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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/10/13(木) 09:46:21.57:ploz71IT0 (1/19)
vipからお引越し
投下は用事が終わってからやっていきます
vipからお引越し
投下は用事が終わってからやっていきます
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/10/13(木) 09:48:18.87:CZtCi2Fe0 (1/1)
期待
期待
3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/10/13(木) 09:51:26.53:lvZn51Qgo (1/1)
最初から描いてくれよ
最初から描いてくれよ
4:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 09:51:57.60:ploz71IT0 (2/19)
とりあえずID置いておく
とりあえずID置いておく
5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/10/13(木) 09:57:15.46:HIEfXW/+0 (1/1)
お引越し
お引越し
6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/13(木) 10:19:51.94:/oEthCa9o (1/3)
乙と言っておく
乙と言っておく
7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 10:40:51.61:+kWnhaxmP (1/1)
待ってマミた
待ってマミた
8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 12:35:07.20:h7baWmpIO (1/1)
期待ー
期待ー
9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/13(木) 14:12:12.71:eknQ5Yqwo (1/1)
待ってたよー
待ってたよー
10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/13(木) 16:17:00.79:V4mP3nQGo (1/3)
待ってた。前スレ置いときますね
まどか「さやかちゃん」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1318260276/
待ってた。前スレ置いときますね
まどか「さやかちゃん」
http://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1318260276/
11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/13(木) 16:49:13.60:34nkCWMBo (1/5)
vipだしもう一回コピペした方がよくない?
vipだしもう一回コピペした方がよくない?
12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県):2011/10/13(木) 17:33:42.36:JCXb7VVPo (1/1)
落ちたみたいだし代わりに変換済みのやつを張っとくぜ
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/1318260276/
落ちたみたいだし代わりに変換済みのやつを張っとくぜ
http://mimizun.com/log/2ch/news4vip/1318260276/
13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 17:38:32.71:TzBXRYX0o (1/2)
wktk
wktk
14:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 18:40:22.37:ploz71IT0 (3/19)
戻りました
前スレ張ってくれてますし、続きからの方がいいですかね?
戻りました
前スレ張ってくれてますし、続きからの方がいいですかね?
15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 18:42:14.92:35FvzHBm0 (1/1)
それでおk
期待
それでおk
期待
16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/13(木) 18:42:49.17:34nkCWMBo (2/5)
保守だらけだしまとめかねて張ってくれると嬉しい
保守だらけだしまとめかねて張ってくれると嬉しい
17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/13(木) 18:44:34.58:V4mP3nQGo (2/3)
>>16に同じく
>>16に同じく
18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 18:56:37.07:6h0zI/FDO (1/2)
>>12に読める前スレあるしよくね?
まあ>>1のしたいように
>>12に読める前スレあるしよくね?
まあ>>1のしたいように
19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 19:28:12.42:TVGECesDO (1/1)
前回さやかが殺された所までかな?
個人的には全部貼って欲しいところww 期待期待~
前回さやかが殺された所までかな?
個人的には全部貼って欲しいところww 期待期待~
20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/13(木) 19:28:42.26:31jqLCLio (1/1)
超期待
超期待
21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/13(木) 19:31:25.50:34nkCWMBo (3/5)
そういやSG砕けたね
でもこのまどっちならなんとしても甦らせるだろうな
それこそ時間逆行でもしかねない
そういやSG砕けたね
でもこのまどっちならなんとしても甦らせるだろうな
それこそ時間逆行でもしかねない
22:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 19:34:24.85:DZugKFtDO (1/1)
読み直したい時に楽だから張り直してくれるとうれしい
読み直したい時に楽だから張り直してくれるとうれしい
23:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 19:38:21.98:ploz71IT0 (4/19)
コピペった方がいいという意見が多いので
少しづつ加筆しながら張りなおそうと思います
それでは開始!
コピペった方がいいという意見が多いので
少しづつ加筆しながら張りなおそうと思います
それでは開始!
24:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 19:57:36.13:ploz71IT0 (5/19)
目覚まし時計が朝の7時を指し、時間を告げるけたたましい音を立てる
まどか「……んん……」
まどか「……ふあ……うう……起きなきゃ」
ベッドの上、ぬいぐるみたちの中で眠る少女、まどかがその音に目を覚ます
あくびと共にゆっくりと体を起こすと、まどかは枕元にある写真立てを手にとり、にっこりと笑いかける
まどか「おはよう。さやかちゃん」
さやかと呼ばれる、写真に写る少女ををじっくりと見つめると、まどかは目を閉じ、顔をゆっくりと写真に近づけ
まどか「……ん」
優しく口づけをした
まどか「……てぃひひ……」
はにかむ笑顔と共にゆっくりと唇を離し、恍惚の表情で写真に映るさやかを見つめる
まどか「……学校行こうっと」
そして、満足するまでさやかを見つめると
満足したように頷いて写真を再び枕元に置き、部屋の外へとまどかは駆けて行った
目覚まし時計が朝の7時を指し、時間を告げるけたたましい音を立てる
まどか「……んん……」
まどか「……ふあ……うう……起きなきゃ」
ベッドの上、ぬいぐるみたちの中で眠る少女、まどかがその音に目を覚ます
あくびと共にゆっくりと体を起こすと、まどかは枕元にある写真立てを手にとり、にっこりと笑いかける
まどか「おはよう。さやかちゃん」
さやかと呼ばれる、写真に写る少女ををじっくりと見つめると、まどかは目を閉じ、顔をゆっくりと写真に近づけ
まどか「……ん」
優しく口づけをした
まどか「……てぃひひ……」
はにかむ笑顔と共にゆっくりと唇を離し、恍惚の表情で写真に映るさやかを見つめる
まどか「……学校行こうっと」
そして、満足するまでさやかを見つめると
満足したように頷いて写真を再び枕元に置き、部屋の外へとまどかは駆けて行った
25:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 19:59:07.03:ploz71IT0 (6/19)
通学路
さやか「おっ、まどか、おはよう!」
まどか「お、おはようっさやかちゃんっ」
仁美「おはようございます、まどかさん」
まどか「……おはようっ!仁美ちゃん」
さやか「あ、今日はリボンしてるんだねぇ」
まどか「う、うん。……に、似合ってるかな?」
さやか「おー似合ってる似合ってるっ!」
さやか「さやかちゃん、今日のまどかの可愛さにメロメロにされそうよん!」
まどか「てぃ、てぃひひ……」
仁美「大変似合ってますわ、まどかさん」
まどか「……ありがと」
通学路
さやか「おっ、まどか、おはよう!」
まどか「お、おはようっさやかちゃんっ」
仁美「おはようございます、まどかさん」
まどか「……おはようっ!仁美ちゃん」
さやか「あ、今日はリボンしてるんだねぇ」
まどか「う、うん。……に、似合ってるかな?」
さやか「おー似合ってる似合ってるっ!」
さやか「さやかちゃん、今日のまどかの可愛さにメロメロにされそうよん!」
まどか「てぃ、てぃひひ……」
仁美「大変似合ってますわ、まどかさん」
まどか「……ありがと」
26:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 20:00:09.79:6h0zI/FDO (2/2)
全部貼るのは相当きつそうだな
まあここなら落ちる心配もないし、とにかく完結してくれればいい
全部貼るのは相当きつそうだな
まあここなら落ちる心配もないし、とにかく完結してくれればいい
27:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 20:02:49.41:ploz71IT0 (7/19)
さやか「にしても珍しいねー!まどかがおしゃれなんかするなんてさっ」
仁美「そうですわね。いつも下ろしていらっしゃるのに」
まどか「う、うん。ちょっと、ね」
さやか「どういった心境の変化ですかな~?あ、まさか……」
さやか「まどか。好きな人ができたんじゃないのっ?」
仁美「あら、本当ですの?」
まどか「ち、ちがうよぉ!」
さやか「むー……あたしのまどかを虜に奴がいるなんて……許さん!」
さやか「まどかはあたしの嫁になるんだぞー!あたしのものだ―!」ギュッ
まどか「さ、さやかちゃん……っ」
さやか「ぬわっはっはっはーっ!」
仁美「さやかさん大胆ですわ……」
さやか「にしても珍しいねー!まどかがおしゃれなんかするなんてさっ」
仁美「そうですわね。いつも下ろしていらっしゃるのに」
まどか「う、うん。ちょっと、ね」
さやか「どういった心境の変化ですかな~?あ、まさか……」
さやか「まどか。好きな人ができたんじゃないのっ?」
仁美「あら、本当ですの?」
まどか「ち、ちがうよぉ!」
さやか「むー……あたしのまどかを虜に奴がいるなんて……許さん!」
さやか「まどかはあたしの嫁になるんだぞー!あたしのものだ―!」ギュッ
まどか「さ、さやかちゃん……っ」
さやか「ぬわっはっはっはーっ!」
仁美「さやかさん大胆ですわ……」
28:ID:yW2iufj40:2011/10/13(木) 20:11:11.80:ploz71IT0 (8/19)
さやか「……あ」
まどかを後ろから抱きしめたまま
さやかはまどかに見えないところで、ニヤリと意地悪い笑みを浮かべる
そして、あわあわと慌てるまどかの顎を掴み、さやかの方に顔を向かると
さやかは真剣な表情を作り上げまどかの瞳を覗き込んだ
さやか「なぁ、まどか……」
そんなさやかの表情にまどかはドキリと心臓を高鳴らせる
まどか「なっ、なにっ!?」
さやか「……あんたはあたしの物だよな?」
まどか「え、ええっ!?」
さやか「答えてくれ……まどか……」
さやか「私はさやかちゃんのものだって……」
さやかの言葉に顔を真っ赤にするまどか
まどか「あ、あ、えと……」
さやか「……まどか……」
仁美「……ゴクリ」
まどか「……」
まどか「……わ、わた」
さやか「……なーんちってね!」
まどか「……え?」
さやか「……あ」
まどかを後ろから抱きしめたまま
さやかはまどかに見えないところで、ニヤリと意地悪い笑みを浮かべる
そして、あわあわと慌てるまどかの顎を掴み、さやかの方に顔を向かると
さやかは真剣な表情を作り上げまどかの瞳を覗き込んだ
さやか「なぁ、まどか……」
そんなさやかの表情にまどかはドキリと心臓を高鳴らせる
まどか「なっ、なにっ!?」
さやか「……あんたはあたしの物だよな?」
まどか「え、ええっ!?」
さやか「答えてくれ……まどか……」
さやか「私はさやかちゃんのものだって……」
さやかの言葉に顔を真っ赤にするまどか
まどか「あ、あ、えと……」
さやか「……まどか……」
仁美「……ゴクリ」
まどか「……」
まどか「……わ、わた」
さやか「……なーんちってね!」
まどか「……え?」
29:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 20:12:08.01:fdxSrv8Fo (1/1)
ID書くくらいなら酉つければよくね?
ID書くくらいなら酉つければよくね?
30: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 20:18:40.40:ploz71IT0 (9/19)
>>29
それもそうですね
酉、こうでしたっけ?
あと、今日は徹夜明けですんでのんびり投下させてください……
>>29
それもそうですね
酉、こうでしたっけ?
あと、今日は徹夜明けですんでのんびり投下させてください……
31: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 20:24:09.60:ploz71IT0 (10/19)
さやか「あははっ!まどかリアクション良過ぎだよっ顔まで赤らめるなんてっ!」
まどか「え、え?」
さやか「ホントにからかいがいがあるんだからまどかはー!可愛いなぁ!」
まどか「……」
さやか「……まどか?」
まどか「え、あ、あ、う、うん。そ、そうだよね、てぃひ、てぃひひ……」
さやか「へへ、さ、おふざけもこれくらいにして学校行きますかー!」
さやか「これ以上やってたら遅れちゃうよっ、さあしゅっぱーつ!」
悪戯が成功した事に満足そうに笑みを浮かべると、さやかは学校へと歩いて行った
まどか「う、うんっ」
まどか「……」
まどか「……うん」ガックリ
仁美「……」ガックリ
さやか「あははっ!まどかリアクション良過ぎだよっ顔まで赤らめるなんてっ!」
まどか「え、え?」
さやか「ホントにからかいがいがあるんだからまどかはー!可愛いなぁ!」
まどか「……」
さやか「……まどか?」
まどか「え、あ、あ、う、うん。そ、そうだよね、てぃひ、てぃひひ……」
さやか「へへ、さ、おふざけもこれくらいにして学校行きますかー!」
さやか「これ以上やってたら遅れちゃうよっ、さあしゅっぱーつ!」
悪戯が成功した事に満足そうに笑みを浮かべると、さやかは学校へと歩いて行った
まどか「う、うんっ」
まどか「……」
まどか「……うん」ガックリ
仁美「……」ガックリ
32:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/13(木) 21:10:16.01:TzBXRYX0o (2/2)
のんびり待ちます
のんびり待ちます
33:!ninja:2011/10/13(木) 21:59:00.29:+KcPbNtho (1/1)
張り付け手伝おうか?
張り付け手伝おうか?
34: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 22:00:49.32:ploz71IT0 (11/19)
先に歩くさやかに追いついたまどかと仁美
仁美とさやかは楽しそうに会話を始めるが、まどかはどこかうかない顔で二人の後ろにいた
まどか(……)
まどか(……やっぱりさやかちゃん。私の事、ただの友達なのかなぁ……)
まどか(……私はこんなに好きなのになぁ……)
まどか(……)
まどか(でも、これが普通だよね、これが)
まどか(女の子が女の子を好きになるなんて変だもんね……)
まどか(好きなんて言ったら、きっとさやかちゃんを困らせちゃう)
まどか(……)
まどか(……でも……私……)
まどか「はぁ……」
さやか「……ん、どした?まどか」
先に歩くさやかに追いついたまどかと仁美
仁美とさやかは楽しそうに会話を始めるが、まどかはどこかうかない顔で二人の後ろにいた
まどか(……)
まどか(……やっぱりさやかちゃん。私の事、ただの友達なのかなぁ……)
まどか(……私はこんなに好きなのになぁ……)
まどか(……)
まどか(でも、これが普通だよね、これが)
まどか(女の子が女の子を好きになるなんて変だもんね……)
まどか(好きなんて言ったら、きっとさやかちゃんを困らせちゃう)
まどか(……)
まどか(……でも……私……)
まどか「はぁ……」
さやか「……ん、どした?まどか」
35:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/13(木) 22:01:00.81:34nkCWMBo (4/5)
ところどころ加筆するとか言ってなかったか?
徹夜明けらしいし寝落ちか?
ところどころ加筆するとか言ってなかったか?
徹夜明けらしいし寝落ちか?
36: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 22:03:35.80:ploz71IT0 (12/19)
寝落ちしてました……
張りつけは大丈夫です。ちょいちょい加筆していきますし、お手数でしょうから……
寝落ちしてました……
張りつけは大丈夫です。ちょいちょい加筆していきますし、お手数でしょうから……
37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/13(木) 22:06:03.89:/oEthCa9o (2/3)
良いと思うよ
良いと思うよ
38: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 22:13:07.13:ploz71IT0 (13/19)
浮かない顔のまどかに気付いて立ち止り、まどかの顔を覗き込む
まどか「……え?」
さやか「具合悪いの?」
まどか「う、ううん。ど、どうして?」
さやか「んー、さっきからずっと下向いてぼんやり歩いてるし、今の溜息もあったしさ」
さやか「なんかあったのかなーって」
まどか「……そ、そっか……」
さやか「うん。具合悪いんじゃなかったら、悩みごと?」
さやか「悩みごとだったらこのさやかちゃんにお任せあれ!百戦錬磨のこのあたしがどーんと解決しちゃうよん!」
さやか「あ、でも一回、300円です」
調子よくと笑う顔から一転して、真面目のような顔をして両手を差し出す
まどかはさやかのふざけた態度と、気にかけてくれた嬉しさから笑みをこぼす
まどか「……てぃひひっ!」
さやか「にゃははっ!」
少しの間、二人は笑い合うとさやかは、ふ、と作り物ではない、まじめな顔をする
さやか「……で、ホントに大丈夫なの?」
浮かない顔のまどかに気付いて立ち止り、まどかの顔を覗き込む
まどか「……え?」
さやか「具合悪いの?」
まどか「う、ううん。ど、どうして?」
さやか「んー、さっきからずっと下向いてぼんやり歩いてるし、今の溜息もあったしさ」
さやか「なんかあったのかなーって」
まどか「……そ、そっか……」
さやか「うん。具合悪いんじゃなかったら、悩みごと?」
さやか「悩みごとだったらこのさやかちゃんにお任せあれ!百戦錬磨のこのあたしがどーんと解決しちゃうよん!」
さやか「あ、でも一回、300円です」
調子よくと笑う顔から一転して、真面目のような顔をして両手を差し出す
まどかはさやかのふざけた態度と、気にかけてくれた嬉しさから笑みをこぼす
まどか「……てぃひひっ!」
さやか「にゃははっ!」
少しの間、二人は笑い合うとさやかは、ふ、と作り物ではない、まじめな顔をする
さやか「……で、ホントに大丈夫なの?」
39: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 22:28:19.19:ploz71IT0 (14/19)
心配するさやかに、まどかは穏やかな笑みを浮かべる
まどか「うん。なんでもないよ」
さやか「そっか。……でも、なんかあったらすぐ言いなよ?」
さやか「力になるからさ」
まどか「……うん」
まどか「……ありがとう」
さやか「うんうん。頼ってくれたまえ?我が嫁よ!」
さやか「さ、いこっか。まどか」
まどか「うんっ!」
自分に笑いかけてくれるさやか
まどかは嬉しくなってさやかの腕に抱きつき、でれでれと顔を緩ませた
さやか「ちょっ、くっついたら歩きにくいって……」
まどか「てぃひひっ!」
仁美「……」
仁美「良いもん見れたわ」
少し遠くで二人を目を輝かせて観察していた仁美であった
心配するさやかに、まどかは穏やかな笑みを浮かべる
まどか「うん。なんでもないよ」
さやか「そっか。……でも、なんかあったらすぐ言いなよ?」
さやか「力になるからさ」
まどか「……うん」
まどか「……ありがとう」
さやか「うんうん。頼ってくれたまえ?我が嫁よ!」
さやか「さ、いこっか。まどか」
まどか「うんっ!」
自分に笑いかけてくれるさやか
まどかは嬉しくなってさやかの腕に抱きつき、でれでれと顔を緩ませた
さやか「ちょっ、くっついたら歩きにくいって……」
まどか「てぃひひっ!」
仁美「……」
仁美「良いもん見れたわ」
少し遠くで二人を目を輝かせて観察していた仁美であった
40: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 22:50:35.72:ploz71IT0 (15/19)
学校 教室
さやか「おはよー……ってなんか騒がしいね」
仁美「本当ですわね。何かあったんでしょうか?」
さやか「なんだろう……ちょっと聞いてくるよ」
仁美「あ、はい。お願いします」
さやか「おっけー」
さやか「はよっす!なんかあったの?」
「あ、美樹ちゃんおはよう!実はね……」
まどか「あ……」
気安くクラスメイトに話しかけていくさやかを見て、まどかは表情を少し複雑なものにする
仁美はそんなまどかの表情をちらりと窺うと、小さく微笑んだ
仁美「……まどかさん。本当にさやかさんの事、お好きですね」
まどか「えっ!、あ、えと……」
図星と不意を突かれまどかは体を跳ねさせる
仁美「優しいですし、気も利きますし、顔も広い」
仁美「凄い人ですわ」
まどか「……うん」
学校 教室
さやか「おはよー……ってなんか騒がしいね」
仁美「本当ですわね。何かあったんでしょうか?」
さやか「なんだろう……ちょっと聞いてくるよ」
仁美「あ、はい。お願いします」
さやか「おっけー」
さやか「はよっす!なんかあったの?」
「あ、美樹ちゃんおはよう!実はね……」
まどか「あ……」
気安くクラスメイトに話しかけていくさやかを見て、まどかは表情を少し複雑なものにする
仁美はそんなまどかの表情をちらりと窺うと、小さく微笑んだ
仁美「……まどかさん。本当にさやかさんの事、お好きですね」
まどか「えっ!、あ、えと……」
図星と不意を突かれまどかは体を跳ねさせる
仁美「優しいですし、気も利きますし、顔も広い」
仁美「凄い人ですわ」
まどか「……うん」
41: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 22:56:03.74:ploz71IT0 (16/19)
まどか「さやかちゃんは、凄いよね……」
言葉に反して、まどかは寂しげな雰囲気を醸していた
仁美「……まどかさん?」
その雰囲気が気になった仁美がまどかに話しかけようとするが、丁度そこでさやかが二人の元へ戻ってきた
さやか「お待たせ。聞いてきたよん」
仁美「どうでした?」
さやか「なんか転校生がくるみたいだね。女の子で、しかもかなり可愛いって」
仁美「そうなんですの。ですからみなさん騒いでるんですのね」
さやか「みたいだね。……うーん……可愛いのかぁ……」
まどか「どうしたの?」
さやか「可愛いんだったら、私の第二の嫁にしてやろうかなーって」
まどか「……え?」
まどか「さやかちゃんは、凄いよね……」
言葉に反して、まどかは寂しげな雰囲気を醸していた
仁美「……まどかさん?」
その雰囲気が気になった仁美がまどかに話しかけようとするが、丁度そこでさやかが二人の元へ戻ってきた
さやか「お待たせ。聞いてきたよん」
仁美「どうでした?」
さやか「なんか転校生がくるみたいだね。女の子で、しかもかなり可愛いって」
仁美「そうなんですの。ですからみなさん騒いでるんですのね」
さやか「みたいだね。……うーん……可愛いのかぁ……」
まどか「どうしたの?」
さやか「可愛いんだったら、私の第二の嫁にしてやろうかなーって」
まどか「……え?」
42: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 23:14:04.85:ploz71IT0 (17/19)
さやか「転校生を第二の嫁に迎えて、あたしのハーレム計画を進めるのだよ……ふっふっふ……」
仁美「ふふ、もう、さやかさんったら」
まどか「だっ」
まどか「だめだよっ!!だめっ!!絶対だめ!!」
さやかの言葉にまどかは血相を変える
さやか「……まどか?」
仁美「まどかさん……?」
まどか「……あっ」
まどか「ご、ごめん……」
さやか「……なんだまどかぁ嫉妬してるのかぁ?」
まどか「え、あ……」
さやか「本当に可愛いなっまどかはー!」
さやか「仕方ないなぁ。嫁がそう言うならやめるしかないね。うんっ」
まどか「う……」
さやか「お、そろそろ先生くるね。席もどろっ」
まどか「う、うん……」
仁美「はい。それでは」
さやか「転校生を第二の嫁に迎えて、あたしのハーレム計画を進めるのだよ……ふっふっふ……」
仁美「ふふ、もう、さやかさんったら」
まどか「だっ」
まどか「だめだよっ!!だめっ!!絶対だめ!!」
さやかの言葉にまどかは血相を変える
さやか「……まどか?」
仁美「まどかさん……?」
まどか「……あっ」
まどか「ご、ごめん……」
さやか「……なんだまどかぁ嫉妬してるのかぁ?」
まどか「え、あ……」
さやか「本当に可愛いなっまどかはー!」
さやか「仕方ないなぁ。嫁がそう言うならやめるしかないね。うんっ」
まどか「う……」
さやか「お、そろそろ先生くるね。席もどろっ」
まどか「う、うん……」
仁美「はい。それでは」
43: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 23:32:24.61:ploz71IT0 (18/19)
ホームルーム
先生「卵はうんぬんかんぬん中沢君!」
中沢「はい?」
まどか(……)
まどか(私……何やってんだろ)
まどか(さやかちゃん、冗談で言ってたのに)
まどか(あんな大きな声、いきなり出しちゃって……)
まどか(……)
まどか(……さやかちゃんに変な顔されちゃったよ……)
まどか(……恥ずかしいよぉ)
まどか(……はぁ)
まどか(このやきもち焼き……なんとかしなくちゃ……)
まどか(……でないと、また変なことしちゃうよ)
先生「―――れで今日は皆さんにお知らせがあります」
まどか(お知らせ?)
まどか(……あ、そっか、転校生さんが来るって言ってったけ)
まどか(どんな人かな……)
まどか(……)
まどか(……さやかちゃん、世話焼かなきゃいいけど……)
ホームルーム
先生「卵はうんぬんかんぬん中沢君!」
中沢「はい?」
まどか(……)
まどか(私……何やってんだろ)
まどか(さやかちゃん、冗談で言ってたのに)
まどか(あんな大きな声、いきなり出しちゃって……)
まどか(……)
まどか(……さやかちゃんに変な顔されちゃったよ……)
まどか(……恥ずかしいよぉ)
まどか(……はぁ)
まどか(このやきもち焼き……なんとかしなくちゃ……)
まどか(……でないと、また変なことしちゃうよ)
先生「―――れで今日は皆さんにお知らせがあります」
まどか(お知らせ?)
まどか(……あ、そっか、転校生さんが来るって言ってったけ)
まどか(どんな人かな……)
まどか(……)
まどか(……さやかちゃん、世話焼かなきゃいいけど……)
44: ◆OkhT76nerU:2011/10/13(木) 23:40:09.36:ploz71IT0 (19/19)
すんません……今日はもう限界です
ほんとにゆっくり投下していくので、ふと思い出したときに来た方がいいかもしれません
あと、これからは基本sage進行で、新しいところまでたどり着いたら合図としてageようと思います
それではお休みなさい
すんません……今日はもう限界です
ほんとにゆっくり投下していくので、ふと思い出したときに来た方がいいかもしれません
あと、これからは基本sage進行で、新しいところまでたどり着いたら合図としてageようと思います
それではお休みなさい
45:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/13(木) 23:42:07.32:/oEthCa9o (3/3)
乙乙
乙乙
46:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/13(木) 23:42:41.33:34nkCWMBo (5/5)
乙
できればコピペ部分は手早くお願いしたいんだぜ…
気長に待つ準備はできてるけどな
完結期待してるよ
乙
できればコピペ部分は手早くお願いしたいんだぜ…
気長に待つ準備はできてるけどな
完結期待してるよ
47:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/13(木) 23:50:07.08:V4mP3nQGo (3/3)
乙~
加筆はとっても嬉しいなって
乙~
加筆はとっても嬉しいなって
48:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/14(金) 00:05:27.81:l56O41Kao (1/1)
VIPで中途半端に続きまで見てしまったからそこに行くまでやきもきしてしまう
とりあえず乙
VIPで中途半端に続きまで見てしまったからそこに行くまでやきもきしてしまう
とりあえず乙
49:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府):2011/10/14(金) 01:08:49.02:XGQFuOIXo (1/1)
乙 追いついた
凄い所で止まってるんだな
乙 追いついた
凄い所で止まってるんだな
50:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/14(金) 01:52:04.33:phhnUHLAo (1/1)
乙ー
加筆修正もいいけど、完結の見通しが消える事がない程度にしてくれな!
乙ー
加筆修正もいいけど、完結の見通しが消える事がない程度にしてくれな!
51:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/14(金) 05:36:29.24:g3vFic9DO (1/1)
完結させる気があるなら半月掛かっても構わん
完結させる気があるなら半月掛かっても構わん
52:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/14(金) 07:46:56.77:SMS+iCeQo (1/1)
半年かかっても(ry
半年かかっても(ry
53:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/10/14(金) 11:39:34.36:pBlLjz+30 (1/1)
読んできたよ…
俺は待ってるからな
完結させてくれよ?
絶対だからな?
読んできたよ…
俺は待ってるからな
完結させてくれよ?
絶対だからな?
54:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/10/14(金) 16:25:55.56:eFGQGWgzo (1/1)
途中からだけど前スレ見てたよ~
ゆっくりでもいいから頑張れ
途中からだけど前スレ見てたよ~
ゆっくりでもいいから頑張れ
55: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 18:42:39.20:VYJgy/px0 (1/18)
先生「そのお知らせと言うのは……今日から転校生さんがこのクラスに仲間入りしますっ!」
先生「それも女の子ですっ!」
「……」
先生「……あまり反応がないですね……まぁいいか」
先生「それでは暁美さん、どうぞ」
そう先生が声を掛けると教室の扉が開き、一人の少女が黒く長い髪を揺らしながら入ってくる
そして黒板の中心の前に立ち、冷たいをクラスの皆に向けるとひとつ、礼をした
ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
先生「……」
先生「は、はい。それでは皆さん今日から暁美さんをよろしくお願いしますね」
「「はーい」」
先生「暁美さんは東京の方から―――――」
さやか「わーすっげぇ美人だよ。まどか」
まどか「う、うん……」
先生がほむらの事を説明する中、ほむらは冷たい瞳をまどかに向け、ジッと見つめた
まどかはそれに驚き、びくりと体を揺らす
まどか「……ぇっ」
まどか(な、なんでこっち見るの?こ、怖いよ……)
まどか(さ、さやかちゃん……)
まどかはその視線に不安になり、さやかにおびえた視線を向ける
さやかはその視線の意味を素早く感じ取り、まどかに優しい笑みを返した
まどか(さやかちゃん……)
まどかがさやかの笑みに安心した表情を見せる中、ほむらはそれに構わず、先生の紹介が終わるまでまどかを凝視し続けていた
先生「そのお知らせと言うのは……今日から転校生さんがこのクラスに仲間入りしますっ!」
先生「それも女の子ですっ!」
「……」
先生「……あまり反応がないですね……まぁいいか」
先生「それでは暁美さん、どうぞ」
そう先生が声を掛けると教室の扉が開き、一人の少女が黒く長い髪を揺らしながら入ってくる
そして黒板の中心の前に立ち、冷たいをクラスの皆に向けるとひとつ、礼をした
ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
先生「……」
先生「は、はい。それでは皆さん今日から暁美さんをよろしくお願いしますね」
「「はーい」」
先生「暁美さんは東京の方から―――――」
さやか「わーすっげぇ美人だよ。まどか」
まどか「う、うん……」
先生がほむらの事を説明する中、ほむらは冷たい瞳をまどかに向け、ジッと見つめた
まどかはそれに驚き、びくりと体を揺らす
まどか「……ぇっ」
まどか(な、なんでこっち見るの?こ、怖いよ……)
まどか(さ、さやかちゃん……)
まどかはその視線に不安になり、さやかにおびえた視線を向ける
さやかはその視線の意味を素早く感じ取り、まどかに優しい笑みを返した
まどか(さやかちゃん……)
まどかがさやかの笑みに安心した表情を見せる中、ほむらはそれに構わず、先生の紹介が終わるまでまどかを凝視し続けていた
56: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 18:52:02.60:VYJgy/px0 (2/18)
ホームルームが終わると、すぐにクラスメイト達はほむらを取り囲み、質問の雨を降らせた
ほむらはそんなクラスメイト達の怒涛の質問に一つも言い淀むことなく、すらすらと答えていった
まどか、さやか、仁美の三人は、ほむらを囲む人だかりから少し距離を置き、その様子を見ていた
さやか「凄い人気だねー転校生」
仁美「あれだけ綺麗なんですもの。皆さんの気持ちもわかりますわ」
さやか「……声かける必要なさそうだね。ありゃ」
まどか「……」
さやか「……でも、なんでまどかの事ガン見してたんだろうね?」
さやか「まどか、知り合い?」
まどか「ううん……」
さやか「そっか……だったら」
まどか「だったら?」
さやか「まどかに一目ぼれしたのかもよ~?」
まどか「ええー……」
さやか「リボンの力だね。これは!」
ホームルームが終わると、すぐにクラスメイト達はほむらを取り囲み、質問の雨を降らせた
ほむらはそんなクラスメイト達の怒涛の質問に一つも言い淀むことなく、すらすらと答えていった
まどか、さやか、仁美の三人は、ほむらを囲む人だかりから少し距離を置き、その様子を見ていた
さやか「凄い人気だねー転校生」
仁美「あれだけ綺麗なんですもの。皆さんの気持ちもわかりますわ」
さやか「……声かける必要なさそうだね。ありゃ」
まどか「……」
さやか「……でも、なんでまどかの事ガン見してたんだろうね?」
さやか「まどか、知り合い?」
まどか「ううん……」
さやか「そっか……だったら」
まどか「だったら?」
さやか「まどかに一目ぼれしたのかもよ~?」
まどか「ええー……」
さやか「リボンの力だね。これは!」
57: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 18:56:21.25:VYJgy/px0 (3/18)
まどか「う、嬉しくないよ……」
さやか「にゃははっ……ん?」
「鹿目さん」
まどか「……えっ」
突然後ろから無感情な声を掛けられ、まどかは驚いて声の方を振り向く
すると、いつの間にか人だかりから抜け出してきたほむらが、こちらをあの冷たい目で見つめていた
ほむら「あなたが保健係よね?保健室まで案内してくれるかしら?」
まどか「ど、どうして私の事……」
ほむら「先生から聞いたの」
ほむら「だから……」
さやか「あ、保健係あたしだよ?」
ほむら「……あなたが?」
さやか「うん。先生教え間違えたんじゃないのかな?」
ほむら「……」
まどか「う、嬉しくないよ……」
さやか「にゃははっ……ん?」
「鹿目さん」
まどか「……えっ」
突然後ろから無感情な声を掛けられ、まどかは驚いて声の方を振り向く
すると、いつの間にか人だかりから抜け出してきたほむらが、こちらをあの冷たい目で見つめていた
ほむら「あなたが保健係よね?保健室まで案内してくれるかしら?」
まどか「ど、どうして私の事……」
ほむら「先生から聞いたの」
ほむら「だから……」
さやか「あ、保健係あたしだよ?」
ほむら「……あなたが?」
さやか「うん。先生教え間違えたんじゃないのかな?」
ほむら「……」
58: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 19:05:13.47:VYJgy/px0 (4/18)
さやか「それじゃあ、あたし暁美さんのこと送ってくるわ」
仁美「……はい」
まどか「さ、さやかちゃん……」
不安げな色で自分を見つめるまどかと仁美に、さやかはニコリと無言で笑みを返す
さやか「それじゃあ行ってくるよん!留守番頼んだよ二人ともっ」
仁美「ふふっ。わかりましたわ」
まどか「う、うん……」
さやか「いってきまーっす!」
そう言ってさやかはほむらを連れ、教室を出ていく
だが、ほむらが教室のドアをくぐる寸前、顔だけまどかに向け、何か言いたげに視線をぶつけた
まどか「……ぅ」
まどかはほむらの視線の恐怖からから逃げるように目を反らす
ほむらはすぐにその視線をまどかから外すとさやかの後をゆっくりと付いて行った
さやか「それじゃあ、あたし暁美さんのこと送ってくるわ」
仁美「……はい」
まどか「さ、さやかちゃん……」
不安げな色で自分を見つめるまどかと仁美に、さやかはニコリと無言で笑みを返す
さやか「それじゃあ行ってくるよん!留守番頼んだよ二人ともっ」
仁美「ふふっ。わかりましたわ」
まどか「う、うん……」
さやか「いってきまーっす!」
そう言ってさやかはほむらを連れ、教室を出ていく
だが、ほむらが教室のドアをくぐる寸前、顔だけまどかに向け、何か言いたげに視線をぶつけた
まどか「……ぅ」
まどかはほむらの視線の恐怖からから逃げるように目を反らす
ほむらはすぐにその視線をまどかから外すとさやかの後をゆっくりと付いて行った
59: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 19:35:01.52:VYJgy/px0 (5/18)
そして教室に残されるまどかと仁美
まどかはほむらの視線からの解放に、一旦安堵のため息を吐く
仁美「……さやかさん。ホントに優しいですわ」
まどか「……うん」
まどか(大丈夫かな……さやかちゃん……)
心労の絶えないまどかだった
そして教室に残されるまどかと仁美
まどかはほむらの視線からの解放に、一旦安堵のため息を吐く
仁美「……さやかさん。ホントに優しいですわ」
まどか「……うん」
まどか(大丈夫かな……さやかちゃん……)
心労の絶えないまどかだった
60: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 19:45:19.71:VYJgy/px0 (6/18)
教室を出たさやかとほむらの二人は、さやかを先頭に保健室を目指していた
どこか気まずい雰囲気が流れる。さやかはそれを何とかしようと口を開く
さやか「暁美さん。体弱いんだっけ?大変だねー」
ほむら「そうでもないわ」
さやか「そ、そっか……」
ほむら「ええ」
だがそれも四言の会話で終わってしまう
訪れる気まずい沈黙。それを先に破ったのはほむらだった
ほむら「あなた……保健係じゃないでしょう?」
さやか「……どうして?」
少しの間
ほむら「……担任が転校生に自分のクラスの誤情報を教えるわけがないわ」
さやか「そりゃそうだよね……はは」
ほむら「どうしてこんな事を」
さやか「うーん……まどかがあんたの事怖がってたからね」
ほむら「……」
さやか「……あんた、まどかの知り合いなの?」
答える必要はないとばかりに無言。さやかはほむらの態度に、軽い苛立ちを覚えてしまう
教室を出たさやかとほむらの二人は、さやかを先頭に保健室を目指していた
どこか気まずい雰囲気が流れる。さやかはそれを何とかしようと口を開く
さやか「暁美さん。体弱いんだっけ?大変だねー」
ほむら「そうでもないわ」
さやか「そ、そっか……」
ほむら「ええ」
だがそれも四言の会話で終わってしまう
訪れる気まずい沈黙。それを先に破ったのはほむらだった
ほむら「あなた……保健係じゃないでしょう?」
さやか「……どうして?」
少しの間
ほむら「……担任が転校生に自分のクラスの誤情報を教えるわけがないわ」
さやか「そりゃそうだよね……はは」
ほむら「どうしてこんな事を」
さやか「うーん……まどかがあんたの事怖がってたからね」
ほむら「……」
さやか「……あんた、まどかの知り合いなの?」
答える必要はないとばかりに無言。さやかはほむらの態度に、軽い苛立ちを覚えてしまう
61: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 20:01:34.74:VYJgy/px0 (7/18)
さやか「……ともかくさ、まどかを怖がらせるのは止めてくれない?」
ほむら「そんなことしたつもりはないわ」
さやか「無意識でやってんだ」
ほむら「……」
さやか「普通に話しかけるのは良いと思うけどさ。ガン見とかは止めてあげて。怖がるから」
ほむら「善処するわ」
さやか「……あんた性格悪いって言われない?」
ほむら「初めてよ」
さやか「……そうですか」
さやか「あ、ここ……」
さやかの案内より先にほむらは、廊下の角を曲がり、さやかの先を歩いて行く
ほむら「こっちよね」
さやか「あ、う、うん……」
さやかは道を知るほむらを不可解に思いながら、後を着いて行った
さやか「……ともかくさ、まどかを怖がらせるのは止めてくれない?」
ほむら「そんなことしたつもりはないわ」
さやか「無意識でやってんだ」
ほむら「……」
さやか「普通に話しかけるのは良いと思うけどさ。ガン見とかは止めてあげて。怖がるから」
ほむら「善処するわ」
さやか「……あんた性格悪いって言われない?」
ほむら「初めてよ」
さやか「……そうですか」
さやか「あ、ここ……」
さやかの案内より先にほむらは、廊下の角を曲がり、さやかの先を歩いて行く
ほむら「こっちよね」
さやか「あ、う、うん……」
さやかは道を知るほむらを不可解に思いながら、後を着いて行った
62: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 20:19:28.97:VYJgy/px0 (8/18)
ほむら「案内ありがとう。助かったわ」
さやか「……それはどーも」
結局さやかの案内もほとんど無しに保健室に辿り着き、保健室のドアノブに手を掛ける
さやかはほむらの後ろに立ち、ほむらの皮肉めいた言葉に眉をひそめていた
そしてほむらはドアノブを回し保健室に入ろうとする
が、そこでほむらは首を回しさやかに顔を向ける
ほむら「……一言。良いかしら」
さやか「なに」
ほむら「甘い言葉には裏があるわ。そして裏を見て痛い目にあうのは、あなただけじゃない」
ほむら「覚えておくといいわ」
さやか「……」
ほむら「それじゃあね」
さやか「……はいよ」
それだけ言うとほむらは保健室のドアをくぐっていった
一人廊下に残されたさやかは、保健室のドアを睨みつけ
さやか「電波さんかよ……」
そう、漏らした
ほむら「案内ありがとう。助かったわ」
さやか「……それはどーも」
結局さやかの案内もほとんど無しに保健室に辿り着き、保健室のドアノブに手を掛ける
さやかはほむらの後ろに立ち、ほむらの皮肉めいた言葉に眉をひそめていた
そしてほむらはドアノブを回し保健室に入ろうとする
が、そこでほむらは首を回しさやかに顔を向ける
ほむら「……一言。良いかしら」
さやか「なに」
ほむら「甘い言葉には裏があるわ。そして裏を見て痛い目にあうのは、あなただけじゃない」
ほむら「覚えておくといいわ」
さやか「……」
ほむら「それじゃあね」
さやか「……はいよ」
それだけ言うとほむらは保健室のドアをくぐっていった
一人廊下に残されたさやかは、保健室のドアを睨みつけ
さやか「電波さんかよ……」
そう、漏らした
63: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 20:23:48.85:VYJgy/px0 (9/18)
教室
さやか「たっだいまー」
仁美「あ、さやかさん」
まどか「さ、さやかちゃん。大丈夫だった?」
教室に戻ってきたさやかをまどかと仁美は安心と心配が混じる表情で迎えた
さやか「うん。何ともなかったよん」
まどか「よかった……ごめんね。行かせちゃったみたいで……」
さやか「いいっていいって。いろいろと転校生さんと話せたしね」
まどか「そうなの?……どうだった?」
さやか「うーん……毒電波発してる?」
まどか「な、なにそれ?」
さやか「あたしにも解らん」
まどか「てぃひひっ」
教室
さやか「たっだいまー」
仁美「あ、さやかさん」
まどか「さ、さやかちゃん。大丈夫だった?」
教室に戻ってきたさやかをまどかと仁美は安心と心配が混じる表情で迎えた
さやか「うん。何ともなかったよん」
まどか「よかった……ごめんね。行かせちゃったみたいで……」
さやか「いいっていいって。いろいろと転校生さんと話せたしね」
まどか「そうなの?……どうだった?」
さやか「うーん……毒電波発してる?」
まどか「な、なにそれ?」
さやか「あたしにも解らん」
まどか「てぃひひっ」
64: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 20:55:45.11:VYJgy/px0 (10/18)
さやか「ま、とりあえず、釘はさしといたから大丈夫じゃないかな?」
まどか「く、釘?」
さやか「まどかは気にしなくていいよ」
さやか「お、そろそろ先生来るんじゃない?」
まどか「あ、う、うん。じゃあ私、席戻るね?」
さやか「はいはーい」
まどかはさやかの言葉に怪訝な表情を浮かべたまま自分の席に戻っていき、さやかはそれを笑顔で見送った
まどかがその場を離れると、仁美がすぐにさやかに近づく
仁美「変な、人でしたの?」
さやか「うん。とびっきり」
仁美「そうですの……」
さやか「変なことしなきゃいいんだけどねー」
仁美「ええ……」
さやか「ま、とりあえず、釘はさしといたから大丈夫じゃないかな?」
まどか「く、釘?」
さやか「まどかは気にしなくていいよ」
さやか「お、そろそろ先生来るんじゃない?」
まどか「あ、う、うん。じゃあ私、席戻るね?」
さやか「はいはーい」
まどかはさやかの言葉に怪訝な表情を浮かべたまま自分の席に戻っていき、さやかはそれを笑顔で見送った
まどかがその場を離れると、仁美がすぐにさやかに近づく
仁美「変な、人でしたの?」
さやか「うん。とびっきり」
仁美「そうですの……」
さやか「変なことしなきゃいいんだけどねー」
仁美「ええ……」
65: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 21:06:52.61:VYJgy/px0 (11/18)
放課後
さやか「あの後すぐ転校生戻ってきたけど、相変わらずまどかの事見つめてたね」
まどか「うん……」
さやか「まどか愛されてるなぁ……さやかちゃん嫉妬しちゃう!」
仁美「ふふっ」
さやかと仁美が笑い合う中、まどかはほむらの行動に気が気がないようだった
それにさやかは気付き、話題を変える
さやか「まぁ冗談はともかく……無視してればそのうちやめると思うけどね」
まどか「そうかなぁ……」
さやか「うんうん。大丈夫だって」
さやか「それに何かあったら私が助けるからさ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「300円で」
まどか「……てぃひひっ」
さやか「にゃははっ」
放課後
さやか「あの後すぐ転校生戻ってきたけど、相変わらずまどかの事見つめてたね」
まどか「うん……」
さやか「まどか愛されてるなぁ……さやかちゃん嫉妬しちゃう!」
仁美「ふふっ」
さやかと仁美が笑い合う中、まどかはほむらの行動に気が気がないようだった
それにさやかは気付き、話題を変える
さやか「まぁ冗談はともかく……無視してればそのうちやめると思うけどね」
まどか「そうかなぁ……」
さやか「うんうん。大丈夫だって」
さやか「それに何かあったら私が助けるからさ」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「300円で」
まどか「……てぃひひっ」
さやか「にゃははっ」
66: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 21:12:43.28:VYJgy/px0 (12/18)
さやか「……それじゃあ良い時間だし、帰ろっか?」
まどか「うんっ」
さやか「仁美、今日は?」
仁美「ごめんなさい……今日もお稽古です」
さやか「そっか。ならまどか。このさやかちゃんと二人でいちゃいちゃしながら帰ろうか?」
まどか「さ、さやかちゃん……」
仁美「ふふっ。……それじゃ、お先に失礼しますわ」
さやか「はーい。お稽古頑張ってね。仁美」
仁美「はい。ありがとうございます」
まどか「……じゃあね。仁美ちゃん」
仁美「はい。それでは」
さやかたちにぺこりと頭を下げ、仁美は教室を出て行った
さやか「……それじゃあ良い時間だし、帰ろっか?」
まどか「うんっ」
さやか「仁美、今日は?」
仁美「ごめんなさい……今日もお稽古です」
さやか「そっか。ならまどか。このさやかちゃんと二人でいちゃいちゃしながら帰ろうか?」
まどか「さ、さやかちゃん……」
仁美「ふふっ。……それじゃ、お先に失礼しますわ」
さやか「はーい。お稽古頑張ってね。仁美」
仁美「はい。ありがとうございます」
まどか「……じゃあね。仁美ちゃん」
仁美「はい。それでは」
さやかたちにぺこりと頭を下げ、仁美は教室を出て行った
67: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 22:50:07.11:VYJgy/px0 (13/18)
さやか「さ、あたしたちも帰ろっか」
まどか「うん」
さやか「あ、まどか、帰りにCD屋寄ってっていい?」
まどか「……上条君?」
さやか「……う、うん」
上条という言葉に、さやかが顔をほんのり赤く染め、まとっていたお気楽な雰囲気を一変させる
まどかはさやかのそんな様子に心が締め付けられるような感覚に襲われ、表情を暗くさせる
まどか「……」
まどか「……いいよ」
さやか「ありがとっ。まどか」
まどか「……うん」
さやか「今日はどんなCD持ってってやろうかな……ふふっ」
まどかの様子の変化に気付くことなく、さやかはニコニコと顔を緩ませ、歩き始める
まどかは浮かれるさやかのうしろを、寂しげな表情で着いて行った
さやか「さ、あたしたちも帰ろっか」
まどか「うん」
さやか「あ、まどか、帰りにCD屋寄ってっていい?」
まどか「……上条君?」
さやか「……う、うん」
上条という言葉に、さやかが顔をほんのり赤く染め、まとっていたお気楽な雰囲気を一変させる
まどかはさやかのそんな様子に心が締め付けられるような感覚に襲われ、表情を暗くさせる
まどか「……」
まどか「……いいよ」
さやか「ありがとっ。まどか」
まどか「……うん」
さやか「今日はどんなCD持ってってやろうかな……ふふっ」
まどかの様子の変化に気付くことなく、さやかはニコニコと顔を緩ませ、歩き始める
まどかは浮かれるさやかのうしろを、寂しげな表情で着いて行った
68: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 23:01:46.82:VYJgy/px0 (14/18)
CD屋
さやか「それじゃあまどか。ちょっと待ってて」
まどか「……うん」
CD屋に着くとさやかは一目散にクラシックのCDの方へ駆けて行った
そしてクラシックのコーナーに着くと、さやかは真剣で、それでいて楽しげな表情でCDを探し始める
まどかはそんな楽しそうなさやかを少し離れた、非常口の傍でぼんやりと見ていた
さやか「~♪」
まどか「……」
まどか「はぁ……」
まどか(上条君の事になるといっつもこれだもんなぁ……)
まどか(楽しそうにして……幸せそうで……)
まどか(私の事見てくれなくなって……)
まどか(……)
まどか(上条君が羨ましい……)
まどか(……)
まどか(……上条君なんかいなくなっちゃえばいいのに)
まどか(……そしたらさやかちゃん私の事……)
まどか(……あっ)
まどか(なっ、なに考えてるんだろう、私……)
CD屋
さやか「それじゃあまどか。ちょっと待ってて」
まどか「……うん」
CD屋に着くとさやかは一目散にクラシックのCDの方へ駆けて行った
そしてクラシックのコーナーに着くと、さやかは真剣で、それでいて楽しげな表情でCDを探し始める
まどかはそんな楽しそうなさやかを少し離れた、非常口の傍でぼんやりと見ていた
さやか「~♪」
まどか「……」
まどか「はぁ……」
まどか(上条君の事になるといっつもこれだもんなぁ……)
まどか(楽しそうにして……幸せそうで……)
まどか(私の事見てくれなくなって……)
まどか(……)
まどか(上条君が羨ましい……)
まどか(……)
まどか(……上条君なんかいなくなっちゃえばいいのに)
まどか(……そしたらさやかちゃん私の事……)
まどか(……あっ)
まどか(なっ、なに考えてるんだろう、私……)
69: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 23:13:05.67:VYJgy/px0 (15/18)
まどか(これが、さやかちゃんの幸せなんだから……)
まどか(でも……)
まどか「はぁ……」
「おいで」
その時、まどかの頭に直接声が響く
まどか「え?」
「こっちにおいで」
まどか「私を……呼んでるの?」
まどか「誰……?」
自分を誘う、誰かの声
まどかはその声に誘われるまま、非常口の扉に手を掛け、出て行った
さやか「よし、これに……あれ?まどか?」
キョロキョロと周りを見渡すさやか
店内をぐるりと見渡すと、視界の端に閉まっていく非常口が映る
その扉の向こうに自分と同じ制服の端が消えて行くのを見えた
さやか「……まどか……?」
まどか(これが、さやかちゃんの幸せなんだから……)
まどか(でも……)
まどか「はぁ……」
「おいで」
その時、まどかの頭に直接声が響く
まどか「え?」
「こっちにおいで」
まどか「私を……呼んでるの?」
まどか「誰……?」
自分を誘う、誰かの声
まどかはその声に誘われるまま、非常口の扉に手を掛け、出て行った
さやか「よし、これに……あれ?まどか?」
キョロキョロと周りを見渡すさやか
店内をぐるりと見渡すと、視界の端に閉まっていく非常口が映る
その扉の向こうに自分と同じ制服の端が消えて行くのを見えた
さやか「……まどか……?」
70: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 23:35:24.16:VYJgy/px0 (16/18)
路地裏
声に誘われ、気が付くとまどかはどこかの路地裏まで来ていた
まどか「あれ?ここ……」
キョロキョロと、不安になって周りを見渡していると
「まどか」
足元から先程まで自分を呼んでいた声が聞こえてくる
まどかは驚いて声のした方に顔を向けると
自分の膝ほどの大きさの、白く、耳から長い毛のようなものをはやした、犬のようで、猫のような生き物が
愛嬌のあるくりくりとした目でこちらを見つめていた
「やぁ」
まどか「え?な、なに?しゃべっ……」
その生き物が突然喋り出す。まどかは酷く驚いたが、そのいきものはまどかの様子に意を介せず、話を続けた
「よく来てくれたね。鹿目まどか」
まどか「あなたが……しゃべってるの?」
キュゥべぇ「そうだよ。僕の名前はキュゥべぇ!よろしくね」
ぴょこんと可愛らしくその場を跳ねる
路地裏
声に誘われ、気が付くとまどかはどこかの路地裏まで来ていた
まどか「あれ?ここ……」
キョロキョロと、不安になって周りを見渡していると
「まどか」
足元から先程まで自分を呼んでいた声が聞こえてくる
まどかは驚いて声のした方に顔を向けると
自分の膝ほどの大きさの、白く、耳から長い毛のようなものをはやした、犬のようで、猫のような生き物が
愛嬌のあるくりくりとした目でこちらを見つめていた
「やぁ」
まどか「え?な、なに?しゃべっ……」
その生き物が突然喋り出す。まどかは酷く驚いたが、そのいきものはまどかの様子に意を介せず、話を続けた
「よく来てくれたね。鹿目まどか」
まどか「あなたが……しゃべってるの?」
キュゥべぇ「そうだよ。僕の名前はキュゥべぇ!よろしくね」
ぴょこんと可愛らしくその場を跳ねる
71: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 23:44:35.84:VYJgy/px0 (17/18)
まどか「よ、よろしく……」
まどか「あなたは、な、なんなの?」
しゃがみ込み、キュゥべえと名乗る生き物に顔を寄せる
まどかの質問に、キュゥべえは考えるそぶりを見せた
キュゥべえ「うーん……強いて言えば、魔法の使者かな」
まどか「ま、魔法?」
キュゥべえ「うん。そうだよ!」
まどか「う、うん……それで……なんの……」
キュゥべぇ「うん。君を呼んだのはほかでもない、君の願いをかなえてあげようと思ったからなんだ」
まどか「ね、願いを?」
キュゥべぇ「うん。君には今かなえたい願いがあるだろう?」
まどか「……な、なんの……」
キュゥべぇ「美樹さやか」
まどか「……え?」
突然の登場に、突然の提案。まどかは話の展開の速さに着いて行けず、オロオロとするばかりだったが
一人の少女の名前に、その動きが止まる
まどか「よ、よろしく……」
まどか「あなたは、な、なんなの?」
しゃがみ込み、キュゥべえと名乗る生き物に顔を寄せる
まどかの質問に、キュゥべえは考えるそぶりを見せた
キュゥべえ「うーん……強いて言えば、魔法の使者かな」
まどか「ま、魔法?」
キュゥべえ「うん。そうだよ!」
まどか「う、うん……それで……なんの……」
キュゥべぇ「うん。君を呼んだのはほかでもない、君の願いをかなえてあげようと思ったからなんだ」
まどか「ね、願いを?」
キュゥべぇ「うん。君には今かなえたい願いがあるだろう?」
まどか「……な、なんの……」
キュゥべぇ「美樹さやか」
まどか「……え?」
突然の登場に、突然の提案。まどかは話の展開の速さに着いて行けず、オロオロとするばかりだったが
一人の少女の名前に、その動きが止まる
72: ◆OkhT76nerU:2011/10/14(金) 23:55:38.03:VYJgy/px0 (18/18)
キュゥべぇ「欲しくないかい?」
まどか「……」
キュゥべぇ「君が望めば、すぐにでも美樹さやかは君の物になる」
キュゥべぇ「上条恭介以上に、美樹さやかは君の事が好きになる」
キュゥべぇ「どうだい?魅力的だろう?」
キュゥべえ「その願いを叶えたくないかい?」
まどか「……あ……」
キュゥべぇ「その願いをかなえたいなら……」
キュゥべぇ「僕と契約してま」
まどか「……えっ?」
まどか「……あれ?キュゥべ……」
キュゥべえは何かを言い終わる前にその姿をいきなりまどかの前から消してしまう
その姿を探そうと周りを見渡そうと、顔を上げたその時
まどか「……ひっ」
誰かの手に首を掴まれてその体をぶら下げられ
頭に焦げた穴が開いた、キュゥべえだったものと目があった
キュゥべぇ「欲しくないかい?」
まどか「……」
キュゥべぇ「君が望めば、すぐにでも美樹さやかは君の物になる」
キュゥべぇ「上条恭介以上に、美樹さやかは君の事が好きになる」
キュゥべぇ「どうだい?魅力的だろう?」
キュゥべえ「その願いを叶えたくないかい?」
まどか「……あ……」
キュゥべぇ「その願いをかなえたいなら……」
キュゥべぇ「僕と契約してま」
まどか「……えっ?」
まどか「……あれ?キュゥべ……」
キュゥべえは何かを言い終わる前にその姿をいきなりまどかの前から消してしまう
その姿を探そうと周りを見渡そうと、顔を上げたその時
まどか「……ひっ」
誰かの手に首を掴まれてその体をぶら下げられ
頭に焦げた穴が開いた、キュゥべえだったものと目があった
73: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 00:10:53.46:my1jHTpB0 (1/13)
まどかはその光景に驚き、おびえながら、恐る恐る視線を上に登らせていく
するとこちらを無表情で見降ろす、妙な格好をしたほむらと目が合った
ほむら「……」
まどか「あ、暁美さ……」
ほむら「こいつの言葉に耳を貸してはダメよ」
まどか「ど、どうしてそんな……」
ほむら「幸せに生きたいなら。誰かの幸せを願うなら絶対に聞いてはダメ」
そう言ってほむらは、キュゥべえだったものを道路の端に投げ捨てた
ぐしゃりと嫌な音を立て、体を崩しながら道路を転がる。
まどかはその酷い光景に目を離したくも離せず、釘づけにされてしまっていた
まどか「あ、ああ……」
ショックをうけているまどかを気にした様子も見せず、ほむらは話を続けようとする
ほむら「さもなければ……」
「まどかっ!!」
が、そこで、まどかに後ろから声が掛かる
振り返るとそこには、怒りの表情で、ほむらを睨みつけるさやかがいた
まどかはその光景に驚き、おびえながら、恐る恐る視線を上に登らせていく
するとこちらを無表情で見降ろす、妙な格好をしたほむらと目が合った
ほむら「……」
まどか「あ、暁美さ……」
ほむら「こいつの言葉に耳を貸してはダメよ」
まどか「ど、どうしてそんな……」
ほむら「幸せに生きたいなら。誰かの幸せを願うなら絶対に聞いてはダメ」
そう言ってほむらは、キュゥべえだったものを道路の端に投げ捨てた
ぐしゃりと嫌な音を立て、体を崩しながら道路を転がる。
まどかはその酷い光景に目を離したくも離せず、釘づけにされてしまっていた
まどか「あ、ああ……」
ショックをうけているまどかを気にした様子も見せず、ほむらは話を続けようとする
ほむら「さもなければ……」
「まどかっ!!」
が、そこで、まどかに後ろから声が掛かる
振り返るとそこには、怒りの表情で、ほむらを睨みつけるさやかがいた
74: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 00:24:15.21:my1jHTpB0 (2/13)
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやか「まどかっ!こっち!」
さやかがまどかに手を差し伸べる
まどかは縋り付くようにその手を掴み、そのままさやかに抱きついた
まどか「さやかちゃんっ」
恐怖に震えるまどかを優しく抱きしめ、頭を優しく撫でる
まどか「さやか……ちゃ……」
さやか「……よしよし」
途端まどかは、深い安心感に包まれ、身を覆っていた恐怖による震えはその姿を消した
さやか「……あんた、何してんの」
まどかの震えが止まった事を確認するとさやかは、激しい怒りを写した瞳を再びほむらに向けた
だがほむらはそれに眉ひとつ動かさず、無言にそれを受け止めるだけだった
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやか「まどかっ!こっち!」
さやかがまどかに手を差し伸べる
まどかは縋り付くようにその手を掴み、そのままさやかに抱きついた
まどか「さやかちゃんっ」
恐怖に震えるまどかを優しく抱きしめ、頭を優しく撫でる
まどか「さやか……ちゃ……」
さやか「……よしよし」
途端まどかは、深い安心感に包まれ、身を覆っていた恐怖による震えはその姿を消した
さやか「……あんた、何してんの」
まどかの震えが止まった事を確認するとさやかは、激しい怒りを写した瞳を再びほむらに向けた
だがほむらはそれに眉ひとつ動かさず、無言にそれを受け止めるだけだった
75: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 00:32:30.74:my1jHTpB0 (3/13)
さやか「怖がらせるなって言ったじゃん」
ほむら「……」
さやか「普通に話しかけろって言ったじゃん」
ほむら「……」
さやか「何とか言いなさいよっ!!」
ほむら「そっちに行ってはダメよ」
さやか「話も通じないのあんたは!!」
ほむら「……」
さやか「行こう!まどか!!」
まどか「う、うんっ」
話が通じないと踏んださやかは、まどかの手を引き、ほむらとは逆の方向へ駆けていく
ほむら「待ちなさ……」
逃げる二人を追おうと足を踏み出した時、その足元に、乾いた銃声と共に一発の銃弾が撃ち込まれ
ほむらは足を止めてしまう
さやか「怖がらせるなって言ったじゃん」
ほむら「……」
さやか「普通に話しかけろって言ったじゃん」
ほむら「……」
さやか「何とか言いなさいよっ!!」
ほむら「そっちに行ってはダメよ」
さやか「話も通じないのあんたは!!」
ほむら「……」
さやか「行こう!まどか!!」
まどか「う、うんっ」
話が通じないと踏んださやかは、まどかの手を引き、ほむらとは逆の方向へ駆けていく
ほむら「待ちなさ……」
逃げる二人を追おうと足を踏み出した時、その足元に、乾いた銃声と共に一発の銃弾が撃ち込まれ
ほむらは足を止めてしまう
76: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 00:52:33.29:my1jHTpB0 (4/13)
「一般人に手を出す魔法少女がいるなんて、ね」
声のした方にほむらは顔を向ける
そこには髪を頭の両脇に緩く巻き、ほむらと同様の妙な格好をした少女と
道路に転がっているはずの生き物が怪我ひとつなくその場にいた
ほむら「お前が呼んだのね」
キュゥべぇ「……」
キュゥべぇ「……マミ。こいつだよ」
マミ「ええ。そのようね」
ほむら「……」
マミ「魔法少女とは戦いたくはないんだけど……」
マミ「あなた、どうしてこんな事を……返答によっては」
マミ「ただ……あら?」
マミ「ど、どこいったの?」
キュゥべぇ「……」
忽然とほむらはマミと呼ばれる少女の前から一瞬でその姿を消す
マミはオロオロと周りを見渡すがその姿を確認することはできなかった
そんなマミがオロオロとする中、キュゥべえは無言で道端で転がっている自分と同じ容姿の死骸を見つめていた
「一般人に手を出す魔法少女がいるなんて、ね」
声のした方にほむらは顔を向ける
そこには髪を頭の両脇に緩く巻き、ほむらと同様の妙な格好をした少女と
道路に転がっているはずの生き物が怪我ひとつなくその場にいた
ほむら「お前が呼んだのね」
キュゥべぇ「……」
キュゥべぇ「……マミ。こいつだよ」
マミ「ええ。そのようね」
ほむら「……」
マミ「魔法少女とは戦いたくはないんだけど……」
マミ「あなた、どうしてこんな事を……返答によっては」
マミ「ただ……あら?」
マミ「ど、どこいったの?」
キュゥべぇ「……」
忽然とほむらはマミと呼ばれる少女の前から一瞬でその姿を消す
マミはオロオロと周りを見渡すがその姿を確認することはできなかった
そんなマミがオロオロとする中、キュゥべえは無言で道端で転がっている自分と同じ容姿の死骸を見つめていた
77: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 01:29:18.77:my1jHTpB0 (5/13)
まどか「はぁ……はぁ……」
さやか「はぁ……はぁ……ここまでくれば……大丈夫?まどか」
無我夢中でほむらから逃げると、ころ合いを見たさやかが、走る足を止める
まどか「う、うん……大丈夫……」
さやか「よかった……」
まどか「うん……ありがとう……さやかちゃん」
さやか「いいって!……それにしてもホントにシャレになんないよあの転校生っ!」
まどか「うん……怖いよ……」
さやか「……大丈夫。今度来てもまどかはあたしが守るっ!だから、ね?」
まどか「……さやかちゃん……」
さやか「ふぅ……それでここ……」
さやか「どこ?」
息を落ち着かせたさやかは周りをぐるりと見渡し、そう言った
つられてまどかもきょろきょろと周りを見渡す
まどか「え、ほ、ほんとだ、どこだろう?」
さやか「うん、しかもなんか……気持ち悪い」
さやかの言う様にいつの間にか周りの景色は、とても現実と呼べるようなものはなく
歪み、捻れ、異物なものが立ち並ぶ、異界と化していた
まどか「うん……」
まどかはそんな周りの様子に怯え、さやかの手を掴み、身を寄せる
さやかはそんなまどかを安心させようとまどかの方に顔を向けると
「―――――――」
明らかに人ではない異形がこちらを見つめていた
まどか「はぁ……はぁ……」
さやか「はぁ……はぁ……ここまでくれば……大丈夫?まどか」
無我夢中でほむらから逃げると、ころ合いを見たさやかが、走る足を止める
まどか「う、うん……大丈夫……」
さやか「よかった……」
まどか「うん……ありがとう……さやかちゃん」
さやか「いいって!……それにしてもホントにシャレになんないよあの転校生っ!」
まどか「うん……怖いよ……」
さやか「……大丈夫。今度来てもまどかはあたしが守るっ!だから、ね?」
まどか「……さやかちゃん……」
さやか「ふぅ……それでここ……」
さやか「どこ?」
息を落ち着かせたさやかは周りをぐるりと見渡し、そう言った
つられてまどかもきょろきょろと周りを見渡す
まどか「え、ほ、ほんとだ、どこだろう?」
さやか「うん、しかもなんか……気持ち悪い」
さやかの言う様にいつの間にか周りの景色は、とても現実と呼べるようなものはなく
歪み、捻れ、異物なものが立ち並ぶ、異界と化していた
まどか「うん……」
まどかはそんな周りの様子に怯え、さやかの手を掴み、身を寄せる
さやかはそんなまどかを安心させようとまどかの方に顔を向けると
「―――――――」
明らかに人ではない異形がこちらを見つめていた
78: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 01:48:56.43:my1jHTpB0 (6/13)
さやか「っ!!」
まどか「さやかちゃん?」
さやかの驚きの表情を怪訝に思ったまどかは、さやかの視線の先に自分の視線を向け
まどか「ひ」
そこにいた異形に驚きと恐怖を覚え、小さな悲鳴を漏らす
まどか「な、なにっ?あれっ?……きゃっ!」
さやか「っ!……まどかっ!」
およそ人と思えないモノ達は、まどかと、さやかを見ているだけかと思いきや
次の瞬間その体を浮かし、まどかに向かって体をぶつけようとしてきた
まどかは使い魔の接近の恐怖に体をこわばらせ、目を閉じてしまう
そんなまどかをさやかは抱きしめ、身を呈して庇おうとした
さやかに使い魔の体当たりが、当たったかと思った、その瞬間
さやか「っ!……えっ?」
使い魔は乾いた銃声ひとつとともに、その姿を消した
さやか「っ!!」
まどか「さやかちゃん?」
さやかの驚きの表情を怪訝に思ったまどかは、さやかの視線の先に自分の視線を向け
まどか「ひ」
そこにいた異形に驚きと恐怖を覚え、小さな悲鳴を漏らす
まどか「な、なにっ?あれっ?……きゃっ!」
さやか「っ!……まどかっ!」
およそ人と思えないモノ達は、まどかと、さやかを見ているだけかと思いきや
次の瞬間その体を浮かし、まどかに向かって体をぶつけようとしてきた
まどかは使い魔の接近の恐怖に体をこわばらせ、目を閉じてしまう
そんなまどかをさやかは抱きしめ、身を呈して庇おうとした
さやかに使い魔の体当たりが、当たったかと思った、その瞬間
さやか「っ!……えっ?」
使い魔は乾いた銃声ひとつとともに、その姿を消した
79: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 01:52:07.55:my1jHTpB0 (7/13)
>>78の訂正版
さやか「っ!!」
まどか「さやかちゃん?」
さやかの驚きの表情を怪訝に思ったまどかは、さやかの視線の先に自分の視線を向け
まどか「ひっ」
そこにいた異形に驚きと恐怖を覚え、小さな悲鳴を漏らす
まどか「な、なにっ?あれっ?……きゃっ!」
さやか「っ!……まどかっ!」
およそ人と思えないモノは、まどかと、さやかを見ているだけかと思いきや
次の瞬間その体を浮かし、まどかに向かって体をぶつけようとしてきた
まどかは異形の接近の恐怖に体をこわばらせ、目を閉じてしまう
そんなまどかをさやかは抱きしめ、身を呈して庇おうとした
さやかに異形の体当たりが、当たったかと思った、その瞬間
さやか「っ!……えっ?」
異形は乾いた銃声ひとつとともに、その姿を消した
>>78の訂正版
さやか「っ!!」
まどか「さやかちゃん?」
さやかの驚きの表情を怪訝に思ったまどかは、さやかの視線の先に自分の視線を向け
まどか「ひっ」
そこにいた異形に驚きと恐怖を覚え、小さな悲鳴を漏らす
まどか「な、なにっ?あれっ?……きゃっ!」
さやか「っ!……まどかっ!」
およそ人と思えないモノは、まどかと、さやかを見ているだけかと思いきや
次の瞬間その体を浮かし、まどかに向かって体をぶつけようとしてきた
まどかは異形の接近の恐怖に体をこわばらせ、目を閉じてしまう
そんなまどかをさやかは抱きしめ、身を呈して庇おうとした
さやかに異形の体当たりが、当たったかと思った、その瞬間
さやか「っ!……えっ?」
異形は乾いた銃声ひとつとともに、その姿を消した
80: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 02:02:06.10:my1jHTpB0 (8/13)
「危なかったわね」
同時に二人に向け優しい声が響く
銃声と優しい声の先、そこには先程ほむらと対峙していた髪を緩く巻いた少女、マミが、長銃を構え立っていた
まどか「え……?」
さやか「あなたは、さっきの……」
マミ「間に合ってよかったわ。……それじゃあ片付けちゃうから、ちょっと待っててね?」
まどか「え……」
仲間がやられたことからか次から次へと現れる異形たちにマミは正面から対峙する
完全にマミを敵とみなした異形たちは、その命を奪うべく、次々とマミに飛来する
マミ「いらっしゃい」
だがマミはそれに冷静に一言残し、大量の長銃を具現させ、迫る異形たちを打ち抜いて行く
まどかとさやかの二人はその光景を信じられないといった様子で、ぼんやりと眺めていた
そして全ての異形を撃ち倒すと、マミは二人に振りかえり、周りの異空間の消滅と共にニコリと笑いかける
マミ「おしまい」
さやか「すっごい……」
まどか「うん……」
「危なかったわね」
同時に二人に向け優しい声が響く
銃声と優しい声の先、そこには先程ほむらと対峙していた髪を緩く巻いた少女、マミが、長銃を構え立っていた
まどか「え……?」
さやか「あなたは、さっきの……」
マミ「間に合ってよかったわ。……それじゃあ片付けちゃうから、ちょっと待っててね?」
まどか「え……」
仲間がやられたことからか次から次へと現れる異形たちにマミは正面から対峙する
完全にマミを敵とみなした異形たちは、その命を奪うべく、次々とマミに飛来する
マミ「いらっしゃい」
だがマミはそれに冷静に一言残し、大量の長銃を具現させ、迫る異形たちを打ち抜いて行く
まどかとさやかの二人はその光景を信じられないといった様子で、ぼんやりと眺めていた
そして全ての異形を撃ち倒すと、マミは二人に振りかえり、周りの異空間の消滅と共にニコリと笑いかける
マミ「おしまい」
さやか「すっごい……」
まどか「うん……」
81: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 02:08:24.63:my1jHTpB0 (9/13)
マミ「ふふ、ありがとう」
マミ「それにしても危ないところだったわね。この子が教えてくれなかったら、間に合ってなかったわ」
キュゥべぇ「……」
まどか「っ!あ、あなた……」
ひょっこりと何事もなかったようにまどかとさやかの前に現れるキュゥべえ
まどかは先程死骸となった筈のイキモノがここにいる事に酷く混乱していた
さやか「な、なにこの子、猫?犬?」
キュゥべえに興味を持ったさやかは、近づいてしゃがみ込む
そこでキュゥべえは愛想のよい声で二人に挨拶をした
キュゥべぇ「まどかはまたあったね。美樹さやかは初めましてっ!」
さやか「わ、しゃ、しゃべった?」
キュゥべぇ「僕の名前はキュゥべぇ!会ってさっそくなんだけど…」
キュゥべぇ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
さやか「へ?」
まどか「え?」
マミ「ふふ、ありがとう」
マミ「それにしても危ないところだったわね。この子が教えてくれなかったら、間に合ってなかったわ」
キュゥべぇ「……」
まどか「っ!あ、あなた……」
ひょっこりと何事もなかったようにまどかとさやかの前に現れるキュゥべえ
まどかは先程死骸となった筈のイキモノがここにいる事に酷く混乱していた
さやか「な、なにこの子、猫?犬?」
キュゥべえに興味を持ったさやかは、近づいてしゃがみ込む
そこでキュゥべえは愛想のよい声で二人に挨拶をした
キュゥべぇ「まどかはまたあったね。美樹さやかは初めましてっ!」
さやか「わ、しゃ、しゃべった?」
キュゥべぇ「僕の名前はキュゥべぇ!会ってさっそくなんだけど…」
キュゥべぇ「僕と契約して、魔法少女になってよ!」
さやか「へ?」
まどか「え?」
82: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 02:31:02.03:my1jHTpB0 (10/13)
マミ「ごめんなさいね。二人とも」
さやか「い、いえ……」
マミ「それじゃもう家に帰った方が良いわ、ここは結構物騒……」
キュゥべえ「マミ、この子たちは」
マミ「わかってるわ。けど……巻き込んでしまうの?」
キュゥべえ「でも凄い才能なんだ。魔法少女になればきっと」
さやか「あ、あのっ!」
マミとキュゥべえ、二人しかわからない会話の中、さやかがその中に割って入る
さやか「今のってなんなんですかっ?それにあなたは……」
さやかの質問にマミは一度キュゥべえに目配せをする。キュゥべえはそれに黙ってうなずいた
マミ「……知りたい?」
さやか「は、はいっ!」
マミ「そう……それじゃあ、知りたいのなら、このまま私の家に来て?」
マミ「そこで詳しく説明するわ」
さやか「い、いきますっ!」
まどか「さやかちゃんっ!?」
さやか「だってあんなにカッコよかったんだよ?話くらい聞きたいじゃん!」
まどか「で、でも……」
さやか「いこう?まどか。契約ってのも気になるしっ」
まどかは死んだ筈のキュゥべえがここにいるという不気味さ、危険な事かも知れないかもしれないという直感、
そしてさやかのマミに向ける尊敬のまなざしに二の足を踏んでいたが、さやかをがっかりさせたくないという思いから、不承不承に頷いた
まどか「……う、うん……」
マミ「ごめんなさいね。二人とも」
さやか「い、いえ……」
マミ「それじゃもう家に帰った方が良いわ、ここは結構物騒……」
キュゥべえ「マミ、この子たちは」
マミ「わかってるわ。けど……巻き込んでしまうの?」
キュゥべえ「でも凄い才能なんだ。魔法少女になればきっと」
さやか「あ、あのっ!」
マミとキュゥべえ、二人しかわからない会話の中、さやかがその中に割って入る
さやか「今のってなんなんですかっ?それにあなたは……」
さやかの質問にマミは一度キュゥべえに目配せをする。キュゥべえはそれに黙ってうなずいた
マミ「……知りたい?」
さやか「は、はいっ!」
マミ「そう……それじゃあ、知りたいのなら、このまま私の家に来て?」
マミ「そこで詳しく説明するわ」
さやか「い、いきますっ!」
まどか「さやかちゃんっ!?」
さやか「だってあんなにカッコよかったんだよ?話くらい聞きたいじゃん!」
まどか「で、でも……」
さやか「いこう?まどか。契約ってのも気になるしっ」
まどかは死んだ筈のキュゥべえがここにいるという不気味さ、危険な事かも知れないかもしれないという直感、
そしてさやかのマミに向ける尊敬のまなざしに二の足を踏んでいたが、さやかをがっかりさせたくないという思いから、不承不承に頷いた
まどか「……う、うん……」
83: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 02:38:33.87:my1jHTpB0 (11/13)
マミ「それじゃ決定ね。私の家はこ……」
二人を案内しようと歩き始めたマミだったが、行き先を遮る人影にその足を止める
さやか「転校生……」
まどか「……ぅ……」
さやかはまどかをほむらから守ろうと、まどかの前に出て、背中に庇い
マミは先程対峙していた少女の出現に、警戒の色を濃くした
マミ「どこに行ったかと思ったら……まだ二人の事狙ってたのね」
ほむら「いいえ」
マミ「だったら何のようかしら?」
マミの質問を無視し、マミからさやかへと視線を移す
さやかはその視線に体をこわばらせた
ほむら「美樹さやか」
さやか「な、なによ……」
マミ「む、無視……」
マミは無視された事にちょっとショックを受けているようだった
ほむら「忠告、覚えてるかしら」
さやか「……」
マミ「それじゃ決定ね。私の家はこ……」
二人を案内しようと歩き始めたマミだったが、行き先を遮る人影にその足を止める
さやか「転校生……」
まどか「……ぅ……」
さやかはまどかをほむらから守ろうと、まどかの前に出て、背中に庇い
マミは先程対峙していた少女の出現に、警戒の色を濃くした
マミ「どこに行ったかと思ったら……まだ二人の事狙ってたのね」
ほむら「いいえ」
マミ「だったら何のようかしら?」
マミの質問を無視し、マミからさやかへと視線を移す
さやかはその視線に体をこわばらせた
ほむら「美樹さやか」
さやか「な、なによ……」
マミ「む、無視……」
マミは無視された事にちょっとショックを受けているようだった
ほむら「忠告、覚えてるかしら」
さやか「……」
84: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 02:46:11.87:my1jHTpB0 (12/13)
ほむら「忘れないことね」
さやか「……どーも」
ほむら「……」
まどか「っ!」
さやかとの会話を終えると、ほむらはあの冷たい目をまどかに向け、いつものようにじっと見つめた
視線の恐怖から体をビクつかせるまどか
それを見るとほむらはすぐに視線を外し、三人に背を向け歩いて行ってしまった
マミ「ちょ、あ、あなたっ!」
マミ「な、なんなのよ、もうっ」
キュゥべぇ「マミ」
自分をないがしろにされた事に憤慨するマミだったが、キュゥべえの一言に正気に戻る
マミ「あ、う、うん。それじゃ、行きましょうか?」
さやか「……はいっ!」
まどか「……はい」
そうして三人はそれぞれ別々な表情を浮かべ、マミの家へと向かっていった
ほむら「忘れないことね」
さやか「……どーも」
ほむら「……」
まどか「っ!」
さやかとの会話を終えると、ほむらはあの冷たい目をまどかに向け、いつものようにじっと見つめた
視線の恐怖から体をビクつかせるまどか
それを見るとほむらはすぐに視線を外し、三人に背を向け歩いて行ってしまった
マミ「ちょ、あ、あなたっ!」
マミ「な、なんなのよ、もうっ」
キュゥべぇ「マミ」
自分をないがしろにされた事に憤慨するマミだったが、キュゥべえの一言に正気に戻る
マミ「あ、う、うん。それじゃ、行きましょうか?」
さやか「……はいっ!」
まどか「……はい」
そうして三人はそれぞれ別々な表情を浮かべ、マミの家へと向かっていった
85: ◆OkhT76nerU:2011/10/15(土) 02:48:01.15:my1jHTpB0 (13/13)
今日はここまで。お疲れさまでした
もう少し、訂正抑えたほうがいいですかね……全然先に進まない
今日はここまで。お疲れさまでした
もう少し、訂正抑えたほうがいいですかね……全然先に進まない
86:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/15(土) 02:51:09.11:vS/mnWmUo (1/1)
乙乙
加筆は嬉しいが、前スレの続きが気になるから速度も欲しい
あっちが立つとこっちが立たない
取り敢えず、がんばれ
乙乙
加筆は嬉しいが、前スレの続きが気になるから速度も欲しい
あっちが立つとこっちが立たない
取り敢えず、がんばれ
87:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/15(土) 03:10:48.19:IpZDylUy0 (1/1)
お疲れ様です!
2度目でも面白いんでじっくりとやってくださいな!
お疲れ様です!
2度目でも面白いんでじっくりとやってくださいな!
88:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/10/15(土) 03:28:02.80:WCG+UwuAO (1/1)
前スレ見てきた。
このまどかは救済の女神にはなれそうにないなw
前スレ見てきた。
このまどかは救済の女神にはなれそうにないなw
89:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/15(土) 04:03:48.58:cmOSyeaDO (1/1)
>>86
ここは簡単に落ちないんだし急かしてやんなww
絶対完結してくれれば1のペースでいいよ
>>86
ここは簡単に落ちないんだし急かしてやんなww
絶対完結してくれれば1のペースでいいよ
90:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/15(土) 07:22:41.49:iFzH1ZrDO (1/1)
本当に小説版まどかっぽいww
小説版の心理描写は色々と考えさせられたわ
本当に小説版まどかっぽいww
小説版の心理描写は色々と考えさせられたわ
91:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/15(土) 09:58:37.62:YrgdobrDO (1/1)
>>1さんがんばって書ききって
>>1さんがんばって書ききって
92:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/10/15(土) 11:38:59.53:ej+p9YZSo (1/1)
ほむらちゃんマジコミュ障
ほむらちゃんマジコミュ障
93: ◆OkhT76nerU:2011/10/16(日) 01:13:06.67:fbTVdnae0 (1/6)
訂正 >>82 のひとつ前
マミ「こらこら、そんな事いきなり言われても二人とも混乱するでしょう?」
いきなりのキュゥべえのお願いにキョトンとした表情を浮かべる二人
マミはそれに困った笑みを浮かべ、キュゥべえを抱き上げる
キュゥべぇ「そっか……そうだね」
訂正 >>82 のひとつ前
マミ「こらこら、そんな事いきなり言われても二人とも混乱するでしょう?」
いきなりのキュゥべえのお願いにキョトンとした表情を浮かべる二人
マミはそれに困った笑みを浮かべ、キュゥべえを抱き上げる
キュゥべぇ「そっか……そうだね」
94: ◆OkhT76nerU:2011/10/16(日) 02:19:30.07:fbTVdnae0 (2/6)
マミの家
マミ「ここが私の家よ。どうぞ」
マミが二人を自分の家まで案内すると、ニコリと笑い中に招き入れる
さやかは元気に、まどかはオドオドとマミの家に足を踏み入れた
さやか「おじゃましまーすっ!」
まどか「お、おじゃまします……」
マミ「ふふ。いらっしゃい」
マミ「それじゃあちょっと待ってて。今、お茶を用意するわ」
マミ「あ、適当にくつろいでいていいからね?」
そのままリビングまで二人を通すと、マミはそう言い残し、キッチンへと消えていく
リビングに残された二人はマミのお言葉に甘えることにし、ガラスでできた座卓の周りに隣り合う形でこわごわと腰を降ろした
さやか(一人暮らしなのかな……)
キョロキョロと周りを見渡し、綺麗に片づけられているがどこか生活感の抜けている部屋に、さやかはそんな感想を持った
その事についてマミが戻ってきたら聞こうと思ったが、無遠慮とも思い、聞く事をを止める事にする
周りを見渡しながらマミを待つさやかに対し
まどかは、さやかをチラチラと見ながらと、緊張と不安から、基本的に俯いてマミが戻ってくるのを待った
マミの家
マミ「ここが私の家よ。どうぞ」
マミが二人を自分の家まで案内すると、ニコリと笑い中に招き入れる
さやかは元気に、まどかはオドオドとマミの家に足を踏み入れた
さやか「おじゃましまーすっ!」
まどか「お、おじゃまします……」
マミ「ふふ。いらっしゃい」
マミ「それじゃあちょっと待ってて。今、お茶を用意するわ」
マミ「あ、適当にくつろいでいていいからね?」
そのままリビングまで二人を通すと、マミはそう言い残し、キッチンへと消えていく
リビングに残された二人はマミのお言葉に甘えることにし、ガラスでできた座卓の周りに隣り合う形でこわごわと腰を降ろした
さやか(一人暮らしなのかな……)
キョロキョロと周りを見渡し、綺麗に片づけられているがどこか生活感の抜けている部屋に、さやかはそんな感想を持った
その事についてマミが戻ってきたら聞こうと思ったが、無遠慮とも思い、聞く事をを止める事にする
周りを見渡しながらマミを待つさやかに対し
まどかは、さやかをチラチラと見ながらと、緊張と不安から、基本的に俯いてマミが戻ってくるのを待った
95: ◆OkhT76nerU:2011/10/16(日) 02:56:42.91:fbTVdnae0 (3/6)
マミ「お待たせ。口に合うかわからないけど……どうぞ」
紅茶とお茶受けのクッキーををお洒落なトレイの上に用意すると、リビングに戻ってきてそれを二人に配った
さやか「わ……こんな美味しそうなの良いんですかっ?」
マミ「ええ。よければどうぞ」
おいしそうな紅茶と茶菓子に軽く興奮するさやかに、マミは嬉しそうに笑う
さやか「ありがとうございますっ!いただきますっ!」
マミに礼を告げると、早速さやかは紅茶に口を着け、一口いただく
マミは、そんなさやかの姿を少し不安そう見守った
マミ「……どうかしら?」
さやか「ん……おいしいっ!めちゃうまいっすよっ!これっ」
さやかの好評にマミは顔を華やかせる
マミ「そう。ありがとう」
マミ「あ、あなたもどうぞ?」
まどか「あ、は、はい。いた、いただきます」
まどかは不安な面持ちで二人の様子を窺っていたが、まどかもマミの勧めに、紅茶に口を着ける事にする。
まどか「あ……おいしい……」
マミ「よかった」
一口飲んだことで漏れるまどかの言葉に、さやかの時と同様に頬を緩ませた、
マミ「お待たせ。口に合うかわからないけど……どうぞ」
紅茶とお茶受けのクッキーををお洒落なトレイの上に用意すると、リビングに戻ってきてそれを二人に配った
さやか「わ……こんな美味しそうなの良いんですかっ?」
マミ「ええ。よければどうぞ」
おいしそうな紅茶と茶菓子に軽く興奮するさやかに、マミは嬉しそうに笑う
さやか「ありがとうございますっ!いただきますっ!」
マミに礼を告げると、早速さやかは紅茶に口を着け、一口いただく
マミは、そんなさやかの姿を少し不安そう見守った
マミ「……どうかしら?」
さやか「ん……おいしいっ!めちゃうまいっすよっ!これっ」
さやかの好評にマミは顔を華やかせる
マミ「そう。ありがとう」
マミ「あ、あなたもどうぞ?」
まどか「あ、は、はい。いた、いただきます」
まどかは不安な面持ちで二人の様子を窺っていたが、まどかもマミの勧めに、紅茶に口を着ける事にする。
まどか「あ……おいしい……」
マミ「よかった」
一口飲んだことで漏れるまどかの言葉に、さやかの時と同様に頬を緩ませた、
96: ◆OkhT76nerU:2011/10/16(日) 03:18:47.33:fbTVdnae0 (4/6)
マミ「さ、それでさっきの事だったわね」
そう言うと優しい笑みを一転させ、真剣な表情を浮かべるマミ
まどかとさやかの二人はそんなマミの雰囲気の変わりように、つられるように身を正した
マミ「さっきのはね―――――」
そこからマミは自分の事、先程の空間の事、そしてその中にいた異形達について知っていることを説明していく
さやかは熱心に、真剣にその説明を聞いていき、まどかはそんなさやかを横目で見ながら、マミの話を聞いた
マミ「――――――と、私たち魔法少女。そして敵の魔女と使い魔というものは言うのはこんなものよ」
さやか「はぁ……」
さやか「……かなえたい願いをなんでも叶えてくれる、かぁ……」
キュゥべぇ「うん。なんでもだよ」
さやかの呟きに、今まで黙っていたキュウべぇが口をはさんでくる
キュゥべぇ「大好きな人の幸せを願う事も、自分の為に願う事も自由だよ」
キュゥべぇ「どうだい?願いを叶えるために僕と契約してみないかい?」
さやか「……」
まどか「……で、でも、代わりにあの怖いのと戦わなくちゃ、いけないんですよね?」
マミ「……そうね。あれ以上ものと戦わなくちゃいけない時も来るわ」
まどか「……」
マミ「焦ることはないわ。焦って願いを決めたってなにもいい事なんてないもの」
マミ「ゆっくり。本当に願いたい事を考えて、ね?」
マミ「さ、それでさっきの事だったわね」
そう言うと優しい笑みを一転させ、真剣な表情を浮かべるマミ
まどかとさやかの二人はそんなマミの雰囲気の変わりように、つられるように身を正した
マミ「さっきのはね―――――」
そこからマミは自分の事、先程の空間の事、そしてその中にいた異形達について知っていることを説明していく
さやかは熱心に、真剣にその説明を聞いていき、まどかはそんなさやかを横目で見ながら、マミの話を聞いた
マミ「――――――と、私たち魔法少女。そして敵の魔女と使い魔というものは言うのはこんなものよ」
さやか「はぁ……」
さやか「……かなえたい願いをなんでも叶えてくれる、かぁ……」
キュゥべぇ「うん。なんでもだよ」
さやかの呟きに、今まで黙っていたキュウべぇが口をはさんでくる
キュゥべぇ「大好きな人の幸せを願う事も、自分の為に願う事も自由だよ」
キュゥべぇ「どうだい?願いを叶えるために僕と契約してみないかい?」
さやか「……」
まどか「……で、でも、代わりにあの怖いのと戦わなくちゃ、いけないんですよね?」
マミ「……そうね。あれ以上ものと戦わなくちゃいけない時も来るわ」
まどか「……」
マミ「焦ることはないわ。焦って願いを決めたってなにもいい事なんてないもの」
マミ「ゆっくり。本当に願いたい事を考えて、ね?」
97: ◆OkhT76nerU:2011/10/16(日) 03:29:00.80:fbTVdnae0 (5/6)
さやか「……マミさんは魔法少女になってどう思ってるんですか?」
マミ「私?そうね……」
さやかの質問にマミは少し考えるそぶりを見せ、少し虚空を見つめるとさやかに視線を戻す
マミ「後悔してるわ」
さやか「……後悔?」
マミ「……ええ」
マミ「だから、もしあなたたちが魔法少女になるのなら後悔しないようにしてほしいの」
マミ「私のようにじゃなくて、ね」
さやか「……」
さやか「マミさんは一人で戦って辛くないんですか?」
マミ「辛くないといったら嘘になるわ」
マミ「……でも、自分で選んだ事だもの。しっかりやらなくちゃね」
影がある、寂しげな笑顔
さやかはそれを見ると、力強く頷いた
さやか「……あたし、マミさんの手伝いがしたいです」
さやかの決心に、マミはキョトンとし、まどかは驚きを隠せなかった
マミ「え?」
まどか「さやかちゃん!?」
さやか「……マミさんは魔法少女になってどう思ってるんですか?」
マミ「私?そうね……」
さやかの質問にマミは少し考えるそぶりを見せ、少し虚空を見つめるとさやかに視線を戻す
マミ「後悔してるわ」
さやか「……後悔?」
マミ「……ええ」
マミ「だから、もしあなたたちが魔法少女になるのなら後悔しないようにしてほしいの」
マミ「私のようにじゃなくて、ね」
さやか「……」
さやか「マミさんは一人で戦って辛くないんですか?」
マミ「辛くないといったら嘘になるわ」
マミ「……でも、自分で選んだ事だもの。しっかりやらなくちゃね」
影がある、寂しげな笑顔
さやかはそれを見ると、力強く頷いた
さやか「……あたし、マミさんの手伝いがしたいです」
さやかの決心に、マミはキョトンとし、まどかは驚きを隠せなかった
マミ「え?」
まどか「さやかちゃん!?」
98: ◆OkhT76nerU:2011/10/16(日) 03:37:40.40:fbTVdnae0 (6/6)
さやか「助けてくれたマミさんに、恩返ししたいし……」
さやか「それに、一人では辛いんですよね」
マミ「……ええ」
ゆっくりと頷く
さやか「だったらあたし、マミさんを助けたいです」
まどか「さやかちゃんっ危ないんだよ!?死んじゃうかもしれないって……」
さやか「わかってる。でも……」
マミ「……そっか」
マミ「でも、一時の感情に流されるのは良くないわ」
マミ「あなたが思っている以上にこれは辛いことだからね」
さやか「……」
マミ「……そうね。それじゃあ私が今まで体験してきた事話すわ」
マミ「それを聞いて、そして一日考えて、それでもまだ魔法少女になりたいのなら……」
マミ「明日、私の所に来て」
マミ「そこでキュウべえと契約しましょう?」
さやか「助けてくれたマミさんに、恩返ししたいし……」
さやか「それに、一人では辛いんですよね」
マミ「……ええ」
ゆっくりと頷く
さやか「だったらあたし、マミさんを助けたいです」
まどか「さやかちゃんっ危ないんだよ!?死んじゃうかもしれないって……」
さやか「わかってる。でも……」
マミ「……そっか」
マミ「でも、一時の感情に流されるのは良くないわ」
マミ「あなたが思っている以上にこれは辛いことだからね」
さやか「……」
マミ「……そうね。それじゃあ私が今まで体験してきた事話すわ」
マミ「それを聞いて、そして一日考えて、それでもまだ魔法少女になりたいのなら……」
マミ「明日、私の所に来て」
マミ「そこでキュウべえと契約しましょう?」
99:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/10/16(日) 10:31:16.85:MscxFkKno (1/1)
前スレの続きになったら教えてくれ
前スレの続きになったら教えてくれ
100:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/17(月) 13:35:51.25:JGd5IyLDO (1/5)
バックれだけはやめてくれよ
バックれだけはやめてくれよ
101:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/17(月) 20:44:11.70:WczPKLwIO (1/1)
がんばれ
がんばれ
102:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/17(月) 22:48:29.78:jSqIXFR30 (1/1)
>>1よ、今更だが前スレのぶん貼らなくていいよ
まとめサイトもあるんだし、労力とレスの無駄だ
>>1よ、今更だが前スレのぶん貼らなくていいよ
まとめサイトもあるんだし、労力とレスの無駄だ
103:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/17(月) 23:10:01.68:JGd5IyLDO (2/5)
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
104:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/17(月) 23:10:29.92:JGd5IyLDO (3/5)
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/17(月) 23:12:53.40:JGd5IyLDO (4/5)
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
106:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/17(月) 23:13:43.25:JGd5IyLDO (5/5)
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
加筆してるしここで完結するなら一気に読めた方がいいだろ。
てか完結すんのか?不安になってきたわww
107:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/17(月) 23:14:37.90:PbT5mO+to (1/1)
俺はお前が不安だよ
俺はお前が不安だよ
108:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/10/17(月) 23:21:26.64:3VKEtqrvo (1/1)
不安だからって四度も書き込まなくても・・・
>>1頑張れー、完結するなら一年でも二年でも待つよ
不安だからって四度も書き込まなくても・・・
>>1頑張れー、完結するなら一年でも二年でも待つよ
109: ◆OkhT76nerU:2011/10/17(月) 23:49:30.52:YhXh2R7g0 (1/2)
遅れました、ちょっと忙しくて書き込む暇が……
絶対に完結はさせますので安心してください。結末ももう考えてありますので
それではぼちぼちと開始
遅れました、ちょっと忙しくて書き込む暇が……
絶対に完結はさせますので安心してください。結末ももう考えてありますので
それではぼちぼちと開始
110: ◆OkhT76nerU:2011/10/17(月) 23:53:31.42:YhXh2R7g0 (2/2)
キュゥべぇ「……僕は今すぐにでも構わないんだけどね」
マミ「ふふ。急かさないの」
近くにいたキュウべえを抱き抱え、頭を優しく撫でる
キュウべえは気持ち良さそうに目を瞑り、それを受け入れた
マミ「それじゃあどこから話そうかしらね……」
さやか「何でもどんとこいですよっ!」
どこからどう話そうかと迷うマミに、さやかはドンと軽く胸を叩く
マミ「ふふっ……そうね。それじゃあ、私が魔法少女になってからの話を……」
マミはさやかの調子のよい姿に、クスリと笑うと、自分の体験談を話し始めた
辛かった事、悲しかった事。様々な事を
さやかはそれを熱心に目を輝かせて聞き、まどかはマミの話が進むにつれて顔を青ざめさせていった
キュゥべぇ「……僕は今すぐにでも構わないんだけどね」
マミ「ふふ。急かさないの」
近くにいたキュウべえを抱き抱え、頭を優しく撫でる
キュウべえは気持ち良さそうに目を瞑り、それを受け入れた
マミ「それじゃあどこから話そうかしらね……」
さやか「何でもどんとこいですよっ!」
どこからどう話そうかと迷うマミに、さやかはドンと軽く胸を叩く
マミ「ふふっ……そうね。それじゃあ、私が魔法少女になってからの話を……」
マミはさやかの調子のよい姿に、クスリと笑うと、自分の体験談を話し始めた
辛かった事、悲しかった事。様々な事を
さやかはそれを熱心に目を輝かせて聞き、まどかはマミの話が進むにつれて顔を青ざめさせていった
111: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 00:04:35.37:KLXB6A+P0 (1/16)
まどか(さやかちゃん、ホントに魔法少女になるつもりなのかな……)
まどか(この人、こんなに危ない目に会ってて……)
ちらりとマミに視線を移し、すぐに目を伏せ、考えに耽る
まどか(危ない目に合うかもしれないのに……そんなの……)
そしてさやかに視線を移し、その熱心な横顔を盗み見る
まどか(でも……そうだよね。困ってる人がいたら、昔からさやかちゃんは……)
脳裏に映るのは、小さいころの友達もいない自分に手を差し伸べてくれるさやかの姿
そしてさやかは今も変わらず、あの頃のように自分を、皆を助けている
正義のヒーロー
まどかの、ヒーローだった
まどか(……)
まどか(さやかちゃん、ホントに魔法少女になるつもりなのかな……)
まどか(この人、こんなに危ない目に会ってて……)
ちらりとマミに視線を移し、すぐに目を伏せ、考えに耽る
まどか(危ない目に合うかもしれないのに……そんなの……)
そしてさやかに視線を移し、その熱心な横顔を盗み見る
まどか(でも……そうだよね。困ってる人がいたら、昔からさやかちゃんは……)
脳裏に映るのは、小さいころの友達もいない自分に手を差し伸べてくれるさやかの姿
そしてさやかは今も変わらず、あの頃のように自分を、皆を助けている
正義のヒーロー
まどかの、ヒーローだった
まどか(……)
112: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 00:18:06.50:KLXB6A+P0 (2/16)
そんなさやかがまた人をを助けようとしている
目の前の、強く、弱い彼女を
まどかの傍から、離れて
まどか「……っ」
そう思うと、突然まどかに強い焦燥感が襲ってきた
目の前の大好きなさやかが、どこか、遠くへ、自分の手の届かない所へ行ってしまうかもしれないという恐怖にも似た焦燥感が
まどか(そんな話、さやかちゃんに聞かせないでよ……)
まどか(さやかちゃん、そんな話聞いたら……)
そしてその手の届かない場所は、とても危険な場所
その先にさやかが会う困難など、考えたくもなかった
まどか(やめて、やめてよ……さやかちゃんが危ない目に会っちゃう……)
まどか(……やめてよ、さやかちゃんを巻き込まないでよ)
まどか(いきなり出てきてさやかちゃんを取らないでよ)
焦燥感はやがて、そんな危ないところへとさやかを巻き込もうとするの怒りと
時折笑い合い、さやかの尊敬のまなざしを向けられるマミへの嫉妬へと変わっていった
まどか(……さやかちゃんと笑い合わないでよ)
まどか(さやかちゃんと楽しく話さないでよ……)
まどか(いきなり、いきなり出てきて……!)
まどか(……ひとりでやってよ……!)
そんなさやかがまた人をを助けようとしている
目の前の、強く、弱い彼女を
まどかの傍から、離れて
まどか「……っ」
そう思うと、突然まどかに強い焦燥感が襲ってきた
目の前の大好きなさやかが、どこか、遠くへ、自分の手の届かない所へ行ってしまうかもしれないという恐怖にも似た焦燥感が
まどか(そんな話、さやかちゃんに聞かせないでよ……)
まどか(さやかちゃん、そんな話聞いたら……)
そしてその手の届かない場所は、とても危険な場所
その先にさやかが会う困難など、考えたくもなかった
まどか(やめて、やめてよ……さやかちゃんが危ない目に会っちゃう……)
まどか(……やめてよ、さやかちゃんを巻き込まないでよ)
まどか(いきなり出てきてさやかちゃんを取らないでよ)
焦燥感はやがて、そんな危ないところへとさやかを巻き込もうとするの怒りと
時折笑い合い、さやかの尊敬のまなざしを向けられるマミへの嫉妬へと変わっていった
まどか(……さやかちゃんと笑い合わないでよ)
まどか(さやかちゃんと楽しく話さないでよ……)
まどか(いきなり、いきなり出てきて……!)
まどか(……ひとりでやってよ……!)
113: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 00:25:29.62:KLXB6A+P0 (3/16)
「――――か、まどか?」
思考の海に沈んでいたまどかだったが、さやかの心配する声に、現実へと引き上げられる
まどか「え、えっ?」
さやか「どしたまどか?ぼーっとして」
まどか「な、なんでもないっ。なんでもない、よ……」
慌てて首を振る、マミは自分の話にショックを受けたのだと思い、申し訳なさそうに頬を掻いた
マミ「ごめんなさい。ちょっと刺激が強かったかしらね」
まどか「……え、えへへ……」
そんなマミに自分の思いを封じ込め、まどかは愛想笑いを返した
マミ「もうこんな時間だし、お話はこれくらいにしましょうか」
さやか「はいっ!お話あざっした!マミさんっ!」
マミ「ふふっ。いえいえ」
マミ「参考になってくれれば幸いだわ」
マミ「それじゃあね……えと……」
さやか「はい?」
マミ「今更だけど、あなたたちの名前……聞いてなかったわね」
「――――か、まどか?」
思考の海に沈んでいたまどかだったが、さやかの心配する声に、現実へと引き上げられる
まどか「え、えっ?」
さやか「どしたまどか?ぼーっとして」
まどか「な、なんでもないっ。なんでもない、よ……」
慌てて首を振る、マミは自分の話にショックを受けたのだと思い、申し訳なさそうに頬を掻いた
マミ「ごめんなさい。ちょっと刺激が強かったかしらね」
まどか「……え、えへへ……」
そんなマミに自分の思いを封じ込め、まどかは愛想笑いを返した
マミ「もうこんな時間だし、お話はこれくらいにしましょうか」
さやか「はいっ!お話あざっした!マミさんっ!」
マミ「ふふっ。いえいえ」
マミ「参考になってくれれば幸いだわ」
マミ「それじゃあね……えと……」
さやか「はい?」
マミ「今更だけど、あなたたちの名前……聞いてなかったわね」
114: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 00:35:48.11:KLXB6A+P0 (4/16)
さやか「あ、そっか」
さやか「私は美樹さやかですっ!以後お見知りおきをー」
スカートの端を掴み、見えない程度に裾を上げお辞儀をする
マミはそんなさやかにくすくすとほほ笑んだ
マミ「ふふっ。よろしくね。美樹さん」
さやか「それでこっちが……」
手を向け、まどかに挨拶を促すが、まどかはさやかの後ろから上目づかいでマミを見つめるだけだった
さやか「ほら、まどかっ」
まどか「鹿目……まどかです……」
ボソリと自己紹介。そして視線ををマミから外し、目を伏せる
まどかの態度にさやかは頭を掻く
さやか「すいません、人見知りなんです。まどかは……」
マミ「いえいえ。よろしくね、鹿目さん」
にっこりと微笑みかける。だがまどかはマミに視線を合わせようとはしなかった
まどか「……はい」
マミ「それじゃあ私も自己紹介しなくちゃね。私は巴マミ」
マミ「一応あなたたちの先輩よ。よろしくね」
さやか「はいっ!マミさんっ」
まどか「……よろしくお願いします」
マミ「うん。それじゃまたね。美樹さん、鹿目さん」
さやか「はいっ!また明日っ!」
まどか「……また明日……」
そうして一人は元気に、一人は元気なくマミの家を出ていく
マミはそれを笑顔で見送った
さやか「あ、そっか」
さやか「私は美樹さやかですっ!以後お見知りおきをー」
スカートの端を掴み、見えない程度に裾を上げお辞儀をする
マミはそんなさやかにくすくすとほほ笑んだ
マミ「ふふっ。よろしくね。美樹さん」
さやか「それでこっちが……」
手を向け、まどかに挨拶を促すが、まどかはさやかの後ろから上目づかいでマミを見つめるだけだった
さやか「ほら、まどかっ」
まどか「鹿目……まどかです……」
ボソリと自己紹介。そして視線ををマミから外し、目を伏せる
まどかの態度にさやかは頭を掻く
さやか「すいません、人見知りなんです。まどかは……」
マミ「いえいえ。よろしくね、鹿目さん」
にっこりと微笑みかける。だがまどかはマミに視線を合わせようとはしなかった
まどか「……はい」
マミ「それじゃあ私も自己紹介しなくちゃね。私は巴マミ」
マミ「一応あなたたちの先輩よ。よろしくね」
さやか「はいっ!マミさんっ」
まどか「……よろしくお願いします」
マミ「うん。それじゃまたね。美樹さん、鹿目さん」
さやか「はいっ!また明日っ!」
まどか「……また明日……」
そうして一人は元気に、一人は元気なくマミの家を出ていく
マミはそれを笑顔で見送った
115: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 00:40:32.43:KLXB6A+P0 (5/16)
一人、いつもの静かな家に残されたマミは、笑顔を崩し、寂しさに目を細める
そこにリビングで寝ていたキュウべぇがやってきてマミの隣に座った
キュゥべぇ「意外だね。マミなら、もっとあの二人を勧誘するかと思ったけど」
マミ「……どうして?」
キュゥべぇ「毎日寂しい寂しい言ってたじゃないか」
マミ「あ、あれは……ほ、ほっといてよ……」
マミ「……」
マミ「確かに寂しいけど……辛い思いをさせてしまうのは嫌だもの」
キュゥべぇ「そうかい。優しいね。マミは」
マミ「……ありがと」
キュゥべぇ「……」
一人、いつもの静かな家に残されたマミは、笑顔を崩し、寂しさに目を細める
そこにリビングで寝ていたキュウべぇがやってきてマミの隣に座った
キュゥべぇ「意外だね。マミなら、もっとあの二人を勧誘するかと思ったけど」
マミ「……どうして?」
キュゥべぇ「毎日寂しい寂しい言ってたじゃないか」
マミ「あ、あれは……ほ、ほっといてよ……」
マミ「……」
マミ「確かに寂しいけど……辛い思いをさせてしまうのは嫌だもの」
キュゥべぇ「そうかい。優しいね。マミは」
マミ「……ありがと」
キュゥべぇ「……」
116: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 01:00:44.19:KLXB6A+P0 (6/16)
――――――――――――
マミの家を出たさやかは、意気揚々と。まどかは意気消沈した様子で帰り路に着いていた
さやか「やっぱりマミさんは凄いね……昔からあんな事してたなんて」
まどか「……」
さやか「助けてあげたいな……あんなにいい人なんだし!」
まどか「……」
さやか「……まどか、聞いてんの?」
反応のないまどかにさやかは顔を覗きこませる
そこでまどかはピタリと立ち止り、不安に揺れる瞳をさやかに向けた
まどか「ねえ、さやかちゃん……」
さやか「……ん?」
まどか「……本当に魔法少女になるつもりなの?」
さやかはまどかの瞳から言わんとする事をすぐに読み取る
さやか「まぁ、ね……やっぱりまどかは反対?」
まどか「当然だよっ!だってさやかちゃんが危ない目にあうかもしれないんだよっ!」
まどか「そんなの……私……!」
さやか「……ホントにまどかは優しいね」
俯き、感情の高ぶりから目に涙をためるまどかを、優しく撫で、安心させるようにニッコリと笑いかける
さやか「大丈夫っ!私は危ない目になんか合わないよっ!」
――――――――――――
マミの家を出たさやかは、意気揚々と。まどかは意気消沈した様子で帰り路に着いていた
さやか「やっぱりマミさんは凄いね……昔からあんな事してたなんて」
まどか「……」
さやか「助けてあげたいな……あんなにいい人なんだし!」
まどか「……」
さやか「……まどか、聞いてんの?」
反応のないまどかにさやかは顔を覗きこませる
そこでまどかはピタリと立ち止り、不安に揺れる瞳をさやかに向けた
まどか「ねえ、さやかちゃん……」
さやか「……ん?」
まどか「……本当に魔法少女になるつもりなの?」
さやかはまどかの瞳から言わんとする事をすぐに読み取る
さやか「まぁ、ね……やっぱりまどかは反対?」
まどか「当然だよっ!だってさやかちゃんが危ない目にあうかもしれないんだよっ!」
まどか「そんなの……私……!」
さやか「……ホントにまどかは優しいね」
俯き、感情の高ぶりから目に涙をためるまどかを、優しく撫で、安心させるようにニッコリと笑いかける
さやか「大丈夫っ!私は危ない目になんか合わないよっ!」
117: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 01:13:05.56:KLXB6A+P0 (7/16)
さやか「百戦錬磨のさやかちゃんですよ?不覚をとるわけないじゃん!」
ドンと胸を叩く。だがまどかはさやかの自分を安心させようという意図を理解していて、ただ、顔を俯かせた
さやか「……」
さやか「……それにきっと危なくなったらさ、マミさんが助けてくれるよ」
さやかがもうひと押しと掛けた、マミ、という言葉に、まどかは体をぴくりと反応させる
さやか「だから、さ」
まどか「……さやかちゃんがなるなら、私がなる」
まどか「さやかちゃんの代わりに私が、マミさんを助けるっ」
さやか「ダメ」
まどか「……っどうして……」
さやか「危ないし……それに、私が、マミさんを助けたいんだ」
まどか「……」
さやか「大丈夫だから。まどかは絶対に魔法少女になっちゃ駄目だからね?」
まどか「さやかちゃん……!」
さやか「百戦錬磨のさやかちゃんですよ?不覚をとるわけないじゃん!」
ドンと胸を叩く。だがまどかはさやかの自分を安心させようという意図を理解していて、ただ、顔を俯かせた
さやか「……」
さやか「……それにきっと危なくなったらさ、マミさんが助けてくれるよ」
さやかがもうひと押しと掛けた、マミ、という言葉に、まどかは体をぴくりと反応させる
さやか「だから、さ」
まどか「……さやかちゃんがなるなら、私がなる」
まどか「さやかちゃんの代わりに私が、マミさんを助けるっ」
さやか「ダメ」
まどか「……っどうして……」
さやか「危ないし……それに、私が、マミさんを助けたいんだ」
まどか「……」
さやか「大丈夫だから。まどかは絶対に魔法少女になっちゃ駄目だからね?」
まどか「さやかちゃん……!」
118: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 01:53:15.20:KLXB6A+P0 (8/16)
さやか「……まどかの家そっちでしょ?バイバイだよ。まどか」
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやかは自分の家とまどかの家のわかれ道まで来ると、足を止め、さよならを告げる
まどかは考えを変えようとしないさやかに大きな声を出すが、さやかは動ずることはなかった
それどころか、まどかに釘をさす
さやか「まどか。さっきの魔法少女の事、約束ね」
さやか「破ったら、まどかの事嫌いになっちゃうからね」
そのさやかの言葉にまどかは怯み、俯く
まどか「……ぅ……」
さやか「じゃあね、まどか。また明日」
まどか「さやかちゃんっ!」
そしてついにさやかは、まどかに背を向け歩いて行ってしまった
まどか「あ……」
まどか「……」
まどか「さやかちゃん……なんで、あの人なんかの為に……」
まどか「さやかちゃん……」
まどかは一人、さやかの後ろ姿を見送りながら、さやかの心配と、マミへの嫉妬に心を焦がさせた
さやか「……まどかの家そっちでしょ?バイバイだよ。まどか」
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやかは自分の家とまどかの家のわかれ道まで来ると、足を止め、さよならを告げる
まどかは考えを変えようとしないさやかに大きな声を出すが、さやかは動ずることはなかった
それどころか、まどかに釘をさす
さやか「まどか。さっきの魔法少女の事、約束ね」
さやか「破ったら、まどかの事嫌いになっちゃうからね」
そのさやかの言葉にまどかは怯み、俯く
まどか「……ぅ……」
さやか「じゃあね、まどか。また明日」
まどか「さやかちゃんっ!」
そしてついにさやかは、まどかに背を向け歩いて行ってしまった
まどか「あ……」
まどか「……」
まどか「さやかちゃん……なんで、あの人なんかの為に……」
まどか「さやかちゃん……」
まどかは一人、さやかの後ろ姿を見送りながら、さやかの心配と、マミへの嫉妬に心を焦がさせた
119: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 02:05:31.08:KLXB6A+P0 (9/16)
――――――――
その後、まどかは自宅へと戻ると
親たちの心配の声を背中に、自分の部屋に直行する
まどか「……さやかちゃん」
ベッドの上に飛び込むように寝転がると、枕元にあるさやかの写真をぎゅっと抱きしめ、呟く
まどか「……なんで……」
「まったくだよね」
まどか「っ!」
突然の声にまどかはベッドから身を起こし、周りを焦って見渡す
すると、人形の中に紛れるキュウべえの姿が目に入ってきた
キュゥべぇ「やぁ、まどか。こんばんわ」
まどか「キュゥべぇっ!?ど、どうしてここに……」
キュゥべぇ「まぁいいじゃないか。それより……」
キュゥべぇ「美樹さやかが心配かい?」
まどか「え……」
キュウべえの言葉に焦りの表情から、驚きの表情へと変える
キュウべえはそんなまどかの顔を、くりくりとして、無感情な瞳に収めるとゆっくりと言葉を続ける
キュゥべぇ「心配だよね。二つの意味で」
まどか「な、なに……」
キュゥべぇ「魔女と戦う事と、そして……」
キュゥべぇ「マミにさやかが取られてしまう事」
――――――――
その後、まどかは自宅へと戻ると
親たちの心配の声を背中に、自分の部屋に直行する
まどか「……さやかちゃん」
ベッドの上に飛び込むように寝転がると、枕元にあるさやかの写真をぎゅっと抱きしめ、呟く
まどか「……なんで……」
「まったくだよね」
まどか「っ!」
突然の声にまどかはベッドから身を起こし、周りを焦って見渡す
すると、人形の中に紛れるキュウべえの姿が目に入ってきた
キュゥべぇ「やぁ、まどか。こんばんわ」
まどか「キュゥべぇっ!?ど、どうしてここに……」
キュゥべぇ「まぁいいじゃないか。それより……」
キュゥべぇ「美樹さやかが心配かい?」
まどか「え……」
キュウべえの言葉に焦りの表情から、驚きの表情へと変える
キュウべえはそんなまどかの顔を、くりくりとして、無感情な瞳に収めるとゆっくりと言葉を続ける
キュゥべぇ「心配だよね。二つの意味で」
まどか「な、なに……」
キュゥべぇ「魔女と戦う事と、そして……」
キュゥべぇ「マミにさやかが取られてしまう事」
120: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 02:19:55.90:KLXB6A+P0 (10/16)
会って間もないキュウべえに図星を突かれた事に、まどかは言葉を失う
キュゥべぇ「僕の見たところ、さやかは相当マミに肩入れしている」
キュゥべぇ「そしてマミも然りだ」
キュゥべぇ「このままでは、さやかは確実に契約して、マミの元へ行くだろう」
キュゥべぇ「そしてマミもそれを受け入れる」
キュゥべぇ「結果、君は一人ぼっちになるね」
まどか「……あ」
キュゥべぇ「嫌かい?」
まどか「……」
少しの間の後、まどかは迷いなく頷いた
それにキュウべえも満足そうに頷く
キュゥべぇ「なら、そうなる前に君が、魔法少女になってさやかの代わりにマミの元へ行けばいい」
キュゥべぇ「そうすれば、君の想定する事態は防げると思うよ?」
キュゥべぇ「どうだい?良い話だろう?」
会って間もないキュウべえに図星を突かれた事に、まどかは言葉を失う
キュゥべぇ「僕の見たところ、さやかは相当マミに肩入れしている」
キュゥべぇ「そしてマミも然りだ」
キュゥべぇ「このままでは、さやかは確実に契約して、マミの元へ行くだろう」
キュゥべぇ「そしてマミもそれを受け入れる」
キュゥべぇ「結果、君は一人ぼっちになるね」
まどか「……あ」
キュゥべぇ「嫌かい?」
まどか「……」
少しの間の後、まどかは迷いなく頷いた
それにキュウべえも満足そうに頷く
キュゥべぇ「なら、そうなる前に君が、魔法少女になってさやかの代わりにマミの元へ行けばいい」
キュゥべぇ「そうすれば、君の想定する事態は防げると思うよ?」
キュゥべぇ「どうだい?良い話だろう?」
121: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 02:28:56.85:KLXB6A+P0 (11/16)
まどか「……うん」
まどか「私……まほ」
キュウべえの契約への勧誘に、まどかは魔法少女になる決心をし、その首を縦に振ろうとした時
『嫌いになっちゃうからね』
さやかの先程の言葉が頭に響く
まどか「っ!」
まどか「……私……」
大好きなさやかに嫌われる。それはまどかの決心をゆるがせるには、十分な要素だった
戸惑うまどかをジッと見つめキュウべえは、首を捻る
キュゥべぇ「……なにか迷いがあるみたいだね」
キュゥべぇ「迷うのは良いけど……早く決めた方が良いと思うよ」
キュゥべぇ「時間はあんまりないんだから」
まどか「……」
キュゥべぇ「……今日はここまでにしようか」
キュゥべぇ「僕はいったん消えるよ。でも契約したくなったらすぐに呼んでね」
キュゥべぇ「すぐに駆けつけるから」
まどか「……うん」
まどか「私……まほ」
キュウべえの契約への勧誘に、まどかは魔法少女になる決心をし、その首を縦に振ろうとした時
『嫌いになっちゃうからね』
さやかの先程の言葉が頭に響く
まどか「っ!」
まどか「……私……」
大好きなさやかに嫌われる。それはまどかの決心をゆるがせるには、十分な要素だった
戸惑うまどかをジッと見つめキュウべえは、首を捻る
キュゥべぇ「……なにか迷いがあるみたいだね」
キュゥべぇ「迷うのは良いけど……早く決めた方が良いと思うよ」
キュゥべぇ「時間はあんまりないんだから」
まどか「……」
キュゥべぇ「……今日はここまでにしようか」
キュゥべぇ「僕はいったん消えるよ。でも契約したくなったらすぐに呼んでね」
キュゥべぇ「すぐに駆けつけるから」
122: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 02:33:09.73:KLXB6A+P0 (12/16)
まどか「キュ、キュゥべぇっ」
キュゥべぇ「じゃあね。まどか」
そう言ってキュウべえは闇へと消えていった
まどか「あ……」
まどか「行っちゃった……」
まどか「……」
まどか「私、どうしたら……」
まどか「……さやかちゃん……」
まどかは写真を強く抱きしめ、その写真に映る人を強く想った
そうして、まどかの迷いと苦しみの夜は更けていく
まどか「キュ、キュゥべぇっ」
キュゥべぇ「じゃあね。まどか」
そう言ってキュウべえは闇へと消えていった
まどか「あ……」
まどか「行っちゃった……」
まどか「……」
まどか「私、どうしたら……」
まどか「……さやかちゃん……」
まどかは写真を強く抱きしめ、その写真に映る人を強く想った
そうして、まどかの迷いと苦しみの夜は更けていく
123: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 02:42:57.34:KLXB6A+P0 (13/16)
公園
まどかの勧誘の後、キュウべえは公園まで歩き出て電柱の下でひとりごちていた
キュゥべぇ「これでまどかが契約しないなんてね……意外だね」
キュゥべぇ「そう思うだろう?君も」
そう言うと背後を振り返り、誰もいない筈の空間に声を掛けた
そこで現れる黒い影。魔法少女の姿をしたほむらが、闇の中から姿を見せる
ほむら「……」
キュゥべぇ「ずっと窓の外から見ていたようだけど……良い趣味してるじゃないか」
ほむら「……」
キュゥべぇ「どうしてそこまで、あの子、まどかに肩入れするんだい?」
キュゥべぇ「君とはほとんど関係ないじゃないか」
ほむら「……」
キュゥべぇ「変な子だね。契約した覚えもないというのに、魔法少女になっているし」
キュゥべぇ「話も通じない。君は」
ほむら「もう話は終わったかしら」
キュウべえ「ま」
うざったそうにほむらは髪を掻き上げる
そして次の瞬間、キュウべえは四肢をバラバラに引き裂かれ地面に転がっていた
ほむら「……まどか」
呟く少女の名。その名を呼ぶ声は、愛しさと、悲しみに満ちていた
公園
まどかの勧誘の後、キュウべえは公園まで歩き出て電柱の下でひとりごちていた
キュゥべぇ「これでまどかが契約しないなんてね……意外だね」
キュゥべぇ「そう思うだろう?君も」
そう言うと背後を振り返り、誰もいない筈の空間に声を掛けた
そこで現れる黒い影。魔法少女の姿をしたほむらが、闇の中から姿を見せる
ほむら「……」
キュゥべぇ「ずっと窓の外から見ていたようだけど……良い趣味してるじゃないか」
ほむら「……」
キュゥべぇ「どうしてそこまで、あの子、まどかに肩入れするんだい?」
キュゥべぇ「君とはほとんど関係ないじゃないか」
ほむら「……」
キュゥべぇ「変な子だね。契約した覚えもないというのに、魔法少女になっているし」
キュゥべぇ「話も通じない。君は」
ほむら「もう話は終わったかしら」
キュウべえ「ま」
うざったそうにほむらは髪を掻き上げる
そして次の瞬間、キュウべえは四肢をバラバラに引き裂かれ地面に転がっていた
ほむら「……まどか」
呟く少女の名。その名を呼ぶ声は、愛しさと、悲しみに満ちていた
124: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 02:46:51.60:KLXB6A+P0 (14/16)
今日はここまで。お疲れさまでした
進まない……
アンケートなんですが
今までのように地の文ありありで修正した方がいいでしょうか?
それとも地の文を極力少なくしてスピード重視した方がいいでしょうか?
意見をくれると嬉しいです
今日はここまで。お疲れさまでした
進まない……
アンケートなんですが
今までのように地の文ありありで修正した方がいいでしょうか?
それとも地の文を極力少なくしてスピード重視した方がいいでしょうか?
意見をくれると嬉しいです
125:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/18(火) 02:53:57.16:OV+FNeRRo (1/1)
読み直すにはちょうどいいから有りで良いかと
負担にならない程度で
読み直すにはちょうどいいから有りで良いかと
負担にならない程度で
126:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/18(火) 03:14:29.15:yzKVrvVmo (1/1)
地の文足すのに時間どんだけかかるかですね~
はやく続きを読みたくもあるんで。
地の文が増えること自体は描写がわかりやすくなるんでありがたいかなー
地の文足すのに時間どんだけかかるかですね~
はやく続きを読みたくもあるんで。
地の文が増えること自体は描写がわかりやすくなるんでありがたいかなー
127:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/18(火) 03:16:05.48:SNuhQdwgo (1/1)
好きなようにするべき
好きなようにするべき
128:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/18(火) 06:16:55.98:9L9W5snNo (1/1)
乙~
スピードより、修正重視の方が嬉しいなって。落ちることはないんだし、ゆっくり待ってる
乙~
スピードより、修正重視の方が嬉しいなって。落ちることはないんだし、ゆっくり待ってる
129:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/18(火) 06:19:30.45:LzooBpMDO (1/2)
絶対に完結させる気があれば極端な話読者無視で書きたいように書けばいい。
途中バックれが何より怖い。
それさえしなきゃ加筆は歓迎。
絶対に完結させる気があれば極端な話読者無視で書きたいように書けばいい。
途中バックれが何より怖い。
それさえしなきゃ加筆は歓迎。
130:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/18(火) 06:21:38.99:LzooBpMDO (2/2)
すまん>>109見てなかった。
なら安心だ、加筆が必要なら悔いのないよう満足するものを書いてくれ。
続き期待
すまん>>109見てなかった。
なら安心だ、加筆が必要なら悔いのないよう満足するものを書いてくれ。
続き期待
131:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/18(火) 08:01:20.29:3wfXTboDO (1/1)
SS速報だしゆっくりとやっていていいと思う
SS速報だしゆっくりとやっていていいと思う
132: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 23:35:14.54:KLXB6A+P0 (15/16)
翌日 通学路
さやかの事、そして魔法少女のなるか否かに悩み続け、結局一睡もできなかったまどかだったが、
深いクマを作りながらも重い足を引きずって学校へと向かう
まどか(眠い……)
落ちてくる瞼を擦り、歩を進める。そして行く先のいつもの場所に、まどかの一番大切な人とその友人の姿を見つけた
さやか「よ、おはよう。まどか」
仁美「おはようございます。まどかさん」
二人共にいつもの様子でまどかに声を掛ける。
二人の様子にまどかは、自分だけがこんなに気分を落ち込ませている事を馬鹿らしく感じてしまう
まどか「……おはよう」
さやか「……なんだ?元気ないぞぉ?笑ってた方が我が嫁は可愛いんだぞぉー!」
元気のないまどかを見ると、さやかは後ろから優しく抱きしめ、まどかの頬に頬擦りした
まどか「さ、さやか、ちゃん……」
さやかの急な接近と温もりに、まどかは頬を真っ赤に染め、視線をあちらこちらと揺らす
そんな二人に仁美は頬に手を当て、微笑む
仁美「やっぱり仲がおよろしいですわね。お二人とも」
さやか「そりゃそうさっ!夫婦は仲良くしなくちゃねっ!」
さやか「まどかー!愛してるぞー!」
まどか「わ、わっ」
仁美の感心とした言葉に、さやかはまどかを抱きしめる力を強め、その体を更に密着させる
まどかは好きな人ととの体の密着に更にあわあわとうろたえた
仁美「ええぞ!ええぞ!(あらあら)」
さやか「え?」
仁美「な、なんでもありませんわっ」
大ハッスルの仁美であった
翌日 通学路
さやかの事、そして魔法少女のなるか否かに悩み続け、結局一睡もできなかったまどかだったが、
深いクマを作りながらも重い足を引きずって学校へと向かう
まどか(眠い……)
落ちてくる瞼を擦り、歩を進める。そして行く先のいつもの場所に、まどかの一番大切な人とその友人の姿を見つけた
さやか「よ、おはよう。まどか」
仁美「おはようございます。まどかさん」
二人共にいつもの様子でまどかに声を掛ける。
二人の様子にまどかは、自分だけがこんなに気分を落ち込ませている事を馬鹿らしく感じてしまう
まどか「……おはよう」
さやか「……なんだ?元気ないぞぉ?笑ってた方が我が嫁は可愛いんだぞぉー!」
元気のないまどかを見ると、さやかは後ろから優しく抱きしめ、まどかの頬に頬擦りした
まどか「さ、さやか、ちゃん……」
さやかの急な接近と温もりに、まどかは頬を真っ赤に染め、視線をあちらこちらと揺らす
そんな二人に仁美は頬に手を当て、微笑む
仁美「やっぱり仲がおよろしいですわね。お二人とも」
さやか「そりゃそうさっ!夫婦は仲良くしなくちゃねっ!」
さやか「まどかー!愛してるぞー!」
まどか「わ、わっ」
仁美の感心とした言葉に、さやかはまどかを抱きしめる力を強め、その体を更に密着させる
まどかは好きな人ととの体の密着に更にあわあわとうろたえた
仁美「ええぞ!ええぞ!(あらあら)」
さやか「え?」
仁美「な、なんでもありませんわっ」
大ハッスルの仁美であった
133: ◆OkhT76nerU:2011/10/18(火) 23:49:26.56:KLXB6A+P0 (16/16)
登校も半ばという頃、まどかは我慢できず、仁美がいるというのにさやかに思いつめた様子で話しかけた
仁美はいつものまどかとは違う様子にその様子を横から窺う
まどか「……ねぇ、さやかちゃん」
さやか「ん?どした?」
まどか「……今日、本当にマミさんの所に行くの?」
さやか「うん。恭介の所に行ってから行くつもりだよ」
まどか「上条君……?」
さやか「昨日行ってないからね。その後に」
まどか「……そっか……」
さやかはまどかの質問に迷うことなく頷き、聞きたくもない、上条という言葉を吐きだす
まどかはそれに深く気を落ち込ませたが、何とか言葉を続ける
まどか「……マミさんの所に行くのやめた方が良いよ」
まどか「……やっぱり危ないもん。行ったら、さやかちゃん」
登校も半ばという頃、まどかは我慢できず、仁美がいるというのにさやかに思いつめた様子で話しかけた
仁美はいつものまどかとは違う様子にその様子を横から窺う
まどか「……ねぇ、さやかちゃん」
さやか「ん?どした?」
まどか「……今日、本当にマミさんの所に行くの?」
さやか「うん。恭介の所に行ってから行くつもりだよ」
まどか「上条君……?」
さやか「昨日行ってないからね。その後に」
まどか「……そっか……」
さやかはまどかの質問に迷うことなく頷き、聞きたくもない、上条という言葉を吐きだす
まどかはそれに深く気を落ち込ませたが、何とか言葉を続ける
まどか「……マミさんの所に行くのやめた方が良いよ」
まどか「……やっぱり危ないもん。行ったら、さやかちゃん」
134: ◆OkhT76nerU:2011/10/19(水) 00:23:13.73:97Hl0HMr0 (1/14)
まどか「だからやめよ?ね?」
懇願するまどかの瞳
さやかはそれに申し訳なくは思ったが、自分の決心を揺らがせる事はなかった
さやか「……ごめん。まどか」
さやか「一晩考えたけど、やっぱりマミさんの事助けたいんだ」
さやか「……絶対に怪我しないからっ!」
さやか「だからわかってよ。まどか」
優しくさやかはまどかに笑いかける
だがまどかは、さやかのお願いに頷く事はなく、ただ顔を俯かせるだけだった
さやか「まどか……」
ただならぬ二人の様子に心配になった仁美が、恐る恐ると声を掛ける
仁美「……なんの話ですの?」
心配に二人の間に割って入ってきた仁美にさやかはごまかそうとあいまいな笑みを浮かべ、首を振る
さやか「んーん。なんでもないよっ」
さやか「ただの夫婦の会話だよーん」
仁美「そう、ですの?」
さやかの意図をなんとなしに感じ取った仁美は、納得はせずともゆっくりと頷いた
さやか「そうそうっ!あ、やばいっ学校遅れちゃうよっ!」
さやか「さぁさぁ急ごう急ごう!」
自分の意図を感じ取ってくれた仁美に感謝しつつ、さやかは学校へと走り出す
仁美「あっ、待ってくださいっ!さやかさんっ!」
まどか「……」
仁美もさやかに追走するが、まどかはその場に立ち尽くしたままだった
まどか「だからやめよ?ね?」
懇願するまどかの瞳
さやかはそれに申し訳なくは思ったが、自分の決心を揺らがせる事はなかった
さやか「……ごめん。まどか」
さやか「一晩考えたけど、やっぱりマミさんの事助けたいんだ」
さやか「……絶対に怪我しないからっ!」
さやか「だからわかってよ。まどか」
優しくさやかはまどかに笑いかける
だがまどかは、さやかのお願いに頷く事はなく、ただ顔を俯かせるだけだった
さやか「まどか……」
ただならぬ二人の様子に心配になった仁美が、恐る恐ると声を掛ける
仁美「……なんの話ですの?」
心配に二人の間に割って入ってきた仁美にさやかはごまかそうとあいまいな笑みを浮かべ、首を振る
さやか「んーん。なんでもないよっ」
さやか「ただの夫婦の会話だよーん」
仁美「そう、ですの?」
さやかの意図をなんとなしに感じ取った仁美は、納得はせずともゆっくりと頷いた
さやか「そうそうっ!あ、やばいっ学校遅れちゃうよっ!」
さやか「さぁさぁ急ごう急ごう!」
自分の意図を感じ取ってくれた仁美に感謝しつつ、さやかは学校へと走り出す
仁美「あっ、待ってくださいっ!さやかさんっ!」
まどか「……」
仁美もさやかに追走するが、まどかはその場に立ち尽くしたままだった
135: ◆OkhT76nerU:2011/10/19(水) 01:21:29.52:97Hl0HMr0 (2/14)
そこでまたまどかはドロドロとした思考の海に溺れ始める
まどか(やっぱりさやかちゃん……魔法少女に……)
さやかの真剣なあの瞳
まどかはさやかが一度決めた事は絶対に止めない、揺るがない頑固さを持っている事知っていた
でも、だからこそ、さやかを止めたかった
まどか(危ないのに……死んじゃうかもしれないのに……)
まどか(どうして……)
足元から這い上がり、心臓を握るような不安に、まどかの心は不安定になっていく
まどか(……一緒にいてよ……行っちゃやだよ……)
そして浮かびあがる、さやかと笑い合う彼女の顔
その笑顔に忌々しいという思いがまどかの心を駆け巡る
まどか(……あの人のせいだ)
まどか(あの人さえいなかったら……さやかちゃんは……)
まどか(なんででてきたの)
まどか(いなくなってよ……)
まどか(……マミさん)
ジュクジュクと沸き上がるマミへの嫌悪感
その感情は段々とエスカレートしていき、遂にはその存在をもまどかは消えて欲しいと願ってしまった
さやか「ん、まどかーっ!どうしたー?置いてくぞー?」
そこでさやかがまどかが走ってきていない事に気付き、立ち尽くすまどかに声を掛ける
まどか「……今行くよ」
その声に、嵌っていくドロドロとしたとした暗い思考かの海からまどかは立ち戻り、ゆっくりとさやかたちの元に走り始める
暗い思考から離れられたものの、マミに対するまどかの一方的な悪感情は膨れ上がるばかりだった
そこでまたまどかはドロドロとした思考の海に溺れ始める
まどか(やっぱりさやかちゃん……魔法少女に……)
さやかの真剣なあの瞳
まどかはさやかが一度決めた事は絶対に止めない、揺るがない頑固さを持っている事知っていた
でも、だからこそ、さやかを止めたかった
まどか(危ないのに……死んじゃうかもしれないのに……)
まどか(どうして……)
足元から這い上がり、心臓を握るような不安に、まどかの心は不安定になっていく
まどか(……一緒にいてよ……行っちゃやだよ……)
そして浮かびあがる、さやかと笑い合う彼女の顔
その笑顔に忌々しいという思いがまどかの心を駆け巡る
まどか(……あの人のせいだ)
まどか(あの人さえいなかったら……さやかちゃんは……)
まどか(なんででてきたの)
まどか(いなくなってよ……)
まどか(……マミさん)
ジュクジュクと沸き上がるマミへの嫌悪感
その感情は段々とエスカレートしていき、遂にはその存在をもまどかは消えて欲しいと願ってしまった
さやか「ん、まどかーっ!どうしたー?置いてくぞー?」
そこでさやかがまどかが走ってきていない事に気付き、立ち尽くすまどかに声を掛ける
まどか「……今行くよ」
その声に、嵌っていくドロドロとしたとした暗い思考かの海からまどかは立ち戻り、ゆっくりとさやかたちの元に走り始める
暗い思考から離れられたものの、マミに対するまどかの一方的な悪感情は膨れ上がるばかりだった
136:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方):2011/10/19(水) 09:53:18.32:xDpddQKBo (1/1)
乙っちまどまど
乙っちまどまど
137:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/19(水) 10:04:12.74:G+piHdXqo (1/1)
乙乙
vipの時でどのくらい終わってるのかな?
もう終盤に入ってるの?
それともまだ中盤?
ちょっと削れば入るかもって言ってたから、そんなに終わりまで遠くないと思うんだけど
乙乙
vipの時でどのくらい終わってるのかな?
もう終盤に入ってるの?
それともまだ中盤?
ちょっと削れば入るかもって言ってたから、そんなに終わりまで遠くないと思うんだけど
138: ◆OkhT76nerU:2011/10/19(水) 15:48:28.47:97Hl0HMr0 (3/14)
>>137
vipでは大体7~8割くらいでしたね
でもNIPに来たんですからちょっと書いてみたいことをやってみようと思ってます
ですからもうちょっと伸びるんじゃないかなーと
>>137
vipでは大体7~8割くらいでしたね
でもNIPに来たんですからちょっと書いてみたいことをやってみようと思ってます
ですからもうちょっと伸びるんじゃないかなーと
139: ◆OkhT76nerU:2011/10/19(水) 16:26:28.42:97Hl0HMr0 (4/14)
放課後
一日の授業が終わると、さやかは早々に荷物をまとめ、席を立つ
さやか「それじゃあ行ってくるかなーっと」
まどか「……行くの?」
まどかはすぐにさやかに近づき、心配そうにじっとさやかの顔を見つめた
さやか「うん。だからまどかは先に帰ってて」
そんなまどかにニコ、と笑いかけるさやか
まどかはその笑顔に、俯き、さやかの制服の裾を掴むことで応えた
まどか「……私もマミさんの所に行く」
さやか「でも、まどか……」
まどか「行くのっ!!」
さやか「う……」
顔を勢い良く上げ、真剣な目でさやかを見つめる
そんなまどかの今まで見た事のない剣幕に、気圧されてしまう
まどか「さやかちゃんの事心配なのっ!だからっ……だから……」
さやか「……」
自分を心配してくれて、こんなに必死になってくれるまどかに
呆れ半分、嬉しさ半分の溜息を吐く
さやか「……わかったよ。でもまどかは絶対契約しちゃ駄目だからね?」
さやか「約束したんだから」
まどか「……うん」
放課後
一日の授業が終わると、さやかは早々に荷物をまとめ、席を立つ
さやか「それじゃあ行ってくるかなーっと」
まどか「……行くの?」
まどかはすぐにさやかに近づき、心配そうにじっとさやかの顔を見つめた
さやか「うん。だからまどかは先に帰ってて」
そんなまどかにニコ、と笑いかけるさやか
まどかはその笑顔に、俯き、さやかの制服の裾を掴むことで応えた
まどか「……私もマミさんの所に行く」
さやか「でも、まどか……」
まどか「行くのっ!!」
さやか「う……」
顔を勢い良く上げ、真剣な目でさやかを見つめる
そんなまどかの今まで見た事のない剣幕に、気圧されてしまう
まどか「さやかちゃんの事心配なのっ!だからっ……だから……」
さやか「……」
自分を心配してくれて、こんなに必死になってくれるまどかに
呆れ半分、嬉しさ半分の溜息を吐く
さやか「……わかったよ。でもまどかは絶対契約しちゃ駄目だからね?」
さやか「約束したんだから」
まどか「……うん」
140: ◆OkhT76nerU:2011/10/19(水) 17:01:28.01:97Hl0HMr0 (5/14)
仁美に別れを告げ、教室を出た二人は学校の玄関まで移動していた
先に靴を上履から下足に履き替えると、さやかはまどかに振り返った
さやか「それじゃあ先にマミさんの所行ってて。あたし、先に恭介の所行ってくるから」
さやか「待ち合わせ場所は解るよね?」
まどか「……うん」
昨日マミの教えて貰った場所を頭に浮かべ、微かに首を縦に振るまどか
そんなまどかにさやかは再び釘をさす
さやか「あ、先に着いたらからって、契約しちゃ駄目だからね?」
まどか「……うん」
さやか「じゃあ、後でね。まどか」
まどかのもう一度の首是を見ると、さやかは満足そうに頷き、まどかを背に走って行く
まどかは寂しさと、さやかが向かう相手への嫉妬に心をざわめかせながら、その姿を見送った
まどか「……さやかちゃん……」
「ちょっといいかしら」
そこで後ろから掛かる、冷たい声
まどか「っ!……あ」
まどか「暁美……さん……」
まどかが慌てて振り返ると、その先には無表情のほむらがこちらを見つめていた
仁美に別れを告げ、教室を出た二人は学校の玄関まで移動していた
先に靴を上履から下足に履き替えると、さやかはまどかに振り返った
さやか「それじゃあ先にマミさんの所行ってて。あたし、先に恭介の所行ってくるから」
さやか「待ち合わせ場所は解るよね?」
まどか「……うん」
昨日マミの教えて貰った場所を頭に浮かべ、微かに首を縦に振るまどか
そんなまどかにさやかは再び釘をさす
さやか「あ、先に着いたらからって、契約しちゃ駄目だからね?」
まどか「……うん」
さやか「じゃあ、後でね。まどか」
まどかのもう一度の首是を見ると、さやかは満足そうに頷き、まどかを背に走って行く
まどかは寂しさと、さやかが向かう相手への嫉妬に心をざわめかせながら、その姿を見送った
まどか「……さやかちゃん……」
「ちょっといいかしら」
そこで後ろから掛かる、冷たい声
まどか「っ!……あ」
まどか「暁美……さん……」
まどかが慌てて振り返ると、その先には無表情のほむらがこちらを見つめていた
141:新たに書き下ろし:2011/10/19(水) 18:21:48.72:97Hl0HMr0 (6/14)
ほむら「ここでいいわ」
まどか「……」
逆らったら何をされるかわからない。そんな恐怖から大人しくほむらに着いてきたまどか
連れてこられた場所は、今は使われていない教室
そこに着くと、今まで見せていた背を翻し、まどかに向かい合った
いつもと同じ無表情、だが今日はどこか雰囲気が柔らかく感じられた
まどか「あの……暁美さん……は、話って」
だが、何をされるかわからないというう恐怖は消えたわけではない
恐怖からまどかは恐る恐るとほむらに話しかける
ほむらはそんなまどかの姿を無表情に瞳に捉え、自分の長い髪に手を触れた
ほむら「ほむらで良いわ」
まどか「え?」
ほむらの口から出た予想外の言葉にまどかはキョトンとした顔を浮かべる
ほむら「嫌?」
まどか「う、ううんっ、その……」
まどか「ほむら……ちゃん」
ほむらと、まどかに呼ばれた瞬間、ほむらの口元が少し緩んだようにまどかには見えた
ほむら「なにかしら」
まどか「あ、う、う、うん……」
ほむらはそれをごまかすかのように急に切り返す
ほむらの急な切り返しに慌てふためくまどかだったが、何とか気を取り直し、恐る恐る口を開く
ほむら「ここでいいわ」
まどか「……」
逆らったら何をされるかわからない。そんな恐怖から大人しくほむらに着いてきたまどか
連れてこられた場所は、今は使われていない教室
そこに着くと、今まで見せていた背を翻し、まどかに向かい合った
いつもと同じ無表情、だが今日はどこか雰囲気が柔らかく感じられた
まどか「あの……暁美さん……は、話って」
だが、何をされるかわからないというう恐怖は消えたわけではない
恐怖からまどかは恐る恐るとほむらに話しかける
ほむらはそんなまどかの姿を無表情に瞳に捉え、自分の長い髪に手を触れた
ほむら「ほむらで良いわ」
まどか「え?」
ほむらの口から出た予想外の言葉にまどかはキョトンとした顔を浮かべる
ほむら「嫌?」
まどか「う、ううんっ、その……」
まどか「ほむら……ちゃん」
ほむらと、まどかに呼ばれた瞬間、ほむらの口元が少し緩んだようにまどかには見えた
ほむら「なにかしら」
まどか「あ、う、う、うん……」
ほむらはそれをごまかすかのように急に切り返す
ほむらの急な切り返しに慌てふためくまどかだったが、何とか気を取り直し、恐る恐る口を開く
142: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 18:40:15.94:97Hl0HMr0 (7/14)
まどか「それで、話ってな……に?」
ほむら「巴マミの所に行ってはダメよ」
前振りもなにもない突飛な返答に、まどかはこの部屋の妙な雰囲気もあり、軽く混乱してしまう
まどか「……え?」
ほむら「巴マミの所へは行くな、と言ったの」
同じ二度目の返答
まどかは混乱を引きずりながらも、ほむらが何故そんな事を言ったのかという疑問を持った
まどか「ど、どうして」
ほむら「危険だからよ。昨日巴マミから聞いたでしょう?」
ほむら「魔法少女になる事が、どれだけ危険なのか」
あの場にいなかったほむらが、昨日、自分に聞かされた内容を知っている
その事にまどかはドキリと心臓を強く打たせた
まどか「な、なんで……それを」
ほむら「答える必要はないわ」
まどか「っ……うぅ……」
まどか「それで、話ってな……に?」
ほむら「巴マミの所に行ってはダメよ」
前振りもなにもない突飛な返答に、まどかはこの部屋の妙な雰囲気もあり、軽く混乱してしまう
まどか「……え?」
ほむら「巴マミの所へは行くな、と言ったの」
同じ二度目の返答
まどかは混乱を引きずりながらも、ほむらが何故そんな事を言ったのかという疑問を持った
まどか「ど、どうして」
ほむら「危険だからよ。昨日巴マミから聞いたでしょう?」
ほむら「魔法少女になる事が、どれだけ危険なのか」
あの場にいなかったほむらが、昨日、自分に聞かされた内容を知っている
その事にまどかはドキリと心臓を強く打たせた
まどか「な、なんで……それを」
ほむら「答える必要はないわ」
まどか「っ……うぅ……」
143: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 20:27:57.05:97Hl0HMr0 (8/14)
質問を強い口調で返すほむらに、まどかは身をちじこまらせる
ほむらは自分の肩にかかった髪を軽く触れ、話を続ける
ほむら「マミの所に行けば、これからあなたは必ず危険な目に会う」
ほむら「それが嫌なら、あなたはこのまま家に帰りなさい」
ほむら「魔法少女の事を全て忘れてね」
まどか「で、でも……さやかちゃんが……」
さやか、という言葉に、ほむらはわずかに眉を吊り上げ、柔らかく感じた雰囲気が一転する
まどかはその空気を敏感に感じ取り、目を伏せる
ほむら「美樹さやかは私が説得しておくわ。だからあなたは帰りなさい」
まどか「……」
ほむら「まどか」
押し黙り、沈黙を返すまどか
そんなまどかにほむらは背を向け、教室の扉の方へと歩き出す
ほむら「忠告はしたわ。それじゃあね」
ほむら「まどか」
教室の扉まで来ると、ほむらはまどかに顔だけ向け、そう言って出ていこうとした
質問を強い口調で返すほむらに、まどかは身をちじこまらせる
ほむらは自分の肩にかかった髪を軽く触れ、話を続ける
ほむら「マミの所に行けば、これからあなたは必ず危険な目に会う」
ほむら「それが嫌なら、あなたはこのまま家に帰りなさい」
ほむら「魔法少女の事を全て忘れてね」
まどか「で、でも……さやかちゃんが……」
さやか、という言葉に、ほむらはわずかに眉を吊り上げ、柔らかく感じた雰囲気が一転する
まどかはその空気を敏感に感じ取り、目を伏せる
ほむら「美樹さやかは私が説得しておくわ。だからあなたは帰りなさい」
まどか「……」
ほむら「まどか」
押し黙り、沈黙を返すまどか
そんなまどかにほむらは背を向け、教室の扉の方へと歩き出す
ほむら「忠告はしたわ。それじゃあね」
ほむら「まどか」
教室の扉まで来ると、ほむらはまどかに顔だけ向け、そう言って出ていこうとした
144: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 20:51:45.77:97Hl0HMr0 (9/14)
まどか「ま、待ってっ!」
その時、ほむらの後ろからまどかの制止の声が掛かり、ほむらはまどかに背を向けたまま足を止めた
ほむら「なにかしら」
まどか「え、あ、あの……」
まさか止まると思っていなかったほむらにまどかは多少動揺しつつも、心に溜めていた疑問をほむらにぶつける
まどか「……ど、どうしてほむ、らちゃんは、私に魔法少女に、なって欲しくないの?」
ほむら「危険だからよ」
短く、冷たい声で返答する
だが、まどかの聞きたい事はそんな事ではなかった
まどか「き、危険なのはわかるんだけど……」
まどか「どうしてほむら、ちゃんは、そんなに気にかけてくれるの?」
まどか「あってそんなに経っていないのに……」
ほむらはその言葉に少しだけ顔を俯かせ小さな声で呟く
ほむら「私はずっとあなたの傍にいたわ」
まどか「え?」
ほむらの微かな声はまどかに完全に届かず、まどかは首を傾げる
まどか「ま、待ってっ!」
その時、ほむらの後ろからまどかの制止の声が掛かり、ほむらはまどかに背を向けたまま足を止めた
ほむら「なにかしら」
まどか「え、あ、あの……」
まさか止まると思っていなかったほむらにまどかは多少動揺しつつも、心に溜めていた疑問をほむらにぶつける
まどか「……ど、どうしてほむ、らちゃんは、私に魔法少女に、なって欲しくないの?」
ほむら「危険だからよ」
短く、冷たい声で返答する
だが、まどかの聞きたい事はそんな事ではなかった
まどか「き、危険なのはわかるんだけど……」
まどか「どうしてほむら、ちゃんは、そんなに気にかけてくれるの?」
まどか「あってそんなに経っていないのに……」
ほむらはその言葉に少しだけ顔を俯かせ小さな声で呟く
ほむら「私はずっとあなたの傍にいたわ」
まどか「え?」
ほむらの微かな声はまどかに完全に届かず、まどかは首を傾げる
145: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 21:00:45.21:97Hl0HMr0 (10/14)
ほむら「私が魔法少女だからよ」
まどか「どういう……あっ」
それだけ言うとほむらは首を傾げ続けるまどかを置き去りにして、教室を出ていってしまった
まどかはその姿を追おうと教室の外に出たが、ほむらの姿はもうどこにもなかった
まどか「ほむらちゃん……どういうこと……なの」
ほむらがその場から消えたあと
まどかは、ほむらの言葉の意図を理解できないまま、廊下に一人立ち尽くしていた
ほむら「私が魔法少女だからよ」
まどか「どういう……あっ」
それだけ言うとほむらは首を傾げ続けるまどかを置き去りにして、教室を出ていってしまった
まどかはその姿を追おうと教室の外に出たが、ほむらの姿はもうどこにもなかった
まどか「ほむらちゃん……どういうこと……なの」
ほむらがその場から消えたあと
まどかは、ほむらの言葉の意図を理解できないまま、廊下に一人立ち尽くしていた
146: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 22:14:58.22:97Hl0HMr0 (11/14)
同時刻 病院 病室前
さやかはまどかと別れたあと、真っすぐ病院に向かい、受付を済ませ、病室の前まで来ていた
これから会う人への想いに心臓を高鳴らせ、緊張に体を固くする
さやか「うぅ……やっぱりなんか緊張するな」
さやか「すぅー……はぁー……」
さやか「よしっ」
ゆっくりと深呼吸をし、高鳴る心臓を押さえながら二回ドアをノックする
「どうぞ」
そして聞こえてくる、優しく、穏やかな、さやかが想う男の子。上条恭介の声
その声を合図としてさやかはゆっくりと病室のドアを開ける
さやか「や、ほっ」
さやかは病室に入ると、病室の窓側のベッドに身を横たえる上条に、敬礼のようなポーズをとった
それに上条は笑顔で迎える
上条「やぁ。さやか。二日ぶりだね」
さやか「う、うん……か、可愛い女の子参上しましたっ!」
おどけた様子で声を掛けるさやかに調子を合わせ、上条は笑みを深める
上条「あはは、いらっしゃい。可愛い女の子さん」
さやか「う、うん……」
調子を合わせた恭介の言葉に顔を微かに赤らめながら、さやかはベッドの横の椅子に腰かける
同時刻 病院 病室前
さやかはまどかと別れたあと、真っすぐ病院に向かい、受付を済ませ、病室の前まで来ていた
これから会う人への想いに心臓を高鳴らせ、緊張に体を固くする
さやか「うぅ……やっぱりなんか緊張するな」
さやか「すぅー……はぁー……」
さやか「よしっ」
ゆっくりと深呼吸をし、高鳴る心臓を押さえながら二回ドアをノックする
「どうぞ」
そして聞こえてくる、優しく、穏やかな、さやかが想う男の子。上条恭介の声
その声を合図としてさやかはゆっくりと病室のドアを開ける
さやか「や、ほっ」
さやかは病室に入ると、病室の窓側のベッドに身を横たえる上条に、敬礼のようなポーズをとった
それに上条は笑顔で迎える
上条「やぁ。さやか。二日ぶりだね」
さやか「う、うん……か、可愛い女の子参上しましたっ!」
おどけた様子で声を掛けるさやかに調子を合わせ、上条は笑みを深める
上条「あはは、いらっしゃい。可愛い女の子さん」
さやか「う、うん……」
調子を合わせた恭介の言葉に顔を微かに赤らめながら、さやかはベッドの横の椅子に腰かける
147: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 22:44:23.07:97Hl0HMr0 (12/14)
さやか「きょ、今日も持ってきたよっCDっ」
ゴソゴソと自分の鞄をあさり、昨日かったCDを上条に渡す
上条はそれを受け取り、さやかに笑顔を返した
上条「そっか。いつもありがとう。さやか」
さやか「いいよ。き、気にしないで」
お礼を言われた、嬉しさと恥ずかしさから手を顔の前に出し、振る
上条「いつかお返し、するからね」
さやか「そ、そう?た、楽しみに待ってますわっ!」
頬に手の甲を当て、いわゆるお嬢様ポーズを取り、てれ隠しのふざけた様子を見せる
上条は照れ隠しとは気付かず、ふざけた様子のさやかをカラカラと笑った
上条「あはは、期待しててよ」
さやか「うん……」
上条「じゃあ今日のCDは、と……へぇっ凄い、こんなのよく見つけてきたねっ?」
さやか「く、苦労したんだよ~さやかちゃんに感謝しなさいよねっ!」
さやかの持ってきたCDの包装を開け、その内容に驚き目を丸くする上条に、さやかは胸を張ったふざけた様子を見せ、また照れを隠す
上条「うん。ありがとう」
さやか「う、うん……」
ふざけた態度を真面目に返された事と、ニッコリと笑う恭介に顔を赤く染め、その顔を伏せる
上条「それじゃあ早速聞かせて貰うね。さやか」
さやか「どうぞ」
いつものようにさやかに断ると上条はイヤホンで聞くCDプレイヤーを取り出し、さやかからプレゼントされたCDをセットする
そして、耳をイヤホンを耳に埋め、目を閉じて音楽を聞き始めた
その間さやかはそんな上条の横顔をジッと見つめ、自分の中を流れる温かい感情を感じながら、この時間を過ごていった
さやかはいつものこの時間が大好きだった
上条の、大好きな人の近くにいれる。そしてその大好きな人にその人の好きなものを与えられる
この時間が
さやか「きょ、今日も持ってきたよっCDっ」
ゴソゴソと自分の鞄をあさり、昨日かったCDを上条に渡す
上条はそれを受け取り、さやかに笑顔を返した
上条「そっか。いつもありがとう。さやか」
さやか「いいよ。き、気にしないで」
お礼を言われた、嬉しさと恥ずかしさから手を顔の前に出し、振る
上条「いつかお返し、するからね」
さやか「そ、そう?た、楽しみに待ってますわっ!」
頬に手の甲を当て、いわゆるお嬢様ポーズを取り、てれ隠しのふざけた様子を見せる
上条は照れ隠しとは気付かず、ふざけた様子のさやかをカラカラと笑った
上条「あはは、期待しててよ」
さやか「うん……」
上条「じゃあ今日のCDは、と……へぇっ凄い、こんなのよく見つけてきたねっ?」
さやか「く、苦労したんだよ~さやかちゃんに感謝しなさいよねっ!」
さやかの持ってきたCDの包装を開け、その内容に驚き目を丸くする上条に、さやかは胸を張ったふざけた様子を見せ、また照れを隠す
上条「うん。ありがとう」
さやか「う、うん……」
ふざけた態度を真面目に返された事と、ニッコリと笑う恭介に顔を赤く染め、その顔を伏せる
上条「それじゃあ早速聞かせて貰うね。さやか」
さやか「どうぞ」
いつものようにさやかに断ると上条はイヤホンで聞くCDプレイヤーを取り出し、さやかからプレゼントされたCDをセットする
そして、耳をイヤホンを耳に埋め、目を閉じて音楽を聞き始めた
その間さやかはそんな上条の横顔をジッと見つめ、自分の中を流れる温かい感情を感じながら、この時間を過ごていった
さやかはいつものこの時間が大好きだった
上条の、大好きな人の近くにいれる。そしてその大好きな人にその人の好きなものを与えられる
この時間が
148: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 23:01:18.86:97Hl0HMr0 (13/14)
―――――――
上条「うん。やっぱり良い曲だったよ」
上条「やっぱりさやかはCDを見つけ出す天才だね」
トラック再生が全て終わると、上条は耳からイヤホンを外し、CDプレイヤーを片づけ、さやかに笑いかける
さやか「ほ、褒めても何にも出ないぞーっ」
上条「あははっ」
照れ隠しにまたふざけた態度を見せるさやか
上条はそれに笑みを見せたが、すぐにその表情を暗いものへと変えてしまった
さやかはすぐにそれに気付き、上条の顔を覗き込む
さやか「……ん?どうかした?恭介?」
上条「ねえ、さやか」
自分の顔を覗きこむさやかに目を合わせ、迷ったように瞳を揺らす
さやかは想い人との距離に怯み、目を反らしそうになったが、何とか耐え上条の目を見返す
さやか「な、なに?」
上条「もし……もしもだよ?」
さやか「……うん?」
上条「もし僕がもう二度とバイオリンが弾けないって言ったら……どうする?」
さやか「え……?」
―――――――
上条「うん。やっぱり良い曲だったよ」
上条「やっぱりさやかはCDを見つけ出す天才だね」
トラック再生が全て終わると、上条は耳からイヤホンを外し、CDプレイヤーを片づけ、さやかに笑いかける
さやか「ほ、褒めても何にも出ないぞーっ」
上条「あははっ」
照れ隠しにまたふざけた態度を見せるさやか
上条はそれに笑みを見せたが、すぐにその表情を暗いものへと変えてしまった
さやかはすぐにそれに気付き、上条の顔を覗き込む
さやか「……ん?どうかした?恭介?」
上条「ねえ、さやか」
自分の顔を覗きこむさやかに目を合わせ、迷ったように瞳を揺らす
さやかは想い人との距離に怯み、目を反らしそうになったが、何とか耐え上条の目を見返す
さやか「な、なに?」
上条「もし……もしもだよ?」
さやか「……うん?」
上条「もし僕がもう二度とバイオリンが弾けないって言ったら……どうする?」
さやか「え……?」
149: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/19(水) 23:16:09.17:97Hl0HMr0 (14/14)
いきなりの上条の言葉に、さやかは言葉を失ってしまう
そんなさやかを上条は、強い不安を瞳に映しながら、ジッと見つめた
上条「……なんてね。冗談だよ」
両者が言葉を出さず、見つめ合いながら流れていく沈黙の時間
それに耐えられなくなったかのように上条は、その沈黙を破る
さやか「……な」
さやか「なんだ冗談かぁ!び、ビックリしたぁ!」
さやか「変な冗談言わないでよーもうっ」
上条の冗談という言葉に安堵の表情を見せるさやかだったが
上条「あはは。ごめん」
上条「……ごめん」
上条の弱々しい笑みとその笑みがすぐに無くなってしまった事に、安堵の表情をすぐに霧散させる
さやか「恭介……?」
上条「……今日はこれから、検査があるんだ。だからそろそろ……」
上条は窓の外に視線を移し、暗に帰って欲しいとさやかに告げた
その音ののない言葉をさやかは読み取ると、心配に上条を見つめながら席を立つ
さやか「う、うん……わかった」
上条「うん。それじゃあまたね。さやか」
さやか「うん。……また」
そうしてさやかは病室の扉の前に立ち、上条に向け小さく手を振ると、ゆっくりと部屋を出て行った
上条は病室を出ていくさやかを見送り、そしてその後もさやかが去った病室の扉をいつまでも眺めていた
いきなりの上条の言葉に、さやかは言葉を失ってしまう
そんなさやかを上条は、強い不安を瞳に映しながら、ジッと見つめた
上条「……なんてね。冗談だよ」
両者が言葉を出さず、見つめ合いながら流れていく沈黙の時間
それに耐えられなくなったかのように上条は、その沈黙を破る
さやか「……な」
さやか「なんだ冗談かぁ!び、ビックリしたぁ!」
さやか「変な冗談言わないでよーもうっ」
上条の冗談という言葉に安堵の表情を見せるさやかだったが
上条「あはは。ごめん」
上条「……ごめん」
上条の弱々しい笑みとその笑みがすぐに無くなってしまった事に、安堵の表情をすぐに霧散させる
さやか「恭介……?」
上条「……今日はこれから、検査があるんだ。だからそろそろ……」
上条は窓の外に視線を移し、暗に帰って欲しいとさやかに告げた
その音ののない言葉をさやかは読み取ると、心配に上条を見つめながら席を立つ
さやか「う、うん……わかった」
上条「うん。それじゃあまたね。さやか」
さやか「うん。……また」
そうしてさやかは病室の扉の前に立ち、上条に向け小さく手を振ると、ゆっくりと部屋を出て行った
上条は病室を出ていくさやかを見送り、そしてその後もさやかが去った病室の扉をいつまでも眺めていた
150: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 00:36:45.84:rtWou6Qj0 (1/11)
―――――――――
上条の病室を出たさやかは俯き、物思いに耽りながら病院の出口へと向かっていた
考えているのは当然、先程の上条の事
さやか「恭介……なんか様子が変だったな……」
さやか「何かあったのかな」
『もし僕がもう二度とバイオリンが弾けないって言ったら……どうする?』
上条の病室での言葉がよぎる
上条は冗談と言っていたが、その後の表情と態度に、さやかは引っかかりを覚えていた
さやか「……まさかね」
さやか「さぁ、気を取り直してマミさんの所に……」
さやか「……っ!」
さやかが俯かせていた顔を上げて見えた景色、それはいつもの病院の廊下ではなく
さやか「これって……!」
昨日見たものと同じ様な雰囲気を持つ
異界だった
―――――――――
上条の病室を出たさやかは俯き、物思いに耽りながら病院の出口へと向かっていた
考えているのは当然、先程の上条の事
さやか「恭介……なんか様子が変だったな……」
さやか「何かあったのかな」
『もし僕がもう二度とバイオリンが弾けないって言ったら……どうする?』
上条の病室での言葉がよぎる
上条は冗談と言っていたが、その後の表情と態度に、さやかは引っかかりを覚えていた
さやか「……まさかね」
さやか「さぁ、気を取り直してマミさんの所に……」
さやか「……っ!」
さやかが俯かせていた顔を上げて見えた景色、それはいつもの病院の廊下ではなく
さやか「これって……!」
昨日見たものと同じ様な雰囲気を持つ
異界だった
151: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 00:58:05.51:rtWou6Qj0 (2/11)
マミとの待ち合わせ場所 同時刻
まどかは結局、ほむらの忠告を無視し、マミの所へやって来ていた
得体のしれないほむらを信用できなかった事、そしてさやかへの心配に帰る事ができなかった事からの結果だった
マミ「あら?鹿目さん?」
マミがまどかに気付き、声を掛け
まどかはそれに黙ってお辞儀を返した
マミ「あなたが来るなんてね……てっきり美樹さんが来ると思っていたけど」
まどか「いえ……私は……」
まどかのはっきりとしない様子に、マミはまどかが魔法少女になるつもりではない事を理解し
納得と言った感情と、少しの残念さが混じる表情を浮かべる
マミ「……そう。魔法少女になるつもりはないのね」
マミ「賢明だわ」
まどか「は、はい」
マミ「それで……美樹さんは来ないの?」
そう言ってまどかの後ろの方にマミは視線を向ける
まどかはマミの視線を追いながら、美樹という言葉がマミの口から出た事に、激しい嫌悪感を覚えていた
まどか「さやかちゃんは……もう少しで来ると思います」
マミ「そっか」
さやかが来る事を聞き、安堵の混じる笑みを浮かべるマミ
まどかはそれ気に入らなくてしょうがなかった
まどか(……なんで嬉しそうな顔してるの)
マミとの待ち合わせ場所 同時刻
まどかは結局、ほむらの忠告を無視し、マミの所へやって来ていた
得体のしれないほむらを信用できなかった事、そしてさやかへの心配に帰る事ができなかった事からの結果だった
マミ「あら?鹿目さん?」
マミがまどかに気付き、声を掛け
まどかはそれに黙ってお辞儀を返した
マミ「あなたが来るなんてね……てっきり美樹さんが来ると思っていたけど」
まどか「いえ……私は……」
まどかのはっきりとしない様子に、マミはまどかが魔法少女になるつもりではない事を理解し
納得と言った感情と、少しの残念さが混じる表情を浮かべる
マミ「……そう。魔法少女になるつもりはないのね」
マミ「賢明だわ」
まどか「は、はい」
マミ「それで……美樹さんは来ないの?」
そう言ってまどかの後ろの方にマミは視線を向ける
まどかはマミの視線を追いながら、美樹という言葉がマミの口から出た事に、激しい嫌悪感を覚えていた
まどか「さやかちゃんは……もう少しで来ると思います」
マミ「そっか」
さやかが来る事を聞き、安堵の混じる笑みを浮かべるマミ
まどかはそれ気に入らなくてしょうがなかった
まどか(……なんで嬉しそうな顔してるの)
152: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 01:09:56.49:rtWou6Qj0 (3/11)
自嘲的な笑みを見せるマミ
まどかは無言でその笑みに応えた
マミ「そう言えば、鹿目さん少し遅かったわね、何か理由でも……」
さやかを待つ間、マミが会話の種を探そうとまどかに話しかけようとした時
『マミ!』
マミとまどかの頭にキュウべえの切羽詰まった声が響く
その声をマミは真剣な表情で、まどかはオロオロと周りを見渡しキュウべえの姿を探しながらその声を聞いた
マミ「キュゥべぇ?どうしたの?」
まどか「え?キュゥべぇの声?どこから」
キュゥべぇ『大変だ!病院に魔女が現れたよっ!」
魔女という言葉にマミは雰囲気を一気に張りつめらせ、目を細める
マミ「そう、わかったわ。すぐに向かうわ」
キュゥべぇ『急いだ方が良い!魔女空間にさやかが飲み込まれてるっ!』
その言葉に、マミはは驚きを隠せず、まどかは一気に顔を青ざめさせた
マミ「なんですってっ!?」
まどか「え……!」
キュゥべぇ『このままじゃ大変な事になるっ!急いで!』
自嘲的な笑みを見せるマミ
まどかは無言でその笑みに応えた
マミ「そう言えば、鹿目さん少し遅かったわね、何か理由でも……」
さやかを待つ間、マミが会話の種を探そうとまどかに話しかけようとした時
『マミ!』
マミとまどかの頭にキュウべえの切羽詰まった声が響く
その声をマミは真剣な表情で、まどかはオロオロと周りを見渡しキュウべえの姿を探しながらその声を聞いた
マミ「キュゥべぇ?どうしたの?」
まどか「え?キュゥべぇの声?どこから」
キュゥべぇ『大変だ!病院に魔女が現れたよっ!」
魔女という言葉にマミは雰囲気を一気に張りつめらせ、目を細める
マミ「そう、わかったわ。すぐに向かうわ」
キュゥべぇ『急いだ方が良い!魔女空間にさやかが飲み込まれてるっ!』
その言葉に、マミはは驚きを隠せず、まどかは一気に顔を青ざめさせた
マミ「なんですってっ!?」
まどか「え……!」
キュゥべぇ『このままじゃ大変な事になるっ!急いで!』
153: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 01:44:13.92:rtWou6Qj0 (4/11)
少しの間考えそぶりを見せたあと、マミはキュウべえに指示を出す
マミ「わかったわ。キュゥべぇは美樹さんの傍にいて」
マミ「それで私が病院に着いたら、その場所を教えて」
キュゥべぇ『わかったよ。マミ』
マミの指示がキュウべえに指示を出すと、キュウべえの声は途端に途切れる
まどかはキュウべえの報告に体をカタカタと、さやかへの心配に震わせていた
マミ「ごめんなさい。今、キュゥべぇから連絡があって……」
まどか「さやかちゃん……危ないんですかっ!?」
マミの説明を無視し、まどかはマミに詰め寄る
キュウべえの声がまどかに聞こえていた事、そして何よりまどかの急な態度の変化に、マミは驚き、身をたじろがせてしまう
マミ「き、聞こえてたの……」
まどか「どうなんですかっ!?」
一瞬マミはこの事をごまかそうかとも思ったが、キュウべえの声が聞こえている以上
そのごまかしは意味がないと判断し、本当の事を告げることにした
マミ「……そうね。とても危ない状況にいるわ。だからあなたは先に……」
まどか「私も行きますっ!!」
マミの言葉を遮り、真剣な表情を見せるまどか
だが、まどかをそ危険な場所に連れて行きたくない。そんな思いがマミをまどかの要求をのむ事を躊躇わせる
マミ「……危険よ?」
まどか「行かせてくださいっ!!」
少しの間考えそぶりを見せたあと、マミはキュウべえに指示を出す
マミ「わかったわ。キュゥべぇは美樹さんの傍にいて」
マミ「それで私が病院に着いたら、その場所を教えて」
キュゥべぇ『わかったよ。マミ』
マミの指示がキュウべえに指示を出すと、キュウべえの声は途端に途切れる
まどかはキュウべえの報告に体をカタカタと、さやかへの心配に震わせていた
マミ「ごめんなさい。今、キュゥべぇから連絡があって……」
まどか「さやかちゃん……危ないんですかっ!?」
マミの説明を無視し、まどかはマミに詰め寄る
キュウべえの声がまどかに聞こえていた事、そして何よりまどかの急な態度の変化に、マミは驚き、身をたじろがせてしまう
マミ「き、聞こえてたの……」
まどか「どうなんですかっ!?」
一瞬マミはこの事をごまかそうかとも思ったが、キュウべえの声が聞こえている以上
そのごまかしは意味がないと判断し、本当の事を告げることにした
マミ「……そうね。とても危ない状況にいるわ。だからあなたは先に……」
まどか「私も行きますっ!!」
マミの言葉を遮り、真剣な表情を見せるまどか
だが、まどかをそ危険な場所に連れて行きたくない。そんな思いがマミをまどかの要求をのむ事を躊躇わせる
マミ「……危険よ?」
まどか「行かせてくださいっ!!」
154: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 01:52:53.97:rtWou6Qj0 (5/11)
マミ「あなたが行っても何の解決にもならないのよ?」
まどか「でもっ私っ!!」
再三にわたる忠告。だがまどかに引く様子は全く見られなかった
そんなまどかに諦めの溜息を吐き、まどかの要求をのむ事に決める
マミ「はぁ……わかったわ」
まどか「マミさん……!」
マミの言葉にパッと顔を華やかせるまどか
マミ「ただし、絶対に私から離れない事。良いわね?」
まどか「はいっ!」
マミ「それじゃあ……行きましょう!」
そうして二人はさやかのいる、魔女空間へと駆けだし始めた
マミはいつも以上の緊張感を、まどかはさやかの心配だけを胸に
マミ(鹿目さん……美樹さんの事、本当に大事なのね……)
マミ(しっかりと、二人とも守らないとね)
絶対に二人を守って見せる。そう心に誓うマミだった
マミ「あなたが行っても何の解決にもならないのよ?」
まどか「でもっ私っ!!」
再三にわたる忠告。だがまどかに引く様子は全く見られなかった
そんなまどかに諦めの溜息を吐き、まどかの要求をのむ事に決める
マミ「はぁ……わかったわ」
まどか「マミさん……!」
マミの言葉にパッと顔を華やかせるまどか
マミ「ただし、絶対に私から離れない事。良いわね?」
まどか「はいっ!」
マミ「それじゃあ……行きましょう!」
そうして二人はさやかのいる、魔女空間へと駆けだし始めた
マミはいつも以上の緊張感を、まどかはさやかの心配だけを胸に
マミ(鹿目さん……美樹さんの事、本当に大事なのね……)
マミ(しっかりと、二人とも守らないとね)
絶対に二人を守って見せる。そう心に誓うマミだった
155: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 01:56:36.11:rtWou6Qj0 (6/11)
今日はここまで。お疲れさまでした
試験的に行間を変えてみたんですけど、どうでしょうか?
前の方が見やすいなら、前の方に戻そうと思います
それではまた明日ー
今日はここまで。お疲れさまでした
試験的に行間を変えてみたんですけど、どうでしょうか?
前の方が見やすいなら、前の方に戻そうと思います
それではまた明日ー
156:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/20(木) 01:58:22.24:62DlSdC5o (1/1)
乙乙
特に見難いって事は無かった
乙乙
特に見難いって事は無かった
157:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/20(木) 01:58:26.95:gFFTIq5Ko (1/1)
乙
乙
158:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/20(木) 02:04:31.56:HX3X1+/qo (1/1)
乙乙
vipでは7・8割か
増えるのは大歓迎だから嬉しいんだぜ
乙乙
vipでは7・8割か
増えるのは大歓迎だから嬉しいんだぜ
159: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 22:25:39.44:rtWou6Qj0 (7/11)
マミとまどかが魔女空間に向かい始めた頃、さやかは物陰に隠れ、あたりの様子を窺っていた
隙あらば逃げ出そうとも思ったが、昨日の異形に似たもの。使い魔があたりを徘徊し、それは敵わなかった
「さやか!」
さやか「うわっビックリした!ってキュゥべぇか……」
突然後ろから声を掛けられ、さやかは慌てて後ろを振り返ると、そこにはキュウべえが無機質な顔でそこに立っていた
キュゥべぇ「大丈夫かい?さやか」
さやか「うん。なんとかね……何でキュゥべぇはこんなところに?」
キュゥべぇ「マミに魔女空間に巻き込まれた君の場所を教えるように頼まれてね」
キュゥべぇ「それでここまで来たんだ」
さやか「そ、そっか……さすがマミさんだね」
キュゥべぇ「そうだね。……さやか?」
少し間を溜めて、キュウべえは深刻な声を出し
さやかはそれに小さく首を傾げた
さやか「なに?」
キュゥべぇ「ちょっと提案があるんだけど、良いかな?」
マミとまどかが魔女空間に向かい始めた頃、さやかは物陰に隠れ、あたりの様子を窺っていた
隙あらば逃げ出そうとも思ったが、昨日の異形に似たもの。使い魔があたりを徘徊し、それは敵わなかった
「さやか!」
さやか「うわっビックリした!ってキュゥべぇか……」
突然後ろから声を掛けられ、さやかは慌てて後ろを振り返ると、そこにはキュウべえが無機質な顔でそこに立っていた
キュゥべぇ「大丈夫かい?さやか」
さやか「うん。なんとかね……何でキュゥべぇはこんなところに?」
キュゥべぇ「マミに魔女空間に巻き込まれた君の場所を教えるように頼まれてね」
キュゥべぇ「それでここまで来たんだ」
さやか「そ、そっか……さすがマミさんだね」
キュゥべぇ「そうだね。……さやか?」
少し間を溜めて、キュウべえは深刻な声を出し
さやかはそれに小さく首を傾げた
さやか「なに?」
キュゥべぇ「ちょっと提案があるんだけど、良いかな?」
160: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 22:43:51.35:rtWou6Qj0 (8/11)
さやか「提案って?」
キュゥべぇ「うん。このままじゃとても危険なのはわかるよね?」
さやか「う、うん」
キュゥべぇ「だから、その危険から身を守るために、今、僕と契約しないかい?」
キュゥべぇ「今此処で契約すれば、自分の身を自分で守れるし」
キュゥべぇ「これから来るマミの手伝いをすることだって出来るよ」
キュゥべぇ「どうだい?」
キュウべえのさやかの身を案じての勧誘。ここで契約してしまえば、キュウべえの言った通り、利となる事ばかりだった
だが、さやかはキュウべえの甘い言葉に乗らず、深く俯くだけだった
この勧誘にさやかはすぐに乗ってくると思っていたキュウべえは、首を横に傾げる
キュゥべぇ「……さやか?」
顔を重々しく上げ、さやかはキュウべえの顔をジッと見つめる
さやか「願いは、一つだけしか叶えられないんだよね?」
キュゥべぇ「そうだよ。契約する為の、一度きりの対価だからね」
さやか「そうだよね……」
キュゥべぇ「……何か、気になる事があるのかい?」
さやか「提案って?」
キュゥべぇ「うん。このままじゃとても危険なのはわかるよね?」
さやか「う、うん」
キュゥべぇ「だから、その危険から身を守るために、今、僕と契約しないかい?」
キュゥべぇ「今此処で契約すれば、自分の身を自分で守れるし」
キュゥべぇ「これから来るマミの手伝いをすることだって出来るよ」
キュゥべぇ「どうだい?」
キュウべえのさやかの身を案じての勧誘。ここで契約してしまえば、キュウべえの言った通り、利となる事ばかりだった
だが、さやかはキュウべえの甘い言葉に乗らず、深く俯くだけだった
この勧誘にさやかはすぐに乗ってくると思っていたキュウべえは、首を横に傾げる
キュゥべぇ「……さやか?」
顔を重々しく上げ、さやかはキュウべえの顔をジッと見つめる
さやか「願いは、一つだけしか叶えられないんだよね?」
キュゥべぇ「そうだよ。契約する為の、一度きりの対価だからね」
さやか「そうだよね……」
キュゥべぇ「……何か、気になる事があるのかい?」
161: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 22:51:22.28:rtWou6Qj0 (9/11)
さやか「うん。ちょっと、ね」
さやか「……それがはっきりしてから、決めたいの」
どこか遠くを見つめ、さやかは何かに想いを馳せる
キュウべえは、そんなさやかに渋々と頷いた
キュゥべぇ「そうか。まだ、大丈夫かもしれないけど……本当に危険になったら……」
さやか「わかってる。その時は……願いを言うよ」
キュゥべぇ「わかったよ」
さやか「……」
さやか「……マミさん、早く来て」
得体の知れぬ空間、異形たちの中、さやかは絶対の信頼の元、その場で蹲ってマミを待つ
キュウべえはそんなさやかの横に座り、ただ、尻尾をパタパタと揺らしていた
さやか「うん。ちょっと、ね」
さやか「……それがはっきりしてから、決めたいの」
どこか遠くを見つめ、さやかは何かに想いを馳せる
キュウべえは、そんなさやかに渋々と頷いた
キュゥべぇ「そうか。まだ、大丈夫かもしれないけど……本当に危険になったら……」
さやか「わかってる。その時は……願いを言うよ」
キュゥべぇ「わかったよ」
さやか「……」
さやか「……マミさん、早く来て」
得体の知れぬ空間、異形たちの中、さやかは絶対の信頼の元、その場で蹲ってマミを待つ
キュウべえはそんなさやかの横に座り、ただ、尻尾をパタパタと揺らしていた
162: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 23:02:56.36:rtWou6Qj0 (10/11)
病院 魔女空間前
病院まで辿り着いたまどかとマミの二人は、マミのソウルジェムの反応を頼りに魔女空間の入り口を見つけ出していた
まどか「はぁ……はぁ……」
マミ「ここね……キュゥべぇ?」
魔女空間の入り口まで来ると、まどかは暴れる息を整え、マミはキュウべえへの連絡を始めていた
マミのテレパシーによる連絡に、すぐにキュウべえは返事を返す
キュゥべぇ『マミ?』
マミ「美樹さんは大丈夫?」
キュゥべぇ『うん。大丈夫。でも……相当危険な状況だ』
キュゥべぇ『魔女こっちに近づいて来てる』
キュウべえの危険を知らせる報告に、マミはきゅっと顔を引き締めた
マミ「!……そう。すぐに行くわ」
マミ「案内よろしくね」
キュゥべぇ『ああ。わかった』
マミ「だ、そうよ。鹿目さん?」
キュウべえからの連絡が途切れると、まどかに今の会話の確認を取る
だがまどかはキョトンとした表情を浮かべるだけで、会話の内容がわかっていないようだった
まどか「な、何がですか?」
マミ「え?」
マミ(キュゥべぇ……今のは鹿目さんに聞かせてないの?……どうして……)
当然まどかにも連絡していると踏んでいたマミは、連絡されていない事にに少し戸惑ってしまう
病院 魔女空間前
病院まで辿り着いたまどかとマミの二人は、マミのソウルジェムの反応を頼りに魔女空間の入り口を見つけ出していた
まどか「はぁ……はぁ……」
マミ「ここね……キュゥべぇ?」
魔女空間の入り口まで来ると、まどかは暴れる息を整え、マミはキュウべえへの連絡を始めていた
マミのテレパシーによる連絡に、すぐにキュウべえは返事を返す
キュゥべぇ『マミ?』
マミ「美樹さんは大丈夫?」
キュゥべぇ『うん。大丈夫。でも……相当危険な状況だ』
キュゥべぇ『魔女こっちに近づいて来てる』
キュウべえの危険を知らせる報告に、マミはきゅっと顔を引き締めた
マミ「!……そう。すぐに行くわ」
マミ「案内よろしくね」
キュゥべぇ『ああ。わかった』
マミ「だ、そうよ。鹿目さん?」
キュウべえからの連絡が途切れると、まどかに今の会話の確認を取る
だがまどかはキョトンとした表情を浮かべるだけで、会話の内容がわかっていないようだった
まどか「な、何がですか?」
マミ「え?」
マミ(キュゥべぇ……今のは鹿目さんに聞かせてないの?……どうして……)
当然まどかにも連絡していると踏んでいたマミは、連絡されていない事にに少し戸惑ってしまう
163: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/20(木) 23:19:06.89:rtWou6Qj0 (11/11)
マミの態度に、さやかに何かあったと思ったまどかは、顔を焦りに曇らせた
マミはキュウべえがまどかに連絡していない事を疑問に思ったが、何か事情があったのだと振り切り、キュウべえの代わりに事情を話す事にする
まどか「さやかちゃん、どうかしたんですか!?」
マミ「……いえ。まだ大丈夫だそうよ」
まどか「……よかった」
マミ「でも一刻の猶予もないそうよ。それだけ危険な状況、という事ね」」
まどか「っ……さやかちゃん……」
さやかの安全がわかった事に、まどかは顔を一度安堵の色に染めたが、マミの次の言葉にすぐに表情を心配に曇らせてしまう
そんなまどかを安心させるため、肩に手を置きニコリと笑いかけた
マミ「……そうならないために急がなくちゃね」
まどか「はいっ!」
マミはまどかの肩から手を離し、魔女空間を開くために入り口に手をかざす
そしてそのまま入り口を開こうとするが、マミは一度動きを止めてしまう
まどか「ま、マミさん?」
入り口を開けようとしないマミに、まどかは何かあったのかと声を掛けた
その声にマミはまどかを真剣な瞳で見つめ、最後の確認を取る
マミ「……これからは本当に危険よ。それでもいくの?」
まどか「……はい!」
迷いのないまどかの返事に、マミは呆れと羨望の笑みを向ける
マミ「……美樹さんは幸せ者ね」
まどか「え?」
マミ「こんなに思ってくれる人がいるんだもの」
マミ「……行きましょう」
そうしてマミは魔女空間の入り口を開き、さやかを助けるためにその中へとまどかと共に足を踏み入れていった
マミの態度に、さやかに何かあったと思ったまどかは、顔を焦りに曇らせた
マミはキュウべえがまどかに連絡していない事を疑問に思ったが、何か事情があったのだと振り切り、キュウべえの代わりに事情を話す事にする
まどか「さやかちゃん、どうかしたんですか!?」
マミ「……いえ。まだ大丈夫だそうよ」
まどか「……よかった」
マミ「でも一刻の猶予もないそうよ。それだけ危険な状況、という事ね」」
まどか「っ……さやかちゃん……」
さやかの安全がわかった事に、まどかは顔を一度安堵の色に染めたが、マミの次の言葉にすぐに表情を心配に曇らせてしまう
そんなまどかを安心させるため、肩に手を置きニコリと笑いかけた
マミ「……そうならないために急がなくちゃね」
まどか「はいっ!」
マミはまどかの肩から手を離し、魔女空間を開くために入り口に手をかざす
そしてそのまま入り口を開こうとするが、マミは一度動きを止めてしまう
まどか「ま、マミさん?」
入り口を開けようとしないマミに、まどかは何かあったのかと声を掛けた
その声にマミはまどかを真剣な瞳で見つめ、最後の確認を取る
マミ「……これからは本当に危険よ。それでもいくの?」
まどか「……はい!」
迷いのないまどかの返事に、マミは呆れと羨望の笑みを向ける
マミ「……美樹さんは幸せ者ね」
まどか「え?」
マミ「こんなに思ってくれる人がいるんだもの」
マミ「……行きましょう」
そうしてマミは魔女空間の入り口を開き、さやかを助けるためにその中へとまどかと共に足を踏み入れていった
164: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 01:12:34.49:NHtpfXRM0 (1/7)
魔女空間 内部
まどかとマミは魔女空間の中を、キュウべえの案内を頼りに、迅速に奥へと向かっていった
途中、可能な限りマミは使い魔を倒していく。急いではいたが、それがマミの信条である以上、放っておくことはできなかった
その結果が、可能な限り、であった
使い魔を倒しながら、奥に
やがて二人が魔女空間の最奥辺りまで辿り着くと、キュウべえから、もうすぐ二人がさやかの元へと辿り着くと、連絡が来る
マミ「もうすぐね……」
マミ「鹿目さん。覚悟しておいた方が良いわ」
まどか「は、はい……」
キュウべえの連絡をマミは、いつもの優しい顔からでは考えられない表情で、まどかに伝え、まどかはそれに重々しく頷いた
そこで、背後から冷たい制止の声が掛かる
「待ちなさい」
マミとまどかが振りかえると、後ろから無表情で歩いてくるほむらと目が合った
まどかはほむらの登場に驚きが隠せず、マミは忌々しさに目を鋭くし、庇うようにまどかの前に出て、ほむらと対峙する
マミ「……また貴女なのね」
まどか「ほ、ほむら……ちゃん……」
ほむら「……あれだけ忠告したのに、どうして巴マミと一緒にいるの?」
ほむらの責める様な口調に、まどかは気まずさから目を逸らす
ほむらはその姿に軽く溜息を吐き、マミに冷たい視線を向けた
ほむら「……まぁいいわ。あなたたちは下がって。ここの魔女は私が片付けるわ」
マミ「……いきなり出てきて何を言ってるの?あなた」
わけがわからないと、マミはほむらを睨みつけた
だがほむらは動じることなく、それどころかマミに憎まれ口を叩く
ほむら「あなたじゃここの魔女には敵わないって言ってるのよ」
マミ「……ずいぶんと失礼ね」
ほむら「事実よ」
魔女空間 内部
まどかとマミは魔女空間の中を、キュウべえの案内を頼りに、迅速に奥へと向かっていった
途中、可能な限りマミは使い魔を倒していく。急いではいたが、それがマミの信条である以上、放っておくことはできなかった
その結果が、可能な限り、であった
使い魔を倒しながら、奥に
やがて二人が魔女空間の最奥辺りまで辿り着くと、キュウべえから、もうすぐ二人がさやかの元へと辿り着くと、連絡が来る
マミ「もうすぐね……」
マミ「鹿目さん。覚悟しておいた方が良いわ」
まどか「は、はい……」
キュウべえの連絡をマミは、いつもの優しい顔からでは考えられない表情で、まどかに伝え、まどかはそれに重々しく頷いた
そこで、背後から冷たい制止の声が掛かる
「待ちなさい」
マミとまどかが振りかえると、後ろから無表情で歩いてくるほむらと目が合った
まどかはほむらの登場に驚きが隠せず、マミは忌々しさに目を鋭くし、庇うようにまどかの前に出て、ほむらと対峙する
マミ「……また貴女なのね」
まどか「ほ、ほむら……ちゃん……」
ほむら「……あれだけ忠告したのに、どうして巴マミと一緒にいるの?」
ほむらの責める様な口調に、まどかは気まずさから目を逸らす
ほむらはその姿に軽く溜息を吐き、マミに冷たい視線を向けた
ほむら「……まぁいいわ。あなたたちは下がって。ここの魔女は私が片付けるわ」
マミ「……いきなり出てきて何を言ってるの?あなた」
わけがわからないと、マミはほむらを睨みつけた
だがほむらは動じることなく、それどころかマミに憎まれ口を叩く
ほむら「あなたじゃここの魔女には敵わないって言ってるのよ」
マミ「……ずいぶんと失礼ね」
ほむら「事実よ」
165: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 01:25:09.82:NHtpfXRM0 (2/7)
ほむらのあまりの憎まれ口にマミは苛立ちを隠せなくなってきていた
マミ「……時間がないの。あなたに構ってる暇はないわ」
ほむら「だったら出口はあっちよ」
マミ「……本当に口の悪い……っ!」
とうとうマミは怒りの感情を表出させ
次の瞬間、マミの具現させたリボンがほむらを包む
不意を突かれた事でほむらはあっさりとリボンに捕まってしまい、苦悶の声を上げる
ほむら「……くっ」
マミ「……後であなたの相手はいくらでもしてあげるわ」
ざまあみろとマミは鼻を鳴らし、ほむらに背を向けた
ほむら「死ぬわよ」
マミ「死なないわ」
背中を向けるマミに脅しのような忠告の言葉を掛けるが、マミはそれに動じることなく背中にその言葉を受け止める
ほむら「……そう」
ほむら「……まどか」
ほむらは諦めたように視線をマミからまどかへと移し、まどかはそれを驚きの表情で受け止めた
ほむらのあまりの憎まれ口にマミは苛立ちを隠せなくなってきていた
マミ「……時間がないの。あなたに構ってる暇はないわ」
ほむら「だったら出口はあっちよ」
マミ「……本当に口の悪い……っ!」
とうとうマミは怒りの感情を表出させ
次の瞬間、マミの具現させたリボンがほむらを包む
不意を突かれた事でほむらはあっさりとリボンに捕まってしまい、苦悶の声を上げる
ほむら「……くっ」
マミ「……後であなたの相手はいくらでもしてあげるわ」
ざまあみろとマミは鼻を鳴らし、ほむらに背を向けた
ほむら「死ぬわよ」
マミ「死なないわ」
背中を向けるマミに脅しのような忠告の言葉を掛けるが、マミはそれに動じることなく背中にその言葉を受け止める
ほむら「……そう」
ほむら「……まどか」
ほむらは諦めたように視線をマミからまどかへと移し、まどかはそれを驚きの表情で受け止めた
166: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 01:50:51.80:NHtpfXRM0 (3/7)
まどか「えっ?」
ほむら「死にたくないならここにいなさい」
突飛過ぎる、理由もわからないほむらの提案
まどかはそんなものに頷く気にもなれなかったし、何よりさやかの心配に気が気でなかったまどかは、ほむらに背を向けた
マミ「……急ぎましょう」
まどか「……は、はい」
そうして自分に背を向け歩いて行く去二人を、ほむらは、リボンに繋がれながらただ無表情で見送り
完全に二人が視界から消えたあと、ほむらは小さな声で呟いた
ほむら「……馬鹿」
まどか「えっ?」
ほむら「死にたくないならここにいなさい」
突飛過ぎる、理由もわからないほむらの提案
まどかはそんなものに頷く気にもなれなかったし、何よりさやかの心配に気が気でなかったまどかは、ほむらに背を向けた
マミ「……急ぎましょう」
まどか「……は、はい」
そうして自分に背を向け歩いて行く去二人を、ほむらは、リボンに繋がれながらただ無表情で見送り
完全に二人が視界から消えたあと、ほむらは小さな声で呟いた
ほむら「……馬鹿」
167: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 02:12:47.01:NHtpfXRM0 (4/7)
―――――――
さやか「マミさん……まだかな……」
ほむらとマミ達が別れた頃、さやかはマミが中々来ない事に不安を感じ始め、ソワソワと周りを見回し始めていた
そんな中、キュウべえが切迫した声をさやかに向ける
キュゥべぇ「マズイ……」
さやか「えっ?」
突然のキュウべえの様子の変化に戸惑い、どうしたのかとさやかはキュウべえに顔を向けた
キュゥべぇ「もう、すぐそこまで魔女が来てる……!さやか、本当に危険だっ!」
キュゥべぇ「今すぐ僕と契約を!」
さやかには一度も言わなかった、魔女の接近
さやかはいきなりのキュウべえの発言に、戸惑いを更に深くする
さやか「え、今までそんな事一度も……」
キュゥべぇ「来るよ!」
さやか「え……」
キュウべえが焦った様子で、魔女空間の奥に顔を向け
さやかもそれに釣られるように、キュウべえと同じ方向に顔を向けた
さやか「え?」
どんな恐ろしい魔女が出てくるかと思いきや、奥から出てきたのは、人形のような可愛らしい容姿をした
よわっちそーな魔女だった
キュウべえの警告に身構えていたさやかはその姿に、魔女とは信じられず、気が抜けてしまう
さやか「……あれ?」
キュゥべぇ「ああ……!」
正体が見えても相変わらずのキュウべえに、なんだか馬鹿らしく感じてきてしまうさやかだった
―――――――
さやか「マミさん……まだかな……」
ほむらとマミ達が別れた頃、さやかはマミが中々来ない事に不安を感じ始め、ソワソワと周りを見回し始めていた
そんな中、キュウべえが切迫した声をさやかに向ける
キュゥべぇ「マズイ……」
さやか「えっ?」
突然のキュウべえの様子の変化に戸惑い、どうしたのかとさやかはキュウべえに顔を向けた
キュゥべぇ「もう、すぐそこまで魔女が来てる……!さやか、本当に危険だっ!」
キュゥべぇ「今すぐ僕と契約を!」
さやかには一度も言わなかった、魔女の接近
さやかはいきなりのキュウべえの発言に、戸惑いを更に深くする
さやか「え、今までそんな事一度も……」
キュゥべぇ「来るよ!」
さやか「え……」
キュウべえが焦った様子で、魔女空間の奥に顔を向け
さやかもそれに釣られるように、キュウべえと同じ方向に顔を向けた
さやか「え?」
どんな恐ろしい魔女が出てくるかと思いきや、奥から出てきたのは、人形のような可愛らしい容姿をした
よわっちそーな魔女だった
キュウべえの警告に身構えていたさやかはその姿に、魔女とは信じられず、気が抜けてしまう
さやか「……あれ?」
キュゥべぇ「ああ……!」
正体が見えても相変わらずのキュウべえに、なんだか馬鹿らしく感じてきてしまうさやかだった
168: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 02:26:10.49:NHtpfXRM0 (5/7)
さやか「本当にアレなの?」
さやかはあれが本当に魔女なのか信じられず、もう一度キュウべえに確認をとる
キュウべえは緊迫した様子で、さやかの確認に頷いた
キュゥべぇ「そうだよ。……恐ろしい魔女さ」
さやか「今のあたしでも倒せそうだけど……」
ポリポリと頬を掻くさやか
キュゥべぇ「見た目はああだけど、強い魔力を秘めてるよ。気をつけてっ!」
さやか「そう言われてもなぁ……」
さやかはキュウべえから胡乱気な視線を外し、例の魔女に視線を移す
すると丁度、キョロキョロとあたりを見渡す魔女と目が合ってしまった
さやか「わ、こっち見てる……」
キュゥべぇ「見つかった……!さやか、早く契約をっ!」
さやか「いや、大丈夫でしょ……」
キュウべえは散々に警告し、契約を促すが
魔女のあんまりな姿に、さやかは襲って来ても大丈夫だろうとタカをくくってしまっていた
そんな時、さやかの背後から、さやかの待ちわびた声が響く
「美樹さんっ!」
さやか「……マミさんっ!」
さやか「本当にアレなの?」
さやかはあれが本当に魔女なのか信じられず、もう一度キュウべえに確認をとる
キュウべえは緊迫した様子で、さやかの確認に頷いた
キュゥべぇ「そうだよ。……恐ろしい魔女さ」
さやか「今のあたしでも倒せそうだけど……」
ポリポリと頬を掻くさやか
キュゥべぇ「見た目はああだけど、強い魔力を秘めてるよ。気をつけてっ!」
さやか「そう言われてもなぁ……」
さやかはキュウべえから胡乱気な視線を外し、例の魔女に視線を移す
すると丁度、キョロキョロとあたりを見渡す魔女と目が合ってしまった
さやか「わ、こっち見てる……」
キュゥべぇ「見つかった……!さやか、早く契約をっ!」
さやか「いや、大丈夫でしょ……」
キュウべえは散々に警告し、契約を促すが
魔女のあんまりな姿に、さやかは襲って来ても大丈夫だろうとタカをくくってしまっていた
そんな時、さやかの背後から、さやかの待ちわびた声が響く
「美樹さんっ!」
さやか「……マミさんっ!」
169: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 02:33:01.35:NHtpfXRM0 (6/7)
さやかの姿を見つけ、隣に着き、安堵の笑顔を見せるマミ
さやかはその姿に安心し、完全に気を抜いた直後
マミ「間に合ったわね。もうあんし」
マミの上半身が黒い何かに食いちぎられた
さやかの姿を見つけ、隣に着き、安堵の笑顔を見せるマミ
さやかはその姿に安心し、完全に気を抜いた直後
マミ「間に合ったわね。もうあんし」
マミの上半身が黒い何かに食いちぎられた
170: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/21(金) 02:35:23.44:NHtpfXRM0 (7/7)
今日はここまで。お疲れさまでした
次回、グロテスク、スプラッタな表現注意……かもです
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れさまでした
次回、グロテスク、スプラッタな表現注意……かもです
それではまた次回ー
171:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/21(金) 02:38:17.21:avc1MaPRo (1/1)
乙ー
乙ー
172:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/21(金) 02:38:31.40:Af5Jgi8DO (1/1)
乙
乙
173:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/21(金) 03:17:04.20:XFt9InUro (1/1)
乙乙
前よりエグくなるのか
乙乙
前よりエグくなるのか
174:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/21(金) 06:58:27.74:HjlvCtVvo (1/1)
乙~
乙~
175:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2011/10/22(土) 10:49:16.73:VGzgVZ0Co (1/1)
乙
乙
176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/22(土) 17:34:04.34:6pAc4HSIO (1/1)
>>1乙
上半身って事はソウルジェムを食われたのかな
>>1乙
上半身って事はソウルジェムを食われたのかな
177:注意 苦手な人は読み飛ばし推奨:2011/10/22(土) 21:10:28.93:oGh+pq0k0 (1/2)
さやか「え……?」
まどか「あ……?」
ゴトリ、と無機質な音を立て、残された下半身が力を失い崩れ落ち
同時に零れ出す、赤い液体とそれを内包していた瑞々しいモノ。
そして鉄のような匂いが周囲を包む
まどかは初め、何があったか理解できずに呆けていたが、マミの下半身から零れ出すモノを見た瞬間
全てを理解し、両手で顔をふさぎ、その惨たらしい光景を視界から遮断する
さやか「え?」
まどかが既に呆然から立ち直ったにも関わらず、さやかはいまだにマミの下半身の隣で呆けていた
突然過ぎる展開に頭が付いて行かず、物事を意味のあるものとして認識してくれない
さやかは呆けた頭のまま、零れ出す下半身から、マミの上半身を奪った黒いものの先端を見る
さやか「え?」
黒いものの先端はピエロのような大きな顔をしていて、もごもごとその顔を動かし、固いものを砕き、柔らかいものを混ぜる様な咀嚼音を立てていた
グチャリ
その時、ピエロの口端から、マミの下半身から零れるモノと同じモノが零れ押ち、生々しい音を立てた
黒いものはそれに構わず咀嚼を続ける
さやかはピエロの口端から零れ落ちたものをジッと見つめたが、脳が情報を遮断しそれがなんなのか教えてくれない
黒いものが口の中のモノの咀嚼を終え、ゴクリと飲み込むと、残った下半身に食らいついた
咀嚼する音が再び響く。
さやかはその横で、瑞々しいものを撒き散らされながら、マミの下半身が食い荒らされていくのを、相変わらずの頭でただ見ていた
さやか「え……」
黒いものがマミの下半身を咀嚼し終え、飲み込んだ後、ようやくさやかの頭が機能し始める
さやか「あ、あ……ぇっ……」
同時に沸き上がる凄まじい吐き気と恐怖。
それはさやかの頭が機能し始めた事により、今までの情報を一気に理解したことが原因だった
マミの安堵した表情、食い千切られた下半身からはみ出る肉、ドス黒い血と鮮やかな赤の血、魔女の口から零れ落ちたマミの肉、マミの骨と、肉を咀嚼する音
それら全てがさやかを苦しめる
さやか「え……?」
まどか「あ……?」
ゴトリ、と無機質な音を立て、残された下半身が力を失い崩れ落ち
同時に零れ出す、赤い液体とそれを内包していた瑞々しいモノ。
そして鉄のような匂いが周囲を包む
まどかは初め、何があったか理解できずに呆けていたが、マミの下半身から零れ出すモノを見た瞬間
全てを理解し、両手で顔をふさぎ、その惨たらしい光景を視界から遮断する
さやか「え?」
まどかが既に呆然から立ち直ったにも関わらず、さやかはいまだにマミの下半身の隣で呆けていた
突然過ぎる展開に頭が付いて行かず、物事を意味のあるものとして認識してくれない
さやかは呆けた頭のまま、零れ出す下半身から、マミの上半身を奪った黒いものの先端を見る
さやか「え?」
黒いものの先端はピエロのような大きな顔をしていて、もごもごとその顔を動かし、固いものを砕き、柔らかいものを混ぜる様な咀嚼音を立てていた
グチャリ
その時、ピエロの口端から、マミの下半身から零れるモノと同じモノが零れ押ち、生々しい音を立てた
黒いものはそれに構わず咀嚼を続ける
さやかはピエロの口端から零れ落ちたものをジッと見つめたが、脳が情報を遮断しそれがなんなのか教えてくれない
黒いものが口の中のモノの咀嚼を終え、ゴクリと飲み込むと、残った下半身に食らいついた
咀嚼する音が再び響く。
さやかはその横で、瑞々しいものを撒き散らされながら、マミの下半身が食い荒らされていくのを、相変わらずの頭でただ見ていた
さやか「え……」
黒いものがマミの下半身を咀嚼し終え、飲み込んだ後、ようやくさやかの頭が機能し始める
さやか「あ、あ……ぇっ……」
同時に沸き上がる凄まじい吐き気と恐怖。
それはさやかの頭が機能し始めた事により、今までの情報を一気に理解したことが原因だった
マミの安堵した表情、食い千切られた下半身からはみ出る肉、ドス黒い血と鮮やかな赤の血、魔女の口から零れ落ちたマミの肉、マミの骨と、肉を咀嚼する音
それら全てがさやかを苦しめる
178: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/22(土) 21:46:00.58:oGh+pq0k0 (2/2)
キュゥべぇ「二人とも急いでっ!契約をっ!!」
さやかが正気に戻ったのを見計らい、キュゥべえは二人に緊迫した声で、契約を奨める
だが、その時丁度魔女が、横にいるさやかに視線を移す
そして舐めまわす様にさやかの姿を見つめ、そのピエロのような顔をニッコリと歪め、笑みを作った
さやか「ひっ」
まどか「さやかちゃんっ!!」
キュゥべぇ「急いでっ!!」
そんな笑みに顔を歪める魔女と目が合い、さやかの体は恐怖に包まれ、身動きが取れなくなってしまう
まどかはさやかの危機に悲鳴じみた声を上げ、キュゥべえはさやかを救うべく二人に契約を迫る
「その必要はないわ」
だがその時、まどかの背後から冷たい声が掛かる
まどか「……ほむら……ちゃん……」
まどかが振りかえると、そこにはマミにリボンに捉えられていた筈のほむらが立っていた
ほむら「……私が片づけるわ」
そう言うとほむらはどこからか取り出した拳銃を魔女の顔面に向け、その引き金を引いた
キュゥべぇ「二人とも急いでっ!契約をっ!!」
さやかが正気に戻ったのを見計らい、キュゥべえは二人に緊迫した声で、契約を奨める
だが、その時丁度魔女が、横にいるさやかに視線を移す
そして舐めまわす様にさやかの姿を見つめ、そのピエロのような顔をニッコリと歪め、笑みを作った
さやか「ひっ」
まどか「さやかちゃんっ!!」
キュゥべぇ「急いでっ!!」
そんな笑みに顔を歪める魔女と目が合い、さやかの体は恐怖に包まれ、身動きが取れなくなってしまう
まどかはさやかの危機に悲鳴じみた声を上げ、キュゥべえはさやかを救うべく二人に契約を迫る
「その必要はないわ」
だがその時、まどかの背後から冷たい声が掛かる
まどか「……ほむら……ちゃん……」
まどかが振りかえると、そこにはマミにリボンに捉えられていた筈のほむらが立っていた
ほむら「……私が片づけるわ」
そう言うとほむらはどこからか取り出した拳銃を魔女の顔面に向け、その引き金を引いた
179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/23(日) 00:27:05.90:y6KEjojDO (1/1)
着実に書き進められてるな
一週間後には粉々に砕け散ったとこまではいけそうだな
着実に書き進められてるな
一週間後には粉々に砕け散ったとこまではいけそうだな
180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/23(日) 00:46:13.40:7EUwcvaMo (1/1)
さり気なくネタバレするなんてそんなのってないよ
さり気なくネタバレするなんてそんなのってないよ
181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/23(日) 06:26:24.27:q3F66MJQo (1/1)
でもヤンデレまどっちがあのままで済ますはずがないよ…
でもヤンデレまどっちがあのままで済ますはずがないよ…
182: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 18:29:17.83:1G2qOk4a0 (1/9)
重い銃声と共に銃弾が発射され、魔女の顔に一つの焦げ穴を作る
顔面に銃弾を受けた魔女は、笑顔を怒りの表情に変えほむらへとその黒い体を一直線に向かわせた
ほむら「……」
激昂し、突撃してくる魔女。
拳銃を腕に着いた盾のようなもののスライドに入れると、ほむらは向かってくる魔女を眉ひとつ動かさず迎え打った
重い銃声と共に銃弾が発射され、魔女の顔に一つの焦げ穴を作る
顔面に銃弾を受けた魔女は、笑顔を怒りの表情に変えほむらへとその黒い体を一直線に向かわせた
ほむら「……」
激昂し、突撃してくる魔女。
拳銃を腕に着いた盾のようなもののスライドに入れると、ほむらは向かってくる魔女を眉ひとつ動かさず迎え打った
183: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 19:36:31.58:1G2qOk4a0 (2/9)
―――――
病院
ほむら「……だから敵わないと言ったのに」
魔女の副産物、グリーフシードを拾い上げ、ぽそりと呟く
ほむらは魔女の注意をほむら自身に向けたあと、一瞬で魔女を倒してしまった
戦闘は本当に一瞬
まどかとさやかがほむらが魔女と交戦を開始したと認識した瞬間、魔女の体は爆散し、跡形もなくなってしまっていた
そして戻っていく周囲の景色。
まどかとさやかはの二人はそれを呆けた様子で見ていた
ほむら「……泣いてるの?」
呆けるさやかに冷たい視線を投げかける
ほむらの指摘にさやかはゆっくりと自分の頬に触れると、そこにはいつの間にか温かい水の通り道ができていた
その涙に触れた瞬間、さやかはその涙の意味を思い知る
さやか「あたし……」
その涙の意味。それはマミを目の前で失った悲しみ。
そして、何もしようとしなかった、自分への後悔だった
―――――
病院
ほむら「……だから敵わないと言ったのに」
魔女の副産物、グリーフシードを拾い上げ、ぽそりと呟く
ほむらは魔女の注意をほむら自身に向けたあと、一瞬で魔女を倒してしまった
戦闘は本当に一瞬
まどかとさやかがほむらが魔女と交戦を開始したと認識した瞬間、魔女の体は爆散し、跡形もなくなってしまっていた
そして戻っていく周囲の景色。
まどかとさやかはの二人はそれを呆けた様子で見ていた
ほむら「……泣いてるの?」
呆けるさやかに冷たい視線を投げかける
ほむらの指摘にさやかはゆっくりと自分の頬に触れると、そこにはいつの間にか温かい水の通り道ができていた
その涙に触れた瞬間、さやかはその涙の意味を思い知る
さやか「あたし……」
その涙の意味。それはマミを目の前で失った悲しみ。
そして、何もしようとしなかった、自分への後悔だった
184: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 20:05:23.12:1G2qOk4a0 (3/9)
ほむら「……これが魔法少女というものよ。それでもあなたは魔法少女になりたいの?」
地べたに蹲り涙を流すさやかに、ほむらは歩み寄りながら、そう声を掛ける
だがさやかは涙を流し続けるばかりで、ほむらの声に反応しようとはしなかった
そんなさやかにほむらは短い呆れの溜息を吐く
ほむら「……あなたのせいじゃないわ。運が悪かっただけ」
ほむら「たまたまよ」
さやか「でも……あたしが契約してれば……」
涙でグシャグシャになった顔を上げてほむらを見つめ
そんなさやかをほむらは立ったまま冷たい目で見降ろした
ほむら「死ななかったかもしれないわね」
ほむら「代わりにあなたがああなっていたかもしれないけど」
フラッシュバックするマミの死に様
同時に酷い吐き気と恐怖が再びさやかを襲い、何も言えなくなってしまう
ほむら「……これが魔法少女というものよ。それでもあなたは魔法少女になりたいの?」
地べたに蹲り涙を流すさやかに、ほむらは歩み寄りながら、そう声を掛ける
だがさやかは涙を流し続けるばかりで、ほむらの声に反応しようとはしなかった
そんなさやかにほむらは短い呆れの溜息を吐く
ほむら「……あなたのせいじゃないわ。運が悪かっただけ」
ほむら「たまたまよ」
さやか「でも……あたしが契約してれば……」
涙でグシャグシャになった顔を上げてほむらを見つめ
そんなさやかをほむらは立ったまま冷たい目で見降ろした
ほむら「死ななかったかもしれないわね」
ほむら「代わりにあなたがああなっていたかもしれないけど」
フラッシュバックするマミの死に様
同時に酷い吐き気と恐怖が再びさやかを襲い、何も言えなくなってしまう
185: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 21:01:36.15:1G2qOk4a0 (4/9)
ほむら「あなたが自分の所為だって思いたいのなら、好きにすればいい」
ほむら「それで気が済むのならね」
俯いてしまったさやかに、ほむらは容赦なく冷たい言葉の雨を降らせた
ほむら「……これに懲りたら。もう二度と魔法少女になんてなろうと思わない事ね」
ほむら「あなたも」
そう言って蹲るさやかから、少し離れたところにいるまどかに視線を移す
まどかはほむらの視線にビクリと体を震わせ、咄嗟に顔を伏せる
ほむら「それじゃあまたね。美樹さやか」
ほむら「まどか」
まどかの反応を目に収めると、ほむらは自分の髪に軽く手を触れ、まどかとさやかの二人に背を向けて
足早にその場から去っていった
ほむら「あなたが自分の所為だって思いたいのなら、好きにすればいい」
ほむら「それで気が済むのならね」
俯いてしまったさやかに、ほむらは容赦なく冷たい言葉の雨を降らせた
ほむら「……これに懲りたら。もう二度と魔法少女になんてなろうと思わない事ね」
ほむら「あなたも」
そう言って蹲るさやかから、少し離れたところにいるまどかに視線を移す
まどかはほむらの視線にビクリと体を震わせ、咄嗟に顔を伏せる
ほむら「それじゃあまたね。美樹さやか」
ほむら「まどか」
まどかの反応を目に収めると、ほむらは自分の髪に軽く手を触れ、まどかとさやかの二人に背を向けて
足早にその場から去っていった
186: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 21:43:11.89:1G2qOk4a0 (5/9)
まどか「さやかちゃん……?」
ほむらがその場から立ち去ると、まどかは急いで蹲るさやかの元に駆け寄り、しゃがみ込む
まどかは心配から声を掛けるが、さやかは顔を上げる様子はなく、ただ蹲りつつけるだけだった
さやか「あたしの……あたしのせいだ……」
さやか「あたしが契約しなかったから……すぐに逃げなかったから……」
さやか「あたしの所為でマミさんが……」
さやか「あたしの……」
自責の念から、涙を流しながら自分を責め続けるさやか
そんなさやかにまどかは必死と顔を横に振る
まどか「さっ、さやかちゃんは悪くないよっ!」
さやか「でもっ!あたしがぁっ!!」
まどかの言葉に反論しようと、涙にぬれた顔を上げたとき
まどかは震えるさやかの体を優しく抱きしめた
さやか「あ……」
さやかは抱きしめられた事に声を漏らし、目を丸くした
まどか「さやかちゃんは悪くないよ……悪く……ないよ……」
まどか「悪いのは……悪いのはマミさんを……やっつけた、魔女だよ……」
まどか「だから、そんなに自分を責めないで……」
さやか「あ……ああ……」
さやか「あああああああああああああ!!!」
まどかの抱擁と優しい言葉に堰を切ったように、さやかは大声をあげ、泣き崩れ
まどかは落ち着くまでそんなさやかを優しく抱きしめ続けた
まどか「さやかちゃん……?」
ほむらがその場から立ち去ると、まどかは急いで蹲るさやかの元に駆け寄り、しゃがみ込む
まどかは心配から声を掛けるが、さやかは顔を上げる様子はなく、ただ蹲りつつけるだけだった
さやか「あたしの……あたしのせいだ……」
さやか「あたしが契約しなかったから……すぐに逃げなかったから……」
さやか「あたしの所為でマミさんが……」
さやか「あたしの……」
自責の念から、涙を流しながら自分を責め続けるさやか
そんなさやかにまどかは必死と顔を横に振る
まどか「さっ、さやかちゃんは悪くないよっ!」
さやか「でもっ!あたしがぁっ!!」
まどかの言葉に反論しようと、涙にぬれた顔を上げたとき
まどかは震えるさやかの体を優しく抱きしめた
さやか「あ……」
さやかは抱きしめられた事に声を漏らし、目を丸くした
まどか「さやかちゃんは悪くないよ……悪く……ないよ……」
まどか「悪いのは……悪いのはマミさんを……やっつけた、魔女だよ……」
まどか「だから、そんなに自分を責めないで……」
さやか「あ……ああ……」
さやか「あああああああああああああ!!!」
まどかの抱擁と優しい言葉に堰を切ったように、さやかは大声をあげ、泣き崩れ
まどかは落ち着くまでそんなさやかを優しく抱きしめ続けた
187: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 21:49:34.18:1G2qOk4a0 (6/9)
この時
私はさやかちゃんが縋り付いてきてくれたことに
そして、さやかちゃんを夢中にしていたマミさんが死んでしまったことに
ひどく喜びを感じていました
ああ……やっと私を見てくれる。
こんな私をさやかちゃんは頼ってくれる
そう思うと、喜びで口から笑みがこぼれてしまいそうでした
人が死んだっていうのに
……最低だ、わたし
この時
私はさやかちゃんが縋り付いてきてくれたことに
そして、さやかちゃんを夢中にしていたマミさんが死んでしまったことに
ひどく喜びを感じていました
ああ……やっと私を見てくれる。
こんな私をさやかちゃんは頼ってくれる
そう思うと、喜びで口から笑みがこぼれてしまいそうでした
人が死んだっていうのに
……最低だ、わたし
188: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 23:24:59.17:1G2qOk4a0 (7/9)
翌日 朝 通学路
その後、まどかは落ち着いたものの、気落ちしたままのさやかを家まで送ると、真っすぐ自宅へと戻った
その間も、自宅へと戻った後も、まどかはさやかの心配をしつつ、ずっと自分の事を責めていた
人が死んだのに喜んでいたこと、さやかが縋り付いてきたのに、その事に喜んでしまった事
自分の知らない、暗く、醜い自分を見てしまったようで、まどかは酷い嫌悪感と、軽い恐怖を覚えていた
そんな苦しい夜の明くる朝、まどかは少しの睡眠をとり、いつもの時間にいつもの待ち合わせの場所へと向かう
だがそこにはいつもいる筈のさやかはおらず、仁美だけが二人を待っていた
まどかはさやかがいない事に気を掛けながら、挨拶もそこそこに、仁美と共にさやかを待つ
ぽつり、ぽつりと二人の間に会話が交わされるものの、まどかの寝不足、昨日の一件、そして、もともとのまどかの仁美に対する感情もあり、長くは続かなかった
仁美「さやかさん、遅いですわね……」
会話の種が底を着き、少しの沈黙の後、仁美がそう漏らした
まどか「……うん」
仁美の呟きに心ここに非ずと言った様子でまどかは顔を縦に振る
仁美「何かあったんでしょうか……」
その概要を全て知っていたものの、言っても無駄だろうという判断の元、まどかは沈黙を返す
翌日 朝 通学路
その後、まどかは落ち着いたものの、気落ちしたままのさやかを家まで送ると、真っすぐ自宅へと戻った
その間も、自宅へと戻った後も、まどかはさやかの心配をしつつ、ずっと自分の事を責めていた
人が死んだのに喜んでいたこと、さやかが縋り付いてきたのに、その事に喜んでしまった事
自分の知らない、暗く、醜い自分を見てしまったようで、まどかは酷い嫌悪感と、軽い恐怖を覚えていた
そんな苦しい夜の明くる朝、まどかは少しの睡眠をとり、いつもの時間にいつもの待ち合わせの場所へと向かう
だがそこにはいつもいる筈のさやかはおらず、仁美だけが二人を待っていた
まどかはさやかがいない事に気を掛けながら、挨拶もそこそこに、仁美と共にさやかを待つ
ぽつり、ぽつりと二人の間に会話が交わされるものの、まどかの寝不足、昨日の一件、そして、もともとのまどかの仁美に対する感情もあり、長くは続かなかった
仁美「さやかさん、遅いですわね……」
会話の種が底を着き、少しの沈黙の後、仁美がそう漏らした
まどか「……うん」
仁美の呟きに心ここに非ずと言った様子でまどかは顔を縦に振る
仁美「何かあったんでしょうか……」
その概要を全て知っていたものの、言っても無駄だろうという判断の元、まどかは沈黙を返す
189: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 23:41:40.46:1G2qOk4a0 (8/9)
仁美「まどかさん、何か……」
さやか「……おはよう」
妙なまどかの沈黙に、仁美はさやかに何かあったか知ってるのではないかと思い、その事について聞こうとするが
丁度その時さやかが、二人の前に現れる
まどか「さやかちゃんっ!」
さやか「……おはよう。まどか」
まどか「あ……」
現れたさやかに心配から駆け寄るまどかだったが、その表情の暗さ、目の下のクマの濃さに言葉を失ってしまう
仁美もそんなさやかの異常な様子に気付き、不安な表情を向ける
仁美「……大丈夫ですか?顔色が……」
さやか「……大丈夫だよ。私はこの通り元気いっぱいさ!」
さやか「……だから、学校いこ?」
心配してくれる二人に応えようと、元気を振り絞り、笑顔を見せるさやかだったが、それも長くは続かずすぐに暗い表情に戻ってしまう
そんなさやかを仁美は心配の表情で、まどかは思いつめた表情で見つめた
仁美「は、はい……」
まどか「……」
仁美「まどかさん、何か……」
さやか「……おはよう」
妙なまどかの沈黙に、仁美はさやかに何かあったか知ってるのではないかと思い、その事について聞こうとするが
丁度その時さやかが、二人の前に現れる
まどか「さやかちゃんっ!」
さやか「……おはよう。まどか」
まどか「あ……」
現れたさやかに心配から駆け寄るまどかだったが、その表情の暗さ、目の下のクマの濃さに言葉を失ってしまう
仁美もそんなさやかの異常な様子に気付き、不安な表情を向ける
仁美「……大丈夫ですか?顔色が……」
さやか「……大丈夫だよ。私はこの通り元気いっぱいさ!」
さやか「……だから、学校いこ?」
心配してくれる二人に応えようと、元気を振り絞り、笑顔を見せるさやかだったが、それも長くは続かずすぐに暗い表情に戻ってしまう
そんなさやかを仁美は心配の表情で、まどかは思いつめた表情で見つめた
仁美「は、はい……」
まどか「……」
190: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/23(日) 23:54:37.26:1G2qOk4a0 (9/9)
合流した三人は重い空気の中、学校へと向かい始める
仁美は何度、さやかに何かあったのか聞こうと思ったが、とても聞けるような雰囲気ではなく、チラチラとさやかを視線を向けることしかできなかった
そんな中、まどかは思いつめた表情で、さやかに声を掛ける
まどか「さやかちゃん……ホントに大丈夫?」
さやか「……なんとかね」
まどかの心配に、小さくさやか首を縦に振る
まどか「辛かったら休んでも……」
さやか「……いや、こんなことで休んでられないよ」
さやか「……もっと辛い目に会った人がいるんだ」
まどか「……あ……」
何かを思う遠い目
まどかはそんなさやかに何も言えなくなってしまう
さやか「気遣い、ありがとね。まどか」
さやか「……あたしはもう大丈夫だから……さ」
さやか「いこ?」
まどか「……うん」
さやかの精一杯の強がりに、まどかは頷くことしかできなかった
合流した三人は重い空気の中、学校へと向かい始める
仁美は何度、さやかに何かあったのか聞こうと思ったが、とても聞けるような雰囲気ではなく、チラチラとさやかを視線を向けることしかできなかった
そんな中、まどかは思いつめた表情で、さやかに声を掛ける
まどか「さやかちゃん……ホントに大丈夫?」
さやか「……なんとかね」
まどかの心配に、小さくさやか首を縦に振る
まどか「辛かったら休んでも……」
さやか「……いや、こんなことで休んでられないよ」
さやか「……もっと辛い目に会った人がいるんだ」
まどか「……あ……」
何かを思う遠い目
まどかはそんなさやかに何も言えなくなってしまう
さやか「気遣い、ありがとね。まどか」
さやか「……あたしはもう大丈夫だから……さ」
さやか「いこ?」
まどか「……うん」
さやかの精一杯の強がりに、まどかは頷くことしかできなかった
191: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/24(月) 00:16:10.01:UBPXFhux0 (1/6)
そして三人に再び重い沈黙が訪れる
まどか(さやかちゃん……無理してる……)
まどか(そうだよね……目の前でマミさんが……)
さやかの会話の後、俯き続けていたまどかがちらりと視線を向ける
まどか(……さやかちゃん……)
さやかはぼう、と遠くを見つめ、何かに思い耽っているようだった
そこでまどかは自分の中に、さやかを心配する感情のほかに、モヤモヤとした感情が渦巻いているのを気付いてしまった
まどか(なに……私……)
まどか(死んじゃった人に、嫉妬してるの……?)
モヤモヤとした感情。死んでしまったマミへの嫉妬だった
まどか(何考えてるの……私……)
こんな時にまで、死んでしまった人にまで嫉妬の感情を向ける自分が良くわからなくなり
そんな自分に恐怖を覚えてしまうまどかだった
そして三人に再び重い沈黙が訪れる
まどか(さやかちゃん……無理してる……)
まどか(そうだよね……目の前でマミさんが……)
さやかの会話の後、俯き続けていたまどかがちらりと視線を向ける
まどか(……さやかちゃん……)
さやかはぼう、と遠くを見つめ、何かに思い耽っているようだった
そこでまどかは自分の中に、さやかを心配する感情のほかに、モヤモヤとした感情が渦巻いているのを気付いてしまった
まどか(なに……私……)
まどか(死んじゃった人に、嫉妬してるの……?)
モヤモヤとした感情。死んでしまったマミへの嫉妬だった
まどか(何考えてるの……私……)
こんな時にまで、死んでしまった人にまで嫉妬の感情を向ける自分が良くわからなくなり
そんな自分に恐怖を覚えてしまうまどかだった
192: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/24(月) 00:54:39.48:UBPXFhux0 (2/6)
昼休み 屋上
教室についた三人は、特に会話もなくすぐに各々の席へと座っていった
クラスメイト達が教室に入ってきたさやかが元気のない事に気付き、次々と心配の声を掛けていく
さやかはそんなクラスメイト達を無理やり作った笑顔と、即席の嘘でいなしていく
仁美はそれを心配の表情で、まどかは様々な感情が入り混じる表情で、さやかとクラスメイト達を眺めていた
さやか「……」
そして時が流れ昼休み
漠然と授業を受けたさやかは、昼休みになるとそっと教室を抜け出し、ひとり屋上に来ていた
屋上の端にあるベンチに身を投げ出すように座り、空を仰ぎ見る
さやか「マミさん……死んじゃったんだよね……」
ポツリ、と口から言葉を零す
さやかは昨日からずっとマミの死の事だけを考えていた
さやか「あたしの所為、で……」
マミの死を思えば思うほど、さやかの心は自責の念に傷つけられていく
キリのない後悔、自責。
さやかは心の痛みにいつの間にか目に涙を溜めてしまっていた
さやか「……なんであたしが生きてるんだろう」
さやか「ホントなら、あそこで……あたしが……」
さやか「そしたら……マミさんは……」
「生きていただろうね」
自分を責め続けるさやかに、足元から声が響く
足元を見ると、キュウべえがくりくりの目でこちらを見上げていた
さやか「……キュゥべぇ」
キュゥべぇ「やぁ、美樹さやか」
昼休み 屋上
教室についた三人は、特に会話もなくすぐに各々の席へと座っていった
クラスメイト達が教室に入ってきたさやかが元気のない事に気付き、次々と心配の声を掛けていく
さやかはそんなクラスメイト達を無理やり作った笑顔と、即席の嘘でいなしていく
仁美はそれを心配の表情で、まどかは様々な感情が入り混じる表情で、さやかとクラスメイト達を眺めていた
さやか「……」
そして時が流れ昼休み
漠然と授業を受けたさやかは、昼休みになるとそっと教室を抜け出し、ひとり屋上に来ていた
屋上の端にあるベンチに身を投げ出すように座り、空を仰ぎ見る
さやか「マミさん……死んじゃったんだよね……」
ポツリ、と口から言葉を零す
さやかは昨日からずっとマミの死の事だけを考えていた
さやか「あたしの所為、で……」
マミの死を思えば思うほど、さやかの心は自責の念に傷つけられていく
キリのない後悔、自責。
さやかは心の痛みにいつの間にか目に涙を溜めてしまっていた
さやか「……なんであたしが生きてるんだろう」
さやか「ホントなら、あそこで……あたしが……」
さやか「そしたら……マミさんは……」
「生きていただろうね」
自分を責め続けるさやかに、足元から声が響く
足元を見ると、キュウべえがくりくりの目でこちらを見上げていた
さやか「……キュゥべぇ」
キュゥべぇ「やぁ、美樹さやか」
193: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/24(月) 01:13:33.16:UBPXFhux0 (3/6)
さやか「やっぱり……そうだよね……」
瞳に溜まった涙をぬぐいながら、さやかは後悔から俯く
キュゥべえ「でも」
短く切られるキュゥべえの言葉
さやかはそれに俯かせた顔を上げ、無表情のキュゥべえに顔を向ける
キュゥべぇ「マミは本望だったんじゃないかな?」
さやか「……どうして?」
キュゥべぇ「マミは昔から、人を助ける事を第一として動いてきた」
キュゥべぇ「自分の命は失ってしまったけど、君を守れる事ができたんだ」
キュゥべぇ「それだけでマミは嬉しいと思うよ」
キュウべえはその小さい体をさやかに寄せ、優しい声で慰める
だがさやかの心に慰めの言葉が届く事はなかった
さやか「でも……マミさんは死んじゃった……私の所為で」
キュゥべえはそんなさやかの様子に深く俯くと、重々しく声を掛けた
キュゥべぇ「その、償いを望むかい?」
さやか「やっぱり……そうだよね……」
瞳に溜まった涙をぬぐいながら、さやかは後悔から俯く
キュゥべえ「でも」
短く切られるキュゥべえの言葉
さやかはそれに俯かせた顔を上げ、無表情のキュゥべえに顔を向ける
キュゥべぇ「マミは本望だったんじゃないかな?」
さやか「……どうして?」
キュゥべぇ「マミは昔から、人を助ける事を第一として動いてきた」
キュゥべぇ「自分の命は失ってしまったけど、君を守れる事ができたんだ」
キュゥべぇ「それだけでマミは嬉しいと思うよ」
キュウべえはその小さい体をさやかに寄せ、優しい声で慰める
だがさやかの心に慰めの言葉が届く事はなかった
さやか「でも……マミさんは死んじゃった……私の所為で」
キュゥべえはそんなさやかの様子に深く俯くと、重々しく声を掛けた
キュゥべぇ「その、償いを望むかい?」
194: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/24(月) 01:34:19.44:UBPXFhux0 (4/6)
さやか「え……」
キュゥべぇ「マミは今までずっとこの街を守ってきた」
キュゥべぇ「君が償いを望むというなら、代わり君がこの町を守ればいい」
重々しく語っていくキュゥべえにさやかは必死と耳を傾け続けた
キュゥべぇ「君にはその力がある。マミのように人を救うことだってできる」
キュゥべぇ「もし君が、望むのならだけど」
キュゥべえは俯かせていた顔を上げ、さやかにくりくりの瞳を向ける
キュウべえとの契約による、この上ない、さやかの望む、償い
だが、それは魔法少女になる事を意味する。
さやかは、その償いに躊躇いを覚えていた
キュゥべぇ「……あんなマミの死に方を見たあとだ」
キュゥべぇ「なれっていう方が酷かもしれないね」
さやかの躊躇う様子に、キュゥべえはしょうがないよ、と首を振る
キュゥべぇ「だから、無理になれなんて言わない」
キュゥべぇ「ならなくたって、誰も責めはしないんだから」
今すぐ魔法少女になって、マミへの償いがしたいという思いと
マミの死んだ時の恐怖がさやかの中をせめぎ合い、さやかの決断を鈍らせる
キュゥべえはそのさやかの思いを読んだかのように頷くと、さやかから少し距離をとる
キュゥべぇ「……君にすべて任せるよ。必要だったらすぐに呼んでね」
キュゥべぇ「すぐに駆けつけるよ」
そして、ある程度離れた所でそう言い残し、キュウべえは開けっ放しにしていた校内への扉へと消えていった
さやか「え……」
キュゥべぇ「マミは今までずっとこの街を守ってきた」
キュゥべぇ「君が償いを望むというなら、代わり君がこの町を守ればいい」
重々しく語っていくキュゥべえにさやかは必死と耳を傾け続けた
キュゥべぇ「君にはその力がある。マミのように人を救うことだってできる」
キュゥべぇ「もし君が、望むのならだけど」
キュゥべえは俯かせていた顔を上げ、さやかにくりくりの瞳を向ける
キュウべえとの契約による、この上ない、さやかの望む、償い
だが、それは魔法少女になる事を意味する。
さやかは、その償いに躊躇いを覚えていた
キュゥべぇ「……あんなマミの死に方を見たあとだ」
キュゥべぇ「なれっていう方が酷かもしれないね」
さやかの躊躇う様子に、キュゥべえはしょうがないよ、と首を振る
キュゥべぇ「だから、無理になれなんて言わない」
キュゥべぇ「ならなくたって、誰も責めはしないんだから」
今すぐ魔法少女になって、マミへの償いがしたいという思いと
マミの死んだ時の恐怖がさやかの中をせめぎ合い、さやかの決断を鈍らせる
キュゥべえはそのさやかの思いを読んだかのように頷くと、さやかから少し距離をとる
キュゥべぇ「……君にすべて任せるよ。必要だったらすぐに呼んでね」
キュゥべぇ「すぐに駆けつけるよ」
そして、ある程度離れた所でそう言い残し、キュウべえは開けっ放しにしていた校内への扉へと消えていった
195: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/24(月) 01:38:50.47:UBPXFhux0 (5/6)
さやか「あ……」
扉へと消えていくキュゥべえへ、さやかは無意識に手を伸ばすが
魔法少女になる事への葛藤がその手を下げさせる
さやか「……あたしは……」
屋上に一人残されたさやかは、魔法少女になるか否か、その迷いの中に放り込まれる事になった
さやか「あ……」
扉へと消えていくキュゥべえへ、さやかは無意識に手を伸ばすが
魔法少女になる事への葛藤がその手を下げさせる
さやか「……あたしは……」
屋上に一人残されたさやかは、魔法少女になるか否か、その迷いの中に放り込まれる事になった
196: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/24(月) 01:44:01.35:UBPXFhux0 (6/6)
今日はここまで。お疲れさまでした
三人称の地の文からいきなり>>187みたいな心情の吐露に行くと違和感が凄い
なにかいい手はないもんでしょうか……考えておかねば(チラッ
それではまた次回ー
(チラッ
今日はここまで。お疲れさまでした
三人称の地の文からいきなり>>187みたいな心情の吐露に行くと違和感が凄い
なにかいい手はないもんでしょうか……考えておかねば(チラッ
それではまた次回ー
(チラッ
197:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府):2011/10/24(月) 02:14:41.41:wRHgfXaZo (1/1)
乙
寝る前のベッドやお風呂なんか一人のシーンにしてしまえば?
乙
寝る前のベッドやお風呂なんか一人のシーンにしてしまえば?
198:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/24(月) 03:53:12.81:jjK6PmMmo (1/1)
乙乙
1人のシーンとか意識が内側に行きがちな場面は地の文一人称でいいんじゃないかな
乙乙
1人のシーンとか意識が内側に行きがちな場面は地の文一人称でいいんじゃないかな
199:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/24(月) 20:43:31.97:lww+WIfOo (1/1)
乙
俺には分からんな
乙
俺には分からんな
200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/10/24(月) 23:02:50.78:PFqj0oAPo (1/1)
ダッシュとかで区切っちゃうとか?
ダッシュとかで区切っちゃうとか?
201: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/25(火) 00:16:33.85:afAJUHJL0 (1/3)
>>197
一人になる描写をしてから、ですね。確かにその方が自然かも
>>198
一人称もありですね!……ちょっと苦手ですが
>>199
難しいんですよね……
>>200
ダッシュで区切るのもわかりやすくていいですね
>>197-200
回答本当にありがとうございました!
これから何回か心情の吐露を入れていこうと思うので参考にさせてもらいます
>>197
一人になる描写をしてから、ですね。確かにその方が自然かも
>>198
一人称もありですね!……ちょっと苦手ですが
>>199
難しいんですよね……
>>200
ダッシュで区切るのもわかりやすくていいですね
>>197-200
回答本当にありがとうございました!
これから何回か心情の吐露を入れていこうと思うので参考にさせてもらいます
202: ◆oUEg.rTfmfTO:2011/10/25(火) 01:17:20.98:afAJUHJL0 (2/3)
同時刻
まどか「さやかちゃん……どこに行っちゃったのかな……」
教室にさやかがいない事に気付いたまどかは、心配から廊下にさやかを探し出ていた
キョロキョロと見回しながら校内を歩きまわる
ほむら「鹿目まどか」
まどか「っ!ほ、ほむら……ちゃん……」
歩き回るまどかの目の前に、待ち構えていたかのようにほむらが物陰から姿を現した
突然現れたほむらにギョッとした表情を浮かべるまどか
ほむら「また話があるんだけど良いかしら」
まどか「……え、えと……」
いつものあの冷たい目に、まどかはほむらの誘いを断る事が出来ず
恐る恐ると頷いた
まどか「……うん……」
ほむら「そう。ありがとう」
髪を軽く触り、ほむらは目を伏せる
ほむら「ここではなんだから、場所、移しましょう?」
まどか「……うん……」
ほむら「こっちよ」
頷くまどかを背に、ほむらは一人先に足早と歩き始める
まどかはその後ろを嫌々と言った体で、ゆっくりと着いて行った
同時刻
まどか「さやかちゃん……どこに行っちゃったのかな……」
教室にさやかがいない事に気付いたまどかは、心配から廊下にさやかを探し出ていた
キョロキョロと見回しながら校内を歩きまわる
ほむら「鹿目まどか」
まどか「っ!ほ、ほむら……ちゃん……」
歩き回るまどかの目の前に、待ち構えていたかのようにほむらが物陰から姿を現した
突然現れたほむらにギョッとした表情を浮かべるまどか
ほむら「また話があるんだけど良いかしら」
まどか「……え、えと……」
いつものあの冷たい目に、まどかはほむらの誘いを断る事が出来ず
恐る恐ると頷いた
まどか「……うん……」
ほむら「そう。ありがとう」
髪を軽く触り、ほむらは目を伏せる
ほむら「ここではなんだから、場所、移しましょう?」
まどか「……うん……」
ほむら「こっちよ」
頷くまどかを背に、ほむらは一人先に足早と歩き始める
まどかはその後ろを嫌々と言った体で、ゆっくりと着いて行った
203: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/25(火) 01:20:53.72:afAJUHJL0 (3/3)
一レスしか更新してないけど頭が痛いのでここまで……
すまぬ……
乙、感想レス、いつも感謝です。そして相談の回答も
良ければ完結まで見守ってくれると大変うれしいです
それではー
一レスしか更新してないけど頭が痛いのでここまで……
すまぬ……
乙、感想レス、いつも感謝です。そして相談の回答も
良ければ完結まで見守ってくれると大変うれしいです
それではー
204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/25(火) 01:39:53.20:lQyEAdw8o (1/1)
>>203
乙 お大事に
>>203
乙 お大事に
205:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/10/25(火) 02:19:08.87:Fll6nhaeo (1/1)
乙乙
ゆっくり休んでくれ
乙乙
ゆっくり休んでくれ
206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 02:20:26.31:4fDmTA6no (1/1)
自分のペースで行けばいいと思うよ。お大事に!
自分のペースで行けばいいと思うよ。お大事に!
207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/10/25(火) 17:04:59.89:4MzicRxto (1/1)
全編一人称でSS書いてるけどやりにくい事この上ない
個人的にはお薦めできないけどポイントを絞って使えばかえって効果的なのかな
全編一人称でSS書いてるけどやりにくい事この上ない
個人的にはお薦めできないけどポイントを絞って使えばかえって効果的なのかな
208:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 17:35:45.87:3SFj5tEDO (1/1)
バトロワは三人称が基本ながらたまに一人称になったりする
バトロワは三人称が基本ながらたまに一人称になったりする
209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/25(火) 17:38:15.41:z2TEhwBXo (1/1)
マジレスすると
ほにゃらら一人称~~~
と、○○は思った
みたいな形にすればそれで解決じゃねーの
マジレスすると
ほにゃらら一人称~~~
と、○○は思った
みたいな形にすればそれで解決じゃねーの
210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/25(火) 22:56:24.28:+7MfROVMo (1/1)
乙
完結さえしてくれるならいつまでも待つから無理しないでやってくれ
乙
完結さえしてくれるならいつまでも待つから無理しないでやってくれ
211: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 14:09:38.82:lS+nTMmf0 (1/8)
復活!復活!>>1ふっ(ry
>>207
確かに三人称は楽ですね。想像した文をキャラにあった文に変換する必要がないですし、状況説明も楽に済みますしね
一人称はその一人称で語るキャラの心情を強調出来るっていうのが利点だと思うんです。だから使いたいな。というのがありまして……
でも自分は三人称からのつなげ方がわかないというか、難しいというか……
>>208
という事は、いきなり一人称を入れても問題ないんでしょうかね……機会があったらバトロワちょっと読んで見ます
>>209
まどか(どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……)
か
どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……と、嫉妬に心を揺らしながら、私はそう思った
ということでしょうか?むーん……なかなか難しい
>>207-209
ご意見ありがとうございました!参考にさせていただきます
それではのんびりと投下開始
復活!復活!>>1ふっ(ry
>>207
確かに三人称は楽ですね。想像した文をキャラにあった文に変換する必要がないですし、状況説明も楽に済みますしね
一人称はその一人称で語るキャラの心情を強調出来るっていうのが利点だと思うんです。だから使いたいな。というのがありまして……
でも自分は三人称からのつなげ方がわかないというか、難しいというか……
>>208
という事は、いきなり一人称を入れても問題ないんでしょうかね……機会があったらバトロワちょっと読んで見ます
>>209
まどか(どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……)
か
どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……と、嫉妬に心を揺らしながら、私はそう思った
ということでしょうか?むーん……なかなか難しい
>>207-209
ご意見ありがとうございました!参考にさせていただきます
それではのんびりと投下開始
212: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 14:24:28.55:lS+nTMmf0 (2/8)
庭
まどか「それで……話って……」
ほむらが案内した先。そこは人気のない中庭だった
まどかは中庭でほむらが足を止めると、戸惑いと、恐怖の籠る目をほむらに向け、恐る恐ると声を掛けた
ほむらは冷たい目でしばらく無言でまどかを見つめると、髪を軽く手で触れ
ほむら「……あなた、あまり巴マミの事についてあまりショックを受けていないようね」
そう言い放った
まどかはほむらの言葉に、図星を突かれたかのように視線を左右に忙しく動き回らせる
まどか「っ!……そ、そんなっ私……」
ほむら「それならそれでいいのよ。ただ気にすることはないって言いたかっただけ」
ほむら「あれが私たち魔法少女の運命なんだから」
まどかの態度を責めるつもりはないと、ほむらは首を振る
まどかはほむらの言葉と態度にジッと下を見つめ、俯いてしまった
そして訪れるわずかな沈黙
ほむら「……あなた、本当にまどかなの?」
まどか「え?」
沈黙を破っての突然のほむらの言葉
まどかは、そんなわけのわからない事を言うほむらにキョトンとした表情を向けた
ほむら「……なんでもないわ」
髪に手を触れ、首を振る
ほむら「とにかくあなたはそのまま何も気にせず、平和に暮らしていけばいい」
ほむら「友人や、家族を大事にしてね」
庭
まどか「それで……話って……」
ほむらが案内した先。そこは人気のない中庭だった
まどかは中庭でほむらが足を止めると、戸惑いと、恐怖の籠る目をほむらに向け、恐る恐ると声を掛けた
ほむらは冷たい目でしばらく無言でまどかを見つめると、髪を軽く手で触れ
ほむら「……あなた、あまり巴マミの事についてあまりショックを受けていないようね」
そう言い放った
まどかはほむらの言葉に、図星を突かれたかのように視線を左右に忙しく動き回らせる
まどか「っ!……そ、そんなっ私……」
ほむら「それならそれでいいのよ。ただ気にすることはないって言いたかっただけ」
ほむら「あれが私たち魔法少女の運命なんだから」
まどかの態度を責めるつもりはないと、ほむらは首を振る
まどかはほむらの言葉と態度にジッと下を見つめ、俯いてしまった
そして訪れるわずかな沈黙
ほむら「……あなた、本当にまどかなの?」
まどか「え?」
沈黙を破っての突然のほむらの言葉
まどかは、そんなわけのわからない事を言うほむらにキョトンとした表情を向けた
ほむら「……なんでもないわ」
髪に手を触れ、首を振る
ほむら「とにかくあなたはそのまま何も気にせず、平和に暮らしていけばいい」
ほむら「友人や、家族を大事にしてね」
213: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 14:31:34.83:lS+nTMmf0 (3/8)
ほむら「話はそれだけよ。じゃあね」
まどか「あ、あのっ!」
話は済んだ。と背を向けるほむらに、まどかは焦った様子で声を掛ける
ほむらはまどかの声に、背を向けたまま顔だけをまどかに向けた
ほむら「……何かしら」
まどか「魔法少女になっちゃたら……皆、マミさんみたいになっちゃうの……?」
おずおずとしたまどかの質問に、ほむらは首を縦に振る
ほむら「そうね。大方はね」
ほむら「魔法少女になって幸せになった人なんて、一人も見た事がないわ」
ほむら「願いがかなった一時の喜びに溺れて、そして現実に戻って、それが一時の物だとわかって絶望していくか」
ほむら「死ぬだけ」
死
その言葉がまどかの体を震わせる
ほむら「あなたもそうなりたくなかったら、絶対に魔法少女にはならない事ね」
ほむら「もう話はおしまい?」
まどか「……う、うん……」
ほむら「話はそれだけよ。じゃあね」
まどか「あ、あのっ!」
話は済んだ。と背を向けるほむらに、まどかは焦った様子で声を掛ける
ほむらはまどかの声に、背を向けたまま顔だけをまどかに向けた
ほむら「……何かしら」
まどか「魔法少女になっちゃたら……皆、マミさんみたいになっちゃうの……?」
おずおずとしたまどかの質問に、ほむらは首を縦に振る
ほむら「そうね。大方はね」
ほむら「魔法少女になって幸せになった人なんて、一人も見た事がないわ」
ほむら「願いがかなった一時の喜びに溺れて、そして現実に戻って、それが一時の物だとわかって絶望していくか」
ほむら「死ぬだけ」
死
その言葉がまどかの体を震わせる
ほむら「あなたもそうなりたくなかったら、絶対に魔法少女にはならない事ね」
ほむら「もう話はおしまい?」
まどか「……う、うん……」
214: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 14:36:23.11:lS+nTMmf0 (4/8)
ほむら「そう。それじゃあね」
ほむら「まどか」
足早に去っていくほむらを見送ると、残されたまどかはその場で俯き
死んでいったマミの事でもなく、忠告してきたほむらの事でもなく
まどか「魔法少女になったら……皆、死んじゃうんだ……」
まどか「さやかちゃん……まだ、魔法少女になりたいなんて思ってるのかな……」
まどか「……そんなの嫌だよ……」
まどか「……さやかちゃん……」
たださやかの事だけを考えていた
ほむら「そう。それじゃあね」
ほむら「まどか」
足早に去っていくほむらを見送ると、残されたまどかはその場で俯き
死んでいったマミの事でもなく、忠告してきたほむらの事でもなく
まどか「魔法少女になったら……皆、死んじゃうんだ……」
まどか「さやかちゃん……まだ、魔法少女になりたいなんて思ってるのかな……」
まどか「……そんなの嫌だよ……」
まどか「……さやかちゃん……」
たださやかの事だけを考えていた
215:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/26(水) 15:08:51.35:Z+r9J0q9o (1/1)
キテタ━━━━(゜∀゜)━━━━!
キテタ━━━━(゜∀゜)━━━━!
216:211:2011/10/26(水) 15:31:10.05:YmPLe6Yvo (1/1)
>>211
えーと、そうじゃなくて基本を三人称で進めつつ
――どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……
まどかは嫉妬に心を揺らしながら、そう思った。
みたいな形にすれば、あくまで三人称の中に一人称を内包出来るんじゃない?
って事さー
そして頑張れ
>>211
えーと、そうじゃなくて基本を三人称で進めつつ
――どうしてさやかちゃんに纏わりつくの?……邪魔だよ……あっち行ってよ……
まどかは嫉妬に心を揺らしながら、そう思った。
みたいな形にすれば、あくまで三人称の中に一人称を内包出来るんじゃない?
って事さー
そして頑張れ
217: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 15:38:33.85:lS+nTMmf0 (5/8)
放課後
その後、昼休み終了間際に教室に戻ってきたまどかは、その時丁度屋上から戻ってきたさやかと出くわした
まどかはさやかがどこに言っていたのか聞こうと思ったが、さやかの酷く思いつめた様子に、声を掛ける事ができなかった
そして授業開始を告げる鐘の音。
まどかはさやかの心配に心を焦がしながら、一日の授業の終了を待った
まどか「……さやかちゃん一緒にかえろ?」
一日の授業が終わると、まどかはすぐにさやかの元に走り寄り、勇気を振り絞り、さやかに声を掛けた
だがさやかは浮かない様子で、まどかの言葉に応える
さやか「ん……ごめん。今日は私、恭介の所真っすぐ行くからさ」
まどか「そう……なの?」
さやか「うん。ちょっとね」
恭介という言葉と、その言葉を語るさやかの口調
それらにまどかは顔を曇らせ、ぎこちなく頷く
まどか「……そ、そっか。わかったよ」
さやか「ごめんね。まどか」
そんなまどかにさやかは小さく頭を下げる
まどかは焦った様子で手と顔をブンブンと振った
まどか「い、いいよっ全然っ!」
さやか「……明日は一緒にかえろ?」
まどか「う、うん……」
さやか「うん。それじゃあね。まどか」
まどか「……また、明日ね」
そうしてまどかに背を向け元気なく教室を去っていくさやかを、まどかはその背中を見送りながら
これかたさやかが合うであろう人に、激しい嫉妬を感じていた
放課後
その後、昼休み終了間際に教室に戻ってきたまどかは、その時丁度屋上から戻ってきたさやかと出くわした
まどかはさやかがどこに言っていたのか聞こうと思ったが、さやかの酷く思いつめた様子に、声を掛ける事ができなかった
そして授業開始を告げる鐘の音。
まどかはさやかの心配に心を焦がしながら、一日の授業の終了を待った
まどか「……さやかちゃん一緒にかえろ?」
一日の授業が終わると、まどかはすぐにさやかの元に走り寄り、勇気を振り絞り、さやかに声を掛けた
だがさやかは浮かない様子で、まどかの言葉に応える
さやか「ん……ごめん。今日は私、恭介の所真っすぐ行くからさ」
まどか「そう……なの?」
さやか「うん。ちょっとね」
恭介という言葉と、その言葉を語るさやかの口調
それらにまどかは顔を曇らせ、ぎこちなく頷く
まどか「……そ、そっか。わかったよ」
さやか「ごめんね。まどか」
そんなまどかにさやかは小さく頭を下げる
まどかは焦った様子で手と顔をブンブンと振った
まどか「い、いいよっ全然っ!」
さやか「……明日は一緒にかえろ?」
まどか「う、うん……」
さやか「うん。それじゃあね。まどか」
まどか「……また、明日ね」
そうしてまどかに背を向け元気なく教室を去っていくさやかを、まどかはその背中を見送りながら
これかたさやかが合うであろう人に、激しい嫉妬を感じていた
218: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 15:46:09.84:lS+nTMmf0 (6/8)
>>216
なるほど。それならしっくりきますね!
その表現は使えそうなところがいくつかあるので使ってみようと思います!ありがとうございました!
>>216
なるほど。それならしっくりきますね!
その表現は使えそうなところがいくつかあるので使ってみようと思います!ありがとうございました!
219: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 16:04:00.08:lS+nTMmf0 (7/8)
仁美「さやかさん、用事があるみたいですし……私たちだけで帰りましょうか」
二人のいつもとは違う様子に声を掛けられずにいた仁美が、さやかが帰ったのを見計らい、まどかに声を掛ける
だがまどかは仁美の言葉に反応せず、ただ俯き、考えに耽るだけだった
まどか(また、私嫉妬してる……)
まどか(……さやかちゃんが大変だっていうのに)
まどか(マミさんが死んじゃったっていうのに……)
まどか(こんな時にまで……)
まどか(……もう自分が嫌だよ……)
仁美「まどかさん?」
まどかが自分の声に反応がない事を心配に思い、まどかの名を呼ぶ
まどか「……ごめん。仁美ちゃん。具合悪いから、私も帰るね」
しかしまどかは顔を俯かせたままそれだけ言い残し、荷物をまとめて教室を去っていってしまった
仁美「あっまどかさんっ!」
――二人とも……どうしちゃったんですの……
仁美は心でそう呟きながら、ここにいない二人の友達に思いを馳せた
仁美「さやかさん、用事があるみたいですし……私たちだけで帰りましょうか」
二人のいつもとは違う様子に声を掛けられずにいた仁美が、さやかが帰ったのを見計らい、まどかに声を掛ける
だがまどかは仁美の言葉に反応せず、ただ俯き、考えに耽るだけだった
まどか(また、私嫉妬してる……)
まどか(……さやかちゃんが大変だっていうのに)
まどか(マミさんが死んじゃったっていうのに……)
まどか(こんな時にまで……)
まどか(……もう自分が嫌だよ……)
仁美「まどかさん?」
まどかが自分の声に反応がない事を心配に思い、まどかの名を呼ぶ
まどか「……ごめん。仁美ちゃん。具合悪いから、私も帰るね」
しかしまどかは顔を俯かせたままそれだけ言い残し、荷物をまとめて教室を去っていってしまった
仁美「あっまどかさんっ!」
――二人とも……どうしちゃったんですの……
仁美は心でそう呟きながら、ここにいない二人の友達に思いを馳せた
220: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/26(水) 16:08:46.05:lS+nTMmf0 (8/8)
修正>>217
これかたさやかが合うであろう人に、激しい嫉妬を感じていた ×
これから(以下同文 ○
修正>>217
これかたさやかが合うであろう人に、激しい嫉妬を感じていた ×
これから(以下同文 ○
221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/10/26(水) 17:21:01.80:CA+0Mjq+0 (1/1)
乙
頑張れ~
完結するまでずっと待ってるからな~
乙
頑張れ~
完結するまでずっと待ってるからな~
222:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/26(水) 20:09:25.87:mpmSSYySo (1/1)
書きやすい書き方でいいんじゃないかな?
台本形式でも3人称でも1人称での切り替えでも俺は構わん
文体で悩んじゃうと全然進まんぜよ?
書きやすい書き方でいいんじゃないかな?
台本形式でも3人称でも1人称での切り替えでも俺は構わん
文体で悩んじゃうと全然進まんぜよ?
223: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/27(木) 01:00:44.79:Ty/02QDq0 (1/6)
>>222
確かに考えて時間食っちゃうってのはありますね……
やっぱり自分のやりたいようにやるってのが一番なんですかね
こうした方がいいんじゃないか。っていう意見は大歓迎なので、どんどん言ってくれると嬉しいです
それでは続きをば
>>222
確かに考えて時間食っちゃうってのはありますね……
やっぱり自分のやりたいようにやるってのが一番なんですかね
こうした方がいいんじゃないか。っていう意見は大歓迎なので、どんどん言ってくれると嬉しいです
それでは続きをば
224: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/27(木) 01:02:51.22:Ty/02QDq0 (2/6)
病院 病室前
西日に赤く染まる、白い病院の廊下
さやかは上条の病室前で、ジッとネームプレートを眺めていた
さやか「……なんで私、恭介のとこ来ちゃったのかなぁ」
さやか「CDもなにも、持ってないのに……」
自分の背に受ける西日で出来た影に、視線を落とす
さやか「……はは、恭介に慰めて貰おうっての?」
さやか「女々しいね。美樹さやか」
少しの沈黙の後、さやかは意を決したように顔を上げ、病室のドアを二度叩いた
「どうぞ」
それに返ってくる、穏やかな、さやかの想う人の声
さやかはその声にゆっくり叩いたドアをゆっくりと開け、想い人に笑いかけた
さやか「……可愛い女の子かと思った?残念さやかちゃんでしたっ」
上条「あはは、なんだ可愛い女の子じゃないか」
上条の意外な反応に、心臓を高鳴らせ、戸惑うさやか
さやか「え、え?あ、あたし?」
上条「うん。だって昨日、さやか自分の事、可愛い女の子って言ってたじゃないか」
さやか「あ、そ、そう……」
上条の言葉のその実にさやかはガックリと肩を落としたが
すぐに納得といった表情を浮かべ、一歩踏み出して、病室のドアを後ろ手に閉めた
病院 病室前
西日に赤く染まる、白い病院の廊下
さやかは上条の病室前で、ジッとネームプレートを眺めていた
さやか「……なんで私、恭介のとこ来ちゃったのかなぁ」
さやか「CDもなにも、持ってないのに……」
自分の背に受ける西日で出来た影に、視線を落とす
さやか「……はは、恭介に慰めて貰おうっての?」
さやか「女々しいね。美樹さやか」
少しの沈黙の後、さやかは意を決したように顔を上げ、病室のドアを二度叩いた
「どうぞ」
それに返ってくる、穏やかな、さやかの想う人の声
さやかはその声にゆっくり叩いたドアをゆっくりと開け、想い人に笑いかけた
さやか「……可愛い女の子かと思った?残念さやかちゃんでしたっ」
上条「あはは、なんだ可愛い女の子じゃないか」
上条の意外な反応に、心臓を高鳴らせ、戸惑うさやか
さやか「え、え?あ、あたし?」
上条「うん。だって昨日、さやか自分の事、可愛い女の子って言ってたじゃないか」
さやか「あ、そ、そう……」
上条の言葉のその実にさやかはガックリと肩を落としたが
すぐに納得といった表情を浮かべ、一歩踏み出して、病室のドアを後ろ手に閉めた
225: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/27(木) 01:26:01.03:Ty/02QDq0 (3/6)
上条「それで、今日もCD持って来てくれたのかい?」
さやかはその質問に、ベッドの近くの椅子に腰かけると横に顔を振った
さやか「いや……今日は違うんだ。ただのお見舞い」
さやか「ごめんね」
上条「いや、いいんだよ。毎回持ってきてもらってたから、正直、申し訳なかったからね」
上条「それに……」
表情を暗くするさやかに、気にする必要はないと優しく笑いかけるが、すぐに上条も表情に影を差してしまう
さやか「それに?」
上条「いや、なんでもないよ」
それにさやかは気付き、怪訝な表情を浮かべるが、上条はごまかす様にあいまいな笑みをさやかに返した
上条「ともかく、来てくれてありがとう。さやか」
さやか「……うん」
頷き、俯くさやか
そして訪れる沈黙
少しの間の後、上条は黙って俯くさやかに優しく声を掛けた
上条「何かあった?」
さやか「え?」
驚きにさやかは顔を上げるが、その時に上条のさやかを優しく、真剣に見つめる目と目が合い、すぐに顔を伏せてしまう
さやか「どう……して?」
上条「……なんだかいつものさやからしくないから、ね」
上条「それで、今日もCD持って来てくれたのかい?」
さやかはその質問に、ベッドの近くの椅子に腰かけると横に顔を振った
さやか「いや……今日は違うんだ。ただのお見舞い」
さやか「ごめんね」
上条「いや、いいんだよ。毎回持ってきてもらってたから、正直、申し訳なかったからね」
上条「それに……」
表情を暗くするさやかに、気にする必要はないと優しく笑いかけるが、すぐに上条も表情に影を差してしまう
さやか「それに?」
上条「いや、なんでもないよ」
それにさやかは気付き、怪訝な表情を浮かべるが、上条はごまかす様にあいまいな笑みをさやかに返した
上条「ともかく、来てくれてありがとう。さやか」
さやか「……うん」
頷き、俯くさやか
そして訪れる沈黙
少しの間の後、上条は黙って俯くさやかに優しく声を掛けた
上条「何かあった?」
さやか「え?」
驚きにさやかは顔を上げるが、その時に上条のさやかを優しく、真剣に見つめる目と目が合い、すぐに顔を伏せてしまう
さやか「どう……して?」
上条「……なんだかいつものさやからしくないから、ね」
226: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/27(木) 02:58:23.37:Ty/02QDq0 (4/6)
さやか「……そうかな」
上条「うん」
顔を俯かせたまま、視線だけ上条へ
上条は変わらず、さやかに優しい瞳を向け続けていた
さやか「よく、わかるね」
上条「それはね。ずっと一緒にいるし」
嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な感覚
さやかはそんな不思議な感覚に、俯きを深くした
上条「よかったら……話してくれるかい?」
さやか「……うん」
そうしてさやかはポツリ、ポツリと語り始める。
身の回りで起きたあらましを、違ったものに置き換えながら
話していくうち、時折思い出される悲しみや恐怖に話を詰まらせてしまう事があったが
上条は急かすことなく、黙って頷きながらその話を聞いていった
さやか「……それで、大事のモノが壊れちゃったんだ」
さやか「……あたしの所為で」
置き換えた全てのあらましを語ると、さやかはちらりと、その視線を上条に向ける
上条は少しだけ考えるようなそぶりを見せたあと、首を少しだけ捻った
上条「……そっか。でも聞く限りじゃ、さやかが悪いようには思えないけどね」
さやか「でも、あたしがそこに居なければ……」
上条「たまたまだよ。さやかは悪くない」
さやか「……そうかな」
上条「うん」
顔を俯かせたまま、視線だけ上条へ
上条は変わらず、さやかに優しい瞳を向け続けていた
さやか「よく、わかるね」
上条「それはね。ずっと一緒にいるし」
嬉しいような、恥ずかしいような、不思議な感覚
さやかはそんな不思議な感覚に、俯きを深くした
上条「よかったら……話してくれるかい?」
さやか「……うん」
そうしてさやかはポツリ、ポツリと語り始める。
身の回りで起きたあらましを、違ったものに置き換えながら
話していくうち、時折思い出される悲しみや恐怖に話を詰まらせてしまう事があったが
上条は急かすことなく、黙って頷きながらその話を聞いていった
さやか「……それで、大事のモノが壊れちゃったんだ」
さやか「……あたしの所為で」
置き換えた全てのあらましを語ると、さやかはちらりと、その視線を上条に向ける
上条は少しだけ考えるようなそぶりを見せたあと、首を少しだけ捻った
上条「……そっか。でも聞く限りじゃ、さやかが悪いようには思えないけどね」
さやか「でも、あたしがそこに居なければ……」
上条「たまたまだよ。さやかは悪くない」
227: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/27(木) 03:03:03.12:Ty/02QDq0 (5/6)
悪くないと言う上条の一点張りに、そうは思えないさやかは言葉をつぐみ、視線を上条から外してしまう
そんなさやかに上条は軽い呆れの溜息を吐くと、窓の外へと視線を向けた
上条「……そうだね……それじゃあさやかが話し辛い事話してくれたんだし、僕も話し辛い事を話そうかな」
さやか「え?」
窓に顔を向ける上条へ、さやかは俯かせていた顔を上げる
上条はそのまま窓へと顔を向けたまま、小さいがはっきりとした声をだす
上条「僕の手、もうヴァイオリン弾けないんだ」
突然過ぎる上条の言葉に、さやかは耳を疑い、その身を上条へと乗り出した
さやか「……え?」
そんなさやかを視界の外に、上条は淡々と、他人事のように語りづづけた
上条「昨日の検査でね、わかったんだ」
上条「……まぁ、薄々は気付いてたんだけどね」
さやか「そんな……!嘘……」
上条「……嘘だったら良かったんだけどね」
窓の外に向けていた視線を驚きに顔を引きつらせるさやかへと移し、悲しげにニコリと笑いかけ
いつも上条がヴァイオリンを引いていた方の手を差し出した
上条「僕の手、握ってみて」
上条の言ったとおりに躊躇いながらも、さやかは恐る恐るとその手に触れる
その手はいつか小さいころに握った手と変わらず、温かかった
上条「……感じないんだ。なにも」
だが、たった今上条から突き付けられた言葉は、とても、冷たかった
悪くないと言う上条の一点張りに、そうは思えないさやかは言葉をつぐみ、視線を上条から外してしまう
そんなさやかに上条は軽い呆れの溜息を吐くと、窓の外へと視線を向けた
上条「……そうだね……それじゃあさやかが話し辛い事話してくれたんだし、僕も話し辛い事を話そうかな」
さやか「え?」
窓に顔を向ける上条へ、さやかは俯かせていた顔を上げる
上条はそのまま窓へと顔を向けたまま、小さいがはっきりとした声をだす
上条「僕の手、もうヴァイオリン弾けないんだ」
突然過ぎる上条の言葉に、さやかは耳を疑い、その身を上条へと乗り出した
さやか「……え?」
そんなさやかを視界の外に、上条は淡々と、他人事のように語りづづけた
上条「昨日の検査でね、わかったんだ」
上条「……まぁ、薄々は気付いてたんだけどね」
さやか「そんな……!嘘……」
上条「……嘘だったら良かったんだけどね」
窓の外に向けていた視線を驚きに顔を引きつらせるさやかへと移し、悲しげにニコリと笑いかけ
いつも上条がヴァイオリンを引いていた方の手を差し出した
上条「僕の手、握ってみて」
上条の言ったとおりに躊躇いながらも、さやかは恐る恐るとその手に触れる
その手はいつか小さいころに握った手と変わらず、温かかった
上条「……感じないんだ。なにも」
だが、たった今上条から突き付けられた言葉は、とても、冷たかった
228: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/27(木) 23:38:34.48:Ty/02QDq0 (6/6)
さやか「……どうして……」
上条「どうしてだろうね」
上条「……もう。どうしたらいいかわからないんだ」
悲しげな笑みを崩し、目を伏せる
上条「わけがわからな過ぎて、なんの感情も浮かんでこない」
上条「苦しい筈なのに、悲しい筈なのに」
上条「虚しいだけ」
上条「人間って悲しみが通り過ぎるとなんにも感じないって本当なんだね。あはは」
手を握り続けるさやかを横に、上条は再び乾いた笑みを浮かべ、視線をどこか遠くに馳せる
さやか「が、頑張れば元に戻るんだよねっ?」
そんな結末は認めたくないと、さやかは上条の手に縋り付くが、上条はその首をゆっくりと横に振るだけだった
上条「……今の医療技術じゃどうにもできないって」
上条「先生に色々聞いたんだけど……ダメだってさ」
上条「奇跡か、魔法でもない限り……」
上条「……これからどうしよう。さやか」
上条はこれからの自分に対する不安と恐怖にゆらゆらと瞳を揺らし、生きがいを失った絶望に体を震わせていた
今まで見た事のない幼馴染の、愛する人の姿に、さやかは悔しさと悲しさから拳を固く握りしめ
どうにかして悲しみと、苦しみの底にいる彼を救いたいと、心のそこから願った
さやか「……あるよ」
上条「……え?」
さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ!」
そう言ってさやかは上条を背に歩き出す
彼を、悲しみと苦しみの底から救うために
さやか「……どうして……」
上条「どうしてだろうね」
上条「……もう。どうしたらいいかわからないんだ」
悲しげな笑みを崩し、目を伏せる
上条「わけがわからな過ぎて、なんの感情も浮かんでこない」
上条「苦しい筈なのに、悲しい筈なのに」
上条「虚しいだけ」
上条「人間って悲しみが通り過ぎるとなんにも感じないって本当なんだね。あはは」
手を握り続けるさやかを横に、上条は再び乾いた笑みを浮かべ、視線をどこか遠くに馳せる
さやか「が、頑張れば元に戻るんだよねっ?」
そんな結末は認めたくないと、さやかは上条の手に縋り付くが、上条はその首をゆっくりと横に振るだけだった
上条「……今の医療技術じゃどうにもできないって」
上条「先生に色々聞いたんだけど……ダメだってさ」
上条「奇跡か、魔法でもない限り……」
上条「……これからどうしよう。さやか」
上条はこれからの自分に対する不安と恐怖にゆらゆらと瞳を揺らし、生きがいを失った絶望に体を震わせていた
今まで見た事のない幼馴染の、愛する人の姿に、さやかは悔しさと悲しさから拳を固く握りしめ
どうにかして悲しみと、苦しみの底にいる彼を救いたいと、心のそこから願った
さやか「……あるよ」
上条「……え?」
さやか「奇跡も魔法も、あるんだよ!」
そう言ってさやかは上条を背に歩き出す
彼を、悲しみと苦しみの底から救うために
229: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 00:01:08.16:LeecNRRK0 (1/9)
夜 公園
仁美に別れを告げ、学校から出たまどかは家に帰らず、近くの公園に訪れていた
そして電燈のすぐ近くにあるベンチに腰を降ろし、自分の嫉妬深さをどうにかして抑えようと、延々とその方法を考えていた
だが、一向にその方法がまどかの頭に想いつく事はなく
公園に訪れた時には辺りを赤く照らしていた夕日も、今ではすっかりその姿を消し、辺りを暗く染め、電燈の光がところどころを明るく照らしていた
まどか「はぁ……」
まどか「……どうしたら嫉妬しないかなんてわかんないよ」
まどか「……帰ろう」
自分を照らす電燈の光の中、まどかは一つ深いため息を吐き、考えるのを止めてベンチから腰を上げる
「あらぁ?」
まどか「え?」
そこで突然とまどかに掛けられる聞き覚えのある声
その声の掛けられた方にまどかが振り向くと、どこか調子のおかしい仁美と目があった
仁美「まどかさんじゃないですかぁ~」
まどか「ひ、仁美ちゃん?」
仁美「どうしたんですかぁ~こんなところで~」
まどか「え、えと……」
いつも以上に間延びした声、どこを見ているかわからない目
そんな異常な仁美に違和感を感じ、オドオドとしていると
仁美「そうですかぁ~まどかさんも行くんですね~」
まどか「え、え?」
仁美「それじゃあ一緒に行きましょう~!皆で渡れば怖くない~」
突然その腕を仁美が掴み、強く引き始める
夜 公園
仁美に別れを告げ、学校から出たまどかは家に帰らず、近くの公園に訪れていた
そして電燈のすぐ近くにあるベンチに腰を降ろし、自分の嫉妬深さをどうにかして抑えようと、延々とその方法を考えていた
だが、一向にその方法がまどかの頭に想いつく事はなく
公園に訪れた時には辺りを赤く照らしていた夕日も、今ではすっかりその姿を消し、辺りを暗く染め、電燈の光がところどころを明るく照らしていた
まどか「はぁ……」
まどか「……どうしたら嫉妬しないかなんてわかんないよ」
まどか「……帰ろう」
自分を照らす電燈の光の中、まどかは一つ深いため息を吐き、考えるのを止めてベンチから腰を上げる
「あらぁ?」
まどか「え?」
そこで突然とまどかに掛けられる聞き覚えのある声
その声の掛けられた方にまどかが振り向くと、どこか調子のおかしい仁美と目があった
仁美「まどかさんじゃないですかぁ~」
まどか「ひ、仁美ちゃん?」
仁美「どうしたんですかぁ~こんなところで~」
まどか「え、えと……」
いつも以上に間延びした声、どこを見ているかわからない目
そんな異常な仁美に違和感を感じ、オドオドとしていると
仁美「そうですかぁ~まどかさんも行くんですね~」
まどか「え、え?」
仁美「それじゃあ一緒に行きましょう~!皆で渡れば怖くない~」
突然その腕を仁美が掴み、強く引き始める
230: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 00:12:06.66:LeecNRRK0 (2/9)
まどか「ひ、引っ張らないでっ!仁美ちゃんっ……仁美ちゃんっ!」
まどか「どうしたの……変だよ……どうしちゃったのっ」
仁美「うふふっ!うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
まどか(こ、こわい……)
まどかの制止の声を無視し、ただくぐもった笑みを返すだけの仁美に、まどかは恐怖を覚えその身を固くする
自分の腕を掴む腕を引きはがそうと試みるが、とても同年代の女子とは思えない力の強さに、その手を引きはがせず、そのまま引きずられていった
まどか「さ、さやかちゃん……」
ぼそりと無意識に呟いた、自分の、自分だけのヒーローの名は、そのヒーローには届く事はなく、虚空へとその姿を消してしまった
まどか「ひ、引っ張らないでっ!仁美ちゃんっ……仁美ちゃんっ!」
まどか「どうしたの……変だよ……どうしちゃったのっ」
仁美「うふふっ!うふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
まどか(こ、こわい……)
まどかの制止の声を無視し、ただくぐもった笑みを返すだけの仁美に、まどかは恐怖を覚えその身を固くする
自分の腕を掴む腕を引きはがそうと試みるが、とても同年代の女子とは思えない力の強さに、その手を引きはがせず、そのまま引きずられていった
まどか「さ、さやかちゃん……」
ぼそりと無意識に呟いた、自分の、自分だけのヒーローの名は、そのヒーローには届く事はなく、虚空へとその姿を消してしまった
231: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 00:27:15.44:LeecNRRK0 (3/9)
廃工場
まどかが仁美に引きずられてきた場所、そこは普段は全く人気のない廃工場だった
だが今は無数の人で溢れかえっている。
仁美のようにどこを見ているかわからない、様子のおかしい人々が
まどか「ね、ねぇ……これから、何するの……?」
そんな異常な空間に、恐怖を感じ、体を震わせながらも、恐る恐る仁美に声を掛ける
仁美「うふ、ふふふふ。楽園へ、行くんですのよ~」
仁美「苦しみもない、悲しみもない、虚しさも感じない」
仁美「そんな素敵なところですわ~」
まどか「なに、それ……」
ニタニタと不気味な笑いを浮かべながらの要領の得ない仁美の説明に
まどかは震えながら首を傾げ、周りの様子を見渡すと、あるものが目に飛び込んでくる
まどか「……あ、あれって……す、炭?」
まどかの目に飛び込んできたもの。それは大量の炭と、それを入れる鉄の容器だった
仁美「練炭ですわ~。今から、ボッと火をつけて、もくもく―ってやるんですわ~」
まどか「そ、そんな事やったら皆死んじゃうよっ!」
仁美「そうだよ」
仁美の間延びした口調からの突然の冷たい語気の変化に、まどかは自分の耳を疑った
まどか「え?」
仁美「今から皆で死ぬんだよ」
廃工場
まどかが仁美に引きずられてきた場所、そこは普段は全く人気のない廃工場だった
だが今は無数の人で溢れかえっている。
仁美のようにどこを見ているかわからない、様子のおかしい人々が
まどか「ね、ねぇ……これから、何するの……?」
そんな異常な空間に、恐怖を感じ、体を震わせながらも、恐る恐る仁美に声を掛ける
仁美「うふ、ふふふふ。楽園へ、行くんですのよ~」
仁美「苦しみもない、悲しみもない、虚しさも感じない」
仁美「そんな素敵なところですわ~」
まどか「なに、それ……」
ニタニタと不気味な笑いを浮かべながらの要領の得ない仁美の説明に
まどかは震えながら首を傾げ、周りの様子を見渡すと、あるものが目に飛び込んでくる
まどか「……あ、あれって……す、炭?」
まどかの目に飛び込んできたもの。それは大量の炭と、それを入れる鉄の容器だった
仁美「練炭ですわ~。今から、ボッと火をつけて、もくもく―ってやるんですわ~」
まどか「そ、そんな事やったら皆死んじゃうよっ!」
仁美「そうだよ」
仁美の間延びした口調からの突然の冷たい語気の変化に、まどかは自分の耳を疑った
まどか「え?」
仁美「今から皆で死ぬんだよ」
232: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 01:03:35.50:LeecNRRK0 (4/9)
とても仁美とは思えない口調にまどかは戸惑いを隠せない
仁美「……ですから、まどかさんも、一緒に死ねよ」
まどか「痛……放してっ!!」
まどか「あ……」
仁美が痛いくらいにまどかの腕を握りしめ、それを振り払おうとしたその時
廃工場に集まったどこか様子がおかしい人の一人が練炭へと火を着けた
途端、ゆっくりと白い煙が立ち始め、周りの人たちがせき込み始める
仁美「うふうふ。もうすぐですわあ。もうすぐ こいつらは死んじゃ 楽園に行けるんですのよ~」
まどか「けほっ!、だ、ダメっ!」
仁美「けほっ、あ……」
まどかは仁美のせき込んだ事による一瞬の隙を計らって掴むその手を振り払い、練炭の入る鉄の容器へと駆けた
そしてその容器を近くに置いてあった椅子を持って、燃え始めた炭の入る容器にぶつけてその中身を零させ、鎮火を図る
まどか「こ、これで……」
邪魔した? いいところで 皆死んじゃえたのに
まどか「あ……」
燃焼を食い止めた安堵に浸るのも束の間
そこにいる人間すべてが容器を倒したまどかへと、焦点の合っていなかった目を一斉に向けた
とても仁美とは思えない口調にまどかは戸惑いを隠せない
仁美「……ですから、まどかさんも、一緒に死ねよ」
まどか「痛……放してっ!!」
まどか「あ……」
仁美が痛いくらいにまどかの腕を握りしめ、それを振り払おうとしたその時
廃工場に集まったどこか様子がおかしい人の一人が練炭へと火を着けた
途端、ゆっくりと白い煙が立ち始め、周りの人たちがせき込み始める
仁美「うふうふ。もうすぐですわあ。もうすぐ こいつらは死んじゃ 楽園に行けるんですのよ~」
まどか「けほっ!、だ、ダメっ!」
仁美「けほっ、あ……」
まどかは仁美のせき込んだ事による一瞬の隙を計らって掴むその手を振り払い、練炭の入る鉄の容器へと駆けた
そしてその容器を近くに置いてあった椅子を持って、燃え始めた炭の入る容器にぶつけてその中身を零させ、鎮火を図る
まどか「こ、これで……」
邪魔した? いいところで 皆死んじゃえたのに
まどか「あ……」
燃焼を食い止めた安堵に浸るのも束の間
そこにいる人間すべてが容器を倒したまどかへと、焦点の合っていなかった目を一斉に向けた
233: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 01:15:56.99:LeecNRRK0 (5/9)
捕まえろ 捕まえて 殺して
こいつを焼こう
ここにある全ての瞳に見つめられて生じたまどかの緊張感は、瞳の主たちの一斉の殺意により、激しい恐怖感へと変えられる
まどか「ひっ……」
まどか「や、やだぁッ!」
そんな恐怖感に短い悲鳴を上げると、まどかは無我夢中にその場から逃げだした
その後を、異常な人たちの大部分が一斉に追いかけていく
仁美「けほっ、うふふ、逃げても、無駄で、だよ」
その姿を仁美と残った異常な人たちが見送ると
仁美「あ」
仁美「まだ、ケホッ……火、くすぶってますわぁ」
鎮火しきれなかった練炭に気付き、その周りをニタニタとした笑顔で取り囲み始めた
捕まえろ 捕まえて 殺して
こいつを焼こう
ここにある全ての瞳に見つめられて生じたまどかの緊張感は、瞳の主たちの一斉の殺意により、激しい恐怖感へと変えられる
まどか「ひっ……」
まどか「や、やだぁッ!」
そんな恐怖感に短い悲鳴を上げると、まどかは無我夢中にその場から逃げだした
その後を、異常な人たちの大部分が一斉に追いかけていく
仁美「けほっ、うふふ、逃げても、無駄で、だよ」
その姿を仁美と残った異常な人たちが見送ると
仁美「あ」
仁美「まだ、ケホッ……火、くすぶってますわぁ」
鎮火しきれなかった練炭に気付き、その周りをニタニタとした笑顔で取り囲み始めた
234: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 01:34:25.05:LeecNRRK0 (6/9)
まどか「はぁ……!はぁ……!はぁ……!」
まどか「嫌だよ、嫌っ、嫌だよぉ!」
廃工場の長い廊下を、息を切らし必死と逃げるまどかを大量の殺気に満ちた目が追いかける
待てよ 死のうぜ 殺してやるから
まどか「ぃっ!いやぁっ!」
まどか「誰かっ!誰か助けてぇっ!」
まどか「誰か、誰か、誰かぁッ!」
後ろから迫る、殺気に満ちた声と、たくさんの足音
その恐怖に涙を流し、必死と走る事による心臓の激しい動悸に声を震わせながら、まどかは助けを求めるが、誰も応える人はいない
逃げ続け、そして脚も心も限界に達するという時
まどか「……さやかちゃん」
脳裏に映ったのは、自分をいつも守ってくれていた、さやかの背中だった
まどか「さやかちゃん、助けてッ!助けて……」
まどか「さやかちゃぁんッ!!」
必死とその背中に助けを呼ぶ
まどか「あッ」
だがその声も虚しく、まどかは床の突起に足を取られ、床にその身を横たえてしまう
まどか「あ、ああああああああっ!!」
そして転んだまどかに迫る無数の手
まどかは恐怖から激しい悲鳴の声を上げ、迫りくる全てを拒絶するように固く目を閉じた
まどか「はぁ……!はぁ……!はぁ……!」
まどか「嫌だよ、嫌っ、嫌だよぉ!」
廃工場の長い廊下を、息を切らし必死と逃げるまどかを大量の殺気に満ちた目が追いかける
待てよ 死のうぜ 殺してやるから
まどか「ぃっ!いやぁっ!」
まどか「誰かっ!誰か助けてぇっ!」
まどか「誰か、誰か、誰かぁッ!」
後ろから迫る、殺気に満ちた声と、たくさんの足音
その恐怖に涙を流し、必死と走る事による心臓の激しい動悸に声を震わせながら、まどかは助けを求めるが、誰も応える人はいない
逃げ続け、そして脚も心も限界に達するという時
まどか「……さやかちゃん」
脳裏に映ったのは、自分をいつも守ってくれていた、さやかの背中だった
まどか「さやかちゃん、助けてッ!助けて……」
まどか「さやかちゃぁんッ!!」
必死とその背中に助けを呼ぶ
まどか「あッ」
だがその声も虚しく、まどかは床の突起に足を取られ、床にその身を横たえてしまう
まどか「あ、ああああああああっ!!」
そして転んだまどかに迫る無数の手
まどかは恐怖から激しい悲鳴の声を上げ、迫りくる全てを拒絶するように固く目を閉じた
235: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 02:00:52.47:LeecNRRK0 (7/9)
まどか「……え……」
目を固く閉じて迫っているであろう手の感触に怯え、身を固くするまどかだったが、予期した感触はいつまでたっても襲ってくる事はなかった
その代わり、自分の体が浮いていて、自分が自分でないような感覚に包まれる
それに違和感を感じ、まどかが恐る恐る目を開けると
まどか「あ……い、いや……」
目の前にブラウン管のテレビのようなものが浮いていて、その中に映る真っ黒な少女と目が合う
そしてその中の少女が口を三日月のように歪めたかと思うと、そのテレビのようなものからたくさんの異形が這い出してきた
まどか「あ、あ、ああ。あーあっ!あああああああああ!」
這い出してきた異形は一瞬でまどかを取り囲み、その体を引き裂かんと、両手両足をそれぞれ掴み、四方へと引き始める
まどか(……罰があたったんだ)
四方に手足を引かれる激痛の中、まどかは自分のしてきた行動を悔いていた
まどか(人の嫉妬ばかりしてるから)
まどか(皆大変なのに、苦しんでるのに)
まどか(罰が……)
その時、空中に浮かぶテレビがその内容を少女から、マミの最期の映像へと変化させた
途端、まどかにその時の恐怖がフラッシュバックする
まどか(……嫌)
まどか「嫌、死ぬのは嫌っ!マミさんみたいになるのは嫌ぁッ!!」
まどか「助けて……助けて」
まどか「さやかちゃぁん!!」
まどか「……え……」
目を固く閉じて迫っているであろう手の感触に怯え、身を固くするまどかだったが、予期した感触はいつまでたっても襲ってくる事はなかった
その代わり、自分の体が浮いていて、自分が自分でないような感覚に包まれる
それに違和感を感じ、まどかが恐る恐る目を開けると
まどか「あ……い、いや……」
目の前にブラウン管のテレビのようなものが浮いていて、その中に映る真っ黒な少女と目が合う
そしてその中の少女が口を三日月のように歪めたかと思うと、そのテレビのようなものからたくさんの異形が這い出してきた
まどか「あ、あ、ああ。あーあっ!あああああああああ!」
這い出してきた異形は一瞬でまどかを取り囲み、その体を引き裂かんと、両手両足をそれぞれ掴み、四方へと引き始める
まどか(……罰があたったんだ)
四方に手足を引かれる激痛の中、まどかは自分のしてきた行動を悔いていた
まどか(人の嫉妬ばかりしてるから)
まどか(皆大変なのに、苦しんでるのに)
まどか(罰が……)
その時、空中に浮かぶテレビがその内容を少女から、マミの最期の映像へと変化させた
途端、まどかにその時の恐怖がフラッシュバックする
まどか(……嫌)
まどか「嫌、死ぬのは嫌っ!マミさんみたいになるのは嫌ぁッ!!」
まどか「助けて……助けて」
まどか「さやかちゃぁん!!」
236: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 02:12:20.58:LeecNRRK0 (8/9)
――まどかぁッ!
まどか「え……」
さやかの名を呼んだ途端、まどかの大好きな声と共に青い閃光が現れ、まどかを引き裂こうとしていた異形を次々と貫いて行く
そして全ての異形を貫くと、その青い閃光は、まどかの前で人の形をとった
まどか「……さやか……ちゃん?」
「任せて」
その人影はまどかにニコリと笑いかけたかと思うと、すぐに身を翻し
マミの死にざまが映るブラウン管を一太刀で切り捨てた
――まどかぁッ!
まどか「え……」
さやかの名を呼んだ途端、まどかの大好きな声と共に青い閃光が現れ、まどかを引き裂こうとしていた異形を次々と貫いて行く
そして全ての異形を貫くと、その青い閃光は、まどかの前で人の形をとった
まどか「……さやか……ちゃん?」
「任せて」
その人影はまどかにニコリと笑いかけたかと思うと、すぐに身を翻し
マミの死にざまが映るブラウン管を一太刀で切り捨てた
237: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/28(金) 02:16:22.26:LeecNRRK0 (9/9)
今日はここまで。お疲れ様でした
あともう少しで、ようやくVIP投下分が終わります
それでも新しい部分は11月からになりそうですが……
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れ様でした
あともう少しで、ようやくVIP投下分が終わります
それでも新しい部分は11月からになりそうですが……
それではまた次回ー
238:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/10/28(金) 02:27:24.42:hWVJWOaUo (1/1)
おつー
おつー
239:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/28(金) 13:13:30.01:UJVWwWCao (1/1)
乙!楽しみにしてる。
乙!楽しみにしてる。
240:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/28(金) 20:38:41.49:G80p800/o (1/1)
乙
続きが楽しみだ
乙
続きが楽しみだ
241: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/29(土) 22:35:51.51:ZUjkEkzw0 (1/4)
廃工場
「何とか間に合ったね。まどか」
ブラウン管を切り捨て、周囲の様子が元に戻ると同時に背を向けていた人影、さやかがまどかに笑みを向ける
―――また助けてくれた
さやかの笑みに自分も思わず笑みを零し、瞳にうれし涙を溜めるまどかだったが
まどか「……さやかちゃん……その格好……」
さやかの姿にその笑みは霧散する
さやかの姿。それはいつものさやかの見慣れた制服では無く、まどかの好きなボーイッシュな私服でもなく
鎧のような衣装を長いマントに包む、非現実的な格好
魔法少女の姿だった
さやか「うん。キュゥべぇと契約したんだ」
さやか「どう?さやかちゃんの格好は似合うかに?」
おどけたポーズをとるさやかだったが、まどかはその姿い笑みを浮かべる気なんかにはなれなかった
さやか「……まどか?」
まどか「……どうして」
まどか「……どうして契約なんかしちゃったの……」
まどか「さやかちゃんも、マミさんみたいになっちゃうかもしれないのにっ!」
まどかが俯かせていた顔を勢い良く上げ、さやかに涙の道が通る顔を向ける
まどか「いや、だよ……私……」
廃工場
「何とか間に合ったね。まどか」
ブラウン管を切り捨て、周囲の様子が元に戻ると同時に背を向けていた人影、さやかがまどかに笑みを向ける
―――また助けてくれた
さやかの笑みに自分も思わず笑みを零し、瞳にうれし涙を溜めるまどかだったが
まどか「……さやかちゃん……その格好……」
さやかの姿にその笑みは霧散する
さやかの姿。それはいつものさやかの見慣れた制服では無く、まどかの好きなボーイッシュな私服でもなく
鎧のような衣装を長いマントに包む、非現実的な格好
魔法少女の姿だった
さやか「うん。キュゥべぇと契約したんだ」
さやか「どう?さやかちゃんの格好は似合うかに?」
おどけたポーズをとるさやかだったが、まどかはその姿い笑みを浮かべる気なんかにはなれなかった
さやか「……まどか?」
まどか「……どうして」
まどか「……どうして契約なんかしちゃったの……」
まどか「さやかちゃんも、マミさんみたいになっちゃうかもしれないのにっ!」
まどかが俯かせていた顔を勢い良く上げ、さやかに涙の道が通る顔を向ける
まどか「いや、だよ……私……」
242: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/29(土) 22:44:16.57:ZUjkEkzw0 (2/4)
さやか「ごめんね」
涙に体を、声を振るわせるまどかにさやかはゆっくりと近づき、優しく頭を撫でる
さやか「でも、あたし、どうしても叶えたい願いができちゃったんだ」
さやか「だから、契約したの」
まどか「……それって……」
まどかの頭にマミの姿がよぎる
さやか「それは後で説明する。今は警察に電話しよ?」
さやか「人がいっぱい倒れてるみたいだしね」
まどか「……うん」
魔法少女の姿からいつもの制服の姿に戻り、さやかは話を切り上げるとまどかの手を優しく引き、廃工場の外へと歩いて行く
まどかのその手を強く握りしめ、顔を俯かせながらさやかに手を引かれていった
さやか「ごめんね」
涙に体を、声を振るわせるまどかにさやかはゆっくりと近づき、優しく頭を撫でる
さやか「でも、あたし、どうしても叶えたい願いができちゃったんだ」
さやか「だから、契約したの」
まどか「……それって……」
まどかの頭にマミの姿がよぎる
さやか「それは後で説明する。今は警察に電話しよ?」
さやか「人がいっぱい倒れてるみたいだしね」
まどか「……うん」
魔法少女の姿からいつもの制服の姿に戻り、さやかは話を切り上げるとまどかの手を優しく引き、廃工場の外へと歩いて行く
まどかのその手を強く握りしめ、顔を俯かせながらさやかに手を引かれていった
243: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/29(土) 23:36:10.17:ZUjkEkzw0 (3/4)
公園
廃工場から出ると、さやかはすぐにその手に持つ携帯電話を使い、警察へと連絡しようとするが、その時丁度、警察と消防が到着する
さやかがそのタイミングの良さに驚いたが、煙を見た人が通報したのだろうと結論付けて、消防に人が中に倒れている事だけを告げるとその場からすぐに離れた
さやか「ふー……」
そしてさやかは先程までまどかのいた公園までまどかの手を引くと、その腰を電燈照らすベンチに腰掛ける
まどかもそのベンチに座らせようと、繋いでいた手を軽く引くが、まどかはさやかの目の前に立ったまま暗い目をさやかに向けていた
まどか「それで……どうして契約なんかしたの?」
さやか「……あー、うん……」
責める様なまどかの口調と暗い表情に、まどかの視線からさやかは目を反らす
さやか「恭介が、ね」
まどか「……上条君?」
さやか「……うん」
さやかの視界の外、まどかは上条という言葉に目を細めさせた
さやかはその姿に気付くことなく、自分の隣の空いたスペースをぽんぽんと叩く
さやか「……まぁ、座りなよ」
まどかはさやかの叩いた場所にゆっくりと腰を降ろす
そしてまどかが腰を降ろすのを横目で見ると、さやかは、自分の契約のあらましを語り始めた
公園
廃工場から出ると、さやかはすぐにその手に持つ携帯電話を使い、警察へと連絡しようとするが、その時丁度、警察と消防が到着する
さやかがそのタイミングの良さに驚いたが、煙を見た人が通報したのだろうと結論付けて、消防に人が中に倒れている事だけを告げるとその場からすぐに離れた
さやか「ふー……」
そしてさやかは先程までまどかのいた公園までまどかの手を引くと、その腰を電燈照らすベンチに腰掛ける
まどかもそのベンチに座らせようと、繋いでいた手を軽く引くが、まどかはさやかの目の前に立ったまま暗い目をさやかに向けていた
まどか「それで……どうして契約なんかしたの?」
さやか「……あー、うん……」
責める様なまどかの口調と暗い表情に、まどかの視線からさやかは目を反らす
さやか「恭介が、ね」
まどか「……上条君?」
さやか「……うん」
さやかの視界の外、まどかは上条という言葉に目を細めさせた
さやかはその姿に気付くことなく、自分の隣の空いたスペースをぽんぽんと叩く
さやか「……まぁ、座りなよ」
まどかはさやかの叩いた場所にゆっくりと腰を降ろす
そしてまどかが腰を降ろすのを横目で見ると、さやかは、自分の契約のあらましを語り始めた
244: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/29(土) 23:54:27.72:ZUjkEkzw0 (4/4)
――――――――――――
まどか「……それで……」
さやか「……うん」
あらましを全て語ると、まどかの表情を窺おうと語っている間ずっと伏せていた目を横に向ける
しかし、まどかも俯き、その上電燈の光が影を作っていた所為もあり、その表情は窺い知れなかった
さやか「マミさんを生き返らせることも考えたんだけどね……」
さやか「……恭介の指の話聞いたら、いてもたってもいられなくなっちゃってさ」
さやか「それで、ね」
まどか「……また、上条君」
小さな大きな忌々しさの籠る声
その声がよく聞こえなかったさやかは首をかしげるが、まどかはそれに応えず、俯いたまま小さく首を振った
さやか「え?」
まどか「……なんでもない」
――――――――――――
まどか「……それで……」
さやか「……うん」
あらましを全て語ると、まどかの表情を窺おうと語っている間ずっと伏せていた目を横に向ける
しかし、まどかも俯き、その上電燈の光が影を作っていた所為もあり、その表情は窺い知れなかった
さやか「マミさんを生き返らせることも考えたんだけどね……」
さやか「……恭介の指の話聞いたら、いてもたってもいられなくなっちゃってさ」
さやか「それで、ね」
まどか「……また、上条君」
小さな大きな忌々しさの籠る声
その声がよく聞こえなかったさやかは首をかしげるが、まどかはそれに応えず、俯いたまま小さく首を振った
さやか「え?」
まどか「……なんでもない」
245: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 00:15:04.91:FWZNyPfL0 (1/7)
さやか「……マミさんの事、生き返らせた方が良かったよね」
さやか「……ごめん」
責められていると感じたさやかは、私欲に走った自分を恥じ、頭を下げる
そんなさやかにまどかは俯かせていた顔を上げ、首を振る
まどか「それはさやかちゃんが謝る事じゃないよ」
まどか「マミさんが……やられちゃったのは、さやかちゃんの所為じゃないんだし」
さやか「……あれは、あたしの」
「そんな会話は不毛よ」
無意味な言い合いが始まろうとした時、暗がりの向こうから声が響いてくる
さやか「転校生……」
まどか「ほむら、ちゃん……」
二人がその声の方に顔を向けると、そこには魔法少女の姿をしたほむらがこちらへ歩いて来ていた
さやか「……マミさんの事、生き返らせた方が良かったよね」
さやか「……ごめん」
責められていると感じたさやかは、私欲に走った自分を恥じ、頭を下げる
そんなさやかにまどかは俯かせていた顔を上げ、首を振る
まどか「それはさやかちゃんが謝る事じゃないよ」
まどか「マミさんが……やられちゃったのは、さやかちゃんの所為じゃないんだし」
さやか「……あれは、あたしの」
「そんな会話は不毛よ」
無意味な言い合いが始まろうとした時、暗がりの向こうから声が響いてくる
さやか「転校生……」
まどか「ほむら、ちゃん……」
二人がその声の方に顔を向けると、そこには魔法少女の姿をしたほむらがこちらへ歩いて来ていた
246: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 00:48:30.71:FWZNyPfL0 (2/7)
そうしてほむらは二人の前まで歩くと、肘を抱くように腕を組み、さやかを値踏みするように見まわした
ほむらが突然現れた事に呆けたさやかだったが、さやかはすぐに我を取り戻し、その視線に睨みを返す
ほむら「美樹さやか……契約してしまったのね」
さやか「……そうよ」
値踏みの視線が終わると、ほむらはその姿を鼻で笑う
ほむら「馬鹿ね」
さやか「なっ……」
ほむらの言葉に顔を怒りに歪める。自分の覚悟を、上条の事を馬鹿にされたように感じたためだ
ほむら「巴マミの、魔法少女の最期がどうなるか、それを目の前で見届けたというのに」
ほむら「全くもって愚かだわ」
さやか「……あんたにどうこう言われる筋合いはない!」
怒りを露わにし、ほむらに吠える
ほむらは髪に軽く触れ、そんなさやかに憮然とした表情を向けた
ほむら「あるわ」
さやか「な……」
当然だ。と言わんばかりに言い切るほむらに、さやかは言葉を失う
ほむら「私はあの時忠告したわ。旨い言葉には裏がある。そして痛い目に合うのは自分だけじゃないって」
ほむら「あなたがキュゥべぇの口車に乗ったことで、私や、まどかに不利益をでるかもしれないもの」
ほむら「十分にどうこう言う筋合いはあると思うけど?」
さやか「そんなのわかんないじゃないっ!」
そうしてほむらは二人の前まで歩くと、肘を抱くように腕を組み、さやかを値踏みするように見まわした
ほむらが突然現れた事に呆けたさやかだったが、さやかはすぐに我を取り戻し、その視線に睨みを返す
ほむら「美樹さやか……契約してしまったのね」
さやか「……そうよ」
値踏みの視線が終わると、ほむらはその姿を鼻で笑う
ほむら「馬鹿ね」
さやか「なっ……」
ほむらの言葉に顔を怒りに歪める。自分の覚悟を、上条の事を馬鹿にされたように感じたためだ
ほむら「巴マミの、魔法少女の最期がどうなるか、それを目の前で見届けたというのに」
ほむら「全くもって愚かだわ」
さやか「……あんたにどうこう言われる筋合いはない!」
怒りを露わにし、ほむらに吠える
ほむらは髪に軽く触れ、そんなさやかに憮然とした表情を向けた
ほむら「あるわ」
さやか「な……」
当然だ。と言わんばかりに言い切るほむらに、さやかは言葉を失う
ほむら「私はあの時忠告したわ。旨い言葉には裏がある。そして痛い目に合うのは自分だけじゃないって」
ほむら「あなたがキュゥべぇの口車に乗ったことで、私や、まどかに不利益をでるかもしれないもの」
ほむら「十分にどうこう言う筋合いはあると思うけど?」
さやか「そんなのわかんないじゃないっ!」
247: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 01:14:36.37:FWZNyPfL0 (3/7)
ほむら「……あなたは不利益を生むわ。絶対にね」
視線を冷えた、鋭いものに変え、さやかを突き刺す
さやか「何を根拠にっ!」
さやかはその視線に怒りをたぎらせ、口を歪めた
ほむら「統計よ」
さやか「は……?何言ってっ!」
戸惑うさやかから、話は済んだと目を反らし、その目をいつもの冷たいだけの目に変え、まどかに向ける
ほむら「まどか」
まどか「……さやかちゃんを馬鹿にしないで」
成り行きを横で見守っていたまどかだったが、さやかを馬鹿にされた怒りから、その体を震わせ、ほむらを睨みつけていた
ほむらは髪に軽く触れると、冷たいが、少しの柔らかみのある声を掛ける
ほむら「無事でよかったわ。……来るのが遅れてごめんなさい」
まどかは答えない。ただ怒りに燃える瞳をほむらに向け続けるだけ
ほむらは深く瞬きすると、間をおいて声を掛ける
ほむら「……ひとつ忠告させてくれないかしら」
まどか「……なに」
彼女とは思えない、酷く、底冷えしたまどかの声
それに構わずほむらは続ける
ほむら「もう美樹さやかと付き合うのは止めなさい」
ほむら「……あなたは不利益を生むわ。絶対にね」
視線を冷えた、鋭いものに変え、さやかを突き刺す
さやか「何を根拠にっ!」
さやかはその視線に怒りをたぎらせ、口を歪めた
ほむら「統計よ」
さやか「は……?何言ってっ!」
戸惑うさやかから、話は済んだと目を反らし、その目をいつもの冷たいだけの目に変え、まどかに向ける
ほむら「まどか」
まどか「……さやかちゃんを馬鹿にしないで」
成り行きを横で見守っていたまどかだったが、さやかを馬鹿にされた怒りから、その体を震わせ、ほむらを睨みつけていた
ほむらは髪に軽く触れると、冷たいが、少しの柔らかみのある声を掛ける
ほむら「無事でよかったわ。……来るのが遅れてごめんなさい」
まどかは答えない。ただ怒りに燃える瞳をほむらに向け続けるだけ
ほむらは深く瞬きすると、間をおいて声を掛ける
ほむら「……ひとつ忠告させてくれないかしら」
まどか「……なに」
彼女とは思えない、酷く、底冷えしたまどかの声
それに構わずほむらは続ける
ほむら「もう美樹さやかと付き合うのは止めなさい」
248:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/30(日) 01:39:01.44:MeHJ8uHs0 (1/1)
ほむほむ・・・
ほむほむ・・・
249:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank):2011/10/30(日) 01:52:51.39:8uVzQEdko (1/1)
このほむほむいつにもましてぶっ飛んでるな
このほむほむいつにもましてぶっ飛んでるな
250: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 01:53:45.06:FWZNyPfL0 (4/7)
ほむら「彼女はあなたに不利益を生むわ。これ以上付き合ってもなんの」
突如、ほむらの声を遮り周囲に鋭い破裂音が響く
まどか「……もういいでしょ……」
その音を鳴らした手を固く握りしめ、まどかは怒りに瞳に涙を溜めてほむらを睨みつける
ほむらは目を丸くしながら、鳴らされた頬に手を当てた
さやか「まど、か……」
さやかはあの温厚なまどかがここまでした事に、衝撃を受け、目を瞬かせていた
まどか「もう帰ってよっ!あなたの顔なんか見たくもない!」
まどか「帰ってよっ!!」
目を瞑り、体をわななかせながら、まどかは吼える
ほむらは頬に手をあてたまま、視線をゆっくりとまどかに戻す。そして強く髪に触れるといつもの調子で言った
ほむら「忠告はしたわ」
ほむら「それじゃあね。美樹さやか」
ほむら「まどか」
二人の名を呼び、ほむらはまどか達に背を向け、闇の中に消えていく
さやかはほむらの姿を、反眼で見送り、まどかはほむらの姿に目さえくれず、その顔を俯かせていた
ほむら「彼女はあなたに不利益を生むわ。これ以上付き合ってもなんの」
突如、ほむらの声を遮り周囲に鋭い破裂音が響く
まどか「……もういいでしょ……」
その音を鳴らした手を固く握りしめ、まどかは怒りに瞳に涙を溜めてほむらを睨みつける
ほむらは目を丸くしながら、鳴らされた頬に手を当てた
さやか「まど、か……」
さやかはあの温厚なまどかがここまでした事に、衝撃を受け、目を瞬かせていた
まどか「もう帰ってよっ!あなたの顔なんか見たくもない!」
まどか「帰ってよっ!!」
目を瞑り、体をわななかせながら、まどかは吼える
ほむらは頬に手をあてたまま、視線をゆっくりとまどかに戻す。そして強く髪に触れるといつもの調子で言った
ほむら「忠告はしたわ」
ほむら「それじゃあね。美樹さやか」
ほむら「まどか」
二人の名を呼び、ほむらはまどか達に背を向け、闇の中に消えていく
さやかはほむらの姿を、反眼で見送り、まどかはほむらの姿に目さえくれず、その顔を俯かせていた
251: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 02:32:50.37:FWZNyPfL0 (5/7)
さやか「まどか……」
ほむらの姿が完全に消えると、さやかはまどかの肩に手を置く
その途端、まどかの足の力が抜け、地面にその体を崩れ落ちさせた
さやか「まどか!?」
咄嗟にまどかの体を支える。まどかの体は、ほむらに怒りを表していた以上に酷く震えていた。
この時さやかは痛感する。この子がこんなことを平気で出来る筈がないのだと、無理してやっていたのだと
まどか「だ、大丈夫……大丈夫だから……」
さやか「まどか……」
さやかの支えを頼りに、まどかはその体を立ち上がらせる
そして何とかその体の震えを収まらせると、ポツリと言った
まどか「帰ろ……さやかちゃん」
さやか「うん……」
さやかは小さく頷くと、まどかの手を取り、まどかの歩幅、速度に合わせて歩きだす
まどか「さやかちゃん……」
さやか「……ん?」
しばらく歩き、それぞれの家へのわかれ道まで来ると、まどかはさやかに向き直り、真剣な瞳を向ける
まどか「絶対……死なないでね」
さやか「……わかってるよ」
ニコリと、さやかは笑いかける
さやか「ありがと。まどか」
さやか「さっきのもね」
まどか「……うん……」
まどかの頭に手を置き、優しく撫でるとさやかはまどかに別れを告げ、自分の家へと歩き出す
まどかはその姿をいつまでも見送っていた
さやか「まどか……」
ほむらの姿が完全に消えると、さやかはまどかの肩に手を置く
その途端、まどかの足の力が抜け、地面にその体を崩れ落ちさせた
さやか「まどか!?」
咄嗟にまどかの体を支える。まどかの体は、ほむらに怒りを表していた以上に酷く震えていた。
この時さやかは痛感する。この子がこんなことを平気で出来る筈がないのだと、無理してやっていたのだと
まどか「だ、大丈夫……大丈夫だから……」
さやか「まどか……」
さやかの支えを頼りに、まどかはその体を立ち上がらせる
そして何とかその体の震えを収まらせると、ポツリと言った
まどか「帰ろ……さやかちゃん」
さやか「うん……」
さやかは小さく頷くと、まどかの手を取り、まどかの歩幅、速度に合わせて歩きだす
まどか「さやかちゃん……」
さやか「……ん?」
しばらく歩き、それぞれの家へのわかれ道まで来ると、まどかはさやかに向き直り、真剣な瞳を向ける
まどか「絶対……死なないでね」
さやか「……わかってるよ」
ニコリと、さやかは笑いかける
さやか「ありがと。まどか」
さやか「さっきのもね」
まどか「……うん……」
まどかの頭に手を置き、優しく撫でるとさやかはまどかに別れを告げ、自分の家へと歩き出す
まどかはその姿をいつまでも見送っていた
252: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 02:49:07.16:FWZNyPfL0 (6/7)
―――――
「はっ」
建設中のビル
そこにまどかとさやか、二人の様子を見て、嘲るような笑みを浮かべる少女がいた
長い髪を一つにまとめ、後ろに垂らす、活発そうな少女
「マミがくたばったって聞いてみれば……なんだありゃ」
手に持つリンゴを一口を食べる
「聞いてないっつーの。あんなのがいるなんてさぁ」
二口
「まぁいいか。邪魔なら」
三口
「ぶっ潰せばいい話だ」
そうしてリンゴを食べきると、芯を放り投げ、その少女は陰虐な笑みを浮かべた
――――
―――――
「はっ」
建設中のビル
そこにまどかとさやか、二人の様子を見て、嘲るような笑みを浮かべる少女がいた
長い髪を一つにまとめ、後ろに垂らす、活発そうな少女
「マミがくたばったって聞いてみれば……なんだありゃ」
手に持つリンゴを一口を食べる
「聞いてないっつーの。あんなのがいるなんてさぁ」
二口
「まぁいいか。邪魔なら」
三口
「ぶっ潰せばいい話だ」
そうしてリンゴを食べきると、芯を放り投げ、その少女は陰虐な笑みを浮かべた
――――
253: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/30(日) 02:51:35.49:FWZNyPfL0 (7/7)
今日はここまで。お疲れさまでした
地の文難しい……
それではまた明日ー
今日はここまで。お疲れさまでした
地の文難しい……
それではまた明日ー
254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 05:54:56.43:3oh4jxFh0 (1/1)
乙~
割と本編通りのほむらは珍しいww
あんまりないので期待
そして上のスレ見て小説版読んで来たがまどかが本当にこのスレっぽいww
乙~
割と本編通りのほむらは珍しいww
あんまりないので期待
そして上のスレ見て小説版読んで来たがまどかが本当にこのスレっぽいww
255:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県):2011/10/30(日) 11:11:09.01:U4+urviG0 (1/1)
契約したら即魔女化しそうなくらいにまどかが痛々しいな。
この分だと確実に杏子に反発するだろうし。
契約したら即魔女化しそうなくらいにまどかが痛々しいな。
この分だと確実に杏子に反発するだろうし。
256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/10/30(日) 11:14:29.78:FTxy6zFOo (1/1)
乙
乙
257: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 00:51:28.24:mEgf07Jm0 (1/7)
翌日
まどかは走っていた
さやかを見送った後家に帰ると、まどかは肉体的、精神的に酷く疲れていた事もあり、明日の用意をするとすぐに深い眠りに落ちた
それがいけなかった。あまりにも深く眠りに落ち過ぎて、意識を現実に引き上げるのに時間を掛け過ぎてしまった
そのおかげで今まどかは走っている
さやか「おはよう、まどか」
いつもの三人の合流場所に着くと、先についていたさやかがまどかに小さく手を揚げる
まどか「はあ……はあ……おはよう……さやかちゃん」
息も切れ切れに何とかさやかに返事をすると、さやかがまどかの背中をさする
それにありがとう、とまどかは頭を下げ、さやかの擦る手の力も借りて、息を落ちつけていく
まどか「ありがとう……さやかちゃん」
さやか「いいって」
息を落ちつけると、今度はお礼を声に出す。さやかはニコリと笑って頷いた
そしてまどかは学校へと足を向けようとするとさやかが待った。と声を出す
それにまどかは首を傾げる
まどか「どうしたの?」
さやか「仁美から連絡来てない?休むとか、遅れるとか」
仁美という言葉に、昨日の様子のおかしかった仁美の姿がまどかの脳裏に浮かぶ
翌日
まどかは走っていた
さやかを見送った後家に帰ると、まどかは肉体的、精神的に酷く疲れていた事もあり、明日の用意をするとすぐに深い眠りに落ちた
それがいけなかった。あまりにも深く眠りに落ち過ぎて、意識を現実に引き上げるのに時間を掛け過ぎてしまった
そのおかげで今まどかは走っている
さやか「おはよう、まどか」
いつもの三人の合流場所に着くと、先についていたさやかがまどかに小さく手を揚げる
まどか「はあ……はあ……おはよう……さやかちゃん」
息も切れ切れに何とかさやかに返事をすると、さやかがまどかの背中をさする
それにありがとう、とまどかは頭を下げ、さやかの擦る手の力も借りて、息を落ちつけていく
まどか「ありがとう……さやかちゃん」
さやか「いいって」
息を落ちつけると、今度はお礼を声に出す。さやかはニコリと笑って頷いた
そしてまどかは学校へと足を向けようとするとさやかが待った。と声を出す
それにまどかは首を傾げる
まどか「どうしたの?」
さやか「仁美から連絡来てない?休むとか、遅れるとか」
仁美という言葉に、昨日の様子のおかしかった仁美の姿がまどかの脳裏に浮かぶ
258: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 01:20:34.16:mEgf07Jm0 (2/7)
さやか「……何か知ってるの?」
まどかの無意識に出ていた暗い表情に、さやかは訝る視線をぶつける
まどかはさやかの視線にハッとした顔を浮かべると、すぐにその顔を伏せた
さやか「……まどか?」
伏せるまどかの顔を覗き込む
まどかはさやかの顔から視線を左右に揺らして逃げた。
昨日の一件で仁美が絡んでいた事。さやかがそれを知って、余計な心労を与えてしまうかもしれないと怖れた為。
そしてその事を言ってさやかに責められるかも知れないとも思った為だった
さやか「……まどか」
まどか「……うぅ」
逃げるまどかの肩を掴み、さやかは少しの重みのある声を掛ける
まどかはそれにぴくりと体を跳ねさせると、少しの躊躇いの後、観念したように昨日の一件で自分にあったことを話し始めた
さやか「……何か知ってるの?」
まどかの無意識に出ていた暗い表情に、さやかは訝る視線をぶつける
まどかはさやかの視線にハッとした顔を浮かべると、すぐにその顔を伏せた
さやか「……まどか?」
伏せるまどかの顔を覗き込む
まどかはさやかの顔から視線を左右に揺らして逃げた。
昨日の一件で仁美が絡んでいた事。さやかがそれを知って、余計な心労を与えてしまうかもしれないと怖れた為。
そしてその事を言ってさやかに責められるかも知れないとも思った為だった
さやか「……まどか」
まどか「……うぅ」
逃げるまどかの肩を掴み、さやかは少しの重みのある声を掛ける
まどかはそれにぴくりと体を跳ねさせると、少しの躊躇いの後、観念したように昨日の一件で自分にあったことを話し始めた
259: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 02:08:30.48:mEgf07Jm0 (3/7)
――――――
さやか「仁美が……?」
まどかの話が終わると、さやかは顔を酷く強張らせた
自分の友達が死のうとした事。そしてまどかをも道連れにしようとした事に驚き、信じられなかったからだった
まどかは顔を俯かせる
まどか「うん……」
まどか「でも、あのとき皆様子がおかしかったから……多分何か……あったんだと思う」
さやか「……何か?」
まどか「うん」
顔を俯かせたまま小さく首肯する
まどか「……あのテレビみたいな魔女に操られてた、とか……」
昨日の人たちのほぼ同様の異常な様子、仁美の別人のような口調。そしてその後のブラウン管―――魔女の出現
まどかがそう結論付けるには十分だった
さやかもそれに納得と言った表情で頷く
さやか「うん……それなら納得できるよ」
さやか「仁美がそんなことする筈ないもんね」
まどかの結論に安堵の笑みを浮かべるさやかだったが、すぐにその笑みを憂いの表情へと変えさせる
仁美のその後を危惧したためだ
さやか「……仁美、大丈夫なのかな」
まどかはそのさやか呟きに言葉に答えなかった。答えられなかった
さやかに助けられた後、仁美の事など気にもかけず、魔法少女になったさやかの心配だけをしていた自分を悔いるまどかに
大丈夫。なんて言葉を言う事など出来なかった
――――――
さやか「仁美が……?」
まどかの話が終わると、さやかは顔を酷く強張らせた
自分の友達が死のうとした事。そしてまどかをも道連れにしようとした事に驚き、信じられなかったからだった
まどかは顔を俯かせる
まどか「うん……」
まどか「でも、あのとき皆様子がおかしかったから……多分何か……あったんだと思う」
さやか「……何か?」
まどか「うん」
顔を俯かせたまま小さく首肯する
まどか「……あのテレビみたいな魔女に操られてた、とか……」
昨日の人たちのほぼ同様の異常な様子、仁美の別人のような口調。そしてその後のブラウン管―――魔女の出現
まどかがそう結論付けるには十分だった
さやかもそれに納得と言った表情で頷く
さやか「うん……それなら納得できるよ」
さやか「仁美がそんなことする筈ないもんね」
まどかの結論に安堵の笑みを浮かべるさやかだったが、すぐにその笑みを憂いの表情へと変えさせる
仁美のその後を危惧したためだ
さやか「……仁美、大丈夫なのかな」
まどかはそのさやか呟きに言葉に答えなかった。答えられなかった
さやかに助けられた後、仁美の事など気にもかけず、魔法少女になったさやかの心配だけをしていた自分を悔いるまどかに
大丈夫。なんて言葉を言う事など出来なかった
260: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 23:01:20.33:mEgf07Jm0 (4/7)
そんな重い空気が流れる中、さやかは遅刻の時間が迫っている事に気付き、まどかと共に慌てて駆けだした
何とか遅刻になる前に教室に辿り着き、別れの挨拶を告げるとすぐに各々の席に着く
まどかが走ったことで切れる息を整えようとした丁度その時、先生が教室の中に入ってきた、
先生「今日は皆さんに……連絡があります」
そして先生が教壇に着くと挨拶も抜きに、開口一番、重いな口調でそう言った
先生「……志筑さんの事です」
生徒たちの視線が一斉に空席の仁美の席に目を向ける
だがまどかだけははさやかの方を向き、その表情を窺っていた
先生「……志筑さんは昨日……事故がありまして、意識不明の重体だそうです」
教室の中にどよめきが起こり、さやかは瞳を見開く
先生「みなさん、志筑さんの一刻も早い快方を祈りましょう」
先生「それでは……」
仁美の事でガヤガヤと噂する中、暗い雰囲気で先生は連絡を続ける。そんな中、まどかはさやかの方を向き、その心中を心配していた
さやかが見開いていた目を影のあるものに変え、まどかの方に向けたかと思うと
『まどか』
まどか「わっ!」
突然まどかの頭の中にさやかの声が響く
まどかはそれに驚きの声を上げ、クラスメイト達の注目を浴びる事となってしまう
まどかは顔を真っ赤に染め、俯く
まどか「な、なんでもないです……」
そして一呼吸置き、頭の中で聞こえてきた声に恐る恐ると返事してみた
まどか『……さやかちゃん?』
『ごめん。驚かせちゃったね』
続き、聞こえてくるさやかの申し訳なそうな声。まどかは突然さやかの声が響いてきた事に酷く混乱する
そんな重い空気が流れる中、さやかは遅刻の時間が迫っている事に気付き、まどかと共に慌てて駆けだした
何とか遅刻になる前に教室に辿り着き、別れの挨拶を告げるとすぐに各々の席に着く
まどかが走ったことで切れる息を整えようとした丁度その時、先生が教室の中に入ってきた、
先生「今日は皆さんに……連絡があります」
そして先生が教壇に着くと挨拶も抜きに、開口一番、重いな口調でそう言った
先生「……志筑さんの事です」
生徒たちの視線が一斉に空席の仁美の席に目を向ける
だがまどかだけははさやかの方を向き、その表情を窺っていた
先生「……志筑さんは昨日……事故がありまして、意識不明の重体だそうです」
教室の中にどよめきが起こり、さやかは瞳を見開く
先生「みなさん、志筑さんの一刻も早い快方を祈りましょう」
先生「それでは……」
仁美の事でガヤガヤと噂する中、暗い雰囲気で先生は連絡を続ける。そんな中、まどかはさやかの方を向き、その心中を心配していた
さやかが見開いていた目を影のあるものに変え、まどかの方に向けたかと思うと
『まどか』
まどか「わっ!」
突然まどかの頭の中にさやかの声が響く
まどかはそれに驚きの声を上げ、クラスメイト達の注目を浴びる事となってしまう
まどかは顔を真っ赤に染め、俯く
まどか「な、なんでもないです……」
そして一呼吸置き、頭の中で聞こえてきた声に恐る恐ると返事してみた
まどか『……さやかちゃん?』
『ごめん。驚かせちゃったね』
続き、聞こえてくるさやかの申し訳なそうな声。まどかは突然さやかの声が響いてきた事に酷く混乱する
261: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 23:26:41.18:mEgf07Jm0 (5/7)
まどか『な、なんなのこれ?』
さやか『テレパシーってやつ。今はキュゥべぇに中継してもらってまどかに送ってる』
まどか『そ、そっか……』
テレパシーを送るさやかにコクリと、首を縦に振る
傍から見ればまどかは奇行を行っているようにしか見えないのだが、さやかの話に集中している事でまどかはそれに気付いてはいなかった
さやか『それより仁美……大変な事になっちゃったね……』
まどか『う、うん……大丈夫かな……仁美ちゃん』
さやか『うん。……もっとあたしが早く駆けつけてれば……』
暗い声をテレパシーで送るさやかに、まどかは大きく首を振る
まどか『そ、そんなことないよっ!』
まどか『さやかちゃんが来てくれなかったら、仁美ちゃん、意識不明じゃなくて……』
まどか『……それに私の事……助けてくれた』
まどか『だから、そんな事……言わないで……』
まどかの悲しみが籠る声にさやかは、少し間を置き。ポツリと小さく返す
まどか『な、なんなのこれ?』
さやか『テレパシーってやつ。今はキュゥべぇに中継してもらってまどかに送ってる』
まどか『そ、そっか……』
テレパシーを送るさやかにコクリと、首を縦に振る
傍から見ればまどかは奇行を行っているようにしか見えないのだが、さやかの話に集中している事でまどかはそれに気付いてはいなかった
さやか『それより仁美……大変な事になっちゃったね……』
まどか『う、うん……大丈夫かな……仁美ちゃん』
さやか『うん。……もっとあたしが早く駆けつけてれば……』
暗い声をテレパシーで送るさやかに、まどかは大きく首を振る
まどか『そ、そんなことないよっ!』
まどか『さやかちゃんが来てくれなかったら、仁美ちゃん、意識不明じゃなくて……』
まどか『……それに私の事……助けてくれた』
まどか『だから、そんな事……言わないで……』
まどかの悲しみが籠る声にさやかは、少し間を置き。ポツリと小さく返す
262: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 23:54:28.92:mEgf07Jm0 (6/7)
さやか『……ありがと。まどか』
さやか『……でもこれからもっと人を救えるように頑張らないと』
さやか『仁美みたいな酷い目に合う人を無くすためにも』
さやか『……なんだってあたしはマミさんの後継ぎなんだからね』
固い決意と責任感を感じさせるさやかの声。まどかはその声に目を伏せた
まどか『……うん』
さやか『……そうだ。今度、仁美のお見舞いに行こうよ。……面会謝絶かもしれないけど』
まどか『うん』
まどかの肯定の声を聞くとさやかは時計に目をやる
さやか『あ、そろそろホームルーム終わるね』
さやか『それじゃあまた。まどか』
まどか『うん……さやかちゃん』
さやかの声が途切れるとともに、先生がホームルームの終わりを告げる
クラスメイト達が各々の仲のいい人達と仁美の事を噂する中、まどかは膝の上で拳を強く握りしめ、さやかはどこか遠くを見つめていた
さやか『……ありがと。まどか』
さやか『……でもこれからもっと人を救えるように頑張らないと』
さやか『仁美みたいな酷い目に合う人を無くすためにも』
さやか『……なんだってあたしはマミさんの後継ぎなんだからね』
固い決意と責任感を感じさせるさやかの声。まどかはその声に目を伏せた
まどか『……うん』
さやか『……そうだ。今度、仁美のお見舞いに行こうよ。……面会謝絶かもしれないけど』
まどか『うん』
まどかの肯定の声を聞くとさやかは時計に目をやる
さやか『あ、そろそろホームルーム終わるね』
さやか『それじゃあまた。まどか』
まどか『うん……さやかちゃん』
さやかの声が途切れるとともに、先生がホームルームの終わりを告げる
クラスメイト達が各々の仲のいい人達と仁美の事を噂する中、まどかは膝の上で拳を強く握りしめ、さやかはどこか遠くを見つめていた
263: ◆tsGpSwX8mo:2011/10/31(月) 23:59:26.86:mEgf07Jm0 (7/7)
―――― 頑張らないとな
これからの見滝原市の平和はあたしが守らなくちゃいけないんだから……
―――― ……また、さやかちゃん人の事ばっかり考えてる
……
……また嫉妬してる。……私
もういや。こんなの……
―――― 頑張らないとな
これからの見滝原市の平和はあたしが守らなくちゃいけないんだから……
―――― ……また、さやかちゃん人の事ばっかり考えてる
……
……また嫉妬してる。……私
もういや。こんなの……
264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都):2011/11/01(火) 21:26:37.45:Oln0aZZZ0 (1/1)
265: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 21:11:56.34:a55l1csn0 (1/7)
――――
その後、まどかとさやかは何事もなく、いつものように流れる学校での時間過ごして行った
いつの間にか教室に来ていたほむらもまどかに話しかけてくることもなく、時折視線を送るだけ
何事もない、いつも通りの時間
違うのはただ、仁美がいないだけ
クラスメイト達は時間が経つにつれて、仁美が大変な事になっていることも忘れたかのように過ごしていく
それをさやかは肌に感じ、一抹の寂しさと、少しの憤りを感じていた
―――わかるけどさ
周りの反応を頭で理解はできていたが、さやかの心はそれを解ってくれなかった
――――
その後、まどかとさやかは何事もなく、いつものように流れる学校での時間過ごして行った
いつの間にか教室に来ていたほむらもまどかに話しかけてくることもなく、時折視線を送るだけ
何事もない、いつも通りの時間
違うのはただ、仁美がいないだけ
クラスメイト達は時間が経つにつれて、仁美が大変な事になっていることも忘れたかのように過ごしていく
それをさやかは肌に感じ、一抹の寂しさと、少しの憤りを感じていた
―――わかるけどさ
周りの反応を頭で理解はできていたが、さやかの心はそれを解ってくれなかった
266: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 21:16:02.97:a55l1csn0 (2/7)
まどか「さやかちゃん」
そして時は流れ放課後
さやかがそんな暗い感情に浸っていると、まどかが荷物を持って、さやかに帰りの誘いを掛けてきた
さやかはそんなまどかに両手を前に出て合わせ、ごめんなさいのポーズを作る
さやか「ごめん。今日も一緒に帰るのむりだわ」
まどか「……魔女退治に行くの?」
表情を曇らせるまどかに、さやかはうん、と頷く
さやか「うん。それと、恭介の様子もちょっとね」
恭介
その言葉にまどかは曇らせる表情に仄暗いものを混じらせた
まどか「……また?」
さやか「ぅえ?う、うん……」
まどかの見せる表情の異質さにさやかは少しだけ、うろたえてしまう
まどか「さやかちゃん」
そして時は流れ放課後
さやかがそんな暗い感情に浸っていると、まどかが荷物を持って、さやかに帰りの誘いを掛けてきた
さやかはそんなまどかに両手を前に出て合わせ、ごめんなさいのポーズを作る
さやか「ごめん。今日も一緒に帰るのむりだわ」
まどか「……魔女退治に行くの?」
表情を曇らせるまどかに、さやかはうん、と頷く
さやか「うん。それと、恭介の様子もちょっとね」
恭介
その言葉にまどかは曇らせる表情に仄暗いものを混じらせた
まどか「……また?」
さやか「ぅえ?う、うん……」
まどかの見せる表情の異質さにさやかは少しだけ、うろたえてしまう
267: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 21:17:52.68:a55l1csn0 (3/7)
まどか「そっか……」
顔を伏せ、少しの考えるそぶりを見せたあと、まどかはさやかに上目を向ける
まどか「……私も行っていい?」
まどか「……私も元気になった、上条君、見てみたいし」
いつものまどかと様子が違う事にさやかは戸惑いを見せながらも頷く
さやか「っえ?う、うん……いいけど」
まどか「……ありがとう」
さやか「うん」
まどかはさやかが頷くと、さやかが帰りの支度を終わらせるのをじっと待った
心の中にドロドロとした嫉妬を渦巻かせながら
まどか「そっか……」
顔を伏せ、少しの考えるそぶりを見せたあと、まどかはさやかに上目を向ける
まどか「……私も行っていい?」
まどか「……私も元気になった、上条君、見てみたいし」
いつものまどかと様子が違う事にさやかは戸惑いを見せながらも頷く
さやか「っえ?う、うん……いいけど」
まどか「……ありがとう」
さやか「うん」
まどかはさやかが頷くと、さやかが帰りの支度を終わらせるのをじっと待った
心の中にドロドロとした嫉妬を渦巻かせながら
268: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 21:18:56.11:a55l1csn0 (4/7)
病院
さやかの支度が済むと、二人は並んで学校を出て、真っすぐ病院へと向かう
さやかは病院に着くまでの間、まどかに何度か他愛もない話を振ったが、まどかは物憂げ表情でただ空返事を返すだけで会話にならなかった
加えて、病院に近づくにつれて段々と濃くなっていくまどかの表情の曇り
途中、まどかにさやかは体調を崩しているのか、と気遣ったが、まどかは大丈夫、と首を振るだけ
さやかはそんなまどかに違和感を感じざるを得なかった
さやか「そう言えばまどか、恭介と会うの凄く久しぶりだよね」
病院につき上条の病室に続く廊下で、さやかは隣を歩くまどかの顔を覗き込む
まどかは少しの間の後、コクリと首を振った
まどか「……うん。事故のちょっと前以来」
さやか「そっか。そしたらちょっと変わりように驚くかもよ~」
さやか「あいつ、入院してから一気に痩せたしさ」
さやか「顔も元気なくなっちゃって、情けない顔してたんだからっ」
笑顔を見せながら嬉しげに語るさやか
その顔は、まさに恋する少女のそれ、だった
まどかはそれから逃げるように顔を背け、不快に顔を歪める
まどか「そっか。早くいこ」
さやか「え、う、うん」
素っ気なくまどかは答え、先へと歩き出す
さやかはまどかの態度の急変に戸惑い、首を傾げたが、先行くまどかを迷わせるわけにはいかないと、走り寄った
病院
さやかの支度が済むと、二人は並んで学校を出て、真っすぐ病院へと向かう
さやかは病院に着くまでの間、まどかに何度か他愛もない話を振ったが、まどかは物憂げ表情でただ空返事を返すだけで会話にならなかった
加えて、病院に近づくにつれて段々と濃くなっていくまどかの表情の曇り
途中、まどかにさやかは体調を崩しているのか、と気遣ったが、まどかは大丈夫、と首を振るだけ
さやかはそんなまどかに違和感を感じざるを得なかった
さやか「そう言えばまどか、恭介と会うの凄く久しぶりだよね」
病院につき上条の病室に続く廊下で、さやかは隣を歩くまどかの顔を覗き込む
まどかは少しの間の後、コクリと首を振った
まどか「……うん。事故のちょっと前以来」
さやか「そっか。そしたらちょっと変わりように驚くかもよ~」
さやか「あいつ、入院してから一気に痩せたしさ」
さやか「顔も元気なくなっちゃって、情けない顔してたんだからっ」
笑顔を見せながら嬉しげに語るさやか
その顔は、まさに恋する少女のそれ、だった
まどかはそれから逃げるように顔を背け、不快に顔を歪める
まどか「そっか。早くいこ」
さやか「え、う、うん」
素っ気なくまどかは答え、先へと歩き出す
さやかはまどかの態度の急変に戸惑い、首を傾げたが、先行くまどかを迷わせるわけにはいかないと、走り寄った
269: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 21:38:24.60:a55l1csn0 (5/7)
さやか「着いた。それじゃあ……」
そうして二人が上条の病室まで辿り着くと、さやかは二回その扉を叩く
「どうぞ」
そのノックに返ってくる穏やかな声、さやかはそれを聞くと、勢い良く病室のドアを開け放つ
そして一歩を踏み入れると、敬礼のようなポーズをとった
さやか「さやかちゃん。参上!」
上条「ああ、いらっしゃい。さやか……と」
さやかの姿を見て嬉しげに頬を緩ませる上条だったが、その後ろのまどかの姿にその表情を驚きに変える
まどか「……こんにちは」
浮かない表情でぺこりと頭を下げる
そんなまどかに上条は優しく微笑んだ
上条「鹿目さん?久しぶりだね」
まどか「……うん」
まどかに挨拶を済ませると、上条はすぐにさやかへと顔を向け、まどかに向けた笑みとは全く違う笑みを見せた
上条「ああ、そうださやか、聞いてくれよっ」
さやか「……なに?」
言葉に喜びの色を混ぜながら話しかけてくる恭介に、さやかは余裕のある笑みを見せる
それは上条がこれから何を言うかわかっていたことからの笑みだった
上条「僕の手、動くようになったんだっ!目が覚めたら、いきなり!」
さやか「着いた。それじゃあ……」
そうして二人が上条の病室まで辿り着くと、さやかは二回その扉を叩く
「どうぞ」
そのノックに返ってくる穏やかな声、さやかはそれを聞くと、勢い良く病室のドアを開け放つ
そして一歩を踏み入れると、敬礼のようなポーズをとった
さやか「さやかちゃん。参上!」
上条「ああ、いらっしゃい。さやか……と」
さやかの姿を見て嬉しげに頬を緩ませる上条だったが、その後ろのまどかの姿にその表情を驚きに変える
まどか「……こんにちは」
浮かない表情でぺこりと頭を下げる
そんなまどかに上条は優しく微笑んだ
上条「鹿目さん?久しぶりだね」
まどか「……うん」
まどかに挨拶を済ませると、上条はすぐにさやかへと顔を向け、まどかに向けた笑みとは全く違う笑みを見せた
上条「ああ、そうださやか、聞いてくれよっ」
さやか「……なに?」
言葉に喜びの色を混ぜながら話しかけてくる恭介に、さやかは余裕のある笑みを見せる
それは上条がこれから何を言うかわかっていたことからの笑みだった
上条「僕の手、動くようになったんだっ!目が覚めたら、いきなり!」
270: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 22:56:22.40:a55l1csn0 (6/7)
そう言って上条はさやかに見せ付けるように腕を掲げ、手を握ったり、開いたりを繰り返す
さやかはそんな予想通りの上条の反応に、浮かべる笑みを更に深くした
さやか「そっか。やったね」
上条「うん!先生も信じられないって言ってたよ」
上条「奇跡が起こったんだって、魔法の様だって!」
さやか「うんっ」
落ち着いた様子で上条の話を聞くさやか
そんなさやかを不思議に思った上条はその子供のような笑みを潜め、首を傾げる
上条「……あんまり驚かないんだね?てっきりもっと……」
さやか「え、あ、う、うんっ!わ、私、絶対治るって信じてたからさっ!」
さやかは上条の指摘にわたわたと慌て、咄嗟に考え付いた言い訳を話す
上条はさやかの様子に少しの引っかかりを覚えたものの、すぐに嬉しそうにほほ笑んだ
上条「そっか……ありがとう。さやか」
上条「もしかしたら、さやかがずっとお見舞いしてくれたから治ったのかもしれないね」
さやか「なっ、なにいってんのさ、恭介っ!」
顔を赤く染め、声を張り上げるさやかに上条も少し顔を赤く染め、悪戯っぽく微笑んだ
上条「あはは、なんてね」
上条「でも僕はさやかに……」
まどか「おめでとうっ上条君っ!」
そこで、今まで黙っていたまどかが笑顔で上条とさやかの間に入る
さやかは突然のまどかの行動に驚きの表情を浮かべ、上条も驚いたもののすぐにその体裁をとり戻し、ニコリと笑いかける
上条「あ、うん。ありがとう鹿目さん」
そう言って上条はさやかに見せ付けるように腕を掲げ、手を握ったり、開いたりを繰り返す
さやかはそんな予想通りの上条の反応に、浮かべる笑みを更に深くした
さやか「そっか。やったね」
上条「うん!先生も信じられないって言ってたよ」
上条「奇跡が起こったんだって、魔法の様だって!」
さやか「うんっ」
落ち着いた様子で上条の話を聞くさやか
そんなさやかを不思議に思った上条はその子供のような笑みを潜め、首を傾げる
上条「……あんまり驚かないんだね?てっきりもっと……」
さやか「え、あ、う、うんっ!わ、私、絶対治るって信じてたからさっ!」
さやかは上条の指摘にわたわたと慌て、咄嗟に考え付いた言い訳を話す
上条はさやかの様子に少しの引っかかりを覚えたものの、すぐに嬉しそうにほほ笑んだ
上条「そっか……ありがとう。さやか」
上条「もしかしたら、さやかがずっとお見舞いしてくれたから治ったのかもしれないね」
さやか「なっ、なにいってんのさ、恭介っ!」
顔を赤く染め、声を張り上げるさやかに上条も少し顔を赤く染め、悪戯っぽく微笑んだ
上条「あはは、なんてね」
上条「でも僕はさやかに……」
まどか「おめでとうっ上条君っ!」
そこで、今まで黙っていたまどかが笑顔で上条とさやかの間に入る
さやかは突然のまどかの行動に驚きの表情を浮かべ、上条も驚いたもののすぐにその体裁をとり戻し、ニコリと笑いかける
上条「あ、うん。ありがとう鹿目さん」
271: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/02(水) 23:54:46.60:a55l1csn0 (7/7)
まどか「退院はあとどれくらい掛かりそうなの?」
上条「うーん……手が治ったから、もうちょっとだと思うな」
まどか「そっか。頑張ってね」
上条「うん。ありがとう」
笑い合うまどかと上条
突然会話に割り込んできたまどかを不自然に思いながら、まどかと上条の二人に複雑な表情を浮かべていた
上条「……さやかちょっと、いいかな」
そんなさやかの表情に気付き、上条はさやかに優しい視線を向けた
不意を突かれたさやかは驚きにうろたえてしまう
さやか「え、な、なに?」
上条「それ、ちょっと持ってくれないかな?」
上条が指差した先、そこには上条のバイオリンのケースがあった
さやかは、突然の指示にうろたえながらもそれに手を伸ばす
まどか「退院はあとどれくらい掛かりそうなの?」
上条「うーん……手が治ったから、もうちょっとだと思うな」
まどか「そっか。頑張ってね」
上条「うん。ありがとう」
笑い合うまどかと上条
突然会話に割り込んできたまどかを不自然に思いながら、まどかと上条の二人に複雑な表情を浮かべていた
上条「……さやかちょっと、いいかな」
そんなさやかの表情に気付き、上条はさやかに優しい視線を向けた
不意を突かれたさやかは驚きにうろたえてしまう
さやか「え、な、なに?」
上条「それ、ちょっと持ってくれないかな?」
上条が指差した先、そこには上条のバイオリンのケースがあった
さやかは、突然の指示にうろたえながらもそれに手を伸ばす
272: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/03(木) 00:22:08.19:CPgEFCUy0 (1/6)
さやか「こ、これ?」
手に取ったケースを上条に掲げると、上条は頷いた
上条「うん、ありがとう。……よし……」
そしてベッドから身を起こし、自分の身を覆うベッドシーツを除けると、ベッドに立て掛けてあった松葉づえに手を伸ばす
さやか「だ、大丈夫なのっ?」
上条「うん。もう、これくらいはね」
焦った表情を浮かべるさやかに笑みを浮かべながら、上条はゆっくりとベッドから這い出て、松葉づえを使い何とか立ち上がった
上条「それじゃあ、ちょっと屋上までいこうか」
さやか「……えっ、どうして?」
上条「ちょっとさやかにCDとお見舞いのお礼をしようと思ってね」
さやか「お、お礼なんて……」
上条「いいから。よい……わっ」
松葉づえを使い屋上へと歩き出そうとした時、上条がバランスを崩してしまう
さやか「大丈夫っ!?」
そんな上条にさやかはすぐに近寄り、その身を支える
その時、二人の距離はゼロとなり、視線が重なり合う
上条「あ、ありがとう。もう大丈夫だよ」
さやか「あ、う、うん……」
すぐそこにある上条の顔、感じる体温、匂い
それら全てに、さやかは心臓を高鳴らせ、顔を赤らめた
上条「よ、よし……それじゃあいこうかっ」
さやか「う、うんっ」
上条の仕切りなおす声に慌ててさやかが距離をとると、思い出したように上条はまどかに顔を向けた
上条「よかったら、鹿目さんもどうぞ」
そう言うと上条はゆっくりと歩き出し、上条をいつ支えられてもいいように、さやかも上条の歩調に合わせて歩き出す
まどか「……うん」
その後ろでまどかはコクリと頷いた
燃え盛る嫉妬の感情に、心狂わせながら
さやか「こ、これ?」
手に取ったケースを上条に掲げると、上条は頷いた
上条「うん、ありがとう。……よし……」
そしてベッドから身を起こし、自分の身を覆うベッドシーツを除けると、ベッドに立て掛けてあった松葉づえに手を伸ばす
さやか「だ、大丈夫なのっ?」
上条「うん。もう、これくらいはね」
焦った表情を浮かべるさやかに笑みを浮かべながら、上条はゆっくりとベッドから這い出て、松葉づえを使い何とか立ち上がった
上条「それじゃあ、ちょっと屋上までいこうか」
さやか「……えっ、どうして?」
上条「ちょっとさやかにCDとお見舞いのお礼をしようと思ってね」
さやか「お、お礼なんて……」
上条「いいから。よい……わっ」
松葉づえを使い屋上へと歩き出そうとした時、上条がバランスを崩してしまう
さやか「大丈夫っ!?」
そんな上条にさやかはすぐに近寄り、その身を支える
その時、二人の距離はゼロとなり、視線が重なり合う
上条「あ、ありがとう。もう大丈夫だよ」
さやか「あ、う、うん……」
すぐそこにある上条の顔、感じる体温、匂い
それら全てに、さやかは心臓を高鳴らせ、顔を赤らめた
上条「よ、よし……それじゃあいこうかっ」
さやか「う、うんっ」
上条の仕切りなおす声に慌ててさやかが距離をとると、思い出したように上条はまどかに顔を向けた
上条「よかったら、鹿目さんもどうぞ」
そう言うと上条はゆっくりと歩き出し、上条をいつ支えられてもいいように、さやかも上条の歩調に合わせて歩き出す
まどか「……うん」
その後ろでまどかはコクリと頷いた
燃え盛る嫉妬の感情に、心狂わせながら
273: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/03(木) 00:34:56.16:CPgEFCUy0 (2/6)
西日が差しこみ、辺りを赤く照らす屋上
三人がそこに着くと、上条はそこに設置してあるベンチに夕日を背にして腰を降ろした
上条「ふぅ……なかなか辛いもんだね」
さやか「大丈夫?」
上条の腰を降ろすのを手伝うと、さやかは心配の表情を向ける
上条はそんなさやかに安心させるように優しく微笑み返した
上条「うん。いいリハビリだよ」
さやか「うん……」
心配の色が抜けないさやかに、上条は軽い溜息を吐く
上条「心配し過ぎだよ。さやかは」
さやか「……でも」
上条「大丈夫だから、さ」
さやか「うん」
全てではないにせよある程度さやかから心配の色が消えるのを見ると、上条はさやかへと手を伸ばす
上条「……それじゃあバイオリン貸して」
さやか「う、うん。はい」
西日が差しこみ、辺りを赤く照らす屋上
三人がそこに着くと、上条はそこに設置してあるベンチに夕日を背にして腰を降ろした
上条「ふぅ……なかなか辛いもんだね」
さやか「大丈夫?」
上条の腰を降ろすのを手伝うと、さやかは心配の表情を向ける
上条はそんなさやかに安心させるように優しく微笑み返した
上条「うん。いいリハビリだよ」
さやか「うん……」
心配の色が抜けないさやかに、上条は軽い溜息を吐く
上条「心配し過ぎだよ。さやかは」
さやか「……でも」
上条「大丈夫だから、さ」
さやか「うん」
全てではないにせよある程度さやかから心配の色が消えるのを見ると、上条はさやかへと手を伸ばす
上条「……それじゃあバイオリン貸して」
さやか「う、うん。はい」
274: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/03(木) 03:25:05.60:CPgEFCUy0 (3/6)
さやかから差し出されたバイオリンを手に取ると、上条はまどかとさやかに向き直り、真剣な表情を作った
上条「ありがとう。さて……それじゃあ」
上条「ほとんど毎日来てくれたさやかと、腕の回復のお祝いに来てくれた鹿目さん」
上条「二人の為の演奏会。開こうと思います」
そう言って上条は二人に深くお辞儀し、バイオリンに手を掛ける
そして、深く息を吸い込み、その弦から音を奏で始めた
さやか「……恭介……」
上条の手から生み出される音楽たちは、とても美しく、聴きいるもの魅了させる
それは天才少年と謳われた実力と違わぬもの
さやかは目を閉じ、じっとその音楽たちを聞きいる
さやかの心は、喜びと、満足感で満ち溢れていた
辺りが美しい音楽で包まれる。
今、ここにいる者たちは心に影を落とす者などいなかった
その音楽を心に届かせない一人の少女
まどかを除いて
さやかから差し出されたバイオリンを手に取ると、上条はまどかとさやかに向き直り、真剣な表情を作った
上条「ありがとう。さて……それじゃあ」
上条「ほとんど毎日来てくれたさやかと、腕の回復のお祝いに来てくれた鹿目さん」
上条「二人の為の演奏会。開こうと思います」
そう言って上条は二人に深くお辞儀し、バイオリンに手を掛ける
そして、深く息を吸い込み、その弦から音を奏で始めた
さやか「……恭介……」
上条の手から生み出される音楽たちは、とても美しく、聴きいるもの魅了させる
それは天才少年と謳われた実力と違わぬもの
さやかは目を閉じ、じっとその音楽たちを聞きいる
さやかの心は、喜びと、満足感で満ち溢れていた
辺りが美しい音楽で包まれる。
今、ここにいる者たちは心に影を落とす者などいなかった
その音楽を心に届かせない一人の少女
まどかを除いて
275: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/03(木) 03:32:04.22:CPgEFCUy0 (4/6)
―――――――――――――
さやかちゃんの上条君の演奏を聞く顔は、とても幸せそうで
今まで私が見た事のない、うっとりとした表情をしていました
私は、そんな顔をさやかちゃんにさせる事ができる上条君が
さやかちゃんのそんな幸せそうな表情を向けられることのできる上条君が
とても、羨ましくて
とても、妬ましかった
……いっそバイオリンを取り上げて屋上から落としてしまおうか
上条君のバイオリンを聞いている内に、そんな恐ろしい事を考えてる自分に気付いて
私は自分が怖くなりました
でも、同時に、そう考えてしまうほど私は
さやかちゃんの事が好きなんだなと納得してしまっている自分にも気付いてしまいました
―――――――――――――――
―――――――――――――
さやかちゃんの上条君の演奏を聞く顔は、とても幸せそうで
今まで私が見た事のない、うっとりとした表情をしていました
私は、そんな顔をさやかちゃんにさせる事ができる上条君が
さやかちゃんのそんな幸せそうな表情を向けられることのできる上条君が
とても、羨ましくて
とても、妬ましかった
……いっそバイオリンを取り上げて屋上から落としてしまおうか
上条君のバイオリンを聞いている内に、そんな恐ろしい事を考えてる自分に気付いて
私は自分が怖くなりました
でも、同時に、そう考えてしまうほど私は
さやかちゃんの事が好きなんだなと納得してしまっている自分にも気付いてしまいました
―――――――――――――――
276: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/03(木) 03:35:53.97:CPgEFCUy0 (5/6)
今日はここまで。お疲れさまでした
なんだか最近鯖が重い気がする……
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れさまでした
なんだか最近鯖が重い気がする……
それではまた次回ー
277:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県):2011/11/03(木) 03:38:16.32:GSEOUlpGo (1/1)
乙乙
乙乙
278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県):2011/11/03(木) 17:10:20.94:PL3HsFy2o (1/1)
乙ー
最近よくエラーになるね
乙ー
最近よくエラーになるね
279: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/03(木) 22:59:32.34:CPgEFCUy0 (6/6)
病院外
上条の演奏が終わると、さやかは惜しみない拍手を送り、まどかは大人しめの拍手を送った
上条は照れの入る表情でそれに応えた
そしてその後、上条と少しの間会話を交わすと二人は上条に別れを告げ、病院を出た。そして暗く染まる空の下、家路へと向かう
さやかは病院を出ても興奮が収まることなく、その顔に笑みを浮かべ続けていた
さやか「いやぁーやっぱり恭介の演奏は最高だったね!」
まどか「……うん」
そんなさやかの横で、まどかは顔を伏せ歩いていた
さやか「恭介の顔にも元気が戻ったし、指治ってホントによかったよ!」
まどか「……うん」
さやか「また出来たら聞かせて貰おうねっまどか!」
あまり反応のないまどかを怪訝に思ったさやかは、俯くまどかの顔を横から覗き込む
さやか「まどか?」
まどか「私は、いいよ」
まどか「聞きたくない」
さやか「……嫌だったの?」
立ち止り、暗い表情で顔を振るまどかに、さやかは不安げに首を傾げる
病院外
上条の演奏が終わると、さやかは惜しみない拍手を送り、まどかは大人しめの拍手を送った
上条は照れの入る表情でそれに応えた
そしてその後、上条と少しの間会話を交わすと二人は上条に別れを告げ、病院を出た。そして暗く染まる空の下、家路へと向かう
さやかは病院を出ても興奮が収まることなく、その顔に笑みを浮かべ続けていた
さやか「いやぁーやっぱり恭介の演奏は最高だったね!」
まどか「……うん」
そんなさやかの横で、まどかは顔を伏せ歩いていた
さやか「恭介の顔にも元気が戻ったし、指治ってホントによかったよ!」
まどか「……うん」
さやか「また出来たら聞かせて貰おうねっまどか!」
あまり反応のないまどかを怪訝に思ったさやかは、俯くまどかの顔を横から覗き込む
さやか「まどか?」
まどか「私は、いいよ」
まどか「聞きたくない」
さやか「……嫌だったの?」
立ち止り、暗い表情で顔を振るまどかに、さやかは不安げに首を傾げる
280: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/04(金) 00:23:05.19:T5m12/g80 (1/6)
まどか「……そうじゃないけど」
それにも首を振るまどかに、さやかは更に首を傾げる
さやか「だったらなんで……っ」
だがそんな時、さやかは急に辺りを見渡し、しまっていた魔法少女の証、ソウルジェムをその手に取りだした
まどかはさやかの急な様子の変化にその瞳を向ける
まどか「……どうしたの?」
さやか「ソウルジェムが反応してる……近くに魔女がいる!」
まどか「えっ!?」
まどかに緊張感が走り、以前まどかを襲った魔女の姿を思い出される
さやかはソウルジェムをかざし辺りをキョロキョロと見渡し始めた
さやか「こっち……?」
ソウルジェムが強い反応を示す方を見つけると、さやかはまどかに真剣な瞳を向ける
さやか「まどか。あたし、ちょっと行ってくるから」
さやか「まどかは先に家帰ってて!」
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやかが走り出そうとした時、まどかは咄嗟にさやかの手を掴んだ
―――さやかを危険な目に遭わせたくない
そんな気持ちからのまどかの行動だった。
まどか「あ、危ないよっ!行っちゃ、行っちゃ駄目だよっ!」」
さやか「危ないのは解ってる」
覚悟と、決意に満ちた目
さやか「……まどか、わかってるでしょ?魔女がどれだけ危険か」
さやかが強い口調でまどかを諭す
その諭しに、まどかの脳裏に前日の様子のおかしくなった仁美達がよぎる
それでも、まどかはさやかを行かせたくなかった。もごもごと口を開く
まどか「で、でも……」
さやか「だから私は行く。まどかは帰ってて!」
さやかはまどかの肩に手を置くと、そう言ってさやかは正義感を燃やし走り出す
人々を脅かす魔女の元へ
まどか「……そうじゃないけど」
それにも首を振るまどかに、さやかは更に首を傾げる
さやか「だったらなんで……っ」
だがそんな時、さやかは急に辺りを見渡し、しまっていた魔法少女の証、ソウルジェムをその手に取りだした
まどかはさやかの急な様子の変化にその瞳を向ける
まどか「……どうしたの?」
さやか「ソウルジェムが反応してる……近くに魔女がいる!」
まどか「えっ!?」
まどかに緊張感が走り、以前まどかを襲った魔女の姿を思い出される
さやかはソウルジェムをかざし辺りをキョロキョロと見渡し始めた
さやか「こっち……?」
ソウルジェムが強い反応を示す方を見つけると、さやかはまどかに真剣な瞳を向ける
さやか「まどか。あたし、ちょっと行ってくるから」
さやか「まどかは先に家帰ってて!」
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやかが走り出そうとした時、まどかは咄嗟にさやかの手を掴んだ
―――さやかを危険な目に遭わせたくない
そんな気持ちからのまどかの行動だった。
まどか「あ、危ないよっ!行っちゃ、行っちゃ駄目だよっ!」」
さやか「危ないのは解ってる」
覚悟と、決意に満ちた目
さやか「……まどか、わかってるでしょ?魔女がどれだけ危険か」
さやかが強い口調でまどかを諭す
その諭しに、まどかの脳裏に前日の様子のおかしくなった仁美達がよぎる
それでも、まどかはさやかを行かせたくなかった。もごもごと口を開く
まどか「で、でも……」
さやか「だから私は行く。まどかは帰ってて!」
さやかはまどかの肩に手を置くと、そう言ってさやかは正義感を燃やし走り出す
人々を脅かす魔女の元へ
281: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/04(金) 00:41:02.18:T5m12/g80 (2/6)
まどか「さ、さやかちゃんっ!」
走っていくさやかにまどかは手を伸ばし、さやかを追いかけようとする
が、前日の自分を襲った魔女と、マミを殺した魔女の恐怖が蘇りその足が止まってしまう
段々と遠ざかっていくさやかの背中。
その姿にまどかは酷い焦燥感に苛まれるが、足が動いてくれなかった
そうしている内にさやかは角を曲がり、その姿をまどかの前から完全に消してしまう
まどか「……さやかちゃん」
焦燥感に加え、さやかがいなくなってしまうかもしれないという不安がまどかを襲う
その感情が体を走った時、まどかの脚は弾かれる様に動き出していた
まどか「……まってっ……待って……さやかちゃんっ!」
必死とまどかは走り出す。さやかを失いたくないという思いから
さやかを見失った今、どこへ向かえばいいかなどまどかには解らない
それでもまどかは走った。
大好きなさやかの元へ
まどか「さ、さやかちゃんっ!」
走っていくさやかにまどかは手を伸ばし、さやかを追いかけようとする
が、前日の自分を襲った魔女と、マミを殺した魔女の恐怖が蘇りその足が止まってしまう
段々と遠ざかっていくさやかの背中。
その姿にまどかは酷い焦燥感に苛まれるが、足が動いてくれなかった
そうしている内にさやかは角を曲がり、その姿をまどかの前から完全に消してしまう
まどか「……さやかちゃん」
焦燥感に加え、さやかがいなくなってしまうかもしれないという不安がまどかを襲う
その感情が体を走った時、まどかの脚は弾かれる様に動き出していた
まどか「……まってっ……待って……さやかちゃんっ!」
必死とまどかは走り出す。さやかを失いたくないという思いから
さやかを見失った今、どこへ向かえばいいかなどまどかには解らない
それでもまどかは走った。
大好きなさやかの元へ
282: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/04(金) 01:16:35.14:T5m12/g80 (3/6)
まどか「はぁ……はぁ……」
さやかを追いかけ薄暗い路地裏に入り、がむしゃらに走るまどかだったが、やはりと言うべきかさやかが見つかる事はなかった
暴れる心臓にまどかは走る事が出来なくなり、しゃがみ込んで息を切らす
まどか「はぁ……さやかちゃん……どこに行ったの……?」
激しい焦燥感が体を駆け巡るが、体が言う事を聞いてくれない
まどかが自分の不甲斐なさに歯噛みしていると
「まどかっ!」
頭上から聞き覚えのある可愛らしい声が響く
声のした方に顔を向けると、キュゥべえが換気扇の排出口や壁の突起を使い、器用に降りて来ていた
まどか「はぁ……はぁ……キュゥべぇ?」
キュゥべぇ「どうしてこんなところに?ここは危険だよ。近くに魔女がいるんだ」
地面に降りたキュゥべえに、まどかは急いで息を整えると焦りに歪める顔を向けた
まどか「知ってるよっ。ねぇ。さやかちゃん見てない!?」
キュゥべぇ「さやかかい?見てないけど……」
キュゥべぇ「さやかを探してるのかい?」
首を傾げるキュゥべえに、まどかは勢い良く頷く
まどか「うん!さやかちゃん魔女の反応があったからって一人で……」
キュゥべぇ「うん?それが魔法少女じゃないか。魔女の反応があったらすぐに向かう。当然だろう?」
わけがわからない、と言わんばかりに首を振る。そんなキュゥべえにまどかは目を伏せてしまう
まどか「でも……」
まどか「はぁ……はぁ……」
さやかを追いかけ薄暗い路地裏に入り、がむしゃらに走るまどかだったが、やはりと言うべきかさやかが見つかる事はなかった
暴れる心臓にまどかは走る事が出来なくなり、しゃがみ込んで息を切らす
まどか「はぁ……さやかちゃん……どこに行ったの……?」
激しい焦燥感が体を駆け巡るが、体が言う事を聞いてくれない
まどかが自分の不甲斐なさに歯噛みしていると
「まどかっ!」
頭上から聞き覚えのある可愛らしい声が響く
声のした方に顔を向けると、キュゥべえが換気扇の排出口や壁の突起を使い、器用に降りて来ていた
まどか「はぁ……はぁ……キュゥべぇ?」
キュゥべぇ「どうしてこんなところに?ここは危険だよ。近くに魔女がいるんだ」
地面に降りたキュゥべえに、まどかは急いで息を整えると焦りに歪める顔を向けた
まどか「知ってるよっ。ねぇ。さやかちゃん見てない!?」
キュゥべぇ「さやかかい?見てないけど……」
キュゥべぇ「さやかを探してるのかい?」
首を傾げるキュゥべえに、まどかは勢い良く頷く
まどか「うん!さやかちゃん魔女の反応があったからって一人で……」
キュゥべぇ「うん?それが魔法少女じゃないか。魔女の反応があったらすぐに向かう。当然だろう?」
わけがわからない、と言わんばかりに首を振る。そんなキュゥべえにまどかは目を伏せてしまう
まどか「でも……」
283: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/04(金) 01:27:27.36:T5m12/g80 (4/6)
キュゥべぇ「それに普通の人間がさやかを追ってどうするんだい?」
キュゥべぇ「まさか、何の力も持たない君が魔法少女であるさやかの手伝いをするつもりかい?」
まどか「それは……」
キュゥべぇ「行っても何もできないよ。それどころか、足を引っ張るだけだ」
キュゥべぇ「ただ手伝いたいなんて軽い気持ちで行っても、さやかの迷惑になるだけだよ」
畳み掛けられるキュゥべえの言葉に、ついにまどかは顔を伏せてしまう
―――でも。
そう一言キュゥべえは付け加えると、まどかの目の前まで歩き、くりくりとした目でまどかの瞳を覗き込んだ
キュゥべぇ「君が今此処で魔法少女になって、手伝いにいく、というなら話は別だけど」
まどか「私が……」
深くキュウべえは頷く
キュゥべぇ「君が魔法少女になれば、さやかの手伝いをするなんて容易い事だ」
キュゥべぇ「君の素質はさやかをはるかに超えてるんだからね」
キュゥべぇ「それに普通の人間がさやかを追ってどうするんだい?」
キュゥべぇ「まさか、何の力も持たない君が魔法少女であるさやかの手伝いをするつもりかい?」
まどか「それは……」
キュゥべぇ「行っても何もできないよ。それどころか、足を引っ張るだけだ」
キュゥべぇ「ただ手伝いたいなんて軽い気持ちで行っても、さやかの迷惑になるだけだよ」
畳み掛けられるキュゥべえの言葉に、ついにまどかは顔を伏せてしまう
―――でも。
そう一言キュゥべえは付け加えると、まどかの目の前まで歩き、くりくりとした目でまどかの瞳を覗き込んだ
キュゥべぇ「君が今此処で魔法少女になって、手伝いにいく、というなら話は別だけど」
まどか「私が……」
深くキュウべえは頷く
キュゥべぇ「君が魔法少女になれば、さやかの手伝いをするなんて容易い事だ」
キュゥべぇ「君の素質はさやかをはるかに超えてるんだからね」
284: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/04(金) 02:03:10.64:T5m12/g80 (5/6)
口元を押さえ考え耽るまどかに、キュゥべえは更に言葉を重ねた
キュゥべぇ「なるかい?さやかと」
『同じ』
キュゥべぇ「魔法少女に」
まどか「……同じ」
同じ、という言葉がまどかの心に強く響き、呆然と言葉を漏らす
キュゥべぇ「そうさ。君の大好きなさやかと同じさ」
まどかの漏らした言葉に頷くと、キュゥべえは少しの間の後、トーンを押さえた声を出す
キュゥべぇ「……それに願いをさやかを思い通りにしたいとするなら」
キュゥべぇ「前にも言ったが、さやかは君の物だ」
キュゥべえの重ねられていく言葉
それはまどかにとって酷く魅惑的に思えた
キュゥべえはそんなまどかの気持ちを見抜いたかのように、契約を迫ろうとする
キュゥべぇ「どうだい?ぼくとけ」
だがその言葉は最後まで続く事はなかった
突然まどかの目の前で、キュウべえの頭が吹き飛び、内包していた肉が飛び散ったからだった
まどか「あ……!」
頭部を失った事で、キュゥべえは支える力を失いその体を倒れ伏せさせる
そんな惨たらしい光景に目を背けるまどか
だが目をそむけた先には、まどかが最も会いたくない人物がしゃがみ込むまどかを見下ろしていた
まどか「……ほむら……ちゃん……」
口元を押さえ考え耽るまどかに、キュゥべえは更に言葉を重ねた
キュゥべぇ「なるかい?さやかと」
『同じ』
キュゥべぇ「魔法少女に」
まどか「……同じ」
同じ、という言葉がまどかの心に強く響き、呆然と言葉を漏らす
キュゥべぇ「そうさ。君の大好きなさやかと同じさ」
まどかの漏らした言葉に頷くと、キュゥべえは少しの間の後、トーンを押さえた声を出す
キュゥべぇ「……それに願いをさやかを思い通りにしたいとするなら」
キュゥべぇ「前にも言ったが、さやかは君の物だ」
キュゥべえの重ねられていく言葉
それはまどかにとって酷く魅惑的に思えた
キュゥべえはそんなまどかの気持ちを見抜いたかのように、契約を迫ろうとする
キュゥべぇ「どうだい?ぼくとけ」
だがその言葉は最後まで続く事はなかった
突然まどかの目の前で、キュウべえの頭が吹き飛び、内包していた肉が飛び散ったからだった
まどか「あ……!」
頭部を失った事で、キュゥべえは支える力を失いその体を倒れ伏せさせる
そんな惨たらしい光景に目を背けるまどか
だが目をそむけた先には、まどかが最も会いたくない人物がしゃがみ込むまどかを見下ろしていた
まどか「……ほむら……ちゃん……」
285: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/04(金) 02:45:37.14:T5m12/g80 (6/6)
ほむら「美樹さやかを探してるの」
手に持っていた大きく黒光りする銃―――ショットガンを盾のスライドの中に収納するとまどかに冷たい声を掛ける
ほむらの登場で恐怖や驚き、そして昨日の一件の怒りなど様々な感情がまどかの中を渦巻き、ほむらの質問に答えられずにいた
ほむら「……ついて来て」
まどかの無言を肯定と受け取ったほむらは、背を向けて顔だけをまどかに向けた
ほむら「あなたがなろうと思ったモノ」
ほむら「そして、美樹さやかのなったモノがどれほど危険なものか」
ほむら「もう一度見せてあげるわ」
そう言ってほむらは顔をまどかから背け、どこかへと歩き出す
まどかはほむらについて行くか否かを酷く迷ったが、その口ぶりと、ほむらが魔女の居場所が分かる魔法少女であることから、着いて行く事を決め
その後ろをゆっくりと着いて行った
ほむら「美樹さやかを探してるの」
手に持っていた大きく黒光りする銃―――ショットガンを盾のスライドの中に収納するとまどかに冷たい声を掛ける
ほむらの登場で恐怖や驚き、そして昨日の一件の怒りなど様々な感情がまどかの中を渦巻き、ほむらの質問に答えられずにいた
ほむら「……ついて来て」
まどかの無言を肯定と受け取ったほむらは、背を向けて顔だけをまどかに向けた
ほむら「あなたがなろうと思ったモノ」
ほむら「そして、美樹さやかのなったモノがどれほど危険なものか」
ほむら「もう一度見せてあげるわ」
そう言ってほむらは顔をまどかから背け、どこかへと歩き出す
まどかはほむらについて行くか否かを酷く迷ったが、その口ぶりと、ほむらが魔女の居場所が分かる魔法少女であることから、着いて行く事を決め
その後ろをゆっくりと着いて行った
286:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/04(金) 16:50:41.11:dXezYXPDO (1/1)
いいねえ
いいねえ
287: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/05(土) 00:26:44.51:+kFLoU1R0 (1/6)
―――――――
ほむらがまどかと接触しているころ、さやかは異質な空間を発見し、そのわずかな綻びの前まで来ていた
さやか「……魔女」
入り口を見つめ、思わず零れる言葉。
その言葉には、これから一戦交える覚悟と、魔女に対する明らかな敵意が含まれていた
さやか「やるからね……マミさん」
マミの戦っていた姿を脳裏に移し、さやかは身を魔法少女の衣装へと包む
―――もう、まどかや仁美みたいに……他人にあんな目は合わせない
そう心に誓うと、さやかは自分の得物である細身の剣を具現させ、その剣で結界の綻びを切り裂き
結界の中へと足を踏み入れた
―――――――
ほむらがまどかと接触しているころ、さやかは異質な空間を発見し、そのわずかな綻びの前まで来ていた
さやか「……魔女」
入り口を見つめ、思わず零れる言葉。
その言葉には、これから一戦交える覚悟と、魔女に対する明らかな敵意が含まれていた
さやか「やるからね……マミさん」
マミの戦っていた姿を脳裏に移し、さやかは身を魔法少女の衣装へと包む
―――もう、まどかや仁美みたいに……他人にあんな目は合わせない
そう心に誓うと、さやかは自分の得物である細身の剣を具現させ、その剣で結界の綻びを切り裂き
結界の中へと足を踏み入れた
288: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/05(土) 01:37:08.35:+kFLoU1R0 (2/6)
踏み入れた結界の中は、子供のおもちゃ箱をひっくり返したような、乱雑で、稚児的なものだった
一見毒気のなさそうに見えたが、歪に蠢く壁の模様、その空間に流れる淀んだ空気がさやかにはそうは思わせなかった
その中をさやかは剣を片手に、警戒しながら奥へと進んでいく
さやか「っ!」
ある程度の奥まで進むと、一匹の子供の落書きのような異形が耳障りな音を出しながら、辺りを徘徊していた
さやかはその異形――使い魔を見つけると、剣を構え、足に力を込める
「―――??―――!!―――――――!!!」
使い魔に切りかかろうとした時、使い魔がさやかの存在に気付き、逃げ出そうとし始めた
それを逃がさんと、さやかは脚に込めた力を弾けさせ、一気に使い魔に肉迫する
「―――!!!」
使い魔は必死に逃げようとするが、さやかの速度には及ばず、すぐに追いつかれてしまう
さやかは一気に構えた剣を振りおろし、その体を切り裂こうとしたが
さやか「な……」
「……へっ」
突然目の前に赤い衣装に身を包んだ少女が躍り出てきて、さやかの斬撃をその手に持つ長槍で防いでしまった
踏み入れた結界の中は、子供のおもちゃ箱をひっくり返したような、乱雑で、稚児的なものだった
一見毒気のなさそうに見えたが、歪に蠢く壁の模様、その空間に流れる淀んだ空気がさやかにはそうは思わせなかった
その中をさやかは剣を片手に、警戒しながら奥へと進んでいく
さやか「っ!」
ある程度の奥まで進むと、一匹の子供の落書きのような異形が耳障りな音を出しながら、辺りを徘徊していた
さやかはその異形――使い魔を見つけると、剣を構え、足に力を込める
「―――??―――!!―――――――!!!」
使い魔に切りかかろうとした時、使い魔がさやかの存在に気付き、逃げ出そうとし始めた
それを逃がさんと、さやかは脚に込めた力を弾けさせ、一気に使い魔に肉迫する
「―――!!!」
使い魔は必死に逃げようとするが、さやかの速度には及ばず、すぐに追いつかれてしまう
さやかは一気に構えた剣を振りおろし、その体を切り裂こうとしたが
さやか「な……」
「……へっ」
突然目の前に赤い衣装に身を包んだ少女が躍り出てきて、さやかの斬撃をその手に持つ長槍で防いでしまった
289: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/05(土) 01:39:52.24:+kFLoU1R0 (3/6)
修正
逃がさんと ×
逃がさぬようにと
修正
逃がさんと ×
逃がさぬようにと
290: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/05(土) 02:11:18.67:+kFLoU1R0 (4/6)
「―――!!」
それを見た使い魔は絶好の機会と言わんばかりに耳障りな音を張り上げ、さやかから逃げ去ろうとした
さやか「逃がすかぁッ!!」
逃げる使い魔に追撃を行おうと、さやかは目の前の赤い少女の持つ槍から自分の得物を引く
「やめなっての」
だが赤い少女は、さやかの引く剣に自分の槍を強く押し付けて剣の自由を無くし、さやかの動きを止めた
さやかは目の前の自分の邪魔をする少女を鋭く睨みつける
さやか「なんなのよあんたはッ!!邪魔しないでッ!!」
「邪魔なのはアンタ……だよッ!!」
そう言うと赤い少女は、自分の足に力を込め、さやかを前方へと押し返した
あまりの力にさやかは体勢を崩し、ふらふらと後ろによろけてしまう
さやか「くッ……」
「やれやれ……」
呆れたように赤い少女が肩を竦める。
そんな人を舐めたような態度に苛立ちを覚えながらも、さやかはすぐに体勢を立て直して剣を赤い少女に構え、使い魔を探した
だがその姿はもうどこにもなく、今此処にいるのはさやかと、赤い少女だけになってしまっていた
さやかは赤い少女に、強い敵意の視線を向ける
さやか「あんたの所為で逃がしちゃったじゃない!!」
「……当たり前だろ?逃がすためにあんたの邪魔をしたんだから」
「―――!!」
それを見た使い魔は絶好の機会と言わんばかりに耳障りな音を張り上げ、さやかから逃げ去ろうとした
さやか「逃がすかぁッ!!」
逃げる使い魔に追撃を行おうと、さやかは目の前の赤い少女の持つ槍から自分の得物を引く
「やめなっての」
だが赤い少女は、さやかの引く剣に自分の槍を強く押し付けて剣の自由を無くし、さやかの動きを止めた
さやかは目の前の自分の邪魔をする少女を鋭く睨みつける
さやか「なんなのよあんたはッ!!邪魔しないでッ!!」
「邪魔なのはアンタ……だよッ!!」
そう言うと赤い少女は、自分の足に力を込め、さやかを前方へと押し返した
あまりの力にさやかは体勢を崩し、ふらふらと後ろによろけてしまう
さやか「くッ……」
「やれやれ……」
呆れたように赤い少女が肩を竦める。
そんな人を舐めたような態度に苛立ちを覚えながらも、さやかはすぐに体勢を立て直して剣を赤い少女に構え、使い魔を探した
だがその姿はもうどこにもなく、今此処にいるのはさやかと、赤い少女だけになってしまっていた
さやかは赤い少女に、強い敵意の視線を向ける
さやか「あんたの所為で逃がしちゃったじゃない!!」
「……当たり前だろ?逃がすためにあんたの邪魔をしたんだから」
291: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/05(土) 03:14:52.62:+kFLoU1R0 (5/6)
さやか「は……?」
わけがわからないと眉根を寄せるさやかを赤い少女は鼻で笑う
「ありゃ見ての通り使い魔。倒したってグリーフシードは落とさない。なんの得にもならないよ」
さやか「でもあれは人を襲うんだ!倒さないと人が……」
「そこがミソだよ」
さやか「……は?」
赤い少女の言葉ににさやかはその表情を固まらせ、そんなさやかに赤い少女は腹黒い笑みを浮かべ、手に持っていた駄菓子にかじりついた
「使い魔はね……人を食っていればそのうちグリーフシードを孕むんだ」
「それまで待ってから狩っても遅くないだろ?」
さやか「あんた……人を見殺しにしろって言うの!?」
「そうだよ」
そう言い切り、赤い少女は再び駄菓子を口に運ぶと、嘲笑に顔を歪める
そんな少女にさやかは激しい怒りを感じ、剣を持つ手に力を込めた
「まさか、アンタ人の為にーとか、そんなくだらない理由で戦ってんのか?」
「そうだとしたら……とんだお笑い草だねぇ!」
さやか「うるさい……!」
さやか「あんたに……あんたなんかに何がわかる!!」
赤い少女に自分の事、そして何よりマミの事を笑われたように感じたさやかは、溜まりに溜まった怒りを爆発させ
剣を持つ手を振り上げ、その剣を目の前の少女に思い切り振りおろした
さやか「な……!」
だが赤い少女はいとも簡単にその剣を手に持つ槍で受け止めてしまう
さやか「は……?」
わけがわからないと眉根を寄せるさやかを赤い少女は鼻で笑う
「ありゃ見ての通り使い魔。倒したってグリーフシードは落とさない。なんの得にもならないよ」
さやか「でもあれは人を襲うんだ!倒さないと人が……」
「そこがミソだよ」
さやか「……は?」
赤い少女の言葉ににさやかはその表情を固まらせ、そんなさやかに赤い少女は腹黒い笑みを浮かべ、手に持っていた駄菓子にかじりついた
「使い魔はね……人を食っていればそのうちグリーフシードを孕むんだ」
「それまで待ってから狩っても遅くないだろ?」
さやか「あんた……人を見殺しにしろって言うの!?」
「そうだよ」
そう言い切り、赤い少女は再び駄菓子を口に運ぶと、嘲笑に顔を歪める
そんな少女にさやかは激しい怒りを感じ、剣を持つ手に力を込めた
「まさか、アンタ人の為にーとか、そんなくだらない理由で戦ってんのか?」
「そうだとしたら……とんだお笑い草だねぇ!」
さやか「うるさい……!」
さやか「あんたに……あんたなんかに何がわかる!!」
赤い少女に自分の事、そして何よりマミの事を笑われたように感じたさやかは、溜まりに溜まった怒りを爆発させ
剣を持つ手を振り上げ、その剣を目の前の少女に思い切り振りおろした
さやか「な……!」
だが赤い少女はいとも簡単にその剣を手に持つ槍で受け止めてしまう
292: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/05(土) 03:56:29.19:+kFLoU1R0 (6/6)
「馬鹿にしてんの?」
赤い少女は呆れた表情を作ると、さやかの剣を左手一本で支え、空いてる方の手で駄菓子を口に運んだ
完全に舐めた態度をとる赤い少女に、さやかは頭に血を上らせてむきになって剣を押し込もうとする
さやか「……くっ」
だが、赤い少女の持つ槍は微動だにすることなくさやかの剣を受け止め続けた
「困るんだよねぇ……」
駄菓子を全て食べきると、赤い少女は右手でさやかの剣の刀身が当てられた所よりも上を掴み、同時に左手を離すと
柄を地面から少し浮かせ、体の右半分を後ろに引く
さやか「わ……」
途端さやかの剣が柄を沿う様に受け流され、赤い少女の体を引かせたことで出来たスペースによろけさせられると
「戦いも知らない奴に粋がって貰っちゃあ!!」
さやかの腹部に赤い少女の右膝を振り上げられらた
「馬鹿にしてんの?」
赤い少女は呆れた表情を作ると、さやかの剣を左手一本で支え、空いてる方の手で駄菓子を口に運んだ
完全に舐めた態度をとる赤い少女に、さやかは頭に血を上らせてむきになって剣を押し込もうとする
さやか「……くっ」
だが、赤い少女の持つ槍は微動だにすることなくさやかの剣を受け止め続けた
「困るんだよねぇ……」
駄菓子を全て食べきると、赤い少女は右手でさやかの剣の刀身が当てられた所よりも上を掴み、同時に左手を離すと
柄を地面から少し浮かせ、体の右半分を後ろに引く
さやか「わ……」
途端さやかの剣が柄を沿う様に受け流され、赤い少女の体を引かせたことで出来たスペースによろけさせられると
「戦いも知らない奴に粋がって貰っちゃあ!!」
さやかの腹部に赤い少女の右膝を振り上げられらた
293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(チベット自治区):2011/11/06(日) 00:51:14.96:YZ2mxPLm0 (1/1)
さやぱん…
さやぱん…
294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/06(日) 07:20:32.21:gVpyZSwDO (1/1)
おおう
ホームレスのくせに生意気だぞぉ
おおう
ホームレスのくせに生意気だぞぉ
295:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/07(月) 00:41:19.66:Dsmbr10u0 (1/1)
あんこちゃんあんあん!
あんこちゃんあんあん!
296: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/07(月) 02:16:04.13:YlW06cm00 (1/2)
修正だけ
さやかの腹部に赤い少女の右膝を振り上げられらた ×
さやかの腹部に赤い少女の右膝が振り上げられた ○
修正だけ
さやかの腹部に赤い少女の右膝を振り上げられらた ×
さやかの腹部に赤い少女の右膝が振り上げられた ○
297: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/07(月) 23:52:19.12:YlW06cm00 (2/2)
さやか「か、は……!」
腹部への突き刺さるような痛みに、さやかの呼吸が止まる
さらに赤い少女の打撃により胃液が口の中まで達し、さやかの口の中を得も言えぬ酸味で染めた
「はっ」
赤い少女は腹部にめり込ませた脚を引き抜き、嗜虐的な笑みを浮かべると、痛みに怯むさやかの後頭部を槍の柄で殴りつけた
さやか「がッ!!」
後頭部への衝撃に、さやかはなす術もなく顔から地面へと叩きつけられる
視界が白黒と瞬き、さやかは後頭部と叩きつけられた顔面への痛みに地面に這いつくばりながら呻いた
「終わりじゃねー……ぞッ!!」
地面に這いつくばるさやかに、赤い少女は手を休めることなく、思い切りわき腹を蹴り上げた
さやか「……ッ!!」
その蹴りはとても少女の物とは思えないほどの威力だった
さやかの体は軽々と吹き飛ばされ、蹴られた衝撃に手放してしまった剣と共に路地裏の壁へと叩きつけられる
壁に剥き出しになっていたパイプは、さやかの体がぶつかった衝撃にその形を変形させ、中を流れていた水を零れさせた
さやか「あ……!!あ……」
痛みと衝撃にさやかの体がミシリと悲鳴を上げ、白黒と瞬いていた視界は真っ赤に染まる
さやかはすぐに体勢を立て直そうと思ったが、あまりの痛みに体が言う事を聞かず、ぴくりとも体を動かせなかった
さやか「か、は……!」
腹部への突き刺さるような痛みに、さやかの呼吸が止まる
さらに赤い少女の打撃により胃液が口の中まで達し、さやかの口の中を得も言えぬ酸味で染めた
「はっ」
赤い少女は腹部にめり込ませた脚を引き抜き、嗜虐的な笑みを浮かべると、痛みに怯むさやかの後頭部を槍の柄で殴りつけた
さやか「がッ!!」
後頭部への衝撃に、さやかはなす術もなく顔から地面へと叩きつけられる
視界が白黒と瞬き、さやかは後頭部と叩きつけられた顔面への痛みに地面に這いつくばりながら呻いた
「終わりじゃねー……ぞッ!!」
地面に這いつくばるさやかに、赤い少女は手を休めることなく、思い切りわき腹を蹴り上げた
さやか「……ッ!!」
その蹴りはとても少女の物とは思えないほどの威力だった
さやかの体は軽々と吹き飛ばされ、蹴られた衝撃に手放してしまった剣と共に路地裏の壁へと叩きつけられる
壁に剥き出しになっていたパイプは、さやかの体がぶつかった衝撃にその形を変形させ、中を流れていた水を零れさせた
さやか「あ……!!あ……」
痛みと衝撃にさやかの体がミシリと悲鳴を上げ、白黒と瞬いていた視界は真っ赤に染まる
さやかはすぐに体勢を立て直そうと思ったが、あまりの痛みに体が言う事を聞かず、ぴくりとも体を動かせなかった
298: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 00:15:27.51:SrsHW7Os0 (1/9)
そんなさやかに赤い少女は近づいてしゃがみ込み、さやかの髪を掴んで引っ張り上げて、その顔を持ち上げる
「わかったかい?身の程の物ってのをさ」
さやかの返事はない。ただ赤い少女を睨み返すだけ
赤い少女はそれに不愉快そうに鼻を鳴らすと、髪を放し、さやかの顔を地面へと落とした
「ま、少しは頭を冷やしなよ」
そう言って赤い少女は立ち上がり、さやかに背を向けて歩き出そうとした
「……おかしいなぁ」
だがすぐにその足を止め、顔だけを後ろに向ける
「病院送りにするぐらいにはかましたつもりなんだけどね」
赤い少女の向けた視線の先、そこにはさやかが放り出した剣を拾い上げ、その剣を支えに立ち上がろうとする姿があった
そんなさやかに赤い少女は近づいてしゃがみ込み、さやかの髪を掴んで引っ張り上げて、その顔を持ち上げる
「わかったかい?身の程の物ってのをさ」
さやかの返事はない。ただ赤い少女を睨み返すだけ
赤い少女はそれに不愉快そうに鼻を鳴らすと、髪を放し、さやかの顔を地面へと落とした
「ま、少しは頭を冷やしなよ」
そう言って赤い少女は立ち上がり、さやかに背を向けて歩き出そうとした
「……おかしいなぁ」
だがすぐにその足を止め、顔だけを後ろに向ける
「病院送りにするぐらいにはかましたつもりなんだけどね」
赤い少女の向けた視線の先、そこにはさやかが放り出した剣を拾い上げ、その剣を支えに立ち上がろうとする姿があった
299: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 00:36:18.72:SrsHW7Os0 (2/9)
そうしてさやかが完全に立ち上がると、赤い少女にさやかは細剣を構え、衰える事のない激しい怒りと敵意の目を向けた
さやか「負けるもんか……」
さやか「お前みたいなやつに負けるもんかぁああっ!!!
赤い少女に吼えると同時に、さやかの体が青い光に包まれる
すると、さやかの体にあった擦り傷や打撲が、見る見るうちに治っていった
「ウゼェ……」
「超ウゼェ!!!」
その姿に怒りの表情を浮かべると、赤い少女は向き直り、手に持つ槍の矛先をさやかに向けた
「いいよ。教えてやるよ」
「半端もんがどういう目に遭うかってのをさぁッ!!!」
そう吼えると赤い少女は、弾けるようにさやかに駆けだした
そうしてさやかが完全に立ち上がると、赤い少女にさやかは細剣を構え、衰える事のない激しい怒りと敵意の目を向けた
さやか「負けるもんか……」
さやか「お前みたいなやつに負けるもんかぁああっ!!!
赤い少女に吼えると同時に、さやかの体が青い光に包まれる
すると、さやかの体にあった擦り傷や打撲が、見る見るうちに治っていった
「ウゼェ……」
「超ウゼェ!!!」
その姿に怒りの表情を浮かべると、赤い少女は向き直り、手に持つ槍の矛先をさやかに向けた
「いいよ。教えてやるよ」
「半端もんがどういう目に遭うかってのをさぁッ!!!」
そう吼えると赤い少女は、弾けるようにさやかに駆けだした
300: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 00:53:37.87:SrsHW7Os0 (3/9)
――――――
まどか「あ……」
ほむらに連れられ、まどかが辿り着いた先で見たもの。それは
「チョロチョロしてんじゃねーよ!ウスノロ!」
さやかが魔女ではなく、見知らぬ、非現実的な赤い衣装に身を包んだ少女――魔法少女に一方的に攻められている姿だった
―――魔法少女同士で何故
まどかはそんな状況に軽い混乱を覚える
さやか「うあっ!!」
その時、上下左右と揺さぶりを掛けながら行ってくる赤い少女の槍の連撃に、さやかは捌き切れず、右肩に柄の直撃を受けてしまう
痛みに顔を歪めるさやか
まどか「さ……」
まどか「さやかちゃんっ!!」
そんなさやかに居てもたっていられず、まどかはさやかの元へと駆け寄ろうとした
まどか「あっ」
だがその駆け寄りは、ほむらがまどかの手を掴んだことで止められてしまう
まどか「放して!!」
まどかはその手を必死と振り払おうとするが、ほむらが固く手を握っていてその手を振り払えない
ほむら「危険よ。それに……」
一呼吸置き、まどかの手を握っていない方で軽く髪に触れると、必死となるまどかにほむらは冷たく言い放った
ほむら「言ったわよね」
ほむら「もう一度どれだけ危険か見せてあげるって」
――――――
まどか「あ……」
ほむらに連れられ、まどかが辿り着いた先で見たもの。それは
「チョロチョロしてんじゃねーよ!ウスノロ!」
さやかが魔女ではなく、見知らぬ、非現実的な赤い衣装に身を包んだ少女――魔法少女に一方的に攻められている姿だった
―――魔法少女同士で何故
まどかはそんな状況に軽い混乱を覚える
さやか「うあっ!!」
その時、上下左右と揺さぶりを掛けながら行ってくる赤い少女の槍の連撃に、さやかは捌き切れず、右肩に柄の直撃を受けてしまう
痛みに顔を歪めるさやか
まどか「さ……」
まどか「さやかちゃんっ!!」
そんなさやかに居てもたっていられず、まどかはさやかの元へと駆け寄ろうとした
まどか「あっ」
だがその駆け寄りは、ほむらがまどかの手を掴んだことで止められてしまう
まどか「放して!!」
まどかはその手を必死と振り払おうとするが、ほむらが固く手を握っていてその手を振り払えない
ほむら「危険よ。それに……」
一呼吸置き、まどかの手を握っていない方で軽く髪に触れると、必死となるまどかにほむらは冷たく言い放った
ほむら「言ったわよね」
ほむら「もう一度どれだけ危険か見せてあげるって」
301: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 01:18:26.28:SrsHW7Os0 (4/9)
赤い少女の連撃での一撃
さやかはそれに歯を食いしばり何とか耐えたが、一瞬だけの怯みを見せてしまう
その一瞬を赤い少女は見逃さなかった
「へっ」
好機と赤い少女は笑みを浮かべる
その直後、赤い少女の槍は、直槍の状態から一定の間隔に節を作って、その節々を離し、中に仕込まれていた鎖でつなぎ合う
それは一本の鎖のように見えるものだった
その節槍を器用にさやかの足に絡みつかせた後、力のままさやかを宙に浮かせて壁へと叩きつけた
さやか「ぐッ!!」
衝撃と痛みにさやかの意識が飛びそうになるが、それを何とか耐える
なんとか青い光――魔法で自分の修復を試みるさやかだったが、赤い少女の連撃にその修復が間に合わなくなってきていた
「はっ……大口叩いてた割には」
さやか「……!!」
それに感付いた赤い少女は、修復させない様、すぐにさやかの足に絡みついたままの節槍に力を込め
「ずいぶんな有様じゃん?……ダッセぇ」
さやか「ぅあ!!」
その体を宙に浮かせると、今度は地面へと叩きつけた
赤い少女の連撃での一撃
さやかはそれに歯を食いしばり何とか耐えたが、一瞬だけの怯みを見せてしまう
その一瞬を赤い少女は見逃さなかった
「へっ」
好機と赤い少女は笑みを浮かべる
その直後、赤い少女の槍は、直槍の状態から一定の間隔に節を作って、その節々を離し、中に仕込まれていた鎖でつなぎ合う
それは一本の鎖のように見えるものだった
その節槍を器用にさやかの足に絡みつかせた後、力のままさやかを宙に浮かせて壁へと叩きつけた
さやか「ぐッ!!」
衝撃と痛みにさやかの意識が飛びそうになるが、それを何とか耐える
なんとか青い光――魔法で自分の修復を試みるさやかだったが、赤い少女の連撃にその修復が間に合わなくなってきていた
「はっ……大口叩いてた割には」
さやか「……!!」
それに感付いた赤い少女は、修復させない様、すぐにさやかの足に絡みついたままの節槍に力を込め
「ずいぶんな有様じゃん?……ダッセぇ」
さやか「ぅあ!!」
その体を宙に浮かせると、今度は地面へと叩きつけた
302: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 01:37:15.14:SrsHW7Os0 (5/9)
まどか「さやかちゃんっ!!さやかちゃんっ!!」
傷つき、赤い少女に痛めつけられていくさやかに、まどかは悲痛な悲鳴を上げた
まどかはさやかの元に駆け寄りたい一心で、ほむらの手を引きはがそうとする
まどか「放して!」
ほむら「駄目よ」
まどか「放して!!」
だが、ほむらがその手を離そうとする事はなく、しっかりと握りしめ続ける
まどかはほむらからの手の拘束から離れる事を一旦止め、さやかを痛めつける赤い少女に懇願の声を掛ける
まどか「やめて!!さやかちゃんを苛めないで!!」
「……あ?なんだてめぇら?」
その声にまどかとほむらの存在に気付いた赤い少女は、声の方向に顔を向け、眉をひそめた
「見せもんじゃねーぞ」
さやか「……!……まど……か……」
まどかの声にさやかも気付き、地面に這いつくばりながらも、その顔をまどかへと向ける
まどか「……ッ!!」
まどかに向けられたさやかの顔。それはまどかの大好きな活発な顔ではなく、殴打に腫れ、切り傷、擦り傷に血を流す酷い有様となっていた
まどかはあまりの痛々しさに言葉を失い、同時にそこまでさやかを痛めつけた、目の前の赤い少女に激しい怒りを覚えていた
まどか「さやかちゃんっ!!さやかちゃんっ!!」
傷つき、赤い少女に痛めつけられていくさやかに、まどかは悲痛な悲鳴を上げた
まどかはさやかの元に駆け寄りたい一心で、ほむらの手を引きはがそうとする
まどか「放して!」
ほむら「駄目よ」
まどか「放して!!」
だが、ほむらがその手を離そうとする事はなく、しっかりと握りしめ続ける
まどかはほむらからの手の拘束から離れる事を一旦止め、さやかを痛めつける赤い少女に懇願の声を掛ける
まどか「やめて!!さやかちゃんを苛めないで!!」
「……あ?なんだてめぇら?」
その声にまどかとほむらの存在に気付いた赤い少女は、声の方向に顔を向け、眉をひそめた
「見せもんじゃねーぞ」
さやか「……!……まど……か……」
まどかの声にさやかも気付き、地面に這いつくばりながらも、その顔をまどかへと向ける
まどか「……ッ!!」
まどかに向けられたさやかの顔。それはまどかの大好きな活発な顔ではなく、殴打に腫れ、切り傷、擦り傷に血を流す酷い有様となっていた
まどかはあまりの痛々しさに言葉を失い、同時にそこまでさやかを痛めつけた、目の前の赤い少女に激しい怒りを覚えていた
303: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 01:57:11.41:SrsHW7Os0 (6/9)
さやか、まどか、ほむらの順に視線を巡らせたあと、まどかをジッと見つめると赤い少女は深い溜息をついた
「なんだ。こいつのお友達で……一人は一般人かよ」
「ちっ……めんどくせぇ」
「おい、お前!」
赤い少女がうんざりといった様子で舌打ちすると、まどかに声を掛けた
声を掛けられたまどかは怒りに濡れる目でその少女を睨み返す
「帰れよ。ここはお前みたいなやつが来る所じゃねーよ」
まどか「さやかちゃんを放して!!」
「おい、人の話……」
まどか「放してよぉ!!」
自分の話を遮って喋るまどかに、赤い少女は不愉快そうに溜息をついた
「うぜぇ……聞いてねーよ」
「……まぁいいや。自己責任って奴だ」
そして赤い少女は諦めたように肩をすくめると、足に巻きつけた槍を外し
倒れ伏すさやかの襟首を掴み、ゆっくりと持ち上げ
「なぁ?……半端者ッ!!」
さやか「っ!!あ……!」
その腹部に自分の拳を思い切り打ち込んだ
さやか、まどか、ほむらの順に視線を巡らせたあと、まどかをジッと見つめると赤い少女は深い溜息をついた
「なんだ。こいつのお友達で……一人は一般人かよ」
「ちっ……めんどくせぇ」
「おい、お前!」
赤い少女がうんざりといった様子で舌打ちすると、まどかに声を掛けた
声を掛けられたまどかは怒りに濡れる目でその少女を睨み返す
「帰れよ。ここはお前みたいなやつが来る所じゃねーよ」
まどか「さやかちゃんを放して!!」
「おい、人の話……」
まどか「放してよぉ!!」
自分の話を遮って喋るまどかに、赤い少女は不愉快そうに溜息をついた
「うぜぇ……聞いてねーよ」
「……まぁいいや。自己責任って奴だ」
そして赤い少女は諦めたように肩をすくめると、足に巻きつけた槍を外し
倒れ伏すさやかの襟首を掴み、ゆっくりと持ち上げ
「なぁ?……半端者ッ!!」
さやか「っ!!あ……!」
その腹部に自分の拳を思い切り打ち込んだ
304: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 02:27:00.58:SrsHW7Os0 (7/9)
その一撃にさやかが目を見開き、口から血反吐を吐く
まどか「……!!」
まどか「止めてよぉおおおおお!!!」
さやかの姿に絶叫し、涙を流すまどか
そんなまどかを目の前にしても、ほむらはその冷静な表情を崩すことはなかった
髪に強く触れると、まどかの手をつないだまま冷たく声を掛ける
ほむら「……わかった?」
ほむら「あなたも魔法少女になれば、いつ、ああなるかわからないのよ」
諭すような言葉。
だが、まどかにその声が届いている様子はなく、ただ俯き、体を震わせていた
まどか「……放して」
ほむら「わかったならもう二度と……」
まどかの体の震えが大きくなっていく。ほむらはそれに気付きながらも諭し続けようとする
まどか「放して……放して!!」
ほむら「まど」
全く聞く様子のないまどかに、自分の話を聞かせようと、まどかの名を呼ぼうとした、その時
まどか「放せぇえええええええ!!!!!」
まどかがほむらの方を向き、怒りに顔を歪め、目に殺気をたぎらせた恐ろしい表情を見せた
ほむら「……!」
今まで見た事のないまどかの表情にほむらは凄まじい恐怖を感じ、その手を放してしまう
まどかはそれを目に映すと、すぐにさやかの元へと駆けて行った
さやかを助けるために
その一撃にさやかが目を見開き、口から血反吐を吐く
まどか「……!!」
まどか「止めてよぉおおおおお!!!」
さやかの姿に絶叫し、涙を流すまどか
そんなまどかを目の前にしても、ほむらはその冷静な表情を崩すことはなかった
髪に強く触れると、まどかの手をつないだまま冷たく声を掛ける
ほむら「……わかった?」
ほむら「あなたも魔法少女になれば、いつ、ああなるかわからないのよ」
諭すような言葉。
だが、まどかにその声が届いている様子はなく、ただ俯き、体を震わせていた
まどか「……放して」
ほむら「わかったならもう二度と……」
まどかの体の震えが大きくなっていく。ほむらはそれに気付きながらも諭し続けようとする
まどか「放して……放して!!」
ほむら「まど」
全く聞く様子のないまどかに、自分の話を聞かせようと、まどかの名を呼ぼうとした、その時
まどか「放せぇえええええええ!!!!!」
まどかがほむらの方を向き、怒りに顔を歪め、目に殺気をたぎらせた恐ろしい表情を見せた
ほむら「……!」
今まで見た事のないまどかの表情にほむらは凄まじい恐怖を感じ、その手を放してしまう
まどかはそれを目に映すと、すぐにさやかの元へと駆けて行った
さやかを助けるために
305: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 02:29:22.42:SrsHW7Os0 (8/9)
今日はここまで。お疲れさまでした
バトル(?)回でした。ちょっと解り辛かったかも……
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れさまでした
バトル(?)回でした。ちょっと解り辛かったかも……
それではまた次回ー
306:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/08(火) 02:52:34.55:4tH7f9BIO (1/1)
今更だがこのまどかから狂気を感じる
ヤンデレとはなんか違う気がする
今更だがこのまどかから狂気を感じる
ヤンデレとはなんか違う気がする
307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県):2011/11/08(火) 03:40:41.25:09QSD8Ayo (1/1)
そりゃキレるわな
そりゃキレるわな
308:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(愛知県):2011/11/08(火) 05:14:21.94:xpM4nRJio (1/1)
乙乙
もうすぐ前スレの分が終わりそうだね
乙乙
もうすぐ前スレの分が終わりそうだね
309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/08(火) 07:59:08.14:0d8IEIuso (1/1)
このまどかが魔法少女になったら恐ろしいことになりそうだw
このまどかが魔法少女になったら恐ろしいことになりそうだw
310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県):2011/11/08(火) 08:38:15.00:ToqlmnGXo (1/1)
乙乙
vip分がとんでもないとこで終わってるからなぁ
あの後のまどっちの行動が全く予測できん
乙乙
vip分がとんでもないとこで終わってるからなぁ
あの後のまどっちの行動が全く予測できん
311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(新潟・東北):2011/11/08(火) 10:04:39.68:zHZsuvAAO (1/1)
発狂したりさやかを生き返らせるため契約するとか?
ほむほむはどう出るのだろうか
発狂したりさやかを生き返らせるため契約するとか?
ほむほむはどう出るのだろうか
312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/08(火) 12:09:25.72:JowwzR/io (1/1)
こうゆうまどっちも大好きです
こうゆうまどっちも大好きです
313:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/08(火) 12:34:48.81:uO+HuT+DO (1/1)
ヤンデレに見えてヤンデレじゃない
ヤンデレはどうでもいい事を誇大解釈して負の感情を爆発させるけどこのまどかの怒りはごく自然な感じでとても良いです。
ヤンデレに見えてヤンデレじゃない
ヤンデレはどうでもいい事を誇大解釈して負の感情を爆発させるけどこのまどかの怒りはごく自然な感じでとても良いです。
314:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/08(火) 21:16:35.92:qKaHyXAOo (1/1)
バッドエンドが期待できてすばらしい
バッドエンドが期待できてすばらしい
315: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 23:11:45.25:SrsHW7Os0 (9/9)
「なぁ、わかったろ?」
さやかの腹部に拳を打ちこみむと、赤い少女は掴んでいた襟を放して、さやかの体を地面へと横たわらさせた
そして放っていた自分の槍を拾い上げると、倒れ伏すさやかを見降ろしたまま、何処からかとりだした駄菓子を口に運ばせた
「お前がどんなに力不足かってこと」
「半端もんが粋がればどうなるかってこと」
「わかったなら頷けよ?それで素直に魔女だけ狩ってろよ。な?」
そう諭す様にさやかに問い掛けると、赤い少女はしゃがみ込んでさやかの髪を引き上げ、その顔を覗き込む
「……はぁ……」
だが、覗き込んださやかの瞳は服従の色ではなく、赤い少女への反抗心の色に満ちていた
その姿に赤い少女はさやかの髪を放し、深い諦めの溜息を吐く
「言ってもわからねぇ。叩いてもわからねぇなら」
「やるしかないよね。……なぁ、半端者」
そう言って赤い少女は立ち上がると、槍を高く振り上げ、くるりと向きを変える
そしてその切っ先をさやかに向け、その体を貫こうとした、その時
「……どけよ」
まどかが、その切っ先からさやかを庇うように覆いかぶさった
「なぁ、わかったろ?」
さやかの腹部に拳を打ちこみむと、赤い少女は掴んでいた襟を放して、さやかの体を地面へと横たわらさせた
そして放っていた自分の槍を拾い上げると、倒れ伏すさやかを見降ろしたまま、何処からかとりだした駄菓子を口に運ばせた
「お前がどんなに力不足かってこと」
「半端もんが粋がればどうなるかってこと」
「わかったなら頷けよ?それで素直に魔女だけ狩ってろよ。な?」
そう諭す様にさやかに問い掛けると、赤い少女はしゃがみ込んでさやかの髪を引き上げ、その顔を覗き込む
「……はぁ……」
だが、覗き込んださやかの瞳は服従の色ではなく、赤い少女への反抗心の色に満ちていた
その姿に赤い少女はさやかの髪を放し、深い諦めの溜息を吐く
「言ってもわからねぇ。叩いてもわからねぇなら」
「やるしかないよね。……なぁ、半端者」
そう言って赤い少女は立ち上がると、槍を高く振り上げ、くるりと向きを変える
そしてその切っ先をさやかに向け、その体を貫こうとした、その時
「……どけよ」
まどかが、その切っ先からさやかを庇うように覆いかぶさった
316: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/08(火) 23:40:17.86:8wIVLH4J0 (1/1)
向けられる槍への恐怖にカタカタと体を震わせながらも、さやかの傷ついた体を必死と抱きしめ、盾となろうとする
さやか「……ま、ど……」
さやかは突然飛び込んできたまどかに驚き、目を丸くしたが
すぐにまどかを赤い少女の槍の切っ先から離そうと、痛みに力の入らない腕で押し返した
だがまどかはさやかから離れようとはせず、固くさやかを抱きしめ続ける
「……チッ」
庇い合う二人の様子に赤い少女は忌々しげに顔を歪めると、切っ先を二人から外して、振り上げた槍をゆっくりと下げた
「うぜぇ……興が失せた」
「てめぇ、グリーフシードは持ってんのか」
まどかに抱きしめられるさやかにうんざりと声を掛ける
だがさやかは赤い少女の問いに答えず、敵意の視線をぶつけるだけ
「答えねえとお友達ごと殺すぞ」
そんなさやかに苛立ちを感じた赤い少女は、殺気の放つ視線を送り、ドスの効く低い声を掛けた
さやか「……!」
さやかはそれに相手が本気だと感じとると、ゆっくりと自分の首を頷かせた
「……そうかい。それじゃあな」
赤い少女はさやかの頷きを目に納めると、不愉快そうに鼻を鳴らした後、
まどかとさやかの二人に背を向け、その場から去って行った
向けられる槍への恐怖にカタカタと体を震わせながらも、さやかの傷ついた体を必死と抱きしめ、盾となろうとする
さやか「……ま、ど……」
さやかは突然飛び込んできたまどかに驚き、目を丸くしたが
すぐにまどかを赤い少女の槍の切っ先から離そうと、痛みに力の入らない腕で押し返した
だがまどかはさやかから離れようとはせず、固くさやかを抱きしめ続ける
「……チッ」
庇い合う二人の様子に赤い少女は忌々しげに顔を歪めると、切っ先を二人から外して、振り上げた槍をゆっくりと下げた
「うぜぇ……興が失せた」
「てめぇ、グリーフシードは持ってんのか」
まどかに抱きしめられるさやかにうんざりと声を掛ける
だがさやかは赤い少女の問いに答えず、敵意の視線をぶつけるだけ
「答えねえとお友達ごと殺すぞ」
そんなさやかに苛立ちを感じた赤い少女は、殺気の放つ視線を送り、ドスの効く低い声を掛けた
さやか「……!」
さやかはそれに相手が本気だと感じとると、ゆっくりと自分の首を頷かせた
「……そうかい。それじゃあな」
赤い少女はさやかの頷きを目に納めると、不愉快そうに鼻を鳴らした後、
まどかとさやかの二人に背を向け、その場から去って行った
317: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/09(水) 01:01:20.46:neOlTO4v0 (1/4)
まどか「……さやかちゃん。だ、いじょうぶ?」
赤い少女がその場を去ると、まどかはさやかに覆いかぶさったまま、顔を上げて涙に潤む瞳を向けた
さやかはその瞳に責める様な視線を返す
さやか「……まどか……なんで……」
まどか「さやかちゃんが……やられてるの見たら……居てもたってもいられなくなって……」
先程の恐怖にいまだに体を小刻みに震えさせ、たどたどしく応えるまどかに、呆れと責めの混じる溜息を吐いた
さやか「……馬鹿。……危ないってのに……」
まどか「……ごめん……」
さやかの言葉にまどかはシュンとした表情で顔を俯かせる
険しい表情を浮かべていたさやかだったが、まどかの悲しげな表情に優しい笑みを浮かべると、その頭を優しく撫でた
さやか「でも…………ありがとう……」
まどか「……うんっ」
もう一度まどかはさやかの体をきつく抱きしめ、まどかは安堵から、涙を零す
さやかがそんなまどかを優しく撫でていると、二人に突然影が掛かった
何事かとさやかが影が掛かってきた方向を見ると、いつの間にか近寄ってきていたほむらが、二人を見降ろしていた
ほむら「……美樹さやか」
さやか「転……校生」
ほむらの声に気付いたまどかが、顔を上げ、ほむらをきつく睨みつける
ほむらはその睨みから一瞬だけ目を反らし、自分の髪に軽く触れると、視線を二人に戻して、いつものようにさやかに冷たい声を掛けた
ほむら「自分のソウルジェム。見てみなさい」
まどか「……さやかちゃん。だ、いじょうぶ?」
赤い少女がその場を去ると、まどかはさやかに覆いかぶさったまま、顔を上げて涙に潤む瞳を向けた
さやかはその瞳に責める様な視線を返す
さやか「……まどか……なんで……」
まどか「さやかちゃんが……やられてるの見たら……居てもたってもいられなくなって……」
先程の恐怖にいまだに体を小刻みに震えさせ、たどたどしく応えるまどかに、呆れと責めの混じる溜息を吐いた
さやか「……馬鹿。……危ないってのに……」
まどか「……ごめん……」
さやかの言葉にまどかはシュンとした表情で顔を俯かせる
険しい表情を浮かべていたさやかだったが、まどかの悲しげな表情に優しい笑みを浮かべると、その頭を優しく撫でた
さやか「でも…………ありがとう……」
まどか「……うんっ」
もう一度まどかはさやかの体をきつく抱きしめ、まどかは安堵から、涙を零す
さやかがそんなまどかを優しく撫でていると、二人に突然影が掛かった
何事かとさやかが影が掛かってきた方向を見ると、いつの間にか近寄ってきていたほむらが、二人を見降ろしていた
ほむら「……美樹さやか」
さやか「転……校生」
ほむらの声に気付いたまどかが、顔を上げ、ほむらをきつく睨みつける
ほむらはその睨みから一瞬だけ目を反らし、自分の髪に軽く触れると、視線を二人に戻して、いつものようにさやかに冷たい声を掛けた
ほむら「自分のソウルジェム。見てみなさい」
318: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/09(水) 03:11:36.18:neOlTO4v0 (2/4)
さやか「……わ……真っ黒……」
ほむらに言われるままさやかは自分のソウルジェムに目を向けると、その濁り具合に驚きの表情を浮かべた
それもその筈、もともとのさやかのソウルジェムは透き通るような輝きを持つ青色で、さやか自身でも美しいと誇れるものだった
だが今はその自慢の美しさは見る影もなく、魔力を酷使した所為で、どす黒くくすんでしまっていた
ほむらは急かす様に声を掛ける
ほむら「危険よ。グリーフシード、持ってるんでしょう?」
さやか「……うん……」
ほむらの質問に弱々しく頷くと、ブラウン管の魔女を退治した時のグリーフシードをゆっくりと取り出した
ほむら「使い方は解る?」
続けられるほむらの問いにさやかは先程と同じように頷く
ほむら「そう……なら早く使いなさい」
ほむら「取り返しのつかない事になるわ」
ほむらのいきなりの自分を気遣う態度に、怪訝と思うさやかだったが
そんな嫌疑よりも、自分の回復の方が優先だと判断し、癪とは思いながらもほむらの言葉に従う事とした
手に持つグリーフシードを自分の腹部にあるソウルジェムに近づけていき、ぴったりとくっつけると、途端にグリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを吸い取り始めた
ほむら「……これでいいわ」
ほむら「見てるんでしょ。キュゥべぇ」
ほむら「餌の時間よ」
グリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを全て吸い取るのを見届けると、ほむらの後ろに広がる闇に冷たく、憎しみの籠る声を掛けた
さやか「……わ……真っ黒……」
ほむらに言われるままさやかは自分のソウルジェムに目を向けると、その濁り具合に驚きの表情を浮かべた
それもその筈、もともとのさやかのソウルジェムは透き通るような輝きを持つ青色で、さやか自身でも美しいと誇れるものだった
だが今はその自慢の美しさは見る影もなく、魔力を酷使した所為で、どす黒くくすんでしまっていた
ほむらは急かす様に声を掛ける
ほむら「危険よ。グリーフシード、持ってるんでしょう?」
さやか「……うん……」
ほむらの質問に弱々しく頷くと、ブラウン管の魔女を退治した時のグリーフシードをゆっくりと取り出した
ほむら「使い方は解る?」
続けられるほむらの問いにさやかは先程と同じように頷く
ほむら「そう……なら早く使いなさい」
ほむら「取り返しのつかない事になるわ」
ほむらのいきなりの自分を気遣う態度に、怪訝と思うさやかだったが
そんな嫌疑よりも、自分の回復の方が優先だと判断し、癪とは思いながらもほむらの言葉に従う事とした
手に持つグリーフシードを自分の腹部にあるソウルジェムに近づけていき、ぴったりとくっつけると、途端にグリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを吸い取り始めた
ほむら「……これでいいわ」
ほむら「見てるんでしょ。キュゥべぇ」
ほむら「餌の時間よ」
グリーフシードがさやかのソウルジェムの濁りを全て吸い取るのを見届けると、ほむらの後ろに広がる闇に冷たく、憎しみの籠る声を掛けた
319: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/09(水) 03:41:20.47:neOlTO4v0 (3/4)
「餌なんて酷いな」
途端、闇の中からに返ってくる、聞き覚えのある愛嬌のある声
その方向にさやかは、グリーフシードによって回復した魔力で自分の損傷を修復しながら、
まどかはずっとほむらへと向けていた睨みを止め、その表情をまさかと言った表情に変えて声の聞こえてきた方向に顔を向けると
キュゥべえ「やぁ」
闇の中から、先程ほむらにショットガンによって首をもがれた筈の白いイキモノ――キュゥべえが現れた
まどか「……!また……!」
死んだ筈のイキモノの平然とした二度目の登場にまどかは驚きを隠せず、目を瞬かせる
そんなまどかの混乱をよそに、ほむらはキュゥべえの出現を確認すると、さやかに向け手を伸ばす
ほむら「……美樹さやか。グリーフシードを」
さやか「う、うん……」
そしてさやかからグリーフシードを預かるとほむらは思い切り、キュゥべえへとそれを投げつけた
ほむら「ほら、餌よ」
キュゥべぇ「……だから餌じゃないっていうのに」
呆れたように話しながらも、キュゥべえはしっかりとほむらの投げたグリーフシードを背中にある口の様なものに入れると
キュゥべえ「……きゅっぷい」
そう満足そうに息を吐いた
ほむら「用は済んだわ……失せなさい」
グリーフシード背中に入れたキュゥべえに、まどか達に送るものとは明らかに違う冷え切った、憎しみの籠る視線を送る
その視線にキュゥべえはお手上げと言わんばかりに、首を振った
キュゥべぇ「……わかったよ。ほむらがコワいから僕はもう帰るよ」
「餌なんて酷いな」
途端、闇の中からに返ってくる、聞き覚えのある愛嬌のある声
その方向にさやかは、グリーフシードによって回復した魔力で自分の損傷を修復しながら、
まどかはずっとほむらへと向けていた睨みを止め、その表情をまさかと言った表情に変えて声の聞こえてきた方向に顔を向けると
キュゥべえ「やぁ」
闇の中から、先程ほむらにショットガンによって首をもがれた筈の白いイキモノ――キュゥべえが現れた
まどか「……!また……!」
死んだ筈のイキモノの平然とした二度目の登場にまどかは驚きを隠せず、目を瞬かせる
そんなまどかの混乱をよそに、ほむらはキュゥべえの出現を確認すると、さやかに向け手を伸ばす
ほむら「……美樹さやか。グリーフシードを」
さやか「う、うん……」
そしてさやかからグリーフシードを預かるとほむらは思い切り、キュゥべえへとそれを投げつけた
ほむら「ほら、餌よ」
キュゥべぇ「……だから餌じゃないっていうのに」
呆れたように話しながらも、キュゥべえはしっかりとほむらの投げたグリーフシードを背中にある口の様なものに入れると
キュゥべえ「……きゅっぷい」
そう満足そうに息を吐いた
ほむら「用は済んだわ……失せなさい」
グリーフシード背中に入れたキュゥべえに、まどか達に送るものとは明らかに違う冷え切った、憎しみの籠る視線を送る
その視線にキュゥべえはお手上げと言わんばかりに、首を振った
キュゥべぇ「……わかったよ。ほむらがコワいから僕はもう帰るよ」
320: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/09(水) 15:34:47.25:neOlTO4v0 (4/4)
そう言ってキュゥべえは身を闇の中へ消えていこうとした
キュゥべぇ「……あ、そうだ」
だが、途中で思い出したように振り返り、まどかにくりくりとした可愛らしい瞳を向ける
キュゥべぇ「まどか。今のさやかと杏子の戦いを見てどう思ったかな?」
まどか「杏子……?」
首を傾げるまどかにキュゥべえは言葉を続ける
キュゥべぇ「さっきの魔法少女だよ」
キュゥべぇ「凄かっただろう?あんな世界にさやかはいるんだ」
キュゥべぇ「いつ、命を落とすかわからないそんな場所に」
まどかんの脳裏に先程の赤い少女――杏子とさやかの一方的な戦いが映る
それにまどかは顔を俯かせ、強く下唇を噛み締めた
キュゥべぇ「そんな世界に、彼女一人だけを居させるのは酷いと思わないかい?」
キュゥべぇ「もしよかったら」
ほむら「失せろと言った」
つらつらと言葉を続けようとするキュゥべえに、ほむらは盾のスライドから拳銃を取り出して、突き付ける
その表情はいつも通りのほむらだったが、その瞳に映る色は怨嗟の籠る酷く暗いものだった
キュゥべぇ「……もう限界みたいだね」
キュゥべぇ「それじゃあね。皆」
言葉を続ける事を困難だと悟ったキュゥべえは深く瞳を瞬かせると
今度こそ三人に背を向けて闇の中へと消えていった
そう言ってキュゥべえは身を闇の中へ消えていこうとした
キュゥべぇ「……あ、そうだ」
だが、途中で思い出したように振り返り、まどかにくりくりとした可愛らしい瞳を向ける
キュゥべぇ「まどか。今のさやかと杏子の戦いを見てどう思ったかな?」
まどか「杏子……?」
首を傾げるまどかにキュゥべえは言葉を続ける
キュゥべぇ「さっきの魔法少女だよ」
キュゥべぇ「凄かっただろう?あんな世界にさやかはいるんだ」
キュゥべぇ「いつ、命を落とすかわからないそんな場所に」
まどかんの脳裏に先程の赤い少女――杏子とさやかの一方的な戦いが映る
それにまどかは顔を俯かせ、強く下唇を噛み締めた
キュゥべぇ「そんな世界に、彼女一人だけを居させるのは酷いと思わないかい?」
キュゥべぇ「もしよかったら」
ほむら「失せろと言った」
つらつらと言葉を続けようとするキュゥべえに、ほむらは盾のスライドから拳銃を取り出して、突き付ける
その表情はいつも通りのほむらだったが、その瞳に映る色は怨嗟の籠る酷く暗いものだった
キュゥべぇ「……もう限界みたいだね」
キュゥべぇ「それじゃあね。皆」
言葉を続ける事を困難だと悟ったキュゥべえは深く瞳を瞬かせると
今度こそ三人に背を向けて闇の中へと消えていった
321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/09(水) 22:39:07.21:aVTeElQDO (1/1)
杏子に怒りあれどさやかを庇った際には恐怖が勝るとこもヤンデレぽくないまどからしさがあってとても良い
杏子に怒りあれどさやかを庇った際には恐怖が勝るとこもヤンデレぽくないまどからしさがあってとても良い
322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(東京都):2011/11/09(水) 22:41:16.29:GxP60er+o (1/1)
そろそろvipの時まで追いつくか……
ワッフルワッフル
そろそろvipの時まで追いつくか……
ワッフルワッフル
323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/09(水) 23:19:29.66:yzcRLd4Q0 (1/1)
こんなにBadな道筋なのにwktkしている俺がいる
こんなにBadな道筋なのにwktkしている俺がいる
324: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/10(木) 02:34:02.53:mElNzMQ60 (1/3)
修正
まどかんの脳裏に先程の赤い少女――杏子とさやかの一方的な戦いが映る ×
まどかの(以下同文 ○
修正
まどかんの脳裏に先程の赤い少女――杏子とさやかの一方的な戦いが映る ×
まどかの(以下同文 ○
325: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/10(木) 02:35:53.00:mElNzMQ60 (2/3)
ほむら「……行ったわね」
キュゥべえがこの場から去ったのを確認すると、ほむらは忌々しげに髪を掻き上げる
ほむら「私も行くわ」
ほむら「それじゃあね。美樹さやか」
ほむら「……まどか」
そしてさやか、まどかの順に視線を送ると、ほむらは二人に背を向けて歩き出す
まどかはその姿を怒りの籠る目でじっと睨みつけながら見送ろうとした
さやか「転校生」
だがそこでさやかは地面に体を横たえたまま立ち去ろうとするほむらを引きとめた
ほむらはその声に背を向けたまま立ち止る
ほむら「……なにかしら」
さやか「……ありがとう」
まどか「さやかちゃん!?」
さやかの言葉にまどかは目を見開き、さやかに信じられないものを見る様な視線を送る
だが、さやかはまどかの視線に気付かず、ほむらの背中を見続けていた
ほむらはさやかの視線に気付きながらも振り返ることなく、冷たい声だけでに応える
ほむら「……礼を言われるようなことは何もしてないわ」
ほむら「それじゃあね」
ほむらはそのまま歩き出し、路地裏の奥の方へと消えていく
さやかはそんなほむらに軽く頬を緩ませながら、去っていく背中を見送った
ほむら「……行ったわね」
キュゥべえがこの場から去ったのを確認すると、ほむらは忌々しげに髪を掻き上げる
ほむら「私も行くわ」
ほむら「それじゃあね。美樹さやか」
ほむら「……まどか」
そしてさやか、まどかの順に視線を送ると、ほむらは二人に背を向けて歩き出す
まどかはその姿を怒りの籠る目でじっと睨みつけながら見送ろうとした
さやか「転校生」
だがそこでさやかは地面に体を横たえたまま立ち去ろうとするほむらを引きとめた
ほむらはその声に背を向けたまま立ち止る
ほむら「……なにかしら」
さやか「……ありがとう」
まどか「さやかちゃん!?」
さやかの言葉にまどかは目を見開き、さやかに信じられないものを見る様な視線を送る
だが、さやかはまどかの視線に気付かず、ほむらの背中を見続けていた
ほむらはさやかの視線に気付きながらも振り返ることなく、冷たい声だけでに応える
ほむら「……礼を言われるようなことは何もしてないわ」
ほむら「それじゃあね」
ほむらはそのまま歩き出し、路地裏の奥の方へと消えていく
さやかはそんなほむらに軽く頬を緩ませながら、去っていく背中を見送った
326: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/10(木) 02:53:18.76:mElNzMQ60 (3/3)
まどか「さやかちゃんっ!何であの人にお礼なんか……」
ほむらがここから立ち去ると、すぐにまどかは怒りと懐疑が混じる声で、さやかに問うた
さやかはまどかの問いに考えるそぶりを見せる
さやか「ん……なんか言っとかなきゃいけないかなって」
まどか「あの人……さやかちゃんを見殺しにしようとしたんだよっ!?」
声を荒げ、瞳に涙を溜めるまどか
その手は、怒りから小刻みに震えていた
さやか「……多分、最後には助けてくれるつもりだったんじゃないかな」
まどか「なんでそんな事言えるのっ!?」
わけがわからないとさやかに顔を詰め寄らせる
さやかはそんなまどかの頭に優しく手を乗せ、諭すように話しかけた
さやか「だって……見殺しにするつもりだったら、グリーフシードの心配なんかしないだろうし」
さやか「後処理だってしてくれない」
まどか「……!」
ぎくりと体を固まらせ、まどかはさやかの言葉から逃げるように視線を揺らす
さやか「口は悪いけど……意外と良い奴かもしれないね」
まどかはさやかの言葉を無言で返した
二人の間に沈黙が訪れる
まどか「……帰ろう?さやかちゃん……」
少しの沈黙の後、まどかはその沈黙を破ってさやかの瞳を覗き込んだ
それにさやかはコクリと頷く
まどか「……立てる?」
さやか「ん……なんとかね」
そうは返事したものの、さやかの立ち上がろうとする姿はとても危なげだった
まどかはすぐにさやかに肩を貸し、立ち上がるのを手伝う
そうして二人で何とか立ち上がると、まどかとさやかの二人はゆっくりと帰路へと着いた
まどか「さやかちゃんっ!何であの人にお礼なんか……」
ほむらがここから立ち去ると、すぐにまどかは怒りと懐疑が混じる声で、さやかに問うた
さやかはまどかの問いに考えるそぶりを見せる
さやか「ん……なんか言っとかなきゃいけないかなって」
まどか「あの人……さやかちゃんを見殺しにしようとしたんだよっ!?」
声を荒げ、瞳に涙を溜めるまどか
その手は、怒りから小刻みに震えていた
さやか「……多分、最後には助けてくれるつもりだったんじゃないかな」
まどか「なんでそんな事言えるのっ!?」
わけがわからないとさやかに顔を詰め寄らせる
さやかはそんなまどかの頭に優しく手を乗せ、諭すように話しかけた
さやか「だって……見殺しにするつもりだったら、グリーフシードの心配なんかしないだろうし」
さやか「後処理だってしてくれない」
まどか「……!」
ぎくりと体を固まらせ、まどかはさやかの言葉から逃げるように視線を揺らす
さやか「口は悪いけど……意外と良い奴かもしれないね」
まどかはさやかの言葉を無言で返した
二人の間に沈黙が訪れる
まどか「……帰ろう?さやかちゃん……」
少しの沈黙の後、まどかはその沈黙を破ってさやかの瞳を覗き込んだ
それにさやかはコクリと頷く
まどか「……立てる?」
さやか「ん……なんとかね」
そうは返事したものの、さやかの立ち上がろうとする姿はとても危なげだった
まどかはすぐにさやかに肩を貸し、立ち上がるのを手伝う
そうして二人で何とか立ち上がると、まどかとさやかの二人はゆっくりと帰路へと着いた
327:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/10(木) 06:42:44.02:tHuJR0aa0 (1/1)
K理論、他の人が怒ってると、自分は冷静になる
実際どんなに切れそうな事が起こっても他の人が怒るとなんか冷静になれるしねww
K理論、他の人が怒ってると、自分は冷静になる
実際どんなに切れそうな事が起こっても他の人が怒るとなんか冷静になれるしねww
328:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(関西・北陸):2011/11/10(木) 14:28:16.72:Xb8lshTAO (1/1)
もうすぐ前の続きだ……
あのまどかにとって最悪の出来事からどう動くのか気になって仕方がない
このまどかに力を持たせたらヤバ過ぎるなw
あんこちゃんとほむほむ、展開によっては上条くんも命が危ないw
魔女化したらしたで最優先で殺しに掛かってくるだろうし、それどころかさやかに近付くヤツは皆殺しとかになりそうだw
ほむほむはワルプルきたらさっさと次に行くべき
もうすぐ前の続きだ……
あのまどかにとって最悪の出来事からどう動くのか気になって仕方がない
このまどかに力を持たせたらヤバ過ぎるなw
あんこちゃんとほむほむ、展開によっては上条くんも命が危ないw
魔女化したらしたで最優先で殺しに掛かってくるだろうし、それどころかさやかに近付くヤツは皆殺しとかになりそうだw
ほむほむはワルプルきたらさっさと次に行くべき
329:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/10(木) 15:09:01.45:osnKnynDO (1/1)
さやか復活系じゃ無くて私をユウリにして!
的な願いだと確かにそうだなww
さやか復活系じゃ無くて私をユウリにして!
的な願いだと確かにそうだなww
330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県):2011/11/10(木) 16:44:45.51:cEXh/CPso (1/1)
復活はさせないとまどっちが壊れそうだよ
復活できないなら、それこそ逆行とかしそうだもんwwww
ああ、でももう1回生きてるさやかに出会ったら独占具合が超悪化しそう
復活はさせないとまどっちが壊れそうだよ
復活できないなら、それこそ逆行とかしそうだもんwwww
ああ、でももう1回生きてるさやかに出会ったら独占具合が超悪化しそう
331:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(石川県):2011/11/11(金) 02:13:10.88:s9EtwFKi0 (1/1)
>>330
それはそれでいいな...
>>330
それはそれでいいな...
332:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/11(金) 07:19:23.79:7kBaUcqDO (1/1)
どちらにしろさやか詰んでねww
どちらにしろさやか詰んでねww
333:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(長野県):2011/11/11(金) 07:22:07.11:JYsgRSzRo (1/1)
いやいや生き返ってもまどかを受け入れることが可能ならば別になんの問題もないぞ
自分で言ってて哀しくなるほどあり得ないと思うけどね
むしろ、気持ち知ったら自分の恋愛相談とかしてたことやそこまで追い詰めてしまったことを悔いてそうだよ
いやいや生き返ってもまどかを受け入れることが可能ならば別になんの問題もないぞ
自分で言ってて哀しくなるほどあり得ないと思うけどね
むしろ、気持ち知ったら自分の恋愛相談とかしてたことやそこまで追い詰めてしまったことを悔いてそうだよ
334: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/11(金) 21:59:15.16:SRkVsnPN0 (1/4)
まどか「ねぇ、さやかちゃん」
さやか「……ん?」
その帰りの路に着く途中。まどかは不安に揺れる瞳を、魔法少女の姿から、いつもの格好に戻ったさやかに向けた
さやかはその瞳に優しい瞳を向け、小首を傾げる
まどか「もう、戦うのやめよう?」
まどか「私、あんなさやかちゃん見るのは、もう……」
そう言ってまどかは立ち止り、視線を深く落とす
まどかの体は、小さく震えていた
さやかはまどかの言葉に、彼方を見つめたあと、その首をゆるゆると振った
さやか「……ごめん。まどか」
予想通りのさやかの言葉
だとしても、まどかは自分の拳を固く握りしめてしまうの止める事は出来なかった
さやか「あたしは止めるわけにはいかない」
さやか「マミさんの為にも、自分が始めたけじめをつけるためにも」
さやか「この街の人を守るためにも」
さやか「だからあたしは戦う……戦わなくちゃならない」
今まで以上に強い決意を秘めた瞳に、まどかは何も言う事が出来ず、俯いてしまう
さやかはそんなまどかの頭に優しく手を乗せ、ニコリと笑いかける
まどか「ねぇ、さやかちゃん」
さやか「……ん?」
その帰りの路に着く途中。まどかは不安に揺れる瞳を、魔法少女の姿から、いつもの格好に戻ったさやかに向けた
さやかはその瞳に優しい瞳を向け、小首を傾げる
まどか「もう、戦うのやめよう?」
まどか「私、あんなさやかちゃん見るのは、もう……」
そう言ってまどかは立ち止り、視線を深く落とす
まどかの体は、小さく震えていた
さやかはまどかの言葉に、彼方を見つめたあと、その首をゆるゆると振った
さやか「……ごめん。まどか」
予想通りのさやかの言葉
だとしても、まどかは自分の拳を固く握りしめてしまうの止める事は出来なかった
さやか「あたしは止めるわけにはいかない」
さやか「マミさんの為にも、自分が始めたけじめをつけるためにも」
さやか「この街の人を守るためにも」
さやか「だからあたしは戦う……戦わなくちゃならない」
今まで以上に強い決意を秘めた瞳に、まどかは何も言う事が出来ず、俯いてしまう
さやかはそんなまどかの頭に優しく手を乗せ、ニコリと笑いかける
335: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/11(金) 22:24:56.51:SRkVsnPN0 (2/4)
まどかは優しい手の感触に俯かせていた顔を上げ、涙に潤む瞳をさやかに向けた
さやか「……まどかは安心してあたしに守られててよ」
さやか「まだ……頼りないかもしれないけどさ」
自嘲的な笑みを見せ頬を掻く。だがすぐにさやかはその顔を真剣な物にし、まどかの潤む瞳を覗き込む
さやか「絶対に皆守れるようになるから」
さやかがめったに見せる事のない真剣な顔
いつもまどかを安心させてくれる顔
だがその顔を見てもまどかは安堵に心を染める事が出来なかった
襲い来る不安から逃げるように、さやかに縋り付き、涙に体を震わせる
そんなまどかの心を見通したように、さやかはまどかの頭を撫で、優しい声を掛ける
さやか「心配しないで」
さやか「……まどか」
そうしてさやかはまどかが落ち着くまで、さやかはまどかの頭を優しく撫で続けた
まどかは優しい手の感触に俯かせていた顔を上げ、涙に潤む瞳をさやかに向けた
さやか「……まどかは安心してあたしに守られててよ」
さやか「まだ……頼りないかもしれないけどさ」
自嘲的な笑みを見せ頬を掻く。だがすぐにさやかはその顔を真剣な物にし、まどかの潤む瞳を覗き込む
さやか「絶対に皆守れるようになるから」
さやかがめったに見せる事のない真剣な顔
いつもまどかを安心させてくれる顔
だがその顔を見てもまどかは安堵に心を染める事が出来なかった
襲い来る不安から逃げるように、さやかに縋り付き、涙に体を震わせる
そんなまどかの心を見通したように、さやかはまどかの頭を撫で、優しい声を掛ける
さやか「心配しないで」
さやか「……まどか」
そうしてさやかはまどかが落ち着くまで、さやかはまどかの頭を優しく撫で続けた
336: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/11(金) 22:37:42.50:SRkVsnPN0 (3/4)
―――――――――
どうしてさやかちゃんはそんなに頑張るの?
こんなに痛い目に遭ってまで
こんなに怖い目に遭ってまで
こんなに苦しい目に遭ってまで
……こんな事止めて欲しい
ずっと私の傍にいて、ずっと笑ってて欲しい。ずっと……
……でも……さやかちゃん絶対に戦うのを止めない
解ってる。そんなこと解ってる。さやかちゃんが止めない理由も……
……苦しめる。みんなさやかちゃんを苦しめる
魔女も、その手下みたいなのも
ほむらちゃんも、死んだマミさんだって……
……それにさやかちゃんをあんなひどい目にあわせた、杏子って人
憎い
さやかちゃんが何したって言うの?
さやかちゃんは皆のために戦ってるのに……
皆の為に苦しんでるのに……
……あんな人なんか死んでしまえばいい
私が力を持っていたら
すぐに殺してやるのに
―――――――――
―――――――――
どうしてさやかちゃんはそんなに頑張るの?
こんなに痛い目に遭ってまで
こんなに怖い目に遭ってまで
こんなに苦しい目に遭ってまで
……こんな事止めて欲しい
ずっと私の傍にいて、ずっと笑ってて欲しい。ずっと……
……でも……さやかちゃん絶対に戦うのを止めない
解ってる。そんなこと解ってる。さやかちゃんが止めない理由も……
……苦しめる。みんなさやかちゃんを苦しめる
魔女も、その手下みたいなのも
ほむらちゃんも、死んだマミさんだって……
……それにさやかちゃんをあんなひどい目にあわせた、杏子って人
憎い
さやかちゃんが何したって言うの?
さやかちゃんは皆のために戦ってるのに……
皆の為に苦しんでるのに……
……あんな人なんか死んでしまえばいい
私が力を持っていたら
すぐに殺してやるのに
―――――――――
337: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/11(金) 23:23:21.03:SRkVsnPN0 (4/4)
翌日
昨日あれだけの事があり、疲れきっていたにも関わらず、さやかは早くに目が覚めた
体調に何ら異常はなく、怪我ひとつない健康体そのもの
そこでさやかはぼんやりと思う。本当に自分はただの人ではなくなったのだな、と
ふと、机の上に目を向ける。そこには自分のソウルジェムが少し濁った状態で、カーテンの隙間から差し込む朝日を鈍く反射させていた
しばらくの間見つめたあと、それを手に取り、朝の支度をし始める
歯を磨き、乱れた髪をとかし、顔を洗う。
いつもの事。しなければならない事。
さやか「……本当に?」
突然浮かぶわけのわからない疑問。不愉快なモヤモヤとした感覚。さやかはそれを振り払う様に頭を振ると、早々に支度を済ませ、家を出た
向かうはいつも朝に三人の集まる場所。集まっていた、場所
向かう途中、変わらぬ、いつもの景色が歩くさやかの横を通り過ぎていく
だが、さやかにはそれがいつもの景色には感じられず、どこか奇妙な空間を歩いている。そんな感覚を覚えてしまっていた
理由は解らない。だが、確かにそう、さやかには感じられた
翌日
昨日あれだけの事があり、疲れきっていたにも関わらず、さやかは早くに目が覚めた
体調に何ら異常はなく、怪我ひとつない健康体そのもの
そこでさやかはぼんやりと思う。本当に自分はただの人ではなくなったのだな、と
ふと、机の上に目を向ける。そこには自分のソウルジェムが少し濁った状態で、カーテンの隙間から差し込む朝日を鈍く反射させていた
しばらくの間見つめたあと、それを手に取り、朝の支度をし始める
歯を磨き、乱れた髪をとかし、顔を洗う。
いつもの事。しなければならない事。
さやか「……本当に?」
突然浮かぶわけのわからない疑問。不愉快なモヤモヤとした感覚。さやかはそれを振り払う様に頭を振ると、早々に支度を済ませ、家を出た
向かうはいつも朝に三人の集まる場所。集まっていた、場所
向かう途中、変わらぬ、いつもの景色が歩くさやかの横を通り過ぎていく
だが、さやかにはそれがいつもの景色には感じられず、どこか奇妙な空間を歩いている。そんな感覚を覚えてしまっていた
理由は解らない。だが、確かにそう、さやかには感じられた
338: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/12(土) 00:33:16.39:SPb7Nerh0 (1/6)
そんな奇妙な感覚を覚えつつも、さやかはいつもの待ち合わせ場所に辿り着いた
いつもより早い時間。当然まどかはいない。
そこに設置してある柵に寄りかかり、さやかはぼう、と物思いに耽る
―――変わっちゃったな
そう心で呟く
親友の重篤による不在、想い人の回復、尊敬する先輩の出現。そして、死
更には、自分は魔法少女へ
変化を感じない訳がなかった
喜ばしい事と、悲しい事が入り混じる、変化
その中で変わらないものが一つだけ
さやか「……まどか」
さやかは心の中で願っていた
彼女だけは、一番大切な友人だけは変わって欲しくないと
さやか「ん……」
しばらくの思考の後、ふと現実に帰ったさやかは携帯を開き、時間を確認する
時間はまどかがそろそろ待ち合わせ場所に現れる時間を示していた
そんな奇妙な感覚を覚えつつも、さやかはいつもの待ち合わせ場所に辿り着いた
いつもより早い時間。当然まどかはいない。
そこに設置してある柵に寄りかかり、さやかはぼう、と物思いに耽る
―――変わっちゃったな
そう心で呟く
親友の重篤による不在、想い人の回復、尊敬する先輩の出現。そして、死
更には、自分は魔法少女へ
変化を感じない訳がなかった
喜ばしい事と、悲しい事が入り混じる、変化
その中で変わらないものが一つだけ
さやか「……まどか」
さやかは心の中で願っていた
彼女だけは、一番大切な友人だけは変わって欲しくないと
さやか「ん……」
しばらくの思考の後、ふと現実に帰ったさやかは携帯を開き、時間を確認する
時間はまどかがそろそろ待ち合わせ場所に現れる時間を示していた
339: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/12(土) 01:03:42.72:SPb7Nerh0 (2/6)
顔を上げ、いつもまどかがやってくる道に目を向ける
すると丁度まどかが走ってこちらに向かって来ていた
笑顔を向け、まどかに手を振る
そうしてまどかが息を切らせ、待ち合わせ場所まで走りつくと、さやかが朝の挨拶をしようと声を掛けようとしたところで
さやか「おはよう。まど……」
まどかがさやかを急に抱きしめた
さやか「か……?」
突然の事で混乱するさやかをよそに、まどかはさやかを抱きしめ続ける
さやか「まどか、ど、どうしたの?」
混乱から立ち直ったさやかがまどかに声を掛けるが、まどかは返事を返さず、さやかの胸に顔を埋め続けた
集まる通行人たちの視線
さやか「ちょ、ちょっと……」
さやかはそれに羞恥を感じ、引き離そうするが、それでもまどかは離れない
まどか「……き」
そこで漏れる、か細い、蚊の鳴くようなまどかの声
その声はさやかの耳に完全に届く事はなく、さやかはそれに首をかしげさせる
さやか「え?」
まどかはそんなさやかからようやくその体を離すと、ニコリと笑いかけた
まどか「なんでもないよ」
まどか「おはよう。さやかちゃん」
さやか「う、うん。おはよう……」
突然のまどかの不可思議な行動
さやかはそんなまどかに激しい違和感を覚えてしまう
顔を上げ、いつもまどかがやってくる道に目を向ける
すると丁度まどかが走ってこちらに向かって来ていた
笑顔を向け、まどかに手を振る
そうしてまどかが息を切らせ、待ち合わせ場所まで走りつくと、さやかが朝の挨拶をしようと声を掛けようとしたところで
さやか「おはよう。まど……」
まどかがさやかを急に抱きしめた
さやか「か……?」
突然の事で混乱するさやかをよそに、まどかはさやかを抱きしめ続ける
さやか「まどか、ど、どうしたの?」
混乱から立ち直ったさやかがまどかに声を掛けるが、まどかは返事を返さず、さやかの胸に顔を埋め続けた
集まる通行人たちの視線
さやか「ちょ、ちょっと……」
さやかはそれに羞恥を感じ、引き離そうするが、それでもまどかは離れない
まどか「……き」
そこで漏れる、か細い、蚊の鳴くようなまどかの声
その声はさやかの耳に完全に届く事はなく、さやかはそれに首をかしげさせる
さやか「え?」
まどかはそんなさやかからようやくその体を離すと、ニコリと笑いかけた
まどか「なんでもないよ」
まどか「おはよう。さやかちゃん」
さやか「う、うん。おはよう……」
突然のまどかの不可思議な行動
さやかはそんなまどかに激しい違和感を覚えてしまう
340: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/12(土) 02:05:19.32:SPb7Nerh0 (3/6)
まどか「学校いこ?遅れちゃうよ」
そんなさやかをよそに、まどかが笑みを浮かべたままさやかの手を引く
さやか「う、うん……」
さやかがぎこちなく頷くのを見るとまどかは歩き始めた
まどかがさやかの手を握ったままに
さやか「……まどか、どうしたの?」
自分の中に渦巻くまどかへの疑問を抑えきれず、さやかはそれに口に出す
まどか「どうして?なにもないよ」
だがさやかの疑問にまどかは笑みを浮かべたまま小首を傾げるだけだった
さやか「そう……?」
まどか「ティヒヒッ!変なさやかちゃん」
さやかはまどかに何かあったことは見抜いていた。
何故か、それは笑うまどかの瞳がどこか空虚なものに見える事からだった
そんな空虚な瞳でまどかは笑い声を漏らし、首を傾げるさやかの手を引く
まどか「いこっ?さやかちゃん!」
さやか「あ、うん……」
そうしてさやかは半ば引きずれていくような形で、学校へと向かう
その途中何度もまどかに様子の違う理由を聞こうと思ったが、まどかの発する雰囲気がそれを許してくれなかった
―――まどかも変わってしまったのだろうか
そんな言いようの無い不安がさやかの心をむしばみ始めていた
まどか「学校いこ?遅れちゃうよ」
そんなさやかをよそに、まどかが笑みを浮かべたままさやかの手を引く
さやか「う、うん……」
さやかがぎこちなく頷くのを見るとまどかは歩き始めた
まどかがさやかの手を握ったままに
さやか「……まどか、どうしたの?」
自分の中に渦巻くまどかへの疑問を抑えきれず、さやかはそれに口に出す
まどか「どうして?なにもないよ」
だがさやかの疑問にまどかは笑みを浮かべたまま小首を傾げるだけだった
さやか「そう……?」
まどか「ティヒヒッ!変なさやかちゃん」
さやかはまどかに何かあったことは見抜いていた。
何故か、それは笑うまどかの瞳がどこか空虚なものに見える事からだった
そんな空虚な瞳でまどかは笑い声を漏らし、首を傾げるさやかの手を引く
まどか「いこっ?さやかちゃん!」
さやか「あ、うん……」
そうしてさやかは半ば引きずれていくような形で、学校へと向かう
その途中何度もまどかに様子の違う理由を聞こうと思ったが、まどかの発する雰囲気がそれを許してくれなかった
―――まどかも変わってしまったのだろうか
そんな言いようの無い不安がさやかの心をむしばみ始めていた
341: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/12(土) 02:46:38.66:SPb7Nerh0 (4/6)
その後のまどかもずっと様子がおかしかった
もともとさやかと仁美以外にはあまり会話をしたりしないまどかではあったが、今日は全く他人に寄りつこうとしない
その代わりに常にさやかの傍にいた。学校で過ごすプライベートな時間以外、ほぼ全ての時間で
そしていつも以上に明るい。笑みを切らすことなく、ぺたぺたとさやかに触れる
その様子はまるで、親と離れるのを恐れる子犬のようだった。
さやかはその姿に、朝の事も含め、昨日の事が響いているのだろうと判断し、まどかの好きなようにさせた
それが、心配を掛けたまどかに報いる方法だと思ったからだった
そんないつも以上に距離の近い二人を見て、ひそひそと噂をするクラスメイトもいたが、まどかは全く気にする様子を見せず
さやかも、それを気にすることはなかった
さやか自身、何故気にならないのかは解らなかったが
まどか「さやかちゃんっ今日は一緒に帰れる?」
そうして一日の授業が終わると、まどかはすぐに自分の荷物をまとめ、さやかの元に駆けつけ笑顔でそう言った
だがさやかは笑顔のまどかに両手を合わせごめんなさいのポーズを作る
さやか「ごめん。さっき連絡あってさ、恭介が今日退院するみたいなんだ」
恭介、という言葉にまどかの作り上げていた笑顔の質が変わる
それに気付かず、さやかは言葉を続けた
さやか「だからちょっと退院の手伝いに行こうって思っててさ」
さやか「だから今日も帰れないや……ごめん」
笑顔を見せたまま返事を返さないまどか
さやか「……まどか?」
そこでようやくさやかがまどかの笑顔の異常さに気付く
笑っていないのだ。顔だけが笑っている
さやかはその笑顔に軽い恐怖を覚える
さやか「ま、まどか?」
恐る恐ると声を掛けるさやか
そんなさやかにようやくまどかは反応を見せる
まどか「わかったよ」
さやか「う、うん……」
だが、張り付けた笑顔は剥がさない。さやかはその異常さとまどかへの心配に首を傾げる
その後のまどかもずっと様子がおかしかった
もともとさやかと仁美以外にはあまり会話をしたりしないまどかではあったが、今日は全く他人に寄りつこうとしない
その代わりに常にさやかの傍にいた。学校で過ごすプライベートな時間以外、ほぼ全ての時間で
そしていつも以上に明るい。笑みを切らすことなく、ぺたぺたとさやかに触れる
その様子はまるで、親と離れるのを恐れる子犬のようだった。
さやかはその姿に、朝の事も含め、昨日の事が響いているのだろうと判断し、まどかの好きなようにさせた
それが、心配を掛けたまどかに報いる方法だと思ったからだった
そんないつも以上に距離の近い二人を見て、ひそひそと噂をするクラスメイトもいたが、まどかは全く気にする様子を見せず
さやかも、それを気にすることはなかった
さやか自身、何故気にならないのかは解らなかったが
まどか「さやかちゃんっ今日は一緒に帰れる?」
そうして一日の授業が終わると、まどかはすぐに自分の荷物をまとめ、さやかの元に駆けつけ笑顔でそう言った
だがさやかは笑顔のまどかに両手を合わせごめんなさいのポーズを作る
さやか「ごめん。さっき連絡あってさ、恭介が今日退院するみたいなんだ」
恭介、という言葉にまどかの作り上げていた笑顔の質が変わる
それに気付かず、さやかは言葉を続けた
さやか「だからちょっと退院の手伝いに行こうって思っててさ」
さやか「だから今日も帰れないや……ごめん」
笑顔を見せたまま返事を返さないまどか
さやか「……まどか?」
そこでようやくさやかがまどかの笑顔の異常さに気付く
笑っていないのだ。顔だけが笑っている
さやかはその笑顔に軽い恐怖を覚える
さやか「ま、まどか?」
恐る恐ると声を掛けるさやか
そんなさやかにようやくまどかは反応を見せる
まどか「わかったよ」
さやか「う、うん……」
だが、張り付けた笑顔は剥がさない。さやかはその異常さとまどかへの心配に首を傾げる
342:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽):2011/11/12(土) 03:13:21.30:Erik/5GAO (1/2)
ガクガクガクガク((((;゚д゚))))ガクガクブルブル
まどかが怖くて絶望しか見えない・・・。
ガクガクガクガク((((;゚д゚))))ガクガクブルブル
まどかが怖くて絶望しか見えない・・・。
343: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/12(土) 03:22:20.07:SPb7Nerh0 (5/6)
さやか「まどか、今日のあんたホントに変だよ?」
さやか「……具合でも悪い?それとも昨日の……」
まどか「んーん。悪くないよ」
さやかの言葉を遮るように言葉を発し、笑顔のまま首を振る
さやか「そ、そう……?」
まどか「うん」
コクリと頷く
まどか「それよりさやかちゃん行かなくていいの?」
さやか「う、うん……でも……」
まどか「私は大丈夫だよ」
心配の籠る視線を向けるさやかに、まどかは作り上げた笑顔を向け、小さな声で大丈夫と言った
だが、それが大丈夫ではないという事をさやかは見抜いていた
さやかは悩んだ。まどかの言葉に甘えるか否かで
まどか「大丈夫だから」
そんなさやかにまどかは二度目の大丈夫、という声を掛ける
さやかはその言葉に、まどかの自分を送りだそうとしてくれる気持ちを汲み取り、甘える事にした
さやか「……うん……それじゃあ……行ってくるね」
まどか「いってらっしゃーい」
申し訳なさそうに顔を歪めるさやかに、まどかは笑顔で手を振った
さやか「いってきます」
そしてその手の振りに送りだされる様にさやかが教室を出て行くと
まどかは作っていた笑みを完全に崩し、拳を固く握りしめ、
まどか「……上条」
そう暗い声で呟いた
さやか「まどか、今日のあんたホントに変だよ?」
さやか「……具合でも悪い?それとも昨日の……」
まどか「んーん。悪くないよ」
さやかの言葉を遮るように言葉を発し、笑顔のまま首を振る
さやか「そ、そう……?」
まどか「うん」
コクリと頷く
まどか「それよりさやかちゃん行かなくていいの?」
さやか「う、うん……でも……」
まどか「私は大丈夫だよ」
心配の籠る視線を向けるさやかに、まどかは作り上げた笑顔を向け、小さな声で大丈夫と言った
だが、それが大丈夫ではないという事をさやかは見抜いていた
さやかは悩んだ。まどかの言葉に甘えるか否かで
まどか「大丈夫だから」
そんなさやかにまどかは二度目の大丈夫、という声を掛ける
さやかはその言葉に、まどかの自分を送りだそうとしてくれる気持ちを汲み取り、甘える事にした
さやか「……うん……それじゃあ……行ってくるね」
まどか「いってらっしゃーい」
申し訳なさそうに顔を歪めるさやかに、まどかは笑顔で手を振った
さやか「いってきます」
そしてその手の振りに送りだされる様にさやかが教室を出て行くと
まどかは作っていた笑みを完全に崩し、拳を固く握りしめ、
まどか「……上条」
そう暗い声で呟いた
344: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/12(土) 03:24:08.88:SPb7Nerh0 (6/6)
今日はここまで。お疲れさまでした
日曜までにはVIPで投下したとこまでは行きたいなぁ……
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れさまでした
日曜までにはVIPで投下したとこまでは行きたいなぁ……
それではまた次回ー
345:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/12(土) 03:52:33.99:lFaAmpr1o (1/1)
まどかこええええww
それほどまでにさやかが好きだということか
まどかこええええww
それほどまでにさやかが好きだということか
346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/12(土) 04:41:18.72:S6da+0SDO (1/1)
いいね
子犬のようにという点も小説版を彷彿させる
また今回のでついに百合描写がきたな、まどさやを見る通行人やクラスメイトの描写がそれ
あとはまどかのヤンデレ化、これにどれだけまどからしさを残存出来るかだな
いいね
子犬のようにという点も小説版を彷彿させる
また今回のでついに百合描写がきたな、まどさやを見る通行人やクラスメイトの描写がそれ
あとはまどかのヤンデレ化、これにどれだけまどからしさを残存出来るかだな
347:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/12(土) 07:27:07.35:waqh0mQe0 (1/1)
vipの時と違って心理描写付いてるから、vipの時に比べるとまどっち怖いwwwwww
vipの時と違って心理描写付いてるから、vipの時に比べるとまどっち怖いwwwwww
348:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/12(土) 07:44:57.46:XlFdEGrdo (1/1)
どうあがいても絶望展開がいいね
どうあがいても絶望展開がいいね
349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/12(土) 08:27:59.55:GCwuiZ66o (1/2)
乙~
加筆修正良いね良いね
乙~
加筆修正良いね良いね
350:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県):2011/11/12(土) 12:13:28.75:RdqCVI320 (1/1)
まどか「上条……」ギギギギ
顔が笑ってないしまどかが呼び捨て。
まどかはんぱねえっす。
まどか「上条……」ギギギギ
顔が笑ってないしまどかが呼び捨て。
まどかはんぱねえっす。
351:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸):2011/11/12(土) 14:07:03.85:x122gHlAO (1/1)
万一契約したら上条くんガチでヤバいんじゃね?w
最悪で事故死、そうでなくてもやんわりさやかから離れるように脅すくらいはしそうだぞw
万一契約したら上条くんガチでヤバいんじゃね?w
最悪で事故死、そうでなくてもやんわりさやかから離れるように脅すくらいはしそうだぞw
352:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/11/12(土) 15:43:20.90:xZ9faeMH0 (1/1)
>>351
矢で手足を打ち抜いたりして脅すな、きっと
>>351
矢で手足を打ち抜いたりして脅すな、きっと
353:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東海):2011/11/12(土) 15:55:49.68:OK+9la7AO (1/1)
一番ヤバいのはあんこちゃんだろうな
直接殺害の意志を抱いたのはあんこちゃんに対してだけだし
一番ヤバいのはあんこちゃんだろうな
直接殺害の意志を抱いたのはあんこちゃんに対してだけだし
354:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋):2011/11/12(土) 16:00:12.58:pg4CwJlAo (1/1)
ワルプルさん瞬[ピーーー]る力で射抜かれたらどうなってしまうん?
ワルプルさん瞬[ピーーー]る力で射抜かれたらどうなってしまうん?
355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/12(土) 16:05:38.81:GCwuiZ66o (2/2)
圧倒的過ぎて殺し愛にはなりそうにないですね。はい。
圧倒的過ぎて殺し愛にはなりそうにないですね。はい。
356:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽):2011/11/12(土) 16:09:24.89:Erik/5GAO (2/2)
一瞬で魔女化しそうだな。
一瞬で魔女化しそうだな。
357:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(北海道):2011/11/12(土) 16:09:36.57:ZSl2oSgeo (1/1)
場合によっちゃ諌めようと間に入ったほむらも消し飛ばされそうだな
相手がさやかか家族じゃない限り殺すのに躊躇しないだろこのまどかwww
場合によっちゃ諌めようと間に入ったほむらも消し飛ばされそうだな
相手がさやかか家族じゃない限り殺すのに躊躇しないだろこのまどかwww
358:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/12(土) 19:01:53.32:uHiLeyAv0 (1/1)
ほむほむが心配だよう
ほむほむが心配だよう
359:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/12(土) 22:32:50.22:ii+EORv50 (1/1)
まどっちの張り付いた笑顔こええええええwwww
この周回終わったら>>343からの分岐から別ルート入らないかなー(チラッ
まどっちの張り付いた笑顔こええええええwwww
この周回終わったら>>343からの分岐から別ルート入らないかなー(チラッ
360:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方):2011/11/12(土) 22:55:32.28:WAv9KGut0 (1/1)
>>359
最近お前色んなスレで見かけるな
>>359
最近お前色んなスレで見かけるな
361: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 02:55:07.60:rheQph1W0 (1/7)
夕暮れが辺りを赤く染める頃、さやかは上条の病室に続く廊下を、一人歩いていた
さやか「退院、か……」
いつものさやかならば、想い人に会えるという喜びから心を弾ませ、軽い足取りで歩いていた
たが、今日のさやかはそうではない。ずんと重いものがさやかの心にのしかかり、足取りを重くしていた
先程のまどかの事、それもその原因の一つでもあった。が、それだけではない
何かもっと違うものが、さやかの心の高揚を抑えつけていた
脚を止め、身につけていたソウルジェムを手にとってジッと見つめる
さやかにはその輝きが心なしか鈍くなっているように思えた
さやか「……よかったんだよね」
自分に言い聞かせるように、ポツリ、と呟く
さやか「恭介を救えたんだもん」
さやか「これで……良かったんだよね?」
応えるものはいない
さやかの独白は、誰にも届かず病院の廊下に霧散した
それにさやかは自嘲的な笑みを浮かべると、ソウルジェムをしまい、再び、恭介の元へと歩きはじめた
――― あたし……こんな事してていいのかな
俯き、心で自分に問う
――― こうしてる間にも、苦しんでる人はたくさんいるのに
ちゃんとマミさんの後を継がなきゃいけないのに
恋に現を抜かす罪悪感が、仕事を受け継いだという責任感が、さやかを追い詰めていく
さやか「……恭介にちゃんと会うの、これっきりにしようかな」
いつしかさやかはそう口から零していた
夕暮れが辺りを赤く染める頃、さやかは上条の病室に続く廊下を、一人歩いていた
さやか「退院、か……」
いつものさやかならば、想い人に会えるという喜びから心を弾ませ、軽い足取りで歩いていた
たが、今日のさやかはそうではない。ずんと重いものがさやかの心にのしかかり、足取りを重くしていた
先程のまどかの事、それもその原因の一つでもあった。が、それだけではない
何かもっと違うものが、さやかの心の高揚を抑えつけていた
脚を止め、身につけていたソウルジェムを手にとってジッと見つめる
さやかにはその輝きが心なしか鈍くなっているように思えた
さやか「……よかったんだよね」
自分に言い聞かせるように、ポツリ、と呟く
さやか「恭介を救えたんだもん」
さやか「これで……良かったんだよね?」
応えるものはいない
さやかの独白は、誰にも届かず病院の廊下に霧散した
それにさやかは自嘲的な笑みを浮かべると、ソウルジェムをしまい、再び、恭介の元へと歩きはじめた
――― あたし……こんな事してていいのかな
俯き、心で自分に問う
――― こうしてる間にも、苦しんでる人はたくさんいるのに
ちゃんとマミさんの後を継がなきゃいけないのに
恋に現を抜かす罪悪感が、仕事を受け継いだという責任感が、さやかを追い詰めていく
さやか「……恭介にちゃんと会うの、これっきりにしようかな」
いつしかさやかはそう口から零していた
362:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/13(日) 13:11:17.44:2qJmJcADO (1/1)
まどさやすれ違いフラグか
王道ではあるがどう書くかな
まどさやすれ違いフラグか
王道ではあるがどう書くかな
363: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 13:48:15.66:rheQph1W0 (2/7)
それはさやかが考え付く、自分が魔法少女としてやっていく事への最良の判断
それでもさやかの中の未練がその選択の邪魔をする
結局さやかははっきりとした選択をする事が出来ずに上条の病室の前まで来てしまった
さやかは一度その選択を保留にすると、病室の扉を二度、軽く叩いた
「さやか?」
さやか「う……何でわかるのよ……」
すぐに返ってくる想い人の自分の名前を呼ぶ声。
さやかはそれに驚きと、軽い嬉しさを覚えながら扉を開いた
さやか「……やほ」
部屋に入り、手を軽く掲げると、ベッドに寝ていた上条はその姿に嬉しそうな笑みを返す
上条「ああ、やっぱりさやかだ」
さやか「うん……な、なんで私だってわかった?」
ベッドの近くの椅子に腰を掛けると、さやかは上目づかいにそう聞いた
上条「んー……この時間に来るのはさやかぐらいだし」
上条「連絡も入れたからね」
さやか「……ああそうですか」
返ってきた淡々とした答えに肩を落とすさやかだったが、そんなさやかを見て上条は笑みを零し、優しい瞳で声を掛けた
上条「……来てくれてありがとね。さやか」
それはさやかが考え付く、自分が魔法少女としてやっていく事への最良の判断
それでもさやかの中の未練がその選択の邪魔をする
結局さやかははっきりとした選択をする事が出来ずに上条の病室の前まで来てしまった
さやかは一度その選択を保留にすると、病室の扉を二度、軽く叩いた
「さやか?」
さやか「う……何でわかるのよ……」
すぐに返ってくる想い人の自分の名前を呼ぶ声。
さやかはそれに驚きと、軽い嬉しさを覚えながら扉を開いた
さやか「……やほ」
部屋に入り、手を軽く掲げると、ベッドに寝ていた上条はその姿に嬉しそうな笑みを返す
上条「ああ、やっぱりさやかだ」
さやか「うん……な、なんで私だってわかった?」
ベッドの近くの椅子に腰を掛けると、さやかは上目づかいにそう聞いた
上条「んー……この時間に来るのはさやかぐらいだし」
上条「連絡も入れたからね」
さやか「……ああそうですか」
返ってきた淡々とした答えに肩を落とすさやかだったが、そんなさやかを見て上条は笑みを零し、優しい瞳で声を掛けた
上条「……来てくれてありがとね。さやか」
364: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 14:05:16.46:rheQph1W0 (3/7)
その上条の優しい目にさやかは顔を俯かせ、微かに顔を赤らめたが
ジッとこちらを見ている上条に気付き、ごまかす様に勢い良く立ち上がる
さやか「そ、それじゃさやかちゃん、手伝い、しちゃうからねっ!」
上条「ありがとう……と言ってももうほとんど終わってるんだけどね」
さやか「そ、そうなの?」
上条「うん。後はこれだけだ」
張り切るさやかだったが、上条の言葉に気を抜かし、キョトンとした表情を浮かべてしまう
そんなさやかに上条は温かい笑みを見せたあと、ベッドに立て掛けておいたものに手を掛け、さやかに見せる
さやか「あ……」
さやか「バイオリン……」
目を丸くし、そう呟くさやかに、上条は今まで顔に浮かべていた笑みを消し、真剣なものにする
上条「うん。……さやか」
さやか「……な、なに?……そ、そんな顔して……」
いきなりの上条の表情の変化に、ドキリと心臓を跳ねさせ、目を忙しなく動かしてうろたえるさやか
そんなさやかに構うことなく、上条は真剣な表情のまま、言葉を続けた
上条「屋上に行こう」
上条「……伝えたい事があるんだ」
上条「君に」
その上条の優しい目にさやかは顔を俯かせ、微かに顔を赤らめたが
ジッとこちらを見ている上条に気付き、ごまかす様に勢い良く立ち上がる
さやか「そ、それじゃさやかちゃん、手伝い、しちゃうからねっ!」
上条「ありがとう……と言ってももうほとんど終わってるんだけどね」
さやか「そ、そうなの?」
上条「うん。後はこれだけだ」
張り切るさやかだったが、上条の言葉に気を抜かし、キョトンとした表情を浮かべてしまう
そんなさやかに上条は温かい笑みを見せたあと、ベッドに立て掛けておいたものに手を掛け、さやかに見せる
さやか「あ……」
さやか「バイオリン……」
目を丸くし、そう呟くさやかに、上条は今まで顔に浮かべていた笑みを消し、真剣なものにする
上条「うん。……さやか」
さやか「……な、なに?……そ、そんな顔して……」
いきなりの上条の表情の変化に、ドキリと心臓を跳ねさせ、目を忙しなく動かしてうろたえるさやか
そんなさやかに構うことなく、上条は真剣な表情のまま、言葉を続けた
上条「屋上に行こう」
上条「……伝えたい事があるんだ」
上条「君に」
365: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 14:39:16.40:rheQph1W0 (4/7)
屋上
上条「ふぅ……やっぱり辛いな」
さやかを連れ屋上まで着くと、上条は以前演奏したベンチに腰を掛けた
一息漏らし、辛そうにする上条をさやかは気遣い、腰を掛けるのを手伝った
さやか「だ、だいじょ、うぶ?」
上条「うん……ここ、どうぞ」
さやかの気遣いに頷くと、上条は自分の目の前に立つさやかに、自分の隣に座るように促した
さやかはそれに戸惑ったが、真剣に見つめる上条の目に折れ、座る事に決める
ゆっくりと、想い人の横に腰を落とす。さやかの心臓は今まで体験した事がないくらいに暴れていた
さやか「それで……あ、あの……」
そんな暴れる心臓を抑え、上条に横目を向け、おずおずと声を掛ける
だが、上条はさやかの声に答えることなく、黙々とケースに入ったバイオリンを取り出していく
自分の声に応えない上条にどうしていいかわからず、さやかは顔を俯かせた
上条「……それじゃあ。始めるよ」
ようやくケースからバイオリンを取り出すと、上条は顔をさやかに向け、重みのある声を掛けた
それにさやかはひと際心臓を大きく跳ねさせる
上条「今まで僕を支えてくれて」
上条「そして……」
少しの間
上条「……僕の……一番大切な」
上条「『女の子』の為だけの演奏会を」
そう言うと、上条は再びここでバイオリンを演奏し始めた
今此処にいる、たった一人の女の子の為だけに
屋上
上条「ふぅ……やっぱり辛いな」
さやかを連れ屋上まで着くと、上条は以前演奏したベンチに腰を掛けた
一息漏らし、辛そうにする上条をさやかは気遣い、腰を掛けるのを手伝った
さやか「だ、だいじょ、うぶ?」
上条「うん……ここ、どうぞ」
さやかの気遣いに頷くと、上条は自分の目の前に立つさやかに、自分の隣に座るように促した
さやかはそれに戸惑ったが、真剣に見つめる上条の目に折れ、座る事に決める
ゆっくりと、想い人の横に腰を落とす。さやかの心臓は今まで体験した事がないくらいに暴れていた
さやか「それで……あ、あの……」
そんな暴れる心臓を抑え、上条に横目を向け、おずおずと声を掛ける
だが、上条はさやかの声に答えることなく、黙々とケースに入ったバイオリンを取り出していく
自分の声に応えない上条にどうしていいかわからず、さやかは顔を俯かせた
上条「……それじゃあ。始めるよ」
ようやくケースからバイオリンを取り出すと、上条は顔をさやかに向け、重みのある声を掛けた
それにさやかはひと際心臓を大きく跳ねさせる
上条「今まで僕を支えてくれて」
上条「そして……」
少しの間
上条「……僕の……一番大切な」
上条「『女の子』の為だけの演奏会を」
そう言うと、上条は再びここでバイオリンを演奏し始めた
今此処にいる、たった一人の女の子の為だけに
366: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 14:51:01.19:rheQph1W0 (5/7)
上条「……以上です」
演奏が終わると、上条は息を吐くように、そう言った
さやかは瞳に涙を溜め、惜しみない拍手を送る
上条「……ありがとう」
さやかの拍手に照れの表情を見せバイオリンを自分の横に置くと、一度視線を下に落とす
上条「さやか」
だがすぐにその落とした視線をさやかに向け、真剣な表情を見せて、言った
上条「僕は……君の事が好きだ」
上条「……誰よりも」
上条「付き合って……くれないか」
自分の想いの丈を、さやかに
長年、さやかがずっと、ずっと想い続けていた人からの告白
嬉しくない筈がなかった。だが
さやか「あ……」
さやかの瞳から大粒の涙が零れ出していた
上条は予想外のさやかの反応に、うろたえを隠さない
上条「さ、さやか?何で泣いて……」
上条「……以上です」
演奏が終わると、上条は息を吐くように、そう言った
さやかは瞳に涙を溜め、惜しみない拍手を送る
上条「……ありがとう」
さやかの拍手に照れの表情を見せバイオリンを自分の横に置くと、一度視線を下に落とす
上条「さやか」
だがすぐにその落とした視線をさやかに向け、真剣な表情を見せて、言った
上条「僕は……君の事が好きだ」
上条「……誰よりも」
上条「付き合って……くれないか」
自分の想いの丈を、さやかに
長年、さやかがずっと、ずっと想い続けていた人からの告白
嬉しくない筈がなかった。だが
さやか「あ……」
さやかの瞳から大粒の涙が零れ出していた
上条は予想外のさやかの反応に、うろたえを隠さない
上条「さ、さやか?何で泣いて……」
367: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 14:53:07.08:rheQph1W0 (6/7)
修正
上条は予想外のさやかの反応に、うろたえを隠さない ×
『 同文 』うろたえを隠せない
修正
上条は予想外のさやかの反応に、うろたえを隠さない ×
『 同文 』うろたえを隠せない
368: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/13(日) 15:15:33.22:rheQph1W0 (7/7)
上条「こ、告白そんなに嫌……だった?」
さやか「違う……ごめん……嬉しいの。嬉しいんだけど……」
さやかは上条のうろたえながらの言葉に涙をぬぐいながら大きく首を振る
さやか「……あたしも、あたしも恭介の事……好き……」
さやか「……でも……ごめん……ごめんね……」
さやか「ごめんなさい……」
何度も涙を拭う。それでも涙は止まらない
さやかは嬉しかった。上条の、想い人の告白に泣きたくなるほど嬉しくなったのは事実だった
それでもその止めどない涙は嬉し泣きによるものでは、ない
上条「さやか……?」
泣き続けるさやかに混乱してしまう上条だったが、落ち着くまでその背中を優しく撫で続けた
上条「こ、告白そんなに嫌……だった?」
さやか「違う……ごめん……嬉しいの。嬉しいんだけど……」
さやかは上条のうろたえながらの言葉に涙をぬぐいながら大きく首を振る
さやか「……あたしも、あたしも恭介の事……好き……」
さやか「……でも……ごめん……ごめんね……」
さやか「ごめんなさい……」
何度も涙を拭う。それでも涙は止まらない
さやかは嬉しかった。上条の、想い人の告白に泣きたくなるほど嬉しくなったのは事実だった
それでもその止めどない涙は嬉し泣きによるものでは、ない
上条「さやか……?」
泣き続けるさやかに混乱してしまう上条だったが、落ち着くまでその背中を優しく撫で続けた
369: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/14(月) 01:36:38.77:4w30fvvH0 (1/4)
――――――
さやか「……やらなきゃいけない事が……あるの」
さやかは自分の乱れる気持ちを落ち着かせ、瞳に残っていた涙を拭うと俯きながらそう言った
上条「やらなきゃ……いけない事?」
さやか「……うん。だから……恭介とは付き合えない」
さやからの拒絶の言葉
上条はそれにショックを受け、目を大きく開かせる
上条「そっ……か……」
さやかに振られた。その事実が上条の心を落ち込ませる
だが、さやかを諦めきれない上条は、横目に浮かんだ疑問をさやかにぶつけた
上条「それは……好きより、大事な事?」
さやか「……うん」
上条の疑問に深い首肯を返し、さやかはポツポツと言葉を重ねていく
さやか「……もういなくなっちゃた先輩が残してくれた、仕事なの」
さやか「あたしはこれを受け継いだから……受け継いじゃったから……」
さやか「だからあたしは……これをやり遂げなきゃ……ならないんだ」
そう言ってさやかは彼方に顔を向ける
上条の瞳に映るさやかの不要条はは深い決意に満ちていて、その決意はとても自分が変えられるようなものではないと上条に感じさせた
――――――
さやか「……やらなきゃいけない事が……あるの」
さやかは自分の乱れる気持ちを落ち着かせ、瞳に残っていた涙を拭うと俯きながらそう言った
上条「やらなきゃ……いけない事?」
さやか「……うん。だから……恭介とは付き合えない」
さやからの拒絶の言葉
上条はそれにショックを受け、目を大きく開かせる
上条「そっ……か……」
さやかに振られた。その事実が上条の心を落ち込ませる
だが、さやかを諦めきれない上条は、横目に浮かんだ疑問をさやかにぶつけた
上条「それは……好きより、大事な事?」
さやか「……うん」
上条の疑問に深い首肯を返し、さやかはポツポツと言葉を重ねていく
さやか「……もういなくなっちゃた先輩が残してくれた、仕事なの」
さやか「あたしはこれを受け継いだから……受け継いじゃったから……」
さやか「だからあたしは……これをやり遂げなきゃ……ならないんだ」
そう言ってさやかは彼方に顔を向ける
上条の瞳に映るさやかの不要条はは深い決意に満ちていて、その決意はとても自分が変えられるようなものではないと上条に感じさせた
370: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/14(月) 02:05:44.47:4w30fvvH0 (2/4)
上条「そっか……」
こうなったさやかはてこでも変わらない。その事を幼馴染で解っていた上条は、一度さやかから視線を外し、深く視線を落とすと
考える様なそぶりを見せ、さやかにもう一度真剣な目を向ける
上条「それは……僕が隣にいちゃ、ダメなのかな」
そんな上条にさやかは思いつめた表情で、重々しく首を振る
さやか「……駄目だよ」
さやか「きっとあたし、好きな人が近くにいたら、そっちの方に時間をかけちゃう」
さやか「その時間にかまけてる間に……困る人がいっぱい出ちゃうんだ」
さやか「だから……」
上条「……僕は、さやかとの時間が少なくたって構わない」
さやかの言葉を遮っての突然の上条の言葉にさやかはキョトンとした表情を向ける
さやか「……え?」
上条はさやかの表情に、焦って首を振った
上条「え、ええと、違うんだ、そうじゃない。少ないのは本当は嫌なんだ。出来るだけ一緒には居たい」
上条「そうじゃなくて……つまり……」
はっきりとしない上条にさやかは首を傾げさせる
そんなさやかに上条は、一度言葉を切ると、改めてさやかに向き直った
上条「君と一緒にいられなくなるぐらいなら、少なくたっていいってこと……なんだ」
上条「君と何もなくなってしまうのは……嫌なんだ」
上条「それに……僕はその仕事をするさやかを支えたい」
上条「今までさやかが僕を支えてくれたように」
さやか「恭、介……」
瞳に涙を溜めさせるさやか
今度こそその涙は嬉しさからのものだった
上条「そっか……」
こうなったさやかはてこでも変わらない。その事を幼馴染で解っていた上条は、一度さやかから視線を外し、深く視線を落とすと
考える様なそぶりを見せ、さやかにもう一度真剣な目を向ける
上条「それは……僕が隣にいちゃ、ダメなのかな」
そんな上条にさやかは思いつめた表情で、重々しく首を振る
さやか「……駄目だよ」
さやか「きっとあたし、好きな人が近くにいたら、そっちの方に時間をかけちゃう」
さやか「その時間にかまけてる間に……困る人がいっぱい出ちゃうんだ」
さやか「だから……」
上条「……僕は、さやかとの時間が少なくたって構わない」
さやかの言葉を遮っての突然の上条の言葉にさやかはキョトンとした表情を向ける
さやか「……え?」
上条はさやかの表情に、焦って首を振った
上条「え、ええと、違うんだ、そうじゃない。少ないのは本当は嫌なんだ。出来るだけ一緒には居たい」
上条「そうじゃなくて……つまり……」
はっきりとしない上条にさやかは首を傾げさせる
そんなさやかに上条は、一度言葉を切ると、改めてさやかに向き直った
上条「君と一緒にいられなくなるぐらいなら、少なくたっていいってこと……なんだ」
上条「君と何もなくなってしまうのは……嫌なんだ」
上条「それに……僕はその仕事をするさやかを支えたい」
上条「今までさやかが僕を支えてくれたように」
さやか「恭、介……」
瞳に涙を溜めさせるさやか
今度こそその涙は嬉しさからのものだった
371: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/14(月) 02:21:00.60:4w30fvvH0 (3/4)
それでもさやかは上条の告白に頷けなかった。
仕事をしっかりとやり遂げなければいけないという義務感と、マミに対する罪悪感がそれを躊躇わせたからだ
さやか「……考え……させて」
上条「……うん。わかった」
さやかの保留の言葉に、上条は残念のような、ほっとしたような表情で深く頷く
上条「待つよ。さやかの答えが決まるまで」
上条「いつまでも」
真剣な表情を向ける上条に、さやかは罪悪感から目を伏せる
さやか「……期待しない方がいいかもよ?」
上条「それでもいいよ」
さやか「……ばか」
優しく微笑む上条に、さやかは恥ずかしさから顔を赤く染める
そうして二人は辺りが暗闇に染まるまで、他愛のない話でを語り合った
さやかは幸せだった。この時間が、好きな人と一緒にいる時間が
こんな楽しい時間がずっと続けばいい
そうさやかは切に願っていた
それがどんなに贅沢で、敵う事がない願いか、知ることもなく
それでもさやかは上条の告白に頷けなかった。
仕事をしっかりとやり遂げなければいけないという義務感と、マミに対する罪悪感がそれを躊躇わせたからだ
さやか「……考え……させて」
上条「……うん。わかった」
さやかの保留の言葉に、上条は残念のような、ほっとしたような表情で深く頷く
上条「待つよ。さやかの答えが決まるまで」
上条「いつまでも」
真剣な表情を向ける上条に、さやかは罪悪感から目を伏せる
さやか「……期待しない方がいいかもよ?」
上条「それでもいいよ」
さやか「……ばか」
優しく微笑む上条に、さやかは恥ずかしさから顔を赤く染める
そうして二人は辺りが暗闇に染まるまで、他愛のない話でを語り合った
さやかは幸せだった。この時間が、好きな人と一緒にいる時間が
こんな楽しい時間がずっと続けばいい
そうさやかは切に願っていた
それがどんなに贅沢で、敵う事がない願いか、知ることもなく
372: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/14(月) 02:26:16.41:4w30fvvH0 (4/4)
今日はここまで。お疲れさまでした
結局日曜までに投下分まで追いつけなかった……無念
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れさまでした
結局日曜までに投下分まで追いつけなかった……無念
それではまた次回ー
373:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/14(月) 02:29:37.56:Fb5CG1ibo (1/1)
おつつ
おやすみー
おつつ
おやすみー
374:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県):2011/11/14(月) 03:19:19.07:x2mnfeKpo (1/1)
乙乙
乙乙
375:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/14(月) 14:30:00.81:MzfC/apDO (1/1)
ちゃんと書き続けてるから不満はない
描写も丁寧でわかりやすい
とにかく完結さえしてくれればいい
ちゃんと書き続けてるから不満はない
描写も丁寧でわかりやすい
とにかく完結さえしてくれればいい
376:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/14(月) 17:48:00.71:dEqzPk+io (1/1)
乙
それにしてもこんな長編をよくVIPでやろうとしたな
乙
それにしてもこんな長編をよくVIPでやろうとしたな
377:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県):2011/11/14(月) 18:11:36.09:enAd57gAo (1/2)
でもこの辺まではvipでもちゃんといったんよ
保守ってるうちにスレ終わっちゃったからこっちに移動してきたけど
でもこの辺まではvipでもちゃんといったんよ
保守ってるうちにスレ終わっちゃったからこっちに移動してきたけど
378:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/14(月) 18:20:34.75:rp07zyvDO (1/1)
乙~
このすれ違いこそがまどまぎって感じがするなww
何にせよ楽しみに待っとります
乙~
このすれ違いこそがまどまぎって感じがするなww
何にせよ楽しみに待っとります
379:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県):2011/11/14(月) 19:16:58.66:gkr0Bmyio (1/1)
この上条は良い上条
原作でもこうだったらさやかは…
この上条は良い上条
原作でもこうだったらさやかは…
380:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長野県):2011/11/14(月) 19:33:39.23:enAd57gAo (2/2)
ここの上条くんは結構男前なんだよな
代わりにまどっちが病的に一途だけど
ここの上条くんは結構男前なんだよな
代わりにまどっちが病的に一途だけど
381:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/14(月) 19:42:07.68:FaVsyM9b0 (1/1)
運命の分かれ道は
上条さんが癇癪を起こす日にさやかが鬱状態だった事だな・・・
流石にそんな相手に癇癪起こすほど外道じゃないだろうしww
運命の分かれ道は
上条さんが癇癪を起こす日にさやかが鬱状態だった事だな・・・
流石にそんな相手に癇癪起こすほど外道じゃないだろうしww
382: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/16(水) 03:41:19.33:jNbya2DJ0 (1/4)
病院外
さやかは上条に別れを告げ、病院を出た後、帰りの路に着いていた
辺りはすっかり暗くなっていて、行く道を一定の間隔で、まばゆい街灯の光が道を照らしている
その中でさやかはふと立ち止り、空を見上げる。そこには雲掛かる満ち切った月だけが、さやかを見つめていた
―――どうしたらいいんだろう
月を見つめ、心でそう呟く。さやかここまでの道のりの中、ずっと悩み続けていた
上条とのこれからの関係の事を
―――断るべきだよね
自分がこれから生きていく道にとって、最善の答えなど既に出ていた
上条との関係を断ち切って、魔法少女として、人々を助け続けていく
それが、魔法少女になった、願いを叶えて貰った自分の義務。
そしてそれに準ずる事で、自分が殺してしまったマミへの償いにもなる
それがさやかの考え得る、最善の選択
―――でも
だが、その言葉が、幸せへの片鱗が、その選択を躊躇わせる
手を伸ばせば、すぐに幸せに手が届く。幸せが、自分の手を握ってくれる
これほど抗いがたい誘惑があるだろうか
さやかはそんな葛藤に、身を焦がしていた
さやか「……良いのかな……あたし……」
頭を駆けずり回る葛藤に、無意識に言葉が漏れる
誰に向けたでもない、漏出した言葉
「いいじゃん。好きにしろよ」
だが、それを受け取り、返す者がいた
さやかの後ろから聞こえてくる、挑発的で、嘲笑的な声
その声にさやかは反射的に後ろを振り向く
さやか「っ!……あんた……昨日のっ!!」
「よぉ。半端もん」
振り向いた先。そこには昨日さやかが相対した赤い魔法少女――杏子が電燈の光の下に立っていた
病院外
さやかは上条に別れを告げ、病院を出た後、帰りの路に着いていた
辺りはすっかり暗くなっていて、行く道を一定の間隔で、まばゆい街灯の光が道を照らしている
その中でさやかはふと立ち止り、空を見上げる。そこには雲掛かる満ち切った月だけが、さやかを見つめていた
―――どうしたらいいんだろう
月を見つめ、心でそう呟く。さやかここまでの道のりの中、ずっと悩み続けていた
上条とのこれからの関係の事を
―――断るべきだよね
自分がこれから生きていく道にとって、最善の答えなど既に出ていた
上条との関係を断ち切って、魔法少女として、人々を助け続けていく
それが、魔法少女になった、願いを叶えて貰った自分の義務。
そしてそれに準ずる事で、自分が殺してしまったマミへの償いにもなる
それがさやかの考え得る、最善の選択
―――でも
だが、その言葉が、幸せへの片鱗が、その選択を躊躇わせる
手を伸ばせば、すぐに幸せに手が届く。幸せが、自分の手を握ってくれる
これほど抗いがたい誘惑があるだろうか
さやかはそんな葛藤に、身を焦がしていた
さやか「……良いのかな……あたし……」
頭を駆けずり回る葛藤に、無意識に言葉が漏れる
誰に向けたでもない、漏出した言葉
「いいじゃん。好きにしろよ」
だが、それを受け取り、返す者がいた
さやかの後ろから聞こえてくる、挑発的で、嘲笑的な声
その声にさやかは反射的に後ろを振り向く
さやか「っ!……あんた……昨日のっ!!」
「よぉ。半端もん」
振り向いた先。そこには昨日さやかが相対した赤い魔法少女――杏子が電燈の光の下に立っていた
383: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/16(水) 22:54:11.58:jNbya2DJ0 (2/4)
杏子「ぜーんぶ見てたよ。お前らのやり取り」
魔法少女の姿ではない、活発な印象を受ける私服に身を包んだ杏子は
口を大きく歪め、歪な笑みを作って、棒状の駄菓子を口に含むと、さやかへと一歩ずつ近づいて行く
さやか「な……」
さやかは杏子の突然の登場、そしてその発言に唖然とした表情を浮かべる
そんなさやかの目の前まで歩くと、杏子は彼女の顔を覗き込み、挑発的な瞳を向けた
杏子「なに迷ってんだよ?あのぼうやから告って来たんだろ?」
杏子「受けたらいいじゃねーか」
杏子「くっだらねえ他人なんかの為に願いを使って、それが自分に返ってきたんだ」
杏子「得る事さえすれ、断るなんてありえねぇだろ?」
杏子「貰っちまえよ?な?」
下卑びた笑み
さやかはそれに怒りを露わにする
さやか「う、るさいっ!!」
さやか「恭介の事……恭介の夢を下らないなんて言うなッ!」
さやかは腕を大きく振り上げ、そのまま自分の顔を覗き込む杏子の頬を平手で打とうとするが
杏子はその手をするりとかわし、やれやれと肩を竦める
杏子「おお怖い。愛の力は偉大ってこった」
さやか「お前……!!」
杏子「ぜーんぶ見てたよ。お前らのやり取り」
魔法少女の姿ではない、活発な印象を受ける私服に身を包んだ杏子は
口を大きく歪め、歪な笑みを作って、棒状の駄菓子を口に含むと、さやかへと一歩ずつ近づいて行く
さやか「な……」
さやかは杏子の突然の登場、そしてその発言に唖然とした表情を浮かべる
そんなさやかの目の前まで歩くと、杏子は彼女の顔を覗き込み、挑発的な瞳を向けた
杏子「なに迷ってんだよ?あのぼうやから告って来たんだろ?」
杏子「受けたらいいじゃねーか」
杏子「くっだらねえ他人なんかの為に願いを使って、それが自分に返ってきたんだ」
杏子「得る事さえすれ、断るなんてありえねぇだろ?」
杏子「貰っちまえよ?な?」
下卑びた笑み
さやかはそれに怒りを露わにする
さやか「う、るさいっ!!」
さやか「恭介の事……恭介の夢を下らないなんて言うなッ!」
さやかは腕を大きく振り上げ、そのまま自分の顔を覗き込む杏子の頬を平手で打とうとするが
杏子はその手をするりとかわし、やれやれと肩を竦める
杏子「おお怖い。愛の力は偉大ってこった」
さやか「お前……!!」
384: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/16(水) 23:16:41.76:jNbya2DJ0 (3/4)
怒りに肩を震わせるさやかを気に掛ける事もなく、杏子は口に含んだ駄菓子を食べきると、続けて二本目の駄菓子に手を伸ばし、口に含む
杏子「んむ……それよりよ。少しはやり方を変える気になったかい?」
杏子「自分の為だけに魔法を使うってやり方にさ」
杏子の言葉にさやかは一度視線を落とす
杏子はそのさやかの態度に、駄菓子の咀嚼の動きを止めるが
さやか「あたしは……」
さやか「あたしは……変わらない!変えない!」
さやか「絶対に!」
再び向けられた瞳に映る、絶対的な敵意の色に、杏子は深い溜息を吐き、駄菓子の咀嚼の動きを再開する
杏子「はぁ……」
杏子「……やっぱ筋金入りの馬鹿だわ。あんた」
杏子「来いよ。その能天気で馬鹿な頭、矯正してやる」
そして駄菓子を咀嚼し終えると、さやかに対し、深い嘲笑を浮かべた
さやか「……受けて立ってやるわ」
杏子「へっ……そうこなくっちゃな」
杏子「こっちだ」
そう言って杏子は顎で人気のない道を差し、歩き出す
さやかは自分のソウルジェムを固く握りしめ、先を歩く杏子について行った
杏子との決着を、自分の正義を証明する為に
怒りに肩を震わせるさやかを気に掛ける事もなく、杏子は口に含んだ駄菓子を食べきると、続けて二本目の駄菓子に手を伸ばし、口に含む
杏子「んむ……それよりよ。少しはやり方を変える気になったかい?」
杏子「自分の為だけに魔法を使うってやり方にさ」
杏子の言葉にさやかは一度視線を落とす
杏子はそのさやかの態度に、駄菓子の咀嚼の動きを止めるが
さやか「あたしは……」
さやか「あたしは……変わらない!変えない!」
さやか「絶対に!」
再び向けられた瞳に映る、絶対的な敵意の色に、杏子は深い溜息を吐き、駄菓子の咀嚼の動きを再開する
杏子「はぁ……」
杏子「……やっぱ筋金入りの馬鹿だわ。あんた」
杏子「来いよ。その能天気で馬鹿な頭、矯正してやる」
そして駄菓子を咀嚼し終えると、さやかに対し、深い嘲笑を浮かべた
さやか「……受けて立ってやるわ」
杏子「へっ……そうこなくっちゃな」
杏子「こっちだ」
そう言って杏子は顎で人気のない道を差し、歩き出す
さやかは自分のソウルジェムを固く握りしめ、先を歩く杏子について行った
杏子との決着を、自分の正義を証明する為に
385: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/16(水) 23:37:08.11:jNbya2DJ0 (4/4)
杏子とさやかが決着の為に歩き出していた頃、
まどかは人気のない歩道橋の近くのベンチで膝を抱え、蹲っていた
激しく暗い嫉妬の感情に心の全てを占めて
まどか「……今日も上条君」
まどか「また上条君」
まどか「上条君」
まどか「上条」
まどか「上条恭介」
まどか「恭介」
まどか「恭介、恭介、恭介、恭介、恭介!」
ブツブツと怨嗟と嫉妬の籠る言葉を漏らしていく。
その瞳は怒りに燃えながらも、悲哀に満ちていた。
まどか「……どうして上条君なの」
まどか「さやかがあんなに苦しんでるの知らないのに」
まどか「さやかちゃんが危ない目に会うの知ってて契約したの知らないくせに」
まどか「私が一番さやかちゃんの苦しみを知ってるのに」
まどか「……どうして……」
いつの間にか溜まっていた涙がまどかの瞳から零れ落ちる
それは怒りの感情の昂ぶり、そして、さやかに自分を受け入れて貰えないという悲しみからのものだった
杏子とさやかが決着の為に歩き出していた頃、
まどかは人気のない歩道橋の近くのベンチで膝を抱え、蹲っていた
激しく暗い嫉妬の感情に心の全てを占めて
まどか「……今日も上条君」
まどか「また上条君」
まどか「上条君」
まどか「上条」
まどか「上条恭介」
まどか「恭介」
まどか「恭介、恭介、恭介、恭介、恭介!」
ブツブツと怨嗟と嫉妬の籠る言葉を漏らしていく。
その瞳は怒りに燃えながらも、悲哀に満ちていた。
まどか「……どうして上条君なの」
まどか「さやかがあんなに苦しんでるの知らないのに」
まどか「さやかちゃんが危ない目に会うの知ってて契約したの知らないくせに」
まどか「私が一番さやかちゃんの苦しみを知ってるのに」
まどか「……どうして……」
いつの間にか溜まっていた涙がまどかの瞳から零れ落ちる
それは怒りの感情の昂ぶり、そして、さやかに自分を受け入れて貰えないという悲しみからのものだった
386:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県):2011/11/16(水) 23:41:18.73:9AHlM7a/o (1/1)
まどかこえー
まどかこえー
387: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 00:07:39.65:WXBab6O70 (1/7)
まどか「私なら……さやかちゃんの事、全部わかってあげられるのに」
まどか「おかしいよ……こんなの」
流れる涙を拭い、俯かせていた顔を上げる
まどか「……ん……?っ!あれって……!」
上げた顔の視線の先、そこに見覚えのある二つの影があった
それにまどかは跳ね上がるように立ち上がり、戦慄に顔を引きつらせる
「さやかと杏子だね」
その時、足元から可愛らしい声が掛かる
まどかはその声に驚き、聞こえていた方向に目を向ける。するとそこにはいつの間にか現れたキュウべえが自分の顔を見上げていた
まどか「っ!……どうして、一緒にいるの?」
突然現れたキュウべえに驚いたが、すぐに興味を無くすと、視線をさやかと杏子に戻し、心に浮かんだ疑問を漏らす
キュゥべぇ「……恐らく、昨日の決着を着けるつもりなんじゃないかな」
そのキュウべえの言葉が耳に入るや否や、まどかは駆けだしていた
さやか達の戦いを止める為に
キュゥべぇ「早いね」
駆けていくまどかをくりくりとした目に収め、そうポツリと呟くと
キュウべえもまどかの後をゆっくりと着いて行った
まどか「私なら……さやかちゃんの事、全部わかってあげられるのに」
まどか「おかしいよ……こんなの」
流れる涙を拭い、俯かせていた顔を上げる
まどか「……ん……?っ!あれって……!」
上げた顔の視線の先、そこに見覚えのある二つの影があった
それにまどかは跳ね上がるように立ち上がり、戦慄に顔を引きつらせる
「さやかと杏子だね」
その時、足元から可愛らしい声が掛かる
まどかはその声に驚き、聞こえていた方向に目を向ける。するとそこにはいつの間にか現れたキュウべえが自分の顔を見上げていた
まどか「っ!……どうして、一緒にいるの?」
突然現れたキュウべえに驚いたが、すぐに興味を無くすと、視線をさやかと杏子に戻し、心に浮かんだ疑問を漏らす
キュゥべぇ「……恐らく、昨日の決着を着けるつもりなんじゃないかな」
そのキュウべえの言葉が耳に入るや否や、まどかは駆けだしていた
さやか達の戦いを止める為に
キュゥべぇ「早いね」
駆けていくまどかをくりくりとした目に収め、そうポツリと呟くと
キュウべえもまどかの後をゆっくりと着いて行った
388:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/17(木) 00:29:54.75:cwQCKLpA0 (1/1)
あああぁぁぁあぁあ><
あああぁぁぁあぁあ><
389: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 00:31:09.38:WXBab6O70 (2/7)
修正
キュゥべぇ「早いね」 ×
キュゥべぇ「さて……と」 ○
修正
キュゥべぇ「早いね」 ×
キュゥべぇ「さて……と」 ○
390: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 00:51:35.76:WXBab6O70 (3/7)
杏子「ここにすっか」
杏子に連れられ、さやか達が決着の場とした所。それは人気のない歩道橋の上だった
かなりの高さを誇り、下を多数の車が行き交う
そこで杏子は足を止めると、くるりとさやかに振り返った
杏子「それじゃあ……決着着けようか!半端者!!」
さやか「くっ……舐めるんじゃないわよ!」
敵意と敵意の視線がぶつかり合い
それを皮切りに互いはそれぞれのソウルジェムを高くかざし、魔法少女の衣装にに身を包もうとする
「さやかちゃんっ!!」
しかしそれは一人の少女の声に阻まれ、相対する二人は動きは止められてしまう
さやか「っ!……まどかっ!?」
杏子「……チッ……また来やがった」
さやか驚きの視線を、杏子が忌々しげな視線を向けた先、そこには声を張り上げた少女。まどかが駆けこんで来ていた
さやか「あんたどうしてここに……」
さやかの元に辿り着き、息を切らせるまどかに、さやかは驚きの表情を浮かべていた
その表情に構わず、まどかは息を切らせながら、必死と声を振り絞る
まどか「駄目だよ……戦っちゃ……危ないよっ!!」
杏子「そりゃそうだろ?戦いってのは危ないもんだ」
杏子「その危ない事にも参加できない奴は、とっとと失せな」
必死となるまどかに、杏子は呆れと蔑みの混じる声を掛けた
まどかはそれにひるむことなく、杏子の声に怒りと憎悪の睨みを返す
杏子「ここにすっか」
杏子に連れられ、さやか達が決着の場とした所。それは人気のない歩道橋の上だった
かなりの高さを誇り、下を多数の車が行き交う
そこで杏子は足を止めると、くるりとさやかに振り返った
杏子「それじゃあ……決着着けようか!半端者!!」
さやか「くっ……舐めるんじゃないわよ!」
敵意と敵意の視線がぶつかり合い
それを皮切りに互いはそれぞれのソウルジェムを高くかざし、魔法少女の衣装にに身を包もうとする
「さやかちゃんっ!!」
しかしそれは一人の少女の声に阻まれ、相対する二人は動きは止められてしまう
さやか「っ!……まどかっ!?」
杏子「……チッ……また来やがった」
さやか驚きの視線を、杏子が忌々しげな視線を向けた先、そこには声を張り上げた少女。まどかが駆けこんで来ていた
さやか「あんたどうしてここに……」
さやかの元に辿り着き、息を切らせるまどかに、さやかは驚きの表情を浮かべていた
その表情に構わず、まどかは息を切らせながら、必死と声を振り絞る
まどか「駄目だよ……戦っちゃ……危ないよっ!!」
杏子「そりゃそうだろ?戦いってのは危ないもんだ」
杏子「その危ない事にも参加できない奴は、とっとと失せな」
必死となるまどかに、杏子は呆れと蔑みの混じる声を掛けた
まどかはそれにひるむことなく、杏子の声に怒りと憎悪の睨みを返す
391: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 00:58:44.92:WXBab6O70 (4/7)
さやか「そうだよ……まどか。下がってて!」
さやか「あたしはこいつを倒さないといけないんだからっ!!」
さやか「あたしと……マミさんが正しいってこと証明するためにもっ!!」
睨みつけるまどかの前に出て、さやかは杏子に自分の正義を吼える
杏子はさやかの咆哮に、まどかに向けた以上の嫌悪と怒りの感情を顔に表した
杏子「やっぱうぜぇ……」
杏子「……徹底的にやってやるよ!!」
瞬きの間に杏子はその身を魔法少女の衣装に包むと、杏子はさやかに槍を向ける
それに呼応するように、さやかもソウルジェムを掲げ、衣装に身を包もうとした
まどか「ダメぇっ!!!」
さやか「な……」
だがその時、まどかがさやかのソウルジェムを奪った事で、それを止められる
そしてまどかは橋の縁まで走っていき、さやかのソウルジェムを橋の下に勢いよく投げ捨てた
投げられたさやかのソウルジェムは重力に従いどんどんと加速していく
そして、地面にぶつかったかと思うと
さやか「まどか、あ」
まどか「……え……?」
さやかのソウルジェムは
粉々に砕け散った
さやか「そうだよ……まどか。下がってて!」
さやか「あたしはこいつを倒さないといけないんだからっ!!」
さやか「あたしと……マミさんが正しいってこと証明するためにもっ!!」
睨みつけるまどかの前に出て、さやかは杏子に自分の正義を吼える
杏子はさやかの咆哮に、まどかに向けた以上の嫌悪と怒りの感情を顔に表した
杏子「やっぱうぜぇ……」
杏子「……徹底的にやってやるよ!!」
瞬きの間に杏子はその身を魔法少女の衣装に包むと、杏子はさやかに槍を向ける
それに呼応するように、さやかもソウルジェムを掲げ、衣装に身を包もうとした
まどか「ダメぇっ!!!」
さやか「な……」
だがその時、まどかがさやかのソウルジェムを奪った事で、それを止められる
そしてまどかは橋の縁まで走っていき、さやかのソウルジェムを橋の下に勢いよく投げ捨てた
投げられたさやかのソウルジェムは重力に従いどんどんと加速していく
そして、地面にぶつかったかと思うと
さやか「まどか、あ」
まどか「……え……?」
さやかのソウルジェムは
粉々に砕け散った
392:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 01:04:14.34:e7Unk4qEo (1/2)
えっ……
えっ?
えっ……
えっ?
393:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府):2011/11/17(木) 01:05:25.30:Ltoa8Sefo (1/1)
な ぜ 殺 た し
な ぜ 殺 た し
394:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/17(木) 01:10:28.37:R8i0p3JMo (1/2)
そろそろ追い付くか……
そろそろ追い付くか……
395:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区):2011/11/17(木) 01:12:14.43:5XND8CEpo (1/1)
死んだ‥‥
死んだ‥‥
396: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 01:14:01.18:WXBab6O70 (5/7)
同時にまどかに駆け寄ろうとしていたさやかは、糸が切れたようにその場に崩れ落ちる
その目にはもう何の光も写していなかった
まどか「さやか……ちゃん……?」
突然崩れ落ちたさやかに驚き、まどかはゆっくりとさやかに駆け寄った
そしてさやかの体を、ゆさゆさと揺らす
まどか「さやかちゃんっ……さやかちゃんっ!!?」
まどか「どうしたの?ねぇ、ふ、ふざけないでよ、ねぇ!さやかちゃんっ!!」
いくらまどかが体を揺らしてもさやかからの返事はない
だが、違和感と、嫌な予感が身に襲い、それを振り払う様に必死とさやかの体を揺らし続ける
まどか「さやかちゃんっ!!さやかちゃんっ!!」
突然目の前で起こった事に混乱し、目を瞬かせていた杏子だったが
何とか我に帰ると崩れ落ちたさやかに急いで駆け寄った
まどか「止めてっ!!さやかちゃんに触らないでっ!!」
喚くまどかをどかし、さやかの首に手を掛けて持ち上げ、その瞳を覗き込む
杏子の瞳に映るさやかの瞳は、瞳孔が開き切り、既に生きている者のそれではなくなっていた
杏子「……こいつ……死んでるぞ!」
杏子の動揺した声に衝撃を受け、まどかは目を見開き、信じられないと言わんばかりに、言葉を漏らした
まどか「え……」
同時にまどかに駆け寄ろうとしていたさやかは、糸が切れたようにその場に崩れ落ちる
その目にはもう何の光も写していなかった
まどか「さやか……ちゃん……?」
突然崩れ落ちたさやかに驚き、まどかはゆっくりとさやかに駆け寄った
そしてさやかの体を、ゆさゆさと揺らす
まどか「さやかちゃんっ……さやかちゃんっ!!?」
まどか「どうしたの?ねぇ、ふ、ふざけないでよ、ねぇ!さやかちゃんっ!!」
いくらまどかが体を揺らしてもさやかからの返事はない
だが、違和感と、嫌な予感が身に襲い、それを振り払う様に必死とさやかの体を揺らし続ける
まどか「さやかちゃんっ!!さやかちゃんっ!!」
突然目の前で起こった事に混乱し、目を瞬かせていた杏子だったが
何とか我に帰ると崩れ落ちたさやかに急いで駆け寄った
まどか「止めてっ!!さやかちゃんに触らないでっ!!」
喚くまどかをどかし、さやかの首に手を掛けて持ち上げ、その瞳を覗き込む
杏子の瞳に映るさやかの瞳は、瞳孔が開き切り、既に生きている者のそれではなくなっていた
杏子「……こいつ……死んでるぞ!」
杏子の動揺した声に衝撃を受け、まどかは目を見開き、信じられないと言わんばかりに、言葉を漏らした
まどか「え……」
397: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 01:40:05.10:WXBab6O70 (6/7)
まどか「どう……して……」
まどかの頭の中を疑問が埋め尽くしていく。
いつしかその疑問は無意識に口からこぼれ出ていた
「そりゃそうさ」
まどかの漏出した言葉に、無機質な声が返る
その方向にまどかがゆっくりと、杏子が素早く顔を向けると、白いイキモノが二人を見つめていた
杏子「キュゥべぇ……?」
まどかは呆然と、杏子は答えを急かす様にキュゥべえを見つめた
その視線にキュゥべえはいつもの調子で、さも当然と言ったように声を返す
キュゥべぇ「さやかはたった今」
キュゥべぇ「まどかが殺したんだから」
―――何を言ってるの?
心が、頭が、状況に着いて行かず、まどかは混乱を深めていく
まどか「……え?」
杏子「……どういう事だてめぇ!」
杏子も状況に着いて行かないのも同様だったが、何とか正気を保ち、心に渦巻く疑問と、疑問をキュゥべえにぶつける
キュゥべぇ「そのままの意味だよ」
キュゥべぇ「まどかは今、魔法少女の本体を、人間の心臓と呼べるものを投げて、壊したんだ」
キュゥべぇ「これを殺すと言わないで、なんと言うんだい?」
ようやくまどかの頭が機能し始め、キュゥべえの言葉の意味を噛み砕いて行く
だが、噛み砕いたところで、まどかは信じられなかった
信じたくなかった
まどか「嘘、ティヒ、嘘……だよね?そん、そんなことあるわけ」
希望に縋る。
呆然とした頭で、そんなもの信じたくないと
キュゥべぇ「事実だよ」
だが、希望など、どこにもなかった
まどか「どう……して……」
まどかの頭の中を疑問が埋め尽くしていく。
いつしかその疑問は無意識に口からこぼれ出ていた
「そりゃそうさ」
まどかの漏出した言葉に、無機質な声が返る
その方向にまどかがゆっくりと、杏子が素早く顔を向けると、白いイキモノが二人を見つめていた
杏子「キュゥべぇ……?」
まどかは呆然と、杏子は答えを急かす様にキュゥべえを見つめた
その視線にキュゥべえはいつもの調子で、さも当然と言ったように声を返す
キュゥべぇ「さやかはたった今」
キュゥべぇ「まどかが殺したんだから」
―――何を言ってるの?
心が、頭が、状況に着いて行かず、まどかは混乱を深めていく
まどか「……え?」
杏子「……どういう事だてめぇ!」
杏子も状況に着いて行かないのも同様だったが、何とか正気を保ち、心に渦巻く疑問と、疑問をキュゥべえにぶつける
キュゥべぇ「そのままの意味だよ」
キュゥべぇ「まどかは今、魔法少女の本体を、人間の心臓と呼べるものを投げて、壊したんだ」
キュゥべぇ「これを殺すと言わないで、なんと言うんだい?」
ようやくまどかの頭が機能し始め、キュゥべえの言葉の意味を噛み砕いて行く
だが、噛み砕いたところで、まどかは信じられなかった
信じたくなかった
まどか「嘘、ティヒ、嘘……だよね?そん、そんなことあるわけ」
希望に縋る。
呆然とした頭で、そんなもの信じたくないと
キュゥべぇ「事実だよ」
だが、希望など、どこにもなかった
398: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/17(木) 01:43:14.38:WXBab6O70 (7/7)
今日はここまで。お疲れさまでした
ようやく追い付きました
……一か月もかかってしまった。遅筆!
これからは書きためて一気に投下していくスタイルをとろうと思いますので、二日に一回とかになるかもです
それではまた次回ー
今日はここまで。お疲れさまでした
ようやく追い付きました
……一か月もかかってしまった。遅筆!
これからは書きためて一気に投下していくスタイルをとろうと思いますので、二日に一回とかになるかもです
それではまた次回ー
399:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank):2011/11/17(木) 01:44:31.88:um/wg+cEo (1/1)
乙
ついに追いついたな
乙
ついに追いついたな
400:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(京都府):2011/11/17(木) 01:45:18.15:EQJ+VA+xo (1/1)
加筆超乙
待ちに待った続き楽しみにしてます
加筆超乙
待ちに待った続き楽しみにしてます
401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(静岡県):2011/11/17(木) 01:46:03.10:dRoO62RI0 (1/1)
乙
ついに追いついたか。
これからどうなるか楽しみだ。
乙
ついに追いついたか。
これからどうなるか楽しみだ。
402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 01:48:08.92:e7Unk4qEo (2/2)
乙
VIPの時は途中までしか追えなかったからさやかちゃん死亡はマジでショックだった……
乙
VIPの時は途中までしか追えなかったからさやかちゃん死亡はマジでショックだった……
403:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(山陽):2011/11/17(木) 02:26:50.77:jk0SMAfAO (1/1)
え、あの、さやかのソウルジェム・・・。
あ、ああ、乙。
え、あの、さやかのソウルジェム・・・。
あ、ああ、乙。
404:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 02:32:31.03:d7Mt+9NSO (1/1)
嗚呼、我が愛しのさやかよ・・・
御愁傷様で~す(悲)
嗚呼、我が愛しのさやかよ・・・
御愁傷様で~す(悲)
405:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県):2011/11/17(木) 02:43:03.41:0t4pknyPo (1/1)
乙乙
ついに追いついたな!
さぁ、あの時の保守の礼もかねて続きを期待させてもらうか
乙乙
ついに追いついたな!
さぁ、あの時の保守の礼もかねて続きを期待させてもらうか
406:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/17(木) 03:18:03.05:48XwFB2Io (1/1)
まどかのティヒ笑いだけはなんとかしてもらえないものか
まどかヘイトものならティヒヒであってると思うけど
まどかのティヒ笑いだけはなんとかしてもらえないものか
まどかヘイトものならティヒヒであってると思うけど
407:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸):2011/11/17(木) 03:18:37.34:EI6vpj/AO (1/1)
ついに、ついに追いついたか!
この日をどんなに待ちわびたことか。
さて、魔法少女だったら即魔女化レベルの絶望にこのまどかはどうするのか。
ついに、ついに追いついたか!
この日をどんなに待ちわびたことか。
さて、魔法少女だったら即魔女化レベルの絶望にこのまどかはどうするのか。
408:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 06:34:26.65:oHmgAdE40 (1/1)
魂ごと消滅しちゃったよ・・・この展開は珍しい
ヘイト物じゃなくてもティヒヒ笑いはある気がする、
まぁ俺がまどっちならどんなことしても可愛いとか思ってるせいかも知れんが
魂ごと消滅しちゃったよ・・・この展開は珍しい
ヘイト物じゃなくてもティヒヒ笑いはある気がする、
まぁ俺がまどっちならどんなことしても可愛いとか思ってるせいかも知れんが
409:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(愛知県):2011/11/17(木) 06:35:28.11:bQAjiKTyo (1/1)
元は照れ笑いだから照れ笑いとしては使ってる
けどそれ以外に使うのは違和感あるなー
元は照れ笑いだから照れ笑いとしては使ってる
けどそれ以外に使うのは違和感あるなー
410:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/17(木) 06:39:21.02:R8i0p3JMo (2/2)
乙~
さあ、ここからどうなる……!
乙~
さあ、ここからどうなる……!
411:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/17(木) 07:23:48.85:N3B6IFaoo (1/1)
まどかの願いでさやか復活→バッドルートへの布石と信じて…
まどかの願いでさやか復活→バッドルートへの布石と信じて…
412:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 09:21:22.00:/H61Bmd20 (1/1)
>まどか「……どうして上条君なの」
>まどか「さやかがあんなに苦しんでるの知らないのに」
>まどか「さやかちゃんが危ない目に会うの知ってて契約したの知らないくせに」
その台詞は自分に返ってくるでぇ……、まどかさん
>まどか「……どうして上条君なの」
>まどか「さやかがあんなに苦しんでるの知らないのに」
>まどか「さやかちゃんが危ない目に会うの知ってて契約したの知らないくせに」
その台詞は自分に返ってくるでぇ……、まどかさん
413:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 10:37:37.62:KWvzrZDDO (1/1)
上条連呼しつつも悲しみに涙しちゃうとこがヤンデレになりきれてないまどからしさでいい
上条連呼しつつも悲しみに涙しちゃうとこがヤンデレになりきれてないまどからしさでいい
414:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(兵庫県):2011/11/17(木) 19:02:03.06:JjWs9tc50 (1/1)
まどか崩壊寸前だな
ほむほむが本気でワルプルさんに感謝する周回となってるじゃないですかー!やだー!
まどか崩壊寸前だな
ほむほむが本気でワルプルさんに感謝する周回となってるじゃないですかー!やだー!
415:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 21:38:14.07:fOzOkv7IO (1/1)
>>414
このまどかはほむほむでも手に負えない気が
>>414
このまどかはほむほむでも手に負えない気が
416:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(大阪府):2011/11/17(木) 22:27:19.91:I0TykJ7h0 (1/1)
>>1乙 てか、ほむほむ今どこにいるん 全然出てきてないんだが
>>1乙 てか、ほむほむ今どこにいるん 全然出てきてないんだが
417:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/17(木) 22:29:18.47:xpMGtzEg0 (1/1)
追いついた
どうなることやら
追いついた
どうなることやら
418:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東):2011/11/18(金) 04:36:54.87:Mn4ldwaAO (1/1)
期待
ちなみにほむほむはまどかに冷たくされてしょげ返ってます
期待
ちなみにほむほむはまどかに冷たくされてしょげ返ってます
419:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西・北陸):2011/11/18(金) 17:46:01.10:FY80AaVAO (1/1)
>>414
ほむら「こーい、ワルプルギスこーい」
>>414
ほむら「こーい、ワルプルギスこーい」
420:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(沖縄県):2011/11/18(金) 17:50:57.84:OYBZy4wqo (1/1)
ようやく続きが読めるのか
この瞬間を待ってたぜ
ようやく続きが読めるのか
この瞬間を待ってたぜ
421: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 00:54:01.23:UnMFKfQe0 (1/18)
キュウべえ「現にほら、さやかは息をしていないし、心臓も動いていないじゃないか」
キュウべえ「完全に死んでいるだろう?」
まどか「あ……あ……」
段々とまどかの中に現実味が帯び始める
自分がさやかを殺したという現実味が
キュウべえ「君が殺したんだ」
キュウべえ「まどか」
キュウべえ「大好きなさやかを」
キュウべえ「君が」
キュウべえ「その手で」
まどか「……私が……」
突きつけられていくキュウべえの言葉に、まどかに襲う現実味は完全となってしまう
まどかはそれによりコンクリートの地面に崩れるようにへたり込み、放心してしまう
杏子それを横目にさやかの亡骸をゆっくりと下ろすと、キュウべえに詰め寄った
杏子「テメェ……騙したのか……!」
キュウべえ「現にほら、さやかは息をしていないし、心臓も動いていないじゃないか」
キュウべえ「完全に死んでいるだろう?」
まどか「あ……あ……」
段々とまどかの中に現実味が帯び始める
自分がさやかを殺したという現実味が
キュウべえ「君が殺したんだ」
キュウべえ「まどか」
キュウべえ「大好きなさやかを」
キュウべえ「君が」
キュウべえ「その手で」
まどか「……私が……」
突きつけられていくキュウべえの言葉に、まどかに襲う現実味は完全となってしまう
まどかはそれによりコンクリートの地面に崩れるようにへたり込み、放心してしまう
杏子それを横目にさやかの亡骸をゆっくりと下ろすと、キュウべえに詰め寄った
杏子「テメェ……騙したのか……!」
422: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 00:56:20.16:UnMFKfQe0 (2/18)
キュウべえ「僕は君たちを騙してなんかいないよ」
杏子「自分がこんなもんにになるなんて一度も言わなかったじゃねぇか!」
杏子が自分のソウルジェムを突きつける
それにキュウべえはもっともだと首肯した
キュウべえ「確かに言ってはいないね」
キュウべえ「でもそれは君らが聞かなかったからだよ」
キュウべえ「それを棚に上げて僕を責めるなんて、理不尽じゃないか」
杏子「……テメェ……ふざけやがって……!」
怒りに殺気をたぎらせるが、そんな杏子にキュウべえは理解出来ないとばかりにやれやれと首を振った
キュウべえ「やれやれ……君たちはいつもそうだね。魂が何なのかわかってすらいないのに、その場所が移っただけで騒ぎ立てる」
キュウべえ「わけがわからないよ」
キュウべえ「ね、まどか」
そう言ってキュウべえはまどかに顔を向け、つられて杏子もその顔を向ける
まどかは杏子が詰め寄っている間に、床に横たわらせたさやかの亡骸に近づき、ゆさゆさとその体を揺らしていた
キュウべえ「僕は君たちを騙してなんかいないよ」
杏子「自分がこんなもんにになるなんて一度も言わなかったじゃねぇか!」
杏子が自分のソウルジェムを突きつける
それにキュウべえはもっともだと首肯した
キュウべえ「確かに言ってはいないね」
キュウべえ「でもそれは君らが聞かなかったからだよ」
キュウべえ「それを棚に上げて僕を責めるなんて、理不尽じゃないか」
杏子「……テメェ……ふざけやがって……!」
怒りに殺気をたぎらせるが、そんな杏子にキュウべえは理解出来ないとばかりにやれやれと首を振った
キュウべえ「やれやれ……君たちはいつもそうだね。魂が何なのかわかってすらいないのに、その場所が移っただけで騒ぎ立てる」
キュウべえ「わけがわからないよ」
キュウべえ「ね、まどか」
そう言ってキュウべえはまどかに顔を向け、つられて杏子もその顔を向ける
まどかは杏子が詰め寄っている間に、床に横たわらせたさやかの亡骸に近づき、ゆさゆさとその体を揺らしていた
423: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:00:45.35:UnMFKfQe0 (3/18)
まどか「さやかちゃん。てぃひひ。起きてよ。ね?」
まどか「こんな所で寝てたら、風邪引いちゃうよ?ね?起きてよ?ね?」
まどか「あ、わかった。さやかちゃん私の事驚かそうとしてるんでしょ?もうさやかちゃんったらっ」
まどか「でもそんなさやかちゃんも大好きだよ。大好きなんだからっ。てぃひ、てぃひひひひひ」
虚ろな目から涙を流しながら、壊れたおもちゃのようにさやかの体を揺らし続ける
杏子はそんなまどかから思わず目をそむけ、俯き
キュウべえはその姿を橋の手摺りから無表情に見下ろしていた
杏子「……おい、もうやめろ」
まどかの姿に耐えかねた杏子がまどかの肩に手を掛け、さやかの亡骸から引き剥がそうとする
まどか「っ!」
しかしまどかはその手を力強く振り払うと、すぐに死体の揺さぶりに戻る
杏子「……やめろって言ってんだろ!そいつは」
そんなまどかに杏子は語気を強め、死体を揺さぶる腕を掴むが
まどか「あぁあああぁああッ!!!」
まどか「触るなぁッ!!
向けられるまどかの狂乱じみた顔と声に圧され、その手を離してしまう
まどか「さやかちゃん。てぃひひ。起きてよ。ね?」
まどか「こんな所で寝てたら、風邪引いちゃうよ?ね?起きてよ?ね?」
まどか「あ、わかった。さやかちゃん私の事驚かそうとしてるんでしょ?もうさやかちゃんったらっ」
まどか「でもそんなさやかちゃんも大好きだよ。大好きなんだからっ。てぃひ、てぃひひひひひ」
虚ろな目から涙を流しながら、壊れたおもちゃのようにさやかの体を揺らし続ける
杏子はそんなまどかから思わず目をそむけ、俯き
キュウべえはその姿を橋の手摺りから無表情に見下ろしていた
杏子「……おい、もうやめろ」
まどかの姿に耐えかねた杏子がまどかの肩に手を掛け、さやかの亡骸から引き剥がそうとする
まどか「っ!」
しかしまどかはその手を力強く振り払うと、すぐに死体の揺さぶりに戻る
杏子「……やめろって言ってんだろ!そいつは」
そんなまどかに杏子は語気を強め、死体を揺さぶる腕を掴むが
まどか「あぁあああぁああッ!!!」
まどか「触るなぁッ!!
向けられるまどかの狂乱じみた顔と声に圧され、その手を離してしまう
424: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:03:57.09:UnMFKfQe0 (4/18)
杏子の手が離れると、まどかはそのまま杏子に激しい憎しみの籠もる視線をぶつけ、喚き声を上げた
まどか「何で……何でさやかちゃんじゃなくてあなたが生きてるのよぉッ!!」
まどか「死んじゃえッ!!死んじゃえッ!!あなたが死しんじゃえば良かったんだッ!!」
まどか「さやかちゃんを酷い目に合わせたあなたがぁッ!!」
まどか「さやかちゃんを返してッ!!返してよォっ!!」
謂われのない罵倒と、支離滅裂な要求に、黙っていた杏子が怒りの表情を見せ、まどかの胸倉を掴む
杏子「……テメェがコイツを殺したんだろうが!!」
杏子「その元凶が人の事を責めるなんて良いご身分じゃねぇか!ああ!?」
お前が殺した
その言葉に大きく目を見開くと、まどかは顔をぐしゃぐしゃに歪め、その場に崩れ落ちた
そして漏れ始める嗚咽
そんなまどかの様子に杏子は自分の発言に後悔し、まどかの姿から再び目をそらした
杏子の手が離れると、まどかはそのまま杏子に激しい憎しみの籠もる視線をぶつけ、喚き声を上げた
まどか「何で……何でさやかちゃんじゃなくてあなたが生きてるのよぉッ!!」
まどか「死んじゃえッ!!死んじゃえッ!!あなたが死しんじゃえば良かったんだッ!!」
まどか「さやかちゃんを酷い目に合わせたあなたがぁッ!!」
まどか「さやかちゃんを返してッ!!返してよォっ!!」
謂われのない罵倒と、支離滅裂な要求に、黙っていた杏子が怒りの表情を見せ、まどかの胸倉を掴む
杏子「……テメェがコイツを殺したんだろうが!!」
杏子「その元凶が人の事を責めるなんて良いご身分じゃねぇか!ああ!?」
お前が殺した
その言葉に大きく目を見開くと、まどかは顔をぐしゃぐしゃに歪め、その場に崩れ落ちた
そして漏れ始める嗚咽
そんなまどかの様子に杏子は自分の発言に後悔し、まどかの姿から再び目をそらした
425: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:05:33.51:UnMFKfQe0 (5/18)
キュウべえ「まどか」
そこで傍観を決め込んでいたキュウべえが、手摺りの上から降り、うずくまるまどかの目の前にちょこんと腰を下ろす
キュウべえ「辛いかい?」
キュウべえ「苦しいかい?」
キュウべえ「悲しいかい?」
キュウべえ「寂しいかい?」
キュウべえ「悔しいかい?」
キュウべえ「憎いかい?」
キュウべえの口からたたみかけられる、まどかを襲う全ての感情
まどかは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔をゆっくりと上げ
はっきりと頷いた
キュウべえ「まどか」
そこで傍観を決め込んでいたキュウべえが、手摺りの上から降り、うずくまるまどかの目の前にちょこんと腰を下ろす
キュウべえ「辛いかい?」
キュウべえ「苦しいかい?」
キュウべえ「悲しいかい?」
キュウべえ「寂しいかい?」
キュウべえ「悔しいかい?」
キュウべえ「憎いかい?」
キュウべえの口からたたみかけられる、まどかを襲う全ての感情
まどかは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔をゆっくりと上げ
はっきりと頷いた
426: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:07:12.77:UnMFKfQe0 (6/18)
キュウべえ「そうか。なら……」
キュウべえ「救ってあげよう」
キュウべえ「その全てから、君を」
キュウべえが顔の形を変え、笑いの表情を作る
その姿はまるで、『天使』のようだった
杏子「お、おいっ!」
二人に制止の声を掛ける杏子だったが、二人がその声に耳を貸す様子はなかった
そして続けられる『天使』の囁き
キュウべえ「さあ、言ってごらん」
キュウべえ「君の願いを」
―――――――――――
キュウべえ「そうか。なら……」
キュウべえ「救ってあげよう」
キュウべえ「その全てから、君を」
キュウべえが顔の形を変え、笑いの表情を作る
その姿はまるで、『天使』のようだった
杏子「お、おいっ!」
二人に制止の声を掛ける杏子だったが、二人がその声に耳を貸す様子はなかった
そして続けられる『天使』の囁き
キュウべえ「さあ、言ってごらん」
キュウべえ「君の願いを」
―――――――――――
427: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:08:54.65:UnMFKfQe0 (7/18)
あたしは水の底にいる
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
体は濡れてなんかいないし、息も出来る
水があたしを押しつぶすこともないし、あたしの事を上に持ち上げる事もない
でも、あたしは深い水の底にいるんだ
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
あたしは水の底にいる
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
体は濡れてなんかいないし、息も出来る
水があたしを押しつぶすこともないし、あたしの事を上に持ち上げる事もない
でも、あたしは深い水の底にいるんだ
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
428: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:10:02.55:UnMFKfQe0 (8/18)
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
どうしてあたしはここにいるの?
どこからあたしはここに来たの?
いつからあたしはここにいるの?
解らない
今の所に来る前なんて、来た理由なんて、来た時間なんて
解らない
解っている事は
あたしは水の底にいる
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
それだけ
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
どうしてあたしはここにいるの?
どこからあたしはここに来たの?
いつからあたしはここにいるの?
解らない
今の所に来る前なんて、来た理由なんて、来た時間なんて
解らない
解っている事は
あたしは水の底にいる
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
あたしは水の底にいる
それだけ
429: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:10:55.84:UnMFKfQe0 (9/18)
あたしは水の底にいる
水の底から見上げる景色は真っ暗
上から見たらあたしはどんな風に見えるのかな
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
そこにいるあたしはどんな風に見えるのかな
あたしは水の
……あれ?
あたし……
あたしは水の底にいる
水の底から見上げる景色は真っ暗
上から見たらあたしはどんな風に見えるのかな
深い、深い、水の底
暗い、暗い、水の底
そこにいるあたしはどんな風に見えるのかな
あたしは水の
……あれ?
あたし……
430: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:12:46.04:UnMFKfQe0 (10/18)
ああ
そっか
戻らなきゃ
呼んでる
あたしを
水の上から
あたしを
……泣いてるの?
泣いてる
泣かないで
今
行くよ
行くから
ね
ああ
そっか
戻らなきゃ
呼んでる
あたしを
水の上から
あたしを
……泣いてるの?
泣いてる
泣かないで
今
行くよ
行くから
ね
431: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:13:39.26:UnMFKfQe0 (11/18)
まどか
まどか
432: ◆tsGpSwX8mo:2011/11/19(土) 01:15:22.67:UnMFKfQe0 (12/18)
―――――――――――――――
さやか「……ん……」
まどか「……あ……!」
さやか「……ま……ど……か……?」
まどか「さやかちゃんっ!!」
ゆっくり閉じていた瞳をあけ、さやかはその瞳にまどかを映す
その姿にまどかは悲しみに流していた涙を喜びのそれに変え、さやかの頭をきつく抱きしめた
まどか「うくっ……ううぅ……さやか……ちゃぁん……」
さやか「……あたし……?」
何故まどかが自分を抱きしめて涙を流しているのか、何故自分がこんな所で横になっているのか
さやかはぼんやりとその理由を考えたが、混濁する意識では答えを出す事は出来なかった
―――――――――――――――
さやか「……ん……」
まどか「……あ……!」
さやか「……ま……ど……か……?」
まどか「さやかちゃんっ!!」
ゆっくり閉じていた瞳をあけ、さやかはその瞳にまどかを映す
その姿にまどかは悲しみに流していた涙を喜びのそれに変え、さやかの頭をきつく抱きしめた
まどか「うくっ……ううぅ……さやか……ちゃぁん……」
さやか「……あたし……?」
何故まどかが自分を抱きしめて涙を流しているのか、何故自分がこんな所で横になっているのか
さやかはぼんやりとその理由を考えたが、混濁する意識では答えを出す事は出来なかった
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まどか「さやかちゃん」(その2)
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