1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/30(土) 00:06:53.45cFZVZ21vo (1/2)

┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代……
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である……。


                           ――かもしれない……。

~前回までのあらすじ~

召喚士、戦士、魔道士、盗賊からなる4人の冒険者達。
5年にも及ぶ人間対魔族の闘いはいよいよ最後の戦いを迎える。
魔王サタンとの最終決戦、はたして人類に未来は……?
宿命の戦いの火蓋が今、切って落とされた。


◆7xまとめ様(いつもありがとうございます!)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆かぎまとめ様(日々のまとめありがとうございます!)
http://hookey.blog106.fc2.com/blog-entry-3022.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆絵とかのあぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆雑談スレ(オマケみたいなSSがあったりするとかしないとか)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329994650/

◆前スレ(その39)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1336978397/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1340982413(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/30(土) 00:07:33.53cFZVZ21vo (2/2)

◆過去ログ(その1~38)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308493316/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1312161458/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1315821180/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1318927989/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322122521/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1324391535/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1327155768/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329482009/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332420059/

◆あっちのスレ?(その1~その2)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257262778/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1301828985/


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/06/30(土) 03:36:45.81RL+zwsfT0 (1/1)

>>1 おつ
40スレおめ!



4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/06/30(土) 08:19:43.74rAKgkpFbo (1/1)

まだやってたのか


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/06/30(土) 08:30:01.39pGIZdswFo (1/1)

これ以外でも超長編は結構今もある
ただコイツが他と違うのはほぼ毎日更新してること


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/06/30(土) 08:52:49.89aaLus+d3o (1/1)

二桁行った辺りで既にgdgdだった気がするがな


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)2012/06/30(土) 10:48:45.17ITAXMk6v0 (1/1)

>>1乙
あと60スレがんばってください!


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/30(土) 16:25:09.18O4Ew8yvDO (1/1)

あと960スレの間違いだろ?


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2012/07/01(日) 01:52:17.51iwEnyUuB0 (1/1)

それでやっとプロローグが終わるんだよな?


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/01(日) 13:34:21.98r2todKOl0 (1/1)

1000スレ行っても死ぬまで書き続けるんだろ?


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/01(日) 18:33:32.85nnePWiZDO (1/1)

>>8-10
鬼畜すぎワロタ


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/01(日) 20:08:13.96j2M2nZAPo (1/1)

後にSS速の栗本薫と呼ばれるハメになるが、それはまた遠い未来のお話。


13 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:48:37.574hqx2kvlo (1/10)

~魔道学園~

魔道士「こんにちはっ」

学園長「よく来て下さいましたね。どうぞ」

召喚士「失礼致します。先日はお疲れ様でした」

学園長「……?」

召喚士「伺いましたよ。こちらの皆さんも加勢なされたと」

学園長「ああ、その事ですか。大した力にもなっておりませんよ」

召喚士「いえいえ。北関の防衛には多大な貢献をなされたと」

学園長「貴方達こそ、本当にご苦労様でしたね」

召喚士「俺らにとって本当の戦いは、これからですよ」

学園長「……」

召喚士「心配しないで下さい。必ず無事、帰ってきますから」

学園長「約束よ?」

魔道士「はいっ。約束します!」

学園長「……そうだ、ちょっと来て貰える?」


14 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:49:18.224hqx2kvlo (2/10)



魔道士「あの、学園長?」

学園長「さ、入って」

召喚士「ここは……?」

魔道士「教室、ですね」

学園長「久しぶりにお勉強しましょうか」

魔道士「えぇっ!?」

学園長「ふふっ。そこへ座って」

召喚士「お、俺も……ですか!?」

学園長「もちろんよ」

召喚士「……っ」

 テクテクテク……トスッ

学園長「それじゃ、ゆっくりと目を瞑って」

魔道士「……はい」

召喚士「……」


15 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:50:12.964hqx2kvlo (3/10)

 サアアアアァァァァ

学園長「そのまま、心を落ち着かせて……魔力を体内に留めて……」

召喚士「……っ」

魔道士「…………」

 コオオオオォォォォ

学園長(……す、凄い……っ)

召喚士「……」

学園長(想像以上だわ……。こんなに滑らかで穏やかで、透き通っていて……)

魔道士「……」

学園長(それでいて、強くて真っ直ぐで、こんなに若いというのに……)

召喚士「……あの、もう宜しい……ですか?」

学園長「あ、ええ。ごめんなさい。目も開けて構わないわよ」

召喚士「ふーっ」

魔道士「どうでした?」

学園長「2人共、優秀よ。頑張ったわね」


16 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:51:23.354hqx2kvlo (4/10)

v~南方司令部~

南方魔道長「珍しいな。あんたが訪ねてくるなんてよ」

大軍師「本日は南方参謀殿にお話が」

南方魔道長「おあっ、ついに左遷か?」

南方参謀「失礼ねぇ。南方司令部で1番働いてるのは誰だと思っているのよ」スタスタ

大軍師「お忙しいところ、申し訳ありません」

南方参謀「いーえ。そっちこそ忙しいんじゃないの……って、あらっ?」

戦士「おいっす」

盗賊「どうも」

南方参謀「どういう事? 全っ然、話が見えてこないんだけど」

大軍師「美女、という方をご存知ですか?」

南方参謀「……それ本名? 違うのなら知ってるわ」

戦士「!?」

大軍師「どういうご関係で?」

南方参謀「美女は源氏名。本当の名は……」


17 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:52:12.904hqx2kvlo (5/10)

~魔道学園~

召喚士「あっ」スタスタ

魔道士「火の先生っ、水の先生!!」

水の先生「やあ、魔道士」

火の先生「今日は学園長に、説教でもされにきたか?」

魔道士「もうっ、違いますよ!」

学園長「今日はもう、帰るのかしら?」

召喚士「ええ。そろそろ本国へ戻ろうかと思います」

水の先生「いよいよ、サタン討伐か」

召喚士「はい」

魔道士「では学園長、行ってきます」

学園長「約束よ? 必ず戻っていらっしゃい」

魔道士「はいっ!」

召喚士「それでは、失礼致します」

学園長「ええ。魔道士さんを宜しくね」


18 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:52:38.944hqx2kvlo (6/10)

 テクテクテクテク……

学園長「……」

火の先生「良いものだろうかな」

水の先生「……?」

火の先生「若い連中が覚悟をもってして挑むというのに」

水の先生「同感です。やはり、このまま傍観というわけには……」

学園長「……そうね」

火の先生「しかし学園長は、行くというわけには」

学園長「……っ」

水の先生「彼にも頼むとしましょうか」

火の先生「ん? 彼……?」

水の先生「ほら、彼ですよ。あそこに」

学園長「そうね。連れて行ってあげて」

火の先生「まぁ、居ないよりは役に立つか」

賢者「……? ふぅ」


19 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:53:24.494hqx2kvlo (7/10)

~南方司令部~

戦士「はぁ!?」

南方参謀「だから、彼の名は『オカマ』。私の店のコよ」

大軍師「やはり関係がありましたか」

南方参謀「あのコったら、ベルゼブブ討伐の時に、お店を任せてたんだけど……」

盗賊「店?」

南方参謀「そっ、お店。知ってる? 2丁目界隈はちょっと評判の……」

戦士「んで?」

南方参謀「……。まー前からちょっと性格に難アリっていうか……」

大軍師「成程。ところで、南方参謀殿はご存知だったのですか?」

南方参謀「何が?」

大軍師「彼が、召喚士だという事を」

南方参謀「そうなの!? 知るわけないじゃないっ」

大軍師「やはりそうですよね」

南方参謀「話が本っ当に読めないんだけど……。ちょっと最初から説明してくれる?」


20 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:54:01.874hqx2kvlo (8/10)



南方参謀「あの赤い彗星の!?」

盗賊「うん」

南方参謀「初耳だわよっ。なんなのそれ……っ」

戦士「だいたい、働く時に身分とか聞かねーのかよ?」

南方参謀「聞くけどワークショップや軍じゃあるまいし」

大軍師「細かな家庭環境までは確認はしないですよね」

南方参謀「だいたいお店がお店なんだし、カワイけりゃいいのよ」

盗賊「……」

南方参謀「それに、色々と事情があるコも多いしね……」

戦士「事情……」

南方参謀「うん。男であっても、心は女だったりとかね」

盗賊「……」

南方参謀「意外と、娯楽でやってる人よりも多かったりするのよ」

戦士「……そっか」


21 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:54:32.454hqx2kvlo (9/10)

南方参謀「それで居場所を聞きたいって事よね?」

大軍師「はい。もしお力を借りる事が可能ならば、大きな戦力となるでしょうから」

南方参謀「家の場所は分かるけど、居るかは分からないわよ」

大軍師「構いません」

南方参謀「ま、私もとっ捕まえたいところだったし、ちょうどいいわ」

盗賊「そうなのか?」

南方参謀「さっき言ったでしょ? お店を任せておいたって」

戦士「何かあったのか?」

南方参謀「何かもくそも、とんでもないわよ。メッチャクチャよ」

戦士「……?」

南方参謀「お客さんはほったらかしだわ、店内はぐっちゃぐちゃだわ……」

盗賊「ご愁傷様です」

南方参謀「ふん縛ってでも捕まえて、色々とお仕置きしないとね」

戦士「お、お仕置き……っすか」

南方参謀「そうよぉ~。お仕置きしなきゃね~」


22 ◆1otsuV0WFc2012/07/01(日) 23:55:22.904hqx2kvlo (10/10)



大軍師「ここですか?」

南方参謀「履歴書によると」

戦士「なんか思ったよりもボロっちいな」

大軍師「ご実家から考えると確かにそうですね」

南方参謀「102号室……ここね」

 コンコン

戦士「……居ないみたいだな」

大軍師「帰ってないのでしょうかね?」

盗賊「……いや、何か……気配がする」

南方参謀「!?」

盗賊「中からではない。……あっちか!?」ババッ

美女「!?」

戦士「あの影に何かいるぞっ!!」

美女「くっ!」


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/02(月) 01:04:00.43YM5AJ4OHo (1/1)




24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 01:13:11.36S3x8OZADO (1/1)

オカマて…実も蓋もないな笑

乙!


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/02(月) 02:24:24.13D8qIX6vAO (1/1)

>>1おつ

しんちゃんのマカオ思い出した


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 04:20:42.31CbVbDgbDO (1/2)

いちょつ

この先名前そのまんまオカマにすんのだけはやめてくれw


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/02(月) 05:13:11.46tXwNxhg/0 (1/1)

>>1 おつ



28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 06:45:17.63TQ1V9vCDO (1/1)

>>1乙
いままでぽっと出のキャラはすぐに死んでいたが今回はどうなるか


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/02(月) 08:20:48.01BXfDnb1no (1/4)

>>26
GID、トランスジェンダー、MtF、女装っ子、男の娘
好きなの選べ


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 09:05:17.01lAqhlK6go (1/1)

赤娘とか赤っ娘とか赤い彗星から連想出来そうな名前なら良さそうだけど
関係無い名前に代えるならオカマでいいべ



31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 12:20:26.26EF7MiaKAo (1/1)

美女(オカマ)これでいい!


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/02(月) 13:30:01.54BXfDnb1no (2/4)

美女♂
これがいいな


33 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:52:44.51l0X5JTwZo (1/25)

 ダッ!!

戦士「逃がすかよっ! 回りこめっ、盗賊!」

盗賊「ああ!」バッ

美女「くっ、なんなの!? なんでアイツと店長まで一緒にいぃ!!」

盗賊「見つけたっ!」ズザッ

美女「――っ!?」

 ガシィ!! ドシャアァ

美女「く……っ! 離せぇ!」

盗賊「戦士っ」

戦士「よくやった!」

美女「離……っしなさいよ!」

戦士「そうはいくか。お前には聞きたい事もあるんでな」

美女「いいから離せ――」

南方参謀「よーやく会えたわねぇ~」ニコニコ

美女「――――っ」


34 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:53:22.26l0X5JTwZo (2/25)



美女「……」ツン

南方参謀「いつまでダンマリ決め込んでるつもりかしら~?」ニコニコ

美女「……っ」

大軍師「あなたが美女さんですね?」

美女「……」

大軍師「私は国軍副司令、大軍師と申します」

美女「……」ツン

大軍師「実はあなたに、ご協力を求めるべく、探しておりました」

南方参謀「ちょい待って。先にこっちの話から片づけさせてよっ」

戦士「おい、俺の話が先だろ」

南方参謀「何でよ!? 時系列的に言ったら最初の被害者は私……」

戦士「探すの諦めてたくれに何を言ってんだ」

大軍師「まぁまぁ、ここは順序よく、かつ効率的にですね……」

美女「……ウルサイウルサイっ、ウルサーイ!!」


35 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:54:57.29l0X5JTwZo (3/25)



大軍師「ではまず、どうして戦士殿をつけ回していてのですか?」

美女「別に。強いから付いてきゃ稼げると思ったのよ」

大軍師「本当にそれだけですか?」

美女「……強いて言うならあとは、ちょっとタイプだったからかしらっ♪」

盗賊「!?」

美女「まーキスもしたし、もう別にそれ以上の興味はないわん」

盗賊「――――っ!?」

戦士「事故だっ! 事故!!」

盗賊「……っ」キッ!!

美女「何よ? てかアンタ……誰よ?」

大軍師「話を続けますよ。では、本当にそれ以外は何もないんですね?」

美女「ないわよっ! こいつに北で助けられてってか、勝手に助けてただけだけど」

戦士「何ぃ!?」

美女「そんで使えるって思って、付いてっただけだもんっ」


36 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:56:18.39l0X5JTwZo (4/25)

盗賊「……」

美女「そしたらこのクソ真面目な男が、軍に引き渡すっていうから……」

大軍師「竇茂した、と?」

美女「そっ。北関でこいつが金持ってるって確信したし」

戦士「……」

美女「まぁ連中が鉱山の町まで追っかけまわしてくるとは思わなかったけどね」

大軍師「成程。戦士殿、これ以上の理由は特になさそうですね」

戦士「くそっ。身勝手で人を引っ掻き回しやがって……」

美女「勝手に引っ掻きまわってただけでしょー」

戦士「んだとぉ!?」

盗賊「落ち着け」

戦士「……くっ」

大軍師「では次に、南方参謀殿のお店を任されていたのですよね?」

美女「……」

南方参謀「ちゃーんと薄情なさいよ?」


37 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:56:54.71l0X5JTwZo (5/25)

美女「……最初は……真面目にやってたもんっ」

大軍師「では何故、途中で投げ出してしまったのです?」

美女「えー? だってお客さんがムカついたんだもーん」

大軍師「……そ、そうですか」

南方参謀「まさか変な事されたんじゃないでしょうね!?」

美女「それは大丈夫。そんな連中は顔面パンチで1発だから」

南方参謀「何してくれてんのよアンタはっ!!」

大軍師「では、どうなさったのです?」

美女「ナンバーワンの私より、上が居るって言うのよ!」

南方参謀「へぇー。アンタより上が居るだなんて、ぜひスカウトしたいわね」

美女「だったらもう店、辞めるもんっ!!」プイッ

南方参謀「何をそんなにヘソ曲げてるのよ」

美女「みんなして……ヒイキするんだもん」

南方参謀「誰なのそれ? ヨソの店の子?」

美女「知らないっ。召喚子って言うらしいわよ」


38 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:57:31.38l0X5JTwZo (6/25)

~ターミナル~

召喚士「……」ゾワッ

魔道士「召喚士さん、どうしました?」

召喚士「いや……何やら急に寒気が」

魔道士「やめて下さいよ……大事な戦いの前なんですから」

召喚士「すみません。でも風邪とかじゃないと思いますけど……」

魔道士「あとは本国へ向かって、盗賊さんと戦士さんと合流するだけですねっ」

召喚士「ええ。ワークショップへの伝言だと、2人はもう合流しているみたいですし」

魔道士「いよいよ……ですね」

召喚士「いよいよですね」

魔道士「……どうでしたか?」

召喚士「え? ああ、今回の旅ですか?」

魔道士「はいっ」

召喚士「有意義だったと思います」

魔道士「……」


39 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:58:21.65l0X5JTwZo (7/25)

召喚士「俺、今までずっと後悔してきたんです」

魔道士「後悔……ですか?」

召喚士「はい。本当に正しかったんだろうか、もっとうまくできたんじゃないか……って」

魔道士「……っ」

召喚士「でも各地を回って思いました。後悔しても仕方がない。もう終わってしまった事なんだって」

魔道士「……ええ」

召喚士「吹っ切れたわけじゃないですけど、過去を生かして生きていかなくちゃいけないなって」

魔道士「そうですよね……」

召喚士「亡くなった皆の思いを、責任を抱えて、今後ずっと……生きて行かなきゃなって」

魔道士「重い……ですね」

召喚士「ええ。死ぬ事より辛い未来かもしれません。でも生かされたのはそういう事ですから」

魔道士「そう、かもですね」

召喚士「みんなの力を得て、思いを継いで、そして次の世代に繋いでいくんです」

魔道士「……はいっ」

召喚士「それが俺の、俺らの……宿命なのかもしれません」


40 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 15:59:24.78l0X5JTwZo (8/25)

~南方、北の街~

戦士「……そうきたか」

美女「何アンタ、召喚子のこと知ってるの?」

戦士「えっ!? あーえぇと……」

美女「しかも聞けば召喚子、白虎召喚士だって言うじゃない!」

南方参謀「そういえばアナタも召喚士だったのよね?」

美女「……別に隠してたわけじゃないのよ。言うと色々、面倒だから」

大軍師「貴方のお住まい、失礼ですが正直、良い生活とは思えません」

美女「……」

大軍師「ご実家は富豪。にも拘わらずです」

美女「うるっさいわねぇ」

大軍師「もしや援助など一切なしで、暮らしてらっしゃるのでは?」

戦士「!?」

大軍師「いや、得たくとも得られない、そういった事情がおありなのでは?」

美女「うるさいって言ってんだろうが!!」


41 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 16:00:22.97l0X5JTwZo (9/25)

大軍師「……」

美女「だったらどうだってんだコラ? あぁ!? 誰にも迷惑かけてねーだろうが!!」

大軍師「仰る通り」

南方参謀「ねぇ、あなた本当は……」

美女「……何なのよもう!! 関わらないでよ!!」

戦士「なぁ、お前さ……意外とやるじゃんかよ」

美女「……?」

戦士「あんだけ金持ちなのに、資金援助なしで、1人で生活してんだろ?」

美女「……」

戦士「立派じゃねぇか。親に頼らず迷惑かけずによ」

美女「……気持ち悪い。何なの急に」

戦士「何か理由があんだろ? そこまでやる理由がよ」

美女「……」

南方参謀「裕福な家を飛び出して、私の店なんかで働いてるのがその理由、よね?」

美女「……っ」


42 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 16:02:24.80l0X5JTwZo (10/25)

南方参謀「あなたは、男でありながら違う心を持っている」

盗賊「……?」

南方参謀「あなたは女になりたがっている。いえ、女だと感じているのよね?」

美女「……そうよっ! 私は……女なのよ!」

戦士「お前……」

美女「いつしか自分が、回りと違うって事に気が付いた……」

盗賊「……」

美女「だから私はっ、1人で生きていく事に決めたのよっ!」

戦士「家族は? 家族には何も言わなかったのか?」

美女「言ったわよ! でも理解なんてしてくれるわけないじゃない……っ」

大軍師「……」

美女「だから決めたの。もう誰にも頼らない、1人で生きていくってね」

南方参謀「そうだったのね……。それならそうと言ってくれれば良かったのに」

美女「打ち明けたら何かしてくれるとでもいうの?」

南方参謀「何も出来ない、出来ないけれど……相談くらいには……」


43 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 16:03:19.80l0X5JTwZo (11/25)

美女「店長やお店の人達はみーんな、そんな事、深く悩んでないもんね」

南方参謀「……っ」

美女「仕事や趣味でやってる人達とは違うもの。分かるわけなんてないわよ」

戦士「お前なぁ、でも相談ぐらいは乗ってくれるだろ」

美女「はぁ?」

盗賊「悩みを抱えていても仕方ないんだ。誰か、頼るべき者に頼る事だってあるさ」

美女「はいはい。あなた達はいいですよね、そうやって慰めあってきたんでしょうから」

戦士「あのな、いい加減に……」

南方参謀「ごめんなさいね」スッ

戦士「……?」

南方参謀「美女」

美女「何よ――」

 パシイイィィィン

美女「…………」

南方参謀「私はねっ、あのお店で働いてる以上はね……親も同然なのよっ!」


44 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 16:04:59.83l0X5JTwZo (12/25)

美女「……っ」

南方参謀「あなたが辛い思いをしていた事に気付けなかった……それは本当に悔やむわ」

美女「……」

南方参謀「でもっ、もっと私を! 仲間を頼ってくれてもいいじゃない!」

美女「店長……ぉ」

南方参謀「みんながみんな、趣味や娯楽でやってるわけじゃないの。思いは一緒なのよ!」

美女「……え……っ」

南方参謀「だからみんなを信じて、家族だと思って……なんでも打ち明けて頂戴」

美女「……っ」

南方参謀「……いいわね?」

美女「……分かんないわよ……っ、そんなの」

戦士「……ちょいといいか?」

南方参謀「……?」

戦士「召喚子にライバル心を抱いてるみてーだが、直接会ってみっか?」

美女「え……っ!?」


45 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 16:06:24.34l0X5JTwZo (13/25)

盗賊「バっ、お前……っ!」

戦士「召喚子と直接会ってよ、白黒付けりゃいいじゃんかよ」

美女「やっぱりアンタ、召喚子を知ってるのね!?」

南方参謀「……それは面白そうねぇ」ニヤリ

盗賊「……はぁ」

美女「いいわ。召喚子と勝負しようじゃないの。どちらがナンバーワンかどうかをねっ!」

大軍師「もしそれが解決したならば、お力を貸して頂けますか?」

美女「……」

戦士「もし力を貸してくれるってんなら、召喚子を紹介してもいいぜ」

美女「……ズルイわね」

戦士「どうすんだ?」

美女「分かったわよもうっ! その代わりちゃんと召喚子に会わせなさいよ?」

戦士「ああ、約束すんぜ!」

盗賊「戦士……お前……」

戦士「四の五の言うな。これにて一件落着なんだからよ。はははっ!」


46 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 16:07:35.52l0X5JTwZo (14/25)

大軍師「それでは本国へ戻りましょうか。ご同行頂けますね?」

美女「北関の件はチャラにしてよね」

大軍師「……承知致しました。私が責任をもって」

美女「ねぇ店長」

南方参謀「ん?」

美女「店長もやっぱり……私とおんなじなの?」

南方参謀「私はカワイイものに目がないだけ。それだけよっ♪」

~ターミナル~

召喚士「うぅ……」ゾワワッ

魔道士「召喚士さん……本当に大丈夫ですか?」

召喚士「何なんでしょうかね。体調不良というわけではないんですけど……」

船員「本国行き、まもなく出航致します!」

魔道士「あっ、船が出ちゃいますよ! 行きましょう!」

召喚士「は、はい」タタッ

 翌日、召喚士と魔道士、戦士と盗賊は数日振りの再会となる。満月の夜まであと3日。


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 17:24:51.98CbVbDgbDO (2/2)

いちょつちょつ


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/02(月) 17:30:09.20BXfDnb1no (3/4)

分かる!分かるぞ美女ぉぉおおお!ウワァァ-----。゚(゚´Д`゚)゚。-----ン!!!!


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 17:34:53.80YIiAfDYDO (1/2)

やっと主人公である召喚子の出番か


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 17:36:51.29cU62VyBLo (1/2)

いつの間にか魔道士ちゃんしか得しない流れになってる…


51 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:52:39.62l0X5JTwZo (15/25)

~本国、国軍本部~

魔道士「あっ、いたいた!」

盗賊「魔道士」

魔道士「盗賊さーんっ」ダキッ

召喚士「お疲れ様」

戦士「おう、そっちもご苦労だったな」

召喚士「俺らはただ、各地を巡ってただけだよ。そっちは?」

戦士「……えーと」

大軍師「お待ちしておりました」

召喚士「大軍師さん?」

南方参謀「待ってたわよぉ、召喚士ちゃん!」

召喚士「へっ?」

美女「……誰こいつ」

召喚士「はいっ!?」

戦士「は、はは……あははははは……っ」


52 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:53:06.09l0X5JTwZo (16/25)



召喚士「ええぇぇぇぇーっ!?」

戦士「すまんっ! あの場面はああするしかなかったんだ!」

召喚士「いやだって、えっ? えぇっ!?」

南方参謀「そういうわけでお忙しいところ申し訳ないけど、ちゃっちゃと済ましちゃいましょ」

召喚士「いやっ! 拒否権は!?」

戦士「ない」

南方参謀「うん」

召喚士「……っ」

南方参謀「適当に言いくるめて負けてあげればそれでいいからっ、ねっ?」

召喚士「……悪寒の理由がやっと分かった」

盗賊「……?」

召喚士「ちょっと魔道士さんからも何か言ってあげて下さいよ」

魔道士「やりましょうっ!! 是非!!」

召喚士「ええええぇぇぇ!?」


53 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:53:36.94l0X5JTwZo (17/25)

~図書室~

占い師「……」ピクン

白虎嬢「どうなさいましたかぁ~?」

占い師「何やら……楽しそうな臭いがする!」スクッ

白虎長「臭い?」

朱雀嬢「何の事かしら?」

玄武娘「よく分からないですの」

白虎長「予言?」

占い師「アーンド、女の勘!」ダッ

朱雀嬢「付いて行くですわ」

玄武娘「あっ、私も行きますのー!」

白虎長「全く、仕方ないわねぇ」

白虎嬢「従姉さんもちょっと楽しそうですけれど~?」

白虎長「まーね。アレの勘は何か面白い事が起きるに違いないから」タッタッタッ

白虎嬢「あっ、待って下さいよぉ~」タッタッタッ


54 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:54:06.88l0X5JTwZo (18/25)



召喚士「……くっ」

戦士「だからすまんってば。な、この借りは必ず返すからよ!」

召喚士「戦士がやればいいんだ……ブツブツ」

南方参謀「はい動かないっ! 早くしないと時間がないわよ!」

召喚士「誰のせいで時間が――」

魔道士「でも大丈夫ですかね?」

南方参謀「何が?」

魔道士「召喚士さん1人で。バレたりしたら……」

戦士「俺がフォローするよ」

南方参謀「アンタじゃケンカ腰になって駄目よ」

盗賊「確かに」

魔道士「じゃあ仕方ありませんねっ。あの人にお願いしましょう!」

南方参謀「あの人?」

召喚士「……ま、まさか……っ!!」ガクガク


55 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:54:57.90l0X5JTwZo (19/25)



青年兵「……お引き取り下さい」パタン

魔道士「どうかお願いしますっ! 召喚士さんを助けてあげて下さい!」

南方参謀「あなたしか頼りはいないのよっ!」

青年兵「――っ。わ た し は だ い げ ん す い で す よ ! ?」

南方参謀「知ってるわよ」

盗賊「うん」

魔道士「はい」

青年兵「そうじゃなくって! 何でそんな事をしなくてはいけないんですかっ!」

南方参謀「だから~。召喚子さんを助けてあげて欲しいのよ~」

青年兵「それが意味不明だと言っているんです!!」

魔道士「駄目ですか……?」

青年兵「おかしいでしょう!? 無関係の僕が何でわざわざ女装して参加しなければならないんです?」

盗賊「……理由なんてないんだ。多分、楽しいからだと思うよ。諦めろ」

青年兵「――――っ」


56 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:56:37.18l0X5JTwZo (20/25)



美女「……」

 ガチャッ

美女「来たわねっ」スクッ

南方参謀「お待たせ。このコが……召喚子ちゃんよ」

召喚子「始めまして美女さん、召喚子……ですわ」

青年子「私は召喚子の友人で、青年子ですわ。宜しく」

美女「――っ!?」

南方参謀「ど、どう?」

美女「……た、確かになんという美貌……っ」

召喚子「そっ、そうかしら? おほほほ……っ」

美女「召喚子さん、あなたが男である事は、既に知っているのよ」

召喚士「そ、そう……っ」

美女「南方じゃ絶世の美女として通ってるらしいけれど、あるお客さんが教えてくれたんだから!」

召喚士「……?」


57 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:57:07.67l0X5JTwZo (21/25)

……――

美女「召喚子が……男ぉ!?」

南方弓長「そうよぉ~。実はねぇココだけの話……男なんらから~」ドンッ

美女「……っ」

南方弓長「しかも召喚士フェスでぶっちぎりの強さでぇ~」

美女「召喚士……!?」

南方弓長「なんとその正体はぁ……ぐぅ……ぐぅーっ」

美女「……召喚子が男で……召喚士……?」ワナワナ

南方弓長「ぐーっ、ぐぅーっ」

美女「許せない……っ。南方で、いえ……世界で一番のニューハーフは……この私よっ!」ゴウッ!!

――……

南方参謀「あんの……バカ……っ」

召喚子「……」

青年子「……」

美女「とにかくっ、勝負してどちらが真のニューハーフナンバーワンか決めようじゃないの!」


58 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:57:42.17l0X5JTwZo (22/25)

召喚子「……美女さん、今はそのような事をしている時でして?」

美女「……どういう意味よっ!?」

召喚子「知っていると思うけれど、世界は今……大変な時を迎えているの」

美女「それがどうだっていうのよ。私達に何かできるわけじゃあるまいし」

朱雀嬢「それは違いますわっ!」ザッ

美女「誰っ!?」

朱雀嬢「私はえぇと、その……召喚子さんの友人よ!」

玄武娘「そうですのっ!」

白虎長「あら、よくお似合いですわねぇ」ニヤニヤ

青年子「ややこしくなってきた……」

美女「その友人が何の用? 私は召喚子と話があるのよ!」

朱雀嬢「召喚子さんはこれから、サタン討伐に参加するという重大な任務があるんですわ」

美女「えっ!?」

朱雀嬢「そんな時に、あなたのワガママなんかに付き合っている暇はありませんわよ」

召喚子「そそっ、そうですわよっ!」


59 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:58:22.52l0X5JTwZo (23/25)

美女「……くっ」

朱雀嬢「もし決着を付けたいのならば、その後になさいな!」

召喚子「えぇっ!?」

朱雀嬢「次の召喚フェス、貴女も参加して召喚子さんと決着を付けるといいですわ」

美女「……召喚……フェス」

朱雀嬢「でも、サタン討伐に参加したら……召喚子さんの方が格上でしょうけれど」

美女「ちょっと待ちなさいよ! 誰が参加しないなんて言ったぁ!?」

朱雀嬢「あら? 貴女も参加するのかしら?」

美女「……召喚子が参加するなら、参加しようじゃないのっ!」

朱雀嬢「ですって。召喚子さん?」

召喚子「く……っ」

朱雀嬢「じゃあ決着は、サタン討伐の後、召喚フェスって事で宜しいですわね」

占い師「宜しいです」

白虎嬢「です~」

玄武娘「はいですの!」


60 ◆1otsuV0WFc2012/07/02(月) 17:59:54.02l0X5JTwZo (24/25)

美女「……わ、分かったわよ! その条件……飲んでやるわっ」

戦士「これにて一件落着!」

魔道士「良かったですね、えへへ!」

南方参謀「さーて、お開きにしましょ!」スタスタ

盗賊「……ご愁傷様です」

青年子「だから嫌だったんです。絶対こういう展開になるって分かってたから」

朱雀嬢「……」ジーッ

青年子「……あ、ありがとうございました。朱雀嬢さん」

朱雀嬢「たまにはアリですわね……」ボソッ

青年子「へっ!?」

朱雀嬢「さっ、早く着替えましょ! 青年兵さんは普段の方がやっぱり良いですわっ!」

青年兵「は、はい……。はい!? えっ!?」

朱雀嬢「は、早く行きますわよっ!!」

玄武娘「……召喚士さん、燃え尽きてるですの」

召喚士「…………」


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 18:02:30.71l0X5JTwZo (25/25)

用はここまでにて失礼します!
美女の本名は前スレでオカマでいいって言ってたから…
色々な名前を挙げてもらったので、その中から採用したいと思います!

今日も沢山のご支援ありがとうでした!それでは!ノシ


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 18:05:59.35YIiAfDYDO (2/2)

これで>>1はオカマ召喚フェスも書かなくてはいけなくなったな

おつんぽ!


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/02(月) 18:09:20.55BXfDnb1no (4/4)

前スレの999が悪いんだなww


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 18:17:41.85cU62VyBLo (2/2)

久々に流れねぇかな、星。


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 18:19:37.75pxkmmmdJo (1/1)

俺前スレの999だけど、これはアリだと思うの。むしろこの展開を望んでいた!!
召喚子・青年子の二大巨頭(色んな意味で)最強タッグじゃまいか!!

>>55
青年兵心の声が聞こえた
   /'''7'''7    _ノ ̄,/ /__7 ./''7/''7''7       __/ ̄./    _ノ ̄,/ __/ ̄/__ . /''7''7
   / /i  |  / ̄  ,/ /__7 / ./ ー'ー'/ ̄/____ /___.   ̄// ̄  ,//__  __  /, ー'ー'____
 _ノ / i  i__. ̄/ /   ___.ノ /  /__  ___  / ____/ ./ ̄  ̄/ /  _./  //  /   /____/
/__,/  ゝ、__| /__/  /____,../    /___/  |__/ /__,,..ノ .    /__/    |___ノ.|___,/,




66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 19:12:44.18GmXeYI8A0 (1/1)

>>65
お  ま  え  の  せ  い  か


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 19:53:45.428uzVE3BIO (1/1)




68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/02(月) 20:10:06.55pMdcnlB1o (1/1)

>>1乙

サタン倒した後の楽しい約束ってのは良いよな



69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 20:50:05.84Oe9XtEsho (1/1)

>>1乙!

でも、サタン倒したら人間は魔翌力使えなくなるんじゃないの?


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/02(月) 21:10:55.90h3plm507o (1/1)

>>1乙
それは言わない約束だよ?


71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/03(火) 02:10:21.30Xs1WciXAO (1/2)

>>1おつ

大元帥を弄ぶ召喚士パーティwwww天才も高笑いしてるだろうなww


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/03(火) 16:00:28.14JjDpSaae0 (1/1)

見える、見えるぞ、悪ノリする魔導士ちゃんの姿が、


73 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:25:44.89YS6yjHGBo (1/17)



召喚士「あーヒドイ目にあった……」バシャバシャ

青年兵「本当ですよ……って落ちないし」

召喚士「これ使うといいよ。クレンジングオイル」ヒョイ

青年兵「あ、そうでしたね。その後に洗顔……」

召喚士「……妙に詳しくなってるし……俺達」

青年兵「……」

召喚士でも、何となく収まってくれたみたいで良かったよ」

青年兵「でも大変ですね。変な約束までさせられてしまって」

召喚士「召喚士フェス? そうだよなぁ……また召喚子として出なきゃいけないのかなぁ」

青年兵「でも、羨ましいですよ」

召喚士「え?」

青年兵「流石に大元帥ともなると、参加するわけにはいきませんから」

召喚士「……変装して出たらいいんじゃない? それこそ青年子――」

青年兵「召喚士さんっ!」


74 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:26:14.22YS6yjHGBo (2/17)



美女「はぁ!? あんた達も召喚士なワケ!?」

玄武娘「はいですの!」

朱雀嬢「そうですわよ。ちなみに青年子さんも青龍召喚士ですわ」

美女「!? ちょっと勝負してくる」ザッ

白虎長「こらこら、後にする約束でしょ?」グイッ

美女「……っ」

大軍師「どうです? 思ったより集まったのではないですか?」

青龍士官「青龍が3名、白虎が2名、朱雀が2名、玄武が1名か」

大軍師「五行の事を考えると、3名ずつは欲しいところですね」

青龍士官「青龍はいいとして、白虎はと朱雀嬢があと1名ずつ。玄武が2名か」

大軍師「白虎は何とかなりそうですが、朱雀と玄武はどうでしょうかね」

青龍士官「そういえばあの、フェニックスの男はどうでしょうか?」

大軍師「同門殿ですか、それが一向に連絡がつかず……」

青龍士官「彼が居れば、朱雀先生を浮かせられるんだがな……」


75 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:26:43.16YS6yjHGBo (3/17)

召喚士「お待たせしました」テクテクテク

青龍士官「どこへ行っていたのだ?」

青年兵「えっ!? あ……ちょっと個別の打ち合わせを」

大軍師「ではまず、ここに居るメンバーに概要をご説明致しましょう」

白虎長「サタン討伐は既に知っての通り、地上で戦うものではないわ」

玄武娘「そうなんですの?」

朱雀嬢「……いいから黙って聞いてなさいですわ」

大軍師「一部とはいえ我々は、魔物の本土である地獄へと向かいます」

アマゾネス「……っ」

大軍師「まず注意事項ですが、召喚士の皆様には警戒して頂きたいという事」

南方参謀「それってどういう事?」

青年兵「召喚獣は地獄では召喚出来ないんです」

南方参謀「そうなのっ!? それじゃどうやって……」

大軍師「サタンについては結界石内なので召喚可能です」

南方参謀「あ、そっか。つまり結界石より外に出なければいいって事ね」


76 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:27:13.97YS6yjHGBo (4/17)

大軍師「我らも無論そうですが、特に召喚士の方々は攻防手段を失いますので」

青年兵「地獄は瘴気が凄まじく、平静を保つ事すらやっとです」

戦士「ああ。何もしてないのに押しつぶされそうな、そんな感じだったぜ」

盗賊「……」

大軍師「スーパーノヴァの懸念もありますし、短期決戦を仕掛けたいと考えております」

召喚士「五行……ですか?」

大軍師「はい。あらゆる限りの五行を打ち込みます」

魔道士「っ!!」

青龍士官「その為には召喚士の数が必要です。朱雀先生、あなたには……」

召喚士「分かってます。1人で五行を、ですね?」

青龍士官「現在、青龍が大元帥、美女、そして私の3名」

美女「……うえぇ」

白虎長「白虎が私と白虎嬢」

青年兵「そして朱雀が召喚士さんを除けば、アマゾネスさんと朱雀嬢さん」

朱雀嬢「ですわね」


77 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:27:50.52YS6yjHGBo (5/17)

大軍師「最後に玄武が玄武娘のみ」

青年兵「白虎は軍にもワーカーにも多数おりますし、心配は無用かと思いますが……」

美女「召喚子でいいじゃない」

召喚士「!?」

大軍師「召喚子殿と青年子殿は残念ながら、別働隊を担って頂きます」

美女「そうなのっ!? じゃあ私もそっちがいい」

大軍師「本当に宜しいのですか?」ゴゴゴゴゴゴ

美女「へっ!?」

大軍師「いやぁ、想像を絶する死地なものですから志願者が少なくて。助かります」

美女「……や、やっぱこっちでいいわ」

召喚士「白虎なら心配はいらないよ。西国の陛下がいる」

青年兵「なるほど……っ! 確かにそうですね」

魔道士「朱雀も同門さんがいますよっ!」

大軍師「それが、彼とは音信不通でして……」

魔道士「そうなんですか!?」


78 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:28:20.72YS6yjHGBo (6/17)

青年兵「当日まで間に合えば良いのですが……」

アマゾンネス「あの、ベルゼブブの時にいた、朱雀召喚士はどうだろう?」

召喚士「……」

青年兵「……彼は、その……っ」

召喚士「きっと来ますよ。来ますけど……五行召喚に参加するのは難しいと思います」

アマゾネス「知っている……のですか?」

召喚士「……。きっとあれですよ、同門さんが来てくれるはずですから大丈夫ですよ!」

占い師「本当に来るのかしら……」

召喚士「来ますよ。そういう人ですから」

戦士「あとは玄武か」

召喚士「サモナーさんの容態はどうです?」

朱雀嬢「あまり、良いとは言えませんわね」

召喚士「……そうですか」

朱雀嬢「出来れば、無理して欲しくないというのが、素直な感想ですわ」

召喚士「……」


79 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:29:23.72YS6yjHGBo (7/17)

青龍士官「彼はどうだ? 特遊に新しく加わった……」

大軍師「ボス殿ですか。ふむ、確かに」

戦士「変に偏ってっから、こういう時にメンドくさくなるんだよな」

大軍師「今思えば、あえてアンバランスにしたのかもしれませんね」

白虎長「どういう事?」

大軍師「内通者ですよ。国軍に青龍と白虎だけを普及させて……」

青龍士官「使い勝手が良いと言うのも、事実だとは思いますけれどね」

青年兵「ああ。それに先代の青龍先生あたりは、あえて黙認したような雰囲気もあるし」

白虎嬢「黙認、ですかぁ?」

青年兵「召喚獣との会話を禁じたり、他属性との交流機会を皆無にしたりと……」

召喚士「たぶん合体召喚みたいな負荷の高い召喚をさせない為の配慮だったんですね」

青年兵「私はそう信じております」

大軍師「ともかく、本日夜間の出発までに、何とか揃えたいところですね」

青年兵「手分けして出来る限りをしましょう」

召喚士「うんっ」


80 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:30:12.19YS6yjHGBo (8/17)

大軍師「もう数時間もすれば他の方々も集うでしょう」

青年兵「それまでは待機なさってて下さい」

 ゾロゾロゾロ……

召喚士「はぁ……」

戦士「ほんと悪かった……っ。この通り!」

召喚士「もういいよ。一応、解決したわけだし、なんだかリラックスも出来たしね」

戦士「ああ。これからサタンとの戦いがあるってのに、ビックリするくらい落ち着いてるよ」

盗賊「そうだな」

魔道士「私も、召喚士さんと各地を巡って、緊張が解れましたっ」

戦士「ほーっ。そいつは良かったなぁ」

魔道士「!?」

盗賊「ふふっ」

魔道士「そっ、そっちこそ! 2人で楽しんだんじゃありませんか?」

盗賊「!?」

召喚士「はは……っ」


81 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:31:03.00YS6yjHGBo (9/17)



魔道士「けけっ、け……結婚!?」

盗賊「……うん」

魔道士「戦士さんてば……大胆……っ」

盗賊「びっくりしたけど、何でか……すんなり受け入れられた」

魔道士「……」

盗賊「たぶんそれが、戦士の覚悟なんだな、って思って」

魔道士「盗賊さん……」

盗賊「だから聞き返しもしないし、全て終わったら受け入れようと思う」

魔道士「2人とも、強いですね」

盗賊「そうかな?」

魔道士「こんなタイミングでさらっと言えるなんて、強いですよ」

盗賊「……」

魔道士「それを受け入れられる盗賊さんも……強いです」

盗賊「悟り」


82 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:31:51.67YS6yjHGBo (10/17)

魔道士「……?」

盗賊「多分、それはそういう事なんだろうな」

魔道士「悟り、ですか」

盗賊「死ぬつもりなはい。死を受け入れた上での生」

魔道士「難しいですね……」

盗賊「自然と皆、そういう形になっている。魔道士もな」

魔道士「そう、ですかね」

盗賊「ウィッチ相手に見せた覚悟はそれに近かった」

魔道士「……」

盗賊「ありのままを受け入れて、認めて、そして前に進んだんだから」

魔道士「……そう、だといいですね」

盗賊「大丈夫。今は負ける気がしないから」

魔道士「はいっ。絶対に勝ちます。負けたりなんかしません!」

盗賊「みんあで帰っていて、そしてまた……美味しい物たくさん食べよう!」

魔道士「はいっ! えへへ!」


83 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:33:12.97YS6yjHGBo (11/17)

 夕刻から夜にかけて、続々と討伐メンバーが国軍本部へと集結する。

男隊員「特殊遊撃強襲隊4名、サタン討伐に向け、帰還致しました」ザッ

大軍師「ご苦労様です」

青年兵「大戦後だというのに、宜しいのですか?」

男隊員「この期に及んで何を言っているのやら」

女隊員「そうッスよ。今やらないでいつやるんスか!」

青年兵「ありがとうございます」

格闘家「五か年計画の完遂は、師匠の夢でもありますから」

ボス「どこまで役に立てるか分かりませんが、尽力します」

青龍士官「君には召喚隊として、私の指揮下に入ってもらう」

ボス「了解!」ザザッ

大軍師「他の3名は護衛としてスタンバイして頂きます」

女隊員「護衛ッスか?」

大軍師「はい。サタン討伐の外を固めて頂く事となります」

格闘家「外ですか?」


84 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:34:20.16YS6yjHGBo (12/17)

青年兵「具体的には現地を確認してからでないと申し上げられませんが……」

大軍師「魔物の増援なども無いとは言い切れませんからね」

男隊員「なるほどな」

 スタスタスタ

ジュニア「ハッハ! みんな揃ってんな。待たせちまったか?」

魔道士「ジュニアさんっ!」

大軍師「まだですよ。功績トップランカーの参戦、非常に頼もしい限りです」

ジュニア「だからそれはやめろっての」

戦士「おっ! ナンバー2も登場だ!」

魔法剣士「……?」スタスタ

召喚士「魔法剣士さん」

魔法剣士「メンバーはこれだけか?」

青年兵「ご参加ありがとうございます。まだ来ると思いますよ」

魔法剣士「そうか」

召喚士「……あれ?」


85 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:35:53.54YS6yjHGBo (13/17)

魔法剣士「どうした?」

召喚士「魔法剣士さん、剣……増えてません?」

魔法剣士「死んでいった仲間を背負っている」

召喚士「見覚えがあります。これは眼鏡さんの長剣。それに……」

男隊員「隊長のナマクラだ。つーか1人で4本も携えてどうすんだよ」

魔法剣士「どうもしない。あるがままだ」

男隊員「ヒャハハ。そらご苦労なこって」

国軍兵「ご報告致しますっ! 軍港に東方からの船、入港致しました!」

大軍師「来ましたか」

盗賊「上様だ」

ジュニア「おいおい、東方の女王まで参戦すんのかよ。守りきる自信はねーぞ」

盗賊「上様はそんなに弱くはないよ。それに、私が守り抜いてみせるから」

ジュニア「盗賊ちゃんにそこまでの覚悟見せられたんじゃ、頑張るしかねぇか。ハッハ!」

青年兵「入港後こちらへ誘導して下さい」

大軍師「畏まりました」


86 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 17:36:35.74YS6yjHGBo (14/17)



国軍兵「西国陛下、ご到着なさいました!」

青年兵「おぉ……っ!」

王子「先の戦いではご苦労であった」

大軍師「此方こそ。体調は……よろしいようですね」

王子「万全さ。失敗は許されぬのんであろう?」

青年兵「はい。宜しくお願い致します」

王子「……」チラッ

召喚士「……ふふっ。王子もバッチリみたいだ」

名代「召喚士殿」スタスタ

召喚士「名代さん、どうですか?」

名代「法力は全快、とまではいきませんが、心配は無用ですよ」

召喚士「良かった。名代さんの力がなければ、五属性召喚は出来ないですからね」

名代「この一戦に己の全てを、陰陽道の全てを尽くしてみせますよ」

召喚士「頼もしい限りです」


87 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 18:01:14.23YS6yjHGBo (15/17)

王子「上様」

帝「また共に、戦う事となりましたな」

王子「ええ。互いに王である身、無理は出来ません」

帝「……」

王子「などとは申しませんよ?」

帝「うむ。分かっておる」

王子「全力を尽くして全力をもって生き延びてみせる。そうですよね?」

帝「私も同様の気持ちじゃ。貴方とはやはり気が合うようだ」ニマッ

王子「……」

帝「……どうした? 顔に何か、付いておるか?」

王子「い、いえいえ。西国と東方も、近くなったなと思いまして」

帝「……?」

王子「私は必ず、大海原を越えて貴女の元へ馳せ参じてみせましょう」

帝「それは楽しみだ。期待しておこう」

王子「はははっ!」


88 ◆1otsuV0WFc2012/07/03(火) 18:04:54.70YS6yjHGBo (16/17)



魔道士「ええぇぇぇぇ!?」

水の先生「やっぱり君達に任せっぱなしには出来ないからね」

火の先生「そうじゃ。若いのが頑張ってるというのに休んでられるかい」

召喚士「賢者さんまで……」

賢者「……ふぅ」

大軍師「しかしこれは頼もしいですね。召喚士はともかく魔道士は不足してましたから」

召喚士「確かにそうかも――」

 ザッザッザッ

剣士「お待たせしました」

弓使い「いよいよ、最後の戦いね」

魔道士「幼女ちゃん!?」

幼女「魔法使える人、少しでも多い方がいいよね?」ニコッ

大軍師「やれやれ。本当に有り難い事ですね……ふっふっふ」

召喚士「きっと来てくれるって……思ってましたよ!」


89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 18:13:08.78YS6yjHGBo (17/17)

キリよくないけどここまでとします
本日もご支援ありがとうございました!

たまたま目に飛び込んできたのですが、かぎまとめ様
超迅速なまとめありがとうございます!ビックリしました!
そしてななばつ様も本当にありがとう!たまには感謝の意を。では!ノシ


90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 18:19:33.965GfQyRIDO (1/1)

おつんぽ!


91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/03(火) 18:20:01.38JHCrfz+oo (1/1)

>>1乙!
俺はある秘密に気づいちまった・・・
ある出来事に話を合わせたな?


92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 21:08:15.65wd7dJYSDO (1/1)

>>1乙

王子はそろそろもげろ



93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/03(火) 22:26:58.06Xs1WciXAO (2/2)

>>1おつ


94sage2012/07/03(火) 22:56:27.64apIX4rHT0 (1/1)

次のアヌビスの代償は王子の股間のモノの命だな


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/07/03(火) 23:05:52.85PkKfT+SWo (1/1)

おつ!
アマゾンネスにちょっとワロタ


96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/04(水) 04:20:27.44hc47nkiA0 (1/1)

>>1 おつ



97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/04(水) 07:35:27.90MTrJmtX0o (1/1)

悟りは……違うんじゃね?


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2012/07/04(水) 12:27:58.94uQeXjrk0o (1/1)

別に違っててもいいんじゃね?


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 17:35:17.01kBbvXWHfo (1/1)

小五ロリわかる


100 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:00:24.82Dkcj8sLlo (1/10)



大軍師「同門殿はやはり連絡がつかないようです」

青年兵「仕方ありませんね。討伐隊は以上で締め切るとしましょう」

大軍師「それでは編成にうつりたいと思います」

青年兵「今回、我らが考える編成は2つのチームに分かれる、ただそれだけです」

大軍師「1つはサタン討伐……これをAチームとしましょう」

戦士「もう1つは? サタン討伐には参加しねーのか?」

大軍師「先程も申し上げた通り、サタン討伐の邪魔が入らぬよう護衛へ回って貰います」

盗賊「……なるほど」

青年兵「五行を使える者、合体五行を担える者はAチームへ所属していただきます」

剣士「つまり僕らはBチームで、幼女はAチームか」

弓使い「そういう事になるわね」

大軍師「一旦、AチームとBチームへ分かれてみましょうか」

青年兵「それではAチームはこちら、私の元へ」

大軍師「Bチームは特遊隊長の元へ集まって下さい」


101 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:01:00.97Dkcj8sLlo (2/10)



青年兵「Aチームは西国陛下、名代さん、召喚士さん、戦士さん、魔道士さん、
     盗賊さん、ジュニアさん、魔法剣士さん、賢者さん、美女さん、幼女さん、
     火の先生、水の先生、アマゾネスさん、朱雀嬢さん、玄武娘さん、青龍先生、
     白虎先生、白虎嬢さん、ボスさん、大軍師さん、そして私。以上の編成です」

大軍師「Bチームは、東方陛下、剣士殿、弓使い殿、男隊員、女隊員、格闘家ですね」

戦士「ずいぶん偏った編成だな」

男隊員「別にいいんじゃねぇの? サタン倒すのがメインなわけだし」

白虎長「それにしてもアンバランスよ~。少し補充したらどう?」

青年兵「かといって中途半端な人員は招集出来ませんよ?」

大軍師「実力はいざ知らず、精神的にもタフでなくばいけませんからね」

召喚士「……限られますね」

大軍師「ところで、一番槍は参戦なさらないので?」

戦士「知らん。しばらく会ってない」

青龍士官「ベルゼブブ討伐戦には参加してたよな?」

青年兵「確か」

戦士「来ないとは思えねーけどな。バーテンの所にでもいるんじゃないのか?」


102 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:01:56.74Dkcj8sLlo (3/10)

~バーテンの店~

マジシャン「おーし。そろそろ討伐隊も動き出す頃だろ」

師匠「あと3日か。そうだな」

バーテン「合流しねーのか?」

マジシャン「先に結界解除せにゃならんからよ」

戦士父「結界を解除したらまずいんじゃないのか?」

マジシャン「元々、結界柱のせいでサタンは身動き取れねぇよ」

師匠「その上に俺らが結界を張っただけだ。解除すれば地獄への道が解放される」

バーテン「なるほどな。それにしても合流してからでいいだろ」

師匠「合流したくない事情でもあんだろ。ガハハッ!」

マジシャン「ねぇよ! てめーこそ本当に合流してもいいんだな? いいならすんぞ!?」

師匠「……っ」

戦士父「自分の子供に合わせる顔がないんだろう」

バーテン「そういう事か。……つーか」

戦士父「……俺は違うぞ」


103 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:02:27.99Dkcj8sLlo (4/10)

~国軍本部、正門前~

大軍師「時間です」

青年兵「あとは当日までに、現地集合と致しましょう」

王子「これ以上、集まりますかね?」

召喚士「どうだろう……集まるとは思うけど、何とも言えないよ……ですよね」

戦士「ほんとに間に合うんだろうな。心配になってきたぞ」

魔道士「何の話ですか?」

戦士「武具だよ。おやっさんと鍛冶娘に依頼はしてあるんだけどな」

盗賊「大丈夫だろう。彼らも一流だ」

戦士「まぁな。余計な心配だとは思うんだけどよ……」

召喚士「そういえばマジシャンさんはどうしたんだろう」

ジュニア「来るよ。合流すっかどうかは知らねーけど」

大軍師「サタンと戦闘経験のある再来が参戦してくれれば、非常に大きいんですがね」

召喚士「ええ。でも正直……無理して欲しくないって気持ちもあります」

ジュニア「……」


104 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:04:03.55Dkcj8sLlo (5/10)



男隊員「……あん?」ザッザッザッ

記者「来ましたっ!! 彼らが魔王サタン討伐隊の面々です!!」

女隊員「うおぉっ! すっごい人……ッス」

記者「大元帥っ、どうか意気込みを1つお聞かせください!」

青年兵「……必ずや、魔王サタンを倒し、世界に光を与えたいと思います」

 ワアアアアァァァァ!!

記者「東方、西国の王も集結! そして上位ランカーも勢ぞろいであります!」

カメラマン「こちら、1枚お願いします!」カシャッ!!

戦士「そんな騒ぎ立てる事でもないだろうに……」

召喚士「まぁね。でもいいんじゃない? みんなも不安なんだよ」

記者「そして討伐隊の主軸とも言えるでしょう! 朱雀パーティーの4人です!」

魔道士「へっ!?」

 ワアアアアァァァ!!

盗賊「な、何なんだ……っ」


105 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:04:59.51Dkcj8sLlo (6/10)

記者「朱雀先生! どうか一言っ、一言お願い致します!」

召喚士「えっ、あ……えーと……」

記者「……」

召喚士「ありがとうございます」

記者「……へ?」

召喚士「いや、それだけです」

記者「……き、きっと深い意味があるのでしょう! 期待しておりますよ!」

召喚士「ど、どうも……」

書家「なーんだよ今の腑抜けたコメントはよぉ!!」ガシッ

召喚士「書家さんっ!?」

書家「主役なんだからビシっとカッコイイ事言えっての!」

召喚士「……そんな事は」

書家「ほれ、見てみ」

召喚士「……?」

書家「目の前に広がる光景を見てみろってんだよ」


106 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:06:09.37Dkcj8sLlo (7/10)

 召喚士が促されるままに見た景色。それは人々の笑顔と祈るような眼差しであった。

 側道へ溢れんばかりに集まった群衆は、召喚士らを声が枯れるまで鼓舞し続ける。

 人々の喜怒哀楽、全てがひしひしと伝わってくるようであった。しかし臆する者はいない。

 地獄へと向かう一同にとって、それはプレッシャーではなくエネルギーとなっていた。

 全ての人々の思い、力をその身に背負い、吸収し、いざ戦いの地へと向かう。

召喚士「……ありがとうございます」

 その言葉にはありのままの気持ちが込められ、そしてありのままの言葉として発せられた。

書家「まーた言ってやがる。あ、そうだ……ほれっ」ゴソッ

召喚士「……?」

書家「俺様の処女作も、もう山場だ。クライマックスはハッピーエンドで頼むぜ?」

召喚士「!? ほ、ほんとに俺が主人公で書いてるんですか!?」

書家「そう言ったろ。若干フィクションも混じってるけど、ほぼノンフィクションだ」パラッ

召喚士「――――!?」

書家「出だしどうよ? インパクトあっていいだろ?」

召喚士「何ですかこれ!! こんなのダメに決まってる――」


107 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:08:40.86Dkcj8sLlo (8/10)

 ドスン ガヤガヤガヤガヤ

男「朱雀先生! どうか頑張って下さいよぉ!」

少女「これお守り作ったのー! あげるー!」

老人「ありがたやありがたや……っ」

召喚士「ちょっ、書家さん!!」

書家「じゃあな! 帰ってくるのを待ってるぜ!」

召喚士「ちゃんと直して下さいよー!!」

魔道士「どうしたんです?」

召喚士「……何でもありません!!」

魔道士「……?」

盗賊「……ん? あれは……っ」

 ザッザッザッ

ドクター「いよいよ、ですね」

召喚士「ドクターさん!」

ドクター「最後まで、お止めしたのですが……」


108 ◆1otsuV0WFc2012/07/04(水) 18:10:39.41Dkcj8sLlo (9/10)

 テクテクテク……

召喚士「――!?」

玄武娘「サモナー様!!」

サモナー「さぁ、いこうか」

戦士「行こうか……って、大丈夫なんかよ!?」

サモナー「大丈夫だよ。ねぇ、ドクター」

ドクター「……っ」

召喚士「サモナーさん、俺は……」

玄武娘「サモナー様! 行くですの!」

召喚士「……?」

玄武娘「召喚士さん、サモナー様が行くと言っているですの。だから、行くですの!」

召喚士「玄武娘さん……っ」

サモナー「ありがとう、玄武娘」

朱雀嬢「……っ」

玄武娘「さぁ、元気よく出発ですのー!!」


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 18:14:32.59Dkcj8sLlo (10/10)

短いけれど今日はここまで。すみません!
今日もご支援ありがとうございました!それでは!ノシ


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 18:15:06.399V3a/NhDO (1/1)

この>>1クリトリスを書家のせいにしやがった!

おつんぽww


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 18:28:19.593PJcvqrbo (1/1)

しょうがないよね、ペニスさんが乙女の前で口滑らせるのがわるいんやで
>>1乙


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/04(水) 20:34:08.57/OqEeO60o (1/1)

>>1乙

邪念にとりつかれていたのだろうな…
若い頃ってのは常にエロいことばっか妄想する。そう言うもんだ

俺だって常に占い師さんの下着の事ばかり考えてるからな
勝負下着は紫と黒の二着 紫の方は薄い生地で、hairがギリギリ浮かび上がるかどうかって具合だろうな


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/04(水) 20:51:55.63+6rDrUACo (1/1)

向こうで、どうぞ(迫真)


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/07/04(水) 21:53:49.72QqkgjE49o (1/1)

>>書家乙


115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/07/04(水) 22:55:14.81Iw5u36T1o (1/1)

いただきまんことかと同じだし


116sage2012/07/05(木) 00:32:29.07MCiiP5AM0 (1/1)

でも占い師ってBBAだろ?


117VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 00:35:03.61b64mRujHo (1/1)

魔導士がアップを始めました


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/05(木) 01:37:29.20J4a99eLAO (1/1)

>>1おつ

キャラ多くなりすぎだろって思ってたけどサタン討伐ともなると強い面子は限られてくるのな


119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 13:27:51.98f84aQED1o (1/2)

牛魔王の倅は出番無しかぁ…


120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/05(木) 14:31:52.59F4rdmhw20 (1/1)

>>1 おつ



121 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:43:57.33nZOHvGHDo (1/17)

召喚士「……っ」

ドクター「召喚士さん」

召喚士「……はい」

ドクター「1つだけ、伝えておく事があります」

召喚士「……」

ドクター「サモナーさんですが、私に施せる事はもう、何もありません」

召喚士「…………」

ドクター「病の類ではありません。医者やプリーストが治せるものではないのです」

召喚士「……ええ」

ドクター「願わくばどうか、戦場ではなく安らかな最後を……」

召喚士「……っ」

青年兵「召喚士さん、そろそろ……」

ドクター「それではお気をつけて。必ずや生きて、帰ってきてください」

召喚士「ありがとうございます……」

ドクター「生きてさえすれば、どんな事があろうと治してみせますから」


122 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:44:28.96nZOHvGHDo (2/17)

 テクテクテクテク……

サモナー「召喚士くん」

召喚士「サモナーさん……」

サモナー「いよいよだね。いよいよ、全てが終わる」

召喚士「……」

サモナー「召喚士くんには本当に感謝しているんだ。先に言っておくよ、ありがとう」

召喚士「……やめて下さい、そんなの……っ」

サモナー「君と出会うまで、僕は死んだも同然だった。そして馬鹿で愚かだった」

召喚士「……」

サモナー「君と出会えて、初めて自分を恥じた。何をやっているんだろう……ってね」

召喚士「そんな事はありませんよ、サモナーさんは――」

サモナー「身勝手で愚かだった。人を救える力がありながら、それをしなかった……」

召喚士「でもっ! 今は違います!」

サモナー「それを気づかせてくれたのは召喚士くん、君のお陰だよ」

召喚士「違いますよ……っ、サモナーさんが、サモナーさんは自分で気づいたじゃないですか!」


123 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:45:00.54nZOHvGHDo (3/17)

サモナー「……もしかして、海峡に行った?」

召喚士「え……っ?」

サモナー「いや、なんだか君の回りに、彼らが居るような、そんな気がしたから」

召喚士「!?」

サモナー「僕が言えた義理じゃないけれど、彼らも一緒に戦いたいんだろうね」

 スタスタスタ……

召喚士「……っ」

魔法剣士「大した男だな。命を賭けて、自らの道へ戻ってきたわけだ」

召喚士「ええ……」

魔法剣士「ああいう男こそ、平和な世に必要だと思うのだがな」

召喚士「……安心しました、魔法剣士さんが同じ思いを持ってて」

魔法剣士「……?」

召喚士「魔法剣士さんて1人で無茶するから。今回も心配しちゃいましたよ」

魔法剣士「……俺はともかく、あいつらの方が何もなければ良いがな」

召喚士「あいつら……ですか?」


124 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:48:30.53nZOHvGHDo (4/17)

~封印の森~

同門「……」ザッザッ

紅孩児「ここは、マズイな」

同門「……?」

紅孩児「まさか……これ程とはな……ッ。予想外だ」

同門「何か感じるのか?」

紅孩児「感じるなんてモンじゃねぇ。体中を握り潰されたみてぇな感覚だ」

同門「俺には感じない」

紅孩児「しかも……とんでもねぇ結界が。これ以上進むのは無理だわ」ザッ

同門「付いてこいとは一言も言ってない。そこに居ろ」ザッザッ

紅孩児「お前も、やめておけ……ッ」

同門「……

紅孩児「1人じゃ無理だっつーの! んな事も分かんねぇのかよッ!」

同門「誰かを失うくらいなら、1人の方がマシだ……!」ザッ

紅孩児「おいッ! ま、待て!」


125 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:49:20.12nZOHvGHDo (5/17)

~本国、軍港~

青龍士官「人数も少なく、敵襲も考えられない為、1隻で向かいます。乗船を」

青龍兵「念の為の護衛は、我ら竜騎士隊が担います!」バッ

戦士「んじゃ、乗るか」

魔道士「はいっ!」

 ゾロゾロゾロ……

青年兵「……ん?」

白虎長「あれは……本国の馬車!?」

 パッカパッカパッカ……ドドォ

皇太子「間に合ったか」

エリート「少しだけ時間を貰っても良いか?」

青年兵「陛下、右大臣様……!」

エリート「我らはサタン討伐に参加する事が出来ぬ。本国を固める任務もあるのでな」

帝「案ずるな。お主らの分も、存分に暴れてきてやろうぞ」

王子「西国や東方と違い本国は要。だからこそ残って頂く価値がある」


126 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:50:09.91nZOHvGHDo (6/17)

エリート「……陛下、お言葉を」

皇太子「この期に及んで大した事は言えぬが……言えることは唯1つ」

盗賊「……」

皇太子「どうか生きて戻ってくるのだ」

格闘家「はい。必ず」

皇太子「この中で剣の使い手は誰だ?」

召喚士「剣……ですか? 剣なら魔法剣士さんですかね」

皇太子「君か」

魔法剣士「……?」

皇太子「既に幾つかの剣を持っているようだが、これを受け取って貰えないか?」スッ

魔法剣士「こ……れは……っ!」

エリート「知っての通り、王家に代々伝わる聖剣だ」

魔法剣士「……っ」

皇太子「我が身は力になれぬとも、私の魂は宿っている。せめてもの助けになればと思う」

魔法剣士「……断るわけにはいきません。確かに、お預かりします」カシャッ


127 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:50:55.80nZOHvGHDo (7/17)



海兵「出港!!」

竜騎士兵「竜騎士隊、行くぞ!」バシュウウゥゥゥゥ

記者「電話経由でお聞きの皆様へ、この光景をお伝えする事が出来ず遺憾です!!」

青年兵「いざ……出陣!!」

記者「1隻の船に、多数の勇者が乗り込み今っ! 魔王討伐へと向かいます!!」

エリート「陛下、戻りましょう。我らの戦いはすぐにでも始まります」

皇太子「ああ」ザッ

記者「上空を護衛する竜騎士隊に導かれ、それはまさに勇壮!! 豪快!!」

書家「ほんっと、無事に帰ってきてくれよ。俺様の人生もかかってんだからな!」

記者「全国民はその姿を、明日の朝刊で目撃する事となるでしょう!!」

ドクター「……どうか、ご加護を」

記者「何故でしょう……涙が、涙が溢れてきました!! それ程までに……くうぅ!!」

召喚士「みんなの気持ちが伝わってくる。本当にありがとう」

 勇者を乗せた船は、最後の戦いへ向けてゆっくりと海上を北へ進んだ」


128 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:51:56.60nZOHvGHDo (8/17)

~封印の森~

 タッタッタッタッ……ズザッ

師匠「どうした?」

マジシャン「……魔物の気配がしねぇか?」

師匠「バカ言え。ここに立ち入る魔物なんぞいねぇよ」

マジシャン「……まぁ、それもそうか」

師匠「どうせ野犬か何かだろ。相手にしてる暇はねぇ。無視して行くぞ」ザッ

マジシャン「……」タタッ

 サアアァァァァ……

紅孩児「グ……ック」ズザッ

 師匠とマジシャンが森の中を疾走する。奥へ奥へと脇目も振らず。

 やがて2人は森の中央部分と思しき場所にある建物へと辿り着いた。

師匠「……着いた。いつみても忌々しい教会だ」ズザァ

マジシャン「全くだな……ハッハ」

 古びた教会は2人を待っていたかのように堂々と立ちそびえていた。


129 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:52:42.55nZOHvGHDo (9/17)

師匠「……」ザッザッザッ

マジシャン「誰かが無理矢理、通った形跡があるな」

師匠「天才だろ。んな事できんのはアイツかナイトさんくらいのもんだ」

マジシャン「ああ、ベルゼブブ倒すのに魔剣、引っこ抜いたんだっけか」

師匠「んじゃーやるぞ」スッ

マジシャン「おうよ」スッ

 再来の2人は、教会の両端に分かれ、しゃがみこんだ。

 師匠とマジシャン、どちらも片手を床に付け、ゆっくりと魔力を放出する。

師匠「いいぞ」

マジシャン「……せぇの!!」

 パアアアアァァァァ!! ゴアァッ!!

師匠「…………っ」

マジシャン「く……っ!」

 激しい光が教会を包み込む。ステンドグラスはその明かりに照らされ、

 神秘的な輝きを教会外部へと放っていた。脇にある墓も、それに照らされていた。


130 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:53:51.98nZOHvGHDo (10/17)

 シュウウウウゥゥゥゥ……

師匠「完了~」

マジシャン「大丈夫か?」

師匠「ナメんな。この程度、苦でもねーよ。がははっ!」

マジシャン「これで地獄へは魔力を消費せずに行けるな」スクッ

師匠「どうする? 連中、待ってっか?」

マジシャン「……お前よ、何で召喚士と会わなかった?」

師匠「あ? 会う理由がねぇからだ」

マジシャン「アホ。なんでコカトリス回収しなかったんだよ」

師匠「……コカトリスはもう俺の召喚獣じゃねぇ。あいつのモンだ」

マジシャン「コカトリスがありゃ、何とかなるかもしれないもんを……」

師匠「なんも分かっちゃいねーなお前は」

マジシャン「分かってるっつーの。俺らで挑んでも勝ち目は0だ。1すらねぇ」

師匠「じゃあ……」

マジシャン「それでも命賭けりゃあよ、頭とはいかんまでも腕の1本くらいは奪えるかもだろ」


131 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 17:55:18.37nZOHvGHDo (11/17)

師匠「やっぱなーんも分かっちゃいねぇよ」

マジシャン「あ!?」

師匠「あん時とは違うんだ。2人、俺らしかいねーんだよ」

マジシャン「……」

師匠「あん時はよ、魔剣士とプリースト――」

 ゾクゥ!!

師匠「……何だ?」

マジシャン「まさか……サタンか……っ!?」

師匠「んなワケねーだろ! 結界石から出られるわけがねぇ!」

マジシャン「じゃあ一体……」

 コオオオオォォォォ

師匠「何か……来る……っ!!」

 ザッザッザッ

マジシャン「――――っ!!」

魔剣士「……」


132 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 18:01:43.72nZOHvGHDo (12/17)

 ザッザッザッ……ザッ

師匠「お……いっ、あれは……」

マジシャン「ハッハ! 出やがったな亡霊」

魔剣士「……」

マジシャン「どうやらそれが本体みてぇだな。もう代えはきかねーな」

魔剣士「……」

師匠「何が、目的なんだ」

魔剣士「……」

師匠「魔族なんかに成り下がりやがって……お前は――」

マジシャン「師匠!!」

師匠「!?」

マジシャン「無駄な事はやめとけ。話してなんとかなるようなら、とっくになんとかしてる」

師匠「……っ」

魔剣士「……師匠」

師匠「――!?」


133 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 18:04:46.64nZOHvGHDo (13/17)

魔剣士「久しぶりだな。師匠」

師匠「……っ」

マジシャン「惑わされんな。人間だった時の記憶が逆流してるだけだ」

魔剣士「マジシャン、今日は師匠と一緒だな」

マジシャン「てめぇこそ、今日はあのクソヤローと一緒じゃねぇのかよ?」

魔剣士「……」スッ

マジシャン「……?」

――「クソヤローとはお言葉ですねぇ……ククッ」フワッ

マジシャン「やっぱりきやがったか……!」ザッ

ネクロマンサー「結界を解いてくれたお陰で、ようやく辿り着く事が出来ましたよ。ククッ!」

師匠「予想外だなこりゃ」ポリポリ

マジシャン「いーや、予想はしてたさ。だがちょっと早かったみてーだな……ハッハ」

ネクロマンサー「さて、そこを通して貰いましょうか」

マジシャン「嫌だと言ったら?」

ネクロマンサー「決まっているでしょう? 力ずくで通るだけですよ!」


134 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 18:08:17.65nZOHvGHDo (14/17)

 ゴアッ!!

マジシャン「師匠っ!」

師匠「おうよっ! 行け、グリフォン!」

 シュイイィィィィン

ネクロマンサー「ククッ、かつての仲間に地獄へ連れて行って貰うがいいッ!」

魔剣士「……」チャキッ

ネクロマンサー「但し、死体としてねぇ……ククッ!!」

マジシャン「はあぁーっ!!」

師匠「おおぉぉぉぉ!!」

 ドゴオオォォォォ!! ググググッ……

マジシャン「な……にぃ!?」

師匠「2人がかりだぞ……っ、それを……止めるかよっ!」

魔剣士「……」ブンッ!!

マジシャン「ぐあぁっ!!」

師匠「ごふっ!!」


135 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 18:18:00.86nZOHvGHDo (15/17)

 ドゴッシャアアァァァァ!!

師匠「ごふっ、がは……っ」ゴトッ

マジシャン(これが本体……っ、やっぱ……桁違いだわ。ハッハ……)

ネクロマンサー「あっけないですねぇ。まだ始まったばかりですよ?」

魔剣士「……」チャキッ

師匠「……ど、うする?」

マジシャン「地獄へ行かれるのだけは絶対に、食い止めなきゃならねぇ……っ」

師匠「しゃーねぇ。やるしかないか」ヨロッ

ネクロマンサー「抵抗しますか? 無駄でしょうに、力の差は歴然です」

師匠「やってみなきゃ――」

魔剣士「……」ビュオッ!!

師匠「がはぁーっ!!」ドガガアアァァ!!

ネクロマンサー「次は貴方です」

マジシャン「……っ」

ネクロマンサー「さぁ、死になさい! クククッ!」


136 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 18:18:52.14nZOHvGHDo (16/17)

魔剣士「……」

 ビュオォッ!!

魔剣士「……?」

マジシャン「な……んっ……」

 ドッグオオオオォォォォ!!

魔剣士「っ!?」ズザッ

ネクロマンサー「炎!? 一体どこから……」

 ザッザッザッ……

ネクロマンサー「……貴様は」

同門「ようやく会えた。どれだけ探し歩いてきた事か」

ネクロマンサー「……いつぞやの、フェニックス使いか」

師匠「……同門……?」

同門「仲間の仇、貴様の命で償って貰うぞ!!」ザッ

ネクロマンサー「ククッ、仲間の元へお送りして差し上げますよ!」

同門「行けええぇぇーっ!! フェニックス!!」ゴウッ!!


137 ◆1otsuV0WFc2012/07/05(木) 18:20:17.62nZOHvGHDo (17/17)

キリよくきょうはここまで!ご支援ありがとうでした!
それでは失礼します!また明日!ノシ


138VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 18:21:00.91FMJzdiqho (1/1)


いよいよ最後の戦いか


139VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 18:22:20.08vnyvb+VDO (1/1)

ベルゼより強い魔剣士たん



140VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 18:33:06.87f84aQED1o (2/2)

負けんし、っていうくらいですから


141VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 18:45:46.254ppA4q/DO (1/1)

>>140がシヴァ召喚してんぞ…


142VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 19:05:40.96tRa0ZXZvo (1/1)

召喚士 単体で5召喚を使う上に、チートクラスのコカトリス そして、サタンへの切り札を持つ?
戦士 遂に5行武器(防具)を装備 媒介としても盾としても
魔道士 単体で5行を使う上に威力も高く反動が殆ど見うけられない 
盗賊 単体で5行+闇を使うことが出来る

その他注目株
幼女 単体5行 何気に連発もする
魔法剣士 魔法剣5行 聖剣 眼鏡の剣 隊長(砂の魔女?)の剣
青年兵 青龍
戦士父 ゾディアック

そういえば、青年兵と召喚士以外に最強召喚使えるのいない?


143VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 21:40:48.27MlyWA/nbo (1/1)

>>142
これなにげに盗賊は唯一6行って事で最強じゃね?


144VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 22:58:40.334CaX4NOAo (1/1)

>>1乙!

そういや、王子のアヌビスは五行みたいなもんなのかな?


145VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/07/06(金) 01:05:43.99aCTdGYCk0 (1/1)

同門と師匠の共闘とか目頭が


146VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/06(金) 02:11:14.617pN+tf2AO (1/1)

>>1おつ


147VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/06(金) 02:54:55.28ktjwTYwl0 (1/1)

>>1 おつ



148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/06(金) 04:52:45.84vhLTq+gDO (1/1)

7×のまとめから読み始めたんだけどこのスレ住人って性格悪い奴ばっかりだな
コピペに異常に噛みついたりマンセー以外認めないとか…隔離されてるのがよくわかるわ

最終回VIPでやるとか言い出さないでくれよ頼むから


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/06(金) 07:54:26.12CwELlCTJo (1/1)

>>1乙

同門さんいつもいいところで現れてそれなりの成果をあげてくな
どうも(同門)ありがとう!!


150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/06(金) 08:42:52.128KRaHmPwo (1/2)

>>148
これ自体がコピペ


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/06(金) 09:10:18.29GbdEoUxvo (1/1)

ドコモさん、また文句ですか?いつも文句ばかり言ってますね。もう1回読み直してきたほうがいいですよ。


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/06(金) 10:06:11.01XPIcLA92o (1/2)

最終回VIPでやるとか言い出さないでくれよ頼むから


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/06(金) 12:55:17.15tS00fNH6o (1/1)

だからあんまり関係ない雑談は向こうでやれって言ってるじゃないですか
ttp://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329994650/
ちゃんと活用しよう?(提案)


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/07/06(金) 13:32:00.21djMakJJUo (1/1)

くっさ


155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/07/06(金) 13:43:53.0029bK6SBdo (1/1)

差別したけりゃさせてやるよ(震え声)


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/06(金) 15:37:03.10XPIcLA92o (2/2)

>>154
>>1は腋臭だからな


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2012/07/06(金) 17:04:56.34Ffmbq87AO (1/1)

ルールも糞も無い場所だけどマナーは守れよ


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/06(金) 17:14:42.67nCWhuihXo (1/1)

増徴して自分たちに都合の良いマナー作り上げて、レス挟むなと怒り狂う人たちにマナー言われてもねww
見てるだけの読み手に回った側が最低限のマナーとしてレスで賑やかしてたのに



159 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:41:44.12XcNR2WSXo (1/11)

 世間的に知られた朱雀召喚獣の最高位に君臨するフェニックス。

 その圧倒的ともいえる炎の力は、攻防一体の文字通り、最強に相応しいものである。

 ひとたび敵対する者へ噴き付けば、その対象は瞬時に灰と化し、

 また、ひとたび救済する者へ噴き付けば、その対象は瞬時に傷を癒す。

 今は前者。敵対すべき相手、つまりはネクロマンサーへと炎は向けられる。

 ほんの僅かの間ではあったが、共に旅し、共に戦い、共に寝食した仲間の仇。

 同門自身に憎しみと哀しみを植え付けた張本人。それが今、眼前に居る。

 朱雀最高位に立つフェニックスは、そのあまりにも凄まじい力の為か、

 今では一子相伝の専属召喚獣として扱う事が通例となりつつある。いや、なっている。

 そんなフェニックスを同門は1度、手放そうとした。ネクロマンサーの敗北直後だ。

 戦いという途方もない道に終わりはない。終わるとすれば自分自身が足を止めた瞬間だ。

 同門は己の不甲斐無さを痛感し、その足を止めかけた。でも止めなかった。

 仇を取る為、ネクロマンサーを討つ為に足を止めなかった。

 そしてようやくその好機が巡ってきた。これを終えさえすれば足を止められる。そう信じて。

同門「……ここで、全てを終わらせてくれる!!」


160 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:43:08.63XcNR2WSXo (2/11)

 思わぬ登場に戸惑いを見せたマジシャンであったが、既に心は平静を保っていた。

 最初に遭遇したのは何年前であっただろうか。今日まで数回、戦ってきた。

 かつての盟友、魔剣士との戦い。そしてそれは前回、終わりを告げたはずであった。

 だがマジシャンは一命を取り留めた。それも奇跡としか言い表せない手法で。

 自身が望んだ事ではないとしても、本来はないはずの今を生きている。

 それが運命ではなく宿命だとすれば、自分の為すべき事は言わずもがな1つ。

 目の前に立ちはだかる魔剣士を倒す……事ではない。魔王サタンを倒す事だ。

 そもそもサタンさえ倒してしまえば後の事はどうにでもなるのだ。倒せさえすれば。

 だが、マジシャンの思っている以上に物事は進まないものである。

 今ここで魔剣士を無視する事は出来ないし、魔力の一切を使わず倒そうなど言語道断。

 選択肢は4つ。ここで全力をもって魔剣士と戦う。今すぐ地獄へ向かいサタンと戦う。

 逃亡してどちらも相手にしない。魔剣士ごと地獄に引きずり込み両者を相手にする。

 選択の余地などない選択肢であった。マジシャンは左手に魔力を集中させる。

 例え相打とうが魔剣士をここで葬る。そういった覚悟を決めた瞬間であった。

マジシャン「今度の今度こそ終わりだ。いや、終わりにしようじゃねぇか……ハッハ!!」


161 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:44:31.82XcNR2WSXo (3/11)

 横にはかつての戦友がいる。正面にもかつての戦友がいる。

 師匠は今、そんな状況下に置かれていた。そして受け入れるべく深呼吸をした。

 かつての戦友マジシャンが左手より魔法を連発し、かつての戦友である魔剣士が

 森の木々を盾に、それをうまくかわしていた。そんな光景ずっと続いている。

 師匠はマジシャンの意図を汲んでいた。おそらくここで、魔剣士を仕留めるつもりだろう。

 幸い、ネクロマンサーは同門が一手に引き受け、分断されている。

 マジシャンと2人がかりならば……そんな思いが師匠の胸中にはあった。

  しかし、マジシャンの魔法と違い、召喚術は連発出来ない厄介なものである。

 長年、第一線で召喚士として戦ってきた師匠と言えど、今なおまだ未熟。

 最初の召喚にどれだけの魔力を充当すれば良いのか、それをどう立ち回らせるか、

 もしやられたら? 2撃目は? 複数召喚すべきか否か……枚挙にいとまがない。

 だからこそ召喚攻撃は後手になる。相手の動向を最後まで見極める。

 師匠はじっと様子を窺っていた。相手の動向を引き出す為に。

 かつは先手を切って、敵へと仕掛けてくれていた男に対して。

師匠「……一撃だ。余計な小細工は使わねぇ」


162 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:45:02.60XcNR2WSXo (4/11)

 男は何も語らない。ただ剣を手に、旧友の攻撃をかわしていた。

 男は何も思わない。かつてこの地で自身が絶命した事についても。

 魔剣士は一切の感情を持っていなかった。魔族化した彼にとって、

 人間であった時の記憶はただの情報でしかない。感情が乗る事はない。

 マジシャンによる怒涛の攻撃を回避しつつも、師匠の動向を逐一、確認する。

 何かを狙っている。感情はなくとも刻まれた記憶と経験に体がそうさせる。

 魔剣士は両者に攻撃を仕掛けるタイミングを窺ってはいたが、

 まだそれを実行には移さなかった。答えは至極、簡単。ネクロマンサーである。

 魔剣士に課せられた役目はマジシャンと師匠を殺すというもの。

 しかし、その上にある最優先事項にネクロマンサーの護衛が存在する。

 同門と戦う主の姿。劣勢に陥る可能性は0に等しくとも、気は許さない。

 いつでも護衛に回れるような、そんな戦い方を常に行っている。

 実力者2人を相手にそれをいなし、更には護衛任務をもこなす。

 その腕を知る者ならば魔剣士にとってそれが苦にもならない事は一目であった。

魔剣士「…………」


163 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:45:44.66XcNR2WSXo (5/11)

 思いもよらない展開にネクロマンサーは心躍っていた。

 サタンへの道、既に誰かがこの地を訪れるであろう推測はしていた。

 そしてそれが、かつてサタンと戦った者達、即ち、再来の連中である事も。

 それに加え同門の存在。そんな数奇な、因縁めいた戦いに心躍っていた。

 召喚獣フェニックスの攻撃。並大抵のものならば一瞬で灰と化すであろう炎。

 不死のネクロマンサーにはこれといった手ごたえはまだない。直撃もない。

 召喚獣による特殊な炎は対象者だけを焼き尽くす。故に、森は現存のままだ。

 同門が森の木々をも焼けと命じ、攻撃対象に転じれば、周囲は火の海であろう。

 しかしそれがない。そこにネクロマンサーは付け入る隙を見つけた。

 この朱雀召喚士は自分しか見ていないと。つまり自分以外を攻撃対象としていないと。

 サタンを前に無駄な魔力はこれ以上消費したくはない。ネクロマンサーは今の気持ちだ。

 不死と言えど回復には魔力を消費する。地獄へ行く前に枯渇しては話にならない。

 ネクロマンサーは一計を案じる事を企て、それを実行に移す事とした。

 己の人形に強く命じた。攻撃対象を変更しろ、と。

ネクロマンサー「ククッ、これ以上はもう良いでしょう。遊びは終わりです」


164 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:46:25.74XcNR2WSXo (6/11)

 タァンッ!!

マジシャン「!?」

師匠「ちぃっ! 矛先を変えやがったかぁ!?」

マジシャン「逃がすかよ!!」

魔剣士「……」ヒュバッ!!

同門「――っ!!」

ネクロマンサー「ククッ、熱くなりすぎましたねぇ」

同門「こ……いつ……っ!」

ネクロマンサー「始末しなさい」

魔剣士「……」チャキッ

師匠「く……っそおおぉぉ!!」

 ボッ……ゴアァ……ゴゴオオォォォォ!!

魔剣士「……?」ズザッ

マジシャン「よしっ、フェニックスで押し返したか!」

師匠「違うっ、そんなハズがねぇ!」


165 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:47:00.72XcNR2WSXo (7/11)

 ゴッゴオオオオォォォォ……

師匠「幾ら同門が使い手といえど、一瞬でここまで広範囲に炎を発するには無理だ!」

マジシャン「じゃあこの炎は何だってんだ!?」

 ザッザッザッ……

ネクロマンサー「……何?」

同門「お……前っ」

紅孩児「……」ザッ

師匠「魔物だとぉ!?」

マジシャン「バカな……入れるワケがねぇ……っ」

ネクロマンサー「見覚えがありますね。確か、牛魔王の……」

紅孩児「……オオォォ」

ネクロマンサー「……? ククッ、どうも様子がおかしいですねぇ」

紅孩児「オオオオォォォォーッ!!」ゴアッ!!

師匠「な、んだぁ!?」

マジシャン「サタンの瘴気にあてられてやがるんだ!」


166 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:47:40.57XcNR2WSXo (8/11)

紅孩児「この紅孩児さまのオオォォ、前に立ちはだかる奴ァ! 敵だアアァァ!」

 ドッゴアアアアァァァァ!!

同門「ぐ……っ、阿呆が! 正気に戻れ!」

ネクロマンサー「敵味方、関係なしですか。面倒になってきましたね」

紅孩児「ガアアアアァァァァッ!!」

魔剣士「ッ!?」

 ドゴッシャアアァァァァ!!

師匠「魔剣士を吹き飛ばしただとぉ!?」

ネクロマンサー「これが解放された魔族の力……ッ」

紅孩児「オオ……オオオオォォォォ!!」

 ズギャッ!! ドゴォ!! バゴォッ!!

魔剣士「……ッ」

マジシャン「一方的……何つう圧倒的な力だ……っ」

紅孩児「オオオオォォォォ!!」

同門「……っ」


167 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 17:48:22.14XcNR2WSXo (9/11)

 ドシャアアァァ

魔剣士「……ッ」

紅孩児「フウウウウゥゥゥゥ……ッ」

 言うなれば暴走。目の色は変わり、狂気じみた咆哮と息遣い。

 紅孩児はかつての乱暴な口調ながら明るいその姿を失っていた。

 今はただ、完全なる悪。己の前に現れた者を敵とみなし排除する。それだけ。

紅孩児「……ウウゥゥ」

ネクロマンサー「我が人形が、本体がここまでやられるとは……」

魔剣士「……」スクッ

ネクロマンサー「今宵はここまでとしましょうか。まだその刻ではないですしね。クククッ」ヒュッ

同門「逃……がすかっ!!」

師匠「追うな! 今は放っておけ!」

同門「……っ」ザッ

マジシャン「……次だ。次こそ終わりにしてやる」

魔剣士「……」ヒュッ


168 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 18:07:20.30XcNR2WSXo (10/11)

マジシャン「……ふーっ」

師匠「んで、どーするよ?」

紅孩児「ウウゥゥゥゥ……ッ!」

マジシャン「どうする……って、逃げるしかねぇだろ!!」

師匠「だよなぁ!!」ダダッ!!

紅孩児「オオオオォォォォ!!」

師匠「何してる!? 逃げんぞ!!」

同門「……」

紅孩児「オオオオォォォォ!!」

マジシャン「バカヤロウ!! 早く逃げろぉ!!」

紅孩児「ウオオオオォォォォ!!」グアァ!!

同門「お前は、それでいいのか?」

紅孩児「――――」ビタァッ!!

師匠「……!?」

マジシャン「止ま……った……?」


169 ◆1otsuV0WFc2012/07/06(金) 18:11:28.88XcNR2WSXo (11/11)

同門「それでいいのかと言っている」

紅孩児「ウ……ウウゥゥ……ッ」

同門「魔王を目指す者が、魔王の好きにされていいのか?」

紅孩児「黙れッ、それ以上口を開けば……殺す!!」

同門「やってみろ。所詮、お前はその程度だったって事だ」

紅孩児「ワケの……分からん事オオォォォ!!」

師匠「もう相手にするな! 仕切り直しだ!」

同門「コイツはそこまで愚かじゃない」

マジシャン「!?」

同門「紅孩児、その程度じゃないよな? そうだろう?」

紅孩児「黙れエエェェェェ!!」

 グッ……グググッ

紅孩児「どうしてだ……ッ、何で……拳が動かない……ッ!!」

師匠「……まさか、理性を取り戻そうとしているのか……っ」

マジシャン「ありえねぇ……そんな、そんな事はよぉ…!」


170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/06(金) 18:31:18.912SmdpK6DO (1/1)

乙!



その他ども
昔に>>1が雑談おkって言っただろ
毎回毎回くだらん争いすんな


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/06(金) 18:37:58.068KRaHmPwo (2/2)

>>91を書いたの俺なんだけど・・・
2日前の満月の日を狙って書いてたんだと思ってた・・・
外れたらしい
恥ずかしくて赤ちゃんできそうです


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/06(金) 19:28:24.803oQfrcqIO (1/1)




173VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/06(金) 20:36:05.13EP66ZeaDO (1/1)

>>171
どういう意味?
オバカな俺に丁寧に説明プリーズ

あ、イチオツ


174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/06(金) 22:23:49.15cXVmIb9V0 (1/1)

いちもつ!


175VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/07(土) 00:17:15.43lzPXOgiAO (1/1)

>>1おつ


176VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/07(土) 05:50:26.5526e4hjCT0 (1/1)

いちおつ



177VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/08(日) 17:41:46.46B3cSQZgOo (1/1)

>>1乙

ほのぼのから一転して最終決戦に入ったな
てかこれが最終決戦なんだな…寂しくなるよ


178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/08(日) 17:53:39.35D7L8R54wo (1/1)

これがプロローグだよ!


179VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/08(日) 18:02:50.61hXxPo+CDo (1/1)

とにかく終わってみなきゃわからん


180sage2012/07/08(日) 20:52:13.27wLnghhTN0 (1/1)

ふむ。ようやく第一部のクライマックスですな!


181VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/08(日) 22:01:25.48iXvAE9NDO (1/1)

>>180
お前書き込みは初めてか?


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/07/08(日) 22:33:36.83PHSyE8vLo (1/1)

もしもしがなに言ってんだよ死ね


183 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:43:06.75IGsL+jqvo (1/15)



マジシャン「簡易的だが教会に結界を張った。これで大丈夫だろ」

同門「……」

師匠「気にする事はない。お前のせいはねぇさ」

マジシャン「しかしあの紅孩児って魔物、何なんだ?」

師匠「目的はよく分からんが、目指す場所は同じみたいだな」

マジシャン「……そんで、アイツはどこに行ったんだ?」

師匠「離脱したんじゃねぇか? 森から簡単に抜けられるとは思わねぇが」

マジシャン「確かにな。一時的にお前の言葉で理性を取り戻したが……」

同門「だが、正気には戻らなかった」

マジシャン「あの瞬間、目を覚ませただけでも大手柄だよ。助かった」

同門「……自分やアンタらを助けるつもりでやったわけじゃない」

師匠「分かってるよ。紅孩児の事も救ってやろうじゃねぇか」

マジシャン「そうだな。まずは休んで備える。明日だ、明日」

同門「……」


184 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:43:41.00IGsL+jqvo (2/15)

~次の日、大陸港の町~

ジュニア「今日もいい天気だ、ハッハ!」

朱雀嬢「いよいよ、ですわね」

召喚士「このまま森へ?」

青年兵「いえ。夜まで待機し、森へ向かいます」

戦士「んじゃ、バーテンさんとこにでも行ってるか」

大軍師「宿は一応、こちらで手配しておりますので」

魔道士「どこですか?」

大軍師「みなとからすぐの、大きなホテルです」

魔道士「あっ、じゃあバーテンさんのお店も一緒ですね!」

青年兵「夕食の時間だけは決まっておりますが、自由行動とさせて頂きます」

サモナー「僕は、宿で休ませて貰うよ」

朱雀嬢「私達はどうしましょうかしらね」

玄武娘「腹ごしらえですの! 戦いの前はお腹が減るですのー!」

朱雀嬢「……」


185 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:44:07.92IGsL+jqvo (3/15)

~バーテンの店~

魔道士「こんにちはー」カランカラン

戦士「……親父!? やっぱここにいたのか」

バーテン「来ると思ってたよ。待ってたぜ」

召喚士「あの、マジシャンさんは来てないんですか?」

バーテン「……まぁ座りな。飲み物は?」

召喚士「あ、すみません」

バーテン「マジシャンなら昨晩まで居たんだけどな。ちょうど入れ違いで行ったよ」

召喚士「行った?」

戦士父「サタン封印の地へだ」

戦士「何っ!?」

バーテン「お前らが来る前に道を開いておくんだとさ」

盗賊「……」

バーテン「どうせ目的地は一緒なんだ、そのうち現れるさ」

召喚士「そう、ですね……」


186 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:44:47.08IGsL+jqvo (4/15)

戦士父「召喚士」

召喚士「はい」

戦士父「お前は、会ったのか?」

召喚士「えっ?」

バーテン「やめとけ。野暮な話だ」

戦士父「……」

魔道士「あの、誰と……ですか?」

召喚士「いいんです。バーテンさんの言う通りですよ」

バーテン「……」

召喚士「もしそれが宿命なら、そのうち会う事になりますから」

バーテン「自分から会いに行く必要はないってか? ははははっ!」

召喚士「そんな笑わないで下さいよ……っ」

バーテン「違う違う。笑ったのはアイツらの事さ」

魔道士「……?」

バーテン「どっちがガキなんだか、全く……笑わせてくれるよほんと」


187 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:45:18.13IGsL+jqvo (5/15)

 ガチャッ!!

青年「魔道士ちゃんっ!!」

魔道士「へぇっ!?」

老人「新聞で読んだわい。これからサタン討伐なんじゃってな」

魔道士「皆さん……」

母親「きっと無事に帰ってきてね。祈ってますから」

少女「お姉ちゃん、これ……」スッ

魔道士「……?」

少女「私の宝物。クマのぬいぐるみ」

魔道士「いい……の?」

少女「私、なにもできないから……かわりにつれてって!」

魔道士「ありがとう……ありがとうみんなっ!」

老人「待っておるからの。また美味しい料理を食べさせとくれ」

青年「ままま魔道士ちゃん! あのその……戻ってきたらあのその……」

魔道士「ありがとうございますっ! えへへ!」


188 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:45:47.74IGsL+jqvo (6/15)

~夜~

大軍師「束の間の休息でしたが、楽しめましたか?」

戦士「んーまぁな」

玄武娘「楽しんだですのー!」

朱雀嬢「あなたのせいで魔力じゃなくお金が枯渇しましたわよ……」

ジュニア「いいじゃねぇか。サタン倒したら億万長者だぜ、ハッハ」

魔王剣士「興味ないな」

ジュニア「何ぃ!? んじゃテメーの分も貰ってやる! よこせ!」

白虎長「食事の用意が出来たみたいよー。集まってー」

玄武娘「やったー! ご飯ですの~!」

白虎嬢「相変わらず、よく食べますわねぇ~うふふ」

火の先生「いいじゃろ。最後の晩餐になるやもしれんのだしな」

水の先生「不謹慎な事を言うもんじゃないですよ、全くもう」

魔道士「行きましょっか、召喚士さん!」

召喚士「はい!」


189 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:46:27.58IGsL+jqvo (7/15)



白虎長「戦士くん、お客さんよ」

戦士「えっ? 客……?」

鍛冶娘「いたいたっ、間に合って良かったわよ!」

戦士「鍛冶娘っ!? それに……おやっさんにおかみさん!」

鍛冶屋「約束通り、出来たよ」

おかみ「はいこれ」

魔道士「これって……鬼丸さんの籠手?」

戦士「ああ。雷切の破片を付加してもらったんだ」

召喚士「じゃあ……雷切はもう……」

戦士「時間もねーしな。効率よく利用する方を選んだのさ」

鍛冶屋「そして……」

 ズイッ

盗賊「……ゾディアック」

召喚士「まさかっ、騎都尉さんの戟を……ゾディアック完成版を……!?」


190 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:47:03.14IGsL+jqvo (8/15)

戦士「安心しろって。今の俺なら、使いこなす自信はある」

召喚士「……っ」

鍛冶娘「それとこっちもね。水行を付加した鎧に、土行を付加した兜!」

戦士「完璧だ……っ。本当にありがとよ!! 感謝するぜ!!」

鍛冶娘「へっへー。ちょっとは見直した?」

戦士「ああ。さっすがおやっさんとおかみさんの娘だぜ! いい仕事しやがる!」

鍛冶娘「でしょー!」

鍛冶屋「これで五行全ての防具と、ゾディアックが揃ったね」

おかみ「いいかい? 絶対に無茶だけはするんじゃないよ?」

戦士「ああ。本当にありがとうございました! 俺、絶対に……」

おかみ「言わなくても大丈夫っ! 祈ってるから」

鍛冶娘「絶対に負けないでよね! 私達の魂だってこもってるんだからっ」

鍛冶屋「どんなにいい武器だろうと、使い手次第だからね」

戦士「……ああ。肝に銘じておくよ!」

 今ここに、五行全ての武具と真なるゾディアックが戦士の元へと集った。


191 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:47:39.18IGsL+jqvo (9/15)



ジュニア「んだぁ? 飲まねーのか?」

戦士「今回はやめとくよ。大事な戦いの前だし」

ジュニア「んだよ、真面目な奴だな」

戦士「そうじゃねぇ。楽しみは取っておくもんだろ?」

帝「成程。見事な覚悟だな」

王子「よし。では全員で禁酒とし、勝利までお預けといきますか」

ジュニア「ぐあっ!? おいおい、お前からも一言」

魔法剣士「知らん。興味ない」

ジュニア「……」

 サタン討伐前の、最後の晩餐は、笑顔や笑い声が絶えないものとなった。

 だがそこに酒の類などは一切なく、酔いなどに任せたものではない。

 ここに居る全員が、サタン討伐へと向かう全員が、心の底から笑った。

 そして心の底から見せる本当の笑顔はこのときを最後に消えた。

 サタンを討伐する、世界を平和に導くその時まで。


192 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:48:30.26IGsL+jqvo (10/15)

~数時間後~

大軍師「時間です」

青年兵「魔力は全回復していないと思います。しかし、これ以上の時間は費やせません」

召喚士「ええ。分かってます」

青年兵「では、参りましょうか」スクッ

美女「どのくらいかかるわけぇ?」

大軍師「すぐですよ。2時間もかからない程度かと」

格闘家「特遊が先行して森に突入します」

男隊員「んじゃ行くぞ! また後でな!」ザッ

女隊員「ういッス!!」

 タッタッタッタッタッ……

玄武娘「うぅ~。なんだか緊張してきたですの……」

朱雀嬢「やめてですわ、そんな事言うのは……」ブルッ

戦士「おっし、気合い入れていくぞ!!」

召喚士「うんっ!!」


193 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:49:17.71IGsL+jqvo (11/15)



 タッタッタッ……ザザッ

格闘家「!?」

男隊員「……アンタは!!」

戦士父「行くのか?」

女隊員「確か、戦士くんのお父さん。ていうか、初代特遊……ッスよね……?」

戦士父「俺も同行させてもらう」

男隊員「そいつは頼もしい。助かります」

戦士父「……では行こう」ザッ

格闘家「はい」

男隊員「道は?」

戦士父「把握している。任せておけ」

女隊員「発光弾は使うッスか?」

男隊員「要らん。代わりに道しるべのランタンを木に吊るしとけ」

格闘家「了解!」タタッ


194 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:49:52.50IGsL+jqvo (12/15)

~封印の森、教会~

マジシャン「……ぐごご」

師匠「……ぐーぐー」

同門「……」

 ゾクゥッ!!

マジシャン「きやがった!」ガバッ

師匠「どこだ!?」

同門「……っ」

マジシャン「安心しろ。こっから出なきゃなんてこたぁね……」

 バッゴオオオオォォォォン!!

同門「!?」

紅孩児「……」ゴゴオオォォォォ

師匠「冗談だろ……? 結界……突破できるわけがねぇんだ!!}

マジシャン「どうなってやがんだチキショー!!」

紅孩児「……オオ……オオオオォォォォ!!」ゴアッ!!


195 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:50:38.30IGsL+jqvo (13/15)

 ズッギャアアアアァァァァン!!

同門「行けっ! フェニックス!!」

 シュイイィィィィン

師匠「ぐくっ! 調子に乗んじゃねぇぞ魔物風情がぁ!!」

マジシャン「なんつう力だっ、結界を突破できるなんて常軌を逸してる……」

紅孩児「ニンゲン……殺ス!!」

同門「紅孩児っ!! 正気に――」

 ゴシャアアァァァァ!! ドゴォ!!

同門「ご……っふ」

紅孩児「……この、紅孩児様に……指図すんじゃねェ……!!」コオオォォ

師匠「どうする!」

マジシャン「仕方ねぇ……。これ以上、ここで戦ってもこっちが不利だ」

師匠「……やるしかねぇか」

同門「が……ぐが……っ」

紅孩児「死ね」グググッ


196 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:51:24.97IGsL+jqvo (14/15)

 キュイイィィィィ……

マジシャン「紅孩児ぃ!!」

紅孩児「……?」

マジシャン「くらええぇぇぇぇ!!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

紅孩児「――――っ!!」

師匠「一緒に……落ちてもらうぜぇ!!」

マジシャン「地獄で会おうぜ! ハッハ――」

同門「――っ」

 ドッドオオオオォォォォン!! シュウウゥゥゥゥ……

同門「…………っ」

師匠「ぐ……おぉ……っ」

マジシャン「……気を……保てよ……っ!!」

紅孩児「ガアアアアァァァァーッ!!」

 オオオオォォォォ……


197 ◆1otsuV0WFc2012/07/08(日) 23:53:20.00IGsL+jqvo (15/15)

師匠「ごはぁ!!」ドシャッ

同門「……こ、こは」ヨロッ

マジシャン「見てみろよ……ここが、地獄だ」

~地獄~

同門「……っ!!」

師匠「とは言っても、ここは地上からの結界で守られてる、まだ地獄でもマシ――」

紅孩児「……ウアアアアァァァァ!!」ドシャア!!

同門「紅孩児!」

師匠「近づかん方がいいぞ、奴は完全に理性を失った魔物と化してる」

マジシャン「正真正銘、地獄の住人だ」

紅孩児「グゴアアアアァァァァ!!」ドゴォ!!

師匠「しかし紅孩児ってのは何者なんだ? 結界を突破するなんざ……」

同門「あいつは魔物であって、魔物じゃない。今はもう……な」

マジシャン「……」

師匠「さてどうする? 窮地ってやつだぞ。前門のサタンに後門の紅孩児……ってな」


198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/09(月) 00:05:14.049P2XS8/Eo (1/1)

乙?

>>188こんなところに裏切りの伏線が…
まさかあいつが魔王の剣士だとは



199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/09(月) 00:16:40.91cYexgmmAO (1/1)

>>1おつ

土壇場で魔王剣士にジョブチェンジwwww


200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/09(月) 00:28:34.409tbIQqy8o (1/1)

ワロタ


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 01:33:16.16x3Yy/oXvo (1/1)

いちおつ

魔王剣士、さすがにケルベロスの飼い主だけあるな


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 01:40:42.44Djqbvi42o (1/1)

>>1乙!

ドラクエに似た名前のモンスターいたよな。 剣が増えたのはもしやwwwwww


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2012/07/09(月) 02:39:55.64ATE9oZMAO (1/1)

新魔王きたか


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/09(月) 03:24:38.80P1e/odVg0 (1/1)

>>1 おつ



205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 04:17:54.16NLQO9q8DO (1/2)

いちょつ


手が6本に…


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/09(月) 08:18:44.44hXLIBAF8o (1/1)

>>1乙

地獄の空気に当てられたら変わるかもな
魔王の使いに 二回行動は相手にすると厄介だから困る


207 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:02:57.66evgF/Dgqo (1/22)

~封印の森~

召喚士「……」

盗賊「あの時は、こんな事になるなんて思ってもみなかった」

召喚士「ええ」

盗賊「海峡で敗北を喫して、マジシャン捜索の最中だった」

召喚士「敗北はもう、二度と喫しません」

盗賊「だな」

青年兵「森の中に魔物は居ません。このまま進み、森の中の教会で編成を行います」

大軍師「このランタンがおそらく道標でしょう」

戦士「この明かりを辿っていきゃいいわけだな。んじゃ、先頭は任せてくれ」

青年兵「そうですね。では先頭は朱雀パーティーにお願い致しましょう」

魔道士「はいっ!」

青龍士官「後続も周囲の警戒を怠らぬように」

白虎長「警戒しすぎじゃない? まぁそれに越した事はないけれど」

ボス「行きましょう」


208 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:03:33.15evgF/Dgqo (2/22)



戦士「こんな所にサタンが封印されてるなんて、夢にも思わねぇだろうな」

魔道士「でも不思議ですね。誰も入らないなんて……」テクテク

剣士「入っている人も居るみたいだけど、何か影響があるわけじゃないしね」

弓使い「そうよね。魔物が出ない分、外よりもよっぽど安全かも」

青年兵「知る者も居ますけど、知らぬ者もあえて近寄ろうとはしないんですよね」

盗賊「幼少の頃、近くにお社の森があったな」

召喚士「お社?」

盗賊「神が祭られている言わば神社だ。何か不気味で入ってはいけないような気がした」

戦士「そういう感覚に似てるのかもな」

魔道士「なるほど……」

召喚士「見えてきましたよ」ザッ

幼女「本当に教会だ……」

青年兵「特遊の皆も到着しているようですね」

大軍師「ここまでは問題なし、ですね」テクテク


209 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:04:49.57evgF/Dgqo (3/22)

 ピクッ

盗賊「……?」

戦士「どうした?」

盗賊「何か気配を感じなかったか?」

戦士「……そうか? でも魔物はいないはずだぞ?」

召喚士「ええ」

盗賊「……何だろう……この感じ」

 ザッザッザッ……

盗賊「!?」

戦士「あ、あんたら……っ!!」

南方司令「やっと来たか」

西方司令「独断で合流させて貰うぜ」

青年兵「南方司令、西方司令……!!」

南方司令「聖戦、正真正銘、最後となる正義の戦い……参加せずどうするか」

西方司令「正義だなんざは関係ねーが、力ある者が協力しねーってのはな」


210 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:05:29.54evgF/Dgqo (4/22)

大軍師「宜しいのですか?」

西方司令「俺らが居なくとも司令部が機能すんのは、アンタがよーく分かってんだろ」

大軍師「ふっふ。それもそうですねぇ」

西方司令「ちょっとは否定しろよ」

男隊員「内部も安全だ。だがちょっと気になる事がある」ザッザッ

青年兵「ご苦労様です。気になる事とは?」

男隊員「まぁ、中を見てくれや」

 ザッザッザッ

召喚士「……あの墓」

盗賊「……そういえば、新しい墓があったな」

召喚士「今日も花が添えられている。何で……」

アマゾネス「朱雀先生、呼んでますよ?」

召喚士「あ、はいっ!」テクテクテク

青年兵「召喚士さん、これを見て下さい!」

召喚士「!?」


211 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:06:03.47evgF/Dgqo (5/22)

戦士「この前まではこんな穴はなかった!! それに、これは……っ」

青龍士官「明らかに戦闘の跡だな。しかもかなり新しいぞ」

美女「一体どこの誰がって話よ」

召喚士「外の花……戦闘跡、まさか……」

大軍師「再来、ですか」

戦士父「あいつ等は確かに、前日から動き始めている。可能性は高いな」

朱雀嬢「でもそれなら、どこへ行ったのかしら……」

ジュニア「おいおい、まさか……っ」

賢者「……地獄。ふぅ」

格闘家「ですがまだそうと断定するには早い気もしますが」

青年兵「言えてますね」

名代「如何なさいます?」

青年兵「……日の出まで、ここで様子を窺いましょう」

大軍師「同時に編成を行います。各自、休息しながら聞いて下さいませ」

召喚士「はいっ!」


212 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:07:00.61evgF/Dgqo (6/22)

~地獄~

 ヒュオオオオォォォォ……

紅孩児「ウオオオオォォォォォォォォッーン!!」

 大きく開いた口からは大量の唾液が滴り、瞳は燃えるような真紅に染まっていた。

 獣のように頭を垂れ、両腕をぶらりと前に垂らしながら猫背で構える。

 そして右腕からゆっくりと、業火を激しく飛び散らせながら剣を生成し始めた。

師匠「業火の使い手か……っ、条件は最悪だな、くそっ!!」

同門「……」

マジシャン「業火ってのは地獄の炎。要はここ、地獄に存在している炎の事だ」

同門「っ!!」

マジシャン「あとは言わなくても分かるな?」

師匠「地上で出す業火なんぞとは比べモンにならねぇぞ。かすっただけで大打撃だ」

紅孩児「コオオオオォォォォォ……ッ」ザンッ

 ゴアァッ!!

マジシャン「くるぞぉ!!」


213 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:07:36.01evgF/Dgqo (7/22)

師匠「行けっ! ペガサス!!」

同門「行けっ! フェニックス!!」

 シュイイィィィィン……ズッギャアアアアァァァァン!!

同門「ぐくっ……ぐうぅ!!」

師匠「食い止めろぉ……! 貫かれたら……終わりだっ!」

マジシャン「通用するとは思えねぇが……っ」

 キュイイィィィン……ドッドオオオオォォォォン!!

紅孩児「……っ!!」

 マジシャンによる氷の魔法が紅孩児の業火を包み込む。それにより発生した

 夥しい水蒸気が周囲を漂い、紅孩児は視界を閉ざされる事となった。

 ブッシュウウウウゥゥゥゥ……

紅孩児「……グウゥ」

師匠「行けっ! ワルキューレ!!」ボフッ

マジシャン「はあぁーっ!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴガガガガガッ!! ビキィ!!


214 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:08:02.18evgF/Dgqo (8/22)

紅孩児「――――ッ」

師匠「土行もっと増やせねーのか!?」

マジシャン「無茶言うな! ワルキューレで何とか押さえつけろ!」

師匠「ちっ」

ブリュンヒルデ「スピアを突き刺してぇーっ、動きを止めるわよぉーっ!!」

 ドズズズズズッ!! ズガガッ!!

紅孩児「…………」

マジシャン「やっと止まりやがったか……。てこずらせやがって」

師匠「今の騒ぎで……いや、無理な話だな」

同門「……?」

師匠「二択だ。起きちまったサタンに挑んで死ぬか、結界の外に出て死ぬか」

マジシャン「ハッハ! 天国って選択肢はないのかね」

同門「そ、んな……っ!!」

師匠「感じるか? これが、サタンの威圧だ!!」

同門「……っ」


215 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:08:46.09evgF/Dgqo (9/22)

 ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……

 時間がまるでゆっくりと進むかのように、景色がスローモーションになる。

マジシャン「感じるか? これが、サタンの威圧だ!!」

 それはもう聞いた。聞いた? 何故? 何かがおかしい。説明しがたい何か。

師匠「同門!! フェニックスを出せ――」

 フェニックス? そうだ、召喚しなくては。敵は魔王サタン。何をしてくるか分からん。

同門「行けっ! フェニックス!!」シュイイィィィィン

師匠「同門!! フェニックスを出せ――」

 だからそれはもう聞いた! 何度も同じ事を言うな。そこまで馬鹿じゃない。

同門「……違うっ、何だ……何なのだこれは!!」

 歪む景色。スローモーションで浮かび上がるマジシャンと師匠。

同門「な――っ!!」

 ワルキューレたちが1匹、また1匹と消滅してゆく。スピアが解け落ち、土の壁が剥がれ落ちる。

師匠「同門!! フェニックスを出せ――」

同門「だから出している!!」


216 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:09:18.40evgF/Dgqo (10/22)

 出しているはずのフェニックスは、その場に居なかった。

同門「――!?」

 ようやく同門は気付く。自分の身体も浮かび上がっている事を。

マジシャン「はああああぁぁぁぁ」

師匠「やめとけっ! 無駄だ!」

マジシャン「やらねぇよりマシだ!!」

同門「はっ!! 紅孩児……!?」

師匠「んな――っ!?」

 拘束の解けた紅孩児が再び襲いかかる。その両手に業火の剣を携えて。

紅孩児「オオオオォォォォォォォォ!!」

師匠「行け――ダメだっ、間に合わねぇ!!」

 ズッガオオオオォォォォン!!

同門「ぐっはああぁぁーっ!!」

マジシャン「ぐああああぁぁぁぁ!!」

師匠「っがああぁぁぁぁーっ!!」


217 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:09:50.71evgF/Dgqo (11/22)

 ドゴッシャアアアアァァァァァ!!

同門「……ぅ」ゴトッ

マジシャン「…………」

師匠「…………」

同門(回避した……つもりだった……のに)

 ググッ

同門(直撃を避けたつもりだったのに……この威力か……っ)ヨロッ

 ジャリッ

同門「紅孩――――!?」

 振り向く同門の目の前に、巨鳥が不思議そうな顔を見せて覗き込む。

同門「っ!!」

――「人間じゃな。人間じゃの」

同門「しまった……っ」ザッ

――「何でこんな所に人間が居るんじゃな。居るんじゃの」

同門「くっ!」


218 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:10:23.17evgF/Dgqo (12/22)

――「待つんじゃな。待つんじゃの」

同門「……」

――「君に訪ねたい事があるんじゃな。あるんじゃの」

同門「……な、何だ」

――「君からフェネクス侯爵の気配を感じるんじゃな。感じるんじゃの」

同門「……?」

――「君は何者じゃな。何者じゃの」

同門「な、何を言っている!?」

――「……フェネクス侯爵、違うのじゃな。違うのじゃの」

 フワァ

――「我が名はハルファス。フェネクス侯爵とは縁の者じゃな。縁の者じゃの」

同門「ハルファス……?」

ハルファス「免じて見逃してやるのじゃな。やるのじゃの。すぐに出て行くんじゃな。行くんじゃの」

同門「ど、どういう事だ……っ」

ハルファス「でなくば殺すのじゃな。殺すのじゃの。死ぬのじゃな。死ぬのじゃの」


219 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:10:58.14evgF/Dgqo (13/22)

 ドウンッ!! バッサアアアアァァァァァ……

同門「くっ!」ゴウッ

 ァァァァ……

同門「何なん……っ」

 ここで同門はようやく気付く。先程とは打って変わり、広大な大地が広がっている事に。

同門「な、んだ……!? まさか……これが……っ」

 この光景を目の当たりにし、咄嗟にその状況を把握した同門は、慌てて召喚を始めた。

同門「行けっ! フェニックス!!」

 何も反応はない。同門は確信する。結界外の正真正銘、地獄へと足を踏み入れた事を。

同門「召喚士は使えない。しかも、サタンの居場所さえ分からない……っ」

 絶望的な状況であった。召喚士である同門は召喚術以外の戦闘力が皆無に等しいのだ。

同門「そうだ、あの2人は? 2人は無事なのか……?」

 絶望の中にある希望。その僅かな希望を手繰り寄せるような思いで、

 同門は必至に、懸命に足を前へとだし、マジシャンと師匠の姿を探す。

同門「おーい……誰か居ないのか!? おーいっ!!」フラッ


220 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:12:00.92evgF/Dgqo (14/22)



マジシャン「……」

 ガバッ!!

マジシャン「はーっ、はーっ、はーっ」

師匠「……」

マジシャン「起きろ!! 起きろっての!! おいっ!!」

師匠「……っ!?」バッ

マジシャン「やっちまった。結界外だ」

師匠「どこなんだ……?」

マジシャン「分からん。とにかく魔物と遭遇する前に戻るぞ」

 ブンッ!!

師匠「!?」

インプ「ニンゲンだ、ニンゲンがいるぞォー!?」

師匠「……ちぃっ」

マジシャン「どけぇ!!」


221 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:12:50.77evgF/Dgqo (15/22)

 ドッドオオオオォォォォン!!

インプ「ンナァーッ!?」

マジシャン「走れっ! 振り切るぞ!」

師匠「バカヤロウ! 攻撃なんぞ仕掛けて他の魔物に気付かれたらどうする!?」

マジシャン「どうせ気づかれんだ、遅かれ早かれなっ」

師匠「だからって……道は分かんのか!?」

マジシャン「分かるわけねーだろ! つーか喋らせんな! 息苦しいんだよ」

師匠「……っ」

 タッタッタッタッタッ

マジシャン「おそらくだが、地上の連中が入り込む際に光が見えるはずだ」

師匠「そうかっ! そこを合図にすりゃ……」

マジシャン「そんな遠くまで吹き飛ばされたとは思えんしな。ひたすら走りまくって刻を待つ!」

師匠「……くっそ。ここに来てこんなハードな運動とは……つくづく嫌になるぜ」

マジシャン「ハッハ!! 運動不足解消ってか? バカヤロー!!」

師匠「ガハハッ! 中年太りはモテねーからな……バカヤロウ!!」


222 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:13:24.30evgF/Dgqo (16/22)

~封印の地、教会~

男隊員「日の出だ。時間だぞ」

青年兵「やはり地獄へ行ったと考えるべきでしょうかね」

王子「とにかく、行ってみるしかないであろうな」

大軍師「編成は宜しいですね?」

戦士「俺ら朱雀パーティーは先手を担うぞ!」

魔道士「おーっ!」

盗賊「……」シュル……ギュッ

剣士「次に僕ら3人」

弓使い「うんっ」

幼女「すーっ、はーっ」ゴクッ

男隊員「んでその後に、特遊が行くぞ」

女隊員「了解ッス!!」

格闘家「……いつでも」ギュッ

戦士父「……」


223 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:14:16.68evgF/Dgqo (17/22)

ジュニア「んで、そん次は俺らか」

魔法剣士「……」チャキッ

賢者「……ふぅ」

火の先生「ワシらも一緒じゃな」

水の先生「ええ。今になって緊張してきたなぁ……」

大軍師「ご安心を。両先生の力なら難なく地獄へ落ちる事が出来ますよ」

王子「嫌な言い方だな」

帝「事実ではあるが、そう言い表されるとちょっと……な」グイッ

南方司令「何だっていいさ。正義の前には関係ない!」

西方司令「何だってよくねーよ。正義の為に勝手に死ね!」

青龍士官「そして最後は、召喚士チームです」

白虎長「気合い入れていくわよー!」

白虎嬢「お~っ」

玄武娘「おーですのっ!!」

朱雀嬢「……はぁ。お気楽でいいですわね、あなた達は……っ」


224 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:15:14.47evgF/Dgqo (18/22)

美女「ったく、こんな事に付き合わされるなんてほーんと貧乏くじ引いたわ」

アマゾネス「おさげ、色黒、ポニテ、ツインテ。どうか祈っててくれ」グッ

ボス「……やってやる、必ず帰ってきてやる!」

青年兵「名代さんの召喚獣は代えが効きませんから、何卒、ご注意を」

名代「はい。心得ておりまする」

サモナー「……行こうか、召喚士くん」

召喚士「はいっ。行きましょう……!!」ザッ

戦士「いいかぁ!? 気をしっかり保つんだぞ!! 臆するなよ!!」

男隊員「おうよっ!!」

大軍師「さぁ、一気に穴へ飛び込みますよ!!」

ジュニア「そんじゃあ、地獄で会おうぜ!」

盗賊「……しっ!」ヒュバッ!!

召喚士「くっ!」タンッ!! ヒュオオオオォォォォ……

 スーパームーンの満月まであと1日。日の出と共に総勢32名の勇者が旅立った。

 魔王サタン討伐へ向けて、地獄の底へと……。


225 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:15:53.39evgF/Dgqo (19/22)

~地獄~

紅孩児「オオオオォォォォ……」

 ザシャッ

紅孩児「――!?」

 ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……

紅孩児「人間じゃねぇ……ッ、魔王……サタンかッ!!」

――『見た事のない顔だな』

紅孩児「魔王サタン!! 貴様が死ねば……この紅孩児様が魔王だ――」

 ピクン

紅孩児「……な……に……?」

――『無礼だな。礼儀すらなっておらん』

 ッ……ドゴッシャアアアアァァァァ!!

紅孩児「ゴフッ、が……はぁ……ッ」ブシュウウゥゥゥゥ

――『どうやら勘違いだったか。熱せられた小石が跳ねただけのようだ』

紅孩児「……こ……れが……サタ……ン」ドサッ


226 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:18:06.25evgF/Dgqo (20/22)

~封印の地、教会~

 ザザザザアアァァァァ

ネクロマンサー「……さて、最後の審判が始まりましたねぇ」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「連中は行ったようですね。さて、無事……地獄へ着けると良いですがね」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「我らも行きましょうか。真理の元へ、ね」フワッ

魔剣士「はい」タッ

ネクロマンサー「貴方にとっても久しぶりの地獄。そしてサタンですからねぇ。クククッ」ヒュッ

魔剣士「サタン……」ヒュッ

 朝日に照らされた花の添えられた墓は、朝露に濡れ、それが滴ると、

 まるで意思を持ったかのように、涙するかのように地面の草へと雫を落とした。





~第六十二部、完~


227 ◆1otsuV0WFc2012/07/09(月) 17:42:09.40evgF/Dgqo (21/22)

 次回、ついに……。

戦士「こ、これが……魔王……サタン」

 魔王サタンとの最終決戦が……。

盗賊「サタン……これ程とは……な……っ」

 幕を開ける――。

大軍師「駄目です、勝ち目はありません。残された策はもう……ありません」

魔法剣士「魔法剣五行……五刀流!!」

 人類と魔族の長きに渡る戦い。

サモナー「僕にはもう、燃やせる命もない……のか」

ジュニア「諦めたらそこまでだろうがよぉ!! なぁ!! そうだよなぁ!! なぁ!!」

 勝者は? 世界は? 人類の未来は……?

ネクロマンサー「さぁ、刻は来ましたッ!!」

魔剣士「師匠……マジシャン。俺は……」

 堂々の完結!!

サタン「召喚士……死して償え」

 召喚士「行けっ!コカトリス!!」 ~最終部~

召喚士(俺は……死ぬの……か……)

魔道士「嫌よっ! 死なせないっ! 私がっ! 絶対にいいぃぃ!!」

 今夏公開!! Coming soon……。

占い師「特別前売り券、好評発売中っ♪」

 特別前売り券予約特典「猫さん剣士ストラップ~天才ver~」


228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 17:43:32.82evgF/Dgqo (22/22)

よくある風の次回予告で本日ここまで!
やっとラストです!もしかしたら前編後編になるかもだけど…

それではまた!ご支援ありがとうでした!ノシ


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/09(月) 17:46:17.74COM2nF7Co (1/1)

>>1乙!



230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 17:49:52.22KwCMm4rSo (1/1)

>>1乙ぽ
予告編やっと終わりか


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 18:42:51.42FvWBQizDO (1/2)

プロローグもやっと最終回か

おつんぽ!


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 20:03:20.43RcYXh0vDO (1/2)

1乙
あと900スレとかは言わないからせめてエピローグは見せてくれ


233VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/09(月) 20:27:57.84mq9JM1u4o (1/1)

>>1乙

いやだああああああああああああうわあああああああああああああああああああああさみしいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ


234VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 21:26:03.19T7xft+gDO (1/1)

>>1乙!
終わりが近づいてきている事を考えると
胸が痛くて苦しくなるな…
この感情はもしかして…


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2012/07/09(月) 21:33:53.80K0xKkvjn0 (1/1)

>>1乙
これが終わっちまったら俺は何を楽しみにして生きていけばいいんだよ…


236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 22:40:14.21RcYXh0vDO (2/2)

>>234
病院いけ


237VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 23:14:05.91FvWBQizDO (2/2)

猫さん剣士ストラップを買えばいいじゃない


238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 23:26:01.27DDV48vby0 (1/1)

>>1おつ
>>234
それ心筋梗塞だから病院いけ


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 23:33:20.93NLQO9q8DO (2/2)

いちょつ

いやあああああああああ


240VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/09(月) 23:59:14.41qER4bvQ2o (1/1)

1乙
映画化商法は簡便
見るけど


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/10(火) 01:51:18.22sLSzrFNAO (1/1)

>>1おつ

ぎりぎり三年目突入して終わりかね。寂しいもんだな


242 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:27:44.62mBz8BlVAo (1/16)



召喚士「……う……っん」

 ピチョン ピチョン ピチョン

召喚士「……?」ノソッ

 真っ暗な闇。身体に突き刺さる空気は洞窟のような感覚に近い。

 しかし呼吸は乱れ、まるで雲上の標高へ居るかの如くであった。

召喚士「ここが……」

 起き上がりながらつぶやきかけた瞬間、召喚士は何かの声を聴いた。

召喚士「……行けっ、サラマンダー」

 シュイイィィィィン ボウッ!!

サラマンダー「なんや――」

召喚士「しっ! 静かに!」

サラマンダー「……」

召喚士「こっちだ」

 息を潜めてこきゅうをするような音。誰か居る。そう確信した召喚士はその方向へ走った。


243 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:28:35.47mBz8BlVAo (2/16)

 タッタッタッッタッ

召喚士「幼女ちゃん!」

幼女「!! 召喚士さん……っ」

召喚士「大丈夫!? えっと、他のみんなは……」

幼女「分からない……。私だけ」

召喚士「……そっか」

サラマンダー「なぁ、あそこにも誰かおるでぇ」

召喚士「!?」

西方司令「あん? 朱雀じゃねぇか」

召喚士「西方司令さん!」

西方司令「他の連中はどしたぁ?」

幼女「分からないの。みんな、バラバラみたい……」

召喚士「探しましょう。このままでは危険です」

西方司令「しっかしこの暗闇じゃーなぁ。どこをどう進みゃいいんだか」ポリポリ

召喚士「……ひとまずここを起点に、真っ直ぐ行ってみましょう」


244 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:29:04.81mBz8BlVAo (3/16)



魔道士「……うぅ」

男隊員「生きてっかー?」

魔道士「……男隊員さん……っ」モゾッ

弓使い「地獄へは来たみたいだけど、みんなはぐれちゃったみたいね」

白虎長「何の為に編成したんだか、全く……」

男隊員「とにかく合流すんぞ。なにかあってからじゃ遅せぇからな」

魔道士「はいっ」

 タッタッタッタッタッ……

魔道士「あっ!!」

賢者「……ふぅ」

名代「魔道士殿、一体ここは……地獄なのですか?」

男隊員「紛れもなくな。少し走っただけで息苦しい。どう考えても地上とは別世界だ」

白虎長「そうね。何だか空気も重たいっていうか、気持ち悪い感じだし……」

弓使い「2人だけ、ですか?」


245 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:29:39.14mBz8BlVAo (4/16)

賢者「そうだね……ふぅ」

名代「上様は……」

魔道士「きっと無事ですよ! 探しに行きましょう!」

 全員が無事、地獄へと辿り着きはしたものの、その着地点は様々で、

 各自が何とか、他の誰かと合流しようと躍起に探し回っている状況であった。

戦士「くっそ……どっちに進めばいいかサッパリだ」

朱雀嬢「とにかく、歩くしかありませんわね……はぁ、はぁ」

帝「地獄とは、こんなにも空理が重いものなのか……」ザッ

 はたしてどれ程歩いたか、どのくらいの時間を費やしたかも分からぬまま。

盗賊「……気配はない」

ジュニア「んじゃ、こっちに行ってみっか」

美女「もぉ~まだなの~?」

火の先生「つべこべ言わず歩かぬかっ」

剣士「他の皆も無事ならいいんだけど……」

青年兵「ええ」


246 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:30:08.65mBz8BlVAo (5/16)

 サラマンダーの明かりを頼りに、召喚士らは真っ直ぐ真っ直ぐ、闇を進んでいた。

召喚士「!?」

青龍士官「朱雀先生!?」

サモナー「良かった。でも、これだけか」

召喚士「ええ。何とか微かな明かりと音で判断してここまで来たんですけど」

青龍士官「召喚が出来るという事はまだ、結界内にいるみたいですね」

召喚士「うん。俺もサラマンダーをだせてるからそう思うよ」

 バシュウウゥゥゥゥ

ワイバーン「いたぞ。この先に4、5人程の人間が集まってる」

青龍士官「よし、ではそこへ合流しよう」

召喚士「そっか。召喚獣で探索を……」

サモナー「うん。マーメイドにもお願いしてるよ」

召喚士「だったら俺も……」

サモナー「召喚士くんは温存しておいてくれ。きっと君の力が要になるはずだから」

召喚士「……はい」


247 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:30:50.93mBz8BlVAo (6/16)

 しばらく経ったのだろうか。ほとんどの者が1か所に集まっていた。

魔道士「無事に合流出来て良かったです~!」

青年兵「あと不在なのは……」

白虎長「大軍師と戦士父さん、それにボスと南方司令ね」

水の先生「無事ならいいんだけど。やられたなんて事はないよね」

アマゾネス「不謹慎な事を言うものではないぞ」

魔法剣士「交戦の気配はない。きっとどこかに居るんだろう」

戦士「探すっきゃねぇ。サタンと鉢合う前にな」

青年兵「ですね。行きましょう」ザッ

召喚士「……不思議な所だなぁ」

玄武娘「何がですの?」

召喚士「周囲に障害物を感じない。壁がないんですよ」

剣士「確かに。空気が真っ直ぐ流れていて、障害物がないね」

召喚士(明かりがない限り状況が分からない。広い場所なのか? それとも……)

 周囲をきょろきょろと警戒しながら、召喚士は皆の後に続いて進んで行った。


248 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:31:56.88mBz8BlVAo (7/16)



ボス「……はぁ、はぁ……はぁっ」

大軍師「大丈夫ですか?」

ボス「あんたらよく、平然としてられますね……っ」

戦士父「いや、きつい事はきついぞ」

南方司令「特に、先へ進めば進むほど苦しくなってくるな」

大軍師「……」

戦士父「どうした、行くぞ?」

大軍師「何かおかしいと思いませんか?」

ボス「どういう事ですか?」

大軍師「我々は何故、ここを真っ直ぐ進んでいるのでしょうか」

南方司令「他の者と合流する為だろう」

大軍師「いえ、そうではなく……ルートは幾らでもあるはずなのに何故」

戦士父「自らの意思だぞ? まさかそれが敵の罠だとでも言うのか?」

大軍師「分かりません。ですが、何かがおかしい事は確かなのです」


249 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:32:50.50mBz8BlVAo (8/16)

 大軍師の言葉は不自然であったが、間違いでもなかった。

戦士父「大軍師の言う通りかもしれん」

ボス「……?」

 自分の足で進んできたはずの道であるにも関わらず、理由がない。

 何故この道を選んだのか、この方角を選んだのか。説明が付かないのだ。

 あてもなくただフラフラと散策し、思いもがけぬ場所へ行き着くなんて事はよくある話だ。

 しかしそれとこれとは違う。まるで何かに導かれるが如く、進んでいるのだ。

大軍師「……引き返しましょう」

南方司令「何?」

ボス「引き返すったって、どこに行くんです!?」

戦士父「引き返す事こそ敵の罠かもしれないぞ」

大軍師「ですがやはり、何かがおかしいのです。経験則からの独断ですが」

南方司令「まぁ、大軍師の判断に誤りがあるとは考えにくいのも確か」

戦士父「引き返すか」

大軍師「ええ。そう致しましょう」


250 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:33:46.32mBz8BlVAo (9/16)

 引き返すという選択肢を実行に移した事は大軍師の洞察力と精神力の賜物。

 結界という僅かな希望に区切られた領域を手さぐりで探すには、

 暗闇の中という恐怖心と、誰かが一緒だという安心感が冗長して、

 来た道を戻るという選択を引き出す事はなかなか容易ではないものだ。

 だが、4人にとって折角引き出したその選択も、無駄なものであった。

戦士父「……?」

 ズウウゥゥゥゥン

南方司令「何……だっ!? 足が重い――」

ボス「――――っ」

大軍師(これは敵の攻撃かっ? 動きを封じられた挙句、声が発せられない……っ!)

戦士父(いつだ、いつ攻撃を浴びせてきた? そんな素振りはなかったはずだ)

 スローモーションのように流れるその光景。全員が誰かを助ける事はおろか、

 自分自身がその攻撃らしきものから逃れる事すら困難であった。

大軍師(何とか風で……押し出すっ)

 もがく大軍師の耳元に幻聴か、はたまた何かブツブツと声が聞こえ始めた。


251 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:34:19.48mBz8BlVAo (10/16)

――「やめておきなさい。そんな事をすれば死にますよ?」

大軍師「!?」

戦士父(敵か!? いやこれは……)

 他の3人を見てようやく、自分も身体が宙に浮いているという事に、各々は気付いた。

ボス(くっそぉ……っ!!)

――「諦めろよ。俺はお前だ。お前は俺に従えばいいんだ」

 声の主は自分であった。これも不思議な表現であるが、まさしく自分の声であった。

南方司令(……憑依か)

 この時、ボスを除く3人はその声の正体を憑依と判断。

 憑依には2通りのパターンがある。1つは生者に対するもの。もう1つは死者に対するもの。

 今回の場合は前者だ。生きているものに憑りつきその心身を乗っ取るのだ。

 つまり憑依は心の中に隙を作り、そこへ入り込む事で対象を意のままに操る。

 かつて天才が魔道士の夢魔を救ったように、精神に依存するところが大きい。

 一同は同時に、憑依を防ぐべく威圧を放ち、精神を統一すべく心構えた。

 が、それは既に布石にすぎず、4人は次なる攻撃へと晒される事となる。


252 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:34:49.48mBz8BlVAo (11/16)

戦士父(……!?)

 グググッ

 身体に違和感を生じる。宙に浮いた段階で自分の意思とはかけ離れているが、

 更に四肢が自分の思うように動かない。動いていないわけではない。勝手に動くのだ。

ボス(――っ!!)

 無論、混乱をきたす。しかし声を出せない今、叫びすら発せられない。

大軍師(幻術……? いや違う、これは全て実際に起きている出来事か……っ)

 こうなるともう、どうする事も出来ない。ただ為すがままに攻撃を受けるのみだ。

 やがて4人は、憑依していた影に取り込まれるかのように、宙へと浮いたまま、

 黒い球体となって、ゆらりゆらりと上空を彷徨った。

 タッタッタッタッタッ

召喚士「今こっちで何か感じたっ!」

盗賊「間違いない。一瞬だが、人の気配を感じたぞ」ズザッ

ジュニア「……誰もいねぇぞ」

召喚士「……」


253 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:35:19.10mBz8BlVAo (12/16)

白虎長「ねぇっ、あれ……何かしら?」

 指差す先に浮かぶ黒い球体。一同が一斉に、その怪しげな光景を目にする。

魔法剣士「魔物? いや、何か変な感じだな」

名代「ん? なんだろう……身体が重い……」

 ズウウウウゥゥゥゥン

戦士「んなっ――」

 周りの全てがスローになる。平常なのは頭の中だけだ。

 青龍士官が何か叫んでいる。しかしそれは誰の耳にも届かない。

 召喚士は咄嗟に感じた。これは敵の攻撃であり、似たような経験をした事があったからだ。

 シュイイィィィィン

 音もなく召喚獣ノームが呼び出されていた。音を消したわけではなかった。

 召喚士は確かにいつも通り、召喚の声を叫んでいたのだが、叫べなかった。

 ノームの効力により身体が軽くなると同時に、召喚士は次なる召喚を行う。

 召喚獣シルフ。シルフのその力により、声を瞬時に取り戻した。

召喚士「ぷはぁーっ!!」


254 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:35:52.23mBz8BlVAo (13/16)

 災難の手は止まらない。召喚士の耳元で召喚士の声が囁く。

 だがその声はほんの一瞬で消失する事となる。召喚獣サラマンダーの存在だ。

 サラマンダーの能力として、憑依状態の解除がある。

 既にサラマンダーを召喚していた事は幸いであった。憑依攻撃を無効としたのだ。

 召喚士は初めて災難の後手より切り抜けた。同軸に並んだ。

 そして更に召喚士は、災難の先手をいくという行為を成し遂げて見せたのだ。

召喚士「行けっ! ウンディーネ!」

 確証はなかった。だが可能性はあった。ノーム、シルフ、サラマンダー。

 3体の基本精霊が打ち破る事の出来る攻撃が自身に加えられている。

 だからこそウンディーネの能力で破る事が出来る、変化攻撃があるのではないかと。

 考えたわけではない。身体が自然とそう、動いていた。そして予感は的中する。

 災難が降り注ぐ前に、変化の攻撃はウンディーネにより打ち消された。

 黒い4つの球体が人の姿へと戻り、その場に落ちたのだ。

召喚士「!?」

 同時に闇の空間は、青白い光に照らされて、1つの世界を示し始めた。


255 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:36:39.67mBz8BlVAo (14/16)

 ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……

男隊員「う……っげぇ」

 押しつぶされそうな重圧が一同を襲う。身構える事すらやっとである。

青年兵「……っ」

 今まで何体もの魔王と、何度も戦ってきたからこそ分かる事もある。

王子「次元が違う……こんな事……が……っ」

 力や威圧だけで言えば恐らく、魔王イブリースが最も強かったであろうか。

 だがそれこそを遥かに凌駕する存在感。それが魔王サタンであった。

魔道士「う……あぁ……ぁ……っ」

サモナー「これがサタン……か」

 死を覚悟した。誰しもが。到底、勝ち目が見出せない。勝つ術が思い浮かばないのだ。

 だが男は1人、果敢にも前へと足を進めた。恐怖はあるが、死は乗り越えた。

召喚士「……魔王サタン。貴様を倒しに来た!!」

サタン「……ほぉ」

 長い1日が今、始まった。


256 ◆1otsuV0WFc2012/07/10(火) 18:38:00.95mBz8BlVAo (15/16)



 召喚士「行けっ!コカトリス!!」

      ~第六十三部~




257VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/10(火) 18:39:31.66mBz8BlVAo (16/16)

きょうはここまで。ご支援ありがとうございました!
それではまた!失礼いたしまする~!ノシ


258VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/10(火) 18:43:09.513VUVy8zDo (1/1)

>>1乙!


259VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/10(火) 18:43:26.333L02V4oao (1/1)

>>1乙!
ホントに待ち遠しくて長い1日になりそうなんすけど・・・


260VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/10(火) 18:58:04.54n7XiA62Ro (1/1)

>>1乙 
召喚士が活躍している・・・?


261VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/10(火) 19:14:04.82kClt+US10 (1/1)

あの超チョイ役がよくもまあここまで成長したな…


262VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/10(火) 19:19:31.007O+REGB1o (1/1)

まぁ、主人公だしな
最後に美味しい所は全部かっさらって行くのだよ


263VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/10(火) 19:28:16.17X8N2NIDZo (1/1)

>>1乙!
基本召喚獣の効果が活躍してるとか胸熱だな


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/10(火) 19:52:23.09CN/ppMygo (1/1)

>>1乙

ぞくぞくしてきた!続きが読みたいけど終わりが近づくようで読みたくない複雑な気持ち!

これが、恋?


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2012/07/10(火) 20:42:18.84pL7e91n60 (1/1)

>>1乙
>>264 いや変だよ


266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/10(火) 21:58:08.30Wafkn3yio (1/1)




267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 00:11:38.78KN7Nvdkjo (1/1)

基本召喚獣の能力が役に立つなんてな
最初から考えてたのか?


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 00:12:42.24HvP2TeBGo (1/1)

>>264
あ、それ殺意だ


269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/11(水) 02:13:24.17QELiqZTAO (1/2)

>>1おつ

基本召喚獣が活躍とか胸熱だな。役に立つの考えたというか元の精霊の基本設定しっかり決めといたから、この場面で使えたって感じかね?サタン戦見据えてじっくり考えてたなら素晴らしいけど


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/11(水) 02:23:08.93gjYjK0lz0 (1/1)

>>1 おつ



271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)2012/07/11(水) 03:34:17.59qQg6ObfAO (1/1)

あげあげ


272 ◆1otsuV0WFc2012/07/11(水) 18:28:02.58o5n2OGvwo (1/7)



マジシャン「さっきの光、間違いねーよなぁ!?」

師匠「間違いだろうがなんだろうが、すがるしかねぇ!」

マジシャン「それも……そうだなぁ!!」

 ズッガアアァァァァン!!

インプ「いつまで逃げ回るつもりだァ!!」ヒュッ

師匠「しつっけぇなーくそ!!」

インプ「じゃあいい加減ッ、諦めなー!!」

師匠「言わせておけばぁ……」ザッ

マジシャン「バカヤロー! 相手にすんなっ!」

師匠「この程度の雑魚っ、召喚出来なくとも問題ねぇ!」ズザッ

インプ「バーカ。ニンゲン如きが地獄で、魔族に勝てるとでも思ってんのかヨッ!!」ヒュバッ

師匠「!?」

インプ「ちょっと本気を出せばほらッ、もう追いつけないジャン!」

マジシャン「ごちゃごちゃうるせぇんだよ!!」


273 ◆1otsuV0WFc2012/07/11(水) 18:28:54.81o5n2OGvwo (2/7)

 ドッゴオオオオォォォォン!!

インプ「ゲピィーッ!!」

マジシャン「だったら最初から本気出しとけや。俺が本気出しゃこんなモンだコラ!」

師匠「……っ」

マジシャン「ったく、何をムキになって相手してやがる」

師匠「仕方ねーだろ。サタンの元へ連れてくわけにはいかん」

マジシャン「アホ。あの程度ならいいんだよ」

師匠「よくねぇよ」

マジシャン「よくなくねぇよ! 問題は交戦してヤバイのが嗅ぎ付けたりしたら……」

 ザンッ

マジシャン「……」

師匠「な……っ!?」

マジシャン「……ほれみろ。来ちまったじゃねぇかよ」

師匠「……っ」

 2人の背後に真っ青な騎馬と、それに跨る魔物が無言で現れた。


274 ◆1otsuV0WFc2012/07/11(水) 18:29:34.10o5n2OGvwo (3/7)



青竜士官「これが……魔王、サタン」

ジュニア「見かけによらず、とんでもねぇ威圧だな……ハッハ」

 青白く仄かに光る空間の奥に潜む真っ黒な物体。影。

 人の声を理解し、人間よりもやや大きな本体に生える四肢のようなもの。

 しかし、顔や体のパーツともいうべきものはなく、影としか言い表せないモノ。

サタン「倒す、などという妄言が聞こえた」

召喚士「妄言じゃない! そう言ったんだ!」

サタン「倒す? このサタンを?」

召喚士「そうだ。お前を倒せば、全てが終わる:」

サタン「……」

召喚士「その為に5年もかけて、いや……何百年とみんなが戦ってきたんだ!」

サタン「ひっそりと大人しく、そう、いつ魔族に餌とされるか怯えながら……」フワァ

戦士「くるぞぉ!!」

サタン「小さく蹲り、短い生涯を悔やみながら惨めに終えていれば良いものを」


275 ◆1otsuV0WFc2012/07/11(水) 18:32:26.18o5n2OGvwo (4/7)

 カッ!!

召喚士「行けっ! クジャタ――」

 サタンの閃光が召喚したクジャタの暴風を一瞬の内に貫き、

 そして同時に、クジャタ自身をもほんの僅かな瞬間で消し去った。

召喚士「ぐく……っ!!」ズザッ

魔道士「召喚士さんっ!!」

青龍士官「戦闘開始だ!! 召喚しろぉ!!」

 その一言を合図に、、ありとあらゆる召喚獣が一斉にその場へ飛び出した。

ボス「いけええぇぇぇぇ!!」

アマゾネス「はぁーっ!!」

 かつて単体相手に、これ程までの召喚獣が同時に攻撃を行った事があったであろうか。

 その光景はまるで幻想的で、大勢の召喚獣が勇ましく進むさまはまるで絵本のようである。

 しかし現実は絵本のように甘くはない。ましてや相手は魔王サタン。史上最強の相手なのだ。

召喚士「駄……目だ……っ」ヨロッ

サタン「怒りや笑いすら通り越して、最早、哀れだな」


276 ◆1otsuV0WFc2012/07/11(水) 18:33:48.64o5n2OGvwo (5/7)

 カッ!! ズゴガガガガガガッ!!

白虎長「きゃああぁぁっ!!」

青龍士官「バ……バカな……っ、あれだけの召喚獣が……たったの一撃で」

サタン「次は本体だ。直ぐ、楽にしてやる」

 カッ!!

戦士「うりゃああぁぁ!!」

男隊員「戦士に続けぇ!! 魔法で壁をっ!! 盾を作るんだ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

ジュニア「防げるとは……思わねぇけどよ……っ!」

サタン「無駄な抵抗をするな。苦しむだけだ」

サモナー「抵抗しないと生きていけないのさ。人間はね」

玄武娘「リヴァイアサン!!」

水の先生「食らえぇーっ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ズガガアアアアァァァァ!!

サタン「……」


277 ◆1otsuV0WFc2012/07/11(水) 18:34:36.41o5n2OGvwo (6/7)

 夥しい大量の水がサタンを襲う。黒い影を後方へと押し流す。

 かに見えたが、サタンは全く動じない。水が自ずからの意思で避けるかの様に、

 黒い影を左右にすり抜け、背後の闇の中へと消えてゆく。

戦士「通じてねぇ!!」

サタン「通じると思うその考えが、既に死を連想させるな」

魔法剣士「減らず口を……ゴチャゴチャとぉ!!」

火の先生「水が駄目ならばっ、火じゃい!!」ゴウッ!!

大軍師「いけませんっ!」

魔法剣士「魔法剣……」

大軍師「サタン相手には少なくとも4行以上でなくば――」

魔法剣士「……4行!!」ジャキジャキッ

西方司令「片手に2本ずつの剣だぁ!? そんなんで振れっか――」

魔法剣士「おおおおぉぉぉぉ!!」

サタン「……」

 魔法剣士の4行を付加した4つの刃が、黒い影をほんの少しだけ掠め取った。


278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 18:35:43.06o5n2OGvwo (7/7)

すみません…今日はめっちゃ忙しすぎました…
というわけでここまでにて…すみません!!

ご支援ありがとうでした!それでは!ノシ


279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 18:37:05.18Fu+PhRkDO (1/1)

絶望的だな

おつんぽ!


280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)2012/07/11(水) 18:38:01.77Klv8zwCzo (1/1)


サタンつぇ…


281VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/11(水) 20:14:04.09FyS2uB+Jo (1/1)

>>1乙

サタンの実態はモサモサアフロに口の回りをライン上に繋ぐ髭、腰に輝くチャンピオンベルト

と言ったところか…ふむ


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 20:16:46.55bGlP7D+8o (1/1)

戦争、飢餓、疫病、そして死
 ~黙示録の4騎士~

青はデスじゃないか・・・
勝てるのかよ


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 20:20:10.63U0aVbEaDO (1/1)

1乙
サタンのモチーフはアームズのハンプティダンプティだろ?


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/11(水) 21:07:16.95GFsGcwPJ0 (1/1)

>>1おつんつん

熱いねぇ


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/11(水) 21:55:24.68QELiqZTAO (2/2)

>>1おつ


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/12(木) 03:29:19.51CaHnj99/0 (1/1)

>>1 おつ



287 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:35:57.14CRefBJ6Uo (1/10)

 シュンンンン……

魔法剣士「!?」

サタン「やるではないか。このサタンに単身、触れるとは」

魔法剣士(渾身の一撃だぞ……っ、それを……触れるだとぉ!?)

サタン「触れただけで良かったな。災厄は微量なものだ」

 ドクンッ!!

魔法剣士「――!?」

 突如、呼吸が乱れる。身体の内部に異常をきたしている事は明白だった。

魔法剣士「か……はぁ……っ!!」

サタン「肺を蝕まれたか? 呼吸が難しかろう」

魔法剣士「貴……様ぁ……何を……」ガクッ

召喚士「……っ」

 苦悶に陥る魔法剣士を見て、召喚士はある事を思い出した。

召喚士「師匠やマジシャンさんは、サタンを傷つけた代償に持っていかれたんだ……っ」

 それと同時に召喚士の脳裏には、ある疑問が1つ浮かび上がった。


288 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:37:30.95CRefBJ6Uo (2/10)

召喚士「戦士!!」

戦士「!?」

召喚士「前に来た時っ! ここには宮殿があったはずだよね!?」

戦士「……そういやそうだな。何かおかしいぞ、これ」

召喚士「師匠はかつて、サタンの頭部をコカトリスで石化したと言っていた」

盗賊「……頭部? そんなものは見当たらないぞ」

召喚士「そうなんです。あの影は、サタンであってサタンじゃない!」

大軍師「成程。つまるベルゼブブのように、本体は別にあると」

召喚士「……分からないんです。あの影も本体のような気がするし」

戦士「とにかく、現状打破するしかねぇ。どうすんだ?」

召喚士「……」

大軍師「五行、ですね」

召喚士「……ええ。それしか通じないって事でしょう」

大軍師「畏まりました。速やかに編成致しましょう。魔法チームはこちらへ」

魔道士「はいっ!タッ


289 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:40:19.64CRefBJ6Uo (3/10)

サタン「しかし、不思議な事象だな」

青龍士官「攻め続けろぉ! 怯むなぁ!」

玄武娘「はいですのっ!!」

サタン「魔族、人間、召喚獣。別世界の住人が一堂に会し、戦っている」

帝「何としても隙を作り出すのだ!」

王子「我に力を貸したまえ……セクメト!!」

サタン「本来ならば決して有り得ぬ事象が有り得ている」

大軍師「五行、行きますよ!」

水の先生「ああっ。水ならば……任せてくれ!」

サタン「魔族は人間を支配し、肉体を食らう選択をした」

召喚士「戦士っ! 前衛頼む!!」ザッ

戦士「任しとけっ!!」

サタン「召喚獣は人間に深く介入せず、精神同士を共有し得る選択をした」

南方司令「我らも続くぞ!」

西方司令「おおぉぉ!! 剣なぞ要らん!! 拳で語ってくれらああぁぁ!!」


290 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:41:17.76CRefBJ6Uo (4/10)

サタン「元は同じであろうに、支配と共存でこうも差が出たものか?」

召喚士「行けええぇぇぇぇ!!」

サタン「……そんな事は最早、どうでも良い事だな」

召喚士「コカトリスーッ!!」

 シュイイイイィィィィン

サタン「……?」

召喚士「初めて戸惑いを見せたなっ、サタン!」

サタン「戸惑い……。そう見えるのならば戸惑いなのかもしれぬな」

コカトリス「この感覚……かつて味わった覚えがある」

サタン「出たか、コカトリスよ」

コカトリス「サタン……!? そうか、ここは地獄か。道理で嫌な感覚なわけだ」

サタン「かつて貴様には苦汁を舐めさせられた。礼はするつもりだ」

コカトリス「ならば再び、味わうがいいっ!!」

サタン「奇跡は二度と起こらぬ。肝に銘じて挑む事だ」

コカトリス「笑止っ!!」


291 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:41:55.09CRefBJ6Uo (5/10)

 もう20年も前に遡る。魔王サタンへ挑んだ再来の朱雀先生。

 その男の最も得手とした召喚獣がこのコカトリスである。

 コカトリスは邂逅する。あの時の情景を。そして重ねあわせ、即座に判断する。

コカトリス(あの時とは違う。そして、サタンは私を恐れている。警戒している)

サタン「……」

 かつて共に戦った戦友とは、既に別れを告げた。今は新たな戦友が居る。

 朱雀先生の名を引き継ぎ、ここ数年間ずっと、苦楽を共に過ごしてきた。

 前の戦友ほど長い間、居たわけではない。だが中身は負けぬくらい濃密なものであった。

 だからこそ召喚士をかたせてやりたい。コカトリスにはそんな思いが芽生えた。

 普段ならばそこまでの事は決して、思ったりはしないであろう。

 だが何故かこの時ばかりは、そんな思いに駆られた。

 地獄というフィールドであるが故に、いつものような力が発揮出来ない。

 それでも強い思いがそれを打ち消すかの勢いで湧き出してきた。

 あの時と同じように、コカトリスは冷たい灰色の吐息を放った。

 あの時と同じように、両翼を大きく広げ、一直線にサタンへと羽ばたいた。


292 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:42:48.44CRefBJ6Uo (6/10)

コカトリス「はああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「芸のない奴だな」

 余裕を持ったような口調のサタンではあるが、コカトリスの石化に対し、

 これと言って打てる手は持ち合わせていなかった。

 サタンは五行、最低でも四行より劣る攻撃をほぼ無効とする事が出来る。

 仮に攻撃を当てたとしても、その代償として価値のある力を相手より奪い取る。

 再来の例で言えば、師匠が頭部石化の引き換えに臓器の半数以上を、

 マジシャンが強大な四行を放った事により、魔力の半数を剥奪された。

 先程の魔法剣士も同様に、かすり傷を負わせた代償に、肺の一部を奪われたのだ。

 そう。つまりコカトリスの攻撃は、どういう事か、サタン対しても通用するのだ。

 石化攻撃は五行属性を持たぬ無属性である事が要因とも取れるが、推測に過ぎない。

 理由はともかく、サタンに通用する武器の1つである事に変わりはない。

 そして通用するという事は、裏を返せば代償、災厄を得るという事にも置き換えられる。

 仮にコカトリスの攻撃がサタンに通じたとしても、その代書はコカトリスには降りかからない。

 全ては召喚主である召喚士に及ぶのだ。そしてそれを、コカトリス自身も理解している。


293 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:43:30.75CRefBJ6Uo (7/10)

コカトリス(このまま直撃すれば、召喚士に被害が及ぶ)

召喚士「……」

コカトリス(だが、だからとて遠慮などすれば、それこそ召喚士にとって無礼というものだ)

召喚士「頼む……コカトリス!!」

 コカトリスは召喚士の気持ちを十二分に理解していた。

 理解した上で、召喚士の出す魔力の全てを力に代えて、攻撃を放った。

サタン「……」

 魔王に避ける術はない。コカトリスの身体はサタンの物体を貫き、

 その背後でくるりと旋回し、追撃の吐息を打ち放った。

青年兵「石化の連続攻撃っ!!」

男隊員「……どうだ!?」

 ズッガオオオオォォォォ!! ビキキイイィィ!!

サタン「……」

コカトリス「……」バシュウウゥゥ

召喚士「……手ごたえは……ある!」


294 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:44:41.20CRefBJ6Uo (8/10)

 黒い影が瞬く間に石化を始める。攻撃が通じたという証拠だ。

 だがそれと同時に、召喚士の身体も蝕まれ始めたのである。

召喚士「――――っ!!」ドクン

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「か……っは……!!」

 蹲り吐血を繰り返す召喚士。その異変に周囲の皆が慌てて駆けよった。

戦士「しっかりしろぉ!!」

召喚士「ぐ……っぶ」

サモナー「治療を!」

賢者「……出来るかな……ふぅ」

 召喚獣を除けば、この中では唯一とも言える回復技術を持つ賢者。

 彼のその言葉に嘘偽りはなく、回復魔法を施すものの、やはり召喚士に変化はない。

賢者「……駄目だね。傷のたぐいじゃないよ……ふぅ」

南方司令「護衛するぞ」ザッ

大軍師「サタンの動きは封じました! 今ですっ!」バッ


295 ◆1otsuV0WFc2012/07/12(木) 17:47:02.45CRefBJ6Uo (9/10)

魔道士「やあぁーっ!!」

水の先生「いけぇ!!」

火の先生「手は抜くなよぉ!!」

幼女「くぅーっ!!」

ジュニア「これで……終わりだぁ!!」

 白く輝く五行の光が、岩の塊と化したサタンめがけて放たれた。

 ドッドオオオオォォォォン!! ガガアアアアァァァァ!!

戦士「いけ!! 決めちまえっ!!」

大軍師「1人が 五行を担えば負荷は大きい挙句、反撃も大きいですが」

青年兵「合体五行ならそれも緩和できる、ですね?」

大軍師「ええ。あとはこれがどの程度通用するのか……」

召喚士「駄……目だ」

青年兵「!?」

召喚士「もっと、もっと撃たないと……っ」フラッ

 五行の光は空間の天井を貫き、遥か上空へと立ち昇っていった。


296VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/12(木) 18:03:40.46CRefBJ6Uo (10/10)

連休明けから本気出します!多分……
投下少なくてごめんねごめんね…それでは失礼致します

今日もご支援本当にありがとうございます!!ノシ


297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/12(木) 18:15:35.21DxaltNgDO (1/1)

おつんぽ!


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/12(木) 19:56:09.57bz90RZEAO (1/1)

代償として王子のチンコ持っていかれないかな


299VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/12(木) 20:24:19.35fu9UgtEBo (1/1)

>>1乙

お、召喚しはどこが持ってかれたんだ?


300VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/12(木) 21:40:09.50gJk3yjMTo (1/1)

やっぱりペニスじゃねーの


301VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2012/07/12(木) 23:29:40.8434XKKcKAO (1/1)

そして召喚子へ


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/07/12(木) 23:58:30.09LQT0v3qto (1/1)

>>300-301
全力で期待!!
魔道士ちゃんを守るためにも!!


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/13(金) 01:40:10.28yTIk7E2AO (1/1)

>>1おつ



304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/13(金) 12:32:18.796Fxi3/oO0 (1/1)

>>1 おつ



305 ◆1otsuV0WFc2012/07/13(金) 17:54:27.77e0z/aJpeo (1/5)

~地獄、外部~

師匠「……っ」

マジシャン「だーから嫌だったんだ……よぉ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!!

マジシャン「――!?」

師匠「早いっ!!」

 マジシャンの速攻に隙はなかった。しかし魔物はその魔法攻撃を軽く避けてみせた。

 姿だけではない。その回避行動だけで、この魔物が只者ではないと容易に理解出来る。

 そして獅子の兜をかぶり、甲冑姿の魔物はドスの利いた低い声でゆっくりと語りだす。

――「異界の者よ、この地獄へ何用だ」

マジシャン「……っ!!」

師匠「待てっ!」

 戦う意思を見せるマジシャンを制し、師匠がその問いかけに答える。

師匠「我が名は師匠。こっちがマジシャン。我々は魔王サタンを倒しに地獄へ来た」

――「……ほぉ、サタンを」


306 ◆1otsuV0WFc2012/07/13(金) 17:55:15.76e0z/aJpeo (2/5)

師匠「しかし思わぬ反撃を食らい、ここまで来てしまった。それだけだ」

――「成程。理由は理解した」

師匠「それは何よりだ。すぐに戻――」

――「だが、侵入者は速やかに排除しなくてはならぬ」ジャキッ

師匠「!?」

――「覚えておくが良い。我が名はサブナック。二度と会わぬ事を祈るぞ」

 サブナックと名乗る魔物が手にした巨大なスピアが螺旋状に突き放たれた。

 骨格から肉と皮をそぎ落とすかと勢いで噴き付ける暴風は、地面を抉り、

 師匠とマジシャンの身体をその場よりあっという間に消し去った。

サブナック「望み通りサタンの元まで送ってやった。まぁ、生きていればの話だがな」

 ザッ……ドウンッ!!

 青い馬が跳び、激しく抉れた大地と、動かなくなったインプだけが転がっていた。

 サブナックにより吹き飛ばされた2人は、遥か彼方の岩壁へと埋まっていた。

 死んではいない、生きている。しかし意識はない。あんな一撃を食らえばそれは当然だ。

 高くそびえる岸壁の横には、巨大な宮殿が禍々しさと白い光柱を放っていた。


307 ◆1otsuV0WFc2012/07/13(金) 17:55:51.48e0z/aJpeo (3/5)



 その宮殿内部、黒い空間が五行の光に貫かれ、振動していた。

美女「ちょっと……何これ!?」

格闘家「空気が震えているのか……っ?」

白虎長「見てっ!! サタンが……っ!!」

盗賊「!?」

 空間が歪む。サタンの影に闇が吸い込まれるかのように流れ込んでゆく。

 自分の周囲を物凄いスピードで流れる闇は、時折、青白い光を輝かせ、

 まるで夜空が1ヶ所に集っていくような、不思議ながら幻想的な光景に見えた。

召喚士「――――っ!!」

 その直後、強い耳鳴りと同時に、呼吸が出来なくなった。

 まるでその場にある空気が一瞬で失われたようでった。言わば真空状態へと陥ったのだ。

 真っ白に広がる空間の中で召喚士はふと、まるで召喚界のようだ、と感じた。

 そしてすぐさま息が出来ない事に慌てるが、その直後、更に慌てる出来事に遭遇する。

召喚士「……俺……!?」


308 ◆1otsuV0WFc2012/07/13(金) 17:56:23.10e0z/aJpeo (4/5)

 サタンが居た場所に自分の姿がある。息苦しさなど吹き飛び、

 周りの景色と同様、頭の中まで真っ白になっていた。

 落ち着きを取り戻す間もなく、目の前は光に包まれ、回りの空気は元通りとなった。

 オオオオォォォォ……

召喚士「……っ!?」

 だだっ広い宮殿。紛れもなくその宮殿は、かつて天才と共に訪ねたサタンの居場所であった。

大軍師「こ……れは……っ」

戦士「ここがサタンの宮殿だ!!」

アマゾネス「ここが? では先程のは何だというのだ!?」

召喚士「あれも……さたんだよきっと……ごほっ!」

戦士「召喚士っ! 大丈夫か!?」

召喚士「……うん。致命傷じゃない」

魔道士「でも……っ」

盗賊「……来るっ!!」

ジュニア「!?」


309 ◆1otsuV0WFc2012/07/13(金) 17:58:07.46e0z/aJpeo (5/5)

格闘家「な……んだっ、この感――」

 ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 宮殿全体が揺れる。足元から突き刺さるような恐怖が、威圧が押し寄せる。

 いつの間にか召喚士は自分の姿を見失っていた。ただそこには代わりに、

 黒い影が球体となり、魔王サタンの核として静かに存在していた。

召喚士「く……っ!」

 咄嗟に攻撃を仕掛けようと試みる召喚士であったが、時既すでに遅く、

 サタンの核は何かに包み込まれ、次第にどんどん膨張を始めていった。

 時空が歪む。空間に少しずつ、うっすらと巨大な魔物の姿が現れ始める。

 地鳴りと地響きと共に、魔王サタンが目に見える形で一同の前へと姿を現した。

 巨大などという一言で済ませても良いものかどうか。サタンの新たな姿は、

 文字通り山のような大きさで、それでも見えている部分は胸部より上だけであった。

王子「……で、でかい……な」

帝「これは正直、倒せる気がせぬな」

 その場の誰しもが絶望や驚嘆を通り越し、開いた口が塞がらない状態であった。


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/13(金) 21:28:50.96gEyRY2CDO (1/1)

お、乙?


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/14(土) 00:00:33.501jrQpddoo (1/1)

>>1乙

ワンダと巨像のような感じだな
見上げても上が霞んで見えないほどの巨人とは


312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/14(土) 01:17:45.10dnNo/t8AO (1/1)

>>1おつ

サブナックさんやたらかっこいい風貌してんのな


313VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/14(土) 03:30:33.40anmRSpKd0 (1/1)

>>1 おつ



314VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/14(土) 12:37:08.47eeUANXLIO (1/1)

さーたん♩


315VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/14(土) 12:39:27.89nyZwJaGDO (1/1)

青い巨星サブナックたん


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/16(月) 16:58:36.23Mz9lD6cB0 (1/1)

サタンたん
サンタさん

あれ?


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/16(月) 19:29:30.13pIwq4fBDO (1/1)

年内にはプロローグ終わりそうな感じかな?


318 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 21:59:23.71c/v7vtyGo (1/9)

白虎長「ひゃあ~。おっきいですねぇ~!」

ジュニア「もう怖いとかそういうモン全部通り越して、笑えてくるぜ……ハッハ!」

サタン「……」

戦士「大したこたぁねぇよ。でけぇ魔物なんざ腐るほど相手してきた」

召喚士「戦士の言う通りだよ。今までだって戦ってきたじゃないか」

青年兵「牛魔王」

魔道士「そうですよ! 牛魔王だって大きかったですよ!」

盗賊「だが、上半身だけで牛魔王のような大きさだぞ」

青龍士官「デカイから強いというわけでもない。速さでかき回してやれ!」

朱雀嬢「そうですわっ!」

アマゾネス「行けっ、ワルキューレ! 相手は動けん。背後から強襲するのだっ!」

大軍師「うまく動きを封じさえすれば、タイミングを見計らって五行を叩き込めますね」

青年兵「はい。五行の準備に入りましょう」

大軍師「各自、移行して下さい」

召喚士「……はい」


319 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 22:00:18.59c/v7vtyGo (2/9)

青龍士官「いけぇーっ!!」

ワイバーン「ウオオオオォォォォ!!」

アマゾネス「続けぇ!」

朱雀嬢「空中戦で負けるわけにはまいりませんわ!!」

戦士「いいぞっ! 地上と空中、両方から仕掛けりゃ、あの図体じゃ避けられんぜ!」

名代「召喚士殿、いきますか」

召喚士「名代さん、大丈夫です」

名代「……?」

召喚士「五行は俺、1人でいけます」ザッ

名代「召喚士殿!」

青年兵「召喚士さんっ!! 無茶は――」

大軍師「いや、ここは朱雀先生にお任せ致しましょう」

召喚士(出来るはずだ。5属性召喚……)

サタン「…………」

召喚士(命に関わらない、ギリギリの合体召喚。今なら感覚で放てるはずだ!)


320 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 22:01:33.27c/v7vtyGo (3/9)

 バシュウウゥゥゥゥ!!

白虎長「いいわよっ、もっと空中からかき回してっ!」

女隊員「隙が出来てるッスよ!!」

召喚士「……行け」

 シュイイイイィィィィン

召喚士「サラマンダー、ウンディーネ、シルフ、ノーム……座敷童子!!」

 5対の召喚獣が金色の光を放ち、1つの細い光となる。

 その光は次第に太く、長く変化をし、サタンを取り巻くように絡みつく。

美女「あれは……龍!? 金色の龍……っ」

盗賊「そうだ。あれこそ召喚士の5属性召喚士!」

召喚士「サタン、これでお前も終わりだ!!」

 光がサタンの体内を蝕み、巨大な1つの金色の輝きを解き放つ。

サタン「ゴ……オオ……ゴガアアアアァァァァツ!!」

 地響きのような轟音が鳴り響いた。サタンの悶絶するような咆哮だ。

 召喚士が5属性召喚がサタンを捉えた証拠であった。


321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/16(月) 23:07:42.04Lc7DanVCo (1/1)

サタン「私に真の力があると思っているようだが。そんなものは無い」

おっさんs「過去の因縁とか忘れたぜ」

ご愛読ありがとうございました



322 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 23:20:09.97c/v7vtyGo (4/9)

 ドッドオオオオォォォォ……

男隊員「やった……か?」

戦士父「そうは思えんがな」

戦士「だがもしそうだとしても、ダメージはかなり与えられたはずだ」

魔道士「ええ!」

召喚士「ど……う……」

 ドクン

召喚士「!?」ガクッ

戦士「召喚士!」

召喚士「大丈……夫」

青年兵「あれだけの召喚だ……っ、無事なはずがない……」

サモナー「……っ」

剣士「サタンは……」

サタン「…………オオォォォォ」

西方司令「何っ!?」


323 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 23:21:28.69c/v7vtyGo (5/9)

 ゴッガアアアアァァァァ!!

朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!」

玄武娘「朱雀嬢ちゃん!!」

アマゾネス「馬鹿な……っ」ドサッ

美女「ウソ……でしょ……?」

青龍士官「あれだけの召喚獣を……」

サタン「オオォォォォ……」

青龍士官「たったの……一撃……だと……ぉ」ドシャッ

 金色に包まれたサタンが放った拡散する光。

 その一撃、たったの一撃で空中の召喚獣全てが消滅した。

サタン「……つまらぬ」

ジュニア「!?」

サタン「五行であれば倒せる、そんな浅はかな嗜好」

弓使い「ま、まさか……無傷だって言うの……っ?」

サタン「巨大であるが故に、遅いなどと決め付けるその一辺倒な戦術」


324 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 23:22:00.52c/v7vtyGo (6/9)

召喚士「……っ」ヨロッ

サタン「何もかもが浅はかであり、人間の知恵として限界なのであろうな」

ジュニア「……バケモノめっ、こりゃあちょっと……ヤバイかもな」

水の先生「五行が通じないならば、どうやって倒せばいいんだ……!」

青年兵「通じないなんて事、あるはずがない……っ」

大軍師「同感ですね。何か、あるはずなのです」

南方司令「その何かを探っているうちに、全滅するぞ」

男隊員「させっかよ、そんな事は」

戦士「召喚士っ! 起きれっか!?」ダダッ

召喚士「ありがとう……っ」グッ

盗賊「どうする?」

魔道士「私達で、何とかできないでしょうか……」

戦士「五行が効かない、なんて事はないよな?」

召喚士「ああ。通じないはずはないんだ。でも、今のままでは……」

戦士父「戦士、ゾディアックをよこせ」


325 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 23:22:42.08c/v7vtyGo (7/9)

戦士「!?」

戦士父「ゾディアックに五行を限界まで付加して、叩き込む」ザッ

戦士「親父っ!」

戦士父「外部からが無理なら、内部に直接叩き込むのみだ」

戦士「無茶を言え! んな事したら……」

戦士父「死ぬ? だからどうした。サタンを倒さねば全てが死ぬんだ」

戦士「……っ」

戦士父「俺の命なんざどうでもいい。早くしろ」

戦士「……だからって」

召喚士「戦士父さん、駄目です」

戦士父「今の話が聞こえなかったのか?」

召喚士「もう少しだけ時間を下さい。必ず、攻略の糸口を掴んでみせますから」

戦士父「……死ぬぞ?」

召喚士「死にません。絶対に」

戦士父「……分かった。何とか時間を稼ぐ」


326 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 23:23:59.47c/v7vtyGo (8/9)

召喚士「ありがとうございます……」

戦士「だからってどうすんだよ!?」

召喚士「4人でサタンに攻撃しよう」

魔道士「4人で、ですか?」

召喚士「何かヒントを、サタンを倒すヒントを見つけるんです」

盗賊「……そうだな。この4人ならば動きもとりやすい」チャキッ

戦士「しゃーねぇ。今まで修羅場潜り抜けてきたパーティーだ。サタン相手だろうが……」

召喚士「うん。うまく連携をとれば、好きにはさせないよ」

戦士「おっしゃ! やってyろうじゃねぇか。行くぞ、盗賊!」ジャキッ

盗賊「……ああ」

魔道士「精一杯、援護しますっ!」グッ

召喚士「……行けっ! コカトリス!!」

 シュイイィィィィン

召喚士「5年間の集大成、見せてやる!!」

コカトリス「ああ。みせてやれ召喚士、お前の本当の強さをな」


327 ◆1otsuV0WFc2012/07/16(月) 23:28:25.41c/v7vtyGo (9/9)

大軍師「まずは朱雀先生の五行が効いたのかどうか、ですね」

青年兵「ええ。効いているのならば連続で叩き込めばいい」

大軍師「しかし効いていないのであれば、戦術を立て直す必要があります」

ジュニア「サタンの余裕っぷりからすると、あんま期待できねーけどな」

大軍師「分かりませんよ?」

戦士父「朱雀が仕掛ける。サタン攻略の糸口を見つけるそうだ」タタッ

青年兵「我らも続きましょう」

大軍師「各自、一旦編成を解きます。各々、動き易い形へスイッチを!」バッ

剣士「あっちは朱雀パーティーか。ならば僕らも!」

弓使い「ええっ。行きましょう! 幼女、行くわよ!」

幼女「うんっ!」タタッ

男隊員「特遊も4人で攻めるぞ!」

ボス「了解!」

格闘家「……了解」グイッ

女隊員「了解っス!!」


328VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/17(火) 01:09:16.78WKdYjIYAO (1/1)

>>1おつ


329VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2012/07/17(火) 07:18:48.276HsqUlVBo (1/1)

大軍師「はーい、仲の良い人でパーティ組んでサタンに攻撃してー」


330VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/17(火) 08:28:20.04RJGSy7wAO (1/1)

>>329
ビクッ!


331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/17(火) 08:35:07.77hmSdXGEoo (1/1)

>>1乙

この編成だとグループ作りに漏れるのは美女あたりか?


332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/17(火) 09:39:01.51DeWBTZDDO (1/2)

魔法剣士も漏れるから大丈夫だ


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/17(火) 12:36:46.298Bvmx1hr0 (1/1)

>>1 おつ



334 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:48:20.91+OkOfbHYo (1/8)

 圧倒的な力を持つ魔王サタンを攻略すべく、新たな戦術へと移行する中、

 援軍に駆けつける一同の目には、驚くべき光景が映り込んでいた。

盗賊「……しっ!」ビュオッ

戦士「っらああぁぁ!!」

 流れるような滑らかな動きで、盗賊がサタンの前方より側面へ、

 更には崖を駆け上がるようにサタンの体を飛び跳ねて登って行く。

 その様子を下から眺め、アイコンタクトを取りながら、戦士は地上より、

 サタンの隙を窺うべく懐に潜り込み、にわかに牽制の攻撃を仕掛け始める。

戦士「コイツにとっちゃ、虫に刺された以下なんだろうが、それでも構わねぇ!」

盗賊(戦士が地上でかき回してくれている。お蔭でこちらへの意識が減っているな)

戦士(盗賊の奴、随分とまぁ、うまく立ち回るようになったじゃねぇか)

 互いが互いを理解しているからこそ、離れた場所であってもうまく連携が取れている。

 この4人で冒険を初めて5年以上。結成当初は互いの足を引っ張る事も多々あったが、

 今となってはそれももう懐かしい思い出。そう思えるところまで達していた。

戦士「でっりゃああああぁぁぁぁ!!」


335 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:48:48.59+OkOfbHYo (2/8)

 ガキイイィィィィン!!

戦士「ビクともしねぇ……っ、だが!」

召喚士「コカトリス!!」

コカトリス「おうっ!」バシュッ

サタン「またか。単純な攻撃だな」

 サタンは前衛の攻撃に合わせ、隙を突くコカトリスへ警戒のシグナルを発する。

 特に体の動きはない。しかし、コカトリスの正面、サタンの脇腹あたりであろうか、

 突如大きな穴が開き、そこから閃光が拡散する。

戦士「きたぞっ!!」

コカトリス「拡散型は……厄介なものだな!」

 愚痴をこぼしながらも、コカトリスは閃光を回避し、更に前へと羽ばたく。

コカトリス「ぬっ!」バチィ!!

男隊員「被弾したっ!」

青年兵「いやっ、かすっただけです! まだいけますよ!」

サタン「大したものだな。だが、甘い」


336 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:49:18.99+OkOfbHYo (3/8)

 今度は上空より降り注ぐ閃光。もはや逃げ道はなく、蝶を捉える蜘蛛の巣のようである。

魔道士「やあぁーっ!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴガガガガッ!!

サタン「……?」

 上空をドーム状に、土の壁が覆い、コカトリスへの閃光を妨げる。

玄武娘「凄いですの……っ。これが、連携……」

サモナー「一切の無駄がない。本当に凄い……いや、そんな一言では済ませられないな」

サタン「この程度の魔法で、防ぐ事が可能だと?」

 ギュバッ!! ガッカアアアアァァァァッ!!

魔道士「ま、まだくるのぉ!?」

 土の壁が破られる。隙間より突き刺さる閃光がコカトリスを襲う。

戦士「甘いんだよぉ!!」ダッ!!

 ズッガアアアアァァァァ!!

戦士「ぐ……っくううぅぅ!!」

サタン「盾で防ぐだと? 貴様、その盾……ただの盾ではないな?」


337 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:49:47.16+OkOfbHYo (4/8)

戦士「てめぇを倒す為に、命をかけて作ってくれたんだよおぉ!!」

盗賊「ようやく辿り着いた」バッ

サタン「何?」

 突如、顔の前に現れた埃のように小さな盗賊に、サタンは一瞬、戸惑いをみせた。

盗賊「藤蔵奥義……風林火山!!」ババババッ

 めまぐるしく動く両手の指。盗賊が風林火山の印を結んだのだ。

盗賊「はあぁーっ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ズガカアアアアァァァァ!!

サタン「――――ッ」

召喚士「今だぁ!!」

コカトリス「おおおおぉぉぉぉ!!」

 至近距離にて風林火山を浴び、完全に虚を突かれたサタン。

 その下部では、コカトリスがサタンめがけ突撃を敢行しようとするが……。

召喚士「コカトリス!! ブレスだ!!」

コカトリス「何っ!? 間に合うか……っ」


338 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:50:18.59+OkOfbHYo (5/8)

 ゴッゴオオオオォォォォ!! ビシビシビシッ……ピキィ

青年兵「第3の攻撃ではなく、通常の吐息……っ」

朱雀嬢「咄嗟に、何か……察したようですわね……っ」

青年兵「朱雀嬢さん、大丈――」

朱雀嬢「大丈夫とか大丈夫じゃないとか、ここまできたら関係ありませんわよ」

青年兵「……分かりました。されならば共に、戦いましょう」

朱雀嬢「もちろんですわ」ザッ

 シュウウウウゥゥゥゥ……

戦士「召喚士、どうした!?」

召喚士「何か嫌な予感がしたんだ。突撃はまずいって」

盗賊「……」スタッ

魔道士「サタンがまだっ、動きますよ!」

サタン「……」ズズッ

戦士「もういっちょ行くぞ!」

魔道士「はいっ!」


339 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:50:58.55+OkOfbHYo (6/8)

剣士「見とれている場合じゃないな。こっちも行こう」

幼女「うんっ!」

 キュイイイイィィィィ……ドッドオオオオォォォォン!!

ジュニア「なんつう火力だ……っ。あんな少女が……」

魔法剣士「どけ」バッ

 各々が威勢を取り戻し、朱雀パーティーの4人に続く。

 互いに連携の取れたコンビネーションを見せる剣士、弓使い、幼女の3人。

 単身ながら圧倒的な火力と技術で攪乱する魔法剣士。

 初代、先代に勝るとも劣らぬチームワークで攻守に貢献する特遊4名。

南方司令「アルティメットオオォォォォ……ジャスティスパアアァァァァンチ!!」ゴアァ!!

西方司令「えーと……ああダリィ!! なんたらかんたらパンチ!!」ゴアァッ!!

戦士父「付加を頼む」ジャキッ

火の先生「任せておけいっ!」

水の先生「火と水……支えきれますかっ!?」

戦士父「相反する2行だろうと、まとめて打ち込んでくれる!」


340 ◆1otsuV0WFc2012/07/17(火) 17:59:06.04+OkOfbHYo (7/8)

大軍師「一気に息を吹き返しましたね」

青年兵「ええ。召喚士さん達のお陰で、士気も高まりました」

大軍師「それで、どうです?」

青年兵「動きを見てはいるんですが、特にこれと言って変わったことは……」

大軍師「やはりそうですか」

青年兵「唯一は先程、盗賊さんが4行を仕掛けた場面ですね」

大軍師「はい。一瞬停止し、コカトリスの石化を浴びておりました」

青年兵「石化部分も回復はいないようです。石のままですしね」

大軍師「……5属性召喚の際も、その瞬間だけはサタンの動きが止まっていた」

青年兵「まさか……」

大軍師「いやっ、しかし……もしそうだとしてもこの作戦は流石に……」

青年兵「……っ」

大軍師「……1度だけ、試してみますか」

青年兵「価値はあると思います」

大軍師「……承知致しました。早速、策を練りましょう」ザッ


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/17(火) 18:22:06.72+OkOfbHYo (8/8)

相変わらず短いですが今日はここまでにて…
連休中もご支援ありがとうございました!それではまた!ノシ


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/17(火) 18:24:45.54DeWBTZDDO (2/2)

やっぱりぼっち魔法剣士たん…

おつんぽ!


343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/17(火) 20:41:03.953Jk4BHmAO (1/1)

ケルベロス連れてくればよかったのに


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/17(火) 22:07:18.30jAu74FdSO (1/1)

アヌビス!


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/17(火) 23:18:32.31hJBm6kZho (1/1)

天地魔闘の構えや!


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/18(水) 01:05:08.75ALy77h9AO (1/2)

>>1おつ


347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/18(水) 05:40:48.77WR1AVkwF0 (1/1)

>>1 おつ



348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/18(水) 08:22:23.47wvlvVYcAO (1/1)

>>1乙んつんであります!


349 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:01:41.59nab7Got7o (1/11)

盗賊「くっ!」ズザッ

サタン「単調だな。よくかわしてはいるがな」

男隊員「くんぞぉ!!」

 ビュオッ!! ドッゴオオオオォォォォン!!

戦士「たかが拳を振り下ろしただけで……天地がひっくり返ったみてぇだ……っ」

格闘家「しかし、力を合わせれば支えきれます」ググッ

戦士「ああ。ここで俺らが支えなきゃ、どうしようもねぇんだ!」

帝「名代っ、毘沙門天だ」

名代「御意に」ズザッ

王子「我に力を貸したまえ……セクメト!!」

男隊員「いいぞぉーっ! 押し返せぇ!!」

女隊員「ふんぬああぁぁーっ!!」

サタン「力攻めで攻略出来ようなどと思っているのか? いや、否」

召喚士「……」

サタン「たかが人間と言えど、そこまで愚かではないだろう」


350 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:02:12.96nab7Got7o (2/11)

 ドッドオオオオォォォォン!!

サタン「力で押すならば、このサタン、退くまでよ」

戦士「何っ!?」

 サタンは力で攻めるも人間の思わぬ反撃にすんなりと諦めを見せ、

 再び、拡散閃光による間接攻撃へと戦術を変更した。

剣士「なっ!?」

 ガッカアアアアァァァァッ!!

幼女「くうぅーっ!」

魔道士「もっと、もっと土行を……っ!」

ジュニア「うーりゃああぁぁ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴガゴゴゴゴゴッ!!

魔法剣士「いとも簡単に、攻め手を変えてくるとはな」チャキッ

男隊員「今までの魔王とは根本的に違う。力一辺倒じゃねぇ」

大軍師「傲慢や警戒などといったものではありませんね、これは」

青年兵「ええ。そもそも考え方が違うんです。恥やプライドすらもない」


351 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:02:41.04nab7Got7o (3/11)

賢者「サタンはサタンである……だね。ふぅ」

魔法剣士「それで、どうする?」

大軍師「通常攻撃、魔法攻撃の類は一切通じていませんね」

青龍士官「単体の召喚攻撃もだな」

青年兵「やはり五行しか通じない……っ」

西方司令「だからどうするんだっつってんだよぉ!!」

大軍師「あちらが忠実な戦いぶりならば、こちらも合わせるだけですね」

ボス「……?」

大軍師「ご存じないですか? 戦闘における基本を」

南方司令「正義は勝つ、という事か?」

大軍師「違います。三竦みです」

ジュニア「三竦み? ジャンケンポン……ってか?」

青年兵「通常攻撃は召喚術に強く魔法に弱い。魔法は通常攻撃に強く召喚術に弱い」

大軍師「そして召喚術は魔法に強く通常攻撃に弱い、というものです」

男隊員「魔道学校や国軍で一番最初に習う事だな」


352 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:03:09.64nab7Got7o (4/11)

大軍師「戦いの基本であり、理想であり、真理なのかもしれませんね」

サモナー「普段は分かっていても、面子や状況でなかなかうまくはいかないけれどね」

男隊員「なんたって召喚獣と戦う場面なんざねーからな。ヒャハハ」

青年兵「……今ここには、その三竦み全てのスペシャリストが揃っています」

大軍師「ましてや相手は戦い方は基本中の基本。やらぬ手はありません」

剣士「つまり相手が物理攻撃を仕掛けてきたら……」

弓使い「魔法で攻撃。魔法がきたのなら、召喚獣で攻撃……って事ね」

王子「しかし相手は召喚獣を使ってくるわけではないぞ?」

大軍師「そこが肝なのです」

南方司令「どういう事だ?」

大軍師「先手を取りつつも、あっという間にカウンターを仕掛けられる戦術です」

女隊員「えっと……よく分からないッス」

大軍師「普通に戦っていれば分かりますよ。普段もやっている事ですから」

青年兵「では行きましょう。前衛も苦しそうです」

大軍師「それでは第二波、いきますよっ!」バッ


353 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:03:38.67nab7Got7o (5/11)

戦士父「ぬんっ!」

戦士「でりゃああぁぁ!」

 ガッキイイィィィィン!!

火の先生「どんどんいくぞいっ!」

水の先生「ここで役に立てなければ、生徒に合わせる顔がないんでね!」

魔道士「……くっ」

盗賊「魔道士、無理はするなよ?」

魔道士「まだまだっ、いけますよっ!」

盗賊「うむ」ダッ

サタン「これと言って苦戦を強いられているとは決して思わない」

召喚士「行けっ! コカトリス!!」

サタン「しかしどうであろうか。こうも人間に都合良く展開される結果というものは」

朱雀嬢「玄武娘っ!!」

玄武娘「はいですの!!」ドッドオオオオォォォォン!!

サタン「龍脈を塞がれ、満月の日を選択し、そうか、全ては都合良く進むよう行われている」


354 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:04:05.90nab7Got7o (6/11)

南方司令「……むっ」ブシュッ!!

西方司令「拳を使いすぎだ! 蹴りだ蹴り!」

サタン「召喚獣などというものを、この地獄において呼び寄せる事もそうだ」

青龍士官「ワイバーン! 炎だ!」

白虎長「バハムートの閃光を……食らうがいいわっ!!」

サタン「不届きな結界、古の頃よりこのサタンを封じる忌まわしき結界……」

 ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……゙ゴ……

サタン「禁忌をおかしてまでこのサタンを……」

青年兵「サタンの気配が変わった!!」

大軍師「今ですっ!!」

格闘家「……石破ぁ!!」

女隊員「叩き込む……ッスよおおぉぉ!!」

戦士「おっ!?」

魔法剣士「前衛は一斉攻撃だ」ジャキジャキッ

戦士「おうよ!!」ザッ


355 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:04:36.63nab7Got7o (7/11)

サタン「……またか」グアッ

男隊員「拳がくんぞぉーっ!!」

大軍師「魔法攻撃っ!!」バッ

幼女「やあぁーっ!」

ジュニア「合体五行だ! 誰でもいいっ、早くしろ!」

火の先生「そうら!!」

水の先生「あとは……風だ風ぇ!!」

大軍師「私の出番ですね」スッ

 ドッドオオオオォォォォン!! ガッカアアアアァァァァ!!

青年兵「さぁどうでる……サタン」

サタン「五行か。幾ら真っ向から攻撃しとようとも、無駄な事だ」

青年兵「……そうか……っ」

帝「何か分かったのか?」

青年兵「サタンは自らの魔法で、五行を中和している……っ」

王子「なるほど。トリックが分かれば後は簡単な話だ」


356 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:05:04.53nab7Got7o (8/11)

青年兵「ですね。似たような例は既に、経験済みですから!」ザッ

魔法剣士「魔法剣……四行!!」

 ゴガアアアアァァァァ!! ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

サタン「…………」

魔道士「効いたっ!?」

青年兵「今だ! 召喚を!!」

青龍士官「青龍の誇りにかけて、サタン! 貴様を倒す!」

サモナー「マーメイド、いくよ」

マーメイド「ええ。行きましょう!」

 物理攻撃同士のぶつかり合い均衡に持ち込み、更に先手必勝で魔法による五行を放つ。

 魔王サタンはすぐさまその動きを見切り、自身の魔法において五行を中和した。

 ここで三竦みの召喚術が発動。多数の召喚獣が一斉にサタンを襲う。

 ジャンケンで言わば、サタンはグーに対してグーを、チョキに対してチョキを、

 ここまで引き分けにしか持ちこめていない。先手を取られそうせざるを得なかったからだ。

 そしてサタンはパーを持ち合わせていなかった。勝つにはチョキを出さざるを得ない。


357 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:06:20.61nab7Got7o (9/11)

サタン「召喚獣か。対応はとれている」

ボス「本体狙いかっ!」

白虎嬢「させないですよぉ~」

 サタンが召喚獣を倒す手段、それは召喚獣を潰すか、本体を潰すか。

 先程までは召喚獣狙いであったが、召喚獣を潰してもキリがないと悟った。

 それだけ召喚士らの魔力が大きいのだ。こればかりはサタンにとっての誤算であった。

 五行に対する防御に徹していた、硬直していたサタンが動き出す。

 拡散する光が召喚獣とその主らを再び襲う。しかし光が召喚獣に当たる事はない。

ワイバーン「何度目だと思っているか」

ベヒーモス「かわせぬ攻撃ではないっ!」

ブリュンヒルデ「地上! よけてっ!」

サタン「主を殺せば、召喚獣も消える事は理」

召喚士「……だろうね」

サタン「……?」

召喚士「そうくると、思っていたよ」


358 ◆1otsuV0WFc2012/07/18(水) 18:07:24.92nab7Got7o (10/11)

名代「毘沙門天!」

召喚士「行けっ! ワイバーン! スキュラ! フェンリル! ハーピー!」

 シュイイィィィィン……ガカアアアアァァァァ!!

サタン「またしても金色の光……」

名代(恐るべき力だ……。たった一体だと言うのに……私の毘沙門天が召喚士殿に……)

召喚士「……」

名代「召喚士殿に圧されているのか……っ」

大軍師「五行を封じ、召喚術を封じた為にサタンの魔力は流れ出ている状態です」

青年兵「ここで召喚士さんの五属性召喚が……決まれば……っ!!」

召喚士「いっけええええぇぇぇぇーっ!!」

 ガッカアアアアァァァァッ!!

サタン「――――ッ」

 金色の光はまたしても龍のような形状を描き、サタンの体を外部から徐々に内部へと蝕み、

 程なくするとサタンは、体中を金色の光に照らされ、光は天高くへと昇っていった。

 それと同時に、召喚士は吐血の後、その場に倒れ込んだ。


359VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 18:09:19.79nab7Got7o (11/11)

今日はここまでにて。毎度のご支援ありがとうございました!
それではまた!失礼致します!ノシ


360VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/18(水) 18:10:33.39eCmFgRDZo (1/1)

ええええええ!・・・
リロードしまくってたのに・・・
>>1乙


361VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/18(水) 18:13:18.86TqtRx1AAO (1/1)

さすがのドS
>>1乙ですww


362VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 18:23:06.79I+xmjiYDO (1/1)

これはペニスしんだな

南無


363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/18(水) 19:00:59.857kGTV+Uao (1/1)




364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 19:16:06.46/gjSZkDDO (1/1)

いちょつ

白虎長がバハムート召喚しようとしてしている件


365VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 19:27:41.75wzvVAINwo (1/1)

>>1乙!

>>364
バハムートもベヒーモスも似たようなもんさ



366VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 19:29:28.103sC5k5MCo (1/1)

召喚士がまるで主人公みたいだな


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/18(水) 20:16:30.88uUytxs1so (1/1)

>>1乙

サタンのカウンター?はどういったものなんだ?物理も魔法でも当てると自分に重大な損傷が起きるのか?


368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 20:26:24.75ozglTZmIO (1/1)

サタン自体が厄とかそういう概念的存在だから与えたダメージに比例して削った分の厄が攻撃した奴に入りこむ。みたいな事を想像した


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/18(水) 20:33:44.39Rt80exwmo (1/1)

>>365
まぁ似たようなものも何も実際同一存在だしな


370VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/18(水) 21:10:14.53A54bueUgo (1/1)

>>369
バハムートは本来魚だって聞いた気がするけど
ベヒモスも一緒ってことは魚なん?
ggrksはなしで


371VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/18(水) 21:25:53.75ALy77h9AO (2/2)

>>1おつ


372VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/19(木) 02:08:58.972RKZ8Sd+0 (1/1)

いちおつ



373VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 11:28:57.68v1acrABXo (1/2)

>>370
バハムート=リバイアサン
たぶんリバイアさんとベヒモス勘違いしてるんだと思う

ってかベヒモスたんが喋ったのこれが初めてじゃね?
そして夫人はでてくるのだろうか

>>1乙


374VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 11:30:03.94N86XeRyIO (1/2)

>>373
本気で言ってるのかネタなのかわからん


375VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/19(木) 11:31:33.07WnPSFmE20 (1/1)

>1乙

主役の戦士さんの場面が少なくて、脇役の召喚士さんが活躍してるとか…


376VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 11:53:08.26v1acrABXo (2/2)

>>374
バハもベヒもリバもほぼ同じでござった
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%8F%E3%83%A0%E3%83%BC%E3%83%88


377VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 11:58:38.88N86XeRyIO (2/2)

>>376
俺が見た本だとレビィアタン(雌) ベヘモト(雄)で同種
でベヘモトとベヒモスが別種で
バハムトの由来がベヒモスだった



378VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)2012/07/19(木) 12:03:50.02aFduz55Bo (1/1)

コレでも見ながら
雑談は向こうでやんな
http://www.jiten.info/index.html


379VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2012/07/19(木) 12:10:33.18k2c9s46Wo (1/1)

そろそろどうでもいい


380 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:00:50.62CiRcpU1Xo (1/10)

 ドッドオオオオォォォォ……

召喚士「がは、ごほっ!!」ビチャッ

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「ぐ……っかは!!」

 駆け寄る魔道士らを手で制する召喚士。

召喚士(……音が聞き取り辛い。聴覚の一部をやられたか……っ)

戦士「サタンは!?」

盗賊「……健在だ……っ」

 ドドオオオオォォォォ……

サタン「……成程」

大軍師「五行で丸裸となったところに、更なる五行で攻撃を仕掛ける」

青年兵「……」

大軍師「戦果はどうみますか?」

青年兵「効果はあったと思います。思いますが……」

大軍師「ダメージの度合いがどれ程のものなのか、。ですねぇ」


381 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:01:40.15CiRcpU1Xo (2/10)

 ゴゴオオオオォォォォ……

盗賊「……なぁ」

戦士「あん?」

盗賊「……私の勘違い、ではないよな?」

戦士「だから何だよ!? 早くしろ、次の攻撃が来るぞ」

盗賊「サタン、少し小さくなってないか?」

戦士「……何ぃ!?」ババッ

剣士「……ほ、本当だ」

戦士「ごくわずかだが、さっきより縮んでる……気がする」

青年兵「――!?」

大軍師「完全に見えましたね、攻略の糸口が」

青年兵「やっぱり効いていたんだ……っ! 五行が、効いていたんだ!」

召喚士「ぐ……ぅ……」ヨロッ

サタン「このサタンに対し直接、五行を撃ち込むというのか」

 召喚と名代による五属性召喚。それは確実に、サタンへダメージを与えていた。


382 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:02:09.38CiRcpU1Xo (3/10)

青年兵「……」

帝「名代っ、無事か?」

名代「わ、私は毘沙門天のみですので、さほどの被害はなく……」ザッ

青年兵「……っ」

 五行がサタンに通じる事は判明した。だがそれは、青年兵にとって苦渋の決断でもあった。

 何故ならば理由は単純明快。ただでさえ五行という負担の大きな攻撃をしつつ、

 サタンの災厄による肉体への負担をも浴びなくてはならないからだ。

 攻撃を繰り返せば繰り返すほど、サタンを倒す好機は巡ってくる。

 だがそれとは引き換えに、攻撃を繰り返せば繰り返すほど、災厄による

 自分自身へのダメージは徐々に蓄積されていくのである。

 青年兵は攻撃が効く事を祈りつつも、最も避けて通りたい作戦であった。

 サタンが先か、こちらが先か、文字通りノーガードの打ち合いなのである。

青年兵「やるしか……ありませんね」ザッ

大軍師「分かりました。最終編成へ移りましょう」

 青年兵はただ1度、こくりと首を縦に頷いた。


383 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:03:11.95CiRcpU1Xo (4/10)

 ヨロッ……ザッ

召喚士「……っ」

サタン「まだ立つか。奮闘しているのは単独だがな」

西方司令「でけぇ図体でゴチャゴチャ喋るんじゃねぇ! 耳に響くんだよ!」

南方司令「次、行くぞ」ダッ

格闘家「石破ああぁぁ!!」

 ズッドオオオオォォォォン!!

青年兵「名代さん、連続ですが……いけますか?」

名代「ええ、お任せ下さいませ」

青龍士官「青年兵、お前は下がっていてくれ」

青年兵「だが……」

青龍士官「青龍は俺が担う。お前が潰れては指揮系統が乱れる」

青年兵「……すまない」

白虎長「それじゃいくわよぉ!」

朱雀嬢「はいですわ!」

玄武娘「はいですのっ!」ザッ


384 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:04:24.32CiRcpU1Xo (5/10)

 ドガガガガガガッ!!

サタン「どうせ狙いは、五行なのだろう?」

戦士父「通常攻撃はもう、無駄かもしれんな」

戦士「ああ。サタンにも読まれてるしな」

西方司令「理屈じゃねぇ! 手数でサタンの動きを封じんのも役目だろうが!」

南方司令「そうだ。後方の連中の為にも、サタンの足止めをするのが我らの仕事!」

 奮闘する前衛を心配そうに見つめる後方の一団。魔道士達である。

大軍師「召喚隊の準備は整ったようですね。こちらも参りましょう」

火の先生「さっきから連発じゃからな。もうあまり撃てんぞい……」

水の先生「確かに、序盤から少しハリキリすぎましたね」

ジュニア「さっさと決めてやろうぜ……ハッハ」

賢者「……ふぅ」

大軍師「それでは、五行……発動!!」

 5人の魔力が均等に揃い、白い光が1つに集約し、次第に巨大化を始める。

サタン「来るか」


385 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:05:04.39CiRcpU1Xo (6/10)

戦士「まずは突破口おおぉぉ!!」

盗賊「はあぁーっ!!」

サタン「……ここは良い、良いのだ。甘んじて受けようぞ」

戦士「何!?」

盗賊「反撃しないだと……っ?」

サタン「問題は次だ。さて、どうする」

ジュニア「どうすんだぁ!?」

大軍師「構いません! このまま撃ちます」バッ

 ドッドオオオオォォォォン!! ガッカアアアアァァァァ!!

サタン「……あえて、受けてみるか」

火の先生「――――!?」

水の先生「直撃……!!」

青龍士官「どういう事だ!」

青年兵「自身の魔力で中和しなかったんだ……っ」

白虎長「じゃあこっちはどうするのよ!?」


386 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:05:51.60CiRcpU1Xo (7/10)

青年兵「それでも、撃つしかありません」

名代「……っ」

青龍士官「次の五行だって控えているんです。手を休めるわけにはいかん!」

白虎長「……じゃあ、いくわよもうっ!!」ゴアッ!!

朱雀嬢「玄武娘、抑え目になさいな!」

玄武娘「えーと……おいで、ケルピー!」

 シュイイイイィィィィン……ギキイイイイィィィィン!!

サタン「さて、次はこれをどうするかだな。甘んじて受けるかそれとも……」

 ズザァ

サタン「……?」

召喚士「受けざるを得なく……してやるさ……っ」

男隊員「あのバカ……っ、これ以上は無茶だ!!」

ボス「ど、どうするつもりなんだ……っ」

召喚士「サタン、俺がここで五属性召喚を放てば、お前はどうする?」

サタン「……名は?」


387 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:07:31.27CiRcpU1Xo (8/10)

召喚士「……召喚士」

サタン「前にも会ったか?」

召喚士「残念だけど……初めてだよ。ごほっ」

サタン「召喚士、死をも厭わぬその覚悟、なかなか感心するものがある」

召喚士「行っけええええぇぇぇぇ!!」

 シュイイイイィィィィン!!

サタン「貴様には更なる苦しみを分け与えてくれようぞ」

 ガッカアアアアァァァァ!! ドドオオオオォォォォ……

戦士「いった!! これで3発目か……っ」

魔道士「召喚士さぁん!!」ダッ

玄武娘「……何とも……ないですの」

朱雀嬢「朱雀先生のお陰ですわ……っ」

白虎長「私達の召喚をサタンに中和させ、自身の召喚でサタンを……」

青龍士官「……お陰で、災厄は全て……朱雀先生に」

召喚士「……うああああぁぁぁぁ!!」


388 ◆1otsuV0WFc2012/07/19(木) 18:08:30.77CiRcpU1Xo (9/10)

 ドシャッ ズズッ

召喚士「ぐ……っううぅぅ……!!」

ジュニア「……じ、冗談じゃねぇ」ヨロッ

大軍師「5名による合体五行ですら、この災厄だと言うのに……」

水の先生「朱雀先生はたった1人でっ、どれ程の災厄を被っているというのだ……!」

魔道士「召喚士さんっ! 1度、退がりましょう!」

召喚士「こ……こから……ですよ……っ」ガクン

サタン「そうでなくばな。貴様には更なる罪と罰を与えねばならぬ」

召喚士「望む……ところぉ!!」グイッ

戦士「もう見てらんねぇ。俺も行くぜ、五行をよぉ!!」ザシャッ

盗賊「ああ。召喚士1人にこれ以上、頼っていられぬ」

青年兵「召喚士さん、僕もこれ以上は我慢出来ません。行きますよ」

王子「最後の切り札は私にある。案ずる事はない。限界まで挑もうじゃないか」

召喚士「……これからだ、これからが正念場だ!」ザッ!!

サタン「たった1人の所業が、他者を鼓舞し力となるか。やはり召喚士、貴様から始末しよう」


389VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 18:09:10.03CiRcpU1Xo (10/10)

ひとまずここまで。沢山のご支援ありがとうです!
それでは失礼致します!また明日!ノシ


390VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 18:10:19.96Z5c7z1P2o (1/1)

いちおつ

召喚士飛ばし過ぎだが・・・どうなるのかはらはらしてる


391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/19(木) 18:17:45.81P5mVldpdo (1/1)

>>1乙
お前らが脇役って馬鹿にするから・・・


392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 18:44:26.64rayPyMpIO (1/1)

いちおつおつ!
三年も追ってるともう胸厚で
しかもいっぱいファンもついて
最高だよ


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/19(木) 18:45:49.86KKBa3708o (1/1)

>>1おつ
相変わらず王子は・・・


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 19:01:01.145G1ksmgDO (1/1)

召喚士はわざと災厄を受けてるな

五感全てが失われたとき新たな小宇宙を感じるだろう

そう セブンセンシズに!


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/19(木) 20:16:38.155h4SiEFco (1/1)

>>1乙

召喚しさん、脇役だなんて言ってすまなかった…
これからのお前は、


名脇役だ…!!


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 21:09:40.41Bfi/0j840 (1/1)

名キャラクターダンサーになるのは名プリマになるより難しいってばっちゃが言ってた


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 21:13:57.92tmrz13qRo (1/1)

召喚士って実は主人公なんじゃないかと思い始めた


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2012/07/19(木) 21:44:14.40TG2eDv9i0 (1/1)

>>397いや・・・・名脇役だ


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/19(木) 22:36:38.798bqe7g67o (1/1)

夫人!はやくきてくれー!!


400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/20(金) 00:18:12.89qhEEu7xDO (1/1)

モブ召喚士がやるじゃないか。

それよりも夫人のターンはまだか


401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/20(金) 01:36:40.87Po1y5LqAO (1/1)

>>1おつ


402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/20(金) 13:53:54.83D1gTelYM0 (1/1)

>>1 おつ



403 ◆1otsuV0WFc2012/07/20(金) 17:48:47.01qv8xwrG7o (1/6)

召喚士「……っ」

サタン「目が死んでおらぬ。精神、肉体共にダメージを受けていると言うのにな」

召喚士「つぎだ、次……っ」

サタン「そしてこの目だ。この目……何かを感じる」

召喚士「行けっ! クジャタ!! コカトリス!!」

 シュイイィィィィィン……ドズウウウウゥゥゥゥン

サタン「コカトリス、そして召喚士……このサタンに対し、迷いを生じさせる存在」

盗賊「突風が……っ」

戦士「召喚士! 何するつもりだ!? これじゃ近寄れねぇぞ!!」

召喚士「クジャタの風に……コカトリスの……っ」

コカトリス「石化の風か。しかしこんなものでサタンを封じ込められるとは思えんがな」

召喚士「いいんだよ……これでっ!」

コカトリス「ならば従うまでだ。行くぞクジャタ」

クジャタ「ウゴオオォォォォーッ!!」

サタン「突風……いや、竜巻に石化。狙いは遮断か」


404 ◆1otsuV0WFc2012/07/20(金) 17:49:32.90qv8xwrG7o (2/6)

青年兵「召喚士さんっ!!」

召喚士「……ぐくっ」

青年兵「召喚士さんの考えは分かっているつもりです」

召喚士「……」

青年兵「次の攻撃は、皆に任せて下さい」

召喚士「……」

青年兵「召喚士さんっ!!」

召喚士「……ごめん、ありがとう」

青年兵「あなたが1人で戦っているわけではない。痛みは皆で、分かち合いましょう」

召喚士「そうさせて貰うよ……」

青年兵「五属性、いきますよ!!」ザッ

アマゾネス「行けっ、ワルキューレ!」

サモナー「マーメイド……頼んだよ」

白虎嬢「いっきまーす!」

名代「東方の陰陽師を……こんなものだと思うでないぞ……!!」


405 ◆1otsuV0WFc2012/07/20(金) 17:50:40.03qv8xwrG7o (3/6)

 シュイイイイィィィィン ズゴゴゴゴゴゴ……

召喚士「もうそろそろ……解けるよっ」

青年兵「……いつでも」

 サタンを取り囲むコカトリスの石化を得たクジャタの突風。

 吹き付けるそれはまるで、陶芸のろくろのような外観である。

 作られた灰色の壺に亀裂が走る。巻き付く風が四散し、中から光が弾ける。

西方司令「破られんぞぉ!!」

 ドッガアアアアァァァァ!!

 石化した風の壁がサタンの拡散閃光により内部より粉々に砕け散った。

男隊員「3秒おおぉぉ!!」

 カウント開始からきっちり3秒後、大軍師と男隊員の手により、

 クジャタとコカトリスの壁が風魔法で綺麗さっぱりと吹き飛ばされる。

 その奥に相も変わらず佇む魔王サタンは、次の攻撃へと移る準備のような素振りであった。

 そこへ五属性召喚が発動される。サタンが壺の中に収められている間に、

 十分過ぎる程の下準備は完了していたのだ。


406 ◆1otsuV0WFc2012/07/20(金) 17:56:27.18qv8xwrG7o (4/6)

青年兵「タイミングは完璧。中和する暇もないはずだっ!」

 その言葉通り、サタンは不意を突かれた形となり、青年兵らの放った

 五属性召喚が見事、直撃する。

サタン「…………」

 五行の光が輝く中、サタンは表情を一向に変える事はない。

 しかし無傷とはいかず、またしてもその体を小さくする事と相成った。

 ガッカアアアアァァァァッ!!

ジュニア「よしっ、命中!」

青年兵「がはっ!」ガクン

白虎嬢「う……っくぅ」

青年兵「こっ、これが……災厄……っ」ズシャッ

玄武娘「サモナー様!!」

サモナー「……ごほっ、ごほ!」

マーメイド「サモナー……っ」

サモナー「どいてくれマーメイド。まだ終わったわけじゃないんだ」ググッ


407 ◆1otsuV0WFc2012/07/20(金) 17:58:52.00qv8xwrG7o (5/6)

マーメイド「サモナー……あなたには無理よ……っ。立つのですらやっとじゃない!」

サモナー「……そうだね。でも、やらなくちゃいけないんだ」

マーメイド「……っ」

サモナー「今ここでやらなきゃ、どうしようもないんだ……っ!」ザッ

マーメイド「でもここままじゃ……まともに戦う事だって……」

サモナー「召喚士くんだって苦しんでる、みんな苦しんでるんだ。僕だけじゃない」

マーメイド「……サモナー」

サモナー「今が勝負どころなんだ。だから……休んでいるわけにはいかないよ!」ザッ

王子「よくぞ申した。西方の同志として共に戦おう」

サモナー「陛下……っ」

名代「西だけではありません。我ら東方もお忘れなく」

青年兵「では、もう1発いきましょう!」

白虎長「白虎嬢は休んでなさい。次は私が行くわよっ」

青年兵「大軍師さん!」

大軍師「はい」


408 ◆1otsuV0WFc2012/07/20(金) 18:00:05.75qv8xwrG7o (6/6)

青年兵「次は、連撃で行きましょう」

大軍師「……やりますか」

青年兵「五行によって明らかに縮んでいるのは明白です。ここは一気に畳み掛けましょう」

大軍師「そうですね。あまり時間を費やしてもいられませんし」

 全員ではない。一部の人間だけではあるが、サタンとの戦いにおいて、

 常に念頭している懸案事項があった。スーパーノヴァである。

 青年兵と大軍師の会話における時間がないとは、体力的なものもそうであるが、

 サタンによるスーパーノヴァ発動という最大の悪夢を防がねばならない。

 攻略法が見えた今こそ、徹底的に、迅速にサタンを倒さなくてはならないのだ。

召喚士「……」

 当然、召喚士もそんな事は理解している。承知の上でいる。

 だがサタンの戦いぶりに、どうしても何か不自然な点を感じていた。

召喚士(……サタンは……何かを待っているのか?)

サタン「……」

 先の見えぬ当てのない戦いはまだまだ続く。


409VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/20(金) 19:01:52.79EAAH3mwDO (1/1)

おつんぽ?


410VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/20(金) 20:25:04.51Sj9VVQI1o (1/1)

>>1乙

肉体の一部を失うのかな?災厄最悪だな


411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/20(金) 20:43:16.93Yk1bfhUDO (1/1)

もうペニスは種無しになっていてもおかしくないな


412VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/20(金) 21:39:35.53w3wHXU6eo (1/1)

なるほど女装はフラグだったわけか


413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/20(金) 22:07:52.19RQTncdODO (1/1)

なんか読んでたらふとパンドラの箱が浮かんだ


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/21(土) 01:12:54.97QDMF8DgAO (1/1)

>>1おつ



415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/21(土) 19:40:36.18v3DWYfr30 (1/1)

いちおつ



416 ◆1otsuV0WFc2012/07/22(日) 23:58:59.32sQdR2ba9o (1/3)

大軍師「撃てええぇぇ!」

 ガッカアアアアァァァァ!!

サタン「芸のない事だ」スッ

白虎長「また中和する気よ!」

ジュニア「かかったな、バカめ!!」

サタン「……?」

 ゴッガアアアアァァァァ!!

サタン「……一行足らぬな」

ジュニア「その通りよ! テメーが食らったの四行だ!」

美女「どういう事ぉ!?」

 ドッドオオオオォォォォン!! ガッカアアアアァァァァ!!

サタン「…………」

賢者「……こっちが本物の五行さ……ふぅ」

大軍師「ジュニア殿が五行に見せかけた四行を放ち、本物の五行は背後から」

朱雀嬢「別の方達が放ったって事ですわね……っ」


417 ◆1otsuV0WFc2012/07/22(日) 23:59:27.48sQdR2ba9o (2/3)

 ドクンッ

魔道士「う……あぁ!!」ズキィ!!

大軍師「それでも反動はやはり……」

ジュニア「……四行ですらっ、災厄があんのかよ……っ!」ズザッ

サタン「少しは小細工を考えたようだが……」

大軍師「直撃は与えられたものの、決定打にはなっておりませんね」

青年兵「やるしかありませんよ、手を替え品を替え、ね」

 青年兵の宣言通り、これよりありとあらゆる策における五行攻撃が始まった。

 五行を放てば放つ程、傷付く一同。それでも手は一向に休めない。

 隙を生み出しては五行を放ち、また策を変えては繰り返し放つ。

 繰り返す事、何度目であろうか。サタンの体は目に見える程に変化をしていた。

戦士父「どれだけ撃った?」

青龍士官「数えてなんか……いませんよ……っ」ジャリッ

青年兵「でも見てください。サタンが……」

召喚士「……うん。最初の時から半分くらいに小さくなってる」


418 ◆1otsuV0WFc2012/07/22(日) 23:59:59.10sQdR2ba9o (3/3)

 ドドオオオオォォォォ……

サタン「不思議でならぬ」

盗賊「はぁ……はぁ……はぁ……はぁっ」

サタン「群れの強さのみかと思えば、個々の強さも持ち合わせている」

召喚士「……う……っぐ、はぁ……はぁ」

サタン「それでいて的確にこのサタンへダメージを与えている」

召喚士「……っ」

サタン「己の命を消耗してもだ。覚悟だけではない。別の強さがある」

召喚士「……これは、みんなの力だ」

サタン「……」

召喚士「ここに居るみんなの力だけじゃない。今だって祈ってくれているみんな……」

サタン「……」

召喚士「そして、ここまでの道を繋ぐ為に、死んでいったみんなだって!」

サタン「成程な。そういう類の――――」

 ドッドオオオオォォォォン!! ガカアアアアァァァァ!!


419 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 00:00:27.08dCBRElUio (1/6)

サタン「……」

ジュニア「呑気にオシャベリしてんじゃねぇよ……ハッハ!」

サタン「召喚士と話をしておるのだ。ちと行儀が悪いな」

 グアッ

ジュニア「!?」

サタン「それで、いつまでその力とやらを続けるつもりだ?」

 ゴキィ!! ドシャッ!!

召喚士「ジュニアさんっ!!」

ジュニア「ぐ……っは」

玄武娘「ジュニアさんぅ、宙に置いたと思ったら突然……」

朱雀嬢「サタンの力ですわよ……っ」

青龍士官「右腕を折られている。回復を!」

賢者「……ふぅ」パアアァァァァ

サタン「それで、いつまで続けると聞いているのだ。召喚士」

召喚士「サタン……貴様っ」


420 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 00:01:01.16dCBRElUio (2/6)

大軍師「良い頃合いかもしれませんね」

戦士「……?」

戦士父「サタンの大きさが半分以下となっている。こちらの攻撃が相当効いている証拠だ」

大軍師「ここで一気に叩き込んで、とどめをさしましょう」

ボス「どうやって……っ」

青年兵「……ありったけの五行を一斉に、サタンへぶつけます」

盗賊「!?」

戦士「五行の……同時攻撃だとぉ!?」

大軍師「原理的には不可能ではないはずです」

剣士「出来るのか……そんな事が……っ」

青年兵「まず、最初の1人が五行を放ち、サタンに中和させます」

大軍師「その後、五行の一斉攻撃でサタンの体を極限まで攻め立て……」

召喚士「最後の1人が……とどめ」

大軍師「その通りです」

ジュニア「文字通り……命がけの攻撃だわな……ハッハ」


421 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 00:01:41.14dCBRElUio (3/6)

 ガカアアァァ!! ゴアッ!!

帝「攻撃が来るぞっ!」

青龍士官「出でよっ、バハムート!!」

男隊員「土行おおぉぉ!!」

 ゴッガアアアアァァァァ!!

弓使い「サタンも本気で攻めに来ているわっ、早くしないと!」

大軍師「まず最初の五行を放つ者を選定致します」

男隊員「こりゃとんでもなく重要な役割だぞ。ましてや1人でだろ?」

召喚士「俺がいきます」

魔道士「召喚士さんっ!?」

召喚士「確立は最も高いと思います。大丈夫、信じて下さい」

盗賊「召喚士、お前……」

召喚士「死ぬわけじゃないんだ。だったら、まだいける」

戦士「……召喚士を信じようぜ。これ程の役目をこなせるのはこいつしかいない」

青年兵「……分かりました。召喚士さん、お願いします」


422 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 00:02:55.37dCBRElUio (4/6)

召喚士「うん」

大軍師「次に最後の五行を担う者……」

戦士父「俺がやる」

戦士「親父……?」

戦士父「戦士、ゾディアックを貸せ」

戦士「だからっ!!」

戦士父「投擲ならば問題あるまい。誰か、付加を頼む」

魔道士「それなら私がっ!」

戦士「……そのゾディアックがどういうゾディアックか、理解してんだろうな?」

戦士父「オリジナルだろ? だったら尚更だ。俺がかつてなんと呼ばれていたか知っているか?」

戦士「……」

大軍師「槍の名手……一番槍ならば為せると?」

戦士父「ああ」

青年兵「……承知しました。最後の一撃、あなたに託します」

戦士父「確かに引き受けた」


423 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 00:03:41.74dCBRElUio (5/6)

戦士「……」

戦士父「戦士、ゾディアックを貸せ」

戦士「……親父」

戦士父「難だ」

戦士「……死ぬなよ!!」ポイッ

戦士父「俺を誰だと思っている。お前の親父だぞ」ガシッ

白虎長「また攻撃が来るわよぉ!!」

ジュニア「防御壁ぃ!!」ズアッ

賢者「やれやれ……ふぅ」

 ゴッガアアアアァァァァッ!!

西方司令「サタンも勘付く! やるなら早くしろや!」

青年兵「召喚士さん、いけますか!?」

召喚士「いつでも!!」

大軍師「それでは……実行――――」

盗賊「待てっ!! あいつ……くっそぉ!!」


424 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 00:04:27.58dCBRElUio (6/6)

 ズザァ!!

戦士「盗賊!?」

召喚士「行けっ! サラマンダー! シルフ! ノーム! ウンディーネ! 座敷――」

 ザッ

召喚士「…………」

紅孩児「……フウウゥゥゥゥ」

青龍士官「な……にぃ!?」

紅孩児「カアアアァァァァ!!」

 ゴアァッ!! ズッガアアアアァァァァ!!

格闘家「ぐあぁ!!」

戦士「し、召喚士ぃ!!」ダッ

召喚士「……ごぶっ、ごほ……っ」

紅孩児「人間は……殺ス!!」

召喚士「こ……紅孩……ごほぉ!!」

 招かれざる客の乱入。戦局はますますの混乱を生じ、歪んだ宿命を生み出す。


425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/07/23(月) 00:46:09.17WcGrVxVH0 (1/1)

乙?


426VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/23(月) 01:41:49.96JYkfb7ZAO (1/2)

>>1おつ



427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/23(月) 03:20:03.88H797kh/u0 (1/1)

>>1 おつ


428VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/07/23(月) 04:27:16.55X/NBWL0Vo (1/1)

オッサンが出たぞおおおおおおおお出たぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお


429VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/23(月) 08:29:55.57NHt80qWQo (1/1)

>>1乙

紅害児め、面倒くさいこと山の如しだな


430VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 12:52:02.30Wwtp/pVDO (1/2)

公害児おつ


431 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:52:37.29Qu30Lqy+o (1/23)

 ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

戦士「あ……いつ!!」

紅孩児「ガアアァァァァ!!」

戦士父「ちぃっ!」バッ

 ガッキイイィィィィン!!

紅孩児「紅孩児様の道を阻む奴ァ……皆殺しだァ!!」

戦士父「そうはさせるか」ググッ

剣士「暴走している! 何とかしないと!」

大軍師「これは想定外ですね」

紅孩児「ウガアアアアァァァァ!」

戦士父「……っ」

 ガキキキキィン!! ブシュウ!!

戦士父「……ちっ」

戦士「親父!」

戦士父「大した傷じゃない」


432 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:53:22.95Qu30Lqy+o (2/23)

紅孩児「……コオオォォォォ」

サタン「……」

南方司令「五行以外の者は集まれ! あの魔物を食い止める!」

女隊員「了解ッスよぉ!!」

サタン「このサタン……」

西方司令「地獄に落ちろやコラアアァァ!」

男隊員「ここが地獄だ……ってのおぉ!!」ゴアッ!!

紅孩児「グヌアアァァァァ!!」

サタン「例えどんな事があろうとも、誰の力も借りぬ」

召喚士「何っ!?」

サタン「それは最早……冒涜。死に値するぞ」

盗賊「――!?」

召喚士「まずいっ! 紅孩児から離れ――」

 グググッ……グオッ!!

格闘家「なん……っ」


433 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:53:49.21Qu30Lqy+o (3/23)

 紅孩児を取り囲む一同は突如、紅孩児を中心に身体を宙へと浮かせ始める。

弓使い「ちょっと、何これっ!!」

剣士「まずいっ!」

サタン「消えよ。眼前より」

 ガッカアアアアァァァァ!!

魔道士「消……えた……」

戦士「消えた……って、どういう事だよ!?」

幼女「お父さん! お母さんっ!」

サタン「折角、盛り上がってきたところなのだ。野暮な邪魔は無用」

召喚士「サタン!!」

サタン「そうであろう召喚士?」

大軍師「今の攻撃、何か特殊なのかもしれませんね。更に縮小しています」

大軍師「やるなら今しかありません。召喚士さんが気を引いてくれている今が好機です!」

 剣士。弓使い、南方司令、西方司令、男隊員、女隊員、格闘家、帝、そして紅孩児。

 8名と1匹がサタンの宮殿より一瞬の内に、その姿を消失した。


434 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:54:19.78Qu30Lqy+o (4/23)



 ズッシャアアアアァァァァ!! ザザアアァァァァ

剣士「ぐあ……っ! ぐぅ!」

弓使い「……っ。剣士、大丈夫!?」

剣士「あ、ああ……。弓使いは……?」

弓使い「あなたが庇ってくれたお陰で……大丈夫……っ」

 ズザアアァァァァ

格闘家「ご無事ですか?」

帝「感謝致す」スクッ

格闘家(あれだけの攻撃を浴びてこの程度とは。どういう事だ?)

女隊員「ここは……どこッスか?」キョロキョロ

男隊員「分からん。吹っ飛ばされたのは確実だ。地獄のどこかにな」

 コオオオオォォォォ……

弓使い「凄い寒気がする……っ」

剣士「さっきとはまるで違う。これが本当の地獄……」


435 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:54:48.05Qu30Lqy+o (5/23)

男隊員「あっちは結界で守られてたわけだからな。こうも勝手が違うとは……」

女隊員「どうしたッスか?」

男隊員「……司令2人はどうした?」

女隊員「あれ? そういえば……いないッスね」

弓使い「あの紅孩児って魔物もいないわよ?」

格闘家「……まさか」

西方司令「なーにをうろたえてるんだよ、小僧ども」

南方司令「それよりも正面だ、来るぞ。戦え……正義の為に!」

 小高い岩場の上から2人の司令が指示を出す先に、赤黒い火柱が揺らめいている。

紅孩児「……」ザッザッザッザッ

男隊員「きやがった。いいかぁ、サタンの元へは絶対に近づけさせるなよ!」

女隊員「おーッス!!」ズシッ

男隊員「好都合だ、ここで仕留めんぞ!!」ジャキッ

剣士「よし……っ!」チャキッ

弓使い「……っ」ギリッ


436 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:55:18.86Qu30Lqy+o (6/23)

男隊員「……」

紅孩児「……」ザッザッザッ

男隊員「……」

紅孩児「……」ザッザッ

男隊員「散開っ!!」

帝「っ!!」ババッ

女隊員「てやあぁーっ!!」グアァ!!

紅孩児「邪魔……するなアアァァ!!」

 ゴッゴオオオオォォォォ!!

女隊員「あちちっ!!」ババッ

剣士「大丈夫ですかっ!?」

女隊員「くそーっ、服が焦げたッス……」

剣士「!? こっ、このマントを!」バッ!!

女隊員「ありがとうッス!」

男隊員「くっそ、さっきと違って全身から発火してやがる。これじゃ近づけんぜ……」


437 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:55:46.00Qu30Lqy+o (7/23)

格闘家「……」

男隊員「おい、どーした?」

格闘家「……いえ」チラッ

南方司令「……」

西方司令「……」

格闘家「行きましょう」タンッ

南方司令「気づかれたな」

西方司令「ああ。流石お師匠が最後の弟子としただけの事ぁあるわ」ツツーッ

 南方司令と西方司令は、皮膚が焼けただれ、肉は削げ落ち、

 骨折またはヒビ割れた各部位から大量の出血をするその身体を地に着けた。

南方司令「情……け……ない。これまでとは……っ」

西方司令「繋いだんだ……まぁ……いいじゃねぇかよ」

 サタンの攻撃を庇った代償は大きく、自力で起き上がる事は決してなかった。

 だがそれでも、正面だけは断じて傷を負わなかった。皆に心配をかけぬ為に。

 格闘家にだけは悟られたが、見届けた両者はそっと目を閉じた。


438 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:56:18.36Qu30Lqy+o (8/23)

 ドッゴオオオオォォォォ!!

男隊員「ぐあっ!! 新調した俺のフランベルジェが!!」

女隊員「ショーテルみたいでいいじゃないッスか」

男隊員「……言われてみれば確かに。言ってる場合か!!」ヒョイッ

紅孩児「ガアアアアァァァァ!!」

男隊員「俺が水魔法を放つ! あとは何とかしろ!」

女隊員「何とか……って」

男隊員「いくぞぉー!!」

 ドドオオオオォォォォン!! ザッバアアアアァァァァ!!

紅孩児「邪魔だアアァァァァ!!」ゴアッ!!

 ヒュバッ

紅孩児「――!?」

格闘家「懐に潜り込みさえすれば、こっちのものだ」

紅孩児「ガア――――」

格闘家「石破ああぁぁぁぁ!!」


439 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:57:01.53Qu30Lqy+o (9/23)

 ドッゴオオオオォォォォン!!

紅孩児「ガハァーッ!」ドシャア!!

弓使い「やったぁ!」

剣士「い、いや……っ!」

格闘家「ぐか……っぐうぅ!」ジュウウゥゥゥゥ

女隊員「酷いやけどッス……」

男隊員「気休めだが……」

 ドウッ……ジュウウウウゥゥゥゥ!!

格闘家「あっぐううぅぅ!!」

帝「……っ」

男隊員「だがこれで紅孩児の動きは封じた。今の内に拘束、最悪……命を奪うしかねぇな」

帝「しかしあの者は、同胞なのではないのか?」

剣士「そうです……そうですが……っ」

格闘家「と……っにかく……動きを封じましょう……っ」ヨロッ

男隊員「……各自、慎重にかかれよ!」


440 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:57:34.84Qu30Lqy+o (10/23)

~サタンの宮殿~

大軍師「魔道士さんと幼女さんは、一番槍と共に最後方へ」

魔道士「2人……ですか?」

大軍師「五行の負担と災厄を分散する為です」

魔道士「でもそれじゃ幼女ちゃんが……」

幼女「お姉ちゃん、私なら平気だから」

魔道士「でも……っ」

幼女「今更そんなのないよ。ずっとここまで一緒に戦ってきたんだもん」

魔道士「幼女ちゃん……」

幼女「だからお願い。私もお姉ちゃんの力になりたいの!」

魔道士「……分かった、分かったよ幼女ちゃん。ありがと、一緒にいこ?」

幼女「うんっ」

大軍師「次に魔道士隊はジュニア殿、賢者殿、火の先生、水の先生、そして私ですか」

火の先生「ちょうど5人じゃ。大の大人が5人がかりで情けないけどなぁ」

水の先生「その分、でっかいのをぶっ放してやりましょうよ!」


441 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:58:00.94Qu30Lqy+o (11/23)

ジュニア「お前もしっかり頼むぜおい」

賢者「……ふぅ」

大軍師「大元帥、そちらは?」

青年兵「朱雀嬢さんアマゾネスさんで2人、西国陛下、白虎長さん白虎嬢さんで3人……」

青龍士官「……」

青年兵「サモナーさん玄武娘さん、ボスで3人。そして……」

美女「あんた達と私で青龍が3人」

名代「式神は私1人ですね」

青年兵「召喚士さんにはこれ以上、負担はかけられない」

青龍士官「五行1つに四行3つだ。それで何とかするしかあるまい」

青年兵「……だね。やるだけやってみよう」ザッ

戦士父「戦士、お前らは……いけるな?」

戦士「ああ。俺らは俺らでやってやるさ」

盗賊「……同意」

大軍師「それでは、行きますよ!」


442 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:58:27.36Qu30Lqy+o (12/23)

サタン「召喚士」

召喚士「……」

サタン「君は考えた事がるか? 自分が何故、生きているのか」

召喚士「……さぁね」

サタン「で、あろうな。万物の理など決して考えた事もあるまい」

召喚士「悪いけど、お前と論じている場合じゃないんだ」

サタン「ほぉ」

召喚士「スーパーノヴァ」

サタン「……」

召喚士「ベルゼブブが言っていた。その気になれば地上など、一瞬で消し去る事が出来ると」

サタン「成程な。それでそのような、命を賭してまでこのサタンへ挑もうと」

召喚士「俺は自分達の世界を守る、その為に今……生きているんだ!」

サタン「そういう答えか」

召喚士「何故生きているかなんてどうでもいい! 何の為に生きるかが大切なんだ!」

サタン「何の為に生きるか……成程な」


443 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:58:58.32Qu30Lqy+o (13/23)

召喚士「だからサタン! 俺はお前を倒す!」ザッ

サタン「良かろう、ならば見せてみよ召喚士。貴様の生き様をな」

召喚士「行っけええぇぇぇぇ!!」

 シュイイイイィィィィン……ゴガアアアアァァァァ!!

サタン「あと何発、その覚悟とやらを見せられるか楽しみだな」

召喚士「うおおおおぉぉぉぉーっ!!」

 召喚士の背後より伸びる五行の光が、サタンへと一直線に突き進む。

 心なしかそれは、先程よりも生き物のような動きをみせていた。

戦士「何だ……? 龍?」

盗賊「行くぞっ!」バッ

戦士「お、おうっ!」

盗賊「藤蔵最終究極奥義ぃ!! 風林火陰山雷!!」

戦士「馬っ鹿、いきなり使うやつがあるかよ!!」

盗賊「今やらないでいつやる!!」

戦士「ちぃっ、それもそうか!!」


444 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:59:27.37Qu30Lqy+o (14/23)

 ガシャアアァァ!!

戦士「五行付加……魔王の斧だああぁぁ!!」

サタン「……?」

盗賊「はああぁぁぁぁーっ!」

戦士「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 ズッシャアアアアァァァァ!!

召喚士「戦士……盗賊さん……っ」

サタン「……精一杯であったな。無駄な事――」

召喚士「食らえ……サタン!!」

サタン「……召喚士、貴様……五行を当てていなかったな?」

召喚士「戦士と盗賊さんが来てくれてたんだ。だったらぁ!!」

戦士「あいつ……俺らを囮に……」

盗賊「しかし中和されたものが我らの五行であるなら、召喚士は……」

サタン「1人で我が痛みを抱えるか。最も愚かな選択だな」

召喚士「――――!?」


445 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 17:59:59.30Qu30Lqy+o (15/23)

 ズキイイィィ!! ドシャッ!!

召喚士「がああああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「もう立つ事すらままならぬであろう。大人しくしていれば楽になれるものを」

召喚士「……勝ち……だ」

サタン「……何?」

召喚士「俺達の……勝ち……だ……っ!」

サタン「そういう事か」バッ

大軍師「避ける暇はありませんよ、魔王サタン!!」

青年兵「いっけええぇぇ!!」

 ドッドオオオオォォォォォォォォン!!

サタン「――――ッ」

 周囲を炎天下の砂漠かのような強い光が襲い、目を開ける事すら出来ない状態。

 その中でただ1人、静かに精神を研ぎ澄ませている男……戦士父。

 両手に力強く握りしめられたゾディアックが、微かに光を帯びていた。

戦士父「……はあぁーっ!!」


446 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:00:28.02Qu30Lqy+o (16/23)

 光の中へ駆けるその姿は、かつて一番槍と称された勇ましさ、いやそれ以上のもの。

 2秒。そう決められたタイミングに合わせ、魔道士と幼女が五行を放つ。

 戦士父の持つゾディアックへ付加を目指し、誇りを秘め伸びる五行の白い光。

 光の中にいるであろう魔王サタンめがけ、戦士父は今……ゾディアックを投擲する。

 ……はずであった。

戦士父「…………?」

 ゾディアックは動かない。そして、自身の身体もまた。

戦士父「な……」

 光の中より伸びた、補足白い手がゾディアックを掴み、動きを制しているのだ。

戦士父「にぃ……」

 驚きの言葉ですら述べ終える前に、戦士父の身体は後方へと吹き飛ばされていた。

 ドッグオオオオオォォォォン!!

戦士父「…………ご……ふっ」ゴシャッ

 その手は人間そのもの。しかし現れたその姿は神々しく、名はサタンと言った。

サタン「……」


447 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:00:59.55Qu30Lqy+o (17/23)

 ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……ゴ……

戦士「親父? 召喚士……?」

白虎長「嘘……でしょ……?」

 ゆっくりと地上に舞い降りしその姿はまるで天使か神かの如く。

 中世的で目を奪われる程に美しく、人間の形をしながらも人でない事は一目で分かる。

盗賊「はっ、はっ、はっ、はっ、は……っ」

 五行で力を出し、サタンの災厄で心身共にピークを迎えた人間一同。

 それとは打って変わり、姿は巨大な山のようなものから、

 ほぼ人間と同等のサイズに変化したものの、明らかに力漲る魔王サタン。

 さしもの大軍師とて、思わずつい本音がくちから出る。

大軍師「駄目です、勝ち目はありません。残された策はもう……ありません」

青年兵「……っ」

 諦めるな。そう強く言い返したい青年兵であったが、彼の脳裏からも勝機は消えていた。

サタン「……」フワッ

魔道士「し……召喚士さん……っ!」タッ


448 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:01:33.53Qu30Lqy+o (18/23)

 タッタッタッ……グイッ

魔道士「召喚士さんっ!!」

召喚士「…………」

サタン「召喚士、先程までの威勢はどうした? ん?」

 地面より少しだけ浮遊し、直立のまま召喚士の元へと移動するサタン。

 魔道士が睨みつけるようにその姿を見ると、先程までの神々しい姿は消え失せ、

 今度は髭面の人間離れした凶悪な、狂気に満ちた魔物の表情をしていた。

サタン「もう立てぬのか? もう終いなのか?」スゥ

魔道士「くっ」

 瞬きをすると、今度は神の長い女性の姿をしていた。また瞬きをすると

 今度は獰猛な悪魔の姿。瞬きをする度にサタンの姿がめまぐるしく変化する。

魔道士「っ!?」

サタン「どけ小娘」

魔道士「……っ」ギュッ

サタン「どけと申している。召喚士を離せ」


449 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:02:31.33Qu30Lqy+o (19/23)

魔道士「嫌です!!」

サタン「そうか」バチッ

魔法剣士「はあぁーっ!!」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

魔法剣士「な――っ!?」

サタン「驚く程の事でもなかろう。この程度の太刀筋、捕らえるには造作もない事」

魔法剣士「く……っそ――」

サタン「邪魔をするな。貴様には何ら,興味を持たぬ」

 ザシュッ……ポタタッ

魔法剣士「……か……はっ」

魔道士「魔法剣士さん!!」

 サタンの尾に腹部を貫かれた魔法剣士は、無気力に両手の剣を地面に落とし、

 魔王がその尾を払うと、赤い雨を降らせながらその後方へと転がった。

ジュニア「おいっ!!」ダッ

賢者「僕が行くよ……ふぅ」タッ


450 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:03:02.57Qu30Lqy+o (20/23)

サタン「次は貴様だ」

魔道士「……っ」

サタン「どかぬと言うのならば、死ぬだけだぞ小娘」

魔道士「召喚士さんはっ、私が絶対に守る!!」

サタン「泣き叫ぼうが、古より存在する結果は何も変わらないのだよ」

魔道士「召喚士さんは!! 私が絶対にいいぃぃ!!」

 ドンッ

魔道士「……?」

 突如、突き飛ばされてよろめく魔道士。手を伸ばしたのは召喚士だった。

召喚士「……行けっ、コカトリス……!」シュイイィィィィン

コカトリス「はぁーっ!!」

サタン「……馬鹿が」

 ズッガアアアアァァァァン!! シュウウウウゥゥゥゥ……

サタン「調子に乗るなよ召喚士。貴様は今、生きているのではない。生かされているのだ」

 コカトリスによるい奇襲も甲斐なく、召喚士は宮殿を支える柱まで大きく吹き飛ばされた。


451 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:03:51.84Qu30Lqy+o (21/23)

~地獄、外部~

男隊員「……っしと」ギュッ

弓使い「こんなので本当に、大丈夫かしら……」

男隊員「ありったけの武器をぶっ刺してんだから大丈夫だろ。動けやしねぇよ。ヒャハハ」

格闘家「問題はこれをどうするか……」

剣士「このままサタンの所まで連れて行くわけにもいかないし……」

帝「かと言って、ここへ置き去りというわけにもいかぬしな」

女隊員「どうするッスか?」

男隊員「早く合流しねぇと、あっちも心配だしな」

格闘家「……!?」ピクッ

女隊員「どうしたッスか?」

格闘家「何か……来る!」

弓使い「敵!? いや、味方かしら……」

格闘家「違うっ! この気配……感じた事がある! これは……っ」

ネクロマンサー「どうも。ククッ」フッ


452 ◆1otsuV0WFc2012/07/23(月) 18:04:31.14Qu30Lqy+o (22/23)

剣士「……ネクロ……マンサー!!」

男隊員「ちぃっ! ここに来て厄介な」

剣士「ネクロマンサああぁぁぁぁ!!」

格闘家「まずいっ!」

剣士「はああぁぁーっ!!」

 ガキイイイイィィィィン!!

魔剣士「……」ググッ

剣士「はーっ、はーっ、はーっ」グググッ

ネクロマンサー「随分と興奮していらっしゃいますねぇ」

剣士「貴様ぁ……」

ネクロマンサー「剣士さんでしたっけね? 貴方とは2度目ですかねぇ……ククッ」

格闘家「退がって下さい、剣士さん」

剣士「……ちっ」カシャッ

ネクロマンサー「何やら面白そうな展開になってきましたので、参戦させて頂きますよ。ククッ!」

魔剣士「…………」


453VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 18:05:39.08Qu30Lqy+o (23/23)

今日はキリよい所でここまでにございます
ご支援本当にありがとうございます!!
それではまた!失礼致しますー!ノシ


454VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2012/07/23(月) 18:12:27.41Lj2dIqNco (1/1)

>>1おちゅ



司令ズ…


455VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/23(月) 18:16:06.97Z8Zjh8WWo (1/1)

>>1おつ
問題は魔道士ちゃんと召喚士はどうなってるかだ
抱きかかえられてるのか?そうなのか?


456VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 18:18:30.03+Ea7xwaIO (1/1)

乙ん
最終戦は混戦の極み


457VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 18:25:06.50D9F0LuN4o (1/1)

おいおい司令ズ・・・おい・・・


458VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 18:37:46.14Wwtp/pVDO (2/2)

乙!

ナイト復活まだか


459VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 19:52:05.41lYNu2drDO (1/1)

>>1乙


460VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/07/23(月) 19:59:25.74ee2tONpUo (1/1)

司令...え!?
何回か読み直したけど、死んだ...のか?


461VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/23(月) 22:12:24.33lxIButdDO (1/1)

>>1乙!
いや!あの二人は殺しても死なないだろwwww…死なないよな?


462VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/23(月) 23:28:35.30JYkfb7ZAO (2/2)

>>1おつ


463VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 01:08:17.842SEAWMhIO (1/1)

>>1おつ

>サタンの攻撃を庇った代償は大きく、自力で起き上がる事は決してなかった。

>自力で起き上がる事は決してなかった。

>自力で

…東方が熱いな。


464VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/24(火) 08:19:08.14bf8DvU9Yo (1/1)

>>1乙

司令ズ…名脇役さんの奇跡にあやかることができなかったか、無念


465VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/24(火) 10:26:17.96tZ4LWsMAO (1/1)

最後まで魔法剣士の噛ませっぷりが(´・ω・`)


466VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/24(火) 12:46:08.24xnBMqFdm0 (1/1)

いちおつ



467VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/07/24(火) 17:21:32.86gVxu6eE90 (1/1)

魔法剣士「ぐあああーーーッ!!」


468 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:47:18.335vaieHg4o (1/14)

 コオオオオォォォォ……

ネクロマンサー「ククッ」

剣士「……っ」チャキッ

男隊員(メンドクセー事になってきたな……くそ)

魔道士「……」

男隊員(司令2人がいねぇ今、指揮官は俺。まぁ居ても指揮は執らねーか)

女隊員「格闘家くん、いけるッスか?」

格闘家「ご心配なく。腕は2本ありますから」ザッ

男隊員(前衛2人が消えた挙句、最も厄介な連中……あぁもう、ほんとメンドクセー)

弓使い「上様っ、私の後ろに」

帝「私の心配は無用、案ずるな」

男隊員(よりによってこっちは東方の女王陛下まで抱えてっし……)

ネクロマンサー「……さぁて」

男隊員(1番の問題は、アレがどっちに付くかだな。とにかく先手を取るしかねぇか)

ネクロマンサー「それではお相手頂きましょうかねぇ。クククッ!」


469 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:47:44.975vaieHg4o (2/14)

男隊員「だっりゃああぁぁ!!」

 ドッドオオオオォォォォン!! ゴアアァァァァ!!

剣士「先制攻撃!?」

女隊員「珍しいッスね」

男隊員(お前らなら分かるはずだ。俺の考えがよぉ!)

格闘家「……っ!!」タタッ!!

女隊員「そっか! そういう事ッスね!」ダッ

男隊員「いけぇ!! まずは奴らを分散しろぉ!」

帝「はぁーっ!」

魔道士「……」

 ガッキイイィィィィン!!

帝「!?」

魔道士「……?」

 キイイイイィィィィ……

弓使い「共鳴してる……?」


470 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:48:44.105vaieHg4o (3/14)

ネクロマンサー「成程、魔剣と聖剣ですか」

魔道士「……っ」バッ

弓使い「上様っ!!」

帝「大丈夫」ザッ

ネクロマンサー「相反する属性の武器では、流石の魔剣士も簡単にはいきませんか?」

魔剣士「……」ジャリッ

帝「刀の力だけだと思って欲しくはないな。油断大敵というものだぞ」

ネクロマンサー「ククッ、ならば見せてご覧なさい。オリジナルは今までと別格ですよ」

魔道士「……っ」ビュオッ

帝「はぁ!!」

 ガギイイィィィィ!!

ネクロマンサー「……ほぉ、言うだけの事はある」

帝「今だ!」

女隊員「はいッス!!」ダンッ

格闘家「……」ザザザッ


471 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:49:42.405vaieHg4o (4/14)

ネクロマンサー「!?」

男隊員「紅孩児を……確保しろぉ!!」

ネクロマンサー「な――っ!!」

格闘家「確保――」

ネクロマンサー「んてね。ククッ!」

 ビュオォ!! ザシュザシュザシュッ!!

格闘家「!?」

女隊員「うああぁぁーっ!」ドシャッ

ネクロマンサー「貴方達の考えなど、お見通しですよ」

格闘家「触手の……檻……っ」ドシャッ

女隊員「予め……地面に仕込んでおいたッスね……やられたッス」

ネクロマンサー「ククッ。サタンに弾かれたのもよく分かりますねぇ」

男隊員「何ぃ!?」

ネクロマンサー「弱い、弱すぎる。きっとサタンも相手にする事すら面倒だったのでしょうねぇ」

男隊員「てめぇ……っ」


472 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:50:45.235vaieHg4o (5/14)

ネクロマンサー「地獄で野垂れ死にしろ、そういう意味でしょう? クククッ!」

男隊員「それ以上は許さねぇぞこらぁ!!」

ネクロマンサー「どう許さないのです? 私を殴りますか? 斬りますか?」

男隊員「ああ、やってやるよ!!」

ネクロマンサー「ククッ、ならばやってみなさい。やってみるがいいッ!」

男隊員「だとよ」

ネクロマンサー「!?」

剣士「ああああぁぁぁぁ!!」ザッ

男隊員「遠慮はいらねぇ。思いっきりぶった斬ってやれ!! ヒャハハ!!」

 ザッシュウウウウゥゥゥゥ!!

男隊員「今だぁ!」

弓使い「付加……頼むわよっ」

 キリキリキリッ……バシュッ!!

男隊員「っらあぁ!!」

 ドドオオォォォォ!! ズッシャアアアアァァァァ!!


473 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:51:16.755vaieHg4o (6/14)

ネクロマンサー「……ちぃッ」ヨロッ

格闘家「くっ、ぬあぁ!」ブチブチィ!!

女隊員「武器、受け取るッス!」ブンッ!!

男隊員「こんなひん曲がった剣、いらねーっつの」パシッ

女隊員「おいっしょぉ!」ズシッ

ネクロマンサー「……これは……4行か……ッ」

男隊員「大した威力じゃねぇだろうけどな。弓のネーチャンの事じゃねぇぞ?」

弓使い「分かってます! 一言多いわよ……っ」

男隊員「んで、紅孩児は!?」

女隊員「生きてるッスよ!」

男隊員「そうじゃねぇ!! 使えんのか使えねーのか!!」

格闘家「ふんっ!」ガクンッ!!

紅孩児「…………ガホォ!!」ビチャッ

ネクロマンサー「わざわざ眠っているところを起こしますか」

男隊員「テメーは油断ならねぇからな」


474 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:51:58.715vaieHg4o (7/14)

ネクロマンサー「……」

男隊員「どうせ眠ってるところに洗脳かけて、操るとかそんなんだろ」

ネクロマンサー「ククッ、察しが宜しい事……」

男隊員「テメーの思うようにさせるかってんだよ。ヒャハハ!」

ネクロマンサー「しかし、結果は同じ事でしょう?」

男隊員「どうかな」

ネクロマンサー「……?」

男隊員「アイツは今、瘴気にあてられて暴走してる。だが、根はこっち側の魔物だ」

ネクロマンサー「……」

男隊員「あっさりテメーにお操られるくらいなら、イチかバチかの賭けって事だ」

ネクロマンサー「成程。しかしそう簡単にはいかないようですねぇ」

男隊員「――!?」

紅孩児「……グ……オアアァァ」グググッ

剣士「離れるんだっ!」

紅孩児「ガアアァァッァアーッ!」


475 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:52:39.445vaieHg4o (8/14)

格闘家「っ!!」

 ガシッ!! ジュウウゥゥゥゥ!!

紅孩児「人間は……殺スウゥ!!」

女隊員「格闘家くんを……離せッスよぉ!!」

紅孩児「ッ!!」

男隊員「無茶すん――」

女隊員「誰かさんのヘナチョコ剣と違って、大斧は簡単にやられないッスよ!」

紅孩児「邪魔を……する……なァ!!」

剣士「紅孩児っ! 思い出してくれ!」

紅孩児「……グウゥ」

剣士「君はこんな事を望んでいるわけじゃないだろう!?」

紅孩児「黙れ!!」

剣士「目を覚ますんだ! 思い出すんだ! 自分自身を!」

紅孩児「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!」

剣士「紅孩児、君はもう魔物なんかじゃあない――」


476 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:53:21.065vaieHg4o (9/14)

紅孩児「黙れエエエエェェェェーッ!!」

 ガシィ!!

剣士「っ!!」

紅孩児「俺の……紅孩児様の前から……消えろおおぉぉーッ!!」

 ゴッガアアアアァァァァ!!

弓使い「剣士ぃーっ!!」

 ドサッ……ジュウウウウゥゥゥゥ……

弓使い「剣士……剣士っ、剣士! 剣士! 剣士ぃ!!」

格闘家「隊長! 顔を焼かれてます!」

男隊員「ちっ」

 ドドォン!! ドジュウウウウゥゥゥゥ!!

弓使い「うっ、うぅ……う……っ」

ネクロマンサー「ククッ。やはり無意味な事でしたねぇ」

帝「貴様等ぁ……」ザッ

魔道士「……」スッ


477 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:54:21.855vaieHg4o (10/14)

帝「あくまで私の相手はお前という事か」

魔道士「……」ジャキッ

ネクロマンサー「これで残るは5人。さぁ、どうします……?」

女隊員「許せない……っ!!」

ネクロマンサー「許して貰うつもりは毛頭ありませんし、むしろ許しを請うのは貴方達では?」

剣士「こ……孩児……っ」

弓使い「剣士!! もう喋らないで……っ!!」

剣士「駄……目だ……っ、君は……」

紅孩児「黙れって……言ってんだよオオォォォォ!!」グアッ!!

 ゴッゴオオオオォォォォ!!

弓使い「剣士いいぃぃぃぃーっ!!」

ネクロマンサー「ククッ、美しい炎だ」

男隊員「今、消化する……っ」

格闘家「……待って下さい、何かおかしい」

弓使い「……剣士……?」


478 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:55:48.585vaieHg4o (11/14)

 スクッ ザッザッザッ……

男隊員「……おいおいおい」

 ザッザッザッ……

男隊員「炎の中を……歩いてやがるだとぉ!?」

ネクロマンサー「これは、どういう事です――」

 バシュッ!! ズバァ!!

ネクロマンサー「クッ」

剣士「貴様を倒すまでは、絶対に死んだりしない!」ジャキッ

ネクロマンサー「生意気な。運良く助かったからと言って図に乗らない事ですね」

剣士「運良く? ああそうだな、奇跡かもしれないな!」

ネクロマンサー(……おかしい)

剣士「弓使いっ!」

ネクロマンサー(顔面の皮膚までただれていたと言うのに、どういう事です?)ハッ!!

 ゴッゴオオォォォォ……メラメラッ

ネクロマンサー「……そういう……事かぁ!!」バッ


479 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:56:29.305vaieHg4o (12/14)

フェニックス「……」

 バッシュウウウウゥゥゥゥ!!

女隊員「えっ!?」

男隊員「そ、そうか……っ! さっきの炎……あれは……」

 ザッザッザッザッザッ……

同門「行け、フェニックス!」

ネクロマンサー「貴様の仕業ですかッ!!」

 ゴッゴオオオオォォォォ!!

ネクロマンサー「クウゥーッ!!」

フェニックス「……オオォォ!!」

 ガシュウウゥゥゥゥ!! ゴッゴオオオオォォォォォ……

ネクロマンサー「…………」

同門「……」

ネクロマンサー「……ククッ、ククククッ。外しましたか。残念でしたねぇ」

同門「外した? 笑わせるな、最初から貴様なぞ狙っていない」


480 ◆1otsuV0WFc2012/07/24(火) 17:57:19.215vaieHg4o (13/14)

ネクロマンサー「ほぉ、だったら何を狙ったとでも言うのです?」

同門「……」

ネクロマンサー「……?」クルッ

 ゴゴオオオオォォォォ……ザッ

ネクロマンサー「――――ッ!?」

南方司令「ジャスティス……パアアァァァァンチ!!」

西方司令「ミナゴロシキーック!!」

 ズッガオオオオオォォォォン!! ズシャア!!

ネクロマンサー「……グ……ック」

西方司令「助かったぜ、朱雀の小僧」

南方司令「この世に悪のはびこる限り、正義は何度でも蘇る!!」ザッ!!

ネクロマンサー「これが……狙いか……っ」ヨロッ

同門「……命を守る事こそが最優先。二度と過ちは犯さん」

西方司令「さーて、いっちょまとめてぶっ殺してやるかよ!!」ゴキゴキッ

南方司令「ああ。怒りに打ち震える正義の鉄槌を……食らうがいいっ!!」


481VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 17:58:52.555vaieHg4o (14/14)

ちょっと少なめですがキリよく今日はここまでにて!
本日も多数のご支援ありがとうございました!
それではまた!失礼致します!ノシ


482VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 17:59:07.72iSTDloexo (1/1)

いちおつ!


483VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(島根県)2012/07/24(火) 18:03:23.22xewTHW5yo (1/1)

いちょつ!


484VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 18:17:04.776JTmQMxoo (1/1)

魔剣士が行方不明


485VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 18:27:52.37SC4ee4Qao (1/1)

>>1乙!

ネクラ達って、結界の外なんじゃ…?


486VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 18:35:51.43GuH/RNYXo (1/1)

魔道士ちゃん・・・こわい・・・>>1乙


487VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 18:42:29.93kiVWNU1DO (1/1)

魔道士だらけだなww


488VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 18:46:00.18Jda2sy1eo (1/1)

なんで召喚できるんだ


489VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/24(火) 18:47:49.89Q7CKR6zAo (1/1)

ゆ"ーたいりだつーー!


490VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 19:15:48.26jiVPbv3Zo (1/1)

やはり主人公の同門さんはさすがやで


491VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/24(火) 19:54:51.10VSPdbKoao (1/1)

>>1乙

なぜフェニックスが…ここは結界エリア県内なんだな

もしくは同門の仲間のドッペル達とパーティを組んだときに証として皆で着けたイヤリングに魔法の力が込められて…?!と言う過去ストーリーが追加されるに一票。


492VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/24(火) 22:11:26.47EPIQnXODO (1/1)

指令ズは2度死ぬ


493VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/24(火) 22:41:38.95cfUeZ11Ro (1/1)

>>1乙


494VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/25(水) 00:29:09.71jTKVUE9IO (1/1)

魔導士だけに惑うし


495VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/25(水) 00:33:09.35g/tP5UVvo (1/1)

そう言うのと魔導士


496VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/07/25(水) 01:40:40.88hrbST8RAO (1/1)

>>1おつ

司令達が復活したというのに魔道士のインパクトで書きけされちまったな


497VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2012/07/25(水) 02:30:07.31mR0XiU8U0 (1/1)

魔導士は負けんしな。


498VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/25(水) 02:57:03.21ckFilS4Ho (1/1)

>>497の一撃で同門のフェニックスたんが消えたお


499VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/25(水) 03:38:20.77MsllwfY90 (1/1)

>>1 おつ


500 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:06:35.54QFSNz+JBo (1/16)

~サタンの宮殿~

召喚士「…………」

 砕けた柱に身体を預け、召喚士はうつろな目で戦闘を見つめている。

戦士「おるああぁぁ!!」

盗賊「しっ!!」

 ドガガガガッ!! ズガアアァァァァァ!!

サタン「脆弱なものだ。残された力は気力という程度か?」

王子「何をぬかすかぁ! まだまだだ!」

セクメト「ゴガアアァァァァ!!」

サタン「まだ? 違うな、もう既に終わっているのだ」

 チカッ……ズバシュウウウウゥゥゥゥ!!

セクメト「――――!!」ボシュッ

盗賊「風林火……」

サタン「させぬよ」ヒュバッ

盗賊「!?」


501 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:07:53.45QFSNz+JBo (2/16)

 ズガアアァァ!! ズザザアアァァ……

青龍士官「どうやって……倒せばいいと言うのだ……っ!!」ググッ

大軍師「万策尽きましたね。流石にこれは……」

ジュニア「……」

 ザッザッザッ……グイッ

ジュニア「何を諦めてんだコラァ!! テメーが策を練らねぇでどーすんだよ!! あぁ!?」

大軍師「……っ」

ジュニア「命ある限り戦うんじゃねぇのかよ!!」

青年兵「ジュニアさんの言う通りです。そして大軍師さんとて重々、それは分かっている」

ジュニア「……」

青年兵「2択です。最後の力を賭して、全員で全ての魔力を放つか、それとも……」

大軍師「西国陛下のアヌビスに賭けるか」

ジュニア「!?」

大軍師「どちらにせよ策とは言えません。ただの自己犠牲です」

青年兵「……それでもやらねば、世界は終わりです」


502 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:09:06.53QFSNz+JBo (3/16)

ジュニア「本当に……それしか方法はねぇのかよ……っ」グッ

大軍師「五行を撃ち続けさえすれば勝てると考えていました。しかし結果はこれです」

ジュニア「……っ」

大軍師「何か手はあるのかもしれません。しかし、見つける事は難しく……」

青年兵「……再来」

賢者「……?」

青年兵「鍵は再来が握っているのかも」

大軍師「かつてサタンの動きを封じた、唯一の戦いですか」

青年兵「大軍師さん、当時と今で何か欠けている事は?」

大軍師「……魔剣」

ジュニア「!?」

大軍師「サタンの核には確か、魔剣が刺さっていたはずです」

青年兵「そうだ……っ。それを元司令が抜いた事で、サタンは蘇った」

ジュニア「魔剣たって、んなモンどこに……」

魔法剣士「避けろぉ!!」


503 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:09:34.68QFSNz+JBo (4/16)

 ゴッガアアアアァァァァ!!

ジュニア「ぐあっ!!」

青年兵「大軍師さんっ! 策を!」タタッ

大軍師「あなたは!?」

青年兵「とにかく今は体制を立て直し、備えます!」

大軍師「「……」

アマゾネス「援護を頼む!!」

美女「アンタが援護しろっ!」バッ

大軍師(魔剣。思い当たるべきは伝説のナイトが持っていたという魔剣)

玄武娘「リヴァイアサン……っ」

朱雀嬢「玄武娘、無理はしないでですわ。ゆっくり落ち着いていきますわよ」

大軍師(ベルゼブブ討伐後は確か北関に……。使い手は不在)

白虎嬢「立てますかぁ?」

サモナー「お構いなく……っ」ヨロッ

大軍師(それ以外の何か……。魔剣……魔物の持つ剣……)


504 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:10:25.18QFSNz+JBo (5/16)

青年兵「召喚士さんっ!」ザッ

召喚士「…………ぅ」

大軍師「……魔剣士」

青年兵「召喚士……さんっ」

召喚士「誰……戦士……か?」

大軍師「……いや、両者共に此方へ引き込む事は不可能に近い」

青年兵「……立てますか?」

召喚士「うん、いつでもいいよ。でも回復は必要ないから」

大軍師(かと言って、魔剣を入手する方法は他になし。参りましたね)

 天を仰ぐ大軍師。上空には暗い闇がただ広がっている。

大軍師「司令……貴方の見た未来とは如何なるものだったのでしょうか……」

サタン「もう立ち向かえる者も居らぬか」

戦士「ちくしょう……ちくしょう……っ!」

盗賊「……こんなものか、私の力は……っ」

サタン「……?」


505 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:11:05.12QFSNz+JBo (6/16)

魔道士「……」ザッ

サタン「何か用か、小娘?」

魔道士「あなたは……何でこんな事をするの?」

サタン「面白い事を言うな。君達が挑んでくる、だから反撃する。それ以外に何かあるのか?」

魔道士「どうして……地上に危害を……」

サタン「ああ、そういう事か。逆に聴こう、何故だと思う?」

魔道士「どうして人を傷つけるんです……っ」

サタン「それが真理だからだ。到底、理解など出来ぬであろうがな」

魔道士「私の……大切な仲間を……どうしてっ!!」

 ゴアッ!!

サタン「ほぉ」

魔道士「許さない……絶対にっ!!」

サタン「許しを請う請わないの問題ではないのだ。そういうものだと受け入れろ」

魔道士「絶対に……ぃ!!」

サタン「……どういう事だ?」


506 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:12:32.51QFSNz+JBo (7/16)

 キイイイイィィィィ!!

サタン「ただの五行ではない……?」

魔道士「やああああぁぁぁぁーっ!!」

 ドッドオオオオオォォォォン!! ガカアアアアァァァァ!!

サタン「……ッ」ズゥン

魔道士「ああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「中和出来ぬだと? いや、そんなはずはない」

 ドッズウウウウゥゥゥゥ!!

サタン「……確実に、このサタンへ攻撃を当てている」

ジュニア「ど、どういう事なんだ? どうして魔道士ちゃんの攻撃が……」

賢者「五行による五行さ……ふぅ」

ジュニア「!?」

賢者「彼女は五行に……五行を付加しているのさ……ふぅ」

水の先生「五行に五行!? つまり……外側の五行で中和を消して、中の五行で……」

火の先生「冗談じゃないぞ……っ、そんな事をすれば負担は計り知れぬ!」


507 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:14:49.78QFSNz+JBo (8/16)

魔道士「やああぁぁぁぁ!!」

サタン「ヌグッ、まさかこのサタンが……両腕を使う事になろうとはな」

魔道士「ああああぁぁぁぁぁ!!」

サタン「ましてや、これ程までに連続で五行を叩き込まれるなど初めての事だ……ッ」

魔道士「ぁぁーっ!!」

サタン「どこに……このような力が――」

 ガカアアアアァァァァ!! ガッオオオオォォォォン!!

魔道士「――――っはぁ!! はぁ!! ん……っはぁ!!」

 ドドオオオオォォォォ……

盗賊「魔……道士……っ」

魔道士「はぁっ!! はぁ……っ!! は……っ」ガクガクガク

戦士「魔道士っ!!」

サタン「おそらくもう、痛みも感じぬであろう」フッ

戦士「!?」

ジュニア「あいつ……っ、まだ……」


508 ◆1otsuV0WFc2012/07/25(水) 18:17:55.59QFSNz+JBo (9/16)

サタン「このサタンに多少なりとも手間をかけさせたのだ。その代償は相当のものであろう」

魔道士「う……あぁ……ぁ……」

サタン「己の全てが空になるまで撃ち続けた根性はなかなか興味深いものがある」

戦士「て……んめええぇぇ!!」ガシャッ!!

大軍師「5つの鉱石を全て斧に!? 死ぬつもりですかっ!!」

戦士(言ってたよなジーサン。もうずいぶんと前の話になっちまったけどよ……っ!)

サタン「魔力も持たぬ人間如きが、如何なるものだと申すか」

戦士「コイツは切り札だってよ……魔王を倒す……斧だってよぉ!!」

サタン「むッ!? 鉱石かッ」

戦士「見てるかジーサン!! 五行全て付加したんだぞ! 魔王を倒すこの斧によぉ!!」

 ズッガアアアアァァァァ!!

戦士「うおおおおぉぉぉぉ!!」

サモナー「なんという威力っ、サタンが縦に真二つ……切り裂かれてゆく……っ!」

戦士「っらああああぁぁぁぁーっ!!」

サタン「……」