1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 02:59:25.60sk2r3j6w0 (1/29)

あるひのひるやすみ

やすな「ソーニャちゃん!これ覚えてる!?」

ソーニャ「あー、何とか吉だっけ?」

やすな「ぴょん助だよ!可愛いぬいぐるみだったのにソーニャちゃんに弄ばれてこんな姿に…」

ソーニャ「弄ばれたとか言うな」

やすな「これ全然元に戻せないよ!ソーニャちゃん!責任とってぴょん助を元に戻して!」

ソーニャ「やだよ、めんどくさい」

やすな「いいから、やって!!!」

ぴょん吉を押しつけて本気の怒りを込めたやすなにソーニャは押された

ソーニャ「うっ、わかったよ、ほどけばいいんだろ。ほら、貸せ」

やすな「はい。では、よろしくお願いします。じゃあジュース買ってくるから、よろしく!」

ソーニャ「私の分も買ってこいよ」

やすな「オッケー」

教室からやすなは出ていった

ソーニャ「じゃあさっさと… む、ここは外せないな… ではこっちから…」

ソーニャ「あれ?どうやって結んだんだっけ… むっ、あれ、あっ」

ソーニャ(やばい)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1339437564(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)



2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:01:08.83sk2r3j6w0 (2/29)

数分後

やすな「おっまたせー」

やすな「って!! あ゙ あ゙ あ゙…」

思わずやすなは買ってきた缶ジュースを落とした

やすな「ぴょん助が バ ラ バ ラに…」

ソーニャ「元に戻したぞ これでいいんだろ」

ほぼ八つ裂きにされたぴょん助を前に、ソーニャはいけしゃあしゃあと言い放った

やすな「よくないよ!少なくとも手足と頭と耳と胴体はくっついてたよ!」

ソーニャ「シルエットは同じだぞ」

やすな「綿がはみ出てるから全然違うよ!それにこれじゃ抱きしめられない…」

ソーニャ「後はお前が修復すればいいだろう」

やすな「ソーニャちゃんがなおしてよ!それとも裁縫の一つもできないの?」

ソーニャ「(ギクッ)できないんじゃない、やらないんだ」

やすな「じゃあ明日まで待ってあげるから直してよ」

ソーニャ「だからなんで私が…」

やすな「いいから!!なんだったら裁縫セットも貸すよ!」

ソーニャ「…わかったよ、チッ」

ソーニャ(こいつがこんなにこのぬいぐるみに執着しているとは…)

やすな(ふふふ…いくら冷酷なソーニャちゃんでも修復している内に)

やすな(ぴょん助に愛情を抱いてしまうはず!明日が楽しみだね!)


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:02:06.98sk2r3j6w0 (3/29)

つぎのひ やすみじかん

ソーニャ「待たせたな、あのぬいぐるみだが…」

ソーニャ「この手紙の場所に隠しておいたから 早く探し出してやるんだな」

やすな「おっ!再会を演出するためのぴょん助探しクエストだね!!」

やすな「では早速……あれ、この手紙、最後が謎々になっている」

手紙『夕方に其の木の影が差す場所に求むるものあり』

やすな「其の木って…? まあ、夕方って書いているから放課後に探そう」

ほうかご

ソーニャ「じゃ、頑張って探してくれ」

ソーニャはさっさと帰ってしまった

やすな「うん!よーし、探すぞ… あれ、この地図分かり辛いなあ…」

しばらくして

やすな「えーと、地図では、其の木ってここだよなあ…」

やすな「其の木の影が指す…って…え…うそ…」

やすなが手紙を落とし、棒立ちになって、見つめる其の木の影の先は…

焼却炉

しかも夕方なので点火されてしまっている

やすな「ま…まさか…あの中にぴょん助が…いや…」

やすな(今思えば、朝の『早く探せ』と『夕方に~』が怪しすぎる!!)

やすな(確かに夕方にならないと分からない物は、夕方になってからじゃないと)

やすな(探しにいこう、とは私は思わないから…は、はめられた!)

やすな「ぴょん助は、ソーニャちゃんに燃やされたー!!」

夕日に向かってやすなは叫んだ

一応、焼却が終わった焼却炉を見せてもらったものの

ぴょん助の名残りを灰から見つけ出す事は出来なかった…


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:03:39.44sk2r3j6w0 (4/29)

つぎのひ

ソーニャ「おっ、アレは見つかったか?」

やすなが教室に入ると、すでに着席していたソーニャがいつものトーンで聞いてきた

やすな「…やってくれたね、ソーニャちゃん…」

あきらかにテンションダウンしているやすなが返事をする

ソーニャ「私は早く探せとは言ったぞ」

やすな「やっぱりあそこに捨てたんだ!最低!」

ソーニャ「捨てたんだじゃない。隠したんだ」

やすな「同じようなもんだよ!人の物を勝手に捨てるなんて…」

やすな「できないならできないで返してよ!バカッ!」

ソーニャ「誰がバカだ!!」

やすな「ソーニャちゃんのことだよ!」

ソーニャ「なにぃー!?」

シャシャシャッ!

ガスッガスッ!

ソーニャがナイフを投げ、床やら壁やらに突き刺さる

やすな「ほらっ、バカだからすぐ脅かしてどうにかしようとする!」

ソーニャ「なんだとー!」

ジャキッ!

今度はナイフを構えるソーニャ

やすな「謝ってよ!ぴょん助を捨ててごめんなさいって!」

ソーニャ「お前、これ(ナイフ)を見てよくそんな事が言えるな!」

やすな「私は脅しには屈しない!一言謝る事もできない人には引かない!」

やすな「ぴょん助がそうしろと言っているんだぁー!!」

ソーニャ「なにがぴょん助が、だ!そんなに大事なら私に渡すな!」

やすな「大事だからソーニャちゃんに渡してみたのに…あんなことするなんて…」

ソーニャ「あーあー、そうですか、悪かったよ 悪かった悪かった」

やすな「…っ!」

ソーニャ「悪うございました……これで良いんだろ?」

ソーニャのぶっきらぼうな態度にやすなの表情にも怒りが溜まっていく

ソーニャ「分かったなら早く席に着け、授業が始まるぞ」

やすな(ソーニャちゃん、最っ悪っ…!)

ガタッ!ドスン!

わざわざ雑にイスを引いて雑に座るやすな、明確な気分が悪いのアピールである

ソーニャ(ふん、ぬいぐるみ一つに何でそんなに入れこめるんだ)

その日は結局、二人ともそっぽを向いて言葉や顔を全く合せなかった


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:05:03.82sk2r3j6w0 (5/29)

つぎのひ 通学路

やすながいつもの道を歩いていると

ソーニャが腕を組んで塀に寄りかかりながら待っていた

やすな「………」

やすなは無視して通り過ぎようとする

ソーニャ「おい待て」

やすな「……」

ソーニャ「待て!」

ガシッ

ソーニャがやすなの肩をつかむ

やすな「何ですか?あなた」

ソーニャ「てめー… 単刀直入に言うぞ!昨日のナイフはどうした!?」

やすな「ナイフって?何?」

ソーニャ「誤魔化すな!昨日お前に投げたナイフだ!」

ソーニャ「数えたら一本足りないんだ!間違いない!お前に投げたやつだ!」

ソーニャ「いつの間にか拾ってやがったな!!」

やすな「さー、わかりませーん」

ソーニャ「てめえ!返せ!」

やすな「分からないから、返せませ~ん!」

ソーニャ「あれは大事なナイフなんだ!何としても返してもらうぞ!」

やすな「大事なナイフって?どういうこと?」

ソーニャ「私が長い間愛用していて、一番グリップ…握る感触がピッタリ…って」

ソーニャ「お前には関係ない!とにかく大事なナイフだ!返せ!」

やすな「ふーんだ!知らないよ!焼却炉でも探してみたら?」

やすな「ぴょん助をあーゆー目に合わせたから、バチが当たったんじゃない?」

ソーニャ「なんだとー!貴様!やっぱりお前の仕業か!!」

やすな「さー、その大事なナイフを投げたのは私じゃないけど?」

ソーニャ「…き、き、さ、ま…後で覚えてろよ…」

やすなから手を離したソーニャはさっさと学校へ向かってしまった

やすな(ふんだ… ソーニャちゃんが悪いんだからね)


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:06:35.67sk2r3j6w0 (6/29)

あさ 教室

やすな(ソーニャちゃん、私より先に行ったはずなのにまだ来てないなあ)

と、そこにソーニャが教室にやってきた

やすな「…って、ソーニャちゃん?どうしたの?煤だらけじゃん?」

言葉の通り、ソーニャは全身すすだらけだった

ツインテールもキリンの様に黄色と黒のまだら模様になってしまっている

ソーニャ「やーすーなー。てめー…」

恐ろしい形相でやすなに近づき、首根っこをつかむ

ソーニャ「焼却炉にねーじゃねーか…」

やすな「へ?本当にさがしたの?」

ソーニャ「焼却炉の炎程度じゃ刃の部分は無事のはずだから探してみたが…」

ソーニャ「全く見当たらなかったぞ…」

やすな(冗談で言ったのに…ソーニャちゃん、本気で探しだそうとしてたんだ…)

やすな「い、いやその、焼却炉っていうのは言葉のあやというか皮肉で…」

ソーニャ「あぁ!?」

やすな「その…本当は…どっかに捨てちゃった」

ソーニャ「どこだよ!」

やすな「わ…忘れちゃった…」

ソーニャ「なんだと…思い出せ!思い出すんだ!」

やすな「ちょっ、締め上げても思い出せないって…」

ソーニャ「まさか、どこかで落としたってことはないだろうな?」

やすな「えーっと…それも分からないし、そうかもしれない」

ソーニャ「お前の頭はどうなってんだ!?」

ソーニャ「つまり、落としたとも、どこに捨てたとも分からないってことか!」

やすな「……そういうことに…なるね…」

ソーニャ「そんな…」

やすなを離すと、床に手を着いてガックリとうなだれるソーニャ

やすな(ソーニャちゃんがこんなにショック受けてるのって初めて…?)

やすな(ここから煽ると後が怖そうだ…)

やすな「まあ、これでおあいこだね?」

ピクッ

その言葉に、ソーニャが反応し、同時に恐ろしげなオーラを纏った


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:07:53.69sk2r3j6w0 (7/29)

ソーニャ「お・あ・い・こ・だとぉ?お前のぬいぐるみと私のナイフが?」

ソーニャ「ふざけるな!言っただろう!愛用しているナイフだと!」

やすな「私のだって昔から大事にしているぬいぐるみだよ!」

ソーニャ「私のは仕事の道具だ!お前で言ったら教科書みたいなもんだ!」

やすな「教科書なら無くなっても買えるじゃん!」

ソーニャ「それだったらお前のぬいぐるみだって同じだろ!」

ソーニャ「自分の使ってきた教科書だからこそ大事なんだろうが!」

やすな「だからなんなの?ぴょん助は仕方無くてナイフは仕方無くないの?」

ソーニャ「そーだ!だから謝れ!私も昨日謝ったろ!」

やすな「…あんなの謝った事にならないよ!だからこっちも謝りません!!」

ソーニャ「このやろー…!」

と、一触即発の二人に冷や水が浴びせられる

先生「こら二人ともケンカは止めてさっさと席に座れ!嫌なら廊下に立ってろ!」

すでに授業開始のチャイムが鳴っており、先生に怒鳴られてどうにか収まった

結局、その日もその後で、二人は言葉も交わすことはなかった

しかし…最高に険悪だったのはその日だけのようで

次の日からはギクシャクしながらポツポツと話をするようになった

ところが、一番の変化というべきだろうか…

二人は一緒に帰らなくなっていた

普段はやすなが声をかけて一緒に教室を出て行くのだが、その光景がぱったりと消えた

やすなが声をかけて拒否されるのではなく、誘う事自体がなくなったのだ

…そして、そんな二人の日常が変化してから一週間以上たった

そんなある日…

ほうかご

やすな(さーてとっ)

授業が終わり、やすなが席を立とうとする

そこに…


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:08:39.50sk2r3j6w0 (8/29)

ソーニャ「ほら やすな」

唐突にソーニャが大きめの紙袋を差し出してきた

やすな「? ソーニャちゃん、なにこれ。紙袋?」

ソーニャ「いいから!」

紙袋をやすなに押し付けるソーニャ

受け取ったやすなは早速、紙袋の中を見てみる

ガサガサ

その中にはピンク色のうさぎのぬいぐるみが入っていた

やすな「あっ!…これは、ぴょん助!!」

やすな「ぴょん助ー!久し振りー!!」

ギュウゥ

ビニール袋が被っているがおかまいなしに抱き締めるやすな

ソーニャ「…だいぶ色々な所を探しまわったが…同じヤツのはずだ。多分」

やすな(じゃあ、最近学校の後はぴょん助を探してくれてたんだあ 嬉しいな♪)

やすな「わー、ソーニャちゃんありがとー!大事にするよー!」

ここしばらく見せていなかった、満面の笑みを浮かべるやすな

ソーニャ「コホン…さて、本題だ…」

ソーニャ「…ナイフを返してもらおうか」

やすなのテンションと間逆に、静かに、問い詰める

やすな「え?」

ソーニャ「あれから、可能性のある場所を探し続けてみたんだが…どこにも無かった」

ソーニャ「つまりナイフがあると考えられる場所は私の行っていない場所…」

ソーニャ「そして、お前が忘れていたという事が本当でも嘘でも問題ない場所…」

ソーニャ「つまり、お前の家だ…」

やすな「えっ…ちょ、ちょっと待ってよ…」

もはや問答無用、やすなに拒否権どころか発言権すら与えないプレッシャーを放つソーニャ

ソーニャ「お前の家しか考えられん…」

ソーニャ「いいかっ…忘れずに持って来いよ」

やすな「…う、うん」

凄まれて、やすなはつい返事をしてしまう

ソーニャ「じゃあな」

ソーニャは短くあいさつをするとそのままフイと振り向いて教室から出て行った

やすな(ど、どうしよう…)


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:13:20.43sk2r3j6w0 (9/29)

つぎのひ

ソーニャは朝からピリピリしながらやすなを待っていた

早ければ通学路、遅くとも授業開始前に目的の物を返してもらえると思っていた

ところが、授業が始まってもやすなは姿を見せず、とうとう一時間目が終わってしまった

ソーニャ「やすなめ!やはり本当に捨てていたのか?だから逃げ出したのか?」

いやしかし どこかに隠れているのかも知れない…

とりあえず その休み時間にソーニャは下駄箱(玄関)に向かった すると、下駄箱にはやすなの靴があった

ソーニャ「靴がある。ということはあいつは校内にいるのか?……ん?」

ふと、自分の下駄箱を見てみるとラッピングされた小さい箱が入っていた

間違いなく朝には無かった。つまり…

ソーニャ「これはやすなの仕業に違いない。…と、なると中身は…」

ソーニャ(昨日のやりとりからして、ナイフか…はたまたいたずらで別のものか…)

ソーニャ(いずれにしろ、どこかで開けてみるか。あいつを探すのはそれからだ)

ソーニャは箱を手に取ると、近くでやすなが見ていないか調べたあと、下駄箱を離れた

空き教室

ソーニャ「とりあえず、ここならいたずらであっても大丈夫だろ。…さて、開けるか」

ガサガサ

ラッピングを取ると、ナイフが収められた箱が出てきた

ソーニャ「…やっぱりナイフか」

ソーニャは早速ナイフを手に取って見定める

ソーニャ「…だが、私のではないな…どういうつもりだ…?」

箱に目線を落とすと、折りたたまれた紙が添えられている事に気付いた

ソーニャ「ん?これは…手紙が付いているな。あいつからか?」

ソーニャ「とりあえず読んでみるか…」

『ソーニャちゃん へ

昨日は 新しいぴょん助をありがとう

だけど ごめんなさい

ソーニャちゃんのナイフは家にはありません 本当に捨てていました

刃の部分は粉々に砕いてからガラスと一緒にして捨てて

柄の部分はゴミの収集車に直接入れました

だから、もうどこにもありません。だから、もう返せません。

その代わりに、私の今の財布の中身で買うことができた一番高いナイフを

プレゼントします。

本当は裁縫部や家のお手伝いをしたりお小遣いを前借りして

もっとお金を貯めてから もっと高級なナイフをお返ししたかったのですが

間に合いませんでした ごめんなさい。

本当はこのナイフが殺しに使われるのは嫌です、だけど

私がぴょん助を大事にするのと同じくらい大事にしてくれるのならガマンします。

お互い物を大事にしようね!

やすな より』


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:15:06.79sk2r3j6w0 (10/29)

ソーニャ「…………あいつ…」

ソーニャはナイフと手紙を箱にしまった

そして、休み時間の許す限りの範囲で校内を探したが、やすなは見つからなかった

屋上

そこにはベンチで横になってボーッと空を眺めるやすながいた

キーンコーンカーンコーン♪

二時間目の授業が終了するチャイムが鳴った

やすな(二時間目もさぼっちゃったな… どうしよう…)

やすな(だけど、教室には行きづらいし… ソーニャちゃん、気付いてくれたかな…?)

ハァ…

空に向かってタメ息を漏らすやすな

…の視界に突如、ソーニャの顔が現れた

ソーニャ「おい」

やすな「うわっ!…ソーニャちゃん!?どうして、ここがっ!?」

やすなはとびおきた

ソーニャ「お前が居そうなのはここくらい…だからな」

ソーニャ(残りで考えられる場所はな)

この屋上は空き教室遠かったため、先程ソーニャは探せなかったのである

スッ

ソーニャがやすなの隣に座る

やすなはチラチラとソーニャを見るが、ソーニャはまっすぐ前を見すえている

わずかな沈黙の後…

ソーニャ「やすな」

ソーニャ「…私が使うナイフは、どれも自分で性能を確かめた選りすぐりの優秀なものだけだ」

ソーニャ「…だから、あんな安物のナイフじゃあ…私が使うには値しない…」

ソーニャ「…だから、実戦で使う事はない…だけど…貰ったからには…返さないからな…」

やすな「ソ、ソーニャちゃん…」

やすな(それって、プレゼントとしては受け取るってことだよね?)

やすな「うん。ありがとう…」

ボソッ

ソーニャ「ありがと…」


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:16:51.59sk2r3j6w0 (11/29)

やすな「あれ?今ソーニャちゃん「ありがとう」って言った?」

ソーニャ「いや言ってない。頼みたい事があるとは言ったかもしれない」

やすな「もう、ソーニャちゃんってば!」

やすな「…って、頼みたい事?」

ソーニャ「ああ」

と、ソーニャはやすなの方を向き、コホン、と咳払いしてプレゼントのナイフを二人の間に出した

ソーニャ「このナイフを“お守り”にしようと思う」

やすな「お守り?」

ソーニャ「そうだ、祝福とかご加護とも言うが、ゲンを担ぐための“お守り”だ」

ソーニャ「よく聞くだろう?受験生ならば鉛筆とか、神社で売っているヤツとか」

ソーニャ「代々受け継がれているペンダントとか、板前だったら古い包丁とか」

ソーニャ「商売道具をお守りにするのも良くあるそういった手段の一つで…」

ソーニャ「私の場合は、このナイフにしようと思う」

ソーニャ「実戦には使わないから、“お守り”にもちょうどいい」

やすな「それは喜んでいいのかな?」

ソーニャ「そ、それでだな… その… これに…」

突然、ソーニャは歯切れが悪くなった

ソーニャ「その… なんだ… お前… の…」

やすな「名前を彫るの?」

ソーニャ「いや違う! それもするつもりだが違う! 近いけど違う!」

ソーニャ「その…お前なんだけど…名前じゃなくて…」

やすな「座右の銘? 電話番号? 住所? 指紋? 歯型?」

ソーニャ「…っ…後ろの二つが近い…」

やすな「指紋と歯型?…指と…歯…?」

ソーニャ「歯じゃなくて…もう少し前にある…やつ…」

やすなはソーニャの顔を見て探ろうとするが、ソーニャは俯き気味で視線を合わせようとしない

やすな「歯の、前…というと…(チラッ)く、くちびる?…っ!!!」

やすなが正解に気付いて顔を赤くする

やすな「も、もしかして…キスマーク?」

やすながその単語を出すと、ソーニャは黙って首を縦に振った

そのソーニャの顔も、赤くなっていた


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:19:16.95sk2r3j6w0 (12/29)

ソーニャ「そうだ、女性が贈り主の場合には基本的にはそうするらしい。
軍人や傭兵関係筋ではよく聞く話だ。
といっても今の時代はナイフではなく銃火器にだがな。
名前や座右の銘とかをサインする場合もあるが、
それはお守りとして簡易的なレベルらしく最上なのはキスマークと言われているんだ」

ペラペラペラペラ

誤魔化す様に一気にソーニャは早口で説明する、しかし説明というより言い訳かも知れない

やすな「えー…っと、と、とにかく、そのナイフにキスマークをつけるの?」

やすな「…でも、私で…いいの?」

ソーニャ「お前以上に私を心配しているヤツがいるのか?いるのなら教えてくれ」

やすな「そんなのいるわけないじゃん!私が全世界で一番ソーニャちゃんを心配してるの!」

ソーニャ「そうだろ?だからこれは私にとって世界一効果のある“お守り”になるんだ」

ソーニャ「“無事を願う”という意味では一般人の方がいいんだ」

ソーニャ「“無敵の戦績”とか“最強の戦士”を願うなら、世界一の殺し屋にでも頼むさ」

やすな「そういう…ものなのかなあ…」

ソーニャ「そういうもんなんだ。で、口紅は持ってるか?」

やすな「いきなり言われても持って無いよぉ 誰かから借りてくる?」

ソーニャ「やめろ!(理由を説明されたらたまらん!)」

ソーニャ「仕方無い、というよりやっぱり、血の方がいい」

やすな「“やっぱり血の方が”って!怖いこと言わないでよ!」

ソーニャ「何を言う。口紅よりも本人の血によるキスマークの方が効力があるそうだぞ」

やすな「効力って…血判状じゃあるまいし」

ソーニャ「血判状の方が重要な扱いだろう?…ほら。親指」

やすなが左の親指をみると、軽い傷がつけられ出血していた

ソーニャが切ったのであろうが、痛みは全く感じなかった

やすな「えっ…?あっ、いつの間に!?」

やすな(ソーニャちゃんが本気を出すとこんなこともできるんだ…)

ソーニャ「それをつけるんだ」

やすな「わ、わかったよぉ…」

恐る恐る、血を唇に塗りつけるやすな

指から目をそらしてソーニャの方を見ると、ソーニャも同じ事をしていた

やすな「ちょっ!ソーニャちゃんも何やっているの!?」


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:20:19.35sk2r3j6w0 (13/29)


ソーニャ「いや、私もキスマークをつけないと…」

やすな「つけないと、って何に?もしかして、ぴょん助に?」

ソーニャ「このナイフに決まっているだろう。私も反対側から同じ事をする」

やすな「え?今、何て?キスマークをつけるのは贈り主だけじゃないの?」

ソーニャ「ああ、贈り主だけじゃなくて持ち主も同じようにキスマークをつけるんだ」

ソーニャ「ナイフの表と裏に同時に…お前が表側だとしたら私はその裏側に…」

ソーニャ「お互い反対側から、同時に行うんだ」

やすな「ど、同時って…!またまた、そんな!」

ソーニャ「贈り主のキスマークの反対側の、持ち主のキスマーク」

ソーニャ「同時につけられた二つのそれは、込められた想いが重なり合うことで」

ソーニャ「“二人の想いで持ち主を守る”という事に繋がるんだ」

やすな「だけど同時って!べつに今じゃなくても」

ソーニャ「片方づつ。とお前は言いたいんだろ?だがしかし」

ソーニャ「両側からバランスの良い力でお互い口づけることも非常に重要な要素であって」

やすな「ねえ、本当にそれ、本当?他にやっている人いるの?」

ソーニャ「…多分、いる」

やすな「ソーニャちゃんはどうなの、やったことあるの?」

ソーニャ「無い。初めてだ」

プイと目をそらして言うソーニャ

ソーニャ「だから、しっかり済ませたいんだ」

やすな「でも、それってナイフを挟んで私とソーニャちゃんがキスするって…ことになるよ?」

ソーニャが少し照れくさそうにしながら答える

ソーニャ「そういう…ことになるな…うん」

ソーニャ「だが、ナイフを挟んで、だからな。…もう、準備はできただろ!さあ、やるぞ!」

やすな「も、もおっ!」

強引にやすなを急かしたソーニャはナイフを二人の顔の間に挙げた

やすなを急かして、ソーニャはナイフを二人の眼前に挙げる

ソーニャ「お前も持ってくれ」

やすな「…う、うん」

言われて、右手をソーニャの手に添える

やすな(いよいよキスするんだ…)

やすなはまたしっかりと唇に血に染めた

上気した顔で、やすなは覚悟を決めて、顔を挙げ

そしてその眼前のナイフと、その先のソーニャの顔を見て

…絶句した

ソーニャの唇はあざやかな紅で染まっている

しかし…先程まで照れていたはずの彼女の肌の赤さは失せていた

そしてその瞳には、一切の迷いが無かった


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:22:15.68sk2r3j6w0 (14/29)

やすな(こんな真面目な表情をしたソーニャちゃんを見たのって、初めて…?)

やすな(多分、仕事の時だけにする表情なんだろうな…)

やすな(そうだよ…これは…ソーニャちゃんの仕事のためにする“儀式”なんだ)

今後、そして将来も、ソーニャ自身が生き延びるため…

やすなと同世代ながらすでに身を投じ、自らの生涯の稼業と決めたその過酷な世界で

少しでも生き延びる可能性を上げるためにすることなのだから…

自らの覚悟、運命、願いを託して…だから…不真面目に行えるはずがない

やすなは、そう解釈した

ソーニャ「いいか?始めるぞ…」

ソーニャが問う

やすな(そのために私は今から、このナイフにキスをする)

そしてやすなは自らに問う

やすな(…私は…?この儀式の片割れに選ばれたことは…?)

やすな(嬉しい?どうなんだろう、私は…嬉しいのかな…?…いや、違う…)

やすな(嬉しいけど…本当は…悔しい、悔しいんだ…)

やすな(ナイフが私よりも遥かに長い年月、彼女とともにあるということが悔しい)

やすな(彼女その世界から救いだせない事が悔しい)

やすな(今も、もしかしたらこの後もずっと、無事を祈る事しかできないのが悔しい…)

やすな(そして、私は彼女にあんな表情をさせるナイフに、愛用の彼女のナイフに…)

やすな(私は、嫉妬しちゃってるんだ…)

…やすなの頬に一筋の涙がすべり落ちる

だが、ソーニャは何も言ってこない 視界に映っていないのだろう

やすなは、首を縦に振った

やすな(だから、私は…)

二人の唇が、ゆっくりとナイフに近づいていく…

やすな(だから、私は、私のこの想いを…唇から、血を通して、ナイフにぶつける!)

やすなは、この儀式の意味が何となくわかった気がした

ピト

ナイフの肌に二人の唇が同時についた

冷たい感触に負けず、二人は少し唇を押しつける

どちらに傾くこともなく、ナイフはまっすぐのままだ

前髪はすでに、お互いを求める様に自由に触れ合っている


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:23:41.41sk2r3j6w0 (15/29)

やすな(やっぱりナイフだ、ソーニャちゃんの唇じゃない…残念…)

やすな(そうじゃなくて!集中しないと…!)

やすなは必死で想いをナイフに注ぎ込む、できれば、その先のソーニャまで届く様に

やすな(ソーニャちゃんに危機が迫ったら、このナイフが救ってくれますように…)

やすな(ソーニャちゃん、死なないでね。ずっと無事でいて、私と遊んでね)

やすな(ソーニャちゃん、いつか、いつか、必ず殺し屋から足を洗ってね)

やすな(このナイフが壊れるのはソーニャちゃんが死ぬ時じゃないよ、殺し屋を辞める時だよ)

やすな(私、私…ソーニャちゃんをこんなに心配しているんだから…)

やすな(…ソーニャちゃん……大好き…私、こんな気持ちを抱いたの初めてなんだからね)

シルエットでは直接キスしているようにしか見えない

しかし実際はその間に数ミリの鉄の板をはさんでいる

やすなは、その鉄の板の先に想いを巡らす…

やすな(ソーニャちゃんは…何を考えているんだろう?)

やすな(『このナイフがあるかぎり、私は死なない!』とか…)

やすな(『やすな、私が無事でいる限り、お前と遭いたい』とか…)

やすな(『いつかは、このナイフが要らない世界で生きていきたい』とか…)

やすな(『このナイフが壊れたら潮時だ、殺し屋を辞めよう』とか…)

やすな(『やすな、心配させてすまない』とか…)

やすな(『やすな、お前は私の大切な人だ、もう特別な存在になってしまったんだ』とか…)

ソーニャも、やすなと同じように想いを込めているのだろうか?

しかしやすなにそれを知る術はない

そしてやすなはずっとこの時間が続けばいいなと思っていた

…ナイフの肌から冷たさが消えてきた

…それが自分の体温からなのか、反対側からの体温からなのかは分からない…


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:25:23.08sk2r3j6w0 (16/29)

始まって、どれくらいの時間が経ったのだろうか

やすな(ナイフじゃなくてソーニャちゃんとキスしてみたいなあ…)

キーンコーンカーンコーン♪

やすなにとうとう煩悩が出てきたところで三時間目の授業開始のチャイムが鳴った

しかしやすなは気にしない

やすな(相変わらず空気を読まないチャイムめ。だけど今の私には効かないよー)

やすな(このまま私の愛の熱で鉄なんか溶かしちゃって、その先のソーニャちゃんと…)

やすな(えへへへへ)

ついに思考が煮えたぎってきたやすなは唇の感触の変化に気が付いた

やすな(あれ?なんか軽い。もしかしてナイフが無い?)

途中から目をつぶっていたので状況が分からないやすなは目を開けた

すると、ソーニャの顔が目の前にあるはずなのだが…屋上の風景が飛び込んできた

やすなは空気に向かってキスをしている事に気が付いた

ソーニャ「おい…」

すぐに妙に低いソーニャの声で横から呼ばれたので振り向くと…

ソーニャの額にナイフの刃がくっついていた

やすな「!?」

チャイムが鳴って、ソーニャは律儀にナイフから唇を離した

しかし、そのままナイフに口づけているやすなに押された

さらに唇とナイフを離れさせようとナイフの角度を直角にずらしたのがまずかったらしく

サクッと刃が少しだけソーニャの額に刺さったのだ

しかしソーニャは咎めもせずにナイフを抜いて、刺さっていた部分を丁寧に拭き始める

ナイフにくっきりと付いた紅色のキスマークを完璧に避けて

やすな(うわ… すごいくっきり付いてる… いざ見てみると、恥ずかしいなあ)

ソーニャ「まさかいきなり傷を負わされるとは 予想外だったよ」

やすな「いや、違うよ!えーと… これは、その… す、すごいんだよ!効力が!」

ソーニャ「なに?」

やすな「ここで大きなケガをしてしまえば、戦いに出られない!」

やすな「つまり、危険な目に遭う事も無い!これこそ究極の危険回避!」

ソーニャ「…日常生活でお前に殺されるかも知れないんだが…」


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:26:33.09sk2r3j6w0 (17/29)

ソーニャ「さて、と、私はちょっと家に戻る。三、四時間目は任せたぞ」

任せたぞ、というのは私の分も授業を聞いておけ、という意味である

ソーニャ「あとで一、二時間目の分は教えてやるからそれと交換だ」

やすな「え?サボるの!?」

ソーニャ「…このナイフにサビ止め加工をするんだよ!なるべく早くやりたいんだ」

やすな「おおぅ、本気で本格的だ」

ソーニャ「当然だ。肌身離さず持ち歩くんだからな」

ソーニャ「それと、後で直筆で名前を書いてもらうぞ」

ソーニャ「それに私の名前と日時と場所を書いて完成だ。じゃあ頼んだぞ」

言うだけ言ってソーニャはナイフを握ったまま屋上から去ってしまった

やすなはその去り際、一瞬だけだがソーニャが握るナイフの刃を見た

少し離れてはいたが、やはり、紅色のキスマークがついているのがハッキリと分かった

やすな「…本気で大切にしようとしているんだねぇ…ん?」

やすな「そういえば、肌身離さず持ち歩くって言ってたけど…これは…」

やすな(これは恥ずかしすぎる!)

やすな(だって、私のキスマークがついた物を持ち歩かれるんだよ!恥ずかしいよ!)

やすな(っていうかソーニャちゃん結構落し物多いから)

やすな(もしあのナイフを学校で落とされでもしたら…他の人に見られたら…)

想像だけでまたも顔が真っ赤になってしまった

やすな(くそう、こうなったら私もぴょん助にキスマークをつけてもらおうかな)

そんなことを考えながら、三時間目の待つ教室へと戻っていった


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:27:55.72sk2r3j6w0 (18/29)

それから数日後

教室

やすな「ソーニャちゃん!ソーニャちゃんのリボンちょうだい!」

ソーニャ「なんだまた突然… やらん 自分で買え」

やすな「えー!?やだ!!ソーニャちゃんの付けているのが欲しいのー!」

ソーニャ「うるさい!駄々をこねたってやらん!」

やすなはピタとはしゃぐのを止めて、今度はスーッと顔をソーニャに近づける

やすな「ソーニャちゃんのナイフのお返しにリボンが欲しいの」

やすな「私のファーストキスを奪ったあのナイフのお返しに…」

流石にやすなもそこは小声になって話す

ソーニャ「ファ…!お前の都合なんて知らん!」

つられてソーニャも小声になる

やすな「えーっ?私のファーストキスを“物”にさせといて、それはひどいよー」

ソーニャ「物だったからノーカンじゃないのか?」

やすな「そんなに私とキスしたのが嫌なの?」

ソーニャ「だからお前とじゃない、このナイフとだ」

チャキッ

ソーニャは瞬時にキスマーク付きのお守りのナイフを取りだした

すぐにやすなは生々しいキスマークを視界にとらえてしまう

全くあの時と状態が変わっていない

しかも、『△年○月×日、晴れ、□□高校の屋上にて 折部やすな(自筆)』と

ソーニャが言っていた通り、事の詳細のサインが加わっていた

やすな(あらためて、これは恥ずかしい…)

やすな「ちょちょっとソーニャちゃん、それ、外に出さないでよ…」

ソーニャ「そうだな、ご利益が薄まってしまうな」

サッ

あっという間にナイフが隠れる

やすな(そういう意味じゃないんだけど…いいか)

ソーニャ「これはあのぬいぐるみと交換したようなもんだろ?」

やすな「けどその後にナイフにそれ(キスマーク)つけたでしょ?」

やすな「だから、まず私もぴょん助に同じものをつけてもらおう!」

やすな「と、思ったんだけど…どうでしょう?」

ソーニャ「ぬいぐるみにそんなことしても意味無いだろ」

遠慮なくソーニャは即答する

やすな(自分はなんだかんだ理由付けてあんなキスさせたクセに…)

やすな「いーじゃん、くっきりとつけてよー!」

ソーニャ「それじゃーつけてやろーか…私の拳の跡をな!」

ソーニャの握り拳がいい感じで震えている

やすな「…というのは冗談です。っていうか絶対ぴょん助が破裂するからヤメテ!」

やすな「…と、そんな訳でソーニャちゃんのいつもつけているリボンを貰おうかなって」


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:28:56.57sk2r3j6w0 (19/29)

やすな「スペアとかちゃーんとあるんでしょ?だから一組ちょうだい!」

ソーニャ「もらってどうする…お前も同じ髪型にするのか?」

やすな「違うよー。私ツインテールは似合わないと思うし…」

やすな「だから、ぴょん助につけてソーニャちゃんっぽくするの!」

ソーニャ「そうか…」

ソーニャは少し下を向き、少し何か考えた後、再度やすなの方を向いて言った

ソーニャ「駄目だ」

やすな「えー。そんなぁ。あ、発信機がついているとか、何か秘密があるとか…」

やすな「もしかして、そーゆー理由で?」

ソーニャ「違う。そーゆーのじゃなくて、ちゃんと理由がある」

やすな「えー?何ぃ?教えてよぅ」

ソーニャ「嫌だ、自分でよーく考えてみろ」

ソーニャ「…そうだな…よし。理由を当てたら、このリボンのスペアをお前にやる」

やすな「ホント!?ホントだね!?」

ソーニャ「ああ、特別だぞ」

やすな「…よーし、じゃあ、まずはヒントをちょーだい!」

ソーニャ「いきなりかよ!お前、少しは考えろよ!」

やすな「だって、全然ピンとこないんだもん」

ソーニャ「全く…ヒント、ねえ…ヒント…うん」

ソーニャ「いいか、“使い方”だ。“使い方”。まあ考えればすぐ分かると思うぞ」

やすな「“使い方”、かあ…」

そのひのよる

やすな「ぴょん助ー(ソーニャがプレゼントしたもの)、聞いてよ」

やすな「ぴょん助にソーニャちゃんのリボンをつけてあげようと思ってさぁ」

やすな「ソーニャちゃんにお願いしたんだけど…」

やすな「なんか使い方に問題があるらしくって貰えなかったんだー」

ギュッ

やすながぴょん助を抱きしめた

やすな「何が問題なんだろうねー」

ぴょん助(やすなの独り芝居)『ぼく、分かんなーい』

ぴょん助『でも、ソーニャちゃんのリボンを耳につけれたら嬉しーな』

やすな「だよねー。なんでだめなんだろう…」

やすな(とぴょん助)は一晩中考えてみたが、結論はでなかった


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:30:23.59sk2r3j6w0 (20/29)

つぎのひ

ソーニャ「どうだ?分かったか?」

やすな「…分かんない」

やすなはハァ、とため息をもらした

ソーニャ「はぁ?お前はどんだけ鈍感なんだ」

やすな「鈍感って!私はソーニャちゃんの愛にはアンテナ常時4本だよ!」

ソーニャ「受信過剰じゃねーか!ってか私は愛なんて発信していない!」

ソーニャ「そもそもそんなに気にしてるっていうんだったら、すぐ気付くぞ!」

やすな「それ、どういう意味?」

ソーニャが一瞬たじろいだ

ソーニャ「し…知らん!とにかくお前が答えられるまで、これはやらん!」

前に出されたソーニャの左手が黒い二つのリボンを握っていた

やすな「あっ、それがスペアのリボンなんだね!ちょうだーい!」

しかしすぐに引っ込めてしまう

ソーニャ「だから駄目だっていってるだろ!」

やすな「いーじゃん答えは後払いで!」

ソーニャ「だーめーだ!!」

やすな「あれっ?」

ソーニャに詰め寄ったやすなはソーニャの手の異変に気付いた

やすな「ソーニャちゃん、指にばんそうこう貼ってる…ケガしたの?」

ソーニャ「あっ、ああ… これは…スペアを探している時に、部屋のナイフですったんだ」

やすな「危ない部屋だなあ…あっ、そうだ!ソーニャちゃんの家に行きたーい!」

ソーニャ「リボンはどうしたリボンは!!!」

そのひのよる

やすな「ソーニャちゃんが『試しに付けてみれば分かるんじゃないか?』って」

やすな「言ってたから、部屋にあった適当なリボンをぴょん助につけてみたけど…」

ぴょん助『どう?似合ってる?』

やすな「可愛いよー!えへへ、ソーニャちゃーん!」

ギュウッ

やすなはぴょん助を抱きしめた

ぴょん助『もー!僕はソーニャちゃんじゃないよー』

やすな「えー?リボンつけてるからソーニャちゃんだと思っちゃったー」

ぴょん助『えー?おっちょこちょいだなあー』

結局、この夜も何も閃くことはできなかった


21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:32:16.57sk2r3j6w0 (21/29)

またつぎのひ

やすな「やってみましたが、ソーニャちゃんの抱き心地はいつもより良かった気がしました」

ソーニャ「ブフォッ!!ゲホ!ゴホ!お前!いきなり何て事言ってんだ!」

やすな「あ、ごめん。ソーニャちゃんじゃなくてぴょん助だった」

ソーニャ「お前…わざとか?わざと言ってんのか?」

やすな「?」

ソーニャ「ちっ……で!? 分かったのか!?」

やすな「それが…うーん…ソーニャちゃんと同じ結び方じゃないとダメ…とか?」

ソーニャ「違う…」

ハァとため息をつくソーニャ

やすな「…ソーニャちゃん、残念そう…よっぽど私にリボンを貰ってほしいんだね!」

ソーニャ「お前の鈍さにあきれてるんだよ…」

そう言って、ソーニャは再び、先ほどよりも大きいため息をついた

やすみじかん

やすなは腕を組んで校内の廊下を一人歩いていた

やすな「うーん、本当に正解はなんなんだろう…」

ニュッ

あぎり「お悩みの様ですね~」

あぎりが廊下の曲がり角から突如出現した

やすな「あ、あぎりさん!いいところに!実はソーニャちゃんに…」

やすなはあぎりに事情を説明した

ちなみに、ナイフとキスマークのことは恥ずかしいので話さなかった

あぎり「なるほど~」

やすな「あぎりさん!理由が分かるんですか?」

あぎり「何となくですけど…そうですねえ…」

あぎりは少し思案して

あぎり「では…貴女のネクタイを私に下さい」

やすな「えっ?ネクタイ?」

あぎり「そうです。今、つけているのを私に下さい」

やすな「はあ、分かりました」

シュルッ

やすな「はい、どうぞ」

やすなはネクタイを外して、あぎりに渡した


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:34:40.94sk2r3j6w0 (22/29)

あぎり「ありがとうございます~」

あぎりはやすなのネクタイを自分の首筋に近づけて…

あぎり「さっそく、私の九官鳥に付けてみようと思います♪」

やすな「へっ?あぎりさんがつけるんじゃないの?」

あぎり「私はそんなこと言っていませんが…」

やすな「だ、だったら私のじゃなくて、あぎりさんのでも…」

あぎり「私のを付けたら、私のネクタイがなくなっちゃうじゃないですか~」

やすな「だったら、新しいのを買えばいいのでは?」

あぎり「貴女のネクタイだから、私の九官鳥につけてみようと思ったんですが…」

やすな「どうして、そんな、わざわざ…」

ピーン

やすな「ハッ!そうか!そういうことかも!」

あぎり「何かわかりましたか~?」

やすな「はい!閃きました!ありがとうございます!あぎりさん!」

あぎり「それはよかったぁ。それでは~」

やすな「あっ、待って!ネクタイ返してください!」

あぎり「これはアドバイス料代わりということで~」

やすな「いや代わりもってないんで、先生に怒られちゃう!」

あぎり「仕方ないですねえ」

やすな「今度なんかおごりますから勘弁して下さい~!」

あぎり「それでしたらいいですよ~、はい」

あぎりはやすなにネクタイを返した

やすな「ありがとうございます、じゃあまた今度!」

ネクタイも付け直さずにやすなは去っていった

あぎり「ふふふ、世話が焼けますねえ」


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:35:15.73sk2r3j6w0 (23/29)

つぎのひの あさ

やすな「ソーニャちゃん!おはよう!これあげる!」

やすなは教室に入っていの一番でソーニャに黒いリボンを差し出した

ソーニャ「?これは黒いリボン?…私のと同じリボンじゃないか」

やすな「とにかくあげます」

ソーニャは訳も分からずやすなからリボンを受け取った

ソーニャ「…?」

やすな「へい、カモン!」

ソーニャ「??」

やすな「さあさあ、それを早く私に頂戴!」

ソーニャ「???」

ソーニャ「よくわからんが、これをお前に返せばいいんだな」

ソーニャはやすなにリボンを渡した

やすな「ありがとー!!へへ、ついにソーニャちゃんからリボンもらったぞ!」

やすな「目的達成!これでいいんだよね?」

ソーニャ「…どういう、ことなんだ?訳がわからん。説明しろ」

やすな「んもう。ソーニャちゃんがリボンをくれないのは全部自分のだからだよね!」

やすな「つまり、誰かがプレゼントしたものじゃないと、誰かにあげる気にならない…」

やすな「…ってこと、なんだよね!」

ソーニャ「んん?」

ソーニャは一層眉をひそめた

やすな「ナイフも私からのプレゼントだからこそ、あーゆーことしたんだから」

やすな「ソーニャちゃんのリボンが欲しいって言ったら、私から愛を込めたリボンをあげて」

やすな「同じくソーニャちゃんに愛を込めてもらって返してもらう手順が必要なんでしょ?」

やすなはドヤ顔で解説をしてみた

しかし、その後に待っていたのはしばらくのソーニャの沈黙だった

やすな「えーと…ソーニャちゃん、『正解』、では?」

ソーニャ「……やすな」

ドスの効いた声でやすなの名前を呼んだ

ソーニャ「明日が最後のチャンスだ…もし、明日、間違えた理由を答えたのなら…」

ソーニャ「機会は永久に失われると思え。今後、絶対にお前にリボンはやらん!」

やすな「え…?ち、違うの?今のが」

ソーニャ「残念だが大外れだ… というか何でそういう結論になるんだ…」

やすな「ええーー!?」

ソーニャはこの件で何度目か分からないため息をつき、やすなは絶叫した


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:36:09.13sk2r3j6w0 (24/29)

かえりみち

やすなはトボトボと一人歩いていた

やすな(結局あれからソーニャちゃん口聞いてくれないし…)

やすな(もう、分かんないよ…)

ハー、とため息をついたやすなの視界に…

やすな(おや?)

猫と戯れている同じ学校の制服を着た女生徒が映った

赤っぽい茶髪でおさげを垂らし、ブレザーを腰に巻いている

どうもエサをあげている様だとやすなが気付くと、女生徒の方もやすなに気付いた

没キャラ「あっ、お、折部やすな!どうしてここに!」

やすな(どうして私の名前を…って同じ学校だから知っててもおかしくないか)

やすな「いや、どうしてここにと言われても、通学路なんで」

やすな(けどこの人、どっかで見た様な…まあ、いいや)

没キャラ「か、勘違いするなよ!あたしはこの猫にエサをやっているだけなんだからな!」

没キャラ「決して!実はこの猫が沢山の子供がいる母猫で!」

没キャラ「子供のエサが足り無さそうだから、この母猫にあげているわけじゃないぞ!」

没キャラ「いいか!あたしはあくまでこの猫だけを餌付けしているんだぞ!」

没キャラ「他の猫なんか知らない!エサはこの猫だけにあげる、この猫だけのものなんだぞ!」

没キャラ「あたしがあげたエサは、全部この猫が食べるんだ!きっと!」

没キャラ「だから別に大したことじゃないんだぞーーー!」

ダーーーッ!

言うだけ言って、没キャラはその場から走り去ってしまった

猫もエサをくわえてヒョイとどこかに去っていった

誰もいなくなったので、やすなもその場から離れることにした

やすな(別に何も聞いてないのに、よくしゃべる人だなあ…)

やすな(だけど別にこの猫に渡さないで、小猫のところまで行けばいいのに…)

やすな(実は、本当にあの猫だけに渡したかったりして!)

やすな(母猫として苦労しているあの猫に対するプレゼントだったりして!)

やすな(あの人、後で小猫があのエサを食べてるのを見たら怒っちゃったりして!)

やすな(なーんて…まるで…)

何かに気付いたやすなは立ち止った

やすな(も、もしかして… もしかするかも……いや、きっとそうだ…!)


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:37:42.46sk2r3j6w0 (25/29)

つぎのひ

やすな「ソーニャちゃん!おはよう!」

やすなはソーニャが着席しているのを確認すると、すぐに席の横に行き

そこでくるりと半回転する

やすな「どう?今日は私、後ろ髪をまとめてみました!一味違うでしょう」

やすなは短い後ろ髪の下の方を、左右でちょこんと束ねていた、しかし…

ソーニャ「お前…輪ゴムで留めるのはやめろよ…」

ソーニャの言う通り、髪は輪ゴムで適当に束ねているだけだった

やすな「だけどぉいーのがなくってー、あー、なんかリボンとかないかなー」

やすなが露骨な要求する

ソーニャ「フッ…」

ソーニャはキザッたらしく笑って

ソーニャ「じゃあ、これを使え」

スペアの黒いリボンを取り出して、やすなに見せる

やすな「正解?やったぁ!やっぱり私が身につけないとソーニャちゃんは嫌なんだよね?」

ソーニャ「…さーな」

ソーニャは視線をやすなから逸らす

やすな「じゃあせっかくだから、付けて下さい」

やすなはリボンを受け取らず、スキをついてサッと自分の席に座り

結んでいるところを指さしてアピールする

やすな「ね?」

首をちょっと傾げてさらにアピール

ソーニャ「………仕方ないな、分かった、じっとしていろよ」

ソーニャは折れた、やすなのアピールが勝った

ソーニャはやすなの後ろに立ち、すぐに右側の輪ゴムをナイフで斬ってスペアのリボンを結ぶ

やすな「あの…ソーニャちゃん、輪ゴムは斬らずに外してもらえませんか?」

ソーニャ「めんどくさい、こっちの方が早い」

続いて、左側の輪ゴムが斬られる

そのあとすぐにリボンが結ばれるはずなのだが…

やすな「あれ、ソーニャちゃん、どうしたの?もしかして髪も斬っちゃった?」

ソーニャ「いや、違う…ちょっと手間取ってな…もうちょっと待ってくれ」

やすな「ははーん、さてはリボンが付いた私に見とれてたな~?」

ソーニャ「嫌なら外すぞ」

やすな「冗談です!ここまできてストップとか嫌ぁ」

ソーニャ「……」

言葉通り、もうちょっと待ったらリボンが髪に結ばれた

ソーニャ「よし、待たせたな…と、ん?」

ソーニャはやすなが両手に紙を持っていることに気付いた


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:40:05.46sk2r3j6w0 (26/29)

いつの間に用意したのかやすなが右手に

『最終日で見事正解したご褒美に リボンに』

左手に

『キスして さもないとこの紙をバラまく』

と書かれた紙を持っていて、ひらひらさせている

ソーニャはその要求に頭に怒りのマーク+握りこぶしを震わせたが…

教室内を見回してクラスメートが誰一人こちらを向いていないことを確認すると

…少し屈んで両方のリボンにキスをした

…といっても、ギューッっという効果音が聞こえてきそうな感じで

布を唇に押し当てたと言った方が正しい程度のくちづけであったが…

ソーニャ「…これでいいだろ」

やすなの持っている紙を奪ってグシャグシャにしながらソーニャは聞いた

やすな「うん!ありがとうソーニャちゃん」

こうして、やすなは念願のリボンをゲットしたのであった

やすな「これで…」

やすな(ソーニャちゃんと離れ離れになっても… いや、そんなこと考えちゃ駄目だ)

ソーニャ「これで何だよ」

やすな「あ、いや、いつでもソーニャちゃんの真似できるようになった!」

ソーニャ「やったら没収するぞ」

やすな「えー、厳しいなあ」

やすみじかん

やすな「ねえねえソーニャちゃん、リボンつけてもらって悪いけど」

リボンをつけたままのやすながソーニャに声をかけた

やすな「私、この髪型あんまり似合わないと思うんだ」

ソーニャ「そうか?…そう言われてみると…何も付けてない方がい…い、いや、まあ、その」

ソーニャ「お前の言う通りだ、確かにそうだな、そう思う」

やすな「だからさー。毎日これってのは、ちょっと勘弁してくれない?」

ソーニャ「うーん…そうだな…」

ソーニャは腕を組んでしばらく考えた

ソーニャ「…じゃあ、リボンはつけなくていいから学校に持っていてくれ」

ソーニャ「…いや、それじゃあ意味がないな…そうだな、こうしよう」

ソーニャ「持っているのは毎日当然として、週に一回は身につけてきてくれ」

やすな「ええー?週1?」

ソーニャ「私がOKしたら外してもいいから」

やすな「…うーん…まあ、しょうがないか…」

やすな「付けてるうちに、似合う付け方が見つかるかもしれないし…」

やすな「…そうだ!その代わりにっ」

やすな「制服じゃない時でもちゃんと付けているの見てもらいたいから」

やすな「月に最低1回は私服の時にもチェックしてくれるかな?」

ソーニャ「ああ、構わないぞ」


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:41:37.60sk2r3j6w0 (27/29)

やすな「私も守るから、約束だよ」

ソーニャ「ああ」

ソーニャは何気なく返事をした

しかし、ソーニャが『月に最低1回は私服の時にチェックする』の本当の意味が

『月に1回は休みの日に私服で会う』であることに気付くのは昼休みになってからだった

しかしソーニャは約束を覆す事ができなかった

さらに、週1のリボン装着指令もやすなに逆手に取られ

わざとリボンを付けずに登校してくるやすなにソーニャがリボンを付けさせるという

お楽しみになってしまいましたとさ


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:42:18.95sk2r3j6w0 (28/29)

ある休日 やすなのいえ

やすな「そうだ、ソーニャちゃんから貰ったリボンも洗わなきゃ」

やすなはゴシゴシと手洗いでリボンを洗う

やすな「そういえば、リボンの端っこの方にキスしてもらったんだよね」

やすなはマジマジとその部分を見る

やすな「あれ?端っこの方…なんか手触りが変だ」

やすな「これ…端が糸で縫われている?破れていたのかな?」

やすな「…うーん、間違いない、わざわざ黒いリボンに黒い糸で何か縫われてるぞ」

ジーっ…と目を凝らして見る、やはりなにか縫われている…どうも、文字の様だ

やすな「こ…これはっ…」

やすなはビックリした

『ソーニャ ヤスナ  ノ  アカシ』

と、リボンの端っこに黒い糸で縫われていたからだ

やすな「そういえば、前にソーニャちゃんが指を怪我していたような…」

確かに、スペアのこのリボンを持ってきた日、ソーニャは指に絆創膏を貼っていた

やすな「リボンを探してって言ってたけど、もしかしてこれを縫っていて…?」

そう気付くと、ソーニャのハンドメイドのこのリボンが一層愛おしくなった

やすな「嬉しいなあ…って、しかし、証って、何の証なんだよぅ、もう!」

やすな「さては、何て縫おうか迷ってて、結局決められなかったなー?」

やすな「あはははっ。ソーニャちゃんってば優柔不断ー!」

やすな「そうだ、もう片方にも何か縫われているはず!探してみよう!」

しかし、いくら探しても、もう片方のリボンからは何も見つからなかった

やすな「ちぇっ、なんだよ、ソーニャちゃんのケチ!」

やすな「ま、片方だけでもいっか。黒い糸がたまたま無くなっただけかもしれないし」

もう片方のリボンに何も見つからないのには理由があった

片方は“スペア”のリボンではなかったからだ

やすなにリボンを付けたあの日、あの時、右側にスペアのリボンを付けたそのあと

ソーニャは自分の右側のリボンを外して

そこにやすなにあげるはずのスペアのリボンを自分の右側に付けた

そして、やすなの左側には、外したばかりの自分のリボンを結んだのだった

つまり

片方は“本当の”ソーニャのリボンでだったのである

同時に、二人とも片方はスペアのリボンとなり、本当にお揃いとなった

そうした状態でやすなが気付かぬまま行われた月一回の私服でのチェックと言う名のデートが

ソーニャにとってどれほどの思い出となったのかは言うまでもないだろう

おわり


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:47:27.54pdo8jzvNo (1/1)

乙わさわさ


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 03:53:32.497wRp8jH80 (1/1)

記念カキコ


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 04:11:26.99sk2r3j6w0 (29/29)

>>29
>>30
レスどうもです


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/13(水) 19:36:24.33I7EUY79DO (1/1)

乙!!
後日談も読みたいと思う今日この頃


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/06/16(土) 00:10:09.35apu/KhGb0 (1/1)

やすニャ分補給完了できました! すんばらしー


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:51:02.08nhdYZqe40 (1/8)

1で一カ所“ぴょん助”が“ぴょん吉”になっていたり、ソーニャの「…やばい」とするところを(やばい)にしてたり
どうして気付くのが投下した後なのか…

>>32
あまり推敲してないですが追加します 再度ここをみてくれることを祈りながら投下します


35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:51:50.94nhdYZqe40 (2/8)

○月×日 休日

ソーニャは月一回の私服でのリボン装着確認のため、と称してやすなに呼び出されていた

今月の待ち合わせ場所は…遊園地

その遊園地の入り口で待つソーニャ、しかし約束の時間になってもやすなの姿が見えない

ソーニャ「あいつ 呼びだしておいて遅刻かよ…」

ソーニャのイライラが溜まってきたところで やすなからメールが届いた

やすなのメール『中の広場で待ってるよ』

ソーニャ「!?」

すでにやすなは遊園地に入場していた つまり 会いたければ入場するしかない訳だ

やすなのやる気の高さにソーニャは早速ため息をつくのだった


遊園地の広場

やすな「ソーニャちゃん おっはよー!」

ソーニャを見つけてやすなが駆け寄ってきた

やすなは後ろ髪の左右の端っこを黒いリボンでまとめ 2つの小さいおさげをつくっていた

ソーニャ「普通 待ち合わせっていったら入口だろーが」

言いながら ソーニャはリボンの方ではなくやすなの白いワンピースに目を奪われていた

飾りっ気の無いやすなの顔と体が、シンプルで清潔感のある純粋な白さと良く合っている

リボンではなく私服で魅了しようとするやすなの作戦はまんまと成功しているようだ

やすな「えへへ 入口で逃げられちゃうかと思って♪」

一方のソーニャは黒いミニスカートに白いワイシャツ、灰色のブレザーを着て、

黒い色のネクタイを付け、黒いスニーカーを履いている

服はまるっきり制服に見えるが、ソーニャによると色が似ているだけで違うとのこと

やすなは『コーディネートが面倒だから制服に似たのを選んでるだけ』と推測した

やすな「それで どこいこーか?」

ソーニャ「巨大迷路とかないのか?」

やすな「ソーニャちゃん 逃げる気まんまんでしょ。よろしい、最初はあそこにしよう!」

やすなは早速どこかに向かって歩き始めた


36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:52:38.60nhdYZqe40 (3/8)

数分後

お化け屋敷の前

ソーニャ「…ここは別にいかなくてもいいんじゃないか?」

やすな「ぅわー 予想通りびびってるーう 別に本物がでるわけじゃないのにー」

ソーニャ「貴様! びびってなどいない! こんなのどうせ大したことないだろ?」

ソーニャ「だから気が乗らないだけだ」

やすな「入りたくないからって そんな言い訳してぇ~」

ソーニャ「言い訳じゃない! 人が仕掛けているんだから話にならんってことだ」

やすな「じゃあ 入ろうよう」

ソーニャ「分かったよ …よし 行くぞ」

ソーニャは殺気をばらまきながら やすなはニヤニヤしながら 二人はお化け屋敷に入っていった

お化け屋敷の中

ソーニャ「あっちに一人 こっちには人形が一体 少し進んで天井から一人 そこに仕掛け」

ズカズカズカ

やすな「まってよソーニャちゃーん! ずるいよ!」

やすな「プロが本気出して仕掛けを見破りつつ進むなんてビックリもドッキリも台無しだよ!」

ソーニャ「やられる前にやる!これが鉄則だっ!」

やすな「何の!? ってか結局さっさと出たいだけじゃん!」

ソーニャ「やかましい! あんたも邪魔だ どけっ」

お化け役の人「す すいません…」

やすな「ごめんなさい あの子 空気読めなくて…」

ソーニャ「なにやってる? 置いてくぞ!」

やすな「あーん 待ってよー」

お化け屋敷の出口

ソーニャ「ふん やはり大したことなかったな」

やすな「強行突破にも程がある…」

出口の係員「どうでした? 本物に出会えましたか?」

やすな「本物?」

出口の係員「ええ 実は最近 都合で人数を一人減らしているんですが…」

出口の係員「何故か 人を配置していないところでも驚かされたってお客様は言われるんです」

出口の係員「しかも毎回配置していない場所は変えてますから… これは… 多分…」

出口の係員「不思議な存在が フォローしているんじゃないかって もっぱらの噂です…」

ゾーッ…

二人は背筋を凍らせてお化け屋敷を出た


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:53:34.50nhdYZqe40 (4/8)

ところが

ソーニャ「あれ お前リボン 片方どうした?」

やすな「えっ? …あれっ」

やすなのリボンの片方が無くなっていた

やすな「お化け屋敷のどこかで落としたのかも…」

ソーニャ「ちっ 探しに行くか」

やすな「えっ? また行くの? 後で探してもらえばいいじゃん!」

ソーニャ「踏まれたりしたらどーすんだ? さっさと見つけるぞ」

やすな「あっ 待って」

ソーニャ「お前はここにいろ 片方も落とされたらたまらん」

言ってソーニャは中に入っていってしまった

やすな「よくあんな話聞いた後に突入できるなあ…」

ちなみに…係員の話自体が怖がらせるための作り話ということが後日、発覚する

数十分後

ソーニャ「ほら 途中の提灯の下に落ちてたぞ」

やすな「あっ ありがとう。 …ひっかかって落ちたのかな?」

ソーニャ「そんなとこだろ 気をつけろよ」

やすな(ソーニャちゃん怖くなかったのかな? それともリボンの事となると人が変わるとか…)

やすなは気になったが聞けなかった


38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:54:03.01nhdYZqe40 (5/8)

場面変わって ジェットコースターにて

二人は次にジェットコースターに乗っていた

ゴーーーーーーーーーッ!!

やすな「ひゃーーーーー!!」

バッ

ソーニャ「あっ! またリボンが外れたぞ!」

やすな「えっ!? 本当?」

ソーニャ「くっ 外れろ!このガード!」

やすな「まさかガードを外して取りに行く気? バカじゃないのソーニャちゃん!」

ソーニャ「しかし…」

やすな「どーせ下に落ちるんだから あとで係員の人に拾ってもらえればいいよ!」

やすな「…ソーニャちゃん?」

ソーニャ「よし、落下地点はあそこだな!」

やすな(こりゃ本気だ)

ジェットコースターから降りて 数分後

無事にリボンが戻ってきた

ソーニャ「全く しっかり結んでいろよな」

やすな「うーん ごめんなさい」


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:55:54.49nhdYZqe40 (6/8)

また場面変わって コーヒーカップにて

今度は二人は回転コーヒーカップに乗ることにした

ソーニャ「ふふふ 覚悟しとけよ」

グルグルグルグル…

ソーニャの宣言通り 結構な速さで二人のカップは回転している

やすな「そ そーにゃちゃん 回転速すぎ… ひえぇぇ」

ソーニャ「ははは まだこんなもんじゃないぞ」

ところが 今度は他の客の伸ばした手だか指だかに引っかかり

またもやリボンが外れてしまった

ソーニャ「あ~! くそっ!!」

ヒラヒラと宙を舞い離れて行くリボン

ソーニャ「そーは いくかぁー!!」

やすな「ふぇ?」

バッ!!

なんと 回転中のコーヒーカップから大ジャンプ!

ソーニャは空中でリボンをキャッチした

ソーニャ「よし! あっ」

ボチャーーン!!

勢い余って コーヒーカップ横の湖に飛び込んでしまった

やすな「あれ? そーにゃちゃん どこー?」

一方 やすなは目が回っていてソーニャの行動に気が付いていなかった

しばらくして

二人は昼食をすませ 土産物売り場にいた

びしょぬれになってしまったソーニャは遊園地側から服を借りて着替えていた

茶色いズボンに白いワイシャツで、若干男の子っぽくなった感じである

そして服が乾くまでの間はアトラクションに行かず 買い物をすることにした

やすな「あっ 見てこれ! ぴょん助遊園地限定カラーバージョンだって!」

ソーニャ「お前 私があげたの持ってるだろ」

やすな「そうだけどぉ~ あっ もしかしてやきもち?」

ソーニャ「あぁ!? 一匹で充分だろ?」

やすな「そんなムキにならなくても… あっ これはどう?」

やすな「限定のリボン!お揃いで買わない?」

グイッ

ソーニャ「そーかそーか お前 そんなに私のリボンが嫌なのか…」

やすな「いや そういう意味じゃなくって… くっ苦しいです!」

ソーニャ「ふん まあ特に欲しい物はないな ナイフもないし」

やすな「いくらなんでもそれは売ってないと思う(おもちゃならあるかも知れないけど)」


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:56:59.53nhdYZqe40 (7/8)

数十分後

服は帰りに取りに行くことにして、二人は観覧車に乗りに来ていた

向かい合って座る二人

やすなはそれとなく隣に座ろうとしたがソーニャに阻止されてしまった

バタン

観覧車のドアが閉まり 上昇し始める

ソーニャ「なぁ 知っているか? この観覧車の伝説」

やすな「伝説? 何それ」

ソーニャ「乗ってる最中 最初から最後まで ずっと同じことを願い続けることが出来ると…」

ソーニャ「その願い事が叶うそうだ」

やすな「えー ほんと? ほんと?」

ソーニャ「ああ もう動き始めているから はやく始めないと間に合わないぞ」

やすな「よーし… … … …」

やすなは瞳を閉じ 胸の前で手を組み 祈りのポーズをする

ソーニャ「………」

ソーニャは腕を組んでジッと外を眺めている

……静寂が支配したまま 数分が経過した

ソーニャはふと やすなを見た

白いワンピースのまま 微動だにせずに自分の方へ向けて祈りを捧げるやすなの姿

ソーニャには聖女か女神の様に写ったのだろうか

ソーニャは顔が赤くなってしまい 慌てて再び外の風景に視線を逃がした

数十分後

頂点を通りすぎ、残り4分の1となったところで…

やすなは嫌な予感がしてソーニャに聞いた

やすな「ねえ… その伝説って 本当に本当?」

ソーニャ「ん? どうしてそう思うんだ」

やすな「だって 観覧車って回って風景を楽しむものでしょ?」

やすな「黙ってジッとしてるなんておかしくない?」

ソーニャ「そうだな だから伝説なんだろうな 真偽が分からないから」

やすな「あーっ だましたね! ひどーい!」

やすな「せっかくソーニャちゃんの事を願ってたのにぃ」

ソーニャ「私は『しばらく静かにしてほしい』という願いが叶いかけたんだが…」

やすな「なっ 上手い事いっちゃって… ってそれが目的か」

やすな「ああっ! もったいない!」


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/17(日) 23:57:52.04nhdYZqe40 (8/8)

やすな「せっかく二人で乗ったんだから 風景見ながらこっちは何それは何あれ綺麗!」

やすな「ってはしゃいだり カップルみたいに甘い恋人トークしたりしたかったのにぃ!」

やすなが頭を抱えていると ソーニャの落ち着いた声が聞こえてきた

ソーニャ「なあ… 聞いていいか?」

ソーニャ「『カップルみたいに』とか言うが… お前は本気なのか?」

やすな「え?」

ソーニャ「お前は本気で 私とカップルになりたいのか? 私をお前の恋人したいのか?」

ソーニャ「お前は私の恋人になりたいのか? 恋人同士になりたいのか?」

やすな「………」

ソーニャのふざけの一切入っていない真剣な口調とまなざしに、やすなは黙ってしまう

やすな(答えは決まっている だけど…)

ここで『はい』と答えれば、ソーニャは恋人になってくれるかもしれない

だけど、深い付き合いを避けて疎遠に…最悪、姿を消してしまうかもしれない

『いいえ』と嘘を付けば、きっと私(やすな)に本気になってくれることは二度とないだろう

だけどもしかしたら、拒否された事に逆上して無理矢理自分のモノにしてくるかもしれない

じゃあ『分からない』と誤魔化す? けどそれは『いいえ』と同じ気がする…

やすな(どうしよう)

沈黙が流れて数分経った

そして

ソーニャ「本気なら私」
やすな「秘密だよ!」
ガタン! プシュー

お互い言葉を発した瞬間、観覧車のドアが開いた

観覧車の係員「ご乗車お疲れさまでした! またのご利用をおまちしています!」

ソーニャ・やすな「…………」

ダッ

固まっているソーニャをよそに、やすなはダッシュで観覧車から抜け出した

ソーニャ「あっ おい!」

やすな「先行ってるよー! 私を捕まえられるものなら捕まえてみなさいー!」

ダッ

やすな(ソーニャちゃん何か言いかけてたけど… まあいっか!)

やすな(私の気持ちは… ほんとのきもちは ひみつだよ)

ソーニャ「待てこら!」

やすなが逃げ込んだのは…メリーゴーランドだった


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/18(月) 00:00:29.43nkPSWE6t0 (1/3)

メリーゴーランドにて

ガシッ

ソーニャ「お前…逃げるって時にこれはないだろ、これは」

やすな「どう考えても接触しちゃうよね!ってか離して!落ちちゃう!落とされる!」

ソーニャ「うるさい!」

グイッ

やすな「ひゃっ!」

ソーニャはやすなを馬(乗り物)から引っこ抜いて 自分の馬に移し、後ろに座らせた

やすな「もー 強引なんだから… ところで、ソーニャちゃん」

ソーニャ「…なんだ」

やすな「…どうみても カップルみたいだよ」

ソーニャ「…悪かった 勢い余ってしまった… ところでお前」

ソーニャ「抱きついてきたら 落とすぞ」

やすな「ギクッ ひゃい!分かりました」

そのまま二人は何事もなくメリーゴーランドを降りた



その後 二人は他のアトラクションを幾つか遊んだ そして



やすな「あー もっと遊びたかったなー」

ソーニャ「? もう全部周ったのか?」

やすな「ううん 私のチケットは『アトラクション10カ所(10回)』のやつなの」

ソーニャ「あー… もう10カ所も行ったのか」

やすな「そういえば ソーニャちゃんは? あっ! 全フリーパス!一番高いやつじゃん!」

やすな「ずーるーいー!」

ソーニャ「お前がどこに逃げるか分からないからだよ!」

やすな「そんなこと言ってえ~ 私と目いっぱい遊びたかったんじゃなーいの~?」

ソーニャ「ほほう じゃあ追加料金払ってコーヒーカップに付き合って貰おうか」

やすな「うえぇ やめときます… しょーがない 帰ろうか」

やすなはガックリして出入り口に歩き始める


43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/18(月) 00:03:32.20nkPSWE6t0 (2/3)

ソーニャ「…レストランはチケット要らないぞ」

その言葉が聞こえたやすなは目を輝かせながらソーニャに急接近した

やすな「ソーニャちゃん…!」

ソーニャ「近い近い」

夕日はすでに半分ほど沈んでいた

ソーニャ「だが 夕食にはまだちょっと早いな」

やすな「一応 レストランに行っておこうよ、予約できるかも」

ソーニャ「そうだな」

やすなの勘は当たり、二人はレストランに予約をした


夕食の予約の時間までの間、ソーニャは元の服に着替え、その後は二人してベンチでボーッとしていた

やすな「来週はプールランド(屋内の大型プール施設)に行こうね」

ソーニャ「…だまされないぞ 来月だろ」

ソーニャ「…その前に 水着でも買いにいかないか?」

やすな「えっ!?まさかソーニャちゃんの方からそんなお誘いが来るなんて!行こう!行こうよ!」

ソーニャ「悪かったな」

やすな「あー 楽しみだなあ 来月! うふふ どんな水着にしちゃおうかな~… … …」

数分後 やすなは夢の世界に落ちていた

その間 ソーニャが肩を貸してあげていたのは言うまでもない

そして夕食時 予約は功を奏し、二人は混雑をよそに夕食を食べる事ができた



遊園地に 別れを告げて 帰り道

やすな「今日は一日楽しかったね!また学校でね!」

ソーニャ「…気を付けて帰れよ」

やすな「うん バイバイ」

やすなの姿が見えなくなると ソーニャはニヤリと笑みを浮かべた

その意図の通り 翌月、二人は『私服で』水着を買いに行ったため、月一の条件を満たしてしまう

そのため プールランドに行けたのはさらに次の月となったのであった

おわり


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/18(月) 00:15:42.33nkPSWE6t0 (3/3)

この話、最初はぬいぐるみ(ぴょん助)とナイフの交換劇だけだったんですが
前から書いてみたかった、ナイフをギミック(キーアイテム)としたシチュの話を追加して
たまたま話題に出ていたリボンで閃いて追加して、んでさらに後日談?を追加しました
途中で過去ログ倉庫行きにならなくて助かった…
今度こそ おわりです


45322012/06/18(月) 19:14:51.31UXG3zbzDO (1/1)

乙!!
二人の駆け引きがいいねぇ~

てかリクエストに答えてもらえてめっさうれしい


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 08:31:13.69n6yJtR/x0 (1/2)

見てもらえてなにより
あと遊園地の時にナイフに出番がなかったので自己フォロー


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 08:32:37.85n6yJtR/x0 (2/2)

おまけ

べつのひ

やすな「そういえばさあ 遊園地の時にあのお守りのナイフってもってきてたの?」

ソーニャ「当たり前だ」

やすな「私リボン外れまくってたからソーニャちゃんもナイフ落とすんじゃないかな?」

やすな「って思ってたけど 大丈夫だったみたいだね」

ソーニャ「ああ あの日はスカートの中の脚にくくりつけていたからな そう簡単にはとれないぞ」

ソーニャはそう言ってスカートの上から左腿をパサパサとはたいた

やすな「へー どれどれ」

ピラリ

やすなはソーニャのスカートを前からめくりあげた

ガツン! ゴッ!!

やすなの頭に肘が振り下ろされ 同時にアゴにひざ蹴りが炸裂した

やすなの頭部の上下をソーニャの肘とひざで挟み込んだ形だ

やすな「ぶぎゃっ」

ふらりと倒れこむやすなに スカートを抑えながらソーニャは言い放った

ソーニャ「今日はそこじゃない!! ってか何しやがる!!」

しかし目が星になっていたやすなに聞こえることはなかった

おまけおわり


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 17:44:48.29p6AZ25zDO (1/1)

やすなの計算なのか天然なのかわからない行動がすてきすぎてつらいwwwwwww


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 23:08:26.02s76Oxc+e0 (1/1)

やすにゃが素晴らしすぎて働く気にならない

ソーニャが影でプレゼントされたナイフをこっそい舐める変態さんかと思ってたらそんなことは無かったぜ