1 ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 22:55:23.13OsM07NBco (1/26)

絶ったら5分後に投下開始します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1349704522



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/08(月) 22:56:52.06/LNk5uJSO (1/2)

機体


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2012/10/08(月) 22:57:15.81yUsiobweo (1/1)

奇態


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/08(月) 22:57:37.88DBGvJd5DO (1/1)

超期待です!


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/10/08(月) 23:00:03.39OsM07NBco (2/26)




上条「そこのおねーさん! お茶しない?」 麦野「あん?」


当SSは「とある魔術の禁書目録」の二次創作SSです。
しかしながら、登場人物のキャラ設定・性格に関しては多少の改変がなされております。
特に主役の一人である上条当麻は、ガワと『幻想殺し』とフラグ体質以外はほぼ別人となっております。

また、時系列は原作1巻直前となっております。
あるいは、時系列的におかしい状況も生まれるかもしれませんが、
「それはそれ、これはこれ」と納得していただけると幸いです。

あ、それとけっこうな割合でエロが入ります。
部分的にR18ですが、ハリウッド映画になぜか入るセックスシーンと同じぐらいの気持ちでお読みください。

もし読んで頂けるのならば、以上を念頭に置かれますよう、よろしくお願いします……

本日は約24スレほど投下します。


.


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/10/08(月) 23:00:32.0296IOpU1F0 (1/3)

木太井


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/10/08(月) 23:01:00.74OsM07NBco (3/26)

「そこのおねーさん! お茶しない?」
 終業式を午前中に終え、夏休みに入ったばかりの“学園都市”の午後。
 大通りを歩く学生たちの足取りは軽く、その表情は等しく笑顔で弾んでいる。
 しかし、それは当然だ。陰鬱な期末考査を終え、青春の代名詞ともいえる夏休みに入ったのだ。浮かれない学生はいないだろう。
 だから、こんな光景は“学園都市”のいたるところで見る事ができた。これからの夏休みを、さらに素晴らしいモノにすべく、彼女の居ない男子学生がする行為――
 即ち、ナンパである。

「あん…?」
 声をかけたのは、ツンツン頭が特徴的な、やや垂れ目の男子学生。
 声をかけられたのは、ロングコートに緩やかウェーブのロングヘアが特徴的な、ややキツ目の年上系美人。

 ここに、王子様とお姫様の邂逅が果たされる…



.


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/10/08(月) 23:01:45.41OsM07NBco (4/26)

「…ナンパ? 悪いけど、他を当たって」
 声を掛けられた美人さんは、しかし、今にも「シッシッ」と手を振りそうな態度で、すげなくお断りを入れる。
 だが、こんな事でめげていてはナンパなど成功しない。ツンツン頭の少年は、持てる笑顔のパターンを総動員して彼女の気を惹こうとする。
「いやいやいや! 絶対に退屈させませんって! この上条さん、別にナンパ使用と思ってお姉さんに声を掛けたわけじゃ無いんですよ!? お姉さんがあんまりに美人だったから、口と身体が勝手に動いたわけでして… うわっ、間近でみるとすっげぇ美人!」
 商売人であったら揉み手をしているであろう卑屈な態度で、あらん限りの言葉で美人を褒めちぎる。もちろん、おべっかだとは相手も分かっているだろうが、8割本気の言葉は意外と相手に響くものだ。
「はいはい、ありがと。でも、お姉さん暇じゃないし、君みたいな年下の子と付き合う気は無いの。じゃあね」
「お昼! お昼まだでしょ!? 奢りますって! ほら、近くに17学区の学食街あるし、もう少し足を伸ばせば23学区のレストラン街あるし! もちろん俺が奢りますから、お昼だけでも!」
 パシン! 拝むように両手を合わせて、チラリと美人を仰ぎ見る。ちなみに、彼のカードはここまでである。
「はぁ… メンドクセー……」
 それまで努めて視界に入れようとしていなかった美人だが、いよいよ豪快に振ってやろうと、ツンツン頭の少年を睨みつける。
 元々、彼女は気が短い。つまり、しつこい男は嫌いなのだ。
「あのさぁ… 暇じゃないって言ってるでしょ? 痛い目みたくなかったら……」
 そう言い掛けると、美人の懐で小さな着信音が響いた。ムッとした顔で言葉を飲み込んだ彼女は、流れるような動作で携帯電話を取り出し耳に当てる。
「…はい、麦野だけど」
『あ、麦野ですか、絹旗です。超手短に言いますが、予定が超変更になりました。対象がポイントから超離脱したようです』
 耳に入った声に、さらに表情を険しくし、声を小さくする美人。
「…何よ、情報が漏れた?」
『その可能性は超ゼロですね。向こうの運が超良かった。そういうことでしょう。滝壺さんの追跡は超続行中ですが、向こうが腰をすえないと、完璧な襲撃は無理そうです。ですので…』
「どっかで時間を潰しとけって?」
『はい。まー、ファミレスかなんかで待機して置いてください。補足したら私も超急行しますので』
「…チッ、了解」
 機嫌が悪そうに携帯を閉じる。ふと気付いて目をやると、ツンツン頭の少年はまだ拝んだままだ。
 軽く息を吐いて、不機嫌な表情を取っ払うと、悠然と腕を組んで少年を頭のてっぺんからつま先まで観察する。
(顔は条件付きで丸、明らかに年下、体型はアスリートタイプ… 何かスポーツでもやっているのかしら? …ふん、遊んでやるか)
「……奢ってくれるって?」
 口の端をほんの少し吊り上げて、キツ目の美人が、少年にとってはこの上ない言葉をこぼす。
 その言葉に、バッ、と弾かれたようにツンツン頭の少年が顔を上げると、満面の笑顔で「もちろんですとも!」と叫んだ。




.


9 ◆WR1lHxDh9No62012/10/08(月) 23:03:29.16OsM07NBco (5/26)

「じゃ、ちょっと高いトコ奢ってもらおっかなー?」
「うっ… いやいや、ちょっと高くてももちろんオッケー!
 で、でも、良ければ私めにお店のチョイスをさせて頂けませんか?」
「えー、その店、良い所なんでしょうね? あ、私、麦野ね」
 ナンパをされるのは初めてではない。どうせ今日限りの関係なんだからと、キツ目の美人――麦野沈利は本名を明かす。
「任せてください! えっと、麦野さん! 俺、上条当麻って言います」
 一方のツンツン頭の少年――上条当麻はドキドキものである。はっきり言えば、玉砕覚悟で臨んだ相手なのだ。
「上条クンね。キミ運が良いわ、こんな美人捕まえたんだから。頑張って楽しませてちょうだい」
「は、はい……!」
(うわー、自分のこと美人って言い切っちゃってるよこの人……)
 もちろん、麦野の端麗な容姿から声を掛けたのだが、こうもはっきり言われるとかなり緊張する。
(男慣れしてんだろーなー…)
 対して自分は彼女居ない暦=年齢だ。だが、一応の計画は頭の中にあった。
「えっと、有名なトコじゃないんですけど、美味いオムライスを食わせる洋食屋があってですね…」
「オムライスねー… ま、いっか」
 第二関門突破。これでチェーン店や身の丈にあってない高級店を言うようだったら、麦野は即サヨナラするつもりだった。
 そういうテンプレな対応は彼女の好みでは無い。
「よ、よかった… えっと、店、近いんで、こっから歩いていけますよ」


.


10 ◆WR1lHxDh9No62012/10/08(月) 23:04:21.23OsM07NBco (6/26)

「ふむ、ふむ、ふむ…」
「ど、どうすか?」
 注文し、運ばれてきたオムライス(鮭入りライス)を頬張る麦野を、心配そうな顔で上条が見つめる。
 彼女の好みに合わなかったら、当然、そこでアウトである。
「……ま、合格かな」
「よ、よかったー!」
 実は密かに麦野の好みどストライクを当てていたのだが、そんな事を知らない上条は、もはや何度目か分からない安堵の息を吐く。
(普通に美味いわね… 鮭が良い感じにライスに馴染んでるわ…)
 そうやって、当たり障りの無い会話を挟みつつ、オムライスを食べ終わると、麦野はチラリと携帯の着信を確認した。
(絹旗からの連絡は、まだ無い、か… チッ、早くどっか一箇所に固まりなさいよ…)
 ふぅ、と軽く息を吐くと、対面に座る上条ににっこり微笑みかける。本日初めての笑顔に、上条の顔がたちまち赤面する。
「あ、あの、麦野さん…?」
「これからはどーしよっかなー? まだ暇な時間が続きそうなんだけど?」
 第三関門突破。上条は高鳴る鼓動を必死に抑えつつ、必死に頭を回転させる。
 昨日のプランと今の状況を懸命に照らし合わせて口を開く。
「腹いっぱいになったし、ちょっと身体動かせる遊びしません? この近くにボウリング場がありまして…」
「ぷっ!」
 いかにも学生的な上条の発案に、思わず麦野が噴き出す。まさかボウリングとは予想外だった。
「あはは、ボウリングかぁ… 当然、そこの払いは…」
「わたくしが持ちますとも! もちろん!」
 あまりに必死な上条の様子に、麦野がケラケラと笑う。
「冗談、冗談よ。そこまでお姉さんも鬼じゃないわ。割り勘で良いわよ」
「よ、よかったぁ~」
 予算的にギリギリだったのか、心底ホッとした表情を見せる。
 麦野は、そんな上条を不覚にも少しかわいいと思ってしまった。



.


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/08(月) 23:05:55.49EOZuFrSao (1/3)

面白いし上麦は好きだが改行が欲しい


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/10/08(月) 23:05:57.3696IOpU1F0 (2/3)

wwktk


13 ◆WR1lHxDh9No62012/10/08(月) 23:06:36.60OsM07NBco (7/26)

 かこーん!!
 シリコンボールが激突し、ピンが空中に舞う。
 ボールがその場で手に合わせて成型されたり、ボールの起動がレーンに記録されたりと、
所々ハイテクな仕掛けは用意されてはいるが、基本、アナログなルールは変わっていない。
 2投して多く倒した方が勝ち。単純だが、ちょっとコツを掴めば、女性でも男性と競い合えるのがボウリングの魅力の1つだ。
「そーれっ!」
 専用に調整されたボールを、やや角度をつけて麦野が投げる。
 ボールは吸い込まれるように1ピンと2ピンの間に激突し、本日何度目か分からないストライクのコールがボウリング場に響き渡る。
「よっしゃ!」
「つ、つえー…」
 上条が青ざめた顔でスコアを見る。
 すでに3戦目の10フレームだが、麦野とはほぼダブルスコア。
 上条も一応は100アップを軽く超えているのだが、麦野が当たり前のようにターキーやフォースをだすので、まるで追いつける気がしない。
「ふっふっふー、どんなもんじゃー? もしかして、勝とうとか思ってたかにゃー、上条クン?」
 男子を叩きのめす快感からか、弾んだ声で麦野が言う。
 言われた上条は、愛想笑いもそこそこに、やおら真剣な表情になってボールを構える。
 流石に彼とて男子の意地がある。ここまでコテンパンにやられていては流石に面白くないのだ。
「……せいっ!」
 真っ直ぐ振り切ったボールは、1ピンやや左寄りに激突するも、惜しくも10ピン残し。
 焦った上条はスペアも逃し、3戦目も麦野の勝利に終わった。
「上条クン、よっわーい!」
 彼女にしては珍しく上機嫌な声を出す。とにかくこの美人さん、相手を実力で見下すのが大好きなのだ。
「俺が弱いんじゃなくて、麦野さんが強すぎなんスよ! …もしかして、やりこんでるクチ?」
「ばーか、こんな疲れるコト、やりこむわけないじゃん。
 入射角とボールの回転を計算して、後はまっすぐ投げるだけ。簡単なスポーツよ」
「んな簡単って言われたって…」
 流石に面白くないのか、上条が口を尖らせる。
 機嫌が悪いと癇に障る仕草だが、今はスルーするぐらいの精神的余裕がある。


14(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:08:32.19OsM07NBco (8/26)

(まぁ、意外と楽しませてもらってるし、少しサービスしてあげようか…)
 心の中でチロっと舌をだして、麦野はコンソールを操作して、ゲームを練習モードに切り替える。
 ボール速度・軌跡、接触角度、投球アクションが記録できる優れモノ機能だ。
「ほら、ちょっと投げ方見てあげるから、構えてみて」
「え、投げ方?」
「後ろで見てるとさ、上条クン、体軸ブレブレなのよねー。まぁ、それを意識して中心線狙ってるんだろうけど…」
 少し呆然とする上条の手を強引に引っ張って、投球レーンに立たせると、麦野は上条の背中からピッタリと胸を密着させた。
「ちょッ! ちょッ!!」
 慌てふためく上条を尻目に、抱きかかえるように麦野が上条の身体に手を回す。
「こ・ら。視線は真っ直ぐ、先頭のピンを見て。ブレ無いように腰を支えて――?」
 何の気もなしに腰に回した麦野手が、上条の腹筋に触れた瞬間止まる。
 元々筋肉質だとは感じていたが、掌から伝わる感触はかなり鍛えた筋の弾力だ。
(鍛えてる? スポーツか、それとも……)
 ほんの少し、麦野が思考を回転させるが、上条の方はたまったものではない。
 後ろから抱き付かれているせいで、麦野の見事な豊乳が自分の背中に押し潰されている。
 下着と上着を間に挟んでいるにも関わらず、圧倒的な質量のおかげで何がどうなっているのかがはっきり分かる。
(やべッ、やべぇ!!)
 いくらなんでも、これは思春期の男子学生にとっては刺激が強すぎる。
 しかも、麦野が動かないものだから、余計に神経が背中の豊乳を感じてしまう。
 血液が下半身に一気に集中する。しかも、麦野の手は上条の下腹部をさわさわと撫ぜ回している。
 天国のような、あるいは地獄のような数瞬が過ぎた。いい加減、上条が声を出そうとした瞬間、麦野が唐突に上条から離れた。
「え、あー……」
「…ふふ、なーに残念そうな声出してんのよ。ほら、腰がブレないように投げてみて」
 その言葉で、上条は投球を開始するが、投球フォームは見事なへっぴり腰。力なく投げられたボールは、当たり前のようにレーンの溝を掃除した。
「あはは! 何それ! 腰が引けちゃって、かーわいー!」
「だ、だって! 麦野さんがッ!」
「ん~~、アタシがどうしたのかにゃ~?」
 心底楽しそうに、麦野がニヤニヤと上条を見つめる。
 「アンタがおっぱいを当てるから」とは当然言えるはずもなく、上条は顔を真っ赤にして「いえ、その…」と口篭った。
「良い思いしたでしょ?」
「えっと、はい……」
 妙に優しい声色で言われて、思わず上条が素直に頷いた。
 その背伸びをしていない少年の表情を見て、麦野の表情が益々喜色ばむ。
「ふふ、素直で良いわ。頑張って楽しませてくれたご褒美よ… さて……」
 そう言って、麦野はチラリと携帯の着信を確認する。絹旗からの着信はまだ無い。
 あるいは、今日中の決着は無理なのかもしれない…
(なんか、そういう気分じゃなくなったしねー。良いおもちゃも見つかったし…)
 ほんの少し悩むと、麦野は携帯を操作して非常時以外の着信拒否に設定した。
(決めた、暗部の仕事は今日は無し! たまにはこんな休日も良いわね)
 まだ呆然としている上条の横に立つと、麦野は楽しそうに上条の腕に絡みついた。
「うぇ!?」
「上条クン、動いて疲れたから、甘いもの食べたいなー」



.


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/08(月) 23:09:26.30KffiNGls0 (1/2)

上琴とか上インと違って緊迫感があるのがいいな


16(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:10:46.20OsM07NBco (9/26)

「ごちそうさま」
 目に止まった喫茶店で頼んだケーキセットを食べ終わると、麦野はさりげなくレシートを自分の方に手繰り寄せた。
「あ…」
「ねぇ、上条クンのレベルはいくつ?」
 何か言いかけた上条だったが、それに被せるような麦野の質問に気勢を削がれる。
「えっと、笑いません?」
「返答しだいかなー」
「いや、こーゆー前フリだから分かると思いますけど… レベル0っす」
「ふーん、ま、学園都市に居る学生の半分以上はレベル0なんだから、別に笑ったりしないわよ」
 麦野がそう返答すると、上条は少し安心した表情になった。
 学園都市において、レベルは絶対なものだ。
 それは、単に学力の話だけでは無く、もらえる奨学金の額、研究機関からの報奨金と、財政上でも差が出てくるのだ。
 ゆえに、学園都市においてレベル0は常にコンプレックスを抱えて生活している。上条が少し卑屈な態度を取ったのもそのせいだ。
「麦野さんは?」
「んー、レベル3。粒子変化に関する能力よ」
「す、すげー… 美人でスポーツ万能でレベル3かよ…」
 レベル3(強能力)は全体のレベルで言えば真ん中あたりだが、レベル0の上条にとっては、もちろん雲の上の存在だ。
「ふふふ、凄いでしょー。こうやってアタシの時間取ってるの、ありがたく思いなさいよ」
「もちろんですとも!」
 麦野の言葉に、やけに力強く反応する上条。
 なんと言うか、犬のようである。
(ちょっと気の利く年下クンかー、キープしとくかなー)
 実のところ、麦野沈利は陽の当たる道を堂々と歩く人間ではない。
 はっきりと言えばイリーガルな人間である。
 だから、恋愛などは遠い過去の産物だし、いまさら恋人が欲しいとも思わない。
 思わないのだが、こうやって楽しい時間を過ごしてしまうと、ついつい欲が出てしまうのだ。
 麦野はケーキセットの紅茶を一口飲むと、軽く身を乗り出して上条に話しかけた。
「ね、上条クン。まだ時間ある? アタシ、ちょっと買い物したいんだけど?」
 古今東西、女性のショッピングに男が付き合うとロクな目に会わない。
 無論、これも麦野のテストなのだが、上条は躊躇うことなく頷いた。
「あ、良いッスよ。荷物持ちっしょ? いくらでも付き合いますって」
 そういって、ニカッ、と笑う。
 決して洗練されていない、素のままの笑顔だったが、それが麦野には快く思えた。
(いいわ~、弟キャラを被ってるのかもしれないけど、こうも分かり易いと対応が楽ね。うん、キープしとこ)
「良かった。それじゃ、行くわよ」
 そう言うと、当然のようにレシートを掴んで麦野は席を立った。
 上条が慌てて「あ、自分の分は…」と言いかけるが、麦野はレシートをひらひらと振って答えた。
「これからこき使うんだから、ここの支払いは任せなさい。その代わり、絶対に泣き言は言わないこと…!」
 美脚が自慢の某金髪トラップ娘がこの光景をみたら、思わず偽者かと疑うような笑顔を浮かべ、麦野沈利は歩き出した。




.


17(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:12:14.79OsM07NBco (10/26)

「これ良いわ~、キャミは何枚持ってても足りないしね… ん~、夏は暖色系少ないのがネックね… あ、パンプスめっけ…」
(まだ買うのかよ……)
 麦野がショッピングを始めてすでに数時間が経過していた。
 夏と言えども、外は茜色に染まっている。
 すでに上条の両手には、数を数えるのも馬鹿らしいほどの買い物袋がぶら下がっている。
 飛んでいったマネーカードの額など考えたくも無い。
(レベル3って、金持ってんだなー…)
 それが、レベル0である上条の偽らざる本音である。
 一方の麦野は、恐ろしいほどの上機嫌である。
「お、リップも夏の新作がでてんじゃーん。どれにしよっかなー。ねぇ、上条クン、どの色が似合うと思う?」
 店頭に並ぶ色取り取りのリップを指差して麦野が笑う。
 その目は半ば試すようだ。
 もちろん、上条には女性化粧品の知識はほとんど無い。だからと言って、何も答えないのは当然ご法度だ。
「えっと、麦野さん、暖色系好きなんですよね…?
 あー、だったら、あんまり派手な色じゃなくて、そのコートに合うような薄いヤツが良いんじゃないと、上条さんは思うのですが…」
 なんとか絞りだすように上条が答えると、意外と満足したのか、麦野は「そう? じゃ、そうしようか」と答えて、迷いの無い手つきで数種類のリップを選び出した。
 さらに消費されるマネーカード。金額にして、すでに6桁は軽く超えている。
「さて、と…… 次はー、あ、タイツの新色見なきゃ」
(後悔はしねぇ、後悔はしねぇぞ!)
 強く自分に言い聞かせて、上条は汗で滑る買い物袋を握り直した…



.


18(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:14:26.57OsM07NBco (11/26)

 麦野の散財が終わったのは、外の陽もどっぷり暮れてからだった。
 終わりごろには上条の身体は買い物袋で埋め尽くされていて、散々麦野に笑われたり写メを撮られたりした。
 この格好でどこまで歩かされるのかと恐怖した上条だったが、麦野はあっさりと集積センターに行き、荷物の全てを自宅に宅急便送りにしてしまった。
「上条さんの苦労はいったい…」
 流石に愚痴の1つも言いたくなったが、「纏めて送らないと二度手間でしょ?」という麦野の台詞に、上条は苦笑いと共に愚痴を飲みこんだ。
「ふふ、まぁ、根性見せてもらったし、夕食もアタシが奢るわよ。お店、こっちで勝手に決めちゃうけど、良い?」
「えっと、はい。ていうか、夕飯まで良いんですか?」
 軽くなった身体を軽くほぐしながら上条が言う。
「もちろん良いわ。今日は本気で楽しかったわー。 …ま、最近仕事で嫌なことが続いていてねー。良いストレス発散になったわよ」
 まだまだ笑顔の麦野が言う。
 買い物にはギブアップだった上条だが、そういう笑顔を向けられると、苦労も報われた気分になれる。
「楽しんでくれたんなら、俺も嬉しいです。まー、別れるのが寂しくなっちまいますが…」
 細心の注意を払って、可能な限りさりげなく上条が言った。
「んー、まぁね…」
 敏感に言葉の裏を読み取った麦野は、さて、どうしようかと頭を巡らせる。
(メルアド教えるのは確定で良いわよね。表用の捨てアドだから、いくらでも変更利くし…
 あとは、今日はどこまで『許しちゃう』か、ね…)
 麦野は不意に上条の正面に立つと、最初にそうしたように、上条の頭のてっぺんからつま先までをじーっと見つめた。
「えっと、麦野さん?」
「んー、ちょっと黙ってて」
 困惑する上条の言葉を切って捨てると、麦野はどんどん思考を進めていく。
(別に食べちゃってもいいけど、童貞だったときが面倒よねぇ…
 でも、直感だけど、この子は肉体関係持ったら、無茶苦茶懐いてきそうよね。どことなく犬っぽいし…)
 麦野の実年齢からしてみれば行き過ぎた思考だが、彼女の本質から見れば全く違和感は無い。
 麦野沈利はこういうオンナなのだ。
「…食べちゃうか」
「はい?」
 麦野がぼそりと呟いて、よく聞こえなかった上条が思わず聞き返した、その瞬間、
 Pipipipipipipipipipipi!!
 麦野のポケットから、けたたましいアラーム音が鳴り響いた。



.


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/08(月) 23:15:04.98PVjNYkYt0 (1/1)

読みにくい。改行しろ


20(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:16:33.93OsM07NBco (12/26)

「……クソがッ!!」
 さっきまでの笑顔を一瞬で消し去ると、麦野は小さく毒づいて荒々しく携帯を耳に当てた。
「……はい、こちら麦野」
『あんたってばー!! なんで着信拒否してんのさ!! 今日は仕事の日でしょーがッ!!」
 携帯からは、聴き慣れた、しかし、不快さだけは変わらない女性の声が響いた。
「はぁ? 今日は休日、アタシが決めた。用が無いんなら切りますけどー?」
『こいつらときたらッ!! アンタね! 絹旗が何言ったか知らないけど、状況は依然進行中なの!
 子犬くん食べようとか、盛ってんじゃないわよ!』
「切りまーす」
『ちょっと待てぇ!! 緊急コールだっつってんだろうが!」
「だったら、とっとと用件言えよ…ッ!!」
 思わずドスの利いた声を出して、しまったと上条のほうを見る。
 が、彼はなぜか麦野の方を見ておらず、暗い路地裏の先を凝視している。
(ほっ、よかった…)
 自分でもワケの分からないため息を吐くと、麦野は改めて電話先に問い質した。
「で、何?」
『……今日アンタに処理を依頼した男だけど、何やったヤツか知っているわよね?』
「ああ、元々はアタシたち『アイテム』の下部組織の人間で、対立組織にエスとして潜り込んだけど、いつの間にか裏切ってた馬鹿だろ?」
『そう、で、こっちに裏切りがばれて、しかも対立組織にもエスだとばれて逃亡したその馬鹿なんだけど、
 組織内のNo.2を丸め込んで、クーデターを起こしたのよ』
「で」
 興味なさそうに麦野が答える。そんなの、上手くいかないに決まっている。
『当然失敗して、その馬鹿はNO.2共々組織からも追われる身になったんだけど… 
 運の良いことに組織から逃げ出すのには成功したみたい』
「それじゃ、状況変わって無いじゃん。
 腰を落ち着けたら滝壺が補足、アタシか絹旗が襲撃して終わりじゃん」
『いやー、アタシもそう思って、たった今滝壺にサーチしてもらったんだけどさ。
 滝壺が変な事言うのよ。『麦野とそろそろ出会う』って』
「は?」
 ひどく嫌な予感がして、麦野は視線を巡らす。今、彼女が立っているのは大通りから外れた路地裏一歩手前。
 通行人は全く居ない。
『でね、アンタのGPSと馬鹿の現在地を照会したら、ばっちり逃亡ルート上にアンタが居るのよ。いやー、偶然って怖いわねー』
「ばっ、馬鹿野郎!! 最初にソレ言えよ!!」
 電話の先で、絶対にコイツは笑っている。そう確信した麦野は、即座に電話を切ると、神経を尖らせて周囲を索敵した。
 が、それは無駄な行為だった。
「あんたら誰だよ、俺らに何か用か?」
 妙に落ち着いた上条の言葉が聞こえ、そちらに目を向けると、上条の視線の先に、いかにも柄の悪そうな学ラン姿と、神経質そうなスーツ姿の2人の男立っていた。
「お、お前…ッ!!」
 スーツの男――元エスの馬鹿が、麦野の姿を確認して絶句する。
「畜生… テメェのせいで俺がこんな目に……」
 彼の中でどういう超理論が展開されているのかは分からないが、どうも、ここまで追い詰められているのは麦野のせい、と彼は思っているようだ。
「こうなったら… ここで刺し違えて……」
 物騒なことを口走る。今日一日で相当神経をすり減らしたのだろう、その声に余裕は全く無かった。
(まずいまずいまずいまずいーーーッ!!)
 対する麦野も相当に動揺していた。身の危険を感じたわけではない。彼女が本気を出せば、ほんの数秒で馬鹿を含めた2人組を消し炭に変えることが出来る。
 問題なのは……
(それをやったら、上条クンまで処理しなきゃならないじゃない……!!)
 麦野沈利。外見はちょいキツ目の美人さんだが、その正体は、学園都市の暗部組織『アイテム』に所属する闇の掃除屋だ。
 さらに、彼女は学園都市でも7人しか居ないレベル5の第4位。「原子崩し(メルトダウナー)」を操る超能力者なのだ…!




.


21(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:17:58.07OsM07NBco (13/26)

(どうするッ!?)
 もちろん、もっともベターな方法はこの場から上条もろとも逃げ出すことである。
 そうして、改めて体勢を整えて襲撃をすれば良い。その方が楽だ。
 だが、万が一。いや億が一、この馬鹿どもを取り逃がしてしまったら?
(ない、とは言い切れないわね… 実際、コイツはアタシ達から半日逃げ回っていたんだし…)
 背中を冷たい汗が流れ落ちる。
 暗部の基本は『目撃者すら残さない』だ。それに従えば、当然、上条も抹殺対象となり得る。
(……はぁ、柄にも無いことしちゃったわね。もう、二度とナンパの誘いに乗るのは辞めよう…)
 ほの暗い暗部の常識が彼女を縛る。恐ろしいほどの能面を被って、麦野が右手を上げた。
(せめて、一瞬で…)
 目標は上条当麻。彼女の超能力である
 その能力が、発動しようとしたその時、上条当麻が不意にしゃべりだした。
「なぁ、何の用かって聞いてんだけど。おっさん達、耳、聞こえてる?」
 何気ない足取りで2人組に歩を進める。
「うるせぇ! 俺たちゃ、その女に用があるんだッ! ガキは引っ込んでろ!!」
 元スパイがそう怒鳴る。すると、上条は首だけ麦野に向けて、落ち着いた声で聞いた。
「麦野さん、こいつら知り合い?」
「えっ、いや、知り合いってー言えば、知り合いだけど…」
「ふーん、友達?」
「んなわけね…… ないわよ!」
 思わず地が出た麦野だが、上条は気にせず再び視線を2人組に向けた。
「つまり、お前ら麦野さんに迷惑かけてるわけか…」
「ごちゃごちゃ言ってねぇでそこをどきやがれ!」
 学ラン男が怒鳴る。恐らく、彼がクーデターに失敗したNo.2なのだろう。
 しかし、上条はそれに取り合わず、ポケットから掌大の薄いフィルムシートを2枚取り出すと、それを手際よく両手甲に貼り付けた。
「……テメッ、やる気か!?」
 それを見た学ラン男が俄かに身構える。
 上条が貼り付けたフィルムシートは、一般学生には馴染みが薄い物だが、裏家業に生きる彼らにとっては馴染み深い物だ。
 厚さ、たった数ミリのフィルムだが、その正体は学園都市の超科学で作られた高効果衝撃吸収シートだ。
 このシートを貼り付けていれば、たとえ鉄の扉を殴ったところで、手指へダメージを受ける事は無い。
 つまり、上条は無言で「いまから殴り合いをします」と宣言したのだ。
 上条は2人組から視線を外さないまま、左手をやや前方に突出させ、左足を半歩進めた前傾姿勢を取った。
「…大人しく逃げるんだったら、このまま見逃すぜ?」
 いやに低い声で上条が言う。その台詞2人組も覚悟を決めたのか、学ラン男が一歩前に出る。
「か、上条クン、危ないわよ!」
「麦野さんには、指一本触れさせませんから」
 今度は振り返らずに言う。中々に決まった台詞だが、麦野には大馬鹿の台詞に聞こえた。
(確か、前に渡された資料では、組織No.2のあの学ランはレベル3の強能力者…!)
 あんなフィルムシートを常備しているくらいだから、上条も多少は喧嘩の心得があるのだろう。しかし、能力者が相手なら話は全く違う。
 能力の種類にもよるが、とうていレベル0の上条が敵う相手ではない。自分で殺そうとしたくせに、麦野は上条のことを本気で心配した。
「お望み通り、テメェから火達磨にしてやるッ!」
 学ラン男が空中の一点を注視するように自分だけの現実(パーソナルリアリティ)を構築する。
(あいつの能力は、確か…ッ!?)
 事前に読んでいた資料を思い出す。資料に書いてあった学ラン男の能力は発火能力(パイロキネシス)レベル3。能力の中でも、比較的戦闘に向く能力だ。
「駄目よッ、上条くん!!」
 とっさに麦野が叫ぶ。しかし、それが合図になったかのように、上条が弾かれたように学ラン男に向かって走り始めた…!




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22(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:20:15.70OsM07NBco (14/26)

 発火能力(パイロキネシス)とは、意外に定義の広い能力である。
 一般的には、任意の場所を発火できる能力を指すが、発火までの過程が多岐にわたる。
 指定した空間の微細なチリを発火させるもの、対象物の温度を急激に上昇させるもの、など、方法は様々だ。
 学ラン男の場合は少し厄介な手順が必要なものだった。
(一瞬で丸焼きにしてやる…ッ!!)
 学ラン男の暗く激しい思考が現実を侵食する。
 右手人差し指と中指に嵌めたセンスの悪い指輪を、突進する上条に向ける。
 すると、彼だけに見える“AIMの道”が出現する。
 彼の能力名は『酸素回廊(オキジジェンルート)』。空中の酸素を集約・圧縮し操る能力だ。
 コントロールされた圧縮酸素は、細い糸となって上条の身体に纏わりついた。
「セット完了… 燃えろッ!!」
 学ラン男が、火打石代わりの指輪を擦り合わせると、小さな火花が弾け、それはすぐに圧縮された酸素に引火。
 たちまち火線が上条に走る!
 後は上条の服が燃え上がって勝負は決まる。学ラン男は自分の勝利を疑わなかった。
 しかし、
「シッ!!」
 短い吐息と共に、上条が左手を素早く前に突き出す。
 上条が差し出した左手は、高速で走る火線を見事に掌で受け、そして、
 火線はあっけなく消失した。
「…は?」「……ッ!!」
 学ラン男が間抜けな声を出す。そして、後ろで今の現象を見ていた麦野も息を飲む。
「………ぉおお!!」
 一人、上条だけが動揺も無く動く。一気に学ラン男との距離を詰めると、左足を大きく前に踏み出し、体幹の強烈な右回旋と共に、左手を振りぬいた!
 ドゴッ!!
 左スマッシュが、正確に学ラン男の鳩尾を捉える。
「あッ、がっ…!!」
 腹部からの強い鈍痛に、学ラン男の体がくの字に折れる。
「おぉ!」
 上条はさらに引く左手の勢いで体幹左回旋し、右足を大きく一歩踏み出すと共に、右手を高速で突出させる。
 ズッ!
 重軽い音がして、学ラン男の首が強制的に後ろに折れる。
 綺麗なフォームの、まるでお手本のような右ストレートだ。
 学ラン男が、がくっ、と両膝をついたのを確認すると、今度は上条は元スパイに突進した。
「ちょ、お、お前ッ!!」
 明らかに動揺した元スパイが、片手を後ろに回す。おそらく、そこに拳銃でも隠し持っているのだろうが、上条はそれが取り出されるより早くクロスレンジに入ると、小さく身を屈めて、体重の乗ったボディストレートを放った。
「ぐぁ…!」
 胸骨の下らへんを痛打された元スパイの顎が下がると、今度は狙い済ました右アッパーカットが元スパイの身体を跳ね上げた。
 一瞬、完全に身体が宙に浮いて、元スパイは頭から崩れ落ちて失神した。
「………ふっ」
 しばらく油断無く身構えていた上条は、2人が完全に倒れたことを確認して、ようやく全身から力を抜いた。



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23(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:22:00.44OsM07NBco (15/26)

(………さて、)
 自分をひっかけたナンパ学生が、一応は百戦錬磨のはずの2人をのした。
 それはそれで驚く内容だが、麦野には看過できない1つの現象があった。
(確かめるか…)
 麦野は軽くうなずくと、足取り軽く上条に近づいた。
「あっ、麦野さん、あとは警備員(アンチスキル)に連絡… でいいスか?
 こいつら、レベル0の俺に能力使ったし、武器も持っているみたいだし…」
 何か勘違いしているのか、上条が確認を取るように麦野に言う。しかし、麦野はそれに答えず、素早く上条の左手を両手で持った。
「あ、あの…?」
 動揺する上条に、麦野は今日一番の笑顔を見せた。
「あは、上条クンって、凄く強いのね。カッコ良かった!」
「えっ、いや、そ、それほどでもないですよ……!」
 上条にとっては、狙い通りの効果だが、流石にこの反応は予想できずに身体が固まる。
 そして、左手を包む柔らかい感触にドギマギする。
 しかし、上条には完璧に隠しているが、麦野の眼は全く笑っていない。
(『原子崩し(メルトダウナー)が発動しない…ッ!?)
 実は麦野は、手から極少出力の『原子崩し(メルトダウナー)』を放出しようとした。
 極少といっても、本来は鉄壁をもぶち抜く威力の『原子崩し(メルトダウナー)』だ。熱いどころでは済まない。
 それなのに、上条に異変は無い。
(厄介だけど、面白いわね…)
 心の中でにやりと笑うと、麦野は己の舌で右上第3臼歯を軽くなぞる。
 一定の手順を繰り返すと、精巧に作られた義歯から、幅数ミリの極少カプセルが舌の上に落ちた。
 ともすれば、存在を触り失いそうになるそのカプセルを舌の上で構えると、麦野は一気に上条と唇を合わせた。
「………!?」
 あまりの行動に酷く仰天する上条を無視し、舌を使ってカプセルを強引に上条の口腔に流し込む。
 唾液と共に送られたソレを、上条は知らずに飲みこんだ。
「…えっと、あの、え、ご、ご褒美とか… ですか? はは、やりぃ…… って、はれ……?」
 顔全体を喜色で埋めた上条が、一瞬にして意識を失い崩れ落ちた。
 麦野が使ったカプセルには、速効性の睡眠剤が封入されていたのだ。
「薬は効く、と……」
 お情け程度で上条の身体を支えた麦野は、コクコクと納得するように頷くと、携帯を取り出してどこかしらに電話を掛け始めてた……




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24(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:24:03.54OsM07NBco (16/26)

 目覚めは最悪だ。
「ここ… どこだよ……?」
 上条が、ようやく深い睡眠から目が覚めると、そこは全く知らない景色だった。
 そこは誰も使っていない部屋のようだった。
 12畳ほどベッドだけの空間に、上条は一人後ろ手に縛られて、ベッドの上に転がされていた。
 しかも、
「パンイチかよ……」
 上条の格好はボクサーパンツ1枚のみだ。
 空調はしっかり管理されているのか寒さは感じないが、流石にこれは落ち着かない。
「てゆーか、何でこんな目にあってるんでせう…? 上条さんは下心アリアリでナイト役をやっただけなのに…」
 むしろソレが悪かったとは考えたく無い。
 上条があれやこれやと妄想をしていると、部屋のドアが唐突に開いた。
「…あ、超起きてますね。超うぜー」
 ドアの外から顔を覗かせたのは、ローティーンのパーカー姿の少女だ。
 彼女は詰まらなさそうに上条を一瞥すると、すぐに顔を引っ込めてドアを閉じた。
「いや、誰なんだよッ!?」
 思わず叫んでしまう上条。
 すると、ドアの外から「うっさいわねー」と今日一日で聞きなれた声がした。
「目ぇ、覚めた?」
 ドアから登場したのは、当然、麦野沈利だ。
 昼間被っていた、キツ目美人の仮面は完全に脱いでおり、素の乱暴な口調である。
「ったく、テメェのせいで大した苦労だよ。ちっ…」
 不機嫌を隠そうともせず、麦野が頭をガシガシと擦る。
 その変貌ぶりに目が丸くなる上条。
「あ、あのぉ、麦野さん…」
「まず、質問に答えなさい」
 なんとか会話しようと声を掛けた上条だが、それに被さるように麦野が詰問を開始した。
「アンタ、レベル0って嘘でしょ?」
「い、いや… 上条さんは正真正銘のレベル0なんです、けど……」
 答える上条の声がどんどんと小さくなる。それもそのはずで、言っている途中から、麦野の眉尻がキリキリと吊り上ったからだ。
 絶句する上条の前で、麦野は上条から剥がしたであろうフィルムシートをひらひらと舞わせた。
「あ、それ…」
「素直にしゃべらねぇと、こうなるぞ?」
 麦野が能力を発動すると、フィルムシートが一瞬で灰に消えた。
 あのシートは耐衝撃性だけでなく、耐火性にも優れている。それを一瞬で灰にできる能力など、上条は知らない。
「いやッ! 嘘っつーか、嘘じゃないっつーか!」
「アンタのシステムスキャンの結果は知っているわ。その上で聞いてんだよ…!」
「わ、わかりましたッ! 話します、話しますからッ!」
 さらに麦野が凄むと、観念したのか、上条がぶんぶんと首を縦に振った。




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25(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:27:32.91OsM07NBco (17/26)

「だ、誰にも話さないでくださいよ… 実は…」
 上条は、しぶしぶ、といった風に己の秘密を暴露した。
 いわく、自分の左手には、あらゆる異能を打ち消す『幻想殺し(イマジンブレイカー)』が宿っており、これまで打ち消せなかった能力はないとのこと。
「レベル0なのは、システムスキャンの機器の性能も打ち消してるんじゃないかって… 中学ん時の担任が言ってました」
「『幻想殺し(イマジンブレイカー)』ねぇ… で、この秘密を知っているのは?」
「えっ、そこまで話すんスか? うぅ… 中学と高校の担任と、仲の良い友達2人の4人だけです。名前は、勘弁してください!」
「ふん… まぁいいわ」
 努めてどうでも良い風に麦野が言う。だが、内心では口の端が吊り上りそうになるのを抑えるのに必死だ。
(コイツは拾いモンだな… カモネギっつーか、立ってるだけでこんなのが釣れちゃうなんて、美人は罪ねー)
 そう思ったら耐え切れず、麦野は口に手を当てて「ククッ」と短く笑った。
 その笑いが、いかにも悪役じみていて、上条は背筋が冷たくなるのを感じた。
「あの… お姉さん、もしかして、ヤバイ人ですか…?」
 へらへらと愛想笑いを浮かべて尋ねる。
「んー、上条くんはどう思う?」
 表情を昼間の笑顔に戻して言うが、上条には悪魔の笑顔に見えた。
「もしかしなくても、暗部の人…?」
 この学園都市には、開発された能力を使って、あるいは使わされて、学園都市を統べる統括理事会からの汚れ仕事を行う集団、通称『暗部』が存在する…
 一般学生、特にレベル0の間でまことしやかに流れる噂だが、友人を通じてスキルアウトとも多少のつながりがある上条は、その存在が真であることを知っていた。
 麦野は、ふぅ、と軽く息を吐くと、上条の顔を覗きこんだ。
「正解。どこでどう聞いたのかは知らないけど、だいたい、想像している通りで間違い無いわよ。私は暗部組織『アイテム』のリーダーで、レベル5の超能力者、麦野沈利よ」
「れべるふぁいぶ…ッ!!」
 そのあまりのレベルの高さに絶句する。レベル3でも雲の上の存在なのだから、レベル5だともはや別の星の話だ。
「上条クンの能力も、正式に評価すればレベル5相当だと思うけどね。ま、それはどうでも良いわ」
 そういうと、麦野はやおら縛られた上条を仰向けに転がすと、馬乗りになって右手を上条に向けた。
「うわっ!」
「はい、説明はここまで。さて、上条クンには2つの選択枝があります。私の下僕になって生き延びるか、拒否してこのまま一生を終えるか… さぁ、どっち?」
「いきなりですかー!?」
 思わず逃れようと身体をジタバタ動かすが、重心に乗られているせいか、思うように身動きが取れない。
「あ、それ以上暴れるなら、答えを聞かずに焼却処分だから♪」
 楽しそうな、しかし、ドスの効いたその台詞に、上条の動きがピタリと止まる。
 恐る恐る麦野の表情を見上げるが…
(こ、こえぇぇ…!)
 目端も口の端も吊り上ったその笑顔は、まさしく肉食獣の笑みである。上条は本能的にこの女には逆らえないと理解した。
(けど… 暗部の一員!? そ、それは嫌だッ!! 上条さんは気楽な一般学生で居たいのに…!)
 やはり、己の分をわきまえず、こんな美人をナンパしたのが間違いだったのか… 明日から夏休みだからといって、浮かれた自分が悪かったのか…
「あ、あのー… 質問とかは…?」
「あと5秒ー、ごー、よーん、さーん……」
「うわぁぁ!! な、なります! 下僕になりますッ!! 犬とお呼びください、麦野さま!!」
 反射的に叫んで死ぬほど後悔したが、実際に死んでしまっては元の子も無い、と上条は無理やり納得することにした。
「そう… アタシは殺ると言ったら本気で殺すから。今から長い付き合いになるかもしれないんだし、よく覚えておいてね」
 満足そうにそう言うと、麦野はゆっくりと立ち上がった。
 上条は、かなり本気で引いたが、今は頷くしかない。
「絹旗ー、おっけーだってさ」
「…うげぇ、素直に超殺されていてくださいよ… 男を入れるとか、超面倒です…」
 麦野が隣室に声をかけると、先ほどチラリと顔を見せたフードの少女が、なにやら色々な機器を持って入ってきた。
「まぁ、麦野が良いって言うんなら、超従いますが… あー、絹旗最愛です。
 たった今から超クソッタレな毎日が始まりますが、運命だと思って、超諦めてください」
 ほとんど投げやりにそう言うと、絹旗はペンシル型の注射器を上条の右腕に当て、躊躇い無く注入スイッチを押した。
 プシュ、と軽い音がして、極微量の液体が上条の体内に入り込んだ。
「痛ッ! え、なんだよ、今の…?」
「専用のAIMにだけ反応するナノデバイスです。
 まぁ、主に所在地確認と超裏切り防止ですね。
 あと、『アイテム』専用の携帯端末と、偽の学生証が3つと偽造免許が1つ…
 あ、これはウチのメンバー超謹製のスタングレネードです。男の人なんで、数珠タイプにしときました。
 あと、20万ぐらい入っているマネーカードが5枚。使うときは、きっちり領収書貰って、あとで申告してくださいね。
 活動外で使ってもかまいませんが、超節度は持ってください。それと…」
「あのー、まずは縄を解いてもらえないでしょうか…?」
 機関銃のように説明する絹旗を遮って上条が懇願する。流石に体勢がきつい。
「…らしいですけど、麦野?」
「しばらくそのまま」
「だ、そうです。超ご愁傷様です。最後に、この携帯端末に『アイテム』の組織名簿が載っています。
 しかし、閲覧したら超記録が残るので、超注意してください。超安易に開くなっってことです。
 では、他に質問は? 無いですね。それでは、私は上に結果の報告と調整を行ってきますが… 麦野?」
「基本的に、立ち位置はアタシの盾、場合によっては滝壺の盾。左手については当然秘密にしといて」
「…超了解です。やれやれ、あの喧嘩の映像から加工が必要みたいですね… それじゃ、私は超失礼します、あとはごゆっくり…」
 言うだけ言うと、絹旗は部屋から出て行った。さらに、玄関らしきドアの音も聞こえたところから、完全に屋外に出て行ったようだ。




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26(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:28:47.28OsM07NBco (18/26)

「さて、と…」
 絹旗が完全に出て行ったことを確認して、麦野はベッドの端に腰掛けて上条の顔を覗きこんだ。
「混乱してる?」
「当たり前ッス」
 若干拗ね気味に上条が答える。
「クスクス、ごめんなさい。でも、こうでもしないと、上条クンを処理しなきゃいけなかったんだから、まずはアタシに声を掛けた不幸を呪いなさい」
「はぁ、不幸だ……」
 うなだれる上条を見て、麦野の笑みが悪戯っぽいものに変わる。
「ねぇ、『アイテム』に入るのはそんなに嫌?」
「そりゃ… 暗部って噂にしか聞いたことないですけど… 
 ……人殺しとかする、裏の掃除屋でしょ?」
 かなり躊躇いながら上条が言う。しかし、そこは最も気がかりな点だ。
「結果として人殺しになることはもちろんあるわ。でなきゃ、こっちがやられちゃうからね。けど、上条クンには人殺しはさせないわよ」
 そう言うと、麦野はさらに顔を上条に近づけた。
「上条クンさぁ… アタシのマジカレになんない?」
「は…?」
 この流れからどうしてその発言なのか? 上条の頭にハテナマークが無数に飛び交う。
「あの… 上条さんは基本馬鹿なんですけど… どういうことでせうか?」
「何言ってんの、そのままの意味じゃん。アタシと付き合わないか、ってこと。あれ、脈無し?」
「い、いや、突然すぎてビックリっつーか、この状況で理解しろっていうのが無理っつーか…」
 混乱する思考をなんとか整理しようとする。
 目の前に居る女性は、今日ナンパした美人さん。
 しかし、美人さんはただの美人さんではなく、学園都市暗部に所属する危険な美人さんだった。
 それにほいほい声をかけて、しかも良いとこ見せようとした自分は、一転、危険な契約を交わしてしまった。
 そして、抵抗できない状態で『付き合わない?』と切り出される。
 …どう考えても美人局である。
「あの… なんで俺なんスか…?」
 いろんな意味を込めてそう問う。
「ふむ… 『丁度良い』とか、『便利そう』とか、そんな感じかしら?
 キミの左手の能力は盾に丁度良いし、今日のデートを見る限り、気も利くし便利そうだから」
 身も蓋も無いとはこの事である。


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/08(月) 23:30:34.60EOZuFrSao (2/3)

左手?


28エロ入りマース(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:31:02.44OsM07NBco (19/26)

「丁度良い便利キャラっすか、はは…」
「意外と重要な要素だと思うけどね。それに…」
 麦野が笑う。
「一回のデートでアタシを落としたつもり? こっちは続きもオッケーって言ってるのに、据え膳食わないの?」
 そう言うと、麦野は片手を伸ばして上条の腹筋を撫ぜ始めた。
「鍛えてるわね… ボクシング部?」
「いや、違います… ほとんど独学と、あとは友達からたまにコーチを受けて…」
「へぇ、朝ランとかしてるの?」
「は、はい、毎朝10km走ってます。 …あの、麦野さん?」
 上条の声が震える。腹部を撫ぜていた麦野の手が、どんどんと下に降りて行ったからだ。
「アタシ、筋肉質な子って、好きよ… 逆に嫌いなのは、ホストタイプや、もやしタイプ。やっぱり男には力強さを求めたいわね…」
 言いつつ、麦野の手がとうとう上条の股間に触れる。
「うぁ…」
「あは、固くなってんじゃん」
 弟の悪戯を見つけた姉のように、麦野が楽しそうに笑う。
 麦野の手が、股間の形を確かめるように大胆に動く。
「む、麦野さん、ソレ以上は…ッ!!」
「アタシの男になるんだったら、今すぐ『ソレ以上』もできるんだけどなー…」
 上条の喉が派手に「ゴクリ」と音を立てる。
 その誘いは明らかに罠だ。完全な色仕掛けだ。
 だが、思春期真っ盛りの上条少年が、その誘惑に耐え切れるはずも無かった。
「なりますッ!! 盾でも何でもいいので、付き合ってくださいッ!!」
 上条、魂の叫びである。
 その叫びに、麦野は、にたぁ、と笑うと、股間を撫ぜ回していた手を突然離した。
「えっ…?」
 不安そうに声を上げる上条を見下ろすと、麦野は静かに顔を寄せて、上条と唇を合わせた。
「ん…」
 薬を飲ませた不意打ちのファーストキスと違って、それは、長く、静かな、情熱の篭ったキスだった。
 上条の唇を丹念に愛撫し、おずおずと差し出された舌を唇ではむ。
 そっと両手で上条の頭を挟むと、大量の唾液を口腔内に流し込む。
 それは恐ろしく興奮する味だ。
「じゅぷ… ぢゅ……!」
 散々舌を絡めてから、麦野がゆっくりと顔を引き離すと、2人の唇の間に、銀色の糸が伸びた。
「すげぇ……」
 夢見心地、といった風に上条が呟く。
「言っとくけど、アタシは結構キミに本気なんだ。
 上条クンが今日みたいにアタシを守ってくれるなら、アタシは絶対に貴方を裏切らない…」
 麦野が着ている服を脱ぎ捨てる。
 形の良い豊乳があらわになり、上条の眼が釘付けになる。
「アタシの男になるんだから、この身体は上条クンのモノよ。だから、失望させるような事はしないでね」
 手を伸ばして、上条のボクサーパンツを一気に抜き取る。
 散々お預けを食らっていた上条のペニスが天に向かって反り上がる。
「ふふ、おっきいじゃん…」
 邪魔にならないように片手で髪をかき上げて、棒が暴れないように片手でそっと包んで、麦野はペニスの先端を躊躇なく咥えこんだ。
「嘘ッ! マジで!!」
 上条にとってはフェラチオ初体験だ。
 生暖かい口腔の感触に、思わず暴発しそうになるのを必死に堪える。
 じゅぶ、じゅぷ、ぢゅ……
 唾液を丹念にまぶすように、ペニス全体を舐めまわす。
 時折、顔を上げて上条の表情を確認すると、クスッ、と悪戯っぽく笑みを浮かべる。
「ん… じゃ、こっちも準備してもらおうかな…」
 いったん身体を離すと、麦野はショーツをスルスルと脱いで、ペニスを掴んだまま上条の身体に跨った。
 いわゆる、シックスナインの体勢だ。
「濡らし方、わかる?」
「は、はい!」
 目の前に突き出された淫靡な器官に、上条は迷うことなくむしゃぶりついた。
「ン… もっと優しく… そう、良いわよ…」
 手コキで暴発しないように刺激しながら、麦野が上手く腰を動かして上条を誘導する。
(ふふ、ホント、犬っころみたいねぇ…)
 経験的に、男はクンニを嫌がるものだ。
 そういう状況に麦野が追い込んだにしても、上条の一生懸命な奉仕は心地良いものだった…




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29エロデース(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:33:09.40OsM07NBco (20/26)

「…もう良いわよ」
 そろそろ上条の顎が疲れ始めたとき、麦野はそう言って体勢を入れ替えた。
 上条に正対して馬乗りになる形… つまりは騎乗位だ。
「入れるわ」
「…はい」
 短い応答の後、麦野は腰を屈めて上条のペニスをヴァギナに飲み込んだ。
 ズブ、ズブ、と卑猥な音を立てて上条のペニスが麦野の腟内に消えていく。
 麦野の太ももが上条の身体に触れ、互いの陰毛が触れ合うと、コツン、という感触があって、ペニスの先端と子宮口が接触した。
「すご… キミのチンポ、アタシにぴったりじゃん……」
 流石に余裕が無くなってきたのか、粗く息を吐きながら麦野が言う。
 相当に感じている様子だが、それは上条も同じだ。
「なんだコレ… 気持ちよすぎる……ッ!」
(ナカが… すげぇ温けぇ… チンポの先が融けたみたいだ…)
 麦野の膣壁は、例えるならば肉のヤスリだ。
 上条のペニスをあらゆる方向から削り、刺激し、絞り上げている。入れた瞬間に射精しなかったのが奇跡だ。
 だから、こういうことをされたら耐えられなくなる。
「動くよ… 遠慮なく腟内でイッていいから…」
 麦野が腰を前後に動かす。
 男にとって、騎乗位ではコレをやられるのが一番効く。
 肉ヤスリがペニス全体を擦りあげて、しかも軽いピストン運動も入るのだ。
 当然、上条は我慢できなかった。
「うっ、駄目だ! 我慢できねぇ!!」
 最後の理性で麦野から逃れようともがくが、逆に麦野にがっちり抱きつかれて小刻みに腰を動かされてしまう。
「……出るッ」
 麦野の最奥で、上条は盛大に射精した。
 それは、上条がこれまで体験したことの無いような、長く、激しい射精だった。ペニスの先端が爆発したような感触だ。
 麦野も、吐き出された精液の量がわかったのか、驚いたように目を丸くする。
「うわー、すっごい出てる… なぁにぃ、溜まってたの…?」
「まさか… 麦野さんだから…」
 本心から上条が言う。こんな気持ちのいい膣壁なら、出ないほうがおかしい。
「ありがと、これで一応、恋人同士ね」
「一応、すか…」
「ま、会って12時間しか経ってないしねぇ…」
 そういうと、麦野は精液がベッドにこぼれないように、ハンカチで秘所を押さえて立ち上がった。ついでに、上条を縛っていた縄を能力で焼き切る。
「シャワー浴びてくるから、上条クンは隣の部屋の冷蔵庫から何かてきとーに料理作って。簡単なもので良いから」
 そう言われて、夕食がまだだったことを思い出す。
「…ヨロシク」
 色々な意味を込めて、麦野が言った。




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30エロデース(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:34:51.47OsM07NBco (21/26)

 夕食の後は第2ラウンドだった。
「あっ、あっ、あっ、そこッ!! 突いてッ、もっとッ!!」
 四つん這いになった麦野をバックからがんがん突く。
  パンッ、パンッ、パンッ!!
 上条の下腹部が、麦野の形の良いお尻にぶつかり、小気味の良い音を立てる。
 そのたびに、かなり大きな麦野の豊乳がぶるんぶるんと揺れた。
「はぁ、はぁ、はぁ… くっ、締まる…ッ!!」
 手形が付く位、麦野の腰を両手で掴んで、激しく腰を打ち付ける。
 麦野の膣の締まりは相当で、ペニスを引き摺り出すにも軽い苦労が必要となる。
「良いよ、上条クン、気持ち良い… ホントに2回目?」
 夕食の席で確認したが、上条は童貞ではなかった。
 しかし、それも単に「1回目は、なんかノリで…」経験しただけで、テクニックや耐性はゼロに近い。
「ホントに麦野さんが2回目ですッ! こっちは、必死です…ッ!!」
 パン、パン、パンッ…!
 リズムカルな音が段々とペースを上げる。
 上条の限界を感じた麦野は、顔を後ろに向けると、「いいよッ、腟内でッ!」と短く言った。
「だ、出しますッ!!」
 これが最後と、思いっきり腰を前に突き出して、上条はまたしても麦野の最奥に射精した。
「すっげぇ気持ち良い… 腟内射精って、すっげぇ気持ち良い……」
 だらしない表情で上条が呟く。よくよく見れば、口の端によだれも見える。
「あ、今抜かないでね…」
 こちらも肩で息をしていた麦野が、繋がったまま器用に身体を半回転させる。
 繋がったまま正常位に移行すると、麦野は微笑んで両手を上条に向けた。
「だっこ」
「…あぁ」
 意味を理解した上条が、抜けないように注意しながら麦野の背中に両手を差し込み、ゆっくりと麦野の状態を起こす。
「あん… 深いぃ……ッ」
 体勢的にさらに最奥を突かれるカタチになって、麦野が桃色の吐息を漏らす。
 2発目を出したばかりだが、上条の分身はまだまだ元気だ。



.


31エロデース(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:36:14.15OsM07NBco (22/26)

「何回出すつもり、ねぇ?」
「んなこと言ったって、麦野さんのナカ、すっげぇ気持ちいいし…」
 2発出した事で少しは余裕が出来たのか、上条が口を尖らせて言う。
「…ね、キスしてよ」
 麦野がねだると、上条はややぎこちなく麦野と口唇を合わせた。
「ン…… ギュっとして…」
 言われるがままに、背中に回した手に力を込める。勃起した乳首が胸板にあたり、コリコリとして気持ち良い。
「力強くて良いわ… もっと……」
 上条がさらに力を込めると、麦野はその長い両脚を上条の腰に絡め、腹筋を小刻みに収縮させた。
「うっそ…! マジでッ!?」
 上条が「信じられない」といった表情で言う。
 麦野の身体は全く動いていないが、腟内だけは別の生き物のように、うねうね、と締緩を繰り返し始めたのだ。
「どうじゃー、気持ちいいだろー」
 してやったりな表情で麦野が言う。上条は白旗を揚げるように天を仰いだ。
「…世の中には、こんな気持ち良いコトがあるんだなぁ… と上条さんはしみじみと感じていますです…」
「おっさんくさ… 若いんだから、もっとがっつきなさいよ」
 麦野が不満げに言うと、上条は「それなら…!」と麦野を押し倒す。
 内心、「コレ、許してくれるかなー」と思いつつも、麦野の身体を180度折り曲げ、いわゆるまんぐり返しの体勢を取らせる。
「ふーん…」
 それでも余裕綽々な態度の麦野に、上条の男のプライドが疼く。
 さっきのバックも麦野にリードされっぱなしだったのだ。そろそろリードを奪いたい。
「思いっきり行きますッ!!」
「どうぞ」
 上条が、すぅーーっ、と大きく息を吸う。ボクサーだけあって、その肺活量は相当なものだ。
 ずずっ、とゆっくりペニスをカリまで引き抜くと、確認するように麦野と視線を合わせ…
 ズンッ!
 思いっきり麦野を貫いた。
「はぁぁぁぁぁッッ!!」
 凄まじい衝撃に、たまらず麦野のおとがいが反る。
 軽く達したようで、膣壁が、ぎゅぅ、と締まる。
 それを敏感に感じ取った上条は、イカせた喜びに染まり、さらに乱暴に腰を打ち付けた。
 バンッ!! バンッ!! バンッ!!
「あッ!! あッ!! あッ!! あぁんッ!!」
 麦野の身体がベッドの上で激しくバウンドする。本能的な恐怖を感じたのか、両手がひき千切るようにシーツを掴んだ。
「…………ッ!!」
 動く上条も必死だ。無酸素運動のラッシュは練習でも本番でもやったことがあるが、これはそれ以上にキツイ。
 下半身の快感など感じる暇は無い。ただ、衝撃と悦楽にゆがむ麦野の表情と艶声を糧に、激しく腰を動かす。
「やっ、すごっ、はげしぃッ!! すごいよ、上条クン!! すごいッ!!」
 麦野にしても、上条がここまでやるのは嬉しい誤算だ。
 テクニックなど欠片も無いが、勢いと、なによりスタミナが素晴らしい。こんなに力強く、激しく、長く動いてくれる男はなかなか居ない。
「イク、イク… イクよ… イッちゃう!!」
「お、俺も… もう、出ますッ!!」
 お互いに絶頂を確認し合うと、上条は最後の力を振り絞って麦野の最奥にペニスを打ちつけた。
 その瞬間、本日3回目、抜かずの2発目が麦野の子宮を直撃した。
「ーーーーーッ、あああぁぁぁぁッ!!」
 まるで呼吸の仕方を忘れたかのように、麦野がぎこちなく肺腑の中身を吐き出す。
 それでも、両脚はいつの間にか上条の腰に絡められていた。
「うわ… チンポの先が、ビクビク震えて…!」
(イッた後のマンコって、こんなに気持ちいいんだ…)
 ただでさえ敏感な射精直後の亀頭が、絶頂の痙攣で揺れる膣に優しく翻弄される。
 この快感は一生忘れない。上条は根拠も無くそう確信した。
「ん…」
 麦野が軽く目を閉じると、既に意を得た上条は、すぐに口唇を寄せて麦野のキスの雨を降らせた。
「ん~~♪」
 その行為に満足したのか、麦野がにっこりと笑った。
 それは、上条は今日初めて見る事の出来た、麦野の素の笑顔であった。




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32エロ終わりデース(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:36:58.50OsM07NBco (23/26)

「はぁ~~~……」
 流石に限界、という風に麦野がバタリと大の字に寝そべる。
 弾みで、ずるり、と上条のペニスが引き抜かれ、麦野のヴァギナから、都合2回の精液がごぽごぽと溢れだした。
「いっぱい出したわね… 妊娠するかも……」
 ボソッと呟くと、同じく肩で息をしていた上条が真顔で言う。
「責任、取る覚悟は出来てるよ」
「ぶっ!」
 その台詞に、麦野が「ぎゃはははっ!」とはしたなく笑う。
 よっぽどおかしかったのか、腹を抱えて悶絶し、痙攣するたびにゴポゴポと新しい精液が溢れる。
「なんスか、そんなにおかしいですか?」
 上条が拗ねて口を尖らせる。
 その様子に、麦野はさらに爆笑したが、上条が本気でいじけそうになっているのを見て、「馬鹿ね…」と上条の額にデコピンを打った。
「いてっ」
「オンナがナカで良い、って言ったんだ。きちんと計算してるに決まってるでしょ。ま、逆の計算もあるかもだけど、信じなさい」
 そう言うと、麦野は自分の横をぽんぽん叩いて、「うで枕」と言った。
 上条が仰向けになり左腕を横に伸ばすと、麦野が嬉しそうに腕の上に頭を置いた。
「えっと… もしかして今日はこのまま…?」
「いえーす、今からシャワー浴びるのもタルイでしょ? とりあえず、今日はおやすみなさい…」
 そう言うと、麦野はすやすやと寝息を立てて眠ってしまった。
 動こうにも動けなくなった上条は、翌朝痺れて使いものにならない左手を見つめて呟いた。
「嬉しいけど、不幸だ……」
 夜が、ようやく更けようとしていた……




.


33(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:39:24.04OsM07NBco (24/26)

 翌朝、上条は腕の痺れと大きな物音で目を覚ました。
 隣で寝ていたはずの麦野は、既に起きたのか居なかった。
「う… うぁー、やっぱ痺れてら… う~ん、目覚めがやけに爽快… って、あんないい思いをしたんだから当然か…」
 昨日のセックスは、思い出すだけで勃起しそうになるほど強烈だった。
 しかも、昨日の麦野の言葉通りなら、自分が頑張れば、あの身体をいくらでも味わうことが出来るのだ。
 上条は顔が自然とにやけるのを感じた。
「暗部だろーが何だろーが、上条さんはやってやりますよ! っと、しかし、そろそろ服が欲しいな…」
 今の上条は丸裸だ。とりあえず、脱ぎ捨ててあったボクサーパンツを履くと、隣室のドアが開いた。
「あ、麦野さん…?」
「超残念ですが、違います。ていうか、超どいてください。タンスを入れますので」
 その声と共に入ってきたのは、妙に見覚えのあるタンスだった。そう、あれはまるで…
「……俺の部屋のタンスじゃねーかッ!!」
「はい? 何、超当たり前のことを言ってるですか?
 こちとら、麦野にアサイチで叩き起こされて気が立ってるんです。
 手伝う気が無いのなら、部屋の隅でぶるぶる震えていたください」
 タンスが完全に部屋に入ると、それを両手で支えている絹旗が見えた。
 大人の身の丈はあるタンスを、ローティーンの少女が一人で抱える姿は、ひどくシュールだ。
「よっこいしょ」
 全く息を乱すことなく、絹旗はタンスを部屋の隅に置いた。
「タンスの場所は超ココでいいですか?」
「は…? いや、何で上条さんに聞くのでせう?」
「何でって… あぁ、なるほど… それじゃ、勝手にレイアウトを決めますね」
 そう言うと、絹旗はどんどん家具を部屋に持ち込んだ。
 参考書や漫画入りの本棚。布団に包まれた大量の衣類。ラジカセ・テレビ・他こまごました小物が入ったままのメタルラック…
 それらがどんどん運び込まれ、殺風景だった部屋が一気に男子学生の部屋になった。
「おい! なんで俺の部屋の荷物がココに運ばれてるんだよッ!」
 流石にたまりかねて上条が詰問すると、絹旗は心底、哀れな者を見る目つきで言った。
「麦野は… 見た目どおり気難しいオンナなんで、超努力してご機嫌をとってください。
 1に麦野、2に麦野、2,4がなくて超麦野。それぐらいの扱いで超お願いします」
「いや、答えになってねーし…」
「あぁ、終わったわね」
 上条が唖然としてると、麦野が姿を現した。
 昨日の乱れた姿はどこへやら。既にばっちりメイクも決めて、見事なまでの美人さんである。
「食器とか、ここと重複する物は処分したわ。冷蔵庫は迷ったけど、2ドアだったから要らないわよね。
 あと、ベッドはそれ使った。整髪料とか、そこらへんの消耗品は今日買いに行きましょ… なによ、なんで変な顔してるの?」
 麦野が訝しげに2人の表情を伺う。
 上条と絹旗はお互いに目配せをし合うが、絹旗が黙って首を切るジェスチャーをしたので、上条は恐る恐る尋ねた。
「あのぅ… もしかして、上条さんはココに住むんでせうか?」
「はぁ? なに寝ぼけた事言ってんの?」
 麦野の台詞に一縷の希望を見出す上条、しかし…
「そんなの当たり前でしょ? アンタは私の盾なんだから、四六時中一緒に付いてもらわなきゃ困るじゃない」
「ま、マジで…ッ!?」
 上条の顔面が蒼白になる。いくらなんでも行動が突飛で、しかも早すぎる。
「ま、とりあえず、タンスから服を出して、シャワー浴びてきなさい」
 右手の親指を、クイ、とドアの外に向けて麦野が言う。
 片目を瞑ってにやけている所を見ると、上条の反応は期待通りのものだったようだ。
「ま、これから超よろしくお願いします。
 …それと、超ご愁傷様です」
 絹旗がポンと上条の肩を叩くと、それを合図に上条は崩れ落ちて呟いた。
「不幸だ……」




.


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/10/08(月) 23:39:40.6496IOpU1F0 (3/3)

え?左手??


35(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:41:50.34OsM07NBco (25/26)

以上デース。

改行はスンマセン。
読み易く改行する技術が身に付いてないのです。

とりあえず、1週間で書いた分を月曜夜に投下します。
筆が乗れば、キリがいいところで投下します。

それでは、もし読者の方がいらっしゃったら、また次週…


36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/08(月) 23:43:52.34Yd37u/rjo (1/1)

読み易く改行する技術って……「」の前後で改行キー一つ押すのに何の技術がいるんだ?


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/08(月) 23:43:54.64/LNk5uJSO (2/2)

乙。機体しててよかった!内容もおもろいし、実際の麦野っぽくてよかった!
エロもよかったハァハァ


38(熊本県) ◆yEFBo3BAb.2012/10/08(月) 23:43:55.19OsM07NBco (26/26)

あ、そういえば『幻想殺し』左手の件ですが、
特に深い意味は無く、
「ボクシングのパリィングの技術使うんなら、左手の方が便利だよなぁ…」
という、作者の下種な調整の結果です。
決して、右手と左手を間違ったわけではありません。
ええ、ありませんとも。


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/08(月) 23:44:51.73Ei3g8VJ40 (1/1)

この麦野はむしろ上条さんに依存しちゃうパターン。
しかし、上条×暗部キャラで積極的に上条を暗部に関わらせるのは珍しいな。
期待してるぜ



40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/08(月) 23:45:08.32EOZuFrSao (3/3)

パリィって聞くとどうも麦野が…
SSと全く関係ないけど


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/08(月) 23:48:09.41KffiNGls0 (2/2)

1週間おあずけか
とりあえず期待してるよ


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/08(月) 23:52:37.563ctw3kiSO (1/1)


おもしろかったわ
来週も期待してる


43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/10/09(火) 00:19:28.26npWSyuP2o (1/1)

面白そう
期待


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 00:52:00.93DQBSK4QIO (1/1)

うん
俺得
期待



45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 01:34:30.78crCvCdL10 (1/1)

乙超乙
続きも期待

散々言われてるけど
会話文と地の文の間に改行欲しいね


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/10/09(火) 03:05:47.50bgdu6lCPo (1/1)

正直字が詰まってて読みにくかったが内容は最高だった
こういう上麦が読みたかったんですよ


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 04:24:30.51T8pbrqLIO (1/1)

俺も好きだ。
存分に続けた前


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 07:49:37.74rI/l4KpIO (1/1)

>>5
>本日は約24スレほど投下します。
マダー


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/09(火) 09:44:55.03+EuyYQKHo (1/1)

もしもしだから何ら問題はないばってん


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/10/09(火) 13:01:10.17pO57MwM0o (1/1)

麦野の一人称は「私」だし既に指摘されてるけど幻想殺しが左手なのが気になる。


字下げはしてるのに括弧内での改行とか小説形態で行くのかSS形態で行くのかはっきりしてないから読みにくいと思う。


51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 15:41:52.07FWJPf9b5o (1/1)

上条さんはいつボクサーになったの?


52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 17:02:16.249tDX95tDO (1/1)

>>5を読みたまえよ


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/09(火) 19:02:39.262YzLpdW2o (1/1)

こいつらろくに読まないくせに読んだ気になってるよな


54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/10(水) 04:51:13.08mD5GDilFo (1/1)

支援!


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県)2012/10/11(木) 02:03:31.94CeZRtnSIo (1/1)

次からは右手になる?


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/11(木) 03:25:50.559Bhkc9bDO (1/1)

乙です
期待してます


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/11(木) 18:21:30.27iFslyvZWo (1/1)

そこまで右手にこだわる理由がわからん


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/11(木) 19:06:43.59RVnPMJFlo (1/1)

原作に忠実でないと発狂して死ぬんよ







俺も含めて


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/11(木) 19:15:23.53mXjK4KNIO (1/1)

別にいいだろそんくらい
左手どころか股間にげんころついてるssとかだってあったんだし


60 ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 22:36:59.74TvcmjPEho (1/17)

短いですが、キリの良い所まで書けたので、
本日23時より投下します。
今回もエロありますので、18歳未満の方はタブをお閉じください。

また、居ないとは思いますが、上琴至上主義の方々には読了をおすすめしません。
ご注意申し上げます。


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/13(土) 22:50:49.55xPkbefVf0 (1/1)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
期待してます


62 ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:00:44.00TvcmjPEho (2/17)

それじゃ投下します。
本日は14レスほどです。


63麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:02:22.32TvcmjPEho (3/17)

「補習~~~ッ?」

 絹旗も交えた朝食の席で、麦野が心底呆れた声を上げた。

「…いつ?」
「えっと、今日の10時から…」
「サボれ」
 発端は、朝食後にショッピングに行く気満々だった麦野に、上条が勇気を振り絞って「あのぅ… 上条さんは今日から補習なんですが…」と訴えたことだ。
「だいたい、上条クンの学校って、特にレベルが高いわけじゃないんでしょ? なんで補習なんて受ける必要があるのよ?」
「いや、単純に期末考査で赤点を取ったからなんですが…」

 麦野が半目になり、しらー、とした雰囲気が流れる。
 ほとんどの場合、能力のレベルと学力は正比例する。
 こう見えても、麦野沈利は頭に超がつくほどの秀才だし、隣の絹旗も天才少女と言っても過言ではない。
 しかし、だからこそ学力底辺の事情は、感覚的に理解できないのだ。

「…サボれ」

 再び麦野が静かに、しかし、迫力を込めて言う。
 思わず従ってしまいたくなりそうな上条だが、脳裏に浮かぶのは、担任である幼女教師の泣き顔だ。

「そ、それは…」
「麦野、それは超不可能かもしれません」

 シリアルをパクついていた絹旗が、面倒そうに言った。
「…なんで?」
「ツンツン頭の学校を調べたときにわかったことですが、彼の担任がかなりの難物です。

 警備員(アンチスキル)や統括理事会とも深いつながりがありますし、『幻想殺し』のことも知っています。
 さらに、非常に面倒なことに熱血教師です。私生活を劇的に変化させると、痛い腹を探られる可能性があります」

「ちっ… マジ?」

 麦野がジトーッと上条を睨む。
 上条は、まさかのフォローに驚きつつ、あわてて頷いた。

「ま、マジですッ!! 子萌先生は超過保護で、理由も無く休んだ生徒には家庭訪問するんスよ!」

 嘘ではない。家出少女をわざわざ見つけて、自宅で保護するほどの博愛精神溢れる教師なのだ。

「うぜー…」

 麦野の眉根がどんどんと寄り上がる。
 危険を察した絹旗が、麦野に見えないように高速ウィンクを上条に送る。

(超なんとかしてフォローしてくださいッ!)
(そ、そんな無茶な!)

 だが、上条もレベル5の怒りなど買いたくない。
 必死に頭を巡らせてなんとか言葉をひねり出す。

「ほ、補習は昼過ぎに終わりますから、そこから第7学区で落ち合いません? 13時には必ず…」

 必死の思いでそう言うと、麦野はもう一度大きく舌打ちをして、頭をガシガシと掻いた。

「…それで良いわ。ただし、次に赤点とったら容赦しねぇぞ…!」
 ドスが効いた声で通告され、上条は冷や汗だらだらで何度も頷いた。



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64麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:03:33.73TvcmjPEho (4/17)

「…であるからでしてー。む、上条ちゃん、ちゃんと聞いてますか?

 先生の話をきちんと聞かないと、すけすけみるみるの追加ですよー?
 まったく集中できない補習授業をなんとか切り抜け、そそくさと教室を出ようとした上条の背中に、とある生徒の一人が声を掛けた。

「かーみやーん、今朝の騒動はどういうことよ?」
「ああ、土御門か…」

 本心は第23学区にダッシュしたいところではあるが、ここはきっちり対応しておかなければならない。
 声を掛けた生徒、土御門元春は上条が住んでいたアパートの住民、元お隣さんなのだ。

「いやー、いきなりちっこい中学生がかみやんの部屋のドアぶち抜いて、次々と家具を運び出したときはびっくりしたぜい。

 まさしくエクストリーム引越し。つーか、なんで引越しなんかしたん?」
 土御門の眼が、サングラスの奥でキラリと光る。

「いや、親が勝手に新しい部屋見つけてきてさぁ。ホントは前から決まってたらしいけど、連絡きたのが昨日なんだよ。騒動かけてわりぃな」

 片目を瞑って軽く拝む動作をする。
 もちろん、本当のことなど言えるはずも無い。

「ふーん…」

 サングラスに隠れて表情は見えないが、口調は何でもなさそうに土御門が言う。

「じゃ、学校にはもう連絡いってるん?」
「…! いや、新学期に連絡するよ」

 内心、冷や汗をかく。
 担任教師が今の家に襲来するなど、考えただけでも恐ろしい。

「さよか。まぁ、筋トレはさぼんなよ。俺たちゃ、基礎体力が命なんだから…」

 何を隠そう、この土御門が上条の格闘の師匠だ。
 ひょんなことからスキルアウトに襲われていた上条を助けて以来、土御門は親身になって上条に格闘術を教えているのだ。

「おう、しっかり鍛えとくよ。それじゃ、また今度な!」

 上条が片手を軽く上げ教室を出る。
 それを最後まで見届けた土御門は、おもむろに携帯端末を取り出すと、少し苛々した動作で画面を叩き始めた…



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65麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:04:57.63TvcmjPEho (5/17)

「そっか… 学校にはどう連絡をしたらいいんだ…?」

 新たな問題にげんなりしつつも、上条は麦野との待ち合わせ場所に急いだ。
 現在時刻は12時30分で、だいぶ余裕があるにはあるのだが、できるだけ『あの麦野』は待たせたくない。

「ちっくしょー、もっと学校に近い所を指定しときゃ良かったぜ…」

 後悔しながらも足を速める上条に、またしても、そして今度は黄色い声が背中から掛かった。

「ちょっと! アンタよ、アンタッ!! 待ちなさいってば!」

 その声に、上条がギクリと背筋を伸ばす。この状況では絶対に聞きたくない声だった。

「とうとう見つけたわ… まだアンタとの勝負はついてないわよッ!!」
「おめーかよ、ビリビリ中学生……」

 上条に向かって、ずんずん、歩いてくるのは、名門・常盤台中学の制服に身を包んだ、茶髪の女子中学生だった。

「ビリビリじゃない! 私の名前は御坂美琴! いったい、いつになったら覚えるのよ!」
「いや、だって第一印象がそれだし…」
「クッ… ムカつく…ッ!」

 この少女との不毛な関係は、少女が不良学生に絡まれているのを、よせばいいのに上条が助けようとしたことから始まった。
 絡まれた少女を連れてとっとと逃げようとした上条だったが、その時に発した「こんなガキに盛るなよ」という台詞が、いたく御坂美琴のプライドを傷つけたらしい。

「ここで会ったが百年目ッ!! 今日こそ決着をつけてあげるわ! 遺産分配やっとけやゴラァ!!」

 怒りのあまりか、茶髪の先端から、バチバチ、と火花が散る。
 御坂美琴、人呼んで『常盤台の超電磁砲(レールガン)』。
 麦野沈利と同じく、学園都市で7人しか居ない、能力者の頂点であるレベル5の一人だ。

「決着って… なに馬鹿なこと言ってんだよ、おめーは… 」

 上条がげんなりした表情で言う。
 初対面の対応は、確かにマズッた自覚はあるが、だからといって、ここまで難癖をつけられると流石に辟易する。

「そもそも、レベル0の上条さんがレベル5に敵うわけないでしょ? ハイハイ、俺の負け、俺の負け。納得したならどっか行ってくれ、お前にかまってる時間ねぇんだよ」

「ふ・ざ・け・ん・な・ぁ!!」

 御坂美琴の身体から電撃が迸り、小規模な雷となって上条を襲う。

「……ッ!!」

 常人ではよける事など出来ない攻撃だ。
 しかし、ある程度予期していたこと、それと、毎日の研鑽の成果により、が、ほぼ無意識に反射防御が行われた。

「…ッと!! あぶねぇ…」

 野球のキャッチボールのように、上条は左手で雷を受け流すようにキャッチする。
 その瞬間、雷は霞のように宙に消え去った。

「…まだよ!」

 防がれたとわかって、御坂美琴がさらにボルテージを高める。
 放電の余波で街路灯の電球が短絡するが、そんなのはお構いなしだ。
 さらに高出力の雷を上条に向かって放射する!

「チッ!!」

 舌打ちと共に上条は左半身になり、左手を肩まで軽く上げる。
 さらに集中力を励起させ、襲い来る電撃を悉く左手で打ち落とす。

「おおぉぉ!!」

 超高速で迫る電撃をパリィング。
 それは既に常人の域を超えた技であった。




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66麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:05:46.94TvcmjPEho (6/17)

 上条当麻は基本的に無力なレベル0である。
 人口230万人のほとんどが学生である学園都市では、ややもすれば若者が暴走しやすい土壌であるとも言える。
 事実、武装集団化した無能力者の集まりである『スキルアウト』や、心無い能力者によって行われる『無能力者狩り』など、学生に端を発する問題はいくらでも存在する。
 上条も、『無能力者狩り』の被害にあった一人だ。
 当時の上条は中学2年生。友達の友達の、さらに友達が開いた集会に興味本位で参加し、そこで『無能力者狩り』に襲われた。
 そのときは、前述の土御門元春の活躍で難を逃れた上条だったが、生まれて初めての生命の危機に、何かのスイッチが入ってしまった。
 以来、上条は自身を鍛えることにした。
 土御門からボクシングの基礎を教わり、毎日の少なくない時間を鍛錬に使った。
 スキルアウトとも繋がりを持った。構成員とはならなかったが、それでも組織間の小競り合いに巻き込まれることはそれなりにあり、いくつかの鉄火場も潜り抜けた。
 彼の能力者に対する防御技法は、そういった日常によって培われ、洗練されていったのだ。



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67麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:06:23.17TvcmjPEho (7/17)

「ちくしょう……」

 当たれば昏倒する電撃をすべて防がれ、御坂美琴は悔しさのあまり歯軋りをする。
 大人げないことをしているのは分かっている。
 だが、レベル5の矜持と、本人にも理解不能のもやもやとした感情が、彼女を実力行使に駆り立てる。
 それは、もはやある種の脅迫観念だ。

「なんでアンタがレベル0なのよ…ッ!!」
「んなの俺が知るかよッ!! テメェの事情ばっか押し付けやがって…」

 上条も上条で、相手のことを単なる『無能力者狩り』としか認識していない。
 相手が女子中学生ではなかったら、問答無用で殴り倒しているところだ。

「終いにゃ、本気で怒るぞ…ッ!!」
「今までは本気じゃなかったってワケ!? 人を舐めるのも大概にしなさいよ!」

 ディスコミここに極まりである。

「舐めてるのはテメェだろうが…!!」

 上条の声に本気でドスが効きはじめる。
 ビンタぐらいなら良いか… 右の拳を軽く開くと…

「かーみじょークン、彼女を待たせて、他の女となに乳繰りあってるのかにゃー?」
 今、一番聞きたく無い声が上条の耳に届いた。



.


68麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:07:06.27TvcmjPEho (8/17)

「……ィェ」

 消え入りそうな声で意味不明の単語を呟くと、上条は油の切れたロボットの様に、ギギギ、と首を声のほうに向けた。
 濃いブルーのヘソ出しタンクトップに薄いクリーム色のカーディガン、美脚が眩しいホットパンツに少々派手な薄紅色のサイハイソックス、日差しを意識しての鍔の広いキャップにレイバンのサングラス。
 全身から美人オーラを放つ麦野沈利がそこに立っていた。

「聞こえてる、上条クン? あと、今何時かわかってる?」
 それまで操作していたのか、携帯端末をポケットにしまいながら麦野が言う。
 問われた上条は、慌てて腕時計の時刻を確認する。
 …12時55分。待ち合わせ時刻ではないが、上条の背筋に冷や汗が流れる。

「デートの一時間前までに… とか無茶は言わないけどさぁ。朝はアタシが折れたんだから、出来る限り早く来るのが礼儀ってやつじゃない?」

 口調は意外に優しげであるが、眼が完全に笑っていない。

「す、すいません! 変な中学生に絡まれちまって…」
「へ、変とは何よッ!!」

 置いてけぼりを食らった御坂美琴が叫ぶが、麦野はそれにとりあわず、片手を、にゅ、と伸ばして上条の耳をつねりあげた。

「いたたたたたたッ!!」
「そんなの、アンタが構うからだろうがッ! 彼女待たせてる時は! たとえ世界の軍隊に追われていても振り切って来なさいッ!! 良いわねッ!!」

 言い放って、抓った手離すと、返す手で思いっきり上条の頬に平手打ちを食らわす。

「ぐはっ!!」

 ぱしーーーん!! と非常に良い音がして、上条がキリキリと舞い崩れる。
 目から火花が散り、朦朧とした意識の中で、なんとか「すみませんでした…!」とだけ声を絞り出した。




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69麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:08:07.82TvcmjPEho (9/17)

「な、な、な……」

 予想外の展開に御坂美琴が絶句していると、麦野が、ジロリ、と睨みつけてきた。

「…ヒトの男に汚い唾つけないでくれる?」
「き、汚いですってッ!?」

 一瞬沈下したボルテージが瞬間的にマックス入る。
 だが、麦野はあくまで冷静に「ああ、そうだ」と答える。

「構ってもらいたいんなら、他に適当な男を見つけて頂戴。これは昨日から私のモノだから、今後、ちょっかい掛けたら承知しないから」

 静かに、しかし、はっきりと宣言する。

「…うぅ、あー、麦野さん… 相手は中学生だし…」

 頭を振って上条が立ち上がる。中々にタフだ。

「中学生でもオンナはオンナよ。アンタも、もうこんな小娘に構うんじゃないわよ」
「黙って聞いてりゃ勝手なことを!!」

 怒りが再び頂点に達したのか、美琴の髪から火花が散る。
 が、麦野は「はぁ…」とため息をつくと、腕時計をみて「そろそろ来るかしら…?」と呟いた。
 その瞬間、

「風紀委員(ジャッジメント)ですのッ! って、あら、お姉さま…?」

 何も無い中空から、これも常盤台の制服を着たツインテールの少女が出現した。
 その腕には、有志によって構成される学園都市の治安部隊『風紀委員』の腕章が見える。

「く、黒子、何でここに…?」
「い、いえ… 一般人に能力を行使して暴れている能力者が居ると通報があったものですから…」

 ツインテールの少女が、かなりバツの悪い顔で言う。

「あ、通報者は私ね。そこの中学生がアタシの彼にこれでもかってぐらい雷飛ばしてたわ。とっとと連行してちょうだい」

 冷たくそう言って、自分は立ち上がった上条の腕に絡みつく。

「アタシら被害者だし、もう行っていいでしょ? 経緯が知りたきゃ、そこの短絡してない監視カメラのログを見て頂戴。…さ、上条クン、いこ」

 そう言って、麦野はまだ動きの固い上条をひっぱって歩き出した。
 その2人の背中に、御坂美琴は何か声を発しようとして、しかし、何を言えばいいのかわからず、片手を追うように前に突き出し、表情を歪ませ、ようやく「…待ってよ!」と声を絞りだした。

「か、彼女って、本当…?」

 泣きそうな声で上条に問う。
 しかし、上条がそれに答えるよりも早く、麦野がそれに反応した。

「ふふ…」

 明らかな勝者の笑みを見せると、麦野は素早く上条と口唇を重ねた。

「ん…ッ」

 唖然とする常盤台の2人を尻目に、くちゅくちゅ、と音がするぐらい情熱的にキスを交わす。
 悪趣味だなーとは思いつつも、後が怖いので上条も無言で応える。

「ぷはっ…!」

 ようやく口唇を離すと、麦野は完全に美琴から視線を外して、

「さようなら」

 と、言い放ち、今度こそ上条を引っ張って美琴の前から立ち去った。

「お、お姉さま…」

 流石に色々と察した黒子が、遠慮がちに美琴に声を掛ける。
 しかし、それが契機となってしまった。

「う… うぐ… うゎぁぁ… あああぁぁぁぁ…」

 おそらく、その時初めて自覚したであろう恋心に、そして破れた恋心に、御坂美琴は声を震わせて慟哭した……




.


70麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:09:02.37TvcmjPEho (10/17)

「ぎゃはははっ、あの顔!! 見たぁ、上条クン!? 『え、嘘でしょ?』ってな感じでさぁ!!」
「いや、流石に趣味悪いですって…」

 上条が控え目に言うと、麦野はそれでも上機嫌に「いーんだよ!」とばっさり切り捨てた。
 2人が居るのは雑居ビルにあるカラオケの一室だ。
 あの後、すぐに麦野が「そこ、入るわよ」と言って、目に付いたカラオケボックスに上条を連れ込んだのだ。

「アイツあれだろ? 常盤台の超電磁砲だろ? はン、第三位があんな小娘だとは思わなかったわ。痛快だわー」

 どうも、麦野は御坂美琴に対して、なにやら鬱積した感情があったようだ。
 それが思わぬ形で解消されて、恐ろしくハイになっているらしい。

「あー、気分が良いわ。上条クン、アンタあの娘の恋心に気付いてなかったの?」
「いやぁ、全然… うぜぇ、としか思ってなかったし…」

 その答えがドツボに入ったのか、麦野はソファの上で、「うぜぇだって!? カワイソーッ!!」と笑い転げた。

「ヒッ、ヒッ……! あぁ、一ヶ月分ぐらい笑ったわ… アンタサイコー! どんだけアタシを楽しませてくれるのよ…!」

 そう言われても、自分がどんなファインプレイをしたか気付いていない上条は、ただ「はぁ…」と愛想笑いを浮かべた。

「ふぅ… ま、今日のペナルティはアレでチャラにしといたげるわ。ううん、むしろ大きなプラスポイントね… ね、ね。何かおねだりして良いよ?」

 本当に上機嫌らしく、麦野が上条にしなだれかかって甘い吐息をかける。
 今日の麦野はタンクトップだから、形の良い豊乳が、ぐにゃり、と上条の身体に押し付けられるのが、視覚的に大変よく分かる。

「え、おねだり…!?」
「なんでもいーぞー? ここ、カメラ無いみたいだし…」

 麦野がチラリと周囲を確認して言う。

(これは、あれだよな… 誘われてるよな…)

 ゴクリと上条が唾を飲み込んで麦野の服に手を掛けようとすると、突然麦野が、

「あ、でも本番は無しね。アタシ、今はピル持っていないし、服を汚したくないから」

 という言葉に、力を失う。
 だが、

「だ・か・ら、お口でシテあげる… 今日は特別、口の中に出して良いよ…」

 妖しく、扇情的に上唇をぺロリと舌で舐めると、麦野は躊躇わず上条のズボンのチャックを引き下げた。




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71麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:09:46.10TvcmjPEho (11/17)

 麦野の白く細い指が、社会の窓に進入したかと思うと、次の瞬間には上条のペニスが顔を覗かせた。

「わぉ、もうガチガチじゃん?」
「そりゃ、この状況で勃たない男はいないですよ」

 上条が興奮と期待とが入り混じった声で言う。

「そりゃそっか… 上条クンは楽にしててね……」

 そう言うと、麦野はペニスに顔を近づけて、大きく膨張した亀頭の先端を、チロ、と舌で舐めた。

「…ふふ」

 軽く笑って、さらに、チロチロ、と亀頭を小刻みに舐める。

「うぉ…」

 昨日の初フェラではいきなり咥えられた。
 あれもあれで強烈な快感だったが、こうやってチロチロ舐められるのもまた違った快感だ。

「チロ、チロ、チロ… ん、カウパー出てきた…」

 舐めると同時に竿をごしごし擦られると、鈴口から透明な液が絞りだされる。
 麦野はそれを舌ですくい上げるように舐めると、上条がよく見えるように、わざと、コクリ、と喉を動かして飲み込んだ。

「麦野、さん…ッ!」
「ククッ、期待してな」

 男だったら誰しも想像するであろう素晴らしい未来予測に、上条の興奮がさらに高まる。
「次はココ…」

 竿をしごく手の動きをいったん緩めると、麦野はペニスの根元の2つある袋のうち1つを口に含んだ。

「……嘘ッ!?」

 上条の頭が電撃が走ったように仰け反る。
 [田島「チ○コ破裂するっ!」]でも使った事の無い、未知未感の性感帯だ。
 そんな上条の反応に気を良くしたのか、麦野は口の中の大事な玉を、激しく、しかし慎重に舌の上で転がす。

「やべぇ… それ、本気でやばいッス……」

 全く耐性の無い上条が、即座にギブアップすると、麦野はあっさりと玉を口から吐き出して、

「それじゃ隣ね♪」

 もう片方の玉を咥えて転がした。

「――――ッ!!」

 最早、上条は言葉も出ない。
 しかし、ここで果てると麦野の身体に精液が掛かってしまう。
 それだけは避けたい一心で射精を我慢する。

(麦野さんは「服を汚したくない」って言ってた… だから、もしかしたら…)

 淡い期待を糧に、念仏を唱える勢いで下半身の快感に抗う。
 それは1つの拷問だった。



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72麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:11:24.00TvcmjPEho (12/17)

「……ぢゅぅぅぅぅぅ!!」

 麦野が玉袋に口をつけて、音を立てて激しく吸い上げる。
 狂ってしまいそうな快感に、上条は奥歯が鳴るほど歯を食いしばって耐えた。

「あは… 耐えてる上条クン、かっわいー。そうか、そうか… そんなにおねーさんの口の中に出したいか…」

 ペニスを弄る手はそのままに、悪戯っぽい笑みを浮かべて上条を仰ぎ見る。
 その上目遣いに心から屈服した上条は、

「出したいですッ!! 麦野さんの口の中に出したいですッ!!」

 と、プライドをかなぐり捨てて頼み込んだ。

「…そう、素直ね。素直な男の子は大好きよ。これからも素直で居てね…」

 自然な笑みでそう言うと、麦野は手早く長髪をゴムで後ろに束ね、両手で上条のペニスを捧げ持った。

「いいわ、たくさん口に出して… 飲んであげる…」

 そう言って、大きく口を開けて上条のペニスを飲み込む。
 深く、深く……
 顎が外れんばかりに大きく口を開いて、咽頭がえずくほどに喉の奥まで、
 とうとう、鼻先が上条の陰毛に触れる場所まで麦野はペニスを咥えこんだ。

「すげぇ…」

 快感よりも感動で上条が呟く。
 おそらく、今、麦野は呼吸もままならず、生理的な嘔吐感を強引に押さえつけているのだろう。
 その証拠に、麦野の眉根が苦しそうに震える。本当はペニスを吐き出して咳き込みたいに違いない。

「ぉぐ… ごっ… ぐぅ…」

 それなのに、麦野は上条の腰に両手を回すと、抱きしめるようにさらに顔を押し付けた…!
 上条のペニスの先端が、柔らかくて狭いナニカを突破する。

「もう無理だッ 射精します!!」

 既に我慢の限界を超えていた上条が、その刺激にとうとう屈服する。

 ドクッ! ドクッ! ドクッ!!

 耐えに耐えてられてきた精液の勢いは凄まじく、咽頭の壁に抵抗無くぶち当たったそれは、当たり前の様に鼻腔側に跳ね返って、麦野の双鼻口から精液が吹き出る。

「おごぉ… ごぐ… ぐ…」

 気道に入らないかと心配になるくらい、麦野が必死に精液を嚥下する。
 慌てて上条が腰を引こうとするが、腰に回された麦野の手がそれを許さない。

「麦野さん…ッ 離して!!」

 振りほどこうにも、腰に上手く力が入らない。
 結局、射精が完全におさまるのを確認して、麦野がゆっくりとペニスを吐き出し始める。
 いつの間にか額には玉のような大汗をかいており、それが麦野の苦しみを表していた。

「ありえねぇ… 凄すぎる…」

 もはや上条の口からは感嘆の単語しか出ない。
 麦野の唇が雁口まで後退する。

(ああ、ようやく終わる… いや、終わっちまう… 終わりだ…)

 と、上条が思った瞬間、

 「ぢゅるるるるるるッ!!」

 麦野が最後の力を振り絞って、尿道に残った精液を吸い上げた…!

「あ……ッ!! ああああぁぁぁぁぁ!!」

 不意打ちに特大の快感を叩き込まれて、上条が無意識に大音声で叫ぶ。
 まるで『おこり』のように上条の身体が、ビクッ、ビクッ、と痙攣する。

「ぢゅぅぅ… んぅ… ごく… ぷはっ、すううううううううぅぅぅううぅぅ……  はぁぁぁぁあああああああああ……」

 最後の一滴まできっちり飲み干して、麦野が深く深く深呼吸を行う。

 「はぁぁぁぁぁ… しんだーーーー……!!」

 そのまま、ぐたっ、と上条の身体に倒れこむと、緩慢な動作で紙ナプキンを手に取り、びぃぃぃ…! と鼻腔内の精液を吹き出した。


73麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:12:39.36TvcmjPEho (13/17)

「うげぇ、血ぃ出てる… はぁ、錯乱したわー、やっぱこの技は封印だわー、リスクでかすぎ…」

 ひとしきりえずき、咳をし、呼吸を整えた麦野は、ぐったりとしてピクリとも動かない上条を見た。

「おーい、上条クン、生きてるー?」

 返事が無い。不審に思って顔を覗きこむと、
 …上条はこれ以上ないくらいのだらしない笑顔で失神していた。

「ぶっ!!」

 あまりの表情に思わず麦野が吹き出す。

「この子は、なんでこうもアタシのツボに入ることばっかりするのかしらねー。…本気になりそう」

 一瞬だけ、暗く冷たい表情を覗かせる。

「……なわけねぇよ、アタシがお前に本気になるか、ボケ…」

 誰に言うわけでもなく呟くと、麦野は頼んでおいた烏龍茶をストローに含ませ、上条の鼻の穴に遠慮なく流し込んだ。

「…………ぅがッ!! ゴホッ!! ゴホッ!!」

 強制的に覚醒させられ、上条が激しく噎せながら目を醒ます。

「がはッ… うぇ?」
「こーら、寝てんじゃないわよ」

 目を白黒させた上条が、慌てて焦点を合わせると、麦野がやんちゃな弟を見るような目で苦笑していた。

「あ、す、すみません!! あんな良い目にあったってのに、俺は……」

 本気で情けなく思っているのか、口をへの字に歪めて頭を下げる。
 麦野は軽く肩を竦めると、上条の額に軽いデコピンを打った。

「痛ッ!!」
「ばーか、アタシのテクが凄かっただけだろーが。なぁにぃ? 昨日からエッチ続きで、自信持っちゃった感じ?」
「いや、そんなことは…!」
「そういうの、やめてね。自分の役割はきっちり把握しておきなさい。アタシと長く付き合うコツよ…」

 少し、ほんの少し感傷めいた言い方をする。
 上条は何かを言いたくて、しかし、言う方法がわからずに、ただ、

 「はい…」

 とだけ答えた。




.


74麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:13:42.68TvcmjPEho (14/17)

 風紀委員活動第一七七支部。
 主に能力者によって構成された、学園の治安を守る学生間組織。
 その拠点のひとつに御坂美琴は居た。

「…記録、照会終わったわ。申し訳ないけど、確かに御坂さんは能力を行使しているわ」

 言葉を発するのは、眼鏡と巨乳が特徴的な女子生徒だ。
 場の雰囲気から、この場所の責任者のようである。

「どんな事情があったか知らないけど、一般生徒、しかもレベル0に能力を行使するのは重大な校則違反よ。御坂さんとも有ろう人が、知らないわけはないでしょう?」

 内容は厳しいが、口調は優しい。
 それもそのはずで、御坂美琴は、知り合いらしきツインテールの風紀委員に連れられてこの部屋に入ってから、今の今まで号泣していたのだ。
 泣きやんだ、というより涙も涸れた状態の今は、精神的にひどく不安定に見える。

「…はぁ、白井さん、どんな状況だったの?」
「は、はい… わたくしがその場に急行したときには、既に事態は収束に向かっておりまして…」

 白井と呼ばれたツインテールの少女が、あの時の事を遠慮がちに語る。
 聞いた眼鏡の風紀委員は、「失恋かー…」としみじみと呟いた。

「まぁ… 私も経験あるけどねぇ。好きな相手の恋心を自覚できずに暴走しちゃうこと…」
「固法先輩がですか…?」

 驚いたように白井が言う。
 いかにもお堅いイメージがある彼女には、似つかわしくないように思えた。

「そりゃ、この歳になれば、恋愛の1つや2つはしてるわよ。失恋もね…」

 少し遠い目をして語ると、固法は改めて美琴に話しかける。

「御坂さん、風紀委員としても貴女の行動は看過できないし、知人としても貴女を放っておけないわ」

 話しかけられ、ひどく緩慢な動作で美琴が顔を上げる。
 その表情は、まるで幽鬼のようだ。

「お姉さま… ああ、おいたわしや…」
「白井は少し黙ってて。もし、もしもよ…? その男の子のことが諦めきれないのなら…」

 いったん、言葉を置く。

「私は立場的にチャンスをあげられるかもしれない。それをどうするのかは、御坂さん次第よ」

 美琴の表情に困惑の色が浮かぶ。
 どうして彼女はそんなことを言うのだろう?

「まぁ、ぶっちゃけると、一方の当事者である女性の行動が、かーなーり、癪に触るからね。あんな自意識過剰な見せ付け女に負けちゃ駄目よ、御坂さん」

 風紀委員・固法美偉。
 痛恨のおせっかいが、今始まる。




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75麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:14:24.61TvcmjPEho (15/17)

「あーあーあー、はいはい、聞いてるってばよー」
 整髪剤だのマグカップだの、細々とした買い物をすませ(勿論、支払いはすべて麦野である)、目に付いたファミレスで遅めの昼食を摂っていると、突然、麦野の携帯が鳴り出した。
 面倒そうに電話に出た麦野は、明らかにテンションがダウンした状態で机に突っ伏し応答している。

「あのさー、今日は月の日だから出動なしにしてくんねーかなー?」
『こいつときたらッ!! 昨日、さんざん子犬クンに跨ってアンアン喘いでたじゃないの!! そんな嘘、通るかボケェェェ!!』
「うざー… 昨日は逃亡犯を見事捕まえたじゃん。ボーナス休暇ぐらいあっても良いでしょ。そうよ、それが良いわ」
『逃亡犯ノシたのは子犬クンじゃんw アンタはただ盛って腰振ってただけじゃんw かみじょークーン、すっごーい、てな感じィ??』
「…あー、適当に10°ずつ角度を変えて『原子崩し』を撃ったら、いつかアンタに当たるかしら…? 何発目ぐらいで当たると思う?」
『っざけんな!! 一発撃った時点で、暗部総動員でテメェミンチだコノヤロウ!!』

 どんどんと険悪な雰囲気になる会話に、しらず上条の背筋に冷や汗が流れる。

『ウダウダ言ってないで、さっさと仕事に取り掛かれッ!! 5分後にフレンダが合流するから、あとはヨロシクッ!!』

 ブツッ、と電話が切られる。
 麦野はのろのろと身体を起こすと、無言で上条の頭をはたいた。

「あいたッ! えぇ!?」
「ごめん、叩いた」

 頭にハテナマークを浮かべる上条に対して、麦野がぶっきらぼうに言う。

(こ、これは麦野さん式の甘えかたなんでせうか…?)

 一応、それで正解である。

「上条クン、昨日の今日でなんだけど、お仕事入ったわ。準備できてる?」

 冷静に上条に言う。

「準備つっても… 俺の準備は麦野さんに勝ってもらったメリケン・シールぐらいですよ」

 上条がポケットから、昨日使ったフィルム・シートと同じものを取り出す。

「なら、良し。今から『アイテム』の一人と合流するから、話はそれからよ」

 そう言うと、麦野は携帯とは別の個人端末を取り出して、猛烈な勢いで画面を叩き始めた。

(いよいよか…)

 今夜が暗部としての上条のデビューとなる。
 軽い興奮と、どうしても感じる後ろめたさ、そして、麦野に良い所を見せたいという虚栄心…
 いろんな思いがない交ぜになって、上条は軽く拳を握りしめた…




.


76麦野がビッチで何が悪い? ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:15:09.45TvcmjPEho (16/17)

 ちなみに―――
 とあるアパートのとある無人の部屋のベランダに引っかかった、とある銀髪シスターは、
 とあるド派手な2人組に回収され、
 とある物語は始まる事なく終了した……




.


77 ◆yEFBo3BAb.2012/10/13(土) 23:17:40.91TvcmjPEho (17/17)

はい終わりです。

次はまた書き溜めが進むか、
次々週の月曜日に。

saga忘れて肝心なシーンで伏せ字の体たらく。
一気にしょぼん。

あと、今回改行入れてみましたが、
反応しだいじゃ次回は直すかも。

では次回に会いましょう。


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/13(土) 23:38:36.9102Y5niXIo (1/1)

だいぶ読みやすくなった
多少オリ設定がある事を除けば文も上手いし俺得設定だし良SS
乙!


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/10/13(土) 23:45:54.05ts1qjU3Yo (1/1)

最初よりかなり読みやすくなった
乙でした


80VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/14(日) 00:26:29.659mGyJcMso (1/1)

うん読みやすくなった
続きが気になる


81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/14(日) 01:32:44.19tWh5zaG4o (1/1)

痛☆快
乙!


82sage2012/10/14(日) 02:00:15.186TEio30H0 (1/1)

このss凄く気に入った。
ここに出てくる一方さんなら淡希と大人な恋愛をしてくれると願っている。


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/14(日) 02:05:35.11lCT+QBfs0 (1/1)

乙乙
改行したお陰でかなり読み易くなってますよ
次回以降もこの形式でお願いします


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/14(日) 02:13:14.75FNQHpAgHo (1/1)

一方さんスレじゃないんでお引き取りください


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/14(日) 06:54:48.89SrQGkwFmo (1/1)



イントルーダーさん始まることすらなかったかww


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/10/14(日) 06:59:12.62BUtk/a8Zo (1/1)



インスパイアさんのスルーっぷりwww


87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/10/14(日) 10:17:02.78reuCu2wAo (1/1)


改行ステキ!


88VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/14(日) 20:23:35.90nhzez3+SO (1/1)

この>>1のむぎのんのエロエロさといったら……サイコーっす


89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/10/14(日) 23:39:33.96B2SrTtNHo (1/1)

インさん記憶消されたw


90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/14(日) 23:41:28.70LU8VIE6Wo (1/1)

インさんは悲劇のループ繰り返すことになっちゃったね…

どうせ助けても上条さんの記憶消したり穀潰しだったり魔術サイドのゴタゴタに巻き込んだりするだけやしええわ


91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/15(月) 00:10:59.18jJSp0NBlo (1/1)

科学と魔術は交差しなかったのか


92 ◆yEFBo3BAb.2012/10/15(月) 00:15:22.74ODPrK3IYo (1/2)

ちょっと安価
1.さてん
2.こんごー
3.おりじなる
↓1


93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/15(月) 00:17:14.58kdObW8Pwo (1/1)

1


94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/10/15(月) 00:17:23.43zghz41Kqo (1/1)

さてん


95 ◆yEFBo3BAb.2012/10/15(月) 00:21:52.56ODPrK3IYo (2/2)

おけ。


96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/15(月) 00:32:04.62Ehw2nxsSo (1/1)

さてん


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/10/16(火) 19:27:07.18+uT8N4I1o (1/1)

これで佐天さんの登場確定?


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/16(火) 19:34:45.016Jg7ycRao (1/1)

登場した所でロクなことにならなそう


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/16(火) 19:47:49.27zIS5iLl6o (1/1)

人選的にどうでてくるのかほぼ確定じゃないか?


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/10/17(水) 20:45:54.91pw/C6AS00 (1/1)

とにかく楽しみ


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/17(水) 23:07:37.262E3C8uDc0 (1/1)

>>93

GJ!
ありがとう


102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/18(木) 07:23:48.417fIe8gfO0 (1/1)

佐天さんどうなるんだろう
普通にほのぼのがいいなぁ…


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/18(木) 14:19:26.68pm35X/TSO (1/1)

ぶっちゃけ無理だろ。ブラックユーモア、ダーティ、エロのまさに暗部のスレでほのぼの系になったらむしろ冷める



104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/18(木) 15:43:21.795NfvzNjio (1/1)

>>103
対局的な日常として描けば、暗部がより際立つとも考えられる。作者次第やな


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/18(木) 16:34:25.30b7U0QNpqo (1/1)

きたらーだろ


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/18(木) 19:39:46.987tXpwCyIO (1/1)

きたらー?


107 ◆yEFBo3BAb.2012/10/19(金) 02:02:55.86Ozap89CTo (1/1)

>>98
良い勘してらっしゃる。

もひとつ安価。

1.まえ
2.うしろ
3.うえ

↓1
複数選択可能


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)2012/10/19(金) 02:09:34.01foQ7oAvco (1/1)

まえうしろ


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/19(金) 02:29:41.427JL3R9t0o (1/1)

サンドイッチファックだね


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/19(金) 03:40:22.79RMb3bs54o (1/1)

ビームで上/条にわけるのかなるほど


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/19(金) 06:03:29.63c2+MGh0b0 (1/2)

嫌な予感しかしなーい


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/19(金) 06:08:46.42c2+MGh0b0 (2/2)

レイプだけはイヤァァァァァァ!!!!


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/19(金) 06:48:26.15YsgPGaDH0 (1/1)

今更だけど上条さんの初体験は誰だったんだろう
雲川先輩かな…


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/19(金) 09:39:18.34ulrkQtH6o (1/1)

それよりむぎのんの初体験を知りたい


115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/10/19(金) 16:44:32.61Had68LRK0 (1/1)

土御門の伏線も気になるな
次を楽しみにしてる


116VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/10/19(金) 18:53:59.02IbSGu67mo (1/1)

乙乙
楽しみに待ってる


そう言えば随分前、ここが禁書SSばかりだった頃に、似たようなスレタイの上麦SSが合ったな・・・


117VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/19(金) 21:20:13.621EuxAnrwo (1/1)

あれは完成度高かったから次に上麦書く人がなかなか出てこなかったんだよね
上麦好きだから頑張ってくれ


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/19(金) 21:28:26.58flR+nCero (1/1)

あんまりプレッシャーかけんなww


119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/20(土) 19:44:02.75RZv+n00Ko (1/1)

>>116
スレタイが上条さんとむぎのんで、ちょうど逆に成るけどな


120 ◆yEFBo3BAb.2012/10/21(日) 23:12:02.28m88nPdp1o (1/1)

キリよく書けたので約1時間後の0時に続きを投下。

今回、恐らくは皆様の予想通りにとあるキャラがとんでもない目にありますので、
超電磁砲アニメスレで「おはよう○子」とかレスしている方は該当シーンを読み飛ばすことをお勧めします。

該当シーンの名前欄に「惨奴逸痴」と入れときますので、NGワードにしといてください。

それでは、約1時間後に…


121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/21(日) 23:12:56.31OldtrWsSO (1/1)

ああ、やっぱサンドイッチなんだ……期待大だ。


122 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:01:07.181LVFMyPLo (1/30)

それじゃ、投下を開始します。
今回は… えーと、45kBぐらいです。


123 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:01:34.271LVFMyPLo (2/30)





「体晶を強奪~~~~~?」

麦野沈利が、眉根を歪めて素っ頓狂な声を上げる。
フレンダ・セイヴェルンと名乗る金髪碧眼の少女が語った仕事の内容が、麦野にとっては意外だったようだ。

「なーんで、うちらがそんなこすい真似しなきゃならないの?」
「結局、裏ルートで出回った体晶は、極力回収しなきゃならない訳」

やれやれ、と言った風にフレンダが言う。

「ウチらにお鉢が回った理由は、まぁ、滝壺が居るからよね。回収したら、そのまま使えってことじゃん?」
「しょーもねぇ……」

完全にやる気を無くした麦野が机に突っ伏す。

「…体晶って、なんなの?」

完全に話に置いてけぼりになっている上条が、対面に座るフレンダに聞く。

「まぁ、一種の能力強化薬? 相性とかあるし、誰が使っても効果があるものじゃないけど」

フレンダが親切に説明をする。
なぜかは分からないが、上条に対しては好印象のようだ。

「へぇ、そんな便利な薬があるんだ」
「結局、能力を暴走させているだけだし、副作用もあるし、カラダぼろぼろになるし、そんな便利なものじゃないって訳」

フレンダがドリンクバーのメロンソーダを、ズズッ、と啜る。

「…はぁ、もうちょっと詳しい内容」

ようやく、のろのろと頭を上げた麦野が、面倒そうに言う。
やる気は相当に無いようだ。

「はいはい、第11学区にシリンダー・コスモっていう燃料系の研究機関があるんだけど、そこが使ってた柄の悪い連中が居てね」

学園都市の研究機関のほとんどは、その内部に黒い非合法な部分を有する。
元々の技術の根管が『人体実験』の成果だからなのかもしれない。
よって、様々な荒事が発生する場合に備えて、それぞれが独自に私設部隊を持つ場合がある。

「ま、本人たちは『私設部隊』のように思っていたようだけど、結局はただの『スキルアウト』な訳」

私設部隊の質は様々だ。
警備員(アンチスキル)や風紀委員(ジャッジメント)と互角に戦える場合もあれば、街の不良集団に毛が生えただけの存在もある。

「結局、そいつらが、『シリンダー・コスモ』側から得た『体晶』を横流ししようとしたから、あっさり粛清が決まった訳」
「それじゃ、その内ゲバのドサクサに紛れて、『体晶』を回収しろってこと?」
「そーいうことだね」

フレンダがメロンソーダを飲み干すと、物足りなさそうに再びドリンクバーに向かう。

「あー、強奪かぁ……」

内容を聞いた麦野が、上条を見つめて面倒そうに考え込む。
本心では、「上条さんは何をすればいいんでせう」と聞きたくてたまらない上条だが、ここはぐっと堪えて麦野の言葉を待つ。




.


124 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:02:01.171LVFMyPLo (3/30)

「…デビュー戦に気合が入っているところ悪いけど、上条クンは待機ね」
「あ、やっぱりそういう流れですか…」

多少、予想はしていたが、肩透かしを食らって上条が力を抜く。

「んー、相手は武装しているし、『体晶』の現物を見たこと無い上条クンは足手まといになる可能性があるわ。
 逃走用の車で待機していてちょうだい。朝にもらった免許証を忘れないようにね」
「あ、あのー、上条さんは自動車を運転したことないんですが…?」
「はぁ? 学園都市の車はほとんどオート制御でしょ? 技能なんて必要ないわよ」
「そ、そうですけど…」

麦野の言うとおり、学園都市の車は、そのほとんどが衛星とリンクした自動制御となっている。
運転手の役割は旧来のものから大きく変わり、『とりあえず無人でないことの証明』ぐらいでしかない。
だが、確かに柔軟な走行を得るためにはハンドルを握らなければならない。

「麦野ー、流石にトーシロが座ってるクルマに乗りたくないんだけどー」

ドリンクバーから戻ってきたフレンダがフォローを入れる。
麦野は再び考え込む表情を見せる。

「…ちっ、じゃ浜面も呼ぶか。アイツら暇だろうし、上条クンの良いお手本になるかもね」
「だね。結局、『滝壺いるかもー』って匂わせれば、馬車馬の様に働くって訳」

2人は上条の知らない名前で盛り上がる。
よく分からないが、浜面という人と一緒に仕事をすればいいらしい。

「おし、それじゃ、浜面を呼ぶから、到着次第、移動・潜伏。
アタシがフォワードでフレンダがバックアップ。
フレンダぁ、先行して下調べと仕込みを済ませときな」
「了解、結局、事前準備が一番重要って訳…」

2杯目のメロンソーダを飲み干してフレンダが立ち上がる。
去り際に上条だけ分かるようにウインクをすると、口の動きだけで「がんばってね」と言う。

「………ッ」

反応すると麦野が怖いので、目線を合わせず頷く。
どうも、朝に会った絹旗という少女と違って、フレンダは上条に対して好意的なようだ。

(多分、麦野さん関係なんだろーなー……)

まだ『アイテム』に関してほとんど何もしらない上条だが、リーダーの麦野に対しては、メンバーの間で様々な感情があるのだと思った。




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125 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:02:38.431LVFMyPLo (4/30)

――――『コスモ・シリンダー』が所有するとある廃工場跡。
過去に廃棄されたその施設は、所有者を変えることなくその役割だけを変えていた。
即ち、非合法な人員・装備の拠点としての役割である。

「や、約束通り… 一人で来ました……」

既に日は落ちて当たりは闇色。
そんな薄暗い廃工場には、全く似つかわしくない少女が、一人、居た。
年恰好はローティーンの、ロングの髪に花柄の髪留めが印象的な少女だ。

「おぉ… 入ってくるところ、誰にも見られていないだろうな…?」
「は、はい… 十分に注意しました」

応対をしているのは、リーダーらしき鋲の入った革ジャンを着た青年だ。
2人の周囲には10数人ほどの柄の悪い男たちがたむろしている。
会話する2人を見ている者も居れば、周囲を油断無く警戒している者も居る。

「カネ、用意できた?」
「はい… 10万、ですよね……」

少女がハンドバックを探って、かわいらしいレターセットを取り出す。
本来は、友達に向けて他愛の無い手紙が入るそれには、今は少女が持つ全財産が入っている。

「あぁ、今から保管場所に連れて行くから、ソレは大事に持っときな。『体晶』と交換だ」

そういって歩き出す青年に、少女が慌てて付いて行く。
少女の名前は佐天涙子。
どこにでも居る女子中学生で、そして、どこにでもいる無能力者だ。

「初めに言っとくが、コレを使ったからって、能力が得られるとは限らないからな。全くのムダになることもある。それでも良いんだな?」
「…はい。アタシ、何やっても能力が発現しなくて… もう、コレに頼るしか……」

少女――佐天の悩みは、学園都市の無能力学生にとって共通のものだ。
自分にどんな超能力が眠っているのか―――。
己と、家族の期待を背負ってはるばる学園都市にやって来て、そして、無能力者の烙印を押される。
学生の大多数がそうであるとは言え、多感な少年少女にとっては、容易に受け入れがたい現実だ。

「少しでもチャンスがあれば、それに賭けてみたいんです…」

悲壮な表情で佐天が呟く。
それを、革ジャンの青年は憐れみの混じった目で見つめる。

(『体晶』で発現した能力が、まともな訳ないだろうに…)

青年――儀房秀隆という――が心の中で吐き捨てる。
今では、コスモ・シリンダーの使いっ走りとして活動しているが、青年はある程度将来を期待された強能力(レベル3)の能力者だった。
しかし、能力開発に行き詰まり、怪しげな非合法実験に参加したことを契機に、研究機関の闇に身を置く羽目になってしまった。

(『体晶』を売りさばいた金と、『コスモ・シリンダー』の社外秘データを使って、もっと良い企業に潜り込めれば…)

それがこの青年の目的だ。
今のままでは企業の使いっ走りとして切り捨てられる。
そう切実に感じたからこその行動だったが、それが見事に裏目に出たことを、彼は知らない。




.


126 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:03:06.711LVFMyPLo (5/30)

『ターゲットは企業側が用意した囮と一緒に奥に引っ込んだわ。突入班の無線を傍受したけど、目標の移動が終了したと同時に突入するみたい』

四輪駆動の大型バンのスピーカーから、フレンダの声が響く。
携帯端末で廃工場のマップを確認していた麦野が、フムフム、と頷く。

「了解、フレンダは引き続き馬鹿どもを監視。戦闘が始まったら、上手くやつらを足止め・誘導してね」
『りょーかい。結局、楽勝な訳よ』

ブツッ、という音と共に通信が終了する。

「さて、と…」と呟いた麦野が車内を見回すと、上条が助手席に、そして運転手席に金髪に鼻ピアスが特徴的な青年が座っていた。

「浜面ぁ、アタシは騒ぎに紛れて進入するから、上条クンとしっかり留守番してんのよ」
「あいよ、暖気して待っとくわ。あとさ… 今日は滝壺いねぇの?」
「いねぇよ、ばーか」
「ちくしょー、騙された……」

それなりに気心が知れているのか、浜面と呼ばれた青年が軽く応答する。

「上条クン、ま、分からないことがあったら、そこの馬鹿に聞いてね」
「あ、ああ…」

遠慮がちに浜面を、チラリ、と見ると、いつものことなのか、浜面は軽く肩をすくめて苦笑する。

「それじゃ、行って来るわ」

そう言うと、麦野は片耳に小さなインカムをつけて、バンから降りた。

「あ、麦野さんッ!」
「なに?」

麦野が足を止める。

「あの… 気をつけて…」
「…ふふ、心配は自分にしときなさい」

麦野は手を、ひらひら、と振ると、何気ない足取りで夜の闇に消えて行った…




.


127 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:03:33.731LVFMyPLo (6/30)

「儀房ッ!! 侵入者だッ!!」

廃工場の奥深く。
『体晶』や儀房が密かに集めていた『本社』のデータが保管されている、通称『金庫室』
『体晶』が納められている金庫を解錠しようとしたとき、儀房はその報告を受けた。

「何だって、どこの誰が…?」

近くのコンソールを操作して、スクラップに偽装してある監視カメラを起動する。
壁に無造作に置かれたモニタに灯が入ると、そこには十数人の完全武装の集団が廃工場の門扉に張り付いているのが見えた。

「この廃工場の場所は『本社』の連中も知らねぇんだぞ…? ……ッ!?」

弾かれたように佐天を見る。
何かを察した彼女は、慌てて、千切れんばかりに首を振る。

「わ、私じゃない!! い、言われた通りのルートを通ったし、誰にも言ってません!! ほ、ホントですッ!」
「…何も言ってねぇよ、勘違いすんな」

取り繕うように儀房が言う。
一瞬、この少女がスパイか、とも思ったが、だとしたら少女が取り残されているのがおかしい。

(いや… コイツはただ何も知らなくて、『虫』を付けられた使い捨てって事も考えられるか…)

その考えに思い至り、儀房は「クソッ」と吐き捨てた。

「…迎撃するぞ」
「逃げねぇのかよ!!」

チームの一人が叫ぶ。

「逃げるにしたって、『体晶』やデータを持ち出す時間が居るだろッ! お前とお前、ここで『本社』のデータを持ち出せるようにしとけ」

矢継ぎ早やに指示を出して、コンソールを操作する。
この部屋に至るまでの通路が電子ロックされ、廃工場が迷宮と化す。

「これで少しは時間が稼げる… データのアウトプットが終わったら、6番通路で待機しておいてくれ」
「あ、あのッ、私はッ!?」

状況の急変についていけない佐天が叫ぶ。
詳しいことは分からないが、ここにいたら危険だとは分かる。
不安で不安で胸が潰れそうだ。

「お前は… ここに居ろ。下手に動いたら戦闘に巻き込まれる。いいか、『体晶』のこととか全部忘れて、浚われた一般人を装え、分かったな!」

とうとう涙を浮かべ始めた佐天が、コクコク、と何度も首を縦に振る。

「よし… データのアウトプット、早めにな。いくぞッ!」

儀房が残りのメンバーを促して部屋を出る。
残された佐天は、恐怖と後悔で、腰を抜かして床にへたり込んだ……





.


128 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:04:00.231LVFMyPLo (7/30)

「ナンパぁ!? あの麦野を!? なんて命知らずなヤツ……」
「いや、まさか暗部のエージェントとか思う分けないでしょ!?」

麦野を待つバンの中では、上条と浜面が砕けた口調で話をしていた。
意外と相性は良いようである。

「そりゃ、アイツは黙ってたら美人だけど、それ以上に近寄りがたいオーラがあるじゃん?」
「そこらへんが、上条さんの好みのどストライクというか… 
「お前の好みって、何よ?」
「……寮の管理人のお姉さん?」
「ありえねーッ!! 麦野が管理人とかありえねーッ!!」

思わず絶叫する浜面。

「そんな寮があったら、住人全員がストレスで10円はげ作るわ。断言するね」
「え、麦野さん、優しいじゃないスか…?」

浜面が信じられないモノを見たような目つきをする。

「優しいって、え、なに… あのモンスターが…? …お前、精神系の能力使われて無いか?」
「んなわけねー!!」

今度は上条が絶叫する。

「…まぁ、いいさ。よくよく考えれば、これから、麦野の暴走は止めるのはお前の役割なんだからな… 頼むぜぇ、彼氏さんよぉ…」

浜面が拝むように手を合わせる。

「暴走って… 電車やバスじゃあるまいし…」
「そっちの暴走の方がまだかわいーよ!
 …あー、多分、そろそろかなぁ…」

浜面がバンのラジオ(に偽装した通信機器)を操作する。

「おーい、フレンダ、そろそろ突入?」
『ザザッ あ、あー…  今、麦野に通信送ったところよ。突入側は門扉の解除に成功、これから突入ね。防御側は果敢にも迎撃に出るみたい』
「オーケー、撤収気をつけてな」

それだけ通信してスイッチを切る。

「見てな、そろそろ派手な花火が上がるぜ」

浜面が麦野の消えた方角を指差す。
上条がつられて目をこらした、
その瞬間、
―――極太の白色光が煌めいた。

ズガァァァァァッ!!!!

「え、なに…!?」

一瞬遅れて、何か大きな破壊音が聞こえる。
そして、さらにそれは連続した。

ズガァァァァァッ!! ドゴォォォォォッ!!

白色が煌めくたびに大音声の破壊音が聞こえる。

「もしかして… 麦野さんがコレを…?」
「ああ、これが学園都市の超能力者(レベル5)、麦野沈利の『原子崩し(メルトダウナー)』だ。
 これで、数割の出力っていうから恐ろしいぜ」

既に遠目からでも、廃工場の一角が残骸と化しているのが分かる。
上条は、釣り上げた魚の大きさに、改めて戦慄した。




.


129 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:04:26.251LVFMyPLo (8/30)

佐天涙子は後悔の真っ只中に居た。
新学年になり、次々と能力を発現させる同級生。
担任教師の同情と諦めに満ちた表情。
その何もかもが嫌になって、普段なら軽くスルーするダイレクトメールに目を止めてしまった。

『能力の暴走過程で生まれた、能力強制発現薬』

その煽り文句を真に受けた佐天は、恐ろしく厳重なメールの遣り取りにさらに信頼を強めてしまい、結果として、この部屋で震える破目になってしまった。

(早く家に帰りたい…ッ!! 怖い、怖いよ…ッ!!)

チラリと顔を上げると、いかにも柄の悪い男2人が、怒鳴りあいながらコンソールを操作している。
声の調子からして、どうにも上手くいってないらしい。

「おいッ! データはどこまでアウトプットするんだよッ!?」
「ンなもん、全部に決まってんだろうが!!」
「アホか! データが重すぎて、ここにあるメディアだけじゃ足りねぇぞ!!」

部屋の中に響く怒鳴り声に、思わず耳を塞ぐ。

(早く誰か助けに来て…)

佐天はヒーローの登場を心から願った……




.


130 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:04:58.691LVFMyPLo (9/30)

「あ、ボクシングするんだ」

「ほとんど我流ッスけどね。『ホーリーランド』が上条さんおバイブルです」

「あー、わかるわー、それ。俺もそれ読んでアマレス囓ったもん」

「アマレス、強いですよね~」

「いや、ボクシングもつえーよ。俺、喧嘩の時、タックルにショートフック合わせられたことあるし」

「え、マジッスか? どうなんったんです?」

「一発で気絶。いやぁ、ボクサーのカウンタースキル、やばすぎるわ…」

「俺からしてみたら、アマレスの低タックルとか、本気で嫌ですけどね…」

「そうかぁ…? …今度、マスでもしてみる?」

「あ、いいスね。どっかの公園の砂場でやりましょうか……」

……男2人は、ほのぼのとした雰囲気の中、格闘技談義で盛り上がっていた。



.


131 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:05:24.961LVFMyPLo (10/30)

「クソッ!!」

ガンッ!!

『金庫室』に残った2人のうち、メッシュ髪の男がコンソールに拳を打ち付ける。

「何やってンだよ!!」

残る1人、スカジャンを来た男があわてて詰め寄る。

「やっぱりデータがデカすぎンだよ!! HDDぶっこ抜いても足りねぇ!! つーか、そんな時間もねぇ!!」
「…前に儀房が言ってた。セキュリティを突破して『金庫室』まで行くには、最低20分はかかるって…」

部屋の隅でがたがた震えていた佐天が思い出す。
確かに、この部屋まで来るのには恐ろしく時間が掛かったし、なにより、どこをどう歩いたか分からないほど、通路が入り組んでいた。

「儀房たちが足止めもしてくれてる… 少なく見積もっても、30分ぐらいは猶予があるんじゃねぇか…?」

スカジャンが楽観的な予想を立てる。
その予想に少し落ち着いたのか、メッシュが大きくため息を吐いて椅子に身を沈める。

「…クソッ、何でこんなことに…」
「『体晶』のウリがやっぱマズかったんだよ… ありゃ、マジの厄ネタだったんだ」

後悔を口から吐くようにスカジャンが声を絞りだす。

「…厄ネタっつーなら、ソコにも居るぜ?」

メッシュがギラリとした眼光を部屋の隅に向ける。
蹲っていた佐天の肩が、ビクリ、と震える。

「なぁ、おい、嬢ちゃんよォ!! とんでもねぇことしてくれたなぁ!!」
「ヒッ… わ、私、何も知らないです… 本当です… ごめんなさい、ごめんなさい…」

小さく小さく、「ごめんなさい、ごめんなさい……」と繰り返す。
その謝罪が、男の神経を逆撫でする。

「知らないで済むかよッ!! あぁ!!」

ゴンッ!!
再び、コンソールに拳が打ち付けられる。

「いやぁ… ごめんなさい、ごめんなさい……」

佐天に出来ることは、ただ小さく震えることだけだ。

「…おい、データ移行の指示は済んでるのか?」

突然、スカジャンがメッシュに言う。

「ん…? あぁ、つっこめるだけのメディアはつっこんだし、HDDもあとはぶっこ抜くだけだ」
「じゃ、時間あるな……」

スカジャンがギラつく瞳を佐天に向け、にぃ、と笑う。

「なぁ、嬢ちゃん名前は何?」
「え… さ、佐天涙子です…」

名前を言うのも恐ろしいが、言わないのはもっと恐ろしい。

「佐天ちゃんかー。じゃ、さ…、佐天ちゃんに、代償を支払ってもらおうぜ……」

明確に、『金庫室』の雰囲気が変わる。

「おっ! やっべ、気がつかんかったわ、それ」

メッシュが「へへへ…」と野卑な笑いを浮かべる。

「あああああ…………」

佐天の恐怖が最高潮に達した。



.


132 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:05:58.221LVFMyPLo (11/30)

「駒場さんって… あの、独特なしゃべり方をする人?」

「なんだよ、ウチのリーダー知ってるのかよ? お前、どこのチーム?」

「いや、俺はどこのスキルアウトにも入ってないけど、青ピって知らね? 声がすんげぇ野太い」

「ああ、あの馬鹿?」

「そそ、その馬鹿。そいつの関係で、ちょいと出入りに参加したことあって」

「青ピって、アイツなんなの? 不死身系能力者? 殺しても死なないって、どーゆー理屈なんだよ…?」

「本人曰く、『ボクはボクが認める属性の娘の攻撃しか効かないんや~』って言ってたけど……」

「はぁ? それ、軽くレベル4以上あるんじゃねーの?」

「いや、それが、本人は能力発現未満のれっきとしたレベル0なんだ……」

「マジでナニモノなんだよ……?」

……バンの中では、すっかり仲のよくなった2人の、馬鹿なダベリ話が続いていた。



.


133惨奴逸痴 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:06:43.161LVFMyPLo (12/30)

「嫌ぁぁぁぁぁぁッ!!」

声のあらん限り叫ぶ佐天を、メッシュが背後から羽交い絞めにする。
ニヤニヤと下品な笑いを浮かべたスカジャンが佐天の前に立つと、佐天の上着の襟元に手をかけた。

「ここ、完全防音だから、いくら叫んでも無駄だぜ…!」

ビリィィィィ!!

声と共に、上着を力任せに引き千切る。
可愛らしいデザインのブラジャーが露わになり、佐天の顔が羞恥に染まる。

「やめてぇぇぇぇぇ!!」
「うっはー、たまんねー!!」

声に興奮したのか、メッシュが手を伸ばして佐天の胸を荒々しく掴む。

「ヒッ!!」
「お、けっこー胸あるじゃん。コイツはアタリかも…!?」
「マジ? 佐天ちゃん隠れ巨乳?」

スカジャンも空いた片乳を乱暴に掴む。
すると、下品な笑みがさらに歪んだ。

「へへ… 楽しめそーじゃん…!」

スカジャンが強引にブラジャーを剥ぎ取ると、歳の割りに大きいおっぱいが、ぶるん、と飛び出る。
メッシュが「いいじゃん、いいじゃん!」と語気を強める。

「触らないでッ!!」

あまりの羞恥に恐怖が振り切ったのか、佐天が正面のスカジャンを右足で蹴り上げる。
が、か弱い女性の筋力では、ぺし、という音を発するだけだ。

「お、足上げてくれるなんて、協力的だね~」

自分勝手な解釈をすると、スカジャンは一気に、下着もろとも佐天の下衣を剥ぎ取った。
まだ無毛の、幼い割れ目が外気に触れる。

「なんだ、ここはまだガキンチョかよ…」
「馬ッ鹿! 巨乳で無毛とか、そっちの方がソソルじゃん!」

ガチガチガチ…

既に、佐天の歯の根は合わず、顔面は蒼白で今にも意識を失いそうだった。




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134 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:07:09.301LVFMyPLo (13/30)

「ネコミミむぎのん…」

「ナシナシナシ! カワイイ系はないですよ!!」

「んじゃ、ナースむぎのん…」

「う~ん、ギリナシ?」

「えー、注射とか似合いそうじゃん?」

「似合いすぎて怖いデスヨ…」

「それもそうか… ほんじゃ、そっち」

「婦警むぎのん、とか?」

「メスポリとか呼ばれてそーだな、アリだ」

「女教師むぎのん」

「かなりアリ! タイトスカートの癖に、足の太さを気にして色の濃いタイツとか履くんだぜ、きっと!」

「ボンテージむぎのんは……?」

「あー、そりゃナシ。似合いすぎてつまらん」

「それじゃ… あ、バニーむぎのん…?」

「……………………………」

「……………………………」

「「アリアリアリアリアリアリアリッ!!」」

……バンの中はやっぱり平和だった。





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135惨奴逸痴 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:07:41.621LVFMyPLo (14/30)

「ほんじゃ、ご開帳~」

既に抵抗をやめた佐天の太ももを、スカジャンが強引に開く。
大陰唇すら閉じた秘裂が、わずかに口を開く。

「あ、あ……」

それを見る佐天の瞳は空ろだ。
まるで、他人事のように光が無い。

「パイパンのタテスジ、たまんねぇな…」
「なんだよ、お前ロリコンかぁ?」
「締まりがすげぇってことだよッ!!」

スカジャンが、わずかに盛り上がった秘裂の端を両の親指で押さえると、軽く力を入れて「くぱぁ」と左右に開く。
見事なサーモンピンクの肉壁が顔を覗かせた。

「…ゴクッ」

二次性徴直後の青い肉体を蹂躙する暗い喜びに、スカジャンの興奮が否応無しに上がる。
どう考えても処女だ。生理用品すら挿入れたことがないだろう。

「わりぃな… 濡らしてる暇がないんでよ……」

やや緊張に震えた声でスカジャンが言う。
それを聞いたメッシュが、引きつった笑みを浮かべた。

「お前、鬼畜だなぁ、おい…」
「…そっちも穴が空いてるぜ?」

欲情とストレスが、理性の枷をあっさり外す。
スカジャンがさらりととんでもない『提案』をすると、メッシュも、ゴクリ、と唾を飲み込む…

「コイツ、発狂死するかもな…」
「構うこたねぇよ、自業自得だ…」

2人の男が佐天を拘束したままズボンを下ろす。
佐天の耳には2人の会話が入ってきているが、心がその理解を拒絶する。

(これは夢…、悪い夢……ッ!!)

現実を逃避し、心の中で何度も念じる。
防衛機制としたは、当然の逃避であるが、しかし、その為に、
佐天は決定的な抵抗のチャンスを逃してしまった。



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136惨奴逸痴 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:08:23.041LVFMyPLo (15/30)

ピト……

薄汚く、凶悪に勃起したスカジャンのペニスが、佐天の秘裂に接触する。
そのおぞましい感触に、ようやく佐天の意識が現実に戻る。
だが、それは最悪のタイミングだった。

「お、お願いします… グスッ、やめて… やめてェ……」

嗚咽交じりの懇願を、正面のスカジャンに行う。
万人の心を動かしそうなその行為は、しかし、この場面においては完全に逆効果だ。

「やだね……!」

皮肉なことに、佐天の懇願がスカジャンの行動のスイッチを押した。
ペニスを強引に佐天の秘裂に食い込ませる。
亀頭が秘裂に半分まで喰い込むと、ようやく佐天の身体が動き始めた。

「イヤッ!イヤッ!! 嫌ぁぁぁぁッ!!!!」

思い切り叫び、身体を捻る。
しかし、前後から男たちに挟み込まれていては、満足な抵抗などできない。

「けけっ、暴れるのがちっと遅いぜ… さぁ、ぶち抜いてやる…ッ!!」

スカジャンが佐天の腰をガッチリ掴み、強引に腰を突き上げ、そして…

ぶちぶちぶちぶちッ……!!!!

少女の身体には完全に規格外のペニスが、秘裂を入り口に佐天の身体を貫通する。

「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッッ!!!!」

激痛。あまりにもの激痛に佐天があらんかぎりの絶叫を上げる。

(痛いッ!! 痛いッ!! 痛いッ!!!!)

佐天の意識が激痛に染まる。
生まれてこのかた、経験したことのない『内臓を裂かれる』痛み。
それまで、経血しか流れたことの無い細い膣道を、大質量のペニスが強引に逆流する。





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137惨奴逸痴 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:08:49.271LVFMyPLo (16/30)

「……………ぁ、……………ぁッ!!」

酸素を求める金魚のように、佐天の口が、パクパク、と開閉を繰り返す。
激痛により腹筋が痙攣し、上手く空気を吸うことが出来ない。

「うぉ… 締まる……ッ 最高だぜ、このガキ……ッ!!」

佐天の苦悶などお構いなしに、スカジャンが腰を揺する。
それまで膣道で堰きとめられていた破瓜血が零れ落ちて、鉄さびの匂いが佐天の鼻に届く。

(血の匂い… あたし、死んじゃうの……ッ!?)

死への恐怖からか、激痛に固くなった佐天の身体に、少しだけ力が戻る。
正面のスカジャンから逃れようと、必死に地面を、スカジャンの身体を、手と足で押そうとする。

「おいおい、もうぶち込んでんだから、暴れるんじゃねーよ」

しかし、スカジャンは逆に佐天を抱きしめるように拘束すると、両手を佐天のお尻にまわし、強引に割り開いた。
セピア色の、可愛らしい菊座が外気に触れ、驚いたように、ひくひく、と痙攣する。

「おら、とっととぶち込めよ」
「別にソッチの趣味は無いんだけどなー」

台詞と口調とは裏腹に、顔全体で醜悪な笑みを浮かべたメッシュが、佐天のアナルを指で弄る。

「……………え?」

驚愕、疑問、悲哀、、不安、逃避……
様々な感情を顔に浮かべ、佐天がゆっくりと背後のメッシュを振り返って見る。

「なに、するんですか……」

聞きたくない、知りたくないのに、口が勝手に開く。
佐天の性知識は、年齢・性別相応のものしかない。
アナルセックスや二穴挿入など、想像すらしたこともない。

「…ケツ、緩めとけよ」

佐天の質問には答えず、メッシュはお情け程度にだ液をアナルと亀頭に塗りこむと、ペニスを手でしっかりと固定して佐天のアナルに押し当てた。

「あ、あは… あはは……」

ようやく、背後の悪魔が何をしようとしているのかに気付いた佐天が、乾いた笑い声を上げる。
股間の激痛はすでに鈍痛に変わっていて感覚はほとんど無いのに、お尻の穴に触れた汚らわしいペニスの体温が、やけにはっきりと感じられた。

「あんたたち、人じゃない… ひとでなし… ひとでなしぃ……」

それまで出番を忘れていたかのように、佐天の瞳から涙が次々と零れ落ちる。

「ちっ、うっせーな……!」

少女の批判に、メッシュが静かに逆上する。

「こんな所にほいほい来たテメェの責任なんだよ…ッ!!」

声をと共に、ペニスを強引にアナルへ突き刺す。

メリメリメリメリッ……!!

「……………ぁぁぁぁああああああ!!!!!!」

指さえ入るのが怪しい小さな菊座に、赤黒い勃起したペニスが突き刺さる。
佐天は瞳と口とを限界まで拡げ、必死に伸ばした手でと何も無い空を掴む。

………ピシッ。

強引な挿入でどこかが裂けたのか、佐天の肛門から、たらたら、と鮮血がしたたり落ちる。
その量は破瓜血の比ではない。

「へへっ、滑りが良くなってちょーど良いや……」

メッシュの言葉は、既に佐天には届かない。
佐天は気絶一歩手前の状態で、ただひたすら股間の鈍痛と異物感に耐えている…




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138惨奴逸痴 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:09:20.991LVFMyPLo (17/30)

「お、入ってきたのがわかるな…」
「うぇ、チンポの先がぶつかっちまった。気持ち悪ぃ…」

いったい、どこにそんなスペースがあるのだろうか?
少女の細い腰の中に、長大なペニスが2本も埋め込まれている様は、ひどく現実感のない光景だった。

「時間もねぇし、早めに済ませようぜ」
「おぉ、勝手にイカせてもらうわ」

ズリッ、ズリッ、ズリュッ!!

男2人は視線を交わすと、てんでばらばらに腰を動かし始めた。
リズムもタイミングもバラバラなその動きは、かえって佐天の激痛を増悪し、不規則な衝撃に佐天の身体が下手糞な操り人形のように跳ねる。

不意に、

ズンッ!!

「がッ…… はッ!!!」

偶然に2人が腰を突き出すタイミングが合い、佐天の身体が下から上に突き上げられる。
その衝撃で、それまで必死に身体を支えていた両足が地面から離れ……

佐天の身体が完全に宙に浮いた。

「ぐぁ…… あぁ…… し、ぬ……!!」

それは、まさしく串刺し刑だ。
全体重を股間で支える羽目になり、佐天の激痛が最高潮に達する。
それは、少女の我慢の限界をとうとう越え、
一度、「はぁぁぁ……」と肺に残った空気を吐き出すと、佐天の眼球が、クルリ、と上に回転し…

佐天涙子は意識を喪失した。




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139れいぽう終わり ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:09:48.091LVFMyPLo (18/30)

『もしもーし、馬鹿言ってないで、周辺の哨戒ぐらいしておきなさいよ~』

バンの中でほのぼのと会話をしていた上条と浜面に、フレンダから通信が入った。

「ん、何か動きあった?」
『突入側が迎撃側の戦力の大半を無力化したわねー。
 迎撃側はリーダーがけっこう頑張ってたけど、今は散り散りになって逃げてるわ』
「麦野は?」

通信先で、何かしらの機器を操作する音が聞こえる。

『工場内は電波の通りが悪いけど、そろそろお宝に到着するみたい。
 ま、結局、麦野に心配は不要って訳よ』
「おーし、そんじゃ、そろそろクルマを暖めておくか…」

浜面が運転席の電子ロックを外して、クルマのエンジンを掛ける。
エンジンが駆動し、バンが小さく揺れる。

『んじゃ、アタシもそろそろ離脱して… あっ!!」
「うん? どうしたん?」

通信先で変な声を上げたフレンダに、浜面からつっこみが入る。

『このアホが… あー、浜面、聞いてる?』
「おお、何かトラブルか?」
『いますぐバンを移動して! 迎撃側のリーダーが麦野の『原子崩し』で空けた穴から逃亡しようとしてるわ!』
「げぇ、マジか…」

迎撃側のリーダー、儀房は高位の能力者だ。
無能力者である浜面にとっては、接触は避けたい相手だ。

「それじゃ、第2ポイントに移動するか…」
「待てよ、麦野さんに連絡はつくのか?」

バンを移動させようとした浜面に、上条が疑問をぶつける。

「あー、どうなん、フレンダ?」
『……だめね、電波が通じてない。まぁ、麦野なら何とかすると思うけど…』

フレンダの声が尻すぼみになる。

(麦野は心配じゃないけど、勝手にバンの位置を変えたら、後でオシオキされるかも……)

フレンダの背筋を冷や汗がタラリと流れる。

『…あー、浜面、さっきの取り消しね。その場で麦野を待っててちょうだい』
「はぁ!? 能力者とやりあうのはごめんだぜ!!」
『うっさいなー、私が急いでソッチに戻るから、それまでやり過ごしててよ!!』
「あ、ゆっくりで良いぜ。敵が現れたら、俺が対処するよ」

上条が拳の感触を確かめるように、ゴンゴン、と両拳を打ち付ける。

「…できンのか? この業界、油断と慢心はすぐに命取りになるぜ」
「リーダーの資料はさっき読んだし、向こうがコッチを無視するなら突っかからねぇよ」

上条が冷静に答える。
浜面は「ふむ…」と納得するように頷くと、無線機に語りかけた。

「つーことだ、フレンダ」
『りょーかい。…麦野に良いトコ見せたいとか、そーゆーこと、考えるんじゃないわよ』
「出来ることをやるだけですよ」

上条が、リラックスした笑顔で応えた。




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140 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:10:14.081LVFMyPLo (19/30)

パンッ、パンッ、パンッ……

『金庫室』の陵辱劇はまだ続いていた。
スカジャンは満足したのか、煙草を喫いながらデータの移行を監視している。

「…チッ、反応無くてツマンネーな…」 
                                        ・ ・ ・
既に、2人に何度か射精されたのか、佐天の股間は出血と精液でまだらピンクに染まっている。
今は後背位でメッシュに犯されているが、身体全体が脱力していて、呼吸もひどく浅い。

「………うっ!」

程なく、短く呻いたメッシュが何度目かの射精をする。
佐天は声1つ上げない。

「おーい、満足したなら、そろそろ引き揚げの準備しようや」
「ふぅ… そうだな、『体晶』を金庫から出しとくか……」

そう言って、メッシュが何気なく視線を金庫に向ける。
すると、その横顔が眩い光に照らされた。

「…………あ?」

光の方へ向くと、壁の一箇所が同心円状に発行し、白熱があっという間に進んだと思ったら…

ドガァァ!!

メッシュの見つめる壁が一瞬で崩壊し、その先から一条の光線が光速で飛来し、

ズァ…!

メッシュの頭部が、一瞬で蒸発して消えた。




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141 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:10:55.871LVFMyPLo (20/30)

「な、な、何だッ!?」

相棒が一瞬にして物言わぬ肉槐に姿を変え、スカジャンは狼狽して光線の大本を凝視した。

「…ん、ようやく目的地に到着したかな?」

綺麗に丸く穴の空いた壁から、ひどく場違いにのんびりした声が聞こえ、果たして、麦野沈利がその端正な顔を見せる。

「あー、誰かに当たってたか… 『体晶』も消し飛んでないでしょうねー」

麦野はメッシュやスカジャン、それに佐天の姿を視界に入れてはいるが、
『金庫室』の惨劇などお構い無しにキョロキョロと周囲を観察した。

「お、あの金庫か、情報通りね。さて、頂いていきましょう……」

その、完全にスカジャンを無視した言動が、怒りの導火線に火をつける。

「舐めやがってッ!!」

部屋に隠していたサバイバルナイフを手に取ると、スカジャンはいまだ自分を無視する麦野に突っかかった。

「死ねぇぇ!!」

ナイフの切っ先を麦野の顔面に突き出す。
万人が身構えそうなその突撃に、しかし、麦野は全く慌てるそぶりを見せずに、ただ、うるさそうに掌をナイフに向けた。

ポワ…ッ

麦野の掌が淡く発光する。

「……………ッ!!」

最早勢いを殺せないスカジャンは、そのまま麦野の掌目掛けてナイフを突き出し…
ナイフもろとも、片手が前腕まで消失した。




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142 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:11:32.261LVFMyPLo (21/30)

「………へ?」

スカジャンが、己の消えた四肢を不思議そうに見つめる。
そこにあったはずの片手は消え去り、白い前腕骨と、沸騰して湯気を立ててる太い血管が見える。

「ぎゃぁぁぁぁ!!」

痛みが一拍遅れでやって来て、スカジャンが悲痛な叫び声を上げる。
麦野が『原子崩し』を掌に展開し、スカジャンの攻撃を受けたのだ。
例えるなら、数千度の溶鉱炉に素手をつっこんだようなものだ。

「ああ、うるさい」

ズァ…ッ!

麦野が軽く手を振ると、『原子崩し』がスカジャンの頭部から胸部までを貫き、スカジャンは絶命した。

「やれやら… これだからやっすい仕事は… ん? この娘は何かしら?」

その時点で初めて気付いたのか、麦野が虫の息の佐天を発見する。

「あーらら、輪姦されちゃったのか… ん~……」

突入前に読んだ資料を思い返す。

(確か、企業側が用意した囮が居たわね… それがこの娘か…)

金庫の扉を『原子崩し』で焼き切り、中にあった『体晶』を確保すると、麦野はしばらく思案に暮れた。

「ほっといてもいーんだけど……」

なんとなく、なんとなくだが、そうすると上条に嫌われるような気がする。
そういう思考に至ったことを不快に思いながらも、麦野は佐天を強引に担ぎ上げた……



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143 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:12:01.921LVFMyPLo (22/30)

「クソッ、クソッ、クソッ!!」

廃工場の中を1人で走りながら、儀房秀隆が何度も毒づく。
迎撃に出て、侵入者が『本社』である『コスモ・シリンダー』の私兵だと気付いた。
自分達が切り捨てられたことを知った儀房は、逃走ルートに指定した6番通路に向かうこともできず、絶対絶命の窮地にあった。

「データや『体晶』は諦めるしかないのか…ッ」

今から『金庫室』に戻るのは自殺行為だ。
部屋に残した2人が上手く逃走していてくれるのを強く願うが、合流するための手段が残されていない。

「ちくしょう… なんなんだよ、この大穴は…ッ!?」

儀房が、麦野が侵入するときに空けた『原子崩し』の照射後を忌々しげに見つめる。
記憶が確かなら、この大穴の先は『金庫室』に繋がっているはずだ…

「…誰かが強引に『金庫室』に侵入した。しかも、こんな大穴をいくつも空けるヤバイ奴だ… 接敵はできねぇ…」

素早く思考し、決断を下す。

「…外部から侵入したのなら、この大穴は外に繋がっているはずだ。そこには、侵入者の足があるかもしれん」

儀房は賭けに出ることにした。
この穴の先に脱出手段があることを信じて、大穴を潜る。

「…あの娘は無事だろうか」

『金庫室』に残してきた佐天を、この工場内でただ1人、儀房は心配した。



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144 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:13:06.971LVFMyPLo (23/30)

果たして、儀房は敷地の外で、あからさまに改造されたバンを発見する。

「…十分だな」

周囲の環境を確認し、バンにゆっくりと近づく。
バンの運転席には人の姿は無い。
すると、後部座席のドアが空いて、ツンツン頭の男子学生が降りてきた。

相手の姿が分かるまで近づくと、ツンツン頭が声を掛けた。

「何か用スか?」

きさくな口調だが、儀房はそんな芝居に付き合うつもりはなかった。

「誰かは知らんが、そのクルマは頂くぜ」

会話に乗ってきてくれず、ツンツン頭――上条は密かに全身を脱力させる。

「…だいぶ能力使ってるみたいだじゃねーか。こっちは無視して、とっとと逃げたら?」
「ああ、そのクルマを頂いてからなッ!!」

瞬間。儀房が己の「自分だけの現実」を展開する。
目標は、懐に隠し持ったペットボトル。
彼がソレを地面に滑り落とすと、地面に当たる瞬間、
中の水が弾けた――ッ!!


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145 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:13:33.171LVFMyPLo (24/30)

「おっとッ!!」

はじけた水の一部は高速で上条に飛来し、上条が慌てて避ける。

「水系は、マジで便利だよな……」

資料に書いてあった儀房の能力名は『純変粘水(スターチシロップ)』。
その効果は、範囲内の水塊を固体・液体・気体のいずれにも属さない粘体へと変え、自由に操るものだ。

水操作系としては比較的ポピュラーな能力だが、儀房の能力の真髄はその粘水の汎用性だ。
固くして殴ればちょっとしたハンマーとなり、あるいは、相手の顔に貼りつかせれば容易に剥がれず、相手は窒息する。

張り付きは左手の『幻想殺し』で解除できるが、水のハンマーで殴られるのはまずい。
さらにこちらは徒手空拳だ。近づかないことには話にならない。

だから、上条は儀房に向かって猛然とダッシュした。

「……ッ?」

不審に思いながらも、儀房が水槐のハンマーを上条に叩きつける。

ドコォ!!

水槐を左側に受けた上条が、横に吹っ飛んで倒れる。

「………驚かせやがって」

あまりにあっけなく決着がついたことを怪訝に思いながら、儀房はバンに近づこうとする。
倒れた上条との距離が最小となった瞬間、

「………!!」

上条が跳ねるように立ち上がって儀房に右手で殴りかかった。

「……アホかッ!!」

しかし、それを完全に予想していた儀房が、水をまとわりつかせた腕でパンチをガードする。

「あら…?」
「そんなバレバレな『死んだフリ』に騙されるわけねーだろ!!」

儀房が腕を振る。
手から伸びた水がフレイルのように変則的な動きを見せ、上条の身体に激突する。

「ぐぅ…」
「大人しく気絶しとけ!」

窒息目当てに上条の顔に水槐を貼り付かせる。

「ごぼぉッ!!」

呼吸を止められ、上条が再び地面に転がる。
暫く観察して、上条が向かってこないことを確認してから、儀房が改めてバンに目を向けた。

その瞬間――、

ピカッ!!

「うぉ!!」

バンのハイビームが突然煌き、儀房の網膜を光に染めた。
運転席に隠れていた浜面の操作だ。
視界を急に奪われて、思わず身体をくの字に折った儀房に…

「おおッ!!」

左手で張り付いた水を解除した上条が、高速のワン・ツーを叩き込む。
左手のジャブが側頭部を、右手のストレートが正確に顎の先を捉えて、儀房の脳が激しく揺らされる。

「あ、が……」

脳幹からの信号が一時的に遮断され、儀房が失神する。
多少、鼻から水が入ったのか、激しく咳き込んだあと、上条は「ふぅ…」と大きくため息をついた。



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146 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:14:07.891LVFMyPLo (25/30)

「おぉ、なかなかやるじゃ~ん!」

浜面と2人で儀房を縛り上げていると(当然、隠し持っていたペットボトルは全部回収している)、離脱に成功したフレンダが小走りに走り寄ってきた。

「ソイツ、『上』に引き渡せばボーナス貰えるかもよ」
「お、マジ? いやぁ、上条サマサマだな!」

浜面が嬉しそうに言う。

「いやぁ… 浜面さんが上手く協力してくれたからですよ」

実際、上条としてはかなりの綱渡りだった。
ハイビームのタイミングが早くても遅くても、儀房の隙はつけなかっただろう。

「あとは麦野さんだけか…」

上条が、麦野が消えた方角を見る。

「向こうから連絡は?」
「結局、無し。表の戦闘も終わったッぽいし、そろそろ引き揚げたい所だけど…」

その時、縛られている儀房がわずかに身じろぎし、目を醒ました。

「……うぅ」
「あ、起きた? 能力使わないでよ。使った瞬間、コイツを爆発させるから」

フレンダが儀房の耳の穴に粘土状の物体をねじ込む。
小さな起爆発信機がついたそれは、フレンダお手製のプラスチック爆弾だ。

「結局、アンタは負けた訳よ。大人しくしててね」

ニヤリとフレンダが笑う。
儀房は何も言わない。
何も言わず、とある行動に集中した。



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147 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:14:50.961LVFMyPLo (26/30)

(…使うか)

訓練によって調節された内外尿道括約筋を弛緩させ、少量の尿を気付かれず排泄する。
排泄された尿をコントロールし、自分のヘソの穴に仕込んだとある粉末を吸収させる。
慎重に尿を口元まで移動させ、粉末が混じった尿を、儀房は躊躇わず飲み込んだ。

「………ッ!! なに飲んだテメェ!!」

儀房の嚥下に気付いた浜面が慌てて儀房の喉を押さえようとする。
しかし、それよりも早く、儀房が能力を解放する。

ドゴォォォォォン!!

まるで爆発の衝撃波を食らったように、上条、浜面、フレンダの三人が吹っ飛ばされる。

「…な、なんだッ!?」

苦痛に顔を歪めて上条が立ち上がると、いかなる手段か、拘束していた縄を切断した儀房も、ゆらり、と立ち上がっていた。

「おおおおオオオオッッッッ!!」

ヒトのものとは思えない咆哮が、儀房の口から漏れる。
野生的な戦慄を得た上条が、仲間の無事を確認するために声を上げる。

「浜面さん、フレンダさんッ!!」
「つ~~、俺は大丈夫だ!」
「アタシも!! くっそ~、多分、『体晶』を飲みやがったんだ!!」

フレンダの発言に一応得心する。
とすれば、今の衝撃波は能力の応用なのだろう。

「周囲の水分を操って、放射線状に弾けさせた…?」

頭を捻るだけ捻って、一応の結論を得る。
だとしたら、不用意に近づくのは危険だ。

「うわ~、結局、これってピンチな訳!?」

フレンダが毒づく。爆発させないことを見ると、プラスチック爆弾も解除されたのだろう。

「ああああああアアアアアッ!!!!」

再び儀房が叫び、大気中の水分が一瞬で集まり、散弾のように弾ける!!

「……ぐぉ!」

上条とフレンダは、距離もあり何とか避けたが、浜面がダメージを食らう。

「浜面ぁ!!」
「クソッ!! おい、上条!! 当たると痛ぇぞ!!」
「そんなの分かってますよ!!」

上条が歯軋りする。
左手で散弾をキャンセルしようにも、範囲が広すぎる。

(どうするッ! どうするッ!?)

必死に頭を働かせていると、

「…結局、新人にばっかり頼ってちゃいけない訳よ!」

フレンダが動いた。




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148 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:15:30.741LVFMyPLo (27/30)

フレンダ・セイヴェルンは『アイテム』内唯一のレベル3(強能力者)だ。
その能力名は『取り寄せ(アポーツ)』。
範囲限定・重量限定・大きさ限定・よく知っているモノ限定、と様々な制約があるが、効果範囲の物品を掌に瞬間的に『取り寄せ』ることが出来る。

(相手は『体晶』で強化したといっても、結局は『水使い』ッ! だったら、いくらでも打つ手は有るって訳よッ!!)

フレンダが意識を集中し、『自分だけの現実』を現出させる。
掌に取り寄せたものは、上条が台所でよく見るものだった。

「は… 小麦粉…?」
「どりゃ!!」

フレンダが取り寄せた小麦粉の袋を投擲する。
それは空中で飛散し、儀房の周囲を白く染める。

「まだまだァ!!」

恐らく、儀房の対策にと、バンに大量に溜め込んでいたのだろう。
次々と小麦粉の袋を取り寄せて儀房に投げつける。

「ぐぐぐぐグググッ!! この、アマッ!!」

暴走した意識の中で、儀房が歯軋りする。
今の彼の演算力では、液体であれば何でも操る自信がある。
それが大気中に微細にしか存在しない水分でもだ。
しかし、これだけの小麦粉が大気中に飛散すると、それがすべてチャフとなり、演算力が追いつかない。

「ぃぃぃぃよっしゃぁ!!!」

フレンダがガッツポーズを取る横で、上条が身を低くして走る。

「フレンダさんナイスッ!!」
「おおオオッ!!」

小麦粉粉まみれになった儀房が、それでも大気中の水分を操ろうと集中する。
しかし、それよりも速く、上条が高速のステップインで距離を詰める。

「今度は痛ぇぞ!!」

ダッキングからの体幹の戻しを利用して、左ショートフックを儀房の肝臓に叩き込む。
とんでもない激痛が走ると同時に、次は右のショートアッパーが鳩尾に突き刺さる。

「か… はっ!!」

悶絶し、儀房がさらに身体を折ると、

「おおおおおぉぉぉぉぉ!!!」

地面スレスレを上条の拳がかすり、そのまま天頂方向に軌道を変えたアッパーが儀房の顎を打ち貫いた…ッ!!
儀房の身体が宙を舞い、背中からバタリと倒れる。

「…終わった、よね?」

緊張が解けたのか、ガッツポーズのまま固まっていたフレンダが、脱力して、へなへな、とその場に崩れ落ちた。


.


149 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:16:03.531LVFMyPLo (28/30)

「ん~、頑張ったみたいね。うむうむ、大儀であった」

麦野がバンに帰還すると、どっと疲れた表情の3人が出迎えた。
儀房は協力な睡眠薬で眠らせてある。

「あ、一番の殊勲はアタシだかんね。麦野ぉ、ギャラの増額ヨロシク♪」
「アンタは… まぁ、ボーナスは申請しといてあげる」
「やったー!! …で、麦野の『お土産』はなんなの?」

フレンダが、いまだ意識の戻らない半裸の佐天を指差して言う。
男2人が、どう扱っていいか分からずにあたふたしている。

「アタシのマンションに滝壺と絹旗を呼んでちょうだい。
 とりあえずは、2人に治療させてから考えるわ。
 アンタはソコの男を『上』引き渡してちょうだい」
「うぃ、了解。なーに買おっかなー♪」

嬉しそうにフレンダが小躍りする。
それを見て苦笑した麦野が、不意に真面目な顔をして佐天を見る。

(ホント、どうしたもんかしら……?)

自分が起こした気まぐれを扱いかねて、麦野はこっそりとため息を吐く。
そして、「とりあえず、毛布を…!!」「膣洗浄とかした方がよくねッ!?」と騒いでる男の片割れを見る。

……自分が佐天を担いで現れたとき、上条は何か救われたようなホッとした表情をした。
それを、なぜだかその表情を大事にしたい、と、麦野は脈絡も無くそう思った……




.


150 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:16:33.651LVFMyPLo (29/30)

――ぼんやりとした意識の中で、佐天が会話を聞く。

自分は助かったのだろうか、それとも、いまだ闇の中なのだろうか?

夏休み初日が、終わろうとしていた……



.


151 ◆yEFBo3BAb.2012/10/22(月) 00:18:16.751LVFMyPLo (30/30)

以上。

むぎのんエロは次回にまわします。
それでは、またキリのいいところか来週の月曜日に投下します。

あと、二回目の安価でうえのみだと佐天さん死んでました。


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/22(月) 00:39:44.10uH5FoLXSO (1/1)

乙。意外とあっさりしてたなー。
佐天ちゃんもアイテム入りして上条さんとむぎのんと△関係ヤったりするんだろうか…

むぎのんめっさ楽しみ


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/22(月) 02:20:25.15BwOJlO1DO (1/1)


嫉妬するむぎのんを見てみたいけど佐/天は嫌だなww

ここのフレンダもフレ/ンダにはならないで欲しいもんだ


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/10/22(月) 02:55:53.040y7k1Ra00 (1/1)




155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/22(月) 03:08:14.29KI1n1KNIO (1/1)



浜/面の心配もしてやれやwww


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/22(月) 06:46:11.33Nj075aDio (1/1)

H/A/M/A/D/U/R/A/☆


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/22(月) 06:49:15.71JNiGsnyU0 (1/2)

死ぬよりマシだけど全然良くないorz


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/22(月) 06:51:43.68JNiGsnyU0 (2/2)

超電磁砲二期バンザーイ!


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/22(月) 13:15:45.81YC8xMvGh0 (1/1)

これは期待だね。
面白い。麦野可愛いよ。


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/22(月) 16:11:19.20fKwL6SFDO (1/1)

浜/面しとけよ


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/10/22(月) 19:31:28.18zPQVnlHg0 (1/1)

二期万歳!


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/22(月) 22:44:30.61SAvsrxGy0 (1/1)

映画禁書かもんアニレー2期かもん

ということで、乙


163 ◆yEFBo3BAb.2012/10/28(日) 23:08:29.14c9fsT8Xto (1/1)

うん、もう日曜日でいいや。

キリがいいところまで書けたので、0時より投下します。

今回はだらだらしたエロ回です。
滝壺がようやく登場しますが、あんまり出番はありません。

あと、投下終了後に佐天関連の安価をします。

それでは、約一時間後に。


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/28(日) 23:09:11.694W7odJSSO (1/1)

よっしゃ!むぎのん楽しみだっぜ


165 ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:01:08.28022wO7Y+o (1/18)

それじゃ投下開始。

今回は30kb弱。

はじめまーす。


1661話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:02:26.10022wO7Y+o (2/18)



シャァァァァ……

「……………ぁ」

肌を打つ熱量と、股間の刺すような疼痛に意識が覚醒する。
網膜から送られた光情報を、ようやく後頭葉が知覚すると、佐天の周囲には湯気が漂っていた。

「お、超気が付きましたか? よかったです。このまま植物人間かと、超心配しました」

佐天の正面から声がする。
ぼやける焦点を必死に合わせると、自分の股間に蹲っている栗毛色の髪が見えた。

「―――ひっ!!」

一瞬、悪夢の続きかと誤解し、慌てて身を引こうとすると、背中にとても柔らかい感触が、ぽわん、と弾んで、

「だいじょうぶ、きれいにしているところだから」

と、のんびりした声が耳元で聞こえた。

「え、えっと…」

混乱した頭で周囲の状況を確認する。
むっとする湿気を帯びた小部屋に、自分を含めた裸の女性が3人。

「おふろ…?」
「はい。医療用ビデを使っての膣洗浄は超終了しましたので、次はお尻の穴です。
 少々裂けてますので、滲みると思いますが、超我慢してください」

声と共に、自分の肛門に生暖かい液体が掛けられる。

「……痛ッ!!」

宣言された通り、滲みるような痛みがあって、佐天が呻く。
すると、背後の女性が、佐天が動かないように優しく抱きしめた。

背中の感触で分かるかなり大きなおっぱいが肌に潰れて気持ち良い。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ… 綺麗にした後はお薬塗るからね?」

構図的には、レイプされたときとあまり変わらない状況だが、穏やかな口調と、温かいお肌の触れあいが佐天の緊張をとく。

「酷いことを……」

肛門を洗浄する栗毛の少女――絹旗がポツリと漏らす。

「けっこう強い薬を使ってはいますが、しばらくはトイレが地獄になると思います。必ずウォッシュレットで洗浄するのを忘れないで下さい」

絹旗の言葉に、自分が何をされたのかを改めて思い出す。

「ひっく… ひっく…!」

あの時の恐怖が想起され、佐天の瞳から涙がこぼれる。

「よしよし、怖かったね……」

背後から抱きついた少女――滝壺理后が、優しく佐天の頭を撫ぜた。




.


1671話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:03:09.45022wO7Y+o (3/18)

「…済んだ?」

24畳はあるだだっ広いLDK。
その中央のソファに座った麦野が、バスルームから出てきた3人に声を掛けた。

「はい、治療は超終わりました。けど、明日、きちんと医者に見せたほうがいいですね」
「それはその娘の判断ね」

場所は麦野の高級マンション。
この場に居るのは、家主の麦野、佐天の治療のために呼び出された絹旗と滝壺、治療を受けた佐天、それと、強制的にこのマンションに引っ越した上条。
さらに、「帰れ」と言われたのに、やや強引に上がりこんだ浜面の6人だ。

「…グスッ、あ、ありがとう、ございます… グス… グス…」

まだまだ、泣き止みそうにない佐天が、しかし、頑張ってお礼を言う。
治療した2人に、自分を助けた恩人が、このきつい目の美人だと教えられていたからだ。

しかし、麦野の反応は冷淡だった。

「別に… たんなる気まぐれだし……」

麦野の言葉に、佐天の背筋が、ビクッ、と伸びる。

「おいおい、麦野よぉ…」

浜面が軽く抗議しようとするが、麦野に冷たい目を向けられて、しゃべる姿勢のまま固まる。

「つーか、テメェなんで居るんだよ? 帰れつっただろ?」
「いや… その娘が心配だったし…」
「はぁ? 輪姦された後に、男に心配されてもうれしくねーだろ? 下心アリアリの癖にうぜぇ…」

麦野の台詞に、佐天が思わず浜面から距離を取る。

「あっ!! いやいや、マジでそんなこと考えてないから! 誤解だから!!」

浜面が慌てて否定する。
と同時に、なんでこの女は、いきなりこうも不機嫌なのだろうか、と考える。

(現場から撤収するときは機嫌良かったよなぁ… あの娘がバスルームに消えて、『上』に事後処理の報告を受けてからか…)

『仕事』の後始末などの連絡を受けるのは、いつもリーダーである麦野の役割だ。
共有が必要な情報だったら教えてくれたりもするが、基本、麦野はあまり『上』からの報告を語らない。

(何か、癇に障ることをいわれたのか、な…?)

冷や汗だらだらでそう思い、近くに居る上条に目線でヘルプを送る。
上条も、今日一日で親しくなった浜面をフォローしたいが、不機嫌な麦野を見るのは慣れていないため、どうにも躊躇ってしまう。

いやーな雰囲気が流れて、お互いが気まずそうに顔を見合わせていると、
麦野が突然頭を、ガシガシ、と乱暴に掻いて言った。

「……シャワー浴びてくる。滝壺と絹旗、悪いけど、その娘の面倒、最後まで見てやって。アタシは…無理」

それだけ言い残して、麦野沈利はバスルームに消えた。

「……はぁ、麦野は、超拾ってきた猫の育成を母親に任せるタイプですね」
「それだけやさしいんだよ」

ここに居る誰よりも麦野との付き合いが長い2人には、麦野の心情がある程度分かるようだった。
滝壺が、「とりあえず、すわろ?」と佐天を促し、絹旗が「キッチン、超勝手に使いますよ」とキッチンをあさり始めた。



.


1681話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:05:34.78022wO7Y+o (4/18)

「『体晶』で能力発現ですか… 超申し訳ありませんが、それは完全に詐欺ですね」
「そうなん、ですか…」

絹旗が作ってくれたホットミルクを啜りながら、佐天は、ほぅ、と溜息を吐いた。

「そうだね… それに、あれは無闇に使うものじゃないよ…」

滝壺がやけに重い口調で言う。
それもそのはずで、彼女の『能力追跡(AIMストーカー)』は、『体晶』による能力増幅が前提条件となる能力だ。
そのため、稀にでは有るが、確実に『体晶』を使用するケースがあり、『体晶』のデメリットも熟知している。

「使った後は、丸一日ふらふらするし、熱出るし、良い事ないよ」
「まぁ、ああいう滝壺は見たくねぇな。痛々しくてよ」

佐天から一番離れた席に座った浜面が言う。
…あそこまで麦野に言われたのに、それでも帰らない浜面を、上条はすごいと思った。

「…半分は詐欺だと思っていました。けど、少しでも可能性があるならって…」
「すべて他人任せの可能性なんて、超失敗するに決まってますよ」

言い訳めいた佐天の思考に、絹旗が釘を打つ。

「…はい、迷惑をかけてすいません」
「ま、麦野もああ言ってますし、超出来る限りのフォローはします。
 …『精神洗浄』とか、やる覚悟があるならツテを紹介しますよ?」

絹旗が言う『精神洗浄』とは、薬、ないしは高位能力を用いての記憶操作だ。
心的外傷や情報の忘却などに使われるもので、一般人には馴染みが薄いものだ。
もちろん、方法によっては後遺症も存在する。

「えと、えっと……」

佐天の瞳が迷うように揺れる。
そして、その頚が縦に振られようとしたとき、滝壺の制止が入った。

「だめ、忘れちゃだめ」

柔らかく、しかし有無を言わせぬ言葉だった。
絹旗が軽く肩をすくめ、浜面が静かに頷いた。

「まぁ、そうだな… 俺も忘れないほうがいいと思うぜ。失敗は投げ出したり忘れたりするもんじゃねぇ、向き合うもんだ」

重々しく言う、が、芝居臭い。

「くさっ! 滝壺がいるからって、背伸びしすぎです…」

絹旗が鼻をつまんで顔の前で、ぱたぱた、と手を振る。

「あ、強引に残っているって、そーゆー…」
「ば、ばか、ちっげーよ!!」

上条が得心したように手を打ち、浜面が慌てて否定する。

「しかも、彼女を心配するフリしてダシに使っています。超最低ヤローです」
「むぅ… これは上条さんもフォローできねぇ…」

絹旗がさらに追い討ちをかけ、上条もそれに同調する。

「お、お前ら…」

狼狽し、しかし、なんとか笑顔だけは崩さないまま、浜面が、ちらちら、と滝壺を見る。
彼女は、にこにことした笑顔を崩さずに言った。

「だいじょうぶ。最低ヤローなはまずらも応援している」
「いや、応援しないでくれ…」

がっくりとうなだれる浜面。
それを見て、佐天の顔にようやく微かな笑みが浮かぶ。

「ふふ…」

それを見た絹旗と上条が目線を交わし、そっと溜息を吐いた。



.


1691話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:07:18.27022wO7Y+o (5/18)

「…まだ居るし」

ほどなくして、タオルで頭にターバンを巻いた、バスローブ姿の麦野が現れた。

(うーん、すごい… 美女ってこういう人を言うんだろうなぁ…)

その余りにもの『らしさ』に、佐天が素直に感嘆する。
同級の中では、発育は良い方だと思っているが、これから、どう成長してもこの雰囲気を出せるとは思わない。

「あー、それじゃ、俺はそろそろ…」
「ねぇ、むぎの。今日は泊まっていっていいでしょ?」

流石にこれ以上は無理だと判断した浜面が腰を浮かせるが、それに被せるように滝壺が言った。

「え?」
「ね、ここのソファで寝るから」

滝壺の提案に、麦野がげんなりとした顔を作る。
ほぼ、麦野沈利の意思で動く『アイテム』だが、唯一、麦野に意見を言えるのが滝壺だ。
滅多に自己主張をすることはないが、だからか、たまに言う意見は中々曲げることはない。

「…勝手にしなさい。アタシはもう寝るから、騒がないでよ」

本当に興味がなさそうに麦野は言って、自分の部屋のドアを開けた。
そして、上条を、ジロリ、と睨むと、人差し指を手前に、クイクイ、と曲げて「上条クンはこっち」と言う。

「あ、はい……」

半ば予想はしていたが、流石にこの人数の前での指名は恥ずかしくて、なるべく他の顔を見ないようにして麦野に駆け寄る。

「あの、俺… うわっ!」

何か言いかけた上条を、突き飛ばすようにして部屋に放り込む。
微妙な顔をした面々をチラリと見ると、麦野は一言「おやすみ」と言って、ドアを閉めた。

「……ま、あとは超哀れな彼氏に任せましょう。っていうか、滝壺は何を持ってきたんですか?」

嘆息する絹旗が滝壺を見ると、彼女はかなり大きなリュックをがさごそと漁っていた。

「えへへ、じゃ~ん、みんなでやろうとおもってたんだ」

滝壺が取り出したのは、一昔前――ただし、学園都市の外ではまだギリ現役――の家庭用ゲーム機だ。

「あー、そういえば、この前、第7学区で買ってましたね…」
「人数がそろうチャンスをまってたの」
「うわー、懐かしいです……」

興味がある風の女性3人に混じって、1人浜面はあぶら汗を流す。

(えっと… 多分、ドアの向こうじゃ麦野が上条とヨロシクやってて、俺はここでかわいい女の子3人と朝までゲーム…!?)

「はまづらもやるよね?」

好きな女の子の可愛い笑顔。
これは楽園なのだろうか、それともハニートラップの入り口なのだろうか。
どこまで理性が持つのか分からないまま、浜面は性欲との戦いを決意した……




.


1701話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:09:08.87022wO7Y+o (6/18)

部屋に入るなり、麦野はベッドに腰掛けると、枕元のサイドボードから小さなポーチを取って上条に投げ渡した。

「おっと…!」

上条がポーチをキャッチして怪訝そうな顔をすると、麦野は長いおみ足を上条に向けた。

「ペディキュア剥がして、ネイルケアしてちょうだい」

麦野の言葉に上条は戦慄する。
当然、女性の爪のケアのやり方など知らない。

「えーっと…」
「心配しなくても、そのポーチに道具一式とやり方書いたメモがあるから。…丁寧にやりなさいよ」

そう言われて、ポーチの中身を物色すると、様々な化粧道具と、雑誌の切り抜きが丁寧にスクラップされた小さくて可愛いノートが出てきた。
その、あまりにも女の子なノートを見て、麦野沈利にもこんな側面があるのだと感心する。

(鼻歌を歌いながら、ファッション雑誌のスクラップを作る麦野さん… うん、アリだな、アリ)

「なにニヤケてんのよ、早くしなさい」

そう言うと、麦野は、ドサッ、と上体をベッドに倒す。
ベッドに仰向けになって、足だけ投げ出した格好だ。

麦野に急かされて、上条は慌てて麦野の足を持ち上げた。
ノートの1ページ目を凝視して、恐る恐る『non acetone』と書かれた除光液を取り出す。

「あ… 下準備がいるのか……」

除光液のキャップを開ける前に、麦野の足指の間にスポンジを挟み込む。

(うーん… なぜだか知らんが興奮するな……)

麦野の足はひと目で分かるほど形が良く、――変態的だと思うが――思わず舐め回したい衝動を覚える。

「除光液をティッシュに浸み込ませて……」

恐る恐る、鮮やかオレンジに染まった爪にティッシュを当てる。
しばらく時間を置いてティッシュをずらすと、気持ち良いくらいにペディキュアが剥がれた。

「お…!」

やってみると意外と楽しい。
コツを掴んだ上条は、ただし極めて慎重に、残りの爪のペディキュアも一気に剥がす。

「次は、えーと、爪磨きか……」

ぺらぺらしたプラスティックの研磨シートをつまみ、『コレを参考に磨く!!』とメモ書きされた写真を横目に、一心不乱に麦野の爪を磨く。

こしこしこしこしこし……

しばらく静かな時間が流れる……
麦野は、天井を仰ぎ見たまま何も言わない。
上条も、沈黙の雰囲気を感じ取り、何も言わない。




.


1711話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:13:11.97022wO7Y+o (7/18)

不意に、麦野が言葉を作った。

「………ねぇ、上条クン?」
「………はい?」

手の動きを休めず上条が答える。

「あの娘、可哀想だと思う?」
「それは…………」

上条が言葉を選んでいると、麦野が上体を、むくり、と起こす。
その拍子に、バスローブの袷が開いておおきなおっぱいがこぼれたが、麦野は隠そうともしない。

「おべっか使わなくていいから、素直に答えて。上条クンの本音が聞きたいの」

真剣な目で言う。

「そりゃ… そうスね…… やっぱり、可哀想だと思います。無能力者の劣等感って、クラスメイト見てりゃこっちも感じますし。
 自業自得かもしれないけど、初体験がレイプだなんて、許せないです」

麦野の目をみてしっかりと言う。

「そう、そうよね…」

予想通りだが期待はずれ、そんな雰囲気ありありで麦野が口を尖らせる。

「麦野さんは、そうは思わないんですか?」

上条が踏み込んで問う。麦野は聞かれたがっている。そう感じたからだ。

「………………………」

麦野が顔を不機嫌にしかめる。しかし、その不快感は上条に向けられたものではなかった。

「……この学園都市において、無能力者(レベル0)であることがどんなに幸せなことか、あの娘はそれが分かってないのよ」

独白するように、麦野沈利が一気に言う。

「どういう、ことですか?」

麦野の言葉の意味が分からない。
この学園都市では、レベルは学生のヒエラルキーそのものだ。
それなのに、頂点に立つ超能力者(レベル5)である麦野がそんなことを言うのはおかしいと思った。

しかし、麦野は上条の質問には答えず、逆に上条に聞き返した。

「上条クンは、どうして自分の能力を秘密にしていたの?」
「えっ? ああ、いや、大した理由じゃないんですけど……」

上条の脳裏に、優しい目をした老教師の顔が思い浮かぶ。

「…俺は中学のときのシステムスキャンで無能力者(レベル0)だということが分かったんですけど、ひょんなことからこの『幻想殺し』があることを知りました」

じっと、自分の左手を見つめて言う。

「そん時は、嬉しくて… で、まず最初に一番親しい友達、そして、担任の先生に報告したんです」

その教師は、定年をはるかに過ぎて、なお教壇に立っていた老教師だった。
しかし、その教師は喜ばなかった。それどころか、これまで見せたこともない、鬼の様な形相でこう言った。

『上条くん、この能力のことは、誰にも言ってはいけない。
 君は、最後まで無能力者を装ってこの実験都市を出て行きなさい…!』

この言葉は忘れることができない。
普段は温厚な老教師が見せる鬼の形相に、幼い上条は、自分がとんでもない能力を宿していることを知った。

「……そっか、良い先生に出会えたわね」
「はい… でも、なんで秘密にするように言われたのかはさっぱりで…」
「わからないの?」

麦野にそう言われ、上条は必死に頭を捻る。
捻って捻って捻りまくって、しかし、マンガのような理由しか思い浮かばない。

「か、解剖されちゃうとか…?」

ハハ、と引きつった笑いを浮かべて言う。
冗談のつもりだが、麦野に通じなかったらどうしよう、と上条が冷や汗を流す。だが、

「なんだ、わかってるんじゃん」

予想外の回答がきた。


1721話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:14:21.21022wO7Y+o (8/18)

「へ…?」
「その先生は、この学園都市の闇を少なからず知っていたんでしょうね…
 いえ、『実験都市』なんて言い方するくらいだから、相当深いところまで知っていたのかもしれないわ」

呆然とする上条を尻目に、麦野が言葉をつなげる。

「あらゆる能力をキャンセルする能力だなんて、どんな系統にも属さない、オンリーワンでミラクルな能力よ。
 …研究者が知ったら、涎どころか、精液垂れ流すんじゃないかしら」

麦野の下品な表現で上条が我にかえる。

「じゃ、じゃあ、先生がああ言ったのは…!」
「非人道的な研究から、キミを守るためでしょうね…」

そう言って、麦野が心に微妙な感情を作る。

(そうやって、いろんな人が守ってきた子を、私が拐かしたわけか…)

彼女としては本当に珍しいことに、麦野沈利は少しだけ自分の行動を悔やんだ。

「上条クン… 貴方が考えている以上に、この学園都市の闇は深くて、濃いの。
 外より10年以上進んだ科学を、『ノーリスク』で享受できることが、幸せ以外の何だと言うの?」

麦野が、上条の瞳を、じっ、と見て言う。

「…考えたこともなかったです」
「今からはよく考えなさい。必要になるから…」

そう言って、麦野は上条がケアした足の爪を、ためつすがめつ眺めた。

「…ン、初めてにしては上出来かな……?」
「え、そうですか? よかった……」

上条はホッと胸を撫でおろし、自然な笑顔を浮かべた。
声色から、多少は麦野の機嫌が直ったことを感じたからだ。

そんな上条の仕草を見て、麦野は複雑な感情のうねりを感じる。

(…贖罪? それとも、彼に媚でも売ってるのかしら…?)

彼女の機嫌が突然悪くなった理由。
それは、『上』から儀房の処理が完了したと報告を受けたからだ。  .・ .・ .・
そして、『上』が通達した儀房の末路は、元鞘の『コスモ・シリンダー』研究部預かりになる、というものだった。

(一生、研究者の実験動物になるのか… それとも……)

そこまで考えて、麦野沈利は思考を止めた。
そして、このことは決して上条には言わないと決めた。

(…人殺しはさせないって、約束したからね)

どうして自分でもそんな約束を守ろうとしているのか……
麦野沈利は、分かっていることを分からないことにすると、はだけたバスローブを脱ぎ捨てて一糸纏わぬ姿になった。


1731話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:14:48.83022wO7Y+o (9/18)

「あ、麦野さん……!」

期待と興奮で声が上擦る。
隣の部屋には、浜面はじめ4人の男女がいるが、この裸体を見たら、羞恥など吹き飛んでしまう。

「今日は疲れているし、昼間にたっぷりサービスしてあげたから、今夜は全受けでいくわ。
 アタシが満足できるように、頑張ってリードしてね」

そう言うと、今度は両足そろえてベッドに仰向けに寝そべる。
形の良いおっぱいが、重力に逆らって天を突く。

「…わかりました、頑張りますッ」

上条とて、リードされっぱなしは男として嫌なものだ。
リードした経験など全く無いが、男子学生の嗜みとして読み漁った各種参考書――つまりはエロ本――の内容を真剣に思い出す

(まずは、Aからだよな…)

昨夜のセックスで、麦野がキス魔であることは何となく理解していた。
上条は、「麦野さん、キスします…」と声を掛けると、静かに目を閉じた麦野と口唇をあわせた。

柔らかい… 昨夜は興奮しすぎて感じられなかった口唇の感触に、上条の鼓動が速くなる。

「ん… ちゅ… ちゅ……」

啄ばむようなキスを暫く繰り返すと、上条は舌を麦野に這わせながら、ゆっくりと頭を下げていった。
程なく、目標地点である豊乳の先端に到達する。

「……私のおっぱい、好きなの?」

わずかに潤んだ瞳で麦野が言う。
上条はそれには答えず、麦野のおっぱいにむしゃぶりついた。

「あン… あぁ…!」

敏感な乳首に吸い付かれ、麦野がたまらず息を吐く。
その反応に手ごたえを感じた上条が、さらに乳首を舌で嬲る。

じゅぷ、じゅぷ、じゅぷ……!

舐め続けていると、乳首がわずかに勃起したのが分かる。

(麦野さん、感じてるんだ……!)

軽い感動が上条の心に生まれ、ペッティングにますますのめり込んで行く。
片方の乳首を舌で転がしながら、もう片方の乳首を手で愛撫する。
固くしこった乳首を、指で挟んで弄ると、麦野の身体が小さく震えた。

「はぁん… くぅ…」

何かを堪えるように麦野が呻く。
口での愛撫をそのままに、手でおっぱいを鷲掴みにして掌で乳首を、ゴリッ、と刺激する。

「…ンッ!!」

麦野の身体が明らかに跳ねる。

(激しいのが好きなのかな…?)

試しに、口に含んだ乳首を上下の歯で捉えて、コリコリ、と甘噛みをしてみる。

「あん! そこぉ……」

効果は劇的だった。
麦野は、もう離さない、といった風に上条の後頭を両手で押さえる。
頭を拘束された上条は、それならいっそ、と一心不乱に乳首を責める。

じゅぷ、カリ、コリ…!

全身から麦野の鼓動を感じる。
十分に麦野が昂ぶったと感じた上条は、唯一フリーな片手をそっと麦野の股間に回す。

「……ン」

太ももを遠慮がちに撫ぜると、麦野はその行動を待っていたかのように股を開いた。
女性器の形状を必死に思いだして手で探ると、柔らかい陰毛の先に複雑な器官に触れ、

ぐちゅり…

麦野沈利が濡れていることを知った。


1741話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:15:14.30022wO7Y+o (10/18)

濡れた性器を指で弄り回す。
偶然、指が敏感なクリトリスを爪弾いて、麦野の身体が跳ねる。

「あッ… そこは優しく扱ってちょうだい……」

滅多に聞けない麦野の懇願。
そこに支配する喜びを感じた上条が、やや乱暴にクリトリスを指で押し潰す。

「きゃん!! もぅ、駄目じゃない……」

口ではそう言っていても、麦野は抵抗する素振りを見せない。
それを無言のメッセージだと感じた上条は、中指で膣口を探り、そのまま、ずぶずぶ、と指を根元まで押し込んだ…!

「はぁぁぁぁぁ…!」

努力呼気を全開にして麦野が悦楽の声を上げる。
ここが勝負どころだと感じた上条は、膣に埋まった中指を引っ掻くように動かし、親指でクリトリス押し潰す。
さらに、両の乳首も口と指で刺激を加え続ける。

「ああッ!! それ、駄目ぇ!! おかしくなるッ!!」

予想外な4点責めに、麦野の快楽のメーターが一気に振り切れる。

「ひぃ! あっ、あっ、あっ… あぁぁぁぁぁ!!!!」

頭を掴んでいた両手をベッドに叩きつけ、シーツを滅茶苦茶に掻き毟る。
おとがいが限界まで反り上がる。

「イク… イクぅ……ッ!!」

一瞬、ブルリ、と大きく身体を震わせ、おこりに掛かったように身体を突っ張らせた後、麦野は糸が切れたように脱力した。

「……っ、は~~…」

全力の愛撫で疲労した上条も、ようやく一息をつく。
膣から指を引き抜くと、麦野をつぶさないようにベッドに倒れこむ。

「ふぅ… はぁ、はぁ……」

荒い息をゆっくりと整えると、はにかむような笑みを上条に見せる。

「…イカされちゃった、馬鹿ぁ」

初めて見せた麦野のその笑顔は、再び上条の身体に灯を入れるに十分な破壊力を持っていた。


1751話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:16:07.43022wO7Y+o (11/18)

『麦野さんッ!!』
『きゃ、もぅ… イッたばかりなんだから、最初はゆっくりね……』

ドアの向こうからやけにはっきりと声が聞こえる。

「あぅあぅ… 声が大きすぎますよ……」

ひたすらゲーム画面を凝視することに集中し、他からの情報をシャットダウンしようとするが、どうしても耳が音を拾ってしまう。

「あぁー!! そこのエリアは私の店が3軒あるのに! 絹旗、超卑怯ですッ!!」
「ふふふ、株の相乗りはいたストのきほんだよ」

絹旗と滝壺は慣れているのか、隣室の艶声などどこ吹く風でゲームに集中している。

「…あの、みなさん、平気なんですか?」

顔中を真っ赤にして佐天が呟く。

絹旗と滝壺は、「ん?」とお互いに顔を見合わせると、絹旗が諦め顔で、ぱたぱた、と手を振る。

「麦野は超アノ時の声が大きいですからねぇ… もう、超慣れっこです」
「きもちよさそうだよね、むぎの」

少女2人がなんでもないように言う。

ちなみに浜面は、

「あれは父ちゃんと母ちゃんのセックス… あれは父ちゃんと母ちゃんのセックス……!」

と念仏のように呟くことで、なんとか平静を保っている。

「てゆーか、今の段階で超ギブアップですか? これからが超凄いんですけど…」

絹旗が何気なく言った言葉に、佐天と浜面が石像と化す。

「………え、なんで?」
「だって、これから本番みたいですし、麦野、超ケモノな声を出しますよ」

ぼん!

ブレーカーが落ちたように佐天が側面に倒れこんだ。


1761話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:17:05.87022wO7Y+o (12/18)

「あんッ! あんッ! あんッ!! もっとッ! もっと、おまんこ突いてぇ!!」

折り畳まれた屈曲位で激しく腰を打ちつけられた麦野が吼える。
時折、お互いの陰毛が絡み合うまで深く腰を打ち込んで、情熱的なディープキスを交わす。
前戯によって充分に潤った麦野の膣からは、ペニスとの摩擦で白濁した愛液が吹き出す。

「はぁ、はぁ… うっ… 出る…ッ!!」
「いいよ! 腟内に出してッ!!」

ドクッ、ドクッ、ドクッ……

子宮口に直接ぶっ掛ける勢いで射精する。
体奥に暖かい奔流を感じ、麦野は多幸感を感じた。

「薬のんでなきゃ、絶対妊娠してるわ、これ……」

下腹部を撫ぜながら麦野が言う。

「…ゴム着けろって言われたら、ゴム着けますよ、俺?」

避妊薬が少なからず母体へ影響を及ぼすことを考え、上条が躊躇いがちに言う。

「アタシは腟内射精が好きなのよ。生ハメもね」

妖艶な笑みを浮かべて言う。

「アンタは変なこと考えないで、どばどば精液を注ぎなさい」

そう言って、麦野の膣が妖しく収縮する。

「…それじゃ、次はバックで行きます」

瞬く間に硬度を取り戻したペニスを埋め込んだまま、ゆっくりと麦野の身体を半回転させる。

「……ガンガンいってね」

麦野の言葉を合図に、手形が付くほど麦野の腰を掴んだ上条が、ガンガン腰を振り始めた。



.


1771話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:17:36.02022wO7Y+o (13/18)

『ああ! 凄いッ!! 上条クンのおちんちんが子宮突いてるッ!! 気持ちいいッ、おまんこ融けちゃう!!』

相変わらず、リビングには丸聞こえだった。

「おーおー、今日は超特に激しいですねー。流石、我が『アイテム』が誇るビッチむぎのんです」

コントローラーをかちゃかちゃ動かしながら絹旗が言う。

「きもちよさそーだねぇ」

行為の内容を分かっているのかいないのか、滝壺が無表情にそう呟く。

「こーなると向こうが終わるまで眠れませんから、ゲームの存在は超ありがたいですね… よっしゃ、ボンビーのなすり付けに成功ッ!!」
「ぐ… きぬはた、卑怯……」
「なーにいってるんですか、超常套手段です♪ はい、次は貴女の番ですよ」

絹旗が傍らの佐天にコントローラを差し出す。

「………あ、ども」

先ほどまでは顔を真っ赤にして「うひゃあ…」とか、「すご…」とか呟いていた佐天が、妙に神妙な顔をしてコントローラを受け取る。

「……? 超どうかしましたか?
「いえ…… 本当はあんなに気持ち良いものなんですね、セックスって……」

その台詞に、絹旗と滝壺が顔を見合わせる。

「はぁ… まぁ、世間的には超そーゆーもんでしょう。しかし…」

チラッと絹旗を見る。

「私も滝壺も超処女ですから、超アレがどんだけ気持ちいいのかは、よく分かりませんけどね」
「そう、なん、ですか……」

内心の動揺を隠して佐天が言う。
自分より年下に見える絹旗はともかく、明らかに年上で、お風呂で豊満なおっぱいを堪能した滝壺が処女とは意外だった。

「……あ、ねぇねぇ、はまづら?」

その滝壺が、最早地蔵のように表情を固めた浜面に話しかけた。

「………………は、なに、滝壺……?」

殆ど唇を動かさずに、極力、滝壺を見ないように浜面が言う。
が、しかし、滝壺は強引に浜面の視界に入るように身をくねらせて近づくと、ほんのり微笑をたたえて言った。

「はまづらも、女の子を気持ちよくさせたことあるの…?」
「ぐはぁぁ!!」

血を吐くような叫び声を上げて、浜面が真横に倒れ込む。

「鬼だ… 超鬼が居ます……」

戦慄の表情で絹旗が呟く。

「はまづらどうしたの…? おなかいたいの…?」

突然倒れた浜面に慌てたのか、滝壺が心配そうに擦り寄る。
                                     ・ ・ ・ ・. ・ .・
そして、何をと勘違いしたのか、その白く華奢な手で浜面の下腹部らへんを撫ぜ始める。

「どこかな? ここ? ここが痛いの?」
「はぅぅッ!!」

ビクッ、と一瞬ひどく身体全体を痙攣させて、浜面が動かなくなった。

「あれ…? はまづらねちゃった?」

不思議そうに首をかしげた滝壺は、「お…」と何か閃いたように指を立てると、「どっこいしょ」と倒れた浜面の顔を持ち上げた。

「まくらがあった方がいいよねぇ」

とすん、と浜面の頭部を正座した自分の太ももの上に乗せる。
しかも、浜面の顔が自分の中心を向くような角度である。

「…………………………いっそ、殺せ」

天国か地獄か、夢か現か、甘い女の子の体臭に包まれた浜面が、低く呟いて全身を弛緩させた……

.


1781話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:18:17.49022wO7Y+o (14/18)

―――翌朝。

「お世話になりました」

身支度を整えた佐天が、朝シャンを終えてラフな格好でダイニングに座る麦野に頭を下げた。

「…ン」

オレンジジュースを口につけた麦野が、視線だけで返事をする。

「今日はどうすんの?」

麦野の朝食を作っていた上条が、カウンター越しに話しかける。

「絹旗さんが口の堅いお医者さんを紹介してくれるそうで…」

取り敢えずの応急処置はしてあったが、朝起きたら股間に当てたガーゼは真っ赤だった。
それを見た絹旗が、「一度、超しっかりと医者に診てもらうべきですね」と言ったのだ。

「そっか… あんまり、気にするんじゃねぇぞ」

少し躊躇いつつも、上条の性格では言わずにはいられなかった。
しかし、佐天は意外にもさっぱりとした顔で返事をした。

「ありがとうございます。昨日のことは、犬に噛まれたとでも思うことにします」
「あ、そう、か……」

少し拍子抜けに上条が言う。

「はい。 ……お2人のおかげです」
「は?」

より具体的に言うと、麦野の嬌声のおかげだが、流石にそれを言う度胸は佐天には無い。

(初めては痛いって言うし、これからどんどん気持ちよくなっていくのかな…?)

昨日のレイプは悪夢でしかないが、セックスという行為自体には、より興味を持ってしまった。

(夏休みだし… ソッチの方向で、ちょっと背伸びしてみようかな……)

上条が作ったフレッシュサラダを、むしゃむしゃ、と食べている麦野を窺う。

「………なに?」
「いえ、本当にありがとうございました」

再び頭を下げる。

(凛としてて、エロカッコよくて、たぶん、高位の能力者で、こんな高いマンションに住んでて、可愛くて甲斐甲斐しい彼氏さんが居て……
 麦野さんって、凄いんだなぁ……)

一晩明けて、麦野の印象が畏怖から憧憬に変わった気がする。
能力者としては無理でも、女性として麦野を目標にするのは、なかなかに心躍るものがあった。

(まずは素敵な彼氏作りだ…!)

佐天涙子の夏休みが始まる……



.


1791話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:19:15.09022wO7Y+o (15/18)










―――――とある処女達のお化粧タイム。

「……けっきょく、昨日もはまづらは襲ってくれなかった…」

「えっ!? あれ、超誘ってるつもりだったんですかッ!?」

「わたし、がんばったのに… ぐす… わたしに魅力が足りないのかなぁ…」

「い、いや… あの状況で襲ったら、私が超殴り倒してますよ……」

「…そうなの?」

「浜面、超不憫な……」







                                     第一話  了


1801話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:22:02.49022wO7Y+o (16/18)

はい終了。

10分後に佐天産に関する安価だすね。

あと、アニレー2期万歳。

麦野が動く姿が早くみたいぜ。


1811話ラスト ◆yEFBo3BAb.2012/10/29(月) 00:34:19.23022wO7Y+o (17/18)

誰もおらんか、まぁいいや。

佐天の相手。

1.ぶりっと
2.ゆうき
3.たすく
4.りょうと

下1


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/29(月) 00:37:26.39V+QJZZ8Jo (1/1)


安価下


183VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/10/29(月) 00:38:09.060v/h750No (1/1)

更新きたのか、乙
佐天さんがレイプされたのが悲しすぎる
安価下


184VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/29(月) 00:40:43.64Ffew5sWdo (1/1)

おつあんかした


185VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2012/10/29(月) 00:41:09.71Y2iiZY+AO (1/1)

2


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/10/29(月) 00:42:20.528hjnCo+4o (1/1)

オリキャラ?


187VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/29(月) 00:42:42.716+lwokTDO (1/1)

おつおつ


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/29(月) 00:43:08.96ABOjVN+wo (1/1)

乙!


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/10/29(月) 00:47:43.86022wO7Y+o (18/18)

はい、2ですね。
ユウキか、なるほど…

まぁ、出るかどうかはわかりませんけどね。
単に、佐天さんのセカンドバージンを書きたいだけなので。
それと、適当な既存キャラが居ませんので、佐天さんの相手はオリキャラです。

基本的に一穴一棒で行くつもりです。

それでは、次の日曜らへんに。


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/29(月) 01:00:22.4449iEWhQSO (1/1)

乙ー!ビッチむぎのん最高やでーこんなSSを今までずーっと待っていた


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/29(月) 01:30:02.981LFDT13IO (1/1)


セカンドバージンの行方は気になるが選択肢ェ…


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/29(月) 08:00:37.814kwG0HN+0 (1/1)

佐天さんをレイプする必要あったのかよ……
なんでだよ……


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/29(月) 09:19:56.31pysmbZKgo (1/1)

紅茶が好きそうな殿方ですね


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/29(月) 16:50:15.64NeOCHaVDO (1/1)

赤い弾薬庫に乗ってそうですな


195VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/10/30(火) 06:32:15.5721sboy14o (1/1)

麦野大好きな俺にはたまらんな


196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/11/01(木) 00:21:40.33fP2JZct40 (1/1)

これで麦野と上条の話は終わりなの!?


197 ◆yEFBo3BAb.2012/11/04(日) 17:54:39.79fUT+rYsKo (1/1)

エロが気に食わないので書き直します。
明日投下予定。


198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/04(日) 18:38:30.73eiFUxzTIO (1/1)

佐天さんのレイプを書き直すとかなんて鬼畜な>>1なんだ…


199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/04(日) 18:52:58.82Tt0DvzUq0 (1/1)

素敵な彼氏だろjk


200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/04(日) 22:04:35.15Pgh1vjzSO (1/1)

いやむぎのんだろむぎのんのむぎぱいむぎむぎだろ


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/11/05(月) 01:03:00.00U+Y0sl4qo (1/1)

ウザンヌキタ━━(゜∀゜)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゜∀゜)⌒Y⌒(。A。)⌒Y⌒(゜∀゜)━━!!


202 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 16:41:28.76pw17oXPGo (1/20)

あんま納得できなかったけど、まぁ書けたので今日の19時に投下予定。

ちなみに今回から第2話。
タイトルは、うーん、「恋敵」?

1話とは違って、ラブラブでエロエロな話になる予定。あくまで予定。予定は未定。

むぎのんの恋のライバルも登場するよッ!
ツンデレが可愛いあの娘だよッ!

あ、佐天さんの登場シーンは今のところ考えていません。多分、2話には出ない。

もし、登場シーンを増やして欲しかったら、↓1にむぎのんのライバルを予想して当ててください。

ではでは。


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/05(月) 16:44:02.86OM7LL/XSO (1/2)

ねーちん


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/05(月) 18:13:44.55L250tpgpo (1/1)

御坂は要らねーな


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/11/05(月) 18:18:03.38P87obC8ro (1/1)

御坂はもう死んだ!(恋愛的な意味で)
吹寄辺りと見た


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/05(月) 18:23:04.86mxrEKt7Jo (1/1)

ねーちんと麦野の人外バトルとか胸熱


207 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:32:22.25pw17oXPGo (2/20)

ちょっと用事ができたので、前倒しして今から投下します。

今回は30kB弱。試験的に挿絵AA入れます。

あと、むぎのんのライバルは残念ながらはずれ。
佐天さんはしばらくフェードアウトですな。

それでは開始。


208第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:33:23.97pw17oXPGo (3/20)



S-1 第7学区 緑化公園

「はっ、はっ、はっ、はっ…・・!!」

シン… と静まり返った真夏の早朝。
第7学区の緑化公園内には、早朝ランナーがポツリポツリ居るぐらいだ。

その公園に、自主トレに励む1人の少年が居た。

「フゥ… シュッ!!」

小刻みなステップワークをなぞった後、軽く左手のみでシャドーを行う。
ブンッ、ブンッ、っと肉体が音を立てる。

「………うしッ!!」

感触を掴んだら、今度は本格的なシャドーを行う。
基本は左、右のワン・ツー。
時折、左右のフック、左手のスマッシュ、右手のロングフック、アッパーを交える。

「……………………ぉお!!」

約30秒ほどシャドーを繰り返して、最後は右ストレートで締める。

「はぁ… はぁ… はぁ……」

膝に手をついて大きく深呼吸を繰り返す。
首にかけたタオルで汗を拭うと、目の前に、にゅ、とペットボトルのミネラルウォーターが差し出された。

「よーやく、自主トレに復帰かよ、かみやーん」

少年―――上条当麻はバツが悪そうに笑みを浮かべて、土御門元春の差し出したペットボトルを手に取った。



.


209第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:34:12.46pw17oXPGo (4/20)

「3日もサボるなんて、いっくら夏休みといえどもたるんでるにゃー」
「いや、ワリィ… ちょっと、それどころじゃなくてさ…」

この数日、夜には必ず麦野と肌を重ねており、ぶっちゃけ、朝錬の時間に起きれなかったのが真相だ。
昨夜は、麦野が早々に自分の部屋に引き揚げたので、いつもの朝錬の時間に起きることができたのだ。

「にゃー、トレーニングは3日サボると、取り戻すのに1週間はかかるぜい?」
「や、すまん、このとーり」

拝むように土御門に両手を合わせ、上条がにへらと笑う。

「…で、新しい暮らしはどうよ?」
「あー、刺激的であることは間違いねぇな…」

上条が慎重に言葉を選ぶ。
己の身分の隠し方については、昨日の昼から夕方にかけて、麦野からとっくりとレクチャーを受けている。
驚くことに、麦野や上条が住むマンションは一種の『セーフハウス』であり、あのマンション丸々一棟が麦野の持ち物であるらしい。

しかも、書類上は上条はあのマンションではなく、第7学区にある別のアパートに住んでいることになっており、
そのアパートは専門のスタッフによって、毎日『男子学生が生活した空間』を演出しているらしい。

(どんだけ金が掛かってんだよ…)

そのため、友人などに家を訊かれた場合はこのアパートの住所を教えれば良いらしい。
突然訪ねてこれられても、それは単なる留守であり、約束を取り付けられたら、実際にアパートに居れば良いのだ。

「…つーことで、尾立荘っていう所に住むことになったよ。来るときには連絡入れろよ」
「んー、まぁ、そのうち伺わせてもらうぜい」

土御門が興味なさそうに言ったことに、上条が胸を撫で下ろす。
…色々と恩があるこの男は、あまり騙したくないのだ。

「あ、でもかみやん。学校に引越しを届けるんなら、早くした方がいいぜい?」
「あー、やっぱり子萌先生には早めに言っとくか…」

今週1週間は補習である。
風の噂では、担任の月詠子萌教諭は、補習終了後には各生徒に家庭訪問をするという。
それが本当なら、それまでには伝えておいたほうが良いだろう。

「にゃー、子萌先生もだけどにゃー。アイツ、昨日来たぜ。前のかみやんの部屋に」
「アイツって… まさか……」

上条が問い返そうとしたとき、土御門のポケットから、Pririririi...と携帯の着信音が響いた。
着信画面を見た土御門は、軽く眉を歪めると、「ワリ、ちょっと急用みたいだ」と軽く手をあげて上条から離れた。

「おい!」
「ほんじゃ、今日の補習でな~」

流れるような動作で、土御門元春は上条の前から消え去った…




.


210第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:35:22.93pw17oXPGo (5/20)

「……チッ、こっちは中学からのダチと立ち話しただけだっつーのッ!!」

電話に出た土御門は、挨拶の言葉もなしに電話口に毒づく。

『監視対象は、既に貴方の管理下から外れているのですよ? 以後の管理は『アイテム』が担うと通達があったはずです』
「だからって、3年間ほぼ毎日顔を合わせてた友人と、いきなり絶交しろってか? アホか…」

普段の軽薄な口調とは全く違う、険のある口調で言う。

『距離の取り方などいくらでもあるでしょう? それに、貴方が不用意に接触しようとしなければ、監視対象が勝手に貴方を避けてくれるはずですよ?』
「ごくろーなことだよ…ッ」

実際、今日会ってみて、上条が自分を避けようとしてる雰囲気は感じられた。

(カミやんは友人想いだからな… )

暗部に友人を巻き込まないための努力を、土御門ははっきりと感じていた。

(だからって、放っとけるかよ……!)

土御門元春も、学園都市に蠕く暗部の一員である。
しかも、上条が所属した『アイテム』などより、もっと深い、イリーガルな組織に所属している。

上条と友人関係であるのも、最初は『暗部』の任務であった。
しかし、多感な時期に多くの時をともに過ごした観察対象は、いつしか本当の親友へと様変わりしていた。

「とにかくッ! お前らの邪魔をするつもりは無い! 立ち話ぐらいでいちいち煩いんだよ!」
『……わかりました。ただし、こちらの障害となれば、警告無しで排除させていただきますが?』
「…ああ、そうしろ。そんなヘマは踏まんがな」

熱くなっている。と土御門は柄にも無く感じた。




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211第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:36:19.63pw17oXPGo (6/20)

S-2 麦野のマンション「Melt kiss」

「ただいまーっす…」

時刻はまだ早朝と言える朝の7時。
麦野がまだ寝ている可能性も考えて、小声でマンションに戻った上条だが、

「おかえりなさい」

麦野はばっちり起きていたらしく、タンクトップにスパッツのラフな格好でダイニングテーブルの前に座っていた。
テーブルには、今日の新聞やファッション雑誌、学園都市が発行するTOWN誌などが積まれている。

「おはよ」
「おはようございます」

軽く目を合わせると、上条は麦野に近づいて軽く唇を合わせた。
『朝、顔を合わせたら必ずキスすること』とは、麦野が上条に課した様々な注文のうち1つだ。

「ん、よし。トレーニング?」
「はい、マメにやっとかないと、身体が鈍るんで」
「マッサージとか出来る?」
「ええと、ストレッチぐらいなら…」

上条が躊躇いがちに答えると、麦野は「よしよし…」満足げに頷いた。

「それなら今度やって貰うわ。今日の朝食はアタシが作るから、上条クンはシャワー浴びてらっしゃい」
「え、良いんですか?」

『朝食は基本的に上条担当』も麦野が決めたことだ。

「良いわよ。けっこう臭うから… 汗臭い男は嫌いじゃないけど」
「ありがとうございます」

上条がペコリと頭を下げると、なぜか麦野が不満げに眉を寄せた。

「2人きりの時は我慢するけど、外で一緒に居るときは敬語はやめてね」
「は… あ、あぁ…」

麦野の言葉に、「はい」と言おうとしたのを慌てて言い直す。
しかし、この怖くて美しいお姉さまに、敬語以外のどんな言葉で話していいか分からない。

「えと、タメ口で良いの…?」
「いーのよ、アンタはアタシの彼氏なんだから。デート中に敬語しゃべったらひっぱたくからね」

真顔でそう言われ、上条はそのシーンを想像して「はは…」と苦笑した。



.


212第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:36:54.45pw17oXPGo (7/20)

「うめぇ…」

ダイニングテーブルに並べられたフレンチとトーストをガツガツを頬張る。
上条も1人暮らしが長いので、色々と料理には自信があるつもりだったが、このフレンチトーストは味を再現できそうにない。

「オトコノコって感じねぇ」

ダイニングに頬杖をついた麦野が言う。
彼女はフレッシュジュースとサラダだけだ。

「むぐ… 麦野さん、料理うまいッスね」
「ちょっとハマッた時期があってね、その名残。あんまり他人に作ったことがないから、味が合ってよかったわ」
「…俺の朝食は、きちんと作れてます?」
「サラダをまずく作れる人間が居たら会ってみたいわねー」

麦野がフレッシュジュースを口につける。
遠まわしに及第点を与えられて、上条が密かに胸を撫で下ろした。

「いやぁ、メシマズって、マジで居ますよ? サラダは流石に無いでしょうが、クソ不味い目玉焼きなら食ったこと有ります」

麦野のプレッシャーにだいぶ慣れたのか、上条の口が滑らかに動く。

「はぁ? 目玉焼きをどーやって不味く作んの? あんなの焼くだけじゃん?」
「いやぁ… 『健康に良い菜種油』とか『頭が良くなるカルシウムスパイス』とか、
 そういう、怪しげな健康サプリメントを入れたがるヤツが居て……」

その時の味を思い出したのか、上条の顔が微妙に歪む。

「加熱時間とかはきっちり計っているから、焼き具合は完璧なのに、
 肝心の味が駄目駄目っつー、ある意味、芸術品が生まれまして…」
「ふ~ん…」

上条の話を軽く聞いていた麦野が、瞬間、にやっと表情を変える。

「それって、前カノの話?」
「ぶはっ!!」

突然投下された麦野の爆弾発言に、上条が思わず吹き出す。

「…当たりか。やーねぇ、今カノの目の前で、前カノの話するなんて。デリカシー欠けてんじゃない?」
「い、いやいや、彼女とかじゃ全然ないッスよ! 仲の良い女友達っつーか!!」
「でも、初体験って、その娘となんでしょ?」

麦野の鋭い指摘に上条が絶句する。
女のカンは鋭いというが、なぜにたったこれだけの情報でわかるのだろうか?

「……でも、マジ彼女じゃないです。今でも、なんであんな事になったのかよくわかんねーし」

神妙な顔つきになって上条が言う。
『触れて欲しくない』という雰囲気がありありである。
しかし、

「詳しく話しなさい」
「………ハイ」

麦野には逆らえなかった。




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213第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:38:20.10pw17oXPGo (8/20)

「ソイツとは中学からの同級生で、まぁ、腐れ縁みたいな感じの女友達なんですが……」
「へぇ… 女友達ねぇ…」

上条の一言一言に麦野の突っ込みが入る。
なんと言うか、いじめっ子な口調である。

「マジで女友達です! …少なくとも、中学卒業まではずっとそうでした。
 俺もアイツもそう思っていたはずです」

コイツほんとにニブいんだなー、と麦野はしみじみと思う。

「好意に気付いて無かっただけじゃないの? ホラ、ツンデレとかさ」

まさか、と上条が手を、パタパタ、と振る。

「いやいや、デレとか1回も無かったですよ。
 いっつもデコ光らせてイライラしてたから、陰で『イラ子』って呼んでたし…」

当時の光景を思い出したのか、上条がウンザリした表情を作る。

「ま、すっげぇウルサイ奴、かつ仕切り魔で、委員長でもないのに、クラス行事は大抵は『イラ子』が仕切っちゃうんです。
 俺にも、あーだこーだと毎日口うるさくて… なんつーか、クラスのオカン? みたいな感じ」
「口うるさいのはアンタだけ?」

暫く思い出すように考え込んで、首を横に振る。

「いや… 『イラ子』に毎日小言を言われてたのは、俺の他に男が2人いたッス。…ソイツらも中学1年からずーっと一緒でした。
 『イラ子』を合わせた4人とも、幼馴染って言って良いのかもしれないです」

声のトーンがわずかに下がる。
前フリが終わり『その時』の事を話すようだ。

「えっと、中学卒業して、卒業パーティーみたいなのを開いたんですよね、その4人で」
「結局、仲が良いんじゃん」
「いや、ホントは男3人で飲む予定だったんだけど、なんでか知らないけど、アイツが後から来たんですよ」
「『イラ子』ちゃんが?」
「……はい」

答えにくそうに上条が頷く。

「なんかわかんねぇけど、男2人のどっちかが呼んだみたいで、強引に参加したっつーか」
「口うるさい娘なのに、『飲んでる』ことを注意しなかったの?」

麦野の突っ込みに、上条が、きょとん、とした表情になった。

「……………そーいや、珍しくアイツ何も言わなかったな。
 つか、率先してアイツが飲んでた…」
「はーーーーーーン…」

気持ちいいくらい、にやにや、と小馬鹿にした笑みを麦野が浮かべる。

「え… 『それに気付けよ』みたいな感じ?」
「さぁねぇ… それより、さっさと続き」

時間稼ぎに問い詰めたいが、麦野にそう言われては、先を話すしかない。

「それで、4人でぐだぐだ飲んでたんですけど、男2人が先にダウンしちまって、
 『イラ子』とサシになっちまったんですよ」
「あー、はいはい、予想できるわ」
「ぐぬぬ…」

(このコ、本気で気付かなかったのかしら…?)

ここまで『お膳立て』が揃っているのにソレに気付かないのは、
鈍感を通り越して、精神を洗脳されていたのではないかと、本気でそう思う。




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214第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:38:46.53pw17oXPGo (9/20)

「はい、続き続き」
「うぅ… そ、それで… 2人で飲んでるうちに、イラ子が、『上条、アンタ童貞…?』とか言い出して…」
「『経験ないなら、わ、私としてみる…ッ!?』」

妙に演技がかった声で麦野が言う。

「な、なんでわかったんスか?」
「むしろ、分からない方がおかしいでしょうが…」

麦野はその『イラ子』に対してほんの少し同情した。
同じ女として、目の前の少年は完全に有罪である。

「それで、ヤッたんだ。上条クン、サイテー、好きでもない娘とセックスするなんてー」
「だ、だってッ! すっげぇ興味あったし、アイツ、脱ぐしッ! おっぱいでけぇし!!」

完全に余裕が無くなって来たのか、上条が狼狽した声で叫ぶ。

「うっさい! もっと先を予想してあげましょうか?
 ……上手くできなかったんでしょ?」
「そ、そこまで分かりますか……」

上条が完全にうなだれる。
中学卒業したて、しかもアルコールも入っていた。
相手を気遣う余裕など、当時の上条少年には無かった。

「えっと、俺も初めてだったし、『イラ子』も初体験だったみたいで…
 挿入までは何とかできたんだけど…」
「アンタでかいもんねぇ。あまりの痛さに、『イラ子』ちゃんが泣き叫んで暴れた、でしょ?」
「……はい。けど、俺、もう止まんなくて。サルみたいに腰振っちゃって」

『昨日の夜もサルだったけどね』とは、流石の麦野も口にしない。
麦野だけが知っているが、上条のセックス時の腰使いは相当激しい。
慣れている自分でなければ、受け入れるのには苦労するだろう。

「気付いた時には、腟内射精してて… そしたら、『イラ子』が顔をくしゃくしゃにして泣いてて…」

話しているうちに、当時の情景が思い浮かんでくる。
春にしては蒸し暑かった室内、隣室で眠る男2人のやけにはっきりとしたイビキ、
そして、股間を真っ赤に染めて、静かにむせび泣く『イラ子』……

「とんでもない事したって気付いて、慌ててフォロー入れようとしたんですけど…」

あの時、涙で顔を歪めた彼女は、こう言った。

『上条当麻ッ!! あんたサイテーッ!! 2度と私に近寄らないでッ』

あの声と表情は、中々忘れることができない。

「そう言うと、『イラ子』はそのまま帰りました… 俺は、ワケわからなくて…
 誘ったのはアイツの方なのに…」
「アンタ、ホント、サイテー」
「ぐっ…」

吐き捨てるように麦野が呟き、上条が言葉に詰まる。
上条も、自分が『駄目な事』をしたことは分かっていた。
しかし、そうなってしまった『過程』を理解していないから、どう行動して良いのか分からなかったのだ。

「でーぇ、それからどうしたの?」
「翌日謝りに行ったんですけど、会ってくれなくて…」
「あったりまえだろーが、ボケ」

それで当然、と麦野が言い捨てる。

「翌日とか馬鹿じゃないの? 一晩泣いた後の顔なんて、見せたくないに決まってるじゃない」
「そ、そうか…」

初めて気付いた、という風に上条が冷や汗付きで納得する。

(意識的には気遣いができるけど、無意識的には気遣いできない子なのね、上条クンは…)

心の中で嘆息する。
しかし、少なくとも2人以上の女性から一方的な好意を寄せられているのだ。
このツンツン頭には、女を惹きつける不思議な魅力があるのだ。




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215第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:39:59.55pw17oXPGo (10/20)

「…それで、その娘とは縁が切れた、と…」
「いえ… 今もクラスメイトッスけど……」
「はぁ!?」

珍しく仰天した表情で、麦野が素っ頓狂な声を出す。

「クラスメイト!? なんでッ!?」
「『イラ子』、成績は良かったはずですけど、なぜか俺とおんなじ高校に入学したんです」
「なんつー健気な……」

額に手を当てて麦野が呟く。

「…気まずかったでしょ?」
「そりゃもう! 春休みはメールもガン無視でしたから、クラスでばったり会って、すっげぇビックリしました」

しかも、クラスで再開した『イラ子』は、「いつも通り」に上条に接したのだ。

「俺、ビックリして何も言えなかったら、イラ子が『上条当麻! 入学式の手順は把握しているの!?』って、突然突っかかってきて…」
「ごーいんに関係を元に戻した、と」

(そこまで行動力あるのに、なんで告白しねぇんだよ、その馬鹿は)

気付かなかった上条も上条だが、その『イラ子』も相当に馬鹿だと思う。

「それから?」
「それからは、中学と一緒っつーか、普通にクラスメイトです。
 …流石に俺から、あの時のことは話題にできなくって」
「へたれ」
「ぐっ…」
「…けど、まぁ、しゃーないか」

麦野が呆れ顔で嘆息する。

(こんな無神経な朴念仁に釣られたとは……)

というよりも、常盤台の超電磁砲といい、話に出てきた『イラ子』といい、
極めて身近に彼女候補が居ながら、どうして上条が自分に声を掛けてきたのかが気になった。

「ねぇ、もし、その『イラ子』ちゃんから告白されたらどーすんの?」

極めて軽く、しかし、内心ひどく真剣に麦野が尋ねる。
しかし、上条はあっさりとその質問に答えた。

「そりゃ、麦野さんが居るんだからきっぱり断ります。二股とかありえないです」
「あ… そ、そう…」

悩む素振りの無い上条の返答に、麦野が珍しく狼狽する。
もちろん、期待していた通りの答えだが、ここまで素早く言い切られると、妙にドキドキしてしまう。

「俺、麦野さんのこと、好きですから」
「わ、分かってるわよ!」

さらに、上条の無意識な追撃に声を荒げる。
そして、なんとなくだが、上条について1つ理解した。

(この子、善意に裏が無いのね… だから、他人をよく惹きつけるけど、見返りを期待しないから、他人の好意に気がつかない、か……)

不本意ながら嬉しいと思ってしまう。
そして、顔も名前も知らない『イラ子』に対して、優越感と対抗心とが複雑に混ざり合った、微妙な感情を抱いた。



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216第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:41:51.90pw17oXPGo (11/20)

     >、:::::::::::, '::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ソ、
    <::::::::::::, '::::::::::::::::,;:::::::::::::::;:::::::::::::::::::>ー‐
     >、::,:::::::::::::::://l:::::::::::::/l:::i:::::::::::::::::>z_      そりゃ、
     zソ::,:::::::/:::,l://._l:::::/ソ:' l::'l:::::::::::::::::::>、
    <::::::ノ::::,'/:/_l:'ィイ,'::// >ーヤ!::::::::::::::::::::>ー     麦野さんが居るんだからきっぱり断ります。
      ̄>:::::::l ! ぞ! /   !ぞ!\¨l::::::::::::::zー'
       >l ;l ー‐'  .   ー-' .l::,ヽ::::::::\      二股とかありえないです
       ̄ニ! i    :       ,' ノ::< ̄
        ∠.::、  _ _      _' イ:ー≠ー
            、 r_ _ヽ  イ::::::へ'            ,_
           _ .l\    イ,'V'¨ ヽ            / ノ     ィ-‐‐フ
          /   >: : : : .へ、_            , ' 〈_ , ' ノ >ーy'
        _ イ   / .}: : : l   /ヽz_       /  ;   >  ィ
     < ̄  癶  /  l: : :〈 、 /\ \  ヽ     {  . '     イ   ‐-、
  /        V' >‐イー‐ ' )/ー \ノ  :.∧     l     /   __,ナ‐、
 l  ゝ  , '     .: >、\ ; ; l \     :  }   .l    /       ___,ノ
. .l    У       .:  \ l; /〉 ./   .: :   ェ、 l  .  l
 l     、:   .   :   l l; l /     ,'    l ,    l   n _n_◎  _,n_  n _n_◎  _,n_ 
 l      :      : :     l;l ノ 〔ニニ〕,  ,'  V    ,l   l l└i七   7/,ニ、 l l└i七   7/,ニ、
                                       LK⊆T   〈/r三ュ  LK⊆T   〈/r三ュ
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       .  -‐-: : :-   .      ノし
.      /: : : : : : : : : : : __: \     て
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   . : : : : : : : : : : : : : :/: :八 : : : .
  / : : : : : : / : /: .:/: :/: : : : : : :.
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  | : : : : T/‐/.._/ ./⌒ `l: : : |
 |: : : : |-‐=ミく  / _..ニ._ |: : :リ
.  : : : :.:l:、 {り    {り  ` |: : :|
.  } : : : / `¨^   {: ¨ -‐ /|: : :|
 /: : : :八 lj     /′  厶|: : :|        あ…
ノ: : : :///ヽ            .: :八: : \
: : : .:///ハ :\ ―-‐  イ: :/.:∧: : : :\     そ、そう……
: : .://////} : :>-<{: : :|.:∧/:∧: : : : : \
.://////リヽ\     `ーァ⌒ー---―ュ : : \
:. :://厶イ__.:. \  /7 /   /   ヽ: : ヽ
-r<__ヽ r、- `   ´/ /    /     i : : : .
  /―…ミヽi       / /      /    |: : : i
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        く::::::::::::::::::::ヽ       :.      | : : : :.
         \:::::/、 ⌒ヽ      八    |: : : : :\   \




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217第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:42:19.21pw17oXPGo (12/20)

浜面は麦野の事をこう評する。曰く、

「テレビゲームをノーミスクリアできないと気が済まず、少しでもミスがあったら怒り狂って、たとえエンディングを見ても納得しない人間。
 それを帳消しにするためにハイスコアを更新して満足するタイプ」と。

学園都市の頂点に君臨する超能力者(レベル5)であり、類稀なる美貌とほぼ完璧な肢体を持つ麦野は、あらゆる面で『勝ち組』と言って良い人間である。

しかし、現実の麦野は、『アイテム』という学園都市の暗部に所属し、イリーガルな非日常にその身を置いている。
どんな言葉で飾っても、所詮は闇の掃除屋に過ぎない。
同じ超能力者である御坂美琴のように、大多数の人間から憧憬を受けたり、賞賛されたりすることは、決して無いのだ。

正道を歩めない代償を、麦野沈利は常に欲している。

それは同じ超能力者(レベル5)への歪んだ対抗心や、一般的でない過大な浪費、所有物・縄張りへの異常な執着心、
そして、依存とも思えるほどの異性との肉体関係。

麦野の気性、境遇をある程度理解している他の『アイテム』メンバーは、だから、麦野の奔放な性生活について何も言わない。
フレンダが上条の存在を歓迎したのも、それが麦野の精神安定の一助になると喜んだからだ。

ゆえに、上条の真っ直ぐな好意を持て余す。

麦野沈利は、「好きだ」という言葉の裏づけを、別の方法で求めてしまうのだ。




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218第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:43:26.13pw17oXPGo (13/20)

「……補習まではまだ時間があるわね」
「え、はい…」

ちらりと壁の時計を見る。
時計の針は8時過ぎ、『一回戦』ぐらいはできそうだ。

「話しにくいことを話してくれたお礼、してあげる」

妖艶に微笑んで上条が座る椅子の前まで行くと、膝をストンと落としてしゃがむ。

「ちゃーんと洗ったの? すっごい匂いよ…」

上条の股間に鼻を近づけて麦野が言う。
無論、これは麦野の冗談なのだが、さっき「汗臭い」と言われたばかりの上条は動揺する。

「も、もう一回シャワー浴びて…!」
「ばーか。オスの匂いがそう簡単に落ちるかってーの」

トランクスごと麦野が上条の短パンを引きずりおろすと、まだ萎えた上条のペニスが顔を出した。

「こぉら、なんで萎えてんのよ…!」
「無茶言わないで下さいよ…」

たはは、と上条が苦笑する。
そんな上条を、チラリ、と見上げると、麦野は手を伸ばしてサイドボードからベビーローションを取り出した。

「仕方が無いわね、おねーさんが勃たせてあげる…」

タンクトップを脱ぎ捨て、就寝用のスポーツブラを外す。
形の良い豊乳が露わになると、麦野は乳の谷間にベビーローションを垂らした。

「……期待しているなら、ワンと吠えること」
「ワンッ!!」
「ぷっ、はえーよ、おい…」

ニヤニヤ楽しそうに笑うと、麦野は上条のペニスを乳の谷間に挟み込んだ。




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219第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:44:14.78pw17oXPGo (14/20)

「うっわ…」

まだ柔らかいペニスが、もっと柔らかいゴムマリにサンドイッチされる。
ベビーローションの潤滑を上手く使って、麦野は両腕で挟んだ豊乳をリズムカルに動かした。

ぬちょ、ぬちょ、ぬちょ……

肉のプレスに攪拌されて、上条のペニスが一気に硬度を増す。
最初は完全に乳の谷間に隠れていたペニスが、次第にその存在感を増し、ついには谷間からひょっこりと亀頭を覗かせた。

「すっごい膨張率よねぇ… 倍以上になってんじゃん」
「や、これで勃たない男なんていませんよ… すっげぇ、気持ち良い…」
「ふふん、とーぜん」

誇らしげに言うと、麦野は首を思いっきり前に倒して、そのまま上条のペニスにかぶりついた。

「うおッ!!」
「ぢゅ、ぢゅ、ぢゅぅ~~~」

上条のペニスは平均よりはるかに長大だが、それでも流石に先端を咥えるのがやっとだ。
それなのに、亀頭の先をしゃぶっているだけで、上条はペニス全体に快感が広がるのを感じた。

「すご…」

もう麦野とは何度となく肌を重ねているが、そのたびに麦野のテクニックに翻弄されてしまう。
いったいどれだけの引き出しを持っているのだろう。

「ぢゅぱ… ふぅ、上条クンの大きいから、先っちょ咥えるだけでも大変ね…」
「…でかいと、やっぱ嫌ですか?」

密かに気にしていることを問う。
だが、麦野は笑ってそれに答えた。

「太くて長くて、そして固ーいおチンチンが私は好きよ。あ、ユルマンってわけじゃねーからな」
「麦野さんがユルマンとか、何の冗談ですか」

上条も笑う。             タメ
実際、麦野に挿入して10分持った例しがない。

「麦野さんのオマンコはサイコーっす」
「くっく… ようやく下品な台詞が出てくるようになったじゃん」

そう言うと、麦野は仕上げをするようにダイナミックにおっぱいを躍らせて、上条のペニスをしごき上げた。
そして、スッ、と立ち上がると、ベビーローションを己の秘所に塗りこんだ。

「濡らす暇がないから、ズルしてごめんね」
「そんな… 全然平気ですよ…!」

珍しく殊勝な態度の麦野に、思わず胸が、ドキッ、と高鳴る。
外見は『綺麗なお姉さん』なのだから、はにかむような笑みがとてもよく似合う。

(…やべっ!)

上条のペニスに、限界以上の血液が集中する。

「うそ… またおっきくなった!? また泣かされちゃうわね、私…」

麦野が興奮を隠しきれない声で呟くと、抱きつくように座った上条の腰に跨った。




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220第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:45:03.14pw17oXPGo (15/20)

「いちいち許可いらないから、腟内にだしなさいよ… ねッ!!」

ずぶずぶずぶ……!!

長大なペニスが、小陰唇を巻き込みながら、麦野の秘唇に突き刺さる。
早すぎず、遅すぎず… 
ペニスが膣道を押し広げる感触を楽しむようにして、麦野が丁寧に腰を降ろす。

(デカ… やっぱ、このチンポ、最高だわ……)

麦野の殿部が上条の太ももに着陸すると、麦野は軽く痙攣して「あああぁぁぁはぁぁぁ……」と長い長い吐息を漏らした。
       ハ
「どこまで挿入いってるの、コレ…? 口から飛び出そうよ…」

麦野が慈しむように下腹部を撫ぜる。

「麦野さん…」
「ん……」

2人の視線が交錯し、自然と舌を絡めあう。
互いに貪るように口唇を吸い合うと、たまらない、とった風に麦野が身体をくねらす。

コツッ、ゴツッ!

「……ッ!! んあっ!!」

麦野の動きに合わせて上条が軽く腰を突き上げると、タイミング良く麦野の子宮を亀頭がノックした。
麦野はひどく感じているようで、上条は秘所の体奥から熱い愛液が降りてくるのを感じた。

「やば、やば…ッ!」

不安定な男の腰の上では、一度バランスを崩すと中々体勢を整えることができない。
ペニスと秘唇でつながり、長い両脚を左右に広げた姿は、まるでヤジロベーのようだ。

「あぅ、あぁ… ちょ、ちょっとタイム…!」

必死に足を伸ばして床の支持を得ようとするが、つま先がかするばかりで上手く行かない。
却って、その足掻きがさらに体奥をペニスで抉る結果となり、麦野は背筋が痺れる快楽に口唇を噛んで堪えた。

「か、上条クン… そ、そろそろ…」
「…麦野さん、すいません」

一言謝ると、上条は麦野の背中と殿部に手を回して、優しく、しかししっかりと麦野の身体を把持した。




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221第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:45:52.64pw17oXPGo (16/20)

「え、ちょっと!」
「よっ、と!!」

鍛え上げた背筋と腹筋、下肢筋をフルに使って、慎重に慎重に麦野を持ち上げる。
いわゆる、駅弁スタイルだ。

「きゃッ!」

いきなり持ち上げられた麦野が、落下するのではないかという本能的な恐怖を感じ、悲鳴を上げて上条に抱きつく。
ところが、両手を首の後ろに回し、逞しい胸板に顔を密着させると、なぜか混乱した心が一瞬静まった。

「あ…」

背中とお尻に回された手が暖かい。
自分の身体がオトコに取り込まれたような錯覚を得た麦野は、無意識のうちに両脚を上条の腰に絡ませ、しっかりと上条を大好きホールドした。

「…動きますッ!!」

完全にイスから立ち上がった上条が、麦野を落とさないように細心の注意を払って身体をゆする。
麦野は女性の中でも身長が高く、さらに豊満であるがゆえにそれなりに体重もある。
いくら全身を鍛え上げてる上条でも、駅弁スタイルはかなりの重労働だ。

「あッ、あッ、あッ、上条クン、凄いッ!! 奥、奥にきてるッ! 私ッ、融けちゃう!!」

だが、自分の体重の大部分を結合部で受け、しかも小刻みに体奥を突かれる麦野はたまったものではなかった。
上条が腰をゆするたびに極彩色の火花が脳ではじけ、そのたびに膣と身体とが痙攣する。

(コレッ! 本気でヤバイ…ッ!)

もう、何回イッたか覚えていない。
体奥を何度も突かれて、子宮が完全に降りてきているのが分かる。

(今、腟内射精されたら……ッ!?)

きっと、とんでもないことになる。

「あッ、あッ、かみ、じょうクン… ナカ、ナカは…ッ!」
「くぅ、はい… 腟内に出しますッ!!」
「ち、ちがっ、そうじゃなくてッ! あ、ダメッ、ダメッ!!」

保っていた余裕が全部吹き飛ぶ。

「出しますッ!!」
「だめーーーーーーーッ!!」

ドクッ、ドクッ、ドクッ、ドクッ!!

「ああぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」

麦野の子宮に、マグマのように熱いザーメンが叩きつけられる。
同時に、脳髄が融け堕ちるかのような快楽が突き刺さる。

「ゃぁ… らめぇ……」

信じられないオンナの多幸感と、オトコに隷属する暗い満足感が、麦野を優しく包み込む。

(気持ちいい……)

煩わしい現実の一切合財を今だけは忘れて、麦野は全身を脱力させた。



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222第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:46:32.42pw17oXPGo (17/20)

「うおっと!!」

背中に回されていた麦野の手が一瞬で解け、ダラン、と力無く垂れ下がる。
大好きホールドしていた脚も力を失い、上条は危うく麦野を落としそうになった。

「ええと…」

両腕の腕力だけで麦野を保持すると、上条はとりあえずリビングのソファに麦野を寝かせた。
仰向けに寝かされた麦野は、いまだ浅い痙攣を繰り返していて、視線は宙を彷徨い、口角からは涎が零れ落ちている。

「や、やりすぎたかな…?」

上条は麦野の惨状を見て後悔したが、後の祭りである。

(よくよく考えてみたら、これって『イラ子』の時とおんなじ状況じゃ…!)

上条の背中を冷たい汗が流れる。
『イラ子』と違って麦野は超能力者(レベル5)。
しかも、これまでの付き合いから分かる通り、苛烈な性格の持ち主だ。

(ふぉ、フォローしないと殺されるかも…!)

上条があたふたしていると、不意に麦野がもぞりと動いた。

「ん… んぁ… あーー…」

軽く頭を振って目の焦点を合わせると、首を廻らせて上条を発見する。
緩慢な動作で起きようとするが、

「あ、ら…? げ、腰が抜けてら…」

下半身が脱力しきっている様で、仕方なく麦野は半身を起こした状態で上条を手招きした。

「上条クン、来て」
「は、はいッ!!」

何をされるのか分からないが、「とりあえずここは従っとけ」という本能の囁きに従い、上条は麦野のそばに立った。

「えっと、麦野さんッ、す、すいません、やりすぎちゃって…!」
「うん? なに言ってんの? ほら、綺麗にしてあげるから、おチンチン出しなさい」

麦野はそう言うと、上条の股間に口をよせ、一回の射精で少し硬度を下げたペニスを頬張った。

ちゅぱ、ちゅぱ、ちゅぱ…

愛液にまみれた竿や玉袋も丁寧に舐める。
尿道に残っていた精液も残らず吸い上げて飲み込む。

「はぁ…」

上条が思わず溜息を吐く。
麦野の本気フェラとは全く違う、別の快楽がそこにあった。

「ちゅぱ… まぁ、こんなもんかな?」

御掃除フェラを終えると、麦野は、ちょいちょい、と手で合図をして上条を屈ませた。
てっきりキスをするかと上条が口を寄せると、不意に麦野が上条の首筋に吸いついた。

「えっ!? なんで!?」

驚く上条を尻目に、麦野は思いっきり「ぢゅぅぅぅ!!」と首筋を吸引する。
ほどなく麦野が口唇を離すと、浅黒く焼けた上条の肌でもはっきりと分かるほど、
真っ赤なキスマークが上条の首に刻まれていた。

「…あー」

麦野の行為にやっとで気付いた上条は、キスマークを手で触れて「やられたー」という表情をする。

「そろそろ補習でしょ? アタシのことは気にしないで行ってらっしゃい。
 あと、当然だけど、隠しちゃダメだからね」

悪戯っぽい笑みで言う。
上条当麻は、嬉しくもあり、誇らしくもあり、
そしてやっぱり大半は恥ずかしさで、顔を赤く染めた。




.


223第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:47:22.00pw17oXPGo (18/20)

S-3 「とある高校」

「お、終わった…」

正午ちょうど。
ギリギリで駆け込んだ補習は、表面上は何事も無く終了した。

ただ、授業をすべく教室に入ってきたロリロリしぃ担任教師が、上条を見たとたん大仏の様に無表情になったり、
土御門元春が無言で(しかし頭に怒マークをつけて)ケータイを高速タッチしたり、
その他大勢の落ち零れクラスメイトから「裏切り者」呼ばわりされたりはしたが、

おおむね、混乱も無く終わった。

「恥ずかしくて死にそうだ……」

クラスメイトからの追求は何とか避けたが、担任のロリ教師からは職員室への出頭を命ぜられてしまった。
当然、シラを切るつもりだが、今日も午後から麦野とお買い物の予定なので、なんとか短時間で済ませたいところだ。

「…失礼しまーす」

適当に頭を下げて職員室に入り、担任教師の机を目指す。
すると、そこには先客が居た。

「「あ…」」

上条と先客は、同時に互いを発見し、そして、同時に同じ声を上げた。

背中まで伸びるロングの黒髪、利発で意思の強そうな瞳、さらさらのおでこ、スカートのポケットから覗く健康食品の袋…

「吹寄… お前なんで…?」
「……居たら悪いの? 上条当麻……!」

吹寄制理、通称『イラ子』。

上条当麻の『初体験』の相手がそこに居た。




.


224第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:50:54.89pw17oXPGo (19/20)

はい、今週はこれで終了です。
>>205さん大当たり、むぎのんのライバルは、アニメでおっぱい増量に成功した吹寄です。

あと次回か次々回は美琴が出ます。
彼女にもチャンスが微レ存?

それではまたキリのいいところで投下します。


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/05(月) 18:53:09.89mxrEKt7J0 (1/1)


吹寄の同人誌は吹寄健康法か 肉体疲労時の栄養補給に!!とテストステロんが最高


226第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/05(月) 18:56:19.57pw17oXPGo (20/20)

あ、あと挿絵AAについてご意見をば。

作者的には正直失敗かなーと思っているので、
話題に上らないなら多分次から消えます。


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/05(月) 18:59:34.37z3vXbqlco (1/1)

乙でした

スマホでAAは崩れてるw


228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/05(月) 19:03:34.42OM7LL/XSO (2/2)

乙。吹寄おっぱいはいいねぇ。むぎのん最高だねぇ…
ふっきーのエピありえそうだww
AAはこの板の補正でまともに出来ないらしい。俺は携帯だからまともな表示すらないからわからんが。

みこっちゃんは………あれだ、ヤバイタイプのヤンデレールガンを期待したい。


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/05(月) 19:05:53.91ySpeB/a/o (1/1)

PCからだと崩れてはいない


230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/05(月) 20:02:41.73Ug2EtMrEo (1/1)

BB2Cでみてるが崩れてない。が、文字はAA判定で小さくなりすぎで読みにくい


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/05(月) 23:55:30.41Gd9sjAcWo (1/1)

スマホで普通に見れたぞ


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/06(火) 00:59:52.33GY4HV0vDO (1/1)


むぎのん最高っす
もしもしなのでAAは見られませんでした(´Д`)


233VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/06(火) 02:49:57.76u+APcdZRo (1/1)

壺ロイドでは見れました


234VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/06(火) 02:54:02.709wEzCPHDO (1/1)

もしもしだがASSでAAは綺麗に見られた 文字は小さくなるが仕様だし


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/06(火) 07:23:59.17SEuK5hDv0 (1/1)

上条のチンコのサイズを詳しく


236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/06(火) 12:27:37.80VEY57m1IO (1/1)

ハリウッド映画のセックスシーンというけど、ターミネーターレベルじゃなくて氷の微笑レベルなのねwww


237VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/11/06(火) 13:05:57.53fU0b6z35o (1/1)

吹寄当たっててちょっと嬉しい
面白いなぁ…続き待ってますよ


238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/07(水) 14:46:23.10Vx1572cDO (1/1)

>>232
つ【携帯2chブラウザぬこ】


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/11(日) 20:27:02.66HuFZ+UBno (1/1)

次が楽しみ


240第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 16:47:43.37I0fdTQjao (1/28)

気付いたら40k近くになっちゃった。
全部、吹寄が可愛いのが原因です。

というわけで、本日18:30ごろに投下します。
あと、美琴の出番とか言ったけど、ありゃ嘘だった。全部吹寄に食われた。

でわ。


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/12(月) 16:49:34.15TbEwZbfSO (1/2)

楽しみにしよう。まぁ、みこっちゃんは所詮噛ませだし


242第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:28:22.99I0fdTQjao (2/28)

それでは投下開始。

今回は40kあるのでちょっと多め。
あと、エロはこじつけ。


243第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:29:11.26I0fdTQjao (3/28)

S-4 「とある」学校 職員室



「…なんでお前がここに居るんだよ?」
「別に居たっていいじゃない…?」

教務机に向かって座る、担任の月詠子萌教諭を挟んで正対、
ぶっきらぼうに訊く上条に、同じぐらい不機嫌そうに吹寄が答える。

「あ、上条ちゃん、ちょうど良いところに来ましたね!
 たった今、吹寄ちゃんに聞いたんですけど、引越ししたって本当ですか?」

キィ、とイスを軋ませ振り向いた外見年齢約10歳のロリロリしぃ教師が、上条を見上げて質問口調で言う。

「えっと、え… 吹寄から?」
「昨日、貴様のアパートに『たまたま』立ち寄ったら、もぬけのカラだったのを発見したのよ!
 隣室の土御門元春に聞いたら、引越ししてるって言うじゃない…」
「お前… なんでわざわざ俺んちまで来たんだよ…」
「た、たまたまって言ってるじゃない! たまたまよッ!!
 …な、なによその目は!?」

妙に取り乱す吹寄に、上条が疑惑の目を向ける。

「いや… たまたまでどーして…」
「う、疑ってるの!? そ、そんな風に思うのは、体内のイオンバランスが崩れているからよ!
 ホラ、この『3秒でイオンチャージ! 塩味風わたあめ』を食べなさい!」
「い、いらねーよ!!」

スカートのポケットから、駄菓子風の栄養食品(サプリメント)を取り出そうとする吹寄をあわてて制止する。

「はいはい、吹寄ちゃんもそれくらいにするですよー。それで、どうなんですか上条ちゃん?」

パンパン、と手を叩いて同級生2人の漫才を止めると、月詠教諭は上条に詰問した。

「は、はい… 親父が知り合いの不動産屋から紹介されたみたいで… 向こうも急に決まったみたいで、学校への連絡が後々になっちゃって…
 親父から連絡来ていませんか?」

これも麦野(正確には麦野の指示を受けた絹旗)が演出した偽装工作だ。
複数のルートを最終的に1つのルートにするやり方で、父親である上条刀夜名義での封書が届くことになっている。


244第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:29:37.50I0fdTQjao (4/28)

「来てはいますがー、きちんと本人からも確認を取らねばと思ったんですよー。
 住所とか経緯とか、しっかり先生に教えてください」
「はぁ…」

少し腑に落ちないものを感じながら、上条は(スパルタ指導で)仕込まれた嘘をスラスラと語った。

「………っていうことで、尾立荘って所に住んでます。やっぱ、家庭訪問とかするんですか?」
「しますよー、と言いたいところですが、ちょっと先生が忙しいので、今は未定ですねー」

手元のメモ帳を、ふむふむ、と確認しながら月詠教諭は言う。

「分かりました、間違いないようですね。…そういうことですので、吹寄ちゃん、上条ちゃん家の確認お願いしますね」
「「はぁ!?」」

上条と吹寄が同時に声を上げる。

「ど、どうして私が…」
「どうしてコイツと…」

互いに指を突き付け合いながら2人が言う。

「今言った通り、先生忙しいですからー。緊急で特別補習のスケジュールを組まなきゃならないんですよー」

「今日は飲みの約束があったのに残業なんですよー…」と、ぶつぶつ呟いて、月詠教諭は2人にA4サイズの特別なシートを手渡した。

半透明なプラスチックの下敷きのようなソレは、特殊な刺激を与えると、向けた風景を画像として表示・保存する、いわば『インスタント風景撮影デバイス』だ。
写真と違ってサイズも大きいし、強度も高いのでファイリングがし易いという利点がある。

これで、上条の新アパートを撮って来い、ということらしかった。

「撮ったら、上条ちゃんが明日の補習のときに持ってきてください。それじゃ、お願いしますねー」

話は終わりとばかりに、月詠教諭は2人に背を向けて、机の上のノートPCに向かった。
上条と吹寄は、ぎこちなく目線を交わすと、不承不承といった感で「はい…」と了承した。

「それじゃ、失礼します…」

麦野にどう説明しよう… と、そう考えながら退出する上条に、月詠教諭が振り向かずに声をかえた。

「そうそう。上条ちゃん、不純異性交遊はほどほどにしてくださいねー」
「…………ハイ」

背中に冷や汗だらだらで上条は答えた。




.


245第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:30:05.57I0fdTQjao (5/28)

S-5 「とある」高校 職員室前の廊下

「上条当麻……ッ!!」

職員室を出た瞬間、吹寄がドスの効いた声で上条を呼ぶ。

「不純異性交遊ってどういう事よッ!?」
「こ、子萌先生のジョークだよ!」
「き、貴様ッ! あの夜のことを月詠先生に話したんじゃないでしょうね!?」

あ、そっちか… と上条は肩透かしを食らった気分になる。
そして、ひょんなことから絶好のチャンスが巡って来た事に気付いた。

「…話してねーよ。それと、あのさ、吹寄……」
「な、なによ…?」

突然、神妙な顔になった上条にドギマギしながら吹寄が答える。

「あの夜のこと、お前を傷つけちまって、マジでごめん。ずっと謝りたかった。この通りだ!」
「へっ… えぇぇ!?」

真剣に吹寄に頭を下げる。
突然の謝罪に吹寄がたじろぐ。

「ごめん、吹寄……」
「そ、そ、そ、そんなこと突然言われたって…!」

可愛いぐらいに狼狽した吹寄が、わたわた、と両手で空気を掻きまわす。
しかし、一向に頭を上げない上条に「うぅぅぅぅぅぅぅ……!」と唸り声を上げると、やおら、腕組みをして顔を横に向けた。

「……べ、別に怒ってないからッ! に、逃げちゃったのは私だし……」
「……そうなのか?」
「そ、そうよ!!」

ぷい、と顔を横に向けたまま吹寄が言う。
その顔は加熱された薬缶のように赤い。

「そっか…… よかった……」

ホッとした上条が顔を上げる。

「あのさ… し、心配してくれてたの……?」
「そりゃそうだろ? お前泣いてたし…」
「わ、忘れてッ! そういうのは全部忘れてッ!!」
「ああ、そうだな… あの夜のことは、全部…」
「だ、駄目ッ!! あの夜のことは忘れないでッ!!」
「…どっちだよ?」

そう聞かれても、吹寄だって困るのだ。




.


246第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:30:43.78I0fdTQjao (6/28)

吹寄制理は上条当麻のことが、現在進行形で好きだ。
意識し始めた切欠はあまり思い出したくないが、好きだと自覚した時のことは良く覚えている。

確か、初めて中学2年の『一端覧祭』の実行委員に立候補したときだ。
あの時に色々と邪魔されたり、逆に手伝ったりしてもらって、吹寄制理は恋に落ちたのだ。

それからずっと、恋の花を育てに育て、ついに結実したと思ったのがあの夜の出来事だ。
土御門元春ともう1人の悪友にノセられて、アルコールの手助けもあって処女を捧げることに成功した。
…本当ならば、セックスの前後に告白して、恋人同士になるはずだったのだが。

(あんまり痛くて、逃げちゃって… しかも、ショックで数日寝込んじゃって… 私の方も告白するチャンスを逃しちゃって…)

吹寄にとっても、あの夜は不本意な結果なのだ。
しかし、好きな人に処女を捧げた記念の夜でもある。
忘れたくはないし、忘れて欲しくはない。

「……忘れないで。できれば、覚えていて」
「……ああ」

神妙な顔で上条が吹寄を見つめて頷く。
恋する乙女は、それだけで心の中をハート色に染まる。

(心配… してくれてたんだ……)

幸せで胸がいっぱいになる。
絶対に嫌われたと思っていたから、上条の言葉は何よりも嬉しい。

(脈ある… まだ脈はある…!!)

夏休みは始まったばかり、しかも、これからこの男は自分と行動を共にする。
いや、それどころか、まだクラスの誰も知らない新居に一緒に行くのだ。

(これ、チャンスじゃん… あたし、今、チャンスじゃん…!)

ニヤケそうになる顔を必死で抑えて、吹寄はいつもの不機嫌な表情を作って言った。

「それじゃ、この話は終わりにして、とっとと上条の家に行きましょう。遠いの?」
「えっと、歩いて15分くらいだけど… ちょっと待ってくれ、予定入れてたんで、遅くなるって電話入れるから」
「ん、わかった、早くしなさいよね」

密かに幸福度がマックス振り切れそうな吹寄は、上条の連絡先まで気が回ることがなかった。



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247第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:31:26.76I0fdTQjao (7/28)

「…ん?」

化粧台に置いた携帯が音を立てる。
午後に備えた化粧に余念のない麦野が、着信音を聞いて軽く眉を細める。

「上条クンに設定した『お仕事用』の着信音…? なんかトラブルにでも巻き込まれたのかしら?」

アイテムのメンバーは、個々に様々な電話番号を持っている。
それは、様々な偽装を円滑に行うための小細工であり、今回の着信番号は「カバーストーリーに小トラブル」というものだ。

「…はい、アタシよ」
『あ、ども、俺です…』

この回線では、名詞はすべて代名詞に代えることとなっている。

『俺の部屋、やっぱり学校からつっこみ入りました。今から、同級生の女子と確認してきます』
「あーあ、やっぱりか… で、どれくらい?」
『まぁ、すぐすぐ、といったところっス』

『すぐ』1回で30分。
つまり、今回は1時間ぐらいということだ。

「了解、じゃ、あとは適当に…」

そこまで言って、麦野の脳裏に1つの考えが閃く。

「…ねぇ、おおよそ理解したから、『もう一回かけて』」
『えっ? あ、はい。了解です…』

麦野の意図を把握した上条が一旦電話を切ると、すぐに―今度は通常回線で―電話が掛かってきた。

「ねぇ、その同級生って、『イラ子』ちゃん?」
『……麦野さんって、実は精神系の能力者じゃないですか?』

電話の向こうで上条が絶句する。

「うっさい、ちっ、『同級生の女子』なんて呼び方するからよ。ちょっと、余計な事言って無いでしょうね!?」

電話を通して、上条が躊躇う雰囲気が伝わってきた。

『えっと… 別に変な事は言ってないっスけど…
 単にこの前の夜のことを謝っただけです、けど…?』
「謝った!? 『この前の夜はごめん、心配してた』って!?」
『は、はい……』

麦野の剣幕に上条がたじろぐ。

「馬鹿ッ、アホッ、間抜けッ! アンタ、また地雷踏んだわよ!」
『えっ、な、なんでッスか?』

(この男は本気でタチ悪いわ……)

思わず天井を仰ぎ見て、麦野が溜息を吐く。

「……試しに、その子に『おい、お前、顔がニヤケてるぞ』って言ってみなさい。不意打ちで」



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248第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:31:59.87I0fdTQjao (8/28)

「えっ… は、はぁ、ワカリマシタ…」

引きつった笑みを浮かべて上条が吹寄の方を向く。
吹寄せはおっぱいを支えるように腕組みをして、そっぽを向いている。

「…おい」
「なによ?」
「お前、顔がニヤケてるぞ?」
「………ふえ!?」

言われた吹寄が、可愛いくらいに狼狽して、さわさわ、と自分の頬を撫でまくる。

「う、嘘ッ!」

吹寄の表情がどんどんと崩れ、泣いているような、笑っているような、不思議な表情になる。

「見ないでッ! 見ないで上条!!」

とうとう、両手で顔を覆って吹寄がしゃがみこむ。
膝小僧、おっぱい、両手の、見事なトーテムポールが出来上がった。

「お、おい……」

あまりに分かり易すぎる反応に、上条は自分が地雷を踏んだことをはっきり自覚した。



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249第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:33:01.77I0fdTQjao (9/28)

「どう?」
『…えっと、なんか、しゃがんで震えてます』

上条の声には力が無い。

「はぁ… ちょっとは想像しなさいよ。処女を捧げた好きな男から、『心配した』なんて声を掛けられたら、そりゃ、恋する乙女は舞い上がっちゃうでしょうが」

諦めた口調で麦野が話す。

(とりあえず、今日の夜はお仕置き確定ね...)

『すいません…』
「…早めに合流するわよ。部屋で待っていなさい」
『はい…』

電話を切って、また一度溜息を吐く。

「ったく! あの男わ~~~」

腹立ちまぎれに、携帯をベッドに放り投げる。
上条の鈍感さにも腹が立つが、夏休みだからと接触の可能性を考えなかった自分にも腹が立つ。

「……トドメ、刺しとくか」

物騒な台詞を呟くと、麦野は暫く額に手を当てて何かを考え…
今まで施した化粧を全部落とし始めた。



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250第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:34:42.09I0fdTQjao (10/28)

S-6 偽装アパート 尾立荘前

「着いた、けど……」

学校から歩いて数十分。
夏の日差しの下、2人は何の変哲もない鉄筋2階建てのアパートの前に居た。

上条がアパートを指差すと、長髪で表情を隠した吹寄が、無言で『風景撮影デバイス』を取り出す。

「……こ、この風景で良い?」
「ん? ああ…

吹寄がデバイスを構えて言うと、上条が「どれどれ…」と横からデバイスを覗き込む。
自然と上条と吹寄の顔と顔が近づくが、馬鹿は気付かない。

「………ゴクッ」
「えーと、俺の部屋があそこだから… ああ、この角度でいいぜ」
「じゃ、じゃあ、撮るからこれ持っててよ…」

デバイスを上条に持たせると、吹寄が刷毛状のトリガーを取り出す。

「動かないでね…」

デバイスを構える上条の背後から、胸を背中に押し付けるようにして上条に密着する。
ボリューミーな巨乳が、ぐにゃり、と上条の背中で押し潰される。

「ふ、吹寄…!」
「う、動くなって言ってるでしょ!」

デバイスの撮影は、特殊線維でできた刷毛で裏側をなぞることで完遂される。
そのため、それほど大きくない刷毛でA4サイズのデバイス全体をなぞる必要があり、
吹寄は小刻みに身体を動かしながら刷毛を滑らせる。

当然、動きに合わせて吹寄のでっぱいが、打ち粉の上で職人にこねられるうどん生地のように、ダイナミックにその形を変える。

(こ、こいつ… わざとやってるんじゃねーだろーな…!?)

上条は、どうしようも無く股間に沸き起こるオスの本能を必死で抑えた。



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251第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:35:08.93I0fdTQjao (11/28)

吹寄制理の行動は勿論わざとである。

(あたしには、女としての可愛げがない…!)

曰く、『美人なのにちっとも色っぽくない鉄壁の女』。
さらに、幼馴染から『イラ子』と呼ばれるほど吹寄は口うるさく怒りっぽい。
それは吹寄も理解していることで、しかし、同時に矯正は難しいとも感じていた。
考えるより先に、口や体が動いてしまうのだ。

(だから、肉体で釣るしかッ!)

吹寄制理はかなりスタイルが良い。
女子にしては高身長だし、足もスラリと長い。
おっぱいは、トップが3桁に届こうかというバストサイズで(もちろん、アンダーとの落差も相当なロケットおっぱいである)、
陰でクラスメイト男子から『メロンっぱい』と呼ばれるほどの爆乳である。

なんと言うことか、あの麦野沈利よりも巨乳なのだ。

(一度セックスした仲なんだし、もう一度襲われて、既成事実を作り直してやる…ッ!!)

吹寄制理、完全に肉食系女子の心理である。

「か、上条、ずれちゃったからやり直すわね…」

何がずれたのか上条からは判別できないが、吹寄は刷毛を裏返してせっかくデバイスに写した風景を消去していく。

「は、早めに済ませてくれ…」

鈍感な上条は、当然のように吹寄のボディランゲージを解することができない。
しかし、

(鈍感なのは覚悟の上。今は出来るだけ興奮させて、家に上げてもらってからが勝負よ…!)

妄想と願望と、恋慕と情愛が暴走した吹寄の、過激なスキンシップはそれから10分以上続いた。




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252第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:35:45.24I0fdTQjao (12/28)

「こ、こんなモノかしら…?」

都合3回。デバイスの撮影が終わり、ようやく吹寄が上条との密着を解くと、
上条の背中のワイシャツには、見事に顔並みの大きさの汗の染みが2つ出来上がっていた。

「はー、はー、お、終わったか…?」

直立不動で五感から伝わる吹寄の『オンナの体』に耐えた上条が、ようやく緊張を解いて大きく息を吐く。

「じゃ、じゃあ、用も済んだだろ? 今から会う人が居るから……」
「の、喉が渇いたわね! 上条当麻! 貴様は協力したクラスメイトに茶もださないの!?」
「いや、そりゃ、出すのが当然だけど…!」

背中(吹寄のおっぱいが当たってなかった部分)に冷たい汗が流れる。
上条の性格では、「世話になったな、上がって冷たいの飲んでけよ」と言うのが普通である。
しかし、まごまごしていると、怖いお姉さんがここにやってきてしまう。

(ビリビリの二の舞だけは避けないとッ!)

少し恋慕を見せた御坂美琴ですら、あそこまで悪趣味な手でぶちのめした麦野である。
一度手を出したことを告白している吹寄には、どんな手段を弄するか想像もつかない。

脳裏に、御坂美琴の号泣した姿と、あの夜の吹寄が重なる。
さすがに、幼馴染のあんな姿は、もう見たくない。

「…なぁ、吹寄」
「な、何よ、急に真面目な顔になって… ドキッとするじゃない!」

上条のやけに真剣な顔に、吹寄の顔が、カーッ、と紅潮する。
ついでに、

(き、来たッ! 釣れたっ!)

と、いらん勘違いもする。

「俺さ、お前のこと、もう傷つけたく無いと思ってるんだ…」
「よ、ようやく理解したの? 貴様は、もっとあたしに優しくすべきよ!(良い流れ!)」

「一応、俺、けっこう気を使ってるつもりなんだぜ?」
「それなら、もっと行動に示すべきでしょ!(さぁ、早く家に上げなさい!)

「行動、か… でも、強引にすると、またお前怒るだろ?」
「し、してみないとわからないじゃない!(今度は絶対に逃げないから!)」

「そうなのか? 強引にしちゃって良いのか?」
「そうよ! やってみれば良いのよ(よっしゃ、既成事実再ゲットぉぉぉ!!)」
「そうか……」

何かを決心したかのように上条が呟き、姿勢を正して吹寄の正面に立つ。


253第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:36:12.07I0fdTQjao (13/28)

「吹寄…!」
「ひゃ、ひゃい!」

思わず吹寄の声が裏返る。
『メロンっぱい』の奥の心臓が、ドクドクと鼓動を限界まで速める。

(も、もしかして、ここで告白までいっちゃうのッ!?)

乙女煩悩が思考を爆発的に加速させ、コーナーを曲がりきれずにコースアウトする。

「上条… 良いよ……」
「ああ、吹寄……!」

何が良いのか良くわからないが、上条当麻は覚悟を決める。
そして、勢いよく身体を動かし、

ガバッ!!

「……ッ!! ……………ん?」

上条の動きに思わず目を瞑った吹寄が、恐る恐る開眼すると、

「………へ?」

上条当麻は、見事に腰を90°曲げた、深々としたお辞儀をしていた。

「吹寄さん! 今日のところは帰ってください!!」
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

瞬間的にこみ上げた怒りに任せて、吹寄が、サラサラおでこのヘッドバットを上条の後頭部に叩き込む。
ゴチンッ!! と、非常に良い音がして、上条が声も上げれずに地面に前のめりに倒れた。

「いったぁぁぁ…!」

もちろん、吹寄もただでは済まず、両手で額を押さえて苦悶する。
そうして、2人でアパート前で悶絶していると、

「…なーにしてんの?」

上条が、今、一番聞きたくない声がした。


254第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:37:03.97I0fdTQjao (14/28)

「………ハイィィ!!」

その声を聞いて、きっかり3秒後に、上条がまるでバネ仕掛けのように跳ね起きる。

「あ、あのッ! これはその、アレがソレでコレがアレで………はい?」

上条が支離滅裂な言葉を口走ったあと、声の持ち主―麦野―を見て困惑した声を出す。

「そんなに慌てなくてもいいじゃない。私がビックリしちゃうわ」
「あ、ああ… え…?」

上条当麻が絶句する。
その原因はたった一つだ。

「麦野、さん… そのカッコ……」
「あら、何か不思議なことでもあるの?」

麦野沈利は、紺色のブレザーに、同色のスカート姿、化粧も控えめのナチュラルメイク、
つまりは、女子高生ルックだったのだ……!

「あの… 貴女、誰ですか…!?」

麦野の存在感に圧倒されつつも、吹寄が詰問する。
しかし、麦野はその質問自体には答えずに、赤くなった顔よりさらに赤い吹寄せのおでこを、さわさわと撫ぜた。

「女の子が暴力は駄目でしょ。赤くなってるから、家に上がって冷やしましょ」

そう言って、2人をアパートへ誘導する。

喉まで出かかった「アンタ、誰だよッ!」という台詞を何とか飲み込んで、
上条は無言でガクガクと頷いた。



.


255第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:37:50.52I0fdTQjao (15/28)

S-7 偽装アパート 尾立荘 上条の部屋(偽)

「う、つめた……」

冷凍庫の氷とビニール袋、タオルで作った即席の氷嚢を額に当てる。
丁寧に作られたそれは、麦野がテキパキと作ったものだ。

「落ち着いた?」
「は、はい… ありがとうございます……」

まだ頭が混乱したままだが、とりあえず吹寄が麦野に礼を言う。

「当麻クン、また何か女の子に失礼なことを言ったんでしょ?」
「ィェ、ソンナマサカ……」

色々なことに全力で突っ込みたい。
突っ込みたいが、突っ込んだら、恐らく自分の命は無い。

「こんな暑い日に女の子を立たせて… もっとデリカシーを持つようにって、いつも言ってるでしょ?」
「はい、ごめんなさい…」

構図としては、まさしく弟的立場の男の子を叱る、年上のお姉さんである。
そして、大変に意外なことに、そういう仕草が不思議なほどに麦野に似合った。

「さて、と… それじゃ、今日もお昼ご飯作るから、貴女も食べて行ってね?」

そう言うと、麦野は部屋のクローゼットを開け、なぜかそこに有る、可愛いフリルのついたエプロンを手に取る。
手早くそれを見に付け、麦野が1Kのキッチンに移動しようとすると、とうとう我慢の限界を超えた吹寄が声を上げた。

「あ、あのッ!! 貴女は上条君と、どういう関係なんですかッ!?」
「吹寄、それは…」

思わず答えようとする上条を、吹寄が睨みつけて黙らせる。

「どうなんですかッ!?」

恐らく、フレンダか浜面辺りがこの場に居れば、「ぶち殺し確定、アーメン」と十字を切っただろう。
           ・ .・ ・ .・ ・ ・ .・ ・ .・ .・ .・ ・ ・  .・ .・ ・ .・ ・ .・ .・ .・ .・ ・ .・ .・
しかし、麦野は、恥ずかしそうに目を伏せると、はにかんだ笑みを浮かべた。

「そういうの、大声で他人に言うもんじゃないし… 恥ずかしいわ……」

上条の顎が、かくん、と落ちた。



.


256第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:38:23.69I0fdTQjao (16/28)

(失礼な態度とりやがって、アイツは~~~!)

台所に立った麦野が、心の中で毒づく。

無論、麦野の変貌はわざとである。
自分でも、キャラではないと十二分に理解しているが、まぁ、やってやれないことではない。

(なるべく、穏便に退場願いたいからね…)

強引に上条から引き離しても良いが、禍根を残すのは、上条の学校生活から考えると良くは無い。
そのため、自然と吹寄から身を引くようにもって行きたいのだ。

吹寄について麦野が知っていることは、今朝、上条から聞いた、メシマズ、世話焼き、怒りっぽい、といった点である。
そこで、麦野が狙ったのが、自分が『優しくて料理の上手い年上の彼女』を演じ、吹寄の劣等感を煽るというものだ。

(処女を捧げたくせに、最後まで『押せない』へたれ女なら、これで充分でしょ)

麦野が余裕綽々な、かつ、思わせぶりな態度をとって女としてのレベルの差を見せ付け、
吹寄が勝手に誤解(ある意味誤解では無いが)をして、上条を諦めるのが狙いだ。

大雑把で穴のある作戦だが、ゴリ押しすればいけるだろうと麦野は考えていた。

(まぁ、たまには女子力あるトコ魅せとかないとね)

料理の腕を見せ付けるのだから、昼食にはそれなりの料理を出さねばならない。
冷蔵庫の中は先ほど確認したが、一通りの野菜と牛肉があったから、サクッと肉じゃがを作ろうと考えている。

(えーと、お出汁は流石に取る時間が無いから、料理酒を使って……)

テキパキと麦野が材料を並べていると、スッ、と違う影が台所に立った。
吹寄だ。彼女は麦野が並べた食材を見ると、輪ゴムと取って長い髪を後ろで束ねた。

「……手伝います。話はそれから」

有無を言わさぬ口調に、麦野がカチンと来る。
が、今の設定は『優しいお姉さん』だ。いつものように切れるわけには行かない。

「あら、座ってて良いのよ? 当麻クンと何か話をしていたら?」
「けっこうです」

そう言うと、吹寄は「肉じゃがですね? 野菜は私が下ごしらえします」と言って、玉ねぎの皮を剥き始めた。

(……おい!)

その滑らかな手つきを見て、麦野が上条に視線を送る。
睨まれた上条が、慌てて吹寄に声を掛けた。

「ふ、吹寄、お前、料理できるの?」
「はぁ? 学園都市で1人暮らししてるんだから、出来て当然でしょ」
「だって… お前の作る料理って……」

言い難そうに上条が言うと、吹寄はしばらく考え込んで、それから何かを思い出して言った。

「……もしかして、中学の調理実習のときのアレ? あれはね、はじめっから『ああいう味』を狙って作ったのよ。
 あの健康調味料、それが特徴なんだから」
「…え、そうだったん?」

そうなのである。
吹寄が過去に作ったメシマズ料理は、もちろん、怪しげ健康食品のせいで不味い料理に仕上がったのだが、
あの味は、『健康』を維持するための摂食制限を演出するものなのである。

「そもそも、料理が作れないんだったら、あんな健康調味料使わないわよ」
「まじかよ……」

上条が絶句して麦野をチラ見する。
麦野はにこやかな笑みを浮かべて、「それじゃ、お願いしますね。助かるわ」と朗らかに答えているが、

目が全く笑っていない。

「ふ、不幸だ……」

恐らく、今夜執行されるであろうお仕置きを想像して、上条は力なく呟いた。



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257第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:39:20.49I0fdTQjao (17/28)

「はい、お待たせしたわね」

リビングのちゃぶ台に3人分の昼食が並ぶ。
薄く湯気をたてた料理は、健康な少年の胃袋を大いに刺激した。

「う、美味そう…」

麦野の恐怖を一瞬忘れて上条が呟く。
すると、吹寄が悔しそうに言った。

「…お料理、上手なんですね」
「あら、貴女も充分なんじゃない? お野菜の形、すごく綺麗よ」
「…そういう、切ったり計ったりは得意なんですけど、アレンジ、苦手なんです。だから、テンプレートな味しかできなくって」
「自分の好みを押し通すのがアレンジとは言わないわ。誰かに食べてもらって、感想を言ってもらうのが一番よ」
「味見とか、どういうタイミングですれば?」
「そりゃ、もちろん、味を整える前後にやるのが良いわよ」
「適量って、どういう風に解釈すれば?」
「もっとファジーに考えて大丈夫よ。アレは単に好みで量が変わるだけだから」

自然と会話が続き、麦野沈利が奇妙な気持ちになる。

「えっと……」
「あっ、自己紹介がまだでしたね。吹寄です、吹寄制理。貴女は…」
「あー… 麦野よ… 麦野沈利」
「麦野さん、ですか……」

噛み締めるように麦野の名前を呟く。
麦野の想定通りの状況ではあるが、どうにも麦野には嫌な予感がした。

「…とりあえず、食べましょう?」
「…はい、頂きます」

麦野と吹寄が示し合わせて、そして上条が慌ててそれに倣って昼食が始まった。
が、会話が発生しない。

(空気が重てぇ…)

上条が女子2人をチラチラ見ると、吹寄は遠慮無しに麦野をジッと見ていて、
麦野は、見られていようが平静を保っている(ように見える)

そして、そのまま続いた無言の団欒の終わり際、吹寄が突然言った。

「…結婚まで考えているんですか?」
「………ングッ!!」

吹寄のあまりな発言に、上条が喉を詰まらせる。
麦野も内心、(手順をどんだけすっ飛ばすんだ、この娘…)と戦慄しながらも、『お姉さん』の仮面をきっちり被って上条の背中をさする。

「…すこし、びっくりしちゃったわ。吹寄さん、そういうことを考えるのはまだ早いんじゃない?」
「そう、ですか…? でも……」

一瞬、口ごもり、そして、一気に言い切る。

「あたしと上条は、親公認の許婚同士なんです。そういう覚悟が無ければ、譲れません」

この日、吹寄、最大級の爆弾発言が投下された。




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258第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:39:49.03I0fdTQjao (18/28)

「い、許婚ッ!?」

一瞬だけ『お姉さん』の仮面が外れて、麦野が驚きの声を上げる。

「どういうことよッ!?」
「し、知りませんッ! 上条さんは何も知りません!! っつーか、テキトーなこと言ってるんじゃねぇよ!」
「て、テキトーじゃない! 中学のときの『中域短期父兄参観』で、ちゃんと上条のご両親に挨拶したの!!」

麦野が上条を、ぎらり、と睨む。
だらだらと滝汗を流す上条が、必死に記憶を探る。

「え、えっと… 確かに、あん時は、お前とウチと、家族全員でメシ食ったけど、そんな話は出なかっただろ…?」
「で、出たもん!!」

吹寄が必死に主張する。

だが、『許婚』は真っ赤な嘘だ。
上条の両親から『制理ちゃん、ウチの当麻をよろしくお願いします』と言われたことを、無理やり拡大解釈して言っているのだ。

(どうしよう… あたし、とんでもない事言ってる……!)

実のところ、冷静そうに見える吹寄制理の脳内は、限界ぎりっぎりまでテンパっているのだ。
この部屋から逃げ出したくてたまらない。いかにも仲の良さそうな麦野と上条を見て居たくない。

麦野の思惑は見事に効果を発揮して、吹寄制理の劣等感をこれ以上ないくらいに刺激した。

いや、刺激しすぎたのだ。
だから、吹寄制理は無謀ともいえる嘘を口走ったのだ。

そして、一度、嘘をついて自暴自棄になった吹寄の口から、あれだけ躊躇っていた言葉が暴発する。


「か、上条… もうこうなっちゃったから言うけど、あたし、アンタが好きだからッ! ホント、好きだからッ!!」
「吹寄……」

誰にとっても最悪のタイミングでの告白だった。
気がつけば、吹寄の目から大粒の涙が溢れている。

「………あぁ、もう」

滅多にないことに、思考が一時フリーズしていた麦野が再起動する。
『許婚』という単語に動揺したが、その後の吹寄の態度からそれを嘘だとわかった。
ならば、確認してしまえば良い。

「当麻クン、ご両親と連絡を取ったら? そうすれば分かることでしょ?」

その台詞に、上条は安堵の表情を見せ、吹寄がビクリと身体を振るわせる。

「うぅ… 上条、やめて……」
「ごめん、吹寄… でも、流石に大切なことだから…」

上条が携帯を取り出して実家にコールする。
麦野がジェスチャーで『ハンディホンにしろ』と指示をだし、上条が操作すると、呼び出し音が部屋中に響いた。



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259第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:40:22.16I0fdTQjao (19/28)

S-8  上条の実家 リビング

Prrrrrrrr……

「おーい、お母さん電話。今、ちょっとお土産出すのに手が離せなくてー」

「あらあら、また呪い関係のお土産ですか?
 ……はい、もしもし上条です。 …あら、当麻さん? どうしたの…? 
 …え、吹寄さん家の制理ちゃん? もちろん覚えているわ。
 あちらの奥さんとは、毎週フィットネスクラブをご一緒してるのよ? 制理ちゃんの話もよくするわ。
 ………え、許婚? 当麻さんと制理ちゃんが?」

上条当麻の母親たる、上条詩菜の眼光がキラリと光る。
その視線の先は、怪しげな人形を棚に飾ろうとしている夫の姿がある。

唐突だが、上条当麻の父親、上条刀夜は大変女性にモテる。しかも、自覚無しに。
そして、それは確実に1人息子である当麻にも遺伝していて、本人以上に母親である詩菜がそれを実感していた。

(当麻さんも、もう高校生… 制理ちゃんなら、良いお目付け役になれるんじゃないかしら?)

学園都市に1人暮らしで、痴情のもつれで刃傷沙汰でも起こされたらたまったものではない。
詩菜は素早く計算を完了すると、悪魔のような笑みを浮かべて受話器に話しかけた。



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260第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:41:02.54I0fdTQjao (20/28)

S-9  偽装アパート 尾立荘 上条の部屋(偽)

『ええ、そうよ。親同士で勝手に決めて申し訳ないけど、吹寄さんとは、そういう風に話を進めているわ~』
「「「はぁ!?」」」

携帯電話からの、あまりにも予想外な回答に、3人が三者三様の驚愕の表情を取る。

「か、上条さんッ! そ、その話はッ!!」
『あら、その声は、もしかして制理ちゃん?
 当麻さんに伝えてなくてごめんなさい、これからもヨロシクね~』

電話越しの詩菜の言葉に、泣き顔だった吹寄が喜色に染まる。

「はいッ! お義母様ッ!!」

『うん、良いお返事でママ嬉しいわー。
 それじゃ、当麻さん、制理ちゃんと仲良くねー』

プツ、ツーツーツー……

電話が唐突に切られ、部屋の中に一時の静寂が生まれる。

「……改めてお聞きします。麦野さんは当麻とどういう関係ですか?」
「恋人よ」

吹寄が事務的に問い、麦野が抑揚無く答える。

「わかりました、それでは、今日のところは帰ります。
 ……親の認可を貰ったからって、当麻があたしを見てくれないんだったら、本末転倒ですから…」

吹寄が、スッ、と立ちあがる。そして、麦野に深々と頭を下げる。

「宣戦布告です。絶対に当麻を貴女から取り戻してみせます」

それだけ言うと、吹寄は呆然とする上条の方を向いた。

「あたし、貴方を絶対振り向かせてみせるから…!」

そして、溢れる愛情を示すように、上条の頬にキスをして、顔を真っ赤に染める。

「それじゃ! 首を洗って待ってろ、上条当麻ッ!!」

そう言い残し、吹寄制理は去った。




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261第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:41:54.86I0fdTQjao (21/28)

S-8 麦野のマンション Melt kiss リビング


「がぁぁぁぁぁぁ、ムカつくッ!! 何が『宣戦布告』だッ! あの小娘が、調子に乗りやがって……ッ!!」

あれから、昼食もそこそこにマンションに戻ると、麦野沈利は怒りを爆発させた。
何か声を掛けようとした上条は、ボディに前蹴りを食らって悶絶している。

「…クソッ、ここまで計算を外したのは久しぶりね……」

実のところ、麦野が怒っているのは自分自身のミスについてだ。
結局、プレッシャーを与えすぎて吹寄を暴発させたのも、上条に電話を掛けるように指示したのも麦野なのだ。

「あー、腹立つ!!」

ドカッ、とソファに腰を降ろす。
そして、ようやく悶絶から回復した上条を、ちょいちょい、と手招きで呼ぶ。

「ハイ、ナンデショウ?」
「私はアンタを手放すつもりはこれっぽっちも無いから。アンタは私のオトコ。おっけー?」
「…オッケーです」

バツが悪そうに上条が言う。
流石に鈍感な彼も、自分のこれまでの態度が原因だとひどく後悔していた。

「俺がなんとか話をつけて…」
「ばーか、アンタから動いたら、火に油を注ぐようなもんでしょ? しばらくは様子見に徹しなさい」
「はい…」

「はぁ…」とため息を吐いて、麦野が膝を立てて膝小僧を抱える。
いまだにブレザー・スカート姿なので、足の隙間から白いショーツが見えているが全く頓着しない。

上条を『アイテム』に引き入れてから、出来るだけ敬遠していた思考が麦野を襲う。

麦野自身は絶対に否定するが、彼女は『暗部』であることに劣等感を感じている。
ゆえに、性欲や支配欲に代償を求めるが、その犠牲になったモノに対して、少なくない負い目を感じているのだ。

(私があの時、上条クンを『アイテム』に引き入れなかったら、幸せなカップルが出来上がってたんでしょうね…)

所在なげに佇む上条を眺める。

「……突っ立ってないで、横に座りなさいよ」

自分の横の席を、ポンポン、と叩く。
上条がぎこちない動作で座ると、麦野が上条の肩に頭をもたれさせた。




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262第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:42:25.27I0fdTQjao (22/28)

「…麦野さん?」
「ちょっとこのまま…」

(あー、まずい、まずい…)

麦野の中の小さな負い目が、『考えてもどうしようもないのに考えてしまうこと』を食べて成長する。

(…どうしてこうなっちゃうんだろう?)

麦野の身体が小さく震えだす。

麦野沈利の心は強い。
仕事と割り切れば躊躇わず人を殺すことができるし、どんなプレッシャーでも笑って跳ね除ける強い意志もある。
だが、それらは少しずつ、だが、確実に麦野にダメージを与えていた。

そして、吹寄制理に感じた、日向を歩く少女への劣等感が、
ついに麦野沈利の鉄の心を折り曲げてしまった。


263第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:43:03.16I0fdTQjao (23/28)

「……ぐす、ぐす」

上条は、最初、麦野が笑っているかと思った。
なにやら良からぬことを思いついて、暗い情動に笑っているのかと。

しかし、よくよく聞いてみると、それは確かに泣き声で…

「む、麦野さん……」
「ばかぁ、こっち見るなぁ…」

上条の腕が、ぎゅ、とつかまれる。
手入れされて形の良い爪が、上条の肌に食い込む。

「……ごめんね」
「え?」

細く、小さい声が聞こえる。

「人生、めちゃくちゃにしちゃって、ごめんね…」
「………」

上条は絶句して、思わず麦野を見た。
見てしまった。

そこには、ブレザーを着た少女が、膝小僧を抱えて泣いていた。

普段見せる大人びた余裕などカケラも感じない。
等身大の麦野沈利がそこに居た。

「見るなって… ちょっと、やぁ……」

上条は腕を伸ばすと、麦野の身体を自分に押し付けるように抱い寄せた。

「離してよぉ…」
「すいません、でも、離せないです」

さらにぎゅっと、麦野の身体を抱き寄せる。

不謹慎だが、初めて見せる麦野の『弱さ』を、上条はたまらなく可愛く思ってしまった。
同時に、そんな麦野をめちゃくちゃに犯したいという、暴力的な劣情も強く感じた。

「俺、麦野さんと一緒に居て、楽しいですから」
「そんなこと無い、嘘……」
「嘘じゃねぇよ……」

上条は麦野の後頭部を優しく手で把持すると、優しく、しかし強引に口唇を合わせた。
麦野の瞳から流れる涙が、口に入って少し塩辛い。

「ん… ふ…」

舌を絡めあうようなディープキスではなく、お互いの吐息を交換し合うような、深くて長い口付け……
どうしようもない劣情に逆らえず、上条はキスをしたまま麦野をソファに押し倒した。



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264第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:43:54.68I0fdTQjao (24/28)

長い口付けを離して身を起こすと、泣き顔のブレザー少女に馬乗りになる。

「……泣いてる女に欲情するとか、サイテー…」
「泣き顔、すっげぇ可愛い」
「…サイテー」

麦野が、ぷい、とそっぽを向く。
その、一つ一つの仕草が、上条の暴力的な劣情を刺激する。

「犯すぞ…」
「好きにしなさいよ……」

麦野のその許可が、完全に上条の理性を崩壊させる。
ブレザーの前ボタンを外すと、中のブラウスを両手で掴んで左右に引きちぎる。

ブツブツブツッ、と小さなボタンが弾け飛んで、白いブラジャーが顔を見せる。
外す手間も惜しいのか、上条がブラジャーを強引にたくし上げると、麦野の綺麗な豊乳が姿を現した。

上条は無言で豊乳を鷲掴みすると、飛び出た乳首を乱暴にしゃぶる。

「ん… あん… もっと、乱暴に、シテ……」

上条の口技がさらに加速する。
自然と、繊細さよりも勢いを重視した愛撫となり、所々、上条の歯が麦野の乳首に当たる。
そのたびに、麦野に軽い疼痛が走るが、逆にそれが麦野のマゾヒスティックな快感を助長した。

「……噛んで」

耳を疑うような台詞が麦野の口から零れる。
一瞬、上条は躊躇したが、すぐに思い返して麦野の乳首を前歯で、ガリッ、と噛んだ。

「…………ッ!」

ズキッ、とした痛みが、乳首から全身に広がる。
しかし、今の麦野にとっては、痛みこそが心地良い。

「……もっと、もっとぉ!」

リクエストに応えて、強く、強く乳首を噛む。
さらに、空いている手でもう片方の乳首を強く捻る。

ギリ、ギリ、ギリ……ッ!!

乳首から発生する激痛に、麦野の顔が大きく歪む。
しかし、それはどこと無く陶酔した表情だった。




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265第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:44:22.31I0fdTQjao (25/28)

「麦野さん、けっこうマゾ入ってるんだな」
「…そんなわけねぇだろ、馬鹿ッ!」
「いや、本当だぜ… ほら…?」

スカートの中に手を突っ込んだ上条が、ショーツのクロッチ部をまさぐる。

「…もう濡れてる」
「いちいち言うな、馬鹿ぁ…」

口ではそう毒づくが、身体は裏腹に腰を上げて、上条がショーツを脱がせやすいようにする。

ショーツを片足にひっかけ、スカートをめくると、すでにガチガチに勃起したペニスを秘所に当てる。
一瞬、麦野と視線が交叉すると、それを合図に、上条は強引に、そして一気にペニスを挿入した。

ズブズブッ!!

「…………ぃたぁ」

濡れ方が足りてなかったのか、麦野が苦痛の呻きを上げる。
だが、上条はそんなことはお構いなしに、ピストン運動を開始する。

ズリッ、ズリッ、ズリッ…!

上条の長大なペニスが、肉の槍となって麦野の身体を抉る。
歯を食いしばって、その痛みと衝撃に耐えていた麦野だが、次第にその表情に変化が生じ始めた。

「ぐっ、ぐぅ… はぁぁぁ…… ぁん、あぁん……」

いくら乱暴にしていても、ここ数日で幾度と無くセックスをした2人だ。
自然とお互いの腰の動きが同調し、2人が最も気持ち良い動きに変化する。

「はぁ、はぁ、はぁ…… あぁん、んぁあ!!」

結合部から、じゅぶじゅぶ、といやらしい水音が響く。

「…前から思ってたけど、濡れすぎ」
「アンタこそ、チンポでかすぎ… 吹寄ちゃん、よく裂けなかったわね」

イラっときたのか、ピストン運動が速まる。

「あっ、あっ、あっ!! 駄目、もうイクッ!!」
「イッちゃえよッ!! 俺も、くぅ……!」

両手を互いに絡ませて、口唇を互いにあわせて塞いで、
上条と麦野は同時に絶頂に達した………




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266第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:45:46.77I0fdTQjao (26/28)

「…ありがと」

それから数度、体位を変え場所を変え、激しいセックスを終えると、
麦野はいくらか落ち着いた声で上条に言った。

「…オトコの前で泣いたのは初めてだわ」
「俺の前だったらいつでも良いぜ」
「ぷっ…!」

上条当麻の、あまりにもの気障っぽい台詞に思わず吹き出す。

「ばッッッかじゃねーの? セックスのしすぎて、頭がサルになってない?」
「ひっでぇ! 自分だってセックス好きなくせに…」
「あン!?」
「事実じゃん!」

軽く睨みあって、そして、麦野が相好を崩す。

「…敬語、ようやく抜けたね」
「えっ!? あー、まー、そーかも……」
「そっちの方が良いわ、ずっと……」

そう言うと、麦野沈利は破れたり汚れたりしている服を全部脱いで、股間から精液が垂れないようにハンカチを当てた。

「ねぇ、一緒にシャワー浴びよっか。髪の洗い方教えたげる」
「爪の次は髪ですか、へいへい…」

上条も手早く学生服を脱ぐと、不意をついて麦野をお姫様抱っこした。

「きゃッ!」
「そんじゃ行くか」
「もう、調子のんなよ、テメェ……」

口を尖らせながらも、どことなく嬉しそうに麦野が笑った。

―――十数分後、バスルームから再び麦野の嬌声が響いた。






「あ、そうそう、お仕置き決めて無かったわね。
 今からしばらくブロウジョブサービス中止ね」
「………地味に辛ぇ」





                                                  第2話「恋敵」 了





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267第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:48:45.68I0fdTQjao (27/28)

はい以上。

吹寄のあまりにものヒロイン力に圧倒されて、
強引に麦野へシフトした結果がこれだよ。
後悔先に立たず。

2話はこれで終了なので、次から3話。
長めの話になる予定です。

でわでわ。
それと、ブレザー・女子高生ルックの麦野を想像して、
「BBA、無理すんな」と思った奴、
正直に挙手な。














ちょっと次回予告。あと、上条さんのチンポのサイズは、太さの長径5cm、長さ16cmね。


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/12(月) 18:49:38.77Yx+s6uWT0 (1/1)

そもそも麦野は現役高校生なわけだが


269第2話「恋敵」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/12(月) 18:49:47.90I0fdTQjao (28/28)









次回予告。


先の見えない哀れな逃走劇。
『暗部』に下る非情なハンティングゲーム。
ターゲットは、単価18万円の哀れな人形。

「―――俺様がやっても良いが、ハッカーを確保する必要があるな」
「―――悲恋か、やりきれねぇな…」

次回「妹編」

書き忘れてたけど、3話はダークなエログロになります。(予定)


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/12(月) 18:53:45.75Gjhb/ug10 (1/1)



ちくしょう、長さは1cm勝ったが太さは1cm負けた!


271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/12(月) 19:05:38.27TbEwZbfSO (2/2)

乙。毎度毎度素晴らしい上麦を…ふっきーもしいなもいい味を出しているわ…


272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/11/12(月) 20:51:33.00KrfMLs4xo (1/1)

ここに制服むぎのんを描ける方はいらっしゃいませんか!


273VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/11/12(月) 21:06:09.43IArVMEXNo (1/1)

読んでる途中吹/寄になるかと思って怖かった
ならなくてよかった

乙!


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/12(月) 23:59:58.48ERPVEs1v0 (1/1)

太さ同じ、長さは2cm当方の勝ちww
入れる時にはローション必要


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/13(火) 00:25:17.56zw2U3tQho (1/1)

>>270,274
お前らの大きさとか聞いてないから(震え声)


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/13(火) 01:33:46.30rNnNB/yjo (1/1)

長さ自慢してんじゃねーよ!

>>1のエロ描写好きだわ



277VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/13(火) 03:47:20.94WRVInYxIO (1/1)

乙っぱい

まてまて、どこにも「戦闘時のサイズ」とは書いてないんだぜ。
フルサイズ下条さんはもしかしたらカクテルグラスサイズかも!


278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/13(火) 03:56:44.6188+qqEuOo (1/1)

ブロウジョブってのはフェラのことな、念のため。


279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/13(火) 05:02:00.71C9rDDfoqo (1/1)

BBAとセックスしてェ…


280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/13(火) 20:08:52.81z4r66FsH0 (1/1)

子供産んだBBAは感度いいぞww


281 ◆yEFBo3BAb.2012/11/14(水) 01:18:56.1613nDQ9Xuo (1/6)

ちょっと安価。

今回は詳しく説明。

「次回開始時に既に暗部堕ちしているキャラを選んで」

性格改変をノリノリで行います。
好きなキャラをあえて外すのもありか?

1.こんごーさん        : 漫画版の性格をベースに、裏社会にどっぷり染まった強かさをブレンドします。
2.わんない&あわつき    : 表面上の性格はそのままで、中身はキマシタワー、的な性格破綻レズカップルにします。
3.やなぎさこあおみ      : 固法先輩のルームメイトの風紀委員。暗部との二重スパイにします。当然性格はほぼオリジナル。

ちょっと遠めに↓3
もしくは、本日10:00:00以降初めてのレス。


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:20:14.902T/C69MSO (1/7)

こんごーさん熱望


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:21:36.87hCSqUg5Eo (1/1)

1


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:21:59.39mQFSCzaYo (1/1)

1


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/11/14(水) 01:24:31.341oX9n4f4o (1/2)

乙でした


286 ◆yEFBo3BAb.2012/11/14(水) 01:27:32.2113nDQ9Xuo (2/6)

…このスレって監視されてんの?

そして圧倒的婚后さん人気にワロタ。

1つ聞きたいが、
超電磁砲8巻、177ページの5コマ目で、
お前ら興奮した?


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:28:03.892T/C69MSO (2/7)

した


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/11/14(水) 01:32:35.971oX9n4f4o (2/2)

オフコース


289 ◆yEFBo3BAb.2012/11/14(水) 01:35:51.5113nDQ9Xuo (3/6)

おーけー、おーけー。

そんじゃ、誰に踏ませようかのぉ…


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:37:10.782T/C69MSO (3/7)

個人的には木ィィィィ原くゥゥゥゥンを押す


291 ◆yEFBo3BAb.2012/11/14(水) 01:42:19.8913nDQ9Xuo (4/6)

>>290
ネタバレになって申し訳ないが、
木原一族は扱いが面倒すぎる&ベタな使い方しかできないので、
ウチのSSには出しません。


292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:44:11.902T/C69MSO (4/7)

畜生ォォ……割りと悲しい。

じゃあ次点で上条さんか木山てんてー


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:50:10.262T/C69MSO (5/7)

ちなみに布束、天井、テッラさんも可


294 ◆yEFBo3BAb.2012/11/14(水) 01:51:03.6313nDQ9Xuo (5/6)

ネタ潰しって言葉、知ってるか?


295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:53:23.272T/C69MSO (6/7)

あー…すまん。


296 ◆yEFBo3BAb.2012/11/14(水) 01:55:25.7313nDQ9Xuo (6/6)

あ、いや別に不具合はまだないけど、
それぐらいでな。


297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 01:56:29.632T/C69MSO (7/7)

理解。後は楽しみにしてるわ


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 03:09:01.10RpDes4yDO (1/1)

このむぎのんは最高
ぷちキチだけどマジ可愛い

間違い無く五本指に入ります!!


299VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/14(水) 05:20:29.87oF8XHJyGo (1/1)

指が五本入ります?(難聴


300名無しNIPPER2012/11/14(水) 07:21:31.93bEAJtDeV0 (1/3)

>>286

興奮するわけねぇだろ死ね


301名無しNIPPER [名無しNIPPER] 2012/11/14(水) 07:24:10.13bEAJtDeV0 (2/3)

>>281
今回は詳しく説明じゃねぇよ
全部詳しく説明しろよカス[ピーーー]



302名無しNIPPER2012/11/14(水) 07:24:59.47bEAJtDeV0 (3/3)

>>281 今回は詳しく説明じゃねぇよ 全部詳しく説明しろよカス死ね


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/11/14(水) 09:36:40.47z6obx51Zo (1/1)

落ち着けよ


304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/11/14(水) 10:21:30.03GABGoFzOo (1/1)

saga入れたいだけやろ


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/11/15(木) 00:34:56.20NIy2tJHl0 (1/1)

>>286
しなかったな。
泡浮ちゃんのジャンプシーンが素敵だった


306 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 08:58:27.62pqA5z8+3o (1/14)

色々予定が立て込んだので、突発投下。

今回は短め20k。
でも、エロは挿入する、絶対にだ。

多分、第3話はこんな感じで小出しになると思います。


307第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 08:59:30.89pqA5z8+3o (2/14)





S-1 DAY マイナス1

PM23:00 マンション「Melty kiss」 絹旗命名 「インランの間」


ギシギシギシギシッ…

クィーンサイズのベッドの上で、若い男女が互いを貪りあう。
その豊かな双乳に夥しいキスマークをつけられたキツ目美人の女性は、
ツンツン頭の少年の激しいピストン運動に、喜悦の涙を流す。

「あンッ、あンッ、あンッ!! あぅッ!!」

ピストン運動のたびに、かなり大きめな豊乳が、ぶるんぶるん、と盛大に揺れ、
5,6回突かれるごとに、形の良い顎を反らして絶頂に達する。

「ぅ、締まる…… 沈利、またイッた?」
「さっきからッ、イキっぱなしよ…! 当麻クン、耐えすぎ…ッ!」

既に何回か腟内射精されているのか、結合部から精液と愛液が混ざった液体が吹き零れる。
上条と麦野、通算何度目になるか分からない、ガチセックスの最中だ。

「流石に3発目だからな…! これで長持ちしなかったら、怒るだろ…ッ!!」

ズリッ、ズリッ、ズリッッ!!

四方の膣壁を擦るように、細かい変化をつけてピストン運動を繰り返す。
擦られる膣壁で感じ方が違うのか、麦野の反応も微妙に変化する。

「…あ、ソコッ! ソコ良いわ…!」
「ん、ココ?」

新たに発見した性感帯を、ペニスの上カリでごりごり擦ると、麦野が声にならない悲鳴を上げる。

「―――ッ!! すご… ソコ、良い……ッ!」
「それじゃ、これでラストにするぜ…ッ!!」

新たな弱点を見つけた上条が、その場所をピンポイントに責める。

「………ぉぉおおおおああああああああ!!!!」

シーツを引き千切らんばかりに掴んで堪えていた麦野が、耐え切れなくなって獣のような唸り声を上げる。

「…出すぞ、沈利ッ!!」

麦野の限界を悟った上条が、奥の奥までペニスをぶち込んで勢い良く射精を始める。
子宮のみならず、脳にまで精液をぶっ掛けられたような感覚を経て、麦野沈利はようやく脱力を得た…


.


308第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:00:50.70pqA5z8+3o (3/14)

「うぁーーー、すっげぇイッたぁ……」

上条が秘裂からペニスを、ずるり、と引き抜くと、抑揚の無い口調で麦野が呟いた。
下品な物言いだが、こういう言い方をするときは彼女の本心が出ている証拠だ。

「……あー、なぁ沈利」

麦野が上機嫌なのを確認して、上条が躊躇いがちに声を掛ける。

「あのさ、そろそろ、解禁してもよくね? …お掃除フェラ?」

吹寄の件からフェラ禁止になってから1週間ほど。
あの時の充足感が忘れられない上条は、麦野の機嫌の良いときにおねだりをしようと、タイミングを計っていたのだ。

しかし、麦野は無言で自分の秘裂に人差し指と中指を突っ込みと、ぐちゅぐちゅ、と盛大に腟内を掻き回す。
そして、精液と愛液が付着して、湯気が立つほどにふやけた指を上条の前に突き出した。

「舐めて」
「………っえ?」
「はい、ブ~~~!! 『己の欲せざる所人に為す勿れ』ってかぁ? 
 テメェができねぇことを、彼女に強要させんじゃねーよ」

口調はそこまで激しくないが、ガン拒否である。

「いやッ! 舐める舐める、舐めさせていただきますッ!!」
「遅いっての。つーか、ちっとは我慢しろよ」

やや呆れた口調で麦野が言う。

「くそぅ… あれ、マジですげー感動するんだけどなぁ…」
「こんな良いオンナに、生ハメ中出ししてんだから、ぜーたくなこと言うな、バカ」

零れた精液がシーツを汚さないように、麦野がティッシュで秘裂を押さえる。

「はい、抱っこ」

麦野が片手を上条に伸ばすと、心得た上条が麦野を軽々とお姫様抱っこをする。

いつものパターンでは、このままバスルームに直行して一緒にお風呂を入るのだが、今回は無粋な電子音がそれの邪魔をした。

Pipopipopipo......

独特な電子音に、麦野の表情が「げぇ…」と歪む。

「…ぜってぇ、タイミング計ってやがったな、覗き見ヤローめ…」

憎々しげに呟いて、傍らの携帯電話を取る。
とりあえず、上条が麦野を抱っこしたままベッドに腰を降ろすと、麦野は電話の通話スイッチを押した。



.


309第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:01:26.02pqA5z8+3o (4/14)

『や、先ほどはお楽しみでしたね♪』
「ブチ殺されたくなかったらとっとと用件を言え」

予想通り、電話の主は『アイテム』に仕事の斡旋をする、通称『指示役の女』だ。

『へーんだ、可愛い子犬ちゃんと昼夜問わず盛っちゃってさぁ… この淫乱女めッ!!』
「そういうアンタは、もしかしてクモの巣張ってんじゃないの? 早く使わないと、オンナやめるハメになるぞ?
 ……あ、もしかして、すでに閉経しちゃってる?」
『こ、こいつときたら…… なんでそう下品な言葉がポンポン出やがるんだ……!?」
「うっさい、良いから、とっとと用件を言えッ!!」

『指示役の女』は、それでもまだブツブツと文句を言っていたが、間を取るように、「あ~ごほん」と咳払いをして話し始めた。

『…今回のお仕事は『奪還・回収』よ。まぁ、よくある『外』への技術流出の阻止ね。
 詳しくは後から説明するけど、アンタらにはハンター役をやってもらうわ』
「ちっ、めんどくせーな… つうか、即応しなくて大丈夫なのかよ?」

学園都市の『10年以上先を行った』技術は、学園外の科学者にとっては垂涎の的だ。
当然、技術の流出には気を使うし、事前に察知しているのなら、即応部隊が即確保するのが通例だ。

『それが色々と複雑っつーか、やっかいな事情があってねぇ。アンタらに動いてもらうのは明後日になるんだわ』
「…げぇ、嫌な予感しかしねぇぞ?」
『あ、それ多分当たってる。
 今回のメインは、当然、トチ狂った科学者の逃亡阻止と技術奪還なんだけど、
 裏にもう一つ目的があって、逃亡者を泳がせて、逃亡を幇助する反学園都市の組織を把握するわ』
「だりぃ… 悪いけど、アタシはパスね。とっとと目標を確保して終わらせてもらうわ」
『コイツときたら… ま、普通に仕事をやる分には文句は言わないわよ。
 敵対組織のあぶり出しは、『他の暗部』がやってくれるでしょーから』

『指示役の女』の言葉に、麦野の表情が歪む。

「『暗部』を総動員するつもりか… よっぽど上質の餌なんだな?」
『それは資料を読んでから判断してください。それでは、健闘を祈ります』

電話は唐突に切れた。
麦野は忌々しげに携帯をベッドに放り投げると、上条の耳に口を寄せて言った。

「お風呂で楽しんだら、皆に連絡してちょうだい。けっこうでかいヤマになりそうよ…」

日常が終わり、非日常が幕を開けようとしていた……



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310第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:02:32.66pqA5z8+3o (5/14)

S-2 DAY -1

同時刻 とある路地裏


学園都市の路地裏を、大きなスポルディングバッグを肩から下げた、中肉中背の壮年男性が歩いている。
あまり運動慣れしていないのか、それともバッグが相当に重いのか、ぜえはあ、と肩で息をしている。
                                                 フルチューニング
「マスターマスター、マスターの鼓動が頻脈です。適切な休憩が必要です、と、ミサカ00000号が申し上げます」
「……うるさい、休憩はあとだッ!」

男の3歩半後ろを、一人の女性が歩く。
この女性も、大きめのバッグを肩に架け、両手にボストンバッグを下げる重装備だが、男と違って息の1つも上がっていない。

「『暗部』が動き出す前に、ある程度の仕込みを済ませておかねばならん。休んでいる暇は無い…!」

男は1つ気合を入れると、傍らの女性を見た。

その女性は男よりも少し背が低く、162cmほどの身長で、身体の線が見えない緩めのワンピースを着ている。
頭にはつばの広い麦わら帽子を目深にかぶっているため、表情を探ることは出来ない。

「マスターマスター、わたくしめの計算では、小休止を取った方がより効率的です。と、ミサカ00000号が申し上げます」
「…うるさい、黙って私について来い… 命令だ!」
「マスターマスター、命令を『統合・解釈』いたしました。発語を休止し、マスターに追随します。と、ミサカ00000号が申し上げます」
「…ああ、それで良い」

『マスター』と呼ばれた男は、しかし、足を止めて少女を見た。

(くそ… どうして私は、こんなことを……)

男の表情が、形容しがたい形に歪む。
後悔をベースに、諦観と愛想と、そして決意をミックスしたような表情だ。

発語を禁止されているためか、女性が首をかしげて疑問を向ける。

「…なんでもない、行くぞ」

男は女性の疑問には答えず、踵を返して歩き始めた。
女性も、それ以上追求しようとせず、きっちり3歩半下がった位置で、男に従って歩き始めた。

男の名前は天井亜雄。
数日後には、学園都市の『暗部』ほぼすべてから狙われる、哀れな研究者だった……




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311第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:04:33.42pqA5z8+3o (6/14)

S-1 DAY 0

PM1:00 「とある」ファミリーレストラン


「超電磁砲(レールガン)の複製人間(クローン)~~!?」

とある昼下がりのファミリーレストランに、フレンダ・セイヴェルンの素っ頓狂な声が響く。

「ふれんだ、こえがおおきい」
「あ、ゴメン、滝壺。 …でも、どーしてそんな物が作られた訳?」

窓際19番のファミリー席には『アイテム』全員が揃っており、黒一点な上条はどうにも居心地が悪い。

「『どうして』かは、超簡単にわかるでしょう。
 レベル5を量産できれば、学園都市のパワーバランスが、超ひっくり返りますから」

絹旗の言うとおり、超能力者(レベル5)は、それ1人だけで一国の軍隊に匹敵すると言われている。
その量産が可能ならば、世界征服も夢ではないだろう。

「問題は、なぜ『超電磁砲』か、ということね。
 資料によると、クローン作成に使われたDNAマップは、超電磁砲が10歳のときのものらしいわ。
 その時、あの小娘はレベル1にも達していなかったそうよ」

あまり興味の無い風に麦野が言う。

「ワケわかんねぇな。学園都市側は、ビリビ… 御坂がレベル5になるのが分かっていたって言うのか?」

『ビリビリ』と言い掛けた時、麦野に、ギロリ、と睨まれて、上条はあわてて言い直した。
うっかり失言をして、また要らないフラグを建てないように、麦野によるデリカシー強化訓練である。

「DNAマップ提供の目的は、筋ジストロフィーの治療となっているけど、可能性としてはそれも有るわね……
 アタシだって、最初からレベル5をめざした特別カリキュラムを経てレベル5になったんだし」

珍しく麦野が遠い目をして言う。

麦野はあまり自分の過去を語らない。
それは『暗部』であることからの戒めなのか、それとも、別の理由なのかは定かではない。
ただ、漠然と『聞くべきではない』と、上条は感じていた。

「……それで、こんかいのたーげっとは?」

停滞した雰囲気を、やんわりとした滝壺の声が破る。

「…えーと、『天井亜雄』 量産型能力者計画、通称『レディオノイズ』計画の超責任者ですね」

「『レディオノイズ』計画は、御坂美琴の体細胞クローンの作成に成功するも、
 その性能はオリジナルの1割に満たなかったため、計画は凍結……
 結局、レベル5の量産は失敗に終わったって訳」

「つまり、あまいさんの研究はしっぱいにおわった?」

「結論から言うとそうね。
 私財を投じた研究が失敗に終わり、巨額の負債を抱え、ニッチもサッチも行かなくなった哀れな天井研究者は、
 唯一の『研究成果』を手土産に、学園都市外部に亡命しようとした、と」

「そして、その『研究成果』がこの娘か……」

上条の手の中には、掌大の撮影デバイスがある。
そこには、過去、彼に何度も勝負を挑んできた少女、御坂美琴に良く似た少女が写っていた。

研究成果とは、即ち、1体だけ生産されたクローンのプロトタイプである。




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312第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:05:16.85pqA5z8+3o (7/14)

                           オリジナル
「ミサカタイプ・クローンか… どー見ても御坂美琴本人よりも肉体的に成長してるわね」
「クローンですから、実年齢は数歳程度でしょうね。…精神年齢が何歳かが気になりますが」

デバイスに写る少女は、上条や麦野が遭遇した御坂美琴よりも若干大人びて見える。

「能力は強能力(レベル3)の劣化電気(レディオノイズ)。
 出力は超電磁砲の1割未満みたいだけど、『電気使い(エレクトロマスター)』としては充分な能力ね。
 電気的なトラップや追跡手段は使えないと見て良いわ」

麦野が冷静に分析する。

「ですが、ウチには滝壺が居ます。
 これは超大きなアドバンテージでしょう」

絹旗が滝壺を見ながら言う。
滝壺の能力である『能力追跡(AIMストーカー)』は、たとえ地球の裏側に居ようとも、能力者であれば完全にその位置を補足できるものだ。
『体晶』のサポートが必要とはいえ、かなり強力な能力だ。

「…まかせて」

注文したパフェをもぐもぐ食べながら、絹旗が言う。

「でも、結局動けるのは明日からなんでしょ? めんどくさー…」

フレンダが呆れたように両手を挙げる。
絹旗、滝壺も同様の感想のようで、互いに頷きあう。

「どうも、学園都市側は今回のヤマを特別視しているみたいね。
 ドクター天井の逃亡も仕組まれた匂いがするわ」
「というと?」
「…具体的な結論を出すには情報が少なすぎるわね。
 とりあえず、今日は各自情報を頭に入れて、明日から行動を開始するわよ」

上条の質問を微妙にはぐらかし、麦野が会話を締める。
何か用事でもあるのか、フレンダが一番に席を立った。

「とりあえず、アタシは浜面通じてスキルアウトに探りを入れておくわ。
 妹の様子も見ておきたいしね」

そう言って、お気に入りの帽子を被るフレンダに、麦野が声を掛けた。

「フレンダ、それならコレも連れていってちょうだい。
 スキルアウトにツテもあるみたいだし」

麦野が上条が指差して言う。
事前に話してあったのか、とくに動揺も無く上条が立ち上がる。

「…ま、別に良いけど、妹に色目使わないでよ?」
「しませんって、上条さんをどんな風に見てるんですか…?」
「性獣」
「……ひどい誤解だ」

顔に手を当てて落ち込む上条を、麦野が頭をはたいてどやしつける。

「変に気にすんじゃねぇよ、余計に怪しいだろうが。とっとと行って来い」
「へーい、そんじゃ、フレンダさん、ヨロシク」
「あいさー。いやー、上条が居てくれると助かる訳よ」

何が嬉しいのか、満面の笑みを浮かべてフレンダが言う。

「…フレンダぁ、手ぇ抜いてトチったら、容赦なく処分するからな。調子のんなよ?」
「う… 分かってるわよ。仕事はきっちりこなすから…!」

ドスの効いた麦野の台詞に、フレンダは思わず冷や汗を流した。




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313第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:05:54.89pqA5z8+3o (8/14)

S-4 DAY 0
同時刻  某ホテル最上階ペントハウス。



「相手は『電気使い(エレクトロマスター)』だからな、
 俺様がやってもいいが、ハッカーを確保する必要があったわけだが…」

学園都市を一望できる高級ホテルの最上階。
機能的な生活空間や、それと不釣合いなほど電子化されたシステムスペースがあるペントハウスに、特徴的な男女4人が居た。

「それで、塔下くんがナンパしたのが彼女なの?」

最初に言ったのは端正な顔立ちをした長身の青年で、
それに応えたのは、小柄な、しかし、大人が着るようなイブニングドレスを見に纏った少女だ。

「ナンパっつーか、ネットに複雑な暗号キーを置いて釣っただけですけどね。
 まさか、こんな娘が釣れるとは思っていなかったです」

そう言ったのは、天使の輪のような金属環が頭部をとりまいている少年だ。

少年―塔下―が見下ろした先には、ソファに横になったローティーンの少女が居る。
その少女は、たくさんの花をかたどった髪飾りで頭を飾っている。

「この小娘が『守護者(ゴールキーパー)』だってか。弱能力者(レベル1)なんだろ?」
「僕も信じられないですが、状況証拠的に真実のようです。
 現に、垣根さんが構築して、僕がアレンジしたデコイをあっさりと解析していますし」

塔下が肩をすくめる。
それで納得したのか、青年がドレスの少女に目線を送る。

「まあいい、確認してみりゃ分かることだ、『心理定規(メジャーハート)』を使ってくれ」
                        ・ .・ .・ ・ .・ .・ .・ ・ ・ .・.・ .・ ・ .・ .・
「了解。戦闘能力はないみたいだから、貴方と距離単位5まで縮めるわよ」

ドレスの少女が、花の少女に近づき覚醒パッチを鼻に当てる。
わずかな身じろぎと共に、花の少女が目を開くと、ドレスの少女が「パーソナルリアリティ(自分だけの現実)」を展開した。

「…………………………ぁ」

目覚めたばかりで状況が理解できない花の少女は、周囲をキョロキョロと見回して、最終的に視線を青年に向けた。

「よう、良い夢を見れたか? ちなみに俺は垣根帝督という。あんたの名前は?」

花の少女の視線を真っ直ぐ受け止め、青年―垣根帝督―が微笑む。
その笑みをどう解釈したのか、花の少女の頬がみるみる紅潮し、恥ずかしそうに視線を落とす。

「う、初春、初春飾利です… 垣根さん……」

飴玉を転がすような甘ったるい声で、初春飾利は答えた。



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314第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:07:36.24pqA5z8+3o (9/14)

「初春か、面倒だから呼び捨てにするぞ、いいな」
「はい… かまいません……」

垣根に見つめられるのが余程恥ずかしいのか、初春は人差し指を、もじもじ、と擦り合わせて視線を合わせようとしない。

(相変わらず、えげつねー能力だなー)

その様子を見て、塔下が戦慄ともとれる感情を抱く。

『心理定規(メジャーハート)』は精神感応系の大能力(レベル4)で、
その効果は「人の心の距離を自在に調節できる」という恐ろしいものだ。

効果の強度は、彼女が独特に用いる『距離単位』という単位で設定し、
距離単位5は、例えるなら、そのアイドルの為に100万単位の金銭を惜しみ無く浪費する熱狂的なファンほどの距離だ。

「そんなに緊張することは無いさ。少しお前に手伝ってもらいたいことがあってな。それで、ここに呼んだわけだ」
「は、はいッ! 何でも言ってください!!」

今の初春にとって、垣根は親、親友以上に心を許す相手だ。
その場で愛の告白をしてもおかしくない心理状況なのだ。

「じゃ、頼みごとの前に1つ確認だ。
 初春は、『守護者(ゴールキーパー)』と呼ばれる凄腕のハッカーだよな?」
「はい、そうです。 …どうして、垣根さんがそのことを?」
「そこは気にするな」
「はい、わかりました」

疑問に思って首をかしげるが、垣根がその疑問を一蹴し、初春が素直に頷く。

「頼みごとってのは、とある犯罪者の追跡だ。
 学園都市の技術を『外』に流出させようとしている悪い奴だ。
 そいつの足取りを追ってくれ」

垣根の言葉を、コクコク頷きながら聴いていた初春は、納得したように、最後に大きく頷いた。

「なるほど、よく分かりました。
 ということは、垣根さんは『警備員(アンチスキル)』、もしくは『風紀委員(ジャッジメント)』ですか?」
「…いや、そうじゃない。これは俺様の私的な頼みごとだ」

魅了しているとはいえ、凄腕のハッカー相手に嘘をつくのは不味いと判断し、垣根ははぐらかした。
しかし、それが致命的なミスとなった。

「それでは、お引き受けできません」
「……なに?」

相変わらずもじもじと、しかし、はっきりした口調で初春は拒絶した。

「…もう一度言うぞ、犯罪者の追跡に協力してくれ」
「すみません… 垣根さんの私的な用件であるなら協力できません。
 犯罪者の追跡ならば、『警備員(アンチスキル)』に任せるべきです」

さらに拒絶を受け、どういう事か、と垣根はドレスの少女を見た。

「……おそらくは、『どんなに親しい相手でも譲れない一線』が彼女にはあるんでしょうね」
「見た感じですが、『ハッカーとしての能力を悪用しない』とか決めてるんじゃないんですかね」

ドレスの少女と塔下が順番に言う。

垣根は「チッ… ムカつくぜ…」と1つ舌打ちをすると、
「初春、そうなのか?」と初春に尋ねた。

「はい、私のハッキング技術は限定された状況でしか使いません。
 些細な頼みごとならば状況により行いますが、犯罪者を追跡するような高度な操作を私用で使うわけにはいきません」

初春の回答に垣根は天を仰いで嘆息した。
『心理定規(メジャーハート)』の高い能力は垣根もよく分かっている。

それなのに、自己を曲げない初春の克己心が凄まじいのだ。

「ドジ踏んだぜ、クソ…… 能力を解除してくれ」

ドレスの少女が、肩をすくめて能力を解除する。

すると、それまで熱視線を送っていた初春が、始めは呆然と、次第に理解へ、
そして、最後に憤怒の表情を作って垣根を睨みつけた。




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315第3話「妹編」 ◆yEFBo3BAb.2012/11/19(月) 09:09:47.33pqA5z8+3o (10/14)

「人の心を…… なんてことを……ッ!!」
「おいおい、素直に協力してくれれば、最後までお前はハッピーだったんだぜ? 自業自得だ」

怒りを押し殺した声で言う初春に対して、垣根が吐き捨てるように答える。
その声には、若干の怒りが含まれていた。

「貴方がたは何者ですか…?」
「『スクール』。もしかしたら知っているかもしれんが、学園の『暗部組織』だ」

あっさりと垣根が言い、初春の表情がより険しくなる。

「…内実は知りませんが、非合法な組織の存在は確認しています」
「そりゃ結構… じゃ、正気の初春に再度お願いだ。俺たちに協力してくれ」
「まっぴらごめんです…!」

今度は明確に初春が拒絶する。
ドレスの少女と塔下が、互いに顔を見合わせて「あちゃー」という表情を作った。

「貴方がたがどんな目的で活動していらっしゃるのかは分かりませんが、
 非合法な活動に手を染めることはできません!!」
「オーケィ、オーケィ。わかったから耳障りな声で喚くな、喧しい」

垣根帝督が不機嫌そうな声をだして、ギロリ、と初春を睨む。
しかし、なおも初春が言い募ろうとした、その瞬間、

「………………!?」

初春の口から発語が止む。
それは、まるで声が口から出る前に『見えない壁』に吸い込まれているかのようだった。

驚き、身体を動かそうとするが、今度は手足が見えない枷でも嵌められているかのように動かない。
動作と声を封じられた初春が、青ざめた表情で垣根を見た。

「まぁ、予想はつくだろうが能力を使わせてもらった。テメェがどんな手段を用いようが解除はできねぇ。
 ――俺の未元物質(ダークマター)には常識が通用しねぇからな」

垣根帝督、学園都市の頂点である超能力者(レベル5)の第2位である青年が、残忍な笑みを浮かべる。

「…どうするんですか?」
「搦め手が効かねぇなら、正攻法で責めるしかねぇだろ」

垣根の言葉を聞いたドレスの少女が、「可哀想に…」と呟く。

「初春よ、ギブアップするなら早めにな、俺だって趣味じゃねぇんだからよ」

低く、無機質に調整された声色に、初春は確かな恐怖を感じた……




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