1さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 21:38:41.26kWyICNRF0 (1/25)

早乙女「はい、今日は転校生を紹介します」

ガラッ

ほむら「…?」

ほむら(なにかしら、教室に甘い匂いが――!?)

早乙女「ハイ暁美さん、自己紹介をどうぞ」

ほむら「え、えと、暁美ほむらです……」

さやか(なんかこっち見てる?)

まどか(あの子、夢で逢ったような……)

ほむら(……なんで……なんで美樹さやかの顎からバナナが生えてるのよ!しかも三本!!)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1338381521(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)



2さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 21:46:52.99kWyICNRF0 (2/25)

それから――

マミ「使い魔は追い払ったわ」

まどか「誰!?」

さやか「なんなんですか今の!?」

マミ「今のは使い――!?」

マミ(あれ?見間違いかしら?この子の顎にバナナがあるような……疲れてるのかな……)

さやか「そうだ助けたお礼しなくちゃ」ブチィッ

マミ「!?」ビクッ

さやか「はいどうぞ」スッ

マミ「いや、あの……」

まどか「さやかちゃんのバナナとっても美味しいんですよ!」

マミ「はぁ……いただき、ます」パクッ

マミ「ほわぁぁなにこれぇぇあまぁぁぁ~~いぃ」ウットリ

さやか「気に入ってもらえてよかったです!」

ほむら(なにこれ)



3さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 21:49:07.11kWyICNRF0 (3/25)

マミ「ティロ・フィナーレ!」

シャルロッテ「チーズキター」グニョーーン

さやか「マミさん危ない!」

シャルロッテ「あん?」ギロッ

まどか「ひぃっ!こっち見てるよさやかちゃん!」

シャルロッテ「青と黄色……」

さやか「あたしとバナナのことか…?」

シャルロッテ「うまそうなブルーチーズや!」アーン

さやか「誰が青カビだこんなろー!!っていうかこっちくんな!」ダッ

マミ「……」

まどか「マミさん何とかしてくださいよ!」

マミ「ハッ!ティ、ティロ・フィナーレ!」ドギャーーン

シャルロッテ「なんってこったい」

まどか「やったぁー!流石マミさん!!」

ほむら(なんなの)


4さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 21:52:28.07kWyICNRF0 (4/25)

しばらくして――

さやか「これでとどめだああーーー!!!」

ズバァァーーン

まどか「さやかちゃん魔法少女になっちゃったの!?」

さやか「うん、まあ心境の変化ってやつ?」

ほむら「……」

さやか「なんだよ転校生、遅かったじゃん」

ほむら「なってしまったのね、魔法少女に……」

さやか「ふん、あんたには関係ない」

さやか「あたしは恭介が立派なバナナ農家になれるように腕を治してあげたんだ…後悔なんてあるわけない!」

ほむら「……ごめんなさい、私の耳には届いたんだけど心には届かなかったみたい……もう一度言ってもらえる?」

さやか「あたしは恭介が立派なバナナ農家に――」

ほむら「もういいわ」



5さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 21:57:15.24kWyICNRF0 (5/25)

数日後――

杏子「ちょっとちょっとなにやってんの――!?」

さやか「なんなのあんた!使い魔逃げちゃうじゃんか!」

杏子(えっ、なんだコイツ……なんで顎からバナナ生えてんの?)

さやか「そこどけっ!」ガキィィン

杏子「ッ!なんなんだあんた……とりあえず、卵産む前の鶏の首絞めてどうすんのさ」

さやか「はぁ!?意味分かんないこと言うな!」

杏子「いや分かるだろ」

さやか「じゃあバナナで分かりやすく例えてよ!」

杏子「え」

さやか「言えないんだね」

杏子「……つ、つまり……種を生む前のバナナの木を折る気かよ……?」

杏子(合ってるのか?)

さやか「なるほど……でも納得できない!」

杏子(合ってたのか)


6さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:02:20.42kWyICNRF0 (6/25)

杏子「一丁派手にいこうぜ」

さやか「舐めるんじゃないわよ!」

まどか「やめてさやかちゃん!こんなの絶対おかしいよ!」

さやか「邪魔しないで、これはあたしの戦いなの」

まどか「どうしてもやめないんなら引きちぎるよ!さやかちゃんのバナナこれでもかって言うくらい残酷な方法で引きちぎるからね!」

さやか「ちょい待って!それなんかおかしくない!?」

まどか「おりゃあああ!」ヒュッ

さやか「あぶなっ!」パシッ

杏子「あっ、ソウルジェムが飛んでった」

ヒュー ポスッ

マミ「トラックの荷台に落ちたわね」

さやか「」ガクッ

杏子「?どうした――!どういうことだおい……こいつ死んでるじゃねえかよ!」

まどか「そんな…!」

ほむら「あーもー」


7さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:08:03.94kWyICNRF0 (7/25)

翌日――

杏子「ここはさ、あたしの親父の教会だったんだ」

さやか「あたしあんたのこと誤解してたよ、ごめん」ブチィッ

杏子「ひっ!?」ビクゥッ

さやか「これ、あげるよ……まあ、仲直りの印みたいなもんかな」

杏子「あ、あぁ……」ドキドキ

さやか「食うかい?」

杏子「……」パクッ

杏子「ほわぁぁなんだこれぇぇうまああぁぁぁ~~いぃっ!」ウットリ

さやか「でしょ!」

~~~~~

マミ「二人とも仲直りできたみたいね」

ほむら「そうね」

ほむら(……美樹さやかのバナナ……一体どんな味がするのかしら)ゴクリ


8さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:14:41.41kWyICNRF0 (8/25)

数日後――

ほむら(ついうっかり口を滑らせて魔法少女が魔女になることを言ってしまった……)

ほむら(マミも杏子も危なかったけど、さやかのバナナの皮の臭いを嗅いでいたら急に落ち着いた)

ほむら(そういえばバナナの皮から麻薬が作れるという話を聞いたことがあるけど多分関係ない)

ほむら(多分関係ない)

ほむら(肝心のさやかは走っていったけど、一体どこに行ってしまったのかしら……皆で探しても全然見つからないわね)

~~~~~

杏子「やっと見つけた……おい!」ガシッ

さやか「あぁ……杏子じゃん……」

杏子「落ち着いたか?それはともかくバナナの皮が欲しいんだけど」

さやか「誰かの助けた分誰かを呪わずにはいられない……あたし達魔法少女ってそういう仕組みだったんだね」

杏子「おいバナナを……ってお前!ソウルジェム真っ黒じゃねえか!」

さやか「あたしって、ほんとバナナ」


9さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:20:14.74kWyICNRF0 (9/25)

杏子「いや、それで?」

さやか「……え?」

杏子「まさかバナナが本体とか言う訳じゃないだろ?」

さやか「本体はソウルジェムじゃん」

杏子「いや、そういうことじゃなくて……」

さやか「???」

杏子「あんたってホント馬鹿」

さやか「せめてバナナと言え!」

杏子「いいからバナナよこせ!!」バッ

さやか「ダメダメ!これはあんたにあげるんじゃないの!!」


10さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:21:59.85kWyICNRF0 (10/25)

その後――

まどか「さやかちゃん無事だったんだね!」

マミ「見つかってよかったわね美樹さん!さあバナナを頂戴!」

さやか「マミさんまで!?一体どうしたの二人とも!」

ほむら「大体あなたのせいだと思うけど」

さやか「おっ!ほむらもちゃんといたんだね」ブチィッ

ほむら「いいの?最後の一本なんでしょ?」

さやか「いいっていいって!また生えてくるしさ」

杏子「あたしにか!?」

マミ「私でしょ!?」

さやか「ほら、あんたの分だよほむら」スッ

ほむら「えっ…?」

さやか「これであたしたちは友達だよ」

ほむら「うっ……」ゴクリ

パクッ

ほむら「ほわぁぁなにこれぇぇさいこぉぉぉぉ~~っ!」ウットリ


11さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:22:30.80kWyICNRF0 (11/25)

ワルプルギスの夜襲来――

杏子「くっそ…なんてやろうだ……」

マミ「もう魔力が……」

ほむら「四人で挑んだこの時間軸でも駄目なの…?もう、どうすればいいのか……」

さやか「諦めない……バナナの力を舐めるなー!!」

カッ

ほむら「何…?さやかの顎からバナナが…!六本も!」

杏子「また生えてきただと!ヨコセ!」

マミ「よく見て…あれはただのバナナじゃないわ……ゴールデンバナナよ!」

さやか「いでよバナナのしもべ達!」ドドーン

ほむら「だ、誰!?」

香取「Doleマンだよ」 完熟王「俺はみんなに甘いのさ~!」 ドンキー「ウッホホー!」

日村「あどで~」 設楽「なに?なんなの一体?」 耳バナナ「Sorry、悪いが聞こえないよ。耳にバナナが入っててな」

ほむら「最後のは違うんじゃないの?」


12さやかにバナナが生えた2012/05/30(水) 22:23:18.04kWyICNRF0 (12/25)

さやか「一斉攻撃だ!おりゃあああああああああ!!!」

ドドドドドズバババババムキムキムキムキッドッカーーン

ワル夜「アハハハー……」シュー

マミ「ワルプルギスが消えていくわ……」

杏子「勝った…のか?」

ほむら「え…いや…あの……」

QB「やれやれ、まさかワルプルギスがやられるとはね……」

まどか「やったねさやかちゃん!」

さやか「はっはっはー!見たかゴールデンバナナの実力!」

ほむら「えぇー……なぜかしら……」

ほむら「納得がいかない」

さやか「ほら、新しいバナナだよ……食うかい?」スッ

ほむら「……いただくわ」

ほむら「……まあ、バナナが美味しいから結果オーライでいいわね」モソモソ






13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/05/30(水) 22:25:13.71kWyICNRF0 (13/25)

こっち立ててる間にvip復活しちゃったか

何個か書き溜めてるのもあるんだけど、せっかくこっち来ちゃったから後々ゆっくり投下しよう
なんにしてもひどいよこんなのあんまりだよ…


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/30(水) 22:28:20.60d2VQ93VIo (1/1)


VIPの方で読んでたら落ちてびっくりしたよ
面白いからどうか続けてくれ


15参観日2012/05/30(水) 22:41:40.85kWyICNRF0 (14/25)

 こちらも見ずに手渡されたプリントを受け取り、必要はないけど一枚自分の分を抜き出す。
 私は体をよじって後ろの子にプリントを手渡してから、ようやく中身を確認してみた。

 何が書かれているのかは知っているから確認という言い方は少しおかしいけれど、とにかく確認。

(授業参観、ね)

 わざわざ休日に行うとは、教師はよほど自分達の授業に自信があるということなのかしら。

 そんなわけはないだろうけど。

 今日の日付からプリント製作者まで、隅から隅まで読み潰す。

(あっ、誤字発見)

 担任の教師がプリントを見れば分かることをわざわざ話している。
 二度手間もいい所だと思う。
 誤字があることも見れば分かるというのに。

 乱雑にプリントを鞄にしまってから、しまったと思った。

(置いておけばよかったわ……私にはどうせ関係ないんだから)


16参観日2012/05/30(水) 22:45:31.22kWyICNRF0 (15/25)

 私、巴マミの両親が死んでしまったのは二年ほど前。
 あれは不幸な事故だったのだなんて、耳が腐るほど周りの人には散々言われたけど、余計な御世話でしかなかった。

 すでに脳がとろけて腐るほど自分に言い聞かせてきたのだから。

 あの事故から私だけが生き残ってしまったけど、その話はあまり今は関係ない。

 とにかく参観してくれる人がいないから、私としては妙にそわそわすることもなくチラチラ周りを気にすることもなく、普段通りの態度でいるだけだ。

 そういえば担任は「普段通りで頼むよ。僕もそうするから」と言っていた様な気がする。
 どうせ普段は使わない小道具を使用することもお約束。

 そんなことより、私の頭は今日の夕飯のことを考える方にシフトしていた。

 行きつけのスーパーで安かった物はなんだったかしら。

(卵、まだ残ってるといいんだけど……卵といえば最近オムライス食べてないわね)

 あのふわふわ感を出すにはもう少し修業が必要だけど。

 勝手に開いてくれたドアを潜り、カートの上に灰色のカゴを乗せて鞄を突っ込む。
 まだ本来の用途には使わない。


17参観日2012/05/30(水) 22:50:26.95kWyICNRF0 (16/25)

(目玉焼きもアリよね……いえ、西海岸っぽくサニーサイドアップとでも呼んでみようかしら)

 心なしかおしゃれな感じに。

 そんなどうでもいいことを考えながら、曲がる回数は左右一回ずつ、最短距離で卵の特売コーナーを目指す。

(良かった、まだあったのね。私の……じゃなかった、私達のオムライス)

 特売コーナーの棚から無事救出成功。カゴも本来の役割を思い出したように卵のパックを受け入れた。
 これより、他に助けるべきものがないかフロアの散策を開始する。

 なんといっても、私は正義の味方だものね。

 青果、鮮魚、精肉、インスタントコーナーと、次から次へ回っては手を差し伸べていく。
 残るはお菓子コーナーだけとなった。

(さてと、迷える子羊ちゃんは……あら)

 見つけたのは迷える……いや、迷っている子猫ちゃんだった。
 声をかけるべきかミリ単位で迷ってから、背後でそっと呟いてみた。

「ロッソ・ファンタズマ」

「はぁ!?」

 まるで幽霊にでも出会ったような声を出して飛び上がった。
 グリーンのパーカーにホットパンツ、鮮やかに魂まで燃えるような紅蓮のポニーテールの少女。

「何選んでるの佐倉さん?」

 私のお友達の佐倉杏子さん。


18参観日2012/05/30(水) 22:55:36.76kWyICNRF0 (17/25)

「おどかすなよ……外であんまりそれ言わないでくれる?」

「大丈夫よ、周りには誰もいなかったもの」

「それでもだよ」

 言い終わる前にさっさと棚に向き直ってしまった。
 先輩と話すのがそんなに嫌なのだとしたら、それはもうソウルジェムが濁るどころの騒ぎでは済まない事態になりそうだと思う。

 そういえば質問にも答えて貰ってない。

「むぅー」

「何選んでるの?」

 勇気のもう一投。

「Rockyの抹茶味と抹茶ミルク味の違いが分かんねーからどうしよっかなってさ」

 良かった。嫌われてはいないようだ。
 自然と口元も出てくる言葉も緩んでしまう。


19参観日2012/05/30(水) 23:00:33.93kWyICNRF0 (18/25)

「両方買っちゃえば?」

「……分かってて言ってんだろ。どっちかしか買う金がないの!」

「えっ」

 数日前から、彼女はちょっとした魔法で年齢と経歴を詐称し、アルバイトを始めたらしい。
 らしいというのは、まだ彼女がどんなところでどんな仕事をしているのか見たことがないからだ。

 ためしに聞いてみたところ、

「……ぜってー言わねぇ」

 なぜか顔を赤らめながらそう答えられた。

 とにもかくにも、彼女の財布……もとい小銭入れには、その名の通り小銭しかないのだろう。

 ……でも待ってほしい。

 私が出世払いでいいからと言って渡したはずの、福沢さんが一人入っているはずなのに。

「私がこの間貸したでしょ?」

「そう簡単に使えるかよ。ていうか、マミに貸しなんか作りたくない」

 別に気にしないのに。
 そもそも、佐倉さんが独り立ちできるまでは私の家にいる約束だから、今更だというのに。


20参観日2012/05/30(水) 23:04:26.15kWyICNRF0 (19/25)

「佐倉さんはどっちが食べたいの?」

「それが決まってたら苦労しねーよ」

「そう。なら私は抹茶ミルク味にしようかな」

「あぁ!」

 佐倉さんの手の中からヒョイと取り上げてカゴに入れる。
 あとRocky一箱くらいなら入る余裕はある。

「私はもう行くけど、どっちにするか決めた?」

 悪戯っぽく笑ってみせる。

「分かったよ、あたしは抹茶味に決めた」

「ふふっ、私のカゴに入れる?」

「それは断る」

 少し悔しそうに見えた。

 やりすぎちゃったかな?


21参観日2012/05/30(水) 23:07:48.70kWyICNRF0 (20/25)

*************************

 今度は自動でない扉の鍵を開けて、ほっと一息つく。

「ただいま」

「誰もいないだろ」

 そう、誰もいなかった私の家。

「佐倉さん、あなたに言ったのよ?」なんて言うと、なんとなく怒られそうだから黙っておきましょう。
 靴を脱いで買い物袋はキッチンのテーブルに、鞄はソファにポイ。
 もう一度、一息。

「今日は魔女はいたの?」

「うんにゃ。収穫ゼロ」

「使い魔は?」

「……ゼロだよ」

「……そう」

 佐倉さんは、また昔みたいに戻ろうとしてくれている。
 でもそう簡単にはできることじゃないと思う。
 彼女が嘘をついているのか、分からない。

 確認をしていないから。

 もし嘘をついていると分かってしまったら、なんて言えばいいのか分からないから。

 後ろにいる彼女の顔が見れなった。


22参観日2012/05/30(水) 23:17:55.14kWyICNRF0 (21/25)

 宣言通り、今夜はオムライスを作った。
 自分ではお店で出されるようなふわふわ感には及ばないと思ったけど、佐倉さんは「十分うまいよ」と言ってくれた。

 片付け、お風呂、洗濯。
 全ての家事を終わらせてからがようやく私の時間。
 佐倉さんも結構積極的に手伝ってくれるから、すぐに終わる。

 鞄から宿題を取り出し、リビングでせっせとノートを黒で埋める。
 ソファで佐倉さんがテレビのチャンネルを回してるけど、もうそれにも慣れっこ。
 気になるほどじゃない。

「マミ、これ何?」

「何って……もう、ちゃんと書いてるじゃない」

 彼女がひらひらとさせていたのは例のプリント。
 私には一切関係のないプリントだ。

 鞄にしまっていたはずなのに、勝手に取り出してわざわざ私に見せつけてきた。

「授業参観って書いてるでしょ」

「ふーん……いや、そりゃ知ってるけどマミにしちゃ珍しくぐしゃぐしゃにしてるなと思って」

 それはそうでしょうね。

「そりゃそうよ。私には関係ないんだもの」

「あっ……悪い」

「ふふっ、いいのよ別に」

 自分でもびっくりするほどの、とびきりの笑顔で返した。


23参観日2012/05/30(水) 23:22:46.56kWyICNRF0 (22/25)

 宿題が全部終わると、これで完全に私の時間。
 と言っても特別することなんかなくて、テレビを見るか本を読むか。

 昨日読みかけた本はどこまで読んだかな……
 あまり面白くなかった気がするけれど、物語の終わりというのはどんなものでも気になる。

「なあ、マミんとこの授業参観ってどんな感じ?」

「まだその話?別に、他の学校と同じだと思うけど……うちはお昼からの授業に保護者達が教室の後ろで様子を眺めてるだけ。私は詳しく知らないけど、終わった後にPTAの話し合いがあるとかないとか」

「なんだ、どこも似たようなもんだな」

「当たり前じゃない。むしろどんなのだと思ったの?」

 唸りながら天井を見つめている。
 特に何も考えていなかったのかもしれない。

「あー、ほら、これから皆さんには殺し合いをしてもらいます……とかさ」

「あはは、何よそれ!映画の見すぎじゃないの」

「うっせー」

 それから佐倉さんは先に部屋に戻ってしまった。

 私は本を読み終わった後、余韻に浸りながら部屋の明かりを消して布団に入った。

 まさか序盤から一緒にいたあの人が幽霊だったなんてね……

 しばらく眠れなかったのは私だけの秘密。


24参観日2012/05/30(水) 23:32:38.94kWyICNRF0 (23/25)

*************************

 爽やかな日が差す絶好の行楽日和、もしくは睡眠日和な日曜日だというのに、私は学び舎に向かうために早起きをしなければならなかった。
 平日の休日のためとはいえ、本来の休みが潰れるというのは喜ばしいものとは言えない。

 軽く朝食を済ませて制服に袖を通し、癖っ毛の髪をせっせと整える。

 うん、いつも通りの私。

 先生のご要望通りの私。

「佐倉さーん、起きてるんでしょ?」

「んむーあー」

 猫の様な声と一緒に、もぞもぞと布団が蠢く。
 体は起きているようだけど頭はまだらしい。

「私は学校に行くから、自分の食器は洗っておいてね。それと出掛けるんなら戸締りも忘れずに」

「んへーい」

 大丈夫かしら?

 今日は夕方からバイトがあるらしいから、その時間までには起きると思うけれど……

 紅茶一杯ほどの不安を残して私は家を出た。


25参観日2012/05/30(水) 23:44:41.77kWyICNRF0 (24/25)

 午前中の授業は短縮だったからか、どれもふわふわした空気に包まれていた。
 午後から授業がある先生もない先生も、保護者が来る生徒も来ない生徒も、どこか浮足立っている。
 このふわふわ感はオムライスに似ているかも、なんて思う。

 私はというと、やっぱり自分で作ったオムライスみたいだった。

 昼食を終えて本番が始まる。

 何人かは昼休みのうちに現れ、ちらちらとガラス壁の向こうから覗きこんでいる。
 気の早い人たちね。

 担任が教室に入って、「先生はいつも通りにやるから、君らもいつも通りにな」と、テンプレートの様な挨拶をした。

 授業は授業、受験も近いからしっかりやる。
 いつも通りと言いながら、いつもより分かりやすい授業をしようとする先生は、少し面白い。
 本当に普段もこうだったらいいのに。

「次の問題は……巴。どうだ?」

「はい」

 なんてことはない問題だった。

 いえ、少し油断していたけど。
 保護者がいるいない関係なく当ててくるなんて、普通思わないじゃない。

 そんなことを考えながら答え終わって座る直前、ふと廊下側のガラスに目が移った。


26参観日2012/05/30(水) 23:55:00.14kWyICNRF0 (25/25)

「ひゃっ!」

 まるで幽霊にでも出会ったような声が出た。

「……どうした巴」

「い、いえあの……なんでもない、です」

 教室に少し笑いが起こった。
 俊敏に席に座って顔を伏せるけど、もう遅い。

 だってしょうがないじゃない。

 あり得ないものが見えたら、誰だって声の一つや二つあげるに決まってる……

 私の顔ほど真っ赤な髪の彼女に、テレパシーで会話を試みてみる。

『何やってるの佐倉さん!』

『あらら、バレたか。へへっ、魔法を使えばこれくらい楽勝だよ』

 普段の姿から数年成長した佐倉さんがそこにいた。

 ポニーテールはそのままに、オレンジのカーディガンとカナリヤ色のワンピース、眼鏡までかけて完全に変装したつもりらしい。

 さらに問題なことがもう一つ。

『それ私の服でしょ!』


27参観日2012/05/31(木) 00:03:33.05ptRBUgCU0 (1/12)

『おう!ちょっと借りてるよ』

 後ろに回ってしまったからその表情は全く分からないけれど、まず間違いなく笑っている。
 それも、愉快な笑顔に違いない。

『何しに来たのよいったい』

『決まってんじゃん。授業参観だよ、マミの』

『別に頼んでないわよ』

『なんだよ、あんだけ寂しそうな顔しておいて』

 私が?いつ?
 そんな顔してません、と胸を張って言いたかった。

 言いたかったのに、言えなかった。

『まあとにかく、最後までしっかり見せてもらおうかな』

『ちょっと……本気?』

『ほうら、前見とかないとまた当てられんぞ』

 酷い話だわ。

 勝手に来ておいて気にするなという方が無理というものだ。
 しかも保護者でもなく、お友達に見られるなんて恥ずかしいったらない。

(……)

 でも、なんだか、嬉しいかも。


28参観日2012/05/31(木) 00:11:04.50ptRBUgCU0 (2/12)

*************************

 授業が終わって後ろを振り返った時、もうそこに佐倉さんの姿はなかった。

 教室は一気にざわつき始め、先生が教室の扉を開けるのと同時に、中の空気と皆の肩の力が一斉に抜けた。

「なんか凄い若い人いなかった?」

「俺もちらっと見た!誰の母さんだよ?」

「いやいや普通に姉ちゃんじゃないの?」

 多分佐倉さんのことだろう。

 あれだけで有名になっちゃって……他の人になんて説明すればいいのかしら。

「ねえねえ、巴さんの知り合い?」

「えっと」

 その通りよ、と言うべきかナノ単位で迷ってから、

「私は知らないわ」

 と答えておいた。


29参観日2012/05/31(木) 00:18:23.16ptRBUgCU0 (3/12)

 学校を出てしばらく歩いたところにある公園で、私の服を着た誰かさんがベンチに座っていた。

 さてと、どんな仕返しをしてあげましょうか。

「ロッソ」

「それはやめろって言ったろ」

 残念、すぐに気付かれてしまった。

「もう、勝手に持ち出して」

「意外と似合ってんだろ?」

 八重歯を見せてはにかんでいる。

 正直な話、かなり似合っていると思う。
 自分の服だというのが少し気がかりではあるけど。

 でも言わない。

「何か言いたいことは?」

「そうだなあ、普段からあんな感じなの?ちょっと落ち着きないんじゃない?」

「誰のせいだと思ってるのよ」


30参観日2012/05/31(木) 00:23:42.74ptRBUgCU0 (4/12)

 立ち上がって私に向き合ってきた。

 大人になった佐倉さんをマジマジと見ていると、モヤモヤとドキドキとザワザワがごちゃ混ぜになったような感覚が襲ってきて、なんだか胸がそわそわしてくる。

 この不思議な感情は何なのかしら。

「怒った?」

 まさか。そんなはずない。

 多分あんなにニコニコしていた授業はなかったんじゃないかと思うほどに。
 後ろにいた佐倉さんにはバレてないと思うけど、先生には見られたかもしれない。
 それはちょっと恥ずかしい。

「……いいえ。ありがとう佐倉さん」

「全く、ホントはもうちょっと早く来るつもりだったんだけどさ。途中で使い魔を見つけちゃって」

「使い魔を?」

 今は彼女の正面に立っている。

 逃げることは、できない。


31参観日2012/05/31(木) 00:35:59.92ptRBUgCU0 (5/12)

「軽ーく潰してやったよ。魔法を使うまでもなかったね」

 ああ、この顔はまだ佐倉さんと初めて出会った頃の顔だ。

 昔、一緒に使い間を倒していた頃の、懐かしい笑顔。

「……なんだよ、人の顔ジロジロ見て」

「ふふっ、なんでもないわ」

「言えよ。気になるじゃんか」

「別に。バイトの時間に遅れるんじゃないかなーと思って」

 ハッとして佐倉さんが公園の時計に振り向いた。
 その瞬間、顔の血が引いていくのが目に見えて分かった。

「しまったもうこんな時間かよ!早く行かなきゃ!」

「その格好で?」

「だぁそうだった!一回家帰んなきゃじゃねーか!ぬかった……早く帰るぞマミ!」

 見た目は大人なのに、まるで子供みたいにはしゃいでるように見える。

 慣れないワンピースなんか着て転ばなければ――

「ぎゃふっ」

 いいけどと思っていた矢先にこれだった。


32参観日2012/05/31(木) 00:43:59.30ptRBUgCU0 (6/12)

「大丈夫?」

「痛て……悪いマミ、服汚しちまった」

「そんなの洗濯すればいい話よ!平気?」

「魔法少女舐めんなって感じだよ」

 サッと立ち上がって土を払う。
 怪我も大したことなさそうだった。

「よーし、今度こそ全力ダッシュだ」

「佐倉さん、今日の晩御飯は何がいい?」

「なんでもいいよ!昨日と一緒でもなんでもオッケーさ」

 そっか。昨日と一緒でもいいらしい。
 確かに言質を貰った。

「あたしは先に帰るからな!」

 言うが早いか、また駆けだしていった。

(……さてと、買い物はいらないかしらね)

 冷蔵庫にあった材料を思い出す。
 必要な物はまだ残っていたはずだった。

(今日はなんだかいけそうな気がするわ)

 昨日よりふわふわのオムライスが作れるような気がした。



おしまい


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/05/31(木) 00:45:04.07ptRBUgCU0 (7/12)

せっかくだからもうちょっと置いておこう


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/05/31(木) 01:07:20.74aCSJpnwHo (1/1)

乙乙
>>33
短編集と呼ぶにはまだ早い、続けるんだ。


35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/31(木) 01:15:17.93QJ2xG6pPo (1/1)


マミ杏とは良いものですね


36UNHAPPY SUMMER DAY2012/05/31(木) 18:01:03.90ptRBUgCU0 (8/12)

( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
                       ミーンミンミンミ~~ン
   じ わ ぁ~~

           「・・・・・・・・・・・・」

                               BANBANBAN>

 ???

             Door OPEN! ガチャッ


Oh! MADOKA! And Friends!


                       Hey! Let’s Go to Sea! 


With me!?

            Y E A H !


37UNHAPPY SUMMER DAY2012/05/31(木) 18:04:26.65ptRBUgCU0 (9/12)

         ざっぱ~~~~~~~~~ん


         S   E   A   !


Let’s swim! HOMURA!

                             No~~ XXX

YAHHOOO---!!


            \どっぱーーん/


  BUKBUK・・・・・・      \ Hey! SAYAKA!! / ザパーン


HAHAHAHA~
ケラケラ
                  Tiro・Finare!!

                   / ドーーーン!! \

NOOOO!!!

                         Thank you MAMI!


38UNHAPPY SUMMER DAY2012/05/31(木) 18:06:58.63ptRBUgCU0 (10/12)

 Hey!スッ     \S U I K A !/
                           Nice KYOKO!
   
mmmm……MAMI’s like…… ジーッ

     !?ゾクッ

                   MomiMomi……ジリッ


NO…NOO~~~AKEMISAAANN!!!



              GO SAYAKAChan!>

<Year! Hmmm…… This way!! バーーン


It’s meeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!!!!! ベチャァァッ



              Oh INCUBATOR!!



39UNHAPPY SUMMER DAY2012/05/31(木) 18:08:51.65ptRBUgCU0 (11/12)

Last……    H A N A B I !


 
      ヒュ~~~~~           








          ドーーーーン!!!


                          \ BEAUTIFUL! /


    HAPPY SUMMER DAY…!


(________________________________________)

o


ほむら「ハッ!」ガバッ

ミンミンミンミンミーーン

チリンチリーン

ほむら「……夢……」

ほむら「まどかがうちに来て皆と一緒に海に行こうって誘ってくれて泳げない私をさやかが付き落としたらマミがティロってくれて
    杏子が持ってきたスイカをさやかがたたき割ったら実はQBで最後はみんなで花火をして」

ほむら「なんてことは全然なかったわね」ファサァ

チリンチリーン

ほむら「……八月が終わるわね」


~Fin~


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/05/31(木) 18:09:32.49ptRBUgCU0 (12/12)

明日の深夜また投下するよ(多分)


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/31(木) 20:06:35.926dgP1bDWo (1/1)

乙!
何事かと思ったwww


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/31(木) 23:07:40.25QJfO+QX/0 (1/1)




43サヤやん2012/06/01(金) 23:51:48.59tdOMCGyh0 (1/1)

ほむら「……」スッ

さやか(……習字?)

ザザ ザザザ ザッ

ピシィィ

『明日から頑張る』

さやか「……明日から頑張る」

ほむら「明日から頑張る」コクリ

ほむら「思えば私は一カ月単位でループを終わらせようとしていた――」

ほむら「でもそれだと変わるものも変わるはずがない」

ほむら「一日一日を踏みしめ一歩……そしてまた一歩と少しずつ成長する。それが人間というモノなのよ」パァァ

さやか「……今日からじゃ駄目なの?」

ほむら「私もそう思う。でもムリなのよ……」

ほむら「今日はまだまどかの警護が終わってないのよ……まどかが起きて眠るまでだから、これが意外と一日かかる作業でね」

さやか「むしろ一日中張り付いてるってことか」


44サヤやん2012/06/02(土) 00:00:24.40B9WMTV9M0 (1/21)

ほむら「明日から頑張る!次の最終日だけ頑張って次のループに希望を抱くよりよほど健康的ではないカシラ!?」パァァ

さやか「ハイ、明日になりました」パン

ほむら「ウーン明日から頑張るわよー」

さやか「そんなんだからまどかを救えないのよ!」

ほむら「はゥ」ドズゥ

さやか「そんなんだからあたしを魔女にして!ワルプルにも負けて!」

さやか「まどかにちょっと優しくされたくらいで『もうすぐね……』とか訳の分からんこと口走るよーになるんだよ!!」

ほむら「おおおぉおぉ……」

さやか(……平気なフリしてるけど、今までの時間軸でまどかやマミさん達も救えなかったこと、やっぱ相当気にしてるなあ)

さやか(なんとか忘れさせて……イヤ、忘れさせたら進歩しないか……なんとかこう、元気を出させるにはどうしたらいいもんか)

ピンポーン

さやか「ん?誰か来たよ」

ほむら「ぬ゛う゛ぅぅぅぅうぅうぅぅぅぅ」

さやか「……はいはーい」ガチャッ

まどか「ほむらちゃん、落ち込んでるんだって?」ニュッ


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/02(土) 00:06:29.42B9WMTV9M0 (2/21)

さやか「まどか獲ったどーーッ!!」ガシィ

まどか「ななななんなのさやかちゃん離してよ!?」

~~~~~~~~~~

まどか「……えー、つまり」

まどか「ほむらちゃんに元気を取り戻してやれと……え?それ私が?」

さやか「エエ、あんたが!」

ほむら「まどか……お泊り……お泊り保育……」ジィー

さやか「ほら、ほむさんも嬉しそう」

まどか「なんか嫌だよ!!大事なもの失っちゃいそうだよ!そもそもなんで私がやらなきゃ駄目なの!?」

ほむら「!!」


46サヤやん2012/06/02(土) 00:10:09.31B9WMTV9M0 (3/21)

ほむら「ぁぁぁぁぁぁぁぁ」メソメソ

さやか「よしよし……おおよしよし。所詮やつは人の痛みの分からぬ冷血どうぶつ」

さやか「そういえば、やつの髪の毛は冷酷なピンクの悪魔と同じ肌の色をしている……!」

まどか「そんなピンポイントに言われても…っていうか、ピンクの悪魔って別に冷酷じゃないよね?」

まどか「まあ……ほむらちゃんのためなら少しくらい手伝ってあげてもいいけど、で、何をすればいいの?」

さやか「イエ……特に何も」

さやか「強いて言えばしばらく話したり遊んであげたりすればもう」

まどか「そうなんだ……」

さやか「じゃ……わたくししばらく恭介のお見舞いに行ってないので顔を見せに行ってきます」スチャッ

まどか「お疲れ様~」

さやか「ちょっとの間よろしくね、まどか」

まどか「いってらっしゃ~い」

ガチャッ バタン


47サヤやん2012/06/02(土) 00:13:19.72B9WMTV9M0 (4/21)

まどか「…………」

まどか(しばらくってどれくらい!?)

ゴゴゴゴ

ほむら「ふぅー…ふぅー……はふう」

まどか(さやかちゃんが上条君のお見舞いに行ってすぐに帰ってくるなんてありえない!っていうかもうすぐ夜だし家に帰っちゃう!!)

まどか(その間なんだか野獣みたいなほむらちゃんと同じ部屋にいなくちゃならないの!?)

ほむら「……」

まどか「……しっ!」パン

ほむら「!!」ビクッ

まどか「どう…どう……いいほむらちゃん?あんまり酷いことをしたらQBと契約しちゃうからね?分かった?」ゴゴゴゴゴゴ

ほむら「ホムウウ、ウウ」コクコク

まどか「分かる言葉で喋って!」

ほむら「ハイまどか!」キッ

まどか「な、なにほむらちゃん!」

ほむら「さっきからニョーイ・デマイオなのでトイレに行ってもいいかしら!?」モジリモゾリ

まどか「意味がよくわからないけどゆっくり移動してよね!」


48サヤやん2012/06/02(土) 00:18:55.97B9WMTV9M0 (5/21)

ジリジリ

ほむら「……」

まどか「……」

ほむら「あっ」ガッ

ほむら「きゃー急に足がもつれてしまったわ!」ガバァ

まどか「いやーーー!!!!」ドザザー

まどか「……で、私の上に被さってこれからどうするつもりなのかなほむらちゃん?」ゴゴゴゴゴ

ほむら「いや……あの、単に足がもつれただけで……あの」

まどか「じゃあ本気で怒る前にどいて」

ほむら「ハイ!それはもう単なる事故なのですぐにどきますっ!!」バッ

まどか「じゃあさやかちゃんに頼まれたし何かやろうかなって思うけど――」

まどか「もし何かしたらほむらちゃんが本っっっ気で後悔するような願い事でQBと契約するから……イイネ?」

ほむら(この子怖い)

ほむら「……肝に銘じます」


49サヤやん2012/06/02(土) 00:23:31.30B9WMTV9M0 (6/21)

まどか「それじゃあまずはなにしよっか?」

ほむら「まずはナニをするですって!?」ズァァ

まどか「うん、そういう小ボケはどうでもいいから」

ほむら「そうねエ……そろそろお腹空いたから晩御飯の準備でもどう?」

まどか「それイイネ、採用」

ほむら「私が作るわ――」

まどか「それはノーサンキューで」

ほむら「どういう意味よまどか!私があなたの料理になにかこう、手を下すような真似をするとでもっ!?」ズバぁぁ

まどか「うん、そう思う」キッパリ

ほむら「フゥー…オゥフゥー……いいまどか?まどかは一つ勘違いをしているわ」

ほむら「私は無抵抗のあなたに手を出すような紳士の風上にもおけないような輩とは違うのよ」

ほむら「ナゼなら私はこれでも英国紳士を目指しているのだからッ!」キッ

まどか「どうせなら淑女を目指そうよほむらちゃん」


50サヤやん2012/06/02(土) 00:27:43.64B9WMTV9M0 (7/21)

まどか「まあせっかくだから一緒に作ろっか」

ほむら(ま、まどかと初めての共同作業…!)

ほむら「ロンモチよまどか~~」ニパァァ

まどか「これ以上ないくらいの真っ黒い笑顔をありがとう」

まどか「それじゃあ早速冷蔵庫を――」ガバッ

ポツーーーーーン

まどか「……冷やしインスタントラーメン(袋未開封)が四つ……」

ほむら「醤油・塩・味噌・とんこつ……なんでもゴザレよ」キラン

ほむら「それ一つとご飯で一日に必要なカロリーの三分の一が補えるのよ!実に素晴らしい食べ物だわッ!」キリッ

まどか「一食分だから当たり前すぎるよね」

まどか「……しょうがないなあ、何か買いに行く?」

ほむら「え……ひょっとしてまどかはパスータ派だったかしら」

まどか「そういう問題じゃないよ!こんなのばっかり食べてるから栄養偏って育つものも育たないんだよ!」ズバァァ

ほむら「ウ……ウワワーーー!!気にしないようにしてたのにィィーーーッ!!!」


51サヤやん2012/06/02(土) 00:29:15.94B9WMTV9M0 (8/21)

まどか「とにかく、今日はちょっと他の物食べようよ」

ほむら「そっそれは私のために……!?」

まどか「私も人のこと言えないからね、一応言っとくと」

ほむら「まどかぁ!」ゴパァッ

まどか「わ!?」

ほむら「なんて事……まどかがそんなにも私のことを……!応えなければね、まどかのその想いにッ!!」プルプル

まどか「いやあのっ、そんなことは全然……」

こうして元気を取り戻したほむらとまどかのイヤな緊張感溢れる共同生活が始まった!

以前のクールさを取り戻しセクハラを試みようとするほむらと

どうにかしてそれを回避するまどか――――

そして

12時間の時が過ぎた!!


52サヤやん2012/06/02(土) 00:34:12.62B9WMTV9M0 (9/21)

翌日

ピピピガッ

ドドドドドド ほむら「……」 ドドド

ほむら「オハヨウまどかッ!」ガラッ

まどか「ひゃっ!?ビクゥッ

ほむら「今日も一緒にごはんを作りましょう!さあ遠慮せずにッ!」ググググッ

まどか「わ……分かったからフスマから手を離してっ」グググッ

さやか「…………」

ゴゴゴゴゴゴゴ さやか(帰ったら面白いことになってる) ゴゴゴゴゴ

さやか(でもなんでまどかのやつ押し入れで寝てるんだろ……)

ほむら「サア早く!」

まどか「分かったから手を離して!」

ピシャッ


53サヤやん2012/06/02(土) 00:37:46.77B9WMTV9M0 (10/21)

ほむら「チチィ……意外な怪力ね。そこがまたなんというか…もーーいーーかーーいっ!!」パァッ

しんっ…

さやか「天の岩戸というモノをご存じほむさん」ズバァ

ほむら「きゃっびっくりした!お……おかえりさやかっ」

ほむら「ほっぺにキスマークなんか付けてトンだビィッチになったようね」キッ

さやか「あたしのことはほっとけ!」

さやか「これ、さっきそこで出会ったマミさんに貰ったお土産」スッ

ほむら「あ、これはどうもご丁寧に」

さやか「日本の古い神話で、名前忘れたけど女の神様が怒って洞穴に入って岩で入り口を閉じてしまうの」

さやか「それを開くために岩の前で皆してバカ騒ぎをして――」

さやか「興味引かれて中からそーっと岩戸を開けた瞬間に手を突っ込んで開けちゃうとか何かそんな」

ほむら「なるほどね……よしそれで行くわよ!」


54サヤやん2012/06/02(土) 00:39:51.03B9WMTV9M0 (11/21)

<うわっ!?

まどか(?)

<わぁっこのお菓子おいしーーーー!!

    本当ね!生クリームとその……アレよ、ハーモニーがンマーイわ!!>

まどか(ひょっとしてさやかちゃんたち私をバカにしてる……?)

    うわっ!しかもチョコの中からグリーフシード出てきたわっ!うわコレも!!>

<こ……これはすごいですよほむさん!抱いてッ!

    それは断るわッ!>

まどか(それとも私の予想をはるかに上回るおバカさんなのかな……)


55サヤやん2012/06/02(土) 00:43:23.46B9WMTV9M0 (12/21)

さやほむ「…………」ゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「ダメね……心の曲がったまどかは人を信用する習慣を持たないみたい」

さやか「さあて誰のせいだろうネ」

ほむら「よし……アレを出す時が来たよオね……」ゴソゴソ

ほむら「バストアップ効果付き巴マミのブラジャー!!!」ズドバァァァン

さやか「あんたいつの間にマミさんから!?ど…努力家…さん……!?」

ほむら「これを私が装備することによって……」スルスル

さやか「ちょっタンマ!あたしの目の前で脱ぐな!!」

ほむら「巴マミのような化け物オッパイにそれはもう大変身なのですよ!?」

ガチャガチャ ゴソゴソ

まどか(……ナニやってるんだろう)

ほむら「ホーラこんな!こ、これは一見の価値ありですよ!!」

ピンポーン

ガチャッ

マミ「美樹さん、外で待ったんだけど一体いつまで――」

さやほむ「…………」


56サヤやん2012/06/02(土) 00:47:02.85B9WMTV9M0 (13/21)

<ちょっと二人ともそこ座りなさい

     あ、イヤ、これはその……ハイ>

<美樹さんも座りなさいイヤ違う正座で

<えっ嘘、なんで私も痛っ!?

まどか(……)

<暁美さん……人の家から物を盗るのがどれだけ悪いことか言わなくても分かるでしょう?

<夢を見るのは素敵だけど、もう少し周りのことに目を向けたらどうカシラ

    ウ……ウワワーーーッ!!!大きくなるもん!これから巴さんみたいな素敵なオッパイになる予定だったのに……>

<そうなの美樹さん?

<マミさんのような化け物オッパイになるって言ってました

<コラ暁美さん逃げないで!!

    ウワワーーーー!!>

<ティロ・フィナーレ! ズガーーン

しん…

まどか(…………)ソーッ


57サヤやん2012/06/02(土) 00:47:44.32B9WMTV9M0 (14/21)

さやか「……」ボロッ

まどか「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

まどか「……私そろそろ帰るね」

さやか「あ……そうっすね、ほむらにも言っとく。あ、コレマミさんにもらったお土産」

まどか「……ティロっちゃってボロボロじゃん」ゴゴゴゴゴゴ


数日後

ほむら「少しだけ変えたわ。『今晩から頑張る』」

さやか「…まあ……頑張って」

寝る前にナニを頑張るのか


おわり


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/02(土) 00:49:27.93B9WMTV9M0 (15/21)

元ネタが分かった人は偉い


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/02(土) 13:03:40.82JNC8ZpLIO (1/1)

読んだ事はないけどラブやんか……
ほむほむがロリオタプーのポジなのねwww


60もしも美国織莉子がうっかり屋さんだったら2012/06/02(土) 22:35:29.32B9WMTV9M0 (16/21)

織莉子(鹿目まどか……魔法少女としてのとてつもない素質を持っている)

織莉子(しかしそれは同時に最悪の魔女になるということ)

織莉子(彼女が魔女になれば地球は…世界は破滅する)

織莉子(だから私は鹿目まどかを殺す……最悪の絶望をこの手で終わらせる…!)

織莉子「鹿目まどかさん、あなたを殺しに来たわ」

まどか「……はぁ」

キリカ「くくっ、悪いね」

織莉子「ワルプルギスの夜が来ればあなたは契約してしまうでしょう……だから、今ここで殺してあげるわ」

まどか「……はぁ」

ほむら「あの、美国織莉子…?」

織莉子「来たわね暁美ほむら…邪魔をしようとするのなら容赦はしないわ」

ほむら「いえ、だから」

ほむら「もうワルプルギスは倒したわよ」


61もしも美国織莉子がうっかり屋さんだったら2012/06/02(土) 22:39:01.49B9WMTV9M0 (17/21)

織莉子「え……?」

ほむら「しかもついさっき」

織莉子「え……?」

キリカ「……あれ!?この荒地はまさかやつの仕業なのか!?」

さやか「なにこいつら、いきなり出てきてまどかを殺すとか」

ゆま「だれ?」

杏子「意味が分からねえ」

マミ「新しい魔法少女みたいだけど」

キリカ「お、織莉子、なんか変だよ……私達が鹿目まどかを殺す準備をしてる間に何があったの?」

織莉子「え……?」

キリカ「織莉子…?」

ほむら「あなたたちの目的がよく分からないのだけど」

織莉子「目的……そ、そうよ!鹿目まどかを魔法少女にするわけにはいかないのよ!」


62もしも美国織莉子がうっかり屋さんだったら2012/06/02(土) 22:40:30.00B9WMTV9M0 (18/21)

まどか「あっ、その点ならご心配なく」

織莉子「え……?」

まどか「QBならなんやかんやあって結果的に見滝原から出ていきましたけど」

織莉子「え……?」

マミ「なんというか、鹿目さんに素質が感じられなくなったとか何とか言ってね」

さやか「あれにはびっくりだよね」

キリカ「なんなの一体……織莉子、私達は未来を見ながら準備をしてたんじゃないの!?」

織莉子「………その…一度未来を見ただけであとは一心不乱に準備してたから……」

キリカ「……つまり、こんな未来は見てなかったわけかい?」

織莉子「……」

キリカ「刻一刻と変化する未来には目もくれず鹿目まどかを殺す準備をしてた、と」

織莉子「…………」

マミ「魔法少女が魔女になるって聞いた時は驚いたけど、意外となんとかなるものね」キリッ

さやか「ソウルジェムがあたしらの魂ってのもショックだけど、意外となんとかなるもんだね」キリッ

杏子「まあようするに、いろんな苦難を乗り越えてワルプルを倒したわけだ」

ゆま「ほむらねーちゃんが頑張ったからね」

ほむら「ようやくこの結末を手に入れられたところなんだけど……えっと、どうするの?」


63もしも美国織莉子がうっかり屋さんだったら2012/06/02(土) 22:43:03.21B9WMTV9M0 (19/21)

キリカ「織莉子…?」

織莉子「……」ジワァ

ほむら「無表情で涙を流してる…!?」

キリカ「織莉子しっかりして!今からでも鹿目まどかを殺そうよ!」

杏子「だから意味ないってば」

織莉子「……」ピシッ

ほむら「あっ」

パキッ

魔女「オオオォォォォォォォォォオオ」ゴァァァ

キリカ「織莉子おおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

ほむら「えぇー……」

杏子「あたしのせいか!?」


バケツの魔女 その性質は「迂闊」
自らの失態に苛まれる魔女。
両手に持ったバケツは罰を受けるためであり、入っているのは彼女の涙。
あまりの重さに魔女は満足に歩くことができず、水面に映る顔を眺めては存在意義を問いただしているが、答えが返ってくることはない。
もし誰かが片方のバケツを持ってあげられるなら、魔女は歩き出しどこへともなく去っていくという。


64もしも美国織莉子がうっかり屋さんだったら2012/06/02(土) 22:45:43.58B9WMTV9M0 (20/21)

~~~~~

その後なんやかんやあってQBは地球から手を引き、織莉子は謎のパワーで元に戻りました。

ほむら「ご都合主義エンド!?」

織莉子「失礼、うっかり魔女化してしまったわ」

一同「…………」

織莉子(……うっかり言わなくてもいいことを言ってしまったわ)


END


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/02(土) 22:46:33.12B9WMTV9M0 (21/21)

誰かうっかりや織莉子さんの可能性を広げてくれ


66君にあげる2012/06/03(日) 12:57:14.92uIZJzVIb0 (1/18)

まどか「ほむらちゃんって部活はいらないの?」

ほむら「部活、ですか?いえ、私はその……」

まどか「せっかくだから手芸部入らない?」

ほむら「手芸部ですか?」

まどか「そう!今部員が少なくて困ってるんだあ…見学だけでもしていかない?」

ほむら「えっと、じゃあ……見学してから」

まどか「ありがとうほむらちゃん!放課後待っててね!」ギュッ

ほむら「は、はい……」

まどか「そうだ!先輩来てくれるかなあ」ポチポチ

ほむら「先輩がいるんですか?」

まどか「うん、あんまり出てくれる人じゃないんだけど……って、それは私もだけどね」ティヒヒ

ほむら「どんな方、なんですか?」

まどか「えーっと、そうだなあ……ちょっと大人しくって見た目は怖いかもしれないけど、いい人だよ」


67君にあげる2012/06/03(日) 13:01:17.94uIZJzVIb0 (2/18)

~放課後~ ―手芸部部室―

まどか「あれ、鍵が開いてる」ガチャッ

まどか「あっ、キリカさん!来てくれたんですね」

キリカ「……」

まどか「こっちがお昼にメールした暁美ほむらちゃんです」

ほむら「はじめまして…暁美ほむらです……」

キリカ「……呉キリカ」

まどか「部員は私たち二人だけなんだ」

ほむら「えっ…少ないんですね」

まどか「だからほむらちゃんが入ってくれたらそれはとっても嬉しいなって思うんだけど」

ほむら「はぁ……」

まどか「まあ今日は見学だけだもんね!ちょっと準備するね」

ほむら「はい」チラッ

キリカ「……」ペラッ

ほむら(確かにちょっと怖いかも……手芸部なのにずっと本読んでるし)


68君にあげる2012/06/03(日) 13:05:29.76uIZJzVIb0 (3/18)

まどか「よーし今日もあみぐるみ頑張るよ!」

ほむら「あみぐるみ、ですか?」

まどか「うん、タッくん…弟の誕生日にあげようかなと思って」

まどか「えへへ、まだ練習中なんだけどね」

ほむら「そうなんですか……」

まどか「ほむらちゃんも何かやってみる?」

ほむら「いえそんな!私こういうのやったこと無くって……」

まどか「私もこないだまでやったこと無かったんだよ?一緒に本見ながらやってみようよ!」

ほむら「えっと…じゃあ……ちょっとだけ……」

キリカ「……」ペラッ

ほむら「……あの、呉さんは」

キリカ「なに」ジッ

ほむら「ひっ…いえあの、どうして呉さんは本を読んでるのかなって」


69君にあげる2012/06/03(日) 13:09:18.02uIZJzVIb0 (4/18)

キリカ「……別に、ここが静かだから」

ほむら「えっと…?」

まどか「本当は図書部だったらしいよ」

ほむら「そうなんですか?」

キリカ「まあね。でも、向こうはくだらない馬鹿ばかりでうるさかったから人がいないこの部に入っただけ」

キリカ「ここの部員は私一人になったから、静かに本を読むにはいい環境だったしね……鹿目たちが来なかったら」

まどか「あはは、まだ根に持たれてる……」

ほむら「たち…?」

まどか「最初は私以外にも入ってくれてた子がいたんだけど、みんな辞めちゃって」

キリカ「私としては大助かりだけどね」

まどか「でもね、私が何か作ってたらキリカさんがアドバイスくれるんだよ」

キリカ「あんなのアドバイスでも何でもない、書いてあることと違うことやってるから教えただけ」

キリカ「どうして書いてある通りにできないのか不思議でしかたないよ」

まどか「え、えへへ……」


70君にあげる2012/06/03(日) 13:12:43.88uIZJzVIb0 (5/18)

ほむら「でも、本読んでるんじゃないんですか?」

まどか「キリカさんすごいんだよ!本読みながら私のこと見てくれてるの!」

キリカ「普通だよ」

ほむら「呉さんってすごいんですね」

キリカ「……すごいことなんてなにもない」

キリカ「いいから早くやればいい。一週間もたってまだ終わってないんだね」

まどか「うっ…だって練習頑張ってたんだもん……」ムゥー

キリカ「……もういい?挨拶も終わったしこれ以上いる理由ないよね」

まどか「そんなあ!できるだけ静かにしますから!」

キリカ「……二人でやろうだなんて時点で無理に決まってるけど、まあいいよ」

まどか「やった!ほむらちゃん、さっそくやろう!」

ほむら「は、はい」


71君にあげる2012/06/03(日) 13:18:07.14uIZJzVIb0 (6/18)

まどか「……」アミアミ

ほむら「……あれ?」

まどか「ほむらちゃん、ここはこうして……」

ほむら「あっ、そうなんですね」

キリカ「……」ペラッ

カチッ カチッ カチッ ペラッ カチッ カチッ 「痛っ」

カチッ カチッ ペラッ カチッ カチッ カチッ ペラッ 「痛っ」

カチッ カチッ ペラッ 「痛っ」

ほむら(うぅ……指が……)

まどか「大丈夫?やっぱり最初って難しいよね」

ほむら「そうですね……私なんかには全然できそうにないです」

まどか「そうかなあ?」

キリカ「鹿目よりは飲み込み早そうだけど」フッ

まどか「えぇ!?ひどいですよキリカさん!」

ほむら(あっ、初めて笑った……)


72君にあげる2012/06/03(日) 13:20:54.55uIZJzVIb0 (7/18)

キーンコーン カーンコーン

まどか「時間だ…今日も全然進まなかったよ」

ほむら「はぁ……」

まどか「どうかな?」

ほむら「えっと……まだちょっと」

まどか「あはは、だよねえ…明日も来てくれるかな!?」

ほむら「あの…考えておきます」

まどか「違うよほむらちゃん…そこは『いいともー!』って言うところだよ~」

ほむら「え?え?」

まどか「……まいっか!キリカさんは……あれ?」

ほむら「あの、チャイムが鳴ったと同時に帰っちゃいましたけど……」

まどか「えぇー、いっつも気が早いんだからなあ」

ほむら「わ、私達も帰りますか…?」

まどか「そうだね!」


73君にあげる2012/06/03(日) 13:25:47.65uIZJzVIb0 (8/18)

まどか「ばいばーい!」

ほむら「え、えと…さよう、なら……」

ほむら「……聞こえたかな」

テクテク

ほむら(はぁ……全然駄目だったなあ……)

ほむら(でも、呉さんはちょっとだけ褒めてくれたし…私にも何か作れたりできるのかな)

ほむら(そうだ、今日の晩御飯買わないと……あれ?)

キリカ「……」

ほむら(呉さんだ……何見てるんだろう?)

キリカ「あっ……」

ほむら(手にハンカチ持って……誰かを見てる…?)

キリカ「……」クルッ

ほむら「あっ」

キリカ「っ!」

キリカ「…………」

ほむら「…………あ」

キリカ「――ッ!」ダッ

ほむら「あぁあの!……走って行っちゃった……あの人に用があったんじゃないのかな…?」

ほむら(綺麗な人……白女の制服だし、どこかのお嬢様みたい)

ほむら(ひょっとして、落としたハンカチを返そうとしてたとか?)

ほむら(明日呉さんに聞いてみよう……)

ほむら(私なんかに答えてくれるかな…?)


74君にあげる2012/06/03(日) 13:28:55.12uIZJzVIb0 (9/18)

~翌日・放課後~ ―手芸部部室―

まどか「良かった、また来てくれたんだね!」

ほむら「はい…せっかく作り始めたんで、せめて完成できるまではと思って」

まどか「えぇー!作り終わったらもう来ないの!?」

ほむら「いえ、そういうわけじゃ……」

まどか「ほんと!?やったぁ!待ってるからね!」

ほむら「は、はい」

ほむら(鹿目さんすごく嬉しそう……私が人形作ったら、鹿目さん喜んでくれるかな)

ガチャッ

まどか「あれ、呉さん今日も来てくれ――!?」

キリカ「……やあ」

ほむら「呉さん、昨日は……あれ、それって」

キリカ「……別に」

まどか「キリカさんが……」

まどか「キリカさんがあみぐるみ作ってるっ!!!」


75君にあげる2012/06/03(日) 13:31:59.08uIZJzVIb0 (10/18)

キリカ「手芸部なんだ、当然だ」

まどか「どうしたんですか!?何か嫌なことでもあったんですか!?」バッ

キリカ「いやだから」

まどか「大丈夫です、私はキリカさんがいい人だってちゃんと分かってますから!」

まどか「確かにキリカさんって口数少なくて暗いしあんまり話しかけても返事してくれなかったりたまに馬鹿にしたような目で見られたり難しい本読んでたりあんまり学校来なかったりしてますけど」

まどか「でもでもそんなキリカさんが私は好――」

キリカ「うるさい!」バシッ

まどか「あうぅ」

キリカ「君はあれか、私を馬鹿にしているんだね?」

まどか「そんなつもりは……スイマセン……」


76君にあげる2012/06/03(日) 13:35:01.18uIZJzVIb0 (11/18)

キリカ「何でもいいでしょ別に」

まどか「本当になんにもないんですか?」

キリカ「しつこいね」

まどか「でも……」

ほむら「あの、そういえば昨日のことなんですけど」

キリカ「暁美だったっけ」ギロッ

ほむら「ひっ」ビクッ

キリカ「昨日、何かあったかな…?」

ほむら「えと…あの……」

まどか「なになにほむらちゃん、昨日何かあったの?」

キリカ「質問してるのは私だよ」

ほむら「うぅっ……」

まどか「ほむらちゃん!」

キリカ「暁美」

ほむら「うぅぅぅぅぅ……」

ほむら「き、昨日くく呉さんと会ったんですけど何やってたんですかっ!!」

キリカ「~~~ッ!!!」


77君にあげる2012/06/03(日) 13:39:52.74uIZJzVIb0 (12/18)

まどか「そうなのほむらちゃん!?キリカさん何やってたの!?」

キリカ「別に」フイッ

ほむら「えっと、ハンカチを落とした人に渡そうとしてたみたいなんですけど、結局渡せなかったようで……」

キリカ「あ~け~み~……」

まどか「ハンカチ?」

キリカ「はぁ……違う…違うよ暁美……あのハンカチは落とし物じゃない、借り物だ」

ほむら「借りもの、ですか?」

キリカ「そう。だから返さなきゃいけない。あの人はあげると言ってたけど、それじゃあ私の気が済まない」

まどか「それで返そうと……でも、渡せなかったのはなんで……」

キリカ「っ!……」カァァ

ほむら「呉さん?」

まどか「赤くなってる……あっ!ひょっとして恥ずかしかっただけですか!?」

キリカ「そんなわけない!」ガタッ

まどか「ムキになって否定するところがますます怪しいですよ」ティヒヒ


78君にあげる2012/06/03(日) 13:42:51.45uIZJzVIb0 (13/18)

しばらくして―――

まどか「……」

ほむら「……あの、鹿目さん」

まどか「なにかなほむらちゃん?」

ほむら「キリカさんて、いつもアドバイスしてくれてたんですよね?」

まどか「……うん、そうだよ」

ほむら「じゃあ、えっと、これはどういう……」

キリカ「なんなのこれどういうことなの……なんで書いてある通りにやってるのにできないの!」バン

まどか「確かに今まで何か作ってるところは見たことなかったけど」

ほむら「なんていうか……ごちゃごちゃしてます」

キリカ「そこうるさい!気が散る!」

ほむら「すすすいません!」

まどか「まあまあキリカさん、せっかくだから三人で頑張りましょう」

キリカ「チッ……」


79君にあげる2012/06/03(日) 13:47:17.24uIZJzVIb0 (14/18)

それから三日後―――

ほむら「……やっとできた……」

まどか「可愛くできたね!」

ほむら「いえ、私なんかまだまだで……鹿目さんは早かったし上手でしたね」

まどか「ううん、私はほら、練習してたから……」

まどか「キリカさんのも上手く出来ましたね」

キリカ「まあ……ね」

まどか「それじゃあさっそく行きましょうよ!」

ほむら「そうですね」

キリカ「…?どこに?」

まどか「もう決まってるじゃないですか!ハンカチのお礼しに行くんですよね?」

キリカ「……~~~っっ!ついてくるつもり!?」

まどか「勿論です」ウィヒヒ


80君にあげる2012/06/03(日) 13:50:00.77uIZJzVIb0 (15/18)

―駅前―

キリカ「本当についてくるやつがあるか」

まどか「まあまあ、私達隠れてるんで」

ほむら「頑張ってくださいね」

キリカ「いいから帰れって――」

ほむら「あ、あの人じゃないですか?」

キリカ「ッ!」バッ

まどか「確かに綺麗な人だね……キリカさんファイト!」

キリカ「べ、別に、ハンカチ返すだけだし……」

まどか「そうですよ!だからリラックスして!」

キリカ「……よ、よく考えたら、会ったの結構前だしもう向こうは私のことなんか覚えてるわけないから、無理に話しかける必要なんて……」

ほむら「そ、そんなことないと思います!」

キリカ「え…?」

ほむら「いえ、だからあの……覚えてもらえてなくてもいいと思うんです。お礼を言えば、きっと呉さんの気持ちは伝わるはずですから」

ほむら「呉さんの気持ち分かります。人に優しくされた時の嬉しい気持ちも、お礼が言えてないもどかしさも……」


81君にあげる2012/06/03(日) 13:54:06.89uIZJzVIb0 (16/18)

ほむら「うまく言えないんですけど、とにかく勇気を出して下さい!わ、私も…………」

キリカ「……分かった行くよ。行けばいいんでしょ」スタスタ

まどか「キリカさん頑張って!」

ほむら「うまく渡せますかね…?」

まどか「大丈夫だよ、キリカさんなら……それよりほむらちゃん、さっきの続きは?」

ほむら「え?」

まどか「だから、『私も』の後。何言おうとしてたのかなって」

ほむら「それは……私も勇気を出してお礼を言いたくて……」

まどか「そうなの!?誰に誰に!?」

ほむら「……鹿目さんです」

まどか「私…?」


82君にあげる2012/06/03(日) 13:55:50.43uIZJzVIb0 (17/18)

ほむら「転校初日に私に声をかけてくれて、手芸部にも誘ってくれて…私、とっても嬉しかったんです」

ほむら「だから、その……ありがとうって言いたくて……これ、受け取ってくれたらいいなって……」

まどか「これ、ほむらちゃんが作ってたあみぐるみ……」

ほむら「い…いらないんなら持って帰りますか――」

まどか「ありがとうほむらちゃん!私大事にするからね!」

ほむら「――!はい!!」

まどか「よし!あとはキリカさんだね!」

ほむら「ふふっ、そうですね」

ほむら(私はちゃんとお礼が言えましたよ、あとは呉さんだけです)

ほむら(呉さんがうまくいきますように……)





キリカ「あ……あの……」

織莉子「はい?」

キリカ「えと、その」

織莉子「あら、先日ハンカチを差し上げた」

キリカ「――っ!覚えてて、くれてたんだ」

織莉子「それは勿論。それで、何かご用でしょうか?」

キリカ「あぁ……その…………ハンカチのお礼で……だから…これ……」


キリカ「君にあげる」



おわり


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/03(日) 13:57:25.32uIZJzVIb0 (18/18)

思えばメガほむを書いたのは初めてだ


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/06/03(日) 18:57:03.45LtwZHZTU0 (1/1)




85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/03(日) 19:11:19.33+Ov+FHeIO (1/1)

きりかわいい


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/06/04(月) 04:36:32.13uORPp0F3o (1/1)

乙!


87\やべえ/2012/06/05(火) 15:42:48.969wrN+YRD0 (1/11)

早乙女「はい、こないだのテスト返しまーす」

さやか「まどか英語のテストどうだった?」

まどか「うーん微妙」 \びみょう/

さやか「当ててみせよっか…36だね!」

まどか「えっ、さやかちゃんなんで分かったの」 \すげえ/

さやか「おぉ本当に36点だったの?」

まどか「私の平熱」

さやか「平熱!?」


88\やべえ/2012/06/05(火) 15:43:36.009wrN+YRD0 (2/11)

さやか「私は赤点だったんだよねえ」

まどか「実は私も」 \やべえ/

早乙女「赤点の人は明日追試しまーす」

さやか「だってさ」

まどか「マジで」 \こええ/

さやか「こりゃ勉強しないと大変だね」

まどか「明日飛行機に乗る予定はないけど死にたくはないね」 \やべえ/

さやか「墜死じゃねーよ」


89\やべえ/2012/06/05(火) 15:46:03.699wrN+YRD0 (3/11)

さやか「勉強しなきゃならないけど、私達二人じゃどうしようもないなー」

まどか「そーだね」 \ムリ/

仁美「お二人とも、私のノートをお貸ししますわ」

仁美「大切なお友達が困っているのに放ってはおけません」

まどか「仁美ちゃん…」

まどか「それはおかしいね」

まどか「お貸しだけに!」

仁美「別におかしくありませんわ」


90\やべえ/2012/06/05(火) 15:46:42.539wrN+YRD0 (4/11)

まどか「英語って難しいけど日本でもよく使うよね」

さやか「確かに」

仁美「“テスト”もそうですし“ノート”もですわね」

さやか「いっぱいあるよね」

さやか「“クラス”とかもだし、国語は“ジャパニーズ”っていうし」

まどか「英語も“Ei GO!”って言うしね」 \Yo/

さやか「ラップかよ」


91\やべえ/2012/06/05(火) 15:47:24.339wrN+YRD0 (5/11)

まどか「そういえば英語は英語でなんて言うんだっけ」

さやか「流石のあたしもそれくらい知ってるよ」

まどか「確かイ…イン……」

さやか(イングリッシュだね)

まどか「インキュベーター!」

さやか「インしかあってない!」


92\やべえ/2012/06/05(火) 15:48:06.699wrN+YRD0 (6/11)

まどか「インキュベーターは宇宙人だけど」

まどか「宇宙人と言えば八本足だよね」

さやか「ちょっと古くない?」

まどか「でもキュゥべえは二本ほど足りてないよね」 \ざんねん/

さやか「耳から生えてるのは足じゃないからね」


93\やべえ/2012/06/05(火) 15:49:35.909wrN+YRD0 (7/11)

仁美「あの、お二人とも一体何の話をされてるんですの?」

さやか(しまった仁美がいたの忘れてた…)

さやか(ここは適当に誤魔化すしかないな)

さやか「その…こないだ見た映画の話でさ」

まどか「そうそう、こないだの“Ei GA!”の話で」 \Yo/

さやか「ラップかよ」


94\やべえ/2012/06/05(火) 15:50:16.009wrN+YRD0 (8/11)

仁美「酷いですわ!お二人で内緒なんて!」

まどか「えっ、いやぁそんなに褒められると照れるね」 \照れる/

さやか「いやいや、どこにそんな要素があったのさ」

まどか「でも、お二人で“Nice Show”なんて、って言ってたよ」 \ナイス/

さやか「なんでそこは英語に聞こえたの!?」

まどか「まあ、別にショーなんてしてないんだけどね」

さやか「なら言うなよ」


95\やべえ/2012/06/05(火) 15:51:19.169wrN+YRD0 (9/11)

ほむら「何の話をしているの?」

まどか「あっ、ほむらちゃ…じゃなかった、“Homerun”ちゃん」

さやか「ホームランちゃん!?」

さやか(しかも言い直した!)

ほむら「……なにかしら」

さやか「まさかのスルー!」

まどか「今三人で“Thas's dun”…つまり、こげ茶色のような不毛な話をしてたの」 \こげちゃ/

さやか「雑談でしょ!」

さやか(ひょっとしてまどか……英語できるんじゃないの)


96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/05(火) 15:51:52.789wrN+YRD0 (10/11)

よくもまあ毎月ネタを考えられるものだと尊敬する


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/06/05(火) 16:59:02.0923BX6BtH0 (1/1)

まどかねーしょんかあ\おつ/


98\やべえ/2012/06/05(火) 23:57:10.249wrN+YRD0 (11/11)

さやか「あたしとまどかが英語で赤点取っちゃったから勉強しなきゃねって話」

ほむら「なるほどね。確かに英語って勉強するの面倒よね」

仁美「単語を覚えるのも一苦労ですしね」

まどか「タンゴ?」

さやか「綴り間違えちゃったりね」

まどか「ツヅラ?」

ほむら「読みながら練習すると覚えやすいって言うわよ」

まどか「へぇー……」

まどか「……つづらを使ったタンゴの練習は歌いながらやればいいのか」 \なるへそ/

さやか「何の話だ」


99\やべえ/2012/06/06(水) 00:13:03.15JM6pFH3m0 (1/2)

ほむら「そういうことなら少しくらい教えるけど」

仁美「私も塾の時間までなら」

さやか「ありがと、助かるよ」

さやか「あたしらだけだったら絶対点を取れる自信がないや」

まどか「そうそう」

まどか「今後一生無理だろうね」

さやか「そこまで言ってないよ」

まどか「いやいや、英語だけに……」

まどか「未来永劫無理なんじゃないかな」

さやか「」


\おわり/


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/06(水) 00:13:44.26JM6pFH3m0 (2/2)

\おわり/と入れてなかったから適当に追加


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/06/06(水) 00:20:07.37DD/A0H97o (1/1)

乙!
よくもまあ思いつくなwww


102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/06/06(水) 20:46:53.574b5VzfpX0 (1/1)

まどかwwww


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/06/07(木) 04:37:37.35Bfnc9Lvio (1/1)

だれうまwwww



104誰が為に林檎はなるか2012/06/08(金) 23:15:22.33QNnB4t2A0 (1/5)

あー、今からする話はアタシの独り言だ

だからまあ、気軽に聞いててくれよ

でもちょいとばかし長い話になるから……

食うかい?

……うん、あんがとね

そうだな

何から話せばいいかな……

とりあえず、アタシが魔法少女になった頃の話でもしようか

いや、あんたはとっくに知ってるだろうけどさ、なんつーか……

思い出しておきたいんだ

あの頃のアタシを

さっきも言ったけど、だから、のんびりそこで聞いててくれないか


105誰が為に林檎はなるか2012/06/08(金) 23:28:05.68QNnB4t2A0 (2/5)

アタシの願いは「みんなが父さんの話を真面目に聞いてくれますように」だった

父さんは聖職者だったんだ

他人の幸せを誰よりも願う人で、正直で、優しくて……毎朝新聞を読んじゃ頭を抱えてるような人だった

初めは普通にしてたんだけど、そのうち父さんは教義にないことまで説教するようになった

当然本部からは破門されたし、話を聞いてくれる人もいなくなってったよ

そりゃあ確かに、傍から見たら胡散臭い宗教みたいだったかもしれないけど

でも、父さんはなにも間違ったことなんか言ってなかった

父さんの話は正しかったんだ

絶対に……

アタシはそれが我慢できなかった

だから願った

あの時のアタシは、世界平和みたいな大それた願いで……

いや、違うな

きっと本当は、父さんの為に……

家族の為に魔法少女になったんだと思う


106誰が為に林檎はなるか2012/06/08(金) 23:36:22.09QNnB4t2A0 (3/5)

……え?

そういやそうだな……

なんでだろうな、あんたの前だと素の自分が出ちまうみたいなんだ

ま、話はまだこれからさ

そんで晴れて魔法少女になったアタシは、馬鹿みたいに意気込んでたよ

親父の説法が表から、アタシが魔獣相手に裏から、この世界を守るんだってね

自分でもちょいと舞い上がってたって思うよ

……あぁ、そうそう、ちょうどそんな頃だったよ

マミと出会ったのは

恥ずかしながら魔獣ごときにやられそうになっちまってね

ま、まあ、初心者だったっつうのもあるけどさ……

とにかく!

アタシはマミに助けられたんだ

マミはそれからアタシとも仲良くしてくれたし、いろんなことも教えてくれたよ

それこそ色々さ

戦い方、魔法の使い方、ついでに料理なんかもね

……ハハッ、よく分かってんじゃん

カッコいい登場の仕方とか魔法の出し方もね

必殺技名まで考えてくれた時は正直ちょっと笑っちまったね……

……なんか、すげぇ懐かしいな


107誰が為に林檎はなるか2012/06/08(金) 23:44:07.28QNnB4t2A0 (4/5)

マミは知っての通り正義の魔法少女だったよ

世界の為、他人の為に魔法を使う人だった

あの頃のアタシはそんなマミに……

正直言うと、憧れてたかもしれない

でもそんな時にね、カラクリがばれたんだ

信者たちが信仰の為じゃなく、ただの魔法で話を聞いてたってことさ

そんで親父はブチ切れたよ

アタシのこと魔女だってさ

笑っちまうよね、こちとら魔女だか魔獣だかよく分かんねえもんと毎日戦ってんのにさ

…………そっか……そうなのかもな

とにかく、そんで親父は壊れて、家族も壊れた

……悪い、やっぱりちゃんと言うよ

親父は酒に溺れて、頭がイカれて、最後はアタシ一人残して家族道連れに無理心中さ

……謝る必要なんかないさ

こんな機会でもなきゃ向き直ることなんてないからな


108誰が為に林檎はなるか2012/06/08(金) 23:51:10.66QNnB4t2A0 (5/5)

それからのアタシもまた酷かったね

魔獣を狩ることにも疑問を持って、一体何の為に生きてんのか分かんなくなっちまって

マミは心配してくれてたけど、そんな気遣いすら鬱陶しく感じて、アタシは逃げた

そう、逃げたんだ

救おうとした世界から

他人から

自分から

ま、元々あたしもマミも違う街に住んでたからな

その気になりゃ全く会わずに済ませることなんて楽勝だった

逃げるのはいつだって簡単だった……

んで、逃げた先はこれまた酷い有様でさ

盗みとか平気でやっちゃうコソ泥みたいな生き方しかできなくなっちまってた

……いいんだ、自分でも分かってる

やれ正義の為だ他人の為だと粋がってたアタシはどこへやら、完全に自分の為に生きてた

いや……生きる為に生きてた?

自分でもよく分かんねーな……なんて言やいいと思う?

……まあ、そりゃそうだわな

生きる為に魔獣を狩って、その日食うものを盗んで、適当にぶらついて、寝て、それで終わり

ホント、あの頃は何の為に生きてたんだろうな


109誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:01:42.98/zElM5gJ0 (1/15)

どれくらいだったかな?

忘れたけど、随分とマミにも会わずその日暮らししてたんだけどね

そしたらある日久しぶりにマミに会っちまったんだ

そんで驚いちゃったよ

知らない奴らが一緒にいるんだ

しかも二人だぞ?

おまけにマミの弟子面までしやがって……兄弟子のアタシに挨拶なしと来たもんだ

……第一印象?

そりゃ……まあ、酷かったな

ほむらはクールぶって仏頂面で睨んでくるし

さやかにいたっちゃアホ面で威嚇かまして来る始末さ

……言うなよ?

ま、そしたらマミがアタシと知り合いだったこと話してその日はなんも無しで終わったけどね

次の日また驚いちまったよ

いきなりさやかに殴りかかられたんだぞ?

軽くカウンターかましてやったけどね


110誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:08:08.61/zElM5gJ0 (2/15)

……人が魔獣退治しようってとこにいきなりさ

なんなんだって聞き返したら、あいつ謝りもしないで睨んできやがるし

意味分かんねーからほったらかして魔獣狩ってたらあいつも戦い始めたけど、そりゃ酷かった

そりゃあ初心者だって分かってたら、ちっとは違ったろうけどね

酷いの一言だったよ

あれならまだ昔のアタシの方がマシさ

全部狩り終わった頃にもっかい理由聞いたら……なんつったっけな……

あぁ、そうだ

あんたなんか魔法少女じゃない!だとさ

開いた口が塞がらないなんてのは、ああいう時の為にあるんだって実感したよ

いくらマミに感化されてたんだとしても、そこまで言われるとは思わないじゃん

流石のあたしもイラっと来たからね

喧嘩おっぱじめっちまったよ

……結果?んなもん聞くまでもねえだろ?

……正解


111誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:15:21.49/zElM5gJ0 (3/15)

今なら、さやかがあたしに怒ってた理由、少し分かる

許せなかったんだろうね

他人の為に祈って戦ってたさやかにしちゃ、自分の為に生きて戦ってたアタシが

……そうだ、言ってなかったな

あの頃のアタシは、ヤバいと思ったら魔獣からだってすぐに逃げてたからな

そのせいできっと死んだ人間もいたのかもな……

……そうだな、湿っぽいのはあんまり好きじゃねえや

どこまで話したっけ?

……そうそう、そこでようやくマミとほむらのご登場さ

ほむらがさやかを連れて帰って、アタシは久々にマミと二人っきりで会話したよ

話はまあ、さっき話した様な事さ

だから、なんでさやかが襲ってきたのかってこと

アタシのこと話したからだって、さやかは正義の為に戦いたいんだって

マミは謝ってたけど、やっぱりアタシはマミを煩わしく思っちまった

まだ全然向き合えるような状態じゃなかったんだ、アタシは


112誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:23:32.90/zElM5gJ0 (4/15)

そっからまた顔合わせた時も嫌な顔されたっけな

いい加減こっちも鬱陶しくなってさ、なんでそこまで突っかかって来るのか聞いたんだ

いやまあ、さっき話した様な事言われたんだけどね

…………そうだよ、あいつはそういうやつさ

会ったことあるんだっけ?

流石だよ

はぁ

ちょっと休憩しないか?

退屈してない?

…………そっか、それがあんたの役目か

林檎が……あれ、もうないのか

……あんがと、ありがたく貰うよ

で、さやかがうぜーって話だったっけ?

いや、実際そこまでは思ってなかったと思うけどな

……悪い、やっぱ思ってた

あん時のアタシにとっちゃ、あいつの言葉はやたら痛かったんだよ


113誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:32:31.08/zElM5gJ0 (5/15)

結局さ、いつまで経ってもアタシはアタシだったんだよ

昔のね

さやかみたいな、魔法少女の力は世界の為に、弱い人たちの為にあるんだって信じて疑わないような

脆くて

弱くて

壊れやすい

子供みたいな魔法少女……

いや、年齢的にガキだったけどさ

結局のところ、アタシもさやかも

マミは当然として

多分……ほむらも

正義の味方になりたかったのさ

……マミには辛い思いさせちまったよな……弟子二人が先に導かれちまうんだもん

ま、それはいいんだけどね

そう、正義の味方

さやかはまさにこれだった

アタシがなれなかった正義の味方になろうとしてた


114誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:42:54.01/zElM5gJ0 (6/15)

だからかな

つい聞いちまったんだ

さやかはどんな願いで魔法少女になったんだってね

……そ、男の為だとさ

まあ、今更どうこう言うつもりもないしそんな資格もないし

そもそも言うべきことじゃなかったんだろうけど……

アタシは愕然としたよ

アタシみたいに他人の為に祈って魔法少女になる馬鹿がいたのかって

結局それは、他人の都合を聞きもしないで勝手に願った自己満足な祈り

自分の魂を差し出してまでする願いかよって言った

あぁ、言っちまったんだ

でもあいつはそんなことお構いなしに笑ってた

見てられなかったよ

あいつもいつかアタシみたいになっちまうんだって思ったら……

…………やっぱりお見通しか

うん、昔のアタシと重ねてたってのもあったよ

だから目を背けたんだ


115誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:49:21.66/zElM5gJ0 (7/15)

間違い続けてると思った

他人の為の祈りは、いつか自分も周りも何もかも壊しちまうから

結果はどうだったんだろうな

あんたは何か知ってんのか?

……なんだよ、教えてくれたっていいじゃん

んで、そん頃だったかな

マミとほむらがアタシを仲間に引き入れようとしてきた

正直断るつもりだったよ

最初はね

でも、さやかのことが気になってた

あいつが間違えたまんま後悔するんじゃないかって

そいつを止めるのは、なんとなくあたしじゃないかと思って

……本当になんとなくさ

理由なんてそんなもんだろ?

…………そっか、そうだな


116誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 00:57:52.32/zElM5gJ0 (8/15)

で、結局アタシは一緒に戦うことにした

さやかは渋ってたけどね

そんなもんだろうさ、嫌いな奴と一緒に戦うなんて

武器の関係上、必然的にアタシとさやかが前衛で一緒に戦うわけだけど、まあ酷かったよ

チームワークなんてあったもんじゃなかったさ

そんな日が何日か続いて、たまらなくなったのはこっちさ

つい、かな

つい口が滑ってアタシの祈りのこと話しちまった

全部聞き終わったら複雑な顔してたよ

そりゃそうだろう

いつ自分がそうなるかって不安になるだろうからな……

でも違ったんだ

さやかはまずあたしに謝って

それから宣言した

やっぱり正義の為に戦い続けるって


117誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 01:08:58.04/zElM5gJ0 (9/15)

どうやら逆効果だったらしいね

アタシの二の舞はごめんって感じか

……違う?

そうかな……あんたが言うんならそうなのかもな

まあとにかく、それからさやかはちょっと柔らかくなった気がする

アタシに対してね

それがまたアタシを不安にさせたよ

なんであいつはそんなになんでも信じられるんだろうって

なんでずっと世界の為なんかに戦ってられるんだろうって

んー、なんか言いたいことがごちゃごちゃしてきたな

ちょっと短めに話すよ

結局のところ、あたしはさやかに惹かれてたんだと思う

変な意味じゃねーぞ?

言っとくが

魔法少女としてあるべき姿ってのが、マミやほむら以上に

さやかから感じられたんだ


118誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 01:14:25.56/zElM5gJ0 (10/15)

さっきも言ったかもしれないけど

アタシはさやかに昔の自分を重ねてた

だからだろうな

そうやって少しだけ心開けたかなって思った頃だったな

さやかが円環の理に導かれたのは

あの日はさ、さやかが願った男のコンサートかなんかがあったらしいんだ

コンサートか試験か詳しくは聞いてなかったけど

とにかくそいつが腕が治って初めて人前で演奏するって日だったらしい

魔獣くらい三人もいれば余裕なのによ……

アタシもマミも、ほむらだってベテランだぞ?

さやか一人いなくてもなんとかできたはずなんだ

でもあいつ、これがアタシの使命なんだって張り切ってさ

後からほむらに聞いたんだけど、なんかクラスメイトと男取り合ってたらしいんだ

……いや、ほむらに聞いた話だからな?

……まあ細かいことはいいんだけど

いつも無茶ばっかする奴だったけど、その日は特に無茶苦茶だった


119誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 01:23:33.22/zElM5gJ0 (11/15)

今でもあの時は覚えてる

あいつ馬鹿だからさ……

アタシなんか庇ったんだ

傷くらいどうとでもなるのに

そんなことしなけりゃ……消えずに済んだのに……

…………泣いてねえよ

……そう

あいつは最後まで自分の為じゃなくって他人の為に魔法少女を続けた

馬鹿だよな……

アタシはさ、ようやく友達になれたと思ったんだ

でも、そう思った頃にはもういなかった

ほむらはまどかとか突然呟くし

…………

あぁ

そうだったのか


120誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 01:26:05.59/zElM5gJ0 (12/15)





あんたがまどかだったのか






121誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 01:30:36.78/zElM5gJ0 (13/15)

なんだよ、勝手にさやかを導きやがって

……ごめんで済んだら魔獣は生まれてこねーだろうさ

……そっか

最後は納得できたのか

なら良かったんだ

さやかのやつ、辛い思いしたまんま消えちまったんじゃないかって思ってたから

…………

どこまで話したっけな

そう、さやかが導かれちまった

だから今度は

アタシがさやかの代わりに世界を守ることにした

何の為に戦ってるのか、自分でも分からなくなってたところにあいつは現れた

昔のアタシの幻を引き連れてね

あいつの為……

いや、今の無し

あいつの守ろうとした世界の為

アタシは戦うことにしたんだ


122誰が為に林檎はなるか2012/06/09(土) 01:39:53.81/zElM5gJ0 (14/15)

まあ、こんなところかな

悪いね、独り言って言ったのに付き合ってもらっちゃって

でも、自分が何なのか改めて確認できたよ


アタシは魔法少女


他人の幸せの為に戦う


正義の味方さ


父さんの意志

ちゃんと継げてたかな

……

あんがとね

そろそろ時間か?

……そうだな、あんまり長いことここにいてもしょうがないもんな

ところでさ、さやかに会えんのか?

……なんだよ、教えてくれてもいいじゃん

まあ、行けば分かるか


じゃあ、頼むよまどか






123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/09(土) 01:40:49.42/zElM5gJ0 (15/15)

即興だと長くなっちゃったな


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/09(土) 03:27:14.62HQnqproXo (1/1)




125VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/09(土) 03:54:34.72mrCNZXvIO (1/1)

乙!


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/06/24(日) 01:48:54.378mk50I1l0 (1/1)

ごめんなさい、訳あってまだ更新できそうにない…
もし暇&ポケモン知ってるという方は俺のもう一つのスレであるこちらでも読んでくれるとそれはとっても嬉しいなって

QB「僕と契約してポケモン図鑑所有者になってよ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1331539059/


127暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 11:49:15.97sENf00rQ0 (1/26)

Case1

ほむら「まどかを守れる私になりたい!」

~~~~~

ほむら(まどかの進行方向に車が!時間停止!!)


ほむら(まどかが宿題を家に忘れてる!時間停止!!)


ほむら(まどかがお弁当のおかずを落としそうになってる!時間停止!!)


ほむら(まどかが!時間停止!!)


ほむら(時間停止!!)

ジカンテイシ ジカンテイシ ジカンテイシ……

――――
――


ワルプルギスの夜「アーッハハハハハハハハキャハハハハハハ」

ほむら「まずは時間停止で……あれ?」

ほむら「もう時間停止できない!?なんで!?」


<時間停止の配分を間違える>


128暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 11:50:02.73sENf00rQ0 (2/26)

Case2

まどか「あの、私が保険係だって、どうして?」

ほむら「早乙女先生に聞いたの」

まどか「あ、そうなんだ……」

女子1「すげぇ美人だね」

男子1「可愛い」

女子2「マジやべえ」

男子2「超可愛い」

女子3「髪きれー」

男子3「それもまたよし」

まどか(みんな噂してる……でも全然動じてないなあ)


ほむら(恥ずかしいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃいぃぃぃいいいいいいぃ)

ほむら(みんな見てる見てる見てる!!!)

ほむら(なんでなの?髪をほどいてからこんなのばっかり!)

ほむら(おかしいよぉ、今まで地味で控え目で生きてきたはずなのに……)


<実は内心恥ずかしがってる>


129暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 11:51:51.01sENf00rQ0 (3/26)

Case3

マミ「暁美さんには、爆弾以外の武器ってないのかしら?」

ほむら「……ちょっと、考えてみます」

~~~~~

ほむら(これが拳銃……)

ほむら(ためしに撃ってみよう)

バチューン

ほむら「~~~~~~っっっ!!!!」

ほむら(か……肩が……ッ!!)


<初めての銃で脱臼する>


130暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 11:55:29.61sENf00rQ0 (4/26)

Case4

ほむら「もう、誰にも頼らない」

~~~~~

マミ「魔女は逃げたわ。仕留めたいならすぐに追いかけなさい」

ほむら「私が用があるのは」

マミ「飲み込みが悪いのね。見逃してあげるって言ってるの」

ほむら「……いいわ、今回は手を引くわ。巴さ……マミ」スッ


まどか(巴さまみ?)

さやか(巴様?)

マミ(ひょっとして噛んだ?)


ほむら「~~~~~~っっっ!!!!」ダンダンダン


<「巴マミ」と言おうとして「巴さん」といいそうになる>


131暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 11:58:35.69sENf00rQ0 (5/26)

Case5

ほむら「ワルプルギスについては大体こんなところよ」

杏子「ふーん」

ほむら「理解して貰えた?佐倉杏子」

杏子「あのさあ、信用できないのは分かるけどその呼び方何とかならない?」

ほむら「というと?」

杏子「フルネームってなんかむず痒いからさ」

ほむら「あぁ、そういうこと」

杏子「もうちょい普通に呼んでくれよな」

ほむら「……きょ」

杏子「……」

ほむら「きょ、きょきょ、きょう……佐倉さん」

杏子「なんでだよ!」


<あと一歩が踏み出せない>


132暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:00:48.67sENf00rQ0 (6/26)

Case6

―小学校時代―

女子1「暁美さんってさー」

ほむら「うぅ……」

女子2「ほむらっていうんだよね?」

ほむら「は、はい」

女子3「『ほむ』って響き可愛いよねー!ほむー!」

女子1「分かる分かる!ほむほむー!!」

女子2「きゃはは!それいいかも!!」

ほむら「うぅぅっ」グスン


<よく名前をいじられる>


133暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:02:03.98sENf00rQ0 (7/26)

Case7

ほむホーム


―第3話後―

ガチャッ バタン

ほむら「巴さん……」

ほむら「うううぅぅぅううぅぅぅぅ」


―第9話序盤―

ガチャッ バタン

ほむら「美樹さん……」

ほむら「ヒック……グスッ……」


―第9話後―

ガチャッ バタン

ほむら「杏子……」

ほむら「なんでぇ……ぅぅっ……うぁぁぁぁ」


<家でこっそり泣いてる>


134暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:02:59.70sENf00rQ0 (8/26)

Case8

QB「おはようまどか!僕と契約して」

ほむら「おはようまどか」

ほむら「あと死ね」バキューン


QB「もうお昼の時間だね。僕と契や」

ほむら「一緒にお昼を食べない?」

ほむら「あと消えて」バキューン


QB「学校が終わったようだね。僕と」

ほむら「一緒に帰りましょうまどか」

ほむら「あとうるさい」バキューン


QB「一日が終わるのは早いね。ぼ」

ほむら「おやすみまどか」

ほむら「あと黙れ」バキューン

まどか「なんで私の部屋にいるの」


<なんかもう日常化してる>


135暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:04:32.34sENf00rQ0 (9/26)

Case9

早乙女「それでは自己紹介いってみよう」

ほむら「暁美ほむらです」

ほむら「よろしくお願いします」ペコリ

早乙女「暁美さんは心臓の病気で――」

ほむら「……」クイッ

まどか(眼鏡あげる動作だ)

さやか(眼鏡かけてないのに)

仁美(クイっとやりましたわ)

早乙女(エア眼鏡ね)

中沢(エア眼鏡)

男子(エア眼鏡か)

女子(エア眼鏡……)

ほむら「……ッ!」カァァ

一同(あっ、気付いた)


<眼鏡外したの忘れてクイってやっちゃう>


136暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:07:28.05sENf00rQ0 (10/26)

Case10

まどか「ほむらちゃんって最近おんなじお昼御飯だよね?」

ほむら「!」ギクリ

ほむら「そ、そうかしら」

仁美「ご自分で料理なさってるのなら、確かに偏りがちになってしまいますものね」

ほむら「えぇ、そんなところよ……」

さやか「それにささ身とかキャベツって安いしねー。やっぱ一人暮らしにはあ

りがたいんだ」

ほむら「まあ、まあね」


ほむホーム~風呂場~

ほむら「……」

ほむら(毎日豆乳を飲んでキャベツも鳥肉も食べて運動もしてるのに……)

ほむら「なぜなの……」


<胸を気にしてる>


137暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:08:40.88sENf00rQ0 (11/26)

Case11

早乙女「それでは自己紹介いってみよう」

ほむら「ハァーイ!暁美ほむらでーす!魔法少女とかやってます☆」キャピッ

ほむら「趣味は爆弾作りとか弾道軌道の計算です!よろしくー☆」


一同「……………………」

ほむら「……………………はい」


ほむら(死にたい……)


<たまにキャラを変えてみようとして失敗する>


138暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:10:05.09sENf00rQ0 (12/26)

Case12

―寝る前―

ほむら「……」

~~~~~

ほむら「魔法少女とかやってます☆」

~~~~~

ほむら「~~~~~~っっっ!!!!」ジタバタジタバタ


<どうしてあんなことをしたのかとベッドを転がりまわる>


139暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:12:34.23sENf00rQ0 (13/26)

Case13

ほむら「……」ソワソワ

さやか「なんか落ち着きない?」

ほむら「べ、別にそういう訳じゃないわ」

さやか「ふーん」

まどか「お待たせー!」

仁美「遅くなってしまいましたわ」

さやか「気にしない気にしない!んじゃま、帰ろっか」

ほむら(とにかく相談……相談しないと)

ほむら「あの」

まどか「そういえば仁美ちゃんまたラブレター貰ったんだって!」

ほむら「えっ」

さやか「なぬぅー!?相変わらずモテモテだなあ仁美は」

仁美「困りましたわ」

まどか「仁美ちゃんがどんどん高嶺の花になってくよ」

さやか「ほんと、あたしらには理解できない悩みだよ……ところでほむら、なんか言おうとしてなかった?」

ほむら「い、いえ、なんにも……」


ほむら(言えない……私もラブレターを貰ったこと相談したかったなんて……)


<なんだかんだ動揺する>


140暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:14:46.98sENf00rQ0 (14/26)

Case14

ほむら(まどかに喫茶店に誘われた……多分美樹さやかのことね)

ほむら「ホットコーヒーを」

まどか(ほむらちゃん大人っぽいなぁ)


ほむら「それで、話って何?」

まどか「その、さやかちゃんのことなんだけど……」

ほむら(やっぱりね……)ゴクリ

ほむら「うぶっ!」ブハッ

まどか「!?ほむらちゃん大丈夫?」

ほむら「ゴホッゴホ……だ、なんでも、大丈夫よ……」

ほむら(苦っ!苦すぎて吐きそう!!ちょっと大人の余裕を見せようと思って何気なく頼んだだけのになんなのこれは……想像以上に苦いじゃない!)

ほむら(そうだ、お砂糖とクリームを入れれば……ハッ!)

まどか「……」ジー

ほむら(まどかが見てる……)

ほむら(飲まないわけには……いかない!)カッ


<飲めないコーヒーを飲んで自爆する>


141暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:16:16.25sENf00rQ0 (15/26)

Case15

さやか「お待たせー!購買んとこ混んでてさー」

まどか「ありがとうさやかちゃん」

さやか「ほむらは何でもいいって言ってたよね?はい、コーヒー」

ほむら「……えぇ、いただくわ」


マミホーム

杏子「おぉー!ナイスケーキ!」

マミ「ふふっ、飲み物用意するわね。暁美さんはコーヒーでよかったかしら?」

ほむら「……えぇ、ありがとう」


まどか「えっと、私はアイスココアを」

ほむら「私もそれで」

まどか「へぇー……珍しいね」

ほむら「何が?」

まどか「ほむらちゃんっていつもコーヒー飲んでるイメージがあるから」

ほむら「……そうかしら」


ほむら(別に好きってわけでもないのに……むしろ苦いのはあんまり好きじゃないのだけれど)

ほむら(どうしてそんなイメージを持たれてるのかしら)


<自分の過去をたまに忘れる>


142暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:19:25.43sENf00rQ0 (16/26)

Case16

ほむら(なるほど、この計算ならこの場所から……)

ほむら(でも待って、その場合軌道の修正が……)

ほむら「んん~~」

ほむら「ちょっと休憩しましょうか」

ほむら「0時に始めて、今は5時……まだそれだけしか経ってないのね」

ほむら「そういえばカーテン閉めっぱなしだったわ」

シャッ

ほむら「……太陽がビル群の狭間に……」

ほむら「あれは朝日?」

ほむら「いえ……夕日?」

ほむら「……」

ほむら「学校は!?」


<物事に熱中しすぎて半日くらい没頭する>


143暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:20:52.12sENf00rQ0 (17/26)

Case17

ザバー

ほむら(お風呂に入って)

ブオーーン

ほむら(髪を乾かして)

バサッ

ほむら(寝る)


~翌朝~

ほむら「なんで髪が二つに分かれるのよっ!?」


<髪がストレートにならないことにイラっとする>


144暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:23:09.91sENf00rQ0 (18/26)

Case18

さやか「ほむらの家」

杏子「ほむらホーム」

マミ「ほむホーム」ボソッ

さやか「……ぷっ」

杏子「あはははは!ほ、ほむホームって!!」

さやか「ぷふーくくくっ……ま、マミさんそれいいですね!なははは!!!」

マミ「ふふっ……ご、ごめんね暁美さん……ぷふっ」

まどか「うくっ……ほ、ほむらちゃんが可哀想だよぉ」

さやか「ほむホーム」ボソッ

まどか「ぶふっ!」

\あはははははうふふふふふ/


ほむら(そっちは面白いのかもしれないけど、それを言うのはあなた達で100万人目なのよ)


<100万回言われてイラっとする>


145暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:25:08.30sENf00rQ0 (19/26)

Case19

ほむら(この周回は割かし平和ね)

ほむら「こんな幸せがいつまでも続けばいいのに……」ボソッ

さやか「ちょっとみんな聞いてー!ほむらが変なこと言い出したよ!!」

ほむら「ちょっ、やめてよ!」

まどか「ティヒヒ、私も平和でいいなあって思うよ!」

マミ「うふふ、可愛いところもあるのね」

ほむら「違っ、私はただ魔法少女が魔女にならずに生きていけたらいいのにって思っただけで」

マミ「え?」

さやか「は?」

杏子「ん?」

ほむら「あ」


キャンデロロ「オロローーン」

オクタヴィア「ヴォヴォーー」

オフィーリア「ウゴゴアーー」

まどか「酷いよこんなのあんまりだよ!」

ほむら(一体どうしてこんなことに……)


<うっかり口を滑らせる>


146暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:28:09.14sENf00rQ0 (20/26)

Case20

男子1「なあ、暁美ってさあ」ヒソヒソ

男子2「いやまさかな」コソコソ

男子3「でももしかしたら」ヒソヒソ

ほむら「……?」


さやか「あのさあ、ほむらっていっつもまどかといるよね」

ほむら「そうね」

さやか「しかも男子からの告白は全部断ってるよね」

ほむら「ま、まあね」

さやか「そのせいでほむらは『女の子が好きなんじゃないか』って噂が流れてるんだけど」

ほむら「……え?」


<周りにレズ疑惑を持たれる>


147暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:31:27.65sENf00rQ0 (21/26)

Case21

杏子「さやかは?おいさやかはどうした!」

マミ「いってしまったわ……円環の理に導かれて……」

ほむら「……うっぅぅぅ」ガクッ

杏子「ほむら……」

マミ「佐倉さん……」フルフル

マミ「今は一人で泣かせてあげましょう」

杏子「くそう……」

ほむら「うおぉぉおおおおぉぉ!!!!」

マミ杏「!?」ビクッ

ほむら「おぉぉぉおおおんんんぁぁぁああぁぁぁううううぅぅぁぁぁぁうあうううああああ」

マミ杏「……」

ほむら「まどがぁぁぁぁぁぁぁああああぁあぁぁぁっぁあっぁぁぁぁ!!!」

杏子「窓…?」

マミ「暁美さん……」


さやか「うおぉーーい!!あたしはどうでもいいのかよ!?」


<まどかを思い出した時点で号泣する>


148暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:35:30.78sENf00rQ0 (22/26)

Case22

QB「美樹さやかの件は残念だったね」

ほむら「ッ!インキュベーター……」ギリッ

QB「何を怒っているんだい?」

マミ「暁美さん……QBに当たっても、美樹さんはもう……」

ほむら「……ハッ!」

ほむら(そういえばこの世界だとQBがそんなに嫌な奴じゃなかった……)

ほむら(むしろ結構お世話になってた気がする!)

ほむら(で、でも前の世界では散々な目に遭ってたわけだし……)

ほむら「くっ!」ギリリッ

QB「なんで睨まれてるのかな?わけがわからないよ」


<改編前後のQBのギャップに苦しむ>


149暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:36:44.05sENf00rQ0 (23/26)

Case23

ほむら「まどかに貰ったリボン……夢物語なんかじゃない、まどかは確かにいたのよ」

ほむら「まどか……」

ほむら(このリボン、私が大切に保管……)

ほむら(いえ、でも、せっかくまどかがくれたのだから、ここは思い切って使った方が……)

ほむら(いいえ駄目よ!そんなことしてボロボロになったりなんかしたら……)

ほむら(でも、魔法少女がそんなに長生きできるなんて話は聞かないし、死ぬ前に使わないと……)

ほむら「うーーん……」


<リボンを使うか否かで一日悩む>


150暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:37:18.92sENf00rQ0 (24/26)

Case24

「頑張って」

ほむら「……うん」


杏子『なあ、今誰に返事したんだ?』

マミ『さ、さあ……』


<幻聴が聞こえる>


151暁美ほむらにありがちなこと2012/07/07(土) 12:38:59.10sENf00rQ0 (25/26)

Case25

ほむら『繰り返す……私は何度でも繰り返す』

ほむら『まどかを救う為なら、私は永遠の迷路に閉じ込められてもかまわない』

ほむら『悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど』

ほむら『だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ』

ほむら『それを覚えてる』

ほむら『決して、忘れたりしない』

ほむら『だから私は』

ほむら『戦い続ける』

~fin~


まど神「はい、こうして私が円環の理になったわけなんですね」

魔法少女たち「おおー!」

\ホムラサンステキー/ \カッコイイー/ \カワイイー/

ほむら「やめて……恥ずかしいからもうやめてよぉ……」


<ほむらの人生を、導かれた後の魔法少女たちに「円環の理誕生秘話」として語られる>



おわる


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/07/07(土) 12:39:38.48sENf00rQ0 (26/26)

別にありがちなことでも何でもないのは気にしてはいけない


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/07(土) 12:45:38.664Syn3u/IO (1/1)



ほむほむは苦労しすぎなんだ…


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/07/07(土) 14:38:38.82lq5AN3uEo (1/1)

>>137
こういうSS見たことあるな


155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/07(土) 14:51:18.33zK33JtY3o (1/1)

乙ー☆


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/07(土) 23:48:56.30dZT/jHKGo (1/1)

>>130
いっそ、ずっと巴さんって呼んでたらよかったのに。
と一瞬だけ思ってしまった。

case2とか5とか10もいいね。

7とかも、意外と有りそうな感じがする。

9は...
それはないわ。眼鏡がずれて鬱陶しいからクイってやるだけなのに。
と今まで思ってたが、昨日、自分でもやってしまったのを思い出した。

>>154
ほむら「はぁーい転校生の暁美ほむらでーす!ヨロシク!」
ttp://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1314097866/
のことだな
それの前には何回も137みたいな失敗を繰り返してたのかもしれんと思うと、それはそれで萌える。

今回の短編は特によかったなあ。乙


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/07/08(日) 16:37:50.64MWdfoMOz0 (1/1)

>>156
書きながら、どっかで聞いたことあるフレーズだなと思ってたがそれだったのか

眼鏡クイっのネタは、きららではるみ読むついでに眺めてたAちゃんねるからちょっと拝借させていただいた

まだ書きたいネタはいくつかあるからゲームしながら書いていきます


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/09(月) 02:21:23.32EM0bxG+ao (1/1)

>>157
なるほど。
楽しみに待ってます。

眼鏡クイッ
といえば、「まどかが天才になった」ってSSが記憶に残ってます。アレもたぶんギャグの範疇に入るのかなあ?


159箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:46:29.55qQjvGW6F0 (1/14)

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私にはわかりません。
周りの音も光も完全に拒絶されたこの空間には、薄暗い蛍光灯に照らされた二人分の呼吸音が僅かに聞こえるだけでした。

まどか「…………」

さやか「…………」

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私にはわかりません。

 私は友人のさやかちゃんのマンションに遊びに行った帰りでした。
私は遠慮していましたが、わざわざさやかちゃんは見送りに来てくれることになったのです。
それが間違いだったのかもしれません。
1階に向かうため、私達はエレベーターに乗りました。

 しかし、二つほど階を下ったところで、突然その動きを停止してしまいました。
それと同時に一瞬真っ暗になったものの、非常用の明かりがすぐに点いたので、私は少しだけ安心していました。

 二人で何事なのかと話し合ってからすぐに、「きっと停電に違いない」という結論に達しました。
だから、この異常事態も少しの間だけだと高を括っていました。

まどか「…………」

さやか「…………お腹空いたね」

まどか「…………さやかちゃん」

さやか「…………」

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私にはわかりません。
間違いなく、何時間も閉じ込められていると思います。

 しかし助けは来ないのでした。

まどか「それ13回目…………」

さやか「…………知ってた」

まどか「………………うん」

さやか「…………」

まどか「…………」

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私にはわかりません。


160箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:47:27.75qQjvGW6F0 (2/14)

まどか「暇だね」

さやか「暇だね」

まどか「…………」

さやか「…………」

 ずっと昔のことを話します。

 なかなかエレベーターが直らないことを不審に思った私達は、不安に支配される前に助けを呼ぶボタンを何度も押しました。
すぐに人に繋がり、私達は安心して助けを要求し、電話の先の人たちもそれに応えてくれました。

 それからしばらくは、本当に軽い雑談をしていました。
そうして待っていました。
待っていましたが、二回目の「お腹が空いたね」という発言をしてから私達は押し黙ってしました。
そして一向に人が来ない不信感に仰々しく煽られ、またまたボタンを押しました。

 今度は繋がりませんでした。

まどか「…………カクテルの名前でしりとりしよっか」

さやか「…………あたしら未成年じゃん」

まどか「…………」

さやか「…………二階堂」

まどか「…………さやかちゃん」

さやか「…………」

まどか「それ日本酒だよ…………」

さやか「………………うん」

 急に不安になった私達は、とにかく外部に連絡する手段を模索しました。
しかしこんな状況で頼りになるものといえば、鞄の中にある携帯電話くらいでした。
それでもまだマシだと思い、さやかちゃんはポケットをまさぐり始めました。

 そしてすぐに、忙しなく動いていた手を休めてしまいました。
さやかちゃんのポケットはそれほど広くはないのです。

 当然と言うべきか、さやかちゃんは携帯電話を持っていませんでした。
ほんの僅かに家を離れるだけなら、わざわざポケットを重たくしてまで緊急連絡手段を持ち運ぶ理由はないからです。
私は一瞬がっかりしましたが、さやかちゃんを責めるのは間違ってるとすぐに気付いて、今度は自分の鞄を探し始めました。


161箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:48:41.58qQjvGW6F0 (3/14)

まどか「…………」

さやか「…………ねえまどか、ティッシュ持ってる?」

まどか「…………はい」

さやか「…………ありがと」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………何作ってるの」

さやか「…………まどかにもあげる」

まどか「これなに」

さやか「まずこうやって曲げるでしょ」

まどか「うん」

さやか「まどかのに引っかけるでしょ」

まどか「うん」

さやか「で、お互いに引っ張り合ってどっちのティッシュが先に千切れるかっていう勝負」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………さやかちゃん」

さやか「…………」

まどか「…………それ面白そうだね」

さやか「でしょ」


162箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:50:07.27qQjvGW6F0 (4/14)

 私は鞄に突っ込んだ手にしっくりと収まる、長方形の少し分厚いプラスチックの手触りをした、お皿より軽くフォークより重いものを見つけました。
希望は私の手の中にあったのです。
それはまさしく私が愛用している、愛らしい猫のストラップを身に付けたピンクの携帯電話でした。
私達は歓喜の声を上げ、私は貝の様に二つに閉じられたそれを、パカリと勢いよく開けました。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………さやかちゃん」

さやか「…………なに」

まどか「…………つまんない」

さやか「…………あたしもそう思ってた」

まどか「…………」

さやか「…………」

 確かに私は普段どんくさいところもあるけれど、勢いをつけすぎて真っ二つにするようなドジを踏む私ではありません。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………お腹空いたね」

さやか「…………まどか」

まどか「…………」

さやか「…………それ20回目」

 画面は真っ暗でした。

まどか「………………へぇ」

さやか「………………うん」

まどか「…………」

さやか「…………」

 先生達には内緒ですが、昼休みに友人のほむらちゃんと仁美ちゃん、そして私達のみんなで私の携帯電話を使って素敵な雑貨が置いてあるというお店を探していました。
今度先輩のマミさんのお誕生日だから、みんなでお祝いのプレゼントを買うお話をしていたんです。
明日みんなで買いに行く予定で、今日さやかちゃんの家に来たのもその話をしていたからなのでした。


163箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:51:30.54qQjvGW6F0 (5/14)

まどか「青いもの」

さやか「…………」

まどか「…………古今東西ゲーム」

さやか「…………今の私の心」

まどか「…………」

さやか「…………ごめん間違えた」

まどか「………………うん」

さやか「…………これは黒だった」

まどか「…………だよね」

 話が逸れましたが、そんなわけでバッテリーをこれでもかと酷使した私の携帯電話は、「売り切れ御免!本日の営業は終了しました」と言わんばかりに、空っぽになっていたのです。
画面を見せたさやかちゃんの顔が、一瞬でじっとりとした表情になりました。
それと同じ現象が私にも起こっていたと思います。
キュゥべえの顔にも負けません。
これだと家に電話して少し遅くなるという連絡もできないので、私はまた心配事が増えたと思いげんなりしてしまいました。
いえ、出られるのかどうかは知りませんけど。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………1830×98××632×0×54×33×8×0×0×0×0は」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………ごめん、もう一回言って」

まどか「…………1×0は」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………ノートとペン貸してくれる」

まどか「…………はい」

 言い忘れていましたが、キュゥべえというのは魔法少女になる少女を探している猫と兎を足したような、不思議な生き物です。
新種に違いないのですが、残念ながら普通の人には見えないそうです。

 それもそうですよね。
見えていたなら今頃学会とかは大盛り上がりしてるはずです。
よく知りませんけど。


164箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:53:34.66qQjvGW6F0 (6/14)

 私がそこで三回目の空腹発言をしたことは覚えています。
逆に言うと、ここまでしか覚えてませんでした。

 そして、さやかちゃんが妙案を出しました。
すなわち、キュゥべえに助けを呼んできてもらおうというのです。

 私は激しく同意して、声を荒げてキュゥべえの名を叫びました。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………答えは」

さやか「…………分かんない」

まどか「…………」

さやか「…………答えは」

まどか「…………どんな問題だったっけ」

さやか「…………忘れた」

まどか「…………」

さやか「…………」

 結果的に、私の喉がカラオケでその場の雰囲気に飲まれてテンションを上げてしまいつい歌えないような低音域の歌を歌ってしまった後の様なダメージを受けただけでした。
自分で言うのもなんですが、割と深刻です。
とにかくキュゥべえは現れませんでした。
途中からさやかちゃんは何かに気付いたのか、目を瞑り押し黙っていました。
何してたのか聞いたところ、テレパシーを試みていたそうです。

 そんなファンタジーに目覚めた心が走りだしたなら、今頃私達は魔法少女をやっていることでしょう。
残念ながら私達はまだ魔法少女ではありませんでしたから、テレパシーが使えなかったのです。

 奇跡も魔法もありません。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………面白い話して」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………ブラジャー」

まどか「…………」

さやか「…………」


165箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:55:30.15qQjvGW6F0 (7/14)

 私達はそれで完全に沈黙しました。
私は鞄を放って、スカートでお尻が汚れないように体育座りをしました。
目の前のさやかちゃんが何か言いたげでしたが、とてもそんな気分になれなかったのか、口を半開きにしたまま私と同じように座りこんでしまいました。

まどか「…………昨日テレビ見てたの」

さやか「…………」

 この頃はまだ、僅かながらに元気があったと思います。
さやかちゃんは半開の口を全開にしてどうにか気分だけでも明るくしようと、必死に話を盛り上げてくれました。
私もなんだか楽しくなってきて、ほんのちょっぴり気分がよくなりました。
どんな話をしていたのかはほとんど思い出せませんが、さやかちゃんが6回「お腹空いたね」と発言したことはしっかり覚えています。

まどか「そしたらママがカルピスを作ってくれたんだけど」

さやか「…………」

まどか「物は試しだなって言って、トマト割りカルピス出してきたの」

さやか「…………どうだったの」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………私はママの名誉を守りたい」

さやか「…………おっけ」

まどか「…………」

さやか「………………おっけ」

 その頃からでしょうか。

 もう誰も助けには来ないんじゃないかという絶望。

 もう太陽の光を拝めないんじゃないかという恐怖。

 もう近しい人に会えないんじゃないかという悲哀。

 もうご飯が食べられないんじゃないかという無念。

 もうやりたい事出来ないんじゃないかという後悔。

 もうご飯が食べられないんじゃないかという不安。

 もうそうすら許されないんじゃないかという焦燥。

 もうご飯が食べられないんじゃないかという絶望。

 そういったものが脳裏をマッハで駆け廻っては消えていました。


166箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:56:57.83qQjvGW6F0 (8/14)

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………映画とかでさ」

さやか「…………」

まどか「天井を開けて外に出るけどさ」

さやか「…………」

まどか「無理だよね」

さやか「…………天井にドアないじゃん」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………一応やってみよっか」

まどか「………………うん」

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私にはわかりません。

 私達はいつの間にか口数も少なくなり、この状況を打破する気力などとうに枯れ果ててしまいました。
ただ文明の利器に照らされながら生命の脈動を感じつつ、たまに何かを口走りながら待つことだけが、私達にできることでした。
来るかどうかも分からない一縷のレスキューを待ち望むだけが、私達に残されたたった一つの道しるべとなっていたのです。

 さて、そんなことを話しているうちに、私は昔見た映画の話をポツリと漏らしました。
さやかちゃんが立ち上がったので、釣られて私も腰を上げます。

 陰険な空気とは真逆の、軽快な音が私の背中辺りから聞こえました。
もう少しでお婆さんになるところかと思いました。

 兎にも角にも、早速私達は、天井を調べてみることにしたのです。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………さや……ちゃ…………」

さやか「…………」

 どうして私が下なのでしょうか。


167箱庭の魔女2012/07/11(水) 22:59:50.83qQjvGW6F0 (9/14)

まどか「…………こんな…………ぜっ……おかしいよ…………」

さやか「…………」

 背の低い私は、自分で言うのもなんですがそんなに体力に自信がある方ではありません。
さやかちゃんを肩車する屈強な筋肉は、私には備わっていないのです。

まどか「…………」

さやか「…………」

 しかし言いだしっぺは私です。
映画のように雄叫びを上げるには、些かキュゥべえの名前を叫ぶときに酷使した喉では不安だったので、無言で気合を入れます。

 私は頭の中で一、二の三と数え、さやかちゃんを一気に持ち上げました。

さやか「がっ」

 ゴッという音が小さな空間に響き渡りました。

 その音が聞こえたのと同時に、頬っぺたにくっつくすべすべふにふにの柔らかな太ももを通って、突然私の肩に衝撃が押し寄せたのです。
思わずバランスを失ってしまった私は、もはや自分を支えることもできず、前面に倒れこみました。

さやか「がっ」

 ゴッという音が再び小さな空間に響き渡りました。

 どういうわけだか、私の体は前傾姿勢を保ったまま、それ以上地面に近づくことはありませんでした。
今のうちに所在を失っていた右足を押し出し、なんとか二人分支えようと試みます。

 すると、何かが擦れるような。
まるで誰かのおでこと壁が擦れるような、キュキュキュッという音が鳴りながら、私の頭は垂れてしまい、

さやか「がっ」

 三度目のゴッという音が響き渡りました。

 そして、壁と床の間に頭を突っ込んださやかちゃんと目が合いました。

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………」

 私は全ての事情を察し、ゆっくりと肩からさやかちゃんを降ろしました。


168箱庭の魔女2012/07/11(水) 23:03:10.96qQjvGW6F0 (10/14)

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………いくよ」

まどか「…………」

 次は私が体を預ける番です。
さやかちゃんのうなじに跨りそっと息を整えます。

まどか「いいよがっぐっみゅっ」

 見事な高速三連コンボが決まりました。

 ちょっと早すぎないかな、という言葉を紡げないまま、私は頭頂部とおでこから広がる熱い痛みのせいで涙を流しそうでした。
そしてバッチリと壁と床の間に頭を突っ込んだ状態で、さやかちゃんと目が合いました。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………ごめん」

さやか「…………こっちこそごめん」

 私はスカートをさやかちゃんの頭に引っ掛けながら肩から降りました。

 そして二人で10秒くらい見つめあってから、

まどか「…………」

さやか「…………」

 また座りました。


169箱庭の魔女2012/07/11(水) 23:04:50.25qQjvGW6F0 (11/14)

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私には分かりません。

 不思議とトイレに行きたいという気持ちにはなりませんでした。
でもお腹はずっと空いたままなので、もう何もする気になれませんでした。
今キュゥべえが来たら、きっと契約してしまうと思います。
ただエレベーターから出る為だけに魔法少女になるというのも、それはそれで楽しいのかもしれません。

 私は嫌ですけど。

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「…………なんでだろう~なんでだろう~」

さやか「…………」

まどか「…………」

さやか「なんでだなんでだろう~」

まどか「…………」

さやか「…………」

まどか「エレベーターに乗ったら閉じ込められたのなんでだろう~」

さやか「なんでだろう~」

まどか「…………」

さやか「助けを呼んだはずなのに誰も来ないのなんでだろう~」

まどか「なんでだろう~」

さやか「…………」

まどか「…………」


170箱庭の魔女2012/07/11(水) 23:05:56.42qQjvGW6F0 (12/14)

まどか「何度繰り返しても抜け出せないのはなんでだろう~」

さやか「なんでだろう~」

さやか「二人でいるのに孤独に押しつぶされそうなのはなんでだろう~」

まどか「なんでだろう~」

まどか「お腹が空いてるのにご飯が食べられないのなんでだろう~」

さやか「なんでだろう~」

まどか「これは本当のお話~で~」

まどか「いつまでも助けが来ないの…………」

さやか「…………」

まどか「…………」

まどかさやか「なんでだろう~!」

 その時、私達の間には、目には見えないけれど、確かに新しい絆が生まれていたと思います。

 なんだか分かりませんが、急に活力が湧いてきてじっと座っているのが我慢できなくなって、潰れかけた喉なんか気にせず、私達は立ち上がって歌い始めました。
どうしてこの歌だったのかは分かりませんが、楽しかったのでどうでもいいのです。
肩を組んで体を揺らし、ノリノリです。

 そういえば、お昼のお弁当のおにぎりを食べたら、歯に海苔が付いてることをほむらちゃんに指摘されて恥ずかしかったことを思い出しました。

まどか「なんでだろう~!」

さやか「なんでだろう~!」

まどかさやか「なんでだなんでだろう~!」

 いえ、本当になんでこんなことを思い出したのかは分かりませんけど、楽しかったのでどうでもいいのです。

「君達大丈夫ですか?」

まどかさやか「え?」

 楽しかった個室空間は、いつの間にか文明の利器に守られた頑丈な扉が破られて生暖かい風が流れ込む、ちょっと狭い凹み程度になっていました。
壁があったはずのその向こうから、青い制服を着た若い男性が、私達が初めてキュゥべえを見た時の様な表情でこちらを見ていました。

まどか「…………え?」

「通報を受けて来たんですが」

さやか「…………え?」

 私達はまだ肩を組んでいました。


171箱庭の魔女2012/07/11(水) 23:09:41.26qQjvGW6F0 (13/14)

 あれからどれくらいの時間が経ったのか、私には分かりません。

 気が付くと私達は、まださやかちゃんの家を出た頃とほとんど変わらず紅いままだった空を眺めていました。
目を凝らせば、一番星どころか十番星くらいは見つけられそうな、そんな空です。
二人してぼーっと顔を上げていました。
そういえばお腹が空きました。

まどか「…………」

さやか「…………なんだったんだろうね」

まどか「…………さあ」

さやか「…………家帰んなくて大丈夫?」

まどか「多分……時間分かんないけど」

 今時の女子中学生は、携帯電話で時間を確認するものなのです。
 
さやか「そっか……じゃあ、あたしそろそろ家に戻るね」

まどか「うん、ありがとうさやかちゃん」

さやか「今度は階段を使うよ」

 ナイスアイディアだと思います。

さやか「じゃあねまどか、また明日」

まどか「ばいばーい」

 さやかちゃんを見送ってから、私も家を目指して歩き出しました。
本当に長い時間、あのエレベーターにいたような気がしていたのですが、空から察するに全然時間が進んでいないようでした。
とはいえ、私は少し駆け足で歩きます。
お腹が空いていたのです。
どこかで聞いたことのある声が聞こえた気がしたのですが、お腹が空いていたので聞こえなかったことにしました。
どこかで見たことある姿が視界に映った気がしたのですが、お腹が空いていたので見えてなかったことにしました。

 さて、いつの間にか私は我が家の前に立っていました。

まどか「ただいま!」

 空腹を我慢できずに勢いよくドアを開けて、私は急いでリビングに向かいました。

 ご飯はまだ出来ていませんでした。


―劇終―


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/07/11(水) 23:11:41.45qQjvGW6F0 (14/14)

果たしてこれが面白いのかどうかは、私には分かりません。
でも書いてて楽しかった


173VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/07/11(水) 23:36:31.750seJa2FEo (1/1)

なんだこのコントww
行間ねえしww


174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/07/12(木) 00:21:35.25uBuNMTZ0o (1/1)

この作風どっかで見たぞw


175VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/07/12(木) 03:59:04.66Vi8u2yPto (1/1)

乙www


176VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/13(月) 19:01:32.35czihr3MAO (1/1)

お腹空いたけど埋もれた良SS発見


177バーダック2012/08/15(水) 23:19:37.22RFqLdJDG0 (1/12)

マミ「鹿目さん、それがどんなに恐ろしい願いかわかっているの?」

まどか「たぶん」

マミ「未来と過去と、全ての時間で、あなたは永遠に戦い続けることになるのよ」

マミ「そうなればきっと、あなたはあなたという個体を保てなくなる」

マミ「死ぬなんて生易しいものじゃない。未来永劫に終わりなく、魔女を滅ぼす概念として、この宇宙に固定されてしまうわ」

まどか「いいんです。そのつもりです」

まどか「希望を抱くのが間違いだなんて言われたら、私、そんなのは違うって、何度でもそう言い返せます。きっといつまでも言い張れます」

杏子「いいんじゃねぇの?やれるもんならやってみなよ」

杏子「戦う理由、見つけたんだろ?逃げないって自分で決めたんだろ?なら仕方ないじゃん。後はもう、とことん突っ走るしかねぇんだからさ」

まどか「うん。ありがとう杏子ちゃん」

マミ「じゃあ、預かっていた物を返さないとね」

まどか「あはは……」

マミ「はいコレ……あなたは希望を叶えるんじゃない」


マミ「あなた自身がごぼうになるのよ」


178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/15(水) 23:22:34.55RFqLdJDG0 (2/12)

まどか「……」

杏子「……」

マミ「……」

まどか「……?」

杏子「……」

マミ「……」

まどか「えっと…?」

杏子『まてまどか。今のマミは相当ヤバい』

まどか『え?』

マミ「……待って」

杏子『ほれみろ。震えてやがる』

マミ「今のは違うの」

杏子『しかも顔真っ赤だ。相当キテる』

マミ「宇宙のことを考えてたからなの!」

杏子『噛んだだけなのにそれを隠すために必死だ』


179バーダック2012/08/15(水) 23:26:37.07RFqLdJDG0 (3/12)

まどか「え……あ、はい」

マミ「――ッ!!!」

杏子『まずい!マミの奴後に引けなくなってやがる』

マミ「……ほら、昔からよく言うじゃない?」

マミ「ごぼうと人参と大根がお風呂に入った時、大根は体をよく洗ったから真っ白で、人参は長い時間お湯につかってたから真っ赤で」

マミ「ごぼうは体もあんまり洗わずお湯にもあんまりつからなかったから茶色いんだって」

まどか「はぁ……は?」

マミ「――ッ!!!」

杏子『おいよせ!もうやめてやれ!』

まどか「それって、私はもっと汚くなった方がいいってことですか…?」

マミ「ちっ、違うの!そういう意味じゃないの!」

マミ「なんていうか……アルデンテの方が美味しいじゃない?」

まどか「……?ごぼうの話ですよね?」

マミ「魔法少女の話よ!」

まどか「え?」

マミ「え?」


180バーダック2012/08/15(水) 23:30:21.12RFqLdJDG0 (4/12)

マミ「鹿目さん、よく聞いてね」

まどか「はい?」

マミ「ごぼうの旬は冬らしいわよ」

まどか「そうなんですか?」

マミ「だから冬に食べるのが一番美味しいの!」

まどか「でも私もう食べる機会ないと思うんで、あんまり意味ない情報ですね」

マミ「――ッ!!!」

杏子『言ってやるなよ……』

マミ「ほら、ごぼうって見た目のインパクトが強いじゃない?」

まどか「まあ確かに」

マミ「だからバラエティでたまに使われるらしいわ」

マミ「タレントの山崎邦正さんは『ごぼうはただの棒』って言ってるらしいわ」

まどか「はぁ……?」

マミ「Wikipediaに書いてあったわ」

まどか「えっと、それで、その情報が何か役に立つんでしょうか?」

マミ「――ッ!!!」

マミ「えっとね、だから、その……」

まどか「あの、一つ聞きたいんですけど」


181バーダック2012/08/15(水) 23:31:32.70RFqLdJDG0 (5/12)

まどか「間違えたんですよね?」

マミ「……な、何がかしら」

まどか「だから、希望とごぼうを間違えたんですよね?」

マミ「――ッ!!!」

杏子『おいよせ!事実を突きつけてやるな!』

まどか『でも……』

マミ「……違うの」

マミ「犬より猫の方が大きいの!」

杏子『見ろ!もう支離滅裂だ!』

まどか「でも、チワワとか小さいですよ?」

杏子『お前もまともに返すなよ!』

マミ「そ、そうね……その通りだわ」

まどか「で、結局間違えたんですよね?」

マミ「……」

まどか「希望とごぼうを間違えたんですよね?」


182バーダック2012/08/15(水) 23:32:45.27RFqLdJDG0 (6/12)

マミ「いい鹿目さん?私達は真面目な話をしていたわよね?」

まどか「はい」

マミ「あなたが魔法少女になって、全ての魔女を滅ぼす概念となる……」

マミ「それがどれほど恐ろしい事だと分かってても、あなたは契約をするのよね」

まどか「はい」

マミ「だから佐倉さんも来て応援してくれて、私もあなたのノートを返したのよ」

まどか「はい」

マミ「その流れで、私が何か間違えると思う?」

まどか「思いませんけど、でも現に間違えましたよね?」

マミ「いい鹿目さん!?それがどんなに恐ろしいことか分かってるの!?」

マミ「こんな大事な場面で!私が!よりによって一番大事な言葉を根菜類のアレと間違えると思うの!?」

まどか「え……うん?」

マミ「――ッ!!!」

杏子(もう駄目だ!マミが必死になればなるほどまどかが冷めてく!)


183バーダック2012/08/15(水) 23:35:26.60RFqLdJDG0 (7/12)

マミ「そういえば、名前はまだよね?」

まどか「名前、ですか?」

マミ「ほら!あなたが概念になった後の名前よ!」

マミ「『鹿目まどかの概念』、みたいな名前だと不格好じゃない」

まどか「そうかな……」

マミ「何か新しい名前を考えた方がいいんじゃないかしら」

まどか「うーん、今ここで考えてもしょうがない気もするけど」

マミ「いいえ!こういうのは心構えが大事なのよ!」

マミ「そうね……鹿目……まどか……」

マミ「『マドカンの理』ってどうかしら!?」

まどか「はぁ……いや、どうって言われても」

マミ「――ッ!!!」

マミ「じゃ、じゃあ『かまどの概念』は!?」

まどか「もう意味分かんないです」

マミ「――ッ!!!」


184VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/15(水) 23:39:13.25RFqLdJDG0 (8/12)

まどか「もういいの」

まどか「もういいんだよ」

マミ「鹿目さん……?」

まどか「もう誰も恨まなくていいの。誰も、呪わなくていいんだよ」

まどか「そんな姿になる前に、あなたは私が受け止めてあげるから」

マミ「待って!私まだ普通だから!魔女になんてなってないから!」

まどか「似たようなものですよね」

マミ「全然違うわよ!」

まどか「じゃあもう一回聞きますけど」

マミ「――ッ!!!」

まどか「希望とごぼう、言い間違えましたよね?」

マミ「……」

まどか「よね?」

杏子「もういいだろ」

マミ「……佐倉さん?」


185バーダック2012/08/15(水) 23:41:10.32RFqLdJDG0 (9/12)

杏子「なに必死になってんだ」

杏子「言い間違いくらい誰だってある」

杏子「マミも素直に認めればいい」

杏子「まどかもそこまで拘らなくていいだろ」

まどか「……」

マミ「……」

杏子「なにをそんなに必死になってんだよ」

まどか「だって、私はこのまま別れたくないから」

マミ「鹿目さん……」

まどか「きっとマミさんと会うのはこれからしばらくないと思うから……」

まどか「かっこつけなくていい、少しくらい抜けてたって構わない」

まどか「マミさんにありのままでいてもらいたいの」


186バーダック2012/08/15(水) 23:44:07.62RFqLdJDG0 (10/12)

マミ「……ごめんなさい。私、鹿目さんに嘘吐いてたわ」

マミ「私は希望と言おうとして、ごぼうと言ってしまったわ」

マミ「本当にごめんなさい」

まどか「……もういいんです。分かってましたから」

マミ「でもね、私も鹿目さんの前では、最後くらいかっこいい先輩でいたかったの」

まどか「それも分かってます」

マミ「……あーあ、後輩に格好悪いところ見せちゃったわね」

まどか「あはは、それもマミさんのいい所だと思います」

杏子「よし!いい感じの雰囲気になってきたところで、改めてきっちり締めようじゃねーか」

まどか「うん……じゃあ、改めて」

マミ「えぇ」

マミ「あなたは希望を叶えるんじゃない」

マミ「あなた自身が希望になるのよ」


マミ「私達全てのきびょうに」


187バーダック2012/08/15(水) 23:48:23.95RFqLdJDG0 (11/12)

まどか「……」

杏子「……」

マミ「あっ」

まどか「……」

杏子「……」

マミ「……」

まどか「に」

――――――
――――
――

まどか「二度目はないよっ!!!」

ほむら「何が!?」

QB「ど、どうしたんだい?願いを叶えた途端叫んだりして……」

まどか「あ、うん、なんでもない……」

まどか「さあ、始めよう…!」

ワルプルギスの夜を消滅させ、自分自身の魔女をも消し去った鹿目まどかは概念となった。

ちなみに円環の理に導かれる直前は、多くの少女がうなだれていることからそういう病気なのではないかとの説もある。


おごり


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/08/15(水) 23:49:35.67RFqLdJDG0 (12/12)

なんか最後間違えた気がするけど気にしない


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/16(木) 20:29:33.95FcJQukDV0 (1/1)

ワロタww 乙


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/08/18(土) 23:59:52.32LDN+mOEx0 (1/1)

今更ながら>>1乙


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/08/19(日) 11:17:28.84hBUwjxJdo (1/1)

乙www


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/08/20(月) 23:24:01.179viYOQWyo (1/1)

奇病になっちゃダメだろwwww


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/08/25(土) 10:13:17.01j7c+OSvAO (1/1)

このシチューにソテーされてしまうわ


194始まりと終わり2012/09/26(水) 15:10:46.63F+Arx+Vk0 (1/11)

QB「契約しようよ!よ!」

ほむら「余計なこと言ってんじゃないわよ!」バシッ

杏子「よく分かんねーけど、あたしらなんで集められたんだ?」

まどか「だからね杏子ちゃん、今日はマミさんがもうすぐ卒業するから何かお祝いしようよって話」

マミ「してくれるのは嬉しいんだけど……うちでやるのはどうなのかしらね」

さやか「ねー……まどかももうちょっと考えれば?」

まどか「馬鹿なこと言わないでさやかちゃん!マミさんの喜ぶ者は本人に聞かなきゃ分かんないでしょ!」

さやか「……しょーがない、さっそく話し合いますか!」

マミ「鹿目さんがやる気だし、まあ、今日のところはそういうことにしておきましょう」

杏子「うめー!このケーキうめーなー」

ほむら「中々の味ね。おかわりお願い」

マミ「いいわよ、ちょっと待っててね。今持ってくるから」

まどか「来年はもうこんな風に集まれないのかな……」

さやか「何言ってんの!いつまでもあたしらは友達だよ!ね、ほむら?」

ほむら「……来年は実家に帰ろうかな」

さやか「なんでだよ!?そこは空気読もうよ!!」


195始まりと終わり2012/09/26(水) 15:14:37.07F+Arx+Vk0 (2/11)

マミ「よいしょっと……お待たせ、ケーキ切ってきたわよ。それとジュースも」

まどか「もうお腹一杯なんですけど」

さやか「どこまで厚かましいんだ!せっかくマミさんが用意してくれたのに!!」

杏子「二個も食うと太るぞマミ」

マミ「妙なことを言わないで頂戴……これでも気を使ってカロリー控えめのケーキにしてるんだからね!」

杏子「寝言は寝て言え」

さやか「ええ加減にしなさいよあんたは!マミさんの気持ちも考えなさい!」

マミ「い、いいのよ美樹さん……少しは自覚してるから……」グスン

まどか「らいじょうぶえふよぉ、じぇんじぇんふふうえふって」モグモグ

さやか「手を置け、口を拭け、飲み込め。さっきの発言を取り消すかのように食べながら話すんじゃない!」

ほむら「いいから話を進めましょう」

まどか「うん……それで、マミさんはどういう物が欲しいんですか?」

マミ「……鹿目さん達がくれるっていうのなら何だって嬉しいのだけれど……」


196始まりと終わり2012/09/26(水) 15:16:24.40F+Arx+Vk0 (3/11)

さやか「どういう物がいいかとか、漠然とでもなんかないです?」

杏子「すな」

マミ「すん」

杏子「……」

マミ「……」

杏子「……す、素直になっちまえよ」

さやか「喜んでくれるんならあたしらなんだって用意しますからね!」

まどか「猫とかどうですか?」

さやか「可愛いけどここペット禁止だから」

杏子「らいじょうぶらろ、きゅぅべえらっているんらし」モグモグ

さやか「仕方ない、そういうことなら問題は……ってキュゥべえはなんか違うでしょ!あともぐもぐさせながら喋らない!」

ほむら「いい案だとは思うけど、どう?」

マミ「うーん……やっぱり生き物を飼うのって難しいと思うのよね。特に私達だと何があるか分からないし」

杏子「仕方ないよなそれは。他の案出そうぜ」

まどか「絶対いけると思ったんだけどなぁ……」


197始まりと終わり2012/09/26(水) 15:17:37.64F+Arx+Vk0 (4/11)

さやか「あ、じゃあこんなんどうです?みんなで卒業旅行とか!」

杏子「金かかりそうだな……大丈夫かよ?」

ほむら「予算をしっかり組めば悪くないと思うけど、どう?」

マミ「うん、いいわね!あなた達とならきっと楽しい旅になるわ!」

まどか「私もいいと思うよ!」

さやか「よし、じゃあ行き先とか決めようか」

まどか「かが」 ほむら「かなが」 杏子「かなざ」

まほ杏「……」

まどか「わ」

ほむら「わ」

杏子「わ」

さやか「……分かった分かった、ちゃんと話し合おうね」


198始まりと終わり2012/09/26(水) 15:18:49.91F+Arx+Vk0 (5/11)

マミ「ねぇ、何か飲み物入れてきましょうか?もうみんな無くなってるみたいだもの」

まどか「飲み物……私はなんでも」

さやか「桃…のラテとかそんなのないっすか?」

マミ「買ってないわね」

ほむら「ねぇ、私はカフェラテがいいわ」

杏子「……わ、私も何でもいい」

マミ「いいわよ、なら暁美さん以外の分は私に任せてもらうわよ」

さやか「よろしくでーす!」

まどか「凄いよねマミさんって、何でも一人で出来ちゃうんだもん……ね?」

杏子「ねーよ。結構間抜けなところもあるんだぜ?」

さやか「是非聞きたいですなぁその話!」

杏子「しかしだなぁ……いや、本人もいないし大丈夫か。ちょっと前に洗濯物を干してた時の話なんだが……」

マミ「がっかりさせるようなこと言わないでくれるかしらー?聞こえてるわよー」

杏子「翌朝気が付いたらお気に入りの下着が無いって騒いだらしくってさ」

マミ「佐倉さん聞いてるの!?やめなさいって!」

杏子「手当たり次第探しても見つからないから、とうとうあたしまで狩りだして探してたんだが……マミの奴普通に履いてた」

さやか「たまらんですなぁその話!!」

まどか「しっかりしてないマミさんか…可愛い」

マミ「いやー!やめてって言ったでしょその話は!!」


199始まりと終わり2012/09/26(水) 15:20:09.06F+Arx+Vk0 (6/11)

ほむら「はい次、まどかは何か巴マミの面白エピソード知らない?」

まどか「いきなり言われてもなぁ……」

マミ「あるわけないでしょ、もう!」

まどか「うちに来てくれた時の話なんだけどね」

マミ「ねえ待ってその話は駄目よ絶対駄目よ!」

さやか「よいよい、続けたまえ」

まどか「えぇーっと、確か――」

ガシャーン

マミ「片付けなくちゃ……ティーカップ割っちゃたわ……」

まどか「……私手伝います……」

さやか「凄い……ティーカップ犠牲にしてでも聞かれたくないとかどんだけな話なの」

ほむら「飲み物が入って無くてよかったわね。杏子が怒り狂うところだったわ」

杏子「悪いがそこまで意地汚くねーよ。落ちたもんは飲めないしな」

さやか「何その落ちたのが食べ物なら問題ないみたいな発言は」

杏子「は?当然だろ?」

ほむら「……ロッキー、今度奢ってあげるわ」

さやか「悪かったね、ごめん杏子」

杏子「この空気なんなんだよ……そんな目で見るんじゃねえ!」


200始まりと終わり2012/09/26(水) 15:21:28.90F+Arx+Vk0 (7/11)

さやか「えっと、そっちはもう終わった?」

マミ「頼まれてた物が出せなくなったわ……掃除は終わったわよ」

まどか「よし、じゃあさやかちゃんが我慢ね」

さやか「ねーよ!いや待って、仕方ないんで別にいいけど他にカップはないんですか…?」

マミ「買ってないわね、残念ながら」

さやか「……ら、来週までに買っといてくれるとそれはとっても嬉しいなって」

まどか「てい!」

さやか「痛いっ!いきなり何すんのさ!」

まどか「さやかちゃんがその台詞言っちゃだめでしょ!私の台詞!」

さやか「フッ……油断してる方が悪いんだよ!いついかなる時も隙あらばぐっとくる言葉を狙っていくのがあたしらなのよ!」

まどか「よく分かんないけど、そんなの絶対おかしいよ!」

杏子「よくもまあ次から次へと出てくるもんだな……」

ほむら「なかなか覚えてないわよね、実際」

マミ「言っちゃ駄目よそういうことは……」


201始まりと終わり2012/09/26(水) 15:22:33.99F+Arx+Vk0 (8/11)

マミ「はい、今日は私が我慢するからみんなで飲んでちょうだい」

さやか「いいんすか!?じゃあ遠慮なくいただきまーす」

ほむら「すっかりお世話になって、なんだか悪いわね」

まどか「……猫みたいだね私達」

ほむら「……違いないわね」

杏子「猫って、どこがどう猫なんだ?」

まどか「だって、私達マミさんにおやつ貰ってこうやってのんびりしてるんだもん。手なずけられた猫みたいだなぁって」

さやか「手なずけるって……確かにその通りだけどさ。っていうかまた猫の話か」

ほむら「可愛いからいいじゃない」

まどか「いいんだよね、可愛いから」

さやか「……楽そうに見えて飼うの難しいんじゃないの?」

マミ「野良猫よりは簡単なんじゃない?」

杏子「いや、その理屈はおかしい。つーか別に飼うとかの話でもなかったよな」

さやか「なら、何の話してたんだっけ?」

QB「契約しようよ!」

さやか「それはさっきも聞いたよ!」

まどか「あっ」

杏子「おっ」

マミ「あら」

ほむら「ふぅ」

さやか「あっ……」


202始まりと終わり2012/09/26(水) 15:23:40.90F+Arx+Vk0 (9/11)

まどか「さやかちゃんの負けー!」

さやか「ぐぁーしまったぁー油断したぁぁぁ!!!」

ほむら「結構難しかったわね」

杏子「よく言うぜ、お前らは普段の口調からしてあたしらを陥れる気満々だったじゃねーか!」

マミ「それは仕方ないわよね」

ほむら「そうよ、仕方ないのよ」

まどか「杏子ちゃんなんて焦って『私』って言ってたもんね」

杏子「それを言うなよ!」

さやか「そもそもまどか!あんたの『らいじょうぶ』ってのがずるい!!」

まどか「だ、だって思い付かなかったんだもん!杏子ちゃんだって言ってたし!」

杏子「あれはまどかが言ってたからいいかなって思ったんだよ」

ほむら「そういえば台詞が被った時は焦ったわね。幸か不幸かみんな『かで始まってわで終わる場所』だったからよかったけど」

杏子「そういや最初マミと被ったことあったよな。なんて言おうとしてたんだ?」

マミ「なんだったかしら……『寸法があってればなんでも』だったかしら?」

さやか「何貰うつもりだったんですか!?」

ほむら「なんにしても負けたのはさやかよ」

さやか「ぐっ……キュゥべえにしてやられた……いきなり会話に入ってくるんだもん」

QB「これも作戦のうちさ」

杏子「嘘吐け、会話に入ってこれなかっただけだろ」


203始まりと終わり2012/09/26(水) 15:25:04.24F+Arx+Vk0 (10/11)

マミ「さてと、罰ゲームは何だったかしら?」

さやか「ほ、ホントにやるの…?」

まどか「勿論!じゃあ、さやかちゃんの一発ギャグまでじゅう~きゅう~……」

さやか「ちょっ!待ってよ!考える時間を――」

マミ「ろーく~ご~」

杏子「よーん~さーん~」

さやか「くっ、こうなったら……」

ほむら「ぜろ~。さ、どうぞ」


さやか「今からサーベルを飲み込む芸をしたいと思いまーす」

さやか「んぐっ…ぉごぉ……」ズプッブチッ

さやか「ぉごごごごごごごごご」ジュプッピチャァブチュッ


四人「」

さやか「はい、見事に飲み――」ゴパァッ ビチャビチャッ

ほむら「普通に中身傷つきまくってるじゃないの!」

まどか「いやぁぁぁぁぁ痛い痛い痛い!!!」

さやか「大丈夫大丈夫、痛覚遮断して――」ゴフゥッ ビチャッ

杏子「いいから早く治せ馬鹿!!」

マミ「あぁぁ……部屋が血まみれ……」


QB「……これにて終了だね。最後は『ん』で終わらせるんだっけ?」


~ふぃん~


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/09/26(水) 15:26:40.12F+Arx+Vk0 (11/11)

久しぶりなのに短いうえにネタが分かりにくいか…?
まあいいや


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/09/26(水) 17:37:59.52tmwiFNHCo (1/1)

たねあかしのあとよみなおしたよおもしろいよ


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/09/26(水) 18:29:35.21bqbVOJBAO (1/1)

よくできてるなぁ、乙!


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/09/26(水) 19:34:55.6137F/ojfr0 (1/1)

ネタがわかったときはホントに驚いた
すげえ 乙


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/09/26(水) 23:49:30.413jav4v7AO (1/2)

乙、同じ言葉を使わないルールだったのかな?
熱で頭が働かないせいかよく分からない
なんとか面白さは感じ取れたけど
あと最後のオチが痛い、喉痛いw


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/09/26(水) 23:51:41.643jav4v7AO (2/2)

ああ、やっとわかった
なるほど上手いな


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/09/27(木) 00:39:06.16EQT+1GaDo (1/1)

しかたない
律儀に
とりあえず
リクチャーするよ(無茶


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/09/27(木) 18:01:10.48IXpDca6n0 (1/1)

スレイヤーズNEXTのサブタイ思い出した乙乙


212VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2012/09/28(金) 22:35:17.99mQozJ3bAO (1/1)

狙い澄ましてたQB可愛い


213VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/09/28(金) 23:34:10.75cERoLbb8o (1/1)

凄いと思ったけど何で最後にさやかちゃん体張ったし


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/10/17(水) 23:05:04.99Hpgy578e0 (1/12)

前回の最後は『完』で良かったかなと反省


215みつともえ2012/10/17(水) 23:06:56.77Hpgy578e0 (2/12)

<マミホーム>

マミ「いらっしゃい。ゆっくりしていってね」

ほむら「お邪魔します……」

マミ「珍しいわね、暁美さんから私に相談だなんて」

ほむら「こういうのは巴さんに相談した方がいいのかなと思って……」

マミ「どんなことなの?」

ほむら「えっと、この間魔女退治があった日に相談しようと思ってたことなんですけど……」

マミ「この間のこと?」

マミ(あの日何があったかしら……確か魔女を退治した後にみんなでモールに行ったのよね)

マミ(そこで確か暁美さんは――)

―~―~―~―~―~―~―

まどか「わぁ!マミさんが持ってるブラ可愛いですね」

マミ「あら、鹿目さんの方こそいいんじゃない?」

ほむら「うぅ……」

マミ「暁美さんは何かいいやつ見つかった?」

ほむら「いえ、まだ……あの、巴さんは……」

マミ「?」

ほむら「いえ、なんでもないです……また今度……」

―~―~―~―~―~―~―

マミ(ってことがあったわね……ひょっとして、ブラジャーの相談がしたかったのかしら?)

マミ「オッケー分かったわ! ちょっとお茶淹れてくるから待っててね」


216みつともえ2012/10/17(水) 23:08:09.30Hpgy578e0 (3/12)

ほむら(あっ、ちゃんと分かってくれてたんだ……流石巴さんだなぁ)

ほむら(やっぱりこういうことは巴さんに相談するべきだよね……)

―~―~―~―~―~―~―

まどか「やったぁー! 流石マミさん!」

マミ「ふぅ……結構手強かったわね」

ほむら「すごい……」

マミ「鹿目さんはもう一人でも大丈夫そうね。その調子で頑張りましょう」

まどか「はい!」

マミ「暁美さんはもう少しね。どこから持ってきたのか分からないけど、その銃……まだ扱い慣れてないみたいね」

ほむら「すっ、すみません……」

まどか「大丈夫だよほむらちゃん! これから上手くなっていくって!」

ほむら「うん、頑張ります……」

マミ「さてと、それじゃあこれから――」

ほむら「あの! 巴さん!」

マミ「なに?」

ほむら「えぇっと、あの……やっぱり、なんでもないです……」

まどか「いいの? 変なほむらちゃん」

ほむら「……」

―~―~―~―~―~―~―

ほむら(本当はあの時聞いておけばよかったんだけど、鹿目さんもいたから迷惑になったかもしれないし)

ほむら(それにあの後みんなでお買い物行ったから、やっぱり相談しなくて正解だったのかも)

ほむら(とにかく、今日は銃の扱いに慣れてる巴さんに銃のことを相談をしよう!)


217みつともえ2012/10/17(水) 23:10:09.64Hpgy578e0 (4/12)

マミ「お待たせ」

ほむら「ありがとうございます」

マミ「なんでも聞いてくれていいのよ」

ほむら「えっと……じゃあまずは、どんな風に選んだんですか?」

ほむら(巴さんの銃、結構扱いにくそうなのに……)

マミ「そうねぇ、やっぱり最初は見た目じゃない?」

ほむら「見た目……」

マミ「そう! 可愛いやつにしないとね」

ほむら「可愛い? カッコいいでなくて?」

マミ「カッコいい? そういうのもあるかもしれないけど……暁美さんはそういうのがいいの?」

ほむら「はぁ……まず可愛いやつを見たことが無いというか……」

マミ「そうなの? もっとこう、羽付きのやつとか……」

ほむら「羽付き!? 邪魔じゃないですか!?」

マミ「そんなことないわよ?」


218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/10/17(水) 23:11:14.47Hpgy578e0 (5/12)

マミ「色とかはどういうのがいいの?」

ほむら「色、ですか? やっぱり黒とか茶色とかが普通だと思うんですけど」

マミ「え!? ちょっと地味すぎない!?」

ほむら「そんなに選べるほどないと思うんですけど……」

マミ「ほら、白とかピンクとか水色とかあるじゃない」

ほむら「そんなカラフルでいいんですか!?」

マミ「まあ確かに、茶色はともかく黒っていうのは結構大人っぽいって言うけど」

ほむら「大人っぽいですか? 私が持っててもあんまりそんな感じはしないんですけど」

マミ「暁美さん黒色を持ってるの!?」

ほむら「えぇ。普通に黒ばっかりですけど」

マミ「はぁ……結構大胆なのね」


219みつともえ2012/10/17(水) 23:14:01.59Hpgy578e0 (6/12)

マミ「後はやっぱり大きさよね。自分に合ったものを選ばないと」

ほむら「大きさ、ですか? 私的には大きい方がいいんじゃないかなと思うんですけど」

マミ「え?」

ほむら(その方が強そうだし)

マミ「ちょっと言い辛いけど、暁美さんにあまり大きいのは合わないんじゃないかしら……」

ほむら「そうですか? 確かに体力ないんで大きいのは必要ないかもしれないですけど……」

マミ「いや、体力とかの問題じゃないと思うんだけど」

ほむら「巴さんのは結構大きい方に入るんですかね?」

マミ「私は、まあ……友達にも大きいって言われるわね……」

ほむら「友達に見せたことあるんですか!?」

マミ「見せるって言っても体育の時間とかよ?」

ほむら「なおすごくないですか!? 友達以外の人にも全員に見られそうですけど!?」

マミ「そこまで言われるとちょっと恥ずかしいわね……」

ほむら(恥ずかしいで済む問題なのかな……)


220みつともえ2012/10/17(水) 23:15:35.25Hpgy578e0 (7/12)

ほむら「あっ、そういえば私結構忘れっぽくてよく安全装置外すの忘れちゃうんです」

マミ「安全装置!?」

ほむら「はい」

マミ(安全装置……? 一体どういう……あっ、ひょっとしてホックのことを言ってるのかしら?)

マミ「そうよね、慣れないうちは苦労するわよね。私も初めての時は苦労したわ」

ほむら「私も初めての時はもたもたしちゃって、外すのに一分くらいかかっちゃいました」

マミ「流石に掛かり過ぎじゃない!?」

ほむら「あぅ……そうですかね……」

マミ「あっ、ごめんなさい! そうよね、人それぞれだものね」

ほむら「初めてと言えば、初めて使った時は大変でした」

マミ「ふふっ、私も大変だったわ」

ほむら「肩が外れちゃって」

マミ「肩が!? どんな着け方したのよ!?」

ほむら「そういうことなかったですか?」

マミ「ちょっと大きめの使って肩からズレそうになったことはあったけど、外れたことはないわね……」


221みつともえ2012/10/17(水) 23:16:26.28Hpgy578e0 (8/12)

ほむら「はぁ……やっぱり私なんかが扱うのは無理なんですかね……」

マミ(あら? 自信なくさせちゃったかしら……)

マミ「これはしっかり暁美さんに合ったものを選ぶべきね。どういうのがいいか分からないし、今から行きましょうか」

ほむら「行くって、どこにですか?」

マミ「決まってるじゃない、デパートに買いに行くのよ」

ほむら「買いに!? しかもデパートに売ってるんですか!?」

マミ「当たり前じゃない。確かに専門店に行ってもいいけど、ここからだとちょっと遠いし」

ほむら「この変に専門店なんかあるんですか!? 初耳です……」

マミ「暁美さんだってデパートで買ったんでしょ?」

ほむら「えっと……ここだけの話、人の物を盗ってきたというか……」

マミ「泥棒したの!? 大変じゃない!」

ほむら「あ、でも、警察とかじゃなくって裏の世界の人たちのですから」

マミ「そういう問題じゃないわよ!」


222みつともえ2012/10/17(水) 23:19:13.14Hpgy578e0 (9/12)

マミ「そういうことはやっちゃ駄目です!」

ほむら「でも、私には他に武器なんて……」

マミ(武器? まさか勝負下着なんていうんじゃ……!)

マミ「大丈夫よ! 女子の武器は他にもあるから!」

ほむら「はい?」

マミ「具体的には私も上手く言えないけど……可愛さをアピールするとかあるじゃない!」」

ほむら「可愛さアピールって、そんなので魔女に勝てるんですか?」

マミ「魔女相手に勝負するつもりだったの!?」

ほむら「他に誰がいるんですか?」

マミ「誰って、普通に男子でしょ!」

ほむら「私捕まっちゃいますけど!?」

マミ「時と場合によるわよ! 暁美さんにはまだ早いと思うけど、多分二人っきりなら大丈夫のはずよ!」

ほむら「早いも遅いもないと思うんですけど……」


223みつともえ2012/10/17(水) 23:20:25.93Hpgy578e0 (10/12)

ほむら「やっぱり、練習するしかないんですよね」

マミ「そうね。練習とか新しいものを手に入れたりするといいと思うわ」

ほむら(でも私一人だったら結局今までどおりに……迷惑かもしれないけど、ここは勇気を出して言ってみよう!)

ほむら「あの、そのことなんですけど……出来たら巴さんに色々教えてほしいんです」

マミ「さっきまでも色々言ってきたけど……私なんかで良かったらいつでも教えてあげるわ」

ほむら「あ、ありがとうございます!」

マミ「どういたしまして」

ほむら「それじゃあ早速教えてほしいんですけど……」

マミ「えぇ。何を知りたいの? サイズの合わせ方とかかしら」

ほむら「いえ。サイズは今のままのを使うことにして、とりあえず実戦経験です」

マミ「え?」


224みつともえ2012/10/17(水) 23:22:22.92Hpgy578e0 (11/12)

ほむら「ここじゃなんですから、やっぱり外のどこか人気のない所で……」

マミ「待って待って! 外でやるの!?」

ほむら「だってここ巴さんの家ですよ?」

マミ「だからやるんでしょ!?」

ほむら「だからまずいんじゃないんですか!?」

マミ(えぇぇぇ!? もしかして暁美さんにそういう趣味が!? でも、一度教えると言った以上私にも責任が……)


<人気のない橋の下的な場所>

ほむら「ここなら大丈夫そうですね」

マミ「ほ、ほんとにやるのよね……?」

ほむら「ぜひお願いします」

マミ(仕方ないわ……これも後輩の為だもの!)

ほむら「ってなんでいきなり脱いでるんですか!?」

マミ「ほら見て! まずはこれが私の下着よ!!」

ほむら「巴さん変態さんだったんですか!?」

マミ「暁美さんもさあ早く見せて!」

ほむら「い、いやあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

―――――――
――――
――


ほむら「もう、誰にも頼らない」


END


225みつともえ2012/10/17(水) 23:29:41.80Hpgy578e0 (12/12)

タイトルはこんなだけどアンジャッシュを意識してみたり
とあるスレで、アンジャッシュ書けたら大した奴だ的なレスを見つけたので頑張ってみた


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/10/18(木) 08:22:14.95fKvs5lCIo (1/1)

一番大切な部分が省かれたようだが


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/10/18(木) 17:59:22.04yufKNkPAO (1/1)

良い先輩すぎる


228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/11/14(水) 21:03:07.573XEPzXyt0 (1/14)

次の短編にはかずみ☆マギカ四巻のネタが含まれます故

まだ読んでない、完結したら読もうと思ってた、そもそもかずマギ読んでないって人は気を付けてね




















229カズミン2012/11/14(水) 21:03:51.243XEPzXyt0 (2/14)

かずみ「私が見せてもらった記憶と彼女の記憶が結び付いた。彼女が素敵な子でみんなにとってどれだけ大切な子なのか分かった」

かずみ「そして生き帰らせたいと願う気持ちも」

かずみ「でも一つだけ分からない」

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「芸人魂に支配された漫談師になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「はいどうもー!ミチミチミッチーのショートコント!」

ミチル「魔女」

ミチル「ふぇっふぇっふぇ、あとはこのドラゴンの爪を入れてじっくり煮込めば若返りの秘薬が完成するのじゃ」

ミチル「よし出来た!早速飲むのじゃ!」

ミチル「ゴクゴク……うっ…うっ……うぅぅぅ~~~」

ミチル「バブー」

ミチル「って心だけ若返っちゃったよ!」

~~~~~~~~~~

サキ「あまりに面白くなかった」

かずみ「嘘だッ!!!」


230カズミン2012/11/14(水) 21:05:14.993XEPzXyt0 (3/14)

Take2

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「物欲に支配されたオタクになってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「フヒヒヒ!このフィギュアの造形は実に素晴らしいですな!」

ミチル「この腰回りの脚線美なんかたまんないよねぇ」

ミチル「そういえばまだ買ってないゲームもあったっけ……」

ミチル「あの漫画もラノベも読んでないしお金が全然足りないなぁ」

カオル「いい加減部屋をフィギュアだらけにするのはやめてくれ!」

ミチル「まだまだ!こんなんじゃ満たされないよ!!」

海香「……」

~~~~~~~~~~

海香「私の貯蓄がみるみる減っていったわ」

かずみ「ごめん!」


231カズミン2012/11/14(水) 21:07:28.703XEPzXyt0 (4/14)

Take3

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「製作意欲に支配された技術者になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「インスピレーション湧いてきた!」

ミチル「設計図はこれでよし!ニコ手伝って」

ニコ「ウィームシュー」

ミチル「ここをこうしてプログラムを組み込んで実演テスト!」

ミチル「駄目か!だったらこれでどうだぁ~~~!」

ミチル「やったー!遂に頭で考えたことを文章にしてくれる機械が完成したよ!」」

~~~~~~~~~~

ニコ「ラブレター作りが捗ったよ」

かずみ「待ってその話詳しく聞かせて」


232カズミン2012/11/14(水) 21:09:36.513XEPzXyt0 (5/14)

Take4

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「野生の本能に支配された熊になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「ガルルルルル……ガァァァアアア!!!」

ミチル「グルルル」

ミチル「ガゥガァァ」

ミチル「グゴゴゴゴゴゴゴ」

ミチル「オガアアァァアアアアガアァァァァァ」

~~~~~~~~~~

みらい「その時のミチルをイメージしたテディベアがこれ」

かずみ「何やってたか全然分かんないッ!!!」


233カズミン2012/11/14(水) 21:10:45.903XEPzXyt0 (6/14)

Take5

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「サッカー愛に支配されたサッカー少年になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「ボールは友達!部屋も模様替えしなきゃ」

ミチル「海香ー!カオルと朝錬行って来るねー」

ミチル「ヘイパスパース!」

カオル「オーライ!」

ミチル「任せて!!リーミティ・シュート!!!」

ミチル「やったー!まずは一点だよ!」

ミチル「後半まで絶対取られないようにしようね!」

~~~~~~~~~~

カオル「ただのシュートに技名付けてるのは面白かったよ」

かずみ「何で少年なの!?」


234カズミン2012/11/14(水) 21:12:12.013XEPzXyt0 (7/14)

Take6

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「厨二病に支配された霊能力者になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「ククク……哀れな生者達ね。あなた達の隣にはいつも見えない影が憑いているというのに」

ミチル「可哀想に……元魔法少女達の悲痛な声が聞こえてくるわ」

ミチル「救われない魂よ、今浄化してあげるわ」

ミチル「破ぁーーーー!!!」

ミチル「これで成仏できたでしょう。せめて輪廻の最果てで新しい命に生まれ変われますように……」

~~~~~~~~~~

里美「ごめんね、ちょっと引いちゃった」

かずみ「……あれ?里美って確か私が殺し――」


235カズミン2012/11/14(水) 21:14:14.203XEPzXyt0 (8/14)

Take7

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「生殖本能に支配されたエロ娘になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「もう我慢できない!」シュルッパシッ

一同「ッ!?」

ミチル「ふふっ……ねぇみんな、もっと気持ちいいことしたいと思わない…?」

カオル「いや、意味がよく分からないんだが」

ミチル「もう、鈍感なんだから……」

海香「ちょっと、どこ触って――」

ミチル「みんなで気持ちいいこと……しよ…?」

~~~~~~~~~~

サキ「興奮した」

かずみら「嘘だッ!!!」


236カズミン2012/11/14(水) 21:15:26.563XEPzXyt0 (9/14)

Take8

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「闘争本能に支配された決闘者<デュエリスト>になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「速攻魔法発動!狂戦士の魂<バーサーカーソウル>!!」

ミチル「手持ちのグリーフシードを全て墓地に捨て、使い魔が出てくる限り何度でも攻撃できる」

使い魔「ピー」

ミチル「リーミティ・エステールニ!」

魔女「ウギャアアアアアアアアア」

使い魔「ピー」

ミチル「リーミティ・エステールニ!」

魔女「ウギャアアアアアアアアア」

使い魔「ピー」

ミチル「リーミティ・エステールニ!」

魔女「ウギャアアアアアアアアア」

カオル「もうやめろ!魔女はとっくにグリーフシードになってる!」

ミチル「離して!」

~~~~~~~~~~

サキ「そのまま魔力を使い果たして……」

かずみ「残念すぎるよッ!!!」


237カズミン2012/11/14(水) 21:17:19.743XEPzXyt0 (10/14)

Take9

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「食欲に支配されたフードファイターになってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「はむっはふはふっ!」

ミチル「ん~~!このジューシー感がたまんないね!」

ミチル「どんどん持ってきて!」

ニコ「ノン、もう食料は――」

ミチル「だったらさっさと買ってきてよ!」

海香「……」

~~~~~~~~~~

海香「私の貯蓄がまたみるみる減っていったわ」

かずみ「ごめんって!」


238カズミン2012/11/14(水) 21:19:46.503XEPzXyt0 (11/14)

Take10

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「AIに支配された機械人形になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「ハロー ミナサン ゴキゲンイカガデスカ」

ミチル「ワタシハ カズサミチルト イイマス」

ミチル「ミナサンノ ショウゴウヲ カイシシマス」

ミチル「ピピピピピガーガーピピピピ」

ミチル「マキカオル ショウゴウカンリョウ ミサキウミカ ショウゴウカンリョウ」

ミチル「カンナニコ ショウゴウカンリョウ ウサギサトミ ショウゴウカンリョウ」

ミチル「アサミサキ ショウゴウカンリョウ ワカバミライ」

ミチル「データショウゴウ フカノウ」

みらい「なんでだよー!」

~~~~~~~~~~

みらい「どうせボクなんか存在感が薄いんだ……」

かずみ「……」

みらい「謝れよー!」


239カズミン2012/11/14(水) 21:21:20.113XEPzXyt0 (12/14)

Take11

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「商売魂に支配された商人になってしまった」

かずみ「え?」

~~~~~~~~~~

ミチル「はいいらっしゃいいらっしゃい、今日はグリーフシードが安いよ安いよ!」

ミチル「よっ!そこのお嬢ちゃん達!採れたて新鮮のグリーフシードはどうだい?」

ミチル「今ならなんと特別価格イチキュッパ!イチキュッパでご提供!」

ミチル「さらにさらに三つ以上お買い上げの方にはセット価格!」

ミチル「ヨンキュッパでご提供!!」

ミチル「さあさあ買った買ったっ!」

~~~~~~~~~~

ニコ「いい買い物した」

かずみ「私は赤字だよッ!!!」


240カズミン2012/11/14(水) 21:22:00.263XEPzXyt0 (13/14)

Take12

かずみ「どうして私にミチルの記憶を与えなかったの?」

「……」

サキ「和沙ミチルが拒絶したんだ」

サキ「ミチルの記憶とともに蘇ったクローンは皆、魔女と戦い始めた途端心を失った」

サキ「戦闘本能に支配された殺戮者になってしまった」

かずみ「嘘だッ!!!」

一同「え?」

かずみ「え?」

「……」

かずみ「間違えちゃった」


おしまい


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/11/14(水) 21:23:49.213XEPzXyt0 (14/14)

























昔カスミンってアニメあったよね、主人公みずはすで
それとは何の関係もないけど


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/11/14(水) 22:36:39.59N7AWVG7t0 (1/1)




243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/11/16(金) 20:04:54.142IiG4326o (1/1)


もうお前ら普通に13姉妹として活動しろwwwwww


244青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:12:22.21sOOdj8xN0 (1/12)

 今日はお昼から雨が降り始めたから、あたしが傘を持っていないことは何の不思議でもないのだ。

 収納式の机と椅子は一つを覗いて収納済みで、ただでさえ広く感じる教室をさらに広く感じる。
 一面ガラス張りの教室は水族館の水槽みたいで、廊下を歩く人から丸見えなあたしこと美樹さやかは、さながら一人で泳いでるアザラシといったところか。
 いや、そんなに丸くないはずだけど。

 我ながらくだらないことを考えているなあとは思いつつも、そうでもしないとこの時間を潰すのは難しいと思うわけで。
 委員会に所属している友人二人、まどかは保健委員として、仁美は委員長としてそれぞれ月一の定期会議に赴き、どこにも所属していないあたしはこうして一人待ち惚け。
 仁美は習い事のせいですぐに帰るらしく、鞄を持って行ったからすでにさよならは告げてある。
 他のみんなも委員会やら部活動やらですでに帰宅済み。

 雨が降っているのに傘を持っていない今のあたしは、まどか(正確にはまどかの傘と言い換えてもあながち間違いじゃない)を待っている状態なのであった。

 あぁ、それにしても暇だ。


245青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:13:53.47sOOdj8xN0 (2/12)

 遠くで響く個人練習中の金管楽器による演奏に混じって、壁を打ち付ける雨の音が聞こえる。

 ふと思い立って携帯電話を取り出し、ネットの通販サイトで面白そうなクラシックのCDを探してみる。
 色々クリックはするけれど、その場で買うことはせず、どこかで、例えばCDショップなどの視聴コーナーで聞いてから買うことに決めていた。
 そうすれば、より気に入ったものを選ぶことができるし、他の掘り出し物を発掘できることもあるわけだ。
 まあ、一番の理由は、一介の中学生に過ぎないあたしはとてもじゃないが、たくさんのCDを買うお金なんて持ってないからというだけなんだけど。
 さっそくお気に入りの演奏家のまだ見ぬCDを見つけたのでチェックを入れる。
 今日にでも探しに行きたいけど、さすがにまどかを連れ回すわけにはいかないし、マミさんとパトロールにも出かけなきゃならない。

 そんなことを考えていると、教室の扉が開けられ一人の女子が入ってきた。
 目に映るのは流れるような綺麗な黒髪とすらりとした細い脚、誰が見ても認めるくらい整った顔、透き通るような瞳。
 みんなが来ているはずの制服なのに、人一倍着こなしているような錯覚に陥るほどの美人。
 そんなあいつの顔を見て、あたしは思いっきり顔をしかめた。
 別にあたしよりちょっと頭がいいからとか、そんなつまらない理由じゃない。

 転校生、暁美ほむら。

 彼女があたしの敵だからだ。


246青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:14:42.38sOOdj8xN0 (3/12)

 転校生は、チラリとあたしを見ると、さっさと机と椅子を出して何事もないように座りノートを広げて宿題を始めた。
 まるであたしなんか存在せず、この教室には自分一人しかいないとでも言うように、こっちが睨みつけていたのも一切無視して自分の世界に閉じこもった。
 こういう、自分以外のことはどうでもいいといった態度がとことん気に食わなかった。
 同業者のよしみでひょっとしたら仲良くなる可能性もあったかもしれないけど、向こうにそのつもりがさらさらなく、明らかに敵視しているのだから、こっちだって警戒するしかない


 今だって隙を窺って何か狙っているのかもしれない。
 さすがに学校で騒ぎを起こすとは考えられないけど、どうにも転校生の能力が分からないから絶対とは言えないのだ。

 それにしてもさっきの目。
 あたしを「見た」というよりは、ただ視界に入れただけのような、「視た」という表現が似合う、とにかく変な感じがした。
 誰かが言った、「透き通るような瞳」というのは、多分褒め言葉じゃなくって、きっと「空っぽな」何もない様子を言い表わしたんだと思う

 うまく説明出来ないけど、なんとなく不気味だと思った。

 転校生はなんでまだこの学校に残っているんだろう。
 転校して間もない彼女は、任されている委員もなく、部活動に汗水流しているわけでもない。
 やっぱり何か仕掛けてくるつもりなのかな。
 
「あんたさあ、なんでまだ帰らないわけ」

 先制攻撃で様子見。
 このままあたしや、会議から帰ってきたまどかを狙うつもりなら、その時は容赦しない。
 もうマミさんは先に帰っちゃってるだろうし、学校だからとか周りに人がいるとか関係なく、あたしがまどかを守る。


247青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:16:02.55sOOdj8xN0 (4/12)

 そして沈黙。
 相変わらず雨は止まないらしい。 
 会話すらする気がないというのが本当にムカつく。

「傘を忘れてしまったのよ。雨が止むまで待っているだけ」

 こちらを振り向くこともなくようやく、しかしさらりと答えた。
 そして、まさかあたしと似たような状況だとは思わなかったけど、だからと言って親近感が湧くわけでもない。
 それに、まだその言葉が真実だとも限らない。

「そんなの、あんたが魔法でも使ったら濡れずに帰るくらいできるんじゃないの」

「できるけど、まだ明るいのに雨に濡れず歩くなんて周りに怪しく思われるだけよ。それくらいあなただってできるでしょ。それに、そんなことに魔法を使うなんてもったいないだけよ



 ツラツラと正論を並べ立てて反撃してきた。

 別に魔法のことを意識してなかったわけじゃない。
 まどかと仁美を見送った後に、一瞬魔法でどうにでもなるなあと考え、そのすぐ後にそんな目立つこと出来るわけないなあと思い直したのだ。

 そんなことは分かっていたのに、つい言ってしまった。
 思わぬカウンターにギャフンと言わせるような良い返しが重い浮かばなくて、それがまた苛立ちに繋がった。
 転校生が悪いわけじゃなく完全な八つ当たりだけど、この怒りをどこにぶつけてくれようか。


248青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:17:02.32sOOdj8xN0 (5/12)

「あなたはなぜ帰らないのかしら、美樹さやか」

「別に。まどかを待ってんの」

「そう。てっきりあなたも傘を忘れたのかと思ったわ」

「あんたってさ、ホント人の神経逆撫でするのうまいよね」

「そんなつもりはないわ。ただ、そう思っただけ」

「あぁそうですよ忘れてますよ! まどかに傘貸してもらって一緒に帰るつもりよそれが何か! どうせあんたは暗くなるまで待って一人で帰るんでしょうけどね!」

 思わず立ち上がって一気に捲し立ててしまった。
 正直、この雨の様子だと夜になっても止む気配はないので、本当に傘なしで帰るなら暗くなるのを待つくらいしなければならないだろう。
 どうせそんなことになる前に先生が貸してくれるだろう。

「そうよあんた、なんで先生に借りないのよ」

 あたしはまどかがいるからいいけど、こいつにはわざわざ待つ理由なんてないはずなのに。
 いくら転校生でも、天気が回復に向かう見込みがないことくらい分かってるはずだ。

 再び沈黙。

「待っている間に雨が止めばわざわざ借りる必要もなくなる、それだけよ。最終的には借りるかもしれないけど、特に意味なんてないわ」

 またさらりと言ってのけ、やはりなんてことない素振りを見せる。
 ただし、今度はちゃんとこっちを見ていた。
 その目はさっきまでと変わらず全てを見透かすようで、でも何かが違うと思ったのは、あいつがこっちを向いたからなのか。

 話している相手の目を見るというのは、自分を信じてくれという意思の表れで、嘘は吐いてないんだと証明したいからだと思う。
 そういう場合に限って、本心の本心では相手を騙すことを考えているなんてことがほとんどだったりする。
 それなら、あいつが残ってることには何か意味があるのかもしれないということになる。
 とにかく、こちらを見るという行為に違和感を覚えた。


249青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:17:35.91sOOdj8xN0 (6/12)

 流石に考え過ぎかな。

 勢いで立ち上がってしまい、しかもバッチリ目が合ってる状態だとどうにも座り辛くなったあたしは、質問をぶつけることにする。

「あんた、杏子ってやつと組んだんでしょ。やっぱりマミさんの縄張りを奪うつもりなの」

 正確には、あたしとマミさんの、だ。
 
「どうせ違うと言ったところであなたは信じないでしょ」

「それもそうだね。そんなに人に言えないようなことしでかすわけ」

「現状敵対しているあなたに言うことでないことは確かよ」

 ほんっとにこいつは人の神経を逆撫でするのがうまいみたいだ。
 どうしてそう、一々言い方に棘を隠さず振り回して来れるんだと問い詰めてやろうかと思うほど。
 あたしにはこいつの考えは分からないけど、ただ一つ言えるのは、こいつとは友達になれないってことだけだ。
 この際だ。

 はっきり宣戦布告してやろう。

 そう思ったあたしは、仰々しくズカズカと転校生の前まで歩いてこれでもかと仁王立ちをしてわざとらしく腕を組んで、簡潔に、手短に、一文を伝える。

「あんたらには負けないから」

 こいつがどんな理由を持っていようが、どんな目的で動いてようが、どんな信念を掲げていようが、そんなことは関係ない。
 どんなベテランと組んでようがあたしが新米だろうが関係ない。
 あたしのやるべきことは、大事な人を守るために魔女も使い魔も倒す。
 マミさんがずっと守ってきた見滝原を、部外者の転校生や杏子とか言うやつに取られるわけにはいかないんだ。


250青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:18:50.73sOOdj8xN0 (7/12)

 転校生は何も言わず、じっとあたしを見る。
 相変わらず、本当に見ているのかと不安になるほどに透き通った瞳。
 
 虚ろだ。
 
 そういう表現が一番似合うと思った。

 あたしはたまらず目線を下に逸らした。
 そこにあったのは4時間目に出された国語の宿題のノート――

「なに、これ」

 ではなく、小難しい計算式と簡単な絵でびっしりと埋められた宿題とはほど遠いものだった。
 書かれていることの内容は全く分からなかったけど、一番大きい丸で囲まれているのは「War」という言葉が気になった。
 確か、英語で戦争という意味だったっけ?

「それなんなの」

「あなたには関係ない」

 言うが早いかノートを閉じて、あたしは部外者だとでも諭すように無言で睨んでくる。
 あたし達を追い出すための算段を立てていたのか、あるいは何かこいつが隠してることに関係してるのか。
 いずれにしても、これ以上詮索するつもりはなかった。


251青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:19:20.50sOOdj8xN0 (8/12)

「あ、あの、さやかちゃん」

 ちょうどその時、後ろの扉からまどかが顔だけを覗かせていた。
 もう話すこともなくなり自分の席に帰ろうとした矢先だったから、ナイスタイミング。
 鞄に携帯を入れて机を収納してからまどかに向かって歩き出す。
 心配そうな顔であたしと転校生を見比べてるけど、あたしはもう目を向けるつもりはない。
 多分、向こうもこっちなんて見てないと思う。
 
「お待たせ。悪いね、傘忘れちゃってさ」

「うん、それは大丈夫だけど」

「ほらほら早く帰ろう」

「えっと、バイバイほむらちゃん」

 何も言わずに扉を閉めた。

 返事は聞こえなかった。


252青い空、黒い雲2012/12/09(日) 18:20:13.64sOOdj8xN0 (9/12)

 下駄箱まで着くと雨の音が一層大きくなった。
 
「んじゃまあ、さっそく相合傘といきますか!」

「うん。さやかちゃんが傘持ってくれる?」

「はいはい、まどかは背がちっちゃいからねー」

「酷いよお!これでもちょっと気にしてるんだから」

「ごめんごめんって!ほら、行くよ」

 可愛らしいピンク色の傘をさして一緒に歩き出した。
 こういう天気の悪い日でも使い魔や魔女を探しに行った方がいいらしいから、家に帰ったあとでまたマミさんと待ち合わせをしなきゃいけない。

 ふと見上げた空は、どこまでも厚く暗い雲に覆われていて、ずっと止むことはないんじゃないかって錯覚を覚えるほど。
 まるで、雨まで黒に染められたみたいに世界が澱んで見える。
 こんなんじゃ、いつになったら青空を拝めるのやら。

 酷く振りつける冷たい雨の中を一人で帰るのは、きっと辛いんだろうなと思って、一瞬だけあいつの顔が浮かんだ。
 
 そしてすぐに頭から消した。


253VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/09(日) 18:22:06.48sOOdj8xN0 (10/12)

流石お尻に定評のあるさやかちゃんはシリアスでもイケるね!

>>247でちょっとミスってるけど気にしなーい


254 ◆2DegdJBwqI2012/12/09(日) 19:29:29.05E1ebGhcz0 (1/5)

どこに投稿すればいいのか迷ったけど前違う場所で書いたのをここで一気にでさらしてみる

※タイトルで丸分かりな気もするけど濃厚まどほむ注意

ほむら「まどかが友達同士なのにキスしてくる…」

第一部 まどか「ほむらちゃんキスしよっか…」

  「ほむらちゃんキスしよっか…。」

いやいや、キスしよっかではない。最近のまどかはおかしい。

二人きりになると異様に甘えてくる。

私達はただの女の子同士の友達に過ぎないというのにキスをせがんでくるのだ。

…私としては将来的には美樹さやかのように無二の親友の座を獲得したいところだが。

  「ほむらちゃんの唇ってぷにぷにって凄い柔らかいよね。ずっと重ねたくなっちゃうよ。」

いや、唇が柔らかくて…ではない。

私は何時彼女に許可を出したのだろうか?

記憶を必死で辿るが全く見当もつかない。

  「ど、どうしたのほむらちゃん?そんな険しい顔して。…も、もしかして私とのキス嫌だった。」

  「いえ、別に嫌ではないわ。」

まどかが涙ぐんでしまったので慌てて正直な気持ちを伝える。

別にまどかとのキスそのものはどうでもよいのだ。

それでまどかが喜ぶのならどうぞ好きにして欲しい。

ただ過程が気に食わないだけ。

なぜまどかは私にキスをせがむの…?

それとどうして私の返事も聞かずにキスをするの…?

  「そっか…。ほむらちゃん私とのキス嫌じゃないんだ…。えへへ、嬉しいな。」

まどかが何やらもじもじ顔を赤らめている。

たかだかキスなどという生殖行為ですらないものになぜそこまで執着できるのか。

私にはいつまでたっても理解できそうにない。

とはいえもちろんどこぞの馬の骨にキスをせがまれた所でキスしてやるつもりは毛頭ない。

人として集団の中で生きていくのに、

価値観又は倫理観と呼ばれるものを他者と共有する事は絶対欠かす事の出来ないものだ。

理解できないからといってそういった集団規範にわざわざ従わない理由がない。

そんなことしても私には不利益しか生まれないからだ。

私を評価するのは私自身ではなくいわゆる世間様だからである。

私は無駄な事が嫌いだ。

私がまどかとのキスを特別拒まないのは大切な彼女がそれを欲しているからそれに応えているだけなのだが、

まどかがその事をきちんと把握しているかは甚だ疑わしい。

  「ほむらちゃんベッド行こっか。」

  「待ちなさい、ストップ。落ち着いて、はい深呼吸。」 

さすがにそれはアウトよまどか。


255 ◆2DegdJBwqI2012/12/09(日) 19:31:16.22E1ebGhcz0 (2/5)

>>254の続き

第二部 まどか「ほむらちゃんキスしようよ」
  
  「ほむらちゃんキスしようよ。」

またか…。

正直そう思ってしまった。

私は別にまどかとのキスが嫌だというわけではない。

嫌ではないが最近まどかがキスを求める量はおかしい。

放課後後私の家に来てずっとキスだけして帰って行く日すらある。

私としてはまどかと外でお買い物したり巴マミお薦めのケーキ屋さんに行ったりしたい。

もっと言えば他の皆とも一緒に遊びたい。

まあまどかが居ることが前提ではあるけど。

  「ほむらちゃんの口の中可愛いね…。ねぶりがいがあるよ…。」

この子は何を言っているのだろう。

そして何をしているのだろう。

今日は何時になく積極的で私の口の中に舌をねじ込んできた。

本当なら口内の雑菌を交換するような汚い事はしない方が良いと忠告したい所だが、

このテンションの時のまどかに水を差すような事を言うと烈火のごとく怒られるのである。

私は学習する。

どこぞの宇宙人ですらする事だろうがそれに加えて私には感情がある。

正直もうあの時の様な怖い思いはしたくないのだ。  

  「ほむらちゃん舌出して。」

私もここで舌を出すからいけないのだと心の中で自分を叱る。

だがここで邪魔したら絶対怒られる。

怖いのは嫌いだ。

  「じゅぶ…。じゅぶ…。じゅぶ…。」

大きな音を立ててまどかが私の舌を吸っている。

必死にお祭りなどで見かけるひょっとこの面みたいな顔をして上下するまどかは正直言ってかなり面白いのだが、

多分今笑ったら何日か無視される気がする。

それは困る。

なので必死に我慢する。

どうやら勝負は私の勝ちのようでようやくまどかが口を離してくれた。

  「…ふう。ほむらちゃんおパンツぬぎぬぎしよっか?」

  「あなたが帰ったらいくらでも着脱するわ。」

さすがにそれはアウトよまどか。


256 ◆2DegdJBwqI2012/12/09(日) 19:33:16.40E1ebGhcz0 (3/5)

>255の続き
 
完結 まどか「ほむらちゃんキスしてよ…!」
  
   「ほむらちゃんキスしてよ…!」

今日は久しぶりにさやかやマミ、杏子達とも一緒になって遊んだ。

いや、まともに遊ぶ事がそもそも久しぶりな気がする。

そんなわけで私としては物凄く楽しかったわけだが、

私が楽しめば楽しむだけまどかは不機嫌になってゆき、

夕方になったので皆と別れまどかを家まで送り届けたらこれである。

この子は自分の家の玄関の前で何を言っているのだろう。

往来だということをわかってやっているのだとしたらなかなかまどかも度胸がついたものだ。

何故か私が誇らしい気分になった。

  「どうして皆と一緒に居るとそんなに楽しそうなの?私と二人きりの時はあんな顔しないのに。私と一緒に居るのがそんなにつまらないの?だったらそう言ってよ!変な期待なんてさせないでよ!」

だってまどか二人きりだと最近キスしかしないんですもの。

正直退屈だわ。

まどかと一緒に居るだけで幸せだから内心複雑だけど。

直接言うとかなり傷付けてしまう気がするので出来るだけオブラートに包む。

  「私もまどかと一緒に居るのは楽しいわよ?というよりまどかと一緒に居られる時間が一番幸せ。」

  「だったら…。」

  「でもね、私って嫌いではないけどキスするのが別に好きじゃないのよ。」

  「…ええ!?キスが好きじゃない女の子なんているの!?」

  「ここに居たわね。それはともかく私はまどかともっと他に色々な事がしたい。遊園地に行ったりカラオケに行ったりボーリングに行ったり、とにかく何でも遊んでみたい。」

  「そっか…。まだ早過ぎたんだね…。いけないなぁ、私。キスするまでにはもっと手を繋いだりデートしないと駄目だよね。私達中学生なのに焦りすぎだよね。」

まだ早いとかそういう問題ではないのよまどか。

この調子だとまどかの頭の中では私と付き合っている事になっているに違いない。

ズキズキと頭が痛くなってきた。

  「でもね、やっぱりほむらちゃんから一度キスして欲しいな。ほむらちゃんからの目に見える愛の形が欲しいよ。ほむらちゃんいっつもそんな素振り見せてくれないから。」

…まあここまで来たら恋人でも良いか。

そう思った。

私の目標はまどかの最高の友達になる事だがそれって恋人と大して違わないんじゃないか。

そう思う事に決めた。

おそるおそるまどかに口づけをし、ためしに舌を入れてみる。

暫く続けるとまどかの方から私を引き剥がしてきた。

ちょっと…いや、かなり傷つく。

  「ほむらちゃんって実はキス下手なんだね。いい?キスってこうやるんだよ。」

まどかがいつもよりだいぶ大人しいキスをしてくる。

これ以上私にどうしろって言うのよ…。

私は本格的に困惑してしまった。

終わり


257 ◆2DegdJBwqI2012/12/09(日) 19:36:26.02E1ebGhcz0 (4/5)

ああ、そういえば前書いた奴だから「」内の。抜き忘れてた

今書いてるスレで普通のまどほむ書いてって言われたから引っ張り出して投稿してみた

うーんやっぱりここの雰囲気からは浮いてるなあ…すいません


258VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/09(日) 19:43:01.22E1ebGhcz0 (5/5)

ってここ一人の方がSS短編投稿するほうのスレじゃねーか!

【皆で】【更新】の方と素で間違えましたひどい誤爆しました本当にすいません



259VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/09(日) 19:46:30.92euZXNa6ho (1/1)

なんだ立て続けに更新が来たから本気だしたのかと思ったら


260VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/09(日) 20:17:58.45sOOdj8xN0 (11/12)

>>258
おう、びっくりした
気にしないでくださいな


261VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/09(日) 20:46:50.79GSLob6uSO (1/1)

>>260

ご迷惑をおかけして本当に申し訳ございませんでした

また短編が才能なくて中々書けないので手元にあったパパッと投稿できるのがこれだけだったせいで…どう見てもここの作品の中で浮いてるし…

今さら言い訳してもしょうがないのですが、タブで同時に開いてて暁美ほむらにありがちな事読んだ辺りで残りはあとで読もうとそのままにしてたら何故かこんなミスを…

ウガアアアアアア!
申し訳ないし恥ずかしくて胃がキュッてするよお
おおおおおお!うわああああああああ!すいませんでしたもう大人しくして頭冷やしてきます




262VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/09(日) 23:44:12.55sOOdj8xN0 (12/12)

>>261
もう見てないかな?
せっかくだしゲスト扱いでwikiの目次に加えさせて貰ってもいいかな?
無理にとは言わないので


263 ◆2DegdJBwqI2012/12/10(月) 00:55:49.35DC155VVSO (1/1)

>>262

どうぞ煮るなり焼くなり好きになさってください

何度思い返しても何故よりによってこれを誤爆したのかと後悔してるので、
そのように扱っていただけるとしたら身に余る光栄です

ID変わっちゃったので一応酉で本人であることを証明しておきます


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/10(月) 20:08:00.21CjuDjE3so (1/1)

二人とも楽しそうだなぁ(二重の意味で)


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/10(月) 21:50:37.39QFb9L7sAO (1/1)


沈みすぎで更新気づかなかった
一人称さやからしさがでてて上手い
あと百合ごちそうさまです


266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/10(月) 21:53:04.41q5KDzFsDO (1/1)

ここって>>1が書いた短編披露していくスレじゃないの(困惑)


267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/10(月) 22:03:49.98u3TLDt8AO (1/2)

このスレで百合なんて何事かと


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/10(月) 23:03:37.52A1xlFUKSo (1/1)

>>266-267
ひとは間違えるものだ。
故意に荒らしたわけじゃないんだからこれ以上責めてやるな



269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/10(月) 23:46:00.78u3TLDt8AO (2/2)

>>268
すまない、それはわかってるし責めてるつもりもないんだぜ


270ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:46:32.20tws1Fc5E0 (1/7)

さやか「とうとうここまで来たね」

――勇者 さやか Lv35

杏子「ここがワルプルギスの根城か……今更ビビんなよゆま」

――戦士 杏子 Lv33

ゆま「ゆまへーきだよ!みんなの役に立つもん!」

――僧侶 ゆま Lv33

まどか「大丈夫だよ、ゆまちゃんはみんなの中で一番勇敢だもんね」

――魔法使い まどか Lv34

さやか「さあ……行こうみんな!」

それぞれの目に希望の火を灯し城の中へと踏み出す四人!

一方その頃外で待つ馬車の中では……
                                            雑魚は邪魔だおおおりゃああああああ!!!>
マミ「……」

――踊り子 マミ Lv33

                                                    焦んなよ!サポートすんぜ>
織莉子「……」

――占い師 織莉子 Lv32

                                               手を貸すよ杏子ちゃん!バイキルト!>
キリカ「……」

――武道家 キリカ Lv33

                                                             ザラキ>
ほむら「……」

――商人 ほむら Lv31

他の四人がジト目で膝を抱えて座っていた


271ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:48:33.71tws1Fc5E0 (2/7)

マミ「外は騒がしいわね」
                                                                          ぐあッ!!>
織莉子「ここまで声が聞こえてくるなんてよほど気合入ってるのね」
                                                                    杏子!ほらベホイミ!!>
ほむら「で、何で私達は馬車の中なのかしらね……」
                                                             サンキューさやか!お返しだおらあ!!>
キリカ「……今それを言うかい?」
                                                                    よーし私も!マヒャド!>
マミ「仕方ないわよ、一度に組めるパーティは4人って決まってるんだもの」
                                                                   ゆまもえっと……えいや!>
ほむら「だからってこれからラストダンジョンなのに」
                                                                  どぉだぁぁぁーーーー!!!>
織莉子「まあ、大人しく待っていましょう」
                                                                               \
ほむら「懸命ね」                                                           ドゴオオオオオオオオオオン
                                                                               /
キリカ「……でもさあ、素早くて二回攻撃で来て会心の一撃狙いやすい私の方がよかったんじゃないかなあ」
                                                                やったぁー!流石さやかちゃん!>
織莉子「今愚痴をこぼしても仕方ないわよキリカ」
                                                                   さやか大丈夫?回復いる?>
キリカ「納得いかないよ織莉子ー」
                                                               平気平気!まだまだ先は長いよ!!>
マミ「そんなこと言ったらみんな何かしらの言い分があるわよ」
                                                                     じゃあ、早く先に――>
マミ「私だって呪文の火力なら負けてないんだから」
                                                                      ッ!まどか後ろ!!>
ほむら「……」
                                                                            ザラキ>


272ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:50:28.32tws1Fc5E0 (3/7)

マミ「……せっかくだから何か飲む?」
                                                                    ありがとうゆまちゃん!>
ほむら「なら、満月草のスープをお願い」
                                                                     くらえライディン!!>
キリカ「私は毒消し草のティーがいい!」

                                         ドドドドドドドゴゴゴゴゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンンンンン

マミ「何?もう一度言って?」
                                                                      うるせえぞさやか!>
キリカ「毒消し草のティーだってば!」
                                                                さやかちゃん気合入り過ぎだよお>
織莉子「はいはい。私もそっちにするから準備するわね」
                                                                     ごめんごめんってば!>
キリカ「砂糖とジャムよろしくっ!」
                                                                 みんな!こっちに道があるよ!>
ほむら「相変わらず甘党ね」
                                                                     よっしゃー皆行くよ!>
キリカ「ハッ!甘くない旅なんてスライムのいないドラクエみたいなものだよ」

マミ「よく分からない例えね」

カチャカチャ コトコト

トトト…

織莉子「お待たせキリカ」

キリカ「ありがとう織莉子、愛してるよっ!!」

マミ「はい、暁美さんの分」

ほむら「どうも」


273ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:54:24.83tws1Fc5E0 (4/7)

ほむら「ふぅ……満月草といえば、杏子が昨日勝手に焼いて食べてたわね」
                                                                   やっと二階に着いたー!!>
マミ「何ですって!?もう、あれだけ食糧は大切にって言ってるのに」
                                                        でも、休ませてくれるつもりはないみたいだなッ!>
キリカ「ちっちゃいことを気にするなよピョンピョン、どうせもうすぐ旅は終わるんだ」
                                                        気を付けてキョーコ!あいつすっごく硬そうだよ!>
織莉子「名残惜しいわね」
                                                                    だったら私の出番だね!>
マミ「この旅もいろんなことがあったわね……」
                                                               あたしも呪文でいくよ!イオラ!!>
織莉子「今でも覚えています……エンドールで勇者と出会った時のことを」
                                                                          えいやっ!>
キリカ「あぁ懐かしいね、裏切りの洞窟での一悶着とか」
                                                                         ヒャダイン!>
キリカ「よりによって織莉子を疑うもんだからなんだか印象深いよ」
                                                     ゆまちゃんはMP温存しといてね、いざという時のために!>
マミ「私は気球に乗った時が感動したわね。まさか空を飛べる日が来るなんて……」
                                                                          きゃぁっ!>
マミ「暁美さんは何かある?」
                                                                  さっそくだね!ベホイミ!!>
ほむら「……うや」
                                                                         残り三匹っ!>
マミ「え?」
                                                                       おりゃああああ!>
ほむら「ガーデンブルグの牢屋……」
                                                                            ザラキ>


274ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:56:28.63tws1Fc5E0 (5/7)

マミ「……」
                                                                  そっちは粗方片付いたかー?>
織莉子「……」
                                                                     こっちにはいないよー>
キリカ「……」
                                                       みんな大丈夫?すぐにゆまが回復してあげるからね!>
ほむら「苔の生えた牢屋はなかなか居心地が良かったわよ……」
                                                           敵も手強くなってきたし少し慎重に行くよー>
マミ「ごめんなさい」
                                                                       あ、まだ一匹いた>
織莉子「ごめんなさい」
                                                                            ザラキ>
キリカ「どんまい」

ほむら「別にいいのよ。確かに武器を鑑定するくらいしか私に出来ることなんてなかったし」

ほむら「まあ、旅の資金をやりくりするのも簡単じゃなかったけど、別にいいのよ……別にね」

マミ「……で、でもほら!あなたのおかげで船が手に入ったんでしょ!」

キリカ「そうともさ友人!」

織莉子「戦闘でもよく会心の一撃でやっつけてくれたじゃない!」

ほむら「……まあ、私のことはいいじゃない。ここまで来たらあとはワルプルギスを倒すだけでしょう」

マミ「そうね。外のみんなも頑張ってるみたいだし」


275ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:58:44.32tws1Fc5E0 (6/7)

キリカ「それにしても待ってる間は暇だよー織莉子ー」

織莉子「そうね、ティーももう無くなってしまったみたいだし」

ほむら「……毒消し草のティーといえば、さやかの作ったティーっていつも薄味だと思わない?」

マミ「……まあ、そういう時もあるわね」

キリカ「張り切って作るくせに気が早いからなー勇者は」

マミ「もう少し味が出るまで待てるといいんだけど」

織莉子「みんなも薄々感じてたのね」

ほむら「……」

マミ「……」

キリカ「……薄味だけに?」

織莉子「ちがっ、違うわよ?別に薄味と掛けたわけじゃないのよ?」

マミ「あら、またみんな戦い始めたみたいよ」
                                                                    みんな構えてッ!かなり手強そうだよ!!>
織莉子「あからさまに話を逸らさないでくれるかしら?」
                                                                   周りの敵は呪文で一掃するから任せて!>
ほむら「その点、巴さんや織莉子の作るものは安定感あるから安心ね」
                                                                   ハッ!上等だかかってきな!!>


276ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/30(日) 23:59:55.52tws1Fc5E0 (7/7)

キリカ「戦いといえば、せっかく武器を新調したのに意味ないね」
                                                                             マヒャドっ!>
マミ「だからそういうこと言わないの……まあ、私は魔法を使う方が多いから関係ないんだけど」
                                                                           くらええええっ!!!>
織莉子「でも防具はもったいないわ」
                                                                            スクルト!>
マミ「それもそうね。それにしても、全員分の装備を整える余裕があったなんてね」
                                                                           ぶち抜けえええっ!!!>
ほむら「……頑張ったわ」
                                                                        あらよっと!あと一撃!>
織莉子「……お疲れ様」
                                                                           キョーコ危ない!!>
キリカ「それはいいけどピョンピョンのそれほんとに防具かい?布の類のそれじゃんさ」
                                                            ゴアアアアアアアアアアアアアアアア!!!>
ほむら「面積も小さいし」

マミ「なっ、いいのよこれは!魔法耐性が上がるんだからねっ!」
                                                                            ドグシャアアアアアアアアアアァァァァァァァンン

織莉子「あ、誰かやられたわ」
                                                                              パラッ…ボロボロ…
キリカ「痛恨の一撃だ、ありゃあプッツンだ」
                                                                              ぉこ……>
ほむら「今の声は杏子ね……ご愁傷様」
                                                                        杏子おおおおおお!!!>
マミ「なんでかしらね……昔は一人死ぬ度に怒りやら悲しみやらが湧いてきたのに」
                                                                        杏子ちゃああああん!!!>
ほむら「ゆまちゃんが復活の呪文を覚えて世界樹の葉も手に入って緊張感減ったわよね」
                                                                            ザオリク>


277ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/31(月) 00:00:40.03zj+e4fKb0 (1/7)

ほむら「それになにより、私が持ってる時の砂が以外と便利なのよね」
                                                                        杏子しっかり!!>
マミ「そ、そうね」
                                                                マヒャドッ!杏子ちゃん大丈夫!?>
織莉子「その時の戦闘前までという少し面倒な仕様だけれど」
                                                              痛つ……くっそ、やりやがったなぁ!!!>
キリカ「いや、あんまり使ったことな――」
                                                                       スカラ!杏子頑張って!>
織莉子「キリカ!しーっ!」
                                                                  きっちり返させてもらうぞ!>
ほむら「……実はこれ、使う度に時間を巻き戻しているのではなく似たような別の世界に移動しているの」
                                                                  だぁぁらああああああああ!!!>
マミオリキリ「!?」
                                                               ギャァオオオオオオオォォォォ!!!>
ほむら「……だとしたらどうする?」

一同「……」                                                                 ドゴオオオオオオオオオォォォォォォォオンンン

マミ「それはちょっと怖いわね……」
                                                                  駄目押しぃっ!ライディンッ!>
織莉子「パラレルワールド?それって、元の世界の私達は……」

マミ「いなくなってる、とか…?」                                                             バキッ…メキメキョッ…

キリカ「え?なに?別にどうでもよくない?」

ほむら「まあ、確かにそうね。今を認識できていればそれで」                                        バゴゴゴゴオオオオオオオォォォォォォオオオオオン

マミ「そういうものなのかしらね…?」

<ドッッジャァァァァァァン!!


278ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/31(月) 00:01:55.50zj+e4fKb0 (2/7)

キリカ「なんだいなんだい?隕石でも降ってきたかな」
                                                                         まだやんのか!>
織莉子「上で戦闘やってた残骸……ただの瓦礫ね」
                                                             さっさとワルプルギスまでの道、開けてもらうよっ!!>
<ちょっとみんな早く降りてきてよ!これどうにかしてくれないかな!?
                                                                一気に畳みかけようみんな!ピオリム!>
ほむら「ちょっとうるさいわよパトリシア」
                                                                   ベホマラー!みんな今のうちだよ!>
マミ「そうよ、静かにしててくれる?」
                                                                    おりゃああああああ!!>
QB「いやだから僕パトリシアじゃないから!」
                                                                  どけどけぇええぇぇぇぇぇぇ!!!>
QB「キュゥべえだって何回も言ってきたよね!?」
                                                                       マヒャデドスッ!!!>
キリカ「全くさぁ、瓦礫程度でワンワン五月蠅いよしろまる」
                                                                              ザラキ>
QB「僕は馬だよ!あっ違うホントは馬でもないんだけど……」

ほむら「なに?まさか瓦礫の下敷きになったわけでもないでしょうに」                                 ドガガガガアアアアアァァァァァァンンン

QB「違うよモンスターも降ってきたんだよ!」
                                                            ギニァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!!!>
織莉子「私たちそれどころじゃないから静かにしてくれる?」
                                                                 これでとどめだああああぁぁぁ!!!>
QB「えぇー……」
                                                                     おりゃあああああああ!!>
ほむら「どうせ死んでるんでしょうに」
                                                                             ザラキ>


279ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/31(月) 00:02:22.52zj+e4fKb0 (3/7)

マミ「はぁ……でも、やっぱり最後くらい一緒に戦いたいわよね」

織莉子「あなたがそれを言ったら……はぁ……」

キリカ「なんだかんださぁ、外は楽しそうなんだよね」

ほむら「どうせ私達ははみ出し者よ……」

一同「はぁ~…………」
                                                                      ブォォォォーーーーォォン>
ほむら「何かしら今の音……」

織莉子「笛の音っぽかったわね……」

キリカ「どうせ私達にはかんけーなっしさ……」

マミ「ワルプルギスともどうせ……」

QB「うおおおおおおおおお!!!みんなしっかり掴まってるんだよ!!」

一同「へ?」

キュゥべえは突然飛び上がり空を駆けた!

中にいる四人を振り回しながら、やがて馬車は城を乗り越えて反対側に着地した


280ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/31(月) 00:03:59.92zj+e4fKb0 (4/7)

QB「僕も本気を出せば空を飛べるんだ……すごいね!」

マミ「もう、一体何事よ……」

ほむら「ぶふっ……ティーがひっくり返ったわ……」

キリカ「し~ろ~ま~る~……よし、刻もう」

織莉子「まさかパトリシアが飛べるなんて、予想してなかったわ……」

さやか「みんな大丈夫?」

マミ「美樹さん!?」

杏子「あっははは!お前ら見事に散らかってんな!」

キリカ「あんこ!?」

ゆま「怪我してない?」

織莉子「ゆまちゃん!?」

まどか「ティヒヒ、結構激しく飛んで来たんだね」

ほむら「まどか!?」


281ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/31(月) 00:04:39.05zj+e4fKb0 (5/7)

さやか「これね、『バロンの角笛』っていって馬車を呼び寄せることができるんだよ」

織莉子「ここは一体どこなの?」

杏子「決まってんだろ?ワルプルギスのいる玉座の前だよ」

マミ「あの丘の上にいるのね……ワルプルギスが…!」

まどか「ここからはみんなの力が必要なんだよ!」

キリカ「ッ!戦えるのかい!?」

ゆま「もっちろん!頑張ろうね!!」

ほむら「まさか……ずっとエンディングまで馬車で沈んでるかと思ってたわ」

さやか「マミさんはいろんな魔法で攻撃を」

さやか「キリカさんはその素早い攻撃で」

さやか「織莉子さんにはサポートを」

さやか「みんなの力を合わせてワルプルギスを倒そう!!」

一同「おおぉぉーーー!!!!」

ほむら「ところでさやか、私は何をすればいいの?」

さやか「ほむらには大役があるよ!」

ほむら「それは一体…?」ワクワク

さやか「みんなが負けそうになったら時の砂で時間を巻き戻してね!よろしくっ!」

ほむら「…………」

ほむら「やってられないわ」


282ウィッチクエストⅣ ~円環に導かれし者達~2012/12/31(月) 00:05:37.59zj+e4fKb0 (6/7)

ワルプルギス「ぐはぁぁぁぁ……

        何者だ お前達は?

        私は ワルプルギスの夜。

        舞台装置の 魔女として 廻っているのみだ」

ワルプルギス「うぐおぉぉぉ……

        私には 何も 思い出せぬ……

        しかし なにを やるべきかは 分かっている」

ワルプルギス「があああ……!

        お前達 魔法少女どもを

        根絶やしにしてくれるわっ!」

さやか「さあ、いくよみんな!」


みんなの勇気が世界を救うと信じて!

                   ご愛読ありがとうございました!


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/31(月) 00:07:59.64zj+e4fKb0 (7/7)

正直なところⅣやったのだいぶ前で、いろいろ調べながら書いたからちょっと変なとこあるかも…
あと左右読み辛くなって申し訳ない
実験的にやってみたけどめちゃくちゃになっちゃった

とりあえずよいお年を


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/31(月) 00:40:22.119bxdAULko (1/1)

乙です!
良いお年をー


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/12/31(月) 01:19:21.37MQEsRuMDO (1/1)




286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/02(水) 18:42:03.28fPvPVabqo (1/1)

ほむほむは8回逃げるんだろ乙


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/12(土) 23:51:00.98GL+6DkI2o (1/1)

一方別世界では仲間同士ボコり合うことで熟練度を上げる魔法少女達が


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/12(土) 23:54:00.13h9oRS5fM0 (1/1)

実はあれ非効率だって知ったら魔女化するだろうな


289鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:03:56.461tPR0XXG0 (1/25)

一月六日 日曜日(晴れ)

 今日から日記を付けることにした。なぜなら、今日は記念すべき
僕達の子供が生まれた日だからだ。病院で待っている時はひやひや
したが、心のどこかでママを信じていたからか、産声を聞いた時は
流石だなんて思ってしまった。ママが仕事を始めてから長い間子供
がいない生活が続いていたから、きっとこれから大変な毎日になる
のだろう。結婚生活を始めたころも大変だったけど、ひょっとした
らそれ以上になるかもしれないのだ。
 なにしろ僕もママも初めてだらけ…。名前とか考えなきゃいけな
いこともたくさんある。実はコレにしようという案はもうあるんだ
けど…。明日から忙しくなるだろうけど、日記を書くのは出来る限
り続けていくつもりだ。できれば、息子が大人になるくらいまで続
けてみたい。日記を付けるのも初めてだし、今日はこれくらいにし
ておこうと思う。


290鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:04:59.471tPR0XXG0 (2/25)

一月七日 月曜日(晴れ)

 今日は一日中忙しかった。まず書かなきゃいけないのは、やっぱ
り息子の名前が決まったことだろう。
 名前は「鹿目タツヤ」だ。
 子供が生まれる前から候補はいくつか考えていて、実際に決める
となるともの凄く悩むと思っていた。でも、実は昨日顔を見た瞬間
この名前しかないという予感がした。不思議なことに、ママもどう
やら同じ名前を思い浮かべていたらしい。
 僕達の新しい家族だ。男の子は母親に似るっていうけど、ママも
父さんたちも揃って僕に似てると言った。言われてみると確かに似
てるのかもしれない。こういうことを言われる日が来るなんて思っ
てもみなかったから、少しむず痒かった。いつか僕もタツヤに行っ
てあげる日が来るのだろうか…かなり先の話だけど。
 今更ながら、家族が増えるというのは想像していたよりずっと嬉
しいものなのかもしれない。ママがミルクをあげてるのを見た時、
僕も頑張ろうと思った。明日が来るのが楽しみで仕方ないなんて思
うのはいつ以来だろうか?いろいろとやることはあるけど、それも
きっと子育ての醍醐味だ。


291鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:06:15.511tPR0XXG0 (3/25)

二月六日 水曜日(くもり)

 早いものでタツヤが生まれてから一カ月が経った。こうして日記
を書くのも毎日の習慣になったから、これからもずっと書いていき
たい。ミルクを作ったり体を洗ってあげたり、まだまだ不慣れなと
ころはあるけど、タツヤは夜泣きをしてもすぐに泣き止むし人前で
も大人しいし、よく言う手のかからない子みたいで助かる。それで
も子育ては初めてのことばかりだから、うまく出来ているのか心配
になる。タツヤは僕が撫でていても全然違う方を見ていたりするか
ら、ひょっとしてまだ親だと認識してもらえてないんじゃないかと
すら思ってしまう。ママが、一生懸命やってくれるならそれで大丈
夫だよと言ってくれるのはとても励みになるし、それだけでなんだ
って乗り越えて行ける気がしてくる。昔を思い出すようでちょっと
だけ懐かしい。
 今日はこの辺にしておく。


292鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:07:40.481tPR0XXG0 (4/25)

二月十五日 金曜日(雪)

 今日はタツヤに初めて雪を見せてやった。タツヤが生まれてから
も何度か降ってはいたけど、なんとなく外に出すのはまだ早い気が
してずっと渋っていた。でもママが、「男の子ならこれくらいへっ
ちゃらだよ」なんてことを言うもんだから思い切って外に連れ出し
たという訳だ。落ちてくる雪を必死に手を伸ばして捕まえようとし
たり、雪に触って冷たさに驚いたり、中々可愛いものがあった。こ
うして初めての経験をこれからもっとたくさんしていくことになる
んだろう。いつか息子と雪合戦が出来る日が来るのだろうか。かま
くらを作って上げられるくらい雪が積もればいいけど。


293鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:08:57.801tPR0XXG0 (5/25)

三月三日 月曜日(雨)

 今日は雨。しかも春の嵐ということで荒れに荒れたから、世間の
女の子を持つ家庭はさぞかし残念なことになっているだろう。うち
にも女の子がいれば少し暗い気分のままお雛様を飾ったりしていた
んだろうけど、うちにいるのはタツヤだけだしね。
 とまあ、こんな感じのことをママに言ったら一発叩かれてしまっ
た。タツヤはこの流れを見てなぜか大笑いしていたけど。
 ママは今日から育児休暇を終えて仕事場に復帰した。本当はもっ
と休めるんだけど、あんまり休んでたら体がなまっちゃうんだそう
だ。ママは、昔からずっとこうだ。いやなことや辛いことがあって
も、それを乗り越えた時の満足感がたまらないみたいで、どんなこ
とにも一生懸命僕とタツヤのために頑張ってくれる。そういうとこ
ろを僕は好きになったのかもしれない。
 さて、タツヤのために僕も五月人形やらを用意しておかないと。
今日も無事一日が終わった。


294鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:10:18.671tPR0XXG0 (6/25)

四月二十四日 木曜日(晴れ)

 ついにタツヤが自分で寝転んだ。ちょっと目を話した隙にいつの
間にかひっくり返っていたのだ。なんて瞬間を見逃してしまったん
だろうと嬉しさと悔しさで悶々としていたら再び寝転んだので、今
度はバッチリ見ることが出来た。本当にただ自分で寝転ぶことが出
来ただけだというのに、こんなにも嬉しいことだとは思わなかった。
タツヤがしっかり成長できているんだと実感できる。
 近所の美樹さんによると、どうやらタツヤは世間的には少し早い
方らしい。その子は半年近く掛かっていたというし、やっぱり人に
よるんだろう。せっかちなのはどっちに似たのやら。


295鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:11:32.321tPR0XXG0 (7/25)

五月五日 月曜日(くもり)

 タツヤのための初めての端午の節句ということで、今日は気合を
入れて朝からせっせと準備した。その甲斐あって、今日はとても楽
しい一日になった。おまけにママも休みだったし父さん達も遊びに
来たからかなり賑やかだった。思い切って正装させてみたけど、な
かなかいい感じだったと思う。「馬子にも衣装」だなんてよくある
言葉だけど、いざ我が子のこととなるとあまり言われたくないもの
だと実感してしまったけど。親バカと言われようと、似合っていた。
間違いない。
 せっかく作った柏餅をタツヤが食べられるようになるのは、一体
いつ頃になることやら…。離乳食離れもまだだし先は長そうだ。
 今日は疲れたからこの辺にしておく。


296鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:12:52.821tPR0XXG0 (8/25)

八月十五日 金曜日(晴れ)

 今日は久しぶりに実家に帰って来た。ついこの間も会ったばかり
だというのに、父さん達はもっと孫の顔を見せに来いとうるさい。
ついこの間離乳食離れ出来たことを報告したら、さらに喜んだ。気
持ちは十分分かるけど、そこから僕の話に移るのはやめてほしかっ
た。
 昔は田舎すぎるなと思っていたここも、こうして年に数回しか帰
って来ないようになると不思議と感慨深く感じる。僕も歳をとって
しまったということなのか。


297鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:13:53.991tPR0XXG0 (9/25)

十月三日 金曜日(晴れ)

 今日はまた記念日になった。
 ついにタツヤが「はいはい」を出来るようになったのだ。初めは
バタバタしているだけだと思っていたけど、そのうちしっかりと自
分の手足で歩き出したのだ。嬉しくて何度もはいはいさせていたら、
僕が呼んでも全然違う方に向かって行っちゃったりもしたけど、こ
れは本当に大きな進歩だ。他の子に比べて寝転びが早かった分なの
か、はいはいし始めるのは少し遅かったけど、ついにやったって感
じがした。思わずカメラで撮りまくってしまった。
 この何気ない日が記念日になるとは思わなかった。これを書いて
いる今、ママはまだ帰ってきていない。タツヤはもう寝ちゃってる
から、昼に撮ったビデオや写真を見せてあげようと思う。久しぶり
に二人で乾杯といきたいところだ。


298鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:15:31.901tPR0XXG0 (10/25)

十一月二十九日 土曜日(晴れ)

 立った!タツヤがつかまり立ち出来るようになった。しかもそこ
から歩き出そうとしたのだ。さすがに一歩目でこけてしまったけど、
つかまり立ちからいきなり歩き出すとは、ママに似てなかなか度胸
がある子なのかもしれない。
 はいはいが遅かったから心配していたけど、最近は随分いろいろ
と歩き回るようになっていたから、立ってみたくなったのだろうか。
それとも、何か気になるものを見つけたのかもしれない。このまま
順調にいけば、年が変わる頃には伝い歩きも出来るようになるだろ
う。手を取って歩かせる練習をした方がいいのだろうか?一度母さ
んにでも聞いてみた方がいいのかもしれない。


299鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:16:42.641tPR0XXG0 (11/25)

一月六日 火曜日(雪)

 タツヤが生まれてから早いものでもう一年が経った。年始で忙し
かったろうに、今日は早めに仕事を切り上げてきてくれたママと三
人で、ちょっとだけ豪華に誕生日パーティと洒落込んでみた。こう
やって三人で食事をするのも、思えば久しぶりかもしれない。たく
さん写真も撮ったから、あとで編集して部屋に飾っておきたい。
 タツヤが話せるようになるのはいつかな、なんて話も出たけど、
そろそろじゃないかなと思ってる。最近「マー」とか「カー」、や
たらママ寄りの言葉らしきものを発しているし。多分僕がママとか
母さんのことを呼ぶことが多いから、それを真似しているのかもし
れない。残念ながら、初めてタツヤに呼ばれるのはママに軍配が上
がりそうだ。
 最後に、誕生日おめでとうタツヤ。これからもタツヤが健康に育っ
てくれるなら、それが何より僕らにとって一番嬉しいことだ。


300鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:18:35.091tPR0XXG0 (12/25)

一月十日 土曜日(雨)

 全くいきなりでびっくりした。朝ご飯を作っていると、突然洗面
所からママの悲鳴が聞こえてきた。何事かと思ったら、なんとタツ
ヤが廊下を一人で歩いてるじゃないか!本当にゆっくりとだけど、
しっかりと一歩ずつ歩いてくれた。途中何度か手を突いて、何度も
駆け寄ろうかと思ったけど、後ろでママがじっと見守っていたから
僕も黙って待っていた。
 どれくらい経ったか、いつの間にかタツヤが僕の足にしがみつい
ていた。
 おめでとうタツヤ。これから君は自分の足で歩いてもっともっと
いろんなものを見て、たくさんのいろんな経験を積んでいくんだろ
う。本当に一人立ちできるまで、僕達が手を添えてあげるから。思
いっきり歩き出してほしい。


301鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:19:46.471tPR0XXG0 (13/25)

二月四日 水曜日(晴れ)

 今までも何度かそれっぽい言葉は発していたけど、今日初めてはっ
きりと「ママ」と言った。しかも続けて「パパ」と来た。もう感動
のあまりビデオを回して何度もせがんでしまった。なんにしてもよ
うやくタツヤが言葉を覚えた。
  タツヤは平均的な他の子より少し成長に遅れが見られるようだ。
こういうことを言われると不安になってくるけど、そういう時こそ
僕達が何とかしなくちゃいけないに違いない。
 それにしても、やっぱりママの方がタツヤに呼ばれる先だったか…。
少し期待していただけにちょっとだけ悔しいかな。


302鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:21:52.661tPR0XXG0 (14/25)

六月七日 日曜日(雨)

 今日もまたタツヤが新しい言葉を覚えた。最近のお気に入りは
「にゅーにゅー」だったけど、今日は「マロン」だ。一体こういう
のはどこで覚えてくるんだろう?テレビかな。
 タツヤは最近よく一人で行動をするようになった。一人で家中歩
き回るし、一人でおもちゃで遊んでいるし。外に出た時はそうでも
ないけど、家の中だと特にその傾向が強い気がする。なんだか僕と
いる時でも全然違うところに向かって話しかけているような、隣に
もう一人誰かいるような…。どうやらママも前からそう感じること
があったらしい。もう少し様子を見てみようと思う。


303鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:22:53.681tPR0XXG0 (15/25)

七月二十二日 木曜日(晴れ)

 今日は興味深い話を聞いた。近所の美樹さんとこの娘さんも、昔
タツヤと同じように、まるで誰もいない方に向かってそこに誰かい
るように話してかけていることがあったそうだ。詳しい話は覚えて
ないらしいけど、所謂「見えないお友達」というやつなのだろうか。
美樹さんの娘さんはすぐに見えなくなったらしいけど、タツヤはど
うなることやら。


304鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:24:31.061tPR0XXG0 (16/25)

十月三日 土曜日(晴れ)

 今まで何度か見えない何かに話しかけてるんじゃないかと思って
いたけど、今日遂に「まどか」という名前をはっきり口に出してい
た。しかも誰もいない方を見ながらだ。タツヤに「まどかって誰?」
と聞いても、まともな答えは返ってこない。まだ1歳なんだから当
然だけど、すごくモヤモヤとする。タツヤの見えないお友達の名前
は、どうやらまどかという名前らしい。聞いたことない名前だし、
本当にそこにいて会話しているのだろう。ひょっとしたら今も僕の
後ろにいたりして…。
 やっぱりママと相談して、今度医者に見せた方がいいのだろうか。


305鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:25:04.561tPR0XXG0 (17/25)

一月六日 水曜日(くもり)

 二歳の誕生日おめでとうタツヤ。
 早いものでタツヤが生まれてからもう二年が経った。なんだか去
年も似たようなことを書いた気がするけど、本当に月日が経つのは
早い。日記も遂に三冊目になった。タツヤが立って歩けるようになっ
たり、喋る様になったり、食べ物の好き嫌いを示すようになったり、
そしてまどかという子と話すようになったり。いい機会だから、タ
ツヤが話してくれたり、描いてくれた絵から分かったその子の特徴
でも書いておこう。
・女の子
・ピンクの派手な服
・髪は二つに縛っている
・優しいらしい
・たまに怒るらしい
・よく遊んでくれる
 こんなところだろうか。
 医者が言うには、こういうのは自然に消えるのを待つしかないそ
うだ。タツヤは絵を書いたりするのは好きみたいだけど、少しだけ
他の子と遊ぶのが得意じゃないらしい。全く苦手という訳でもない
けど、まどかということ遊んでばかりいて友達ができなくなったり
しないか心配している。
 なんて、僕があまりネガティブになっても仕方ないか。これから
もタツヤが元気に育ってくれますように。


306鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:26:10.611tPR0XXG0 (18/25)

九月二十九日 水曜日(くもり)















307鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:27:13.821tPR0XXG0 (19/25)

九月三十日 木曜日(雨)

 昨日は大変だった。おかげで日記を書く暇もなかった。
 朝からタツヤが調子が悪く、体中に赤いプツプツとしたものがあ
り、熱を計ると38度もある。すぐに病院に行って検査してもらった
ら水ぼうそうらしく、昨日はずっとタツヤの看病をしていた。ママ
にも帰って来たばかりだったのに手伝ってもらい、塗り薬を塗って
もらったり解熱剤を入れたりしてもらった。
 さっきもう一度熱を計ると37度。解熱剤が少しずつ効いてるよう
だが、しばらく発疹と高熱が続くらしいから、油断は出来ない。昔
風邪をひいたときは結構泣いたりして大変だったけど、今回はそれ
ほどでもない。流石僕達の息子だ。


308鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:28:45.021tPR0XXG0 (20/25)

十月三日 日曜日(晴れ)

 ようやく発疹と熱が引いた。予定では一週間ほどかかると言われ
ていたのに、随分早く治った。完治とは言えないが、調子は良いみ
たいだ。しかし本当にびっくりだ。昨日はまだ苦しそうだったのに、
一日で見違えるほど良くなった。
 ただ、夜中におかゆを持っていってあげた時、ドアを開ける前に
タツヤが誰かと話してるような声が聞こえた。いつものまどかとい
う子だろうか。ひょっとしたらずっと見守っていてくれたのかもし
れない。もしかしたらずっと大人しかったのもそのおかげだったり
するのだろうか?だったらいつかお礼を言わないといけないな。
 実を言うと、僕はまどかという名前を聞いたことがあるような気
がしている。小さい頃に聞いたことがあるからなのかは覚えてない
けど、少し懐かしいような響きだ。一体どこで聞いたんだろう?


309鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:30:25.381tPR0XXG0 (21/25)

十二月二十四日 金曜日(雪)

 今日はホワイトクリスマスだ。去年は特になかったけど、今年は
遂にプレゼントをねだられてしまった。もっとも、僕達もようやく
サンタになれるんだと思うとちょっとだけ感動した。それにしても
おもちゃや食べ物かと思えば、まさかお絵かきセットとは…。タツ
ヤは絵を描くのが好きみたいだから、将来は画家や漫画家になれる
かもしれない、というのは少し親バカだろうか。それでも周りの子
と比べると、かなりうまい気がする。これも親バカだろうか。
 さて、これを書き終わったら寝てるタツヤの枕元にプレゼントを
置いてこないと。


310鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:31:29.691tPR0XXG0 (22/25)

一月六日 木曜日(晴れ)

 今日はタツヤの三歳の誕生日だ。
 大きな怪我もなく、病気にもどうにか負けず、ここまで無事に育っ
てくれた。最近になって少しずつ近所の子供たちとも打ち解けられ
るようになった。タツヤも三歳になったし、そろそろ幼稚園への入
園を考えないといけないと思うけど、ママは少し心配しているみた
いだ。僕も正直なところ不安はある。打ち解けられるようになった
と入っても、まどかという子は相変わらず一緒にいるみたいだから
だ。外ではタツヤもまどかと話すことはないほとんどないけど、そ
ういうことで何か子供たちに言われたりしないだろうか。
 駄目だな、どうもネガティブな方へと考えてしまう…。うちのタ
ツヤならきっと大丈夫だろうけど、もう少し慎重に考えてからにし
よう。
 誕生日おめでとうタツヤ。


311鹿目知久の日記2013/01/13(日) 21:32:58.111tPR0XXG0 (23/25)

四月二十四日 日曜日(晴れ)

 今日久しぶりに三人で散歩をしていたら、中学生の女の子と出会っ
た。きっかけは、タツヤを河原の公園で遊ばせていたらその子が隣
に座って一緒に遊んでくれようとしたのだ。タツヤが「まどかまどか」
と言ってたけど、その子はあんまり動じていなかった。おもむろに
髪の毛を触ろうとしたから慌てて止めたけど、まどかというのは最
近の子供はみんな知っているものなのだろうか?でも、近所にまど
かという子のことを知っている子はいないし、あの女の子だけだっ
たのだろうか。
 僕がタツヤと遊んでいる間もママとなにやら話し込んでいたけど、
何を話していたのかは聞いても教えてくれなかった。ただ、あの女
の子のリボンがツボにハマったと喜んでいた。
 タツヤのお友達のまどかが、タツヤ以外の子とも友達なのかもし
れないというのは新しい発見だ。いつか見えなくなってしまうのだ
ろうけど、いつまでもまどかのことを覚えてあげてほしいものだ。
少なくとも、僕は忘れることはない。
 今日はこの辺にしておこう。


312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/13(日) 21:36:06.591tPR0XXG0 (24/25)

何?オチが無い?
オチがつくのは知久が日記書くのをやめたときだけさ!

短編集では初の改変後だけどまさか知久視点とはね

こういう話で終わらせようという案はあるけどまだ手は付けてないし、このスレが終わるのはいつになるかな


313VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/13(日) 21:37:42.40iYuHWdkoo (1/1)

ほむらと会うまでか
その後も気になるけどどうなるやら


314VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/13(日) 21:55:47.101tPR0XXG0 (25/25)

そういえば、時々SSWiki更新してるから「この話読み直すか」とか思い立ったら目次もあるし見に来てくれてもいいのよ
初見の人でも分かるあらすじ付き!
http://ss.vip2ch.com/jmp/1338381521

何?特にそういう話が無い?
精進します…


315VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/14(月) 00:35:15.93gpF2TrEjo (1/1)

ずしりとくる雰囲気のある話だった

ただ、短く改行してあるせいでつい縦読みを探してしまう


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/01/14(月) 12:15:43.71LdYiirFSO (1/1)


少なくとも俺は新しいのがきたらいくつか読み返してるし気にしなくていいんじゃね?読み直しでレスはしないだろうし

ただ長編書いてると伏線やら誤字文法のチェックやらのせいで自分自身が一番の読者だっていうのを時々実感する
他人が読み直したくなるような話が書きたい


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/08(金) 23:37:07.68rTuRyC5r0 (1/8)

 少女は雪の中を歩いていた。
 夜は重く、街は瘴気に沈んでいるようだ。
 少女が散歩に出かけたのは、なんとなくだった。
 ただ、目的もなく、当てもない。
 深夜零時。
 その日はとても静かな夜で、雪の積もる音が聞こえるほどだった。
 往く道に人の気配はなく、いつか彼女に助けられた橋の上に差し掛かった。
「―――久しぶりだね、ほむらちゃん」
 そして、彼女に出会った。
「久しぶり。あなたは誰」
 ほむらと呼ばれた少女は、初対面の彼女の顔を見てほんの一瞬だけ驚いて見せ、すぐに微笑んだ。
 白いドレスの彼女は、そこにあるのが自然であるように佇んでいる。
「私は――――マドカだよ」
 マドカと名乗った彼女は、黄金色の瞳で見つめ返し、笑みを浮かべた。

       …



318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/08(金) 23:37:58.49rTuRyC5r0 (2/8)

タイトル入れてなかった…
ごめんなさい仕切り直し


319空っぽの境界2013/02/08(金) 23:38:40.21rTuRyC5r0 (3/8)

 少女は雪の中を歩いていた。
 夜は重く、街は瘴気に沈んでいるようだ。
 少女が散歩に出かけたのは、なんとなくだった。
 ただ、目的もなく、当てもない。
 深夜零時。
 その日はとても静かな夜で、雪の積もる音が聞こえるほどだった。
 往く道に人の気配はなく、いつか彼女に助けられた橋の上に差し掛かった。
「―――久しぶりだね、ほむらちゃん」
 そして、彼女に出会った。
「久しぶり。あなたは誰」
 ほむらと呼ばれた少女は、初対面の彼女の顔を見てほんの一瞬だけ驚いて見せ、すぐに微笑んだ。
 白いドレスの彼女は、そこにあるのが自然であるように佇んでいる。
「私は――――マドカだよ」
 マドカと名乗った彼女は、黄金色の瞳で見つめ返し、笑みを浮かべた。

       …



320空っぽの境界2013/02/08(金) 23:39:37.69rTuRyC5r0 (4/8)

「私は――――マドカだよ」
 色だけは暖かな街灯に照らされながら、彼女は懐かしい微笑みを返す。
 降り積もる雪のように白く薄いドレスを纏い、傘も差していない彼女は、果たして寒さを感じないのだろうか。
「あなたは、どうしてここにいるの」
 どうしてだろうね、と彼女は言う。
 白い羽根のようにふわふわと墜ちる雪を、あるいはただの闇を、彼女はぼう、と見つめている。
 ほむらは単純な好奇心から尋ねた。
「あなたは、誰なの」
「私は私だよ。鹿目まどかでもなく円環の理でもなく、そこにあったはずの空白の中に存在する私」
 ……かつて彼女は言った。

  あなた達の祈りを、絶望で終わらせたりしない。
  あなた達は、誰も呪わない、祟らない。
  因果は全て、私が受け止める。
  だからお願い。
  最後まで、自分を信じて。

 彼女の祈りは、彼女自身の存在を概念と昇華することで叶えられた。―――かつて存在していた鹿目まどかは、世界を覆す願いの果てに、世界を支える現象へと転化したのだ。
 そうして鹿目まどかという存在は、世界から消えた。
「そう。あなたのことは、まどかと、そう呼べばいいのかしら」
「うん。ほむらちゃんが呼んでくれるなら、やっぱりそうしてほしいな」
 かつてここにいた友の名前。
 目の前にいる彼女は、果たしてまどかの容姿をしているが、その人格はまどかのものではない。
 一目見て、ほむらはすぐに気が付いた。
「何年振りかしら、こうしてまどかと話すのは。―――いえ、あなたとはいつも話していたような気がするけど」
「そうかもしれないね。私はどこにもいなくて、どこにでもいるから」
 彼女はあっさりとそう言った。

       …



321空っぽの境界2013/02/08(金) 23:41:16.95rTuRyC5r0 (5/8)

 それから二人は取り留めのない話をした。
 何のことはない、友人や家族のことなどだ。
 しかしほむらの話を聞くほどに、彼女は口を噤んでいった。
 こうして話しているだけで、二人の距離も、感覚も、時間さえもずれていることに気が付いたからだ。
 橋を抜ける風はどこまでも肌を傷め付け、靡く黒髪は闇に溶ける。
 ほむらはまどかの隣、光降る場所に佇み静かに白い息を吐いた。近くで見ると、着ているドレスに負けないくらい白く、あるいは透き通っている肌がそこにあり、淡いリボンで二つに結われた桃色の髪はうっすら燃えるように煌めいている。
「ほむらちゃんは、空っぽについて考えたことはあるかな?」
 唐突に、しかし極自然な流れで、彼女は尋ねた。
「空っぽ……。そこにあったものが無くなってしまった、あるいは初めから何も無かった状態。空っ欠、すっからかん、伽藍洞、空ろ、虚ろ―――零の状態と言えるかしら」
「零の状態、ね。―――確かにその通りだね。何もない零っていうのは、空っぽを形容するのにふさわしいかもしれない。でもほむらちゃん、本当にそうかな。
 だって、私は空っぽについて考えてと言われた時は、同時に外側の器もイメージするから。たとえどんなに薄くて、脆くても、外側が残ってれば、その中身が無くなったとしても、本当に空っぽになったと言えるのかな。外側には、何の価値もないのかな」
 それは場合によるわ、とほむらは言う。
 例えば瓶に入れられた水があったとして、その水を飲んで無くしてしまえば、もう飲むことは出来なくなる。その時になれば、もはや瓶に価値などない。
「そうだね。じゃあ、魂をソウルジェムに移された魔法少女の場合だったら、どうかな。魔法少女は、空っぽになっちゃったのかな?」
 ほむらは答えに窮する。
 人は魂の在り処にこだわる生き物だ。
 元々その存在を知覚出来ず、不確定な概念でしかないものであるにも拘らず、人は自らの魂を燃やし、震わせ、刻む。
 魂がその身から離されたというのなら、元々魂とはどこにあったというのだろう。
「人の体は魂と精神、それに肉体の三つで構成されるっていうけど、実は全部繋がってるものだと思うの。思考して、判断して、行動をする。あるいはその逆。健全なる精神は健全なる肉体に宿る―――肉体なくして精神は成り立たないし、精神なくしても肉体は成り立たない。魂はその二つを包むもの……その人のカラ。魂は生命の源で、心や人格、気持ちを司るものだと思う。気持ちがあるから考えるし、人格の現れる行動になる。
 ただ脳内で思考して動くだけなら、それはロボットと同じだよ」
 ほむらに思い当たる節はある。
 ソウルジェムが生命活動の一部を担う器官になっていたり、円環の理に導かれた魔法少女の体が消えてしまったりするのは、魂と肉体が繋がっているからなのだろうか。
「それだと、魔法少女に残っているのは肉体と精神だけね。それとも、魂も繋がっているから三つ揃っている、と言えるのかしら」 
「そう。全てが繋がっていると考えたら、その子自身は全く空っぽでもなんでもない。魂という外側が無くなっちゃえば、中身は溢れるしかなくなるもんね。それなのに、魔法少女になった子は、まるで自分が何にもなくなっちゃったみたいに感じてしまう子が多いの。
 これって変だと思わない? その子は本当に空っぽになってはいなくて、精神も肉体もちゃんと残ってるはずなのに。
 本当の空っぽっていうのは、あったはずの中身や周りにあるはずの外側……精神も肉体も、魂も、完全に何も無くなった時に初めて言えるんだよ」
 彼女からは、悲しそうだとか寂しそうだという表情は一切読み取れない。
 そこに本当に存在しているのか、こうして話しているほむらですら不鮮明だ。
 彼女の頭の上には全く雪が積もっていなかった。
「奥が深いわね、空っぽ。あるかないかの二極化と思っていたわ」
「それもまた一つの答えかもしれないよ。少なくとも、私は、魔法少女達が空っぽだと思ってる状態は―――その境界はあなた達が思ってるほど脆くないんだよって、伝えてあげたいの」
「……それが、あなたの願いなの?」
「違うよほむらちゃん。―――私がその願いの結果なの。あなた達は空っぽじゃないんだよって鹿目まどかが願ったから、今の私がここにあるんだよ」

       …



322空っぽの境界2013/02/08(金) 23:43:02.33rTuRyC5r0 (6/8)

 ほむらは空っぽについてもう一度考えた。
 魂を失っても魔法少女は、なお空っぽではない。
 なぜなら、精神も肉体もそこに残っているから。
 しかし―――ほむらは鹿目まどかについては、やはり当て嵌まりはしないだろうと思う。
 彼女の肉体は消失してしまっており、魂や精神すらもはや残っているはずがないだろうからだ。彼女の言うところの空っぽに、彼女は既になっているのだ。
 ならば、本当に零になってしまった目の前にいる彼女は、一体何者だと言えるのか。
「私はマドカだよ。―――鹿目まどかが概念になって消えた魂の後に残った存在に在ったもの。鹿目まどかの存在そのもの。本質――――って、誰かが言ってたかな。
 鹿目まどかの魂も精神も肉体も、全てこの世の理から外れてしまった……。けれど、唯一この世界に残っていたのは、彼女が居たという"存在〟だった。あなたがいたから、彼女の存在というカラは消えることなくこの世に留まり、その結果私が生まれたの。鹿目まどかが本物の空っぽになるのは、ほむらちゃんというカラが無くなった時だよ」
 それは違う、とほむらは思う。
 ほむらはほむらであり、まどかはまどかだ。
 他人の存在がその人の外側になることなど有る筈がない。
 まどかの最後のカラは、きっとほむらが身に付けている赤いリボンに他ならないのだろう。
 それこそが鹿目まどかが存在していたという、唯一の証なのだから。
 しかし、ほむらはそれを口にしなかった。
「ほむらちゃんが、私の最後の外側なんだよ」
 彼女は懐かしい笑みを浮かべた。
「――――私が、あなたの境界なのね」

       …



323空っぽの境界2013/02/08(金) 23:44:37.19rTuRyC5r0 (7/8)

       ◇

 それから――
 ほむらは彼女に手を振って、一人で橋を渡った。
「さようなら、まどか」
 彼女はほむらに手を振らず、そこに立っていた。
「さようなら、ほむらちゃん」
 ほむらはもう一度、彼女に手を振った。
 振り向いた時、そこには誰も存在していなかった。


 少女は白い雪の中を歩いていた。
 あの日―――まどかに助けられた日は、規則的な模様を描く地面ばかり見ていた。
 今は前を見るしかない。
 夜道は危険なのだから。
 少女は、ただ歩くことに必死で、どこまでも黒く濁り切った世界を、しかしその足取りを緩めることなく進む。
 その日はとても静かな夜で――
 いつまでも少女達の声が響いているようだった。






324VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/08(金) 23:48:13.96rTuRyC5r0 (8/8)

タイトル通り空の境界のパロというかなんというか
なんかこれでこのスレ終わっていいんじゃないかって気もしたけどまだだ、まだ終わらんよ

元々は安価で1レス選手権のほうで書いたお題だったけど、なんかもったいなかったので自分なりに進化させてみた
自分の中では魔法少女と空っぽ(虚ろ)の関係がかなり深くなってるのでそれとなく伝わればそれ幸い


325VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/09(土) 19:09:25.97kdLxK3Xzo (1/1)

乙であります


326VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/02/19(火) 01:51:24.64+ff1iNm9o (1/1)




327杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:28:50.64ArINCOrK0 (1/18)

杏子「ヘックシュ!」

ほむら「ッ!」

杏子「んあー、悪い、ティッシュ貰うぞ」ズズッ

ほむら「杏子……あなた、今何をしたの?」

杏子「うん? なにってくしゃみしただけだけど」チーン

ほむら「そ、そうよね……気のせいかしら」

杏子「なんなんだよ?」

ほむら「いえ、なんでもないわ。風邪でも引いたの?」

杏子「熱はないんだけど最近やたらくしゃみが出るんだよ……鼻も詰まるし痒いし、あと目も痒くてさ」

ほむら「それって花粉症じゃないの?」

杏子「なに!? 魔法少女って花粉症になるのか!?」

ほむら「それは知らないけど、この季節に鼻詰まりや目の痒みが出てくるってことはそういうことなんじゃない?」

杏子「なんてこった、保険効くかな……」

ほむら「あなた持ってたの!?」


328杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:29:19.41ArINCOrK0 (2/18)

杏子「めんどくせえなあ」

ほむら「薬とか市販のやつ買えばいいじゃない」

杏子「薬局はよく行くぞ。食いもんをぬす」

ほむら「セッ!」

杏子「目がッ!」

ほむら「で、食べ物をどうするって?」

杏子「ブェックシ!」

ほむら「ッ!」

杏子「うぅ辛い……ズズー……あ、買います、はい」

ほむら「あなたやっぱりなにかしたでしょう!」

杏子「はぁ? だから、くしゃみしかしてないだろ」ズビッ

ほむら「じゃあ誰の仕業だって言うのよ!」

杏子「うん? ……お前、なんか変わったか?」

ほむら「ギクッ」


329杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:30:17.82ArINCOrK0 (3/18)

杏子「なんだろう、なんか違和感がエッキシ!」

ほむら「ひっ!」

杏子「ティッシュティッシュ……」チーン

ほむら「これは一体どういうことなの……」

杏子「ふぅ……で、なにが……」

ほむら「……」タユン

ゴゴゴゴゴゴゴ

杏子「……」

ほむら「えっと」

杏子「分かった!!」

ほむら「!?」ビクッ

杏子「時間停止使ったな!」

ほむら「…………えっ?」

杏子「そんでその隙に詰め物をせっせこ詰めたんだろ! しかも少しずつ大きくすることで……ア……アナ体験? とかさせるつもりだったんだな!」

ほむら「違うわよ!」ユッサ

杏子「うわっ! 揺れてる! 一生拝めない映像見ちまった!!」

ほむら「ちょっとそこに直りなさい」


330杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:31:08.68ArINCOrK0 (4/18)

杏子「なるほど、確かに詰め物じゃないみたいだな」ボロッ

ほむら「証明のためとはいえ見せるのは流石に恥ずかしいわね……」

杏子「つーかお前ブラしてたんだな……軽くカルチャーShockだ」

ほむら「ここと隣町にどんな文化の違いがあるっていうのよ」

杏子「クシュン」

ほむら「ひゃっ!」

杏子「うへぇ辛い……」チーン

ほむら「ほら! やっぱりあなたのくしゃみのせいよ!」

杏子「はぁ? そんなことありえんのかよ」

ほむら「私だって信じられないわよ……でも確かに! 私のおっぱいが成長してるの!!」

杏子「フゥ……ほむら、お前疲れてるんだよ」

ほむら「夢だったらどんなに……あ、いえ、これはこれでいいのかもしれないけど」

杏子「それはどうでもいい」


331杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:32:30.02ArINCOrK0 (5/18)

ほむら「ところでさっきから言うべきか言わないべきか迷ってたんだけど……」

杏子「……?」

ほむら「急激におっぱいが成長したせいでさっきから胸が苦しいのよ……吐きそう」ウップ

杏子「なっなにいィィィィィィィ!? 今ここでか!?」

ほむら「さすがに伸縮性に定評のあるスポーティな奴でももう限界みたいね……とにかく一旦着替えるから向こうに」

杏子「クチュン」

ほむら「……ウェップ」

杏子「うわあやめろ馬鹿! こっちくんな!」

ほむら「いいから早く出て行きなさい……部屋を昼間に食べたラーメンまみれにしたくないのは私もなのよ」


332杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:33:30.44ArINCOrK0 (6/18)

ほむら「……」モゾモゾ

ほむら(生で見ると半端ないわね……これが本物のおっぱいというやつなのね)タプタプ

ほむら(多分1くしゃみで1カップくらい大きくなってる気がするから、今はきっとFかGね)

ほむら「……フンッ!」ユッサ

ほむら「ぬぅ~~~~ッ!!!」ゴロゴロ

ほむら(イタッ! 信じられないくらい揺れたわ……! 軽い凶器じゃないの!!)

ほむら(巴さんはいつもこんなものをぶら下げて生活して……)

ほむら「ッ!?」バッ

杏子「……」ニヤニヤ

ほむら「普通! 巨乳を手に入れたらまずそれを揺らすのは普通の行為故!!」

杏子「ウンウン、ソウダネ」

ほむら「誰のせいでこうなったと思ってるのよ!」

杏子「ハ」

ほむら「ッ!」ビクッ

杏子「なんてね」

ほむら「……」


333杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:34:29.71ArINCOrK0 (7/18)

杏子「で、どうすりゃそれ治るんだ」ボロッ

ほむら「こっちが聞きたいわよ」

杏子「フェッキュショイ!」

ほむら「っ!」

杏子「んあー……鼻が止まらん」チーン

ほむら「ついにここまで大きくなってしまったわね」タユン

杏子「うわー、流石にキモイな。似合わな過ぎだろ」

ほむら「キモイとか言わないで……軽くへこむから」

杏子「まあおっぱいはへこんでないわけだが」

ほむら「黙らっしゃい」

杏子「マミは一体何を思ってこんなもんぶら下げてんだろうな」

ほむら「……」

杏子「どうした?」

ほむら「見せびらかしたい」キッ

杏子「……は?」


334杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:35:31.57ArINCOrK0 (8/18)

ほむら「この大きさなら間違いなく巴さんに勝てる! 今こそ勝機と見た!!」

杏子「なんの勝負してんだよ」

ほむら「ことあるごとにおっぱいでセックシュアピールしてくる巴さんに勝ちたいと思わないの!?」

杏子「いやだからなんの勝負なんだよ」

ほむら「早速出かけるわよ杏子!」

杏子「エェーめんどくせーよー」

ほむら「あとで甘いの三個あげるから」

杏子「フム、それであたしが釣れると思ってるならだいぶ舐められたもんだな……まあ行ってやるけどさ」

ほむら「さあ、行くわよ」

ガチャッ

杏子「ヌエックシュ」

ほむら「ひぃっ! あんまり大きくさせないで頂戴! 丁度いい大きさのブラが無いからいろんな布をさらしっぽく巻いてるだけなのよ!」

ほむら「おかげで擦れていろいろと痛いんだから!」

杏子「いやだって、外は花粉が……クチュッ!」

ほむら「分かった分かったから! マスクと薬買ってくるから!!」


335杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:36:46.71ArINCOrK0 (9/18)

三十分後

ほむら「……」ドヨーン

杏子「おう、おかえり」

ほむら「これ……マスクとそれっぽい薬……」

杏子「元気ないな。出掛ける前の威勢はどこいった」

ほむら「分かってるでしょ! 買い物中に遠慮なくくしゃみしてんじゃないわよ!! 少しは気を使いなさい!!」

杏子「まあ、なんとなく分かってたけど、またでかくなってるな……まさかの羞恥プレイか?」

ほむら「さらしに使ってた布が破れたから、時間止めてお金だけ置いて出てきたわ」

杏子「ズッケー!」

ほむら「さあ、今度こそ巴さん家に行くわよ!」

杏子「マミを呼べば買いに行かなくて済んだのにな」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ほむら「……何で言わなかったのよ」

杏子「言う前に出て行っちゃったからまあいっかと思ってさ。んじゃあマミんとこ行くか」


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/02(土) 13:36:55.59RlpLYDICo (1/1)

アナ体験(意味深)


337杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:37:53.75ArINCOrK0 (10/18)

三十分後

マミ「お邪魔しまーす。珍しいわね、暁美さんが誘ってくれるだなんて」ガラッ

杏子「……」ボロッ

ほむら「……」ボロッ

マミ「……お邪魔しました」

ほむら「待っていかないで!」

マミ「何か……うん、まあ、あったんでしょうけど……それより暁美さん」

ほむら「なにかしら」タユン

マミ「……大丈夫、生きてればきっといいことあるから」ブワッ

ほむら「えっ何その反応!? 違うわよよく見て!」ガバッ

マミ「いいの! 無理して見せてくれなくても!! その気持ちはちゃんと分かってるから!」プイッ

ほむら「いいからこっちを見なさいよ!」

マミ「見た見た! 超見たから大丈夫よ!」プイッ

ほむら「違アアアアアう! 本物なんだってば!」

マミ「そうよね! どう見ても本物っぽかったわね!」プイッ

ほむら「ぽくない! 本物ッ!!」


338杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:39:18.33ArINCOrK0 (11/18)

杏子「ヘックシュ!」

ほむら「やっ! ほらまた大きくなったわ」

マミ「じゃっじゃあ私そろそろ帰るからこの辺で……」

ほむら「いいからこっちをミロ」クイッ

マミ「いやあの、私そういう趣味は」

ほむら「趣味とかじゃないから! こちとらもう羞恥心とかとっくにどこかに蒸発してるのよ!」

マミ「……」ジッ

ほむら「これで分かったでしょ? 本物だってことが」

杏子「なんかさ、あたしがくしゃみしたらでかくなるんだってさ」

マミ「……」

ほむら「信じられないでしょうね。でも事実よ」

マミ「……」スッ

ほむら「三本。ちゃんと指見えてるから、正常だから」

マミ「……」ピトッ

ほむら「熱なんかないから」

マミ「……」チラッ

ほむら「暖かくなってきたけどまだ4月1日じゃないから」


339杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:40:58.43ArINCOrK0 (12/18)

マミ「えっと…………説明を求めます」

ほむら「杏子がくしゃみをした」

杏子「ほむらのおっぱいがでかくなった」

ほむ杏「ドゥーユーアンダースターン?」

マミ「1ミリも分からないことだけ分かったわ」

ほむら「私達だって訳が分からないのよ。でも、事実なの」

杏子「あたしがどうやら花粉症っぽくてさ。くしゃみする度にうぎゃっとかメコリッとか叫ぶんだよ」

ほむら「言ってない言ってない」

マミ「それで、どうして私を呼んだの?」

ほむら「いや、なんだか見せびらかしたくなって」

マミ「あぁそうなの……」

ほむら「正直ここまで大きくなるとは思ってなかったわ……さっきからくしゃみをされっぱなしなせいで、育ちまくってるのよ」

杏子「ギネス級だな。キモイ」

ほむら「率直な感想を淡々と述べないで」


340杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:42:25.19ArINCOrK0 (13/18)

マミ「確かにあんまり大きくなりすぎても不便よね」

ほむら「普段からおっぱいをぶら下げている巴さん、何か解決策はないですか?」

杏子「そうだよ、普段からおっぱいをぶら下げてるマミならなんかいいアイディア思いつくんじゃないのか?」

マミ「何かしらそのトゲのある言い方……とりあえず、そのままだと確実に垂れるわね!」キリッ

ほむら「ヒィッ! おばあちゃんみたいなのは嫌です!」

マミ「ブラジャーを買ってきましょう! 特注サイズのやつを!」

ほむら「でもそれって根本的な解決にならないんじゃ……?」

マミ「甘いわね! まずは目先のことを考えて対処していかないと本当に取り返しがつかなくなるわ!! どうやって戻すかはその後!」

杏子「クッション!」

ほむら「うっ……また大きくなった……」

マミ「恐ろしいわね……どこまで育つのかしら」ゴクリ

杏子「もはや人間のものじゃねえな。化け物おっぱいだ」

ほむら「人事だと思って……大体あなたのせいなんだから」

杏子「くしゃみしただけだろ! あたし関係なくないか!?」

ほむら「そのくしゃみに何か秘密があるのは間違いないわ!」

杏子「エッキシ!」

ほむら「ひっ……」

杏子「ズズ……なんかもうおっぱいが本体みたいだな」


341杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:44:08.61ArINCOrK0 (14/18)

ほむら「……フゥ」

杏子「どうした?」

ほむら「正直体が重いわ」

マミ「まあ、胸だけで体重以上ありそうだものね」

ほむら「ハァ……なんか、最初の方はいいかなって思ってたけど、正直邪魔ね、コレ」

杏子「今更かよ」

ほむら「最初はアレよ? 普段から見せつけてくる巴さんに勝てると思ってちょっと喜んでたのよ」

マミ「何の勝負?」

ほむら「でもね、気付いたの……コレいらないわ。生きていく上で全く必要ないもの」

ほむら「無駄に大きくても重いし気持ち悪いし周りの人に変な目で見られるし、いいことなんて何にもない」

ほむら「おっぱいは大きすぎてはいけない……むしろ無い方が体も軽くてなんでもできる……!」

ほむら「そう、貧乳こそ至高なのだと……!!」

マミ「なるほど、いわゆる芥川理論ね…!」

杏子「エッ?」


342杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:45:14.87ArINCOrK0 (15/18)

マミ「芥川先生の『鼻』という話を知ってるカシラ? 鼻の大きなお坊さんがいて、どうにか小さくしようとしていたの」

マミ「ある日とうとう小さくなったのはいいんだけど、鼻が無いせいで落ち着かなくなって弟子にも笑われて、結局元の方が良かったんだと気付いたってお話し」

マミ「それを芥川理論というのよ……!」

杏子「嘘吐け! 聞いた事ねえよ!!」

ほむら「もう私おっぱいが欲しいなんて望まないわ! だから早く誰か元に戻して!!」

杏子「それが出来たらとっくにやってるっつーの!」

ほむら「うぅっ……一生このまま大きくなり続けて、いつしか地球よりも……」グスッ

杏子「いやいや、そうなったら斬るわ」

ほむら「物騒なこと言わないで!」

杏子「なんか、なんもしてないのに疲れた……」

マミ「そういえば、いつの間にか暗くなってるわね。そろそろお腹が空く頃かしら」

杏子「ふぁ~……それより一眠りしたい気分だ」

ほむら「あれ?」

マミ「あら?」

杏子「ん?」コスコス


343杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:46:31.55ArINCOrK0 (16/18)

ほむら「縮んだ……なんか一瞬で元のサイズに縮んでるわ!」

マミ「いつの間に!?」

杏子「全然気付かなかったぞ!?」

ほむら「ありがとう神様! 私の願いが届いたのね! 私これからも貧乳キャラとして生きていくわ!!」

マミ「なんだったのかしら一体……」

杏子「ファックショ!」

ほむら「えっ」

杏子「つれー……どうした?」

ほむら「やっぱり大きくなったわ……1カップだけど」

マミ「じゃあやっぱり佐倉さんのくしゃみのせい?」

杏子「知らねーっての……ふぁ~」

ほむら「あ、戻った」

マミ「……まさか」

杏子「ん?」

マミ「佐倉さんが欠伸をしたら元のサイズに戻るんじゃないの……?」

杏子「マジか……どっかの大魔王かよ」


344杏子がくしゃみする度にほむらのバストが成長する話2013/03/02(土) 13:47:22.55ArINCOrK0 (17/18)

ほむら「そういえばさっきも欠伸してたわね」

杏子「まあなんだ、解決法が見つかって良かったじゃねえか!」

ほむら「それもそうね」

マミ「それじゃあなんとかなったところで、せっかくだからこのまま晩御飯にしちゃいましょうか」

ほむ杏「ご馳走様です」

マミ「手伝うつもりはないみたいね……何かしましょうよ、何か」

杏子「ところでさー」

ほむら「何かしら?」

杏子「一体いつまでそのまんまなんだろうな?」

ほむら「……」

杏子「……」

ほむら「ねえ、四回くらいくしゃみしたらもう一生くしゃみと欠伸しないでくれる?」

杏子「まずアンタがやれ」

マミ「芥川理論はどこに行ったのかしらね……」

結局三日間続いたらしい

原因は不明だとか





345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/02(土) 13:47:59.25ArINCOrK0 (18/18)

何でこんな話思いついたのか覚えてない


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/02(土) 14:11:39.174jbfQYQAO (1/1)


今晩うなされそう
アナ体験


347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/03/02(土) 14:41:31.10tgbgXTDAo (1/1)

これはキュゥべえの純愛なんやな


348Pugella Magi2013/04/04(木) 10:49:16.35wbXx4RT20 (1/44)

ほむら「何度繰り返してもまどかを救えない……メモでも取りながら目的をはっきりさせたいわね」

ほむら「まどかを救うのがまず一番の目的」カキカキ

ほむら「みきさやか……彼女はよく魔女になるし救っておいた方がいいわね」カキカキ

ほむら「ともえさんは味方になってくれるのかしら……いつかみたいに殺されかけたらたまらないけど、救えるに越したことはないわ」カキカキ

ほむら「きょうこ……彼女はきっと協力してくれるから、救う必要があるわね」カキカキ

ほむら「無理だと分かっていても、できることなら全員救いたい……私がやらなければならないことは……」カキカキ

まどか
みきさやか
ともえさん
きょうこ
すくう!

ほむら「…………」







ほむら「!?」ビクッ


349Pugella Magi2013/04/04(木) 10:50:48.54wbXx4RT20 (2/44)

ニコ(イベントの地味な嫌がらせを考えよう……)

ニコ(豆まきの豆を納豆にする)

ニコ「…………」

ニコ「ククク」

かずみ「なに笑ってるのー?」


350Pugella Magi2013/04/04(木) 10:52:19.21wbXx4RT20 (3/44)

マミ「まずみかんの皮を手に入れるでしょ」

マミ「それを水と一緒に煮てしばらくしたら取り出すの」

マミ「これでみかん洗剤の完成よ!」

ほむら「なるほど、これで台所回りの汚れが取れるんですね」

マミ「ソウルジェムの濁りが綺麗になるの」

ほむら「え?」

マミ「え?」

QB「え?」


351Pugella Magi2013/04/04(木) 10:53:16.10wbXx4RT20 (4/44)

さやか「…………」


まどか「ねえねえ、今日のさやかちゃん大人しすぎない?」

仁美「表情に陰が濃くなったというか、物憂げというか」

ほむら「いつもの活発さが全くないわね」

まどか「ん?」


男子1「おい、今日の美樹どうしたんだ?」

男子2「いつもはうるさいくらいなのにやたら静かだ」

男子3「クール系にイメチェンか…!?」

中沢「今更な気もするが……だが正直どう思う?」

男子1「黙ってればアリだ」

男子2「なんか抱え込んでそうな女子ってのはアリだ」

男子3「ショートヘアからの明るいイメージと反するクールさ……ギャップがたまらん」


まどか「さやかちゃんがモテモテに…!?」

仁美「ほむらさんの真似でしょうか?」

ほむら「やめて」



さやか(あぁもう虫歯痛い……最近炬燵でアイス食べるのがマイブームだったもんなぁ……)

さやか(こんなとんでもないおまけが付いてくるとは……)


352Pugella Magi2013/04/04(木) 10:53:51.10wbXx4RT20 (5/44)

海香(ブラックサンダーおいしいわ……)

海香「…………」

海香(ブラックって人がいたら、「あ、ブラックさんだー!」って呼んでるようなものだし、ブラックさんにとっては迷惑な話ね)

海香「…………」

海香(逆に言えば「○○さんだー」って言う時は「○○サンダー」って言ってるのと一緒よね)

海香「…………」

海香(「御崎サンダー」、「マミサンダー」、「奥サンダー」、「太陽サンサンサンダー」)

海香(「私の考えた話が絶サンダー」、「良い編集に出会えなくって非サンダー」、「私が舐めたのは辛サンダー」)

海香「…………」

海香(良いからネタ考えろよ私……!)

かずみ「あっ、海香にまた角が生えてる」

カオル「こりゃ雷が落ちるな」


353Pugella Magi2013/04/04(木) 10:54:20.41wbXx4RT20 (6/44)

さやか「こんなコネクトは繋がれない」


さやか「目覚めたトーコロはー走りー出したー」

まどか(ジョージ!)


354Pugella Magi2013/04/04(木) 10:54:55.07wbXx4RT20 (7/44)

さやか「こんなMagiaはボスっぽくない」


さやか「子供ーの頃 ゆーめに見てた いにしーえーの魔法のように」

さやか「闇さーえー 砕くー 力で」

さやか「ホモエームー 君にー 会いたい」

まどか(ホモM!)


355Pugella Magi2013/04/04(木) 10:55:39.90wbXx4RT20 (8/44)

織莉子「どうぞキリカ、お茶よ」

キリカ「ありがとう織莉子!」ゴク

キリカ「ブーッ!」

織莉子「どうしたの!?」

キリカ「ぺっぺっ!これ本当に砂糖とジャム三杯入れてくれたの!?なんだかすっごくしょっぱいんだけど!」

織莉子「あら!私ったらうっかり」

キリカ「ふふっ、織莉子でも砂糖と塩を間違えることがあるんだ」

織莉子「砂糖と間違えて納豆を入れてしまったみたい」

キリカ「それ間違えるかなぁ!?」


356Pugella Magi2013/04/04(木) 10:56:51.80wbXx4RT20 (9/44)

さやか「歴戦の戦士ってみんな膝に矢を受けたことがあるんだって~」

まどか「へぇ~そうなんだ」

――――
――


まどか「……」グググッ

まどか(これで私も歴戦の戦士――ううん、魔法少女に…!)

ほむら「なにしてるの?」

まどか「ひゃっ!」チュイン

ほむら「なんで矢を自分の足に向けてたの?」

まどか(あぁ、どっか飛んでっちゃった……)

まどか「えっと、その、蚊が止まってたっていうか」

ほむら「ダイナミックすぎるわよ!」


マミ「うっ…うぐっ……」ガクッ

さやか「大変だー!マミさんが刺客に膝をやられたー!」


357Pugella Magi2013/04/04(木) 10:58:37.14wbXx4RT20 (10/44)

ほむら「鹿目まどか、あなたは自分の人生が尊いと思う?家族や友達を大切にしてる?」

まどか「うん、大切だよ。家族も友達のみんなも、大好きで、とっても大事な人達だよ」

ほむら「本当に?」

まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」

ほむら「もしそれがほんとうなら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

ほむら「さもなければ、全てを失うことになる」

まどか(今とは違う自分に……?でもそんなこと不可能だよね)

まどか(私達の体は日々成長を続け細胞は生まれ変わり常に新しい情報を取り入れてるし、考え方だって出来ごとによって簡単に変わっちゃうし)

まどか(私が意識してなくてもいつの間にか違う自分になってるのが人間だし……)

まどか(違う自分になろうと思うなって言われてもそんなの無理なことは分かってるはずなのに、なんでそんなことを……)

まどか(も、もしかして、私に……私に死んでほしいって思ってるんじゃ…!?)

まどか「ほむらちゃん酷い!そんなのあんまりだよ!!絶対にほむらちゃんの言う通りになんかならないんだからね!!」

ほむら「ええっ!?そんなレベルで否定するの!?」


358VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/04(木) 11:00:45.40wbXx4RT20 (11/44)

ただの1レスネタ集
近いうちに同じ感じで更新予定
安価で1レスで書いたネタとか引っ張ってますごめんなさい


359VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2013/04/04(木) 17:00:09.35WZQGej7SO (1/1)




360Pugella Magi2013/04/04(木) 20:47:40.84wbXx4RT20 (12/44)

さやか「マミさん、魔法少女やってて良かったことって何かあります?」

マミ「よかったこと?そうね――」

マミ(えっと、なにを伝えればいいかしら……)

マミ(魔法を使って化け物みたいな魔女を倒す……大変なことばっかりだったわ)

マミ「……ほ……………もの……………おす………………」ブツブツ

マミ(魔法でどかーんと敵を倒すばかりで……でも願いのおかげで生きていられるわけだし)

マミ「ま………ん………………………………がい…………」ブツブツ

マミ(命がけで危険な目にもあうし、大変なことばっかりだけど……街の人達を助けることができたわけだし)

マミ「い…け……め………………ん…………………………」ブツブツ

マミ「たくさんの人を助けられて良かったわ」

さやか(ホモの雄、マン、GUY、イケメン……を、助けられてよかった……?)

さやか(男ばっかり…!?)


361Pugella Magi2013/04/04(木) 20:48:29.49wbXx4RT20 (13/44)

二人で登山に来ました

キリカ「織莉子、あの木何て名前だろう?」

織莉子「桐か!」

キリカ「あれ、なんか工具が落ちてる」

織莉子「錐か!」

キリカ「なんか急に靄が出てきたよ!」

織莉子「霧か!」

キリカ「うわぁ落ちるぅー!」

織莉子「キリカァーーー!!!」


362Pugella Magi2013/04/04(木) 20:50:09.57wbXx4RT20 (14/44)

杏子「…………」タタン スタッ タタタッ

ほむら(流石杏子、カンペキな足捌きね)

さやか「だったらこっちはランペキだ!」

ほむら「!?」

仁美「うふふふ」

さやか「どうだ!」

ほむら「…………」


藍碧(らんぺき)―――青に近い緑、青緑


363Pugella Magi2013/04/04(木) 20:51:26.25wbXx4RT20 (15/44)

ニコ(イベントの地味な嫌がらせを考えよう……)

ニコ(クリスマスのツリーを巨大キノコで作る)

ニコ「…………」

ニコ「ククク」

カオル「思い出し笑いか?」


364Pugella Magi2013/04/04(木) 20:52:05.69wbXx4RT20 (16/44)

マミ「無理してカッコつけてるだけで、怖くても辛くても、誰にも相談できないし、一人ぼっちで泣いてばかり」

マミ「いいものじゃないわよ。魔法少女なんて」

まどか「マミさんはもう一人ぼっちなんかじゃないです」

マミ「……そうね。そうなんだよね……本当に、これから私と一緒に戦ってくれるの?傍にいてくれるの?」

まどか(そばにいて…?でもそれって不可能だよね)

まどか(お互いの都合もあるからいつでも一緒に魔女退治が出来るなんてあるはずないし、そばにいるってことは動きづらくなって魔女に狙われやすくもなるし)

まどか(マミさんだってそんなこと分かってるはずなのになんでそんなことを……)

まどか(もしかして、『そば』っていうのは『蕎麦』の方で、『にいて』は『煮て』って言ったとか!?)

まどか(だとしたら蕎麦がでろんでろんに伸びちゃうよ!!)

まどか「マミさん酷い!食べ物を粗末にしちゃダメなんですよ!!」

マミ「何の話!?」


365Pugella Magi2013/04/04(木) 20:53:16.07wbXx4RT20 (17/44)

杏子「あんた、卵産む前の鶏シメてどうすんのさ」

さやか「じゃあ逆に卵産む前の鶏を開いたら!?」

杏子「開く……!?」

さやか「こう、お腹からかっ捌いて」

杏子「怖い想像すんなよ」

さやか「!?」

杏子「食物連鎖って知ってる?学校で習ったよねぇ……弱い人間を魔女が食う、その魔女をあたしたちが食う」

さやか「じゃあ逆に人間に魔女が食べられたら!?」

杏子「人間に……!?」

さやか「こう、お腹からかっ捌いて」

杏子「だから怖い想像すんなよ!」


366Pugella Magi2013/04/04(木) 20:54:08.29wbXx4RT20 (18/44)

杏子(なんかあたしが「食うかい」って言ってるせいでネタみたいに思われてんだよなあ)

杏子(そんなつもりないっての!こうなったら別の言い方考えた方がいいかもな)

杏子(「食べるかい」……あたしっぽくねーかな)

杏子(「食えよ」……んー、ちょっと命令っぽいな)

杏子(「食べろよ」……普通すぎるか)

杏子(一体どうしたらいいもんか……食えよ……食べろよ……食べ……食え……)

ゆま「ねえキョーコ、お腹空いた」

杏子「たえよ!」

ゆま(耐えよ!?)

ゆま(断食!?)


367Pugella Magi2013/04/04(木) 20:56:31.14wbXx4RT20 (19/44)

さやか「こんなルミナスは頬ずりできない」


さやか「呼ーんだ希望辿って 止めた世界を超えた」

さやか「諦めない思い いつしか こーこーろー繋ーげーたー」

さやか「泣ーいていたってー笑って あーしたー迎ーえに行こう」

さやか「決めた誓い辛ーくてー たーおれーてーもー」

さやか「君のートコーローをー まーもーるーたーめー」

まどか(またジョージ!)


368Pugella Magi2013/04/04(木) 20:58:15.96wbXx4RT20 (20/44)

さやか「こんなひかりふるは救済できない」


さやか「いーかーりーやー」

まどか(ちょうさん!)


369Pugella Magi2013/04/04(木) 21:00:33.48wbXx4RT20 (21/44)

マミ「アルマディッリディリウム=ウルガーレ…?」

マミ「なんだか分からないけどカッコいい響きね!」

マミ「どういう意味なのかしら」カチカチッ


([[[[[)<

オカダンゴムシ
Armadillidium vulgare


マミ「…………」


370Pugella Magi2013/04/04(木) 21:01:32.72wbXx4RT20 (22/44)

杏子「うぐっ、ヒック、えぅぅグスン」

まどか「……なんで泣いてるの?」ヒソヒソ

さやか「ほら、あたしらはお守りのグッズがあるのに杏子だけないから」ヒソヒソ

マミ「鹿目さんが心願成就、暁美さんが学業成就、美樹さんが恋愛成就、私が厄除成就……」

ほむら「杏子、あなたには家庭円満のお守りを作ってあげるから」

杏子「そんなご利益なさそうなのやだーーー!」


371Pugella Magi2013/04/04(木) 21:03:57.38wbXx4RT20 (23/44)

ニコ(イベントの地味な嫌がらせを考えよう……)

ニコ(七夕の短冊をこんにゃくにする)

ニコ「…………」

ニコ「ククク」

海香「!?」ビクッ


372Pugella Magi2013/04/04(木) 21:06:25.06wbXx4RT20 (24/44)

詢子「お前には実は双子の姉がいるんだ」

まどか「え?」

詢子「名前は……まろか」

詢子「鹿目まろか」


           「;:丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
             ト、;:;:;:丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
           {::ト、:;:;:;:;:;:` '' ー―――;:;: '|
            l::l . 丶、:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:|
            ',:i r- 、、` ' ―――一'' " .|
             || ヾ三)       ,ィ三ミヲ  | まろかが
             lj         ゙' ― '′ .|
            | , --:.:、:..   .:.:.:.:..:.:...  | 妹を
            | fr‐t-、ヽ.  .:.:. '",二ニ、、|
            l 丶‐三' ノ   :ヾイ、弋::ノ| 見つけました
            ', ゙'ー-‐' イ:   :..丶三-‐'"|
             ',    /.:   .      |
             ',  ,ィ/ :   .:'^ヽ、..  |
              ',.:/.:.,{、:   .: ,ノ 丶::. |
             ヽ .i:, ヽ、__, イ    _`゙.|
               ,.ゝ、ト=、ェェェェ=テアヽ|
            _r/ /:.`i ヽヾェェシ/   |
      _,,. -‐ '' " ´l. { {:.:.:.:', `.':==:'."    |
 一 '' "´        ',ヽ丶:.:.:ヽ、 ⌒      ,|
              ヽ丶丶、:.:.ゝ、 ___,. イ |
               `丶、 ``"二ユ、_,.____|



373Pugella Magi2013/04/04(木) 21:09:02.58wbXx4RT20 (25/44)

(T_T)こんな魔法少女や  (;_;)こんな魔法少女も

       円環に導かれれば

         \(^o^)/
         こうなります


374Pugella Magi2013/04/04(木) 21:10:48.02wbXx4RT20 (26/44)

ニコ(イベントの地味な嫌がらせを考えよう……)

ニコ(ハロウィンカボチャの中身を全部食べさせる)

ニコ「…………」

ニコ「ククク」

カンナ(あんなやつが私のオリジナル……)


375Pugella Magi2013/04/04(木) 21:12:46.81wbXx4RT20 (27/44)

マミ「それじゃあさっそく魔法少女体験ツアーを始めるわよ」

まどさや「はい!」


マミ「ティロ・ボレー!」

マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」

マミ「ティロ・リチェルカーレ!」

マミ「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ!!」

~vsゲルトルート~

マミ「ボンバルダメント!」

マミ「惜しかったわね――」

マミ「ティロ・フィナーレ!!!」

ドギャァァァーーン


まどか「すごかったぁ……」

マミ「ふぅ……これがグリーフシードよ」

マミ「見て。私のソウルジェム、昨日より濁ってるでしょう?」

マミ「でも、これを使ったら綺麗に……」

さやか「まだちょっと濁ってますけど」

マミ「え……ま、まあ、そういうこともあるわよ!」

マミ(やばっ……ちょっと張り切りすぎちゃったかしら……)


376Pugella Magi2013/04/04(木) 21:16:26.68wbXx4RT20 (28/44)

ほむら「これで年越し用のお蕎麦が作れるわね……あら、杏子?」

杏子「ん?よう、何やってんだこんなところで」

ほむら「それはこっちの台詞よ。なにしてるの?」

杏子「あぁ、今からこいつをすり潰しに行くんだ」

ほむら「…?これは、何かの種?」

杏子「蕎麦」

ほむら「えっ?これが!?」

杏子「風見野の山奥に誰かが育ててたのが野生化した天然物の蕎麦があるんだ」

杏子「これはそいつを収穫して置いといたやつでな」

杏子「こいつをすり潰すのさ」


杏子「これをな、こうしてな」

ゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリゴリ

杏子「……」

ほむら「……」

杏子「で、これを練って蕎麦にするんだ」

コネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコネ

杏子「……」

ほむら「……」

杏子「切って湯がけば」

トントントントン グツグツグツ

杏子「蕎麦の完成だ!」

ほむら「……」

ズルッ ジャリッ ブチッ

杏子「……」

ズズッ ジャリジャリッ ブチッ

杏子「……」グスッ

ほむら「もういい……もういいから、みんなで巴さんの家に行きましょう」


377Pugella Magi2013/04/04(木) 21:17:38.81wbXx4RT20 (29/44)

海香(ガリガリ君のおいしいわ……)

海香「…………」

海香(ガリガリ君ってアイスばっかり食べてそうなのに、絵を見る限り顔以外はそこまで太ってるわけではないのね)

海香「…………」

海香(そもそもガリガリ君って全然痩せてないのにガリガリって名前にされたのよね……両親は一体どういう思い出ガリガリなんて名前を付けたのかしら)

海香「…………」

海香(まさかいきなりガリガリになってほしいなんて望まれていたわけでもないでしょうし)

海香(そりゃあ確かに年をとって病床に臥せるときはガリガリに痩せているかもしれないけど、そんな先のことまで見据えていたとは思えないし)

海香「…………」

海香(だからいい加減ネタを考えなさいよ私……!)

かずみ「海香のアイスが溶けてる」

カオル「あれはもう駄目だな」


378Pugella Magi2013/04/04(木) 21:20:03.96wbXx4RT20 (30/44)

杏子「えっ!?マミってあたしの師匠だったのか!?」

マミ「えっ」

杏子「いや、てっきり隣町で二・三度戦ったことある程度の間柄かと思ってたんだが」

マミ「……」

杏子「ほら、おりマギでも普通に話してるし全然師弟関係があって喧嘩別れした感じじゃないだろ」

マミ「……」

杏子「今更そんな設定後付けされても正直困るっていうか」

マミ「うわああああああああんん!!!」ダッ

杏子「おい!……行っちまいやがった」

杏子「……まあ、色々言ったけどあたしは今の関係の方がいいかな」


379Pugella Magi2013/04/04(木) 21:21:50.02wbXx4RT20 (31/44)

まどか「魔法少女って悪い奴らをやっつけるよね」

さやか「……」

まどか「アニメとかの話」

さやか「あぁ、うん、だと思った」

まどか「それでね、この間気付いたんだけど、魔法少女物と時代劇って似てるよね」

さやか「ほう」

まどか「どっちも一般市民とか普通の人が被害に遭って、悪事を働く敵を主人公達がバッサリ薙ぎ倒してハッピーエンド」

さやか「いわゆる勧善懲悪ってやつだね」

まどか「ね?似てると思わない?」

さやか「確かに一理ある。BUTだがしかし!一つだけ違うところがある!」

まどか「?」

さやか「魔法少女は現実だしリアルで人が死んでるしハッピーエンドはないんだよ……」

まどか「……ほ、ほら!ひょっとしたら時代劇だって本当にあったことかも――」

さやか「黄門様こと光圀さんって実はほとんど旅に出てなかったらしいね」

まどか「なんかごめん」


380Pugella Magi2013/04/04(木) 21:24:04.78wbXx4RT20 (32/44)

ニコ「魔法少女って触手に弱いよね」

サキ「……」

ニコ「ゲームとかの話」

サキ「あぁ、うん、知らん」

ニコ「それでこの間思いついたんだけど、触手魔法を身につければ対魔法少女において最強だよね」

サキ「ほう」

ニコ「うねうねぬるぬるなれなれねりねりのろのろあらゆる方向から襲いかかって絶対に逃がさない」

ニコ「じんわり体が熱くなる液体を飲ませ注入し魔法少女を文字通り骨抜きにし、最初は気高かった魔法少女も次第に身を震わせ触手には勝てなかったよと言いながら闇に墜ちる」

ニコ「それが触手」

サキ「言ってることの半分は理解できんが……それで魔法少女狩りが楽になるんだな?」

ニコ「いや、ただ単に面白そうだと思って」

サキ「おい!」

ニコ「ちなみに私の再生成の魔法を使えば……」ジリ

サキ「……嘘だろ」

ニコ「アメリカ人嘘吐かない」ニコッ

サキ「お前ハーフだろうが!」


381Pugella Magi2013/04/04(木) 21:26:39.96wbXx4RT20 (33/44)

中沢「上条、お前もう平気なのか」

恭介「あぁ、リハビリをしっかりやればまた歩けるようになるって」

中沢「良かったな!」

恭介「ところで中沢、お前下の名前なんだっけ」

中沢「何ッ!?友達の名前忘れるかよ普通!」

男子1「そういや」

男子2「なんて名前だっけ」

中沢「お前らまで……いいかよく聞け!俺の名前は――」

早乙女「はい席についてー!」


382Pugella Magi2013/04/04(木) 21:28:36.34wbXx4RT20 (34/44)

マミの家でお泊り会だそうで――

まどか「いいお湯でした~」

マミ「それじゃあ最後は私ね」パチン

さやか(おっ、流石に髪ほどくよね)

ほむら(そういえば髪下ろしたところ見たことなかったわね)

まどか(どんな感じなんだろう)

杏子「ッ!」ハッ

杏子「ヤバいみんな伏せろぉーー!!!」

マミ「ふぅ」パチン

ムファサッ

モコモコモコモコ

まどか「きゃぁっ!なんなのこれ!」

さやか「髪の毛!?みんなどこ行ったのー!?」

ほむら「部屋が髪の毛で埋まってるじゃない!」

マミ「あら、ごめんなさい。ついいつもの癖で」

杏子「あいつはいつもこの長すぎて溢れんばかりの髪を全部あのピョンピョンドリルにまとめ上げてんだよ!!」

さやか「ブッダかよっ!」