1 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 00:58:52.880AkupfO90 (1/42)


注意点

・ポケモンのssです。

・初ssです。

・カッコの前に名前がついてないので読み取りが大変かもしれません。それは作者の文章力の無さのせいです。ごめんなさい。

・キャラが皆さんのイメージと大分違うかもしれません。色々こっちのが面白いかもとか探り探り書いています。

・ポケモン都市伝説とか裏話も真偽に関わらずちょくちょく取り入れていこうと思っています。

・このssは初代設定です。新しいポケモンとかは影は見せても出す気はありません。

・ポケスペ大好きです。サカキ様大好きです。

・設定に矛盾とか出てきてしまったらすいません。気をつけてはいますが・・。

・複線入れまくっているのでそこらも楽しんでいただけたら幸いです。

・ギャグ要素少なめですが、少しずつ頑張っていきます。

・所詮自己満ですが、楽しんで頂けるように頑張ります。



では、開始します。


2 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:06:39.990AkupfO90 (2/42)





人とポケモン。




これはある少年少女が、ポケモンという生き物を通じて色々な事を学び取っていく、成長の物語。




第一話




【前を見よう】







3 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:07:57.620AkupfO90 (3/42)



暖かい陽射しが干してある洗濯物の水分を蒸発させ、木々にエネルギーを与える。
人の心も暖かく穏やかにしていく昼下がり。
そんな中に少年が、一人。


「あんな授業なんて・・俺には必要ないよなー」


幼めに見える外見。
目につくのは赤を基調にした服に、キャップ。

木陰に寝転んでいた少年は、時たま漏れる木漏れ日に目を細め、ひねくれた口調でそう呟いた。


「・・・・」


深めにキャップを被り直し、また意識を昼寝へと傾けた。
服装の明るさとは真逆の、少し投げやりな台詞を吐いている少年の名は、レッド=フォーラス。
周りは彼をレッドと呼ぶ。


4 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:09:18.530AkupfO90 (4/42)


レッドが今いるのは、彼の住んでいる町、マサラタウン。

その町外れにある小高い丘だ。
世界は豊かな自然に満たされているが、中でもマサラは年中穏やかな気候と、青々とした木々や草花に囲まれ、小さな町である分緩やかに時間が流れている。
人やポケモンが暮らすのには大変適した環境だ。

その為、各地からポケモンの研究拠点としようと研究者が訪れる。
10年程前にはポケモン研究の筆頭に挙げられる著名な研究者もこの町に研究所を築いている。

ポケモンという生物と現在までの時を密接に暮らし、時には助け合い、時には戦ってきた人間にとって彼らは無くてはならないパートナーだ。
社会の中には必ずと言って良いくらいにポケモンが存在し、第一次・第二次・第三次産業、それら全てにポケモンは深く関わっている。
彼らがいなければ回らない、と言っていいだろう。
社会にはポケモンという存在に合わせた職業や産業、更には法律や制度が数多く存在している。


個々の家庭でもそれは変わらず、一家に1匹・・・どころでは無く一人に1匹、それが当たり前だ。
情操教育の一環として、命の大切さや儚さを学ぶ事に有効である、と政府からも、子供が幼いうちからポケモンと共に生活する事を推奨している。

レッドは今15歳、ポケモンというパートナーがいてもおかしくない年齢だ。
しかし、彼の隣りには何もいなかった。


5 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:10:46.060AkupfO90 (5/42)



気持ちのいい風がほのかに塩の香りを運んでくる。


マサラは森に囲まれているが、ある一面には海が見える。
海を渡るとグレンタウンという町があるそうだ。


風を感じながら瞼を閉じていると、丘の向こう側から鐘の音が聞こえてきた。


「そろそろ戻るか・・・」


そう呟くと、彼はだるそうに起き上がり、服を掃うと丘の向こう側へ歩いて行った。





6 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:12:27.730AkupfO90 (6/42)





学校に戻ってきた。
荷物を取りに戻らなければならない。登校したはいいが途中で抜け出してきたためだ。


さっきまで寝ていたのは学校の裏にある丘、その向こうにあるとある木の木陰。
そこは自分にとってとても思い入れのある場所で、嫌な事や辛い事があった時はそこで過ごしたし、友達や家族との楽しい思い出もいっぱいある、そんな特別な場所だった。

サボったし、またあいつ怒ってるだろうな。

そんな事を考えながら教室へ向かう。
校舎の中は授業も終わってほとんどの生徒が帰宅しているため静まり返っており、補習の授業を行っている教室からのみ、教師の声が漏れ聞こえてくる。
なんとなく教室を覗いてみる。頭の固そうな教師が壇上で黙々と語り続けている。


「・・・つまり・・・現代においてポケモントレーナーとは、ポケモンの生態を各地を旅する事によって観察し、捕獲したポケモンの育成を行う事によってまだまだ知られていないポケモンの実態を解明するのが主な目的というわけです。」
「その他、育成したポケモン同士を戦わせる事、一般で言うポケモンバトルですが、その行為も今ではエンターテイメントとして市場を大きくしめており、大規模な大会も多く開かれ、トレーナーとしてバトルを行う事も重要な役割となっています。」
「ポケモン産業が世界にとって最大の有益を生んでいるが故に、政府もポケモントレーナーをあらゆる面でサポートしています。」
「例をあげると、ポケモンセンターやトレーナー用の飲食店や病院など、その他にも色々ありますがその辺りが有名ですね。」

「さて、その様なポケモン産業ですが、その発展故に様々な犯罪も起こっており、その中核を担っていると言われるのが皆さんも知っているでしょうが__________です」


教師の声は睡魔を誘うような淡々とした口調であり、補習を受けている生徒は誰もが揃ってうつらうつらとしている。やる意味があるのか。思わずそう彼は思った。
ふと足を止めていたのを再び自分の教室に向ける。教師の声はだんだん小さくなっていく。





7 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:13:59.610AkupfO90 (7/42)



校舎の階段を上がり、自分の教室前に到着する。


扉を開けると、誰もいないであろう教室には、夕陽を背にふくれっ面の女の子が腰に手をあて立っていた。


「ねぇレッド・・・・あたし言ったわよね?」


その迫ってくる、問い詰めるかのような口調は、母親か、学校の生真面目な委員長のようだ。まぁ、実際委員長なのだが。


「これ以上授業サボったら許さないって・・・言ったわよね?」
「私はね、おばさまから頼まれてるのよ。レッドの事お願いね?って。なのに・・・」


女の子は大きく息を吸い込む。それと同時にレッドは耳を塞ぐ。これも慣れたものだ。レッドは次の爆発に備える。



「こ ん な に サ ボ ら れ た ら あ た し の 立 場 が な い じ ゃ 無 い の っ !!!!!!!!!!!」





8 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:15:11.380AkupfO90 (8/42)



空気が振動し、震えが体に伝わってくる。耳を塞いでもこの威力。これ・・・武器として使えるんじゃなかろうか・・。思わずそう思った。


「耳塞いでないでちゃんと答えなさいよ!」


彼女の表情はもはやふくれっ面というレベルから、般若の形相までレベルアップしている。
普段は明るく皆を元気にさせる笑顔を振りまく彼女をここまで変えさせるのは、彼だけだろう。
逆に言えば、彼女はそれだけレッドに気を許しているということでもあるが。


「いや・・・だってめんどくさいし・・・」

「何言ってるのよ!授業は全部あたしたちの将来に役に立つ物なのよ?」

「そんな事言われても・・っていうかあたしたちの将来ってなんだよ」

「そんなの決まってるじゃない!ポケモントレーナーになって世界を回る。そして色んな物を見て触れて、それで世界一のポケモントレーナーになるの!」
「小さい頃にレッドも言ってたじゃない・・・。俺は将来一番のポケモントレーナーになるんだ!ブルーも一緒に行こうよ!って。」
「だからポケモン生態学もトレーナー学も重要!なのに・・・なんでそればっかりサボるの?」

「・・だって・・・別にトレーナーとか考えてないしさー」




9 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:16:09.560AkupfO90 (9/42)



レッドはブルーから目を逸らしながら言った。ブルーの、彼女の切なそうな、訴えかけてくる目をどうしても直視出来なかった。
昔はそんな事無かった。

いつからだろう。彼女の綺麗な瞳をまっすぐ見つめられなくなったのは。

いつからだろう?いつからなのかはわかってる。未だにそれを振りきれてない自分。縛られている自分。

彼女はもう先に進もうと、前を向いて歩こうとしているのに。


答えを聞いた彼女は一瞬顔を寂しげに歪めた後、すぐに元の顔に戻って言い放った。


「そんな事言わないで行きましょうよ?今は・・・そうでも絶対その気にさせてみせるからね!」
「これからはちゃんと出るのよ?約束だからね?じゃあ!今日は帰りましょう。遅くなるとおばさまも心配するしねww」

「お、おい!引っ張るなよ!」


そのまま彼女に手を引っ張られ教室の外に連れ出される。
自分の手を握る彼女の手は、小さくて、可愛らしくて、暖かかった。
昔はあんなに弱弱しくて、自分が引っ張ってやってたのに。なんて幼い頃の記憶がふと蘇る。


なんだかんだでその手に引かれるまま家の前まで歩いてきて思い出す。




カバン・・・・忘れてきた。







10 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:18:02.840AkupfO90 (10/42)



夕暮れの道を歩き、家の前まで戻ってきた。
のどかな町であるが故に、騒音も無く、虫やポケモンの鳴き声が静かに聞こえてくる。そんな部分もこの町の魅力の一つだ。


「ただいま帰りました、おばさま」

「ただいまー」


ブルーが扉を開け帰宅を告げるのに自分も従った。

中からはとてもいい香りが漂ってくる。夕飯が丁度出来た時だったらしい。
料理の香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。ぐーっと自分のお腹が自己主張する。


「もう・・レッドったらはしたないわね・・」

「・・・うるさいな」


それを聞いたブルーが小馬鹿にしたように言ってくる。
そんなやり取りをしているとリビングから母親が顔を出した。





11 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:19:12.940AkupfO90 (11/42)



夕暮れの道を歩き、家の前まで戻ってきた。
のどかな町であるが故に、騒音も無く、虫やポケモンの鳴き声が静かに聞こえてくる。そんな部分もこの町の魅力の一つだ。


「ただいま帰りました、おばさま」

「ただいまー」


ブルーが扉を開け帰宅を告げるのに自分も従った。

中からはとてもいい香りが漂ってくる。夕飯が丁度出来た時だったらしい。
料理の香ばしい香りが鼻腔をくすぐる。ぐーっと自分のお腹が自己主張する。


「もう・・レッドったらはしたないわね・・」

「・・・うるさいな」


それを聞いたブルーが小馬鹿にしたように言ってくる。
そんなやり取りをしているとリビングから母親が顔を出した。





12 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:20:46.070AkupfO90 (12/42)



「あら、二人ともお帰り!もう晩御飯は出来てるわよ。手を洗ってらっしゃい、冷めないうちにホラホラ!」


母親が急かせる様に手を叩きながら言う。
ブルーと二人でそれに従い、夕食の席に着いた。


「今日も美味しそうですね!・・・いつもありがとうございますおばさま」

「何言ってんの!ブルーちゃんはうちの子なんだから、余計な気づかいしなくていいの!さ、早く食べなさい!」

「・・・・はい!頂きます!」


そう言ってブルーは食事に手をつけ始める。その笑顔はとても幸せそうだ。
そんな顔をこれまた幸せそうな笑顔で見つめる自分の母親。なんとなくこちらも幸せな気分になった。


「・・いただきます」


そう呟いて自分も料理に手をつけ始める。やはりおいしい。

自分の母ながら、料理の腕はかなりのものだと思う。快活でいつも笑顔を絶やさない豪快な母親。
少し子供っぽい所があるが、それも含めていいところなのだろう。
父親もそんなところに惹かれたのだろうか、そんな事をふと考えた。



13 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:21:48.540AkupfO90 (13/42)



「レッドもブルーちゃんのそういう部分から少しでも影響されればいいのにねぇ・・。この馬鹿息子は授業サボってばっかでホント・・真面目に受けなさいよ!」

「うるさいな・・・大体の授業は出てるし、成績だって問題無いだろ?」

「そういう問題じゃないでしょうが!ったく・・お父さんにもなんか言ってもらわないとね・・」


こういう小言もいつもの日常風景だ。
そういえばこの母とブルーが被ることがある。彼女も母に影響されているのだろうか。
昔の彼女と今の彼女は大違いだ。


「そういえば、おじさまは今日は・・?」

「ああ、確かもうすぐ帰ってくるハズよ。今日は研究もそんなに煮詰まってないって言ってたし」


そんな会話をしていると玄関から声がした。


「噂をすればなんとやらねwwwwちょっと行ってくるわ」


そう言って席を立つ母親。
リビングを出て行ってからすぐにコートと荷物を抱えた母親と、父親がネクタイを緩めながら入ってきた。





14 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:23:23.760AkupfO90 (14/42)



「お帰りなさいおじさま!」

「おかえり」

「やぁただいまブルーちゃん、レッド。もうちょっと早く帰りたかったんだが、急に少し立て込んでねー。参った参った」


少し疲れた顔をしながら入ってきた父は椅子に腰かけた。


「立て込んだって、なにかあったんですか?」

「あーいやいや、大した事じゃないんだよ。事件があったとかでは無いからさ。なんと言ってもマサラは平和だしね。」

「ふーん・・あ!最近噂の【ロケット団】とかと関係があったり?!」

「はははは!ホントにブルーちゃんは好奇心が旺盛だねwwこういう時は本当にwwww」
「でもいくらブルーちゃんでもそれは教えてあげられないね。守秘義務があるもんだからさ。」

「えー・・・残念」





15 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:24:15.970AkupfO90 (15/42)



「お帰りなさいおじさま!」

「おかえり」

「やぁただいまブルーちゃん、レッド。もうちょっと早く帰りたかったんだが、急に少し立て込んでねー。参った参った」


少し疲れた顔をしながら入ってきた父は椅子に腰かけた。


「立て込んだって、なにかあったんですか?」

「あーいやいや、大した事じゃないんだよ。事件があったとかでは無いからさ。なんと言ってもマサラは平和だしね。」

「ふーん・・あ!最近噂の【ロケット団】とかと関係があったり?!」

「はははは!ホントにブルーちゃんは好奇心が旺盛だねwwこういう時は本当にwwww」
「でもいくらブルーちゃんでもそれは教えてあげられないね。守秘義務があるもんだからさ。」

「えー・・・残念」





16 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:24:46.570AkupfO90 (16/42)



「お帰りなさいおじさま!」

「おかえり」

「やぁただいまブルーちゃん、レッド。もうちょっと早く帰りたかったんだが、急に少し立て込んでねー。参った参った」


少し疲れた顔をしながら入ってきた父は椅子に腰かけた。


「立て込んだって、なにかあったんですか?」

「あーいやいや、大した事じゃないんだよ。事件があったとかでは無いからさ。なんと言ってもマサラは平和だしね。」

「ふーん・・あ!最近噂の【ロケット団】とかと関係があったり?!」

「はははは!ホントにブルーちゃんは好奇心が旺盛だねwwこういう時は本当にwwww」
「でもいくらブルーちゃんでもそれは教えてあげられないね。守秘義務があるもんだからさ。」

「えー・・・残念」





17 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:27:25.720AkupfO90 (17/42)



ロケット団。それは今世間で一番注目されている組織だ。
巷で起こっているポケモン関連の犯罪はロケット団が大体関与しているとの噂もある。

だが、それは飽くまで噂の域を出ない。何故ならロケット団員が実際に逮捕されて正式にニュースになった事も無いし、そもそも実在するのかも疑わしい。
それでもその存在が考えられている理由、それは、ポケモン密輸業者が捕まった事件にある。

いや、捕まったというより、自首してきた、というのが正しいだろう。


その業者が自首してきた理由、それは、【ロケット団から自分を保護してほしい】というものであった。
男の話を聞くと

「自分はポケモンの密輸をしていたのだが、そこでヘマをして密輸してきたポケモンを数匹逃がしてしまった。それをロケット団に知られてしまうと消されてしまう。」
「だからなんでも話すから保護してくれ」

というものだった。
警察は男の話をとりあえず話半分に聞いて、その男を留置所に留置した。
男は、それなら安心だと喜んでそれを受け入れた。




18 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:29:13.590AkupfO90 (18/42)



だが、それから3日後。その男は留置所で命を失っていた。
留置所の警備担当も全く知らぬ間に、音もなく。


男の死因は窒息死。首を縄の様な物で縛られて死亡した様だが、肝心の縄の様な物は見つからなかった。男の死に顔は恐怖一色に染まっていたという。
結局それ以上はなにもわからずそれで事件は終了。

ポケモン密輸の件も、男が言っていた場所には何も残っておらず、うやむやに消えてしまった。

だがその事件の話はどこから漏れたのか雑誌などで掲載さればらまかれ、今では都市伝説の様な扱いになっている。
様々な事件の裏で暗躍する謎の組織、その響きは人を引き付けるものがあったからだ。
最近相次いでいる誘拐事件やその他の事件にも、ロケット団が糸を引いている等の噂がついて回っている。






19 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:30:19.690AkupfO90 (19/42)



だが、それから3日後。その男は留置所で命を失っていた。
留置所の警備担当も全く知らぬ間に、音もなく。


男の死因は窒息死。首を縄の様な物で縛られて死亡した様だが、肝心の縄の様な物は見つからなかった。男の死に顔は恐怖一色に染まっていたという。
結局それ以上はなにもわからずそれで事件は終了。

ポケモン密輸の件も、男が言っていた場所には何も残っておらず、うやむやに消えてしまった。

だがその事件の話はどこから漏れたのか雑誌などで掲載さればらまかれ、今では都市伝説の様な扱いになっている。
様々な事件の裏で暗躍する謎の組織、その響きは人を引き付けるものがあったからだ。
最近相次いでいる誘拐事件やその他の事件にも、ロケット団が糸を引いている等の噂がついて回っている。






20 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:32:52.250AkupfO90 (20/42)



しかし、噂は噂。子供が興味を示して話題になう程度の話だ。大人なら大体が笑い飛ばす、そして警察官である父なら尚更である、はずだったのだが。
ブルーがその単語を出した瞬間、父親の顔が何故か一瞬引き攣った。


質問した本人は気づいてなかったようだが、今のはなんなんだ?
横で聞いていたレッドは微妙な違和感を感じたが、



「そうだ!それよりも、もう二人とも16になるね。そろそろ学校も卒業だ。二人はどうするか考えてるのかい?」


そんな違和感を流してしまうかのように話題が変わった。


「あたしは・・・ポケモントレーナーになろうと思っています。トレーナーになって世界を回って、色んな物を見たいんです」
「そして、最高のポケモントレーナーになる、それがあたしの目標です」




21 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:34:33.640AkupfO90 (21/42)



そう真剣な顔で話すブルーは、もう一言付け加えた。


「・・・勿論レッドと一緒にね」


そう言ってこちらを見つめる彼女の目に正面から答える事が出来ず、レッドは目を伏せた。


「そうか・・・。ではレッドはどうなんだい?どうしようと考えてる?」

「そんなの・・まだわかんない」

「そっか。でもね、もうそろそろ考えないとね。」

「・・・わかってる」


レッドは決めかねていた。本当に自分が何をしたいのか。

しかし過去の重みが、彼の心をいつまでも圧迫し、放してはくれなかった。
ブルーと一緒に旅に出たい思いはある。きっと彼女とならどんなに辛くても大変でも、乗り切ることが出来るであろう事もわかっている。


だが、自分がそれを望んでいいのか。

彼女をこの様な状況に置かせてしまった自分が。

それは身分を弁えない行為ではないのか。

彼女は本当に望んでくれているのだろうか。


わからない。




22 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:36:05.420AkupfO90 (22/42)



そう真剣な顔で話すブルーは、もう一言付け加えた。


「・・・勿論レッドと一緒にね」


そう言ってこちらを見つめる彼女の目に正面から答える事が出来ず、レッドは目を伏せた。


「そうか・・・。ではレッドはどうなんだい?どうしようと考えてる?」

「そんなの・・まだわかんない」

「そっか。でもね、もうそろそろ考えないとね。」

「・・・わかってる」


レッドは決めかねていた。本当に自分が何をしたいのか。

しかし過去の重みが、彼の心をいつまでも圧迫し、放してはくれなかった。
ブルーと一緒に旅に出たい思いはある。きっと彼女とならどんなに辛くても大変でも、乗り切ることが出来るであろう事もわかっている。


だが、自分がそれを望んでいいのか。

彼女をこの様な状況に置かせてしまった自分が。

それは身分を弁えない行為ではないのか。

彼女は本当に望んでくれているのだろうか。


わからない。




23 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:37:55.270AkupfO90 (23/42)



そう真剣な顔で話すブルーは、もう一言付け加えた。


「・・・勿論レッドと一緒にね」


そう言ってこちらを見つめる彼女の目に正面から答える事が出来ず、レッドは目を伏せた。


「そうか・・・。ではレッドはどうなんだい?どうしようと考えてる?」

「そんなの・・まだわかんない」

「そっか。でもね、もうそろそろ考えないとね。」

「・・・わかってる」


レッドは決めかねていた。本当に自分が何をしたいのか。

しかし過去の重みが、彼の心をいつまでも圧迫し、放してはくれなかった。
ブルーと一緒に旅に出たい思いはある。きっと彼女とならどんなに辛くても大変でも、乗り切ることが出来るであろう事もわかっている。


だが、自分がそれを望んでいいのか。

彼女をこの様な状況に置かせてしまった自分が。

それは身分を弁えない行為ではないのか。

彼女は本当に望んでくれているのだろうか。


わからない。




24 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:40:46.650AkupfO90 (24/42)



「僕はね、旅に出た方がいいと思ってる」

「・・・なんで?」

「レッドはね、もっと広い世界を見てくるべきだと思う。きっとそうする事でお前の世界も大きく広がるだろう」
「別にお前を追い出したい訳じゃないよ。けどね、レッド。お前・・・・自分が好きじゃないだろう?」

「・・・・・・・・」

「未だにお前は自分を許せないで、自分を認めてやらないでいる」
「一番近くにいる人が認めてくれているのに、お前は

「っ!けど!俺はそんな資格ない!人から何もかも奪ってしまった最低の奴なんだよ!!!」

「結果的にはそうなってしまったのかもしれない。しかし、それを決めるのはお前じゃない」
「彼女は一度も、今まで一度もそう思ったことはない。・・・・そうだろう?ブルーちゃん」


ブルーに話を振る父は、優しく問いかけるように言った。
ブルーはレッドを見つめながら答える。優しく、微笑みながら。


「レッド、ごめんね。私のせいでずっと苦しめて。」


少しずつ、だけどしっかりとブルーは語りだす。





25 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:42:46.870AkupfO90 (25/42)



「6年前。あたしのお母さんとお父さんが亡くなった日。確かにあの時あたしは沢山の物を失ったわ」
「そして、あたしはこの傷を負い、貴方はかけがえのない友達を失った」


そう首筋を撫でながら彼女は言った。


「あの時からよね。貴方がポケモンと関わらなく、そしてあんなに明るく社交的でやんちゃだったのが暗く静かになってしまったのは」
「責任を感じたんでしょう?レッドは優しいから・・・。けどね、そんなに貴方が背負う必要は無いのよ。」
「あたしは今ではレッドに感謝してる!確かにお母さんとお父さんがいなくなってしまったのは悲しいよ。寂しいよ。」


思わず、唇を噛んだ。




26 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:44:26.260AkupfO90 (26/42)



「6年前。あたしのお母さんとお父さんが亡くなった日。確かにあの時あたしは沢山の物を失ったわ」
「そして、あたしはこの傷を負い、貴方はかけがえのない友達を失った」


そう首筋を撫でながら彼女は言った。


「あの時からよね。貴方がポケモンと関わらなく、そしてあんなに明るく社交的でやんちゃだったのが暗く静かになってしまったのは」
「責任を感じたんでしょう?レッドは優しいから・・・。けどね、そんなに貴方が背負う必要は無いのよ。」
「あたしは今ではレッドに感謝してる!確かにお母さんとお父さんがいなくなってしまったのは悲しいよ。寂しいよ。」


思わず、唇を噛んだ。




27 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:45:59.130AkupfO90 (27/42)



「6年前。あたしのお母さんとお父さんが亡くなった日。確かにあの時あたしは沢山の物を失ったわ」
「そして、あたしはこの傷を負い、貴方はかけがえのない友達を失った」


そう首筋を撫でながら彼女は言った。


「あの時からよね。貴方がポケモンと関わらなく、そしてあんなに明るく社交的でやんちゃだったのが暗く静かになってしまったのは」
「責任を感じたんでしょう?レッドは優しいから・・・。けどね、そんなに貴方が背負う必要は無いのよ。」
「あたしは今ではレッドに感謝してる!確かにお母さんとお父さんがいなくなってしまったのは悲しいよ。寂しいよ。」


思わず、唇を噛んだ。




28 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:46:54.210AkupfO90 (28/42)



「6年前。あたしのお母さんとお父さんが亡くなった日。確かにあの時あたしは沢山の物を失ったわ」
「そして、あたしはこの傷を負い、貴方はかけがえのない友達を失った」


そう首筋を撫でながら彼女は言った。


「あの時からよね。貴方がポケモンと関わらなく、そしてあんなに明るく社交的でやんちゃだったのが暗く静かになってしまったのは」
「責任を感じたんでしょう?レッドは優しいから・・・。けどね、そんなに貴方が背負う必要は無いのよ。」
「あたしは今ではレッドに感謝してる!確かにお母さんとお父さんがいなくなってしまったのは悲しいよ。寂しいよ。」


思わず、唇を噛んだ。




29 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:48:00.300AkupfO90 (29/42)

ちょwwwwwwなんかめっさ投稿されとるwwwwwwwwwwww


30 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:51:05.280AkupfO90 (30/42)



「けどね!あたし、それ以上にレッドに沢山救ってもらった!楽しい思い出いっぱい作ってもらったし、安心させてもらえた!」
「あたしはねレッド、貴方を恨んだりしてないし、貴方が苦しむのを望んでもいない!あたしはレッドにもう一度元気になってもらいたい!」
「昔の様な明るい笑顔が見たいの!あなたの笑い声が聞きたいの!そして・・・・」


「あなたの夢を、いえ、あたしの夢を一緒に叶えたい。ただそれだけ。」

「レッド・・?一緒に行こう?色々見に行こうよ。あたしはレッドと一緒にいたい。一緒に生きたいの」
「レッドがポケモン大好きなのは知ってる。けど、あたしのためにわざと関わらなかったんだよね?」
「思い出させちゃうからって。大好きな友達ともお別れして・・・」

「けどね、もう大丈夫!最初は怖かったけど、あたしはもう、大丈夫だから。」

「レッドも・・・我慢しなくていいんだよ?」





31 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:53:51.070AkupfO90 (31/42)

震える喉から、無理やり絞りだそうとするが、声が出ない。
何度も何度も試みて、やっと一言が出せた。


「・・・・いいのか」


かすれた様な一言になってしまった。


「いいの。もう、責任感じなくてもいいの。」

「こんな俺でも、一緒に行っていいのか?」

「だーかーらー!言ってるじゃんさっきから!一緒に行きたいって!」
「レッドはさ、どうなの?」




32 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:55:03.640AkupfO90 (32/42)




俺はどうしたい。


俺は何を望んでいた。


何を心から望んでいた。


「俺は


決まっている。


「俺は、ブルーと


最初っから答えは出てるじゃないか。





「俺はブルーと行きたいっ!!」





やっと、口に出せた。

ずっと秘めていた押さえつけていた想いを。
やっと。




33 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:56:38.870AkupfO90 (33/42)




「俺と、一緒に旅に出てくれるか?」




俺は問う。

答えは俺の気持と同じで分かっている。
けどそれは楽観では無く、信頼。

きっと。

きっと。


だから俺は彼女の顔を

瞳を


正面から見据える。







もう逸らしはしない。



彼女もうるんだ瞳で俺の瞳を真っ直ぐ見据える。















「勿論っ!」












そう言って涙を流しながらはにかむ彼女の笑顔は









きっと世界で一番一番美しいものだろうと思った。







34 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 01:59:43.910AkupfO90 (34/42)


一話終了。

ということで山場も何もないですし、ありきたりな展開になってしまいましたが・・・・冒頭の導入部なので仕方ないと・・・・
これからも数話はあまり動きがないかもしれませんが、どんどん盛り上げていくつもりです。


ロケット団とかがどう動くか、早く書きたいです。

2話は今週中には投稿します。

お粗末様でした。


35 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 02:00:27.580AkupfO90 (35/42)


一話終了。

ということで山場も何もないですし、ありきたりな展開になってしまいましたが・・・・冒頭の導入部なので仕方ないと・・・・
これからも数話はあまり動きがないかもしれませんが、どんどん盛り上げていくつもりです。


ロケット団とかがどう動くか、早く書きたいです。

2話は今週中には投稿します。

お粗末様でした。


36 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 02:01:20.120AkupfO90 (36/42)

なんで二重投稿になるんだ・・・・orz



37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/11(火) 02:11:20.18SRI/X2lZ0 (1/1)

乙。
二回も言うほどロケット団のことを書きたいのかww


38 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 02:14:08.480AkupfO90 (37/42)

ありがとうございますww
書きたいのは確かなのですが二重投稿ではアピールしませんwwwwwwww

これから楽しんで頂けるように頑張っていきますね。
おやすみなさい。


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/11(火) 02:25:01.54rJleeGyIO (1/2)

草は早して欲しくないわ。
地の文があるんだから、それで伝えられない?


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/11(火) 02:26:11.62rJleeGyIO (2/2)

草は早して欲しくないわ。
地の文があるんだから、それで伝えられない?


41 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 02:52:08.820AkupfO90 (38/42)

うーむ・・・実は自分も草は生やしたくなかったんですが、使った方がわかりやすいかなと思って使ってみたんです・・・

そうですね、そうおっしゃって下さる方がいるなら地の文で表現していく事にします。
草使うと雰囲気壊れてしまいますしね。どもです。



42 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 02:54:55.070AkupfO90 (39/42)

>>9


レッドはブルーから目を逸らしながら言った。ブルーの、彼女の切なそうな、訴えかけてくる目をどうしても直視出来なかった。
昔はそんな事無かった。

いつからだろう。彼女の綺麗な瞳をまっすぐ見つめられなくなったのは。

いつからだろう?いつからなのかはわかってる。未だにそれを振りきれてない自分。縛られている自分。

彼女はもう先に進もうと、前を向いて歩こうとしているのに。


答えを聞いた彼女は一瞬顔を寂しげに歪めた後、すぐに元の顔に戻って言い放った。


「そんな事言わないで行きましょうよ?今は・・・そうでも絶対その気にさせてみせるからね!」
「これからはちゃんと出るのよ?約束だからね?じゃあ!今日は帰りましょう。遅くなるとおばさまも心配するしね」

「お、おい!引っ張るなよ!」


そのまま彼女に手を引っ張られ教室の外に連れ出される。
自分の手を握る彼女の手は、小さくて、可愛らしくて、暖かかった。
昔はあんなに弱弱しくて、自分が引っ張ってやってたのに。なんて幼い頃の記憶がふと蘇る。


なんだかんだでその手に引かれるまま家の前まで歩いてきて思い出す。




カバン・・・・忘れてきた。





43 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 02:57:37.110AkupfO90 (40/42)

>>13



「レッドもブルーちゃんのそういう部分から少しでも影響されればいいのにねぇ・・。この馬鹿息子は授業サボってばっかでホント・・真面目に受けなさいよ!」

「うるさいな・・・大体の授業は出てるし、成績だって問題無いだろ?」

「そういう問題じゃないでしょうが!ったく・・お父さんにもなんか言ってもらわないとね・・」


こういう小言もいつもの日常風景だ。
そういえばこの母とブルーが被ることがある。彼女も母に影響されているのだろうか。
昔の彼女と今の彼女は大違いだ。


「そういえば、おじさまは今日は・・?」

「ああ、確かもうすぐ帰ってくるハズよ。今日は研究もそんなに煮詰まってないって言ってたし」


そんな会話をしていると玄関から声がした。


「噂をすればなんとやらね!ちょっと行ってくるわ」


そう言って席を立つ母親。
リビングを出て行ってからすぐにコートと荷物を抱えた母親と、父親がネクタイを緩めながら入ってきた。






44 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 03:00:33.930AkupfO90 (41/42)

>>14



「お帰りなさいおじさま!」

「おかえり」

「やぁただいまブルーちゃん、レッド。もうちょっと早く帰りたかったんだが、急に少し立て込んでねー。参った参った」


少し疲れた顔をしながら入ってきた父は椅子に腰かけた。


「立て込んだって、なにかあったんですか?」

「あーいやいや、大した事じゃないんだよ。事件があったとかでは無いからさ。なんと言ってもマサラは平和だしね。」

「ふーん・・あ!最近噂の【ロケット団】とかと関係があったり?!」

「はははは!ホントにブルーちゃんは好奇心が旺盛だね、こういう時は本当に」
「でもいくらブルーちゃんでもそれは教えてあげられないね。守秘義務があるもんだからさ。」

「えー・・・残念」



45 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/11(火) 03:02:14.980AkupfO90 (42/42)

修正終わったので寝ます、おやすみなさいzz


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府) [sage] 2011/10/11(火) 14:47:11.81IdpKLzu/0 (1/1)

お疲れ 乙じゃなくお疲れ

ゆっくり休んで俺たちをwkwkさせてくれ


47 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 03:14:12.58k6fhlDLc0 (1/1)

2話がとりあえず完成したので夜にでも投下します。

早く熱い展開が書きたい・・・


48 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 17:27:36.33giDuWvSy0 (1/25)

第二話投下します。
山場がなくてありきたりで申し訳ない・・・


49 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 17:30:43.05giDuWvSy0 (2/25)




「さて!二人の門出も決まったことだし、今日は目出度い日だね!母さん!お祝いしよう!!」


レッドがやっと素直な気持ちを言うことが出来て、二人の意志が重なった。
それを横で見ていた父は、心底嬉しそうにそう投げかけた。


「全く・・・お父さんが飲みたいだけじゃないでしょうね?」


投げかけた先には、リビングの入口からこちらも飛びっきりの笑みを浮かべた母が立っている。
いつからいたのだろうか。まぁ恐らく最初から聞かれていたのだろう。
雰囲気を察して出てこなかった、大らかに見えてかなりの気の付く母の事だ、そんなところだろう、レッドはそう思った。


「いやいや!そんな事は無いよ!とにかくビールお願いするよ母さん!」

「はいはい」


やれやれと言った口調でキッチンに向かう母。
それを見て嬉しそうに微笑んでいるブルー。頬に涙の跡は残っているが、それは二人の夢の第一歩を踏み出せた事の証。




50 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 17:33:00.47giDuWvSy0 (3/25)



いや、まだ一歩にも満たないけれど、何よりも大きな前進。

近々二人は前へその足を踏み出す事になる。



彼らは知らない、その先にある困難を。


彼らは知らない、その先にある試練を。


彼らは知らない、その先にある出会いを。



しかし今だけは、そんな事は関係ない。
今この瞬間の喜びを、幸せを噛みしめる、それが大切なのだ。



食卓に並ぶ暖かい笑顔の片隅で

普段あまり笑わない彼が大きな喜びをひとつひとつ噛みしめるように小さく微笑んでいた事に気づいたのは




その隣にいた彼女だけかもしれない。





51 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 17:35:25.94giDuWvSy0 (4/25)







第二話







【どちらかではなく】












52 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 17:39:01.13giDuWvSy0 (5/25)





真夜中。


物音は殆ど聞こえない。静かな夜

ある真っ暗な部屋でもそれは同じ。
静かな静寂の中で唯一響き渡るのは、キーボードのタイプ音。
不規則に繰り返されるそれはなかなか止むことはなかった。

唯一光が漏れているPCの、その前に座っている少年はキーボードを打ち終えると部屋の中を何気なく見渡した。
あまり家具が存在しない部屋の中。あるのはマンガやゲームが少々に、積み上げられた大量のポケモン関連の雑誌や書籍くらいだった。


そしてもう一つ。
彼にとって最も大切な存在である、一番の友達で、家族であるガーディーが、ベットの上で静かな寝息を立てていた。

その穏やかな寝顔を見て優しげに彼はほほ笑むと、またPCに向きなおった。


53 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 17:42:21.56giDuWvSy0 (6/25)




《へぇー・・・そんな事があるんですね》


そうPCに再びタイピングする彼の名は、グリーン。


レッドやブルーと同じクラスであり、クラスでは目立たない、弱気な少年だった。
積極的に人に関わっていくことが出来ない彼は、いじめられることはないがクラスでも友人がほとんどおらず、話すのは委員長であるブルー程度であった。
それも相手から話しかけられないと話せず、話をしても人の目を、女の子の目など特に、まっすぐ見て話す事なんて出来ない、そんな奥手で気弱な少年なのだった。

そんな彼ではあったが、ひとつだけ、大好きなものがあった。
それが、ポケモンである。
グリーンには人一倍ポケモンの知識があった。それはポケモン研究の権威である祖父がいたからかもしれない。

だがそれだけでは無いのだ。彼にはポケモンを愛する心があった。
自分から率先してポケモンについての事を調べ、学び、祖父にもいろいろ教えてもらいながら知識を積み重ねていった。
その甲斐もあって、彼は学業において、ことポケモンについての科目においては同年代に比較出来る者がいないほどである。

教師からは研究者の道を熱心に勧められ、祖父の事もあり、【自分は将来科学者になっておじいちゃんを手伝うんだ!】そうずっと考えてい
た。





54 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:16:03.69giDuWvSy0 (7/25)



《そうそうwwwwww中々楽しい出会いも多いもんだよwwww》
《だから旅は止められない、危険もついて回るんだけどねww》


しかし、ある事があってからは、その選択にも迷いが生じ出している。
いや、迷いというよりも、新しい選択肢と言った方が正しいだろう。

今まではずっと研究者だけを考えていたし、他の選択肢なんか頭のどこにもなかった。

だが今は、【研究者】として室内で研究するのでは無く、【ポケモントレーナー】として各地を回ってみたいと、そう思いだしていた。





55 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:18:28.80giDuWvSy0 (8/25)



《いいですねww僕もそんな旅してみたいですwwww》

《出来るよwwwwww誰だって、一歩踏み出せば違う世界が広がってるもんさ》
《それを怖がらないで自分で選びとるかとらないか、それだけだよ》

《でも、僕には無理ですよwwww弱虫ですしwwwwwwww》


グリーンは自分でそう書き込みながらも、悔しそうな、複雑な表情を浮かべている。

【弱虫】

それは一番自分の中で嫌いな部分であり、そう思っていても認めざるを得ないものだった。


《そんな事は無いよ。今まで君とチャットをしてきたけど、君がとっても優しい子だってのは知ってる》
《その優しさがあれば、旅に出てしまえば弱虫なんか卒業出来るよ》
《あとね、君は弱虫な自分が嫌いだと言うけれど、弱虫だからこそ出来る事もあるんだよ?》





56 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:20:26.39giDuWvSy0 (9/25)



チャットの返事を見て考える。
弱虫だからこそ出来る事?そんなのあるのだろうか。

この人はたまにこういうよく理解出来ない事を言ってくる。

グリーンは、数ヶ月前からこの名も知らぬ人物とチャットをしている。
トレーナーに興味を持ったグリーンがネットを散策している時に、たまたま見つけたチャットサイト。
そこに何気なく書き込みをしてみると、この人物が気さくに話しかけてきたのだった。

彼は話を聞くとポケモントレーナーで、今は旅の途中らしい。
携帯端末からたまにアクセスしてくるこの人物とチャットをして、色々な事を聞くのがグリーンは楽しみだった。


《っとまあこんなところで、充電切れそうだから落ちるねwwwwwwwwじゃあまたノシ》


《はい、今日もありがとうございましたノシ》


そう言って自分もチャットサイトを閉じる。
時計を見るともう深夜2時を回っている、チャットをすると毎回こんな感じだ。




57 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:38:52.60giDuWvSy0 (10/25)




PCを閉じて、彼の友達が寝ているベットに横になる。


トレーナーか。
こんな自分にもなれるのだろうか。
出来るなら、なってみたい。弱虫な自分を変えられるのなら。
世界を、見てみたい。



そんな事を考えながらガーディを撫でていると、意識は自然にまどろみの中に落ちて行った。





58 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:39:49.13giDuWvSy0 (11/25)




学校ではいつも窓際最後列の自分の席で本を読んで過ごす。
そこは学校で自分が唯一落ち着く場所であり、目立つこともなく、とても居心地がよかった。

そしてそこは後方からクラス全体を見渡せる場所でもあるため、クラス内の会話が読書をしている自分の耳にも自然に届いてくるのだった。


「ねぇ聞いた?結局レッド君もポケモントレーナーになるんだって!」

「あんなに授業避けてたのに?なにかあったのかしら」

「そりゃあ勿論!ブルーちゃんと何かあったに決まってるわよ」

「そうよねー。ブルーちゃんとかあからさまにレッド君の事好きっぽいし」

「ねー!わっかりやすいわよねー!けどレッド君は気づいて無さそう。彼そういうタイプっぽいよね」

「あーわかるわかる!でもまああの二人なら上手くいくんじゃない?なぜかそんな気がする」

「あたしもー。はぁ・・・どっかにいい相手落ちてないかしら・・・」

「あれ?あのコダックに似た彼氏どうしたの?」

「人の恋人コダック言うな!!・・・・・別れたわよ・・・」

「えーマジー?!」




59 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:41:11.56giDuWvSy0 (12/25)



クラスの噂好きな女子の会話、なぜあんな大声で噂話なんて出来るのだろう、グリーンは思わずそう思った。



それにしても、そうか。あの二人は結局ポケモントレーナーになるのか。
委員長は前から公言していたが、あのレッドと呼ばれている彼ががそう言いだしたなんて正直驚いた。

彼はそもそもポケモン関連の授業にほとんど出ようとしなかったし、ポケモンが嫌いなんだと思っていた。
幼馴染であるという委員長の説教をいくらくらおうとも頑なに拒否していた彼がまさか。


ポケモントレーナーは、そんな彼を突き動かす程に素晴らしいものなんだろうか。

ポケモントレーナーを目指せば、僕も弱虫から卒業出来るんだろうか。


昨夜のチャットの彼の言葉が蘇ってくる。




60 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:45:55.22giDuWvSy0 (13/25)



迷っていた。
かつてないほどの人生の大きな選択肢に、分かれ道に。
こんなに悩んだことは本当に初めてだった。

昔は本当に単純に科学者になりたかった。
ただただ大きい意味も無く、なんとなく。
それでもポケモンが大好きだから、そんな曖昧な方向性でも頑張ってきた。頑張ってこれた。

だが今回、新しい道を提示され、その魅力を聞かされ、その道を選ぶ事できっと何かを得られると感覚的に考えてしまっている。


「どうしよう・・」


彼は窓の外を眺めながら呟いた。
その時ふっとある人物の顔が浮かぶ。


「そうだ、お祖父ちゃんに相談してみよう」


なぜ今まで思いつかなかったのか自分でもわからない。
最近は一人で悩む事に夢中になって、人に考えを、意見を求めるのを忘れてしまっていた。

きっと。祖父ならきっといい意見を貰える。


今日学校が終わったら研究所に向かってみよう。
そう考え、少しスッキリした顔でグリーンは再び本を開いた。





61 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:46:37.26giDuWvSy0 (14/25)




マサラタウンで一番大きな研究所、それがポケモン学の世界的権威であり、グリーンの祖父でもあるオーキド博士の仕事場である。
オーキド博士の名前を知らない科学者はこの世界に殆どいないであろう、それほどの人物なのである。

オーキドが発見したものや、発表した論文は数知れない。


【ポケットモンスターの交配においての遺伝子の優性・劣性について】

【ポケットモンスターの生態と遺伝子構造との関係の有無について】

【コイキングからギャラドスに変異する過程において、その遺伝子変異と変異遺伝子の特定。そしてその狂暴性の理由】

【他種族間の遺伝子結合に依る突然変異とその理由・原因。そしてその応用性について】


他にも様々な論文があるが、そのどれもが当時の学界において画期的な研究や発見であった。
その論文の内容はいろいろな方向に利用され、以外に身近な生活にも利用されている。




62 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:47:44.57giDuWvSy0 (15/25)



なぜその様に次々と新しい発見をすることが出来たのか。

オーキドを長年取材し、話を聞いてきたジャーナリストは語る。


なんてことはない。彼は数ある研究者の中で唯一しっかりと、長い年月をかけてポケモントレーナーとしての経験を経た研究者としても、トレーナーとしても比肩する者がいないほど優れた人物であるからだ。


ジャーナリストはそう語った。
オーキドの研究者としての手腕は知られているが、彼が過去に行った行為に関しては、実はあまり知られていない。

全てのジムバッチを制覇し、ポケモンリーグを制覇し、チャンピオンとして君臨した事もある。
彼は今ではトレーナー業を完全に引退してはいるが、一流のトレーナーであった事は間違いない。

他の研究者がフィールドワークをしないわけでは無い。しかし彼の様にトレーナーとして濃密なフィールドワークをした者はいないのだ。
そんな彼だからこそ、色々な側面からポケモンを研究する事が出来たのである。

ヤマブキシティーで研究をしていた彼はある時急にマサラタウンに自分の研究所を建て移り住んだ。
のどかな落ち着く場所でポケモンの研究がしたい。
当時の彼はそう語った。




63 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:48:35.44giDuWvSy0 (16/25)



そんなオーキドの研究所の前に彼はやって来ていた。

昔から自分を可愛がってくれた、色々な事を教えてくれた祖父。
そんな祖父ならきっと、いいアドバイスをくれるだろう。そういう確信があった。

研究所の扉を開ける。
中からは涼しい風が流れ出てくる。研究所では温度管理が重要であるため、一年中室温調整をしている。


「おじいちゃん?いる?」


研究所に声をかける。
研究所の中は以外に人がいない。助手が二人いるだけである。
それはオーキドが静かに研究をしたい、そう考えてそうしたのだが、未だに働かせてくれという研究者は結構押し寄せてくるようだ。


「おじいちゃーん?」


周りを見渡すがいつもいる助手の姿は無い。買い物にでも行っているのであろうか。





64 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:49:35.97giDuWvSy0 (17/25)



資料の山の中にもう一度声をかけてみる。
すると資料の山が崩れて向こうから祖父の姿が現れた。


「お?おお!グリーンか!よく来たよく来た!!!」


祖父が嬉しそうにこちらに向かってくる。
その笑顔を見て自分も嬉しくなった。なんだかんだでちょっと久々の祖父だ。
近寄ってきた祖父は、恐らく研究に夢中になっていたのだろう。白衣が皺くちゃだった。

一回研究にのめり込むと中々他の事に気が向けられなくなる。
そんな子供っぽい部分があるのも、グリーンは好きだった。


「どうじゃ?ガーディーは元気か?ちゃんと仲良くやっとるか?」

「うん、勿論元気だし、仲好くやってるよ」

「そうかそうか・・・それはいいことじゃ」


満足そうに頷く祖父。
ガーディーは、祖父から誕生日プレセントとして数年前にもらった。
当時パートナーがいなかったグリーンは飛び跳ねて喜んだ。
祖父に聞くと、ガーディーは昔自分がトレーナーとして回っていた時のポケモンの孫やその辺りに当たるらしい。





65 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:50:23.27giDuWvSy0 (18/25)



ともかく、彼はそのガーディーと一緒に成長してきた。
そういう理由で今ではガーディーは彼の一番の友達であり、家族になっているのである。


「あのさ、ちょっと・・・相談したい事があるんだ」

「相談・・?なんじゃろうのぅ?」


なんとなく緊張しながら本題に入っていく。


「実は、今進路について迷ってるんだ」
「僕はずっとお祖父ちゃんの様な研究者になろうと思ってた。研究者になってお祖父ちゃんの手伝いをしながら、ポケモンについて研究していくんだって」
「けど、最近少し迷ってるんだ。ずっと研究者になるって思ってたから、急に気になるものが出てきてどうしたらいいかわからないんだよ」

「ふむ。して・・その迷っているものとはもしや・・・・トレーナーかの?」

「うん・・・」


やっぱり祖父はすぐにわかってしまう。

祖父がどの様な言葉を返してくるのか待ってみる。
真面目な顔をして自分を見つめている。




66 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:51:05.60giDuWvSy0 (19/25)



そうやってしばらくそういう顔をした後、予想外な事に


「・・・わっはっはっはっは!!!」


急に笑い出した。それも大笑いである。
何が面白いのだろうか?気弱で弱虫な自分がトレーナーを目指すなど馬鹿らしい、そういう事なのだろうか?
いや、祖父がそんな事を思う訳がない。


「何がそんなに笑えるの?」

「ふぅ・・・いやすまん。笑えるというか嬉しくてのぅ」

「嬉しい?」


一体どういう事なのだろうか。
言葉の意味がわからなくて思わず戸惑ってしまう。


「グリーン。おまえさんの考えや迷いがわしがお前さんくらいの時とそっくりなんじゃよ」
「まあ違う所と言えば、わしはどちらかと言うと感情的なおバカじゃった」


祖父は嬉しそうに話しだす。




67 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:51:44.61giDuWvSy0 (20/25)



「グリーン。おまえさんが今迷っている様に、わしも迷っていたんじゃよ。研究者になるかトレーナーになるか」
「わしもお前と同じでポケモンが大好きでのぅ。どちらを選ぶべきか本当に迷った。」
「迷って迷って迷い切って、やっと答えを出したんじゃ」

「答え?それって・・・」


思わず喉を鳴らして体を乗り出していた。
祖父の選択は・・・自分が知っている限りではトレーナーを選んだはずだ。
今では研究者をやっているが、当時の祖父はトレーナーを選んだ。


しかしその考えは正解とも不正解とも言えるものだった。






「わしはのぅ・・・両方選んだんじゃよ」








68 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:52:35.30giDuWvSy0 (21/25)




え?


思わぬ回答に頭が少し混乱する。

トレーナーを選ぶでも無く。

研究者を選ぶでも無く。


両方?



「わしも同じように、どちらかを選ばなければいけない。そう思っていた。」
「そういう発想に絡めとられていたんじゃ。しかし、少し考え方を変えてみると一気にわしの悩みは無くなった」
「こう考えてみたのじゃよ。両方やりたいなら素直に両方やればいい。トレーナーの旅をしながらポケモンについての見識を深め、その後研究者としてその旅で得た物を使えばよいと」
「今ではそういうスタイルも広まってきておるようじゃ。わしの影響もあるのかもしれんが」


祖父の話はそこまで意外性のある話では、よくよく考えるとないのかもしれない。
なぜ気付かなかったのだろう。こんな身近に答えはあったのに。


「旅をすればまた当たらしい選択肢が出てくる。いろいろな大事な分かれ道もな。だが、だから楽しいんじゃよ」



「グリーンよ。お前はどうする?」







69 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:53:54.54giDuWvSy0 (22/25)



祖父の問いが聞こえてくる。
楽しそうに微笑んでいるその顔を見ると、自分がどう答えるかなど分かっているのだろう、きっと。


これ以上ないという様な答えを受け取ったのだ。素直に使わせてもらおう。


「僕は・・・・両方選ぶ」
「どちらか一つじゃない。両方選んでみせる。そのためにはまずトレーナーになってみるよ」
「弱虫な僕だけど、そんな僕だからこそ出来る事もあるかもしれない。そう最近考えるようにもなった」
「お祖父ちゃん。僕は、旅に出るよ!きっとお祖父ちゃんにも負けないトレーナーになってくる」
「ありがとうお祖父ちゃん!お陰で答えが出せたよ!」


「そうか。それならよかったわい」


やっぱり祖父に聞いてみてよかった。
本当に。




70 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:54:58.72giDuWvSy0 (23/25)



「さて、それなら旅立つ時にわしも仕事せんとのぅ」

「そっか、お祖父ちゃんはこの辺の新人トレーナーの登録・任命も仕事だもんね」

「新人トレーナーと、一番最初に関わることが出来る事は嬉しいことじゃよ」


本当に嬉しそうに話している祖父は、政府から任命を受けて新人トレーナーの情報等を登録し、それを政府に送る仕事も研究業と合わせて行っている。
このマサラで新たにトレーナーとなる物は必ずここで登録を受けてから旅立つのだ。

このトレーナー登録制度のおかげで、トレーナーは公的機関で政府からの支援を受ける事が出来る。


「今年は何人くらいなんだろうね」

「わしが聞いた話によると、今年は二人、お前を含めて3人じゃな」

「へー、そうなんだ・・・」


きっとそれはレッドとブルーの事なんだろう、グリーンはそう思った。




71 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:55:42.40giDuWvSy0 (24/25)



「じゃあ、今日は帰るよ。ありがとうお祖父ちゃん」

「うむ、気をつけて帰るんじゃぞ」

「うん、じゃあね!」






さて、今日は報告しなければならないことが出来た。



自分の決定を噛みしめて、前へ進む決意が出来た。




僕も自分の物語を始めよう。
きっと、いい物語にしてみせる。
胸を張れるような物語に。





まずは、帰ろう、僕の家に。





今日の夕焼けは、なんだか燃えるように真赤で、美しかった。












72 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/12(水) 18:57:25.04giDuWvSy0 (25/25)

という訳で二話終了です。
盛り上がりも文章力も無くてなんだかなぁ・・頑張ります。


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/12(水) 19:18:25.60fVZgURXko (1/1)

たのしみにしてるよ
乙です


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/10/17(月) 01:51:42.29Ipczhosto (1/1)

好きな作風です!
支援!


75 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/17(月) 23:24:50.41mOB0Nx5Q0 (1/1)

支援ありがとうございます!!
バイト始まってしまったので忙しくなってしまったのですが、数日中に投稿していくのでお待ちください。

頑張っていきます、よろしくお願いします。


76 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 05:48:16.40enZ5ZCrs0 (1/27)

今日の夕方辺りには3話投下します。ではでは。



77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/10/23(日) 11:17:56.58VCi226Oyo (1/1)

期待


78 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:14:19.28enZ5ZCrs0 (2/27)

遅れましたが投下開始します!


79 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:16:10.04enZ5ZCrs0 (3/27)




【旅】というものに、一般的にはどの様なイメージを持っているだろうか。



テレビで少年少女が旅をするアニメが放送されていた。
その中で彼らの持ち物は小さいリュック一つずつ程度。随分と身軽なものだ。

しかし、現実は過酷なのである!
実際は大量の荷物、テントや衣服や食糧や必需品などが必要なのだ。
そんな少量の荷物では死ぬぞ。
旅を甘く見てはいけない。現実世界の旅とは常に死と隣り合わせなのであるっ!


と、言いたいところだが、現実は思ったよりも快適らしい。
そんな重荷が必要なんて事は無い。




80 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:16:55.62enZ5ZCrs0 (4/27)



なぜなら、まず第一に、そもそも道が整備されている。


科学が進歩し大きな経済や物資の流れがある昨今に、そんな道を歩くたびに野生のポケモンや動物に襲われる危険等あれば大変である。
故に町と町の間には整備された安全な道が通っており、交通網が発達している。
ただの旅ならそこを通ればいい。


第二に、町と町の距離がそこまで離れていないということ。


勿論ある程度の差はあるが、近い隣町なら歩いて数時間。遠い隣町でも数日かその程度だ。


第三に、トレーナー等を支援する施設やら何やらが大体の町に揃っているということ。


政府から支援を受けて、トレーナーのサポートをする施設は各地に必ずと言って良いほど揃っている。
ポケモンセンターやフレンドリーショップ等はまず間違いなくある。
そのため大量の食糧を買い込んだりする必要がないのだ。


これらの理由から、旅をする者はあまり荷物を持たなくてもよく、昔に比べれば大変快適な旅を送れるようになっている。
持っていく物は最新の技術で小型化されたテント、もしくは寝袋、それに必需品を加えた物、重くて大変だと言うほどではない。


今それらを念入りに確認しながら、レッドとブルーはそれぞれの荷袋に詰め込んでいた。




81 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:17:42.82enZ5ZCrs0 (5/27)








第三話





【二人の旅立ち】









82 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:18:22.27enZ5ZCrs0 (6/27)





「えーっと・・・テントと寝袋と懐中電灯に火起こしに必要な着火剤にライターにナイフにランタンに食器に筆記用具一式に化粧用具一式に――

「ブルー・・・お前どんだけ持ってくつもりなんだ?」

「あら、この程度は必要不可欠な物じゃない!これくらい持っていかないと後で苦労するのは自分なのよレッド」


呆れ顔で言うレッドの言葉に、さも当然の様に返すブルー。
まあ前半部分は理解出来るものではあるのだが。


「なら、そのぬいぐるみは持っていかないといつ苦労するんだ?」

「え゛!いやこれは・・・」




83 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:18:56.97enZ5ZCrs0 (7/27)



明らかに同様した様子でショルダーバックに入れようとした手を後ろに隠す。
ブルーは昔から人形やぬいぐるみが好きだった。
その名残からか、実は今でもぬいぐるみを抱いて寝ているのをレッドは知っている。


「お前さぁ・・・いくらぬいぐるみが好きだからって旅に持っていったら流石に荷物になると思うぞ?」

「うっ・・・そうよね・・・置いていかなきゃダメよね・・・」


しぶしぶ名残惜しそうな様子でぬいぐるみを諦める。
しょんぼりとしていて、少し可哀そうに思ってしまう。




84 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:19:34.09enZ5ZCrs0 (8/27)



「むぅ・・・まぁとりあえずこれくらいで準備はいいわね」

「そうだな。なんか足りなくても、まぁなんとかなんだろ」

「レッドはホント緩いわよねーそういうところ。だからだらしが無く思われるのよ」

「荷物にぬいぐるみ入れようとしてた奴に言われたくないな」

「ぐぬぬ・・・」


そんないつものやりとりをしていると、ブルーがふと天井を見上げる。
それに習ってレッドも上を見上げた。


「もう明日にはここを出ていくのね・・・」

「・・・・」


ブルーがなんとなく寂しそうな懐かしそうな、そんな様子で呟いた。




85 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:23:23.77enZ5ZCrs0 (9/27)



「ずっと育ってきたこの町から、この家から離れて、育ててもらったおばさまやおじさまとも離れて。二人だけで旅をしていくのよね」

「ああ、そうだな」

「なんか変な気分だなぁ。よくわからないけどさ!」


あははっとレッドに笑いかけながら彼女は言う。
そんな彼女にレッドはこう答えた。


「・・・確かに、俺は明日にはここを離れなきゃいけない。それは確かさ」
「けどさ、別に今生の別れって訳じゃないだろ?寂しくなったらまた来ればいい。まあ俺はすぐには帰ってくるつもりは無いが・・・」
「俺たちの居場所が無くなる訳じゃない。俺たちにはいつだって、ここに、このマサラに、この家に、帰ってくる場所がある」
「それはもう無くなったりしないものだ。絶対に。だから安心して旅に出ようぜ?俺たちの夢を叶えに・・・さ」

「レッド・・・」


ブルーがレッドの話を聞いて顔を俯けて震えだす。
泣かせてしまっただろうか?




86 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:24:09.61enZ5ZCrs0 (10/27)



「・・・ぷっ!あはははははは!臭すぎ!かなーり臭いよ!あははは!」


突然顔をあげて爆笑しだすブルー。

その頬には光るものがある。


「あー笑った。久々に涙が出るほど笑ったわー」

「んだよ・・・そんな面白いかよ!」

「うん、最高だった」


そういって頬を拭う。
拭ったものには、きっと笑い以外にも込められていたに違いない。




87 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:28:14.53enZ5ZCrs0 (11/27)



「けど、ありがとね、レッド。本当にありがとう」

「ん・・・まぁ、どういたしまして」


突然のお礼に戸惑うも、レッドも返す。
ブルーは清々しそうに笑顔を見せる。

とても奇麗で可愛い、元気をもらえる笑顔だ。


「そうよね。あたしたちにはこの家がある。この町がある。なにも怖がることなんてないもんね」

「ああ」


これからもこの笑顔にきっと助けられていくんだろう。そう思った。





88 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:28:54.72enZ5ZCrs0 (12/27)



「じゃあ旅に備えて今日は早めに寝ましょう!寝坊は許さないんだからね!」

「はいはい」

「はいは一回でしょ?これだからレッドは・・・」

「あー!いいからとっとと行けよ!さっさと寝ろ!」

「じゃあまた明日ね」


そう言って部屋から出ていくブルーを見送ると、ライトを消し、レッドは自分のベットへ体を預けた。

窓からは星が見える。とても奇麗な星だ。




89 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:29:32.66enZ5ZCrs0 (13/27)



マサラから見える星は特別綺麗なんだそうだ。
なんの汚れも無い、まっさらな土地だから。
だからこそ皆に愛されているのだろう。

これよりも綺麗な星空を見られるだろうか。
もしかしたら無いのかもしれない。
だが、それでも、ないかもしれないそれを探してみるのもいいかもしれない。


旅での目的がまた一つ増えた。




明日はいよいよ旅に出る事になる。
偉そうにブルーには言ったが、この町を離れる事になるのだ。

今日は、この夜は、この家にいる事を噛みしめて寝よう。

そう考えて眠りに落ちるレッドは、旅の前であるにも関わらず、穏やかな眠りに包まれていった。





90 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:30:12.27enZ5ZCrs0 (14/27)








「さあ、二人とも、準備は出来たかい?」


一階から呼びかけが聞こえてくる。

暖かな陽ざしに迎えられた旅立ちの朝。
両親と朝食を終えて、二階へ荷物を取りに行っていた二人が階段を下りてくる。
その背には荷物があり、いつでも出発出来るようだ。


「忘れ物はないかい?持つべき物はしっかり持ったかな?」

「はい、きっと大丈夫だと思います!ねぇレッド?」

「あー、うんまぁ大丈夫なんじゃないか?」

「あんたねぇ・・・旅に出る本人が言うセリフじゃないわよそれ・・・」


呆れるブルーを余所に、それを眺めている父親はとても楽しそうだ。
それはこの二人のやり取りがしばらく見られなくなるという想いも関係しているのかもしれない。




91 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:30:59.92enZ5ZCrs0 (15/27)




「ははは!さて!旅立つ君たちにプレゼントがある!」


満面の笑みで突然そう言い放つ父に驚きを隠せないブルー。
プレゼント?なんなのだろうか。


「プレゼント・・・ですか?」

「そう!プレゼント!僕とお母さんからのね」


そう言って母に微笑みかける父。
それに母も優しく微笑み返した。


「じゃあ、まずはブルー。君に渡すプレゼントはこれだよ」


父が机の上にそれを置く。
プレゼントと言われて置かれたそれは、モンスターボールであった。






92 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:31:25.67enZ5ZCrs0 (16/27)




「モンスターボール・・・ですか?」

「そうだよ。開いてごらん?」


ブルーに促す。

促されるままに、ブルーは恐る恐るモンスターボールを手に取り、開いた。
中から眩い光が放たれ、中から姿を現すポケモン。


「これは・・・イーブイですか?」

「そうだよ。ブルーちゃんにはぴったりだと思ってね」
「とっても可愛いし、さびしがり屋の君には最適だろう?」


そう言っていたずらっぽく笑う父。
そして少し真面目な顔になると、続けた



93 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:32:17.51enZ5ZCrs0 (17/27)



「君にポケモンを渡すのは少しだけ悩んだ。昔の事があるしね」
「君は乗り越えているだろうし、それを勝手にこっちが気にしては失礼だとは思ったが、やはりね」
「だが、これから君たちが目指す・・・いや、なるのはトレーナーだ」
「ならば、この子を渡すのが最適だと考えた」
「喜んで・・・くれるかい?」


じっとボールから出てきたイーブイを見つめたまま動かないブルー。

そんなブルーを余所に、イーブイはブルーを見つめると嬉しそうに飛び込んできた。
思わず抱きしめると、今度は顔を舐め始めた。


「きゃっ!」

「はは。イーブイの方は気に入ったようだね




94 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:32:44.36enZ5ZCrs0 (18/27)



そのまま暫しイーブイと目を合わせると、イーブイが鳴いたのと同時に、笑顔になって言い放つ。


「すごい・・・嬉しいです。ありがとうおじさま!!」


嬉しそうにイーブイの頭を撫でているブルーを見て安心した様子の父が言う。


「そうか。喜んでくれてホントによかったよ。大切に育ててあげなさい」

「はい!よろしくね!ブイ!」

「それ名前か?」

「あらそうよ!ブイ!可愛いじゃない!ねぇブイ?」

「ブイブイー!!」


嬉しそうにじゃれつく二人を見てレッドもなんとなく頬が綻ぶ。




95 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:33:11.98enZ5ZCrs0 (19/27)



「さて、次はレッドへのなんだが・・・」
「何を渡そうか迷ってな。どうしようか悩んでいた時に、仕事でトキワの森へ行ったんだがある人物に遭遇してね」
「彼に色々話してみたんだが、レッドに会いたい様なのでね、連れてきたんだよ」
「恐らく、お前が今までずっと会いたかったであろう。一番うれしいであろう、そんな存在だよ」

「え・・それってもしかして?」

「・・・まさかだろ。今さらあり得ないよ。こんな俺に」


そう、あり得ないのだ。

自分の勝手な事情で、勝手に別れを告げたあいつが、会いに来るはずがない。
そんなはずない。

絶対恨んでるはずだ。

けど、それでも、もしかしたらを願っている自分がいる。





96 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:34:28.09enZ5ZCrs0 (20/27)




「さぁ、入ってきてくれるかな?」


そう父が開け放されたリビングの入口に声をかける。

しばらく音がやんだ後、何かが勢いよくレッドの胸に飛び込む。


飛び込んできたのはまぎれもなく、レッドが最も会いたいと望んでいた存在、ピカチュウのピカだった。


「ピカー!」

「ピ・・・カ?」




97 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:35:24.20enZ5ZCrs0 (21/27)



「ピカと森で遭遇した時ね、言葉が通じるかわからなかったけど、レッドについて色々話してみたんだよ」
「トレーナーになる事とか、今でも別れたことを悔やんでいるようだってことをね」
「そしたら彼が僕の車に飛び乗ってね、連れてけっていうようにこっちを見るんだ」
「それならそうしてあげようと思って連れてきた。きっと、ピカもお前に会いたかったはずだよ」


胸の中でこっちをじっと見つめるピカを、レッドは思わず強く抱きしめる。
抱きしめていると、押さえつけていた想いが一気に溢れ出し、止まらなくなった。


涙と一緒に。


「ごめんっ!ピカ、ホントにごめんな!俺の勝手な考えでお前に辛い思いさせて本当にごめん!」
「ずっと謝りたかった。ずっと会いに行きたかった。けど・・・行けなかった」
「ごめん。ごめん。ごめんな」


ただただピカに向かって、自分のパートナーだった存在にたいして謝罪を続けるレッド。
今まで溜めていたいた気持ちと涙と言葉はどうやっても止まらない。止められない。
例え止められたとしても、止めるべきではないのだ。




98 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:36:03.74enZ5ZCrs0 (22/27)




「ピカ?」


涙を流し続けるレッドを不思議そうに見つめるピカ。

ピカは、レッドの顔にまるで慰めるかのように手をおいた。


「ピカはレッドの事を恨んでなんかいないよ。お前はマイナスに考えすぎだ」
「こうやってレッドに会いに来て、今お前の胸に抱かれている様子からもわかるだろう?」

「そうなのか?ピカ」

「チュウ!ピカピカ!」


嬉しそうに微笑みかけてくるピカ。

その笑顔には一切の曇りが無い。あるのはただただ喜びだけ。



99 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:36:40.60enZ5ZCrs0 (23/27)



その様子を見て、レッドもやっとピカの想いに触れることが出来た。


「そっ・・・か・・・よかった・・・本当に・・・」

「僕の予想では、きっとピカチュウ、ピカも、レッドの旅についていきたいと思ってるはずなんだが・・・どうかなピカ?」

「ピカピカッ!」


父の問いかけに元気のいい鳴き声で答えるピカ。


「ホントか?本当にか?」

「ピカッ!」


当たり前だろと言わんばかりに胸を張るピカ。
それを見てレッドは思わず嬉しくて笑ってしまった。




100 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:37:17.88enZ5ZCrs0 (24/27)



「・・・そっか。わかった」
「お前がそう言ってくれるなら、一緒に行こう、ピカ」

「ピッカーッ!」


そんな二人の様子を横で眺めているブルー。


「本当によかった。本当に」


彼女もピカの事はずっと考えていた。
自分のためにピカと別れたレッド、それにずっと苦しんでいた事も知っていた。


その二人がこうしてまた一緒になれたのだ。嬉しかった。





101 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:38:22.99enZ5ZCrs0 (25/27)



「さて、じゃあこれで君たちの旅のパートナーも揃ったね」

「はい」

「そうだな。これでもう準備は完了だ」


ブルーはブイを胸に抱き、レッドは肩の上にピカを乗せている。
今出来上がった姿のハズなのに、なぜか昔からそうだった様な錯覚におちる。


「じゃあ・・・そろそろ研究所に行きます」

「登録に行かなきゃいけないんだもんね」

「はい・・・」


ブルーは思わず口を閉じた。




102 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:39:13.32enZ5ZCrs0 (26/27)




何かがあふれ出してしまいそうだったから。

目から、口から、育ててくれた二人に、この家に対する気持ちが。

けど、だけど、ここは留める。だってこれは、永遠の別れなんかじゃないのだから。



だから、一言だけ、言おう。





二人は目を合わせて、お互いに頷き合い、育ててくれた両親に向かって、言う。








「「それじゃあ、行ってきます」」














103 ◆rN1lz/nXIQ2011/10/23(日) 21:42:18.76enZ5ZCrs0 (27/27)

投下終了です。
やっとこの二人は旅に出られそうです。

早くロケット団とか陰謀とか書きたいです。
ちょっとパートナーの加え方が強引だったなと思ってます。そのうち補足するかもですが・・・

このssは長編となる予定ですので、長い目で見守って頂けると幸いです。
ではまた近いうちに投下致しますので。ではでは。



104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/10/24(月) 01:06:49.32XK2K9zHho (1/1)

乙!
続きが気になる!


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/10/24(月) 18:44:09.82JDW0Eq/So (1/1)

乙乙


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/10/27(木) 11:20:11.99fjMer33AO (1/1)

乙乙乙


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/26(土) 23:21:05.08wEyqPQ0DO (1/1)

もう、書かないんかい


108 ◆rN1lz/nXIQ2011/11/27(日) 00:17:39.60Z0YhkLBt0 (1/1)

本当にすいません・・・ちょっと不眠症でメンタルに通ったり色々立て込んでましたorz

この作品を読んでくださってる皆さんには本当に申し訳ないのですが、今少しずつ書きためていますので、今しばらくお待ち頂きたいです・・・
来週かその辺りに投稿したいと考えておりますので、この作品をこれからも見守って頂けると嬉しく思います。

なにとぞよろしくお願いいたします。


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/27(日) 22:31:15.661R686i1DO (1/1)

わかった。楽しみにしてる