1 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/16(水) 23:55:59.69vYRVcrKAO (1/2)

本スレは以下リンクの続きとなります。

1スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1325347952/

2スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1326805331/

3スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/kako/1329297173

4スレ目
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1332157723/


本作の注意点は以下となります。

・エロ表現あり
・鬱要素控えめ
・携帯の為投下速度遅め

以上を踏まえ、宜しければ駄文ですがお付き合い下さい。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1337180159(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)



2 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/16(水) 23:57:35.44vYRVcrKAO (2/2)

~あらすじ~

少女ちゃんprpr




3 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/17(木) 00:01:07.82pJ69OSHAO (1/5)

~登場人物~

男:浮気者

嫁:空気

メイド:痴女

少女:ペロペロ

友:ロリコン

女:妊婦

嬢:レイプ犯

執事:羊

その他大勢の変態でお送りします




4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 00:04:25.00Q7JzYzW9o (1/1)

>>1乙prpr


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 00:08:58.876GmvTQ2no (1/1)

いちおつ

番外編で次スレって珍しいな


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 00:12:22.63CTbOm066o (1/1)

いちょつ


7 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/17(木) 00:12:26.31pJ69OSHAO (2/5)

>>5
思ったより長くなったからねぇ……

流石にその6はないけど。



8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん)2012/05/17(木) 00:48:09.49aFHETl5Po (1/1)

いちょつ

人物おいwwwwww


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/05/17(木) 00:49:59.46MyaaEf+Oo (1/1)

その6は飛ばして、7に進むんですね?


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/05/17(木) 00:50:44.581HcdENHSo (1/1)

ミャー


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 01:10:01.62VGC4BDTDo (1/1)

乙!

羊ってwwwwwwwwww


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 01:18:21.21Vl/NCzyKo (1/1)

登場人物やっつけ過ぎワロタwwwwwwww


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)2012/05/17(木) 01:45:40.13RmhZMPDho (1/1)

┌─────┐
│い ち お つ.│
└∩───∩┘
  ヽ(`・ω・´)ノ


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 17:30:40.63k0qfQHVm0 (1/3)

IchiOtu


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 17:31:57.33k0qfQHVm0 (2/3)

一応と登場人物はちゃんと書こうぜ・・・>>1・・・


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/05/17(木) 17:38:37.03/stNuTNno (1/3)

会長のことかあああああああああああああああ


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 18:11:24.54eIiKIiF20 (1/1)

人物商会適格だなwwww


18 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/17(木) 18:28:23.59pJ69OSHAO (3/5)

>>16
待て、今お前は重大な誤爆をしている……

会長は、女神スレの変態だ!



19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/17(木) 18:29:15.24lHppjhq8o (1/2)

眼鏡「僕にぬるぽをくれないか?」


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/05/17(木) 19:13:14.19/stNuTNno (2/3)

>>18
あの会長は今後爆発する予定だろ
今議論すべきなのは、あそこに行ったあの会長のことだろうよ


21 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/17(木) 20:13:45.32pJ69OSHAO (4/5)

皆様、前スレ埋め立てありがとうございました。

>>20
眼鏡は、眼鏡はなぁ……会長じゃねぇ、委員長だ!

早くあっちの会長爆発しろ……

前スレ>>1000
絶対ユルサナイヨ

前スレ>>999
早く少女ちゃんの続き書いてくれ、ペロペロするの待ってるんだ……


というわけで、また後ほど。




22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/17(木) 20:42:19.24lHppjhq8o (2/2)

その後>>1の姿を見たものは日本にいなかった

そして10年後元気にロアナプラで掘りまくる>>1の姿があった


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/17(木) 21:35:53.77k0qfQHVm0 (3/3)

>>22
おいバカやめろ、>>1に消されるぞ


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/05/17(木) 22:27:10.83/stNuTNno (3/3)

うわあああああああああああああああああ
委員長だったわああああああああああ
ロアナプラで会長にさせてくる


25 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/17(木) 23:58:52.83pJ69OSHAO (5/5)

こんばんは!

さて、新スレ一発目、張り切って行きましょう。

>>24
ドンマイ……



26 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:00:45.07kOw8GNNAO (1/16)


メイド「……というわけです。 確かに、大勢の前で暴露したのは早計でしたが」

メイド「校内での嫌がらせ、更にはそれを注意されたことを根に持っての強姦教唆」

メイド「これ程の事態で被害届を出していないのは内々で事を収めようとしてですよ?」

校長「しかし……」

 「うちの子が悪いって言うの!? アンタ、母親でも無い癖に……」

メイド「えぇ。 ですが、母親代わり……いえ、母親以上にあの子を思っていますので」

メイド「そもそも、私があの子の危険を感じ護衛をつけていたから無事に済んだのです」

メイド「それに対し、貴女は自分の子の行動に何も気付いていなかったではないですか」

メイド「そのような貴女に、母親云々と非難される筋合いはないかと存じますが?」

 「ぐ……」

少女「女友まで付き合う必要なかったのに……」ヒソヒソ

女友「でも、私だって当事者だもん。 それにしても、メイドさんすごいね……」ヒソヒソ

少女「メイドに口で勝てるわけないじゃない……」ヒソヒソ




27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:02:54.85emb+Mv2Q0 (1/12)

>>1
ええ、行きましょう!夢の国ロアナプラへ!


28 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:03:16.17kOw8GNNAO (2/16)


校長「では、警察沙汰にはせず、賠償なども請求しない代わりに取り巻きさんは……」

 「えぇ、こんな子と同じ学校に居させられるもんですか! 辞めさせますから!」

メイド「……学校を辞めるのは結構ですが、きちんと監視して頂きたいですね」

メイド「発端も逆恨みからでした。 同じ過ちを二度は繰り返さないで下さい」

 「ふん! 恨まれる方にも問題があるんじゃないの!?」

メイド「逆恨みをする方には間違いなく問題がありますね、主に頭に」

 「な……」パクパク

メイド「……次に何かあれば、我がグループの全力を持って社会的制裁に臨みます」

校長「そ、その……脅迫のような真似は控えていただきたく……」

メイド「それくらいの考えでいる、と態度を示しているだけです」

メイド「今回の件も、今出さないだけでいつでも被害届を出せるという事をお忘れなく」

 「……この親にしてこの子ありね! ふん、覚えてなさいよ!」ギロッ

少女「お断りします。 私、嫌な思い出はさっさと忘れたいですから」ニコッ

メイド「全くですね。 このようなくだらない事覚えている余裕もありませんし」ニコッ

女友(……2人とも、敵と決めたら容赦ないなぁ……)




29 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:05:55.30kOw8GNNAO (3/16)


メイド「……全く、貴女という子は。 今回、逆に訴えられていたかもしれませんよ?」

少女「一応、脅迫にならないよう気を遣ってたんだけどな……」

女友「……取り巻きの奴、結局最後まで目回したままだったじゃない……」

少女「アハハ、投げ飛ばしたのが綺麗に決まっちゃったみたいで……」

メイド「まぁ、あそこまでやれば二度と貴女に手を出そうとは思わないでしょうが」

メイド「……さて、それでは送りますから女友さんの家に行きましょう」

女友「へ? いや、解決したし、もう大丈夫ですよ……?」

メイド「いえ、そうではなく。 貴女のご両親にも話をしないといけないでしょう」

女友「……ヤバいなぁ、メチャクチャ怒られそうな……」

メイド「少女、貴女もです。 帰ったら、男さまに全部話しなさいね?」

少女「えー……やだー!」プクー

メイド「2人とも、黙っていて何かあったらどうするんですか、全く」

メイド「私も一緒に説明してあげますから。 さ、そろそろ着きますよ?」

女友「うー……お願いします……」




30 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:08:51.25kOw8GNNAO (4/16)


女友母「そう……そんな事が……」

少女「おばさん、ごめんなさい。 私の問題に女友まで巻き込んじゃって……」

少女「でも、未遂で助かったから。 女友の処女は無事だから……」

女友「アンタね……人の母親の前で変な事言わないでよ……」

メイド「女友さんにこれ以上危険が及ばないよう、こちらできちんと手を打ちますので」

女友母「……女友?」

女友「なに、母さん?」

女友母「アンタ、まだ処女だったの?」

女友「ブーッ!」

女友母「やぁねぇ。 とっくに少女ちゃんに破って貰ったと思ってたのに……」

女友「ばばば、バカじゃないの!? 心配するの、そこじゃないでしょ!」

メイド「……なにやら、姐の母を思い出しますね。 なかなかユニークな方です」

少女「面白いんだけどねー、女友はウブだから……」




31 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:10:25.44kOw8GNNAO (5/16)


女友母「冗談はともかく。 女友、少女ちゃんをちゃんと守ってあげたんでしょうね?」

女友「守られたのはアタシの方なんだけど……」

少女「おばさん、女友はいつも私の心配してくれたよ。 それに、今日も庇ってくれた」

女友母「ふふ、それなら良いわ。 嫁を庇うのが夫の仕事ですもの」

女友「……アタシ、女なんだけど……」

女友母「少女ちゃん。 今回の事、気にしないでね?」

女友母「この子、危険とか悪い事以上にアンタから良い事を沢山貰ってるんだから」

女友母「……でもね、危ない事は極力避けなさい。 この子の為じゃなく自分の為よ?」

少女「……うん。 気をつける」

メイド「お母さま、この子の心配までして頂き、ありがとうございます」

メイド「これからも、この子と仲良くしてやって下さい。 宜しくお願い致します」ペコリ

女友母「いえいえ、こちらこそ。 なんだったらうちの子を婿にでも……」

少女「あー、私好きな人いるんで」

女友母「うちの子の処女あげるから!」

女友「勝手に人の貞操を売り飛ばさないで……」




32 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:12:42.71kOw8GNNAO (6/16)


少女「ただいまー……」

メイド「ただいま帰りました」

嫁「お帰りなさい。 メイドも、お疲れ様」パタパタ

冥息・娘「「おかえりなさいー!」」

嫁「それで、どうなったの? 何か問題になってない?」

メイド「大丈夫です。 そもそも、少女に非はありませんし」

嫁「そっか……少女ちゃん、良かったね?」

少女「うん……嫁、心配かけてごめんね?」

嫁「ううん、いいの。 でも、まだこれからが大変だよ?」

メイド「そうですね。 少女、きちんと男さまに報告しないといけませんよ?」

少女「うー……内緒のままじゃ、ダメ?」

嫁「ダーメ! あの人、すごく心配してるんだから!」

少女「心配かけたくないから内緒にしたいんだけど……」

メイド「何も言って貰えないから余計心配になるんです。 諦めて報告なさい」
少女「はーい……」




33 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:14:13.73kOw8GNNAO (7/16)


男「ふぅ、ごちそうさま」

冥息「ごちそーさまー!」ポンポン

冥娘「ぽっこりおなかー!」ポンポン

嫁「……少女ちゃん」

少女「ん……その、あのね? 男に……話があるんだけど」

男「ん? 何だ、聞くぞ?」

メイド「……この子たちをリビングへ。 相手してあげて下さい」

 「畏まりました。 さ、お子様方歯磨きしに行きましょうね?」

冥息・娘「「はーい!」」

男「なんだ、改まって……この前の、内緒話か?」

少女「……ん。 全部話すから……聞いて?」




34 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:17:02.62kOw8GNNAO (8/16)


男「……」ズズ

少女「……という訳なの。 その、黙ってたのは男を心配させたくなかったからで……」

男「……少女。 こっち来て、ここに座れ」ポンポン

少女「……うん」トタトタ ポスッ

嫁「……アナタ。 少女ちゃんも、アナタの事を思って黙ってたんですから……」

男「分かってる。 ……少女、頑張ったな」ギュー ナデナデ

少女「あ……」

男「実はさ、姐さんから大体の話は聞いてたんだ」

男「前に、姐さんに撮影機材借りたろ? あの時内緒で報告してくれてさ」

男「姐さんの部下がずっと監視して報告してくれてた。 だから昨日の事も知ってる」

少女「もぅ、姐さんったら……」

男「お前も1人でなんでも出来るようになったな……嬉しいよ」

少女「……ごめんなさい」

男「オレに心配かけるとか、余計な事は考えなくて良い。 まず相談しろよ?」

男「オレがじいさんから受け継いだこの家は、お前たち家族を守る為にあるんだから」

少女「……男……」




35 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:18:27.64kOw8GNNAO (9/16)


男「……少女。 怖かったろ?」

少女「……え?」

男「オレもさ、嫁の為に戦った時さ、実は怖かったんだ」

男「失敗したらどうしよう、とか。 嫁に何かあったらどうしよう、とか」

男「その上、お前はオレに相談せず内緒で、1人抱え込んで戦ってたんだから……」

男「……良く我慢したな。 偉いぞ?」ナデナデ

少女「男……」ジワ

男「強がらなくてもいい。 お前がオレに心配かけまいとしてたの、わかってるから」

少女「う……グスッ……怖かったよぉぉぉぉぉ!」ポロポロ

男「……」ナデナデ

メイド「……お嬢様」ガタッ

嫁「……うん」ガタッ




36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:19:08.96emb+Mv2Q0 (2/12)

嫉妬キタ━(゚∀゚)━!


37 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:21:16.44kOw8GNNAO (10/16)


少女「……グスッ」

男「……落ち着いたか?」ナデナデ

少女「……ありがと。 嫁たちは?」ゴシゴシ

男「気を利かせて出て行ったよ」

少女「……そっか」

男「……ほら、ハンカチで拭かないから目が真っ赤だぞ?」

少女「……ね、男」

男「なんだ?」

少女「私ね……すっごく怖かった」

男「……あぁ。 そうだろうな」

少女「女友までいじめに巻き込まれちゃったりさ、その上レイプされそうになって……」

少女「私のせいで、大事な友達がこんな目に遭うって思ったら、ね……」

男「……」

少女「でも、それと同じくらいにね。 犯される、って思ったらダメだった」

男「女の子なんだから、当たり前だろ……」

少女「そうなんだけど……ちょっと違うよ。 女じゃないから、そう思ったの」

男「女じゃない? お前、れっきとした女の子だろうが」

少女「そういう意味じゃなくて。 ……その、私が処女だからさ」

男「あー……」カァ




38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:21:54.43emb+Mv2Q0 (3/12)

あれ?


39 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:24:49.77kOw8GNNAO (11/16)


少女「あんな奴らに処女奪われるのか……って思ったらね、怖くて震えちゃった」

少女「……だから、ね? ……私の言いたい事、分かるでしょ……?」ピト

男「でも……オレ妻帯者だし、嫁は妊娠中だし、お前はまだ子供だし……」

少女「もぅ……言い訳はいいの。 男はさ、私を女として見れない?」

男「……そりゃ、お前も大きくなったし、女らしくなったけどな……」

少女「じゃぁ、良いじゃない……男に、女にして欲しいな……」アム…

男「耳を噛むな……お前さ、常識的にそれはマズいだろ」

少女「男が常識的とか言っちゃう? 妻と愛人同居させておいてさ」クスクス

男「そ、それは……その、お前だって事情は知ってるだろうが!」

少女「男……お願い。 初めてくらい、好きな人に奪って欲しいの」

男「しかしな……」

少女「じゃぁさ。 私がそこら辺のチャラい奴で処女捨てたら、男許せるの?」

男「だ、ダメだ! 初めてはちゃんとお前が好きな奴と……」

少女「だからさ、私が好きなのは男なんだってば。 もぅ……襲っちゃうよ?」ガバッ

男「お、おい……少女……上からどいてくれ……」

少女「……そんなに、私を抱くの、イヤ?」

男「イヤとか、そういう事じゃなくて……」

少女「……? ……ふふーん?」ニヤァ

男「……っ!」

少女「男ー? 私の大事な所に、何か固ーい物がツンツンしてるんだけどぉ?」クスクス

男「……」

少女「口ではダメって言ってる癖に、身体は正直なんだ……?」ペロ… ツツツ

男「や、やめろ……首筋を舐めるな……」

少女「これ、オッケーって返事と考えて良いよね? 男……」

少女「私、本気だよ。 5年前からずっと、男の事大好きだったんだから……」ウルウル

男「少女……」

少女「……お願い。 私の初めての人に、なって下さい」




40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:25:43.90emb+Mv2Q0 (4/12)

俺「yes!」


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2012/05/18(金) 00:28:29.35QBN/NNYO0 (1/3)

男ここでいかなかったら男じゃないぞ


42 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:29:06.94kOw8GNNAO (12/16)


少女「というわけで! 今日男に抱いて貰える事になりました!」

メイド「ようやくですか。 良かったですね、少女」

嫁「むー……黙ってされるのもイヤだったけど、はっきり宣言されるのもちょっと……」

少女「ごめんね、嫁。 でも私、どうしても男に抱いて貰いたいから……」

嫁「……一晩だけだからね? あの人は、私の旦那様なんだから」

少女「分かってるって。 ……男が望んだら、別だけど」

メイド「結局、私も何度か抱いて貰ってますし。 結果は見えている気がしますね」

嫁「……私、ちょっとあの人と話してくる」トタトタ

少女「……やっぱり、嫁には悪い事してるかなぁ……」

メイド「お嬢さまも、貴女の気持ちは分かっていらっしゃいますよ」

メイド「ただ、やっぱりそう簡単に割り切れるものでもありませんから」

メイド「何しろ、お嬢さまと男さまの間には15年という歳月がありますからね?」

少女「……うん。 普通なら、私がしてる事って最低だと思う」

少女「アハハ、取り巻きの嫌がらせも案外的を射ていたかも。 寝取りだよね、これ」

メイド「……どうでしょうね。 男さまのお嬢さまへの想いは奪えないと思いますよ?」

少女「……それでいいんだよ。 私が男を好きなのは、私のわがままだもん」

少女「男の気持ちがこっちを向いたら浮気だよ。 それは嫁も許してくれない」

少女「男を愛してるのは私たち皆同じだけど、男が選んだのは嫁なんだから……」

メイド「……貴女も他の人を好きになれば気兼ね無く愛情を独り占め出来たでしょうに」

少女「……メイドは、男以外の人、好きになれた?」

メイド「……意味の無い仮定でしたね。 男さまだから、好きになったんですから」




43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:29:40.21emb+Mv2Q0 (5/12)

>>41
じゃ、女になるのか?



44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 00:30:58.71aw2G8McTo (1/1)

>>40ロアナプラ行きおめ


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:31:45.51emb+Mv2Q0 (6/12)

>>44
(´▽`)アリガト!


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2012/05/18(金) 00:31:46.78QBN/NNYO0 (2/3)

>>43 ん~それも悪くないかな…


47 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:32:51.06kOw8GNNAO (13/16)


嫁「……」ガチャ

少女「あ……嫁……」

嫁「……あの人としっかりお話してきたから。 ……ホント、今日だけなんだからね?」

少女「……うん。 嫁、ありがと」

嫁「……私、今日は女さんの所泊めてもらうから。 なんか悔しいし」

メイド「私もご一緒させて頂きましょう。 あちらはあちらでお邪魔かもしれませんが」

嫁「少女ちゃん。 えっちは許してあげるけど、浮気はダメだからね?」

少女「分かってる。 ……というか、男が浮気すると思う?」

嫁「……信じてるけど……やっぱり不安だもん。 少女ちゃん、若いし」

少女「嫁だって若い癖に。 ……というか、見た目高校生でしょうが」

メイド「少女、これを渡しておきます。 終わった後、必ず飲みなさい」スッ

少女「なぁに? ……お薬?」

メイド「アフターピルです。 少女も、初めては生で男さまを感じたいでしょう?」

少女「……? っ! これ飲めば、男と生えっちしていいの!?」

嫁「むー……本当はゴム着けて欲しいけど、しょうがないか……」

メイド「妊娠しないようにする薬です。 必ず、飲むんですよ?」

メイド「将来的にはともかく、貴女は学生で妊娠はまだ早いですから」

少女「メイド、ありがと! 明日の朝、飲めばいいんだね?」

嫁「……朝までする気なの……? 少女ちゃん、ちょっとそれは……」

メイド「……やっぱり今飲んでおきなさい。 どうにも悪い予感がしますから」

少女「はーい……」




48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:34:40.95emb+Mv2Q0 (7/12)

今だ!全員、すっぽんぽんで待機しろ!


49 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:37:08.60kOw8GNNAO (14/16)

本日はここまで。

次回は、少女ちゃんの初夜になります。

賛否両論でしょうが、少女にとってのハッピーエンドはやはりこの形でしょうから。

次回は、えっちシーンが書け次第に……
ふえぇ……えっちシーン、書くのキツいよぉ……

では、また次回!


50 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 00:37:41.77kOw8GNNAO (15/16)

>>48
残念だったなw


51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2012/05/18(金) 00:37:52.31QBN/NNYO0 (3/3)

>>48 残念だったな 




52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/18(金) 00:38:59.67emb+Mv2Q0 (8/12)

>>1
俺は何日全裸でいれば?


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 00:38:59.73OjcgF9m2o (1/2)

乙。幼女登場からずっとこの瞬間を待っていたのだよ! 歳食っちゃったけど

これでもう安心だな


54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 00:59:49.88AIXqB4HGo (1/1)


取り巻き転校かー
個人的にはもっとやっちゃえ!って気持ちだわwwww
取り巻き母もクズだから余計に。


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/18(金) 01:02:06.51cQaXIHs4o (1/1)

あの母にして、この娘有り、とは言った物です。
まあ、これ以上突っかかったとして、彼我の戦力差に絶望しかしなさそうだがwww


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 07:48:06.65dL8WE5Tuo (1/1)

全裸で涙目になってる>>48想像して吹いたww


57 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/18(金) 08:19:02.66kOw8GNNAO (16/16)

>>56

>>48「今だ!全員、すっぽんぽんで待機しろ! 」


>本日はここまでー


>>48「あ……」

>>51「残念だったな」

>>48「あ、明日まで一緒に全裸待機……」ジワ

>>51「ヤだよ、風邪引くもん」

>>48「う……」グスッ

>>51「……」

>>48「……ヒック」ポロポロ

>>51「……しょうがねぇなぁ」

>>48「……え?」

>>51「付き合ってやるよ、行くぞみんな!」


 「「「おうっ!」」」


>>51「フォオオオ……クロスアウッ!(脱衣)」バッ!

>>53「トランザム!(脱衣)」バッ!

>>56「アーマーパージ!(脱衣)」バッ!

>>1「ふえぇwwwwふえぇwwww(脱衣)」バッ

>>48「みんな……」ニコッ




58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/05/18(金) 09:17:10.84dfUEKfNVo (1/1)

おつ

良いもの読ませてもらった。これから書いてくるよ。


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 09:26:54.43Z5KtP2cIO (1/1)

>>1が楽しそうで何よりだわ


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 09:40:34.96QhaLhtiDO (1/1)

>>57
キャストオフがないだとぉ!?


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 11:12:41.6966hSdJfDO (1/1)

変態だwwwwww変態仮面がいるwwwwww


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/18(金) 16:20:37.93emb+Mv2Q0 (9/12)

>>48です。(ちゃんと引っ越せたかな?)
すいません!自分まだ義務教育9年目なので制服着て学校行ってました!
あと、全裸じゃなくてち●こだけ出して待機してました!すいません!
今日は楽しみにしてます!>>1さん、どうか僕のEDを吹き飛ばすようなエロシーン書いてください!


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/18(金) 17:11:55.94emb+Mv2Q0 (10/12)

★我慢の限界です★



  _,,-‐'"ヽ.         ∧ _∧
 ノ \ ヽ ト、       /∧´・ω・)
{ 、 ヽ. ヽ_(⌒)  _,,.. -‐'"ノ /ノ >‐个 、._
 ヽー'.ー' `7⌒/'フ  >,ノ--―‐‐' ̄ ⌒`ヽ、        >>1襲ってきます
   ∀ ー {  ∨    ∨   >ミ λ二ヽ、_ )ヽ__
   \  〉ー {     {     __ミ∧__,,.-''`ヽ `ヽ
     ー―-ヽ、  ノ  _,,.. ‐'"´彡 'Y   `ヽ i  ̄ヽ、
          { ̄´》丶 ー- <ノ__\     {  / ∧
             { 7⌒/⌒ー-' ノ彡/∨ ノ >、._ノ  ,'  _∩
          !〉ー、―-、,ゝ┴ン ノ/ ノ  { レ ´ ヽi
          {ヽ.__,、___  '  / (´_ /  _,,..×   ヘ〈 ハ |
             /ヽ Y    '/´´    }  (_,,..、_ハ   , ノ }
          〉ミミと=‐- ┴―――〈      > ノ / .!
         ノノ  ', ̄ ̄ ̄ 不TT7´     ゝク´ ,  /
        / ' ∧   彡=  ′ ハ     ⊂´_ノ  /
         ノ   ハ   / ′     λ     `ー‐-'′
      /    {   、/        ハ



64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 18:45:14.62AzrUbBnj0 (1/1)

こんなに琢磨しくなって



65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/05/18(金) 19:31:31.94yfasADApo (1/1)

いちもつ
楽しく書いているみたいですね


さて俺もそろそろ会長の場面を終らせんと
爆発はしないけど


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 21:20:54.35B1Ast6im0 (1/1)

>>1乙
取り巻き、転校じゃなくてもっとやっちゃえばよかったのに・・・
全校集会の場で放尿ビデオ公開とか


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/18(金) 21:26:07.01emb+Mv2Q0 (11/12)

>>66 そこまでするのは面倒だったんじゃ?(ビデオの問題等)


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/18(金) 21:35:45.13OjcgF9m2o (2/2)

女性に優しく男性に厳しく糞ビッチには問答無用

それがルールです


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/18(金) 21:43:35.26emb+Mv2Q0 (12/12)

>>68 オカマには? 


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/19(土) 00:42:50.25q1+pzl5DO (1/1)

>>69
ロアナプラ


71以下、名無しにかわりまして いとう たかふみ がお送りします2012/05/19(土) 13:33:58.93RhU0ET+l0 (1/1)

暫く来れなかったが凄い進んでた
>>1
乙!!!!


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/19(土) 16:56:14.54HOsV+ptDO (1/1)

取り巻きちゃんペロペロ


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/19(土) 20:53:27.702jLPgYB90 (1/2)

俺「そろそろ>>1がくる頃だな」コシフリッ

?「そうだね…あんっそこだめぇっ!」

俺「そろそろイキそうだ…」

?「アタシも…あっ、あぁ、ああああああああああぁぁ!」

俺「うっ!」ドピュドピュ

―――――――――――――――――

俺「すっごく気持ちよかったよ…」

?「アタシも…」

俺「ありがとう、姐さん!」

姐「>>1にはバレないようにねっ!」


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/19(土) 21:08:55.73KzBPuAY+0 (1/1)

追いついた
やっと少女きたかと思ったら一番いいとこで終わってるだと…


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県)2012/05/19(土) 22:09:33.91eu9XdEIn0 (1/1)

>>73
おいお前それ姐さんじゃなくて眼鏡だぞ!!
ロアナブラ生活が長すぎて幻覚まで見るようになったか…


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/19(土) 22:38:46.762jLPgYB90 (2/2)

>>75
は?幻覚じゃねーし!ちゃんとヤシの木1本に実が2つぶら下がっとったし!
これが証拠だ!嘘だと思うならこっち来い!!


77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/19(土) 23:48:41.85XbBH5w080 (1/1)

>>76
ダメだこいつ・・・早く何とかしないと・・・


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/05/20(日) 05:53:49.02l++HnYqAO (1/1)

さすがにロアナプラネタウザくなってきたから
そろそろ自重しようよ


79 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/20(日) 10:19:14.56nXfGYOsAO (1/2)

まぁ、間を取って程々に自重しながら好きなようにやれ!
と自重せずウザいAAを貼りながら言ってみるテスト

                              / ̄ ̄ ヽ,
           喧嘩をやめゅてぇ~♪    / 丶 /   ',
                         ノ//, {゚}  /¨`ヽ {゚} ,ミヽ
 ふたりをとゅめてぇ~♪        / く l   ヽ._.イl    , ゝ \
  .ni 7                  / /⌒ リ   ヘ_/ノ   ' ⌒\ \
l^l | | l ,/)                (   ̄ ̄⌒          ⌒ ̄ _)
', U ! レ' /   / ̄ ̄ ヽ,       ` ̄ ̄`ヽ           /´ ̄
/    〈   /        ',        .n   .|   ・    ・   |
     ヽっ{゚}  /¨`ヽ {゚},       l^l.| | /)ノ           |
  /´ ̄ ̄ .l   ヽ._.イl  ',      | U レ'//)           ノ
/  ィ-r--ノ   ヘ_/ノ   ',    ノ    /          ∠_
   ,/              ヽ rニ     |  f\      ノ     ̄`丶.
  丿'               ヽ、  `ヽ   l |  ヽ__ノー─-- 、_   )
. !/                  ヽ、 |   | |           /  /
/                      !jl   |ノ          ,'  /
 .l                      l    |          |   ,'
 .|  ・                  丶   ヽ         |  /
 !                 ア!、,  |   |        ,ノ 〈
./            ・   ./'  (  ヽ_____ノ        ヽ.__ \
                 /   ヽ._>              \__)




80 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/20(日) 10:20:53.54nXfGYOsAO (2/2)

あ、今日の夜には更新出来そうです。


81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/20(日) 11:24:43.638P05PwWt0 (1/2)

分かりました。待ってます。


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/20(日) 11:46:09.84VJoy65FIo (1/1)

期待



83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2012/05/20(日) 16:20:54.99DgZUHTPAO (1/1)

夜まで全裸待機!!
さぁ、こい!


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/20(日) 19:54:49.86QU4K2WCSo (1/1)

くっそジュウシマツうぜぇwwwwwwwwwwwwwwwwwwww


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/20(日) 23:51:04.938P05PwWt0 (2/2)

WiiConnect24からだが投下まだ?


86 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:08:31.19udPJcXtAO (1/26)

こんばんは!

すみません、キリの良いところまで書いてたら遅くなりました。

本日はえっちシーン、お子様はもう寝てるからよし。

レスは有り難いのですが今回は投下終了まで控えて頂けると助かります。

では、投下します。


87 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:10:02.25udPJcXtAO (2/26)


少女「男ー? 入りますよー?」ガチャ

男「あ、あぁ……」

少女「シャワー浴びてきたよ。 ……そっち、座って良い?」

男「……おいで」

少女「えへへ……」ポスッ

男「まったく……お前には負けたよ」

少女「だって、男の事だーい好きなんだもん……」ピト

少女「ね。 嫁と、どんな話してたの?」

男「ん……まぁ、優しくしてあげなさいとか、浮気はダメです、とか……」

男「他にも色々言われたけど、まぁ、夫婦の話だからな」

少女「そだよね……男は、嫁のものなんだもんね……」

少女「でもさ……今日だけは。 今日だけは、私のもの、なんだよね?」

男「あぁ……お前のはじめてを貰うんだ。 そうじゃないと、失礼だろ?」

少女「えへへ……嬉しい」チュッ




88 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:11:49.82udPJcXtAO (3/26)


男「さて、ベッドまで行こうか……よいしょっと」ガバッ

少女「もぅ……お姫様抱っこはいいけど、よいしょとか親父臭ーい……」

男「もう親父なんだよ……勘弁してくれ」

少女「……嫁にもこうしてあげたの?」

男「どうだったかな……でも、お前にしてやるのが大事なんだ」

少女「そう……そうだよね!」

男「降ろすぞ……」トサッ

少女「うん……」フルフル

男「……怖いか?」

少女「……うん、ちょっとだけ。 でも、男だから平気だよ?」

男「……そっか」

少女「ねね、男は私の事好き?」

男「当たり前だろ。 好きでもない女を抱くはずないだろ?」

少女「えへへ……女として見てくれる?」

男「女らしくなったよ。 ドキドキするくらい」

少女「じゃあさ……私の初めて、貰ってくれる?」

男「……あぁ。 オレで良ければ」

少女「……男、愛してる」ギュー

男「……オレもだよ、少女」チュッ




89 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:15:57.19udPJcXtAO (4/26)


ベッドに横たわる少女。
一枚のその身は、これから訪れる初めての夜への不安から僅かに震えていた。

男「大丈夫か? やっぱり、止めておくか……?」

少女「ううん、怖いより嬉しいの方がたくさんだから、大丈夫だよ……」

少女の目の潤みを見て、それが真実だと悟った男は何も言わず少女にゆっくりと覆い被さり。
これから訪れる行為に期待と不安を織り交ぜながらキュッと目を瞑った少女に、そっと唇を触れる。 優しく、不安を取り除くように……

もっと激しい何かを想像していた少女が驚きとともに目を開けると、好きな人の優しい笑顔が待っていた。

少女「男……」

少女は男の首に手を回すと、今度は自分から男の顔を引き寄せ唇を奪う。
先ほどとは異なり、積極的に、情熱的に激しく。
これまで幼い頃から幾度となく頬に受けていた口づけとは異なり、粘膜と粘膜を触れ合わせて。

チュ… チュバ…

親子ではなく、男女のキスを交わした喜びから再び目を潤ませながら、惜しむようにゆっくりと少女が唇を放す。

少女「……恋人同士のキス、しちゃったね……もぅ、親子じゃいられないよ?」

からかうように少女が囁く。
男は優しく微笑みを返すと、そっと少女の背に手を回し身体を起こしてやる。
そのまま少女を抱き寄せると、少女の背中側から少女を包み込むように抱きしめる。

男の膝の間に座るような体勢。
幼い時から幾度となくこの格好で二人は時を過ごしてきた。 テレビを見る時、おやつを食べる時。
普段ならば、ただのスキンシップ。
しかし、今日のそれは意味合いを変えてしまった。
愛し合う男と女が、お互いの愛を確かめ合う行為に。




90 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:19:57.70udPJcXtAO (5/26)


男「……触れても、いいか?」

少女「……うん」

ずれた黒いレースの肩紐に触れながら、ゆっくりと肩に片手をかけて。
その一方でもう片方の手が、キャミソールの縁にある黒い境界線を越えて、少女の白い柔肌へと伸ばされていく。
そしてキャミソールに隠された素肌の上を、触れるか触れないかの優しい手つきでそっと男の手が滑る。
臍、わき腹、そして背中。
寄り道をしながら向かうのは、少女の誰にも触れさせた事のない膨らみ。
少女は自らで慰める時とは異なるその感触に、うっとりと目を閉じただ男の手の動きに意識を集中していた。 これから訪れる快感への期待を込めて。

少女「……ん……」

少女が身体を震わせる。
膨らみに到達した男の手が、敏感な先端に触れたからだ。
愛する人に触られているという事実が、普段よりも数倍の快感を生み出し少女の肌を紅潮させる。

次いで、優しく包むように男の手が膨らみを覆った。
力を入れてしまえば割れてしまうガラス細工を扱うかのように、優しく少女の胸を手に収める。
そんな愛撫とも言えないような愛撫でも、掌に押し潰された先端が痺れるような快感が少女に伝わり、淡い吐息が少女の唇から漏れる。




91 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:23:10.65udPJcXtAO (6/26)


男「……脱がすよ」

少女の首筋に唇を寄せながら、男は囁きかけるとともに肩にかけていた手でキャミソールを捲り上げていく。
男が脱がせやすいよう背伸びをするように少女が手を上に伸ばすと、一気に少女を守るそれが奪い去られてしまう。

境界線を失った少女の真っ白な裸身を紅潮した肌が淡く紅く染める。
一度持ち上げられた黒い艶やかな髪が広がり、周囲にラズベリーの香りが起ち込める。

少女「……なんでかな、何度も一緒にお風呂入ってるのに……今日は恥ずかしいよ……」

男は答える代わりに少女の頬に手を寄せ、顔を横に向けると唇を奪った。
唇の境界線を越えて、舌が少女に進入していく。
男の舌が荒々しく蠢き、少女の口内を蹂躙する……

ピチュ… クチュ… ツー…

少女「……ん……ふ……」

お互いに名残を惜しむかのように伸ばした舌と舌を、二人の混ざり合った唾液が糸を引いて繋げ合う。
少女の唇は開いたまま宙に向いたままで。
男の唇は次の獲物を首筋に移し、軽く吸い上げながらマーキングをしていく。

それと同時に、男の空いた手が少女のふとももに触れる。
優しく撫でさすりながら、向かう先はキャミソールとお揃いの黒いレースのショーツ。
少女に痛みを感じさせないようクロッチの上からそっと指を前後させると、次第に少女の吐息に熱っぽい何かが含まれるようになっていくのだった。




92【ロアナプラ】2012/05/21(月) 01:23:42.60D/6CR/Ea0 (1/5)

お子様だけどみてますよ


93 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:26:13.71udPJcXtAO (7/26)


少女「男……全部、見て欲しい……」

少女の言葉を受け、男は再び黒い境界線に手を掛ける。
ゆっくりとショーツをずらしていくと、淡い茂みの下に男の知る二人より幼い秘部が露となっていく。
……そして、先ほどなぞっていた部分の布地とそこを粘りのある液体が糸を引いている様子までも。

少女「……えっちな子で、ごめんね? でも、男がこう育てたんだよ……?」

これまで娘のように育てた少女を、これから女にする。
その背徳的な行為を改めて自覚させられて男は反応し、既に半分以上頭をもたげていたその部分をさらに硬くしてしまう。
それに気付いた少女が男のトランクスに手を伸ばし、怯えるような手つきで布地越しに先端を撫でた。

少女「……嬉しいな。 私の裸で、こんなになっちゃったんだ……」

細い指先が器用に男の下着を脱がせ、完全に隆起したそれが姿を現す。

入浴の時、男の寝起きに忍び込んだ時、男の情事を盗み見た時……
何度も見た事はあるが、今は少女の為だけに硬くなったそれを見て、感動に近いものを感じた少女は純粋に喜びを感じていた。
そして、自然とその手がその部分に伸び優しく表面に触れると、ゆっくりと上下に扱き始める。

シュッ シュッ シュッ…

衣擦れのような音が静かな部屋にリズム良く響く。
メイドに教えられたように、男の敏感な部分に痛みを与えないよう優しく包み込んで上下に手を動かす。
すると、次第に先端から漏れ出た透明な液体が潤滑液となり、上下運動を助けてリズミカルな手の動きがだんだんと速くなっていく。




94 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:28:55.34udPJcXtAO (8/26)


少女「……舐めてみるね。 ……初めてだから、あんまり上手じゃないけど……」

チュッ ピチュ… ジュプ…

最初は先端に口づけを交わし、表面に舌を這わせ、慣れてくると恐る恐る口に含んでいく。
小さな口一杯に先端を招き入れると、歯を立てないようゆっくりと口を前後させる。
この日の為に、部屋でこっそりアイスを咥えてした練習を思い出しながら。

少女「……ん……ふ……んん……」

次第に感覚を掴んできたのか、少女の動きが滑らかになっていく。
口の前後運動に緩急を加え、ときおり吸い上げてみたり。
口を出入りする先端を舌で捕まえて舐め回してみたり。
ある程度続けた所で、少女が男に問いかける。

少女「ふぉう……? ひもひいい……?」

男「咥えながら……喋るな……」

上目遣いで男の表情を確認すると、少女は嬉しそうに作業を再開する。
少女の目に映ったのは苦しそうな、でも嬉しそうな男の顔。
自らの奉仕に悦びを感じて貰えていることを感じた少女は、更なる快感を感じて貰おうとこれまでに学んだ全てを男にぶつけ始める。

ジュプッ! ジュプッ! ジュプッ!

先ほどまでの探るような動きと異なり、突如激しい動きが男を襲う。
唇はきつく男を締め上げ、飲み込むかのように激しく吸いたてる。
口内では舌が縦横無尽に動き回り、鈴口を撫でたと思えばカリを舐め上げる。
その動きと、必死な少女の表情に男はこみ上げてくるものを我慢出来なくなっていた。




95 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:33:56.70udPJcXtAO (9/26)


男「く……少女、出る……!」

男は外に出そうとティッシュに手を伸ばそうとするが、身動きが出来ない事に気付いた。
少女が腰に手を回し、男を逃がすまいとしていたからだ。
腰を引くことも出来ず、少女の口から逃れられないまま高まりつつあった射精感が限界を迎える。

男「……んんっ!」

ドクン! ビュルビュルッ!

少女「~~~~~~!」

口内で男が脈打つのを感じた瞬間、少女は喉の奥に熱い迸りが打ち付けられるのを感じた。
鼻に青臭い白濁の匂いが広がる。
口の中に苦しょっぱい独特の風味が広がる。

男の脈動が収まるまで待ってから、軽く吸い上げた後舌で先端を拭き取り、男を開放する。
思った以上の白濁が放出されたらしく、抜き取る際にいくらかの精が唇の端から漏れ、少女の肌を濡らす。

少女「……ん……ゲホッ! ……んっ……プハッ!」

喉に絡みつく液体にむせ、涙目になりながらも口内の精を飲み下し、男に笑顔を向ける少女。
無理して飲んでくれたことに嬉しくなり、男が少女の頭をなでてやると目を細めて嬉しそうな顔をしていた。




96 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:36:40.80udPJcXtAO (10/26)


少女「……んー、相変わらずあんまり美味しくない。 でも、好きになるよう頑張る……」

男「相変わらずって……お前、まさか」

他の男とこのような事をしていたのか?
本来ならそれが普通ではあるが、つい嫉妬心と親心が首をもたげてしまう。
そんな男の表情を見てか、悪戯が成功した子供のように含み笑いをして、少女が答える。

少女「違うよ。 昔、寝てる男に悪戯してたらせーえき出ちゃって……ちょっとだけ味見したの」

男「お前な……」

少女「大丈夫。 次からは悪戯じゃなくて本気だから、ね?」

いつものようにクスリ、と笑った少女をベッドへ押し倒すと、お返しとばかりに全身の愛撫で答える。
胸を揉みしだき、先端をつまみ、唇で吸いたてる。
秘部を掌で撫で、軽く指を挿入し、突起を押し潰す。
先ほどまでの余裕はどこへ行ったのか、初めて他人に身体を弄ばれる感覚に少女は身体を軽く痙攣させながら激しい性感を感じていた。

ニチュ… チュプ… クチュ…

痛くないよう、傷つけないよう優しく秘部に出入りする指が、湿った水音を立て始める。
奥から湧き出した愛液がこれからの行為を受け入れやすいものにするために、敏感な部分を濡らし保護しはじめたのだ。
それは、少女が男の手管に堕とされつつある証でもある。

少女「ふ……あぁ……やぁ……気もちいい、よぉ……」

充分に濡れたのを指先の感触で感じると、男はそっとその手を少女の目の前に突き出した。
少女の目に映ったのは、自らの愛液がライトの明かりを反射しテラテラと輝く男の手。
その指先から自分の胸元へ一滴の愛液が零れ落ちるのを見て、顔を赤らめる。




97 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:39:33.25udPJcXtAO (11/26)


準備が整ったと感じた男は、少女の処女を奪うべく準備していたゴムを装着しようと枕元に手を伸ばす。
しかし、それを見た少女がそっと男の手を掴んで止めた。

少女「……今日はゴムはいいの。 メイドにおくすり貰って飲んでるから……」

男「……メイドの奴、気の利かせすぎだろ……」

少女「せっかく男に初めて奪って貰うんだもん……ゴム越しじゃ、イヤだよ……」

返事の代わりに軽く口づけを返すと、男は正上位の体勢になって少女の中心に狙いを定める。
少女の秘部から滴り落ちた愛液を掬うと、自らに塗りたくり準備を整える。
そして、先端を少女に軽く触れさせた所で動きを止めた。

男「……本当に、良いんだな? 引き返すなら今だぞ?」

少女「男の方こそ、今だよ? 私の身体に夢中になって引き返せなくなっちゃうかも」

それは、精一杯の少女の強がり。
これから初めて男を受け入れる事への不安と痛みへの恐怖。
少女の脳裏には過去監禁されていた時の恐怖が蘇っているのだろうか。
胸の奥底に隠れていた男性への恐怖が、再び顔を出し身体を震わせる。

だが、その上で少女は微笑む。
愛する男性に抱かれたい、女にして貰いたい、その一心で最後の一線を越えようとしている。

そんな気持ちが分かったのか、男は最後の一歩を踏み出した。




98 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:42:39.89udPJcXtAO (12/26)


男「……ちょっと痛いけど、一気に奪うな? その方が痛くなくて済むから……」

少女「ダメ。 ゆっくり奪って? ……痛みだって、大事な思い出になるんだから」

男との初めての夜を大事な思い出にしたい、そんな少女の気持ちを汲み男は何も言わず少女に従う事にした。
そして、改めて先端を少女に押し付けると、せめて痛みが少しでも和らぐよう上下に擦り付け、濡らすと同時に淡い性感を与えて再び中を潤わす。
暫くそうしているうちに、鈴口の辺りに新しい滑りを感じるようになったのを感じると少女と視線を交わした。

そして、ゆっくりと腰を進めていく……

クチュ ズズ…

少女「……う……痛ぃ……」

まだ完全に成熟していない身体に標準より大きめな男が無理やり進入していく。
それに対し、これまで一度も異物を受け入れた事のない狭い穴が異物を排除しようときつく収縮し押し返そうとする。
その結果、少女の身体には身を引き裂かれるような痛みが走る事になってしまっていた。

あまりの痛みに少女の目の端から涙が零れ、一筋の線を描く。
男の背に回した手が強く食い込み、血を滲ませる。




99 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:46:10.88udPJcXtAO (13/26)


男「少女……無理しなくていいんだぞ……」

少女「いい、から……うぅ……最後まで、お願い……グスッ」

じりじりと男が腰を進めると、一際強い抵抗を感じた。
先端が少女の処女である証にたどり着き、行く手を遮られているのだ。
これ以上腰を進めれば、少女は女になる。

男の脳裏に色々な思いがよぎる。 大切に育てた娘を犯す事への背徳感、まだ幼い少女を犯す事への罪悪感。 
だが、少女の心からの願いに答えるべく、少女の奥向かって男はさらに進んでいく。

壁を押すごとに少女の眉間に皺が寄り、男の背に回した手はより深く食い込む。
少女の唇から、喘ぎとは程遠い苦悶の呻きが漏れる。


そして、その最後の境界線が……破られた。


少女「ひぐ……痛、痛いよぉ……」

男「……少女、入ったよ。 頑張ったな……」

男が出来るだけ身体を動かさないようにして少女の頭を撫でると、ようやく少女は目を開け自らの股間を見つめる。
そこには、女になった証である紅い雫が腿を伝い、シーツを鮮やかに染め上げていた。

再び少女の目から一筋の涙が零れた。
それは先ほどとは異なり、痛みではなく喜びの涙だった。




100 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:49:02.14udPJcXtAO (14/26)


少女「男……嬉しいよぉ……これで、私女になったんだね……」

男「あぁ……痛かったろ? もう大丈夫だからな?」

少女「痛かった……でも、これで絶対に今日のこと忘れないから……」

あやすように少女の頭を撫で続けているうち、落ち着いたのかようやく少女の身体の震えが落ち着き、背中に食い込んでいた爪から開放される。
と同時に、ギチギチと締め付けていた膣内が若干緩み、男にも痛みの代わりに快感を与え始めた。

このまま動かせば、狭く幼い膣穴の感触を存分に味わい、恍惚のうちに絶頂に達することが出来るだろう。
しかし、男は少女を案じ身動きすらせず、身体の動きを止めていた。
だが、落ち着いた少女が男のそんな努力に気付かないわけがなく。

少女「……男。 動いて、いいよ?」

男「しかしな……お前、まだ痛むだろ……別に無理して最後までしなくても……」

少女「ダメ。 最後までして? ちゃんと私の中で気持ち良くなって欲しいの……」

クチュ…

少女が腰を引き、男に快感を与えようと注挿を開始しようとする。
やはりまだ痛みしかないのだろう、再び眉間に皺を寄せ、自らの指を噛みながら僅かに腰を前後させる。




101 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:51:28.55udPJcXtAO (15/26)


男「……無理するな。 出来るだけ痛くないよう、最後までしてやるから……」

そう呟くと、男は少女に覆い被さるように身体を重ね唇を奪う。
少女の舌を吸い上げて、口内でねぶる大人同士のキス。
それと同時に、片手で少女の胸に手を伸ばし、先ほどより強く揉みしだく。

チュバ… ジュル… ズズ…

舌同士が絡みつき、唇から淫靡な音が響く。
しかし、唇から漏れるのはただの音だけではなく。

少女「ん……ぁ……」

再開された男の愛撫に再び性感を呼び起こされた少女は、次第に唇から吐息を漏らし始める。

クリ… キュッ… コリコリ…

快感とともに起ち上がった双丘の先端を優しく男が弄ぶ。
男の指先が敏感になった突起に触れるたび、少女の身体に電流が走っていく。
最初は淡く、次第に痺れる程に。

少女「ふぁ……男……いいよぉ……」

しばらく優しい愛撫を続ける内、挿入したままの膣内が次第に弛緩し、絶妙なキツさへと変化していく。
一度は枯れていた潤滑も破瓜の血と再び溢れた愛液で潤い、これから始まる動きに備え準備を整えていく。




102 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:55:28.69udPJcXtAO (16/26)


男「……動くぞ。 すぐ、終わるからな……?」

ヌプ… ジュプ…

ゆっくりと男が注挿を開始する。
充分な潤滑液のおかげで、先ほどまでのようなひきつるような感じはなく滑った感触と共に膣壁が纏わりつく感触がはっきりと感じられた。

初めての相手に形を合わせたのだろうか?
うねるような内部はぴっちりと男に密着し、でこぼことした膣壁が前後運動にあわせ男を刺激してくる。
そして、ときおり痙攣するかのように収縮する膣口が、男に更なる快感を与えてきた。

少女「……くぅ……男……男……んん……」

まだ痛むのだろう、少し前ほどではないがやはり少女の口から苦悶の声が漏れる。
だが僅かに快感も感じているのだろう。 
膣内は更に潤いを増し、スムーズな動きを促してくる。

コリ… クリクリクリ…

少女「ひぁっ! やぁ……そこ、すごいよぉ……」

男の手がまだ皮に包まれたままの少女の淫核を刺激した。
腰の動きに合わせ、皮の上から優しく敏感な豆芽を上下左右に指を蠢かし弄ぶ。
これまでの独り遊びで開発されていたそこは、しかしこれまで感じた事のない程の快感を少女に与える。 貫かれる痛みすら忘れるほどに。

ジュプッ! ジュプッ! ジュプッ!

注挿が速くなり、次第に前後する音が激しくなっていく。
いくら別の快感を与えているとはいえ、未成熟な穴が伝えてくる初めての痛みは少女の絶頂を阻害し達することをさせない。
だからこそ、男は少女の苦しみを抑えつつ、自らが速く絶頂に達するべく腰の動きを速めていく。




103 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 01:58:22.19udPJcXtAO (17/26)


パンパンパンパンッ!

男「少女……もう、イくから……」

少女「うん……男、いっぱい、出して……」

苦しいだろうに笑顔を浮かべる少女。
その笑顔に止めをさされて、男はこみ上げてくるものを我慢することなく解き放つ。

男「……く……出るぞっ! んんっ!」

ドクン! ビュルビュルビュルッ!

一瞬身体を硬直させ、少女の一番深い所に勢い良く白濁が吐き出された。

少女「っ! 熱っ…… 男、イったの……?」

胎内に広がる熱い感触に、初めて男の精を受けたことを理解する少女。
その顔には、一人前の女として愛する男性を絶頂に至らしめる事が出来た喜びに溢れていた。
そして三度流れる涙が少女の頬を伝い、シーツを濡らす。

男「終わったよ、少女……」

そっと少女の胎内から自らを引き抜く男。
男の形を覚えたかのように大きく口を開けたままの秘部から、膣内の収縮に押し出された白濁が流れ出てくる。
男が絶頂に至った証である白と少女が女になった証の紅。
交じり合ったマーブルが、シーツを淫らに染め上げていた。




104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/21(月) 02:00:31.27D/6CR/Ea0 (2/5)

俺「気持ち良かったよぉ…」


105 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:01:27.12udPJcXtAO (18/26)


男「頑張ったな、少女……」ナデナデ

少女「えへへ……男♪」スリスリ

少女「私、オオカミさんに食べられちゃったね……でも、嬉しい」

男「……そっか」

少女「私ね、痛かったんだから……でも、すっごく嬉しい」

少女「初めてが男で良かった……絶対、今日の事忘れないからね?」

男「あぁ……嬉しいよ」

少女「あ……見て見て! こーんなにたっぷり出してくれたんだ……」ニチャ…

男「……汚いぞ?」

少女「汚くないよ、男のだもん……」

男「ほら、拭いてやるから……こら、動くなって」フキフキ

少女「だってぇ……くすぐったいというか、気持ち良いんだもん……」

男「我慢しろ。 よし……思ったより出してたな」ポイッ

少女「そんなに興奮してくれたんだ……あ」

男「どうした?」

少女「男……ごめん。 その背中……痛かったでしょ?」

男「ん? あぁ、これか……大丈夫だよ。 お前の方が痛かったろうし」

少女「ごめんね……あんまり痛くて、無意識に爪立ててたみたい」

男「気にするな。 嫁も初めての時は同じように……っと」

少女「……男? 今日は私の事だけ考える日だったよね……?」

男「……ごめん」

少女「……許してあげる。 その代わり……」ガバッ

男「お、おい少女……?」

少女「まだ今日は終わってないんだから、ね?」クスッ

少女「私が男の形覚えて、気持ち良くなるまで……付き合ってくれる?」

男「……仰せのままに、お姫様」




106 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:02:58.54udPJcXtAO (19/26)


嫁「ただいまー……」

冥息・娘「「ただいまー!」」

メイド「……出迎えがありませんね。 まだお休み中でしょうか?」

嫁「……まさか」トタトタトタ

冥娘「……? お母さん、ママどうしたの?」

メイド「お嬢さまはこれから男さまとケンカですから、邪魔しちゃいけませんよ?」

メイド「……さ、悪戯はその辺りにしてきちんと出迎えなさい」

 「ふふ……済みません、メイド長」クスクス

メイド「わざと出迎えませんでしたね? 全く、そういうところは似なくても良いのに」

 「だって、あのお二人焼けるんですもの……」

メイド「暫くしたら3人とも落ち着かれるでしょう。 お茶の用意を」

 「畏まりました、取って置きの茶葉をご用意致しますね?」ニコッ




107 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:04:50.00udPJcXtAO (20/26)


嫁「アナタ! おはようございます!」バタンッ!

男「……」スー スー

少女「……」スヤスヤ

嫁「う……青臭い……」

嫁「全く、二人ともこんな時間までお休みだなんて……何回したのかしら」

嫁「アナタ! いい加減起きなさい、アナタったら!」ユサユサ

男「……ぅあ……あ? あー……嫁、おはよう……」ゴシゴシ

嫁「おはようじゃないです! もうお昼近いですよ?」

男「うぁ……悪い。 早く起きるつもりだったんだけど……」チュッ

嫁「もぅ……少女ちゃん、初めてなんだから無理させないようにって言ったのに……」

男「いや、オレはそうしたんだけどな? 少女がその、何回も……」

嫁「言い訳はいいです。 ほら、いい加減シャワー浴びて髭剃ってください……」バサッ




108 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:07:38.35udPJcXtAO (21/26)


男「あ……待て、今布団剥がすとヤバい……!」

嫁「え……? ……ちょっと、男さま?」

男「……」

嫁「なんで、まだ繋がったままなんですかぁ?」ニコッ

男「……ごめん」

少女「むにゃ……んんー……あ、男……おはよ」チュ

男「あ、あぁ、少女……おはよう……」

少女「えへへ、男……私の中でまたおっきくなってるよ?」カァ

男「あの……少女さん? 今はその話は……」ヒク…

嫁「少女ちゃぁん? でも、えっちは朝までしちゃダメって言わなかったっけぇ?」ニコニコ

少女「うげ……嫁? い、いつからそこに居たの?」

嫁「うふふ、二人が繋がったままお休みしてた所からずっといたんだけどぉ?」

少女「ご、ごめん! 今抜くから!」チュポン!

男「ば、馬鹿! 今抜いたら……!」

少女「え? ……あ……」ドロォ…

嫁「アハ、アナタったらこんなに出して……そんなに少女ちゃん、良かったですかぁ?」

男「い、いや……その……」

少女「アハハ……わ、私シャワー浴びてくるね? それじゃ!」チュッ タタタタッ

男「あ! ま、待て少女! お前、オレ一人置いて……」

嫁「アナタ? どこ行くつもりですかぁ? ちょっとお話したいんですけどぉ……」ガシッ

男「嫁……その……ごめんなさいぃぃぃぃ!」

少女「あ、男! 一つ言い忘れちゃった!」クルッ




109 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:08:11.88udPJcXtAO (22/26)





少女「私、今すっごく幸せだよ! 愛してる、男!」ニコッ








110 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:10:35.23udPJcXtAO (23/26)

本日はここまで。

今後の予定ですが、幕間を一個入れて、許嫁ちゃんの一人称視点のお話を入れて今度こそ終了の予定です。

次回は明後日くらい?
では、また次回!


111ロアナプラ2012/05/21(月) 02:14:05.83D/6CR/Ea0 (3/5)

終わって欲しくはないですが…

アフターピルって何時間位効くんですか?


112 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:15:44.39udPJcXtAO (24/26)

>>104
投下前の注意書きはちゃんと読んで欲しかったです……

えっちシーンは纏めて一場面なのでレスが割り込むと興ざめしちゃう方もいらっしゃいますので……

他の方のスレなどではお気を付け下さい。


113 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 02:20:36.95udPJcXtAO (25/26)

>>111
本来は緊急避妊の為の薬なので、効果時間は知らないです。

計画的な避妊であれば排卵前にピルを飲むべきでしょうし。

まぁ、着床は防止されてるはずなので朝精子を洗い流せば大丈夫なんじゃないでしょうか。


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/21(月) 02:23:38.57I8/KdynAo (1/1)

>>111
てめーは[ピーーー]


乙!


115ロアナプラ2012/05/21(月) 02:47:22.15D/6CR/Ea0 (4/5)

すいませんでした(泣)


116ロアナプラ2012/05/21(月) 04:31:10.78D/6CR/Ea0 (5/5)

>>1さんに注意されたり>>114さんに【ピー】
と言われるまで気づかなかった自分が愚かでした。


117VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/21(月) 05:55:25.34Ys0CGKz9o (1/1)



>>116
気にしない気にしない。どうせコイツ割り込むんだろうな、って思ってたから。マジで割り込むとは思わなかったけど


118 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/21(月) 07:34:14.39udPJcXtAO (26/26)

>>117
うみゅ。
うちもそう思ってたから普段書かない注意書き書いたり。

ま、気にせず残りわずかのこのスレ楽しんでいってくだちい。



119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/05/21(月) 11:43:43.12JGO7V6Izo (1/1)

乙様
少女無双ですねこれはこれでよかったかな

空気嫁、1スレ目の頃の一途で可愛い姿を最後に見たい


120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/21(月) 23:47:39.17h8OtQnkA0 (1/1)

>>1乙ー

さて、ここから嫁の反撃がこわいぞwww


121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/05/22(火) 17:10:25.44mVACMFg1o (1/1)

名前欄にロアナプラとかもうね…
いつもロアナプラロアナプラ騒いでる奴らの程度が知れるな
そのネタ糞つまんないし臭いからやめろ



122 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/22(火) 17:46:39.44WqFyZ3AAO (1/4)

>>121

チャーハン作るからこれ食べて落ち着いて!!

`∧,,∧
(;`・ω・)  。・゚・⌒)
/  o━ヽニニフ))
しー-J


     アッ! 。・゚・
`∧,,∧て   。・゚・。・
(´゚ω゚)て  //
/  o━ヽニニフ
しー-J   彡


  ∧,,∧  ショボーン
 (´・ω・)
c(_U_U ・゚・。・゚・。・
  ━ヽニニフ


    よしバレてない
 クルッ ∧,,∧
  ミ(・ω・´)つ サッサ
  c(U・゚U。彡・。・゚・
━ヽニニフ


できたよ~
`∧,,∧  。・。゚・。゚・
(´・ω・)つ\   /


次回ですが、少し間が空きそうです。
書いてた幕間ボツにして書き直してますので……
メイドの出産話でしたがこれ以上許嫁をスルーすると泣かれそうな気がした。



123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/22(火) 17:58:48.61cJnXXB1Po (1/2)

良いんじゃないかな


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/22(火) 18:42:18.572HKSe50T0 (1/2)

そういや4作目の番外編書くとか言ってなかったっけ


125 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/22(火) 18:49:56.64WqFyZ3AAO (2/4)

>>124
そっちはこれが終わり次第。

既に本作書き始める前に9割書き貯めしてたので、他の用事が無ければ毎日投下出きるかと。

忙しくてこっち更新に専念してるからポンコツ魔王も放置気味なので、早めにそっちにも取りかかりたいです。



126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/22(火) 19:30:23.052HKSe50T0 (2/2)

そうなんだ
頑張ってくださいね


127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/22(火) 19:44:53.29dNkVNkVIo (1/1)

それより魔王SSの方をだな


128 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/22(火) 20:12:45.27WqFyZ3AAO (3/4)

>>127
分かってる、分かってるんだ!

これが終われば暇が出来るからもう少し待ってくれ……

うちだって魔王も片付けて速くNTRとか淫魔とか魔剣とかNTRとか色んなのに手を付けたいんだよぅ!




129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/05/22(火) 20:21:58.90Bux/sG8L0 (1/1)

今日は投下あるのか?


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/22(火) 20:23:12.53PZdqNiy7o (1/1)

投下があるなら早くしろ、でなければロアナプラへ帰れ!


131 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/22(火) 21:05:01.99WqFyZ3AAO (4/4)

>>129

>>1「投下はする……。するにはするが……今回、その投下の日時までは指定していない」

カイジ「あ? 何言ってんだ」

>>1「つまり、うちがその気になれば、10年後、20年後も可能だろう……ということ」

今日は投下ないです。
多分調子よく書ければ明後日くらい?


132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/22(火) 21:06:01.35cJnXXB1Po (2/2)

( ゚∀゚) イイカラサッサトネロ!!


133以下、名無しにかわりまして ささづか がお送りします2012/05/23(水) 13:18:31.23byMRA8td0 (1/1)

>>1
乙&ガンガレ~♪


134 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:34:13.91PXEMrnAAO (1/22)

こんばんは!

さて、予定通り幕間を二日に渡り投下していきます。

もう空気嫁なんて言わせない!



135 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:36:30.62PXEMrnAAO (2/22)


~幕間 ドキドキ! 二人旅湯煙慕情 ポロリはないよ!~


嫁「デート、ですか?」

男「あぁ。 まぁ、デートというより旅行?」

男「いや、最近仕事で忙しかったしな。 その前も少女の件で相手してやれなかったし」

男「お前も5ヶ月で安定期だろ? 少し動いた方が身体に良いらしいし」

嫁「で、でもお仕事は?」

男「先倒しして片付けたし、今週末からは数日完全にフリーにした」

嫁「アナタ……」

男「その、な。 お前骨折してて新婚旅行もまだで……いや、出産してから行くけど」

男「これまで、結婚してから完全に二人きりの時間ってあんまりなかったかな、と……」




136 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:38:14.73PXEMrnAAO (3/22)


男「で、どうだ? お前の身体の調子が良ければ……って、おい!」

嫁「……」ポロポロ

男「な、泣くなよ! やっぱりこれまで放っておいたの怒ってる……?」

嫁「違います……私、嬉しくって……」ゴシゴシ

嫁「アナタ、お父様の跡を本格的に継いでから忙しそうでしたし……」

嫁「それに、この間も少女ちゃんと朝までえっちしちゃうし……」

男「い、いや……あれはその、悪かった……」

嫁「ね、アナタ。 私、本当はちょっと寂しかったんですからね……?」

男「……ごめん。 お前がオレの奥さんなのにな……」

嫁「……いいんです。 その代わり、私甘えますからね?」

嫁「メイドも少女ちゃんも居ない所で、アナタが嫌になるくら甘えちゃいますから!」

男「……あぁ、思いっきり甘えさせてやるから! それじゃ、来週な!」




137 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:40:55.12PXEMrnAAO (4/22)


少女「えー? 嫁、男と旅行行くのー? 私もいきたいー!」

冥息・娘「「いきたいー!」」

メイド「ダメですよ。 それに少女、この前男さまを一晩独占したばかりでしょう?」

少女「う……それを言われると弱い……」

メイド「冥息、冥娘。 貴方たちもいつも男さまにベタベタしてるんですから……」

メイド「たまには、お嬢さまに男さまを独占させてあげなさい。 いいですね?」

冥息・娘「「はーい……」」

嫁「みんな、ありがと……」

メイド「良いのですよ。 本来であればお嬢さまが男さまを独占するべきなのですから」

少女「……そうだね。 ちょっとわがままが過ぎてたかも」

嫁「そ、そんなことないよ! ……でも、ちょっとそうかも」

メイド「ですから、せっかくの男さまの提案です。 思い切り甘えて来て下さい」

嫁「……うん」




138 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:42:51.55PXEMrnAAO (5/22)


メイド「ですが、あまり無茶しないように。 お嬢さま1人の身体じゃありませんから」

嫁「わかってるよ。 ……この子に危険が迫るような事は絶対しないから」サスサス

冥娘「ママ、私のいもうとまもってねー?」

冥息「ちがうよ、ボクのおとうとだもん!」

嫁「大丈夫だよ。 もう半年したら、この子が二人に会いにくるからね?」

少女「数年後には、私の子供も会いに来るよー?」

嫁「……少女ちゃぁん? それについては今度お話しようねぇ?」

少女「は、はーい……」

メイド「さて、そうと決まれば。 男さまの旅行計画を監修して参りましょうか」

少女「あ、私もー! 男、書斎だよね?」

嫁「そ、それなら私も……」

少女「嫁はダーメ! こういうのは、当日まで秘密にするものなんだから!」

メイド「お嬢さまはこの子たちの相手をしていて下さい。 さ、少女行きますよ?」

少女「楽しい旅をプレゼントするからね! 楽しみに待っててねー?」フリフリ

嫁「むー……」

冥息・娘「「ママ、あそぼー?」」

嫁「はいはい。 今日はなにしよっか……?」




139 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:45:51.81PXEMrnAAO (6/22)


~数日後~


嫁「それじゃ、行ってくるね?」

男「メイド。 子供たちの事、頼むな?」

メイド「はい、お任せ下さい。 こちらの事は気にせず、お嬢さまの事だけお考えを」

少女「ちょっとー、この子たちと一纏めにしないでよー」

男「はいはい、お前はしっかり学校で勉強頑張れよ?」

メイド「男さま、一応旅先にある産婦人科の地図と連絡先を纏めておきました」スッ

メイド「何もないとは思いますが、万が一にはこちらへ……」

男「あぁ、ありがとう。 それじゃ、行ってきます」

嫁「行ってきまーす!」

男「運転手さん、それじゃ駅まで頼む」

 「畏まりました」

嫁「アナタ、まだ行き先聞いてないですけど、電車に乗るんですか?」

男「あぁ。 今日は平日だから人ごみも少ないだろうし……」

男「ずっと車ではなんか味気ないだろ? だから、たまには、さ」

嫁「分かりました。 それじゃ……」ピト

男「お、おい嫁?」

嫁「えへへ、電車では大っぴらにイチャイチャ出来ませんから……」

男「……車だって、運転手さんがいるんだが」

 「私、何も見ておりませんので……」

嫁「だ、そうですよ? ほら、まずは頭撫でて下さい!」

男「ったく。 ま、今回は甘えさせてやるのが目的だもんな……」ナデナデ

嫁「~~♪」




140 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:50:23.13PXEMrnAAO (7/22)


 「旦那様、駅に着きましたが……」

男「あ、あぁ……ありがとう。 ほら嫁、駅に着いたってさ」

嫁「……もう着いたんですか? 残念です……」

男「後でたくさん甘えさせてやるからさ。 運転手さん、ありがとう」

 「いえ。 お気をつけていってらっしゃいませ」

嫁「ありがとうございます! さ、それじゃ行きましょう、アナタ?」ガチャ


男「ん……よいしょっと」ズシッ

嫁「アナタ、一泊の旅行なのにそんなに荷物持ってきたんですか?」

男「あぁ、ちょっとな……」

嫁「あの……少し持ちましょうか?」

男「馬鹿。 妊娠中の妻に荷物持ちさせる旦那がどこにいるんだよ……」

男「でも、ちょっと手がふさがってるから切符買ってくれるか?」

嫁「はい! で、どこまで買えば良いですか?」

男「あぁ、それじゃ……」




141 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:53:10.36PXEMrnAAO (8/22)


嫁「むー……」ガタンゴトン

男「嫁、どうした?」

嫁「いえ、何か行き先の駅、どこかで聞いた覚えがあるんですけど思い出せなくて……」

男「ハハ、気にするな。 どうせこれから行くんだし」

嫁「まぁ、そうですね。 ……でも、電車も久しぶりです」

男「そういえば、最近はずっと車だったしな」

嫁「考えてみれば、アナタの安全の為に車移動だったのに……ダメじゃないですか!」

男「まぁ、そうなんだけど。 たまにはいいだろ……どうせ、護衛ついてるだろうし」

嫁「そうなんですか?」

男「あぁ。 秘書さんやメイドに予定は伝えてるしな。 姐さんが手回してるだろ」

男「それに、車はどっちかというと朝の通勤ラッシュでの痴漢冤罪避ける為だし」

嫁「そんなのがあるんですか?」

男「金目当てでわざと言いがかりをつけてくる奴らがいる可能性があるんだってさ」

嫁「そっか……アナタ、有名人ですもんね……」

男「そんなことないって。 5年前は、爺さんが死んでマスコミに騒がれたけどな」




142 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:55:05.74PXEMrnAAO (9/22)


 「ねぇねぇ、あの人ってあの若い会長さんじゃない?」

 「あ、私ニュースで見た事あるー! ねね、逆ナンして玉の輿狙っちゃう?」

 「無理無理。 ほら、奥さん連れてるじゃん、しかもお腹大きい……」


嫁「……ほら」

男「……サングラスかけておくか」

嫁「アナタ? いくら若い子だからってチヤホヤされて調子に乗っちゃダメですよ?」

男「バーカ、可愛いお前が目の前に居てそんなことするわけないだろ?」

嫁「や、ヤダ……可愛いだなんて照れちゃいます……」カァ

男「心配なら、手でも繋ごうか?」

嫁「心配なんてしてません……でも、繋いで欲しいです……」

男「ハハ……甘えん坊なお前、久しぶりに見た気がするな」ギュ

嫁「だって、せっかく二人っきりなんですもん……」ピト

男「こら、あんまりベタベタしすぎるなよ? 周りの目があるからさ……」

嫁「……我慢できないです。 いいですよね、アナタ……?」

男「……ちょっとだけな?」ナデナデ




143 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 22:58:01.79PXEMrnAAO (10/22)


男「嫁、大丈夫か? 疲れてないか?」

嫁「大丈夫です。 座ってただけですし。 それに、荷物持ってるアナタの方が……」

男「なに、ずっとデスクワークで鈍ってるからな。 丁度いい運動だ」

男「大丈夫なら、少し急ぐぞ。 バスの時間に間に合わなくなるから……」

嫁「次はバスに乗るんですか? んー……やっぱり何か記憶にあるような……」

男「まぁ、乗ってりゃ思い出すよ。 さ、行くぞ」


嫁「パスも久しぶりですね……なんか懐かしいです」

男「そうだな。 初めての時なんて、降車ボタンすら知らなかったもんな」

嫁「初めてだったからしょうがないじゃないですか……あ、もしかして」

男「ハハ、行き先に見当がついたか?」

嫁「はい、なんとなく……あれ?」

男「? 嫁、どうかしたか?」

嫁「その……お腹というか、あそこの奥でちょっと違和感が……」

男「お、おい! 大丈夫か! 気持ち悪いなら、降りて病院に……」

嫁「アナタ、落ち着いて下さい! 大丈夫ですから……」

男「無理するなよ? 具合悪かったら、悪いってちゃんと言えよ?」

男「旅行なんて、いつでも行けるんだからな……?」

嫁「ありがとうございます。 でも、本当にそういうのじゃなくて……」

嫁「……メイドが言ってた通りなら、多分赤ちゃんがお腹蹴ったのかも」

男「……マジで?」

嫁「はい。 こう、内側からポコンって……」

男「もう動くんだ……これは、元気な子だな、間違いない!」

嫁「ふふ、そうだといいですね……」

男「触っていい?」

嫁「はい……どうぞ、アナタ」

男「……」サワ

嫁「赤ちゃん、パパが呼んでるよー? ……あ」ピク

男「っ! 今、かすかに動いた! これ、バスの揺れじゃないよな?」

嫁「はい、多分またお腹蹴ったと思います」

男「すげえ! もうお前の声に反応してる! これは頭の良い子だな、間違いない!」

嫁「アナタったら……でも、そうかもしれませんね?」クスリ




144 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:01:05.18PXEMrnAAO (11/22)


男「さ、着いたぞ」

嫁「やっぱり、ここだったんですね……」

男「あぁ。 懐かしいだろ?」

嫁「はい……メイドと、友さん女さんと一緒に来た、牧場……」

男「ほら、妊娠中は遊園地とかはダメだろ? ピクニックは良いって聞いたからさ……」

男「前みたいに乗馬は無理だけど、弁当食べてのんびりするにはピッタリだろ?」

嫁「はい……嬉しいです! ここ、アナタと付き合って初めてデートした場所ですし!」

男「ハハ、まぁ他に3人居たんだけどな……」

嫁「そっか、お弁当持ってたからそんなに荷物多かったんですね……」

男「そういう事。 まだ早いし、少しそこで休憩してからな?」

嫁「はい! それじゃ、お弁当は後の楽しみですね!」

男「それじゃ、今シート敷くから……っておい、嫁! 直で座ると汚れるぞ?」

嫁「せっかくの自然なのに、もったいないじゃないですか……ほら、アナタも」

男「……そうだな。 別に少し汚れるくらいどうでもいいか」トサッ




145 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:02:59.01PXEMrnAAO (12/22)


嫁「……風が気持ち良いですね……」

男「外でこうしてるには丁度良い季節だな」

嫁「……ね、アナタ。 そこに横になって下さい。 ほら、早く」

男「お、おう……こうか?」ドサッ

嫁「そうそう。 で、大の字になって……」

男「こう?」バッ

嫁「はい、それでいいです。 それで私は……」ポスッ

男「お、おい! 腕枕かよ! さすがに外でこれは恥ずかしいぞ……」カァ

嫁「良いじゃないですか、別に誰が見てるわけでもないですし」

嫁「それに、今日は甘えさせてくれるんでしょう……?」

男「……少しだからな?」

嫁「はい……えへへ」スリスリ

男「……気持ち良いな」

嫁「はい、とっても……」

嫁「……この子が産まれたら、今度は3人でこうしたいです。 川の字になって……」

男「……そうだな。 こいつにも、この場所を見せてやらないとな……」

嫁「冥息ちゃんと冥娘ちゃんにも。 今度、皆で来ましょうね?」

男「あぁ。 来年の今頃に、今度は家族全員で来ような。 新しい家族も一緒に」

嫁「……はい!」




146 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:04:20.28PXEMrnAAO (13/22)


嫁「ごちそうさまでした」

男「久しぶりに料理したけど、どうだった?」

嫁「美味しかったです! 毎日でも食べたいくらい!」

男「毎日は勘弁してくれ。 流石に仕事の後は辛い」

嫁「ふふ、冗談です。 でも、たまには作って下さいね?」

男「休みの日ならな。 ……さて。 嫁、動けるか?」

嫁「大丈夫ですけど……もうホテルに行くんですか?」

男「違うよ。 まぁ、来てのお楽しみ」




147 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:07:57.61PXEMrnAAO (14/22)


嫁「あぁ……この子たちって……」

 「お久しぶりです。 お二人とも幸せそうで、羨ましいですね」

男「あ、あの時の付き添いの人か。 お久しぶりです。 覚えててくれたんですね?」

 「えぇ。 あの後、ニュースで貴方の顔見て驚きましたから……」

男「アハハ、まぁ色々ありまして」

嫁「アナタ、見てください! この子たち、あの時の……」

 「はい、アンとプーさんです。 年を取ったので乗馬はもうしてないですけどね?」

男「お前が逢いたがってたからさ。 メイドに頼んでちょっと手を回して貰った」

嫁「アナタ……ありがとうございます!」

男「流石に乗馬はさせてやれないけど、一緒に歩くくらいは大丈夫だろ?」

 「この子たちも落ち着いて、絶対に蹴ったりしませんから安心して下さい」

嫁「はい! アン……元気にしてた? プーさんも、病気とかしてない?」

 「「ヒヒーン!」」

 「この子たちは引退しましたけど、ほら。 あそこに居るの、この子たちの子供です」

男「そっか、こいつらも夫婦になったのか。 オレたちと一緒だな……」

嫁「良かったね、アン、プーさん……」

 「来年には、子供たちが乗馬用の馬としてデビューするんですよ!」

男「そうなんだ……それじゃ、来年は是非その子たちに乗せて貰わないとな?」

嫁「はい……絶対来年も来ましょうね!」

 「ありがとうございます。 ……それじゃ、少しだけ一緒に散歩しましょうか」




148 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:10:50.33PXEMrnAAO (15/22)


男「結構歩いたな。 嫁、大丈夫か?」

嫁「少し疲れたかも……でも、大丈夫です。 この子たちも一緒でしたし!」

 「この子たちもいつもより嬉しそうでした。 楽しかったね、アン、プーさん」

 「「ヒヒーン!」」

男「今日は我侭を聞いてもらってありがとうございました」

 「いえ、こちらこそこの牧場を思い出の場所にして貰ってありがたいです」

 「是非来年もいらして下さいね? ……今度は、お子様とご一緒に」

嫁「はい! 絶対来年も来ますから! アンとプーさんも来年まで元気でね?」

 「「ヒヒン!」」




149 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:11:57.80PXEMrnAAO (16/22)


嫁「それで、次はどこへ行くんですか?」ワクワク

男「んー、ナイショ」

嫁「もぅ……期待しても、良いんですよね?」

男「まぁ、退屈はしないと思うんだけど……っと、タクシーが来たな」

嫁「タクシーで行くんですか……どこだろ?」

男「慌てるなって。 すぐ着くからさ……」




150 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:13:35.07PXEMrnAAO (17/22)


嫁「ここは……水族館ですか?」

男「そ。 ほら、動物園とかは行ったけど、水族館はまだ来た事なかったろ?」

男「せっかくだから、初めての場所に二人でデートもいいかなーって……」

男「どう? 気に入って貰えそう?」

嫁「もぅ、アナタったら……気に入らないわけ、ないじゃないですか……」

男「そっか。 良かった……」ニコッ

嫁「あの……アナタ? 手、繋いで、いいですか?」

男「……いいよ。 少し恥ずかしいけど」ギュ

嫁「あ……えへへ……」

男「それじゃ、行こっか。 お前の好きなペンギンもいるぞ?」




151 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:15:35.93PXEMrnAAO (18/22)


嫁「キャー! 見てください、アナタ! ほら、トテトテーって!」

男「あぁ、トテトテ歩いてるな……」

嫁「あぁ……可愛いなぁ……一匹連れて帰りたいなぁ……」キラキラ

男(……やろうと思えば飼えなくもないけど、流石になぁ……)

嫁「あ! ほらほら、餌貰いに泳ぎに行きました! うわぁ、速ーい!」

男「地上だとあんなにトテトテ歩いてるのにな……」

嫁「ですよねー! でもやっぱり、歩いてるペンギンちゃんの方が可愛いなぁ……」

嫁「ところで、アナタ? ここのペンギンちゃんは、ビール飲まないんですか?」

男「……は?」

嫁「え?」

男「……あのな。 普通に考えて、ビールを飲む動物はいないだろ……」

嫁「で、でも! ペンギンちゃんはビールを飲むって! こう、缶ビールをグビッと!」

男「嫁。 それは何の情報がソースだ?」

嫁「少女ちゃんに見せて貰ったアニメですけど……ほら、去年私がコスプレしてた」

男「……ペンギンはビールを飲まない。 まして、缶ビールをグビッとはしない」

嫁「えー……そんなぁ……」




152 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:17:27.32PXEMrnAAO (19/22)


嫁「ラッコさんもイルカさんも可愛かったですね……」

男「そうだな。 でも、お前が可愛いって言うのは魚類以外ばっかりだな。 魚は?」

嫁「……お魚は、食べるのは好きですよ?」

男「お前な……」

嫁「だって、なんか怖いんですもん。 ちょっと無表情だし、特に目が」

男「ニッコリ笑う魚とか、逆に不気味な気がする……」

嫁「熱帯魚コーナーのお魚は綺麗でしたけど……可愛いとはまた別ですし」

嫁「せめて金魚みたいだと、まだ可愛く見えるんですけどね……」

嫁「あ、でも私すごく楽しいですよ? 群れで泳いでるの、すごいですし……」

男「そっか……」

 「間もなく、3番のプールにてイルカのショーを開催します、是非お越しを!」

嫁「あ……イルカのショーですか……」

男「……見に行ってみるか?」

嫁「はい! 見たいです!」




153 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:19:43.34PXEMrnAAO (20/22)


嫁「アナタ! ほら、イルカさんが輪潜りましたよ!」

男「すごいな、あんなにジャンプできるもんなのか……」

嫁「わぁ……ボールもあんなに上手に……」

男「イルカは頭が良いっていうけど、ホントだな」

嫁「あ、こっちの方来ます! キャー、可愛い!」

男「あ、こら……そんなに身を乗り出すと……」

 「ピー!」バチャン!

嫁「キャッ……」ビシャッ…

男「うわっと! あちゃー、びしょ濡れになっちまったな……」

嫁「アハハ、冷たーい!」

男「ま、楽しそうだからいいか……ってお前、前隠せ! ブラが透けてる!」

嫁「え……? や、ヤダ! アナタ、上着貸してください!」

男「あ、あぁ……ほら、とりあえずこれで。 大丈夫、あまり見られてないから」

嫁「もぅ……最前列はこんなに濡れるとは思いませんでした」

男「その代わり、迫力あっただろ? ほら、今度は3匹来るぞ!」

嫁「ダメー! また濡れちゃう、濡れちゃいますー!」

男「お前な、他意はないんだろうけどなんかイヤらしいぞ?」

嫁「そ、そんなこと言ったってー……キャッ!」ビシャッ!

男「ハハ、またか……イルカからのプレゼントだな、これは」

嫁「もぅ……やだー!」




154 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:22:14.19PXEMrnAAO (21/22)


嫁「アナタ、お待たせしました……」

男「あぁ、大丈夫だったか? 余分に着替え持ってきてて正解だったな」

嫁「ふふ、そうですね。 でも、おかげでせっかくの下着までビショビショに……」

男「せっかくの下着って……えっちの時用の黒いレースだったけど、まさか」

嫁「黒いレースってわかるってことはじっくり見たんですね……?」

男「い、いや、まぁ……」

嫁「残念でした。 せっかくの旅行ですけど、えっちはありませんからね?」クスッ

嫁「デートですから見えない所まで気合入れてただけですから、ね?」

男「わかってるって。 お前の身体が一番大事だからな」ナデナデ

嫁「えへへ……でも、赤ちゃん生まれたらいーっぱい愛して下さいね?」

男「当たり前だ。 この調子だと、兄弟が沢山出来ちゃいそうだな……」


 「やだ、妊娠してるのにあの夫婦アツアツじゃない……」

 「羨ましいなぁ、私なんて妊娠したとたん旦那がつれなくなったのに……」


嫁「あ……」カァ

男「……こういう話は、夜にまた、な?」カァ




155 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/24(木) 23:23:51.82PXEMrnAAO (22/22)

本日はここまで。

書き忘れましたが、特に山場もなくひたすら男と嫁がイチャコラするだけです。

では、また明日!


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/05/24(木) 23:24:21.44I/VfL0qCo (1/1)

二人が幸せで本当にいいなぁ…カァ


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/24(木) 23:26:48.19bg8tpoOIo (1/1)

乙!

イチャコラ万歳!


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/05/25(金) 00:31:42.49/Dv0XFOno (1/1)

乙です
大変よいですな


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/25(金) 01:26:29.34rhdDF/3Do (1/1)

あまーい!
乙!


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/25(金) 18:08:44.65UZU+jaaQo (1/1)




161 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:16:40.94VbgCdyBAO (1/26)

こんばんは!

さて、幕間の後編です。
ちょっぴり次回作の宣伝も兼ねつつ。

では、投下開始します。


162 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:18:05.78VbgCdyBAO (2/26)


嫁「もう夕方になっちゃいました……楽しい時間って、すぐ過ぎちゃいますよね……」

男「そうだな。 でも、まだ旅行は折り返しにもなってないからな?」

嫁「次はどうするんですか?」

男「今日の所はこれで宿に向かおうかと。 またタクシーだけど、大丈夫か?」

嫁「えぇ。 イルカショーで座ってましたし、大丈夫です」

男「宿についたらのんびりできるから、もう少し我慢してくれよ?」




163 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:19:36.24VbgCdyBAO (3/26)


嫁「うわぁ……温泉宿、ですか……」

男「そ。 ホテルじゃなんか味気ないし、ちょっと大人の旅行って感じで」

嫁「素敵です……まるで新婚旅行みたい……」

男「最近じゃこういうとこに新婚旅行来る人も多いらしいからなぁ……」

男「でも、お前との新婚旅行はちゃんと改めて行くつもりだから。 心配するな」

嫁「嬉しいですけど……いいんですよ? 皆と一緒の旅行でも……」

嫁「ほら、こうしてたまにデートできれば私はそれで充分ですから……」

男「バーカ。 オレがお前と行きたいの。 わかった?」

嫁「分かりました……」ポッ

男「さ、流石に疲れたし、チェックインしてゆっくりしようぜ」




164 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:21:35.43VbgCdyBAO (4/26)


男「すいません、予約してた男ですけど……」

 「っ! ご予約の男さまですね、ようこそお越し下さいました!」

 「先代様には随分とお世話に! 本日は最高のおもてなしをさせて頂きます!」

男「あ、あぁ……ありがとうございます」

 「奥様もご懐妊されているとのこと、おめでとうございます!」

嫁「あ、ありがとうございます」

 「本日はマタニティプランということで、貸切風呂などご用意しておりますので!」

嫁「アナタ、マタニティプランって?」

男「温泉を貸切に出来るんだって。 ほら、大きいお腹気になる人いるだろ?」

嫁「あぁ、なるほど……」

男「……それに、ほら。 ここ混浴だからさ。 ……知らん男にお前の裸見せたくない」

嫁「もぅ……アナタったら」カァ

 「お幸せそうでなによりです。 では、お部屋までご案内致しますね?」




165 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:24:30.71VbgCdyBAO (5/26)


嫁「わぁ……すっごく広いお部屋ですね……」

男「なんでも、一番良い部屋らしい。 普通に予約してたらメイドが勝手に変更してさ」

嫁「メイドったら……私もアナタと二人ならどの部屋でも良かったのに」

男「でも、ほら。 嫁もこっち来て見てみろ……すごく景色が良いぞ?」

嫁「……これは……素敵。 見晴らしが良いですね……」

男「暗い中で微かに明かりが見えるのも良いけど、明日の朝なんて凄そうだな……」

嫁「そうですね。 絶対早起きして一緒に見ましょうね!」

男「あぁ。 さて、少し休憩したら早速お風呂入りに行こうか?」

嫁「はい! それじゃ、それまでは……」ガバッ ギュー!

男「おいおい、いきなりか?」

嫁「だって、ずっと外でしたから我慢してたんですよ?」ギュギュー!

男「あれで我慢してたのかよ……ま、好きなだけ甘えてくれ」

嫁「はーい! んー♪」

男「はいはい……」チュッ

嫁「あ……アナタ、またこの子、お腹蹴りました……」

男「元気な奴だな……この調子だと、自分から出てくるんじゃないか?」

嫁「きっと、パパをママが独り占めしてるから嫉妬したんですよ♪」

男「じゃ、女の子か? いや、男の子でオレに嫉妬してるのかもしれないぞ?」

嫁「どっちでもいいですよ。 元気で産まれて来てくれるなら……」

男「今ですら元気なんだ、元気すぎるくらい元気で産まれるに決まってる」

嫁「そうですね……ふふ、楽しみです……」

男「……嫁、ありがとうな?」

嫁「どうしたんですか、急に?」

男「いや、こういう旅行の時は日頃の感謝を言うもんだろ?」

嫁「ふふ、そういうのは普段言わない人がすることです」

嫁「アナタは、普段から言って下さいますから……」

男「そっか。 でも、ありがとうな?」ナデナデ

嫁「ん……こちらこそ!」スリスリ




166 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:27:44.45VbgCdyBAO (6/26)


男「えっと、こっちの方のはず……嫁、スリッパでこけないようにな?」

嫁「気をつけてますから大丈夫ですよ」

男「浴衣の裾巻き込んだりとかも気を付けろよ?」

嫁「もぅ……過保護過ぎますよ……」

男「いーや、結婚式ですら足折ってたお前だし。 これくらいで丁度良いだろ」

嫁「もぅ……ん? アナタ、何か聞こえません?」

男「ん……子供の声だな。 家族連れの旅行かな?」

嫁「そうかもしれませんね……あ、こっちに来るみたいです」

 「あれー? もしかして、男くんと許嫁ちゃんじゃないー?」

嫁「え?」

 「あ、ホントだ。 覚えてます? 前に、お二人の結婚式で……」

男「あ……もしかして、姐さんの?」

幼「そうだよー! 義理の弟の幼ですー! こっちはボクの奥さんのおとくんだよー!」

おと「ご無沙汰してます。 お二人も旅行ですか?」

嫁「はい、そうなんです! 結婚式、わざわざ来て下さってありがとうございました」

おと「いやいや、こちらこそいっつも姉貴がお世話になって……ほら、お前も挨拶しな」

 「……こんにちは」ペコリ

嫁「ふふ、こんにちは! 挨拶出来て偉いね……」ナデナデ

男「むしろお世話になってるのはこっちなんだけど……それで、そちらも家族旅行で?」

幼「そうなのー! 姐ちゃんに家族旅行プレゼントされたのー!」

おと「姉貴は仕事らしくて、母さんと4人で来てるんだ。 でも、この様子だと……」

嫁「鉢合わせするように、姐さんが仕組んでそうですよね……」

幼「アハハ、姐ちゃんこういうサプライズが大好きだからねー?」




167 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:30:17.24VbgCdyBAO (7/26)


男「ところで、オレたちは風呂入りに行くんですけど、お二人は?」

おと「あー、オレたちは母さん待ってた所なんだよな……」

おと「こいつがさ、露天風呂には入れないからって、一人だけ入りに行きがやって……」

嫁「入れない? ご病気か何かですか?」

幼「アハハ、違うよー。 ……ほら、ボクの身体こんな感じだから……」ペロッ

嫁「っ! こ、この傷は……」

男「そうか、少女と同じで貴方も……」

おと「悪い事してる訳じゃないけどさ、流石に周りの人に迷惑かかるからさ……」

幼「だから、ボクは内風呂でいいのにー。 おとくんも入ってきたらー?」

おと「バーカ。 旦那を放っておいて1人だけ入れるかよ……」

おと「お前もパパと一緒がいいよなー?」

 「……父様と母様いっしょがいいです」

嫁「……三人とも、良いご家族ですね……ねぇ、アナタ?」

男「あぁ。 お前も同じ事考えてそうだな?」

おと「……? どうかした?」

嫁「ね、幼さん……良かったら、一緒にお風呂、入りませんか?」




168 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:33:23.45VbgCdyBAO (8/26)


幼「ね、ねぇ……本当に良いのー?」

男「問題ないですよ。 元々オレらの貸切だし、一応女将さんに確認取りましたから」

嫁「問題があるとしたら、アナタの嫉妬心くらいですよね?」

男「姐さんのご家族なんだから家族みたいなもんだろ。 嫉妬しないっての」

おと「まぁ、お互い既婚者だしな……幼、お前も別にオレの裸見られてもいいだろ?」

幼「アハハ、嫁ちゃんに勝ってるところがないんだから、別にこっちは損ないしねー?」

おと「てめぇ……」ブルブル

姐母「赤ちゃん生まれても小さいままだもんねぇ、幼ちゃんにも吸って貰ったら?」

おと「うるせぇよ……」

男「と、とにかく! そういうことで、皆で行きましょうか」

おと「っと。 その前に。 オレたち年そんなに離れてないし、タメ口でいいぜ?」

幼「おとくんはもう少し話し方考えた方が良いと思うけどなー?」

男「んー、そうだな。 旅行先でまで気を遣うこともないか……」

嫁「アナタったら……私はいつもこうなので気にしないで下さいね?」

姐母「おーい、早く露天風呂入らない? 嫁ちゃんの裸を見たくてウズウズしちゃう」

男「あぁ……メイドに聞いてた通りの人だった……」




169 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:35:35.23VbgCdyBAO (9/26)


 「んしょ……」

嫁「1人でお洋服畳んでる……この子、偉いですね」

おと「あー、特に躾とかしてないんだけどな……でもほら、二人も反面教師がいるから」

嫁「冥息ちゃんや冥娘ちゃんも甘やかしちゃダメかなぁ……」

おと「あー、姉貴の友達のお子さん? まぁ、あの人はしっかりしてるから」

おと「そいや、あの人シングルマザーだったっけ……大変そうだなぁ……」

嫁(姐さんから聞いてないんだ……言わない方がいいかな……?)


幼「ふんふふーん♪」

男「……」

幼「ん? やっぱりこの傷、気になるー?」

男「ん……正直、少し。 アンタも大変だったんだなぁ……」

幼「アハハ、まぁ、昔の事だしー? それに、ボクにはおとくんがいるからー」

男「あの人はオレにとっての嫁って所か……オレたち似た者同士かもな」

姐母「うふふ、アソコのサイズは似ていないみたいだけどね!」

男「ちょ! アンタ、何見てるんですか!」

幼「アハハ、お義母さんはこんな人だからしょうがないよー」




170 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:37:43.48VbgCdyBAO (10/26)


 「わぁ……! すごい、お風呂……!」トタトタ

おと「こら、走ったら滑って転ぶぞ!」

嫁「わぁ……! アナタ、見てください! すごい露天風呂……!」

男「分かってると思うけど走るなよ? ったく、子供と同じ反応するなよな……」

幼「でも、この星空の下、夜景を見ながらのお風呂って素敵だよねー?」

姐母「そうよねー、こんな星空の下で青姦なんてしたら一発で孕んじゃうわねー」

男「……オレは何も聞いてない、聞いてないぞ……」

おと「嫁さん、女同士背中の流し合いでもしようぜ」

嫁「はい! お腹が大きくなってきてるから助かります!」

男「ハハ、奥さん同士は早速仲良くなったみたいだな。 オレたちも背中流すか?」

幼「そうだねー、裸の付き合いって一度やってみたかったんだよねー!」

姐母「あのー、私は?」

おと「母さんはセクハラするから、1人で洗ってろ」

姐母「ひ、ひどい!」




171 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:41:02.37VbgCdyBAO (11/26)


嫁「……スタイル、良いんですね……」ゴシゴシ

おと「あぁ? アンタに言われたくないなぁ……なんだよ、その胸は」

嫁「こ、これは重いだけですから! ……でも、あの人が喜んでくれますし……」カァ

おと「はいはい、ごちそーさま。 ま、オレも幼のやつが気にしないって言うしな」

嫁「良い旦那様ですね。 ……まぁ、うちの人も負けてませんけど」

おと「幼の奴だってな、ああ見えて意外と男らしい所もあったりするぞ!」

嫁「……プッ。 お互い、良い旦那を捕まえたって事にしておきません?」

おと「ハハ、そうだな。 おい、お前も洗ってやるからこっち来い!」

 「……はい、母様」チョコン

嫁「素直な良い子ですね……小学生ですか?」

おと「来年からなー。 ま、コイツしっかりしてるから心配はしてないけど」ゴシゴシ

嫁「綺麗な黒髪……この子、きっと美人さんになりますね」

 「……」カァ

おと「当たり前だろ? オレと幼の子なんだからな!」




172 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:48:20.38VbgCdyBAO (12/26)


男「しっかし、随分手酷くやられたもんだな……」ゴシゴシ

幼「数週間監禁されてたからねー。 ホント大変だったよー」

男「オレも2回ほど監禁されたな……全く、監禁ブームでも来てるのか?」

幼「そんなブーム嫌だよー……ところで、少女ちゃんは元気?」

男「あぁ。 おかげさまで無事高校に入学したよ」

幼「おめでとうー! あの子も過去を乗り越えてくれるといいねー?」

男「アイツは大丈夫だよ。 もう殆ど乗り越えてるから」

幼「そっかー。 いやー、姐ちゃんがあの子連れてきたときはびっくりしてねー……」

男(少女を抱いたことは言わない方が良さそうだ。 殺されるかも……)



姐母「……」カポーン

姐母「……さみしい」




173 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:51:50.39VbgCdyBAO (13/26)


嫁「んあぁ……アナタ、気持ちいいですねぇ……」

男「あぁ……景色もお前も綺麗だ……」

嫁「や、ヤダ! 他の方もいるのに、もぅ……」カァ

幼「アハハ、気にしないでー?」

おと「いや、流石新婚さんは仲が良いな。 オレたちも見習わないとな?」

姐母「あらあら、もしかして今日の夜はオッケーサイン?」

姐母「あー、家の事が気になるわー、1人だけ先に帰ろうかなー?」チラッ

おと「……そのあからさまな態度はなんかムカつく」

嫁「ふふ、家族でそういう会話が出来るのって、なんか良いですよね」

男「オレたちも出来るっちゃ出来るけど、舅がもういないからだしな……」

嫁「……でもアナタ? お向かいさんの夜を想像して、硬くしちゃうのはちょっと……」

男「っ! い、いやその……」

嫁「大方、女顔の幼さんは攻めなのか受けなのか、とか考えてたんでしょう……?」キュッ

男「……ごめんなさい」

嫁「もぅ……後で、お部屋でちゃんとしてあげますから。 ……お口だけですよ?」ヒソヒソ

男「……たまにはおっぱいがいいな」ヒソヒソ

嫁「アナタのお好きなように。 ほら、早く落ち着かせて下さい……」ヒソヒソ

姐母「夜のご相談は終わった?」

嫁「っ! ななな、何を!?」カァ

おと「だって顔赤らめてそんなえっちぃ顔してればなぁ……」

幼「新婚さんって素敵だねー。 ボクたちの時もおとくんが甘えてきてねー?」

おと「ばばば、馬鹿いうな!」

幼「後は姐ちゃんだけかー、でも、姐ちゃんの相手って想像もつかないよー」

おと「姉貴もなぁ……三十路超えたんだし、さすがに処女はまずいと思うんだけど……」

嫁「あれ? 姐さんって処女じゃないですよ?」

幼・おと「「うそ!?」」

おと「あ、相手は誰だよ! どこのどいつだ、姉貴をヤり捨てやがって!」

男「いや……言いにくいんだけど、相手はメイド……」

おと「ま、まさかの……」

幼「百合百合だねー、姐ちゃんらしいなー」

 「父様、しょじょとかゆりゆりってなんですか……?」

幼「それはねー……モガモガ」ジタバタ

おと「お、お前にはまだ早い! 今度教えてやるから!」

 「は、はい……」

男「なるほど……あぁやってメイドの口を止めるべきだったんだな……」





174 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:54:42.44VbgCdyBAO (14/26)


嫁「ふわぁ……良いお湯でした……」

男「景色も良かったしな。 それに、姐さん一家と仲良くなれたし」

嫁「これからも家族ぐるみでお付き合いして行きたいですね?」

男「あぁ。 あの子もうちの子たちと同い年くらいだし、良い友達になりそうだ」

嫁「アナタ、これからどうします? お土産でも見に行きますか? それとも……」ペロ

男「馬鹿、まだご飯も食べてないのに別のモノ食ってどうするんだ……」

男「どうせもうすぐご飯だ。 食べてお茶でも飲んだら土産コーナー覗きに行こう」

男「……えっちは、その後な?」

嫁「……はい。 あ、でも本番はダメですからね?」カァ

嫁「その代わり、アナタが満足するまでお付き合いしますから……」

男「お前が満足するまで、の間違いだろ?」

嫁「じゃぁ、二人とも満足するまで頑張りましょうね?」クスッ




175 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:56:26.04VbgCdyBAO (15/26)


 「では、ごゆっくりお召し上がり下さい」ス…

嫁「アナタ……豪勢な夕食ですね! 食べ切れるかなぁ……?」

男「無理しなくていいからな? しかし、パンフで見たのより数倍豪勢になってる……」

嫁「きっと、メイドがまた手を回したんでしょうね。 まぁ、嬉しいですけど」

男「ま、とりあえず食べよう。 せっかくの料理が冷めると勿体無いもんな?」

嫁「あ、アナタ……ビールお注ぎしますから」トクトク…

男「お、サンキュ。 ……お前も飲めると良かったのになぁ……」

嫁「この子がいますから、ダメですよ?」

男「酔ったお前、可愛いのに……」

嫁「もぅ……妻を酔わせてどうするつもりですか? ほら、ウーロン茶注いで下さい!」

男「へいへい。 それじゃ、かんぱーい!」トクトク チン!

嫁「えへへ、かんぱーい!」チン!




176 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 00:58:54.12VbgCdyBAO (16/26)


嫁「んー、美味し♪ 本格的な和食って久しぶりかも……」

男「うち、若い子多いから自然と洋食に偏るもんな……」

嫁「新人の子がキッチン担当になると、酷いですもんね……」

男「園長先生に料理教えて貰ってる子ばかりだからなぁ。 栄養重視で味付けが……」

嫁「次からは、先輩と組ませるとかシフト考えないといけませんね……」

男「あぁ。 メイドと今度相談しておいてくれ。 っと、こういう話は抜き抜き」

嫁「そうですね。 せっかくアナタと二人っきりなんですもの」クスッ

嫁「……アナタ、あーん♪」

男「ん。 あーん」パクッ

嫁「……美味しいですか?」

男「ん。 この味噌焼きの味噌、なかなか良い味してるな」モグモグ

嫁「……端っこ齧ってたから、関節キスですよ?」

男「お前な、付き合い始めじゃないんだから今更間接キスとか……」

嫁「でも、少しドキッとしたでしょう?」

男「……少しだけ」

嫁「じゃぁ、私も……んー♪」

男「……じゃ、この煮物な? ほら、あーん」

嫁「あーん♪ んー、さっきまでより美味しく感じます!」パクッ モグモグ

男「味付けは変わらないぞ?」

嫁「アナタの愛情の分、美味しくなったんですよ?」

男「……恥ずかしい奴だな、お前」カァ

嫁「誰も見てないから良いんです!」ニコッ




177 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:00:30.08VbgCdyBAO (17/26)


嫁「沢山お土産買っちゃいましたね……」

男「郵送出来て良かったよ。 持って帰れとか言われたらオレ死んでる」

嫁「ふふ、それでもアナタなら持って帰りそうですけど」クスッ

男「ま、出来る限りはな。 ……さて、布団敷くか?」

嫁「アナタ、まだ9時過ぎですけど……」

男「……ダメか? 実は、我慢出来ない……」

嫁「もぅ、アナタったら……」カァ

嫁「……そんなに、溜まってたんですか?」

男「いや、久しぶりにお前に甘えられて、付き合い始めの頃を思い出したらさ……」

嫁「……実は私も。 そっか、それでここをもうこんなにしちゃったんですね……?」サワ

男「……可愛いお前が悪い」

嫁「いいえ、アナタが悪いです。 だから……罰を、受けないといけませんね?」ニコ

嫁「たくさん……虐めちゃいますから……」




178 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:03:16.99VbgCdyBAO (18/26)


男「……おい、嫁」

嫁「な、なんですか?」ツヤツヤ

男「いくらなんでも、4発は抜き過ぎだ……」

嫁「だ、だってぇ……最近、アナタ私に気を遣って1度で終わっちゃうし……」

嫁「それに、この前だって1人でしてたじゃないですか!」

男「いや、それはまぁ、ムラムラする時もあるし……」

嫁「無駄撃ちするくらいなら、私とかメイドに出せば良いじゃないですか!」

男「お、お前な……何怒ってるんだよ……」

嫁「そこら辺の知らない女の人の身体に欲情するくらいなら、私に欲情して下さい!」

男「あー、思い出した。 お前はAV女優に嫉妬するような奴だったな……」

男「そっか……お前、嫉妬してたんだ?」

嫁「わ、悪いですか? えぇ、嫉妬してましたけど、何か?」ツーン

男「……可愛い奴」ギュー

嫁「だ、抱っこされたからって騙されませんから!」

男「……これでも?」ナデナデ

嫁「……も、もう一声」

男「……」チュッ

嫁「……えへへ」

男「お前、ベトベトになっちゃったな……もっかいお風呂行くか?」

嫁「あ、アナタ疲れたでしょう? 私1人で行ってきますから……」

男「馬鹿。 滑りやすい風呂で何かあったらどうするんだよ。 オレも行くから」

嫁「……アナタ……それじゃ、行きましょうか?」ギュ

男「……手、繋いで行くのか?」

嫁「……ダメ、ですか……?」

男「……いいよ。 でも、その前にせめて髪拭いて来い」

男「明らかにぶっ掛けられましたって様子で堂々と歩かれても困る……」

嫁「あ……そっか、家じゃありませんでした。 えへへ、すぐ拭いてきます!」




179 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:05:56.15VbgCdyBAO (19/26)


嫁「えへへ、アナタと一緒の布団~♪」

男「いつも一緒のベッドで寝てるじゃん」

嫁「旅行の夜はまた違うんですよ!」

男「だいたい、そっちの布団がお前の汁でベトベトになってるからだろうが……」

嫁「あ、アナタだって所構わず出したじゃないですか! お布団がカピカピです!」

男「……両成敗ってことで。 ほら、はみ出るからもっと寄れ」

嫁「じゃぁ、こうやって抱きついて寝ましょう!」ギュー

男「おいおい、大丈夫か? 腹押し潰さないだろうな……?」

嫁「あ、そうですね……それじゃ、私が背中向きますから、アナタが後ろから」ゴソゴソ

男「……こうか?」ギュー

嫁「はい。 こうすれば、お腹は大丈夫ですし、アナタとくっついて寝られます♪」

男「ついでに、こうしてお前の胸も弄れるしな?」モミモミ

嫁「コラ。 ダメです、えっちなのはもうおしまい!」ツネリッ

男「はいはい。 ……しかし、本当にこうして朝から晩まで一緒だったの久しぶりだな」

嫁「……そうですね。 どうしても他の人の相手をしちゃいますから」




180 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:08:09.58VbgCdyBAO (20/26)


男「ごめんな? お前、オレの奥さんなのに色々我慢してるだろ?」

嫁「……いいえ。 アナタの妻になれただけで私は……」

男「なぁ。 もう少し、素直になってくれていいんだぞ?」

男「オレたち夫婦なんだからさ。 ほら、溜め込むのは良くないって聞くし」

嫁「……そうかもしれませんね」

男「だからさ。 言いたい事は言って、お互い隠し事なしで」

嫁「それじゃ……もうちょっとお仕事減らして、私の相手して下さい!」

男「いきなり痛い所つくなぁ……うん、少しづつ減らすようにする」

嫁「少女ちゃんとのイチャイチャも程ほどに! 私だってイチャイチャしたいんです!」

男「そ、それは少女の方に言ってほしいかも……」

嫁「あと、これ以上誘惑に乗っちゃダメですからね!」

嫁「ほら、アナタ有名だから誘惑も多いと思いますし……でも、絶対ダメ!」

男「分かってる。 ただ、接待でキャバクラくらいは……」

嫁「ダメです! そんなお店接待に使うような取引先は却下!」

男「は、はい……」

嫁「それから、毎日朝と寝る前にちゅーして下さい! 最近たまに忘れてます!」

男「……気をつけます」

嫁「最後に……ずっと、私の事大事にして下さいね?」

男「……いつでも大事に思ってるよ。 大好きだ、嫁」チュッ

嫁「……えへへ。 私、幸せですからね?」ギュ




181 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:10:34.52VbgCdyBAO (21/26)


~翌日~


嫁「アナタ……アナタ、起きて下さい」ユサユサ

男「ん……あぁ、朝か……おはよう、嫁」

嫁「おはようございます。 んー♪」

男「んっ……今、何時だ?」チュッ

嫁「6時です。 ほら、朝一緒に景色見ようって言ってたじゃないですか」

男「あぁ、そうだったな。 よし、起きるか!」

嫁「それじゃ、障子開けますね……? わぁ……」

男「これは……すごいな……」

嫁「朝露で木がキラキラして……すごいですね……」

男「この部屋で良かったな。 メイドに礼言わないと」

嫁「そうですね……ちょっと贅沢ですけど、また来たいな……」

男「……メイドと少女にも、この風景見せてやりたいもんな」

嫁「冥息ちゃんと冥娘ちゃん、それに……この子にも」サスサス

男「……来年、牧場とセットでもう一回来よう。 今度は皆で」

嫁「はい! 楽しみにしてますね?」





182 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:12:33.05VbgCdyBAO (22/26)


男「嫁、忘れ物はないかー?」

嫁「大丈夫です。 けど……」

男「どうした?」

嫁「……仲居さん、ニヤニヤしてましたね?」

男「……しょうがない。 あっちの布団、酷い状態になってたし……」

嫁「朝換気したのに青臭かったですしね……もぅ、恥ずかしいなぁ……」

男「ま、気にするな。 オレたちが仲良しだって事だ」

嫁「もぅ……」カァ

 「是非、またお越し下さいませ!」

男「はい、また来年来させて貰いますよ」

嫁「とっても素敵な一晩でした! ありがとうございました!」

 「そんな、恐れ多い! でも、喜んで頂けて嬉しいですわ!」

 「「またお越し下さいませ!」」

嫁「……良い宿でしたね、アナタ」

男「あぁ。 それじゃ、我が家に帰るとするか!」

嫁「はい!」




183 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:17:03.37VbgCdyBAO (23/26)


嫁「ただいまー!」

冥息・娘「「ママ、おかえりー!」」

少女「男ー! おかえり!」ガバッ

男「あぁ、ただいま」

メイド「おかえりなさい。 お嬢さま、沢山甘えられましたか?」

嫁「うん! 男さま、すっごく優しかったよ!」

少女「男ー! それじゃ、次は私! 私も甘えるー!」

冥娘「私もー!」

嫁「ダーメ! 今日いっぱいまで、私のものなんだから!」ギュー

メイド「ふふ、愛されてますね。 さ、お茶にしましょう」

メイド「旅先での話、たくさん聞かせて下さいね?」

男「そうだな。 土産話はたくさんあるし……なぁ、嫁?」

嫁「はい! 少女ちゃんを羨ましがらせちゃうから! ね、アナタ?」

男「なんだ?」

嫁「だーい好きです! また、二人きりでイチャイチャしましょうね!」チュッ




184 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 01:20:57.95VbgCdyBAO (24/26)

本日はここまで。

途中のえっちシーンは如何だったでしょうか。
え? 省略された?
何のことやら……


次回はまた少し間をおいて、また嫁の話を投下します。

では、また次回!




185VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/26(土) 01:23:40.35zJLlYqpEo (1/1)

乙乙!!


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/05/26(土) 01:44:05.11ldxHuxr+o (1/1)

乙!


187VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/05/26(土) 02:06:52.22giRVfRG2o (1/1)

乙様!
いいと思います


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2012/05/26(土) 13:12:37.79ONWli2Bw0 (1/1)

イケメン「無理じゃないかなー?」の探偵さんはドクペ派の探偵さんですか?


189 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 15:32:24.91VbgCdyBAO (25/26)

>>188
あれは姐さんじゃないはず。

姐さんは人を貶めるような依頼は無意識で避けるでしょうから……




190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2012/05/26(土) 20:09:30.57iKHzrnOJ0 (1/1)

>>189
確かにそうですね
あの姉さんなら男に直接制裁加えそうですね


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/26(土) 20:11:04.14rjNrH6OQo (1/1)

あら、あのスレって>>1のだったの?
注意書きで回避余裕だったから見てないけど


192 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/26(土) 20:43:16.22VbgCdyBAO (26/26)

>>191
そうですよん。

うちは元々NTRやら鬱やらがメインですしおすし。

食わず嫌いをせず食べてみると新たな性癖に目覚めるかもしれない……


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/26(土) 21:51:01.101ONB0ovHo (1/1)

>>192
俺、食わず嫌いしないで色々読んでいたらそっち系は余計嫌いになっちゃった!



194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/27(日) 13:04:58.64cF3svsN20 (1/2)

他の作品と繋がりが無いのって>>1の作品にしては珍しいね


195VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/05/27(日) 14:55:40.43xiYE+Yrz0 (1/1)

イケメンで金持ちでち○こデカくて…
その上嫁と愛人が二人いて…

俺、こんな奴が会長やってるグループには就職したくない。


196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県)2012/05/27(日) 15:52:12.74CkyY2VXGo (1/1)

まぁ結局は顔なんだからしゃあない


197 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/27(日) 16:37:07.21MZAveOVAO (1/1)

>>196
心配すんな、友はフツメンだし幼は尻ビッチな男の娘だけど嫁がいるぜ!

眼鏡はイケメンのくせに男色に走ったけどな!



198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/27(日) 18:34:33.53cF3svsN20 (2/2)

眼鏡がイケメン・・・?
HAHAHA、ご冗談を


199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/29(火) 18:56:34.19Ft//5VgA0 (1/1)

test


200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ) 2012/05/31(木) 01:14:15.814C4kpmmA0 (1/1)

>>198
いや、イケメンだったぞ。


201 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/31(木) 21:19:09.91xSCsLd2AO (1/2)

とりあえず生存報告を。

退職やら引越の準備やらで忙しくなかなか手が付けられてません。

ですが、後一区切りですので時間を見つけては書き貯めています。
(次回作・魔王含め)

来月中旬には落ち着くと思いますので、のんびりお待ちください。

では!


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/31(木) 21:33:50.05FbwhLYE4o (1/1)

なんだ、退職して作家業に専念か?


203 ◆vF1GrLS8msUg2012/05/31(木) 22:09:01.63xSCsLd2AO (2/2)

>>202
流石にそこまで自惚れてはいません、田舎でのんびりした生活を送るだけですよー。

SSは趣味として細々続けていきます。



204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/31(木) 22:11:07.40SpEnhJ9wo (1/1)

仕事しながらあのスピードで書き貯めていたことに驚いた


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/31(木) 22:47:09.461FRizjn9o (1/1)

それが>>1の最後のレスだったそうな。ちゃんちゃん


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/01(金) 00:05:00.53fvAHUIOSo (1/1)

待ってるよー


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ)2012/06/01(金) 03:00:08.05pvVkA8/Q0 (1/1)

俺「おお>>1さん!初めまして!」

>>1「どうも。>>1です。田舎で細々と暮らしに来ました。よろしくお願いします。」

>>1「此処特有の掟とかって有りますか…モガッ!」

俺「来た奴は犯す…それがロアナプラの掟だ!」



その後>>1の姿を見たものは居ない…


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2012/06/01(金) 03:49:51.41RWIvDrSAO (1/1)

いい加減ロアナプラネタつまんないからやめてほしい


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/01(金) 08:05:41.89bQw4MhqIO (1/1)

>>207
くっさいなぁ


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/01(金) 20:42:08.81o6LcN5WIo (1/1)

>>1の自演の可能性があるだろ。無いけど


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2012/06/03(日) 06:53:16.76d7BAd/fAO (1/1)

まだ続いてるよね?
あれ、もしかして完結?


212 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/03(日) 07:26:17.46h++l3yqAO (1/1)

>>211
もうちょっとだけ続くんじゃ


213VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/03(日) 22:30:04.47pVaT8F67o (1/1)

そりゃ楽しみじゃ


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2012/06/08(金) 18:07:07.14labV9yv+0 (1/1)

早く書かないと>>211が>>1を掘りにいくよ


215 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/08(金) 19:03:20.86mylLb4KAO (1/1)

>>214
引越の合間に書いてるからもうちょい舞ってるんだ

といいつつ中編完結まで書き終えたのはナイショ


216VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/06/08(金) 19:20:38.63jZ03SdCmo (1/1)

>>215
かまわんトウカしたまえ


217VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/10(日) 16:54:33.74goTuul/b0 (1/1)

>>215 wktk


218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(ロアナプラ)2012/06/11(月) 03:42:57.35NWJsrwWP0 (1/1)

>>214

>>1を掘るのは俺だ、間違えるんじゃない!


219VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2012/06/11(月) 05:56:27.59MkI4HTCAO (1/1)

いつから>>1が男だと錯覚していた…?


220VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/11(月) 06:10:04.84F7u4lidIO (1/1)

なん……だと……!?


221VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2012/06/11(月) 22:54:02.65tHe1Oiq30 (1/1)

>>1
はよしてくれ・・・


222 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/12(火) 13:51:42.47OrD3SykB0 (1/1)

>>221
ようやく引越しに向けての荷物の整理がひと段落しました。
いやぁ、ラノベがダンボール10箱分もあったとは……
みんな、ブックオフに行っても元気でね……

というわけで、時間をとって書き溜め進めたいと思います。
多分明後日くらいに更新できるかと。

では、また次回!


223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2012/06/12(火) 16:51:34.65l9KY2jeh0 (1/2)

ダンボール10箱分・・・だとっ・・・!?
新品で買うと総額でいくらになるんだ・・・


224VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 18:44:22.60uJY+4uqIO (1/1)

箱のサイズと文庫か書籍かなどでも違うが、新品だと50万~200万ぐらいかな


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2012/06/12(火) 21:29:52.87l9KY2jeh0 (2/2)

>>224
マジか、ソースは???


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 22:27:26.22E4vlIt0Uo (1/1)

電撃文庫だとして、文庫判=A6判(148mm×105mm)、厚さ10mmとして
引越し用のダンボールのサイズが430×350×310mm(クロネコ)だとすれば

1箱に約180冊は入る計算になるな。
10箱だと1800冊。


一冊あたりの新刊価格が均せば600円くらいか?

となると……ざっと百八万円。

>>224のいう総額の丁度中央値くらいだな


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/12(火) 23:09:13.33g2uerjuIO (1/1)

ラノベとか外れは多いし毎月大量に出るから置くところがないんだよな…
月ラノベ10冊買うだけで年間120冊
72000円相当の金が吹っ飛ぶ



228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/13(水) 01:31:29.30N72+4f1oo (1/1)

ハズレは別にまとめといて溜まったら売るようにしてるわ
すぐ売ったほうが高いがマンドクセー


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/15(金) 22:33:19.681tx2v8sr0 (1/1)

>>226
売ったのが計700冊、原価500平均(実際は100円とかあるのでもっと安いですが)として35万
その売値は……!

約5000円でした……

で、一応ラストまで書き上げて推敲してから投下したいと思います。
ので、もう少しお待ちを。

23日でネット使えなくなるので、それまでには完結したいと思います。


230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/18(月) 15:03:21.40ngRsPC0bo (1/1)

ぶっこふで売るとそんなもんだよ
あそこ買い叩くくせに管理雑だから、と元店員が言ってみる


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/18(月) 19:36:53.75dm0UVkLH0 (1/1)

がんばれ
応援します


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2012/06/20(水) 11:29:27.21zO9H+rMt0 (1/1)

あんまり遅いと皆が>>1を掘りに逝くよww


233 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/21(木) 23:15:51.311Av8dwVt0 (1/1)

こんばんは!

えっと、経過報告です。
番外編最終章8割がた書き終わってますが、タイムリミットが来ちゃいました。
PCで纏めて投下したかったのですが、引越し先はまだ暫くネットが繋がらないようで……

なので、推敲が終わり次第、携帯でちょびちょびと毎日定期投下をしたいと思います。
予定では6月25日月曜夜21時より。

ついでに、平行して深夜で中編新作を投下するつもりです。
タイトルは

男「ゲームが現実になるゲーム機?」天使「そうでーす♪」

になる予定。
概要としては、ウザ可愛いフタナリ天使と男の明るいNTRストーリーです。

こっちは書き終えてますので、まったりと。
また改めてURL誘導します。

以上、経過報告でした。



234VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(広島県)2012/06/21(木) 23:25:10.18mALBNTMJ0 (1/1)

明るいNTRストーリーだと…?


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/21(木) 23:34:05.45m6wD44DWo (1/1)

どんなのだそれwwwwww


236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 02:21:16.64CPHDobyso (1/1)

そんなことよりポンコツ魔王はよ


237 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/22(金) 04:41:29.96YyBqSb4V0 (1/1)

>>236
そっちはネット環境整ってからですねー
多分、本作+上記天使物終わってから、前作裏編と平行して進行になるかと。

あの地の文の量を携帯で投下するのはキツイ……
ま、落ちることはないのでお気に入りにでも入れてのんびりお待ち下ちい。



238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 22:10:56.07FFS2f7WV0 (1/2)

前の外伝は?


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/22(金) 22:12:53.02FFS2f7WV0 (2/2)

ごめん
よく読んで無かったな


240 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:18:30.80h1fVZ8pAO (1/9)

すみません、少し遅刻しました。

本日より最終章、許嫁ちゃんの一人称視点です。

ほんのり切ない許嫁ちゃんの恋語りにお付き合い下さい。



241 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:19:55.17h1fVZ8pAO (2/9)


○月×日


今日、お父さんが弟をつれてくる、といいだした。

おとうとなんていらない。
お父さんとふたりでいい。
うちお金ないのに、これいじょうお父さんにくろうさせたくないよ。

ごめんね、お父さん。
私のびょうきのせいで、お父さんたいへんなのわかってるから。

だから、おとうとなんていらないからね?




242 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:21:44.10h1fVZ8pAO (3/9)


検査入院から帰ってきたその日。


 『今日から、お前の弟が出来るよ!』


お父さんが突然そんなことを言い出した。

私の家は父子家庭で、母はいない。
じゃぁ、弟はどこからやってくるの?
頭に?を浮かべていると、お父さんが笑いながら説明してくれた。

お父さんの友達が交通事故で亡くなったそうだ。
その友達には、一人子供がいた。
色々事情があり、お父さんはその子を連れてくるという。

正直、私は反対だった。
優しいお父さんと二人で幸せなのに、もう一人増えたらどうなるのか。
ただでさえ病弱な私が迷惑をかけてるのに、もう一人増えたらどうなるのか。
不安なことばかり頭によぎる。

……でも。
お父さんのやることで間違ってたことなんて、ひとつも、ない。


 『ほら、この子が男くんだよ!』


初めて会った時、不安が的中したと思った。

薄汚れた格好で、怯えるようにこちらを伺う顔。
私と同じか少し下くらいだけど、病弱な私より痩せた男の子。
これからお世話になるのに、挨拶も出来ない礼儀知らずな子。

……それが、男くんの初めての印象だった。




243 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:23:50.61h1fVZ8pAO (4/9)


○月×日


今日もお父さんはしごとでおそくなる。
男くんとふたりきりでおるすばんをしてた。

男くんはくらくて、ずっとだまっている。
こんな子のためにお父さんはおそくまでしごとしてるの?

男くんなんて、うちに来なければよかったのに。




244 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:25:34.89h1fVZ8pAO (5/9)


男くんが私の家に来て、数日が過ぎた。

やはり家計が厳しくなったせいだろう、お父さんは毎日遅くまで仕事をするようになった。


 『大丈夫、無理はしないから。 男くんのこと、頼むからね?』


お父さんにそうお願いされたから、しょうがなく男くんの面倒を見てあげている。

とはいえ、男くんは全然私になつかなかった。

いつも、部屋の隅っこでずっとボーっとしていたり。
自分から話すことはなく、私から話しかけても「うん」くらいしか言わない。

暗いし、何考えているのか分からないから正直あまり好きになれなかった。
まぁ、私自身かなりの時間ベッドで横になっている事が多いから、静かにしてくれてる分には邪魔にならなくて良かったけど。

ペラ……と私が本のページをめくる音だけが部屋に響く。
男くんは何もしない。 ただずっと部屋の隅から外を見ているだけ。

何を考えているんだろう?

この日、ほんの少しだけ、男くんに興味が沸いた。




245 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:27:31.05h1fVZ8pAO (6/9)


○月×日


男くんがとつぜんなきだした。

男くんをずっとなでてあげた。
お父さんが帰ってきて、ねていた私たちをだきしめてくれた。

おとうとをまもってあげてね、とお父さんに言われたから、男くんをまもってあげることにした。




246 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:29:17.57h1fVZ8pAO (7/9)


ついに読む本が無くなってしまった。

といっても、うちは貧乏なので昔に買った小説を読み返していたのだけれど。
それも、3週目のローテーションを終えてしまっていた。

相変わらず男くんは何もしない。
最初は私も何かと話しかけてはみたけれど、あまりに反応がない上に私もそれほど会話の切欠になるような話題を持っていなかった。
そのせいで、男くんがうちに来て1週間を迎えたこの時、お互いに何も会話を交わさないようになっていた。

やることもなくなったのでテレビをつけると、毎日昼にやっているバラエティが終わる所だった。

適当にチャンネルを変えているうち、昼の連続ドラマに落ち着く。
途中から見てもあまりストーリーは分からないけれど、暇つぶしにはなるだろう。

どうやら、意地悪な家族に苛められる薄幸の少女の物語らしい。
見ていてあまり気分が良くないので変えようか、しかし途中まで見たんだし、と迷っているうち。

画面に、暴力を振るわれる少女が映し出された。


 『あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』


突然響き渡った叫び声に驚き、音の発生源を見ると。
男くんがうずくまって震えていた。

驚いた私は、母性本能が働いたのだろうか?
ベッドから降りて男くんに駆け寄り、抱きしめてあげた。
お父さんがしてくれたように頭を撫でてあげると、次第に男くんは落ち着いていった。

幼かった私は良く分かっていなかったのだけれど。

男くんは、画面の少女に過去の自分を重ねていたのだ。
落ち着き、泣き疲れて寝てしまった男くんを抱きしめたまま、私も寝てしまった。

この日初めて、男くんを守ってあげないといけないと思った。




247 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 22:31:51.14h1fVZ8pAO (8/9)

本日はここまで。

今後は、用事がなければ毎日21時の定期投下を予定しています。

では、また明日21時より!


248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/06/25(月) 22:47:56.97x/duh5dso (1/1)

最終章…


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/25(月) 23:06:20.58cSEU6k4io (1/1)

乙&把握


250VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/25(月) 23:08:40.90lLAn5u1Fo (1/1)


ところで、最近の話はずっと蛇足っていうかオマケのストーリーだって事を何人が覚えているのだろうか。まあどうでも良いか


251 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/25(月) 23:26:50.01h1fVZ8pAO (9/9)

>>250
随分長引いたからねぇ……

でも今回ので番外編も終わり。
続編を書くにしても別でやります。

まぁ、キャラの出張はあるでしょうが……


252 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:01:36.54IMEehAkAO (1/7)


○月×日


今日は、男くんとドラえもんを見た。

男くんがしゃべってくれた。

初めて、男くんが笑ってくれた。




253 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:03:47.52IMEehAkAO (2/7)


あの日以来、男くんは部屋の隅ではなくベッドの傍に座り込むようになっていた。

相変わらず何をするわけでもないけれど、話かけるとほんの少しだけ会話が成り立つようになっていた。
あの日のような事が起こらないよう、テレビはあまり見ないようにした。

でも、それでは会話が続かない。
楽しい番組なら大丈夫だろうと、アニメを一緒に見る事にした。

夢のような秘密の道具がいっぱいの、ドラえもん。

二人でボーっと画面を眺めていると、不意に男くんが呟いた。


 『どこでもドアがあれば、お父さんとお母さんに会いにいけるかな?』


男くんの両親は既に亡くなっている。
男くんも、二人が既に死んでしまった事は理解していたはずだけど。
きっと突然いなくなってしまった家族に会いたかったのだろう。


 『そうだね、きっと会いにいけるよ』


慰めるようにそのような言葉を返すと、男くんは私の方を見て。

この日、男くんはうちに来て初めて、微笑んだ。




254 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:05:34.81IMEehAkAO (3/7)


○月×日


今日は男くんといっしょにさんぽに行った。

男くんは公園でブランコをして、私はそれをみてた。

男くんにアメをあげると、男くんが笑ってくれた。

おねえちゃんってよんでくれた。




255 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:07:22.58IMEehAkAO (4/7)


この日は身体の調子が良く、窓から差し込む風も穏やかで良い天気だったので久しぶりに散歩に出かける事にした。
といっても、一日の殆どをベッドの上で過ごしている私はあまり外を知らないので、自宅の隣にある公園くらいしか行けないのだけど。

男くんが初めて笑ってくれたあの日以来、男くんはときおり笑顔を見せるようになっていた。
この日も、一緒に散歩に行こうと誘うと嬉しそうな顔をして手を繋いできた。

お昼前のこの時間、公園には誰もいない。
当然だ、本来この時間は皆学校に行っているのだから。

小さな公園を二人だけで占領する。

私はベンチに腰を下ろして、ブランコを漕ぐ男くんを眺めていた。
男くんは何度も何度もブランコを漕いで、まるで空まで届かせるかのように漕ぎ続けていた。

漕ぎ疲れたのか私の傍に戻りベンチに腰掛けた男くんに、飴玉を一つ渡してあげる。
前にお父さんが買ってくれて、大事に舐めていた缶入りのドロップ。

ピンク色の綺麗な飴を手に取り口に放り込むと、嬉しそうな笑顔を浮かべ礼を言った。


 『ありがとう、お姉ちゃん』


この日、男くんは私の弟になった。




256 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:08:50.32IMEehAkAO (5/7)


○月×日


お父さんと男くんと、外にごはんを食べに行った。

私と男くんはオムライスをたのんだ。

オムライスについていた国旗を男くんにあげると、うれしそうだった。
お父さんもうれしそうだった。

オムライス、美味しかった。




257 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:11:30.14IMEehAkAO (6/7)


この日はお父さんが久しぶりに早く帰ってきてくれたので、家族3人で食事に出かけた。

男くんが傍に居てくれた事が影響したのだろうか、この頃私の体調は若干良くなり、ほんの少しだけベッドから離れる時間が増えていた。
お父さんは少し心配していたけど、お願いして外に連れて行ってもらったのだ。

向かった先は近所のファミレス。

外食を殆どした事のない私は、めずらしく緊張というものをしていたようだ。
席について男くんとメニューを広げる。

食べた事のない料理が沢山ならんでいて、何を選べばいいのか迷っていると。


 『いっしょにオムライス食べよう!』


どうやら、オムライスの上に刺される国旗が欲しかったらしい。
わたしも同じ物を頼めば、国旗が二つ貰えると考えたようだ。

テーブルにオムライスが二つ並んだ所で、私のオムライスに刺さっていた日の丸の国旗を男くんのオムライスに刺してあげた。
男くんは嬉しそうな笑顔を浮かべると、国旗を倒さないよう端の方から慎重にオムライスをスプーンで崩していく。

嬉しそうにオムライスを口に運ぶ男くん。
それを嬉しそうな顔で見つめるお父さん。
それを見る私は、どんな顔をしていただろうか。

私も端の方からオムライスをスプーンで掬い、口に運ぶ。
卵と、ケチャップの甘い味が口の中に広がる。

全部は食べられなかったけど、残ったオムライスは男くんのお腹の中へ消えていった。

この日から、オムライスは私の大好物になった。




258 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/26(火) 21:14:58.30IMEehAkAO (7/7)

本日はここまで。

一応予告通り深夜にて中編を掲載中です。

http://jbbs.m.livedoor.jp/b/i.cgi/internet/14562/1340635825/n

併せてどうぞ。

では、また明日21時より!


259VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/06/27(水) 04:50:34.09Zrnr0p3do (1/1)




260 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:03:10.8111Go0j4AO (1/14)


○月×日

男くんと遊んでいると、こわい人たちがうちにきた。

お父さんがまもってくれた。
私も、男くんをまもってあげた。

男くん、もうだいじょうぶだよ。




261 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:06:08.7111Go0j4AO (2/14)


この日は雨で、男くんと二人トランプをしていた時だったろうか。
めったに人の訪れない我が家に、突然インターフォンの音が鳴り響いた。

私がインターフォンに出ると、知らない人たちが男くんを出せ、と喚き立てていた。
怖くなった私はお父さんの会社へ電話をして、お父さんに帰ってきて貰うことにした。

鳴り続けるインターフォンに、男くんと身を寄せ合い震えているうちにお父さんが帰ってきてくれた。

この時は分からなかったけれど、財産目当てで男くんを引き取ろうと訪れた、男くんの遠縁にあたる人たちだったのだろう。
猫撫で声で男くんに呼びかけては、震えが走る程の大声でお父さんに怒鳴り散らす。
その声が響く度、男くんは震えていた。 まるで、うちに来たばかりの男くんのように。


 『お姉ちゃん、ボクもうイヤだよ……』


掠れるような声で、男君がつぶやく。
そんな男くんを強く抱きしめながら、嫌な人たちを睨みながら私は男くんを励まし続けた。


 『大丈夫だよ、私が一緒にいるから……私とお父さんで守ってあげるから』


暫くの間お父さんと嫌な人たちは話を続けていたが、やがて罵声を浴びせながら去っていった。
どうやら、お父さんが男くんを守りきってくれたらしい。

お父さんは優しく微笑んで、私たちを抱きしめてくれた。

この日、私たち3人は本当の家族になれた気がした。




262 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:10:35.9311Go0j4AO (3/14)


○月×日

今日は初めての遊園地。

男くんと二人、たくさんのりものにのったの!

たのしくて、すごくて、たのしかった!

またいっしょにこようね。




263 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:15:01.2811Go0j4AO (4/14)


再びお父さんの休日がやってきた。

最近ではずいぶん身体の調子が良くなり、一日の殆どをベッドから離れて生活することが出来るようになっていた。
病は気から、とは言うが、本当にそうなのかもしれない。
お父さんが仕事で居ない間ひとりぼっちだった私に弟が出来て、二人になった途端に快方へ向かったからだ。

以前から約束していた通り、3人で遊園地に向かう。
やはりお父さんは私の身体を心配して難しそうな顔をしていたが、元気な私の姿を見て安心したようだ。

初めての遊園地で私も興奮していたのだろうか。
普段感じる倦怠感は全く影を潜め、走り回る程の勢いで次から次へと乗り物を乗り継いでいった。

ジェットコースター、コーヒーカップ、メリーゴーランド。

夢にまで見た楽しい乗り物が、そこにはあった。


 『お姉ちゃん、もう疲れたよぅ……』


 『まだあれ乗ってないじゃない! ほら、行こ!』


興奮した私に付き合うのに疲れたのか、普段とは逆に男くんの方が疲れ果て音を上げていた。

楽しい、とても楽しい。
でもそれは、ただ遊園地に来たからじゃなくて。
男くんと二人、こうやって元気に遊びまわれることが楽しかった。


 『こらこら、乗り物は逃げないから……』


流石に心配になったのか、不安そうにしながらも楽しげなお父さん。

……この日が、お父さんと出かけた最後の日になった。




264 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:16:39.3611Go0j4AO (5/14)


○月×日


お父さんが死んだ。




265 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:18:16.9911Go0j4AO (6/14)


お父さんが死んだ。

会社帰りの交通事故だったそうだ。


この日の事は、思い出したくない。




266 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:19:20.0511Go0j4AO (7/14)


○月×日

今日はお父さんのおそうしきをあげた。

しんせきの人がきてくれて、おそうしきをあげた。
でも、私も男くんも、ひきとってくれる人はいない。

これからどうなるんだろう?
私にはもう男くんしかいない。




267 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:21:11.3211Go0j4AO (8/14)


お父さんの葬式は、顔も見た事がないような遠縁の親戚の人が喪主を勤め始まった。

私も男くんも、正直このとき何がどうなっているのかさっぱり理解出来ていなかった。
ただ、わかっていたのは優しかったお父さんが居なくなった事。

お父さんのお棺の前で男くんと二人ぼんやりとしていると、隣の部屋から親戚の人たちの話声が聞こえてきた。


 『うちではあの子引き取れないわよ! それに、男の子はよその子らしいじゃない!』


 『うちも子供が大学で何かと物入りで……』


難しい話もあったが、大まかに話の内容は理解できた。
誰も、私たちを引き取ってはくれないのだ。

話が理解できないのか、あるいは頭に入らず耳を通り過ぎていってしまっているのか、男くんは無表情のまま、ただただお父さんのお棺を見つめ続けていた。

この日、お父さんは私たちの目の前から居なくなった。




268 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:24:19.0111Go0j4AO (9/14)


○月×日

男くんがしせつに連れて行かれてしまった。
弟とはなればなれにされてしまった。

私には何も出来なかった。
男くんを守ってあげられなかった。

でも、きっといつか会いに行くよ。
だから、待っててね、男くん。




269 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:26:20.0111Go0j4AO (10/14)


親戚の話し合いの結果、まず男くんが施設へ入れられる事になった。
親族である私の引き取り先ですら揉めている状況で、誰も男くんを引き取る人はいないと判断されたからだ。

男くんと離れ離れになってしまう。

そう実感したとき、締め付けられるような悲しみが私の胸を襲った。

離れたくない。
男くんと一緒にいたい。

でもそれは、守ってくれていたお父さんが居なくなった今、私には到底叶わない願いだった。


 『ごめんね、男くん……一緒に居られなくなったの……』


状況を理解出来ていない男くんを説得しろと、親戚の人に言われ泣きながら男くんに別れを告げる。

その一言を聞いた男くんは悲しそうな顔をして私にしがみ付こうとした。
そんな男くんの顔をまともに見られず、横を向いたまま男くんに私の思いを伝える。


 『いつか、会いに行くから! 男くん好きだよ!』


 『お姉ちゃん、お姉ちゃんー!』


お父さん、ごめん。
男くんを守ってあげるって約束、守れませんでした。

でも、いつか。
必ず男くんにもう一度会いに行く。

別れ際に渡された男くんのお母さんの髪留め。
親戚に引きずられるように連れて行かれる男くんを涙で見送った後、その男くんのお母さんの形見に私は一人再会を誓った。

この日、私はひとりぼっちになった。




270 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:28:45.3211Go0j4AO (11/14)


○月×日

男くんのおじいさんに引き取られる事になった。

お父さんへのおんがえしだって言ってた。

でも、男くんは引き取ってくれないみたい。
男くんのためだって言ってたけど、よくわからない。

男くんに会いたい。




271 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:30:38.7611Go0j4AO (12/14)


引き取り先が決まらないまま、一人途方にくれていた所に、見知らぬおじいさんが現れた。

長い髭も髪も真っ白な、貫禄のある怖い顔をしたおじいさん。
でも、その目はなぜか優しく私を見つめていた。


 『儂は爺。 男の祖父にあたる者じゃ』


幼かったせいもあるけど、男くんにお爺さんが居たとは聞いたことがなかった。

それに、男くんは既に施設へ送られてしまった。
男くんを迎えに来たのでないのなら何をしにきたのだろう?

そう思っていると、お爺さんは私を引き取る、と告げてきた。

でも、この人が男くんのお爺さんならば。
私はどうなってもいい、男くんを助けてあげて欲しい。
しかし、その願いに対してお爺さんは首を振った。


 『……男の為なのじゃ。 それが、男にとって一番良いのじゃ……』


今の私にはその理由がはっきりと分かるけれど、当時の私は何故男くんを助けてあげないのか理解できなかった。
……でも、この人が男くんの事を思っているのだけは、分かった。

なぜなら、お父さんと同じ優しい目をしていたから。
だから、私はこの人のお世話になる事を決めた。

この人の傍に居れば、いつかきっと男くんと再び出会えるだろうから。

この日、私は生まれ育った家を後にした。




272 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:33:23.5211Go0j4AO (13/14)


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パタンと読んでいた日記を閉じる。
お父さんに買ってもらった初めての日記帳はここまで。

日記には、まだ身体が弱かった頃からお父さんが居なくなった頃までが書かれていた。
たしか病院で何もする事がない私の為に、お父さんが買ってきてくれたのが始まりだったと思う。

最初の方から3分の2は、大した事が書かれていなかった。
それもそうだ、代わり映えしない毎日で書くことがあまりなかったから。

でも、あの人に出会ってから、日記の内容に変化が訪れている。
男くんと何をした、男くんとどこへ行った、と毎日違った内容が刻み込まれるようになっていた。

あの人の事ばかり書いてあるのが、少し気恥ずかしい。

今読み返してみると、最初はあの人の事、あまり良い印象を持っていなかったのにびっくり。
あまりにあの人の事を好きになりすぎて、すっかり記憶の奥に閉じ込めてしまっていたみたい。


嫁「そういえば、あの人への想いが恋だと気付いたのはいつだったんだっけ?」


頭に浮かんだ疑問を解消しようと、次の日記帳に手を伸ばす。
お父様に引き取られてから書き始めた、2冊目の日記帳に。

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273 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/27(水) 21:36:53.7111Go0j4AO (14/14)

本日はここまで。

こんな感じで許嫁ちゃんの過去話が続きます。
合わない人多そうですが……

読んでくれてる方、のんびりとお付き合い下さい。

では、また明日21時より!


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/27(水) 21:39:04.34w4ZAjq47o (1/2)

大丈夫、面白いよ。

面白いっていうか、悲しくなってきたよ……


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/27(水) 21:39:59.48w4ZAjq47o (2/2)

忘れてた、>>1 乙!


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県)2012/06/28(木) 00:23:19.48LqgTrP2ro (1/1)

じんわりくるな・・・


277 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:02:49.60wgpeFjNAO (1/11)


○月×日

今日から男くんのおじいさんの家に住むことになった。

びっくりした。

ドラマやアニメでしか見た事がないような、とても大きな家。
はしっこからはしっこを見るのに、顔をはんぶん回さないといけないくらい。

私だけこんな家に住んでいいのかな?

男くんもいっしょに住めたらいいのに。




278 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:04:01.69wgpeFjNAO (2/11)


 『わぁ……大きな家……』


お爺さんの車で連れて行かれた先は、豪邸という言葉では足りないほど大きな屋敷だった。

巨大な門を通り見えてきたのは洋風建築のまるで城のような建物。
端から端まで百メートルはあるんじゃないだろうか?


 『今日からここが、お前の家じゃ』


そう言われてもまるで実感が沸かない。
子供の頃に読んだ、童話のような話だったからだ。

でも、だからといって喜びを感じたかというとそうではなかった。
なぜなら、どんなに大きな屋敷でも、そこにはお父さんも男くんもいないからだ。

ほんの数日前に出会ったばかりのお爺さんとの生活はどうなるんだろうか?
不安と悲しみが、喜びを抑えて胸からあふれ出てきてしまう。

でも、引き取り手のいなかった私を引き取ってくれたお爺さんの為に。
私は笑顔を浮かべた。

この日から、私はお爺さんの屋敷で暮らすことになった。




279 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:06:07.53wgpeFjNAO (3/11)


○月×日

新しい家はびっくりすることがいっぱいあった。

たくさんのお手伝いさんが居て毎日してたせんたくやそうじをしてくれる。

食べた事のないようなご飯が毎日出てくる。

たくさんのぬいぐるみや、きれいなお洋服がたくさんある。

でも、男くんがいない。
男くんに会いたい。



280 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:07:43.17wgpeFjNAO (4/11)


お爺さんに引き取られてから、私の生活は一変した。

本当にドラマのお嬢様にでもなったかのように、使用人が世話をしてくれ、豪勢な料理を食べ、高価な洋服を着て過ごしていた。
私がほとんど学校へ行った事がないことを知ると、お爺さんは家庭教師を呼び学校へ行く以上の教育も学ばせてくれた。

どうやらお爺さんは日本でも有数の資産家だったらしく、恩返しだ、と言って私に何不自由ない生活を与えてくれていた。

その分多忙で数日顔を合わせないことも良くあったが、お爺さんは私に会う時に必ずぬいぐるみを買ってきては私の枕元に置いていく。
おかげで、私のベッドの周りはぬいぐるみで埋もれそうな勢いだった。

でも、そんなこれ以上無いほどの生活も、胸のうちにぽっかりと開いた穴をふさぐ事は出来なかった。

だから、お爺さんの居ない時、私の顔はきっと悲しそうな表情を浮かべていただろう。

この日、男くんを思い出して私は泣いた。




281 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:10:46.03wgpeFjNAO (5/11)


○月×日

おじいさんが男くんの事を教えてくれた。

まだ会わせては貰えないみたいだけど、男くんの写真をくれた。

ちょっぴり大きくなった男くん。
この写真は宝物にするんだ。

早く男くんに会いたい。
写真じゃなくて、本物の男くんに会いたいよ。




282 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:12:45.79wgpeFjNAO (6/11)


男くんと離れ離れになったせいだろうか。
この頃の私は再び身体の調子を崩し、ベッドで過ごす時間が増えるようになった。

お爺さんは私の身体を心配し、忙しい合間を縫って私の顔を見にやってきてくれた。
お爺さんが、本当に私の事を心配し、大事にしてくれているのが痛いほど分かる。

もしかしたら、私は亡くなった男くんの両親や、男くんの代わりなのかもしれない。
それでも、本当の娘のように私を愛してくれているのは本当だっただろう。
だから、無理にでも笑顔を浮かべていた。 お爺さんを心配させないように。

でも、何千人という人を束ねるお爺さんの目は誤魔化せなかったのだろう。
そんな私を見て、時折寂しそうな表情を浮かべるのにも気付いていた。

そんなある日、お爺さんは普段よりも明るい表情で、私の部屋へ訪れた。


 『ほれ、お前が元気になれるように土産を持ってきたぞ?』


渡された封筒。
中を見ると、難しい書類の束が入っていた。

まだ幼い私には理解出来なかったが、しかしその底に入っていたものを見て私は笑顔を浮かべることになる。


 『ん……あ! これ、男くんの写真……!』


そこには、会いたくて、会いたくて、会いたくて堪らなかった男くんの顔があった。

隠れて撮ったのだろうか。
私といたときのような笑顔は浮かべておらず、以前のように無表情な顔。
でも、ほんの少し成長して男らしくなった男くんの姿がそこにはあった。

きっと、私の胸に開いた穴に気付いたお爺さんが、それを塞ぐ特効薬として手を回してくれたものだろう。

そこまで私の事を気遣い、愛してくれているお爺さんにせめてもの恩返しがしたくて。

この日、初めてお爺さんをお父様と呼んだ。




283 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:15:46.13wgpeFjNAO (7/11)


○月×日

今日も男くんの写真を見ながら、この日記を書いている。

男くんの写真も、もう10枚をこえた。
でも、どの男くんも無表情で、まるで昔の男くんに戻ってしまったみたい。

ごめんね、男くん。
私が守ってあげられなかったからなのかな。

会いたいよ、男くん。
でも、こんなダメなお姉ちゃんが会いに行ってもいいのかな?




284 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:17:29.02wgpeFjNAO (8/11)


月に2、3枚のペースで男くんの写真は増えていく。

全て隠し撮りだろう、男くんの目線は遠くを向いているものばかり。
ただ、共通しているのは、なんの抑揚もないその表情。

お父様が読み上げてくれる資料によれば、2度も施設を移ったという。
その原因は……お父様は話してくれなかった。

男くんは辛い思いをしているのではないだろうか?
会いたかった。
会って、ギュッと抱きしめてあげたかった。

でも、お父様はそれだけは許してくれなかった。
男くんの為。 お父様はいつもそう言ってすまなそうな顔をした。

この時の私は、まだその理由を知らなかったのだけれど。
だから、私はこう思っていた。
きっと、これは男くんを守れなかった私に神様が与えた罰なんだと。

日に日に男くんに会いたいという気持ちと、男くんに会っちゃいけないという気持ちが膨らんでいく。

離れ離れの日々が、姉弟というヴェールを剥がして行ったのか。
自分の心が最近読んだシェークスピアのとある物語のヒロインと重なった気がした。

まだ、ほんのわずか、芽生えたばかりのものだったけれど。

この時、私の心に初めての恋が生まれていた。




285 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:20:06.50wgpeFjNAO (9/11)


○月×日

今日、初めてお父様にワガママを言ってしまった。

男くんに会いたい、男くんに会わせてって。

でも、許してもらえなかった。
泣いてしまった。

ごめんなさい、お父様。
もう、言いません。 だから笑って下さい。




286 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:21:56.82wgpeFjNAO (10/11)


男くんの写真が10枚を超える頃、私は自分の思いを抑えきれなくなっていた。

枚数を重ねるごとに、ほんのわずかづつ男らしくなっていく男くん。
この時にはすでに私自身、自分の心にあるのが姉弟への思慕ではなく、男女の情だと気付き始めていた。

まだ10才の、初恋。
男くんに会いたい。
会って、昔のような笑顔を見たい。
枚数を重ねても変わらず無表情な男くんの写真を見て、胸が締め付けられるようだった。

その日、お父様が私の様子を見に来た時に、私の胸の内に溜まっていたものが噴出した。


 『お父様! 男くんに会いたい! お願いです、会わせて下さい!』


目から溢れるものを抑えることも出来ず、泣きながらお父様に訴えかけた。

でも、その後私は後悔した。
なぜなら、初めて私はお父様の涙を見てしまったから。


 『すまぬ……まだ。 まだ会わせてやれないのじゃ……』


理由も言わず、ただそう呟くと目の端に浮かんだ涙を拭い、お父様は私の頭を撫でた。

今なら分かる。
きっと、お父様は私に男くんの姿を写し見ていたのだろう。
そして、私に対して申し訳ないという気持ちで一杯だったのだろう。

ただ、この時の私はまだ幼くて。
だから、男くんに会おうとする事はいけない事なんだと自分に言い聞かせて。

そのせいで、男くんへの想いは余計に募っていく事になるのだけれど。

この日から、私は男くんに会いたいと言わなくなった。




287 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/28(木) 21:25:27.45wgpeFjNAO (11/11)

本日はここまで。

まおゆう、すごいですね。
末宜スレもせめてまとめに載るくらいは……

長すぎて無理ですね、わかります。

では、また明日21時より!


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/28(木) 22:01:47.58qmMy01OE0 (1/1)

おつ


289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/28(木) 22:30:36.05M+vVNNldo (1/1)

乙ー


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/28(木) 23:40:06.81Acg1GIgEo (1/1)




291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/06/29(金) 01:17:36.383wyjZNhQo (1/1)

乙です

正直忘れてることもある内容ですが許嫁かわいいからいいよね
個人的にはあまり大作になると読み切れないので今くらいがすごくいいです


292 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:18:36.21NXzJ/D+AO (1/10)


○月×日

お父様が、一人の女の子を連れてきた。

新しい家族で、私の姉妹になるんだって。
私よりも年上のお姉さんで、ちょっぴり怖い人。

でも、好きになれそう。
どことなく、男くんに似ている気がするの。




293 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:20:11.47NXzJ/D+AO (2/10)


 『許嫁よ、今日からこの屋敷に一人増えることになった』


そういってお父様が一人の女の子を連れてきた。

この時、ずっと長い付き合いになるメイドと初めて出会ったのだ。

これまで病院でも、屋敷でもあまり出会ったことがないような、ぶっきらぼうな子。
最初の印象は、ちょっぴり怖そうといった感じ。

でも、不思議と仲良くしたいと思った。
なぜなら、表情を表に出さない、人付き合いの悪そうな所が、どことなく初めて私の家にやって来た男くんと被って見えたからだ。


 『じゃぁ、メイド。 私たちこれから姉妹だから! 私お姉さんだからね!』


男くんに対するように、出来るだけ明るく振舞って挨拶をしてみる。

この時、私は本気でメイドが私と同じか少し下の年の子だと思っていた。
この時のメイドはお父様に救われる前の環境が原因で、背丈も低く痩せていたからだ。

後から、メイドの方が6歳も年上だって聞かされて恥ずかしい思いをする事になる。
そして、この後メイドは遅めの成長期を迎えすぐに身長も抜かされてしまうのだけど。

でも、そんな未来を知らない私は、初めての同年代の女友達が出来そうで凄くはしゃいでいたのを覚えている。

メイドがこの時、どんな想いでいたのかも知らずに。

この日、メイドとの出会いはそのようにして終わった。




294 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:22:03.89NXzJ/D+AO (3/10)


○月×日

今日もメイドとお話をした。
お父さんの事や、男くんの事、お父様の事。

でも、メイドはあまり楽しくなかったみたい。

部屋を出る時、にらまれた気がする。
何か、悪い事をしちゃったのかな?




295 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:23:46.68NXzJ/D+AO (4/10)


メイドが屋敷に来て、数日が経った。

お父様からも二人仲良くするようにと言われた事もあり、ベッドから離れられない私と話をするためこの日もメイドが私の部屋を訪れていた。


 『……アンタ、なんでこの屋敷に来たの?』


珍しくメイドの方から話題を振ってくれた事が嬉しくて、私は屋敷に来るまでの経緯をメイドに話した。

男くんという弟が居た事。
優しいお父さんが居た事。
お父さんが死んでしまった事。
男くんと離れ離れになってしまった事。

話の途中でお父さんの事や男くんの事を思い出して泣きそうになってしまった。

でも、メイドはその事には何も感じなかったのか、無表情のまま話を聞いていた。
そんなメイドに、初めて感情らしい物が浮かんだのは男くんの写真を見せた時だっただろうか。


 『これが男くん! ……私、男くんの事好きなんだ』


多分、私の初恋を他人に語ったのはこれが初めてだったと思う。

恐らく、私の顔は紅潮して真っ赤になっていただろう。
男くんの写真を見せながら、かなりテレ臭かったのを覚えている。

でも、もっと忘れられないのはその時のメイドの目だった。

憎憎しげな、何かを恨むような目。

メイドは何も言わず、そのまま立ち上がって部屋を出て行ってしまった。
ドアを閉じる時、一瞬だけ私を睨みつけて。

この時の私はまだ何も知らなかったとはいえ、今思うと惨い真似をしていたと思う。
最も、それに気付くのは随分後になって、私がメイドの過去と女という性について知ってからになるのだが。

この日、私はメイドを酷く傷つけた事に気がつかなかった。




296 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:27:06.24NXzJ/D+AO (5/10)


○月×日









297 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:29:02.32NXzJ/D+AO (6/10)


メイドが私を睨みつけた翌日。
昼に庭を散歩したせいだろうか、少し気だるく感じた私はベッドの上で横になり、ボーっとしていた。

コンコン、とノックする音が聞こえ、メイドが部屋に入ってきた。

お話に来たのだろうとそのまま待っていると、メイドは何も言わずベッドの上に上がり、私に覆いかぶさってきた。
多分、私は何が起きようとしているのか分からずキョトンとしていたに違いない。


 『……どうしたの?』


しかし、問いかけに答えずメイドは私の洋服に手をかけ、黙ってボタンを外していく。

流石に私も様子がおかしいと気付いたが、混乱した私には抵抗するだとか、そういった考えが頭に浮かばなかった。
なにより、何をされるのかも分かっていなかったし。

下着姿にされた私の身体にメイドの手が触れる。
撫で回され、くすぐったさを感じて笑い転げている内に、メイドの手が私の股の間に伸びていた。

汚い所を触られている、と気付いた頃だろうか?
くすぐったさの中に、何か甘い、これまで感じたことのないような不思議な感覚が芽生え始めていた。

ボーっとした頭で、何をされているんだろう、とぼんやり考えているうちに、メイドの顔が私の顔に近づいてきていた。

その瞬間、奪われてはいけないものが奪われようとしていることに気がついたのだ。


 『ダメ! 初めてのキスは男くんとするの!』


今思うと、少し的外れな事を言ったものだ。
後で聞いた話では、このときメイドは私のもっと大事な物を奪ってやろうと考えていたというし。

でも、その一言でメイドはハッとした表情を浮かべ、動きを止めた。
と同時に、私の声を聞いた屋敷の使用人が部屋に飛び込んできた。

いつの間にか私は泣いていたようで、部屋に入って来た使用人が私の頭を撫でていた。
そして、メイドはいつの間にかいなくなっていた。

この日、私は初めて女の悦びの片鱗を感じた。




298 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:31:40.65NXzJ/D+AO (7/10)


○月×日

メイドが謝りに来た。

話している事は良く分からなかったけど、メイドは泣いていた。
私もなんだか悲しくなって、一緒に泣いてしまった。

なんだか男くんの事を思い出して、頭をなでてあげた。

仲直りできて良かった。




299 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:33:02.96NXzJ/D+AO (8/10)


何が起きたのか良く分からない一日の次の日、メイドが使用人と一緒に私の部屋を訪れた。
珍しく表情を浮かべながら。


 『……ごめん。 アンタに八つ当たりで酷い事をしようとした』


申し訳なさそうな顔をしたメイドは、そう私に謝ってなんで前日のような事をしたのか告白し始めた。

今の私なら、男くんに恋をしている私への嫉妬だとか、いつか大切な物を好きな人に捧げる事のできる私への妬みだとか、そういった感情がメイドをあのような行為に走らせたという事を理解できる。

けれど当時の私はまだそういった事を何も知らなくて。
メイドの泣きながらの告白も理解できず、泣きながら胸の内を吐き出すメイドをただ見つめていた。

でも、私に謝りながら泣いているメイドを見て悲しくなってしまって。
いつの間にか私も貰い泣きしてしまった。

二人、抱き合いながら泣いているうちに、あの日の事を思い出す。
男くんが私の家に来て少し経った頃、テレビを見て泣き出したあの日の事を。
男くんを守ると心に決めた、あの日の事を。

無意識に、私はメイドの頭を撫でていた。
安心させるように微笑むと、メイドは私の胸に顔を埋めて嗚咽を漏らした。

この日、私にもう一人、新しい家族が増えた。




300 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:35:48.08NXzJ/D+AO (9/10)


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ここで一旦日記を閉じて休憩。
少し冷めたティーカップに口をつける。

そっか、離れ離れになってすぐ気付いたんだ……

あの頃を思い出すと、恥ずかしくて転がりたくなっちゃうかも。
お父様に我侭を言うあの日まで、毎日男くんに会いたい会いたいばっかり書いてるし。

あと、メイドとの事も思い出した。
その日だけ日記が空白になってたから思い出すのに時間がかかったけど。

すっかり忘れてたけど、襲われかけてたのか……

あの日メイドに奪われてたらどうなってたんだろう?
もしかして、百合の道に走っちゃってたりして! キャー!

でも、そうしたらきっとあの人と再会出来なかっただろうなぁ。

あ、でもメイドはこの後百合に走っちゃうんだったっけ。
そ、それに確かこの後私……

怖いもの見たさで再び日記を開く。
まだ幼かったあの頃、一体どんな風にその時の事を書いていたのかな……

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301 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/29(金) 21:37:51.88NXzJ/D+AO (10/10)

本日はここまで。

ここまでで半分弱なのでそんなに長引かないはず。

では、また明日21時より!




302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/29(金) 22:39:31.69+AXslD/s0 (1/1)

ラストにむけてますます面白くなってくるねぇ


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/29(金) 23:37:59.64+T5Bn0gDo (1/1)




304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/30(土) 00:21:32.67UfPMhm41o (1/1)

日記調なのに回想風で結局良く分からない


305 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 00:40:24.46QPYV1mFAO (1/14)

>>304
分かりづらくてごめんぬ……

2レス1セットで読んで下ちい。
1レス目が日記の内容、2レス目がそれを読んだ許嫁ちゃんの回想となってます。




306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/06/30(土) 05:11:24.48aXhaS2Eao (1/1)

長引いてください


307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/30(土) 19:47:34.831jJmDewto (1/1)

お待ち申しております


308 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:10:14.37QPYV1mFAO (2/14)


○月×日

メイドが使用人になりたいと言い出した。

話を聞くと、例えお父様でも借りは作りたくないから働いて恩返しする、だって。
私は正直、お父様の望み通り娘として親孝行をして返した方が良いと思うんだけど。

急にていねいな話し方を始めたからビックリ。
でも、時々元のしゃべり方をして照れてるのがおかしい。

でも、私の事をおじょうさまって呼ぶのはやめて欲しい。

私はおじょうさまじゃないよ!




309 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:12:43.33QPYV1mFAO (3/14)


その日、私の部屋にやってきたメイドは使用人の皆と同じ格好をしていた。


 『アタシ……ゴホン。 私、今日から使用人になります』


最初はごっこ遊びかと思い、私より年上なのに子供臭いなぁ、と思ったのは内緒。

でも、話を聞いてみるとどうやら本気だったようで。
養って貰っている恩を働いて返したい、と私に打ち明けてくれた。

ただ、私はお父様が使用人を求めているのであれば最初から使用人として引き取っているだろうなと思い、あまり賛成する気にはなれなかったのだけれど。

かといってせっかくやる気になっているメイドの邪魔をしないよう、反対もしなかった。
どうせすぐ飽きて止めると思っていたが、まさかそのままずっと使用人として働き続けるとは思っても見なかった。

もしかしたら、以前私を襲おうとした事の罪滅ぼしの気持ちもあったのかもしれない。
聞いてもはぐらかされるばかりで教えてくれなかったから、推測でしかないのだけれど。


 『お嬢様、今後は何でもお言いつけ下さいませ』


優雅に礼をしながらそう言われたけど、正直あまり嬉しくなかった。
せっかく家族になれたのに、お嬢様なんて他人行儀で呼ばれるのが嫌だったからだ。
お姉ちゃんにもう甘えさせて貰えないかと思うと、少し寂しくもあった。

まぁ、結局そんな事はなくその後も甘えさせてくれたけど。

でも、忙しそうにしているメイドを見て、ほんの少し寂しくなったのはナイショ。

この日から、また一人で過ごす時間が多くなった。




310 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:14:44.17QPYV1mFAO (4/14)


○月×日

今日は久しぶりにお父様がお休みを取ってくれたので、メイドと3人でお出かけした。

映画を見に行くことになって、時代劇を見る事になった。
私はドラえもんが見たかったんだけど……

途中こわくて泣いちゃったけど、思ったより面白かった。
ただ、お父様とメイドがケンカしててうるさかった。

でも、お父様がうれしそうで、良かった。




311 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:18:19.92QPYV1mFAO (5/14)


恐らく、私やメイドが屋敷に来た頃は無理をして時間を作ってくれていたのだろう。
普段お父様はお忙しくて、めったに顔を合わせることも無くなっていた。

お父様の抱えるグループは、物事を知らない私ですら知っている程の大きくて有名なグループだった。
それこそ、テレビをつければ必ずCMや提供で名前を聞くほどに。

そんなお父様だから、それこそ毎日分刻みのスケジュールで動いていたのだと思う。
だからこそ、どれだけ無理をして私たちの為に時間を作ってくれていたのか想像すら出来ない。

そんなお父様が、久しぶりに一日休みを取って私たちと出かけようと提案をしてくれた。

思えば、家族3人で出かけたのはこれが始めてだったと思う。
残念なのは、男くんを加えた家族4人で出かけることが出来なかった事だけど。

その日、私の提案で映画を見に行く事になった。

私はドラえもんを見たいとはっきり言ったはずだけど、結果時代劇を見る事になってしまった。
お父様の趣味なのだろうと思い、せっかくの大事なお父様のお休みに我侭を言うつもりもなくてそのまま3人で見る事になったのだけれど。

思ったより残虐なシーンが多く、とにかく人が沢山死ぬ映画だった。
切られたり、溺れさせられたり……
話自体は面白かったけど、少し怖くて泣いてしまった。
後で、メイドがお父様を叱っていたのを覚えている。

でも不思議だったのは、なぜかお父様は叱られながら笑っていた事。
メイドがキツく叱り付ける度、お父様は謝りながら嬉しそうに笑顔を浮かべていた。

今になってようやくその理由が分かった。
お父様にとって、叱って貰える事がどれほど嬉しかった事だろう。
それほどまでに、お父様を取り巻く環境はお父様にとって冷たいものだったのだ。

ちなみに、お父様が時代劇を選んだ理由は勘違いのせいだった。
お父様はドラえもんを知らなかった為、ドラえもんを土左衛門と勘違いしたそうだ。

土左衛門とは、昔の言葉で水死体の事。
土左衛門を見たいと私が言い出したから、不謹慎だと思いつつ希望に沿って時代劇を選択したそうな。

もぅ、ちゃんと叱ってくれれば誤解は解けて皆でドラえもんが見れたのに!

この日、帰ってから初めてお父様を叱った。




312 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:21:13.20QPYV1mFAO (6/14)


○月×日

とんでもないものを見ちゃった。

メイドの部屋が少し開いてたから、閉めてあげようと思ったら、ヒソヒソ話が聞こえてきたの。

悪い事と思ったけどのぞいてみたら、メイドと使用人の子が、二人はだかでくっついてた。

あれって、えっちって奴だよね。

明日から、メイドとどんな顔して会えばいいのかな。




313 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:23:51.07QPYV1mFAO (7/14)


それと出くわしたのは、眠れなくて厨房へ飲み物を貰いに行こうとしていた時だった。

ちょうどメイドの部屋を通り過ぎようとした時に、明かりが漏れていることに気付く。
メイドもまだ起きているのならお話でもしようか、と思って近づくとメイドが誰かとヒソヒソ話をしている事に気付いた。

こんな時間に誰と話をしてるんだろう? と興味を持った私はメイドの部屋に近づいていった。
そしてそれを目撃するのだ。

白い肌を紅潮させ、汗にまみれながら裸で蠢くメイドの肢体。
その下に組み伏せられているのは、メイドと同年代の使用人の子。
遠めに見えるその顔は苦しそうな、でも嬉しそうな顔をしていて。

今なら分かる。
ヒソヒソ声に聞こえたのは愛の囁き。 そして押し殺した嬌声だった事に。
二人が身体を重ね、悦びに身を委ねていたことに。

以前メイドに襲われかけた事から教育を受け、行為の事は知っていたし稀に女の子同士でする場合があることも理解はしていた。

でも、初めてそれを目の前にした上に、しかもそれが女の子同士だったのだ。
さらに、それをしているのは二人とも自分の良く知る人で。

いけない事だとは知りつつ、目を離すことが出来ないまま、二人が行為を終え余韻に浸るまで私はドアの隙間からその情事を覗き見ていた。

胸が高鳴り、息も荒くなっていた事に私自身気付いていたかどうか。
ただ、部屋に戻ったときなぜか股が濡れてジメジメしていた事は覚えている。

この日、私は初めてセックスを目撃した。




314 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:25:34.80QPYV1mFAO (8/14)


○月×日

メイドとえっちしてた使用人の子が朝起こしにやってきた。

昨日の事を思い出して、顔がまっかになってしまった。

はずかしくてベッドにもぐったままにしてると、今度はメイドがやってきた。

もう!
はずかしくて顔見れないじゃない!




315 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:27:47.79QPYV1mFAO (9/14)


普段なら大抵起こされる前に起きているのだけれど、その日は前日の夜遅くまで起きていたせいで、ぐっすりと眠っていたらしい。

遅くまで起きていた理由は……その、思い出したくない。
ただ、起こされたとき下着が冷たくてこの年でおねしょしてしまったのかと焦っていたのはナイショ。

そんな私を起こしたのは、昨日メイドの下で悦びを感じていた使用人の子。

それに気付いた私は、罪悪感と羞恥心でまともに顔を見られず、頭まで布団を被ってベッドに逃げ込んでしまった。


 『……? お嬢様、具合でもお悪いのですか?』


心配そうに声をかけるその子に、私はなんでもない、大丈夫だからと告げてそのまま狸寝入りを続けた。

しかし、明らかに様子がおかしかったのだろう。
慌てたように早足で今度はメイドが部屋へ飛び込んできた。


 『お嬢様! 大丈夫ですか! 具合が悪いのならお医者様を……』


本気で心配しているメイドには申し訳なかったが、その日私はしばらくベッドから顔を出さず亀のように過ごした。
なぜなら、心配したメイドがずっとそばに付き添っていたから。

むしろ、メイドがそこに居るから外に出られないんだけど……

おトイレが我慢できなくなってベッドがら出た私の顔は、きっと熱でもあるかのように真っ赤だったことだろう。

この日、私は初めて仮病を使った。




316 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:30:01.19QPYV1mFAO (10/14)


○月×日

今日は月に一度の男くんの写真を貰える日だった。

男くんと分かれて早くも1年くらいが過ぎた。

お父様に男くんを好きか、と聞かれて、私ははいと答えてしまった。
お父様は悲しそうな顔をしてしまった。

お父様ごめんなさい。

きっと私は男くんに会っちゃいけないと思う。

でも、会いたい。




317 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:34:15.80QPYV1mFAO (11/14)


最初のうちは月に2度3度貰えていた男くんの写真も、いつしか月に一度となっていた。

この1年、写真でしか見る事の出来ない男くんはほんの少し大きくなって、髪も伸びて。
でも、その表情だけはいつも変わらなかった。

なんの感情も写さない無表情。
もしかして、男くんは辛い目に遭っているのではないのだろうか?

今の私にはお父様やメイド、それに使用人の皆もいるのに、男くんは一人ぼっち。
お父様が読み上げる報告では何もないように言われているけれど、施設での生活は今の私のような何不自由ない生活と根本的に異なるものなのだろう。

本来ならば、実の祖父であるお父様に養われるべきは男くんで。
それなのに無関係な私はこうして何の苦労もなく生活をしてるのに、男くんは今も一人苦労をしている。

そう思うと、申し訳ないという罪悪感と会いたいという思いが私の胸を締め付けた。

男くんに会いたい。
会ってギュッと抱きしめて、以前のような笑顔を取り戻させてあげたい。
それは家族愛というよりは好きな異性に対しての気持ちで。

この屋敷に来たばかりの私なら、純粋にその思いに浸れたかもしれない。
でも、会えないまま1年を過ごした私は、男くんを思う度にある考えが頭をよぎるようになっていた。

私は男くんに会ってはいけないのかもしれない。

男くんは私の事を本当に好きだったのだろうか?
男くんは私の事をただの擬似家族としか思っていないのではないだろうか?
男くんを守れなかった私には、男くんに会う資格がないのではないか?
……何より、男くんの本来の場所を私が奪い取っているのではないだろうか?

男くんの事を考える度、そんな考えが浮かんでは消えていく。

きっとこの時も私はそのような事を考えていたのだろう。




318 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:37:07.72QPYV1mFAO (12/14)


 『許嫁よ。 どうしてそのような悲しい顔をする?』


心配したお父様が私に声をかけて来た。

なんでもないです、と無理に笑顔を浮かべ答えたけれど、当然その程度の事でお父様を誤魔化せるはずもなく。


 『……許嫁。 もしや、男の事を異性として好いておるのか?』


お父様に核心を突かれた私は、思わずはい、と答えてしまった。

その答えがお父様を傷つけると、きっと無意識に気付いていたはずなのに。

きっとお父様は私が好きな人と会えない事を悲しんでいる、と思ったのだろう。
そして、それは未だ私と男くんを会わせない自分のせいなのだと。

もちろん、それも事実。
ただ、私が悩んでいたのは別の事で。
でも、お父様の悲しそうな顔を見て、私は何も言えなかった。

本当の事、男くんに会ってはいけないと考えている事を伝えてしまったら、きっとお父様はもっと悲しい顔をするはずだから。
きっと、自分のせいで私がそう考えるようになってしまった、とご自分を責めてしまわれるだろうから。

だから、私に出来る事は無理やりにでも笑顔を浮かべ、心の中でお父様へ謝罪することだけだった。

お父様ごめんなさい、と。

この日、私は申し訳なくてお父様の顔を見れなかった。




319 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:40:48.35QPYV1mFAO (13/14)


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パタンと日記を閉じて、ため息を一つ。

あの日、メイドと使用人の子のえっちを見てから大変だったなぁ……
あれで私も性に目覚めたのだと思う。
幸い日記には書いてなかったようで一安心。

実は、あれ以来何度もひとりえっちを……
しかもおかずは全部あの人の写真で……

あ、ダメ。 思い出すと恥ずかしくて限界。
多分、今私顔真っ赤になってる。

でも、この頃の私って随分ネガティブだったみたい。
きっと、あの人に会えないっていう事が影響してるんだろうけど。

おかげで、あの人と再会するのに10年もかかっちゃうし。
せめてもう3年程若い頃に再会してればもっと肌スベスベの絶頂であの人に抱いて貰えたのに……

あ、でもそうするとあの人まだ中学生くらいで……
……それも良かったかも。

っと、そろそろ時間が無くなってきた。
ここから先は特に思い出のあるところだけ抜き出して読んでみよう。

次は何があったっけ……
確かこの後、メイドが高校に転入が決まったような……

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320 ◆vF1GrLS8msUg2012/06/30(土) 21:46:12.31QPYV1mFAO (14/14)

本日はここまで。

メイドと使用人の子は合意の上です、念の為。

どうも夏コミにまた速報本出すみたいなので寄稿用に姐さんとメイドの推理物短編を書き始めたり。

ただなんとなく筆の進みが悪い=あんまり面白くないのでボツにするかもですが。

では、また明日21時より!



321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/07/01(日) 02:13:18.24rDvKKI5x0 (1/2)

ムカついたけど眼鏡を殴る筋肉が無い、眼鏡を割りたいけど割る眼鏡が無い、そんなときに!
眼鏡殴りで鍛えたスタッフたちが一生懸命あなたの代わりに眼鏡を殴ってくれます!
モチロン眼鏡を用意する必要もありません!スタッフがあなたの家の近くの眼鏡の眼鏡を無差
別に殴りまくります!1時間98000トルコリラ~  24時間営業 年中無休!

       /フフ         ム`ヽ
      / ノ)   ∧∧     ) ヽ
     ゙/ |  (´・ω・`)ノ⌒(ゝ._,ノ
     / ノ⌒7⌒ヽーく  \ /
     丶_ ノ 。   ノ、  。|/
        `ヽ `ー-'_人`ーノ   眼鏡殴り代行では同時にスタッフも募集しています
         丶  ̄ _人'彡ノ    筋肉に自身のあるそこのアナタ!一緒にお仕事してみませんか?
         ノ  r'十ヽ/     眼鏡を殴るだけの簡単なお仕事です!
       /`ヽ _/ 十∨






322VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2012/07/01(日) 21:03:00.09RvS9I9E60 (1/1)

力がなくて同じ眼鏡だが、是非ともメガネ殴りに参加させてくれ↑
レベルを上げて物理で殴りに行くぜ!
眼鏡がだめならコンタクトにするぜ。
そしてなにより仕事をください!!←ぉぃ


323 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 21:23:31.60ZjsrLCNAO (1/17)

本日は23時より投下します。

もうしばらくお待ちを……


324VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/01(日) 21:33:09.62jMbcIX26o (1/1)

あいよっ


325VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/01(日) 22:13:41.37h8BVFYvW0 (1/1)

眼鏡もなんか懐かしいな・・・
今頃どんな目にあってんのか


326 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:08:28.61ZjsrLCNAO (2/17)


○月×日


今日、メイドが高校に転入すると教えてくれた。

メイドはそんな必要はないとずっと言っていたけど、私は知ってる。
お仕事の合間や終わった後、メイドが一生懸命勉強してたの。

メイドに先をこされちゃったけど、私もがんばらないと。
身体が良くなったら、ほんの少しでもいいから学校に行ってみたい。

出来る事なら、男くんと一緒の─────────────────




327 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:11:08.28ZjsrLCNAO (3/17)


その日、メイドが照れくさそうな顔をしながら部屋に入って来た。

どうしたの? と聞くと、高校へ転入する事が決まった、と打ち明けてくれた。

それを聞いたとき、私は嬉しくてベッドから飛び降りメイドに抱きついてしまった。
この時、涙を我慢出来ていたか正直自信がない。

屋敷に引き取られてから、メイドは毎日欠かさず勉強をしていた。
使用人として働き出す前も、働き出した後も。

最初の頃は私と並んで家庭教師に教えてもらっていたから、多分当初の学力は私とそう変わらなかったのだと思う。
なにしろ、メイドも私も小学校すらほとんど通えていなかったから。

それから1年。
元の学力がどうあれ、メイドの実年齢はこのとき17歳。
小学校低学年から高校2年まで学力を引き上げるのに、どれだけの苦労があったのかは計り知れない。

なぜそんなに勉強するのか不思議で、一度聞いてみたことがある。
メイド自身は学校に行くつもりはないと言っていたから、それほどハードに勉強をする理由がさっぱりわからなかったからだ。

メイドは最初口ごもっていたけど、恐る恐る口を開いて。


 『学ぶという事が楽しいんだ。 ……私は、学ぶことすら許されなかったから』


それを聞いて、当時の私は何が面白いんだろう? と理解出来なかった。
それが理解出来たのは、もう少し後になってメイドの過去を知ってからだ。

私は病気の為学校に行けなかっただけで、学ぼうと思えば学ぶことが出来た。
でも、メイドは違う。 学ぶことが許されない環境にいたのだ。

……めったに人を憎まない私が初めて人を憎んだのはそれを知った時かもしれない。




328 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:13:12.67ZjsrLCNAO (4/17)


ともあれ、そんなメイドを見て私はある日お父様に相談した。
メイドを学校に行かせてあげて欲しいと。

お父様も元々そのつもりではあったみたいだったけど、悩んでいたようだ。
メイドの過去を考え、見知らぬ他人との生活を懸念しての事だ。

その後、お父様とメイドの間でどのような話があったかは私は知らない。

でも、高校への転入が決まったと言うメイドは普段滅多に表情を浮かべないその顔にはにかむような笑顔を浮かべていた。
だから、きっと間違いではなかったのだと思う。

そんなメイドを見て、私も負けていられないと思った。
私にとっても、学校に通うというのは夢だったから。

いつか身体が治って、学校へ通う時の為に頑張ろうと心に決めた。

そして、出来れば男くんと一緒に学校へ通いたい。
一緒に登下校をして、勉強して、お昼を食べて、放課後遊んで……

でも、私にはそんな権利はないんだ、と頭を振ってふと浮かんだ夢を打ち消した。

この日、私は日記の一行を黒く塗りつぶした。




329 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:14:14.20ZjsrLCNAO (5/17)


○月×日

今日、メイドが友達を連れてきた。
高校で仲良くなったんだって。

ちょっと変わった人だけど、面白くて綺麗な人だった。

でも、それよりメイドの様子が面白かった。

私も早く学校に行きたいなぁ。




330 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:16:56.07ZjsrLCNAO (6/17)


メイドが高校へ通い始めてから数ヶ月。
この日、初めてメイドがお友達を屋敷に連れてきた。


 『アナタが許嫁ちゃん? 私は姐、メイドの親友兼彼女でっす!』

 『アンタ、何口走ってんの! ……ゴホン、お嬢様、ただの友達ですから』

 『プッ! 『お嬢様、ただの友達ですから』キリッ! だってお!』バンバン


第一印象は、やたらテンションの高い変な美人さん、という感じだった。
でも、嫌な感じはひとつもなく、むしろ良い人という印象を受けた。

なぜだろう、と今考えてみるとあっさりとその答えが見つかった。
メイドが気を許しているのが感じ取れたからだ。

3人で話をしているうち、だんだんメイドの様子を面白く感じるようになっていた。

私に話すときは使用人のようにへりくだって。
姐さんに話すときは昔のメイドのようにちょっと乱暴な話し方で。

メイドもこんな風に話すのは初めてだったのだろう。
次第に私と姐さんに対しての話し方が混ざり始めて。


 『お嬢様、そんなこと言わなくていいんだ……ゴホン』

 『二ヒヒ、アンタ無理してキャラ作りすぎ! そんなんだからボロが出るんだって』

 『失敬な! そのようなことしておりませ……あぁぁぁぁぁぁっ!』ブンブン


そのうちに我慢出来なくなって姐さんと一緒に笑い転げてしまった。

ただ、普段あまり感情を表に出さないメイドがこんなにも素の自分を見せているのを見て。
私の知らないメイドを見せ付けられたような気がして。

ほんの少し、姐さんに嫉妬したのはナイショ。

でも、それは憎しみにつながるようなマイナスの感情じゃなくて。
二人の関係に憧れのような、そんな形にならない何かを感じていたんだと思う。

私もいつか学校に行って、メイドが嫉妬するようなお友達を作りたい。

この日、私は新しい知り合いと新しい目標を手に入れた。




331 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:18:51.15ZjsrLCNAO (7/17)


○月×日

今日はお父様とメイド、秘書さんの4人でお父さんのお墓参りに行った。

去年はお父様の仕事の都合と私の体調の問題で行けなかったから、これが初めてのお墓参り。

小さいながらも立派なお墓だったが、どうやらお父様が建てて下さったらしい。

4人で掃除をして、手を合わせて祈った。

お父さん、私は新しい家族と無事生活しているから心配しないでね。
でも、約束守れなくて、ごめんなさい。




332 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:22:20.65ZjsrLCNAO (8/17)


貴重なお父様のお休みなのに、わざわざ私のお父さんのお墓参りに付き合う、とお父様が言い出した。
恩人に2年にも渡り不義理をするわけにはいかぬ、と。

普段お忙しいのだからたまの休日は身体を休めて欲しい、と思ったけれど、これも気分転換じゃ、と笑いながら言って下さったからありがたく従うことにした。

お父さんのお墓は、見晴らしの良い丘の上にあった。
周りのお墓から少し離れて、丘からの景色を一望出来るそのお墓はまだ新しく、質素ながらもお父さんへの弔いの気持ちが伝わってくるような、そんなお墓だった。


 『儂はお前の父が生きている間に恩を返せなくての、墓を用意する事しか出来なんだ』


少し残念そうな顔をしてお父様はそう呟いた。

育ててもらっているだけでも充分すぎるくらいなのに。
でも、お父さんへのそんな気持ちがとても嬉しかったのを覚えている。

元々丁寧に管理されているらしいそのお墓にお父さんの好きだったお酒をお供えして、皆で手を合わせる。
目を閉じて、お父さんと別れてからの2年を報告した。

お父様に優しく、大切に育てて貰っていること。
メイドという姉が出来た事。
学校にいけるよう、しっかり勉強していること。

そして、最後に男くんの事を謝った。


 『弟を守ってあげてね?』


お父さんの言葉が脳裏をよぎる。

ごめんなさい、私は男くんを守ってあげられませんでした。

気付かず涙を零していた私の頬を、メイドがハンカチで優しく拭ってくれた。




333 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:24:11.19ZjsrLCNAO (9/17)


お祈りを終えると、お父様は車ではなく別のお墓へ向かって歩き出した。

理由もわからず着いて行くと、その先にはお父さんのお墓と違って草木に埋もれたような、誰もお参りをしていないような古臭いお墓がそこにあった。


 『……男の両親の墓じゃ。 拝んでやってくれるかの?』


秘書さんが言うには、そのお墓は共同墓地なんだそうな。

恩人には新しいお墓を建てるのに、実の息子夫婦は共同墓地に入れるという矛盾にその時の私はわずかな違和感しか感じていなかったのだけれど。

今の私はそうした事情を知っている。
親族に対し、息子夫婦と縁を切った事へ一片の疑いすら抱かせないよう、敢えてこのようにしていたのだ。

決して息子夫婦をないがしろにしたわけじゃない。
それは、親友だったお父さんのお墓をお互いの墓から見える場所へ建てた事からも明らかだった。

なにより、寂れたお墓を拝むお父様の顔は、これまで見た事がない程に慈悲深いものだったから。

この時、お父様は何を思っていたのだろうか。
推測は出来るけれど、きっとそれはお父様の心中を表すには到底足りないものでしかなかったのだろう。

この日、私は初めて男くんのご両親に挨拶をした。




334 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:25:32.47ZjsrLCNAO (10/17)


○月×日

今日、新しい男くんの写真が届いた。

これまでと違い、男くんの表情が変わった気がする。

男くんが幸せになってくれるのは嬉しい。
嬉しいけど、不安になってしまう。

男くんには、もうお姉ちゃんはいらないのかな?

私は、やっぱり男くんに会わない方がいいのかな?




335 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:28:18.18ZjsrLCNAO (11/17)


男くんと別れて2年、男くんの事を思わない日はないのだけれど、それでも今の生活に慣れてきた頃。

いつものように男くんの写真と近況が私の元に届いた。
お父様はお忙しいらしく、使用人の子経由で渡された物だ。

ただ、その日の写真は何かが違っていた。

写真に写る男くんは別れた時からずっと大人びて、既に中学生くらいに見える程だったけどそれは前回の写真とそう変わらない。
違っていたのは、その表情だ。

相変わらず隠し撮りのせいか視線は他所を向いていて、何の表情も浮かべていないけれど。
毎日ずっと男くんの写真を眺めてきた私には分かる。
男くんの無表情に見えるその顔に、ほんの少しだけ表情が浮かんでいる事に。

それは、悲しみとか苦しみではなく。
男くんはほんのわずかだけど、優しい顔をしていたのだ。

施設での暮らしは楽ではないのだろうけれど、その中で何かがあったのだろうか?

慌てて近況を纏めた書類に目を通してみたけれど、相変わらず特に変わった様子はないとの1文が目に入る。
ただ、最後に一言、こう書いてあった。


 『同施設の少女と共に年下の子供たちの面倒を見るようになった』


思わずドキッとした。

男くんは優しい子だから、下の子の面倒を見る事自体は何もおかしくはない。
けれど、同施設の少女……
顔も名前も知らないその子が男くんと一緒に面倒を見ているというのだ。

男くんが優しい表情を浮かべられるようになったのが、その子のおかげだとしたら……?




336 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:30:29.31ZjsrLCNAO (12/17)


男くんが再び感情を取り戻す事自体は嬉しい。
私もそう望んでいたし、あの優しい男くんにはまた昔のような笑顔を浮かべていて欲しい。

でも、かつてそれを取り戻したのは私であり、それが出来るのも私だけだと思っていた。
もしそれが、その同じ施設の少女にも出来る事だったとしたら……?

もしそうだとしたら、男くんにとって本当に私は必要なのだろうか。
男くんを守る事が出来ず、再び男くんから笑顔を奪ってしまった私は、居ない方が良いのではないだろうか?

まだ幼い私はそこまで理詰めで考えていたわけではないけれど。

でも、当時男くんに会ってはいけないのでは? と考えていた私にこれ以上ない追い討ちとなったのは間違いなかった。

そして、胸の内にこれまで感じた事のない程のドロドロした思いが広がるのを感じた。
そう、私はこの顔も名前も知らない少女に嫉妬していたのだ。

この時の私は、まだ将来その子と親友とも言うべき関係を築くことになることを知らない。

この日、私は初めて恋のライバルの存在を知った。




337 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:31:48.48ZjsrLCNAO (13/17)


○月×日

明日はメイドの卒業式。

メイドは結局進学しないで、明後日からはお屋敷で働くことになる。
お父様も秘書さんも勿体無い勿体無いとずっと言ってたんだけど、メイドはどうしても働きたいとお父様に頼み込んだんだって。

メイドがこれからずっとお屋敷で一緒に居てくれるのは嬉しいけど、これからは学校の楽しいお話が聞けなくなると思うと少し残念。

とにかく、おめでとうメイド!
これからもよろしくね!




338 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:34:33.09ZjsrLCNAO (14/17)


明日でメイドも無事高校生活を終えることになる。

メイドにとって高校生活はどんなものだったのだろう?
少なくとも、楽しい有意義な物だったに違いない。

以前遊びに来た姐さんと二人で、色々な事件に首を突っ込んでは滅茶苦茶にかき回して解決する、といった事を日常的にしていたそうだ。
おかげで、変わり者というレッテルと掛け替えのない人脈を手に入れた、と微笑みながら語ってくれた事がある。
あの、表情を表に出さないメイドが微笑みながら、だ。

思えば、メイドの学生生活において姐さんと出会ったことが一番の実りだったのだと思う。

屋敷では大人しく、私とお父様の前でだけほんのわずか年相応の感情を表に出すようなメイドが、積極的に人と関わり大暴れしていたというのだから、姐さんの影響力というものは恐ろしい。

そんなメイドだけれど、進学は考えずこのまま屋敷の使用人として働くことを望んだ。
きっとメイドの心の内には、お父様への感謝だとか、借りを作りたくないだとか、私への償いだとか、色々な物があったのだと思う。

もっと姐さんを見習って、行き当たりばったりに物事を考えても良いのでは、と思った事もある。

でも、メイドが自分で考え出した結論だったから、私は何も言わない事にした。




339 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:36:11.44ZjsrLCNAO (15/17)


ちなみに、姐さんはどうするのか? と聞いたところ、一生分働いたからしばらくニート生活を満喫してやるんだ! と意気込んでいた。
正直、メイドの話を聞く限りでは働いていたというより遊んでいた、の間違いのような気がしないでもない。

なお、その数年後探偵業を始めた姐さんは、遊びながらお金貰えるなんて最高だよね! とのたまっていた。
姐さんは世の中の探偵さんに謝った方が良いと思う。

兎にも角にも、メイドが使用人として働く事になり、私としては一緒に居られる時間が増えることは嬉しかった。
ただ、以前のような学校での大活劇を聞けなくなるのは残念だったけれど。

まぁ、そんな心配も無用で相変わらず姐さんに呼び出されては大きな事件から小さなイザコザにまで巻き込まれて、それまで以上の大活劇を聞かせてくれることになるのだけれど、それはその後のお話。

無事2年の学生生活を終えようとしているメイドに、私はフライングでお祝いの言葉を告げた。


 『おめでとうメイド! これからもよろしくね!』


この日、嬉しそうに微笑んだメイドの顔は絶対に忘れない。




340 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:39:13.01ZjsrLCNAO (16/17)


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3冊目の日記はここまで。
振り返ってみると思い出一杯で、時間がないのに全然読み進んでない……

メイドが学校に通っている間は楽しかったなぁ。
あのクールなメイドが学校ではあんな馬鹿騒ぎしてるんだもん。
今ではメイドが実は結構情熱的で、乙女チックだと知ってるけど。

あと、女さんの事。
私、あの人の許嫁として同棲を始めた日に初めて女さんと出会ったけど、会った瞬間にこの人は敵だ! って思ったのを思い出した。

今思うと、そのずっと前から敵認定してたんだなぁ……
まぁ、結局女さんの好きな人は友さんだったんだけど。

でも、正直な所私は高校で再会した直後の女さんとあの人は両思いだったんじゃないかと疑ってる。
たまたま友さんが現れた事であの人を奪われずに済んだんじゃないのかな?
そう考えると、友さんは私にとって恋のキューピッドなのかもしれない。

あの人の勘違いのせいもあるけど、10年の年月をあっさり埋められてしまったのを未だに根に持っているのはあの人にも女さんにもナイショ。

っと、いけない。
本格的に時間が無くなって来た。
もう支度は出来ているから良いんだけど、せめてキリの良い所まで読んでしまいたい。

そう思って、私は次の日記を飛ばし、後半の日記に手を伸ばした。
多分、9冊目か10冊目。
あの人に会いに行くまでの1年を綴った日記に……

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341 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/01(日) 23:41:27.39ZjsrLCNAO (17/17)

本日はここまで。

一気に7・8年くらい飛びますので、多分後2回くらいで終わる予定。

もう少しだけお付き合い下さい。

では、また明日21時より!




342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/01(日) 23:43:14.03exARJcORo (1/1)

いやです
このスレが1000までお付き合いします



343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/07/01(日) 23:47:05.24rDvKKI5x0 (2/2)

おk


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 00:57:02.67MS+YQOsJo (1/2)

乙!


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 01:42:16.27P3KQj4K1o (1/1)




346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 07:20:36.12P7F9rKzs0 (1/1)

これまだやってたのか


347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2012/07/02(月) 19:02:43.70gE1YeP9a0 (1/1)

>>346

男×許嫁は滅びぬっ何度でも蘇るさ!


348 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:08:12.66f4c7WVOAO (1/15)


○月×日

最近、お父様とメイドが忙しいらしい。
せっかくのお休みにも、秘書さんを加えた3人でお話をしていたりする。

今日も、お父様はお休みで家にいらっしゃるのに、ずっと書斎に篭っている。
もちろん、私ともお話はして下さるのだけれど……

何か、仲間外れにされているようで少し疎外感を感じる。

それに……お父様がお疲れの様子なのが、少し気になる。

お父様、無理はなさらないで身体を休めて下さい。




349 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:11:16.62f4c7WVOAO (2/15)


今日は月に1度のお父様のお休みの日。

ここ数年でほぼ復調したおかげで私も外を歩けるようになっており、庭の散歩が日課になっていたのだけれど。
庭の片隅にある薔薇園で、お父様を見かけた。

朝の挨拶と共に声をかけると。


 『む……おお、許嫁か。 おはよう、身体の調子はどうじゃ?』


と、考え事を中断して私とのお話に付き合ってくれた。

何気ない会話。
ただ、それを交わす中でお父様の顔に疲れが見えるのに気付いた。

お父様もまだ元気とはいえ高齢、やはり日本有数であるグループの会長職という激務が響いているのだろう。
お金や、責任や、その他諸々の事はもう気にせずお身体を労って欲しい、とは常々伝えているものの、中々その通りにはしてくれない。

それ以上に気になるのは、ここ最近の行動だ。
仕事の日でも、お休みの日でも一日一度は書斎に篭って何かをしている。
そして、大体はメイドと秘書さんを呼びつけ何かを話し合っているようだ。
時には、姐さんまでも呼ばれて話し合いに参加している。

全てを知った今では、男くんの事を守るべく様々な布石を打つ為の会議だったという事が分かるのだけれど。

当時の私は、自分が呼ばれない事への疎外感を感じるのみでお父様の心中など考えていなかった。

……そしてそれを、後に酷く後悔する事になるのだけれど。




350 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:12:46.21f4c7WVOAO (3/15)


考えてみれば、あの頃の私はどれだけ周りの人に甘えた生活を送っていたことか。

事実を明かされていなかったとはいえ、そんな周りの緊迫した状況にすら気付かず日々をただ穏やかに暮らしていたばかりか。
挙句男くんと会わせて貰えない事を僻んだりして。

私が感じていた以上に、周りの人たちに愛情を注いで貰っていたのに。

思えば、この時既にお父様は自分の身体を蝕む病魔に気付いていたのだろう。
だからこそ、憂いを取り除くべく老体、そして病身に鞭打って無理を重ねていたのだ。

そんなお父様に報いるには、約束したとおり精一杯幸せになる事しかないのだろう。
あの人とともに。

この日、まだ私はこれから訪れる運命を知らない。




351 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:13:33.23f4c7WVOAO (4/15)


○月×日



(白紙のページがぐしゃぐしゃになっている)







352 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:16:16.85f4c7WVOAO (5/15)


見られた!
ついに見られてしまった……

その日、私は皆が寝静まった頃に一人自分を慰めていた。
別れてから9年、男らしくなった男くんの写真を片手に。

切なくて、高まり絶頂を迎えようとしたその瞬間、突然部屋のドアが開けられた。


 『大丈夫ですか、お嬢様!』


絶頂による甘い快感と、事態を把握出来ない驚きに頭が真っ白になる。
身体を痙攣させながら、なんとか叫び声を飲み込んで飛び込んできたメイドを凝視した。

どうやら、感極まった私は自分で思ったより大きく鳴いてしまったのだろう。
それを、苦しみの声と勘違いして動揺したメイドは部屋に飛び込んでしまったのだ。

珍しく驚いた表情で私を見つめるメイド。
絶頂の余韻に目を潤ませながら、呆然とメイドを見つめる私。

暫くお互いに見つめあっているうち、つい私は泣き出してしまった。
そんな私を、メイドは優しく抱きしめて頭を撫でてくれた。

その時、私は何を言ったのか覚えていない。
多分、男くんへの思いとか、メイドへの八つ当たりとか、そういったものをぶつけたのだと思う。

メイドも私が落ち着くまで頭を撫で続けながら、誰でもする事だとか、悪い事ではないだとか慰めてくれていたような気がする。

ちなみに、この時の私の性知識は昔メイドに襲われかけた時から変わらず、知っているのはセックスという行為とその結果くらいなもので一般的な小学生とあまり変わらない程度だった。
名前も知らないこの行為を、いけない事だと思いつつも秘密裏に続けていただけなのだ。




353 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:19:06.51f4c7WVOAO (6/15)


この時メイドも私が性知識に疎い事に思い当たったのだろう。
このような事をお父様に相談するはずもなく、周りにいるのも一歩引いた使用人の子たちだけで誰も性教育など行って居ない事は明らかだったから。

そんな私に、メイドは優しく性に関する知識を教えてくれた。

その時、メイドの心中では葛藤もあったのだと後ほど告白された。
メイド自身は強制的にそういった知識と経験を与えられており、さらには解放された後も自ら女性相手に経験を重ねていたそうで、そのような自分が何も知らない私にそういった知識を与える事に躊躇していたのだと。

果たして、この時メイドに見つかったのは良かったのか、悪かったのか。

以降、週に1度勉強会と称して性に関する知識を徹底的に仕込まれることになるからだ。
私が屋敷を出る少し前の段階では、実技と称してメイドに愛撫されたり、バイブを用いて口や手での奉仕の練習をしたり、およそ性教育とは言えないような事まで仕込まれた事だし。

おかげで、あの人との行為にあたり怯えたりする事もなく、悦んで貰えたのはいいのだけれど……

なんとなく、実技に関してはメイドの実益重視だったように思っている。
だって、その、必ず最後イかされたし、その時のメイドはすごく興奮していて……

この日から、週に一度私は寝不足で苦しむことになる。




354 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:20:55.88f4c7WVOAO (7/15)


○月×日

今日は私の誕生日。
これで19回目、お屋敷に来てからは8回目だったか、9回目だったか。

盛大な誕生パーティにも慣れた。
男くんがいないのも、もう諦めた。
男くんが幸せでいてくれるのなら、私が我侭を言ってはいけないと思うから。

でも、どうしてだろう。

お目出度い日のはずなのに、あまり嬉しくない。




355 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:23:43.38f4c7WVOAO (8/15)


その日、誕生日を迎えた私は屋敷に来て何度目かになる誕生パーティの席に居た。
外部の人を呼ぶわけではないが、お父様とメイド、秘書さん、そして屋敷の使用人の皆で盛大にお祝いをしてくれるのだ。

普段より豪勢な料理、皆からの心のこもったプレゼント。
本当に皆が心から祝ってくれているのが伝わってきて、それには感謝している。

でも、今年も男くんがいない。

1年程前から、男くんは施設を出て一人暮らしをしていると聞いている。
生活費はお父様が出しているという。
何度か、お父様は男くんに会いに行ったとも聞いた。

なのに、私はまだ男くんとの再会を果たしてはいない。
お父様は私から尋ねるまでもなく、もうすぐ会わせるから、と申し訳なさそうに約束してくれている。

お父様にも何らかの事情がある事は薄々理解しているし、私に会わせてやりたいと心から思ってくれているのは充分に伝わっている。

でも、こんな誕生日の日には期待してしまうのだ。
お父様が、今年は特別なプレゼントじゃ、などと言って大きくなった男くんを連れて来てくれるのを。

だから嬉しい日のはずなのに、どうしても心にぽっかりと穴が開いたような感覚を覚えてしまうのだ。
決して表には出さないけれど。
皆の前では笑顔を浮かべているけれど。

ただ、メイドだけは慰めるような、優しげな目をしてこちらを見つめている。

メイドにだけは、私は本心を打ち明けていた。
優しいお姉ちゃんにだけはウソをつきたくなかったから。

だから、きっとメイドは私のその時の心の中がはっきりと分かっていたのかもしれない。




356 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:26:30.72f4c7WVOAO (9/15)


私はそれで良い。

お父様は育ててくれただけじゃなく、いつも私の事を気にかけてくれている。
これ以上負担をかけるような事はしたくない。
メイドという理解者がいるだけで、私はもう充分。

それに、男くんももう施設で辛い思いをすることはない。
学校で友人も出来たと聞いている。
もしかしたら、これから恋人だって作ってしまうのかもしれない。

それでも、男くんが幸せになってくれるのなら。

私はやっぱり、男くんと再会しない方が良いのかもしれない。
男くんを守れなかった私には、男くんと会う資格などないのだろう。

いや、嘘だ。
ずっと自分を誤魔化してきたけれど、来年には成人を迎えようというこの年になってもう限界が来ているのかもしれない。

私は、男くんに会うのが怖いんだ。

男くんにとって、私がただの姉でしかないと言われる事が。
再会した後、異性としてではなく家族としてしか見て貰えないかもしれないという事が。

だから、会わない方が良い。
会わなければ、真実は有耶無耶のままだから。
決定的な真実を知らなければ夢を見たままで居られるのだから。

……でも、会いたい。

この日、私はまた一つ年を重ねた。




357 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:28:17.84f4c7WVOAO (10/15)


○月×日

今日、ついメイドに泣き付いてしまった。

掃除に来たメイドに男くんの写真を見ている所を見られて、それで会いにいったら? って言われて……
泣きながら、男くんに会いたい会いたいって泣き言を言ってしまった。

そんな事、メイドも言われたら困っちゃうのにね。




358 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:32:55.95f4c7WVOAO (11/15)


>>357 失敗失敗。
以下修正です。


○月×日

今日、ついメイドに泣き付いてしまった。

掃除に来たメイドに男くんの写真を見ている所を見られて、それで会いにいったら? って言われて……
泣きながら、男くんに会いたい会いたいって泣き言を言ってしまった。

そんな事、メイドも言われたら困っちゃうのにね。

その後、私を慰めるつもりだろうか、使用人の皆とお茶会をした。

ただ、珍しくメイドが私の前以外で微笑を浮かべていたのが気になる。
あの時、男くんの写真を持っていたけれど、もしかしてメイドも……




359 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:35:05.75f4c7WVOAO (12/15)


その日は、数日前に男くんの新しい写真を貰って少し浮かれていた頃だっただろうか。

男くんに会わない方がいい、と自分を誤魔化しながらも、やはりほんの少しずつ成長する男くんの写真を見てしまうと、会いたいという気持ちが抑えきれなくなってしまう。

姉の贔屓目で見てもカッコよくなった男くんのその写真は、珍しく視線がこちらを向いていてまるで私と見つめ合っているかのようで。
つい暇を見つけては写真とにらめっこをしてしまっていた。

そんな時、メイドが部屋の掃除にやってきたのだ。
私の気持ちを知っているメイドは、私に会いに行ったらどうか、と提案をしてきた。

男くんに会いに行く……
今や数ヶ月に一度となった報告には、男くんの現住所や通っている高校の名前まではっきりと書かれている。

だから、会おうと思えば会えるのだ。 お抱えの運転手さんに、住所を告げるだけでいい。

でも、この時の私は男くんに会うのが怖くて。
だから、メイドにも虚勢を張ってしまった。

だけど、メイドはそんな私の本心を私以上に理解していたのだろう。


 『……素直じゃありませんね、お嬢様は』


そういって優しく抱きしめられて、私は抱えていたものが決壊し溢れ出るのを止める事が出来なかった。

会いたい、男くんに会いたい!

涙ながらに胸の内を吐き出す私を、メイドはどのような思いで抱きしめてくれていたのだろうか。

私が落ち着くまで抱きしめてから、メイドは何か考え事をしながら部屋を出て行った。
私はというと、改めて心に封をしてから心を落ち着かせようとその日家の内外を散策して過ごしていた。




360 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:38:40.19f4c7WVOAO (13/15)


その日の午後。

お昼を食べてから再び開始した散策の途中、メイドが何かの資料を読みながら歩いてくるのに出くわした。

そして驚いた。
メイドが、私の前以外で微笑んでいたから。
しかも、私にすら見せないようなとっておきの優しい笑顔で。
ほんのわずかに、頬を赤く染めながら……


 『何か嬉しいことでもあったの、メイド?』


そう声をかけると、どうやらメイドは自分が微笑んでいた事に気付いていなかったらしい。
少し動揺していたのか、急にお茶に誘ってくれた。
しかも、珍しく使用人の皆を誘っても良いと許可を出してくれたのだ。

おかしい。
普段のメイドならば、特別な記念日でもない限り公私を分け、上下関係をはっきりとした付き合いしか許してくれないはずなのに。

その時、メイドが持っている書類がチラッと見えた。

それに貼り付けられていたのは……男くんの写真だった。
それも、まだ私の見たことのない、最新のものだっただろう。

動揺を隠しながら別れを告げ、食堂に向かう私の頭の中は色んな情報が錯綜していた。

私の前以外で微笑むメイド。
頬を染め嬉しそうなメイド。
メイドが持つ男くんの写真。
珍しく許された皆でのお茶会。

それらが絡まりあい、やがて一つの結論を導き出そうとする。

一体いつから、どんな理由でなのかは分からない。
しかし、考えられる事は一つだった。

あんな過去を持つメイドに好きな異性が出来た事は本当に嬉しい。
でもそれが、自分の好きな異性と同じ人だったら?
大好きなお姉ちゃんと同じ人を取り合いになるのか?
最悪の場合好きな人二人を同時に失ってしまうかもしれない。

だから、私はそこで考えるのを止めた。

今現在、私たちの選んだ道が正解だったのか、あるいは間違っていたのか、それはわからない。
あるいはあの時、何らかのアクションを起こしていれば今頃あの人を独り占めしていたのかもしれない。

しかし、それは本当に幸せだったのだろうか?

ただひとつ言えることは。
今、私たちは幸せだということだ。

この日、私はメイドのあの人への恋心を知った。




361 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 21:41:34.27f4c7WVOAO (14/15)

本日はここまで。

明日、とうとう最終回となります。
半年にわたり読んで下さった方、フライングでお礼申し上げます。

では、また明日21時より!




362VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 21:48:53.81Tg0biulBo (1/1)

お礼にはまだ早い


363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 21:49:06.91WB3M1xzIo (1/1)

とうとう終わりか…



364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2012/07/02(月) 21:49:36.79YIbSX0Gzo (1/1)


もう終わりなのか……


365VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/02(月) 22:23:23.360fXdvIrKo (1/1)


長かったよな~。もう7月だもんな~


366 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/02(月) 22:32:38.41f4c7WVOAO (15/15)

>>365
長かったよね、本編は4月1日に終わってるのにね……

結局番外編というか蛇足が本編と同じ期間かかっている罠。
まぁ、休載とかもあったけど……


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/02(月) 23:55:46.76MS+YQOsJo (2/2)

乙乙!!


368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/07/03(火) 03:29:35.14m2zJGnjk0 (1/1)

>>365
眼鏡「蛇足なんていわせねえYO!」


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 07:06:25.39n8qktG3x0 (1/2)

次回でついに最終回か
なんかこれが終わるって、主のこれ以前の作品の総決算みたいな気がしてくる
かなり話がリンクしてたからなあ


370 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:11:12.007Q2A+lyAO (1/23)

さて、いよいよ本日は最終回となります。

では、早速投下していきます。


371 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:12:09.757Q2A+lyAO (2/23)


○月×日

今日、お父様に呼び出された。

お父様が病気で、私は半年後許婚で、男くんと会うことになってそれで……

ダメだ、書けない。




372 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:14:57.757Q2A+lyAO (3/23)


この日、珍しくお父様が私を書斎へと呼び出した。

本当に珍しい、用事があるのならば普段は私の部屋へ足を運ばれるのに。

何事かと書斎を訪れると、そこにはお父様だけでなくメイドと秘書さんも揃っていた。
そして、その表情は真剣で、暗く。
……何か、良くない話をされるのだと分かってしまった。


 『……お前に隠しておった事がある。 ……儂はもう長くない』


目の前が真っ暗になった。

優しいお父様。 血の繋がりもない私を育てて下さったお父様。 いつも気にかけてくれたお父様。 
そんなお父様がいなくなってしまう。

思わずよろけた私を、メイドが肩を抱いて支えてくれた。
どうやら二人は既に知っていたのだろう。
驚きの表情はない、しかしその顔は悔しさに満ち決してそれを受け入れてはいない事を表していた。

お父様は、私を気遣いながらも重い口を途切れ途切れに開いた。

半年前の検査で病に気がついたこと。
既に手遅れで、完治は見込めないこと。
延命治療は望んでおらず、残りの人生を私たちと男くんの為に使うつもりであること。

突然の告白に、頭が真っ白になってしまった私を済まなそうに見つめながら、お父様は更に言葉を紡いだ。


 『……半年後、お前を男に会わせようと思うのじゃ。 男の許婚としてな』


半年後、男くんが18歳となった後に許婚として私を連れて行き、一緒に住まわせると。

なぜお姉ちゃんとしてではなく、許婚なのか。
これまで会わせてもらえなかったのは何故か。

それらの事情についてはこの時は教えては貰えなかったのだけれど。




373 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:16:25.567Q2A+lyAO (4/23)


男くんの命を守る為。

そんな事情はさておき、きっとこの時のお父様は私の事だけを考えて下さっていたに違いない。
だって、私は男くんと会うのが怖かったから。

そんな気持ちはとっくに見透かされていたのだろう。
だからこそ、許婚として強制的に縁を繋ぎ、後押しをしてくれていたのだと思っている。

ただ、突然の事に許容量を超えた私の頭は何も考えられなくて。
お父様のお気持ちだとか、メイドの涙の理由だとか、そういう物に考えが回らなくて。

機械的に頷くことしか出来なかった。

我慢出来ずに頬を雫が伝わり落ちる。
そんな私を、お父様は優しく抱きしめてくれた。

この日、私はお父様に残された時間が少ない事を知った。




374 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:17:11.477Q2A+lyAO (5/23)


○月×日

お父様の医療設備が屋敷に運び込まれた。

これからは仕事を減らしここで治療を行うのだそうだ。

本当は、男くんに会う為の準備をしないといけないんだけど。

でも、今はお父様と一緒に過ごしたい。




375 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:21:21.037Q2A+lyAO (6/23)


屋敷の書斎近く、日当たりの良い一室。
その部屋が、これからはお父様の病室として利用されることになった。

ナースコールを備え付けたベッド、まだ何もぶら下げてない点滴台、何に使うのか良く分からないゴチャゴチャした機械。
入院していた頃を思い出させるそれらが、お父様が病気であるという事実を如実に物語っていた。

本当なら半年後に備え、私も花嫁修業ならぬ許婚修業をしなければならなかっただろう。
でも、この時の私はただお父様の傍に付いていてあげたかった。

病院で一人過ごす事の寂しさは知っているから。
ベッドの傍に座り込んで一緒に過ごしてくれた男くんにどれだけ癒されたか知っているから。


 『私、ここにいます! お父様から離れませんから!』


まるで子供のように駄々をこねて、お父様の病室に椅子を持ち込んで不法占拠を行った。

お父様も最初は儂はまだ元気じゃ、とかそんな事をしている間に家事の一つも覚えろ、だとか言っていたけれど、最後には折れて優しげな笑顔で頭を撫でてくれた。

今考えるとやっぱり甘えてたんだと思う。
こんな事をしている間に料理の一つでも覚えて、お父様にお粥でも作って差し上げれば良かった。
でも、一緒に居たいという気持ちを優先してしまった。

あの人のおかげで、たった一度だけでもお父様に私の手料理を食べて頂けたからまだ私は救われている。
そうでなければ、きっと一生後悔していたに違いない。

忙しくてすれ違い気味だったお父様と、初めて時間を気にせず一緒に居られる短い時間。
これまでの9年半を取り戻すかのように、お互いに話をして笑った。
時にはメイドも一緒に、あの3人で映画館に出かけた日のように。

この穏やかな日々は私にとって今でも一番大切なお父様との思い出。
お父様にとってもそうであったのなら、嬉しい。

この日から、お父様と過ごす最後の半年間が始まる。




376 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:22:31.507Q2A+lyAO (7/23)


○月×日

久しぶりに夢を見た。

お父さんと、男くんと3人で暮らしていた頃の夢。
辛い事もあったはずなのに、夢の中では皆笑顔。

もうずっと見ていない男くんの笑顔を見て、やっぱり私は男くんの事が好きなんだと再確認させられた。




377 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:26:48.077Q2A+lyAO (8/23)


その日は前日のメイドによる性教育のせいで少し寝不足気味だった。

午前中はお父様はお仕事をされていて書斎に篭られていた為、お父様のお部屋に飾る花を摘みに庭の花壇を散策していた。

既に不治の病を宣告されているにも関わらず、お父様は未だ病身に鞭を打たれている。
最も、日に日に病室にいる時間が長くなりつつあるという事実が、お父様の病状の悪化を物語っていた。

だからこそ、無理をして欲しくはないのだけれど。
お父様の仕事に打ち込む姿を見て、私は何も言えなかった。

午後、病室でお父様と語らう内に寝不足が祟り、私はいつの間にかお父様のベッドにもたれかかって眠ってしまったようだ。

夢を見た。

ここ数年は見なかった、10年前の夢。
そこにはもう写真でしか見る事の出来ない二人が居た。


 『男くん、寂しくはないかい?』


優しくお父さんが男くんに問いかける。


 『お姉ちゃんがいるから、寂しくないよ!』


満面の笑みで男くんが答える。
その笑みにつられ、お父さんも微笑む。

そしてきっと、私も微笑んでいたのだろう。


 『大好きだよ、お姉ちゃん!』


そんな男くんの告白で目が覚めた。

果たして、その告白は家族としてだろうか、異性としてだっただろうか。
後者であって欲しいと思いつつ、前者だろうと思ってしまう自分が悲しくて。


 『怖い夢でも見たか? なに、心配はいらぬ。 怖い事なぞないからの……』


いつの間にか泣いてしまっていたのだろう。
お父様が優しげに私を見つめ、指先で涙を拭ってくれた。


 『いいえ、楽しい夢でした。 でも、少しだけ悲しい夢……』


そう呟くと、お父様に心配をかけないよう笑顔を返す。

そして、私は気付いてしまった。

いつも、私を撫でて下さったお父様の手。
ゴツゴツとして、でも暖かくて優しかったお父様の手。
私の涙を拭ったお父様のその手が、随分と骨ばり痩せ細っている事に。

顔を洗ってきます、と病室を出た私は、そのまま洗面所に駆け込んだ。

この日、お父様が本当に長くないという事を実感した。




378 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:28:42.087Q2A+lyAO (9/23)


○月×日

男くんとの再会まで、残り1ヶ月。

最後の報告書を読んで、男くんとの同棲に向けた心構えをする。

その気持ちはまるで嫁入りするような感じ。

でも、不安要素は沢山ある。

男くんは、私を受け入れてくれるだろうか?

なにより、私の事を覚えているのだろうか?




379 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:31:57.167Q2A+lyAO (10/23)


冬が終わり、もうじき桜が咲き始める頃。
ついに約束の時は近づき、夢にまで見た男くんとの再会は間近となっていた。

最近、お父様の病状は進み一日の半分を病室で過ごすようになっていた。
そんなお父様を残して行くのは不安だったのだけれど、メイドが任せろと言ってくれたこと、何よりお父様が心からの願いだ、と言って下さった事から、私は男くんとの同棲を選んだ。

今、手元には最後の報告書がある。

これまでの男くんの半生と、今までにない程詳細な周辺情報。
大きいところでは施設や一人暮らしでの生活状況、細かい所では男くんの嗜好や友人関係まで。

何十ページにも渡るそれらの資料を読み、これからの生活に備えるのだ。

ただ、それは単に楽しいだけの作業ではなく。
私の心には、今後の生活への期待と共に、幾ばくかの不安が渦巻いていた。

その原因は、まさにこの手元の報告書。
その中の数ページを占める、男くんの友人関係についてである。

どうやって調べたのかは分からないが、その報告書には細かに男くんの友人関係が洗い出されていた。

まず、施設時代について。

写真でも分かっていた通り、男くんは結局あまり感情を露にしない子のままだった。
ただ、下の子の面倒は良く見ていたそうで、幼い子供たちには慕われていたという。

問題は、以前の資料にもあった同年代の女の子。
一緒に居たのはわずか1年にも満たなかったそうだけれど、唯一その子とは仲良くしていたらしい。

そして、高校時代について。

施設を出て一人暮らしを始めた男くんだが、あまり人付き合いを好としない性格からか友人は少なく、むしろクラスメイトたちに根暗だと疎まれているらしい。

高校における友人は主に二人。
一人は友という男の子。 ただ、男くんとはあまり親密な関係を築いていないようだ。

問題は、女という女友達。
なぜか男くんとは仲が良く、夕飯を一緒に食べたり、共に買い物へ出かける仲なのだという。




380 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:34:14.047Q2A+lyAO (11/23)


私が気になったのは、この二人……いや、私の推測が正しければ、この一人なのだ。

一人、つまり同一人物。

なぜそう思ったのかというと、女という子は施設から引き取られた子だという点。
そして、単純に下の名前が同じだったからだ。

かつて私が嫉妬を抱いた少女。
その彼女が、今男くんと親密な距離の付き合いをしている。

この報告書だって100%正確なものではないし、これから1ヶ月の間に何が起きるか分からない。

私が不安に思っているのは、後々私が男くんと再会して果たして男くんの隣が空白のままか、という事だった。
もし私の入り込む隙間がなかったら……

男くんが幸せならそれでもいい。
いいのだけれど、私の10年育んだ思いは何処へ行ってしまうのか。

そう考えると、前以上に男くんに会うのが怖くなってしまう。

それでも。
もう優しい夢に浸っていられる時間は終わりを告げたのだ。

この日、私は10年の夢から覚めることを決意した。




381 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:35:34.257Q2A+lyAO (12/23)


○月×日

いよいよ明日、男くんに会いに行く。

お父様、メイドとのお別れは寂しいけれど。
でも、10年間育んだ私の思いは裏切れないから。

お父様、ありがとう。

私は、男くんと幸せになります。




382 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:38:45.597Q2A+lyAO (13/23)


お父様の告白からあっという間に半年が過ぎた。
いよいよ、許婚として男くんと再開する日が翌日に迫っていた。

この日、お別れ会としてお父様を初め、屋敷の皆で夕食を取ることになった。
病室にいる時間が多くなり、食事も病人食に切り替えたお父様もこの日ばかりは皆と同じ豪勢な夕食を楽しんでいた。

メイドは、結局家事を一切学ばなかった私を心配してばかりいる。
ちゃんと料理はレシピ本で学んだし、10年前男くんの世話をしていたのは私なんだから心配しなくてもいいのに。

使用人の皆も私の心配をしている。
朝起きれますか、だとか、お1人で着替えが出来ますか、だとか……
もぅ、私はそんなに子供じゃないのに。


 『明日、儂は男に厳しい態度を取るが、理由あっての事じゃからな?』


わかっています、お父様。

未だ理由は教えては貰えていないけれど、お父様の行動は全て男くんの為だという事くらい。

だって、私を引き取って下さったあの日、余命を告白して下さったあの日。
お父様は、いつも男くんの事を思っていらっしゃったから。

だから、明日からはお父様ではなく旦那様。
私は、お姉ちゃんではなく男くん……いえ、男さまの許婚。

でも、ほんの少しだけ。
お姉ちゃんだって気付いてくれる事に期待している。

と、考え事をしている間に随分周りが騒がしくなっていた。
どうやら、お父様が普段にはないくらいお酒に酔っていらっしゃるみたい。
お身体にも響くから、少し控えて頂かないと……

その時、お父様が涙を浮かべている事に気付いた。

でもそれは悲しみの涙ではなく。
きっとそれは、愛しい娘を嫁に出す時の父親の涙。

それほどまでに愛されていた事を再確認させられたようで。

この日、私は屋敷での最後の夜を愛情に包まれて過ごした。




383 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:41:12.217Q2A+lyAO (14/23)


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ふぅ……

目端に浮かんだ涙を拭って、日記を閉じる。

屋敷で過ごした最後の1年、お父様の事を思い出してつい泣いてしまった。

お父様は今頃、天国から見守って下さっているのかな?
ご覧の通り、私たちはとっても幸せに暮らしています。

過去を振り返るのはここまでで良い。
ここから先は、日記を見るまでもなく私の心に焼き付いているし。
また時が経って、幸せな記憶で思い出が埋もれた時に見直せば良い。


男「おーい、嫁! そろそろ出かけるぞ!」


あ、ちょうど時間が来たみたい。

昔の日記はしまって、新しい日記を持って。

この1冊からは、きっと登場人物が1人増えるはず。
そしていつか、今の私みたいにこの日記を読みながらこんな事があったんだよってお話をしてあげたいと思う。

それじゃ、私も元気にしっかりと、一世一代の大仕事に取り掛かるとしましょう。


嫁「今行きます、アナタ!」


だから、元気に産まれてきてね。 私とあの人の、赤ちゃん!

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384 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:43:01.597Q2A+lyAO (15/23)


~後日~

男「すまん、遅くなった!」

メイド「男さま! 間に合ってよかった……! 丁度分娩室に移る所です!」

女「すごい汗……嫁さん、本当に大丈夫?」

嫁「大丈夫……だよ……。 アナタ……この子、しっかり……産むからね……」

男「あぁ……もう少しの辛抱だからな? 嫁、がんばれよ……」

友「嫁さん、頑張れよ……!」

嬢「嫁。 男さまの子、しっかりと産みなさい。 頑張りなさいな!」

嫁「……嬢さん……ありがとう……」

メイド「お嬢さま。 苦しみの後には喜びが待っていますからね……?」

嫁「……うん。 ……私、頑張るよ……」

男「あぁ……嫁、頑張れ……頑張れよ……」ギュ

少女「嫁、きっと元気な子だから! だから、しっかりね!」

冥息・娘「「ママ、頑張ってー!」」

嫁「……うん、ありがと……」

 「宜しいですか? それじゃ、そろそろ分娩室に移りましょうね?」




385 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:44:44.557Q2A+lyAO (16/23)


男「……まだか……どうなんだ……?」ソワソワ

メイド「お嬢さま……大丈夫ですよね……?」ソワソワ

友「二人とも落ち着けよ……」

女「そうそう、別に病気とかじゃないんだから大丈夫だって……」

男「しかしな……」ソワソワ

少女「だいたい、メイドだって一度経験済みでしょうに……」

メイド「私の時は無我夢中でしたから……」ソワソワ

少女「大丈夫だって! 双子産んだメイドが大丈夫だったんだしさ!」

姐「そうそう、心配ないって! 嫁ちゃん、安産型だし?」

メイド「あ……姐、来てくれたのですね……」

姐「ごめんねー、ちょっと遅れちゃった!」

嬢「……貴女まで来たのですか、化け物……」

姐「ニヒヒ、嫁ちゃんの出産だもん、来るに決まってるじゃん!」

男「姐さん、わざわざありがとう……しかしまだかよ……」ソワソワ

姐「ほら、男クン。 落ち着いて落ち着いて……ヒッヒッフー」

男「あぁ……ヒッヒッフー」

女「あの……それ、妊婦さんがするものなんだけど……」




386 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:46:42.337Q2A+lyAO (17/23)


メイド「っ! 男さまっ! ランプが消えましたっ!」

男「ほ、本当だ! う、産まれたのか……?」

 「……お待たせしました」ガチャッ

男「先生! 嫁は……赤ちゃんは!?」

 「……少し静かに。 落ち着いて聞いて下さい」

メイド「せ、先生……?」

 「……ほら。 聞こえませんか?」オギャー…

男「あ……!」

メイド「男さま、この声は……!」

 「母子共に健康です。 可愛い玉のような赤ちゃんですよ?」

男「……ぃよっしゃあぁぁぁぁ!」グッ!

メイド「男さま! お嬢さまが、お嬢さまがやりましたよ!」ガバッ ギュー

女「うわ、こんなテンション高いメイドさん初めて見た……」

友「ま、気持ちは分かるけどな。 ……男、良かったな」

姐「ニヒヒ、あの子もとうとうお母さんか。 嫁ちゃん、頑張ったね……」

嬢「うふ、本当に。 嫁、頑張りましたわね……」




387 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:49:09.337Q2A+lyAO (18/23)


男「……嫁。 頑張ったな……ありがとう」

嫁「アナタ……私、私……」ポロポロ

少女「嫁、ほら。 元気な赤ちゃんだよ……」

嫁「あぁ……私の、赤ちゃん……」ポロポロ

メイド「お嬢さま、頑張りましたね……良かった、本当に良かったよ……」ポロポロ

嫁「うん……嬉しい、私嬉しいよ!」ニコッ

 「はい、お母さん。 貴女の赤ちゃんですよ」スッ

嫁「この子が……私たちの……」ナデナデ

男「あぁ。 お前と、オレの子だよ。 可愛い、赤ちゃんだ……」

嫁「あぁ……アナタにそっくり。 とっても可愛らしい……」

嬢「男さまの子ですから可愛いに決まっていますわ!」

友「……オレには猿みたいに見えるんだけど……痛っ!」ヒソヒソ

女「バカ。 赤ちゃんは皆そうなの! デリカシーないわね……」ヒソヒソ

少女「嫁、良かったね……とっても元気な赤ちゃんだよ!」

嫁「うん、少女ちゃんもありがとう! おかげさまで無事産まれたよ……」

冥息「この子がボクのおとうと?」

冥娘「私のいもうとだもん!」

少女「どっちだとしても、可愛がってあげようね?」

姐「……嫁ちゃん、頑張ったね。 おめでとう!」

嫁「姐さん……ありがとうございます……」




388 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:49:40.637Q2A+lyAO (19/23)


メイド「それで、この子の名前は決めてあるんですか?」


嫁「うん……二人で、ずっと考えてたの……」

男「あぁ……爺の名前から1文字貰ってな……」




389 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:50:16.917Q2A+lyAO (20/23)






嫁「この子の名前はね……!」









390 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:51:04.507Q2A+lyAO (21/23)






~許嫁「末永く宜しくお願い致します!」 了~








391 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 21:55:39.367Q2A+lyAO (22/23)

以上、これにて末宜スレ番外編含め終了となります。

1月1日より半年、皆様ご読了ありがとうございました。
皆様の応援レスのおかげで無事完結に至りました。

許嫁ちゃんのお話はこれで終わりですが、またゲスト出演などでお目にかかることもあると思います。
その時は懐かしんで貰えれば幸いです。

では、また別作品で!



392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/03(火) 21:55:59.42f5Z5DykDo (1/1)

終わり・・・だと・・・!?


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 21:56:11.11XpSfTI1Oo (1/1)

乙でした


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 22:00:35.170xDKmDK/o (1/1)

半年楽しませてもらった

乙なんだよ


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/07/03(火) 22:05:05.343J/qaZ720 (1/1)

乙です


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 22:05:16.40n8qktG3x0 (2/2)


ヤボなこと聞くけど、今後の作品の予定はある?


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/03(火) 22:08:25.14AeG2Hepb0 (1/1)

乙!!


398 ◆vF1GrLS8msUg2012/07/03(火) 22:12:47.607Q2A+lyAO (23/23)

>>396
前も書きましたが、ネット環境が整えば前作の裏編となろうで放置してるポンコツ魔王の続きを。

ついでに深夜で一本連載中。
タイトルは
男「ゲームが現実になるゲーム機?」天使「そうでーす♪」
となります。




399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/07/03(火) 22:15:30.0015FXJEO5o (1/1)




400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2012/07/03(火) 22:20:24.68kDkot36So (1/1)




401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/03(火) 22:22:20.31xx5hRiIqo (1/1)




402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2012/07/03(火) 22:24:05.74Wgo+M2LBo (1/1)

大変乙でした
文章量的にも結構な長編だったのではないでしょうか、半年ちょっとの間すごく楽しませてもらいました
野暮なことを少しだけ、個人的には最後の日記は冗長になったような感じがあったかもしれません
他の作品は属性的に怖くて読めませんがまたどこかで読めることを楽しみにしていまさ


403VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/03(火) 22:31:25.84+TP7dYkIo (1/1)

乙!


404VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 22:34:24.34N4kugw32o (1/1)

乙。楽しませて頂きました。


405VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 22:34:41.22Dsl1nuJio (1/1)

長期間にわたってご苦労さまでした!

面白かったよ!


406VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 22:38:04.34SwdTMYnHo (1/1)

乙乙!!
半年間に渡って楽しませてもらった


407VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 23:04:46.98JABaa5iIO (1/1)

お疲れ様!


408VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/03(火) 23:28:08.53usr/kKcco (1/1)

終わっちゃった…


409VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/03(火) 23:58:01.21eJxkOkxDO (1/1)


長い間乙です!
すごいたのしかったです
ありがとうございました


410VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 00:42:28.99X59HhSfIO (1/1)

>>398
それってどこの「ギャルゲヱの世界へようこそ」?


411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2012/07/04(水) 00:52:17.39AhIKblVM0 (1/1)

>>1乙です!!
このスレを発見してからの約4ヶ月、大変楽しませてもらいました
もっと男と嫁ちゃんストーリー読んでいたいです><是非とも次回作の次回作、のまた次回作でも待っています
こういうストーリーをもう一度書いて欲しいですヽ(*>∀<)シ 


412VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 01:25:26.30W1xP9KMFo (1/1)

ポンコツ魔王はよ


413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(田舎おでん)2012/07/04(水) 02:18:45.01Y5ONZQ2+o (1/1)

読んでたよ!超乙!


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/07/04(水) 03:35:47.63kpE4F/jro (1/1)

お疲れ様。


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 08:04:57.33m3rdCW4SO (1/1)

>>1乙!
次回作も楽しみにしてる


416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2012/07/04(水) 11:39:46.16OT4JbQLAO (1/1)

こんな言葉じゃ>>1を労う事なんて出来ないだろうけど、あえて言わせて下さい

1月からお疲れ様でした。面白かったです!ありがとうございました


417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/04(水) 15:02:33.52Swz4eMHP0 (1/1)


幸せな終わりだな
他の登場人物にも祝福を


418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/05(木) 21:00:17.25+sH49EiJo (1/1)

何か皆褒め称えるが、色々と説明されないまま終わっただけじゃ?


419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 21:39:26.429gsKrjWAO (1/2)

>>418
嫉妬乙


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/05(木) 21:48:10.68xF1CfJcGo (1/1)

>>419
嫉妬?
SSは書けない読むだけ

419(他の方でもイイです)は男が隔離されてた理由とか、許嫁の理由とか解ります?
自分は解らなかったので、カッコ悪いんですが解説を願います


421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 21:59:29.75/PiFJzd10 (1/1)

>>420
今までの話全部読んでないのか?

読んでないのに聞いてるんだとしたらただの甘えだぞ


422VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/05(木) 22:02:54.989gsKrjWAO (2/2)

>>420
最後しか読んでないっぽいな

本編終わってて、それは番外編だぞ?
本編の最終回で全部説明されてる

せっかくだから時間のある時に最初から読んで来るといい


423VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2012/07/05(木) 22:51:02.21AWpMO7Rso (1/1)

>>422他
申し訳ありません!
読み返して来ました
寝床で読んでたから、肝心なトコ(をかなり)読み飛ばしてたと言うか、読んだ心算で読んでませんでした

腹切りどころか打ち首モンでした
もう一度すみませんでした


424VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/07/05(木) 22:53:10.236DfJyda/o (1/1)

よぉしじゃあ今日は1人で心霊スポットにいって生放送だ


425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2012/07/07(土) 01:26:30.96RQ+lnYXl0 (1/1)

>>1乙!
じゃあ俺は姐さんをもらっていくか…
おっと、来客だ…ってちょ!やめろおm



426VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/07/07(土) 22:46:45.44LNTBaukJ0 (1/1)

>>1
盛大に乙!!!!

最近好きなssが相次いで終わっていく…


427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/08(日) 21:41:46.06ed0OCNRIO (1/1)

初めから読めないのこれ