1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 15:45:53.153/Qz8URto (1/15)


榊原「とりあえずどういう事か教えて欲しい、かな」

有田「えーっと、私も頼まれたんだけどね。放送部員で、昼放送担当してた男子が怪我しちゃって二週間ぐらい入院するんだって」

榊原「うん、それで?」

有田「で、その男子が居ない間どうしようって話になって、折角だから期間限定で話題作りも兼ねて部員以外の人を呼ぼうって。それで、今月転入してきたばっかの榊原君はどうよって話になったんだって」

榊原「ちょっと待って、繋がってるようで繋がってないよ。それ僕じゃなくてもいいじゃないか。他にも居るじゃないか、水野君とか」

有田「都会っ子だからラジオとか聞いてるんじゃないの? そういうのよく分かってんじゃない? 都会っ子だし。って感じらしいよ」

榊原「ちょっと都会という言葉がどういう意味なのか小一時間問い詰めたい気分なんだけど。何でも知ってる訳じゃないよ」

有田「でもでも、色々チャンネルあるじゃん都会。FM一杯あるし、話題のナックファイブだっけ? それも都会でしか聞けないじゃん」

榊原「そりゃそうかもしれないけど……。僕あんまり喋れないと思うし」

有田「いいのいいの! そういう感じのほうがきっと面白いから」

榊原「えぇー、そういうもんなのかなぁ」

望月「いいんじゃないかな、榊原君」

榊原「望月……」

有田「きっと面白いよ! 自分の好きな音楽かけたりとかできるし、好きなように喋っていいんだって。ある程度テーマはあるらしいけど」

榊原「うーん」

望月「やってみなよ、きっと何とかなるって」

榊原「そうかなぁ。まぁ、僕にできるならやってみるよ」

有田「ホント! やったー!! じゃあ私放送部の子に言ってくるね!」

榊原「う、うん……。それで、いつ放送なの?」

有田「明日だよっ!!」

榊原「えっ?」

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2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 15:47:51.473/Qz8URto (2/15)


勅使河原「なるほどな。だからサカキの奴四時間目終わって慌てて教室出てったのか」ガタッ

望月「放送室ちょっと離れてるからね。ご飯食べながら放送するし、大変と言えば大変かも」ガタッ

見崎「お昼ご飯はゆっくり食べるべき。誰にも邪魔されず、自由で、なんというか、救われてなきゃダメ」モグモグ

勅使河原「お前相変わらず食い始めはえぇな……」

望月「榊原君と一緒に食べれないから不満なんでしょ」クスッ

見崎「そんな事ない」プイッ

有田「やっほー、見崎さん。一緒していい? っていうかもう食べてるし一緒するね」ガタッ

勅使河原「俺達に同意は求めないのかよお前……」

望月「勅使河原の事は気にしないで、どうぞ有田さん」

勅使河原「望月ぃ……」

有田「どもども。いやぁ恒一君昼の放送に声かけちゃったからさ、ちょっと見崎さんが寂しがってるかなぁって」

見崎「みんな、どういう風に見てるの」

有田「え? 榊原君とよく二人でご飯食べてる羨ま妬ましいクラスメイト」ドヨッ

見崎「……これからは、みんなも一緒に食べるといいと思う」ガタガタ

望月「有田さん、本気で言ってたね……」

勅使河原「あぁ……。このクラスの女子レベルたけぇけどこえぇよ」

望月「女子のほとんど、今日の放送の話聞いて教室で食べてるもんね。スピーカー睨みながら」

勅使河原「あぁ。全く羨ましいやら恐ろしいやら」


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 15:49:33.673/Qz8URto (3/15)


『ガガッ……ガガガッ……♪♪~♪♪♪~♪~』

勅使河原「おっ、なんか始まったぞ。って、なんの曲だこれ」

有田「あれ、始まりの選曲とかパーソナリティの選曲のはずなんだけど……」

王子「これはモーツァルトのホルン協奏曲だね。昼から優雅でいいじゃないか」

勅使河原「後ろからいきなり話しかけてくんなよ王子。モーツァルトってクラシックか?」

見崎「榊原君は、クラシックも結構嗜むらしい。お父さんが好きなんだって」

王子「へぇ……。ちなみに楽器は?」

望月「弦楽器をちょこっとって言ってたよ。オルガンとかも多少なら弾けるらしい」

猿田「あと一年早く転入して来てれば、吹奏楽部に勧誘してたぞな」

王子「そうだね、残念な事だ。しかし出だしの選曲でホルン協奏曲とは、いいセンスだと思うよ」

『♪♪~……放送開始の曲は、モーツァルトでホルン協奏曲第一番でした。これより、お昼の放送を開始いたします。進行役を務めるのは、三年三組、榊原恒一です』

勅使河原「お、喋った。てかかてぇな!」

有田「いーのいーの、元々素人放送なんだから、恒一君が喋るだけで喜ぶ人がいるんだよ、私とか」

望月「まぁ、有田さん見崎さん以外にもいるし。教室中の空気がかなり変わったね今ので」

猿田「多々良がなんか凄い興奮してるぞな」

王子「きっと榊原君がクラシック知っている事で興奮しているんだろう、放って置いてあげよう」

『このモーツァルトのホルン協奏曲は僕の好きな曲で、ヴァイオリンから入る出だしの優雅さとホルンの優しい音色を曲が全て終わるまで維持された、何とも聞く人の心を豊かにしてくれる曲だと思っています』

勅使河原「おい、なんか薀蓄喋り出したぞ」

王子「いいじゃないか、実に。分かっている、分かっているね榊原君!」

見崎「王子君まで興奮し始めたわ」


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 15:50:28.353/Qz8URto (4/15)


『とまぁ語っても面白く無いと思うので、まずは自己紹介を。先ほども言いましたが三年三組に所属する、榊原恒一です。とは言っても、僕はこの学校には今月転入してきたばかりなのですが、何故かこうしてお昼の放送をする事になってしまいました。どうやら放送部長さんの軽いイタズラなようで、アハハ』

望月「なんだかんだで楽しそうだね」

有田「おふふ、可愛いなぁ恒一きゅん」

『本当は放送部員の担当の方がする予定だったんですが、その方が今週と来週、怪我により学校に来れないという事なので、急遽僕がパーソナリティを務める事になりました。同じクラスの方はお見舞いに行ってあげて下さいね。という事で、本日の放送は僕がパーソナリティとなります。お聞き苦しい点が多々あるかと思いますが、宜しくお願いします』

勅使河原「真面目だなぁ」

見崎「それが榊原君」

『という訳で早速、本日のテーマですが。えー、本日は僕のフリートーク、僕への質問と僕選曲の音楽を流すのがメインとの事です。で、放送部員さんが作ってくれました、質問帳。これに一つ一つ答えていきたいと思います。まずはこれ、「榊原君は都会育ちという事ですが、東京ですか?」……東京です』

有田「回答終わってる!」

『これだけっていうのもアレなので。えぇっと今回この放送を担当するに辺り放送部員さんと話をしたんですが、僕はこういった放送を担当した事ありませんし、ラジオとかも偶にしか聞かないからよく分かりませんよと言ったら「えぇ! 都会っ子だからラジオとかテレビとかよく見たり聞いたりしてるんじゃないの!? 都会っ子なのに!」という悲鳴混じりの言葉を頂きました。とりあえずその都会っ子は辞めてくれと』

望月「あはは、確かに」

王子「確かに夜見山育ちの僕達は、ちょっと都会っ子に対して偏見持ってるかもねぇ」

『都会で育ったからと言って、僕はそこまで色々詳しい訳でもないですし、ほんと。芸能人とかでもないですからね、勘違いしないで下さいね。何故か放送部員のある方は僕を芸能人のように扱っている節がありまして、おもむろにサイン色紙とマジックを渡されました。サインとか無いですからって言ったら酷く落ち込まれて。悪い事してないのに罪悪感に襲われちゃいましたよ。あぁほら、そっちでまた落ち込まないで!』

見崎「放送室に居たのね、その人」

有田「ふふ、結構面白いねーこの放送!」


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 15:52:49.063/Qz8URto (5/15)


『えーでは次の質問。「恒一きゅんは、好みの女の子のタイプってありますか? ペンネーム・コマツ」さん。なんでいきなりペンネームが書かれているんでしょうか。というかこれ有田さんだよね? 聞いてますか? 三年三組有田松子さん。なんでこんな捻ったペンネーム使ってるの、ていうかなんで放送部員の質問帳なのにちゃっかり混ざって書いてるの』

有田「ペンネームの捻り方とか一瞬で分かっちゃう恒一きゅん流石です」

見崎「しょうこだけど漢字は松子、前と後ろを入れ替えてコマツね」

『あー、えーっと。これといって特に好みのタイプっていうのは無いかなぁ、と。見た目もそうですけど、性格的にも、ですね。こう、なんというか、自分が一緒に居てほっとする、安心する、そんな人と一緒に過ごしたいなというのはありますね。ただそういうのって、結局どういう性格、どういう見た目の人っていうカテゴライズがしにくくて。何て言うか、僕とフィーリングが合う人が好みって感じですね』

勅使河原「うわぁ、クラスの女子がすげぇメモ取ってる」

有田「ふむふむ、大事なのはフィーリング、か……」

見崎「ほっとする、安心する女性……」

望月「君達もか(笑)」

『そういった方との出会いがどれだけあるか、また出会っても自分で気付かなければいけない、色々な事を乗り越えないといけないのが大変ですが。この曲のように、臆病でも不器用でも、互いの孤独を包み込めるような、そんな関係になりたいですね。という事でお聞き下さい、MISIAで「つつみ込むように」』

勅使河原「……あれ、なんか俺今キュンとした」キュン

望月「流れるような曲紹介と、トークにマッチした選曲だね」

見崎「……ダメ、ここは堪える」ググッ

王子「うわ、見崎さんが顔に力入れて凄い踏ん張ってる」

有田「うへへぁ、恒一きゅんすげぇ~」ダバー

猿田「うわぁあ! 有田がもの凄い勢いで鼻血出してるぞなぁ!?」

勅使河原「ていうか、クラスの女子半分ぐらい鼻押さえてるぞ」

望月「なんかクラスが鉄分臭い」


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 15:57:00.243/Qz8URto (6/15)


『うーん、そうですね、髪型かぁ。本人に似合っていれば特に拘りはないかなぁ。あ、でも出来れば天然の色のほうがいいですね。脱色してたりとかはちょっと敬遠しちゃうかな』

綾野「墨汁を! 誰か私に今すぐ墨汁貸して!!」

渡辺「うおおおおー! 白髪染め買いに行くぞおおおおお!」

『えっ、背丈? そこまで聞くの? えっと……うーんこれも余り気にしないですけど。小さい子は小さい子で可愛らしいですし、背が高い子は綺麗に見えますしね』

小椋「うふ、うふふふそんな可愛らしいなんて恒一君」ニヤニヤ

多々良「き、綺麗……綺麗に見えるかな、かな」

『む、胸っ!? ちょ、お昼の放送でそこまで聞きますかっ!? ど、どっちでもいいですよっ! えっ、理由? あーえーっと、あーなんて言えばいいのこれっ!? えっと、ち、小さい子は小さい子で可愛らしいですし、お、大きい子は大きい子で、その、母性を感じるっていうか何て言うか。いや、僕母親が居ないので、そういうのちょっと憧れというかって、なんでこんな事まで言わされてるのっ!?』

桜木「ぼ、母性! そう、母性ですっ!! クラス委員として転入したての榊原君を色々補助したり助け合うのは当たり前で! お互いに支えあって私の溢れる母性で包み込み合うようなそんな事が色々と!?」ダバー

佐藤「うふふ、我が世の春がきたーーーーーーっ!!」ダバー



勅使河原「……ウチのクラスってこんなんだったっけ」ヒキ

望月「なんかみんな変なテンションで逝っちゃってるね」ヒキ

王子「多々良とか、結構酷い事になってるじゃないか」ヒキ

猿田「なんか、鉄臭くて気分悪くなってきたぞな」ウプッ

風見「ゆかりが……ゆかりが遠くへ……」


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:00:29.013/Qz8URto (7/15)


『えー。色々と変な質問がありましたが、これで最後の質問です。「榊原君の進路希望はどこですか? やっぱり東京への進学なんでしょうか?」うーん、現在の所はそうですね。僕がこの夜見山へ来たのは、父がインドで研究する事になったのと、僕が自然気胸を患ってしまった為、なるべく空気の綺麗な、穏やかな場所で過ごすようにという事で、親戚の家にご厄介になる為です。最近は結構体調も戻ってきているので、来年にはまぁ、自分の希望する進学先へ行きたいなとは思ってます』

勅使河原「うわぁ、すっげぇ真面目なトーク」

望月「進学って大事だもんね。榊原君は初めから進路希望があったみたいだから」

王子「真面目っ子だねぇ」

『え? 希望先? えっと東京のK高という私立です。元々そこの附属中学校に通っていたんですが、先ほどの理由でこちらに来ることになったので。本来であればそのままエスカレーター式にK高への進学になったので、まぁ療養が終わったら本来の学校に通いたいかな、と』

猿田「K高って、K大学の附属ぞな。結構政治家とか官僚の出身校だったとか」

勅使河原「頭のデキが違うんだな……これが格差社会か……」

望月「キミはただおバカなだけでしょ」

『ただ、僕はこちらの高校を知っている訳でもないですから。もしK高よりも自分の将来像とかに合致する高校があるのであれば、こちらの高校へ通うというのも一つの選択肢ではありますよね。今から希望先の変更というのも結構難しいと思いますけど、知らないまま離れて後で後悔したくないかな。なので、今こちらの高校を調べている途中なんです』

有田「よし、こっちの高校の資料を手当たり次第集めて恒一君に見せよう!」

王子「やる気になるのはいいけど鼻血をどうにかしなよ」

見崎「……協力、する……」ググッ

望月「ちょ、見崎さん力入れすぎて顔色が段々紫になってきてるよっ!」


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:05:25.643/Qz8URto (8/15)


『……という事で、本日の放送はここまでとなりました。なんだか僕への質問と曲を流すだけで終わってしまいましたが、皆様お楽しみいただけましたでしょうか』

勅使河原「楽しんだ奴はここに一杯いるよ、別の意味でな」

王子「これ、榊原君教室に帰ってきたらドン引きじゃないかね」

望月「床に血痕付きまくってるしね」

『来週のパーソナリティはどうなるか分かりませんが、また次回があると良いですね。それではお別れの曲は、SMAPで「夜空ノムコウ」です。本日のパーソナリティは、三年三組、榊原恒一でした。See You Next Time!』

見崎「」ブバッ

勅使河原「うわぁとうとう見崎が噴射したぁー!!」

望月「ちょっ、そこ榊原君の机だからっ! さすがにそれはマズイでしょお!?」

有田「さ、最後に英語とか反則でしょ。ちょぉ可愛いわぁ~」ダバー

王子「そ、掃除! とりあえず掃除しようみんな!」

猿田「そうぞな! 榊原が帰ってきたら教室の惨状にドン引き間違いなしぞな!」

勅使河原「バケツに水汲んでくるからお前等雑巾とか用意してろ!!」


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:13:33.183/Qz8URto (9/15)


中島「先週の放送では教室が悲惨な状況になっちゃったわね」モグモグ

桜木「流石に榊原君も気付きますよね。『なんか血の匂いがする』とか言ってましたし」モグモグ

多々良「それでまた松子が鼻血噴いたのは引いたわ」モグモグ

有田「いやーメンゴメンゴッ☆」テヘッ

見崎「でも多々良さんも似たような状況だった」モグモグ

中島「あぁ確かに。っていうか見崎さんご飯食べるのはやっ」

見崎「そう? いつも通り」

桜木「サンドイッチ、何個目ですか……?」

見崎「んー、三袋目」

有田「それでこんだけ細いんだもんなぁ、羨ましい」

桜木「」プニプニ

多々良「ゆ、ゆかりが死んだ魚の目をしながら二の腕を摘んでいるッ!!」

中島「や、やめなさいゆかり! それ以上自分を追い込まないでっ!!」

桜木「ウフフ……これが、こんなものさえなければ……」グニグニ

有田「お、親の敵を見るような目だ……ッ! こいつ、ヤバいぞ!」

見崎「榊原君が『桜木さんは抱きついた時気持ちよさそう』って言ってたから、気にしない方がいい」モグモグ

桜木「よっしゃああああああああああああっっ!!」ガタッ

多々良「復活した。なんて現金な……」

中島「え、ていうか、榊原君とどんな会話してんのよ見崎さん」

見崎「何となく話の流れでそういう会話になっただけ。偶に下ネタもする」

有田「へぇー。なんか、凄くフランクな友達付き合いしてるんだね見崎ちゃん」

見崎「……言わないで、気にしてるんだから。勅使河原君とかと同じ扱いなの判ってるから」ズーン

多々良「あぁ、自覚あるんだ」

中島「近くて遠い距離なんだねぇ」ホロリ


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:17:08.323/Qz8URto (10/15)


有田「しっかし、先週放送の影響か今日は教室に男子が誰もいないねぇ」

桜木「さすがに女子が尽く鼻血を噴くような状況でご飯は食べたくないでしょう……」

見崎「却って好都合。お陰で女子がスピーカーの近くで聞ける」モグモグ

中島「ま、確かにそうだよね」

多々良「うんうん、確かに好都合。っと、そろそろかな~?」


『ガガッ……ガガガッ……♪♪~♪♪♪~♪~』


桜木「あっ、始まりましたね」

中島「って、今日もクラシックからかぁ」

多々良「こ、これはヴァレルのボレロ! フルートから始まるこの優美な曲を最初に流すなんて、これはフルート奏者である私にとって最高のっ!」ダバー

有田「早い、早いよ恵っ!? 鼻血噴くの早すぎるよっ!?」

見崎「早漏(笑)」モグモグ

中島「見崎さんはまだ食べてるの……」


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:22:24.483/Qz8URto (11/15)


『♪♪~……放送開始の曲は、モーリス・ヴァレルのバレエ楽曲、ボレロでした。これより、お昼の放送を開始いたします。進行役を務めるのは、三年三組、榊原恒一です』

有田「相変わらず入りが硬いなぁ。真面目っ子だねぇ」

桜木「誠実なのが榊原君ですから」

見崎「なにその私理解してますアピール。黙ってご飯食べてなさい」ギリリ

中島「こわっ。見崎さんこわっ」

『えー、本日の放送なのですが、先週に引き続き入院中の放送部員の方の代わりに僕が務める事になったんですが。あー、えーっと、本日はゲストの方が来ております』

有田「えっ、ゲスト?」

多々良「なにそれゲストって。お昼の放送なのにゲストって」

桜木「一体何なんでしょうね」

『あー、それでは、自己紹介をお願いします。――皆さんこんにちは、美術教員で三年三組副担任、三神怜子です。本日はゲストとして呼ばれました』

中島「三神せんせーっ!?」

見崎「い、一体……どういう事だ……?」カタカタ

有田「いや、なんで先生が昼の放送に参加すんのよ。おかしいでしょこれ」

『僕もつい先程知らされたんですけれどね。どうやら放送部長さんが交渉したらしく、この度二人での進行を行う事となりました。どうぞ、宜しくお願いします』

多々良「なんでよ。なんで先生なのよ。クラスメイトでもいいじゃない、私でもいいじゃない」

桜木「やっぱり、親戚だからですかね……」


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:29:45.633/Qz8URto (12/15)


『本日のテーマですが、指示としてあるのは二人のプライベートの話、らしいんですけど。あぁえぇっと、変な勘違いをしないで欲しいんですが、僕、榊原と三神先生は親戚というか、甥と叔母の関係なんです。それで、今は祖父母の家でお世話になっておりまして、僕と怜子さんも一緒に住んで――ちょっと、名前名前!――あぁ、すいません。僕と三神先生も一緒に住んでいるという訳です。決して如何わしい関係でも何でも無いので勘違いしないで下さいねっ!』

中島「怜子さん、か。家では名前で呼んでるんだなぁ」

桜木「う、羨ましいような」

見崎「三神先生は恒一君て呼んでる」

多々良「なにそれ妬ましい……」ギリリ

『夜見北に編入するあたって公私の区別はちゃんとつける事って言われてたんですけど、出ていいんですか?――私も渋ったんだけど、部長共々部員の子達に揃って頭下げられて、断れなくなっちゃって。もう色々割り切る事にしたわ――なんか、大変だったんですね。というか家で教えてくれれば――本番まで秘密でお願いしますって言うから――変な所で律儀に守らなくてもいいのに、もう』

有田「んー、なんていうか、さっきから喋り方が」

桜木「段々砕けてますねぇ。なにこれ」

中島「ほんと、なにこれ」

『で、プライベートですけど。特に何か言及する事ってあります?――特に無いわよねぇ。別に普段通りに過ごしているだけだし。あぁもちろん学校での態度とは違うかな、プライベートだし。――まぁそんなもんですよね。呼び方が違うくらい? 三神先生と榊原君が怜子さんと恒一君になるくらいですか。――そんなもんかしらね』

多々良「いやもう名前の呼び方もそうだけど喋り方が既に違うんですけど」

見崎「なにこの親密な雰囲気を伺わせる会話。お腹の底が震えてくるんですけど」ブルブル

『家で勉強見てあげるとかも特に無いわよねぇ。恒一君予習復習完璧だし。――あぁ、そういえば教わったりとかは無いですね。でも怜子さん僕が勉強すると真面目っ子~とか煽ってきますよね。――ちょっ、そういう事は言わないのっ! だって恒一君ほんと勉強出来るんだもん、初めは教えてあげようとかちょっと張り切ったのに空振りした感じでさ~。――なるほど、そういう事なんだ。じゃあ今度教えて下さいね。――なんだか私が我儘言ってるみたいにあしらわれてる気がするんだけど』

有田「ああああっ! なにこのラブラブトークッ!!」

中島「イチャついてる、間違いなくイチャついてるよこれ」

桜木「うっ、うぅっ、こ、これは心にクるものがありますね」

多々良「これがあと30分近く続くのか」

見崎「地獄だ……」


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:37:27.303/Qz8URto (13/15)


『あっ、そういえば恒一君は家で勉強してない時って大体本読んでるわよね。テレビ見たりとかは全然しない。――そういえばそうですね。なんていうか、そういう習慣が無いっていうのもあるんですけど。でも偶にゲームはしてるかな。――ほんと偶によね。バイオハザードだっけ、ホラーのやつ。あればっかよね。ほんとホラー好きよねぇ。――いいじゃないですかホラー好きで。面白いんですよ、人間ドラマとかが細かく描かれていたり。そういう怜子さんは家でやるゲームFFですよね。――昔からやってたシリーズだしね。やっぱ面白いわよFF。――僕はちょっとレベルをあげて物理で殴るみたいなゲームは面白さを感じないんで』

中島「ゲーム、偶にやるんだ」

桜木「そういえばテレビドラマの話とかした事ないですねぇ」

有田「うぅ、何だか新発見があったのはいいけど、この時間は辛すぎる」

『えぇ、それではそろそろ二曲目をかけようと思います。これは三神先生の選曲です。真行寺恵里さんで「IN MY DREAM」』

多々良「お、終わった……」

桜木「まだ、まだですよ。これはインターバルです」

中島「そうか、曲が終わったら……て、どうしたの見崎さん。カタカタ震えて」

見崎「この曲、知ってる。この選曲、三神先生……」カタカタ

有田「なにどうしたの、青い顔して。この曲がなに?」キキミミ

中島「………………」キキミミ

多々良「………………」キキミミ

桜木「な、なんですかこの曲わっ!?///」プシュー

有田「な、なんつーセクシャルな歌詞……」

見崎「お、恐ろしい。躊躇なくこの選曲をする三神先生が、私は恐ろしい……」ガタガタ



14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:38:47.703/Qz8URto (14/15)


『えー、真行寺恵里さんで「IN MY DREAM」でした。……怜子さん、なんですかこの選曲。――いい曲でしょ? 仕事終わった後でお酒飲みながらボーッとWOWOW見てたらこのOPのアニメが始まってさ。初めて聞いた時から綺麗な高音とかに惹かれてこないだ買っちゃった。――いや、確かにいい曲ですけど、なんだろ、もうちょっとこう、配慮をですね。――そんなモロな歌詞でもないし大丈夫でしょ。ねぇ放送部長、はい放送部長も問題ないと言ってるので問題ありません。――ダメだこの教師、早く何とかしないと』

見崎「言ってやれ、もっと言ってやれ」

桜木「し、しかし三神先生、大分解れているというか何というか」

多々良「完全に、二人のプライベートルームみたいになってるのね、放送室」

『そういえば怜子さん、家で飲むのはいいんですけど、僕の仕込んでおいた弁当のオカズをおつまみにするの止めてくださいよ。翌朝大変になるでしょ。――えー、だって恒一君のお弁当美味しいんだもん。前日から母さんと仕込んでるし、量も多めに作ってるみたいだからいいじゃない。――それは怜子さんがいつも摘むから多めに作ってるんでしょ!――そうそう、恒一君お料理が凄く上手くて。もう私より上手いから最近帰宅するのが楽しみなんですよーみなさん。――怜子さん元々そんなに上手くないじゃ――ナンカイッタ?――いえ、なんでもないです』

中島「むはああああっ! またこの時間かああああああっ!?」

有田「ああああああっ! イチャつきやがって羨ましいぞ三神せんせえええええええ!!」

『え、えーっと、どんどん次の曲をかけたいと思いますっ! えー……つ、次も三神先生の選曲で。椎名林檎さんで「幸福論」ですどうぞ』

有田「おいあの教師いい加減にしろよっ! なんだよこの選曲!?」ガンッ

桜木「なんか、凄く目的を持って選曲をしているようにしか思えないんですけど」

中島「なにこれ、かじかむ指の求めるものが見慣れた手の人だからシルクのベットで朝まで愛しあいましょうって話かこれ」

多々良「もうやだ……お昼の放送なのになんでこんな目に遭わないといけないの……」

見崎「クソッ、クソッ、クソッ」ガンガンガンッ

『……椎名林檎さんで「幸福論」でした。えー、怜子さん。なんですかこの――いい曲でしょ。幸せって傍にあるんだなぁっていう女の子の心情の歌よ。好きな人を護れるなら幸せだなぁっていう、ね。――あ、そ、そうですね、はい。あの、なんで――その人が生きている事が幸せっていうのは、結構ありがちだけど女としては根底に抱える心情なのよねぇ。私すごく歌詞に感情移入しちゃって。――そ、そうなんですか。で、あのそんな見つめられても。――幸せってね、意外と傍にあるのよねぇ。いつも一緒にいる人が自分の幸せなんだなぁって気付いたりとか』

赤沢「ああああああああ三神こらああああああっ!!」ダッシュ

杉浦「ちょっ、泉美ーっ!?」ダッシュ

有田「泉美がイった! 私も行くわっ!」ダダッ!

見崎「三神先生、立場を弁えるべき。あなたは彼と結ばれないっ!」ダダッ!

多々良「親戚は大人しくしてろーっ!」ダダッ!

桜木「り、倫理的に問題がありすぎますーっ!?」ダダッ!

中島「うおおおおおおおおお! 恒一くぅうううううううううんっ!!」ダダッ!


この日以降、恒一が放送担当になる事は二度と無かった。


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/16(火) 16:40:07.193/Qz8URto (15/15)

以上投下終了。
ありがとうございました。

この頃の音楽界は好きです。最近のは興味ない。


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/10/16(火) 17:27:38.0763BGnTw60 (1/1)

乙! 面白かったから、また、書いてくれるとありがたい!


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/17(水) 02:00:16.84s8VxKEiIO (1/1)

おつ
三組の女子生徒がもとのパーソナリティをまた入院させて…ってなるかと思った