389VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 22:29:39.82Z92gKdK4o (20/45)


ほむらちゃんから、霊脈という場所から動かないよう、念を押されていた。
動かないのであれば、首を向けてただ見ていることしかできない。
でも、限界だった。


「動いちゃ、ダメ」


その限界で、瀕死のほむらちゃんが微かに声を漏らす。
その制止はだけど、とても、とても、聞けるようなものではない。


「大丈夫、だから……きっと」

「そんな、そんな訳ない、このままじゃ、みんな、みんな死んじゃう!」

「……わたしたち、魔法少女だよ? きっと、大丈夫だから、あなたは……」

「でも、そんな状態で襲われたら、みんな、戦えないでしょ!?」

「……いつまで、黙ってるの、かな」



390VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 22:30:14.64Z92gKdK4o (21/45)



その声は、わたしに向けられたものじゃなかった。
その声は、この状況を引っくり返せる彼女に、向けられたものだった。


「ごめん、ちょっと大変だったから……さ」


そして、眩い光が四人を包み込む。
癒しの願いを叶えた彼女が、その力を解き放つ。
自分自身も瀕死の状態で、それでも。


「……まどか、死んじゃダメだって、あたしに……言った、ね」


「その通りだわ、生きてれば、大抵何とか……なるもんだね」


癒しの力が、四人のいる空間を満たしていく。
さやかちゃんのほとんどの力を使い果たすほどのその行為は、確かにそこにいた魔法少女達を癒していく。
目を逸らしたくなるような火傷も、裂傷も、少しずつ消えていって。
光が晴れたとき、そこには傷一つない四人が、横たわっていた。



391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 22:31:35.37Z92gKdK4o (22/45)


「鹿目さん、私たちは大丈夫みたいだから」

「お前にしかできないことが、あるんだろ」


残る二人も、弱弱しくはあるものの、声を出して無事を教えてくれた。
その事実に励まされて、また前を向いて。
目の前のワルプルギスの夜と目線を合わせて。
力を集め始める。
残りほんのわずか、それだけの力を。


そしてついに、その時は訪れる。


「ごめんね、長引いちゃって、ケガさせちゃって」


「でも、もう大丈夫だよ、みんな」


「わたしの準備、できたから」


わたしはいつしか変わっていた。
髪は長く伸びてたゆたい、蕾が花開いたような白と桃の衣装を纏い、薄く光の翼を背負い。
温かい力が周囲へと、迸っている。

手を上に横に掲げ、光の弓矢を呼び出して。
わたしの後ろでみんなもまた、力を振り絞って立ち上がるのを、感じる。

時が、満ちる。




392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 22:32:10.66Z92gKdK4o (23/45)


弦を強く引き絞る。
キリキリと張り詰めるその音は、やけに強く耳に残る。

それは正面からも発せられていた。
わたしの影は、わたしとワルプルギスの夜を結ぶ一直線上に割り込んで、黒い弓を構えていた。

絶望したわたしの成れの果て。
その奥には、もっともっとたくさんの、魔法少女の成れの果て。
彼女たちの祈りは、希望は、この身体に満ちていた。
わたしの心にあるのは、ただ愛しさだけ。


「もう、いいんだよ」


「あなたたちはもう誰も呪わなくていい。そんな姿でいなくたっていい」


それはとてもとても温かい。
それはとてもとても力強い。
だからそれは在るべき所へ。




393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 22:32:50.66Z92gKdK4o (24/45)



「今からあなたたちに、返します」


「あなたたちの祈りを。あなたたちの希望を。あなたたちの愛した世界を」


「勇気を」


「どうか、受け取って」


痛いほどに力を込めた矢の羽根を、離す。
希望を載せた光の束は、向かって放たれた呪いを包み込み、虹を引いて流星と疾る。
全ての魂を擁いて、ワルプルギスの夜という概念を貫いて、空に煌々と光の柱が立ち昇る。


そして、朝陽が射す。
長い長い夜が、たった今明けて、その先に未来が覗く。



394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 22:34:25.14Z92gKdK4o (25/45)

以上、第十五回です。
30分ほど後に、閉幕としたいと思います。


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:02:40.00Z92gKdK4o (26/45)

それでは、再開します。


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:03:13.06Z92gKdK4o (27/45)


射した光が、反射を受けて鮮やかに色付く。
数え切れないほどの魂がワルプルギスの夜から解き放たれ、浄化され、輝いていた。
彼女たちの声が聞こえる。
ありがとう、ありがとうと。
そう言いながら円環の理に導かれ、輪廻転生の内に還っていく。

その中には、たくさんのわたしがいた。
平行世界で息絶えたわたしがいた。
もはや形はないけれど、わたしの欠片は光の粒子としてわたしのところに降りてきて、一つ置き土産をして消えていく。

それはわたしの記憶だった。
何度も何度も絶望した、それでも未来を見ようとした、わたしの希望のひとかけら。
躊躇なく受け取るわたしは、感情を抑えきれず泣き出してしまって。


「あ、ああ、うあああああ」


口を押さえても声は漏れ出て。
それはみんな同じだった。
記憶を受け取って、思い出して、泣いていた。
自分の記憶を、みんなの記憶を混ぜ合わせた坩堝の中で。



397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:04:08.36Z92gKdK4o (28/45)



「ごめんなさい」


「ごめんなさい、ごめんなさい……」


その中でたった一人。
ほむらちゃんだけは、泣きながら謝っていた。
両手を固く組んで、跪いて、祈っていた。
昇って逝く魔法少女に向かって。


「……私、絶対に、忘れません」


「生きている限り、背負い続け、ます」


嗚咽の中でそれだけを何とか言葉にして、また彼女は謝罪に戻る。
そんな彼女を見ていられないのは、みんな同じだった。



398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:04:54.83Z92gKdK4o (29/45)


ただ、一番乗りを譲るつもりはない。
後ろからほむらちゃんを抱きしめて。


「ほむらちゃん、一人じゃないよ」


「わたしも一緒に、背負うから」


続いたのはマミさん。
正面から、ほむらちゃんを窒息させてしまいそうなほど。


「立派になったね、暁美さん」


「ずっと一人にしちゃって、ごめんね」


さやかちゃんは右肩に手を置いて。
その手に力を込めて。


「転校生とは呼ばないよ、ほむら」


「ごめんね。あたしあんたのこと、ずっとずっと誤解してた」


最後に来たのは、杏子ちゃん。
笑いながら左肩を掴んで、揺さぶって。


「随分と丸くなったもんだ」


「胸張れよ。守りたいもの、守れたんだろ」


まだほむらちゃんの顔はぐしゃぐしゃだったけど。
もう泣いてはいなかった。



399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:06:26.81Z92gKdK4o (30/45)


そして長い時間を掛けて、光の柱は消えていく。
その役目を終えて、元の見滝原の様相を取り戻していく。

当然、そこは前のままではない。
吹き飛ばされたビルの残骸、吹き上げられた瓦礫の被害、周囲の光景は散々なもの。
でも、誰も欠けてはいなかった。
わたしたちは五人並んで、ただ何も言わず、陽の光を浴びている。


「皆さん、ご無事ですか!」


瓦礫の向こうから、一つ声がする。
聞き慣れたその声を認めて、わたしは瓦礫を飛び越えて声の主を連れてきた。


「仁美ちゃん、おつかれさま」

「まどかさん、それに皆さん、本当にお疲れ様でした……」

「ちゃんと避難させてくれたんだね。ありがと、仁美」

「礼には及びません、当然のことです」


見滝原の街はかなり破壊されてしまったけれど、犠牲者はいなかったそうだ。
そこに人がいるのならば、きっと少しずつではあるけれど復興していくだろう。



400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:07:26.04Z92gKdK4o (31/45)


そしてわたしには、まだ残った仕事がある。
それをこなさなければ、終わりとは言えないだろうから。


「さやかちゃん」

「……うん」


わたしに残った仕事。
魔法少女はグリーフシードがなければ、いずれ力尽き魔女になること。
それを、覆す。


「ワルプルギスの夜は、もういない」


「わたしたち魔法少女の魂を縛るルールは、魔法少女システムは、もうない」


「だったら、わたしの力で、抜き出され結晶化させられたあなたたちの魂を」


「もとあった場所に復元することだって、できるはずなんだ」


そして、差し出されたさやかちゃんのソウルジェムに、力を込める。
ソウルジェムは力を受けて、少しずつ空中を進んでいく。
さやかちゃんの心臓、心のあるところに向かって。



401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:08:17.33Z92gKdK4o (32/45)


抵抗する概念はない。
ただ、抵抗する力は、あった。

ソウルジェムは押し戻される。
他ならぬ、さやかちゃんの手で。


「まどか、あんた隠してることがあるよね」


「この世界には、きっとまだ沢山の魔法少女がいて、沢山の魔女がいる」


「あたしらを人間に戻して、それからあんたはどうするつもりだったの」


「あたしらをこの街に残して、自分一人で行くつもりだったの」


「冗談じゃないよ」


さやかちゃんは笑っていた。
口調は厳しいものだったけれど、笑っていた。


「ここまで付き合わせといて、最後だけ別行動なんて、そりゃないでしょ」


「連れて行けよ、親友」




402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:09:07.43Z92gKdK4o (33/45)


見れば他のみんなも、全く同じ顔つきをしていた。
みんなにはみんなの生活があるから、と思っていたけれど。
どうやらこれでは、連れて行かないほうが恨まれてしまいそうで。


「私も、今度こそは付き合いますわよ」

「仁美ちゃん、すごく長い旅になるよ?」

「地球を文字通り一周するのでしょう」

「それがわかってるのなら」

「旅費はどうするんですの。翻訳は。移動手段は。現地での行動拠点の確保はどうするんですか」

「えっと、魔法少女の力でなんとか……」

「あなた方の力の源は、無限に在るものではないのでしょう。省けるものは省くべきです」


もう、何も言えなかった。
仁美ちゃんにも、十分な覚悟があるのなら。


「お願い、していいの?」

「もちろんです。私もまだまだ半人前ですが、家の者の助けも借りて、きっと十分にサポートしてみせますわ」



403VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:10:37.79Z92gKdK4o (34/45)


「僕は、帰るとしよう」

「キュゥべえ」

「この星で、僕のやるべき事はなくなったからね」

「使ったグリーフシードは」

「君の力で、還してあげられるんじゃないかな」


キュゥべえは相変わらず、何の感慨もないように言葉を継ぐ。
帰るとは、つまりインキュベーターの生まれた星へと、帰っていくのだろう。
そしておそらく、もう二度とわたしたちとは会わないのだろう。


「ありがとね、キュゥべえ」

「一体どういう風の吹き回しだ、僕は君たちにとって不倶戴天の敵ではなかったのかい?」

「あなたのしていたことは、認められないけど、それでも」


わたしたちが手に入れられたもの。
繰り返した悲劇の果てに、こうして掴み取った未来は、間違いなく。
キュゥべえなしにもまた、存在し得なかったものだろうから。



404VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:11:10.62Z92gKdK4o (35/45)



「助けてもらったから」

「本当に不思議な存在だね、君たちは」


わけがわからないといった様子で、歩いていく。
どこまで歩いていくのかは、わたしには分からない。


「わたし、勉強するよ。わたしだけじゃない、きっとこれから生まれる全ての人たちも」


「そして、人類が宇宙のエネルギー問題に取り組めるようになったら、また地球においで」


「その時はまた、一緒に戦おうね」


小さな姿は少しずつ小さくなって消えていく。
またね、というやはり小さな言葉を残して、消えていく。



405VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:11:56.64Z92gKdK4o (36/45)


【Side:美樹さやか】


仁美と一緒に避難者の帰りを待って、待ち人を見つけて、そして真っ先にやったこと。
それはたった一つ、ここまで先延ばしにし続けてきた、そして最後に約束したこと。


「恭介」

「上条恭介さん」

「あたしは」

「私は」

「「あなたのことが、好きです」」

「あーっとストップ。返事はまだね」

「私達、これから長い旅に出なければならないんです」

「いつ帰ってくるかも分からないけど、返事はそれまで待って欲しいんだ」

「勝手な事を言うようで、申し訳ありませんけど」

「帰ってきたら、秘密にしてたことも全部話すよ。だからお願い、どうかそれまで待ってて」



406VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:12:27.67Z92gKdK4o (37/45)


呆けた顔の後に呆れ返った顔。
それでも恭介は、頷いて、約束すると言ってくれた。

まだ心臓のバクバクが収まらない。
答えをあそこで聞いていたら、心臓が止まっていたかもしれなかった。

でも、今のあたしには、一つ確信していることがある。
たとえその結果がどのようなものでも、あたしは、絶望などしないだろうということ。


「ねえ、ちゃんと言えたよ」


「あんたはちゃんと生まれ変わったのかな」


「どうか次は、幸せに生きてね」


空に向かって言う。
絶望の果てに死んでしまった自分に向かって。
どうかあなたの来世に、幸運のありますようにと、願う。



407VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:13:12.51Z92gKdK4o (38/45)


【Side:巴マミ】


近所の花屋で買った花束を抱えて、訪れた先には先客が居た。
同じように花を抱えているのだけれど、その違和感は隠し切れない。


「佐倉さん」

「おう、マミ」

「それ、何」

「見りゃ分かるだろ、花だよ花」

「いや、そうじゃなくて」

「……金無いから、その辺の取ってきた」

「だったらちゃんと摘みなさい。なんで木の枝を折って持ってくるのよ」


彼女が抱えていたのは、どういうことか桃の木の枝。
花としてはやや季節はずれのそれは、それでもいくつかの花をそこに咲かせている。
ここは墓地。
見滝原を離れるのならその前にと、パパとママに花を供えに来た、のだが。
ちょっと憂鬱な気分は、どこかへ吹っ飛んでしまった。


「いいじゃん、別に」

「半分あげるから、半分よこしなさい」

「ああ、ありがと。やっぱ種類は多いほうがいいよな」



408VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:13:46.73Z92gKdK4o (39/45)


朗らかに笑う彼女も、やはり献花に来ているのだろう。
彼女の家族のお墓がここにあるとは知らなかったけど。
私の気も知らず、彼女は墓に花を供えていく。
意外にも手馴れたものだった。


「いろいろ、なくしちゃったけどさ」

「うん」

「その代わりに、手に入れたものもあるんだよな」

「そうね」

「大切にしないと、バチが当たるね」

「大切にしましょう。最後の最後まで、気を抜かないで」


私たちの戦いは、まだ終わらない。
地球を周る旅は決して楽なものにはならないだろう。
それでも、一緒に戦う仲間がいるから、不可能とは思わない。


「これからも、私たちは生きていきます」


「どうか、見守っていてください」


そう言って目を瞑る。
私は今、とても幸せです。
そしてきっと、これからも。



409VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:14:20.30Z92gKdK4o (40/45)


【Side:鹿目まどか】


みんなと待ち合わせた橋の上。
わたしはほむらちゃんと一緒に支度を済ませ、こうして一足早く待っている。
ホムを抱えながら、パパとママの見送りを後ろに受けて。


「ホム、元気でね」

「みゃーお」

「この子、エイミーじゃないの?」

「ふふ、この世界ではホムって名前を付けたんだよ」

「なんか恥ずかしいな」


ホムはさすがに連れて行けないため、うちで預かってもらうことになった。
そもそも旅に出ることから大騒ぎになったため、かなり交渉は大変だったけれど。
それでも二人とも、最後には、笑って送り出してくれた。

ホムを撫でながら、思う。
この子がわたしの全ての始まりだった。
この子を助けたいと願ったのが、わたしの魔法少女としての最初の一歩だった。
そしてこの世界で、ほむらちゃんの欠片を真っ先に感じた、最初の一歩だった。



410VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:14:53.89Z92gKdK4o (41/45)



「この子も、きっとわたしたちのこと、必死に助けてくれたんだ」


「わたしが辛い時、ホムはホムなりに元気付けようとしてくれた」


「あなたも、わたしたちの仲間だったんだよね」


掛け替えのない宝物。
わたしがこの世界で手に入れた、たくさんの宝物の中の一つ。


「じゃあ、ちゃんと帰ってこないとね」

「うん。きっと大丈夫だよ」

「みゃーお」


その顔はまた、これまでと同じように。
大丈夫だから頑張れって、そう言っているように見えた。



411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:16:22.26Z92gKdK4o (42/45)



「これまで、すごく沢山のことがあった」


ほむらちゃんがそう呟く。
その目は空を見て、いつかそこにあった光の柱を見ているようで。


「こうして私は今、光の中にいるけれど」


「ずっと闇の中で彷徨って、閉ざされた世界の中で廻り続けて」


「大切なあれもこれも、忘れてしまっていた頃があった」


その表情は、冷たい。
いつか見ていた、心を閉ざしていたほむらちゃんに、そっくりだった。




412VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:16:49.13Z92gKdK4o (43/45)



「だから、もう一度」


ほむらちゃんは一つ息を吸う。
深く深く、深呼吸をして、言う。


「私をあなたの、お友達にしてくれますか」


それに対するわたしの答えなど、もう決まっている。
目を見て、笑って、手を握って。


「もうわたしたちは、友達だよ」


「これからも、いつまでも、ずっと。ずっとね」


そして表情は崩れて、満面の笑みが浮かぶ。
わたしがそれを与えてあげられたことに満足して、大きく手を振る。
橋の向こうに、さやかちゃんと仁美ちゃん、マミさんと杏子ちゃんが見えた。



413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:17:17.50Z92gKdK4o (44/45)



「じゃあ、行こうか」

「うん」


まだまだ、わたしたちの戦いは終わらない。
わたしたちの人生も、始まったばかり。

この世界を生きていこう。
大切な友達と、宝物に囲まれて、幸せに包まれて。



                        ――fin.



414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/12(木) 23:18:22.74Z92gKdK4o (45/45)

以上、閉幕となります。
長らくお付き合い、ありがとうございました。

今日はしばらく居ますので、何か質問などありましたら。


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2012/01/12(木) 23:46:00.00VaHlDiC80 (1/1)

乙!


416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/01/12(木) 23:53:46.75HRE/lg9n0 (1/1)

とても面白かったです。今までにない内容で非常に楽しめました
物語の構成は全体をしっかり決めてから書き始めたんですか
なんかこういうの書きたいなぁみたいな物があったり?


417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/13(金) 00:00:54.50Xyxr6UoEo (1/1)



ちょっと自分の理解力が不足しているので
まどかのやったことって
ワルプルさんの希望を復元した結果成仏したって解釈でおk?

魔法少女システムがなくなったっていうのは
既存のルールに何か変更が加わったわけではなくて
まどかの能力によって、魔女になったら救われない
という前提が覆されたという意味?

キュゥべえの悪魔よばわり吹いた
何もかも放置して帰るのは無責任じゃないですかキュゥべえさん

ともあれ完結おめでとう
そしてありがとう


418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/13(金) 00:11:01.24ynX2gQsIO (1/1)

完結おめでとう。

終わってよかった。
内容に文句はない。
パラレルワールドの一つとして、
この物語すっきりと読めた。

ありがとう。


419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2012/01/13(金) 00:11:04.81WraFq24e0 (1/1)


面白かった!


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/01/13(金) 00:13:39.74qP0wAVHO0 (1/1)

乙、そしてありがとう。
このSSをリアルで読めたことは僥倖だったと心から言える。


421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/13(金) 00:21:30.42BmASNGzc0 (1/1)

いいハッピーエンドでした でもすこし疑問も
物理的に倒したのではなくて、霊脈を利用して希望で相殺したということ?


422VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/13(金) 00:21:41.45OiNSHiLxo (1/2)

>>416
ほむらが絶望したらどうしよう
まどかを主人公にしたい
みんな幸せになってほしい、の三つを柱にして、あとは勢いです

>>417
ワルプルギスの夜そのものは、希望とか絶望とかを持った人間のような存在ではなく、大臣とか首相とかの役割と同じものとしてます
浄化され、後に導かれたのは、ワルプルギスの夜の核になっていたサーカスの魔法少女を初めとする中に居たすべての魂で
概念を支える因子が全て失われ、その上でまどかの矢を受けたために、ワルプルギスの夜は崩壊して消えました

魔法少女から少女に戻る事はできない、というルールがワルプルギスの夜に組み込まれていたのですが
それも概念の消滅と共に消え、魔法少女としてのまどかの能力で普通に干渉できるようになりました

魔女化自体は死と同義に捉えているので、魔女から少女に戻る事はないでしょう
ただ、普通の死と同じように、来世へと転生していけるようになったくらいです

いずれはまどかを含めた全ての魔法少女は少女へと戻り、全ての魔女は救済され生まれ変わっていくと思います
そういう意味で、魔法少女システムはなくなった、と思っています


423VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/01/13(金) 00:32:26.08OiNSHiLxo (2/2)

>>421
霊脈はブースト用の道具みたいなものです
細かく説明し切れなかった所は>>422に書いたので、そちらを参照してみてください
多分2割ほどは物理的です

全員にレスを返す余裕が無くてごめんなさい。
とても励みになりました、ありがとうございました。


424VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/01/13(金) 00:36:46.24jL2IJg+V0 (1/1)

このSSを見つけてから毎日更新されるのを楽しみにしてたんだ
中盤まではどうなることかと思ってたけど、弱くて強いまどかはやっぱり主人公にふさわしい
読ませてもらってありがとう


425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2012/01/13(金) 00:46:08.10puEViNOu0 (1/1)

返答してありがとう!
さきほどは言うの忘れたので……乙!!


426VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2012/01/13(金) 17:04:25.21ydg+PmrAO (1/1)

素晴らしい


427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2012/01/13(金) 23:46:12.34kajZT7bO0 (1/1)

面白かった!


428!ninja2012/01/15(日) 05:54:14.93h6T8C8tio (1/1)

よかった!
やっぱりハッピーエンドが好きだよ。