――ひとしきりの、絶頂が終わる。
貴女は肩で息をしながら、小さく波打つ余韻に翻弄されていた。

ルカ「あやせ」

あやせ「うん……もっと楽しくしよっ」

話し声も、近いはずなのに、とても遠くで聞こえたような気分だった。
それくらいに、外界に向ける神経が無くて。

「まどか」

――でも、その声は、貴女に響いた。

まどか「…………っ」

ほむら「私も、一緒に……」

ほむら『まどか』

まどか「――うぅ、ううぅぅ……」

貴女は、泣いてしまった。
意味も分からず、訳も分からず悲しくなって――声を上げて泣いた。
二人が焦っているのにも気付かない。

ルカ「（ちょっ、これどうするんですか！？）」

ほむら「（あ、演技成功してなくない！？）」

ルカ「（知りませんよ！？……アレでしたら、脳にアクセスして記憶引き出せばいいのでは？）」

ほむら「（おぉ！ キライじゃないね、そういうの。じゃあ早速――）」

ほむらの身体の中に入ったあやせは、ほむらの体が覚えている情報を取り込もうとして――

ほむら「――がぁぁっ！！？」

ルカ「あやせっ！？」

まどか「ひっく……どう、したの？」

急に苦しみだすあやせ。
彼女のソウルジェムは、色を侵食されていた。

あやせ「ジェムが……っ！？ 焼き付く……！？」

凡そ人が記憶出来る量を大幅に超えた情報が、彼女のジェムを焼く。
――――――

『ほむらちゃん、ゴメンね。私、契約する』

『魔法少女たちを、泣かせたくない』

『全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい』

『さぁ、叶えてよ！ インキュベーター！！』


『ありがとう、ほむらちゃん』

『ほむらちゃんは、私の最高の友達だったんだね』


「何よそれ……これがまどかの望んだ結末だって言うの！？」

「こんな終わり方で、あの子は報われるって言うの！？」

「冗談じゃないわ！……こんなの、死ぬよりもっと酷い……！」


「……認めない。私は認めない！」
――――――

ほむら「――――はっ」

ルカ「あ、あやせ……？」

自分を心配するルカの言葉も耳に入らず、あやせは貴女にのし掛かり、ひたすらに犯した。
――もう、ソウルジェムなんていらない。
だって、世界で最高の概念（ホウセキ）を見つけてしまったのだから。