1 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 15:26:05.51AIXfaF/70 (1/6)



ごろり。
寝転がった視界にはごく僅かな陰影。
左手の方にぷらりと細い紐が垂れ下がり、上に辿ると消えた明かりが映る。

隙間の空いた扉の向こうは暗い暗い闇だ。
真っ黒な拳銃の中でも特に深い銃口を思わせる。
その奥を掴もうとするように、あるいは遮るように掌を向け私は息を吐いた。
気の抜けた溜息だった。

あの日の夢はもうあまり見ない。
破裂音を最後に目醒める夢は。

銃声の後、自身は少しずつ変わってしまったと思う。
それでいてあの時の私は確かにどこかで息衝いている。
そう自覚している。

ぼすり、とベッドに落とした手は無意識に布団の端をまさぐった。
寒い。
頭まで被りこむと耳に冷気を感じなくなる。
こうしていれば暖かく、じきに夜も越せる。

かつて、こうして掻き寄せていたのは「安心」「保全」「保障」。
しかし私はそれで身を守り損ねた。
今、周りにあるものは。
私を拠って立たせているものは。

「私は……」

白衣やベッドや培養槽、それに様々な顔。
追い求める目標があり。
あるいは未だ形すら掴めない願望もあるのかもしれない。

「私は、何を為すのだろうか」

吸い寄せる眠気に任せながら、ぼんやりと思う。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1343888765



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 15:26:23.46X6HDGuuCo (1/4)

>>1乙


3 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 15:26:52.37AIXfaF/70 (2/6)



・タイムリープした天井亜雄が安価で幸せになりたい2スレ目
 現在2周目、本編三年前の冬

 前)天井亜雄「今は……いつなんだ?」
   http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1341183785/

・幸せの定義=目的は展開や心境によって変動します
 現在は「貢献」自らの研究を医療分野に役立てる……です

・死亡、廃人化、タイーホ等で目的達成不可になった場合、記憶を引き継いで過去に戻ります

・Q.天井って一方さんパーンしたあの天井?
 A.その天井だけどこの時間軸ではパーンしてない


・連投、連続で安価取るの不可(詳細は下の方で)

・無効安価は下、またあまりに状況にそぐわない安価は参加者に是非を問うかも

・禁書目録小説、超電磁砲漫画の単行本刊行分は既読
 DVD等の特典SS、ドラマCD、超電磁砲アニメ、ゲームの知識は基本wiki頼り

・遅筆+ネット環境が残念なのでまったり進行になりますがよろしくお願いします


【安価の連続について】

・基本的に連続取得NG
 コンマは(連投でなければ)同じ方が取っても可&連続の判断に含めない

 >1 (行動安価)
 >5 (コンマ判定)
 >9 (コンマ判定)
 >13 (設定安価)
  ※各安価間の本文省略

 上記のような場合、>1 と>5 と>9 を同じ方が取るのはOK、
 >1 と>13 を同じ方が取るのはNG、という感じでいきます





4 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 15:27:19.08AIXfaF/70 (3/6)



【時系列】
2周目スタート時を1年目と表記
目安として、春:3-5月 夏:6-8月 秋:9-11月 冬:12-2月


    |1周目         |2周目
1年目春|クローン部門に異動  |クローン部門に異動、医療部門に重点
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
2年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |冥土帰しの治療協力
   冬|           |長点上機学園の付属施設に移籍
3年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |開発の指導開始
   冬|           |木山と提携
4年目春|           |
   夏|(一方通行vs軍隊)  |能力者暴走事件のため避難
   秋|(美琴DNA提供)    |
   冬|           |接続部分の製作着手
5年目春|           |接続部分の完成、絶対能力進化実験への招聘
   夏|           |木山の要望により一方通行と接触
   秋|           |地震の頻発
   冬|           |今ここ
6年目春|           |
   夏|           |
   秋|量産型能力者計画着手 |
   冬|量産型能力者計画頓挫 |
7年目春|絶対能力進化実験着手 |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
8年目春|           |
   夏|           |
   秋|           |
   冬|           |
9年目春|           |
   夏|絶対能力進化実験頓挫 |


【現在の天井】
仕事:医療クローニングの分野で筋ジストロフィー治療を研究中
   布束、木山、Sプロセッサ社と共同、提携
   絶対能力進化実験の参加依頼を断る

身体:概ね健康
   同年代男性の平均より若干勝る筋力
   実際の運動もそこそこ

精神:トラウマ(芳川→ある程度改善、一方通行→ほぼ完治、最終信号→現状維持)
   以前より自分をコントロールできるように
   ちょっと研究外の人付き合いに慣れた





5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 15:29:31.32X6HDGuuCo (2/4)

テンプレが作られていたでござる
割り込みすまん


6※シャープ忘れて酉晒したので変えてます ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 15:31:06.54AIXfaF/70 (4/6)



偶然だ、いや必然だ。

例えば本当にただの符合。
例えば被験者への一種の口止めとして幻生はテレスティーナを養子にし、それなりの肩書きを与えている。

天井は数日迷った末に木山のメールアドレスを呼び出した。
そこに意味が存在するかを判断するのは生徒を助けるべく奔走している彼女本人であるべきだ。


天井「忙しくなると言っていたのに呼び出してすまないな」

木山「いいや。情報提供なら歓迎だよ」

急いで来たのか彼女の頬は若干上気しており、しかし例の如く服を脱ごうとはしない。
研究室と体温の暑苦しさにも気が回らなくなっているようだ。

必ずしも直接話す必要は無く、テレスティーナの情報を示唆する情報源のURLを送るなどでも良かった。
だが互いに裏を覗いたことのある身、つい慎重になってしまうのだった。

天井「期待させておいて無関係だったら申し訳ないのだが」

PDAに書庫のデータを表示させ、渡す。
木山は少し汗ばんだ手で受け取り、画面に視線を落とす。
すぐにその目は眇められた。

木山「ふむ。確かに白とも黒とも断言できないね」

デジタルの情報を注視しながら、彼女の右手がテーブル上を彷徨っている。
……そういえば向こうも急いでいるかと今日は茶の類を出していない。
はっとしたようにPDAのサイドに戻る木山の手を何となく気まずく見送った。

木山「――だがありがとう、十分に価値のある内容だ。冥土帰しとも協力して調べてみよう」

上げた顔は表情だけで圧力を感じさせるようなものだった。
紙に芯を突き立てる鉛筆のように、真っ直ぐな目。

天井「…………あまり無理はするなよ」

それを受け止めるとあれこれが喉に詰まり、辛うじて口にできたのは一言だけ。
あぁ、と木山は席を立つ。

一、二ヶ月掛かるという準備。
それに、テレスティーナの調査。
冥土帰しの名を出したことは一人で危険には足を踏み入れないという意思表示なのかもしれないが。

天井(突飛なことをしなければ良いが)

去る背中を見送る。

水面下で子供のために動き続け、天井という協力者を強引に用意し、第一位にも臆さない木山である。
目標を捕らえた時の行動力は嫌というほど知っていた。





7 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 15:31:41.29AIXfaF/70 (5/6)



青髪「な、たまにはええやん?」

布束「By Jove! 調子の良いことね」

二月のとある休日。
がらりと実験用に取った一室のドアを開けると、二人のそんな声が聞こえた。
……さて、今日与えた課題にきちんと取り組んでいるなら物音などしないはずだが。

天井「取り敢えず何十分保った?」

少年本人には聞かず、布束に言葉を向けてみる。

布束「A little. 具体的には六分四十二秒ね」

まぁ予想はしていた。
十代に入って少し、ましてあの性格の彼に瞑想など土台無理な話だった。
いっそ「外」の禅寺でも連れて行けば何とかなるかもしれないが。

青髪「だってじっとして何も考えないとか逆に疲れるやろ。ってか寝るやろー、この部屋ぬくぬくやし」

天井「それで残りの五十分以上を雑談に使っていた訳か」

飄々と笑う少年を見て、肺の奥から諦めを零した。
個人の思考や嗜好を極限まで抑えた状態を作ることで、バイタルに万人共通の部分が現れないかとか、そういう実験だったのだが。
そもそも前提が成り立っていないのだった。

ちなみに投薬、暗示といった一般的な開発以外の多様な実験を経験することで、微々たるものとはいえ彼の能力は成長傾向にあるらしい。
どうせなら耳と尻尾を同時に生やせるとかではなく、他人の肉体に干渉できるようになって欲しいものだ。

布束「そういえば……青髪君が今度どこかに出掛けようと言うのだけれど。Particularly, あなたも来る?」

青髪「えっ、ちょ、センセ誘うん? 意味無いやん? コブ付きとかどーなん!?」

ほう、それはどういう意味で布束を誘ったのか。
無表情だが気安い雰囲気で天井に話す少女と慌てふためく少年、構図は一目で明らかである。
もっとも青髪が布束に特別な感情を抱いているというより、女子と一緒にお出かけ、という状況に舞い上がっているとも見える。

天井「しかしこの寒い季節によく外出する気になるな」

青髪「せやろ! センセはお歳、じゃなかった忙しいんやから休日はゆっくりすべきやで!」

見るからに必死だ。
ふむ、一応ここ数週の土日は予定を空けられるが……。


>>+2
一緒に行くかどうか





8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 15:32:16.31X6HDGuuCo (3/4)

ksk


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 15:33:55.07Py1uvNo6P (1/1)

>>1乙
お前らの1レスすら許さない完璧な団結力に感動した
いや俺も我慢してたけどマジでなんなのお前ら

安価なら行く


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 15:49:02.661eH9xvDDO (1/1)

行儀よくまてる作品ということさ


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 15:56:22.20tvh8aIyDO (1/1)

盾乙

うん
お前らの行儀良さには感動した



12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/08/02(木) 16:02:49.994wv0ysjfo (1/1)

やっと書き込めるな・・・
スレ立て乙


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/02(木) 16:07:13.86ZL0E2ik+0 (1/2)

スレ立て乙
木山の件がもうすぐ正念場を向かえそうだが、
武力なしで解決できる展開に持っていけるかな


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/08/02(木) 16:58:58.68HvNwtuPM0 (1/2)

乙であります
交渉材料なり相手の弱みなりがあればいいが
そううまくもいくまいよ

実は俺も一度ちらと書き込みたい衝動に駆られたりはしたのだよセリヌンティウス
だが結果はこのとおり、すっかり訓練されたものだ




15 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 17:00:29.47AIXfaF/70 (6/6)



天井「……だがたまには外の空気も吸わねばな。研究者をしていると快適な室内に篭りがちになって困る」

青髪「鬼ッ! 悪魔ッ! 人でなしッ!! そこは空気読んで引くとこやろー!!」

わざとらしく間を置いて応えれば少年は悔しそうに地団太を踏む。
脚力強化でもすればそれなりに威力もあるだろうに、彼の靴底はぺしぺしとリノリウムを叩くのみである。

布束「Probably, むしろ空気読んだ結果じゃないかしら」

天井「そうだな」

青髪「な、お姉さんもグルだったん? ボクとのことは遊びだったん!?」

どこまで本気なのか、最終的に布束が紙鉄砲を持ち出すまで青髪少年はあることないこと嘆いていた。


青髪「酷いわーボク傷ついちゃうわーでも美少女含む二人掛かりでおちょくられんのも味なものというか、
   長い目で見て美人局プレイに目覚めそうやというか」

天井「………………で、どこに行くという話だったんだ? 私はそういうレジャー施設などには疎いのだが」

遊び過ぎたか。
哀愁を通り越して怪しい雰囲気を醸し始めた青髪少年に水を差した。
人前でしないでくれ、そんなマニアックな話を。

布束「まだ決まってないわ。Tell you what, お勧めの場所とかあるの?」

青髪「おー、ボクが華麗にエスコートしたるで! っても案は幾つかあるんやけどな。
   安定の第七学区のショッピングモール周りかー、第六学区で色々遊ぶかー、いっそ普段行かん学区に足を伸ばしても良いかもしれんね」

他に要望があれば乗るけど、とこれは布束に向けた台詞だろう。
当の彼女は拳を口元に考え込んでいる。
長くなるかもしれない、「お歳」である天井は早々にパイプ椅子に着くことにした。

天井「普段行かない、とは?」

青髪「んー、第一学区とかは見てもつまらんやろし、特色の強い学区をぶらぶらって感じになりそうやね。
   飛行機とか好きなら第二十三学区とか、ゲージュツな気分なら第九学区とか」

時間に余裕ができやすく、出歩きたい盛りの年齢である。
レジャー施設や観光スポットについての知識は研究者二人を凌駕しているようだ。
心なしか目が輝いている布束を前に、少年は満更でもなさそうにしている。

布束「第六学区って、映画館と、Additionally, 横目でゲームセンターを見たことくらいしかないのだけれど。他はどんな感じなの?」

青髪「何でもあるで! カラオケとかそういうのから、カジノ的な店まで……って睨まんといてやセンセ。
   ゲーセンに毛が生えたようなお遊びカジノやしお金も賭けへんよー」

学生の街だしそんなものか。
他にもお遊び雀荘だのボーリング場、体育施設と幅広くあったと思う。
ギャンブル風味の店でも敢えて能力使用可能な施設がそれなりにあるはずで、それが学園都市らしいといえばらしい。

青髪「第七学区ならやっぱり店を回るかー、どっかで駄弁るかとかやね」

布束「Now what? んー……」

ふむふむと布束は真剣に考え込んでいる。
テーブルに肘を付くと、座っている椅子がぎしりと鳴った。


>>+2
どうするか
(どれかに一票投じてみる、流れに任せる、etc)





16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/02(木) 17:05:02.90ZL0E2ik+0 (2/2)

御坂と鉢合わせしにくいところの方がよさそうだな…


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/02(木) 17:16:02.38wsP4kGKK0 (1/1)

ボーリング


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/08/02(木) 17:30:58.93HvNwtuPM0 (2/2)

おっさんのボーリングの上手さは異常
俺の周りだけかもしれんが


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)2012/08/02(木) 17:59:32.98JibdmNpo0 (1/1)

>>18
いや、割と上手いおっさん多いと思う
大学の教授達バンバン200以上のスコア出すし
一部の教授に至ってはごくごく普通に300出すし


20携帯>>1 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 18:04:06.66E7VWAquDO (1/1)


・移動なう
 20時台くらいに再開します




21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/08/02(木) 18:40:16.79Q5KfPveAO (1/2)

≫1
乙です。

世代がボーリングが流行ったころだからな。ラブひなに書いてあった


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/08/02(木) 20:20:53.57bTyPIW22o (1/1)

シエンタ


23 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 20:55:49.40ulnRKi6o0 (1/3)


・急に離脱して済みませぬ、ぎりぎり復帰ました


ざわざわざわ。
遠く、雲を散らした薄い空。
相応に冷えているのに若者達は今日も元気である。

休日のアミューズメント学区は当たり前に混み合っている。
それ以上に、天井はなんとなく周囲から浮いているのを感じた。

布束「どうしたの? Queerly, そわそわしてるわね」

青髪「ほら、センセおっさんやし……いや何でもないで」

ぎり、と睨みつけたものの、実際反論の余地が無いのだった。
白衣ではなく平凡な格好をしているが、地味色コートの三十代はこの街並みにこの上なく場違いに思える。
都市の外ならまだ子供連れの父親と上手く勘違いされただろうが、家族単位でこの街に住む例は少ない。
件の木原などは養子の可能性があるとはいえ縁者ごと都市民のようだが。

天井「学園都市でこのメンバーでは確実に違和感があるか……」

布束「そう思うから浮くのよ。That's why, 普通にしていれば大丈夫」

彼女なりの普段着、ゴシックロリータも珍しい服装だと思うのだが、流石に堂に入ったものだ。
確かにそうしていると奇異の視線も浴びていない。
長袖のひらひらとした服に、前閉じの短いファー付きマントのようなものを羽織っている。
下はスカートだがロングブーツ、それに手袋や耳当てと非常に暖かそうである。

青髪「んじゃ、鉄板のゲーセンから行ってみよか!」

橙のダウンジャケットを着込んだ少年は髪色との関係で随分鮮やかだ。
人混みをひょいひょいと抜けていく彼とそれに続くモノトーンの布束の背を眺めながら、天井もカラフルな看板の並ぶ通りに足を踏み入れた。


布束「……!! ……っ!」

きゅんきゅん、という音が響き嫌にリアルなゾンビのようなものがもがき倒れていく。
相対する天井達三人はステージに合わせ汚れた軍服を着ている。
バーチャルを用い画面の制約を廃したシューティングゲーム――らしいが無性に恥ずかしい。

青髪「ちょ、三人で背中合わせとか格好良いんやけど危ないんやない!?」

天井「囲まれているのだから仕方ないだろう!!」

きゅん、きゅんきゅん。
ごつく大きいプラスチックの銃は反動がほとんど無い。
おかげである程度の距離をもって正面の敵を迎撃できているのだが。

青髪「三人やと背中が三角になるやん! こう、隙間から何か出てきそうで――っ!?」

ぼこり。
背後の地面から不吉な音。
と、共に冷たくぐしゃりとした感触が足に触れ――

「ひゃっ!?」「んぎゃ!?」「うおぁ!?」

Game Set.

機械音声が投影された遥か上空から降る。





24 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 21:02:34.99ulnRKi6o0 (2/3)



天井「クレーンゲーム? 都市製のゲームにしては普通というか……」

派手な色の箱の中にぬいぐるみや、腕時計、携帯ゲーム機までが並ぶ一角。
天井自身詳しくはないが、UFOのようなクレーンといい外のものと大差無く見える。

青髪「んー、これ能力使用可なん。その上で誰がやっても難易度が同じになってるらしいで」

布束「You mean... どういうこと?」

少年の指に合わせ、箱の一つに噛り付いている小学生くらいの男子に目を遣る。
その子供は片手をボタンに添え、もう片手をガラス窓に当てている。

子供「んーーーー!!」

掴む力が弱いらしくぎりぎりで引っ掛かっているぬいぐるみを念動力か何かで支えているらしい。
周囲でやんやと囃し立てる友人達をよそにクレーンは穴に近付き――、

突如、揺れた。
ゲームの箱全体がぐらんぐらんと。

天井「…………身も蓋も無くないか?」

ぽとり、あえなくぬいぐるみは仲間達の山に帰ってしまった。

青髪「クレーンっちゅうか、いかにして内臓の能力測定器を出し抜くかが肝らしいで」

その後何気無くパネルの前に立った布束は、単純な物理計算は苦手なのだけど……などと言いつつさくさくと景品を穴に落としていた。
小学生達が唖然としてそれを眺めていた。
不条理だ。


青髪「ゲーセンはこんなもんやねー。他にもどっか行かへん?」

天井「荷物を置いて遊べるところでないと困るな」

もふもふ、もふもふとひよこ型の人形焼きのようなものを食べる二人を尻目に、天井はビニール袋一杯のぬいぐるみを両手に抱えている。
大量の戦利品と共に店を去り、露店の菓子を買ってつらつらと歩く。
集合は十時だったが、時既に正午を回っていた。

布束「Apologizing... 気付いたらこんな数になっていたのよ。えーと、あなたも食べる?」

竹を模した小さなフォークで差し出されたひよこを少し屈んで口にした。
学園都市では率直に変な食べ物が多いが、これは中のジャムが正体不明なだけで美味しい。
布束はともかく青髪少年と天井はこの量ではとても昼食に足りないのだが。

青髪「…………センセ、爆発せぇへん? それはそれとして次どうしよか」

天井「何だ急に。まずは昼を摂らせてくれ。その後は……あれとかはどうだ?」

指差した先には。

布束「No matter how, ボーリング場?」

瓢箪を細くしたような形、白地に特徴的な赤のライン。
誰もが知るピンの特上に大きいものが、平たい建物の屋根に鎮座していた。





25 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/02(木) 21:34:25.26ulnRKi6o0 (3/3)



木の色そのままの床はワックスでぺかりとライトを反射している。
がこん、ばらばらばらと特有の音があちらこちらで響く。
受付で借りた硬いスニーカーに履き替え、三人も指定のレーンに向かった。
あまりに運動向きでない服装だった布束はポロシャツのようなウェアも借りている。

布束「Think of it, 食後すぐに運動ってどうなのかしら……」

天井「少しずつ慣らせば大丈夫じゃないか?」

我ながら医療系の癖に無責任である。
かくいう自身も、ボーリングは初めてでないとはいえ習熟している訳でもない。
食事云々以前に筋肉痛が心配でもあった。

天井(しかし散々鍛えたりしたのだ、スポーツも多少は勘が利くのではないか?)

青髪「んー、何やら自身あり気やね。折角やから勝負せん?」

天井「勝負? 何を賭ける気だ」

学生同士ならいざ知らずこの歳の差で奢りだのと言っても重みが違う。
ゲーセンでの各々のゲーム代はともかく、先のひよこ焼きも天井の財布から出たものであるし。

というか筋力増強などに能力を使わないとはいえ、肉体系能力者の青髪は基礎体力や運動センスが高い。
失礼だが布束の一人負けが見える。

青髪「そうやね、お姉さんはハンデで+30点、最下位の人は一番の人が指定したコスプレを」

布束「却下」

青髪「何やー負けるのが怖いん??」

布束「Be shocked. そんな取って付けたような挑発には乗らないわ」

賢明な判断だ。
というか自身と青髪少年の間にハンデを付けないということは、彼は結構できるのだろうか。


>>+1
ボーリングの腕前
※コンマ判定  ★修正+10
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

成功度により順位などが変わります

>>+2
青髪と布束の順位
※コンマ判定
  - 4:ハンデ無しでも布束が上
  5- 9:ハンデを加えて布束が上
 10- :青髪が上





26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/08/02(木) 21:34:48.59lo2BpUL1o (1/1)

ほい


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 21:34:55.88X6HDGuuCo (4/4)

はい


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/08/02(木) 21:49:35.19Q5KfPveAO (2/2)

青髪のコスプレなんて誰得ですか…


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/02(木) 22:13:39.13PDyEl8YSO (1/1)

今更だが前スレの閑話地味に面白かった


30 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 01:08:23.27U91dfb3e0 (1/14)



ごろごろごろ、転がっていたボールがピンにぶつかり、抜けるような音が拡がる。
少し逸れた軌道は正面の一本に当たらず、左側を削ぐように吹き飛ばした。
ふらふらと揺れる真ん中寄りの数本を見守るが持ちこたえられてしまった。

天井「五本……」

青髪「一投目なんてそんなもんやでー、次で残り倒せばOKや」

球を投げたのは、実は数年ぶりである。
前の職場のレクリエーションで同僚達と行ったのが最後ではなかったか。
最初の数投は感覚を思い出すための捨てとしても、どこまでやっていけるか。

天井(まずは上手く中央に通すことからだな……。一度掴めればまだ何とかなる!)


布束「正直ハンデ30でも足りないわ。Results from, 私これで三回目なのよ……っと!」

サイズも何となく小さいような軽い球はごろんごろんと斜めに進み、右奥の三本を辛うじて巻き込んだ。
白々しい照明の下で、く、と軽く唇を噛みながら戻ってくる。

天井「私と傾向が似ているな、まずは真ん中を上手く狙いたいのだが」

青髪「投げる時、円……の四分の一? 扇形? を描くようにすると良いで」

布束「If you meant, 弧、かしら。次は意識してみるわ」

ボールが重過ぎる可能性も考えたが、しばし帰って来た球には「6」と書かれている。
以前炎天下に行った運動実験の雪辱を晴らすとかで最近運動しているらしい布束にとっては、逆に少し軽いくらいかもしれない。


青髪「いっくでー!!」

軽快に放たれたボールは若干右に寄り、ぱかんと半分以上を薙ぎ倒す。
勢いもあり、中心を捉えていればストライクも出せるような球。

布束「六本ね……。How should, 軸がずれる癖は全員一緒なのかしら?」

青髪「そう思うやろ? こっからがボクの技や」

いつにも増して悪戯めいた笑みを浮かべている少年をこの時は強がりだと思っていたのだが。
第二投、残りを削り切れなかった天井とガーターの布束を尻目に、彼は堂々のスペアを決めたのだった。
固まっていた四本に、まるでボールが吸い込まれるように。





31 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 01:09:52.11U91dfb3e0 (2/14)



天井(レーンのマークを上手く辿るように……)

布束「Don't mind. 少しずつ角度が修正されてるわね」

天井「もう少しでうまくいきそうなんだがなぁ」


布束「えっ、Truly, こ、これってストライク!?」

青髪「正真正銘ストライクやで! ホントに三回目なん?」

天井「二フレーム目でもうストライクか。凄いな!」


青髪「ふっふー、残りの二本を落としてまたスペアや!」

布束「――Wow, あなた、もしかして!」

青髪「あ、流石に気付いてもたか。せや、真ん中当てて失敗すると変な形に残ってまうやろ?
   ほなら最初からスペア狙いで右、左、って倒せば安定して稼げるんやないかと思ってなー」

天井(く……っ、確かに残りのメンバーが突出して上手くなければそれで充分戦える――のか)


青髪「お、センセ、ストライクやん!」

布束「やったわね!」

天井「あぁ」

天井(そうだ。見えた――理解したぞ、中心線! 思えばずっと身体操法の教室に通っていたのも、きっとこの瞬間の――!)





32 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 01:10:25.67U91dfb3e0 (3/14)



がこん、がこんとひしめくボールから自身の使っているものを取る。
九フレーム目はストライク、ここまでで確定しているスコアは110。
対する青髪少年は129だが――前フレームにボーナスは無し。

鳩尾の前にボールを掲げ、距離を隔てた十本のピンを見据える。
ふ、と周囲の音声が抜け落ち、視覚さえ僅かな幅のレーン以外がシャットアウト。
軽く踏み出しながら右腕は滑らかに曲線を描き――

布束「      !!」

青髪「    !?」

ぱかぁぁん、と。

鋭い音が戻ると同時、正面のピンが弾けた。





33 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 01:11:22.64U91dfb3e0 (4/14)



青髪「――いや、ちょ、最後三フレームおかしいやん!? 最初の方のスコアからして、スペアストライクストライクは詐欺やて!!」

天井「人の足元を見てせこい戦法を取るからだ」

青髪「自分のスキルに合ったスタイルと言ってや!」

布束「Crikey. あなた達よくやるわね……。私は自己ベストだし満足だけど。後半揮わなかったのが心残りかしら」

せこい、などとは言ったが地道に点を稼ぎ続けた青髪少年とは最終的に僅差だった。
天井が148でトップ、次いで146の青髪、布束はハンデを入れて94である。

青髪「そや、センセが急に上手くなるからビビッてもうたわ。おかげで八、九フレームのミスがなぁ……」

天井「まぁ実際あれがなければ届きもしなかったな」

一種のビギナーズラックというか、意表が付けたのが大きかった。
こちらがある程度最初から中心を捉えた状態、かつ青髪少年がストライク狙いに切り替えていたら全く別の勝負になりそうだ。

と、やれやれと眩しい天井を仰いでいた少女がおもむろに釘を打ち込む。

布束「Excuse me? 今にももう一戦始めそうだけど。もう三時よ」

青髪「そやねー、他の場所も回りたいしそろそろ出よか。……あ、そういえば」

ひょいとボールを掴んで少年は意地悪げに言う。
わざわざスニーカーの紐と格闘している布束の気を惹いてから、だ。

青髪「優勝者さん、もし罰ゲームありやったらお姉さんにどんな格好させてたん?」

びしり。
急激に体感温度が下がり。
ふざけて、普段の白衣やゴスロリもコスプレみたいなものじゃないか、などと言おうものなら一瞬で首が飛ぶ、そんな空気。

あー、だのえー、だのお茶を濁しながら、有耶無耶にするために体良く自動販売機のアイスを奢らされたのだった。
不条理だ。





34 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 01:13:53.66U91dfb3e0 (5/14)


・調子に乗りました、時間掛け過ぎワロタ
 最後安価無くて申し訳ないのですが今日はこれにて
 明日は午前に用事があるので適宜午後から始めます
 よろしくお願いします


・正直執筆の1/3くらいスコア計算してました
 青髪以外は特に普段プレイしないということでパンピーの範囲ですが、
 >>19 あたりの教授と比べるとアレですが結構盛ったつもりです


・>>29 ありがとうございます
 見事に前スレの終わりを空けておいて頂いたので、事務連絡の隙間に滑り込ませられました
 おかげさまで誘導含めきっかりです
 皆様ご協力ありがとうございました



おまけ:三人のスコア表

正式な書き方ではありません
各々上段から、
フレーム数、一投目に倒した本数、二投目に倒した本数、そのフレームまでの合計スコア
です

ミスあったらごめんなさい

天井
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

5 6 6 9 10 9 8 7 10 10 8
2 2 4 -   - 1 3     2

7 15 25 43 62 71 80 100 128 148


布束
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

3 10 2 3 4 1 6 - - 2
-   3 3 1 9 - 1 4 1

3 18 23 29 34 50 56 57 61 64


青髪
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

6 7 8 8 7 9 7 5 8 5 7
4 3 1 2 3 1 3 3 1 5

17 35 44 61 80 97 112 120 129 146





35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 01:14:58.61UjrgfEcFo (1/2)




36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/03(金) 01:18:08.415K3a7GT00 (1/1)

乙ー


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 01:18:24.89dYfpZmKJo (1/2)




38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 01:20:12.55UdZ0bmXCo (1/1)




39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/03(金) 01:46:45.93kkQHEBHIo (1/2)




40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 05:19:51.43x1MPSIrJo (1/1)




41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/03(金) 13:13:27.79o8Bi2w7K0 (1/1)




42 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 14:16:41.49U91dfb3e0 (6/14)


・再開します
 今日もよろしくお願いします
 多分夕方くらいまでになります


ボーリング場の外には変わらず学生達の影が見える。
看板代わりの巨大なピンを目指して歩き、多少は区の外れの方に来ていたのだが人足は絶えない。
桃や紺、色々のコートが忙しなく行き交っている。

天井「日暮れまでそう無いというのにまだ賑わっているんだな」

青髪「そーいうところがオッサンなんやて。ここはいつも人一杯や」

アーケードの下ならともかく、建物から出たばかりの身体にはビル風が染みる。
気温のピークの二時を過ぎれば後は冷えていくだけだ。
実用性より装飾を重視した服装の少女は自身を抱くように腕を組んだ。

布束「Oh, bother! 出る前に次の行き先を決めておくべきだったかしら……あら?」

ぱた、と編み上げのブーツの歩調が乱れた。
立ち止まり細い路地の向こうをじっと見詰めている。

青髪「そっちは何も無い……ちゅうか区境の方やで」

天井「第十九学区だったか? 繁華街の裏手が寂れた地区というのはまるで図ったようだな」

街自体に何か目に付くものがあったのかと二人で学園都市の略図を脳に浮かべる、が。
そうではないと布束は首を振った。

布束「今、女の子が横切ったのよ。Somewhat, なんだかふらついていたような……」

青髪「何やて!? 具合が悪いのかもしれへん、助けに行かんと!!」

真剣な様子で駆け出す少年。
言動は至極正しいのだが、普段の台詞を知っていると――

天井「私達も行くか。見てすぐに駆け寄らなかったということは今にも倒れそうな様子ではなかったんだろう?」

布束「ええ」

ともあれ、布束を伴って後に続く。
路地を一本入れば別世界、というのはアミューズメントに特化した第六学区では必ずしも当てはまらない。
だが隣区に近いここでは街並みの雰囲気も混じりあい、一気にうらぶれた空気が濃くなった。
ビルの壁、清掃ロボットの届かない高さを落書きや張り付いたガムが占めている。

その子を見付けたらさっさと元の通りに戻った方が良さそうだ。





43 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 14:20:32.63U91dfb3e0 (7/14)



青髪「な、なぁ。君、大丈夫なん……?」

??「――――――」

運動能力の高い青髪少年は早々に追い付いたようだ。
だが。
遠目で見るだにその子は熱に浮かされたような様子だ。

天井「この子は……?」

青髪「ずっとこんな感じなんよ。センセ、お姉さん、何か分かる?」

走り寄ってみれば彼女は青髪少年よりも一、二歳年下といったところか。
ずっと遠くの方を眺めている、というか実在の物体に焦点が合っていない。

??「――の? どこ? どうして、前より遠く」

うわ言のように口の中で繰り返される言葉。
どこ、どこ、と場所を問うばかりで意味のある文章の形をなしていない。
青髪に手を掴まれてなお、何かを求めるように彼女の身体は揺れた。

布束「催眠状態、とは違う。むしろ能力を制御しきれていないような……。Once, 刺激しないように場所を移せないかしら」

天井「誘導してみるか?」

青髪「そやな。おじょーちゃん、こっちやで」

あまり力を掛けず青髪がゆっくりと手を引き、布束が背を押す。
天井は一歩引いて辺りに気を配った。
この子を呼んでいる何か、あるいは場所柄スキルアウトなどがいないとも限らない。

抜けてきた路地を逆行し数メートルで大通りに復帰する、そう気が緩んだ時だった。

??「どこなの。どこに、いないの? ――――!!!」

ばしっ、と。
それまで従順だった彼女は唐突に三人を振り払い、歩道の中央に躍り出た。

布束「No way!! もしこの子が暴走でもしたら――」

??「呼んでるの! どこ、どこなの!?」

その瞬間。


ずぅ…………ん!

遠くから伝わるように、大地が震えた。


――第七学区を中心に地震が発生しました。第七学区を中心に地震が発生しました。

――最大震度五弱。屋内にいる者は実験器具、コンロ等の確認をしてください。


街頭のモニタが一斉に急を告げる。
小さな揺れが続いているにしても、際立った激震だ。
その割にこの第六学区には大した被害は無く、震度二程度か。


――屋外にいる者は看板などから距離を取ってください。繰り返します。


??「あ、あぁ。どこ……、の…………」


第一報から、行動の指示。
二次災害が無かったこと。
速報は移り変わっていく。

それを背景に、名も知らぬ女の子は糸が切れたように崩れ落ちた。


>>+2
??について、今どうするか





44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/03(金) 15:03:41.077QSLsQb+0 (1/1)

保護する


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/03(金) 15:04:56.68s1uCEdYS0 (1/1)




46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 15:15:38.54G7mFdE7SO (1/3)

どーすっかねこの子…中々厄介そうなんだけど


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/03(金) 15:16:00.942TanlKNF0 (1/4)

春上かな…冥土の所に連れて行った方がいいのだろうか…


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/03(金) 15:24:20.942TanlKNF0 (2/4)

木山の子供達と春上の関係をテレスティーナが知れば原作のようになりかねん
問題はこちらの戦力が皆無でバレれば守ることも奪還することも不可能っぽいんだよな
これは難しい対応を迫られるな…


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 15:35:08.83G7mFdE7SO (2/3)

もういっそ黄泉川や木山てんてーに押しつけたろか(笑)


50 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 16:05:31.99U91dfb3e0 (8/14)



天井「何だったんだ……?」

くたり。
彼女の上体を起こすと、呼吸や脈はあるようだが揺すっても起きない。
側頭部で結われた一束の髪だけが所在無げに飛び出している。

天井「取り敢えず病院に行こう」

布束「……待って。地震の前後、彼女の様子は明らかにおかしかった。Needless to say, この子が犯人とは思わないけれど」

だが意図せず起因となっている、あるいは予知能力の変種の可能性もある。
単純な怪我人の場合と違い都市の管轄下にある病院が必ずしも安全とは限らない。
咄嗟に布束が叫んだように暴走状態にある能力者だったら――木山が漏らした実験が頭を過ぎった。
裏側を覗き見たことのある研究者二人はどうしても危険に備えてしまう。

青髪「せやかて、ほっとく訳にも……」

そうだ。
医師でない自身にはこの子供の容態を的確に判断したりはできない。
吐息は眠っているようで十中八九気絶しているだけだと思うが、この都市に限っては精神系能力など考慮するファクターが多過ぎる。

天井「冥土帰しのところなら大丈夫だろう。目を醒ましたら話を聞いてみよう」

布束「そうね。……After that, 話の如何でどうするか考えましょう」

青髪に手伝ってもらい背負うと、少女の力無い身体はとても軽かった。


>>+2
??が目覚めた時に話を聞くメンバー
※天井は参加
(複数可、天井の単騎可)





51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/03(金) 16:19:44.082TanlKNF0 (3/4)

裏の話とか木山の実験絡みの話をするのなら、未成年はいない方がいいのかな…ksk


52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/03(金) 16:22:14.21j9TS1Pi90 (1/1)

蟶?&繧薙→


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)2012/08/03(金) 16:28:20.58N0q/MQAq0 (1/3)

なんて言ってるかわからん…ww
じゃあ青髪は「看護師のおねーさん」にあやしてもらって、天井と布束、そしてなぜか偶然そこにいて少女を見た木山



54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)2012/08/03(金) 16:29:10.02N0q/MQAq0 (2/3)

当然いると思って書いてなかったけれど、当然冥土返しも


55 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 16:41:53.66U91dfb3e0 (9/14)


・>>53 すみません、基本的に天井以外の行動は安価で指定できません
 ……ので、木山を確実に居させるためには天井が何らかの形で呼ぶ必要があります

 木山は呼びますか?





56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/03(金) 16:48:33.63kkQHEBHIo (2/2)

呼ばなくていいんじゃね?
この生徒に関して天井は何も分かってもいないのに木山を呼んでも困惑するだけだろ


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/03(金) 16:57:02.552TanlKNF0 (4/4)

冥土が必要だと思えば、後から話は通しておいてくれると思うし
今呼ぶ必要は確かにないな


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 16:58:57.038FAvQY3SO (1/2)

見てないなら再安価やらないか?


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 17:00:00.268FAvQY3SO (2/2)

すまん
sage忘れた


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岩手県)2012/08/03(金) 17:06:21.96N0q/MQAq0 (3/3)

あ、ごめん、いいですよ書きながら付け足した部分なので呼ばなくて


61 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 17:40:28.43U91dfb3e0 (10/14)


・>>60 ご返答ありがとうございます、了解です


明かりを付けても、深夜の病院は暗い。
入院患者用のレクリエーションルームの一つを待機場所に宛がわれ、天井と布束は所在無く椅子に掛けている。
ドアに付いたガラス窓の向こうはどこまでも底冷えのする黒。

もう夜の十時である。
女の子は結局一種のショック状態から気絶したということだったが、この時刻では話を聞けるのは明日になりそうだ。
布束は頑として帰ろうとしないため、そろそろ交代で睡眠を取った方が良いかもしれない。
ちなみに青髪少年も彼女が心配だと残っていたのだが、舟を漕ぎ始めたので看護師に預けた。

天井「……調べられることは調べておくか」

携帯から書庫にログインする。
研究室で調べるのに比べると閲覧制限が厳しいが、簡単な情報なら手に入るだろう。
こっそり確認した彼女のIDにあった名、「春上衿衣」を条件に検索を走らせた。

布束「あの子のデータ? Expressly, 何か見付かったかしら」

天井「携帯では大したことは分からんな。春上衿衣、第十九学区の小学校に在学――」

身を乗り出す布束に当たり障りの無さそうな範囲で記述を読み上げる。
精神感応の異能力者、受信を専門とし自身の思考を他人に伝えることはできない。
能力系統を知り、つまり春上が地震を起こしたのではないとうことに布束は安堵したようだ。

その他には、学校の正式名称などくらいしか収穫は無い……いや。
校名を別に探すと、それは置き去りの保護施設と併設されているものだった。
ごくプライバシーに関わることであるため、言葉に出す前に飲み込んだが。

布束「精神感応……。By any chance, 思考の流入を取捨選択できずに心神喪失状態になっていた、とかかしら」

天井「誰かを探していたようだったのは……」

布束「思考の元の人間が誰かを探していてそれに引き摺られたか、Otherwise, 思考の元の人間を無意識に辿ろうとしたか」

当然、あくまで可能性の話である。
だが数の少ない精神系能力者、しかも受信に特化しているとなれば原因をそこに感じてしまうのもやむなしと思う。
片手で髪を掻くと、一日歩き回っていたせいか常よりごわごわした。

天井「異能力者では他人の精神を強引に読み取るのは難しいだろうが。レベルが低いからこそ制御しきれていない可能性があるな」

あの夢遊病のような状態の記憶が本人にあるかが問題だが、その辺りを聞けば地震との関連性が分かるだろうか。


>>+2
特に聞きたいことがあれば
※指定以外は話の流れで聞きます
1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります





62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 17:44:18.44dYfpZmKJo (2/2)

ksk


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/03(金) 17:50:00.52I58fhHx50 (1/2)

木山、天井、冥土帰し


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/03(金) 17:51:27.81I58fhHx50 (2/2)

Ksk


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 18:30:03.45pt+BZXdN0 (1/2)

天井が聞こうとしてるのは受信能力の精度や自身との関連性?

幽霊とかでも近しい人とか関係ある人だと見やすいとかなかったっけ…
なので、誰かに呼ばれたり、本人が探して歩くような対象に心当たりがあるかどうか


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 18:30:50.30pt+BZXdN0 (2/2)

自身→地震


67 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 19:53:20.09U91dfb3e0 (11/14)



こつこつ。
スライド式のドアを小さくノックすると、それより小さくか細い返事があった。

春上「はい、なの」

ふわふわした感じの声に許可を得てフラットな境界を跨ぐ。
一人用の病室はこじんまりとし、外の陽光だけを取り入れて落ち着いた暖かさが溜まっていた。
シングルサイズ、というか病院らしいベッドの上で、茶色の髪の子供が身体を起こしている。

冥土「君をここまで運んでくれた人達だね」

怯えさせてしまっただろうか。
僅かに浮いた眉を宥めるように医者が間を取り持ち、一歩下がるが。

天井「天井亜雄、長点上機の付属施設で働いている。――まぁ、君とは偶々居合わせただけなのだがね」

頬を引き攣らせることなく、自然に笑えたと思う。
最近伊達に小中学生とばかり話してはいない。

布束「The same, 同僚の布束砥信よ。急に気を失うからびっくりしたけれど、具合は良いみたいで安心したわ」

春上「あ……。春上、衿衣なの。運んでくれてありがとうなの」

歳の近い布束を前に、彼女はなお緊張を解いたようだった。
きょときょとと不安げだった視線は落ち着き、指は布団を握るのを止める。
普通に話すのは初めてだが大人しい印象のある子だ。

天井「どういたしまして。それで、起きたばかりで済まないのだが少し質問しても良いだろうか?」

春上「?」

何を聞かれるのだろう。
途端に警戒心が浮き出すのに、内心苦笑した。
やはり初対面の成人男性ではこんなものか。

布束「最近地震が多いでしょう? あなたはそれを予知できるんじゃないかと思ったのよ。
   Anyhow, 地震の前後、ちょっと不思議な様子だったから」

春上「ううん、私の能力は精神感応。予知能力じゃないの」

知っている。
だが、

布束「Ah... なら、他人が予知したビジョンを拾っているのかもしれないわ。あの時も誰かを探しているようだったけれど――」

特に打ち合わせをしていた訳ではない。
だが天井では構えられてしまうと見て取ってから、合図も無く聞き手をスイッチする。
流石布束。

ならばこちらのすることは一つである。

天井「失礼だが私は外で待っているよ。ところで冥土帰し、別件で話が……」

冥土「ふむ、分かった。春上君、お話が終わったら呼んで欲しいね?」

退出する合間にちらりと布束の方を見ると、いってらっしゃい、とばかりに目が合った。





68 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 19:54:37.09U91dfb3e0 (12/14)



天井「……ふぅ。他に話があるというのも実は本当なのだがな」

構造上デッドスポットになっているという休憩所で、天井はぐでりとソファに沈んだ。
顔の横までせり出している背後の観葉植物のハート型の葉を指で摘む。
高齢であるのに真っ直ぐに背の伸びた医者は対面にすとんと腰を下ろした。

冥土「詳しい事情を話してくれるのかい? 奇遇だね、僕も話すべきことがある」

そう言って、彼は左手で額を覆う。
らしくないことに酷く沈痛な面持ちだった。

天井「何か……あったのか?」

冥土「いや、過ぎてしまったことではあるんだ。先に君の話を聞いても良いかい?」

天井「分かった」

こちらの話は長くはならない。
先ほどの病室で、冥土帰しも居る前で切り出していたのだから。
春上と地震に関係がある可能性、また既知かもしれないが書庫で得た情報を渡す。

冥土「そうか……。まず、いかなる意味でも彼女は地震の原因ではないね?」

天井「何故断言できるんだ?」

冥土「昨日の大きな地震、あれは僕達のミスだからだ」

硬質な声は、発した本人の肺腑を抉ろうとするようだった。
僕達とは言うがここにいる二人という意味ではないだろう。

天井「木山の件、か?」

冥土「そうだ。……やっと彼女の教え子達を一つの場所に収容できてね?
   今まで通り治療法を探していたんだが。やはり覚醒に近付くと暴走能力が発現したんだ」

ならば今までの地震も子供達が原因ということなのか?
何故昨日だけあれだけ大きな――

天井「『複数の能力者による共鳴、共振』……か?」

どこかで知ったフレーズだった。
確かAIMを介した現象の一つだ。

冥土「全員、十人を同じ場所で起こそうとしたのが問題だった。今まで小さな揺れ程度しか起こったことが無かったからね?
   油断していつも通り治療を試み……結果があれだ」

二次災害も無かったから気にするな、など到底慰められる雰囲気ではない。
続報を見るに重傷者は多くないがゼロでもないのだ。
医者の心中はとても推し量れるものでは無かった。

冥土「――そういう訳だ。だから彼女が地震の発生に関わっていることは無いよ」

天井「……そうか」

どんな言葉を掛けても薄いものになる気がした。
天井が何を言おうと言うまいと、冥土帰しはこれからも医者として全力を尽くしていくだろう。
同じ間違いを犯さぬよう気を付けながら、木山の教え子を診るだろう。
傷を負った者がいるなら助けるのだろう。

天井「戻るか」

故に発した語はほとんど意味を持たない数音で。
それでも何か言おうとしたのは伝わっただろうか。

冥土「そうだね、戻ろう」

冥土帰しは先に立ち、後姿でひらりと手を挙げた。





69 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 19:58:23.86U91dfb3e0 (13/14)



>>+1 ちょっとだけ話した春上への第一印象
※コンマ判定  ★修正+15
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル


・天井と冥土は途中離脱しましたが後で情報は共有します
 布束側の情報はそこで

・というところで今日はこれまでに
 ご参加ありがとうございました





70 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 19:59:01.88U91dfb3e0 (14/14)



―― NGシーン ――


ちなみに青髪少年も彼女が心配だと残っていたのだが、舟を漕ぎ始めたので看護師に預けた。
あの女性の看護師……何となく生えていた猫耳と尻尾を尋常ではない目で見ていたが、大丈夫だろうか。

あれはケモナーの視線だった。
嘗め回すようだった。
ぶっちゃけ唇の端から液体が垂れていた。

天井「……調べられることは調べておくか」

何か大変なことから目を背け、携帯から書庫にログインする。
きっと彼は今頃美味しく頂かれているはずだ。


※獣形嗜好《ケモナー》





71携帯>>1 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/03(金) 20:14:56.306HPFgPcDO (1/1)


・あっ安価先の修正忘れてました
 ↑とこのレスは安価下扱いでお願いします


・安価追加

>>+3
情報共有の際、布束に木山の件を伝えるか





72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 20:15:49.89IenTWV5M0 (1/1)


ケモナーかよww
あれ、これって青髪にとっては願ったり叶ったり…………爆発しろ

コンマ判定が>>70だったらロリコン度が加速するところだったなww


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 20:24:48.06UjrgfEcFo (2/2)

加速した件


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/03(金) 20:26:25.015ibMTgV50 (1/1)

伝える


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/03(金) 20:35:36.482LtaxNNY0 (1/1)


木山の許可取らずに勝手に伝えていいんかな…冥土の時も慌てて漏らしたのかと問い詰められた気が


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/03(金) 20:55:07.95G7mFdE7SO (3/3)

一応信頼出来る相手だし、これからもし解決、もしくはテレス云々と関わらなければならなくなったら、何らかの形で協力して貰わないといけなくなった時、知らなかったら逆に恐い気はするのよな。木山てんてーからの天井くンに対する信頼度が下がるとは思うけど。
それに今後も何かある度に何も知らせないと後々になって関係の崩壊、警戒しないから自衛しようと思わない故に人質に取られやすくなるとかがありそうな?


77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/04(土) 01:22:54.78JBbizHP90 (1/1)

春上って『置き去り』出身で、まだ児童養護施設だろうから身内なんていないだろうし、
クリティカルが出たし、展開次第では天井が引き取るのも有り得るのだろうか…


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/04(土) 01:33:19.16/Yvwjv5SO (1/1)

つまり、いずれ天井くンはオッレルスさんみたくなるのか…


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/04(土) 13:06:21.16MA0elNgDO (1/3)


・ネット繋がらない……調子良い時と悪い時の差が激し過ぎ
 申し訳ありませんが開始は繋がり次第に

 これからも更新にムラができるかもしれませんがご了承ください




80 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/04(土) 13:07:23.54MA0elNgDO (2/3)


・酉忘れてました>>1 です




81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/08/04(土) 17:38:07.60ZgqTcy0n0 (1/1)

ふむ


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/04(土) 17:44:39.21evvbG4YOo (1/1)

今日は無しか…残念


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/04(土) 18:27:21.77pUNlGLaYo (1/1)

把握乙


84>>12012/08/04(土) 19:51:29.02MA0elNgDO (3/3)


・どうにも繋がりませぬ
 土日は回線が混むのかもしれません

 明日は繋がったら普通に進めますが、様子によっては平日更新にいたします
 毎度落ち着かなくて申し訳ないです




85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/08/04(土) 21:53:39.36J1UxL/wso (1/1)

プロバイダ会社に電話して、通信強度の調整をしてもらった方が良いと思われ。

状況にもよるけど、ウチはそれでとても安定しました。


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/05(日) 10:05:01.96c26MCh2DO (1/2)


・今日、というか取り敢えず今の時間は繋がらないようです
 すみませんがしばらくは繋がったら更新する形になりそうです
 「日は時から」みたいな予告も止めておきます、守れないのでは仕方ないので

・>>85 おぉ、助言ありがとうございます
 イーモバイル的なのに移行するかなど色々悩んでいるので、回線の調節も検討してみます




87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/05(日) 10:12:30.36rXuH5KDmo (1/1)

酉~
まあ本人だろうけど


88 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/05(日) 13:16:41.27c26MCh2DO (2/2)


・おおぅ本人です
 携帯からだと酉忘れがちで困る



89 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 14:14:58.65jlFYAoTY0 (1/3)


・二日ぶりですね、今日もよろしくお願いします
 しばらくは現状のまま騙し騙しやっていくことになりそうです……(※ネット)


病室の前の壁に寄り掛かり、誰に聞かれても問題の無い雑談などをしていると、ひょこりと布束が顔を出した。

天井「話は終わったのか」

布束「えぇ。The last, あなたも挨拶していったら?」

勿論やぶさかではない。
気が付いたばかりに、こちらの都合で押し掛けてしまったのだから。

病室内に引っ込んでいった布束を追うと、彼女はベッドの横に立っている。
その足元には背もたれの無い丸椅子が置かれている。
春上は相変わらずベッドの上で患者スタイルを崩さないが、顔色などは初めて会った時よりもむしろ良好だ。

春上「あっ……さっきのおじさん、改めてありがとうなの!」

天井「どういたしまして。だがおじさんではない、天井だ」

春上「天井さん、ありがとうなの!」

緩く笑う少女は、先ほどの様子に比べ随分と無邪気だった。
最初に感じた少し気弱な感じと相まってどうにも小動物のようである。
そういえば横で目を逸らして……笑いを堪えているらしい布束もどこか雰囲気が柔らかい。
年下の同性と話すことなど少ないからだろうか、情報収集などは脇に置いて、二人とも会話自体を楽しんだのかもしれない。

布束「そういう訳で、私達は退散するわ。As well, あなたもすぐ退院なんでしょう?」

春上「うん。一応検査だけしてお昼には帰って良いって言われたの」

なら良かった、そう言いながら布束はベッドサイドのメモ帳に何か書き付ける。
ぴり、と千切られた紙には黒く細かい字で英数字が並んでいた。

布束「Fortuitous, これも何かの縁だし渡しておくわ」

春上「……うん! ちょっと待って、私も書くの」

相好を崩してメモ帳に向かい、彼女が手にした紙片は二枚。
……二枚?

春上「はい、天井さんもどうぞ」

天井「あ、あぁ、ありがとう。待ってくれ、こちらも今書く」

少女達のメルアド交換の儀式に自分が含まれているとは思わなかった天井は、慌ててペンを走らせる羽目になった。





90 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 14:15:27.27jlFYAoTY0 (2/3)



その後起こした青髪少年も春上と色々話したらしい。
昨夜看護師に見守られながら就寝したこともあり、全面的にほくほく顔で帰っていった。
彼も口を開かなければ愛嬌のある顔立ちである。
年上の女性に可愛がられるタイプかもしれない。

冥土「ふむ。一通り調べたが今は全くもって健康だね?」

天井「それは重畳だ。……本人は何と言っていた?」

日曜とはいえ冥土帰しは多忙である。
食事時に合わせ、軽い昼食を取りながら三人で顔を突き合わせていた。
彼の私室と化しているスタッフルームの一つで各々が中身の違うサンドイッチを手にしている。

布束「あの時のことね。Regretable, 本人も記憶が曖昧らしいのだけれど。ただあの子、友達を探しているそうよ」

天井「『どこ』と言っていたのはその友達のことなのか」

冥土「僕も少し調べたのだがね。彼女は特定の条件下、決まった相手にのみ本来以上の能力を発揮できるらしい」

天井が携帯から調べたデータにはそこまで記載が無かったが、治療の必要上医療従事者にはまた別のセキュリティレベルが設定されているのだろう。
開発官として研究所のPCから接続すれば天井にも閲覧できるかもしれない。

布束「That's it! その友達、今は遠くに居るらしいの。異能力者ではそこまでの距離は聞き取れないはずだもの」

天井「しかし、声が聞こえるのなら住所なり聞けば良いのではないか」

冥土「能力で『送信』……春上君から質問ができないにしても、携帯で連絡は取れるはずだね?」

つまり、普通の手段では通信できないというのか?
置き去り、今は遠くに居る、音信不通。
まさか彼女の友人も何らかの非道な――。

天井「……『受信』している内容はどんな物なんだ?」

布束「呼び掛けてくる、としか。言い辛いらしくて、踏み込んで聞けなかったのよ。Finally, 地震との関係も分からないままだし」

やはり布束としては気になるのはそこだろう。
そもそも春上が地震の原因として扱われることを心配して、ここにいるのだから。
無関係だ、それだけ伝えてもきっと本当には納得できない。

天井(この辺りが潮時か……)

テーブルの下で、小さく手を握った。





91 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 14:16:05.18jlFYAoTY0 (3/3)



洗いざらいというには遠い。
だが木山と子供達についての問題を、アウトラインを辿るように口にする。

木山の教え子が非合法な実験のため意識不明に陥っていること。
彼女と冥土帰しがその子供達を助ける為に奔走していること。
地震の原因についても冥土帰しが簡単に説明した。
共同研究者に不穏な印象を与えるのは良くないだろう、と脅迫の件は伏せておく。

布束「…………裏の実験、ね」

天井「あぁ。とはいえ例の絶対能力進化実験の時とは違い、どこかから圧力が掛かることもない。
   上層にとっては既に終わったことで治療するなら勝手にしろといったところなのだろう」

布束「随分詳しいのね。Just like, あなたも一枚噛んでいるように聞こえるのだけれど」

う、と天井は目を逸らした。
危険だと布束を絶対能力進化実験から遠ざけておいて、自身は他の事に首を突っ込んでいるのだから。

天井「危険なことは一切していないさ。表の範囲でできる調べ物とか、そういった程度だ」

最近まで「準備」とやらで多忙だった木山がどこまで踏み込んでいるのかは分からないが。
というか第一位に接触を持ったりもしたのだった。

布束「In that case, どうして隠していたのよ。薄々何かあるとは思っていたけれど」

天井「あまり大っぴらにするようなことでもないだろう。木山も神経質になっているしな」

布束「結局今話しているのだから同じじゃない」

天井「う」

横では、すっかり言葉を挟めなくなっていた冥土帰しが呆れたように溜息を吐く。
どうも本気でやり合うと口ではこの少女に勝てないらしい。

だが……。
むくれた布束を宥めながら、思う。

地震と春上のあの状態は本当に無関係なのか。
置き去り。
まさかとは思いつつも、その単語が脳裏を離れない。


>>+1
春上に関して何かすることがあれば

>>+3
木山の件について何かすることがあれば

・行動安価の複数指定について
 1つまで、と明記されている場合以外は複数書いても大丈夫ですが、
 多く書けば書くほどそれぞれの効果は下がります

 またあまりにも多すぎる場合、適宜こちらで数を減らします


>>+4
新学期入ってからしばらくの研究の進度
※コンマ判定  ★修正なし
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル

成功度により進度が変わります





92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/06(月) 14:22:56.58/6mTjX8l0 (1/3)

木山に報告して春上の友達に心当たりがないか聞いてみる
その際、春上の素性を詳しく調べることも検討する


93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/06(月) 14:36:29.53/6mTjX8l0 (2/3)

幻想殺しって、AIM拡散力場を相殺できるみたいだから
暴走能力者と同系統のAIM拡散力場が共鳴し、
広がっていく現象=ポルターガイスト
を抑え込んだりできないかなksk


94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 14:39:46.43OzdMIrmSO (1/3)

木山てんてーの件は解決出来そうな気はしなくもないが…やっぱどうしても、間接的にしろ直接的にしろテレスさんと接触、取り引きをしなければ不味いかね…穏便に上手く行けば「木原」とのパイプラインの確保も出来そうな気はするがksk


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 14:43:28.14YtdL3frDO (1/2)

でも取引できるもの何かあったかなぁ…ksk



96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 14:43:46.57VUUCHLSco (1/1)

ksk


97 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 15:10:22.8990z13BlDO (1/1)


・安価追加

>>+1
春上について木山に報告する際、布束に色々喋ったことを言うか




98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 15:17:13.24YtdL3frDO (2/2)

言う


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 16:11:15.28OzdMIrmSO (2/3)

木山てんてーの件についての安価はどうなるかな…

安価なら木山が冥土と木原について調べた結果を聞いてからまた判断で。


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 16:42:47.949n1kVwyso (1/1)

しっかし研究進まねーな


101 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 17:31:51.90dvuzXjyA0 (1/4)



当面の問題は木山である。

あれから数日、行き詰まりっぱなしの研究もそこそこに、天井はPCの前で頭を抱えていた。
開いたブラインドの外では低い西日が敷地を赤く染めている。
適切に調温された研究室の中から見ていると、ただじわじわと暑そうな光である。
本当は冷え切った大気を暖めることさえできない程度のものだとしても。

天井「特定の相手にのみ大能力相当の強度となる……冥土帰しが言っていたのはこれだな」

きちんとソースに目を通せたのは大きい、だがそれだけだった。
置き去りである彼女には親族、出身地などの記載も無く、現在と同じ保護施設での所属記録が残るのみ。
開発の成果は早く出ている方で数年前、小学校低学年の頃から現在と同じ強度を持っていたらしく、逆に言えばそれからの伸びは少ない。
そういった表面的なデータしか得るものは無い。

天井「強度が上がる相手の名前でも書いてあれば楽なのだがな」

春上の聞く声が木山の生徒のものなら、治療の助けになる可能性がある。
だがそれを確かめるには木山の情報を頼るしかないようだった。
画面上のカーソルが、判断を迫るように瞬いている。

天井「はぁ。何とか言い方を考えねば」

後に露見することを考えると、布束に話してしまったことはこちらから報告した方が良いだろう。
だが先日の地震で動揺しているだろう木山がどう反応するか分からない。
天井の弱みをもって釘を刺してくるか。
布束をどうこうするとは流石に思えないが……。

メールにて、あちらを訪問する形でアポイントを取る。
胃が痛い会合になりそうである。





102 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 17:32:21.50dvuzXjyA0 (2/4)



木山「布束博士にあのことを話した、だって?」

とん。
軽く突いた木山の拳がテーブルの上の茶器を鳴らした。
赤みの強い野苺茶の表面がたぷりと波立つ。

天井「……そうだ」

予想はしていた。
だが実際に硬い態度を向けられると磨り減るものがある。
対面した茶色の瞳は底知れなさと共に、明確な苛立ちを浮かべている。

木山「事後承諾は止めてくれという意図は伝わらなかったか。あの時もっとはっきり言えば良かったのかな」

天井「済まない」

木山「こちらが無理矢理巻き込んだとはいえ。もう少し緊張感を持ってもらわねば、私も対応を考えざるを得ない」

言葉に出して、いや遠回しにでも脅迫めいたことを言われるのは久しい。
あるいは。
接続機と超能力者による治療法算出が失敗している時点で、天井に期待された役割は終わっているとも言える。
指示が無い限り大人しくしていろということなのかもしれなかった。

天井「勝手なことをして悪かった。だが別件を追っていたら貴方の件にぶつかったんだ。
   もしかしたら何かの形で役に立つかもしれない」

だから、敢えてそれを上書きするように言葉を被せた。
あの地震前後の錯乱、何かに突き動かされるような様子は偶然の産物とは思いがたい。

天井「目覚めない子供達の中に、別の施設から来た者は居ないか? 施設の名は――」

木山「急にどうしたんだい、いや待ってくれ。…………そうだね、一人居るが」

デスクに移動しカタカタとPCを操作する木山は、そう答えた。

当たりだ。
これで十中八九、春上と木山の生徒達が繋がった。


木山「つまりその子が子供達の一人の声を聞いている、ということかい」

天井「多分、だが。しかし地震の際に覚醒し掛け、暴走した生徒の声を聞いたならうわ言を呟くような状態も納得できる」

木山「ふむ……。そうであれば一度会ってみたい……が」

と、そこで木山は鬱陶しそうに頭を振った。
前に零れた一束の髪をゆさりと手で払う。

天井「問題があるのか?」

木山「どうもね。子供達の居場所を探られているような形跡があったらしい」

天井「な……ッ、都市上層か!?」

生徒達を助けようとする動きは重要視されていないのではなかったのか。
それとて、木山が泳がされているという事実から推測したに過ぎないのだが。

木山「いや。現在子供達は冥土帰しの手によって一箇所に集められているのだがね。
   上層が本気であの子達を何かに利用しようとするならとっくにされているだろう、と。それがあの医者の見立てだ」

天井「面倒なことになったな。他に嗅ぎ回られるような心当たりは?」

木山「思い当たるところは無いが……。だからこそ、これ以上この件を口外しないよう重々承知しておいてくれ」

じろり、と隈付きの目で睨まれてしまった。
天井が話した相手、冥土帰しや布束がどこかに漏らしたとは木山も思っていないだろうが、傍受などの可能性もゼロではない。
こちらも気を付けた方が良さそうだった。


・ちょっと出てきます
 続き……といっても1、2レスをまた夜に





103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/06(月) 18:01:21.20/6mTjX8l0 (3/3)

テレスに供達のことを知られれば、交渉の余地なしに地震とかこつけて、
アンチスキルの権限で子供達を先進状況救助隊の研究所に
連れて行こうとしないかな…強引な手段を取られると、戦力ないし詰みそうで怖いな
しかし、春上を放っておいて警備員やテレスと接触されても不味いし、どうしたものか


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 18:53:32.19OzdMIrmSO (3/3)

やっぱあれか?春上を囲って、安全確保、今後は協力者増やすチャンスでも情報漏洩に細心の注意、テレスさんには何かしらの研究に使いたいからとかなんのかんの建前理由つけて1stsampleを金で買うとか。
戦力は天井の研究を応用してネットワークシステム持った並列演算装置に複数の能力者演算パターンを入力した物を作成、小型化し、装備型にして疑似多才能力再現をすればそれなりにやれそうな気は。


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/06(月) 19:36:52.29zFkyFCWe0 (1/3)

テレスの体晶と木山の子供達を用いた実験って、失敗すれば
「学園都市は空前のポルターガイストに見舞われ壊滅する」実験のはずだし、
アレイスターが知らないはずがないから、原作のように御坂達が動かなかったら、
スクールやメンバー当たりの暗部が動いた可能性が高いと思うんだけど
その場合、木山の子供達や春上の身の保証がないも同然になるな…


106 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 22:12:21.78dvuzXjyA0 (3/4)


・再開&本日ラストです


ちらちらと長点上機学園の敷地内の樹に白いものが見える。
雪ではない。
ごく仄かに赤系統を溶かした淡色は梅だ。

三月中旬、時候柄の花をぼうっと視界に納め、啜るコーヒーは苦味の強いブラックである。
所詮自動販売機の紙カップなのだが。
とはいえ力を抜いて窓の外を眺めるなら、やはり常飲の野菜ジュースより安物でもコーヒーや茶の類が良い。

布束「お疲れね。背中が枯れてるわよ」

いつの間に近付いたのか、声はすぐ斜め背後から聞こえた。
ゴスロリなのだが和服と足して割ったような装いの布束が、缶のコーンスープを手に立っている。

天井「風流と言え。どうにもな、最近は実験もできないし」

布束「青髪君、忙しいものね」

四月から彼は中学校に進学する。
むしろ今まで元気に研究協力していた辺り、受験のシビアな高ランク校でないことは明らかなのだが。
それだってクラスの面々ががらりと変わる新学期は重要な期間だろう。

だがそういった都合以前に、思い付く実験を端からやり尽くしてしまった、という切実な問題があるのだった。

天井「部活動などを始めたら今までのようにはいかないだろうしな。
   研究費も少ないなりに安定してきたし、他の協力者の脊髄でまず実用化を目指そうと思う」

患者に能力を適用するに当たり何らかの処置が必要なのは、元々能力者本人の肉体のみに効果を発揮する肉体変化だけである。
電撃使いおよび念動力に関してそのハードルは無い。
来期以降も相変わらず補助金は最盛期の七割程度出る予定であり、追加で一人分の脊髄を複製して保持するくらいなら余裕で――、

と、背にぎしりと重みが掛かった。
ふわりとコーンの匂いが漂って、消える。
腕を組んだような形で少女が寄り掛かっているらしかった。

布束「……こんなところで黄昏ているから。もぅ、落ち込んでいるのかと思ったわ」

耳元でちゃぷん、と小さな水音がした。

天井「あれだけ実験を失敗したのだから悔しくはあるがな。できることが全て潰れた訳でもない。
   青髪君の肉体変化だって、何か方法を思いついたらまた実験に付き合ってもらうさ」

かなり挫折に強くなったのは確かだと思う。
それも、耐えられるようになったというより慣れたと表現すべきか。
進まない事項に囚われることがなくなった訳ではないが、以前より神経を削るような思考をしなくなった。

あるいは他に懸念事項があるからかもしれないが。

布束「なら良いの。そうすると、反射的な能力行使のパターン採取の続きね。続きと言っても半年ぶりくらいだけれど」

ふぅっ、と呼吸音と共に負荷が消える。
私も準備しておくわ、とまるで軽やかに、布束は去っていく。
飲み物まで買ったのなら少しくらい座っていけば良いものを。

どことなく背中に物足りなさを感じながら、天井は残ったコーヒーに口を付けた。
そうだ、スランプになろうとなるまいと、季節は進んでいく。
問題が起ころうと起こるまいと。





107 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/06(月) 22:12:48.13dvuzXjyA0 (4/4)



保存してあったサンプルから、新たに培養したのは電撃使いの男子生徒のものである。
クローン破棄の憂き目に合う以前に、一番完成に近いと読んでいた。
今日は初期の処理のみ、実験ができるにはまだしばらく掛かる予定だ。

天井「あー……木原幻生か」

ぱたぱたとその名を打ち込む指も慣れたものだ。
木山の生徒達の問題について、天井が調べられる取っ掛かりは関連する人名か団体名程度しか無い。
今では仕事の合間、空いた時間に何となく検索するのが癖になってしまった。

彼らの暴走状態を収めるため、投与された能力体結晶の成分を厳密に特定する。
それに必要なのが「体晶のファーストサンプル」または「木原幻生の実験記録」ということだった。

天井「テレスティーナが最初期の実験の被験者である可能性は高いとのことだったが」

冥土帰し曰く、時期的に木原幻生が主導した能力暴走実験の開始とテレスティーナの暴走が重なるらしい。
もしかしたら彼女こそまさにファーストサンプルの元であるかもしれないのだが。
この辺りは木山から又聞きで確認したところである。

天井「しかし木山の実験の例からして、被験者が実験の詳細やら成果の行方やらを知っているだろうか」

冥土帰しはそれ以外の方法で暴走を抑えられないか奮闘しているようだが、今のところ見つかってはいないようだ。

子供達の居所を探っていた者は未だ不明。
そのため木山と春上の面会は現在待ったが掛かっている状態である。
春上と木山の生徒の関係に確証が取れたとして、春上を彼らの下に連れて行く際に誰かの目に留まるのを警戒しているのである。

天井「いかんせん情報が足りないな、これでは」

そうしている間にも画面の中の建物が揺れた。
動画サイトに投稿された、多分固定カメラの映像だろう。
一際大きく跳ねた後、横倒しになった風景のぶれが止まり、しかし人混みはごった返している。

あの地震の日だ。
現れた大型の車両からは駆動鎧が湧き出し、崩れた看板などを撤去している。
中には派手な桃色の駆動鎧などもあり、彼らが揃って纏う印章は、

天井「あぁ。これが先進状況救助隊か。警備員も到着していないのに随分レスポンスが早いんだな」

こういった状況の専門部隊だからだろうか。
忙しなく移り変わる動画の上のタイトルは「第七学区地震・MARの活動」。
有志が投稿した、災害状況を伝えるよくある動画の一つである。


>>+2
木山の件について何かすることがあれば

1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります


・今日はこれまでに
 ご参加ありがとうございます

 しばらくは繋がった隙を見てぼちぼち進めようかと
 あまり更新できない日もあるかもしれません、済みません





108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/06(月) 22:14:28.80RhQBCQEPo (1/1)

把握乙


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/06(月) 22:15:57.51zFkyFCWe0 (2/3)

天井が青髪から、幻想殺しのことを聞いていれば
さらに詳しい話を聞き、冥土と木山に治療の役に立たないかと話す
聞いていなければ、安価下


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/06(月) 23:16:08.89zFkyFCWe0 (3/3)

先進状況救助隊について、黄泉川に聞いてみる


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 00:32:35.37cqnixbAiP (1/1)

この関西一度叩かれて大人しくなったと思ったらまたか
状況指定して違ったら安価下とか更に自分で取るとかそれどうなの


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 01:05:35.42Q8rrNRBSO (1/1)

確かに状況指定、後安価↓してからの取りは結構アレだがオメーもそんな目ごじらたてんなよめんどくせぇな…さらっとしとけよ
関西の安価とかかなり後々他方面に効く安価多いし自粛されるとアレだろーが


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/07(火) 02:12:53.35hCd6fONt0 (1/1)

一時間経っても誰も取らなかったから、下も取ったんだが
マナー違反なら今後は控える

安価スレッドにはリアルタイムで参加したことがほとんどなく、
安価スレッドに共通する統一かつ明文化されたルールが記載されたサイトも
見つけられなかったので、見苦しいものを見せたことをお詫びする

統一かつ明文化されたルールが記載されたサイトを知っていたら教えて欲しい


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 02:14:30.22KqbdHLfLo (1/1)

>統一かつ明文化されたルールが記載されたサイトを知っていたら教えて欲しい

無い。スレによって変わる。慣れろ



115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 02:16:04.4701CfTk2vo (1/3)

安価スレに明確なルールなんて無いよ あるのは>>1が絶対、つまりルールは>>1が作る、>>1に聞け


116VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/07(火) 02:17:27.79etvpPlPPo (1/1)

つまり>>1以外の声は気にするなって事だね♪


117VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/07(火) 02:59:56.34dJgg8vneo (1/2)

まあ、気にするな
>>1のルールに違反してないなら安価では基本何してもいい
顰蹙を買う安価は勘弁してほしいと言うのは所詮、安価を取れなかった負け犬の言う事だ

だから俺らの文句は所詮負け犬の遠吠えさ


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 03:14:10.56MjjMj83y0 (1/1)

この関西氏はスレに有用な安価をこれまでに多く出しているし、よくストーリーを理解しているとおもう。ルールは尊重するが、それに固執しすぎて有用な安価が廃棄または無視されるという事態はさけてほしい。まあ>>1の考え次第だが。



119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 05:52:03.31xrrlWppDo (1/2)

とはいえ、ほどほどにな


120 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 10:59:31.37T2m7S49y0 (1/11)


・おはようございます
 本開始は午後からの予定です


・安価での条件分岐について

 今回は指定された行動自体が「幻想殺しについて聞いている」という前提が無いと成り立たないため、
 聞いていないなら○○という分岐はOKとします
 駄目だった場合に何も行動しないのも勿体無いですし

 例ですが、□□して失敗したら▲▲、のような指定は複数不可の安価ではNGです
 他にも考えられるケースがあると思いますが、
 ここで想定しきれないので発生してから対応する方向でご了承ください

 なお、あまり細かい分岐はご容赦ください


>>+1
上条の幻想殺しについて聞いているか
※コンマ判定
  -49:聞いている
 50- :聞いていない





121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/07(火) 11:03:37.48083EXVdV0 (1/1)

ksk


122VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/07(火) 11:08:42.50h9gTZxZ/0 (1/1)

わざわざ深夜にレスしてくれた人達に感謝する

>>109及び>110に関しては
「幻想殺しのことを、冥土と木山に治療の役に立たないかと話す
 無理ならば、先進状況救助隊について、黄泉川に聞いてみる。」
と記述すれば、状況指定も安価下も必要なかったので完全に自分の記述方法のミスです。
記述方法のミスにより、見苦しいものを見せたことをお詫びします。

>>1へ、自分の記述方法のミスにより話と関係のない所でスレを伸ばしてしまってすいません。


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/08/07(火) 11:53:14.43atoA1itg0 (1/1)

というか無駄な長文がウザイのはどうにかならんか


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 12:01:21.74oCh2ckFSO (1/1)

気になる程の長さか?

そういや予算が戻って来たって事は、一方通行の実験の方は恙無く進行してるって事なんかな


125名無しNIPPER2012/08/07(火) 12:03:31.05wbUGwTvy0 (1/1)

>>123

文句あるなら見るな


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2012/08/07(火) 12:14:30.75nfw2YwyAO (1/1)

関西本人は自覚あるからともかく周りの関西信者がヤバいな
前から二人ほど固定っぽいけど
一人減ったところで展開が変わると本気で思ってるんなら考え直した方がいい


127名無しNIPPER2012/08/07(火) 12:30:00.29cD7SunQq0 (1/1)

関西叩いてんのって
安価とれなくて自分じゃいいのが思い付かない
ひがみ妬み馬鹿でしょ?


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 12:42:08.07HDJeLEZho (1/1)

つか>>1がなにも言ってないんだからこれ以上の議論は無駄だろ


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 14:10:16.1501CfTk2vo (2/3)

粘着系はスルーするに限る 関西さんも余計なことは書き込まず、安価だけ粛々と取ってれば荒れずに済むかと


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 14:43:33.75Nx6/l38IO (1/1)

新たな自己主張大好き似非コテの誕生を防ぎたい気持ちは分かる
気に入らないスレは荒らすし気に入れば自己主張 実害あるから仕方ない


131 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 14:51:32.37T2m7S49y0 (2/11)


・>>106
 天井「そうだ、何か違和感があると思ったんだ」
 布束「違和感? Abruptly, 何かあったの?」
 天井「その英語表現だ。>>106 の時、いつもと話し方が違わなかったか?」
 布束「あの時は……、There comes... 和装だったからよ。……私だってTPOくらい弁えるわ」
 天井「……和装…………?」

 ※和ゴスは和装に含めます by 布束


考えても考えても、明快な答えは出ない。
どうしても判断材料が足りなかった。

本業はパターン検出および解析実験に入ってしまえば、言ってみればしばらく単純作業になる。
生じた脳の余剰領域は木山の件でできることを与えられた条件からぐるぐると思考しているのだが。

天井「現状視野に入れている以外にも可能性はありそうなものなのだが」

この手の問題に関わっていない誰かと雑談でもしてみるか。
首を逸らせて、背もたれの上部にぼふりと乗せる。
研究室の電灯はこうして見ると近く、狭苦しくも思える。
空気が淀んだら、状況が膠着したら風を通す。
鉄則である。

天井「しかし黄泉川とでは確実に呑みになるしな」

誰かの視点を借りると言う意味ではアルコールが入っていても問題はないのだが、何か閃いても次の日には忘れそうである。
青髪少年は先の理由でしばらく顔を見せる予定は無く、

天井「うん? そういえば」

彼の話題の中に、都市伝説じみた友人の話があった気がする。
道を歩けばこの街ではすぐ撤去されるはずの空き缶に蹴躓き、買い込んだ食品をぶちまけ、
勢いでスキルアウトにショルダーを入れるレベルで不運であるとか。
そのくせ女性には異様に好かれ、そのせいで余計面倒に巻き込まれるとか。

青髪にとっては友人の不幸っぷりやモテ具合が重要だったらしく、能力についてはあまり話題に上らなかったのだが。

天井「確か、能力を打ち消す能力だったか。眉唾ものだが、確かめる価値はあるか?」

今のまま生徒が目覚めれば能力が暴走し、災害を引き起こす。
そうでなくても、暴走状態を引き起こすような脳の状態のまま覚醒することは彼らにとって負担だろう。
だがあてのない昏倒状態よりも、覚醒した方が治療の幅が増えることも確かだ。
最終的な判断は冥土帰しや木山に任せることになるだろうが。





132 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 14:52:00.97T2m7S49y0 (3/11)



青髪『どーしたん? センセ。急に電話しても良いかなんて』

天井「いや、少し聞きたいことがあってな」

青髪『うん? 実験のお誘いなら、三月中やったら何とかいけるでー』

そう長く掛かる用事とも思えないし、かといって能力がどうのを携帯メールで打つのも互いに不便である。
メールでは了解だけ取り、こちらから電話を掛けさせてもらった。

天井「いや、それは大丈夫だ、ありがとう。君が中学生活に慣れてから改めて打診させてくれ。
   今日は別件でだな……以前ちらりと言っていた、クラスメイトの無効化能力について知りたいのだが」

青髪『あー、そんな話もしたっけな。ボクの場合だと、そやねー。生やした尻尾とか掴まれると消えるで』

聞いたこともない能力だが、AIM系か。

少年に連絡を取る前に、彼のクラスを指定して書庫で検索を試みてはいるのだが、そのどれにも符合しない。
開発に力を入れている校風ではないらしく、青髪少年がクラスで一番高レベルだったくらいだ。
逆に珍しい「全くの」無能力者までいた。
異能力者に干渉するなら、少なくとも強能力者級であると思われるのだが。

天井「……どんな系統なんだ?」

青髪『ボクもあんまり詳しくはないんやけど、念動系とか火炎系とか、分かり易いもんやないと思うわ。あと……』

彼には珍しく、何かを言い淀んだ。

青髪『いや、あんまりボクが喋るのも変かと思ってな。なんやったら本人に会ってみるってのは?』

天井「あぁ、確かに不躾だったな。取り敢えず検討させてくれ。いずれ、取次ぎを頼むことになっても良いか?」

青髪『まーセンセなら大丈夫やろ。ただ、珍しい能力やってのはボクにも分かる。変な所に話が行かんよう頼むわ』

実際の出身地と関係が無いらしい似非関西弁は崩れていなかったが、言わんとすることはごく真剣だった。
彼も強度が高くないとはいえ希少能力者である。
研究対象として値踏みされ、貴重だからこそ手出しを遠慮されるような、そういった気配を肌で感じたことがあるのかもしれない。

天井「話したとしても冥土帰しとその協力者か、あとは布束くらいだ。外には漏らさないよう約束する」

青髪『お姉さんにはセンセと一緒にポロっと話しちゃってるしなぁ。っと、これでも二人のことは信用しとるからやで。
   ほな、それ以外には広めんといてやー』

いつもの調子に戻って、さっくりと別れを告げる。
切断音の続く携帯電話を耳に当てたまま、天井は上を仰ぐように目を閉じた。
あれほど陽気な彼がふと研究者への警戒を覗かせる。
日常レベルで裏側が根を張っているような、この都市には言いようのないおぞましさがあった。





133 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 14:53:31.54T2m7S49y0 (4/11)



しかし分かったことといえば「能力を打ち消す能力」が異能力者の青髪に効くくらいなものである。
取次ぎに関しては請け負ってもらえたが、当の友人が了承するかはまた別問題であるし。

天井「先に冥土帰し達に相談しておくのも手だが、能力の具体的なところが分からないのではな」

AIMに干渉するものなのか、精神系統の一種なのか。
青髪少年は、一般的な区分の能力ではないと言っていたが、あるいは特殊な原石か何かか。

そういう意味ではまず本人に会うのが早い。
彼と同じクラスなら、同じく四月から中学進学である。
面会するなら今月中に済ませてしまった方が迷惑にならないだろう。

天井「懸念があるとしたら……現在の状況だな」

能力の無効化。
それは時に高位能力者を恐れる研究者達にとって、喉から手が出るほどのものではないだろうか。

青髪の言からするとどうも普段から研究協力している風でもない。
これは天井の予想だが、大多数の研究者には存在を知られてすらいないのだろう。
学生である限りすべからく身体検査は受けているはずで、その結果は書庫へと毎回反映される。
だがクラス、どころか一学年分丸々のデータに目を通しても、それらしき記載は無いのだ。

偶然か、何かの作為か。
覆い隠されるように普通の学生生活を送っているという無効化能力者。
天井は肘を付いた手を額に、しばし考えを巡らせた。


>>+2
青髪の友人について、どうするか
(取次ぎを頼む、先に冥土帰し達に相談、etc.)


・遅くなりました、ギリギリ3時前
 いつもご参加ありがとうございます





134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 15:25:29.03WGvrjpUmo (1/1)

冥土帰し達に相談した後、問題がなければ 取り次を頼む


135VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/07(火) 15:31:56.53dJgg8vneo (2/2)

>>134


136VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 17:21:32.05ZpEXl9g9o (1/1)

冥土返しが知ってる可能性もあるのかな


137VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)2012/08/07(火) 17:33:51.79x10XR4B/0 (1/1)

上条さんだし既に何回か冥土返しのお世話になっている気がするな


138 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 18:17:59.65T2m7S49y0 (5/11)



このメンバーで直接集まるのは、実は初めてだ。
冥土帰しの施設研究室のローテーブルを挟んで主である医師と木山、それに天井がソファに付いている。
冬は例年床から暖気がもたらされていたはずだが、今回は妙に効きが悪い。
応接スペースの周りだけ点けられた照明が薄ら寒かった。

冥土「木山君、暖房の設定は高くないかな?」

木山「いや、丁度良いよ、ありがとう」

そういうことか。
天井はゆっくりと出されたコーヒーを飲んだ。
横に居る女研究者は体感温度が上がるとすぐに涼を取ろうとする。
しばらくの付き合いで冥土帰しはそれを学んだらしい。

冥土「天井君はこれを使うと良いね?」

暗色のタータンチェックの塊、それは彼自身も膝に置いているストールと同じ物だ。
何とも準備の良い。
暑がりの木山以外にはどうしても暖が足りないのだ。


天井「わざわざ時間を取らせて済まない。直接役立つかは分からないのだが……。
   能力を打ち消す、という能力者の情報が入った。生徒達の暴走を抑えるのに力を借りれないかと思ってな」

木山「聞いたことがない能力だね。裏付けはあるのかい?」

ふむ。
書庫の情報及び、簡単に調べてみた範囲では、それらしき記述は一切無かった。
むしろ学生達が好んで使用する類の信憑性の低い掲示板には「どんな能力も効かない少年」などが七不思議として書かれていたが。
それが青髪少年の友人を指しているかどうかは微妙なところである。

天井「その能力者のクラスメイト、私の研究に協力してくれている少年から直に聞いた話だ。
   少なくとも彼の肉体変化は解除できるらしい」

木山「あぁ、異能力者……あのAIMの持ち主か」

ちら、と冥土帰しに目を遣ると、小さく頷いたようだ。
また木山も共同研究者として青髪のAIM拡散力場の分析や再現を担当している。
ごく間接的な知人のようなものだ。

冥土「詳しいことは分からないのかい? どういった原理だとか」

天井「あぁ、まだ。書庫を調べてもそういった能力が見付からなくてな。
   もし助けになりそうだったら実際に会ってみようと思うのだが……」

あらかじめ二人に話を通したのは、幾つか聞いておきたかったからだ。
まず実際に治療に当たる立場として、無効化能力が助けになるか。
次いで協力を仰ぐ気があるか。

最後に、その能力者の置かれている立場を考えて、接触しても大丈夫かどうか。
単純に天井達の安全だけでなく、より難しい立場の子供達と引き合わせることで、何らかの引き金とならないかということだ。





139 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 18:18:38.48T2m7S49y0 (6/11)



それぞれが思案げにカップに口を付ける。
一拍置いて、まず話題の能力について考察を進めることにした。

天井「起こる現象から考えれば、能力系統はAIM系か精神系が色濃いと思う」

木山「そうだね……精神系統だとしたら、その場凌ぎではなく恒久的に暴走を抑えることができるかもしれない」

天井「そういえば、今までその手の能力者に力を借りる案は無かったのか?」

あの記憶では、精神系能力者の最高峰として第五位に君臨する超能力者がいたはずだ。
もっとも都市の宣伝塔だった第三位と違い、今の段階で能力開発を受けているかさえ不明なのだが。

冥土「検討はしたんだけどね? 能力行使に干渉できるほどの者に心当たりが無いんだよ」

すると、後の第五位はまだ高位ではないか、どこかの研究所に囲い込まれているか。
ただ研究者にとって、思考を読まれ、改竄されかねない高位の精神系能力者は一種の鬼門である。
それこそ圧倒的な力を持つ第一位や、電子情報の操作に長けた第三位よりも。
おいそれと「強過ぎる」精神系能力に接触するには二の足を踏むのも確かだ。

冥土「または、AIM系の能力だとしても、暴走の伝播を防げるかもしれないね?」

天井「では少なくとも話を聞いて、協力要請も考慮する価値はあるか」

木山「いや、それなのだが……。この前、生徒の声を聞いているかもしれないという精神感応者の話があったろう。
   あれと同じでね。探られた形跡がある以上、ある程度効果が予想されない限りあまり動きは見せたくないんだ」

春上の時と同様か。
現在冥土帰しと木山はなるべく子供達を収容している施設に近付かず、各々で調査や治療法確立をしているらしい。
勿論最低限の健康チェックは行っているが。
その際にこっそりと同行させる程度なら、例えば冥土帰しの病院を経由すれば現実的には目を惹くようなものではない。
念には念をということだ。

また地震の一件があるため、現在は暴走状態への対応が完了してから覚醒させる方向で纏まっているとのことである。

天井「ではなおさら能力の詳細が判明しないと決まらないな。だが……」

木山「それは、以前協力してもらった彼よりも面倒な状況なのかい?」

むむ、と難しい顔をして木山は唸った。
彼、とは第一位のことか。

木山「珍しい力とはいえ、おそらく高位能力者ではないんだろう? そこまで危険だとは思えないのだがな」

それはそれで一つの見方だが、天井は真逆だと思う。
強度や序列はともかく、能力の特異性では都市でもかなり上位に位置するのではないか?

天井「だが書庫に能力が載っていないのが気になってな。私の端末では制限が掛かっているだけかもしれないが……」

それはそれで、一介の開発官などには見せられないということだ。

冥土「ふむ。仮にその能力者が恣意的に研究などから隔離された環境に置かれているとしても、治療の協力程度なら大丈夫ではないかな?
   能力自体を研究したり、それを発表するのでなければ。知ったのだって裏情報などではなく知人伝手だしね?」

天井「そうか……」

再び沈黙が降りる。
誰とも無く、各人の前のコーヒーに手を伸ばす。

――かたん。

木山「おっと零してしまった、染みる前に」

冥土「これで拭いて欲しいね? どうしても着替えたいなら入院着がある」

どこからともなく取り出されたタオルがばさりと飛んだ。
手馴れ過ぎだ一体何があった。


>>+2
相談を踏まえ、どうするか
(取次ぎを頼む or 頼まない)





140VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 18:18:59.217GVVUPy1o (1/2)

ksk


141VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 18:26:32.93uHfxoBpzo (1/1)

頼む


142 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 19:41:00.16T2m7S49y0 (7/11)



青髪『ほな、明々後日の十時に病院で。なぁ、最後に確認するけど、会う目的は……』

天井「冥土帰しへの治療協力だ。プライバシーの問題があるから詳細は伏せさせてくれ。
   友人の能力をどうこうするつもりは一切無い、確約する。必要上、測定などはすると思うが」

青髪『りょーかい、や。それは本人と相談したって。
   あいつこういうの初めてやろし緊張しないようにボクも付いてくけど、必要やったら席外すから』

そう電話で約束を取り付けたのが三日前。
歳甲斐も無くそわそわと、今はまさに人待ち状態である。
会合の場はいつか青髪と対面した検査の待合室のような部屋だが、病院の出入口の一つの前に立っている。

それとなく、会いたがっている人がいると伝えてあったのか、擦れ違いも無く話は纏まった。
用があるのはこちらなので冥土帰しの病院まで来させるのは心苦しいが、
機密上の問題と、ここなら測定機器を準備しておけるため足を運んでもらうことにした。
長点の研究室でなくこちらを選んだのは、研究者ではなく医療関係者として会うためである。


立春からはや一ヶ月以上。
昔の人間が考えた暦ではとっくに春だとしても、気温が上がってくれる訳でもない。
日によっては突風と共に暖気が押し寄せてくる日もあるが、今日は「三寒」の方に該当するようだ。
陽光が暖めた体温を削ぐように空気が皮膚をなぞっていく。

天井「外に立ちつくす季節ではないな。申し訳ないが、中のロビーで待たせてもらうか」

最後にちらりとロータリーを取り巻く木々を眺める。
薄紅色は、これも梅なのだろうか。
教えてもらった長点の梅とはかなり形が違うのでなんとも判別が付かない。

天井「……ん?」

枝を透かして、青っぽいものが見えた。
それは芝生を横切り、きょろきょろ見渡して車の無い私道も横切り駆けてくる。
アスファルトの上にさも鮮やかに。

その後から転がるように、派手に黒髪を跳ねさせた少年が追ってきた。


>>+2
天井は……
※青髪の友人への対応





143VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 19:44:46.667GVVUPy1o (2/2)

ksk


144VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/07(火) 19:46:02.16rF+uwyjw0 (1/1)

あまり無愛想にはせず研究者らしい態度で



145VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 19:46:07.2601CfTk2vo (3/3)

誠意を持って、普段通りに


146VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 19:47:53.25xrrlWppDo (2/2)

ジェントルかつ砕けた感じで


147 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 21:44:21.02T2m7S49y0 (8/11)


・安価はもう少しお待ちください


挨拶もそこそこに、暖められた室内に案内した。
二人ははあはあと息を切らし、頬の赤さを見るといらぬ気遣いだったかもしれない。
小さな丸テーブルの奥に二人並んでちょこんと座っている。

天井「飲み物は冷たいものの方が良いか?」

青髪「もちやで! センセ律儀に早くから待っとるんやもん、急いでまったわー」

??「ちょ、青ピお前、あ、お気遣いなくっ!」

遠慮無く要求する青髪に困惑したか。
黒髪の純朴そうな少年はわたわたと手を振った。

天井「あまり硬くならないでほしい。わざわざ来てもらったのはこちらなのだから」

振舞うといっても、室外すぐ傍の自動販売機で買った缶ジュースだ。
「まるごとブルーベリー牛乳」「キュウリソーダ」「ニガヨモギ茶」。
研究棟の良心的な販売機と違い、まともそうなものを厳選してこれである。

天井「好きなものを選んでくれ」

むしろ飲めそうなものを。
あらかじめコンビニで用意しておけば良かった。

??「じゃあ、お言葉に甘えて」

青髪「センセ、ニガヨモギな。まだキュウリのがましやわー」

ぷしりと缶を空ける音が沈黙の中に三つ、響く。
天井は九ヶ月だかぶりに飲料で後悔を味わった。

天井「ふぅ、……改めて、長点上機学園付属施設の天井亜雄だ。ここに勤務している医師の手伝いを少ししている」

上条「あっ、上条当麻です、今度から中学生になります」

缶を置いて、少年……上条がぺこりと頭を下げた。
青髪の話からもっと破天荒な性格を予想していたのだが、普通に人当たりの良い少年だった。





148 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 21:48:28.51T2m7S49y0 (9/11)



上条「えっと、俺の能力のことで話があるって聞いたんですけど……」

天井「あぁ。ある患者が、能力の暴走状態を止めらずに困っていてな。上条君の能力を聞いて、抑えることができないかと思ったんだ」

上条「暴走ですか。うーん、右手で触っている間なら止められるかもしれません。一杯広がる能力だと厳しいですけど」

協力についても、条件や報酬を出して頼み込むまでもなく好意的だ。
しかし右手、とは。
能力行使部位が限定されているために強度が低く判定されているタイプなのか。

天井「接触が条件……はともかく、右手限定となると、精神系統ではないのか」

青髪「なっ、カミやんがモテるのは能力だったんか!?」

上条「お前は黙ってろ! えーっと、俺の……幻想殺しは天然物で、身体検査にも引っ掛からないんです。
   0.1も0.05もないホントの無能力者らしくて。多分精神系でもないと思うんですけど」

おおよそ想定外の話だった。
天然物、つまり原石ならこの都市にも少数居り、一般的な開発を経た能力者とは毛色が違うこともあるが。
それでも基本的に何らかの方法で数値化して六段階の分類に当て嵌めるはずだ。
効果を示す能力を持ちながら検出できないなどとは……。

天井「と、済まない。では、今日も一応機器を持ってきたが、それでは測定できないのか」

上条「多分……。何だか済みません」

絶句してしまったこちらに対し、申し訳無さそうに頭を掻かれると何とも気まずかった。
つまり書類上は情報操作などなく本当にゼロなのだろう。
検索した時に何となく目に付いた「全くの」無能力者が、探していた本人だったのだ。

青髪「まー実演してみれば良いんよ。ちょっと待っててな」

クリーム色のカーテンの向こうに少年は消えていく。
そういう訳で、上条が触れた途端ばちんっ!! と痛そうな音を立てて兎耳が引っ込むのを、天井は目の当たりにしたのだった。


上条「と、こんな感じなんですけど。俺、役に立てますか?」

青髪「痛い……まじ痛いわ……。どうして長い兎さんにしたんやろ、ボク……」

頭を押さえて唸っている少年を完全に無視して上条は小さく首を傾げた。
友人というより悪友なのか、この二人は。
少年達は時折缶に口を付けており、丁度中身が尽きそうな頃合いだ。

天井「そうだな。主治医に相談してみないと何とも言えないが……手伝ってもらえそうかどうか、追って連絡させてくれないか」

上条「分かりました。誰かの助けになれるなら嬉しいです」

来たる春のように、屈託無く上条は笑う。
……いや。
子供らしい明るい表情の中に、僅か馴染まない大人びた色があったように感じた。

れっきとした才能を持ちながら無能力者の烙印を押されることで、悔しい思いをすることがあったのだろうかと、
自身にはそのくらいの想像しかできなかったが。

天井「――と、帰る前に確認したいのだが。今まで打ち消した能力は……」

口頭で過去に能力を使った際の確認だけをし、天井は二人を見送った。
冷えはするが、穏やかな陽の下を青と黒の頭がどんどん遠ざかっていく。
じゃれ合うようにジャブを入れたり突然駆け出したり。
眩しいものに目を細めるように、まんじりともせず植木をくぐる背中を見ていた。





149 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 21:50:35.00T2m7S49y0 (10/11)



天井「……ということだ。念のため青髪君のAIM拡散力場を計測していたが、右手の周りだけすっぽり消失していた。
   上条君自身にはAIMは見られなかったよ。
   能力のオンオフはできないらしいから、『他人のAIMを一切消し去った状態』が彼のAIM拡散力場と言えなくもないが」

数時間後、多忙な冥土帰しは保留として木山に上条のことを伝えていた。
どうせ外出したついでである、帰り道を大きく逸れて直接彼女の研究室を訪れたのだ。

木山「そうか。範囲は右手の周りのみ、かい?」

天井「いや。本人の話だと、起点は必ず右手だが消え方や範囲は相手によるらしい」

水流操作能力者の力が及ぶ一繋がりの水に対して、一端に触れただけで全体を打ち消したり。
青髪少年の場合だと、耳に触ったら耳だけが消え、尻尾は残ったり。
その違いがどこから来るのか、本人にも分からないし調節もできないらしい。

木山は眉間に指を当て、脳裏の図形か計算式かを睨んでいるようだ。

木山「持続時間は?」

天井「基本的に触れている間のみ、だ。対象が放出し続けるタイプの能力だと離した瞬間にまた発現するし、
   一度途切れたら終わりのものなら消えたままだそうだ」

木山「最大出力」

天井「発火能力の大能力者が放った火球の流れ弾を消したことがあると。どうしてそんな状況になったのかは聞かないでおいた」

青髪は、カミやん不幸やからー、と笑っていたが。
まあ学園都市ならたまにあることだから困る。

木山「うぅん……。それだと、治療に劇的な効果は見込めない、かな。取り敢えずは保留だね。
   念のためその子とラインは持っておいてくれるとありがたいが」

申し訳無さそうであり、落胆したようでもある。
半ば予想はしていたが「動く」こととの差し引きでメリットを見出せなかったか。

木山「色々と情報を見付けてきてくれるのに……。腰が重くて済まない」

天井「いや。非合法の実験絡みだからな。慎重になるのも分かるさ」

木山「そうか、そう言ってもらえると助かる」

浮かぶのいつものぼんやりとした笑み。
ただ、以前からある隈に加えてどことなく疲れたような、そんな空気があった。
生徒達に一番心を砕き、思うように試行錯誤できないことをもどかしく思うのは、間違いなく木山だ。

二言三言、せめてもの慰めを口にし、天井は研究室を辞した。





150 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/07(火) 22:44:13.04T2m7S49y0 (11/11)



天井「うぅむ、当てが外れてしまった」

自身の研究室の、珍しくデスクの前ではなくソファに埋もれてみる。
青髪の会話から無効化能力のことを思い出した時は、これで治療が進むか、と気力も湧いたものだが。

閃きが全てを打開することもあるし、そうでないこともある。
だが木山の様子を思うと遣りきれなかった。
せめて少しでもこの情報が役に立てば良い。

天井「打ち消し、打ち消し。どうにか治療に応用できないものか」

疲労感はあるものの眠気は襲ってこない。
頭上の模様を追うのを止め、全身の力を抜いた。
ビニール製だが柔らかいクッションに分散した体重を支えられていると、ふと何も無いところに浮かんでいるようにも感じる。

天井「……既に見えている情報を、既に試した方法で探っても限界だ」

情報収集にしても、データベースや資料を漁るだけではもう埃も上がらない。
現状の中で足掻いていても事態は動かない気がした。
今回は上手く嵌らなかったが、新たに方法を探すか。
あるいは、

天井「一歩、踏み込むか……か。だがそれは」

木山の生徒達のことを話した時の、咎めるような布束の目が思い出されて。
責めている、そう装った純粋な心配だった。
今でもありありと視線が心臓に刺さるような気がした。

絶対能力進化実験の時と違い、この件で天井が面倒なところに足を突っ込んでも、無関係な彼女に累が及ぶことはないだろう。
だが。

天井「できるのか? 私には。湿地に渡された足場から敢えて外れるようなことが、できるのか?」

問いに答える者は無い。
声は弱々しい空調の震えるような音に紛れ、溶けていく。

顔を手で覆い、天井は静かに考えを積み上げる。



天井は……
木山の件で、これからの大まかな方針について

 a. もう少し様子を見る
 b. 「体晶のファーストサンプル」について踏み込んで調べる
 c. 「木原幻生の実験記録」について踏み込んで調べる
 d. テレスティーナについて踏み込んで調べる(状況によっては接触も)
 e. 春上の協力を得る(生徒達に会わせる)ことを木山達に勧める
 f. 上条の協力を得る(生徒達に会わせる)ことを木山達に勧める
 g. 新たな方法を探す(具体的な内容を付記してください)


【8月8日0:00~23:59で、最初に4票入ったものを採用】

1人1票で、1レスに複数書いてあった場合最初のを採ります
同一IDは先のもののみ有効(変更したい場合は明記してください、ただし4票確定後の変更は無しで)

日が変わるまでにどれも4票にならなかった場合は一番多いもの、
同数なら先にその票数に達したものを採用します

「g. 新たな方法を探す」に関しては、具体的な内容別のカウントです
誰かに賛同する場合は明記するか安価でご指定ください
具体的な内容の無い「g」はノーカンです


・今日はこれまでに、ありがとうございます
 最近開始時刻と執筆が遅くてすみませぬ

・明日は所用によりお休みです
 ねんがんの カーテンをてにいれるぞ!

 安価、どうぞよろしくお願いします


大事なのでもう一回
【安価は明日の0:00から】





151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/07(火) 22:44:46.87EV7ezS9fo (1/1)




152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/07(火) 22:46:10.90ZSB8w8T1o (1/1)




153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 00:05:22.00QwTsvf920 (1/1)

b:子供たちの治療に書かせないファクターである「体晶のファーストサンプル」について踏み込んで調べる。
また、その過程において必然的に木原幻生やテレスティーナについても踏み込んで調べざるを得ないと思うのだが。



154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 00:05:31.91IInNzFu2o (1/1)




155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/08(水) 00:06:58.78GxwdfcJQo (1/1)

d


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/08(水) 00:08:00.028f6eBvp20 (1/1)

F


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 00:11:17.43YLbNd3Uho (1/1)

f


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/08(水) 00:11:35.804OJWSa640 (1/1)

f


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 00:53:20.27kmw/SMR60 (1/1)

上条さん人気だな


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 00:58:55.64N/J6cO79o (1/1)




161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 00:59:58.84gmAtcfFCo (1/1)

f


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 01:06:52.49KHxOi8KSO (1/1)

もう決定かな…

g、もうしばらくは研究も木山関連も全部投げて知り合い全員と飲み会、朝起きたら黄泉川、芳川、布束、みこっちゃん、木山てんてー、テレスさん、一方通行と肉体関係持ってた


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 01:17:40.290VcjR8dMP (1/1)

上条がダメだったから落ち込んでるこの話の流れで上条推しってぶっちゃけ不自然な気が
まあ出遅れて春上ちゃん挿せなかった言い訳なの


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/08(水) 10:14:29.272W8Wjmfs0 (1/1)

でもまぁ、治療中に傍にいて貰えるだけでも保険にはなるよな上条さん
最悪の事態を想定して協力を得ておいてもいいんじゃないかと思う
つーわけで『f』


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/08(水) 10:58:45.35ebkhwz26o (1/1)

b


166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2012/08/08(水) 13:54:12.71KnSajcMvo (1/1)

fだな


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)2012/08/08(水) 16:00:04.750KJ0+qS8o (1/1)

fで


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/08(水) 21:00:41.555Uyvlrlyo (1/1)

f
上条さんはその場にいるだけで大きなカードになるからねー。


169 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/09(木) 00:11:35.78hlGi/usn0 (1/5)


・沢山のご参加ありがとうございました
 今回は先取制でしたが、普通に得票制でも良かったかもしれませんね
 いずれにせよ「f」で進行いたします

・今日の開始は(接続が悪くなくても)遅くなりそうです、すみません
 多分進めはできると思うのでよろしくおねがいします





170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/09(木) 00:18:25.67v0aCUvumo (1/1)

乙把握


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2012/08/09(木) 10:17:47.620XKSxPAOo (1/2)

把握


172 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/09(木) 18:35:10.22hlGi/usn0 (2/5)


・遅くなり過ぎましたが開始します……大変お待たせして申し訳ないです
 今続きを書いているのでもう少々お時間を


天井はベランダの柵に寄り掛かり、ゆらりと街の闇を眺めた。
数日で新年度となる暦はまさに春を示し、年を通じても一、二を争うような過ごし易い気候である。
たまに隣室の住人が同じように外に出て煙草を吸っているが今日は姿が無い。
喫煙者でない自身としては運が良かった。

天井「やはり軽率には動けんな……」

誰かではなく自分の内側に確認するように、ぽつりと呟く。
足踏みしてしまっている子供達の治療に一石を投じられればと思っている。
だが冒す危機には慎重になった方が良いだろう。

調査などは冥土帰し達もしているはず、それで成果が上がらないのに、
伝手が無い天井が首を突っ込んでもどれだけのものを得られるか。
形振り構わなければ目はあるかもしれないが……。
余計なものを釣り上げて二人や生徒に火の粉が降り掛かっては元も子もない。

天井「アイディアに固執するつもりはないが、彼の能力――幻想殺しと言っていたか。
   こと『能力』の問題に関しては相当の切り札たり得ると思うのだがな」

大能力者の能力を打ち消した彼の影響力は、単純に考えて同等かそれ以上。
計測機器にさえ検出されれば超能力者の序列を塗り替えるかもしれない。
だが今回は相性が悪いのも事実である。

一般に、暴走能力者への対処と言えば捕縛、そして麻酔ガスなどによって昏倒させるのが主流だ。
ほとんどの場合意識が途切れてしまえば能力の発現は止まり、目覚めた時には状態も治まっている。
冷酷な言い方をすればPCに再起動を掛けるようなものだ。

天井「しかし、木山の生徒達の場合は違う。暴走状態のまま眠り、暴走状態のまま覚醒する」

デフォルトの状態から逸脱して能力を振り撒くのではない。
体晶によって、乱された状態がデフォルトに固定されてしまっているのだ。
本人達に重い負担を強いながら。

そういう持続的な症状と、限定的な範囲かつ一時的に能力を消し去る上条の力は、あまり噛み合わない。

対応し切れなかった分のAIM拡散力場は容易に他の生徒と共鳴、増幅し、さらに周囲に拡がっていくだろう。
異常な値を示すAIMが引き金となり、普通に生活している学生達の自分だけの現実を掻き乱してしまう。

天井「あの規模の地震が再発するのは絶対に避けねばならんしな……」

眼下には幾分大人しい夜景がある。
学生の街を謳う学園都市には分かり易い歓楽街などもなく、遊戯店の扇動的な電飾も存在しない。
街路や河川敷に灯った、防犯と景観のための控えめな明かりだけが、しかし数多く下の方に積もっている。

こうしていれば見えずとも、あの災害の爪跡は消え切ってはいないのだ。
アスファルトの小さな断層や捻じ曲がった車止めや、そういった形でまだ残っている。
この街のことだから気付かないうちにどんどん修繕されていくのだろうけれども。

天井「――共鳴、か。まるであの光のようだな」

遠く鉄橋の縁に、青と緑がぽかりと浮かんでいる。
幾つも幾つも人や車の進行方向に沿って交互に並ぶ電灯。
隣り合った二つはそれぞれが自らの届く輪を広げ、重なり合った部分は混じり合った繊細な色味をなしている。

天井「ん……? 今、何か……」

ずっと向こうの色彩。
互いに侵食する、双方の光。

――互いに。





173 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/09(木) 19:41:31.11hlGi/usn0 (3/5)



木山『うむ……申し訳ないがそれは私の専門分野だからね。既に検討したことはあるんだ』

電波を通した声はフラットに聞こえる。
そもそも木山はいつも、笑みにせよ困惑にせよ苛立ちにせよ、ぼんやりと靄を透かしたようにしか感情を表さないことが多いが。
どうも電話だとそれがより強調されているようだ。

天井「だろうな。ということは不可能なのか?」

木山『いいや、理論的には試す価値はあるのだがね』

天井「つまり懸念があって実行には移せなかった――」

思い付き程度のことをわざわざ連絡するのは、
しかもずっと以前から子供達のことを考え続けている木山にそれをするのは若干の抵抗があったのだが。
強いて番号をダイアルしたのは、以前に打ち捨てられた案でも現状ならば実現不可能ではないと考えたためだ。

木山『そうだ。課題は三つ。共鳴させる能力者が必要なこと。失敗してその能力者も暴走した場合が危険なこと。
   暴走を沈静化した状態を維持するのが難しいこと。……うん、そうか、確かに今ならできる、のか?』

素人考えの、単純な話である。
暴走状態が平常となっている生徒達により一時的に他の能力者のAIMも暴走するなら、逆も起こるのではないか、と。

天井「共鳴する相手と維持については、私の研究に提供してくれたAIMの擬似発生で補えないか。
   機械なら生徒に引き摺られて暴走することもない」

まず一人ずつ隔離して起こすというのは最低限の前提である。
暴走を防げなかった場合に子供達の間で共鳴が起これば前回の二の舞だ。

木山『安定してからの維持はともかく、始めは機械再生では無理だね。共鳴とは相互に呼応し、変化していくものだ。
   もちろん暴走側の激しさに押し切られないよう、擬似AIMでの補強も必要だろうけれど』

天井「では、やはり厳しいか」

木山『……いや、大丈夫だ。それはこちらで用意する』

は、と耳を疑った。
彼女は今まで、自分の生徒を助けるために故意に他の学生を危険に晒すような言動はしてこなかった。
先の言葉はまるで、きっと追い詰められて幻想御手事件を起こしたのだろう、天井の見知らぬ「木山」のような――、

木山『あぁ、違うよ。誰かを試金石や生贄にする気は無い。どうせ予備実験も必要なんだ、その時に詳しく話すさ』

天井「――そうか」

短く返す。
信用して良いものか、迷わなくはない。
だがこの相手は人を散々脅すなりしたくせ、そういえば嘘を吐かれたことは無かったとも思う。

天井「そういえば機械を使うのでないなら、暴走に備えこの間の――上条君にも協力を頼んでみないか。
   安全圏に待機してもらい、彼の手に負えそうなら消してもらう程度になるだろうが」

以前一人ずつ治療をしていた段階でも、小さな地震は頻発していた。
幻想殺しなる力でそれを防げるなら御の字である。
もちろん彼自身を危険な目に遭わせることもできないが。

木山『確かに、言い方は悪いが保険……か。だがそれは予備実験が終わり、最終段階に入ってからだね。
   子供達の移動もそうだ。誰からも分かるような「動き」は、有効性が確かめられるまで見せたくない』

それはもっともだ。
目に付いた方法に飛び付くあまり警戒を怠って、全てを瓦解させてはどうしようもない。
生徒達を探しているらしき者が、一体何を目的としているのかもこちらは知らないのだ。

木山『そういう意味では……天井博士との研究を隠れ蓑にさせてくれないだろうか。
   あんな始まりだったにも関わらず色々考えてくれる貴方に、これ以上を求めるのも図々しいのだけれど』

ふむ。
頻繁に予備実験を行うなら、確かに冥土帰しの下だけではやりにくいかもしれない。
天井が研究でAIMの発生に用いている長点の機器は質も高く、流用すれば進めやすいだろう。

そして積極的に協力することは、天井自身が研究に割ける時間などを圧迫するということでもある。


>>+2
がっつり協力する or しない





174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/09(木) 19:48:51.73w9tZ7+wco (1/1)

しない


175VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/09(木) 19:49:09.89Uc+ibn37o (1/1)

しない


176 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/09(木) 21:28:12.11hlGi/usn0 (4/5)



天井「あぁ、私との研究を名目に使う分には構わないが――」

木山『? 助かるよ』

横から口ばかり出しているようではあるが、自分の持つ研究テーマを放り出して手伝いばかりすることはできない。
そちらを疎かにする訳にはいかないし、したくもないのだ。

天井「とはいえそれを装うために頻繁に実験に顔を出したりするのは難しいぞ」

ふと、耳元で小さな息の音がした。
それは平坦だった今までとはがらりと違い、色を帯びた、笑みのようだった。

木山『貴方も律儀だな。そもそも共同研究とはいえ一緒に作業することは少なかったじゃないか。
   私も今はほとんどそちらに協力できていないしね。
   もう助力を強要するつもりも――あぁ、済まない、上条君へのコンタクトなどは結局頼むことになるか』

こちらも大げさな予防線を張ったものだが、木山も大概極端である。
今更連絡役くらいで気後れするとは。

天井「それくらいは問題無い。できる範囲なら手伝うし、どうしても必要なら場所なども融通するが……。
   私も今色々と厳しい、あまり当てにはしてくれるな。まぁ今までと同じようなものだ」

くすくすと、もう微苦笑を超えた声が聞こえた。
背負う物の重さから、どこか疲れた感じの雰囲気を漂わせている彼女には珍しい。
おどけるような丸みを帯びた音だ。

木山『ふむ。今までと言えば、第一位と引き合わせてもらったり、色々大事があったじゃないか。
   それらと同じならこれからも期待できそうだ』

天井「止めてくれ、私を過労死させる気か」

木山『ふふ、なんてね。能力暴走絡みの実験だし、むしろしばらくは冥土帰しの監督下に入ることになると思う。
   また連絡が取り辛くなるかもしれないから、貴方の側で用があったら、前のようにメールを投げておいてくれ』

そうして、木山は一つ大きな呼吸をした。
ゆるく押し出された呼気の中には、もう砕けた気配は無かった。

木山『――できることを、それも一度は無理だと追い遣った方法を貴方が提示してくれた。本当に、ありがとう』

実際のところこの方法では根本的な治療はできていない。
だが上手くいけば、少なくとも生徒達から暴走という苦痛を除き、意識を取り戻させることができる。
それから改めて体晶などについて調べれば良い。

光明を見出した木山の言葉には強く血が通い、すとんと真っ直ぐに届いた。





177 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/09(木) 22:29:53.35hlGi/usn0 (5/5)



一先ず上条にメールを送ると、PCの画面の中は高速でスクロールするウインドウだけになる。
研究に使う刺激のデータを、パターンに細かな数字を代入して自動生成しているのだ。
翌日、研究室でのことである。

協力を請うか決まるまで少し時間が掛かりそうだと少年には謝罪交じりで報告したが、
そちらの方が都合が良い、と向こうの返信に気にした様子は無かった。
青髪への実験依頼を控える理由と同じこと、上条もしばらくは中学に慣れるため忙しいのだろう。

もっともどちらの少年も、どうしても必要だと頼めば多忙中でも了承しそうな雰囲気であるが。

天井「ふぅ。四月……半ばには実験に入れるな。流れ作業のようなものとはいえ、早くこの段階を終えて次に進みたい」

着々と脊髄の培養も進んでいる。
反射による能力行使のデータ測定は早々に済ませ、いかにして身体を動かすかの大関門に掛かりたいところだ。

木山の件も混迷の時期は脱したと考えて良いだろう。
体晶について、いっそ少し裏に踏み込んで調査を……と悩む必要ももう無さそうだ。
今までに倣い「木原幻生」などの語にはアンテナを張っていようとは思うけれども。

天井「何だか、急に動き出したな。どれもこれも」

目の前の小さな四角の中、黒地を流れていく白い英数字のように。
通勤鞄から取り出した紙パックにぷつりとストローを刺し、勢いよく野菜ジュースを啜った。


>>+3
何かこれからしたいことがあれば
※長期間掛かることや心掛け、方針的なのでも可
複数書いてあった場合最初のを採ります


・少し離れます
 明日の夜から帰省することになり、また間が空いてしまうので、
 今日は行けるところまで続けようかと思います





178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/08/09(木) 22:41:04.03spYQ3Bh90 (1/1)

打ち止めのトラウマ治療ぐらいか?


179VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2012/08/09(木) 23:23:10.220XKSxPAOo (2/2)

表のルートで情報収集


180VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/09(木) 23:25:44.28+VtQCuQl0 (1/1)

心療内科へ行き、弁証法的行動療法による打ち止めと借金へのトラウマ治療を受ける


181VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/08/09(木) 23:25:50.25vyhH2SIAO (1/1)

≫178


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/10(金) 01:11:54.73dJ8ShcxSO (1/1)

なんとなく木山てんてーの反応がやわらかく…これは、イケるのか…っ


183 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/10(金) 02:11:53.09OLnZLTOg0 (1/6)


・復帰ました


電撃使いの大能力者、今はとっくに卒業し大学生をやっている青年の、限定的な複製。
身体のごく一部、それに加え外付けの機械により補助された能力の僅か一部。
検体として十ヶ月ぶりほどに対峙したクローンは、以前と同じ姿でアルミフレームのケースに収まっている。
おかしなものだ、先代はこの手で処分したというのに。

天井(そういえば妹達も――。不思議なものだな、複製体とは。「これ」と「あれ」は結局同一なのか、違うのか)

いつも慣れ親しんでいるものが、突然新たな切り口を見せ、迫り来ることがある。
まさにその感覚だった。
同じ漢字ばかり見ていると不意に意味が消失する瞬間とは丁度真逆のような。
ケース越しに脊髄に諸々を接続していたのを止め、まじまじと回転させてみる。
ひゅ、と蛍光灯の白光が枠の上を走る。

布束が、クローンは人であるかという問いをぶつけてきたことがあった。
それより単純な疑問だ。
人間であれ、実験動物であれ、あの頃の第一位が言っていたような人形であれ。

ミサカ一号とミサカ一〇〇〇一号は合同だったのか。
身体動作についてはマニュアルを叩き込まれているはずなのに廊下で転ぶなどというへまをしたミサカ三一四号は、
擦り剥いた膝の分だけ、他のミサカから異なっていたのか。
そういうアクシデント、実験までに経る体験の差異、それらが生じる前の培養槽の中でなら完全な一対一対応を得られるのか。

天井「……作業自体が退屈だと変なことを考えるな」

やおら頭を振り、眼前の個体から、全く同じに見える前の個体のイメージを引き剥がした。

ぷつぷつ、かちりとコードを繋ぎ、微弱な能力を逃さないための観測機を準備する。
PCの処理能力に任せて延々プログラムを回し続けるだけの実験である。
そういう類だからこそ時間という資源は貴重なのだ。

たまには思考を無為に遊ばせるのも良い。
だがそれはセッティングを終えエンターキーを押してからだ。

ここしばらく青髪と患者のクローンの保全くらいしかしていなかった気密度の高い実験室で、
身体が覚えているようにすらすらと準備は進む。





184 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/10(金) 03:40:29.37OLnZLTOg0 (2/6)



どちらかというと天井自身の作業はデータの整理、分析に尽きる。
反応があった部分だけ抜き出し印刷した表は、見るものが見ないと意味の生じない数値の羅列だった。

一日中実験室で機器のお守りをしているのはあからさまに非効率だ。
情報漏洩防止のためネットワークから隔絶されている各種機材とは別に、
監視用の多機能カメラだけが外……、研究室のPCに逐一報告を上げている。
それを横目に、デスクに肘を突いた天井は一人ごちる。

天井「既に済んでいた触覚の刺激に加え、午前一杯を掛けて視覚の六割が完了、と」

クローンの脊髄含む一連の実験装置に、通すべき刺激はまだまだあった。
視覚の残り、聴覚嗅覚味覚、加えて平衡覚。
自分だけの現実の中でのみ存在する、電磁波を捉える特殊な感覚。

進む割合が遅いのはPCなどの性能によるものではなく、純粋に用意した刺激のパターンが膨大なのだった。
また各刺激により能力が発現したかを確認するため、信号を送るのに微妙に間隔を持たせる必要がある。

天井「まぁ、こればかりは仕方ないな。ゆっくりと数字を読ませてもらおう」

細く空けた窓からは瑞々しい歓声が聞こえている。

あれは多分新入生だ。
入学して半月も経たない彼らには、互いに切磋琢磨し合うという名目の下、能力を披露する行事があるのだ。
注目の的は超能力に迫るような強度か、特異な希少価値か。

再び響く声と一緒に今度は吹き込む風が乱れたので、広範囲の大気に何かしでかしたのかもしれない。

天井「ん?」

それで意識が逸れたのか。
目を眇めて注視していた用紙の向こうで、モニタの右端にアラートが浮いている。
それも二つも。

天井「メールか、気付かないものだな。今日はぼうっとし過ぎか」


 From: 木山春生
 Sub: 落とした
 添付: (1004745.jpg)

 ずっと機会が無かったが、この際なので送っておこう。


天井「は……? 何がしたいのだ、これは」

まさか知人のアドレスを装うウイルスメールかとも思ったが、都市と長点、二重のチェックでも検出されていない。
怪訝に思いながらも添付ファイルをクリックし。

天井は盛大に溜息を吐いた。
携帯で撮ったと思しき粗く小さい画。
地べたに、「落とした」という割にちょこんと鎮座したデジタルカメラ、それだけの写真だった。

天井「まったく、迂遠なことこの上ない」

つまり、落として壊してしまったという暗喩だった。
木山がこちらを強請るために使っていた画像は電子データであり、完全に消去したという証明が難しい。
だから敢えての表明ということだ。
今後「頼む」ことはあっても「脅す」ことはしないと。

昔にも同じことを思ったが、律儀なのはどちらだろうか。





185 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/10(金) 03:43:13.51OLnZLTOg0 (3/6)



天井「もう一件は……」

マウスを繰る手が止まる。
自身には、立場上学生のメール相手が多い。
青髪に上条に、研究協力してくれている三人、事後フォロー的に一度コンタクトを取った春上。
送信元は彼らの中でも抜きん出て特殊な印象を抱く少女だった。


 From: 御坂美琴
 Sub: 講習会の内容についての相談

 お世話になっています、御坂です。
 以前お話した講習会に参加してきました。
 そこで教わった内容に関して疑問があるので、相談に乗って頂けないでしょうか。

    :
    :
    :


いつも通り開発に関わる遣り取り、それに少しの雑談。
ある程度日常のことを話す程度の関係になっても、きちんと礼儀を持った態度。

天井「広い意味で優秀な学生なのだが、な」

とりわけ、少し前に妹達のことを回想していたからだろうか。
どうしても重なるのはあの小さな最終信号だ。

クローンの司令塔に抱く複雑な心境は、第一位などに対して持っていたのとはまた別種のもの。
姿形が似た御坂とメールするくらいなら特に困難は無いのだが。

天井「放置しておくのも、拙いか……」

去年に短期治療を受けてあまり改善が見られないまま、触れないでおいていた。
無理に治療を急いで傷口を抉ることになっても面倒だし、息を吐く期間も必要だと思ったからだ。
だがウィークポイントとなり得るものを後生大事に持つ道理も無い。

意を決して財布から小さな診察券を抜き出し、天井は携帯のボタンに指を滑らせた。


・安価はもう少しお待ちください
 次のレスに入れます





186 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/10(金) 06:04:08.94OLnZLTOg0 (4/6)



幸い研究でも木山の件でも精神的に余裕ができ、つまり有効に使える時間が増えた。
折角独学や通院で色々な方法を経験したのだ、試したいメソッドを探してみるのも良いかもしれない。
そんな訳で、プリントアウトした用紙を主治医の先生に見せたところ、別の医院を紹介してもらう形になったのだ。

療法士「うん、では天井さんは何を目標にこの治療を?」

担当になったのは、自身より二、三歳くらい年上の女性だった。
いわゆる妙齢の女性で容姿も整っているのに、その言葉の持つ艶めかしいイメージが無い。
本人の前では流石に口を噤むが、お茶目なおばさん一歩手前、という風情だ。

天井「トラウマを直したいのです。少し事情が複雑なのですが、ある女の子に対してと。……あと多分借金について」

療法士「ふむ、それは――」

天井は病院というより、長点にある歓談スペースのような部屋に居る。
過剰に開けている訳ではないが、造りが普通を意識しているようにも感じた。

来院目的と症状や、治療の方針について話したが、良く分からないというのが第一印象だった。
自分で持ち出した治療法とはいえ、トラウマに聞くことや概要くらいまでしか調べていない。
そうするに、ふと立ち上がった彼女が小さなバスケットを持って戻ってきた。

療法士「どうぞ」

丸い陶器の皿にクッキーが一枚、まとめてずず、と差し出された。
ふっくらとした見た目はソフトクッキーなどと呼ばれる種類のものだったと記憶している。

療法士「どうぞどうぞ」

天井「はぁ、頂きます」

もそもそと焼菓子を口にする。
やはり、外側は一応硬いものの中身はしっとりとしたタイプだ。
表面にも浮いていたから分かっていたことだがチョコチップが入っている。

療法士「どうでした?」

天井「えぇと……」

二極で言うなら美味いとは思うが、甘味が強く沢山食べたくはない。
多分スーパーで安売りしていても自分から手に取ることはないはずだ。

天井「ごちそうさまです、美味しかったです」

療法士「ふむ、ではもう一枚」

え、と思う間にバスケットからもう一枚のクッキーが現れ、おもむろに皿に置かれた。
食べろと言うのか。
多く欲しい味ではないとはいえ数枚なら気にするほどでもないが……。

療法士「美味しい、とのことでしたね。ではその美味しさの『前』は、天井さんが美味しいと思う要因は何でしょう。
    味覚……いえ、まず見た目や匂いから。どんな刺激があるか、クッキーがどんな風かだけに着目してみてください」

天井「これも治療ですか」

療法士「ん、さわりだけですが治療に必要な練習です。まぁ思考実験だと思って、さぁさぁ」

そう言われればやってみるしかない。
目を若干寄せながら、クッキーをつまんだ。





187 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/10(金) 06:05:00.23OLnZLTOg0 (5/6)



ずしりとする。表面はざらついている。きつね色。
チョコチップがところどころにあり、茶色い。チョコチップはつやが無い。
あぁ、丸い。だが歪んでいる。端が崩れる。
バニラの匂い。焦げたチョコレートの匂い。甘い匂い。

外はさくりと、途中から鈍くなる。口の中でも崩れる。
甘い。
中は少し冷たい。外は温度を感じない。
チョコチップは……舌に触れた瞬間に冷やりとする。甘さはその後に遅れてくる。
ざらざらして、その後ペースト状になる。
顎を伝わる振動。
始めはざくざくいうがそれからはもごもごとしか聞こえない。
ちなみに目は回らないし電磁波も出ていない。


クッキーはこんな風だった。
これで良いのかどうかは何とも分からないが。
前半は小麦の円盤を弄びながら、後半は飲み込んでから捲し立てるように言うと、相手はふむふむと頷いた。

療法士「ところで最後のは何ですか?」

天井「いや、今取り組んでいる実験が頭を過ぎりまして。……これで、何が?」

一種の尺度というか、治療を始めるにあたって傾向などを測るものだと思ったのだが。
にっこり、と見事な笑みで彼女は別のことを言った。

療法士「これ自体が練習です。クッキーを食べて、美味しいとか甘い素晴らしいとか、受け取るインプレッションをですね。
    実際にある出来事……味とかそういうのから切り離す。味や形はただの事実として受け取ってみるということです」

終わってから考えると、いつだったか布束にケーキの描写を求められた時と似ている。
だがこちらの感想を除外するという点で異なる訳か。

天井「トラウマ治療に繋がるのか良く分からないのですが……」

療法士「クッキーとかはあくまで訓練ですから。
    要は物事を受け入れるのに慣れる、そういう技術を習得しようということですね」

それから、もう少し色々と内容について説明を受けた。
手法の肝は必ずしもこれだけでなく、トラウマ治療の場合はストレスへの対処を身に付けるであるとか。
地道というか気の長い話だ。
だが訓練、技術として少しずつできるようになっていこうというのは筋トレと同じで分かり易い。

他にも先程のクッキーの練習は瞑想のようなものに基いているなど、
精神論的な話題に及び、予定時間はすぐに切れてしまった。





188 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/10(金) 06:07:51.35OLnZLTOg0 (6/6)



天井「瞑想、か……」

ほとほとと、靴音を鳴らす夜の道。
綺麗に真ん中から欠けた月がぼんやりと進行方向に浮かぶ。

東洋哲学が云々という最後の方の話題は、興味深いと同時にどこか恐ろしかった。
敢えて言うなら、物事をそのまま受け入れるという技術の方も。
なぜなら。

死ぬ、という、あの意識。
記憶の中で天井が本当に一度死んだのか、死の直前で目を覚ましたのか、それは分からないし結局同じことだ。
死ぬ、とそうはっきり自覚したのだから。

天井(あれを、どう受け入れろというのだ)

あの恐怖の激情を貫く弾丸の感触から分離できたとして、どうすれば良い。

それは人間なら誰しもが持つ恐怖かもしれない。
だが一度それを本当に体験した天井には、過度に生々しく、耳元で泥臭い息を吐いているのだ。
トラウマを克服できるかとは別に、これは永遠の課題かもしれなかった。


治療の効果
>>+1
※コンマ判定  ★修正+5
  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル
ただしコンマ自体が0-4/95-99の場合、修正の値によらず必ずファンブル/クリティカル


・ググった程度の知識で書いています
 弁証法的行動療法に興味がある方はきちんとしたソースをご確認ください
 この文中の事項を信用しちゃダメ絶対

・うまいこと文中に描写仕切れなかったのでここで告知
 【借金】へのトラウマは特にありません

・眠気がマッハなので今日はおしまいです
 >>177 でも書きました通り週末に掛けてお休みします
 戻るのは火曜の予定ですが、もし遅れるようでしたら別途書き込みます
 いつもと違う時間にありがとうございました





189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/10(金) 06:13:42.44hNlvxaUjo (1/1)




190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/10(金) 06:51:54.17vaSiTFLIO (1/1)




191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/10(金) 08:33:25.21U9KUyeKwo (1/1)

妖怪いちたりない


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)2012/08/10(金) 09:39:19.10BBqh9SvZ0 (1/1)

非常に惜しいな


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/10(金) 09:56:19.72Cx7GJYcD0 (1/1)

打ち止めのトラウマ治療って、前回もいちたりずに
ファンブルになってたな…妹達に呪われているのだろうか


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/11(土) 17:00:07.18yLJ+qNLSO (1/1)

ゾロ目ボーナスでなんとか…
前から思ってたが天井くンが脱ぐより木山てんてーが脱ぐ描写がもっと詳細に濃密になるほうがいろいろと皆よかったりするんじゃなかろーか


195 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/13(月) 23:45:46.73ToIIaCEDO (1/1)


・夜更けにこんにちは
 明日帰宅の予定ですが、交通機関の都合により時間が遅くなるかもしれませぬ
 ネット状況が悪くなければ1、2レスでも進められればと思いますが……

 連絡のみ失礼します




196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 15:38:52.915AGx90qSO (1/4)

舞ってる


197 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 17:50:19.96NOiwYvvD0 (1/7)


・お舞わせいたしました、ちょっとだけ進めます
 諸事情という名の眠気と暑さにより今日は数レスです……申し訳ない


五感などを模した刺激を与える実験と、気になる部分の再試験、および数回の追加実験。
シンプルな実験とはいえ実施してみると意外と手間だった。
何事も机上の理論通りとはいかないのだ。

座った状態、へそより少し高い辺りに広がる実際の机はこざっぱりと片付けてある。
ここにも昨日までは、ホチキス止めの印刷データが散乱していた。

天井「作業量と所要時間が比例する以上、覚悟はしていたが」

五月に入って早八日。
データ取りと整理の反復からは解放されたばかりだ。
砕片と化した大量の紙に代わり、今は纏められたデータがPCの中にロックを掛けられ眠っている。

やっと、研究の肝である身体動作補助に着手できる。
今までに積み上げてきた成果は皆このための準備だったのだから。

天井「ここに移ってからはずっと同じテーマを追って……もう三年か」

脳を用いない能力再現。
外的刺激に対する反射的能力行使パターンの洗い出し。
機器と患者のシームレスな接続法。
肉体変化能力の患者の身体への適応。

最後の課題だけは一時保留にしてあるが、本筋を阻害することはない。

天井「実験室の環境で上手く身体動作を再現できたら、装着型の機器として試作し、臨床実験だな」

スムーズにできるかは別として道筋は見えている。
製作は接続部分を依頼した縁で再びSプロセッサ社に頼むのが妥当だろう。
布束も円滑に共同作業ができていたようであるし、下地がある分意思疎通がしやすい。
その際に気になるのは……、

天井「あの実験との関連性、だな」

以前それとなく情報を集めた時には、天井達と提携した部署は絶対能力進化実験との繋がりは無かったと思われる。
次に依頼する頃にもその状況が続くなら強いて警戒することも無いだろうが。
部署間では人員の移動などがあるにせよ、各々の方針に従って動くはずだ。
そう、こちらからわざわざ別部署に探りを入れたりしない限りは危険は少ない。

天井「まだ先の話だが……。今から調べておいた方が良いだろうか」

だが折角調べても、現在と次回のコンタクト時ではまた環境が変化している可能性もある。
また過剰に実験の周りをうろついて「この都市」の目に留まるのは避けたいところだ。
必要になってから最低限の調査で済ませた方が良いだろうか。





198 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 17:51:55.29NOiwYvvD0 (2/7)



天井「しかし、気になる部分もあるのだがなぁ」

ちらり、と机の端の方に目を遣ると、紙とプラスチックでできた安っぽいオブジェクトが見えた。
保険会社のロゴが小さく入った卓上カレンダーである。
可も無く不可も無いパステル調のそれは、ご自由にどうぞ、と廊下に積まれていたうちの一つだ。

指の腹で重なった一ヶ月ずつのカードをずらし、下にある後の月へと、次々と。
十の数字が目に入った瞬間、ひくりと手が止まった。

天井「……記憶の中では、今年の夏に量産型能力者計画に手を付けるはずだった」

潰れた計画は同時期に進行していた絶対能力進化実験に吸収され、自ずと天井もそちらに関わることとなったのだ。
そう、「同時期」に進められていたのだ、あの実験は。
自身が関与するまでにはある程度骨格が出来ていたから、その直前にスタートした訳ではない。
確か三、四ヶ月前だっただろうか?
いずれにせよ天井が計画に取り掛かっている半年の間に立案されていたはず。

天井「私が量産型能力者計画を行わなくとも、あの実験が始まることは理解できる。元々が別ラインの研究だったのだから」

では、どうして現実には二年近くも早く実験が算段されたのか。
実験の開始時期が同じまま、妹達の流用や布束の参加が無いことにより進度が遅くなるなら納得できる。
あるいは天井達の分、別の優秀な人材が加入して逆に速く進むことも、まぁ、あるかもしれない。
しかし開始自体がずれるというのは?

冥土帰しに相談した時も、これについては特に得るものが無かった。
相手は「前の記憶」など持たないのだから当然かもしれなかったが。

天井「今更、あの記憶を疑うということはすまい……いや、必ずしも、全く同じとは限らないのか?」

それとも本来同じであるはずのものが、どこかで回り回ってずれてきているのか。
他の、新製品の発売時期やらに不整合は感じない。
実験だけに影響するような何かを――、

天井「あの計画が無いことくらいしか、思い付かんな」

気掛かりではある。
因縁深い実験のことだけに。
だが低額とはいえ補助金も安定した今、下手に藪を突くのにも躊躇いがある。


>>+2
絶対能力進化実験について、現時点で調べたいことがあれば





199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 17:52:18.05EtLHBsTbo (1/2)

ksk


200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 17:57:52.125AGx90qSO (2/4)

記憶にある計画と現在の計画の違い、矛盾、現時点での進行具合を踏み込みすぎず、正式な手順で調査。その後得た情報から火の粉が自分に降りかかる可能性がないか見当


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/14(火) 17:58:14.08WFJvLyjq0 (1/1)

参加者関係者を調べる


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 18:00:46.335AGx90qSO (3/4)

しまった誰がやってんのか調べんの書き忘れた…できれば追加で。
あんまアレだから無視してくだすってもいいですが


203 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 19:28:01.54NOiwYvvD0 (3/7)



触れるもおぞましい実験だと思う。
それにより自身が被った影響は勿論、実験自体の質も裏でしかまかり通らないようなものだ。
故に。

天井「故に、知るべきか」

常識的に考えれば、触らぬ神に崇り無しといったところだ。
だが思い出すのは突如訪れた茶封筒。

天井はあの記憶を頼りに危険を遠ざけてきたのである。
食い違った時期に振って湧いたような招聘、ああいったことがこれからも起こる可能性があるとしたら。
思わぬ形で、布束共々実験に取り込まれないとも限らない。

天井「しかし変に刺激するのも良くない。……地道に調べるしかないな」

自身には、直接的に裏側の情報を得るコネクションなりが無い。
ある程度なら自然と耳に入ってきた以前とはえらい違いである。
情報と引き換えに裏に沈む気も今のところないのだから仕方がないが。

天井「前回調べたのは、大掛かりな培養に使えそうな施設の状況だったか」

実験の呼び声が掛かった直後だった。
それを元に、既に何らかのクローン生産計画があるか推察したのだ。
今回の焦点は記憶との齟齬であるからやはり一番は時期の問題だ。
現在の進行状況をまずは知りたい。

そしてできればその先についても考えてみたいところではある。
何故、量産型能力者計画が無いことで実験の立案が早くなるのか。
あるいは別の理由。

天井「いや、違うか。これでは因果関係が捩れている」

前の記憶の中で量産型能力者計画を開始した時点には、実際にはもう実験準備が始まっている。
計画の有無が直接的な原因ではないのだろうか。

天井「――ソースが無いままごちゃごちゃ考えても無駄か。結果を見て再度検討しよう」

いずれにせよ、危険を冒さない範囲となると間接的な手段にならざるを得ない。
目ぼしい実験施設から、天井は手を付けていった。


>>+1
調査の成果
※コンマ判定  ★修正なし

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル





204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/14(火) 19:28:44.414nSikKnM0 (1/1)

ぬるぽ


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 19:29:12.68oCPMd4zvo (1/1)

そい


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 19:29:18.2948PfO+u3o (1/1)




207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/14(火) 19:29:51.808DnhfhLSo (1/1)

どうも最近コンマが振るわんな


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 19:30:36.355AGx90qSO (4/4)

なぜじゃーなぜいつもコンマがふるわねぇ…狙えばある程度出せるらしいが


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 19:33:24.34JeyUnHuAo (1/1)

JSTで秒数の変わり目を意識しながら書き込めば70ぐらいは出せるかも


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/14(火) 19:38:38.38mIjollsU0 (1/2)

ずっと張り付いてるわけにもいかんしな まあ、運を天に任せるしかないべ


211 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 20:23:17.89NOiwYvvD0 (4/7)



 To: 冥土帰し
 Sub: 臨床実験の件

 ご無沙汰しています、天井です。

 以前同僚と計画していた実験について、その節はありがとうございました。
 あの件でもう一つご助言頂けないかと思い、ご連絡しました。

 実験の指揮を執ることになっていた方について、現在どういった方面で
 活動されているかご存知でしょうか。

    :
    :
    :


天井「多分これで伝わるだろう、うん」

木山に並んでまどろっこしいメールを好むあの医者のことである。
きっと意図は汲んでくれるはずだ。
どうしてだか頭痛を感じ、天井は額を押さえた。

唯一と言っていい、裏の事情にもある程度通じた知人。
自分だけでできる頼りない調査を補うため少しだけ頼ることにした。
ただ冥土帰しも最近は木山の件に、当然本業でもいつも通り忙しいだろうから、もし分かるなら教えて欲しいくらいのスタンスである。

天井「出来る限りはこちらで辿ってみよう」

彼に訊ねたのは、少し気になっていた実験の主導者。
参加依頼の手紙にあったのは、記憶の中でも見たことがある名だったのだが。
とにかくこれに関しては伝手無しに調べることは難しい。
自身でできるのはもっと地味な手段だけである。





212 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 20:25:44.75NOiwYvvD0 (5/7)



かたかたかた。
心地好い空気が開け放った窓から流れ込み、それを背に受けている。
対照的に、モニタのライトの届く範囲はどうにも淀んで感じられた。

天井「設備関係は特に動きが見えなかったが……」

記憶では天井の計画が始動する頃である、何らかの兆候を予測して肩透かしを食らってしまった。
もっとも自身が調べ損ねた可能性もある。
その確認も兼ねて、今はクローン分野の研究者の論文発表頻度などを洗っている。

三人、四人。
ここ半年から一年に掛けて、途中経過も含め本人の研究を公にしていない者が、数人。
勿論スランプや何らかの事情の可能性もある。

天井「だが、これまでの論文を見ると、いずれも一定の成果を挙げている――中堅どころのようだ」

もしこれが、実験の参加要請を受けての空白だったとしたら。
具体的なフェイズを示す状況証拠は見当たらなくとも、当たり前だが進行はしているのだろう。
できればクローンの製造に入っているか、はたまた戦闘を行う実験そのものをしているのかを知りたかったが高望みか。

天井「……ん?」

ふと、ある文字列が天井の目を惹き付けた。
芳川桔梗。
もはや疎遠になってしまい、恐怖感もほぼ乗り切った今となっては繋がりは薄いのだが、あの記憶で最後に焼き付いた人物だ。
気にならないといえば嘘になる。

天井「何だと? 芳川は普通に自分の研究をしている……」

コンスタントに参加している学会では時折壇に上ることもしており、そのテーマは絶対能力進化とはほど遠い。
カモフラージュでないとは言い切れないが、以前の記憶では末端の研究員は誰もそういったことに気を配っていなかった。
当然である、実験の規模からいって、それだけ成功すれば莫大な金と裏での名誉が手に入るのだから。

と。
ぶぅぅん……ぶぅぅん……机の天板を震わせて携帯電話が光った。

天井「早いな、冥土帰しか」

あぁ、そういえば。
この医者と彼女は知り合いだったか。
もしかしたら参加すべきかと冥土帰しに相談し、止められたのかもしれなかった。





213VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2012/08/14(火) 20:35:07.64KSwQZNaAO (1/1)




214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 20:45:44.451sevpQ2fo (1/2)

正直過剰なイケメン設定は控えて欲しかったな
まあ乙


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 20:46:23.231sevpQ2fo (2/2)

あれ、誤爆
すいません


216 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 21:42:58.43NOiwYvvD0 (6/7)



冥土『やあ、久しぶりだね?』

天井「こちらこそ。面倒な話題ばかり振って申し訳ない」

たまたま仕事の合間だったのだろうか、老いてなお衰えない声が耳を打った。
激務をこなしている彼に疲れが見えることはほとんど無い。
患者を不安にさせない術を心得ているのだろうか、普段はずっと揺ぎ無いイメージを湛えている気がする。

天井「メールの件の前に、木山博士の予備実験はどんな具合だろう。中々本人と連絡する機会もなくてな」

冥土『順調と言って差し支えないね? 僕としてはああいった方法にはあまり賛同できないのだけどね』

天井「……一体どんな実験をしているんだ。
   あなたがストップを掛けないということは非人道的なものではないのだろうが」

冥土『そうだ。誰かを犠牲にするようなやり方じゃあない。
   それに彼女、止めても聞かないだろうしね? 僕も最善を尽くすだけさ』

本当に、何をしているのだろうか。
能力暴走関係の実験で、なおかつ人道にもとらないとは。

冥土『それで本題だ。天井君、あの実験に踏み込む気かい?』

天井「……いや。実験に参加したいといった意味で興味がある訳ではない。
   ただ何かの間違いで関わるのを避けたいだけだ。表向きは別の実験の募集を装うとか、な」

少し苦しい理由付けだった。
何せ今手掛けている自身の研究があり、しかも遂に本丸に辿り着いたところなのだ。
条件の良い外部実験の要請が掛かったとしても受ける可能性は低い。

しかし、嫌に鮮明な記憶があり、それと差異があるから気になるなど世迷い言も良いところである。

冥土『君があんあものに参加するとは、僕も思っていないよ。
   だが、そもそも天井君から聞くまで僕はあの実験を知らなかったからね。
   君が思うほど僕は多くのことを知らされてはいない。見付からなくても勘弁して欲しいね?』

天井「いや、もし耳に入っていれば知りたい、くらいのつもりだった。無理に調べてくれなくても大丈夫だ」

どうも、知見が広い彼をつい頼ってしまうことが多いのだ。
表に出さないとはいえ多忙な医者にあまり寄り掛かるのも悪い。

冥土『そうかい? まぁ何か分かったら伝えるよ。――君も、引き際を誤らないようにね?』

天井「あぁ。気を付ける」

冥土『ただ……表向きの実行者が誰でも、結局同じことかもしれない』

彼曰く、主催は「この都市」そのもの、だったか。
それが統括理事会を指しているとして、名目上の責任者など所詮飾りということか。
それとも。





217 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/14(火) 21:44:23.67NOiwYvvD0 (7/7)



異なる時期。
異なるメンバー。
天井も布束も芳川も参加しない、それでも進む実験。

天井「それは、上にとっては能力者だけではなく、研究者や管理職も――」

冥土『多分、君の思う通りだよ』

ぞわり。
背骨伝いに冷たさが這い上がる。

「替えが効く」。
最終的に成果が出れば、盤上の駒が何であっても詰みさえすれば構わないということ。
能力的に他の人材で補えるどころではなく、使い捨てにしても良い、そういう意味での。


礼を言って分かれた電話の切断音。
全身を預けた椅子。
遠い生徒達の声。

不意に呆然とした天井には、何もかも頼りなく思えた。


>>+2
もう少し踏み込んで調べるかどうか
(調べる場合、その内容)


・というところで今日はここまでに
 結局夜まで掛かっちまいました、お付き合いありがとうございます





218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/14(火) 21:46:29.64Qfdn2Q6e0 (1/1)

加速


219VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/14(火) 21:47:15.06mIjollsU0 (2/2)

ここまでにしておこう


220VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 21:48:52.97FXwV3i+z0 (1/1)

otu


221VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/14(火) 22:16:32.812AMPkZNQo (1/1)

乙!


222VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/14(火) 23:45:17.61EtLHBsTbo (2/2)




223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 00:51:51.369peD7+7s0 (1/1)




224VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 10:44:35.93yJ2avso50 (1/1)




225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 14:29:31.81pky0GoHRo (1/1)

Z


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 15:54:14.80bQv/ia4DO (1/1)


・昼から書いてるのですが暑くて物が考えられません溶ける
 キリ良いところまで書けたら投下しますが、今日は次の安価までいけないかもしれません

 ちょっと本当にgdgdですみませぬ
 早く夜になれ




227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 17:55:42.65pAPsGuHSO (1/2)

おけ。魔ってる


228 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/15(水) 21:16:53.50TMNgNr6N0 (1/3)


・日が沈むと途端に涼しくなりますね
 申し訳ありませんが前述の通り今日はちびっとです


根本を固定され、細い腕がぐたりと横たわる。
保存液から上げられたと思えば種々の電極やコードに繋がれ。
どこか寂しげなそれに一度だけ触れ、天井は台を離れた。

患者の複製を使用する実験はしばらくぶりである。
空気に触れた肉体の一部を人工の光が寒々しく照らす。
もし破損しても作り直せるものとはいえ、掛かる費用は少なくもない。
最大限に留意して、プログラムは組んだはずだ。

天井「よし……こちらの準備は大丈夫だ」

布束「Okey. 実行するわ」

かしりとどこか抜けたキーの音が響く。
電撃使いの複製を中心に据えた一連の危機に命令が下る。
パターン名で表すなら触覚00082、触覚01904の同時送信、それに視覚00516をごく僅かにずらして交互に。
理論上、これで患者の指を動かす電気信号と99.97%一致するはずである。

機械の振動が伝わらないよう特殊な銀色のシートの上。
一ミクロンの動きも逃さないための精密撮影装置が二方向から監視する中。
その肌色は――、

――――動かない。

天井「No use... 信号はどう伝わっているかしら」

同時、あるいは連続した刺激により、複雑に能力を再現できることは既に確認している。
それはただの電子機器ではなく学園都市の能力を用いる理由でもあった。
元々人間の脳により発現する力はごく繊細で、生体電気に馴染みやすいのだ。
波形や強弱調節の問題も重ね合わせることで解消できる。

天井「うぅむ……やはり金属線を通したのに問題があるか」

腕の側の計測機器を舐めるようにチェック。
微弱なパルスが上手く患部に伝わっていなかった。
最終的な構想では患者の首の裏か背に沿って補助機を固定し、直接能力を流し込む予定である。

天井「実験環境でもそのように整えた方が、遠回りなようで一番の早道かもしれないな」

念のため他に用意したプログラムも試し、やはり結果が出ないことを確認して。
ぼやきながら、天井は腕を培養機に返した。

天井「まったく、次から次へと課題が持ち上がるのだから」

布束「そうね。Despite the fact, 着実に進んではいるのだし」

天井「やりがいがあると言えば、そうだな。来週は環境を変えながらやってみよう」

白衣の二人と対面するように置かれた容器。
物言わぬクローンは覆いに隠れるまで、つややかなガラスの向こうに淡々と浮かんでいた。





229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 21:18:56.27DeDVjORuP (1/1)

天井の口調wwwwwwwwww


230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/15(水) 21:20:17.10+P3UXELs0 (1/1)

伝染ったか


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 21:21:44.832ywseyRdo (1/1)

「「「「伝染ったか!!!」」」」


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 21:23:15.90pAPsGuHSO (2/2)

しっかり女口調で…天井ィ


233 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/15(水) 21:30:27.45TMNgNr6N0 (2/3)



日暮れのジムである。
今日は失敗、とはいえ長らく待ち望んだ実験だ。
差し引きはゼロとして、計算の端数に生じた正でも負でもない何がしかを、押し遣るように腕を動かす。
皮膚の表面にぽつぽつと汗が浮かび、自重に負け流れていく。

動作に意識を巡らすというのは、身体を鍛えるのにも実は必要なことで、
そういう意味ではトレーニングを始めた頃は特に気を付けていた。

別に精神集中などではない。
正しいフォームで負荷を掛けなければ効果が十分に得られないからだ。
注意しなくても身体が再現できるようになってからはそこまで集中してはいなかったが。
むしろ、ぼうっとしていたり別のことを考えていたりもする。

天井(久々に気にしてみると……少し、肘が落ちているではないか!)

例の心理療法は本来の目的であるトラウマ治療を含めまだ効果を実感する段階には到らない。
ただたまに、慣れ故の盲点を発見する副作用があった。

天井(いかん、これはいかんぞ。偏って筋肉が付くのは良くないからな)

上腕の角度に留意しながら、何度も、何度も。
それに集中すると熱を持った身体以外が消失し、動きだけが浮き彫りになるようだ。
繰り返しながら修正、教科書的な形へと。

外からの刺激をまるで無視していることといい、
動作の向上に固執する点で、ただ単純に「する」ことを「する」のからはかけ離れていることといい。
瞑想の一種などと言われる治療のプログラムとしてはどうも違うような気もする。
というよりどうも、まだ感覚が掴みきれていないのだ。

がしゃん、がしゃん、がしゃ。
一セットを終え手を離し、タオルで顔を拭った。

黄泉川「よっ、精が出るじゃんねー」

天井「うん? 今日は早いんだな」

後から声が掛かる。
小さなショルダーバッグを片肩に掛けているので、多分終わって汗を流してきた後のようだ。
トレーニング前後通してジャージでいるため定かではないが。

黄泉川「おう。残業も訓練も無かったじゃんよ。気合入れて運動してやった!」

天井「ご機嫌だな」

黄泉川「最近は地震も無いからな。原因究明に当たってた連中はともかく、現場の私達としちゃ一安心じゃん」

まだ気は抜けないけどな、と豪快に笑いペットボトルの飲料を飲み干した。
拭き残しらしいシャワーの水滴がつぅっ、と頬を流れている。
そうか。
原因となっていた子供達を、暴走状態のまま起こそうとしていないため地震も止まったのだ。





234 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/15(水) 21:35:47.40TMNgNr6N0 (3/3)



黄泉川「まー事件なんてあっちこっちで起こるけどな。拳を交えて説得してやるのも努めじゃんよ!」

本当に気分が良さそうだ。
問題を起こした学生が、「説得」の甲斐あって素直に改心でもしたか。
この教師は寝ても醒めても生徒ばかりを考えているらしい、道を踏み外した者がもう一度戻れるなら何よりの喜びだろう。

天井「では最近は特に面倒も無いんだな。こう、名門校でサバイバルゲームが流行ったりとか、手の掛かる噂も」

黄泉川「はぁ? サバゲーじゃん?」

思い切り怪訝に眉を顰められた。
だんだんと視線が呆れを帯びたものへと変わっていく。

黄泉川「……どっかの怪しい掲示板でも見たじゃん? 信頼性のあるソースなら教えて欲しいけど。
    知り合いの学生が危険な域にハマってるなら一発ぶん殴って止めるのが大人の義務だぞ?」

天井「違うわ! いや、金の掛かる趣味とかでネットの特集を見ただけだ。私の知人にそんなのは居ない」

一瞬迷彩服でエアガンを構える布束を想像してしまった。
……似合わん。

黄泉川「って、もし事実だとしても部外者に警備員の情報は流せないけどな。
    それに限っちゃあ本当にそんな流行はないじゃんよ。私の知る限りは」

天井「と、引き留めて悪かったな。また時間があるときにでも呑みに行こう」

ひょいとバッグを直す姿にそう掛ける。
今日はどちらも酔いたい気分、つまりもやついた物を抱えてはいないようだ。
別に何も無くとも晴れやかに呑めば良いのだが、それにしては二人のタイミングが合わなかった。

黄泉川「ん、また今度じゃん!」

元気に去っていく背中。
どことなく、トレーニングへの熱意が削がれてしまった。
回数、セット数は決まっているため気もそぞろに続けはするが。

天井(噂は、流れていない……)

それは、別のことに思考が向いたからだった。
唐突に黄泉川へと振った話題は、天井が参加した時の絶対能力進化実験を参照したものだ。
どんなに人目を封じても誰かの視界をよぎることはある。
またそれを誤魔化すための情報操作の結果でもある。

銃器を持った妹達の様子から、お嬢様学校の生徒――御坂美琴がスリリングな遊びに興じていると、噂が立ったことがあるのだ。

天井(つまり、屋外実験は始まっていないか。仮に入っていてもまだ初期段階だ)

騒々しいマシンの音、インストラクターの弾む声。
懸念事項は全てを吹き飛ばしていく。

つまり現在の絶対能力進化実験の進行状況は、クローン製造前から屋外実験が始まってすぐのどこか。
大きく絞れたとは言い難いが。
前回の場合も屋外実験に移行したのはもうしばらく後の時期だ。
少なくとも、記憶に比べ進みが大きく速いことはないようである。


・所用により今日はこれで
 やっぱり安価まで行けませんでした
 繋ぎ回的な感じでご容赦ください


・>>230-232 リロって呆然とする簡単なお仕事
 天井「No use... → 布束「No use...
 で脳内補完よろしくです





235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/15(水) 22:28:34.31oiOVQgDXo (1/1)




236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 03:08:50.37pDuZusDSO (1/4)




237 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 16:53:08.38RxjHNwTp0 (1/9)


・おぉ、板繋がってる
 ムービーシーンからお送りします


天頂近くから照射される光が強烈に影を落としている。
木々の根本にくっきりとうずくまった黒。
遠く望むグラウンドにはそれ以外の姿は無い。
涼しい廊下の窓から、天井は敷地の正門の方を眺めていた。

体育の授業で運動する生徒も見えないのは、今が期末考査中だからである。
試験の名目で行われる学内能力測定に向け近頃は開発にも力を割いたものだった。
しかしそれも全ては過去、後は結果を聞けばもう夏休みだ。
名の通り休めるのは学生ばかりだが。

天井「青髪君も夏休みか。……丁度良いかもしれないな」

生体信号を模した電流を、患部に直接打ち込む実験はなかなか手間取っていた。
能力者本人とは別の皮膚や脂肪を隔てているからか、狙った場所に発現するのが難しいのだ。
どうも、ずれが出てしまう。

肉体変化でも問題だった行使者と対象者の食い違い。
これを克服するため、再度青髪少年に協力を仰ぐつもりでいた。
電撃使いの少年――今は青年となった彼とは、何せ大学に進学してしまい活動時間が合わせ辛いのだ。

正直言って目先を変えたくもある。

天井「それに、上条君も」

別件だが、部活動に入らなかったらしい上条の予定が空きやすいのは僥倖である。
なぜなら――、

天井「来たか」

仰々しいゲートで一度止まった青い車体が、滑らかにロータリーを抜けた。
跳ね上げ式ドア、左ハンドルの高級車。
「重要な予備実験」のため木山春生が訪れる。





238 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 16:53:50.10RxjHNwTp0 (2/9)



木山と二人、このために確保した広めの実験室で機器をいじる。
冥土帰しは知己である教授に挨拶してくると一時離脱していた。

木山「ふむ、ありがとう。迷惑は掛けないつもりだったのだが、どうしても精密な観測装置が必要だったんだ」

天井「気にするな。時々のことだしな、無理なら遠慮なくそう言っている」

先日に打診を受けたところによると、治療に際した予備実験の中でもターニングポイントに当たる実験、だそうである。
設備の使用予定や諸々を確認し、問題無さそうだったので長点で行うことにしたのだ。
機器周りの消耗品などの費用は木山持ち。
また筋ジストロフィーの治療研究を名目に行うことについては冥土帰しが上司に取り成してくれている。

天井「正常なAIM拡散力場から暴走状態への影響を探る。
   ……その割には、貴方と冥土帰し以外には連れてきていないようだが」

木山「正常側は機械再生だよ」

天井「それは不可能だと以前に言っていなかったか?」

部屋の真ん中には歯医者の治療台のようなゆったりとした椅子が設えられ。
取り囲むようにAIM出力装置や観測機器が幾つも並ぶ。
それらを制御するPCが載ったテーブルに、木山は軽く腰をもたれさせた。

木山「相互に共鳴させ続けて暴走の抑止まで持ち込むことは不可能だね。
   だが、暴走したAIM拡散力場が正常なものに影響され、落ち着く方向に変動することが確かめられれば良いんだ」

なるほど、理論が実現可能かどうかの焦点ではある。
彼女は傍にあった袋詰めの洗浄液を手に取りくるくると眺め回した。

天井「だが、暴走能力者など居ないではないか。ベッドごと生徒を運んで来たのか?」

木山「まさか。安全性がはっきりするまであの子達には行わないよ」

溜息を吐いて天井は丸椅子にどっかりと腰を下ろす。
側頭を拳で刺激してみる。
勿体ぶっているというより会話のテンポが違うだけだとは思いつつ、例によってまどろっこしい。

天井「では誰が――」

木山「私だが」

天井「…………何だって?」

木山「だから、私を一時的に暴走状態にして正常なAIMと干渉させるんだよ」

ふるり。
色白な手の中にある液体のパックが、不自然に揺れた気がした。





239 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 16:55:17.74RxjHNwTp0 (3/9)



水流操作、無能力者。
それが木山の身体測定の結果だそうだ。

木山「紅茶にミルクも溶かせないような強度だよ。
   やはり固定観念に縛られた大人が、自分だけの現実を確立するのは難しいらしい」

まぁ好都合だがね、と彼女は呟いた。

効果範囲は触れたもののみ、一応容器越しでも大丈夫らしいが。
現象としては平らな水面に僅かなさざ波を立たせる程度。
それ以上の制御もできない。

冥土「まさか自分に開発を行うなんてね?
   僕としては反対だったんだが……なら生徒を実験台にするのかと詰め寄ってくるんだから」

結局止められず、木山が開発を終えて戻ってからは暴走状態を作り出す実験をしていたそうだ。
靴と白衣を脱いだ彼女は中央の椅子に身体を沈め、ヘッドホンのようなものを付けた。

天井「体晶でなくても暴走状態など誘発できるのか」

冥土「擬似的、かつ一時的なものだね? 発想はほぼ木山君のものだ。
   音楽を起点とした共感覚性を利用して、一種のノイズを脳に与えて能力を乱す――。
   安全性には配慮したから聞いている間しか暴走は起こらないよ?」

元が無能力だからだろう。
目を閉じて聴覚に委ねている木山の周りに異常現象は見られない。
ただ観測機に繋がれたモニタから、不規則なアラートが響いていた。

天井「重ね重ね無茶をする……。AIM発生装置の方はもう入れて良いのか」

冥土「あぁ、大丈夫だね?」

ぱち、と乾いた操作音。
眠るように横たわる木山は微かに首を傾げた。

木山「……ん…………ぅ」

苦しそうではない、が。
乱された状態のAIMにさらに外力が加わったのを、本人も感じているのだろうか。

冥土「――うん、良好だね? 記録は……自動的にされているか。よし、もう止めてくれるかい?」

機械音が、確かに少し安定したものに変化した気がする。
天井がスイッチを落とし、冥土帰しがヘッドホンを外すと、それさえも止んでしまった。

不意の沈黙。
衣擦れだけが空気を震わせる。

天井「……これだけか。簡単に成功したな」

木山「そんなものだよ。重要な転換点が、ちょっとした実験の中にあったりね」

疲労の滲む声で、薄く木山が笑った。

確かにそうかもしれなかった。
今までだって、行き詰まりを打破してきたのは大掛かりな研究装置ではない。
むしろ発想の転換と、それを実証するだけの小さな実験だった。





240 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 16:56:21.61RxjHNwTp0 (4/9)



準備と撤退含め、二時間も掛からなかった。
少しだけ伸びた影を縫って、車の艶やかな青は遠ざかっていく。
紙カップを手に後輪を見送った。
木山の台詞に影響されたか、つい購入したのはアイスミルクティーである。

天井「ここまで漕ぎ付けた以上、夏休み中に決めるつもりだろうな」

手伝ってもらう上条の都合もある。
今回の結果に予備実験を重ね、なるべく早く覚醒に漕ぎ着けたいところだろう。

実際の治療では正常なAIM拡散力場として木山自身を使い、
様子を見ながら三、四日程度に分けて全員を目覚めさせたいとのことであった。

天井「最悪五日くらいは掛かるとして……。
   冥土帰しも何らかのカモフラージュを入れるだろうが、嗅ぎ回っていた連中は欺けるだろうか」

木山か冥土帰しに上条がどこかで合流し、治療の場へ。
それが、五回。
あまり知られてはいないが上条の特異性も併せ、どこかで目を付けられなければ良いのだが。

天井「居所を探っていた不確定人物、現況不明の木山幻生、最初期被験者と思しきテレスティーナ……」

予防線を張るにしても、かといってこちらの情報が増えてはいないのだ。
どうしたものか。

手にした紅茶を啜れば、かき混ぜるまでもなく甘ったるい、チープな飲料の味がした。


>>+3
何か木山の件でしたいことがあれば


・お待たせいたしました、本日もよろしくお願いします





241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 16:56:39.60gGDcuxzbo (1/1)

ksk


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 17:01:06.289BY61z1N0 (1/2)

ksk
頭が働かぬ……


243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/16(木) 17:29:33.07AoTELTSJo (1/1)

色々と情報集めをしようか
いい案が思いつかないし、天井が重要だと思うような事を調べてみる的な感じで


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/16(木) 18:23:30.46pErrpN8j0 (1/1)

先進状況救助隊について、黄泉川に聞いてみる
特に権限の強さや警備員内部での位置づけについて


245VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 19:51:03.32pDuZusDSO (2/4)

警備員関連の情報に関しては黄泉川さんは教えてくれなさそうだよな…サバゲの時にも言ってたし。
絶対能力進化実験云々は気にする程度でいいかもだけど、1stサンプルをどう手に入れればいいというのか…


246 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 20:15:32.88RxjHNwTp0 (5/9)



天井「行動するにも判断材料が少ない。もっと調査するか」

とはいえ幻生やテレスティーナに関しては、天井の手の届く範囲では調べ尽くしたといって良い。
ここで焦って相手に手掛かりを晒しては逆効果だ。

そうなると、新たに情報を得られるのは。

天井「生徒達の方から……になるな」

彼らを探っていた何者かが居る、それが悪い方向に働くのを防ぎたい。
率直に対象から考えてみることにした。

居所を知りたがる、その意味はピンからキリまでである。
連絡を取りたい。
何かに利用したい。
一番危険な可能性としては、命を狙っている。

天井「いずれにせよ、その要因があるはずだ」

子供達の属性を一つずつ見直してみるか。
ともあれ、こんなところで立っていても仕方がない。
手にした紅茶風味飲料を干し、研究室に向かった。


「学園都市の能力者である」「数年前の時点で小学生だった」「置き去りである」。
――これらは流石に無視しても良いか。
能力者にしろ特定の年代にしろ、この街にはごまんと居る。
これらと接触したいとして、敢えて現在行方不明の人間をターゲットにする必要性が無い。

天井「強いて言えば……『外』にいる血縁者が探している可能性か」

置き去りとは親が学費の支払いを放棄した学生のことであり、
面会のために名乗り出などしたら未払い分を請求されてしまう。
子や孫などに会いたいが、金は払いたくないと考えれば――、

天井「いや、物理的なり電子的なり、ここに侵入する手間と危険を考えれば学費よりも高く付く」

頭を振り払い、形になり掛けた思考を横に置いた。


「小児用能力教材開発所付属小学校の生徒だった」。
――これも重要ではなさそうだ。
以前この学校について調査した時にも特筆すべきことがなかったように、木山が関わった実験の後も細々と存続している。

天井「書庫でサーチすれば、過去、現在共に他に所属生徒は居るはず」

たん、とキーを押すと、ずらりと名前が表に並んだ。


「木山春生の生徒である」。
――これは、微妙なところである。
彼女が教鞭を執った対象は例の子供達のみ、ゆえに彼らであるべき理由にはなる。

天井「木山に私怨でもあるか、取引材料として……?」

ただ実験以前の彼女の研究はそこまで突出したものではないから、後者は違うかもしれない。





247 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 20:16:00.68RxjHNwTp0 (6/9)



「暴走能力者である」「体晶を用いた暴走実験の被験者である」。
――この二つは怪しい。
特殊な物質を投与され、恒久的な暴走状態に固定された能力者。
その希少性はある種の研究者には垂涎ものだろう。

天井「実験自体が伏せられたものだから、まず疑うべきは関係者か」

木原幻生を除き実験に参加した研究者、数人は居るはずだが調べは付いていない。
幻生を外したのは、主導した本人なら当時の被験者を探さなくとも、実験を再現できると考えたためである。
また広い意味ではテレスティーナも関係者か。

天井「まぁ人の口に戸は立てられない。裏の人間なら知っていてもおかしくはないか」

そうすると考慮する範囲が一気に広がってしまうのだが。


「多発していた地震の原因である」。
――これも、あり得る。
地震を止めようとしたか、兵器などに研究価値を見出したかは別として。

天井「素人目にも、頻度や揺れ方が普通ではなかったからな」

学生間に、抑制が必要なほど噂やらが飛び交うほどに。
研究者なら、それが暴走、共鳴したAIM拡散力場に端を発することや、
計測により原因となっている地点に思い当たっても不自然ではない。
災害関係と大雑把に検索しても、いくつかの研究所が見付かるほどである。


「一人は、春上衿衣の友人である」。
――あまり考慮する意味は無いか。
春上以外にでも、それぞれの生徒の友人などが探しているとしたら。
学園都市では学生でも調査などに長けた者は居るだろう。
それだけなら、見付かったとして直接的なリスクは低い。

天井「逆にその関係者の方が重要人物だとしたら?」

例えだが、高位能力者と生徒の誰かに繋がりがあり、アキレス腱として抑えられる可能性。
だがそれなら実験直後から確保されていたのではないだろうか。
天井は溜息と共に考えを保留に決めた。


最後。
「一人は、春上衿衣の能力が高く発揮される相手である」。
――どうだろう。

天井「特殊な状況下での能力の強化……そんなことを研究している者も居るだろう」

よく取り沙汰されるのは双子などだが、そういった件のサンプルとして春上共々欲しているかもしれない。
ただ書庫での春上の扱いがそこまで厳重でないのが反証要素だろうか。


……思い付くまま文字を並べたテキストエディタを前に、天井はぼきぼきと身体の骨を鳴らした。
調べたことといったら数回、書庫や他のデータベースで検索を掛けただけなのだが。
もう二時間以上過ぎている。

念のため木原幻生など既知のワードでも追検索したが、目ぼしいものは無かった。

天井「広い意味で、能力の暴走に目を付けられている色が濃いのだがなぁ」

どうにも分かり易い手掛かりは落ちていない。
はぁ、と息を吐き、自動販売機に向かうことにした。
口寂しい。
それに、先の安っぽい味がどうにも癖になってしまったようである。


>>+2
これを踏まえ、何か木山の件でしたいことがあれば


・情報集めというより状況確認になってしまいましたが
 二時間以上過ぎたのは>>1





248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/16(木) 20:44:11.442x05N2g4o (1/1)

加速


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 20:53:33.49pDuZusDSO (3/4)

最初期被験者と思しきテレスティーナの周囲について本人等にバレないよう調べてみる。特に所属してる先進状況救助隊について。可能なら黄泉川にも色々飲みついでに聞く


250VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 21:07:54.809BY61z1N0 (2/2)

異常な現場到着速度とかに疑問は持つべきだよな


251 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 21:53:51.42RxjHNwTp0 (7/9)



天井「あー……」

何となく首から背にかけて突っ張っているような感触があり、腕を交互にぐりぐりと回す。
そうするうちに自動販売機の透明なドアの中ではカップに液体が満たされたようだ。

そもそも、ものを考えるのが本業で、調査は天井の得手ではない。
作業量以上に疲労を感じてしまっても致し方ないと思う。

天井(取り敢えず、次はMAR周りを見てみるか……)

テレスティーナ=木原=ライフライン。
彼女は幻生の実験の被験者であると同時に、災害対策部隊であるMARの長だ。
結び付けて考えるのは早計だが、テレスティーナを足掛かりにこれらについて調べるのも良いだろう。
特にMARは公的に活動している団体であり、情報源も多いはず。

だるさがへばり付く身体を宥め、踵を返す。
夏空はまだ青みを残しているがもう四時過ぎだ。
木山の実験に付き合ってから、ずるずるとそちらばかりに時間を使ってしまった。

天井「……はぁ」

いっそ、切り替えて今日は調べ物に集中しよう。
夕方に向かう静かな長点の敷地を見下ろし、天井はまた肩を回した。


>>+1
調査の成果
※コンマ判定  ★修正+10

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル





252VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/08/16(木) 21:55:46.695k7OqZ1c0 (1/1)

頼む!


253VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 21:58:02.162MMtWp+jP (1/1)

久々に成功だけど今までの失敗を考えるとどうでもいいところで感が否めない…
ファンブルでも出たら話は別なんだけど


254 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 23:03:37.67RxjHNwTp0 (8/9)



第一に、少し思い違いをしていたことがあった。

天井「先進状況救助隊は、警備員の部署の一つだったのか」

組織されたのが比較的新しいこともあり、試験的に色々な部隊が作られるような類だと思っていた。
そのため幻生がテレスティーナに身分として与えたのかも、などと考えていたのだ。

天井「いや、警備員の一部とはいえその可能性は消えてはいないのだがな」

その場合木原幻生の影響力の大きさはどれほどか、ということになってしまうが。

基本的に教師の兼業で構成される警備員の例から外れ、研究者のテレスティーナが隊長を務めていること。
併設で独自の研究所を持っていること。
これらから推測するに、半外部の協力組織と呼んだ方が正確だろうか。

天井「活動内容は災害時の救助……」

幅広く地震や火災、ビルの倒壊などの際に力を発揮している。
犯罪、暴走といった能力者の鎮圧は範囲外だが、それで生じた二次災害には対応しているようだ。
瓦礫の撤去などを円滑に行うために、数は多くないが駆動鎧が活用されているとのこと。

設立は一昨年の秋。
第一位の暴走事件の時に耳にしなかったと思えば、まだ存在していなかったのだ。
もっともその直後に興されたのは、四ブロックが壊滅したあの事件で災害救助の重要性が訴えられたからかもしれない。

天井「ネット上での評判はそこそこ、といったところだな」

大まかにブログや掲示板などを読んだ限りでは、あまり悪い印象は受けない。
ある意味敵を作りやすい犯罪対策などと違い救助がメインでは当然かもしれない。
良くない噂や都市伝説も特に見当たらない。
強いて言えば……。

天井「ピンクの駆動鎧、ねぇ」

混乱した被災地に、目にも鮮やかな駆動鎧が颯爽と現れる。
またそれを操るのは凛々しいお姉さんである。
そんな与太話が多少流れている。

一人だけ派手なカラーリングの装備とは、まさか隊長だったりはすまいな。





255 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/16(木) 23:06:57.42RxjHNwTp0 (9/9)



天井「おぉ、確かに桃色のが居るな」

どこか覚えがあり、以前に見た動画を探し出してみれば、その通りの姿の駆動鎧が動き回っていた。
関連動画の幾つかにも同様である。

天井「…………ん? 少し、引っ掛かったような」

彼らの活動を収めた動画は見付けただけで十数本。

そのうち地震、置き去りの子供達が起こしたものだけに共通点がある。
微震のものも含めて、だ。

天井「どれも駆け付けるのが早い……。他の災害では、警備員や消防隊と同程度だというのに。
   あの一連の地震に関しては、必ず一般の警備員よりも先に活動している」

災害時には警備員の本隊よりMARが優先して配備されるようになった、という推測は成り立たない。
地震より後、第八学区の木の電柱が強風で倒れた事故ではかなり本隊が先んじているのだ。

そして。

天井「撮影のタイミングかもしれないが。
   他の映像では桃色の駆動鎧の登場率はまちまちなのに、地震の記録には必ず映っている」

偶発的に起こる通常の災害と異なり、AIM拡散力場を介して起こる地震は予測が立てやすいのだろう。
黄泉川によると、警備員の中でも原因解明を目指す人達が居るそうであるし。
地震自体を防げなくとも、直前に発生を察知して隊を動かすことはできるのかもしれない。

そう、納得できたはずだ。

その部隊を束ねるのが、木原幻生の孫であり、暴走実験の被験者であったりしなければ。


>>+2
黄泉川に、特に聞きたいことがあれば
※指定以外は天井が話の流れで聞きます
1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります


・今日はここまでに
 最近あまり進めないのですが、ちょっと暑くて朦朧としてるのでお許しください

 明日はネットが切れなければ普通に続けます
 土日は所用によりお休みです


・ここのところ1レスの行数を詰め込みがちなのですが、もう少し区切った方が良いでしょうか
 ご意見がありましたらお聞かせ頂ければ幸いです





256VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 23:13:45.74UeKtIREDO (1/1)

乙 このくらいでいいと思うよ
安価なら下


257VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/16(木) 23:49:28.38pDuZusDSO (4/4)

最近起こる地震についてだけど、警備員よりも先進状況救助隊が現場に現れんのクソ速いですよね?
警備員の中でも原因解明を目指す人達が居るそうであるし、AIM拡散力場を介して起こる地震は予測が立てやすいのだろうとは思う。
地震自体を防げなくとも、直前に発生を察知して隊を動かすことはできるのかもしれない。現実100%それが出来てるし。
なら何故その方法を他の警備員等に教えないのか。
おかしくね?


258VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/08/17(金) 01:21:31.18LoC395V6o (1/1)

乙っしたー
>>257
天井くンがそのまま言ってるのを想像してワロタww


259VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 09:33:26.19YGce5sbDO (1/2)

つか連続で無効じゃね?再安価?安価なら下


260VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/17(金) 09:35:47.32I7PTX1dLo (1/1)

連続がダメって、いつ決めたんだよ…


261VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 10:06:34.41YGce5sbDO (2/2)

注意書き


262VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 10:26:15.17zFL396iSO (1/1)

連続がダメだとしても下の安価を湾曲すればほとんど変わらないな


263 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 11:54:23.47RZ0SRvGj0 (1/13)


・>>256 ご意見ありがとうございます
 改行限界スレスレだったりするので気になっていたのです

 これからも読みやすさへのご指摘がありましたら遠慮なくお願いします


・連続取得について
 一応>>3 に書いていたのですが、場所も説明も分かりにくいかったと思います、申し訳ありません
 システムもちょっと面倒ですみませぬ……

 ちなみにコンマ安価には取った人の意図が反映されないため、
 連続かどうかの判断では無視して考える、というつもりでこのシステムにしています


再安価
>>+2
黄泉川に、特に聞きたいことがあれば
※指定以外は天井が話の流れで聞きます
1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります





264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/08/17(金) 12:14:23.425LiIS0UUo (1/1)

踏み台
頑張って書いてあるし、>>257にトスできたら良いな。


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 12:28:07.94tRWdeZFoo (1/2)

>>257 支援


266 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 12:34:12.86RZ0SRvGj0 (2/13)


・再安価ありがとうございました
 説明の不十分さにより取り直しになってしまい申し訳なかったのですが、
 改めて>>265 →>>257 から続けます





267 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 13:58:49.71RZ0SRvGj0 (3/13)



ちりりん。
音の方を見上げると、引き戸に風鈴が括られていた。

板前「らーっしゃい!」

店主の快活な声が響く。
少しランクの高い居酒屋といった風情の店。
有名どころから聞いたこともないものまで、様々な一升瓶が通路沿いの棚に詰まっている。

天井「二人で」

板前「はいよ。カウンターとテーブル、どっちが良いです?」

天井「テーブルで……ボックス席があればそこが良いのだが」

従業員「はい、ご案内します」

騒々しすぎず、しかし変に気取ってもいない。
生魚が旨いというこの店を前々から主張し続け、初来店だが当たりの予感だ。

黄泉川「ありがとじゃん! 生、大ジョッキで」

天井「あー、私も生。中ジョッキで」

店員「かしこまりました!」

熱いおしぼりと入れ替わりにお決まりの注文。
面倒な指定にも関わらず壁に区切られた席に案内してくれた店員は、一礼して去っていった。

三方が白壁、残りが開けたごく小さなスペースの一つである。
奥側の壁には丸い飾り窓が付いている。

黄泉川「珍しいな、いっつもカウンターなのに」

天井「そんな気分だったんだよ」

黄泉川「何だ、男泣きでもする気じゃん?? 似合わないじゃんよ」

失礼な。
まぁ天井が沈んだ様子でないからこその軽口だろう。
落ち込んではいないが、内心真剣な天井はうるさい、と軽くいなした。

プロである店主はともかく、他の客と隣り合って話せる内容ではないのである。





268 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 14:01:30.13RZ0SRvGj0 (4/13)



黄泉川「よっしゃ、かんぱーい!!」

天井「乾杯」

ぐっぐっぐっ、満面の笑顔で、女教師の喉にビールが消えていく。
いつもながら清々しい呑みっぷりだ。
天井はほど良くジョッキを空け、お通しのゴボウを突いた。

天井「お、旨いぞ。これ」

黄泉川「ん? どれどれ」

沢山煮込んだのか、繊維が良い具合に柔らかくなっており、味も染みている。
ふわりと醤油ベースの匂いが鼻を抜ける。
当たり確定だ。

そういえば、訓練のせいか最近妙に分析的になっている気がする。
主に食事方面で。
美味しい、酒が進む、最近根菜をよく食べるな、など雑念が混ざっており、方向性を誤っている気はするが。
舌は順調に肥えているかもしれない。

天井「……いっつも幸せそうに呑むよな」

黄泉川「当然じゃん! 気持ち良く呑まなきゃ肝臓を満たすアルコールさんに失礼じゃんよ」

発想がおかしい。
いや、作った人や材料に感謝しろ、と同じと言えなくも……。

天井「なぁ。例えばビールの、何が美味しいのか考えたことはあるか?」

対面の教師は、はぁ? といった顔で首を傾げた。
そうして黄金色の炭酸水を怪訝そうに眺めている。
何となく気になって口に出してしまったが、良い気分を遮ってしまったか。

天井「あー、変なことを聞いて悪かった」

黄泉川「…………んむ。喉をさ、炭酸が流れ落ちてくのが良いじゃんね」

しばし考えた後、どこかしみじみと彼女は言う。

黄泉川「弾けて、ざぁぁぁっと。何ていうか、滝みたいじゃんよ。荒々しくて、涼しい、そういう爽快感じゃん」

ビールといえば、喉越し。
一般的な回答なのかもしれないが、心底好きなんだなぁと思わせる語り口だった。
再び、ぐいとジョッキを傾ける。

黄泉川「つーかどうしたんじゃん? 医療系から飲料開発に転向でもしたのか? 市場調査?」

天井「いや、何となくだよ」

黄泉川「まー良いじゃん。私のビールへの愛を聞いたんだ、オニーサンも語るじゃんよー」

つられてしんみりしている場合ではなかった。
まずい。
これは絡み酒モードだ。

ぎしりと頭をホールドされて、酒が回るまでの場繋ぎに不用意な話題を振ったことを少し後悔した。


・安価は次レスに、もうしばらくお待ちください





269 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 14:43:12.43RZ0SRvGj0 (5/13)


・口調、語順など弄りました
 大意は変わっていない……はず


――頃合だろうか。

黄泉川「だーかーらー! 頭でっかちの政治家が治安維持に口出すなってことじゃんよー!!
    こっちの捜査権限潰しやがって!!」

呑みに誘ったのはこちらである。
相手には切羽詰った鬱憤は無いはずなのだが、不満は常に溜まっているようで。
ぐだぐだに酔いの回った黄泉川は散々上層を扱き下ろしている。

全ての警備員が清廉潔白ではないのだから、現場が力を持ち過ぎるのも問題だろう。
そう思ったことは秘密である。

天井「また何か事件か。地震の調査だって終わっていないだろうに。……と、管轄が違うんだったか?」

黄泉川「今の担当案件は秘密ー。あれ、管轄がどうとか言ったじゃん?」

言った。
原因を調べているのは現場とは別、みたいなことを。
ボックスの外に漏れないよう声を潜める。

天井「あれも究明は進んでいるのだろう? 地震の時はいつも救助隊がすぐに駆け付けていたのだから。
   予測ができるなら原因にも届きそうなものだ」

黄泉川「んー……」

お猪口を握ったまま、黄泉川の首から上が四十五度くらい傾いだ。
微妙に焦点の合わない目で清酒の水面を見詰めている。
決定的なことを口にするのは踏ん切りが必要である。
天井はひりつく精神を押し殺した。

天井「あの地震は特殊だ。AIM拡散力場を介して起こる地震なら、予測して隊を動かしておくこともできるだろう。
   ――なあ。なぜ他の警備員はそれを知らされていない? 救助隊――MARは警備員の一部署のはずだが」

ゆらり、と。
酔った視線が彷徨いながらこちらを絡め取る。
あくまでぼんやりと――、

黄泉川「……どうしてAIMが原因だと知ってるのか、とは訊かないじゃん? あんたは学者先生だしね。
    どっかで感付いて、自分で測定して確証を得てもおかしくないじゃんよ」

一つ、隠すそぶりも無く認めた。
呂律は半ば回っていない。
しかしアルコールのもたらす激情が抜け落ちると、その言葉は普段より淡々としている。

黄泉川「どうしてそれを質問するのか。それだけ話してもらうじゃん」

泥のように濁った目が、濁ったままにぎらりと尖った。


>>+2
天井は……
※どう返答するか
(大まかな方針でも可、具体的な台詞の場合若干語調を弄るかもしれません)





270 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 14:51:37.48RZ0SRvGj0 (6/13)


・sage入れたままでした
 このレスに当たったら安価下扱いでおねがいします




271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 14:59:02.42h0cCbgKSO (1/3)

>>264>>265の優しさに全俺が泣いた安価↓


272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/17(金) 15:41:57.09s/HWL3M30 (1/1)

4年目夏の能力者暴走事件で必死に避難した者としては
MARのやり方が引っ掛かったから


273 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 16:36:54.20RZ0SRvGj0 (7/13)



どうして先進状況救助隊に興味を持ち、あまつさえ組織的に繋がりのある黄泉川にそれをぶつけるのか。

MAR及び隊長のテレスティーナに不信感を抱いているからである。
もし木山の生徒を探っている者と関連があるのなら、万が一彼らが害される前に予防策を打ちたい。
学生を守る、という理念は黄泉川とも共通のはずである。

だが、

天井「やり方が引っ掛かるからだ」

黄泉川「……ふむ」

木山が、きっと十人の生徒達のためだろう、あの記憶の中で幻想御手事件を起こしたように。
冥土帰しは粛々と患者の治療をするように。
そしてこの教師は警備員に所属し、過ちを犯した子供を殴り飛ばすように。

立場も方法も違うのだ。
少なくとも今は、手の内全ては明かさない。

天井「手柄を独占したいのか、『外』の警察の囮捜査ばりに身内にも伏せる意図があるのか……私には分からんが。
   緊急時の救助を担う部隊が人員を最大限に活用できないのは正常でないと思う。おかしいか」

視線の鈍い光は、どこか惑っている。
こちらに突き付けた切っ先の、遣り場を忘れてしまった風に。
責めるようで申し訳ないが黄泉川も何か思うところがあるのかもしれない。
天井は言葉を継ぐ。

天井「第七学区地震の時、私は中心地にいなかった。だから状況の悲惨さを直視してはいない。
   だが、例えば二年前の能力者暴走事件では私も避難したんだ。まだ中学生の同僚と一緒にな。
   酷い混乱だった。もっと――『きちんと』活動している災害対策部隊がその頃に居れば良かったと思う」

黄泉川「あんた……意外と熱血じゃんね? 普段は理詰めなのに」

体育会系を地で行く彼女ならその印象は好ましいものだと思う。
しかし言葉は酷く寂しく、呟くようにテーブルに落ちた。

黄泉川「…………悔しいじゃんよ。そうだ、あいつらには絶対何かある。でも突き止める方法が無いじゃん。
    同じ警備員の部隊相手じゃ強権なんて無いし、災害時はあっちが指揮系統になることだってある……」

いつもいつも、彼女が嘆いていることと同じだった。
天井がネット上のリソースで気付ける違和感なら、黄泉川も感じていたのだろう。
AIM拡散力場を原因としていることも既知のようだったし。

一介の警備員に絶対的な権限など無い。
地震が多発していた頃の苛立ちは、信用できない面子のせいでもあったのかもしれない。


>>+2
天井は……
※黄泉川への対応
(大まかな方針でも可、具体的な台詞の場合若干語調を弄るかもしれません)





274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 17:20:46.28+LyjQWArP (1/1)

頭が痛くなるような安価が続くな


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 17:28:26.85h0cCbgKSO (2/3)

そう悲観するなって。一介の警備員でも出来る事はある
例えば、次回の地震時、先進状況救助隊を「最初から最後まで」見てるとか。
今までの彼等がどう動いているかを詳しく見てみるんだ。先進状況救助隊の本拠地や隊長の研究施設等周囲に必ず監視カメラがある筈だろ?なんのかんの理由をつけてその映像を見てみればいい。そうすれば今までからして、何故か地震発生前に動き出してる物が映る筈。
それを確認ののち、現場到着から状況終了までのUPされた動画や付近の防犯カメラの映像と照らし合わせて、何が目的かを分析する。単なる手柄や囮捜査目的ならそういった動きをする筈。
もしそうではなく、他にAIM関連の次の地震発生現場予測に関係しないデータをとってたなら地震を元に何らかの研究をしてると見ていいだろう。研究目的だった場合、故意に原因をわかってて放置してるのだから犯罪ゆえにタイーホすればいい。何のAIM関連データをとってるかの判断は知り合いの専門研究者を紹介するから捜査協力という形で聞いてみればいい。


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/17(金) 17:29:07.19Xxt+C1gm0 (1/1)

このまま飲みに一晩付き合って、愚痴を聞くだけじゃ駄目なのかなksk


277VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 17:38:21.17fRfVL53so (1/1)

これは流石に長過ぎるのでは・・・と思うんだけどどうなんだろう 
何というか、もっと要点をまとめて、長文は自重しろと言いたい 見たいのは>>1の文なんだよね



278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 17:43:42.78h0cCbgKSO (3/3)

sorry。台詞で書いたらこんなんなってた。次からは気を付ける。まぁ>>1なら簡潔に要点まとめてほにゃっとしてくれる


279 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 20:50:53.28RZ0SRvGj0 (8/13)


・展開の都合、というか会話にする関係で語調をかなり弄ったのと、はしょったり地の文にしたり
 大意は変わっていない……はずですが、
 折角書いて頂いたのにそのまま使えず申し訳ありません


天井「方法が無い、か。そう悲観することもないと思うが」

黄泉川は顔を上げない。

天井「一介の警備員でも、もし次に地震があったらMARを見張ることはできるだろう」

黄泉川「仮定でも『次』なんて止めて欲しいじゃんよ! ……折角今は収まってるっていうのに。
    そうなったとしても、私だって救助に出動するじゃん。あいつらを睨んでる暇なんて――」

救助を盾に裏のありそうなMARは勿論、人身を傷付ける災害とて憎いか。
機会として「次」を提示したところにだけ、応えに力があった。
分かっている。
そもそも木山達の治療が順調に進むなら、次の地震など無い。

天井「なら今までの彼らがどう動いているかを詳しく見てみるんだ」

黄泉川「――っ、やったじゃんよ。別に私だって手をこまねいてた訳じゃない。それでも尻尾が掴めないじゃんよ!」

どんっ! と。
畳を打ち抑えた声で吼える。
ぎりりと奥歯を削っている。

天井「……悪かった。しかし、最後まで聞いてくれないか。
   お前が言うように私は現場を知らない学者先生だが、だからこそ違う視点もあるはずだ。
   大したことは言えなくとも何か思い付く切っ掛けになるかもしれない」

黄泉川「……、そこまでは、別に馬鹿にしたつもりで、言ったんじゃないじゃんよ…………」

噴き出した溶岩のような激情は、ぐるぐると荒れ狂いながらまだ彼女の中に留まっているようだった。

ちら、と小さな動作で水を頼む。
若い店員はわたわたとカウンターの奥に駆けて行った。





280 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 20:52:04.73RZ0SRvGj0 (9/13)



黄泉川「……良いじゃんよ、落ち着いた。話してみるじゃん」

天井「あぁ」

怒りの限界を一度振り切り、据わった目の黄泉川が促す。
前に垂れていた長髪をぐいと払った。

テレスティーナ率いる先進状況救助隊が、目立った動きを見せているのはあの地震関係のみ。
それは何を目的としているのか。
特に、警備員の到着を遅らせる理由があるのか。
MARの側に立ってみれば、探るべきはそこにある。

天井「……本部や付属の研究施設の監視カメラなどを、理由を付けてチェックすることは?」

黄泉川「九割方、厳しいな。さっきも言ったがこっちには優越権は無いじゃんよ。
    全く無理ではないけど、何か確証を得た後の詰めとしてじゃなきゃキツいじゃん」

MARは部署でありながら、一つの組織だ。
なるほど、捜査などの理由を付けても向こうで確認すると突っぱねられてしまうか。

天井「地震発生前に動き出していることを確定できれば良かったのだがな」

黄泉川「……それは確定済みじゃん」

それだけ断定的に告げて、彼女は冷水を口にした。
目を細め、ふいと視線を外している。

天井「分かった」

あまり外に漏らすべきでない根拠か。
出動記録やそういったものから逆算したのだろうか。
そんな物があるかは知らないが、公的機関はその辺りの書類が細かそうである。

天井「本部そのものが無理なら現場の動画や付近の防犯カメラの映像はどうだ」

黄泉川「一応ある程度目は通したじゃん。……気を付けるポイントとかはあるか?」

天井「……目的の分析。わざと警備員に先立って現場に到着しているなら、MARだけで何かしたいのかもしれない。
   これは例だが――」

単に手柄を立てたいなら、なるべく多くの負傷者を搬送しようとする。
救助を急いでいるのと見分けが付け辛いが。

囮捜査……は極端だが、例えば地震の「犯人」を想定して怪しい動きをしている者を探すなら、
作業しながらも周囲を窺っている。





281 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 20:53:01.24RZ0SRvGj0 (10/13)



天井「もしくは救助にかこつけて他の事をしているか。データ収集とかな」

あるいは物体的なサンプルの採取や、その場に居た被害者を選別しようとしているのかもしれないが。

言葉を咀嚼するように、黄泉川は目をきつく閉じた。
眉間に皺を寄せながら首を捻っている。

黄泉川「……AIMを測ったりはするじゃん? 原因を探るために」

天井「調査や予測用以外にデータを取って、別の研究に流用している可能性もある。穿った見方だがな。
   考えてもみろ、能力者が発するAIM拡散力場がこれだけの災害を引き起こすのだぞ?」

あの生徒達が下手な連中に確保されたら、一体何をされるか。
酷な考えかもしれない。
だが学生を一種の研究対象とする側の視点は、きっと真っ直ぐな教師には馴染みが無い。

黄泉川「………………」

黄泉川は何も言わなかった。
微動だにしない。
ただ硬質に引き結んだ唇だけが微かに震えた。

天井「それに万が一原因を分かっていて放置していたなら、都市の住人を危機に晒す人体実験のようなものだ。
   逮捕したりはできないか」

黄泉川「ブタ箱にぶち込めるかは微妙じゃん。主導か放置か、他にも色々絡むから。
    けど社会的な制裁はかましてやれるじゃんね」

低い声音は対面しているだけで鳩尾を圧迫される錯覚がある。
じり、彼女の目の奥に熱が篭っていた。
どろりと灼けるマグマのように。

天井「AIMに関してなら知り合いに専門家が居るから、なんなら紹介する。
   捜査協力という形で聞いてみれば良い」

黄泉川「あそこの隊長自身がAIMの研究者だからな。データを持ち出すのは難しそうじゃん。
    でもできるところから手を付けてやる」

子供を弄ぶ者の影は、正義感の強い黄泉川を確かに奮起したようだ。

天井「そうか、なら名前だけ――」

黄泉川「待つじゃん」

――あぁ。
だがその矛先は今、こちらを向いている。

黄泉川「もう一度……いや、質問を変えるじゃん。お前は何をしたい?
    怠慢な救助隊を咎めたいだけにしては熱が入っている。陰謀を暴きたい、というのも違う感じじゃん。
    なぁ。何が目的なんだ?」


>>+2
天井は……
※どう返答するか
(大まかな方針でも可、具体的な台詞の場合若干語調を弄るかもしれません)





282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 21:07:35.95wPMaNBQDO (1/1)

「犠牲者を減らしたい」


昏睡した生徒が起きれば生徒も含めて犠牲者が減る訳だし、嘘は言ってない…
いろいろしゃべってもらった割に抽象的で申し訳ないけど


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 21:08:05.26/9m/Xamto (1/2)

日の当たるところで、生きていきたい


284 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 22:04:36.25RZ0SRvGj0 (11/13)



何を誤魔化しても暴かれるような気がした。
黄泉川という名の、対面した姿に縛られてどこにも逃げられなかった。

テレスティーナの所業を突き止める、何のために?

木山か。
顔も見ぬ子供達か。
友を呼ぶ春上か。
形の無い倫理か。

天井「――私は」

それらの、理由かもしれない切れ端を検討する前に。
するりと文章が滑り落ちていた。

天井「日の当たるところで、生きていきたい」

黄泉川「……日の、当たる…………?」

僅か瞬きの前の迫力も忘れ、彼女はぽかんとしている。
会話から飛躍した一文に拍子抜けでもしたように。

天井「あ……いや、」

口にしたその時にも、まだ意味を理解し切れない。
思考の間隙から抜け出した言葉。

黄泉川「まっとうに生きたいってことじゃん? それでこんな面倒に関わるのか?」

天井「そうじゃない。警備員のお前とはまた違う方向性だが、研究者などやっていると色々が目にするのだ。
   裏側、だな。それを――」

それらを、


それらを?



★目的の変更判定

ぽろっとそんな台詞を零した天井は心境が変化しているのかもしれません

>>+1
目的の変更先
 a. 正義
 b. 平和
 c. 真実
 d. 保身(初期とは別内容)
※上記以外でも行動に沿ったものなら

>>+2
コンマ判定
 -19:上記で決まった目的に変更
20- :変更無し





285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 22:06:49.45tRWdeZFoo (2/2)




286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 22:07:19.67yrruYH+qo (1/1)

ほい


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 22:07:29.86yBBxKynYo (1/1)

A


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 22:07:36.82/9m/Xamto (2/2)

せい!


289 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 23:45:14.31RZ0SRvGj0 (12/13)



天井「……私は、直視したくないだけなのかもしれない。
   だが、手の届くかもしれないところにあるそれらを、どうにかしたいと思うのは間違っているか」

どこか違う。
上手く説明にならない。
舌に乗った時は間違いなく形になっていたのに、今は輪郭もあやふやで、空回る思考に混ざっていってしまう。

黄泉川「……嫌な可能性に気付いてしまって、それを取り除きたかったじゃん?」

天井は苦しげに首を振る。
非合法なことを視界に入れたくないのなら、目を閉じれば良かったのではないか?
要求が無くなった時点で木山と縁を切れば?

何故、できることを探したのだろうか。

天井「言葉にできない。どうしても――」

黄泉川「お前は、」

再び、硬さを帯びた声。
だが責めるようでもない。
掴み損ねたものを追い迷走している天井を引き戻すような響きだ。

黄泉川「始めはMARが職務を果たしていないっていう義憤だったか、
    地震で知り合いが怪我したとか他に理由があるか、それは置いとくじゃん」

ただ静かに、厳格に。

黄泉川「お前は、テレスティーナが研究とかのために子供を利用するとしたら、防ぎたいと思うんだな?」

天井「あぁ」

それは迷わない。
黄泉川とこんな話をした直接の目的は、木山の生徒の安全のためなのだから。
裏への恐れや自身へ注がれる心配を全て投げ打つことはできないけれども。

黄泉川「……なら追求は止めといてやるじゃん。私もね、かなりヤバい研究所を攻撃したことがある。
    お前はああいう連中のきな臭い感じはしない。後ろ暗い目的じゃない、ってことで保留にしとくじゃん」

天井「恩に着る」

それっきり、黙ったままで互いに酒を掲げた。
どちらともなく触れた器は、ちん、と軽い音を立てる。

手札を伏せあった上での合意は信頼というより妥協なのかもしれないが。
釣り合った一点を液体に留め、二人は静かに飲み干した。


・目的変更無し(「貢献」自らの研究を医療分野に役立てる)
 口に出したものは、未だもやっとしているようです

・目的の変更判定について
 以降、「平和」の追求を優先する行動時に同様の判定が入ることがあります
 変更の確率は判定の度に上昇します(最大80%)

 しばらく「平和」を追求する行動を行わないと、目的の変更先はクリアされます
 また、「貢献」とも「平和」とも違う方向性の行動を取った場合、再度変更先を安価します





290 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/17(金) 23:49:44.42RZ0SRvGj0 (13/13)



タクシーの運転手に金を払い、エレベーターで階を上り。
金属ドアの向こうのベッドに横たわれば、天井は一人だった。


もやもやと、思考を遮る霧がまだ残っている。
それでも端からどこかに消えていき、捉えることはできないのだと妙に実感する。

非道な実験の犠牲になった子供達を救いたい。
なるほど、立派な意見だ。
だが、過去には保身のために奔走した自身が何故そんなことを望むのか。

「今」は裏に関わっていないのだから、罪悪感とも違う気がする。
ただ過去と現在との相違点が、違和感としてずっとこびりついている。

そう知った。


天井「いやいや、時間が無いんだ。考えるべきことは他にある」

もう数日で夏季休暇である。
木山達が夏休み中の決着を期するとして、治療を複数回に分けることを考えれば初回は八月中旬頃か。
今から一ヶ月ほど……もっと早い可能性もある。
多少なら押し留められても、差し迫った危険を説明でもしない限り木山が焦れてしまうことも否定できない。

天井「テレスティーナは黄泉川の方でも追ってくれるだろう。機密は教えてくれないだろうが……」

差し障りの無い範囲なら訊けるだろう、多分。
またMARを怪しんでいる警備員とコンタクトを取ったことは一応木山達に伝えておこうと思う。

黄泉川との会話を吟味するに、MARは地震を軸に動いている可能性が高そうだ。
テレスティーナやMARの一員が生徒達を探っていた者と同一なら、地震の原因として求めているのか。
そうすると、上条から辿って所在を特定されることより、移送の方が危険かもしれない。
覚醒の手順上、一人を隔離できる施設への移動は必須なのだが。


>>+3
木山の件について、何かしたいことがあれば
※1つまで、複数書いてあった場合最初のを採ります

【後○回自由安価、とは設定しませんが、時間に限りがあります】


・恥ずかしながら誤字修正
 >>269 >>273 の黄泉川の台詞中、黄泉川→天井の二人称
 × あんた
 ○ お前

・今日は以上です、お付き合いありがとうございます
 明日、明後日は私用にてお休みです

・ちょっと来週以降、来れる頻度が下がります
 週三回はキープしたい所存ですので、これからもご参加頂けると嬉しいです





291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/17(金) 23:50:08.19KZfs/A4co (1/1)




292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/18(土) 00:10:06.57q+ARzbYDO (1/1)

木山先生に自分の生徒の為なら、無関係の人も傷つけるのか本気で聞いて、もしするつもりなら上条さんのような『説教orそげぶ』をする。


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/18(土) 00:11:28.41peZqZ7rSO (1/1)

何かうまい移送手段を考える。例えば強度の高い空間移動能力者に依頼とか


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/19(日) 19:04:14.45YjKn5LUCo (1/1)

黒子登場だな


295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/08/19(日) 19:25:24.58Cl7ifRvpo (1/1)

移送専門つったらあわきんじゃね?


296 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/19(日) 22:22:12.27ddm0X4nN0 (1/1)


・こんばんは、連絡のみです
 明日は用事がありお休み、明後日(火曜)の再開とさせていただきます

 曜日不定で週三回くらいの更新になると思われますが、可能な限り前日までにアナウンスいたします
 ご了承ください

 明後日はよろしくお願いします




297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/19(日) 23:25:53.605a1GK2/6o (1/1)

把握乙


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/08/20(月) 14:04:38.05PuGWNZFCo (1/1)

乙把握


299 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 16:59:16.54SvUyRVo20 (1/10)


・大変おそようございました、今日もよろしくお願いします
 安価は次々レスで


一先ず黄泉川に言ったような内容を、木山達にも伝えよう。
その上で生徒達の移送が必要かと現時点での計画を確認しておこうか。

翌日もテスト期間である。
開発担当をしているとはいえクラスを持たない天井は、学期末のこの時期はそこそこ余裕がある。
夏季休暇中の課題も組み終わっているため表向き業務は研究しかない。
当然そちらも進めるべきだが、この状況では治療の件に比重を置くのもやむなしか。

PCの画面端にぽこんとバルーンが浮かぶ。
木山からで、電話して大丈夫かと送ったメールに対し、簡潔な了承の返信だった。
携帯電話から彼女の番号を呼び出す。

木山『もしもし。何かあったのか』

一コールもしない内、ぷつ、と回線が繋がった。
急用じみた連絡の取り方だったため向こうは心配しているようだ。

天井「いや、緊急事態ではない。以前話したテレスティーナについての続報と、治療の際の手順を確認したかっただけだ」

木山『そちらで何か分かったか。こちらの調査は芳しくなかったところだ、ありがとう。
   覚醒の為の大詰めに掛かり切りだからね』

時間があれば共鳴による暴走の沈静化について実験を繰り返しているのだろう。
被験者も兼ねている木山には最低限の休養も必要そうであるし。

生徒達が原因となっていた地震の時だけ先進状況救助隊の動きが不審であること、
それを感じていた警備員の知り合いが現在MARとテレスティーナについて調査していること。
その辺りを簡潔に告げた。

天井「それと、可能性は低いが警備員の方から貴方にデータの検証依頼があるかもしれない。
   勝手だが、AIMの専門家として名前だけ紹介させてもらった」

その場合、作業自体は増えてしまうが、公式にテレスティーナの調査に噛めるなら悪い話ではないはずだ。
天井が拾った動画データなどと合わせ黄泉川にメールで送っておいたのだ。





300 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 16:59:45.00SvUyRVo20 (2/10)



木山『ふむ、それは構わない。もう一つの、治療の手順というのは?』

天井「治療自体より、準備段階の方だ。結局現在の施設から移送は必要なのか?」

木山『あぁ……。今子供達が居るのはごく小さなところでね。団体の病室がいくつかだけあるような場所なんだ。
   治療は数日に分けて行うが、その日治療する子達だけ機密性の高い個室のある施設にそれぞれ移す予定だ』

移動は必須か。

訊いてみると、今の施設に移動した際は冥土帰しの伝手でそれぞれ幾つかの病院を経由して集めたらしい。
元々ばらばらなところに居たため目立ち辛かったのだろうか。
それでも、その時点から目を付けられていたなら露見しそうなものだ。

天井「待て、居所を探られた形跡があるのはいつ頃だったんだ?」

木山『あの大きい地震の直後だよ。貴方が精神感応者の情報を持ってきてくれた頃だ』

すると、あれを切っ掛けに相手も本格的に動き出したのかもしれない。
もっと以前から泳がされていた可能性もあるが、それなら地震後すぐに確保されていてもおかしくない。

木山『移送は治療の状況にもよるが、一日に二人から四人の予定かな。
   冥土帰しのところの病院車で一度に運ぶことも考えたが、流石に人目を引く。
   機材運搬用に偽装したワゴン車か小型バスくらいの車両を使うことになるだろうね』

誰かがこちらを注視しているかもしれない状況ではそれでも不安である。
しかも三、四回同じことをするのだ。

天井「……上条君との合流は?」

木山『検査でも何でもでっち上げて、冥土帰しの病院に呼ぶ。そこからこっそり同乗してもらえば良いだろう』

当然、でっち上げとは対外的なもので、本人にはあらかじめ話を通しておく訳だ。
やはり上条より、生徒達の移動段階が危険そうである。
木山や冥土帰しも随時方法は考えるだろうが、こちらでも色々検討してみるか。

天井「分かった。念を押すが、上条君への連絡の関係もある。少なくとも二週間前には教えてくれよ」

木山「あぁ。いつも助かるよ」

彼女の声には張りがあるが、同時に疲れも纏わせている。
あまりにも用件しか話していないなと内心苦笑しながら、天井は通話を打ち切った。





301VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 17:51:56.75tdYxKA4SO (1/7)

子供は全員で何人なんだ…?


302 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 19:04:09.46SvUyRVo20 (3/10)


・>>301 ちらっとしか書いてなかったですが、十人です


子供とはいえ人間が複数。
どうしても大掛かりになってしまうのは仕方ない。
とはいえ心許ないのも事実だ。

天井「人物xがMAR関係者だと確定すれば、やりようも……いや」

咄嗟に浮かんだ、別に騒ぎを起こしてそちらに救助隊を引き付ける、などという発想を放り投げる。
それではこちらが犯罪者だ。
また立て続けに不審なことが起こったら、何か隠したいことがあると言っているようなものである。

黄泉川の調査で上手く埃が出たら押さえてくれる可能性もあるが、それを当てにして動くのは不安定に過ぎる。
MARは生徒達を探っていた人物とは無関係の可能性もあるのだ。

天井「いかに自然に運ぶか、か」

研究室の窓から敷地内の駐車場を見下ろした。
教員や研究員の私用車や、長点所有の運搬用車両が整然と並んでいる。

一般の道路ではなく裏路地の類を辿るのは逆に目立ちそうだ。
大型の車両にも種類があり、例えば軽食の移動販売車などなら患者を乗せているとは思われないだろう。
だがそんな車が医療施設に横付けになっていたら異様なこと請け合いである。

モノレールやバスといった他の交通機関を利用することも一瞬考えたが、
担架などに乗せ上手く偽装したとしても三人だけで複数の子供は運べないだろう。
天井も運転はできる、三台の一般乗用車に分けて運ぶのは一つの案だ、が。

天井「人の出入りが少ない施設に突然車が押し掛けるのも変だろうか?」

出発点が木山の研究所なり冥土帰しの病院なり、どうしても経る手順というものがある。
即ち、現在生徒が居る施設にて移動手段に彼らを乗せ、目的の施設で下ろす。

天井「能力者の街とはいえ施設間を空間移動で、とはいかんしなぁ」

そういった能力者は総数が少ない。
それに昔のSF小説で描かれた所謂「テレポート」よりも、実際の能力は意外に飛距離が短いのだった。
基準として本人の身体やそれに準ずる質量を転移できる者が大能力者にランク付けされるが、
その中でも平均して一〇〇メートルに届くかどうか。

ものの試しに書庫を検索しても、アポートなど空間移動系全般、強度で絞り込みを行わずに五十数人。

天井「…………ん? なんだこの値は。データのミスではあるまいな」

かちかちと流し読んでいた能力の記述。
その中に、異常とも思われる学生が一人、居た。





303 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 19:04:37.69SvUyRVo20 (4/10)



能力名、座標移動。
強度は大能力。
一般的な空間移動が行使者本人、及び接触した物体を転移させるのに対し、離れた地点Aから地点Bへの移動が可能な能力。
原点を介さない転移は柔軟性に富むだろう。

そして。

天井「最大飛距離七〇〇メートル以上、重量三〇〇〇キロ程度……」

繰り返しになるが、一般に高位の空間移動能力者でも一〇〇メートル、また数百キログラムが良いところだ。
数値が誤りでないなら大能力者の枠に収まっていることさえ不思議である。
顕微鏡レベルでの精密性が無い限り、工業価値は超能力者に並ばないということだろうか。
しかし一般的なスケールでは精度も高水準を保っているようだ。

天井「何かの間違いではないのか。事実だとしたら……桁違いの能力者も居るものだな」

特異かつ最高峰の第一位や発電系能力の頂点である第三位を天井は知っているとはいえ、
あまりに他の空間移動能力者から飛び抜けているのはインパクトがあった。

その能力に相応しく名門中学校の一角に在校。
本人の名は、結標淡希。

天井「――これだけの有効射程なら、離れたところから乗降車させることもできるか……?」

あわよくば、停めておいた複数の車などを経由して更に足取りを眩ませられるかもしれない。
また空間移動系の能力は転移させた物体が行き先の物体を押しのけるように移動する。
つまり、カプセル様の保護機ごと転移すれば、最悪失敗しても壊れるのは車の方だ。

有効そうな手だった。
幾つかの問題を無視して良いなら、だが。

天井「当然、面識など無いからな。普段から実験やらに協力しているのかも分からん」

伝手が無いこと、依頼を受けてもらえるか分からないこと。
自身の生徒に研究協力を頼んだ時や、電撃使いの開発という共通項で御坂と繋ぎを取った時よりも難しそうだ。

他にも、事情をどこまで話すのかということ。
歳若い学生だからこそ冥土帰しの顔も効かないだろう。
状況だけ見れば辺りを憚るように、まるで木山達の方が違法な人体実験をしようとしているとも取れる。
良からぬ連中に狙われていると言って信用が得られるだろうか。
それにこの少女自身、口は堅いだろうか。

天井「うむ……。能力を見ればまさに活路だが」

拳で、こつこつと側頭を叩く。
こつこつと、そうしている間にも時間は刻まれていく。
天井は並ぶデータを睨んだ。


>>+2
どうするか





304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 19:06:08.13QmQWIicUo (1/1)

怪しいし別の手段を検討しよう


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 19:12:37.83Eg5OLCcOo (1/1)

念のためコンタクトの手段をいくつか考えておく


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 19:13:13.04vjNh94Uoo (1/1)

男は度胸
とりあえずやってみるか


307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 19:36:30.73tdYxKA4SO (2/7)

あわきんが素直に依頼受けてくれればなぁ…結構微妙だし、闇側の上に案内人だから上層部にさらに目をつけられる…。保険でですのも抑えておきたいな…
ただ、あわきんを抑えておかないと逆にテレス側があわきんに依頼して奪う方法を使われたら最悪過ぎる。


308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/08/21(火) 19:46:18.03a5ZWZqQuo (1/1)

あわきんは仲間想いだから、その辺りから同情をひけば、と思うが
そんな事情を天井が知るわけもなく……


309 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 20:51:26.08SvUyRVo20 (5/10)



天井「……先に方法だけ考えてみるか」

ふぅっと息を吐いて手を組んだ。
青髪少年の口利きで上条と会ったのと違い、この結標という少女と天井達の間には中継点が無い。
無い以上はこちらで作らねばならない訳だ。

天井「一度使った手だが、研究上での実験協力を捻り出すか」

一方通行を木山と会わせる為にしたことと同じ。
研究者が能力者にコンタクトする手段としてはスタンダードだし、連絡先についても最悪向こうの学校を通せば良い。
しかし、万能な第一位の場合に比べそれらしき名目を考えるのが難しそうである。

天井「複雑な演算を要する空間移動自体は私の研究、筋ジストロフィー患者の身体制御と噛み合わせが悪い……。
   実験環境にこじつけるなら『落下時など不自由な状態での制御実験』とか、そんなところだろうか」

離れた地点同士で転移させられる能力なら、設備の整った実験室内で延々落下状態を作ることができる。
とかなんとか。
若干無理はあるが、この案を使うことになったらまた考えるとしよう。

天井「もしくは、初めから依頼のために面会するかだが」

第一位の時は彼が長点に籍を置き、また居所も不明だったためあのような手順を踏んだ。
今回の場合なら直接会いに行くことも可能である。

その際は長点上機学園の研究者ではなく冥土帰しの協力者として名乗るのが良いだろう。
善良な名医としての名が知れていなくとも、きちんとした医療機関に勤務する医者というだけである程度信憑性はある。

あるいは御坂のようにメールから入るか。
あの時は御坂の学校が一律のメールアカウントを生徒に付与していたからできたことである。
結標に対して同じ方法を使えるかはきちんと調べてみないと分からなかった。

天井「それと、依頼の交渉に関してはあらかじめ木山達と相談しなければな」

どの程度事情を話すかという匙加減は、天井が勝手に決めて良いとも思えない。
少し話しただけで受けてくれた上条のような相手なら問題はないのだが。
互いを見極めるという意味で、当事者の木山と直接会わせる必要もあるかもしれない。

――こんなところだろうか。
いずれにせよ全く縁もゆかりも無い相手への連絡である。
方法にもよるが、依頼が上手くいくかに関わらず少し時間は掛かるだろう。


>>+2
どうするか





310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 20:59:40.499IwUu1vSO (1/1)

ksk


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/21(火) 20:59:42.20eO64Slolo (1/3)

取りあえず接触する


312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 21:03:50.02tdYxKA4SO (3/7)

え、理由付けとか木山達との相談も何にもなく…?


313VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/21(火) 21:07:48.11eO64Slolo (2/3)

別に接触だけだから計画を話すつもりもなければ相談は必要ない
研究分野では外れているかもしれんが長点の研究者ってそれ相応に実力のある奴だって印象はあるだろ?

理由付けが多少アレでも興味があったで通るんじゃね?


314VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 21:08:52.30UVSOiXQGo (1/3)

ある意味カリスマ


315VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 21:09:19.06UVSOiXQGo (2/3)

誤爆


316 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 21:09:20.62SvUyRVo20 (6/10)


>>+2
接触の方法はどうしよう?




317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/21(火) 21:11:11.36SPZUS3JJ0 (1/1)

メール送る


318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 21:11:45.16tdYxKA4SO (4/7)

実験の依頼という形でメール


319 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 21:56:52.47SvUyRVo20 (7/10)



肘を突いて物思いに沈んでいた天井は、おもむろに頭を振った。
ぱさ、とサイドの髪が頬に掛かる。
最近気を取られることが多く若干伸びていた、この件が片付いたら散髪に行こう。

天井「依頼をどうするかは考えていても仕方がないな。まず会ってみなければ性格も分からん」

本題の前段階として、やはり研究の方面から攻めることにする。
初めから移送のことを持ち出すのは早急だと思ったのだ。

後は連絡先だが……。

天井「まずは直接メールできないか調べてみるか」

御坂の時は学校アドレスの存在が出てきたため、それを使用できた。
結標に繋がる情報が見付かると良いのだが。
何しろ今は時間があまり無い。
ざっと洗って発見できなければ次の方法を考えた方が良いかもしれない。


>>+1
調査の成果
※コンマ判定  ★修正+20

  - 4:ファンブル
  5-49:失敗
 50-94:成功
 95- :クリティカル





320VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 21:57:10.89UVSOiXQGo (3/3)

ほい


321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/21(火) 21:57:31.98X1r9j1qo0 (1/1)

ksk


322VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 21:58:12.90tdYxKA4SO (5/7)

おっほぅ


323VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/08/21(火) 22:02:01.57n2Sk7k7Oo (1/1)

やるな!


324VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/21(火) 23:06:25.6395a4jiZr0 (1/1)

>>1は寝てしまったのだろうか


325 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 23:50:57.68SvUyRVo20 (8/10)


・起きてますよー


天井「ふむ。この学校もアドレスを学生に付与しているようだが……」

校名などそれらしい英単語を幾つか検索してみると、同じようなアドレスが引っ掛かる。
御坂の学校と同様、生徒番号を用いたものだ。
このようなシステムを採っている学校組織は多いのかもしれない、が。

天井「弱ったな、任意で変更できるようになっているのか」

生徒番号と@以下のドメインだけのアドレスも散見されるが、そうでないものもある。
どうも、英数字と番号を組み合わせた形にできるようだ。
確かに番号をそのまま使う方式では、天井のように知人以外からも容易にメールが送れてしまう。

祈るような気持ちで、結標の生徒番号を当て嵌めたアドレスの後半だけで検索。
と、

天井「これは……」

それらしきサイト名を、天井はクリックした。





326Oo。 あわきん& ◆CB2ZE9RQC9mY2012/08/21(火) 23:51:34.35SvUyRVo20 (9/10)



☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆

 ◎テストー!!!(3日目)
                7月17日 20:37


 やっと3日目だし……(;´▽`A

 しかも苦手な古文があってサイアク(*・ε・*)

 能力でカンニングするのOKな学校って多いケド、

 わたしのトコ厳しいんだよねー(〃´o`)=3

 やるならバレないようにやれとか。。。

 先生が言うことかッ(ノ-_-)ノ ~┻━┻・..。;・'

 しないけどさ(笑

 あーーーー、絶対80点切ったわ古文( ̄□ ̄;)


 ムカつくしS田のヅラ飛ばしてやろーかしら。。。


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆

 〈4件のコメント〉


 ○● さんより        7月17日 21:02

  カンニングなんて能力向上のためでも
  褒められたことではありませんの
  あわきんさんは潔白な方ですのね


 あわきん より        7月17日 22:35

  > ○●さん
  コメントありがとうvV

  潔白って(笑
  だって教室にAIM測定器あるんだもん。。。
  カンニングさせる気ナイよね先生(≧ヘ≦)

  ところで○●さんって何て読むのー??


    :
    :
    :


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆

 ◎Profile

  名前:あわきん

  性別:♀

  年齢:中2

  能力:ひみつ

  連絡:awa2kin-s0120164★mail.~
  (★を@に変えてね!)


☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆*゚ ゜゚*☆





327VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 23:52:18.57tdYxKA4SO (6/7)

随分可愛いなオイwwwwww


328VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 23:53:39.88znDtS7nno (1/1)

あわきんかわいい


329VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/08/21(火) 23:54:36.82eO64Slolo (3/3)

まあ普通の中学生はこんなもんだろうなww


330 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/21(火) 23:54:45.29SvUyRVo20 (10/10)



何だか連絡一つに手を尽くしている自身が哀しくなった。
画面にはセンスは良いデザインの、しかし派手な色彩が踊っている。

学校からのアドレスを事も無げに公開しているが、
無料アドレスより迷惑メールフィルタが充実しており逆に安心だからだろうか。
学校のサーバに掛かる負担を考慮してあげてほしいものだ。

天井「……まぁ、高位能力者とはいえ中学生だ」

とはいえ、使い手が幼かろうと彼らの能力が強大であることを、天井は知っている。
子供だからといって必ずしも純真ではなく、大人などより深みにあることもある、そういうことを。
特に空間移動系など直接的な殺傷力になり得る。
年齢相応の面を見たからといって、一つも油断する訳にはいかないのだが。

天井「しかし……どうもな」

これまでも調査の過程で掲示板やブログを見ることはあった。
今に限って妙な気分になるのは、これを書いたのが飛び抜けた力を持つ大能力者だと前提知識があるからだろうか。

記憶の中、後ろ暗い場所に身を置く学生のことも、ちらりと目にしたことがある。
あるいは路地裏にたむろするスキルアウトも。
もしかしたらあの第一位さえも。
どこか、どうしようもなく子供な部分を持っているのかもしれない。


>>+2
実験の名目は「落下時など不自由な状態での制御実験」で良いかどうか
(変えたい場合、できれば案も)


・しかし寝るます
 というところで今日はこれまでに
 安価などご参加ありがとうございました


・週3日ペースとか言いつつ、ちょっと所用により土日から纏まったお休みを取ります
 具体的にはバイト探し
 期間等詳細は後ほどご連絡します


・前レスの名前欄は

 Oo。 あわきん's Blog 。oO

 でした
 ちゃんと出てなくて泣きそう





331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 23:55:00.88U6dAa6Cvo (1/1)

ksk


332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/21(火) 23:59:53.74tdYxKA4SO (7/7)

落下云々+空間移動の対象となった場合、移動後も差異なく機能するか+任意で、肛門付近の筋肉が変性し、上手く排泄ができなくなった人の為にあわきんの演算パターン入力し、排泄物の移動ができないかを


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 00:23:55.32daEum+NSO (1/5)

ちなみにウンコ云々を入れたのはあわきんが後に起こすレムナント事件も潰せるかと。機械が能力行使をしてるのを見せて、諭せば何か心変わりするかな、と。

決して趣味ではない


334VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 01:05:37.136HkJxRfRP (1/1)

あわきんの演算パターンを入力しウンコの移動ってそれ能力使わせるってことか?そりゃ無理だろ…
と思ったら機械見て云々ってことは機械にウンコ飛ばさせんのか
ウンコなら質量はクリアだろうがウンコってこびりつくし腸内じゃまだ固まってないから
ウンコのカスみたいなのが残っちゃうんじゃね?下痢なんかリアルクソっ垂れになるぞ
精密にやろうとして腸内ごとウンコ飛ばしたら大惨事だしちょっとキツいものがあるな
いやそもそも機械にウンコ転移ができるほど研究進んでたか?それ凄くね?
どのみちその実験を行う天井も結標もウンコマンになるので個人的な意見としては抗議もやぶさかではない所存である


335VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/22(水) 01:24:03.98OGsXclUb0 (1/1)

排泄物は女子中学生には抵抗が強いんじゃないかな
子供や老人が異物誤飲した場合の異物の取り出しや
嚥下不良の患者の誤嚥物の取り出しの方が抵抗が少ないと思うんだが


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 01:34:24.61daEum+NSO (2/5)

>>334確かにもっともな意見だとは思う。ただ、ある程度はクリアできるのではないか、とは思う。
例えば、確かに腸内に残るウンコ等に関しては座標移動が入力された機械だけでは精密さに欠けるからこびりつき、衛生面に問題がある。
ただ、足りないなら補えばいい話で、腸内内部のみをスキャニングできる小型MRIを搭載、演算機械とリンクさせ、リアルタイムの腸内のデータと照合、行使出来れば腸内洗浄が可能。
下痢等の形象崩壊であっても便器に転移、あるいは補助として専用の携帯トイレを作れば。
後確かにこのスレでもまだ機械による能力現出は試作段階だが、将来的には充分可能になるlevelであるから、座標移動も今から研究していけば完成品が第一号に実装できるかな、と。
後、関西が言ったみたいに女子中にはこの手のはキツいかな、と「任意」にした。
異物云々は思い付かんかった…


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 01:40:43.75L5QRCBb8o (1/1)

じゃあ、ジョジョに慣らしていくということで


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 03:40:18.31dSP67r3DO (1/1)

またおまえかSO
なんで一回注意されたのに連続するん?


339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 03:47:02.29daEum+NSO (3/5)

あれ、コンマでも安価挟んだらよかったんじゃなかったっけ?
すまん別スレと勘違いしてたかも


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 04:09:51.75daEum+NSO (4/5)

>>3読んだら普通にアウトだったマジごめん


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 11:40:45.50p+9i4hKDO (1/1)

暫くぶりに読みにきたらウンコだらけでびびった。
とりあえず天井君のために対案出した方がいいと、おじさん思うな。
…俺は対案よりバリウム残らず出して仕事に戻りたい。



342 ◆swvbTl1ZUU2012/08/22(水) 12:49:41.65mI2MvM0w0 (1/7)


・こんにちは、今日も進めます
 安価待ってご飯食べてから書くので3~4時台になるかもしれませぬ


・紛らわしい仕組みで申し訳ありません >>連続判定
 一言にしますと「コンマは安価に含めない」です

 また>>1 自身そこまで厳密にチェックしていた訳ではないので、
 過去を辿ると連続が通っているのも見つけたのですが、遡って修正はしません
 (今から変えてしまうと話に齟齬が出て破綻する恐れがあるためです、ご了承ください)

 もう少し気を付けて確認するようにいたします


再安価
>>+2
実験の名目は「落下時など不自由な状態での制御実験」で良いかどうか
(変えたい場合、できれば案も)





343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/22(水) 12:51:20.63I6fu6ug80 (1/1)

ksk


344名無しNIPPER2012/08/22(水) 12:57:19.02dOh0xQHY0 (1/1)

それで良い


345IDに顔が並んでる>>1 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/22(水) 12:59:30.80mI2MvM0w0 (2/7)


・酉間違えました恥ずかしい

・再安価ありがとうございます
 >>344 から続きとまいります




346 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/22(水) 14:48:22.55mI2MvM0w0 (3/7)



うむ、それにしても、もう少しもっともらしい題目は無いだろうか。
そうしてしばらく考え込んでいたものの妙案も浮かばない。
椅子の背を倒し、普段はあまり使わないボールペンをくるくる回していた天井は、諦めて身体を起こした。

天井「ここで時間を浪費している訳にもいかないか。会う切っ掛けになれば良いと割り切ることとしよう」

かちり。
起動したメーラーソフト、新規編集の真っ白な画面を睨む。
送信元は長点で使っているメールアドレスだ。
Iの字のカーソルだけが数回瞬き、天井はキーボードに指を乗せた。

向こうからすれば全くの他人から突然メールが送られてくることになる。
多少の警戒は仕方ないにせよ、なるべくそれを軽減せねば。

天井「長点上機学園付属施設の名簿と……昔発表した論文が収録されているデータベース……」

最低限、身分とまともな研究をしていることを示すために幾つかサイトを付記する。
スパムメールと間違われないよう、URLを直接記述するのではなくサイト名だけに留めた。
こちらから提示しなくとも向こうが勝手に調べるであろうが念のためである。

簡潔な挨拶、協力を請いたい実験の概要。
まずは会って話せないかという旨。
それに、身元証明のためのサイトなど数行。

天井「研究上は、駄目でも問題無いとはいえ……。あちらの件の切り札になるかもしれない相手だ、上手くやりたいな」

うっかり覗き見たブログの内容によれば、昨日、十七日が考査の三日目ということだった。
教科数によっては今日もテスト期間かもしれないが、メールを読むのは終了後だろうから送っても大丈夫だろう。
終業式のある明日にもテストを行う可能性は少ない。

たん、と軽い音と共に、一通のメールは電子の網に放り出されていく。
後は待つだけだ。
椅子を回して視線を遠くに遣り、天井は一時的に研究の方へと思考を切り替えた。


夕方、やっと夏の日が落ち掛かる時分に数度の遣り取りをし、何とか会ってみるところまで漕ぎ付けた。
名門校の生徒らしい整った文面からは不審も信用もまだ読み取れない。
相手にとっても、休みで予定が空くし話だけでも訊くかという雰囲気だ。

天井「何となく澄ましたようなイメージはあるな。そういう年頃か?」

大人びたメールは単にブログでの口調とギャップがあるからそう感じるのかもしれない。

向こうが候補を挙げ、こちらが選んだ日時は二十日の午後、五時から長くとも七時まで。
つまり明後日だ。
状況の進行としては良いペースだろう。
願わくは、面会の内容も実を結べば良いが。

茜色が鈍っていく外気を背に、深く息を吸った。


>>+2
明後日の対面時にどんなメンバーで会うか
※天井は参加
(連れていけるのは研究関連で妥当な人のみ、複数可、天井の単騎可)





347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/22(水) 14:55:59.78hzKnkEch0 (1/1)

木山、布束を連れて行く


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 14:57:10.59OSTBYdaqo (1/1)

単独


349 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/22(水) 16:24:12.08mI2MvM0w0 (4/7)



結標の通う学校は長点と同じく第十八学区にある。
学校のサイトをチェックすると学生寮も同学区のようだった。

面会場所については色々悩み、半個室の席がある落ち着いた喫茶店を予約してある。
布束のレビューを参考に堅苦しくも馴れ馴れしくもならないよう選んだつもりだが、正解かは分からない。
事前に下見した限りでは成人女性をターゲットにした風情で、同行した布束によると所謂「綺麗め」だとか。
その割には浮ついた空気が無く天井にも居易かった。

そういう訳で約束の日の夕方である。
といっても空は未だ水色を保ち、まさに学業から開放されたばかりの学生達がそこここに歩く。
余った区画を整備しただけのような何も無い小さな公園の前に天井は立っていた。

天井「暑い……」

日陰に居り、時間的にも涼しくなる一方といっても暑いものは暑い。
持参した鞄から重要度の低いファイルを取り出しばさばさと扇いで待つ。

多方面から風流さが足りないなどと言われそうだが、団扇か扇子でも用意するべきなのか。
暑いなら脱げば良いという極端な人物を知っているだけにその辺が疎くなって困る。
今日はあくまで研究の話題から入るということで連れて来なかったが、彼女は今も冷房の効いた実験室に居るだろうか。

植木で区切られた地面を軽く振り返る。
公園は奥側にも出入口があるのだ。
結標はどちらから来るだろう。

天井「そろそろ時間だが、まだ見えないな、――?」

ひゅ、と。
ほとんど聞き取れない小さな音がした。
続いて、さり、と地面を踏むような。

天井「!?」

??「――驚かせてしまったかしら。ちょっと前の用が長引いちゃって、急いで来たのよ」

再び道路側に向き直った時、既にその少女は傍に立っている。
赤味を帯びた茶の長髪を二つに結い、目は少し気が強そうな。

??「結標淡希よ。あなたが天井博士?」

天井「あ、あぁ」

タンクトップにショートパンツ、緩めにパーカーを羽織った結標は、にこりと笑った。


>>+2
天井は……
※結標への対応の方針





350VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 16:31:48.40daEum+NSO (5/5)

自分移動をできるってトラウマ前か?是非とも協力して欲しいなksk


351VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/22(水) 16:33:32.36IKA7/P7n0 (1/1)

紳士に振る舞う


352 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/22(水) 19:01:52.46mI2MvM0w0 (5/7)


・参考:あわきんトラウマ事件は中三の時
    (本編の二年前、このスレ現状の一年後)


結標「へぇ、洒落たお店」

店側も居心地には気を使っているのだろうが、想定客層が高めの店内で少女はゆったりと座っている。
葉の種類まで一々書かれた紅茶のメニューをふむふむと眺め、萎縮した様子は特に無い。
道中に弄んでいた、服装にそぐわない警棒のようなものは、今は腰のベルトに挟まっていた。

天井「良かったらケーキのセットを頼もうと思うが、食べられる気分かな」

相手が子供の場合、敬語を使うことと丁寧であることはイコールではない。
結標の方が気軽に話しているのに合わせ礼儀を失しない範囲で天井も口調を崩していた。

結標「あら、じゃあ遠慮無く。カヌレと……紅茶の銘柄は詳しくないのよね。ダージリンにしておくわ」

天井「カヌレ……?」

結標「外側がカリカリした、どっちかっていうと焼き菓子よ。ケーキセットのメニューにあるのは珍しいかも」

黄泉川と話した居酒屋と少しだけ構造の似た席である。
意外とがっしりとしたテーブルを壁際に、その前後はアンティーク調の飾り棚。
棚にはところどころドライフラワーや良く分からない置物が鎮座している。

残り一辺は藤でできたパーテーションで、適度にプライベートな空間を作っている。
勿論注文や配膳の為に全面は塞がっておらず、密室で違法行為が行われるのもそれとなく防いでいた。
天井と結標では武力的に、危険があるとしたら成人男性のこちらだろうが。

開発官として高位能力者に慣れたとしても、手にしたメニューだけで首を刎ねられる能力に僅かな不安はある。
表には出さないし相手もそんなことはしないだろうけれど。

ウェイトレス「――ご注文をお伺いします」

天井「ん、あぁ。ケーキセットを二つ。彼女がカヌレとダージリン、私はこのラズベリーのケーキとカモミールティー」

ウェイトレス「かしこまりました」

メニューを棚に差し、そっと去る店員。
一瞬、互いに口を開かない空間、に遠い席の囁きと弦楽器の音が流れた。

天井「――改めて自己紹介を。私は天井亜雄、筋ジストロフィー患者の動作補助機器を研究している。
   まずは簡単にそれについて説明させてもらって良いかな」

結標「えぇ。お願い」

紅茶が淹れられ、運ばれるまでの微妙な時間は前提の説明に使うことにした。
心持ち姿勢を正した少女を前に、ここ数年取り組んできた研究テーマの概要を口にする。





353 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/22(水) 19:02:25.85mI2MvM0w0 (6/7)



筋肉が衰える病と、学園都市の能力を利用した身体制御の可能性。
クローン技術を取り入れた、機器による能力の再現と応用。
それらを淡々と伝えていたはずだった。

天井「具体的な方法は省くが、脳以外の神経系と人格データ、擬似AIMにより、
   限定的に能力と同様の現象を引き起こす――ん、気になるところが?」

結標「いえ、その……その段階は、脳を使わない再現は成功しているの?」

言葉だけを取り出せば単に興味を持ったとも取れる。
しかし。
少女はずっと、同年代の中ではお姉さん的と評されるような落ち着きを保っていたはずだ。
今は見開いた目を辛うじてこちらに合わせ、驚きと、打ちひしがれたような色に表情を染めていた。

天井「……ごく単純かつごく微細には。一応このことは口外しないでくれると助かるよ」

言葉に反応したか、きゅっと唇を噛んでいる。
天井はただ戸惑うしかない。
能力に誇りを持つ高位の者には、装置で代用できることが受け入れ難いのか。
今までの協力者にそういったタイプが居なかったため想定を損ねていた。

天井「とはいえあなたの様な複雑な能力はとても無理だし、成長もしない。決まりきった動作をする機械に過ぎないが」

結標「それは。でも……研究が進めば、強度を上げたり私みたいな能力も?」

テーブルに乗った細い手が拳を握り、関節は白い。
小刻みに震え始めた様子は尋常ではなかった。
驚愕を通り越し恐怖のような。

天井「例えば電撃使いの能力で、ある程度電圧を上げることはできるし、現在試みている。
   しかし私の手法では、完全に自在に電気や磁気を操るのは今後も不可能だろう。あなたの座標移動もだ」

事実だ。
所詮、天井がしているのは反射的能力行使のパターン化と組み合わせ。
人体を動かすという、限られた用途の動作や信号にそれらを対応させているだけなのだ。

結標「本当に……?」

天井「あぁ」

縋るようだった。
ほっとしたようだった。
目に見えて身体の緊張が緩んでいた。
そこまで、機械による再現が許せないのか。

……それだけではないような気もした。

結標「なら、良いの。大丈夫。もう大丈夫。…………ごめんなさい、取り乱して。」

天井「いや、こちらが無神経だったよ、申し訳ない」

能力だけがアイデンティティー。
能力だけがプライド。
結標が仮にそういう個性を持っているとして、能力が否定されたならあんな風に恐れるだろうか?
激昂ではなく慄くのは何故。

他人の心情など、知ることはできないが。





354 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/22(水) 19:02:51.66mI2MvM0w0 (7/7)


・半端なところで恐縮ですが、外出予定のため本日はこれで
 最後に安価無しで申し訳ないです

 続きは明日に(ネットに万が一のことが無ければ)
 どうぞよろしくお願いします





355VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 19:03:20.71IO6zSq1Mo (1/1)




356VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/22(水) 19:05:37.08QuFRY4QO0 (1/1)

乙!
いってらっしゃ~い


357VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/22(水) 19:44:22.1011COpeoPo (1/1)

そうか、あわきんならそこに行くのか


358VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/22(水) 21:06:37.32S6Fw53oio (1/1)

乙でした


359VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/23(木) 12:23:38.15zFfpQpKm0 (1/1)

縺翫▽


360 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/23(木) 14:51:05.04ahd4ZjmDO (1/2)


・久々に ネットが 超不調
 取り敢えず夜にまた繋がるか試します
 今日は進められても少しだけになりそうです、すみません





361VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/23(木) 20:04:52.10gXUlEnAbo (1/1)

しかたない、つなげておこう


よいしょっと


362 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/23(木) 20:59:58.19ahd4ZjmDO (2/2)


・時間を置いてチェックしているのですが、やっぱり繋がらないみたいです……
 待って下さっている方、申し訳ありません
 明日こそ繋がったら続きます


 何が辛いって禁書wikiとか類語辞典が見れな(ry




363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/08/23(木) 21:52:38.72OOu9/8TUo (1/1)

常時接続で契約しているんなら、
頻繁に繋がらない現象には、プロバイダに強く文句を言って良い。


364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県)2012/08/23(木) 22:57:33.51eDqPy0gto (1/1)

メインヒロインの布束ちゃんは今どうしてるんだっけ?


365VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 05:38:55.441UIYBIcSO (1/2)

ふと思った。この天井くンシリーズが始まってからスレ内で何年か経過した訳だが、各年度の天井くンバースデー、クリスマス、お正月、バレンタインデー時の天井くンはどんな感じだったのか。途中からは布束ちゃんが一緒に研究し、木山てんてーもちらちら参加。黄泉川も飲み友。何か、何か、何かしらはあったんではなかろーか!


366 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 13:21:46.54wTpg1KPq0 (1/9)


・ひゃっはーネットだー
 こんにちは、再開いたします

・>>363 アドバイスありがとうございます
 今使っているネットは自分で選んで契約したのではなく、家賃に込み、感度の悪い微妙な無線LANなのです
 半ば諦めているのでバイトが決まったらイーモバイルを挿そうかと思っていたり

・来ないと思いますが念のため、ここ数日の板荒らしはスルーかつ安価下扱いにいたします


遠目に様子を窺っていたらしいウェイトレスが、表面上は何事も無かった風に注文の品を運んできた。

結標には、縁の高い中くらいの平皿に、焦げ茶で円柱形に近い焼き菓子。
形状は実際もっと複雑で真上から見ると凹凸のある花のように見える。
あれがカヌレというらしい。
天井の前にある、薄紅や赤が層になったケーキに比べかなり地味で、添えられたアイスに掛かるソースがほぼ唯一の彩りだ。
だが、とても香ばしい。

茶はそれぞれ丸い陶器のポットで置かれ、小柄なカップに一杯分ずつ、店員が注いでいった。

天井「一先ず食べようか」

結標「……えぇ。いただきます」

互いに、飲み物を一口。
すぅっとした甘い匂いが口蓋に広がる。

気まずい。
少女はぎこちない手付きで、カヌレを切り分けようと試みていた。
見た目の印象よりも外は硬いらしく、銀のナイフで四苦八苦する。

かつん、ようやっと刃が通り、後は開かれた内側からあっという間に切り分けられていった。
一欠けが小さな口に運ばれるのを見て天井もケーキに手を付ける。
味は良く分からなかった。

結標「お上品に食べるのって大変ね。いっそ手掴みで齧り付けば良かったかしら」

肩を竦め、しかし表情は少しだけ緩む。
その姿はクラシックな店内に再び馴染みつつある。
衝立の向こうに飾られた絵画の女性のように。
落ち着いたばかりで実験の話題を続けるのも何だし、しばらくは雑談でもしていようか。

天井「……しばらく夏休みだが、名門校だと講習などが詰まっていたりするのかな」

結標「名門って言っても、ウチは高位能力者がそこそこ在籍してるってだけよ。
   常盤台みたいに厳しくもないし……だから実験協力とか受ける余裕もあるんだけどね」

話は一瞬で元のところに戻ってきた。





367 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 13:22:48.95wTpg1KPq0 (2/9)



結標「ねぇ。思ったんだけど、博士の研究って機械が能力を使う訳ではないわよね。厳密には」

どころか喰い付いてきた。
純粋に興味もあるのか、もしくは機械に再現できるはずがないと確認したいのだろうか。

天井「行使するのは、脳ではないが人体のパーツだからな。能力の主体はあくまで人間だと言えなくもないよ」

結標「脳でないなら思考も演算もできない……人間だと言い切ってしまうのにはハードルが高そうね。
   なら、能力に必要な要素を、どこまで人間以外が肩代わりできるか、というのが命題かしら」

天井「ふむ。どちらかというと病の治療という目的に主眼があるのだが。理論的にはそうなるか」

あの機械において能力を発現するのは人間かどうか、か。
よくよく引っ掛かる問いだ。
逆説的に、「能力を使えるのは人間だけだ」とすると「あれの中の脊髄は人間だ」ということになる。

結標「……本当に、空間移動は再現できないの? その装置の原理を詳しく知らないから何とも言えないけど、
   演算が複雑なだけならCPUの性能を上げればいいじゃない」

相手の話を聞きながら甘味を口にし、飲み込んでは応えを返す。
これでは同僚と摂る昼食と変わらなかった。
遣り取りに気を取られ、ラズベリーの複雑な香りも内装に垣間見える深い木の色もあったものではない。

天井「詳細は伏せさせてもらうが、私の手法で起こせるのは、電撃使いなら微弱な静電気程度のものなんだ。
   それを同時か短時間に何度も発生させ、重ね合わせることで必要な力を得ている。つまり――」

結標「十一次元上の現象を重ね合わせるのが難しい?」

天井「そういうことだよ」

流石大能力者と言うべきか、理解が早いことだ。
そもそも空間移動は、読心能力などと並んで一般の物理現象から遠い能力の一つである。
念動力や肉体変化とて常識からは逸脱しているが、
具体的な力、体組織の限られた変質という形で、まだ数値化しやすいのだ。

ふぅん、と呟きそれっきり少女は焼き菓子に意識を移す。
いや、一度、面白いわねと呟くのを天井は聞いた。

天井(しかし、どうしたものか。今は錯乱する様子も無いが……実験協力の時点で問題があっても困るぞ)

そろそろ二人の食べているケーキも減りつつある。
茶で口を潤すだけになったら、本題の依頼に話を進めなければならないだろう。

始めは研究内容に過剰な反応を示したものの、どちらかというと興味に移りつつあるようだ。
予定の実験の内容はそこまで時間を圧迫するものではなく、多くはないが妥当な報酬も提示できる。
このままいけば受けてくれる可能性が高い。

天井(不安だ……研究に関わってもらって平気だろうか)

だがここまできて、こちらから依頼を取り下げるのは不誠実だとも思う。
かち。
ぼうっとしていた自身のフォークが、空になった皿を突いた。


>>+2
どうするか





368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 13:24:25.48faH3cQxY0 (1/1)

実験協力をお願いする


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 13:24:59.221NKtzfTBo (1/1)

お願いする。ついでに交友を深めておく


370VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/24(金) 14:40:55.13opFvTjfso (1/2)

あすなろ園へgoか?


371VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 15:45:00.85dFGLAHGX0 (1/1)

あわきんはまだ案内人じゃないんだな



372 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 16:11:01.17wTpg1KPq0 (3/9)


・遅くなりました


少女は天井よりゆっくり食べている。
一片のカヌレを小さく咀嚼し、もう一つ、それから目先を変えてアイスを掬う。
漂うカラメルのような匂いはとても甘そうだが、カヌレかアイスのどちらかは控えめな味なのかもしれない。

ふ、と目が合った。

結標「あら。食べるのが遅くてごめんなさい」

天井「昼が少なくて腹が減っていたんだ、私ががっついてしまっただけだよ」

結標「分かるわ、ついフォークが進むもの」

微かに笑う姿だけでは、強大な能力の持ち主には見えなかった。
年齢も容姿も有する武力と比例することはない。
まして、ここまでの会話や澄ました佇まいを思い返せば、能力への自意識は高い方だと見て取れるのだが。

天井(だからこそ、研究が気に食わなくとも潰すような真似はしない……か?)

存在自体がグレーゾーンなものならともかく、正式な表の実験なのだ。
妨害が表沙汰になれば、最悪犯罪扱いである。
都市の学生として立場を損なうような愚かな行いはすまい。

結標「――ん、ごちそうさま。美味しかったわ」

天井「どういたしまして」

少し温くなったカモミールティーを味わう。
当初の予定通り、依頼から関係を築けるように努力してみよう。





373 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 16:11:32.33wTpg1KPq0 (4/9)



天井「これが実験の計画書だ。あなたには、機器の動作実験に協力してもらえればと思っている」

ケーキの乗っていた皿が撤去され、丁寧に拭き清められたテーブル。
二組のポットとティーカップは脇の方に寄せて、天井は数枚の紙を手渡した。

結標「ふぅん……つまり、データを取るのに充分な時間、落下状態を維持したい訳ね」

天井「そういうことだ」

ぺらり。
緩やかに区切られた空間に乾いた音が響いた。
今回に限れば、あくまで実験の条件を受け持ってもらい、
クローニングのためのサンプル採取などはしないため抵抗は少ないと思われる。

結標「実験は一回?」

天井「現段階では。自由落下が能力の制御に影響を与えないこと、あるいは影響のデータが確かめられれば良い。
   実用化が進めば、被験者が装着した状態で同様の実験を行いたいが……これは未定だよ」

そもそも彼女とコンタクトを取るためにでっち上げた実験なので、一回目でさえ半分未定状態である。
無事実験に漕ぎ着けたら、数日で必要な機材を揃えねばならない。

結標「……というか、加速度を掛けたいなら落下じゃなくても良いんじゃないの?
   車に乗せるとか、紐状の物に括って回転させるとか、方法はあると思うのだけど」

そこを突かれると痛い。
それらしき理屈を用意してはあるが――、

天井「いや、支えの無い落下状態というのが重要なんだ。
   装着した患者が万が一足を踏み外したりした場合、素早く正確な動作ができないと困るだろう?
   車やエレベーターに乗るだけでは、動作に急を要することは少ないからな」

という建前である。
考えてきた台詞を並べ立てるのに、つい早口になってしまった。
畳み掛けるようで怪しくなかっただろうか?

結標「ふむ。その他条件は……あ、ここに書いてあるか」

天井「あぁ。準備の関係があるから明々後日以降、都合の良い時間帯を指定してくれて構わないよ」

少女はあまり気にしなかったようだ。
サイドの髪を片手で弄びながら、目はじっと文面をなぞっている。

結標「――そういえば、私みたいな学生に依頼することは多いの?」

何ということもない一言だった。
第一位について口にすることは避け、こちらも簡単に返答する。
クローン元の彼らにもプライバシーの問題があるため能力名などは明かせない。

天井「当然、能力のサンプル……というと言い方は悪いが、再現のためのオリジナルは皆学生だ。
   今は大学に進学している者が数人、それにあなたと同年代の者も居るな」

結標「同年代?」

まぁ、これくらいは良いだろう。
氏名や学校を言わなければ。

天井「一つ下、今年度で中一の少年だな。もっと以前から参加してくれているのだがね」

結標「分かったわ。受けましょう」

ん?





374 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 16:12:01.79wTpg1KPq0 (5/9)



結標「できれば、そう、他の協力者にも会ってみたいわね。その歳が近い子って忙しいかしら」

天井「最近は彼との実験も無かったから、訊いてみないと分からないな。
   ただ今回の実験は他の能力者を元にした装置で行うから、彼が居てもすることは無いと――」

結標「良いの、色々お話をしてみたいだけだから。あっ、別に研究について探りを入れる訳じゃないのよ」

何だろう、この積極的な態度は。
どうも研究とは別の方向で妙な予感がする。
雲行きが怪しいというか。

天井「あ、あぁ……。連絡はしてみようか。
   だが向こうの都合になるから、無理かもしれないというのは覚えておいてくれ」

多分、女の子が会いたがっていると伝えたら万障繰り合わせて飛んで来るとは思う。

結標「うーん、じゃあできるだけそちらに実験の日程を合わせるわ」

天井「そ、そうか。では日時はメールで相談ということで良いかな」

結標「えぇ、そうしましょう」

この満面の笑顔である。
感情を表に出す度合いとして、天井の研究内容に動揺していた時より激しいように見える。

押し切られるままに話を決められ、さっさと立ち上がり、気が付いたら革風の伝票入れを持って会計に向かっていた。
レジの横できょろきょろと調度を眺めている結標の髪が揺れ、まるで犬の尻尾のようだった。


結標「じゃあ、よろしくね」

天井「こちらの台詞だよ。よろしく頼む」

軽やかに、座標移動も使わずに去っていく後ろ姿。

天井(青髪少年は実家に帰っていた――などと誤魔化すこともできるが。どうしようか?
   そもそも、何にこんな危機感を感じるんだ?)

その不安の出所は分からない。
一抹どころでない感情を抱えながら、天井は藤色の天を見上げた。


>>+2
結標と青髪を引き合わせるか


・ちょっと睡眠欲が酷く文が書けないので一度離脱します
 夜にまた来ると思います





375VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 16:13:30.82GQdCdgh2o (1/1)

会わせようぜ


376VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 16:15:32.55e8Q65hQKo (1/1)

まあ問題なさそうだし会わせる


377VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/24(金) 16:16:25.09opFvTjfso (2/2)

青ぴとかみやん両方会わせる



378VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 16:16:31.80b4x5nWiJ0 (1/3)

居なかったと嘘をついたら後々怖いので
逢わせる


379VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/08/24(金) 18:19:25.90xTrYogcAO (1/1)

もうショタを助けるから協力してくれって言えば協力してくれそうだなwww


380VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 18:19:44.731UIYBIcSO (2/2)

でもあわきんは会って何する気だ?単なるショタコンネタならいいけど…


381VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 19:08:46.29TNz0iol/o (1/1)




382 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 20:36:58.67wTpg1KPq0 (6/9)


・オハヨウゴザイマス

>>+2
結標との実験時にどんなメンバーで会うか
※天井と青髪は参加
(連れていけるのは研究関連で妥当な人のみ、複数可、天井と青髪のみ可)




383VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 20:37:32.28ZMJ/Zi0Lo (1/1)

プラス布束


384VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 20:37:51.79Q1X2P2/n0 (1/2)

上条 木山 布束


385VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 20:51:35.28Q1X2P2/n0 (2/2)

一方さん入れてたらどうなったんだろうか


386VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 21:19:55.09vS5vW5bG0 (1/2)

ショタセラレータにめろめろになるだけだろう


387VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 21:21:21.65vS5vW5bG0 (2/2)

というか最初からショタコン全開とか、あわきん哀れ…いや動かしやすくていいのか?


388VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 22:25:20.25OT8Tk7LaP (1/1)

中1って聞いただけで他は何も聞かず会うって相当だろ


389 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 22:52:16.86wTpg1KPq0 (7/9)



強化樹脂のコンテナに、敷き詰めた高級な緩衝素材。
脊髄。
演算用のCPU、AIMの擬似発生装置。
電流の観測機器、これらを制御するPC。
そして、全てを賄うバッテリー。

これらが今日の実験の舞台装置である。
主役は言わずもがな、とある大能力者だ。

天井「……収めれば収まるものだなぁ」

七月二十三日。
これまでの実験で使っていた機器を極力小型の物に置き換え、そのため少し下がった性能でも能力が発現する限界を見極め、
機械達は現在二立方メートルほどのコンテナに押し込められていた。
場所も、いつもの実験室ではなく学校棟の高い吹き抜けの能力実習室を借りてある。
実験終了後は結局機材を床に落とすことになるため、そちらにも緩衝材を敷いている。

木山「これで準備は大丈夫かな。まだ開始予定まで二十分以上あるが」

上下方向に広く、床面積の割に開放感のある一室。
音を漏らさない特殊な壁の中に立っているのは木山と天井だけだった。
彼女はこの実験を口実に、結標と、ついでに上条を見極めてもらう為に呼んでいる。

また布束も今日は来ているのだが、そちらは――、

天井「取り敢えず、向こうに戻るか。布束に任せ切りだからな」

何に追い立てられたのか約束の四十五分も前に正門前をふらふらしていた結標と、
そのうち上条を誘って訪れるはずの青髪少年の応対を頼んでいるのだ。





390 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 22:53:23.23wTpg1KPq0 (8/9)



結標「そ、……そんなのって! そんなのってないわ!!」

だから、そんな台詞が聞こえてきたのは布束達が待機している休憩スペースに向かっていた時だった。
余りに哀れな声だったもので天井達は血相を変えて駆けつけた。
のだが。

青髪「ど、どしたん、お姉さん」

結標「……いいえ、何でもないの。ちょっと驚いただけよ。背、高いのね」

少年の肩を力無く掴んでいる結標と、黒い犬耳と尻尾を生やした挙動不審の青髪と、
彼らをぽかんと眺める布束がただ突っ立っているだけだった。

天井「どういうことだ」

布束「It's hard to say... 彼女、出会いに飢えていたみたいよ」

天井「……どういうことだ」

頭が痛かった。
同じく疲れ切った表情の布束と、興味深そうに眺めながらさり気なくブラウスを脱ごうとする木山。
それをやんわり押し留める向こうでは取り留めない会話が続いている。

結標「というか何でこんなもの付けてるの? わ、ふさふさね」

青髪「ちょ、くすぐったいわー。付けてるんやなくてちゃんと生えてるで。ボク肉体変化やから」

結標「えっ。……あなた、強度は? 骨格変えたりできる?」

上条「やっと見付けた……おい青ピ、俺はここ来るの初めてなんだから置いてくなよ!」

結標「あら、あなたも彼と同い年?」

不運にも青髪とはぐれていたのか、遅れて現れた上条も加わり、大した騒ぎである。
あなたが集めたんだからどうにかしろ、と呆れた布束の視線が痛い。





391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 22:54:26.17b4x5nWiJ0 (2/3)

ショタコンだった……


392 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/24(金) 22:54:47.58wTpg1KPq0 (9/9)



中学勢が思い思いに喋り立てていなくとも、自己紹介だけで一作業だった。

各方面の協力あって成り立っている研究であるが、こうも大所帯になるのは珍しい。
メンバーとしても、結標は天井以外と、上条は天井と青髪を除いた顔ぶれと面識が無く、
それこそ新学期のクラス替え直後のように名前などを確認しなければならなかった。

年齢のほぼ変わらない布束が一線の研究者であることに、学生達が驚いたり。
上条の幻想殺しについては伏せてもらい、そもそも研究に直接関わって彼は若干肩身が狭そうだったり。
そんな少年に結標はやたらと友好的だったり。
青髪が妬いたり。

天井(……疲れた。酷い茶番だった)

開始予定をもう二十分は過ぎている。
演習室のフロアに立つのは自身と布束、結標だけで、残りは併設のモニタルームに押し込んでいた。

木山に必要な相手と接触してもらう為、実験を前半と後半に分け、その境目で布束と交代してもらうことになっている。

結標「念のため適当な物で座標を確認したいのだけど。何か無いかしら」

布束「Here, これを使って」

体育倉庫から失敬したバスケットボール。
手渡すまでもなく、それは華奢な掌の上から掻き消えた。

ひゅ、ひゅん。
ひゅん。

結標が軍用の懐中電灯を振るう度、落下してきたボールが部屋の上部ぎりぎりまで舞い戻る。
無機質な部屋に、何度も何度も落ちる球体。
騙されているような不思議な光景。

黒い棒が空を切るのを止めた途端、それは音も無く緩衝材の上に落ちた。

結標「演算自体は同じ数値の繰り返しだから良いけど、こう連続すると疲れるわね」

天井「済まないな。なるべくプログラムは短く組んだから、その間何とか頼むよ」

さも、研究のために必要なんだという風に。
この実験自体が茶番のようなものだった。


>>+2
実験後にしたいことがあれば





393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/24(金) 22:56:45.2401w8uRkmo (1/1)

みんなで焼肉


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/08/24(金) 22:58:00.061IS1CbOb0 (1/1)

全員で食事に行くことを提案する


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/24(金) 22:58:04.12b4x5nWiJ0 (3/3)

あわきんに上条とデートがてら買い物に行かせる

青ピはちょっとした実験協力


396 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/25(土) 00:19:42.61DxUKrzJk0 (1/6)



得る物が無かった訳ではない。

落下している途中の能力データはコンテナ内のPCに記録し、後で確認したのだが、平常時より少しだけぶれがあった。
脊髄だけでは感覚器が無い。
本来三半規管で感じ取るべき落下の刺激が、事実落ちているにも関わらず入力されないことで、
現実との齟齬により多少発現に影響があったらしい。

天井(実用化の際には患者の感覚信号を流用して補正が必要そうだ)

すぐに取り組むべき課題ではないが、いずれ解決しなければならない問題である。

布束「――ふぅ。Don't worry, 破損のある機器は無いみたい」

天井「この緩衝材、都市の新素材だけあるな。後は軽く片付けて皆と合流しよう」

実験前も喧々囂々としていた休憩スペースでは、三人の学生と木山が待っている。
折角だから食事でも行くかと言ってみたところ意外にも全員が賛同したのだった。
治療手順確定に向けた激務を縫って来ているはずの木山は、他の面々が参加を表明してから乗ってきたため、
結標や上条ともっと話しておきたいのかもしれない。

布束「On the way, これだけ実験室に運んでおきましょう」

コンテナに再度機械類を押し込み、台車に乗せて。
人が居ないとがらんと寂しげな演習室を後にしたのだった。


寿司! 寿司食べたいで!
中華とかでも良いんじゃないかしら。
ふむ、食べたいものがばらばらだね。そうするとファミレスかな。
えー、折角天井センセの奢りなんやし豪華なとこにしよーや。
お前は本当に遠慮しろよ青ピ!

布束「Good grief. 静かに待っていてって言ったのに」

L字型のテーブルを囲んだ連中は、予想通り思い思いに駄弁っていた。
多少は声量を抑えているようだが元気盛りの中学生が三人も居る。
後日教授辺りからお小言を貰うのが目に見えるようだった。

天井「あー、行きたいところは決まったのか。流石に高級料亭などは無理だからな」

青髪「回んない寿司!」

窓からのぎらぎらした光を一身に浴び喰い付いてくる少年は、直前の台詞を聞いていたのだろうか。

天井「……他は?」

布束「お高いフランス料理」

おまえもか布束。
冗談だろうが悪戯に首を傾げ、目はいつもより輝いている気がした。

結標「あまり拘りは無いけれど、野菜料理があると嬉しいわ」

上条「あっ、俺は何でも。あいつに付いて来ただけなのに、俺までありがとうございます!」

実に健気だ。
唯一の良心ではなかろうか。

木山「と、バラバラなのだよ。全員の要求を辛うじて満たすなら、ファミレスかフードコートになると思うのだがね」

木山は淡々と肩を竦めてみせる。
そうやって傍観していたなら、意見を纏めてくれていても良いだろうに。

天井「ちょっと待ってくれ、店を探すから。青髪君は耳とか消しておくようにな」

忙しなく携帯を操作し口コミサイトなどを辿っていく。
成人男性は一人、この個性的なメンバーを率いて行くのは思ったより大変そうである。


>>+2
どんな店に行きませう





397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/25(土) 00:22:50.94hABnEbfY0 (1/1)

某スタミナがつく太郎


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/08/25(土) 00:38:08.65joMEE3vp0 (1/1)

バイキングとか


399 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/25(土) 04:36:27.19DxUKrzJk0 (2/6)


・遅くなりもうした
 ムービー流して今日は終わりです


上条「ご飯が、パンが、スパゲッティが沢山! 幸せだー!!」

青髪「本能レベルでカロリー摂取を優先しとる辺りがカミやんやね。どうせなら海老とか食えば良いんに」

上条「馬鹿野郎っ、急に慣れない物入れたら腹壊すだろ!」

結標「温野菜、温野菜っと」

布束「Good gracious! 確かに副菜が充実してるのね。あ、このジュレ凄く綺麗」

皿やトレイを持って散っていった学生達を見送り天井は大きく溜息を吐いた。
騒いで目を付けられたら追い出されるからなと釘を刺したせいか、テンションは高いのに声が小さい。
できたら長点でもそうして欲しかった。

木山「随分奮発したね」

天井「ちょっと待て、他人事のように言うが私達で割り勘だからな」

シャンデリアまで持ち出し高級感を演出する店内は、変にごてごてしておらず趣味が良い。
床が磨かれた黒い石材なのもそれっぽかった。

木山「分かっているさ。今日の実験からして、結標君と会うために組んでくれたようなものだろう?」

勝手に動いたのはこちらだが、そう言って貰えると満更ではない。
例え第四学区のちょっと良いバイキングに足を運んで財布の中身が削れたとしても。

――いや、大人四〇〇〇円、中学生二八〇〇円、ネットのクーポンを突っ込んでマイナス一〇〇〇円、
木山と等分して支払いが九一〇〇円ずつ。
やはり痛い。

木山「豪勢だね。本当に寿司とフランス料理と中華が同居しているとは」

天井「この建物に入っている複数のレストランで試験的に共同運営しているらしいぞ。ランチのみだが」

エアカーテンならぬ霧のカーテンの中、宝石のように鎮座している寿司。
ややこしい名の鮮やかなソースが掛かった鯛のポワレ。
他にもパエリアやらベトナムカレーやら世界各地の料理がずらりと並んでいる。

席を守る代わり、先に汲んで来てもらった烏龍茶で喉を潤した。

天井「――二人は、どうだ? 頼めそうか」

木山「どちらも良い子だとは、思うよ。……上条君は治療に立ち会ってもらう訳だから誤解も生まれにくい。
   だが、結標君の場合移送を頼むことになるから、ある程度事情を説明しなければいけないだろうね」

結標が信用できる人間として、だからこそ中途半端に情報を伏せるのは危険である。
昏睡した子供達をこそこそと運ぶなど、どうしたって知らなければ木山の方を疑うだろう。

木山「今日決めるのは止めておこうと思う。明日にも冥土帰しと実験があるから、彼とも相談するよ。
   貴方にもまた話を聞くかもしれない」

天井「分かった、慎重にな。この時間でもう少し二人とも話してみると良いさ」

裏に関わることはデリケートな問題だ。
知る人間が増えれば本人達に悪意が無くとも漏れる危険性は増すのだから。
ここは選択肢を増やせただけ良しとしておこう。





400 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/25(土) 04:36:53.85DxUKrzJk0 (3/6)



戻った四人と交代にローストビーフやサラダを盛って帰れば、
食べていて良いと言い置いていたのに、彼らは行儀良く大人二人を待っていた。

天井「悪いな。だが本当に良かったんだぞ、時間制限もあるのだから」

布束「いやね。In a manner, こういうのは揃って食べ始めるものよ」

天井「……そうか。では」

――いただきます。

自然と音頭を取れば、何か学校の先生になったような心地がした。
天井には教職への志向は無いし、そもそも開発官として指導経験も重ねているのだけれど。


席は丸テーブルで、深い紅と白のクロスが重ねて掛けられた上の、中央に小さな花瓶。
天井から時計回りに青髪、上条、木山、結標、布束と座っている。
木山としては話したい相手に挟まるように上手く陣取ったというところだが、

青髪「自然に木山センセの隣確保するとかカミやんマジ爆発せーよ。この年上趣味」

上条「むしゃむしゃがつがつえぐえぐうまうま」

木山「欠食児童のようだな、彼は。学校でもいつもこうなのかい」

青髪「ほわ!? そ、そーやで。カミやんは不幸の避雷針やから良く財布落とすんよー」

木山「不幸か。じゃあ今喉を詰まらせているのもそうなのかな」

上条「ーーッ!! ~~~~!!??」

青髪「うわ、ちょ、水! 水!」

がたがたと食器が揺れる。
そんな彼等を結標は口を尖らせて眺め。

布束「そういえば、あなた年下趣味なの? Just before, そんな感じだったけど」

結標「まぁね。守ってあげたくなるタイプが好きかも。可愛い系って言うのかなー……」

布束「At any rate, 青髪君を縮めるのは厳しいものがあるわよ。確かに無邪気な性格だけど」

結標「学校にぐっとくる子が居ないんだもん。上条君といい、二人とも良い感じよねー。
   というか布束さんこそオジコン? 博士とこなれた雰囲気じゃない」

布束「There! 変なこと言い出さないで!」

天井「……そういうのは対象が居ない所で話してくれ、頼むから」

結標「大丈夫よ、あっちはパニックで聞いちゃいないでしょ」

天井「いや……」

こちらは真横で聞いているのだが。
息を吹き返した上条を横目で確認しつつ、ミートソーススパゲッティをくるくると巻いた。





401 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/25(土) 04:37:23.52DxUKrzJk0 (4/6)



木山「しかし結標君の格好は涼しそうで良いね」

結標「その褒められ方は良く分からないわ……。ちなみに能力上の意味もあるんだから、これ。
   沢山着込んでると演算が面倒なのよ」

暑がりな研究者曰く涼感溢れる服装は、丈の短いプリントシャツとデニムのミニスカート、革編みのサンダルである。

布束「Relevantly, こちらを見るのはどういう意味なのかしら」

天井「対照的だと思ってな。ほら、夏でもよく長袖の上着を羽織っているだろう」

布束「良いじゃない。For, あまり綺麗に焼けないの、私」

天井「そうか、そういえば日傘も差していたな。いや、ああいう薄い……レースか? あの上着とか似合うと思うぞ」

布束「――――、」

ぐるりと見渡すと、めいめい好きなものを食べ、落ち着いてきたようだった。
空のグラタン皿やメロンの皮がそこいらに置かれている。

木山「――解せないのはだね。結標君のように初めから涼しい格好をするのは咎めれないのに、
   気温に応じて脱ぎ着するのがどうして駄目なのかと」

上条「」

青髪「」

結標「ちょ、ちょっと! 何ボタン外してるのよ!」

木山「むぅ、君も止めるのかい」

上条「あ、あの先生、ここレストランですから! 他のお客さん居ますから!」

木山「だってカレーを食べたら暑くなったんだ。仕方ないじゃないか」

結標「だってじゃないわ、駄目なものは駄目! あぁ、早くボタン戻して!」


とんとん、と天井の肩を叩く者があった。
振り向けばそこには予想通り、笑顔を引き攣らせた店員が立っていた。
一段落したとはいえ、九十分制限のうちまだ半分も経っていないのに。





402 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/25(土) 04:38:21.65DxUKrzJk0 (5/6)



木山「良く分からないが、悪かったとは思っている」

天井「分かってくれ。一目があるところでは暑くても下着を見せるな」

大体水着と変わらないじゃないかとか不貞腐れている研究者は放置。
即刻追い出されてしまった店内を未練深く睨み、嘆息した。

天井「済まないな、君達も。折角のバイキングだったのに」

結標「気にしないで、充分頂いたわ。ごちそうさま」

上条「普段の食生活に比べたら夢のような時間でした」

天井「そ、そうか」

能力強度の低い学生に、支給される奨学金は少ない。
まして希少な力を持っているにも関わらず数値化されない彼が不憫だった。

青髪「残り五十分より価値のあるもん見せて貰ったしな。ロマンが無きゃ人間生きてけないんやで!」

天井「そうか」

店から出るなり犬耳を復活させていた青髪には特に言うことは無い。
結標と背丈がどうのと話していたので、もしかしたらその為だけにレベルが上がるかもしれないが。
この少年はそういう性格である。

布束「放っておくと収拾が付かないわよ。At once, 締めてしまったら?」

天井「あー、そうだな。今日の実験はありがとう。食事も気が置けず楽しかった」

誰ともなく、ごちそうさまー、こちらこそ、など声が返った。
午前に実験を行い、真昼に遅れてレストランに入ったから、今は一番暑い時間帯だ。
困った大人が服を着ている内に解散するに限る。

天井「これからも力を貸してくれたら幸いだ。また皆で昼食にするのも良いな。
   ――これにて解散、各自気を付けて帰ってくれ」

結標「実用化ができたらまた呼んで。布束さんも第十八学区でしょう? 送って行きましょうか」

布束「Thanks. でも大丈夫、これから長点に戻って研究の続きなのよ」

長点上機学園も同学区なのだが、結標は納得したように何も言わなかった。

結標「ん、それじゃ」

空気の音を残し、結標が溶けるように消える。
去る所は始めて見るが幻のように跡形も無く。

それから、それぞれが帰路に付くのを見送って天井も踵を返す。
長点に戻るのは自身も同じだ。
日陰を探し、じわじわとアスファルトから立ち上る熱気の中を二人で行く。
来る時にも乗ったモノレールの駅に向けて。

布束「賑やかだったわね」

天井「そうだな」

黄泉川と呑んだり布束と昼を摂ったり。
そういう機会は多いが、あまり大人数で時間を共にすることは無かったのだ。
医療系の同僚と学会の打ち上げをするような仕事の延長を除いては。

木山の子供達の移送手段として、結標と接触する――そんな打算的な目的だった実験から、よもやこうなるとは。
暑く、暑く、思考は働かず。
敢えてからっぽの頭のままで、十分弱の道を歩いた。





403 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/25(土) 04:38:49.64DxUKrzJk0 (6/6)



>>+2
結標について、どうするか
(木山と冥土帰しに委ねる、依頼を勧める、etc.)


・ということでこれにて
 時間酷く掛かり過ぎてワロエナイ
 いつもお付き合いありがとうございます

 >>330 の通り、来週に掛けてお休みします
 取り敢えず金曜まで
 早く戻れたら戻りますがあまりご期待なさらないで頂ければ
 また、来週の土日が空くかは今日明日で決まるので、それだけ月曜くらいまでにご連絡します





404VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/25(土) 05:09:15.32qeNkoOMv0 (1/1)

木山と冥土帰しの意見を待つ。そもそも、この問題は木山主導であるべきなのに最近独断先行が多い気がする。
信頼されはしたけど……だからこそ、でしゃばりすぎてその信頼を失いたくない。実際一回キレられたし。


405VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/08/25(土) 05:13:24.726gyxziRo0 (1/1)

>>404




406VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/25(土) 08:52:58.28pJVnF4/bo (1/1)




407VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2012/08/26(日) 12:01:11.08HsRfOW0co (1/1)

乙です


408VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/26(日) 18:18:05.67HVI7Zp/2o (1/1)

にゃー


409 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/27(月) 23:13:42.48Y7uCnhfQ0 (1/1)


・こんばんは、遅くなりましたがご連絡のみ
 今週末も所用により無理な感じです、最短で来週月曜復帰の予定になります
 それより後になりそうな場合は再度書き込みます

 大分空いてしまいますが、見掛けたときにまた読んで頂けたら幸いです




410VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/28(火) 03:18:25.96oIna4ojjo (1/1)




411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/29(水) 04:04:16.00vrP3wMq7o (1/1)

了解


412 ◆n7YWDDtkCQ2012/08/31(金) 22:21:46.04ITpODoXDO (1/1)


・お久し振りです
 来週の月、木に面接が入ったので、
 何事も無ければ火曜に再開ます
 ご連絡のみ、失礼いたします




413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/31(金) 22:22:43.358tDqOv2Qo (1/1)

把握乙


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/09/04(火) 20:12:41.93zatJyMqSO (1/1)

まだかにゃー


415 ◆n7YWDDtkCQ2012/09/04(火) 20:41:01.482f32QfnDO (1/1)


・「9月になったし夜に進めた方が良いかなー」
   ↓
 【サーバが見つかりませんでした】←今ここ

 お待ち頂いているようで申し訳ないです
 短めの文と次の行動安価だけは何とか今日中に差し込みたい所存です




416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2012/09/04(火) 20:53:56.32SuMzrm3xo (1/1)

お疲れ様です。

ちなみに、アンチウイルスソフトは何ですか?
最近、ノートン先生がネットに繋がらない不具合があったみたいですが?


417 ◆n7YWDDtkCQ2012/09/04(火) 21:40:13.63C2ZZ2yha0 (1/2)


・大変すみませんが今日はこの1レス&安価のみにしておきます
 ↑ではああ書いておりましたが、更新時間帯は不定にしておきます
 全く進めない日は今まで通りご連絡する形に

・>>416 セキュリティソフトは無料のアバスト先生なので、回線自体が弱いだけかと思われます
 そのうちイーモバイルに移行すれば多分大丈夫、かと……


布束「All right then, 私は部屋に戻るから」

天井「あぁ」

研究室が並ぶ廊下、布束はひらりと手を振った。
酷暑から逃れた棟内の休憩スペースしばし涼んでいたのだが、互いに暇な訳ではないのだ。
今からも、人格データの面から患者と能力の齟齬の問題に取り組むのだろう。

……そういえば彼女と二人だけのスペースはいつも通りと言えばいつも通りだったのだが、
騒がしい昼食の後だと妙に物寂しかった。

しかし、服が微妙に汗臭い。
あれだけ歩いた上にクーラーで乾かしたのだから当然である。
長点には泊り込み覚悟の研究者のためのシャワールームなども特に無いのでどうしようもなかった。


天井「せめて着替えでもあればなぁ」

天井の研究室。
無いもの強請りをしながら、デスクの前ではなくソファに腰掛けてみる。
濃密な半日だった。

名目としてでっち上げた実験ではいずれ考慮すべき点が発見できた。
他のメンバーと研究にと留まらない会話ができた。
何より、木山に上条と結標を紹介できた。

天井「冥土帰しとも相談すると言っていたし、後は向こうの判断だな」

どうするか、の判断までは天井にはし難い。
自身も充分巻き込まれてはいても本当の意味で当事者かと言えば否。
依頼するとしたら必要に応じ連絡くらいは取るが、
昼食の折にめいめいアドレスの交換などしていたようだから木山が直接話を付けるかもしれない。

脱力するままに上を向くと、空調機の平べったい四角がひっきりなしに稼動している。

天井「黄泉川……も特に何も知らせてこないしな」

動いている状況などを逐一教えて貰えるとは流石に思っていない。
だが、それこそテレスティーナが失脚したなどの大きな変化があれば伝えてくれるだろうと思う。

天井「伝えてくれる、……よな?」

多分。
前回の筋トレではタイミング悪く彼女と遭遇しなかった。
会えばそれなりに話もできるだろう。

ともあれ。

天井「テレスティーナについては黄泉川の方の進展待ち、結標についても木山の判断待ちか」

見えない不安と、移りつつある状況――子供達の覚醒が具体的になってきたため、色々と行動してみた。
しかし今のところそれらは自身の手を離れている。
これからどう転がるかも測りかねる。
どうしたものだろう。

水分補給のためペットボトルに口を付け、ごくごくと中身を嚥下する。





418 ◆n7YWDDtkCQ2012/09/04(火) 21:41:27.73C2ZZ2yha0 (2/2)



>>+2
何か木山の件でしたいことがあれば


・参考:なつやすみのできごと

 夏休み前
  黄泉川とテレスティーナについて会話
  結標にコンタクト

 7/20
  結標と対面、実験依頼

 7/23
  結標交え実験後、布束、木山、結標、上条、青髪と昼食

 現在、23日午後


・ということで今日はこれまでに
 微レスで失礼しました





419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/09/05(水) 03:59:43.00pWgFebQOo (1/1)

かそく