◆WNrWKtkPz. さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16600580.html
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◆0WipXNi8qk さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16626931.html
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1: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 17:52:25.17:arZspdAto (1/13)
VIPで書いた奴
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1342248575/
安価少なめかも
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342342345
VIPで書いた奴
http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1342248575/
安価少なめかも
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342342345
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 17:53:56.15:arZspdAto (2/13)
過去ログ読むの面倒くせえ!! って人用
【羽瀬川小鷹の友達作りの軌跡】
5月
転校初日にバスジャックをする
自己紹介でハルヒの真似して全力で引かれる
理科室に行って志熊理科と出会う
6月
友達作りをやめてぼっち充を目指す
理科を怒らせて、やっぱり友達が欲しいんだと気付く
理科部設立。部長は理科
三日月夜空が入部する
理科部の活動方針は「道具を使って友達を作る」
理科が超強力媚薬を学校中にばら撒く
学校中で乱交パーティーが起こりそうだったのを、理科と小鷹で正気じゃない先生生徒をボコボコにして止める
小鷹が停学になる
理科が課題を手伝いに小鷹の家に来る
【クラスに広がる羽瀬川小鷹のウワサ】
1「羽瀬川小鷹が転校前からバスジャックした」
2「羽瀬川小鷹が転校初日から一年生に乱暴しようとした」
3「羽瀬川小鷹が幼女に爆弾を投げつけた」
4「羽瀬川小鷹がクスリでトリップして全裸で学校中を走り回った」
5「羽瀬川小鷹か昨日校内に残っていた先生及び生徒を半殺しにした」
過去ログ読むの面倒くせえ!! って人用
【羽瀬川小鷹の友達作りの軌跡】
5月
転校初日にバスジャックをする
自己紹介でハルヒの真似して全力で引かれる
理科室に行って志熊理科と出会う
6月
友達作りをやめてぼっち充を目指す
理科を怒らせて、やっぱり友達が欲しいんだと気付く
理科部設立。部長は理科
三日月夜空が入部する
理科部の活動方針は「道具を使って友達を作る」
理科が超強力媚薬を学校中にばら撒く
学校中で乱交パーティーが起こりそうだったのを、理科と小鷹で正気じゃない先生生徒をボコボコにして止める
小鷹が停学になる
理科が課題を手伝いに小鷹の家に来る
【クラスに広がる羽瀬川小鷹のウワサ】
1「羽瀬川小鷹が転校前からバスジャックした」
2「羽瀬川小鷹が転校初日から一年生に乱暴しようとした」
3「羽瀬川小鷹が幼女に爆弾を投げつけた」
4「羽瀬川小鷹がクスリでトリップして全裸で学校中を走り回った」
5「羽瀬川小鷹か昨日校内に残っていた先生及び生徒を半殺しにした」
3: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 17:58:07.28:arZspdAto (3/13)
【夕方・羽瀬川家】
それから俺と理科は小鳩の「鉄(くろがね)の死霊術師(ネクロマンサー)」というゲームをやった。
さすがに理科のゲームの腕前は大したものであり、俺はほとんど勝てなかった。
俺も結構小鳩に付き合わされたりしてたから、ちょっとは自信あったんだけどなぁ。
そうこうしている内に。
「ククク、今帰ったぞ我が眷属よ」
俺の妹、羽瀬川小鳩がリビングにやってきた。
その時俺は、理科とゲームの真っ最中なわけで。
二人で仲良さそうに並んでソファーに座っているわけで。
「あんちゃん!!!!!」
小鳩の大声が部屋中に響き渡る。
それに俺も理科も飛び上がる。
「お、おう!? どうした小鳩!」
「あっ、お邪魔してます。えーと、もしかして、妹さん?」
「おう」
「……先輩の妹がこんなに可愛いわけがない」
「し、失礼だな! そりゃ小鳩は俺と違って母親似だけどさ……」
ここで理科は少し驚いた様子で、
「え……も、もしかして先輩……ハーフなんですか?」
「そうだよ。そういや言ってなかったな」
「じゃ、じゃあそのプリン頭も……
理科、先輩の頭は高校デビューでもしようとして失敗した残念な結果だと思って黙っていたんですけど」
「地毛だ地毛!!」
「アニメじゃ赤髪とか青髪が地毛っていうのは珍しくないですけど、地毛がプリンっていうのは珍しいですね」
「プリン言うな!!」
「あ ん ち ゃ ん !!!!!」
ここでもう一度小鳩が大声をあげる。
「な、なんだよ小鳩」
「あんちゃん今停学中やろっ!! なんで女の人連れ込んどるんじゃ!!」
「……あー」
確かに、考えてみると色々とマズイのかもしれない。
何て言えば納得してくれるかな。
「>>4」
【夕方・羽瀬川家】
それから俺と理科は小鳩の「鉄(くろがね)の死霊術師(ネクロマンサー)」というゲームをやった。
さすがに理科のゲームの腕前は大したものであり、俺はほとんど勝てなかった。
俺も結構小鳩に付き合わされたりしてたから、ちょっとは自信あったんだけどなぁ。
そうこうしている内に。
「ククク、今帰ったぞ我が眷属よ」
俺の妹、羽瀬川小鳩がリビングにやってきた。
その時俺は、理科とゲームの真っ最中なわけで。
二人で仲良さそうに並んでソファーに座っているわけで。
「あんちゃん!!!!!」
小鳩の大声が部屋中に響き渡る。
それに俺も理科も飛び上がる。
「お、おう!? どうした小鳩!」
「あっ、お邪魔してます。えーと、もしかして、妹さん?」
「おう」
「……先輩の妹がこんなに可愛いわけがない」
「し、失礼だな! そりゃ小鳩は俺と違って母親似だけどさ……」
ここで理科は少し驚いた様子で、
「え……も、もしかして先輩……ハーフなんですか?」
「そうだよ。そういや言ってなかったな」
「じゃ、じゃあそのプリン頭も……
理科、先輩の頭は高校デビューでもしようとして失敗した残念な結果だと思って黙っていたんですけど」
「地毛だ地毛!!」
「アニメじゃ赤髪とか青髪が地毛っていうのは珍しくないですけど、地毛がプリンっていうのは珍しいですね」
「プリン言うな!!」
「あ ん ち ゃ ん !!!!!」
ここでもう一度小鳩が大声をあげる。
「な、なんだよ小鳩」
「あんちゃん今停学中やろっ!! なんで女の人連れ込んどるんじゃ!!」
「……あー」
確かに、考えてみると色々とマズイのかもしれない。
何て言えば納得してくれるかな。
「>>4」
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/15(日) 18:02:43.30:9yVXPxHAO (1/3)
理科がいないと(課題が)ダメなんだ
理科がいないと(課題が)ダメなんだ
5: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 18:20:23.75:arZspdAto (4/13)
「理科がいないと(課題が)ダメなんだ」
俺は正直に言うことにした。
実際理系の問題は所々分からない問題もあり、理科がいなかったらかなり厳しかっただろう。
しかし。
小鳩がなんか凄く泣きそうな顔をしている。
理科がなんか凄く嬉しそうな顔をしている。
そして。
「あんちゃんのあほーっ!!!!!」
小鳩は全力でそう叫ぶと、自分の部屋へ走って行ってしまった。
俺はそれにただただ呆然とする。反抗期だろうか。
そして理科は、
「せ、先輩、確かに理科的にはとても嬉しかったですけど、妹さんの前であんなにハッキリ……///」
などと頬を染めている。
意味不明だ。いったい何がどうしたんだ。
「えっと……なぁ理科?」
「は、はい///」
「俺、何か変なこと言ったか?」
「変だなんてとんでもないです! 理科は凄く嬉しかったです……///」
俺は首を傾げる。
そんなに理科が嬉しがるような事を言ったか?
「ち、ちなみに、俺の何の言葉がそんなに嬉しかったんだ?」
「もう先輩、分かってるくせにぃ! 『理科がいないとダメなんだ(キリッ』って言葉ですよ!」
「……あー、そ、それか。まさかそこまで嬉しいとは思わなかった。でも、何で小鳩はあんなに怒ったんだ?」
「そりゃ、大好きなお兄さんが他の女に取られるっていうのは辛いでしょう。先輩の妹さん、なかなかのブラコンですね!」
「はは、俺がお前に取られるってそんな事思ったのかよ。俺はただ『理科がいないと“課題が”ダメだ』って言っただけなのに」
俺はちょっと苦笑する。
「 は!? 」
今度は理科がブチギレた。
一体何なんだ……。
「理科がいないと(課題が)ダメなんだ」
俺は正直に言うことにした。
実際理系の問題は所々分からない問題もあり、理科がいなかったらかなり厳しかっただろう。
しかし。
小鳩がなんか凄く泣きそうな顔をしている。
理科がなんか凄く嬉しそうな顔をしている。
そして。
「あんちゃんのあほーっ!!!!!」
小鳩は全力でそう叫ぶと、自分の部屋へ走って行ってしまった。
俺はそれにただただ呆然とする。反抗期だろうか。
そして理科は、
「せ、先輩、確かに理科的にはとても嬉しかったですけど、妹さんの前であんなにハッキリ……///」
などと頬を染めている。
意味不明だ。いったい何がどうしたんだ。
「えっと……なぁ理科?」
「は、はい///」
「俺、何か変なこと言ったか?」
「変だなんてとんでもないです! 理科は凄く嬉しかったです……///」
俺は首を傾げる。
そんなに理科が嬉しがるような事を言ったか?
「ち、ちなみに、俺の何の言葉がそんなに嬉しかったんだ?」
「もう先輩、分かってるくせにぃ! 『理科がいないとダメなんだ(キリッ』って言葉ですよ!」
「……あー、そ、それか。まさかそこまで嬉しいとは思わなかった。でも、何で小鳩はあんなに怒ったんだ?」
「そりゃ、大好きなお兄さんが他の女に取られるっていうのは辛いでしょう。先輩の妹さん、なかなかのブラコンですね!」
「はは、俺がお前に取られるってそんな事思ったのかよ。俺はただ『理科がいないと“課題が”ダメだ』って言っただけなのに」
俺はちょっと苦笑する。
「 は!? 」
今度は理科がブチギレた。
一体何なんだ……。
6: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 18:46:41.75:arZspdAto (5/13)
その後、理科はプンプンと怒って帰ってしまった。
後でちゃんと謝んないとな、何で怒ったのかは分からないけど。
俺はちょっと早めに夕食を作る。
といっても、俺や小鳩の腹が減ったわけではない。
実は俺は、これから聖クロニカ学園の理事長の家へ向かわなければならないのだった。
まぁあれだけの事をして停学ですんだのだ。
普通なら退学……どころか警察沙汰なわけで、さすがにこうやって自宅謹慎だけで済むはずがない。
訪問する先が校長じゃなくて理事長というのが何とも私立の学校っぽい。
元々、理事長と俺の父親は友達らしく、俺と小鳩の編入の件でかなり無理を言ったらしい。
いつかお礼を言いに行かないとな、などと考えていたので、こんな形で恩を仇で返す事になったのはかなり心苦しい。
とにかく、心の底から謝りたい。
「小鳩ー、夕飯作っておいたからレンジで温めて食えよー?」
俺は二階に居る小鳩にそう伝える。
返事は返ってこない。やはりまだ怒っているようだ。
帰ったら小鳩にも謝らないとな、と思いながら俺は家を出た。
***
普段通学に使っているバスに乗り、クロニカ学園前を通りすぎて5つ目のバス停で降りる。
そして目の前。
道路を挟んだその先に、草花が生い茂る小高い丘があり、その先に立派な洋館が建っていた。
俺は洋館へ向かう石畳の道路を歩いて登っていく。
私立校の理事長というからある程度は予想していたが、こんな明らかな高級感溢れる場所にいると何とも居心地の悪さを感じてしまう。
10分程歩くと坂が終わり、玄関前に辿り着いた。
目の前には巨大な扉。
その威圧感に俺は思わずゴクリと生唾を飲む。
普通の家でも玄関先に立つと緊張するのに、こんな豪邸の前ともなるともう緊張しすぎて気持ち悪くなってくるくらいだ。
俺はとりあえずチャイムを探す……が、ない。
(の、ノックするのか? で、でもこんなでかい扉ノックしたって気付かれないんじゃ……)
どうする? >>7
その後、理科はプンプンと怒って帰ってしまった。
後でちゃんと謝んないとな、何で怒ったのかは分からないけど。
俺はちょっと早めに夕食を作る。
といっても、俺や小鳩の腹が減ったわけではない。
実は俺は、これから聖クロニカ学園の理事長の家へ向かわなければならないのだった。
まぁあれだけの事をして停学ですんだのだ。
普通なら退学……どころか警察沙汰なわけで、さすがにこうやって自宅謹慎だけで済むはずがない。
訪問する先が校長じゃなくて理事長というのが何とも私立の学校っぽい。
元々、理事長と俺の父親は友達らしく、俺と小鳩の編入の件でかなり無理を言ったらしい。
いつかお礼を言いに行かないとな、などと考えていたので、こんな形で恩を仇で返す事になったのはかなり心苦しい。
とにかく、心の底から謝りたい。
「小鳩ー、夕飯作っておいたからレンジで温めて食えよー?」
俺は二階に居る小鳩にそう伝える。
返事は返ってこない。やはりまだ怒っているようだ。
帰ったら小鳩にも謝らないとな、と思いながら俺は家を出た。
***
普段通学に使っているバスに乗り、クロニカ学園前を通りすぎて5つ目のバス停で降りる。
そして目の前。
道路を挟んだその先に、草花が生い茂る小高い丘があり、その先に立派な洋館が建っていた。
俺は洋館へ向かう石畳の道路を歩いて登っていく。
私立校の理事長というからある程度は予想していたが、こんな明らかな高級感溢れる場所にいると何とも居心地の悪さを感じてしまう。
10分程歩くと坂が終わり、玄関前に辿り着いた。
目の前には巨大な扉。
その威圧感に俺は思わずゴクリと生唾を飲む。
普通の家でも玄関先に立つと緊張するのに、こんな豪邸の前ともなるともう緊張しすぎて気持ち悪くなってくるくらいだ。
俺はとりあえずチャイムを探す……が、ない。
(の、ノックするのか? で、でもこんなでかい扉ノックしたって気付かれないんじゃ……)
どうする? >>7
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/15(日) 19:04:52.53:9yVXPxHAO (2/3)
ノックで気付かれないならC4を使う
ノックで気付かれないならC4を使う
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/15(日) 19:57:46.40:S1Hm6v320 (1/1)
こっちにあったのか
こっちにあったのか
9: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 20:42:51.62:arZspdAto (6/13)
俺は懐からとあるものを取り出す。
理科の発明品、C4爆弾……のようなオモチャ。
以前に俺がクラスでテロを起こそうと思った時に理科が俺にくれたものだ。
威力こそ大したことないが、音はそれなりに大きい。
だから、これを鳴らせば気が付いてくれるのではないか、と思った。
(……待て待て。俺謝りにここまで来たんだよな? それでいきなりこれって大丈夫なのか?)
そんな事をふと考える、その時。
ガシッ、と何者かに後ろから手首を掴まれた。
「いっ!?」
俺が慌てて振り向いてみると、そこには金髪の美しい女性執事がいた。
「……あまり物騒な真似はしないでください」
「す、すみません、オモチャですこれ!」
俺が慌てて言うと、金髪の執事はゆっくりと俺から離れた。
そして。
「ふん、君は隼人に似て相当やんちゃなようだな」
そんな事を言いながら扉の向こうから現れたのは。
険しい顔をした、着流しの男だった。
歳は30前後だろうか、髪は前髪を後ろに撫で付けて結んだ、いわゆる総髪というもの。
父さんの事も知っているようだし、おそらくこの人が理事長なのだろう。
ちなみに『隼人』というのが俺の父さんの名前だ。羽瀬川隼人。
「よく来た。私は柏崎。聖クロニカ学園の理事長だ。こっちは家令のステラ」
「は、初めまして理事長。羽瀬川小鷹です。えっと、今回はその、本当に……」
「まぁ、話は中でいいだろう。夕食の準備もしている」
「え……ゆ、夕食??」
「なんだ、もしかしてもう済ましてしまったのか?」
「あ、いえ……まだですけど…………」
「そうか、それなら良かった」
俺は少し混乱する。
今回は停学の件で謝りに来たんだよな?
なんだかこれでは、どこかもてなされている様な気もする。
そんな疑問を抱きながら、俺は理事長とステラさんの後について屋敷の中へと入った。
俺は懐からとあるものを取り出す。
理科の発明品、C4爆弾……のようなオモチャ。
以前に俺がクラスでテロを起こそうと思った時に理科が俺にくれたものだ。
威力こそ大したことないが、音はそれなりに大きい。
だから、これを鳴らせば気が付いてくれるのではないか、と思った。
(……待て待て。俺謝りにここまで来たんだよな? それでいきなりこれって大丈夫なのか?)
そんな事をふと考える、その時。
ガシッ、と何者かに後ろから手首を掴まれた。
「いっ!?」
俺が慌てて振り向いてみると、そこには金髪の美しい女性執事がいた。
「……あまり物騒な真似はしないでください」
「す、すみません、オモチャですこれ!」
俺が慌てて言うと、金髪の執事はゆっくりと俺から離れた。
そして。
「ふん、君は隼人に似て相当やんちゃなようだな」
そんな事を言いながら扉の向こうから現れたのは。
険しい顔をした、着流しの男だった。
歳は30前後だろうか、髪は前髪を後ろに撫で付けて結んだ、いわゆる総髪というもの。
父さんの事も知っているようだし、おそらくこの人が理事長なのだろう。
ちなみに『隼人』というのが俺の父さんの名前だ。羽瀬川隼人。
「よく来た。私は柏崎。聖クロニカ学園の理事長だ。こっちは家令のステラ」
「は、初めまして理事長。羽瀬川小鷹です。えっと、今回はその、本当に……」
「まぁ、話は中でいいだろう。夕食の準備もしている」
「え……ゆ、夕食??」
「なんだ、もしかしてもう済ましてしまったのか?」
「あ、いえ……まだですけど…………」
「そうか、それなら良かった」
俺は少し混乱する。
今回は停学の件で謝りに来たんだよな?
なんだかこれでは、どこかもてなされている様な気もする。
そんな疑問を抱きながら、俺は理事長とステラさんの後について屋敷の中へと入った。
10: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 20:49:21.35:arZspdAto (7/13)
***
屋敷の中は大体イメージ通りだった。
玄関から入ってすぐ目に入るのは、ザ・豪邸といった感じの大きなホール。
正面には二階へ上がる幅の広い階段。壁面にはいくつものドアやら奥へと伸びる通路の入口がある。
そんな雰囲気に圧倒される俺だったが、ふとトントンという軽い足音が階段の上から聞こえてきた。
「――ふーん、あんたがウワサのヤンキーか」
そう言って階段の上の方からこちらを物珍しげに眺めるのは、金髪碧眼の少女だった。
服装は黒のスカートに白のキャミソール。
おそらくはここの一人娘か何かと思われるが、意外と普通の格好だ。
「え、えっと……初めまして……羽瀬川小鷹、です」
「へぇ、ヤンキーでも挨拶はできるんだ。お礼に踏んであげるわ感謝しなさい」
父親の前でなんて事言ってんだコイツ……と俺は唖然とする。
「星奈、小鷹君は私の客人だ。その態度はやめなさい」
「え、客人? あはは、冗談でしょパパ。
大人しい学校で悪ぶって暴れて停学くらう、時代遅れの絶滅危惧種ヤンキーが客人??」
酷い言われようだが、暴れて停学くらったのは紛れも無い事実なので何も言い返すことはできない。
もちろん、悪ぶっているつもりなどはないのだが、この髪や目付きから誤解されるのも無理はない。
金髪の少女は、俺が何も言い返さないのをいい事に、さらに口を開く。
「ていうか、一人で勝手に痛い事やってるのは自由だけど、それで他人に迷惑かけるってのはどうなの?
なんでパパもこんなの退学にしないのかしらね。あとそのプリン頭もマジウケるんですけど。どう見ても染めようとして失敗した醜い――――」
「 星 奈 ! ! ! ! ! 」
理事長の怒号が飛んだ。
あまりの大声に、金髪の少女(星奈というらしい)だけでなく、俺までビクッ!! と全身を震わせる。
そして、そんな中微動だにしないステラさんはやはりプロの執事だという感じがする。
星奈はちょっと涙目になっている。
ああ見えて案外打たれ弱いのかもしれない。
「な、なによ……! だって、そいつは…………!!」
「星奈、後で私の部屋に来なさい」
「うぅ……」
「返事は!!!」
「わ、分かったわよぉ…………」
そんな事を言って、星奈は階段を登って行ってしまった。
理事長は俺に申し訳なさそうな目を向ける。
「すまない、小鷹君。娘には後でキツくいっておく」
「あ、いえ……俺も悪いですし…………というより俺が悪いですし」
この様子から、おそらく俺のこの髪の事情も分かっているのだろう。
だから、娘のあの言葉に本気で怒っていたのだ。
まぁ、それでもあの子は少し気の毒な気がする。
この髪を見て、染めるのに失敗したプリン頭という印象を持つのは不思議ではない。
それに、学校での俺の評判を考えれば、あのような言葉をぶつけられるのも仕方ない。
そして今回の停学騒ぎは誤解でも何でもなく俺のせいだ。
そんな感じに気まずくなりながら、俺は案内されるがままに夕食の準備がされているという食堂へとついていった。
***
屋敷の中は大体イメージ通りだった。
玄関から入ってすぐ目に入るのは、ザ・豪邸といった感じの大きなホール。
正面には二階へ上がる幅の広い階段。壁面にはいくつものドアやら奥へと伸びる通路の入口がある。
そんな雰囲気に圧倒される俺だったが、ふとトントンという軽い足音が階段の上から聞こえてきた。
「――ふーん、あんたがウワサのヤンキーか」
そう言って階段の上の方からこちらを物珍しげに眺めるのは、金髪碧眼の少女だった。
服装は黒のスカートに白のキャミソール。
おそらくはここの一人娘か何かと思われるが、意外と普通の格好だ。
「え、えっと……初めまして……羽瀬川小鷹、です」
「へぇ、ヤンキーでも挨拶はできるんだ。お礼に踏んであげるわ感謝しなさい」
父親の前でなんて事言ってんだコイツ……と俺は唖然とする。
「星奈、小鷹君は私の客人だ。その態度はやめなさい」
「え、客人? あはは、冗談でしょパパ。
大人しい学校で悪ぶって暴れて停学くらう、時代遅れの絶滅危惧種ヤンキーが客人??」
酷い言われようだが、暴れて停学くらったのは紛れも無い事実なので何も言い返すことはできない。
もちろん、悪ぶっているつもりなどはないのだが、この髪や目付きから誤解されるのも無理はない。
金髪の少女は、俺が何も言い返さないのをいい事に、さらに口を開く。
「ていうか、一人で勝手に痛い事やってるのは自由だけど、それで他人に迷惑かけるってのはどうなの?
なんでパパもこんなの退学にしないのかしらね。あとそのプリン頭もマジウケるんですけど。どう見ても染めようとして失敗した醜い――――」
「 星 奈 ! ! ! ! ! 」
理事長の怒号が飛んだ。
あまりの大声に、金髪の少女(星奈というらしい)だけでなく、俺までビクッ!! と全身を震わせる。
そして、そんな中微動だにしないステラさんはやはりプロの執事だという感じがする。
星奈はちょっと涙目になっている。
ああ見えて案外打たれ弱いのかもしれない。
「な、なによ……! だって、そいつは…………!!」
「星奈、後で私の部屋に来なさい」
「うぅ……」
「返事は!!!」
「わ、分かったわよぉ…………」
そんな事を言って、星奈は階段を登って行ってしまった。
理事長は俺に申し訳なさそうな目を向ける。
「すまない、小鷹君。娘には後でキツくいっておく」
「あ、いえ……俺も悪いですし…………というより俺が悪いですし」
この様子から、おそらく俺のこの髪の事情も分かっているのだろう。
だから、娘のあの言葉に本気で怒っていたのだ。
まぁ、それでもあの子は少し気の毒な気がする。
この髪を見て、染めるのに失敗したプリン頭という印象を持つのは不思議ではない。
それに、学校での俺の評判を考えれば、あのような言葉をぶつけられるのも仕方ない。
そして今回の停学騒ぎは誤解でも何でもなく俺のせいだ。
そんな感じに気まずくなりながら、俺は案内されるがままに夕食の準備がされているという食堂へとついていった。
11: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 20:51:46.45:arZspdAto (8/13)
***
食堂のテーブルの上には、刺し身や天ぷらなど豪華な食事が並んでいる。
停学中に理事長の家でこんなものを食べていいのか、などという罪悪感が出てきた。
「本当は君の妹くんも呼ぶべきなのだろうが、まぁ名目上は停学の件に関する話だからな。
今度、改めて兄妹揃って招待するので、そこは許してほしい」
「い、いえ、そんな!!」
俺は慌ててそう言う。
「ふん、そんなに緊張するな。では、いただくとしようか」
理事長はそう言うと、右手で十字を切って「いただきます」と呟いて箸を取る。
俺も同じように「いただきます」と言って食べ始める。
予想はしていたが、天ぷらも刺身もやはり高級品らしく、明らかに普段食べられないような美味しさだった。
「あ、あの!」
「……なんだね?」
俺は勇気を出して話を切り出す。
ここに来たのはこうしてもてなされるためじゃない。
「この度は、本当に申し訳ありませんでした……。編入の件などでお世話になったというのに、こんな恩を仇で返すような真似をして――」
「……確かに入学シーズンがやっと終わって一息ついた頃に、『うちの息子と娘をそっちの学校に編入させてくれ!』なんて隼人のバカが言ってきた時は頭にきたな。
まったく、716日間も連絡すら寄越さなかったくせに、いきなりこれだ」
「うっ……すみません…………」
「君が謝ることではない」
……これで終わり?
いやいやいや、そんなわけはない。
「あの、それに停学の件も……」
「なに、分かっているさ。アイツもよくバカやってたからな、君と同レベルかそれ以上の」
「え……?」
「何か、理由があるのだろう? アイツもいつもいつもそうだった」
そう言ってどこか懐かしそうに俺を見る理事長。
その目を見て。
俺は全てを話さなければいけない、そんな事を思った。
しかし、もし話したらどうなる?
今回の件には理科部、そして志熊理科が深く関わっている。
もしも正直に話せば、いくら理科でもその立場はそうとう危ういものになるのではないか。
どうする? >>12
***
食堂のテーブルの上には、刺し身や天ぷらなど豪華な食事が並んでいる。
停学中に理事長の家でこんなものを食べていいのか、などという罪悪感が出てきた。
「本当は君の妹くんも呼ぶべきなのだろうが、まぁ名目上は停学の件に関する話だからな。
今度、改めて兄妹揃って招待するので、そこは許してほしい」
「い、いえ、そんな!!」
俺は慌ててそう言う。
「ふん、そんなに緊張するな。では、いただくとしようか」
理事長はそう言うと、右手で十字を切って「いただきます」と呟いて箸を取る。
俺も同じように「いただきます」と言って食べ始める。
予想はしていたが、天ぷらも刺身もやはり高級品らしく、明らかに普段食べられないような美味しさだった。
「あ、あの!」
「……なんだね?」
俺は勇気を出して話を切り出す。
ここに来たのはこうしてもてなされるためじゃない。
「この度は、本当に申し訳ありませんでした……。編入の件などでお世話になったというのに、こんな恩を仇で返すような真似をして――」
「……確かに入学シーズンがやっと終わって一息ついた頃に、『うちの息子と娘をそっちの学校に編入させてくれ!』なんて隼人のバカが言ってきた時は頭にきたな。
まったく、716日間も連絡すら寄越さなかったくせに、いきなりこれだ」
「うっ……すみません…………」
「君が謝ることではない」
……これで終わり?
いやいやいや、そんなわけはない。
「あの、それに停学の件も……」
「なに、分かっているさ。アイツもよくバカやってたからな、君と同レベルかそれ以上の」
「え……?」
「何か、理由があるのだろう? アイツもいつもいつもそうだった」
そう言ってどこか懐かしそうに俺を見る理事長。
その目を見て。
俺は全てを話さなければいけない、そんな事を思った。
しかし、もし話したらどうなる?
今回の件には理科部、そして志熊理科が深く関わっている。
もしも正直に話せば、いくら理科でもその立場はそうとう危ういものになるのではないか。
どうする? >>12
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/15(日) 20:57:23.69:vKteH/lao (1/1)
全て話すが全部自分が悪いことにする
全て話すが全部自分が悪いことにする
13: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 23:23:30.53:arZspdAto (9/13)
俺は正直に話した。
例の理科の発明のことも、それから起きた事件についても。
理事長はただ黙って聞いていてくれた。
まぁさすがに媚薬の件になると、「び、媚薬!?」などと驚いていたが。
「――だから、俺が悪いんです。確かに実際にモノを作ったのは理科ですけど、提案したのは俺ですから」
「……ふむ、しかし小鷹君も本気で媚薬を作ろうなどと言ったわけではないのだろう?」
「は、はい、ちょっとふざけて……」
何だこの会話。
理事長は腕を組んで少し考え込む。
そして。
「――ふむ、まぁいいだろう」
あっさりとそんな事を言った。
「え、えぇ!?」
「君達も今回の件で十分反省したのは分かる。実は、理科君の方も私に直接出向いて謝ってきたんだ。こちらが心配になる程思いつめた様子でな。
『自分は何でもしますから、小鷹先輩だけは退学にしないでください』などと言っていたな。全部自分が悪い、とか」
「理科……」
知らなかった。
今日会った時も、そんな様子は微塵も感じなかった。
理事長は満足気に頷く。
「良い後輩ではないか。大切にすることだ。
それに、まぁ、若さ故の過ちというものはよくある。私も若い頃は隼人と一緒に…………」
そこまで言って理事長は固まる。
何か思い出してはいけないものを思い出してしまったらしい。
「あ、いや、何でもない。とにかく、若者が間違った道を歩んでしまった時は、その道を閉ざさずに導いてやるのが大人だ。
君は今回の停学が明ければ、いつも通り聖クロニカ学園の生徒だ」
そう言って微笑む理事長に。
俺は深く深く、頭を下げた。
俺は正直に話した。
例の理科の発明のことも、それから起きた事件についても。
理事長はただ黙って聞いていてくれた。
まぁさすがに媚薬の件になると、「び、媚薬!?」などと驚いていたが。
「――だから、俺が悪いんです。確かに実際にモノを作ったのは理科ですけど、提案したのは俺ですから」
「……ふむ、しかし小鷹君も本気で媚薬を作ろうなどと言ったわけではないのだろう?」
「は、はい、ちょっとふざけて……」
何だこの会話。
理事長は腕を組んで少し考え込む。
そして。
「――ふむ、まぁいいだろう」
あっさりとそんな事を言った。
「え、えぇ!?」
「君達も今回の件で十分反省したのは分かる。実は、理科君の方も私に直接出向いて謝ってきたんだ。こちらが心配になる程思いつめた様子でな。
『自分は何でもしますから、小鷹先輩だけは退学にしないでください』などと言っていたな。全部自分が悪い、とか」
「理科……」
知らなかった。
今日会った時も、そんな様子は微塵も感じなかった。
理事長は満足気に頷く。
「良い後輩ではないか。大切にすることだ。
それに、まぁ、若さ故の過ちというものはよくある。私も若い頃は隼人と一緒に…………」
そこまで言って理事長は固まる。
何か思い出してはいけないものを思い出してしまったらしい。
「あ、いや、何でもない。とにかく、若者が間違った道を歩んでしまった時は、その道を閉ざさずに導いてやるのが大人だ。
君は今回の停学が明ければ、いつも通り聖クロニカ学園の生徒だ」
そう言って微笑む理事長に。
俺は深く深く、頭を下げた。
14: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 23:25:50.65:arZspdAto (10/13)
***
「小鷹君、今日は泊まっていきなさい」
その後父さんとの思い出話を楽しそうに語っていた理事長だったが、急にこんな事を言ってきた。
「えっ、あ、いえ、でも悪いですし……」
「なんだ、やはり君は隼人より人間ができているようだな。だが、気にすることはない。
それに、20時以降のバスはないぞ」
「はい!?」
俺がそう言ってケータイの時間を確認してみると、ちょうど20時を回ったところだった。
この人……絶対わざとギリギリまで言わなかったんだ…………。
「あー、でも小鳩が、妹が家に居るんで」
「……あぁ、すまない、そうだったな。まったく、父親があれだけフラフラしていると大変だな君も」
「あはは、もう慣れました」
そう言って苦笑いを浮かべる。
まぁ料理なんかは嫌いじゃないから、元々そこまで気にしてはいない。
「それではステラの車で送らせるとしよう」
「かしこまりました」
「ありがとうございます、理事長、ステラさん」
「――だがその前に、少し付き合ってもらうぞ」
そう言って理事長が取り出したのは、高そうなワイン。
おいこれはもしかして…………。
「よし、では私の部屋へ行くぞ。安心しなさい、そう遅くまでは引き止めないさ」
そんな理事長に逆らえるはずもなく。
俺は顔を引きつらせながらついて行くしかない。
そんな俺に、ステラさんが後ろから耳打ちをする。
「大丈夫です、旦那様は下戸ですから」
「そんな事はない!!!」
聞こえていたのか、理事長はムキになって言い返した。
***
「小鷹君、今日は泊まっていきなさい」
その後父さんとの思い出話を楽しそうに語っていた理事長だったが、急にこんな事を言ってきた。
「えっ、あ、いえ、でも悪いですし……」
「なんだ、やはり君は隼人より人間ができているようだな。だが、気にすることはない。
それに、20時以降のバスはないぞ」
「はい!?」
俺がそう言ってケータイの時間を確認してみると、ちょうど20時を回ったところだった。
この人……絶対わざとギリギリまで言わなかったんだ…………。
「あー、でも小鳩が、妹が家に居るんで」
「……あぁ、すまない、そうだったな。まったく、父親があれだけフラフラしていると大変だな君も」
「あはは、もう慣れました」
そう言って苦笑いを浮かべる。
まぁ料理なんかは嫌いじゃないから、元々そこまで気にしてはいない。
「それではステラの車で送らせるとしよう」
「かしこまりました」
「ありがとうございます、理事長、ステラさん」
「――だがその前に、少し付き合ってもらうぞ」
そう言って理事長が取り出したのは、高そうなワイン。
おいこれはもしかして…………。
「よし、では私の部屋へ行くぞ。安心しなさい、そう遅くまでは引き止めないさ」
そんな理事長に逆らえるはずもなく。
俺は顔を引きつらせながらついて行くしかない。
そんな俺に、ステラさんが後ろから耳打ちをする。
「大丈夫です、旦那様は下戸ですから」
「そんな事はない!!!」
聞こえていたのか、理事長はムキになって言い返した。
15: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 23:33:36.18:arZspdAto (11/13)
***
理事長の部屋は、なんていうか、やはり凄かった。
カーペットやソファーのフカフカ具合なんかは半端ないし、ベッドも天蓋付きという俺も初めて見るようなものだった。
そんな部屋の中央で、俺は対面に居る理事長にワインを注いでもらっている。
どうしてこうなった。
「あ、ありがとうございます」
「ふん、どうせ君も隼人やアイリさんと同じくざるなのだろう?」
「ま、まぁ……」
学園の理事長の前で未成年飲酒を認めるのはアレな気がするが、そもそもその理事長本人が酒を進めてくるので素直に白状する。
酒はよく父さんに付き合わされ、自分が結構飲めるというのも分かっている。
「若い頃は勤勉で真面目な学生だった私を、こうやって酒に付き合わせたのは隼人だ。だから、君も付き合いなさい」
なんだかムチャクチャな事を言われている気がするが、反論しても仕方ないので苦笑いを浮かべるしかない。
その間に、理事長は自分のグラスのワインを一気に飲み干す。
「ワインはキリストの血。例え未成年でもバチは当たるまい」
キリスト万能だな。
いつまでも口にしないのも失礼なので、俺も一口飲んでみる。
「あ、おいしい」
「だろう? なにせ高いからな」
キリストの血にも高いのと安いのがあるんだな。
たぶん動脈の綺麗な血は高くて静脈の汚い血は安いのだろう、などと意味の分からない事を考える。
俺は理事長の真似をして、次は一気に飲み干す。
「いい呑みっぷりだ。どんどん呑みなさい」
「あはは、それどう考えても教育者のセリフじゃないですって」
理事長も楽しげに小さく笑うと、再び一口で飲み干す。
俺もこうして大人と二人で飲んでいると、父さんのことを思い出す。
グラスの中のワインを少し回しながら、俺はしみじみと口を開く。
「でも、たぶん父さんは、こういうワインの違いとか分からないと思いますよ。アルコールが入っていればいいって人なので」
「ワインはきりしゅとのち!!!」
「……はい?」
驚いて顔を上げると。
そこには顔を真っ赤にして明らかに完成してしまった理事長がいた。
***
理事長の部屋は、なんていうか、やはり凄かった。
カーペットやソファーのフカフカ具合なんかは半端ないし、ベッドも天蓋付きという俺も初めて見るようなものだった。
そんな部屋の中央で、俺は対面に居る理事長にワインを注いでもらっている。
どうしてこうなった。
「あ、ありがとうございます」
「ふん、どうせ君も隼人やアイリさんと同じくざるなのだろう?」
「ま、まぁ……」
学園の理事長の前で未成年飲酒を認めるのはアレな気がするが、そもそもその理事長本人が酒を進めてくるので素直に白状する。
酒はよく父さんに付き合わされ、自分が結構飲めるというのも分かっている。
「若い頃は勤勉で真面目な学生だった私を、こうやって酒に付き合わせたのは隼人だ。だから、君も付き合いなさい」
なんだかムチャクチャな事を言われている気がするが、反論しても仕方ないので苦笑いを浮かべるしかない。
その間に、理事長は自分のグラスのワインを一気に飲み干す。
「ワインはキリストの血。例え未成年でもバチは当たるまい」
キリスト万能だな。
いつまでも口にしないのも失礼なので、俺も一口飲んでみる。
「あ、おいしい」
「だろう? なにせ高いからな」
キリストの血にも高いのと安いのがあるんだな。
たぶん動脈の綺麗な血は高くて静脈の汚い血は安いのだろう、などと意味の分からない事を考える。
俺は理事長の真似をして、次は一気に飲み干す。
「いい呑みっぷりだ。どんどん呑みなさい」
「あはは、それどう考えても教育者のセリフじゃないですって」
理事長も楽しげに小さく笑うと、再び一口で飲み干す。
俺もこうして大人と二人で飲んでいると、父さんのことを思い出す。
グラスの中のワインを少し回しながら、俺はしみじみと口を開く。
「でも、たぶん父さんは、こういうワインの違いとか分からないと思いますよ。アルコールが入っていればいいって人なので」
「ワインはきりしゅとのち!!!」
「……はい?」
驚いて顔を上げると。
そこには顔を真っ赤にして明らかに完成してしまった理事長がいた。
16: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 23:34:05.30:arZspdAto (12/13)
あの、キリストの名前が言えていませんが、これはキリスト系のミッションスクールの理事長的にありなんでしょうか。
「そうじぇ……きりーしゅとぉ…………」
これは酷い。
確かにステラさんは下戸だと言っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
まぁ、酒に弱くても好きな人は結構いたりするけど。
考え方を変えれば、少ない量で酔えるのだから経済的ではあるのだろう。
この人の場合はそんな事関係ないだろうが。
そしてそれからは何かをモゴモゴ言っていた理事長だったが。
ついにはその言葉もただの寝息へと変わっていた。
「……どうすんだこれ」
とりあえずステラさんを呼ばないとな、とソファーから立ち上がる俺だったが。
「ぱ、パパ……? あの、来たけど……」
扉の向こうからそんな声が聞こえてきた。
この声は確か……理事長の一人娘の星奈、だっただろうか。
そういえば、怒られて部屋に呼ばれてたな。だからこんなに声が震えているのか。
「パパ? 入るわよ」
ガチャ、と扉を開けて入ってくる星奈。
彼女はまずテーブルに突っ伏している理事長を見る。
そして、今まさに立ち上がったところの俺を見る。
少しの間、部屋に沈黙が続く。
そして。
「ひっ!!」
「ひ?」
「人殺しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
何やら物騒な事を叫んだ。
「は、はぁ!?」
「パパ!! パパァァ!!!」
星奈は俺を完全無視して、泣きながら理事長を揺さぶる。
おーい。
「いや、その人は……」
「黙りなさいこの殺人鬼!!!」
ひ、ひでえ……。
確かに今まで不良やらなんやら色んな事を言われてきたが、殺人鬼とまで言われた経験はなかった。
「ち、ちげえって!! よく見ろ!!」
「ひっ、わ、私も殺すの!? パパの様に私も!!!」
「話を聞けえええええええ!!!」
どうやら俺の顔が恐ろしかったらしく、相当怯えた様子の星奈。
ていうか、笑っても怒っても普通にしてても恐ろしいってんならどうすればいいんだよ。
それにしても、これだけの騒ぎなのに理事長は起きない。
まぁ、その内ステラさんが来てくれるとは思うけど、それまで星奈をパニック状態にさせておくのもなんかなぁ……。
どうする? >>17
あの、キリストの名前が言えていませんが、これはキリスト系のミッションスクールの理事長的にありなんでしょうか。
「そうじぇ……きりーしゅとぉ…………」
これは酷い。
確かにステラさんは下戸だと言っていたが、まさかここまでとは思わなかった。
まぁ、酒に弱くても好きな人は結構いたりするけど。
考え方を変えれば、少ない量で酔えるのだから経済的ではあるのだろう。
この人の場合はそんな事関係ないだろうが。
そしてそれからは何かをモゴモゴ言っていた理事長だったが。
ついにはその言葉もただの寝息へと変わっていた。
「……どうすんだこれ」
とりあえずステラさんを呼ばないとな、とソファーから立ち上がる俺だったが。
「ぱ、パパ……? あの、来たけど……」
扉の向こうからそんな声が聞こえてきた。
この声は確か……理事長の一人娘の星奈、だっただろうか。
そういえば、怒られて部屋に呼ばれてたな。だからこんなに声が震えているのか。
「パパ? 入るわよ」
ガチャ、と扉を開けて入ってくる星奈。
彼女はまずテーブルに突っ伏している理事長を見る。
そして、今まさに立ち上がったところの俺を見る。
少しの間、部屋に沈黙が続く。
そして。
「ひっ!!」
「ひ?」
「人殺しいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
何やら物騒な事を叫んだ。
「は、はぁ!?」
「パパ!! パパァァ!!!」
星奈は俺を完全無視して、泣きながら理事長を揺さぶる。
おーい。
「いや、その人は……」
「黙りなさいこの殺人鬼!!!」
ひ、ひでえ……。
確かに今まで不良やらなんやら色んな事を言われてきたが、殺人鬼とまで言われた経験はなかった。
「ち、ちげえって!! よく見ろ!!」
「ひっ、わ、私も殺すの!? パパの様に私も!!!」
「話を聞けえええええええ!!!」
どうやら俺の顔が恐ろしかったらしく、相当怯えた様子の星奈。
ていうか、笑っても怒っても普通にしてても恐ろしいってんならどうすればいいんだよ。
それにしても、これだけの騒ぎなのに理事長は起きない。
まぁ、その内ステラさんが来てくれるとは思うけど、それまで星奈をパニック状態にさせておくのもなんかなぁ……。
どうする? >>17
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/15(日) 23:36:29.56:9yVXPxHAO (3/3)
理科にメール実況
理科にメール実況
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/15(日) 23:40:10.62:4xazBINa0 (1/2)
というか、何で死んでると思ったし
というか、何で死んでると思ったし
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/15(日) 23:41:42.91:S1Hm6v32o (1/1)
この小鷹は全校生徒半殺しにした小鷹さんだから仕方ない
この小鷹は全校生徒半殺しにした小鷹さんだから仕方ない
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/15(日) 23:42:12.35:4xazBINa0 (2/2)
>>19
納得
>>19
納得
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/15(日) 23:46:08.05:WBQZ7gI90 (1/1)
前科持ちは大変だな
前科持ちは大変だな
22: ◆0WipXNi8qk:2012/07/15(日) 23:55:33.28:arZspdAto (13/13)
「そ、そうだ理科に相談しよう……って俺アイツの連絡先知らねえ…………」
そんなこんなで、ステラさんが到着するまで星奈は錯乱したままだった。
***
それから一週間で俺の停学はとけた。
一週間ぶりに登校して教室に入ると、もうこれ以上にない程にみんなが俺を恐れているのが分かる。
まぁ無理もないだろうが。
チラッと夜空の方を見てみると見事に目が合ったが、すぐに逸らされてしまった。
……まさか、夜空にまで怖がられたのか?
それは他の生徒と比べると何倍もキツイ。
そしてなぜか、クラスには「羽瀬川小鷹が理事長を毒殺しようとした」などという噂が流れていた。
***
放課後。
これから部活だが、俺は少し悩む。
もちろん、部活に行こうかどうかではない。
夜空と一緒に行くかどうか、だ。
別に無理して一緒に行く必要もないとは思うが、こうして教室でよそよそしくして部活で一緒になるというのも何だか気まずい。
だが、今朝の様子を見ると、もしかしたら俺のことを怖がっているという恐れもある。
どうする? >>23
「そ、そうだ理科に相談しよう……って俺アイツの連絡先知らねえ…………」
そんなこんなで、ステラさんが到着するまで星奈は錯乱したままだった。
***
それから一週間で俺の停学はとけた。
一週間ぶりに登校して教室に入ると、もうこれ以上にない程にみんなが俺を恐れているのが分かる。
まぁ無理もないだろうが。
チラッと夜空の方を見てみると見事に目が合ったが、すぐに逸らされてしまった。
……まさか、夜空にまで怖がられたのか?
それは他の生徒と比べると何倍もキツイ。
そしてなぜか、クラスには「羽瀬川小鷹が理事長を毒殺しようとした」などという噂が流れていた。
***
放課後。
これから部活だが、俺は少し悩む。
もちろん、部活に行こうかどうかではない。
夜空と一緒に行くかどうか、だ。
別に無理して一緒に行く必要もないとは思うが、こうして教室でよそよそしくして部活で一緒になるというのも何だか気まずい。
だが、今朝の様子を見ると、もしかしたら俺のことを怖がっているという恐れもある。
どうする? >>23
23:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/15(日) 23:56:28.93:nu3dqe2SO (1/1)
サボってどっかいこーっと♪
サボってどっかいこーっと♪
24: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 00:02:42.91:CZnO16LJo (1/33)
……だが待て。
俺はいつも通りに部活に行ってもいいのだろうか?
今の俺の評判が過去最悪だというのは、周りの様子からも明らかだ。
そんな俺が部活に行って、理科や夜空にまで悪影響を及ぼす可能性はないだろうか?
「…………」
なんか、一気に気まずくなってきた。
とりあえず俺は、真っ直ぐ部活には行かずにどこか他の場所に行ってみることにした。
どこに行く? >>25
……だが待て。
俺はいつも通りに部活に行ってもいいのだろうか?
今の俺の評判が過去最悪だというのは、周りの様子からも明らかだ。
そんな俺が部活に行って、理科や夜空にまで悪影響を及ぼす可能性はないだろうか?
「…………」
なんか、一気に気まずくなってきた。
とりあえず俺は、真っ直ぐ部活には行かずにどこか他の場所に行ってみることにした。
どこに行く? >>25
25:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/16(月) 00:03:46.17:G+SOiW/po (1/2)
理科のスカートの中
理科のスカートの中
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/16(月) 00:08:52.61:14/+IZfE0 (1/2)
>>25
直行じゃねえかwwww
>>25
直行じゃねえかwwww
27: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 00:20:32.46:CZnO16LJo (2/33)
「理科あああああああああああ!!!」
結局いつも通りに、俺は理科のスカートの中へと突撃し、いつも通りにナインライブス・ブレイカーに迎撃される。
どこかに行こうと思った俺だったが、気付けばここ理科室まで来ていた。
「まったく、停学明けでも相変わらずですね先輩」
「お、お前も相変わらずだな……いや、ちょっと威力上がってねえかそれ?」
ボロボロになりながら俺は指摘する。
「例のバイオハザード事件で、少し改良の余地があるかなと思って強化しました!」
「あんな事、もう二度と起こるわけねえだろ。つか、起こしたら今度こそ退学だろ」
そう言って溜息をつく俺。
「まったく、全然懲りてないな貴様らは」
そんな声が後ろから急に聞こえてきて。
俺は思わず全身をビクッと震わせる。
「うおっ、夜空!? お前居たのかよ!!」
「……その反応はやめろ」
何かトラウマでもあるのか、夜空は苦々しげな表情になる。
だが、俺は少し安心する。
どうやら夜空はいつも通りで、停学前と変わらない感じで接してくれている。
理科は俺と夜空を見て、嬉しそうにホワイトボードの前まで歩いて行く。
「――では、今日の活動を始めますよ!! 何か友達作りに役立ちそうな道具のアイデアを出していきましょう!!」
何を作る? >>28
「理科あああああああああああ!!!」
結局いつも通りに、俺は理科のスカートの中へと突撃し、いつも通りにナインライブス・ブレイカーに迎撃される。
どこかに行こうと思った俺だったが、気付けばここ理科室まで来ていた。
「まったく、停学明けでも相変わらずですね先輩」
「お、お前も相変わらずだな……いや、ちょっと威力上がってねえかそれ?」
ボロボロになりながら俺は指摘する。
「例のバイオハザード事件で、少し改良の余地があるかなと思って強化しました!」
「あんな事、もう二度と起こるわけねえだろ。つか、起こしたら今度こそ退学だろ」
そう言って溜息をつく俺。
「まったく、全然懲りてないな貴様らは」
そんな声が後ろから急に聞こえてきて。
俺は思わず全身をビクッと震わせる。
「うおっ、夜空!? お前居たのかよ!!」
「……その反応はやめろ」
何かトラウマでもあるのか、夜空は苦々しげな表情になる。
だが、俺は少し安心する。
どうやら夜空はいつも通りで、停学前と変わらない感じで接してくれている。
理科は俺と夜空を見て、嬉しそうにホワイトボードの前まで歩いて行く。
「――では、今日の活動を始めますよ!! 何か友達作りに役立ちそうな道具のアイデアを出していきましょう!!」
何を作る? >>28
28:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/16(月) 00:22:05.36:14/+IZfE0 (2/2)
簡易型防犯ブザー(クラスの人数分)
簡易型防犯ブザー(クラスの人数分)
29: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 00:44:08.32:CZnO16LJo (3/33)
「……防犯ブザーなんかはどうだ?」
そう提案したのは夜空だ。
「防犯ブザー?」
「あぁ、今回の半殺し事件で学校は恐怖のどん底に突き落とされている。特に諸悪の根源が居るウチのクラスは酷い」
「…………」
いや、それは分かってるけどさ。
改めて言われると、その、やっぱり凹む。
「だから、少しでも不安を取り除いてやろうという事で防犯ブザーを配るのだ。
まぁ気休め程度の簡易的なもので構わん。それでもあるだけで大分違うものだ」
「なるほど……友達作りはまずクラスの雰囲気からって事ですか! いい考えです、夜空先輩!」
「……ちょっといいか」
「むっ、どうした小鷹」
俺は一つ気になることがあった。
「それってさ、その諸悪の根源とやらの俺が配っても大丈夫なのか?」
「「…………」」
俺の言葉に夜空と理科が固まる。
そして数秒考えた後。
「知らん」
そんな夜空の答えが返ってきた。
俺はガクッと肩を落とした。
「あっ、でも先輩、これってとりあえず先輩達のクラスの人達に配るんですよね?」
「あぁ、そうだが?」
「どうやって配るんですか? 朝に黒板の前に立って『みんな注目ー!』とかって言うんですか?」
俺は理科の言葉で、夜空がそんな事をしている様子を想像する。
…………誰だお前。
「そ、それは……ほら、朝早くに来て机の中に入れておくとか…………」
「バレタインのチョコですか!! いきなり朝来て防犯ブザーが机の中にあったら不気味ですよ!!」
「う、うむ……」
どうやって配る? >>30
「……防犯ブザーなんかはどうだ?」
そう提案したのは夜空だ。
「防犯ブザー?」
「あぁ、今回の半殺し事件で学校は恐怖のどん底に突き落とされている。特に諸悪の根源が居るウチのクラスは酷い」
「…………」
いや、それは分かってるけどさ。
改めて言われると、その、やっぱり凹む。
「だから、少しでも不安を取り除いてやろうという事で防犯ブザーを配るのだ。
まぁ気休め程度の簡易的なもので構わん。それでもあるだけで大分違うものだ」
「なるほど……友達作りはまずクラスの雰囲気からって事ですか! いい考えです、夜空先輩!」
「……ちょっといいか」
「むっ、どうした小鷹」
俺は一つ気になることがあった。
「それってさ、その諸悪の根源とやらの俺が配っても大丈夫なのか?」
「「…………」」
俺の言葉に夜空と理科が固まる。
そして数秒考えた後。
「知らん」
そんな夜空の答えが返ってきた。
俺はガクッと肩を落とした。
「あっ、でも先輩、これってとりあえず先輩達のクラスの人達に配るんですよね?」
「あぁ、そうだが?」
「どうやって配るんですか? 朝に黒板の前に立って『みんな注目ー!』とかって言うんですか?」
俺は理科の言葉で、夜空がそんな事をしている様子を想像する。
…………誰だお前。
「そ、それは……ほら、朝早くに来て机の中に入れておくとか…………」
「バレタインのチョコですか!! いきなり朝来て防犯ブザーが机の中にあったら不気味ですよ!!」
「う、うむ……」
どうやって配る? >>30
30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 00:46:24.47:Cv+MmOcSO (1/10)
謝罪の意味も込め、それぞれの家のポストに投函
謝罪の意味も込め、それぞれの家のポストに投函
31:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/16(月) 01:02:15.95:3ae5IwVXo (1/1)
>>30
それだ!!
>>30
それだ!!
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/16(月) 01:43:34.67:G+SOiW/po (2/2)
この小鷹なら爆弾でも投函されたとか勘違いされてもおかしくない
この小鷹なら爆弾でも投函されたとか勘違いされてもおかしくない
33: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 02:23:00.15:CZnO16LJo (4/33)
「そ、そうだ! それぞれの家のポストに投函するというのはどうだ?」
「え、全員分? それってかなり大変じゃ……」
「今回の事件は理科部の責任だ。正しくは私以外の理科部だが。
だから、そのくらいやっても当然だろう。謝罪の意味も込めてな」
「でも、結局あの事件って小鷹先輩の武勇伝としてしか語られていませんよね。理科部のりの字も出てこないですもん」
理科はどこか申し訳なさそうにそんな事を言う。
とりあえずハッキリ言えるのは、決して武勇伝ではないという事だ。
「いや、別にいいだろ。俺は元々評判悪かったし」
「今ではほとんど修復不能な状態になったがな」
「ハッキリ言い過ぎだろ!!」
俺はちょっと泣きそうに泣きながら言う。
「まぁとにかく、これは理科部で作りましたとか何とか書いて、それぞれのポストに投函。それでいいだろう」
「分かりました。それでは理科は今から全員分の住所調べますね」
「そんな簡単に分かんのかよ……」
「ふっ、この程度理科にとっては造作も無いことですよ! オナニーしながらでもできます」
「この変態が!!!」
夜空は顔を真っ赤にして叫んだ。
***
次の日の朝。
俺が登校すると、クラスは防犯ブザーの話で持ちきりだった。
「理科部が作ってくれたんだって」
「へぇー、そんな部活あったんだ」
「でもこういうのって嬉しいよね!」
「うん、ちょっと安心するかも」
どうやら中々好評のようだ。
俺は思わず口がニヤけそうになり、モニュモニュと抑える。
あー、たまに夜空が口をモニュモニュするのは、ニヤけるのを抑えてるのかもな、なんて事にもふと気が付く。
あと、あの事件の原因も理科部だと分かったら、この反応も大分変わってきそうだが、そこは気にしないでおく。
「そういえば、理科部って三日月さんが入ってるんじゃなかったっけ?」
「えっ、そうなの?」
「そういえば、この前クラスの子が放課後に理科室に入って行くのを見たって」
そんな声が聞こえたかと思うと、あからさまに夜空の肩がビクッと震える。
そして何故か助けを求めるかのようにこちらを見てくる。俺にどうしろってんだ。
「そ、そうだ! それぞれの家のポストに投函するというのはどうだ?」
「え、全員分? それってかなり大変じゃ……」
「今回の事件は理科部の責任だ。正しくは私以外の理科部だが。
だから、そのくらいやっても当然だろう。謝罪の意味も込めてな」
「でも、結局あの事件って小鷹先輩の武勇伝としてしか語られていませんよね。理科部のりの字も出てこないですもん」
理科はどこか申し訳なさそうにそんな事を言う。
とりあえずハッキリ言えるのは、決して武勇伝ではないという事だ。
「いや、別にいいだろ。俺は元々評判悪かったし」
「今ではほとんど修復不能な状態になったがな」
「ハッキリ言い過ぎだろ!!」
俺はちょっと泣きそうに泣きながら言う。
「まぁとにかく、これは理科部で作りましたとか何とか書いて、それぞれのポストに投函。それでいいだろう」
「分かりました。それでは理科は今から全員分の住所調べますね」
「そんな簡単に分かんのかよ……」
「ふっ、この程度理科にとっては造作も無いことですよ! オナニーしながらでもできます」
「この変態が!!!」
夜空は顔を真っ赤にして叫んだ。
***
次の日の朝。
俺が登校すると、クラスは防犯ブザーの話で持ちきりだった。
「理科部が作ってくれたんだって」
「へぇー、そんな部活あったんだ」
「でもこういうのって嬉しいよね!」
「うん、ちょっと安心するかも」
どうやら中々好評のようだ。
俺は思わず口がニヤけそうになり、モニュモニュと抑える。
あー、たまに夜空が口をモニュモニュするのは、ニヤけるのを抑えてるのかもな、なんて事にもふと気が付く。
あと、あの事件の原因も理科部だと分かったら、この反応も大分変わってきそうだが、そこは気にしないでおく。
「そういえば、理科部って三日月さんが入ってるんじゃなかったっけ?」
「えっ、そうなの?」
「そういえば、この前クラスの子が放課後に理科室に入って行くのを見たって」
そんな声が聞こえたかと思うと、あからさまに夜空の肩がビクッと震える。
そして何故か助けを求めるかのようにこちらを見てくる。俺にどうしろってんだ。
34: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 02:28:38.49:CZnO16LJo (5/33)
「ね、ねぇ三日月さん!」
クラスの子の一人。
女子の中でもかなり目立つ方の女子が夜空に話しかける。
「ひゃ、ひゃい!!」
あっ、噛んだ。
その女子はそんな夜空に驚きつつも、何事もなかったかのように続ける。いい子だ。
「えっと……三日月さんって、理科部なの?」
「あ、あぁ」
「そっか!! これありがとね、すっごく心強い!!」
「い、いや、でも簡易的なものだし……」
「十分だって! それに気持ちだけでもすっごく嬉しいし!」
「ぶ、部活で決めたことだから……」
顔を真っ赤にしてしどろもどろになっている夜空を見て、俺は微笑ましく思った。
そうだ、こうやってクラスと関わりを持っていけば、いずれ友達もできるはずだ。
そういう意味で、夜空発案の今回の活動は大成功だったと言える。
周りからは、
「三日月って、結構良い奴だったんだな……」
「私、三日月さんの事誤解してたかも……」
とか聞こえてくる。
これは大きな前進だ。
(……よし)
こうなったら俺もこの流れに乗るしかないだろう。
ここで俺も理科部の一員だという事を明かす。
そうすれば、もしかしたら俺の評判もマシになるかもしれない!
そう決心した俺は席を立って、ちょうど近くで防犯ブザーを持って何かを話している男子集団に近づく。
まず落ち着いて。そしてできるだけフレンドリーに。
俺はニコリと笑って話しかける。
「な、なぁ。実は俺も理科――――」
「ひいいいい!!!」
ビー!!!
教室中に防犯ブザーの音が鳴り響いた。
「ね、ねぇ三日月さん!」
クラスの子の一人。
女子の中でもかなり目立つ方の女子が夜空に話しかける。
「ひゃ、ひゃい!!」
あっ、噛んだ。
その女子はそんな夜空に驚きつつも、何事もなかったかのように続ける。いい子だ。
「えっと……三日月さんって、理科部なの?」
「あ、あぁ」
「そっか!! これありがとね、すっごく心強い!!」
「い、いや、でも簡易的なものだし……」
「十分だって! それに気持ちだけでもすっごく嬉しいし!」
「ぶ、部活で決めたことだから……」
顔を真っ赤にしてしどろもどろになっている夜空を見て、俺は微笑ましく思った。
そうだ、こうやってクラスと関わりを持っていけば、いずれ友達もできるはずだ。
そういう意味で、夜空発案の今回の活動は大成功だったと言える。
周りからは、
「三日月って、結構良い奴だったんだな……」
「私、三日月さんの事誤解してたかも……」
とか聞こえてくる。
これは大きな前進だ。
(……よし)
こうなったら俺もこの流れに乗るしかないだろう。
ここで俺も理科部の一員だという事を明かす。
そうすれば、もしかしたら俺の評判もマシになるかもしれない!
そう決心した俺は席を立って、ちょうど近くで防犯ブザーを持って何かを話している男子集団に近づく。
まず落ち着いて。そしてできるだけフレンドリーに。
俺はニコリと笑って話しかける。
「な、なぁ。実は俺も理科――――」
「ひいいいい!!!」
ビー!!!
教室中に防犯ブザーの音が鳴り響いた。
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 02:29:46.78:Cv+MmOcSO (2/10)
……せつないな……
……せつないな……
36: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 02:34:13.99:CZnO16LJo (6/33)
クラスが静まり返った。
視線がこちらに集中する。
……あー、こういう音するんだ。結構でかいんだな。
俺も夜空も実際に鳴らす事はなかったので、音は初めて聞く。
「あっ、ごごごごごめんなさい!!! ちょ、ちょっと、び、びびびビックリしただけだから、そ、そそそそその許してくださいいいいいいいいい!!!!!」
「……い、いや、いいよ。その、気にしなくても」
「お、お金なら、い、いいい今3000円し、しかなくててててて!! あ、あののの、こ、これで、か、かかか勘弁し、ししし……」
「ほ、ホント大丈夫だから。わ、悪かったな驚かせて」
俺はそう言うと、ゆっくりと自分の席へ戻る。
その途中、ショックで足取りがおぼつかなかったのか、他の机にガンッ! と足をぶつけてしまう。
「あ、ごめ――」
「きゃあああああああああああああ!!!」
ビー!!!
「…………」
「ひっ……あっ、ごめんなさい!!! わ、私も、えっと……び、ビックリしちゃって……ッ!!」
「あ、あぁ。こっちこそごめんな、驚かせて……」
「わ、私、ま、まだその、しょ、処女なんで……ゆ、許してください!!!」
「……大丈夫だって、気にしてないよ」
そんなやり取りをして、俺は席に戻った。
先程までの和やかなクラスの雰囲気はどこへやら。
今や、空気は殺伐とし過ぎて、どこか痛いくらいになっていた。
俺はちょっと泣いた。
***
「ど、どうしたんですか小鷹先輩。ジョーみたいに燃え尽きて」
「……あまり触れてやるな理科」
放課後。
俺はいつも通りに理科室に来ていた。
といっても、どうやってここまで来たのかは覚えていない。
何でも、俺がフラフラと屋上へ向かうのを見た夜空が慌てて引きずって来たとか何とか。
理科が、そして夜空までもが哀れんだ目でこちらを見ている。
やめてくれ、余計悲しくなるから。
その時。
コンコンと、ノックの音が聞こえた。
クラスが静まり返った。
視線がこちらに集中する。
……あー、こういう音するんだ。結構でかいんだな。
俺も夜空も実際に鳴らす事はなかったので、音は初めて聞く。
「あっ、ごごごごごめんなさい!!! ちょ、ちょっと、び、びびびビックリしただけだから、そ、そそそそその許してくださいいいいいいいいい!!!!!」
「……い、いや、いいよ。その、気にしなくても」
「お、お金なら、い、いいい今3000円し、しかなくててててて!! あ、あののの、こ、これで、か、かかか勘弁し、ししし……」
「ほ、ホント大丈夫だから。わ、悪かったな驚かせて」
俺はそう言うと、ゆっくりと自分の席へ戻る。
その途中、ショックで足取りがおぼつかなかったのか、他の机にガンッ! と足をぶつけてしまう。
「あ、ごめ――」
「きゃあああああああああああああ!!!」
ビー!!!
「…………」
「ひっ……あっ、ごめんなさい!!! わ、私も、えっと……び、ビックリしちゃって……ッ!!」
「あ、あぁ。こっちこそごめんな、驚かせて……」
「わ、私、ま、まだその、しょ、処女なんで……ゆ、許してください!!!」
「……大丈夫だって、気にしてないよ」
そんなやり取りをして、俺は席に戻った。
先程までの和やかなクラスの雰囲気はどこへやら。
今や、空気は殺伐とし過ぎて、どこか痛いくらいになっていた。
俺はちょっと泣いた。
***
「ど、どうしたんですか小鷹先輩。ジョーみたいに燃え尽きて」
「……あまり触れてやるな理科」
放課後。
俺はいつも通りに理科室に来ていた。
といっても、どうやってここまで来たのかは覚えていない。
何でも、俺がフラフラと屋上へ向かうのを見た夜空が慌てて引きずって来たとか何とか。
理科が、そして夜空までもが哀れんだ目でこちらを見ている。
やめてくれ、余計悲しくなるから。
その時。
コンコンと、ノックの音が聞こえた。
37: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 02:39:59.54:CZnO16LJo (7/33)
「えっ、も、もしかして入部希望者ですか!?」
「な、なに!?」
理科、そして夜空が慌てて立ち上がる。
「せ、先輩出てください!」
「何を言っている、部長は貴様だろ!」
「でも先輩、クラスで感謝されたんでしょう? 現時点で友達力は先輩がトップです! つまり部のエース!!」
友達力って何だよ……と思ったが突っ込む気力も湧かないのでスルー。
「くっ……し、仕方がないな…………」
友達力という謎の単語が気に入ったのだろうか。
夜空は渋々といった様子でドアの方へと歩いて行き、
ガラガラ!! と開けた。
その向こうに居たのは二人の男子。
見覚えがあると思ったら、俺と夜空と同じクラスの生徒だ。
そして、その内の一人が少し緊張した様子で口を開く。
「あっ、えと、三日月さん。その、俺達も理科部に入りたいなー、なんて思って」
「そ、そうか。じゃあ、にゅ、入部届が必要だな。理科!!」
「は、はい!!」
理科は慌てて立ち上がると、机を開けてガサゴソと漁り始める。
バイブやらローターやら明らかにおかしいものが次々と発掘されるが、やはり突っ込む気力が湧かないのでスルー。
「そ、そうだ、ここで立ち話というのもなんだろう。入って色々見てみるがいい」
夜空はそう言って、男子生徒二人を部屋に招き入れる。
それが間違いだった。
「「ひっ!!!」」
悲鳴がハモる。これはこれで凄い気がする。
視線の先は案の定俺。
俺は慌てて立ち上がる。
せっかくの新入部員だ、ここで怯えさせるわけにはいかない!
俺は焦りながらも、必死にフレンドリーな感じで、
「よ、よォ!! こ、これから、夜露死苦ゥゥ!!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
「殺さないでえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
――後に残ったのは。
呆然と部屋の入口を見つめる夜空に。
夢中になって机の中を漁っている理科に。
間抜けに立ち上がったまま、まるで授業中に挙手をしているかのように片手を上げている俺だけだった。
「……あっ、ありましたありました!! すみません、恥ずかしながら全然片付いてなくて…………ってあれ?」
理科の声は、虚しく部屋に響いた。
次の日、クラスには「羽瀬川小鷹が防犯ブザーの報復に理科部を襲撃した」という噂が流れていた。
「えっ、も、もしかして入部希望者ですか!?」
「な、なに!?」
理科、そして夜空が慌てて立ち上がる。
「せ、先輩出てください!」
「何を言っている、部長は貴様だろ!」
「でも先輩、クラスで感謝されたんでしょう? 現時点で友達力は先輩がトップです! つまり部のエース!!」
友達力って何だよ……と思ったが突っ込む気力も湧かないのでスルー。
「くっ……し、仕方がないな…………」
友達力という謎の単語が気に入ったのだろうか。
夜空は渋々といった様子でドアの方へと歩いて行き、
ガラガラ!! と開けた。
その向こうに居たのは二人の男子。
見覚えがあると思ったら、俺と夜空と同じクラスの生徒だ。
そして、その内の一人が少し緊張した様子で口を開く。
「あっ、えと、三日月さん。その、俺達も理科部に入りたいなー、なんて思って」
「そ、そうか。じゃあ、にゅ、入部届が必要だな。理科!!」
「は、はい!!」
理科は慌てて立ち上がると、机を開けてガサゴソと漁り始める。
バイブやらローターやら明らかにおかしいものが次々と発掘されるが、やはり突っ込む気力が湧かないのでスルー。
「そ、そうだ、ここで立ち話というのもなんだろう。入って色々見てみるがいい」
夜空はそう言って、男子生徒二人を部屋に招き入れる。
それが間違いだった。
「「ひっ!!!」」
悲鳴がハモる。これはこれで凄い気がする。
視線の先は案の定俺。
俺は慌てて立ち上がる。
せっかくの新入部員だ、ここで怯えさせるわけにはいかない!
俺は焦りながらも、必死にフレンドリーな感じで、
「よ、よォ!! こ、これから、夜露死苦ゥゥ!!!」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
「殺さないでえええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」
――後に残ったのは。
呆然と部屋の入口を見つめる夜空に。
夢中になって机の中を漁っている理科に。
間抜けに立ち上がったまま、まるで授業中に挙手をしているかのように片手を上げている俺だけだった。
「……あっ、ありましたありました!! すみません、恥ずかしながら全然片付いてなくて…………ってあれ?」
理科の声は、虚しく部屋に響いた。
次の日、クラスには「羽瀬川小鷹が防犯ブザーの報復に理科部を襲撃した」という噂が流れていた。
38:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 02:43:31.48:Cv+MmOcSO (3/10)
泣いたって
いいじゃない
にんげんだもの
こだか
泣いたって
いいじゃない
にんげんだもの
こだか
39: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 02:57:38.92:CZnO16LJo (8/33)
放課後。
未だにこの前の防犯ブザーの件の傷が癒えない俺は、今日も理科室に来ていた。
いつも通り、夜空と理科も居る。
「……で、次はどんな道具出してくれるんだ、りかえもん」
「先輩、後ろを見ても始まりません。あんな事、2秒で切り返してください!」
「2秒はさすがに前向きすぎね?」
「あぁ、もう! いいから次の道具のアイデアを出していくぞ!」
何を作る? >>40
放課後。
未だにこの前の防犯ブザーの件の傷が癒えない俺は、今日も理科室に来ていた。
いつも通り、夜空と理科も居る。
「……で、次はどんな道具出してくれるんだ、りかえもん」
「先輩、後ろを見ても始まりません。あんな事、2秒で切り返してください!」
「2秒はさすがに前向きすぎね?」
「あぁ、もう! いいから次の道具のアイデアを出していくぞ!」
何を作る? >>40
40:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 03:04:35.03:Cv+MmOcSO (4/10)
嘘発見器(本音を推察し喋る)
嘘発見器(本音を推察し喋る)
41:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 03:28:38.43:bbZ4K1oIO (1/3)
これは酷い
もっとやれ
これは酷い
もっとやれ
42: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 11:09:46.59:CZnO16LJo (9/33)
「では……嘘発見器なんかどうですか?」
そう提案したのは理科だ。
「嘘発見器? 『私達は友達だな?』と聞いて『はい』という答えがウソじゃなくなるまで拷問とかするのか?」
と、夜空が真顔でとんでもない事を言う。
「ち、違いますよ。ほら、先輩方はギャルゲーとかやりませんか?」
「やらん」
「何となく知ってる程度だな……」
確か選択肢を選んで女の子と仲良くなるゲームじゃなかったか。
家にあるゲームは大体が小鳩の趣味なので、そういうものは一切無かったりする。
「ギャルゲーっていうのは、会話の中にいくつかの選択肢が出てきて、どれを選んだかによって好感度が上下する、といったシステムが主流です。
やはり、現実で誰かと仲良くなるためにも、そういった好感度を上げるのが大切だと思います」
「あ、あのな、あくまでそれはゲームの話だろ?」
「ふむ、しかし実際好感度というものは現実にもあるだろうな。ゲーム程ハッキリはしていないだろうが」
夜空は腕を組んで何やら頷く。
「さすが、夜空先輩。そこで嘘発見器を使って相手の本音を知って、会話を上手く進めるという作戦です!」
「なるほど……確かにありかもしれん」
「……そうか?」
どうにも腑に落ちない俺だったが、結局これでいこうという事で、理科は作り始めてしまった。
そして一時間ほど経った頃。
「完成です!!」
「いやだからはええって!!」
俺も夜空も本を読んでいたが、すぐに突っ込む。
夜空は本から顔を上げると、理科の手元に注目する。
「意外と小さいんだな」
「えぇ、実用性を重視しました」
それは形も大きさも制服のボタンと同じくらいのものだった。
「では、正しく動作するか試験してみますので、夜空先輩協力してもらえませんか?」
「構わないが……何をすればいい?」
「ただ理科の質問に答えてもらえればいいです」
そういうと、理科は嘘発見器を白衣の襟元に止める。
どうやら裏に留め具のようなものが付いているらしい。
「ん、相手につけるのではないのか?」
「はい。これは対面に居る人の脳波を読み取りますので。
私の質問にウソをついた場合、これが振動する仕組みになっています」
理科はここで言葉を切ると、
「では夜空先輩」
「小鷹先輩の事、好きですか? 嫌いですか?」
「では……嘘発見器なんかどうですか?」
そう提案したのは理科だ。
「嘘発見器? 『私達は友達だな?』と聞いて『はい』という答えがウソじゃなくなるまで拷問とかするのか?」
と、夜空が真顔でとんでもない事を言う。
「ち、違いますよ。ほら、先輩方はギャルゲーとかやりませんか?」
「やらん」
「何となく知ってる程度だな……」
確か選択肢を選んで女の子と仲良くなるゲームじゃなかったか。
家にあるゲームは大体が小鳩の趣味なので、そういうものは一切無かったりする。
「ギャルゲーっていうのは、会話の中にいくつかの選択肢が出てきて、どれを選んだかによって好感度が上下する、といったシステムが主流です。
やはり、現実で誰かと仲良くなるためにも、そういった好感度を上げるのが大切だと思います」
「あ、あのな、あくまでそれはゲームの話だろ?」
「ふむ、しかし実際好感度というものは現実にもあるだろうな。ゲーム程ハッキリはしていないだろうが」
夜空は腕を組んで何やら頷く。
「さすが、夜空先輩。そこで嘘発見器を使って相手の本音を知って、会話を上手く進めるという作戦です!」
「なるほど……確かにありかもしれん」
「……そうか?」
どうにも腑に落ちない俺だったが、結局これでいこうという事で、理科は作り始めてしまった。
そして一時間ほど経った頃。
「完成です!!」
「いやだからはええって!!」
俺も夜空も本を読んでいたが、すぐに突っ込む。
夜空は本から顔を上げると、理科の手元に注目する。
「意外と小さいんだな」
「えぇ、実用性を重視しました」
それは形も大きさも制服のボタンと同じくらいのものだった。
「では、正しく動作するか試験してみますので、夜空先輩協力してもらえませんか?」
「構わないが……何をすればいい?」
「ただ理科の質問に答えてもらえればいいです」
そういうと、理科は嘘発見器を白衣の襟元に止める。
どうやら裏に留め具のようなものが付いているらしい。
「ん、相手につけるのではないのか?」
「はい。これは対面に居る人の脳波を読み取りますので。
私の質問にウソをついた場合、これが振動する仕組みになっています」
理科はここで言葉を切ると、
「では夜空先輩」
「小鷹先輩の事、好きですか? 嫌いですか?」
43: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 11:48:16.13:CZnO16LJo (10/33)
「ぶっ!!!」
夜空が一瞬にして真っ赤になる。
「な、ななんな何を言っているのだ貴様は!!!///」
「ですから、試験を……」
「そんな質問である必要がどこにあるのだと聞いているんだ!!」
「普通の質問じゃつまらないでしょう? まぁ、ぶっちゃけその反応を見れば嘘発見器なんかなくても分かりますけど」
「な、……ぁ……、こ、こっちを見るな!!/// わ、私は絶対そんな質問には答えないからな!!!」
そう言うと、夜空はプイッとそっぽを向いてしまった。
その割に、チラチラと俺の様子を伺ったりしていて、なんか忙しそうだ。
「んー、じゃあ質問を変えます」
「そ、そうだ、それでいい」
「夜空先輩は小鷹先輩の事好きですよね?」
「同じじゃないか!!!」
机をバンッ!! と叩く夜空。
「いえ、少し違いますよ。今の質問には『はい』か『いいえ』で答えることができます」
「そ、それがどうした」
「実はこの機械、例え答えなくても『はい』なら無反応、『いいえ』なら振動します。
今はピクリとも動いていないので、夜空先輩の答えは『はい』だという事です」
「ぁ……がぁ…………!!/// こ、壊れているんだ!! それは失敗品だ、そうに違いない!!!」
「夜空先輩は小鷹先輩の事嫌いですか?」
ブーブーブー!!!
嘘発見器の振動音がこちらにも聞こえてきた。
嘘発見器というか、もはや読心器……とか言った方がいいんじゃないか。
「 こ れ は 罠 だ !!!」
即座に夜空が立ち上がり、ビシッと理科を指差す。
まるで逆転裁判の「異議あり!!」のようだが、その顔はこれ以上にない程に真っ赤になっている。
「理科が私を陥れるために仕組んだ罠!! 何も答えていないのに反応するなんておかしいだろう!! それが罠である証拠!!!」
「どこのキラですか」
「んー、でも、振動音でかすぎねえか? それじゃすぐに相手に気付かれちまうじゃねえか」
「今は試験なので大きく設定しているだけですよ。ていうか、小鷹先輩、なんか冷静すぎませんか?」
「え、なんで?」
「い、いやだって、夜空先輩が小鷹先輩の事好きって言ってるんですよ?」
「言っていない!!!///」
そんな理科や夜空の様子に、俺は首を傾げる。
「……そんな驚くことか?」
「あれ、それじゃ、小鷹先輩は最初から分かっていた……と?」
「ち、違うぞ小鷹!! これはその、えっと…………///」
「いや、知らなかったけどさ。まぁでも――――」
「――俺も夜空のこと好きだし」
理科と夜空が固まった。
「ぶっ!!!」
夜空が一瞬にして真っ赤になる。
「な、ななんな何を言っているのだ貴様は!!!///」
「ですから、試験を……」
「そんな質問である必要がどこにあるのだと聞いているんだ!!」
「普通の質問じゃつまらないでしょう? まぁ、ぶっちゃけその反応を見れば嘘発見器なんかなくても分かりますけど」
「な、……ぁ……、こ、こっちを見るな!!/// わ、私は絶対そんな質問には答えないからな!!!」
そう言うと、夜空はプイッとそっぽを向いてしまった。
その割に、チラチラと俺の様子を伺ったりしていて、なんか忙しそうだ。
「んー、じゃあ質問を変えます」
「そ、そうだ、それでいい」
「夜空先輩は小鷹先輩の事好きですよね?」
「同じじゃないか!!!」
机をバンッ!! と叩く夜空。
「いえ、少し違いますよ。今の質問には『はい』か『いいえ』で答えることができます」
「そ、それがどうした」
「実はこの機械、例え答えなくても『はい』なら無反応、『いいえ』なら振動します。
今はピクリとも動いていないので、夜空先輩の答えは『はい』だという事です」
「ぁ……がぁ…………!!/// こ、壊れているんだ!! それは失敗品だ、そうに違いない!!!」
「夜空先輩は小鷹先輩の事嫌いですか?」
ブーブーブー!!!
嘘発見器の振動音がこちらにも聞こえてきた。
嘘発見器というか、もはや読心器……とか言った方がいいんじゃないか。
「 こ れ は 罠 だ !!!」
即座に夜空が立ち上がり、ビシッと理科を指差す。
まるで逆転裁判の「異議あり!!」のようだが、その顔はこれ以上にない程に真っ赤になっている。
「理科が私を陥れるために仕組んだ罠!! 何も答えていないのに反応するなんておかしいだろう!! それが罠である証拠!!!」
「どこのキラですか」
「んー、でも、振動音でかすぎねえか? それじゃすぐに相手に気付かれちまうじゃねえか」
「今は試験なので大きく設定しているだけですよ。ていうか、小鷹先輩、なんか冷静すぎませんか?」
「え、なんで?」
「い、いやだって、夜空先輩が小鷹先輩の事好きって言ってるんですよ?」
「言っていない!!!///」
そんな理科や夜空の様子に、俺は首を傾げる。
「……そんな驚くことか?」
「あれ、それじゃ、小鷹先輩は最初から分かっていた……と?」
「ち、違うぞ小鷹!! これはその、えっと…………///」
「いや、知らなかったけどさ。まぁでも――――」
「――俺も夜空のこと好きだし」
理科と夜空が固まった。
44: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 11:50:47.19:CZnO16LJo (11/33)
「えんだああああああああああああああ…………じゃねえ!!!
ちょっとどういう事ですか小鷹先輩!! 流れ的には完全に理科√だったじゃないですか!!!」
「は、はい……? √?」
「ち、ちくしょう……どこでフラグ立て忘れたんですか……どこのセーブポイントから始めればいいんですかあああああああ!!!」
何だか意味の分からない事を言いながら絶望に震える理科。
一方夜空はというと。
「こ、ここここここ小鷹? い、いったい、な、なにを、あ、いや、なにこれ、あう…………///」
「お、落ち着け落ち着け」
「こ、これが落ち着いていられるか!!/// き、貴様は、今、その、こ、こく……」
二人の反応に、俺はますます疑問を抱く。
そして。
「――あ、もちろん理科も好きだぞ?」
またしても固まる二人。
やがて理科が口をパクパクさせて、
「ハーレムエンド希望!?」
またわけの分からない単語が出てきた。
「そんな優柔不断は許されませんよ先輩!! 下手したら誠みたいな事にだってなります!!」
「も、もしや貴様は女ならば誰でも良いのか……ッ!?」
「い、いや、んなわけねえだろ!! だって、俺とまともに話してくれんのっていったら、お前らくらいだし……。
あ、でも家族とかもありなら小鳩とか……そうだ、理事長も良い人だし、好きだぞ」
「……あの、先輩もしかして」
ここで理科が、何か嫌な事でも思いついた顔でこちらを見る。
「そ、その好きっていうのは……人間的な意味で?」
「おう」
「「…………」」
理科と夜空が同時に黙る。
二人共とても冷たい目でこちらを見ている。
「……ど、どうした?」
「いえ、何でも」
「カスが」
ひどい。
「えんだああああああああああああああ…………じゃねえ!!!
ちょっとどういう事ですか小鷹先輩!! 流れ的には完全に理科√だったじゃないですか!!!」
「は、はい……? √?」
「ち、ちくしょう……どこでフラグ立て忘れたんですか……どこのセーブポイントから始めればいいんですかあああああああ!!!」
何だか意味の分からない事を言いながら絶望に震える理科。
一方夜空はというと。
「こ、ここここここ小鷹? い、いったい、な、なにを、あ、いや、なにこれ、あう…………///」
「お、落ち着け落ち着け」
「こ、これが落ち着いていられるか!!/// き、貴様は、今、その、こ、こく……」
二人の反応に、俺はますます疑問を抱く。
そして。
「――あ、もちろん理科も好きだぞ?」
またしても固まる二人。
やがて理科が口をパクパクさせて、
「ハーレムエンド希望!?」
またわけの分からない単語が出てきた。
「そんな優柔不断は許されませんよ先輩!! 下手したら誠みたいな事にだってなります!!」
「も、もしや貴様は女ならば誰でも良いのか……ッ!?」
「い、いや、んなわけねえだろ!! だって、俺とまともに話してくれんのっていったら、お前らくらいだし……。
あ、でも家族とかもありなら小鳩とか……そうだ、理事長も良い人だし、好きだぞ」
「……あの、先輩もしかして」
ここで理科が、何か嫌な事でも思いついた顔でこちらを見る。
「そ、その好きっていうのは……人間的な意味で?」
「おう」
「「…………」」
理科と夜空が同時に黙る。
二人共とても冷たい目でこちらを見ている。
「……ど、どうした?」
「いえ、何でも」
「カスが」
ひどい。
45: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 11:53:30.04:CZnO16LJo (12/33)
***
「……まぁでも確実とは言えないよな、これも」
「どういう事ですか?」
俺の言葉に、理科がキョトンと首を傾げる。
「ほら、例えばさっき理科は夜空に俺の事が好きかどうかっていう質問してたけど」
「う……ぁ……/// だ、だから、そ、それも小鷹と同じような感覚で、人間的に、という意味で……!!」
「分かってる分かってる。けどさ、どのくらい好きか、までは分かんねえだろ?」
「どのくらい……?」
「あぁ、例えば、それこそ恋愛的に溺愛レベルで好きだったとしても――――」
「だから違うと言っているだろ!!!///」
夜空の声が割り込む。
「よ、夜空の事じゃねえって!
溺愛レベルで好きだとしても、好きか嫌いかと聞かれればどちらかと言えば好き、みたいなレベルで好きだとしても、同じ反応になるだろ?」
「……確かにそうですね」
「だから、そこで妙な誤解が生まれたりもしちまうんじゃねえか? 例えば本人は軽い気持ちで言ったにも関わらず、勝手に重く捉えられて変な空気になったり……」
「「悪かったな!!!」」
「何でそこでキレる!?」
二人の怒声に、俺はビクッと体を震わせる。
夜空は少しの間顔を赤くして俺を睨んでいたが、
「……まぁ小鷹の言っている事はもっともだな。私だって、どうしても……もしも小鷹が好きか嫌いか選ばなければ地球が破滅すると言われた場合、
百万歩譲って、1ミクロン程好きだという方に傾いている可能性が微小レベルで存在していたから選んだわけだしな」
「……さいですか」
なんだろう、一応は好きと言われているのにこのやるせない気持ちは。
理科は腕を組んで少し考えていたが。
「……まぁせっかく作ったんですし、とりあえず使ってみましょうよ。問題は誰に使うかですけど……」
「そうだな。でも、考えてみれば俺なんかはまともに会話自体できねえから、使いようがなくねえか?」
「ふむ……」
誰に使う? >>46
***
「……まぁでも確実とは言えないよな、これも」
「どういう事ですか?」
俺の言葉に、理科がキョトンと首を傾げる。
「ほら、例えばさっき理科は夜空に俺の事が好きかどうかっていう質問してたけど」
「う……ぁ……/// だ、だから、そ、それも小鷹と同じような感覚で、人間的に、という意味で……!!」
「分かってる分かってる。けどさ、どのくらい好きか、までは分かんねえだろ?」
「どのくらい……?」
「あぁ、例えば、それこそ恋愛的に溺愛レベルで好きだったとしても――――」
「だから違うと言っているだろ!!!///」
夜空の声が割り込む。
「よ、夜空の事じゃねえって!
溺愛レベルで好きだとしても、好きか嫌いかと聞かれればどちらかと言えば好き、みたいなレベルで好きだとしても、同じ反応になるだろ?」
「……確かにそうですね」
「だから、そこで妙な誤解が生まれたりもしちまうんじゃねえか? 例えば本人は軽い気持ちで言ったにも関わらず、勝手に重く捉えられて変な空気になったり……」
「「悪かったな!!!」」
「何でそこでキレる!?」
二人の怒声に、俺はビクッと体を震わせる。
夜空は少しの間顔を赤くして俺を睨んでいたが、
「……まぁ小鷹の言っている事はもっともだな。私だって、どうしても……もしも小鷹が好きか嫌いか選ばなければ地球が破滅すると言われた場合、
百万歩譲って、1ミクロン程好きだという方に傾いている可能性が微小レベルで存在していたから選んだわけだしな」
「……さいですか」
なんだろう、一応は好きと言われているのにこのやるせない気持ちは。
理科は腕を組んで少し考えていたが。
「……まぁせっかく作ったんですし、とりあえず使ってみましょうよ。問題は誰に使うかですけど……」
「そうだな。でも、考えてみれば俺なんかはまともに会話自体できねえから、使いようがなくねえか?」
「ふむ……」
誰に使う? >>46
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/16(月) 11:56:22.50:/g6pvB4d0 (1/1)
星奈
星奈
47: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 13:36:24.29:CZnO16LJo (13/33)
***
結局、適当にその辺の人に使ってみようなどという、無差別で無責任な結論に落ち着いた俺達。
その後三人は一旦解散し、それぞれ誰かと会話してから理科室へ戻って来るという事になった。
考えてみれば、ただでさえコミュ力皆無な俺達が、見ず知らずの人間に話しかけるなんていうのは不可能なんじゃないか。
まぁ、友達作りのためだと思えば、それなりに実のある活動かもしれないが。
そんな事を考えて廊下を歩いていると、向こうから大所帯が現れた。
俺は大人数で楽しげに話している人達とすれ違うのは少し苦手だ。
なんだか自分が惨めになるし、すれ違った後に何か言われるんじゃないかと不安になるからだ。
そうやって、いつも通り俯いてすれ違おうと思った俺だったが、ふとその集団の中に知った顔がある事に気付いた。
金髪碧眼の美少女、理事長の娘である柏崎星奈だ。
そしてよく見るとこの集団、仲良しグループというより、どうやらお姫様とその家来という構図に近い事に気付く。
星奈以外は全員男子であり、それぞれが大人しく彼女の後ろについて歩いている。ある者は、彼女の荷物を持って。
(……はー、さすが理事長の娘)
俺はそんな事を思いながら、まぁここはわざわざ話しかける必要もないな、と何事もなくすれ違うことにする。
嘘発見器のために誰かと会話をしなければいけないのだが、さすがにこの大人数相手というのはハードルが高すぎる。
しかし。
「……げっ」
「「ひっ!!!」」
向こうが俺を見て立ち止まった。
これはかなり珍しい事だ。
俺とすれ違う人は、大体が決して俺と視線を合わせないようにしてすれ違う。
おそらく、後ろの男子達もそうやってやり過ごしたかったのだろう。
だが、星奈は俺を見て明らかに不快感を出して立ち止まった。
そんな星奈に、後ろの男子の一人がビクビクしながら話しかける。
「せ、星奈様。早く行きましょう」
「……あんたら、どっか散りなさい」
「で、ですが星奈様!」
「あたしの言う事が聞けないの? もう二度と踏んであげないわよ?」
どんな脅しだよ。
心の中で突っ込む俺だったが、
「「はい! すみませんでした!!」」
男子達は一斉にそう言うと、それぞれどこかへ走り去ってしまう。
もちろん、俺の横は通らずに、進んできた道を引き返して行ったのだが。
***
結局、適当にその辺の人に使ってみようなどという、無差別で無責任な結論に落ち着いた俺達。
その後三人は一旦解散し、それぞれ誰かと会話してから理科室へ戻って来るという事になった。
考えてみれば、ただでさえコミュ力皆無な俺達が、見ず知らずの人間に話しかけるなんていうのは不可能なんじゃないか。
まぁ、友達作りのためだと思えば、それなりに実のある活動かもしれないが。
そんな事を考えて廊下を歩いていると、向こうから大所帯が現れた。
俺は大人数で楽しげに話している人達とすれ違うのは少し苦手だ。
なんだか自分が惨めになるし、すれ違った後に何か言われるんじゃないかと不安になるからだ。
そうやって、いつも通り俯いてすれ違おうと思った俺だったが、ふとその集団の中に知った顔がある事に気付いた。
金髪碧眼の美少女、理事長の娘である柏崎星奈だ。
そしてよく見るとこの集団、仲良しグループというより、どうやらお姫様とその家来という構図に近い事に気付く。
星奈以外は全員男子であり、それぞれが大人しく彼女の後ろについて歩いている。ある者は、彼女の荷物を持って。
(……はー、さすが理事長の娘)
俺はそんな事を思いながら、まぁここはわざわざ話しかける必要もないな、と何事もなくすれ違うことにする。
嘘発見器のために誰かと会話をしなければいけないのだが、さすがにこの大人数相手というのはハードルが高すぎる。
しかし。
「……げっ」
「「ひっ!!!」」
向こうが俺を見て立ち止まった。
これはかなり珍しい事だ。
俺とすれ違う人は、大体が決して俺と視線を合わせないようにしてすれ違う。
おそらく、後ろの男子達もそうやってやり過ごしたかったのだろう。
だが、星奈は俺を見て明らかに不快感を出して立ち止まった。
そんな星奈に、後ろの男子の一人がビクビクしながら話しかける。
「せ、星奈様。早く行きましょう」
「……あんたら、どっか散りなさい」
「で、ですが星奈様!」
「あたしの言う事が聞けないの? もう二度と踏んであげないわよ?」
どんな脅しだよ。
心の中で突っ込む俺だったが、
「「はい! すみませんでした!!」」
男子達は一斉にそう言うと、それぞれどこかへ走り去ってしまう。
もちろん、俺の横は通らずに、進んできた道を引き返して行ったのだが。
48: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 13:39:26.43:CZnO16LJo (14/33)
俺は反応に困る。
「……えっと、良かったのか? アイツら」
「えぇ、あれじゃまるで大人数引き連れてないと、あたしがあんたと話せないみたいじゃない。そんな屈辱的な事は許せないわ」
何だか良く分からないが、サシで話したい事があるのだろうか?
「お、俺に話があるのか?」
「えぇ。あのさ、今すぐあたしの視界から消えてくんない?」
「…………はい」
それが言いたかっただけかよ……。
俺はそれなりに凹む。
「ていうかさ、殺人未遂容疑者が何でのうのうとここで生活しているのかしら。早くブタ箱にぶち込んじゃえばいいのに。
これで空気感染とかして他の生徒まで殺人鬼になったらどうすんのよ。あ、そうだ。あんた、あたしの半径1km圏内では息しないでね」
俺は新型ウイルスか何かか。
――しかし、よく考えてみれば、俺は彼女の父親の学校で問題ばかり起こしている人間だ。
この学園の評判を下げる、いわば父親の顔に泥を塗っていると言ってもいい。
そんな人間に敵意を持つのは至極当然の事ではないか。
「……ごめんなさい」
「うわっ、何話してんのよ。日本語っていうのはあんたみたいなのが口にして良い程腐ったもんじゃないのよ。
ていうか言語っていう人類の文明の賜物を使う事自体がおこがましいわ。あ、ワンとかニャーもダメね。犬や猫が可哀想だから」
もうやめて! 俺のライフはゼロよ!!
本気で泣きたくなってくる俺だったが、ここである事に気付く。
星奈の足。
いや、別に「ぐへへ、いい足してんなぁ……」みたいな変態的なものではない。
ただ、注意して見てみれば明らかに。
彼女の足は、ブルブルと震えていた。
「…………」
「そうよ、そうやって何も話さないのが正解よ。あ、息もちゃんと止めなさいよ」
「……なぁ」
「だから話すなって言ってんでしょ。耳も腐ってんの? それとも頭? あぁ、どっちもか」
「お前……俺が怖い…………のか?」
「……は、はぁ!? そんなわけないじゃないバッカじゃないの!?」
ブーブーブーと。
ポケットの中にある理科の発明品が振動する。
俺は反応に困る。
「……えっと、良かったのか? アイツら」
「えぇ、あれじゃまるで大人数引き連れてないと、あたしがあんたと話せないみたいじゃない。そんな屈辱的な事は許せないわ」
何だか良く分からないが、サシで話したい事があるのだろうか?
「お、俺に話があるのか?」
「えぇ。あのさ、今すぐあたしの視界から消えてくんない?」
「…………はい」
それが言いたかっただけかよ……。
俺はそれなりに凹む。
「ていうかさ、殺人未遂容疑者が何でのうのうとここで生活しているのかしら。早くブタ箱にぶち込んじゃえばいいのに。
これで空気感染とかして他の生徒まで殺人鬼になったらどうすんのよ。あ、そうだ。あんた、あたしの半径1km圏内では息しないでね」
俺は新型ウイルスか何かか。
――しかし、よく考えてみれば、俺は彼女の父親の学校で問題ばかり起こしている人間だ。
この学園の評判を下げる、いわば父親の顔に泥を塗っていると言ってもいい。
そんな人間に敵意を持つのは至極当然の事ではないか。
「……ごめんなさい」
「うわっ、何話してんのよ。日本語っていうのはあんたみたいなのが口にして良い程腐ったもんじゃないのよ。
ていうか言語っていう人類の文明の賜物を使う事自体がおこがましいわ。あ、ワンとかニャーもダメね。犬や猫が可哀想だから」
もうやめて! 俺のライフはゼロよ!!
本気で泣きたくなってくる俺だったが、ここである事に気付く。
星奈の足。
いや、別に「ぐへへ、いい足してんなぁ……」みたいな変態的なものではない。
ただ、注意して見てみれば明らかに。
彼女の足は、ブルブルと震えていた。
「…………」
「そうよ、そうやって何も話さないのが正解よ。あ、息もちゃんと止めなさいよ」
「……なぁ」
「だから話すなって言ってんでしょ。耳も腐ってんの? それとも頭? あぁ、どっちもか」
「お前……俺が怖い…………のか?」
「……は、はぁ!? そんなわけないじゃないバッカじゃないの!?」
ブーブーブーと。
ポケットの中にある理科の発明品が振動する。
49: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 13:41:35.72:CZnO16LJo (15/33)
「何意味分かんない事言ってんだか……あんた、そこら辺にいるアリを怖がったりする? あんたはそれと同レベルの見当違いな事言ってんのよ!!
あっ、そっか、あんたはアリを怖がっても仕方ないわね。それ以下の下等生物なんだし。死んだハエとかでやっと良い勝負ってとこかしら?」
いや、まぁ虫が苦手な人は普通に怖がると思うけど……。
そんな突っ込みを飲み込んで、俺は少し申し訳なく思えてくる。
俺は今、あれだけ良くしてくれた理事長の娘を怖がらせている。
「……えっと、ごめんな。俺もう行くから…………」
そう言って足早に立ち去ろうとする。
しかし。
「待ちなさいよ!!!」
「……?」
「何勝手に自己完結してんの!? あたしは、あんたなんてこれっぽっちも怖くないんだから!!!」
「そうだな。俺がどうかしてた。ごめん」
「だからその余裕ある態度がムカつくって言ってんのよ!!!!!」
ど、どうしろってんだ……。
どうする? >>50
「何意味分かんない事言ってんだか……あんた、そこら辺にいるアリを怖がったりする? あんたはそれと同レベルの見当違いな事言ってんのよ!!
あっ、そっか、あんたはアリを怖がっても仕方ないわね。それ以下の下等生物なんだし。死んだハエとかでやっと良い勝負ってとこかしら?」
いや、まぁ虫が苦手な人は普通に怖がると思うけど……。
そんな突っ込みを飲み込んで、俺は少し申し訳なく思えてくる。
俺は今、あれだけ良くしてくれた理事長の娘を怖がらせている。
「……えっと、ごめんな。俺もう行くから…………」
そう言って足早に立ち去ろうとする。
しかし。
「待ちなさいよ!!!」
「……?」
「何勝手に自己完結してんの!? あたしは、あんたなんてこれっぽっちも怖くないんだから!!!」
「そうだな。俺がどうかしてた。ごめん」
「だからその余裕ある態度がムカつくって言ってんのよ!!!!!」
ど、どうしろってんだ……。
どうする? >>50
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 13:42:04.13:FCyFK8iH0 (1/2)
スライディング土下座
スライディング土下座
51: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 16:05:48.01:CZnO16LJo (16/33)
そうだ、本当に謝罪の気持ちを表したいなら、土下座しかない。
それもここまできたらただの土下座ではダメだろう。
それなら。
「…………」
「あっ、待ちなさいって言ってんでしょ!!!」
俺は星奈から少し距離を取り。
ズサァァァァァ!!! とスライディング土下座をした。
ぶっちゃけ、膝が熱くてヤバイ。
廊下でやるもんじゃないな、これは。
「なっ……は…………?」
「悪かった」
「……あ、あんた、プライドってもんがないのね。まぁ仕方ないか下等生物だし。
ていうか、あんたこそあたしが怖いんじゃないの? あたしの権力が!」
「…………」
「はっ、仮にもヤンキーのくせに権力が怖いとか。とんだチキンね。
あーあ、何であたしこんな奴のために時間と話すための余計な空気を消費してんのかしら。バカらしくなってきたわ」
俺はただ謝りたいだけなのだが、何か言ってさらに怖がらせる事を恐れて何も言わない。
どうやら俺は声も相当恐ろしいらしいからだ。
星奈はまるでゴミでも見るかのように俺を一瞥すると、足早に去って行った。
俺の横は通らずに、元来た道を。
***
俺が華麗なるスライディング土下座を披露した数分後。
俺、理科、夜空の三人は全員理科室に戻ってきていた。
「……で、貴様達は誰かと話してきたのか?」
「あぁ」
「はい」
「なんだとっ!?」
ガタッと大袈裟に驚く夜空。
「理科は先生方とお話しました」
「「先生??」」
そうだ、本当に謝罪の気持ちを表したいなら、土下座しかない。
それもここまできたらただの土下座ではダメだろう。
それなら。
「…………」
「あっ、待ちなさいって言ってんでしょ!!!」
俺は星奈から少し距離を取り。
ズサァァァァァ!!! とスライディング土下座をした。
ぶっちゃけ、膝が熱くてヤバイ。
廊下でやるもんじゃないな、これは。
「なっ……は…………?」
「悪かった」
「……あ、あんた、プライドってもんがないのね。まぁ仕方ないか下等生物だし。
ていうか、あんたこそあたしが怖いんじゃないの? あたしの権力が!」
「…………」
「はっ、仮にもヤンキーのくせに権力が怖いとか。とんだチキンね。
あーあ、何であたしこんな奴のために時間と話すための余計な空気を消費してんのかしら。バカらしくなってきたわ」
俺はただ謝りたいだけなのだが、何か言ってさらに怖がらせる事を恐れて何も言わない。
どうやら俺は声も相当恐ろしいらしいからだ。
星奈はまるでゴミでも見るかのように俺を一瞥すると、足早に去って行った。
俺の横は通らずに、元来た道を。
***
俺が華麗なるスライディング土下座を披露した数分後。
俺、理科、夜空の三人は全員理科室に戻ってきていた。
「……で、貴様達は誰かと話してきたのか?」
「あぁ」
「はい」
「なんだとっ!?」
ガタッと大袈裟に驚く夜空。
「理科は先生方とお話しました」
「「先生??」」
52: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 16:07:45.77:CZnO16LJo (17/33)
「えぇ、先生方は理科のVIP待遇とか色々知っているので、勝手に気を使ってくれて話しやすいんですよ。
馴れ馴れしすぎるのは苦手ですし」
「お前……いや何でもない」
俺は理科に「お前が言うな」と言おうとしたが、面倒なのでやめておく。
夜空はちょっと唖然とした様子だったが、気を取り直して、
「で、どうだったんだ。嘘発見器の効果は」
「ぶっちゃけ使えないですこれ」
「発案して作った本人がそれ言うか……?」
俺は呆れて言う。
「もう、ブーブー鳴りまくりでしたよ。何とか本音を探ろうとしましたが、良く分かりませんし。大人って黒いですね」
「……あー、まぁ、そうかもな」
ちょっと遠い目をしている理科に、俺は苦笑するしかない。
「そ、それで、小鷹。貴様は本当に会話なんてしたのか? 無理して嘘つかなくてもいいんだぞ?」
「し、したっての」
「へぇ、小鷹先輩と言葉をかわすなんて、その人自暴自棄にでも陥ってたんですか?」
「失礼だなお前!?」
あまりの言い草に俺は叫ぶ。
「普通に……ではないけど、とにかく話したよ」
「もうやめろ小鷹。もう、いいんだ……」
「その哀れみの目はやめろおおおおお!!!」
妙に優しい声色で俺の肩に手を置く夜空。
俺は即座にそれを振り払う。
「でも、誰ですか? その小鷹先輩と会話したという勇者は」
「俺は魔王か。……柏崎星奈って子だよ」
「 な ん だ と !? 」
夜空が大声出して立ち上がった。
「えぇ、先生方は理科のVIP待遇とか色々知っているので、勝手に気を使ってくれて話しやすいんですよ。
馴れ馴れしすぎるのは苦手ですし」
「お前……いや何でもない」
俺は理科に「お前が言うな」と言おうとしたが、面倒なのでやめておく。
夜空はちょっと唖然とした様子だったが、気を取り直して、
「で、どうだったんだ。嘘発見器の効果は」
「ぶっちゃけ使えないですこれ」
「発案して作った本人がそれ言うか……?」
俺は呆れて言う。
「もう、ブーブー鳴りまくりでしたよ。何とか本音を探ろうとしましたが、良く分かりませんし。大人って黒いですね」
「……あー、まぁ、そうかもな」
ちょっと遠い目をしている理科に、俺は苦笑するしかない。
「そ、それで、小鷹。貴様は本当に会話なんてしたのか? 無理して嘘つかなくてもいいんだぞ?」
「し、したっての」
「へぇ、小鷹先輩と言葉をかわすなんて、その人自暴自棄にでも陥ってたんですか?」
「失礼だなお前!?」
あまりの言い草に俺は叫ぶ。
「普通に……ではないけど、とにかく話したよ」
「もうやめろ小鷹。もう、いいんだ……」
「その哀れみの目はやめろおおおおお!!!」
妙に優しい声色で俺の肩に手を置く夜空。
俺は即座にそれを振り払う。
「でも、誰ですか? その小鷹先輩と会話したという勇者は」
「俺は魔王か。……柏崎星奈って子だよ」
「 な ん だ と !? 」
夜空が大声出して立ち上がった。
53: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 16:10:17.54:CZnO16LJo (18/33)
「うおっ!? え、もしかして知り合いか?」
「……いや直接面識はない。だが知っている」
「あぁ、まぁ理事長の娘だからな」
「理科も名前だけなら知ってますね」
「私は……あの女が憎くて憎くてたまらない」
夜空はギリギリと歯を鳴らして、女の子がしてはいけないような表情をしている。
「め、面識ないんじゃなかったのかよ?」
「あぁ、ない。だがリア充というのは存在自体が憎い……死ねばいいのに!!」
これはひどい。
「まぁ確かに、この学校でも一、二を争うリア充でしょうね」
「そう、この学校は日高日向と柏崎星奈の双璧だ。二人共いつかこの世から抹消してやる!!」
堂々と殺人予告をする夜空。
間違ってもネット掲示板とかには書かないでほしい。
あと、日高日向という新しい名前も出てきたが、どうせ聞いたところでまた夜空の呪いの言葉が始まるだけだと思ったのでスルーする。
「で、柏崎星奈とはどんな会話をしたのだ裏切り者」
「う、裏切り者って……。えっと、なんかメッチャ怒られた」
「怒られた……あー、そりゃ自分の学校で暴れるヤンキーですもんね」
「あぁ、でもなんか怖がらせちまったみたいで……」
「ふん、いい気味だ。そのままレイプでもしてしまえば良かったのに。
あ、いや、小鷹はするなよ。他の男を使うとかしてだな…………」
なぜか慌てて言い直す夜空。
「んな事しねえっての……。まぁやっぱり、俺の方もあんまし役に立たなかったな、これ」
「ですよねー。じゃあ夜空先輩は?」
「わ、私かっ!?」
話を振られた夜空はビクッと全身を震わせる。
「私もそうだな……こんなものは必要なかったな。お互いウソなどつかないし」
「えっ、それってもしかして…………友達ですか?」
「あ、あぁ、その通りだ!!」
そう言って胸を張る夜空に、俺と理科は驚く。
「うおっ!? え、もしかして知り合いか?」
「……いや直接面識はない。だが知っている」
「あぁ、まぁ理事長の娘だからな」
「理科も名前だけなら知ってますね」
「私は……あの女が憎くて憎くてたまらない」
夜空はギリギリと歯を鳴らして、女の子がしてはいけないような表情をしている。
「め、面識ないんじゃなかったのかよ?」
「あぁ、ない。だがリア充というのは存在自体が憎い……死ねばいいのに!!」
これはひどい。
「まぁ確かに、この学校でも一、二を争うリア充でしょうね」
「そう、この学校は日高日向と柏崎星奈の双璧だ。二人共いつかこの世から抹消してやる!!」
堂々と殺人予告をする夜空。
間違ってもネット掲示板とかには書かないでほしい。
あと、日高日向という新しい名前も出てきたが、どうせ聞いたところでまた夜空の呪いの言葉が始まるだけだと思ったのでスルーする。
「で、柏崎星奈とはどんな会話をしたのだ裏切り者」
「う、裏切り者って……。えっと、なんかメッチャ怒られた」
「怒られた……あー、そりゃ自分の学校で暴れるヤンキーですもんね」
「あぁ、でもなんか怖がらせちまったみたいで……」
「ふん、いい気味だ。そのままレイプでもしてしまえば良かったのに。
あ、いや、小鷹はするなよ。他の男を使うとかしてだな…………」
なぜか慌てて言い直す夜空。
「んな事しねえっての……。まぁやっぱり、俺の方もあんまし役に立たなかったな、これ」
「ですよねー。じゃあ夜空先輩は?」
「わ、私かっ!?」
話を振られた夜空はビクッと全身を震わせる。
「私もそうだな……こんなものは必要なかったな。お互いウソなどつかないし」
「えっ、それってもしかして…………友達ですか?」
「あ、あぁ、その通りだ!!」
そう言って胸を張る夜空に、俺と理科は驚く。
54: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 16:14:00.64:CZnO16LJo (19/33)
「なっ、お、お前が裏切り者じゃねえか! 友達居るくせに!」
「ふん、どうした小鷹。男の嫉妬は醜いぞ」
「うぐぐ……」
「そ、それでどんな方なんですか、夜空先輩の友達って」
理科はびっくりしながらも、興味深そうに聞く。
実のところ、俺も凄く興味がある。
こんなリア充を無差別虐殺したがっている奴の友達とはどんな人なのか。
夜空は、一瞬少し気まずそうにこちらを見たが、気を取り直して、
「な、何を言っているんだ二人共! ここに居るだろう!」
そう言って、自分のすぐ隣りの何もない空間を指差した。
「……え?」
「紹介しよう、私の友達のトモちゃんだ。凄くいい子だから、仲良くしてやってくれ」
「あ、あの、先輩?」
「な、何だ!」
よく見れば、夜空の額からダラダラと冷汗が流れている。
「えっと、理科は幽霊なんていう非科学的なもの信じていないのですが……」
「なっ、失礼な! 幽霊などではない! ちゃんとここに居るのだ!」
「居るって……もしかしてバカには見えないとか言うつもりか?」
「ふん、バカでなくても見えないだろうな」
そんな夜空の言葉に、俺と理科はますます疑問符を浮かべて首を傾げる。
夜空は軽く息を吸い込むと、
「なにせ、トモちゃんは“エア友達”だからだ!」
……なんだそれ。
「ほら、“エアギター”というものがあるだろう? それの友達版だ!」
「「…………」」
たぶん、人生の中で。
これ程までに哀れんだ目をするのは最初で最後だろう。
次の日、再び俺に関する新たな噂が流れていた。
しかし、今回は悪評というわけではなく、今までとは少し変わったものだった。
内容は「理事長の娘、柏崎星奈が羽瀬川小鷹を土下座させ、屈服させた」というものだった。
この噂により、柏崎星奈は救世主として崇められるようになり、羽瀬川小鷹に関する悩みは皆彼女に相談するようになった。
まぁ崇めている生徒は一人残らず“男子”であるようだが。
「なっ、お、お前が裏切り者じゃねえか! 友達居るくせに!」
「ふん、どうした小鷹。男の嫉妬は醜いぞ」
「うぐぐ……」
「そ、それでどんな方なんですか、夜空先輩の友達って」
理科はびっくりしながらも、興味深そうに聞く。
実のところ、俺も凄く興味がある。
こんなリア充を無差別虐殺したがっている奴の友達とはどんな人なのか。
夜空は、一瞬少し気まずそうにこちらを見たが、気を取り直して、
「な、何を言っているんだ二人共! ここに居るだろう!」
そう言って、自分のすぐ隣りの何もない空間を指差した。
「……え?」
「紹介しよう、私の友達のトモちゃんだ。凄くいい子だから、仲良くしてやってくれ」
「あ、あの、先輩?」
「な、何だ!」
よく見れば、夜空の額からダラダラと冷汗が流れている。
「えっと、理科は幽霊なんていう非科学的なもの信じていないのですが……」
「なっ、失礼な! 幽霊などではない! ちゃんとここに居るのだ!」
「居るって……もしかしてバカには見えないとか言うつもりか?」
「ふん、バカでなくても見えないだろうな」
そんな夜空の言葉に、俺と理科はますます疑問符を浮かべて首を傾げる。
夜空は軽く息を吸い込むと、
「なにせ、トモちゃんは“エア友達”だからだ!」
……なんだそれ。
「ほら、“エアギター”というものがあるだろう? それの友達版だ!」
「「…………」」
たぶん、人生の中で。
これ程までに哀れんだ目をするのは最初で最後だろう。
次の日、再び俺に関する新たな噂が流れていた。
しかし、今回は悪評というわけではなく、今までとは少し変わったものだった。
内容は「理事長の娘、柏崎星奈が羽瀬川小鷹を土下座させ、屈服させた」というものだった。
この噂により、柏崎星奈は救世主として崇められるようになり、羽瀬川小鷹に関する悩みは皆彼女に相談するようになった。
まぁ崇めている生徒は一人残らず“男子”であるようだが。
55: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 16:17:07.86:CZnO16LJo (20/33)
***
放課後。
俺と理科と夜空がいつも通り、友達作りの道具について話し合っていると。
コンコンと、ノックの音が聞こえてきた。
すかさず全員が立ち上がる。
「ではエース、お願いします」
「あ、あぁ、分かった」
エースという響きが気に入ったのか、夜空は特に抵抗もせずにドアの方へと歩いて行く。
前回の失敗を学んだのか、理科は既に入部届を取り出している。
俺は隠れようかとも思ったが、結局入部すれば毎日顔を合わせることになるので、このままで居ることにした。
ガチャ、とドアが開かれる。
「感謝しなさい、愚民ども!! このあたしが――」
バンッ!! と、即座に閉められた。鍵もかける。
ていうかドアの向こうの人、今絶対顔とかぶつけただろ。凄い音したし。
それにしても、チラッとしか見えなかったが、あの金髪はおそらく――。
「ちょっと何すんのよ! このあたしがせっかく来てあげてんのにこの対応!?
ていうか、この完璧すぎるあたしの顔に傷を付けるなんて正気!?」
ガンガンガン!! と、ノックというか騒音が鳴り響く。
メチャクチャうるさい。これでは部活どころではない。
夜空は溜息をつくと、再びドアの方へと歩いて行く。
ガチャリ。
「あっ、やっと開けたわね! まったく、このあたし――」
「 リ ア 充 は 死 ね !!!!!」
バタン。
再び全力で閉める夜空。
なんだこれ。
***
放課後。
俺と理科と夜空がいつも通り、友達作りの道具について話し合っていると。
コンコンと、ノックの音が聞こえてきた。
すかさず全員が立ち上がる。
「ではエース、お願いします」
「あ、あぁ、分かった」
エースという響きが気に入ったのか、夜空は特に抵抗もせずにドアの方へと歩いて行く。
前回の失敗を学んだのか、理科は既に入部届を取り出している。
俺は隠れようかとも思ったが、結局入部すれば毎日顔を合わせることになるので、このままで居ることにした。
ガチャ、とドアが開かれる。
「感謝しなさい、愚民ども!! このあたしが――」
バンッ!! と、即座に閉められた。鍵もかける。
ていうかドアの向こうの人、今絶対顔とかぶつけただろ。凄い音したし。
それにしても、チラッとしか見えなかったが、あの金髪はおそらく――。
「ちょっと何すんのよ! このあたしがせっかく来てあげてんのにこの対応!?
ていうか、この完璧すぎるあたしの顔に傷を付けるなんて正気!?」
ガンガンガン!! と、ノックというか騒音が鳴り響く。
メチャクチャうるさい。これでは部活どころではない。
夜空は溜息をつくと、再びドアの方へと歩いて行く。
ガチャリ。
「あっ、やっと開けたわね! まったく、このあたし――」
「 リ ア 充 は 死 ね !!!!!」
バタン。
再び全力で閉める夜空。
なんだこれ。
56: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 16:19:31.23:CZnO16LJo (21/33)
案の定、再びガンガンガンという騒音が鳴り始める。
夜空は額に青筋をビキビキと浮かべて、
「理科、ドアごとあいつを吹き飛ばせる道具を出せ」
そんな物騒な事を言い出した。
しかしその時。
ピタリと騒音が止んだ。
もう諦めたのだろうか?
それとも、夜空の言葉が外にまで聞こえたとか……いや、あれだけうるさくてそれはないか。
「わっ!!」
そんな驚いた声をあげたのは理科だった。
俺と夜空が不思議そうに彼女を見ると、理科はドアの方を指差す。
ドアに付いている窓。
そこにとてつもなく気持ちの悪い何かがへばりついていた。
それを人間の顔だと認識するのは、ちょっと経ってからだった。
たぶん先程の子が、ドアの窓に顔を押し付けて中を伺おうとしているのだろう。
「う、うお……ッ!」
いつも鏡で自分の顔を見ている俺もさすがにビビる。
言ってて悲しくなるけど。
夜空は嫌悪感を全面に出した顔でそれを睨んでいる。
――どうすんだよこれ。
どうする? >>57
案の定、再びガンガンガンという騒音が鳴り始める。
夜空は額に青筋をビキビキと浮かべて、
「理科、ドアごとあいつを吹き飛ばせる道具を出せ」
そんな物騒な事を言い出した。
しかしその時。
ピタリと騒音が止んだ。
もう諦めたのだろうか?
それとも、夜空の言葉が外にまで聞こえたとか……いや、あれだけうるさくてそれはないか。
「わっ!!」
そんな驚いた声をあげたのは理科だった。
俺と夜空が不思議そうに彼女を見ると、理科はドアの方を指差す。
ドアに付いている窓。
そこにとてつもなく気持ちの悪い何かがへばりついていた。
それを人間の顔だと認識するのは、ちょっと経ってからだった。
たぶん先程の子が、ドアの窓に顔を押し付けて中を伺おうとしているのだろう。
「う、うお……ッ!」
いつも鏡で自分の顔を見ている俺もさすがにビビる。
言ってて悲しくなるけど。
夜空は嫌悪感を全面に出した顔でそれを睨んでいる。
――どうすんだよこれ。
どうする? >>57
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 16:21:05.69:Cv+MmOcSO (5/10)
窓ガラスごと顔面ぱんち
窓ガラスごと顔面ぱんち
58: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 17:14:52.63:CZnO16LJo (22/33)
「…………」
夜空は無言でスタスタとドアに近づいていく。
そして。
「 消 え ろ リ ア 充 !!!!!」
思いっきり窓を殴りつけた。
ガァン!! というでかい音が響き、ドアの向こうの少女……いやもう回りくどい言い方はよそう。
“星奈”は即座にドアから離れた。
痛いなんて事はないと思うが、かなりビックリしたのだろう。
「あ、あたしは理科部を助けてあげようとしてんのに…………ッ!! もう、いいわよ!!!」
そんな事を言って、やっと星奈は諦めた。
理科部を助ける……ってどういう事だ?
「……よし、じゃあアイデアを出していこうか」
何事もなかったかのように戻ってくる夜空。
だが俺はあるものが目に入る。
「おい夜空、大丈夫か?」
「ん、何が……ひゃあ!!!」
俺は夜空の手をとる。
先程思いっきり殴りつけたせいで、彼女の手は赤くなっている。
どんだけ憎かったんだよ……と少し呆れるが、
「一応保健室行った方がいいんじゃねえか?」
「なっ……ぁ……だ、大丈夫だ!」
なぜか顔を赤くする夜空。やっぱり痛いのを我慢しているのではないか。
俺がそんな事を考え、引きずってでも保健室へ行かせるべきか、などと思っていると、
ボカッ!! と、後ろから頭を叩かれた。
「いでっ!!」
「あっ、すみません、右手の魔力が暴走しました」
犯人は理科。元々この部屋には三人しかいないので当たり前だ。
しかも何も悪びれる様子もなく、しれーっとしている。
つか魔力が暴走とかお前はウチの妹か……。
俺の脳裏に、妹の小鳩が同じ様な事を言いながら、嫌いなものが入ったスープをひっくり返して父さんのゲンコツをくらった光景が思い浮かぶ。
「と、とにかく小鷹は心配しすぎだ!」
夜空はそう言うと、俺の手を振り払ってスタスタといつもの自分の椅子に座る。
文句を言いながらも、その表情がどこか嬉しそうなのは気のせいだろう。
理科はそれを少し不満そうに見ていたが、
「……むぅ、まぁいいでしょう。では、今日も友達作りの道具を作りますよ!!」
何を作る? >>59
「…………」
夜空は無言でスタスタとドアに近づいていく。
そして。
「 消 え ろ リ ア 充 !!!!!」
思いっきり窓を殴りつけた。
ガァン!! というでかい音が響き、ドアの向こうの少女……いやもう回りくどい言い方はよそう。
“星奈”は即座にドアから離れた。
痛いなんて事はないと思うが、かなりビックリしたのだろう。
「あ、あたしは理科部を助けてあげようとしてんのに…………ッ!! もう、いいわよ!!!」
そんな事を言って、やっと星奈は諦めた。
理科部を助ける……ってどういう事だ?
「……よし、じゃあアイデアを出していこうか」
何事もなかったかのように戻ってくる夜空。
だが俺はあるものが目に入る。
「おい夜空、大丈夫か?」
「ん、何が……ひゃあ!!!」
俺は夜空の手をとる。
先程思いっきり殴りつけたせいで、彼女の手は赤くなっている。
どんだけ憎かったんだよ……と少し呆れるが、
「一応保健室行った方がいいんじゃねえか?」
「なっ……ぁ……だ、大丈夫だ!」
なぜか顔を赤くする夜空。やっぱり痛いのを我慢しているのではないか。
俺がそんな事を考え、引きずってでも保健室へ行かせるべきか、などと思っていると、
ボカッ!! と、後ろから頭を叩かれた。
「いでっ!!」
「あっ、すみません、右手の魔力が暴走しました」
犯人は理科。元々この部屋には三人しかいないので当たり前だ。
しかも何も悪びれる様子もなく、しれーっとしている。
つか魔力が暴走とかお前はウチの妹か……。
俺の脳裏に、妹の小鳩が同じ様な事を言いながら、嫌いなものが入ったスープをひっくり返して父さんのゲンコツをくらった光景が思い浮かぶ。
「と、とにかく小鷹は心配しすぎだ!」
夜空はそう言うと、俺の手を振り払ってスタスタといつもの自分の椅子に座る。
文句を言いながらも、その表情がどこか嬉しそうなのは気のせいだろう。
理科はそれを少し不満そうに見ていたが、
「……むぅ、まぁいいでしょう。では、今日も友達作りの道具を作りますよ!!」
何を作る? >>59
59:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 17:17:05.45:FCyFK8iH0 (2/2)
全自動握手機
全自動握手機
60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 17:18:16.14:Cv+MmOcSO (6/10)
一部記憶を任意で消せるハンマー
一部記憶を任意で消せるハンマー
61:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 17:55:21.48:bbZ4K1oIO (2/3)
なんだ夜空ルートか
なんだ夜空ルートか
62:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/16(月) 18:06:18.89:XydgYeJAO (1/2)
理科ルートだと思ってた……
理科ルートだと思ってた……
63: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 19:05:55.50:CZnO16LJo (23/33)
「あー、握手できる機械ってのはどうだ?」
「なに?」
「ほら、ケンカして握手して友達になるっていうの良くあるだろ? やっぱ友達をつくる上で握手ってのは大事だと思うんだ」
「言われてみれば、確かにそうですね」
「…………」
俺の提案に理科は頷くが、夜空はどこかぼーっとしていた。
「夜空? どうした?」
「ん、あっ、いや何でもない」
「でも先輩、握手できる機械っていうのは、誰かを認識したら自動で手を動かして握手させる機械という事ですか?」
「え、そ、それは……」
考えてみれば、俺とかがいきなり握手なんかすれば相手はどれだけ怯えるか想像もつかない。
おそらく手を握り潰されるとか考えるのではないだろうか。
「さすがにそれは馴れ馴れしすぎるな。まぁ、ここは握手の練習ができる機械とかでいいんじゃないか。いざという時に失敗しないように」
「握手の失敗ってなんだよ……」
「うーん、まっ、それで作ってみましょうか!」
***
「完成です!」
相変わらずの神速で完成した握手の練習用機械。
もう見た瞬間、突っ込みたいところがあった。
「俺達はどんだけマッチョな人と握手する予定があるんだよ……」
「握手したら握り潰されそうだぞ」
とにかく手がゴツい。
ゲームセンターの腕相撲のゲームを想像してくれればいいだろう。
「ふふふ、甘いですね先輩方。これは使用者によって手の大きさを合わせてくれるんですよ」
「マジで?」
「えぇ、ほら」
試しに理科が握手してみると、その手はみるみる縮まり、彼女と同じくらいの小さなものになった。
「あー、握手できる機械ってのはどうだ?」
「なに?」
「ほら、ケンカして握手して友達になるっていうの良くあるだろ? やっぱ友達をつくる上で握手ってのは大事だと思うんだ」
「言われてみれば、確かにそうですね」
「…………」
俺の提案に理科は頷くが、夜空はどこかぼーっとしていた。
「夜空? どうした?」
「ん、あっ、いや何でもない」
「でも先輩、握手できる機械っていうのは、誰かを認識したら自動で手を動かして握手させる機械という事ですか?」
「え、そ、それは……」
考えてみれば、俺とかがいきなり握手なんかすれば相手はどれだけ怯えるか想像もつかない。
おそらく手を握り潰されるとか考えるのではないだろうか。
「さすがにそれは馴れ馴れしすぎるな。まぁ、ここは握手の練習ができる機械とかでいいんじゃないか。いざという時に失敗しないように」
「握手の失敗ってなんだよ……」
「うーん、まっ、それで作ってみましょうか!」
***
「完成です!」
相変わらずの神速で完成した握手の練習用機械。
もう見た瞬間、突っ込みたいところがあった。
「俺達はどんだけマッチョな人と握手する予定があるんだよ……」
「握手したら握り潰されそうだぞ」
とにかく手がゴツい。
ゲームセンターの腕相撲のゲームを想像してくれればいいだろう。
「ふふふ、甘いですね先輩方。これは使用者によって手の大きさを合わせてくれるんですよ」
「マジで?」
「えぇ、ほら」
試しに理科が握手してみると、その手はみるみる縮まり、彼女と同じくらいの小さなものになった。
64: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 19:08:30.55:CZnO16LJo (24/33)
「すげえ!!」
「さ、さすが天才発明家というだけあるな」
「先輩から褒められるのは気持ちいいですね。それこそオナ」
「言わせねえよ!」
俺は理科が何かを言う前に言葉をかぶせる。
理科は少し不満そうな表情をするが、すぐに気を取り直して、
「それではお二人も試してみます?」
「あぁ、そうだな。それでは私からやってみよう」
夜空は少し緊張した面持ちで機械の前に立つ。
そしてそろそろと手を差し出すと、なんと機械の方から夜空の手を取った。
「なっ、向こうから握ってくるのか?」
「はい、センサーで感知してます」
「なんかまさに才能の無駄遣いって感じだな」
一応は俺が発案者なのだが、こんな感想が出てきてしまう。
「ふむ、力はどの程度がいいのかな」
「その機械に数値がついていますよね? それが100に近いほど丁度良い力という事になります」
「その丁度良い力ってのはどこで調べたんだよ……」
「むっ、もう少し強くか」
夜空がそう言うと、機械の数値が70から90にまで上がる。
「そうですそうです。センスいいですね先輩」
「ふっ、まぁ私にかかればこんなものだ」
握手のセンスというのに激しく突っ込みたい所だが、夜空が満足そうなので黙っておくことにする。
「力加減とかできんなら、さっきの窓ぶん殴った時もそうしろよな」
「あれは相手がリア充だから加減する必要がなかっただけだ。思い出すだけで腹が立つあのクソ女……!!」
夜空の表情が再び憎しみに染まる。
その時。
「きゃっ!!」
「……『きゃっ』???」
一瞬誰の声か分からなかったが、どうやら夜空の声のようだ。
「あっ……いや、今のは…………///」
「り、理科、不覚にも萌えてしまいました……!! 夜空先輩もう一度!!」
「するか!! いたたたたた!!」
今度は明らかに痛そうな声をあげる夜空。
「すげえ!!」
「さ、さすが天才発明家というだけあるな」
「先輩から褒められるのは気持ちいいですね。それこそオナ」
「言わせねえよ!」
俺は理科が何かを言う前に言葉をかぶせる。
理科は少し不満そうな表情をするが、すぐに気を取り直して、
「それではお二人も試してみます?」
「あぁ、そうだな。それでは私からやってみよう」
夜空は少し緊張した面持ちで機械の前に立つ。
そしてそろそろと手を差し出すと、なんと機械の方から夜空の手を取った。
「なっ、向こうから握ってくるのか?」
「はい、センサーで感知してます」
「なんかまさに才能の無駄遣いって感じだな」
一応は俺が発案者なのだが、こんな感想が出てきてしまう。
「ふむ、力はどの程度がいいのかな」
「その機械に数値がついていますよね? それが100に近いほど丁度良い力という事になります」
「その丁度良い力ってのはどこで調べたんだよ……」
「むっ、もう少し強くか」
夜空がそう言うと、機械の数値が70から90にまで上がる。
「そうですそうです。センスいいですね先輩」
「ふっ、まぁ私にかかればこんなものだ」
握手のセンスというのに激しく突っ込みたい所だが、夜空が満足そうなので黙っておくことにする。
「力加減とかできんなら、さっきの窓ぶん殴った時もそうしろよな」
「あれは相手がリア充だから加減する必要がなかっただけだ。思い出すだけで腹が立つあのクソ女……!!」
夜空の表情が再び憎しみに染まる。
その時。
「きゃっ!!」
「……『きゃっ』???」
一瞬誰の声か分からなかったが、どうやら夜空の声のようだ。
「あっ……いや、今のは…………///」
「り、理科、不覚にも萌えてしまいました……!! 夜空先輩もう一度!!」
「するか!! いたたたたた!!」
今度は明らかに痛そうな声をあげる夜空。
65: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 19:12:31.91:CZnO16LJo (25/33)
「あんまり力込めちゃダメですよ。その機械、相手の力に合わせますから」
「な、何だよその無駄機能は……」
「だってこっちが力強く握手しているのに、相手が弱々しかったら失礼じゃないですか」
何となく分かるような分からないような。
つまり最初の夜空の悲鳴は、星奈の事を思い出して無意識に力を強くしてしまったせいか。
「くっ、機械の分際でこの私に恥をかかせるとは……!! いたたたたたたたた!!!」
「な、何やってんだ夜空、力抜けって!」
「……夜空先輩が痛がってて、小鷹先輩が力抜けって…………初夜っぽいですね」
「何言ってんのお前!?」
「この変態が……いたたたた!!!」
ますます痛がる夜空。
数値を見ると、200を突破している。
「く、そ……!!! 握り潰してくれる!!!」
「お前これの目的分かってる!?」
「この機械に打ち勝つことだ……ッ!!」
「違うっ!!」
完全にムキになっている夜空。
「ふ、ふふっ……負けを認めるのなら今のうちだぞ……ッ!! いたたたたたたたたた!!
くぅ……小癪な……!! 鉄の塊の分際で…………!!!」
「おーい」
「まぁ好きにやらせてあげればいいんじゃないですか? どうせそのうちギブアップしますよ」
「やっぱ握り潰すってのはできないのか?」
「できますよ。1トンくらいで」
「無理なんだな」
止めるのも面倒になってきたので、大人しく見守る俺と理科。
やがて。
「……ふ、ふん。今日はそろそろこの辺で勘弁してやろうか。良かったな、私の機嫌ががそこまで悪くなくて」
ようやくギブアップのようだ。
というか、生身の人間相手には上手く話せないくせに、無機物相手なら大丈夫なのか。
「……おい、今日はもう勘弁してやると言ったはずだ。お前ももう止めとけ。おい……お、おい…………。
い、いたたたたたたたたたたた!!! ぐっ、こいつ、この……いだだだだだだだだだだだ!!!!!」
「よ、夜空? もうやめろって」
「ち、違う! 力はもう抜いている!! だが、こ、こいつが…………いだだだだだだだだ!! い、いたいいたいいたいやめろこのクソバカ殺すぞ死ね死ね死ね死ね!!!!!」
「なっ……理科!! 様子がおかしいぞ!?」
「…………」
「おい、理科!!」
「――バグっちゃった☆」
ここで伝家の宝刀『テヘペロ』だ。
「ふざけんなああああああああああああああああああ!!!!!」
「あんまり力込めちゃダメですよ。その機械、相手の力に合わせますから」
「な、何だよその無駄機能は……」
「だってこっちが力強く握手しているのに、相手が弱々しかったら失礼じゃないですか」
何となく分かるような分からないような。
つまり最初の夜空の悲鳴は、星奈の事を思い出して無意識に力を強くしてしまったせいか。
「くっ、機械の分際でこの私に恥をかかせるとは……!! いたたたたたたたた!!!」
「な、何やってんだ夜空、力抜けって!」
「……夜空先輩が痛がってて、小鷹先輩が力抜けって…………初夜っぽいですね」
「何言ってんのお前!?」
「この変態が……いたたたた!!!」
ますます痛がる夜空。
数値を見ると、200を突破している。
「く、そ……!!! 握り潰してくれる!!!」
「お前これの目的分かってる!?」
「この機械に打ち勝つことだ……ッ!!」
「違うっ!!」
完全にムキになっている夜空。
「ふ、ふふっ……負けを認めるのなら今のうちだぞ……ッ!! いたたたたたたたたた!!
くぅ……小癪な……!! 鉄の塊の分際で…………!!!」
「おーい」
「まぁ好きにやらせてあげればいいんじゃないですか? どうせそのうちギブアップしますよ」
「やっぱ握り潰すってのはできないのか?」
「できますよ。1トンくらいで」
「無理なんだな」
止めるのも面倒になってきたので、大人しく見守る俺と理科。
やがて。
「……ふ、ふん。今日はそろそろこの辺で勘弁してやろうか。良かったな、私の機嫌ががそこまで悪くなくて」
ようやくギブアップのようだ。
というか、生身の人間相手には上手く話せないくせに、無機物相手なら大丈夫なのか。
「……おい、今日はもう勘弁してやると言ったはずだ。お前ももう止めとけ。おい……お、おい…………。
い、いたたたたたたたたたたた!!! ぐっ、こいつ、この……いだだだだだだだだだだだ!!!!!」
「よ、夜空? もうやめろって」
「ち、違う! 力はもう抜いている!! だが、こ、こいつが…………いだだだだだだだだ!! い、いたいいたいいたいやめろこのクソバカ殺すぞ死ね死ね死ね死ね!!!!!」
「なっ……理科!! 様子がおかしいぞ!?」
「…………」
「おい、理科!!」
「――バグっちゃった☆」
ここで伝家の宝刀『テヘペロ』だ。
「ふざけんなああああああああああああああああああ!!!!!」
66: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 19:17:11.40:CZnO16LJo (26/33)
俺は大急ぎで機械の所まで行く。
全力を込めて機械の手を開かせようとするが、ありえない力でビクともしない。
その間にも、
「いたいいたいいたい!!! おのれ殺す……絶対殺す、切って剥いで焼いて埋めて沈めて殺……コロ、コロロロロロロロロロロロロロ!!!!!!」
女の子としてどころか、人間としてアレなセリフを喚きながら痛がる夜空。
「くそっ!! 壊すしかねえ!!」
俺は機械の手と本体の連結部を思いっきり蹴り上げる。
だがこれも全く効果なし。むしろ俺の足がメチャクチャ痛い。
「いだだだだだだあああああああああああ!!! 死ねクソカスポンコツ死ね死ね死ねくたばれ殺す殺す……ぅぅ、こ、小鷹ぁぁ…………いだ、こ、殺す殺す殺す殺す殺すうううううううう!!!」
さらりと俺の名前を混ぜないでほしい。怖いから。
けど、このまま外れないとさすがにマズイんじゃ……。
俺がいよいよマジで焦ってきた時。
「どいてください、小鷹先輩!!!」
後ろから理科の声。
そして。
ズバン!!! と。
機械の本体と手の部分の連結部が一刀両断された。、
***
「またつまらぬものを斬ってしまった――」
そんな風に居合い抜きのようなポーズを決めている理科。
やっとの事で解放された夜空は、部屋の隅でグスグス言っている。
本人が言うには、泣いているわけではないらしい。どう見ても泣いているが。
俺はどっと疲れて床に座り込んでしまっている。
「……で、何だよそれ」
「斬鉄剣です」
「要するに何でも斬れる刀って事か」
「何でもは斬れないですよ。斬れるものだけです」
なんかもう詳しい仕組みとかまで知りたくないので、適当に聞いて納得する。
それよりも問題は夜空だ。
「なぁ、夜空。さすがに保健室行った方がいいって」
「……いやだ」
「あのなぁ……」
理由としてはただ単に気まずいとかそういう事なのだろう。
まぁ理由を聞かれて、『握手マシーンにやられました』って言うのもかなりシュールだ。
理科はそんな夜空を見て、割と本気で申し訳なさそうにする。
「す、すみません夜空先輩。バグのチェックが不十分で……」
「……あまり気にするな。私の行動も、その、少しアレだったし」
一応自覚はあるのか。
けど、このまま放っておくのもダメだし、何とか夜空を保健室に行かせないとな。
どうする? >>67
俺は大急ぎで機械の所まで行く。
全力を込めて機械の手を開かせようとするが、ありえない力でビクともしない。
その間にも、
「いたいいたいいたい!!! おのれ殺す……絶対殺す、切って剥いで焼いて埋めて沈めて殺……コロ、コロロロロロロロロロロロロロ!!!!!!」
女の子としてどころか、人間としてアレなセリフを喚きながら痛がる夜空。
「くそっ!! 壊すしかねえ!!」
俺は機械の手と本体の連結部を思いっきり蹴り上げる。
だがこれも全く効果なし。むしろ俺の足がメチャクチャ痛い。
「いだだだだだだあああああああああああ!!! 死ねクソカスポンコツ死ね死ね死ねくたばれ殺す殺す……ぅぅ、こ、小鷹ぁぁ…………いだ、こ、殺す殺す殺す殺す殺すうううううううう!!!」
さらりと俺の名前を混ぜないでほしい。怖いから。
けど、このまま外れないとさすがにマズイんじゃ……。
俺がいよいよマジで焦ってきた時。
「どいてください、小鷹先輩!!!」
後ろから理科の声。
そして。
ズバン!!! と。
機械の本体と手の部分の連結部が一刀両断された。、
***
「またつまらぬものを斬ってしまった――」
そんな風に居合い抜きのようなポーズを決めている理科。
やっとの事で解放された夜空は、部屋の隅でグスグス言っている。
本人が言うには、泣いているわけではないらしい。どう見ても泣いているが。
俺はどっと疲れて床に座り込んでしまっている。
「……で、何だよそれ」
「斬鉄剣です」
「要するに何でも斬れる刀って事か」
「何でもは斬れないですよ。斬れるものだけです」
なんかもう詳しい仕組みとかまで知りたくないので、適当に聞いて納得する。
それよりも問題は夜空だ。
「なぁ、夜空。さすがに保健室行った方がいいって」
「……いやだ」
「あのなぁ……」
理由としてはただ単に気まずいとかそういう事なのだろう。
まぁ理由を聞かれて、『握手マシーンにやられました』って言うのもかなりシュールだ。
理科はそんな夜空を見て、割と本気で申し訳なさそうにする。
「す、すみません夜空先輩。バグのチェックが不十分で……」
「……あまり気にするな。私の行動も、その、少しアレだったし」
一応自覚はあるのか。
けど、このまま放っておくのもダメだし、何とか夜空を保健室に行かせないとな。
どうする? >>67
67:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/16(月) 19:18:49.13:fjNbySnD0 (1/1)
夜空を背負って行く
夜空を背負って行く
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/16(月) 19:18:54.50:isp5naiv0 (1/1)
ほっとく
ほっとく
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 19:19:40.60:Cv+MmOcSO (7/10)
手を握りつぶしてあげる☆
手を握りつぶしてあげる☆
70: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 20:16:32.88:CZnO16LJo (27/33)
「……しょうがねえな」
俺はそう呟くと、夜空の方へ歩いて行く。
「な、なんだ? 私は保健室などには…………わあっ!!!」
俺は夜空を背中に担いだ。
ようはおんぶだ。
「な、ななななな何を……///」
「どうしても行かねえんなら無理矢理にでも行かせてやる」
「ぐぅ羨ましい……でも、原因は理科ですし……くぅぅぅぅぅ!!
ていうか今のセリフ、どう考えてもエロすぎです本当にありがとうございました」
理科の言葉は完全無視して俺は部屋を出て保健室へ向かった。
夜空を担いだまま。
***
「……けどちょっと意外だな」
「ん、何がだ」
保健室までの廊下を歩く俺。
夜空の声は背中から聞こえる。
ここまで何人かの生徒とすれ違ったが、何やらヒソヒソ言っていたのでまた新しい噂が増えることになりそうだ。
俺は顔をちょっと後ろに向けて夜空を見る。
「いや、夜空だったらもっと抵抗するかなって思ってたからさ。意外と大人しいんだな」
「ッ!! は、離せバカ……!!///」
「うおっ!? お、思い出したように暴れんなよ!!」
言わなきゃ良かったと後悔する。
「…………」
「…………」
会話が途切れた。
だが、不思議な事に気まずくはない。
外はもう夕方で、オレンジ色の光が窓から差し込んできている。
「小鷹」
今度は夜空から話しかけてきた。
「ん?」
「えっと、その……お、重くないか?」
「重くねーよ」
「ホントだな!?」
「ホントだよ!」
「……そうか」
「…………」
「…………」
また沈黙。
「……しょうがねえな」
俺はそう呟くと、夜空の方へ歩いて行く。
「な、なんだ? 私は保健室などには…………わあっ!!!」
俺は夜空を背中に担いだ。
ようはおんぶだ。
「な、ななななな何を……///」
「どうしても行かねえんなら無理矢理にでも行かせてやる」
「ぐぅ羨ましい……でも、原因は理科ですし……くぅぅぅぅぅ!!
ていうか今のセリフ、どう考えてもエロすぎです本当にありがとうございました」
理科の言葉は完全無視して俺は部屋を出て保健室へ向かった。
夜空を担いだまま。
***
「……けどちょっと意外だな」
「ん、何がだ」
保健室までの廊下を歩く俺。
夜空の声は背中から聞こえる。
ここまで何人かの生徒とすれ違ったが、何やらヒソヒソ言っていたのでまた新しい噂が増えることになりそうだ。
俺は顔をちょっと後ろに向けて夜空を見る。
「いや、夜空だったらもっと抵抗するかなって思ってたからさ。意外と大人しいんだな」
「ッ!! は、離せバカ……!!///」
「うおっ!? お、思い出したように暴れんなよ!!」
言わなきゃ良かったと後悔する。
「…………」
「…………」
会話が途切れた。
だが、不思議な事に気まずくはない。
外はもう夕方で、オレンジ色の光が窓から差し込んできている。
「小鷹」
今度は夜空から話しかけてきた。
「ん?」
「えっと、その……お、重くないか?」
「重くねーよ」
「ホントだな!?」
「ホントだよ!」
「……そうか」
「…………」
「…………」
また沈黙。
71: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 20:18:23.34:CZnO16LJo (28/33)
「夜空」
「な、なんだ?」
「何か言いたいことがあるのか?」
「なっ……う…………」
夜空は黙ってしまう。
別に俺も無理して聞きたいというわけじゃないので、言わないならそれでいいか、とも思う。
その時。
「――り、理科の事、どう思っているんだ?」
そんな事を尋ねてきた。
「理科?」
「あ、あぁ。理科部も二人で作ったんだろう?」
「まぁ、そうだな」
「それが私には意外だった。小鷹がそうやって誰かと協力して何かをするというのが……。クラスでは友達居ないの知ってたし」
「う、うるせえな。それはお前だって同じだろ」
「私にはトモちゃんが居るぞ!」
「あー、はいはい」
「な、何だそのやる気のない返事は! 貴様トモちゃんをバカにする気か!」
背中でジタバタと暴れる夜空。
こいつの事を知れば知るほど、意外と子供っぽいという事が分かる。
最初はその人のことをほとんど知らなくても、こうして少しの間共に過ごす事で多くのものが見えてくる。
俺に関しても、すぐにヤンキーでも何でもないっていうのは分かってくれるはずなのだが、いかんせん第一印象というのもかなり重要なようだ。
「……で、どうなんだ。その、理科のことは」
「んー」
俺は少し考えて、
「>>72」
「夜空」
「な、なんだ?」
「何か言いたいことがあるのか?」
「なっ……う…………」
夜空は黙ってしまう。
別に俺も無理して聞きたいというわけじゃないので、言わないならそれでいいか、とも思う。
その時。
「――り、理科の事、どう思っているんだ?」
そんな事を尋ねてきた。
「理科?」
「あ、あぁ。理科部も二人で作ったんだろう?」
「まぁ、そうだな」
「それが私には意外だった。小鷹がそうやって誰かと協力して何かをするというのが……。クラスでは友達居ないの知ってたし」
「う、うるせえな。それはお前だって同じだろ」
「私にはトモちゃんが居るぞ!」
「あー、はいはい」
「な、何だそのやる気のない返事は! 貴様トモちゃんをバカにする気か!」
背中でジタバタと暴れる夜空。
こいつの事を知れば知るほど、意外と子供っぽいという事が分かる。
最初はその人のことをほとんど知らなくても、こうして少しの間共に過ごす事で多くのものが見えてくる。
俺に関しても、すぐにヤンキーでも何でもないっていうのは分かってくれるはずなのだが、いかんせん第一印象というのもかなり重要なようだ。
「……で、どうなんだ。その、理科のことは」
「んー」
俺は少し考えて、
「>>72」
72:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 20:20:37.50:Cv+MmOcSO (8/10)
チンカス
チンカス
73:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 20:42:13.48:bbZ4K1oIO (3/3)
ヒドイ…
ヒドイ…
74:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 20:44:15.98:Cv+MmOcSO (9/10)
だってこうでも言わないとアレじゃん…
だってこうでも言わないとアレじゃん…
75: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 22:08:46.76:CZnO16LJo (29/33)
「チンカス」
……一応言っておこう。
これは俺のセリフではない。
「ん、なんだ違うのか? それではビッチか? 雌豚か?」
「お、お前、実は今回の件怒ってるだろ」
「そんな事はない。私は大人だからな」
どこがだ。
「さぁ、ここには理科も居ない。思う存分好きな事言えるぞ?」
「……別に悪く思っちゃいねえって。アイツは理科部の部長で頼りになるやつだ」
「……ふぅん」
夜空は微妙に納得したような、していないような声を出した。
その後、保健室の先生に夜空の手を診てもらったのだが、軽い打撲だった。
理由は転んだと誤魔化したが、なんか納得していない様子で、ちょっと焦った。
やはりそういうのは分かるのだろうか。
***
「……我が眷属よ、最近我への供物がいささか貧相ではないか?」
「ん、そうか?」
俺と小鳩は家で一緒に夕食をとる。
ま、まぁ確かに今日は冷凍食品多めだけど……。
「悪い、ちょっと部活でな。休みの日はちゃんと作るからさ」
「むー」
「あぁそうだ。部活といえば、今日理科の作った握手マシーンで夜空がさぁ……」
「……あんちゃんは最近部活の事ばかりじゃ」
「ん?」
「なんでもなかっ!」
そう言って小鳩はさっさと食べて自分の部屋へ行ってしまった。
やっぱ反抗期か?
「チンカス」
……一応言っておこう。
これは俺のセリフではない。
「ん、なんだ違うのか? それではビッチか? 雌豚か?」
「お、お前、実は今回の件怒ってるだろ」
「そんな事はない。私は大人だからな」
どこがだ。
「さぁ、ここには理科も居ない。思う存分好きな事言えるぞ?」
「……別に悪く思っちゃいねえって。アイツは理科部の部長で頼りになるやつだ」
「……ふぅん」
夜空は微妙に納得したような、していないような声を出した。
その後、保健室の先生に夜空の手を診てもらったのだが、軽い打撲だった。
理由は転んだと誤魔化したが、なんか納得していない様子で、ちょっと焦った。
やはりそういうのは分かるのだろうか。
***
「……我が眷属よ、最近我への供物がいささか貧相ではないか?」
「ん、そうか?」
俺と小鳩は家で一緒に夕食をとる。
ま、まぁ確かに今日は冷凍食品多めだけど……。
「悪い、ちょっと部活でな。休みの日はちゃんと作るからさ」
「むー」
「あぁそうだ。部活といえば、今日理科の作った握手マシーンで夜空がさぁ……」
「……あんちゃんは最近部活の事ばかりじゃ」
「ん?」
「なんでもなかっ!」
そう言って小鳩はさっさと食べて自分の部屋へ行ってしまった。
やっぱ反抗期か?
76: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 22:11:25.79:CZnO16LJo (30/33)
***
次の日。
朝、教室に入ると、案の定昨日のことで何か噂が流れているようだった。
耳をそばだてて聞いてみれば、「羽瀬川小鷹が三日月夜空を誘拐した」とか何とか。
どういう事だおい。
といっても、なんかもういつもの事なので、特に気にしない事にする。
俺は最初の授業に備えて机の上に教科書を並べる。
その後は無言でケータイをいじったり、本を読んだり。
それが俺の日常だった。
だが、今日に限っては違った。
「ちょーっと邪魔するわよ!!!」
何か聞き覚えのある声が聞こえてきた。
嫌な予感を覚えながらも、そちらを見てみると、居た。
金髪碧眼の美少女、頭には蝶の髪飾りを付けた理事長の娘、柏崎星奈だ。
いや、落ち込むのはまだ早い。
別に俺じゃなくて他の誰かに用があるという可能性だって十分ありえるだろう。
そうだそうだ、わざわざこんなヤンキーに何度も絡んでくるほどアイツも暇じゃ――。
「あっ、居たわね羽瀬川小鷹!!!」
……泣きたくなってきた。
教室中がざわざわとし始める。
「いよいよ決戦か!?」なんて声も聞こえた気がする。ねえよ。
「……なんだよ」
「「ひっ」」
俺が声を出した瞬間、クラスメイトのほとんどが小さく悲鳴をあげた。
確かに今の俺の声は自分でもちょっとアレだと思った。
学校での第一声という事もあって、普段の調子が出なかったらしい。
まぁ普段から既に怖いとは言われるのだが。
「……ふ、ふん、声で脅そうとしても無駄よ」
今の声には星奈もビビったらしく、声が震えているのが分かる。
それならわざわざ関わらなければいいのに……。
星奈はそんな怯えを振り払うかのように、ビシッとこちらを指差した。
「あんたに言いたいことは一つ。理科部を解放しなさい!!」
「……え?」
俺は思わず間抜けな声を出してしまう。
そして夜空の方をチラリと見てみるが、彼女はただ黙々と本を読んでいた。完全に我関せず状態だ。
「あんたが理科部を襲撃して毎日毎日占拠してるってのは分かってんのよ! それをやめなさいって言ってんの!!」
「…………あー」
なんか完全に誤解されているようだ。
どうする? >>77
***
次の日。
朝、教室に入ると、案の定昨日のことで何か噂が流れているようだった。
耳をそばだてて聞いてみれば、「羽瀬川小鷹が三日月夜空を誘拐した」とか何とか。
どういう事だおい。
といっても、なんかもういつもの事なので、特に気にしない事にする。
俺は最初の授業に備えて机の上に教科書を並べる。
その後は無言でケータイをいじったり、本を読んだり。
それが俺の日常だった。
だが、今日に限っては違った。
「ちょーっと邪魔するわよ!!!」
何か聞き覚えのある声が聞こえてきた。
嫌な予感を覚えながらも、そちらを見てみると、居た。
金髪碧眼の美少女、頭には蝶の髪飾りを付けた理事長の娘、柏崎星奈だ。
いや、落ち込むのはまだ早い。
別に俺じゃなくて他の誰かに用があるという可能性だって十分ありえるだろう。
そうだそうだ、わざわざこんなヤンキーに何度も絡んでくるほどアイツも暇じゃ――。
「あっ、居たわね羽瀬川小鷹!!!」
……泣きたくなってきた。
教室中がざわざわとし始める。
「いよいよ決戦か!?」なんて声も聞こえた気がする。ねえよ。
「……なんだよ」
「「ひっ」」
俺が声を出した瞬間、クラスメイトのほとんどが小さく悲鳴をあげた。
確かに今の俺の声は自分でもちょっとアレだと思った。
学校での第一声という事もあって、普段の調子が出なかったらしい。
まぁ普段から既に怖いとは言われるのだが。
「……ふ、ふん、声で脅そうとしても無駄よ」
今の声には星奈もビビったらしく、声が震えているのが分かる。
それならわざわざ関わらなければいいのに……。
星奈はそんな怯えを振り払うかのように、ビシッとこちらを指差した。
「あんたに言いたいことは一つ。理科部を解放しなさい!!」
「……え?」
俺は思わず間抜けな声を出してしまう。
そして夜空の方をチラリと見てみるが、彼女はただ黙々と本を読んでいた。完全に我関せず状態だ。
「あんたが理科部を襲撃して毎日毎日占拠してるってのは分かってんのよ! それをやめなさいって言ってんの!!」
「…………あー」
なんか完全に誤解されているようだ。
どうする? >>77
77:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/16(月) 22:12:06.85:guqDBeQao (1/1)
なんかおっかないから理科のスカートの中に避難
なんかおっかないから理科のスカートの中に避難
78:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/16(月) 22:17:19.99:UV+gg4lPo (1/1)
相変わらずだなwwwwwwww
相変わらずだなwwwwwwww
79: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 22:31:59.39:CZnO16LJo (31/33)
なんかもう色々と面倒だ。
こういう時は――――。
「わるいっ!!」
そう言って、俺は教室を飛び出した。
「あっ、待ちなさいよ!!!」
そう言って追っかけてくる星奈。
……おいおいちょっと待て、何であんなに速いんだよ!!
俺はとりあえず理科の元へ言って話し合おうと思っていた。
しかし、これではその前に捕まってしまう。
「だから待てって言ってんでしょうがあああああああ!!!!!」
「あ、ありえねえ……スポーツ万能少女かよ……!?」
差がどんどん縮まっていく。
見た目から、運動嫌いのギャルかと思っていたのが大失敗だ。
廊下を何度も曲がってやり過ごそうとするが、それでも振りきれない。
すれ違う教師などにも注意されるが、止まるわけにはいかない。
理科室まではまだまだ距離がある。このままでは――――。
どうする? >>80
なんかもう色々と面倒だ。
こういう時は――――。
「わるいっ!!」
そう言って、俺は教室を飛び出した。
「あっ、待ちなさいよ!!!」
そう言って追っかけてくる星奈。
……おいおいちょっと待て、何であんなに速いんだよ!!
俺はとりあえず理科の元へ言って話し合おうと思っていた。
しかし、これではその前に捕まってしまう。
「だから待てって言ってんでしょうがあああああああ!!!!!」
「あ、ありえねえ……スポーツ万能少女かよ……!?」
差がどんどん縮まっていく。
見た目から、運動嫌いのギャルかと思っていたのが大失敗だ。
廊下を何度も曲がってやり過ごそうとするが、それでも振りきれない。
すれ違う教師などにも注意されるが、止まるわけにはいかない。
理科室まではまだまだ距離がある。このままでは――――。
どうする? >>80
80:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 22:32:32.18:MGkWyez/o (1/2)
足かける
足かける
81: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 22:50:08.83:CZnO16LJo (32/33)
……しょうがねえ!
俺はこのままでは逃げ切れない事を悟ると、スピードを落とす。
「ふん、やっと諦めたようね! じゃあ大人しく……」
星奈がすぐ近くに来た瞬間、俺は足をかけた。
その結果。
「ぎゃっ!!」
ビターン!!! と、見事に顔面からいった。
あまりの盛大なコケっぷりに、俺も思わず止まってしまう。
自分でやっておいてなんだけど、大丈夫かアレ?
ちょうど近くを通りかかった生徒達も、びっくりしている。
理事長の娘が廊下で派手に転んでいるのだから仕方ない。
星奈がフラフラと立ち上がる。
「や、やってくれんじゃないの……。け、けど、これくらいであたしが諦めるとでも……」
「お、おい、鼻血出てんぞ!」
「ふぇ?」
美少女が鼻血を垂らしているというのは、見てて何とも残念な気持ちになる。
星奈は一瞬キョトンとすると、手の甲でグシグシと拭き取る。
「このくらい何ともないわ!!」
「止まってねえって! また出てる出てる!!」
「こんなもん出させとけばいいのよ! あたしの完璧すぎる顔にさして影響はないわ!!」
い、いやぁ……結構残念な感じになってますけど。
しかし、本当に、想像以上にしつこい。
温室育ちのお嬢様かと思ったが、意外と根性はあるのかもしれない。
それともただ単に負けず嫌いなだけか。
「さぁ……もう観念しなさい……!!!」
鼻血をドバドバ出しながら迫り来る美少女。
俺が言うのも何だけど、普通に怖い。
どうする? >>82
……しょうがねえ!
俺はこのままでは逃げ切れない事を悟ると、スピードを落とす。
「ふん、やっと諦めたようね! じゃあ大人しく……」
星奈がすぐ近くに来た瞬間、俺は足をかけた。
その結果。
「ぎゃっ!!」
ビターン!!! と、見事に顔面からいった。
あまりの盛大なコケっぷりに、俺も思わず止まってしまう。
自分でやっておいてなんだけど、大丈夫かアレ?
ちょうど近くを通りかかった生徒達も、びっくりしている。
理事長の娘が廊下で派手に転んでいるのだから仕方ない。
星奈がフラフラと立ち上がる。
「や、やってくれんじゃないの……。け、けど、これくらいであたしが諦めるとでも……」
「お、おい、鼻血出てんぞ!」
「ふぇ?」
美少女が鼻血を垂らしているというのは、見てて何とも残念な気持ちになる。
星奈は一瞬キョトンとすると、手の甲でグシグシと拭き取る。
「このくらい何ともないわ!!」
「止まってねえって! また出てる出てる!!」
「こんなもん出させとけばいいのよ! あたしの完璧すぎる顔にさして影響はないわ!!」
い、いやぁ……結構残念な感じになってますけど。
しかし、本当に、想像以上にしつこい。
温室育ちのお嬢様かと思ったが、意外と根性はあるのかもしれない。
それともただ単に負けず嫌いなだけか。
「さぁ……もう観念しなさい……!!!」
鼻血をドバドバ出しながら迫り来る美少女。
俺が言うのも何だけど、普通に怖い。
どうする? >>82
82:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 22:51:18.47:Cv+MmOcSO (10/10)
全力で腹ぱん→膝。眠らせる
全力で腹ぱん→膝。眠らせる
83: ◆0WipXNi8qk:2012/07/16(月) 23:13:41.15:CZnO16LJo (33/33)
「お、お前明らかにフラフラしてんじゃねえか! 大人しくしとけって!」
「そうはいかないわ…………あたしは、頼まれたんだから…………」
フラフラと危なっかしい足取りで、それでも確実に星奈は俺に近付く。
「頼まれた?」
「えぇ、あんたの事を止められるのはあたしだけって、すっごく頼りにされてんのよ」
「そ、そうか……」
「だから、あたしは……!!」
俺は辺りを見渡す。
もう一限目の授業が始まるのか、廊下には誰も居なくなっていた。
「……わるい」
「え?」
ドゴッ!! と、拳を彼女の腹に打ち込み、続けて膝を入れる。
星奈は動かなくなった。
……理事長、ホントごめんなさい。
「……で、どうするよ、これ」
目の前には気絶した星奈。
チャイムが鳴り始め、授業が始まったことを知らせる。
このまま星奈を放っておくことはできないが、保健室へ連れていけば事情を聞かれまくるはずだ。
いくらフラフラでヤバかったと言っても、俺が気絶させたなんて言えば大事だ。
というか、そもそも鼻血をドバドバ出させた原因も俺だし。
……うーん。
どうする? >>84
「お、お前明らかにフラフラしてんじゃねえか! 大人しくしとけって!」
「そうはいかないわ…………あたしは、頼まれたんだから…………」
フラフラと危なっかしい足取りで、それでも確実に星奈は俺に近付く。
「頼まれた?」
「えぇ、あんたの事を止められるのはあたしだけって、すっごく頼りにされてんのよ」
「そ、そうか……」
「だから、あたしは……!!」
俺は辺りを見渡す。
もう一限目の授業が始まるのか、廊下には誰も居なくなっていた。
「……わるい」
「え?」
ドゴッ!! と、拳を彼女の腹に打ち込み、続けて膝を入れる。
星奈は動かなくなった。
……理事長、ホントごめんなさい。
「……で、どうするよ、これ」
目の前には気絶した星奈。
チャイムが鳴り始め、授業が始まったことを知らせる。
このまま星奈を放っておくことはできないが、保健室へ連れていけば事情を聞かれまくるはずだ。
いくらフラフラでヤバかったと言っても、俺が気絶させたなんて言えば大事だ。
というか、そもそも鼻血をドバドバ出させた原因も俺だし。
……うーん。
どうする? >>84
84:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/16(月) 23:15:19.00:XydgYeJAO (2/2)
覆面被って保健室へ運ぶ
覆面被って保健室へ運ぶ
85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 23:15:21.50:w8CdMHNIO (1/1)
理科に預ける
理科に預ける
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県):2012/07/16(月) 23:22:51.31:ohWeEg5co (1/1)
この小鷹はマジでヤンキーだな
この小鷹はマジでヤンキーだな
87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/16(月) 23:35:10.73:MGkWyez/o (2/2)
これは覆面ヒーローとヤンキーの二重学生生活の予感
これは覆面ヒーローとヤンキーの二重学生生活の予感
88: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 00:26:01.12:YFpFztNQo (1/27)
「そ、そうだ、覆面でも被って顔隠せば……」
とりあえず、星奈を保健室に運ぶことにした。
***
俺は適当な部屋から拝借してきた、馬の覆面を被って保健室まで来た。
気絶した理事長の娘に、それを担ぐ謎の覆面男。
……もしかして、この状況見られたら普通に警察沙汰じゃねえの?
そんな事を考えながらおそるおそる保健室を覗く。
幸運な事に、誰も居なかった。
「よ、良かった……」
俺は星奈を空いているベッドに寝かせる。
鼻血が酷かったので、ティッシュを詰め込んでおいた。
女の子の鼻にティッシュを詰めるなんてことは初体験だったが。
俺はとにかく誰にも見られない内にと、教室へ戻ることにした。
***
昼休み。
「羽瀬川小鷹!!!」
そんな大声が聞こえてきた。
声の主は案の定、柏崎星奈だ。
俺は何も言わずに立ち上がり、星奈に近付く。
「うっ……ぁ……な、何よ! いきなり暴力!?」
「悪かった」
「……え?」
俺は深く頭を下げた。
あれから冷静に考えた結果。
女の子の腹を殴った上に膝を入れて気絶させるなんていうのはどう考えてもやり過ぎだと思った。
「今朝の事は本当に悪かった。俺――」
「そんな事はどうだっていいのよ」
「……はい?」
「あたしが聞きたいのは、あんたが理科部を乗っ取るのをやめるかどうかってこと!!」
この少女は何だか色んな意味でぶっ飛んでいると思った。
いや、真っ直ぐすぎると言えばいいのか。俺には少し眩しい。
「……いや、俺も部員なんだけど」
「え……そ、そんなの無理矢理入っただけでしょ!」
「本当だって。何なら今から部長のとこ行くか?」
「の、望むところよ!!」
そんなわけで理科室まで行く事になった。
ちなみに夜空は相変わらず我関せず状態だった。
「そ、そうだ、覆面でも被って顔隠せば……」
とりあえず、星奈を保健室に運ぶことにした。
***
俺は適当な部屋から拝借してきた、馬の覆面を被って保健室まで来た。
気絶した理事長の娘に、それを担ぐ謎の覆面男。
……もしかして、この状況見られたら普通に警察沙汰じゃねえの?
そんな事を考えながらおそるおそる保健室を覗く。
幸運な事に、誰も居なかった。
「よ、良かった……」
俺は星奈を空いているベッドに寝かせる。
鼻血が酷かったので、ティッシュを詰め込んでおいた。
女の子の鼻にティッシュを詰めるなんてことは初体験だったが。
俺はとにかく誰にも見られない内にと、教室へ戻ることにした。
***
昼休み。
「羽瀬川小鷹!!!」
そんな大声が聞こえてきた。
声の主は案の定、柏崎星奈だ。
俺は何も言わずに立ち上がり、星奈に近付く。
「うっ……ぁ……な、何よ! いきなり暴力!?」
「悪かった」
「……え?」
俺は深く頭を下げた。
あれから冷静に考えた結果。
女の子の腹を殴った上に膝を入れて気絶させるなんていうのはどう考えてもやり過ぎだと思った。
「今朝の事は本当に悪かった。俺――」
「そんな事はどうだっていいのよ」
「……はい?」
「あたしが聞きたいのは、あんたが理科部を乗っ取るのをやめるかどうかってこと!!」
この少女は何だか色んな意味でぶっ飛んでいると思った。
いや、真っ直ぐすぎると言えばいいのか。俺には少し眩しい。
「……いや、俺も部員なんだけど」
「え……そ、そんなの無理矢理入っただけでしょ!」
「本当だって。何なら今から部長のとこ行くか?」
「の、望むところよ!!」
そんなわけで理科室まで行く事になった。
ちなみに夜空は相変わらず我関せず状態だった。
89: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 00:29:10.26:YFpFztNQo (2/27)
***
「はい、小鷹先輩はちゃんと部員ですよ。ていうか理科と一緒に創部しましたし」
「……うそーん」
理科の言葉を聞いた途端、呆然となる星奈。
理科は溜息をつくと、
「先輩、情報は何でもかんでも鵜呑みにしてはいけませんよ? そういう人達がマスゴミに騙されるんです」
「うっ……く…………!!」
「仮にも理事長の娘なんですから、もっと自分でちゃんと考えて……」
「わ、悪かったわね!! 分かったわよ、次からは気をつければいいんでしょ!!」
星奈はドタドタと出ていく……前に俺の方を見る。
「あと、あんたに関する相談はまだ沢山残ってんだから、覚悟しなさいよね!!!」
そんなセリフを残して出ていってしまった。
まるで嵐のようだった。
「そういえば理科、それ何だ? 新しい友達作りの道具か?」
俺は机の上に出ていたパネルのようなものを指差す。
「いえ、これは企業さんから依頼されたものです。太陽光発電の装置です」
「……やっぱお前ってすげーんだな」
「ふふ、惚れちゃいましたか? できるオンナでしょう、理科は」
「あぁ、そうだな」
「ぶっ、ちょ、マジ反応はやめてくださいよ///」
自分で振っておいて赤くなる理科だった。
***
放課後。
俺と夜空が理科室にやってくると、理科が完全にダウンしていた。
何でもあの太陽光発電の検査などで屋外で作業していたらこんな事になったらしい。
「うー、あー、うま、かゆ……」
「おーい大丈夫かー?」
「ちくしょう……ファッキン太陽めが……」
なんか相当重症だ。
ちなみに保健室には行ったらしいが、日射病とか熱中症ではなく、ただ暑さにやられているだけらしい。
「まぁ、もうそろそろ7月だからな。そりゃ外は暑いわな」
「これでは今日は活動はできそうにもないな。そうだ、小鷹」
「ん?」
「貴様、あのリア充ビッチに絡まれていたな。どうした?」
「あー、お前思いっきり知らんぷりしてたよな」
「誰が自分からあんな女と関わるものか。で、何だったんだ?」
「なんか俺が理科部を乗っ取ってるとかって勘違いしてたんだよ」
「はっ、さすがビッチの頭の中は違うな」
「よ、夜空お前、すげえ悪い顔してんぞ」
俺はそう言うが、夜空は特に気にした様子もなく、鞄から本を取り出し読み始める。
さて、俺は何するかな。
何する? >>90
***
「はい、小鷹先輩はちゃんと部員ですよ。ていうか理科と一緒に創部しましたし」
「……うそーん」
理科の言葉を聞いた途端、呆然となる星奈。
理科は溜息をつくと、
「先輩、情報は何でもかんでも鵜呑みにしてはいけませんよ? そういう人達がマスゴミに騙されるんです」
「うっ……く…………!!」
「仮にも理事長の娘なんですから、もっと自分でちゃんと考えて……」
「わ、悪かったわね!! 分かったわよ、次からは気をつければいいんでしょ!!」
星奈はドタドタと出ていく……前に俺の方を見る。
「あと、あんたに関する相談はまだ沢山残ってんだから、覚悟しなさいよね!!!」
そんなセリフを残して出ていってしまった。
まるで嵐のようだった。
「そういえば理科、それ何だ? 新しい友達作りの道具か?」
俺は机の上に出ていたパネルのようなものを指差す。
「いえ、これは企業さんから依頼されたものです。太陽光発電の装置です」
「……やっぱお前ってすげーんだな」
「ふふ、惚れちゃいましたか? できるオンナでしょう、理科は」
「あぁ、そうだな」
「ぶっ、ちょ、マジ反応はやめてくださいよ///」
自分で振っておいて赤くなる理科だった。
***
放課後。
俺と夜空が理科室にやってくると、理科が完全にダウンしていた。
何でもあの太陽光発電の検査などで屋外で作業していたらこんな事になったらしい。
「うー、あー、うま、かゆ……」
「おーい大丈夫かー?」
「ちくしょう……ファッキン太陽めが……」
なんか相当重症だ。
ちなみに保健室には行ったらしいが、日射病とか熱中症ではなく、ただ暑さにやられているだけらしい。
「まぁ、もうそろそろ7月だからな。そりゃ外は暑いわな」
「これでは今日は活動はできそうにもないな。そうだ、小鷹」
「ん?」
「貴様、あのリア充ビッチに絡まれていたな。どうした?」
「あー、お前思いっきり知らんぷりしてたよな」
「誰が自分からあんな女と関わるものか。で、何だったんだ?」
「なんか俺が理科部を乗っ取ってるとかって勘違いしてたんだよ」
「はっ、さすがビッチの頭の中は違うな」
「よ、夜空お前、すげえ悪い顔してんぞ」
俺はそう言うが、夜空は特に気にした様子もなく、鞄から本を取り出し読み始める。
さて、俺は何するかな。
何する? >>90
90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 00:30:26.95:RpLEMx4IO (1/3)
夜空を観察
夜空を観察
91: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 00:43:57.49:YFpFztNQo (3/27)
「……理科、今日はもう帰ります」
フラフラと出て行こうとする理科。
「お、おい大丈夫か?」
「ダメです。先輩、魔力供給をお願いします」
「魔力供給?」
「セクロスです」
「よし、帰れ」
……というわけで、理科室には俺と夜空だけが残る。
特にやることもない俺は、ぼーっと夜空を見ている。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……なぁ小鷹」
「ん?」
「そこまでガン見されると集中して読めないんだが」
「えっ、あ、悪い……」
「…………」
「…………」
「その本、面白いか?」
「面白い」
「そっか」
「…………」
「…………」
なにしよう? >>92
「……理科、今日はもう帰ります」
フラフラと出て行こうとする理科。
「お、おい大丈夫か?」
「ダメです。先輩、魔力供給をお願いします」
「魔力供給?」
「セクロスです」
「よし、帰れ」
……というわけで、理科室には俺と夜空だけが残る。
特にやることもない俺は、ぼーっと夜空を見ている。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「……なぁ小鷹」
「ん?」
「そこまでガン見されると集中して読めないんだが」
「えっ、あ、悪い……」
「…………」
「…………」
「その本、面白いか?」
「面白い」
「そっか」
「…………」
「…………」
なにしよう? >>92
92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/17(火) 00:47:16.26:SAeTsaOAO (1/2)
帰る
帰る
93:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/17(火) 00:47:31.15:PJvam4Zuo (1/2)
全裸ブリッジで夜空の周りをうろちょろ
全裸ブリッジで夜空の周りをうろちょろ
94:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 00:47:33.60:IsI/x2bSO (1/8)
本はたきおとして抱きしめてみる
本はたきおとして抱きしめてみる
95:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/17(火) 00:47:36.27:6ZbGlP0N0 (1/1)
夜空から本を借りる
夜空から本を借りる
96: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 01:11:42.19:YFpFztNQo (4/27)
うん、帰ろう。
特にやることもないし。
***
「ククク、今日は中々の生贄だな、我が眷属よ」
晩飯時の羽瀬川家。
小鳩は満足そうにロールキャベツを頬張る。
今日は早めに帰ってきた事もあって、それなりに手間をかけて作れた。
「……なぁ小鳩」
「ん、何だ」
「小鳩ってさ、ちゃんと友達いるか?」
俺のそんな質問に、小鳩は少しキョトンとすると。
「……ふん、愚問だな。我に友など不要。必要なのは永久の闇だけだ」
「そ、そうか……」
容姿も性格も似てない兄妹だけど。
友達がいないなんていう変なところは似たのかなぁ、なんて思った。
***
次の日の放課後。
今日は星奈の襲撃もなく、比較的平和な生活を送れた。
相変わらず友達はいないけど。
理科室には理科と夜空も揃っている。
「では、今日も友達作りの道具作りますよ!!!」
何を作る? >>97
うん、帰ろう。
特にやることもないし。
***
「ククク、今日は中々の生贄だな、我が眷属よ」
晩飯時の羽瀬川家。
小鳩は満足そうにロールキャベツを頬張る。
今日は早めに帰ってきた事もあって、それなりに手間をかけて作れた。
「……なぁ小鳩」
「ん、何だ」
「小鳩ってさ、ちゃんと友達いるか?」
俺のそんな質問に、小鳩は少しキョトンとすると。
「……ふん、愚問だな。我に友など不要。必要なのは永久の闇だけだ」
「そ、そうか……」
容姿も性格も似てない兄妹だけど。
友達がいないなんていう変なところは似たのかなぁ、なんて思った。
***
次の日の放課後。
今日は星奈の襲撃もなく、比較的平和な生活を送れた。
相変わらず友達はいないけど。
理科室には理科と夜空も揃っている。
「では、今日も友達作りの道具作りますよ!!!」
何を作る? >>97
97:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/17(火) 01:17:04.46:PJvam4Zuo (2/2)
理科との子供
理科との子供
98:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/17(火) 01:18:10.01:RS4kjS2eo (1/2)
カラーボール
カラーボール
99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 01:18:22.39:v5aVqQpSO (1/1)
ほほう
ほほう
100: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 01:39:27.99:YFpFztNQo (5/27)
「……小鷹先輩」
「ん、何か思いついたのか?」
「子供、なんてどうですか?」
「「は??」」
俺と夜空がハモる。
「作るんですよ、理科と小鷹先輩の子供を!!!」
「この変態がァァ!!!」
バシッ!! と夜空が理科の頭をハエ叩きで叩く。
「で、でもほら、ママ友とかあるじゃないですか! そこの繋がりで友達を作ろうという作戦です!」
「友達がついでになっているだろそれは!!」
「……まぁ確かにママ友ってのはあるみたいだよな」
「こ、小鷹まで何を言っているんだ!!」
「あっ、いや、別に賛成してる訳じゃねえって!!」
俺は慌てて訂正するが、夜空はジト目で疑わしげに見てくる。
理科はニヤリと笑って、
「夜空先輩。子作りが卑猥な事と言いたいのですか?」
「そ、それは……」
「生命の神秘ですよ。元気な赤ちゃんを産んで、幸せそうに涙を浮かべる母親の前で、先輩は『子作りは卑猥だ』なんて言うんですか?」
「ぐっ……し、しかし私達はまだ高校生だ! そ、そういうのは、その、経済的な問題とかあるし、まだ……」
「ふふ、理科は普通の高校生ではありません。その気になれば今すぐにでも社会に出れます。そこは問題ないです」
「い、いや、でも……くっ、こ、小鷹! 貴様も何か言え!!」
なぜか泣きそうな顔になって俺に助けを求める夜空。
俺は溜息をついて、
「なぁ理科、確かにお前なら経済的には問題ないのかもしれない」
「そうです! つまり理科と先輩を阻むものなんて何も……!!」
「 俺 が 嫌 だ 」
「ぐあっ!!!」
勝負が決した。
***
結局今日はこれといった活動もせず、いつもより大分早めに解散になった。
俺は理科室を出て廊下を歩く。
(んー、なんか微妙な時間だな。図書室で勉強でもしてくか? いや、早めに料理の支度するってのも……)
どうする? >>101
「……小鷹先輩」
「ん、何か思いついたのか?」
「子供、なんてどうですか?」
「「は??」」
俺と夜空がハモる。
「作るんですよ、理科と小鷹先輩の子供を!!!」
「この変態がァァ!!!」
バシッ!! と夜空が理科の頭をハエ叩きで叩く。
「で、でもほら、ママ友とかあるじゃないですか! そこの繋がりで友達を作ろうという作戦です!」
「友達がついでになっているだろそれは!!」
「……まぁ確かにママ友ってのはあるみたいだよな」
「こ、小鷹まで何を言っているんだ!!」
「あっ、いや、別に賛成してる訳じゃねえって!!」
俺は慌てて訂正するが、夜空はジト目で疑わしげに見てくる。
理科はニヤリと笑って、
「夜空先輩。子作りが卑猥な事と言いたいのですか?」
「そ、それは……」
「生命の神秘ですよ。元気な赤ちゃんを産んで、幸せそうに涙を浮かべる母親の前で、先輩は『子作りは卑猥だ』なんて言うんですか?」
「ぐっ……し、しかし私達はまだ高校生だ! そ、そういうのは、その、経済的な問題とかあるし、まだ……」
「ふふ、理科は普通の高校生ではありません。その気になれば今すぐにでも社会に出れます。そこは問題ないです」
「い、いや、でも……くっ、こ、小鷹! 貴様も何か言え!!」
なぜか泣きそうな顔になって俺に助けを求める夜空。
俺は溜息をついて、
「なぁ理科、確かにお前なら経済的には問題ないのかもしれない」
「そうです! つまり理科と先輩を阻むものなんて何も……!!」
「 俺 が 嫌 だ 」
「ぐあっ!!!」
勝負が決した。
***
結局今日はこれといった活動もせず、いつもより大分早めに解散になった。
俺は理科室を出て廊下を歩く。
(んー、なんか微妙な時間だな。図書室で勉強でもしてくか? いや、早めに料理の支度するってのも……)
どうする? >>101
101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 01:40:58.91:IsI/x2bSO (2/8)
校庭に「私はここにいる」の意味を込めた巨大なマークを書いてみる
校庭に「私はここにいる」の意味を込めた巨大なマークを書いてみる
102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 01:44:21.26:RpLEMx4IO (2/3)
帰ってスーパーで買い物
途中で星奈に遭遇して今までのお詫びで夕食をご馳走する
帰ってスーパーで買い物
途中で星奈に遭遇して今までのお詫びで夕食をご馳走する
103: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 01:57:05.50:YFpFztNQo (6/27)
「いや、ここはやっぱ少しでも友達作りの方を頑張らないとな!」
そんなわけで、ネットで質問してみる。
すると。
「……このマークを校庭に書く? ってまたハルヒじゃねえか」
意味は「私はここにいる」。いや、俺の場合、そういう自己主張は十分な気がする。
それに、前にネットのアドバイス通りに自己紹介したら酷いことになったからな。
でもせっかく質問したんだ、これで何もしなかったら答えてくれた人に悪いだろう。
というわけで、靴に履き替えて校庭に出る……が。
見事に運動部が活動中だった。
「……ですよねー」
どうする? >>104
「いや、ここはやっぱ少しでも友達作りの方を頑張らないとな!」
そんなわけで、ネットで質問してみる。
すると。
「……このマークを校庭に書く? ってまたハルヒじゃねえか」
意味は「私はここにいる」。いや、俺の場合、そういう自己主張は十分な気がする。
それに、前にネットのアドバイス通りに自己紹介したら酷いことになったからな。
でもせっかく質問したんだ、これで何もしなかったら答えてくれた人に悪いだろう。
というわけで、靴に履き替えて校庭に出る……が。
見事に運動部が活動中だった。
「……ですよねー」
どうする? >>104
104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 01:58:11.29:IsI/x2bSO (3/8)
全員倒して強行
全員倒して強行
105: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 02:11:26.33:YFpFztNQo (7/27)
よし、こういう時は勝負してグラウンドを空けてもらえばいい。前に読んだ漫画にそういう展開があったはずだ。
もちろん、勝負といってもケンカではない。正々堂々、競技で勝負をする。
まずは陸上部からだ。
「……あ、あの」
やっぱり誰かに話しかけるのは緊張する。
「ひぃぃ!!」
「えっと、実はちょっと校庭を使わせてもらいたくて……」
「は、はい分かりましたああああああ!!」
「もし、100m走で俺が勝ったら…………ってアレ?」
気付けば、陸上部は一人残らずいなくなっていた。
「…………」
その後も同じような事を繰り返した結果。
見事に校庭には誰もいなくなった。
……なんか虚しい。
「え、えーと、とりあえずこのマーク書くか」
***
数時間後、マークは完成した。
上からちゃんと見ないと分からないが、結構なクオリティだと思う。
「…………で、何してんだ俺」
もう日も落ちて暗くなっている校庭で一人謎のマークを書く。
なんか凄く怖いことしてないか俺。
これは誰かに見られる前に帰ったほうがいいんじゃ……と思い始めた時。
誰かが校庭にやってきた。
誰? >>106
よし、こういう時は勝負してグラウンドを空けてもらえばいい。前に読んだ漫画にそういう展開があったはずだ。
もちろん、勝負といってもケンカではない。正々堂々、競技で勝負をする。
まずは陸上部からだ。
「……あ、あの」
やっぱり誰かに話しかけるのは緊張する。
「ひぃぃ!!」
「えっと、実はちょっと校庭を使わせてもらいたくて……」
「は、はい分かりましたああああああ!!」
「もし、100m走で俺が勝ったら…………ってアレ?」
気付けば、陸上部は一人残らずいなくなっていた。
「…………」
その後も同じような事を繰り返した結果。
見事に校庭には誰もいなくなった。
……なんか虚しい。
「え、えーと、とりあえずこのマーク書くか」
***
数時間後、マークは完成した。
上からちゃんと見ないと分からないが、結構なクオリティだと思う。
「…………で、何してんだ俺」
もう日も落ちて暗くなっている校庭で一人謎のマークを書く。
なんか凄く怖いことしてないか俺。
これは誰かに見られる前に帰ったほうがいいんじゃ……と思い始めた時。
誰かが校庭にやってきた。
誰? >>106
106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 02:13:07.83:RpLEMx4IO (3/3)
幸村
幸村
107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/17(火) 02:16:07.42:RS4kjS2eo (2/2)
>>106 ついにきたか…
>>106 ついにきたか…
108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/17(火) 02:29:25.96:jWYmoMzH0 (1/1)
>>106
wwktk
>>106
wwktk
109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/07/17(火) 07:52:47.64:PfoRrO+c0 (1/2)
後はシスターだけか…
生徒会長さんもからんで欲しいけれども
後はシスターだけか…
生徒会長さんもからんで欲しいけれども
110: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 15:06:19.77:YFpFztNQo (8/27)
美少女が居た。
夜空や星奈よりも、「可愛らしさ」に比重が置かれた印象だ。
だが……なぜだろう。
理科といい夜空といい星奈といい。
なぜ、ただ美少女である、で完結しないのだろうか。
なぜ、プラス要素で、おかしなものがくっついているのだろうか。
その少女は男子の制服を着ていた。
「…………」
俺は何も言えずにいた。
そして相手の少女……でいいのかどうか分からないが、とにかく彼女もただじっと俺の事を見ているだけだ。
何か話さないといけない。
「……えっと、だな。その、このマークは特に意味とかはなくて、その…………」
恥ずかしい。
こんな時、小鳩のように厨二病的に言えたらどんなに楽だろう。
少女は静かに口を開く。
その声はとても柔らかく、抑揚のない声だった。
「やはり、わたくしには理解できぬものなのですね」
いや、ラノベとか読めば簡単に理解できるものなんだけどな。
だが、それを言ってしまうといよいよ完全に痛い人なので黙っておく。
もう既に手遅れな気もするが。
風が吹く。
彼女の綺麗な髪が静かに揺れる。
それを手で抑える彼女の姿は、なんというか。
見惚れるものがあった。
「わたくしは小鷹せんぱいの事をずっと見てきました」
心臓が跳ね上がった。
ずっと、見てきた? それって、まさか……。
「せんぱい、わたくしを、せんぱいの……」
「ま、待て! その、いきなりすぎて良く分かんねえっていうか――」
「しゃていにしてください」
「だからそういう話はもっと落ち着いた時に落ち着いた場所で…………え??」
美少女が居た。
夜空や星奈よりも、「可愛らしさ」に比重が置かれた印象だ。
だが……なぜだろう。
理科といい夜空といい星奈といい。
なぜ、ただ美少女である、で完結しないのだろうか。
なぜ、プラス要素で、おかしなものがくっついているのだろうか。
その少女は男子の制服を着ていた。
「…………」
俺は何も言えずにいた。
そして相手の少女……でいいのかどうか分からないが、とにかく彼女もただじっと俺の事を見ているだけだ。
何か話さないといけない。
「……えっと、だな。その、このマークは特に意味とかはなくて、その…………」
恥ずかしい。
こんな時、小鳩のように厨二病的に言えたらどんなに楽だろう。
少女は静かに口を開く。
その声はとても柔らかく、抑揚のない声だった。
「やはり、わたくしには理解できぬものなのですね」
いや、ラノベとか読めば簡単に理解できるものなんだけどな。
だが、それを言ってしまうといよいよ完全に痛い人なので黙っておく。
もう既に手遅れな気もするが。
風が吹く。
彼女の綺麗な髪が静かに揺れる。
それを手で抑える彼女の姿は、なんというか。
見惚れるものがあった。
「わたくしは小鷹せんぱいの事をずっと見てきました」
心臓が跳ね上がった。
ずっと、見てきた? それって、まさか……。
「せんぱい、わたくしを、せんぱいの……」
「ま、待て! その、いきなりすぎて良く分かんねえっていうか――」
「しゃていにしてください」
「だからそういう話はもっと落ち着いた時に落ち着いた場所で…………え??」
111: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 15:07:50.45:YFpFztNQo (9/27)
この少女は今なんて言った?
しゃてい……射程、車?、斜汀…………舎弟?
「お、おい」
「今までの数々のぶゆうでん、そして今回のしょぎょう。
ご自分の目的のために運動部を全て追い払うという、わがみちをゆく孤高のおとこ」
「あの……」
「ご自分の欲求を満たすためならば、おなごも襲い、ゆうかいするそのおうぼうさ」
「それは誤解だ!!」
「わたくしはつよいおとこになりたいのです、あにき」
「兄貴じゃねええええええええええええ!!!!!」
日も落ちた真っ暗な校庭で、俺は何を言っているんだろう。
そしてこの少女はもっと何を言っているんだろう。
なんかもう……色々とカオスだ。
「よ、よし、じゃあ俺から質問だ」
「何でもお尋ねください、あにき」
もう兄貴のところは面倒なのでスルー。
「まず、何でお前は男子の制服を着てんだ?」
「……? 何かおかしいことでも?
あっ、そうですか。わたくしのような未熟ものには、まだこの制服は早いというわけですね。今すぐぬぎます」
「おいバカ脱ぐなあああああ!!!」
慌てて止めに入る俺。
本当にコイツは一体何なんだ。
「そうじゃなくて! 何で女子が男子の制服を着てんのかって事だよ!」
「……? わたくしはだんしですが?」
「いやウソだ」
「……そうですね、わたくしはまだ未熟者ゆえ、だんしとは呼べませんか」
「ちょ、待て待て!! え、マジなの!?」
「はい」
俺は口をあんぐり開ける。
確かに普通に考えて、女子があれだけ何の躊躇いもなく校庭のど真ん中で脱ごうとはしないだろう。
ラノベではたまに出てくるが……これが男の娘というものなのか。
この少女は今なんて言った?
しゃてい……射程、車?、斜汀…………舎弟?
「お、おい」
「今までの数々のぶゆうでん、そして今回のしょぎょう。
ご自分の目的のために運動部を全て追い払うという、わがみちをゆく孤高のおとこ」
「あの……」
「ご自分の欲求を満たすためならば、おなごも襲い、ゆうかいするそのおうぼうさ」
「それは誤解だ!!」
「わたくしはつよいおとこになりたいのです、あにき」
「兄貴じゃねええええええええええええ!!!!!」
日も落ちた真っ暗な校庭で、俺は何を言っているんだろう。
そしてこの少女はもっと何を言っているんだろう。
なんかもう……色々とカオスだ。
「よ、よし、じゃあ俺から質問だ」
「何でもお尋ねください、あにき」
もう兄貴のところは面倒なのでスルー。
「まず、何でお前は男子の制服を着てんだ?」
「……? 何かおかしいことでも?
あっ、そうですか。わたくしのような未熟ものには、まだこの制服は早いというわけですね。今すぐぬぎます」
「おいバカ脱ぐなあああああ!!!」
慌てて止めに入る俺。
本当にコイツは一体何なんだ。
「そうじゃなくて! 何で女子が男子の制服を着てんのかって事だよ!」
「……? わたくしはだんしですが?」
「いやウソだ」
「……そうですね、わたくしはまだ未熟者ゆえ、だんしとは呼べませんか」
「ちょ、待て待て!! え、マジなの!?」
「はい」
俺は口をあんぐり開ける。
確かに普通に考えて、女子があれだけ何の躊躇いもなく校庭のど真ん中で脱ごうとはしないだろう。
ラノベではたまに出てくるが……これが男の娘というものなのか。
112: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 15:09:16.80:YFpFztNQo (10/27)
「……わ、分かった。じゃあもう一個質問だ。何で俺なんだ?」
「わたくし、じつはいじめを受けているのです」
「いじめって……まじか」
「はい……わたくしが着替えているとまわりのだんしには仲間外れにされ」
「…………」
「ドッジボールの時はなぜかねらわれず」
「…………」
「トイレに入ると慌ててみな出ていってしまい……」
「待て、それはいじめじゃない」
俺はすぐに気付く。
それはどう考えても。
「たぶんそれは全部、みんなお前を女だと思ってるんだよ」
「……さようですか」
「あぁ。だから別に気にしなくても……」
俺はそこで少し考える。
気にしない、なんていうのは何の解決にもなっていない。
いじめではないにしても、この少年にとっては、それは辛いことなんだ。
「……確かに、ちょっと男っぽくした方がいいかもな。もうちょっと髪短くしてみたらどうだ?」
「真のおとこというものは、例えどのような格好をしていてもおとこにしか見えないという事を聞きました」
「それは……ど、どうだろうな」
「だから、あにき。わたくしに、真のおとこというものをおしえてください」
「……だ、だから俺はそんなんじゃ…………」
なんかもう面倒になってきた。
ここは適当に言って帰ってしまうのがいいのではないか。
「……分かったよ。お前の好きにしろよ」
「ありがとうございます、あにき」
少年は深々と頭を下げた。
それを見て、俺は溜息をついて家に帰ることにする。
その後を、少年がひょこひょことどこか嬉しそうについてきていた。
ちなみに校庭のマークを消し忘れたせいで、次の日から「羽瀬川小鷹がミステリーサークルを書いていた」という意味不明な噂が流れることになった。
「……わ、分かった。じゃあもう一個質問だ。何で俺なんだ?」
「わたくし、じつはいじめを受けているのです」
「いじめって……まじか」
「はい……わたくしが着替えているとまわりのだんしには仲間外れにされ」
「…………」
「ドッジボールの時はなぜかねらわれず」
「…………」
「トイレに入ると慌ててみな出ていってしまい……」
「待て、それはいじめじゃない」
俺はすぐに気付く。
それはどう考えても。
「たぶんそれは全部、みんなお前を女だと思ってるんだよ」
「……さようですか」
「あぁ。だから別に気にしなくても……」
俺はそこで少し考える。
気にしない、なんていうのは何の解決にもなっていない。
いじめではないにしても、この少年にとっては、それは辛いことなんだ。
「……確かに、ちょっと男っぽくした方がいいかもな。もうちょっと髪短くしてみたらどうだ?」
「真のおとこというものは、例えどのような格好をしていてもおとこにしか見えないという事を聞きました」
「それは……ど、どうだろうな」
「だから、あにき。わたくしに、真のおとこというものをおしえてください」
「……だ、だから俺はそんなんじゃ…………」
なんかもう面倒になってきた。
ここは適当に言って帰ってしまうのがいいのではないか。
「……分かったよ。お前の好きにしろよ」
「ありがとうございます、あにき」
少年は深々と頭を下げた。
それを見て、俺は溜息をついて家に帰ることにする。
その後を、少年がひょこひょことどこか嬉しそうについてきていた。
ちなみに校庭のマークを消し忘れたせいで、次の日から「羽瀬川小鷹がミステリーサークルを書いていた」という意味不明な噂が流れることになった。
113: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 15:11:35.87:YFpFztNQo (11/27)
***
次の日の昼休み。
俺がいつも通りに一人で昼食をとっていると、
「あにき、どうぞこれを」
そう言ってやって来たのは昨日の少女……じゃなくて少年。
その手には焼きそばパンにカレーパンにコーヒー牛乳。そしてヤンキー漫画。
「……え? な、なんだこれ?」
「あにきのおしょくじです」
「な、何でお前が持ってくんの?」
「しゃていがあにきのおしょくじを持ってくるのはとうぜんです」
「…………」
痛い。
周りの視線が凄く痛い。
なんかメッチャひそひそ言われてる。
内容なんて聞かなくてもだいたい分かる。
あと夜空、お前の視線が一番キツイからやめろ。
「ではあにき、失礼します」
少年はそんな事には少しも気付かない様子で、満足気に教室から出ていった。
***
放課後、理科室にて。
「あいつは何だ!?」
夜空の開口一番だ。
何が言いたいのかはよく分かる。
一方で事情を知らない理科は、いきなりの夜空の叫び声にかなり驚いていた。
俺は隠す必要もないと思ったので、正直に話した。
「ど、どどどどどどどっちが受けでどっちが攻めなんですか先輩!!! アッー!!!!!」
なんか大変なことになっている理科はスルー。
夜空は目を見開いており、
「お、男……だと? あ、あれが?」
「あぁ、制服だってそうだっただろ」
「た、確かにそうだったが……」
夜空がうろたえながらそう言うと、
コンコンと、ノックの音が聞こえてきた。
「ん」
夜空は立ち上がってドアのところまで歩いて行く。
もうこの役割は完全に夜空のものとなったようだ。
ドアを開けるとそこには、
「おつかれさまです、あにき」
例の少年が立っていた。
***
次の日の昼休み。
俺がいつも通りに一人で昼食をとっていると、
「あにき、どうぞこれを」
そう言ってやって来たのは昨日の少女……じゃなくて少年。
その手には焼きそばパンにカレーパンにコーヒー牛乳。そしてヤンキー漫画。
「……え? な、なんだこれ?」
「あにきのおしょくじです」
「な、何でお前が持ってくんの?」
「しゃていがあにきのおしょくじを持ってくるのはとうぜんです」
「…………」
痛い。
周りの視線が凄く痛い。
なんかメッチャひそひそ言われてる。
内容なんて聞かなくてもだいたい分かる。
あと夜空、お前の視線が一番キツイからやめろ。
「ではあにき、失礼します」
少年はそんな事には少しも気付かない様子で、満足気に教室から出ていった。
***
放課後、理科室にて。
「あいつは何だ!?」
夜空の開口一番だ。
何が言いたいのかはよく分かる。
一方で事情を知らない理科は、いきなりの夜空の叫び声にかなり驚いていた。
俺は隠す必要もないと思ったので、正直に話した。
「ど、どどどどどどどっちが受けでどっちが攻めなんですか先輩!!! アッー!!!!!」
なんか大変なことになっている理科はスルー。
夜空は目を見開いており、
「お、男……だと? あ、あれが?」
「あぁ、制服だってそうだっただろ」
「た、確かにそうだったが……」
夜空がうろたえながらそう言うと、
コンコンと、ノックの音が聞こえてきた。
「ん」
夜空は立ち上がってドアのところまで歩いて行く。
もうこの役割は完全に夜空のものとなったようだ。
ドアを開けるとそこには、
「おつかれさまです、あにき」
例の少年が立っていた。
114: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 15:12:58.16:YFpFztNQo (12/27)
***
1年1組、楠幸村。
それが少年に関する情報だった。
「幸村って……名前は普通に男っぽいんだな」
「はい、真田幸村のように勇ましいだんしになるようにと」
「せ、先輩! も、ももももっと近づいてもらえますか!?」
「は、はぁ?」
「ほらほら、幸村くんも!!」
何やら興奮した様子の理科は、幸村を促して俺の近くまで来させる。
「…………///」
「待て待て待て、何で頬を染めてんだお前は!!!」
夜空はそんな二人を見て、腕を組んで考え込みながら、
「……まぁ、男だし、うん…………」
良く分からないので、深くは聞かないでおく。
俺は、さりげなく幸村からちょっと離れて、
「……で、なんでここまで来たんだ?」
「わたくしはあにきのしゃていゆえ、いつもお近くで仕えるしょぞんであります」
「だ、大歓迎です!!!」
答えたのは理科だ。
その手には入部届。
「それではここに名前を!!!」
「はい」
「…………」
なんか凄く釈然としないが、止めるのも可哀想だし理由がない。
ちなみに幸村の字は相当綺麗なものだった。
楠幸村が理科部に入った。部員4名。
「そ・れ・で・は!!! さっそく今日も活動始めますよー!!!」
やたらハイテンションな理科が宣言する。
何を作る? >>115
***
1年1組、楠幸村。
それが少年に関する情報だった。
「幸村って……名前は普通に男っぽいんだな」
「はい、真田幸村のように勇ましいだんしになるようにと」
「せ、先輩! も、ももももっと近づいてもらえますか!?」
「は、はぁ?」
「ほらほら、幸村くんも!!」
何やら興奮した様子の理科は、幸村を促して俺の近くまで来させる。
「…………///」
「待て待て待て、何で頬を染めてんだお前は!!!」
夜空はそんな二人を見て、腕を組んで考え込みながら、
「……まぁ、男だし、うん…………」
良く分からないので、深くは聞かないでおく。
俺は、さりげなく幸村からちょっと離れて、
「……で、なんでここまで来たんだ?」
「わたくしはあにきのしゃていゆえ、いつもお近くで仕えるしょぞんであります」
「だ、大歓迎です!!!」
答えたのは理科だ。
その手には入部届。
「それではここに名前を!!!」
「はい」
「…………」
なんか凄く釈然としないが、止めるのも可哀想だし理由がない。
ちなみに幸村の字は相当綺麗なものだった。
楠幸村が理科部に入った。部員4名。
「そ・れ・で・は!!! さっそく今日も活動始めますよー!!!」
やたらハイテンションな理科が宣言する。
何を作る? >>115
115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 15:13:55.47:IsI/x2bSO (4/8)
筋肉養成ギプス
筋肉養成ギプス
116: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 16:18:51.00:YFpFztNQo (13/27)
「筋肉養成ギブスを作りましょう!!!」
「……それは友達作りに役立つのか?」
夜空はジト目で尋ねる。
「理科が付けるつもりはありませんよ。ムキムキになんかなりたくありませんし。
これは全て幸村くんのためです!!」
「なるほどな、それで男らしさを磨くってことか」
「はい!! 夜空先輩も、新入部員への歓迎ってことでいいですよね?」
「……まぁいいだろう」
「っしゃあ!!」
理科はグッと拳を握ると、鼻息あらく幸村の方を見る。
話が読めない幸村は、キョトンと首を傾げる。
「幸村くん、筋肉をつけましょう!!」
「きんにく……ですか?」
「はい!! 真の男に筋肉は必要不可欠です!!」
「それでは、あにきもムキムキなのですか」
「お、俺!?」
いや、まぁそれなりにはあると思うけどさ。
今までも何度も不良に絡まれたし、ある程度は鍛えてる。
「もちろん、小鷹先輩もムキムキですよね!! ほら、証拠を見せてあげましょう!!」
「お、おい脱がすなこら!!」
「ぐふふ……良いではないか良いではないか!!」
「わ、分かったから!! 自分で脱ぐよ!!!」
そう言うと俺は渋々とシャツを脱ぐ。
ムキムキとはいかないが、まぁ貧弱というわけではないはずだ。
幸村はぽーっと頬を染めて見てくる。
理科はよだれを垂らして「ぐへへ」と笑いながら見てくる。
夜空は耳まで赤くしてそっぽを向いているが、時々チラチラと見てくる。
……男でも結構恥ずかしいんだな。
「あにき」
幸村がポツリと言う。
「どうした?」
「わたくし、このような体になりたいです」
「そ、そうか……」
体を褒められるのは悪い気はせず、俺は少し照れて頭をかく。
理科はそんな俺らを鼻息荒く見て、
「では理科、すぐに作ってきますうううううう!!!」
そう言って、奥の部屋へ消えた。
奥は理科準備室になっており、実際の所そこが開発室になっている。
一度入ったことがあるが、パソコンが3台あったりモニターが10個以上あったり、怪しげな薬品の入ったビーカーが並んでいたりと凄かった。
「筋肉養成ギブスを作りましょう!!!」
「……それは友達作りに役立つのか?」
夜空はジト目で尋ねる。
「理科が付けるつもりはありませんよ。ムキムキになんかなりたくありませんし。
これは全て幸村くんのためです!!」
「なるほどな、それで男らしさを磨くってことか」
「はい!! 夜空先輩も、新入部員への歓迎ってことでいいですよね?」
「……まぁいいだろう」
「っしゃあ!!」
理科はグッと拳を握ると、鼻息あらく幸村の方を見る。
話が読めない幸村は、キョトンと首を傾げる。
「幸村くん、筋肉をつけましょう!!」
「きんにく……ですか?」
「はい!! 真の男に筋肉は必要不可欠です!!」
「それでは、あにきもムキムキなのですか」
「お、俺!?」
いや、まぁそれなりにはあると思うけどさ。
今までも何度も不良に絡まれたし、ある程度は鍛えてる。
「もちろん、小鷹先輩もムキムキですよね!! ほら、証拠を見せてあげましょう!!」
「お、おい脱がすなこら!!」
「ぐふふ……良いではないか良いではないか!!」
「わ、分かったから!! 自分で脱ぐよ!!!」
そう言うと俺は渋々とシャツを脱ぐ。
ムキムキとはいかないが、まぁ貧弱というわけではないはずだ。
幸村はぽーっと頬を染めて見てくる。
理科はよだれを垂らして「ぐへへ」と笑いながら見てくる。
夜空は耳まで赤くしてそっぽを向いているが、時々チラチラと見てくる。
……男でも結構恥ずかしいんだな。
「あにき」
幸村がポツリと言う。
「どうした?」
「わたくし、このような体になりたいです」
「そ、そうか……」
体を褒められるのは悪い気はせず、俺は少し照れて頭をかく。
理科はそんな俺らを鼻息荒く見て、
「では理科、すぐに作ってきますうううううう!!!」
そう言って、奥の部屋へ消えた。
奥は理科準備室になっており、実際の所そこが開発室になっている。
一度入ったことがあるが、パソコンが3台あったりモニターが10個以上あったり、怪しげな薬品の入ったビーカーが並んでいたりと凄かった。
117: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 16:20:31.24:YFpFztNQo (14/27)
理科がいない間は何もできないので、俺と夜空はいつも通りそれぞれ本を読んで時間を潰す。
幸村は、そんな俺をただガン見していた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「な、なぁ幸村」
「なんでしょうか、あにき」
「そんなにガン見されると読みづらいんだが……」
「それは失礼しました」
そう言って素直に目を逸らす幸村。
ただ、何もやることがないらしく、ぼーっと何もない空間を見つめているだけだった。
***
「完成です!!!」
そう言って理科が持ってきたのは、一見何の変哲もないギブス。
しかし効果の程は凄まじいらしく、一ヶ月ほどで簡単にマッチョになれるらしい。
「これで、わたくしも真のおとこに近づけるのですか?」
「真の男ってのは良く分かんねえけど、女に見られるのはマシになるかもな」
俺がそう言うと、夜空も頷く。
幸村は嬉しそうに柔らかく微笑んだ。
……ヤバイ可愛い。
だが男だ。
理科がいない間は何もできないので、俺と夜空はいつも通りそれぞれ本を読んで時間を潰す。
幸村は、そんな俺をただガン見していた。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「な、なぁ幸村」
「なんでしょうか、あにき」
「そんなにガン見されると読みづらいんだが……」
「それは失礼しました」
そう言って素直に目を逸らす幸村。
ただ、何もやることがないらしく、ぼーっと何もない空間を見つめているだけだった。
***
「完成です!!!」
そう言って理科が持ってきたのは、一見何の変哲もないギブス。
しかし効果の程は凄まじいらしく、一ヶ月ほどで簡単にマッチョになれるらしい。
「これで、わたくしも真のおとこに近づけるのですか?」
「真の男ってのは良く分かんねえけど、女に見られるのはマシになるかもな」
俺がそう言うと、夜空も頷く。
幸村は嬉しそうに柔らかく微笑んだ。
……ヤバイ可愛い。
だが男だ。
118: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 16:21:27.44:YFpFztNQo (15/27)
「では小鷹先輩、幸村くんにこれを付けるのを手伝ってもらえますか?」
「ん、これ一人じゃ付けらんねえのか。まぁいいけど」
「ちなみに、“全裸”の上から付けないと効果がありません」
「ぶっ!!!」
俺は思わず吹き出す。
「じょ、冗談だよな?」
「いえ、大真面目です。ぐへ」
「お前わざとそういう風に作っただろ!?」
「そんな人聞きの悪い。…………ぐへへ」
あぁ、ダメだ。
こいつは腐っている。
夜空は夜空で、顔を赤くしながらも「幸村は男だ男。男男男男男男……」などと呪文のように唱えてるし。
そして幸村はというと、
「わたくし、あにきにならどんな事をされてもかまいません」
「いっ!?」
男だ。
幸村は男なんだ!!
頬を染めてウルウルとした目で上目遣いをしていても、コイツは男なんだ!!!
俺は両手で頭を抑えてうずくまる。
「さぁ、小鷹先輩!! 男同士なら何の問題もないでしょう!? さあさあさあ!!!」
理科がそんな追い打ちをかけてきた。
よだれを垂れ流しながら。
どうする? >>119
「では小鷹先輩、幸村くんにこれを付けるのを手伝ってもらえますか?」
「ん、これ一人じゃ付けらんねえのか。まぁいいけど」
「ちなみに、“全裸”の上から付けないと効果がありません」
「ぶっ!!!」
俺は思わず吹き出す。
「じょ、冗談だよな?」
「いえ、大真面目です。ぐへ」
「お前わざとそういう風に作っただろ!?」
「そんな人聞きの悪い。…………ぐへへ」
あぁ、ダメだ。
こいつは腐っている。
夜空は夜空で、顔を赤くしながらも「幸村は男だ男。男男男男男男……」などと呪文のように唱えてるし。
そして幸村はというと、
「わたくし、あにきにならどんな事をされてもかまいません」
「いっ!?」
男だ。
幸村は男なんだ!!
頬を染めてウルウルとした目で上目遣いをしていても、コイツは男なんだ!!!
俺は両手で頭を抑えてうずくまる。
「さぁ、小鷹先輩!! 男同士なら何の問題もないでしょう!? さあさあさあ!!!」
理科がそんな追い打ちをかけてきた。
よだれを垂れ流しながら。
どうする? >>119
119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/17(火) 16:23:10.23:ySWpnvLZo (1/1)
冷静さを保つためにまずは小鷹が全裸になる
冷静さを保つためにまずは小鷹が全裸になる
120: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 16:52:56.84:YFpFztNQo (16/27)
「先輩、悩んでいるのなら理科に一つ提案があります」
「な、なんだ?」
「自分も全裸になってしまえばいいんですよ」
「はぁ!?」
あまりに意味不明な言葉に、俺は思わず叫ぶ。
しかし、理科はあくまで淡々と語る。
「自分だけ服を着ているから恥ずかしいんです。お互い全裸になれば銭湯と同じような感じで平気になったりしますよ」
「……い、いや、でも、それは…………」
そうかもしれない、と思ってしまう自分がなんか嫌だ。
「ちょ、ちょっと待て小鷹! 貴様は、その、そういう趣味はないよな!?」
「ねえよ!!」
「そ、それなら良いのだが……」
なぜか夜空が焦ってそんな事を聞いてきた。
誓って言うが、俺にそういう趣味はない。
「まぁとにかく、こっちの部屋で着替え始めちゃってくださいよ!!」
そう言って理科は奥の準備室の方に俺と幸村を押していく。
俺はされるがままに、部屋に入った。
***
準備室の鍵を閉める。
なんか扉の向こうで夜空の怒鳴り声が聞こえるような気がするが、関わらないことにする。
幸村は早くもシャツを脱ぎ始めていた。
「ちょ、ちょっと待て幸村!!」
「はい?」
幸村はキョトンと首を傾げてこちらを見る。
「お、俺がまず脱ぐ!!」
「……わかりました、あにき」
とりあえず理科の言葉を信じてやることにした。
俺はさっさと服を全部脱ぐ……が。
なんか凄く恥ずかしい。
幸村は男なのに。
しかも、余計に妙な雰囲気になった気がする。
ただギブスをつけてやるだけなのに。
「先輩、悩んでいるのなら理科に一つ提案があります」
「な、なんだ?」
「自分も全裸になってしまえばいいんですよ」
「はぁ!?」
あまりに意味不明な言葉に、俺は思わず叫ぶ。
しかし、理科はあくまで淡々と語る。
「自分だけ服を着ているから恥ずかしいんです。お互い全裸になれば銭湯と同じような感じで平気になったりしますよ」
「……い、いや、でも、それは…………」
そうかもしれない、と思ってしまう自分がなんか嫌だ。
「ちょ、ちょっと待て小鷹! 貴様は、その、そういう趣味はないよな!?」
「ねえよ!!」
「そ、それなら良いのだが……」
なぜか夜空が焦ってそんな事を聞いてきた。
誓って言うが、俺にそういう趣味はない。
「まぁとにかく、こっちの部屋で着替え始めちゃってくださいよ!!」
そう言って理科は奥の準備室の方に俺と幸村を押していく。
俺はされるがままに、部屋に入った。
***
準備室の鍵を閉める。
なんか扉の向こうで夜空の怒鳴り声が聞こえるような気がするが、関わらないことにする。
幸村は早くもシャツを脱ぎ始めていた。
「ちょ、ちょっと待て幸村!!」
「はい?」
幸村はキョトンと首を傾げてこちらを見る。
「お、俺がまず脱ぐ!!」
「……わかりました、あにき」
とりあえず理科の言葉を信じてやることにした。
俺はさっさと服を全部脱ぐ……が。
なんか凄く恥ずかしい。
幸村は男なのに。
しかも、余計に妙な雰囲気になった気がする。
ただギブスをつけてやるだけなのに。
121: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 16:53:51.09:YFpFztNQo (17/27)
「では、わたくしも」
幸村が再び脱ぎ始める。
とても男のものとは思えない、柔らかそうで白い肌が露出していく。
俺は、ゴクリと生唾を飲み。
結局、耐え切れずに後ろを向いた。
無理だ。
これは着替えの時に避けられるのも仕方ない。
こんなの男にとっては気まずくて仕方がない。
シュル……と。
布が床に落ちる音が妙に生々しい。
「……ぜんぶぬぎました、あにき。このぎぶすというものを付けるのを手伝ってはもらえませんか?」
「…………ッ!!」
俺は全身をビクッ!! と震わせる。
今、後ろには。
全裸の幸村がいる。
どうする? >>122
「では、わたくしも」
幸村が再び脱ぎ始める。
とても男のものとは思えない、柔らかそうで白い肌が露出していく。
俺は、ゴクリと生唾を飲み。
結局、耐え切れずに後ろを向いた。
無理だ。
これは着替えの時に避けられるのも仕方ない。
こんなの男にとっては気まずくて仕方がない。
シュル……と。
布が床に落ちる音が妙に生々しい。
「……ぜんぶぬぎました、あにき。このぎぶすというものを付けるのを手伝ってはもらえませんか?」
「…………ッ!!」
俺は全身をビクッ!! と震わせる。
今、後ろには。
全裸の幸村がいる。
どうする? >>122
122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 17:02:02.20:IsI/x2bSO (5/8)
威風堂々とやる
威風堂々とやる
123: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 17:35:22.73:YFpFztNQo (18/27)
……何を躊躇っているんだ。幸村は男だ。
どんなに可愛らしい姿をしていても、幸村は男なんだ。
見た目だけで判断されるのがどんなに辛いことか、俺はよく知っているはずなのに。
自分は見た目で判断してほしくないと言っておきながら、他の人にはそれを当てはめないのか。
そんなのはただ都合が良い奴でしかない。
「……分かった幸村。俺に任せろ」
「はい、あにき」
俺はゆっくりと振り返る。
俺はノーマルだ。
男の裸に変な気持ちになることなんてない。
こんな事、全く問題にならない。
「……って、何で胸隠してんだよ!!」
「わたくし、あにきと違って胸板が薄いゆえ……はずかしいです」
「あー」
……なるほど。
確かにあまりにも痩せすぎている男子なんかは、プールで上半身裸になるのを嫌ったりする。
俺はあまり深く追求せずに、ギブスを手に取る。
「じゃ、こいつを付ければいいんだな。えっと、説明書は……」
「あにき、こちらに」
「おっ、これか。えーと………………ん?」
俺はある違和感を覚える。
それはギブスの説明書を読んで、というわけではない。
説明書を手渡すために近づいてきた幸村。
その姿に、どこか、違和感を…………あ、れ…………?
「あにき?」
幸村がキョトンと首を傾げる。
何か、変だ。
おかしなものが…………違和感が…………ある。
いや、“ない”。
“ない”のが、おかしい。
男を証明するもの。
男の象徴。
男なら、あるもの。
あるから、男である、もの。
それが、ない。
つ い て な い。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!」
男の娘なんていうのはファンタジーの産物だ。
普通に、落ち着いて、現実的に考えれば分かる事だ。
どう見ても美少女にしか見えない子は。
やっぱりどう考えても美少女なんだ。
……何を躊躇っているんだ。幸村は男だ。
どんなに可愛らしい姿をしていても、幸村は男なんだ。
見た目だけで判断されるのがどんなに辛いことか、俺はよく知っているはずなのに。
自分は見た目で判断してほしくないと言っておきながら、他の人にはそれを当てはめないのか。
そんなのはただ都合が良い奴でしかない。
「……分かった幸村。俺に任せろ」
「はい、あにき」
俺はゆっくりと振り返る。
俺はノーマルだ。
男の裸に変な気持ちになることなんてない。
こんな事、全く問題にならない。
「……って、何で胸隠してんだよ!!」
「わたくし、あにきと違って胸板が薄いゆえ……はずかしいです」
「あー」
……なるほど。
確かにあまりにも痩せすぎている男子なんかは、プールで上半身裸になるのを嫌ったりする。
俺はあまり深く追求せずに、ギブスを手に取る。
「じゃ、こいつを付ければいいんだな。えっと、説明書は……」
「あにき、こちらに」
「おっ、これか。えーと………………ん?」
俺はある違和感を覚える。
それはギブスの説明書を読んで、というわけではない。
説明書を手渡すために近づいてきた幸村。
その姿に、どこか、違和感を…………あ、れ…………?
「あにき?」
幸村がキョトンと首を傾げる。
何か、変だ。
おかしなものが…………違和感が…………ある。
いや、“ない”。
“ない”のが、おかしい。
男を証明するもの。
男の象徴。
男なら、あるもの。
あるから、男である、もの。
それが、ない。
つ い て な い。
「うわあああああああああああああああああ!!!!!」
男の娘なんていうのはファンタジーの産物だ。
普通に、落ち着いて、現実的に考えれば分かる事だ。
どう見ても美少女にしか見えない子は。
やっぱりどう考えても美少女なんだ。
124: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 19:06:50.36:YFpFztNQo (19/27)
その後、俺の叫び声に驚いて飛び込んできた理科と夜空。
そこにいたのは全裸の俺と幸村。
理科はトリップするわ、夜空はなんか真っ赤になって理科室を飛び出すわ散々だった。
それからやっと落ち着いて、俺はちゃんと服を着て理科室にいた。夜空も戻ってきている。
理科は幸村に色々と説明するために、準備室に“彼女”と一緒に閉じこもってしまった。
どうやら幸村のやつ、自分で自分のことを女だと分かっていないらしい。
「……こ、ここ小鷹」
「ん?」
夜空が話しかけてくる。
その顔はまだ赤い。
「か、確認しておくが、こ、小鷹は幸村に何もしていないんだな……?」
「し、してねえよ!!」
まぁ考えてみれば、全裸の男女が同じ部屋に居るというのは、やはりそういうのを想像してしまうだろう。
夜空は少しだけ安心した様子になるが、
「……だが、見たことは見たのだろう」
「見たって……あー、いや、そ、それは…………」
そりゃ見なければ確認できないし……。
「…………」
「けどそれは、し、仕方ねえだろ! みんなアイツが男だと思ってたんだし……」
「まぁ、それは、そうだが……」
それでもどこか納得いかない様子の夜空。
その時、奥の準備室の扉が開いた。
「……あにき、わたくし、だんしではないようです」
そんな事を絶望的な表情で言う幸村。
完全に女だと認識してしまうと、男子の制服の違和感が更に増した気がする。
理科は珍しく少し疲れた様子だ。
「あぁ……まぁ…………そうだろうな」
「わたくし……立派な日本男児になれないのでしょうか……」
「まず男子じゃないからな」
夜空の言葉に、幸村は目に涙を浮かべる。
それを見て、夜空は「うっ」と気まずそうな声を上げると、髪をいじりながら目を逸らす。
「あ、あにき……わたくしは…………」
「え、えっと……」
どうやら相当ショックだったようだ。
これは何か言ってやらないと……。
「>>125」
その後、俺の叫び声に驚いて飛び込んできた理科と夜空。
そこにいたのは全裸の俺と幸村。
理科はトリップするわ、夜空はなんか真っ赤になって理科室を飛び出すわ散々だった。
それからやっと落ち着いて、俺はちゃんと服を着て理科室にいた。夜空も戻ってきている。
理科は幸村に色々と説明するために、準備室に“彼女”と一緒に閉じこもってしまった。
どうやら幸村のやつ、自分で自分のことを女だと分かっていないらしい。
「……こ、ここ小鷹」
「ん?」
夜空が話しかけてくる。
その顔はまだ赤い。
「か、確認しておくが、こ、小鷹は幸村に何もしていないんだな……?」
「し、してねえよ!!」
まぁ考えてみれば、全裸の男女が同じ部屋に居るというのは、やはりそういうのを想像してしまうだろう。
夜空は少しだけ安心した様子になるが、
「……だが、見たことは見たのだろう」
「見たって……あー、いや、そ、それは…………」
そりゃ見なければ確認できないし……。
「…………」
「けどそれは、し、仕方ねえだろ! みんなアイツが男だと思ってたんだし……」
「まぁ、それは、そうだが……」
それでもどこか納得いかない様子の夜空。
その時、奥の準備室の扉が開いた。
「……あにき、わたくし、だんしではないようです」
そんな事を絶望的な表情で言う幸村。
完全に女だと認識してしまうと、男子の制服の違和感が更に増した気がする。
理科は珍しく少し疲れた様子だ。
「あぁ……まぁ…………そうだろうな」
「わたくし……立派な日本男児になれないのでしょうか……」
「まず男子じゃないからな」
夜空の言葉に、幸村は目に涙を浮かべる。
それを見て、夜空は「うっ」と気まずそうな声を上げると、髪をいじりながら目を逸らす。
「あ、あにき……わたくしは…………」
「え、えっと……」
どうやら相当ショックだったようだ。
これは何か言ってやらないと……。
「>>125」
125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 19:08:13.01:IsI/x2bSO (6/8)
ないならティンコつければいいじゃない
ないならティンコつければいいじゃない
126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/17(火) 19:14:48.76:i/aETmT6o (1/1)
女ってバレるの早かったなw
女ってバレるの早かったなw
127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 19:30:42.12:IjmPU+reo (1/1)
安価独占ワロタ
安価独占ワロタ
128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 19:38:33.35:IsI/x2bSO (7/8)
スマン
スマン
129: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 20:01:32.55:YFpFztNQo (20/27)
「大丈夫だ、幸村。男にはなれる」
俺のその言葉に、幸村は少し驚いた表情でこちらを見る。
それは理科も夜空も同じだった。
「世の中には性転換手術ってのがある。それならきっと男になれるはずだ」
「わたくしも……おとこに……?」
「あぁ。その方法は確かに存在するんだ。それなら、諦めるわけにはいかないだろ?
お前の真の男になりたいって気持ちは、簡単に諦められるようなものじゃないはずだ」
「はい……!」
「まぁ金がかかるから学生の内は無理かもしんねえけど……それまでは内面の男らしさを磨けばいいじゃねえか。
俺が教えてやる。お前はいつも俺について、俺のことを見てろ!」
「あにき……わたくし……とても、嬉しいです。わたくしは、だんしではありませんのに……」
「んなの関係ねえよ! お前は俺の舎弟だ」
こうすれば、彼女はこれからも希望を持って生きていける。
そして、いつか本物の男になる。
幸村なら、きっとできるはずだ。
それにしても、幸村のこのウルウルとした上目遣いは何ていうか……破壊力がヤバイ。
***
次の日の放課後。
理科室には俺、理科、夜空、幸村の部員全員が揃っていた。
ちなみに幸村は女だと発覚しても、制服は男子用のままだ。
まぁいずれ男になろうと思っているのだから、これでいいのだろう。
理科はいつものようにホワイトボードの前まで歩いて行く。
その表情はなぜか深刻そうだ。
「……みなさん、7月ですね」
「ん、あー、そうだな」
「この部ができてそろそろ一ヶ月ですが、誰か友達作りで進展は?」
そんな事をどんよりとした目で言う理科。
「……俺は評判が悪化したように思えるんだが」
「わたくしに友などふようです。ただ、あにきのしゃていとして仕えるのみ……」
「わ、私は……」
夜空が何か言いにくそうに口ごもる。
そういえば。
「夜空は最近はクラスの人に話しかけられることもあるじゃねえか。やっぱあの防犯ブザーが効いたんじゃねえか」
「えっ、ま、マジですか!? くっ……は、発明したのは理科だというのに……!!」
「そ、そうでもない。いつも通りだ」
少し照れながら顔を背ける夜空。
こういう部員の進展は嬉しくもあり……なんか自分が惨めにもなり。
「なるほど。あにきが戦場をかけぬける孤高の武士ならば、夜空のあねごは人望あつい参謀どのでしたか」
「まぁ小鷹先輩は孤高っていうよりただ単に友達居ないだけなんですけどね」
「ハッキリ言うなよ!!」
泣きたくなってくる。
「さて、じゃあこれまでの遅れを取り戻すためにも、ここでガツンと一発強力な道具作っちゃいましょう!!」
何を作る? >>130
「大丈夫だ、幸村。男にはなれる」
俺のその言葉に、幸村は少し驚いた表情でこちらを見る。
それは理科も夜空も同じだった。
「世の中には性転換手術ってのがある。それならきっと男になれるはずだ」
「わたくしも……おとこに……?」
「あぁ。その方法は確かに存在するんだ。それなら、諦めるわけにはいかないだろ?
お前の真の男になりたいって気持ちは、簡単に諦められるようなものじゃないはずだ」
「はい……!」
「まぁ金がかかるから学生の内は無理かもしんねえけど……それまでは内面の男らしさを磨けばいいじゃねえか。
俺が教えてやる。お前はいつも俺について、俺のことを見てろ!」
「あにき……わたくし……とても、嬉しいです。わたくしは、だんしではありませんのに……」
「んなの関係ねえよ! お前は俺の舎弟だ」
こうすれば、彼女はこれからも希望を持って生きていける。
そして、いつか本物の男になる。
幸村なら、きっとできるはずだ。
それにしても、幸村のこのウルウルとした上目遣いは何ていうか……破壊力がヤバイ。
***
次の日の放課後。
理科室には俺、理科、夜空、幸村の部員全員が揃っていた。
ちなみに幸村は女だと発覚しても、制服は男子用のままだ。
まぁいずれ男になろうと思っているのだから、これでいいのだろう。
理科はいつものようにホワイトボードの前まで歩いて行く。
その表情はなぜか深刻そうだ。
「……みなさん、7月ですね」
「ん、あー、そうだな」
「この部ができてそろそろ一ヶ月ですが、誰か友達作りで進展は?」
そんな事をどんよりとした目で言う理科。
「……俺は評判が悪化したように思えるんだが」
「わたくしに友などふようです。ただ、あにきのしゃていとして仕えるのみ……」
「わ、私は……」
夜空が何か言いにくそうに口ごもる。
そういえば。
「夜空は最近はクラスの人に話しかけられることもあるじゃねえか。やっぱあの防犯ブザーが効いたんじゃねえか」
「えっ、ま、マジですか!? くっ……は、発明したのは理科だというのに……!!」
「そ、そうでもない。いつも通りだ」
少し照れながら顔を背ける夜空。
こういう部員の進展は嬉しくもあり……なんか自分が惨めにもなり。
「なるほど。あにきが戦場をかけぬける孤高の武士ならば、夜空のあねごは人望あつい参謀どのでしたか」
「まぁ小鷹先輩は孤高っていうよりただ単に友達居ないだけなんですけどね」
「ハッキリ言うなよ!!」
泣きたくなってくる。
「さて、じゃあこれまでの遅れを取り戻すためにも、ここでガツンと一発強力な道具作っちゃいましょう!!」
何を作る? >>130
130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 20:03:10.22:zOARswTj0 (1/1)
ドラえもん
ドラえもん
131: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:08:26.29:YFpFztNQo (21/27)
「ドラえもんはどうだ」
「ど、ドラえもんって……確かに色んな意味で強力だけどさ…………」
「あんなバカでアホでノロマなのび太に友達がいるのは、あのチートロボットのお陰だろう。
あれを利用できれば、私達にだってすぐ友達ができるはずだ」
「い、いや、そうか?」
ぶっちゃけ言動はのび太くんより残念だと思うぞ、お前……。
「それに、あれだけ都合がいいロボットの使い道はいくらでもある……ふふ」
「夜空先輩、ちょっといいですか?」
「なんだ」
ノリノリな夜空に、理科は口を挟む。
「あんなもん作れるわけないじゃないですか」
ですよねー。
「なっ、き、貴様それでも天才発明家か!?」
「いや、無理なものは無理です」
「う、うぐぐ……」
「夜空のあねご、この世には時代のながれというものがあります。いそがずあせらずです」
どうやら夜空のやつ、割とマジで言っていたらしい。
まぁ冷静に考えれば、あんなのを作れる技術があるならこの20世紀はもっと違うものになっているだろう。
「……あっ、でも猫型ロボットなら何とかなるかもしれません」
「ね、ネコ!?」
即座に食いついたのは夜空だ。
その予想以上の反応に、理科は戸惑いつつも、
「は、はい。元々愛玩用ロボットっていうのは研究されていまして。
ほら、子供が独り立ちしたお年寄りの方のためにとか」
「よ、よし、それでいい! それを作ってくれ!」
「でもそれって友達作りに役立つか?」
「な、何を言っている小鷹! 動物は人の心を解きほぐす。友達作りにぴったりではないか!」
「忠犬ハチ公は、いぬながらそんけいにあたいします」
「い、いや幸村。ネコなネコ。ていうか夜空……」
「なんだ!」
「……ネコ好きなんだろ」
「うっ!!」
俺の言葉にギクリと固まる夜空。
その後少しの間視線を彷徨わせて、何かしらの言い訳を考えていたようだったが、
「わ、悪いか!!/// ネコが嫌いな人間などこの世にいない!!!」
開き直った。
ていうか猫嫌いは普通にいると思うが……。
「ドラえもんはどうだ」
「ど、ドラえもんって……確かに色んな意味で強力だけどさ…………」
「あんなバカでアホでノロマなのび太に友達がいるのは、あのチートロボットのお陰だろう。
あれを利用できれば、私達にだってすぐ友達ができるはずだ」
「い、いや、そうか?」
ぶっちゃけ言動はのび太くんより残念だと思うぞ、お前……。
「それに、あれだけ都合がいいロボットの使い道はいくらでもある……ふふ」
「夜空先輩、ちょっといいですか?」
「なんだ」
ノリノリな夜空に、理科は口を挟む。
「あんなもん作れるわけないじゃないですか」
ですよねー。
「なっ、き、貴様それでも天才発明家か!?」
「いや、無理なものは無理です」
「う、うぐぐ……」
「夜空のあねご、この世には時代のながれというものがあります。いそがずあせらずです」
どうやら夜空のやつ、割とマジで言っていたらしい。
まぁ冷静に考えれば、あんなのを作れる技術があるならこの20世紀はもっと違うものになっているだろう。
「……あっ、でも猫型ロボットなら何とかなるかもしれません」
「ね、ネコ!?」
即座に食いついたのは夜空だ。
その予想以上の反応に、理科は戸惑いつつも、
「は、はい。元々愛玩用ロボットっていうのは研究されていまして。
ほら、子供が独り立ちしたお年寄りの方のためにとか」
「よ、よし、それでいい! それを作ってくれ!」
「でもそれって友達作りに役立つか?」
「な、何を言っている小鷹! 動物は人の心を解きほぐす。友達作りにぴったりではないか!」
「忠犬ハチ公は、いぬながらそんけいにあたいします」
「い、いや幸村。ネコなネコ。ていうか夜空……」
「なんだ!」
「……ネコ好きなんだろ」
「うっ!!」
俺の言葉にギクリと固まる夜空。
その後少しの間視線を彷徨わせて、何かしらの言い訳を考えていたようだったが、
「わ、悪いか!!/// ネコが嫌いな人間などこの世にいない!!!」
開き直った。
ていうか猫嫌いは普通にいると思うが……。
132: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:10:50.12:YFpFztNQo (22/27)
「まぁいいじゃないですか、小鷹先輩。理科もネコ好きですし、作りましょうよ」
「ん、まぁ別にいいけどさ」
「そ、それなら何で私にあれ程突っかかってきたんだ!///」
「いや、なんかこういう夜空珍しくてさ。つい」
「う、うぅ……///」
こうして見ると、夜空も案外女の子らしいところもあるんだな。
俺は少し微笑ましく思う。
「……なぜでしょう、あにきと夜空のあねごをみていると胸がチクチクします」
幸村はぼんやりとそんな事を呟いていた。
***
次の日の朝。
教室では俺はいつも通り、最初の授業で使う教科書とノートを準備して本を読んでいた。
すると。
『ニャー!』
鳴き声と同時にネコが教室に入ってきた。
当然、クラスは大騒ぎ。
女子なんかはキャーキャー言いながら、そのネコの周りに集まっていく。
これは昨日理科部で作った猫型ロボット。
その完成度は凄まじく、このように見ただけではロボットだと気付かれないほどだ。
ネコは教室を元気にかけ回り、夜空の机の上で落ち着く。
「あれ、もしかして三日月さんが気に入ったのかな?」
そんな事を言いながら、夜空の机の周りに集まる女子。
なんか凄く珍しい光景だなぁ、と俺はぼんやり眺める。
まぁ本人は緊張してあたふたしている様だが。
「あ、えっと、こ、これは理科部で作ったものなんだ……」
「作った……ってこれ本物のネコじゃないの!?」
「そ、そうだ」
「すごーい!! どこからどう見ても本物だよこれ!!」
「触ってみてもいい!?」
「あ、あぁ」
女子は大はしゃぎだし、男子もロボットという単語に惹かれたのか、興味津々に集まってきていた。
「まぁいいじゃないですか、小鷹先輩。理科もネコ好きですし、作りましょうよ」
「ん、まぁ別にいいけどさ」
「そ、それなら何で私にあれ程突っかかってきたんだ!///」
「いや、なんかこういう夜空珍しくてさ。つい」
「う、うぅ……///」
こうして見ると、夜空も案外女の子らしいところもあるんだな。
俺は少し微笑ましく思う。
「……なぜでしょう、あにきと夜空のあねごをみていると胸がチクチクします」
幸村はぼんやりとそんな事を呟いていた。
***
次の日の朝。
教室では俺はいつも通り、最初の授業で使う教科書とノートを準備して本を読んでいた。
すると。
『ニャー!』
鳴き声と同時にネコが教室に入ってきた。
当然、クラスは大騒ぎ。
女子なんかはキャーキャー言いながら、そのネコの周りに集まっていく。
これは昨日理科部で作った猫型ロボット。
その完成度は凄まじく、このように見ただけではロボットだと気付かれないほどだ。
ネコは教室を元気にかけ回り、夜空の机の上で落ち着く。
「あれ、もしかして三日月さんが気に入ったのかな?」
そんな事を言いながら、夜空の机の周りに集まる女子。
なんか凄く珍しい光景だなぁ、と俺はぼんやり眺める。
まぁ本人は緊張してあたふたしている様だが。
「あ、えっと、こ、これは理科部で作ったものなんだ……」
「作った……ってこれ本物のネコじゃないの!?」
「そ、そうだ」
「すごーい!! どこからどう見ても本物だよこれ!!」
「触ってみてもいい!?」
「あ、あぁ」
女子は大はしゃぎだし、男子もロボットという単語に惹かれたのか、興味津々に集まってきていた。
133: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:14:37.82:YFpFztNQo (23/27)
「かわいいー! にゃ~!」
『なぁ~お』
ネコは腹を天井に向けて寝転がった。
「あれっ、今もしかして反応したの!?」
「あぁ、ネコの鳴き声の真似をして話しかけると何かしら反応する」
夜空がそう言うと、女子達は一斉にネコの鳴き声を真似し始める。
ニャーニャーニャーニャー……と。
他のクラスの人が見たら、これは奇妙な光景かもしれない。
夜空はというと、いつものクールなキャラをなるべく崩さないようにはしているようだが、やはりチラチラと目の前のネコを見ている。
本当は今すぐ抱きしめたりしたいのだろう。まぁ昨日は散々あのネコと遊んでたしな。
しかし、今は周りにクラスメイトもいるので、何とか耐えているらしい。が。
「……ぅにゃー」
ポツリと、夜空がそんな事を言った。
ネコはそれに反応し、夜空の元へジャンプしてその胸に飛び込む。
「あ、あれ? 今もしかして三日月さんがネコの真似した!?」
「わーっ、珍しい!!」
「あ、いや、その!!///」
一気に真っ赤になる夜空。
「照れなくていいって! すっごく可愛かったよ!!」
「うんうん、三日月さんみたいな可愛い子がそれ言ったらマジ凶器だよ!」
「……ぁぅ///」
そうやってキャーキャー騒ぐ女子に、男子も、
「た、確かに今のはヤバかったな……」
「あ、あぁ……三日月ってあんなに可愛かったんだ……」
何だか大人気の夜空。
そ、そうか、ネコの鳴き真似とかすると人気が出るのか。
ということはもしかして……。
同じ事をやれば……俺でも……………!!
俺は静かに席を立つ。
そして、夜空の席までできるだけ気配を消して歩いて行く。
ここで俺がネコの鳴き真似をして、全然ヤンキーなんかじゃないことをアピールするんだ!
「ぬぅぅぁぁあああーお」
ヤバイ、ちょっと緊張して変な声になった。
教室が静まり返っている。
……あれ?
おそるおそる、近くにいる女子の方を向いてみると、
「ひっ!!!」
「…………」
俺は大人しく自分の席に戻った。
「かわいいー! にゃ~!」
『なぁ~お』
ネコは腹を天井に向けて寝転がった。
「あれっ、今もしかして反応したの!?」
「あぁ、ネコの鳴き声の真似をして話しかけると何かしら反応する」
夜空がそう言うと、女子達は一斉にネコの鳴き声を真似し始める。
ニャーニャーニャーニャー……と。
他のクラスの人が見たら、これは奇妙な光景かもしれない。
夜空はというと、いつものクールなキャラをなるべく崩さないようにはしているようだが、やはりチラチラと目の前のネコを見ている。
本当は今すぐ抱きしめたりしたいのだろう。まぁ昨日は散々あのネコと遊んでたしな。
しかし、今は周りにクラスメイトもいるので、何とか耐えているらしい。が。
「……ぅにゃー」
ポツリと、夜空がそんな事を言った。
ネコはそれに反応し、夜空の元へジャンプしてその胸に飛び込む。
「あ、あれ? 今もしかして三日月さんがネコの真似した!?」
「わーっ、珍しい!!」
「あ、いや、その!!///」
一気に真っ赤になる夜空。
「照れなくていいって! すっごく可愛かったよ!!」
「うんうん、三日月さんみたいな可愛い子がそれ言ったらマジ凶器だよ!」
「……ぁぅ///」
そうやってキャーキャー騒ぐ女子に、男子も、
「た、確かに今のはヤバかったな……」
「あ、あぁ……三日月ってあんなに可愛かったんだ……」
何だか大人気の夜空。
そ、そうか、ネコの鳴き真似とかすると人気が出るのか。
ということはもしかして……。
同じ事をやれば……俺でも……………!!
俺は静かに席を立つ。
そして、夜空の席までできるだけ気配を消して歩いて行く。
ここで俺がネコの鳴き真似をして、全然ヤンキーなんかじゃないことをアピールするんだ!
「ぬぅぅぁぁあああーお」
ヤバイ、ちょっと緊張して変な声になった。
教室が静まり返っている。
……あれ?
おそるおそる、近くにいる女子の方を向いてみると、
「ひっ!!!」
「…………」
俺は大人しく自分の席に戻った。
134: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:16:49.27:YFpFztNQo (24/27)
***
昼休み。
いつも通り幸村が届けてくれたパンを食べながらヤンキー漫画を読む(代金は後でコッソリ幸村の財布に入れている)。
この漫画は、最初は全然趣味と合わないと思っていたが、読んでみると結構面白い。
周りの視線がちょっとアレな気もするが。
その時。
「三日月さん、一緒にご飯食べない?」
「ぶごっ!?」
これまたいつも通りに一人で昼食をとっていた夜空だったが、なんと数人の女子から一緒に食べようと誘われていた。
案の定、夜空は相当驚いた様子であり、食べ物を喉に詰まらせた。
いや、俺も漫画落としかける程びっくりしたけど。
「だ、大丈夫!? はいお茶!」
「あ、ありが……とう…………」
貰ったお茶を飲んで何とか回復する夜空。
「え、えっと、それで……」
「一緒にご飯食べよう! もっと理科部のお話聞きたいなーって!」
「他にも色々作ってるんでしょ! 何があるのー?」
そう言いながら女子達は、夜空の周りの席を動かして話しやすいようにして座る。
当の夜空はというと、あたふたとしながら髪をいじったりして落ち着きがない。
「……うぅ///」
なんと夜空はこっちを見てきた。
おいおいおい。
せっかく一緒に昼飯食べてくれるってのに、俺の方見てちゃダメだろ。
なんか嫌な予感がしたので、俺は席を立った。
教室を出ると、とりあえず昼休みが終わるまで図書室にでもいようと、廊下を歩いて行く。
「こ、小鷹!」
後ろからそんな声が聞こえた。
振り返ってみれば、夜空が追いかけてきていた。
***
昼休み。
いつも通り幸村が届けてくれたパンを食べながらヤンキー漫画を読む(代金は後でコッソリ幸村の財布に入れている)。
この漫画は、最初は全然趣味と合わないと思っていたが、読んでみると結構面白い。
周りの視線がちょっとアレな気もするが。
その時。
「三日月さん、一緒にご飯食べない?」
「ぶごっ!?」
これまたいつも通りに一人で昼食をとっていた夜空だったが、なんと数人の女子から一緒に食べようと誘われていた。
案の定、夜空は相当驚いた様子であり、食べ物を喉に詰まらせた。
いや、俺も漫画落としかける程びっくりしたけど。
「だ、大丈夫!? はいお茶!」
「あ、ありが……とう…………」
貰ったお茶を飲んで何とか回復する夜空。
「え、えっと、それで……」
「一緒にご飯食べよう! もっと理科部のお話聞きたいなーって!」
「他にも色々作ってるんでしょ! 何があるのー?」
そう言いながら女子達は、夜空の周りの席を動かして話しやすいようにして座る。
当の夜空はというと、あたふたとしながら髪をいじったりして落ち着きがない。
「……うぅ///」
なんと夜空はこっちを見てきた。
おいおいおい。
せっかく一緒に昼飯食べてくれるってのに、俺の方見てちゃダメだろ。
なんか嫌な予感がしたので、俺は席を立った。
教室を出ると、とりあえず昼休みが終わるまで図書室にでもいようと、廊下を歩いて行く。
「こ、小鷹!」
後ろからそんな声が聞こえた。
振り返ってみれば、夜空が追いかけてきていた。
135: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:18:46.40:YFpFztNQo (25/27)
「う、うおっ、夜空!? どうしたんだよ」
「え……いや、その…………」
俺は驚いて尋ねるが、夜空は俯いてもじもじとし始める。
俺はそんな夜空に溜息をついて、
「ったく、せっかく他の女子と昼飯食えるってのに……」
そう言いながら、チラリと教室の中を見る。
先程の女子達はまだ同じ場所にいて、楽しげに話している。
「ほら、まだあの人達いるじゃねえか。行ってこいよ」
「え、いや、でも……」
「あのな、お前は友達が欲しいんだろ?」
「う……」
俺がジト目で尋ねると、夜空は俯く。
「それならこういうチャンスは無駄にすんなっての。んじゃな」
と言って、俺はまだ何か言いたげな夜空を残して図書室へ向かった。
***
数分後、俺は図書室の前で溜息をついていた。
なんか今日はやたら人が多く、俺が入ることで沢山の人を追い出してしまいそうでかなり気まずいのだ。
「……どうすっか」
教室はダメ。図書室もキツイ。
じゃあ昼休みが終わるまでどこで時間を潰せというのか。
どうする? >>136
「う、うおっ、夜空!? どうしたんだよ」
「え……いや、その…………」
俺は驚いて尋ねるが、夜空は俯いてもじもじとし始める。
俺はそんな夜空に溜息をついて、
「ったく、せっかく他の女子と昼飯食えるってのに……」
そう言いながら、チラリと教室の中を見る。
先程の女子達はまだ同じ場所にいて、楽しげに話している。
「ほら、まだあの人達いるじゃねえか。行ってこいよ」
「え、いや、でも……」
「あのな、お前は友達が欲しいんだろ?」
「う……」
俺がジト目で尋ねると、夜空は俯く。
「それならこういうチャンスは無駄にすんなっての。んじゃな」
と言って、俺はまだ何か言いたげな夜空を残して図書室へ向かった。
***
数分後、俺は図書室の前で溜息をついていた。
なんか今日はやたら人が多く、俺が入ることで沢山の人を追い出してしまいそうでかなり気まずいのだ。
「……どうすっか」
教室はダメ。図書室もキツイ。
じゃあ昼休みが終わるまでどこで時間を潰せというのか。
どうする? >>136
136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/17(火) 22:19:13.93:SAeTsaOAO (2/2)
理科のスカートの中
理科のスカートの中
137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/17(火) 22:19:52.07:IsI/x2bSO (8/8)
関東ェ…
関東ェ…
138:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/17(火) 22:23:28.87:bdBe7TUIo (1/1)
安定の「理科のスカートの中」
安定の「理科のスカートの中」
139:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/17(火) 22:23:30.04:HdJtmuCAO (1/1)
ですよねー
ですよねー
140:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/07/17(火) 22:23:59.57:PfoRrO+c0 (2/2)
生徒会長に会いに行く
生徒会長に会いに行く
141:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2012/07/17(火) 22:50:56.19:tq5LjjmD0 (1/1)
困ったらワンチャン理科のスカートの中だな
困ったらワンチャン理科のスカートの中だな
142: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:57:16.40:YFpFztNQo (26/27)
「理科ああああああああああああああああ!!!!!」
「きゃっ!!///」
「ッ!?」
俺はいつも通り理科に突撃する。
しかし、なんと。
思いっきり理科のスカートの中に突っ込んでしまった。
「う、うおおっ!? え、な、何でいつもみたいに迎撃しないんだよ!!」
「理科……先輩になら…………」
「え……い、いや、な、何言って……!!」
かなり焦る。
いつも俺が飛び込む→理科が迎撃する、というのが一連の流れだったのでこういうイレギュラーを混ぜられると困る。
すると、理科がニヤリと笑う。
「ふふ、先輩。理科は先輩が望むのなら構わないと言ってるんですよー?」
「う、うぐ……」
「……はぁーあ。やっぱ先輩はヘタレですねぇ」
「わ、悪かったな!」
結局主導権は握られ、からかわれることになる。
もう先輩後輩もくそもない。
「あっ、そうだ、猫型ロボットはどうでした?」
「おう、大人気。やっぱすげーなお前」
「せ、先輩に褒められると理科……ッ!! イッちゃいます!!」
「あー、はいはい」
「そこまで流されるとショックです」
そう言って肩を落とす理科。
「あと夜空も大人気でさ。アイツみんなの前でネコの鳴き真似なんかしてさ」
「ま、マジですか!? 先輩、録音は!?」
「してねえよ」
「ちっ、使えねえプリンだ」
「お前ひでえな!?」
俺は理科の毒舌に叫ぶ。
「理科ああああああああああああああああ!!!!!」
「きゃっ!!///」
「ッ!?」
俺はいつも通り理科に突撃する。
しかし、なんと。
思いっきり理科のスカートの中に突っ込んでしまった。
「う、うおおっ!? え、な、何でいつもみたいに迎撃しないんだよ!!」
「理科……先輩になら…………」
「え……い、いや、な、何言って……!!」
かなり焦る。
いつも俺が飛び込む→理科が迎撃する、というのが一連の流れだったのでこういうイレギュラーを混ぜられると困る。
すると、理科がニヤリと笑う。
「ふふ、先輩。理科は先輩が望むのなら構わないと言ってるんですよー?」
「う、うぐ……」
「……はぁーあ。やっぱ先輩はヘタレですねぇ」
「わ、悪かったな!」
結局主導権は握られ、からかわれることになる。
もう先輩後輩もくそもない。
「あっ、そうだ、猫型ロボットはどうでした?」
「おう、大人気。やっぱすげーなお前」
「せ、先輩に褒められると理科……ッ!! イッちゃいます!!」
「あー、はいはい」
「そこまで流されるとショックです」
そう言って肩を落とす理科。
「あと夜空も大人気でさ。アイツみんなの前でネコの鳴き真似なんかしてさ」
「ま、マジですか!? 先輩、録音は!?」
「してねえよ」
「ちっ、使えねえプリンだ」
「お前ひでえな!?」
俺は理科の毒舌に叫ぶ。
143: ◆0WipXNi8qk:2012/07/17(火) 22:59:41.98:YFpFztNQo (27/27)
「それに、夜空のやつ、今日は他の女子と一緒に飯まで食ってんだよ」
「ほうほう、それで先輩はちょっと寂しくなってここに来たと」
「んー、まぁ、それもちょっとあるな」
俺は苦笑する。
「けど、アイツがああやって誰かと仲良くなるのは嬉しい。
例え他人事でも、俺みたいに友達いねえ奴がああやってクラスに溶け込んでいくのを見ると、ちょっと希望が見えてくるしな」
「……そうですか。まぁでも、小鷹先輩にだって、いつかきっとそうやってクラスに馴染める日が来ますよ。
小鷹先輩のように、人の幸せを素直に喜べる人って案外少ないんですよ。それだけ、良い人だって事です」
「……はは、だといいな」
理科は優しく微笑み、俺もつられて笑っていた。
こうして言ってくれる人がいるだけで、だいぶ違う。
俺は本当に理科に助けられてばかりだと思った。
その後、俺が手に持ったヤンキー漫画を読み始めると、
「……先輩、女の子と部屋で二人きりなのにヤンキー漫画読むってどうなんですか」
「これが結構面白いんだって。幸村のやつセンスあるよ」
「そういう事じゃないですよ!! もう、もっとなんかあるでしょう、セックスとか!」
「それはねえよ」
「じゃあSMプレイとか!」
「変わってねえよ」
俺は溜息をついて漫画を閉じる。
なんかこのまま放っておいてもうるさそうなので、構ってやることにするか……。
なにする? >>144
「それに、夜空のやつ、今日は他の女子と一緒に飯まで食ってんだよ」
「ほうほう、それで先輩はちょっと寂しくなってここに来たと」
「んー、まぁ、それもちょっとあるな」
俺は苦笑する。
「けど、アイツがああやって誰かと仲良くなるのは嬉しい。
例え他人事でも、俺みたいに友達いねえ奴がああやってクラスに溶け込んでいくのを見ると、ちょっと希望が見えてくるしな」
「……そうですか。まぁでも、小鷹先輩にだって、いつかきっとそうやってクラスに馴染める日が来ますよ。
小鷹先輩のように、人の幸せを素直に喜べる人って案外少ないんですよ。それだけ、良い人だって事です」
「……はは、だといいな」
理科は優しく微笑み、俺もつられて笑っていた。
こうして言ってくれる人がいるだけで、だいぶ違う。
俺は本当に理科に助けられてばかりだと思った。
その後、俺が手に持ったヤンキー漫画を読み始めると、
「……先輩、女の子と部屋で二人きりなのにヤンキー漫画読むってどうなんですか」
「これが結構面白いんだって。幸村のやつセンスあるよ」
「そういう事じゃないですよ!! もう、もっとなんかあるでしょう、セックスとか!」
「それはねえよ」
「じゃあSMプレイとか!」
「変わってねえよ」
俺は溜息をついて漫画を閉じる。
なんかこのまま放っておいてもうるさそうなので、構ってやることにするか……。
なにする? >>144
144:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/17(火) 23:00:46.03:SISCEFAPo (1/1)
星奈を拷問
星奈を拷問
145:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 00:26:20.90:r5F5a7LTo (1/7)
そろそろあのじゃじゃ馬を躾けてやらないといかんな
そろそろあのじゃじゃ馬を躾けてやらないといかんな
146: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 00:30:55.22:3SWAkkcoo (1/23)
「あっ、そうだ先輩。ちょっと発明品の実験体になってもらえませんか?」
「は、はぁ? なんだよ急に。どんなのだ?」
「以前の嘘発見器を覚えていますか? あれからどうやって人の本音を聞き出すか考えたんですけど……」
「おー、それで?」
俺は興味津々で尋ねる。
何だかんだ理科の発明は面白いものが多いからだ。
「やっぱり拷問が早いと思うんです」
「何言ってんのお前!?」
なんか凄い残念な事言い出したぞこいつ。
「あっ、でも拷問って言ってもくすぐるだけです。大したことないですよ」
「くすぐるだけってな……それでもキツイものはキツイだろ。てか実験台なんて嫌だぞ」
「ええー、何でですか!!」
「お前、この前の握手の練習用の機械バグってただろ。アレ見て誰がやりたいなんて思うか」
「うっ……それは…………」
あの時は夜空のせいもあるが、それでも嫌なものは嫌だった。
「仕方ありませんね、それじゃあ誰か手頃な人でも捕まえますか。幸村くんとか」
「やめとけ。つか幸村“くん”?」
「あぁ、いずれ男になるんでしょ? その時に困らないようにって」
「あー……そうだな」
その時まで親交があればいいけどな。
俺が苦笑いしながらそんな事を考えた時――――。
「羽瀬川小鷹!!!」
バタン!! と、急にドアが大きく開かれた。
そこに居たのは。
「柏崎……星奈…………」
俺はうんざりとした声を出した。
金髪碧眼で少しキツイ目付き。
どこまでも偉そうでどこまでも自信満々な、理事長の娘だ。
「あっ、そうだ先輩。ちょっと発明品の実験体になってもらえませんか?」
「は、はぁ? なんだよ急に。どんなのだ?」
「以前の嘘発見器を覚えていますか? あれからどうやって人の本音を聞き出すか考えたんですけど……」
「おー、それで?」
俺は興味津々で尋ねる。
何だかんだ理科の発明は面白いものが多いからだ。
「やっぱり拷問が早いと思うんです」
「何言ってんのお前!?」
なんか凄い残念な事言い出したぞこいつ。
「あっ、でも拷問って言ってもくすぐるだけです。大したことないですよ」
「くすぐるだけってな……それでもキツイものはキツイだろ。てか実験台なんて嫌だぞ」
「ええー、何でですか!!」
「お前、この前の握手の練習用の機械バグってただろ。アレ見て誰がやりたいなんて思うか」
「うっ……それは…………」
あの時は夜空のせいもあるが、それでも嫌なものは嫌だった。
「仕方ありませんね、それじゃあ誰か手頃な人でも捕まえますか。幸村くんとか」
「やめとけ。つか幸村“くん”?」
「あぁ、いずれ男になるんでしょ? その時に困らないようにって」
「あー……そうだな」
その時まで親交があればいいけどな。
俺が苦笑いしながらそんな事を考えた時――――。
「羽瀬川小鷹!!!」
バタン!! と、急にドアが大きく開かれた。
そこに居たのは。
「柏崎……星奈…………」
俺はうんざりとした声を出した。
金髪碧眼で少しキツイ目付き。
どこまでも偉そうでどこまでも自信満々な、理事長の娘だ。
147: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 00:34:22.55:3SWAkkcoo (2/23)
「何よその顔は!! あたしだって、あんたの顔なんか見たくもないし、同じ空気も吸いたくないんだけど、仕方なく来てやってんのよ!!」
「あなたも暇ですねぇ、理事長の娘なのに」
「暇じゃない!!」
「……で、今度はなんだよ」
俺が尋ねると、星奈は芝居がかった動作でビシッと俺を指差す。
「苦情処理よ!!」
「苦情?」
「あんた、女の子を誘拐したんですって? 確か三日月……なんたらってのを!」
「…………」
そういやそんな噂が流れてたっけ。
「女の子を拐うとか何考えてんのよ!! やめなさい!!」
「先輩、それもデマです」
「……え?」
理科の言葉にキョトンとする星奈。
この光景、前にも見たな。
「三日月夜空さんは理科部の部員です。活動中にちょっと怪我してしまった夜空先輩を、小鷹先輩がおぶって保健室まで連れて行っただけですよ」
「…………そ、そうなの。それならいいのよ。じゃ、じゃあ、あたしはこれで」
「待ってください」
気まずそうに帰ろうとする星奈を、理科が呼び止めた。
理科の口元には怪しげな笑みが。
なにか、嫌な予感がする。
「な、なによ……?」
「人を疑っておいて、何もなしっていうのはどうなんですかねー? 人として」
「うっ……そ、それは……。そ、そいつの普段の行いが悪いのよ!!!」
星奈は真っ直ぐ俺を指差す。
「でも先輩、それだって聞いた話で、あなたが直接見たわけではないですよね?」
「う……ぐっ……た、確かにそうだけど……ッ!!」
「じゃあ、他のもデマだっていう可能性もあるじゃないですか。現に、今のところ2回連続でデマ掴んでるわけですし」
「そ、それは……!!」
「先輩……やっぱりこういう時って謝罪が必要なんじゃないですかね……?」
「……うっ……くぅ…………!!」
かなり憎らしげに顔を歪める星奈に、余裕の笑みを浮かべる理科。
いや、別に俺は構わないんだけどな……。
「わ、分かったわよ! 謝ればいいんでしょ謝れば!! “ごめんなさい”!! これでいい!?」
「謝って済めば警察はいらないんですよ」
「じゃあどうしろってのよ!!」
ちょっと泣きそうになってる星奈に、理科はさらに細く微笑む。
おい、俺が言うのもなんだけど、かなり怖いぞ理科。
「何よその顔は!! あたしだって、あんたの顔なんか見たくもないし、同じ空気も吸いたくないんだけど、仕方なく来てやってんのよ!!」
「あなたも暇ですねぇ、理事長の娘なのに」
「暇じゃない!!」
「……で、今度はなんだよ」
俺が尋ねると、星奈は芝居がかった動作でビシッと俺を指差す。
「苦情処理よ!!」
「苦情?」
「あんた、女の子を誘拐したんですって? 確か三日月……なんたらってのを!」
「…………」
そういやそんな噂が流れてたっけ。
「女の子を拐うとか何考えてんのよ!! やめなさい!!」
「先輩、それもデマです」
「……え?」
理科の言葉にキョトンとする星奈。
この光景、前にも見たな。
「三日月夜空さんは理科部の部員です。活動中にちょっと怪我してしまった夜空先輩を、小鷹先輩がおぶって保健室まで連れて行っただけですよ」
「…………そ、そうなの。それならいいのよ。じゃ、じゃあ、あたしはこれで」
「待ってください」
気まずそうに帰ろうとする星奈を、理科が呼び止めた。
理科の口元には怪しげな笑みが。
なにか、嫌な予感がする。
「な、なによ……?」
「人を疑っておいて、何もなしっていうのはどうなんですかねー? 人として」
「うっ……そ、それは……。そ、そいつの普段の行いが悪いのよ!!!」
星奈は真っ直ぐ俺を指差す。
「でも先輩、それだって聞いた話で、あなたが直接見たわけではないですよね?」
「う……ぐっ……た、確かにそうだけど……ッ!!」
「じゃあ、他のもデマだっていう可能性もあるじゃないですか。現に、今のところ2回連続でデマ掴んでるわけですし」
「そ、それは……!!」
「先輩……やっぱりこういう時って謝罪が必要なんじゃないですかね……?」
「……うっ……くぅ…………!!」
かなり憎らしげに顔を歪める星奈に、余裕の笑みを浮かべる理科。
いや、別に俺は構わないんだけどな……。
「わ、分かったわよ! 謝ればいいんでしょ謝れば!! “ごめんなさい”!! これでいい!?」
「謝って済めば警察はいらないんですよ」
「じゃあどうしろってのよ!!」
ちょっと泣きそうになってる星奈に、理科はさらに細く微笑む。
おい、俺が言うのもなんだけど、かなり怖いぞ理科。
148: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 00:37:00.38:3SWAkkcoo (3/23)
「言葉ではなく、体で償ってください」
「……な、何やらせる気よあんた…………!!」
「安心してください、性的なものではないです。むしろ、幸福を感じうるものですね」
あー、確かに「笑い」ってそうかもしんないけど。
「……うぅ…………」
「どうしました、先輩。まさか、先輩ともあろう方が謝罪一つできないと?」
「…………うぅぅぅううううう!!!」
「まっ、仕方ありませんか。結局は温室育ちの世間知らずのお嬢様。期待するだけ無駄――」
「いいわ、やってやるわよ!!!」
あーあ、言っちゃった。
俺は気の毒そうな目を向けるが、どうやら星奈は気付いていないようだ。
理科はそれはそれは嬉しそうだ。
「本当にいいんですか?」
「構わないわよ! このあたしにできない事はないわ! 何でもかかってきなさい!!」
こうして、実験台が決まった。
***
「ちょっと、何これ動けないんだけど」
星奈が座らされているのは拘束椅子のようなものだった。
そして椅子の背中から伸びている手。おそらくあれでくすぐるのだろう。
「大丈夫ですよ。先輩はただ理科の質問に正直に答えてくれればいいです」
そう言って手元のリモコンのスイッチを押す理科。
すると、ブゥーンという音と共に、椅子が発光して後ろの手がゆらゆらと動き始める。
そして理科は、不安そうな表情を浮かべる星奈を真っ直ぐ見て、
「この人の名前は何ですか?」
と言って俺を指差した。
「チンピラプリン」
「おい」
俺は思わず突っ込むが、その直後。
「ひっ、ひゃ……ひゃはははははははははははははははは!!!!!」
「言葉ではなく、体で償ってください」
「……な、何やらせる気よあんた…………!!」
「安心してください、性的なものではないです。むしろ、幸福を感じうるものですね」
あー、確かに「笑い」ってそうかもしんないけど。
「……うぅ…………」
「どうしました、先輩。まさか、先輩ともあろう方が謝罪一つできないと?」
「…………うぅぅぅううううう!!!」
「まっ、仕方ありませんか。結局は温室育ちの世間知らずのお嬢様。期待するだけ無駄――」
「いいわ、やってやるわよ!!!」
あーあ、言っちゃった。
俺は気の毒そうな目を向けるが、どうやら星奈は気付いていないようだ。
理科はそれはそれは嬉しそうだ。
「本当にいいんですか?」
「構わないわよ! このあたしにできない事はないわ! 何でもかかってきなさい!!」
こうして、実験台が決まった。
***
「ちょっと、何これ動けないんだけど」
星奈が座らされているのは拘束椅子のようなものだった。
そして椅子の背中から伸びている手。おそらくあれでくすぐるのだろう。
「大丈夫ですよ。先輩はただ理科の質問に正直に答えてくれればいいです」
そう言って手元のリモコンのスイッチを押す理科。
すると、ブゥーンという音と共に、椅子が発光して後ろの手がゆらゆらと動き始める。
そして理科は、不安そうな表情を浮かべる星奈を真っ直ぐ見て、
「この人の名前は何ですか?」
と言って俺を指差した。
「チンピラプリン」
「おい」
俺は思わず突っ込むが、その直後。
「ひっ、ひゃ……ひゃはははははははははははははははは!!!!!」
149: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 00:42:13.79:3SWAkkcoo (4/23)
椅子の後ろから伸びた手が星奈をくすぐり始めた。
星奈は必死に体をずらして逃げようとするが、がっちり固定されているためどうにもならない。
「あひゃ、あっ、ははははははははははははははは!!! ひっ、ひー!!!
あ、あんたぁ……ひーっ!! あたっ、あたしにやにゃやっっやっやあひっっひっひ!!! こ、こんなぁ……ぶひゅっっ……ことして……くふっふふふふうううううううううう!!!」
「早く言わないと辛いですよ?」
「わ、分かった!! わひゃはあああああひゃあややひゃやややややや!!! は、羽瀬川……いひっひっひっいいいいいいい!!!
こ、だ、ひゃははははは、小鷹ァァあああああひひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!」
自分の名前でこれだけ爆笑されたのは初めてだ。
俺は何とも言えない気持ちになりながら理科を見ると、彼女はうっとりとした様子で星奈を見ていた。
こ、こいつ……。
「はい、よくできました♪ では、次の質問は……」
「はっ……ふっ…………げほっ! ま、まだ、あんの……?」
「もちろんですよ。これだけで終わるわけないでしょう。じゃあ次の質問はどうしますかね……うーん、じゃあ『今日ウンコしましたか?』」
「は、はぁ!? そ、そんなの……」
星奈は顔を真っ赤にして抗議しようとするが、即座にくすぐりが再開される。
「いひゃああああああああ!!! ひゃひひひひひひひっふっふっふうううううううううううう!!!!!
あ……あああああははははっはははっっはっはひひひひひいいいいいいいい!!!」
「早く答えてくださいよ」
「い、いえっっひっひいいいいい、言えるわけきゃきゃやややっっやあああきっひっひっひひひひひ!!!
ないいいいいひひひひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「じゃあずっとそのままですね」
「ひゃああああひひひひひひいいいいいい!!! わ、分かっひひひふふふうううううううう!!!
分かったからああああははははひひひっっっっっっひゃああああああああああ!!!」
「さっさと言ってください」
「くっふふうううううふっひいいいいいい!! し、しまっああああはっっはっっははあああああ!!
しましっいいひっひいいいいいいたあああああああふふふううううはひいいいいいいいい!!! しましいいひひひいいたああああああああっっはっひいいいいいい!!!」
くすぐりが止まった。
今のでちゃんと認識されるって凄いな。
理科はわざとらしく何度か頷いて、
「ほう、お嬢様でもウンコするんですか。一つ勉強になりました」
「うっ……ひっく……ふぇぇ…………!!」
「お、おい理科、泣いてるって。もうさすがにやめねえか?」
星奈は顔をグシャグシャにして泣いていた。
これではせっかくの綺麗な顔も台無しで、かなり残念な事になっている。
理科はそれを少し無表情で見て、
「……先輩。理科、目覚めてしまったかもしれません」
「何に!?」
椅子の後ろから伸びた手が星奈をくすぐり始めた。
星奈は必死に体をずらして逃げようとするが、がっちり固定されているためどうにもならない。
「あひゃ、あっ、ははははははははははははははは!!! ひっ、ひー!!!
あ、あんたぁ……ひーっ!! あたっ、あたしにやにゃやっっやっやあひっっひっひ!!! こ、こんなぁ……ぶひゅっっ……ことして……くふっふふふふうううううううううう!!!」
「早く言わないと辛いですよ?」
「わ、分かった!! わひゃはあああああひゃあややひゃやややややや!!! は、羽瀬川……いひっひっひっいいいいいいい!!!
こ、だ、ひゃははははは、小鷹ァァあああああひひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!」
自分の名前でこれだけ爆笑されたのは初めてだ。
俺は何とも言えない気持ちになりながら理科を見ると、彼女はうっとりとした様子で星奈を見ていた。
こ、こいつ……。
「はい、よくできました♪ では、次の質問は……」
「はっ……ふっ…………げほっ! ま、まだ、あんの……?」
「もちろんですよ。これだけで終わるわけないでしょう。じゃあ次の質問はどうしますかね……うーん、じゃあ『今日ウンコしましたか?』」
「は、はぁ!? そ、そんなの……」
星奈は顔を真っ赤にして抗議しようとするが、即座にくすぐりが再開される。
「いひゃああああああああ!!! ひゃひひひひひひひっふっふっふうううううううううううう!!!!!
あ……あああああははははっはははっっはっはひひひひひいいいいいいいい!!!」
「早く答えてくださいよ」
「い、いえっっひっひいいいいい、言えるわけきゃきゃやややっっやあああきっひっひっひひひひひ!!!
ないいいいいひひひひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」
「じゃあずっとそのままですね」
「ひゃああああひひひひひひいいいいいい!!! わ、分かっひひひふふふうううううううう!!!
分かったからああああははははひひひっっっっっっひゃああああああああああ!!!」
「さっさと言ってください」
「くっふふうううううふっひいいいいいい!! し、しまっああああはっっはっっははあああああ!!
しましっいいひっひいいいいいいたあああああああふふふううううはひいいいいいいいい!!! しましいいひひひいいたああああああああっっはっひいいいいいい!!!」
くすぐりが止まった。
今のでちゃんと認識されるって凄いな。
理科はわざとらしく何度か頷いて、
「ほう、お嬢様でもウンコするんですか。一つ勉強になりました」
「うっ……ひっく……ふぇぇ…………!!」
「お、おい理科、泣いてるって。もうさすがにやめねえか?」
星奈は顔をグシャグシャにして泣いていた。
これではせっかくの綺麗な顔も台無しで、かなり残念な事になっている。
理科はそれを少し無表情で見て、
「……先輩。理科、目覚めてしまったかもしれません」
「何に!?」
150: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 00:44:08.87:3SWAkkcoo (5/23)
ヤバイ。
理科の目が……ヤバイ。
「うふっ……ふふふふ……じゃあ星奈ちゃーん? お次はそのウンコの色と大きさ言ってみようかぁ……?」
鬼だ。
コイツ、鬼だ。
「い、いやぁ!! ひっく……許してぇ!! お願いだから……ぐずっ………ゆるじでええ!!! なんでもずるがらぁぁあああ!!」
「じゃあウンコの色と大きさ言ってくださいよぉぉ? うふふふふふふ!!」
「やめとけ」
さすがに見かねた俺は、理科の後頭部をポカッとはたく。
「も、もう冗談ですって小鷹先輩。あはは」
「ホントか……?」
正直さっきの目を見せられると信用できない。
「でも、まだデータが不十分なんですよね。じゃあ先輩が何か質問考えてくださいよ、優しいものでもいいですから」
「俺が?」
「はい。なんか理科だと鬼畜なものしか思い浮かびません。下の毛の手入れの仕方とか」
「分かった俺が決める。お前はもう何も言うな」
このまま理科に任せていると、リアルに星奈が精神崩壊を起こしそうだ。
……それじゃ、どんな質問をしてみようか。
>>151
ヤバイ。
理科の目が……ヤバイ。
「うふっ……ふふふふ……じゃあ星奈ちゃーん? お次はそのウンコの色と大きさ言ってみようかぁ……?」
鬼だ。
コイツ、鬼だ。
「い、いやぁ!! ひっく……許してぇ!! お願いだから……ぐずっ………ゆるじでええ!!! なんでもずるがらぁぁあああ!!」
「じゃあウンコの色と大きさ言ってくださいよぉぉ? うふふふふふふ!!」
「やめとけ」
さすがに見かねた俺は、理科の後頭部をポカッとはたく。
「も、もう冗談ですって小鷹先輩。あはは」
「ホントか……?」
正直さっきの目を見せられると信用できない。
「でも、まだデータが不十分なんですよね。じゃあ先輩が何か質問考えてくださいよ、優しいものでもいいですから」
「俺が?」
「はい。なんか理科だと鬼畜なものしか思い浮かびません。下の毛の手入れの仕方とか」
「分かった俺が決める。お前はもう何も言うな」
このまま理科に任せていると、リアルに星奈が精神崩壊を起こしそうだ。
……それじゃ、どんな質問をしてみようか。
>>151
151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/18(水) 00:45:15.68:3k/rLpbAO (1/2)
友達ってどうやったらできるのか
友達ってどうやったらできるのか
152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 00:46:47.33:r5F5a7LTo (2/7)
友達いる?
友達いる?
153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/18(水) 00:56:58.77:PeMbxMZ5o (1/1)
理科鬼畜過ぎる……夜空より酷いだろwwww
理科鬼畜過ぎる……夜空より酷いだろwwww
154: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 01:46:28.16:3SWAkkcoo (6/23)
「えーと、じゃあ簡単な質問するから……な?」
「ひっく……ふぇぇ…………」
気まずい。
拘束椅子に座って泣いている少女の前にヤンキー。
たぶん見つかった瞬間俺の高校生活は終わる気がする。
俺はとりあえず、今一番気になっている事を尋ねてみる。
「――友達ってどうやったらできるんだ?」
すると星奈は、泣いて赤くなった目を床に落として、
「……知らない」
「なっ、お、おい、ちゃんと答えねえとまたくすぐりが…………」
……来ない。
俺は首を傾げて理科を見る。
「……またバグったのか?」
「星奈先輩、今日のウンコの色と形は?」
俺が止める間もなく、そんな事を言いやがった。
当然、星奈が答えられるはずもなく、
「いやぁぁははははひいいいいいいいいいいいい!!! ぴゃああああはいひいいいいいっっふうううううう!!!!!」
理科はリモコンでくすぐりを止める。
「故障ではないみたいですね」
「お、お前の血は何色だ」
ともあれ、故障じゃないという事は……。
「……もしかしてお前、友達いないの?」
「そ、そんな事…………ひゃああああああああひいいいいい!!! あっひいいいいっひいいくっふっふびゅふふふふ!!!!!
い、いなああああはははははいぃぃいいいひひひいいいわよおおおおははははははぁぁぁぁ!!!!」
「……マジで?」
「うぅ……ぐすっ……ひっく…………!! 悪い!? 友達いないのがそんなに悪い!?」
目に大粒の涙を浮かべて怒鳴られた。
俺は思わず一、二歩下がる。
「えーと、じゃあ簡単な質問するから……な?」
「ひっく……ふぇぇ…………」
気まずい。
拘束椅子に座って泣いている少女の前にヤンキー。
たぶん見つかった瞬間俺の高校生活は終わる気がする。
俺はとりあえず、今一番気になっている事を尋ねてみる。
「――友達ってどうやったらできるんだ?」
すると星奈は、泣いて赤くなった目を床に落として、
「……知らない」
「なっ、お、おい、ちゃんと答えねえとまたくすぐりが…………」
……来ない。
俺は首を傾げて理科を見る。
「……またバグったのか?」
「星奈先輩、今日のウンコの色と形は?」
俺が止める間もなく、そんな事を言いやがった。
当然、星奈が答えられるはずもなく、
「いやぁぁははははひいいいいいいいいいいいい!!! ぴゃああああはいひいいいいいっっふうううううう!!!!!」
理科はリモコンでくすぐりを止める。
「故障ではないみたいですね」
「お、お前の血は何色だ」
ともあれ、故障じゃないという事は……。
「……もしかしてお前、友達いないの?」
「そ、そんな事…………ひゃああああああああひいいいいい!!! あっひいいいいっひいいくっふっふびゅふふふふ!!!!!
い、いなああああはははははいぃぃいいいひひひいいいわよおおおおははははははぁぁぁぁ!!!!」
「……マジで?」
「うぅ……ぐすっ……ひっく…………!! 悪い!? 友達いないのがそんなに悪い!?」
目に大粒の涙を浮かべて怒鳴られた。
俺は思わず一、二歩下がる。
155: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 01:48:02.90:3SWAkkcoo (7/23)
「け、けど、いつも取り巻きみてえの連れてるじゃねえか」
「あれは下僕。友達なんかじゃ……ない…………」
「女子の友達は? お前ならいくらでも……」
「成績優秀、スポーツ万能のお嬢様。小鷹先輩、同性の方にとってはどちらかというと嫉妬の対象かもしれません」
「ふ、ふん!! 愚民があたしのような崇高な存在に嫉妬するのは仕方ないかもしれないわね!」
なるほど。
ただ成績優秀でスポーツ万能ってだけならまだしも、この性格だ。
そりゃ他の女子は面白くないだろう。
だが、これが本当の星奈の性格なのだろうか。
たぶんみんなが見えていない部分、それがあるはずだ。
だって、こいつは――――。
「何でお前は俺に突っかかってくるんだ?」
「……あんたの事なら、みんながあたしを頼ってくれるから。
どんなに嫌われてても、みんなの役に立つことができれば、いつかきっと…………」
「…………そっか」
「もういいですよ先輩、データは取れました」
その理科の言葉で試験は終わった。
来る前よりも明らかに疲弊して、笑い過ぎで声が枯れて、泣き過ぎで目を腫らした星奈はトボトボと去っていく。
その後ろ姿はとても小さく見えた。
「け、けど、いつも取り巻きみてえの連れてるじゃねえか」
「あれは下僕。友達なんかじゃ……ない…………」
「女子の友達は? お前ならいくらでも……」
「成績優秀、スポーツ万能のお嬢様。小鷹先輩、同性の方にとってはどちらかというと嫉妬の対象かもしれません」
「ふ、ふん!! 愚民があたしのような崇高な存在に嫉妬するのは仕方ないかもしれないわね!」
なるほど。
ただ成績優秀でスポーツ万能ってだけならまだしも、この性格だ。
そりゃ他の女子は面白くないだろう。
だが、これが本当の星奈の性格なのだろうか。
たぶんみんなが見えていない部分、それがあるはずだ。
だって、こいつは――――。
「何でお前は俺に突っかかってくるんだ?」
「……あんたの事なら、みんながあたしを頼ってくれるから。
どんなに嫌われてても、みんなの役に立つことができれば、いつかきっと…………」
「…………そっか」
「もういいですよ先輩、データは取れました」
その理科の言葉で試験は終わった。
来る前よりも明らかに疲弊して、笑い過ぎで声が枯れて、泣き過ぎで目を腫らした星奈はトボトボと去っていく。
その後ろ姿はとても小さく見えた。
156: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 01:48:32.22:3SWAkkcoo (8/23)
今日はこの辺で終わり
明日は書けるか微妙かも
今日はこの辺で終わり
明日は書けるか微妙かも
157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/18(水) 07:31:08.83:/4yDWKLAO (1/1)
うむ、乙
うむ、乙
158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/18(水) 10:58:33.70:X8uO0eE/o (1/3)
>>1が来るまで理科のスカートの中で待ってるわ
>>1が来るまで理科のスカートの中で待ってるわ
159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 11:28:51.41:r5F5a7LTo (3/7)
じゃあ俺は星奈のスカートの中で待ってるわ
じゃあ俺は星奈のスカートの中で待ってるわ
160: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 14:43:17.86:3SWAkkcoo (9/23)
「「友達と遊ぶ練習がしたい?」」
放課後の理科室。
俺と理科は同時に同じ言葉を発する。
目の前には少し赤くなっている夜空。
「あ、あぁ。実は今週の日曜に買い物にでも行こうと誘われてな。ほら、今日の……」
「あー、昼飯一緒に食ってた人達か」
俺はぼんやりと思い出す。
「戦場のせいかも、日々のたんれんから。さすが夜空のあねごです」
「……い、いやお前の言ってることはよく分かんねえぞ幸村…………」
「んー、理科は構いませんけど。暇ですし」
それは俺もそうだ。友達いないし。
幸村もコクンと頷いている。
夜空は安心した顔で、
「そ、そうか、付き合ってくれるか!」
「でも買い物といってもどこまで行くんですか?」
「えっと……永夜まで」
「永夜? 結構遠くまで行くんだな。別に買い物くらい駅前の商店街とかでいいじゃねえか」
「先輩、女の子がお買い物って言ったら、そりゃちょっとは洒落たところまで行きたいものでしょう」
「えんせい、ですか。よりおおくの戦果をもとめるのなら、とおくまで侵略するものですね」
永夜とは隣の県の中心都市で、ここ遠夜から電車で20分程行ったところにある。
こことは比べ物にならない程賑わっているらしく、デパートや飲食店が数多く立ち並んでいるらしい。
俺も小さい頃に両親に連れられて行ったことはあるのだが、よく覚えていない。
「じゃあ土曜の午後1時に遠夜駅に集合って感じでいいか?」
俺のその言葉に、理科部の全員が頷いた。
「「友達と遊ぶ練習がしたい?」」
放課後の理科室。
俺と理科は同時に同じ言葉を発する。
目の前には少し赤くなっている夜空。
「あ、あぁ。実は今週の日曜に買い物にでも行こうと誘われてな。ほら、今日の……」
「あー、昼飯一緒に食ってた人達か」
俺はぼんやりと思い出す。
「戦場のせいかも、日々のたんれんから。さすが夜空のあねごです」
「……い、いやお前の言ってることはよく分かんねえぞ幸村…………」
「んー、理科は構いませんけど。暇ですし」
それは俺もそうだ。友達いないし。
幸村もコクンと頷いている。
夜空は安心した顔で、
「そ、そうか、付き合ってくれるか!」
「でも買い物といってもどこまで行くんですか?」
「えっと……永夜まで」
「永夜? 結構遠くまで行くんだな。別に買い物くらい駅前の商店街とかでいいじゃねえか」
「先輩、女の子がお買い物って言ったら、そりゃちょっとは洒落たところまで行きたいものでしょう」
「えんせい、ですか。よりおおくの戦果をもとめるのなら、とおくまで侵略するものですね」
永夜とは隣の県の中心都市で、ここ遠夜から電車で20分程行ったところにある。
こことは比べ物にならない程賑わっているらしく、デパートや飲食店が数多く立ち並んでいるらしい。
俺も小さい頃に両親に連れられて行ったことはあるのだが、よく覚えていない。
「じゃあ土曜の午後1時に遠夜駅に集合って感じでいいか?」
俺のその言葉に、理科部の全員が頷いた。
161: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 14:45:13.69:3SWAkkcoo (10/23)
***
土曜日。
俺が集合時間の10分前に待ち合わせの場所に到着すると、既に他のメンバーは全員いた。
理科はいつも通りの制服に白衣。
夜空はデニムのホットパンツに、へそが出ているシャツ。
そして突っ込みどころは幸村だった。
ピッチリとしたジーパンに、白いドクロやら蛇やらが描かれた黒いシャツ。
腰にはシルバーチェーンがジャラジャラとぶら下がっている。
なんていうか、俺は良く分からないがパンクとかいうやつなんだろうか。
「ゆ、幸村……?」
「どうしました、あにき」
「あ、いや、えっと…………何でもない」
結局俺は何も言えない。
まぁ、他人のファッションをとやかく言うのはちょっとアレな気もするし。
でも、なんていうか幸村は、男らしさというのを色々な方向に勘違いしている気がする。
そんな事を考えていると、理科が話しかけてくる。
「先輩、私服は普通なんですね。もっとヤンキーっぽいの持ってないんですか?」
「持ってねえよ!!」
「えー、つまんないですねー。ここはウケ狙いでそういうの着て来てくださいよー」
「誰がそんな体を張ったボケかますか。てかお前だっていつも通りじゃねえか」
「あれ、先輩。もしかして理科のエロ可愛い服装とか期待していましたかー? ふふふ、それは失礼しました」
「エロ可愛い??」
「うわっ、ホントに残念な目で見られた!?」
そんな感じで落ち込む理科。
すると、今度は夜空が話しかけてくる。
「そ、その、私の服はこれでいいか? ど、どう思う?」
「どうって…………なんつーか、せ、セクシー?」
「ぶっ!!?」
俺が少し戸惑いながら感想を述べると、夜空が一気に顔を真っ赤にする。
***
土曜日。
俺が集合時間の10分前に待ち合わせの場所に到着すると、既に他のメンバーは全員いた。
理科はいつも通りの制服に白衣。
夜空はデニムのホットパンツに、へそが出ているシャツ。
そして突っ込みどころは幸村だった。
ピッチリとしたジーパンに、白いドクロやら蛇やらが描かれた黒いシャツ。
腰にはシルバーチェーンがジャラジャラとぶら下がっている。
なんていうか、俺は良く分からないがパンクとかいうやつなんだろうか。
「ゆ、幸村……?」
「どうしました、あにき」
「あ、いや、えっと…………何でもない」
結局俺は何も言えない。
まぁ、他人のファッションをとやかく言うのはちょっとアレな気もするし。
でも、なんていうか幸村は、男らしさというのを色々な方向に勘違いしている気がする。
そんな事を考えていると、理科が話しかけてくる。
「先輩、私服は普通なんですね。もっとヤンキーっぽいの持ってないんですか?」
「持ってねえよ!!」
「えー、つまんないですねー。ここはウケ狙いでそういうの着て来てくださいよー」
「誰がそんな体を張ったボケかますか。てかお前だっていつも通りじゃねえか」
「あれ、先輩。もしかして理科のエロ可愛い服装とか期待していましたかー? ふふふ、それは失礼しました」
「エロ可愛い??」
「うわっ、ホントに残念な目で見られた!?」
そんな感じで落ち込む理科。
すると、今度は夜空が話しかけてくる。
「そ、その、私の服はこれでいいか? ど、どう思う?」
「どうって…………なんつーか、せ、セクシー?」
「ぶっ!!?」
俺が少し戸惑いながら感想を述べると、夜空が一気に顔を真っ赤にする。
162: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 14:47:43.24:3SWAkkcoo (11/23)
「なっ、ば、バカな!! 理科、幸村!! 貴様達はどう思う!?」
「とてもお似合いだと思いますよ、正直夜空先輩がここまで服を着こなせるのは予想外でした。
理科、ホットパンツのお尻は水着とか下着よりエロいと思います」
「エロかっこいいです、あねご」
「う、うそだああああああ!!!」
さらに顔を赤くする夜空。
理科の指摘に、バッグで尻も隠す。
「そんなわけはない! 雑誌には『ボーイッシュスタイル』と書かれていた! そんなエロいなどという感想が出てくるはずがない!!」
「あ、あのな、夜空」
俺は苦笑いを浮かべながら。
「そういう雑誌に書かれている『ボーイッシュ』ってのは何も男みたいな格好っていう意味じゃないぞ?」
「えっ!?」
「あくまで中性的な雰囲気の中に、女の子の可愛らしさを加えるといった感じですね。理科はバッチリ成功していると思いますけど」
「はい、かっこいい上にかわいいとは。さすが夜空のあねごです」
「うっ……ぐ、ぐぅぅ……………!!」
みんな褒めているのに、夜空は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
体全体をもじもじとひねらせ、本当に恥ずかしそうだ。
「て、ていうか夜空。お前女子と一緒に遊ぶのに男みたいな格好していくつもりだったのかよ」
「だ、だって、その、あまり女の子らしい服装というのは…………恥ずかしいし」
「なんで女の子が女の子の格好するのが恥ずかしいんですか……」
溜息をつく理科。
なんていうか、夜空は色々大変そうだ。
こんなんで明日の本番でまともに遊べるのだろうか。
***
電車に揺られること20分。
永夜市は土曜日という事もあって、どこを見ても人人人だった。
そして、問題発生。
「うぅ……気持ちが悪い…………」
「夜空、大丈夫か? 電車で酔ったのか?」
「違う……私は人混みが苦手なんだ…………」
「ちょ、それ致命的じゃねえか!! 明日どうすんだよ!!」
「おぇ……り、理科も…………」
「お前もか!!!」
俺も人混みは得意というわけではないが、さすがにここまで弱くはない。
どんだけ人との関わりが苦手なんだよお前ら……。
「あにき、わたくしに考えがあります」
「おっ、どうした幸村」
「この周りにむらがる人間、あにきのお力でふきとばしてしまえばよいのです」
「良くねえええええええええええ!!!」
少しでも期待したのが間違いだった。
さて、どうすんだよこれ。
>>163
「なっ、ば、バカな!! 理科、幸村!! 貴様達はどう思う!?」
「とてもお似合いだと思いますよ、正直夜空先輩がここまで服を着こなせるのは予想外でした。
理科、ホットパンツのお尻は水着とか下着よりエロいと思います」
「エロかっこいいです、あねご」
「う、うそだああああああ!!!」
さらに顔を赤くする夜空。
理科の指摘に、バッグで尻も隠す。
「そんなわけはない! 雑誌には『ボーイッシュスタイル』と書かれていた! そんなエロいなどという感想が出てくるはずがない!!」
「あ、あのな、夜空」
俺は苦笑いを浮かべながら。
「そういう雑誌に書かれている『ボーイッシュ』ってのは何も男みたいな格好っていう意味じゃないぞ?」
「えっ!?」
「あくまで中性的な雰囲気の中に、女の子の可愛らしさを加えるといった感じですね。理科はバッチリ成功していると思いますけど」
「はい、かっこいい上にかわいいとは。さすが夜空のあねごです」
「うっ……ぐ、ぐぅぅ……………!!」
みんな褒めているのに、夜空は顔を真っ赤にして俯いてしまう。
体全体をもじもじとひねらせ、本当に恥ずかしそうだ。
「て、ていうか夜空。お前女子と一緒に遊ぶのに男みたいな格好していくつもりだったのかよ」
「だ、だって、その、あまり女の子らしい服装というのは…………恥ずかしいし」
「なんで女の子が女の子の格好するのが恥ずかしいんですか……」
溜息をつく理科。
なんていうか、夜空は色々大変そうだ。
こんなんで明日の本番でまともに遊べるのだろうか。
***
電車に揺られること20分。
永夜市は土曜日という事もあって、どこを見ても人人人だった。
そして、問題発生。
「うぅ……気持ちが悪い…………」
「夜空、大丈夫か? 電車で酔ったのか?」
「違う……私は人混みが苦手なんだ…………」
「ちょ、それ致命的じゃねえか!! 明日どうすんだよ!!」
「おぇ……り、理科も…………」
「お前もか!!!」
俺も人混みは得意というわけではないが、さすがにここまで弱くはない。
どんだけ人との関わりが苦手なんだよお前ら……。
「あにき、わたくしに考えがあります」
「おっ、どうした幸村」
「この周りにむらがる人間、あにきのお力でふきとばしてしまえばよいのです」
「良くねえええええええええええ!!!」
少しでも期待したのが間違いだった。
さて、どうすんだよこれ。
>>163
163:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 14:54:38.54:qpyY9gGSO (1/5)
アイマスク、耳栓装備で手を握って誘導
アイマスク、耳栓装備で手を握って誘導
164:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 14:59:19.80:r5F5a7LTo (4/7)
小鷹が先頭に立ってメンチビームを出して雑魚散しをして3人を守る
小鷹が先頭に立ってメンチビームを出して雑魚散しをして3人を守る
165: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 15:27:20.94:3SWAkkcoo (12/23)
「あー、もう!! お前らちょっと来い!!」
そう言って俺はとりあえずダウンしている二人の手を取って引っ張る。
幸村もそんな俺の後ろをついてきた。
***
「……よし、これで大丈夫だろ」
「た、確かにこれならば人混みも気にならないな」
「理科、思いつきませんでした……先輩もしかして天才ですか!?」
俺が買ったのはアイマスクと耳栓。
これを付ければ人混みを見なくて済むし、周りの音も聞こえなくなるのでまだマシになるだろう。
まぁ、人の熱気とかには効果ないんだが。
そんなわけで、視覚も聴覚も塞いだ二人の手を引いて、とりあえずどこかで買い物でもしようかと歩く。
しかし。
「君、ちょっといいかな」
そう言って誰かに止められた。
振り返ってみると、そこにはお巡りさんが。
「は、はい?」
「なんか不思議なことしてるね? ちょっと話聞きたいから署まで来てくれるかな?」
「……マジですか」
「うん、マジで」
アイマスクと耳栓をさせた少女二人を引っ張るヤンキー。
考えてみれば相当怪しい。
どうやら周りの人間もヒソヒソ俺を見て何か話している。
「……やだ、誘拐?」
「こわいわねー」
……誤解だ。これは誤解なんだ。
俺は唯一の理解者である幸村へ視線を移す。
幸村はぽーっとこちらを見て、
「あにき、まじぱねえです」
「ぱねえ、じゃねえええええええええええ!!!」
***
結局、解放されたのは少し経ってからだった。
「あまり変な事をしないように」という注意を受けながら、俺はただ頭を下げるしかなかった。
俺以外の者はすでに解放されており、俺だけが署まで連行されてずっと事情を聞かれていたという感じだ。
確か別れ際に、夜空達は駅で待ってるとか言ってたか。
俺はとりあえず合流しようと警察署から歩き出す。
人混みをかき分け、繁華街を歩く。
すると視界の中にあるものが入ってきた、
「……あれ?」
何を見つけた? >>166
「あー、もう!! お前らちょっと来い!!」
そう言って俺はとりあえずダウンしている二人の手を取って引っ張る。
幸村もそんな俺の後ろをついてきた。
***
「……よし、これで大丈夫だろ」
「た、確かにこれならば人混みも気にならないな」
「理科、思いつきませんでした……先輩もしかして天才ですか!?」
俺が買ったのはアイマスクと耳栓。
これを付ければ人混みを見なくて済むし、周りの音も聞こえなくなるのでまだマシになるだろう。
まぁ、人の熱気とかには効果ないんだが。
そんなわけで、視覚も聴覚も塞いだ二人の手を引いて、とりあえずどこかで買い物でもしようかと歩く。
しかし。
「君、ちょっといいかな」
そう言って誰かに止められた。
振り返ってみると、そこにはお巡りさんが。
「は、はい?」
「なんか不思議なことしてるね? ちょっと話聞きたいから署まで来てくれるかな?」
「……マジですか」
「うん、マジで」
アイマスクと耳栓をさせた少女二人を引っ張るヤンキー。
考えてみれば相当怪しい。
どうやら周りの人間もヒソヒソ俺を見て何か話している。
「……やだ、誘拐?」
「こわいわねー」
……誤解だ。これは誤解なんだ。
俺は唯一の理解者である幸村へ視線を移す。
幸村はぽーっとこちらを見て、
「あにき、まじぱねえです」
「ぱねえ、じゃねえええええええええええ!!!」
***
結局、解放されたのは少し経ってからだった。
「あまり変な事をしないように」という注意を受けながら、俺はただ頭を下げるしかなかった。
俺以外の者はすでに解放されており、俺だけが署まで連行されてずっと事情を聞かれていたという感じだ。
確か別れ際に、夜空達は駅で待ってるとか言ってたか。
俺はとりあえず合流しようと警察署から歩き出す。
人混みをかき分け、繁華街を歩く。
すると視界の中にあるものが入ってきた、
「……あれ?」
何を見つけた? >>166
166:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/18(水) 15:45:07.03:X8uO0eE/o (2/3)
夜空達とはぐれて迷子になってる理科
夜空達とはぐれて迷子になってる理科
167: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 16:06:30.32:3SWAkkcoo (13/23)
「理科……?」
「あっ、先輩!!」
そう言ってフラフラとこちらへ歩いてくる理科、
「何でこんなとこに居るんだ?」
「先輩を迎えに行こうと思って。でも、ちょっと迷っちゃいました」
いつものテヘペロを繰り出す理科。
でもなんか、弱ってるというのが影響しているのかもしれないが。
いつもより、ちょっと可愛かった。
「そ、そっか、仕方ねえな。じゃあ一緒に駅まで戻ろうぜ」
「はいっ!」
理科はそう言うと、嬉しそうに俺の腕に抱きつく。
「お、おい理科!」
「先輩、理科まだちょっと気分悪いです。だから腕貸してください♪」
「うっ……」
そう言われると、どうしようもない。
「わ、分かったよ」
「やった」
理科は本当に嬉しそうな笑顔を見せる。
なんていうか、普通に可愛い。
「……ふふ、これだとデートみたいですね」
「ま、まぁ、そう見えんのか、な」
「というわけで先輩、今度デートしましょう」
「何でそうなるのかが分かんねえよ」
「ぶー、つれないですねー」
そう言って頬を膨らませる理科。
俺は小さく笑って、
「それよりも、俺達はまず友達作りだろ? 夜空だって頑張ってるんだからさ」
「……先輩は夜空先輩の事ばかりです」
「え、なんだって?」
「何でもないですよーだ」
理科はぷいっとそっぽを向いてしまった。
俺は首を傾げるしかない。
すると理科はそのまま顔をこちらに向けないまま、
「小鷹先輩は、夜空先輩の事どう思っているんですか?」
そんな事を聞いてきた。
俺は少し考え込む。
そういえば、夜空にも同じようなことを聞かれたような気がする。
俺は軽く息を吸い込み、
「>>168」
「理科……?」
「あっ、先輩!!」
そう言ってフラフラとこちらへ歩いてくる理科、
「何でこんなとこに居るんだ?」
「先輩を迎えに行こうと思って。でも、ちょっと迷っちゃいました」
いつものテヘペロを繰り出す理科。
でもなんか、弱ってるというのが影響しているのかもしれないが。
いつもより、ちょっと可愛かった。
「そ、そっか、仕方ねえな。じゃあ一緒に駅まで戻ろうぜ」
「はいっ!」
理科はそう言うと、嬉しそうに俺の腕に抱きつく。
「お、おい理科!」
「先輩、理科まだちょっと気分悪いです。だから腕貸してください♪」
「うっ……」
そう言われると、どうしようもない。
「わ、分かったよ」
「やった」
理科は本当に嬉しそうな笑顔を見せる。
なんていうか、普通に可愛い。
「……ふふ、これだとデートみたいですね」
「ま、まぁ、そう見えんのか、な」
「というわけで先輩、今度デートしましょう」
「何でそうなるのかが分かんねえよ」
「ぶー、つれないですねー」
そう言って頬を膨らませる理科。
俺は小さく笑って、
「それよりも、俺達はまず友達作りだろ? 夜空だって頑張ってるんだからさ」
「……先輩は夜空先輩の事ばかりです」
「え、なんだって?」
「何でもないですよーだ」
理科はぷいっとそっぽを向いてしまった。
俺は首を傾げるしかない。
すると理科はそのまま顔をこちらに向けないまま、
「小鷹先輩は、夜空先輩の事どう思っているんですか?」
そんな事を聞いてきた。
俺は少し考え込む。
そういえば、夜空にも同じようなことを聞かれたような気がする。
俺は軽く息を吸い込み、
「>>168」
168:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 16:08:13.67:iiQOd40Eo (1/1)
幼馴染かな
幼馴染かな
169:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/18(水) 16:08:36.06:v52fFpIA0 (1/1)
わからなくなってる
わからなくなってる
170: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 16:46:46.67:3SWAkkcoo (14/23)
「幼馴染かな」
「えっ……ええええええええ!?」
理科が大声をあげる。
周りの人達も何事かとこちらを見ており、少し恥ずかしい。
「なっ……なぁ…………!!! 理科、初耳ですよ!?」
「言ってねえからな」
一応言っておくが、もちろんウソだ。
真面目に答えるのもなんか恥ずかしいのでからかってみただけなのだが、想像以上に理科は動揺している。
これこそからかいがいがあるというものだ。
それからしばらくの間、理科はブツブツと「まさか幼馴染属性が……」などと呟いていた。
***
「小鷹先輩から聞きましたよ夜空先輩!! 何で教えてくれなかったんですか!!」
「……一体何の話だ? というかあまり大きな声を出すな、頭に響く」
「理科どのはよくなられたようですね。あんしんいたしました」
夜空、幸村と合流した俺と理科。
夜空はまだ気分が悪いらしく、理科の開口一番にもただ顔をしかめるだけだ。
理科は今ではすっかり回復しているようだ。
いや、それを上回る驚きで忘れているだけかもしれないが。
理科は夜空に向かって、
「夜空先輩と小鷹先輩は幼馴染なんでしょ!?」
ドサッと。
夜空は手に持っていたバッグを取り落とした。
そしてそれを全く気にしていない。
目を見開いて。
全身を震わせて。
ただただ、目を潤ませて、俺を見ている。
「こ、小鷹……まさか、覚え…………」
「ど、どうした夜空? いやちょっと理科をからかってみただけんだが……」
「「えっ?」」
夜空と理科はキョトンとしてこちらを見る。
「幼馴染かな」
「えっ……ええええええええ!?」
理科が大声をあげる。
周りの人達も何事かとこちらを見ており、少し恥ずかしい。
「なっ……なぁ…………!!! 理科、初耳ですよ!?」
「言ってねえからな」
一応言っておくが、もちろんウソだ。
真面目に答えるのもなんか恥ずかしいのでからかってみただけなのだが、想像以上に理科は動揺している。
これこそからかいがいがあるというものだ。
それからしばらくの間、理科はブツブツと「まさか幼馴染属性が……」などと呟いていた。
***
「小鷹先輩から聞きましたよ夜空先輩!! 何で教えてくれなかったんですか!!」
「……一体何の話だ? というかあまり大きな声を出すな、頭に響く」
「理科どのはよくなられたようですね。あんしんいたしました」
夜空、幸村と合流した俺と理科。
夜空はまだ気分が悪いらしく、理科の開口一番にもただ顔をしかめるだけだ。
理科は今ではすっかり回復しているようだ。
いや、それを上回る驚きで忘れているだけかもしれないが。
理科は夜空に向かって、
「夜空先輩と小鷹先輩は幼馴染なんでしょ!?」
ドサッと。
夜空は手に持っていたバッグを取り落とした。
そしてそれを全く気にしていない。
目を見開いて。
全身を震わせて。
ただただ、目を潤ませて、俺を見ている。
「こ、小鷹……まさか、覚え…………」
「ど、どうした夜空? いやちょっと理科をからかってみただけんだが……」
「「えっ?」」
夜空と理科はキョトンとしてこちらを見る。
171: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 16:58:13.13:3SWAkkcoo (15/23)
「か、からかったって先輩まさか……」
「あぁ、まさかあそこまでマジにするとは思わなかったぜ」
「も、もうー!! 先輩のバカァァ!! すっごく焦ったじゃないですかあああああ!!!」
「はは、悪い悪い」
「さすがおなごを騙すのがおじょうずです、あにき」
「ゆ、幸村、その言い方はやめてくれ!」
ポカポカと俺を叩く理科に、素直に感心した様子の幸村。
そんな光景を微笑ましく思えて、俺は知らず知らずの内に笑顔になっていた。
しかし――――。
「帰る」
静かに、それでいてよく通る声でハッキリそう言ったのは夜空だった。
そして、そのままクルリと後ろを向くと、足早にさっさと歩いて行ってしまう。
俺達はそれを見て、ただポカンとするしかない。
あまりに急なことに、脳が処理できていないのだ。
だが、すぐに俺は我に返って、
「お、おい夜空!?」
慌てて夜空の腕を掴むが、
「離せ!!!」
大きな力で振り払われてしまった。
そして一瞬見えたその瞳には……涙が浮かんでいた。
俺達は、そんな夜空の後ろ姿をただ黙って見ている事しかできなかった。
***
次の週の月曜日。
朝教室に入ると、夜空はもう登校してきており、いつもの様に自分の席で不機嫌そうに本を読んでいた。
俺は夜空に聞きたいことが色々あった。
結局日曜日は上手くいったのか。
土曜日はどうしてあそこまで怒らせてしまったのか。
明らかに俺のせいで怒っていたので、とにかくその理由を知って謝りたい。
理由が分からない時点で、相手にされないかもしれないが。
「…………うぐ」
俺は夜空の方を見てそわそわする事しかできない。
なんか、話しかけづらい。
どうする? >>172
「か、からかったって先輩まさか……」
「あぁ、まさかあそこまでマジにするとは思わなかったぜ」
「も、もうー!! 先輩のバカァァ!! すっごく焦ったじゃないですかあああああ!!!」
「はは、悪い悪い」
「さすがおなごを騙すのがおじょうずです、あにき」
「ゆ、幸村、その言い方はやめてくれ!」
ポカポカと俺を叩く理科に、素直に感心した様子の幸村。
そんな光景を微笑ましく思えて、俺は知らず知らずの内に笑顔になっていた。
しかし――――。
「帰る」
静かに、それでいてよく通る声でハッキリそう言ったのは夜空だった。
そして、そのままクルリと後ろを向くと、足早にさっさと歩いて行ってしまう。
俺達はそれを見て、ただポカンとするしかない。
あまりに急なことに、脳が処理できていないのだ。
だが、すぐに俺は我に返って、
「お、おい夜空!?」
慌てて夜空の腕を掴むが、
「離せ!!!」
大きな力で振り払われてしまった。
そして一瞬見えたその瞳には……涙が浮かんでいた。
俺達は、そんな夜空の後ろ姿をただ黙って見ている事しかできなかった。
***
次の週の月曜日。
朝教室に入ると、夜空はもう登校してきており、いつもの様に自分の席で不機嫌そうに本を読んでいた。
俺は夜空に聞きたいことが色々あった。
結局日曜日は上手くいったのか。
土曜日はどうしてあそこまで怒らせてしまったのか。
明らかに俺のせいで怒っていたので、とにかくその理由を知って謝りたい。
理由が分からない時点で、相手にされないかもしれないが。
「…………うぐ」
俺は夜空の方を見てそわそわする事しかできない。
なんか、話しかけづらい。
どうする? >>172
172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東):2012/07/18(水) 16:59:51.26:4aiL1ydAO (1/1)
逃げる
逃げる
173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 17:00:14.04:qpyY9gGSO (2/5)
ブレイクダンス→コサックを目の前で繰り返し注意を引く
ブレイクダンス→コサックを目の前で繰り返し注意を引く
174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/18(水) 17:03:42.70:ppgP+jsUo (1/1)
まぁ星奈の告白からも逃げたしな小鷹
まぁ星奈の告白からも逃げたしな小鷹
175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/18(水) 17:30:02.57:R57FsDpl0 (1/1)
あの状況じゃ逃げたくもなるがな
あの状況じゃ逃げたくもなるがな
176: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 17:32:49.56:3SWAkkcoo (16/23)
結局、俺は逃げた。
なんだか夜空と一緒の空間にいるというだけでも気まずくなったのだ。
問題を先延ばしにしているだけだというのは良く分かっている。
だが、まだ心の準備ができていない。
また下手なことを言って、更に夜空を怒らせる。それが怖かった。
とりあえず朝のHRが始まるまで廊下かどっかで時間を潰そうか。
そう考えた時、とあるものを見つけた。
何を見つけた? >>177
結局、俺は逃げた。
なんだか夜空と一緒の空間にいるというだけでも気まずくなったのだ。
問題を先延ばしにしているだけだというのは良く分かっている。
だが、まだ心の準備ができていない。
また下手なことを言って、更に夜空を怒らせる。それが怖かった。
とりあえず朝のHRが始まるまで廊下かどっかで時間を潰そうか。
そう考えた時、とあるものを見つけた。
何を見つけた? >>177
177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 17:35:09.67:qpyY9gGSO (3/5)
先生の不倫現場
先生の不倫現場
178: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 19:24:33.99:3SWAkkcoo (17/23)
誰も使っていない空き教室。
そのドアが少し開いていたので、何気なく中を見てみると。
教室でキスしてる男女が居た。
「ッ!!?」
俺は声を上げそうになるのを必死に抑えて中を伺う。
二人共教師だ。
それが神聖な学び舎で、なんか思いっきり。
ぶちゅっといっている。
「……う、うわー」
小声で呟く。
これは早く立ち去った方がよさそうだ、と思い始めた時。
「何かいけないものを見てしまったようだね、少年」
後ろから声をかけられた。
俺は全身をビクッと震わせて振り返る。
そこに居たのはシスターさんだった。
歳は俺と同じくらいだろうか。
銀髪にブルーの瞳、ちょうど「美人」と「可愛い」の中間に位置するような整った顔立ち。
俺は思わず見惚れてしまった。
「んー、おーおー。朝っぱらからハッスルしちゃってんねぇ」
「え、あ、あの、止めなくていいんすか?」
「えー、だって止める理由もないじゃん」
面倒くさそうにそんな事を言いながら尻をポリポリと掻くシスター。
「つーかさ、子供に悪影響とかって言うけども、今日び大人のキスを見て悪影響受ける高校生なんていんのかね。
それはそれで珍しい純情くんだとは思わないかい?」
「ま、まぁ、そうですけど……」
「さすがにズッコンバッコン始めたら止めるけどさー。別にキスくらいはいいんじゃね。
クソ真面目でお利行さんな先生よりも、ちょっとくだけてた方が感じもいいじゃん?」
「いや、でも先生」
「んー?」
俺は気まずさを感じながら、教室の中を指差す。
「――確か二人共既婚者です」
「そりゃダメだ。悪影響あるわ」
俺の言葉を聞いた瞬間、銀髪のシスターさんはずかずかと教室の中へ入っていった。
何ていうか、色々と豪快な人だ。
俺はどうしようかと迷ったが、そろそろHRも始まりそうだったので教室へ戻ることにした。
誰も使っていない空き教室。
そのドアが少し開いていたので、何気なく中を見てみると。
教室でキスしてる男女が居た。
「ッ!!?」
俺は声を上げそうになるのを必死に抑えて中を伺う。
二人共教師だ。
それが神聖な学び舎で、なんか思いっきり。
ぶちゅっといっている。
「……う、うわー」
小声で呟く。
これは早く立ち去った方がよさそうだ、と思い始めた時。
「何かいけないものを見てしまったようだね、少年」
後ろから声をかけられた。
俺は全身をビクッと震わせて振り返る。
そこに居たのはシスターさんだった。
歳は俺と同じくらいだろうか。
銀髪にブルーの瞳、ちょうど「美人」と「可愛い」の中間に位置するような整った顔立ち。
俺は思わず見惚れてしまった。
「んー、おーおー。朝っぱらからハッスルしちゃってんねぇ」
「え、あ、あの、止めなくていいんすか?」
「えー、だって止める理由もないじゃん」
面倒くさそうにそんな事を言いながら尻をポリポリと掻くシスター。
「つーかさ、子供に悪影響とかって言うけども、今日び大人のキスを見て悪影響受ける高校生なんていんのかね。
それはそれで珍しい純情くんだとは思わないかい?」
「ま、まぁ、そうですけど……」
「さすがにズッコンバッコン始めたら止めるけどさー。別にキスくらいはいいんじゃね。
クソ真面目でお利行さんな先生よりも、ちょっとくだけてた方が感じもいいじゃん?」
「いや、でも先生」
「んー?」
俺は気まずさを感じながら、教室の中を指差す。
「――確か二人共既婚者です」
「そりゃダメだ。悪影響あるわ」
俺の言葉を聞いた瞬間、銀髪のシスターさんはずかずかと教室の中へ入っていった。
何ていうか、色々と豪快な人だ。
俺はどうしようかと迷ったが、そろそろHRも始まりそうだったので教室へ戻ることにした。
179: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 19:26:36.33:3SWAkkcoo (18/23)
***
放課後。
理科室には理科と幸村、そして夜空が集まっていた。
意外なことに夜空はいつもの様子であり、この前の事はなかった事の様に振舞っている。
それならわざわざ蒸し返す事もないかと、俺も普段通り接することにした。
「で、夜空。日曜は結局どうだったんだ?」
「断った」
「「ええ!?」」
当然のように言う夜空に、俺と理科が驚く。
「当たり前だろう。人混みであれだけ気分が悪くなるんだ。行っても迷惑をかけるだけだ」
「うーん、確かにそうかも知れませんけど……せっかくのチャンスですのに…………」
理科は納得いかない様子だが、当の夜空はそれ程気にしていないようだ。
「まぁこの体質が友達作りに支障をきたすのなら、追々何とかしていけばいいさ。
それより、早く今日の活動を始めないか」
「夜空がそう言ってんならいいんじゃねえか、理科」
「うーん、まぁ、そうですね」
「さきの目標をめざすことはりっぱですが、まずはあしもとを固めるということですね、あにき」
「えーと、うん、そうなの……か?」
幸村の言葉に、俺は良く分からないままに肯定する。
一方で理科はいつものようにホワイトボードの前まで歩いて行き、
「それでは、今日は何を作りましょうか?」
>>180
***
放課後。
理科室には理科と幸村、そして夜空が集まっていた。
意外なことに夜空はいつもの様子であり、この前の事はなかった事の様に振舞っている。
それならわざわざ蒸し返す事もないかと、俺も普段通り接することにした。
「で、夜空。日曜は結局どうだったんだ?」
「断った」
「「ええ!?」」
当然のように言う夜空に、俺と理科が驚く。
「当たり前だろう。人混みであれだけ気分が悪くなるんだ。行っても迷惑をかけるだけだ」
「うーん、確かにそうかも知れませんけど……せっかくのチャンスですのに…………」
理科は納得いかない様子だが、当の夜空はそれ程気にしていないようだ。
「まぁこの体質が友達作りに支障をきたすのなら、追々何とかしていけばいいさ。
それより、早く今日の活動を始めないか」
「夜空がそう言ってんならいいんじゃねえか、理科」
「うーん、まぁ、そうですね」
「さきの目標をめざすことはりっぱですが、まずはあしもとを固めるということですね、あにき」
「えーと、うん、そうなの……か?」
幸村の言葉に、俺は良く分からないままに肯定する。
一方で理科はいつものようにホワイトボードの前まで歩いて行き、
「それでは、今日は何を作りましょうか?」
>>180
180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 19:32:20.81:r5F5a7LTo (5/7)
みんなで遊べるボードゲーム
を作ってクラスの人と遊ぶという口実を作る
みんなで遊べるボードゲーム
を作ってクラスの人と遊ぶという口実を作る
181: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 20:09:36.45:3SWAkkcoo (19/23)
「ボードゲームなんかどうだ?」
俺はとりあえず提案してみる。
昨日小鳩と人生ゲームをやってみたら、二人でも意外と楽しめた。
そして理科部の部員も皆肯定的なようだ。
「ふむ、確かにそういったものは気楽にできていいな。ゲーム中ならば普通に話せるかもしれないし」
「おなじ卓をかこむのはどうほうの基本ですね」
「分かりました! 理科は普段はゲームの開発とかにも協力してますからね、任せてください!」
というわけで、ボードゲームを作ることに決まった。
***
「名付けて、『友達作りゲーム』です!」
「えらくストレートだな」
理科が出したのは見た感じ普通のボードゲームだ。
人生ゲームのようにマスの上で動かす車、車に挿すプレイヤーを表したピン。
だが、人生ゲームと違うところもある。
それは、人を表すピンが多いという事だ。
つまり、それが友達だ。
このゲームはお金が0、もしくは友達が0でゲームオーバーとなる。
スタート時はお金は1000円、友達は2人だ。
「なっ……初めから友達が居るだと…………ッ!!!」
「いや、だってそうしないとゲームになりませんし」
「――俺らだったらスタートと同時にゲームオーバーだな」
俺が暗く笑いながら言うと、他の部員の表情まで暗くなる。
「ていうか、ゲームの名前が露骨過ぎないか? 友達いない奴がこのゲームを勧めるっていうのは、なんか哀れな感じがするぞ」
「そんな事気にしている場合じゃないですって。
たぶん一般的な人から見れば一人でお昼を食べたり授業でペアが作れない時点で十分に哀れです」
「そ、そんなハッキリ言うなよ……」
確かに昼飯はいつも一人ポツンと食ってるし、『はい二人組作ってー』なんて言われると胃が痛むけどさ。
「つまりこのゆうぎは、どれだけはいかを従えてどれだけ金品を奪略できるか、といったものなのですね」
「いや、なんか違うぞ幸村。もっと、なんつーか、平和的な感じでな……」
「なるほど、あくまでひょうめんじょうは平和なように見せかけておいて、裏では……」
「表も裏も平和だっての!!!」
幸村とそんな会話をしている内に、理科は準備を終えたようで、
「それではテストプレイしてみましょうか」
そう言って、まずは理科部でやってみることになった。
***
順番はサイコロで夜空、俺、理科、幸村となった。
「よし、じゃあ始めるか」
夜空がサイコロを振る。目は3。
止まった先のマスにはこう書いてあった。
『>>182』
「ボードゲームなんかどうだ?」
俺はとりあえず提案してみる。
昨日小鳩と人生ゲームをやってみたら、二人でも意外と楽しめた。
そして理科部の部員も皆肯定的なようだ。
「ふむ、確かにそういったものは気楽にできていいな。ゲーム中ならば普通に話せるかもしれないし」
「おなじ卓をかこむのはどうほうの基本ですね」
「分かりました! 理科は普段はゲームの開発とかにも協力してますからね、任せてください!」
というわけで、ボードゲームを作ることに決まった。
***
「名付けて、『友達作りゲーム』です!」
「えらくストレートだな」
理科が出したのは見た感じ普通のボードゲームだ。
人生ゲームのようにマスの上で動かす車、車に挿すプレイヤーを表したピン。
だが、人生ゲームと違うところもある。
それは、人を表すピンが多いという事だ。
つまり、それが友達だ。
このゲームはお金が0、もしくは友達が0でゲームオーバーとなる。
スタート時はお金は1000円、友達は2人だ。
「なっ……初めから友達が居るだと…………ッ!!!」
「いや、だってそうしないとゲームになりませんし」
「――俺らだったらスタートと同時にゲームオーバーだな」
俺が暗く笑いながら言うと、他の部員の表情まで暗くなる。
「ていうか、ゲームの名前が露骨過ぎないか? 友達いない奴がこのゲームを勧めるっていうのは、なんか哀れな感じがするぞ」
「そんな事気にしている場合じゃないですって。
たぶん一般的な人から見れば一人でお昼を食べたり授業でペアが作れない時点で十分に哀れです」
「そ、そんなハッキリ言うなよ……」
確かに昼飯はいつも一人ポツンと食ってるし、『はい二人組作ってー』なんて言われると胃が痛むけどさ。
「つまりこのゆうぎは、どれだけはいかを従えてどれだけ金品を奪略できるか、といったものなのですね」
「いや、なんか違うぞ幸村。もっと、なんつーか、平和的な感じでな……」
「なるほど、あくまでひょうめんじょうは平和なように見せかけておいて、裏では……」
「表も裏も平和だっての!!!」
幸村とそんな会話をしている内に、理科は準備を終えたようで、
「それではテストプレイしてみましょうか」
そう言って、まずは理科部でやってみることになった。
***
順番はサイコロで夜空、俺、理科、幸村となった。
「よし、じゃあ始めるか」
夜空がサイコロを振る。目は3。
止まった先のマスにはこう書いてあった。
『>>182』
182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 20:11:02.00:qpyY9gGSO (4/5)
株で失敗☆借金3億マルク
株で失敗☆借金3億マルク
183: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 20:45:28.89:3SWAkkcoo (20/23)
『株で失敗☆借金3億マルク』
夜空は破産してゲームオーバーとなった。
彼女は少し呆然とした後、
「おいコラなんだこのふざけたマスは!!!」
「いやー、ほらいきなりゲームオーバーというのもなかなかウケると思いません?」
「思わねえよ!」
俺も同じようにダメだしする。
そりゃそうだ。
せっかく友好を深めようとしているのに、開始早々脱落というのは、自分としても相手としても気まずい。
脱落者はただ他の人が楽しんでいるのを眺めて、他の人は気を使ってあまりはしゃげなくなる。
「むー、個人的には結構アリだと思ったんですけどねー。ヌルゲーじゃつまらないじゃないですか」
「このゲームの趣旨は『友達作り』だ!」
「あっ、そうでした」
理科は本気で忘れてたらしく、テヘペロする。
クリエーターというのは創作中に夢中になりすぎてしまうのだろうか。
とにかく、ここは修正箇所としてメモしておき、ゲームを続ける。
次は俺の番だ。サイコロの目は4。
そのマスに書いてあったのは――――。
『>>184』
『株で失敗☆借金3億マルク』
夜空は破産してゲームオーバーとなった。
彼女は少し呆然とした後、
「おいコラなんだこのふざけたマスは!!!」
「いやー、ほらいきなりゲームオーバーというのもなかなかウケると思いません?」
「思わねえよ!」
俺も同じようにダメだしする。
そりゃそうだ。
せっかく友好を深めようとしているのに、開始早々脱落というのは、自分としても相手としても気まずい。
脱落者はただ他の人が楽しんでいるのを眺めて、他の人は気を使ってあまりはしゃげなくなる。
「むー、個人的には結構アリだと思ったんですけどねー。ヌルゲーじゃつまらないじゃないですか」
「このゲームの趣旨は『友達作り』だ!」
「あっ、そうでした」
理科は本気で忘れてたらしく、テヘペロする。
クリエーターというのは創作中に夢中になりすぎてしまうのだろうか。
とにかく、ここは修正箇所としてメモしておき、ゲームを続ける。
次は俺の番だ。サイコロの目は4。
そのマスに書いてあったのは――――。
『>>184』
184:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 20:46:01.05:muCX0M30o (1/1)
財布を拾う
警察に届けるなら友達を一人
届けないのなら一万円貰う
財布を拾う
警察に届けるなら友達を一人
届けないのなら一万円貰う
185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/18(水) 20:46:14.22:7CUQg7k8o (1/1)
次の順番の人にキス
次の順番の人にキス
186:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県):2012/07/18(水) 20:46:42.83:Pa5NXAYn0 (1/1)
今1ユーロおよそ96円、1ユーロ1.95ドイツマルクだからキリ良く2ドイツマルクとして
1ドイツマルク48円、3億マルクだから日本円にしておよそ144億円…だと…?!
今1ユーロおよそ96円、1ユーロ1.95ドイツマルクだからキリ良く2ドイツマルクとして
1ドイツマルク48円、3億マルクだから日本円にしておよそ144億円…だと…?!
187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/18(水) 20:50:53.97:EXhLL6ER0 (1/1)
1923年ならパンも買えないな
1923年ならパンも買えないな
188: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 21:00:51.38:3SWAkkcoo (21/23)
『財布を拾う
警察に届けるなら友達を一人
届けないのなら一万円貰う』
俺は見た瞬間、
「友達だ!!」
迷いなく友達を選んだ。
シチュエーション的には、財布の落とし主と友達になったのだろうか。
「さすがあにきです、その者を利用して1万円いじょうをかせぐおつもりですか」
「ちげえよ!! 友達はなぁ……金じゃ買えねえんだよ…………!!」
「毎月1万やるから友達になってくれ、と言えば誰かなってくれそうだけどな」
「それは友達じゃねえ!!」
なんか、他の部員の反応が酷い。
お前らそれでも友達作るつもりがあるのか……。
「まぁ、確かにあのお嬢様も、お金は持ってるでしょうけど友達いないみたいですしね」
「お嬢様?」
夜空が首を傾げる。
「柏崎星奈先輩ですよ。あの人も友達いないみたいです」
「……はっ、いい気味だ!!」
「よ、夜空。お前アイツがリア充だから嫌いだったんじゃねえのかよ」
「成績優秀でスポーツ万能なお嬢様の時点で大嫌いだ!!」
ダメだこいつ。
俺が呆れて溜息をついていると、理科がサイコロを持つ。
「それでは次は理科の番ですね!!」
出た目は6。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>189』
『財布を拾う
警察に届けるなら友達を一人
届けないのなら一万円貰う』
俺は見た瞬間、
「友達だ!!」
迷いなく友達を選んだ。
シチュエーション的には、財布の落とし主と友達になったのだろうか。
「さすがあにきです、その者を利用して1万円いじょうをかせぐおつもりですか」
「ちげえよ!! 友達はなぁ……金じゃ買えねえんだよ…………!!」
「毎月1万やるから友達になってくれ、と言えば誰かなってくれそうだけどな」
「それは友達じゃねえ!!」
なんか、他の部員の反応が酷い。
お前らそれでも友達作るつもりがあるのか……。
「まぁ、確かにあのお嬢様も、お金は持ってるでしょうけど友達いないみたいですしね」
「お嬢様?」
夜空が首を傾げる。
「柏崎星奈先輩ですよ。あの人も友達いないみたいです」
「……はっ、いい気味だ!!」
「よ、夜空。お前アイツがリア充だから嫌いだったんじゃねえのかよ」
「成績優秀でスポーツ万能なお嬢様の時点で大嫌いだ!!」
ダメだこいつ。
俺が呆れて溜息をついていると、理科がサイコロを持つ。
「それでは次は理科の番ですね!!」
出た目は6。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>189』
189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/18(水) 21:01:34.36:X8uO0eE/o (3/3)
小鷹先輩とセックス(☆理科限定☆)
小鷹先輩とセックス(☆理科限定☆)
190: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 21:27:07.34:3SWAkkcoo (22/23)
『小鷹先輩とセックス(☆理科限定☆)』
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「この変態がァァ!!! こんなの無効に決まっているだろう!!!」
「ぐっへっへ……もう遅いです。さぁ小鷹先輩!!!」
顔を真っ赤にして怒る夜空を気にもとめず、よだれを垂らしながらこちらに寄ってくる理科に。
俺は自分の車に挿さっていたピンを抜いて、渡した。
「……へ?」
「このゲームじゃそれが俺だろ? 仕方ねえから、セックスでもなんでもやれよ」
「…………」
残念無念な表情でこちらを見る理科。
だが、俺は舐めていた。
こいつは、本物の変態だった。
「あっ……ああ!! こ、小鷹先輩、そんなとこ……ああんっ!!! り、理科、おかしくなっちゃいましゅううううう!!!」
な、なんかピンとピンを怪しげにすり合わせながら変なこと言ってる!!
「お、おい待て待て待て!!」
「んはぁ……!! ダメですぅ……そ、んんっ、そこは汚いからぁぁ……ぁぁああんっ!!」
「おい止めろこの変態!!///」
俺は焦り、夜空は顔を真っ赤にしている。
ちなみに幸村はいつも通りの無表情だ。
理科はもう完全にノッてしまっているようで、
「んんっ、ち、ちがっ……そっちじゃないですよぉ。ふふ、こっちです……んんっ、ああ、は、入って……小鷹先輩のが、ああんっ!!」
「分かった、俺が悪かった!! 俺が悪かったからああああああああ!!!」
結局、それから理科が元に戻るまで数分かかった。
最後の方はもうなんか、本当に聞くに耐えなかった。夜空なんか耳塞いでたし。
「それでは、次はわたくしですね」
そう言ってサイコロを持つ幸村。
俺と夜空はもう疲れきっていて、ろくに反応もできない。
サイコロの目は2。
マスに書いてあった言葉は――――。
『>>191』
『小鷹先輩とセックス(☆理科限定☆)』
「キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」
「この変態がァァ!!! こんなの無効に決まっているだろう!!!」
「ぐっへっへ……もう遅いです。さぁ小鷹先輩!!!」
顔を真っ赤にして怒る夜空を気にもとめず、よだれを垂らしながらこちらに寄ってくる理科に。
俺は自分の車に挿さっていたピンを抜いて、渡した。
「……へ?」
「このゲームじゃそれが俺だろ? 仕方ねえから、セックスでもなんでもやれよ」
「…………」
残念無念な表情でこちらを見る理科。
だが、俺は舐めていた。
こいつは、本物の変態だった。
「あっ……ああ!! こ、小鷹先輩、そんなとこ……ああんっ!!! り、理科、おかしくなっちゃいましゅううううう!!!」
な、なんかピンとピンを怪しげにすり合わせながら変なこと言ってる!!
「お、おい待て待て待て!!」
「んはぁ……!! ダメですぅ……そ、んんっ、そこは汚いからぁぁ……ぁぁああんっ!!」
「おい止めろこの変態!!///」
俺は焦り、夜空は顔を真っ赤にしている。
ちなみに幸村はいつも通りの無表情だ。
理科はもう完全にノッてしまっているようで、
「んんっ、ち、ちがっ……そっちじゃないですよぉ。ふふ、こっちです……んんっ、ああ、は、入って……小鷹先輩のが、ああんっ!!」
「分かった、俺が悪かった!! 俺が悪かったからああああああああ!!!」
結局、それから理科が元に戻るまで数分かかった。
最後の方はもうなんか、本当に聞くに耐えなかった。夜空なんか耳塞いでたし。
「それでは、次はわたくしですね」
そう言ってサイコロを持つ幸村。
俺と夜空はもう疲れきっていて、ろくに反応もできない。
サイコロの目は2。
マスに書いてあった言葉は――――。
『>>191』
191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/18(水) 21:28:33.74:3k/rLpbAO (2/2)
三マス戻る
三マス戻る
192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 21:28:38.94:r5F5a7LTo (6/7)
スク水に着替えて艶かしいポーズをとる
スク水に着替えて艶かしいポーズをとる
193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/18(水) 21:31:30.11:r5F5a7LTo (7/7)
畜生あと5秒早ければ…
畜生あと5秒早ければ…
194: ◆0WipXNi8qk:2012/07/18(水) 21:52:32.88:3SWAkkcoo (23/23)
『三マス戻る』
「……おい、理科。ここミスだろ。まだ二マス目なのに三マス戻るってなんだよ」
「いえ、あってますよ。実はここのボタンを押せば……」
理科がボタンを押すと、なんとスタート地点から新たに伸びる道が現れた。
「おおっ、何だよこれ裏面ってやつか?」
「えぇ、ゲームには付き物でしょう!」
「やっぱ分かってんなお前!」
確かにゲームで裏面というのはワクワクするものだ。
俺は珍しく理科に感心するが、夜空や幸村はよく分かっていないようだ。
「では、わたくしはこちらへ進めばよいのですか?」
「はいっ! ふふ、通常ルートが普通の学園生活であるのに対して、こっちは闇のゲームですよ……!」
まるでどっかのカードゲーム漫画のように話す理科。
見てみると、確かに全体的に暗い雰囲気の絵柄だ。
幸村が止まったマスを見ると、
『ヤクザの世界に入る』
とだけ書いてあった。
……ヤクザってもはや友達作りとかそういう問題じゃなくね?
確か兄弟とかっていうんじゃなかったっけ。
***
そんなこんなでゲームを続ける三人。
すぐに脱落してしまった夜空はただ見ているだけでつまらなそうだが。
最初こそアレなマスばかりだったが、次第に落ち着いていき、今では普通に楽しめるくらいにはなっていた。
みんなお金は1万円を越え、友達も5人以上いる。
幸村なんか所持金が50万を超えてインフレが激しい。
夜空は小さく舌打ちして、
「なんだこのリア充どもは」
「ゲームの中にまでキレるなよ……」
俺はドン引きしながら、サイコロを振る。
出た目は5。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>195』
『三マス戻る』
「……おい、理科。ここミスだろ。まだ二マス目なのに三マス戻るってなんだよ」
「いえ、あってますよ。実はここのボタンを押せば……」
理科がボタンを押すと、なんとスタート地点から新たに伸びる道が現れた。
「おおっ、何だよこれ裏面ってやつか?」
「えぇ、ゲームには付き物でしょう!」
「やっぱ分かってんなお前!」
確かにゲームで裏面というのはワクワクするものだ。
俺は珍しく理科に感心するが、夜空や幸村はよく分かっていないようだ。
「では、わたくしはこちらへ進めばよいのですか?」
「はいっ! ふふ、通常ルートが普通の学園生活であるのに対して、こっちは闇のゲームですよ……!」
まるでどっかのカードゲーム漫画のように話す理科。
見てみると、確かに全体的に暗い雰囲気の絵柄だ。
幸村が止まったマスを見ると、
『ヤクザの世界に入る』
とだけ書いてあった。
……ヤクザってもはや友達作りとかそういう問題じゃなくね?
確か兄弟とかっていうんじゃなかったっけ。
***
そんなこんなでゲームを続ける三人。
すぐに脱落してしまった夜空はただ見ているだけでつまらなそうだが。
最初こそアレなマスばかりだったが、次第に落ち着いていき、今では普通に楽しめるくらいにはなっていた。
みんなお金は1万円を越え、友達も5人以上いる。
幸村なんか所持金が50万を超えてインフレが激しい。
夜空は小さく舌打ちして、
「なんだこのリア充どもは」
「ゲームの中にまでキレるなよ……」
俺はドン引きしながら、サイコロを振る。
出た目は5。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>195』
195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/18(水) 21:53:58.35:qpyY9gGSO (5/5)
酒呑んで暴れる。友達2人減る
酒呑んで暴れる。友達2人減る
196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/18(水) 21:55:05.01:gGp6Q7iAo (1/1)
ほかのプレイヤーから1万カツアゲ
周りにばれて友達が一人に
ほかのプレイヤーから1万カツアゲ
周りにばれて友達が一人に
197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/18(水) 23:35:33.19:FE5PJvMR0 (1/1)
幸村がヤーさんの世界で出世してる!?
幸村がヤーさんの世界で出世してる!?
198: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 00:18:25.87:6TwGpxhro (1/12)
「ぐっ……!!」
俺は車に挿してあるピンを2本抜く。
ごめんな、明博、友和…………。
「うわー、酒乱ですか先輩。結婚したくない男のタイプですね」
「俺は酒弱くねえって」
「なんだ小鷹、その飲み慣れているような発言は」
「それはもちろん、あにきはよるのていおうとも呼ばれるお方ですから」
「呼ばれてねえよ!! 父さんによく付き合わされたんだよ」
聞いた話によると父さんだけでなく死んだ母さんも相当強かったらしく、これはもう遺伝というやつだろう。
といっても、小鳩が酒に強そうなイメージはわかないのだが。
「ほうほう、では今度みんなでお酒でも飲んでみます? なんだかリア充みたいじゃないですか!」
「バカを言うな。そんなの見つかったら一発で廃部だろう」
「ですよねー」
理科部のメンバーが酒を飲んだ時のことを想像してみる。
……たぶん幸村はすぐ寝てしまうタイプではないだろうか。
だが、夜空と理科は面倒くさそうだ。特に理科。
「それでは、次は理科の番ですね!」
理科がサイコロを振る。出た目は1。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>199』
「ぐっ……!!」
俺は車に挿してあるピンを2本抜く。
ごめんな、明博、友和…………。
「うわー、酒乱ですか先輩。結婚したくない男のタイプですね」
「俺は酒弱くねえって」
「なんだ小鷹、その飲み慣れているような発言は」
「それはもちろん、あにきはよるのていおうとも呼ばれるお方ですから」
「呼ばれてねえよ!! 父さんによく付き合わされたんだよ」
聞いた話によると父さんだけでなく死んだ母さんも相当強かったらしく、これはもう遺伝というやつだろう。
といっても、小鳩が酒に強そうなイメージはわかないのだが。
「ほうほう、では今度みんなでお酒でも飲んでみます? なんだかリア充みたいじゃないですか!」
「バカを言うな。そんなの見つかったら一発で廃部だろう」
「ですよねー」
理科部のメンバーが酒を飲んだ時のことを想像してみる。
……たぶん幸村はすぐ寝てしまうタイプではないだろうか。
だが、夜空と理科は面倒くさそうだ。特に理科。
「それでは、次は理科の番ですね!」
理科がサイコロを振る。出た目は1。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>199』
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 00:20:03.59:lJEvYtBro (1/4)
ゲームオーバーになった人を1人だけ復活させれる
ゲームオーバーになった人を1人だけ復活させれる
200: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 00:43:05.24:6TwGpxhro (2/12)
『ゲームオーバーになった人を1人だけ復活させれる』
「ッ!!」
これに真っ先に反応したのはもちろん夜空だ。
「えー、理科にメリットないじゃないですかー」
「ふふふ、まぁ私がリタイアしたままであるはずがないな」
「でもこれって任意ですから別に夜空先輩を復活させなくてもいいんですよね」
「な、なに!?」
夜空が慌てる。
「だってー、なんでわざわざ敵増やさなきゃいけないんですかー」
「き、貴様が考えたマスだろう!!」
「まぁそれはそうなんですけど……あっ、そうだ」
理科は何かを思いついたようだ。
「では取引をしましょう先輩。友達を一人ください」
「なっ……!!」
夜空がゲームオーバーになった原因は破産だ。
復活する場合は、どうやら100円の状態から始めるようだが、友達は変わらないので初期の2人のままだ。
そして、このゲームはプレイヤー間でも友達や金のやりとりも認められている。
「ほらほら、いいでしょう友達の一人くらい~。売ってくださいよー」
「ぐぅっ…!!」
「ふふふ、それでいいんです」
夜空がピンを一本渡すと、理科は満足気に微笑む。
なんか端から聞くと、とんでもない会話だな。
そうやって、夜空は復活した。
しかし、株であんだけ借金して、どんな手を使えば復活できるのだろうか。
「では、次はわたくしですね」
幸村がサイコロを振ると、出た目は3。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>201』
『ゲームオーバーになった人を1人だけ復活させれる』
「ッ!!」
これに真っ先に反応したのはもちろん夜空だ。
「えー、理科にメリットないじゃないですかー」
「ふふふ、まぁ私がリタイアしたままであるはずがないな」
「でもこれって任意ですから別に夜空先輩を復活させなくてもいいんですよね」
「な、なに!?」
夜空が慌てる。
「だってー、なんでわざわざ敵増やさなきゃいけないんですかー」
「き、貴様が考えたマスだろう!!」
「まぁそれはそうなんですけど……あっ、そうだ」
理科は何かを思いついたようだ。
「では取引をしましょう先輩。友達を一人ください」
「なっ……!!」
夜空がゲームオーバーになった原因は破産だ。
復活する場合は、どうやら100円の状態から始めるようだが、友達は変わらないので初期の2人のままだ。
そして、このゲームはプレイヤー間でも友達や金のやりとりも認められている。
「ほらほら、いいでしょう友達の一人くらい~。売ってくださいよー」
「ぐぅっ…!!」
「ふふふ、それでいいんです」
夜空がピンを一本渡すと、理科は満足気に微笑む。
なんか端から聞くと、とんでもない会話だな。
そうやって、夜空は復活した。
しかし、株であんだけ借金して、どんな手を使えば復活できるのだろうか。
「では、次はわたくしですね」
幸村がサイコロを振ると、出た目は3。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>201』
201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 00:46:19.36:obYOzuGSO (1/7)
連帯保証人になります。誰か選択して。今後その人が借金できたら貴方が支払います
連帯保証人になります。誰か選択して。今後その人が借金できたら貴方が支払います
202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/19(木) 00:59:02.45:lJEvYtBro (2/4)
なんという恐ろしいゲーム
銀次郎が作ったかのような盤面だ
なんという恐ろしいゲーム
銀次郎が作ったかのような盤面だ
203: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 01:15:11.83:6TwGpxhro (3/12)
『連帯保証人になります。誰か選択して。今後その人が借金できたら貴方が支払います』
「もちろん、あにきです」
幸村は少しも考える素振りを見せずにそう言った。
ていうかヤクザが連帯保証人ってなんかおかしくないか。
「お、おう、サンキュ」
「いえいえ、しゃていとしてとうぜんですから」
ちなみにこのゲームでは幸村はもはやヤクザの幹部クラスにまで昇進している。
……そんな奴の兄貴が普通の高校生活送ってるってどうよ。
なんか設定的にはドラマとかにありそうな気もするが。
「ぐっ……幸村! 財政的には私のほうがピンチだぞ!」
「二君に仕えるのはもののふにあるまじきことです」
「さすが小鷹先輩。友達はいませんけど、人をパシリにするのがお上手ですね」
「んな事ねえよ!!」
俺は失礼な物言いに反論する。
「つーか幸村。一応言っておくけど、現実ではこういう連帯保証人とかには絶対なったりするなよ?」
「あにきならば問題ないです。わたくしは、あにきのお役に立てるだけで嬉しいのです」
そうやって可憐に微笑む幸村に。
俺は少し、見惚れてしまった。
いやいやこいつは男……じゃねえんだ。
それならドキドキしても問題ないじゃねえか、うんうん!
「むっ……」
「ふーん……」
なんか夜空と理科に睨まれた。
***
その後、ゲームは終盤にさしかかり、いよいよゴールが見えてきた。
一位はおそらく幸村になるだろう。今や組のボスで、金も友達(ていうか部下?)も俺達と比べ物にならない。
ていうか、これ絶対裏面行った奴が勝つ……ゲームバランス悪すぎだろう。
ちなみに幸村は、「この者達はみなあにきのしゃていです」とか言いながら友達を渡そうとしてきたが、それは断っておいた。
「……とりあえずビリだけは避けたいな」
「えぇ、なんかゲームでも友達居ないってなんかアレですからね」
次は夜空の番で、サイコロを握る。
終盤になって、マスの効果も厳しいものが増え、一発で命取りになるようなものも増えてきた。
夜空はサイコロを振る。出た目は6。
序盤で一度ゲームオーバーになった影響もあって、俺達よりは少し後ろにいるのでこれは嬉しいのではないか。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>204』
『連帯保証人になります。誰か選択して。今後その人が借金できたら貴方が支払います』
「もちろん、あにきです」
幸村は少しも考える素振りを見せずにそう言った。
ていうかヤクザが連帯保証人ってなんかおかしくないか。
「お、おう、サンキュ」
「いえいえ、しゃていとしてとうぜんですから」
ちなみにこのゲームでは幸村はもはやヤクザの幹部クラスにまで昇進している。
……そんな奴の兄貴が普通の高校生活送ってるってどうよ。
なんか設定的にはドラマとかにありそうな気もするが。
「ぐっ……幸村! 財政的には私のほうがピンチだぞ!」
「二君に仕えるのはもののふにあるまじきことです」
「さすが小鷹先輩。友達はいませんけど、人をパシリにするのがお上手ですね」
「んな事ねえよ!!」
俺は失礼な物言いに反論する。
「つーか幸村。一応言っておくけど、現実ではこういう連帯保証人とかには絶対なったりするなよ?」
「あにきならば問題ないです。わたくしは、あにきのお役に立てるだけで嬉しいのです」
そうやって可憐に微笑む幸村に。
俺は少し、見惚れてしまった。
いやいやこいつは男……じゃねえんだ。
それならドキドキしても問題ないじゃねえか、うんうん!
「むっ……」
「ふーん……」
なんか夜空と理科に睨まれた。
***
その後、ゲームは終盤にさしかかり、いよいよゴールが見えてきた。
一位はおそらく幸村になるだろう。今や組のボスで、金も友達(ていうか部下?)も俺達と比べ物にならない。
ていうか、これ絶対裏面行った奴が勝つ……ゲームバランス悪すぎだろう。
ちなみに幸村は、「この者達はみなあにきのしゃていです」とか言いながら友達を渡そうとしてきたが、それは断っておいた。
「……とりあえずビリだけは避けたいな」
「えぇ、なんかゲームでも友達居ないってなんかアレですからね」
次は夜空の番で、サイコロを握る。
終盤になって、マスの効果も厳しいものが増え、一発で命取りになるようなものも増えてきた。
夜空はサイコロを振る。出た目は6。
序盤で一度ゲームオーバーになった影響もあって、俺達よりは少し後ろにいるのでこれは嬉しいのではないか。
止まったマスに書いてあったのは――――。
『>>204』
204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 01:18:13.96:idSwXnhIO (1/1)
全員振り出しに戻る
全員振り出しに戻る
205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 01:18:20.74:obYOzuGSO (2/7)
復讐タイム。今まできっと物凄くひどい目にあった人もいるでしょう。誰か指定してください。最下位の人の友達と財産を交換できます
復讐タイム。今まできっと物凄くひどい目にあった人もいるでしょう。誰か指定してください。最下位の人の友達と財産を交換できます
206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/19(木) 01:26:47.33:lJEvYtBro (3/4)
ゲームが終わらねぇww
ゲームが終わらねぇww
207: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 01:37:06.50:6TwGpxhro (4/12)
『全員振り出しに戻る』
「なぁ、理科。俺は一つお前に言いたいことがある」
「奇遇だな、小鷹。私もだ」
「は、はい……?」
ゴゴゴゴ……と。
何か黒いオーラをまとう俺と夜空。
そして。
「「 お 前 バ カ だ ろ !!!」」
結局、その後も散々グダグダになったので、途中でやめてしまった。
なんかもう、クソゲーにも程が有るというか、ゲームとして根本的に何か間違っているような。
これは改良とかそういうレベルじゃなかった。
そんな評価を下したら、さすがの理科も凹んだのか、準備室にこもってしまった。
「……まぁ何にせよ、これをクラスで出さなくてよかったな」
「あぁ……それが唯一の救いだな」
そんなこんなで今日の活動はお開きとなった。
***
理科室を出た俺は、これからどうするか少し考える。
時間はまだそれほど経っていない。今日はゲームを一つやったくらいだからだ。
小鳩のためにちょっと凝った料理でも作るか。それとも図書室で勉強でもするか。
どうする? >>208
『全員振り出しに戻る』
「なぁ、理科。俺は一つお前に言いたいことがある」
「奇遇だな、小鷹。私もだ」
「は、はい……?」
ゴゴゴゴ……と。
何か黒いオーラをまとう俺と夜空。
そして。
「「 お 前 バ カ だ ろ !!!」」
結局、その後も散々グダグダになったので、途中でやめてしまった。
なんかもう、クソゲーにも程が有るというか、ゲームとして根本的に何か間違っているような。
これは改良とかそういうレベルじゃなかった。
そんな評価を下したら、さすがの理科も凹んだのか、準備室にこもってしまった。
「……まぁ何にせよ、これをクラスで出さなくてよかったな」
「あぁ……それが唯一の救いだな」
そんなこんなで今日の活動はお開きとなった。
***
理科室を出た俺は、これからどうするか少し考える。
時間はまだそれほど経っていない。今日はゲームを一つやったくらいだからだ。
小鳩のためにちょっと凝った料理でも作るか。それとも図書室で勉強でもするか。
どうする? >>208
208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/19(木) 01:39:18.79:lJEvYtBro (4/4)
部員を家に誘って飯を作って友達とのパーティをする練習をやってみる
部員を家に誘って飯を作って友達とのパーティをする練習をやってみる
209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 01:39:48.39:obYOzuGSO (3/7)
ちょっと面白そうな実験でもやってみるか
ちょっと面白そうな実験でもやってみるか
210: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 02:15:37.15:6TwGpxhro (5/12)
「なぁ、今日ウチ来て遊ぼうぜ! 飯も食ってけよ!」
「おう、行く行く!」
そんな事を話している生徒を見て。
「……そっか。友達ができるとそういう事もあるよな…………」
俺はもちろん家に誰かを読んだことがない。
友達居ないし。
だが、いざという時のためにその練習は必要なのかもしれない。
「……よしっ!」
俺は元来た道を引き返す。
***
「なっ……小鷹の家……だと!?」
「あぁ。ほら友達ができたらきっとウチで遊ぶこともあるだろ? その練習でさ!」
「行きます行きます行かせてもらいます!!!」
「わたくしもよろこんで」
鼻息あらく食いついたのは理科。
幸村も嬉しそうににっこりと微笑んでいる。
一方で夜空は顔を真っ赤にしてうろたえている。
「で、でも、その、家の人に悪いだろう……」
「あぁ、安心しろよ。俺と妹の二人暮らしだから」
「そ、そうなのか。ふ、ふむ……」
「ふふ、夜空先輩だって行きたいんでしょ!?」
「ぶっ、なっ、そ、そういうわけじゃ……ッ!!」
真っ赤になって否定する夜空。
「あー、まぁでも、確かに女の子は男の家に行くってのは抵抗あるのかもな」
「えっ!? あ、いやいや、そんな事は思っていないぞ!! 私は小鷹の事を信用しているからな!!」
「お、おう……その、サンキュ」
「……あっ!///」
自分で言ったことが恥ずかしくなったのか、夜空は俯いていしまう。
いや、俺も正直ドキッとしたけどさ。
「もう面倒くさいですね夜空先輩は!! 行くってことでいいじゃないですか!!」
「……そ、そうだな。それでは、その、お邪魔することにしようか」
そんなわけで、理科部全員でウチで遊ぶことになった。
「なぁ、今日ウチ来て遊ぼうぜ! 飯も食ってけよ!」
「おう、行く行く!」
そんな事を話している生徒を見て。
「……そっか。友達ができるとそういう事もあるよな…………」
俺はもちろん家に誰かを読んだことがない。
友達居ないし。
だが、いざという時のためにその練習は必要なのかもしれない。
「……よしっ!」
俺は元来た道を引き返す。
***
「なっ……小鷹の家……だと!?」
「あぁ。ほら友達ができたらきっとウチで遊ぶこともあるだろ? その練習でさ!」
「行きます行きます行かせてもらいます!!!」
「わたくしもよろこんで」
鼻息あらく食いついたのは理科。
幸村も嬉しそうににっこりと微笑んでいる。
一方で夜空は顔を真っ赤にしてうろたえている。
「で、でも、その、家の人に悪いだろう……」
「あぁ、安心しろよ。俺と妹の二人暮らしだから」
「そ、そうなのか。ふ、ふむ……」
「ふふ、夜空先輩だって行きたいんでしょ!?」
「ぶっ、なっ、そ、そういうわけじゃ……ッ!!」
真っ赤になって否定する夜空。
「あー、まぁでも、確かに女の子は男の家に行くってのは抵抗あるのかもな」
「えっ!? あ、いやいや、そんな事は思っていないぞ!! 私は小鷹の事を信用しているからな!!」
「お、おう……その、サンキュ」
「……あっ!///」
自分で言ったことが恥ずかしくなったのか、夜空は俯いていしまう。
いや、俺も正直ドキッとしたけどさ。
「もう面倒くさいですね夜空先輩は!! 行くってことでいいじゃないですか!!」
「……そ、そうだな。それでは、その、お邪魔することにしようか」
そんなわけで、理科部全員でウチで遊ぶことになった。
211: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 02:17:48.89:6TwGpxhro (6/12)
***
「あんちゃんのあほあほあほあほあほーっ!!!!!」
俺と理科部の部員が家に入ると、小鳩が涙目で叫んだ。
いきなりの事に、俺は目を丸くしてキョトンとするしかない。
「……先輩、幼女監禁は良くないと思います」
「んな事してねえ!! 妹の小鳩だっての!! ていうかお前わざとだろ……」
理科は一度小鳩にも会っているので、知らないわけがない。
「ほう、小鷹の妹か」
「あにきの妹君……なんなりと申し付けください」
「じゃあ、今すぐ出てってほしいけん!!」
「分かりました」
「待て待て待て!!」
従順に家から立ち去ろうとする幸村を、俺は慌てて引き止める。
「お、おい、どうしたんだよ小鳩。あのな、この人達は部員の……」
「そんなん知らんわぁ! ウチが嫌なんじゃ! だいたい、あんちゃんはいつもいつも家でも部活の話ばっかりで…………」
「ははーん、ブラコンってやつですか」
「ぶ、ブラコンちゃうわぁ!!!/// てかあんだは前に来とったやろウチに!!」
「なっ、どういう事だ理科!!」
「……ふふ、実は先輩の停学中に愛の確認を…………」
「小鷹!!!!!」
「んな事してねえって! てか余計な面倒増やすなっての!」
とにかく今は、小鳩の方を何とかするのが先だろう。
「なぁ、小鳩。別にいいじゃねえか、な?」
「や!!」
ダメだ。どうやら一筋縄ではいかない様だ。
どうする? >>212
***
「あんちゃんのあほあほあほあほあほーっ!!!!!」
俺と理科部の部員が家に入ると、小鳩が涙目で叫んだ。
いきなりの事に、俺は目を丸くしてキョトンとするしかない。
「……先輩、幼女監禁は良くないと思います」
「んな事してねえ!! 妹の小鳩だっての!! ていうかお前わざとだろ……」
理科は一度小鳩にも会っているので、知らないわけがない。
「ほう、小鷹の妹か」
「あにきの妹君……なんなりと申し付けください」
「じゃあ、今すぐ出てってほしいけん!!」
「分かりました」
「待て待て待て!!」
従順に家から立ち去ろうとする幸村を、俺は慌てて引き止める。
「お、おい、どうしたんだよ小鳩。あのな、この人達は部員の……」
「そんなん知らんわぁ! ウチが嫌なんじゃ! だいたい、あんちゃんはいつもいつも家でも部活の話ばっかりで…………」
「ははーん、ブラコンってやつですか」
「ぶ、ブラコンちゃうわぁ!!!/// てかあんだは前に来とったやろウチに!!」
「なっ、どういう事だ理科!!」
「……ふふ、実は先輩の停学中に愛の確認を…………」
「小鷹!!!!!」
「んな事してねえって! てか余計な面倒増やすなっての!」
とにかく今は、小鳩の方を何とかするのが先だろう。
「なぁ、小鳩。別にいいじゃねえか、な?」
「や!!」
ダメだ。どうやら一筋縄ではいかない様だ。
どうする? >>212
212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 02:19:49.47:obYOzuGSO (4/7)
よし、皆で闇鍋ぱーちーしてこいつらのよさを知ってもらうか
よし、皆で闇鍋ぱーちーしてこいつらのよさを知ってもらうか
213: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 02:37:34.07:6TwGpxhro (7/12)
ダメだ眠いお休み
ダメだ眠いお休み
214:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 02:40:53.33:obYOzuGSO (5/7)
>>1乙
>>1乙
215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 04:21:31.29:3gSt1gMR0 (1/1)
やっぱ理科が一番可愛い。理科ルートで
やっぱ理科が一番可愛い。理科ルートで
216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 11:12:32.63:1iShv4HIO (1/3)
理科と星奈の両手に花ルートを狙おう
理科と星奈の両手に花ルートを狙おう
217:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 12:12:10.82:obYOzuGSO (6/7)
もういっそ全員でいいんじゃないかな
もういっそ全員でいいんじゃないかな
218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 12:34:50.93:gIR0CdXAO (1/1)
幸村を舎弟から嫁にするのがいいんじゃないかよ
幸村を舎弟から嫁にするのがいいんじゃないかよ
219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 12:41:05.09:s8YPHs4No (1/1)
星奈をはやく理科部に入れたいな
星奈をはやく理科部に入れたいな
220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/19(木) 13:57:15.58:ZYSP2qVH0 (1/1)
やっぱはがないだと、理科が一番
やっぱはがないだと、理科が一番
221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/19(木) 16:42:20.25:Fqan8h2Ro (1/1)
星奈はあの拷問で理科部が軽くトラウマになってるだろw
星奈はあの拷問で理科部が軽くトラウマになってるだろw
222: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 20:02:05.59:6TwGpxhro (8/12)
「そ、そうだ、みんなで鍋やらねえか!?」
「鍋っ!?」
即座に小鳩が目を輝かせて食いつく。
食べ物で釣ろうという作戦だ。
最近はあまり凝ったものも作れていないので、余計に効果がありそうだ。
「ほら、鍋って二人じゃなかなかやらねえじゃん。この機会にさ」
「……う、うぅ…………」
小鳩は目を泳がす。
おそらくかなり揺れているのだろう。
もうひと押しだ。
「実は鍋といったらずっと考えてた特製スープがあってなー。あれは旨いだろうなー」
「……うぅぅぅぅうう!!!」
「まぁでも、小鳩が嫌なんじゃ仕方ない――」
「食べる!!!」
よし、勝った。
「ふむ、鍋か。確かに友達同士で食べる時の練習をするのはいいかもしれないな」
「理科も小鷹先輩のお鍋食べてみたいです!! あと小鷹先輩も食べてみたいです!!!」
「あにきのりょうりを頂けるなんて……これいじょうのしあわせはありません」
よし、理科部のメンバーもみんな賛成のようだ。
と、俺がほっと一息ついた時。
「――そういえば、リア充はただの鍋ではなく、闇鍋というものをするらしいぞ」
そんな事を夜空が言った。
「あ、理科も聞いたことあります! それぞれ好きなモノを鍋に入れて食べるんですよね!」
「なるほど、闇鍋か……ちょっと面白そうだな」
「ククク……闇というのが実に我に合っておる」
「ときに未知のものにてを伸ばす。さすがあにきです」
そんなわけで、俺達は普通の鍋ではなく闇鍋を試してみることにした。
全員、闇鍋という話には聞いていた楽しげなものに期待し、テンションも上がって笑顔になっていた。
この時点では。
***
さっそく全員で近くのスーパーに買い出しに行く。
誰が何を入れるのか分かってしまうとつまらないので、一人ずつだ。
闇鍋用に買ったものは?
小鷹→>>223
理科→>>224
夜空→>>225
幸村→>>226
小鳩→>>227
「そ、そうだ、みんなで鍋やらねえか!?」
「鍋っ!?」
即座に小鳩が目を輝かせて食いつく。
食べ物で釣ろうという作戦だ。
最近はあまり凝ったものも作れていないので、余計に効果がありそうだ。
「ほら、鍋って二人じゃなかなかやらねえじゃん。この機会にさ」
「……う、うぅ…………」
小鳩は目を泳がす。
おそらくかなり揺れているのだろう。
もうひと押しだ。
「実は鍋といったらずっと考えてた特製スープがあってなー。あれは旨いだろうなー」
「……うぅぅぅぅうう!!!」
「まぁでも、小鳩が嫌なんじゃ仕方ない――」
「食べる!!!」
よし、勝った。
「ふむ、鍋か。確かに友達同士で食べる時の練習をするのはいいかもしれないな」
「理科も小鷹先輩のお鍋食べてみたいです!! あと小鷹先輩も食べてみたいです!!!」
「あにきのりょうりを頂けるなんて……これいじょうのしあわせはありません」
よし、理科部のメンバーもみんな賛成のようだ。
と、俺がほっと一息ついた時。
「――そういえば、リア充はただの鍋ではなく、闇鍋というものをするらしいぞ」
そんな事を夜空が言った。
「あ、理科も聞いたことあります! それぞれ好きなモノを鍋に入れて食べるんですよね!」
「なるほど、闇鍋か……ちょっと面白そうだな」
「ククク……闇というのが実に我に合っておる」
「ときに未知のものにてを伸ばす。さすがあにきです」
そんなわけで、俺達は普通の鍋ではなく闇鍋を試してみることにした。
全員、闇鍋という話には聞いていた楽しげなものに期待し、テンションも上がって笑顔になっていた。
この時点では。
***
さっそく全員で近くのスーパーに買い出しに行く。
誰が何を入れるのか分かってしまうとつまらないので、一人ずつだ。
闇鍋用に買ったものは?
小鷹→>>223
理科→>>224
夜空→>>225
幸村→>>226
小鳩→>>227
223:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/19(木) 20:06:57.32:lXpjdm6F0 (1/3)
白菜
白菜
224:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/19(木) 20:08:20.01:/Vddm0nAO (1/2)
ウインナー
ウインナー
225:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/19(木) 20:09:01.90:SgyGjjxLo (1/1)
星奈
星奈
226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/19(木) 20:12:54.45:zz8Onaydo (1/2)
たくあん
たくあん
227:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/19(木) 20:14:31.55:dWTI+c4p0 (1/1)
牛肉
牛肉
228:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/19(木) 20:16:50.83:ZGEPMK360 (1/1)
これ大丈夫そうだぞ
これ大丈夫そうだぞ
229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/19(木) 20:17:31.50:lXpjdm6F0 (2/3)
夜空以外普通のもん持ってきたな
夜空以外普通のもん持ってきたな
230:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/19(木) 20:17:49.24:zz8Onaydo (2/2)
案外普通の鍋になったな
案外普通の鍋になったな
231:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/19(木) 20:53:24.86:TV+DrnBKo (1/3)
夜空さんの安定感パネェww
夜空さんの安定感パネェww
232:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/19(木) 21:26:17.03:OoZEYGDdo (1/2)
理科と夜空がなんかアレだな
理科と夜空がなんかアレだな
233: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 21:41:47.58:6TwGpxhro (9/12)
***
こうして思い思いのものを買って、俺達は羽瀬川家へ戻ってきた。
そして俺は突っ込む。
「 お 前 何 買 っ て き た の !?」
俺の視線の先にいるのは夜空だ。
そして彼女の足元。
そこには巨大な黒いビニール袋が置かれていた。
「ふふ、それを言ってしまったらつまらないだろう?」
口元に、それは楽しそうな笑みを浮かべて答える夜空。
なんかすっごく嫌な予感がする。
ここまで運ぶのに台車を使っていた所を見ても、重量もかなりあるのだろう。
小鳩はそれを見て、芝居がかった笑みを浮かべる。
「ククク、人肉は我の好物だ。良く分かっておるな」
「おぉ、それは良かった。存分に食ってくれ」
「お前らな……」
俺は何やらノリノリな小鳩と夜空に溜息をつく。
「まぁいいや。じゃあとりあえずスープ作りだな。やっぱ真っ黒なの用意したほうがいいのか?」
「んー、闇鍋なんだからそうなんじゃないですかね」
「我が眷属よ。黒は全ての基本となる色だぞ」
「……はっ、すみませんあにき。墨汁をかうのをわすれてしまいました」
「それじゃ食えねえだろ……まぁそこら辺は考えておいたから大丈夫だよ」
一応さっきの買い物で、俺は闇鍋に入れる白菜の他にイカスミや黒胡麻など、スープ用のものも買っておいた。
これで黒いスープは何とか作れるのではないか。もちろん初挑戦だけど。
「あ、小鷹。私の食材は大きいから普通の大きさの鍋ではダメだぞ」
「……そんなもん入る鍋はねえよ」
「じゃあ理科が大鍋でも持ってきましょうか?」
なんか料理から離れてきている気がしたが、考えないことにした。
そして数十分後。
「……結構いけんじゃねこれ」
俺が作ったのは、イカスミと黒胡麻をベースとした、魚介類のダシがきいたちょっとピリ辛スープだった。
味見をしてみると、我ながらかなり美味しいと思う。
レシピを考えるのはそれ程難しくはなかったのだが、問題はその量だった。
理科が持ってきた大鍋は、それこそ人一人が入れる程の大きさだ。
なんかもう料理というか黒魔術でもやっているかのような気分になる。
とりあえずそれをリビングまで持って行くと、一斉にみんなが反応した。
「ほう、人間長所の一つはあるんだな」
「先輩、結婚しましょう! お嫁に来てください!!」
「さすが孤高のおとこです。これならばひとりでもじゅうぶんいきてゆけます。わたくしも料理をまなぶべきでしょうか」
「ククク、まぁまぁ、といったところか。これに満足せずに精進せよ我が眷属よ」
なんか素直に喜べないものが多い気がするが、一応は褒められているのだろう。
***
こうして思い思いのものを買って、俺達は羽瀬川家へ戻ってきた。
そして俺は突っ込む。
「 お 前 何 買 っ て き た の !?」
俺の視線の先にいるのは夜空だ。
そして彼女の足元。
そこには巨大な黒いビニール袋が置かれていた。
「ふふ、それを言ってしまったらつまらないだろう?」
口元に、それは楽しそうな笑みを浮かべて答える夜空。
なんかすっごく嫌な予感がする。
ここまで運ぶのに台車を使っていた所を見ても、重量もかなりあるのだろう。
小鳩はそれを見て、芝居がかった笑みを浮かべる。
「ククク、人肉は我の好物だ。良く分かっておるな」
「おぉ、それは良かった。存分に食ってくれ」
「お前らな……」
俺は何やらノリノリな小鳩と夜空に溜息をつく。
「まぁいいや。じゃあとりあえずスープ作りだな。やっぱ真っ黒なの用意したほうがいいのか?」
「んー、闇鍋なんだからそうなんじゃないですかね」
「我が眷属よ。黒は全ての基本となる色だぞ」
「……はっ、すみませんあにき。墨汁をかうのをわすれてしまいました」
「それじゃ食えねえだろ……まぁそこら辺は考えておいたから大丈夫だよ」
一応さっきの買い物で、俺は闇鍋に入れる白菜の他にイカスミや黒胡麻など、スープ用のものも買っておいた。
これで黒いスープは何とか作れるのではないか。もちろん初挑戦だけど。
「あ、小鷹。私の食材は大きいから普通の大きさの鍋ではダメだぞ」
「……そんなもん入る鍋はねえよ」
「じゃあ理科が大鍋でも持ってきましょうか?」
なんか料理から離れてきている気がしたが、考えないことにした。
そして数十分後。
「……結構いけんじゃねこれ」
俺が作ったのは、イカスミと黒胡麻をベースとした、魚介類のダシがきいたちょっとピリ辛スープだった。
味見をしてみると、我ながらかなり美味しいと思う。
レシピを考えるのはそれ程難しくはなかったのだが、問題はその量だった。
理科が持ってきた大鍋は、それこそ人一人が入れる程の大きさだ。
なんかもう料理というか黒魔術でもやっているかのような気分になる。
とりあえずそれをリビングまで持って行くと、一斉にみんなが反応した。
「ほう、人間長所の一つはあるんだな」
「先輩、結婚しましょう! お嫁に来てください!!」
「さすが孤高のおとこです。これならばひとりでもじゅうぶんいきてゆけます。わたくしも料理をまなぶべきでしょうか」
「ククク、まぁまぁ、といったところか。これに満足せずに精進せよ我が眷属よ」
なんか素直に喜べないものが多い気がするが、一応は褒められているのだろう。
234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/19(木) 21:45:39.21:TV+DrnBKo (2/3)
>>232
気がつかなかったけど、よく見たら理科も流石だったww
>>232
気がつかなかったけど、よく見たら理科も流石だったww
235: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 21:48:07.53:6TwGpxhro (10/12)
次に部屋の電気を消す。
真っ暗な部屋に真っ黒のスープ。これならば何を取っているのかなど分からないだろう。
「さぁ……それでは漆黒の儀式を始めるぞ。魔神サタンの召喚だ……」
小鳩は完全にスイッチが入ってしまっている。
まぁ確かに、真っ暗な部屋で5人で一つの大鍋を囲んでいるこの状況は、そういう雰囲気がかなり出てる気がするが。
「じゃあ、私から先に入れよう。大きいしな」
姿はよく見えないが、声からして夜空だろう。
なにやらゴソゴソとしている。
「……くっ、重いな。このデブ肉が」
「大丈夫か? 手伝うぞ」
「いや、いい。何とかなるだろう」
夜空の言葉を聞く限り、どうやら肉のようだ。
だがあれだけ大きい肉、普通のスーパーで売ってるもんか? と首を傾げる。
その間にもズルズルと何かを引きずる音が継続的に聞こえる。
「なんか理科、ハァハァしてきました」
「ドキドキな」
「あにき、わたくしもむしゃぶるいが……」
「ククク、我はこの程度の事でうろたえたりはせん」
「……よし、じゃあ入れるぞ」
どうやら夜空の準備ができたようだ。
俺らはなぜか緊張してゴクリと生唾を飲む。
ここでリア充達はどんなリアクションを取るのだろうか。少なくともこの反応は違う気がする。
そして。
「いでよ、魔神サタン……ッ!!」
小鳩がそう呟くのとほぼ同時に、夜空が何かを大鍋の中へ入れる。
――ドボン!!!
「うあっっちゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
次に部屋の電気を消す。
真っ暗な部屋に真っ黒のスープ。これならば何を取っているのかなど分からないだろう。
「さぁ……それでは漆黒の儀式を始めるぞ。魔神サタンの召喚だ……」
小鳩は完全にスイッチが入ってしまっている。
まぁ確かに、真っ暗な部屋で5人で一つの大鍋を囲んでいるこの状況は、そういう雰囲気がかなり出てる気がするが。
「じゃあ、私から先に入れよう。大きいしな」
姿はよく見えないが、声からして夜空だろう。
なにやらゴソゴソとしている。
「……くっ、重いな。このデブ肉が」
「大丈夫か? 手伝うぞ」
「いや、いい。何とかなるだろう」
夜空の言葉を聞く限り、どうやら肉のようだ。
だがあれだけ大きい肉、普通のスーパーで売ってるもんか? と首を傾げる。
その間にもズルズルと何かを引きずる音が継続的に聞こえる。
「なんか理科、ハァハァしてきました」
「ドキドキな」
「あにき、わたくしもむしゃぶるいが……」
「ククク、我はこの程度の事でうろたえたりはせん」
「……よし、じゃあ入れるぞ」
どうやら夜空の準備ができたようだ。
俺らはなぜか緊張してゴクリと生唾を飲む。
ここでリア充達はどんなリアクションを取るのだろうか。少なくともこの反応は違う気がする。
そして。
「いでよ、魔神サタン……ッ!!」
小鳩がそう呟くのとほぼ同時に、夜空が何かを大鍋の中へ入れる。
――ドボン!!!
「うあっっちゃああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
236: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 21:49:52.00:6TwGpxhro (11/12)
ドンガラガッシャーン!!! と。
大鍋は即座にひっくり返され、謎の叫び声が部屋に響き渡った!!
おそらく鍋のスープだろう、熱い液体もそこら中に飛び跳ねる。
ドッタンバッタン!! と、まるで地震でも起きているかのように床が振動している。
もちろん、俺達は大パニックだ。
「は!? え、いや…………は!?」
「なんだ夢ですかそうですよねこんな非科学的な事起きるはずないじゃないですか何が魔神サタンですかファックしてやりますよ」
「……くせもの。きってすてます」
「びえええええええええええええん!!! あ、あんちゃんどこ!? あんちゃああああああああああん!!!!!」
真っ暗で周りもよく見えないので、余計にカオスな状況になる羽瀬川家。
相変わらずドッタンバッタン!! と凄まじい振動と音が部屋中に響く。
「あああああっちゃああああああああああああ!!! みどぅぅ!!! みどぅぅうううううううううううううう!!!!!」
さっきから意味不明な凄まじい声らしきものも聞こえる。
正直、俺もかなり怖い。
どうする? >>237
ドンガラガッシャーン!!! と。
大鍋は即座にひっくり返され、謎の叫び声が部屋に響き渡った!!
おそらく鍋のスープだろう、熱い液体もそこら中に飛び跳ねる。
ドッタンバッタン!! と、まるで地震でも起きているかのように床が振動している。
もちろん、俺達は大パニックだ。
「は!? え、いや…………は!?」
「なんだ夢ですかそうですよねこんな非科学的な事起きるはずないじゃないですか何が魔神サタンですかファックしてやりますよ」
「……くせもの。きってすてます」
「びえええええええええええええん!!! あ、あんちゃんどこ!? あんちゃああああああああああん!!!!!」
真っ暗で周りもよく見えないので、余計にカオスな状況になる羽瀬川家。
相変わらずドッタンバッタン!! と凄まじい振動と音が部屋中に響く。
「あああああっちゃああああああああああああ!!! みどぅぅ!!! みどぅぅうううううううううううううう!!!!!」
さっきから意味不明な凄まじい声らしきものも聞こえる。
正直、俺もかなり怖い。
どうする? >>237
237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/19(木) 21:51:03.09:lXpjdm6F0 (3/3)
明かりをつける
明かりをつける
238:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/19(木) 21:51:08.12:/Vddm0nAO (2/2)
たたかう
たたかう
239:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2012/07/19(木) 22:02:59.28:2HOyoNVd0 (1/1)
星奈が人間不信にならないか心配になってきたwwwwwwワロスwwwwww
星奈が人間不信にならないか心配になってきたwwwwwwワロスwwwwww
240:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 22:13:20.06:1iShv4HIO (2/3)
肉をまるごといれるとは素晴らしい
肉をまるごといれるとは素晴らしい
241:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 22:39:45.76:F1Xu5Av7o (1/1)
窓に張り付いてたら顔面パンチ
腹パン
くすぐり拷問
煮えたぎる鍋に入れられる
窓に張り付いてたら顔面パンチ
腹パン
くすぐり拷問
煮えたぎる鍋に入れられる
242:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 22:45:11.20:obYOzuGSO (7/7)
それでも入部したいとか言ったら☆さん相当なMだな
それでも入部したいとか言ったら☆さん相当なMだな
243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/19(木) 22:45:49.49:TV+DrnBKo (3/3)
みどぅwwww
みどぅwwww
244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/19(木) 22:53:00.77:OoZEYGDdo (2/2)
星奈が一体何をしたっていうんだ…
星奈が一体何をしたっていうんだ…
245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/19(木) 22:53:23.82:1iShv4HIO (3/3)
早く入部させたい
早く入部させたい
246: ◆0WipXNi8qk:2012/07/19(木) 23:59:41.34:6TwGpxhro (12/12)
「と、とにかく明かりだ!!」
俺は必死で壁をベタベタ触ってスイッチを探す。
しかし、動揺していて中々見つからない。
そしてやっと――。
「あっ、あった!!」
パチッ!! という音と共に明かりが戻った。
俺達の視界に入ってきたのは。
部屋の中央辺りでドタバタと床の上でのたうち回る。
俺特製の黒いスープまみれになった。
聖クロニカ学園の制服を着た。
金髪碧眼の美少女だった。
……そいつは。
「柏崎……星奈…………」
***
「…………」
星奈は思いっきりブスッとした表情で俺を睨んでいる。
手には透明のビニール袋に入った氷。
それを顔に当てて冷やしていた。
ちなみに小鳩は大泣きしていたので、とりあえずシャワーに行かせた。
イカスミスープの汚れも酷かったし。
俺は星奈を気の毒に思いながら、
「いや俺じゃない。本当だって」
「……じゃあ誰よ」
星奈は明らかに不機嫌な様子(そりゃ当然だ)で尋ねてくる。
「私だ」
「お前だったのか」
「暇を持て余した」
「神々の」
「「遊び」」
夜空と理科だ。仲いいなお前ら。
「こ、んの……あんたらァァ…………ッ!!」
「すまんな、肉と間違えた」
「どうやったら人間と食用肉間違えんのよ!!」
「貴様があんなスーパーのベンチでグースカ寝ているのが悪い。恥を知れ」
大きなスーパーには休憩用のベンチが出入口付近にあったりする。
そこで寝ている女子高生というのも珍しい。
「あ、あれは……ッ!!」
「そもそも貴様のような人間がなぜスーパーに居たのだ。ついに家族からも見捨てられたか?」
「そんなわけないでしょ!! あたしはとってもとっても愛されてんだから!!」
初対面であるにも関わらず、夜空はお構いなしに罵る。
本当に嫌いなんだな……。
「と、とにかく明かりだ!!」
俺は必死で壁をベタベタ触ってスイッチを探す。
しかし、動揺していて中々見つからない。
そしてやっと――。
「あっ、あった!!」
パチッ!! という音と共に明かりが戻った。
俺達の視界に入ってきたのは。
部屋の中央辺りでドタバタと床の上でのたうち回る。
俺特製の黒いスープまみれになった。
聖クロニカ学園の制服を着た。
金髪碧眼の美少女だった。
……そいつは。
「柏崎……星奈…………」
***
「…………」
星奈は思いっきりブスッとした表情で俺を睨んでいる。
手には透明のビニール袋に入った氷。
それを顔に当てて冷やしていた。
ちなみに小鳩は大泣きしていたので、とりあえずシャワーに行かせた。
イカスミスープの汚れも酷かったし。
俺は星奈を気の毒に思いながら、
「いや俺じゃない。本当だって」
「……じゃあ誰よ」
星奈は明らかに不機嫌な様子(そりゃ当然だ)で尋ねてくる。
「私だ」
「お前だったのか」
「暇を持て余した」
「神々の」
「「遊び」」
夜空と理科だ。仲いいなお前ら。
「こ、んの……あんたらァァ…………ッ!!」
「すまんな、肉と間違えた」
「どうやったら人間と食用肉間違えんのよ!!」
「貴様があんなスーパーのベンチでグースカ寝ているのが悪い。恥を知れ」
大きなスーパーには休憩用のベンチが出入口付近にあったりする。
そこで寝ている女子高生というのも珍しい。
「あ、あれは……ッ!!」
「そもそも貴様のような人間がなぜスーパーに居たのだ。ついに家族からも見捨てられたか?」
「そんなわけないでしょ!! あたしはとってもとっても愛されてんだから!!」
初対面であるにも関わらず、夜空はお構いなしに罵る。
本当に嫌いなんだな……。
247: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 00:03:53.54:LuHuZbhOo (1/16)
「いいわ、そんなに知りたいなら教えてあげるけどね、あたしはリア充になるためにあそこに居たのよ!!
ふっ、まぁあんたらみたいな非リア共には到底理解できないことでしょうね!!」
「……つまり現時点でリア充じゃないって認めてんじゃねえか」
「うぐっ……う、うっさいわよそこのプリン!!」
「ていうかリア充とスーパーの繋がりが理解不能です」
「料理の腕を上げるためよ!!」
「なるほどな、それで練習するために食材を買おうとしてたのか。偉いじゃねえかお嬢様なのに」
「は、何言ってんの? あたしがわざわざ自分で食材なんか買うわけないじゃない」
そんな星奈の言葉に、俺だけでなく全員が首を傾げる。
「……あにき、わたくしこの方の言っていることがよくわかりません。にほんごとは難しいものですね」
「いや大丈夫だ。俺も分かんねえから」
「非リアこじらせてついに頭がおかしくなったか?」
「理科、医学系は専門外なんですけど、何か作りましょうか?」
「人を病人扱いしないでよ!!!」
テーブルをバンッ!! と叩いて抗議する星奈。
「ふんっ、ホント無知な愚民どもは困るわ。特別に教えてあげるから感謝しなさい。
料理スキルっていうのはね、ただスーパーに居るだけで上がるのよ!!」
「……いや、ねーよ」
「あるわよ!! そしてスキルが上がると、一人暮らしの佳菜子ちゃんとのイベントが発生するのよ!!」
「イベント?」
夜空の問いに、星奈は清々しいまでのドヤ顔で言い放った。
「美少女ゲームよ!!」
………………。
…………。
……。
ドン引きした。
ここまで引いたのはいつ以来だろう。
あぁ、そうだ、アレだ。
たぶん、夜空のエア友達を見た時以来だ。
「「…………」」
「いいわ、そんなに知りたいなら教えてあげるけどね、あたしはリア充になるためにあそこに居たのよ!!
ふっ、まぁあんたらみたいな非リア共には到底理解できないことでしょうね!!」
「……つまり現時点でリア充じゃないって認めてんじゃねえか」
「うぐっ……う、うっさいわよそこのプリン!!」
「ていうかリア充とスーパーの繋がりが理解不能です」
「料理の腕を上げるためよ!!」
「なるほどな、それで練習するために食材を買おうとしてたのか。偉いじゃねえかお嬢様なのに」
「は、何言ってんの? あたしがわざわざ自分で食材なんか買うわけないじゃない」
そんな星奈の言葉に、俺だけでなく全員が首を傾げる。
「……あにき、わたくしこの方の言っていることがよくわかりません。にほんごとは難しいものですね」
「いや大丈夫だ。俺も分かんねえから」
「非リアこじらせてついに頭がおかしくなったか?」
「理科、医学系は専門外なんですけど、何か作りましょうか?」
「人を病人扱いしないでよ!!!」
テーブルをバンッ!! と叩いて抗議する星奈。
「ふんっ、ホント無知な愚民どもは困るわ。特別に教えてあげるから感謝しなさい。
料理スキルっていうのはね、ただスーパーに居るだけで上がるのよ!!」
「……いや、ねーよ」
「あるわよ!! そしてスキルが上がると、一人暮らしの佳菜子ちゃんとのイベントが発生するのよ!!」
「イベント?」
夜空の問いに、星奈は清々しいまでのドヤ顔で言い放った。
「美少女ゲームよ!!」
………………。
…………。
……。
ドン引きした。
ここまで引いたのはいつ以来だろう。
あぁ、そうだ、アレだ。
たぶん、夜空のエア友達を見た時以来だ。
「「…………」」
248: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 00:06:40.64:LuHuZbhOo (2/16)
「……な、なによその目は」
「柏崎星奈」
夜空が話しかける。
その目はなんていうか、夏の終わりに地面に転がっているセミの死骸を見ているような感じだった。
「私が悪かった。君には酷いことをしてしまった」
「う……あ…………その目やめなさいよおおお!!!」
夜空は素直に謝っているが、星奈の方は涙目になっている。
そして俺達もそんな星奈を見て可哀想になり、
「なんつーか、ほら、人生って長いしさ。これから色々経験して、学んでいくんだろうな俺達」
「星奈先輩。どんな事でも、後になって思えば笑い話になったりしますよ」
「何よ!! 何なのよあんた達!! 何であたしがこんなに惨めになってんのよ!!!
て、ていうか、そ、その目やめなさいって!! あんたも、あんたも、あんたもおおおおおおおおおお!!!!!」
星奈は俺と理科と夜空を指差して、今にも涙をこぼしそうになって叫んでいる。
いや、でも、この目をやめろと言われても、自然とこの目になってしまうわけで。
夜空は溜息をついて、
「――分かってる、もういいんだ。お前は頑張った」
「や、やめなさいよぉぉ……!! その優しい声やめてよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ついにポロポロと涙をこぼし始める星奈。
「あにき」
「ん、どうした幸村」
ずっと星奈をじーっと見ていた幸村が口を開く。
そして、彼女を指差して一言。
「――このかた、きもちがわるいです」
「びええええええええええええええええん!!!!! 理科部のバカアホカスボケ死ねええええええええええええええええ!!!!!」
星奈が大泣きして出ていった。
他のみんなはポカンとして、ただそれを見送るしかない。
……俺はふと考える。
あのイカスミスープまみれの状態で外へ飛び出したのを放っておくっていうのも、なんかさすがに……可哀想な気がするな。
どうする? >>249
「……な、なによその目は」
「柏崎星奈」
夜空が話しかける。
その目はなんていうか、夏の終わりに地面に転がっているセミの死骸を見ているような感じだった。
「私が悪かった。君には酷いことをしてしまった」
「う……あ…………その目やめなさいよおおお!!!」
夜空は素直に謝っているが、星奈の方は涙目になっている。
そして俺達もそんな星奈を見て可哀想になり、
「なんつーか、ほら、人生って長いしさ。これから色々経験して、学んでいくんだろうな俺達」
「星奈先輩。どんな事でも、後になって思えば笑い話になったりしますよ」
「何よ!! 何なのよあんた達!! 何であたしがこんなに惨めになってんのよ!!!
て、ていうか、そ、その目やめなさいって!! あんたも、あんたも、あんたもおおおおおおおおおお!!!!!」
星奈は俺と理科と夜空を指差して、今にも涙をこぼしそうになって叫んでいる。
いや、でも、この目をやめろと言われても、自然とこの目になってしまうわけで。
夜空は溜息をついて、
「――分かってる、もういいんだ。お前は頑張った」
「や、やめなさいよぉぉ……!! その優しい声やめてよおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
ついにポロポロと涙をこぼし始める星奈。
「あにき」
「ん、どうした幸村」
ずっと星奈をじーっと見ていた幸村が口を開く。
そして、彼女を指差して一言。
「――このかた、きもちがわるいです」
「びええええええええええええええええん!!!!! 理科部のバカアホカスボケ死ねええええええええええええええええ!!!!!」
星奈が大泣きして出ていった。
他のみんなはポカンとして、ただそれを見送るしかない。
……俺はふと考える。
あのイカスミスープまみれの状態で外へ飛び出したのを放っておくっていうのも、なんかさすがに……可哀想な気がするな。
どうする? >>249
249:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 00:07:32.75:X0eXgNYSO (1/7)
そっとしといてやろ
そっとしといてやろ
250:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/20(金) 00:07:38.04:bGIuclkAO (1/3)
あいつの分もパーティを楽しもう
あいつの分もパーティを楽しもう
251:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 00:07:54.58:SQL2yYhIO (1/2)
追いかける
追いかける
252:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/20(金) 00:08:59.84:n2O/FpCs0 (1/1)
小鳩の服を貸す
小鳩の服を貸す
253: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 00:14:02.66:LuHuZbhOo (3/16)
そういや明日テストだった
今日はこれでおしまい
そういや明日テストだった
今日はこれでおしまい
254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 00:16:43.02:SQL2yYhIO (2/2)
乙
幸村が何気にヒドスw
乙
幸村が何気にヒドスw
255:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/20(金) 01:05:39.93:qXLvVupJo (1/1)
ホントに可哀想なのはまだ未登場なマリア
ホントに可哀想なのはまだ未登場なマリア
256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 07:20:35.64:5v29OqXIO (1/1)
↑マリアはさっき出なかった?
↑マリアはさっき出なかった?
257:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2012/07/20(金) 16:58:19.53:5ha1XfU10 (1/1)
あのシスターはケイトさんだろ
あのシスターはケイトさんだろ
258:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 17:33:42.93:hp+oR0YIO (1/1)
↑ケイトさんに連行されてるマリアが俺には見えたのは気のせいか?
↑ケイトさんに連行されてるマリアが俺には見えたのは気のせいか?
259: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 18:34:59.91:LuHuZbhOo (4/16)
「……まぁ下手なこと言って余計に傷つけちまうのもアレだし、そっとしておくか」
というわけで、飛び出していった星奈は放置することにした。
***
それからは闇鍋ではなく、普通の鍋をみんなでやることにした。
意外とみんなが買った食材がまともだった事もあって、それなりに良い感じに出来上がる。
幸村のたくあんの処理には少し困ったが。
「つーか小鳩。お前この牛肉高いやつだろ」
「……ククク、その程度の事を気にしていては来たるべきラグナロクで戦えぬぞ」
小鳩はすっかり泣き止んでおり、美味しそうに肉ばかり頬張っている。
まったく、お金を渡して好きなものを買っていいといったのは間違いだったか。
「先輩、どうですかこのウインナーの食べ方。エロいでしょう!」
「幸村ー、そっちのポン酢取ってくれねえか?」
「どうぞ、あにき」
「サンキュー」
「……放置プレイですか」
理科がなんかしょげている気がするが、まぁ放っておいても大丈夫だろう。
「ふむ、リア充どもはいつもこんなに美味しいものを食べているのか。実に腹立たしいな」
「いや、それはどうだろうな……。つーか夜空、お前もちょっとは反省しろよなー」
「反省?」
「星奈の事だよ。さすがにやりすぎだろありゃ」
「あぁ……さすがにどこかで起きると思ったのだがな。そんな気配もなかったのでそのまま鍋に投下しただけだ。
だがまぁ、ここが汚れた件については、私も掃除しただろう?」
「ん、確かにそうだけどさ……」
しかし、改めて考えてみれば、初対面の人間を鍋の中へ放り込むというのは凄まじい。
こんなこと理事長に知られたら大変な事になりそうだ。
「あにき、どうぞ」
「おう、サンキュー……って、幸村ももっと食べろって。俺の分取ってるだけじゃなくてさ」
「わたくしはあにきにお仕えする身……そのようなことは…………」
「じゃあ兄貴からの命令だ。ちゃんと食わねえと立派な男になれねえぞ?」
「……はっ、確かにくうふくではたたかえません。さすがあにきです」
お前は何と戦うつもりなんだ。
とりあえず、幸村も普通に食べてくれるようになり、安心する。
それからしばらく、理科部のメンバー+小鳩はどうでもいいような話をしながら、楽しく鍋を食べた。
なかなかリア充的な感じだと思う。
「……まぁ下手なこと言って余計に傷つけちまうのもアレだし、そっとしておくか」
というわけで、飛び出していった星奈は放置することにした。
***
それからは闇鍋ではなく、普通の鍋をみんなでやることにした。
意外とみんなが買った食材がまともだった事もあって、それなりに良い感じに出来上がる。
幸村のたくあんの処理には少し困ったが。
「つーか小鳩。お前この牛肉高いやつだろ」
「……ククク、その程度の事を気にしていては来たるべきラグナロクで戦えぬぞ」
小鳩はすっかり泣き止んでおり、美味しそうに肉ばかり頬張っている。
まったく、お金を渡して好きなものを買っていいといったのは間違いだったか。
「先輩、どうですかこのウインナーの食べ方。エロいでしょう!」
「幸村ー、そっちのポン酢取ってくれねえか?」
「どうぞ、あにき」
「サンキュー」
「……放置プレイですか」
理科がなんかしょげている気がするが、まぁ放っておいても大丈夫だろう。
「ふむ、リア充どもはいつもこんなに美味しいものを食べているのか。実に腹立たしいな」
「いや、それはどうだろうな……。つーか夜空、お前もちょっとは反省しろよなー」
「反省?」
「星奈の事だよ。さすがにやりすぎだろありゃ」
「あぁ……さすがにどこかで起きると思ったのだがな。そんな気配もなかったのでそのまま鍋に投下しただけだ。
だがまぁ、ここが汚れた件については、私も掃除しただろう?」
「ん、確かにそうだけどさ……」
しかし、改めて考えてみれば、初対面の人間を鍋の中へ放り込むというのは凄まじい。
こんなこと理事長に知られたら大変な事になりそうだ。
「あにき、どうぞ」
「おう、サンキュー……って、幸村ももっと食べろって。俺の分取ってるだけじゃなくてさ」
「わたくしはあにきにお仕えする身……そのようなことは…………」
「じゃあ兄貴からの命令だ。ちゃんと食わねえと立派な男になれねえぞ?」
「……はっ、確かにくうふくではたたかえません。さすがあにきです」
お前は何と戦うつもりなんだ。
とりあえず、幸村も普通に食べてくれるようになり、安心する。
それからしばらく、理科部のメンバー+小鳩はどうでもいいような話をしながら、楽しく鍋を食べた。
なかなかリア充的な感じだと思う。
260: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 18:36:15.70:LuHuZbhOo (5/16)
***
「それでは、そろそろお暇しますね」
夕食を食べ終え、みんなで小鳩のゲームで少し遊んだ後、理科がそんな事を言って立ち上がる。
意外なことに、小鳩は不満そうだ。
「……卑怯な。勝ち逃げする気か」
「ふふ、理科に勝ちたければもっと修行することですよ」
「ぐぬぬ……」
結局、小鳩が理科に勝つことはなかった。
ゲームの持ち主で、ほぼ毎日やっている小鳩をあれほどコテンパンに負かすくらいに理科は強かった。
そして、理科に続いて夜空と幸村も立ち上がる。
「それでは私も帰ることにしよう。今日はなかなか有意義な活動だったぞ小鷹」
「あにき、この御恩いっしょうわすれませぬ」
相変わらずな夜空に、大袈裟すぎる幸村。
まぁ二人共いつものことなので突っ込んだりはしない。
……んー、でもこの時間に女の子三人を帰らせるってのも結構不安だな。
こういう時は送っていくべきなのだろうか?
どうする? >>261
***
「それでは、そろそろお暇しますね」
夕食を食べ終え、みんなで小鳩のゲームで少し遊んだ後、理科がそんな事を言って立ち上がる。
意外なことに、小鳩は不満そうだ。
「……卑怯な。勝ち逃げする気か」
「ふふ、理科に勝ちたければもっと修行することですよ」
「ぐぬぬ……」
結局、小鳩が理科に勝つことはなかった。
ゲームの持ち主で、ほぼ毎日やっている小鳩をあれほどコテンパンに負かすくらいに理科は強かった。
そして、理科に続いて夜空と幸村も立ち上がる。
「それでは私も帰ることにしよう。今日はなかなか有意義な活動だったぞ小鷹」
「あにき、この御恩いっしょうわすれませぬ」
相変わらずな夜空に、大袈裟すぎる幸村。
まぁ二人共いつものことなので突っ込んだりはしない。
……んー、でもこの時間に女の子三人を帰らせるってのも結構不安だな。
こういう時は送っていくべきなのだろうか?
どうする? >>261
261:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/20(金) 18:39:24.54:CygK5DpH0 (1/1)
一人ずつ送っていく
一人ずつ送っていく
262:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2012/07/20(金) 18:40:38.98:2HjLFpwAO (1/1)
送っていこう
送っていこう
263: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 18:54:07.25:LuHuZbhOo (6/16)
「あ、もう、遅い時間だし送ってくよ」
「……なるほど、先輩は送り狼だったのですね!!」
「違う!!」
あまりの言い草に、スルーできずに思わず突っ込んでしまう。
「しかし、全員を送る気か?」
「あぁ、そのつもりだけど……」
「さすがにそこまでしてもらう必要はない。私はいいから、理科か幸村を送ってやれ。後輩だしな」
「いえ、そんなあにきのてをわずらわせるような事はできません。ここはわたくしではなく理科どのを」
「ぶふぇ!! いいんですかぁ!? じゃあ帰りにちょっとどっか寄って行きましょうよ!! お城のようなホテルとか!!」
「…………お前なぁ」
さて、どうするか。
誰を送る? >>264
「あ、もう、遅い時間だし送ってくよ」
「……なるほど、先輩は送り狼だったのですね!!」
「違う!!」
あまりの言い草に、スルーできずに思わず突っ込んでしまう。
「しかし、全員を送る気か?」
「あぁ、そのつもりだけど……」
「さすがにそこまでしてもらう必要はない。私はいいから、理科か幸村を送ってやれ。後輩だしな」
「いえ、そんなあにきのてをわずらわせるような事はできません。ここはわたくしではなく理科どのを」
「ぶふぇ!! いいんですかぁ!? じゃあ帰りにちょっとどっか寄って行きましょうよ!! お城のようなホテルとか!!」
「…………お前なぁ」
さて、どうするか。
誰を送る? >>264
264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県):2012/07/20(金) 18:54:57.58:U6mlKdyE0 (1/1)
理科
理科
265:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 19:18:18.87:R94L7Bsoo (1/1)
>>264
グっジョブ
>>264
グっジョブ
266:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/20(金) 20:17:55.35:LZPI9mj8o (1/5)
よくやった
よくやった
267: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 20:22:36.63:LuHuZbhOo (7/16)
俺と理科は二人で夜の道を歩く。
もう夏ということもあって、この時間でも少し蒸し暑い。
「そろそろ夏休みですね。理科はあまり実感わかないですけど」
「……おー、そうだな。つっても、特に予定とかはないんだけどな」
聖クロニカ学園は2学期制であり、夏休み前にテストがあったりするわけでもない。
そのため、この時期の生徒達もやたらハイテンションであり、夏休みに何して遊ぶかなどそれはそれは楽しそうに話し合っている。
……正直、かなり羨ましい。
「それなら、夏休み中も部活をすることにしましょう!」
「へ……夏休み中もやんのか?」
「当たり前です! リア充がのさばる季節だからこそ、理科の道具の出番ですよ!」
「……はは、そうかもな」
実際は理科部の活動では、俺が停学になったり夜空が保健室行きになったりとろくな事がなかった気がする。
しかし、中には役に立ったものもあり、夜空はクラスの人達と少しは話せるようになっていた。まぁ夜空だけなんだけど。
それになにより。
俺にとって、理科部を作ってからの日々は……。
「ありがとな、理科」
「え、どうしたんですか急に」
「いや、俺は理科部に入って毎日結構楽しいと思ってる。それも創部者の理科のお陰だろ」
「……なんか先輩って唐突に恥ずかしいこと言いますね」
「うっ……ま、まぁな…………」
俺は思ったことを言っただけなのだが、確かに考えてみたらなんていうか、かなりくさい事を言っているのかもしれない。
「――でも、理科も同じ気持ちですよ」
理科は優しく微笑む。
それは暗闇の中で、どこか儚げな雰囲気を演出する。
「ほら、理科ってクラスには顔を出していないじゃないですか。だから、あの学校に入ってもずっと一人で。
話し相手といったら先生方や企業の偉い人ばかりで、同世代の方とこのように話す機会なんて全くなかったんです」
「理科……」
「でも、ある日理科室に小鷹先輩が来て、理科部を作って、夜空先輩が訪ねてきて、幸村くんが小鷹先輩にくっついてきて……。
今ではあの理科室もとっても賑やかで、なんて言うか暖かいです」
理科は優しい目で、たくさんの星が輝く空を見上げる。
その目は、どこかずっと遠くを見つめているかのようだ。
俺が行く前の理科室を想像してみる。
そこはただ実験器具を動かす無機質な音だけが響いていたのだろうか。
理科はそんな中で、ただ一人で居たのだろうか。
「先輩、理科は思うんです。こうやって毎日会って、色んなくだらない事話して、時間がきたらそれぞれ帰る」
理科は視線を空からこちらへと移す。
その目はどこまでも透明で、見ているだけで吸い込まれそうな気もしてくる。
彼女の、小さな口が開く。
「理科達はもう――――」
俺と理科は二人で夜の道を歩く。
もう夏ということもあって、この時間でも少し蒸し暑い。
「そろそろ夏休みですね。理科はあまり実感わかないですけど」
「……おー、そうだな。つっても、特に予定とかはないんだけどな」
聖クロニカ学園は2学期制であり、夏休み前にテストがあったりするわけでもない。
そのため、この時期の生徒達もやたらハイテンションであり、夏休みに何して遊ぶかなどそれはそれは楽しそうに話し合っている。
……正直、かなり羨ましい。
「それなら、夏休み中も部活をすることにしましょう!」
「へ……夏休み中もやんのか?」
「当たり前です! リア充がのさばる季節だからこそ、理科の道具の出番ですよ!」
「……はは、そうかもな」
実際は理科部の活動では、俺が停学になったり夜空が保健室行きになったりとろくな事がなかった気がする。
しかし、中には役に立ったものもあり、夜空はクラスの人達と少しは話せるようになっていた。まぁ夜空だけなんだけど。
それになにより。
俺にとって、理科部を作ってからの日々は……。
「ありがとな、理科」
「え、どうしたんですか急に」
「いや、俺は理科部に入って毎日結構楽しいと思ってる。それも創部者の理科のお陰だろ」
「……なんか先輩って唐突に恥ずかしいこと言いますね」
「うっ……ま、まぁな…………」
俺は思ったことを言っただけなのだが、確かに考えてみたらなんていうか、かなりくさい事を言っているのかもしれない。
「――でも、理科も同じ気持ちですよ」
理科は優しく微笑む。
それは暗闇の中で、どこか儚げな雰囲気を演出する。
「ほら、理科ってクラスには顔を出していないじゃないですか。だから、あの学校に入ってもずっと一人で。
話し相手といったら先生方や企業の偉い人ばかりで、同世代の方とこのように話す機会なんて全くなかったんです」
「理科……」
「でも、ある日理科室に小鷹先輩が来て、理科部を作って、夜空先輩が訪ねてきて、幸村くんが小鷹先輩にくっついてきて……。
今ではあの理科室もとっても賑やかで、なんて言うか暖かいです」
理科は優しい目で、たくさんの星が輝く空を見上げる。
その目は、どこかずっと遠くを見つめているかのようだ。
俺が行く前の理科室を想像してみる。
そこはただ実験器具を動かす無機質な音だけが響いていたのだろうか。
理科はそんな中で、ただ一人で居たのだろうか。
「先輩、理科は思うんです。こうやって毎日会って、色んなくだらない事話して、時間がきたらそれぞれ帰る」
理科は視線を空からこちらへと移す。
その目はどこまでも透明で、見ているだけで吸い込まれそうな気もしてくる。
彼女の、小さな口が開く。
「理科達はもう――――」
268: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 20:26:27.26:LuHuZbhOo (8/16)
その時。
ビュオオオオオ!! という音と共に、大きな風が二人の間を駆け抜けた。
俺は砂なんかが目に入らないようにまぶたの少し上辺りに手をかざし、理科は髪を押さえる。
「え? なんだって?」
「……いえ、なんでもありません」
理科は小さく笑う。
「それでは先輩、もうこの辺りでいいです。ありがとうございました」
「え、ここでいいのか?」
「ふふ、何ですか先輩。やっぱり送り狼だったんですね!!
それなら理科はいつでも大歓迎です!! なんならここでも!!!」
「よし、じゃあ気をつけて帰れよー」
「うぅ、せんぱーい…………」
俺はそそくさと理科に背を向けて、歩いて行く。
……なんか、こういうのはいい。
昔、毎日アイツと遅くまで遊んで別れていたのを思い出す。
幼い日の懐かしい思い出だ。
アイツは今どこで何をしているのかは分からない。
こんな俺と違って、リア充ライフというのを満喫しているのかもしれない。
俺は頭上に広がる星空を見上げる。
都会では見られないような、綺麗な空がそこにはある。
確かに俺は友達は居ないし、リア充でもないし。
周りに居るのは、そんな残念な俺と似たような残念な奴等ばかりだけで。
毎日理科室で良く分からない道具ばかりで遊んでいるだけで。
普通の高校生と比べればつまらない青春を送っているのかもしれないが。
何だかんだ今の生活に満足している。
そう思っている俺が居た。
その時。
ビュオオオオオ!! という音と共に、大きな風が二人の間を駆け抜けた。
俺は砂なんかが目に入らないようにまぶたの少し上辺りに手をかざし、理科は髪を押さえる。
「え? なんだって?」
「……いえ、なんでもありません」
理科は小さく笑う。
「それでは先輩、もうこの辺りでいいです。ありがとうございました」
「え、ここでいいのか?」
「ふふ、何ですか先輩。やっぱり送り狼だったんですね!!
それなら理科はいつでも大歓迎です!! なんならここでも!!!」
「よし、じゃあ気をつけて帰れよー」
「うぅ、せんぱーい…………」
俺はそそくさと理科に背を向けて、歩いて行く。
……なんか、こういうのはいい。
昔、毎日アイツと遅くまで遊んで別れていたのを思い出す。
幼い日の懐かしい思い出だ。
アイツは今どこで何をしているのかは分からない。
こんな俺と違って、リア充ライフというのを満喫しているのかもしれない。
俺は頭上に広がる星空を見上げる。
都会では見られないような、綺麗な空がそこにはある。
確かに俺は友達は居ないし、リア充でもないし。
周りに居るのは、そんな残念な俺と似たような残念な奴等ばかりだけで。
毎日理科室で良く分からない道具ばかりで遊んでいるだけで。
普通の高校生と比べればつまらない青春を送っているのかもしれないが。
何だかんだ今の生活に満足している。
そう思っている俺が居た。
269: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 20:28:52.39:LuHuZbhOo (9/16)
***
「明日から夏休みです!!」
そうやって切り出したのは理科だ。
場所はいつもの理科室で、部員はいつも通り全員揃っている。
今日は7月20日。
ついに明日からリア充の跋扈する日々が始まる。
「ちっ、夏休みなど消え去ればいいのに」
心底嫌そうな顔でそんな事を言うのは夜空だ。
学生としてかなり珍しい意見だと思う。
「あれ、でも夜空プールとかに誘われてなかったか? 同じクラスの女子に」
「ぶっ!!! な、なぜそんな事を知っているんだ!!」
「いや、聞こえてきただけだって。……聞きたくねえよ俺だって、はぁ」
「なるほど、夜空のあねごはりあじゅうだったのですね」
「ち、違う!! 断ったぞもちろん!!」
夜空は慌てて弁解がましく言う。
すると理科が溜息をついて、
「夜空先輩、この部の目的分かってます?」
「うぐっ……い、いや、だが、プールなんて…………水着もないし」
「いや買えよ普通に」
「そ、それだけではない!! 人前であれほど肌を晒すなど不可能だ!!」
顔を赤くする夜空。
確かにそういう女子もいるとは思うが、夜空はスタイルもいいと思うし、別にそこまで気にする必要はないと思う。
まぁそんな事を言えばセクハラだのなんだの散々言われそうなので、黙っておくが。
ちなみに妹の小鳩は布面積が極端に小さい水着を好んでいて、兄としてはアイツはもう少し夜空みたいな恥じらいを持ってほしい。
「……はぁ、ではリア充夜空先輩はひとまず置いておいて」
「誰がリア充だ!」
夜空の言葉は聞き流し、理科が口を開く。
その表情はまるで、ラスボス前の勇者のようだ。
「いかにこの夏休みを乗り越えるか、話し合いましょう」
どうする? >>270
***
「明日から夏休みです!!」
そうやって切り出したのは理科だ。
場所はいつもの理科室で、部員はいつも通り全員揃っている。
今日は7月20日。
ついに明日からリア充の跋扈する日々が始まる。
「ちっ、夏休みなど消え去ればいいのに」
心底嫌そうな顔でそんな事を言うのは夜空だ。
学生としてかなり珍しい意見だと思う。
「あれ、でも夜空プールとかに誘われてなかったか? 同じクラスの女子に」
「ぶっ!!! な、なぜそんな事を知っているんだ!!」
「いや、聞こえてきただけだって。……聞きたくねえよ俺だって、はぁ」
「なるほど、夜空のあねごはりあじゅうだったのですね」
「ち、違う!! 断ったぞもちろん!!」
夜空は慌てて弁解がましく言う。
すると理科が溜息をついて、
「夜空先輩、この部の目的分かってます?」
「うぐっ……い、いや、だが、プールなんて…………水着もないし」
「いや買えよ普通に」
「そ、それだけではない!! 人前であれほど肌を晒すなど不可能だ!!」
顔を赤くする夜空。
確かにそういう女子もいるとは思うが、夜空はスタイルもいいと思うし、別にそこまで気にする必要はないと思う。
まぁそんな事を言えばセクハラだのなんだの散々言われそうなので、黙っておくが。
ちなみに妹の小鳩は布面積が極端に小さい水着を好んでいて、兄としてはアイツはもう少し夜空みたいな恥じらいを持ってほしい。
「……はぁ、ではリア充夜空先輩はひとまず置いておいて」
「誰がリア充だ!」
夜空の言葉は聞き流し、理科が口を開く。
その表情はまるで、ラスボス前の勇者のようだ。
「いかにこの夏休みを乗り越えるか、話し合いましょう」
どうする? >>270
270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/20(金) 20:31:07.97:ZV+xBwJXo (1/2)
理科部で乱交
理科部で乱交
271:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/20(金) 20:31:27.76:LZPI9mj8o (2/5)
とりあえず泳いでみないか?
俺の家の庭にビニールプールを持ってきてから
これなら人がいないからお前らでも大丈夫だろ?
とりあえず泳いでみないか?
俺の家の庭にビニールプールを持ってきてから
これなら人がいないからお前らでも大丈夫だろ?
272:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/20(金) 20:32:11.23:LZPI9mj8o (3/5)
ちくしょう
また負けた
ちくしょう
また負けた
273:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 20:33:14.04:X0eXgNYSO (2/7)
そりゃ競争率高い所で長文書いてりゃなぁ…
そりゃ競争率高い所で長文書いてりゃなぁ…
274: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 20:51:27.93:LuHuZbhOo (10/16)
「……と言われてもなぁ」
「あぁ、夏のリア充を排除するのは不可能だ」
「てごわいあいてですね。それでも、あにきなら」
そんな感じに負け犬モード全開な俺達。
すると理科は、
「ふふ、それならまずはリア充の真似をして理科達のリア充度を上げる所から始めましょう!!」
リア充度ってなんだよって突っ込みたくなるが、とりあえずまずは理科の話を聞いてみることにする。
夜空と幸村も、同じように真面目な表情で理科の方を見ている。
「夏にリア充がやる事!! それはズバリらん――」
「この変態がッ!!!」
即座に夜空のハエ叩きが理科の顔面にブチ当たった。
「な、何するんですか夜空先輩!」
「貴様がいきなり破廉恥な事を言おうとするからだ! まったく、まじめに聞いた私がバカだった」
「ええー、まだ『らん』までしか言ってないじゃないですかー。
もしかしたら『ランニング』かもしれませんし『ランドセルを背負った幼女について語る』かもしれないじゃないですかー」
「そ、それは……」
「それにあまり過剰反応していると、ムッツリさんに見えますよー、うへへ」
「なっ、違う!!///」
顔を赤くして動揺する夜空。
つーか、『ランドセルを背負った幼女について語る』ってのも余裕でアウトだと思うけどな。
「――まぁ、ご想像通り、『乱交』って言おうと思ったんですけど」
「やっぱりか貴様ァァ!!」
結局再びハエ叩きでぶっ叩かれる理科。
そんな感じでその後もただギャーギャーと騒ぎ、それで体力を消耗した結果、結局今日は何もやらないで解散となった。
夏休み前の最後の活動は、俺達らしい何とも残念なものとなった。
***
「さて、と……」
理科室を出た俺は少し考える。
時間はまだ早い。
今日は午前授業だった上に、理科部でろくな活動もしていないからだ。
外では体育会系の部活が炎天下の中汗を流し、校内には吹奏楽部の演奏も聞こえてくる。
みんな青春してんなー、なんてどこか悲しくなるような事を思いながら、俺は一人で人気の少ない廊下を歩く。
これからどうするか。
>>275
「……と言われてもなぁ」
「あぁ、夏のリア充を排除するのは不可能だ」
「てごわいあいてですね。それでも、あにきなら」
そんな感じに負け犬モード全開な俺達。
すると理科は、
「ふふ、それならまずはリア充の真似をして理科達のリア充度を上げる所から始めましょう!!」
リア充度ってなんだよって突っ込みたくなるが、とりあえずまずは理科の話を聞いてみることにする。
夜空と幸村も、同じように真面目な表情で理科の方を見ている。
「夏にリア充がやる事!! それはズバリらん――」
「この変態がッ!!!」
即座に夜空のハエ叩きが理科の顔面にブチ当たった。
「な、何するんですか夜空先輩!」
「貴様がいきなり破廉恥な事を言おうとするからだ! まったく、まじめに聞いた私がバカだった」
「ええー、まだ『らん』までしか言ってないじゃないですかー。
もしかしたら『ランニング』かもしれませんし『ランドセルを背負った幼女について語る』かもしれないじゃないですかー」
「そ、それは……」
「それにあまり過剰反応していると、ムッツリさんに見えますよー、うへへ」
「なっ、違う!!///」
顔を赤くして動揺する夜空。
つーか、『ランドセルを背負った幼女について語る』ってのも余裕でアウトだと思うけどな。
「――まぁ、ご想像通り、『乱交』って言おうと思ったんですけど」
「やっぱりか貴様ァァ!!」
結局再びハエ叩きでぶっ叩かれる理科。
そんな感じでその後もただギャーギャーと騒ぎ、それで体力を消耗した結果、結局今日は何もやらないで解散となった。
夏休み前の最後の活動は、俺達らしい何とも残念なものとなった。
***
「さて、と……」
理科室を出た俺は少し考える。
時間はまだ早い。
今日は午前授業だった上に、理科部でろくな活動もしていないからだ。
外では体育会系の部活が炎天下の中汗を流し、校内には吹奏楽部の演奏も聞こえてくる。
みんな青春してんなー、なんてどこか悲しくなるような事を思いながら、俺は一人で人気の少ない廊下を歩く。
これからどうするか。
>>275
275:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 20:52:24.61:X0eXgNYSO (3/7)
廊下に消火器撒いてみるか
廊下に消火器撒いてみるか
276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 21:08:39.81:akFmEb8b0 (1/1)
ワロタwww
ワロタwww
277:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 21:12:58.69:X0eXgNYSO (4/7)
ゴメン、俺、どうしてもハジケリストな小鷹が見たいんだ…後無茶ぶりして狼狽しながらもうまく捌く>>1が…
ゴメン、俺、どうしてもハジケリストな小鷹が見たいんだ…後無茶ぶりして狼狽しながらもうまく捌く>>1が…
278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/20(金) 21:19:03.72:LZPI9mj8o (4/5)
小鷹の歴史にまた1ページか
小鷹の歴史にまた1ページか
279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 21:26:19.84:GZD7Aos/o (1/1)
下手したらマジで退学しそうだな
下手したらマジで退学しそうだな
280: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 22:05:24.04:LuHuZbhOo (11/16)
「ヒャッハー!! 汚物は消毒だああああああ!!!」
「ははははは、やめろってのー!!」
そんな声にそちらを見てみると、どうやら男子生徒二人がふざけているようだ。
一人が消化器を持って、もう一人に向けている。たしか北斗の拳のネタだったか。
当然、中身が出ているわけではなく、あくまでふりだ。
この学校の生徒は全体的に大人しいと言われているが、夏休み前ともなると少しはっちゃけたくもなるのだろう。
ああやって友達同士でふざけるのって楽しそうだよなぁ。
そんな事を考えてしまう。
「……ひっ!!」
「ん、どうした……わっ!!!」
どうやら二人共俺に気付いたようだ。
なんかもう、この反応は慣れてきたとはいえ、悲しいものは悲しい。
ていうかかなり傷つく。
「「調子乗ってすみませんでしたあああああああああああああああああああああ!!!!!」」
なんか恐怖の風紀委員みたいになってるな。
俺は溜息をつくと、放置された消化器を元の場所に戻そうと手に持つ。
……ちょっとリア充の練習でもしてみるか。
「ひゃ、ヒャッハー!! 汚物は消毒だああああああああ!!!!!」
ちょっとふざけてみる俺。
だがその瞬間。
ブシャァァアアアアアアアア!!! と中身が噴出した!
「う、うおおおおお!?」
俺はビビって消化器を取り落とした。
それでも止まらず、廊下に消火器の中身がぶちまけられていく。
やばいやばい!!
たまたま通りかかった生徒達はその光景に驚くが、俺のことを見ると「またか」といった表情で通りすぎていく。
ちがう、誤解だ!!
俺は焦って言い訳しようとするが、
「あーっ!! 何をやっているんですかー!!!」
そんな舌足らずな大声が聞こえてきた。
俺は全身をビクッと震わせて、急いでそちらを振り向く。
そこに居たのは小柄な少女だった。
ウルフカットの赤みがかった髪に幼さの残る顔立ち。
少年っぽい印象も受けるが、それもボーイッシュというか幼い男の子というような感じだ。
「ち、違うんだ! これは俺が反社会的行動でやったわけじゃなくて、ホントに事故で……!!」
「はっ、君は羽瀬川小鷹!! あの悪名高きヤンキーさんがまたやらかしたんですか!!」
やっぱ結構有名なんだな、俺。
ちっとも嬉しくないし、むしろ泣きたくなってくるけど。
「まぁとにかく、先生を呼んでくるしかないですね。羽瀬川くんはここに居てください。
君がここに居れば、野次馬の人達も近づけないでしょうし」
「……はい」
俺は鳥よけのカカシか。
そんな事を考えながら、パタパタと走っていく少女の後ろ姿を見送った。
「ヒャッハー!! 汚物は消毒だああああああ!!!」
「ははははは、やめろってのー!!」
そんな声にそちらを見てみると、どうやら男子生徒二人がふざけているようだ。
一人が消化器を持って、もう一人に向けている。たしか北斗の拳のネタだったか。
当然、中身が出ているわけではなく、あくまでふりだ。
この学校の生徒は全体的に大人しいと言われているが、夏休み前ともなると少しはっちゃけたくもなるのだろう。
ああやって友達同士でふざけるのって楽しそうだよなぁ。
そんな事を考えてしまう。
「……ひっ!!」
「ん、どうした……わっ!!!」
どうやら二人共俺に気付いたようだ。
なんかもう、この反応は慣れてきたとはいえ、悲しいものは悲しい。
ていうかかなり傷つく。
「「調子乗ってすみませんでしたあああああああああああああああああああああ!!!!!」」
なんか恐怖の風紀委員みたいになってるな。
俺は溜息をつくと、放置された消化器を元の場所に戻そうと手に持つ。
……ちょっとリア充の練習でもしてみるか。
「ひゃ、ヒャッハー!! 汚物は消毒だああああああああ!!!!!」
ちょっとふざけてみる俺。
だがその瞬間。
ブシャァァアアアアアアアア!!! と中身が噴出した!
「う、うおおおおお!?」
俺はビビって消化器を取り落とした。
それでも止まらず、廊下に消火器の中身がぶちまけられていく。
やばいやばい!!
たまたま通りかかった生徒達はその光景に驚くが、俺のことを見ると「またか」といった表情で通りすぎていく。
ちがう、誤解だ!!
俺は焦って言い訳しようとするが、
「あーっ!! 何をやっているんですかー!!!」
そんな舌足らずな大声が聞こえてきた。
俺は全身をビクッと震わせて、急いでそちらを振り向く。
そこに居たのは小柄な少女だった。
ウルフカットの赤みがかった髪に幼さの残る顔立ち。
少年っぽい印象も受けるが、それもボーイッシュというか幼い男の子というような感じだ。
「ち、違うんだ! これは俺が反社会的行動でやったわけじゃなくて、ホントに事故で……!!」
「はっ、君は羽瀬川小鷹!! あの悪名高きヤンキーさんがまたやらかしたんですか!!」
やっぱ結構有名なんだな、俺。
ちっとも嬉しくないし、むしろ泣きたくなってくるけど。
「まぁとにかく、先生を呼んでくるしかないですね。羽瀬川くんはここに居てください。
君がここに居れば、野次馬の人達も近づけないでしょうし」
「……はい」
俺は鳥よけのカカシか。
そんな事を考えながら、パタパタと走っていく少女の後ろ姿を見送った。
281: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 22:08:14.18:LuHuZbhOo (12/16)
***
あの後先生が来て、どうやら消化器自体が老朽化していて部品が壊れていた事が判明した。
それでも、何でもないのに持ったりしない事、と注意は受けたのだが。
今は職員室近くの廊下に居た。
目の前には先程の少女、名前を遊佐葵というらしい。
彼女は頭を深く下げていた。
「本当にすみませんでした。私はてっきりあなたがふざけてあんな事をしたのだと……」
「い、いや、もう別に気にしてないからさ」
実際、ふざけていたというのは当たっているので、俺も少しバツが悪い。
とりあえず少しでもこの空気をほぐそうと、俺は口を開く。
「そういえば遊佐は生徒会に入ってるんだって? 一年生なのに偉いじゃねえか」
「え……? 私はニ年生ですけど?」
「ま、マジで!?」
素直に驚いた。同学年かよ。
まぁ小鳩もよく小学五年生くらいに見られるけど。
遊佐は軽く溜息をつく。
「でも、生徒会に入ってるとか関係ないですよ。私はこうして羽瀬川くんの見た目だけで勘違いして君を傷つけてしまいました。
そういえば会長も羽瀬川くんの悪評を聞いても、『本人と話したこともないのだから、どんな奴だと決め付けるつもりはない』なんて言っていました……」
「え、会長?」
「はい、生徒会長の日高日向さんです。やはりあの人が正しかったです。人の噂なんて何も当てになりませんね」
確かに見た目や評判だけで勝手に判断するのは良くないと思う。
しかし、それは所詮綺麗事で、俺の事をそんな風に見ているなんて相当珍しいと思う。
ぶっちゃけ俺の場合は、噂が全部ただの噂だとは言えないわけだし。
それと、日高日向……という名前はどこかで聞いたような……うん、忘れた。
「……まぁでも、ホントに俺も気にしてないから、お前ももう気にしなくていいって」
「で、ですが……」
まだ納得できない表情の遊佐。
うーん……でもこの女の子にひたすら頭下げさせている所も、誰かに見られたらまた変な噂流されそうで嫌なんだよなぁ…………。
そうやって俺がキョロキョロと辺りを見渡すと、とあるものが目に入ってきた。
何を見た? >>282
***
あの後先生が来て、どうやら消化器自体が老朽化していて部品が壊れていた事が判明した。
それでも、何でもないのに持ったりしない事、と注意は受けたのだが。
今は職員室近くの廊下に居た。
目の前には先程の少女、名前を遊佐葵というらしい。
彼女は頭を深く下げていた。
「本当にすみませんでした。私はてっきりあなたがふざけてあんな事をしたのだと……」
「い、いや、もう別に気にしてないからさ」
実際、ふざけていたというのは当たっているので、俺も少しバツが悪い。
とりあえず少しでもこの空気をほぐそうと、俺は口を開く。
「そういえば遊佐は生徒会に入ってるんだって? 一年生なのに偉いじゃねえか」
「え……? 私はニ年生ですけど?」
「ま、マジで!?」
素直に驚いた。同学年かよ。
まぁ小鳩もよく小学五年生くらいに見られるけど。
遊佐は軽く溜息をつく。
「でも、生徒会に入ってるとか関係ないですよ。私はこうして羽瀬川くんの見た目だけで勘違いして君を傷つけてしまいました。
そういえば会長も羽瀬川くんの悪評を聞いても、『本人と話したこともないのだから、どんな奴だと決め付けるつもりはない』なんて言っていました……」
「え、会長?」
「はい、生徒会長の日高日向さんです。やはりあの人が正しかったです。人の噂なんて何も当てになりませんね」
確かに見た目や評判だけで勝手に判断するのは良くないと思う。
しかし、それは所詮綺麗事で、俺の事をそんな風に見ているなんて相当珍しいと思う。
ぶっちゃけ俺の場合は、噂が全部ただの噂だとは言えないわけだし。
それと、日高日向……という名前はどこかで聞いたような……うん、忘れた。
「……まぁでも、ホントに俺も気にしてないから、お前ももう気にしなくていいって」
「で、ですが……」
まだ納得できない表情の遊佐。
うーん……でもこの女の子にひたすら頭下げさせている所も、誰かに見られたらまた変な噂流されそうで嫌なんだよなぁ…………。
そうやって俺がキョロキョロと辺りを見渡すと、とあるものが目に入ってきた。
何を見た? >>282
282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/20(金) 22:09:20.45:bGIuclkAO (2/3)
牛
牛
283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/20(金) 22:13:23.08:pi3Ib3vv0 (1/1)
「ごっつええ感じ」に教室の窓の外見たら象が暴れてるコントあったよな
「ごっつええ感じ」に教室の窓の外見たら象が暴れてるコントあったよな
284:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/20(金) 22:15:47.88:nN8Cbqby0 (1/1)
みんな>>1に期待しすぎww
みんな>>1に期待しすぎww
285:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2012/07/20(金) 22:16:50.87:9X6tbu3k0 (1/1)
星奈かそれともほんまもんの牛かww
星奈かそれともほんまもんの牛かww
286:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 22:18:50.58:X0eXgNYSO (5/7)
ほんまもんのが話的には面白いなーチラッ
ほんまもんのが話的には面白いなーチラッ
287:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/20(金) 22:20:34.32:LZPI9mj8o (5/5)
乳牛のがいいな
乳牛のがいいな
288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 22:22:29.83:pQKMg/oIO (1/1)
乳牛のコスプレをした肉か…
乳牛のコスプレをした肉か…
289: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 23:25:02.90:LuHuZbhOo (13/16)
俺の目に入ってきたのは牛――――のような乳だった。
この学校でそんな胸を持っている者は、俺が知るかぎり一人しかいない。
廊下の向こうから歩いてくる少女。
金髪碧眼のお嬢様、柏崎星奈だ。今日は珍しく取り巻きの男子は居ないようだ。
「……げっ」
俺を見ての第一声はそれで統一する気か。
明らかに嫌そうな目で俺を見ている。
まぁ最後に会った時、彼女は鍋に入れられたわけで……。
この反応も当然だとは思うが。
「よ、よう」
「あんたこんなとこで何やってるわけ? どうせ、また何かやらかして職員室に呼ばれたんだろうけど」
「うぐっ……」
「やっぱり図星? 相変わらずヤンキーらしくバカみたいなことしてるわねあんた。
ある意味羨ましいわ。頭空っぽで悩みも何もなさそうでさ」
「柏崎星奈! 羽瀬川くんの事を悪く言わないでください! これは私の早とちりのせいなんです!!」
遊佐が俺をかばってくれた。
今までみんな怖がっているばかりで、こんなかばわれることなんてなかったので、思わず感動してしまう。
星奈は眉をひそめて、
「……誰よあんた」
「遊佐葵ですよ! 同じクラスでしょう!!」
「ふーん。あ、そうだプリン!」
星奈は遊佐のことはまるで興味ない様子で、すぐに鋭い視線を俺に戻した。
というか、そのあだ名はやめてほしい。
「なんだよ……」
「理科部のあの黒髪ロングで狐みたいな目のあの女、三日月夜空っていうんだっけ!? アイツに覚えとけって言っときなさいよ!!
愚民の分際で高貴なあたしをあれだけ侮辱して……ッ!! ただじゃ済まさないわ!!!」
「……おー、一応言っておくよ」
たぶん全くと言っていい程気にも止めないだろうけど。
すると遊佐がキョトンとした表情でこちらを見上げてきた。
「羽瀬川くんは理科部なのですか?」
「あぁ。気が向いたら遊びに来いよ。結構面白いもん作ってるからさ」
「はいっ!」
「やめときなさい、実験台にされるわよ。あたしも一度酷い目にあったんだから」
「えっ!? ……はっ、ダメですダメです人の評判に惑わされては!! 羽瀬川くんはそんな事しません!!」
遊佐は一瞬怯えた目で俺を見たが、すぐにブンブンと頭を振った。
それを見た星奈は思いっきり見下した目で、
「はぁ? まさかあんたもこのプリン達と同類のバカなわけ?」
「プリンって羽瀬川くんの事ですか!?」
「そうよ。この学校に汚いプリン頭なんて一人しか居ないでしょ」
「そんな事言わないでください! それにいいじゃないですか羽瀬川くんの頭!! カッコイイです!!」
「「え??」」
思わず星奈に合わせて俺も声を出してしまった。
まさかこの頭をカッコイイという子がいるなんて。
俺の目に入ってきたのは牛――――のような乳だった。
この学校でそんな胸を持っている者は、俺が知るかぎり一人しかいない。
廊下の向こうから歩いてくる少女。
金髪碧眼のお嬢様、柏崎星奈だ。今日は珍しく取り巻きの男子は居ないようだ。
「……げっ」
俺を見ての第一声はそれで統一する気か。
明らかに嫌そうな目で俺を見ている。
まぁ最後に会った時、彼女は鍋に入れられたわけで……。
この反応も当然だとは思うが。
「よ、よう」
「あんたこんなとこで何やってるわけ? どうせ、また何かやらかして職員室に呼ばれたんだろうけど」
「うぐっ……」
「やっぱり図星? 相変わらずヤンキーらしくバカみたいなことしてるわねあんた。
ある意味羨ましいわ。頭空っぽで悩みも何もなさそうでさ」
「柏崎星奈! 羽瀬川くんの事を悪く言わないでください! これは私の早とちりのせいなんです!!」
遊佐が俺をかばってくれた。
今までみんな怖がっているばかりで、こんなかばわれることなんてなかったので、思わず感動してしまう。
星奈は眉をひそめて、
「……誰よあんた」
「遊佐葵ですよ! 同じクラスでしょう!!」
「ふーん。あ、そうだプリン!」
星奈は遊佐のことはまるで興味ない様子で、すぐに鋭い視線を俺に戻した。
というか、そのあだ名はやめてほしい。
「なんだよ……」
「理科部のあの黒髪ロングで狐みたいな目のあの女、三日月夜空っていうんだっけ!? アイツに覚えとけって言っときなさいよ!!
愚民の分際で高貴なあたしをあれだけ侮辱して……ッ!! ただじゃ済まさないわ!!!」
「……おー、一応言っておくよ」
たぶん全くと言っていい程気にも止めないだろうけど。
すると遊佐がキョトンとした表情でこちらを見上げてきた。
「羽瀬川くんは理科部なのですか?」
「あぁ。気が向いたら遊びに来いよ。結構面白いもん作ってるからさ」
「はいっ!」
「やめときなさい、実験台にされるわよ。あたしも一度酷い目にあったんだから」
「えっ!? ……はっ、ダメですダメです人の評判に惑わされては!! 羽瀬川くんはそんな事しません!!」
遊佐は一瞬怯えた目で俺を見たが、すぐにブンブンと頭を振った。
それを見た星奈は思いっきり見下した目で、
「はぁ? まさかあんたもこのプリン達と同類のバカなわけ?」
「プリンって羽瀬川くんの事ですか!?」
「そうよ。この学校に汚いプリン頭なんて一人しか居ないでしょ」
「そんな事言わないでください! それにいいじゃないですか羽瀬川くんの頭!! カッコイイです!!」
「「え??」」
思わず星奈に合わせて俺も声を出してしまった。
まさかこの頭をカッコイイという子がいるなんて。
290: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 23:27:38.31:LuHuZbhOo (14/16)
「あんた……本気で言ってる?」
「はい!! こだわりを持ってそうな渋い金髪が大変いい感じです!! それにズボンの裾をちょっと上げちゃってるとこもとってもオシャレさんです!!
こういうカッコイイ人を巷でモテモテな『ちょいわる系』とかって呼ぶのでしょう?」
外見をここまで褒められたのは初めてで、思わず照れてしまう。
だが、悲しいことに俺はこう思ってしまう。
たぶん、この子の感性はかなり残念だ。
「……なんだ、やっぱりあんたもコイツらと同類か。えっと、なんだっけ…………ゆなんとか」
「“遊佐”です!!!」
夜空の名前覚えるくらいなら、同じクラスの女子の名前くらい覚えてやれよ……。
二人のやり取りを他人事のように眺めながら、俺はそんな事を思った。
なんとなく、星奈に友達がいない理由が分かってきた気がする。
***
「……はぁ、なんか疲れたな」
その後、遊佐、星奈と別れた俺は再び一人で廊下を歩く。
太陽は次第に低い位置まで来ているが、まだ夕暮れには早い。
もちろん、このまま帰ってもいいのだが――。
どうする? >>291
「あんた……本気で言ってる?」
「はい!! こだわりを持ってそうな渋い金髪が大変いい感じです!! それにズボンの裾をちょっと上げちゃってるとこもとってもオシャレさんです!!
こういうカッコイイ人を巷でモテモテな『ちょいわる系』とかって呼ぶのでしょう?」
外見をここまで褒められたのは初めてで、思わず照れてしまう。
だが、悲しいことに俺はこう思ってしまう。
たぶん、この子の感性はかなり残念だ。
「……なんだ、やっぱりあんたもコイツらと同類か。えっと、なんだっけ…………ゆなんとか」
「“遊佐”です!!!」
夜空の名前覚えるくらいなら、同じクラスの女子の名前くらい覚えてやれよ……。
二人のやり取りを他人事のように眺めながら、俺はそんな事を思った。
なんとなく、星奈に友達がいない理由が分かってきた気がする。
***
「……はぁ、なんか疲れたな」
その後、遊佐、星奈と別れた俺は再び一人で廊下を歩く。
太陽は次第に低い位置まで来ているが、まだ夕暮れには早い。
もちろん、このまま帰ってもいいのだが――。
どうする? >>291
291:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 23:28:55.01:X0eXgNYSO (6/7)
ハデに躍り狂ってみる
ハデに躍り狂ってみる
292: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 23:42:12.47:LuHuZbhOo (15/16)
ふと近くの教室から軽快な音楽が聞こえてきた。
チラリと覗きこんでみると、どうやらダンス系の部活か同好会が活動しているようだ。
机は全て後ろに寄せられ、開いたスペースで男女が踊っている。
確か、ブレイクダンスとかってやつだろうか?
なんていうか、すごく。
リア充っぽい雰囲気だ。
「……よし」
やはりリア充の事は学んでおくべきだろう。
そう思った俺は教室の中から聞こえる音楽に乗って、廊下で踊りまくってみる事にした。
もう振り付けなどはてきとーで本能のままに。
体や腕を回す。
両手を床につけて足を回す。
大きくジャンプしたり、ブリッジなんかもしてみる。
これは予想以上に楽しい。
かなり夢中になってしまう俺だったが。
――その時。
とあるものが目に入った。
>>293
ふと近くの教室から軽快な音楽が聞こえてきた。
チラリと覗きこんでみると、どうやらダンス系の部活か同好会が活動しているようだ。
机は全て後ろに寄せられ、開いたスペースで男女が踊っている。
確か、ブレイクダンスとかってやつだろうか?
なんていうか、すごく。
リア充っぽい雰囲気だ。
「……よし」
やはりリア充の事は学んでおくべきだろう。
そう思った俺は教室の中から聞こえる音楽に乗って、廊下で踊りまくってみる事にした。
もう振り付けなどはてきとーで本能のままに。
体や腕を回す。
両手を床につけて足を回す。
大きくジャンプしたり、ブリッジなんかもしてみる。
これは予想以上に楽しい。
かなり夢中になってしまう俺だったが。
――その時。
とあるものが目に入った。
>>293
293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2012/07/20(金) 23:42:40.30:bGIuclkAO (3/3)
理科のスカートの中
理科のスカートの中
294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/20(金) 23:44:19.43:ZV+xBwJXo (2/2)
それ理科のパンツや
それ理科のパンツや
295:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/20(金) 23:44:36.05:X0eXgNYSO (7/7)
もうね、関東は理科のスカートの中に住んだらいいと思うの。いやいい意味で
もうね、関東は理科のスカートの中に住んだらいいと思うの。いやいい意味で
296:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/20(金) 23:56:06.09:Wjo2ktN40 (1/1)
スカートの中は安定して
理科の好感度上げれていいな
スカートの中は安定して
理科の好感度上げれていいな
297: ◆0WipXNi8qk:2012/07/20(金) 23:59:39.52:LuHuZbhOo (16/16)
「ぶほっ!!!!!」
急に、何か見てはいけないものが見えてしまった俺は派手にすっ転んだ。
全身をズキズキと痛めて起き上がるとそこには、
「何をやっているんですか先輩?」
凄く心配そうにこちらを見ている理科が居た。
「え、あ、いやこれはだな……」
夢中になって踊っているところを見られるのは何とも恥ずかしい。
俺は焦って言葉に詰まる。
「見た感じ踊っていたみたいですけど、端から見るとすっごく怖かったですよ」
「え、マジで?」
「えぇ、近づけば殺されそうな雰囲気が出てました」
「そこまで!?」
それは自分では気付かなった。
「あー、なんつーかサンキューな教えてくれて」
「いえいえ。理科も部員が学校の怪談の一部になるのとかはちょっとアレなんで」
「ホラー的な怖さかよ……」
まぁ人気のなくなった廊下で踊っているのは気味が悪いかもしれないが。
そこで、俺はふと疑問に思う。
「あれ、でも理科は何でここに居るんだ? 今から帰りか?」
「理科はですね……」
理科は何をしている? >>298
「ぶほっ!!!!!」
急に、何か見てはいけないものが見えてしまった俺は派手にすっ転んだ。
全身をズキズキと痛めて起き上がるとそこには、
「何をやっているんですか先輩?」
凄く心配そうにこちらを見ている理科が居た。
「え、あ、いやこれはだな……」
夢中になって踊っているところを見られるのは何とも恥ずかしい。
俺は焦って言葉に詰まる。
「見た感じ踊っていたみたいですけど、端から見るとすっごく怖かったですよ」
「え、マジで?」
「えぇ、近づけば殺されそうな雰囲気が出てました」
「そこまで!?」
それは自分では気付かなった。
「あー、なんつーかサンキューな教えてくれて」
「いえいえ。理科も部員が学校の怪談の一部になるのとかはちょっとアレなんで」
「ホラー的な怖さかよ……」
まぁ人気のなくなった廊下で踊っているのは気味が悪いかもしれないが。
そこで、俺はふと疑問に思う。
「あれ、でも理科は何でここに居るんだ? 今から帰りか?」
「理科はですね……」
理科は何をしている? >>298
298:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/21(土) 00:01:40.71:BzRdyN0+o (1/1)
マンズリ
マンズリ
299:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/21(土) 00:01:52.95:S1rfL3JAo (1/1)
小鷹のにおいに釣られてやってきた
小鷹のにおいに釣られてやってきた
300:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2012/07/21(土) 00:03:12.12:gNzjKlCAO (1/3)
理科部が割と本気で危険人物の巣窟だな
理科部が割と本気で危険人物の巣窟だな
301: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 00:38:44.91:23ooq/eQo (1/6)
「ちょっとそこの教室の机でマンズリでもしようかと」
「ふーん。じゃあ俺帰るわ。またな」
「え、ちょ、先輩!?」
そんなわけで、俺はもう帰ることにした。
消化器騒ぎがあったり、星奈に会ったり……そして最後は理科だ。
それはとてつもなく重いものを食べた最後に油がこってりのった巨大な肉が出てきたかのような感覚で。
なんか凄く疲れた。
そういえば星奈が遊佐に対して「コイツらと同類」とか何とか言っていたが――。
俺はチラリと後ろの理科を見てみる。
放置されたことに対してビクビクと全身を震わせている。
微妙に喘ぎ声まで漏れている。廊下のど真ん中で。
俺は溜息をつく。
星奈も本当に酷い事を言うもんだ。
「理科部と同類」、それはたぶん一般人にとって、とてつもなく酷い侮辱の言葉になるだろう。
なにせそれは、エア友達を作っていたり教室でマンズリしているような人間と同類と言われているのだから。
***
夏休みがやってきた。
といっても朝からラジオ体操に行ったりカブトムシを取ったりする事もなく。
はたまた友達と共にプールへ行ったり、涼しいデパートまで買い物に出かけたりするでもない。
さすがに一日中自分の部屋にこもってひたすらPCに向かうような事もないが。
それでも、外にも出ずに家でまったりとしている事に変わりはなかった。
「……これ再放送か?」
「ククク、その通りだ。この時期は一挙放送とやらが多いからな」
俺はリビングでぼけーっと小鳩と一緒にテレビを見る。
鉄(くろがね)の死霊術師(ネクロマンサー)。
所謂魔法少女のバトル物であり、小さい友達から大きい友達まで幅広い層に人気がある。
小鳩の邪気眼発祥の原因もこのアニメであり、ヒロインであるレイス・フォン……なんとかのキャラを演じきっている。
正直専門用語的なものが多すぎて、あまりついていけないというのが率直な感想だ。
まぁアクションシーンはさすがに凄いので、設定とかあまり知っていなくても面白い。
「……あ、そういえば部活はいつから行けばいいのかなぁ」
「むっ、我が半身よ。夏休みであるにも関わらず、まだ部活などという俗的なものへとうつつを抜かすのか?」
「あれ、眷属から半身になったんだな」
「ふん、何を言っている。我と貴様は前世で契を交わした、半身同士ではないか」
設定がコロコロ変わるのはいつも通りなので、そこまで深く突っ込んだりはしない。
そして普段はアニメを観ている時の小鳩は集中しすぎて周りの音が全く聞こえなくなるのだが、今観ているのは再放送なのでそこまでにはならないようだ。
現在時刻は午後一時。
一応夏休みも部活をやるというのは聞いていたが、いつも通りの時間に行く、という事でいいのだろうか。
どうする? >>302
「ちょっとそこの教室の机でマンズリでもしようかと」
「ふーん。じゃあ俺帰るわ。またな」
「え、ちょ、先輩!?」
そんなわけで、俺はもう帰ることにした。
消化器騒ぎがあったり、星奈に会ったり……そして最後は理科だ。
それはとてつもなく重いものを食べた最後に油がこってりのった巨大な肉が出てきたかのような感覚で。
なんか凄く疲れた。
そういえば星奈が遊佐に対して「コイツらと同類」とか何とか言っていたが――。
俺はチラリと後ろの理科を見てみる。
放置されたことに対してビクビクと全身を震わせている。
微妙に喘ぎ声まで漏れている。廊下のど真ん中で。
俺は溜息をつく。
星奈も本当に酷い事を言うもんだ。
「理科部と同類」、それはたぶん一般人にとって、とてつもなく酷い侮辱の言葉になるだろう。
なにせそれは、エア友達を作っていたり教室でマンズリしているような人間と同類と言われているのだから。
***
夏休みがやってきた。
といっても朝からラジオ体操に行ったりカブトムシを取ったりする事もなく。
はたまた友達と共にプールへ行ったり、涼しいデパートまで買い物に出かけたりするでもない。
さすがに一日中自分の部屋にこもってひたすらPCに向かうような事もないが。
それでも、外にも出ずに家でまったりとしている事に変わりはなかった。
「……これ再放送か?」
「ククク、その通りだ。この時期は一挙放送とやらが多いからな」
俺はリビングでぼけーっと小鳩と一緒にテレビを見る。
鉄(くろがね)の死霊術師(ネクロマンサー)。
所謂魔法少女のバトル物であり、小さい友達から大きい友達まで幅広い層に人気がある。
小鳩の邪気眼発祥の原因もこのアニメであり、ヒロインであるレイス・フォン……なんとかのキャラを演じきっている。
正直専門用語的なものが多すぎて、あまりついていけないというのが率直な感想だ。
まぁアクションシーンはさすがに凄いので、設定とかあまり知っていなくても面白い。
「……あ、そういえば部活はいつから行けばいいのかなぁ」
「むっ、我が半身よ。夏休みであるにも関わらず、まだ部活などという俗的なものへとうつつを抜かすのか?」
「あれ、眷属から半身になったんだな」
「ふん、何を言っている。我と貴様は前世で契を交わした、半身同士ではないか」
設定がコロコロ変わるのはいつも通りなので、そこまで深く突っ込んだりはしない。
そして普段はアニメを観ている時の小鳩は集中しすぎて周りの音が全く聞こえなくなるのだが、今観ているのは再放送なのでそこまでにはならないようだ。
現在時刻は午後一時。
一応夏休みも部活をやるというのは聞いていたが、いつも通りの時間に行く、という事でいいのだろうか。
どうする? >>302
302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2012/07/21(土) 00:40:18.15:gNzjKlCAO (2/3)
いつも通りの時間に行く
いつも通りの時間に行く
303:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 00:40:48.75:IemqyDkSO (1/9)
中二病の恥ずかしさを理解するまで教え込む
中二病の恥ずかしさを理解するまで教え込む
304: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 01:28:51.23:23ooq/eQo (2/6)
***
結局いつもの時間に理科室に行く。
そこには全員が揃っていた。
「遅いぞ小鷹!」
「え、遅いって、いつもの時間じゃねえか」
「せっかくの休みの日ですのに、いつもの時間ではもったいないではないですか!」
「お、おう、そっか悪い……お前らは何時に来てたんだ?」
「昼の一時だ」
「同じくらいです」
「わたくしは、朝の八時です」
「八時!?」
何でもない様子で答えた幸村に俺は仰天する。
「な、何でそんな早くから!?」
「万が一にでもあにきよりも遅くつくなどしゃていとしてゆるされませんゆえ」
「……そ、そっか」
なんだか申し訳なさがこみ上げてくる。
幸村がそうやって理科室に来た時、俺はまだ部屋で爆睡していたはずだ。
「な、なぁ、一応基本的な集合時間は事前に決めとかないか?」
「確かにそうした方がいいな。しかし、連絡手段はどうする?」
「連絡手段……ネット掲示板とかはどうだ?」
「いやだ」
即答だった。
しかもその顔が激しく歪んだのを見ると、何かトラウマでもあるのだろう。
あまり聞きたくもないのでスルーするが。
「あにき、そーしゃるねっとわーくさいとなどはいかがでしょうか」
「あぁ、SNSか。どうだ夜空?」
「アレも好かん」
「じゃあどうするんだよ……」
俺は溜息をつく。
どうする? >>305
***
結局いつもの時間に理科室に行く。
そこには全員が揃っていた。
「遅いぞ小鷹!」
「え、遅いって、いつもの時間じゃねえか」
「せっかくの休みの日ですのに、いつもの時間ではもったいないではないですか!」
「お、おう、そっか悪い……お前らは何時に来てたんだ?」
「昼の一時だ」
「同じくらいです」
「わたくしは、朝の八時です」
「八時!?」
何でもない様子で答えた幸村に俺は仰天する。
「な、何でそんな早くから!?」
「万が一にでもあにきよりも遅くつくなどしゃていとしてゆるされませんゆえ」
「……そ、そっか」
なんだか申し訳なさがこみ上げてくる。
幸村がそうやって理科室に来た時、俺はまだ部屋で爆睡していたはずだ。
「な、なぁ、一応基本的な集合時間は事前に決めとかないか?」
「確かにそうした方がいいな。しかし、連絡手段はどうする?」
「連絡手段……ネット掲示板とかはどうだ?」
「いやだ」
即答だった。
しかもその顔が激しく歪んだのを見ると、何かトラウマでもあるのだろう。
あまり聞きたくもないのでスルーするが。
「あにき、そーしゃるねっとわーくさいとなどはいかがでしょうか」
「あぁ、SNSか。どうだ夜空?」
「アレも好かん」
「じゃあどうするんだよ……」
俺は溜息をつく。
どうする? >>305
305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2012/07/21(土) 01:30:16.60:gNzjKlCAO (3/3)
普通に電話かメール
普通に電話かメール
306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 01:30:25.77:IemqyDkSO (2/9)
じゃあ俺が毎回決める。一斉送信でメールで通達する
じゃあ俺が毎回決める。一斉送信でメールで通達する
307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2012/07/21(土) 01:38:30.23:EokcTax20 (1/1)
>>305
小鳩が電話に出るフラグ?
>>305
小鳩が電話に出るフラグ?
308: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 01:51:02.76:23ooq/eQo (3/6)
「あの、先輩方」
ここで理科がおずおずといった感じで手を上げる。
「おっ、そっか理科が何か作ってくれんのか?」
「ほう、さすが理科部の部長だ」
「あ、いえ、そうではなくて……連絡って普通に電話とかメールじゃダメなんですか?」
理科のその言葉に俺と夜空は固まった。
電話に……メール?
それは、まさか……ケータイデンワの事を言っているのか?
「……理科、お前は天才か」
「そうか、携帯電話……その手があったか!!」
「……えーと」
驚く俺と夜空を見て、なぜか軽く引いている理科。
彼女が引くというのはかなり珍しい気がする。
「じゃ、じゃあアレだな、アドレス交換が必要だな!」
「そうですね、それでは赤外線で……」
「赤外線!? まさかあのテレビのリモコンと同じやつか!?」
「そのほうほうならわたくしにもしょうしょう心得があります」
「マジか幸村!!!」
そんなこんなでしばらくギャーギャーと騒ぐ俺達。
その様子はまるで電気を初めて知った未開人のようだったと、後になって理科から聞いた。
いや、でも仕方がないだろう。
ケータイとはつまり現代で最大のコミュニケーションツール。
友達がいない人間が上手く使えるはずがないんだ。
「――と、これでみなさんへの連絡方法はできたというわけで」
とりあえず全員とアドレス交換が完了した。
夜空はケータイのアドレス帳を見て何やらニヤニヤしている。いや気持ちはわかるぞ夜空。
俺も家族以外のアドレスが登録されているのを見ると自然と頬が緩む。
アドレス帳の“あ”行から“ら”行までコンプリートなんてできなくていい。
とにかく、そこに自分以外の誰かの連絡先が登録されている、それが大事だ。
ちなみに、活動の時間などは部長である理科がすべて決める事になった。
「ああもう、聞いてますかー? これから新しい道具や、この夏を乗り切る作戦を考案しますよー?」
何をする? >>309
「あの、先輩方」
ここで理科がおずおずといった感じで手を上げる。
「おっ、そっか理科が何か作ってくれんのか?」
「ほう、さすが理科部の部長だ」
「あ、いえ、そうではなくて……連絡って普通に電話とかメールじゃダメなんですか?」
理科のその言葉に俺と夜空は固まった。
電話に……メール?
それは、まさか……ケータイデンワの事を言っているのか?
「……理科、お前は天才か」
「そうか、携帯電話……その手があったか!!」
「……えーと」
驚く俺と夜空を見て、なぜか軽く引いている理科。
彼女が引くというのはかなり珍しい気がする。
「じゃ、じゃあアレだな、アドレス交換が必要だな!」
「そうですね、それでは赤外線で……」
「赤外線!? まさかあのテレビのリモコンと同じやつか!?」
「そのほうほうならわたくしにもしょうしょう心得があります」
「マジか幸村!!!」
そんなこんなでしばらくギャーギャーと騒ぐ俺達。
その様子はまるで電気を初めて知った未開人のようだったと、後になって理科から聞いた。
いや、でも仕方がないだろう。
ケータイとはつまり現代で最大のコミュニケーションツール。
友達がいない人間が上手く使えるはずがないんだ。
「――と、これでみなさんへの連絡方法はできたというわけで」
とりあえず全員とアドレス交換が完了した。
夜空はケータイのアドレス帳を見て何やらニヤニヤしている。いや気持ちはわかるぞ夜空。
俺も家族以外のアドレスが登録されているのを見ると自然と頬が緩む。
アドレス帳の“あ”行から“ら”行までコンプリートなんてできなくていい。
とにかく、そこに自分以外の誰かの連絡先が登録されている、それが大事だ。
ちなみに、活動の時間などは部長である理科がすべて決める事になった。
「ああもう、聞いてますかー? これから新しい道具や、この夏を乗り切る作戦を考案しますよー?」
何をする? >>309
309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/21(土) 01:53:07.82:ETCGr1TI0 (1/3)
プール掃除
水泳部がいようが関係ない、排除してでも掃除
プール掃除
水泳部がいようが関係ない、排除してでも掃除
310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 01:53:40.48:IemqyDkSO (3/9)
強力な水鉄砲作って軽いサバイバルゲームやろーぜ
強力な水鉄砲作って軽いサバイバルゲームやろーぜ
311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 01:54:01.45:idfi3z3DO (1/1)
海水浴に行ってリア充になる練習をしよう
海水浴に行ってリア充になる練習をしよう
312: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 02:38:41.29:23ooq/eQo (4/6)
「プール掃除しましょう!!」
そんな事を高らかに宣言する理科。
「プール掃除?」
「はい!! 夏のリア充と言えば、プール掃除ですよ!!」
「……ふむ、確かに一理あるな。小説などでもそういうシチュエーションは度々見る」
「みずぜめにたいするしゅぎょうですか」
そんな感じにいつも通り各々好き勝手な意見を言いまくる。
まぁしかし、確かにプール掃除はなんていうか、リア充的なワクワク感がある。
クラス全員でびしょ濡れになりながら楽しく掃除する。テレビのCMなんかでもよく見る。
「ふふ、それで掃除中にカーリングかなんかで遊んだり……!!
後は掃除が終わってプールに水を入れながらプールサイドに腰掛けてラムネなんか飲んだり!!」
「いいなそれ、すげえリア充っぽい!! やっぱお前天才じゃねえか!!」
「でしょう!! ただの変態じゃないんですよ変態じゃあ!!!」
「一応変態の自覚はあったのか……。だがまぁしかし……お前の言っている事は確かに心を揺さぶられるな! 実にリア充らしい!!」
「理科どのはできるへんたいであります」
「もう何でもいいですよっ!! とにかく今すぐプールへ行きますよ!!!」
そうやって妙なテンションでプールへ向かう理科部だった。
「プール掃除しましょう!!」
そんな事を高らかに宣言する理科。
「プール掃除?」
「はい!! 夏のリア充と言えば、プール掃除ですよ!!」
「……ふむ、確かに一理あるな。小説などでもそういうシチュエーションは度々見る」
「みずぜめにたいするしゅぎょうですか」
そんな感じにいつも通り各々好き勝手な意見を言いまくる。
まぁしかし、確かにプール掃除はなんていうか、リア充的なワクワク感がある。
クラス全員でびしょ濡れになりながら楽しく掃除する。テレビのCMなんかでもよく見る。
「ふふ、それで掃除中にカーリングかなんかで遊んだり……!!
後は掃除が終わってプールに水を入れながらプールサイドに腰掛けてラムネなんか飲んだり!!」
「いいなそれ、すげえリア充っぽい!! やっぱお前天才じゃねえか!!」
「でしょう!! ただの変態じゃないんですよ変態じゃあ!!!」
「一応変態の自覚はあったのか……。だがまぁしかし……お前の言っている事は確かに心を揺さぶられるな! 実にリア充らしい!!」
「理科どのはできるへんたいであります」
「もう何でもいいですよっ!! とにかく今すぐプールへ行きますよ!!!」
そうやって妙なテンションでプールへ向かう理科部だった。
313: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 02:40:24.13:23ooq/eQo (5/6)
***
プールへ行くと、意外なことに水泳部は活動していなかった。
「休みの日を狙いましたからね」
「お前最初からこのつもりだったんじゃねえか」
口ではそう言いながらも、内心ワクワクしている俺。
夜空も珍しくテンションが上がっているようで、
「よし、それではプールの水を抜くぞ!」
「あ、待ってください。それは理科にお任せを」
そう言って理科は手に持ったリモコンを操作する。
すると。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!! という凄まじい音を立てて、見る見るうちにプールの水が抜けていく。
「普通はただ水を抜くだけでもかなりの時間がかかりますからね。そこを理科の道具で短縮することにしました」
「さすが理科どの。これならば相手が堀でまわりをかためていようとも、かんたんにおとせます」
「お、お前やっぱ凄いんだな……」
そんな事を言っている間にプールの水が空になった。
そこで俺は重大なことに気づく。
「そうだ、お前水道代とかどうすんだよ!? これまた入れるってなるとどんだけ金かかるか分かんねえぞ!!」
「大丈夫ですよ、理科のポケットマネーから払いますから」
「ぶ、ブルジョワか貴様……」
「ふふふ、天才発明家をなめないでもらいたいですね」
そう言ってメガネをクイッと上げる理科。
ヤバイ、どことなく様になっている。
それから俺達はプールの中へ降りる。
全員裸足になって、男の制服を着ている俺と幸村はズボンの裾を膝の上辺りまで上げる。
そして何故か夜空がモジモジと赤くなっていた。
「……どうした夜空?」
「あ、あまりこっちを見るなバカ!」
「??」
「あー、もしかして生足を見られるのが恥ずかしいとかですか?」
「わ、わるいか///」
なるほど、確かに露出を嫌う夜空なら、別に不思議じゃないかもしれない。
「あー、もういい!! ほらとにかく始めるぞ!!」
「あ、待ってください。理科部は理科部らしく、道具を使って効率良くやってみましょう!」
「しんのおとこたるもの、炎天下の中あせみずをたらして掃除するべきでは?」
「んー、確かにそれもありだけどさ。四人しかいねえわけだし、ここは理科部らしくやってみようぜ」
「あにきがそうおっしゃるのならば」
どんな道具を使う? >>314
***
プールへ行くと、意外なことに水泳部は活動していなかった。
「休みの日を狙いましたからね」
「お前最初からこのつもりだったんじゃねえか」
口ではそう言いながらも、内心ワクワクしている俺。
夜空も珍しくテンションが上がっているようで、
「よし、それではプールの水を抜くぞ!」
「あ、待ってください。それは理科にお任せを」
そう言って理科は手に持ったリモコンを操作する。
すると。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!! という凄まじい音を立てて、見る見るうちにプールの水が抜けていく。
「普通はただ水を抜くだけでもかなりの時間がかかりますからね。そこを理科の道具で短縮することにしました」
「さすが理科どの。これならば相手が堀でまわりをかためていようとも、かんたんにおとせます」
「お、お前やっぱ凄いんだな……」
そんな事を言っている間にプールの水が空になった。
そこで俺は重大なことに気づく。
「そうだ、お前水道代とかどうすんだよ!? これまた入れるってなるとどんだけ金かかるか分かんねえぞ!!」
「大丈夫ですよ、理科のポケットマネーから払いますから」
「ぶ、ブルジョワか貴様……」
「ふふふ、天才発明家をなめないでもらいたいですね」
そう言ってメガネをクイッと上げる理科。
ヤバイ、どことなく様になっている。
それから俺達はプールの中へ降りる。
全員裸足になって、男の制服を着ている俺と幸村はズボンの裾を膝の上辺りまで上げる。
そして何故か夜空がモジモジと赤くなっていた。
「……どうした夜空?」
「あ、あまりこっちを見るなバカ!」
「??」
「あー、もしかして生足を見られるのが恥ずかしいとかですか?」
「わ、わるいか///」
なるほど、確かに露出を嫌う夜空なら、別に不思議じゃないかもしれない。
「あー、もういい!! ほらとにかく始めるぞ!!」
「あ、待ってください。理科部は理科部らしく、道具を使って効率良くやってみましょう!」
「しんのおとこたるもの、炎天下の中あせみずをたらして掃除するべきでは?」
「んー、確かにそれもありだけどさ。四人しかいねえわけだし、ここは理科部らしくやってみようぜ」
「あにきがそうおっしゃるのならば」
どんな道具を使う? >>314
314:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/21(土) 02:42:10.80:hGRbQToR0 (1/1)
ただのたわし
ただのたわし
315:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 02:42:33.64:IemqyDkSO (4/9)
除菌液を貯水してるタンクからデカイホースで撒く
除菌液を貯水してるタンクからデカイホースで撒く
316: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 03:01:37.53:23ooq/eQo (6/6)
おやすみ
おやすみ
317:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 03:02:35.63:IemqyDkSO (5/9)
>>1乙おやすみ
>>1乙おやすみ
318:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/21(土) 03:02:51.59:eg76edvGo (1/1)
おやすみ
おやすみ
319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/21(土) 03:03:31.25:ETCGr1TI0 (2/3)
おやすみ~
そしてただのたわしってwwwwww
おやすみ~
そしてただのたわしってwwwwww
320:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 03:43:42.69:NZhSm84IO (1/2)
乙
乙
321: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 12:58:00.79:mkIvWLCto (1/13)
「……ふむ、でも確かに幸村くんの言葉も一理ありますね。
考えてみれば、楽してプール掃除っていうのはリア充っぽくないです。適度にサボりながらってのはありますけど」
「え……お、お前もしかして…………」
「はい、とりあえず汗水たらして真面目にやってみましょう!」
理科が持ってきたのは何の変哲もないタワシだった。
俺と夜空はそれを見て顔を引きつらせる。
「お、おい理科。せめてデッキブラシとかじゃねえのかよ」
「というかこんなものではとても終わらないぞ」
「そういった終わるか終わらないか、ギリギリなところを攻めるのがリア充っぽいじゃないですか!!」
「おとこには時にたっせいこんなんなもくひょうへと挑まなければならないときもあります……」
そんなわけで俺達はタワシでプール掃除を始めた。
みんな屈んで、タワシを手に無言でゴシゴシゴシゴシとひたすら擦る。
とにかく暑い。
頭上にはよく晴れた青空が広がっており、太陽はもう下がってきている時間だが、それでも日暮れまではまだまだある。
セミの音が絶え間なく鳴り響く。
汗が頬を伝ってタワシで擦っているところに垂れる。
辺りに響く音は、ゴシゴシというタワシで磨く音と、ホースから水を出す音と、セミの鳴き声や遠くから聞こえてくる運動部の声だけ――――。
「……なぁ、これってリア充となんか違くねえか」
俺が顔を上げてそう言うと、理科も頷く。
「確かに何か違いますね。何でしょう?」
「ふん、しょせん非リアがリア充の真似をしても無駄だという事なんじゃないか?」
「元も子もない事言うなよ……」
俺もなんとなくそんな気がしていたが、口にするのはやめておいたというのに。
プール掃除というのはリア充がやるから楽しそうに見えるだけで。
実際理科部のメンバーのような残念な人達がやっても残念な事にしかならないのではないか。
俺はどうしようもなくやるせない気持ちになって溜息をつくと、理科が少し驚いた表情で、
「あ、夜空先輩、パンツ見えてます」
「なっ……!!!///」
「えっ!?」
理科の言葉に、俺は思わず夜空の方をバッと見る。
理科は少し呆れた様子で、
「いや、冗談……」
「こっち見るなああああ!!!」
「ごはっ!!!」
どうやら理科の言葉は冗談だったらしく、白状しようとするが遅かった。
夜空が投げたタワシが俺の顔面にブチ当たった。
俺はよろけて、後ろに居た幸村にぶつかってしまう。
そして幸村は運悪くホースで水をまいていて、ぶつかった拍子に盛大に水をかぶってしまった。
「わ、悪い幸村!」
「いえ、プール掃除でぬれるというのはとうぜんのことですので」
「そ、そっか。いやでもわるか……ッ!!?」
ある事に気付いた俺はバッと幸村から顔を背ける。
幸村はキョトンと首を傾げており、自分が今どんな状態なのか理解していないようだ。
俺も幸村も、上はワイシャツしか着ていない。
その状態で水をかぶったらどうなるか。
つまり、彼……ではなく彼女の体が透けて…………。
「……ふむ、でも確かに幸村くんの言葉も一理ありますね。
考えてみれば、楽してプール掃除っていうのはリア充っぽくないです。適度にサボりながらってのはありますけど」
「え……お、お前もしかして…………」
「はい、とりあえず汗水たらして真面目にやってみましょう!」
理科が持ってきたのは何の変哲もないタワシだった。
俺と夜空はそれを見て顔を引きつらせる。
「お、おい理科。せめてデッキブラシとかじゃねえのかよ」
「というかこんなものではとても終わらないぞ」
「そういった終わるか終わらないか、ギリギリなところを攻めるのがリア充っぽいじゃないですか!!」
「おとこには時にたっせいこんなんなもくひょうへと挑まなければならないときもあります……」
そんなわけで俺達はタワシでプール掃除を始めた。
みんな屈んで、タワシを手に無言でゴシゴシゴシゴシとひたすら擦る。
とにかく暑い。
頭上にはよく晴れた青空が広がっており、太陽はもう下がってきている時間だが、それでも日暮れまではまだまだある。
セミの音が絶え間なく鳴り響く。
汗が頬を伝ってタワシで擦っているところに垂れる。
辺りに響く音は、ゴシゴシというタワシで磨く音と、ホースから水を出す音と、セミの鳴き声や遠くから聞こえてくる運動部の声だけ――――。
「……なぁ、これってリア充となんか違くねえか」
俺が顔を上げてそう言うと、理科も頷く。
「確かに何か違いますね。何でしょう?」
「ふん、しょせん非リアがリア充の真似をしても無駄だという事なんじゃないか?」
「元も子もない事言うなよ……」
俺もなんとなくそんな気がしていたが、口にするのはやめておいたというのに。
プール掃除というのはリア充がやるから楽しそうに見えるだけで。
実際理科部のメンバーのような残念な人達がやっても残念な事にしかならないのではないか。
俺はどうしようもなくやるせない気持ちになって溜息をつくと、理科が少し驚いた表情で、
「あ、夜空先輩、パンツ見えてます」
「なっ……!!!///」
「えっ!?」
理科の言葉に、俺は思わず夜空の方をバッと見る。
理科は少し呆れた様子で、
「いや、冗談……」
「こっち見るなああああ!!!」
「ごはっ!!!」
どうやら理科の言葉は冗談だったらしく、白状しようとするが遅かった。
夜空が投げたタワシが俺の顔面にブチ当たった。
俺はよろけて、後ろに居た幸村にぶつかってしまう。
そして幸村は運悪くホースで水をまいていて、ぶつかった拍子に盛大に水をかぶってしまった。
「わ、悪い幸村!」
「いえ、プール掃除でぬれるというのはとうぜんのことですので」
「そ、そっか。いやでもわるか……ッ!!?」
ある事に気付いた俺はバッと幸村から顔を背ける。
幸村はキョトンと首を傾げており、自分が今どんな状態なのか理解していないようだ。
俺も幸村も、上はワイシャツしか着ていない。
その状態で水をかぶったらどうなるか。
つまり、彼……ではなく彼女の体が透けて…………。
322: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 13:01:28.04:mkIvWLCto (2/13)
「離れろバカ小鷹!!」
即座に俺と幸村を引き剥がす夜空。
そして彼女を背中に隠して、俺をキッと睨む。
幸村は呆然とした様子で、
「あねご?」
「うわっ、で、出てくるな! 自分の格好を見てみろ!!」
「……? あぁ、これはきがえたほうがよいですね」
「ば、バカ!! ここで脱ぐな!!!」
そんな会話を聞いて、俺はドキドキしながら背を向ける。
さすがに直視できないし、したら確実に夜空に怒られる。
「……先輩、理科達もヌレヌレのスケスケになりましょうか?」
「おいやめろ」
なんか怪しげな笑みを浮かべてにじり寄ってくる理科に、俺は後ずさる。
俺が言うのもなんだが、普通に目がヤバイ。
ついでに言うと頭もヤバイ。言ってる内容もヤバイ。
その存在自体が法律で取り締まるべきな感じだ。
「先輩、なんだかとてつもなく失礼な事考えてません? まぁ、それでも、先輩が理科の事を考えてくれるだけで……!!」
「寄るな来るな触るな近寄るなー!!」
「ふふふ……そう言われると余計やりたくなるのが人の性……!!」
ユラユラとさらに近づいてくる理科に、俺はさらに後ずさる。
すると。
「おわっ!!!」
足で何かを踏んだ。
多分この感触は――タワシだろう。
そう思った直後。
ドテーン!! と、俺は派手に転んだ。
その瞬間、チャンスとばかりに理科が俺にまたがってきた!!
「ぐへ、ぐへへへへへ……理科と楽しいことしましょうね先輩ぃぃ…………!!」
「おい待てバカ!!」
両手をワキワキする理科に、俺は真剣に恐怖を覚える。
理科はもうなんか華の女子高生などではなく、ただの変態オッサンだった。
たまにニュースなんかで「女の子に興味があった」などと供述しているアレだ。
俺がどうにかして抜けだそうと抵抗していると、一つの影が俺達二人をおおった。
「――この変態どもがっ!!!」
ドカドカッ!! と俺達を蹴っ飛ばす夜空。顔は真っ赤だ。
なんか俺まで変態扱いされたのは納得いかないが、まぁとにかく助かったのでよしとする。
理科は本当に残念そうな表情を浮かべて、
「……はぁ、もう少しでしたのに。ていうか夜空先輩、今パンツ見えましたよ。冗談抜きに」
「ッ!!/// ふ、ふん、もうそんなウソに惑わされるか!! なぁ小鷹!」
「そ、そうだそうだ! 別に水色のパンツなんて全然見えなかったし!!」
次の瞬間、夜空は声になってない声をあげて大量のタワシを俺に投げつけてきた。
いやだって、あのローアングルで足上げて蹴ってきたら。
その、たとえ見るつもりがなくても見えるじゃねえか……。
当然そんな弁解が聞き入られる事もなく、俺はしばらく夜空にこっ酷くしばかれた。
「離れろバカ小鷹!!」
即座に俺と幸村を引き剥がす夜空。
そして彼女を背中に隠して、俺をキッと睨む。
幸村は呆然とした様子で、
「あねご?」
「うわっ、で、出てくるな! 自分の格好を見てみろ!!」
「……? あぁ、これはきがえたほうがよいですね」
「ば、バカ!! ここで脱ぐな!!!」
そんな会話を聞いて、俺はドキドキしながら背を向ける。
さすがに直視できないし、したら確実に夜空に怒られる。
「……先輩、理科達もヌレヌレのスケスケになりましょうか?」
「おいやめろ」
なんか怪しげな笑みを浮かべてにじり寄ってくる理科に、俺は後ずさる。
俺が言うのもなんだが、普通に目がヤバイ。
ついでに言うと頭もヤバイ。言ってる内容もヤバイ。
その存在自体が法律で取り締まるべきな感じだ。
「先輩、なんだかとてつもなく失礼な事考えてません? まぁ、それでも、先輩が理科の事を考えてくれるだけで……!!」
「寄るな来るな触るな近寄るなー!!」
「ふふふ……そう言われると余計やりたくなるのが人の性……!!」
ユラユラとさらに近づいてくる理科に、俺はさらに後ずさる。
すると。
「おわっ!!!」
足で何かを踏んだ。
多分この感触は――タワシだろう。
そう思った直後。
ドテーン!! と、俺は派手に転んだ。
その瞬間、チャンスとばかりに理科が俺にまたがってきた!!
「ぐへ、ぐへへへへへ……理科と楽しいことしましょうね先輩ぃぃ…………!!」
「おい待てバカ!!」
両手をワキワキする理科に、俺は真剣に恐怖を覚える。
理科はもうなんか華の女子高生などではなく、ただの変態オッサンだった。
たまにニュースなんかで「女の子に興味があった」などと供述しているアレだ。
俺がどうにかして抜けだそうと抵抗していると、一つの影が俺達二人をおおった。
「――この変態どもがっ!!!」
ドカドカッ!! と俺達を蹴っ飛ばす夜空。顔は真っ赤だ。
なんか俺まで変態扱いされたのは納得いかないが、まぁとにかく助かったのでよしとする。
理科は本当に残念そうな表情を浮かべて、
「……はぁ、もう少しでしたのに。ていうか夜空先輩、今パンツ見えましたよ。冗談抜きに」
「ッ!!/// ふ、ふん、もうそんなウソに惑わされるか!! なぁ小鷹!」
「そ、そうだそうだ! 別に水色のパンツなんて全然見えなかったし!!」
次の瞬間、夜空は声になってない声をあげて大量のタワシを俺に投げつけてきた。
いやだって、あのローアングルで足上げて蹴ってきたら。
その、たとえ見るつもりがなくても見えるじゃねえか……。
当然そんな弁解が聞き入られる事もなく、俺はしばらく夜空にこっ酷くしばかれた。
323: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 13:04:11.49:mkIvWLCto (3/13)
***
数時間後。
日も傾き、空が夕日に染まったころ。
理科部のメンバーはプールサイドでぐったりしていた(幸村以外)。
俺と夜空はもっぱら精神的な疲れ。
あの後も理科の変態行動と、幸村の無意識な過激行動は収まることを知らなかった。
ちなみに夜空はスカートの下にハーフパンツを履くことにしたようだ。
そして理科は肉体的な疲れ。
日中の暑さは超インドア派の理科には相当きつかったらしく、今ではいつもの変態的発言も出なくなっている。
それはそれでいいとは思うのだが、彼女のアイデンティティ的に大問題といえばそうなのかもしれない。
唯一幸村だけはいつもと変わらず、ただオレンジ色の空を見上げてぼーっとしている。
「……で、どうすんだよこれ」
俺がぐったりと声を出す。
プール掃除は十分の一も終わっていない。
まぁ、もちろんプール開き前に既に掃除はしてあるはずだ。
といっても、たかが一ヶ月ほど使用しただけでもそれなりには汚れてはいる。
「がんばりましょう、あにき」
「…………はぁ」
俺の言葉に反応したのは、タワシを片手にいつものぼんやりとした目を向けてきた幸村だけだった。
夜空は相変わらずどんよりとした目で俺をチラリと見るだけ。
理科なんかピクリとも反応せず、燃え尽きたジョーみたいになっている。
……どうすんだよこれ。
>>324
***
数時間後。
日も傾き、空が夕日に染まったころ。
理科部のメンバーはプールサイドでぐったりしていた(幸村以外)。
俺と夜空はもっぱら精神的な疲れ。
あの後も理科の変態行動と、幸村の無意識な過激行動は収まることを知らなかった。
ちなみに夜空はスカートの下にハーフパンツを履くことにしたようだ。
そして理科は肉体的な疲れ。
日中の暑さは超インドア派の理科には相当きつかったらしく、今ではいつもの変態的発言も出なくなっている。
それはそれでいいとは思うのだが、彼女のアイデンティティ的に大問題といえばそうなのかもしれない。
唯一幸村だけはいつもと変わらず、ただオレンジ色の空を見上げてぼーっとしている。
「……で、どうすんだよこれ」
俺がぐったりと声を出す。
プール掃除は十分の一も終わっていない。
まぁ、もちろんプール開き前に既に掃除はしてあるはずだ。
といっても、たかが一ヶ月ほど使用しただけでもそれなりには汚れてはいる。
「がんばりましょう、あにき」
「…………はぁ」
俺の言葉に反応したのは、タワシを片手にいつものぼんやりとした目を向けてきた幸村だけだった。
夜空は相変わらずどんよりとした目で俺をチラリと見るだけ。
理科なんかピクリとも反応せず、燃え尽きたジョーみたいになっている。
……どうすんだよこれ。
>>324
324:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 13:09:58.51:xSSgZRpuo (1/1)
理科の道具を使う
理科の道具を使う
325: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 16:10:08.15:mkIvWLCto (4/13)
「……ここは素直に道具使いましょう」
げっそりとした声でそう言ったのは理科だった。
当然、それに反対する者も居なく、それからは理科の道具を使って楽して効率的に掃除していった。
***
日もすっかり落ちて、辺りは暗闇に包まれる。明かりといえば月の光だけだ。
俺達はプールサイドに腰掛けていた。
ドボボボボボ!! と水の音が絶えず聞こえる。プールに水を入れているのだ。
もう大分水も溜まってきており、小鳩なんかは足がつくか微妙な深さだ。
俺達はぼーっと水面を眺める。
月の光が反射してキラキラと光って綺麗なことは綺麗だが、残念ながらそれで感動できる程明るい気分ではない。
「……なんか、ただ掃除しただけだったな」
「こんな退屈でつまらない作業をあれ程楽しく見せるとは、リア充とは本当に同じ人類なのか」
「いや、まぁ、最後の方は理科の道具も使ってさらに単純作業的な感じになっちゃいましたしね」
「……このむなしさ。つわものどもがゆめのあと…………」
はぁ……と四人の溜息が重なる。
なんていうか、本当に俺達は残念だ。
これでは理科部というよりボランティア部とでも言ったほうがいいのではないか。
「……せめて入水式でもやりますか」
「「は??」」
理科がポツリと呟いた言葉に俺と夜空が首を傾げる。
理科はそんな俺達の視線をスルーして、幸村に何かコソコソ話している。
「おい理科? お前一体何を……」
俺がそう言いかけた時、
「あにき、失礼いたします」
そんな幸村の声が後ろから聞こえたかと思ったら。
ザッバアアアアアアアアン!!! と。
俺はプールの中へ突き落とされていた。
視界が無数の泡で埋め尽くされる。
俺は水面から顔を出すと、仰天して幸村を見る。
「ごばっ!!! お、お前、何やってんの!?」
「入水式とは、このなかでもっともくらいのたかいものを水の中へと入れるぎしぎだと理科どのから」
「俺は船か!! そんなもんウソっぱちだ!!」
「あはは、いやだって、夜のプールと言ったら誰か飛び込まなきゃダメじゃないですか」
「いや意味分かんねえよ……」
俺はなんかもう怒る気もなくなって、プールの中でガクッと肩を落とす。
一方で、入水式なんていうのがウソっぱちだという事に気づいた幸村は何やら肩を震わせて、
「あ、あにき……もうしわけございません。このぶれい、この身をもってつぐなわさせていただきます」
そう言って、プールの中へとダイブした。
…………上がってこない。
「ゆ、幸村あああああああああ!!!」
「……ここは素直に道具使いましょう」
げっそりとした声でそう言ったのは理科だった。
当然、それに反対する者も居なく、それからは理科の道具を使って楽して効率的に掃除していった。
***
日もすっかり落ちて、辺りは暗闇に包まれる。明かりといえば月の光だけだ。
俺達はプールサイドに腰掛けていた。
ドボボボボボ!! と水の音が絶えず聞こえる。プールに水を入れているのだ。
もう大分水も溜まってきており、小鳩なんかは足がつくか微妙な深さだ。
俺達はぼーっと水面を眺める。
月の光が反射してキラキラと光って綺麗なことは綺麗だが、残念ながらそれで感動できる程明るい気分ではない。
「……なんか、ただ掃除しただけだったな」
「こんな退屈でつまらない作業をあれ程楽しく見せるとは、リア充とは本当に同じ人類なのか」
「いや、まぁ、最後の方は理科の道具も使ってさらに単純作業的な感じになっちゃいましたしね」
「……このむなしさ。つわものどもがゆめのあと…………」
はぁ……と四人の溜息が重なる。
なんていうか、本当に俺達は残念だ。
これでは理科部というよりボランティア部とでも言ったほうがいいのではないか。
「……せめて入水式でもやりますか」
「「は??」」
理科がポツリと呟いた言葉に俺と夜空が首を傾げる。
理科はそんな俺達の視線をスルーして、幸村に何かコソコソ話している。
「おい理科? お前一体何を……」
俺がそう言いかけた時、
「あにき、失礼いたします」
そんな幸村の声が後ろから聞こえたかと思ったら。
ザッバアアアアアアアアン!!! と。
俺はプールの中へ突き落とされていた。
視界が無数の泡で埋め尽くされる。
俺は水面から顔を出すと、仰天して幸村を見る。
「ごばっ!!! お、お前、何やってんの!?」
「入水式とは、このなかでもっともくらいのたかいものを水の中へと入れるぎしぎだと理科どのから」
「俺は船か!! そんなもんウソっぱちだ!!」
「あはは、いやだって、夜のプールと言ったら誰か飛び込まなきゃダメじゃないですか」
「いや意味分かんねえよ……」
俺はなんかもう怒る気もなくなって、プールの中でガクッと肩を落とす。
一方で、入水式なんていうのがウソっぱちだという事に気づいた幸村は何やら肩を震わせて、
「あ、あにき……もうしわけございません。このぶれい、この身をもってつぐなわさせていただきます」
そう言って、プールの中へとダイブした。
…………上がってこない。
「ゆ、幸村あああああああああ!!!」
326: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 16:13:25.70:mkIvWLCto (5/13)
俺は大慌てで泳いでいって、幸村を抱えて水面から顔を出させる。
「あにき……とめないでください」
「いやいやいや止めるだろ!! てかそんなんでいちいち入水自殺なんてしようとしてんじゃねえええええ!!!」
「……あ」
理科のそんな言葉。
幸村はワイシャツがずぶ濡れになってしまったので、上は体操着を着ているのだが。
なんていうか、その。
――透けている。
「小鷹ぁぁ……!!!」
夜空が地を這うような恐ろしい声を出して俺を睨む。
身を乗り出して、今にも襲いかかってきそうな雰囲気だ。
なんか月をバックにしていてすごく怖い。
「ま、待て待て!! 仕方ねえだろこれは!!」
「そう言っていつまでガン見しているんだ貴様は!! この変態!!!」
「ちょ、夜空先輩あぶな――」
夜空がさらに身を乗り出し、理科がその手を取って止めようとした結果。
ザッバアアアアアアアアン!!! と、二人仲良くプールへダイブすることになった。
そして当然。
女子二人はヌレヌレのスケスケになるわけで。
夜空は一瞬ポカンとプールの中で俺と向き合い……。
その後、自分の姿を確認して……。
また、俺へと視線を戻して……。
「こっちを見るなああああああああああああああああああああ!!!!!」
凄まじい水しぶきが俺の顔面に直撃した。
「ごぶっ、よ、夜空落ちつ……!!」
「見るなと言っているだろうが!! この変態変態変態!!!!!」
「小鷹先輩、ご褒美ですね」
「ご褒美じゃねえよ!!!」
俺はたまらず夜空とは反対の方へ泳いで退散する。
すると、今度は理科が追いかけてきた。
「うへへ……せんぱーい!!」
「お前は来んな!! つか胸!!!」
「見せてんですよ。鈍いですね」
「この痴女が!!!」
痴女がクロールで迫ってきた。
つーかお前運動音痴じゃないのかよ!!
そうやって突っ込もうとして後ろを見ると。
なんと理科が沈んでいた。
「ッ!! 理科!?」
俺は大慌てで泳いでいって、幸村を抱えて水面から顔を出させる。
「あにき……とめないでください」
「いやいやいや止めるだろ!! てかそんなんでいちいち入水自殺なんてしようとしてんじゃねえええええ!!!」
「……あ」
理科のそんな言葉。
幸村はワイシャツがずぶ濡れになってしまったので、上は体操着を着ているのだが。
なんていうか、その。
――透けている。
「小鷹ぁぁ……!!!」
夜空が地を這うような恐ろしい声を出して俺を睨む。
身を乗り出して、今にも襲いかかってきそうな雰囲気だ。
なんか月をバックにしていてすごく怖い。
「ま、待て待て!! 仕方ねえだろこれは!!」
「そう言っていつまでガン見しているんだ貴様は!! この変態!!!」
「ちょ、夜空先輩あぶな――」
夜空がさらに身を乗り出し、理科がその手を取って止めようとした結果。
ザッバアアアアアアアアン!!! と、二人仲良くプールへダイブすることになった。
そして当然。
女子二人はヌレヌレのスケスケになるわけで。
夜空は一瞬ポカンとプールの中で俺と向き合い……。
その後、自分の姿を確認して……。
また、俺へと視線を戻して……。
「こっちを見るなああああああああああああああああああああ!!!!!」
凄まじい水しぶきが俺の顔面に直撃した。
「ごぶっ、よ、夜空落ちつ……!!」
「見るなと言っているだろうが!! この変態変態変態!!!!!」
「小鷹先輩、ご褒美ですね」
「ご褒美じゃねえよ!!!」
俺はたまらず夜空とは反対の方へ泳いで退散する。
すると、今度は理科が追いかけてきた。
「うへへ……せんぱーい!!」
「お前は来んな!! つか胸!!!」
「見せてんですよ。鈍いですね」
「この痴女が!!!」
痴女がクロールで迫ってきた。
つーかお前運動音痴じゃないのかよ!!
そうやって突っ込もうとして後ろを見ると。
なんと理科が沈んでいた。
「ッ!! 理科!?」
327: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 16:16:25.75:mkIvWLCto (6/13)
足でもつったのではないかと、俺は慌てて引き返して理科を抱きかかえる。
彼女も余程怖かったのか、ブルブル震えて俺にしがみついてきた。
なんだか柔らかい何かが当たっているような気がするが、今はそれどころではない。
「理科、大丈夫か!?」
「……うっふっふ」
かなり焦る俺だったが――――理科の様子がおかしい。
嫌な予感がする。
そう思って、とりあえず理科から離れようとするが、完全にホールドされていた。
「お、おい理科。とりあえず離そうか」
「ぐへへ……捕まえましたよぉ、先輩」
そう言ってニタァと笑う理科。
こいつ、はめやがった!!
「は、離せって!!! つーか色々当たってる!!!」
「当ててんですよ!! ふっふっふ、それではFF10よろしく水中プレイとでもいきましょう!!」
「いかねえよ!!!」
正直、ヌレヌレのスケスケ状態の女の子に抱きつかれているこの状況は色々とマズイ。
今の理科は髪も濡れて、いつものポニーテールでもないストレートになってたりして、悔しいが少し色っぽい。
俺が助けを求めて辺りを見渡すと、
「あにき、おたすけします」
「よし、さすが幸村!! …………ってお前もその格好何とかしろおおおおおおお!!!!!」
「……はて」
首を傾げてキョトンとする幸村。
思いっきり透けているその胸元も十分ヤバイのだが、濡れた髪が首元なんかに張り付いていてさらにエロさが……。
……っていちいちこんな事考えている俺も大概なんじゃないか。
「不潔だ!! 不潔だ!!! 不潔だああああああああああ!!!!!」
夜空は全身にタオルを巻きつけて、プールサイドから大量のタワシを投げつけてくる。
いや、ギャグっぽいかもしれないが、実際かなり痛いからやめてほしい。
そんなこんなで、俺達理科部は全員ヌレヌレのグショグショのスケスケでしばらく騒いだ挙句、警備員に見つかってこっ酷く叱られた。
全身ずぶ濡れな状態でうなだれて説教を受けていると、なんだか凄く泣きたくなった。
足でもつったのではないかと、俺は慌てて引き返して理科を抱きかかえる。
彼女も余程怖かったのか、ブルブル震えて俺にしがみついてきた。
なんだか柔らかい何かが当たっているような気がするが、今はそれどころではない。
「理科、大丈夫か!?」
「……うっふっふ」
かなり焦る俺だったが――――理科の様子がおかしい。
嫌な予感がする。
そう思って、とりあえず理科から離れようとするが、完全にホールドされていた。
「お、おい理科。とりあえず離そうか」
「ぐへへ……捕まえましたよぉ、先輩」
そう言ってニタァと笑う理科。
こいつ、はめやがった!!
「は、離せって!!! つーか色々当たってる!!!」
「当ててんですよ!! ふっふっふ、それではFF10よろしく水中プレイとでもいきましょう!!」
「いかねえよ!!!」
正直、ヌレヌレのスケスケ状態の女の子に抱きつかれているこの状況は色々とマズイ。
今の理科は髪も濡れて、いつものポニーテールでもないストレートになってたりして、悔しいが少し色っぽい。
俺が助けを求めて辺りを見渡すと、
「あにき、おたすけします」
「よし、さすが幸村!! …………ってお前もその格好何とかしろおおおおおおお!!!!!」
「……はて」
首を傾げてキョトンとする幸村。
思いっきり透けているその胸元も十分ヤバイのだが、濡れた髪が首元なんかに張り付いていてさらにエロさが……。
……っていちいちこんな事考えている俺も大概なんじゃないか。
「不潔だ!! 不潔だ!!! 不潔だああああああああああ!!!!!」
夜空は全身にタオルを巻きつけて、プールサイドから大量のタワシを投げつけてくる。
いや、ギャグっぽいかもしれないが、実際かなり痛いからやめてほしい。
そんなこんなで、俺達理科部は全員ヌレヌレのグショグショのスケスケでしばらく騒いだ挙句、警備員に見つかってこっ酷く叱られた。
全身ずぶ濡れな状態でうなだれて説教を受けていると、なんだか凄く泣きたくなった。
328: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 16:17:26.86:mkIvWLCto (7/13)
***
「――で、何をしましょう」
それから数日後。
あまりにはっちゃけ過ぎた理科部は数日間の活動停止を言い渡され、今日から再び活動開始だ。
ここはいつもの理科室。午後一時。
空気はなんというか、少しどんよりしている。
「とりあえずプール掃除でなければなんでもいい」
「は、はは……さすがに理科ももう一度アレをやる気にはなれないです」
「つーか、もうその話はやめてくれ、泣きたくなってくる……」
「ときにはしっぱいもつきものです、あにき」
時にはっていうか、いつも失敗してるけどな。
だが、今はそんな突っ込みも言う気力がない。
すると、理科が無理矢理奮起するかのように、バンッとホワイトボードを叩く。
「と、とにかく! 後ろを見ていても仕方ありません!! 今は新道具のアイデア、もしくはこの夏を乗り切る作戦について考えましょう!!」
何をする? >>329
***
「――で、何をしましょう」
それから数日後。
あまりにはっちゃけ過ぎた理科部は数日間の活動停止を言い渡され、今日から再び活動開始だ。
ここはいつもの理科室。午後一時。
空気はなんというか、少しどんよりしている。
「とりあえずプール掃除でなければなんでもいい」
「は、はは……さすがに理科ももう一度アレをやる気にはなれないです」
「つーか、もうその話はやめてくれ、泣きたくなってくる……」
「ときにはしっぱいもつきものです、あにき」
時にはっていうか、いつも失敗してるけどな。
だが、今はそんな突っ込みも言う気力がない。
すると、理科が無理矢理奮起するかのように、バンッとホワイトボードを叩く。
「と、とにかく! 後ろを見ていても仕方ありません!! 今は新道具のアイデア、もしくはこの夏を乗り切る作戦について考えましょう!!」
何をする? >>329
329:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 16:18:34.12:69/aw9zMo (1/2)
肉をからかいに行ってみよう
肉をからかいに行ってみよう
330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/21(土) 16:18:40.28:WsPJAaBE0 (1/2)
ペットボトルロケット大会
ペットボトルロケット大会
331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/07/21(土) 16:22:18.00:lM1LF0muo (1/1)
ふと思ったんだけど、こいつらリア充っぽくね?
ふと思ったんだけど、こいつらリア充っぽくね?
332:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 17:55:42.36:jjEdaqbf0 (1/1)
肉は部外者なくらいが面白くて丁度いいな
肉は部外者なくらいが面白くて丁度いいな
333:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/21(土) 18:15:05.11:ETCGr1TI0 (3/3)
ここまでうんこマリアなし
ここまでうんこマリアなし
334:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 18:25:27.24:JOj896UIO (1/2)
そろそろ肉も仲間に入れて理科以上のセクハラをさせたい
そろそろ肉も仲間に入れて理科以上のセクハラをさせたい
335: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 18:48:20.42:mkIvWLCto (8/13)
「……評価とは相対的なものであることも多い」
「夜空?」
いきなり良く分からない事を言い出した夜空に、全員が首を傾げる。
「つまり、だ。私達よりも非リア充を蔑み、罵倒すれば相対的にあたかも私達がリア充であるかのような錯覚を得られるかもしれない」
「…………」
俺は絶句してしまう。
いや、なんとなくは知ってたけど。
それでも改めて俺は思う。
――こいつはとても酷い性格をしている。
「まぁ一理ありますね」
「おい!」
そんな風にバカ正直に言う理科に、俺はすぐに突っ込む。
さすがにそんな人間としてアウトな事はやってはいけないだろう。
幸村は少し考えこんで、
「……なるほど、てきしょうの首をとって自らの地位をあげるということですか」
「いやそれは違う」
たぶん歴戦の武将達も、こんな事と一緒にはされたくないはずだ。
「でも、大きな問題がありますよ」
「む、なんだ?」
「理科達より非リアな人なんているんですか?」
理科の言葉に俺は深く納得する。
確かにこの理科部よりも非リアな者なんていないだろう。
実際、俺よりも可哀想だと思った奴なんて理科部以外には…………。
そこまで考えて、俺は固まった。
――居た。
この理科部のメンバーよりも非リアだと思われる最高に可哀想な奴が。
そして他のメンバーもほぼ同時にとある人物が頭に浮かんだようだ。
「ふっ、気付いたか。そうだ、私達よりも非リアな人間、それは柏崎星奈だ」
夜空はドヤ顔で宣言する。
それに対し俺達は、
「……確かに、あの人は凄まじかったですね。今までの人生でいろんな人を見てきましたけど、あそこまで痛い人は初めてでした」
「きもちがわるかったです」
「まぁ終わってたな。人として」
口々に星奈に対する印象を述べる。
全員イメージは似たり寄ったりのようだ。
俺は夜空の方を見て、
「……てかさ、つまりわざわざ星奈に絡んで非リアなのを蔑んで罵倒するのか?」
「その通りだ」
「鬼かお前は」
確かに星奈は痛い。
だからといって、そこを攻撃しまくるのは何だかすごく気が引ける。
ただでさえ、以前の鍋事件の際に彼女は精神的にかなりのダメージを負ったはずだし。
あの泣きながら飛び出していった星奈を見て。
自分たちが小学校のいじめっ子みたいな感覚がして正直気まずかったりもした。
「……評価とは相対的なものであることも多い」
「夜空?」
いきなり良く分からない事を言い出した夜空に、全員が首を傾げる。
「つまり、だ。私達よりも非リア充を蔑み、罵倒すれば相対的にあたかも私達がリア充であるかのような錯覚を得られるかもしれない」
「…………」
俺は絶句してしまう。
いや、なんとなくは知ってたけど。
それでも改めて俺は思う。
――こいつはとても酷い性格をしている。
「まぁ一理ありますね」
「おい!」
そんな風にバカ正直に言う理科に、俺はすぐに突っ込む。
さすがにそんな人間としてアウトな事はやってはいけないだろう。
幸村は少し考えこんで、
「……なるほど、てきしょうの首をとって自らの地位をあげるということですか」
「いやそれは違う」
たぶん歴戦の武将達も、こんな事と一緒にはされたくないはずだ。
「でも、大きな問題がありますよ」
「む、なんだ?」
「理科達より非リアな人なんているんですか?」
理科の言葉に俺は深く納得する。
確かにこの理科部よりも非リアな者なんていないだろう。
実際、俺よりも可哀想だと思った奴なんて理科部以外には…………。
そこまで考えて、俺は固まった。
――居た。
この理科部のメンバーよりも非リアだと思われる最高に可哀想な奴が。
そして他のメンバーもほぼ同時にとある人物が頭に浮かんだようだ。
「ふっ、気付いたか。そうだ、私達よりも非リアな人間、それは柏崎星奈だ」
夜空はドヤ顔で宣言する。
それに対し俺達は、
「……確かに、あの人は凄まじかったですね。今までの人生でいろんな人を見てきましたけど、あそこまで痛い人は初めてでした」
「きもちがわるかったです」
「まぁ終わってたな。人として」
口々に星奈に対する印象を述べる。
全員イメージは似たり寄ったりのようだ。
俺は夜空の方を見て、
「……てかさ、つまりわざわざ星奈に絡んで非リアなのを蔑んで罵倒するのか?」
「その通りだ」
「鬼かお前は」
確かに星奈は痛い。
だからといって、そこを攻撃しまくるのは何だかすごく気が引ける。
ただでさえ、以前の鍋事件の際に彼女は精神的にかなりのダメージを負ったはずだし。
あの泣きながら飛び出していった星奈を見て。
自分たちが小学校のいじめっ子みたいな感覚がして正直気まずかったりもした。
336: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 18:53:28.18:mkIvWLCto (9/13)
「……まぁ仮にも理事長の娘ですしね。あんまりやり過ぎるとすぐバレますよ」
理科も実際の所はあんまり乗り気ではないらしい。
とはいえ、そのセリフは以前に星奈を拷問した人間が言うものではないが。
「じゃくしゃをしいたげるのは武士の心にはんします」
幸村も静かに目を閉じてそんな事を言う。
星奈は一応立場的には理事長の娘だし、弱者ではないとは思うのだが、かといって強者とも思えない。
夜空はそんな俺達の反応に面白くなさそうに、
「まったく、貴様達は変なところで真面目だな。巷では『ちょいわる系』とやらが人気者らしいぞ?」
「いやお前のはもう『ちょいわる系』ってレベルじゃねえって……」
「あ、でも先輩」
ここで理科が何かに気付いたらしく手を挙げる。
「星奈先輩をいじめるのはアレですけど、学ぶものはあるんじゃないですか?」
「……アレから学ぶもの?」
夜空が本気で意味が分からないといった様子で眉をひそめる。
これを天然で、心の底からやっているのが酷い。
「はい、人の振り見て我が振り直せ、ですよ。あれだけ残念な人です。きっと色々な欠点が見えてくるはずです。
その中に理科達も当てはまっているようなものがないかって客観的に検証するんですよ!」
「……たしかに、おのれをしることはむずかしいものです」
「それ……ありかもな」
理科の言葉に俺と幸村も納得する。
俺自身、今までの自分の行動を見直して色々と努力して友好的に見えるようにはしているのだが、なかなか上手くいかない。
そういう時は少し引いた所から見ることで何か見えてくるものがあるのではないか。
本人は大真面目でも、客観的に見たらすごく滑稽であるというのは良くあることだ。
夜空も理科の言葉は一理あると思っているらしく、
「まぁ試してみる価値はあるか……。できればあんな残念な奴から、自分と似たような部分なんて見つけたくはないがな」
「では、決まりですね!」
そうやって、今日は自分達より残念な人物……柏崎星奈を観察して欠点を見つけるという活動をする事になった。
なんかすごくネガティブな感じがするが、あまり考えないようにする。
せっかくみんなも結構乗り気だし。
……ところが、さっそく問題が一つ。
「でもさ、どうやってアイツに近付くんだ? 夏休み中だし、学校に来てねえんじゃねえの? 部活入ってるなら別だけど……」
俺の言葉に全員が顔を曇らせる。
その反応から、みんな星奈は部活には入っていないと考えているのだろう。俺も同感だ。
それだけ彼女からは残念さが滲み出ていた。
しかし、それだと彼女は登校して来ていないという事になる。
どうする? >>337
「……まぁ仮にも理事長の娘ですしね。あんまりやり過ぎるとすぐバレますよ」
理科も実際の所はあんまり乗り気ではないらしい。
とはいえ、そのセリフは以前に星奈を拷問した人間が言うものではないが。
「じゃくしゃをしいたげるのは武士の心にはんします」
幸村も静かに目を閉じてそんな事を言う。
星奈は一応立場的には理事長の娘だし、弱者ではないとは思うのだが、かといって強者とも思えない。
夜空はそんな俺達の反応に面白くなさそうに、
「まったく、貴様達は変なところで真面目だな。巷では『ちょいわる系』とやらが人気者らしいぞ?」
「いやお前のはもう『ちょいわる系』ってレベルじゃねえって……」
「あ、でも先輩」
ここで理科が何かに気付いたらしく手を挙げる。
「星奈先輩をいじめるのはアレですけど、学ぶものはあるんじゃないですか?」
「……アレから学ぶもの?」
夜空が本気で意味が分からないといった様子で眉をひそめる。
これを天然で、心の底からやっているのが酷い。
「はい、人の振り見て我が振り直せ、ですよ。あれだけ残念な人です。きっと色々な欠点が見えてくるはずです。
その中に理科達も当てはまっているようなものがないかって客観的に検証するんですよ!」
「……たしかに、おのれをしることはむずかしいものです」
「それ……ありかもな」
理科の言葉に俺と幸村も納得する。
俺自身、今までの自分の行動を見直して色々と努力して友好的に見えるようにはしているのだが、なかなか上手くいかない。
そういう時は少し引いた所から見ることで何か見えてくるものがあるのではないか。
本人は大真面目でも、客観的に見たらすごく滑稽であるというのは良くあることだ。
夜空も理科の言葉は一理あると思っているらしく、
「まぁ試してみる価値はあるか……。できればあんな残念な奴から、自分と似たような部分なんて見つけたくはないがな」
「では、決まりですね!」
そうやって、今日は自分達より残念な人物……柏崎星奈を観察して欠点を見つけるという活動をする事になった。
なんかすごくネガティブな感じがするが、あまり考えないようにする。
せっかくみんなも結構乗り気だし。
……ところが、さっそく問題が一つ。
「でもさ、どうやってアイツに近付くんだ? 夏休み中だし、学校に来てねえんじゃねえの? 部活入ってるなら別だけど……」
俺の言葉に全員が顔を曇らせる。
その反応から、みんな星奈は部活には入っていないと考えているのだろう。俺も同感だ。
それだけ彼女からは残念さが滲み出ていた。
しかし、それだと彼女は登校して来ていないという事になる。
どうする? >>337
337:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 18:54:57.81:JOj896UIO (2/2)
直接出向く
直接出向く
338:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 18:55:19.99:IemqyDkSO (6/9)
しらみ潰しに探して[ピーーー]か
しらみ潰しに探して[ピーーー]か
339: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 20:37:24.28:mkIvWLCto (10/13)
「学校に来ていないのなら、直接ご自宅へ出向けばいいのでは?」
何でもないように理科が言った。
「……い、いや、星奈の家って言ったらつまり理事長の家だぞ?」
「それがなにか?」
「あなたの娘が残念すぎるから観察しに来ました、なんて言えねえだろ」
「その普通ならばとうていこなせないことをやってのけるのがあにきです」
「期待してくれてありがとう幸村! でも無理なものは無理だっての!」
少なくとも、俺はあの人にそんな事を言う勇気はない。
すると夜空が少し呆れた様子で、
「バカ正直に言う必要もないだろう。そこは何か適当な理由でも考えればいい」
「適当な理由って言ってもなぁ。相手は理事長だぞ?」
直接会った俺は分かる。
たぶんあの人にはそういう誤魔化しが通用しない気がする。
「そういえば先輩、停学の件で理事長の家まで行ったことがあるんでしたっけ?」
「あぁ……だから言っとくけど、あの人はそう簡単に……」
「ちょっと待て小鷹。それはつまり、貴様はあの女の家に行ったことがあるということだな?」
なんか夜空が目を細めて睨んできた。
「あ、あぁ」
「……ふーん。そういえば貴様、あの女の事を“星奈”と下の名前で呼んでいるな? もしかして意外と仲悪くもないんじゃないか?」
「んな事ねえよ。“柏崎”だと理事長と紛らわしいし、取り巻きの男達が“星奈様”とかって呼んでるから名前で呼んでるだけだ」
「……ふん」
面白くなさそうに腕を組んでそっぽを向いてしまう夜空。
少しでも星奈と関わりがあることが許せないのだろうか。
理科はそんな俺と夜空のことは気にせずに何かを考え込んでいる。
「ていうかわざわざ理事長を通す必要もないんじゃないですかね」
「え?」
「ほら、アポ無しでこっそり行って、どっかの壁を理科の道具で――」
「却下だ。退学になりたいのか貴様は」
「冗談ですって」
「ならばわたくしが囮になって……」
「それもダメだっての!!」
理科部らしく残念な考えしか出てこない。
ていうか物騒なことすればガチで警備員とかぞろぞろ出てきそうだぞあの屋敷は。
俺はなるべく身体的にも社会的にも平和な方法を考える。
「学校に来ていないのなら、直接ご自宅へ出向けばいいのでは?」
何でもないように理科が言った。
「……い、いや、星奈の家って言ったらつまり理事長の家だぞ?」
「それがなにか?」
「あなたの娘が残念すぎるから観察しに来ました、なんて言えねえだろ」
「その普通ならばとうていこなせないことをやってのけるのがあにきです」
「期待してくれてありがとう幸村! でも無理なものは無理だっての!」
少なくとも、俺はあの人にそんな事を言う勇気はない。
すると夜空が少し呆れた様子で、
「バカ正直に言う必要もないだろう。そこは何か適当な理由でも考えればいい」
「適当な理由って言ってもなぁ。相手は理事長だぞ?」
直接会った俺は分かる。
たぶんあの人にはそういう誤魔化しが通用しない気がする。
「そういえば先輩、停学の件で理事長の家まで行ったことがあるんでしたっけ?」
「あぁ……だから言っとくけど、あの人はそう簡単に……」
「ちょっと待て小鷹。それはつまり、貴様はあの女の家に行ったことがあるということだな?」
なんか夜空が目を細めて睨んできた。
「あ、あぁ」
「……ふーん。そういえば貴様、あの女の事を“星奈”と下の名前で呼んでいるな? もしかして意外と仲悪くもないんじゃないか?」
「んな事ねえよ。“柏崎”だと理事長と紛らわしいし、取り巻きの男達が“星奈様”とかって呼んでるから名前で呼んでるだけだ」
「……ふん」
面白くなさそうに腕を組んでそっぽを向いてしまう夜空。
少しでも星奈と関わりがあることが許せないのだろうか。
理科はそんな俺と夜空のことは気にせずに何かを考え込んでいる。
「ていうかわざわざ理事長を通す必要もないんじゃないですかね」
「え?」
「ほら、アポ無しでこっそり行って、どっかの壁を理科の道具で――」
「却下だ。退学になりたいのか貴様は」
「冗談ですって」
「ならばわたくしが囮になって……」
「それもダメだっての!!」
理科部らしく残念な考えしか出てこない。
ていうか物騒なことすればガチで警備員とかぞろぞろ出てきそうだぞあの屋敷は。
俺はなるべく身体的にも社会的にも平和な方法を考える。
340: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 20:38:19.14:mkIvWLCto (11/13)
「……やっぱ素直に理事長に言った方がいいんじゃねえのかな」
「と言いますと?」
「ほら『星奈さんと遊びたいんですけど』……とか」
「却下だ。そんな屈辱的な方法は耐えられん。せめて『おたくのリアルダッチワイフを観察しに行きたい』だな」
「それで家に通す親がいたら見てみたいです」
「夜空のあねご。だっちわいふというのはあまり良くないかと。ここは『あるくこうしゅうべんじょ』などで……」
「変わってねえよ!!」
やっぱりなかなか決まらない。
とりあえず家に入れてもらえれば後は何とかなりそうだが、一学生が理事長の屋敷にお邪魔する言い分というのがあまり思い付かない。
俺だけなら何とかなりそうなんだけどな。
どうする? >>341
「……やっぱ素直に理事長に言った方がいいんじゃねえのかな」
「と言いますと?」
「ほら『星奈さんと遊びたいんですけど』……とか」
「却下だ。そんな屈辱的な方法は耐えられん。せめて『おたくのリアルダッチワイフを観察しに行きたい』だな」
「それで家に通す親がいたら見てみたいです」
「夜空のあねご。だっちわいふというのはあまり良くないかと。ここは『あるくこうしゅうべんじょ』などで……」
「変わってねえよ!!」
やっぱりなかなか決まらない。
とりあえず家に入れてもらえれば後は何とかなりそうだが、一学生が理事長の屋敷にお邪魔する言い分というのがあまり思い付かない。
俺だけなら何とかなりそうなんだけどな。
どうする? >>341
341:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 20:39:06.03:IemqyDkSO (7/9)
幸村の意見採用
幸村の意見採用
342:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/21(土) 20:43:06.59:WsPJAaBE0 (2/2)
公衆便所…
つまりたまたま通りかかった体で「すみませんトイレ貸してください」でいけばモラルには反さないか?
公衆便所…
つまりたまたま通りかかった体で「すみませんトイレ貸してください」でいけばモラルには反さないか?
343:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 20:43:57.15:69/aw9zMo (2/2)
>「ならばわたくしが囮になって……」
こっちじゃないの?
>「ならばわたくしが囮になって……」
こっちじゃないの?
344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 20:49:53.34:IemqyDkSO (8/9)
小鷹「お宅の歩く公衆便所観察しにきたんですが」
だったらどうしよう(笑)
小鷹「お宅の歩く公衆便所観察しにきたんですが」
だったらどうしよう(笑)
345:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 21:23:29.17:NZhSm84IO (2/2)
ペガサスさんの家ってプールあるの?
ペガサスさんの家ってプールあるの?
346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/07/21(土) 22:00:03.47:Q6vKSroKo (1/1)
>>345
ミーの家には広さ3畳程のプールがありマース!
>>345
ミーの家には広さ3畳程のプールがありマース!
347: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 22:08:34.67:mkIvWLCto (12/13)
「……幸村の案がいいかもな」
俺はポツリと呟く。
「わたくしの意見にきょうみをもっていただいてうれしいです、あにき」
「いやいやいや。先輩、さすがに人の娘を歩く公衆便所扱いするのはまずいと思いますよ……」
「そっちじゃねえよ!!」
俺は理科の呆れた様子に反論する。
さすがに星奈の事をリアルダッチワイフやら歩く公衆便所やら言うつもりはない。
そんな事言えば、理事長との関係にヒビどころか深い深いクレバスを刻むことになるだろう。
「そうじゃなくて、囮作戦のほうだよ」
「分かりました。わたくしは正面突破をしていさぎよくちります。その隙にあにきたちは……」
「散るな散るな!! そんな物騒な事じゃねえよ。ただ、俺と理事長が面識ある事を使うんだ」
「どういう事だ?」
「まず理事長に俺が連絡して、また色々話したいとか言う。あの人はウチの父さんの事話すの好きだし、断らないと思う」
「アッー!!!」
「で、同じ部員の人達がぜひ理事長のお屋敷を見たがっている、とか何とか言ってお前達も入れてもらえるようにする。
俺は理事長と雑談をしている内にお前達は屋敷を見て回って、何とか星奈の部屋を見つけて観察する。これでどうだ?」
俺が一気に言うと、夜空と幸村は少しの間ポカンとしていたが、その後頷く。
理科はなんかしょんぼりしているが無視でいいだろう。
「……悪くはないな。他に案もないし、それでいってみるか」
「あにきのかんがえるさくせんに、まちがいなどございません」
そんなわけで、囮作戦で星奈に接近する事になった。
***
俺達理科部のメンバーは理事長の屋敷前まで来ていた。
あの後話はトントン調子で思うように進んだ。
しかも星奈の俺への印象が良くない事を知っている理事長は、彼女には特に何も言ったりしないとまで約束してくれた。
あまりに上手くいき過ぎているので、幸村なんかは罠の可能性を心配していた。
だがもちろん、理事長が俺達を罠にはめる理由がないわけで、これはただ単に上手くいっていると喜んで良いのだろう。
俺は一度来たことがあるのでそこまででもないが、他の部員は屋敷を見て口をポカンと開けて驚いていた。
「……成金が」
「なんかいかにも『金持ちだぜぇ~、いいだろぉ~』っていう感じに自慢しているみたいですね」
「これほど敵が攻めやすいばしょにたてているとは。ぶようじんです」
やっぱりどいつもこいつも感想が残念すぎる。
ここは理事長の家なんだが、そこのところ分かっているのだろうか。
俺がいつもながら残念な光景に呆れていると、玄関の扉が開かれた。
「小鷹様に志熊様、そして部員のみなさんですね。お待ちしておりました」
金髪美女の執事、ステラさんだ。
「り、リアル執事キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! いや、理科は一度会ったことありますけど」
「お前はもう少し静かにしろよ……」
「いえ、構いませんよ」
ステラさんはニコリと笑うと、気にせず俺達を屋敷内へと案内する。
このスルースキルは見習いたいものだ。
「先輩、今少し酷い事考えませんでしたか?」
「気のせいだろ」
「……幸村の案がいいかもな」
俺はポツリと呟く。
「わたくしの意見にきょうみをもっていただいてうれしいです、あにき」
「いやいやいや。先輩、さすがに人の娘を歩く公衆便所扱いするのはまずいと思いますよ……」
「そっちじゃねえよ!!」
俺は理科の呆れた様子に反論する。
さすがに星奈の事をリアルダッチワイフやら歩く公衆便所やら言うつもりはない。
そんな事言えば、理事長との関係にヒビどころか深い深いクレバスを刻むことになるだろう。
「そうじゃなくて、囮作戦のほうだよ」
「分かりました。わたくしは正面突破をしていさぎよくちります。その隙にあにきたちは……」
「散るな散るな!! そんな物騒な事じゃねえよ。ただ、俺と理事長が面識ある事を使うんだ」
「どういう事だ?」
「まず理事長に俺が連絡して、また色々話したいとか言う。あの人はウチの父さんの事話すの好きだし、断らないと思う」
「アッー!!!」
「で、同じ部員の人達がぜひ理事長のお屋敷を見たがっている、とか何とか言ってお前達も入れてもらえるようにする。
俺は理事長と雑談をしている内にお前達は屋敷を見て回って、何とか星奈の部屋を見つけて観察する。これでどうだ?」
俺が一気に言うと、夜空と幸村は少しの間ポカンとしていたが、その後頷く。
理科はなんかしょんぼりしているが無視でいいだろう。
「……悪くはないな。他に案もないし、それでいってみるか」
「あにきのかんがえるさくせんに、まちがいなどございません」
そんなわけで、囮作戦で星奈に接近する事になった。
***
俺達理科部のメンバーは理事長の屋敷前まで来ていた。
あの後話はトントン調子で思うように進んだ。
しかも星奈の俺への印象が良くない事を知っている理事長は、彼女には特に何も言ったりしないとまで約束してくれた。
あまりに上手くいき過ぎているので、幸村なんかは罠の可能性を心配していた。
だがもちろん、理事長が俺達を罠にはめる理由がないわけで、これはただ単に上手くいっていると喜んで良いのだろう。
俺は一度来たことがあるのでそこまででもないが、他の部員は屋敷を見て口をポカンと開けて驚いていた。
「……成金が」
「なんかいかにも『金持ちだぜぇ~、いいだろぉ~』っていう感じに自慢しているみたいですね」
「これほど敵が攻めやすいばしょにたてているとは。ぶようじんです」
やっぱりどいつもこいつも感想が残念すぎる。
ここは理事長の家なんだが、そこのところ分かっているのだろうか。
俺がいつもながら残念な光景に呆れていると、玄関の扉が開かれた。
「小鷹様に志熊様、そして部員のみなさんですね。お待ちしておりました」
金髪美女の執事、ステラさんだ。
「り、リアル執事キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! いや、理科は一度会ったことありますけど」
「お前はもう少し静かにしろよ……」
「いえ、構いませんよ」
ステラさんはニコリと笑うと、気にせず俺達を屋敷内へと案内する。
このスルースキルは見習いたいものだ。
「先輩、今少し酷い事考えませんでしたか?」
「気のせいだろ」
348: ◆0WipXNi8qk:2012/07/21(土) 22:12:45.07:mkIvWLCto (13/13)
「……あにき、この者みのこなしにむだがありません」
「上の人間がアレでも仕える人間は優秀なのだな。いつの時代も変わらないものだ」
「シー!! シー!!!」
俺は必死に夜空や幸村の言葉をかき消す。
こいつらわざと面倒な事態にしようとしているようにしか思えない。
そうやって変な汗をかきながら、食堂に通された。
この時間に食事が出されるという事はないようだが、テーブルの上には明らかに高級そうなお菓子が並んでいる。
そして理事長は相変わらず気難しそうな表情で椅子に座って待っていた。
「――よく来た。座りたまえ」
俺達は大人しく席につく。
さすがに夜空も理事長の前では、はっちゃけたりはしないようで安心した。
***
俺の他に部員も居るというわけで、理事長とは主に理科部の活動について話した。
といっても話せないような部分も多く、あまり長くは続けられそうにもなかった。
こうしてみると、改めて俺達がろくな活動をしていないことがよく分かる。
その後、話は普段の学校生活という俺達にとっては地雷な内容になりかかっていたのだったが、
「そういえば、君達は屋敷に興味があったのだったか」
その言葉はまるで天からの救いかと思った。
俺はすぐに口を開く。
「は、はい! やっぱりこういう大きい屋敷が珍しいらしくて」
俺のその言葉に、他の部員もコクコクと大袈裟に頷く。
やりすぎだ、と言いたかったが、理事長の前ではそれもできない。
理事長は少し苦笑して、
「見たいのならば好きなように見たらいい。所詮は普段生活する場だ、君達の期待には添えないかもしれないがね」
「あ、ありがとうございます!! 理科……あ、いえ私もこういった所は珍しくて」
「……ん? 志熊君はこういった屋敷にも、よく招待されているのではないか? 企業の関係で」
「あ、い、いえいえ、そんな事は!!」
「ほう、そうなのか」
理科は明らかにギクッとした様子だったが、何とか誤魔化せたようだ。
そして理科と夜空と幸村は席を立つ。
理科と夜空は恐る恐るといった感じで挙動不審だったが、幸村はいつもと何も変わりがない。
幸村のこういった物怖じしない所は素直に感心する。
「そ、そそそれでは、ダッチワイ……あ、いや、公衆便……じゃなくてその、そう、屋敷!! 屋敷を見て回ってもよろしいでしょうか!?」
「あ、あぁ、好きなだけ見るといい」
動揺しまくりな夜空に、理事長も少し驚いている。
すげえな夜空、理事長を押してるぞ。言動は一歩間違えたら退学レベルな気もするけど。
そんな感じで食堂から出て行こうとする三人。
ここまでくれば後少しだ、と俺は小さく溜息をつく。
しかし。
「それでは私が屋敷をご案内いたします」
ステラさんだ。
予想外の展開に、三人の顔に緊張の色が走る。
これではこっそり星奈の部屋を探して観察するなんて事はできない。
ていうか幸村、目を細めてお前は何を考えてる。頼むから物騒なことはやめてくれ。
どうする? >>349
「……あにき、この者みのこなしにむだがありません」
「上の人間がアレでも仕える人間は優秀なのだな。いつの時代も変わらないものだ」
「シー!! シー!!!」
俺は必死に夜空や幸村の言葉をかき消す。
こいつらわざと面倒な事態にしようとしているようにしか思えない。
そうやって変な汗をかきながら、食堂に通された。
この時間に食事が出されるという事はないようだが、テーブルの上には明らかに高級そうなお菓子が並んでいる。
そして理事長は相変わらず気難しそうな表情で椅子に座って待っていた。
「――よく来た。座りたまえ」
俺達は大人しく席につく。
さすがに夜空も理事長の前では、はっちゃけたりはしないようで安心した。
***
俺の他に部員も居るというわけで、理事長とは主に理科部の活動について話した。
といっても話せないような部分も多く、あまり長くは続けられそうにもなかった。
こうしてみると、改めて俺達がろくな活動をしていないことがよく分かる。
その後、話は普段の学校生活という俺達にとっては地雷な内容になりかかっていたのだったが、
「そういえば、君達は屋敷に興味があったのだったか」
その言葉はまるで天からの救いかと思った。
俺はすぐに口を開く。
「は、はい! やっぱりこういう大きい屋敷が珍しいらしくて」
俺のその言葉に、他の部員もコクコクと大袈裟に頷く。
やりすぎだ、と言いたかったが、理事長の前ではそれもできない。
理事長は少し苦笑して、
「見たいのならば好きなように見たらいい。所詮は普段生活する場だ、君達の期待には添えないかもしれないがね」
「あ、ありがとうございます!! 理科……あ、いえ私もこういった所は珍しくて」
「……ん? 志熊君はこういった屋敷にも、よく招待されているのではないか? 企業の関係で」
「あ、い、いえいえ、そんな事は!!」
「ほう、そうなのか」
理科は明らかにギクッとした様子だったが、何とか誤魔化せたようだ。
そして理科と夜空と幸村は席を立つ。
理科と夜空は恐る恐るといった感じで挙動不審だったが、幸村はいつもと何も変わりがない。
幸村のこういった物怖じしない所は素直に感心する。
「そ、そそそれでは、ダッチワイ……あ、いや、公衆便……じゃなくてその、そう、屋敷!! 屋敷を見て回ってもよろしいでしょうか!?」
「あ、あぁ、好きなだけ見るといい」
動揺しまくりな夜空に、理事長も少し驚いている。
すげえな夜空、理事長を押してるぞ。言動は一歩間違えたら退学レベルな気もするけど。
そんな感じで食堂から出て行こうとする三人。
ここまでくれば後少しだ、と俺は小さく溜息をつく。
しかし。
「それでは私が屋敷をご案内いたします」
ステラさんだ。
予想外の展開に、三人の顔に緊張の色が走る。
これではこっそり星奈の部屋を探して観察するなんて事はできない。
ていうか幸村、目を細めてお前は何を考えてる。頼むから物騒なことはやめてくれ。
どうする? >>349
349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 22:13:49.26:IemqyDkSO (9/9)
むしろ堂々と入る
むしろ堂々と入る
350:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2012/07/21(土) 22:14:07.28:WrUjhSXYo (1/1)
幸村がステラに組み手を挑む
幸村がステラに組み手を挑む
351:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 22:14:33.61:VZP1Ev/+o (1/1)
こだかがステラさんを引き付ける
こだかがステラさんを引き付ける
352:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/21(土) 23:12:44.00:gcViJ9XIO (1/1)
つまり、堂々と風呂場に突入するということか…
つまり、堂々と風呂場に突入するということか…
353: ◆0WipXNi8qk:2012/07/22(日) 00:53:45.46:GM02XxqZo (1/6)
他の部員が居なくなってから、俺と理事長はずっと父さんの話をしていた。
正直理科達が上手くやっているのかどうかすごく気になるが、ここを抜け出しては囮の意味が無い。
「それで隼人のやつは――」
言葉こそ乱暴だが、父さんを語る時の理事長は明らかに楽しそうだ。
俺は素直に羨ましいと思う。
こうして十年以上経っても変わらず友達でいる。
それはきっと良くあることではなく、そういった友達が居ることは素晴らしい事なんだ。
俺の脳裏に十年前の親友が浮かぶ。
俺もその時は、きっとこいつとはずっと友達でいられる。そう思っていた。
だが、実際は違った。
十年経った今、俺とアイツは互いのことを少しも知らないで別々の道を歩んでいる。
そう考えると、少し寂しい。
理事長や父さんが、少し妬ましい。
「小鷹君? どうした?」
「えっ、あ、すみません。ちょっとぼーっとしてました」
俺は現実へと意識を戻す。
そうだ、結局は過去のことだ。
いつまでも後ろを振り返ってばかりではいけない。
理事長はそんな俺をじっと見つめ、何か躊躇した後に重々しく口を開く。
「……君に一つ聞きたいことがあるのだがいいか? できればあまり他言してほしくないのだが……」
「……? はい、何ですか?」
「星奈の事なんだが……あの子はひょっとして、いじめられているのではないか?」
「ぶっ!!!」
思わず口に含んだジュースを吹き出してしまった。
「実はこの前、全身を黒い何かで汚した上に大泣きしながら帰ってきたのだ。
あの子が小学生などであれば、同じクラスの子とケンカでもしたのかと、ある程度は放っておくのだがな……」
「あ、え、えーと……」
「しかしあの子はもう高校生だ。そんな全身を汚してケンカをするような年でもあるまい。
私は一瞬、暴漢か何かに乱暴でもされたのかと思って警察に連絡しようかとも思ったのだが、あの子に止められてな」
「……え?」
「問い詰めると、同学年の生徒とケンカをしたような事を言っていたのだが、私には……親には出てきてほしくないと言っているんだ。
もちろん、子供のケンカに親が首を突っ込むのは私も好まない。しかし、万が一いじめとなると……な。あの子はプライドが高いから正直には言わないだろうし」
俺は黙り込む。
その気になれば、理事長に全てを話して俺達を処分してもらうなんていう事は簡単なはずだ。
しかし、彼女はそれをしないで隠した。
それはきっと、俺達の事を気にして、なんていう理由ではない。
ただ単に、彼女のプライドが許さない、そういった理由なのだろう。
でも、例えそうだとしても。
アイツは何事にも真っ直ぐで。
アイツは何事にも一生懸命で。
俺にはもう、星奈がただの残念な奴には思えなくなっていた。
「小鷹君、何か知らないか? こんな事を聞けるのは君くらいなんだ」
そんな理事長の真剣な問いかけに。
俺は――――。
何て答える? >>354
他の部員が居なくなってから、俺と理事長はずっと父さんの話をしていた。
正直理科達が上手くやっているのかどうかすごく気になるが、ここを抜け出しては囮の意味が無い。
「それで隼人のやつは――」
言葉こそ乱暴だが、父さんを語る時の理事長は明らかに楽しそうだ。
俺は素直に羨ましいと思う。
こうして十年以上経っても変わらず友達でいる。
それはきっと良くあることではなく、そういった友達が居ることは素晴らしい事なんだ。
俺の脳裏に十年前の親友が浮かぶ。
俺もその時は、きっとこいつとはずっと友達でいられる。そう思っていた。
だが、実際は違った。
十年経った今、俺とアイツは互いのことを少しも知らないで別々の道を歩んでいる。
そう考えると、少し寂しい。
理事長や父さんが、少し妬ましい。
「小鷹君? どうした?」
「えっ、あ、すみません。ちょっとぼーっとしてました」
俺は現実へと意識を戻す。
そうだ、結局は過去のことだ。
いつまでも後ろを振り返ってばかりではいけない。
理事長はそんな俺をじっと見つめ、何か躊躇した後に重々しく口を開く。
「……君に一つ聞きたいことがあるのだがいいか? できればあまり他言してほしくないのだが……」
「……? はい、何ですか?」
「星奈の事なんだが……あの子はひょっとして、いじめられているのではないか?」
「ぶっ!!!」
思わず口に含んだジュースを吹き出してしまった。
「実はこの前、全身を黒い何かで汚した上に大泣きしながら帰ってきたのだ。
あの子が小学生などであれば、同じクラスの子とケンカでもしたのかと、ある程度は放っておくのだがな……」
「あ、え、えーと……」
「しかしあの子はもう高校生だ。そんな全身を汚してケンカをするような年でもあるまい。
私は一瞬、暴漢か何かに乱暴でもされたのかと思って警察に連絡しようかとも思ったのだが、あの子に止められてな」
「……え?」
「問い詰めると、同学年の生徒とケンカをしたような事を言っていたのだが、私には……親には出てきてほしくないと言っているんだ。
もちろん、子供のケンカに親が首を突っ込むのは私も好まない。しかし、万が一いじめとなると……な。あの子はプライドが高いから正直には言わないだろうし」
俺は黙り込む。
その気になれば、理事長に全てを話して俺達を処分してもらうなんていう事は簡単なはずだ。
しかし、彼女はそれをしないで隠した。
それはきっと、俺達の事を気にして、なんていう理由ではない。
ただ単に、彼女のプライドが許さない、そういった理由なのだろう。
でも、例えそうだとしても。
アイツは何事にも真っ直ぐで。
アイツは何事にも一生懸命で。
俺にはもう、星奈がただの残念な奴には思えなくなっていた。
「小鷹君、何か知らないか? こんな事を聞けるのは君くらいなんだ」
そんな理事長の真剣な問いかけに。
俺は――――。
何て答える? >>354
354:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 00:55:12.52:HYX8dwBSO (1/2)
全部正直に洗いざらいぶちまける
全部正直に洗いざらいぶちまける
355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 01:20:27.79:zCwuuinDO (1/2)
鍋の具材にして食おうとしたなんて言うのか…?
鍋の具材にして食おうとしたなんて言うのか…?
356:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 01:27:43.32:u16wzEHIO (1/2)
夜空ピンチじゃね?
夜空ピンチじゃね?
357: ◆0WipXNi8qk:2012/07/22(日) 02:13:52.13:GM02XxqZo (2/6)
俺は全てを正直に話した。
理科の時もそうだったが、この人には隠し事はできそうにもない。
理事長は一切口を挟まず、黙って聞いていた。
「……ふむ」
俺が話し終えると、理事長は腕を組んで難しそうな顔をして唸る。
これは――完全に終わったか。
そんな事も脳裏をよぎる。
なにせ学園の理事長の娘を鍋に投入したのだ。
理事長は俺をじっと見て、
「……まぁ、なんだ。これからも娘を頼む」
頭の中が真っ白になった。
まだ、退学を言い渡されたほうが落ち着いていただろう。
え、なんで?
俺達はおたくの大切な一人娘を鍋でコトコト煮込もうとしたんですけど……。
理事長は小さく苦笑しながら、
「少し、安心した。星奈にもそうやって真正面からぶつかってくる相手ができたのだな」
「え、いや、真正面すぎるっていうか色々突き抜けすぎてるっていうか……」
「私も学生の頃は隼人のお陰で散々な目にあってきたものだ。あの時なんか……」
何かを思い出したようで、理事長の口が止まる。
そして次第に。
青筋をビキビキ立ててプルプルと全身を震わせる。
その目にはまさに怨念がこもっていた。
「あの野郎……!!!」
な、何をやったんだ父さん……。
それから少しして理事長もこちらへ戻ってくる。
その表情はどこか疲れたものになっており、なんとなく申し訳なかった。
「まぁとにかく、だ。学生の内はそういう相手が大切なんだ。本心からぶつかり合えるような相手がな。これは大人になっていくにつれてよく分かる」
「そ、そうなんですか……?」
あの二人の状態を見たらとてもそんな感想は持てないが、俺も大人になれば分かるのだろうか。
「特にあの子は特別な立場にいる。そういった立場なんかを気にせずにぶつかってくる相手というのは珍しいだろう。
大抵は『理事長の娘』という肩書きだけで、他の者と同じように接することができなくなるものだ」
「そりゃ、まぁ、そうですね……」
「そうだ、どうせならウチの星奈を君達の理科部の仲間にしてはくれないか? あの子は特に部活もしていないようだしな」
「いや、たぶん星奈……さんの方が全力で拒否するんじゃ…………」
「はは、まぁそうだろうな。だがいずれ、あの子も分かってくるだろう。
しかし、やりすぎには注意だぞ。今回の鍋はギリギリアウトだ」
「ギリギリアウトって事は……」
「注意だ。以後気をつけるように」
そう言って小さく笑うと、理事長は透き通った目で窓の外を眺める。
俺は全てを正直に話した。
理科の時もそうだったが、この人には隠し事はできそうにもない。
理事長は一切口を挟まず、黙って聞いていた。
「……ふむ」
俺が話し終えると、理事長は腕を組んで難しそうな顔をして唸る。
これは――完全に終わったか。
そんな事も脳裏をよぎる。
なにせ学園の理事長の娘を鍋に投入したのだ。
理事長は俺をじっと見て、
「……まぁ、なんだ。これからも娘を頼む」
頭の中が真っ白になった。
まだ、退学を言い渡されたほうが落ち着いていただろう。
え、なんで?
俺達はおたくの大切な一人娘を鍋でコトコト煮込もうとしたんですけど……。
理事長は小さく苦笑しながら、
「少し、安心した。星奈にもそうやって真正面からぶつかってくる相手ができたのだな」
「え、いや、真正面すぎるっていうか色々突き抜けすぎてるっていうか……」
「私も学生の頃は隼人のお陰で散々な目にあってきたものだ。あの時なんか……」
何かを思い出したようで、理事長の口が止まる。
そして次第に。
青筋をビキビキ立ててプルプルと全身を震わせる。
その目にはまさに怨念がこもっていた。
「あの野郎……!!!」
な、何をやったんだ父さん……。
それから少しして理事長もこちらへ戻ってくる。
その表情はどこか疲れたものになっており、なんとなく申し訳なかった。
「まぁとにかく、だ。学生の内はそういう相手が大切なんだ。本心からぶつかり合えるような相手がな。これは大人になっていくにつれてよく分かる」
「そ、そうなんですか……?」
あの二人の状態を見たらとてもそんな感想は持てないが、俺も大人になれば分かるのだろうか。
「特にあの子は特別な立場にいる。そういった立場なんかを気にせずにぶつかってくる相手というのは珍しいだろう。
大抵は『理事長の娘』という肩書きだけで、他の者と同じように接することができなくなるものだ」
「そりゃ、まぁ、そうですね……」
「そうだ、どうせならウチの星奈を君達の理科部の仲間にしてはくれないか? あの子は特に部活もしていないようだしな」
「いや、たぶん星奈……さんの方が全力で拒否するんじゃ…………」
「はは、まぁそうだろうな。だがいずれ、あの子も分かってくるだろう。
しかし、やりすぎには注意だぞ。今回の鍋はギリギリアウトだ」
「ギリギリアウトって事は……」
「注意だ。以後気をつけるように」
そう言って小さく笑うと、理事長は透き通った目で窓の外を眺める。
358: ◆0WipXNi8qk:2012/07/22(日) 02:18:58.42:GM02XxqZo (3/6)
俺はポカンとそんな理事長を見て、そしてだんだんといたたまれない気持ちになる。
俺達……というか夜空が星奈にした事は単なる嫌がらせだ。
それにも関わらず、理事長はそれを咎めることもしない。
良く分からない。
夜空が星奈に突っかかるのは、ただ「気に食わない」という子供みたいな気持ちからだ。
それでも、星奈にとって夜空みたいな存在は本当に必要なのか?
「……あ、そうか。もしかして三日月君がここに来たのは星奈に用があるんじゃないのか?」
「それは……」
「ふっ、図星のようだな」
「…………あの、理事長。星奈さんの部屋の場所、教えてもらえませんか」
俺は気づけばそんな事を口走っていた。
頭で考えて、口から出した言葉ではない。
ただ自然と、脊髄反射のように口から出てきたのだ。
「――あぁ、いいだろう」
理事長は満足気に笑っていた。
俺は理事長から星奈の部屋の場所を聞くと、食堂を飛び出した。
***
走って、走って。
俺は肩で息をしながら星奈の部屋の前まで来ていた。
なぜこんなにも急いで来ようと思ったのかは分からない。
ただ、そうしたかった。
そう言うしかない。
「……ん?」
中から怒鳴り声が聞こえる。
これはおそらく……というか絶対…………。
俺は嫌な予感を受けながら、ドアをノックする。
ガチャリと扉を開けたのは理科だった。
「あ、先輩。理事長はどうしたんですか?」
「ちょっと何勝手に開けてんのよ!! ここあたしの部屋なんだけど!?」
「うるさいぞ食用肉。あまりこの空間の酸素を消費するな。貴様なんぞにもったいない」
「はぁ!? だからここあたしの部屋なんだけど!? ていうか食用肉って何よ!!!
あんたの目と頭が腐りきってて勝手に間違えただけでしょ!?」
「ふむ、食用肉は言いづらいな。それでは短縮して肉と呼ぶことにしよう。
喜べ肉。友達の居ないお前の初めてのあだ名だぞ」
「誰が喜ぶってんのよ、あんたの感性バグってんじゃない!? じゃあ代わりにあたしが呼んであげるわよこの肉!!」
「……何を言っているのだ? 肉語はよく分からん」
「……あんたぁぁ……ホントに性格悪いわねクソが…………!!!」
俺はポカンとそんな理事長を見て、そしてだんだんといたたまれない気持ちになる。
俺達……というか夜空が星奈にした事は単なる嫌がらせだ。
それにも関わらず、理事長はそれを咎めることもしない。
良く分からない。
夜空が星奈に突っかかるのは、ただ「気に食わない」という子供みたいな気持ちからだ。
それでも、星奈にとって夜空みたいな存在は本当に必要なのか?
「……あ、そうか。もしかして三日月君がここに来たのは星奈に用があるんじゃないのか?」
「それは……」
「ふっ、図星のようだな」
「…………あの、理事長。星奈さんの部屋の場所、教えてもらえませんか」
俺は気づけばそんな事を口走っていた。
頭で考えて、口から出した言葉ではない。
ただ自然と、脊髄反射のように口から出てきたのだ。
「――あぁ、いいだろう」
理事長は満足気に笑っていた。
俺は理事長から星奈の部屋の場所を聞くと、食堂を飛び出した。
***
走って、走って。
俺は肩で息をしながら星奈の部屋の前まで来ていた。
なぜこんなにも急いで来ようと思ったのかは分からない。
ただ、そうしたかった。
そう言うしかない。
「……ん?」
中から怒鳴り声が聞こえる。
これはおそらく……というか絶対…………。
俺は嫌な予感を受けながら、ドアをノックする。
ガチャリと扉を開けたのは理科だった。
「あ、先輩。理事長はどうしたんですか?」
「ちょっと何勝手に開けてんのよ!! ここあたしの部屋なんだけど!?」
「うるさいぞ食用肉。あまりこの空間の酸素を消費するな。貴様なんぞにもったいない」
「はぁ!? だからここあたしの部屋なんだけど!? ていうか食用肉って何よ!!!
あんたの目と頭が腐りきってて勝手に間違えただけでしょ!?」
「ふむ、食用肉は言いづらいな。それでは短縮して肉と呼ぶことにしよう。
喜べ肉。友達の居ないお前の初めてのあだ名だぞ」
「誰が喜ぶってんのよ、あんたの感性バグってんじゃない!? じゃあ代わりにあたしが呼んであげるわよこの肉!!」
「……何を言っているのだ? 肉語はよく分からん」
「……あんたぁぁ……ホントに性格悪いわねクソが…………!!!」
359: ◆0WipXNi8qk:2012/07/22(日) 02:21:15.95:GM02XxqZo (4/6)
さっそくエキサイトしているようだ。
とはいってもやはり夜空が優勢で、星奈は涙目になっている。
俺は理科と幸村に小声で尋ねる。
「ステラさんはどうしたんだ?」
「正直に言いました。星奈先輩とは知り合いですって」
「そしたらこの部屋にあんないされ、こうして夜空のあねごといいあらそいに」
「……あー、よく分かった」
俺は溜息をつく。
一応目的は星奈の“観察”だったはずだが、夜空はそれを覚えているのだろうか。
授業ではどんな質問にも簡単に完璧に答えるので頭は良いんだろうが、勉強以外ではバカっぽいところも多々ある。
「おい小鷹、やっぱりダメだな。この駄肉からは学ぶものなど何もない。人間が参考にするには価値が低すぎる」
「何わけ分かんない事を……ってプリンあんた何で勝手に部屋に入ってきてるわけ?
パパの親友の息子だかなんだか知らないけど、調子乗らないでほしいんだけど」
「…………」
「……? なによ文句あんの?」
そういえば、俺はどうしてあんだけ急いでここに来たのかまだ分かっていない。
俺はこの部屋に来て、何がしたかったんだろうか。
>>360
さっそくエキサイトしているようだ。
とはいってもやはり夜空が優勢で、星奈は涙目になっている。
俺は理科と幸村に小声で尋ねる。
「ステラさんはどうしたんだ?」
「正直に言いました。星奈先輩とは知り合いですって」
「そしたらこの部屋にあんないされ、こうして夜空のあねごといいあらそいに」
「……あー、よく分かった」
俺は溜息をつく。
一応目的は星奈の“観察”だったはずだが、夜空はそれを覚えているのだろうか。
授業ではどんな質問にも簡単に完璧に答えるので頭は良いんだろうが、勉強以外ではバカっぽいところも多々ある。
「おい小鷹、やっぱりダメだな。この駄肉からは学ぶものなど何もない。人間が参考にするには価値が低すぎる」
「何わけ分かんない事を……ってプリンあんた何で勝手に部屋に入ってきてるわけ?
パパの親友の息子だかなんだか知らないけど、調子乗らないでほしいんだけど」
「…………」
「……? なによ文句あんの?」
そういえば、俺はどうしてあんだけ急いでここに来たのかまだ分かっていない。
俺はこの部屋に来て、何がしたかったんだろうか。
>>360
360:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2012/07/22(日) 02:22:14.14:57zJUM5AO (1/1)
星奈に今までのことを謝る
星奈に今までのことを謝る
361:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 02:22:48.99:u16wzEHIO (2/2)
ペガサスさん寛大すぎワロタ
安価なら今までのことを誠心誠意謝って理科部に勧誘する
ペガサスさん寛大すぎワロタ
安価なら今までのことを誠心誠意謝って理科部に勧誘する
362: ◆0WipXNi8qk:2012/07/22(日) 02:25:41.48:GM02XxqZo (5/6)
おやすみ
おやすみ
363:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2012/07/22(日) 02:52:47.85:hcWIf7ge0 (1/1)
お疲れ~
お疲れ~
364:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 04:15:02.04:VsNsriXSo (1/1)
夜空の安定のクズっぷりに安心した
夜空の安定のクズっぷりに安心した
365:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/22(日) 08:56:44.38:lYWp2AfOo (1/2)
やっと星奈フラグが立ちそうだ
やっと星奈フラグが立ちそうだ
366: ◆0WipXNi8qk:2012/07/22(日) 14:45:55.80:GM02XxqZo (6/6)
「星奈、悪かった」
「……は?」
俺は深く頭を下げた。
それに対して星奈だけでなく、理科部のメンバーも全員が唖然とする。
「お前には今まで散々ひでえ事しちまったからな。一度きちんと謝りたかったんだ」
「……ふん、パパに何か言われたわけ?」
「え?」
「どうせ今までの事がバレて、焦って謝りに来たとかでしょ。
まっ、安心しなさいよ。あんた達みたいな愚民のする事なんて、いちいちあたしの記憶には残ってないから」
当たっているような当たっていないような。
まぁしかし、星奈が気にしていないと言うのならそれでいいのではないか。
夜空は少し俺を怪訝な目で見ていたが、再び蔑むような目を星奈へと向ける。
「……それで肉。我々の今回の活動内容を特別に貴様に教えてやろう。泣いて喜べ」
「心の底から興味ないわよ。それよりさっさと出ていきなさいよ!」
「そうはいかない。なにせ、今回の活動は貴様の観察だからな」
「は、はぁ!? ふざけんじゃないわよ!! 何勝手に決めて――」
「黙れ肉。貴様は私達の事は気にせずただ普段通りに生活していればいいのだ」
「そんな事できるわけないじゃない!!」
「ほう、つまり貴様は普段誰かに見られたらマズイ事をしているのか」
「そ、それは……ッ!!」
夜空の目がギラリと怪しく光り、星奈が少し動揺する。
理事長が言うようにケンカするほど仲が良い……という目で見てみようかとも思ったが、やはり何か違う気がする。
まぁそもそも、俺も友達いないしそういう判断はできないのかもしれないが。
理科はウンウンと何か分かっているかのように頷く。
こういう反応をした時の理科は大抵分かっていない。
「大丈夫ですよ、星奈先輩。別に恥ずかしいことではないです。女の子だってオナニーくらいはします」
「ぶっ!!! な、なななな何言ってんのよあんた!!!」
「おなにー、とは何ですか理科どの」
「それはですね――――ゴニョゴニョ」
「……なるほど。つまり柏崎星奈はちじょだった、というわけですね」
「違うわよ!!! 何勝手に想像してくれちゃってんのかしら!? そういう変態的な想像してるあんた達の方が痴女じゃない!!!」
「そうですけど、なにか?」
「少しは否定しろよ……」
たしかに理科に関してはその通りで反論しようもないとは思うが、ここまで堂々と胸を張って言うことでもないと思う。
「まったく、さっきからうるさいぞ肉便器。早く普段通りの生活をしろ。それとも貴様は常にそうやって独り言ばかりの寂しい奴なのか?」
いや、エア友達居る奴にだけは言われたくないと思うけどな……。
星奈は机をバンッと叩いて、
「そんなわけないでしょ!!! ていうかあたしがそんなのに従う必要なんかないじゃない!! さっさと出ていきなさいよ!!!」
さっきから同じような会話をループしているような気がする。
仕方ない、夜空に任せていても一向に進まなそうだし、俺が何とかしてみるか。
どうする? >>367
「星奈、悪かった」
「……は?」
俺は深く頭を下げた。
それに対して星奈だけでなく、理科部のメンバーも全員が唖然とする。
「お前には今まで散々ひでえ事しちまったからな。一度きちんと謝りたかったんだ」
「……ふん、パパに何か言われたわけ?」
「え?」
「どうせ今までの事がバレて、焦って謝りに来たとかでしょ。
まっ、安心しなさいよ。あんた達みたいな愚民のする事なんて、いちいちあたしの記憶には残ってないから」
当たっているような当たっていないような。
まぁしかし、星奈が気にしていないと言うのならそれでいいのではないか。
夜空は少し俺を怪訝な目で見ていたが、再び蔑むような目を星奈へと向ける。
「……それで肉。我々の今回の活動内容を特別に貴様に教えてやろう。泣いて喜べ」
「心の底から興味ないわよ。それよりさっさと出ていきなさいよ!」
「そうはいかない。なにせ、今回の活動は貴様の観察だからな」
「は、はぁ!? ふざけんじゃないわよ!! 何勝手に決めて――」
「黙れ肉。貴様は私達の事は気にせずただ普段通りに生活していればいいのだ」
「そんな事できるわけないじゃない!!」
「ほう、つまり貴様は普段誰かに見られたらマズイ事をしているのか」
「そ、それは……ッ!!」
夜空の目がギラリと怪しく光り、星奈が少し動揺する。
理事長が言うようにケンカするほど仲が良い……という目で見てみようかとも思ったが、やはり何か違う気がする。
まぁそもそも、俺も友達いないしそういう判断はできないのかもしれないが。
理科はウンウンと何か分かっているかのように頷く。
こういう反応をした時の理科は大抵分かっていない。
「大丈夫ですよ、星奈先輩。別に恥ずかしいことではないです。女の子だってオナニーくらいはします」
「ぶっ!!! な、なななな何言ってんのよあんた!!!」
「おなにー、とは何ですか理科どの」
「それはですね――――ゴニョゴニョ」
「……なるほど。つまり柏崎星奈はちじょだった、というわけですね」
「違うわよ!!! 何勝手に想像してくれちゃってんのかしら!? そういう変態的な想像してるあんた達の方が痴女じゃない!!!」
「そうですけど、なにか?」
「少しは否定しろよ……」
たしかに理科に関してはその通りで反論しようもないとは思うが、ここまで堂々と胸を張って言うことでもないと思う。
「まったく、さっきからうるさいぞ肉便器。早く普段通りの生活をしろ。それとも貴様は常にそうやって独り言ばかりの寂しい奴なのか?」
いや、エア友達居る奴にだけは言われたくないと思うけどな……。
星奈は机をバンッと叩いて、
「そんなわけないでしょ!!! ていうかあたしがそんなのに従う必要なんかないじゃない!! さっさと出ていきなさいよ!!!」
さっきから同じような会話をループしているような気がする。
仕方ない、夜空に任せていても一向に進まなそうだし、俺が何とかしてみるか。
どうする? >>367
367:名無しNIPPER:2012/07/22(日) 14:49:17.01:lmPfNUqW0 (1/1)
星奈に本気で告白してキスしちゃう
星奈に本気で告白してキスしちゃう
368:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/07/22(日) 14:55:57.17:/dp1Frcmo (1/1)
肉食すぎワロタww
肉食すぎワロタww
369:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 18:34:54.58:HYX8dwBSO (2/2)
好感度低い中ヤってもむしろ…
好感度低い中ヤってもむしろ…
370:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/07/22(日) 18:45:27.02:83CefZM+0 (1/1)
いや、むしろそれで好感度アップも…
いや、むしろそれで好感度アップも…
371:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/07/22(日) 18:51:48.18:lYWp2AfOo (2/2)
ゲームみたいな展開にすれば肉は簡単に堕ちるだろう
ゲームみたいな展開にすれば肉は簡単に堕ちるだろう
372:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/07/22(日) 20:59:24.89:Nh4/fWt60 (1/1)
ドキッ意識しちゃうみたいな展開か
ドキッ意識しちゃうみたいな展開か
373:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 23:31:54.89:zCwuuinDO (2/2)
餌に小鳩をちらつかせば簡単に食いついてきそう
餌に小鳩をちらつかせば簡単に食いついてきそう
374:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/07/22(日) 23:42:53.11:E9A3aC+IO (1/1)
まずは家に連れて行かないと
まずは家に連れて行かないと
375: ◆0WipXNi8qk:2012/07/23(月) 00:38:24.97:6WXCaImWo (1/14)
俺は夜空を手で制すると、一歩前へ出る。
そして真剣な目で星奈を真っ直ぐ見つめる。
「……な、なによ。そんな怖い顔したって、あ、あたしは!!」
「え……あ、いや、別に脅してるつもりはないんだが……」
もうなんかどんな顔しても怖いと言われるので、密かに行なっている穏やかな表情の練習は無駄なのかもしれない。
と、今はそれはどうでもいい。
とにかく星奈には言わなければいけないことがある。
「星奈、俺はお前に告白しないといけない事がある」
直後、周りが一斉に騒ぎ出した。
「なっ……ぁ……こ、小鷹!? い、一体何言って……う、うそだよな……?」
「あにき。僭越ながらこの幸村、このものはあにきには相応しくないとおもいます」
「唐突すぎる!! 理科がコツコツとフラグ立てていったの無視して、一気にルート変更!?」
な、なんだこの反応は……。
俺は他の理科部のメンバーに少し引きつつ困惑する。
というか理科にいたっては何を言っているのか理解できない。
星奈は星奈で、まるで靴の裏にへばりついたガムを見るかのような目で俺を見ている。
「……は? いや別にあんたとは一切フラグも何も立ってないし、好感度も下に突き抜けてるし。
告白するのは構わないけど、心に深い傷を負いたくないならやめておくことね」
星奈の言葉に首を傾げる。
何でそこまで念を押されるのだろうか。
俺に色々キツイ言葉をぶつけてくるのはいつもの事だし、今更心に傷もくそもない。
それに学校じゃみんなに怖がられて、話しかけただけで逃げられたり防犯ブザー押されたり、メンタル的には鍛えられてるしな。
……自分で言ってて泣きたくなってきた。
「んじゃ、告白するけど」
「やめろ小鷹!!」
夜空が必死になって止めてくる。
なんと、その目にはうっすらと涙さえ浮かんでいる。
俺はギョッとするが、やめるわけにはいかない。
「星奈、実は俺――――」
理科や幸村は悲しそうな目で、夜空は泣きそうな目で……というか泣きながら俺をじっと見ている。
そして目の前の星奈は半目でいかにも鬱陶しいという表情だ。
俺は口を開く。
「――友達がいないんだ」
時間が止まった気がした。
シーンと辺りを静寂が包み、部屋にいる全員がポカンとしている。
俺は何かおかしな事でも言ったのか。
そんな事を考えて焦っていると、星奈が口を開いた。
「……いや、知ってるけど」
「うぐっ……ま、まぁそうだろうな。で、ここからが本題だ!」
「本題ってなによ。どうせまたしょうもない話なんでしょうけど」
星奈はもはや真面目に聞く気ゼロのようで、髪を指に巻きつけながら「どうでもいいから早く終わらせろ」と言わんばかりに睨んでくる。
あまりに興味無さそうな態度に少し物怖じする俺だが、構わずに話し始める。
「理科部の本当の目的は『友達を作る事』なんだ」
「……友達?」
星奈は髪をいじるのをやめる。
俺は夜空を手で制すると、一歩前へ出る。
そして真剣な目で星奈を真っ直ぐ見つめる。
「……な、なによ。そんな怖い顔したって、あ、あたしは!!」
「え……あ、いや、別に脅してるつもりはないんだが……」
もうなんかどんな顔しても怖いと言われるので、密かに行なっている穏やかな表情の練習は無駄なのかもしれない。
と、今はそれはどうでもいい。
とにかく星奈には言わなければいけないことがある。
「星奈、俺はお前に告白しないといけない事がある」
直後、周りが一斉に騒ぎ出した。
「なっ……ぁ……こ、小鷹!? い、一体何言って……う、うそだよな……?」
「あにき。僭越ながらこの幸村、このものはあにきには相応しくないとおもいます」
「唐突すぎる!! 理科がコツコツとフラグ立てていったの無視して、一気にルート変更!?」
な、なんだこの反応は……。
俺は他の理科部のメンバーに少し引きつつ困惑する。
というか理科にいたっては何を言っているのか理解できない。
星奈は星奈で、まるで靴の裏にへばりついたガムを見るかのような目で俺を見ている。
「……は? いや別にあんたとは一切フラグも何も立ってないし、好感度も下に突き抜けてるし。
告白するのは構わないけど、心に深い傷を負いたくないならやめておくことね」
星奈の言葉に首を傾げる。
何でそこまで念を押されるのだろうか。
俺に色々キツイ言葉をぶつけてくるのはいつもの事だし、今更心に傷もくそもない。
それに学校じゃみんなに怖がられて、話しかけただけで逃げられたり防犯ブザー押されたり、メンタル的には鍛えられてるしな。
……自分で言ってて泣きたくなってきた。
「んじゃ、告白するけど」
「やめろ小鷹!!」
夜空が必死になって止めてくる。
なんと、その目にはうっすらと涙さえ浮かんでいる。
俺はギョッとするが、やめるわけにはいかない。
「星奈、実は俺――――」
理科や幸村は悲しそうな目で、夜空は泣きそうな目で……というか泣きながら俺をじっと見ている。
そして目の前の星奈は半目でいかにも鬱陶しいという表情だ。
俺は口を開く。
「――友達がいないんだ」
時間が止まった気がした。
シーンと辺りを静寂が包み、部屋にいる全員がポカンとしている。
俺は何かおかしな事でも言ったのか。
そんな事を考えて焦っていると、星奈が口を開いた。
「……いや、知ってるけど」
「うぐっ……ま、まぁそうだろうな。で、ここからが本題だ!」
「本題ってなによ。どうせまたしょうもない話なんでしょうけど」
星奈はもはや真面目に聞く気ゼロのようで、髪を指に巻きつけながら「どうでもいいから早く終わらせろ」と言わんばかりに睨んでくる。
あまりに興味無さそうな態度に少し物怖じする俺だが、構わずに話し始める。
「理科部の本当の目的は『友達を作る事』なんだ」
「……友達?」
星奈は髪をいじるのをやめる。
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小鷹「安価で友達作る」 2(その2)
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