◆GcQ2euuWRNZF さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16620550.html
http://s2-d2.com/archives/16620550.html
◆Hw7XKfELws さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16613383.html
http://s2-d2.com/archives/16613383.html
1: ◆Hw7XKfELws:2012/04/28(土) 20:01:11.84:+HEFD2VAO (1/2)
・ペルソナ4の主人公(鳴上悠)が月光館学園で最後の高校生活一年間を過ごす話。
・過去のペルソナシリーズのキャラとコミュを築きます。一部捏造設定有り。
前スレ
鳴上「月光館学園?」
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1329486637/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1335610871(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
・ペルソナ4の主人公(鳴上悠)が月光館学園で最後の高校生活一年間を過ごす話。
・過去のペルソナシリーズのキャラとコミュを築きます。一部捏造設定有り。
前スレ
鳴上「月光館学園?」
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1329486637/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1335610871(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2: ◆Hw7XKfELws:2012/04/28(土) 20:03:52.02:+HEFD2VAO (2/2)
wiki
http://ss.vip2ch.com/jmp/1329486637
前スレまでの取得コミュとランク
0 愚者 特別課外活動部 Rank 5
Ⅰ 魔術師 伊織順平 Rank 2
Ⅱ 女教皇
Ⅲ 女帝 桐条美鶴 Rank 1
Ⅳ 皇帝 藤堂尚也 Rank 3
Ⅴ 法王 メティス Rank 2
Ⅵ 恋愛
Ⅶ 戦車 アイギス Rank 2
Ⅷ 正義 天田乾 Rank 1
Ⅸ 隠者 パオフゥ Rank 4
Ⅹ 運命 橿原淳 Rank 3
ⅩⅠ 剛毅 コロマル Rank 2
ⅩⅡ 刑死者 チドリ Rank 4
ⅩⅢ 死神 謎のイヤホンの少年 Rank 5
ⅩⅣ 節制 トリッシュ Rank 3
ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント Rank 3
ⅩⅥ 塔 ラビリス Rank 1
ⅩⅦ 星 星あかり Rank 1
ⅩⅧ 月
ⅩⅨ 太陽 周防達哉 Rank 4
wiki
http://ss.vip2ch.com/jmp/1329486637
前スレまでの取得コミュとランク
0 愚者 特別課外活動部 Rank 5
Ⅰ 魔術師 伊織順平 Rank 2
Ⅱ 女教皇
Ⅲ 女帝 桐条美鶴 Rank 1
Ⅳ 皇帝 藤堂尚也 Rank 3
Ⅴ 法王 メティス Rank 2
Ⅵ 恋愛
Ⅶ 戦車 アイギス Rank 2
Ⅷ 正義 天田乾 Rank 1
Ⅸ 隠者 パオフゥ Rank 4
Ⅹ 運命 橿原淳 Rank 3
ⅩⅠ 剛毅 コロマル Rank 2
ⅩⅡ 刑死者 チドリ Rank 4
ⅩⅢ 死神 謎のイヤホンの少年 Rank 5
ⅩⅣ 節制 トリッシュ Rank 3
ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント Rank 3
ⅩⅥ 塔 ラビリス Rank 1
ⅩⅦ 星 星あかり Rank 1
ⅩⅧ 月
ⅩⅨ 太陽 周防達哉 Rank 4
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/04/28(土) 21:33:43.51:oHXzJ7Wto (1/1)
>>1乙。
1スレ目の更新も面白かったよ!
>>1乙。
1スレ目の更新も面白かったよ!
4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/29(日) 01:15:10.38:zxemmjc80 (1/1)
>>1乙
キャサリン知らないんでエンディングだけ見てきたがかなり自由だな。さすがアトラス。
力に神も人も関係ないな。すごい。
そしてそんな人たちの物語のこの話も、着地点が全く見えなくて怖面白い!
>>1乙
キャサリン知らないんでエンディングだけ見てきたがかなり自由だな。さすがアトラス。
力に神も人も関係ないな。すごい。
そしてそんな人たちの物語のこの話も、着地点が全く見えなくて怖面白い!
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/30(月) 01:18:21.94:OuVyWN4IO (1/1)
おつ
これからもよろしく
おつ
これからもよろしく
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県):2012/04/30(月) 16:04:52.04:SgwvUA+Uo (1/1)
小ネタクソワロタwwwwww
これからも楽しみにしてます
小ネタクソワロタwwwwww
これからも楽しみにしてます
7: ◆Hw7XKfELws:2012/04/30(月) 16:10:21.12:4tAJu+PAO (1/1)
1スレ目埋めてきたんで、次回からまたここで本編再開になります。
時間が出来たらまた投下にきますね。
あと>>1にある前スレのurlがたぶん携帯用のなので、正しくは
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329486637/
になるんじゃないかと思います。
ではではまた次回。
1スレ目埋めてきたんで、次回からまたここで本編再開になります。
時間が出来たらまた投下にきますね。
あと>>1にある前スレのurlがたぶん携帯用のなので、正しくは
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1329486637/
になるんじゃないかと思います。
ではではまた次回。
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/04/30(月) 16:33:53.35:VS3RfA1oo (1/1)
小ネタ読んだよ、まさか監視カメラネタをやってくれるとはw
乙です。
小ネタ読んだよ、まさか監視カメラネタをやってくれるとはw
乙です。
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/30(月) 18:01:15.52:aGwnziTjo (1/1)
埋めネタワラタwww
確かに番長なら録画しようとするよなwしかし美鶴(22?)の制服姿か…背徳的だなぁ…
埋めネタワラタwww
確かに番長なら録画しようとするよなwしかし美鶴(22?)の制服姿か…背徳的だなぁ…
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/30(月) 21:53:25.46:E78IToTIO (1/1)
まさか美鶴さんの着替えを見たってことか
まさか美鶴さんの着替えを見たってことか
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/01(火) 01:06:28.83:ZaHwtwwH0 (1/1)
さすが番長・・・何気ないスケベさをしっかりもってるな
さすが番長・・・何気ないスケベさをしっかりもってるな
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県):2012/05/01(火) 01:13:20.39:c32hnWw9o (1/1)
監視ネタワロタwwwwwwwwwwww
キタローと言い番長と言い急にスイッチはいるよな
監視ネタワロタwwwwwwwwwwww
キタローと言い番長と言い急にスイッチはいるよな
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/05/01(火) 01:26:01.54:RTBfC1q5o (1/1)
p3の監視カメラは真田のが笑えた
p3の監視カメラは真田のが笑えた
14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/05/01(火) 01:37:31.33:YjLev3c2o (1/1)
荒垣さんのが一番好きだったわ
荒垣さんのが一番好きだったわ
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/01(火) 09:37:32.26:ZvKcH+jSO (1/1)
1乙、グッジョブ!
うみうしだけに…
1乙、グッジョブ!
うみうしだけに…
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/02(水) 06:29:51.05:VqgS2lc9o (1/2)
これ見てたらp3p土地でやめちゃったけどまたやってみたくなったな…
一週目は難しいこと考えないで好き勝手やる感じでいいのか誰か教えてくれ!
これ見てたらp3p土地でやめちゃったけどまたやってみたくなったな…
一週目は難しいこと考えないで好き勝手やる感じでいいのか誰か教えてくれ!
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/02(水) 06:30:19.05:VqgS2lc9o (2/2)
途中でだった、、すまん
途中でだった、、すまん
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/02(水) 15:34:46.21:pGLaunnm0 (1/1)
難易度マニアクスじゃないんだったら好き勝手やれば。
周回プレイ出来るし
ガチでエリザベスを倒しに行こうとするなら、コミュも戦略の一巻と化すがな
難易度マニアクスじゃないんだったら好き勝手やれば。
周回プレイ出来るし
ガチでエリザベスを倒しに行こうとするなら、コミュも戦略の一巻と化すがな
19: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:13:09.93:PIYfYJ6AO (1/26)
>……
第四階層 第一エリア
鳴上「……今度は何処だ?」
>目の前には、例のごとく石の壁が並んでいる。
>……今回に至っては、ほぼ石の壁しか並んでいないと言ってもいいだろう。
>要するに、自分で階段を作っていかなくては一段も上へ登る事が出来ないという訳だ。
>広さがあるところはまだいいが、狭い場所は考えて石を引き出さないと、そこから一歩も動けなくなってしまう……
>だが、考えられる時間は無限な訳ではない。
>下の足場はそうしている間にも、今までのように徐々に崩れ落ちていっている。
>今まで以上の冷静な判断力と行動が求められている……
鳴上「こういう時こそ言うべきだな」
鳴上「……落ち着け」
>自分に言い聞かせるように、そう呟く。
>持てる知力と体力、そして根性のすべてを使って石の壁に挑んだ。
>……
第四階層 第一エリア
鳴上「……今度は何処だ?」
>目の前には、例のごとく石の壁が並んでいる。
>……今回に至っては、ほぼ石の壁しか並んでいないと言ってもいいだろう。
>要するに、自分で階段を作っていかなくては一段も上へ登る事が出来ないという訳だ。
>広さがあるところはまだいいが、狭い場所は考えて石を引き出さないと、そこから一歩も動けなくなってしまう……
>だが、考えられる時間は無限な訳ではない。
>下の足場はそうしている間にも、今までのように徐々に崩れ落ちていっている。
>今まで以上の冷静な判断力と行動が求められている……
鳴上「こういう時こそ言うべきだな」
鳴上「……落ち着け」
>自分に言い聞かせるように、そう呟く。
>持てる知力と体力、そして根性のすべてを使って石の壁に挑んだ。
20: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:14:31.01:PIYfYJ6AO (2/26)
鳴上(これを、こうして……)
鳴上(……ああ、そうか!)
>石の壁だけという状況は一見絶望的に見えるが、逆に考えるとそれしかない訳だから一度登れる足場作りの動かし方のパターンを理解してしまえば、あとはそれを繰り返せばいいだけの事だった。
>この調子なら、上まで辿り着けるだろう。
>……
踊り場
>最初のエリアを登り終わったところで、一匹の羊がこちらに近付いて話しかけてきた。
羊人間「なあ、アンタ凄いな!」
鳴上「……え?」
羊人間「他の羊たちの間でアンタ噂になってんだよ。斬新かつ的確な技で登ってる羊がいるって!」
羊人間「俺も見てたけど、ホント凄いわ! ここでその技かー、みたいなさ」
鳴上「それは、どうも」
羊人間「こいつは見習わねーとな! お互い、挫けず頑張ってこうぜ!」
鳴上「ああ、そうだな」
鳴上(これを、こうして……)
鳴上(……ああ、そうか!)
>石の壁だけという状況は一見絶望的に見えるが、逆に考えるとそれしかない訳だから一度登れる足場作りの動かし方のパターンを理解してしまえば、あとはそれを繰り返せばいいだけの事だった。
>この調子なら、上まで辿り着けるだろう。
>……
踊り場
>最初のエリアを登り終わったところで、一匹の羊がこちらに近付いて話しかけてきた。
羊人間「なあ、アンタ凄いな!」
鳴上「……え?」
羊人間「他の羊たちの間でアンタ噂になってんだよ。斬新かつ的確な技で登ってる羊がいるって!」
羊人間「俺も見てたけど、ホント凄いわ! ここでその技かー、みたいなさ」
鳴上「それは、どうも」
羊人間「こいつは見習わねーとな! お互い、挫けず頑張ってこうぜ!」
鳴上「ああ、そうだな」
21: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:15:42.78:PIYfYJ6AO (3/26)
羊人間「そうそう、アンタに用があるって羊がいるみたいだぜ」
鳴上「ん? 俺に?」
羊人間「ほら、あそこで群がって話してる羊たちがいるだろ?」
羊人間「みんなで登る技を研究しあってるんだけど、その中でもやたら技を知ってる羊がいてさ」
羊人間「そいつだよ。輪の真ん中にいる羊」
>羊人間の指した方向には確かに羊の群がある。
>その中心で、周りに色々と技を教えている羊がいるようだ。
>その羊……イヤホンをかけた羊と、目があった。
>イヤホンの羊は手招きをしてこちらの事を呼んでいる。
>いったい、なんの用だろうか……?
>とりあえず行ってみる事にした。
羊人間「そうそう、アンタに用があるって羊がいるみたいだぜ」
鳴上「ん? 俺に?」
羊人間「ほら、あそこで群がって話してる羊たちがいるだろ?」
羊人間「みんなで登る技を研究しあってるんだけど、その中でもやたら技を知ってる羊がいてさ」
羊人間「そいつだよ。輪の真ん中にいる羊」
>羊人間の指した方向には確かに羊の群がある。
>その中心で、周りに色々と技を教えている羊がいるようだ。
>その羊……イヤホンをかけた羊と、目があった。
>イヤホンの羊は手招きをしてこちらの事を呼んでいる。
>いったい、なんの用だろうか……?
>とりあえず行ってみる事にした。
22: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:16:50.49:PIYfYJ6AO (4/26)
イヤホンの羊「……や。待ってたよ」
帽子の羊「お? 昨日のキノコ頭のじゃん」
鳴上「あ、帽子の……無事だったんだな」
帽子の羊「当ったり前だろ!」
>様子からすると、帽子の羊もイヤホンの羊から色々と話を聞いていたようだ。
鳴上「……で、そっちのイヤホンは、俺に用があるって?」
イヤホンの羊「ああ」
イヤホンの羊「君にも……いや、君にこそ色々と俺が知っている事を教えておきたくて」
鳴上「登る技の事か? それはありがたい話だな」
鳴上「でも、俺にこそっていうのはどういう意味だ?」
イヤホンの羊「……や。待ってたよ」
帽子の羊「お? 昨日のキノコ頭のじゃん」
鳴上「あ、帽子の……無事だったんだな」
帽子の羊「当ったり前だろ!」
>様子からすると、帽子の羊もイヤホンの羊から色々と話を聞いていたようだ。
鳴上「……で、そっちのイヤホンは、俺に用があるって?」
イヤホンの羊「ああ」
イヤホンの羊「君にも……いや、君にこそ色々と俺が知っている事を教えておきたくて」
鳴上「登る技の事か? それはありがたい話だな」
鳴上「でも、俺にこそっていうのはどういう意味だ?」
23: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:18:21.17:PIYfYJ6AO (5/26)
イヤホンの羊「……羊の習性ってのは面白くてね、先に行くヤツにくっついていくんだって」
イヤホンの羊「だから、先頭の羊が落ちれば、みんな次々と落ちていってしまう」
イヤホンの羊「逆に言えば、登るのを先導する羊がいれば、犠牲も少なくなる訳だ」
イヤホンの羊「俺は、君こそがそのみんなを導くに相応しい羊だと……そう考えている」
イヤホンの羊「だから、ここまでやってきて君に話をしにきたんだ」
鳴上「? そういえば、アンタ何処かで……」
鳴上(……ダメだ。思い出せない)
鳴上「でも、わざわざ俺にそんな事させなくても、アンタの方が色々と知っているみたいだし……」
イヤホンの羊「いや。俺は、招かざれる客……もとい羊だから、この先一緒に行く事は出来ないんだ」
イヤホンの羊「……羊の習性ってのは面白くてね、先に行くヤツにくっついていくんだって」
イヤホンの羊「だから、先頭の羊が落ちれば、みんな次々と落ちていってしまう」
イヤホンの羊「逆に言えば、登るのを先導する羊がいれば、犠牲も少なくなる訳だ」
イヤホンの羊「俺は、君こそがそのみんなを導くに相応しい羊だと……そう考えている」
イヤホンの羊「だから、ここまでやってきて君に話をしにきたんだ」
鳴上「? そういえば、アンタ何処かで……」
鳴上(……ダメだ。思い出せない)
鳴上「でも、わざわざ俺にそんな事させなくても、アンタの方が色々と知っているみたいだし……」
イヤホンの羊「いや。俺は、招かざれる客……もとい羊だから、この先一緒に行く事は出来ないんだ」
24: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:19:58.27:PIYfYJ6AO (6/26)
鳴上「え、それって……?」
イヤホンの羊「……。とにかく、持っている知識をみんなに叩き込む事でしか、役に立てない」
イヤホンの羊「あとは、君たち次第……って事」
鳴上(……そうだよな。同じ境遇に立っている仲間がいて、どうすれば生き残れるか話し合いが出来たとしても、それを自分でやらなきゃどうにもならない)
鳴上「わかった。詳しい話を聞かせてくれ」
>イヤホンの羊は静かに頷いた後、知っている事のすべてを丁寧にわかりやすく教えてくれた。
>……
イヤホンの羊「……大体こんな感じ。理解できたかな?」
鳴上「ああ。これだけ聞ければ、じゅうぶんだ。あとは、実際そういう動きを出来るかって問題だな」
イヤホンの羊「油断は禁物」
鳴上「わかってる。ありがとう。教えて貰った事を忘れないうちに次へ行ってくる」
イヤホンの羊「気をつけて」
>イヤホンの羊と別れた。
イヤホンの羊「……君が生きてあの部屋で起きる日が、明日もまた来る事を信じているよ」
>……
鳴上「え、それって……?」
イヤホンの羊「……。とにかく、持っている知識をみんなに叩き込む事でしか、役に立てない」
イヤホンの羊「あとは、君たち次第……って事」
鳴上(……そうだよな。同じ境遇に立っている仲間がいて、どうすれば生き残れるか話し合いが出来たとしても、それを自分でやらなきゃどうにもならない)
鳴上「わかった。詳しい話を聞かせてくれ」
>イヤホンの羊は静かに頷いた後、知っている事のすべてを丁寧にわかりやすく教えてくれた。
>……
イヤホンの羊「……大体こんな感じ。理解できたかな?」
鳴上「ああ。これだけ聞ければ、じゅうぶんだ。あとは、実際そういう動きを出来るかって問題だな」
イヤホンの羊「油断は禁物」
鳴上「わかってる。ありがとう。教えて貰った事を忘れないうちに次へ行ってくる」
イヤホンの羊「気をつけて」
>イヤホンの羊と別れた。
イヤホンの羊「……君が生きてあの部屋で起きる日が、明日もまた来る事を信じているよ」
>……
25: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:20:57.52:PIYfYJ6AO (7/26)
告解室
鳴上「高校生一枚頼む」
代行人「なんだか意気込んでるな? そうでなきゃ……だけど、まずは座ってからだ、いい加減覚えろ」
代行人「……さて。この階層は次のエリアが最終エリアだ。短くてよかったな」
鳴上「という事は、……またくるのか、デカいのが」
代行人「ああ」
鳴上「……なあ、あれはなんなんだ? どうしてあんなものが襲ってくる?」
代行人「さあな。聞くなら、自分の胸に手を当てて聞いてみろよ」
告解室
鳴上「高校生一枚頼む」
代行人「なんだか意気込んでるな? そうでなきゃ……だけど、まずは座ってからだ、いい加減覚えろ」
代行人「……さて。この階層は次のエリアが最終エリアだ。短くてよかったな」
鳴上「という事は、……またくるのか、デカいのが」
代行人「ああ」
鳴上「……なあ、あれはなんなんだ? どうしてあんなものが襲ってくる?」
代行人「さあな。聞くなら、自分の胸に手を当てて聞いてみろよ」
26: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:26:18.90:PIYfYJ6AO (8/26)
代行人「まだ理解出来ていないみたいだから言っておくけど、ここがおかしな場所だからと言っても根本はお前の見る夢だって事に変わりはないんだ」
代行人「つまり、何が出るのもお前次第なんだよ。……俺も含めて、な?」
鳴上「は……?」
代行人「……さ、質問の時間だ」
鳴上「……」
機械的な声「第四問です」
機械的な声「愛情さえあれば、どんな事をしても許されると思いますか?」
>『オールオッケー』と『場合による』のロープが垂れてきた。
鳴上「……」
鳴上「……こっちで」グイッ
代行人「なるほど」
代行人「まだ理解出来ていないみたいだから言っておくけど、ここがおかしな場所だからと言っても根本はお前の見る夢だって事に変わりはないんだ」
代行人「つまり、何が出るのもお前次第なんだよ。……俺も含めて、な?」
鳴上「は……?」
代行人「……さ、質問の時間だ」
鳴上「……」
機械的な声「第四問です」
機械的な声「愛情さえあれば、どんな事をしても許されると思いますか?」
>『オールオッケー』と『場合による』のロープが垂れてきた。
鳴上「……」
鳴上「……こっちで」グイッ
代行人「なるほど」
27: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:27:46.42:PIYfYJ6AO (9/26)
鳴上(こんな心理テストみたいな事を繰り返してまで、こいつが知りたい事ってなんなんだろう……)
鳴上「お前、ひょっとして俺の事好きなのか?」
代行人「……」
鳴上「いや、流石に冗談だからツッコんでくれないと……」
代行人「……冗談、ね。俺にそんな事言えるくらいには、心にゆとりが出てきたって受け取っていいのか?」
代行人「喜ぶべきなのかな、これは」
鳴上「……気持ち悪いな、お前」
代行人「……」
代行人「いい加減、上へ行こうか」
>告解室が、今回の最終エリアへ向けて上昇を始めた。
鳴上(……そう。『気持ち悪い』んだよ、アイツ……)
鳴上(生理的に気にくわないと言った方がいいのかもしれない。でも、どうして……)
鳴上(……)
>……
鳴上(こんな心理テストみたいな事を繰り返してまで、こいつが知りたい事ってなんなんだろう……)
鳴上「お前、ひょっとして俺の事好きなのか?」
代行人「……」
鳴上「いや、流石に冗談だからツッコんでくれないと……」
代行人「……冗談、ね。俺にそんな事言えるくらいには、心にゆとりが出てきたって受け取っていいのか?」
代行人「喜ぶべきなのかな、これは」
鳴上「……気持ち悪いな、お前」
代行人「……」
代行人「いい加減、上へ行こうか」
>告解室が、今回の最終エリアへ向けて上昇を始めた。
鳴上(……そう。『気持ち悪い』んだよ、アイツ……)
鳴上(生理的に気にくわないと言った方がいいのかもしれない。でも、どうして……)
鳴上(……)
>……
28: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:28:53.27:PIYfYJ6AO (10/26)
第四階層 最終エリア
鳴上「……さて。今夜は何が出てくるのやら」
鳴上「胸に手を当てて聞いてみろ、か」
鳴上「……」
>目を閉じて、一応格好だけそうしてみた。
>しかし、思い浮かぶものも思い浮かばない。
>……何故なら、さっきからバサバサと何か羽ばたくような音がうるさくて、集中出来ないからだ。
?『……フフ、アハハハハッ!』
鳴上「……これ、は」
>恐る恐る、下の方へと視線を向けてみた……
?『見つけた! 見つけたわ! 私の王子様!』
鳴上「天城の、シャドウ……!」
第四階層 最終エリア
鳴上「……さて。今夜は何が出てくるのやら」
鳴上「胸に手を当てて聞いてみろ、か」
鳴上「……」
>目を閉じて、一応格好だけそうしてみた。
>しかし、思い浮かぶものも思い浮かばない。
>……何故なら、さっきからバサバサと何か羽ばたくような音がうるさくて、集中出来ないからだ。
?『……フフ、アハハハハッ!』
鳴上「……これ、は」
>恐る恐る、下の方へと視線を向けてみた……
?『見つけた! 見つけたわ! 私の王子様!』
鳴上「天城の、シャドウ……!」
29: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:30:41.38:PIYfYJ6AO (11/26)
>以前対峙した時よりも何倍も大きい、雪子のシャドウがこちらに迫ってきている……!
鳴上「こんな格好の王子がいてたまるかっ……!」
シャドウ雪子『ねえ、待って! 待ってよ! 待ってったら!』
シャドウ雪子『待てっていってんでショッ!? 待ちなさいよおぉぉぉぉぉォォォッ!!』
鳴上「熱ッ……!」
>雪子のシャドウは炎を吐いてこちらが登るのを邪魔してくる。
>このエリアの構造自体は先ほど登ってきた場所と大差がないのだが、雪子のシャドウの追ってくるスピードが早い事もあって足場を作る事にかなりの苦労を強いられていた……
鳴上(落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着けっ!)
>足場を作る作業の手順を間違えてはならない。
>だからといって手と足を動かすのを一瞬でも止めるのも命取りだ。
>……
>……そうこうしているうちに鐘の音がようやく聞こえてくる。
>長くて高い壁がやっと終わる……!
>以前対峙した時よりも何倍も大きい、雪子のシャドウがこちらに迫ってきている……!
鳴上「こんな格好の王子がいてたまるかっ……!」
シャドウ雪子『ねえ、待って! 待ってよ! 待ってったら!』
シャドウ雪子『待てっていってんでショッ!? 待ちなさいよおぉぉぉぉぉォォォッ!!』
鳴上「熱ッ……!」
>雪子のシャドウは炎を吐いてこちらが登るのを邪魔してくる。
>このエリアの構造自体は先ほど登ってきた場所と大差がないのだが、雪子のシャドウの追ってくるスピードが早い事もあって足場を作る事にかなりの苦労を強いられていた……
鳴上(落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着けっ!)
>足場を作る作業の手順を間違えてはならない。
>だからといって手と足を動かすのを一瞬でも止めるのも命取りだ。
>……
>……そうこうしているうちに鐘の音がようやく聞こえてくる。
>長くて高い壁がやっと終わる……!
30: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:32:13.18:PIYfYJ6AO (12/26)
シャドウ雪子『王子様! 私をここから連れ出して!』
鳴上「……悪い。俺には、出来ない」
鳴上「すまない、天城……!」
>勢いよく引いて開けた扉から、光が放出される。
シャドウ雪子『キャアアアア! イヤアアアアアアアア!』
鳴上「……ごめん、な」
>雪子のシャドウは塵となって消えていった……
代行人「……おめでとう。これで審問法廷は終わりだ」
代行人「やっと半分まできたな。でも、本当の地獄はここからだ」
代行人「明日の夜、また会おう……」
>…
>……
>………
シャドウ雪子『王子様! 私をここから連れ出して!』
鳴上「……悪い。俺には、出来ない」
鳴上「すまない、天城……!」
>勢いよく引いて開けた扉から、光が放出される。
シャドウ雪子『キャアアアア! イヤアアアアアアアア!』
鳴上「……ごめん、な」
>雪子のシャドウは塵となって消えていった……
代行人「……おめでとう。これで審問法廷は終わりだ」
代行人「やっと半分まできたな。でも、本当の地獄はここからだ」
代行人「明日の夜、また会おう……」
>…
>……
>………
31: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:33:49.91:PIYfYJ6AO (13/26)
4th day
05/11(金) 晴れ 自室
【朝】
pipipipipi……
鳴上「!」
鳴上「……あつい」
>寝汗で体が気持ち悪い……
>今日は朝から気温が高いようだ。
pipipipipi……
鳴上「……」
>そして、さっきから無視を続けている携帯の着信は一向に鳴り止む気配が無い。
鳴上(まったく、誰だよこんな朝から……
>携帯の画面を見てみるが、登録されていない番号からのようだ。
>長い間無視をしても切れる様子がないので出る事にした。
鳴上「……もしもし?」
?『おっはよー、悠!』
鳴上「あの、……どちら様で?」
4th day
05/11(金) 晴れ 自室
【朝】
pipipipipi……
鳴上「!」
鳴上「……あつい」
>寝汗で体が気持ち悪い……
>今日は朝から気温が高いようだ。
pipipipipi……
鳴上「……」
>そして、さっきから無視を続けている携帯の着信は一向に鳴り止む気配が無い。
鳴上(まったく、誰だよこんな朝から……
>携帯の画面を見てみるが、登録されていない番号からのようだ。
>長い間無視をしても切れる様子がないので出る事にした。
鳴上「……もしもし?」
?『おっはよー、悠!』
鳴上「あの、……どちら様で?」
32: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:35:34.45:PIYfYJ6AO (14/26)
>相手は自分の事を知っているようだったが、こちらの記憶に心当たりはなかった。
>というよりも、そう思いたかったと言った方が正しいのかもしれない。
>何よりも信じがたかったのは……
>その声は、携帯を当てている右耳と何もない筈の左耳の方向から同時に聞こえているという事実だった。
>……見たくはなかったが、左方向へ首を動かしてみた。
?「もう、ひどいなあ。寝ぼけてるの?」
鳴上「ッ……!?」
>自分のベッドの左隣には、……以前、一夜を共にしてしまった(らしい)あの女が薄着で寝そべりながら携帯を手に持っていた。
>その姿を見て硬直していると、女はくすりと小さく笑って携帯を切り、同時に自分の右耳からも声が消えてツーツーという音が響くだけになった。
鳴上「なっ、なん……!?」
?「えへへ、斬新な起こし方だったでしょ?」
?「本当はもっと悠のかわいい寝顔見てたかったけど……」
鳴上「いや、そうじゃなくてっ……!」
鳴上「なんでまたここにいるんだ!?」
>相手は自分の事を知っているようだったが、こちらの記憶に心当たりはなかった。
>というよりも、そう思いたかったと言った方が正しいのかもしれない。
>何よりも信じがたかったのは……
>その声は、携帯を当てている右耳と何もない筈の左耳の方向から同時に聞こえているという事実だった。
>……見たくはなかったが、左方向へ首を動かしてみた。
?「もう、ひどいなあ。寝ぼけてるの?」
鳴上「ッ……!?」
>自分のベッドの左隣には、……以前、一夜を共にしてしまった(らしい)あの女が薄着で寝そべりながら携帯を手に持っていた。
>その姿を見て硬直していると、女はくすりと小さく笑って携帯を切り、同時に自分の右耳からも声が消えてツーツーという音が響くだけになった。
鳴上「なっ、なん……!?」
?「えへへ、斬新な起こし方だったでしょ?」
?「本当はもっと悠のかわいい寝顔見てたかったけど……」
鳴上「いや、そうじゃなくてっ……!」
鳴上「なんでまたここにいるんだ!?」
33: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:36:55.05:PIYfYJ6AO (15/26)
>昨日の夜は確かに一人で寮に帰ってきた筈だ。
>それは記憶にきちんと残っている。
鳴上(……あれ。でも、寝る前に誰かと会話してたような)
鳴上(えっと……誰と、だっけ……?)
鳴上(……)
>混乱していて、記憶が引っ張り出せない……
>そんな風にしている姿でさえ、女は見て楽しそうに笑っている。
?「もう、本当にかわいいんだから」
?「……一昨日の夜。約束してたでしょ? クラブでさ」
鳴上「一昨日の夜、約束……?」
>その時の事は、今思い出そうとしている事以上にはっきりとした記憶がない。
>昨日の夜は確かに一人で寮に帰ってきた筈だ。
>それは記憶にきちんと残っている。
鳴上(……あれ。でも、寝る前に誰かと会話してたような)
鳴上(えっと……誰と、だっけ……?)
鳴上(……)
>混乱していて、記憶が引っ張り出せない……
>そんな風にしている姿でさえ、女は見て楽しそうに笑っている。
?「もう、本当にかわいいんだから」
?「……一昨日の夜。約束してたでしょ? クラブでさ」
鳴上「一昨日の夜、約束……?」
>その時の事は、今思い出そうとしている事以上にはっきりとした記憶がない。
34: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:42:37.15:PIYfYJ6AO (16/26)
>女が何を言っているのかさっぱりだ……
?「今夜はダメだけど次の日の夜だったらバッチリ! って、悠が言ったんだよ?」
鳴上「バッチリ! って……何が?」
?「だーかーらー」
鳴上「!?」
>女は馬乗りになってずいっと顔を近付けてくる。
?「部屋に来てもいいって。だからここにいるんじゃない」
鳴上「……そんな、事」
>言った記憶は、ない。
>でも、本当にそうだという自信が何故かもてなかった。
?「ふふっ」
>女はいたずらっぽく笑ったかと思うと、首に腕を回して抱きついてきた。
>女が何を言っているのかさっぱりだ……
?「今夜はダメだけど次の日の夜だったらバッチリ! って、悠が言ったんだよ?」
鳴上「バッチリ! って……何が?」
?「だーかーらー」
鳴上「!?」
>女は馬乗りになってずいっと顔を近付けてくる。
?「部屋に来てもいいって。だからここにいるんじゃない」
鳴上「……そんな、事」
>言った記憶は、ない。
>でも、本当にそうだという自信が何故かもてなかった。
?「ふふっ」
>女はいたずらっぽく笑ったかと思うと、首に腕を回して抱きついてきた。
35: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:43:57.19:PIYfYJ6AO (17/26)
?「……なーんて、ウソ! 私が会いたかったから、こっそり会いにきちゃったのー!」
鳴上「は……!?」
鳴上「おい、冗談もいい加減にっ……」
?「あんまり騒ぐと見つかっちゃうよ?」
>女はこちらの唇に人差し指を押し当ててきて、囁いた。
鳴上「……」
?「ふふ、ごめんね? でも、悠にどうしても会いたくて我慢出来なかったの」
?「……気付かれないうちに、もう行くから」
>女は離れると、簡単に身なりを整えて部屋から出ていこうとする。
鳴上「あっ、おい!」
?「ん? 何?」
鳴上「……こういう事、もうやめて欲しい。ここ寮なんだし、突然来られるのはちょっと」
鳴上「君の名前も、その……記憶にない訳で」
?「名前。んー……」
>女はしばしの間考え込んだあと、こちらを見てニコリと笑った。
?「……なーんて、ウソ! 私が会いたかったから、こっそり会いにきちゃったのー!」
鳴上「は……!?」
鳴上「おい、冗談もいい加減にっ……」
?「あんまり騒ぐと見つかっちゃうよ?」
>女はこちらの唇に人差し指を押し当ててきて、囁いた。
鳴上「……」
?「ふふ、ごめんね? でも、悠にどうしても会いたくて我慢出来なかったの」
?「……気付かれないうちに、もう行くから」
>女は離れると、簡単に身なりを整えて部屋から出ていこうとする。
鳴上「あっ、おい!」
?「ん? 何?」
鳴上「……こういう事、もうやめて欲しい。ここ寮なんだし、突然来られるのはちょっと」
鳴上「君の名前も、その……記憶にない訳で」
?「名前。んー……」
>女はしばしの間考え込んだあと、こちらを見てニコリと笑った。
36: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:45:14.38:PIYfYJ6AO (18/26)
?「キミコ」
鳴上「……え?」
キミコ「私の名前。これでいいよね?」
キミコ「それと私の番号、登録しといてね!」
キミコ「今度はちゃんと連絡するから」
>キミコと名乗った女は、それだけ告げて扉を開けて出て行ってしまった。
鳴上「ちょっ……」
>一歩遅れて、反射的に彼女を追いかけるように部屋を出た。
>しかし……
鳴上「あ、れ……?」
>キミコの姿はもうそこには無かった。
>次の瞬間、自分の部屋ではない部屋の扉がガチャリと開いた。
天田「鳴上さん?」
?「キミコ」
鳴上「……え?」
キミコ「私の名前。これでいいよね?」
キミコ「それと私の番号、登録しといてね!」
キミコ「今度はちゃんと連絡するから」
>キミコと名乗った女は、それだけ告げて扉を開けて出て行ってしまった。
鳴上「ちょっ……」
>一歩遅れて、反射的に彼女を追いかけるように部屋を出た。
>しかし……
鳴上「あ、れ……?」
>キミコの姿はもうそこには無かった。
>次の瞬間、自分の部屋ではない部屋の扉がガチャリと開いた。
天田「鳴上さん?」
37: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:46:01.92:PIYfYJ6AO (19/26)
鳴上「あ、天田……!」
天田「どうかしましたか? なんだか騒がしかったような気が……」
鳴上「い、いや! なんでもない! なんでもないんだ!」
天田「そうなんですか?」
>天田は首を傾げて少し怪しんでいるようだったが、それ以上の言及はしなかった。
天田「……あ、そうだ」
鳴上(今度はなんだ!?)
天田「ずっと言いそびれてましたけど、この間貰った鳴上さんの手料理、すごく美味しかったです」
鳴上「……なんだ、その事か。いや、気に入ってくれたならなによりだ」
鳴上「あ、天田……!」
天田「どうかしましたか? なんだか騒がしかったような気が……」
鳴上「い、いや! なんでもない! なんでもないんだ!」
天田「そうなんですか?」
>天田は首を傾げて少し怪しんでいるようだったが、それ以上の言及はしなかった。
天田「……あ、そうだ」
鳴上(今度はなんだ!?)
天田「ずっと言いそびれてましたけど、この間貰った鳴上さんの手料理、すごく美味しかったです」
鳴上「……なんだ、その事か。いや、気に入ってくれたならなによりだ」
38: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:47:40.09:PIYfYJ6AO (20/26)
天田「はい。僕、本当に感動しちゃって」
鳴上「大袈裟だな」
天田「そんな事ないですよ! なんていうのかな……家庭的な、お母さんの味ってあんな感じなのかなって」
鳴上「え……」
天田「あっ、ごめんなさい! なんか変な事言っちゃいましたねっ!」
>天田は誤魔化すように笑っている。
天田「えっと、それでなんですけど。良かったらレシピなんかを教えてもらえたらなあって」
鳴上「ああ。といっても、入れてる調味料の分量とか結構適当だから……」
天田「そうなんですか?」
鳴上「そうなんだ。だから、そんなのでもいいのなら暇なときに書いて渡すな」
天田「じゅうぶんです。よろしくお願いしますね!」
>天田は期待の眼差しをこちらに向けている。
>『Ⅷ 正義 天田乾』のランクが2になった
天田「はい。僕、本当に感動しちゃって」
鳴上「大袈裟だな」
天田「そんな事ないですよ! なんていうのかな……家庭的な、お母さんの味ってあんな感じなのかなって」
鳴上「え……」
天田「あっ、ごめんなさい! なんか変な事言っちゃいましたねっ!」
>天田は誤魔化すように笑っている。
天田「えっと、それでなんですけど。良かったらレシピなんかを教えてもらえたらなあって」
鳴上「ああ。といっても、入れてる調味料の分量とか結構適当だから……」
天田「そうなんですか?」
鳴上「そうなんだ。だから、そんなのでもいいのなら暇なときに書いて渡すな」
天田「じゅうぶんです。よろしくお願いしますね!」
>天田は期待の眼差しをこちらに向けている。
>『Ⅷ 正義 天田乾』のランクが2になった
39: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:48:51.63:PIYfYJ6AO (21/26)
天田「じゃあ、僕はもう学校に……」
美鶴「君たち、おはよう」
>美鶴が一階から昇ってやってきた。
天田「あ、おはようございます、美鶴さん」
鳴上「おはようございます」
天田「どうしたんですか? こんな朝早くに寮にくるなんて」
美鶴「ああ。ひとつ天田に確認したい事があってな」
天田「僕に、ですか?」
美鶴「そうだ。こちらも時間がないので、手短に言うぞ」
美鶴「……」
天田「?」
>言っている事とは裏腹に、美鶴はしばしの間沈黙した。
>そして、言うかどうするか迷ったような素振りを見せてから、結局は口を開いた。
天田「じゃあ、僕はもう学校に……」
美鶴「君たち、おはよう」
>美鶴が一階から昇ってやってきた。
天田「あ、おはようございます、美鶴さん」
鳴上「おはようございます」
天田「どうしたんですか? こんな朝早くに寮にくるなんて」
美鶴「ああ。ひとつ天田に確認したい事があってな」
天田「僕に、ですか?」
美鶴「そうだ。こちらも時間がないので、手短に言うぞ」
美鶴「……」
天田「?」
>言っている事とは裏腹に、美鶴はしばしの間沈黙した。
>そして、言うかどうするか迷ったような素振りを見せてから、結局は口を開いた。
40: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:50:11.69:PIYfYJ6AO (22/26)
美鶴「……天田の部屋の、目の前の部屋の事なんだが。近々、改装工事をする事になるかもしれないんだ、構わないか?」
天田「僕の部屋の前の部屋って……荒垣さんが使っていた場所、ですか?」
美鶴「……ああ」
天田「……」
天田「どうして、僕の許可がいるなんて?」
美鶴「ん、いや……それは」
天田「あ、工事の騒音くらい平気ですよ? 僕、結構我慢強い方ですし」
天田「工事が必要だっていうのなら、すればいいと思いますよ」
美鶴「……そうか。わかった」
美鶴「実はこの寮にまた一人、入寮候補者が出ているんだ」
美鶴「……天田の部屋の、目の前の部屋の事なんだが。近々、改装工事をする事になるかもしれないんだ、構わないか?」
天田「僕の部屋の前の部屋って……荒垣さんが使っていた場所、ですか?」
美鶴「……ああ」
天田「……」
天田「どうして、僕の許可がいるなんて?」
美鶴「ん、いや……それは」
天田「あ、工事の騒音くらい平気ですよ? 僕、結構我慢強い方ですし」
天田「工事が必要だっていうのなら、すればいいと思いますよ」
美鶴「……そうか。わかった」
美鶴「実はこの寮にまた一人、入寮候補者が出ているんだ」
41: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:51:53.73:PIYfYJ6AO (23/26)
鳴上「という事は、新しいペルソナ使いが見つかったんですか?」
美鶴「ああ、割と前からではあったんだが……その人物から、なかなか入部の了承をもらえずにいてな」
美鶴「現段階ではまだ特別課外活動部に入るかは未定だ。だが、彼の希望条件として静かに勉強できる場所が欲しいというのがあって……」
美鶴「もし、彼から了承が得られれば、入寮前に部屋の防音強化をしたいと思っているんだ」
美鶴「それにしても、あと一押しってところなんだが……まあ、これ以上無理強いは出来ないしな」
天田「そうなんですか……」
鳴上「という事は、新しいペルソナ使いが見つかったんですか?」
美鶴「ああ、割と前からではあったんだが……その人物から、なかなか入部の了承をもらえずにいてな」
美鶴「現段階ではまだ特別課外活動部に入るかは未定だ。だが、彼の希望条件として静かに勉強できる場所が欲しいというのがあって……」
美鶴「もし、彼から了承が得られれば、入寮前に部屋の防音強化をしたいと思っているんだ」
美鶴「それにしても、あと一押しってところなんだが……まあ、これ以上無理強いは出来ないしな」
天田「そうなんですか……」
42: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:54:38.33:PIYfYJ6AO (24/26)
天田「その人も、月光館の生徒なんですか?」
美鶴「いや。私と同い年の大学生だ」
美鶴「もし、入寮する時がくれば、その時改めて紹介しよう」
美鶴「では、私はもう行く。君たちも遅刻するなよ」
>美鶴はこの場を去っていった。
天田「……」
天田「じゃあ、僕、行きますね」
鳴上「ん、ああ」
>天田も、下の階へ降りていってしまった。
天田「……そっか。あの部屋、他の誰かの部屋になっちゃうかもしれないんだ」
天田「……」
>……
天田「その人も、月光館の生徒なんですか?」
美鶴「いや。私と同い年の大学生だ」
美鶴「もし、入寮する時がくれば、その時改めて紹介しよう」
美鶴「では、私はもう行く。君たちも遅刻するなよ」
>美鶴はこの場を去っていった。
天田「……」
天田「じゃあ、僕、行きますね」
鳴上「ん、ああ」
>天田も、下の階へ降りていってしまった。
天田「……そっか。あの部屋、他の誰かの部屋になっちゃうかもしれないんだ」
天田「……」
>……
43: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:56:06.76:PIYfYJ6AO (25/26)
自室
>部屋に戻って、学校へ行く支度をした。
>その間、ふと天田に言われた言葉を思い出していた。
鳴上「お母さんの味、か……」
鳴上「母さんの手料理なんて、もう随分と食べてない気がする」
鳴上「もう、そんなものを恋しがる年頃でもないけど……」
鳴上「……」
鳴上「元気にやってるかな。母さんも、父さんも」
鳴上「……行くか。学校」
>荷物を鞄に詰めて、部屋を出た。
自室
>部屋に戻って、学校へ行く支度をした。
>その間、ふと天田に言われた言葉を思い出していた。
鳴上「お母さんの味、か……」
鳴上「母さんの手料理なんて、もう随分と食べてない気がする」
鳴上「もう、そんなものを恋しがる年頃でもないけど……」
鳴上「……」
鳴上「元気にやってるかな。母さんも、父さんも」
鳴上「……行くか。学校」
>荷物を鞄に詰めて、部屋を出た。
44: ◆Hw7XKfELws:2012/05/02(水) 22:58:18.37:PIYfYJ6AO (26/26)
今回は短めですが、これで終了です。
キミコって誰……って?それは、
おっと、誰か来たようだ。また次回
今回は短めですが、これで終了です。
キミコって誰……って?それは、
おっと、誰か来たようだ。また次回
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/02(水) 22:59:40.37:qVz/oIfR0 (1/1)
おつかれさんどす
おつかれさんどす
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/02(水) 22:59:42.46:U+W9Eotso (1/1)
あ・・・主人・・・キミコ・・・
乙です。新しい入寮者・・・一体何者なんだ・・・
あ・・・主人・・・キミコ・・・
乙です。新しい入寮者・・・一体何者なんだ・・・
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/02(水) 23:00:40.40:aNuunpbSO (1/1)
乙
キミコって誰なんだろーなー(棒
乙
キミコって誰なんだろーなー(棒
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/02(水) 23:03:02.00:WnOeCU2N0 (1/1)
乙
キミコとは一体ダレナンダー(棒
乙
キミコとは一体ダレナンダー(棒
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/02(水) 23:24:55.59:Kee8lC3o0 (1/1)
今更だが、夢に出てきた最初のボスはラブリーンだったな。
確かにアニメじゃ鳴上はラブリーンから逃げてたけども、普通の雑魚シャドウとかだっているだろうに
どういうことか楽しみにしてます
今更だが、夢に出てきた最初のボスはラブリーンだったな。
確かにアニメじゃ鳴上はラブリーンから逃げてたけども、普通の雑魚シャドウとかだっているだろうに
どういうことか楽しみにしてます
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/02(水) 23:48:02.66:L5ckjq6a0 (1/1)
更新乙
次に来るデカいのは何だろか。
更新乙
次に来るデカいのは何だろか。
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/03(木) 01:05:59.09:BjJ1GU+O0 (1/1)
マハ乙カジャからの、チャージ一発、八艘ビート
なんと言うフラグの乱立、これは次回もお楽しみにせざるをえない
それはともかく今までの代理人の質問に番長はどっちを選んだんだろうか気になるな。
これはやはりプレイヤー次第という事なんだろうか
マハ乙カジャからの、チャージ一発、八艘ビート
なんと言うフラグの乱立、これは次回もお楽しみにせざるをえない
それはともかく今までの代理人の質問に番長はどっちを選んだんだろうか気になるな。
これはやはりプレイヤー次第という事なんだろうか
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/03(木) 21:44:54.10:ZZ5rAqea0 (1/1)
プレイヤー次第はないだろう。というか無しにして欲しい。
あくまでSSのキャラなんだから。
そこははっきり決まるけどあえてぼかしてるだけだと思いたい。
プレイヤー次第はないだろう。というか無しにして欲しい。
あくまでSSのキャラなんだから。
そこははっきり決まるけどあえてぼかしてるだけだと思いたい。
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/05/03(木) 23:55:16.37:5FDwBggO0 (1/1)
ペルソナという作品を考えればプレイヤー次第だろ
ペルソナという作品を考えればプレイヤー次第だろ
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/04(金) 01:16:23.52:CHn5Bdo40 (1/1)
>>53
それを言ったらプレイヤー(この場合俺ら?)に選択肢がない時点でペルソナじゃねぇよ。
>>53
それを言ったらプレイヤー(この場合俺ら?)に選択肢がない時点でペルソナじゃねぇよ。
55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2012/05/04(金) 01:18:39.91:fCU4zIHCo (1/1)
これは番長の物語ですから
これは番長の物語ですから
56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/04(金) 19:25:28.85:Os2lCwQjo (1/1)
>>54
この場合プレイヤー=アニメ版の主人公である鳴上 悠なんじゃない?
漫画版の瀬多 総司でも良かったわけだし
使いやすかった名前が鳴上 悠なだけだと思うけど
>>54
この場合プレイヤー=アニメ版の主人公である鳴上 悠なんじゃない?
漫画版の瀬多 総司でも良かったわけだし
使いやすかった名前が鳴上 悠なだけだと思うけど
57:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/04(金) 19:37:14.72:52iv6CFho (1/1)
>どうでもいい
>どうでもいい
58: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:42:38.81:IdrJDo8AO (1/25)
番長がどっちの選択肢を選んでいるのか、その辺の描写の曖昧さについては読んでいる人それぞれの解釈に任せます。今は。
では今回も短めですが続き投下します。
番長がどっちの選択肢を選んでいるのか、その辺の描写の曖昧さについては読んでいる人それぞれの解釈に任せます。今は。
では今回も短めですが続き投下します。
59: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:44:18.84:IdrJDo8AO (2/25)
月光館学園 3-A 教室
>学校に着いてから携帯にメールが二件届いていた事に今更気が付いた。
>受信の時間は二件とも昨日の夜。送ってきた相手は……
>雪子だった。
from:天城雪子
こんばんは、鳴上くん。
こうやってメールするのも久しぶりだね。
本当は電話で声を聞きたかったんだけど、もう夜遅かったからやめておきました。
ところで、ニュースで見たけど鳴上くんが今暮らしている方面で変な事件が起きてるみたいだね。
もしかしてそれもまたシャドウの仕業なのかな?
花村くんから聞いたけど、マヨナカテレビも映ってたんでしょ?心配だな…
遠くにいるから何も出来ないとか迷惑とかそんな事考えないで、なにかあったら何時でも相談してね。
鳴上くん、花村くんとばっかり連絡とってるみたいだからちょっと
>一件目はここで終わっている。
>続けて二件目のメールを開いてみた。
月光館学園 3-A 教室
>学校に着いてから携帯にメールが二件届いていた事に今更気が付いた。
>受信の時間は二件とも昨日の夜。送ってきた相手は……
>雪子だった。
from:天城雪子
こんばんは、鳴上くん。
こうやってメールするのも久しぶりだね。
本当は電話で声を聞きたかったんだけど、もう夜遅かったからやめておきました。
ところで、ニュースで見たけど鳴上くんが今暮らしている方面で変な事件が起きてるみたいだね。
もしかしてそれもまたシャドウの仕業なのかな?
花村くんから聞いたけど、マヨナカテレビも映ってたんでしょ?心配だな…
遠くにいるから何も出来ないとか迷惑とかそんな事考えないで、なにかあったら何時でも相談してね。
鳴上くん、花村くんとばっかり連絡とってるみたいだからちょっと
>一件目はここで終わっている。
>続けて二件目のメールを開いてみた。
60: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:45:45.06:IdrJDo8AO (3/25)
from:天城雪子
ごめん!さっきのメール途中で送っちゃったみたい!
とにかく、私も鳴上くんからの連絡いつでも待ってるからねって言いたかったの。
それだけだから。おやすみなさい。
鳴上(『ちょっと』……なんだって言うんだろう)
鳴上(……早いうちに返事しておくか)
>短くもなく長くもならない範囲の文面で、雪子に返信メールを送った。
男子A「鳴上ーおはよーっす」
鳴上「おはよう」
男子A「……お前、なんか顔色悪くね?」
鳴上「……。そうか?」
男子A「目の下のクマできてんぞ?」
鳴上「……最近あまり寝れてなくて」
男子A「んー? なんだか意味深ですなあ」
鳴上「そんな事ないけど」
from:天城雪子
ごめん!さっきのメール途中で送っちゃったみたい!
とにかく、私も鳴上くんからの連絡いつでも待ってるからねって言いたかったの。
それだけだから。おやすみなさい。
鳴上(『ちょっと』……なんだって言うんだろう)
鳴上(……早いうちに返事しておくか)
>短くもなく長くもならない範囲の文面で、雪子に返信メールを送った。
男子A「鳴上ーおはよーっす」
鳴上「おはよう」
男子A「……お前、なんか顔色悪くね?」
鳴上「……。そうか?」
男子A「目の下のクマできてんぞ?」
鳴上「……最近あまり寝れてなくて」
男子A「んー? なんだか意味深ですなあ」
鳴上「そんな事ないけど」
61: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:46:59.85:IdrJDo8AO (4/25)
男子A「そういえば、最近ポロニアンモールんとこのクラブに鳴上が毎晩来てるって女子が噂してんの聞いたけど、もしかして……」
鳴上「えっ、いやそれは」
男子A「やっぱそうなんだな! 鳴上イケメンだし、女の子と遊び放題してるんだろー?」
鳴上「ち、違うって!」
男子A「その動揺の仕方は怪しんでくれって言ってるようなもんだぞー?」
男子A「いいよなー。それに、鳴上くらいイイ男なら、目にクマ作って少しくらいやつれてても、きっと『今日の鳴上くん、いつもより弱々しげでなんだか守ってあげたくなっちゃうわ! キュンキュン!』とか女子に思われんだぜー?」
鳴上「なんだそれ……」
男子A「それでなくとも両手に花状態なのにさ。きっと、クラスの男子で鳴上爆発しろ! って思ってるヤツ結構いるんじゃね?」
男子A「仮にいなくても、今俺が言うね! 鳴上爆発しろ!」
鳴上「どかーん」
男子A「うっわー、口で言いやがったー。腹立つなー。あはははっ」
鳴上「あはは」
男子A「そういえば、最近ポロニアンモールんとこのクラブに鳴上が毎晩来てるって女子が噂してんの聞いたけど、もしかして……」
鳴上「えっ、いやそれは」
男子A「やっぱそうなんだな! 鳴上イケメンだし、女の子と遊び放題してるんだろー?」
鳴上「ち、違うって!」
男子A「その動揺の仕方は怪しんでくれって言ってるようなもんだぞー?」
男子A「いいよなー。それに、鳴上くらいイイ男なら、目にクマ作って少しくらいやつれてても、きっと『今日の鳴上くん、いつもより弱々しげでなんだか守ってあげたくなっちゃうわ! キュンキュン!』とか女子に思われんだぜー?」
鳴上「なんだそれ……」
男子A「それでなくとも両手に花状態なのにさ。きっと、クラスの男子で鳴上爆発しろ! って思ってるヤツ結構いるんじゃね?」
男子A「仮にいなくても、今俺が言うね! 鳴上爆発しろ!」
鳴上「どかーん」
男子A「うっわー、口で言いやがったー。腹立つなー。あはははっ」
鳴上「あはは」
62: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:48:20.99:IdrJDo8AO (5/25)
鳴上「……ところで、両手に花ってなんの事だ?」
男子A「えっ」
男子A「いや、それを自覚なしってのは、流石に笑えない……」
鳴上「えっ」
男子A「これもまたイケメンのみに許される所業か……」
男子A「……ほら、あの二人だよ」
>クラスメイトは、ここから少し離れた場所で話しているメティスとラビリスを指さした。
男子A「鳴上、あの二人とよく一緒に登下校したりしてるじゃん」
鳴上「それは、一緒の寮にいるからだよ」
男子A「ひとつ屋根の下とかそれこそじゃねーかよ!」
男子A「もしかして、どっちか彼女だったりすんの!?」
鳴上「前にも誰かにそんな事聞かれた気がするけど……それはない」
男子A「……ふーん?」
鳴上「……ところで、両手に花ってなんの事だ?」
男子A「えっ」
男子A「いや、それを自覚なしってのは、流石に笑えない……」
鳴上「えっ」
男子A「これもまたイケメンのみに許される所業か……」
男子A「……ほら、あの二人だよ」
>クラスメイトは、ここから少し離れた場所で話しているメティスとラビリスを指さした。
男子A「鳴上、あの二人とよく一緒に登下校したりしてるじゃん」
鳴上「それは、一緒の寮にいるからだよ」
男子A「ひとつ屋根の下とかそれこそじゃねーかよ!」
男子A「もしかして、どっちか彼女だったりすんの!?」
鳴上「前にも誰かにそんな事聞かれた気がするけど……それはない」
男子A「……ふーん?」
63: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:49:47.46:IdrJDo8AO (6/25)
男子A「じゃあ、どっちか俺に紹介する気ない?」
鳴上「紹介って。クラスメイトなんだから、自分から話しかければいいだけじゃ……」
鳴上「それに、あの二人は正直俺からはオススメ出来ないかな」
鳴上(……ロボットだってバレたら面倒だろうし)
男子A「えー!?」
男子A「もしかして、彼女じゃないけどどっちか狙ったりしてるとか?」
鳴上「……それもないな」
男子A「本当かねー?」
男子A「じゃあさ、鳴上的にはどっちがタイプ?」
鳴上「ん……? そう、だな」
>メティスとラビリス……
>どっちが自分の好みかと聞かれたら、
キーンコーンカーンコーン……
淳「HR始めるよー、席について」
男子A「うわ、先生はやっ!」
男子A「さっきの話、後でちゃんと聞かせろよな!」
鳴上「……」
鳴上(うーん……)
>そんな事考えたこともなかったが、聞かれてみると結構難しい質問のような気もする……色々な意味で。
>しかし、下らない話だったにせよクラスメイトとのその時間が、朝起きてからの陰鬱な気分を少し解消してくれたような気がしていた。
>……
男子A「じゃあ、どっちか俺に紹介する気ない?」
鳴上「紹介って。クラスメイトなんだから、自分から話しかければいいだけじゃ……」
鳴上「それに、あの二人は正直俺からはオススメ出来ないかな」
鳴上(……ロボットだってバレたら面倒だろうし)
男子A「えー!?」
男子A「もしかして、彼女じゃないけどどっちか狙ったりしてるとか?」
鳴上「……それもないな」
男子A「本当かねー?」
男子A「じゃあさ、鳴上的にはどっちがタイプ?」
鳴上「ん……? そう、だな」
>メティスとラビリス……
>どっちが自分の好みかと聞かれたら、
キーンコーンカーンコーン……
淳「HR始めるよー、席について」
男子A「うわ、先生はやっ!」
男子A「さっきの話、後でちゃんと聞かせろよな!」
鳴上「……」
鳴上(うーん……)
>そんな事考えたこともなかったが、聞かれてみると結構難しい質問のような気もする……色々な意味で。
>しかし、下らない話だったにせよクラスメイトとのその時間が、朝起きてからの陰鬱な気分を少し解消してくれたような気がしていた。
>……
64: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:51:52.55:IdrJDo8AO (7/25)
【昼休み】
>連日寝不足を感じているせいか、やはり少し体調がよくないような気がする……
鳴上(保健室へ行って薬もらおうかな)
鳴上(それか少し寝かせてもらうか……)
>これ以上具合が悪くなる前に、どうにかしなければ……
>保健室には妙な噂話もあったような気もしたが、今はそんな事を気にしている余裕もない。
>……行くだけ行ってみる事にした。
>……
保健室
鳴上「失礼します」
?「こんにちは。……江戸川先生の方に用事かな?」
?「それだったら、ごめんね。今ちょっといないの。すぐ戻ってくる筈だから待っててもらっていい?」
>保健室には女性がひとりいる。
>確か、保健医は男だと聞いていたような気がするが……
>しかし、この女性にはどこかで見覚えがあった。
>口元にあるほくろとショートカットの髪型が今でも印象に残っている。
【昼休み】
>連日寝不足を感じているせいか、やはり少し体調がよくないような気がする……
鳴上(保健室へ行って薬もらおうかな)
鳴上(それか少し寝かせてもらうか……)
>これ以上具合が悪くなる前に、どうにかしなければ……
>保健室には妙な噂話もあったような気もしたが、今はそんな事を気にしている余裕もない。
>……行くだけ行ってみる事にした。
>……
保健室
鳴上「失礼します」
?「こんにちは。……江戸川先生の方に用事かな?」
?「それだったら、ごめんね。今ちょっといないの。すぐ戻ってくる筈だから待っててもらっていい?」
>保健室には女性がひとりいる。
>確か、保健医は男だと聞いていたような気がするが……
>しかし、この女性にはどこかで見覚えがあった。
>口元にあるほくろとショートカットの髪型が今でも印象に残っている。
65: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 19:57:29.06:IdrJDo8AO (8/25)
鳴上「あれ? 貴女は、たしか……」
?「ん? ……あ」
?「キミ、確か前に街の中で会った……よね?」
?「あの時の怪我、大丈夫だった?」
鳴上「はい。大した傷じゃなかったので。その節は、お世話になりました」
?「いえいえ、どういたしまして」
鳴上「まさか、学校の先生だったなんて……今まで気付きませんでした」
?「そんな頻繁に学校へ来ている訳じゃないからね。私のこと知らない生徒も多い筈だよ」
?「学校の教師っていうのともちょっと違うし」
鳴上「というと……?」
?「スクールカウンセラー。生徒さんたちの悩みや相談を聞くようなお仕事って思ってもらえればいいかな」
?「園村麻希です、よろしくね。えっと……」
鳴上「三年の鳴上悠です。よろしくお願いします」
鳴上「あれ? 貴女は、たしか……」
?「ん? ……あ」
?「キミ、確か前に街の中で会った……よね?」
?「あの時の怪我、大丈夫だった?」
鳴上「はい。大した傷じゃなかったので。その節は、お世話になりました」
?「いえいえ、どういたしまして」
鳴上「まさか、学校の先生だったなんて……今まで気付きませんでした」
?「そんな頻繁に学校へ来ている訳じゃないからね。私のこと知らない生徒も多い筈だよ」
?「学校の教師っていうのともちょっと違うし」
鳴上「というと……?」
?「スクールカウンセラー。生徒さんたちの悩みや相談を聞くようなお仕事って思ってもらえればいいかな」
?「園村麻希です、よろしくね。えっと……」
鳴上「三年の鳴上悠です。よろしくお願いします」
66: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 20:00:30.07:IdrJDo8AO (9/25)
麻希「鳴上くんね。それで、今日はどうしたのかな? なんだか顔色が悪いけど……」
鳴上(スクールカウンセラー、か……せっかくだから、少し話を聞いてもらおうかな)
鳴上「それが……」
>最近寝不足気味である事や、はっきりしないが悪い夢を見ている事、記憶が曖昧になる事がある等、今自分が悩んでいる事を大まかに話してみた。
麻希「……なるほどね」
鳴上「はい。それで、今日は体調がよくないんで少し保健室で休ませてもらおうかと」
麻希「そっか。江戸川先生には言っておくから、ベッド使っていいよ。私もしばらくここにいるから」
鳴上「ありがとうございます」
麻希「休んですっきりしたら、もう少し詳しくお話しようか。鳴上くんがよければ、だけど」
鳴上「……はい」
>今は言葉に甘えて、保健室のベッドを借りる事にした。
麻希「鳴上くんね。それで、今日はどうしたのかな? なんだか顔色が悪いけど……」
鳴上(スクールカウンセラー、か……せっかくだから、少し話を聞いてもらおうかな)
鳴上「それが……」
>最近寝不足気味である事や、はっきりしないが悪い夢を見ている事、記憶が曖昧になる事がある等、今自分が悩んでいる事を大まかに話してみた。
麻希「……なるほどね」
鳴上「はい。それで、今日は体調がよくないんで少し保健室で休ませてもらおうかと」
麻希「そっか。江戸川先生には言っておくから、ベッド使っていいよ。私もしばらくここにいるから」
鳴上「ありがとうございます」
麻希「休んですっきりしたら、もう少し詳しくお話しようか。鳴上くんがよければ、だけど」
鳴上「……はい」
>今は言葉に甘えて、保健室のベッドを借りる事にした。
67: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 20:03:30.72:IdrJDo8AO (10/25)
半端なところで時間がきてしまったのでまた後で続き投下しにきます
半端なところで時間がきてしまったのでまた後で続き投下しにきます
68:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/05(土) 20:05:58.45:VaZifUfAO (1/2)
乙
乙
69:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/05(土) 20:10:43.62:RHNkmWrNo (1/2)
一旦乙
両手に華か・・・うらやましいぜ・・・
一旦乙
両手に華か・・・うらやましいぜ・・・
70: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 20:52:05.62:IdrJDo8AO (11/25)
>……
鳴上「……ん」
>あれからどれくらい経ったのだろうか……
>ベッドから体を起こし、辺りを見回してみた。
>窓の外に見える空はすっかりオレンジ色のようだ。
>授業の方はもうとっくに終わっているだろう。
>今の今までずっと寝ていた訳だが、その間は夢を見る事もなかった。
>おかげで、体の調子も少しは楽になったような気がする。
>ベッドから出る事にした。
麻希「おはよう、鳴上くん。ぐっすりだったみたいだね」
麻希「その様子だと、悪い夢は見なかったのかな?」
鳴上「……はい。そうみたいです」
麻希「もうすぐ、部活動の時間も終わって最終下校時刻になるからちょうどよかったかもね」
鳴上(そんなに寝てたのか……)
麻希「あともう少し早ければ、あの女の子たちにも会えたんだけど……」
>……
鳴上「……ん」
>あれからどれくらい経ったのだろうか……
>ベッドから体を起こし、辺りを見回してみた。
>窓の外に見える空はすっかりオレンジ色のようだ。
>授業の方はもうとっくに終わっているだろう。
>今の今までずっと寝ていた訳だが、その間は夢を見る事もなかった。
>おかげで、体の調子も少しは楽になったような気がする。
>ベッドから出る事にした。
麻希「おはよう、鳴上くん。ぐっすりだったみたいだね」
麻希「その様子だと、悪い夢は見なかったのかな?」
鳴上「……はい。そうみたいです」
麻希「もうすぐ、部活動の時間も終わって最終下校時刻になるからちょうどよかったかもね」
鳴上(そんなに寝てたのか……)
麻希「あともう少し早ければ、あの女の子たちにも会えたんだけど……」
71: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 20:53:44.01:IdrJDo8AO (12/25)
鳴上「女の子たち?」
麻希「クラスメイトのメティスさんとラビリスさんっていう」
麻希「二人ともすごく心配してたよ。でも、もう時間も時間だったから、私が帰らせたの」
麻希「鳴上くんはひとりで帰れそう?」
鳴上「大丈夫です。よく眠れてすっきりしました」
麻希「よかった」
麻希「今日はもう、私も帰らなきゃいけないんだけど……」
麻希「次に会った時にでも、また鳴上くんのお話聞くからね」
麻希「これ、一応渡しておくね」
>麻希の名刺をもらった。
>メールアドレスと携帯の番号も書かれてある。
麻希「何か相談があれば、ここに連絡してくれてもいいから」
鳴上「ありがとうございます」
麻希「じゃあ、もう出ようか」
鳴上「はい」
>スクールカウンセラーの園村麻希と知り合いになった。
>『Ⅱ 女教皇 園村麻希』のコミュを入手しました
>『Ⅱ 女教皇 園村麻希』のランクが1になった
>麻希と別れて学校を後にした。
>……
鳴上「女の子たち?」
麻希「クラスメイトのメティスさんとラビリスさんっていう」
麻希「二人ともすごく心配してたよ。でも、もう時間も時間だったから、私が帰らせたの」
麻希「鳴上くんはひとりで帰れそう?」
鳴上「大丈夫です。よく眠れてすっきりしました」
麻希「よかった」
麻希「今日はもう、私も帰らなきゃいけないんだけど……」
麻希「次に会った時にでも、また鳴上くんのお話聞くからね」
麻希「これ、一応渡しておくね」
>麻希の名刺をもらった。
>メールアドレスと携帯の番号も書かれてある。
麻希「何か相談があれば、ここに連絡してくれてもいいから」
鳴上「ありがとうございます」
麻希「じゃあ、もう出ようか」
鳴上「はい」
>スクールカウンセラーの園村麻希と知り合いになった。
>『Ⅱ 女教皇 園村麻希』のコミュを入手しました
>『Ⅱ 女教皇 園村麻希』のランクが1になった
>麻希と別れて学校を後にした。
>……
72: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 20:55:01.63:IdrJDo8AO (13/25)
巌戸台駅周辺
「ゆーうー!」
鳴上「!?」
>突然、後ろから誰かに抱きつかれた。
キミコ「やっぱり悠だー。わーい」
鳴上「キミコ……!?」
>キミコは抱きついた状態のまま無邪気に笑っている。
キミコ「こんなとこで会うなんて運命だね!」
鳴上「いや、あの……」
鳴上(まさか、こんな場所で会うとは思わなかった……)
鳴上(気持ちよく寝れてすっきりしてたのに頭痛が……って、え?)
鳴上「お前、その格好はっ……」
キミコ「え、格好? なにかおかしい?」
鳴上「いや、だって、制服、」
キミコ「うん、制服だね」
キミコ「月光館学園の」
鳴上「……高等科の?」
キミコ「これでもし初等科や中等科だったら、悠どうするの?」
キミコ「……私にあんな事までしておいて」
鳴上(だから、あんな事ってなんだ! 恥じらう姿を見せないでくれ……!)
巌戸台駅周辺
「ゆーうー!」
鳴上「!?」
>突然、後ろから誰かに抱きつかれた。
キミコ「やっぱり悠だー。わーい」
鳴上「キミコ……!?」
>キミコは抱きついた状態のまま無邪気に笑っている。
キミコ「こんなとこで会うなんて運命だね!」
鳴上「いや、あの……」
鳴上(まさか、こんな場所で会うとは思わなかった……)
鳴上(気持ちよく寝れてすっきりしてたのに頭痛が……って、え?)
鳴上「お前、その格好はっ……」
キミコ「え、格好? なにかおかしい?」
鳴上「いや、だって、制服、」
キミコ「うん、制服だね」
キミコ「月光館学園の」
鳴上「……高等科の?」
キミコ「これでもし初等科や中等科だったら、悠どうするの?」
キミコ「……私にあんな事までしておいて」
鳴上(だから、あんな事ってなんだ! 恥じらう姿を見せないでくれ……!)
73: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 20:57:31.54:IdrJDo8AO (14/25)
鳴上(どうして何も覚えてないんだ! 覚えがあればまだ儲けものだったのに……じゃなくて!)
鳴上「えっと……何年生?」
キミコ「んー……?」
キミコ「……」
キミコ「二年生、かな?」
鳴上(何故疑問形……)
鳴上「だったら、俺より年下じゃないか」
鳴上(同じ学年じゃないだけよかった、のか?)
鳴上(いや、そういう問題じゃない……)
キミコ「あ、そうなんだ」
キミコ「でも悠は悠だし悠でいいよね!」
鳴上「いや、よくない……」
キミコ「もしかして、先輩とか……あるいはお兄ちゃんとか呼んでもらってプレイしたい派?」
鳴上「お前はいったいなんの話をしているんだ?」
鳴上「ちなみに俺をお兄ちゃんと呼んでいいのは世界で一人だけだ、覚えておけ」
キミコ「悠こそなんの話してるかわかんないけど、わかった!」
鳴上「……いや、違う。俺が話したいのはそういう事じゃなくて!」
鳴上(ダメだ……! この子といるとペースが乱れる!)
キミコ「ねえ、悠。これからちょっと付き合って!」
鳴上「えっ?」
キミコ「すぐそこだから! こっち!」
鳴上「なっ……お、おい!」
>キミコに無理やり引っ張られて連れて行かれた……
>……
鳴上(どうして何も覚えてないんだ! 覚えがあればまだ儲けものだったのに……じゃなくて!)
鳴上「えっと……何年生?」
キミコ「んー……?」
キミコ「……」
キミコ「二年生、かな?」
鳴上(何故疑問形……)
鳴上「だったら、俺より年下じゃないか」
鳴上(同じ学年じゃないだけよかった、のか?)
鳴上(いや、そういう問題じゃない……)
キミコ「あ、そうなんだ」
キミコ「でも悠は悠だし悠でいいよね!」
鳴上「いや、よくない……」
キミコ「もしかして、先輩とか……あるいはお兄ちゃんとか呼んでもらってプレイしたい派?」
鳴上「お前はいったいなんの話をしているんだ?」
鳴上「ちなみに俺をお兄ちゃんと呼んでいいのは世界で一人だけだ、覚えておけ」
キミコ「悠こそなんの話してるかわかんないけど、わかった!」
鳴上「……いや、違う。俺が話したいのはそういう事じゃなくて!」
鳴上(ダメだ……! この子といるとペースが乱れる!)
キミコ「ねえ、悠。これからちょっと付き合って!」
鳴上「えっ?」
キミコ「すぐそこだから! こっち!」
鳴上「なっ……お、おい!」
>キミコに無理やり引っ張られて連れて行かれた……
>……
74: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:07:24.54:IdrJDo8AO (15/25)
甘味処 小豆あらい
キミコ「ごちそうさまでした!」
鳴上「……いや。これで満足したなら、いいんだけど」
>何故かいつの間にかこんな場所で奢らされる羽目になっていた。
キミコ「悠は満足した?」
鳴上「えー、あー、うん」
キミコ「……」
鳴上「……何?」
キミコ「元気、出た?」
鳴上「え」
キミコ「甘いモノ食べたら元気出してくれるかなあと思ったんだけど、失敗だったかな?」
キミコ「っていうか、引っ張り回しちゃったから余計疲れちゃったかな?」
キミコ「私はただ、悠が心配だっただけなんだけど……」
鳴上(この子……俺の事、気遣ってたのか?)
鳴上(元気じゃないのは半分この子のせいだし、やり方ってもんがあるだろ……)
鳴上(……でも、元気がないってよく気付いたな)
鳴上(……)
甘味処 小豆あらい
キミコ「ごちそうさまでした!」
鳴上「……いや。これで満足したなら、いいんだけど」
>何故かいつの間にかこんな場所で奢らされる羽目になっていた。
キミコ「悠は満足した?」
鳴上「えー、あー、うん」
キミコ「……」
鳴上「……何?」
キミコ「元気、出た?」
鳴上「え」
キミコ「甘いモノ食べたら元気出してくれるかなあと思ったんだけど、失敗だったかな?」
キミコ「っていうか、引っ張り回しちゃったから余計疲れちゃったかな?」
キミコ「私はただ、悠が心配だっただけなんだけど……」
鳴上(この子……俺の事、気遣ってたのか?)
鳴上(元気じゃないのは半分この子のせいだし、やり方ってもんがあるだろ……)
鳴上(……でも、元気がないってよく気付いたな)
鳴上(……)
75: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:08:36.83:IdrJDo8AO (16/25)
キミコ「これ」
鳴上「?」
>小さな包みを渡された。
キミコ「持ち帰り用に包んでもらったの。バナナ大福、私のオススメ!」
キミコ「次に会う時まで、元気になってなきゃヤダからね」
鳴上「あっ……」
>じゃあね、と手を振ってキミコはその場から走り出していった。
キミコ「そしたら、またデートしよーねー!」
>キミコはその言葉を最後に、人の波の中に姿を消した……
鳴上「……」
鳴上「悪い子って訳ではない、のか?」
鳴上「でもなあ……」
>もらったバナナ大福が入った包みと睨めっこをしつつ、寮へ戻ろうと歩いた。
キミコ「これ」
鳴上「?」
>小さな包みを渡された。
キミコ「持ち帰り用に包んでもらったの。バナナ大福、私のオススメ!」
キミコ「次に会う時まで、元気になってなきゃヤダからね」
鳴上「あっ……」
>じゃあね、と手を振ってキミコはその場から走り出していった。
キミコ「そしたら、またデートしよーねー!」
>キミコはその言葉を最後に、人の波の中に姿を消した……
鳴上「……」
鳴上「悪い子って訳ではない、のか?」
鳴上「でもなあ……」
>もらったバナナ大福が入った包みと睨めっこをしつつ、寮へ戻ろうと歩いた。
76: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:10:02.23:IdrJDo8AO (17/25)
>……
美鶴「鳴上!」
鳴上「!」
美鶴「こんなところにいたのか……探したぞ」
鳴上「桐条さん?」
鳴上「探したって……何かあったんですか!?」
美鶴「ああ、そうだ。何かあったから迎えにきたんだ……まったく」
美鶴「学校で倒れたそうだな?」
鳴上「え、倒れたって、誰が?」
美鶴「君がだ!」
>美鶴はなにやら凄い剣幕で怒っている。
鳴上「いや、倒れたというか……保健室のお世話になっていただけですけど」
美鶴「似たようなものだろうが!」
美鶴「……アイギスから連絡があったんだ。鳴上が学校の保健室で寝ているから迎えにいって欲しいと」
鳴上(メティスやラビリスが言ったのか)
美鶴「それなのに、学校に行ってみればひとりで帰ってしまっているし……」
美鶴「近くに車を待たせてある。寮まで送るから、早くこい」
鳴上「は、はい」
>強制的に車に押し込められた。
>……
美鶴「鳴上!」
鳴上「!」
美鶴「こんなところにいたのか……探したぞ」
鳴上「桐条さん?」
鳴上「探したって……何かあったんですか!?」
美鶴「ああ、そうだ。何かあったから迎えにきたんだ……まったく」
美鶴「学校で倒れたそうだな?」
鳴上「え、倒れたって、誰が?」
美鶴「君がだ!」
>美鶴はなにやら凄い剣幕で怒っている。
鳴上「いや、倒れたというか……保健室のお世話になっていただけですけど」
美鶴「似たようなものだろうが!」
美鶴「……アイギスから連絡があったんだ。鳴上が学校の保健室で寝ているから迎えにいって欲しいと」
鳴上(メティスやラビリスが言ったのか)
美鶴「それなのに、学校に行ってみればひとりで帰ってしまっているし……」
美鶴「近くに車を待たせてある。寮まで送るから、早くこい」
鳴上「は、はい」
>強制的に車に押し込められた。
77: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:11:35.73:IdrJDo8AO (18/25)
>……
車の中
美鶴「目の下のクマが酷いな」
鳴上「……自分で確認してないんで、よくわからないです」
>美鶴は、はあっと深いため息を吐いた。
美鶴「最近世間を騒がせているあの連続衰弱死事件について、夜まで外で調べ回っていると聞いたが」
鳴上「はい」
鳴上「桐条さんもそうだって話ですよね?」
美鶴「まあな」
鳴上「何か気になる事とか、わかった事とか出てきましたか」
美鶴「……」
美鶴「今はその事はどうでもいい」
鳴上「え?」
美鶴「近頃、どうにも君の様子がおかしい気がしてならない……と報告を受けている」
鳴上「……」
>……
車の中
美鶴「目の下のクマが酷いな」
鳴上「……自分で確認してないんで、よくわからないです」
>美鶴は、はあっと深いため息を吐いた。
美鶴「最近世間を騒がせているあの連続衰弱死事件について、夜まで外で調べ回っていると聞いたが」
鳴上「はい」
鳴上「桐条さんもそうだって話ですよね?」
美鶴「まあな」
鳴上「何か気になる事とか、わかった事とか出てきましたか」
美鶴「……」
美鶴「今はその事はどうでもいい」
鳴上「え?」
美鶴「近頃、どうにも君の様子がおかしい気がしてならない……と報告を受けている」
鳴上「……」
78: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:12:44.46:IdrJDo8AO (19/25)
美鶴「何か隠している事はないか? あるいは……」
美鶴「何かひとりで抱え込んでいる事がある、とかな」
鳴上「それ、は……」
>キミコの事は置いておくとしても、話していいのかどうか躊躇う事ばかりだ……
>麻希には話せた事も、仲間にとなると余計な気を使わせたくはないと思ってしまい、口には出せなくなる。
美鶴「……みんな心配しているぞ。もちろん、私もな」
鳴上「……」
美鶴「もしかしたら……」
美鶴「もしかしたら私は、君にリーダーという立場と責務を押し付け過ぎだったか?」
鳴上「……え?」
美鶴「何か隠している事はないか? あるいは……」
美鶴「何かひとりで抱え込んでいる事がある、とかな」
鳴上「それ、は……」
>キミコの事は置いておくとしても、話していいのかどうか躊躇う事ばかりだ……
>麻希には話せた事も、仲間にとなると余計な気を使わせたくはないと思ってしまい、口には出せなくなる。
美鶴「……みんな心配しているぞ。もちろん、私もな」
鳴上「……」
美鶴「もしかしたら……」
美鶴「もしかしたら私は、君にリーダーという立場と責務を押し付け過ぎだったか?」
鳴上「……え?」
79: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:14:14.08:IdrJDo8AO (20/25)
美鶴「私は以前、君ならみんなを引っ張っていってくれると……君がいるから戦えると言った事があるだろう」
美鶴「あれは事実だ。今でもそう思っている。しかし……」
美鶴「リーダーであるからといってなんでもかんでも一人で背負いこんでくれとは言っていない」
美鶴「だが、君はどうも無意識にそうしているように思ったんだ」
美鶴「そのきっかけが私の言葉だったら……撤回する」
美鶴「私は……私たちは、君と一緒に君と並んで戦いたいんだ」
美鶴「リーダーだから、誰かに頼ってはダメだなんて言わない」
美鶴「君はリーダーであると同時に私たちと等しい仲間であるという事をどうか忘れないで欲しい」
美鶴「ひとりでどうにかしようなんて事だけは、絶対にしないでくれ」
>美鶴は唇を噛んで俯いてしまった。
美鶴「私は以前、君ならみんなを引っ張っていってくれると……君がいるから戦えると言った事があるだろう」
美鶴「あれは事実だ。今でもそう思っている。しかし……」
美鶴「リーダーであるからといってなんでもかんでも一人で背負いこんでくれとは言っていない」
美鶴「だが、君はどうも無意識にそうしているように思ったんだ」
美鶴「そのきっかけが私の言葉だったら……撤回する」
美鶴「私は……私たちは、君と一緒に君と並んで戦いたいんだ」
美鶴「リーダーだから、誰かに頼ってはダメだなんて言わない」
美鶴「君はリーダーであると同時に私たちと等しい仲間であるという事をどうか忘れないで欲しい」
美鶴「ひとりでどうにかしようなんて事だけは、絶対にしないでくれ」
>美鶴は唇を噛んで俯いてしまった。
80: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:17:22.34:IdrJDo8AO (21/25)
鳴上「そんな、事は……」
鳴上「……」
美鶴「……とにかく」
美鶴「今夜は外出は禁止だ」
美鶴「君は休むという事を覚えた方がいい」
>美鶴からの気遣いが伝わってくる……
>『Ⅲ 女帝 桐条美鶴』のランクが2になった
鳴上(心配させたくなかったのに、余計に心配増やしてしまった……って事か)
鳴上(でも……)
鳴上(もっとみんなに寄りかかってみても、いいんだろうか……)
鳴上(……)
美鶴「寮に着いたぞ」
美鶴「私はこのまま行くところがある。君は早くみんなに顔を見せてやれ」
鳴上「……はい」
>車を降り、美鶴と別れた。
>……
鳴上「そんな、事は……」
鳴上「……」
美鶴「……とにかく」
美鶴「今夜は外出は禁止だ」
美鶴「君は休むという事を覚えた方がいい」
>美鶴からの気遣いが伝わってくる……
>『Ⅲ 女帝 桐条美鶴』のランクが2になった
鳴上(心配させたくなかったのに、余計に心配増やしてしまった……って事か)
鳴上(でも……)
鳴上(もっとみんなに寄りかかってみても、いいんだろうか……)
鳴上(……)
美鶴「寮に着いたぞ」
美鶴「私はこのまま行くところがある。君は早くみんなに顔を見せてやれ」
鳴上「……はい」
>車を降り、美鶴と別れた。
>……
81: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:18:49.54:IdrJDo8AO (22/25)
学生寮
鳴上「ただいま」
アイギス「!」
メティス「鳴上さん!」
ラビリス「よかったあ! 悠が帰ってきたあ!」
天田「おかえりなさい! 倒れたって聞いたからびっくりしましたよ……!」
コロマル「ワン!」
>ラウンジにみんなが揃いに揃っている。
鳴上「ごめん、心配させたみたいで……」
アイギス「具合の方は、今はどんな感じですか?」
鳴上「よく眠れたんで、今はいい感じです」
アイギス「美鶴さんから、今夜はもう出かけさせるなと言われています」
鳴上「俺も直接言われました」
アイギス「それから、明日の朝は病院に行かせるように……と」
鳴上「病院……」
鳴上「わかりました」
学生寮
鳴上「ただいま」
アイギス「!」
メティス「鳴上さん!」
ラビリス「よかったあ! 悠が帰ってきたあ!」
天田「おかえりなさい! 倒れたって聞いたからびっくりしましたよ……!」
コロマル「ワン!」
>ラウンジにみんなが揃いに揃っている。
鳴上「ごめん、心配させたみたいで……」
アイギス「具合の方は、今はどんな感じですか?」
鳴上「よく眠れたんで、今はいい感じです」
アイギス「美鶴さんから、今夜はもう出かけさせるなと言われています」
鳴上「俺も直接言われました」
アイギス「それから、明日の朝は病院に行かせるように……と」
鳴上「病院……」
鳴上「わかりました」
82: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:19:54.99:IdrJDo8AO (23/25)
メティス「今日はもう、部屋に戻ってください」
ラビリス「そやね。こんなところで立ち話してる暇あったら休んだ方がええわ」
鳴上「……メティス、ラビリス」
鳴上「保健室まで来てくれてたんだってな、ありがとう」
メティス「いえ……」
ラビリス「はよ元気になってな?」
>おとなしく部屋に戻ることにした。
天田「……あの!」
鳴上「?」
>部屋の扉を開けようとしたところで追ってきた天田に呼び止められた。
天田「その……鳴上さん」
天田「最近、変な夢をみたらしいってラビリスさんから聞いたんですけど」
メティス「今日はもう、部屋に戻ってください」
ラビリス「そやね。こんなところで立ち話してる暇あったら休んだ方がええわ」
鳴上「……メティス、ラビリス」
鳴上「保健室まで来てくれてたんだってな、ありがとう」
メティス「いえ……」
ラビリス「はよ元気になってな?」
>おとなしく部屋に戻ることにした。
天田「……あの!」
鳴上「?」
>部屋の扉を開けようとしたところで追ってきた天田に呼び止められた。
天田「その……鳴上さん」
天田「最近、変な夢をみたらしいってラビリスさんから聞いたんですけど」
83: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:21:30.09:IdrJDo8AO (24/25)
鳴上「……」
鳴上「ああ。それがどうした?」
天田「あの、それって……」
天田「どんな夢だか覚えてますか?」
鳴上「……」
天田「……」
天田「僕、もしかしたら」
天田「もしかしたら……」
鳴上「……天田?」
>天田の顔が青ざめている……
天田「っ……」
天田「やっぱりなんでもないです!」
天田「ごめんなさい、引きとめたりして。お大事にしてください」
>天田は一礼してから、自分の部屋に駆け込んでしまった。
鳴上「天田……?」
鳴上「……」
>……
鳴上「……」
鳴上「ああ。それがどうした?」
天田「あの、それって……」
天田「どんな夢だか覚えてますか?」
鳴上「……」
天田「……」
天田「僕、もしかしたら」
天田「もしかしたら……」
鳴上「……天田?」
>天田の顔が青ざめている……
天田「っ……」
天田「やっぱりなんでもないです!」
天田「ごめんなさい、引きとめたりして。お大事にしてください」
>天田は一礼してから、自分の部屋に駆け込んでしまった。
鳴上「天田……?」
鳴上「……」
>……
84: ◆Hw7XKfELws:2012/05/05(土) 21:24:57.43:IdrJDo8AO (25/25)
今度こそこれで終了です。
ゴールデンウイーク?なにそれ美味しいの?状態で書き溜めが思うようにいってないです。
来週からもうちょっとまとめて投下出来るようになればいいなと思ってます。
また次回。
今度こそこれで終了です。
ゴールデンウイーク?なにそれ美味しいの?状態で書き溜めが思うようにいってないです。
来週からもうちょっとまとめて投下出来るようになればいいなと思ってます。
また次回。
85:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/05(土) 21:37:56.44:RHNkmWrNo (2/2)
乙
美鶴が可愛すぎて生きてるのが辛い・・・
乙
美鶴が可愛すぎて生きてるのが辛い・・・
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/05(土) 21:38:31.01:VaZifUfAO (2/2)
乙
無理せず、じっくり進めてくれたらいいよ
乙
無理せず、じっくり進めてくれたらいいよ
87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県):2012/05/05(土) 22:03:44.21:wI+RxBETo (1/1)
相変わらずのナナコンで安心した
相変わらずのナナコンで安心した
88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/05(土) 23:29:45.80:lKtlk2C4o (1/1)
男子Aさんにはもう名前とコミュ用意出来るレベル
男子Aさんにはもう名前とコミュ用意出来るレベル
89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/06(日) 00:03:14.64:w3RThdhI0 (1/1)
キミコにコミュが発生しないのはやはり…
キミコにコミュが発生しないのはやはり…
90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/06(日) 00:40:09.68:cpLfKYuEo (1/1)
乙乙ー
>>88
魔術師コミュが既に埋まってるのが残念だな
乙乙ー
>>88
魔術師コミュが既に埋まってるのが残念だな
91: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:26:46.89:epd2XyhAO (1/29)
>>88 >>90
彼の名前はきっと壇志英(だん しえい)とか言うに違いない。
実は永劫コミュの担い手だけど番長は永劫アルカナのペルソナは作成しないので永遠に永劫コミュは発生しないしランクも上がらないんだ(適当)
本日の投下いきます
>>88 >>90
彼の名前はきっと壇志英(だん しえい)とか言うに違いない。
実は永劫コミュの担い手だけど番長は永劫アルカナのペルソナは作成しないので永遠に永劫コミュは発生しないしランクも上がらないんだ(適当)
本日の投下いきます
92: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:28:35.41:epd2XyhAO (2/29)
自室
>休む前にPCを付けて今日のニュースを軽くチェックする事にした。
鳴上(朝はバタバタしてて確認出来なかったからな……)
>……
>ざっとニュースサイトに目を通したところ、今日も衰弱死した人間が出ているようだ……
>日に日にその人数が増えてはいるが、警察の捜査にも進展はないし、何故こんな死体になるのか理由もまだ明らかになっていない。
(――おとなしく休めって釘刺されたばかりだろ? 早くこっち側に来いよ)
鳴上「っ!?」
>誰かの声が聞こえたような気がして、振り返り部屋の中を見回してみた……が、当然部屋には自分しかいない……
鳴上(っ……)
鳴上(疲れてるんだ。気のせいだ……)
>もう、寝よう……ぐっすり眠れる自信は未だにないが。
>そう思ってPCの電源を落とそうとしたその直前に、メッセンジャーの音が鳴った。
>パオフゥからだ。
鳴上「あっちの方から話しかけてくるなんて珍しいな」
自室
>休む前にPCを付けて今日のニュースを軽くチェックする事にした。
鳴上(朝はバタバタしてて確認出来なかったからな……)
>……
>ざっとニュースサイトに目を通したところ、今日も衰弱死した人間が出ているようだ……
>日に日にその人数が増えてはいるが、警察の捜査にも進展はないし、何故こんな死体になるのか理由もまだ明らかになっていない。
(――おとなしく休めって釘刺されたばかりだろ? 早くこっち側に来いよ)
鳴上「っ!?」
>誰かの声が聞こえたような気がして、振り返り部屋の中を見回してみた……が、当然部屋には自分しかいない……
鳴上(っ……)
鳴上(疲れてるんだ。気のせいだ……)
>もう、寝よう……ぐっすり眠れる自信は未だにないが。
>そう思ってPCの電源を落とそうとしたその直前に、メッセンジャーの音が鳴った。
>パオフゥからだ。
鳴上「あっちの方から話しかけてくるなんて珍しいな」
93: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:30:07.14:epd2XyhAO (3/29)
>……
番長:こんばんは、パオフゥさん。
パオフゥ:よお
パオフゥ:突然悪いな。ちょっと面白い話を耳にしたもんで、お前さんにも教えておこうかと思って
番長:面白い話ですか?
パオフゥ:この前、伝説の男の話をしただろ。それに関する事だ
鳴上「伝説の男の……新情報!?」
パオフゥ:お前もこの件を気にしてる風だったからな
番長:是非聞かせてください。お願いします。
>とは言ったものの、こちらからパオフゥに提供出来そうな目新しい話は、今のところ思い当たるものがない。
>パオフゥの事だから、タダで教えてくれるなんて事はないだろう。
>どうしたものか……
>……などという心配をよそに、パオフゥは持っている情報をひとりでに語り出した。
>……
番長:こんばんは、パオフゥさん。
パオフゥ:よお
パオフゥ:突然悪いな。ちょっと面白い話を耳にしたもんで、お前さんにも教えておこうかと思って
番長:面白い話ですか?
パオフゥ:この前、伝説の男の話をしただろ。それに関する事だ
鳴上「伝説の男の……新情報!?」
パオフゥ:お前もこの件を気にしてる風だったからな
番長:是非聞かせてください。お願いします。
>とは言ったものの、こちらからパオフゥに提供出来そうな目新しい話は、今のところ思い当たるものがない。
>パオフゥの事だから、タダで教えてくれるなんて事はないだろう。
>どうしたものか……
>……などという心配をよそに、パオフゥは持っている情報をひとりでに語り出した。
94: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:32:41.67:epd2XyhAO (4/29)
パオフゥ:ポロニアンモールに、ゲームセンターがあるのは知ってるか?
パオフゥ:そこにあるラプンツェルっていう古いゲームのランキングトップが伝説の男だって話があって
パオフゥ:三年もの間その記録が破られていなかったって結構有名な話があるようだ
番長:三年もトップですか。凄いですね。
パオフゥ:元々、プレイする人間の数自体そんなに多くなかったようだけどな
パオフゥ:でも驚く事に、最近になって何故かそのゲームが密かなブームになっている
パオフゥ:前に若いのの間でいくつかゲームが流行ってるって話をしただろ?
パオフゥ:例の携帯アプリの話しかしてなかったが、実はこのゲームもそのうちのひとつに含まれてる
鳴上「また、最近流行ってるゲーム、か……」
パオフゥ:ポロニアンモールに、ゲームセンターがあるのは知ってるか?
パオフゥ:そこにあるラプンツェルっていう古いゲームのランキングトップが伝説の男だって話があって
パオフゥ:三年もの間その記録が破られていなかったって結構有名な話があるようだ
番長:三年もトップですか。凄いですね。
パオフゥ:元々、プレイする人間の数自体そんなに多くなかったようだけどな
パオフゥ:でも驚く事に、最近になって何故かそのゲームが密かなブームになっている
パオフゥ:前に若いのの間でいくつかゲームが流行ってるって話をしただろ?
パオフゥ:例の携帯アプリの話しかしてなかったが、実はこのゲームもそのうちのひとつに含まれてる
鳴上「また、最近流行ってるゲーム、か……」
95: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:35:46.60:epd2XyhAO (5/29)
番長:そのゲームが流行るようなきっかけや理由なんかはあったんでしょうか?
パオフゥ:色々と理由はあるのかもしれないが
パオフゥ:実際、ラプンツェルを今よくプレイしてるって奴らに聞いた話だと、トップの記録を塗りかえてやりたいからよく遊んでるってのが多いな
パオフゥ:なんで今になってっていう話は置いとくとして
パオフゥ:つい最近本当に記録が塗りかわったんだ
番長:そうなんですか!
番長:三年守られた記録を破った人も凄いですね。
パオフゥ:でもその記録を破ったのは
パオフゥ:伝説の男本人、だそうだ
鳴上「!?」
番長:そのゲームが流行るようなきっかけや理由なんかはあったんでしょうか?
パオフゥ:色々と理由はあるのかもしれないが
パオフゥ:実際、ラプンツェルを今よくプレイしてるって奴らに聞いた話だと、トップの記録を塗りかえてやりたいからよく遊んでるってのが多いな
パオフゥ:なんで今になってっていう話は置いとくとして
パオフゥ:つい最近本当に記録が塗りかわったんだ
番長:そうなんですか!
番長:三年守られた記録を破った人も凄いですね。
パオフゥ:でもその記録を破ったのは
パオフゥ:伝説の男本人、だそうだ
鳴上「!?」
96: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:38:54.84:epd2XyhAO (6/29)
パオフゥ:ランキングに入ると名前を入力する事になるんだが
パオフゥ:今、ラプンツェルの筐体に記録されているトップと2位の名前が同じになっている
パオフゥ:だからといって、それだけでは同一人物である確証にはならないだろうが
パオフゥ:今まで誰が挑戦してもそんな事無理だった。それどころか、3位のスコアですら2位に遠く及んでいないって点から、専らそういう噂が流れているな
番長:それはまたなんというか……。
番長:そんな話もあるから、伝説の男なんて言われてたりして。
鳴上「……なんて。まさかな」
パオフゥ:順序が逆だったのかもってのなら、考えられない事じゃないな
パオフゥ:つまり、初めはランキングのトップを飾るほどのゲーマーで話題になっていた男が
パオフゥ:悪夢から生還した事で、違う伝説も残す事になった
パオフゥ:しかもそれは、時が経つに連れ話が混ざり誇張されて、人の興味をひくには十分過ぎる話題になった
パオフゥ:それが本当でも嘘でも、もはや関係ないって訳だな
パオフゥ:それが時にこの世を滅ぼすこt
鳴上「……え?」
鳴上「この世を滅ぼす……って」
パオフゥ:ランキングに入ると名前を入力する事になるんだが
パオフゥ:今、ラプンツェルの筐体に記録されているトップと2位の名前が同じになっている
パオフゥ:だからといって、それだけでは同一人物である確証にはならないだろうが
パオフゥ:今まで誰が挑戦してもそんな事無理だった。それどころか、3位のスコアですら2位に遠く及んでいないって点から、専らそういう噂が流れているな
番長:それはまたなんというか……。
番長:そんな話もあるから、伝説の男なんて言われてたりして。
鳴上「……なんて。まさかな」
パオフゥ:順序が逆だったのかもってのなら、考えられない事じゃないな
パオフゥ:つまり、初めはランキングのトップを飾るほどのゲーマーで話題になっていた男が
パオフゥ:悪夢から生還した事で、違う伝説も残す事になった
パオフゥ:しかもそれは、時が経つに連れ話が混ざり誇張されて、人の興味をひくには十分過ぎる話題になった
パオフゥ:それが本当でも嘘でも、もはや関係ないって訳だな
パオフゥ:それが時にこの世を滅ぼすこt
鳴上「……え?」
鳴上「この世を滅ぼす……って」
97: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:40:31.63:epd2XyhAO (7/29)
パオフゥ:この事でひとつお前に頼みたい事がある
番長:今のはどういう意味ですか?
>こちらが文章を打つよりもパオフゥの発言の方が早かったようだ……
パオフゥ:もしかしたらその男がまたゲームセンターに来るかもしれない
パオフゥ:それらしき人物を見かけたら是非教えて欲しい
パオフゥ:それと、ラプンツェルをプレイするような機会があったら感想を聞きたい
パオフゥ:それだけだ
>しかもスルーされた……
鳴上「……」
番長:それは構わないですけど。
番長:パオフゥさんの方も、随分というこの件に熱心みたいですね?
>パオフゥの発言まで少しの間が開いた。
パオフゥ:この事でひとつお前に頼みたい事がある
番長:今のはどういう意味ですか?
>こちらが文章を打つよりもパオフゥの発言の方が早かったようだ……
パオフゥ:もしかしたらその男がまたゲームセンターに来るかもしれない
パオフゥ:それらしき人物を見かけたら是非教えて欲しい
パオフゥ:それと、ラプンツェルをプレイするような機会があったら感想を聞きたい
パオフゥ:それだけだ
>しかもスルーされた……
鳴上「……」
番長:それは構わないですけど。
番長:パオフゥさんの方も、随分というこの件に熱心みたいですね?
>パオフゥの発言まで少しの間が開いた。
98: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:50:57.52:epd2XyhAO (8/29)
パオフゥ:俺の勘が只事じゃねえって訴えやがるから、気になるだけだ
パオフゥ:出来ればその勘が外れて欲しいもんなんだがね
番長:じゃあ、どうしてこんな話を俺に?
パオフゥ:これでもお前さんの事はそれなりに信用してるって事だよ
パオフゥ:って、さっきから何言ってんだか俺は……
パオフゥ:とにかく、頼んだからな
パオフゥ:じゃあ、また
>言いたいことだけ言って、パオフゥはメッセンジャーから落ちた。
>『Ⅸ 隠者 パオフゥ』のランクが5になった
鳴上「ラプンツェル……か。なんかどっかで聞いたようなタイトルだけど」
鳴上「そういえば、どういうゲームなのか聞くの忘れてたな」
鳴上「プレイした感想なんて……どうしてそんな情報まで知りたいんだろう」
鳴上「……まあ、行ってみればわかるか」
>明日にでもゲームセンターに足を運んでみよう。
>病院に行くのが最優先ではあるが……
>……さて、今度こそ本当に休もう。
>PCを落とし部屋の電気を消して、ベッドに潜った。
>…
>……
>………
パオフゥ:俺の勘が只事じゃねえって訴えやがるから、気になるだけだ
パオフゥ:出来ればその勘が外れて欲しいもんなんだがね
番長:じゃあ、どうしてこんな話を俺に?
パオフゥ:これでもお前さんの事はそれなりに信用してるって事だよ
パオフゥ:って、さっきから何言ってんだか俺は……
パオフゥ:とにかく、頼んだからな
パオフゥ:じゃあ、また
>言いたいことだけ言って、パオフゥはメッセンジャーから落ちた。
>『Ⅸ 隠者 パオフゥ』のランクが5になった
鳴上「ラプンツェル……か。なんかどっかで聞いたようなタイトルだけど」
鳴上「そういえば、どういうゲームなのか聞くの忘れてたな」
鳴上「プレイした感想なんて……どうしてそんな情報まで知りたいんだろう」
鳴上「……まあ、行ってみればわかるか」
>明日にでもゲームセンターに足を運んでみよう。
>病院に行くのが最優先ではあるが……
>……さて、今度こそ本当に休もう。
>PCを落とし部屋の電気を消して、ベッドに潜った。
>…
>……
>………
99: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:52:15.82:epd2XyhAO (9/29)
吹き荒れる風が、この身も心も凍らせる
降り注ぐ石の雨が、死を招く――
Next→
――stage 5 Quadrangle
暴風の中庭――
吹き荒れる風が、この身も心も凍らせる
降り注ぐ石の雨が、死を招く――
Next→
――stage 5 Quadrangle
暴風の中庭――
100: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:53:38.26:epd2XyhAO (10/29)
Night mare
第五階層 第一エリア
鳴上「……さ、」
鳴上「寒っ……!」
>扉から出てまず感じたのが、その強烈な寒さだった。
>周りは完全に凍てついている。
>いつも行く手を阻む石でさえ、氷の塊に変貌していた……
鳴上「今までの場所と比べて随分と雰囲気が違う……」
鳴上「冷たっ……うわっ!?」
>氷の石に足を乗せた瞬間、滑ってそのまま下に落ちそうになった。
鳴上「あ、危ない……」
鳴上「氷の上にはあまり乗らない方がいいって事か」
鳴上「……このままぶら下がって移動した方が、ここは楽かも」
>場にあった攻略法を頭に思い描き考えながら、今夜もまた登り始めた。
>……
Night mare
第五階層 第一エリア
鳴上「……さ、」
鳴上「寒っ……!」
>扉から出てまず感じたのが、その強烈な寒さだった。
>周りは完全に凍てついている。
>いつも行く手を阻む石でさえ、氷の塊に変貌していた……
鳴上「今までの場所と比べて随分と雰囲気が違う……」
鳴上「冷たっ……うわっ!?」
>氷の石に足を乗せた瞬間、滑ってそのまま下に落ちそうになった。
鳴上「あ、危ない……」
鳴上「氷の上にはあまり乗らない方がいいって事か」
鳴上「……このままぶら下がって移動した方が、ここは楽かも」
>場にあった攻略法を頭に思い描き考えながら、今夜もまた登り始めた。
>……
101: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:55:05.77:epd2XyhAO (11/29)
踊り場
>最初のエリアを通過し、告解室の前までやってきたが……
>周りにいる羊の数が今夜は特に少ない気がする。
鳴上「……くそ」
鳴上「こんな事早く終わらせないと。……いや」
鳴上「この世界を……終わらせないと」
>……
告解室
鳴上「今夜もお招きどうも」
鳴上「……」
鳴上「……?」
鳴上「おい?」
>告解室の小窓に向けて話しかけてみても返事がない。
>隣に気配はするようなのだが……
鳴上「おい! 聞いてるのか!」
代行人「……そんなに大声出さなくとも聞こえてる」
踊り場
>最初のエリアを通過し、告解室の前までやってきたが……
>周りにいる羊の数が今夜は特に少ない気がする。
鳴上「……くそ」
鳴上「こんな事早く終わらせないと。……いや」
鳴上「この世界を……終わらせないと」
>……
告解室
鳴上「今夜もお招きどうも」
鳴上「……」
鳴上「……?」
鳴上「おい?」
>告解室の小窓に向けて話しかけてみても返事がない。
>隣に気配はするようなのだが……
鳴上「おい! 聞いてるのか!」
代行人「……そんなに大声出さなくとも聞こえてる」
102: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:56:46.41:epd2XyhAO (12/29)
>隣の部屋にいる代行人の声色は、なんだか機嫌が悪そうな感じだった。
鳴上「やるならさっさと何時ものアレやってくれないか。毎度の事だけど、時間が惜しい」
代行人「……」
代行人「いいや」
代行人「ここでの質問はやめておく」
代行人「……そういう気分じゃない」
鳴上「……は?」
鳴上「それならそれでいいけど。……勝手なのは相変わらずだな」
代行人「うるさい」
>告解室が激しく揺れる。
鳴上「うわっ……! ちょっ、まだ座ってな……!」
代行人「……」
>そのまま告解室は上昇を始めた……
>……
>隣の部屋にいる代行人の声色は、なんだか機嫌が悪そうな感じだった。
鳴上「やるならさっさと何時ものアレやってくれないか。毎度の事だけど、時間が惜しい」
代行人「……」
代行人「いいや」
代行人「ここでの質問はやめておく」
代行人「……そういう気分じゃない」
鳴上「……は?」
鳴上「それならそれでいいけど。……勝手なのは相変わらずだな」
代行人「うるさい」
>告解室が激しく揺れる。
鳴上「うわっ……! ちょっ、まだ座ってな……!」
代行人「……」
>そのまま告解室は上昇を始めた……
>……
103: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 00:58:16.53:epd2XyhAO (13/29)
第五階層 第二エリア
鳴上「……」
鳴上「なんだよ、さっきのあれは」
鳴上「やたらゴキゲンナナメって感じだったな」
鳴上「ま、俺には関係ないけど」
鳴上「関係はない、けど……」
鳴上(……でも、腹立つ)
鳴上「……っと、余計な事考える前に進まないとまずいな」
>苛々する気分を押し込んで、上を目指して登り始めた。
>……
踊り場
>相変わらず見える羊の数は少ない。
>しかしその少ない数の中に、見知った姿を発見した。
>帽子の羊とイヤホンの羊がもう一匹小柄な羊を交えて話をしている。
>イヤホンの羊がこちらに気付いて、いつかと同じように手招きをして呼んでいる。
第五階層 第二エリア
鳴上「……」
鳴上「なんだよ、さっきのあれは」
鳴上「やたらゴキゲンナナメって感じだったな」
鳴上「ま、俺には関係ないけど」
鳴上「関係はない、けど……」
鳴上(……でも、腹立つ)
鳴上「……っと、余計な事考える前に進まないとまずいな」
>苛々する気分を押し込んで、上を目指して登り始めた。
>……
踊り場
>相変わらず見える羊の数は少ない。
>しかしその少ない数の中に、見知った姿を発見した。
>帽子の羊とイヤホンの羊がもう一匹小柄な羊を交えて話をしている。
>イヤホンの羊がこちらに気付いて、いつかと同じように手招きをして呼んでいる。
104: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:00:45.04:epd2XyhAO (14/29)
イヤホンの羊「……順調に進んでるみたいだね」
鳴上「ああ。ていうか……」
鳴上「お前、登ってこれないんじゃなかったのか?」
イヤホンの羊「うん、そうだね」
イヤホンの羊「俺はこの踊り場に来る事が出来るだけだから」
帽子の羊「は!? じゃあ、あの石の山登ってねーの!? ショートカットしてるっつーの!?」
イヤホンの羊「だから、そう言ってる」
帽子の羊「それずっこい! スッゲーずっこい!」
帽子の羊「俺たちが毎回どんな思いでここ登ってると思ってんだよー!」
イヤホンの羊「……それについては、ごめん」
イヤホンの羊「本当は彼と一緒に君たちを誘導出来れば一番だけど」
イヤホンの羊「……見えない力に阻まれて、一緒に行く事が出来ない」
イヤホンの羊「この踊り場にだって勝手に侵入してるだけで……こうして来れているのは奇跡」
イヤホンの羊「たぶん、君たちに会えるのも今夜が本当に最後かもしれない」
イヤホンの羊「だから攻略法についてのおさらいと応用……しっかり聞いて欲しい」
イヤホンの羊「そこの彼も……ね?
イヤホンの羊「……順調に進んでるみたいだね」
鳴上「ああ。ていうか……」
鳴上「お前、登ってこれないんじゃなかったのか?」
イヤホンの羊「うん、そうだね」
イヤホンの羊「俺はこの踊り場に来る事が出来るだけだから」
帽子の羊「は!? じゃあ、あの石の山登ってねーの!? ショートカットしてるっつーの!?」
イヤホンの羊「だから、そう言ってる」
帽子の羊「それずっこい! スッゲーずっこい!」
帽子の羊「俺たちが毎回どんな思いでここ登ってると思ってんだよー!」
イヤホンの羊「……それについては、ごめん」
イヤホンの羊「本当は彼と一緒に君たちを誘導出来れば一番だけど」
イヤホンの羊「……見えない力に阻まれて、一緒に行く事が出来ない」
イヤホンの羊「この踊り場にだって勝手に侵入してるだけで……こうして来れているのは奇跡」
イヤホンの羊「たぶん、君たちに会えるのも今夜が本当に最後かもしれない」
イヤホンの羊「だから攻略法についてのおさらいと応用……しっかり聞いて欲しい」
イヤホンの羊「そこの彼も……ね?
105: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:06:08.03:epd2XyhAO (15/29)
>イヤホンの羊は傍にいたもう一匹の、小柄で外ハネの茶髪の羊に声をかけた。
>羊姿だとよくわからないが……おそらく、自分よりも年若い少年だろう。
鳴上(こんな子まで……)
小柄な羊「あの……よろしくお願いします」
>小柄な羊は困惑しながらも丁寧に深々と頭を下げた。
小柄な羊「なんとかここまで一人でやってきましたけど、正直不安で……」
小柄な羊「ここに来る度、普段と姿形が変わるし、もう何がなんだか」
鳴上「みんな一緒だ。なんで羊に変わるのか……いや、自分以外が羊に見えるだけなのか」
小柄な羊「いいえ、そうじゃないんです」
鳴上「?」
>イヤホンの羊は傍にいたもう一匹の、小柄で外ハネの茶髪の羊に声をかけた。
>羊姿だとよくわからないが……おそらく、自分よりも年若い少年だろう。
鳴上(こんな子まで……)
小柄な羊「あの……よろしくお願いします」
>小柄な羊は困惑しながらも丁寧に深々と頭を下げた。
小柄な羊「なんとかここまで一人でやってきましたけど、正直不安で……」
小柄な羊「ここに来る度、普段と姿形が変わるし、もう何がなんだか」
鳴上「みんな一緒だ。なんで羊に変わるのか……いや、自分以外が羊に見えるだけなのか」
小柄な羊「いいえ、そうじゃないんです」
鳴上「?」
106: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:07:53.56:epd2XyhAO (16/29)
小柄な羊「確かにここにいる皆さんの事は羊に見えるけど、僕自身は人間のままですよ。まあ、羊の角みたいなのがはえてはいるみたいですけど」
小柄な羊「でも僕の場合、人間の姿のままではあっても……何故か体格が小学生くらいの時に戻ってるんです」
小柄な羊「なんで、そんな姿に……」
鳴上「本当か……!?」
帽子の羊「まじかよ。なんか気味悪ぃな……」
イヤホンの羊「……」
イヤホンの羊「それはたぶん、君の精神状態に起因している現象だ」
小柄な羊「僕の、精神状態……?」
イヤホンの羊「それだけじゃない」
イヤホンの羊「この夢は、ここにいる羊が全員が共通して見ている夢ではあるけど、登る先で見るもの聞くもの感じるもの……それは全て自分次第でどうとでも変わる」
イヤホンの羊「特に階層の最後に出てくるデカいのについては……ね」
鳴上(あの代行人もそんな事を言っていたけど……)
小柄な羊「確かにここにいる皆さんの事は羊に見えるけど、僕自身は人間のままですよ。まあ、羊の角みたいなのがはえてはいるみたいですけど」
小柄な羊「でも僕の場合、人間の姿のままではあっても……何故か体格が小学生くらいの時に戻ってるんです」
小柄な羊「なんで、そんな姿に……」
鳴上「本当か……!?」
帽子の羊「まじかよ。なんか気味悪ぃな……」
イヤホンの羊「……」
イヤホンの羊「それはたぶん、君の精神状態に起因している現象だ」
小柄な羊「僕の、精神状態……?」
イヤホンの羊「それだけじゃない」
イヤホンの羊「この夢は、ここにいる羊が全員が共通して見ている夢ではあるけど、登る先で見るもの聞くもの感じるもの……それは全て自分次第でどうとでも変わる」
イヤホンの羊「特に階層の最後に出てくるデカいのについては……ね」
鳴上(あの代行人もそんな事を言っていたけど……)
107: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:09:45.39:epd2XyhAO (17/29)
帽子の羊「じゃ、じゃあ! あのデカいゴスロリっ子と毎晩戦ってんのって俺だけって事!?」
帽子の羊「お前らは何が出てくんだよ!?」
鳴上「俺は魔女探偵とか……その他色々」
小柄な羊「僕は……光る大きな馬……とか」
帽子の羊「……はあ? わけわかんねーな」
イヤホンの羊「つまり、そういう事」
イヤホンの羊「ここでわかるのは自分の事だけだ」
イヤホンの羊「いや、自分の事さえわからない者の方が多いかもしれない」
イヤホンの羊「何故あんなものが出るのか、理解出来ない……否定したい、見たくないって思ったりしてる者もいると思う」
鳴上「……」
イヤホンの羊「……話がそれたな」
イヤホンの羊「本題に移ろう。夜が明けてしまう前に……」
>……
帽子の羊「じゃ、じゃあ! あのデカいゴスロリっ子と毎晩戦ってんのって俺だけって事!?」
帽子の羊「お前らは何が出てくんだよ!?」
鳴上「俺は魔女探偵とか……その他色々」
小柄な羊「僕は……光る大きな馬……とか」
帽子の羊「……はあ? わけわかんねーな」
イヤホンの羊「つまり、そういう事」
イヤホンの羊「ここでわかるのは自分の事だけだ」
イヤホンの羊「いや、自分の事さえわからない者の方が多いかもしれない」
イヤホンの羊「何故あんなものが出るのか、理解出来ない……否定したい、見たくないって思ったりしてる者もいると思う」
鳴上「……」
イヤホンの羊「……話がそれたな」
イヤホンの羊「本題に移ろう。夜が明けてしまう前に……」
>……
108: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:11:15.14:epd2XyhAO (18/29)
帽子の羊「なんかさっきから頭パンクしそうな話ばっかだぜ……」
小柄な羊「メモとかとったところで意味もないですよね。登っている最中そんなもの見る余裕もないし」
鳴上「それでも、ここまで来る事は出来たんだ。諦めたりはしたくない……絶対に」
イヤホンの羊「……そう」
イヤホンの羊「大事なのは上だけを見続ける事。脆く崩れかけてはいても、その心を自ら折ってはダメだ」
イヤホンの羊「そして……」
イヤホンの羊「……」
帽子の羊「え、なんだよ?」
イヤホンの羊「なんでもない」
帽子の羊「言い掛けてやめるなよ!」
イヤホンの羊「……自分で気付かなきゃ意味のない事だから」
帽子の羊「……」
帽子の羊「……なんかなあ」
帽子の羊「なんかさっきから頭パンクしそうな話ばっかだぜ……」
小柄な羊「メモとかとったところで意味もないですよね。登っている最中そんなもの見る余裕もないし」
鳴上「それでも、ここまで来る事は出来たんだ。諦めたりはしたくない……絶対に」
イヤホンの羊「……そう」
イヤホンの羊「大事なのは上だけを見続ける事。脆く崩れかけてはいても、その心を自ら折ってはダメだ」
イヤホンの羊「そして……」
イヤホンの羊「……」
帽子の羊「え、なんだよ?」
イヤホンの羊「なんでもない」
帽子の羊「言い掛けてやめるなよ!」
イヤホンの羊「……自分で気付かなきゃ意味のない事だから」
帽子の羊「……」
帽子の羊「……なんかなあ」
109: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:12:56.91:epd2XyhAO (19/29)
鳴上「どうした?」
帽子の羊「いや、さっきから気になってたんだけど」
帽子の羊「俺、こいつの事知ってる気がすんだよな」
小柄な羊「え……あなたもですか?」
小柄な羊「実は僕も、そんな感じがしてて」
小柄な羊「しかもそれだけじゃなくて」
鳴上・帽子の羊・小柄な羊「ここにいる全員知ってる気がする」
イヤホンの羊「……」
鳴上「……どういう事だ?」
イヤホンの羊「どうでもいい」
帽子の羊「そう、それ! それだよ、その感じ!」
帽子の羊「ぜってー知ってるヤツだよ、お前!」
帽子の羊「……いや、でも」
小柄な羊「……。そうですよ、そんな筈は……」
小柄な羊「だってあの人は……」
鳴上「……?」
鳴上「どうした?」
帽子の羊「いや、さっきから気になってたんだけど」
帽子の羊「俺、こいつの事知ってる気がすんだよな」
小柄な羊「え……あなたもですか?」
小柄な羊「実は僕も、そんな感じがしてて」
小柄な羊「しかもそれだけじゃなくて」
鳴上・帽子の羊・小柄な羊「ここにいる全員知ってる気がする」
イヤホンの羊「……」
鳴上「……どういう事だ?」
イヤホンの羊「どうでもいい」
帽子の羊「そう、それ! それだよ、その感じ!」
帽子の羊「ぜってー知ってるヤツだよ、お前!」
帽子の羊「……いや、でも」
小柄な羊「……。そうですよ、そんな筈は……」
小柄な羊「だってあの人は……」
鳴上「……?」
110: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:13:59.84:epd2XyhAO (20/29)
イヤホンの羊「……どうでも、いい。気にしなくていい。だってこれは」
イヤホンの羊「夢なんだから」
帽子の羊・小柄な羊「……」
>場が静まり返ってしまった……
イヤホンの羊「それより、早く行かないと時間が」
帽子の羊「……。俺はもう少し考え事してから行くわ」
小柄な羊「僕も、ちょっと」
イヤホンの羊「そう。君は?」
鳴上「俺は……もう行く」
イヤホンの羊「ん。……気を付けて」
>みんなに見送られつつ、告解室へ行く事にした。
>……
イヤホンの羊「……どうでも、いい。気にしなくていい。だってこれは」
イヤホンの羊「夢なんだから」
帽子の羊・小柄な羊「……」
>場が静まり返ってしまった……
イヤホンの羊「それより、早く行かないと時間が」
帽子の羊「……。俺はもう少し考え事してから行くわ」
小柄な羊「僕も、ちょっと」
イヤホンの羊「そう。君は?」
鳴上「俺は……もう行く」
イヤホンの羊「ん。……気を付けて」
>みんなに見送られつつ、告解室へ行く事にした。
>……
111: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:15:44.77:epd2XyhAO (21/29)
告解室
鳴上「……」
>無言のまま腰を下ろした。
代行人「……やっときたか。随分と長いお喋りをしてたみたいだが」
鳴上「どうでもいい」
代行人「……」
代行人「そうだな。そんな事はどうでもいい……俺にはな」
鳴上「質問、あるんだろ? するなら早くしろ」
代行人「……なあ、お前は何をそんなに焦ってるんだ?」
鳴上「自分が死ぬかもしれないのに焦らないやつなんていないだろ。それに」
鳴上「俺が先へ進む事でどうにか出来るかもしれない」
鳴上「ここに落ちたみんなを救って……ここをどうにか出来るかもしれない」
代行人「……」
代行人「どうしてお前がそこまでする?」
鳴上「どうして、って」
鳴上「放っておける筈ないだろ」
鳴上「俺の力で、絶望の中にほんの少しでも光が照らせるのかもしれない」
鳴上「その可能性があるのなら、俺は、」
代行人「だから」
代行人「どうして“可能性がある”なんて自分で言い切れる?」
告解室
鳴上「……」
>無言のまま腰を下ろした。
代行人「……やっときたか。随分と長いお喋りをしてたみたいだが」
鳴上「どうでもいい」
代行人「……」
代行人「そうだな。そんな事はどうでもいい……俺にはな」
鳴上「質問、あるんだろ? するなら早くしろ」
代行人「……なあ、お前は何をそんなに焦ってるんだ?」
鳴上「自分が死ぬかもしれないのに焦らないやつなんていないだろ。それに」
鳴上「俺が先へ進む事でどうにか出来るかもしれない」
鳴上「ここに落ちたみんなを救って……ここをどうにか出来るかもしれない」
代行人「……」
代行人「どうしてお前がそこまでする?」
鳴上「どうして、って」
鳴上「放っておける筈ないだろ」
鳴上「俺の力で、絶望の中にほんの少しでも光が照らせるのかもしれない」
鳴上「その可能性があるのなら、俺は、」
代行人「だから」
代行人「どうして“可能性がある”なんて自分で言い切れる?」
112: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:22:01.76:epd2XyhAO (22/29)
鳴上「それは……」
代行人「……そうだな。お前は他人からそういった言葉を言われてきた事が何度もあった」
代行人「君ならできる、お前ならやれる……って」
代行人「でもそれって実は」
鳴上「おい」
鳴上「俺はお前と長いお喋りはしたくない」
鳴上「……お前に対する答えは、ロープを引っ張ってでしかしてやらない」
代行人「……」
代行人「なら、いこうか」
機械的な声「第五問です」
機械的な声「人に頼られる事に喜びを感じますか?」
>『感じる』と『苦痛でしかない』のロープが垂れ下がってきた。
鳴上「……」
代行人「……」
鳴上「……」
代行人「わかった」
代行人「じゃあ進もうか」
代行人「今夜のデカいやつのところへ」
>告解室は上を目指して動き出した。
>……
鳴上「それは……」
代行人「……そうだな。お前は他人からそういった言葉を言われてきた事が何度もあった」
代行人「君ならできる、お前ならやれる……って」
代行人「でもそれって実は」
鳴上「おい」
鳴上「俺はお前と長いお喋りはしたくない」
鳴上「……お前に対する答えは、ロープを引っ張ってでしかしてやらない」
代行人「……」
代行人「なら、いこうか」
機械的な声「第五問です」
機械的な声「人に頼られる事に喜びを感じますか?」
>『感じる』と『苦痛でしかない』のロープが垂れ下がってきた。
鳴上「……」
代行人「……」
鳴上「……」
代行人「わかった」
代行人「じゃあ進もうか」
代行人「今夜のデカいやつのところへ」
>告解室は上を目指して動き出した。
>……
113: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:23:47.98:epd2XyhAO (23/29)
第五階層 最終エリア
鳴上「……」
鳴上「ここが今夜の最後、か」
鳴上「……さむ」
>下から大きな振動が徐々に迫ってくるのがわかる。
鳴上「ラブリーン、里中のシャドウ、天城のシャドウ……ときたら、次は」
>ゆっくりと下へ視線を移した。
シャドウりせ『お待たせしましたあ、もろみせタ~イム!』
シャドウりせ『私のことはも・ち・ろ・ん♪』
シャドウりせ『アナタもばっちり丸裸!』
シャドウりせ『骨の随からノウミソまで、私にぜえ~んぶ、晒け出して!』
鳴上「それは流石にちょっと……ゴメンだな」
シャドウりせ『そういう、つれないところもス・テ・キ♪』
シャドウりせ『でもぉ~、ゼーッタイ私がつかまえちゃうんだから!』
>今夜の鬼ごっこが開始された……
第五階層 最終エリア
鳴上「……」
鳴上「ここが今夜の最後、か」
鳴上「……さむ」
>下から大きな振動が徐々に迫ってくるのがわかる。
鳴上「ラブリーン、里中のシャドウ、天城のシャドウ……ときたら、次は」
>ゆっくりと下へ視線を移した。
シャドウりせ『お待たせしましたあ、もろみせタ~イム!』
シャドウりせ『私のことはも・ち・ろ・ん♪』
シャドウりせ『アナタもばっちり丸裸!』
シャドウりせ『骨の随からノウミソまで、私にぜえ~んぶ、晒け出して!』
鳴上「それは流石にちょっと……ゴメンだな」
シャドウりせ『そういう、つれないところもス・テ・キ♪』
シャドウりせ『でもぉ~、ゼーッタイ私がつかまえちゃうんだから!』
>今夜の鬼ごっこが開始された……
114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/09(水) 01:26:55.59:WYY8qYI9o (1/1)
名前見てなかったから完二のシャドウかと思っちまった
名前見てなかったから完二のシャドウかと思っちまった
115: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:27:37.90:epd2XyhAO (24/29)
>今夜最後を飾るに相応しく、足場はほぼ氷で埋め尽くされていた。
>間違って踏み出してしまうと、そのまま滑って下に落ち、りせのシャドウの熱い抱擁を受ける事になるだろう。
>寒い中であたためてもらえるのは歓迎だが、捕らえられたら最後、その腕の力で背骨が粉砕されそうな勢いだった……
>ただ、りせのシャドウ自体のスピードはそれほど早くもない。
>慎重に進みさえすれば、そのまま振り切れる事も可能かもしれない……
>と一瞬考えたが、それはどうやら甘かったようだ。
>りせのシャドウは本体からの攻撃が殆どない分、こちらの移動先を正確に予測、把握して今までのデカいのに比べると的確に狙いを定めにきていた。
>そして、それは上に進むにつれてその環境を味方につける……
>だいぶ登ってきたところで、氷の石は足場としてでなく、上から降り始めてきたのだ。
>しかもそれは無差別ではなく、りせのシャドウのアナライズの補正を受けてこちらに迫る。
>反応が少しでも遅ければ、氷の石に潰され見事にりせのシャドウに己の骨とノウミソを見せる事になってしまうだろう……
>そんな風に、予想以上の苦難に強いられながらではあったが、今夜のゴールは目前にまでやってきていた。
>今夜最後を飾るに相応しく、足場はほぼ氷で埋め尽くされていた。
>間違って踏み出してしまうと、そのまま滑って下に落ち、りせのシャドウの熱い抱擁を受ける事になるだろう。
>寒い中であたためてもらえるのは歓迎だが、捕らえられたら最後、その腕の力で背骨が粉砕されそうな勢いだった……
>ただ、りせのシャドウ自体のスピードはそれほど早くもない。
>慎重に進みさえすれば、そのまま振り切れる事も可能かもしれない……
>と一瞬考えたが、それはどうやら甘かったようだ。
>りせのシャドウは本体からの攻撃が殆どない分、こちらの移動先を正確に予測、把握して今までのデカいのに比べると的確に狙いを定めにきていた。
>そして、それは上に進むにつれてその環境を味方につける……
>だいぶ登ってきたところで、氷の石は足場としてでなく、上から降り始めてきたのだ。
>しかもそれは無差別ではなく、りせのシャドウのアナライズの補正を受けてこちらに迫る。
>反応が少しでも遅ければ、氷の石に潰され見事にりせのシャドウに己の骨とノウミソを見せる事になってしまうだろう……
>そんな風に、予想以上の苦難に強いられながらではあったが、今夜のゴールは目前にまでやってきていた。
116: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:29:15.64:epd2XyhAO (25/29)
鳴上「これで……!」
>指が扉の取っ手に触れた……
>が、その指に力が入らない。
>冷たい氷の石に触り過ぎて、赤くなり痛みも酷い……
鳴上「っ……」
鳴上(こんな、ところで……)
鳴上「……終わっ、て」
鳴上「終わって……たまるかああああああ!」
>目一杯握った指で掴んだそれを力任せに引っ張った……!
シャドウりせ『イヤアアアァアアアァァァァアアアアアアァァアァァァァアアァァ!! ヤダアアアァア!! オイテカナイデェェェェェ!!』
>扉の光によって断末魔を上げながら、りせのシャドウは消えていった……
鳴上「……」
代行人「……おめでとう。第五階層、暴風の中庭はこれで終わった」
代行人「明日の夜……」
代行人「……」
>代行人の言葉は最後の方まで耳には届かなかった……
>…
>……
>………
鳴上「これで……!」
>指が扉の取っ手に触れた……
>が、その指に力が入らない。
>冷たい氷の石に触り過ぎて、赤くなり痛みも酷い……
鳴上「っ……」
鳴上(こんな、ところで……)
鳴上「……終わっ、て」
鳴上「終わって……たまるかああああああ!」
>目一杯握った指で掴んだそれを力任せに引っ張った……!
シャドウりせ『イヤアアアァアアアァァァァアアアアアアァァアァァァァアアァァ!! ヤダアアアァア!! オイテカナイデェェェェェ!!』
>扉の光によって断末魔を上げながら、りせのシャドウは消えていった……
鳴上「……」
代行人「……おめでとう。第五階層、暴風の中庭はこれで終わった」
代行人「明日の夜……」
代行人「……」
>代行人の言葉は最後の方まで耳には届かなかった……
>…
>……
>………
117: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:30:57.55:epd2XyhAO (26/29)
5th day
05/12(土) 曇り 自室
鳴上「っ……」
鳴上「寒い……」
>ベッドに寝たまま窓の方に視線を向けてみた。
>……どうやら昨日、戸締まりを怠っていたらしい。
>窓が半分開いていてそこから強い風が部屋の中に吹き込んでいる。
>おまけに掛け布団が完全に捲れて、床に落ちてしまっているようだ。
>そして
>……頬や腕、その辺りの肌に違和感を覚える。
>何かが蠢いているような……
>そっと頬に指で触れてみた。
>その蠢きは、今度は指へと伝わってくる。
鳴上「これ、は……虫?」
鳴上「……」
5th day
05/12(土) 曇り 自室
鳴上「っ……」
鳴上「寒い……」
>ベッドに寝たまま窓の方に視線を向けてみた。
>……どうやら昨日、戸締まりを怠っていたらしい。
>窓が半分開いていてそこから強い風が部屋の中に吹き込んでいる。
>おまけに掛け布団が完全に捲れて、床に落ちてしまっているようだ。
>そして
>……頬や腕、その辺りの肌に違和感を覚える。
>何かが蠢いているような……
>そっと頬に指で触れてみた。
>その蠢きは、今度は指へと伝わってくる。
鳴上「これ、は……虫?」
鳴上「……」
118: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:32:51.36:epd2XyhAO (27/29)
鳴上「蟻……」
鳴上「――ッ!?」
>蟻が自分の体を伝って歩いていたのだと瞬時に理解した。
>その不快さに、思わずベッドから飛び起きる。
>……一匹ならまだよかった。
>でもその蟻は……蟻の大群は
>開いている窓から列を作って部屋の中へ入り
>ベッドと自分の体を伝って床に行き
>そこに置かれている何かに群がっているのだ。
>そこに置かれている『何か』は、初め蟻にまみれて真っ黒になっていてなんなのかはっきりしなかったが……
>蟻が群がる隙間から『小豆』という文字だけ見え隠れしていた。
鳴上「蟻……」
鳴上「――ッ!?」
>蟻が自分の体を伝って歩いていたのだと瞬時に理解した。
>その不快さに、思わずベッドから飛び起きる。
>……一匹ならまだよかった。
>でもその蟻は……蟻の大群は
>開いている窓から列を作って部屋の中へ入り
>ベッドと自分の体を伝って床に行き
>そこに置かれている何かに群がっているのだ。
>そこに置かれている『何か』は、初め蟻にまみれて真っ黒になっていてなんなのかはっきりしなかったが……
>蟻が群がる隙間から『小豆』という文字だけ見え隠れしていた。
119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/09(水) 01:36:11.58:spD59qNV0 (1/2)
まさか運喰い虫?
スランパ二度掛けくらいに不幸になるのだろうか
まさか運喰い虫?
スランパ二度掛けくらいに不幸になるのだろうか
120: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:36:41.72:epd2XyhAO (28/29)
鳴上「っ……!」
>急いで自分にまとわりついている蟻の群を払い、床に置かれていた甘味処・小豆あらいの袋をつまみあげる。
>ぼとぼとと蟻が床に落ちていく……
鳴上「このっ……」
>部屋にいる蟻を外に追い出そうと躍起になり……
>その勢いで誤って持っていた袋まで外へ落としてしまった。
鳴上「あっ……」
鳴上「……」
>地面に落ち、ぐちゃりと潰れたバナナ大福に蟻の群が一層集っているのが、目に映っていた……
鳴上「っ……!」
>急いで自分にまとわりついている蟻の群を払い、床に置かれていた甘味処・小豆あらいの袋をつまみあげる。
>ぼとぼとと蟻が床に落ちていく……
鳴上「このっ……」
>部屋にいる蟻を外に追い出そうと躍起になり……
>その勢いで誤って持っていた袋まで外へ落としてしまった。
鳴上「あっ……」
鳴上「……」
>地面に落ち、ぐちゃりと潰れたバナナ大福に蟻の群が一層集っているのが、目に映っていた……
121: ◆Hw7XKfELws:2012/05/09(水) 01:38:12.33:epd2XyhAO (29/29)
終わります。
また次回。おやすみ。
終わります。
また次回。おやすみ。
122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/09(水) 01:38:57.43:NOHVsUfY0 (1/1)
ハム子にもらった大福…
ハム子にもらった大福…
123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/09(水) 01:42:07.65:spD59qNV0 (2/2)
遅くまでおつかれさまです
じゃおやすみ
遅くまでおつかれさまです
じゃおやすみ
124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/09(水) 01:48:27.85:uhOZuLzDo (1/1)
>>114
>>114
125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/09(水) 02:07:19.23:rFq5z2lq0 (1/1)
乙
よい夢を
乙
よい夢を
126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/09(水) 02:15:33.64:6gIR9KKh0 (1/1)
乙!
もうそろそろ話が動くのか。
いい夢を!落ちるなよ羊諸君
乙!
もうそろそろ話が動くのか。
いい夢を!落ちるなよ羊諸君
127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/10(木) 23:34:01.69:N7kZqGGAO (1/1)
乙
乙
128: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:16:43.25:8yGs7c/AO (1/23)
>……
>アイギスから美鶴がわざわざ診察の予約をしてくれたという病院の場所を聞き、一応学校へ行く準備も整えてから向かう事にした。
>外に落としてしまった大福とその包みは寮を出た際に回収したのだが……
>あれだけ多く集っていた蟻たちの姿はもう何処にもなく、周りに蟻の巣があるような気配もなかった。
>いったい何処からあの蟻は部屋に侵入してきたのだろう……
鳴上(……せっかく貰ったのに、ごめん)
>心に痛みを覚えながらも仕方なく、拾った大福を包みごと街のゴミ箱の中に捨てた。
>……
>病院に向かう途中、携帯を見てみるとメールが届いている事に気が付いた。
>二件受信していて、どちらとも寝てしまった後に届いたもののようだ。
>一件目のメールを開いた。
from:久慈川りせ
悠センパイこんばんは。
また変な事件?事故?病気?がそっちで起こってるってテレビで見たよ!
センパイは大丈夫…だと思いたいけど、いつセンパイの顔と名前がニュースで出たりしないか不安でたまんないよ→(;_;)
また仕事でそっち方面行くかもしれないから、その時にでもセンパイの元気な顔みて安心したいなあ('_')
せめて元気な声だけでもいいから聞きたい!
暇な時にでも電話しよ→ね(>_<)
じゃあ、また近いうちにね(^_^)/
愛しのりせち→より
>メールにはデコレーションされたりせの写真も添付されていた。
>着ているのは仕事でのものだろうか……普段着にしては露出度が高めで、メイクも派手のような気がする。
>写真の感想を入れるべきなのか悩みながらも、りせに返事を送ってから二件目のメールを読んでみる事にした。
>……
>アイギスから美鶴がわざわざ診察の予約をしてくれたという病院の場所を聞き、一応学校へ行く準備も整えてから向かう事にした。
>外に落としてしまった大福とその包みは寮を出た際に回収したのだが……
>あれだけ多く集っていた蟻たちの姿はもう何処にもなく、周りに蟻の巣があるような気配もなかった。
>いったい何処からあの蟻は部屋に侵入してきたのだろう……
鳴上(……せっかく貰ったのに、ごめん)
>心に痛みを覚えながらも仕方なく、拾った大福を包みごと街のゴミ箱の中に捨てた。
>……
>病院に向かう途中、携帯を見てみるとメールが届いている事に気が付いた。
>二件受信していて、どちらとも寝てしまった後に届いたもののようだ。
>一件目のメールを開いた。
from:久慈川りせ
悠センパイこんばんは。
また変な事件?事故?病気?がそっちで起こってるってテレビで見たよ!
センパイは大丈夫…だと思いたいけど、いつセンパイの顔と名前がニュースで出たりしないか不安でたまんないよ→(;_;)
また仕事でそっち方面行くかもしれないから、その時にでもセンパイの元気な顔みて安心したいなあ('_')
せめて元気な声だけでもいいから聞きたい!
暇な時にでも電話しよ→ね(>_<)
じゃあ、また近いうちにね(^_^)/
愛しのりせち→より
>メールにはデコレーションされたりせの写真も添付されていた。
>着ているのは仕事でのものだろうか……普段着にしては露出度が高めで、メイクも派手のような気がする。
>写真の感想を入れるべきなのか悩みながらも、りせに返事を送ってから二件目のメールを読んでみる事にした。
129: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:18:25.76:8yGs7c/AO (2/23)
鳴上「……ん? これ、誰からだ?」
>どうやら登録されていないアドレスから送られてきているようだ。
>しかも添付データがくっついている……
鳴上「知らないアドレスから添付データつきのメール……って、まさか!」
>藤堂が持っていたあのゲームがまさか送られてきたのだろうか……!
>急いでメールを開いた。
from:
ヤッホー少しは元気になったかなー?
それともまだ不調?
そんな悠には元気になっちゃう写メをはっしーん♪
結構似合ってるでしょ?(*^_^*)
鳴上「……」
鳴上「どうやら違いそうだな」
鳴上「というか、本当に誰だ……」
>添付されているのは文面通り写真のデータのようだ。
>多少ガッカリした気持ちを覚えながら、気構える事もなくそのデータを開いてみた。
鳴上「!?」
鳴上「これは……キ、キミコ!?」
鳴上「なんていう恰好だ……」
鳴上「……ん? これ、誰からだ?」
>どうやら登録されていないアドレスから送られてきているようだ。
>しかも添付データがくっついている……
鳴上「知らないアドレスから添付データつきのメール……って、まさか!」
>藤堂が持っていたあのゲームがまさか送られてきたのだろうか……!
>急いでメールを開いた。
from:
ヤッホー少しは元気になったかなー?
それともまだ不調?
そんな悠には元気になっちゃう写メをはっしーん♪
結構似合ってるでしょ?(*^_^*)
鳴上「……」
鳴上「どうやら違いそうだな」
鳴上「というか、本当に誰だ……」
>添付されているのは文面通り写真のデータのようだ。
>多少ガッカリした気持ちを覚えながら、気構える事もなくそのデータを開いてみた。
鳴上「!?」
鳴上「これは……キ、キミコ!?」
鳴上「なんていう恰好だ……」
130: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:20:23.96:8yGs7c/AO (3/23)
>写真の中のキミコは男心をくすぐる挑発的な服装をしていた。
>まず肌の露出がさっき見たりせの写真とは比べものにならないほどに多かった。
>ぱっと見はビキニの水着を着ているように見えるが、それにしてもその布地の面積はあまりにも狭く、俗に言うハイレグカットと呼ばれるデザインである事がうかがえる。
>そのくせ、二の腕まである手袋にオーバーニーソックスと隠している部分はとことん隠していて……
>デザインの揃ったカチューシャと首輪もアクセントとしては十分だ。
>その大胆さがけして下品になっていないのは、全体的なカラーが白基調である事と彼女の持つ健康的な色気によって上手くバランスが保たれているからだろう。
>まさに奇跡の一枚と言えなくもない写真だ。
鳴上「……この写真は保存しておくにしても」
鳴上「いつの間にメアドまで知られていたんだ?」
鳴上「……」
鳴上「大福の事、謝った方がいいよな」
>キミコに返信しようかどうするか迷っている間に、目的地である病院に辿り着いてしまった。
鳴上「……また後で考えよう」
>……
>写真の中のキミコは男心をくすぐる挑発的な服装をしていた。
>まず肌の露出がさっき見たりせの写真とは比べものにならないほどに多かった。
>ぱっと見はビキニの水着を着ているように見えるが、それにしてもその布地の面積はあまりにも狭く、俗に言うハイレグカットと呼ばれるデザインである事がうかがえる。
>そのくせ、二の腕まである手袋にオーバーニーソックスと隠している部分はとことん隠していて……
>デザインの揃ったカチューシャと首輪もアクセントとしては十分だ。
>その大胆さがけして下品になっていないのは、全体的なカラーが白基調である事と彼女の持つ健康的な色気によって上手くバランスが保たれているからだろう。
>まさに奇跡の一枚と言えなくもない写真だ。
鳴上「……この写真は保存しておくにしても」
鳴上「いつの間にメアドまで知られていたんだ?」
鳴上「……」
鳴上「大福の事、謝った方がいいよな」
>キミコに返信しようかどうするか迷っている間に、目的地である病院に辿り着いてしまった。
鳴上「……また後で考えよう」
>……
131: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:22:10.33:8yGs7c/AO (4/23)
>診察の結果は、少し熱っぽかった事もあり風邪と診断された。
>寝不足の事についても少し話してみたが、医師の話によるとここ数日でそういう男性の患者が増えているという事らしい。
>一晩の内に変死体が出来上がる事件が発生して以降からなので、皆そのニュースを聞いた事により無意識に不安やストレスが溜まってそのような状態になっているのかもしれない……というのが、医師の見解のようだ。
>安静に、とは言われたが寮に戻って部屋に籠もっていても余計ストレスが溜まりそうな気がする。
>やっぱりこのまま学校へ行く事にした。
>……
辰巳ポートアイランド駅前
鳴上「……あれ?」
順平「ん? おー、鳴上か。こんな時間にこんな場所にいるって事は、遅刻か? サボリか?」
鳴上「遅刻の方です。病院に行ってたので」
順平「病院? そういやお前、なんか顔色悪いな」
>そういう順平の方も目の下にクマが出来ていて、あまり顔色がよくないように見える。
順平「実は俺もこれから病院。って言っても、ただの見舞いだけどな。それから帰る予定」
鳴上「誰のお見舞いですか?」
順平「……チドリだよ。また入院しちまってさ」
鳴上「えっ、チドリが!? しかも、またって……」
>診察の結果は、少し熱っぽかった事もあり風邪と診断された。
>寝不足の事についても少し話してみたが、医師の話によるとここ数日でそういう男性の患者が増えているという事らしい。
>一晩の内に変死体が出来上がる事件が発生して以降からなので、皆そのニュースを聞いた事により無意識に不安やストレスが溜まってそのような状態になっているのかもしれない……というのが、医師の見解のようだ。
>安静に、とは言われたが寮に戻って部屋に籠もっていても余計ストレスが溜まりそうな気がする。
>やっぱりこのまま学校へ行く事にした。
>……
辰巳ポートアイランド駅前
鳴上「……あれ?」
順平「ん? おー、鳴上か。こんな時間にこんな場所にいるって事は、遅刻か? サボリか?」
鳴上「遅刻の方です。病院に行ってたので」
順平「病院? そういやお前、なんか顔色悪いな」
>そういう順平の方も目の下にクマが出来ていて、あまり顔色がよくないように見える。
順平「実は俺もこれから病院。って言っても、ただの見舞いだけどな。それから帰る予定」
鳴上「誰のお見舞いですか?」
順平「……チドリだよ。また入院しちまってさ」
鳴上「えっ、チドリが!? しかも、またって……」
132: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:24:29.68:8yGs7c/AO (5/23)
順平「あれ? チドリから聞いてなかったのか? 前に鳴上から渡された手紙に書いてあったのって、その事についてだったんだけど」
鳴上(だからしばらく来れないって言ってたのか……)
順平「結構そういうの多いんだけどさ、アイツ。体あんま丈夫じゃねーんだ」
順平「だから入退院と検査を繰り返してんだけど……」
順平「……今回の事は俺が原因。チドリとの約束守れなくて、ストレスかけちまったせいだ」
順平「俺さ、本当はGW中にチドリに会いにくる予定だったんだ。前にこっち来た時、一緒に遊ぼうってそう言ってさ」
順平「でも急に外せない用事が入っちまって……」
順平「チドリに連絡したかったけど、アイツ携帯嫌いで持ってないしどうしようもなくて」
順平「……きっと、ずっとここで朝から晩まで待ってたんだろうなあ」
>順平は帽子を深く被り直して表情を隠そうとしている。
順平「なんとか事情はわかってもらえたけど、今のままの状態ってやっぱまずいんかな……」
鳴上「……あの、順平さんにとってチドリって」
順平「一番大切にしたい人」
順平「なんてカッコよく言ってもさあ……信じてもらえねえか」
順平「あれ? チドリから聞いてなかったのか? 前に鳴上から渡された手紙に書いてあったのって、その事についてだったんだけど」
鳴上(だからしばらく来れないって言ってたのか……)
順平「結構そういうの多いんだけどさ、アイツ。体あんま丈夫じゃねーんだ」
順平「だから入退院と検査を繰り返してんだけど……」
順平「……今回の事は俺が原因。チドリとの約束守れなくて、ストレスかけちまったせいだ」
順平「俺さ、本当はGW中にチドリに会いにくる予定だったんだ。前にこっち来た時、一緒に遊ぼうってそう言ってさ」
順平「でも急に外せない用事が入っちまって……」
順平「チドリに連絡したかったけど、アイツ携帯嫌いで持ってないしどうしようもなくて」
順平「……きっと、ずっとここで朝から晩まで待ってたんだろうなあ」
>順平は帽子を深く被り直して表情を隠そうとしている。
順平「なんとか事情はわかってもらえたけど、今のままの状態ってやっぱまずいんかな……」
鳴上「……あの、順平さんにとってチドリって」
順平「一番大切にしたい人」
順平「なんてカッコよく言ってもさあ……信じてもらえねえか」
133: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:29:38.33:8yGs7c/AO (6/23)
順平「実際出来てねーし、そんな風に」
鳴上「でも、チドリにこうやって会いに来てるじゃないですか」
鳴上「誰か一人を大切にして守りたいって思うだけでも素敵な事だと思います」
鳴上「俺にはそういう特定の人って……いないから。羨ましいっていうか」
順平「……思ってるだけじゃあ、な」
順平「でも、気使ってくれてありがとな。改めてチドリとの事、考えてみる気になったわ」
>順平はやっと笑顔を見せてくれた。
>順平の事が、少しわかったような気がする……
>『Ⅰ 魔術師 伊織順平』のランクが3になった
鳴上「あの俺も一緒にお見舞いに……いえ、チドリが入院している病院と病室教えてもらってもいいですか?」
順平「ん、ああ。辰巳記念病院の、208号室だぜ」
順平「鳴上が行ってやったら、きっと喜ぶぜ。顔には出さないかもしんねーけどさ」
順平「じゃ、もう行くな」
>順平と別れて学校へ向かった。
>……
順平「実際出来てねーし、そんな風に」
鳴上「でも、チドリにこうやって会いに来てるじゃないですか」
鳴上「誰か一人を大切にして守りたいって思うだけでも素敵な事だと思います」
鳴上「俺にはそういう特定の人って……いないから。羨ましいっていうか」
順平「……思ってるだけじゃあ、な」
順平「でも、気使ってくれてありがとな。改めてチドリとの事、考えてみる気になったわ」
>順平はやっと笑顔を見せてくれた。
>順平の事が、少しわかったような気がする……
>『Ⅰ 魔術師 伊織順平』のランクが3になった
鳴上「あの俺も一緒にお見舞いに……いえ、チドリが入院している病院と病室教えてもらってもいいですか?」
順平「ん、ああ。辰巳記念病院の、208号室だぜ」
順平「鳴上が行ってやったら、きっと喜ぶぜ。顔には出さないかもしんねーけどさ」
順平「じゃ、もう行くな」
>順平と別れて学校へ向かった。
>……
134: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:31:35.66:8yGs7c/AO (7/23)
【昼休み】
月光館学園 3-A 教室
メティス「鳴上さん!」
ラビリス「えっ、悠!?」
メティス「病院に行ったんじゃ……」
鳴上「ああ、行ってきたよ。風邪だってさ」
ラビリス「だったら大人しく帰って寝てればいいやろ!」
鳴上「いや、なんか、寮にいたら気が滅入りそうで」
メティス「……。熱が少しあるようですね」
鳴上「このくらいなんともないって。薬もらってきたしさ」
メティス「……」
メティス「まったく、貴方という人は……」
メティス「昼食をとったらきちんと飲んでくださいね?」
ラビリス「せや。そうするまで、ウチら見張ってるからな?」
鳴上「わかった、わかったって!」
>二人にもだいぶ心配をさせてしまっていたようだ……
鳴上「その前に、先生のところに顔出してくるから」
メティス「あ、そうですね。先生には今日鳴上さんは欠席すると伝えてしまいましたから……」
ラビリス「ウチらもついて行こか?」
鳴上「小さな子供じゃないんだから、それくらい平気だ」
>職員室へ行く事にした。
>……
【昼休み】
月光館学園 3-A 教室
メティス「鳴上さん!」
ラビリス「えっ、悠!?」
メティス「病院に行ったんじゃ……」
鳴上「ああ、行ってきたよ。風邪だってさ」
ラビリス「だったら大人しく帰って寝てればいいやろ!」
鳴上「いや、なんか、寮にいたら気が滅入りそうで」
メティス「……。熱が少しあるようですね」
鳴上「このくらいなんともないって。薬もらってきたしさ」
メティス「……」
メティス「まったく、貴方という人は……」
メティス「昼食をとったらきちんと飲んでくださいね?」
ラビリス「せや。そうするまで、ウチら見張ってるからな?」
鳴上「わかった、わかったって!」
>二人にもだいぶ心配をさせてしまっていたようだ……
鳴上「その前に、先生のところに顔出してくるから」
メティス「あ、そうですね。先生には今日鳴上さんは欠席すると伝えてしまいましたから……」
ラビリス「ウチらもついて行こか?」
鳴上「小さな子供じゃないんだから、それくらい平気だ」
>職員室へ行く事にした。
>……
135: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:33:07.45:8yGs7c/AO (8/23)
渡り廊下
>職員室を訪ねたら姿が無かったので、またあの花壇にいるのではと思いやってきた。
>予想の通り、花壇の世話をしている橿原の姿を発見した。
鳴上「先生」
淳「鳴上くん? あれ、今日はお休みじゃ……」
鳴上「病院に行ってからそのまま学校に来ました」
淳「大丈夫? 今日は土曜だから次の授業で終わりだし、帰って安静にしてた方が」
鳴上「いえ、学校にいた方が元気になれそうな気がするんで」
淳「そう? ならいいんだけどね」
淳「最近、ずっと調子悪そうに見えてたから心配だったんだ。昨日も保健室に行ってたみたいだし。この間の進路の話でストレス感じたのかな……とかね」
鳴上「それもまあ、あったのかもしれませんけど。でも、……ただの風邪ですから。大丈夫です」
淳「……。そっか。あまり無理はしないようにね?」
淳「クラスの子みたいに、ずっと入院するような事にならないように……ね」
鳴上「そういえば、まだ退院出来ていないんですか?」
淳「うん……」
渡り廊下
>職員室を訪ねたら姿が無かったので、またあの花壇にいるのではと思いやってきた。
>予想の通り、花壇の世話をしている橿原の姿を発見した。
鳴上「先生」
淳「鳴上くん? あれ、今日はお休みじゃ……」
鳴上「病院に行ってからそのまま学校に来ました」
淳「大丈夫? 今日は土曜だから次の授業で終わりだし、帰って安静にしてた方が」
鳴上「いえ、学校にいた方が元気になれそうな気がするんで」
淳「そう? ならいいんだけどね」
淳「最近、ずっと調子悪そうに見えてたから心配だったんだ。昨日も保健室に行ってたみたいだし。この間の進路の話でストレス感じたのかな……とかね」
鳴上「それもまあ、あったのかもしれませんけど。でも、……ただの風邪ですから。大丈夫です」
淳「……。そっか。あまり無理はしないようにね?」
淳「クラスの子みたいに、ずっと入院するような事にならないように……ね」
鳴上「そういえば、まだ退院出来ていないんですか?」
淳「うん……」
136: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:34:23.11:8yGs7c/AO (9/23)
鳴上(目を覚まさなくなって徐々に衰弱してるって話だったよな)
鳴上(もしかして、今起きてる事件と関係が? いや、それにしては症状が少し異なってるよな……)
淳「鳴上くんだけじゃなくて、他のクラスや学年にも体調がよくないって子が最近多いみたいなんだよね」
淳「風邪が流行ってるのかな。それとも……」
淳「……」
鳴上「先生?」
淳「あっ、いや、ごめん。なんでもないんだ!」
淳「何かあるとついネガティブに変な方向へ考える悪い癖があってね。あはは……」
淳「えっと……明日は休みだし、鳴上くんも早く風邪治してね」
>橿原は気をかけてくれているようだ……
>『Ⅹ 運命 橿原淳』のランクが4になった
淳「……あ。もう少しでお昼休みも終わるみたいだね」
鳴上「やばっ……俺、昼まだなんでこれで失礼します!」
>橿原に頭を下げて、急いで教室に戻った。
>……
鳴上(目を覚まさなくなって徐々に衰弱してるって話だったよな)
鳴上(もしかして、今起きてる事件と関係が? いや、それにしては症状が少し異なってるよな……)
淳「鳴上くんだけじゃなくて、他のクラスや学年にも体調がよくないって子が最近多いみたいなんだよね」
淳「風邪が流行ってるのかな。それとも……」
淳「……」
鳴上「先生?」
淳「あっ、いや、ごめん。なんでもないんだ!」
淳「何かあるとついネガティブに変な方向へ考える悪い癖があってね。あはは……」
淳「えっと……明日は休みだし、鳴上くんも早く風邪治してね」
>橿原は気をかけてくれているようだ……
>『Ⅹ 運命 橿原淳』のランクが4になった
淳「……あ。もう少しでお昼休みも終わるみたいだね」
鳴上「やばっ……俺、昼まだなんでこれで失礼します!」
>橿原に頭を下げて、急いで教室に戻った。
>……
137: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:36:41.67:8yGs7c/AO (10/23)
【放課後】
>授業が終わり、教室の生徒達はそのまま帰宅したり部活へ向かったりして散り散りになった。
>ラビリスは生徒会の方へ、メティスはアルバイトがあるからとそれぞれ教室を出て行ってしまった。
>二人からあまり寄り道をせずに真っ直ぐ帰るようにと釘を刺されたが……さて、どうしよう?
男子A「鳴上ー、放課後ひまかー?」
鳴上「ん? ああ、まあ暇だな」
男子A「だったらさ、一緒にゲーセンに遊び行かねー?」
鳴上「ゲーセン……」
鳴上(……ラプンツェル、だったか。どんなゲームかやっぱり気になるしな)
鳴上「ああ、いいぞ。行くならポロニアンモールのところのゲーセンにしよう」
男子A「お、わかってんじゃん! ていうより、もしかして鳴上もあのゲームハマってたりとか?」
鳴上「え?」
男子A「ほらー、ネットなんかで話題になってるラプンツェルとかってやつ」
男子A「俺やった事ないからさ、一度くらい遊んでみようかなって思って。でも、この辺だとあそこのゲーセンしか置いてないんだよね」
男子A「しかも古いゲームだから一台しかなくて何時も順番待ちの列が出来てるって話だぜー?」
男子A「どんだけ面白いんだよって話じゃね?」
鳴上「へえ……」
鳴上(そこまで流行ってたのか)
男子A「とにかく行ってみようぜ!」
鳴上「ああ」
【放課後】
>授業が終わり、教室の生徒達はそのまま帰宅したり部活へ向かったりして散り散りになった。
>ラビリスは生徒会の方へ、メティスはアルバイトがあるからとそれぞれ教室を出て行ってしまった。
>二人からあまり寄り道をせずに真っ直ぐ帰るようにと釘を刺されたが……さて、どうしよう?
男子A「鳴上ー、放課後ひまかー?」
鳴上「ん? ああ、まあ暇だな」
男子A「だったらさ、一緒にゲーセンに遊び行かねー?」
鳴上「ゲーセン……」
鳴上(……ラプンツェル、だったか。どんなゲームかやっぱり気になるしな)
鳴上「ああ、いいぞ。行くならポロニアンモールのところのゲーセンにしよう」
男子A「お、わかってんじゃん! ていうより、もしかして鳴上もあのゲームハマってたりとか?」
鳴上「え?」
男子A「ほらー、ネットなんかで話題になってるラプンツェルとかってやつ」
男子A「俺やった事ないからさ、一度くらい遊んでみようかなって思って。でも、この辺だとあそこのゲーセンしか置いてないんだよね」
男子A「しかも古いゲームだから一台しかなくて何時も順番待ちの列が出来てるって話だぜー?」
男子A「どんだけ面白いんだよって話じゃね?」
鳴上「へえ……」
鳴上(そこまで流行ってたのか)
男子A「とにかく行ってみようぜ!」
鳴上「ああ」
138: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:44:02.92:8yGs7c/AO (11/23)
>……
ポロニアンモール
ゲームセンター ゲームパニック
>話に出ていたゲームは、ゲームセンターの中の一番奥の目立たない場所に置かれてあった。
>しかし、クラスメイトが話していた通り、人が並んでいるのが見えたのですぐにみつける事が出来た。
>今は四人ほど順番待ちがいるようだ。
>並んでいるのはいずれも若い男で、その中には月光館学園の制服を着ている同じ学校の者もいる。
男子A「で、結局鳴上はこのゲームやった事あんの?」
鳴上「いや。話に聞いて少し気になってただけだ」
男子A「俺と一緒かー」
鳴上「どんなゲームなんだ?」
男子A「パズルゲームだって話だけど」
鳴上(パズルゲーム? 確かに、ハマる人はとことんハマりそうなジャンルではある……のか?)
男子A「あ、俺たちの番きたぜー」
鳴上「お先にどうぞ」
男子A「いいのか? サンキュー」
鳴上(まずはどんなゲームなのかよく観察してみよう)
>クラスメイトがプレイする様子をじっくりと窺う事にした。
>……
>……
ポロニアンモール
ゲームセンター ゲームパニック
>話に出ていたゲームは、ゲームセンターの中の一番奥の目立たない場所に置かれてあった。
>しかし、クラスメイトが話していた通り、人が並んでいるのが見えたのですぐにみつける事が出来た。
>今は四人ほど順番待ちがいるようだ。
>並んでいるのはいずれも若い男で、その中には月光館学園の制服を着ている同じ学校の者もいる。
男子A「で、結局鳴上はこのゲームやった事あんの?」
鳴上「いや。話に聞いて少し気になってただけだ」
男子A「俺と一緒かー」
鳴上「どんなゲームなんだ?」
男子A「パズルゲームだって話だけど」
鳴上(パズルゲーム? 確かに、ハマる人はとことんハマりそうなジャンルではある……のか?)
男子A「あ、俺たちの番きたぜー」
鳴上「お先にどうぞ」
男子A「いいのか? サンキュー」
鳴上(まずはどんなゲームなのかよく観察してみよう)
>クラスメイトがプレイする様子をじっくりと窺う事にした。
>……
139: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:46:54.36:8yGs7c/AO (12/23)
>『ラプンツェル』の内容は、王子が魔女に捕らえられている姫・ラプンツェルを救いに塔を登っていくという、非常に単純でよくあるストーリーであった。
>塔を登るというのが、肝心のゲーム部分にあたるパズルになっている訳なのだが……
>残機は3あり、決められた手数以内でブロックを押したり引き出したりして足場を作り、塔の上にいるラプンツェルのところへ行ければクリア。
>ステージをクリアした時の残り手数と取得したアイテムによって点数が加算されていくが、落ちたり潰されたり手数がなくなったりして残機が減った時点で0に戻ってしまうので注意が必要だ。
>そうして合計で64あるステージを突破すればED……という感じのゲームのようだ。
>それだけの数のステージをクリアするのも骨が折れそうだが、点数まで気にしていたら結構頭を使いそうなゲームだ。
>しかし、何故だかさっきから妙なデジャヴを感じる……
>何処かで見た、いや
>やった事があるような……?
男子A「わー! ダメだ! ステージ5までしか行けなかったぜー……」
男子A「ほら、次。鳴上の番だぜ」
鳴上「……」
>コインを入れて、ゲームをスタートした。
>……
>『ラプンツェル』の内容は、王子が魔女に捕らえられている姫・ラプンツェルを救いに塔を登っていくという、非常に単純でよくあるストーリーであった。
>塔を登るというのが、肝心のゲーム部分にあたるパズルになっている訳なのだが……
>残機は3あり、決められた手数以内でブロックを押したり引き出したりして足場を作り、塔の上にいるラプンツェルのところへ行ければクリア。
>ステージをクリアした時の残り手数と取得したアイテムによって点数が加算されていくが、落ちたり潰されたり手数がなくなったりして残機が減った時点で0に戻ってしまうので注意が必要だ。
>そうして合計で64あるステージを突破すればED……という感じのゲームのようだ。
>それだけの数のステージをクリアするのも骨が折れそうだが、点数まで気にしていたら結構頭を使いそうなゲームだ。
>しかし、何故だかさっきから妙なデジャヴを感じる……
>何処かで見た、いや
>やった事があるような……?
男子A「わー! ダメだ! ステージ5までしか行けなかったぜー……」
男子A「ほら、次。鳴上の番だぜ」
鳴上「……」
>コインを入れて、ゲームをスタートした。
>……
140: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:49:08.51:8yGs7c/AO (13/23)
男子A「お、おおっ!? 結構イイ感じじゃね?」
鳴上「……」
>……
男子A「だいぶ進んだなー」
鳴上「……」
鳴上「体が軽い……」
鳴上「こんな幸せな気持ちで登るなんてはじめて。もう何も、」
鳴上「あ、落ちた」
男子A「あー!? 何やってんだよー!」
>ちょっとしたミスで操作していた王子は足場から落ちていってしまい、ゲームオーバーになってしまった。
>ステージ20まで進んだが、ランキングにあるスコアにはほど遠いようだ。
男子A「あー、これか。噂になってるのって」
鳴上「……あ」
>ゲームオーバー後に映ったランキングの画面の1st 2ndの後に続く名前が同じなのを見てパオフゥが言っていた事を改めて思い出した。
鳴上「伝説の男……『VIN』?」
男子A「そーそー! 詳しい話は知らねーけど、凄い人なんだってなー」
男子A「最近じゃある事ない事いろいろ言われてるみたいだけど……っと、後がつかえてるから行こうぜ!」
>クラスメイトに引っ張られてゲームセンターを出た。
>……
男子A「お、おおっ!? 結構イイ感じじゃね?」
鳴上「……」
>……
男子A「だいぶ進んだなー」
鳴上「……」
鳴上「体が軽い……」
鳴上「こんな幸せな気持ちで登るなんてはじめて。もう何も、」
鳴上「あ、落ちた」
男子A「あー!? 何やってんだよー!」
>ちょっとしたミスで操作していた王子は足場から落ちていってしまい、ゲームオーバーになってしまった。
>ステージ20まで進んだが、ランキングにあるスコアにはほど遠いようだ。
男子A「あー、これか。噂になってるのって」
鳴上「……あ」
>ゲームオーバー後に映ったランキングの画面の1st 2ndの後に続く名前が同じなのを見てパオフゥが言っていた事を改めて思い出した。
鳴上「伝説の男……『VIN』?」
男子A「そーそー! 詳しい話は知らねーけど、凄い人なんだってなー」
男子A「最近じゃある事ない事いろいろ言われてるみたいだけど……っと、後がつかえてるから行こうぜ!」
>クラスメイトに引っ張られてゲームセンターを出た。
>……
141: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:51:08.52:8yGs7c/AO (14/23)
男子A「……しっかしなあ、想像してたよりあんま楽しくなかったな、あのゲーム」
鳴上「そうか? 俺は割とイケるというかなんというか……」
男子A「マジで? そういえば超真剣だったな。目が血走ってたっつーか」
鳴上「……」
>正直な話、三分の一程度しか進めなかったのは非常に悔しい……
>しかし実際に自分で遊んでみても思ったが、やはりあのパズルを解く感じは何処かでやった事があるような気がした。
>いったい何処で……
男子A「悪い鳴上! 俺、バイトがあるからもう行くわ!」
鳴上「ああ、うん。また学校で」
男子A「またなー!」
>クラスメイトは手を振って去っていった。
鳴上「さて、これからどうしよう」
「……鳴上か?」
鳴上「?」
>今度は誰だ……?
ヴィンセント「やっぱりそうだ。こんな時間に会うのは初めてじゃないか?」
鳴上「あ、どうも。こんにちは」
鳴上「ヴィンセントさんはまたあのクラブに飲みにでも?」
ヴィンセント「いや、昼間からはさすがにちょっと……。いくら酒は置いてないっていってもな」
ヴィンセント「仕事が休みだったから、ちょっとこの辺ぶらついてただけだよ」
男子A「……しっかしなあ、想像してたよりあんま楽しくなかったな、あのゲーム」
鳴上「そうか? 俺は割とイケるというかなんというか……」
男子A「マジで? そういえば超真剣だったな。目が血走ってたっつーか」
鳴上「……」
>正直な話、三分の一程度しか進めなかったのは非常に悔しい……
>しかし実際に自分で遊んでみても思ったが、やはりあのパズルを解く感じは何処かでやった事があるような気がした。
>いったい何処で……
男子A「悪い鳴上! 俺、バイトがあるからもう行くわ!」
鳴上「ああ、うん。また学校で」
男子A「またなー!」
>クラスメイトは手を振って去っていった。
鳴上「さて、これからどうしよう」
「……鳴上か?」
鳴上「?」
>今度は誰だ……?
ヴィンセント「やっぱりそうだ。こんな時間に会うのは初めてじゃないか?」
鳴上「あ、どうも。こんにちは」
鳴上「ヴィンセントさんはまたあのクラブに飲みにでも?」
ヴィンセント「いや、昼間からはさすがにちょっと……。いくら酒は置いてないっていってもな」
ヴィンセント「仕事が休みだったから、ちょっとこの辺ぶらついてただけだよ」
142: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:53:11.07:8yGs7c/AO (15/23)
ヴィンセント「鳴上は買い物か?」
鳴上「ゲームセンターに遊びに行ってたんですよ。最近流行のゲームがあるとかで、それを試しにやりに」
ヴィンセント「もしかして、ラプンツェルのことか?」
鳴上「ヴィンセントさんも知ってるんですか、あれ」
ヴィンセント「まあな。昔は俺もダチと一緒によくアレで遊んだもんさ。また流行ってるのか」
鳴上「結構難しいですよね。途中までしか行けなかったんで、いつかEDまでいけたらいいけど……」
ヴィンセント「……お前はあのゲームにハマったクチか」
鳴上「え? まあ、そうなる……のかな? 続きも気になるし」
ヴィンセント「ふうん……」
ヴィンセント「ところで、さっきから気になってたけど、お前さ」
ヴィンセント「……」
鳴上「?」
ヴィンセント「……いや、ちょっとそこで待ってろ」
>そう言ってヴィンセントは近くにある薬局へと入っていった。
>数分後……
ヴィンセント「鳴上は買い物か?」
鳴上「ゲームセンターに遊びに行ってたんですよ。最近流行のゲームがあるとかで、それを試しにやりに」
ヴィンセント「もしかして、ラプンツェルのことか?」
鳴上「ヴィンセントさんも知ってるんですか、あれ」
ヴィンセント「まあな。昔は俺もダチと一緒によくアレで遊んだもんさ。また流行ってるのか」
鳴上「結構難しいですよね。途中までしか行けなかったんで、いつかEDまでいけたらいいけど……」
ヴィンセント「……お前はあのゲームにハマったクチか」
鳴上「え? まあ、そうなる……のかな? 続きも気になるし」
ヴィンセント「ふうん……」
ヴィンセント「ところで、さっきから気になってたけど、お前さ」
ヴィンセント「……」
鳴上「?」
ヴィンセント「……いや、ちょっとそこで待ってろ」
>そう言ってヴィンセントは近くにある薬局へと入っていった。
>数分後……
143: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 21:59:27.89:8yGs7c/AO (16/23)
ヴィンセント「……ヒットポイントかいふくするなら~♪」
鳴上「なんですか? その歌」
ヴィンセント「え? あー、さっきそこの店に入った時、音痴……いや、味のある鼻歌声でこんな曲歌ってるヤツがいてさ。うつった」
ヴィンセント「……そんな事より、ほらよ」
鳴上「え? わっ……!」
>何かを投げ渡され、それを慌てて受け取った。
鳴上「栄養ドリンク?」
ヴィンセント「なんか冴えない顔してっからさ」
ヴィンセント「昨日の夜顔見せなかったのも、具合悪かったからか?」
鳴上「……そんなところです」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「そのやつれた感じとか……もしかしてお前……」
ヴィンセント「いや、滅多な事は言うもんじゃねえよな」
>ヴィンセントはひとりで何かぶつぶつと呟いている。
ヴィンセント「……まあ、あれだ。俺も話し相手がいねーと、寂しいからさ」
ヴィンセント「元気が出たらまた来いよ。……って、夜中にあんな店に誘う大人もどうかしてんな」
ヴィンセント「お大事に」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……きずぐすり~と、ほうぎょくで~♪ ……あ、やべ、頭から離れねぇ……」
>手を振ってヴィンセントはゲームセンターの中へと入っていってしまった。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが4になった
鳴上「……」
鳴上「……おとなしく帰るか」
>駅へ向かう事にした。
>……
青ひげファーマシー
店主「まいどー」
藤堂「~♪」
藤堂「いつも~たたかうみんなのみかた~ぼくらのまち~のおくすりや・さ・ん~♪」
>……
ヴィンセント「……ヒットポイントかいふくするなら~♪」
鳴上「なんですか? その歌」
ヴィンセント「え? あー、さっきそこの店に入った時、音痴……いや、味のある鼻歌声でこんな曲歌ってるヤツがいてさ。うつった」
ヴィンセント「……そんな事より、ほらよ」
鳴上「え? わっ……!」
>何かを投げ渡され、それを慌てて受け取った。
鳴上「栄養ドリンク?」
ヴィンセント「なんか冴えない顔してっからさ」
ヴィンセント「昨日の夜顔見せなかったのも、具合悪かったからか?」
鳴上「……そんなところです」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「そのやつれた感じとか……もしかしてお前……」
ヴィンセント「いや、滅多な事は言うもんじゃねえよな」
>ヴィンセントはひとりで何かぶつぶつと呟いている。
ヴィンセント「……まあ、あれだ。俺も話し相手がいねーと、寂しいからさ」
ヴィンセント「元気が出たらまた来いよ。……って、夜中にあんな店に誘う大人もどうかしてんな」
ヴィンセント「お大事に」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……きずぐすり~と、ほうぎょくで~♪ ……あ、やべ、頭から離れねぇ……」
>手を振ってヴィンセントはゲームセンターの中へと入っていってしまった。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが4になった
鳴上「……」
鳴上「……おとなしく帰るか」
>駅へ向かう事にした。
>……
青ひげファーマシー
店主「まいどー」
藤堂「~♪」
藤堂「いつも~たたかうみんなのみかた~ぼくらのまち~のおくすりや・さ・ん~♪」
>……
144: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:01:05.36:8yGs7c/AO (17/23)
巌戸台駅前
「ゆー」
鳴上「!」
鳴上(この声、この気配は……!)
「うー!」
鳴上「――ハッ!」
「きゃっ!?」
>背後から迫ってきた人物を避けるよう咄嗟に体を動かした。
>そのせいで、その人物は前のめりに転んでしまったようだ。
鳴上「やっぱりお前か、キミコ」
キミコ「ひどーい! わかっててよけたあ!」
鳴上「すまない、つい」
キミコ「むー……」
キミコ「元気になったのかすごく心配してたのに……メールの返事もくれないしさ」
鳴上「!」
鳴上(そういえばそうだった……忘れてた)
鳴上「わ、悪かったって。えっと……お詫びにまた大福でもご馳走するから」
キミコ「ホント!? やったあ♪ あ、そういえばバナナ大福どうだった? 美味しかったでしょ」
鳴上「あー……それは……」
鳴上(その味を今確かめに行きたいとは言えない……)
キミコ「よっし、今日は私もお腹いっぱいバナナ大福食べてやるんだから!」
鳴上「わっ、コラ、引っ張るな……!」
>キミコに腕を引かれながら甘味処 小豆あらいまで向かった。
>……
巌戸台駅前
「ゆー」
鳴上「!」
鳴上(この声、この気配は……!)
「うー!」
鳴上「――ハッ!」
「きゃっ!?」
>背後から迫ってきた人物を避けるよう咄嗟に体を動かした。
>そのせいで、その人物は前のめりに転んでしまったようだ。
鳴上「やっぱりお前か、キミコ」
キミコ「ひどーい! わかっててよけたあ!」
鳴上「すまない、つい」
キミコ「むー……」
キミコ「元気になったのかすごく心配してたのに……メールの返事もくれないしさ」
鳴上「!」
鳴上(そういえばそうだった……忘れてた)
鳴上「わ、悪かったって。えっと……お詫びにまた大福でもご馳走するから」
キミコ「ホント!? やったあ♪ あ、そういえばバナナ大福どうだった? 美味しかったでしょ」
鳴上「あー……それは……」
鳴上(その味を今確かめに行きたいとは言えない……)
キミコ「よっし、今日は私もお腹いっぱいバナナ大福食べてやるんだから!」
鳴上「わっ、コラ、引っ張るな……!」
>キミコに腕を引かれながら甘味処 小豆あらいまで向かった。
>……
145: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:02:52.65:8yGs7c/AO (18/23)
甘味処 小豆あらい
キミコ「いっただっきまーす」
>キミコは、並んだバナナ大福の山を幸せそうにしながら口の中に入れている。
鳴上「ひとりでそんなに食べられるのか?」
キミコ「何言ってるの? 悠だって食べるんでしょ?」
鳴上「それはそうだけど」
鳴上(にしても多すぎる気が……)
キミコ「はい、あーん」
>キミコはバナナ大福を食べさせようと顔の前まで差し出してきた。
鳴上「いや、自分で食べられるから」
キミコ「あーん」
鳴上「あの、だから」
キミコ「あーん」
鳴上「……」
キミコ「あー……」
鳴上「……わかったよ。食べればいいんだろ……」
キミコ「♪」
>キミコに食べさせてもらうような形で、バナナ大福を口の中に入れた。
>周りに殆ど客がいなくて助かった……
鳴上「……」
キミコ「ふふっ、こうしてるとカレシカノジョみたいだね!」
鳴上「いや、それは流石にどうかと」
キミコ「悠ってさ、クールに見えて実は結構恥ずかしがり屋さんでしょ?」
キミコ「それでいて夜はとても大胆だし……」
鳴上「いちいちそういう話に持って行こうとするな」
キミコ「あははっ」
>キミコは無邪気に笑っている。
甘味処 小豆あらい
キミコ「いっただっきまーす」
>キミコは、並んだバナナ大福の山を幸せそうにしながら口の中に入れている。
鳴上「ひとりでそんなに食べられるのか?」
キミコ「何言ってるの? 悠だって食べるんでしょ?」
鳴上「それはそうだけど」
鳴上(にしても多すぎる気が……)
キミコ「はい、あーん」
>キミコはバナナ大福を食べさせようと顔の前まで差し出してきた。
鳴上「いや、自分で食べられるから」
キミコ「あーん」
鳴上「あの、だから」
キミコ「あーん」
鳴上「……」
キミコ「あー……」
鳴上「……わかったよ。食べればいいんだろ……」
キミコ「♪」
>キミコに食べさせてもらうような形で、バナナ大福を口の中に入れた。
>周りに殆ど客がいなくて助かった……
鳴上「……」
キミコ「ふふっ、こうしてるとカレシカノジョみたいだね!」
鳴上「いや、それは流石にどうかと」
キミコ「悠ってさ、クールに見えて実は結構恥ずかしがり屋さんでしょ?」
キミコ「それでいて夜はとても大胆だし……」
鳴上「いちいちそういう話に持って行こうとするな」
キミコ「あははっ」
>キミコは無邪気に笑っている。
146: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:04:59.55:8yGs7c/AO (19/23)
鳴上「……」
鳴上「なあ、キミコはどうして俺に構ってくるんだ?」
キミコ「どうしてって」
キミコ「好きだからだよ?」
鳴上「……でも、そう感じる理由が、その」
鳴上「一夜の過ちが原因……だとしたら」
鳴上「正直どうしたらいいのかわからないんだ」
鳴上「俺、あの夜の事本当に何故か記憶になくて。だからって言い逃れする気はないんだけど」
鳴上「ないんだ、けど」
鳴上「……」
鳴上「ごめん」
鳴上(謝って済む事じゃないよな……)
キミコ「どうして謝るの?」
キミコ「私が聞きたいのはそんな言葉じゃないのにな」
鳴上「でも……」
キミコ「ねえ。悠は私の事、好き? 嫌い?」
キミコ「どっち?」
鳴上「えっ。どっち、と聞かれても」
鳴上「……嫌いではない、としか」
キミコ「じゃあ、好きなんだね! やった!」
鳴上「いや、それは」
鳴上「……それは多分、キミコが俺に思っている好きとは違う」
キミコ「いいじゃない。そうだって別に」
鳴上「え?」
キミコ「今はそうでも私は構わないよ? ……今は、ね?」
キミコ「私たち、まだお互いの事知らなさすぎでしょ?」
キミコ「だからこれから改めてゆっくり始めたっていいんじゃないかな」
キミコ「私たちの関係」
鳴上「……!」
>向かいあって座っていた筈のキミコは、いつの間にか隣に座っていた。
鳴上「……」
鳴上「なあ、キミコはどうして俺に構ってくるんだ?」
キミコ「どうしてって」
キミコ「好きだからだよ?」
鳴上「……でも、そう感じる理由が、その」
鳴上「一夜の過ちが原因……だとしたら」
鳴上「正直どうしたらいいのかわからないんだ」
鳴上「俺、あの夜の事本当に何故か記憶になくて。だからって言い逃れする気はないんだけど」
鳴上「ないんだ、けど」
鳴上「……」
鳴上「ごめん」
鳴上(謝って済む事じゃないよな……)
キミコ「どうして謝るの?」
キミコ「私が聞きたいのはそんな言葉じゃないのにな」
鳴上「でも……」
キミコ「ねえ。悠は私の事、好き? 嫌い?」
キミコ「どっち?」
鳴上「えっ。どっち、と聞かれても」
鳴上「……嫌いではない、としか」
キミコ「じゃあ、好きなんだね! やった!」
鳴上「いや、それは」
鳴上「……それは多分、キミコが俺に思っている好きとは違う」
キミコ「いいじゃない。そうだって別に」
鳴上「え?」
キミコ「今はそうでも私は構わないよ? ……今は、ね?」
キミコ「私たち、まだお互いの事知らなさすぎでしょ?」
キミコ「だからこれから改めてゆっくり始めたっていいんじゃないかな」
キミコ「私たちの関係」
鳴上「……!」
>向かいあって座っていた筈のキミコは、いつの間にか隣に座っていた。
147: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:08:02.83:8yGs7c/AO (20/23)
キミコ「――それで最終的に責任とってくれるなら、それ以上の事はないけどね?」
鳴上「っ……」
>ニコリと笑うキミコを見て、何故だか背筋が冷たくなるのを感じた……
キミコ「あ、何か落ちたよ?」
鳴上「……え?」
>キミコが指さす方を見ると、ポケットに入れていた筈の特別課外活動部の腕章がそこに落ちているのが目に入った。
>素早くそれを回収した。
キミコ「それなに?」
鳴上「委員会……いや、部活の会員の証? みたいなものかな」
キミコ「ふーん」
鳴上「無くしたら大変なところだった。教えてくれてありが……」
キミコ「ねえ」
キミコ「あの夜の事、本当に覚えてないの?」
鳴上「……?」
鳴上(どうしたんだ、また急に……)
キミコ「だったら私が教えてあげる」
鳴上「!」
キミコ「悠はね、あの夜……クラブでひとりだったの」
キミコ「ひとりぼっちだったの」
鳴上「……」
キミコ「それでね、なんだか顔色悪くして、凄く疲れてた」
キミコ「どうかしたの? って聞いたら」
キミコ「――それで最終的に責任とってくれるなら、それ以上の事はないけどね?」
鳴上「っ……」
>ニコリと笑うキミコを見て、何故だか背筋が冷たくなるのを感じた……
キミコ「あ、何か落ちたよ?」
鳴上「……え?」
>キミコが指さす方を見ると、ポケットに入れていた筈の特別課外活動部の腕章がそこに落ちているのが目に入った。
>素早くそれを回収した。
キミコ「それなに?」
鳴上「委員会……いや、部活の会員の証? みたいなものかな」
キミコ「ふーん」
鳴上「無くしたら大変なところだった。教えてくれてありが……」
キミコ「ねえ」
キミコ「あの夜の事、本当に覚えてないの?」
鳴上「……?」
鳴上(どうしたんだ、また急に……)
キミコ「だったら私が教えてあげる」
鳴上「!」
キミコ「悠はね、あの夜……クラブでひとりだったの」
キミコ「ひとりぼっちだったの」
鳴上「……」
キミコ「それでね、なんだか顔色悪くして、凄く疲れてた」
キミコ「どうかしたの? って聞いたら」
148: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:11:36.08:8yGs7c/AO (21/23)
キミコ「長い間だんまりした後にね、……言ったの」
キミコ「どうしたいんだろう。……って」
鳴上「っ――!?」
鳴上「何の、事だ? 何が……?」
鳴上「……言ってる事が、意味が、……わからない」
キミコ「それこそ私にもわからないなあ」
>キミコはくすくすと小さく笑い声を上げている。
キミコ「でもね、その時ふと感じたの……悠はね、何か抱えてるんじゃないのかなって。それに潰されそうになってるんじゃないのかなって……ね?」
キミコ「それが何かまではわからないよ? ひとつだけじゃないのかもしれないし、小さな事が積み重なって大きな重石になってるのかもしれない」
キミコ「……そもそも、それに悠自身が気付いてないのかもね? だから余計、重い枷になってるってのもあり得るよね?」
鳴上「何が、言いたいんだ……何が目的でそんな、意味のわからない、デタラメをっ……」
キミコ「悠は言いたい事、ないの?」
キミコ「誰かに訴えたい事や、ぶつけたい怒りとか、不安とか、衝動とか」
キミコ「――ずっと奥底に押しつけておく気なの?」
キミコ「それって疲れない? 疲れるよね?」
キミコ「だって悠は頑張ってるもん。無駄なほどにね?」
キミコ「長い間だんまりした後にね、……言ったの」
キミコ「どうしたいんだろう。……って」
鳴上「っ――!?」
鳴上「何の、事だ? 何が……?」
鳴上「……言ってる事が、意味が、……わからない」
キミコ「それこそ私にもわからないなあ」
>キミコはくすくすと小さく笑い声を上げている。
キミコ「でもね、その時ふと感じたの……悠はね、何か抱えてるんじゃないのかなって。それに潰されそうになってるんじゃないのかなって……ね?」
キミコ「それが何かまではわからないよ? ひとつだけじゃないのかもしれないし、小さな事が積み重なって大きな重石になってるのかもしれない」
キミコ「……そもそも、それに悠自身が気付いてないのかもね? だから余計、重い枷になってるってのもあり得るよね?」
鳴上「何が、言いたいんだ……何が目的でそんな、意味のわからない、デタラメをっ……」
キミコ「悠は言いたい事、ないの?」
キミコ「誰かに訴えたい事や、ぶつけたい怒りとか、不安とか、衝動とか」
キミコ「――ずっと奥底に押しつけておく気なの?」
キミコ「それって疲れない? 疲れるよね?」
キミコ「だって悠は頑張ってるもん。無駄なほどにね?」
149: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:13:09.89:8yGs7c/AO (22/23)
キミコ「私は悠のそのどうしようもないものの捌け口になってあげたいだけなんだよ?」
キミコ「……わかるよね?」
鳴上「……」
キミコ「ふふふ……じゃあ、また近いうちに会おうね?」
>キミコは店から静かに出ていった。
鳴上「……」
鳴上「……わかるか、だって?」
鳴上「そんなもの……」
鳴上「っ……」
店員「お客様、ご注文はお決まりになりましたか?」
店員「……あら? お客様?」
>店を飛び出し、腕章を固く握り締めながら走って寮に向かった……
キミコ「私は悠のそのどうしようもないものの捌け口になってあげたいだけなんだよ?」
キミコ「……わかるよね?」
鳴上「……」
キミコ「ふふふ……じゃあ、また近いうちに会おうね?」
>キミコは店から静かに出ていった。
鳴上「……」
鳴上「……わかるか、だって?」
鳴上「そんなもの……」
鳴上「っ……」
店員「お客様、ご注文はお決まりになりましたか?」
店員「……あら? お客様?」
>店を飛び出し、腕章を固く握り締めながら走って寮に向かった……
150: ◆Hw7XKfELws:2012/05/11(金) 22:14:12.59:8yGs7c/AO (23/23)
終わります。
また次回。
終わります。
また次回。
151:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/11(金) 22:15:09.97:QPWhT5BAO (1/1)
乙
乙
152:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/11(金) 22:21:54.52:FWg0o3fMo (1/1)
乙
ハイレグアーマーは基本
乙
ハイレグアーマーは基本
153:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/11(金) 22:27:16.52:iBB7LJAd0 (1/1)
すまねぇんだが キミコて誰?
すまねぇんだが キミコて誰?
154:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/11(金) 22:29:39.66:UCGxqxmMo (1/1)
公子(?)
公子(?)
155:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/11(金) 22:54:40.53:sL7OKX4C0 (1/1)
主人公子…いったい誰なんだー
主人公子…いったい誰なんだー
156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/05/12(土) 01:12:02.67:JgqTj9VE0 (1/1)
鳴上wwwwwwフラグをたてるなwwwwww
鳴上wwwwwwフラグをたてるなwwwwww
157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/05/12(土) 01:16:54.25:JGx/h0E4o (1/1)
主人公子(CV井上麻里奈)
いったい何ム子なんだ……?
主人公子(CV井上麻里奈)
いったい何ム子なんだ……?
158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/12(土) 01:46:26.19:H4JrppCRo (1/1)
P4しかやったことないから、キミコってずっとキャサリンのキャラなのかと思ってた。
あの子か。
P4しかやったことないから、キミコってずっとキャサリンのキャラなのかと思ってた。
あの子か。
159:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/12(土) 01:50:29.37:qB28OYWj0 (1/1)
話の面白さと合間に挟まれる細々としたネタに、
ついニヤついてしまう自分の顔が映るのが怖いので、
すぐにモニターの電源が切れません…
話の面白さと合間に挟まれる細々としたネタに、
ついニヤついてしまう自分の顔が映るのが怖いので、
すぐにモニターの電源が切れません…
160:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/12(土) 02:46:29.72:KMkC+pkIO (1/1)
番長マミろうとすんなwwwwww
番長マミろうとすんなwwwwww
161:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/12(土) 14:14:58.49:BKkwcbHw0 (1/1)
あくまで別人のせいだよきっと!
あくまで別人のせいだよきっと!
162: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 21:57:07.27:otZlIOkAO (1/27)
>外はただの曇り空から一変、ひどい土砂降りになっていた。
>傘を持っていなかった為その雨を一身に受ける事になったが、そんな事など今は気にも止まらなかった。
>さっきからずっとキミコから言われた言葉が色々と断片的に頭の中で反芻している。
>それに激しい雨音が混ざってひどく不愉快だった……
>……
学生寮 ラウンジ
アイギス「おかえりなさ……鳴上さん!?」
アイギス「ずぶ濡れじゃないですか! ちょっと待ってください。今タオルを……」
>アイギスは急いでタオルを持ってきてくれて、頭に被せて拭いてくれた。
アイギス「お風呂に入った方が良さそうですね。これ以上体が冷えたら、具合が悪化してしまいます」
アイギス「一度部屋に戻って、……鳴上さん?」
鳴上「……」
鳴上「……着替え取ってきます。風呂の準備、お願いしていいですか?」
アイギス「……あ、はい」
鳴上「頼みました」
アイギス「……」
アイギス「鳴上さん……?」
>……
>外はただの曇り空から一変、ひどい土砂降りになっていた。
>傘を持っていなかった為その雨を一身に受ける事になったが、そんな事など今は気にも止まらなかった。
>さっきからずっとキミコから言われた言葉が色々と断片的に頭の中で反芻している。
>それに激しい雨音が混ざってひどく不愉快だった……
>……
学生寮 ラウンジ
アイギス「おかえりなさ……鳴上さん!?」
アイギス「ずぶ濡れじゃないですか! ちょっと待ってください。今タオルを……」
>アイギスは急いでタオルを持ってきてくれて、頭に被せて拭いてくれた。
アイギス「お風呂に入った方が良さそうですね。これ以上体が冷えたら、具合が悪化してしまいます」
アイギス「一度部屋に戻って、……鳴上さん?」
鳴上「……」
鳴上「……着替え取ってきます。風呂の準備、お願いしていいですか?」
アイギス「……あ、はい」
鳴上「頼みました」
アイギス「……」
アイギス「鳴上さん……?」
>……
163: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 21:59:36.19:otZlIOkAO (2/27)
自室
>風呂を浴びて体も温まり、落ち着きを取り戻した。
>……今の内に薬を飲んで仮眠しよう。
>今夜は出来ればまたパオフゥと話して例のゲームについての報告をしたいし、クラブにいるならヴィンセントと話もしたい。
>それまでに少しでも体力と気力を回復させておかねば。
>そして何より、さっきあった事についてもう何も考えたくなかった。
>キミコ……彼女は一体何者なのだろう。
>……
>……?
鳴上(考えたくないって……何でそう思うんだろう)
>……
>それを考える事自体がもう面倒だった。
>……寝よう。
>……
【夜】
コンコン
鳴上「……ん?」
>何かの音を聞いて目が覚めた。
コンコン
>どうやら誰かが扉をノックしているようだ。
アイギス「鳴上さん。おやすみだったらごめんなさい。起きていらっしゃいますか?」
鳴上「ちょっと待ってください。今、開けます」
>ベッドから起きあがって部屋の扉を開いた。
アイギス「調子の方はどうですか? お腹空いてないかと思ってお粥を作ってきたのですが……」
鳴上「……あ、すみません。わざわざありがとうございます」
自室
>風呂を浴びて体も温まり、落ち着きを取り戻した。
>……今の内に薬を飲んで仮眠しよう。
>今夜は出来ればまたパオフゥと話して例のゲームについての報告をしたいし、クラブにいるならヴィンセントと話もしたい。
>それまでに少しでも体力と気力を回復させておかねば。
>そして何より、さっきあった事についてもう何も考えたくなかった。
>キミコ……彼女は一体何者なのだろう。
>……
>……?
鳴上(考えたくないって……何でそう思うんだろう)
>……
>それを考える事自体がもう面倒だった。
>……寝よう。
>……
【夜】
コンコン
鳴上「……ん?」
>何かの音を聞いて目が覚めた。
コンコン
>どうやら誰かが扉をノックしているようだ。
アイギス「鳴上さん。おやすみだったらごめんなさい。起きていらっしゃいますか?」
鳴上「ちょっと待ってください。今、開けます」
>ベッドから起きあがって部屋の扉を開いた。
アイギス「調子の方はどうですか? お腹空いてないかと思ってお粥を作ってきたのですが……」
鳴上「……あ、すみません。わざわざありがとうございます」
164: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:02:30.49:otZlIOkAO (3/27)
アイギス「いえ。インスタントのものですし」
>アイギスからお粥と水の入ったコップが置かれたトレイを受け取った。
アイギス「顔色は少し良くなったみたいですね。熱もないようです」
アイギス「……。あの、鳴上さん」
鳴上「はい?」
アイギス「……」
>アイギスは何か言いたそうにしているが、黙り込んでしまった。
鳴上「アイギスさん?」
アイギス「……いえ、その」
アイギス「……! そ、そうです、明日!」
鳴上「え、明日?」
アイギス「はい。明日、メティスとラビリス姉さんとで買い物に行く予定なのですが、良かったら鳴上さんもどうですか?」
鳴上「俺も一緒に?」
アイギス「ええ。もちろん、体の具合が良ければの話になりますけど」
鳴上「明日の予定は特に決めてなかったからそれは構わないですけど……いいんですか? 俺なんかがついていって」
アイギス「三人で遊びに行こうって話をした時、鳴上さんも誘おうかという流れになったので、貴方も一緒ならメティスも姉さんも喜びますよ」
鳴上「そう、ですか? じゃあ、お誘いに乗ろうかな。荷物持ちくらいの役には立てると思うし」
アイギス「本当ですか? 良かったです」
アイギス「それじゃあ、これで失礼しますね。お大事にしてください。明日、楽しみにしていますから」
>アイギスは嬉しそうに微笑んでいる。
>アイギスとの仲が少し深まった気がした。
>『Ⅶ 戦車 アイギス』のランクが3になった
>……せっかく食事も貰った事だ。
>冷めないうちに食べてしまおう。
>……
アイギス「いえ。インスタントのものですし」
>アイギスからお粥と水の入ったコップが置かれたトレイを受け取った。
アイギス「顔色は少し良くなったみたいですね。熱もないようです」
アイギス「……。あの、鳴上さん」
鳴上「はい?」
アイギス「……」
>アイギスは何か言いたそうにしているが、黙り込んでしまった。
鳴上「アイギスさん?」
アイギス「……いえ、その」
アイギス「……! そ、そうです、明日!」
鳴上「え、明日?」
アイギス「はい。明日、メティスとラビリス姉さんとで買い物に行く予定なのですが、良かったら鳴上さんもどうですか?」
鳴上「俺も一緒に?」
アイギス「ええ。もちろん、体の具合が良ければの話になりますけど」
鳴上「明日の予定は特に決めてなかったからそれは構わないですけど……いいんですか? 俺なんかがついていって」
アイギス「三人で遊びに行こうって話をした時、鳴上さんも誘おうかという流れになったので、貴方も一緒ならメティスも姉さんも喜びますよ」
鳴上「そう、ですか? じゃあ、お誘いに乗ろうかな。荷物持ちくらいの役には立てると思うし」
アイギス「本当ですか? 良かったです」
アイギス「それじゃあ、これで失礼しますね。お大事にしてください。明日、楽しみにしていますから」
>アイギスは嬉しそうに微笑んでいる。
>アイギスとの仲が少し深まった気がした。
>『Ⅶ 戦車 アイギス』のランクが3になった
>……せっかく食事も貰った事だ。
>冷めないうちに食べてしまおう。
>……
165: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:05:45.32:otZlIOkAO (4/27)
>食事を済ませヴィンセントから貰った栄養ドリンクを飲んでから、PCを点けてニュースをチェックした。
>……
>謎の衰弱死事件は止まる気配はないようだ……
>被害者の共通項として上がっているのはいずれも男性であり、近頃寝不足を訴えていた者が多いという事らしいが……
鳴上(寝不足の、男性……)
>嫌な予感は止まらない……
>そもそも、自分が寝不足である原因になっている毎夜見る夢。
>おそらく同じ夢を繰り返し見ていると思うのだが、それなのに何故はっきりと覚えていないのだろう。
鳴上(……俺の精神的な問題が夢に反映してる、とか?)
鳴上(だとしたら、その精神的な問題って具体的には……)
鳴上(……)
ピロン♪
鳴上「――ッ!?」
>突然音が鳴ってかなり驚いてしまった。
>昨夜と同じく、メッセンジャーからパオフゥが呼びかけているようだ。
>ちょうどいい。今日の事を彼に報告しよう。
>食事を済ませヴィンセントから貰った栄養ドリンクを飲んでから、PCを点けてニュースをチェックした。
>……
>謎の衰弱死事件は止まる気配はないようだ……
>被害者の共通項として上がっているのはいずれも男性であり、近頃寝不足を訴えていた者が多いという事らしいが……
鳴上(寝不足の、男性……)
>嫌な予感は止まらない……
>そもそも、自分が寝不足である原因になっている毎夜見る夢。
>おそらく同じ夢を繰り返し見ていると思うのだが、それなのに何故はっきりと覚えていないのだろう。
鳴上(……俺の精神的な問題が夢に反映してる、とか?)
鳴上(だとしたら、その精神的な問題って具体的には……)
鳴上(……)
ピロン♪
鳴上「――ッ!?」
>突然音が鳴ってかなり驚いてしまった。
>昨夜と同じく、メッセンジャーからパオフゥが呼びかけているようだ。
>ちょうどいい。今日の事を彼に報告しよう。
166: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:08:02.43:otZlIOkAO (5/27)
番長:こんばんは。
番長:いいタイミングでした。パオフゥさんに、例のラプンツェルについての話をしようと思ってたところです。
番長:今日、さっそく遊んできたので。
パオフゥ:おお、そうか
パオフゥ:そいつはありがたい。で、やってみた感想は?
鳴上「……」
>少し考えてから、キーボードに文字を打ち込んだ。
番長:古いゲームにしてはジャンルがパズルだからかなかなか頭を使うし難しいゲームだと思いました。
番長:でも、遊んでいて夢中になってしまいましたし、またやってみたいですね。
番長:EDも見てみたいし。
>パオフゥの反応がしばしの間止まった。
パオフゥ:そうか、お前はあのゲームに熱中した方か
番長:はい、そうです。
番長:一緒にプレイしに行った人はそんなに面白くないって言ってましたけどね。
パオフゥ:なるほど
パオフゥ:実は俺も一回だけ試しに遊んでみた事があるんだが
パオフゥ:感想は番長の連れの方と一緒だ
番長:やっぱり感じ方は人それぞれですね。
パオフゥ:それにしても、だ
パオフゥ:俺はこのゲームに関してだけは、その感想が極端に別れている気がする
鳴上「……?」
番長:こんばんは。
番長:いいタイミングでした。パオフゥさんに、例のラプンツェルについての話をしようと思ってたところです。
番長:今日、さっそく遊んできたので。
パオフゥ:おお、そうか
パオフゥ:そいつはありがたい。で、やってみた感想は?
鳴上「……」
>少し考えてから、キーボードに文字を打ち込んだ。
番長:古いゲームにしてはジャンルがパズルだからかなかなか頭を使うし難しいゲームだと思いました。
番長:でも、遊んでいて夢中になってしまいましたし、またやってみたいですね。
番長:EDも見てみたいし。
>パオフゥの反応がしばしの間止まった。
パオフゥ:そうか、お前はあのゲームに熱中した方か
番長:はい、そうです。
番長:一緒にプレイしに行った人はそんなに面白くないって言ってましたけどね。
パオフゥ:なるほど
パオフゥ:実は俺も一回だけ試しに遊んでみた事があるんだが
パオフゥ:感想は番長の連れの方と一緒だ
番長:やっぱり感じ方は人それぞれですね。
パオフゥ:それにしても、だ
パオフゥ:俺はこのゲームに関してだけは、その感想が極端に別れている気がする
鳴上「……?」
167: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:14:46.69:otZlIOkAO (6/27)
パオフゥ:中毒的にハマるというか必死にプレイするヤツと、どうでもいいってヤツとの差が激しいんだよ
パオフゥ:しかも、その中間の感想を述べるヤツも滅多にいない
パオフゥ:それを踏まえてひとつお前に聞きたい事がある
パオフゥ:変な事を聞いていると思うかもしれないが、正直に答えてくれ
番長:はい。なんでしょう?
パオフゥ:お前、最近睡眠に関する不安を抱えていたり
パオフゥ:いや、眠るという事自体に不安を覚えていたりしないか?
鳴上「――!?」
>何故彼にそんな事がわかるのだろう……
>指先が僅かに震えているのを感じながら、キーボードを叩いた。
番長:確かに最近寝不足だったりしますね…。
番長:寝ても寝た感じがしないというか。
>……
>パオフゥからの応答がなかなか帰ってこない……
パオフゥ:お前も今までのヤツらと一緒という事か
番長:今までのヤツらというのは?
番長:どうしてこんな事を聞いてくるんですか?
パオフゥ:今まで俺は、ラプンツェルをやった何人も人間の感想をネットで見たりこんな風に聞いたりしてきた
パオフゥ:その結果わかった事は
パオフゥ:ラプンツェルにハマっているのほぼ男だという事と
パオフゥ:その中で、最近変な夢を見るせいで安眠出来ていない者が非常に多いらしいという事だ
パオフゥ:ついでに、初めてプレイした筈なのにそうは感じなかったって言っているのも多かった
パオフゥ:番長はその辺どうだ?
パオフゥ:中毒的にハマるというか必死にプレイするヤツと、どうでもいいってヤツとの差が激しいんだよ
パオフゥ:しかも、その中間の感想を述べるヤツも滅多にいない
パオフゥ:それを踏まえてひとつお前に聞きたい事がある
パオフゥ:変な事を聞いていると思うかもしれないが、正直に答えてくれ
番長:はい。なんでしょう?
パオフゥ:お前、最近睡眠に関する不安を抱えていたり
パオフゥ:いや、眠るという事自体に不安を覚えていたりしないか?
鳴上「――!?」
>何故彼にそんな事がわかるのだろう……
>指先が僅かに震えているのを感じながら、キーボードを叩いた。
番長:確かに最近寝不足だったりしますね…。
番長:寝ても寝た感じがしないというか。
>……
>パオフゥからの応答がなかなか帰ってこない……
パオフゥ:お前も今までのヤツらと一緒という事か
番長:今までのヤツらというのは?
番長:どうしてこんな事を聞いてくるんですか?
パオフゥ:今まで俺は、ラプンツェルをやった何人も人間の感想をネットで見たりこんな風に聞いたりしてきた
パオフゥ:その結果わかった事は
パオフゥ:ラプンツェルにハマっているのほぼ男だという事と
パオフゥ:その中で、最近変な夢を見るせいで安眠出来ていない者が非常に多いらしいという事だ
パオフゥ:ついでに、初めてプレイした筈なのにそうは感じなかったって言っているのも多かった
パオフゥ:番長はその辺どうだ?
168: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:18:00.07:otZlIOkAO (7/27)
鳴上「っ……」
鳴上「俺と同じ人間が何人もいる……?」
パオフゥ:初めはただの偶然だと思っていたが
パオフゥ:そう主張する連中は日が経つに連れて急激に増えている
パオフゥ:そして、これは少し言いにくい事ではあるが
パオフゥ:そう言っていた何人もの人間と今、連絡がとれなくなってきている
パオフゥ:お前はこの自体をどう思う?
鳴上「……いや。そんなの考えすぎ……じゃ……」
鳴上「まさか、そんな……」
番長:ニュースで上がっている衰弱死は、睡眠不足を訴える男性に多いと言っていました。
番長:まさか、それに関係しているとでも?
パオフゥ:かもしれねえと、俺は思う
番長:仮にそうだとしたら、もしかしてラプンツェルに熱中するとそうなった人間が寝不足になって
番長:何かの拍子に衰弱死してしまうとか?
番長:でも俺は、あのゲームをやるまえから寝不足に悩まされていましたよ?
パオフゥ:となると、寝不足に悩まされているからこそあのゲームにハマるという事か?
鳴上「どういう事だ……」
鳴上「どっちにせよ、あのゲームも死因に関わりがあるのだろうか?」
鳴上「いや……そもそも、噂では夢の中で落ちた時に目が覚めないと死んでしまうって話だったよな」
鳴上「それがあの衰弱死の原因かもって。医学的な根拠なんかはない訳だけど」
鳴上「でもその落ちるというのが、あのゲームのような状況で……だとしたら?」
鳴上「そうだとしとも、夢の中の出来事が現実に反映するなんて、なんでそんな事が」
鳴上「ッ……!」
>頭に急な激痛が走った。
>……何か、少し思い出せたような気がする。
鳴上「……やっぱり俺も見ているのか?」
鳴上「落ちると死ぬ夢を……」
鳴上「っ……」
鳴上「俺と同じ人間が何人もいる……?」
パオフゥ:初めはただの偶然だと思っていたが
パオフゥ:そう主張する連中は日が経つに連れて急激に増えている
パオフゥ:そして、これは少し言いにくい事ではあるが
パオフゥ:そう言っていた何人もの人間と今、連絡がとれなくなってきている
パオフゥ:お前はこの自体をどう思う?
鳴上「……いや。そんなの考えすぎ……じゃ……」
鳴上「まさか、そんな……」
番長:ニュースで上がっている衰弱死は、睡眠不足を訴える男性に多いと言っていました。
番長:まさか、それに関係しているとでも?
パオフゥ:かもしれねえと、俺は思う
番長:仮にそうだとしたら、もしかしてラプンツェルに熱中するとそうなった人間が寝不足になって
番長:何かの拍子に衰弱死してしまうとか?
番長:でも俺は、あのゲームをやるまえから寝不足に悩まされていましたよ?
パオフゥ:となると、寝不足に悩まされているからこそあのゲームにハマるという事か?
鳴上「どういう事だ……」
鳴上「どっちにせよ、あのゲームも死因に関わりがあるのだろうか?」
鳴上「いや……そもそも、噂では夢の中で落ちた時に目が覚めないと死んでしまうって話だったよな」
鳴上「それがあの衰弱死の原因かもって。医学的な根拠なんかはない訳だけど」
鳴上「でもその落ちるというのが、あのゲームのような状況で……だとしたら?」
鳴上「そうだとしとも、夢の中の出来事が現実に反映するなんて、なんでそんな事が」
鳴上「ッ……!」
>頭に急な激痛が走った。
>……何か、少し思い出せたような気がする。
鳴上「……やっぱり俺も見ているのか?」
鳴上「落ちると死ぬ夢を……」
169: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:22:44.17:otZlIOkAO (8/27)
パオフゥ:あのゲームについてはもう少し調べる価値がありそうだな
パオフゥ:さて、その話はひとまず置くとして
パオフゥ:事件について調べてわかった事がもうひとつある
鳴上「!」
パオフゥ:実はこの事件、三年前だけでなく定期的に何度か起こっていた事のようだ
パオフゥ:これしきの情報調べるのに時間がかかるとはな……思いもよらなかったぜ
番長:定期的にというと前回が三年前だから、三年ごとって感じですか?
パオフゥ:いや
パオフゥ:三年前までは百年ごとに似たような事件が起こっていたみたいだな
鳴上「百年? また随分と時間が空いてるな」
パオフゥ:つまり、三年前がその百年目にあたっていた訳だが、今回は何故かたった三年しか経たないうちに、また事件が起きているってこった
パオフゥ:それが一体何を意味しているのか……それは調べを進めない事にはわからないが
パオフゥ:もしかしたら、その百年ごとに起きていた事とは似たようで違う事が起きているという可能性もある、と思う
パオフゥ:あのゲームについてはもう少し調べる価値がありそうだな
パオフゥ:さて、その話はひとまず置くとして
パオフゥ:事件について調べてわかった事がもうひとつある
鳴上「!」
パオフゥ:実はこの事件、三年前だけでなく定期的に何度か起こっていた事のようだ
パオフゥ:これしきの情報調べるのに時間がかかるとはな……思いもよらなかったぜ
番長:定期的にというと前回が三年前だから、三年ごとって感じですか?
パオフゥ:いや
パオフゥ:三年前までは百年ごとに似たような事件が起こっていたみたいだな
鳴上「百年? また随分と時間が空いてるな」
パオフゥ:つまり、三年前がその百年目にあたっていた訳だが、今回は何故かたった三年しか経たないうちに、また事件が起きているってこった
パオフゥ:それが一体何を意味しているのか……それは調べを進めない事にはわからないが
パオフゥ:もしかしたら、その百年ごとに起きていた事とは似たようで違う事が起きているという可能性もある、と思う
170: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:25:38.65:otZlIOkAO (9/27)
パオフゥ:とまあ、現在調べがついているのはこんな事くらいまでだ
番長:ありがとうございます
番長:こちらも色々考える事が出来ました
パオフゥ:今日はもうこれで落ちるが
パオフゥ:気をつけろよ
パオフゥ:何がどう、とは言えねえが
パオフゥ:お前まで連絡がとれなくなるような事にならないよう祈ってる
パオフゥ:じゃあな
>パオフゥはオフライン状態になった。
>パオフゥからまた新たに情報を入手した。
>『Ⅸ 隠者 パオフゥ』のランクが6になった
>メッセンジャーから退席して、PCの電源を落とした。
鳴上「情報はぽつぽつと揃ってはきたけど、まだ足りない気がする」
鳴上「もっと聞けるところから些細な事でいいから聞いておかないとな」
>それに今は、言い表せない不安を誰かと話して紛らわせたい気分だ……
鳴上「……あの人のところへ行こう」
>さっきまで寝ていたおかげで眠気も感じてはいない。
>再び就寝するには早いだろう。
>雨はもうあがっているようだが……
>今の状態で寮にいる者に出かけるところを見かけられたら何を言われるかわからない。
>支度を済ませこっそりと寮を抜け出し、クラブエスカペイドを目指した。
>……
パオフゥ:とまあ、現在調べがついているのはこんな事くらいまでだ
番長:ありがとうございます
番長:こちらも色々考える事が出来ました
パオフゥ:今日はもうこれで落ちるが
パオフゥ:気をつけろよ
パオフゥ:何がどう、とは言えねえが
パオフゥ:お前まで連絡がとれなくなるような事にならないよう祈ってる
パオフゥ:じゃあな
>パオフゥはオフライン状態になった。
>パオフゥからまた新たに情報を入手した。
>『Ⅸ 隠者 パオフゥ』のランクが6になった
>メッセンジャーから退席して、PCの電源を落とした。
鳴上「情報はぽつぽつと揃ってはきたけど、まだ足りない気がする」
鳴上「もっと聞けるところから些細な事でいいから聞いておかないとな」
>それに今は、言い表せない不安を誰かと話して紛らわせたい気分だ……
鳴上「……あの人のところへ行こう」
>さっきまで寝ていたおかげで眠気も感じてはいない。
>再び就寝するには早いだろう。
>雨はもうあがっているようだが……
>今の状態で寮にいる者に出かけるところを見かけられたら何を言われるかわからない。
>支度を済ませこっそりと寮を抜け出し、クラブエスカペイドを目指した。
>……
171: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:30:26.95:otZlIOkAO (10/27)
クラブ エスカペイド
>いつもの席に見知った後ろ姿をすぐに発見する事が出来た。
>肩を軽く叩き、隣の席へと座った。
鳴上「こんばんは」
ヴィンセント「お、来たか」
鳴上「昼間はありがとうございました」
ヴィンセント「いや、気にすんな。具合はもういいのか? 顔色の方は……あまり変わってねぇみたいだけど」
鳴上「ええ、まあ」
鳴上「中途半端に昼寝してしまって眠くないから少し遊びに来ちゃいました」
鳴上「ヴィンセントさんの話の続き気になるし、それに」
鳴上「……俺も少し、話したい事があるんで」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「どうした? 何か悩み事か?」
鳴上「あの、実は……」
メガネの女「ちょっとッ! これ、どういう事!? 説明しなさいよ!」
鳴上・ヴィンセント「!」
>話を切りだそうとしたところで、少し離れた所から女の叫び声がするのを耳にし、思わずそちらの方を振り返った。
>そこには、睨み合っている女が二人と、その間で狼狽えている一人の男がいた。
クラブ エスカペイド
>いつもの席に見知った後ろ姿をすぐに発見する事が出来た。
>肩を軽く叩き、隣の席へと座った。
鳴上「こんばんは」
ヴィンセント「お、来たか」
鳴上「昼間はありがとうございました」
ヴィンセント「いや、気にすんな。具合はもういいのか? 顔色の方は……あまり変わってねぇみたいだけど」
鳴上「ええ、まあ」
鳴上「中途半端に昼寝してしまって眠くないから少し遊びに来ちゃいました」
鳴上「ヴィンセントさんの話の続き気になるし、それに」
鳴上「……俺も少し、話したい事があるんで」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「どうした? 何か悩み事か?」
鳴上「あの、実は……」
メガネの女「ちょっとッ! これ、どういう事!? 説明しなさいよ!」
鳴上・ヴィンセント「!」
>話を切りだそうとしたところで、少し離れた所から女の叫び声がするのを耳にし、思わずそちらの方を振り返った。
>そこには、睨み合っている女が二人と、その間で狼狽えている一人の男がいた。
172: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:33:41.90:otZlIOkAO (11/27)
派手な女「説明してほしいのはこっちなんですけどぉ? なんであんたみたいな女がこんなところにいる訳?」
メガネの女「貴女には聞いてないのよ! 私は彼に聞いてるの!」
男「いや、あの、これはっ……」
メガネの女「ねえ! この女は一体何なの!? 誰なの!? 答えなさいよ!」
派手な女「もー、うっさいなあ。見てわかんないの? 私は彼のカノジョなんだけど? つーか、あんたこそ何?」
メガネの女「は、……はあ!? デタラメ言わないでよ。彼の恋人は私なのよ!? 離れなさいよ!」
>派手な女は男にぴったりとくっついたままメガネの女と睨み合うのをやめようとしない……
>周りの客はみんなその三人に注目しているようだ。
ヴィンセント「なんだあ? 痴話喧嘩か?」
鳴上(迂闊に間に割って入れなそうな雰囲気だ……)
店員「ちょ、ちょっとお客様! 落ち着いてください!」
>それでも勇敢に立ち向かっていったこの店員を今は褒めてやりたい……
>女達はなかなか引き下がる気配を見せなかったが、暫くしてから男が二人の女を連れて店から出ていき、この場は収まった。
ヴィンセント「最近の若い連中は元気だねぇ」
鳴上「あはは……あれは流石にちょっと」
鳴上「あの男の人、浮気でもしてたんですかね」
ヴィンセント「そんなとこなんじゃねえの?」
ヴィンセント「俺も似たような事になって苦労した事あるなあ……それも昔の話だけどさ」
鳴上「そういえば、その浮気を清算した後って……どうなったんですか?」
ヴィンセント「ん、ああ……色々と揉めはしたけど、結婚したよ。もちろん、前から付き合っていた彼女の方とさ」
鳴上「それはおめでとうございます」
ヴィンセント「どうも」
派手な女「説明してほしいのはこっちなんですけどぉ? なんであんたみたいな女がこんなところにいる訳?」
メガネの女「貴女には聞いてないのよ! 私は彼に聞いてるの!」
男「いや、あの、これはっ……」
メガネの女「ねえ! この女は一体何なの!? 誰なの!? 答えなさいよ!」
派手な女「もー、うっさいなあ。見てわかんないの? 私は彼のカノジョなんだけど? つーか、あんたこそ何?」
メガネの女「は、……はあ!? デタラメ言わないでよ。彼の恋人は私なのよ!? 離れなさいよ!」
>派手な女は男にぴったりとくっついたままメガネの女と睨み合うのをやめようとしない……
>周りの客はみんなその三人に注目しているようだ。
ヴィンセント「なんだあ? 痴話喧嘩か?」
鳴上(迂闊に間に割って入れなそうな雰囲気だ……)
店員「ちょ、ちょっとお客様! 落ち着いてください!」
>それでも勇敢に立ち向かっていったこの店員を今は褒めてやりたい……
>女達はなかなか引き下がる気配を見せなかったが、暫くしてから男が二人の女を連れて店から出ていき、この場は収まった。
ヴィンセント「最近の若い連中は元気だねぇ」
鳴上「あはは……あれは流石にちょっと」
鳴上「あの男の人、浮気でもしてたんですかね」
ヴィンセント「そんなとこなんじゃねえの?」
ヴィンセント「俺も似たような事になって苦労した事あるなあ……それも昔の話だけどさ」
鳴上「そういえば、その浮気を清算した後って……どうなったんですか?」
ヴィンセント「ん、ああ……色々と揉めはしたけど、結婚したよ。もちろん、前から付き合っていた彼女の方とさ」
鳴上「それはおめでとうございます」
ヴィンセント「どうも」
173: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:35:52.95:otZlIOkAO (12/27)
ヴィンセント「……今はさ、一歳になる娘もいる」
鳴上「へえ、じゃあもう可愛くて仕方ないんじゃないですか?」
ヴィンセント「……」
鳴上「?」
>ヴィンセントは黙ったままグラスを傾けている。
ヴィンセント「最近さ。その娘が、……似てきてる気がすんだよ」
鳴上「え? ……ヴィンセントさんにですか?」
ヴィンセント「はは、俺みたいなのに似てきたらそれはそれで悲劇だな」
ヴィンセント「そうじゃなくて……」
鳴上「あ、じゃあ奥さんの方か」
ヴィンセント「っ……」
>ヴィンセントの顔色が徐々に青くなっていく。
ヴィンセント「そうだったら……どれほど、いいか」
鳴上「え?」
ヴィンセント「……そんな事ないってわかってる。そんな筈はねえんだ。でもっ……」
>ヴィンセントは俯いてぶつぶつと呟いた後、グラスの中身を一気に喉に流し込んだ。
鳴上「だ、大丈夫ですか!?」
ヴィンセント「っ……すまねえ、なんでもないから」
>ヴィンセントは大きく息を吐き、顔をこちらに向けた。
>表情は無理矢理笑おうとしているように見える……
ヴィンセント「それより、鳴上の話がまだだったな。どうかしたのか?」
鳴上「あ」
鳴上「いえ、その……」
ヴィンセント「ん?」
ヴィンセント「……今はさ、一歳になる娘もいる」
鳴上「へえ、じゃあもう可愛くて仕方ないんじゃないですか?」
ヴィンセント「……」
鳴上「?」
>ヴィンセントは黙ったままグラスを傾けている。
ヴィンセント「最近さ。その娘が、……似てきてる気がすんだよ」
鳴上「え? ……ヴィンセントさんにですか?」
ヴィンセント「はは、俺みたいなのに似てきたらそれはそれで悲劇だな」
ヴィンセント「そうじゃなくて……」
鳴上「あ、じゃあ奥さんの方か」
ヴィンセント「っ……」
>ヴィンセントの顔色が徐々に青くなっていく。
ヴィンセント「そうだったら……どれほど、いいか」
鳴上「え?」
ヴィンセント「……そんな事ないってわかってる。そんな筈はねえんだ。でもっ……」
>ヴィンセントは俯いてぶつぶつと呟いた後、グラスの中身を一気に喉に流し込んだ。
鳴上「だ、大丈夫ですか!?」
ヴィンセント「っ……すまねえ、なんでもないから」
>ヴィンセントは大きく息を吐き、顔をこちらに向けた。
>表情は無理矢理笑おうとしているように見える……
ヴィンセント「それより、鳴上の話がまだだったな。どうかしたのか?」
鳴上「あ」
鳴上「いえ、その……」
ヴィンセント「ん?」
174: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:38:47.54:otZlIOkAO (13/27)
鳴上「……」
鳴上「ヴィンセントさんなら、何かわかるかもって思うから話したいんですけど」
鳴上「俺、最近……妙な夢を見てて」
鳴上「何かから必死に逃げてるって感じなんですけど、でも起きたらはっきり詳しい内容を思い出す事が出来なくて」
ヴィンセント「!」
鳴上「毎晩その繰り返しで……もしかしたら」
鳴上「もしかしてそれって、……それが噂の落ちると死ぬ夢なのかって」
鳴上「……どう思いますか?」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「もう一杯、くれないか」
店員「かしこまりました」
>ヴィンセントは何時も飲んでいるドリンクを頼むと、それを差し出してきた。
ヴィンセント「飲め」
鳴上「……ありがとうございます」
>それを一気に喉へと流し込んで、一息ついた。
ヴィンセント「どうしてそう思うんだ? 落ちると死ぬ夢を見てるって」
鳴上「色々と自分で調べてみて……もしかしたらそうかもしれないと、ついさっき感じたんです」
ヴィンセント「なるほどね……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「実を言うと……だな」
ヴィンセント「俺も最近、そんな夢を見ている気がする……って言ったら信じるか?」
鳴上「!?」
鳴上「……」
鳴上「ヴィンセントさんなら、何かわかるかもって思うから話したいんですけど」
鳴上「俺、最近……妙な夢を見てて」
鳴上「何かから必死に逃げてるって感じなんですけど、でも起きたらはっきり詳しい内容を思い出す事が出来なくて」
ヴィンセント「!」
鳴上「毎晩その繰り返しで……もしかしたら」
鳴上「もしかしてそれって、……それが噂の落ちると死ぬ夢なのかって」
鳴上「……どう思いますか?」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「もう一杯、くれないか」
店員「かしこまりました」
>ヴィンセントは何時も飲んでいるドリンクを頼むと、それを差し出してきた。
ヴィンセント「飲め」
鳴上「……ありがとうございます」
>それを一気に喉へと流し込んで、一息ついた。
ヴィンセント「どうしてそう思うんだ? 落ちると死ぬ夢を見てるって」
鳴上「色々と自分で調べてみて……もしかしたらそうかもしれないと、ついさっき感じたんです」
ヴィンセント「なるほどね……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「実を言うと……だな」
ヴィンセント「俺も最近、そんな夢を見ている気がする……って言ったら信じるか?」
鳴上「!?」
175: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:46:00.17:otZlIOkAO (14/27)
ヴィンセント「でもさ、ちょっとおかしいんだよ」
ヴィンセント「あれは、前に見た夢と何か違う気がする……いや、違うのは夢じゃなくて……」
ヴィンセント「くそっ、わかんねえ……!」
鳴上「……?」
鳴上「前に、見た夢? それって……?」
pipipipipipi……
>携帯が鳴っている。
ヴィンセント「! 俺の携帯か。悪い、ちょっと」
>ヴィンセントは席を立って、静かな場所で電話に出た。
>……
ヴィンセント「……すまないな。今日はもう、帰らないといけなくなった」
鳴上「そう、ですか。いえ、いきなり変な話したりしてすみませんでした」
ヴィンセント「いいって」
ヴィンセント「その不安な気持ち、わかるからさ」
鳴上「……」
鳴上「あの」
ヴィンセント「話の続きはまた次回にしよう。俺は大体いつも同じ時間にいるからさ」
>ヴィンセントはこちらが飲んだドリンクの代金まで支払ってくれた。
ヴィンセント「……またここで会おう」
ヴィンセント「いや、もしかしたら」
ヴィンセント「夢の中で会えるかもな」
鳴上「……」
鳴上「はい」
ヴィンセント「でもさ、ちょっとおかしいんだよ」
ヴィンセント「あれは、前に見た夢と何か違う気がする……いや、違うのは夢じゃなくて……」
ヴィンセント「くそっ、わかんねえ……!」
鳴上「……?」
鳴上「前に、見た夢? それって……?」
pipipipipipi……
>携帯が鳴っている。
ヴィンセント「! 俺の携帯か。悪い、ちょっと」
>ヴィンセントは席を立って、静かな場所で電話に出た。
>……
ヴィンセント「……すまないな。今日はもう、帰らないといけなくなった」
鳴上「そう、ですか。いえ、いきなり変な話したりしてすみませんでした」
ヴィンセント「いいって」
ヴィンセント「その不安な気持ち、わかるからさ」
鳴上「……」
鳴上「あの」
ヴィンセント「話の続きはまた次回にしよう。俺は大体いつも同じ時間にいるからさ」
>ヴィンセントはこちらが飲んだドリンクの代金まで支払ってくれた。
ヴィンセント「……またここで会おう」
ヴィンセント「いや、もしかしたら」
ヴィンセント「夢の中で会えるかもな」
鳴上「……」
鳴上「はい」
176: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:49:00.34:otZlIOkAO (15/27)
ヴィンセント「ああ、そうだ。うっかりしてた」
鳴上「?」
ヴィンセント「お前も興味持ってたみたいだから、あのゲームの攻略にどうかと思って。ほら」
>ヴィンセントから古い携帯ゲーム機を貰った。
ヴィンセント「中にラプンツェルのゲームが入ってる。ゲーセンに置いてあるのとは内容が違ってるけどな」
鳴上「!」
ヴィンセント「やるよ」
鳴上「でも……」
ヴィンセント「いいからいいから。じゃあな」
鳴上「ありがとうございます!」
>ヴィンセントは手を振って、クラブの出入り口から出て行った。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが5になった
鳴上(何かの手がかりになればいいけど……)
鳴上(純粋に楽しめるならそれもあり、か)
鳴上(……今夜はもう帰ろう)
>……
ヴィンセント「ああ、そうだ。うっかりしてた」
鳴上「?」
ヴィンセント「お前も興味持ってたみたいだから、あのゲームの攻略にどうかと思って。ほら」
>ヴィンセントから古い携帯ゲーム機を貰った。
ヴィンセント「中にラプンツェルのゲームが入ってる。ゲーセンに置いてあるのとは内容が違ってるけどな」
鳴上「!」
ヴィンセント「やるよ」
鳴上「でも……」
ヴィンセント「いいからいいから。じゃあな」
鳴上「ありがとうございます!」
>ヴィンセントは手を振って、クラブの出入り口から出て行った。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが5になった
鳴上(何かの手がかりになればいいけど……)
鳴上(純粋に楽しめるならそれもあり、か)
鳴上(……今夜はもう帰ろう)
>……
177: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:51:13.10:otZlIOkAO (16/27)
学生寮 ラウンジ
天田「……え? 鳴上さん?」
鳴上「! 天田……」
天田「部屋で休んでいたんじゃなかったんですか?」
鳴上「あ、ああ。ちょっと気分転換に……散歩に」
天田「そうなんですか。……見つかったのが僕で良かったですね。メティスさんとかだったら、きっと凄く怒られてたんじゃないですか?」
鳴上「はは、確かに……」
鳴上「でも、天田はなんでこんな時間にこんな場所に?」
天田「寝る前にホットミルクでも作って飲もうかな……って」
天田「よかったら、鳴上さんもどうですか?」
鳴上「そうだな……貰おうか」
天田「はい。じゃあ、用意してきますね」
>……
天田「おまたせしました」
鳴上「ありがとう」
>二人でカウンターの席に座ってホットミルクを飲んだ。
>甘くて体が温まる……
天田「……ふう」
>一息吐く天田の表情はどこか暗い。
鳴上「俺が言えた事じゃないけど、……元気がないみたいだな」
天田「元気がないというか……」
天田「ここのところ、寝付きがあまりよくなくて」
鳴上「……」
鳴上「そういえば天田、少し様子が変だったな」
鳴上「俺が見た夢の事を気にしたり」
天田「……」
学生寮 ラウンジ
天田「……え? 鳴上さん?」
鳴上「! 天田……」
天田「部屋で休んでいたんじゃなかったんですか?」
鳴上「あ、ああ。ちょっと気分転換に……散歩に」
天田「そうなんですか。……見つかったのが僕で良かったですね。メティスさんとかだったら、きっと凄く怒られてたんじゃないですか?」
鳴上「はは、確かに……」
鳴上「でも、天田はなんでこんな時間にこんな場所に?」
天田「寝る前にホットミルクでも作って飲もうかな……って」
天田「よかったら、鳴上さんもどうですか?」
鳴上「そうだな……貰おうか」
天田「はい。じゃあ、用意してきますね」
>……
天田「おまたせしました」
鳴上「ありがとう」
>二人でカウンターの席に座ってホットミルクを飲んだ。
>甘くて体が温まる……
天田「……ふう」
>一息吐く天田の表情はどこか暗い。
鳴上「俺が言えた事じゃないけど、……元気がないみたいだな」
天田「元気がないというか……」
天田「ここのところ、寝付きがあまりよくなくて」
鳴上「……」
鳴上「そういえば天田、少し様子が変だったな」
鳴上「俺が見た夢の事を気にしたり」
天田「……」
178: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:53:08.61:otZlIOkAO (17/27)
鳴上「……ひょっとして天田も妙な夢を見た、……いや」
鳴上「見続けているのか?」
天田「っ……」
天田「や、やっぱり……鳴上さんも、なんですね?」
鳴上「ああ……」
天田「……」
鳴上「……」
>長い沈黙が続いた……
>隣にいる天田を見ると、肩が少し震えているのがわかった。
天田「どんな夢かははっきり覚えてないんですけど。いつも何かに追いかけられて、逃げ切って……」
天田「そういう夢を見て朝目覚める度に、次にあの夢を見たらもう二度と目が覚めないんじゃないかって……何故だかそんな気持ちになるんです」
天田「おかしいですよね。たかが、夢なのに」
鳴上「……落ち着け」
>天田の肩をぽんぽんと優しく叩いた。
天田「ありがとうございます。なんだかみっともないですね」
鳴上「俺だって……平気な訳じゃない」
天田「鳴上さん……」
天田「僕たち、どうしてそんな夢を見ているんでしょうかね」
天田「なにか、したのかな……」
鳴上「……」
天田「シャドウが関係してるのかなって思った事もあるんですけど……これは、そういうのじゃない気がします」
天田「だから美鶴さん達には相談出来なくて」
鳴上「……ひょっとして天田も妙な夢を見た、……いや」
鳴上「見続けているのか?」
天田「っ……」
天田「や、やっぱり……鳴上さんも、なんですね?」
鳴上「ああ……」
天田「……」
鳴上「……」
>長い沈黙が続いた……
>隣にいる天田を見ると、肩が少し震えているのがわかった。
天田「どんな夢かははっきり覚えてないんですけど。いつも何かに追いかけられて、逃げ切って……」
天田「そういう夢を見て朝目覚める度に、次にあの夢を見たらもう二度と目が覚めないんじゃないかって……何故だかそんな気持ちになるんです」
天田「おかしいですよね。たかが、夢なのに」
鳴上「……落ち着け」
>天田の肩をぽんぽんと優しく叩いた。
天田「ありがとうございます。なんだかみっともないですね」
鳴上「俺だって……平気な訳じゃない」
天田「鳴上さん……」
天田「僕たち、どうしてそんな夢を見ているんでしょうかね」
天田「なにか、したのかな……」
鳴上「……」
天田「シャドウが関係してるのかなって思った事もあるんですけど……これは、そういうのじゃない気がします」
天田「だから美鶴さん達には相談出来なくて」
179: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:56:15.85:otZlIOkAO (18/27)
鳴上「そうだな。それは天田と同意見だ」
鳴上「現実で考えていても仕方ない」
鳴上「あの夢の中で決着をつけない限りは……」
天田「……そうなんですか、ね。やっぱり」
天田「うん。でも、鳴上さんに話したら滅入っていた気分が少しよくなりました」
天田「僕、負けませんよ。あんな夢なんかに」
>天田の表情が変わった。
鳴上「ああ。俺も、天田と話が出来て良かった」
鳴上「あ、そうだ。眠る前に、少しこのゲームをやってみないか?」
天田「? なんですか、これ」
鳴上「やってみればわかる。たぶんな」
>天田に、ヴィンセントから貰った携帯ゲーム機を渡した。
天田「それじゃあ失礼して」
天田「……ん」
天田「あ、あれ?」
天田「この感じ……なんだろ」
天田「……」
>天田はゲームに熱中しているようだ。
鳴上(天田も、か……)
鳴上「あ、そこは右から二番目のブロックを引っ張った方が早いんじゃないか?」
天田「そっか! じゃあ、ここを押してぶら下がって……」
>天田と一時を過ごした。
>『Ⅷ 正義 天田乾』のランクが3になった
>……
>だいぶ夜も更けてきた……
>キリのいいところで引き上げて、自室に戻る事にした。
>そろそろ行こう。
>あの、夢の中へ……
>…
>……
>………
鳴上「そうだな。それは天田と同意見だ」
鳴上「現実で考えていても仕方ない」
鳴上「あの夢の中で決着をつけない限りは……」
天田「……そうなんですか、ね。やっぱり」
天田「うん。でも、鳴上さんに話したら滅入っていた気分が少しよくなりました」
天田「僕、負けませんよ。あんな夢なんかに」
>天田の表情が変わった。
鳴上「ああ。俺も、天田と話が出来て良かった」
鳴上「あ、そうだ。眠る前に、少しこのゲームをやってみないか?」
天田「? なんですか、これ」
鳴上「やってみればわかる。たぶんな」
>天田に、ヴィンセントから貰った携帯ゲーム機を渡した。
天田「それじゃあ失礼して」
天田「……ん」
天田「あ、あれ?」
天田「この感じ……なんだろ」
天田「……」
>天田はゲームに熱中しているようだ。
鳴上(天田も、か……)
鳴上「あ、そこは右から二番目のブロックを引っ張った方が早いんじゃないか?」
天田「そっか! じゃあ、ここを押してぶら下がって……」
>天田と一時を過ごした。
>『Ⅷ 正義 天田乾』のランクが3になった
>……
>だいぶ夜も更けてきた……
>キリのいいところで引き上げて、自室に戻る事にした。
>そろそろ行こう。
>あの、夢の中へ……
>…
>……
>………
180: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 22:57:11.35:otZlIOkAO (19/27)
死への秒読みが刻まれていく
止まることも止めることも、もう出来はしない――
Next→
――stage 6 Clock Tower
時計塔――
死への秒読みが刻まれていく
止まることも止めることも、もう出来はしない――
Next→
――stage 6 Clock Tower
時計塔――
181: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:02:01.36:otZlIOkAO (20/27)
Night mare
第六階層 第一エリア
>カチコチと一定のリズムで針が動く音が聞こえる。
>そして遠くの方でゴーンという音が響いた。
>ゴール近くを知らせる鐘の音とは違う。
>どうやら上の方に大きな時計があるようだ。
>もっとも、ここからだと見上げてもその時計の姿を肉眼で確認する事は出来なかったのだが……
鳴上「また雰囲気が変わったな……」
鳴上「上の方、なんだか少し眩しい気がするし」
鳴上「光……か?」
鳴上「……あれを目指せばいいんだろうか」
>……
踊り場
>段々と仕掛けや置かれている石の構造が複雑になっていっている。
>一言でいってしまえば、殺す気十二分な作りなのある。
>当たり前といえば当たり前なのかもしれないが……
>今回は乗ると数秒後に爆発するという石が多く置かれている。
>移動するのが遅れれば、爆発に巻き込まれ脆くなった足場が崩れ落ちて真っ逆様だ。
>周りの羊たちと話し少し休んでから告解室に行く事にしよう。
>……今日は、代行人の様子はどうだろうか。
>……
Night mare
第六階層 第一エリア
>カチコチと一定のリズムで針が動く音が聞こえる。
>そして遠くの方でゴーンという音が響いた。
>ゴール近くを知らせる鐘の音とは違う。
>どうやら上の方に大きな時計があるようだ。
>もっとも、ここからだと見上げてもその時計の姿を肉眼で確認する事は出来なかったのだが……
鳴上「また雰囲気が変わったな……」
鳴上「上の方、なんだか少し眩しい気がするし」
鳴上「光……か?」
鳴上「……あれを目指せばいいんだろうか」
>……
踊り場
>段々と仕掛けや置かれている石の構造が複雑になっていっている。
>一言でいってしまえば、殺す気十二分な作りなのある。
>当たり前といえば当たり前なのかもしれないが……
>今回は乗ると数秒後に爆発するという石が多く置かれている。
>移動するのが遅れれば、爆発に巻き込まれ脆くなった足場が崩れ落ちて真っ逆様だ。
>周りの羊たちと話し少し休んでから告解室に行く事にしよう。
>……今日は、代行人の様子はどうだろうか。
>……
182: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:03:40.54:otZlIOkAO (21/27)
告解室
鳴上「……」
>無言で腰を下ろした。
代行人「……よお」
鳴上「……」
代行人「なんだよ、どうした?」
>それはこっちの台詞だ。
>代行人は昨日の不機嫌が治っているかのようで、発する声からピリピリした嫌な気配を漂わせているような気がしていた。
>口調はなんでもないのに……何故だかそんな風に思った。
>理由はわからない……
代行人「……まあ、いいか」
代行人「さて、今夜の階層だが……ここはちょっと長いぞ」
代行人「今まで、一晩で一階層をクリアしてきたが、……どうなるんだろうな?」
代行人「……」
代行人「俺からの質問もまた最後の告解室までとっておく事にしておこう」
鳴上「……」
代行人「では、上へ」
告解室
鳴上「……」
>無言で腰を下ろした。
代行人「……よお」
鳴上「……」
代行人「なんだよ、どうした?」
>それはこっちの台詞だ。
>代行人は昨日の不機嫌が治っているかのようで、発する声からピリピリした嫌な気配を漂わせているような気がしていた。
>口調はなんでもないのに……何故だかそんな風に思った。
>理由はわからない……
代行人「……まあ、いいか」
代行人「さて、今夜の階層だが……ここはちょっと長いぞ」
代行人「今まで、一晩で一階層をクリアしてきたが、……どうなるんだろうな?」
代行人「……」
代行人「俺からの質問もまた最後の告解室までとっておく事にしておこう」
鳴上「……」
代行人「では、上へ」
183: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:05:49.88:otZlIOkAO (22/27)
>……
>代行人の言葉通り、一つのエリアの距離は確実に長くなっている事を体で実感していた。
>おまけに今回はエリアの数も多くなっているようで、第二エリアを過ぎた後の告解室で次は最終エリアだとは通達されず、今は第三エリアを登っている。
>そして驚く事に、一緒に上を目指すべき筈の羊の何匹かが、こちらが登るのを故意に邪魔しようと道を塞いだり突撃したりしてくるのだ。
>呼びかけてもまるで応じてもらえず、初めから上へ行く羊たちを亡きものにしようとしているだけの存在に見えた……
>もしかしたら、終わりの見えてこないこの道のりに精神が耐えられず、狂ってしまった羊なのかもしれない。
>……
踊り場
>第三エリアを越えて、本日三つ目の踊り場と告解室までやってきた。
>他の羊の姿は殆どいない。
>見知った羊も見つける事は出来なかった……
>今はただ彼らを信じ、自分は自分のこれからの事だけを考え信じよう。
>ここまでやってきた努力をけして無駄には出来ない……
>……
>……
>代行人の言葉通り、一つのエリアの距離は確実に長くなっている事を体で実感していた。
>おまけに今回はエリアの数も多くなっているようで、第二エリアを過ぎた後の告解室で次は最終エリアだとは通達されず、今は第三エリアを登っている。
>そして驚く事に、一緒に上を目指すべき筈の羊の何匹かが、こちらが登るのを故意に邪魔しようと道を塞いだり突撃したりしてくるのだ。
>呼びかけてもまるで応じてもらえず、初めから上へ行く羊たちを亡きものにしようとしているだけの存在に見えた……
>もしかしたら、終わりの見えてこないこの道のりに精神が耐えられず、狂ってしまった羊なのかもしれない。
>……
踊り場
>第三エリアを越えて、本日三つ目の踊り場と告解室までやってきた。
>他の羊の姿は殆どいない。
>見知った羊も見つける事は出来なかった……
>今はただ彼らを信じ、自分は自分のこれからの事だけを考え信じよう。
>ここまでやってきた努力をけして無駄には出来ない……
>……
184: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:07:48.07:otZlIOkAO (23/27)
告解室
鳴上「来たぞ」
代行人「ああ。待ってた。座れよ」
代行人「……」
鳴上「……」
>今夜の代行人は必要最低限の事しか喋っていなかった。
>こちらが反応を見せなくても特に怒るという事もなく(機嫌がよくなさそうなのは変わらずだったが)淡々と業務だけをこなしていた……
>それがなんだか不気味にすら感じてきていた。
>しかし、とりあえず今は、いつも通りに座っておく事にしよう。
代行人「……」
代行人「お前が登っている間、ずっと考えていた」
鳴上「……?」
代行人「俺はお前の中にある本当の価値を、きちんと見極める事が出来るのだろうかって」
代行人「お前は俺に答えを示してくれるのだろうか」
鳴上「……毎晩答えているだろ」
代行人「そういう事じゃない」
代行人「俺は。俺はいったい、どうすれば……」
代行人「……」
代行人「……いや、よそう」
代行人「俺の方が悩むなんて、馬鹿げた話だ」
代行人「質問へ移ろうか」
鳴上「という事は……!」
代行人「次が最終エリアだ」
機械的な声「第六問です」
機械的な声「人に言えない事を多く抱えていますか?」
>『そうでもない』と『それなりに』のロープが垂れてきた。
鳴上「これは……」
鳴上「……」
代行人「どうなんだ?」
鳴上「……」
代行人「……」
代行人「……そう、か」
代行人「……」
代行人「じゃ、行こうか。デカいヤツのところへ……
>告解室が今夜最後のエリアへと向けて上昇を始めた。
>……
告解室
鳴上「来たぞ」
代行人「ああ。待ってた。座れよ」
代行人「……」
鳴上「……」
>今夜の代行人は必要最低限の事しか喋っていなかった。
>こちらが反応を見せなくても特に怒るという事もなく(機嫌がよくなさそうなのは変わらずだったが)淡々と業務だけをこなしていた……
>それがなんだか不気味にすら感じてきていた。
>しかし、とりあえず今は、いつも通りに座っておく事にしよう。
代行人「……」
代行人「お前が登っている間、ずっと考えていた」
鳴上「……?」
代行人「俺はお前の中にある本当の価値を、きちんと見極める事が出来るのだろうかって」
代行人「お前は俺に答えを示してくれるのだろうか」
鳴上「……毎晩答えているだろ」
代行人「そういう事じゃない」
代行人「俺は。俺はいったい、どうすれば……」
代行人「……」
代行人「……いや、よそう」
代行人「俺の方が悩むなんて、馬鹿げた話だ」
代行人「質問へ移ろうか」
鳴上「という事は……!」
代行人「次が最終エリアだ」
機械的な声「第六問です」
機械的な声「人に言えない事を多く抱えていますか?」
>『そうでもない』と『それなりに』のロープが垂れてきた。
鳴上「これは……」
鳴上「……」
代行人「どうなんだ?」
鳴上「……」
代行人「……」
代行人「……そう、か」
代行人「……」
代行人「じゃ、行こうか。デカいヤツのところへ……
>告解室が今夜最後のエリアへと向けて上昇を始めた。
>……
185: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:10:16.10:otZlIOkAO (24/27)
第六階層 最終エリア
鳴上「……」
>代行人の様子は明らかにおかしかった気がする。
>そんな事を気にする義理などない筈だが、何か心に引っかかるものがあるのも否定は出来なかった。
鳴上「そもそもアイツの正体って……」
鳴上「!」
>足場に大きな揺れを感じる。
>今夜のゲストのお出ましのようだ。
>今までのパターンから考えて、それはなんだかもう大体の予想はついていたが……
>一応確認の為にと振り返り、その姿を見つめた。
鳴上「……推理は当たったな。俺にも、探偵の才能が少しはあるのかもしれない」
シャドウ直斗『フハハハハ! 改造だ! 改造手術の時間だあッ!』
鳴上「っと……ノーサンキューだ!」
>……
>直斗のシャドウは素早い動きで飛び回りながら、短い感覚で攻撃を仕掛けこちらを仕留めようとしてくる。
>持っている光線銃で直接攻撃をしかけてくるのはもちろんの事、普通の石をその光線で全て爆発する石に変えてしまったり、こちらの行きそうなルートを先の先まで予想して足場を崩してきたり、今までで一番頭を使う事を要求されていた。
>進んでも進んでも、先が見えてこない。
>これまでの分も含めて、その長い道のりに体力も気力も限界まで削られてしまっている。
>これは今度こそまずいかもしれない……
>そんな考えがちらつき始めた頃、鐘の音が響くのが聞こえてきた。
第六階層 最終エリア
鳴上「……」
>代行人の様子は明らかにおかしかった気がする。
>そんな事を気にする義理などない筈だが、何か心に引っかかるものがあるのも否定は出来なかった。
鳴上「そもそもアイツの正体って……」
鳴上「!」
>足場に大きな揺れを感じる。
>今夜のゲストのお出ましのようだ。
>今までのパターンから考えて、それはなんだかもう大体の予想はついていたが……
>一応確認の為にと振り返り、その姿を見つめた。
鳴上「……推理は当たったな。俺にも、探偵の才能が少しはあるのかもしれない」
シャドウ直斗『フハハハハ! 改造だ! 改造手術の時間だあッ!』
鳴上「っと……ノーサンキューだ!」
>……
>直斗のシャドウは素早い動きで飛び回りながら、短い感覚で攻撃を仕掛けこちらを仕留めようとしてくる。
>持っている光線銃で直接攻撃をしかけてくるのはもちろんの事、普通の石をその光線で全て爆発する石に変えてしまったり、こちらの行きそうなルートを先の先まで予想して足場を崩してきたり、今までで一番頭を使う事を要求されていた。
>進んでも進んでも、先が見えてこない。
>これまでの分も含めて、その長い道のりに体力も気力も限界まで削られてしまっている。
>これは今度こそまずいかもしれない……
>そんな考えがちらつき始めた頃、鐘の音が響くのが聞こえてきた。
186: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:13:01.82:otZlIOkAO (25/27)
>見上げるとそこには扉が、眩しい光がある……!
>力強く伸ばした手で掴んだそれを、引っ張った。
シャドウ直斗『コンナトコロデアキラメナイ!! ニガサナイィィィィ!! ……グアアアアアアアア!!』
>今まで見た中で一番大きな光の衝撃に包まれて、直斗のシャドウは朽ちていった。
鳴上「着いた……のか」
>……
代行人「まさか本当にこんなところまで来るとは、な」
代行人「次はいよいよ、カテドラルへ続く場所だ」
代行人「……そうだな」
代行人「俺も、そろそろ……」
>…
>……
>………
>見上げるとそこには扉が、眩しい光がある……!
>力強く伸ばした手で掴んだそれを、引っ張った。
シャドウ直斗『コンナトコロデアキラメナイ!! ニガサナイィィィィ!! ……グアアアアアアアア!!』
>今まで見た中で一番大きな光の衝撃に包まれて、直斗のシャドウは朽ちていった。
鳴上「着いた……のか」
>……
代行人「まさか本当にこんなところまで来るとは、な」
代行人「次はいよいよ、カテドラルへ続く場所だ」
代行人「……そうだな」
代行人「俺も、そろそろ……」
>…
>……
>………
187: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:14:04.44:otZlIOkAO (26/27)
6th day
05/13(日) 晴れ 自室
【朝】
鳴上「!」
>眩しい朝日が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
鳴上「……」
>ゆっくりとベッドから体を起こした。
>目覚めは……けして良いとは言えないが、それでもここ数日と比べればマシなような気がする。
>体ももうそんなに怠くはない。
>きっと薬が効いてくれたのだろう。
>今日はアイギス達との約束をきちんと守れそうで安心した。
>せっかくの休みなのだ。
>何も考えず、存分に楽しむ事にしよう……
6th day
05/13(日) 晴れ 自室
【朝】
鳴上「!」
>眩しい朝日が、カーテンの隙間から差し込んでいる。
鳴上「……」
>ゆっくりとベッドから体を起こした。
>目覚めは……けして良いとは言えないが、それでもここ数日と比べればマシなような気がする。
>体ももうそんなに怠くはない。
>きっと薬が効いてくれたのだろう。
>今日はアイギス達との約束をきちんと守れそうで安心した。
>せっかくの休みなのだ。
>何も考えず、存分に楽しむ事にしよう……
188: ◆Hw7XKfELws:2012/05/13(日) 23:17:37.93:otZlIOkAO (27/27)
>>160
後日そこには頭に召喚器を押しつけながら「ティロ・フィナーレ!」と叫ぶ番長の姿が……ある訳ない。
キミコって誰なんだろうねー本当にねー。
終わります。
また次回。
>>160
後日そこには頭に召喚器を押しつけながら「ティロ・フィナーレ!」と叫ぶ番長の姿が……ある訳ない。
キミコって誰なんだろうねー本当にねー。
終わります。
また次回。
189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/13(日) 23:20:42.46:JLVHwVIAO (1/1)
乙
地味に本編が現実の時間に追い付いたな
乙
地味に本編が現実の時間に追い付いたな
190:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/13(日) 23:26:23.21:iIdgHNRzo (1/1)
乙
他の羊は無事なのだろうか・・・
乙
他の羊は無事なのだろうか・・・
191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/13(日) 23:45:53.19:ppKvB5sTo (1/1)
乙
ヴィンセントが心配になるレベル
乙
ヴィンセントが心配になるレベル
192:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/13(日) 23:53:01.95:lUfoGLwV0 (1/1)
寝るのが怖い、夢が怖いって地味にエルム街だよな。
そしてマミさんのCVは地味にメルブラのレンだし。
どうでもいい話でしたね、そんな訳で乙でした
寝るのが怖い、夢が怖いって地味にエルム街だよな。
そしてマミさんのCVは地味にメルブラのレンだし。
どうでもいい話でしたね、そんな訳で乙でした
193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/14(月) 00:03:11.11:OuLWkeb80 (1/1)
もしやヴィンの娘はもう一人のキャサリンにそっくりなのか…?
もしやヴィンの娘はもう一人のキャサリンにそっくりなのか…?
194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/14(月) 02:24:47.05:xx7oFRQqo (1/1)
乙
このパートも核心までもう少しだろうか
乙
このパートも核心までもう少しだろうか
195:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/15(火) 01:09:54.37:jDKpeFtO0 (1/1)
天田のホットミルクを悠が飲むだと・・・!!
天田のホットミルクを悠が飲むだと・・・!!
196:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/15(火) 08:37:37.62:iI3K21Hj0 (1/1)
アニメの番長なら影完二のこと可愛いて言ってたからあるかもしれん
アニメの番長なら影完二のこと可愛いて言ってたからあるかもしれん
197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/15(火) 19:15:00.49:XiHLHtnC0 (1/1)
つーか天田君、牛乳苦手っつてたけど、
流石にもう飲んで腹壊す事は無くなったんだな。
背も大きくなったのだろうか
つーか天田君、牛乳苦手っつてたけど、
流石にもう飲んで腹壊す事は無くなったんだな。
背も大きくなったのだろうか
198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/16(水) 01:19:08.00:E1hmuXBY0 (1/1)
>>197
マジレスすると、牛乳に含まれる乳糖が主な原因だが、天田の場合もそうだとすると
牛乳を飲み続ければ慣れて分解できたりする。
ただし、20歳ほどまで。それ以降はなれるのが難しい
>>197
マジレスすると、牛乳に含まれる乳糖が主な原因だが、天田の場合もそうだとすると
牛乳を飲み続ければ慣れて分解できたりする。
ただし、20歳ほどまで。それ以降はなれるのが難しい
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(高知県):2012/05/16(水) 01:41:19.74:BRrElOLEo (1/1)
紙パックの牛乳を直でがぶ飲みしながら読んでたわ……
紙パックの牛乳を直でがぶ飲みしながら読んでたわ……
200: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:36:27.99:iUc54vGAO (1/34)
>着替えを済ませ携帯をチェックするとメールを一件受信しているのが確認出来た。
>ここ数日、これもパターン化してきているような気がする。
>となると、差出人はやはり……
>……
from:白鐘直斗
こんばんは。
突然のメール失礼します。
何やら港区方面で不穏な事件が多発しているようなので心配になってメールしました。
気になったので僕の方でも色々調べたりしていますがなかなか難しい事件のようですね。
というよりも、死体の状況から考えてもとても人為的なものには思えない。
先輩達も言っていましたが、やはりシャドウが関係した事件なのでしょうか。
そういう事になると、先輩やそちらのお仲間もこの件に深く関わる事になる訳で、余計に心配です。
僕も現地で詳しく調べられればいいのですが…。
何かあったらメールでも電話でも一報貰えたら嬉しいです。
それでは。おやすみなさい。
>……
>この文面からすると直斗もおそらく大した情報は掴めていないのだろう。
>こちらでもシャドウが絡んでいる事件なのかどうなのか未だにはっきりしなくて困っているという旨を伝える文だけ打ち、自分が置かれている状況などは伏せて、返信を送った。
>着替えを済ませ携帯をチェックするとメールを一件受信しているのが確認出来た。
>ここ数日、これもパターン化してきているような気がする。
>となると、差出人はやはり……
>……
from:白鐘直斗
こんばんは。
突然のメール失礼します。
何やら港区方面で不穏な事件が多発しているようなので心配になってメールしました。
気になったので僕の方でも色々調べたりしていますがなかなか難しい事件のようですね。
というよりも、死体の状況から考えてもとても人為的なものには思えない。
先輩達も言っていましたが、やはりシャドウが関係した事件なのでしょうか。
そういう事になると、先輩やそちらのお仲間もこの件に深く関わる事になる訳で、余計に心配です。
僕も現地で詳しく調べられればいいのですが…。
何かあったらメールでも電話でも一報貰えたら嬉しいです。
それでは。おやすみなさい。
>……
>この文面からすると直斗もおそらく大した情報は掴めていないのだろう。
>こちらでもシャドウが絡んでいる事件なのかどうなのか未だにはっきりしなくて困っているという旨を伝える文だけ打ち、自分が置かれている状況などは伏せて、返信を送った。
201: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:38:31.10:iUc54vGAO (2/34)
コンコン
アイギス「鳴上さん、おはようございます」
ラビリス「おっはよー!」
メティス「具合の方はいかがですか?」
>アイギス達が迎えにきてくれたようだ。
鳴上「おはようみんな。具合の方は大分マシになったから」
アイギス「じゃあ今日は……」
鳴上「はい。約束通りに」
ラビリス「ホントに? やったー!」
メティス「……。熱も引いたみたいですし、嘘じゃないようですね」
メティス「よかった……」
>三人とも喜んでいるようだ。
鳴上「……ところで、なんでメティスとラビリスは制服?」
アイギス「それなんですが、実は二人には制服以外の外出用の普段着がないんですよ」
アイギス「今日はそれを見立てに行こうかと思いまして」
鳴上「あ、なるほど」
アイギス「本当は美鶴さんにも同伴していただく予定だったんですが忙しいみたいで……」
アイギス「私も、どういった服装がいいのかあまり知識がないので、鳴上さんのお力をお借り出来れば助かります」
鳴上(あまり変な恰好はさせられないよな……)
アイギス「じゃあ、行きましょうか」
>寮を出て街に買い物へ出掛けた。
>……
コンコン
アイギス「鳴上さん、おはようございます」
ラビリス「おっはよー!」
メティス「具合の方はいかがですか?」
>アイギス達が迎えにきてくれたようだ。
鳴上「おはようみんな。具合の方は大分マシになったから」
アイギス「じゃあ今日は……」
鳴上「はい。約束通りに」
ラビリス「ホントに? やったー!」
メティス「……。熱も引いたみたいですし、嘘じゃないようですね」
メティス「よかった……」
>三人とも喜んでいるようだ。
鳴上「……ところで、なんでメティスとラビリスは制服?」
アイギス「それなんですが、実は二人には制服以外の外出用の普段着がないんですよ」
アイギス「今日はそれを見立てに行こうかと思いまして」
鳴上「あ、なるほど」
アイギス「本当は美鶴さんにも同伴していただく予定だったんですが忙しいみたいで……」
アイギス「私も、どういった服装がいいのかあまり知識がないので、鳴上さんのお力をお借り出来れば助かります」
鳴上(あまり変な恰好はさせられないよな……)
アイギス「じゃあ、行きましょうか」
>寮を出て街に買い物へ出掛けた。
>……
202: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:41:16.82:iUc54vGAO (3/34)
鳴上「……さて。まず初めに聞いておきたいんだけど、二人はどんな雰囲気の服装がいいんだ?」
ラビリス「んー、どんなって言われてもなあ。……あんまごちゃごちゃしてなくて、動きやすいのがええかな」
メティス「私もあまり派手なのはちょっと。おとなしい感じのがいいです」
鳴上「そうか。とりあえず色々と店を回って見てみた方がいいかな」
アイギス「そうしましょうか」
>……
ロサカンディータ 辰巳店
鳴上「なんだか全体的に凄く値段が高そうな店だ……」
>店の中は物静かでシックな音楽が流れている。
>客層は二十代半ほどの女性が多く、自分の存在が場違いっぽく思えてきた……
アイギス「こんな場所にこんなお店があったのですか。初めて知りました」
メティス「どちらかというと美鶴さんに似合いそうな服が多い場所のように感じます」
ラビリス「なあなあ、見て! この服紙で出来とる! 面白いわあ」
鳴上「値段は……15万!? 高校生が買い物する場所じゃないな……」
アイギス「美鶴さんから現金で30万ほどいただいてきていますけど、流石にそれは無理な買い物ですね。メティスと姉さんとで一着ずつしか買えません」
鳴上「さんじゅっ……」
メティス「アイギス姉さん。私の洋服は自分のお金で買います。アルバイトでもらったお金、持ってきたから」
アイギス「そんな気を使わなくてもいいのよ? 美鶴さんもそう言ってたし」
メティス「でも……」
鳴上「……さて。まず初めに聞いておきたいんだけど、二人はどんな雰囲気の服装がいいんだ?」
ラビリス「んー、どんなって言われてもなあ。……あんまごちゃごちゃしてなくて、動きやすいのがええかな」
メティス「私もあまり派手なのはちょっと。おとなしい感じのがいいです」
鳴上「そうか。とりあえず色々と店を回って見てみた方がいいかな」
アイギス「そうしましょうか」
>……
ロサカンディータ 辰巳店
鳴上「なんだか全体的に凄く値段が高そうな店だ……」
>店の中は物静かでシックな音楽が流れている。
>客層は二十代半ほどの女性が多く、自分の存在が場違いっぽく思えてきた……
アイギス「こんな場所にこんなお店があったのですか。初めて知りました」
メティス「どちらかというと美鶴さんに似合いそうな服が多い場所のように感じます」
ラビリス「なあなあ、見て! この服紙で出来とる! 面白いわあ」
鳴上「値段は……15万!? 高校生が買い物する場所じゃないな……」
アイギス「美鶴さんから現金で30万ほどいただいてきていますけど、流石にそれは無理な買い物ですね。メティスと姉さんとで一着ずつしか買えません」
鳴上「さんじゅっ……」
メティス「アイギス姉さん。私の洋服は自分のお金で買います。アルバイトでもらったお金、持ってきたから」
アイギス「そんな気を使わなくてもいいのよ? 美鶴さんもそう言ってたし」
メティス「でも……」
203: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:43:16.95:iUc54vGAO (4/34)
ラビリス「買う買わんは置いといて、試着だけでもしてみてええかな?」
鳴上「いいんじゃないか? それはタダだし……あ、さっきの紙のやつはやめとけ。破けたら後が困る」
ラビリス「じゃあ、この辺のテキトーに……あ! アイギスに似合いそうなのみっけ!」
アイギス「え? 私に、ですか?」
ラビリス「着るだけならタダなんよね? ならアイギスも一緒に着替えてみよ!」
メティス「そうです! アイギス姉さんも是非!」
アイギス「なんだか似たような事がつい最近あったような……」
>アイギスはラビリスに半ば強制的に試着室へと押し込められた。
メティス「私はこの黒いの着てみようかな。ラビリス姉さんはこの白いのなんかどうですか?」
ラビリス「あ、うん。なんかそれいいな。着てみよー」
ラビリス「アイギスはもう着替え終わったー?」
アイギス「ちょっと待ってください。なんだかこれ、すごく着にくいです……」
ラビリス「どれどれー?」
>ラビリスは自分が試着する服を持って、アイギスのいる試着室へと遠慮なく入っていった。
メティス「あの、私も一緒に着替えていいですか? どこも使用中みたいで……」
ラビリス「ええよええよ」
メティス「じゃあ、失礼して」
>メティスもラビリスに続いて中へと入っていった。
ラビリス「買う買わんは置いといて、試着だけでもしてみてええかな?」
鳴上「いいんじゃないか? それはタダだし……あ、さっきの紙のやつはやめとけ。破けたら後が困る」
ラビリス「じゃあ、この辺のテキトーに……あ! アイギスに似合いそうなのみっけ!」
アイギス「え? 私に、ですか?」
ラビリス「着るだけならタダなんよね? ならアイギスも一緒に着替えてみよ!」
メティス「そうです! アイギス姉さんも是非!」
アイギス「なんだか似たような事がつい最近あったような……」
>アイギスはラビリスに半ば強制的に試着室へと押し込められた。
メティス「私はこの黒いの着てみようかな。ラビリス姉さんはこの白いのなんかどうですか?」
ラビリス「あ、うん。なんかそれいいな。着てみよー」
ラビリス「アイギスはもう着替え終わったー?」
アイギス「ちょっと待ってください。なんだかこれ、すごく着にくいです……」
ラビリス「どれどれー?」
>ラビリスは自分が試着する服を持って、アイギスのいる試着室へと遠慮なく入っていった。
メティス「あの、私も一緒に着替えていいですか? どこも使用中みたいで……」
ラビリス「ええよええよ」
メティス「じゃあ、失礼して」
>メティスもラビリスに続いて中へと入っていった。
204: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:49:14.28:iUc54vGAO (5/34)
ラビリス「……ん? これ、どうやったら着れるん?」
アイギス「ここは……こうじゃないですか?」
メティス「き、きつい……」
アイギス「……。なんだか、おかしな事になっているであります」
ラビリス「え? あれ? ……んー?」
メティス「きゃっ! ね、姉さんたち、あまり動かないでくださいっ。ぶつかって痛いです……」
鳴上「……」
鳴上「み、みんな平気か?」
メティス「……鳴上さん」
>急に試着室のカーテンが開いた。
メティス「この背中のファスナーのところ、上がらないのでやってもらってもいいですか?」
鳴上「!?」
>そこにはまだ着替え途中な上、背中が丸見え状態で後ろを向いているメティスの姿があった。
>ちなみに、アイギスとラビリスもまだ奥の方で服を着るのに手間取っているようだ。
鳴上「あっ、開けるな! 見える! 見えるから!」
鳴上(主にロボ的な部分がッ!)
マヌカン「あの、お客様。他のお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かにお願いいたします……」
鳴上「すっ、すみません!」
メティス「きゃっ!?」
>急いでカーテンを閉めて事無きを得た……
>その後、試着もほどほどにし、結局何も買わずにその店を出た。
>ありがとうございましたと頭を下げるマヌカンの額に、うっすらと青筋が立っていたように見えたのは気のせいだと思いたい。
>……
ラビリス「……ん? これ、どうやったら着れるん?」
アイギス「ここは……こうじゃないですか?」
メティス「き、きつい……」
アイギス「……。なんだか、おかしな事になっているであります」
ラビリス「え? あれ? ……んー?」
メティス「きゃっ! ね、姉さんたち、あまり動かないでくださいっ。ぶつかって痛いです……」
鳴上「……」
鳴上「み、みんな平気か?」
メティス「……鳴上さん」
>急に試着室のカーテンが開いた。
メティス「この背中のファスナーのところ、上がらないのでやってもらってもいいですか?」
鳴上「!?」
>そこにはまだ着替え途中な上、背中が丸見え状態で後ろを向いているメティスの姿があった。
>ちなみに、アイギスとラビリスもまだ奥の方で服を着るのに手間取っているようだ。
鳴上「あっ、開けるな! 見える! 見えるから!」
鳴上(主にロボ的な部分がッ!)
マヌカン「あの、お客様。他のお客様のご迷惑になりますので、もう少しお静かにお願いいたします……」
鳴上「すっ、すみません!」
メティス「きゃっ!?」
>急いでカーテンを閉めて事無きを得た……
>その後、試着もほどほどにし、結局何も買わずにその店を出た。
>ありがとうございましたと頭を下げるマヌカンの額に、うっすらと青筋が立っていたように見えたのは気のせいだと思いたい。
>……
205: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:51:01.65:iUc54vGAO (6/34)
アニマムンディ 辰巳店
アイギス「ここも初めて見る店であります」
>先程の店とは打って変わって、今度は高校生くらいの男女を中心とした若者向けの店のようだ。
>見た目が華やかで派手なものが多く、これから夏に向けてか薄着な服を大々的に売りに出している。
メティス「これはちょっと……」
アイギス「メティスたちが着るにはちょっと無理なものが多いような……」
鳴上「半袖やホットパンツなんて無理だよな」
ラビリス「……あ! これ!」
鳴上「ん?」
>ラビリスは男物のハイビスカス柄のアロハシャツを手にとっている。
ラビリス「悠! 着てみて!」
鳴上「えっ、俺!?」
ラビリス「ウチらの着替え見てるだけじゃつまらんやろ? さあ!」
鳴上「いや、俺はそれでも別にいいというか、むしろそれがいいというか……ちょっ、うわっ!」
>アロハシャツを持たされて、試着室へ押し込まれた。
ラビリス「早く! 早く!」
>どうやら着てみせるしかないようだ……
>……仕方なく、着るだけ着てみる事にした。
アニマムンディ 辰巳店
アイギス「ここも初めて見る店であります」
>先程の店とは打って変わって、今度は高校生くらいの男女を中心とした若者向けの店のようだ。
>見た目が華やかで派手なものが多く、これから夏に向けてか薄着な服を大々的に売りに出している。
メティス「これはちょっと……」
アイギス「メティスたちが着るにはちょっと無理なものが多いような……」
鳴上「半袖やホットパンツなんて無理だよな」
ラビリス「……あ! これ!」
鳴上「ん?」
>ラビリスは男物のハイビスカス柄のアロハシャツを手にとっている。
ラビリス「悠! 着てみて!」
鳴上「えっ、俺!?」
ラビリス「ウチらの着替え見てるだけじゃつまらんやろ? さあ!」
鳴上「いや、俺はそれでも別にいいというか、むしろそれがいいというか……ちょっ、うわっ!」
>アロハシャツを持たされて、試着室へ押し込まれた。
ラビリス「早く! 早く!」
>どうやら着てみせるしかないようだ……
>……仕方なく、着るだけ着てみる事にした。
206: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:52:54.96:iUc54vGAO (7/34)
>……
鳴上「……」
ラビリス「……」
メティス「……」
アイギス「……」
ラビリス「……っ」
ラビリス「……ちょっ……悠のそのカッコ、なんかツボ……ツボに入ったわ! ふ、ふひひ、あはははっ!」
メティス「ラ、ラビリス姉さん! 変な笑い声上げないでくださっ……恥ずかし……くっ、うくくく……っ!」
ラビリス「メ、メティスこそ! あはっ、あはははははは!」
鳴上「……」
アイギス「……こういう時に使う言葉をひとつ、知っているであります」
アイギス「ぷぎゃー」
鳴上(なんかもう、そっとしておいてほしい……)
ラビリス「さーて、次はどれ着てもらおっかなー♪」
鳴上「まだ何か着せる気なのか!?」
メティス「こんなのはどうですか?」
アイギス「案外こういうのとかも……」
鳴上「いや……それは……やめっ……うわああああああ!」
>……三人に気が済むまで遊ばれた。
>……
>その後も色々な場所を回り、時間をかけて品定めした結果、外に着て出てもおかしくない各々の気に入った服を何着が買う事が出来た。
>……余談だが、さっきのアロハシャツはまた着ているところが見たいと言われて、自分の金で買う事になってしまった。
>そんな事もあったりしたが、長い間様々な服に着替えて遊ぶ三人を間近で見れたのは眼福だったと言えよう。
>……心の栄養を補給出来たような気がする!
>……
鳴上「……」
ラビリス「……」
メティス「……」
アイギス「……」
ラビリス「……っ」
ラビリス「……ちょっ……悠のそのカッコ、なんかツボ……ツボに入ったわ! ふ、ふひひ、あはははっ!」
メティス「ラ、ラビリス姉さん! 変な笑い声上げないでくださっ……恥ずかし……くっ、うくくく……っ!」
ラビリス「メ、メティスこそ! あはっ、あはははははは!」
鳴上「……」
アイギス「……こういう時に使う言葉をひとつ、知っているであります」
アイギス「ぷぎゃー」
鳴上(なんかもう、そっとしておいてほしい……)
ラビリス「さーて、次はどれ着てもらおっかなー♪」
鳴上「まだ何か着せる気なのか!?」
メティス「こんなのはどうですか?」
アイギス「案外こういうのとかも……」
鳴上「いや……それは……やめっ……うわああああああ!」
>……三人に気が済むまで遊ばれた。
>……
>その後も色々な場所を回り、時間をかけて品定めした結果、外に着て出てもおかしくない各々の気に入った服を何着が買う事が出来た。
>……余談だが、さっきのアロハシャツはまた着ているところが見たいと言われて、自分の金で買う事になってしまった。
>そんな事もあったりしたが、長い間様々な服に着替えて遊ぶ三人を間近で見れたのは眼福だったと言えよう。
>……心の栄養を補給出来たような気がする!
207: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 16:57:20.53:iUc54vGAO (8/34)
アイギス「ちゃっかり私の分まで買ってしまったのはいいんでしょうか……」
メティス「美鶴さんからもらったお金はまだだいぶ余ってるみたいだから、そのくらいはいいんじゃないですか?」
アイギス「……そうね。でも、使わなかった分はちゃんと美鶴さんに返して話しておきましょう」
鳴上「あ、アイギスさん。そっちの荷物も持ちますよ」
アイギス「すみません。ありがとうございます」
ラビリス「……」
鳴上「? どうかしたのか、ラビリス」
ラビリス「……いやな、ウチ前からちょっと気になってたんやけど」
ラビリス「なんで悠はアイギスにはさん付けで敬語なん?」
ラビリス「ウチの方がお姉さんなのにー」
鳴上「え? いやほら。それは初めて会った時は、ただの寮監さんだと思ってた訳だし、その時からの癖で……」
ラビリス「うーん、でもなあ」
ラビリス「……あ。別に、ウチにもっとかしこまれーとか、ラビリス様とお呼び! とか言いたい訳やないんよ?」
ラビリス「ただ、アイギスにだけ余所余所しい感じがすんなあ……って」
鳴上「……うーん。そうかな」
>しかし、今更それを変えるのもちょっと……という気もする。
>アイギスの方はどうなのだろう、と視線をちらりと向けた。
アイギス「ちゃっかり私の分まで買ってしまったのはいいんでしょうか……」
メティス「美鶴さんからもらったお金はまだだいぶ余ってるみたいだから、そのくらいはいいんじゃないですか?」
アイギス「……そうね。でも、使わなかった分はちゃんと美鶴さんに返して話しておきましょう」
鳴上「あ、アイギスさん。そっちの荷物も持ちますよ」
アイギス「すみません。ありがとうございます」
ラビリス「……」
鳴上「? どうかしたのか、ラビリス」
ラビリス「……いやな、ウチ前からちょっと気になってたんやけど」
ラビリス「なんで悠はアイギスにはさん付けで敬語なん?」
ラビリス「ウチの方がお姉さんなのにー」
鳴上「え? いやほら。それは初めて会った時は、ただの寮監さんだと思ってた訳だし、その時からの癖で……」
ラビリス「うーん、でもなあ」
ラビリス「……あ。別に、ウチにもっとかしこまれーとか、ラビリス様とお呼び! とか言いたい訳やないんよ?」
ラビリス「ただ、アイギスにだけ余所余所しい感じがすんなあ……って」
鳴上「……うーん。そうかな」
>しかし、今更それを変えるのもちょっと……という気もする。
>アイギスの方はどうなのだろう、と視線をちらりと向けた。
208: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:05:05.90:iUc54vGAO (9/34)
アイギス「……」
アイギス「そう、ですね。私もラビリス姉さんの言う通りだと思います」
鳴上「え?」
アイギス「鳴上さんがよろしければ、私のことはこれからアイギスとお呼びください」
アイギス「敬語もいらないですから。……どうでしょうか?」
鳴上「……えっと。それじゃあ」
鳴上「……
鳴上「改めてよろしく。……アイギス」
アイギス「はい。よろしくお願いします」
>やはり少し気恥ずかしい気もする……
メティス「……!」
メティス「鳴上さんが、アイギス姉さんを……呼び捨てに……?
メティス「……」
アイギス「どうしたの?」
メティス「……なんだかすごく、許せない気持ちになってきました」
アイギス「?」
>メティスがどす黒いオーラを放ちながらこちらを睨んでいる……
アイギス「あ、ならば私もラビリス姉さんに倣って、これから悠さんとお呼びしてもいいでしょうか?」
鳴上「ん……ああ、俺はいいけ……ど……?」
メティス「ッ……!」
メティス「姉さんまでそんな鳴上さんに……親しげに……!」
鳴上「ちょ、ちょっと、メティスさん?」
アイギス「……ああ! そうね。メティスも悠さんって呼びたいのね」
メティス「違います! 呼びません! 呼んだりなんかしないんだからっ!」
メティス「……フン!」
>メティスはそっぽを向いてしまった。
アイギス「……」
アイギス「そう、ですね。私もラビリス姉さんの言う通りだと思います」
鳴上「え?」
アイギス「鳴上さんがよろしければ、私のことはこれからアイギスとお呼びください」
アイギス「敬語もいらないですから。……どうでしょうか?」
鳴上「……えっと。それじゃあ」
鳴上「……
鳴上「改めてよろしく。……アイギス」
アイギス「はい。よろしくお願いします」
>やはり少し気恥ずかしい気もする……
メティス「……!」
メティス「鳴上さんが、アイギス姉さんを……呼び捨てに……?
メティス「……」
アイギス「どうしたの?」
メティス「……なんだかすごく、許せない気持ちになってきました」
アイギス「?」
>メティスがどす黒いオーラを放ちながらこちらを睨んでいる……
アイギス「あ、ならば私もラビリス姉さんに倣って、これから悠さんとお呼びしてもいいでしょうか?」
鳴上「ん……ああ、俺はいいけ……ど……?」
メティス「ッ……!」
メティス「姉さんまでそんな鳴上さんに……親しげに……!」
鳴上「ちょ、ちょっと、メティスさん?」
アイギス「……ああ! そうね。メティスも悠さんって呼びたいのね」
メティス「違います! 呼びません! 呼んだりなんかしないんだからっ!」
メティス「……フン!」
>メティスはそっぽを向いてしまった。
209: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:07:57.02:iUc54vGAO (10/34)
>……と、その時、不意に誰かに背中を強く押された。
不良A「おうおう兄ちゃん、女侍らせていい気なもんだなあ……ええ?」
不良B「往来でイチャイチャイチャイチャしてんじゃねえぞ、ゴルァ!」
不良C「ねーねーカノジョ達、そんなヤツほっといてオレ達とイイトコいかなーい?」
メティス「……」
>そこには、サングラスにリーゼントのいかにも……な男達がいた。
>しかし、ここまで前時代的な不良なんて八十稲羽でも見た覚えがない気もする。
>完二の方がよほど可愛らしく思えてくるくらいだ。
>だが、このままではまずい気がする……
鳴上「あの、やめた方が」
不良A「ああん?」
不良B「テメェは黙ってろ!」
不良C「ねーねー、いいデショ? いこーよ」
>不良の一人がアイギスの腕を掴んだ。
>……瞬間、その一人の体が宙に浮き
>見事なまでに仰向けにひっくり返っていた。
メティス「汚い手で姉さんに触れるな!」
不良C「うがっ……」
不良A「な、なんだこの女……ひいっ!?」
アイギス「警告します。直ちににここから立ち去りなさい」
>アイギスは残りの不良の一人の首に手刀を当てている。そして……
ラビリス「はいはーい。これ以上なんかしようとしたら、どこまでやったら肩が外れるか試させてもらうでー」
不良B「いでででででででででででで!」
>ラビリスは三人目の不良の背後にまわり、彼の背中を膝で押しながら両腕を思い切り引っ張っていた。
>どうやらまずい事が起きるのを止められなかったようだ……
鳴上「だからやめた方がって言ったのに……」
>……と、その時、不意に誰かに背中を強く押された。
不良A「おうおう兄ちゃん、女侍らせていい気なもんだなあ……ええ?」
不良B「往来でイチャイチャイチャイチャしてんじゃねえぞ、ゴルァ!」
不良C「ねーねーカノジョ達、そんなヤツほっといてオレ達とイイトコいかなーい?」
メティス「……」
>そこには、サングラスにリーゼントのいかにも……な男達がいた。
>しかし、ここまで前時代的な不良なんて八十稲羽でも見た覚えがない気もする。
>完二の方がよほど可愛らしく思えてくるくらいだ。
>だが、このままではまずい気がする……
鳴上「あの、やめた方が」
不良A「ああん?」
不良B「テメェは黙ってろ!」
不良C「ねーねー、いいデショ? いこーよ」
>不良の一人がアイギスの腕を掴んだ。
>……瞬間、その一人の体が宙に浮き
>見事なまでに仰向けにひっくり返っていた。
メティス「汚い手で姉さんに触れるな!」
不良C「うがっ……」
不良A「な、なんだこの女……ひいっ!?」
アイギス「警告します。直ちににここから立ち去りなさい」
>アイギスは残りの不良の一人の首に手刀を当てている。そして……
ラビリス「はいはーい。これ以上なんかしようとしたら、どこまでやったら肩が外れるか試させてもらうでー」
不良B「いでででででででででででで!」
>ラビリスは三人目の不良の背後にまわり、彼の背中を膝で押しながら両腕を思い切り引っ張っていた。
>どうやらまずい事が起きるのを止められなかったようだ……
鳴上「だからやめた方がって言ったのに……」
210: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:10:08.85:iUc54vGAO (11/34)
黒沢「お前達、そこで何してるんだ!」
鳴上「!」
不良A「やべえ、サツだ! 行くぞ!」
>不良達は倒れていた一人を担いで一目散に逃げ出した。
黒沢「こら! 待て!」
>黒沢は不良達を追い掛けていってしまった。
達哉「まったく、何事かと思えばお前達か……」
鳴上「周防さん!」
メティス「あ……」
アイギス「お疲れさまです」
達哉「そう思うんなら疲れる事を増やさないでくれ」
ラビリス「誰や? その人」
達哉「ん? そっちは新入りか?」
達哉「……とにかく、お前達は自分の置かれてる立場を考えて、あまり目立つような行動はするんじゃない」
鳴上「す、すみません。気をつけます……」
>周防にこってり絞られた……
>……
>その間、不意に周防が抱えている持ち物に視線がいった。
鳴上「……あれ? その本はまさか」
鳴上「漢の世界シリーズの……」
達哉「!!」
>瞬間、周防の目の色が変わった。
達哉「知っているのか、鳴上!」
鳴上「あ、はい。愛読書の一つですけど」
達哉「そうか……!」
>周防にガシッと手を掴まれた。
達哉「まさか、鳴上が同志だったとはな」
鳴上「という事は、周防さんも……?」
達哉「ああ。このシリーズの大ファンだ」
>意外なところで思わぬ繋がりを発見してしまった……!
黒沢「お前達、そこで何してるんだ!」
鳴上「!」
不良A「やべえ、サツだ! 行くぞ!」
>不良達は倒れていた一人を担いで一目散に逃げ出した。
黒沢「こら! 待て!」
>黒沢は不良達を追い掛けていってしまった。
達哉「まったく、何事かと思えばお前達か……」
鳴上「周防さん!」
メティス「あ……」
アイギス「お疲れさまです」
達哉「そう思うんなら疲れる事を増やさないでくれ」
ラビリス「誰や? その人」
達哉「ん? そっちは新入りか?」
達哉「……とにかく、お前達は自分の置かれてる立場を考えて、あまり目立つような行動はするんじゃない」
鳴上「す、すみません。気をつけます……」
>周防にこってり絞られた……
>……
>その間、不意に周防が抱えている持ち物に視線がいった。
鳴上「……あれ? その本はまさか」
鳴上「漢の世界シリーズの……」
達哉「!!」
>瞬間、周防の目の色が変わった。
達哉「知っているのか、鳴上!」
鳴上「あ、はい。愛読書の一つですけど」
達哉「そうか……!」
>周防にガシッと手を掴まれた。
達哉「まさか、鳴上が同志だったとはな」
鳴上「という事は、周防さんも……?」
達哉「ああ。このシリーズの大ファンだ」
>意外なところで思わぬ繋がりを発見してしまった……!
211:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/16(水) 17:11:14.25:iuTgYGxko (1/3)
男ってのはな…(渋い声で)
男ってのはな…(渋い声で)
212: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:11:55.68:iUc54vGAO (12/34)
達哉「……ならば鳴上。このシリーズの最後に出た本は持っているか?」
鳴上「はい、持ってます」
達哉「そ、そうか! ……じゃあ、それを貸して貰う事は出来るだろうか?」
達哉「実はその最終作だけずっと買うタイミングを逃していてな……本屋に足を運ぶ暇もなくて、未だに入手出来ていないんだ」
達哉「……だから頼む、この通りだ!」
鳴上「もちろん、お安いご用ですよ」
達哉「! すまない、感謝する……!」
>周防は心底喜んでいる。
>それからしばしの間、周防と漢とは何か語り合った。
>周防と心が通じ合った気がする……
>『ⅩⅨ 太陽 周防達哉』のランクが5になった
達哉「……ゴホン。まあ、あれだ。今日のところは鳴上に免じて大目に見ておこう」
達哉「じゃあ近い内に……な」
鳴上「はい。近い内に」
>周防はこの場から去って行った。
ラビリス「結局あの人って……?」
鳴上「漢の中の漢な刑事さんだ」
>……
達哉「……ならば鳴上。このシリーズの最後に出た本は持っているか?」
鳴上「はい、持ってます」
達哉「そ、そうか! ……じゃあ、それを貸して貰う事は出来るだろうか?」
達哉「実はその最終作だけずっと買うタイミングを逃していてな……本屋に足を運ぶ暇もなくて、未だに入手出来ていないんだ」
達哉「……だから頼む、この通りだ!」
鳴上「もちろん、お安いご用ですよ」
達哉「! すまない、感謝する……!」
>周防は心底喜んでいる。
>それからしばしの間、周防と漢とは何か語り合った。
>周防と心が通じ合った気がする……
>『ⅩⅨ 太陽 周防達哉』のランクが5になった
達哉「……ゴホン。まあ、あれだ。今日のところは鳴上に免じて大目に見ておこう」
達哉「じゃあ近い内に……な」
鳴上「はい。近い内に」
>周防はこの場から去って行った。
ラビリス「結局あの人って……?」
鳴上「漢の中の漢な刑事さんだ」
>……
213: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:19:09.91:iUc54vGAO (13/34)
鳴上「あー……っと、みんなさっきは平気だったか?」
アイギス「大丈夫ですよ」
ラビリス「ウチもー」
メティス「ええ。むしろ、スッキリしました」
鳴上「は、はは……」
>メティスはさっきまでの不機嫌はどこへいったのやら、清々しい顔をしている。
鳴上「周防さんに注意されたし、そろそろ寮に戻ろうか」
アイギス「そうですね」
メティス「はい、行きましょう」
ラビリス「帰ろー!」
>みんなで寮へ戻る事にした。
>……なんだかんだあったが、三人とはまた仲が良くなれた気がする。
>『Ⅴ 法王 メティス』のランクが3になった
>『Ⅶ 戦車 アイギス』のランクが4になった
>『ⅩⅥ 塔 ラビリス』のランクが2になった
>……
学生寮 ラウンジ
コロマル「ワンッ! ワンッ!」
鳴上「うわっ!」
>学生寮の扉を開いた瞬間、中からコロマルが飛び出してきた。
アイギス「ただいまです。コロマルさん」
ラビリス「あはは、コロは元気やなー」
コロマル「ワンッ!」
>コロマルはしっぽを振りながらズボンの裾をくわえてグイグイと引っ張ってくる。
鳴上「どうしたんだ?」
メティス「みんなで出掛けてずるい。自分も散歩に行きたい、鳴上さんと遊びたい、と言っています」
鳴上「そういえば、コロマルとの散歩もしばらくしてなかったな」
>コロマルは期待するような目でこちらを見つめていた。
鳴上「……よし、行こうか」
コロマル「ワオーン!」
>コロマルは嬉しそうにぐるぐると走り回っている。
鳴上「あー……っと、みんなさっきは平気だったか?」
アイギス「大丈夫ですよ」
ラビリス「ウチもー」
メティス「ええ。むしろ、スッキリしました」
鳴上「は、はは……」
>メティスはさっきまでの不機嫌はどこへいったのやら、清々しい顔をしている。
鳴上「周防さんに注意されたし、そろそろ寮に戻ろうか」
アイギス「そうですね」
メティス「はい、行きましょう」
ラビリス「帰ろー!」
>みんなで寮へ戻る事にした。
>……なんだかんだあったが、三人とはまた仲が良くなれた気がする。
>『Ⅴ 法王 メティス』のランクが3になった
>『Ⅶ 戦車 アイギス』のランクが4になった
>『ⅩⅥ 塔 ラビリス』のランクが2になった
>……
学生寮 ラウンジ
コロマル「ワンッ! ワンッ!」
鳴上「うわっ!」
>学生寮の扉を開いた瞬間、中からコロマルが飛び出してきた。
アイギス「ただいまです。コロマルさん」
ラビリス「あはは、コロは元気やなー」
コロマル「ワンッ!」
>コロマルはしっぽを振りながらズボンの裾をくわえてグイグイと引っ張ってくる。
鳴上「どうしたんだ?」
メティス「みんなで出掛けてずるい。自分も散歩に行きたい、鳴上さんと遊びたい、と言っています」
鳴上「そういえば、コロマルとの散歩もしばらくしてなかったな」
>コロマルは期待するような目でこちらを見つめていた。
鳴上「……よし、行こうか」
コロマル「ワオーン!」
>コロマルは嬉しそうにぐるぐると走り回っている。
214: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:21:03.28:iUc54vGAO (14/34)
ラビリス「じゃあ、ウチも行く! 買った服着て行く!」
メティス「じゃ、じゃあ私も……!」
>二人ともさっそく手に入れた服を着て出かけたいようだ。
鳴上「じゃあ、メティスとラビリスの準備が出来たら行こう」
アイギス「私は留守番をしていますから、皆さんで行ってきてください」
>再び出掛ける用意を調えてから、コロマルを連れて散歩に出掛けた。
>……
長鳴神社
>コロマルの向く足のまま歩いてやってきた場所は、やはり神社だった。
コロマル「ワンワンッ!」
メティス「コロマルさんが、駆け足の競争をしようと言っています」
ラビリス「お、勝負か! 乗った!」
鳴上「俺、一応病み上がりなんだけど……ま、いっか」
コロマル「ワン!」
メティス「では、私がジャッジをつとめる事にしましょうか」
メティス「そうですね……この神社の外周を三周するというのはどうでしょう」
ラビリス「ウチはそれでええよ」
コロマル「ワンワンッ」
鳴上「わかった」
メティス「では並んでください。いいですか? 位置について、よーい……ドン!」
>……
ラビリス「じゃあ、ウチも行く! 買った服着て行く!」
メティス「じゃ、じゃあ私も……!」
>二人ともさっそく手に入れた服を着て出かけたいようだ。
鳴上「じゃあ、メティスとラビリスの準備が出来たら行こう」
アイギス「私は留守番をしていますから、皆さんで行ってきてください」
>再び出掛ける用意を調えてから、コロマルを連れて散歩に出掛けた。
>……
長鳴神社
>コロマルの向く足のまま歩いてやってきた場所は、やはり神社だった。
コロマル「ワンワンッ!」
メティス「コロマルさんが、駆け足の競争をしようと言っています」
ラビリス「お、勝負か! 乗った!」
鳴上「俺、一応病み上がりなんだけど……ま、いっか」
コロマル「ワン!」
メティス「では、私がジャッジをつとめる事にしましょうか」
メティス「そうですね……この神社の外周を三周するというのはどうでしょう」
ラビリス「ウチはそれでええよ」
コロマル「ワンワンッ」
鳴上「わかった」
メティス「では並んでください。いいですか? 位置について、よーい……ドン!」
>……
215: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:25:19.48:iUc54vGAO (15/34)
コロマル「ワン!」
鳴上「は、早すぎだろ……二人とも……」
ラビリス「悠はこれしきの事でバテたんかいな。まだまだやねー」
コロマル「ワオン!」
>コロマルもラビリスも余裕綽々で勝ち誇ったようにしている。
>なんだかとても悔しい……
鳴上「もう一回勝負だ!」
ラビリス「やる気やなー! よっしゃ、やったる!」
コロマル「ワンッ」
メティス「ん? またですか?」
メティス「では皆さん一列に。……位置について、よーい……ドン!」
>……
鳴上「くそ……また最下位か……」
ラビリス「コロもなかなかやるわぁ」
コロマル「♪」
>コロマルは得意げな素振りを見せてから、神社の中をまた走り出した。
鳴上「俺も修行が足りないな……」
鳴上「……」
鳴上「……? どうしたんだ? コロマル」
>コロマルは神社の中を落ち着きなくキョロキョロと見回している。
メティス「どうしたんですか? コロマルさん」
コロマル「ワン、ワンワン、ワンッ!」
メティス「はい……そうなんですか」
鳴上「なんだって?」
メティス「なんでもお仲間の気配を感じたような気がしたんだそうです」
鳴上「仲間? って、犬の……って事か?」
メティス「おそらく」
ラビリス「でもこの辺にいるワンコなんて、見る限りコロしかおらんよ?」
コロマル「クゥーン?」
鳴上「コロマル……もしかして、犬の友達が欲しいのか?」
コロマル「!」
コロマル「ワンッ!」
メティス・ラビリス「なるほどなー」
鳴上「そっか……」
コロマル「ワン!」
鳴上「は、早すぎだろ……二人とも……」
ラビリス「悠はこれしきの事でバテたんかいな。まだまだやねー」
コロマル「ワオン!」
>コロマルもラビリスも余裕綽々で勝ち誇ったようにしている。
>なんだかとても悔しい……
鳴上「もう一回勝負だ!」
ラビリス「やる気やなー! よっしゃ、やったる!」
コロマル「ワンッ」
メティス「ん? またですか?」
メティス「では皆さん一列に。……位置について、よーい……ドン!」
>……
鳴上「くそ……また最下位か……」
ラビリス「コロもなかなかやるわぁ」
コロマル「♪」
>コロマルは得意げな素振りを見せてから、神社の中をまた走り出した。
鳴上「俺も修行が足りないな……」
鳴上「……」
鳴上「……? どうしたんだ? コロマル」
>コロマルは神社の中を落ち着きなくキョロキョロと見回している。
メティス「どうしたんですか? コロマルさん」
コロマル「ワン、ワンワン、ワンッ!」
メティス「はい……そうなんですか」
鳴上「なんだって?」
メティス「なんでもお仲間の気配を感じたような気がしたんだそうです」
鳴上「仲間? って、犬の……って事か?」
メティス「おそらく」
ラビリス「でもこの辺にいるワンコなんて、見る限りコロしかおらんよ?」
コロマル「クゥーン?」
鳴上「コロマル……もしかして、犬の友達が欲しいのか?」
コロマル「!」
コロマル「ワンッ!」
メティス・ラビリス「なるほどなー」
鳴上「そっか……」
216: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:28:58.66:iUc54vGAO (16/34)
鳴上「ごめんな。今は人間の遊び相手で我慢してくれな」
コロマル「ワンワン、ワンッ」
メティス「鳴上さんと遊ぶのは楽しいから問題ないと言っています」
鳴上「じゃあ、もう少し遊ぼうか」
鳴上「ワンッ!」
>コロマルが飽きるまで遊びに付き合った。
>『ⅩⅠ 剛毅 コロマル』のランクが3になった
>空も橙色になってきたので引き上げる事にした。
>……
学生寮 ラウンジ
美鶴「……ん? ああ、ちょうど良かった。みんな、お帰り」
ラビリス「あ、美鶴さんや」
メティス「なんだかお久しぶりのような気がしますね」
鳴上「ただいまです」
美鶴「ああ」
美鶴「今日はすまなかったな。一緒に買い物についていけなくて。鳴上が代わりに同伴したとアイギスから聞いたぞ」
鳴上「あ、はい」
美鶴「具合の方もよくなったみたいだな」
鳴上「あ……その節はとんだご迷惑を……」
美鶴「そう畏まるな。元気になったのならそれでいい」
美鶴「それより、今日は鳴上の見舞いとみんなへの差し入れを兼ねて、ケーキと紅茶を用意してきたんだ。みんなでいただこうじゃないか」
鳴上「ありがとうございます」
美鶴「ん……ところで、天田はどうした? さっきから姿を見かけないんだが」
メティス「そういえば、朝から見かけていませんね」
美鶴「じゃあ、部屋にいるのか?」
鳴上「っ……!」
鳴上「ちょっと俺、様子を見てきます!」
>……
天田の部屋 扉前
>ドンドンと何度か大きく扉を叩いた。
鳴上「天田! いるなら返事をしろ!」
>再び扉を、より強く叩いた。
鳴上「天田!」
>……それから少しして、内側からガチャリと鍵の開く音がした。
鳴上「ごめんな。今は人間の遊び相手で我慢してくれな」
コロマル「ワンワン、ワンッ」
メティス「鳴上さんと遊ぶのは楽しいから問題ないと言っています」
鳴上「じゃあ、もう少し遊ぼうか」
鳴上「ワンッ!」
>コロマルが飽きるまで遊びに付き合った。
>『ⅩⅠ 剛毅 コロマル』のランクが3になった
>空も橙色になってきたので引き上げる事にした。
>……
学生寮 ラウンジ
美鶴「……ん? ああ、ちょうど良かった。みんな、お帰り」
ラビリス「あ、美鶴さんや」
メティス「なんだかお久しぶりのような気がしますね」
鳴上「ただいまです」
美鶴「ああ」
美鶴「今日はすまなかったな。一緒に買い物についていけなくて。鳴上が代わりに同伴したとアイギスから聞いたぞ」
鳴上「あ、はい」
美鶴「具合の方もよくなったみたいだな」
鳴上「あ……その節はとんだご迷惑を……」
美鶴「そう畏まるな。元気になったのならそれでいい」
美鶴「それより、今日は鳴上の見舞いとみんなへの差し入れを兼ねて、ケーキと紅茶を用意してきたんだ。みんなでいただこうじゃないか」
鳴上「ありがとうございます」
美鶴「ん……ところで、天田はどうした? さっきから姿を見かけないんだが」
メティス「そういえば、朝から見かけていませんね」
美鶴「じゃあ、部屋にいるのか?」
鳴上「っ……!」
鳴上「ちょっと俺、様子を見てきます!」
>……
天田の部屋 扉前
>ドンドンと何度か大きく扉を叩いた。
鳴上「天田! いるなら返事をしろ!」
>再び扉を、より強く叩いた。
鳴上「天田!」
>……それから少しして、内側からガチャリと鍵の開く音がした。
217: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:36:44.15:iUc54vGAO (17/34)
鳴上「!」
天田「……なんれすか? ふぁ……」
>目を擦りながら、天田が顔を出してきた。
鳴上「よかった……今日一日姿が見えないっていうから、てっきり……」
天田「やだなあ、縁起の悪い事言わないでくださいよぉ」
天田「ずっとベッドで横になってただけですってば」
鳴上「……大丈夫か?」
天田「大丈夫です。……って、はっきり言えないのが辛いですけど、まだ生きてますから。それで十分でしょ?」
鳴上「ん、そうだな……」
鳴上「……あ。桐条さんが、みんなに紅茶とケーキを用意してくれたって話なんだけど」
天田「ケーキですか。じゃあ、ごちそうになろうかな」
鳴上「じゃあ、いこう」
>天田を連れて一階へ降りた。
>……
>ラウンジにはいつの間にかアイギスも揃っていてみんな座っており、テーブルにはケーキと紅茶が綺麗に用意されて並んでいた。
美鶴「みんな揃ったようだな。では、いただこう」
アイギス「コロマルさんには高級ドッグフードですよ」
コロマル「ワンッ!」
>和やかなティータイムが始まった。
>……
鳴上「!」
天田「……なんれすか? ふぁ……」
>目を擦りながら、天田が顔を出してきた。
鳴上「よかった……今日一日姿が見えないっていうから、てっきり……」
天田「やだなあ、縁起の悪い事言わないでくださいよぉ」
天田「ずっとベッドで横になってただけですってば」
鳴上「……大丈夫か?」
天田「大丈夫です。……って、はっきり言えないのが辛いですけど、まだ生きてますから。それで十分でしょ?」
鳴上「ん、そうだな……」
鳴上「……あ。桐条さんが、みんなに紅茶とケーキを用意してくれたって話なんだけど」
天田「ケーキですか。じゃあ、ごちそうになろうかな」
鳴上「じゃあ、いこう」
>天田を連れて一階へ降りた。
>……
>ラウンジにはいつの間にかアイギスも揃っていてみんな座っており、テーブルにはケーキと紅茶が綺麗に用意されて並んでいた。
美鶴「みんな揃ったようだな。では、いただこう」
アイギス「コロマルさんには高級ドッグフードですよ」
コロマル「ワンッ!」
>和やかなティータイムが始まった。
>……
218: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:39:15.87:iUc54vGAO (18/34)
鳴上「……ずっと気になってたんだけど、メティスたちも食事って出来たんだな」
メティス「はい。ただ、食物の摂取が可能なだけで必要不可欠という訳ではないので……」
ラビリス「味なんかはどうもなー。体の中に入ると、原材料名がばーっと頭に思い浮かんでくるだけやし」
メティス「私には一応、実験的に味覚を搭載してはいるらしいのですが……今のところは、ラビリス姉さんの言ってる事と大差はないようです」
メティス「このケーキというものに対して、美味しいだとか不味いだとかいう感想までは思い浮かばないです」
メティス「でも……こうして皆さんとおやつを食べるってなんか良いですね」
>メティスが微笑み、それにあわせてアイギスの表情も緩んだ。
美鶴「鳴上はどうだ?」
鳴上「はい。ケーキもですが……何より紅茶が美味しいですね」
鳴上「俺、叔父さんの家ではよくコーヒーを飲んでたんですけど、紅茶も悪くないなあってそう感じました」
天田「僕もですね。この紅茶、いい香りがする……安物じゃないですね」
美鶴「私オススメの茶葉のひとつだ。気に入ってくれたなら何よりだ。リラックス効果も促せる代物だぞ」
美鶴「ここのキッチンに置いておくから、みんな好きに飲むといい。なんなら他にも色々と用意するぞ?」
>美鶴は紅茶が好評で喜んでいるようだ。
鳴上「……ずっと気になってたんだけど、メティスたちも食事って出来たんだな」
メティス「はい。ただ、食物の摂取が可能なだけで必要不可欠という訳ではないので……」
ラビリス「味なんかはどうもなー。体の中に入ると、原材料名がばーっと頭に思い浮かんでくるだけやし」
メティス「私には一応、実験的に味覚を搭載してはいるらしいのですが……今のところは、ラビリス姉さんの言ってる事と大差はないようです」
メティス「このケーキというものに対して、美味しいだとか不味いだとかいう感想までは思い浮かばないです」
メティス「でも……こうして皆さんとおやつを食べるってなんか良いですね」
>メティスが微笑み、それにあわせてアイギスの表情も緩んだ。
美鶴「鳴上はどうだ?」
鳴上「はい。ケーキもですが……何より紅茶が美味しいですね」
鳴上「俺、叔父さんの家ではよくコーヒーを飲んでたんですけど、紅茶も悪くないなあってそう感じました」
天田「僕もですね。この紅茶、いい香りがする……安物じゃないですね」
美鶴「私オススメの茶葉のひとつだ。気に入ってくれたなら何よりだ。リラックス効果も促せる代物だぞ」
美鶴「ここのキッチンに置いておくから、みんな好きに飲むといい。なんなら他にも色々と用意するぞ?」
>美鶴は紅茶が好評で喜んでいるようだ。
219: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:41:15.20:iUc54vGAO (19/34)
美鶴「たまにはこうしてみんなでお茶会をしてみるのも悪くないな」
鳴上「そうですね。なんかいいです、こういうの。新鮮な感じで」
美鶴「……そうか」
美鶴「……」
美鶴「あの、な……鳴上」
鳴上「はい?」
美鶴「この間は……悪かったな、頭ごなしに急に怒鳴ったりしてしまって」
鳴上「え? ……ああ、車で送ってくれた時の事ですか?」
鳴上「桐条さんが謝る事じゃないですよ。むしろ俺の方が……」
美鶴「いや……」
美鶴「君を心配するあまりつい短気を起こしてしまって、私も大人気なかった」
美鶴「昔からの私の悪い癖でな。どうにもこれだけは治しようもなくて……」
美鶴「その、気を悪くしないで欲しい」
鳴上「だから気にしてませんってば」
美鶴「そう、か」
美鶴「よかった……」
鳴上「紅茶、もっといただいても良いですか?」
美鶴「あ、ああ! 好きなだけ飲んでくれて結構だ」
>美鶴なりに気を回してくれてのお茶会だったのだろうか。
>美鶴の優しさが伝わってくるような気がする……
>『Ⅲ 女帝 桐条美鶴』のランクが3になった
>その後も、もうしばらくみんなと談笑しながら一時を過ごした。
>……しかし、こうものんびりばかりしていられない。
>暗くなったら、またあの時間に彼に会いにいこう。
美鶴「たまにはこうしてみんなでお茶会をしてみるのも悪くないな」
鳴上「そうですね。なんかいいです、こういうの。新鮮な感じで」
美鶴「……そうか」
美鶴「……」
美鶴「あの、な……鳴上」
鳴上「はい?」
美鶴「この間は……悪かったな、頭ごなしに急に怒鳴ったりしてしまって」
鳴上「え? ……ああ、車で送ってくれた時の事ですか?」
鳴上「桐条さんが謝る事じゃないですよ。むしろ俺の方が……」
美鶴「いや……」
美鶴「君を心配するあまりつい短気を起こしてしまって、私も大人気なかった」
美鶴「昔からの私の悪い癖でな。どうにもこれだけは治しようもなくて……」
美鶴「その、気を悪くしないで欲しい」
鳴上「だから気にしてませんってば」
美鶴「そう、か」
美鶴「よかった……」
鳴上「紅茶、もっといただいても良いですか?」
美鶴「あ、ああ! 好きなだけ飲んでくれて結構だ」
>美鶴なりに気を回してくれてのお茶会だったのだろうか。
>美鶴の優しさが伝わってくるような気がする……
>『Ⅲ 女帝 桐条美鶴』のランクが3になった
>その後も、もうしばらくみんなと談笑しながら一時を過ごした。
>……しかし、こうものんびりばかりしていられない。
>暗くなったら、またあの時間に彼に会いにいこう。
220: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:43:59.32:iUc54vGAO (20/34)
>……
【夜】
クラブ エスカペイド
>今夜もまた、いつものあの場所に彼は一人でグラスを傾けていた。
>彼も、そろそろかと勘付いていたのか、声をかけようとした直前に、来たのを察知したかのようにこちらへと振り返る。
ヴィンセント「……よ」
鳴上「こんばんは」
>こちらを見たヴィンセントの顔は、少しやつれているように見えた。
>やはりあの夢が原因か……
ヴィンセント「調子はどうだ」
鳴上「ぼちぼち……って、とこですかね」
ヴィンセント「ふーん、そっか……」
>ヴィンセントはまたグラスを傾けて、少しの間黙り込んだ。
>話をしにきた筈なのにどう切り出したらいいのか解らなくて少し気まずい……
鳴上「……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「なあ。今更で悪いけど……鳴上はさ、毎晩こんな時間にこんな場所に来て平気なのか?」
ヴィンセント「親御さんも心配するんじゃないのか」
鳴上「……いえ。学校の寮住まいなんで。夜中も外出許可は出ているから平気です」
ヴィンセント「ふうん? 寮って規則とかもっと厳しいもんだと思ってたけど、そうでもないのか?」
鳴上「たぶん、俺のいる寮くらいじゃないかな。こんなに自由なのは」
ヴィンセント「へえ……」
鳴上「ヴィンセントさんこそ毎晩こんな店に来て、奥さんに何か言われないんですか?」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「夜の飲みは控えろとは言われてるよ。でもここはアルコールないし、それに……」
ヴィンセント「ここだけの話、なんだけどな」
ヴィンセント「今はあまり、嫁の顔も……娘の顔も見たくないんだよ」
ヴィンセント「だから許される時間の範囲でここに来て時間を潰してるって訳さ」
鳴上「え……」
>……
【夜】
クラブ エスカペイド
>今夜もまた、いつものあの場所に彼は一人でグラスを傾けていた。
>彼も、そろそろかと勘付いていたのか、声をかけようとした直前に、来たのを察知したかのようにこちらへと振り返る。
ヴィンセント「……よ」
鳴上「こんばんは」
>こちらを見たヴィンセントの顔は、少しやつれているように見えた。
>やはりあの夢が原因か……
ヴィンセント「調子はどうだ」
鳴上「ぼちぼち……って、とこですかね」
ヴィンセント「ふーん、そっか……」
>ヴィンセントはまたグラスを傾けて、少しの間黙り込んだ。
>話をしにきた筈なのにどう切り出したらいいのか解らなくて少し気まずい……
鳴上「……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「なあ。今更で悪いけど……鳴上はさ、毎晩こんな時間にこんな場所に来て平気なのか?」
ヴィンセント「親御さんも心配するんじゃないのか」
鳴上「……いえ。学校の寮住まいなんで。夜中も外出許可は出ているから平気です」
ヴィンセント「ふうん? 寮って規則とかもっと厳しいもんだと思ってたけど、そうでもないのか?」
鳴上「たぶん、俺のいる寮くらいじゃないかな。こんなに自由なのは」
ヴィンセント「へえ……」
鳴上「ヴィンセントさんこそ毎晩こんな店に来て、奥さんに何か言われないんですか?」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「夜の飲みは控えろとは言われてるよ。でもここはアルコールないし、それに……」
ヴィンセント「ここだけの話、なんだけどな」
ヴィンセント「今はあまり、嫁の顔も……娘の顔も見たくないんだよ」
ヴィンセント「だから許される時間の範囲でここに来て時間を潰してるって訳さ」
鳴上「え……」
221: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:49:54.00:iUc54vGAO (21/34)
鳴上「何でまた? ……なんて、聞いてもいいですか?」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「そう、だな。言葉にして誰かに聞いて貰えたら、少しはすっきりするのかもしれないし……」
>ヴィンセントは一呼吸置いてから、話の続きを始めた。
ヴィンセント「昨日も娘の話はしたよな?」
鳴上「はい。一歳になる娘さんがいるんですよね?」
ヴィンセント「そう。その娘さ……実を言うと、名前が嫁と一緒なんだよね。字は違うんだけど」
ヴィンセント「最初は紛らわしくなるからって反対したんだけどさ。でも嫁が縁起がいい画数だからとかなんとかって言って、押し切られちゃって」
ヴィンセント「でも、俺がその名前を反対した本当の理由は……」
鳴上「……理由は?」
ヴィンセント「……昔、浮気していた相手と同じ名前だったから」
鳴上「!」
鳴上「……ん、あれ? 奥さん、ヴィンセントさんが浮気してた事、知らなかったんですか?」
鳴上「それとも、名前は知らなかったとか? だってそうでもないと、普通旦那が浮気してた相手の名前なんて子供につけないですよね?」
ヴィンセント「だよな? そう思うよな?」
ヴィンセント「でも、嫁は俺が浮気してた事だって浮気相手の名前だって知ってた筈なんだよ」
ヴィンセント「だから、最初何かの嫌がらせが悪い冗談なのかと思ってた……」
ヴィンセント「でも、そうじゃなくて」
ヴィンセント「まるで最初からそんな女なんていないし知らないとでもいうようにその名前をつけた」
鳴上「……」
鳴上「何でまた? ……なんて、聞いてもいいですか?」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「そう、だな。言葉にして誰かに聞いて貰えたら、少しはすっきりするのかもしれないし……」
>ヴィンセントは一呼吸置いてから、話の続きを始めた。
ヴィンセント「昨日も娘の話はしたよな?」
鳴上「はい。一歳になる娘さんがいるんですよね?」
ヴィンセント「そう。その娘さ……実を言うと、名前が嫁と一緒なんだよね。字は違うんだけど」
ヴィンセント「最初は紛らわしくなるからって反対したんだけどさ。でも嫁が縁起がいい画数だからとかなんとかって言って、押し切られちゃって」
ヴィンセント「でも、俺がその名前を反対した本当の理由は……」
鳴上「……理由は?」
ヴィンセント「……昔、浮気していた相手と同じ名前だったから」
鳴上「!」
鳴上「……ん、あれ? 奥さん、ヴィンセントさんが浮気してた事、知らなかったんですか?」
鳴上「それとも、名前は知らなかったとか? だってそうでもないと、普通旦那が浮気してた相手の名前なんて子供につけないですよね?」
ヴィンセント「だよな? そう思うよな?」
ヴィンセント「でも、嫁は俺が浮気してた事だって浮気相手の名前だって知ってた筈なんだよ」
ヴィンセント「だから、最初何かの嫌がらせが悪い冗談なのかと思ってた……」
ヴィンセント「でも、そうじゃなくて」
ヴィンセント「まるで最初からそんな女なんていないし知らないとでもいうようにその名前をつけた」
鳴上「……」
222: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:54:55.62:iUc54vGAO (22/34)
ヴィンセント「当時はそれが本当に不気味で仕方なかった……」
ヴィンセント「でも、そんな事もう気にしないようにしようって言い聞かせながら暮らしてきたんだよ」
ヴィンセント「それでじゅうぶん幸せにやってこれたんだ」
ヴィンセント「……つい、最近までは」
ヴィンセント「またあの夢を見始めるようになってからだよ」
ヴィンセント「娘の顔が、何故か浮気してた女に見えてくるようになったのは……!」
鳴上「!?」
鳴上「そっ……そんな事……!」
ヴィンセント「おかしいだろ? おかしよな!? そんな訳ある筈ねえよ!」
ヴィンセント「だって娘は、俺と彼女の子供で!」
ヴィンセント「彼女が産んだ子で!」
ヴィンセント「名前が同じなだけで、浮気の相手の子でも、ましてや浮気相手そのものでもないのにっ……!」
ヴィンセント「頭がどうかしちまってんだよ、俺……」
>ヴィンセントは言いたい言葉を吐き散らした後、頭を抱えて黙ってしまった……
ヴィンセント「……悪い。子供相手にみっともないトコばっか見せて」
鳴上「いえ……」
ヴィンセント「……あの夢はたぶんさ、俺に昔の事を忘れるなって警告してるんじゃないかと思うんだ」
ヴィンセント「だって。……」
ヴィンセント「それか、今度こそ死んじまえって浮気相手にでも呪われたかかな……ハハッ」
ヴィンセント「……死ぬのかな、俺」
鳴上「そんな……弱気になったらダメですよ!」
鳴上「ヴィンセントさんが死んだら、奥さんや娘さんだって悲しむんですよ?」
鳴上「……俺だって、ヴィンセントさんがいなくなるなんて嫌です」
鳴上「せっかく知り合いになれたのに……」
ヴィンセント「当時はそれが本当に不気味で仕方なかった……」
ヴィンセント「でも、そんな事もう気にしないようにしようって言い聞かせながら暮らしてきたんだよ」
ヴィンセント「それでじゅうぶん幸せにやってこれたんだ」
ヴィンセント「……つい、最近までは」
ヴィンセント「またあの夢を見始めるようになってからだよ」
ヴィンセント「娘の顔が、何故か浮気してた女に見えてくるようになったのは……!」
鳴上「!?」
鳴上「そっ……そんな事……!」
ヴィンセント「おかしいだろ? おかしよな!? そんな訳ある筈ねえよ!」
ヴィンセント「だって娘は、俺と彼女の子供で!」
ヴィンセント「彼女が産んだ子で!」
ヴィンセント「名前が同じなだけで、浮気の相手の子でも、ましてや浮気相手そのものでもないのにっ……!」
ヴィンセント「頭がどうかしちまってんだよ、俺……」
>ヴィンセントは言いたい言葉を吐き散らした後、頭を抱えて黙ってしまった……
ヴィンセント「……悪い。子供相手にみっともないトコばっか見せて」
鳴上「いえ……」
ヴィンセント「……あの夢はたぶんさ、俺に昔の事を忘れるなって警告してるんじゃないかと思うんだ」
ヴィンセント「だって。……」
ヴィンセント「それか、今度こそ死んじまえって浮気相手にでも呪われたかかな……ハハッ」
ヴィンセント「……死ぬのかな、俺」
鳴上「そんな……弱気になったらダメですよ!」
鳴上「ヴィンセントさんが死んだら、奥さんや娘さんだって悲しむんですよ?」
鳴上「……俺だって、ヴィンセントさんがいなくなるなんて嫌です」
鳴上「せっかく知り合いになれたのに……」
223: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 17:57:38.37:iUc54vGAO (23/34)
ヴィンセント「っ……」
ヴィンセント「……お前、結構恥ずかしい事言うヤツだな」
ヴィンセント「でも、なんかちょっと……軽く頭殴られた感じがした」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「俺もさ、こうやって年の離れた珍しい知り合いが出来たのに……すぐ別れる事になるのは嫌だな」
ヴィンセント「……うん、そうだ。そうだよな」
>ヴィンセントは強く頷いた。
ヴィンセント「やっぱ、お前に話して正解だったわ。ちょっとは胸のつかえがとれた感じがする」
ヴィンセント「ありがとう。……今夜はもう帰るよ」
鳴上「はい」
ヴィンセント「じゃあ、またな」
>ヴィンセントは軽く肩を叩いて店から去っていった。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが6になった
>この悪夢との戦い……
>もうこれ以上いたずらに長引かせる訳にはいかない……
>……決着をつけにいこう。
>…
>……
>………
ヴィンセント「っ……」
ヴィンセント「……お前、結構恥ずかしい事言うヤツだな」
ヴィンセント「でも、なんかちょっと……軽く頭殴られた感じがした」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「俺もさ、こうやって年の離れた珍しい知り合いが出来たのに……すぐ別れる事になるのは嫌だな」
ヴィンセント「……うん、そうだ。そうだよな」
>ヴィンセントは強く頷いた。
ヴィンセント「やっぱ、お前に話して正解だったわ。ちょっとは胸のつかえがとれた感じがする」
ヴィンセント「ありがとう。……今夜はもう帰るよ」
鳴上「はい」
ヴィンセント「じゃあ、またな」
>ヴィンセントは軽く肩を叩いて店から去っていった。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが6になった
>この悪夢との戦い……
>もうこれ以上いたずらに長引かせる訳にはいかない……
>……決着をつけにいこう。
>…
>……
>………
224: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:00:13.64:iUc54vGAO (24/34)
Night mare
第七階層 第一エリア
>……
>今夜も、石の山は高く聳え立っている。
>もうこれしきで怖じ気付く事もないが……
>……しかし、今回はまた一番上に行くまで先が長そうだ。
>奴がそうさせているのだろうか。
>告解室に居座っているアイツが……
>……
踊り場
鳴上「……」
>登った先にあったのは、自分一人だけの踊り場という絶望だった。
>自分以外の気配がまるでしない。
>あるとしたらそれはおそらく……
>もう、あの告解室しかない事はわかっている事だった。
>……
告解室
代行人「ふふ……ふふふ」
>室内に不気味な笑い声が響いている。
>今夜は今までで一番、代行人の様子がおかしい事はそれで明らかだった。
>だからといって……自分がする事に何も変わりはない。
>特に挨拶を交わすこともなく、まずは腰を落ち着けた。
代行人「ああ……おかしい。おかしくてどうにかなりそうだ」
鳴上「……」
代行人「くくっ……このステージに相応しい最高のショーを思いついたんだよ……ははっ」
代行人「今夜もまた、最後の告解室までたのしい質問タイムはお預けだ」
代行人「俺も時間が惜しいなんて思う日がくるなんてね。お前に早く上まで来て貰いたいんだ。ふふっ、あはは」
代行人「……来いよ。さあ早く!」
鳴上「……」
鳴上「言われずとも」
Night mare
第七階層 第一エリア
>……
>今夜も、石の山は高く聳え立っている。
>もうこれしきで怖じ気付く事もないが……
>……しかし、今回はまた一番上に行くまで先が長そうだ。
>奴がそうさせているのだろうか。
>告解室に居座っているアイツが……
>……
踊り場
鳴上「……」
>登った先にあったのは、自分一人だけの踊り場という絶望だった。
>自分以外の気配がまるでしない。
>あるとしたらそれはおそらく……
>もう、あの告解室しかない事はわかっている事だった。
>……
告解室
代行人「ふふ……ふふふ」
>室内に不気味な笑い声が響いている。
>今夜は今までで一番、代行人の様子がおかしい事はそれで明らかだった。
>だからといって……自分がする事に何も変わりはない。
>特に挨拶を交わすこともなく、まずは腰を落ち着けた。
代行人「ああ……おかしい。おかしくてどうにかなりそうだ」
鳴上「……」
代行人「くくっ……このステージに相応しい最高のショーを思いついたんだよ……ははっ」
代行人「今夜もまた、最後の告解室までたのしい質問タイムはお預けだ」
代行人「俺も時間が惜しいなんて思う日がくるなんてね。お前に早く上まで来て貰いたいんだ。ふふっ、あはは」
代行人「……来いよ。さあ早く!」
鳴上「……」
鳴上「言われずとも」
225: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:07:57.93:iUc54vGAO (25/34)
>……
>登っている間は、孤独との戦いになっていた。
>踊り場だけではない……
>この石の山には、誰もいない。
>もう誰も。
>一緒に登る羊も、その声すらも。
>見えない、聞こえない。
>誰もいない。誰もいない。
>ひとりだ。
>ひとりきりなのだ……
>……
踊り場
>今回はもう、いくつのエリアを越え、いくつの踊り場を通過したのか数えるのもやめてしまった。
>……
>他の羊は、やはり……
>……
鳴上「――!?」
>顔上げると、告解室の前に一匹だけ羊がいるのが目に飛び込んできた。
>自身を招かれざる羊だと称した……イヤホンの羊だ。
>彼はゆっくりとこちらを振り返った。
イヤホンの羊「やあ」
鳴上「っ……」
イヤホンの羊「どうしたんだい。そんな顔をして」
鳴上「だって……」
鳴上「……」
イヤホンの羊「……」
イヤホンの羊「君はどうも少し勘違いをしているみたいだ」
鳴上「……?」
イヤホンの羊「君はね」
イヤホンの羊「俺が託した事をきちんとやり遂げてくれているよ」
鳴上「え……」
イヤホンの羊「上だけをみろ、なんて言ったのが間違いだったかな」
イヤホンの羊「ここから少し、下を見てごらん」
イヤホンの羊「そして、耳をすませて」
鳴上「下……?」
>踊り場へと繋いでいる階段があるところから、下へと覗きこんだ……
>……
>……
>登っている間は、孤独との戦いになっていた。
>踊り場だけではない……
>この石の山には、誰もいない。
>もう誰も。
>一緒に登る羊も、その声すらも。
>見えない、聞こえない。
>誰もいない。誰もいない。
>ひとりだ。
>ひとりきりなのだ……
>……
踊り場
>今回はもう、いくつのエリアを越え、いくつの踊り場を通過したのか数えるのもやめてしまった。
>……
>他の羊は、やはり……
>……
鳴上「――!?」
>顔上げると、告解室の前に一匹だけ羊がいるのが目に飛び込んできた。
>自身を招かれざる羊だと称した……イヤホンの羊だ。
>彼はゆっくりとこちらを振り返った。
イヤホンの羊「やあ」
鳴上「っ……」
イヤホンの羊「どうしたんだい。そんな顔をして」
鳴上「だって……」
鳴上「……」
イヤホンの羊「……」
イヤホンの羊「君はどうも少し勘違いをしているみたいだ」
鳴上「……?」
イヤホンの羊「君はね」
イヤホンの羊「俺が託した事をきちんとやり遂げてくれているよ」
鳴上「え……」
イヤホンの羊「上だけをみろ、なんて言ったのが間違いだったかな」
イヤホンの羊「ここから少し、下を見てごらん」
イヤホンの羊「そして、耳をすませて」
鳴上「下……?」
>踊り場へと繋いでいる階段があるところから、下へと覗きこんだ……
>……
226: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:11:01.48:iUc54vGAO (26/34)
>……?
>微かに何か聞こえてくる……?
>足場が崩れるあの振動音とは違う。これは……
>声、だ。
『……みんな! 挫けるなよ!』
『続け! 前の羊に続くんだ!』
『諦めなければ登りきれるさ!』
『先頭にいる、あの羊のように、な!』
鳴上「これは……他の羊たちの、声?」
>姿をはっきり目視する事は出来ないが、他の羊たちが励まし合い言葉を掛け合いながら、上を目指しているのがわかる。
>まだ、だいぶ下の方なのかもしれないが、確実に登ってきているのだ……
イヤホンの羊「そう」
イヤホンの羊「君の周りに誰もいなかったのは……」
イヤホンの羊「はるか一番先頭で、君が登っていたからだ」
イヤホンの羊「そして他のみんなは、そんな君の姿を励みにしてここまで登ろうとしている」
イヤホンの羊「まだ来るまでにだいぶかかりそうではあるけどね」
鳴上「……良かった」
鳴上「良かったっ……」
イヤホンの羊「……まだ安心するのは早い」
イヤホンの羊「この先にあるラストステージを登り切らなければ……」
>イヤホンの羊は、上を差している。
イヤホンの羊「この先は、俺も見た事がない」
イヤホンの羊「だから……気を……つ……」
鳴上「!?」
>イヤホンの羊の体が徐々に薄れていく……
イヤホンの羊「本当に……これが……最……後……」
イヤホンの羊「……」
>イヤホンの羊は何かを伝えようとしていたが、それが終わる前に完全に消えてしまった。
鳴上「っ……」
鳴上「ラストステージ……」
>……
>……?
>微かに何か聞こえてくる……?
>足場が崩れるあの振動音とは違う。これは……
>声、だ。
『……みんな! 挫けるなよ!』
『続け! 前の羊に続くんだ!』
『諦めなければ登りきれるさ!』
『先頭にいる、あの羊のように、な!』
鳴上「これは……他の羊たちの、声?」
>姿をはっきり目視する事は出来ないが、他の羊たちが励まし合い言葉を掛け合いながら、上を目指しているのがわかる。
>まだ、だいぶ下の方なのかもしれないが、確実に登ってきているのだ……
イヤホンの羊「そう」
イヤホンの羊「君の周りに誰もいなかったのは……」
イヤホンの羊「はるか一番先頭で、君が登っていたからだ」
イヤホンの羊「そして他のみんなは、そんな君の姿を励みにしてここまで登ろうとしている」
イヤホンの羊「まだ来るまでにだいぶかかりそうではあるけどね」
鳴上「……良かった」
鳴上「良かったっ……」
イヤホンの羊「……まだ安心するのは早い」
イヤホンの羊「この先にあるラストステージを登り切らなければ……」
>イヤホンの羊は、上を差している。
イヤホンの羊「この先は、俺も見た事がない」
イヤホンの羊「だから……気を……つ……」
鳴上「!?」
>イヤホンの羊の体が徐々に薄れていく……
イヤホンの羊「本当に……これが……最……後……」
イヤホンの羊「……」
>イヤホンの羊は何かを伝えようとしていたが、それが終わる前に完全に消えてしまった。
鳴上「っ……」
鳴上「ラストステージ……」
>……
227: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:14:56.65:iUc54vGAO (27/34)
告解室
鳴上「来たぞ」
代行人「くくく……待ちくたびれてたところだ」
代行人「やっと来てくれたんだな! 嬉しいよ!」
代行人「ふ、ふふふ……!」
>代行人の不気味な笑い声は止まらない……
代行人「さあ、まずはショーの前の前座といこう!」
機械的な声「第七問です」
機械的な声「 」
>『 』と『 』のロープが垂れ下がってきた。
鳴上「っ……」
代行人「……」
鳴上「……」
代行人「……ふ」
代行人「ふ、は」
代行人「ふははははははははははッ!」
代行人「そうだよな! ああ、そうだろうとも!」
代行人「その答え、しかと刻んだ!」
代行人「じゃあ、行こう! 今夜は……」
代行人「俺も一緒だ」
鳴上「ッ!?」
>告解室が上昇していく……
>……
第七階層 最終エリア
>周りはとても薄暗い……
>辛うじて何処に何があるのかくらいは解るが、歩くだけでも至難の技になりそうなくらいだ。
>早く目が慣れればいいが……
トントン
>……背中を誰かが叩いている。
?「よっ」
鳴上「! その声はっ……代行人か!?」
>距離をとり、後ろを振り返った。
>そこには……今まで周りがみんなそうだったように。
>羊が一匹、いた。
告解室
鳴上「来たぞ」
代行人「くくく……待ちくたびれてたところだ」
代行人「やっと来てくれたんだな! 嬉しいよ!」
代行人「ふ、ふふふ……!」
>代行人の不気味な笑い声は止まらない……
代行人「さあ、まずはショーの前の前座といこう!」
機械的な声「第七問です」
機械的な声「 」
>『 』と『 』のロープが垂れ下がってきた。
鳴上「っ……」
代行人「……」
鳴上「……」
代行人「……ふ」
代行人「ふ、は」
代行人「ふははははははははははッ!」
代行人「そうだよな! ああ、そうだろうとも!」
代行人「その答え、しかと刻んだ!」
代行人「じゃあ、行こう! 今夜は……」
代行人「俺も一緒だ」
鳴上「ッ!?」
>告解室が上昇していく……
>……
第七階層 最終エリア
>周りはとても薄暗い……
>辛うじて何処に何があるのかくらいは解るが、歩くだけでも至難の技になりそうなくらいだ。
>早く目が慣れればいいが……
トントン
>……背中を誰かが叩いている。
?「よっ」
鳴上「! その声はっ……代行人か!?」
>距離をとり、後ろを振り返った。
>そこには……今まで周りがみんなそうだったように。
>羊が一匹、いた。
228: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:19:58.77:iUc54vGAO (28/34)
代行人「言っただろ? 俺も一緒だって」
>その羊から発せられているのが、紛れもない代行人の声だった。
鳴上「お前、その姿は……」
代行人「いつか言ってたよな」
代行人「あまりふざけた事してるとジンギスカン鍋にしてやるとかってさ」
代行人「……出来るもんならそうしてみろ、って事だよ」
>そう告げると代行人はその場から走り出し上へと目指して登り始めた。
鳴上「あっ……オイ!」
>それを追いかけようと足を踏み出した。
鳴上「まさか、この追いかけっこがお前の言う最高のショーだって言うのか!?」
代行人「ああ、そうだとも! これ以上ない演出だと思わないか?」
鳴上「ふざけるなッ!」
>まさかここに来て、追いかけられる側から追いかける側になるとは……
代行人「あー、一応言っておくけど」
代行人「お前だっていつものように追いかけられてるって事、忘れるなよ?」
鳴上「ッ――!?」
>その言葉を耳にすると同時に、背筋に寒気が走った。
>追いかけられている――?
>そんな気配なんて、さっきまで……
代行人「ほら、すぐ後ろ」
>前を行く代行人の視線が自分の背後を見つめていた。
>その視線を追う。
>後ろを振り返った。
>そこにあったのは……
>闇だった。
>黒く蠢くその闇は、人のかたちを象っている。
>それは真っ黒な大きな体に顔だけ仮面を被り素顔を隠してそこに存在していた。
>ただ静かに、静かに、自分の背後にじりじりと寄ってくる……
代行人「言っただろ? 俺も一緒だって」
>その羊から発せられているのが、紛れもない代行人の声だった。
鳴上「お前、その姿は……」
代行人「いつか言ってたよな」
代行人「あまりふざけた事してるとジンギスカン鍋にしてやるとかってさ」
代行人「……出来るもんならそうしてみろ、って事だよ」
>そう告げると代行人はその場から走り出し上へと目指して登り始めた。
鳴上「あっ……オイ!」
>それを追いかけようと足を踏み出した。
鳴上「まさか、この追いかけっこがお前の言う最高のショーだって言うのか!?」
代行人「ああ、そうだとも! これ以上ない演出だと思わないか?」
鳴上「ふざけるなッ!」
>まさかここに来て、追いかけられる側から追いかける側になるとは……
代行人「あー、一応言っておくけど」
代行人「お前だっていつものように追いかけられてるって事、忘れるなよ?」
鳴上「ッ――!?」
>その言葉を耳にすると同時に、背筋に寒気が走った。
>追いかけられている――?
>そんな気配なんて、さっきまで……
代行人「ほら、すぐ後ろ」
>前を行く代行人の視線が自分の背後を見つめていた。
>その視線を追う。
>後ろを振り返った。
>そこにあったのは……
>闇だった。
>黒く蠢くその闇は、人のかたちを象っている。
>それは真っ黒な大きな体に顔だけ仮面を被り素顔を隠してそこに存在していた。
>ただ静かに、静かに、自分の背後にじりじりと寄ってくる……
229: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:26:01.61:iUc54vGAO (29/34)
代行人「俺に追いついて上まで登りきれたらお前の勝ち、途中でアイツに捕まったらお前の負けってところだな」
鳴上「なんっ……だよ、あれは!!」
黒い巨人「■■■■■■■■■!!」
鳴上「っ……!?」
>黒い巨人は声を発しているが、それを意味のある言葉として認識する事は出来なかった。
>これは言葉というよりも慟哭に近い……そう感じた。
代行人「アイツが何を言ってるかわからないって?」
鳴上「!」
代行人「俺にはわかるよ」
代行人「でもお前には教えない」
鳴上「……別に、俺は」
代行人「だってお前は、わからないんじゃなくて……」
代行人「 」
鳴上「えっ……?」
代行人「……」
>一瞬、代行人の声が聞こえなくなった……
>その背後ではずっと黒い巨人が言葉になっていない叫びを続けている。
代行人「……それより、楽しいとは思わないのか?」
鳴上「は……?」
代行人「だから、この追いかけっこがだよ」
>代行人は登った先でわざと足場を崩したり石を移動させたりして、こちらが登るのを妨害している。
>それに応じて瞬時に別のルートを作って、なんとか代行人と一定の距離を保って進んでいったが……
>代行人のその行動に苛立ちを覚える事はあっても、楽しいなどとは思える筈もなかった。
>だが、代行人は笑う。
代行人「俺に追いついて上まで登りきれたらお前の勝ち、途中でアイツに捕まったらお前の負けってところだな」
鳴上「なんっ……だよ、あれは!!」
黒い巨人「■■■■■■■■■!!」
鳴上「っ……!?」
>黒い巨人は声を発しているが、それを意味のある言葉として認識する事は出来なかった。
>これは言葉というよりも慟哭に近い……そう感じた。
代行人「アイツが何を言ってるかわからないって?」
鳴上「!」
代行人「俺にはわかるよ」
代行人「でもお前には教えない」
鳴上「……別に、俺は」
代行人「だってお前は、わからないんじゃなくて……」
代行人「 」
鳴上「えっ……?」
代行人「……」
>一瞬、代行人の声が聞こえなくなった……
>その背後ではずっと黒い巨人が言葉になっていない叫びを続けている。
代行人「……それより、楽しいとは思わないのか?」
鳴上「は……?」
代行人「だから、この追いかけっこがだよ」
>代行人は登った先でわざと足場を崩したり石を移動させたりして、こちらが登るのを妨害している。
>それに応じて瞬時に別のルートを作って、なんとか代行人と一定の距離を保って進んでいったが……
>代行人のその行動に苛立ちを覚える事はあっても、楽しいなどとは思える筈もなかった。
>だが、代行人は笑う。
230: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:28:44.58:iUc54vGAO (30/34)
代行人「俺は楽しいね!」
代行人「今この瞬間が、楽しくて楽しくて仕方ない!」
代行人「ふふっ、あはははははっ!」
>その代行人の笑い声には、告解室で聞いた時のような不気味さがいつの間にか消えていた。
>無邪気に笑い、純粋にこの状況を楽しんでいる。
>まるで小さな子供のようだ……
ゴーン…… ゴーン……
鳴上「!」
鳴上「鐘の音が……!」
代行人「……なんだ。もう終わりなのか……」
代行人「……」
>代行人の足の動きが急に鈍くなった。
>その隙を見逃さず、代行人が通った場所とは別の方から登るスピードを上げ……
>扉の目前にくる頃には、代行人の方が後ろにいるようになっていた。
鳴上「着いた……!」
鳴上「この扉の先が」
代行人「そう。カテドラルだ」
代行人「おめでとう。お前は、祭壇への路を通過してついにここまでやってきたんだ」
代行人「……」
鳴上「カテドラル……」
>扉を開こうと手をかける。
>しかしふと思いとどまって、後ろを振り返った。
>そこには足の動きを止めたままずっと棒立ちしている羊姿の代行人がいる。
鳴上「……何してるんだ? もうゴールなんだぞ」
代行人「……」
>代行人は首を横に振った。
代行人「俺は行かない」
鳴上「ッ!?」
代行人「俺は楽しいね!」
代行人「今この瞬間が、楽しくて楽しくて仕方ない!」
代行人「ふふっ、あはははははっ!」
>その代行人の笑い声には、告解室で聞いた時のような不気味さがいつの間にか消えていた。
>無邪気に笑い、純粋にこの状況を楽しんでいる。
>まるで小さな子供のようだ……
ゴーン…… ゴーン……
鳴上「!」
鳴上「鐘の音が……!」
代行人「……なんだ。もう終わりなのか……」
代行人「……」
>代行人の足の動きが急に鈍くなった。
>その隙を見逃さず、代行人が通った場所とは別の方から登るスピードを上げ……
>扉の目前にくる頃には、代行人の方が後ろにいるようになっていた。
鳴上「着いた……!」
鳴上「この扉の先が」
代行人「そう。カテドラルだ」
代行人「おめでとう。お前は、祭壇への路を通過してついにここまでやってきたんだ」
代行人「……」
鳴上「カテドラル……」
>扉を開こうと手をかける。
>しかしふと思いとどまって、後ろを振り返った。
>そこには足の動きを止めたままずっと棒立ちしている羊姿の代行人がいる。
鳴上「……何してるんだ? もうゴールなんだぞ」
代行人「……」
>代行人は首を横に振った。
代行人「俺は行かない」
鳴上「ッ!?」
231: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:32:29.55:iUc54vGAO (31/34)
代行人「もうこの夢の世界ではこれが最後になるだろうから言っておく」
代行人「今までお前と色々と話をしたり、色々質問したりして……解った事はひとつだけだった」
代行人「知る事は出来ても理解出来ない事もあるんだ、って事さ」
代行人「……お前の事は結局理解できなかったよ」
鳴上「……」
代行人「それでも、俺は……」
代行人「……」
鳴上「っ……、今はそんな話をしてる場合じゃ、」
鳴上「ッ!? ……お、おい! 後ろ!!」
>代行人のすぐ後ろまで黒い巨人が迫ってきている。
>けれどそれでも、代行人は動こうとしない。
>代わりに、今までただ追ってくるだけだった黒い巨人の腕が伸びた。
>その手は代行人を握り潰すかのように掴み、そしてその瞬間黒い巨人の顔を隠していた仮面が割れた。
>その下から出てきた顔は……
鳴上「そん……な……どうして……!」
>黒い巨人は口を大きく開き
>代行人をその中へと放り込んだ――
代行人「……じゃあ」
代行人「またな」
>バリボリ、ガリゴリと、黒い巨人の口が動く度に何かが砕け擦り潰されていく音が響き続けていた……
>その動きが止まると、口端から赤い液体を滴らせる巨人がこちらを見てニヤリと笑ったのが目に映る。
>……
鳴上「……う、」
鳴上「うわあああああああああッ!!」
>…
>……
>………
代行人「もうこの夢の世界ではこれが最後になるだろうから言っておく」
代行人「今までお前と色々と話をしたり、色々質問したりして……解った事はひとつだけだった」
代行人「知る事は出来ても理解出来ない事もあるんだ、って事さ」
代行人「……お前の事は結局理解できなかったよ」
鳴上「……」
代行人「それでも、俺は……」
代行人「……」
鳴上「っ……、今はそんな話をしてる場合じゃ、」
鳴上「ッ!? ……お、おい! 後ろ!!」
>代行人のすぐ後ろまで黒い巨人が迫ってきている。
>けれどそれでも、代行人は動こうとしない。
>代わりに、今までただ追ってくるだけだった黒い巨人の腕が伸びた。
>その手は代行人を握り潰すかのように掴み、そしてその瞬間黒い巨人の顔を隠していた仮面が割れた。
>その下から出てきた顔は……
鳴上「そん……な……どうして……!」
>黒い巨人は口を大きく開き
>代行人をその中へと放り込んだ――
代行人「……じゃあ」
代行人「またな」
>バリボリ、ガリゴリと、黒い巨人の口が動く度に何かが砕け擦り潰されていく音が響き続けていた……
>その動きが止まると、口端から赤い液体を滴らせる巨人がこちらを見てニヤリと笑ったのが目に映る。
>……
鳴上「……う、」
鳴上「うわあああああああああッ!!」
>…
>……
>………
232: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:34:32.00:iUc54vGAO (32/34)
05/14(月) 曇り 自室
【朝】
鳴上「ハァ……ハァ……ッ」
>自分の叫び声で目が覚めた……
>今までで最悪の目覚めだ。
>なのに、夢の中で何があったのか、……今回が一番記憶に残っていない。
>……
―♪
鳴上「ッ……!!」
>突如、携帯から流れ出した大きな音に身が強ばった。
>聞こえてくるのは、サラサーテのツィゴイネルワイゼン。
>以前は、海老原専用の着信音に設定していたそれだが、今は別の人物専用へと変えている音楽だ。
>震える指を伸ばし、携帯を掴んだ瞬間その音が止まる。
>……メールが一件、たった今届いたようだ。
>少し躊躇ってから、そのメールの中身に目をやった。
>そこには一文だけ、こう記されていた。
05/14(月) 曇り 自室
【朝】
鳴上「ハァ……ハァ……ッ」
>自分の叫び声で目が覚めた……
>今までで最悪の目覚めだ。
>なのに、夢の中で何があったのか、……今回が一番記憶に残っていない。
>……
―♪
鳴上「ッ……!!」
>突如、携帯から流れ出した大きな音に身が強ばった。
>聞こえてくるのは、サラサーテのツィゴイネルワイゼン。
>以前は、海老原専用の着信音に設定していたそれだが、今は別の人物専用へと変えている音楽だ。
>震える指を伸ばし、携帯を掴んだ瞬間その音が止まる。
>……メールが一件、たった今届いたようだ。
>少し躊躇ってから、そのメールの中身に目をやった。
>そこには一文だけ、こう記されていた。
233: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:35:19.01:iUc54vGAO (33/34)
from:キミコ
Love is Over
from:キミコ
Love is Over
234: ◆Hw7XKfELws:2012/05/16(水) 18:36:43.97:iUc54vGAO (34/34)
終わります。
携帯からの投下は時間がかかってあかん……
また次回。
終わります。
携帯からの投下は時間がかかってあかん……
また次回。
235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/16(水) 18:40:00.22:hoKLmxiIo (1/1)
love is overって別れようとかそんな感じ?
とりあえず乙
love is overって別れようとかそんな感じ?
とりあえず乙
236:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/16(水) 18:40:06.19:8XVM19U4o (1/1)
乙うわああああああああ
どういうことだってばよ・・・
乙うわああああああああ
どういうことだってばよ・・・
237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空):2012/05/16(水) 18:40:48.71:5YpyUcjro (1/1)
うわ、すげえ気になる乙
うわ、すげえ気になる乙
238:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/16(水) 18:41:20.30:iuTgYGxko (2/3)
代行人はやっぱり「アレ」なのかね?
乙
代行人はやっぱり「アレ」なのかね?
乙
239:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/16(水) 19:31:05.70:Ewz977VM0 (1/1)
私たちの関係は終わったのよ ですな
私たちの関係は終わったのよ ですな
240:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/16(水) 19:35:34.71:DQcxUWefo (1/1)
乙!
いつも更新はまだか、と言わんばかりに楽しみにしてます!
もうこの話は終盤かな?
だが本編の時間軸はちっとも進んでないとはw
乙!
いつも更新はまだか、と言わんばかりに楽しみにしてます!
もうこの話は終盤かな?
だが本編の時間軸はちっとも進んでないとはw
241:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/16(水) 19:51:45.21:fHOOlF6ho (1/1)
乙
キミコ(´;ω;`)
乙
キミコ(´;ω;`)
242:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/16(水) 21:03:33.47:znwFzLO40 (1/1)
代行人と黒い巨人が誰なのかわからん…。
イヤホンの羊とか帽子の羊とかは判りやすかったが…。
そしてハム子…何があったし!?
代行人と黒い巨人が誰なのかわからん…。
イヤホンの羊とか帽子の羊とかは判りやすかったが…。
そしてハム子…何があったし!?
243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/16(水) 21:05:18.59:iuTgYGxko (3/3)
>>242
たぶん代行人の正体≒黒い巨人
恐らく番長のsうわ何をするやめ
>>242
たぶん代行人の正体≒黒い巨人
恐らく番長のsうわ何をするやめ
244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/16(水) 21:54:04.48:F2Ab3/EAO (1/1)
乙
乙
245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/17(木) 00:09:39.71:kyiKAJho0 (1/1)
毎回良い所でぶつ切られる…相変わらず焦らして来るね。
それはそれとして最近発表されたが、
直斗主役のスピンオフノベルが発売されるらしいね
そのイラストで髪をストレートに伸ばした直斗がすごい美人で…
じゃなくて既に別の街に仕事に行ってるんだよな。
もしかしたらりせちーみたいに少しだけ参戦来るかも
毎回良い所でぶつ切られる…相変わらず焦らして来るね。
それはそれとして最近発表されたが、
直斗主役のスピンオフノベルが発売されるらしいね
そのイラストで髪をストレートに伸ばした直斗がすごい美人で…
じゃなくて既に別の街に仕事に行ってるんだよな。
もしかしたらりせちーみたいに少しだけ参戦来るかも
246:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/17(木) 00:30:39.42:xIjeta4s0 (1/1)
>>245
一応、直斗のあれは本編終了後から1年以上後、この時間軸からすると鳴上の月光館卒業後だぞ。
直斗は3年生、鳴上は順調に行ってれば大学1年生だ。
>>245
一応、直斗のあれは本編終了後から1年以上後、この時間軸からすると鳴上の月光館卒業後だぞ。
直斗は3年生、鳴上は順調に行ってれば大学1年生だ。
247:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/18(金) 22:28:32.64:QGp6FQHB0 (1/1)
>>243
大穴で、周りの女の視線ををことごとく集める悠に対してできた陽介のシャドウだと思う。
自分のシャドウなら、ある意味で自分だから判定や質問なんてしないと思うんだ。
P4のシャドウは他人のシャドウの影響も受けてるから本人と違うところがあるが、自分をわかっていない訳じゃなさそうだ
女を集める奴らをどうしても消したいモテないモブのシャドウたち、その内の一人が代行人として判断する
だから悠に対しては陽介が判断をしに来て、自分が負けるのをわかっていて楽しく遊び、自ら消えて行ったんじゃないだろうか
黒い巨人というモブの集まりのなかに陽介も入っていった
>>243
大穴で、周りの女の視線ををことごとく集める悠に対してできた陽介のシャドウだと思う。
自分のシャドウなら、ある意味で自分だから判定や質問なんてしないと思うんだ。
P4のシャドウは他人のシャドウの影響も受けてるから本人と違うところがあるが、自分をわかっていない訳じゃなさそうだ
女を集める奴らをどうしても消したいモテないモブのシャドウたち、その内の一人が代行人として判断する
だから悠に対しては陽介が判断をしに来て、自分が負けるのをわかっていて楽しく遊び、自ら消えて行ったんじゃないだろうか
黒い巨人というモブの集まりのなかに陽介も入っていった
248:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/05/18(金) 23:33:22.65:tCcKv7cIo (1/1)
>>247
予想書くやつは[ピーーー]
>>247
予想書くやつは[ピーーー]
249:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/19(土) 01:02:52.45:B92NkGnlo (1/1)
保守
保守
250:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/19(土) 05:05:20.84:pTN/2NGQ0 (1/1)
>サラサーテのツィゴイネルワイゼン
エビとの関係にこんな設定あったっけ?と調べたら、アニソナの設定か…。
このSSはめっちゃ面白いし、ゲームのペルソナも大好きでやってるけど、
キャサリンとかはやってないし、一部モトネタがわからん俺はかなり損してるんだろうな…。
>サラサーテのツィゴイネルワイゼン
エビとの関係にこんな設定あったっけ?と調べたら、アニソナの設定か…。
このSSはめっちゃ面白いし、ゲームのペルソナも大好きでやってるけど、
キャサリンとかはやってないし、一部モトネタがわからん俺はかなり損してるんだろうな…。
251:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/19(土) 09:23:06.87:fNpMcUAIO (1/1)
キャサリンをやれば幸せになれるよ
キャサリンをやれば幸せになれるよ
252: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:26:09.01:iWlevfSAO (1/16)
7th day
>……
>時間が経っても気分は冴えないままだったが学校へは行く事にした。
>また熱が上がったという訳では無さそうだったが、念の為病院から出された薬も飲んでおいた。
>……キミコへのメールの返事は、していない。
>だからといって、気になっていないという訳でもない。
>彼女は近いうちにまた会おうと言っていた。
>出来ればそれは避けたいと心のどこかで思っていたが……
>……
>彼女とは改めてもう一度、面と向かって話をしてみるべきなのかもしれない。
>今は、そんな風に考えていた。
>彼女の言葉を信じるなら、キミコは月光館学園高等科の二年生のクラスの何処かにいる筈だ。
>本人にメールでも電話でもして何処のクラスか聞くのが一番かもしれないが、あんなメールを送ってきた直後だ……そんな事突然聞いて、答えてくれかどうか。
>それにいつも突然出てきて驚いているこちらの気分を彼女に味あわせてやるのもいいだろう。
>……順に当たってみようか。
【昼休み】
月光館学園 二階 廊下
鳴上「……ここも違ったか」
>A組から順にキミコの姿を探し始めたがE組までは全部はずれのようだ。
>キミコという名前しか手がかりはないのだが、訪ねたいずれのクラスにもそんな名前の女子はいないらしい。
>という事は、必然的に最後に残ったクラス……F組に彼女はいる事になる。
>まずはF組の入り口から教室の中を窺ってみよう。
>……
>……今見た限りでは、ここにはいないようだ。
>近くにいる女生徒に声をかけてみた。
7th day
>……
>時間が経っても気分は冴えないままだったが学校へは行く事にした。
>また熱が上がったという訳では無さそうだったが、念の為病院から出された薬も飲んでおいた。
>……キミコへのメールの返事は、していない。
>だからといって、気になっていないという訳でもない。
>彼女は近いうちにまた会おうと言っていた。
>出来ればそれは避けたいと心のどこかで思っていたが……
>……
>彼女とは改めてもう一度、面と向かって話をしてみるべきなのかもしれない。
>今は、そんな風に考えていた。
>彼女の言葉を信じるなら、キミコは月光館学園高等科の二年生のクラスの何処かにいる筈だ。
>本人にメールでも電話でもして何処のクラスか聞くのが一番かもしれないが、あんなメールを送ってきた直後だ……そんな事突然聞いて、答えてくれかどうか。
>それにいつも突然出てきて驚いているこちらの気分を彼女に味あわせてやるのもいいだろう。
>……順に当たってみようか。
【昼休み】
月光館学園 二階 廊下
鳴上「……ここも違ったか」
>A組から順にキミコの姿を探し始めたがE組までは全部はずれのようだ。
>キミコという名前しか手がかりはないのだが、訪ねたいずれのクラスにもそんな名前の女子はいないらしい。
>という事は、必然的に最後に残ったクラス……F組に彼女はいる事になる。
>まずはF組の入り口から教室の中を窺ってみよう。
>……
>……今見た限りでは、ここにはいないようだ。
>近くにいる女生徒に声をかけてみた。
253: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:28:11.91:iWlevfSAO (2/16)
鳴上「あの、ちょっと」
女生徒A「はい? なんでしょう」
鳴上「このクラスにキミコって女の子、いる?」
女生徒A「キミコ?」
女生徒A「……ねー、今日ってキミコまだ学校に来てないよね?」
女生徒B「そうだねー。なんの連絡もないけど、休みなんじゃん?」
女生徒A「って、感じですけど」
鳴上「……そっか。ありがとう」
鳴上(休みか……もしかして、俺が来るんじゃないかと思って、逃げたのか? いや、そうする理由なんてキミコにあるんだろうか……)
鳴上(……)
>……
【放課後】
>あの後、結局キミコにメールを送り電話もしてみたが、通じる事はないまま学校が終わってしまった。
鳴上(いつも唐突にやってくるくせに、肝心な時に姿を現さないなんてな……今日は諦めるしかないか)
鳴上(……さて。それなら、もう一つの用事を片付けよう)
>今日はキミコの事を最優先で行動してきたが、どうにも出来ないなら仕方がない。
>……この後は、辰巳記念病院に行く事にしよう。
>チドリの具合はどうなのだろうか。
>……
辰巳記念病院 208号室
>病室の番号の下には、『吉野千鳥』という名前が書かれている。
鳴上「そういえば、チドリのフルネームって今まで聞いた事なかったな」
鳴上「……突然来て邪魔にならなきゃいいけど」
>扉をノックした。
チドリ「……? どうぞ」
鳴上「よっ、チドリ」
チドリ「!!」
>チドリは目を丸くし、大層驚いた様子でこちらを見た。
鳴上「あの、ちょっと」
女生徒A「はい? なんでしょう」
鳴上「このクラスにキミコって女の子、いる?」
女生徒A「キミコ?」
女生徒A「……ねー、今日ってキミコまだ学校に来てないよね?」
女生徒B「そうだねー。なんの連絡もないけど、休みなんじゃん?」
女生徒A「って、感じですけど」
鳴上「……そっか。ありがとう」
鳴上(休みか……もしかして、俺が来るんじゃないかと思って、逃げたのか? いや、そうする理由なんてキミコにあるんだろうか……)
鳴上(……)
>……
【放課後】
>あの後、結局キミコにメールを送り電話もしてみたが、通じる事はないまま学校が終わってしまった。
鳴上(いつも唐突にやってくるくせに、肝心な時に姿を現さないなんてな……今日は諦めるしかないか)
鳴上(……さて。それなら、もう一つの用事を片付けよう)
>今日はキミコの事を最優先で行動してきたが、どうにも出来ないなら仕方がない。
>……この後は、辰巳記念病院に行く事にしよう。
>チドリの具合はどうなのだろうか。
>……
辰巳記念病院 208号室
>病室の番号の下には、『吉野千鳥』という名前が書かれている。
鳴上「そういえば、チドリのフルネームって今まで聞いた事なかったな」
鳴上「……突然来て邪魔にならなきゃいいけど」
>扉をノックした。
チドリ「……? どうぞ」
鳴上「よっ、チドリ」
チドリ「!!」
>チドリは目を丸くし、大層驚いた様子でこちらを見た。
254: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:30:26.42:iWlevfSAO (3/16)
チドリ「悠……どうしてここが?」
鳴上「順平さんから聞いた」
チドリ「……そう」
鳴上「体の調子の方はどうだ?」
チドリ「別に、もう平気。こんなの慣れてるし。明日には退院するから」
鳴上「あ、そうなのか。もっと早いうちにくれば良かったな」
チドリ「……」
チドリ「なんで来たの?」
鳴上「え? 心配だったから……じゃ、ダメか?」
鳴上「……あんな姿、見た後だったし」
チドリ「……」
鳴上「順平さんと仲直りはしたんだろ?」
チドリ「……まあ、ね。でも」
チドリ「他人の心配するより、自分の事考えた方がいいんじゃないの?」
チドリ「顔色、サイアクよ。今にも死にそう。……順平もだったけど」
チドリ「バカじゃないの?」
チドリ「順平も悠も、……ホント、バカよ」
鳴上「……」
鳴上「俺はともかく、さ。順平さんはそれだけチドリの事を……」
>……
>これ以上の事は自分の口から言って良い事かどうか計り兼ねる……
チドリ「……わかってる」
鳴上「!」
チドリ「順平が、私の事考えてくれてるのはわかってるの」
チドリ「もちろんそれは私にとってはとても嬉しい事よ。本当に嬉しい。……けど」
チドリ「辛いって思う時も、あるのも本当」
チドリ「私の存在は……順平を縛ってるんじゃないかって、重荷になってるんじゃないかって、凄く不安になる」
チドリ「それなのに私は、自分の気持ちを抑えられない時があるから……嫌になるの」
チドリ「もっと順平と一緒にいたい、だなんて……」
チドリ「……」
チドリ「私も大概バカよね」
チドリ「もうやめましょう。面白い話じゃないわ」
チドリ「悠にこんな事喋っちゃうなんて、何やってるのかしらね、私……」
鳴上「バカなんかじゃないと思う」
チドリ「悠……どうしてここが?」
鳴上「順平さんから聞いた」
チドリ「……そう」
鳴上「体の調子の方はどうだ?」
チドリ「別に、もう平気。こんなの慣れてるし。明日には退院するから」
鳴上「あ、そうなのか。もっと早いうちにくれば良かったな」
チドリ「……」
チドリ「なんで来たの?」
鳴上「え? 心配だったから……じゃ、ダメか?」
鳴上「……あんな姿、見た後だったし」
チドリ「……」
鳴上「順平さんと仲直りはしたんだろ?」
チドリ「……まあ、ね。でも」
チドリ「他人の心配するより、自分の事考えた方がいいんじゃないの?」
チドリ「顔色、サイアクよ。今にも死にそう。……順平もだったけど」
チドリ「バカじゃないの?」
チドリ「順平も悠も、……ホント、バカよ」
鳴上「……」
鳴上「俺はともかく、さ。順平さんはそれだけチドリの事を……」
>……
>これ以上の事は自分の口から言って良い事かどうか計り兼ねる……
チドリ「……わかってる」
鳴上「!」
チドリ「順平が、私の事考えてくれてるのはわかってるの」
チドリ「もちろんそれは私にとってはとても嬉しい事よ。本当に嬉しい。……けど」
チドリ「辛いって思う時も、あるのも本当」
チドリ「私の存在は……順平を縛ってるんじゃないかって、重荷になってるんじゃないかって、凄く不安になる」
チドリ「それなのに私は、自分の気持ちを抑えられない時があるから……嫌になるの」
チドリ「もっと順平と一緒にいたい、だなんて……」
チドリ「……」
チドリ「私も大概バカよね」
チドリ「もうやめましょう。面白い話じゃないわ」
チドリ「悠にこんな事喋っちゃうなんて、何やってるのかしらね、私……」
鳴上「バカなんかじゃないと思う」
255: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:32:09.39:iWlevfSAO (4/16)
チドリ「……?」
鳴上「チドリはさ、順平さんの事好きだからそう思うんだろ?」
チドリ「!」
チドリ「すき……?」
鳴上「そう、好き」
鳴上「だったら、そんな風に思うのはバカとかそういうんじゃなくて……仕方のない事なんじゃないか?」
鳴上「好きだから傍にいてほしい。でも好きだから相手の迷惑にはなりたくない」
鳴上「その辺、難しい感情だとは思うけど、そうやって悩む分だけ相手を……順平さんを想ってる証拠だと、俺は思う」
鳴上「チドリはそれを、順平さんに言った事はあるのか?」
チドリ「あるわけないじゃない。……そんなの、こわくてできない」
鳴上「それでも一度、チドリはその気持ちを順平さんにぶつけてみてもいいんじゃないか?」
鳴上「あの人はそれを受け止められないほど弱い人じゃないと思うし、たぶんチドリが思うほど悪い返事はしないんじゃないかな」
鳴上「ただの俺の勘だけど」
チドリ「……」
チドリ「そんな事言って、どうしようもない事になったら、悠は責任とれるの?」
鳴上「それは……」
チドリ「……冗談よ」
チドリ「……」
チドリ「でも、やっぱり順平にこのきもちを伝えるのは……今は、まだ……」
チドリ「順平の前だと、たぶん上手く言葉にできないと思うし」
鳴上「……そっか」
鳴上「もし仮にどうしようもない事になったとしたら、責任とって俺がチドリを貰おうか?」
チドリ「……バカじゃない? お断りよ」
>真顔で拒否された。
チドリ「……?」
鳴上「チドリはさ、順平さんの事好きだからそう思うんだろ?」
チドリ「!」
チドリ「すき……?」
鳴上「そう、好き」
鳴上「だったら、そんな風に思うのはバカとかそういうんじゃなくて……仕方のない事なんじゃないか?」
鳴上「好きだから傍にいてほしい。でも好きだから相手の迷惑にはなりたくない」
鳴上「その辺、難しい感情だとは思うけど、そうやって悩む分だけ相手を……順平さんを想ってる証拠だと、俺は思う」
鳴上「チドリはそれを、順平さんに言った事はあるのか?」
チドリ「あるわけないじゃない。……そんなの、こわくてできない」
鳴上「それでも一度、チドリはその気持ちを順平さんにぶつけてみてもいいんじゃないか?」
鳴上「あの人はそれを受け止められないほど弱い人じゃないと思うし、たぶんチドリが思うほど悪い返事はしないんじゃないかな」
鳴上「ただの俺の勘だけど」
チドリ「……」
チドリ「そんな事言って、どうしようもない事になったら、悠は責任とれるの?」
鳴上「それは……」
チドリ「……冗談よ」
チドリ「……」
チドリ「でも、やっぱり順平にこのきもちを伝えるのは……今は、まだ……」
チドリ「順平の前だと、たぶん上手く言葉にできないと思うし」
鳴上「……そっか」
鳴上「もし仮にどうしようもない事になったとしたら、責任とって俺がチドリを貰おうか?」
チドリ「……バカじゃない? お断りよ」
>真顔で拒否された。
256: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:38:37.13:iWlevfSAO (5/16)
チドリ「それに、悠にはもっと素敵な子がいるんじゃないの? この前一緒にいた子とか」
鳴上「いや、メティスはそういうのじゃ……」
チドリ「……ふうん?」
鳴上「まあ、俺の事はいいからさ。チドリと順平さんが上手くいくように応援してるから」
チドリ「……」
チドリ「ありがとう」
>チドリは僅かに潤んだ瞳と紅潮させた顔を隠すように俯いてしまった。
>チドリの事が、少しわかったような気がする……
>『ⅩⅡ 刑死者 チドリ』のランクが5になった
鳴上「……あ、そうだ。チドリ、順平さんの連絡先知ってるんだろう? それ、俺にも教えてもらってもいいか?」
チドリ「別にいいけど。ちょっと待って……はい」
>チドリから、順平の携帯の番号が書かれたメモをもらった。
チドリ「それ、悠にあげる」
鳴上「え、でも」
チドリ「いいの。もう、何度も見て暗記しちゃってるから」
鳴上「……」
>携帯を取り出して、書かれた番号を登録してから、渡されたメモをチドリの手に握らせて返した。
鳴上「でもこれはチドリが順平さんからもらったものだから、俺のものには出来ない」
チドリ「……」
鳴上「じゃあ、お大事に」
チドリ「……悠」
鳴上「どうした?」
チドリ「順平に、体には気をつけてって……そう伝えて欲しい」
鳴上「それは……チドリの言葉で、声で、伝えるべき事だろ。その方がきっと順平さんも喜ぶ」
チドリ「……」
鳴上「またな」
>チドリの病室を後にした。
>……
チドリ「……」
チドリ「……公衆電話って、どこにあったかしら」
チドリ「それに、悠にはもっと素敵な子がいるんじゃないの? この前一緒にいた子とか」
鳴上「いや、メティスはそういうのじゃ……」
チドリ「……ふうん?」
鳴上「まあ、俺の事はいいからさ。チドリと順平さんが上手くいくように応援してるから」
チドリ「……」
チドリ「ありがとう」
>チドリは僅かに潤んだ瞳と紅潮させた顔を隠すように俯いてしまった。
>チドリの事が、少しわかったような気がする……
>『ⅩⅡ 刑死者 チドリ』のランクが5になった
鳴上「……あ、そうだ。チドリ、順平さんの連絡先知ってるんだろう? それ、俺にも教えてもらってもいいか?」
チドリ「別にいいけど。ちょっと待って……はい」
>チドリから、順平の携帯の番号が書かれたメモをもらった。
チドリ「それ、悠にあげる」
鳴上「え、でも」
チドリ「いいの。もう、何度も見て暗記しちゃってるから」
鳴上「……」
>携帯を取り出して、書かれた番号を登録してから、渡されたメモをチドリの手に握らせて返した。
鳴上「でもこれはチドリが順平さんからもらったものだから、俺のものには出来ない」
チドリ「……」
鳴上「じゃあ、お大事に」
チドリ「……悠」
鳴上「どうした?」
チドリ「順平に、体には気をつけてって……そう伝えて欲しい」
鳴上「それは……チドリの言葉で、声で、伝えるべき事だろ。その方がきっと順平さんも喜ぶ」
チドリ「……」
鳴上「またな」
>チドリの病室を後にした。
>……
チドリ「……」
チドリ「……公衆電話って、どこにあったかしら」
257: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:41:14.34:iWlevfSAO (6/16)
学生寮 自室
>携帯を手にとり、画面を確認してみた。
>……着信も受信メールもゼロだ。
鳴上「キミコからの連絡は未だになし……か。参ったな」
鳴上「それはそれで置いとくとして。……今、電話しても平気かな」
鳴上(順平さんに、少し思い出した事について話がしたい)
鳴上(たぶん、順平さんも……)
>電話帳のボタンを押し、つい先程登録した順平の番号を呼び出し、通話ボタンに指をかけた。
>……
prrrrrrr
順平『はいはーい。一体どちら様でしょーか?』
鳴上「……あ。順平さんですか? 俺です。鳴上です」
順平『えっ! あー、鳴上かー! いやあ、こりゃまた妙なところからかかってきたな! アッハハ』
鳴上「なんだか機嫌が良さそうですね」
順平『えー? わかっちゃう? いや、それがさあ!』
順平『ついさっき、チドリから電話があったんだよ! ビックリだろ?』
鳴上「!」
鳴上「そっか……それはよかったです」
順平『……あー、でも今なんか解ったわ。チドリにそんな事するように仕向けたの、お前なんだろ?』
順平『で、チドリから俺の番号を聞いて今電話してきている、と』
鳴上「あ、いや、それは」
順平『いいっていいって! きっかけはどうあれ、チドリが俺のところに電話してくるなんてさー、一歩前進って感じじゃね? へへっ』
>電話越しでもその声色から、順平が大層嬉しそうにしている様子が想像出来る。
順平『それで、鳴上は何の用だ?』
鳴上「はい。……」
鳴上「あの、こんな事突然聞くのもどうかと思ったんですが」
鳴上「最近、……夜はどんな感じですか?」
順平『え』
順平『……。番号まで調べて突然電話かけてきて……するのがソッチ系の話?』
鳴上「いや、そうじゃなくて……」
学生寮 自室
>携帯を手にとり、画面を確認してみた。
>……着信も受信メールもゼロだ。
鳴上「キミコからの連絡は未だになし……か。参ったな」
鳴上「それはそれで置いとくとして。……今、電話しても平気かな」
鳴上(順平さんに、少し思い出した事について話がしたい)
鳴上(たぶん、順平さんも……)
>電話帳のボタンを押し、つい先程登録した順平の番号を呼び出し、通話ボタンに指をかけた。
>……
prrrrrrr
順平『はいはーい。一体どちら様でしょーか?』
鳴上「……あ。順平さんですか? 俺です。鳴上です」
順平『えっ! あー、鳴上かー! いやあ、こりゃまた妙なところからかかってきたな! アッハハ』
鳴上「なんだか機嫌が良さそうですね」
順平『えー? わかっちゃう? いや、それがさあ!』
順平『ついさっき、チドリから電話があったんだよ! ビックリだろ?』
鳴上「!」
鳴上「そっか……それはよかったです」
順平『……あー、でも今なんか解ったわ。チドリにそんな事するように仕向けたの、お前なんだろ?』
順平『で、チドリから俺の番号を聞いて今電話してきている、と』
鳴上「あ、いや、それは」
順平『いいっていいって! きっかけはどうあれ、チドリが俺のところに電話してくるなんてさー、一歩前進って感じじゃね? へへっ』
>電話越しでもその声色から、順平が大層嬉しそうにしている様子が想像出来る。
順平『それで、鳴上は何の用だ?』
鳴上「はい。……」
鳴上「あの、こんな事突然聞くのもどうかと思ったんですが」
鳴上「最近、……夜はどんな感じですか?」
順平『え』
順平『……。番号まで調べて突然電話かけてきて……するのがソッチ系の話?』
鳴上「いや、そうじゃなくて……」
258: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:43:45.94:iWlevfSAO (7/16)
鳴上「俺たち、夢の中で会ったりした……なんて記憶、ありませんか?」
順平『っ……』
順平『ただの、気のせいだと思いたかった。……けど』
順平『じゃあ、あのキノコ頭の羊ってやっぱり鳴上だったのか?』
鳴上「ッ!!」
順平『あのちっこい羊は……感じからして、天田っぽいなって思ったけど』
鳴上「そうです、たぶん。天田も最近夢にうなされてるって言ってましたから」
順平『あの夢ってさ……なんなワケ? 今の話でちょっとだけ見た内容思い出したけど、いつも起きたらすぐ忘れちまうし』
順平『俺たち、共通して同じ夢見てるって事だよな?』
順平『魔女の呪いとかなんとかいう話、マジもんだったって事か?』
鳴上「それは、はっきりとは……でも、その話が本当だったとしても」
鳴上「もう、だいぶ上まで登ってきた筈……そろそろ、何かあっても不思議じゃないと思うんです」
順平『なにかって?』
鳴上「わかりません。でも、誰だったかが、上を目指せって言ってて、えっと、……そう」
>順平と話す事で、夢の中の出来事が少しずつ思い出されていく……
鳴上「カテドラル」
鳴上「そこまで行けばいいって。それで……確か、昨日の夜、俺はそのすぐ手前まで辿り着いた……筈なんです」
順平『あ、そっか。思い出してきた。お前、今先頭なんだっけ』
鳴上「俺たち、夢の中で会ったりした……なんて記憶、ありませんか?」
順平『っ……』
順平『ただの、気のせいだと思いたかった。……けど』
順平『じゃあ、あのキノコ頭の羊ってやっぱり鳴上だったのか?』
鳴上「ッ!!」
順平『あのちっこい羊は……感じからして、天田っぽいなって思ったけど』
鳴上「そうです、たぶん。天田も最近夢にうなされてるって言ってましたから」
順平『あの夢ってさ……なんなワケ? 今の話でちょっとだけ見た内容思い出したけど、いつも起きたらすぐ忘れちまうし』
順平『俺たち、共通して同じ夢見てるって事だよな?』
順平『魔女の呪いとかなんとかいう話、マジもんだったって事か?』
鳴上「それは、はっきりとは……でも、その話が本当だったとしても」
鳴上「もう、だいぶ上まで登ってきた筈……そろそろ、何かあっても不思議じゃないと思うんです」
順平『なにかって?』
鳴上「わかりません。でも、誰だったかが、上を目指せって言ってて、えっと、……そう」
>順平と話す事で、夢の中の出来事が少しずつ思い出されていく……
鳴上「カテドラル」
鳴上「そこまで行けばいいって。それで……確か、昨日の夜、俺はそのすぐ手前まで辿り着いた……筈なんです」
順平『あ、そっか。思い出してきた。お前、今先頭なんだっけ』
259: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:46:01.20:iWlevfSAO (8/16)
順平『俺はまだ少し下の方だった気がするけど』
順平『……で、どんな感じだ?』
鳴上「今日の夜を迎えてみない事には……なんとも」
順平『ま、そうだよな』
鳴上「……」
順平『……そっかー。鳴上が頑張ってくれてたって訳なのか』
順平『こりゃ、俺も負けてらんねーかな。後輩にばっか見せ場とられんのもあれだし、何より』
順平『俺は、チドリの為にも生きないと』
>順平の決意が伝わってくる……
順平『またお前に後押しされちまったみてーだな。……なんかさ、お前って』
順平『いいヤツだよな』
>順平は電話の向こう側で笑っている。
>順平と少し、打ち解けたような気がした……
>『Ⅰ 魔術師 伊織順平』のランクが4になった
順平『お互い生き延びなきゃダメだかんな?』
鳴上「わかってますって」
>しばしの間、互いを励まし合ってから通話を終了させた。
>……
【夜】
クラブ エスカペイド
>カウンターの席にぐったりしている男がいる。
ヴィンセント「……鳴上」
鳴上「! だ、大丈夫ですか!?」
ヴィンセント「んー……」
>顔がほんのりと赤くなっている。
>どうやら、ここに来る前に何処かで飲んできたようだ。
鳴上「酔ってます……?」
ヴィンセント「……いんや。これくらい、酔ったうちに入んねえよ」
>確かに、意識の方はしっかりしているし、ちゃんと話せてもいる。
>ぐったりとしていたのは別の理由だろうか。
順平『俺はまだ少し下の方だった気がするけど』
順平『……で、どんな感じだ?』
鳴上「今日の夜を迎えてみない事には……なんとも」
順平『ま、そうだよな』
鳴上「……」
順平『……そっかー。鳴上が頑張ってくれてたって訳なのか』
順平『こりゃ、俺も負けてらんねーかな。後輩にばっか見せ場とられんのもあれだし、何より』
順平『俺は、チドリの為にも生きないと』
>順平の決意が伝わってくる……
順平『またお前に後押しされちまったみてーだな。……なんかさ、お前って』
順平『いいヤツだよな』
>順平は電話の向こう側で笑っている。
>順平と少し、打ち解けたような気がした……
>『Ⅰ 魔術師 伊織順平』のランクが4になった
順平『お互い生き延びなきゃダメだかんな?』
鳴上「わかってますって」
>しばしの間、互いを励まし合ってから通話を終了させた。
>……
【夜】
クラブ エスカペイド
>カウンターの席にぐったりしている男がいる。
ヴィンセント「……鳴上」
鳴上「! だ、大丈夫ですか!?」
ヴィンセント「んー……」
>顔がほんのりと赤くなっている。
>どうやら、ここに来る前に何処かで飲んできたようだ。
鳴上「酔ってます……?」
ヴィンセント「……いんや。これくらい、酔ったうちに入んねえよ」
>確かに、意識の方はしっかりしているし、ちゃんと話せてもいる。
>ぐったりとしていたのは別の理由だろうか。
260: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:51:52.47:iWlevfSAO (9/16)
ヴィンセント「なんかあったのか? って、聞きたそうな顔してんな。……その通りだよ」
ヴィンセント「嫁とちょっとばかし、喧嘩しちまってさ。最近、俺の様子がおかしいって言われたのがきっかけなんだけど」
ヴィンセント「誤魔化そうとしてるうちに、何故か言い争いになっちまってさ。近頃帰りが遅いとか、娘の面倒見てくれないとか色々言われて……」
ヴィンセント「……はあ」
鳴上「店員さん。水とか用意出来ますか?」
店員「……はい、ただいま」
>店員が氷の入った水のグラスを持ってきてくれた。
>それをヴィンセントの前に置いた。
ヴィンセント「……すまねえな。大丈夫だから」
鳴上「……」
ヴィンセント「それもこれも全部夢のせいだ」
ヴィンセント「……なんて、責任転嫁出来れば一番楽なんだろうけどさ。本当はわかってんだよ」
ヴィンセント「自分に原因があるって事くらい……」
ヴィンセント「でも……だから、どうしろっていうんだよ」
>ヴィンセントはこちらに話しかけるというよりは、自身に言い聞かせるように言葉を紡いでいる。
鳴上「ヴィンセントさんは、……」
鳴上「奥さんの事、愛していますか?」
ヴィンセント「愛してるよ」
鳴上「娘さんの事、愛していますか?」
ヴィンセント「愛してるよ」
鳴上「そう言えるんだったら、それをきちんと行動で示せばいいじゃないですか」
鳴上「今の言葉、少なくとも俺には嘘には聞こえませんでしたけど」
ヴィンセント「……心の奥底では俺がどう考えてるなんて、お前にもわからないだろ?」
鳴上「じゃあ、嘘なんですか?」
ヴィンセント「……んな訳ねえだろ」
ヴィンセント「なんかあったのか? って、聞きたそうな顔してんな。……その通りだよ」
ヴィンセント「嫁とちょっとばかし、喧嘩しちまってさ。最近、俺の様子がおかしいって言われたのがきっかけなんだけど」
ヴィンセント「誤魔化そうとしてるうちに、何故か言い争いになっちまってさ。近頃帰りが遅いとか、娘の面倒見てくれないとか色々言われて……」
ヴィンセント「……はあ」
鳴上「店員さん。水とか用意出来ますか?」
店員「……はい、ただいま」
>店員が氷の入った水のグラスを持ってきてくれた。
>それをヴィンセントの前に置いた。
ヴィンセント「……すまねえな。大丈夫だから」
鳴上「……」
ヴィンセント「それもこれも全部夢のせいだ」
ヴィンセント「……なんて、責任転嫁出来れば一番楽なんだろうけどさ。本当はわかってんだよ」
ヴィンセント「自分に原因があるって事くらい……」
ヴィンセント「でも……だから、どうしろっていうんだよ」
>ヴィンセントはこちらに話しかけるというよりは、自身に言い聞かせるように言葉を紡いでいる。
鳴上「ヴィンセントさんは、……」
鳴上「奥さんの事、愛していますか?」
ヴィンセント「愛してるよ」
鳴上「娘さんの事、愛していますか?」
ヴィンセント「愛してるよ」
鳴上「そう言えるんだったら、それをきちんと行動で示せばいいじゃないですか」
鳴上「今の言葉、少なくとも俺には嘘には聞こえませんでしたけど」
ヴィンセント「……心の奥底では俺がどう考えてるなんて、お前にもわからないだろ?」
鳴上「じゃあ、嘘なんですか?」
ヴィンセント「……んな訳ねえだろ」
261: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:54:47.75:iWlevfSAO (10/16)
鳴上「そうやってはっきりと言葉で俺には言えるのに、何をそんなに悩む必要が?」
鳴上「喧嘩したなら、ごめんなさいして」
鳴上「その後で奥さんと娘さんを抱き締めてあげて」
鳴上「愛してるって言ってあげればいいだけじゃないですか」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……若いっていいよな。そういう事、言えてさ」
鳴上「馬鹿にしてます?」
ヴィンセント「いや、羨ましいって言ってんの」
ヴィンセント「俺だって本当はそうしたいけど。……今の状態じゃ、そんな事出来ないっていうか」
ヴィンセント「やっぱり、あの夢が気がかりでならなくて、家族の事を考える余裕なんて……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……なあ、鳴上は今、あの夢の何処にいる?」
鳴上「え? えっと、結構上の方っていうか、カテドラルってとこに辿り着いた所……の筈です」
鳴上「あまりはっきり覚えてないんですけど、確かそうだったと」
ヴィンセント「カテドラルだって……?」
鳴上「はい。そういえば、結局夢の中ではヴィンセントさんと会えたような記憶はないんですけど……まだ下の方なんですか?」
ヴィンセント「……いや」
ヴィンセント「俺も上の方にいる……と思う」
ヴィンセント「……。上……?」
ヴィンセント「ッ、そ、そうだ……そうだよ!」
ヴィンセント「ずっと何かおかしいと思ってたんだっ……!」
鳴上「えっ、何がですか?」
ヴィンセント「俺も毎晩、あの夢を見ている! それは間違いない! ……でも、でも!」
ヴィンセント「一度として、上へ登った記憶がないんだよっ……!」
鳴上「え……!? どういう事ですか、それ!」
鳴上「そうやってはっきりと言葉で俺には言えるのに、何をそんなに悩む必要が?」
鳴上「喧嘩したなら、ごめんなさいして」
鳴上「その後で奥さんと娘さんを抱き締めてあげて」
鳴上「愛してるって言ってあげればいいだけじゃないですか」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……若いっていいよな。そういう事、言えてさ」
鳴上「馬鹿にしてます?」
ヴィンセント「いや、羨ましいって言ってんの」
ヴィンセント「俺だって本当はそうしたいけど。……今の状態じゃ、そんな事出来ないっていうか」
ヴィンセント「やっぱり、あの夢が気がかりでならなくて、家族の事を考える余裕なんて……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……なあ、鳴上は今、あの夢の何処にいる?」
鳴上「え? えっと、結構上の方っていうか、カテドラルってとこに辿り着いた所……の筈です」
鳴上「あまりはっきり覚えてないんですけど、確かそうだったと」
ヴィンセント「カテドラルだって……?」
鳴上「はい。そういえば、結局夢の中ではヴィンセントさんと会えたような記憶はないんですけど……まだ下の方なんですか?」
ヴィンセント「……いや」
ヴィンセント「俺も上の方にいる……と思う」
ヴィンセント「……。上……?」
ヴィンセント「ッ、そ、そうだ……そうだよ!」
ヴィンセント「ずっと何かおかしいと思ってたんだっ……!」
鳴上「えっ、何がですか?」
ヴィンセント「俺も毎晩、あの夢を見ている! それは間違いない! ……でも、でも!」
ヴィンセント「一度として、上へ登った記憶がないんだよっ……!」
鳴上「え……!? どういう事ですか、それ!」
262: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 22:57:50.22:iWlevfSAO (11/16)
ヴィンセント「わかんねえよ! だからおかしいって言ってんだ!」
ヴィンセント「なのに上の方にいて、ずっと下の方を……」
ヴィンセント「ッ……!」
>ヴィンセントは頭を抱えて辛そうにしている。
鳴上「ど、どうしました!?」
ヴィンセント「……いや。何か、思い出しかけたんだけど……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「お前、今カテドラルにいるって……さっき、そう言ったな?」
鳴上「……はい」
ヴィンセント「なら、終わりはもうすぐそこだ」
鳴上「!」
ヴィンセント「……大切なものを離さずに行くんだ。そうすれば、おそらくお前はあの夢から解放されるだろう」
鳴上「大切なもの……?」
鳴上「どうしてそんな事がわかるんですか?」
ヴィンセント「……それは」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「俺が、かつてあの塔を登りきって生き延びた人間の一人だからだ」
鳴上「ッ――!?」
鳴上「じゃあ、もしかして。噂されてる伝説の男って……」
ヴィンセント「……どこから流れたんだか知らないが、そういう風に呼んでるのもいるみたいだな、俺の事を」
ヴィンセント「それがまたあの夢に落ちてるっていうんだからとんだ笑い話さ」
鳴上(この人がそうだったのか……どうりでこの話に詳しい筈だ)
鳴上「でもそれなら、ただ上にいるだけってのも解る気が……だって以前に、登りきってる訳ですよね? もう登る場所がないじゃないですか」
ヴィンセント「それはそうかもしれねえけど、じゃあ何故登りきったままの状態で、またあの夢の中にいるんだ? ……それが解らない」
鳴上「それは……」
鳴上「……」
鳴上「わかりました……俺。俺も登り切って、ヴィンセントさんのところまで行きます」
ヴィンセント「わかんねえよ! だからおかしいって言ってんだ!」
ヴィンセント「なのに上の方にいて、ずっと下の方を……」
ヴィンセント「ッ……!」
>ヴィンセントは頭を抱えて辛そうにしている。
鳴上「ど、どうしました!?」
ヴィンセント「……いや。何か、思い出しかけたんだけど……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「お前、今カテドラルにいるって……さっき、そう言ったな?」
鳴上「……はい」
ヴィンセント「なら、終わりはもうすぐそこだ」
鳴上「!」
ヴィンセント「……大切なものを離さずに行くんだ。そうすれば、おそらくお前はあの夢から解放されるだろう」
鳴上「大切なもの……?」
鳴上「どうしてそんな事がわかるんですか?」
ヴィンセント「……それは」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「俺が、かつてあの塔を登りきって生き延びた人間の一人だからだ」
鳴上「ッ――!?」
鳴上「じゃあ、もしかして。噂されてる伝説の男って……」
ヴィンセント「……どこから流れたんだか知らないが、そういう風に呼んでるのもいるみたいだな、俺の事を」
ヴィンセント「それがまたあの夢に落ちてるっていうんだからとんだ笑い話さ」
鳴上(この人がそうだったのか……どうりでこの話に詳しい筈だ)
鳴上「でもそれなら、ただ上にいるだけってのも解る気が……だって以前に、登りきってる訳ですよね? もう登る場所がないじゃないですか」
ヴィンセント「それはそうかもしれねえけど、じゃあ何故登りきったままの状態で、またあの夢の中にいるんだ? ……それが解らない」
鳴上「それは……」
鳴上「……」
鳴上「わかりました……俺。俺も登り切って、ヴィンセントさんのところまで行きます」
263: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 23:00:51.83:iWlevfSAO (12/16)
ヴィンセント「!」
鳴上「そうすれば、何か答えが解るのかも。一人では無理でも二人いるなら……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「そう、だな。きっとそうに違いない……って、そう信じたい」
ヴィンセント「ハハッ、お前は頼もしいやつだよ、本当にさ」
ヴィンセント「……上で待ってるぞ」
>ヴィンセントの言葉に強く頷いた。
>ヴィンセントとの絆が深まったような気がする……
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが7になった
ヴィンセント「ただな、俺の経験から言わせてもらえば……あそこは今まで登ってきた場所とはまた違った意味で厄介だ」
ヴィンセント「言葉で言ってどうにかなるもんでもないけど、……気をつけろよ」
>ヴィンセントの言葉を肝に銘じ、今夜はこれで解散する事になった。
>……今夜の舞台はどんな場所になるというのだろう。
>……
>…
>……
>………
ヴィンセント「!」
鳴上「そうすれば、何か答えが解るのかも。一人では無理でも二人いるなら……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「そう、だな。きっとそうに違いない……って、そう信じたい」
ヴィンセント「ハハッ、お前は頼もしいやつだよ、本当にさ」
ヴィンセント「……上で待ってるぞ」
>ヴィンセントの言葉に強く頷いた。
>ヴィンセントとの絆が深まったような気がする……
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが7になった
ヴィンセント「ただな、俺の経験から言わせてもらえば……あそこは今まで登ってきた場所とはまた違った意味で厄介だ」
ヴィンセント「言葉で言ってどうにかなるもんでもないけど、……気をつけろよ」
>ヴィンセントの言葉を肝に銘じ、今夜はこれで解散する事になった。
>……今夜の舞台はどんな場所になるというのだろう。
>……
>…
>……
>………
264: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 23:06:15.52:iWlevfSAO (13/16)
05/15(火) 曇り 自室
【朝】
鳴上「ん……」
鳴上「……朝、か」
鳴上「……」
鳴上「――え?」
>思わずベッドから跳ね起きて、カーテンを勢い良く開けた。
>外は……太陽が雲に隠れてはいるものの、明るい。
>間違いなく朝だ。
>携帯に表示されている日付も昨晩確認した時のものから一日進んでいる。
>ただ、時刻がいつも起きる時間よりもだいぶ早めであった。
鳴上「俺、昨日の夜はあの夢……見てないよな?」
鳴上「終わった……のか?」
>まさか、こんな形で解放される事になるとは思わなかった。
>原因が解らず始まった悪夢騒動は、原因が解らないまま幕を閉じてしまったという事なのだろうか……
>……
>少しの間、考えてみたが睡眠が足りなかったのか、また眠くなってきた。
>時間もまだある事だ。細かい事は後にして……今は二度寝する事にしようか。
>……目を、閉じた。
>……
・
・
・
――コンコン
>扉をノックする音が聞こえる。
鳴上「……ん?」
アイギス「悠さん。起きていらっしゃいますか?」
鳴上「アイギス……? どうしたんだ?」
アイギス「悠さんにお客様ですよ」
>客? 一体誰だろう……
千枝「おっはよー、鳴上くん」
雪子「もしかしてまだ寝てた?」
りせ「もー、先輩ってばお寝坊さんなんだから!」
直斗「いえ、僕らが早く来すぎてしまったのでしょう」
鳴上「!?」
>扉の向こうからは、八十稲羽にいる筈の女子達の声が聞こえてくる。
05/15(火) 曇り 自室
【朝】
鳴上「ん……」
鳴上「……朝、か」
鳴上「……」
鳴上「――え?」
>思わずベッドから跳ね起きて、カーテンを勢い良く開けた。
>外は……太陽が雲に隠れてはいるものの、明るい。
>間違いなく朝だ。
>携帯に表示されている日付も昨晩確認した時のものから一日進んでいる。
>ただ、時刻がいつも起きる時間よりもだいぶ早めであった。
鳴上「俺、昨日の夜はあの夢……見てないよな?」
鳴上「終わった……のか?」
>まさか、こんな形で解放される事になるとは思わなかった。
>原因が解らず始まった悪夢騒動は、原因が解らないまま幕を閉じてしまったという事なのだろうか……
>……
>少しの間、考えてみたが睡眠が足りなかったのか、また眠くなってきた。
>時間もまだある事だ。細かい事は後にして……今は二度寝する事にしようか。
>……目を、閉じた。
>……
・
・
・
――コンコン
>扉をノックする音が聞こえる。
鳴上「……ん?」
アイギス「悠さん。起きていらっしゃいますか?」
鳴上「アイギス……? どうしたんだ?」
アイギス「悠さんにお客様ですよ」
>客? 一体誰だろう……
千枝「おっはよー、鳴上くん」
雪子「もしかしてまだ寝てた?」
りせ「もー、先輩ってばお寝坊さんなんだから!」
直斗「いえ、僕らが早く来すぎてしまったのでしょう」
鳴上「!?」
>扉の向こうからは、八十稲羽にいる筈の女子達の声が聞こえてくる。
265: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 23:08:43.47:iWlevfSAO (14/16)
鳴上「お前ら、なんでっ……!?」
千枝「へへー、びっくりしたでしょ?」
雪子「実はね、今日休校日なんだ」
りせ「それでー、先輩驚かしてやろっかーってみんなで相談して、会いに来ちゃったんだ!」
直斗「花村先輩と巽くんには留守番をしてもらっていますが……」
鳴上(置いてけぼりで、かわいそうに……)
千枝「でもスペシャルゲストがいるよー」
菜々子「お兄ちゃん、菜々子だよ!」
鳴上「な、菜々子まで!?」
直斗「堂島さんから責任を持ってお預かりしてきました」
鳴上「そっか……」
鳴上(みんな、会いに来てくれたのか……)
鳴上(陽介と完二には後でお悔やみのメールを入れておこう)
鳴上「でも、俺は今日学校……」
雪子「え? 鳴上くんもお休みだって言ってなかったっけ?」
鳴上「……え?」
アイギス「そうですよ、悠さん。今日は月光館も休校日であります」
鳴上「そうだったっけ? ……忘れてた」
りせ「それより、先輩早くここ開けてー!」
鳴上「ああ、今行く」
鳴上(って、寝間着のままだけど……ま、いいか)
>部屋の扉を開いた。
鳴上「みんな、よく来た――」
「皆さん、いらっしゃい」
鳴上「――!?」
鳴上「お前ら、なんでっ……!?」
千枝「へへー、びっくりしたでしょ?」
雪子「実はね、今日休校日なんだ」
りせ「それでー、先輩驚かしてやろっかーってみんなで相談して、会いに来ちゃったんだ!」
直斗「花村先輩と巽くんには留守番をしてもらっていますが……」
鳴上(置いてけぼりで、かわいそうに……)
千枝「でもスペシャルゲストがいるよー」
菜々子「お兄ちゃん、菜々子だよ!」
鳴上「な、菜々子まで!?」
直斗「堂島さんから責任を持ってお預かりしてきました」
鳴上「そっか……」
鳴上(みんな、会いに来てくれたのか……)
鳴上(陽介と完二には後でお悔やみのメールを入れておこう)
鳴上「でも、俺は今日学校……」
雪子「え? 鳴上くんもお休みだって言ってなかったっけ?」
鳴上「……え?」
アイギス「そうですよ、悠さん。今日は月光館も休校日であります」
鳴上「そうだったっけ? ……忘れてた」
りせ「それより、先輩早くここ開けてー!」
鳴上「ああ、今行く」
鳴上(って、寝間着のままだけど……ま、いいか)
>部屋の扉を開いた。
鳴上「みんな、よく来た――」
「皆さん、いらっしゃい」
鳴上「――!?」
266: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 23:10:45.01:iWlevfSAO (15/16)
>……初めはただの聞き違いだと思っていた。
>扉を開けた先にいた千枝達は、自分の姿ではなく何故かその後ろを見て口をぽかんと開けている。
>……
>簡単な話だ。
>その場にいた『彼女』以外の人間のほとんどが、その声と『彼女』の姿に凍り付いていたのだ。
>その中でただ一人、菜々子だけがきょとんとしながらその後ろを見て首を傾げた。
菜々子「おねえちゃん、だれ?」
鳴上「っ……」
>恐る恐る、ゆっくりと、菜々子が見ているその先を見ようと……振り返った。
>そこには、月光館学園の制服を着た女が一人、微笑みを見せながら佇んでいる――
キミコ「どうも、初めまして。キミコって言います」
キミコ「今後ともよろしく」
>……初めはただの聞き違いだと思っていた。
>扉を開けた先にいた千枝達は、自分の姿ではなく何故かその後ろを見て口をぽかんと開けている。
>……
>簡単な話だ。
>その場にいた『彼女』以外の人間のほとんどが、その声と『彼女』の姿に凍り付いていたのだ。
>その中でただ一人、菜々子だけがきょとんとしながらその後ろを見て首を傾げた。
菜々子「おねえちゃん、だれ?」
鳴上「っ……」
>恐る恐る、ゆっくりと、菜々子が見ているその先を見ようと……振り返った。
>そこには、月光館学園の制服を着た女が一人、微笑みを見せながら佇んでいる――
キミコ「どうも、初めまして。キミコって言います」
キミコ「今後ともよろしく」
267: ◆Hw7XKfELws:2012/05/19(土) 23:13:42.64:iWlevfSAO (16/16)
まだ残りがありますが時間なので一旦切るであります。
マヨナカテレビの時刻を30分ほど過ぎた時間にまた来たいと思います。
後半へ続く。
まだ残りがありますが時間なので一旦切るであります。
マヨナカテレビの時刻を30分ほど過ぎた時間にまた来たいと思います。
後半へ続く。
268:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西):2012/05/19(土) 23:15:07.52:84yCrgWV0 (1/1)
次の更新は影時間か
次の更新は影時間か
269:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/19(土) 23:44:32.49:27jzEFtAo (1/1)
各自、テレビに気をつけて待機しましょう
各自、テレビに気をつけて待機しましょう
270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/19(土) 23:49:09.31:8XdA4AWoo (1/1)
キミコ・・・一体何者何だ・・・
キミコ・・・一体何者何だ・・・
271:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/20(日) 00:16:51.05:huIdRHS+o (1/2)
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・)
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
+ +
∧_∧ +
(0゜・∀・)
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
272: ◆Hw7XKfELws:2012/05/20(日) 00:34:28.66:65JzAL5AO (1/6)
>……
学生寮 ラウンジ
>一階に、この寮にいる一同が集められた。
>キミコと共にラウンジにあるソファに座らせられ、その周りを女性陣で囲まれる。
>天田とコロマルだけは少し遠くにいて、何事なのかとオドオドしていた。
天田「あ、あの、これはいったい……」
美鶴「天田は少し黙っていてくれ」
天田「は、はい! 口閉じてますっ!」
コロマル「クゥーン……」
>女性陣の中で唯一椅子に座り、眉間に皺を寄せていた美鶴が大きく溜息を吐いた。
美鶴「私も、一体どういう事なのか君の口から説明して貰いたいのだが? 鳴上」
鳴上「……」
>自分が喋らなければ破られないこの静寂が身に染みて痛い……
>だが、事情を知りたいのはこっちも同じだ。
>何故、昨日まで連絡すらとれなかったキミコが自分の部屋に突然いたのか……
>俯きがちになった顔を動かさず視線だけでキミコの方を見た。
>どう答えていいのか解らない自分をよそに、彼女はとても涼しい顔をしている。
>耳に、二度目の美鶴の溜息が聞こえた。
美鶴「だんまりか。まあ、いい」
美鶴「では、そちらの彼女に聞こう」
美鶴「確か……キミコと言ったな? 君は、……」
>美鶴は一瞬言葉を選んでいるような素振りを見せてから再び口を動かし始めた。
美鶴「君は、鳴上とはどういう関係で? 何故、あの部屋に一緒にいたんだ?」
キミコ「それは、悠とは一夜を共に過ごすような間柄だからです」
美鶴・千枝・雪子・りせ・直斗「!?」
鳴上「なっ……! お、おい!」
キミコ「だってホントの事だもん」
>キミコは腕に絡みつくように抱きついてきた。
>……
学生寮 ラウンジ
>一階に、この寮にいる一同が集められた。
>キミコと共にラウンジにあるソファに座らせられ、その周りを女性陣で囲まれる。
>天田とコロマルだけは少し遠くにいて、何事なのかとオドオドしていた。
天田「あ、あの、これはいったい……」
美鶴「天田は少し黙っていてくれ」
天田「は、はい! 口閉じてますっ!」
コロマル「クゥーン……」
>女性陣の中で唯一椅子に座り、眉間に皺を寄せていた美鶴が大きく溜息を吐いた。
美鶴「私も、一体どういう事なのか君の口から説明して貰いたいのだが? 鳴上」
鳴上「……」
>自分が喋らなければ破られないこの静寂が身に染みて痛い……
>だが、事情を知りたいのはこっちも同じだ。
>何故、昨日まで連絡すらとれなかったキミコが自分の部屋に突然いたのか……
>俯きがちになった顔を動かさず視線だけでキミコの方を見た。
>どう答えていいのか解らない自分をよそに、彼女はとても涼しい顔をしている。
>耳に、二度目の美鶴の溜息が聞こえた。
美鶴「だんまりか。まあ、いい」
美鶴「では、そちらの彼女に聞こう」
美鶴「確か……キミコと言ったな? 君は、……」
>美鶴は一瞬言葉を選んでいるような素振りを見せてから再び口を動かし始めた。
美鶴「君は、鳴上とはどういう関係で? 何故、あの部屋に一緒にいたんだ?」
キミコ「それは、悠とは一夜を共に過ごすような間柄だからです」
美鶴・千枝・雪子・りせ・直斗「!?」
鳴上「なっ……! お、おい!」
キミコ「だってホントの事だもん」
>キミコは腕に絡みつくように抱きついてきた。
273: ◆Hw7XKfELws:2012/05/20(日) 00:37:07.87:65JzAL5AO (2/6)
千枝「は、はあ? ちょっと意味がわかんないんですけど?」
りせ「ちょっと! 先輩に馴れ馴れしくくっつかないでよ!」
雪子「つまり……どういう事?」
直斗「……あまり理解したくはありませんが。先輩、詳しい説明を」
>四人は冷ややかな視線をキミコと自分に向けている。
アイギス「菜々子さん。女性同士の醜い争いに耳を傾けてはいけません」
菜々子「ふえっ!?」
>アイギスが菜々子の耳を両手で塞いだ。
メティス「アイギス姉さん、少し遅いと思います」
ラビリス「悠、なんか悪い事でもしたん?」
>三姉妹に関しては割と呑気なようだったが、こちらを擁護してくれる期待も出来なさそうだった。
美鶴「……君たちも少し、静かに!」
美鶴「ゴホンッ。……それで、鳴上。君から何か言う事は?」
鳴上「あ、あの……」
>どう弁明したら良いのか……言葉が思い浮かばない。
美鶴「……個人の交友関係についてとやかく言う気はない。が、ここは仮にも学生寮だ。もう少し節度を守って欲しいものだな」
鳴上「はい……」
美鶴「それに、君だって自分の立場について理解していない訳ではあるまい? 何故この寮に住まっているのか……ここに集められている者たちの意味は十分に解っているだろう?」
美鶴「むやみに部外者をこの寮に、しかも夜に招くなど……あってはならない事だ」
キミコ「あのー」
美鶴「……なんだ」
キミコ「それで、あなた達の方は悠のなんなんですか?」
キミコ「はい、まずはそこの四人!」
千枝「えっ……」
雪子「私たち?」
りせ「何ってそりゃあ」
直斗「それ、は……」
千枝・雪子「前の学校の同級生……」
りせ・直斗「……後輩」
千枝「は、はあ? ちょっと意味がわかんないんですけど?」
りせ「ちょっと! 先輩に馴れ馴れしくくっつかないでよ!」
雪子「つまり……どういう事?」
直斗「……あまり理解したくはありませんが。先輩、詳しい説明を」
>四人は冷ややかな視線をキミコと自分に向けている。
アイギス「菜々子さん。女性同士の醜い争いに耳を傾けてはいけません」
菜々子「ふえっ!?」
>アイギスが菜々子の耳を両手で塞いだ。
メティス「アイギス姉さん、少し遅いと思います」
ラビリス「悠、なんか悪い事でもしたん?」
>三姉妹に関しては割と呑気なようだったが、こちらを擁護してくれる期待も出来なさそうだった。
美鶴「……君たちも少し、静かに!」
美鶴「ゴホンッ。……それで、鳴上。君から何か言う事は?」
鳴上「あ、あの……」
>どう弁明したら良いのか……言葉が思い浮かばない。
美鶴「……個人の交友関係についてとやかく言う気はない。が、ここは仮にも学生寮だ。もう少し節度を守って欲しいものだな」
鳴上「はい……」
美鶴「それに、君だって自分の立場について理解していない訳ではあるまい? 何故この寮に住まっているのか……ここに集められている者たちの意味は十分に解っているだろう?」
美鶴「むやみに部外者をこの寮に、しかも夜に招くなど……あってはならない事だ」
キミコ「あのー」
美鶴「……なんだ」
キミコ「それで、あなた達の方は悠のなんなんですか?」
キミコ「はい、まずはそこの四人!」
千枝「えっ……」
雪子「私たち?」
りせ「何ってそりゃあ」
直斗「それ、は……」
千枝・雪子「前の学校の同級生……」
りせ・直斗「……後輩」
274: ◆Hw7XKfELws:2012/05/20(日) 00:40:11.00:65JzAL5AO (3/6)
キミコ「ふうん? じゃあ、そちらの方達は?」
美鶴「わ、私たちか? 私は……鳴上の住まうこの寮の総責任者、だ」
アイギス「私は、寮監……ですね」
メティス「……。同じ寮生ですが、何か?」
ラビリス「まあ、そういう事やね」
キミコ「そ。で、そこのちっちゃい女の子は?」
菜々子「え……?」
鳴上「菜々子の事はいいだろ……!」
キミコ「へえ、菜々子ちゃんって言うんだ」
キミコ「……それで?」
美鶴「……。何がだ?」
キミコ「それで、何の権利があって私と悠の事をあれこれ言うのかなって聞いてるの」
美鶴「それは……」
キミコ「貴女、さっき悠の個人的な交友関係にとやかく言うつもりはないって言いましたよね?」
キミコ「だったらそうしてくれませんか?」
りせ「ちょっと待ってよ! アンタさっきからなんでそんなに図々しい訳?」
千枝「そ、そうだよ!」
雪子「まったくだわ。鳴上くんさっきから困ってるじゃない!」
キミコ「……わっかんないかなあ」
キミコ「困らせてるのは、貴女達の方でしょ?」
直斗「聞き捨てなりませんね」
アイギス「メティス。……その鈍器は今はしまって」
メティス「……でも」
ラビリス「なんやの、この感じ……」
メティス「彼女のあの気配は一体……」
鳴上「ちょ、みんな落ち着……」
キミコ「ねえ、悠。言ってやったら?」
鳴上「え?」
キミコ「あいつら皆、悠の重荷でしかないんだって!」
鳴上「なっ……」
鳴上「何を馬鹿な事……!」
キミコ「だってそうでしょ?」
キミコ「いつも悠を頼りにしてくるくせに、肝心な時に力にはなってくれない! 何もかも悠に押しつけてくる! 甘えっぱなし!」
キミコ「そんな連中が、悠はホントは嫌なんでしょ? 邪魔なんでしょ?」
鳴上「やめろッ!!」
キミコ「ふうん? じゃあ、そちらの方達は?」
美鶴「わ、私たちか? 私は……鳴上の住まうこの寮の総責任者、だ」
アイギス「私は、寮監……ですね」
メティス「……。同じ寮生ですが、何か?」
ラビリス「まあ、そういう事やね」
キミコ「そ。で、そこのちっちゃい女の子は?」
菜々子「え……?」
鳴上「菜々子の事はいいだろ……!」
キミコ「へえ、菜々子ちゃんって言うんだ」
キミコ「……それで?」
美鶴「……。何がだ?」
キミコ「それで、何の権利があって私と悠の事をあれこれ言うのかなって聞いてるの」
美鶴「それは……」
キミコ「貴女、さっき悠の個人的な交友関係にとやかく言うつもりはないって言いましたよね?」
キミコ「だったらそうしてくれませんか?」
りせ「ちょっと待ってよ! アンタさっきからなんでそんなに図々しい訳?」
千枝「そ、そうだよ!」
雪子「まったくだわ。鳴上くんさっきから困ってるじゃない!」
キミコ「……わっかんないかなあ」
キミコ「困らせてるのは、貴女達の方でしょ?」
直斗「聞き捨てなりませんね」
アイギス「メティス。……その鈍器は今はしまって」
メティス「……でも」
ラビリス「なんやの、この感じ……」
メティス「彼女のあの気配は一体……」
鳴上「ちょ、みんな落ち着……」
キミコ「ねえ、悠。言ってやったら?」
鳴上「え?」
キミコ「あいつら皆、悠の重荷でしかないんだって!」
鳴上「なっ……」
鳴上「何を馬鹿な事……!」
キミコ「だってそうでしょ?」
キミコ「いつも悠を頼りにしてくるくせに、肝心な時に力にはなってくれない! 何もかも悠に押しつけてくる! 甘えっぱなし!」
キミコ「そんな連中が、悠はホントは嫌なんでしょ? 邪魔なんでしょ?」
鳴上「やめろッ!!」
275: ◆Hw7XKfELws:2012/05/20(日) 00:41:49.60:65JzAL5AO (4/6)
菜々子「お兄ちゃん……」
菜々子「……菜々子のこと、じゃまなの? きらいなの?」
菜々子「お兄ちゃんは菜々子のお兄ちゃんでいてくれないの?」
鳴上「違う! そうじゃない!」
キミコ「……アンタたちが」
キミコ「アンタたちがいるから、悠が苦しむのよ!!」
>そう叫んで、キミコは腕から離れゆらりと立ち上がる。
>その手には……いつの間にか、刃物が握られている。
>そして、キミコはその場にいた人間に無差別に切りかかり始めた――!
「キャアアアアアアア!!」
>誰の悲鳴ともわからない声が混じり合い、寮内に木霊した。
鳴上「やめっ、ぐ……!」
>そのうちの一人を庇い、キミコのもつ刃物が自分の脇腹へと掠る。
>その痛みで体は前へと倒れ込んだ……
>切られた場所がズキズキと疼く。
菜々子「お兄ちゃん!!」
鳴上「みんなっ……逃げ……」
美鶴「くっ……取り押さえるんだ!」
>キミコひとりくらい、この人数なら捕まえられると思ったのだろう。
>美鶴の指示でアイギスを中心に彼女を大人しくさせようと取り囲む。
>……その時、二度目の悲鳴が響いた。
「キャアアアアアアア!!」
菜々子「お兄ちゃん……」
菜々子「……菜々子のこと、じゃまなの? きらいなの?」
菜々子「お兄ちゃんは菜々子のお兄ちゃんでいてくれないの?」
鳴上「違う! そうじゃない!」
キミコ「……アンタたちが」
キミコ「アンタたちがいるから、悠が苦しむのよ!!」
>そう叫んで、キミコは腕から離れゆらりと立ち上がる。
>その手には……いつの間にか、刃物が握られている。
>そして、キミコはその場にいた人間に無差別に切りかかり始めた――!
「キャアアアアアアア!!」
>誰の悲鳴ともわからない声が混じり合い、寮内に木霊した。
鳴上「やめっ、ぐ……!」
>そのうちの一人を庇い、キミコのもつ刃物が自分の脇腹へと掠る。
>その痛みで体は前へと倒れ込んだ……
>切られた場所がズキズキと疼く。
菜々子「お兄ちゃん!!」
鳴上「みんなっ……逃げ……」
美鶴「くっ……取り押さえるんだ!」
>キミコひとりくらい、この人数なら捕まえられると思ったのだろう。
>美鶴の指示でアイギスを中心に彼女を大人しくさせようと取り囲む。
>……その時、二度目の悲鳴が響いた。
「キャアアアアアアア!!」
276: ◆Hw7XKfELws:2012/05/20(日) 00:49:20.85:65JzAL5AO (5/6)
鳴上「どっ……どうした……!?」
鳴上(まさか……誰か犠牲に!?)
鳴上「くそっ……」
>血が滲む腹部を手で押さえながら体を起こす。
>そこで目に飛び込んできたのは他の誰でもない……
>刃物を振りかざしていた張本人であるキミコの横たわる姿だった。
>彼女は、まるで自害でもしたかのように自分の腹部に刃物を突き立てながら血溜まりの中に沈んでいた。
鳴上「キ、キミコ……?」
千枝「ウソ……」
雪子「ど、どうして……?」
りせ「ちょ、冗談やめてよ……!」
直斗「っ……」
アイギス「そんな……取り押さえようとしただけなのに……その時の反動で、誤って自分を刺してしまうなんて……!」
鳴上「っ、救急車……!」
>入り口付近のカウンターに駆け寄り、置かれている電話をとって119へとダイヤルした。
>しかし……コール音が聞こえてこない。
>いくら押してみても、何処へも繋がる気配がなかった。
鳴上「なんで……――!?」
>その瞬間、扉の外から嫌な気配を感じとった。
鳴上「っ……!」
>そしてそれは、音もなく自動的に開かれていく。
>その先に続いていたのは……見慣れた外の景色ではなかった。
>そこにあったのは外とは程遠い、明らかに建物の内部であった。
>光り輝く広大な大聖堂……
>そう認識した時、寮内もまた変貌し、大聖堂の中と一体化する。
>そして目前に積まれる石の山。
メティス「なんですか、これは……!?」
鳴上「まさか、なんで……!」
鳴上「……!?」
鳴上「キミコは!?」
>気付いた時にはキミコの姿も、キミコが作っていた赤い水溜まりも無くなっていた。
>かわりに、その言葉にこたえるかのように、大きな振動がこの場の全員を襲った。
>そしてそこに現れたのは……
『フフ……ウフフ……』
『悠は私が守ってあげる……』
>巨大な怪物と化した、キミコの姿だった。
鳴上「どっ……どうした……!?」
鳴上(まさか……誰か犠牲に!?)
鳴上「くそっ……」
>血が滲む腹部を手で押さえながら体を起こす。
>そこで目に飛び込んできたのは他の誰でもない……
>刃物を振りかざしていた張本人であるキミコの横たわる姿だった。
>彼女は、まるで自害でもしたかのように自分の腹部に刃物を突き立てながら血溜まりの中に沈んでいた。
鳴上「キ、キミコ……?」
千枝「ウソ……」
雪子「ど、どうして……?」
りせ「ちょ、冗談やめてよ……!」
直斗「っ……」
アイギス「そんな……取り押さえようとしただけなのに……その時の反動で、誤って自分を刺してしまうなんて……!」
鳴上「っ、救急車……!」
>入り口付近のカウンターに駆け寄り、置かれている電話をとって119へとダイヤルした。
>しかし……コール音が聞こえてこない。
>いくら押してみても、何処へも繋がる気配がなかった。
鳴上「なんで……――!?」
>その瞬間、扉の外から嫌な気配を感じとった。
鳴上「っ……!」
>そしてそれは、音もなく自動的に開かれていく。
>その先に続いていたのは……見慣れた外の景色ではなかった。
>そこにあったのは外とは程遠い、明らかに建物の内部であった。
>光り輝く広大な大聖堂……
>そう認識した時、寮内もまた変貌し、大聖堂の中と一体化する。
>そして目前に積まれる石の山。
メティス「なんですか、これは……!?」
鳴上「まさか、なんで……!」
鳴上「……!?」
鳴上「キミコは!?」
>気付いた時にはキミコの姿も、キミコが作っていた赤い水溜まりも無くなっていた。
>かわりに、その言葉にこたえるかのように、大きな振動がこの場の全員を襲った。
>そしてそこに現れたのは……
『フフ……ウフフ……』
『悠は私が守ってあげる……』
>巨大な怪物と化した、キミコの姿だった。
277: ◆Hw7XKfELws:2012/05/20(日) 00:52:05.66:65JzAL5AO (6/6)
今度こそ終わります。
また次回も修羅場
今度こそ終わります。
また次回も修羅場
278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県):2012/05/20(日) 00:54:01.94:xHL7V0pIo (1/1)
おおう…なんという大人数。
乙。菜々子が心配だな
おおう…なんという大人数。
乙。菜々子が心配だな
279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/20(日) 01:02:22.91:/b3BuFTQo (1/1)
その発想は無かった
乙!やべー人の修羅場楽しい
その発想は無かった
乙!やべー人の修羅場楽しい
280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/20(日) 01:18:11.86:TRHY3hq40 (1/1)
え?何これ?どういう展開?
え?何これ?どういう展開?
281:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/20(日) 01:25:16.12:DFlgGTCho (1/1)
>>279
"人の修羅場"が人修羅に見えた…どうでもいいけど
毎回乙かれさまです!
>>279
"人の修羅場"が人修羅に見えた…どうでもいいけど
毎回乙かれさまです!
282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2012/05/20(日) 01:32:39.41:zYmN0A1AO (1/1)
乙
乙
283:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/20(日) 01:37:08.70:huIdRHS+o (2/2)
おつであります
おつであります
284:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/05/20(日) 02:06:32.46:V+ndNxJno (1/1)
乙!
乙!
285:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/20(日) 02:29:55.07:J6WIRtJ80 (1/1)
と、とにかく頑張れ番長!
と、とにかく頑張れ番長!
286:????:2012/05/20(日) 13:26:07.11:Chh3RYDC0 (1/1)
コノスレデ魔人ト出会ウ不運…イヤ、幸運カ…
案ズルコトナカレ汝ラニハ等シク「祝福」ヲ与エヨウ……。
つ「龍のおみくじ」
コノスレデ魔人ト出会ウ不運…イヤ、幸運カ…
案ズルコトナカレ汝ラニハ等シク「祝福」ヲ与エヨウ……。
つ「龍のおみくじ」
287:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/20(日) 15:09:44.90:XwpiOjvVo (1/1)
悪夢編始まった頃にキャサリン始めて良かったわ、多分やってなかったらここわからないわw
悪夢編始まった頃にキャサリン始めて良かったわ、多分やってなかったらここわからないわw
288:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/20(日) 17:47:55.03:u7zSC5ut0 (1/1)
キャサリンはマルチエンドらしいが、
主人公も一つ判断を誤ると旅立ってしまうのだろうか。
しかし元があるとは言え、修羅場ってやっぱ面白いと思っちゃうよね
キャサリンはマルチエンドらしいが、
主人公も一つ判断を誤ると旅立ってしまうのだろうか。
しかし元があるとは言え、修羅場ってやっぱ面白いと思っちゃうよね
289:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/05/21(月) 03:18:12.77:f3IxaqTZo (1/2)
これはキャサリンをやれば理解出来るのか?
これはキャサリンをやれば理解出来るのか?
290:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/05/21(月) 03:38:34.66:Bqs9xF/Yo (1/1)
ネタバレでもいいならストーリーを教えてもらうスレのまとめでも行けばいい
ネタバレでもいいならストーリーを教えてもらうスレのまとめでも行けばいい
291:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/05/21(月) 21:07:50.48:f3IxaqTZo (2/2)
ちょっとキャサリン買ってくる
ちょっとキャサリン買ってくる
292:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/22(火) 01:21:52.08:LuAs0XtN0 (1/1)
続きって来てる?
続きって来てる?
293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/05/23(水) 07:40:29.03:6dkfGzGvo (1/1)
唐突にみんな集まったから夢オチだと思ったが違うのかな?
唐突にみんな集まったから夢オチだと思ったが違うのかな?
294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2012/05/23(水) 11:10:48.69:Q8wBquQqo (1/1)
キャサリンは店頭PVで「絶対に許さないからぁぁぁぁぁぁ」って絶叫を聴いてから何か怖くて買えない。
キャサリンは店頭PVで「絶対に許さないからぁぁぁぁぁぁ」って絶叫を聴いてから何か怖くて買えない。
295:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/23(水) 14:59:33.45:4s8spnYI0 (1/1)
いろんな作品がクロスして面白い
いろんな作品がクロスして面白い
296: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 19:59:58.26:gQV5HYPAO (1/23)
鳴上「ッ……!」
鳴上「みんな、走れ!」
ラビリス「えっ!? ちょっ、何が……」
鳴上「いいから! 俺に続け!」
鳴上「……天田!」
天田「! は、はい!」
鳴上「お前はコロマルと一緒に一番後ろでみんなの安全確認と、背後からくるヤツの動きを注意していてくれ!」
天田「わかりました!」
コロマル「ワンッ!」
美鶴「鳴上! どういう事なんだ!?」
鳴上「詳しい説明をしてる暇はありません! とにかく、俺が作る道を通ってついてきてください!」
鳴上「アイツに捕まるか、足場から落ちたら終わりだ……!」
千枝「!? 後ろの方、崩れてきてる……!」
菜々子「お兄ちゃんこわいよ……」
鳴上「……大丈夫」
鳴上「お兄ちゃんがみんなを守るから」
鳴上(でも他はともかく、菜々子にここを登らせるのは……)
>菜々子の小さな体では、この石の積まれた山を登るのは困難だろう。
>自分が抱えていくしかないか……そう考えていた時、菜々子の体がふわりと浮かんだ。
>アイギスが菜々子を抱き上げている。
アイギス「菜々子さんは私達にお任せを。悠さんは私たちの誘導に専念してください」
鳴上「! ……任せたからな」
アイギス「はい。菜々子さん、振り落とされないように、私にしっかりとつかまっていてくださいね」
菜々子「うん……」
鳴上「こっちだ!」
鳴上「ッ……!」
鳴上「みんな、走れ!」
ラビリス「えっ!? ちょっ、何が……」
鳴上「いいから! 俺に続け!」
鳴上「……天田!」
天田「! は、はい!」
鳴上「お前はコロマルと一緒に一番後ろでみんなの安全確認と、背後からくるヤツの動きを注意していてくれ!」
天田「わかりました!」
コロマル「ワンッ!」
美鶴「鳴上! どういう事なんだ!?」
鳴上「詳しい説明をしてる暇はありません! とにかく、俺が作る道を通ってついてきてください!」
鳴上「アイツに捕まるか、足場から落ちたら終わりだ……!」
千枝「!? 後ろの方、崩れてきてる……!」
菜々子「お兄ちゃんこわいよ……」
鳴上「……大丈夫」
鳴上「お兄ちゃんがみんなを守るから」
鳴上(でも他はともかく、菜々子にここを登らせるのは……)
>菜々子の小さな体では、この石の積まれた山を登るのは困難だろう。
>自分が抱えていくしかないか……そう考えていた時、菜々子の体がふわりと浮かんだ。
>アイギスが菜々子を抱き上げている。
アイギス「菜々子さんは私達にお任せを。悠さんは私たちの誘導に専念してください」
鳴上「! ……任せたからな」
アイギス「はい。菜々子さん、振り落とされないように、私にしっかりとつかまっていてくださいね」
菜々子「うん……」
鳴上「こっちだ!」
297: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:01:52.82:gQV5HYPAO (2/23)
>……
雪子「りせちゃん、大丈夫?」
りせ「う、うん。平気」
直斗「登りにくいところはみんなで手を貸し合って行きましょう」
天田「あ、美鶴さん! そこは脆くなっているので注意してください!」
美鶴「! わかった!」
天田「それから、そこを登り切ったら一度左右二手に別れて登った方が早いです! 左の方は何もしなくても登れるルートが既にありますから!」
>みんな協力し合って必死に登っている。
>天田のサポートもあって、今のところはスムーズに進めているが……気は抜けない。
>キミコだった化け物は、こちらを追ってはきているものの、今のところ何も仕掛けてはこないが……
『どうして……? そいつらなんか助ける必要ないでしょう?』
『悠だけ逃げれば楽じゃない』
>……こうやって、次々とこちらを揺さぶろうとするような言葉を吐いてくる。
>だが、そんなもの、耳に入れる気にもならない。
>無視して進もう。
メティス「鳴上さん、怪我の方は……」
鳴上「大した傷じゃない」
メティス「……」
メティス「あんな怪物、ペルソナを使って戦えばいいだけの話じゃないんですか?」
鳴上「それは無理だ。……ここではペルソナは呼べない」
メティス「そんな!」
メティス「っ……プシュケイ!」
メティス「……!? どうして……」
>メティスは己のペルソナを使おうと試みるが、やはり召喚する事が出来ない。
『そんな事しても無駄ァ』
『……決めた。アンタから消してあげる』
コロマル「ワンッ! ワンッ!」
天田「メティスさん危ない!!」
>コロマルの大きな吠える声と天田の叫びが重なった。
>……
雪子「りせちゃん、大丈夫?」
りせ「う、うん。平気」
直斗「登りにくいところはみんなで手を貸し合って行きましょう」
天田「あ、美鶴さん! そこは脆くなっているので注意してください!」
美鶴「! わかった!」
天田「それから、そこを登り切ったら一度左右二手に別れて登った方が早いです! 左の方は何もしなくても登れるルートが既にありますから!」
>みんな協力し合って必死に登っている。
>天田のサポートもあって、今のところはスムーズに進めているが……気は抜けない。
>キミコだった化け物は、こちらを追ってはきているものの、今のところ何も仕掛けてはこないが……
『どうして……? そいつらなんか助ける必要ないでしょう?』
『悠だけ逃げれば楽じゃない』
>……こうやって、次々とこちらを揺さぶろうとするような言葉を吐いてくる。
>だが、そんなもの、耳に入れる気にもならない。
>無視して進もう。
メティス「鳴上さん、怪我の方は……」
鳴上「大した傷じゃない」
メティス「……」
メティス「あんな怪物、ペルソナを使って戦えばいいだけの話じゃないんですか?」
鳴上「それは無理だ。……ここではペルソナは呼べない」
メティス「そんな!」
メティス「っ……プシュケイ!」
メティス「……!? どうして……」
>メティスは己のペルソナを使おうと試みるが、やはり召喚する事が出来ない。
『そんな事しても無駄ァ』
『……決めた。アンタから消してあげる』
コロマル「ワンッ! ワンッ!」
天田「メティスさん危ない!!」
>コロマルの大きな吠える声と天田の叫びが重なった。
298: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:04:01.19:gQV5HYPAO (3/23)
メティス「え……?」
『しねええええええええええええええ!』
>怪物の大きな手がメティスのいる石に目がけて勢いよく伸びてきている――!
メティス「くっ……!」
メティス「!?」
>メティスはその手をかわそうと飛び上がり見事に回避する。
>が、着地した先の石が崩れ、彼女の体は落下し闇に飲まれようとしていた――
鳴上「メティス!!」
メティス「ッ!」
>……間一髪、落ちるメティスの腕を掴む。
>しかし、メティスは宙吊りで、不安定な状態な事に変わりはない。
鳴上「つっ……」
メティス「な、鳴上さん! 私の事はいいから手を……手を離して!」
鳴上「ダメだ! そんな事出来る訳ないだろ!」
メティス「でもっ……」
『フフ……そうだよ、その女の手を離せば、悠は煩わしいものからひとつ解放されるんだよ?』
鳴上「……だ」
メティス「え……?」
鳴上「嫌だ! みんな生きてここから出るんだ!」
>腕に力を入れ、メティスの体を勢いよく引き上げた。
鳴上「っ……お前、無駄に重いな」
メティス「そ、そんな事言ってる場合じゃ! 早く先に!」
鳴上「ああ……そうだったな!」
『チッ……どいつもこいつもしぶといんだからぁ!』
『もう遊びはおしまい。くたばれェッ!』
>怪物の叫びが足場を振動させる。
>続いてきたのは、無差別に落下してくる石と雷だった。
メティス「え……?」
『しねええええええええええええええ!』
>怪物の大きな手がメティスのいる石に目がけて勢いよく伸びてきている――!
メティス「くっ……!」
メティス「!?」
>メティスはその手をかわそうと飛び上がり見事に回避する。
>が、着地した先の石が崩れ、彼女の体は落下し闇に飲まれようとしていた――
鳴上「メティス!!」
メティス「ッ!」
>……間一髪、落ちるメティスの腕を掴む。
>しかし、メティスは宙吊りで、不安定な状態な事に変わりはない。
鳴上「つっ……」
メティス「な、鳴上さん! 私の事はいいから手を……手を離して!」
鳴上「ダメだ! そんな事出来る訳ないだろ!」
メティス「でもっ……」
『フフ……そうだよ、その女の手を離せば、悠は煩わしいものからひとつ解放されるんだよ?』
鳴上「……だ」
メティス「え……?」
鳴上「嫌だ! みんな生きてここから出るんだ!」
>腕に力を入れ、メティスの体を勢いよく引き上げた。
鳴上「っ……お前、無駄に重いな」
メティス「そ、そんな事言ってる場合じゃ! 早く先に!」
鳴上「ああ……そうだったな!」
『チッ……どいつもこいつもしぶといんだからぁ!』
『もう遊びはおしまい。くたばれェッ!』
>怪物の叫びが足場を振動させる。
>続いてきたのは、無差別に落下してくる石と雷だった。
299: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:06:29.57:gQV5HYPAO (4/23)
鳴上「みんな! 周りをよく注意して走れ!」
アイギス「あれに当たったら一溜まりもありませんね……!」
メティス「邪魔な石は私が片付けます!」
ラビリス「ウチも手伝うで!」
>メティスとラビリスが、自分の得物を手に取り落ちてくる石を粉砕していく。
>アイギスは時折振り返りながら銃弾を怪物目掛けて撃ち込んでいるが、あまり効果はないようだった。
鳴上「里中たちも、ちゃんと追いてこれてるか!」
千枝「う、うん。なんとか!」
雪子「でも、逃げきれるの……!?」
りせ「も……やだ……足いたい……!」
直斗「あまり長引くようだと……まずいですね……」
美鶴「何時まで続くんだ、こんな事!」
鳴上「みんな、諦めるな! 足を止めるな! 俺を信じて追いてこい!」
鳴上(くそっ……まだなのか!?)
菜々子「お兄ちゃん……負けないで……」
菜々子「……? この音、なに?」
ゴーン…… ゴーン……
>少し遠くの方から鐘の音が聞こえてくる!
鳴上「! みんな、もうすぐ出口だ! あと少し、頑張ってくれ!」
『ダメぇぇぇぇ、逃がさないんだからあぁぁぁぁぁぁ!!』
>容赦なく、石と雷が落ちるペースがあがっていく。
>しかし、あと少しだ。ここで挫ける訳には……
>みんなを励まし、自分を鼓舞するように声をかけながら最後の階段を上がっていく。
>……出口の扉は、もう目前だ!
鳴上「みんな、ここから外に!」
>扉を開き、後から続いている者達を先にこの場から脱出させる。
>……
>後は、自分がここから逃げれば……
鳴上「みんな! 周りをよく注意して走れ!」
アイギス「あれに当たったら一溜まりもありませんね……!」
メティス「邪魔な石は私が片付けます!」
ラビリス「ウチも手伝うで!」
>メティスとラビリスが、自分の得物を手に取り落ちてくる石を粉砕していく。
>アイギスは時折振り返りながら銃弾を怪物目掛けて撃ち込んでいるが、あまり効果はないようだった。
鳴上「里中たちも、ちゃんと追いてこれてるか!」
千枝「う、うん。なんとか!」
雪子「でも、逃げきれるの……!?」
りせ「も……やだ……足いたい……!」
直斗「あまり長引くようだと……まずいですね……」
美鶴「何時まで続くんだ、こんな事!」
鳴上「みんな、諦めるな! 足を止めるな! 俺を信じて追いてこい!」
鳴上(くそっ……まだなのか!?)
菜々子「お兄ちゃん……負けないで……」
菜々子「……? この音、なに?」
ゴーン…… ゴーン……
>少し遠くの方から鐘の音が聞こえてくる!
鳴上「! みんな、もうすぐ出口だ! あと少し、頑張ってくれ!」
『ダメぇぇぇぇ、逃がさないんだからあぁぁぁぁぁぁ!!』
>容赦なく、石と雷が落ちるペースがあがっていく。
>しかし、あと少しだ。ここで挫ける訳には……
>みんなを励まし、自分を鼓舞するように声をかけながら最後の階段を上がっていく。
>……出口の扉は、もう目前だ!
鳴上「みんな、ここから外に!」
>扉を開き、後から続いている者達を先にこの場から脱出させる。
>……
>後は、自分がここから逃げれば……
300: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:11:07.21:gQV5HYPAO (5/23)
『どうして!? どうしてよ! 悠を縛り付ける連中なんて私がみんなみんな消してやるんだからッ!』
鳴上「!」
鳴上「やめろッ!!」
鳴上「あいつらは……俺の大事な仲間だ!」
鳴上「俺にはあいつらが必要なんだ!」
鳴上「ここから先は一歩も通さない、みんなには指一本触れさせない!」
>出口の前に立ちはだかり、両腕を広げて迫り来る怪物から目を逸らさず睨みつけた。
鳴上「……俺は負けない。誰にも何も奪わせたりしないッ! ぜったいに、みんなを守るッ!」
『キシャアアァァァァァァァァ!!』
>背後から差す光が、自分と辺り一帯を全て包んだ――
――それが、君の答えなんだね?
『どうして!? どうしてよ! 悠を縛り付ける連中なんて私がみんなみんな消してやるんだからッ!』
鳴上「!」
鳴上「やめろッ!!」
鳴上「あいつらは……俺の大事な仲間だ!」
鳴上「俺にはあいつらが必要なんだ!」
鳴上「ここから先は一歩も通さない、みんなには指一本触れさせない!」
>出口の前に立ちはだかり、両腕を広げて迫り来る怪物から目を逸らさず睨みつけた。
鳴上「……俺は負けない。誰にも何も奪わせたりしないッ! ぜったいに、みんなを守るッ!」
『キシャアアァァァァァァァァ!!』
>背後から差す光が、自分と辺り一帯を全て包んだ――
――それが、君の答えなんだね?
301: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:14:39.15:gQV5HYPAO (6/23)
8th day
05/15(火) 曇り 自室
【朝】
鳴上「――!」
>見開いた目に映ったのは、今ではもうすっかり見慣れた寮の天井だ。
鳴上「え……?」
鳴上「……みんなが、来てたんじゃ」
鳴上「……」
鳴上「っ……そうだ、キミコ! キミコは!?」
鳴上「血がいっぱい出て倒れてた筈だっ……」
>飛び起きて部屋中を急いで見渡す。
>しかし、どこにもキミコの姿は……ない。
>……
>現実と夢の境目が、もうわからない。
>何が本当にあった事なのだろうか……
ドンドンドン!
>部屋の外から誰かが激しく扉を叩いている。
天田「鳴上さん! 鳴上さん!」
鳴上「天田!?」
>急いで扉を開いた。
鳴上「どうした!」
天田「どうしたじゃないですよ! 大丈夫ですか!?」
天田「き、切られたところとか! それに、ちゃんと逃げきれたんですか!?」
天田「鳴上さんあの場にひとりで残っちゃうし、僕っ……」
>天田は寝間着姿で寝癖がついたまま、あたふたしている。
>彼も寝起きで相当混乱している様子だ。
>……その様子を客観的に見れたおかげが、自分は少し冷静さを取り戻す事が出来たようだ。
鳴上「お、落ちつけ」
鳴上「俺はちゃんとここにいるだろ? 無事だよ」
天田「……ハッ!?」
天田「あ……ホントだ。ホントだ!」
天田「よかったあ……」
鳴上(……うん。無事だよ、な。傷もなくなってるし)
>刃物で切られた筈の腹部は、血が滲んでいる事もなく、どうもしていない。
8th day
05/15(火) 曇り 自室
【朝】
鳴上「――!」
>見開いた目に映ったのは、今ではもうすっかり見慣れた寮の天井だ。
鳴上「え……?」
鳴上「……みんなが、来てたんじゃ」
鳴上「……」
鳴上「っ……そうだ、キミコ! キミコは!?」
鳴上「血がいっぱい出て倒れてた筈だっ……」
>飛び起きて部屋中を急いで見渡す。
>しかし、どこにもキミコの姿は……ない。
>……
>現実と夢の境目が、もうわからない。
>何が本当にあった事なのだろうか……
ドンドンドン!
>部屋の外から誰かが激しく扉を叩いている。
天田「鳴上さん! 鳴上さん!」
鳴上「天田!?」
>急いで扉を開いた。
鳴上「どうした!」
天田「どうしたじゃないですよ! 大丈夫ですか!?」
天田「き、切られたところとか! それに、ちゃんと逃げきれたんですか!?」
天田「鳴上さんあの場にひとりで残っちゃうし、僕っ……」
>天田は寝間着姿で寝癖がついたまま、あたふたしている。
>彼も寝起きで相当混乱している様子だ。
>……その様子を客観的に見れたおかげが、自分は少し冷静さを取り戻す事が出来たようだ。
鳴上「お、落ちつけ」
鳴上「俺はちゃんとここにいるだろ? 無事だよ」
天田「……ハッ!?」
天田「あ……ホントだ。ホントだ!」
天田「よかったあ……」
鳴上(……うん。無事だよ、な。傷もなくなってるし)
>刃物で切られた筈の腹部は、血が滲んでいる事もなく、どうもしていない。
302: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:17:14.96:gQV5HYPAO (7/23)
鳴上「……」
天田「……。これで終わったんでしょうか?」
鳴上「え?」
天田「だって、あそこがカテドラル……ってとこだったんですよね?」
天田「そこを登りきったんだから、もう……」
鳴上「……確かに」
鳴上(でも、本当に?)
>ヴィンセントは大切なものを離さずあの場所を行けば夢から解放されると言っていた。
>しかし、それは……
鳴上「あくまで俺たちだけ、って話だと思う」
天田「え?」
鳴上「他の羊たちはまだ、あの夢に捕らわれたままなんじゃないか?」
鳴上「つまり、根本的な解決にはなっていない」
天田「……」
天田「でも、これ以上どうしろっていうんですか?」
鳴上「……」
鳴上「夢を見せている原因そのものを叩く。……それしかもう、ないと思う」
天田「でも、それが特定できなかったから、こうやって毎晩苦しんでた訳じゃないですか」
天田「いや、夢の事が現実だと曖昧な記憶でしか残らなかったんだから、そうだったのは当たり前ですけど……」
鳴上「でも、俺たちは今はこうしてきちんとあの夢のこと認識出来てるだろ? 以前よりは……だけどさ」
鳴上「それに、俺の知ってる人で以前この夢から生還したっていう人がいる」
天田「それ、本当ですか!?」
鳴上「ああ。もう少しこの夢について詳しい事を聞いてみようと思う」
>噂では彼が以前の事件で夢を見ていた大勢を救ったという話だ。
>そこまで本当の話かどうか定かではないが、全員を助け出す手立てを知っている、またはヒントを持っている可能性は高いとみて間違いはないと思う。
鳴上「……」
天田「……。これで終わったんでしょうか?」
鳴上「え?」
天田「だって、あそこがカテドラル……ってとこだったんですよね?」
天田「そこを登りきったんだから、もう……」
鳴上「……確かに」
鳴上(でも、本当に?)
>ヴィンセントは大切なものを離さずあの場所を行けば夢から解放されると言っていた。
>しかし、それは……
鳴上「あくまで俺たちだけ、って話だと思う」
天田「え?」
鳴上「他の羊たちはまだ、あの夢に捕らわれたままなんじゃないか?」
鳴上「つまり、根本的な解決にはなっていない」
天田「……」
天田「でも、これ以上どうしろっていうんですか?」
鳴上「……」
鳴上「夢を見せている原因そのものを叩く。……それしかもう、ないと思う」
天田「でも、それが特定できなかったから、こうやって毎晩苦しんでた訳じゃないですか」
天田「いや、夢の事が現実だと曖昧な記憶でしか残らなかったんだから、そうだったのは当たり前ですけど……」
鳴上「でも、俺たちは今はこうしてきちんとあの夢のこと認識出来てるだろ? 以前よりは……だけどさ」
鳴上「それに、俺の知ってる人で以前この夢から生還したっていう人がいる」
天田「それ、本当ですか!?」
鳴上「ああ。もう少しこの夢について詳しい事を聞いてみようと思う」
>噂では彼が以前の事件で夢を見ていた大勢を救ったという話だ。
>そこまで本当の話かどうか定かではないが、全員を助け出す手立てを知っている、またはヒントを持っている可能性は高いとみて間違いはないと思う。
303: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:19:15.66:gQV5HYPAO (8/23)
>しかし、今日の夢でも彼には会えなかった。
>ヴィンセントの言っていた事が事実なら、彼はあの世界の頂上にいる筈だ。
>つまり、今の自分はまだ一番上までは行けていないのだという事を意味している訳で。
>……
>なんだろう、妙な胸騒ぎがする……
ラビリス「おはよー」
メティス「鳴上さん、天田さん、おはようございます」
アイギス「お二人とも、揃ってどうしましたか?」
鳴上「いや……」
天田「……なんでもないですよ」
アイギス「早く支度をしないと学校に遅れてしまいますよ?」
鳴上「え? 学校?」
>よく見ると、メティスもラビリスも制服を着て鞄を持っている。
天田「やばっ……!」
>天田は慌てて自分の部屋に戻っていってしまった。
>自分も早く用意をしないと……
メティス「一階で待っていますから一緒に行きましょう」
ラビリス「ウチらまで遅刻にならんようにはよしてな」
鳴上「あ、ああ」
メティス・ラビリス「……」
>二人はそう言って階段を降りていってしまったが、その時見えた表情が何処か浮かない様子だった気がした。
鳴上「あの二人、何かあったのか?」
アイギス「……」
鳴上「アイギス?」
アイギス「!」
アイギス「な、なんですか?」
鳴上「いや……」
>アイギスまで様子がおかしい。
>みんな、どうしたのだろうか……
>……
>しかし、今日の夢でも彼には会えなかった。
>ヴィンセントの言っていた事が事実なら、彼はあの世界の頂上にいる筈だ。
>つまり、今の自分はまだ一番上までは行けていないのだという事を意味している訳で。
>……
>なんだろう、妙な胸騒ぎがする……
ラビリス「おはよー」
メティス「鳴上さん、天田さん、おはようございます」
アイギス「お二人とも、揃ってどうしましたか?」
鳴上「いや……」
天田「……なんでもないですよ」
アイギス「早く支度をしないと学校に遅れてしまいますよ?」
鳴上「え? 学校?」
>よく見ると、メティスもラビリスも制服を着て鞄を持っている。
天田「やばっ……!」
>天田は慌てて自分の部屋に戻っていってしまった。
>自分も早く用意をしないと……
メティス「一階で待っていますから一緒に行きましょう」
ラビリス「ウチらまで遅刻にならんようにはよしてな」
鳴上「あ、ああ」
メティス・ラビリス「……」
>二人はそう言って階段を降りていってしまったが、その時見えた表情が何処か浮かない様子だった気がした。
鳴上「あの二人、何かあったのか?」
アイギス「……」
鳴上「アイギス?」
アイギス「!」
アイギス「な、なんですか?」
鳴上「いや……」
>アイギスまで様子がおかしい。
>みんな、どうしたのだろうか……
>……
304: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:25:16.83:gQV5HYPAO (9/23)
通学路
メティス「今日、初めて夢というものを見ました」
鳴上「!」
ラビリス「……ウチも」
鳴上「二人揃って……?」
メティス「はい」
ラビリス「しかも、メティスの話聞いてみたらなんや似たような内容みたいでな」
鳴上「似たような、夢?」
メティス・ラビリス「……」
>二人とも黙ってしまった。
>もしや、朝から様子がおかしかったのは、その夢の内容のせいなのだろうか。
>……
>まさか……
鳴上「どういう夢だったんだ?」
ラビリス「んと、なんや変な場所沢山走ったり登ったりしてな」
鳴上(やっぱり……!)
ラビリス「あと、何故かその前に悠がめちゃめちゃ怒られとったわ。そんくらいしか覚えとらんのやけど、妙にリアルっていうか……なあ?」
メティス「ええ……不思議な夢でした」
鳴上「……」
メティス「あとは、……そう。私、鳴上さんに」
鳴上「俺に?」
メティス「重いって言われました」
メティス「重い、って……」
メティス「……」
鳴上(なんでそんな事だけ覚えているんだ……)
鳴上「えと……ゴメン」
メティス「べ、別に気にしてませんよ? 夢の中の話だし。……気にしてませんってば!」
メティス「機械の体なんだから、そうなのは当たり前だし」
メティス「……」
>メティスは自分でそう言ったのにも関わらずしょげてしまったようだ。
通学路
メティス「今日、初めて夢というものを見ました」
鳴上「!」
ラビリス「……ウチも」
鳴上「二人揃って……?」
メティス「はい」
ラビリス「しかも、メティスの話聞いてみたらなんや似たような内容みたいでな」
鳴上「似たような、夢?」
メティス・ラビリス「……」
>二人とも黙ってしまった。
>もしや、朝から様子がおかしかったのは、その夢の内容のせいなのだろうか。
>……
>まさか……
鳴上「どういう夢だったんだ?」
ラビリス「んと、なんや変な場所沢山走ったり登ったりしてな」
鳴上(やっぱり……!)
ラビリス「あと、何故かその前に悠がめちゃめちゃ怒られとったわ。そんくらいしか覚えとらんのやけど、妙にリアルっていうか……なあ?」
メティス「ええ……不思議な夢でした」
鳴上「……」
メティス「あとは、……そう。私、鳴上さんに」
鳴上「俺に?」
メティス「重いって言われました」
メティス「重い、って……」
メティス「……」
鳴上(なんでそんな事だけ覚えているんだ……)
鳴上「えと……ゴメン」
メティス「べ、別に気にしてませんよ? 夢の中の話だし。……気にしてませんってば!」
メティス「機械の体なんだから、そうなのは当たり前だし」
メティス「……」
>メティスは自分でそう言ったのにも関わらずしょげてしまったようだ。
305: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:29:07.08:gQV5HYPAO (10/23)
>……ともかく。
>今の話でわかった事は、どうやらあの夢の影響がメティスとラビリスにも現れているらしいという事だ。
>もしかしたら、今回の夢に出てきた人物全員が共通してあの夢を見たのかもしれない。
>それなら、アイギスの様子がおかしかったのもこれが原因に違いない。
>もしそうだとしたら、こんな事はこれっきりにして欲しい……
>……
月光館学園 3-A 教室
>教室の中はなにやら騒然としている。
男子A「あ、おはよっす、鳴上」
鳴上「おはよう。……何かあったのか?」
男子A「ああ……こりゃヤバいぜ」
男子A「C組で今話題の衰弱死したヤツが出たんだってさ」
鳴上「!」
鳴上(やっぱり、まだ完全に解決はしていないんだ……)
男子A「おっかねーよな。もう周りで何が起こってもおかしくないんじゃね? ……実はあの噂も案外本当だったりしてな」
鳴上「噂?」
男子A「ああ。ニュースでも言ってたからこれは知ってるかもだけど、前にも似たような事件があったんだよ、この街でさ」
鳴上「ああ、それは聞いた事あるな」
男子A「で、その時もやっぱはっきりした原因が解らなかったんだけど、ネットなんかじゃある悪夢のせいだなんて言われててさ」
男子A「そんなオカルト話があったりする中で……何故かある日突然ぱったりと死体が出なくなった訳。それは何故かっていうと……」
鳴上「悪夢から生還したある男……『伝説の男』のおかげ」
男子A「っていう噂が出たんだな、うん。出所とか詳しい経緯はしらねーけど。って、なんだ、よく知ってんじゃん」
>……ともかく。
>今の話でわかった事は、どうやらあの夢の影響がメティスとラビリスにも現れているらしいという事だ。
>もしかしたら、今回の夢に出てきた人物全員が共通してあの夢を見たのかもしれない。
>それなら、アイギスの様子がおかしかったのもこれが原因に違いない。
>もしそうだとしたら、こんな事はこれっきりにして欲しい……
>……
月光館学園 3-A 教室
>教室の中はなにやら騒然としている。
男子A「あ、おはよっす、鳴上」
鳴上「おはよう。……何かあったのか?」
男子A「ああ……こりゃヤバいぜ」
男子A「C組で今話題の衰弱死したヤツが出たんだってさ」
鳴上「!」
鳴上(やっぱり、まだ完全に解決はしていないんだ……)
男子A「おっかねーよな。もう周りで何が起こってもおかしくないんじゃね? ……実はあの噂も案外本当だったりしてな」
鳴上「噂?」
男子A「ああ。ニュースでも言ってたからこれは知ってるかもだけど、前にも似たような事件があったんだよ、この街でさ」
鳴上「ああ、それは聞いた事あるな」
男子A「で、その時もやっぱはっきりした原因が解らなかったんだけど、ネットなんかじゃある悪夢のせいだなんて言われててさ」
男子A「そんなオカルト話があったりする中で……何故かある日突然ぱったりと死体が出なくなった訳。それは何故かっていうと……」
鳴上「悪夢から生還したある男……『伝説の男』のおかげ」
男子A「っていう噂が出たんだな、うん。出所とか詳しい経緯はしらねーけど。って、なんだ、よく知ってんじゃん」
306: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:31:54.21:gQV5HYPAO (11/23)
男子A「まあ、本題はここからでさ。そこから数年しか経たないうちにまた同じような事が起き始めた……」
男子A「なんで? どうして? あの男のおかげで事件は解決したんじゃなかったの? と人々は思う訳さ」
男子A「そして、それとほぼ同時期、その男がまたこの界隈に姿を現し始めたという情報がネットに流れる」
鳴上「ゲーセンにあるラプンツェルの記録が近頃本人によって更新されたって話か?」
男子A「そう! で、誰が言い出したのか……ある日こんな大胆な仮説が立てられた」
男子A「謎の衰弱死事件が再び起こり始めたのは、その『伝説の男』がこの街に戻ってきて騒ぎを起こしてるからなんじゃないのか!」
男子A「……みたいなね」
鳴上「は、はあ!? なんだよその飛躍した……というか、こじつけみたいな説は!」
男子A「前にも言わなかったっけ? 『伝説の男』について今あることないこと言われてるって。この話がまさにそれなんだけどさ」
男子A「前の事件の時って噂では『伝説の男』が解決した事になってんだろ? それはつまり事件の原因を知ってる事になるんだよな?」
男子A「でも世間じゃそれは未だに謎になっている……という事は、事件の原因を知るのは『伝説の男』しかいないって訳だ」
鳴上「だからって、事件を起こしている張本人だとは……」
男子A「もしかしたら自分を越えるような可能性のある挑戦者を望んでるんじゃないのかって専らの噂だぜ?」
男子A「ゲームでも悪夢でもさ」
鳴上「そんな……」
鳴上(あの人がそんな事する訳ないだろ……何より、今もまた悪夢に悩まされているひとりじゃないか)
男子A「まあ、本題はここからでさ。そこから数年しか経たないうちにまた同じような事が起き始めた……」
男子A「なんで? どうして? あの男のおかげで事件は解決したんじゃなかったの? と人々は思う訳さ」
男子A「そして、それとほぼ同時期、その男がまたこの界隈に姿を現し始めたという情報がネットに流れる」
鳴上「ゲーセンにあるラプンツェルの記録が近頃本人によって更新されたって話か?」
男子A「そう! で、誰が言い出したのか……ある日こんな大胆な仮説が立てられた」
男子A「謎の衰弱死事件が再び起こり始めたのは、その『伝説の男』がこの街に戻ってきて騒ぎを起こしてるからなんじゃないのか!」
男子A「……みたいなね」
鳴上「は、はあ!? なんだよその飛躍した……というか、こじつけみたいな説は!」
男子A「前にも言わなかったっけ? 『伝説の男』について今あることないこと言われてるって。この話がまさにそれなんだけどさ」
男子A「前の事件の時って噂では『伝説の男』が解決した事になってんだろ? それはつまり事件の原因を知ってる事になるんだよな?」
男子A「でも世間じゃそれは未だに謎になっている……という事は、事件の原因を知るのは『伝説の男』しかいないって訳だ」
鳴上「だからって、事件を起こしている張本人だとは……」
男子A「もしかしたら自分を越えるような可能性のある挑戦者を望んでるんじゃないのかって専らの噂だぜ?」
男子A「ゲームでも悪夢でもさ」
鳴上「そんな……」
鳴上(あの人がそんな事する訳ないだろ……何より、今もまた悪夢に悩まされているひとりじゃないか)
307: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:34:21.10:gQV5HYPAO (12/23)
男子A「ま、所詮噂なんだけどさ、こんな話を知らない場所で色々されてるなんて、本人にとっちゃたまんねぇ話だよな」
男子A「風評被害っつーのか? こういうの。しかも、そう言ってる連中の規模がでかそうだから洒落になんねーわ」
男子A「哀れ『伝説の男』……」
>ヴィンセントとの付き合いはけして長い訳ではない。
>しかし、そんな真似をするような人間には到底見えない。
>だとすると、ヴィンセントを陥れようと誰かが情報操作をしている、とか……?
>そんな事をして得になるような人物がいるのだろうか。
>なんにせよ、彼と話したい事がまた増えたという事だ。
>……
【昼休み】
>教室の中はずっと衰弱死事件の話で溢れている。
>自分も気にはなるのだが……今は、もうひとつの気がかりになっている事で頭を悩ませていた。
>キミコの事だ。
>彼女からは依然として連絡がこない。
>あんな夢を見た後、という事もある。
>キミコは今どうしているのか……気にならない訳がない。
>またメールが電話をしてみようかと携帯を手に取った。
>が……
鳴上「……え。あれ?」
鳴上「前に送ったキミコへのメールが消えてる……?」
鳴上「削除なんかしたっけか。……」
>今度は発信履歴の画面を開いてみた。
鳴上「? 発信履歴もキミコにしたのだけ消えてる」
鳴上「……」
>反対側のボタンを押して、着信履歴の確認をした。
>しかし、やはり……
鳴上「キミコの着信だけ綺麗になくなってる……なんでだ?」
鳴上「……メール、は?」
鳴上「……!?」
鳴上「ない……キミコからのメールがない!?」
男子A「ま、所詮噂なんだけどさ、こんな話を知らない場所で色々されてるなんて、本人にとっちゃたまんねぇ話だよな」
男子A「風評被害っつーのか? こういうの。しかも、そう言ってる連中の規模がでかそうだから洒落になんねーわ」
男子A「哀れ『伝説の男』……」
>ヴィンセントとの付き合いはけして長い訳ではない。
>しかし、そんな真似をするような人間には到底見えない。
>だとすると、ヴィンセントを陥れようと誰かが情報操作をしている、とか……?
>そんな事をして得になるような人物がいるのだろうか。
>なんにせよ、彼と話したい事がまた増えたという事だ。
>……
【昼休み】
>教室の中はずっと衰弱死事件の話で溢れている。
>自分も気にはなるのだが……今は、もうひとつの気がかりになっている事で頭を悩ませていた。
>キミコの事だ。
>彼女からは依然として連絡がこない。
>あんな夢を見た後、という事もある。
>キミコは今どうしているのか……気にならない訳がない。
>またメールが電話をしてみようかと携帯を手に取った。
>が……
鳴上「……え。あれ?」
鳴上「前に送ったキミコへのメールが消えてる……?」
鳴上「削除なんかしたっけか。……」
>今度は発信履歴の画面を開いてみた。
鳴上「? 発信履歴もキミコにしたのだけ消えてる」
鳴上「……」
>反対側のボタンを押して、着信履歴の確認をした。
>しかし、やはり……
鳴上「キミコの着信だけ綺麗になくなってる……なんでだ?」
鳴上「……メール、は?」
鳴上「……!?」
鳴上「ない……キミコからのメールがない!?」
308: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:41:10.62:gQV5HYPAO (13/23)
>データフォルダに保存していた彼女から送られてきた写メも消失している。
>それどころか、電話帳に登録していた筈のキミコの番号とメールアドレスのデータ自体がそっくりなくなっている……!
鳴上「う、嘘だろ……!?」
>いくら探してみても、この携帯にあったキミコの痕跡が見当たらない。
>携帯はいつも自分の手元においている筈だ。
>だから知らない間に誰かが消したという事は有り得ないと思うし、第一そんな事をされる理由が思い浮かばない。
>どういう事だ……
>言い表せない不安が、一気に自分の身に押し寄せてくる。
>……今日は学校に来ているのだろうか。
>2-Fに行ってみよう……!
>……
月光館学園 2-F 教室
>入り口に辿り着いてすぐ、近くにこの間声をかけた女生徒がいるのを発見した。
鳴上「おい! 今日はキミコは来ているのか!?」
女生徒A「え? あー、この間の。今日は来てますよー」
女生徒A「おーい、キミコーご指名だよー」
>そう教室の中に呼びかける女生徒の声に反応した一人の生徒がいた。
>そして教室の入り口までやってきたのだが……
キミコと呼ばれた女生徒「……え? あの、どなたですか? 私に何の御用が……?」
鳴上「っ……」
>そこにいた女生徒は、名前は同じでも自分の知っているキミコではなかった。
>もちろん、その人物も自分の事など知りもしない。
鳴上「す、すまない……人違い、だった」
>ショックでふらつきそうな体を支えながら、逃げるようにその場を立ち去った。
>データフォルダに保存していた彼女から送られてきた写メも消失している。
>それどころか、電話帳に登録していた筈のキミコの番号とメールアドレスのデータ自体がそっくりなくなっている……!
鳴上「う、嘘だろ……!?」
>いくら探してみても、この携帯にあったキミコの痕跡が見当たらない。
>携帯はいつも自分の手元においている筈だ。
>だから知らない間に誰かが消したという事は有り得ないと思うし、第一そんな事をされる理由が思い浮かばない。
>どういう事だ……
>言い表せない不安が、一気に自分の身に押し寄せてくる。
>……今日は学校に来ているのだろうか。
>2-Fに行ってみよう……!
>……
月光館学園 2-F 教室
>入り口に辿り着いてすぐ、近くにこの間声をかけた女生徒がいるのを発見した。
鳴上「おい! 今日はキミコは来ているのか!?」
女生徒A「え? あー、この間の。今日は来てますよー」
女生徒A「おーい、キミコーご指名だよー」
>そう教室の中に呼びかける女生徒の声に反応した一人の生徒がいた。
>そして教室の入り口までやってきたのだが……
キミコと呼ばれた女生徒「……え? あの、どなたですか? 私に何の御用が……?」
鳴上「っ……」
>そこにいた女生徒は、名前は同じでも自分の知っているキミコではなかった。
>もちろん、その人物も自分の事など知りもしない。
鳴上「す、すまない……人違い、だった」
>ショックでふらつきそうな体を支えながら、逃げるようにその場を立ち去った。
309: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:44:03.36:gQV5HYPAO (14/23)
>……
>訳がわからない。
>自分の携帯の中だけでなく、キミコの存在自体がこの学校から消失したとでもいうのか……
>そんな馬鹿な話があってたまる筈がない。
>今まで自分と話したり、笑いかけたりしてきた彼女は一体何処へ行ってしまったのだろう。
>記憶の中にはその姿がきちんとあるというのに。
>……
【夜】
クラブ エスカペイド
>いくつもの悩みを抱え消化しきれないまま、また夜がやってきた。
>彼から話を聞けば、解決への糸口を見つけるくらいは出来るのだろうか。
>……
>今日もあの場所にヴィンセントはいる。
鳴上「……こんばんは」
ヴィンセント「……」
>ヴィンセントは俯いている顔を上げる事も、声で返事をする事もなかった。
>手元には、灰皿と山になった吸い殻と空の煙草の箱があった。
鳴上「煙草、吸ってたんですね」
ヴィンセント「……」
>やはり、言葉は返ってこない。
鳴上「今日はまた、気になる事がいくつか出来たので……その答えを知りたくてここに来ました」
ヴィンセント「……」
鳴上「……変な噂を耳にしたんです」
鳴上「俺はそんなの嘘だと思うけど、でもヴィンセントさんの口からちゃんと否定してもらって、安心したい」
ヴィンセント「……」
鳴上「手短に言います。……あの悪夢を見せているのは、ヴィンセントさん……伝説の男の仕業だっていう話があがっているんです」
鳴上「でも、そんなのデタラメですよね? だって貴方はそんな事するような人には見えないし。誰かが人事だと思って、面白半分に変なネタをでっち上げたとかに決まってる」
鳴上「……そうですよね?」
ヴィンセント「……」
>……
>訳がわからない。
>自分の携帯の中だけでなく、キミコの存在自体がこの学校から消失したとでもいうのか……
>そんな馬鹿な話があってたまる筈がない。
>今まで自分と話したり、笑いかけたりしてきた彼女は一体何処へ行ってしまったのだろう。
>記憶の中にはその姿がきちんとあるというのに。
>……
【夜】
クラブ エスカペイド
>いくつもの悩みを抱え消化しきれないまま、また夜がやってきた。
>彼から話を聞けば、解決への糸口を見つけるくらいは出来るのだろうか。
>……
>今日もあの場所にヴィンセントはいる。
鳴上「……こんばんは」
ヴィンセント「……」
>ヴィンセントは俯いている顔を上げる事も、声で返事をする事もなかった。
>手元には、灰皿と山になった吸い殻と空の煙草の箱があった。
鳴上「煙草、吸ってたんですね」
ヴィンセント「……」
>やはり、言葉は返ってこない。
鳴上「今日はまた、気になる事がいくつか出来たので……その答えを知りたくてここに来ました」
ヴィンセント「……」
鳴上「……変な噂を耳にしたんです」
鳴上「俺はそんなの嘘だと思うけど、でもヴィンセントさんの口からちゃんと否定してもらって、安心したい」
ヴィンセント「……」
鳴上「手短に言います。……あの悪夢を見せているのは、ヴィンセントさん……伝説の男の仕業だっていう話があがっているんです」
鳴上「でも、そんなのデタラメですよね? だって貴方はそんな事するような人には見えないし。誰かが人事だと思って、面白半分に変なネタをでっち上げたとかに決まってる」
鳴上「……そうですよね?」
ヴィンセント「……」
310: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:46:08.37:gQV5HYPAO (15/23)
>彼は未だに沈黙を押し通している。
>手にはグラスを持っただけで、口に運ぶ事もない。
>……その指は、カタカタと小さく震えていた。
ヴィンセント「っ……」
鳴上「……え?」
>……よく見ると、ヴィンセントはさっきから口を小さく動かしているようだった。
>しかしそれは、息が漏れているだけで言葉を発しているとはお世辞にもいえない状態だ。
>それでも、彼はその行為をやめない……
>何かを必死に伝えようとしているのだが、声に出せないのだ。
鳴上「なっ……どうしたんですか!? 俺に言いたい事があるんですか!?」
ヴィンセント「あ……っ……」
>ようやく顔を上げた彼は、額に脂汗が滲み出ていて目も虚ろだった。
>とても尋常な様子ではない……
鳴上「具合悪いんですか? 店から出た方が……」
ヴィンセント「ッ…た……て……」
鳴上「っ……!?」
ヴィンセント「たす、け……っ」
ヴィンセント「……助け、て……くれ……!」
鳴上「やっぱり気分が悪いんですか!? ど、どうすれば!?」
ヴィンセント「ちが……うっ……」
鳴上「!」
ヴィンセント「俺は……このまま、……だと、どう……なるか……っ」
ヴィンセント「何をする……か……わからなっ……!」
>言葉を言い終わる前に、ヴィンセントの首がガクリと下に落ちた。
>しかしそれはまもなく再び上を向き、背筋が今まで見た事もないほどすっと伸びて
>ゆっくりとこちらを向いた彼の瞳は、虚ろとは違う、鈍く赤い輝きが宿っていた――
鳴上「なっ……!?」
ヴィンセント?「やあ……初めまして、こんばんは」
>彼は未だに沈黙を押し通している。
>手にはグラスを持っただけで、口に運ぶ事もない。
>……その指は、カタカタと小さく震えていた。
ヴィンセント「っ……」
鳴上「……え?」
>……よく見ると、ヴィンセントはさっきから口を小さく動かしているようだった。
>しかしそれは、息が漏れているだけで言葉を発しているとはお世辞にもいえない状態だ。
>それでも、彼はその行為をやめない……
>何かを必死に伝えようとしているのだが、声に出せないのだ。
鳴上「なっ……どうしたんですか!? 俺に言いたい事があるんですか!?」
ヴィンセント「あ……っ……」
>ようやく顔を上げた彼は、額に脂汗が滲み出ていて目も虚ろだった。
>とても尋常な様子ではない……
鳴上「具合悪いんですか? 店から出た方が……」
ヴィンセント「ッ…た……て……」
鳴上「っ……!?」
ヴィンセント「たす、け……っ」
ヴィンセント「……助け、て……くれ……!」
鳴上「やっぱり気分が悪いんですか!? ど、どうすれば!?」
ヴィンセント「ちが……うっ……」
鳴上「!」
ヴィンセント「俺は……このまま、……だと、どう……なるか……っ」
ヴィンセント「何をする……か……わからなっ……!」
>言葉を言い終わる前に、ヴィンセントの首がガクリと下に落ちた。
>しかしそれはまもなく再び上を向き、背筋が今まで見た事もないほどすっと伸びて
>ゆっくりとこちらを向いた彼の瞳は、虚ろとは違う、鈍く赤い輝きが宿っていた――
鳴上「なっ……!?」
ヴィンセント?「やあ……初めまして、こんばんは」
311: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 20:49:07.84:gQV5HYPAO (16/23)
>そのヴィンセントは、姿や声などは変わらず彼のものであっても、口調やそこから滲み出る雰囲気といったものがまったくの別人へと変貌していた。
>『初めまして』
>その言葉だけでも……理解できる。
>目の前にいるこの人物はヴィンセントではない別の『誰か』だ。
鳴上「お前は誰だ。ヴィンセントさんに何をした!」
ヴィンセント?「そう睨まないでくれよ。僕は彼の体を少し借りただけなんだから」
ヴィンセント?「夢にくる前に、君と是非話をしたくてね」
鳴上「!?」
鳴上「何者だ……お前」
ヴィンセント?「僕は本来あの夢の世界で告解室に座っている者……つまり」
ヴィンセント?「あの夢の管理者だ」
鳴上「お、お前が……!?」
ヴィンセント?「そうさ。長い間自己紹介が遅れて済まなかったね」
ヴィンセント?「僕は僕でやる事があったし、その間留守を任せていた彼があまりにも君に対して必死だったものだからね……ちょっと様子を見させてもらっていたよ」
ヴィンセント?「その彼も、いつの間にか帰ってしまっていたようだけどね。あれで彼は満足出来たのかな?」
ヴィンセント?「……それよりもだ。僕から君に頼みたい事があるんだけど、聞いてくれるかい?」
鳴上「……」
ヴィンセント?「……そんなに警戒しなくてもいいじゃないか」
ヴィンセント?「これは、この男……君には確かヴィンセントと名乗っていたね。彼の頼みにも繋がる事だよ」
鳴上「どういう事だ……?」
ヴィンセント?「うん、実はね。率直に言うと……」
ヴィンセント?「君にあの世界を壊して欲しいんだよ」
>そのヴィンセントは、姿や声などは変わらず彼のものであっても、口調やそこから滲み出る雰囲気といったものがまったくの別人へと変貌していた。
>『初めまして』
>その言葉だけでも……理解できる。
>目の前にいるこの人物はヴィンセントではない別の『誰か』だ。
鳴上「お前は誰だ。ヴィンセントさんに何をした!」
ヴィンセント?「そう睨まないでくれよ。僕は彼の体を少し借りただけなんだから」
ヴィンセント?「夢にくる前に、君と是非話をしたくてね」
鳴上「!?」
鳴上「何者だ……お前」
ヴィンセント?「僕は本来あの夢の世界で告解室に座っている者……つまり」
ヴィンセント?「あの夢の管理者だ」
鳴上「お、お前が……!?」
ヴィンセント?「そうさ。長い間自己紹介が遅れて済まなかったね」
ヴィンセント?「僕は僕でやる事があったし、その間留守を任せていた彼があまりにも君に対して必死だったものだからね……ちょっと様子を見させてもらっていたよ」
ヴィンセント?「その彼も、いつの間にか帰ってしまっていたようだけどね。あれで彼は満足出来たのかな?」
ヴィンセント?「……それよりもだ。僕から君に頼みたい事があるんだけど、聞いてくれるかい?」
鳴上「……」
ヴィンセント?「……そんなに警戒しなくてもいいじゃないか」
ヴィンセント?「これは、この男……君には確かヴィンセントと名乗っていたね。彼の頼みにも繋がる事だよ」
鳴上「どういう事だ……?」
ヴィンセント?「うん、実はね。率直に言うと……」
ヴィンセント?「君にあの世界を壊して欲しいんだよ」
312: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:43:33.17:gQV5HYPAO (17/23)
鳴上「!!」
鳴上「壊す……って。何故お前がそんな事を俺に頼む?」
鳴上「お前はあの場所を管理してるんだろ? そんな事されたら困る側の方じゃないのか?」
ヴィンセント?「それがそうでもなくてね」
ヴィンセント?「告解室の代行を任せていた彼に聞かなかったかい? あの世界はもはや、僕の管理する世界とはまったくの別物なんだよ」
ヴィンセント?「あれには僕も迷惑してね。あそこまで、形を本来のものに近付けるのにも相当苦労した」
ヴィンセント?「でも、それもこれも全て、あの場所を誰かに壊して貰う為の準備だったんだよ」
ヴィンセント?「次に君が向かう先……天上に、あの夢の元凶になっている存在が待っている」
鳴上「それは、一体なんなんだ!?」
ヴィンセント?「さっき、君も言っていたじゃないか」
ヴィンセント?「……この男だ。ヴィンセントという『伝説の男』が、世間に悪夢を見させている、という事になってしまっているんだよ」
鳴上「そっ……そんな馬鹿な事!」
鳴上「いや、ちょっとまて。なってしまっている……っていうのは、どう意味なんだ?」
ヴィンセント?「あの歪んだ夢の世界が出来た原理と一緒さ」
ヴィンセント?「今、この街に蔓延している、奇妙な『力』……それによって本来、存在しないもの、存在してはならないもの、そういったものが現実に姿を現してしまうようになっているみたいだ」
鳴上「奇妙な『力』……?」
ヴィンセント?「どうしてそんな『力』が発生しているのかまでは僕にもわからない。ただ言えるのは……」
ヴィンセント?「彼も謂わばその犠牲者のひとりという訳だね。電子の海を漂う偽りの言霊がその『力』を受けて、僕の世界に影響し彼にも影響して、そういう舞台と役者に勝手に仕立て上げられてしまった訳さ」
鳴上「!!」
鳴上「壊す……って。何故お前がそんな事を俺に頼む?」
鳴上「お前はあの場所を管理してるんだろ? そんな事されたら困る側の方じゃないのか?」
ヴィンセント?「それがそうでもなくてね」
ヴィンセント?「告解室の代行を任せていた彼に聞かなかったかい? あの世界はもはや、僕の管理する世界とはまったくの別物なんだよ」
ヴィンセント?「あれには僕も迷惑してね。あそこまで、形を本来のものに近付けるのにも相当苦労した」
ヴィンセント?「でも、それもこれも全て、あの場所を誰かに壊して貰う為の準備だったんだよ」
ヴィンセント?「次に君が向かう先……天上に、あの夢の元凶になっている存在が待っている」
鳴上「それは、一体なんなんだ!?」
ヴィンセント?「さっき、君も言っていたじゃないか」
ヴィンセント?「……この男だ。ヴィンセントという『伝説の男』が、世間に悪夢を見させている、という事になってしまっているんだよ」
鳴上「そっ……そんな馬鹿な事!」
鳴上「いや、ちょっとまて。なってしまっている……っていうのは、どう意味なんだ?」
ヴィンセント?「あの歪んだ夢の世界が出来た原理と一緒さ」
ヴィンセント?「今、この街に蔓延している、奇妙な『力』……それによって本来、存在しないもの、存在してはならないもの、そういったものが現実に姿を現してしまうようになっているみたいだ」
鳴上「奇妙な『力』……?」
ヴィンセント?「どうしてそんな『力』が発生しているのかまでは僕にもわからない。ただ言えるのは……」
ヴィンセント?「彼も謂わばその犠牲者のひとりという訳だね。電子の海を漂う偽りの言霊がその『力』を受けて、僕の世界に影響し彼にも影響して、そういう舞台と役者に勝手に仕立て上げられてしまった訳さ」
313: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:45:27.67:gQV5HYPAO (18/23)
鳴上「……」
鳴上「じゃあ、あの世界を壊すっていう事はつまり」
ヴィンセント?「彼を救う事にもなるし、羊たちはあの場所から逃げ出す事が出来るって事」
ヴィンセント?「そして僕も、この地から解放される……」
>その話が本当なら……
鳴上「……。俺は、どうすればいい?」
ヴィンセント?「君は彼と約束していたね?」
ヴィンセント?「あそこを登り切って彼のところにいく、と」
鳴上「……」
鳴上「戦わなきゃダメなのか、ヴィンセントさんと……」
ヴィンセント?「そうだね。戦って君が勝たなければダメ、なんだよ」
ヴィンセント?「まだ僅かに残っている彼自身の意識も、君にそうして欲しいと訴えている」
鳴上「!」
ヴィンセント?「さっきのおかしな様子を見ただろう? 『力』が自身に及ぼしている影響を自覚したのか、まだギリギリ踏みとどまってはいるようだけど……」
ヴィンセント?「しかし今のこの状態だとおそらく、今夜を過ぎれば『力』の影響でヴィンセントはヴィンセントである事を保てなくなってしまうだろう」
ヴィンセント?「そうならない為にも……ね」
>まさか彼と戦う事になるなんて、文字通り夢にも思わなかった……
>だが、ここで覚悟を決めるしかないようだ。
>それで彼自身も救われるというのなら……
鳴上「……」
鳴上「じゃあ、あの世界を壊すっていう事はつまり」
ヴィンセント?「彼を救う事にもなるし、羊たちはあの場所から逃げ出す事が出来るって事」
ヴィンセント?「そして僕も、この地から解放される……」
>その話が本当なら……
鳴上「……。俺は、どうすればいい?」
ヴィンセント?「君は彼と約束していたね?」
ヴィンセント?「あそこを登り切って彼のところにいく、と」
鳴上「……」
鳴上「戦わなきゃダメなのか、ヴィンセントさんと……」
ヴィンセント?「そうだね。戦って君が勝たなければダメ、なんだよ」
ヴィンセント?「まだ僅かに残っている彼自身の意識も、君にそうして欲しいと訴えている」
鳴上「!」
ヴィンセント?「さっきのおかしな様子を見ただろう? 『力』が自身に及ぼしている影響を自覚したのか、まだギリギリ踏みとどまってはいるようだけど……」
ヴィンセント?「しかし今のこの状態だとおそらく、今夜を過ぎれば『力』の影響でヴィンセントはヴィンセントである事を保てなくなってしまうだろう」
ヴィンセント?「そうならない為にも……ね」
>まさか彼と戦う事になるなんて、文字通り夢にも思わなかった……
>だが、ここで覚悟を決めるしかないようだ。
>それで彼自身も救われるというのなら……
314: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:47:19.18:gQV5HYPAO (19/23)
鳴上「わかった。俺がその舞台の幕を下ろしてやる」
ヴィンセント?「……迷惑をかけてすまない。と、ヴィンセントも言っているよ」
鳴上「俺の声が聞こえてるのか!?」
ヴィンセント?「そうみたいだね」
ヴィンセント?「お前にこんな事を頼んでしまって申し訳ない。すべてが終わったらまたこの場所で会おう、その時にお詫びをさせてくれ……だってさ」
鳴上「ヴィンセントさん……」
ヴィンセント?「……さて。そろそろ時間のようだ」
ヴィンセント?「この体は僕が責任を持って彼の家まで届けよう」
ヴィンセント?「だから君も早く帰って……あの場所に行くといい」
ヴィンセント?「僕も待っているよ」
>管理者はヴィンセントの体を借りたまま、店から静かに出ていった……
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが8になった
>……
>今夜の夢は長くなりそうだ。
【深夜】
学生寮 自室
>部屋の電気を消し、ベッドへと身を預けてからしばらく経った。
>しかし、今夜はまた今までとは違った意味で緊張してなかなか寝付く事が出来ずにいる。
>大勢の者の未来が、自分に委ねられている……
>……
イヤホンの少年「……まだ起きてる?」
鳴上「!」
>……気まぐれに現れては消えるあの少年が、また自分に会いにやってきたようだ。
>ベッドから体を起こし、彼と向かい合った。
イヤホンの少年「いよいよ……みたいだね」
鳴上「ああ」
イヤホンの少年「でも、決着をつけに行く前に君に少し用がある」
イヤホンの少年「俺じゃなくて、彼女が……だけど」
鳴上「彼女……?」
>そう言うと、ぼんやりとした姿の少年の隣にまたひとつ、うっすらとした人影が浮かび上がり始める。
鳴上「わかった。俺がその舞台の幕を下ろしてやる」
ヴィンセント?「……迷惑をかけてすまない。と、ヴィンセントも言っているよ」
鳴上「俺の声が聞こえてるのか!?」
ヴィンセント?「そうみたいだね」
ヴィンセント?「お前にこんな事を頼んでしまって申し訳ない。すべてが終わったらまたこの場所で会おう、その時にお詫びをさせてくれ……だってさ」
鳴上「ヴィンセントさん……」
ヴィンセント?「……さて。そろそろ時間のようだ」
ヴィンセント?「この体は僕が責任を持って彼の家まで届けよう」
ヴィンセント?「だから君も早く帰って……あの場所に行くといい」
ヴィンセント?「僕も待っているよ」
>管理者はヴィンセントの体を借りたまま、店から静かに出ていった……
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが8になった
>……
>今夜の夢は長くなりそうだ。
【深夜】
学生寮 自室
>部屋の電気を消し、ベッドへと身を預けてからしばらく経った。
>しかし、今夜はまた今までとは違った意味で緊張してなかなか寝付く事が出来ずにいる。
>大勢の者の未来が、自分に委ねられている……
>……
イヤホンの少年「……まだ起きてる?」
鳴上「!」
>……気まぐれに現れては消えるあの少年が、また自分に会いにやってきたようだ。
>ベッドから体を起こし、彼と向かい合った。
イヤホンの少年「いよいよ……みたいだね」
鳴上「ああ」
イヤホンの少年「でも、決着をつけに行く前に君に少し用がある」
イヤホンの少年「俺じゃなくて、彼女が……だけど」
鳴上「彼女……?」
>そう言うと、ぼんやりとした姿の少年の隣にまたひとつ、うっすらとした人影が浮かび上がり始める。
315: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:49:37.22:gQV5HYPAO (20/23)
>それは、イヤホンの少年よりも更にぼやけて希薄な存在だったが
>……確かに、以前から見た覚えのある人物の姿だった。
鳴上「っ……!」
イヤホンの少年「君に言いたいことがあるって」
イヤホンの少年「……じゃあ」
>イヤホンの少年は彼女だけを残して姿を消してしまった。
>彼女は困ったような顔をして、黙ったままそこに佇んでいる。
?「……」
鳴上「……お前」
鳴上「キミコ……だよな?」
キミコ「ん……」
キミコ「正確にはこの前までキミコと名乗ってた者……かな」
鳴上「……」
鳴上「その体、キミコは……人間じゃない、のか?」
キミコ「どうやらそうみたい」
キミコ「私もね、さっきまで自分がどういう存在だったのかよく解ってなかったの……笑っちゃう話だけど」
キミコ「でも、ようやく理解できたんだ……だから」
キミコ「最後に悠に会わなきゃって、思って。そしたら、さっきの人が力をかしてくれたの」
鳴上「お前は、一体……」
キミコ「……」
キミコ「私もね、この物語の舞台に立っていた役者のひとりだったの……勝手に選ばれた、ね」
キミコ「私はそうとは気付かないまま、無意識のうちにその役を演じていて、……そのせいで悠に沢山迷惑かけちゃってた」
キミコ「それを謝っておきたくて。ごめんなさい」
>キミコは困ったような顔をしたまま、瞳を僅かに滲ませている。
キミコ「実はこの姿も名前もね、全部借り物なの。本物のキミコにもこの事謝んなきゃって思ったけど……どうやらその時間はもう残されてないみたい」
鳴上「じゃあ……お前の本当の名前は?」
>キミコは首を横に振った。
>それは、イヤホンの少年よりも更にぼやけて希薄な存在だったが
>……確かに、以前から見た覚えのある人物の姿だった。
鳴上「っ……!」
イヤホンの少年「君に言いたいことがあるって」
イヤホンの少年「……じゃあ」
>イヤホンの少年は彼女だけを残して姿を消してしまった。
>彼女は困ったような顔をして、黙ったままそこに佇んでいる。
?「……」
鳴上「……お前」
鳴上「キミコ……だよな?」
キミコ「ん……」
キミコ「正確にはこの前までキミコと名乗ってた者……かな」
鳴上「……」
鳴上「その体、キミコは……人間じゃない、のか?」
キミコ「どうやらそうみたい」
キミコ「私もね、さっきまで自分がどういう存在だったのかよく解ってなかったの……笑っちゃう話だけど」
キミコ「でも、ようやく理解できたんだ……だから」
キミコ「最後に悠に会わなきゃって、思って。そしたら、さっきの人が力をかしてくれたの」
鳴上「お前は、一体……」
キミコ「……」
キミコ「私もね、この物語の舞台に立っていた役者のひとりだったの……勝手に選ばれた、ね」
キミコ「私はそうとは気付かないまま、無意識のうちにその役を演じていて、……そのせいで悠に沢山迷惑かけちゃってた」
キミコ「それを謝っておきたくて。ごめんなさい」
>キミコは困ったような顔をしたまま、瞳を僅かに滲ませている。
キミコ「実はこの姿も名前もね、全部借り物なの。本物のキミコにもこの事謝んなきゃって思ったけど……どうやらその時間はもう残されてないみたい」
鳴上「じゃあ……お前の本当の名前は?」
>キミコは首を横に振った。
316: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:53:38.35:gQV5HYPAO (21/23)
キミコ「知らない。もしかしたら、初めからないのかも」
鳴上「……」
キミコ「でもね、自分が本当は何者なのか知らなくても、名前も解らなくても、これが仮初めの姿でも……悠と過ごした時間は本当に楽しかったんだよ」
キミコ「だって、出番が終わって舞台から降りた後なのに、……私まだドキドキしてるもん」
キミコ「悠と私の過ごした日々は嘘なんかじゃないんだって、私はそう思いたい」
キミコ「悠はそうじゃないかもしれないけど」
鳴上「……確かにお前には色々と困ったのは事実だけど」
鳴上「でも、思い返してみれば、あれはあれで割といい思い出になったんじゃないかって、今はそんな気がしている」
>そんな風に思ってしまうのは、おそらくこれでキミコとも永遠の別れになってしまうからだろうか。
キミコ「……ありがとう。気を使ってくれてるんだとしても、嬉しい」
キミコ「あーあ、ホント残念! もっと悠と一緒にいたかったな!」
キミコ「……」
キミコ「ねえ。最後の最後に、ワガママしてもいいかな?」
鳴上「え……」
>その返事を待たずに、キミコが正面からこちらに抱きついてきた。
>しかし実体が無いせいか、抱き締められているという感覚はあまり無い。
キミコ「……」
鳴上「……」
>……それでも、彼女のその背に自分も腕を回し、そっと頭を撫でてやった。
キミコ「知らない。もしかしたら、初めからないのかも」
鳴上「……」
キミコ「でもね、自分が本当は何者なのか知らなくても、名前も解らなくても、これが仮初めの姿でも……悠と過ごした時間は本当に楽しかったんだよ」
キミコ「だって、出番が終わって舞台から降りた後なのに、……私まだドキドキしてるもん」
キミコ「悠と私の過ごした日々は嘘なんかじゃないんだって、私はそう思いたい」
キミコ「悠はそうじゃないかもしれないけど」
鳴上「……確かにお前には色々と困ったのは事実だけど」
鳴上「でも、思い返してみれば、あれはあれで割といい思い出になったんじゃないかって、今はそんな気がしている」
>そんな風に思ってしまうのは、おそらくこれでキミコとも永遠の別れになってしまうからだろうか。
キミコ「……ありがとう。気を使ってくれてるんだとしても、嬉しい」
キミコ「あーあ、ホント残念! もっと悠と一緒にいたかったな!」
キミコ「……」
キミコ「ねえ。最後の最後に、ワガママしてもいいかな?」
鳴上「え……」
>その返事を待たずに、キミコが正面からこちらに抱きついてきた。
>しかし実体が無いせいか、抱き締められているという感覚はあまり無い。
キミコ「……」
鳴上「……」
>……それでも、彼女のその背に自分も腕を回し、そっと頭を撫でてやった。
317: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:55:08.04:gQV5HYPAO (22/23)
キミコ「……もう少しこのままでいていい?」
鳴上「ああ」
キミコ「ありがと。……」
キミコ「ねえ、悠」
鳴上「ん?」
キミコ「……もしも」
キミコ「もしも、私が悪魔でも、好きといってくれますか?」
鳴上「!」
キミコ「……、なーんてね。別れ際に言うような言葉じゃないよね」
鳴上「キミコ……」
キミコ「……時間がきちゃったみたい。私も、悠も」
>キミコは抱きついた状態のまま、こちらの体をベッドへと押し倒した。
>彼女の体は、もう殆ど見えなくなってきている……
>……
>何故だろう。瞼が急に重くなってきた……
キミコ「私が守らなくても、悠は平気だよね?」
鳴上「……」
キミコ「でも、私の心はずっと悠の傍にあるから」
キミコ「……じゃあね」
キミコ「おやすみなさい」
>…
>……
>………
キミコ「……もう少しこのままでいていい?」
鳴上「ああ」
キミコ「ありがと。……」
キミコ「ねえ、悠」
鳴上「ん?」
キミコ「……もしも」
キミコ「もしも、私が悪魔でも、好きといってくれますか?」
鳴上「!」
キミコ「……、なーんてね。別れ際に言うような言葉じゃないよね」
鳴上「キミコ……」
キミコ「……時間がきちゃったみたい。私も、悠も」
>キミコは抱きついた状態のまま、こちらの体をベッドへと押し倒した。
>彼女の体は、もう殆ど見えなくなってきている……
>……
>何故だろう。瞼が急に重くなってきた……
キミコ「私が守らなくても、悠は平気だよね?」
鳴上「……」
キミコ「でも、私の心はずっと悠の傍にあるから」
キミコ「……じゃあね」
キミコ「おやすみなさい」
>…
>……
>………
318: ◆Hw7XKfELws:2012/05/23(水) 21:59:10.10:gQV5HYPAO (23/23)
終わります。
次回、決戦のバトルフィールドへ!
終わります。
次回、決戦のバトルフィールドへ!
319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2012/05/23(水) 22:04:01.43:+hnZYYeP0 (1/1)
乙!
これを機にキャサリンやってみるかな
乙!
これを機にキャサリンやってみるかな
320:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/23(水) 22:08:25.70:6vdJivNIO (1/1)
乙ぅぅうううぅううぅううううぅぅぅぅぅ
>キミコ「もしも、私が悪魔でも、好きといってくれますか?」
懐かしいフレーズだ
乙ぅぅうううぅううぅううううぅぅぅぅぅ
>キミコ「もしも、私が悪魔でも、好きといってくれますか?」
懐かしいフレーズだ
321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2012/05/23(水) 22:30:46.77:Vqh621xgo (1/1)
乙!
超燃えるわ・・・
乙!
超燃えるわ・・・
322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/23(水) 22:32:11.57:7JleAuako (1/1)
おつであります
おつであります
323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/24(木) 00:08:42.13:eVqj50lO0 (1/1)
噂が本当になってしまう…
まさかやはりペルソナシリーズ中絶対悪として存在しているあいつの仕業なのか?
まだまだ謎は深まるね
噂が本当になってしまう…
まさかやはりペルソナシリーズ中絶対悪として存在しているあいつの仕業なのか?
まだまだ謎は深まるね
324:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2012/05/24(木) 00:12:04.55:MFIZ+Thh0 (1/1)
おつおつ
一番面倒くさいやつが関わってそうな予感がぷんぷんするぜ
おつおつ
一番面倒くさいやつが関わってそうな予感がぷんぷんするぜ
325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/05/24(木) 00:20:03.86:z7beDUrXo (1/1)
乙!
ニャル子さんが元凶になる可能性が微レ存?
乙!
ニャル子さんが元凶になる可能性が微レ存?
326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/05/24(木) 01:16:57.46:XAmuX4+Go (1/1)
乙
今更だけど、壇志英って
菊池秀行小説に転校生で出てきそうだよね
乙
今更だけど、壇志英って
菊池秀行小説に転校生で出てきそうだよね
327:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2012/05/24(木) 14:02:17.57:dfRSCen50 (1/1)
電子の海の言霊って・・・
デビルサバイバーの世界すら内包するのか。
クロスがすごいし面白いし、ワクワクが止まらない
電子の海の言霊って・・・
デビルサバイバーの世界すら内包するのか。
クロスがすごいし面白いし、ワクワクが止まらない
328: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:38:50.10:YrFgfSxAO (1/22)
>……
>周りは濃い霧に包まれている。
>ここがあの夢の中の世界である事に気付くまで、今回は少し時間がかかった。
>今まで何度か周りの雰囲気が変わった事はあったが、そのどれとも違う。
>おまけに、あの足場が崩れ落ちていっている振動と音をまったく感じない。
>石の山もなく、上でなく前に進むしか道はないようだ。
>一体どうなっているのだろう……
鳴上「ヴィンセントさん!」
>深く息を吸って彼の名を呼んでみたが返事はない。
>……
>今は、周りに注意しながら進める場所を行くしかないようだ。
>それにしても、この景色の感じは……
鳴上「眼鏡をかけていない時のテレビの中みたいだ……ん?」
>前方に、建物の影が見えてきた。
>霧に包まれているせいでどういう外観かよくわからない。
>近付いてみよう。
鳴上「これは……告解室!?」
>いつもは一山超えたあとに現れるあの建物が霧の中にぽつんとある。
>中には誰かいるのだろうか……
>……
>周りは濃い霧に包まれている。
>ここがあの夢の中の世界である事に気付くまで、今回は少し時間がかかった。
>今まで何度か周りの雰囲気が変わった事はあったが、そのどれとも違う。
>おまけに、あの足場が崩れ落ちていっている振動と音をまったく感じない。
>石の山もなく、上でなく前に進むしか道はないようだ。
>一体どうなっているのだろう……
鳴上「ヴィンセントさん!」
>深く息を吸って彼の名を呼んでみたが返事はない。
>……
>今は、周りに注意しながら進める場所を行くしかないようだ。
>それにしても、この景色の感じは……
鳴上「眼鏡をかけていない時のテレビの中みたいだ……ん?」
>前方に、建物の影が見えてきた。
>霧に包まれているせいでどういう外観かよくわからない。
>近付いてみよう。
鳴上「これは……告解室!?」
>いつもは一山超えたあとに現れるあの建物が霧の中にぽつんとある。
>中には誰かいるのだろうか……
329: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:42:02.58:YrFgfSxAO (2/22)
告解室
鳴上「……」
>以前までは、この中に入ると隣に何時も奴が待ちかまえていた。
>しかし、今はもう……
?「やあ。待っていたよ」
鳴上「!?」
>隣の部屋から声が聞こえてくる。
>しかし、この声は奴の……代行人のものとはまったく違うものだ。
>中性的で、小さな子供のようにも感じられる声だ。
鳴上「誰だ!?」
?「随分だね……さっき会ったばかりじゃないか。もう僕の事を忘れてしまったのかい?」
鳴上「さっきって、まさかヴィンセントさんの体の中にいた……!?」
?「その通り。言っただろ。僕も待っている、って」
?「まあ、僕の本来の定位置に戻ってきただけだけどね」
鳴上「お前も俺に妙な質問を投げかけにきたのか?」
?「まさか。仮にもこちらから頼み事をしておいて、そんな無粋な事はしないよ」
?「それに君に最後の選択を迫るのは僕の役目ではないだろうし、まだその時でもないようだからね」
?「僕は君を彼のところまで案内するだけだよ」
鳴上「じゃあ、この上にヴィンセントさんが?」
?「そうだよ。でも、この世界にいる彼はもう、ヴィンセントであってヴィンセントでなくなっている」
?「ここで彼がしている事は彼自身の本意ではない事は確かだけれど、話してどうこう出来る相手ではないという事を、頭に入れておいた方がいい」
鳴上「……わかってる」
鳴上「辿り着くしかないんだな。一番上まで」
?「そういう事だ。一筋縄ではいかないだろうけどね」
?「この場所も、僕の力では修復しきれなかった。だから僕から見ても、こんな訳のわからない場所になっている」
?「この先もどうなっているのかまったく予測が出来ない」
?「でも……君は今ここで亡くすには惜しい人材だ。僕も出来る限りの助力はしよう」
鳴上「ありがとう」
?「……フフッ、まさか人間から礼を言われるなんてね。君は面白い奴だよ」
?「さて。雑談はこの辺にしておいて、そろそろ行こうか。彼もいい加減待ちくたびれているだろうからね」
?「覚悟は出来たかい?」
鳴上「ああ」
>強い頷きに応じ、告解室が上昇を始めた。
告解室
鳴上「……」
>以前までは、この中に入ると隣に何時も奴が待ちかまえていた。
>しかし、今はもう……
?「やあ。待っていたよ」
鳴上「!?」
>隣の部屋から声が聞こえてくる。
>しかし、この声は奴の……代行人のものとはまったく違うものだ。
>中性的で、小さな子供のようにも感じられる声だ。
鳴上「誰だ!?」
?「随分だね……さっき会ったばかりじゃないか。もう僕の事を忘れてしまったのかい?」
鳴上「さっきって、まさかヴィンセントさんの体の中にいた……!?」
?「その通り。言っただろ。僕も待っている、って」
?「まあ、僕の本来の定位置に戻ってきただけだけどね」
鳴上「お前も俺に妙な質問を投げかけにきたのか?」
?「まさか。仮にもこちらから頼み事をしておいて、そんな無粋な事はしないよ」
?「それに君に最後の選択を迫るのは僕の役目ではないだろうし、まだその時でもないようだからね」
?「僕は君を彼のところまで案内するだけだよ」
鳴上「じゃあ、この上にヴィンセントさんが?」
?「そうだよ。でも、この世界にいる彼はもう、ヴィンセントであってヴィンセントでなくなっている」
?「ここで彼がしている事は彼自身の本意ではない事は確かだけれど、話してどうこう出来る相手ではないという事を、頭に入れておいた方がいい」
鳴上「……わかってる」
鳴上「辿り着くしかないんだな。一番上まで」
?「そういう事だ。一筋縄ではいかないだろうけどね」
?「この場所も、僕の力では修復しきれなかった。だから僕から見ても、こんな訳のわからない場所になっている」
?「この先もどうなっているのかまったく予測が出来ない」
?「でも……君は今ここで亡くすには惜しい人材だ。僕も出来る限りの助力はしよう」
鳴上「ありがとう」
?「……フフッ、まさか人間から礼を言われるなんてね。君は面白い奴だよ」
?「さて。雑談はこの辺にしておいて、そろそろ行こうか。彼もいい加減待ちくたびれているだろうからね」
?「覚悟は出来たかい?」
鳴上「ああ」
>強い頷きに応じ、告解室が上昇を始めた。
330: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:44:55.72:YrFgfSxAO (3/22)
>……
???
>告解室の動きが止まり、カーテンが開く。
>そこに広がっていた景色はまた霧に包まれていた……
?「なんなんだろうね。この霧は」
?「どうやら君の影響を受けているようにも感じるけど」
?「君の夢なんだから当たり前の事ではあるけどね」
鳴上「……」
?「まあいいか。さて、僕は君が戦いやすいように世界を構築し直しにいってこよう。上手くいくかはわからないけどね」
?「じゃあ」
>告解室が辺りの霧と同化するように霧散していった。
>それとほぼ同時に、今まで感じた中で一番大きな振動に襲われる。
鳴上「ッ……来たか」
>後ろを振り返る。
>霧の中には大きな黒い影がある。
>……それは空に浮かんだ豪奢な椅子に堂々と腰掛けていた。
>これまでいくつもの奇妙な怪物に襲われてきたが、それから感じるのは得体のしれない不気味さなどではなく、一種の貫禄のようなものだった。
>頂上に立つものの威厳というべきだろうか……周囲の空気がピリピリとしたものに一瞬で変わったのがわかる。
>それは正しく『伝説の男』の姿だった。
>しかし、その両目は狂気に満ちている。
>禍々しい双眸が挑戦者を……自分を見定めている。
鳴上「約束を守りにきましたよ」
鳴上「……でも、何時までもここに立ち止まってはいられないみたいですね」
>足場がガラガラと下の方から一段ずつ崩れ始めたのがわかる。
>しかもその間隔は、いつもと比べて大分早いようだった。
>このままではあっという間に崩れる足場に巻き込まれて落ちてしまう。
>……
???
>告解室の動きが止まり、カーテンが開く。
>そこに広がっていた景色はまた霧に包まれていた……
?「なんなんだろうね。この霧は」
?「どうやら君の影響を受けているようにも感じるけど」
?「君の夢なんだから当たり前の事ではあるけどね」
鳴上「……」
?「まあいいか。さて、僕は君が戦いやすいように世界を構築し直しにいってこよう。上手くいくかはわからないけどね」
?「じゃあ」
>告解室が辺りの霧と同化するように霧散していった。
>それとほぼ同時に、今まで感じた中で一番大きな振動に襲われる。
鳴上「ッ……来たか」
>後ろを振り返る。
>霧の中には大きな黒い影がある。
>……それは空に浮かんだ豪奢な椅子に堂々と腰掛けていた。
>これまでいくつもの奇妙な怪物に襲われてきたが、それから感じるのは得体のしれない不気味さなどではなく、一種の貫禄のようなものだった。
>頂上に立つものの威厳というべきだろうか……周囲の空気がピリピリとしたものに一瞬で変わったのがわかる。
>それは正しく『伝説の男』の姿だった。
>しかし、その両目は狂気に満ちている。
>禍々しい双眸が挑戦者を……自分を見定めている。
鳴上「約束を守りにきましたよ」
鳴上「……でも、何時までもここに立ち止まってはいられないみたいですね」
>足場がガラガラと下の方から一段ずつ崩れ始めたのがわかる。
>しかもその間隔は、いつもと比べて大分早いようだった。
>このままではあっという間に崩れる足場に巻き込まれて落ちてしまう。
331: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:46:53.65:YrFgfSxAO (4/22)
『……』
>『伝説の男』が座したままゆっくりと手を上げた。
>それを合図に様々な種類の石がランダムにその場に積まれ始める。
>脆い石、罠の仕掛けてある石、動かせない石、凍った石、爆発する石……今までその扱いに苦労してきた特殊な石に加え、見た事のない新しい石まである。
>普通の石の方が少ないのではないだろうか。
>……『伝説の男』はこれをどう解いて登っていくのか、自分を試しているのだ。
>ならば、それに応えるのが筋というものだろう。
鳴上「俺だってやれば出来ますよ、このくらい!」
>霧に聳える山へと駆けだした。
>……
鳴上「……確かにこれは一筋縄じゃいかないな」
>実際に登り始めて感じたそのなんともいやらしい石の配置の仕方には、もはや苦笑しか出てこなかった。
>これは明らかにこの仕掛けを知り尽くしているもののトラップだ。
>普通ならこうした方が登りやすい、ここを動かした方が早いという手順を潰すように石が配置されている。
>特殊な石のその性質が、そこから更に難易度を上乗せにし、考える時間が必要なのにも関わらず足場はどんどん崩れていく……
>今まで蓄えた知識と経験ももちろん必要だが、ここぞという時の一瞬の閃きが大事になるだろう。
鳴上「くそっ……俺が戦いやすいようにしてくれるんじゃなかったのか?」
>管理者からはあれから何も応答がない。
>いったい何をしているのだろうか。
『……』
>『伝説の男』が座したままゆっくりと手を上げた。
>それを合図に様々な種類の石がランダムにその場に積まれ始める。
>脆い石、罠の仕掛けてある石、動かせない石、凍った石、爆発する石……今までその扱いに苦労してきた特殊な石に加え、見た事のない新しい石まである。
>普通の石の方が少ないのではないだろうか。
>……『伝説の男』はこれをどう解いて登っていくのか、自分を試しているのだ。
>ならば、それに応えるのが筋というものだろう。
鳴上「俺だってやれば出来ますよ、このくらい!」
>霧に聳える山へと駆けだした。
>……
鳴上「……確かにこれは一筋縄じゃいかないな」
>実際に登り始めて感じたそのなんともいやらしい石の配置の仕方には、もはや苦笑しか出てこなかった。
>これは明らかにこの仕掛けを知り尽くしているもののトラップだ。
>普通ならこうした方が登りやすい、ここを動かした方が早いという手順を潰すように石が配置されている。
>特殊な石のその性質が、そこから更に難易度を上乗せにし、考える時間が必要なのにも関わらず足場はどんどん崩れていく……
>今まで蓄えた知識と経験ももちろん必要だが、ここぞという時の一瞬の閃きが大事になるだろう。
鳴上「くそっ……俺が戦いやすいようにしてくれるんじゃなかったのか?」
>管理者からはあれから何も応答がない。
>いったい何をしているのだろうか。
332: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:54:02.64:YrFgfSxAO (5/22)
鳴上「……ッ!?」
>その時、今まで宙に浮かぶ椅子に座って様子を眺めているだけだったそれに変化が訪れた。
>彼の手の中に霧が集まっていく。
>それは次第にはっきりと何かの形を成し、そこにすっぽりと収まった。
>彼が持っているのは、いつもあのクラブで傾けているのと同じようなグラスに見えた。
>その透明なグラスの中に、真っ黒な液体が溜まっていく……
>そして並々と一杯までなったそれをこちら目掛けてまき散らしてきたのだ!
鳴上「うわッ……!」
>なんとか上手い具合にその黒い液体を回避する。
>さっきまで自分の乗っていた石にその黒い液体がかかり、一瞬のうちに溶けて無くなっていくのが目に映った。
>彼は、黒い液体を様々な場所にかけて、ただでさえまともでない足場を次々と溶かして、行く手を阻もうとしていた。
鳴上「このままじゃマズいッ……」
>随分と上まで登ってきた筈だが、見上げても先にはまだ多くの石が積み重なっている。
>更に霧は濃くなっていくばかりで視界も悪い。
>先が見えない……
>終わりは何処で、何時になるのか……
?「待たせたね」
鳴上「!」
>管理者の声が聞こえてくる。
?「準備は整った。まずはこの山を少し綺麗にしようか。これを使うといい」
>手の中に小さなベルが現れる。
鳴上「これは……確かトリッシュが売ってたアイテムのひとつか!」
?「ああ。あの妖精からひとつ拝借してきたよ」
鳴上「確か効果は……」
>ベルを振って鳴らす。
>すると、瞬く間に周りが全て普通の石になった。
>これで進むのも大分楽になる。
?「あともう少しの辛抱だ」
鳴上「……ッ!?」
>その時、今まで宙に浮かぶ椅子に座って様子を眺めているだけだったそれに変化が訪れた。
>彼の手の中に霧が集まっていく。
>それは次第にはっきりと何かの形を成し、そこにすっぽりと収まった。
>彼が持っているのは、いつもあのクラブで傾けているのと同じようなグラスに見えた。
>その透明なグラスの中に、真っ黒な液体が溜まっていく……
>そして並々と一杯までなったそれをこちら目掛けてまき散らしてきたのだ!
鳴上「うわッ……!」
>なんとか上手い具合にその黒い液体を回避する。
>さっきまで自分の乗っていた石にその黒い液体がかかり、一瞬のうちに溶けて無くなっていくのが目に映った。
>彼は、黒い液体を様々な場所にかけて、ただでさえまともでない足場を次々と溶かして、行く手を阻もうとしていた。
鳴上「このままじゃマズいッ……」
>随分と上まで登ってきた筈だが、見上げても先にはまだ多くの石が積み重なっている。
>更に霧は濃くなっていくばかりで視界も悪い。
>先が見えない……
>終わりは何処で、何時になるのか……
?「待たせたね」
鳴上「!」
>管理者の声が聞こえてくる。
?「準備は整った。まずはこの山を少し綺麗にしようか。これを使うといい」
>手の中に小さなベルが現れる。
鳴上「これは……確かトリッシュが売ってたアイテムのひとつか!」
?「ああ。あの妖精からひとつ拝借してきたよ」
鳴上「確か効果は……」
>ベルを振って鳴らす。
>すると、瞬く間に周りが全て普通の石になった。
>これで進むのも大分楽になる。
?「あともう少しの辛抱だ」
333: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:57:04.80:YrFgfSxAO (6/22)
ゴーン…… ゴーン……
>鐘の音も聞こえてきている。
>ラストスパートだ……!
『グォアアアアアアアア!!』
>既に人では無くなっている『伝説の男』の咆哮が響いた。
>どうやら彼も最後の最後でしかけてくるようだ。
鳴上「っ……風!?」
>突然、強風が吹き荒れ始めた。
>石に掴まっていないと吹き飛んでしまいそうなくらいだ。
>足場の石がそれに巻き込まれて徐々に上へと飛ばされていく。
鳴上「くっ……!」
>飛んでいく石に何度も当たりそうになりながら、頂上へと繋ぐ最後の階段を作り一気に駆け上がる……!
>後は平面に大きく広がっている足場を進み、数メートル先にある扉まで行くだけだ。
ズドオォォォォォォォォン!!
鳴上「!?」
>新たにきた激しい振動に思わず体を伏せた。
>襲ったのはその揺れだけで周りにこれといった変化はないようだったが……
鳴上「なっ……!?」
『……』
>扉の前に、椅子に腰をかけた巨大な男がいた。
>さっきの振動は、彼がここに降りてきた時のものだった訳だ。
>再び、二人は向かいあったままお互いを見据える形になっていた――
鳴上「ここまで来て、どうすれば……!」
?「準備が出来たと言った筈だよ」
鳴上「!」
?「今なら君の内に眠るその力が、ここでも使える筈だ」
鳴上「俺の……力!」
?「行け。全ての解放の時はもう、すぐそこだ!」
>体を光が包み込む……
>頭にあった羊の角が消え、月光館学園の制服がその体に、腕にはS.E.E.Sの腕章が現れる。
>そして手には、己の内なる力――ペルソナを呼び起こす為の銃が握られた。
鳴上「――ペルソナッ!」
『ガアァァァァァァァァァァッ!!』
>二人の叫びが重なった。
ゴーン…… ゴーン……
>鐘の音も聞こえてきている。
>ラストスパートだ……!
『グォアアアアアアアア!!』
>既に人では無くなっている『伝説の男』の咆哮が響いた。
>どうやら彼も最後の最後でしかけてくるようだ。
鳴上「っ……風!?」
>突然、強風が吹き荒れ始めた。
>石に掴まっていないと吹き飛んでしまいそうなくらいだ。
>足場の石がそれに巻き込まれて徐々に上へと飛ばされていく。
鳴上「くっ……!」
>飛んでいく石に何度も当たりそうになりながら、頂上へと繋ぐ最後の階段を作り一気に駆け上がる……!
>後は平面に大きく広がっている足場を進み、数メートル先にある扉まで行くだけだ。
ズドオォォォォォォォォン!!
鳴上「!?」
>新たにきた激しい振動に思わず体を伏せた。
>襲ったのはその揺れだけで周りにこれといった変化はないようだったが……
鳴上「なっ……!?」
『……』
>扉の前に、椅子に腰をかけた巨大な男がいた。
>さっきの振動は、彼がここに降りてきた時のものだった訳だ。
>再び、二人は向かいあったままお互いを見据える形になっていた――
鳴上「ここまで来て、どうすれば……!」
?「準備が出来たと言った筈だよ」
鳴上「!」
?「今なら君の内に眠るその力が、ここでも使える筈だ」
鳴上「俺の……力!」
?「行け。全ての解放の時はもう、すぐそこだ!」
>体を光が包み込む……
>頭にあった羊の角が消え、月光館学園の制服がその体に、腕にはS.E.E.Sの腕章が現れる。
>そして手には、己の内なる力――ペルソナを呼び起こす為の銃が握られた。
鳴上「――ペルソナッ!」
『ガアァァァァァァァァァァッ!!』
>二人の叫びが重なった。
334: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 19:59:00.96:YrFgfSxAO (7/22)
鳴上「来い――リリム!」
鳴上「エイジング!」
>まずは相手を出来るだけ弱らせようとイチかバチかのスキルを試みる。
>……しかし、やはりというべきかその効果は彼にはちっとも現れていない。
>威勢の良い咆哮が、まだなお続いている。
鳴上「やっぱりダメか……、ッ!?」
>上から巨大な石がいくつも振ってくる。
>こちらをその下敷きにしようとしているようだ。
>それをかわしながら徐々に彼との距離を縮めていくが、石が当たった場所は脆くなり咆哮からくる振動でぼろぼろと崩れていっている。
>こんな状態が長く続いたら、登っている時と変わらない……そのうち足場を失ってこの場もろとも落ちていってしまうだろう。
鳴上「チェンジ――ヴェータラ!」
鳴上「ブレインシェイク!」
>新たに呼び出したペルソナが、突進していく。
>だが、その攻撃は当たりはしても傷一つ負わせる事が出来ていないようだった。
鳴上「ならば……チェンジ! インキュバス!」
鳴上「マインドスライス!」
>先程よりも強いダメージを直撃させる。
『グァッ……アァ……アアアァッ!』
>その瞬間、咆哮が苦しみ混じりのものへと変わった。
>石の落下もぴたりと止む。
鳴上「効いたか!? ……よし、一気にいくぞ!」
鳴上「チェンジ! パズス!」
鳴上「ナバスネビュラ!」
>更なる追撃を叩き込む。
>その効果は抜群とは言えずともじわじわと効いていっている様子だ。
>彼は追ったダメージに苦しみ頭を抱えている。
>完全にこちらに対する攻撃がなくなった――
>今がチャンスだ!
鳴上「チェンジ! サキュバス!」
鳴上「マハラギオン!」
>いくつもの炎の渦が周りの石も巻き込んで彼の身を包む――
鳴上「来い――リリム!」
鳴上「エイジング!」
>まずは相手を出来るだけ弱らせようとイチかバチかのスキルを試みる。
>……しかし、やはりというべきかその効果は彼にはちっとも現れていない。
>威勢の良い咆哮が、まだなお続いている。
鳴上「やっぱりダメか……、ッ!?」
>上から巨大な石がいくつも振ってくる。
>こちらをその下敷きにしようとしているようだ。
>それをかわしながら徐々に彼との距離を縮めていくが、石が当たった場所は脆くなり咆哮からくる振動でぼろぼろと崩れていっている。
>こんな状態が長く続いたら、登っている時と変わらない……そのうち足場を失ってこの場もろとも落ちていってしまうだろう。
鳴上「チェンジ――ヴェータラ!」
鳴上「ブレインシェイク!」
>新たに呼び出したペルソナが、突進していく。
>だが、その攻撃は当たりはしても傷一つ負わせる事が出来ていないようだった。
鳴上「ならば……チェンジ! インキュバス!」
鳴上「マインドスライス!」
>先程よりも強いダメージを直撃させる。
『グァッ……アァ……アアアァッ!』
>その瞬間、咆哮が苦しみ混じりのものへと変わった。
>石の落下もぴたりと止む。
鳴上「効いたか!? ……よし、一気にいくぞ!」
鳴上「チェンジ! パズス!」
鳴上「ナバスネビュラ!」
>更なる追撃を叩き込む。
>その効果は抜群とは言えずともじわじわと効いていっている様子だ。
>彼は追ったダメージに苦しみ頭を抱えている。
>完全にこちらに対する攻撃がなくなった――
>今がチャンスだ!
鳴上「チェンジ! サキュバス!」
鳴上「マハラギオン!」
>いくつもの炎の渦が周りの石も巻き込んで彼の身を包む――
335: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 20:01:12.58:YrFgfSxAO (8/22)
鳴上「やったか……、ッ!?」
『グォ……オオオオオオオオッ!!』
>次の瞬間、周りの炎が一気に吹き飛び跡形もなく消え去った。
>彼の体は焼け焦げてはいるものの致命傷にはなっていないようだ……
>そしてついに、彼はその重い腰を上げ――立ち上がった。
>その周囲に黒い液体の球がいくつも浮かび始める……
鳴上「またあれかッ! ――チェンジ!」
鳴上「リリス!」
鳴上「ジオダ……、ッ!?」
>こちらが動くよりも一歩早く、球状になった黒い液体が飛んできた。
>素早く身を捩るもののかわしきれず、それが左腕を掠った。
鳴上「がッ……」
>ジュウゥゥゥという焼ける音と共に、掠った左腕部分が黒く焦げ、強烈な痛みに襲われる。
>そのダメージでよろめきかけたのを彼は見逃しはしなかった。
>残りの黒い液体が、残らずこちらを目掛けて飛んでくる……!
鳴上「ぐっ……チェンジ! ベルフェゴール!」
鳴上「マハジオダイン!」
>球体になった液体を散らすように雷が直撃し、その大きな一撃が彼の脳天も貫いた――!
『ガァッ……』
>こちらに向かっていた彼の体が、後方へと倒れていく。
鳴上「やったか……、ッ!?」
『グォ……オオオオオオオオッ!!』
>次の瞬間、周りの炎が一気に吹き飛び跡形もなく消え去った。
>彼の体は焼け焦げてはいるものの致命傷にはなっていないようだ……
>そしてついに、彼はその重い腰を上げ――立ち上がった。
>その周囲に黒い液体の球がいくつも浮かび始める……
鳴上「またあれかッ! ――チェンジ!」
鳴上「リリス!」
鳴上「ジオダ……、ッ!?」
>こちらが動くよりも一歩早く、球状になった黒い液体が飛んできた。
>素早く身を捩るもののかわしきれず、それが左腕を掠った。
鳴上「がッ……」
>ジュウゥゥゥという焼ける音と共に、掠った左腕部分が黒く焦げ、強烈な痛みに襲われる。
>そのダメージでよろめきかけたのを彼は見逃しはしなかった。
>残りの黒い液体が、残らずこちらを目掛けて飛んでくる……!
鳴上「ぐっ……チェンジ! ベルフェゴール!」
鳴上「マハジオダイン!」
>球体になった液体を散らすように雷が直撃し、その大きな一撃が彼の脳天も貫いた――!
『ガァッ……』
>こちらに向かっていた彼の体が、後方へと倒れていく。
336: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 20:06:09.81:YrFgfSxAO (9/22)
鳴上「これで……ラストだあぁぁぁぁぁ!! チェンジ!!」
鳴上「ベリアル!!」
>頭上に現れたペルソナが、彼への狙いを定める――!
鳴上「刹那五月雨撃ッ!!」
>無数の光の矢の雨が降り注いでいく。
>それをよける事など出来る筈もなく。
>その全てが彼の体に命中した。
『ギャアアアアアアアアアアッ!!』
>切り裂くような悲鳴と共に、人ならざるものになってしまった彼の体が徐々に消滅していく……
>そしてそこに残ったのは、本来のヴィンセントの姿だった。
鳴上「ヴィンセントさん!」
>ヴィンセントは意識を失って倒れている。
>急いで駆け寄り体を起こすが、それと共に足場が勢いよく崩れ始めたのを体にくる揺れで感じとった。
鳴上「もうすぐここも無くなる……!」
鳴上「早く出ないと!」
>邪魔をするものはもう何もない。
>ヴィンセントを連れて、急いで扉をくぐった。
>……
鳴上「……ここは?」
>扉の先の景色はすっかり霧が無くなっていた。
>あるのはただ大きく広がる青空とそこから差し込む柔らかで優しい光だけだ。
?「よくやってくれたね。僕からもお礼を言うよ」
鳴上「終わったのか? これで本当に……」
?「そうさ。これであの街の人間は救われた」
?「ここに伝説を刻んだ新たな男の手によってね」
鳴上「……」
ヴィンセント「鳴上……」
鳴上「ヴィンセントさん!?」
ヴィンセント「ありが……とう……これでようやく……自由に……」
?「そう。君たちは自由になった」
?「後をどう生きるかは……君たち次第だよ」
鳴上「俺たち次第……」
?「長くて短い間だったけれど、君たちとはこれでお別れだ」
?「なかなか楽しませてもらったよ。それじゃあ」
?「さようなら」
>眩しい光に包まれた……
>…
>……
>………
鳴上「これで……ラストだあぁぁぁぁぁ!! チェンジ!!」
鳴上「ベリアル!!」
>頭上に現れたペルソナが、彼への狙いを定める――!
鳴上「刹那五月雨撃ッ!!」
>無数の光の矢の雨が降り注いでいく。
>それをよける事など出来る筈もなく。
>その全てが彼の体に命中した。
『ギャアアアアアアアアアアッ!!』
>切り裂くような悲鳴と共に、人ならざるものになってしまった彼の体が徐々に消滅していく……
>そしてそこに残ったのは、本来のヴィンセントの姿だった。
鳴上「ヴィンセントさん!」
>ヴィンセントは意識を失って倒れている。
>急いで駆け寄り体を起こすが、それと共に足場が勢いよく崩れ始めたのを体にくる揺れで感じとった。
鳴上「もうすぐここも無くなる……!」
鳴上「早く出ないと!」
>邪魔をするものはもう何もない。
>ヴィンセントを連れて、急いで扉をくぐった。
>……
鳴上「……ここは?」
>扉の先の景色はすっかり霧が無くなっていた。
>あるのはただ大きく広がる青空とそこから差し込む柔らかで優しい光だけだ。
?「よくやってくれたね。僕からもお礼を言うよ」
鳴上「終わったのか? これで本当に……」
?「そうさ。これであの街の人間は救われた」
?「ここに伝説を刻んだ新たな男の手によってね」
鳴上「……」
ヴィンセント「鳴上……」
鳴上「ヴィンセントさん!?」
ヴィンセント「ありが……とう……これでようやく……自由に……」
?「そう。君たちは自由になった」
?「後をどう生きるかは……君たち次第だよ」
鳴上「俺たち次第……」
?「長くて短い間だったけれど、君たちとはこれでお別れだ」
?「なかなか楽しませてもらったよ。それじゃあ」
?「さようなら」
>眩しい光に包まれた……
>…
>……
>………
337: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 20:07:21.78:YrFgfSxAO (10/22)
用事が出来た。一旦中断します
用事が出来た。一旦中断します
338:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/05/26(土) 20:19:41.53:ldxHuxr+o (1/2)
乙!
乙!
339: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 20:56:42.36:YrFgfSxAO (11/22)
05/16(水) 晴れ 自室
【朝】
鳴上「……ん」
鳴上「まぶし……」
>カーテンの隙間から陽が差し込んでいる。
>起きあがってカーテンと窓を開けた。
>気持ちよい朝の空気が部屋に満ちる。
>こんなに清々しい気分で目覚めたのは実に久しぶりのような気がする。
鳴上「新しい一日の始まり、か」
鳴上「学校へ行く準備しないとな」
>……
>これでもうニュースで新たな犠牲者の名前を見る事もなくなるだろう。
>今夜からはみんな安眠出来る筈だ。
>ヴィンセントもきっと、ほっとしている事だろう。
>……最後の約束を果たしに、また彼に会わなければ。
・
・
・
【夜】
クラブ エスカペイド
ヴィンセント「よっ」
鳴上「こんばんは」
ヴィンセント「昨夜は……どうもな」
>ヴィンセントは気恥ずかしそうにしながら笑っている。
鳴上「ニュース、見ました?」
ヴィンセント「ああ、もちろん。今日は犠牲者ゼロだったな」
ヴィンセント「そしてこれから先も、多分あのニュースは流れねえよ」
ヴィンセント「よくやってくれた。お前にはもう頭が上がんねえや」
鳴上「いえ、そんな」
ヴィンセント「いいや。あのままだったらきっと、もっと酷い事になってたと思う。鳴上のおかげだよ」
ヴィンセント「……にしても、あんま記憶には残ってないけどさ。お前、結構容赦なくかましてきてただろ?」
鳴上「だって、手加減する余裕無かったし。それに、お互い様ですよ?」
ヴィンセント「えっ、そうなのか!?」
鳴上「そうですよ」
ヴィンセント「ははっ、そりゃあ悪い事したなあ!」
ヴィンセント「……本当に、悪い事をした」
05/16(水) 晴れ 自室
【朝】
鳴上「……ん」
鳴上「まぶし……」
>カーテンの隙間から陽が差し込んでいる。
>起きあがってカーテンと窓を開けた。
>気持ちよい朝の空気が部屋に満ちる。
>こんなに清々しい気分で目覚めたのは実に久しぶりのような気がする。
鳴上「新しい一日の始まり、か」
鳴上「学校へ行く準備しないとな」
>……
>これでもうニュースで新たな犠牲者の名前を見る事もなくなるだろう。
>今夜からはみんな安眠出来る筈だ。
>ヴィンセントもきっと、ほっとしている事だろう。
>……最後の約束を果たしに、また彼に会わなければ。
・
・
・
【夜】
クラブ エスカペイド
ヴィンセント「よっ」
鳴上「こんばんは」
ヴィンセント「昨夜は……どうもな」
>ヴィンセントは気恥ずかしそうにしながら笑っている。
鳴上「ニュース、見ました?」
ヴィンセント「ああ、もちろん。今日は犠牲者ゼロだったな」
ヴィンセント「そしてこれから先も、多分あのニュースは流れねえよ」
ヴィンセント「よくやってくれた。お前にはもう頭が上がんねえや」
鳴上「いえ、そんな」
ヴィンセント「いいや。あのままだったらきっと、もっと酷い事になってたと思う。鳴上のおかげだよ」
ヴィンセント「……にしても、あんま記憶には残ってないけどさ。お前、結構容赦なくかましてきてただろ?」
鳴上「だって、手加減する余裕無かったし。それに、お互い様ですよ?」
ヴィンセント「えっ、そうなのか!?」
鳴上「そうですよ」
ヴィンセント「ははっ、そりゃあ悪い事したなあ!」
ヴィンセント「……本当に、悪い事をした」
340: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 20:59:02.16:YrFgfSxAO (12/22)
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「今日は俺の奢りだから、好きなもの好きなだけ頼んでいいぞ?」
鳴上「それじゃあ、いつものあれを一杯」
ヴィンセント「そんなんでいいのか?」
鳴上「はい。俺もアレ、なんだかんだで気に入ってるんですよ」
鳴上「まあ……昨夜はアレのせいで大変な事になりましたけどね」
ヴィンセント「え?」
鳴上「いえ、なんでもないです」
ヴィンセント「じゃあ俺ももう一杯」
>ヴィンセントは二人分のドリンクを注文した。
ヴィンセント「俺も今夜は飲めるだけ飲んでおく事にするよ」
ヴィンセント「もうここに来るの、これでしばらくやめようと思ってんだ」
鳴上「!」
ヴィンセント「悪夢は終わった……今度こそ本当に」
ヴィンセント「だから、これまで目を逸らそうとしていた事と、もう一度きちんと向き合ってみようと思うんだ」
ヴィンセント「家族の事。そして何よりも自分自身と、さ」
ヴィンセント「そういう風に思い直す事が出来たのもやっぱお前のおかげなんだと思う」
ヴィンセント「改めてお礼を言うよ……ありがとう」
>ヴィンセントから感謝されている。
>ヴィンセントとの間に、固い絆を感じた。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが9になった。
ヴィンセント「今度お前に困った事が出来たら、相談しろよ? 次は俺が力になってやるからさ」
鳴上「はい」
ヴィンセント「……さ、じゃあ今夜は時間が許すまで飲もうじゃないか!」
鳴上「……」
ヴィンセント「ん? どうかしたのか?」
鳴上「いえ、その……」
鳴上「ヴィンセントさんにさっそく相談事というか、……ひとつまだ納得が出来てない事があって。それを聞いて欲しいんですけど」
ヴィンセント「なんだなんだ。遠慮せずに言ってみろ」
鳴上「はい。あの、それじゃあ」
鳴上「今度の休日に……」
>……
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「今日は俺の奢りだから、好きなもの好きなだけ頼んでいいぞ?」
鳴上「それじゃあ、いつものあれを一杯」
ヴィンセント「そんなんでいいのか?」
鳴上「はい。俺もアレ、なんだかんだで気に入ってるんですよ」
鳴上「まあ……昨夜はアレのせいで大変な事になりましたけどね」
ヴィンセント「え?」
鳴上「いえ、なんでもないです」
ヴィンセント「じゃあ俺ももう一杯」
>ヴィンセントは二人分のドリンクを注文した。
ヴィンセント「俺も今夜は飲めるだけ飲んでおく事にするよ」
ヴィンセント「もうここに来るの、これでしばらくやめようと思ってんだ」
鳴上「!」
ヴィンセント「悪夢は終わった……今度こそ本当に」
ヴィンセント「だから、これまで目を逸らそうとしていた事と、もう一度きちんと向き合ってみようと思うんだ」
ヴィンセント「家族の事。そして何よりも自分自身と、さ」
ヴィンセント「そういう風に思い直す事が出来たのもやっぱお前のおかげなんだと思う」
ヴィンセント「改めてお礼を言うよ……ありがとう」
>ヴィンセントから感謝されている。
>ヴィンセントとの間に、固い絆を感じた。
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクが9になった。
ヴィンセント「今度お前に困った事が出来たら、相談しろよ? 次は俺が力になってやるからさ」
鳴上「はい」
ヴィンセント「……さ、じゃあ今夜は時間が許すまで飲もうじゃないか!」
鳴上「……」
ヴィンセント「ん? どうかしたのか?」
鳴上「いえ、その……」
鳴上「ヴィンセントさんにさっそく相談事というか、……ひとつまだ納得が出来てない事があって。それを聞いて欲しいんですけど」
ヴィンセント「なんだなんだ。遠慮せずに言ってみろ」
鳴上「はい。あの、それじゃあ」
鳴上「今度の休日に……」
>……
341: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:04:08.14:YrFgfSxAO (13/22)
数日後
05/20(日) 曇り
ラーメン はがくれ
順平「……そんじゃまあ、皆さん。ここはひとつ、お疲れ様っつー事で」
天田「久しぶりに会ったと思ったらはがくれのラーメンとか……実に順平さんらしいですね」
順平「なんだよ天田ー! 話の腰を折るなよ! それにお前だって好きだろ? ここのラーメン」
天田「まあ、そりゃそうですけど」
鳴上「というより、これなんの集まりなんですか?」
順平「だーかーらー! お疲れ様って言っただろ!」
順平「悪夢からの生還記念打ち上げお疲れ様パーティーだよ!」
天田「……。それでラーメンって。もうちょっとマシな場所があったんじゃ……」
順平「うるさい! つべこべ言わずに食べる!」
順平「いただきます!」
鳴上・天田「……いただきます」
>……
天田「あれからぴたりと事件が止みましたね」
鳴上「そうだな。本当に良かった」
順平「あの夢も見なくなったしな。……で、なんだっけ?」
順平「この街に妙な『力』が蔓延してるらしい、とかだっけ?」
順平「それって、結局どういう事なんだってばよ」
鳴上「詳しい事は俺にも……」
天田「でも、その妙な『力』とかっていうののせいで今回みたいな事件が起こった訳ですよね?」
天田「しかも、蔓延しているって事はつまり……事件は解決したけど、原因になった『力』自体はまだ残っているって意味なんでしょうか」
鳴上「……。もしかしたらそうなのかもしれない、と俺は思っている」
鳴上「4月にあった映画館の世界の事件だって、『力』のせいなのかも」
鳴上「でも『力』って……『何』の『力』なんだか」
数日後
05/20(日) 曇り
ラーメン はがくれ
順平「……そんじゃまあ、皆さん。ここはひとつ、お疲れ様っつー事で」
天田「久しぶりに会ったと思ったらはがくれのラーメンとか……実に順平さんらしいですね」
順平「なんだよ天田ー! 話の腰を折るなよ! それにお前だって好きだろ? ここのラーメン」
天田「まあ、そりゃそうですけど」
鳴上「というより、これなんの集まりなんですか?」
順平「だーかーらー! お疲れ様って言っただろ!」
順平「悪夢からの生還記念打ち上げお疲れ様パーティーだよ!」
天田「……。それでラーメンって。もうちょっとマシな場所があったんじゃ……」
順平「うるさい! つべこべ言わずに食べる!」
順平「いただきます!」
鳴上・天田「……いただきます」
>……
天田「あれからぴたりと事件が止みましたね」
鳴上「そうだな。本当に良かった」
順平「あの夢も見なくなったしな。……で、なんだっけ?」
順平「この街に妙な『力』が蔓延してるらしい、とかだっけ?」
順平「それって、結局どういう事なんだってばよ」
鳴上「詳しい事は俺にも……」
天田「でも、その妙な『力』とかっていうののせいで今回みたいな事件が起こった訳ですよね?」
天田「しかも、蔓延しているって事はつまり……事件は解決したけど、原因になった『力』自体はまだ残っているって意味なんでしょうか」
鳴上「……。もしかしたらそうなのかもしれない、と俺は思っている」
鳴上「4月にあった映画館の世界の事件だって、『力』のせいなのかも」
鳴上「でも『力』って……『何』の『力』なんだか」
342: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:06:11.34:YrFgfSxAO (14/22)
順平「……」
順平「要するに、この街はまだこれからも何か起こるかもしれなくて、危険だって訳だよな?」
鳴上「はい。そういう事です」
順平「……心配だな。アイツひとりをここに残しておくのは」
鳴上「チドリですか?」
順平「ああ……」
鳴上「最近どうなんです? チドリとは」
順平「あー、うん。まあ、ボチボチ、な」
順平「……」
順平「……あの夢さ。気持ち悪い夢だったけど」
順平「でも、あの夢のおかげもあってチドリの事も含めて、色々と見つめ直さなきゃいけない事が自覚出来たって感じだった」
天田「……不思議な夢でしたよね」
天田「僕もそんな感じですよ。心の中にあった問題と今一度、向かい合わなきゃいけない時がきたのかな……って」
天田「まだちょっと、その勇気はないんで……今は忘れていたいんですけどね」
天田「でも……」
天田「……」
順平「……」
>二人とも黙ってしまった……
天田「鳴上さんはどうでした? あの夢を見て、何か思うところがありましたか?」
鳴上「……え? あー、そうだな」
鳴上「……」
>あの夢を見て、自覚した事。
>それは……
>……
鳴上「……何かあったかな」
順平「お前はお気楽なもんだなー」
順平「ま、そんなんだから、お前に救われたとことかあんのかもしんないけどさ」
天田「そうかもしれませんね」
>二人は笑っている。
鳴上「……」
順平「……おっと、伸びないうちに食べちまおうぜ!」
>ラーメンを食べながら三人で時間を過ごした。
>二人との仲が少し深まった気がする。
>『Ⅰ 魔術師 伊織順平』のランクが5になった
>『Ⅷ 正義 天田乾』のランクが4になった
順平「……」
順平「要するに、この街はまだこれからも何か起こるかもしれなくて、危険だって訳だよな?」
鳴上「はい。そういう事です」
順平「……心配だな。アイツひとりをここに残しておくのは」
鳴上「チドリですか?」
順平「ああ……」
鳴上「最近どうなんです? チドリとは」
順平「あー、うん。まあ、ボチボチ、な」
順平「……」
順平「……あの夢さ。気持ち悪い夢だったけど」
順平「でも、あの夢のおかげもあってチドリの事も含めて、色々と見つめ直さなきゃいけない事が自覚出来たって感じだった」
天田「……不思議な夢でしたよね」
天田「僕もそんな感じですよ。心の中にあった問題と今一度、向かい合わなきゃいけない時がきたのかな……って」
天田「まだちょっと、その勇気はないんで……今は忘れていたいんですけどね」
天田「でも……」
天田「……」
順平「……」
>二人とも黙ってしまった……
天田「鳴上さんはどうでした? あの夢を見て、何か思うところがありましたか?」
鳴上「……え? あー、そうだな」
鳴上「……」
>あの夢を見て、自覚した事。
>それは……
>……
鳴上「……何かあったかな」
順平「お前はお気楽なもんだなー」
順平「ま、そんなんだから、お前に救われたとことかあんのかもしんないけどさ」
天田「そうかもしれませんね」
>二人は笑っている。
鳴上「……」
順平「……おっと、伸びないうちに食べちまおうぜ!」
>ラーメンを食べながら三人で時間を過ごした。
>二人との仲が少し深まった気がする。
>『Ⅰ 魔術師 伊織順平』のランクが5になった
>『Ⅷ 正義 天田乾』のランクが4になった
343: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:09:11.68:YrFgfSxAO (15/22)
>……
ポロニアンモール
>ラーメンを食べ終わった後はそれぞれ用事があるという事で、その場ですぐに解散となった。
>自分もこの後もう一件約束を控えている為、ポロニアンモールまでやってきている。
鳴上「……あ。すみません、遅くなって!」
ヴィンセント「いや、俺も今来たところだ」
>ゲームセンターの前に、待ち合わせ相手のヴィンセントの姿を見つけた。
ヴィンセント「じゃあ、行くか」
>二人で一緒にそのままゲームセンターの中へと入った。
>……
ゲームセンター ゲームパニック
ヴィンセント「……それで? 自信の方はどうなんだ?」
鳴上「もう、バッチリですよ。貰ったゲームで練習もしましたから」
>今、二人はラプンツェルの筐体の前にいる。
>あの事件が静かになって以来、またすっかりとプレイする人間がいなくなってしまったゲームだ。
ヴィンセント「しかし、鳴上がここまでこのゲームを気に入ったとはなあ。あれ以降すっかり飽きたかった思ってたのに」
鳴上「言いませんでしたっけ? 俺、負けず嫌いなんですよ。だから、今日こそはEDを見るつもりだし」
鳴上「ヴィンセントさんの記録も越すつもりです」
鳴上「だから、それを直に見届けて欲しくて」
ヴィンセント「へえ、そりゃあ楽しみだ」
鳴上「じゃあ……いきます」
>コインを入れて、ゲームを開始した。
>……
鳴上「……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「これは……たまげたな」
>ゲームを開始してから、結構な時間が経った。
>しかし、その間一度たりともミスはしていなかった。
>とれるアイテムは全てとり、自分が考えられる範囲での最短ルートを通っていき……
>今、遂に最終ステージである64面までやってきたところだ。
鳴上(あと……少しだ!)
>……たかがゲームではあるが、その緊張は半端ないものであった。
>……
ポロニアンモール
>ラーメンを食べ終わった後はそれぞれ用事があるという事で、その場ですぐに解散となった。
>自分もこの後もう一件約束を控えている為、ポロニアンモールまでやってきている。
鳴上「……あ。すみません、遅くなって!」
ヴィンセント「いや、俺も今来たところだ」
>ゲームセンターの前に、待ち合わせ相手のヴィンセントの姿を見つけた。
ヴィンセント「じゃあ、行くか」
>二人で一緒にそのままゲームセンターの中へと入った。
>……
ゲームセンター ゲームパニック
ヴィンセント「……それで? 自信の方はどうなんだ?」
鳴上「もう、バッチリですよ。貰ったゲームで練習もしましたから」
>今、二人はラプンツェルの筐体の前にいる。
>あの事件が静かになって以来、またすっかりとプレイする人間がいなくなってしまったゲームだ。
ヴィンセント「しかし、鳴上がここまでこのゲームを気に入ったとはなあ。あれ以降すっかり飽きたかった思ってたのに」
鳴上「言いませんでしたっけ? 俺、負けず嫌いなんですよ。だから、今日こそはEDを見るつもりだし」
鳴上「ヴィンセントさんの記録も越すつもりです」
鳴上「だから、それを直に見届けて欲しくて」
ヴィンセント「へえ、そりゃあ楽しみだ」
鳴上「じゃあ……いきます」
>コインを入れて、ゲームを開始した。
>……
鳴上「……」
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「これは……たまげたな」
>ゲームを開始してから、結構な時間が経った。
>しかし、その間一度たりともミスはしていなかった。
>とれるアイテムは全てとり、自分が考えられる範囲での最短ルートを通っていき……
>今、遂に最終ステージである64面までやってきたところだ。
鳴上(あと……少しだ!)
>……たかがゲームではあるが、その緊張は半端ないものであった。
344: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:13:56.31:YrFgfSxAO (16/22)
>レバーを握る手が汗ばむ。
>出来る事ならこのままノーミスでクリアしたい……!
>…
>……
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……おっ!?」
鳴上「っ……」
>姫のところまであともう少し
>もう少し……
>……
鳴上「……!」
鳴上「つっ……着いた!」
>王子が見事姫のところまで辿り着いた!
>画面には、魔女から姫を救い出した王子の姿が映っている。
>次の瞬間、周りから歓声が沸き上がった。
鳴上「ッ!?」
>どうやらいつの間にかギャラリーが出来ていたらしい。
>EDまで辿り着いた自分を見て盛り上がっているようだ。
>……ヴィンセントはパチパチと拍手をしている。
ヴィンセント「いやあ、短期間でよくそこまで出来るようになったもんだな。びっくりだ」
ヴィンセント「ほら。ネームエントリーしないと」
鳴上「え?」
>ヴィンセントの言う通り、画面がいつの間にか切り替わっていて、ネームエントリーが出来るようになっている。
>自分の出した記録は……
>今まで筐体内でヴィンセントが出した記録を僅かに上回り、見事一位になっていた。
ヴィンセント「こりゃあ、『伝説の男』の称号はお前に譲らないとダメみたいだな」
>周りのギャラリーも、新しい『伝説の男』誕生の瞬間に立ち会えた事に興奮している。
>……
>……なんだか、少し恥ずかしい。
>レバーを握る手が汗ばむ。
>出来る事ならこのままノーミスでクリアしたい……!
>…
>……
ヴィンセント「……」
ヴィンセント「……おっ!?」
鳴上「っ……」
>姫のところまであともう少し
>もう少し……
>……
鳴上「……!」
鳴上「つっ……着いた!」
>王子が見事姫のところまで辿り着いた!
>画面には、魔女から姫を救い出した王子の姿が映っている。
>次の瞬間、周りから歓声が沸き上がった。
鳴上「ッ!?」
>どうやらいつの間にかギャラリーが出来ていたらしい。
>EDまで辿り着いた自分を見て盛り上がっているようだ。
>……ヴィンセントはパチパチと拍手をしている。
ヴィンセント「いやあ、短期間でよくそこまで出来るようになったもんだな。びっくりだ」
ヴィンセント「ほら。ネームエントリーしないと」
鳴上「え?」
>ヴィンセントの言う通り、画面がいつの間にか切り替わっていて、ネームエントリーが出来るようになっている。
>自分の出した記録は……
>今まで筐体内でヴィンセントが出した記録を僅かに上回り、見事一位になっていた。
ヴィンセント「こりゃあ、『伝説の男』の称号はお前に譲らないとダメみたいだな」
>周りのギャラリーも、新しい『伝説の男』誕生の瞬間に立ち会えた事に興奮している。
>……
>……なんだか、少し恥ずかしい。
345: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:15:44.43:YrFgfSxAO (17/22)
ポロニアンモール
鳴上「あの、今日は付き合ってもらってありがとうございました」
ヴィンセント「いやいや。俺もあの瞬間を見届けられてよかったよ。凄かったな」
鳴上「時間は大丈夫ですか?」
ヴィンセント「ああ。もうすぐだな」
ヴィンセント「……と、その前に。お前に渡したいものがあるんだった」
鳴上「?」
>ヴィンセントは綺麗な包みを差し出してきた。
ヴィンセント「鳴上もここのところずっと寝不足が続いてた訳だろ? もうこんな事ないとは思うけどさ、俺オススメの安眠グッズやるからよかったら使ってくれよ」
ヴィンセント「まだまだ睡眠が大切なお年頃だろうからな?」
>ヴィンセントは笑っている。
>包みを開けると中から羊の目の描かれたアイピローが出てきた。
>『羊の目のアイピロー』を手に入れた。
?「ごめん、お待たせ!」
ヴィンセント「お、来たか」
ヴィンセント「こっちも今用事が済んだところだから、大丈夫」
>赤ん坊を抱いた女性がこちらに近付いてきた。
ヴィンセント「紹介するよ。俺の嫁と娘」
ヴィンセント「で、こっちが……」
嫁「あら、もしかして最近よくあなたが話してる鳴上くんってこの子の事かしら?」
鳴上「あ、はい。そうです。初めまして」
嫁「いつも主人がお世話になっています」
>ヴィンセントの妻は頭を軽く下げ微笑んだ。
>とても美人な奥さんだ。
ポロニアンモール
鳴上「あの、今日は付き合ってもらってありがとうございました」
ヴィンセント「いやいや。俺もあの瞬間を見届けられてよかったよ。凄かったな」
鳴上「時間は大丈夫ですか?」
ヴィンセント「ああ。もうすぐだな」
ヴィンセント「……と、その前に。お前に渡したいものがあるんだった」
鳴上「?」
>ヴィンセントは綺麗な包みを差し出してきた。
ヴィンセント「鳴上もここのところずっと寝不足が続いてた訳だろ? もうこんな事ないとは思うけどさ、俺オススメの安眠グッズやるからよかったら使ってくれよ」
ヴィンセント「まだまだ睡眠が大切なお年頃だろうからな?」
>ヴィンセントは笑っている。
>包みを開けると中から羊の目の描かれたアイピローが出てきた。
>『羊の目のアイピロー』を手に入れた。
?「ごめん、お待たせ!」
ヴィンセント「お、来たか」
ヴィンセント「こっちも今用事が済んだところだから、大丈夫」
>赤ん坊を抱いた女性がこちらに近付いてきた。
ヴィンセント「紹介するよ。俺の嫁と娘」
ヴィンセント「で、こっちが……」
嫁「あら、もしかして最近よくあなたが話してる鳴上くんってこの子の事かしら?」
鳴上「あ、はい。そうです。初めまして」
嫁「いつも主人がお世話になっています」
>ヴィンセントの妻は頭を軽く下げ微笑んだ。
>とても美人な奥さんだ。
346: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:18:43.33:YrFgfSxAO (18/22)
娘「うー?」
>ヴィンセントの妻に抱かれている女の子がこちらを見て不思議そうに首を傾げている。
鳴上「この子がヴィンセントさんの娘さんか。可愛い子ですね」
ヴィンセント「だろ?」
ヴィンセント「俺たち二人に似てて、さ」
>ヴィンセントは幸せそうに笑みを浮かべている。
鳴上「これからご家族でお出掛けなんですか?」
ヴィンセント「ああ、そうなんだ。だから今日はこれで」
ヴィンセント「今度、家に食事にでも招待するよ。その時は絶対来いよな!」
嫁「もう、年甲斐もなくはしゃがないの! ごめんなさいね」
鳴上「いえ。楽しみにしてますから」
ヴィンセント「ああ、じゃあまたな」
>ヴィンセントは少し名残惜しそうにしながらも手を大きく振って家族と一緒にこの場を去っていった。
>ヴィンセントとの間に強い絆を感じた……
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクがMAXになった
>……彼はもう大丈夫だろう。
>これからきっと本当に幸せになれる筈だ。
>彼ら家族の背中を見て、そう思った。
>……
【夜】
自室
>夕方から天気が崩れ、夜になっても雨が降り続いている。
>久しぶりにマヨナカテレビのチェックが必要そうだ。
>……そういえば、二週間前ほどに見たマヨナカテレビは結局なんだったのだろう。
>ただの暗示か何かだったのか……
>……
>日付が変わるまであと僅かだ。
23:59→00:00
>…
>……
>………
>テレビにこれといった変化はみられない。
>今夜は何も心配する事なく寝られそうだ。
>せっかくだから、ヴィンセントから貰ったアイピローを使ってみる事にしようか。
>電気を消して、ベッドに潜った。
>久しぶりにいい夢がみたい……
>……
娘「うー?」
>ヴィンセントの妻に抱かれている女の子がこちらを見て不思議そうに首を傾げている。
鳴上「この子がヴィンセントさんの娘さんか。可愛い子ですね」
ヴィンセント「だろ?」
ヴィンセント「俺たち二人に似てて、さ」
>ヴィンセントは幸せそうに笑みを浮かべている。
鳴上「これからご家族でお出掛けなんですか?」
ヴィンセント「ああ、そうなんだ。だから今日はこれで」
ヴィンセント「今度、家に食事にでも招待するよ。その時は絶対来いよな!」
嫁「もう、年甲斐もなくはしゃがないの! ごめんなさいね」
鳴上「いえ。楽しみにしてますから」
ヴィンセント「ああ、じゃあまたな」
>ヴィンセントは少し名残惜しそうにしながらも手を大きく振って家族と一緒にこの場を去っていった。
>ヴィンセントとの間に強い絆を感じた……
>『ⅩⅤ 悪魔 ヴィンセント』のランクがMAXになった
>……彼はもう大丈夫だろう。
>これからきっと本当に幸せになれる筈だ。
>彼ら家族の背中を見て、そう思った。
>……
【夜】
自室
>夕方から天気が崩れ、夜になっても雨が降り続いている。
>久しぶりにマヨナカテレビのチェックが必要そうだ。
>……そういえば、二週間前ほどに見たマヨナカテレビは結局なんだったのだろう。
>ただの暗示か何かだったのか……
>……
>日付が変わるまであと僅かだ。
23:59→00:00
>…
>……
>………
>テレビにこれといった変化はみられない。
>今夜は何も心配する事なく寝られそうだ。
>せっかくだから、ヴィンセントから貰ったアイピローを使ってみる事にしようか。
>電気を消して、ベッドに潜った。
>久しぶりにいい夢がみたい……
>……
347: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:20:29.99:YrFgfSxAO (19/22)
――ジ――ッ
ジジッ――ジ――ッ
――パチン
ルゥ「皆さん、如何でしたしょうか?」
ルゥ「彼と彼らの奇妙な数日間……見てるこちらもドキドキの連続でしたね」
ルゥ「彼は人生の山場を越え、文字通り大人の階段をひとつ登ったってところなのかしら」
ルゥ「ゴールデンプレイシアターはこれでおしまい」
ルゥ「でもね、彼の人生はこれからもまだ続いていくの」
ルゥ「そういった意味では、まだゴールは大分先の話って事になるわよね」
ルゥ「その彼の行く末……気になる人、多いんじゃないのかしら?」
ルゥ「多分、きっとこの先にも彼にとっての人生の山場がいくつも待ち構えている筈……」
ルゥ「そんな彼の物語を、これからもそっと見守っていく事にしましょうね」
ルゥ「さて、そろそろお別れのお時間のようです」
ルゥ「お相手はわたくし、ミッドナイト・ヴィーナスこと石田☆ルゥでした」
ルゥ「それでは皆さん、またいつか何処かで」
ルゥ「ごきげんよう」
ブツン――ッ
――ジ――ッ
ジジッ――ジ――ッ
――パチン
ルゥ「皆さん、如何でしたしょうか?」
ルゥ「彼と彼らの奇妙な数日間……見てるこちらもドキドキの連続でしたね」
ルゥ「彼は人生の山場を越え、文字通り大人の階段をひとつ登ったってところなのかしら」
ルゥ「ゴールデンプレイシアターはこれでおしまい」
ルゥ「でもね、彼の人生はこれからもまだ続いていくの」
ルゥ「そういった意味では、まだゴールは大分先の話って事になるわよね」
ルゥ「その彼の行く末……気になる人、多いんじゃないのかしら?」
ルゥ「多分、きっとこの先にも彼にとっての人生の山場がいくつも待ち構えている筈……」
ルゥ「そんな彼の物語を、これからもそっと見守っていく事にしましょうね」
ルゥ「さて、そろそろお別れのお時間のようです」
ルゥ「お相手はわたくし、ミッドナイト・ヴィーナスこと石田☆ルゥでした」
ルゥ「それでは皆さん、またいつか何処かで」
ルゥ「ごきげんよう」
ブツン――ッ
348: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:23:43.42:YrFgfSxAO (20/22)
>――あれから特に変わった事件は起きていない。
>シャドウとの接触もないまま平和な日々は続き、季節はいつの間にか衣替えの頃を迎えていた……
06/04(月) 晴れ
【朝】
月光館学園 3-A 教室
男子A「はよーっす! 元気してっかー?」
鳴上「おはよう。お前は何時になくテンションが高いな」
男子A「聞いて驚け! なんと、このクラスにまた転入生がくるんだとよ!」
鳴上「転入生?」
男子A「そう! かわいい女の子だったらいなあ~って話だよ!」
鳴上「なるほど。それでそんなテンションなのか。納得した」
鳴上(それにしても、俺たちを含めてこれで四人目の転入生か……どうなっているんだ、このクラスは)
鳴上「……ん?」
>携帯が震えている。
>メールを一通受信したようだ。
>誰からだろう。
鳴上「えーと」
鳴上「……?」
>どうやら登録されていないアドレスからのようだ。
>迷惑メールだろうかと一瞬思った時、署名部分に差出人の名前が記入されている事に気付いた。
鳴上「STEVEN?」
鳴上「誰だ? 外人か?」
淳「おはよう。みんな、席についてー」
>先生が教室に入ってきた。
>――あれから特に変わった事件は起きていない。
>シャドウとの接触もないまま平和な日々は続き、季節はいつの間にか衣替えの頃を迎えていた……
06/04(月) 晴れ
【朝】
月光館学園 3-A 教室
男子A「はよーっす! 元気してっかー?」
鳴上「おはよう。お前は何時になくテンションが高いな」
男子A「聞いて驚け! なんと、このクラスにまた転入生がくるんだとよ!」
鳴上「転入生?」
男子A「そう! かわいい女の子だったらいなあ~って話だよ!」
鳴上「なるほど。それでそんなテンションなのか。納得した」
鳴上(それにしても、俺たちを含めてこれで四人目の転入生か……どうなっているんだ、このクラスは)
鳴上「……ん?」
>携帯が震えている。
>メールを一通受信したようだ。
>誰からだろう。
鳴上「えーと」
鳴上「……?」
>どうやら登録されていないアドレスからのようだ。
>迷惑メールだろうかと一瞬思った時、署名部分に差出人の名前が記入されている事に気付いた。
鳴上「STEVEN?」
鳴上「誰だ? 外人か?」
淳「おはよう。みんな、席についてー」
>先生が教室に入ってきた。
349: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:26:33.55:YrFgfSxAO (21/22)
>メールの中身をあらためるのはまた後にしておこう。
淳「今日はまたみんなに転入生の紹介です」
淳「どうぞ、入ってきて」
>廊下に待機していた転入生が扉を開けて教室の中に入ってきた。
女生徒A「やだ、あのこちょっとカッコよくない?」
女生徒B「ホントだあー」
男子A「なんだあ、野郎かよぅ……」
鳴上「ご愁傷様」
鳴上(しかしあの格好は……なかなかハイセンスだな)
>その転入生は少し目立つ風貌をしていた。
>制服はみんなと同じ月光館学園の制服を着ていて、きちんと衣替え済みの半袖だったのだが……
>これからどんどん暑い季節になっていくのであろうにも関わらず、首にはロングマフラーを巻いている。
>先生がチョークを渡し、彼に名前を書くように促すと、それの鮮やかな黄の色がゆらゆらと揺れているのが目に映った。
>自身の名を書き終わり、軽く手を叩くとマフラーと一緒にくるりと体が翻る。
>そして、左目下に泣きぼくろを携えた甘いマスクを女子にアピールするように微笑むと、彼は自己紹介を始めるのだった。
「――望月綾時です。これからよろしくお願いします」
>メールの中身をあらためるのはまた後にしておこう。
淳「今日はまたみんなに転入生の紹介です」
淳「どうぞ、入ってきて」
>廊下に待機していた転入生が扉を開けて教室の中に入ってきた。
女生徒A「やだ、あのこちょっとカッコよくない?」
女生徒B「ホントだあー」
男子A「なんだあ、野郎かよぅ……」
鳴上「ご愁傷様」
鳴上(しかしあの格好は……なかなかハイセンスだな)
>その転入生は少し目立つ風貌をしていた。
>制服はみんなと同じ月光館学園の制服を着ていて、きちんと衣替え済みの半袖だったのだが……
>これからどんどん暑い季節になっていくのであろうにも関わらず、首にはロングマフラーを巻いている。
>先生がチョークを渡し、彼に名前を書くように促すと、それの鮮やかな黄の色がゆらゆらと揺れているのが目に映った。
>自身の名を書き終わり、軽く手を叩くとマフラーと一緒にくるりと体が翻る。
>そして、左目下に泣きぼくろを携えた甘いマスクを女子にアピールするように微笑むと、彼は自己紹介を始めるのだった。
「――望月綾時です。これからよろしくお願いします」
350: ◆Hw7XKfELws:2012/05/26(土) 21:28:12.77:YrFgfSxAO (22/22)
終わります。
次回からは平和な平和な日常回です。
終わります。
次回からは平和な平和な日常回です。
351:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2012/05/26(土) 21:30:55.33:gDF9RyGvo (1/1)
Stevenまでだすのかよ
望月もでるし
どこまで行く気なんだろうwwww
乙乙
Stevenまでだすのかよ
望月もでるし
どこまで行く気なんだろうwwww
乙乙
352:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2012/05/26(土) 21:32:00.68:ldxHuxr+o (2/2)
綾時……だと……!?
月が……月が……!
乙!
綾時……だと……!?
月が……月が……!
乙!
続きを読む
鳴上「月光館学園?」 No.2(その2)
鳴上「月光館学園?」 No.2(その2)
◆Hw7XKfELws さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16613383.html
http://s2-d2.com/archives/16613383.html
◆GcQ2euuWRNZF さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16620550.html
http://s2-d2.com/archives/16620550.html
コメント 0