限りですが。……しかし、この広い宇宙において、未だ見ぬ種族がいてもなんら不思議な事ではありませんからな」

マックス「インキュベーター。銀河の管理者とも名乗っていたが……目的は……ん?」

電話の着信音が突然鳴る。マックスは少し気まずい顔をして懐から電話を取り出す。

マックス「おっと、切り忘れていた……ん、ミレーヌからか。すまない、少しだけ席を外す」

エキセドル「ええ、お構いなく」

席を立ち、扉を出ると通話ボタンを押して機器を耳に当てる。

マックス「ミレーヌ。今勤務中「ちょっと、パパ!なんで私のバルキリーを飛べなくさせてるの!?」

ボタンを押した瞬間に発せられた声に、マックスは一瞬怯む。

マックス「……その事なら大尉を通じてお前に伝えさせたはずだが」

ミレーヌ「嘘よ!ガムリンさんそんな事を言ってなかったもん」

マックス「……大方、お前がその話を聞く前に飛び出してきたのだろうな」


231 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:04:14.981JMPq0KN0 (4/11)

大きなため息をつき、メガネのズレを直すとマックスは壁に背をもたれかける。

マックス「お前がバサラを心配する気持ちも分かる。それに、彼を探しに行くために飛び立ちたい気持ちもな」

ミレーヌ「……」

マックス「だが、お前はFIRE BOMBERの一員だ。それが、何を意味するのか分かるだろう?」

ミレーヌ「あ……」

マックス「ミレーヌ?」

ミレーヌ「そう…だよね。ごめん」

マックス「どうした、急に?」

ミレーヌ「私、また自分の事ばかり考えてた。周りが見えてなくて、やらなきゃいけない事があるのにすっかり忘れてて……」

ミレーヌ「これじゃあ、やっぱりまだまだ子供扱いされて当然だって」

マックス「……ミレーヌ」

ミレーヌ「ごめんなさい、パパ。仕事中に我が侭を言っちゃって」

マックス「出来る事ならば今の状況について詳しく伝えてやりたい気持ちもあるが、市民の混乱を防ぐために明かせない事情もある。
     それは、分かってくれるな?」

ミレーヌ「うん。分かってる。パパやママはいつもみんなの事を考えてくれているって」

マックス「娘にそう言ってもらえると、パパは嬉しい」

ミレーヌ「クス。ありがとう、パパ。大丈夫、もう落ち着いたから。私は、私のやらなきゃいけない事をする。だから、パパも頑張って。
     バサラったら、どうせまたどこかで歌ってるだけなんだし。私も、歌わなきゃ」

マックス「その意気だ。パパもママも、いつもお前を応援している」

ミレーヌ「はあい」


『艦長ブリッジイン』

マックスは艦長室の席に戻ると軽く息をついた。

エキセドル「お嬢様からでしたか」

マックス「ああ。……ふっ」

エキセドル「いかがなされましたかな?」

マックス「いや。子供は何人目であっても、それが親の元を離れていく瞬間というのはいつになっても慣れないものだなと思ってな」

マックスは寂しいような、嬉しいような笑みを薄く浮かべていた。




232 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:10:07.271JMPq0KN0 (5/11)

見滝原市 鹿目家

まどか「ねえ、ママ」

詢子「ん~?」

朝早くに起きて、鏡の前で歯を磨く母親にまどかは話しかける。

まどか「もし、もしもだよ。魔法でどんな願いでも叶うって言われたらどうする?」

詢子「役員を2人ばかりよそに飛ばしてもらうわ」

まどか「……はぁ」

詢子「社長もそろそろ隠居を考えてほしいけれど、代わりがいないっていうのがなあ」

まどか「もういっそママが社長になっちゃえば」

そう言われて、詢子は急いで口を濯ぐ。そして、まどかに笑顔を向けた。

詢子「その手があったか!」

まどか「……ママ、目が怖いよ」


233 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:10:51.631JMPq0KN0 (6/11)

目だけが笑っていない、笑顔であった。
ふと、思いついたことをついでに口にする。

まどか「ママは好きな音楽とかある?」

詢子「音楽……最近はあんまり聴いていないなあ」

まどか「そっかあ」

詢子「なになに?部活で音楽系にでも入るの?」

まどか「え、ええと、いや。そういうのじゃないんだけどさ」

詢子「ま、若い内はなんでもやってみなよ。青春時代なんて、あっという間に過ぎていくものなんだからさ。
   ぼやぼやしてると、何もしないまま終わっちまうよ」

そう言って詢子は口を漱ぎ、一足先に洗面所から離れる。

まどか「何でも、かあ」



234 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:11:25.071JMPq0KN0 (7/11)



通学の途中、まどかは昨日の晩に起こった事を思い出す。
キュウべえと名乗る白い生き物との出会い。
それを狙う謎の転校生。
突然現れた魔女の結界と使い魔。
魔法少女として戦う先輩。
そして、その戦いの中で歌を熱唱する謎のロックンローラー……

まどか(あれ?)

なんだか最後の部分だけが、中でも特に異質なもののように感じられた。
日常の中に現実味のない非日常が入り込んできて頭の中がごちゃついているはずなのに、
熱気バサラの歌はなぜだかはっきりとまどかの耳に残っていた。

まどか「……ファイヤーボンバーって言うんだっけ、あの人のバンド」

帰りにCDショップに寄ったら少し探してみようと思っていると、後ろから声をかけられた。

さやか「おっはよーう!まどか!」

まどか「あっ、さやかちゃん。おはよう」

仁美「おはようございます」

一瞬驚いたが、いつもの事であるのですぐに平静を取り戻す。

さやか「なになに?何か悩んでるの~?あ、それとも……昨日のこと?」

まどか「う、うん。まあ」

QB(おはよう。まどか、それにさやかも)


235 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:13:57.491JMPq0KN0 (8/11)

頭に響いた声を受けて、二人の視線は自然と下のほうへと下がる。
仁美の足下にキュウべえはいた。

さやか「ぇ、あっ、ちょっ!」

仁美「?どうかなさいました、お二人とも。私の足下に何か……?」

さやか「ああ、いやいやいや。なんでもない」

まどか(本当に私たち以外には見えないんだ)

さやか(え、まどかの考えてることが聞こえる!私たちもうそんなマジカルな力が!?)

QB(いや、まだこれは僕が中継しているだけだよ。でも、内緒話には便利だろ?)

仁美「なんか、お二人とも挙動が怪しいですわ。何かございました?」

仁美がさやかに詰め寄る。

さやか「ぁあ、いや。まあ……その……いろいろ、あったんだけれど……ね」

さやかはしどろもどろになりながらまどかに目配せする。

まどか「う、うん。そう。いろいろ、あって……」

仁美はしばらく怪しむような顔をしていたが、突然何かを察すると口に手を当てて驚きを表す。
どんな事を考えたのかはその様子で理解したので、二人は無視して学校へと急ぐことにした。




236 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:16:03.861JMPq0KN0 (9/11)


昨晩のまどかたちとの接触によって私への印象は悪くなったと考えるべきだろう。
奴等の行動パターンを読み切ることが出来なかった私のミスだ。だが、まだ決定的な支障は無い。いくつか挽回のチャンスはある。

それよりも、気になることがある。

あの魔女の結界の中にいた謎の男。
あんな男は、今まで時を繰り返してきた中では見たことがない。
彼が何者なのか、戦いの邪魔をしているようにしか見えないが、彼の目的は一体何なのか。

魔法少女と関わりがあるわけでもないのに結界の中に入って無事でいられるなどということがあるのだろうか?
イレギュラーな存在に私の目的を邪魔されるわけにはいかない。幸いなことに、人を一人殺すくらいの装備ならいくらでもある。
今まで倒してきた魔女だって、元を辿れば魔法少女だ、人間だ。
今更、もう一人殺すことになっても躊躇は無い。私の邪魔をするのであれば、魔女も人間も私にとっては大差ない。
私たちに関わるということは、そういう事なのだ。

あの男については、とりあえず保留しておこう。
それよりも今は、まどかに念を押すほうが優先だ。

和子「……では、15行目を暁美さん。和訳してみて」

ほむら「"彼は出ていく前に彼女の料理を食べる約束をしました”」

和子「はい。よくできました。このように、男というものは軽はずみに女性と約束をしてはそれを守ることなく……」

先生の生々しい座学は聞き飽きた。
授業が終わると、私はまどかの席へと向かう。


237 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:16:35.531JMPq0KN0 (10/11)

ほむら「鹿目さん。話があるの」

まどか「え……っと」

さやか「なによ。昨日の続き?」

いたのか、美樹さやか。

ほむら「あなたに用は無いわ。私が話をしたいのは鹿目さんだけ」

さやか「はあーっ!?感じ悪っ!」

なんとでも言え。その言葉は私には聞こえないし私もあなたに対しては随分と苦労をさせられた。
このくらいの言葉で収めているだけありがたく思ってほしいものだ。

まどか「さやかちゃん。大丈夫。ほむらちゃんも、そういう言い方はあんまり良くないよ」

ほむら「そう……ごめんなさい。口下手だから、上手く言うことが出来なくって」

まどか「う、うん。ところで、何の用があって……」

ほむら「昨日、私が言ったことは覚えているかしら?」

まどか「!……うん」

ほむら「そう。ならいいわ。あなたがアレに出会う前にケリをつけたかったけれど、もう手遅れのようだし」

さやか「アレって、キュウべえのこと?何であんな酷いことしてたのさ!」

ほむら「それをあなたが知る必要は無いわ。鹿目さん。私の忠告が無駄にならないことを祈っているわ」

今はこれでいい。根本的な解決にはならないかもしれないが、それはこれからの私の行動次第だ。

まどか「……ほむらちゃんも魔法少女なんだよね。なら、どんな願い事をして……」


私は、その質問に答えることなくその場を立ち去った。
答える必要はない。答えるわけにはいかない。
それを知れば、あなたは契約せざるを得なくなる。これは、わたしだけの内に秘めた願い。決して知られる事のない私だけの……




238 ◆DcdG4DxDDg2013/06/30(日) 22:17:24.531JMPq0KN0 (11/11)

以上です。7月中にマミ編まで終わらせたい……


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 22:30:34.951E8ARgdAo (1/1)

乙です


240VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/06/30(日) 23:36:24.63oalO829vo (1/1)

安定のコミュ障ほむほむ


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/01(月) 12:31:58.67A71xXEuAO (1/1)

乙!



242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/03(水) 01:24:31.73UJP2ZEI90 (1/1)

乙!
そして英文フォッカーw


243 ◆DcdG4DxDDg2013/07/12(金) 23:21:33.73gF86fhKG0 (1/1)

リン・ミンメイの声変わりすぎたな……いや、元から……うっ…頭が……

土日のどちらかには更新します。


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/12(金) 23:27:52.76GnwxDIbFo (1/1)

来なかったら強制路上ライブな


245VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/13(土) 16:43:11.24n+f62MoSO (1/1)

全裸でな


246VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/13(土) 17:22:17.29TPh766CK0 (1/1)

逆立ちでな


247VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/14(日) 01:14:37.61kdG3VOxko (1/1)

片手でな


248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/14(日) 03:01:38.79T9vV9gqn0 (1/1)

両足は地面と平行にな


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/14(日) 12:55:10.15Mg/p1VMSO (1/1)

もうびっくり人間コンテスト出た方が良いんじゃないかな


250 ◆DcdG4DxDDg2013/07/14(日) 22:25:57.24XBhuO2Ea0 (1/6)

なんでのび太に対するジャイアンの要求みたいになってるんですかねえ…

更新します


251 ◆DcdG4DxDDg2013/07/14(日) 22:34:59.56XBhuO2Ea0 (2/6)


マミ「さて、それじゃ魔法少女体験コース第一弾、張り切っていってみましょうか」

さやか「おーっ!」

まどか「お、おー」

さやか「役に立つかは分からないけど…持って来ました!何もないよりはマシかと思って」

さやかは手に持ったバットを見せる。

さやか「まどかは何か、持って来た?」

まどか「え?えっと。私は…特には何にも。見学って何をすればいいのか分からなくて……」

マミ「まあ、危険な目には合わせないようにはするわ。けれど、覚悟だけはしておいて」

二人はマミの後に続く。
魔女の残した魔力の痕跡をソウルジェムを使って追っていく。

さやか「意外と地味ですね。もっと派手にぱっとちゃっちゃと見つけられるものかと」

マミ「取り逃がしてから、一晩経っちゃったからね」

まどか「あの時、ちゃんと倒せていれば……ごめんなさい」

マミ「いいのよ。それに、どちらかと言うと邪魔だったのは…」

さやか「あの変なミュージシャンと転校生ですか?」

マミ「転校生?あの魔法少女のこと?」

さやか「あ、はい。ついこの間来たばっかりなんですけれどなんだか掴みどころが無いやつで」

マミ「ふうん。あの男の人の方は多分偶然巻き込まれただけの部外者だと思うけれど、その転校生の方は私と同じ魔法少女。出会えば争いになる可能性があるわ」



252 ◆DcdG4DxDDg2013/07/14(日) 22:40:23.14XBhuO2Ea0 (3/6)

まどか「魔法少女同士、仲良くするって事は出来ないんですか?」

マミ「勿論、出来ないことは無いわよ。でも、見ず知らずの相手に命を任せられるほどのお人好しではやっていられないもの」

まどかは少し残念そうな表情をして俯く。

さやか「あーあ、マミさんはこんなに頑張っているってのにあの転校生は…」

まどか「そう言えばこの魔女の結界って普通の人にも見えるんですか?あの男の人とか」

マミ「いいえ、あなた達のようにキュウべえに選ばれた才能のある人たちならともかく、普通の人に見えるなんてことはまず無いわ」

マミ「見えても、待つのは魔女に襲われる未来だけ。あのミュージシャンは運が良かっただけよ」

さやか「それにしても、変な人でしたね。いきなり歌い出すなんてきっと頭がおかしい人だったんだ。まどかも、そう思わない?」

まどか「え、ええっと……私は……」

さやか「うーん?まどか、もしかしてああいうのが好みだったり?」

まどか「そ、そういうのじゃないんだけれど……あれ?」

さやか「ん?どしたのまどか」

まどか「何か、聞こえるような…?」

マミ「二人共、お話はそこまで。そろそろ魔女が見つかりそうよ」

ソウルジェムの反応が強くなる。近くに魔女がいる事を示していた。



253 ◆DcdG4DxDDg2013/07/14(日) 23:46:33.90XBhuO2Ea0 (4/6)



建物の屋上


女性が居た。服装からOLだということが伺える。
目は虚ろ。歩きにも力が入っていない。

屋上の手すりに手をかける。履いていたヒールを脱ぐ。

バサラ「何やってるんだ?お前」

いつの間にか背後に立っていた男が声をかけた。だが、女性の動きに変化は無い。
手に持っていたアンプを置き、ギターを構える。

バサラ「そんな事するより、まず一曲聴いていけ。行くぜ!」



♫POWER TO THE DREAM

♫POWER TO THE MUSIC

♫新しい夢が欲しいのさ

♫POWER TO THE UNIVERSE 

♫POWER TO THE MYSTERY  

♫俺たちのパワーを伝えたい



254 ◆DcdG4DxDDg2013/07/14(日) 23:50:23.94XBhuO2Ea0 (5/6)

女性「………」

♫やっと掴んだ希望が 指の隙間から逃げてく

♫ブラックホールの彼方まで ずっとお前を追いかけてく

♫POWER TO THE WORLD

♫POWER TO THE LOVERS

♫女性「ぱわー……トゥー……」

♫本当の愛が見たいのさ




255 ◆DcdG4DxDDg2013/07/14(日) 23:54:57.53XBhuO2Ea0 (6/6)

※訂正

女性「………」

♫やっと掴んだ希望が 指の隙間から逃げてく

♫ブラックホールの彼方まで ずっとお前を追いかけてく

♫POWER TO THE WORLD

♫POWER TO THE LOVERS

女性「ぱわー……トゥー……」

♫本当の愛が見たいのさ

♫POWER TO THE RAINBOW

♫POWER TO THE FUTURE

♫諦めたらおしまいさ

女性「へ…私…ここで……ひっ!?あっ……」

正気を取り戻した女性が辺りを見回した瞬間、足場の狭さに気がつく。
そして、混濁した意識のせいでそのまま足の踏み場を無くす。身体が空中に投げ出される。

バサラ「危ねえっ!」

足を踏み外した女性の腕をフェンスから身を乗り出したバサラが掴む。

さやか「あ、マミさんあれ!」

さやかが指さした方向に、屋上から転落した女性が男性の手に掴まっている姿が見えた。
変身しながら駆け寄り、

マミ「ハッ!」

女性の身体をリボンで包むとそのまま地面へと下ろした。

マミ「大丈夫ですか」

女性「あ、あ、う、うん……今…何が」

気が動転しているようだった。上手く状況説明するのは難しいとマミは思う。

マミ「悪い夢です。すぐにここから離れてください、危険ですから」

夢だと思わせてしまうのが一番だと考え、若干暗示をかけるように気を落ち着かせた。
女性の首筋へ視線をやる。魔女の口づけの痕跡が消えていくのが見えた。
屋上を見上げると、男がいた。マミの方を見るとすぐに階下へと走る。

マミ(昨日の男の人……)

さやか「どういうこと…?あいつがどうして魔女のいる所に…それに、飛び降りそうになった人を助けた?」

マミ「……彼が、何故ここに居るのかは知らないけれど。今は私達に出来る事をするだけよ」

まどか(さっき、歌が微かに聞こえた……あの人は一体何なんだろう……)



256 ◆DcdG4DxDDg2013/07/15(月) 00:00:58.81iRxfYh9k0 (1/6)

魔女の結界内部


階段を上った先に、魔女の結界が広がっていた。

マミ「今日こそ逃がさないわよ」

さやかのバットへ手をかざす。バットが魔法チックな形状へと変わる。

マミ「気休め程度だけれど。私から離れないでね。」

結界の内部へと入る。無数の使い魔たちが列をなして襲い掛かる。
マミがいくつものマスケット銃を取り出し使い魔たちに向けて手当たり次第に撃ち放つ。

さやか「すっご……」

まどか達は息を呑んでマミの動きを見守る。
使い魔たちが脅威を感じ、逃げていく。
結界の奥へと扉を開けて進んでいく。

マミ「どう?怖い?二人とも」

まどか「怖いけど……でも……」

マミは笑みをまどかに向ける。

キュウべえ「もうすぐ結界の最深部だ」

目の前に、開けた空間が広がった。
髭を生やした使い魔と、空をとぶ鋏。それらの集う場所の中央に薔薇の魔女がいる。

マミ「危ないから下がっていて」

そう言って、飛び出そうとした時。背後の扉が勢い良く開かれ、飛び出していく姿が見えた。
ギターを抱えながら着地の衝撃を前転して殺す。弦をかき鳴らした。

バサラ「俺の歌を聞け!」

さやか「さっきの…」

まどか「ミュージシャン…!?」



257 ◆DcdG4DxDDg2013/07/15(月) 00:18:50.19iRxfYh9k0 (2/6)

♫POWER TO THE DREAM

♫POWER TO THE MUSIC

マミ「…ふざけないで!」

マミは空中でスカートを翻し、中からマスケット銃を取り出し撃ちながら着地する。

バサラ「やめろ!撃つんじゃねえ!まだ俺の歌は始まったばかりだ!」

バサラの声に構わず、マミは射撃を続けた。
使い魔の数がみるみるうちに減っていく。

マミ「私の戦いを茶化すつもりなら、ちょっと痛い目にあってもらうわ」

胸のリボンを解き、バサラへと向ける。

バサラの身体が縛られ、まどかたちがいる方へと緩やかに投げられる。

バサラ「うおお!?」

まどか「きゃっ」

マミ「すぐに倒してしまうから、あと少しだけ待っていてね」

後輩たちにウインクを送ると、そのままリボンを巨大な銃へと姿を変える。

マミ「ティロ・フィナーレっ!」

弾丸に射抜かれた魔女が燃えていく。
結界が晴れていった。



258 ◆DcdG4DxDDg2013/07/15(月) 00:52:36.74iRxfYh9k0 (3/6)


さやか「か、勝った!」

まどか「すごい……」

マミ「さて、と。どうして私の邪魔をするのかしらあなたは?」

バサラ「……」

マミは変身を解いた。バサラは座ったままで不満な顔をする。

マミ「魔女の口づけを受けた人は助けてくれたようだけれど、だからといって戦いの邪魔をして欲しくないのだけれど」

バサラ「何で戦うんだ?」

マミ「魔法少女は魔女と戦うことが使命なの。そうじゃないと、人々が魔女に襲われてしまうわ」

バサラ「なんで、戦い以外の方法があるって思わないんだ?」

マミはバサラの言うことに頭を抱えてため息をつく。

マミ「そんなもの、あるわけないでしょ。ねえ、キュウべえ」

QB「そうだね。僕が知る限り、魔女を戦い以外でどうにか出来たなんていう話は聞いたことがない。」

バサラ「……そうやって、やりもしないで諦めるのか。くだらねえな」

マミ「は?」

バサラ「戦って、倒して、また戦って。ずっとそうやっていくつもりか?」

マミ「何…あなた……」

さやか「ちょ、ちょっと!あんた一体何様のつもり!?マミさんのやってることをくだらないなんて!」

まどか「マミさんは、皆の為に戦っているのに……そんな言い方は……」

バサラはギターを構える。




259 ◆DcdG4DxDDg2013/07/15(月) 01:28:23.26iRxfYh9k0 (4/6)

マミ「何?そうやって、歌で誤魔化すつもり?」

バサラ「は?」

さやか「マミさん、行きましょう。こんな奴に構うことないですよ。ほら、まどかも」

まどか「う、うん」

ふと、マミは背後に何かに瞳を向けられるのを感じた。

マミ「……まあ、いいわ」

しかし、その気配の招待が出てくる様子がないことを見るとその場から立ち去った。

バサラ「お、おい!待てよ……ったく。どうにも上手くいかねえぜ」




260 ◆DcdG4DxDDg2013/07/15(月) 01:43:08.65iRxfYh9k0 (5/6)


どうやら、マミさんには気づかれていたらしい。見逃してくれたのはこの男がいたからであろうか。
必要以上の接触を避けたい私としてはまあ良かったと言えなくもない。
それに、今はチャンスだとも言える。この男の正体を少しでも探ることにする。

ほむら「ねえ、そこのあなた」

バサラ「お前は……」

姿を表して男の目の前に出る。
さして驚いたような表情をしなかったのが少し気になった。

ほむら「いくつか質問させてもらうわ」

バサラ「別にいいけど」

ほむら「まず、なんであなたはこの場所にいるの?ここは魔女の結界。危険な場所だし、元の場所にしても一般人がまず訪れることの無いような所のはずなのだけれど」

バサラ「ここに俺の歌を必要とするやつがいると思ったからここに来た。」

全く意味が分からなかった。こいつの歌なんかを必要とするやつがいる?
何か能力でも持っているのだろうか?しかし、魔法少女の他にそういう存在がいるという話は聞いたことがない。

ほむら「あなた、何者?」

バサラ「俺か?俺は、熱気バサラ。FIRE BOMBERの」

ほむら「そういう事じゃないわ。とぼけるようなら」

時を止めて、盾の中から拳銃を取り出し銃口を向ける。

バサラ「…!」

ほむら「さて、改めて質問に答えてもらうわ。あなたは、何者?私の敵、それとも、味方?」

銃口を向けられているというのに、この男は私を睨むばかりで

ほむら「答えないなら、敵とみなすわ」

バサラ「どっちでもいいよ、そんな事。それより、そんな物を人に向けるなよ」

引き金を引く。
銃声。男の耳横を銃弾が抜けた。

ほむら「悪いけど、こっちもそれほど暇ではないの。敵か、味方か。それだけ」

バサラ「俺は、そういう敵とか味方だとかって区別をするような奴は嫌いだ」

ほむら「……頭が悪いのかしら」

呆れた。苦笑しかでない。自分が置かれている状況を理解しているのかも分からない。
ただ、相手にするだけ無駄だということは分かった。

ほむら「これだけは言っておくわ。私の邪魔をするのなら、容赦はしない。これは、警告よ」

そのまま、私は男の目の前から去った。
この男は何をしたいのだろうか。先ほどの戦いを見る限り、この男に戦う力は無い。
イレギュラーということで注目していたが、特別視する必要はないかもしれない。
ただの頭のおかしい変人。私の中の彼への評価はそう決まった。




261 ◆DcdG4DxDDg2013/07/15(月) 01:59:37.05iRxfYh9k0 (6/6)

今回はここまで。
丁度2話が終了といったところです。

バサラの歌が通じるにはある要素が必要なので、それまでは待ってください。


262VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/15(月) 07:43:43.32Kt3XSzDE0 (1/1)




263VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/15(月) 08:51:39.82m9y4NL5yo (1/1)

乙です


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/15(月) 08:53:49.87IHxEefZ6o (1/1)

頭のおかしい変人

だいたいあってる


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/15(月) 11:37:38.44JHkm6brAO (1/1)


この序盤のテメー何しに来た的な全く歓迎されてない感
すごく…マクロス7です


266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/15(月) 12:56:40.58w1JYXGke0 (1/1)

ガムリンと宇宙クジラの時のライザ思い出すな



そういや7見直してたらさやかがフィジカみたいだった・・・


267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/16(火) 21:45:48.09nKlVmbASO (1/1)

むしろこうでなくちゃバサラじゃない、バサラは最初キチガイ扱いされてこそ


268 ◆DcdG4DxDDg2013/07/28(日) 00:16:07.07M/TnCXfG0 (1/1)

最近暑くて辛いさんです・・・
8月中は下旬まで忙しいので更新できないかもしれませんね…その代わりと言ってはなんですが、
次の更新で3話まで終わらせたいと思います。

あ、言っておきますが杏子編はもう出たので12話構成というわけでは無いです。若干それより短くなると思いますので。


269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 00:18:26.30t+wy7bPWo (1/1)

了解


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/28(日) 23:52:18.08+8t+X/FAO (1/1)


とりま熱中症には気をつけろください


271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/30(火) 03:03:32.92MwKdnT5SO (1/1)

熱中症と日射病を混同する馬鹿って未だに居るのかな…


272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/30(火) 07:34:09.77oUPu6/O5o (1/1)

正直あんまり違いがわからない
日光で暖まるのが日射病で気温そのもので暖まるのが熱中症?


273VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/31(水) 03:47:30.24SmBHAReSO (1/1)

>>272

熱中症は、「高温の環境下での全身の障害の総称」

この熱中症の中に、熱疲労や熱けいれん、そして熱射病が含まれる

熱射病は『熱に晒された事で起きる障害』

日射病は、この熱射病の中の『太陽光が熱源となっているもの』


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/07/31(水) 07:38:40.01YMS8ekJxo (1/1)

へぇ~

じゃあまとめて熱中症でいいのか


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/02(金) 01:32:44.88TvH4kHpSO (1/1)

>>274
そそ、別に日射病やら熱射病に限定する必要無い訳だしね


276 ◆DcdG4DxDDg2013/08/02(金) 03:02:45.173bdhiMcn0 (1/1)

よっしゃ4話目までおおよそプロット完成。
今日明日辺りに更新します。


277VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/02(金) 05:18:52.19U+oOlY7jo (1/1)

了解


278 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:46:37.59f/3dnnt20 (1/20)

投下行きます。


279 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:47:24.07f/3dnnt20 (2/20)

CDショップ

まどか「ええっと……は、ひ、ふ、ふ……ふぁいやー…ふぁいやー…ふぃ……あれ?」

指をさしながらもう一度歌手の名前順に陳列されたCD棚を見る。
しかし、目当てのバンドの名前は見当たらなかった。

まどか「うーん?どういう事だろう……」

さやか「あれ、まどか。奇遇だねえ」

まどか「あ、さやかちゃん。それ、上条くんの?」

さやか「うん。この前、買いそびれちゃったからさ、今度持っていくつもり。まどかは、何を?」

まどか「へ、ええっと…適当に見てただけ。なんか、良さそうなの無いかなあって」

さやかはまどかが見ていた陳列棚を見ると小首をかしげ、「ははーん」と口元に笑みを浮かべる。

さやか「さてはまどか。あのミュージシャンのCDを探しに来たんじゃないの?」

図星を突かれ、言葉に詰まる。

まどか「え、あの…その…」

さやか「どうなの?」

まどか「…うん」

さやかはため息をつき、頭を掻く。

さやか「あんな奴の音楽なんてどうでもいいって。聞く必要も探す必要も無い!」

さやかはきっぱりとそう言い切る。


280 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:47:52.79f/3dnnt20 (3/20)

バサラがマミに対して言った言葉がさやかの頭の中に思い出されていた。

さやか「あんな人の気持を踏みにじるようなことを言うようなやつの歌なんて、たかが知れてるよ」

まどか「ま、まあ見つからなかったし」

さやか「え、見つからなかったってホント?ええっと、は、ひ、ふ……あ、本当だ。」

さやか「でもここって、結構品揃えいいお店だよ?私が買うCDも、恭介が言うには結構レアなものばかりだって言うし。
インディーズCDも結構置いてあるって聞くよ」

まどか「検索機に入れても出なかったし……」

さやか「もしかしてさ、バンドとかの話って全部ウソなんじゃない?自称ミュージシャンなんていっくらでもいるし」

まどか「そうかなあ?嘘をついているようには見えなかったけれど」

さやか「ああー、はいはい。じゃあここでアイツの話は終了。それよりもさ、魔法少女のコト。何か考えた?」

まどか「考えるって?」

さやか「そりゃあ願い事だよ。マミさんとも前に少し話したけどさ。あれから、何かいい感じの願いは思いついた?」

まどか「ううん、特には。私も、マミさんを手伝いたい、助けになりたいっていう気にはなるけれど……でも……」

さやか「……ああ、そういうこと。そうだね、あんな自分が戦っている姿って、全然想像出来ないよねえ」

まどか(それに、ほむらちゃんの言っていたこと。『今とは違う自分になれば、全てを失う事になる』)

まどか(どうして、ほむらちゃんはあんな事を言うんだろう?魔法少女が危険なことだっていうのは分かるけれど……)

まどか(でも、変わろうとすることは悪いことなのかな?私に何か、出来る事はないのかな?)



281 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:49:03.21f/3dnnt20 (4/20)

CDショップを出てしばらくは一緒の帰り道だったが、途中で別れて1人になる。

まどか(私は、何か出来る事ことなら何でもいい。誰かにありがとうって思われるような事なら、何でもしたい)

まどか(鈍くさいしこれといった取り柄もない。そんな私も、マミさんのように素敵な人になれるのなら……)

気がつくと、家の前にたどり着いていた。

知久「まどか、お帰り。もう少しでご飯出来るよ」

まどか「ただいま、パパ。ママは遅いの?」

知久「うん。会社の付き合いで遅くなるみたい」

まどか「ママも大変だね。仕事じゃないのに」

知久「まあ、それも仕事の内かな。だから、まどかもママのことをちゃんと労ってあげないとね」

まどか「うん……ねえ、パパ」

知久「なんだい?」

まどか「どうしてママはそんなに仕事を頑張れるのかな?今の仕事がそんなに好き……ってわけじゃないと思うんだけれど」

知久「そうだねえ。ママは、頑張るのが好きだからかな」

まどか「頑張ることそのものが?」

知久「嫌なこととか辛いことを全部乗り越えて、それを乗り越えた時の満足感がママにとっての最高の宝物なんだよ」

まどか「じゃあ、ママの夢はそういう生き方っていうこと?」

知久「そういうことだね。どう思うかは人それぞれだけれど、自分の理想の生き方を通して夢を叶える。そうやって頑張る所がパパがママを好きなところ。尊敬できるし、自慢できる。素晴らしい人だってね」

まどか「理想の生き方……かあ」

自分の部屋に戻り、制服を脱いで片すと楽な格好へと着替える。
カバンの中から取り出したノートを開く。そこには、自分が思い描いた魔法少女の姿があった。

まどか「ママにもちょっと聞いてみようかな……」

知久「まどか、少し手伝ってくれるかな」

まどか「はーい」


ノートを机の上に置いたまま、まどかはリビングへと下りていく。


282 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:49:35.86f/3dnnt20 (5/20)


翌日

病院

さやか「はあ……よ、おまたせ」

まどか「あれ、早いね。上条君は会えなかったの?」

さやか「なんか今日は都合悪いみたい。折角CDも持ってきてあげたっていうのにさ、失礼しちゃうよね」

まどか「それじゃあ、今日はもう帰る?」

さやか「会えないっていうなら仕方ないでしょ。行こ」

キュウべえを撫でていた手を止めてまどかは立ち上がる。
外に出ると秋風が吹いた。病院のスタッフが老人の患者と散歩をしていた。

さやか「いきなり面会出来ないって言われて、どうしてって聞いても答えてくれないし……もう」

まどか「……」

さやか「ん、どうしたの……って!」

まどか「あそこ、あれって」

視線の先に黒く光る球体が病院の壁に張り付いているのが見えた。

QB「マズイよ。グリーフシードだ。孵化しかかってる」

まどか「嘘…なんでこんな所に」

さやか「マミさんを呼ばないと……まどか、携帯の番号知ってる?」

まどかは首を横にふる。


283 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:50:24.51f/3dnnt20 (6/20)

さやか「マズったなぁ。私も知らないし……まどか、私がここで見張ってるからマミさんを連れてきて」

まどか「そんな、危険だよ!」

QB「無茶だよ!中の魔女が出てくるまでにはまだ時間があるけど、結界が閉じたら、君は外に出られなくなる。マミの助けが間に合うかどうか……」

さやか「あの迷路が出来上がったら、こいつの居所も分からなくなっちゃうんでしょ?放っておけないよ。こんな場所で」

QB「……まどか、先に行ってくれ。さやかには僕が付いてる。マミならここまで来れば、テレパシーで僕の位置が分かる」

QB「ここでさやかと一緒にグリーフシードを見張っていれば、最短距離で結界を抜けられるよう、マミを誘導できるから」

さやか「ありがとう、キュウべえ」

まどか「すぐに連れてくるから!」

まどかは何回か振り返りながらもマミの元へと急いだ。

QB「怖いかい?さやか」

さやか「そりゃあ、まあ…」

QB「願い事さえ決めてくれれば、今この場で君を魔法少女にしてあげる事もできるよ」

さやか「いざとなったらね。でも、今はやめとく。いい加減な気持ちで決めたくはないから」

キュウべえは若干残念そうな顔をしてみせたが、すぐに表情を元に戻した。
周りの地形が曲線を描きながら変化していく。空の色が黒くなった。



284 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:51:03.88f/3dnnt20 (7/20)




昨晩、巴マミと会話をした。
争う意思は無いことを伝えるために接触したのだが、正直出会ったことは悪手だったかもしれない。
精神面に難はあるものの、彼女の人格は尊敬に足ると思っていたのだがその評価は誤りだったようだ。

いじめられっこの発想。

私の考えや意図をその程度にしか受け取ることが出来ない人間だと分かってしまった。
折角の忠告もこのままでは無意味になる。彼女の戦闘能力はワルプルギスの夜と対峙するのに大きく役立つ。
しかし、今のままではマズい。巴マミが魔女に殺され、それによってまどかが契約を強いられる状況になってしまう可能性がある。
それだけは避けなくてはならない。
病院が見えた、結界の場所は分かっている。美樹さやかが立っていた。
彼女もいたのか。だが例え今、彼女が魔法少女になったとしてもどうせ上条恭介の事で関連して魔法少女になるのだろう。
彼女がいたからといって私の行動は変わらない。時を止めて、結界の内部へと。巴マミが来る前に先回りをする。

使い魔たちが向かってきても大丈夫なように神経を張りつつ、道の陰に入る。
魔女の結界は、基本的に一本道だ。障害となるものはあるが、魔女へと続く道がいくつにも分かれているなどということは私の経験上無い。

巴マミたちが来る前に伝えるべき言葉を頭にまとめる。
どのように言葉をかけるか。こちらから手出しをするべきだろうか。
いや、悪印象を持たれるような行動は控えたい。会うこと自体が駄目なのかもしれないが可能性は最後まで持ち続けたい。
足音が聞こえた。息を潜める。話し声は聞こえない。彼女にしては静かなものだ。

向こうがこちらに気付くであろう位置まで来たと判断し、姿を見せる。

ほむら「は……?」

バサラ「お、なんだ。お前もいたのか」

そこにいたのは、小さなサングラスをかけた見覚えのあるミュージシャンであった。

ほむら「なんであなたがここに?」



285 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:53:07.47f/3dnnt20 (8/20)

冷静になれ。この男がいても何もならない。ただ、魔女の餌になりに来ただけの男だ。
だが、何故か私はこの男の行動原理を知りたくなった。
……いや、こう何度も魔女の結界にいるということは、彼は魔女の結界を探知する能力か何かがあるのかもしれない。
それを聞きたいのだ。もしかしたら、有用かもしれない。

バサラ「ここに来れば、俺の歌を必要とするやつがいるって思ったからさ」

全く何の参考にもならなかった。
歌を必要とするやつがいる?この男は一体何を言っている?

ほむら「死にたいなら向こうに行けば?」

ここで撃ち殺してしまっても構わないが、ここはまどかや巴マミも通るであろう道だ。

バサラ「ああ、そうするぜ。……なあ、お前」

ほむら「私はあなたと話したくは無いのだけれど?」

バサラ「……そうか」

ため息をつくと、そのまま私の横を通り過ぎていく。
扉の前まで行くと、振り返って私に向けて口を開いた。

バサラ「お前にも俺の歌を思いっきり聞かせてやるよ!」

そんなもの、いらない。
扉が閉まる音と、前から人が歩いてくるのが見えた。



286 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:53:42.45f/3dnnt20 (9/20)


マミ「言ったはずよね。二度と会いたくないって」

ほむら「今回の獲物は私が狩る。貴女達は手を引いて」

マミ「そうもいかないわ。美樹さんとキュゥべえを迎えに行かないと」

ほむら「安全は保証する」

マミ「信用すると思って?」

思ったよりも彼女からの敵対心は大きかった。
その事に少しショックを受けたが、それよりも先ほどの男との会話で私は冷静さを失っていたらしい。
警戒しなければならなかった巴マミのリボンが、私の身体を縛り上げていた。

ほむら「っぐ、ば、馬鹿。こんなことやってる場合じゃ!?」

マミ「もちろん怪我させるつもりはないけど、あんまり暴れたら保障しかねるわ」

脅しでは無かった。先程から少し力を入れる度にその力の分だけ私の身体を締め付ける力になって返ってきた。

ほむら「今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う」

マミ「おとなしくしていれば帰りにちゃんと解放してあげる。さ、行きましょう鹿目さん

まどか「え…はい」

ほむら「待っ……くっ」

もう、こうなってしまったら出来る事は限られている。
私は目を閉じて深呼吸をした。最悪の事態を回避するために必要な事を頭に思い描く。
巴マミ。そうやって、自分の虚栄心を満足させるためにまどかを危険に晒すと言うのなら。

目を開く。巴マミを切り捨てる覚悟は済んだ。彼女が生きていれば、まどかに契約が持ちかけられることは無いだろう。
あとは、このリボンが切れるのを待つだけだ。




287 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:54:26.32f/3dnnt20 (10/20)


まどか「あの…マミさん」

マミ「なあに?」

まどか「願いごと、私なりにいろいろと考えてみたんですけど」

マミ「決まりそうなの?」

まどか「……その、悪いんですけど」

マミ「そんなすぐに決めていいものではないと思うし。別に構わないわ」

まどか「ただ…ひとつだけこうしたいっていうのは」

マミ「何かしら?」

まどか「私、誰かの役に立ちたいんです。誰かの助けになりたい……私って、昔から得意な学科とか、人に自慢できる才能とか何もなくて」

まどか「ずっと、誰の役にも立てないまま、迷惑ばかりかけていくのかなって。それが嫌でしょうがなくて」

マミ「だから、魔法少女になるの?大変だよ。怪我もするし、恋したり遊んだりしてる暇もなくなっちゃうよ」

まどか「でも……それでも、マミさんみたいになりたくて、憧れているんです」

マミ「憧れるほどのものじゃないわよ、私……」

まどか「え?」

マミ「無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても、誰にも相談できないし。一人ぼっちで泣くことしかできない。だから、」

マミは振り返ってまどかの手を握る。

マミ「今こうやって私の事を見ていてくれる。応援してくれる人がいるっていうだけでも結構うれしいものよ」

マミ「一緒に戦ってくれるのなら、それに越したことは無いけれど。でも、それはあなたが決めることだし。ゆっくり考えればいいわ」

まどか「はい、分かりました。早く、願い事を見つけます」


288 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 22:55:43.51f/3dnnt20 (11/20)

マミ「もし何も考えられなかったら、億万長者とか、素敵な彼氏とか…あ、ケーキとか」

まどか「いやぁ…え、ケーキ?」

マミ「そうよ。魔女を倒す度にキュウべえにケーキをもらえるように願うとか。贅沢で美味しいものを」

まどか「え、ええとそれは……」

マミ「嫌ならちゃんと自分で考える」

まどか「はぃ…」

マミ「うん。さて、と。今日という今日は速攻で片付けるわよ」

辺りに使い魔たちが出現し始める。
それらを撃ち倒しながらマミとまどかは扉を抜けていった。

マミ「おまたせ」

まどか「大丈夫だった、さやかちゃん」

さやか「あ、うんまあ私はね。……あのさ、ヒッジョーに理解し難いことで説明もしづらいことなんだけどさ」

マミ「何かあったの?」

さやか「あ、あれ」

物陰から身を乗り出して見る。
バサラが孵化しようとするグリーフシードの前に立ち、使い魔たちの前でギターを弾いて歌っていた。



289 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:01:45.32f/3dnnt20 (12/20)


マミ「何やっているの、あの人は……」

QB「……」

まどか「ん、キュウべえ?」

QB「ん、何か用かいまどか。どうやら、孵化にはまだ少し時間がかかるようだけど」

まどか「いや、なんでも……ないよ」

まどか(さっきキュウべえがあの男の人をじっと見つめていたような気がしたけれど……)

マミ「とにかくあの人をどかさないと!魔女が出てきたら大変なことになる」

さやか「え、助けるんですか?」

マミ「目の前で死なれても寝覚めが悪いでしょ。そこの人!危ないから下がって!」

マミは物陰から飛び出し、声を掛けながら近寄り、バサラの腕を掴む。

バサラ「何だよ!歌の邪魔をするなよ」

マミ「ここは危険なの!それとも、前と同じようにリボンで投げ飛ばされたい?」

QB「マミ、気をつけて!魔女が孵化するよ!」

キュウべえの声にバサラとマミがグリーフシードへと向き直る。
その瞬間に、バサラはマミの腕を振りほどく。

バサラ「へへっ、やっと本命のお出ましか!行くぜ、俺の歌を聴け!」

マミ「折角の所悪いけれど、一気に決めさせてもらうわよ!」


290 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:09:24.51f/3dnnt20 (13/20)

HOLY LONELY LIGHT


♫24時間うごめく街を TONIGHT TONIGHT 駆け抜ける

マミが一周その場で回転すると、背中から、スカートの中から、マスケット銃が現れる。
撃っては別の銃を拾い、動きの軌跡からまた新しく銃が生まれた。

♫非常階段瞳の群れが SIGN OF THE TIMES 探してる

マミ(今の私は、1人なんかじゃない。戦えば、それに応えてくれる人がいる)

♫目が眩みそうな 青いダイヤも

お菓子の箱を破り、人形のような魔女が現れる。

マミ(先輩らしく、格好いいところを見せなきゃ)

椅子に座ったその魔女に連続して銃を放つ。
力無く椅子から落ちた魔女をマミのリボンが縛った。

マミが一周その場で回転すると、背中から、スカートの中から、マスケット銃が現れる。
撃っては別の銃を拾い、動きの軌跡からまた新しく銃が生まれた。

マミ(今の私は、1人なんかじゃない。戦えば、それに応えてくれる人がいる)

お菓子の箱を破り、人形のような魔女が現れる。

マミ(先輩らしく、格好いいところを見せなきゃ)

椅子に座ったその魔女に連続して銃を放つ。
力無く椅子から落ちた魔女をマミのリボンが縛った。

♫ガラスに変わってしまう キ・ヲ・ツ・ケ・ロ

マミ「逃さない!これで決まり!」

手に持ったマスケット銃が姿を変える。
地面に固定された大砲の引き金が引かれた。

マミ「ティロ・フィナーレ!!」



291 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:12:22.60f/3dnnt20 (14/20)

さやか「やった!」

マミ(決まったわ。もし動けたとしてもリボンの拘束があるからそう簡単には動けないはず)

息をつく。頭上に影が出来る。
見上げると、巨大な魔女の顔が目の前に迫っていた。
マミの顔が驚愕で歪んだ。

まどか「あっ…あっ…」

バサラ「まだ、まだだ!まだ俺のハートはお前に届いていねえ!」

俺の歌を聴け!!

叫びに、魔女の身体が一瞬怯む。
そのまま、マミの身体を突き飛ばし、魔女の眼前へと躍り出る。

♫HOLY LONELY LIGHT 急げ 自分を信じて

まどか(あれ……今……熱気さんの周りが光って…?)

♫HEAVY LONELY NIGHT 闇の中から答えを見つけ出せ

マミ「はっ……!危ないっ!」

突き飛ばされたマミがリボンを再び投げかけて再び口を開きかけた魔女の動きを縛る。



292 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:13:23.58f/3dnnt20 (15/20)

マミ(なんて力…!それに、さっきので終わりにするつもりだったからソウルジェムの濁りが…)

リボンが邪魔だと判断した魔女がそれを振りほどこうと暴れだす。
踏みとどまろうとしたが、叶わない。リボンの一部が千切れ始め、力に負けて引きずられる。

マミ(魔力が足りない…!)「キャッ!?」

マミの身体が宙へと投げ出される。
背中越しに、自分の真下に口が開かれているのが分かった。
手に、胸元から取り出した銃を作り出す。マスケット銃よりは大きいが、必殺の武器に比べれば心許ないサイズ。

マミ(残った魔力を使って作れるのはこれが限度……これで……!)

空中で姿勢を制御し、真下に向けて銃を構えて撃つ。

マミ「そこっ!」

弾丸は、魔女の口内を貫いた。
その口の奥から、同じ顔が見えた。



293 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:17:22.10f/3dnnt20 (16/20)


バサラ「WAOOOOOOOO!!!!!!」

声が、咆哮のような声が結界内に響き渡る。
想定外の出来事に、魔女の口が閉じるのが一瞬早まった。焼き菓子を咀嚼した音が聞こえる。
マミはマスケット銃を空中で手放して落下した。着地は出来なかった。

QB「早く!契約を!このままだとみんなやられる。早く願いを!」

その必要は無いわ。

爆音。
キュウべえたちの目の前に、黒髪の少女が姿を見せた。

ほむら「こいつを仕留めるのは私」

ほむらのいた場所をお菓子の魔女は地形ごと齧り付く。しかし、その度に魔女の体内で爆発が起きる。
爆発が起きる度に魔女は新たな身体へと変わっていく。
椅子の上へと着地する。踏みつけたものをもう一度念入りに踏み潰す。
お菓子の魔女がほむらに飛びかかる。

ほむら「無駄よ」

時間差で体内に入れた爆弾を起爆した。
お菓子の魔女シャルロッテは爆発によって塵となった。

ほむら「命拾いしたわね、貴女達」

ほむらが変身を解いてさやか達に近づく。

まどか「マミさん……マミさんは……」

ほむら「巴マミなら、向こうにいると思うわ」

さやか「マミさんっ!」

二人はほむらが示す方向へと駆け出していく。



294 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:18:35.77f/3dnnt20 (17/20)

さやか「マミさんっ、マミさんっ!返事してください!」

マミ「う……あ……」

マミの声が物陰から聞こえた。

さやか「マミさん、良かった……」

マミ「駄目…こっちに来ないで」

さやか「え、な、何で!?」

まどか「マミさん……?でも、さっき……」

ほむら「そうよ、巴マミ。魔力のない今のままだと立つことすら出来ないわよ」

さやか「……マミさん。そっちにいるんですよね?」

マミ「や…駄目……来たら……!」

さやかの動きが突然止まる。
そのまま、その場にへたり込んで座る。

まどかがその異変に気がついてさやかの元へと寄る。
息を呑んだ。口元を手で覆う。
ほむらはそれを冷ややかな目で見ていた。





295 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:24:19.64f/3dnnt20 (18/20)


ほらね。あなたはそうやって結局自分を少しでもよく見せようとしていただけ。
あなたがどんなに魔法少女の現実とやらを語ろうと、それは真実を含まない。
真実を知れば、仲間を得る機会を失うから。魔法少女というシステムの酷さが垣間見えてしまうから。

ほむら「これが、魔法少女になるってことよ。人の忠告を無視するからこうなる」

血や贓物は辛うじて止められたようだが、それ以上の再生をするにはソウルジェムが濁りすぎていた。
上半身だけのマミに向かってグリーフシードを投げ渡す。先程手に入れたばかりのものだ。

ほむら「そのままでいたくないのなら、早く使いなさい」

マミ「……」

反応は薄かったが、顔が動いた。何故、というような目を向けられた。

ほむら「私の分まだあるから気にせずに。言ったでしょう?争う気は無いって。必要が無いもの」

まどか「こんな……あんまりだよ……こんなのって……」

さやか「マミさんは、私達を守るために……それに、あの男が……」

二人も、しっかり現実を見ることが出来ただろうか?
私の言葉を聞き入れなければ、あなたたちもこうなる。
それを見せることが出来たのは、感謝しなくてはいけないわね。
振り返って歩くと、インキュベーターが少し離れた所でまどか達を見ていた。

ほむら「残念だったわね」

QB「何がだい?君とは会話したことがないはずだけれど、君は僕のことを知っているようだね」

ほむら「ええ、とってもよく知っているわ。だから言うの。残念だったわね」

QB「マミの損傷は激しいけど、誰も死ぬことは無かった。それに、別の収穫もあった。残念ということはないけれど?」

別の収穫?

少し言葉に引っかかるものを感じたが、無視することにした。
確かに、結果だけを見れば全員生き残っている。私としてもなかなか良い展開ではある。

ほむら「あなた達のその余裕がどこまで続くかしらね」

髪を振り払って、その場を立ち去る。


296 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:28:32.36f/3dnnt20 (19/20)

結界が晴れていく。夕方の橙色の光が3人を照らしていた。

さやか「マミさん……足……足が……」

マミ「どうして……」

さやか「え…?」

マミ「どうして、私は生きているの…?」

さやか「マミさん、何を言って……?」

マミ「どうして……私はこんなになっても……パパは……ママは……」

まどか「あ……マミさん……」

マミ「こんなになってもね。痛みが無いのよ……ねえ、すごいでしょ?」

小銃を創りだして自分の胸元へと突きつける。

マミ「撃ってみようか?痛さなんて、無いんだよ。傷も、すぐに回復するし…」

まどかがマミに抱きつく。
泣いていた。泣き声をこらえようとして、息が掠れた。

まどか「……ごめ…んなさい」

私も一緒に戦うとは、口に出せなかった。
戦いに怖さを感じてしまった。マミの戦いをどこか劇のように、遊園地のアトラクションのように見ていた自分を恥じた。

まどか「ごめんなさい……ごめんなさい……」

なんども、謝罪の言葉を口にする。
小銃と雫が地に落ちた。


297 ◆DcdG4DxDDg2013/08/03(土) 23:41:25.03f/3dnnt20 (20/20)

以上で3話は終了。ふう、なんとかここまで来た。
マミ編のはずなのにほむらのシーンが予想より多くなったな。




次回予告

さやか「マミさんは皆を助けるために戦った。その想いを馬鹿にされたままでなんかいられない!」
ほむら「魔法少女は見返りを求めてはいけない。それを理解していないものはどうなるか分かっているでしょう?」
ミレーヌ「ファイヤーボンバー解散の危機!?それってどういう事よ!?」
バサラ「例え何があったとしても、俺は歌う!歌い続けてやるぜ、ファイヤーッ!!」

さやか「次回『擦れ違い・エモーション』」
バサラ「過激にファイヤーッ!!」




298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 00:28:08.21byE63D3lo (1/1)

乙です


299VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 02:12:27.99wkSD//Weo (1/1)

おつおつ


300VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 18:30:15.382Xc5X5/AO (1/1)

乙!


301VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/04(日) 22:16:42.84cffoJr1r0 (1/1)

おっつ


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/09(金) 01:40:27.19BdMJp4PO0 (1/1)

 :||:: \おい、隠れても無駄だ ゴルァ!     ドッカン  ゴガギーン
 :|| ::   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄_m ドッカン     ☆
 :||::   ___     ======) ))_____ /        / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 :||  |     |      | ̄.ミ∧_∧ | | ────┐||::    ∧_∧ < おらっ!出てこい>>1
 :||  |___|      |_..(   ) | | .___ │||::   (・Д・ )  \____________
 :||  |___|      |_「 ⌒ ̄  ,|.. |.    .|.|||::  / 「    \ ::.
 :||  |___|      |_|    ,/  ̄ .  ̄ ̄ ̄ │||::  | |    /\\
 :||:   ̄ ̄ ̄         ̄|    .| :||│     ;,   │||; へ//|  |  |. |
 :||::   :;  ; ,,         :|    :.| ||│       (\/,.へ \|  | ::( .)
 :||::   :;  冫、. .      |   .i  .|:||◎ニニニニ\/  \    |    ̄
 :||.:,,'';      ` ..  . ::  . |  ∧. |:||│::::/    │||::.:.   .Y ./ ..:: ;;
 :||:;;;:    ;;.. ::::: 冫、 : .:: .|  | | |.||│ 冫、 ;;;,,│||:;;;.   | .|  ........
 :||:;;;:  .....   .. `     / /  / /::||│ `  .,;;;,,.│||:;;;.   | .|  ...:L
 :||;::: #   ..:        ./ / ./ ./ ||│|三三三|. │||;;:..::   | .| . #.. :: ;;
 :||;:::     #. ..:  :::::: (_) .(_).ミ||│        │||;;;k、,,,|,(_).. ,,, :::
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄: ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
:::;三三;;;;;三三:::;;;;;;; :::::;;;;;::;;;;;;;;;;::::;; :::::;;;;;:::::;;;;;;;;;;::::;; :::::;;;;;:::;;;;;;;;;;::::;;;;;:::::::;;;;;;三


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/13(火) 13:01:38.251ufU4+q20 (1/1)

まったく、マナーの悪い客だ


304 ◆DcdG4DxDDg2013/08/18(日) 06:03:19.71tTLNDXC20 (1/1)

一応生存報告。

バサラ出番少ないな。増やさなきゃ(使命感)


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/18(日) 08:40:09.94mQH6+/cmo (1/1)

把握


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/26(月) 02:21:44.809uyanMbL0 (1/1)

まだかのぉ…


307 ◆DcdG4DxDDg2013/08/28(水) 04:59:41.35Jjr0a90r0 (1/1)

はー疲れた。ようやく留学から帰ってきました。英国帰りデース。

体に鞭打って今編集していますので、明日か明後日には更新できると思います。ただし、量は少なめ……
さやか編、長くなりそうだなあ。



308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/28(水) 07:54:12.13a4IlqpRJo (1/1)

待ってた

バサラから英国ジョークが飛び出すようになったり…しないよね?


309VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/28(水) 08:08:56.29GiWGQ2soo (1/1)

了解


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/28(水) 23:17:58.64zsDCmYAAO (1/1)

おかえりー


311 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 16:51:10.47/RR+HJmQ0 (1/11)

更新遅れた!少ないけど更新します。


312 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:04:31.91/RR+HJmQ0 (2/11)

消毒液の匂いにはもう慣れてきた。通りがかった看護婦さんと目が合う。
何度か見たことのある顔だったので会釈をすると、向こうからも返してくれた。
静かな廊下に、足音だけが響く。腕に抱えた荷物を落とさないように気をつける。
鈍くさい私は、こういう時によくミスをしてしまうから。部屋の番号と掛けられた名札の文字を見て、扉を叩く。


マミ「はい…どうぞ」

まどか「鹿目です。こんにちは、マミさん」

部屋の中には西陽が差し込んでいた。ベッドの上には病人服を着たマミさんがいた。
抱えていた荷物を置いて、視線を送る。マミさんは窓の外を眺めたまま、返してはくれなかった。
勝手に座るのは気が引けた。一歩、距離を置いて立ちつくす。何かを口に出そうとしては、出ずに終わる。

マミ「座ったら?」

まどか「……はい」

マミさんは、一瞬だけこちらに視線を振った。ためらいながら、それに従う。
掛けてあったパイプ椅子を拡げてそれに座る。

マミ「鹿目さん。着替え、持ってきてくれてありがとう。入院はそれほど長くはないと思うけれど」

まどか「怪我は、大丈夫なんですか?」

マミ「ええ。魔法少女ってそういうものだから」

ほら、とマミさんは腕を広げて見せる。しかし、マミさんの言葉に少し距離を感じた。
暗に責められているような気がして、また私は言葉を失う。



313 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:05:08.47/RR+HJmQ0 (3/11)

マミ「でもね。歩けないの」

まどか「え……?」

マミ「ううん。身体は治ったっていうことは分かっている。前に魔女と戦った時にあれよりもっと酷い目にあったことだってある」

酷い目。その時のマミさんの姿を思い出して私は思わず自分の下腹部を抑えた。
その時を想像して、痛覚や恐怖が浮かび上がる。とてもじゃないが、自分には耐えられそうに無かった。

マミ「でも、何度ベッドから降りようと思っても足が竦んで立てなかった。自分の足が、自分のものではないような気がして」

マミ「……精神的な影響だって、言われたわ。…ふふっ」

まどか「マミさん?」

マミ「情けない。不甲斐ない。カッコ悪い。こんな姿、本当は見せたくはなかった。後輩の前では格好いい先輩でいたかった」

マミ「でも、そんなの自分勝手な考え。ただ、鹿目さんや美樹さんを仲間にしたかっただけ」

まどか「それはっ……違います!……マミさんは、悪くないです。カッコ悪くなんて、無いですよ!」

マミ「……鹿目さんは。私のせいで、危険な目にあったというのに」

まどか「それでも……マミさんは私の……憧れで……私は、何も……出来なくて……」

上手く言葉が続かない。私には、下手な慰めの言葉しかかけることが出来ない。
私が、何も無い人間だから。マミさんの辛さを受け止めきれない事も分かっている。
相手を支えてあげられるような経験も、知識も無い。どうして自分はこんな時でさえ何も出来ないのだろう。



314 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:12:48.96/RR+HJmQ0 (4/11)


マミ「窓、開けてもらえるかしら」

まどか「あ…はい」

自己嫌悪に陥っているとマミさんから頼み事をされた。マミさんは壁にかかった時計を少し気にした。
私は長居しないほうがいいのだろうかと思ってしまった。
出来ることならなんでもしたい。けれど、マミさんが一番に望んでいることは叶えてやれない。
もどかしさと、罪悪感。私は窓の鍵を回して開き、外の風を入れた。

マミ「ありがとう」

お礼の言葉が、少し苦しい。
椅子に戻る。外からアコースティックギターを弾く音が聞こえた。



♫「お前にいつ出会えるだろう」

♫SUBMARINE STREET で呟く俺は今日も

マミ「始まったわね。今日も」

まどか「これ、もしかして……熱気さん?」

♫果てしない砂漠を さまよう2人

♫穴があいている 俺の心には


315 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:16:34.06/RR+HJmQ0 (5/11)

マミ「ええ。少し前から、ここで定時ライブを開いてるみたい。なんでも、ここの院長先生が路上ライブをしていた彼の歌を気に入ったらしくて」

まどか(熱気さんのイメージってもっと激しい感じがしたけれど……こんな歌もあるんだ……)

♫お前に逢いたい この寂しさ 分かち合える

♫お前をずっと 呼び続ける 声の限り

マミ「魔女と戦っている時は、ただ邪魔なものとしか感じなかったけれど。こうやって戦いから遠ざかってみると、彼の歌もそう悪くないかなって思えるの。不思議ね」

♫夢の中で見た 美しいお前の

♫瞳に映る虹を いつか一緒に見たい

熱気さんの歌が少しだけ私達の間を縮めてくれた気がした。
私は、マミさんの何を知っているのだろう?彼女が本当に求めているものが何かを、正しく理解できているのだろうか。
そう考えていくと、色んなことが浮かんできた。歌が言葉を紡ぐのを助けてくれるようにも思えた。

まどか「マミさんが魔法少女になった時の願いは何だったんですか?」

マミ「……大した理由なんかじゃ無いわよ。それに、考える余裕も無かった。参考にはならないと思うけれど」

まどか「あの、違うんです」



316 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:17:07.34/RR+HJmQ0 (6/11)

マミ「違う?」

まどか「参考にしたいとかそういうのじゃなくて、私、マミさんのことをよく知りたいんです」

マミ「……交通事故があったわ」

マミさんはぽつり、ぽつりと話しだした。

マミ「大きな交通事故。何人もその事故に巻き込まれた」

マミ「その”何人も”の中に私と、両親もいた」

マミ「衝撃と大きな音。身体も動かない。目の前には動かなくなったパパとママの姿。朦朧とした意識の中で、視線を向けてくる存在に気がついた」

マミ「そして、私はこう願ったわ。『助けて』と」

まどか「キュウべえが、そこにいたってこと…?」

マミ「ええ。今、考えると。もしかしたらその事故も魔女の仕業の一つだったのかもしれない。不可解な事件が当時よく起こっていた事は噂になっていたし。だから、キュウべえもそこにいた」

まどか「あの……ごめんなさい。マミさんの両親の事、知らなくて……」

マミ「別に、謝る必要は無いわ。嫌なら話してなんかいないし、鹿目さんはキュウべえに選ばれたのだから知る資格がある」

マミ「それに、ね。私が、鹿目さんに知ってほしいと思ったのよ。私と違って選択肢のあるあなたには、同じ辛い目にあってほしくない」

まどか「私に……」



317 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:28:58.25/RR+HJmQ0 (7/11)

マミ「普通の人は、可哀想だとか、気の毒だって思っても結局は他人事でしかない。でも、あなたは違う。資格があるあなたは、いつ理不尽な目にあって契約をしてしまうか分からない」

マミ「そうなったら……あなたは優しい人だから私以上に辛く感じてしまうかもしれないわね。魔法少女の世界は……私が口で言うよりもずっと……分かるでしょ?」

マミさんは俯きながら私にそう言いました。

まどか「……やっぱり、マミさんは強いです」

思った事が、そのまま直接言葉に出た。

マミ「え…?」

まどか「そんな風に、心配してくれるなんて嬉しいですし」

マミ「ちょっと…お世辞ならよしてよ。自分が一番カッコ悪いって分かっているんだから」

まどか「私は、そんな風には思いません。どんな失敗をしたって、マミさんは私にとっての憧れで、頼り甲斐のある先輩だと思っています」

マミ「……ふう。参ったわね……そんな風に言われるなんて」

まどか「あ……ええと……迷惑でした…?」

マミ「ありがとう」

ようやく、マミさんの笑顔をまた見れた。

マミ「でも、ひとつだけあなたと……これは美樹さんにも言わなければならないのだけれど……お願いがあるわ」

まどか「お願い、ですか?」

マミ「絶対に、私の代わりに戦うという理由で魔法少女にならないこと。私は、そんな事を望んではいないしこの街には他にも魔法少女はいる。だから、焦ったりしてそんな契約をしないこと」

マミ「どうしても緊急事態でそうする必要があるのなら……それは仕方ないかもしれないけれど」

まどか「……はい。分かりました」

私は、固く返事をした。
熱気さんの歌が、一曲終わった。 窓から姿が見えないかと椅子から立って少し覗いてみる。

まどか「あれ……」

マミ「どうかしたの?バサラさん見えた?」

まどか「いえ、見えませんでしけど……さやかちゃんが」

マミ「美樹さん?」

さやかちゃんが病院へと駆けて来る姿が見えた。
その旨をマミさんに伝える。言ってから、気付く。

まどか(あ、そういえば上条君もこの病院だもんね)

多分急いでいるのはマミさんに会うためでは無いのだろうなあと思うと、私の中に気まずさがまた少し生まれたのでした。



318 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:52:34.18/RR+HJmQ0 (8/11)



マクロス7 アクショ

世の中に合法という言葉がある限り、違法という言葉もあり続ける。
普通、マクロス7に居住する人々は居住艦であるシティ7にて然るべき手続きを取り、そこで生活を営んでいる。
しかし、様々な理由によりシティ7での居住をしない者たちも中にはいる。経済的な面や、その人物の素行的な面などによる理由だ。
バサラたちファイヤーボンバーは、アクショと呼ばれる公式には存在しない、違法地域のアパートの一室を根城としていた。
そこを訪れる、ぴっしりとした服装の男。
息を整え、襟などを正すと扉にノックをして声をかける。

ガムリン「すみません、ガムリンですが」

言葉を聞くと、程なくして扉が開かれる。

レイ「これはガムリンさん。お久しぶりです」

ガムリン「ええ、お久しぶりです」

ガムリンは中を少し見渡す。部屋の奥でビヒーダが一瞬視線を向け、その後いつものようにビートを刻み始めた。

レイ「丁度、ミレーヌは買い出しに行ってもらったところです。10分くらいで戻るとは思いますが……少し散らかっていてすみませんね」

ガムリン「いえ、お構いなく……なんですそれは?」

レイがいじっている機械の類にガムリンは興味を示す。

レイ「ああ、これですか。これは…辺りの周波数や電波を解析して、それに上書きして音声を流すことが出来る装置で……」

ガムリン「それは……つまり……電波ジャックでは…?」

レイ「そう言えば、今日はどんな用件でこちらへ?」

ガムリン「そ、そうでした。バサラのことなのですが」

レイ「何か分かりましたか?」

ガムリンは首を横に振る。



319 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:54:18.09/RR+HJmQ0 (9/11)

ガムリン「残念ながら、依然として進展はありません。そこで、無いとは思うのですが……何かかしら彼の動向について思う所があればお伺いしたいと思って」

レイ「そうですか…しかし我々にとってもバサラの行動については未だに理解が難しい部分がありますから。残念ながらお伝え出来るような事は……。それにしても、今回の捜索は難航しているようで」

ガムリン「ええ。これから、Dr千葉の協力を本格的に打診する予定です」

ビヒーダのドラムの音が止まると同時に、扉が開く。

ミレーヌ「お待たせー買い物行ってきたよ。あ!ガムリンさん、いらっしゃい!」

ガムリン「おじゃましています」

ミレーヌ「あれ、お客様だっていうのに。何も出してないの?全くもう」

レイ「おっと、そうだったな……すまん」

ミレーヌ「何か飲み物でもいかがです?お酒は……出撃がある時は駄目ですよね……ええと他には……」

ガムリン「いえいえ、そんなお構いなく!」

ミレーヌ「いいですって。ガムリンさんには忙しい中バサラを探してもらって凄く感謝しているんですからこのくらい」

ガムリン「いや別にそんなに忙しいわけでも……」

ミレーヌ「はい、どうぞ。レモネードですけど」

袋から取り出された缶ジュースを半ば強引にガムリンへと手渡す。

ガムリン「あ、いただきます」

ミレーヌ「それじゃあ色々仕舞わなきゃいけないものもあるので」



320 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:56:56.58/RR+HJmQ0 (10/11)

そう言って、冷蔵庫のある部屋へと降りていった。このアパートはぼろいので床や天井が抜け落ちており、いくつかの部屋と部屋が繋がってしまっている。

レイ「ミレーヌのこと、どう思います?」

ガムリン「え、な、何がです?」

レイ「前に比べると、だいぶ落ち着いたような感じがしませんか」

ガムリン「あ、ああ…そういう……ええ、確かに」

レイ「ミレーヌがこの調子なら、ライブの方はどうにかなるとは思いますよ。なので、あまり気負わずに捜索をお願いします」

ガムリン「ありがとうございます。……あの、ところで少し噂を聞いたのですが」

レイ「噂?」

ガムリン「いや、まあゴシップ誌に載るようなくだらない事だというのは理解しているのですが。『ファイヤーボンバーは解散間近』とかいう話を聞いたもので」

レイ「解散……まあ半分くらいは当たっているかな」

ガムリン「え!?」

ビヒーダがシンバルを鳴らす。

ミレーヌ「ん?何の話してるの」

階下から上がってきたミレーヌが声をかける。ガムリンの表情が硬直する。
ビヒーダのドラム音だけが部屋に響いた。





321 ◆DcdG4DxDDg2013/08/31(土) 17:57:36.96/RR+HJmQ0 (11/11)

なんか色々と起こる前だけど今回はここまで。


322VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/08/31(土) 18:25:19.37rZTXVlfPo (1/1)

乙です


323VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/01(日) 00:50:27.92+2IqnSBAO (1/1)

乙!!


324以下、新鯖からお送りいたします2013/09/06(金) 12:02:29.17bcTvn8HDO (1/1)

うぉー


325 ◆DcdG4DxDDg2013/09/12(木) 15:49:47.60g//MH0GJ0 (1/1)

叛逆が上映されるまでにさやか編終わるかな……

明後日辺りに更新できそうです。


326以下、新鯖からお送りいたします2013/09/12(木) 15:51:28.11B+CKksOFo (1/1)

把握


327以下、新鯖からお送りいたします2013/09/15(日) 14:26:32.62U4UaSKI8o (1/1)

待ってるよ-


328 ◆DcdG4DxDDg2013/09/16(月) 23:17:10.60axg1b5150 (1/1)

なんということだ…宣言しておいてこの有り様とは……

4話分まで終わらせるのでもう少し待っていてください。オナシャス


329以下、新鯖からお送りいたします2013/09/16(月) 23:27:38.693DguVmAdo (1/1)

了解


330以下、新鯖からお送りいたします2013/09/20(金) 19:08:56.43NIrD0Txio (1/1)

待っとるえ


331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/26(木) 21:10:27.093Wxcio870 (1/1)

縺翫≧



332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/26(木) 21:31:57.19Uxlz2CnQ0 (1/1)

>>331「おう」


333 ◆DcdG4DxDDg2013/09/26(木) 21:36:37.96zLMvD+sPO (1/1)

いやほんと待たせてしまってすまない。
今魔女戦書いてるからもう少し待ってほしい。

土曜には更新する。そんで恭介のキャラがぶれまくってやばい。アニメの情報だけじゃ心許なくて色々漁ってたのだが……こいつは……


334VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/26(木) 21:45:55.22NpHO9k1Vo (1/1)

了解


335VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/26(木) 23:01:14.660KkFCT/q0 (1/1)

バサラが魔女をもとに戻しインキュベータ-に感情を


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/26(木) 23:05:33.55zosgLS1Y0 (1/1)

オカルト技術はともかくマクロスなら技術レベルがインキュベータ-より上じゃないのか
魔女の空間制御とかみれば上かもしんないけど
なんで下手したら攻められる可能性もあるのにマクロス7艦隊に接触したのやら
というかヴァジュラとかプロトデビルンとかつれてくりゃワルプルギスの夜も倒せそう
まあバサラの歌への思いに期待したいぜ


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/26(木) 23:14:40.33qkpOw8/Lo (1/1)

マクロスは銀河規模だけどQB達は宇宙規模だから技術レベルはマクロスが下だろ


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/27(金) 00:16:24.941VMBKB5f0 (1/1)

なんだかよくわからんが、今はバサラの歌を聴けー!
http://imgbako.com/pic/mt/1375457320596.jpg


339 ◆DcdG4DxDDg2013/09/28(土) 21:58:59.762eW5Oair0 (1/5)

インキュベーターは自分たちの使命を果たすことを再優先にしていると自分は考えています。

それでは、投下を開始する。



340 ◆DcdG4DxDDg2013/09/28(土) 22:57:33.042eW5Oair0 (2/5)

さやかは自分が今どんな表情をしているのかが分からなかった。
震える手で胸を抑えて荒れた息を整える。どんな表情を作ればいいか。どんな声をかけて扉を叩けばいいのか。
扉の前で足が止まる。それから一歩が、とても遠い。いつもなら、この一歩を踏み出すことがとても嬉しくて。
それからどんな話しをしようかが、考えずとも湧いて出る。それが、一日で、一瞬で、一言で変えられた。
嘘であってほしかった。けれど、そうでないことが表情や語調から分かった。いや、本当はもっと前から分かっていた。

本当はもう動かないのではないのかと。

扉の向こうで幼馴染がどんな表情をしているのか。ずっと見てきたはずなのに、想像できなかった。

じゃあ、どうすればいいの?

頭の中で自問自答をする。最高の答えは分からない。けれど、自分が出来る最善は何か。
自分の頭はそれほど良くない。テストと違って友達にノートを見せてもらえない問題の答えを必死に考える。

さやかが出した結論は、結局ありきたりなものでしか無かった。おそらく、前にテレビか、漫画か何かで見たような陳腐な解決策。

いつも通りの自分でいること。
変に気を遣えば向こうはそれを咎めるかもしれない。
足りない頭でも安易に予想できる幼馴染の反応。無神経だと思われるかもしれない。
もし、そうだとしてももう後戻りは出来ない。扉は開かれてしまった。
考えるよりも手が先に動いていた。さやかは改めて自分の人間性に気がついて心の中で毒を吐く

恭介「やあ」

そこには、いつもと変わらない表情で出迎えてくれた幼馴染がいた。

さやか「うん。……あのさ、これ」

さやかも、買ってきたCDを袋から取り出す。

恭介「…ありがとう。でも、今はいいや」

さやか「あ…そ、そう。うん、聞きたくない時だってあるよね」

いつも通りに振る舞おうとしてもそのいつも通りの形が作れない。
ミス。言葉を選ぶことの難しさを今になって思い知る。



341 ◆DcdG4DxDDg2013/09/28(土) 23:16:54.542eW5Oair0 (3/5)

さやか「リハビリはどう?」

恭介「まだ何かに掴まってないと立つことすら覚束ないよ。ずっと寝ていたから筋力も落ちたみたいだし」

さやか「恭介が身体を鍛えている姿なんて想像つかないよ。恭介っていつも……」

バイオリンを弾く姿。
それを聞くさやかの姿。
記憶の中のステージと観客席を後ろから眺める自分をさやかは思い浮かべた。

恭介「さやかはさ」

さやか「え、何…?」

恭介「僕にどうしろっていうんだい?」

さやか「どうって……」

恭介「少しは現実を見なよ、ほら」

包帯の巻かれた左腕を引きずるように差し出してみせる。

恭介「動かないんだ、『これ』。感覚も無い。まだ、付いているのに」

恭介は、自分の左腕のことをそう言った。

さやか「…き、きっと動くようにな「医者に言われたんだよ!もうバイオリンは弾けないって!」

恭介「終わりなんだよ……僕は!」

さやか「恭介……」

恭介「……出て行って」

さやか「え」

恭介「もう僕に構わないでくれ。そのCDも。嫌味のつもりかい?」

さやか「そんなこと……恭介」

恭介「これ以上、僕をいじめないでくれよ……」



342 ◆DcdG4DxDDg2013/09/28(土) 23:17:27.472eW5Oair0 (4/5)

喉奥が締め付けられたような声を恭介が発した。
さやかはそれから一言も口にすることなく、病室を後にした。

恭介「……すごいや、僕って。さやかに向かって、あんな事言えるんだ」

動く右腕で目を覆う。笑い声が漏れだした。次第に、涙声が混じっていく。

恭介「はは……幻滅したろうな。こんな、僕みたいな弱音を吐くやつなんて好きじゃないだろうから」

窓へと視線を向ける。身体を起こして端に座り、動く足と手を基点にして壁へと体重をかけるようにして立つ。
それを伝っていき、窓の側まで行くと鍵を開けてスライドさせる。風が抜けていく。歌声が流れていく。

恭介「今日は、屋上でやってるのか」

少なからず興味はあった。自分が弾けない物を弾いているバサラを羨む気持ちもあった。

恭介「……もう、僕には関係の無い世界か」

呟いて視線を窓から戻し、ゆっくりと閉じる。閉じた瞳から涙が流れた。



343 ◆DcdG4DxDDg2013/09/28(土) 23:58:31.762eW5Oair0 (5/5)

マクロス7 アクショ

古びた扉の前でミレーヌがガムリンを見送る。

ミレーヌ「それじゃあ、バサラの事よろしくお願いします」

ガムリン「え、ええ。それでは」

ミレーヌ「グババ。しっかり頑張って来てね」

グババは自信に満ちた表情で一鳴きするとガムリンの肩に乗った。

ガムリン「良かったのですか?ミレーヌさんも一緒に捜索に加わってもらっても……」

ミレーヌ「だって。私は、ファイヤーボンバーの一員。私達の歌を求めている人がいるのに、他の事にかまけていたら悪いでしょ」

ガムリン「分かりました。そう言うのであれば、こちらもしっかりと責任を持ってグババをお預かりします。それでは」

ガムリンは軽く頭を下げて、立ち去る。アパートから出た所に停めてある車は、ガムリンのパーソナルカラーと同じ黒を基調とした色のはずだが、
一時間も経たない内に赤や青色のラッカー塗装がされていた。どう見ても、ガムリンの趣味ではない。

ガムリン「やはり、こうなったか」

電子キーで鍵を開けると中から布巾を取り出す。元の色とは違う塗装がされた部分を拭くと、すぐに落書きは消えた。

ガムリン「ま、その為のコーティングはしてあるがな」

以前は塗装を落とす為に数時間立ち往生する羽目になった事を思い出し、そのリベンジが出来たとほくそ笑む。


344 ◆DcdG4DxDDg2013/09/29(日) 00:46:15.02+7Sx1IWV0 (1/4)

車を走らせ、舗装された道に入った所でガムリンは思慮を始める。

ガムリン「……半分当たっているとは一体どういう意味なのだろうか」

ハンドルを回しながらレイが発した一言を思い出す。
初めは、ゴシップ誌によくある噂の一つとして笑い話にでもするつもりだった。だが、予想外の反応が返ってきた。

ガムリン「全く、異星人との交渉も控えているというのに。それもこれも、バサラが悪い」

若干苛立ちながら呟く。グババが同意を示すように鳴く。

ガムリン(しかし……バサラを見つける手がかりがまさかこんなにも無いとはな。何か私達の知らない力が動いているとでもいうのか)

ハンドルに手を掛けながら険しい顔が一層険しくなる。隣から、鳴き声。視線を向ける。

ガムリン(ミレーヌさんの話ではグババはバサラを探すのに役立つと言っていたが……正直な所、あまり期待はしていない)

軍人としてのメンツもあった。自分たちが手を尽くして探しまわっている人物をそう簡単に見つけられるものかという思いもある。

ガムリン「グババ。ミレーヌさんはああ言っていたが、別に無理をしなくとも良いからな。見つからなくとも、責めるつもりは一切ない」

そう言うと、心外だとでも言うかのように少し飛び跳ねながら声をあげる。小さいのに、自信だけは一丁前だと感心させられる。

ガムリン「分かった。……それにしても、これが軍人の仕事か」

ガムリンは信号待ちの間、ハンドルに顔を伏せる。
バサラの歌によって戦いが集結して以来、戦いらしい戦いというものは殆ど発生しなかった。
もし、異星人と接触したとしても、必ず歌による文化的な接触から試みられる事が決まっている。
そして、バサラの歌はほぼ全ての異星人に対して影響力を持つ。武力は必要とされなくなり、軍人の仕事はみるみるうちに減っていった。

ガムリン(自分の……軍人として……パイロットとして、他に何か出来る事はないのだろうか)

グババが大きな声で鳴く。
その声に気づくと同時に、背後からクラクションを鳴らされ続けていることに気がついた。
信号が青から点滅してまもなく黄色に変わろうとしている。

ガムリン「あ…!す、すみません!!」

慌てていても、左右の確認は怠らず。いつもより少しだけ速いスピードで交差点を走り抜けた。



345 ◆DcdG4DxDDg2013/09/29(日) 01:26:24.48+7Sx1IWV0 (2/4)

学校

和子「……えー、そういう訳で。過去の話を事細かく覚えていてそれを根に持つような男性というのは得てして嫌われるものであり」

和子「過去に囚われず未来に目を向けていく事こそが重要というわけです。つまり、今が悪くとも明日はどうなるか分からない」

和子「例え今は全く出会いが無くとも明日になれば素敵な出会いが待っているかもしれない。そう信じる事こそが真実の愛を掴めるのです。つまりここは過去形では無く未来形を……」
キーンコーンカンーコーン

和子「といった所で今日は終了。明日は確認の小テストを行いますので準備をしてきてください」

キリーツ レーイ

さやか「まどか、ちょっと放課後、いい?」

まどか「あ、さやかちゃん。うん、いいけど」

さやか「そう。じゃあ、門の所で待っているから」

まどか(さやかちゃん……なんだか余裕がない感じがする。大丈夫かな……)

仁美「鹿目さん?」

まどか「へ?あ、仁美ちゃん」

仁美「どうかなされましたの?今日はなんだか朝から少し様子がおかしな気がいたしましたけれど」

まどか「え、ええと…なんでもなく…はないんだけれど。でも、なんていうか」

仁美「あまり心配事を抱えているのは良いことではありませんわ。相談できることでしたら、私にでも」

まどか「ありがとう仁美ちゃん。……でも、ちょっと複雑なことで……」

仁美「複雑……はっ!そ、そういうことですの!分かりました、理解いたしましたわ!!」

何かを盛大に勘違いしている仁美と別れの挨拶を交わす。こうなると当分は「戻って」こない事をまどかはよく知っていた。
教室を出て、階段を降りる。気の早い部活の人たちのランニングの掛け声が聞こえた。
校門の前に、待ち合わせた人物がいた。



346 ◆DcdG4DxDDg2013/09/29(日) 01:26:56.26+7Sx1IWV0 (3/4)

さやか「なんか、いつもと違う感じ」

まどか「うん。私達だけ別の世界にいるような…」

さやか「誰も、魔女やマミさんが戦っていたことなんて知らない。私達も、そうだった」

まどか「……ずっとあんな事が、私達の知らないところで」

さやか「まどかはさ」

さやかが立ち止まる。
俯いていた顔を上げてまどかの眼を見つめた。

さやか「今でもまだ魔法少女になりたいと思う?」

まどかは口を噤んで顔を俯かせる。マミが魔女に食われたことを、その後の彼女の言葉を思い出して肩を震わせる。

さやか「……そうだよね。うん、仕方ない」

まどか「何か私達に出来ることは……無いのかな?」

さやか「無いよ、何も。私達は結局何の力もないただの一般人だもん。もし、助けになれるとしたら、それはマミさんと同じ……」

まどか「でも……あんなのを見たら……それに、マミさんも自分の代わりに魔法少女になってほしくないって」

さやか「……本当、優しい人だよ……マミさんは」

まどか「さやかちゃん……?」

さやか「本当は辛いはずなのに、そうやって全部一人で抱え込んで。頼れる人も居なくて」

まどか「……」

さやか「私達が、弱いからだ」

まどか「さやかちゃん…それは……」

さやか「…あ、ご、ごめん。別に、私だってあんな危険な目にあいたくなんてない。心配しなくてもいいよ」

まどか「う、うん。そうだよね」

さやか「じゃあ…私はこっちだから」

まどか「え……病院じゃないの?」

さやか「……あ、ええと恭介が今リハビリで忙しいっていうから。なんか、邪魔かなーって」

まどか「その、マミさんが来てほしいって」

さやか「あ、そっか……でもなあ……」

まどか「上条君と何かあった?」

さやか「うえ、え、ぜ、全然!全く、そんなことないし、何も、別に……」

まどか「そ、そうなの?」

さやか「う、うん。そ、それじゃあ、マミさんには今度お見舞いの品を何か持っていきますって行っておいて」

そう言いながらさやかはまどかとは別の道を歩いて行った。


347 ◆DcdG4DxDDg2013/09/29(日) 01:28:56.11+7Sx1IWV0 (4/4)

最近忙しさがマッハで眠いし明日試験だわあい。

すまないが、本日はここまで。魔女戦はもうちょっと書き足したいからまたこんど!


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/29(日) 04:31:33.76yVO2ut8Co (1/1)

乙です


349VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/09/30(月) 23:46:42.06BzdmQ7bAO (1/1)

おつおつ

7もまどマギも鬱のターンがキツい…!
けどこの溜めからの展開に期待せざるをえない


350VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/02(水) 23:47:20.170M4vynSM0 (1/1)

つまらんもう書かなくていい


351 ◆DcdG4DxDDg2013/10/04(金) 22:52:56.08UNDRXBcu0 (1/1)

なら俺の熱いハートが伝わるまで書き続けてやるぜ!
明後日あたりに更新できそうです。前回、間が結構空いたので更新早めにしときますね


352VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/04(金) 23:01:36.10mloc3BM+o (1/1)

了解


353VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/05(土) 08:31:57.52a9rT06f/o (1/1)

何の試験だから知らないけど、学生アピールは人によっては煙たがるから避けたほうが無難だよ
待ってるぜ-


354 ◆DcdG4DxDDg2013/10/06(日) 23:43:47.57byQjQAsN0 (1/2)

試験といっても学校じゃなくて英語のアレなんですけどね。色々取らないといけないものがありまして……

更新します




355 ◆DcdG4DxDDg2013/10/06(日) 23:57:11.55byQjQAsN0 (2/2)



リハビリが終わって、車椅子に乗って病院内をうろつく。
片腕で、車輪を回す。当たり前だけど、足も腕もまともに動かないような人のための車椅子はあっても、バイオリンは無い。
見舞いに来る人はいないから気楽で、暇だ。休憩所の自販機で買った缶ジュースは半分を切った。
やることも無く、出来る事も少ない。暇を潰せる場所は限られていた。

外に出る。秋風。銀杏の葉が黄色くなっていた。
辺りを回ろうと思っていた。病院の周りは他にも散歩をする患者などがいた。
自然のものとは違う音楽が聞こえる。
音楽というよりは、音の羅列。まだ、曲では無い。誰が弾いているのか興味を持った。

男がいた。跳ねた髪型で、高い身長にジャケットがよく似合う。
屋上で曲を弾いていた男が、今はベンチに座ってギターを触りながらメロディーを口ずさんでいた。

その姿を、少しの間見つめる。
これは、僕がもう二度と出来ない行為だ。

左腕を右手で握りしめる。腕が震えて、胸の奥がざわついた。

バサラ「どうしたんだよ、そんなしょぼくれた顔してさ」

不意に、男から声をかけられた。

恭介「……何でもないですよ。見ちゃいけなかったのなら、すみません」

バサラ「別にそんなんじゃないけど。これに興味あるんじゃないの?」

恭介「今は、もう無いですよ」

バサラ「本当か?」

恭介「……あの、どうして声をかけたんですか」

バサラ「どうしてって。沈んだ顔をしているやつに声をかけるのに理由なんているのか?」

恭介「普通はいると思いますよ」

あまり他人と会話をしたくはなかったから、少し語気を強めて言った。

バサラ「そうか?」

けれど、その男は僕の言葉を事も無げに返す。


356 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 00:01:14.96jPilggOi0 (1/7)

バサラ「俺の歌、聴いたか?」

恭介「……病室で、少しだけ聞こえました」

バサラ「そうか。で、どうだった?」

恭介「どうって……?」

バサラ「もしかして……何も感じなかったのか?」

恭介「感じるって言われても……」

バサラ「なら、今ここで聴いていけ!行くぜ!」

♫「お前にいつ 出会えるのだろう?」

♫Submarine Streetで 呟く俺は今日も

無言で聞いていた。名前も知らない男の歌は、確かに上手いと思った。
けれど、それだけだった。

バサラ「なんで聴かないんだ?」

恭介「え……!?」

そんな僕の心を見透かしたように、男は歌を止めた。

バサラ「お前、今全然聴いていなかっただろ」

恭介「え、ええと……すみません」

謝る。けれど、なんで謝らなくちゃいけないのか自分でもよく分からなかった。

バサラ「まあ、いいけど。けど、まるでハートが感じられないぜ、お前」

恭介「ハート……?」

思わず、自分の左胸へと視線が行く。
自分の根幹を成していたもの。真っ先に思い浮かんだのはバイオリンを弾いていた、昔の自分。


357 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 00:05:31.62jPilggOi0 (2/7)

バサラ「悩みでもあるのか?」

会話など、あまりしたくは無いはずだった。しかし、口から出る言葉を止められない。

恭介「……一番大切なものが失くなって。それで、途方に暮れてしまって」

バサラ「一番大切なもの?」

恭介「バイオリンを弾いていたんです。けれど……これのせいで、もう無理だって言われて」

腕を見せながら言う。苦笑いを向けたが、向こうの表情は真顔のままだった。

恭介「……こんなこと、他人にいう話じゃないですよね。すみません」

バサラ「お前の大切なものは、『バイオリンを弾くこと』なのか?」

恭介「は……?」

バサラ「バイオリンを上手く弾くことが、お前の夢なのか?」

恭介「……言っていることが、よく分かりません」

バサラ「そうか。……俺はみんなに、見てきたものを、感動を、凄えって思ったことを、熱いハートを伝えたいと思って歌っている」

バサラ「お前はどうしてバイオリンを弾いているんだ?」

意味がよく分からなかった。
何故、自分がバイオリンを弾いているのか、だって?
ただ、上手いと言われた。天才だと。将来は有望だと。

それだけが自分の目標だった。
周りに求められるだけ、自分の力を出した。
それ以上の何かを考える必要なんてあるのだろうか。



358 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 00:12:18.51jPilggOi0 (3/7)

恭介「僕は……上手くバイオリンを弾いて…プロになって」

バサラ「違えよ」

恭介「え、違うって……?」

バサラ「もっと大事なコトがあるだろ?お前が弾くのにさ」

恭介「そんなこと急に言われても……。大体、そういうのって何に関係があるんですか?」

バサラ「何にって、音楽っていうのは魂なんだから関係あるに決まっているだろ」

恭介「魂?」

バサラ「ああ。熱い魂を音や歌に乗せる。お前も、そうだったんじゃないのか?」

恭介「……いいですよ、もう」

バサラ「え?」

恭介「わけが分かりません。それに、僕はもう終わった人間なんですから。そんなこと考えたって、どうにもなりませんよ」

ずっとこの道を進んでいこうと思ったのに。あの事故が、動かなくなった腕が、僕の行く手を阻んだ。
だから、僕は諦めないといけない。無理なものに、いつまでもしがみついているわけにはいかないから。

バサラ「嘘だな」

恭介「嘘じゃないですよ。医者にだって、そう言われたんですから」

バサラ「違う。人の言うことなんざ、どうでもいいよ」

恭介「……?」

バサラ「俺には、お前が音楽を諦めているようには思えない」

……そう思えたからといって、出来ないものは仕方ない。
自分でも、何度も考えた。音楽をどうにかして続けていく方法を。
でも、それは周りの期待とは大きくかけ離れている。
もし、仮に何かの手段で、バイオリンをもう一度弾けたとしても、それは普通に腕が動いた時よりも遥かに劣る児戯のようなものにしかならないだろう。



359 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 00:22:12.03jPilggOi0 (4/7)

恭介「……もし、あなたが声を失くしたら。どうしますか?」

バサラ「どうするかって?」

恭介「歌手なら、声が出ないと、歌えないと駄目なんじゃないですか?」

バサラ「関係ねえよ」

ベンチから立ち上がって、その人は言った。

バサラ「例え声が出なくなったとしても、俺は歌い続けるさ」

話が通じないことが、今更になって理解できた。
この人は、自分が同じような目にあったことがないからそういう風に言えるのだろう。

恭介「……当事者の気持ちが分かるわけないか」

小声で呟くように言って、僕はその場から立ち去ろうと車椅子を反転させる。

バサラ「おい!」

背後から声。首だけを振り返らせて応える。

恭介「なんですか……?」

バサラ「名前は?俺は、バサラだ」

恭介「……上条恭介です」

聞かれたことだけを応えて僕は車椅子を動かす。
あまり関わりたくないタイプの性格だと思った。自分の世界がどんどん壊されていくみたいで、遠慮が無い感じがする。

恭介「この腕がどうなっているかなんて、他の人に分かるわけないか」

車輪を動かすためのハンドリムがいつもより重く感じられた。




360 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 00:51:45.13jPilggOi0 (5/7)


まどか「あ、上条君」

病院内に戻ると、思いがけない人物の声がした。

恭介「や、やあ。鹿目さん」

まどか「怪我の具合は……」

恭介「あ……う、うん……まあまあかな」

目を合わせずに言う。心配そうな目が今は心苦しい。

まどか「リハビリで忙しいってさやかちゃんが言っていたけれど」

恭介「え?」

まどか「?」

怪訝に思う鹿目さんを見て、さやかの意図が分かった。
心配症な友人を心配させまいとして、そういう風に言ったのだろうということがすぐに分かった。

恭介「え、う、うん。大丈夫。少しづつだけど……何かに掴まって歩いたりとかは」

まどか「そうなんだ。良かった……その、さやかちゃん。なんだか表情が暗かったから、何かあったのかと思って」

息を飲む。流石に、2人とも付き合いが長いということか。

恭介「……さやかは他に何か言っていたかい?」


361 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 01:03:53.74jPilggOi0 (6/7)


まどか「え?他には……別に」

少し、胸のつかえが取れる。

恭介「じゃあ、これからまたリハビリがあるから……鹿目さんはまた先輩のお見舞い?」

まどか「うん。マミさん、身寄りが居なくて……こういう時に寂しい思いとかしてほしくないから」

別方向へと向かいだしてから、僕は彼女に対して少し尊敬の念を抱いていた。
同学年の友達ならまだしも、先輩に対して甲斐甲斐しくお見舞いに向かうような人を僕は知らない。

さやかは?

彼女はどうしてお見舞いに来てくれる?付き合いが長いから?何故いつもCDを持ってくる?彼女の目的は?僕が弾く曲を聞きたいから?

期待。プレッシャー。重圧感。僕はそれに耐え切れなかった。
僕の才能は、夢は、もう潰れてしまった。それなのに。それなのに。

恭介「動かない腕で、どうやって弾けっていうのさ」

バサラという男の言った言葉を思い出す。
彼の言っている事は、ひどく抽象的で、現実味がない。

なのに、なぜか胸を突く。

恭介「苦手だな。ああいう人は」

一言、つぶやいた。誰も居ない病室で、カーテンだけが少し揺れていた。



362 ◆DcdG4DxDDg2013/10/07(月) 01:11:42.17jPilggOi0 (7/7)

今回はここまで。
原作じゃ全然描写されてないからめっちゃ書きづらい上条君。そげぶ。

TV版だとまどかと絡まないキャラはそもそも画面に出られないからねえ。
やっぱ中学生の男の子と女の子じゃなかなか話す機会なんてないよね。その点バサラって凄いなほんと。見境ないもんね。


363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/07(月) 07:41:14.54SpYsE2Jco (1/1)

乙です


364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/07(月) 20:35:13.19a7Gyf+fBo (1/1)

上条くんは面倒臭いナイーブなキャラだよ
アレが居なければさやかちゃん関係が全てうまく行くよ


365VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/07(月) 21:40:16.60UMKOHMRAO (1/1)

乙!!
上条さんアニメだと言動が色々アレだったが
曲がりなりにもかわいい女の子ふたりも惚れさせた男なんだし
きっかけ次第で鬱フラグ発生をそげぶしてくれたりしないだろうか


366 ◆DcdG4DxDDg2013/10/22(火) 22:38:50.73LQJi0LBu0 (1/1)

そろそろ更新します。


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/23(水) 20:59:02.87zwLctTCe0 (1/1)

乙。了解


368 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 02:44:53.43fH0S1xA/0 (1/13)

放置してすまんな。更新する。


369 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 02:45:22.09fH0S1xA/0 (2/13)



マミ「前に一度美樹さんが来てくれたことがあったけれど。それっきり。やっぱり、幻滅されちゃったかなあ」

病室に入って挨拶もほどほどに。いきなり聞かされたのはマミの沈んだ声だった。

まどか「そ、そんなこと無いですよ。病院に来ないのは…多分、別の理由ですから」

マミ「別の理由?」

まどか「上条君っていうさやかちゃんの幼馴染もこの病院にいて……ちょっと何かあったらしくて。それで行きにくくなっているというか……」

マミ「そう…なんだ。良かったあ」

まどか「それに、私達がマミさんのことを悪く思うなんてことは絶対に有り得ません。マミさんは私とさやかちゃんの命の恩人なんですから」

マミ「……」

まどか「え、ええと。どうかしましたか」

マミ「初めてだわ」

まどか「へ?」

マミ「そういえば、こうやって助けた人に後から直接面と向かってお礼を言われたのって無かったかも。いつもは、魔法でその時の事を忘れさせたりしちゃうから」

まどか「どうして、そんな事を?」

マミ「それは、あんな非日常的な怖い思いをして、それが普通の日常に影響してほしくないから。それと……」

マミ「どこか、お礼を求めちゃいけないって思い込んでいたからかもね。理想的なヒーローでいたいって」



370 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 02:55:20.72fH0S1xA/0 (3/13)

まどかは、何故さやかがマミのことをしきりに尊敬するのかその理由が分かった気がした。
さやかがそういうヒーローを好んでいた事をまどかも知っていた。そして、そういう風になりたいと思っていたことも。

マミ「でもね。やっぱり、そういうのって凄く苦しい。ストイックに生きようと思ったって、なかなか創作の中みたいにはいかない」

マミ「鹿目さんに言われて、はっきりと分かった。自分はやっぱり、見返りを求めてしまうなあって」

まどか「それって、いけないことなんですか?」

マミ「……分からないわ。別にお礼を求めちゃいけないなんて事は無いし、魔法少女の存在を隠さないといけないなんてルールで決められているわけでもないけれど」

マミ「でも、普通の人から見たら私達だって十分恐ろしい存在よ。魔法や戦っている姿を見て、全員が好感を得るわけじゃない」

まどか「さやかちゃんは、マミさんに憧れています。それだけは、はっきりと分かります」

マミ「ええ、私だってそれは分かってる。でも、だからこそ選択を誤ってほしくない。ねえ、鹿目さん。お願いしてもいいかしら」

まどか「何をですか?」

マミ「もし美樹さんが何かを抱えているのであれば、あなたが彼女の支えになってほしい」

それは、まどかも常に思っていた事だ。誰かの助けになりたい。
まどかの理念は、基本的に自分のためでなく人の為になるように動こうとする事だ。

まどか「私に、何が出来るかは分かりませんけれど……やれるだけ、やってみます」




371 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 02:55:48.18fH0S1xA/0 (4/13)

歓楽街の外れにあるマンション。
そこが、魔女の結界と化していた。そこにどんな魔女がいるのかは、もう知っている。
どんな攻撃をしてくるのかも、どうすれば効率よく倒せるのかも。知らないのは、彼女が何を思って魔女となったのかくらいだ。

鳥かごの中に魔女の本体がいる。それが、何の意味を持ってその姿になったのか別に興味は無かった。
ただ、一つ気になる点があるとすればそれはこの魔女の弱さだ。
なぜ、この魔女はこんなにも弱いのか。

時間を何度も巻き戻し、様々な魔女を倒し、他の魔法少女とも接触した結果、ある事に気がついた。
それは、歳が上の魔法少女がとにかく少ないということだ。

大人の魔法“少女”というとなんだか少し語弊があるようだが、私が知るかぎりではそのような存在を見たことはない。
どんなに過酷な戦闘であろうと、必ずどの世界にもロートルはいる。つまり、魔法少女の世界には年齢が上がるに連れてそのシステムを遂行出来なくなる要素が含まれていると考える。

魔法少女の強さは、それから発生する魔女の強さに代わる。
この魔女が弱いわけは、その年齢のせいではないかと私は推測する。

結界内に入る。
無遠慮な使い魔を避け、魔女の眼前へ。

盾に組み込まれた砂時計を操作する。私だけの孤独な世界が始まる。
爆弾は後の為に温存しておきたい。この程度なら、手榴弾で十分だろう。

2、3個投げて、世界をもとに戻す。
鳥かごが粉砕される。破片や衝撃を受けた使い魔たちが飛散する。

あとは、簡単だ。軽機関銃を盾から取り出し、弾を装填する。大人の男でもまともに撃つためには固定する必要があるその銃を、私はただそのまま抱えて撃つ。

つくづく、人間離れしていると自分でも思う。装填した弾の半分も使い切らない内に、穴だらけになった魔女は力を失って落ちていく。

最後に、焼夷手榴弾を一つ投げる。魔女の身体が燃えていき、断末魔の悲鳴が聞こえる代わりに火の中をもがく姿と散らばる宝石が見えた。

結界が晴れていき、辺りは静かになった。グリーフシードは、今回は手に入れられなかったが問題はないだろう。
ソウルジェムを見る。反応がある。魔女がどこかで発生したようだ。

それだけなら、想定内の事だった。しかし、ソウルジェムの点滅のパターンが変わった。
何度も時間をやり直していて、その反応が起こらずにワルプルギスの夜を迎えたことも少なくない。
それほど稀な反応なので、私はそれが示す意味をはっきりと覚えていた。戦慄が走る。

ほむら「どうしてこのタイミングで魔女の結界が同時に発生しているの……!?このままじゃ……まどかが……!」



372 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:05:25.92fH0S1xA/0 (5/13)

鹿目まどかの行動は、まず他人を思いやることから始まる。
帰り道で、友達がいたから声を掛けた。反応は無い。心配して、正面に立って、ようやく相手は自分の存在を認識する。
稽古事でもあるのかと思ったがどうやら違うらしい。制服姿なのにカバンも持たない。首元には、マミから教えられた魔女の手による痕が見えた。

引き止めても、歩みは止まらない。出来たのは、付いて行くことだけ。
対抗出来うる力を持つ人へと連絡が出来ないことを後悔した。

まどか(どうしよう……このままじゃ……でも、放っておけないし……)

非力な自分に何が出来るか、自分でも分からない。何も出来ないかもしれない。

それでも、見過ごせない。

まどか(何か……私に出来る事……)

たどり着いたのは、廃工場。ついこの間まで稼働していたのか、ベルトコンベアの上には作りかけの製品がいくつか乗っていた。
辛うじて辺りが判別できるくらいの数の電球が点いている。
光を失った眼をして佇む人々。バケツ、注意書きの書かれたポリタンク。背後で、シャッターが閉じた。

仁美「これから、私達はみんなで素晴らしい世界へと旅立ちますの」

まどかは、母が昔きつく注意したことを思い出した。
『混ぜるな危険』、そう書かれた洗剤を扱う時は特に気をつけなければならない、一歩間違えれば家族全員が危険な目にあうと。
特に小さな弟がいるからこその、母の真剣な声はまどかもしっかりと覚えていた。

洗剤がバケツの中へと注がれる。硫黄系の臭いがした。
窓を見渡すと、鍵が全て閉じられていた。換気扇も、勿論止められている。



373 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:08:09.29fH0S1xA/0 (6/13)


何をしようとしているのかが分かった瞬間、まどかは駆け出してバケツを掴むと遠くへ投げようとする。
背後から襟を掴まれ、バケツは意図した飛び方はせずに中身の液体を撒き散らした。

仁美「いけませんわ、鹿目さん。私達の神聖な儀式を邪魔しようだなんて」

まどか「だって……!あれ、危ないんだよ……死んじゃうんだよ!?」

仁美「分かっていらっしゃらないのですね。肉体など、不要なのです。私達の素晴らしい、新たな世界にとっては」

まどか「……うっぐ!?」

仁美に腹を殴られ、苦しさに膝をつく。先程から放たれている悪臭が不快感を増した。

仁美「そうだ。鹿目さんも一緒にどうです?」

まどか「……っえ……?」

仁美「そうですわ。それがいいですわ。ですから、ほらこっちへおいでなさい」

まどか「っ!離してっ!!」

腕を引かれるが、必死に振りほどく。よろめいた足を起こして逃げる。
うめき声を上げて近寄ってくる人々の姿を見て、背筋が凍る。逃げた先は、不運にも壁だった。

まどか「助けて……っ、助けて……マミさん……ほむらちゃん……さやかちゃん……ママ……パパ……誰か……っ」



374 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:10:26.33fH0S1xA/0 (7/13)


迫る人々の動きは、突然のエンジン音と窓ガラスをぶち破って登場した真っ赤なバイクに乗った男の存在によって止められた。
バイクが車体を横にしながら減速し、まどかの側に停車した。

バサラ「へっ……!」

まどか「……熱気さん……!?」

ギターを激しく掻き鳴らす。時折、シャウトボイスが混ぜられる。
声の残響が工場を震わせると、バサラは口端を上げて笑みを見せた。

バサラ「行くぜ、PLANET DANCE!!」




♫さあ始まるぜ SATURDAY NIGHT 調子はどうだい?

♫LET'S STAND UP BEATを感じるかい

♫ここは空飛ぶパラダイス 忘れかけてるエナジー

♫NOW HURRY UP 取り戻そうぜ

まどか「なんで……この人……」

♫NO MORE WASTIN'TIME まるで夢のように

♫何もかも流されてしまう前に

まどか「歌っているの……?」



375 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:26:17.68fH0S1xA/0 (8/13)

♫HEY EVERYBODY 光を目指せ 踊ろうぜ!

♫DANCIN'ON THE PLANET DANCE

その声は、歌は、その場の雰囲気をあっという間に変えていった。
まどかはバサラへと近づいていた。よくは知らないが、まるっきり知らない人というわけでもない。
少なくとも、1人でいるよりは心強かった。

♫HEY EVERYBODY 心のままに 叫ぼうぜ! 

まどか(歌って……)

♫DANCIN'ON THE PLANET DANCE Yey yey ye....

バサラの目には、魔女に操られた人たちさえも観客としか映らなかった。
観客に対して、バサラはただ歌うだけ。たったそれだけの事なのだとまどかは理解した。

バサラ「まどか!ビビってるのか!?」

まどか「え……は、はい!」

バサラ「へへっ…なら、歌えよ!!ボンバーーーーーーーッ!!!」

♫HEY EVERYBODY 心のままに 叫ぼうぜ!

♫HEY EVERYBODY HEY EVERYBODY

まどか(え、え~!!?こ、こんな所で……歌うの……!?)

気恥ずかしさと、そんな事をしている場合じゃないという常識がまどかに歌わせるのを躊躇わせた。



376 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:37:06.61fH0S1xA/0 (9/13)

気恥ずかしさと、そんな事をしている場合じゃないという常識がまどかに歌わせるのを躊躇わせた。

C'MON EVERYBODY! HEY EVERYBODY

「……へい、えぶ……でぃ」

まどか「え……?」

「へい…えぶり……ばでぃ」

♫JUMPIN’ON THE PLANET DANCE

仁美「ジャンピン…オンザ…プラネット…ダンス……」

まどか「みんな…?まさか…歌っているの?」

魔女に操られているのに?まどかに疑問が芽生える。
しかし、当のバサラはそんな疑問など些細な事だとでも言うかのように晴れた顔で歌い続ける。

♫HEY EVERYBODY HEY EVERYBODY! C'MON! EVERYBODY !

ギターの音が激しさを増す。観客が、バサラに釣られて歌い出す。
最高潮に達した時、そこは廃工場ではなく、最早一つのライブハウスと化していた。

♫HEY EVERYBODY ! YEAH YEAH YEAH......

まどか「う、歌いきっちゃった……」

仁美「…………え……?ここは……どこですの……?」

観客の目に次第に生気が戻っていく。



377 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:37:33.60fH0S1xA/0 (10/13)

まどか「仁美ちゃん!?よかっ」

バサラ「うおぉっ!?何だお前ら!?」

まどか「え、熱気さん!?きゃっ!」

バサラの身体が急に倒されたと思うと、まどかも足元をすくわれた。
白い天使のような形状をした使い魔が身体を運ぶ。
扉を開け、狭い部屋に入るとパソコンに光が灯っていた。

バサラ「いきなり何しやがる……!?」

バサラが、それに次いでまどかがそのパソコンの画面の中へと放り込まれていく。

一面、青色の世界。まるで水の中にいるような錯覚を受けてまどかは息が苦しくなる。

まどか(ね…熱気さんは…?)

視線を向けると、まどかは驚愕した。

まどか(何かを叫んでる……いや、歌っている!?こ、こんな状況でも……!?)

その内、使い魔たちがバサラへとつきまとう。
それを振り払いながらもバサラは歌い続けたが、次第にその腕も脚も抑えられ、身体を引き伸ばされていく。

まどか(熱気さんっ!)

まどかはバサラへと手を伸ばす。その手を掴んだのは使い魔の一体。

まどか(ひっ……)

笑顔のような顔をした使い魔がまどかの周りを囲んでいた。


378 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:38:20.34fH0S1xA/0 (11/13)

まどか(そんな……『また』なの……?)

目の前で、誰かが傷つくのを見ているしか無い。
何も出来ない。何かが出来る力がない。

まどか(私に力が無いから、私が魔法少女じゃないから……?)

違う。

『今こうやって私の事を見ていてくれる。応援してくれる人がいるっていうだけでも結構うれしいものよ』

マミの言葉をまどかは思い出した。
本当に、自分は非力なのか?本当に、何も出来ないのか?

まどか「あ……」

気づいた。

確かに、自分は非力かもしれない。確かに、何も出来ないかもしれない。

けれど、

まどか「まだ…私は…出来る事を全部やってない」
 
悲観するのは、その後だ。
この状態で出来ることは限られている。けれど、何もやらないまま終わりたくない。
使い魔がまどかの腕を抱える。これから何をされるのかを想像し、一瞬恐怖が思考を埋め尽くす。

まどか(怖い……怖い……!けれど……)

『ビビっているのか?』

まどか「けれど……!」

『なら、歌えよ!ボンバーーーーーーーッ!!』


379 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:39:24.08fH0S1xA/0 (12/13)

……さあ 始めまるぜ SATURDAY NIGHT 調子はどうだい

 LET'S STAND UP BEATを感じるかい 

たどたどしく、しっかりとした歌声では無かった。
それでも、歌である。先程バサラが熱唱した歌をまどかが歌っていた。

バサラの身体を引き延ばそうとしていた使い魔がまどかの方を向く。
その刹那。刃が使い魔の顔を貫いた。

「だあああああああっ!!」

まどかたちに纏わりついていた使い魔が、切断されてまどかの腕を離す。

パソコン型の魔女が、腕を回転しながら現れた少女に向かっていく。
少女はそれに気がつくと、真っ向から受けに行った。

「とおりゃああああああ!!」

一閃。回転が、2つに分かれて落ちた。
結界が晴れる。

まどか「え……?さやか……ちゃん……」

さやか「どう?初めてにしては、上手く出来たほうでしょ」

手には剣。まどかが見慣れた制服とも、私服とも違う友達の格好。

まどか「……どうして」

自然とまどかは口に漏らしていた。

さやか「ごめん、まどか。……なっちゃった」

どうして、の先は言葉にならなかった。


380 ◆DcdG4DxDDg2013/10/28(月) 03:41:59.75fH0S1xA/0 (13/13)

今回はここまで。

ほむらは気を抜くとすぐにガハラさんっぽくなるから困る。劇場版見に行きてえ~~


381VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/28(月) 03:55:18.89OjP9qbwAo (1/1)

乙です


382VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/28(月) 05:00:09.89FtXDDvFmo (1/1)

まどっちがバサラに洗脳された…


筆記用具を構えたほむほむか


383VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/28(月) 09:35:25.18w8nOWPbS0 (1/1)

乙!!


384VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/10/28(月) 19:33:35.88EpD8IgF9o (1/1)

まどっちのかわいい歌声!



385 ◆DcdG4DxDDg2013/11/08(金) 12:07:14.82csXuemm1O (1/1)


「さやか魔法少女にしたらBADに近づくからしない方がいいよな!」

「……どうして、こうなる」

土曜日に更新できそう。




386VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/08(金) 12:20:07.45ZVZawck3o (1/1)

恭介をどうにかしとけばどうにかなる


387VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/08(金) 13:40:06.95KwGOSzyLo (1/1)

了解


388VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/11/08(金) 13:44:30.65sA3NlZhbo (1/1)

やったぜ


389 ◆DcdG4DxDDg2013/11/09(土) 23:32:06.09ZaroZcVV0 (1/7)

放課後。病院へ向かうための道。
さやかは病院に行くことを少し渋っていたが、何かを決心したような顔をした後は逆にまどかを先導するように歩いていた。
途中、反対側から来る仁美と会った。

仁美「なんだか夢遊病のような症状が出た人が大勢いて……私も検査の為に病院に行ってきたところですの」

さやか「はは、何それー?っていうかお昼に早退したんでしょ。それなら今日くらい学校休んじゃっても良かったんじゃん?」

仁美「それは駄目ですわ。家の者に心配をかけるようなことはしたくありませんもの」

さやか「お、おお……優等生だ……。偉いなー」

仁美「……そういえば、昨日……記憶がうろ覚えなのですが、鹿目さんもあの場所にいたと思ったのですが……?」

まどか「いっ!…え…ええと……」

仁美「それと……なんだかお歌も聞こえていたような気がしたのですけれど」

さやか「ゆ、夢だよきっと。だって、まどかがそんな所にいるわけないじゃない。それに、街中で歌ってるようなやつなんてそうそういるものでもないし」

咄嗟のフォローに、まどかは恥ずかしげに俯きながら頷いた。仁美はなんだか少し釈然としない面持ちでまどかたちと別れる。



390 ◆DcdG4DxDDg2013/11/09(土) 23:32:31.53ZaroZcVV0 (2/7)

さやか「いやー、昨日は危なかったね。まあ、でもこれからは私がいるんだから安心してよね!この魔法少女さやかちゃんに任せなさい!」

まどか「……さやかちゃんはさ、怖くないの?」

さやか「ん?そりゃ、ちょっとは怖いけれど……昨日は上手くやれたし。それよりも、友達二人が死んじゃう方がよっぽど怖い」

まどか「後悔とか……無いの?」

さやか「後悔?はは……そんなの、あるわけないよ。自分で悩んで決めた道だからさ、どんなに苦しくったって大丈夫だよ」

まどか「そう…なんだ……」

さやか「さーてーは、何か変なこと考えてない?自分だけ力になれないとかさ」

そんなこと、とはまどかは言えなかった。自分に戦う力が無いのは事実であり、それを嘆いた事もあったからだ。

さやか「私はさ、叶えたい願いがあって、命がけで戦える理由があるから魔法少女になったんだ。だからさ、まどかは心配なんてしなくていいよ」

さやか「これからは、この魔法少女さやかちゃんがこの街をガンガン守っていきますから!」

目の前の友人の声は、必要以上に明るい気がした。