1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 23:21:58.85mzvkQweLo (1/2)

┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

~前回までのあらすじ~

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
ついに魔王アンラ・マンユを倒した一同。次なる敵とは一体……。

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その29)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1305623043/


2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 23:24:27.97mzvkQweLo (2/2)

◆過去ログ(その1~28)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300871942/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303216728/


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 23:32:41.92ElJrJq7no (1/1)

いちょつ


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 23:48:07.33sLCZ810DO (1/1)

>>1乙!
新スレおめでとうございまーす!


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/20(月) 00:06:27.93occgdOhRo (1/3)

>>1乙


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/20(月) 00:12:19.26MU6YZVhAO (1/2)

>>6なら戦士死亡


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/20(月) 00:13:49.491S+Krsweo (1/2)

>>7なら>>6で死亡するのは王子に変更


8 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 00:31:17.17ymowtv8Yo (1/4)

ドスッ…シュウウゥゥゥゥ

バーテン「……問題ない。命中」

シュウウゥゥゥゥ

アンラ・マンユ「……?」

五行を含んだ矢が、アンラ・マンユの胸に突き刺さる。

戦士「や……った?」

戦士父「……」

アンラ・マンユ「何が起きた……?」

ググッ…ボゴォッ

アンラ・マンユ「何が……起きたというのだ!?」

シュウウゥゥゥゥ…

胸に刺さった矢から、煙のようなものを吐き出す少年の姿をした魔王。

更に、皮膚が脱皮のようにぱらぱらと剥がれ落ち始め、

まるで体全体が崩壊するような現象が現れた。

アンラ・マンユ「オ……オオォォ……ッ」


9 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 00:41:12.24ymowtv8Yo (2/4)

ザッ…ザッ…ザッ…ガクンッ

アンラ・マンユ「オ…アアァァァァ!!」

タッタッタ…ザザッ

剣士「!?」

ジュニア「ど、どうなってる?」

天才「!? 退けっ! まだ終わってねぇ!」

大軍師「あれは一体……っ?」

シュウウゥゥゥゥ…

アンラ・マンユ「コ……ノボクガアアァァァァ!!」

ボゴォッ!!…シュウウゥゥゥゥ…

バーテン「終わったのか?」

天才「まさか……」

アンラ・マンユの肉体が崩壊し、中より現れた黒い陰が宙を彷徨う。

そして、巨大な一つの顔のような、おぞましい形状を模し、漂っていた。

天才「あれが外殻だったってのかよ、くそぉ……っ」


10 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 00:46:05.85ymowtv8Yo (3/4)

オオォォォォ…

魔道士「あ、あぁ……っ」

戦士父「誰か、とどめを!」

天才「無理だな」

戦士「……っ」

天才「動ける奴なんぞ、もうここにはいねぇ……」

アンラ・マンユ「コノボクガ……コンナコトニ……ィ」

剣士「確かサモナーさんが動けるはずだ! 今すぐ呼びに――」

大軍師「間に合いませんよ」

剣士「!?」

大軍師の指差す先、コカトリスの石化が徐々に解け始めた、

地面へ横たわるアジ・ダハーカが鋭い瞳をゆっくりと開き、翼を広げた。

召喚士「まずいっ! 阻止を!!」

盗賊「くそ……っ!」

最早その場に動ける人間など、1人も居はしなかった。


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/20(月) 00:49:37.36occgdOhRo (2/3)

俺「だれか・・・・」


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 00:50:28.37ymowtv8Yo (4/4)

ついに30スレも消費する事となってしまいました…
本当に申し訳ない&ありがとうございます!

皆様の支援あって、ここまでこれました!
やっと終わりも見え始めてきました
もうしばらくお付き合い頂ければと思います!

それではまた夕方頃、お休みなさい!ノシ

前スレ>>981
弓を拾いに行った剣士さんは、途中で帰還するみんなと合流しました
描写が薄くて申し訳ありません…


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/06/20(月) 00:57:26.71s1bRF5eCo (1/1)

>>1おつおつ
相変わらずのドS切りです
終わり・・だと・・?やっと3割に届いたところじゃないか
毎日楽しみにしてるぜ、無理せずがんばってくれ~


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/20(月) 00:57:28.22occgdOhRo (3/3)

おおおおおおおおぃ・・・ここで寸止めとはっ。

>>1乙!


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/06/20(月) 01:00:05.02kyCexTkAO (1/1)

いつにも増してドS止めだなwwwwww


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/20(月) 01:01:24.57u+cI+Z8AO (1/1)

>>1おつ

もう30スレか。早いもんだな


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 01:02:54.28Pu0D2Y/lP (1/1)

>>1乙
やっと全体の3%か


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/20(月) 01:05:18.281S+Krsweo (2/2)

>>1おつ
え?0.3%の間違いだろ?


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/06/20(月) 01:06:18.819skJZHDRo (1/1)

あらすじで倒したっていうから安心してたら倒せてないだと・・・・・・!?


>>1乙


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 02:00:23.463b34sWqDO (1/1)

魔王6体「アンラ・マンユは我らの中でも最弱」
まだだ、まだ終わらんよ


21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/20(月) 04:25:26.621YGQ829w0 (1/1)

>>1 乙
いつも楽しみにしてるよあり!



22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 05:28:13.00PkpE2xIDO (1/1)

>>1乙
こちらこそありが㌧


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 06:18:17.0393Hz8vWDO (1/1)

>>1乙っす


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 07:38:52.44I9d1iPkSO (1/1)

>>1乙でーす
30スレ目おめでとー


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 08:15:30.543XhYfQfIO (1/1)

>>1乙、やっと戻れた


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 08:18:36.40MeIv5KeDO (1/2)

>>1乙
30スレはマジで凄いな!
通勤の電車でコカトリス読むのが楽しみになっているので>>1にはマジで感謝する。
ありがとう!


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/20(月) 08:30:45.29wFpVPfCAO (1/2)

>>1乙

俺も毎日通勤と帰宅中に読むのが日課になってる
物語もいよいよクライマックスなのか…
VIP1スレ目から読んでたから、感慨深いものがあるな…


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/06/20(月) 09:16:55.00EmLEzWXoo (1/1)

ん?魔王一体倒すまでが序章じゃなかった?


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 10:57:12.02MWTwt9fDO (1/1)

30スレおめでとうございます


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 12:26:08.66xLVuERHIO (1/1)

>>1乙
そろそろ序章が終わりそうだな!

30スレの30レス!!


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 15:37:40.44r6TeliCIO (1/1)

>>28
そして、召喚士の出生の秘密解明に向けて、新たな旅立ちだな!


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 16:39:17.73LjajjgZDO (1/1)

>>1乙
あと70スレもあるが頑張れよ!


33 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:10:49.27qtIhhYfTo (1/21)

ボオオォォォォ…

天才「どうする……」

声にこそ発したが、それは自問自答であった。

五行は即ち五感、そして形成する聖行は第六感。精神力。

肉体が崩壊し、精神……思念体とも言うべきか、魔王アンラ・マンユのそれは、

おそらく微弱な五行でも打ち込めば消滅する。天才はそう判断していた。

しかし魔力がない。だが、五行を撃とうと思えば撃てる。

それはつまり、己の命を燃やすという事。結果は見えている。

魔王アンラ・マンユとの心中。天才はその自問自答に思わず声を発してしまったのだ。

天才(予言に俺自身の死はなかった。信じるか……それとも……)

グッ

天才「俺様が信じてやらねーでどうすんだって話だ」

隊長「……?」

結論を出したその上で、天才が出来る事はただ1つであった。

天才「総員、退却――」



34 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:11:37.88qtIhhYfTo (2/21)

ドンッ!!

天才「……?」

バチバチバチッ…バリッ

戦士「な……んだ!?」

バチバチッ…ジジッ

アンラ・マンユ「……オ……アア……ァ」

上空から垂直に降り注いだ雷の矢のような一撃。

アンラ・マンユ「ア……ガ……アアァァァァ」

それは黒い影の巨大な顔を脳天より貫き、地中の中へと消える。

ジジッ…ジジジッ

召喚士「魔法攻撃……?」

天才「はっ!」

バッ!!

上空を見上げる天才は目を細め、闇の中に何かを探すが、

夜空にはただ雲が漂うだけに留まり、天才の探す何かは存在しなかった。


35 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:12:17.75qtIhhYfTo (3/21)

アンラ・マンユ「……ナ……ン……トイ……ウ」

フオオォォォォォン

大軍師「!?」

ジュニア「なんだぁ!? 魔王の様子がおかしいぞ!?」

剣士「姿が膨張している……っ」

天才「退避だ、退避ーっ!!」

大軍師「!? 全員、避難して下さいっ!」

ゴゴゴゴゴゴ

戦士父「大地が揺れているぞっ!」

天才「膨張と地響きは爆発の予兆だ! 早く退避しろぉ!!」

ジュニア「マ……ジかよぉ!」

ダダッ

召喚士「盗賊さんっ!」

盗賊「……すぐ行く!」

召喚士「!?」


36 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:12:56.94qtIhhYfTo (4/21)

ババッ…ジャララッ

戦士「何やってんだアイツはよっ!」

盗賊「……届けぇ!!」

ビュッ!!……ガシィ!!

アンラ・マンユ「……ンド……ア、アアァァァァアアアアァァ」

天才「伏せろおおぉぉーっ!!」

魔道士「――っ!!」

カッ!!

状況も把握出来ずに、ただひたすら火口を離れ身を伏せる一同。

そして凄まじい閃光が起こった直後、とてつもない轟音が鳴り響いた。

ズッドオオオオォォォォォォン!!

朱雀嬢「きゃああぁぁーっ!!」

青年兵「くっ!!」

ズドドドドドド…

爆風と激しい岩石のつぶてが魔王を中心に巻き起こった。


37 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:13:25.26qtIhhYfTo (5/21)

ゴオオォォォォ…

盗賊「……ぅ」

ゴトッ

戦士「……大……丈夫か……っ?」

盗賊「!?」

自分の上へ覆いかぶさる戦士を、盗賊は仰天した顔で見上げた。

盗賊「なっ、なん……」

戦士「お前1人庇うので精一杯。他の連中は大丈夫かな?」

ガシャッ…ゴトゴトッ

朱雀嬢「青年兵さんっ!?」

青年兵「うぅっ、痛……っつぅ!」

朱雀嬢「だ、大丈夫……ですか?」

青年兵「朱雀嬢さんこそ、大丈夫でしたか?」

朱雀嬢「わっ、私は大丈夫ですわっ! 青年兵さんのお陰で……」

青年兵「は、はは……っ。それなら良かったです……痛っ!」


38 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:14:06.94qtIhhYfTo (6/21)

背後を振り向いた時、召喚士は立ち上るきのこ雲を無言で見上げていた。

召喚士「…………」

火口付近、即ち山頂に近い高所での爆発は、大規模な爆風などを発生させたが、

山の斜面の関係上、土砂や落石は一同を飛び越え、低所へと大きく抜けていった。

ゴゴゴゴゴゴ

召喚士「……」

魔道士「……ん」

召喚士「魔道士さんっ、大丈夫ですか!?」

魔道士「……召喚士……さん」

召喚士「良かった。大きな怪我はないようですね」

魔道士「召喚士さんっ!? 頭から血が……っ!!」

召喚士「あぁ、大丈夫です。石がかすっただけなので」

魔道士「駄目ですよっ、すぐに応急処置を――」

スクッ…フラァ…

魔道士「きゃっ!」


39 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:14:47.85qtIhhYfTo (7/21)

ダキッ

魔道士「…………っ」

召喚士「大丈夫……ですか?」

魔道士「……すみません」

召喚士「いえいえ」

魔道士「……っ」

召喚士がゆっくりと魔道士の顔へ自分の顔を近づける。

魔道士「へっ、え……っ!?」

召喚士「……」

魔道士「――っ!!」

そのまま目をゆっくりと閉じ、召喚士は……出血の眩暈でその場に倒れた。

魔道士「召喚士さぁん!!」

召喚士「は、はは……っ。大丈夫です……」

魔道士「今、止血しますからっ!」

召喚士「す、すみません……はは……っ」


40 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:15:28.55qtIhhYfTo (8/21)

ゴゴオオォォォォ…

バーテン「今度こそ……終わったか?」

天才「あれを見な」

ジュニア「!?」

きのこ雲の横を飛行するアジ・ダハーカの姿。

大軍師「あ、あれは……?」

天才「魔王の魔力の塊、まぁ言ってみりゃ眷属みてぇなモンか」

剣士「えっ!?」

天才「魔王アンラ・マンユは確かに倒した。消滅した」

戦士父「……」

天才「だが、完全に決着したわけじゃねぇ」

隊長「仕掛けてきますかね?」

天才「いんや、あれも生まれたばっかだろうし、魔王はもういない」

大軍師「はい。仕掛けてくる事はなさそうですね」

何度か上空を8の字に飛行したアジ・ダハーカはきのこ雲の向こうへと消えて行った。


41 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:18:45.88qtIhhYfTo (9/21)



戦士「何で早々と引き退がらなかったんだよ!」

盗賊「……ごめん」

戦士「……ったく」

盗賊「……っ」

スッ

戦士「ん……?」

盗賊「……これ」

俯く盗賊の細い指先から手渡された雷切。

戦士「お前……」

盗賊「折れた刀身は無理だった……ごめん」

戦士「……馬鹿」

テクテクテクテク

魔道士「盗賊さーんっ!! 戦士さん!!」

戦士「魔道士、召喚士!!」


42 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:19:48.80qtIhhYfTo (10/21)

召喚士「良かった。怪我はない?」

戦士「お前こそ大丈夫かよ!?」

召喚士「え、あ……うん」

盗賊「……召喚士」

召喚士「はい?」

盗賊「……レイピア」

召喚士「!?」

戦士「全くよ、危険な真似してまで拾ってくれたんだと」

召喚士「あ……っ」

戦士「雷切の事か?」

召喚士「ご、ごめんっ!!」

戦士「あーいいよいいよ。別に召喚士のせいじゃねぇ」

召喚士「……本当、ごめん」

戦士「気にしないでくれ。それに、これは俺が未熟ゆえに招いた結果さ」

召喚士「……っ」


43 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:21:29.43qtIhhYfTo (11/21)

戦士「お前のレイピアこそ……」

召喚士「あ、あぁ。これは……いいんだ」

戦士「そうなのか?」

召喚士「うん。気にしないで」

魔道士「あっ! みんな無事みたいですよっ!」

召喚士「本当だ……おーいっ!!」

戦士「さて、俺達も合流しようぜ」

盗賊「……うん!」

戦士「……お?」

ザッザッザ…パシッ

――『見事だったわよ。流石、私の息子ね』

戦士「――!?」

盗賊「戦士、行くぞ?」

戦士「……おう」

拾い上げた弓を担ぎ、戦士は一同の元へと笑顔で歩いていった。


44 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:23:41.07qtIhhYfTo (12/21)

~南西砦~

ドカッ

天才「あー疲れた。もうこんなんは勘弁だぞ」

大軍師「お疲れ様でした」

天才「んで?」

隊長「各地に布陣した魔道兵も帰還致しました」

天才「さっき見たよ。そうじゃねぇ、被害状況だ」

大軍師「アンラ・マンユ軍は壊滅的打撃を受け、再起不能とみられます」

隊長「殲滅は魔王含め6体。逃亡が2体です」

天才「上出来だ。魔王を潰した事に意義がある。んで、こっちの状況は?」

大軍師「死者……1158名。負傷者2094名。行方不明者403名です」

青年兵「……っ」

天才「内訳は?」

大軍師「大半が国軍。ワーカーに死者はおらず、学生には負傷者も出ておりません」

天才「……そーかい」


45 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:25:31.67qtIhhYfTo (13/21)

~南西砦、正門前~

召喚士「アジ・ダハーカですか……?」

ハヌマーン「うむ、間違いないであろう」

マーマン「アンラ・マンユの眷属っつーか、ペットみてーなモンかな」

戦士「あれも眷属なのかよ……」

魔道士「それじゃあ、魔王はまだ……」

ハヌマーン「いや、それはないと思うぞ。魔王は間違いなく死んだ」

剣士「……」

ハヌマーン「核がなくなった今、アンラ・マンユが復活する事はないであろう」

魔道士「私達……本当に魔王を……」

ハヌマーン「ああ。お主等が魔王アンラ・マンユを打ち倒したのだ」

盗賊「……」

召喚士「そっか……魔王を……」

魔道士「倒したんですよね……私達」

戦士「ああ」


46 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:28:08.92qtIhhYfTo (14/21)

~南西砦、広場~

魔道兵「ちくしょぉ……痛てぇ、痛てぇよぉ!!」

衛生兵「包帯が足りない! もっとないのか!?」

パアアァァァァ

学園長「……はい、いいわ。次の方」

パアアァァァァ

法師「……ふーっ」

南方魔道長「あまり無茶はせんで下さい」

法師「救える命があるのです。みすみす放ってはおけませんよ」

南方魔道長「しかし、あなた自身が潰れては元も子もない」

法師「分かっております。そこまで愚かではありませんよ」

南方魔道長「……」

法師「己の命があってこそ、他人を救えるのです」

南方魔道長「まさに」

法師「それに、祈りや念仏で救えるものなど有りはしませんよ」


47 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:31:53.65qtIhhYfTo (15/21)

パアアァァァァ

シービショップ「……」

魔道兵「う、あぁ……」

サモナー「次は……こっちか。さ、身体を起こせるかい?」

玄武娘「サモナー様……っ」

朱雀嬢「……」

玄武娘「やっぱりこれ以上は……」

朱雀嬢「貴女に、止める権利があるのかしら?」

玄武娘「で、でもぉ……」

朱雀嬢「サモナー様はご自分の意思で、怪我人を助けているのですわ」

玄武娘「……っ」

朱雀嬢「私達が止めたところで、聞いて貰えるとは……」

玄武娘「でも、サモナー様が魔力を使えばそれは……」

朱雀嬢「ええ。サモナー様は今、自分の命を他人に分け与えているんですわ……っ」

玄武娘「サモナー様ぁ……」


48 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:41:47.28qtIhhYfTo (16/21)



女学生「ひっ、ひぐ……えぐっ!」

ヘタッ

女学生「お父さん……どうし……てぇ!!」

横たわる魔道兵の亡骸。その前で泣き崩れる1人の学生。

女学生「何でよぉ!! どうしてお父さん……がぁ!!」

カツカツカツ

皇太子「……君の父上か?」

女学生「ひぐっ、うっ、うぅ……っ!!」

皇太子「……」

女学生「何で……こんな……うぅ……っ」

皇太子「月並みな事しか言えぬが、君の父上は立派に戦った」

女学生「う……ああぁぁ!!」

皇太子「そして、父上の命を奪ったのは私の責任だ。他の誰でもない」

女学生「そ……んなの……っ、そんなの分からないよぉ!!」


49 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:45:49.96qtIhhYfTo (17/21)

皇太子「……」

ザッザッザ

青年兵「陛下、司令がお呼びです」

皇太子「……うむ」

カツカツカツ…チラッ

女学生「お……父さんっ。ごめんね……私……私っ、ひぐっ」

皇太子「遺族への補償は最大限に行うように」

青年兵「心得ております」

皇太子「本国の財源を削っても構わん。いいな」

青年兵「……はっ」

カツカツカツカツ

女学生「うああぁぁーっ!!」

青年兵「……っ」

クルッ…ザッザッザ…

女学生の悲鳴は、沈痛な面持ちで歩く青年兵の背中でへと響いた。


50 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:48:44.68qtIhhYfTo (18/21)



格闘家「……?」

カツカツカツ

男隊員「おう。生きてっか?」

格闘家「……無事、終わったようですね」

男隊員「無事かどうかは分からんけどな」

女隊員「格闘家くんは大丈夫ッスか?」

格闘家「はい。1ヶ月程度は戦闘への参加は出来そうもありませんが」

男隊員「そういうのは無事とは言わねーんだよ」

女隊員「とにかくまだ戦いは続くんスよ。しっかり療養するッス!」

格闘家「はい」

テクテクテクテク

博士「おや、特遊お揃いでどうしたのら?」

男隊員「別にただの見舞いだよ。そっちこそ何してんだ?」

博士「ふっふっふ」


51 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:52:04.58qtIhhYfTo (19/21)

ゴソッ

博士「ついに南西砦まで電話が開通したのら!」

男隊員「遅……」

博士「これでも相当急かしたのら!」

女隊員「でも、戦いはもう終わっちゃったッスよ……」

博士「あのな、戦後処理が一番、連絡のやり取りが必要なのらぞ?」

男隊員「……あぁ、言われてみればそうかもな」

博士「今だって急遽、各方面に衛生兵と物資の連絡をいれたところなのら」

女隊員「おぉーっ!」

博士「馬での伝令なら数日のロスが生じるのら。でも電話なら……」

男隊員「一瞬だもんな」

博士「うむ。これで救える命も増えるはずなのら」

女隊員「確かにそうッスよ! 凄いッス!」

博士「みんなが戦ってる間、こっちだって頑張ってたのら!」

男隊員「やるじゃん! ヒャハハッ!」


52 ◆1otsuV0WFc2011/06/20(月) 18:57:38.53qtIhhYfTo (20/21)

やがて、南西砦に朝日が昇る。

剣士「もう朝か……」

幼女「くあ……っ」

弓使い「幼女、眠かったら寝ていなさいね?」

幼女「……大丈夫」

各地では未だに煙が立ち上り、戦いの激しさを物語っている。

南西砦兵「南西砦長様……見ていますか? 我ら、勝ちましたよ……っ!」

ついに、魔王アンラ・マンユを倒した一同。しかしその代償は計り知れない。

奪われた命は、過去数十年の戦いにおいても甚大なものとなった。

アマゾネス「皆、無事だな?」

色黒「はい!」

おさげ「ちょっと髪の毛が焦げちゃったけど……」

ポニテ「そんなの全然マシじゃない!」

ツインテ「とにかく無事で、何はともあれだにゃあ~」

魔王を倒した彼らに、笑顔はほとんど見られる事はなかった。


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 19:08:29.57qtIhhYfTo (21/21)

>>26-27
日課とか超恐れ多いです。貴重なお時間を申し訳ない

あと本当に嬉しいレスばかりなのですが、
とりあえず目標は40スレ以内で頑張ります!

本日も数多くの一乙ありがとうございます!
それではここまでにて失礼をば!ノシ




54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/20(月) 19:18:01.32wFpVPfCAO (2/2)

>>1乙

40スレってのが亀仙人ばりの延長フラグだったらと願わずにはいられないが、
>>1乙の一番良い終わり方で締めくくれるようこれからも応援してるね!


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 19:38:25.114C2hxG7G0 (1/1)

胸が熱くて・・・うううう

1乙
たまには休んでくれ!!!


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/06/20(月) 20:01:12.06ztaCrGtho (1/1)

>>1乙
逃亡ってアジダカーハと誰?

サルワは...?


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 20:38:19.91MeIv5KeDO (2/2)

>>1乙!
やっと魔王を倒せたんだな……
魔道学校の生徒たちが援軍に来たときと今回の父親の亡きがらの前で泣いている生徒の場面はウルッときた…


そういえば魔王の魔翌力は残ったっていうことは北の名士様も無事なのかな?


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 23:27:05.66fWy6qdcSO (1/1)

乙!とうとう魔王を…か

魔王の眷属については、魔王がいなくなれば いずれ死ぬ って元眷属の名士?が言っていた気がする

逃げたのはアカ・マナフだかサルワだかどっちだっけ?


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 23:36:51.67nmaEsnDSo (1/1)

アカ・マハフは養分になった
サルワが西国に飛ばされて、そこから逃げた


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/20(月) 23:59:05.76MU6YZVhAO (2/2)

魔王よりマナフちゃんの方が強くね?


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/21(火) 00:00:58.454dDhXClfo (1/1)

ほ、ほら、魔王は溶岩の球体でがんばったじゃん!


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 00:03:33.07eTd4DM4DO (1/1)

ぼくのかんがえた さいきょうの けんぞく


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/21(火) 01:01:36.89dzu3kWqAO (1/1)

40スレとか数字出されるともうそろそろこのSSともお別れかと思ってなんか悲しくなっちゃう


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/06/21(火) 01:03:38.82ruptksryo (1/1)

あれ?たしかこのスレって3000スレぐらい続くよな?


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/06/21(火) 01:24:53.6331DAaBSAO (1/1)

マジレスすると100部まで


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 02:04:06.32CsfFMtCIO (1/1)

>>65
今が一部の序章だからまだまだだな!


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/21(火) 03:13:12.17snhGiaLwo (1/1)

召喚士の100代先の子孫まで話が続くんだよな


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 04:00:26.703REo1clDO (1/1)

魔王にとどめをさしたのは誰だ!?


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/21(火) 05:10:18.36ZbeXquH30 (1/1)

1乙
ついに魔王……
アジ・ダハーカは宿主を探しにいったのかな?




70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 06:21:24.96g3CvBrADO (1/1)

>>1乙
アシ・ダハーカがいるからまだサルワも消滅してないのかな


71 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:53:53.91zMK6t42Zo (1/34)

~会議室~

カツカツカツ

皇太子「待たせた。して、何用かな?」

大軍師「南西砦まで電話が開通致しました」

皇太子「ほぉ」

大軍師「早速、本国へご連絡をされては?」

皇太子「……ああ、そうだな」

カチャッ……ジリリリリッ

エリート『こちら王宮。私は右大臣、エリートですが』

皇太子「エリートか、私だ」

エリート『陛下っ! ご無事なようで何よりです』

皇太子「うむ。南西砦まで電話が開通したのでな。報告をさせて頂こう」

エリート『はい』

皇太子「今回の魔王討伐戦……我らの勝利だ」

エリート『っ!!』


72 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:54:35.22zMK6t42Zo (2/34)

皇太子「魔王アンラ・マンユは死んだ。間違いなくな」

エリート『そうですか……つ、ついに……』

皇太子「……だが」

エリート『……?』

皇太子「被害が尋常ではない。負傷者が大多数だ」

エリート『……っ』

皇太子「王宮としても、遺族への補償や弔問など、怠らぬように」

エリート『承知致しました』

皇太子「それと、凱旋パレード及び祝賀会は中止とする事」

エリート『……は?』

皇太子「パレードや祝賀会は中止、と言ったのだ」

エリート『それは同意致しかねます』

皇太子「エリート、言ったであろう。今回の戦いは被害が大きい」

エリート『だからこそではないですか』

皇太子「……?」


73 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:55:20.75zMK6t42Zo (3/34)

エリート『多大な被害が出たからこそ盛大に執り行うべきかと思いますが』

皇太子「不謹慎だと言っているのだ」

エリート『不謹慎? それこそが不謹慎ではありませんか』

皇太子「あのなエリート、中には現地で家族を失ったものとておるのだぞ?」

エリート『陛下。本国では今なお、家族の無事を願うものらが多数いるのです』

皇太子「分かっている」

エリート『その者らに、暗い顔を見せて凱旋すると申すのですか?』

皇太子「そうではない」

エリート『命がけで得た勝利を証明するからこそ、待つ者も救われるのです』

皇太子「聞け、エリート。私はそんな気分になれぬと申しているのだ」

エリート『陛下、それはあまりにも偽善ですぞ』

皇太子「エリート!」

エリート『陛下!!』

皇太子「……っ」

エリート『いかに陛下の申し出と言えど、これには同意出来ませぬ』


74 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:55:58.01zMK6t42Zo (4/34)

皇太子「……」

エリート『死にゆく男達は守るべき女達に、死にゆく女達は愛する男達に……』

皇太子「……」

エリート『己の生きた証と、生きる者達の未来と希望を残す為に戦ったのです!』

皇太子「……」

エリート『これを称えずは冒涜に値します。予定通り決行すべきです』

皇太子「……分かった。お前に任せる」

エリート『陛下、ご無礼をお詫び申し上げます』

皇太子「いや、お前が傍に居てくれて本当に助かる」

エリート『……勿体なきお言葉です』

皇太子「それでは、宜しく頼むぞ」

エリート「はっ。陛下には決してご迷惑の掛からぬよう取り計らいます」

カチャッ

エリート「……ふー」

大軍師「大丈夫ですか?」


75 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:56:55.99zMK6t42Zo (5/34)

皇太子「何、いつもの事さ」

天才「ワガママ言うからだろ」

皇太子「我侭か。確かにそうだな」

天才「パレード廃止なんて十中八九反対されんだろ」

皇太子「出来れば、こういうものを政治的に利用したくはないのだ」

天才「ハッ! 政治的に利用しねーでどうすんだよ」

大軍師「国民の士気も大いに上がりますからね」

皇太子「それが政治的利用だと言うのだ」

天才「おいおい、どうしちまった小覇王サンよ?」

皇太子「……」

天才「戦場で現実見て、胸でも痛んじまったか?」

皇太子「小覇王は死んだよ」

大軍師「……」

皇太子「一国を背負って初めて気付いたさ。覇道ではなく王道というものにな」

カツカツカツカツ…


76 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:57:39.33zMK6t42Zo (6/34)

大軍師「危ういかもしれませんね」

天才「そこまで弱い奴じゃねぇだろ」

大軍師「まぁ確かに、此度も前線まで来たわけですしね」

天才「さーて、ちょっくら一眠りしてくるか」

大軍師「こちらでの宴は如何致しますか?」

天才「決まってんだろ!」

大軍師「はっ。それでは最低限の飲食物に留めます」

天才「衛生兵と戦後処理担当は?」

大軍師「夜分までには皆、揃うと思われます」

天才「そんじゃ本国への帰還は明朝。それで手筈を進めてくれ」

大軍師「畏まりました」

天才「お前も少しは休めよ」

大軍師「司令に比べれば休んでおりますよ、ふっふ」

天才「そうかい。ハーッハッハ!」

カツカツカツカツ


77 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:58:19.24zMK6t42Zo (7/34)

大軍師「……」

カツカツカツ

隊長「司令、大丈夫かね」

大軍師「今回の戦いではかなり消費されたようですね」

隊長「……」

大軍師「まぁ、今のところは大丈夫だと思いますよ」

隊長「そうか」

大軍師「それで、何かご用なのでは?」

隊長「ん、あぁ。工兵らが到着したんでな。行方不明者の捜索に行ってくる」

大軍師「そうでしたか、お気を付けて」

隊長「……念の為、すぐに救護出来る体制を整えておいてくれ」

大軍師「はい。信じておりますよ」

隊長「……10人でも1人でもいいさ、生きててくれりゃあな」

大軍師「はい……」

カツカツカツカツ…


78 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:58:51.62zMK6t42Zo (8/34)

間もなく日は空高く昇り、昼を迎えた。

俺達は奇しくも集まった、多くの知人、友人と語り合った。

サモナー「へぇ、召喚獣をそんなに手に入れたのかぁ!」

召喚士「はいっ! 頑張りましたよ!」

これから起きる戦いで、また共に戦う事になるであろう者達。

オーク「幼女ちゃん!!」

幼女「オーク~!」

戦士「ははははっ!」

今日を最後に、もう会えないかもしれない人だってきっといるだろう。

学園長「それでは、決して無理はしないようにね」

魔道士「もう帰っちゃうんですか?」

火の先生「生徒らをこれ以上、危険な場所へは置いておけぬからな」

魔道士「あっ、そうですよねぇ……」

賢者「さぁ行こうか……ふぅ」

水の先生「ちゃっかりお前も帰るのかよっ!?」


79 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 18:59:19.88zMK6t42Zo (9/34)

カツカツカツ

皇太子「……」

タッタッタ

女学生「……あっ」

皇太子「君は……」

女学生「……先程は、失礼致しましたっ!」

皇太子「いや、私こそ君にはお詫びを――」

女学生「私……決めました」

皇太子「……?」

女学生「父は、誰かに言われて戦ったのではなく、自分の意思で戦ったのです」

皇太子「……」

女学生「作戦前に、逃亡や退却の自由が認められたと聞きました」

皇太子「そうか」

女学生「それでも父は逃げなかった……っ、最後まで戦った」

皇太子「その通りだ」


80 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:00:03.71zMK6t42Zo (10/34)

女学生「誰の為でもなく、世界の為に……平和の為に……」

皇太子「……」

女学生「だから、決めたんです」

皇太子「……うむ」

女学生「私は今年で、魔道学校を卒業致します」

皇太子「そうだったか」

女学生「だから、卒業したら……したら……っ」

皇太子「……」

女学生「私はっ、国軍に入って……魔道兵になりますっ!!」

皇太子「……っ」

女学生「お……父さんがぁ、間違ってなかった……ってぇ……証明しますっ!!」

皇太子「……ああ」

女学生「ひっ、ひぐ……っ! ありがとうございました!! 失礼しますっ!! 」

タッタッタッタッタ

皇太子「……」


81 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:00:33.25zMK6t42Zo (11/34)

テクテクテク

双子姉「昼食の準備が」
双子妹「出来ましたよっ!」

皇太子「あ、あぁ。すぐに行く」

双子姉「陛下……?」
双子妹「どうかしましたか?」

皇太子「何でもない、先に行っててくれ」

双子姉妹「……はい」

テクテクテクテク

皇太子「……」

ゴシゴシ

皇太子「礼を言いたいのは……こちらさ」

幾ら拭っても拭いきれない。皇太子はしばしの間、晴れ空を見上げる。

皇太子「悩む事など何もない。王道や覇道などと……私は愚か者だ」

ザッ…カツカツカツ

前を向いて歩き出す皇太子の顔は、はいつも通りの整然とした表情に戻っていた。


82 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:01:00.00zMK6t42Zo (12/34)

~北方司令部~

騎士長「きたぞおぉ!!」

左翼長「!?

騎士長「アンラ・マンユ、討伐成功との報!」

参謀「まことですかっ!?」

左翼長「やりやがったか……っ!」

北方司令部の中庭に、兵らと集まっていた北方軍の指揮官と幕僚達。

朗報を受けた一同が、一斉に歓喜の声をあげる。

ワアアァァァァ!!

北方兵「ついに……ついに魔王を!!」

青龍士官「しかし、まだ最初の1体に過ぎない」

騎士長「それでも倒したんだよ……っ! あの憎きアンラ・マンユをよぉ!」

左翼長「……」

騎士長「これで、浮かばれるな。戦士父も俺も、そしてお前も……妹も」

左翼長「ああ、そうだな」


83 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:01:46.73zMK6t42Zo (13/34)

~赤壁~

ワアアァァァァッ!!

南方参謀「もう一度言うわよっ! 魔王アンラ・マンユを倒したわっ!!」

南方副司令「やったぞおい!!」

南方司令「ああ。正義は必ず勝つのだ」

南方弓長「次は、私達の番ですかね?」

南方副司令「どうだろうな。直に召集があるさ」

南方司令「そうだ。今は課せられた任務をこなす事こそ重要」

南方弓長「そうですね」

南方参謀「そーれ、エイエイオーッ!」

南方兵「エイエイオー!!」

昼過ぎまでには南北の各拠点を含めた本国全土に、朗報が行き渡った。

人々は魔王アンラ・マンユの討伐に歓声と驚嘆の声を上げ、賑わったと言う。

それは夜遅くまで続き、場所や人を問わず、初戦の勝利を称えあった。

しかし現地においては、その様相は全く真逆のものであった。


84 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:02:23.82zMK6t42Zo (14/34)

~南西砦、夜~

男隊員「今日はもう暗くて捜せねぇ」

隊長「明朝からはまず、明かりの確保を進めよう」

工兵「はっ。各地に松明などのの設置を致します」

隊長「今日はここまで。明日は5時に正門前にて集合。解散!」

ザザッ…ザッザッザ

男隊員「疲れた……」

女隊員「でも、良かったじゃないッスか」

男隊員「あ?」

女隊員「生存者が何人か見つかって、良かったじゃないッスか」

男隊員「助かる見込みがありゃいいけどな……」

女隊員「……っ」

男隊員「ほれ、行くぞ」

女隊員「は、はい……ッス」

タッタッタッタッタ


85 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:03:22.67zMK6t42Zo (15/34)

~広場~

パアアァァァァ

女賢者「はい、いいわよ。んふっ♪」

歩兵「あ、ありがとうございました……っ」

女賢者「あー。今日はもう魔力もたないわぁ」

カツカツカツ

白虎長「お疲れ様、今日はもう休んだら?」

女賢者「ありがと♪」

白虎長に手渡された酒を、女賢者は半分程を一気に喉へと流し込む。

女賢者「っはあぁ~生き返る~♪」

白虎長「あっちに軽食も用意してるから。行きましょ」

女賢者「んふっ♪」

白虎長「さーて私も……」

白虎嬢「従姉さんはダメ。コップ1杯だけです~」

白虎長「えぇーっ!?」


86 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:03:59.42zMK6t42Zo (16/34)

~南西砦、外~

戦士「お疲れ」

召喚士「お疲れ様」

チィン

戦士「しっかし、あれだなぁー」

召喚士「んー?」

戦士「なんかこう……素直に喜べないんだよなぁ」

召喚士「魔王を倒した事?」

戦士「ああ」

召喚士「……分かるよ」

戦士「勝った瞬間もそうだけど、実感がねぇっつーか……」

召喚士「そうなんだよね」

戦士「それによ……」

召喚士「……うん。被害の事を考えると、心から喜べないよ」

戦士「最前線の俺らが生き残って、後方の奴らがやられちまって……」


87 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:04:29.11zMK6t42Zo (17/34)

召喚士「……不甲斐ない限りだよ」

戦士「これからも、ずっと続くんかなぁ」

召喚士「……分からない」

戦士「だよな」

召喚士「それに、次は俺らの番かもしれないし……」

戦士「……だよ……な」

召喚士「なんか、急に怖くなってきた……ははっ」

戦士「なぁ召喚士」

召喚士「ん?」

戦士「お前、思い残す事とか……ないか?」

召喚士「思い残す事? まぁ、そりゃあるけど……」

戦士「今のうちに済ませた方がいいんじゃないか?」

召喚士「え……っ?」

戦士「死んじまったら想いも何も伝えられないんだぞ?」

召喚士「えっ? 想いって……あの……」


88 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:05:04.17zMK6t42Zo (18/34)

戦士「俺さ、盗賊に告白しちまった」

召喚士「へふぇ!?」

戦士「いや、まぁ……なんつーか……勢いっつか」

召喚士「こ、告白って……好き……って事……だよね?」

戦士「それ以外に何の告白をするんだよ」

召喚士「そ、そうだよね! は、ははは……っ」

戦士「そんでさ」

召喚士「う、うん」

戦士「盗賊も……返事……してくれたんだわ」

召喚士「!?」

戦士「受けてくれた。俺の告白」

召喚士「――っ!!」

戦士「いやっ、だからどうって事はないんだ! 別に何か変わるわけでもないし!」

召喚士「わ、分かってるようん! うんっ!」

戦士「あの時は妙に冷静でさ、今言っておかないと後悔する……って思ったんだ」


89 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:05:38.07zMK6t42Zo (19/34)

召喚士「な、なるほど」

戦士「だからってワケじゃねーけど、お前も言っておいた方がいいんじゃねーかな……って」

召喚士「……」

戦士「別に召喚士が死ぬだなんて思っちゃいないけどさ、言える機会があるうちに……」

召喚士「ありがとう」

戦士「……」

召喚士「でも、大丈夫。俺の場合は」

戦士「召喚士?」

召喚士「多分、俺の場合は……抜けちゃうと思うんだ」

戦士「……」

召喚士「今はこの想いをぐっと溜めてるから、力になってるんだと思う」

戦士「なるほどな」

召喚士「だから、俺はまだ……大丈夫」

戦士「……はははっ!」

召喚士「……?」


90 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:06:16.95zMK6t42Zo (20/34)

戦士「召喚士らしいわな!」

召喚士「そ、そうかな?」

戦士「まーあとはあれだな」

召喚士「え?」

戦士「誰かに先を越されないように気を付けねーとな! はっはっは!」

召喚士「!?」

戦士「さーて、酒取りに行ってくるわ」

テクテクテク

召喚士「戦士ってば! ……もうっ」

戦士が去った外壁の一画。召喚士は夜空の朧月をぼんやりと眺める。

召喚士「……告白、か」

壁に背を預け、地面へと座る召喚士。月は相変わらずぼんやりと浮かんでいる。

召喚士「死ぬわけには……いかないよね」

手にした酒を一気に飲み干し、立ち上がるや否や人だかりの方へと足を進める。

月は少し輪郭を形取り、柔らかな光を降り注いでいた。


91 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:06:51.64zMK6t42Zo (21/34)



天才「……」

グビッ

天才は1人、岩場の上へと座り、酒を飲んでいた。

月は雲に隠れ、南西砦からの小さな松明の光が、グラスを光らせていた。

天才「……」

ピクッ

戦士父「……珍しいな」

天才「……あぁ?」

戦士父「あんたが気配に気付かないとはな」

天才「うるせーな、疲れてんだよ。あっち行け」

戦士父「ああ、そのつもりだ」

天才「……?」

戦士父「その前に1つ聞かせてくれ」

天才「何だよ」


92 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:07:26.66zMK6t42Zo (22/34)

戦士父「ゾディアックは……まだ必要になるのか?」

天才「……使い手はてめぇだろ。自分で考えろ」

戦士父「……」

天才「お前、まさか回収に行くのか?」

戦士父「見つかるかは分かりませんけどね」

天才「馬鹿じゃねーの」

戦士父「……」

天才「その腕で、どうやって使いこなすんだっつーの」

戦士父「あんたはそこまで考えていたのか?」

天才「あぁ?」

戦士父「ゾディアック。あれには1本レプリカが含まれている」

天才「あぁー。ドッペルゲンガーのなんちゃらってヤツか」

戦士父「あれのお陰で魔力抜きの投擲では肉体、精神に影響はないようだ」

天才「……」

戦士父「あんたはそこまで狙って……」

天才「質問は1つなんだろ!? さっさと失せろ」


93 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:08:09.92zMK6t42Zo (23/34)

戦士父「……」

クルッ…ザッ

天才「……あーおい」

戦士父「……?」

天才「片手だろうが投擲は出来んだろーなぁ?」

戦士父「無論」

天才「んじゃ、戦力としてカウントしておくぞ」

戦士父「……頼みます」

天才「必ず見つけ出せよ、ゾディアック」

戦士父「了解」

天才「レプリカじゃねぇ本物が合わされば、おそらく五行も要らねぇ」

戦士父「……?」

天才「何も急ぐ必要はねーぞ。最後の最後に間に合わせてくれ」

戦士父「……何を言っている?」

天才「お前には言っておく。俺はおそらく……サタンまでは持たねぇ」


94 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:08:52.31zMK6t42Zo (24/34)

戦士父「……!?」

天才「何千とプランニングしてきたが、どうあってもサタンはラストになる」

戦士父「……」

天才「んで、俺様がサタンまで生き残る可能性は……0だ」

戦士父「……っ」

天才「だから、頼んだぜ」

戦士父「……断る」

天才「何?」

戦士父「今は可能性が0でも、運命ならば変わるはずだ」

天才「運命ねぇ……」

戦士父「それに、俺ももう60に近い。託すなら適任がいるでしょう?」

天才「誰だよ?」

戦士父「それはあんたが一番よく分かってるはずだ」

天才「……」

戦士父「あんたが育ててきた奴らだ。そうでしょう?」


95 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:10:52.48zMK6t42Zo (25/34)

天才「……ハーッハッハ!」

スクッ…スタッ

天才「テメーと顔を合わせるのもこれが最後かもな!」

戦士父「……」

天才「そうならない事を祈って、乾杯といくか」

戦士父「……遠慮しますよ、下戸なんで」

天才「ちっ、相変わらずかよ。まぁいい、早く行きな!」

戦士父「では、お元気で」

ザザッ…ビシッ

天才「敬礼もサマになってるじゃねーか。老いてなお盛んってか? ハーッハッハ!」

戦士父「また、会いましょう」

天才「おーう。またな」

ザザッ…ザッザッザ

天才(……これでいいんだよな、お師匠)

雲に隠れていた月は、少しだけその顔を覗かせていた。


96 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:11:31.46zMK6t42Zo (26/34)



魔道士「召喚士さんっ」

召喚士「魔道士さん……」

魔道士「……どうかしましたか?」

召喚士「い、いえっ! 別に何でもないですよ」

魔道士「……?」

召喚士(戦士のせいで妙に意識しちゃうじゃないか……っ)

魔道士「あの、召喚士さん?」

召喚士「は、はい!」

魔道士「明日、本国行きの船が出るみたいなんですけど、どうします?」

召喚士「えっ? あ、あぁ……そうですね」

魔道士「まだ戦後処理もあるみたいなんですけど、正直……私達じゃお役に……」

召喚士「確かにそうですね……」

魔道士「明日、戻ります?」

召喚士「そうですね、そうしましょうか」


97 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:11:57.67zMK6t42Zo (27/34)

魔道士「はいっ! えへへ!」

召喚士「魔道士さんは休まなくて大丈夫ですか?」

魔道士「お昼に少し休んだので。それに今は夜食作ったりもしてるから」

召喚士「そうでしたか。流石は魔道士さん」

魔道士「あ、ありがとうございます……えへへっ!」

召喚士「アンラ・マンユ、倒しましたね」

魔道士「はいっ。倒しました」

召喚士「次も……頑張りましょうね」

魔道士「はいっ、頑張りましょう!」

召喚士「……ははっ」

魔道士「えへへ!」

召喚士「さてと、砦内へ戻りましょうか」

魔道士「そうしましょう~」

召喚士「お疲れ様でした、魔道士さん」

魔道士「お疲れ様でしたっ、召喚士さん♪」


98 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:12:27.84zMK6t42Zo (28/34)



パッカパッカパッカ

インドラ「……まだ居たのか」

名士「見物と言っただろう?」

インドラ「……」

名士「インドラの矢とはよく言ったものだね。凄まじい威力だった」

インドラ「あの程度、然したるものでもない」

名士「だろうね。君の全力なら、大陸ごと消えている」

インドラ「人間共も大したものではないか」

名士「そうだね。まさかアンラ・マンユを倒すとはね」

インドラ「アンラ・マンユの全エネルギーを食い止めたのは賞賛に値する」

名士「ああ。あれが落ちていれば、この世界は変わっていただろうね」

インドラ「人間共は気付いていたのだろうか……?」

名士「さぁ。私は気付いていなかったと思うけれどね」

インドラ「アンラ・マンユの焦りを引き出した事こそが、勝利を得た最大の要因だな」


99 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:12:56.89zMK6t42Zo (29/34)

名士「何故、手助けをしたのかな?」

インドラ「貴様と違い、傍観するなどと申した覚えはない」

名士「それもそうか。でも、あんまり魔力は使わない方がいいのではないかな?」

インドラ「これも貴様と違ってな、長生きしようなどとは思っておらぬ」

名士「人間から見たら、十分に長生きもしているしね」

インドラ「……下らぬ」

フワッ

名士「次は?」

インドラ「さぁな。刻が合えば参加するも一興よ」

フッ!!

名士「相変わらず変な奴だな」

ガチャッ

名士「さて、我が屋敷に帰るとしようか。ははっ」

従者「はい」

名士を乗せた馬車は夜空を北へと駆け抜けていった。


100 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:13:40.94zMK6t42Zo (30/34)



その夜は新月に程近い欠けた月がぼんやりと浮かぶ静かな夜だった。

一同も酒などを囲んではいるが、心から笑っている者はいなかった。

その酒を口に含み思いを馳せる。それは故郷の事、家族の事。

そして先立った仲間達の事。含んだ酒は弔い酒。

好戦者などごく僅か。誰もがこの先に訪れる平和な未来の為に血を流す。

そして共に戦う仲間がいるからこそ、逃げずに立ち向かっている。

そして命を落とす者に胸を痛めつつも、明日は我が身と心が締め付けられる。

南西砦に居る者らにとっては忘れられない数日となったであろう。

この夜は特別なものとなったであろう。この戦いは特別なものとなったであろう。

そして、正しかったのかが分かるのは、まだ先の事だろう。

日はまた昇る。南西の火山にも再び新しい朝を迎える。

前日とは違った、一時の平穏な朝。彼らはようやく笑顔を見せた。

そして、ピリオドを打った。次の戦いの為に……。

魔王討伐軍は、南西砦を後にする。


101 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:14:08.30zMK6t42Zo (31/34)



西国兵「騎馬っ、転回!」

大軍師「援軍、まことに感謝いたします」

神官「何を仰いますか」

王子「そうそう。西国と本国は一心同体ですからね!」

皇太子「ありがたい」

神官「それでは西国軍は帰還致します」

王子「それじゃ、またね!」

戦士「おう!」

魔道士「元気でっ!」

王子「……出発!」

ザザッ…パッカパッカパッカ…

隊長「それでは、お気を付けて」

天才「お前らこそな。戦後処理、頼んだぞ」

女隊員「お任せ下さいッス!」


102 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:14:36.12zMK6t42Zo (32/34)

大軍師「救援物資と衛生兵は随時、送りますので」

男隊員「頼むぜ。こっちも目処がついた患者から本国へ返すからよ」

隊長「格闘家、お前は本国へ戻り次第、病院への手配を」

格闘家「はい」

ザッザッザ

南方魔道長「南方魔道隊、機関します」

天才「おう、ご苦労だったな」

召喚士「剣士さん達も戻るんですか?」

剣士「うん。一旦、準備を整えなおさないとね」

弓使い「そうね。出来れば家にも一度、帰りたいところだわね」

幼女「オーク達も一緒に行くの?」

オーク「ほ、法師さまぁ」

法師「構いませんよ。向かう道中は同じ。同行致しましょう」

オーク「だって!」

幼女「やったぁ!」


103 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 19:15:07.19zMK6t42Zo (33/34)

ハヌマーン「我らは一足先にスグリーヴァ様の下へと向かうか」

マーマン「あぁ、そうしようぜ」

スッ

マーマン「あ……」

マーメイド「……っ」

マーマン(マーメイド……)

ハヌマーン「どうした?」

マーマン「……いや、何でもねぇ」

召喚士「……?」

マーマン「そんじゃ行くか」

ハヌマーン「では、またな」

盗賊「……ああ」

ザッザッザ…

召喚士「……っ」

タッタッタッタッタ


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 19:16:01.49zMK6t42Zo (34/34)

まだ無駄な話を…全然終わらない…ごめんなさい
ひとまずここまでにて!ご支援ありがとうです!では!ノシ


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/06/21(火) 19:17:10.75LDNvlTRqo (1/1)

>>1乙

全然終わらせなくていいんじゃよ?


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/21(火) 19:17:46.62HTbIzEFJo (1/1)


エリートの台詞で哀戦士思い出したわ


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 19:51:55.849X7FJJ4lo (1/2)

インドラが介入したのっていつだっけ?


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/21(火) 19:54:22.64GK16ta7O0 (1/1)

あの雷の矢はインドラの魔法だったのか……誰が撃ったのかすげえ考えちまったwww


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/21(火) 20:17:18.546aqYQMJAO (1/2)

>>1乙

I pray, pray to bring near the にゅーでぇぇぇぇぇぇぇえええいっ!!!!!!!!!


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/21(火) 20:23:06.40n+CuehEAO (1/1)

うるさい


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/21(火) 20:36:47.566aqYQMJAO (2/2)

ごめん…


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 20:37:00.421tk8VGMVo (1/1)

>>107

>>34で介入してる


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/21(火) 20:46:32.35pQMFsQZ6o (1/1)

>>111
おまえかわいいな


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 21:13:50.08DWrEG7mso (1/1)

一番魔物の力が弱まる新月に仕掛けたから
”新月に程近い欠けた月”なんだな
さりげない描写がにくいぜ


115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 21:46:38.029X7FJJ4lo (2/2)

>>112
サンクス


116VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 23:45:12.724tTFmyLDO (1/1)

>>1乙!
やっと一段落って感じだな
俺は>>1の書く日常パートやサイドストーリー大好きだぜー
登場人物が多いのにそれぞれキャラが立って魅力的なのは、そのあたりの話をうまいこと差し込んでるからだろうしね。


117 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:55:01.44RNPLUco2o (1/8)

マーマン「なぁなぁ、途中で泉に寄ってってもいいかぁ?」

ハヌマーン「構わんぞ。好きにするが良い」

マーマン「助かるぜ! もうさ、皮膚も脳もカラッカラ……」

タッタッタ

召喚士「あのっ、マーマンさん!」

マーマン「あん? おう、どした?」

召喚士「あの、1つお聞きしたい事があるんですが……」

マーマン「聞きたい事?」

召喚士「サモナーさんの召喚獣、マーメイド……」

マーマン「!?」

召喚士「マーメイドさんの事、ご存知なんですか?」

マーマン「……」

召喚士「……」

マーマン「いやぁ、どうかな? あんな召喚獣腐るほどいるしなぁ」

召喚士「……そうですか」


118 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:55:57.33RNPLUco2o (2/8)

マーマン「ああ。何かあったんなら悪いな。力になれなくてよ」

召喚士「い、いえ……っ」

マーマン「そんじゃな。お互い頑張ろうぜ」

召喚士「……はい」

ザッ…テクテクテク

ハヌマーン「……良いのか?」

マーマン「ああ、行こうぜ」

召喚士「……」

テクテクテク…ピタッ

マーマン「……」

召喚士「……?」

マーマン「なぁ召喚士」

召喚士「はい」

マーマン「もしだぞ、もし俺がマーメイドってやらと知り合いだったら……」

召喚士「……はい」


119 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:56:51.59RNPLUco2o (3/8)

マーマン「それにはどんな意味があるんだ?」

召喚士「……」

マーマン「お前自身は、何か分かってんのか?」

召喚士「マーマンさんとマーメイドさんって……似てますよね」

マーマン「……ふぅん」

召喚士「見た目や能力までもそっくりなのに……」

マーマン「何だよ」

召喚士「片や魔物であり、片や召喚獣」

マーマン「あぁ、そうだな」

召喚士「もしお2人が知り合いであるならば、これは大変な事です」

マーマン「大変、ねぇ」

召喚士「俺は、とんでもない勘違いをしていたのかもしれない……っ」

マーマン「なぁ召喚士さんよ」

召喚士「……はい」

マーマン「生命ってのはさ、何なんだと思う?」


120 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:57:18.80RNPLUco2o (4/8)

召喚士「生命……ですか?」

マーマン「魔物にも召喚獣にも人間にも、動物にも植物にも平等に存在する」

召喚士「ええ」

マーマン「種族は違えど、それは共通する『生きる』って事だ」

ハヌマーン「……」

マーマン「生命の始まりと終わり。生きる事と死ぬ事。これって平等だよなぁ」

召喚士「……」

マーマン「もしその、生命の真理ってやつに行き着いた時……お前は……」

召喚士「……?」

マーマン「あーいやいや、何でもねぇ。まぁ頑張って生きてこうって話さ!」

召喚士「……」

マーマン「そんじゃあまたなっ! クハハッ!」

ザッザッザッザッザ…

召喚士「生命の真理……生きる、か」

立ち去るマーマンとハヌマーンを召喚士はただ静かに見送った。


121 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:57:54.36RNPLUco2o (5/8)



青年兵「1番艦は真っ直ぐ本国、2番艦はターミナルへ直行後に本国へ」

大軍師「3番艦は三日月島経由で北の港へ向かい、その後に本国へ」

北方魔道兵「俺らは3番艦か。じゃあ元気でな!」

南方魔道兵「おうよ! 北も頑張ってな!」

ザッザッザ

青年兵「アマゾネスさん……」

アマゾネス「……」

青年兵「行かれますか? 残りますか……?」

アマゾネス「我らは……」

タッタッタ…ガバッ

おさげ「当然行きますよね~っ、長!」

ポニテ「そうそうっ! 最初からそのつもりだったんだしぃ~」

女兵「こら、じゃれるな」

色黒「長を取られて嫉妬してる~」


122 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:58:30.89RNPLUco2o (6/8)

女兵「いい加減にしろ!」

青年兵「宜しいですね?」

アマゾネス「……ああ」

皇太子「面倒は受け持つぞ。遠慮するな」

青年兵「陛下……っ!」

ポニテ「陛下って……あれが本国の王様ぁ!?」

ツインテ「ふにゃああぁぁ……凛々しい人だにゃ~」

青年兵「それでは、陛下とともに番艦へお乗り下さい」

アマゾネス「ありがとう。世話になるぞ」

テクテクテクテク

戦士「さーて、俺たちも1番艦に……」

魔道士「あれ? バーテンさん?」

バーテン「ああ、2番艦はターミナル行きだろ? 途中で大陸港の町を通るからな」

盗賊「……そうか」

バーテン「ここでお別れだ。またな」


123 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:59:12.88RNPLUco2o (7/8)

戦士「おう、バーテンさんも元気でな」

魔道士「またすぐに、遊びに行きますからっ!」

バーテン「楽しみに待ってるよ」

盗賊「……」

バーテン「そん時は、俺だけじゃなく……」

戦士「……?」

ザッザッザ

東方参謀「2番艦、間もなく出るぞ。乗るが良い」

バーテン「おっと、そんじゃまたな」

テクテクテクテク

魔道士「何でしょう……」

戦士「さぁ?」

盗賊「……おっ、戻ってきた」

タッタッタ

召喚士「すみません、お待たせしました!」


124 ◆1otsuV0WFc2011/06/21(火) 23:59:49.19RNPLUco2o (8/8)

ボーッ…ボーッ

名代「ようやく終わりましたな」

召喚士「ええ」

サモナー「でも、まだ始まったばかりだね」

戦士「ああ」

魔道士「……頑張りましょう! きっと、大丈夫ですよね!」

盗賊「……ああ」

ボーッ

青年兵「各員、敬礼ーっ!!」

南西砦を離れる数隻の船。甲板には立てる限りの人々が並び、

声を合図に、全員が陸地へ向けて黙祷を始めた。

空は憎たらしい程、青々とした晴れ空であった。

火山や至る箇所から立ち上る噴煙が、何かの合図のように空へ吸い込まれていった。

そして、魔王アンラ・マンユを彼らは倒した。それは紛れもなく事実であり、

後の世まで歴史の快挙として記録される事になる。


125 ◆1otsuV0WFc2011/06/22(水) 00:01:07.29e8az9c/wo (1/2)



遠く南の海底で、彼はその慟哭を胸中でぐっと堪えていた。

サルワ「主が……主が討たれた……だとぉ!?」

ゴボォ

サルワ「そんな事があって……たまるものかぁ!!」

ゴボゴボゴボォ!!

サルワ「ガアアァァァァ-ッ!!」

ザッバアアァァァァ!!

サルワ「ハァーッ、ハァーッ、ハァーッ」

グワッ

サルワ「こうなったら……フハハッ! 覚悟していろよ……人間共オオォォ!」

ただ1人取り残された眷属サルワ。彼は不敵な笑みを残し、

南方へと姿を消していった。アンラ・マンユの志と共に……。

サルワが再び強敵として立ちはだかるのは、近い将来の話である。



 ~第四十八部、完~


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 00:12:16.894rs16eGIO (1/1)




127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 00:12:56.28e8az9c/wo (2/2)

よーしひとまず終わりました!長かった…ごめんなさい!
今日も沢山のご支援本当に感謝!ありがとーっ!

明日はちょっと投下少ないかもです。それではお休みなさい!ノシ

>>105
逆算したら40スレじゃ収まらないかもしれません…

>>106>>109
ちょっと狙ってみました。BGMにどうぞ!

>>107-108>>112
その通りです!

>>114>>116
あーもうこういう感想頂けるなんて嬉しい限りです!
細かいところまで気付いて頂けてこちらこそ感謝です!


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/22(水) 00:49:16.17vu7hsQbAO (1/1)

>>1おつ

サラッっ書いてる地の文が好きだ


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 01:01:56.61XfOzTcfDO (1/1)

>>1乙

やっと魔王一体か。
何部までいくかはわからんが終わりが近いと思うとせつない。

次は魔王そっちのけで戦士と盗賊のイチャイチャの話ですね


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/22(水) 01:05:32.52BUFb9Y6AO (1/1)

そういえばマジシャンは?


131VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 01:17:29.69pjIGEJYOo (1/1)

>>1乙

サルワェ...


132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/22(水) 05:27:15.17DATY3PNk0 (1/1)

1乙
インドラが味方につくか敵になるかで随分違うな



133VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 06:39:14.253pYvtZiIO (1/1)

エリート『己の生きた証と、生きる者達の未来と希望を残す為に戦ったのです!』

かっけえ


134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/22(水) 08:12:30.40crI5j2HAO (1/1)

>>1乙

哀戦士の答え、エリートが見つけっちゃったね


135VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 20:01:10.417X2I1r2DO (1/1)

>>1乙!
そういや人と魔物と召喚獣の違いとか
俺達のイケメンユニコーンさんの話とかあったね。
このあたりの話も楽しみだぜ-


136 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:31:10.12Gv1er5xqo (1/14)

青年兵「……」

テクテクテク

召喚士「……青年兵くん」

青年兵「召喚士さん」

2人は飾られた遺影を、しばし無言でぼんやりと見つめていた。

召喚士「いい……笑顔だね」

青年兵「ええ……。本当に」

瞑る目には涙が滲む。だが、零れる事はない。

召喚士と青年兵はぐっと堪え、すぐにまた、そして懸命に笑顔を作る。

青年兵「……行きましょうか」

召喚士「うん」

さようなら。その言葉を胸中で呟き、2人は講堂を後にする。

写真の中の青龍先生は屈託のない笑顔で2人を見つめていた。



そして……『伝説』はその名の通り、まさしく『伝説』となった。


137 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:32:24.90Gv1er5xqo (2/14)

召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    ~第四十九部~


138 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:33:17.66Gv1er5xqo (3/14)

アンラ・マンユとの戦いを終えた討伐隊は、各方面へと帰還した。

召喚士らを乗せた1番艦も、本国へと入港していたのであった。

~本国~

戦士「生きて帰ってきたな」

盗賊「うん」

玄武娘「くあぁ……疲れたですのぉー」

朱雀嬢「我慢なさいな。もうすぐ休めますわよ」

白虎嬢「そうそう~」

召喚士「あれ? そういや戦士の親父さんは……?」

戦士「なんか機能の夜に出発したらしいぞ」

魔道士「どこにですか?」

戦士「さぁ、誰も聞いてないってよ」

召喚士「そっか……」

戦士「全く、冷てぇもんだよな」

召喚士「心配かけたくなかったんじゃない?」


139 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:33:52.93Gv1er5xqo (4/14)

戦士「そんな年かっつーの……お互いよ」

盗賊「……さて、どうする?」

魔道士「このあとすぐに、凱旋パレードがあるみたいですよ」

戦士「あー。だからみんな待機してんのか」

召喚士「参加する?」

戦士「めんどくせーなぁ」

盗賊「……ああ」

召喚士「だよね……」

戦士「国軍付ったってどうせワーカーだし、参加しなくてもいいだろ」

召喚士「そうだね」

テクテクテクテク

天才「ほっほーう」

召喚士「天才さん!?」

天才「魔王を討伐した凱旋パレードをバックレるとは……いい度胸じゃねぇか」

召喚士「い、いや……その……っ」


140 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:35:38.92Gv1er5xqo (5/14)

天才「ま、いいんじゃねぇの」

魔道士「い、いいんですか?」

天才「バックレる気マンマンだったじゃねぇか」

魔道士「そ、それはそうですけどぉ……」

天才「冗談だよ。いいぜ、好きにしな」

盗賊「……」

天才「その代わり、パレード終了後には本部で会議がある」

戦士「参加しろって事だな」

天才「……ついでにそこの奴らも連れてってやれ」

召喚士「へ……っ?」

ビクゥッ!!

白虎嬢「にゃ~ん」

朱雀嬢「誤魔化せるわけないでしょっ!」

玄武娘「おぉ、本物の猫みたいでしたのー!」

召喚士「は、ははは……っ」


141 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:36:44.14Gv1er5xqo (6/14)



天才「そんんじゃ、また後でなー」

召喚士「天才さんはどちらへ?」

天才「1人で酒でも飲みながら仮眠でもしてるわ」

テクテクテクテク

戦士「そんなら一緒にくればいいのに」

ジュニア「1人になりたんだろ」

魔道士「ジュニアさんっ!」

ジュニア「あの戦いの後だからな。そういう気分の時だってあるさ」

戦士「ふぅん、ああ見えて意外な一面もあるんだな」

魔道士「そりゃそうですよぉ」

戦士「さーて、そんじゃ俺らも行くか」

召喚士「うん」

ジュニア「……」

召喚士「……えっと……ジュニアさんも……行きます?」


142 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:37:32.15Gv1er5xqo (7/14)

~酒場~

ジュニア「ぷっはーっ!! 生き返るわぁ~。命の水とはよく言ったものだな!」

戦士「きっと寂しかったんだろうな」

召喚士「戦士、聞こえてるって!」

ジュニア「……」

戦士「だってよ、普通付いてこなくねーか?」

召喚士「ちょっと戦士っ!!」

ジュニア「…………」

戦士「友達とかいねーんじゃないか?」

召喚士「……」

ジュニア「……それより女子共はどこに行ったんだ?」

召喚士「えっと……買い物に」

ジュニア「あっそ……」

戦士「……ヤロー3人で昼っから酒だよ」

召喚士「……」


143 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:38:00.18Gv1er5xqo (8/14)

~大通り~

魔道士「ちょっとこれっ、カワイイ~!」

玄武娘「ほんとですのーっ!」

朱雀嬢「何でもいいですわよ」

盗賊「……全くだ」

白虎嬢「でもぉ、やっぱり女の子なら可愛い物も身に付けないと~」

朱雀嬢「お金の無駄ですわ」

盗賊「……動き辛い」

朱雀嬢「あれ? あの方は確か……」

白虎嬢「確か、天才さん……でしたっけ?」

盗賊「何をしているのだろう」

朱雀嬢「どこかへ行くみたいですわね」

盗賊「……」

玄武娘「あっ、これ見て下さいですのーっ!」

魔道士「うわぁ、素敵~っ」


144 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:38:45.28Gv1er5xqo (9/14)

ザッザッザ

天才「……ここか」

コンコン

天才「……」

――「はい」

天才の訪れた一軒の家。ドアの置くより1人の女性が顔を出す。

天才「南西砦長の配偶者……かな?」

妻「ええ、そうです……」

天才「国軍総司令官、天才と言う」

妻「!? こ、これは……わざわざありがとうございます」

天才「今日は……いや、何で来たかは分かっているか」

妻「……どうぞ。お入り下さいまし」

天才「ああ、失礼す――」

息子「どうぞ」

天才「……ああ」


145 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:39:25.04Gv1er5xqo (10/14)



妻「どうぞ」

カチャッ

天才「すまんな」

息子「それで、父は?」

妻「……っ」

天才「……」

ゴソッ…コトッ

天才「南西砦長の遺骨だ。それと……」

ゴソッ

天才「遺品。他にも持ち帰られる限りは全て回収した」

妻「ありがとう……ございます」

天才「……」

息子「……」

妻「……っ」


146 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:39:59.20Gv1er5xqo (11/14)

天才「……それじゃ、失礼する」

妻「今日は、ありがとう御座いました……」

息子「遺骨、しまってきます」

スクッ…ゴトッ

息子「……」

小さな箱は、見かけによらず、ずっしりとした重さだった。

その重さが箱を通して、息子の手に重くのしかかる。

それは紛れもなくつい先日まで生きていた人間だったもの。

息子はその重みを感じて、我慢し続けていた涙が一気に溢れ出した。

息子「……ぐ……うぅ……っ」

妻「……っ」

それでも気丈に上を向いて、背中越しに一礼すると、リビングを立ち去った。

天才「……強いな。まだ若かろう」

妻「今年で16になります」

天才「……そうか」


147 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:41:05.57Gv1er5xqo (12/14)

妻「主人は、本国からのお話を伺ってから、既に覚悟を決めておりました」

天才「……」

妻「私達2人に対しても、生前に自分の口から……遺言を……」

天才「……そうか」

妻「ですから、私達も既に覚悟を決め、生きていく決心は出来ております

天才「生涯の補償は国軍が担う。安心してくれ」

妻「……」

天才「安心ってのも不謹慎な言い方だな。すまん」

妻「……いえ」

天才「何か困った事があったら、すぐに連絡してくれ」

スクツ

天才「……それじゃ失礼する」

妻「……あの」

天才「……?」

妻「主人は……主人は、立派に務めましたか?」


148 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:41:54.54Gv1er5xqo (13/14)

天才「……ああ。見事だった」

妻「――っ!!」

天才「奴がいなければ負けていた。お世辞でも何でもねぇ」

妻「そう……ですか……っ」

天才「……では」

ザッザッザ

天才「!?」

息子「……本日は……ありがとうございました」

天才「……これから、頑張ってな」

息子「ありがとうございます」

天才「おう。えーと、今16だっけか?」

息子「はい」

天才「親父の代わりに、お袋さんの面倒をしっかりな」

息子「……」

天才「……ん、どした?」


149 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 00:42:50.56Gv1er5xqo (14/14)

息子「僕は、決めている事があるんです」

天才「……?」

息子「16になったら、魔道学校へ入学しようと思っています」

天才「!?」

息子「そして卒業したら、そのまま国軍へ入隊します」

天才「……っ」

息子「そして、ゆくゆくは拠点を守る兵長になりたいと思っています」

天才「……そうか」

息子「その時は、共に戦わせて下さい」

天才「……ああ、待ってるぜ」

ザッザッザ

天才「見てるか南西砦長。お前の魂は……しっかりと引き継がれたぜ」

晴れる事のなかった心の雲は、青空のように澄みきった。

天才「やっぱり、これで良かったんだよな……お師匠」

青空を見上げる天才の耳に、凱旋パレードの賑やかな声が優しく届いた。


150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/23(木) 01:54:50.24LQmXIWFDO (1/1)

イチオツ!

インドラと聞いてインドラ~橋~と浮かんできた俺は末期


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/23(木) 04:14:22.56ZQSNBDTDO (1/1)

>>1乙
青龍先生ェ…
次の魔王は誰なんだかwktk


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/23(木) 08:27:51.850Gvr8fqAO (1/2)

>>1乙

もうあれだな、朱雀のコカちゃん使いを代々国軍付きにして、世代毎の実力ある人材を石化保存して
何万人も集めてから一斉に石化解除で魔王討伐開始したらもっと被害抑えられそう

石化中歳取らんのかはわからないけど

そして青龍先生…また男前が亡くなるのか


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/23(木) 09:27:47.53nC+zb4XDO (1/1)

とうとう青年兵がバハムートを受け継ぐのか

胸熱


154 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:08:05.76yMPemDCto (1/7)



近衛兵「前進ーっ!!」

ザザッ…パッカパッカパッカ

本国の港から大通りへ抜けると、そこには既に大勢の人々が、

紙吹雪や楽器、手拍子に歓声と様々な手段で一同を出迎える準備をしていた。

男「きたぞーっ!!」

老人「本国万歳ーっ!! 陛下ぁ!!」

女性「……あっ!! ほらっ、お父さんよ!!」

娘「お父さぁん! おかえりなさーい!」

魔道兵「……っ!!」

家族の無事を確認するや否や、中央の通りを離れ脇道で抱き合い涙する。

そんな兵らの姿を見て、規律こそ正しくないが人間味溢れてて良い、

などと皇太子は思いつつ、大衆に笑顔で手を振る。

涙を浮かべる者、笑みを浮かべる者、痛みに顔を歪める者。

表情は様々であったが、全員が胸を張って、大勢の出迎えに喜びを分かち合った。


155 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:09:10.98yMPemDCto (2/7)

ワーッワーッワーッ

記者「……くそっ、凄い人だかりだな」

書家「……」

記者「おっ、陛下だ! 陛下~っ、一言、一言お願いしますー!」

書家「こんな位置からじゃ無理だっつの」

記者「次は総大将を務めた青年兵か! あのー今回の総評を――」

書家「だーから無理だって」

記者「くそーっ。あれ、そういえば朱雀先生方は……?」

書家「そういやそうだな。参加しててもおかしくないんだがなぁ」

記者「よーし……こうなったら他紙とは違った切り口を狙うか」

書家「……」

記者「さぁ~。ワーカーのみんなはもうじきかぁ~?」

書家「俺は飽きたからもう帰るわ」

記者「先輩は相変わらず飽きっぽいですねぇ……」

書家「そんじゃ頑張ってなぁ~。新編集長サン」


156 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:09:50.10yMPemDCto (3/7)

テクテクテクテク

書家「……バーカ。だからおめーはいつまで経っても甘チャンなんだよ」

沿道の大衆に紛れスクープを狙う記者を嘲笑うかのように、

書家は1人その場を後にし、小さな通りの奥へと姿を消す。

テクテクテク

書家「ここ最近はでかい戦いもなかったし、左翼絡みでパレードもなかったが……」

テクテクテク

書家「通例ならば、本国軍のあとにワーカー。最後に国軍のはずだ」

テクテクテク

書家「ワーカーがいねーってのは自主的にバックレたって事」

テクテクテク…ザッ

書家「……だったら、今頃は大衆酒場で一杯やってる頃かねぇ」

カチャッ…キイィ

書家「……ビンゴ」

酒場に入る書家は、奥の席で団欒している召喚士らを即座に見つけ出した。


157 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:10:30.35yMPemDCto (4/7)

テクテクテク…ザッ

書家「いよぉ、これはこれは朱雀先生!」

召喚士「あっ、書家さん!?」

戦士「何してんだ?」

書家「こっちの台詞だよ。アンラ・マンユ討伐にゃ参加しなかったのか?」

召喚士「いや、しましたけど……」

戦士「パレードって気分でもなかったし、国軍じゃねーからな」

書家「なーるほどな! んで、どうだったよ?」

戦士「……取材か?」

書家「おいおい、フリーでツテもねぇよーな奴のスクープなんざ、誰も相手してくれねーよ」

ジュニア「……」

書家「んで、どうたったんだよ!?」

召喚士「……ひどいものですよ」

書家「ひどい?」

召喚士「ええ……死傷者も多数で……」


158 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:15:09.98yMPemDCto (5/7)

書家「……」

召喚士「この次は必ず……」

書家「……あのさ」

召喚士「はい?」

書家「お前、何か勘違いしてる?」

召喚士「え……っ?」

書家「右翼だの左翼だのが終わって、本国は今、一丸となってる」

戦士「……」

書家「誰がそんなネガティブな感想を喜ぶと思ってんだよ」

召喚士「……っ」

書家「これは取材云々の話じゃねぇぞ。一般論としてだ」

ジュニア「ぁ、そりゃそうだわな」

書家「パレードだってそうだろ。ああやって余計な不安を与えないようにやってんだ」

召喚士「そうかもしれませんが……」

書家「あーあ。なんか幻滅だなぁ」


159 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:17:57.69yMPemDCto (6/7)

戦士「おい、失礼じゃねーか?」

書家「失礼なのはそっちだろ。泣き言で死者を冒涜してんじゃねぇか」

戦士「何だとっ!?」

召喚士「戦士」

戦士「……っ」

書家「大体よ、お前らは選ばれた人間なんだよ」

召喚士「……」

書家「人間の中から魔王と戦うに値する選ばれた人間」

ジュニア「……」

書家「更にはその中から主力として戦える力を持った、選ばれた人間」

戦士「……」

書家「言い方を換えれば、お前らを生かす為に、雑魚は死んだんだ」

召喚士「……そんなのって」

書家「それが事実だ。受け入れろよ」

召喚士「……っ」


160 ◆1otsuV0WFc2011/06/23(木) 15:21:48.50yMPemDCto (7/7)

書家「なのにお前ときたら、何が『ひどいものでした』、だ。馬鹿じゃねーの?」

召喚士「……俺は」

書家「もっと胸を張ってよ、こうこうこうして魔王を倒しましたって言えよ」

戦士「現場にも居なかった奴が何を言うんだよ」

書家「現場にいなかったから俺らがいるんだろうが」

戦士「……?」

書家「それを大衆に伝えるってのが俺らの仕事だろうがよ」

戦士「ちっ」

書家「じゃあ何か? 魔王討伐は大変でした。次はダメかもしれません。そう書けってか?」

戦士「そうじゃねぇけどよ」

書家「ったく、無駄足だったわ。じゃあな」

スクッ…テクテクテク

戦士「……何なんだよアイツはよ」

召喚士「でも、書家さんの言う通りなのかもしれない」

ジュニア「ああ。俺らが胸張って、誇りを持ってねーと……死んだ連中が浮かばれんよ」


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/23(木) 17:10:49.17LNQPIUCAO (1/1)

パイ乙
まあ召喚士は基本甘い考えだからな


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/23(木) 19:09:49.34NvRGrMyDO (1/1)

>>1乙
実際目の前で人がゴロゴロ死んでしまったらキツイわな
しかもその作戦に中心人物として参加したら間違いなく責任は感じるよね。
天才や皇太子ですら自分の判断は本当に正しかったのか迷ったくらいだもんな。


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/23(木) 19:22:49.98Kuxa2tYAO (1/1)

書家さん、圧倒的正論っ!


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/23(木) 20:42:00.130Gvr8fqAO (2/2)

>>1乙

リア充完全論破!!さすが俺たちの書家さんだぜ!!


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/23(木) 23:45:02.22TZ/GQK+AO (1/1)

>>1おつ


166 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 00:06:11.35cih2/+3qo (1/3)

.パッカパッカパッカ…

少年「かっこいい~!」

女性「陛下~っ!」

大通りを進むパレードは、間もなく王宮前へと辿り着く。

ワアアァァァァ!!

エリート「お帰りなさいませ」

皇太子「ああ、ただいま」

右秘書官「さぁ、壇上から離れよ。これより陛下のお話があるぞ」

右文官「ほれっ、そこの記者共! もっと下がらぬか!」

高官「陛下の馬をこちらに」

パッカパッカパッカ…ドドォ

皇太子「……」

青年兵「全員っ、整列ー!!」

ザザザッ!!

エリート「陛下、お願いします」


167 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 00:06:40.93cih2/+3qo (2/3)

カツカツカツカツ

皇太子「……」

壇上に皇太子が立ち、周囲をぐるりと見渡すと、人々は一斉に無言となった。

皇太子「今日ここに立つ、その意味を皆も知っていると思う」

青年兵「……」

皇太子「我らは、ある1つの大きな始まりを迎えた」

白虎長「……」

皇太子「魔王との戦い。つまりそれは……最終決戦である」

大軍師「……」

皇太子「そして試練の刻は、7回訪れる」

アマゾネス「……」

皇太子「そのうちの1回、我らは無事、その門をくぐり抜けた」

記者「……」

皇太子「しかしくぶり抜ける事のなかった、多大な命がある事も事実である」

ドクター「……」


168 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 00:07:29.93cih2/+3qo (3/3)

皇太子「それをどう受け止めるか。それは各々の思うところであろう」

格闘家「……」

皇太子「私は悩んだ。しかし、それと同時に教えられた」

右大臣「……」

皇太子「今は辛い。絶えるべき刻であろう」

エリート「……」

皇太子「残り6つの門を開いたその先に、我らの未来が待っていると信じている」

ザッ

皇太子「我らはその為に、命を賭けている。だから皆も信じて……付いて来て欲しい」

パチ…パチパチパチ…

皇太子「次代を担う、子や孫達の為に! 人類の未来の為に!」

パチパチパチッ…ワアアァァァァ!!

皇太子にとって何も変わった事を言ったつもりはない。

ありのままの心中を言葉にしただけである。しかし、それは確かに伝わった。

人々は歓声と拍手で、皇太子の演説を通し、戦う者達の魂は解き放たれた。


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/24(金) 01:29:18.92SwLKIXEZo (1/1)

おつ?


170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/24(金) 03:42:13.10hUe0542o0 (1/1)

皇太子も王らしさが出てきたな。こうやって登場人物の成長が見られるとなんか嬉しい。

いちょつ


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/24(金) 06:18:22.75GzXNPRqDO (1/1)

しかし大勢の前で噛んじゃう


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/24(金) 08:02:16.06vuxSOYFAO (1/2)

>>1乙

市民A「くぶり抜ける?」

市民B「え、今なんて…?」

ザワザワ…


173VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/24(金) 11:18:40.51qGYsXM7AO (1/2)

>>1乙んつん


174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/24(金) 14:39:00.47C6tfvtDp0 (1/1)

1otu



175 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:00:10.37+/1+ofXxo (1/28)



エリート「お疲れ様でした」

皇太子「夜は祝賀会だったかな」

エリート「はい。しばし休息後、本国ホテルの一画を借りて開催致します」

皇太子「分かった」

カツカツカツ…パタン

右文官「司令はどうしたのだ?」

青年兵「パレードは不参加で祝賀会から合流すると」

未日文官「全く。軍の大将が何をしておるのだ」

青年兵「本人はワーカーだから参加しないと……」

大軍師「それ以前にお疲れなのでしょう。ここのところ出ずっぱりでしたから」

エリート「構わないさ。国民がパレードでみたいのは陛下なのだから」

右文官「それもそうか」

大軍師「さて、我々も移動し、準備に取り掛かりましょう」

青年兵「はい」


176 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:01:16.67+/1+ofXxo (2/28)

夕方になると本国の各所では、大勢の人々で賑わいをみせた。

街中はまるで祭りの如く出店やパフォーマーに溢れ、

軍服に身を包んだままの兵らが酒や食事を囲み、大いに盛り上がっている。

国軍本部内もまた、賑わいは同様のものであった。

~国軍本部、会議室~

召喚士「失礼しまーす」

青年兵「召喚士さん、お待ちしておりました」

召喚士「遅くなりました」

戦士「盗賊達は来てねーのか?」

大軍師「まだのようですね」

カツカツカツ

天才「おーう、揃ってっかぁ?」

青年兵「お疲れ様です。まだ全員は揃っていないようです」

天才「あーこんだけ居れば問題ねぇ。始めるぞ」

大軍師「それでは、ご着席下さい」


177 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:01:56.29+/1+ofXxo (3/28)



天才「えーと……まずはお疲れさんでしたっと」

ジュニア「……」

天才「アンラ・マンユ戦は予想以上の戦果だった」

召喚士「そうなんですか?」

大軍師「シミュレーションではもっと甚大な被害が出ると予想されておりました」

召喚士「……」

天才「しかもだ、眷属もほとんど殲滅出来た。こりゃ期待値以上と言わざるをえんだろ」

戦士「でもよ、サルワだけじゃなくて、アジ・ダハーカとかいうのが残ってんだろ?」

天才「ありゃ魔王の残りカスみてーなモンだ」

ジュニア「はぁ?」

天才「魔力の塊って事だよ。そんなら倒すのは簡単だ」

大軍師「単純な魔力による力押しですね」

天才「五行とかそんなんは必要ねぇ。ひたすら攻撃する、それだけだ……なぁ?」

青年兵「えっ? は、はい」


178 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:02:45.62+/1+ofXxo (4/28)

大軍師「それでは本題を」

天才「あーそうそう。そろそろ内通者を始末しようかと思ってな」

青年兵「――!?」

天才「こっからは順序ってモンが大切なんでな。隙を見ながら裏で遂行していく」

大軍師「今回はその為にお集まり頂きました」

天才「本来なら特遊を動かしたいとこだが、1人は役立たず」

格闘家「……」

天才「あとは戦後処理でそれどころじゃねぇ」

大軍師「よって、国軍内部とワーカーの内外部2点からあたりたいと思います」

召喚士「なるほど……」

青年兵「司令」

天才「あん?」

青年兵「その任務、私に仕切らせては頂けませんでしょうか?」

天才「ほぉー。出世欲が出てきたか?」

青年兵「いえっ、そういうわけでは……」


179 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:03:24.60+/1+ofXxo (5/28)

天才「冗談だよ。構わん、元からそのつもりだ。存分にやれ」

青年兵「……ありがとうございます」

天才「ただし、1つだけ忠告」

青年兵「……?」

天才「私怨は挟むな。以上だ」

青年兵「……はい」

大軍師「次に魔王討伐の、今後の展望ですが……」

天才「詳細は明日の本会議でいいだろ」

大軍師「はい。それまでに大まかな形だけは作っておこうかと」

ジュニア「確かに気にはなるな」

天才「だから、本会議で決めるっつーの」

大軍師「では、そう致しますか」

天才「内通者の件は他言無用だぞ、分かってんな?」

召喚士「はい」

天才「そんじゃ解散! さーて、祝賀会に向かおうぜ!」


180 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:04:05.32+/1+ofXxo (6/28)

~本国、郊外~

魔道士「買い物してたらすっかり遅くなっちゃったね」

朱雀嬢「全くですわ、もう……っ」

魔道士「ごめんなさい」

朱雀嬢「い、いえっ! べ、別に構いませんけれど……」

盗賊「……あれ?」

玄武娘「サモナー様!!」

サモナー「やぁ、これから祝賀会なんじゃないの?」

玄武娘「そうですのー! 見て見てっ、このドレス!」

サモナー「可愛いね、よく似合うと思うよ」

玄武娘「ほ、本当ですの!?」

魔道士「サモナーさんは行かないんですか?」

マーメイド「私が居るからって、気を遣って行かないのよ。行けばいいのに……」

サモナー「いやいや、元から出るつもりはないし、ここにいた方が気が楽でいいよ」

朱雀嬢「……っ」


181 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:05:23.07+/1+ofXxo (7/28)

盗賊「……なら、いいけど」

魔道士「じ、じゃあ……」

サモナー「うん。遠慮しないで行っておいで」

玄武娘「……サモナー様」

サモナー「ん?」

玄武娘「まだ……いるですの?」

サモナー「ああ。しばらくはみんなと一緒に戦うよ」

玄武娘「……分かったですの」

朱雀嬢「それじゃ、失礼するですわ」

テクテクテク

盗賊「……いいのかな?」

魔道士「……?」

盗賊「サモナーさん。魔力を使えばそれだけ……」

玄武娘「サモナー様の意思ですの。止める事は……出来ないですの……」

朱雀嬢「……そう、ね」


182 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:06:03.26+/1+ofXxo (8/28)

~本国ホテル、大ホール~

玄武娘「おぉーっ!!」

朱雀嬢「凄いですわね……」

玄武娘「おぉーっ!!」

盗賊「……美味しそう」

玄武娘「おぉーっ!!」

魔道士「綺麗~っ」

テクテクテク

エリート「ようこそお越し下さいました」

魔道士「エリート様、お招き頂き、光栄でございます」

スッ

玄武娘「あれは何をやってるですの?」

朱雀嬢「ドレスの裾を持ってご挨拶ですわ! 前に教えたでしょっ」

玄武娘「お、おぉ……っ」

盗賊「……こう?」

クイックイッ


183 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:07:18.25+/1+ofXxo (9/28)



戦士「何で俺らはこんな格好しなきゃいけねーんだよ」

天才「祝賀会なんだからしょーがねぇだろ。ゴチャゴチャ言ってんじゃねぇ」

戦士「だってよ、そっちは軍服のままなのに……」

天才「あのな、俺様達はこれが正装なの」

大軍師「そういう事です」

戦士「……せめて蝶ネクタイくらい外させてくんない?」

召喚士「あっ、魔道士さん達ですよ!」

テクテクテク

魔道士「こんばんはーっ!」

召喚士「こんばんは」

青年兵「よく似合ってらっしゃいますよ。お綺麗です」

朱雀嬢「!? そそ、そんな事……ありませんわっ!」

青年兵「あっ、何か飲み物をお持ち致しましょう」

朱雀嬢「は、はいですわ! あっ、いや……自分で取りに行きますですわっ!」


184 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:08:13.48+/1+ofXxo (10/28)

ジュニア「おやおやぁ~?」

盗賊「……?」

ジュニア「全く、いつの間に……」

戦士「何がだよ」

ジュニア「ハッハ! 全く、羨ましいモンだよ」

戦士「だから何が……」

ジュニア「じゃあ玄武娘ちゃん、一緒に――」

支配人「これより当ホテルのシェフによる、フィレステーキの実演ー―」

玄武娘「行くですのー!!」

タタッ

盗賊「わ、私も……」

コソコソ

戦士「ったく、仕方ねーなぁ」

テクテクテク

ジュニア「…………」


185 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:08:48.44+/1+ofXxo (11/28)

召喚士「みんないっちゃいましたね」

魔道士「ですね……」

ジュニア「仕方ない。こうなったら開拓だ!」

魔道士「ジュニアさん……どうしたんです?」

召喚士「さ、さぁ……」

テクテクテク

ジュニア「うおっ!?」

白虎長「ふふーん」

ジュニア「これはステキなおっ……ご婦人。ご一緒にどうです?」

白虎長「ほぁ? おーっ、飲め飲めー!」

ジュニア「!?」

白虎長「なぁに~? 飲めないってのぉ~?」

カツカツカツ

白虎長「あっ! 陛下~!」

ジュニア「…………」


186 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:10:12.49+/1+ofXxo (12/28)



ドクター「皆様、此度はご苦労様でした」

大軍師「これはこれは院長先生。怪我人の受け入れ許可、誠にありがとうございます」

ドクター「いえ、当たり前の事です」

天才「すまんな、世話をかけて」

ドクター「出来れば私も反対したいのが本音です」

大軍師「お気持ちは重々承知。しかし、無意味な戦いではありませんので」

ドクター「ええ……」

天才「格闘家、どうだ?」

ドクター「彼は凄いです。驚異的な回復力ですよ」

天才「……ん、そんならいい」

ドクター「困った事があれば、遠慮なく仰って下さい」

大軍師「助かります」

ドクター「では、失礼致します。改めて、討伐おめでとうございます」

テクテクテク


187 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:11:42.53+/1+ofXxo (13/28)

大軍師「お医者様の本音と言ったところですか」

天才「どーだかねぇ。医者なんて怪我人病人がいなきゃ商売にならんだろ」

大軍師「それはそうですが……」

天才「アイツだって院長の座を受け継いだばっかだ。稼ぎたいところだろうさ」

大軍師「まぁ、養う医者の数も相当ですしね」

天才「それでもああ思ってんだから、頼もしい話じゃねーか。ハーッハッハ!」

大軍師「……おや?」

テクテクテク

編集長「アンラ・マンユ討伐おめでとう。まずは無事で何より」

大軍師「社長も精が出ますね」

編集長「お陰でネタに困らず助かるよ! はっはっは!」

天才「まーな。こっから先は毎日ネタのオンパレードよ」

編集長「平和な世になれば、新聞社は商売上がったりだからな」

天才「今のうちにしっかりと、稼いでおく事だな! ハーッハッハッハ!」

編集長「その為にも、ドンドン魔王を倒してくれ! はっはっは!」


188 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:12:39.00+/1+ofXxo (14/28)

テクテクテク

大軍師「平和な世……ですか」

天才「確かに新聞も面白味はなくなんだろうな」

大軍師「そうですね」

天才「せいぜいお偉いサンのスキャンダルくらいか? ハーッハッハ!」

大軍師「ふっふ、毎日そんな記事ではげんなりしてしまいますよ」

天才「ところで、明日の本会議」

大軍師「既に手配は完了しております」

天才「ならいい」

大軍師「明日の昼頃には、幕僚は全て集まる事でしょう」

天才「これが最後の顔合わせかな」

大軍師「おそらく」

天才「今生の挨拶も済ませておくかねぇ……ハーッハッハ」

大軍師「……」

天才の笑い声に乗せて、中央のホールでは優雅な演奏が始まった。


189 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:13:44.78+/1+ofXxo (15/28)

~♪

青年兵「朱雀嬢さん」

朱雀嬢「は、はいっ!?」

青年兵「宜しければ一曲、お願い出来ますか?」

朱雀嬢「よ、喜んで……ですわっ」

スッ…

魔道士「召喚士さん、私達も行きましょうか」

召喚士「へっ!?」

魔道士「ダンスですよっ、えへへ!」

召喚士「……は、はい」

魔道士「盗賊さんっ、戦士さんもほら!」

戦士「俺らはいいっつーの」

魔道士「駄目ですよっ、ほらほら!」

盗賊「ち、ちょっと……っ」

音楽に合わせ、一同がペアになり華麗なステップを踏み始める。


190 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:14:33.86+/1+ofXxo (16/28)

~♪

スッ

エリート「宜しくお願い致します」

魔道士「こちらこそっ♪」

エリート「……魔道士様」

魔道士「様はやめて下さいよぉ……」

エリート「す、すみません……」

魔道士「何です?」

エリート「貴女とは、婚約者の間柄でした」

魔道士「……そう……ですね」

エリート「私の想いは代わる事はありませんでした」

魔道士「……あの……私は」

エリート「分かっております。ずっとお礼を言いたかった」

魔道士「……!?」

エリート「貴女を好きになって本当に良かった。ありがとう」


191 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:15:22.93+/1+ofXxo (17/28)

スッ

魔道士「……あ」

皇太子「良いかな?」

魔道士「は、はい……っ」

皇太子「こうして踊るのは初めてだな」

魔道士「ええ」

皇太子「魔道士、君が妹だと聞いた時……私は残念でならなかった」

魔道士「……っ」

皇太子「嫌だという意味ではないぞ。それは勘違いしないで欲しい」

魔道士「は、はい」

皇太子「君を始めて見かけたのは……そう、王宮内であったかな」

魔道士「……はい」

皇太子「まだ幼さの残る表情であったが、妙に魅力的でもあった」

魔道士「……!?」

皇太子「やはり、君の母上に良く似ている。美しくなったな」


192 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:16:10.08+/1+ofXxo (18/28)

スッ

魔道士「っ!!」

天才「よっ」

魔道士「こ、こんばんは……っ!」

天才「だりーけどちょっと我慢しろ」

魔道士「天才さん、上手ですね」

天才「ハーッハッハ! 何やっても天才すぎて怖いくらいだな」

魔道士「えへへ!」

天才「……」

魔道士「……あ、あの?」

天才「何でもねぇよ。あーあれだ」

魔道士「へっ?」

天才「この先の戦いも、頑張れよ」

魔道士「はいっ、頑張りますよっ!」

天才「……へっ」


193 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:17:01.65+/1+ofXxo (19/28)

スッ

召喚士「お、おかえりなさい」

魔道士「た、ただいま……えへへっ」

召喚士「なんだか、慣れないもので緊張してしまいますね」

魔道士「本当ですよ~。ドッキドキです」

召喚士「俺も……あっ、ごめんなさい! 掌……汗が」

魔道士「大丈夫です。このまま……」

召喚士「あ……っ」

魔道士「……」

召喚士「…………」

魔道士「召喚士さん」

召喚士「は、はいっ!」

魔道士「明日からも、頑張りましょうね! えへへ!」

召喚士「はいっ、頑張りましょう!!」

~♪


194 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:18:29.53+/1+ofXxo (20/28)



右秘書官「それでは、本日はご足労頂き、ありがとうございました」

右文官「裏手に馬車をご用意致しております。さぁ、どうぞ」

戦士「なんか俺らはこのままホテルに泊まっていいんだってさ」

召喚士「なんだか申し訳ないね。こんな高級な……」

天才「気にすんな。労いだよ」

盗賊「……ありがとう」

大軍師「久々に、ゆっくり休んで下さい」

天才「明日は余裕もって午後からの会議になる。昼に本部へ来てくれりゃいい」

魔道士「分かりました」

天才「んじゃな」

大軍師「それでは、また明日」

召喚士「お、お疲れ様でした!」

戦士「さーて、俺らも部屋に向かうとすっかね」

魔道士「そうしましょう!」


195 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:19:46.12+/1+ofXxo (21/28)

テクテクテク

戦士「あん?」

白虎長「うぃ~。もう……飲めない~」

ジュニア「くそぉ……何でなんだ……俺は、俺は!」

魔道士「……」

戦士「おーい酔っ払いども、お開きだってよー」

ジュニア「うっせー! ほっといてくれ!」

盗賊「……行こうか」

召喚士「じ、じゃあ……お先に失礼します」

テクテクテク

支配人「あのーお客様……」

白虎長「なぁに~? あぁもう暑いわねぇ~!」

ジュニア「何で俺は……女運がないんだよおおぉぉ!」

支配人「……おい、つまみ出せ」

ボーイ「はい」


196 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:20:21.71+/1+ofXxo (22/28)

~マジシャンの別荘~

占い師「大丈夫?」

マジシャン「ハッハ、ありがとさん」

占い師「……」

マジシャン「お前ももう、寝て構わんぞ」

占い師「まだ大丈夫よ、マジシャンが寝るまでは――」

マジシャン「おっと」

ガシッ

占い師「……」

マジシャン「す、すま……ん……」

占い師「……」

マジシャン「……」

占い師「……あっ、ご……ごめんなさい」

マジシャン「いや、こっちこそすまん」

占い師の右肩から手を離すと、マジシャンはリビングを後にした。


197 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:22:31.84+/1+ofXxo (23/28)

テクテクテク…カチャッ

マジシャン「……」

シュボッ

マジシャン「ふーっ」

バルコニーで吸うタバコの煙が暗闇へと消えていく。

マジシャン(傷は回復しつつある。しかし、今の魔力じゃ俺は……)

正面に見える草木の隙間からは、虫の鳴き声が響き渡る。

マジシャン(やっぱり……返して貰うしかねぇ……か)

1度だけ口をつけたタバコはジリジリと音を立てて、灰を落とす。

マジシャン「……アイツを一緒に、最後の忘れ物を」

テクテク

占い師「……っ」

マジシャン「……おう、どうし――」

振り返るマジシャンの唇に、占い師の唇が触れた。

マジシャン「――っ!!」


198 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:26:46.13+/1+ofXxo (24/28)

パアアァァァァ!!

マジシャン「……っ」

バッ!!

マジシャン「バカヤロ……っ」

占い師「……ごめんなさい」

マジシャン「直に触れたりしたらお前の精神が……」

ギュッ

占い師「でも私……もう、もう……想いを止められないのよぉ……っ!」

マジシャン「占い師……」

占い師「……お願い、マジシャン」

マジシャン「これ以上触れたら、全部見えちまうんだぞ?」

占い師「……」

マジシャン「俺の……過去も未来も……全て」

占い師「……っ」

マジシャン「……それでも……いいのか? 後悔しないのか?」


199 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:27:53.45+/1+ofXxo (25/28)



マジシャン「……」

占い師「……」

マジシャンの咥えた煙草の煙が、照明の周辺をもやもやと漂う。

寄り添う2人は無言のまま、しばし天井を見つめていた。

マジシャン「……何が見えた?」

占い師「……」

マジシャン「俺の事はいいさ。それよりもこの先……」

占い師「……先生」

マジシャン「……?」

占い師「青龍……先生が……」

マジシャン「……そうか」

占い師「おそらく止められない……っ。先生はきっと……」

マジシャン「……」

占い師の言葉に、マジシャンはそれ以上返さなかった。


200 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:29:48.55+/1+ofXxo (26/28)

~本国ホテル、部屋~

玄武娘「お腹いっぱいですのー!」

朱雀嬢「……」

魔道士「さぁさぁ、それではお風呂に入りましょうか~」

盗賊「……あれ? 白虎嬢は?」

玄武娘「白虎嬢ちゃんは国軍本部にいるですのー」

朱雀嬢「お偉いさんの娘ですわ。私達とは管理が違うみたい」

盗賊「……大変だな」

魔道士「せっかく一緒だと想ったのに……残念」

朱雀嬢「それじゃ、お先にどうぞ」

魔道士「何言ってるの! みんな一緒ですよっ!」

朱雀嬢「!?」

玄武娘「おーっ、みんなで入るですのー!」

朱雀嬢「やっぱりそうなるんですわね……」

盗賊「なるんです……」


201 ◆1otsuV0WFc2011/06/24(金) 18:30:27.29+/1+ofXxo (27/28)

カポーン

魔道士「はぁ~。最高……」

玄武娘「生き返るですの~」

朱雀嬢「ゆっくり浸かるのなんて、何日振りかしらね」

盗賊「ああ」

魔道士「みんな、傷だらけだねぇ……えへへ」

朱雀嬢「本当ですわ。でも、仕方ないかしらね」

盗賊「……うん」

魔道士「それにしても……」

バイーン

玄武娘「ほへ?」

朱雀嬢「また大きくなってる……」

玄武娘「食べる子は育つですの!」

盗賊「ちょっと違くないか?」

夜は更けた。


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/24(金) 18:35:12.88+/1+ofXxo (28/28)

それではここまでにて!
本日もご支援ありがとうございました!
週末は投下減るかもなので、まとめ読みでもして頂ければ…ひぃ

それでは失礼致します!ノシ

~オマケ~

エリート「演説お疲れ様でした」

皇太子「うむ」

エリート「緊張しましたか?」

皇太子「いや。何故だ?」

エリート「いえ、途中――」

皇太子「噛んでないぞ」

エリート「えっ!?」

皇太子「噛んでなどおらん。くぐり抜けた、と申したのだ」

エリート(まだ……何も言ってないのに……)


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2011/06/24(金) 18:49:14.078KwpMXqko (1/1)

>>1乙
おまけ、久々に見たような気がするww


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/24(金) 19:13:05.38qGYsXM7AO (2/2)

>>1乙んつん 楽しい週末を


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/06/24(金) 19:55:58.41pB5yE5z90 (1/1)

乙トリス

ふえぇ朱雀嬢ちゃんへの怒りが収まらないよぉ……


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/24(金) 20:18:11.03vuxSOYFAO (2/2)

>>1乙

やはり日常パートとかのほほんとした流れは良いね!
ただまたこれが嵐の前の静けさだから怖いんだけど
魔王討伐開始前の流れも今読み返すと切なすぎてウケる

そして皇太子さま…そのうち良いことあるさ!


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/24(金) 20:52:12.54LIY7Mc15o (1/1)

皇太子たん可愛いお


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/25(土) 02:59:31.93UBEvWWADO (1/1)

>>1乙!
ジュニアが良いキャラしてるよなww
戦士達のつかの間の休息って感じだなー
休息が終わったらまた死闘が待っているんだよな

白虎嬢はずっと別行動してるのかな?
そういや白虎嬢の父親って東方副司令だったっけ……


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/25(土) 03:41:10.25XvomgOwHo (1/1)

>>1乙
日常パート面白いな


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/25(土) 06:27:37.26ox8Nz3nr0 (1/1)

1乙
玄武娘は最初つるぺただったのに
どんどん成長してるな



211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/25(土) 10:48:06.49MS6YX6CAO (1/1)

マジシャン…


212VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/26(日) 04:11:48.00f4Je2yeDO (1/1)

最初から見たけど面白いですよ
無理せず頑張ってください!


213 ◆1otsuV0WFc2011/06/26(日) 23:54:19.74rgtuBnMpo (1/3)

チュンツンチュンチュンチュン

盗賊「……」

まだ日の出間もなくの頃、盗賊は1人、宿を抜けて郊外を訪れる。

ザッザッザ

盗賊「……?」

ジュニア「おっ、盗賊ちゃんじゃないか、おはよう!」

盗賊「……おはよう……ございます」

ジュニア「どうしたんだ? こんな朝早く……」

盗賊「……日課の朝稽古だ」

ジュニア「ハッハ、そいつは偉い!」

盗賊「……どうも」

ジュニア「せっかくなら一緒にどうだい?」

盗賊「……?」

ジュニア「朝稽古。いい場所があるんだよ」

盗賊「……は、はぁ」


214 ◆1otsuV0WFc2011/06/26(日) 23:56:00.87rgtuBnMpo (2/3)

チュンツンチュンチュンチュン

盗賊「……」

まだ日の出間もなくの頃、盗賊は1人、宿を抜けて郊外を訪れる。

ザッザッザ

盗賊「……?」

ジュニア「おっ、盗賊ちゃんじゃないか、おはよう!」

盗賊「……おはよう……ございます」

ジュニア「どうしたんだ? こんな朝早く……」

盗賊「……日課の朝稽古だ」

ジュニア「ハッハ、そいつは偉い!」

盗賊「……どうも」

ジュニア「せっかくなら一緒にどうだい?」

盗賊「……?」

ジュニア「朝稽古。いい場所があるんだよ」

盗賊「……は、はぁ」


215 ◆1otsuV0WFc2011/06/26(日) 23:58:59.19rgtuBnMpo (3/3)

ザッザッザ

盗賊「……おぉ」

ドドオオォォォォ

郊外を東側へと進むと、丘を降った先から水の落ちる音が聞こえる。

ジュニア「そんなに大きな滝じゃないけど、なかなかいいとこだろ?」

盗賊「……うん」

ザッザッザ

盗賊「……よく……来るのか?」

ジュニア「たまーに。本国に長期滞在した時とか、考え事がある時とか」

盗賊「……考え事?」

ジュニア「滝行さ。滝に打たれてるとね、なーんも考えなくていい。ハッハ!」

盗賊「……ああ」

ジュニア「おっ、盗賊ちゃんも滝行経験者か!」

盗賊「……まぁ、一応」

ジュニア「おしおし、それじゃ話は早い」


216 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:01:47.66u2yoEshio (1/12)

テクテクテク…ッ

ジュニア「どうだい? 間近で見るとそれなりの……んっ?」

盗賊「……先客か」

ジュニア「ちっ、せっかく2人きりかとおもったのによ」

盗賊「……?」

ドドオオォォォォ

ジュニア「……ジーサン、精が出るね」

ザアアァァァァ

青龍先生「……ひょっひょ」

ジュニア「よく来るのかい?」

青龍先生「まぁの」

盗賊「……!?」

青龍先生「おや? 確かお主は……」

盗賊「……どうも」

ジュニア「盗賊ちゃん、知り合いかい?」


217 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:07:07.24u2yoEshio (2/12)

盗賊「……うん。青龍先生だ」

ジュニア「何ぃ!?」

青龍先生「ひょっひょ、もはや名ばかりの耄碌ジジイじゃがのぅ」

ジュニア「アンタが青龍先生……っ」

青龍先生「滝行かの?」

ジュニア「あ、あぁ。ご一緒させて頂くとすっかね」

盗賊「……」

テクテクテク…ザッ

ジュニア「よーし……」

バサッ

青龍先生「ほぉ、褌とはなかなか粋よの」

ジュニア「ハッハ! まずは身だしなみからよ」

ノソッ…テクテクテク

ジュニア「よっと!」

ドザアアァァァァ


218 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:08:46.51u2yoEshio (3/12)

ジュニア「……く……むむぅ!」

盗賊「……」

ジュニア「盗賊ちゃんもどうだい?」

盗賊「い、いや……っ、私は……」

ジュニア「せっかくだから一緒にやろうじゃないの!」

盗賊「……うーん」

スクッ…ザッザッザ

盗賊「……」

パサッ…シュルシュルシュル

ジュニア「おぉ……っ!」

盗賊「……お邪魔……します」

ジュニア「あの……何それ?」

盗賊「……水着」

ジュニア「……あ、そう」

青龍先生「煩悩も打ち消した方がいいようじゃのう……ひょっひょ」


219 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:09:26.56u2yoEshio (4/12)

ドザアアァァァァ

盗賊「……」

ジュニア「……」

青龍先生「お主らも、アンラ・マンユへ行ってきたのか?」

盗賊「……うん」

青龍先生「そうか。それはご苦労様じゃの」

ジュニア「青龍先生は、もう戦わないのかい?」

青龍先生「儂なんぞ第一線じゃもうや役立たずじゃわい」

盗賊「……そんな事は」

青龍先生「いやいや、己の事は己がよーく分かっておる」

ジュニア「伝説も年には勝てねぇか……」

青龍先生「じゃが、まだやる事はある」

盗賊「……?」

青龍先生「……さて、と」

ジュニア「……」


220 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:10:21.75u2yoEshio (5/12)

ザバッ

青龍先生「昼の本会議、お主らも出るんじゃろ?」

ジュニア「え、あ……あぁ」

青龍先生「それじゃ、また後での」

ザッ…テクテクテク

盗賊「……」

ジュニア「あれが青龍先生か」

盗賊「……うん」

ジュニア「伝説と呼ばれ、魔王パズズを封印したっていう……」

盗賊「……共に戦った事もあるが……凄い人だ」

ジュニア「まだやる事……何の事だ?」

盗賊「……さぁ」

ジュニア「……おっと、いかんいかん。滝行に専念だ」

盗賊「……うん」

2人はしばしの間、流れ落ちる滝に身を預け、精神を集中させた。


221 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:22:51.07u2yoEshio (6/12)



時は間もなく正午。ジュニアと盗賊はホテルのロビーへと顔を出す。

テクテクテク

魔道士「あっ、盗賊さん!」

盗賊「ごめん、遅くなった」

魔道士「いえいえ。お風呂行ってたんですか?」

盗賊「……うん。滝にあたってたから」

朱雀嬢「!?」

テクテクテク

戦士「全員揃ってっかぁ?」

魔道士「こちらは揃ってますよ~」

召喚士「ジュニアさんは?」

盗賊「……直接行くってさ」

戦士「そっか。そんじゃこのまま行くとすっか」

召喚士「うん」


222 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:23:26.84u2yoEshio (7/12)

~国軍本部~

ザワザワザワ

天才「どうだ?」

大軍師「北が遅れているようですが、比較的順調です」

天才「そうかい」

カツカツカツ

南方司令「南方幕僚、全員……招集致しました」

天才「おーう。ご苦労ご苦労」

大軍師「あおれでは先にご着席下さいませ」

南方副司令「ほれ、行くぞ」

西方参謀「へいへい。すぐに行きますよ~っと……ヒック」

カツカツカツ

南方弓長「……青龍先生?」

青龍先生「ひょっひょ、南方と西方の連中か。元気そうじゃの」

南方参謀「そういうジーサンもまだまだ健在ねぇ」


223 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:24:29.96u2yoEshio (8/12)

カツカツカツ…コツ

東方司令「……」

天才「おう、早かったじゃねぇか」

東方司令「ご命令でしたので」

東方副司令「ご無沙汰しております」

大軍師「先日、賊が入ったという話でしたが、その後は大丈夫ですか?」

東方副司令「ええ、ご迷惑をお掛け致しました」

大軍師「東方先生は?」

東方副司令「王宮へ立ち寄ってから参られるそうです」

天才「んじゃ、お前らは席に座っててくれ」

テクテクテク

召喚士「おぉ」

戦士「すっげー人数」

青年兵「ご苦労様です」

魔道士「こんにちは」


224 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 00:25:31.96u2yoEshio (9/12)

天才「来たか。んじゃ、お前らはあっち」

盗賊「……お」

ジュニア「さっきはどーも。ハッハ!」

玄武娘「何かあったんですの?」

盗賊「……いや、滝にあたった仲……かな」

朱雀嬢「……?」

召喚士「他のワーカーはいらっしゃってないんですね」

天才「約1名が迷子で来れそうもない。あとは戦場だ」

召喚士「戦場……」

魔道士「魔法剣士さんや眼鏡さん、頑張ってるんですね」

戦士「みてーだな」

カツカツカツ

皇太子「遅くなった」

エリート「私達で最後ですか?」

大軍師「いえ、まだ北方軍が来ておりません。どうぞご着席を」


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 01:11:50.54oeh7qOWDO (1/2)

>>1乙

まさかクリなんちゃらから始まってここまで続くとは思ってなかった。

毎日楽しく読ませてもらってる。
本当にありがとう。


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/27(月) 04:50:24.54BUZ0rWQ50 (1/1)

いちおつ



227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/27(月) 08:19:35.948i95MuJAO (1/2)

>>1乙

ジュニアの目的は何だったんだ?
結局単純に裸体が見たいから誘ったのか
ガチ修行だったのか


228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/27(月) 08:24:25.154UXuwI2X0 (1/1)

女子との交際のきっかけにするために声をかけた女の子が、両思いに気付いたばかりの女の子だとは


つくづく女運がないな


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 08:26:40.63QnG2XinDO (1/1)

>>1乙
ペニスも一皮剥けて大きく成長したよな。
初めの頃なんて召喚獣2体での同時攻撃なんてしようものなら
すぐに全魔翌力を放出してしまって、ぐったりしてたもんなww


230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 09:55:52.41DZD8u2pDO (1/1)

女賢者ww
またかwwww


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 11:24:06.47dLxDA2tDO (1/1)

>>1乙
他のキャラが天才の正体知った時の反応が知りたい


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/27(月) 17:57:57.758i95MuJAO (2/2)

司令が天才と言うことは、マスクドジーニアスの正体は再び迷宮入りか…

いや、むしろ逆に天才がマスクドジーニアスであり、司令であるなら、更にもう一つや二つくらいの姿があってもいいよね



233 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:05:26.92k2rwaawxo (1/7)

テクテクテク

召喚士「あっ、青龍先生」

青龍先生「おぉ、朱雀の。元気そうで何よりじゃわい」

玄武娘「おぉーっ、青龍先生ですの!」

朱雀嬢「……」

青龍先生「こりゃあ何とまぁ……」

召喚士「え……っ?」

青龍先生「これ、白虎先生」

白虎長「……?」

カツカツカツ

青龍先生「まさか、今再び先生が揃うとはのぅ……」

召喚士「!?」

白虎長「本当だっ、言われてみれば……」

玄武娘「おぉーっ!」

青龍先生「とは言っても、他は次世代の先生方じゃがのぅ……ひょっひょ!」


234 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:05:55.85k2rwaawxo (2/7)

ザワザワザワ

皇太子「おぉ」

エリート「先生方が……揃った」

大軍師「これは素晴らしい」

天才「いい宣伝材料になんじゃねぇか。ハーッハッハ!」

カツカツカツ…ザッザ

騎士団長「おっ、来たようだぞ」

左翼長「遅くなった」

天才「構わん。座ってくれ」

青年兵「青龍士官、君はこちらに」

青龍士官「はっ」

騎士団長「北はどうです?」

騎士長「特に大きな戦闘もなく、順調っちゃ順調かな」

天才「そんじゃあ始めっぞ」

大軍師「全員、ご着席下さい」


235 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:07:02.37k2rwaawxo (3/7)



大軍師「資料の行き渡ってない方はいらっしゃいますか?」

戦士「五ヵ年計画、最終本会議……か」

召喚士「……」

大軍師「大丈夫のようですね。それでは始めます」

天才「知っての通り、魔王アンラ・マンユを倒した」

ザワザワザワ…

天才「現地で戦った奴ら」

召喚士「……」

天才「援軍に駆けつけてくれた奴ら」

皇太子「……」

天才「遠方で牽制し続けてくれた奴ら」

左翼長「……」

天才「今回の勝利は、誰が勇者でもない。全員の功績だ」

ザワザワザワザワザワ


236 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:08:01.62k2rwaawxo (4/7)

天才「お陰で、ある種もっとも厄介な魔王を早々に始末できたわけだ」

魔道士「厄介……ですか?」

大軍師「非常に好戦的ですからね」

魔道士「あ、すみません……っ」

大軍師「いえいえ。他の方も逐一、ご質問など発言して下さい」

天才「アンラ・マンユは他の魔王を疎んじていた感がある」

西方参謀「それは間違いないと思うぞ、ヒック」

大軍師「サタンとパズズが動けない今、アンラ・マンユは油断していたでしょうね」

天才「おそらく、俺らがその2体のどちらかを狙うと踏んでいたはずだ」

左翼長「だろうな。北もそう思ってた節が若干ある」

盗賊「……」

天才「そして奴は、目の上のタンコブであるサタンを消させようとしていた」

ジュニア「していた?」

大軍師「我ら人間に、サタンを倒させる」

将軍「そして、自らが成り代わろうと?」


237 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:08:33.34k2rwaawxo (5/7)

天才「ここでおさらいだ」

戦士「……?」

天才「魔王は7人。サタンを中央に据えた六芒星を模ってる」

青龍士官「……」

天才「サタンを中心に、6人の魔王が周囲に配置されてるって事だな」

大軍師「この六芒星こそが魔族の力そのもの。根源なのです」

天才「つまり、1人でもそのばから欠けるような事があれば……」

東方司令「六芒星は意味がない」

天才「そうだ。必ずそこに配置しなきゃあならん」

戦士「待てよ、そんじゃあアンラ・マンユだって……」

大軍師「そこで、魔王の代わりを務める者が必要なのです」

朱雀嬢「代わり……」

召喚士「!? ま、まさか……っ」

天才「それが眷属だ。数えてみ、ピッタリ当てはまんだろ」

名代「そういう事であったのか……っ」


238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 18:08:34.26F4P4Pq5IO (1/1)

先生方が喋ったに見えた……


239 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:09:14.72k2rwaawxo (6/7)

天才「アンラ・マンユはサタンを討たせたあと、自らの場に眷属を置き……」

大軍師「自らはサタンの代わりとなり、世界の中心に統べるつもりだったのです」

騎士長「なんて事だよ……っ」

天才「そっからは人間を蹂躙するも良し、他の魔王を倒させるも良し」

南方弓長「ひどい話ね」

天才「しかもだ、これは俺様も予想外だったが……」

召喚士「……?」

大軍師「どうも、龍脈対策も考えていたようですね」

南方副司令「何ぃ!?」

青年兵「っ!! まさかあの……ドラゴンのような……」

天才「魔王の魔力そのもの。あれがヤマタノオロチの代わりだろうよ」

東方副司令「な、何という……っ」

西方副司令「間一髪なんてものじゃないわね」

天才「とにかく、奴はそこまで考えていた。だから最初に葬る必要があった」

大軍師「お分かり、頂けましたか?」


240 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 18:09:55.35k2rwaawxo (7/7)

召喚士「……」

魔道士「……っ」

天才「悲観すんなよ。倒したじゃねぇか」

大軍師「そうです。大切な事は、この未曾有の危機を防いだという事です」

左翼長「まぁな。アンラ・マンユはそこに隙があったってワケだ」

青龍先生「慢心じゃの……ひょっひょ」

天才「まーついでに言うと、魔王ん中でも割かし強い部類だろうしな」

玄武娘「そうなんですの?」

天才「おうよ。間違いねぇ」

白虎長「それなら、この次もうまくいくわよねっ」

南方魔道長「ああ。被害は防げるんじゃないか?」

天才「ハーッハッハ」

笑い声の裏に、乾いた眼差しが隠れていた。

何人かそれが天才による確証のない鼓舞だと気付きはしたが、

特に彼を咎めたり、訂正する事はなかった。


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/27(月) 19:58:29.83A2JMkb1AO (1/1)

>>1おつ

駄軍師「未曾有(みぞうゆう)の危機を…」


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 20:57:06.96DIz48A5jo (1/1)

え、なにか間違ってる・・・?
ネタだったらすまん


243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 21:28:59.08oeh7qOWDO (2/2)

>>1乙

俺バカだから違いがわからん


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 21:32:46.52HBE0DRYbo (1/1)

麻生の読み間違いでしょ?懐かしいな


245 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 23:41:29.83u2yoEshio (10/12)



大軍師「さて、ではいよいよ本題へ入りましょうか」

天才「今さっき言ったように、厄介な魔王はぶっ倒した」

左翼長「厄介ったって、魔王は魔王だ」

大軍師「その通りです。後が楽……というわけではありません」

天才「こっからは先は順序が大切だ。少しのミスも出来ねぇ」

大軍師「皆様のご意見を是非、伺わせて頂きたく」

天才「その前に1つ。分かってると思うが……サタンは駄目だ」

玄武娘「何で駄目なんですの?」

大軍師「大黒柱をいきなり抜くと、他所への影響が懸念されます」

玄武娘「どういう意味ですの?」

朱雀嬢「ケーキは端っこから食べなさいって事ですわ」

玄武娘「おぉ! そうしないと倒れちゃうですの!」

戦士「なんつう説明だよ」

召喚士「は、はは……っ」


246 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 23:42:07.12u2yoEshio (11/12)

スッ

エリート「良いかな?」

大軍師「右大臣殿」

エリート「私が思うに、まずはパズズの片を付けるのが良策かと」

南方司令「いや、南方はいつでもいける。ラーヴァナが良かろう」

南方参謀「そうね。士気も非常に高くって、やる気に満ち溢れているわ」

大軍師「成程」

天才「北はどうだ?」

左翼長「ベルゼブブは残すつもりなんだろ?」

天才「お前らがいけるってんなら、別に構わん」

将軍「正直、あまり強気では言えませんな」

騎士長「だな。まだまだ北への道は長い。無理をするにも早すぎるな」

東方参謀「同感だな。海峡側も動きはないとは言え、不気味だしな」

天才「……」

騎士団長「南が片付いてから、兵を押し上げて北上するがベストかな」


247 ◆1otsuV0WFc2011/06/27(月) 23:56:29.70u2yoEshio (12/12)

大軍師「名代殿、東は如何です?」

名代「一度、確認する必要はありますね」

戦士「東方の戦力は大丈夫なのか」

盗賊「……どうなんだろうな」

東方司令「足りるとは思えんがな」

名代「……」

東方司令「失礼。悪気はないのだ」

名代「いえいえ、事実は事実。不足しているのは確かです」

天才「そこが最大のポイントだな。南北から兵を割く必要がある」

東方副司令「北方軍を割くのは難しいのでは……?」

西方司令「ななっ、南方も無理ですよ……っ! これはもう終わりだぁ……!」

南方弓長「でも、南はうまく回せば、余力あるんじゃないかしら」

騎士団長「成程、南東国か」

大軍師「南東国の兵を南へ充てる事が出来れば、増援は可能ですね」

天才「……」


248 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 00:13:15.95NNrSQOhko (1/2)

大軍師「どう思われますか?」

天才「悪かねぇ。悪かねぇんだがなぁ……」

東方参謀「動きがない以上、こちらから責めるには兵站が長すぎやしないか?」

天才「そこなんだよな。東方のみで凌げるなら押さえ込むだけで十分なんだよな」

ジュニア「何だよ、結局あっちもダメ、こっちもダメってよぉ」

戦士「残るはイブリースか?」

天才「イブリースは一匹狼だ。まだ放っておいてもいい」

戦士「じゃあ結局どの魔王なんだよ……」

天才「……」

召喚士「……?」

天才「ジジイ」

青龍先生「分かっておるよ。いつでも構わん」

天才「……そうかい。一旦休憩だ。15分後に再開する」

召喚士「・・・…」

それだけを言い残し、天才は大会議室を後にした。


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 00:25:39.71NNrSQOhko (2/2)

ありがとうございます。こちらこそ本当に感謝!
毎日読んで下さったり、追いついて下さったり…
いつも同じ言葉ですが、嬉しい限りで言葉に表せません!

それでは、今宵はこれにて失礼します!ノシ

~オマケ~

アマゾネス「……おぉ」

色黒「あれ、何でしょうかね?」

おさげ「海を照らしてるように見えるけど……」

ツインテ「ふにゃあぁ~。いい匂い~っ!」

ポニテ「ほんとだぁ! なにあれっ! ねっ、ねっ!」

アマゾネス本国……って、凄いな」

色黒「凄い……」

ポニテ「ねーねー長ぁ、アレ欲しい~」

ツインテ「ずーるーいーっ! 私もーっ!」

色黒「あっ、じゃあ私も――」

アマゾネス「あのさ、ところで誰がお金持ってるんだ?」


250VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 00:36:43.72jhDy0P/Go (1/1)

アマゾネス本国のいったい何が凄いのか
ぼくもそこに行ってぜひ確かめてみたいです


251VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/28(火) 08:32:28.72cEEToH6AO (1/1)

>>1乙

それにしても青年兵も出世したよな
昔はポンと出のサラマンダー使い程度だったのに

青年兵「召喚獣と話せるなんて授業で教えてもらってないから知りません」
的なダメ子だった記憶が…


252VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 11:52:26.58SAWIhCzSO (1/1)

青龍の教えがそうなだけで
青年兵は優秀だぞ
召喚士があんなにわかいのに~みたいに言ってたとおも


253VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 13:59:40.20uY+sBjRDO (1/1)

>>1乙
そういえば青年兵にも魔道兵だった時期とかあるのかな?
魔翌力が強くていきなり召喚兵に抜擢されてたりするんだろうか?


254 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:05:41.07u57uE4U6o (1/30)

ガヤガヤガヤ

召喚士「……」

青龍先生「……ふー。年を取ると、会議如きでも疲れるわい」

召喚士「……あの、青龍先生」」

青龍先生「……?」

召喚士「魔王パズズ、何かあるんですか?」

青龍先生「ん? どういう意味じゃ?」

召喚士「いえっ、何となく何かあるのかと……」

青龍先生「別に何かあろうとなかろうと、倒す事に変わりはないじゃろ。ひょっひょ」

召喚士「まぁ、そうかもしれませんけど……」

青年兵「……」

青龍先生「パズズは任せておけ。ありゃあ儂の未練じゃからの」

青龍士官「先生……」

青龍先生「さて休憩も終わりじゃ。席に着くとしようかの……ひょっひょ」

召喚士「……っ」


255 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:07:02.65u57uE4U6o (2/30)

カツカツカツ

天才「そんじゃ再開すんぞ」

大軍師「幾つかのご意見を頂きましたが、結果は見えておりましたね」

天才「まぁ一応の確認だしな。当初の予定通りでいく」

ザワッ

天才「魔王討伐、次は……パズズだ」

青龍先生「……」

大軍師「パズズ討伐につきましては大軍は擁しません」

天才「今から名を呼ばれた奴は、ちょいと残ってくれ」

大軍師「青龍先生、白虎先生。青年兵殿、青龍士官殿」

青年兵「はい」

青龍士官「……」

大軍師「朱雀先生、玄武先生、名代殿」

名代「某もか」

召喚士「……はい」


256 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:09:03.58u57uE4U6o (3/30)

ザッ…カツカツカツ

大軍師「以外の方々はご苦労様でした。広間に食事をご用意致しております」

玄武娘「えぇーっ!?」

朱雀嬢「残しておいてあげるから、早く行ってらっしゃいな」

玄武娘「はぁいですの……」

魔道士「それじゃ、お先に失礼しますねっ」

召喚士「はい」

ゾロゾロゾロ…

天才「さて、ここに残って貰ったお前らが、今回の主役だ」

大軍師「パズズ討伐は皆様のみで行います」

召喚士「!?」

青年兵「あの、失礼ですが……流石に少なくはありませんか?」

天才「別に寝てる奴相手なんだし、多いくらいだろ」

青龍士官「……っ」

天才「自信ねーなら降りてもいいぞ」


257 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:10:51.46u57uE4U6o (4/30)

青年兵「……いえ、そういうわけではありません」

召喚士「作戦の概要を伺いたいのですが」

天才「概要なんてねぇよ」

玄武娘「……へっ?」

天才「ジジイがカタを付ける。お前らはバックアップ。以上」

白虎長「……っ」

天才「いいんだよな?」

青龍先生「無論じゃ。儂も長く生きた……もう十分じゃわい」

青年兵「……どういう……意味でしょうか?」

天才「悪いが、青龍先生には死んで貰う」

玄武娘「――っ!!」

青龍士官「……死んで……って」

天才「魔王を消滅させるには、青龍先生の命が引き換えとなる」

大軍師「これは、どうしても避けられないのです……」

召喚士「そ……んな……」


258 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:11:30.74u57uE4U6o (5/30)

青龍先生「仕方のない事なのじゃ。そういう封印じゃからのぉ」

召喚士「……っ」

かつての召喚士であれば、真っ先に反対の声をあげていたであろう。

しかし、先だっての書家の言葉が脳裏から離れなかった。

青年兵「1つ、宜しいでしょうか?」

天才「何だ」

青年兵「他に手立ては?」

天才「ない」

青龍士官「どうしても倒す必要があるのですか?」

大軍師「あろ、。といえば嘘になります」

青龍士官「だったら――」

大軍師「パズズを倒せば、他の魔王は更に力を弱めます」

白虎長「……」

大軍師「それにいつかはやらなければいけないのです」

召喚士「何故、青龍先生の命が必要なのですか?」


259 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:12:28.23u57uE4U6o (6/30)

青龍先生「簡単に言えば、五行を完成させる必要がある」

名代「それで、私も呼ばれたわけですな」

天才「そーいう事だ」

大軍師「具体的な作戦は後ほど申しますが、青龍先生は……」

青年兵「……」

大軍師「五行を放つ必要があります」

白虎長「青龍先生が!?」

天才「これがどういう意味か分かるか?」

青年兵「召喚士になられた先生が……五行を撃つ……」

白虎長「無茶よっ! 魔力が暴走するわ!」

天才「だからだよ。だから……死ぬんだ」

召喚士「……っ」

玄武娘「そ、そんなぁ……」

青龍先生「誰かがやらねばならん。だからこそ自分の手でけじめをつけたいのじゃ」

召喚士「青龍先生……」


260 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:13:34.84u57uE4U6o (7/30)

天才「いいか、アンラ・マンユ同様、1度の失敗も許されん」

大軍師「他の方々も負担はありますが、命に別状はありませんのでご安心を」

白虎長「具体的には何をすればいいわけ?」

青龍先生「パズズは4属性の召喚術を用いて封印しておる」

青龍士官「……」

青龍先生「それを吸い上げて、1度相殺する事で封印をを解く」

玄武娘「!?」

大軍師「解くと言っても、魔王が蘇るわけではありません」

青龍先生「そして魔王の核にその魔力と五行を撃ち込むのじゃ」

青年兵「そんな事が出来るんですか……っ?」

青龍先生「……玄武娘、お前の爺さんが長年研究したんじゃ」

玄武娘「……?」

青龍先生「そしてようやっと、この方法を築き上げた。大した男じゃったよ」

玄武娘「お爺ちゃん……が?」

青龍先生「さーて、伝説の幕開けといこうかのぉ……ひょっひょ!」


261 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:14:43.16u57uE4U6o (8/30)



ゾロゾロゾロ

魔道士「あっ、お帰りなさい」

朱雀嬢「玄武娘、食事……」

玄武娘「いらないですの……」

朱雀嬢「えっ?」

玄武娘「お腹……空いてないですの……」

トボトボ…

朱雀嬢「め、珍しいわね。どうしたのかしら?」

盗賊「……さぁ。もぐもぐ」

戦士「どうだった?」

召喚士「……うん。あとで話すよ」

戦士「お、おう」

魔道士「なんだか……皆さん暗いですね……」

盗賊「……うん」


262 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:15:51.30u57uE4U6o (9/30)

カツカツカツ

天才「さーて、メシメシ!」

青年兵「……」

カツカツ…ザッ

青龍士官「司令」

天才「あん?」

青龍士官「やはり、自分は反対です」

天才「……」

青龍士官「どうしても、他の手はないんですか!?」

ザワッ

東方司令「……?」

将軍「な、何事だ?」

天才「あのなぁ、お前の言いたい事はよーく分かる」

青龍士官「……」

天才「じゃあ他に手はあるのか? 他に誰かが犠牲になるんだぞ?」


263 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:19:40.56u57uE4U6o (10/30)

青龍士官「……」

天才「かと言って、放置するわけにもいかんだろ」

大軍師「魔王は1体たりとも残すわけには参りません」

青龍士官「……っ」

カツカツカツ

青年兵「青龍士官、会議は終わったんだ。下がりたまえ」

青龍士官「……」

青年兵「これ以上は反逆罪に問われるぞ。下がれと言っている」

グッ

青龍士官「――っ!」

バッ!!

青龍士官「……変わったよな、お前」

青年兵「……」

ザッザッザッザッザ

青年兵「……っ」


264 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:21:07.65u57uE4U6o (11/30)

ザワザワ

皇太子「揉め事か?」

エリート「いえ、大丈夫のようです」

南方参謀「青年兵くんが声を荒げるなんて珍しいわね」

南方魔道長「ああ。まぁ、何もないみたいだな」

青年兵「失礼を致しました。私も下がらせて頂きます」

大軍師「ご苦労様でした。次は20時の予定ですので」

青年兵「存じております。では」

カツカツカツカツ…

白虎長「青年兵も……ほんと変わっちゃったわね」

青龍先生「そうかのぅ?」

白虎長「……?」

天才「アイツの胸中はなーんも変わってねぇよ。ハーッハッハ!」

白虎長「はぁ……」

青龍先生「青年兵に青龍士官。楽しみが出来たわい。ひょっひょ」


265 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:21:59.83u57uE4U6o (12/30)

カツカツカツ

青龍士官「……くそっ」

ガンッ

青龍士官「分かってんだよ、そんな事はよ……っ」

どこにもぶつける事の出来ない苛立ち。青龍仕官は自身でも分かっている。

それでも、誰かに、何かにぶつけなくては気が収まらなかった。

カツカツカツ

青龍士官「……?」

通路を横切る青年兵。青龍士官はそれを見るやすぐさま後を追う。

別に殴りかかろうというわけではない。先程の謝罪を述べたいと思ったのだ。

カツカツカツ

青龍士官「……おい、青年へ――」

青年兵「……っ」

突き当たりの壁に額を付け、拳を握り嗚咽する国軍副司令官の姿。

同期として共に歩んできた青龍士官は、それ以上の言葉を掛けられなかった。


266 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:24:01.04u57uE4U6o (13/30)



大軍師「それでは、引き続きご参加の皆様は20時に会議室までお越し下さい」

皇太子「我らは一旦、王宮へ戻らせて貰うぞ」

エリート「では、また後ほど」

左翼長「北方軍は東方司令部の連中を残し、帰還させて貰う」

騎士長「北には参謀とワーカーしか残してないからな」

天才「おう、わざわざご苦労だったな」

将軍「弟には何か、伝えるかな?」

大軍師「……いえ、頑張れとだけ伝えて下さい」

将軍「……分かった」

ゾロゾロ…カツカツカツ…

大軍師「海峡はどうです?」

東方参謀「ワーカーと魔道学校の連中を呼んで、あたって貰っている」

大軍師「そうですか」

東方司令「何もないとは思うが、念には念をいれておかねばな」


267 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:24:40.62u57uE4U6o (14/30)

~海峡~

門兵「……どうだぁ?」

海峡兵「問題なーし! 今日も平和なもんだ」

ザッザッザ

海峡兵長「シャキっとせんか! 魔道学校の先生方がお見えなのだぞ!」

海峡兵「は、はいぃ!」

水の先生「あれが噂の森か……」

火の先生「黒の三騎士ですらやられたそうじゃ」

水の先生「三騎士ほどの魔力をもってしても……」

火の先生「下手な事は考えるなよ?」

フワッ

ネクロマンサー「……まさか、アンラ・マンユが落ちるとはね」

海峡から北の上空。ネクロマンサーがその建物を凝視している。

ネクロマンサー「新たな人形の性能も試してみましょうか……ねぇ、ククッ!」

ウィッチ「……はい」


268 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:25:26.08u57uE4U6o (15/30)

~国軍本部、正門~

大軍師「それでは、20時にまた」

召喚士「はい、失礼します」

ザッザッザ

戦士「どうする? どっか入るか?」

召喚士「そうだね。喫茶店かどこかに……」

魔道士「あっ、じゃああっちの――」

東方副司令「白虎嬢、何故お前がここにいる!?」

白虎嬢「……ごめん……なさい」

盗賊「……?」

召喚士「白虎嬢さんと、東方副司令?」

東方副司令「うろうろするなとあれ程言ったではないか」

白虎嬢「……っ」

タッタッタッタ

白虎長「叔父様、私の責任です! 私が勝手に……」


269 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:26:13.28u57uE4U6o (16/30)

東方副司令「白虎長……」

白虎嬢「いえ、従姉さんは悪くありません……っ」

白虎長「1人で南方へ返すよりは安全かと、本国へ……」

テクテクテク

召喚士「こ、こんにちは」

東方副司令「朱雀先生……っ! これはお恥ずかしいところを」

召喚士「あっ、いえ……」

東方副司令「全く、今更仕方ない。あまり邪魔をするでないぞ?」

白虎嬢「……はい」

カラカラカラ…

魔道士「そっか。白虎嬢さんと東方副司令さんって父娘でしたね」

戦士「そういやそうだな」

白虎嬢「……それじゃ……失礼します」

タッタッタ

召喚士「……」


270 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:27:18.22u57uE4U6o (17/30)

白虎長「ごめんなさいね」

召喚士「い、いえ……っ」

白虎長「叔父様も白虎嬢に対して、思い入れが強いから」

魔道士「自分の娘ですもんねっ」

白虎長「それもあるけど、白虎一族は色々と面倒だから」

盗賊「……?」

白虎長「叔父様の兄弟……私の父や次男叔父様の事もあるし……」

戦士「もう、亡くなったんだっけか?」

白虎長「それに私や叔父様も軍人だしね」

召喚士「何かあったら、大変ですもんね」

白虎長「うん。まぁ気にしないで。ははっ」

テクテクテク

戦士「なーんか、戦い以外にも色々と大変なんだな」

盗賊「……みたいだな」

召喚士「それj、行こうか」


271 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:28:23.45u57uE4U6o (18/30)

~喫茶店~

魔道士「ロイヤルミルクティー1つ!」

召喚士「アイスコーヒーを」

戦士「あ、俺も」

盗賊「……えっと、キャラメルストロベリーチョコ」

戦士「この暑い時にホットかよ」

魔道士「冷たいものばかりだと、お腹冷えちゃいますもん」

戦士「ふぅん」

盗賊「……それで、次の戦いは?」

召喚士「ええ、パズズ討伐だそうで」

戦士「それは聞いたよ。何か問題でもあったのか?」

召喚士「……」

魔道士「……」

召喚士「青龍先生が……死ぬ……って」

盗賊「!?」


272 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:29:30.11u57uE4U6o (19/30)

戦士「はぁ!? どういう事だよ!!」

召喚士は先程の概要を3人へと伝える。

魔道士「そんな……」

戦士「……」

召喚士「俺には、止める事が出来なかった……」

盗賊「……っ」

戦士「仕方……ねぇのか?」

召喚士「誰かがやらなくちゃいけない……って」

魔道士「でもっ、他に方法は……」

召喚士「ないそうです……」

盗賊「……」

戦士「どうすんだ?」

召喚士「青龍先生も自主的にやるって言ってる」

戦士「止める事は出来ねぇか……」

店員「……あのー。お待たせ致しました」


273 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:30:28.23u57uE4U6o (20/30)

カラン

戦士「あ、俺ブラックで大丈夫」

召喚士「あ、うん」

盗賊「……甘」

戦士「自分で頼んだんだろ」

盗賊「いや、そうだけどさ」

魔道士「……っ」

召喚士「魔道士さん?」

魔道士「……こんなのって……おかしいですよ」

戦士「あん?」

魔道士「だって……青龍先生が……」

召喚士「……俺も気持ちはよく分かるし、同じです」

戦士「でもよ、止める権利もねぇし、止めたところで……」

盗賊「うん……」

魔道士「……っ」


274 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:31:27.75u57uE4U6o (21/30)

カラン

戦士「いつからだろうな」

召喚士「……?」

戦士「人が死ぬとか言われても、冷静になっちまったのはよ」

盗賊「……」

戦士「いつの間にか、常に戦いが付きまとう生き方になっちまったな」

召喚士「うん……」

戦士「思えば15年前。村を飛び出してワーカーになった……」

魔道士「……」

戦士「強くなって、名のあるワーカーを目指した」

盗賊「……」

戦士「その結果がこれなんだよな」

召喚士「うん」

戦士「命を軽んじてるつもりはねぇが、付きまとうんだよな。絶対に」

召喚士「……うん」


275 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:32:16.42u57uE4U6o (22/30)

盗賊「……なぁ、魔道士」

魔道士「……」

盗賊「青龍先生は……己の命を懸けて……世界を正そうとしている」

魔道士「……」

盗賊「……だから、私達も力になろう」

魔道士「……」

盗賊「出来る限りの、力になろ?」

戦士「青龍先生は十分生きたしな」

魔道士「戦士さん」

戦士「……冗談だよ」

召喚士「俺らだって、いつどうなるか分かりませんからね」

魔道士「……はい」

盗賊「……大丈夫。運命を変えよう」

魔道士「盗賊さん……っ」

盗賊「うん。だから大丈夫だ」


276 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:33:12.49u57uE4U6o (23/30)

20時。国軍本部へは再び、幕僚とワーカー達が集っていた。

~国軍本部、大会議室~

大軍師「それでは、本会議を再開致します」

南方副司令「パズズ討伐は、本当に任せて良いのですな?」

大軍師「ええ。あまり人数が居ても無用ですし」

南方司令「……」

大軍師「今回の作戦、総大将は……」

天才「青年兵だな」

青年兵「はっ」

大軍師「補佐に、白虎長殿と青龍士官殿が加わります」

青龍士官「!?」

南方参謀「司令と貴方は?」

大軍師「この機会に、各要所を視察へ回ります」

天才「特に電話の設置が遅れてるからな」

大軍師「宜しいですね?」


277 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:35:07.71u57uE4U6o (24/30)

白虎長「はい。やるだけの事はやってみせます」

天才「そして、主軸は当然、青龍先生だ」

青龍先生「うむ」

大軍師「補佐に名代殿、朱雀先生、玄武先生」

玄武娘「……」

召喚士「あの」

大軍師「はい」

召喚士「パーティーの皆も、同行したいのですが」

戦士「遺跡については何度も潜った経験がある」

盗賊「……道案内くらいは……出来る」

天才「……構わん。許可する」

召喚士「ありがとうございます」

大軍師「玄武先生も、宜しいですね?」

玄武娘「……」

朱雀嬢「玄武娘、返事なさいな」


278 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:36:30.61u57uE4U6o (25/30)

玄武娘「私……」

朱雀嬢「……はぁ」

スッ

朱雀嬢「あの、私も一緒に参りますわ」

青年兵「!?」

朱雀嬢「玄武娘の事は私が1番よく分かりますわ」

大軍師「……宜しいのですね?」

朱雀嬢「ええ」

天才「んじゃ、以上の編制だ。時期はそっちで決めろ。早い方がいい」

青年兵「……はい」

大軍師「南方軍の方々は引き続き残って下さい」

天才「パズズ以降の概要について、協議する」

南方司令「了解した」

東方副司令「あの、我々は?」

天才「……そうだな」


279 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:37:06.65u57uE4U6o (26/30)

ザッ

天才「名代さんよ、東方の戦力はいつでも準備オッケーなのか?」

名代「東の城次第ですが、拠点は仕上がっております」

天才「駒は?」

名代「兵の数はやはり、防衛で手一杯かと」

天才「マーラは後回しだ。東方の奴らは大軍師と細かい調整をしてくれ」

大軍師「基本方針に変わりはありませんが、すり合わせをしておきましょう」

東方司令「了解した」

天才「あとの時間は細かな報告と必要物資の確認」

大軍師「それと、アンラ・マンユ戦における魔王の対策をご報告します」

天才「先に……簡単に述べとくが、パズズの次はラーヴァナになる」

南方弓長「……っ」

天才「そんでマーラとイブリース。ベルゼブブで最後にサタンだ」

ザワッ

大軍師「それでは細かな説明を。資料を基にお話致します」


280 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:38:19.29u57uE4U6o (27/30)



大軍師「……と、いう事です。宜しいでしょうか?」

本会議はほぼ沈黙の中、大軍師の説明を中心に進んだ。

各方面の報告と南西砦や火山での報告。ほとんどがそれになる。

そして五ヵ年計画のおおまかな概要を確認すると、会議は静かに終わった。

大軍師「以上、質問がなければ本会議そ終了と致します」

天才「……よし、それじゃ解散」

ガタガタッ…ザワザワザワ

青年兵「……?」

キラッ

青年兵「……」

青龍士官「青年兵」

青年兵「ん、あ……あぁ。どうした?」

青龍士官「……いつにするつもりだ?」

青年兵「……」


281 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:39:36.85u57uE4U6o (28/30)

青龍士官「司令は早急と言っていたが」

青年兵「分かってる。急ぎすぎは混乱を招く」

青龍士官「然るべき部署や人間に一報を入れてからの方がいい」

青年兵「同感だよ。青龍先生の名は……大きすぎる」

青龍士官「……」

青年兵「青龍士官」

青龍士官「ん……?」

青年兵「頼りにしてるよ、宜しく」

スッ…カツカツカツ

青龍士官「……」

白虎長「お疲れ。それじゃ決まったら連絡して」

青龍士官「あ、はい……」

カツカツカツ…

青龍士官「……どうした……ものかな」

青年兵と白虎長が去ったドアを抜け、青龍士官もまた会議室を後にした。


282 ◆1otsuV0WFc2011/06/28(火) 18:41:57.59u57uE4U6o (29/30)

~海峡~

ザザッ

門兵「……?」

ドオオォォォォンッ!!

海峡兵「何の音だ!?」

海峡兵長「各員、配置につけぇ!!」

タッタッタッタッタ…ザザッ

海峡兵「何事だ!?」

門兵「……ダメだ、死んでる」

海峡兵「敵襲ーっ!!」

門兵「お、おい……あれ……っ」

ザッザッザ

ウィッチ「……」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「……こんばんは。クククッ!」


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 18:44:30.97u57uE4U6o (30/30)

青年兵はかなり出世しました!そして優秀ですよ!
そのうちエピソードとかあるかもですね!!

ひとまずここまでにて。ご支援ありがとうでした!
それでは失礼致しますぬ~!ノシ


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/28(火) 18:45:38.0624lULwZAO (1/1)

>>1乙
魔剣士…


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 18:45:50.3057DEnKyDo (1/2)

おつ

ウィッチっていつ死んだっけ?


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 18:56:25.55Ho/sfc+h0 (1/1)

1乙

まぁ、同門が生きてたんだし誰かがこうなってるとは思ってたけどなぁ。
魔剣士復活しとるし・・・。


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 19:09:30.823YgZuKVdo (1/1)

>>285
まとめサイトの~第四十部~西策謀12
ネクロマンサーvs同門'sが戦ってる、明確に死んだ描写はなかったけど絶望的な状況だったからやられたんだろう。
くの一が同門を逃がしてはいるし。

眷属戦で
同門「もう……俺の目の前ではぁ、誰も死なせるわけにはいかんのだーっ!!」
って台詞はたぶんウィッチのことかと。


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/06/28(火) 19:10:51.73W21yzUI30 (1/1)


風呂敷何個あんだよってぐらい畳まれないな
回収したと思ったらまた伏線ドバーッって
よく頑張れるなあ


289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 19:18:27.3257DEnKyDo (2/2)

>>287
サンクス
見てくる


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/28(火) 19:27:49.47SSZtC3qAO (1/1)

俺の携帯しょぼすぎてまとめサイト開く途中まででメモリ不足になったwwww


291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/28(火) 19:32:50.72FCwjXnIAO (1/1)

>>1乙!
ネクロマンサーはどこまで俺を怒らせれば気が済むんだ……
寿命がストレスでマッハ


292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 19:51:25.34aNyNj+Bfo (1/1)

うわああああああ


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 20:02:44.17QS/cB4+DO (1/1)

>>1乙
ウィッチたん…
青年兵がいくら頑張ろうと、
がむしゃらに頑張っている新入社員にしか思えない


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 20:13:29.86hiQChzHDO (1/1)

ウィッチ死んでたしもう読む気力が出ない……


295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/06/28(火) 20:20:40.49F6NMybDzo (1/1)

>>1乙
同門に仲間が出来て心を開いていくハートフルストーリーはのはずがどうしてこうなった?



296VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 21:09:04.89JFjsUZLDO (1/1)

>>1乙!

ウィッチちゃんがぁぁぁぁぁぁ!!!

返り討ちなのはわかってる。
けどネクロマンサーは潰す!


297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/06/28(火) 22:20:41.65+Rbjp3+Yo (1/1)

はいはい


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/28(火) 23:35:54.30jC9B2pTto (1/1)

ウィッチちゃん……

ええ……うそぉ


299VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 00:37:18.39pCvpiatyo (1/1)

>>290
AOってauだっけ?
21の頃はもっと大きなページも読み込めたのに、どんどんメモリ不足になっていく


300VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 00:38:46.44MxguS4LDO (1/1)

「新しい」人形と言う事だから、
アカマナフみたいな方法の可能性も…


301VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/29(水) 01:12:32.84sli5hxOAO (1/2)

ガラケーの話題はスレに関係ないぞ~
乙パイ


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 01:57:22.15bc5oR5vSO (1/1)

>>1乙!

ついに新たなる最強究極青龍召喚獣の俺様の出番が来たか…(ドヤ


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/29(水) 08:00:10.142g+x7/9AO (1/1)

>>1乙

ウィッチちゃん…と言うことはドッペルも絶望的ってこと?


304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 11:26:00.35kcevEZHe0 (1/2)

召喚士よ、早く皆にマジシャンの事を教えてやってくれ

ムズムズしちゃう


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 11:29:14.58kcevEZHe0 (2/2)

sage忘れスマソ

m(__)m


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/29(水) 13:59:22.39cgVpBV6L0 (1/1)

いちおつ

海峡あついな
ネクロマンサーと魔剣士とウィッチにバフォメットか…
全滅させられるんじゃね?



307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/06/29(水) 17:59:01.64JuhuoaD/0 (1/1)

     __
     /。 \
    |ノ ゚|ノシ
    ノ ゴ ノ



308 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:20:49.55HxIllMImo (1/24)

ザッザッザ

海峡兵「女の子……?」

海峡兵長「見た目で判断するな! 仕掛けられてるんだぞ!」

ウィッチ「……ふふっ」

キュイイィィ…ドドオオォォォォン!!

門兵「閉門ーっ! 篭城するぞぉ!」

ガゴン…ギギギギイイィィ

門兵「!?」

ガゴンッ!!

魔剣士「……」

海峡兵「大剣で門を無理矢理――」

海峡兵長「結界石を突破するだとぉ!? バカなっ、魔物ではないのか!?」

タッタッタッタ

水の先生「どうした!?」

火の先生「まさか、魔物の襲撃か……?」


309 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:21:34.67HxIllMImo (2/24)

オオォォォォ

ネクロマンサー「ククッ、さぁて……どうします?」

ウィッチ「……」

魔剣士「……」

海峡兵長「何をしている!! 迎え撃たぬかぁ!!」

海峡兵「し、しかし……! 結界石をすり抜けるとは……っ」

海峡兵長「……えぇい!」

ザザッ…ダダダッ

海峡兵長「うおおぉぉーっ!」

ウィッチ「……」

ドドオオォォォォン!!…ガカアアァァァァッ!!

海峡兵長「ぐわああぁぁーっ!!」

門兵「兵長が落雷にやられた……っ! 衛生兵ーっ!」

ネクロマンサー「おやおや、この程度で混乱するとは。期待外れですかね」

海峡内部へと侵入する魔剣士とウィッチを見つめ、ネクロマンサーは微笑する。


310 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:22:22.25HxIllMImo (3/24)

ザッザッザ

門兵「どどっ、どうする!?」

海峡兵「えぇい仕方ない、撃てぇ!」

ジャキジャキジャキッ…

弓兵「一斉射撃……開始ぃ!」

バシュシュシュシュシュッ!!

魔道兵「撃て撃て撃てぇーっ!」

上空を入り乱れるかの如く、矢と魔法が飛び交い、覆いつくす。

魔剣士はツヴァイハンダーを回転させると、矢を払い落とし前進を続ける。

海峡兵「何だよあれっ、バケモノかよぉ!?」

ズザザッ

水の先生「はあぁーっ!!」

火の先生「ファイヤー!!」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

火の先生「やったか!?」


311 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:23:17.97HxIllMImo (4/24)

シュウウゥゥゥゥ

魔剣士「……」

水の先生「全然……ビクともしてないぞ!」

弓兵「援護射撃をかけますっ、後退して下さい!」

バシュシュシュシュッ!!

ネクロマンサー「ふむ、このまま此処を制圧するのも一興か――」

ヒュバッ!!

ネクロマンサー「……?」

地上より狙い済まされた手裏剣がネクロマンサーの体を通過する。

ネクロマンサー「……ほぉ」

くの一「……」

ネクロマンサー「しつこい人だ」

ザッザッザ

影忍「貴様を葬るまでは滅したりはせぬ。絶対にな」


312 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:23:56.21HxIllMImo (5/24)

ネクロマンサー「……ククッ、嬉しい限りですねぇ」

ゴオオォォォォ…メラメラッ

魔剣士「……」

魔道兵「矢の一斉射撃が終わったら、次はこっちだ!」

火の先生「待て、奴に魔法は効かんようだ。自重せい」

魔道兵「!?」

水の先生「何とか打開策を……」

ザッザッザ

火の先生「むっ、もう1人居おったか」

ザッザッザッザ

水の先生「……あ……れは!?」

火の先生「バカなっ!!」

ザッザッザッザッ…ザッ

ウィッチ「……」

火の先生「ウィッチ……なのか!?」

水の先生「そ、そんな……」


313 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:24:36.34HxIllMImo (6/24)

ウィッチ「はあぁーっ!!」

ドドオオォォォォン!!

火の先生「くお……っ」

水の先生「ウィッチ! 何をしている!?」

ウィッチ「……」

火の先生「操られているのか……?」

水の先生「そうは見えないが……しかし、これはどういう事なのだ!?」

海峡兵「もう1人が来ますよぉ!」

水の先生「退がれっ、アレは何かがおかしい。戦う必要はない!」

火の先生「かと言って、ワシらでどうにか出来るとも思えんがの」

ザッザッザ…ピタッ

魔剣士は突如、歩くのをやめ、後方の空を見上げる。

火の先生「何……だ?」

魔剣士「……」

視線を地上へ戻すと、ウィッチと目を合わせ、2人は砦の外へと歩き出した。


314 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:26:24.81HxIllMImo (7/24)

ヒュバッ…ガガガガガッ

影忍「おおぉぉ!」

ネクロマンサー「ククッ、不死同士……延々と戦い続けますか?」

影忍「貴様が望むのであればな!」

ネクロマンサー「ボキャブラリーのない方だ。ククッ」

くの一「頭領……っ」

影忍「おおぉぉぉぉ!!」

ネクロマンサーあから伸びる鋭利な触手をことごとくかわし、

影忍は刀を手に、触手の伸びる中心部分へと一気に迫る。

バッ…ババババッ!!

影忍「風遁……疾風!」

ゴアアァァァァ!!

ネクロマンサー「ちぃ」

影忍「さぁ、地上戦だ」

突風に煽られ、一旦地面へ着地するネクロマンサー。


315 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:28:12.15HxIllMImo (8/24)

スタッ…スタッ

ネクロマンサー「……」

影忍「2対1だ」

くの一「……っ」

ジャリ…チャキッ

くの一(頭領が私を戦力と認めてくれた……)

ジリジリ…

くの一(……期待に……応える!)

ネクロマンサー「……ククッ」

影忍「何がおかしい」

ザッザッザッザ

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

ネクロマンサー「2対3……ですねぇ」

影忍「……っ」


316 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:29:20.98HxIllMImo (9/24)

ガクガクガク

影忍「……どうした?」

くの一「あ……あ……ぁ」

ウィッチ「……くの一……ちゃん」

くの一「ど……して、何で……ウィッチ……?」

ウィッチ「くの一ちゃん……くの一ちゃん……」

くの一「はっ……はっ、はっ」

影忍(あの娘……どこかで……)

ウィッチ「くの一ちゃん……」

くの一「……うげぇ、がは……っ! う……ぇ」

影忍「そうか……っ!」

ウィッチ「久し振りでございますの!」

ドドオオォォォォン!!…ゴゴオオォォォォ

影忍「しっかしせぬか!」

放心状態のくの一を抱きかかえ、影忍は叱咤する。


317 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:30:19.09HxIllMImo (10/24)

くの一「は……はっ、は……っ」

影忍「立てっ!」

ネクロマンサー「ククッ、どうしましたぁ?」

ドドオオォォォォン!!

ウィッチ「くの一ちゃん……待ってよぉ……」

ザッザッザ

ウィッチ「今度は置いてっちゃ……やだよぉ」

ドドオオォォォォン!!

くの一はウィッチの顔を見た瞬間、気付いてしまった。

顔色悪く目に光も感じぬその表情。そして敵として退治している事。

ここのところずっと行動を共にしてきた影忍と同じ、そう悟ってしまった。

くの一「うっ、う……ぅ……」

精神面は影として散々鍛えられたつもりでいた。

それでも抑えきれぬ涙と嘔吐がくの一を襲った。

くの一「い……いやああああぁぁぁぁ!!」


318 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:31:07.80HxIllMImo (11/24)

ガクン

ネクロマンサー「どうしました? もう終わりですか?」

くの一「……さない」

ググッ

ネクロマンサー「……?」

くの一「許……さない……っ」

チャキッ…ザッザッザ

影忍「……」

くの一「ウィッチを……こんな姿に……」

ネクロマンサー「ククッ、貴女にも責任があるのですよぉ?」

くの一「……ああ、そうさ。そうだな。そうの通りだぁ!」

ヒュバッ!!…ザシュウウゥゥゥ!!

くの一「償いなら幾らでもしてやるさ! 貴様を……ウィッチを殺してからなぁ!!」

ウィッチ「く……の一ちゃん……っ」

くの一の持つ刀が、ウィッチの胸部を縦に斬り裂いた。


319 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:31:48.88HxIllMImo (12/24)

ネクロマンサー「ほぉ、大した人だ」

くの一「……ああぁぁぁぁーっ!!」

魔剣士「……」

ブンッ!!…ブオンッ…ブンッ!!

影忍(立ち直ってくれたはいいが……危ういな)

くの一「うああああぁぁぁぁーっ!!」

魔剣士「……」

ビュオッ…ガキイイィィィィン!!

くの一「はーっ、はーっ、はーっ」

ネクロマンサー「殺しては駄目ですよ」

魔剣士「……はい」

影忍「ちっ」

バババッ…ババッ

影忍「風遁、水遁……奥義、疾風怒濤!!」

ネクロマンサー「何……?」


320 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:32:54.80HxIllMImo (13/24)

ギュルルルルルッ!!

影忍が回転を交えながら疾走すると、周囲に巨大な竜巻が起こる。

竜巻は水を交え、渦巻く海のように大きな音を立て、勢いを増す。

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

サッ…ドドオオォォォォ

魔剣士とウィッチは水竜巻をかわすと間合いを取り直し、

再び身構え、戦闘態勢へと入った。

影忍「くの一、冷静になれ。深追いすれば手痛い目に遭うぞ」

くの一「……」

影忍(とは言え只でさえ不利な挙句、数でも劣っている。どうするか……)

ネクロマンサー「ククッ、動かないのであれば、こちらからいきましょうか」

ゴウッ!!

影忍「お前は魔法使いを抑えろ!」

くの一「……は……いっ!」


321 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:35:03.45HxIllMImo (14/24)

影忍「うおぉーっ!!」

ネクロマンサー「2人を相手に……もつと思っているのか!」

影忍「疾風怒濤!!」

魔剣士「……っ」

ゴウッ!!…ズガガガガガガッ!!

ネクロマンサー「不死とは我ながら厄介なものですねぇ」

影忍「おおぉぉ!!」

ネクロマンサー「四肢をもいで、動きを止めなさい」

魔剣士「はい」

ウィッチ「くの一ちゃん……!」

くの一「うああぁぁぁぁ!!」

タンッ…ヒュバッ!!

ウィッチ「いくでございますよぉ」

くの一「っ!!」

ガキイイィィィィン!!


322 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:35:51.65HxIllMImo (15/24)

くの一「――っ」

ウィッチ「……?」

チャキッ…ザッザッザ

女剣士「遅れた、すまん」

影忍「助太刀……か?」

ネクロマンサー「まだいますか」

影忍「これで3体3、押さえ込めるか……っ」

ネクロマンサー「いきがるなよっ!」

影忍「大剣の男を頼む!」

女剣士「……奴か」

ザッ

女剣士「……大丈夫か?」

くの一「早く行け」

ウィッチの姿を見据えたまま、振り向きもせずくの一は冷静に一言だけ呟いた。

女剣士「……」


323 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:37:28.56HxIllMImo (16/24)

ザッ

魔剣士「……」

女剣士「……」

影忍「不死だ。無理に倒そうとする必要はない」

ネクロマンサー「ククッ、打開策は見当たらずですねぇ」

影忍「ほざけっ!!」

ヒュオッ!!

ネクロマンサー「おぉ、怖い怖い」

ザッザッザ…チャキッ

女剣士「……」

魔剣士「……」

女剣士(お姉様と修行しておいて良かった)

バッ!!

女剣士「大剣なら慣れている!」

魔剣士「……」


324 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:38:33.94HxIllMImo (17/24)

ブンッ!!…ズッドオオォォォォン!!

ネクロマンサー「ほぉ、魔剣士の一撃をかわしますか」

女剣士「はあぁっ!!」

ブンッ!!…ザシュウウゥゥゥゥ

魔剣士「……」

肩をかすめた女剣士の刀身。魔剣士はその傷をじっと見つめる。

ズズッ…ズズズ

女剣士「不死……。厄介なものだな」

ネクロマンサー「手加減はいりませんよ。殺さず仕上げなさい」

魔剣士「はい」

女剣士「キリがないな」

くの一「うああぁぁーっ!!」

ザシュッ!!…ズバッ!!

ウィッチ「痛いよ……やめて、くの一ちゃん……」

くの一「ああああぁぁぁぁ!!」


325 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:39:13.58HxIllMImo (18/24)

ザシュウウゥゥゥゥ…カランッ

くの一「……う、うぅ……ううぅ……っ」

ガクッ

くの一「何で……死んでくれないんだよ……」

ウィッチ「くの一ちゃんも……なろ?」

ザッザッザ

ウィッチ「ねっ? 私と一緒……」

ザッザッザッ…ザッ

ウィッチ「死ぬでございますわ……!」

影忍「ちぃっ!」

ネクロマンサー「邪魔はさせませんよぉ!」

影忍「どけえぇ!!」

ネクロマンサー「クハハハハッ! もがき苦しむがいい!」

ズドオオォォォォン!!

ネクロマンサー「……?」


326 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:40:10.74HxIllMImo (19/24)

タッタッタッタッタ

火の先生「大丈夫か!?」

水の先生「……ウィッチ」

ウィッチ「先生……邪魔……しないでしょぉ……」

水の先生「やはり……アンデッドに……」

ネクロマンサー「また増えましたか。やれやれ、面倒な事ですねぇ」

影忍「これで5対3。まだ続けるつもりか?」

ネクロマンサー「何を勘違いしているのです?」

影忍「……」

ネクロマンサー「我らは不死身。対してそちらは……貴方だけではないですか」

影忍「……」

ネクロマンサー「数で勝ったとて無意味。気付かないとでも?」

影忍(やはり詭弁で退くような相手ではないか)

ネクロマンサー「ククッ、今宵は手土産が多そうだ。楽しみですよ――」

ザンッ!!


327 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:40:47.58HxIllMImo (20/24)

突如ネクロマンサーの左腕が斬り落とされた。

ネクロマンサー「……」

影忍「まだ増えてくれたか。これで……7対3だ」

ネクロマンサー「……貴様等」

ザッザッザッザッザ

眼鏡「依頼を受けて来てみれば、とんだ大物がいたものだね」

魔法剣士「あの男……っ、またか」

魔剣士「……」

眼鏡「ネクロマンサーがいるって事は、相手は元人間のアンデッドか」

魔法剣士「元……人間……」

眼鏡「先日交戦した2人とは違うみたいだけどね」

魔法剣士(あの娘もそうなのか……)

ウィッチ「……ふふっ」

影忍「……どうする、ネクロマンサー」

ネクロマンサー「これはなかなか、厄介になりましたね。クククッ」


328 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:49:00.27HxIllMImo (21/24)

~本国、国軍本部~

青龍士官「……」

カツカツカツ

青龍士官「おう」

青年兵「……」

青龍士官と青年兵。2人はテラスで肩を並べ、夜空をぼんやりと見つめる。

青龍士官「決めたのか?」

青年兵「うん」

青龍士官「……いつだ?」

青年兵「3日後」

青龍士官「!? バカなっ、幾らなんでも早すぎる……」

青年兵「青龍先生がさ、早い方がいいって」

青龍士官「……」

青年兵「会いたい連中にはもう会ったから、早く片を付けたい……って」

青龍士官「……っ」


329 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 18:51:53.32HxIllMImo (22/24)

カツカツカツ

青龍先生「そういう事じゃ」

青龍士官「先生っ!?」

青年兵「……」

青龍先生「長引けばそれだけ、こちらの作戦が不利になる」

青龍士官「……っ」

青龍先生「なぁに、何の心配もいらんよ……ひょっひょ」

青年兵「……先生」

青龍先生「何故、お主らがこの作戦に参加したか分かるか?」

青龍士官「……いえ」

青龍先生「儂が無理を言って、頼んだんじゃよ」

青年兵「……?」

青龍先生「天才や大軍師は辛すぎる故、参加させるつもりはなかったようじゃ」

青龍士官「……っ」

青龍先生「じゃがな、儂がどうしてもと頼み込んだのじゃ」


330 ◆1otsuV0WFc2011/06/29(水) 19:03:01.54HxIllMImo (23/24)

青年兵「何故……です?」

青龍先生「何でじゃと思う?」

青龍士官「……分かりません」

青龍先生「お主らに全てを伝授しようと思うてな」

青年兵「全て……ですか?」

青龍先生「まだ教えておらん召喚獣がおるじゃろ」

青龍士官「ま……さか……!?」

青龍先生「青龍最大の召喚獣……バハムート」

青年兵「!?」

青龍先生「最後に見て、しっかりと学ぶが良い」

青龍士官「……っ」

青龍先生「それに……」

青年兵「……?」

青龍先生「いや、何でもないわい。夜はまだ冷えるのぅ。先に失礼するわい」

青年兵「お、お休みなさい……っ」


331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 19:04:11.62HxIllMImo (24/24)

ひとまずここまでにて!本日もご支援ありがとうでした!
それでは失礼致しますー!ノシ


332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/29(水) 19:29:55.39MlKQHi9AO (1/1)

>>1乙!
根暗ェ…


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/06/29(水) 19:50:59.20MNMwX7GYo (1/1)

今更だけど不死って炎が利くんじゃなかったっけ?
最初のほうでやってなかったっけか?



334VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 19:53:32.47yljmUS4DO (1/1)


始まった早々、火花飛び散る戦闘
スーゲ、の一言だな!


335VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/29(水) 20:48:46.30sli5hxOAO (2/2)

ウィッチちゃん……
ペロペロ!


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 21:50:18.85/RKNywEwo (1/1)

何語だよ


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/29(水) 22:15:19.40dGNSGmpAO (1/1)

マジシャン来るかと思ったんだけど占い師とイチャラブ中かよ


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 22:28:09.57EDfJu2HDO (1/1)

>>1乙
マジシャンってさジュニア以外に子供いてもおかしくないよね。


339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/29(水) 23:04:47.89S7RWyjr5o (1/1)

ウィッチちゃん……


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/30(木) 01:31:30.11YqA4BOPSO (1/1)
341 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 16:56:17.05tGmviwnqo (1/26)

~海峡~

眼鏡「行くよ」

魔法剣士「ああ」

ダッ!!

ツヴァイハンダーを構える魔剣士めがけ、2人の男が攻撃を仕掛ける。

魔法剣士の持つ2本の剣が、舞いのように目まぐるしく踊る。

剣士「……」

魔法剣士「はあぁーっ!」

ヒュババババ!!…チュインッ…キィン!!

眼鏡「あんな剣でよくもまぁ往なせるものだよ」

魔剣士の技量を感心しながらも、眼鏡は魔法剣士の助太刀に加わる。

合計で3本の剣が魔剣士を襲う。しかしながら直撃はない。

女剣士「……っ」

タンッ

女剣士「はあぁ!」


342 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 16:56:50.28tGmviwnqo (2/26)

ネクロマンサー「これ以上はさせませんよ」

ヒュバッ!!…サクッ

ネクロマンサー「……?」

影忍「邪魔立てはさせぬ。貴様の相手は俺だ」

ネクロマンサー「小賢しい」

ババババババッ!!

魔剣士を囲む4つの刃。それらは空を切り裂き乾いた声を残す。

時に金属音が弾け、ツヴァイハンダーが盾のように3人の攻撃を防いでいた。

魔法剣士(これだけの攻撃を……)

女剣士(全て、防ぎきっているだと……!?)

魔剣士を取り囲む魔法剣士と女剣士は、対峙する男の力量を改めて認識した。

魔法剣士(だが、手を止めるわけにはいかん)

キュイイィィィィ

魔法剣士「魔法剣……4行!!」

ズガガガガッ!!…ガオンッ!!


343 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 16:57:36.86tGmviwnqo (3/26)

魔法剣士「……」

魔剣士「……」

シュウウゥゥゥゥ

挟み込む2本の長剣を大検本で器用に防いだ魔剣士。

魔剣士「魔法剣……触れねば無意味」

女剣士「はあぁーっ!!」

眼鏡「……」

ザザッ…ビュオッ!!

魔剣士は態勢そのままに、まずは背後から斬りかかる女剣士を、

回し蹴りで弾き飛ばすと、右方より迫る眼鏡めがけツバイハンダーを捻り、

魔法剣士の身体を眼鏡の眼の前へと差し向ける。

眼鏡「ち……っ」

更には魔法剣士を大きく蹴り飛ばし、自身は後転しつつ間合いを離す。

バキィ…スタッ

魔剣士「……」


344 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 16:59:17.67tGmviwnqo (4/26)

魔法剣士が受け身をとり再び駆け出す時、その先にいる眼鏡は

左手に赤黒い炎を携え既に魔剣士へと迫っていた。

眼鏡「……」

チリッ…ボボボボボボッ!!

眼鏡の放つ炎が魔剣士の周囲を取り囲む。

ゴウッ!!

魔法剣士「く……っ!」

女剣士「げほげほ……っ」

魔法剣士「何だこの炎は!? しかもこの勢い……これでは中に入れん」

壁のように立ち塞がる炎。魔法剣士と女剣士はその熱量にやや退き、

中に残る眼鏡を心配そうに見つめている。

ゴアァッ!!…ドウッ!!

魔法剣士「炎が更に……っ」

女剣士「す、少し離れた方がよさそうだ……ごほっ」

魔法剣士「あ、あぁ……っ」


345 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:00:15.87tGmviwnqo (5/26)

ゴオオォォォォ

水の先生「何だ、あの炎は……!?」

火の先生「……人間のものではないな」

水の先生「するとあの大剣使いか……っ」

ウィッチ「先生、一緒に行こ?」

キュイイィィィィ…ドドオオォォォォン!!

水の先生「水壁!!」

ドドオオォォォォン!!…ザザアアァァァァ…

火の先生「しかしアンデッドなのに魔法も効かぬとはの」

水の先生「どうすれば……」

スタッ

影忍「あれは人形だ、どうにも出来ん」

水の先生「それでは、勝ち目がないではないか!」

影忍「ない。一先ず退かせる以外に方法はな」

火の先生「……」


346 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:01:05.87tGmviwnqo (6/26)

ゴアッ…ボボボボオオォォ…

眼鏡「……」

魔剣士「……」

眼鏡「君も、可哀想な男だね」

魔剣士「……」

眼鏡「己の意思でもなく、魔族の手先にされてしまうなんてね」

魔剣士「……」

眼鏡「君の呪いは、魔剣と共に開放されるのかな? それとも……」

ザッザッザ…チャキッ

眼鏡「本体を滅ぼさぬ限り、永遠に彷徨い続けるのかな」

魔剣士「……」

眼鏡「……行くよ」

ザッ…ビュオッ!!

眼鏡は勢いよく地面を蹴り上げ、右手の長剣を炎の壁へと接触させる。

刀身は一瞬で赤黒い炎に包まれ、そのまま魔剣士へと振りかざされた。


347 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:01:50.86tGmviwnqo (7/26)

ブオッ…ゴアアァァァァ

眼鏡「次っ」

剣を振りぬくと身体を反転させ、眼鏡は再び炎の中へと刀身を突き刺す。

再度、禍々しい炎を得た長剣は、魔剣士を下から一気に斬り上げる。

チリッ

眼鏡「……」

魔剣士「……」

眼鏡「どうした? 仕掛けてこないのか?」

魔剣士「……」

眼鏡「片鱗だけど、ようやく見えてきたよ。君達の正体」

魔剣士「貴様、魔族か」

眼鏡「だとしたら?」

魔剣士「……」

眼鏡「さぁ、どんどんいくよ」

三度、炎の中へと刃を突き刺す眼鏡。魔剣士はただじっと見つめていた。


348 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:03:07.01tGmviwnqo (8/26)

ドザアアァァァァ

ウィッチ「……先生、邪魔しないでよぉ」

水の先生「……っ」

くの一「……お……うえっ」

目が回る。吐き気がする。血の気が引く。脂汗が止まらない。

だがそんな事よりも、胸を思いっきり締め付けるような痛みが、くの一を襲う。

影忍「その者を連れて退け」

火の先生「お前さんは!?」

影忍「こやつを野放しには出来ぬ」

ネクロマンサー「何を言うかと思えば」

フワッ

ネクロマンサー「勘違いしないように。殺そうと思えばいつでも殺せるのですよ?」

影忍「貴様こそ勘違いするなよ」

ザシュウウゥゥゥゥ!!

ネクロマンサー「……?」


349 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:03:48.69tGmviwnqo (9/26)

魔法剣士「魔法剣……四行!」

ネクロマンサーの胴体を分断する魔法剣士の一撃。

影忍「手数は再び上回ったのだぞ」

ネクロマンサー「……」

ズバッ!!…ザシュッ!!

魔法剣士「……ふーっ」

クルクルッ…スタッ…ガクン

魔法剣士「!?」

影忍「無理をするな、膝にきているぞ」

浮遊するネクロマンサーを数度斬りつけ、着地する魔法剣士。

バランスを崩した彼に、居並ぶ影忍が声を掛け手を貸す。

魔法剣士「……すまん」

影忍「……」

魔法剣士(やはり四行数発は肉体的に堪えるな……っ)

影忍「そろそろ幕引きとしようではないか」


350 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:05:07.12tGmviwnqo (10/26)

ネクロマンサー「ほぉ、どういう意味です?」

影忍「退け、と申しているのだ」

ネクロマンサー「おやおや、先程まで意気込んでいた方とは思えませんね」

影忍「貴様はこの手で必ず殺す。だが、今宵はそうもいかんようだ」

ネクロマンサー「一方的ですねぇ」

影忍「貴様とて決定打はないのだろう?」

ネクロマンサー「……」

影忍「目的があるわけでもない。貴様の場合はな」

ネクロマンサー「ククッ、どうも見透かされてしまっているようですねぇ」

ズドオオォォォォン!!

ウィッチ「みんな、一緒に行くでございますのぉ」

水の先生「ウィッチ……やめるんだ!」

くの一「……っ」

ウィッチ「早く……行こうよぉ!」

女剣士「させるかっ!」


351 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:06:49.52tGmviwnqo (11/26)

ザシュッ!!…スタッ

ウィッチ「……うぅ」

女剣士「……化物め」

ウィッチ「ひどい……ひどいよぉ!」

袈裟斬りに振り下ろされた女剣士の刀は、ウィッチの胴をバッサリと斬りつけた。

しかしぶら下がる左腕は再び元通りとなり、傷1つ付く事はない。

火の先生「キリがないな……」

影忍「そやつはいい。攻撃を集中する」

女剣士「……?」

影忍「狙いはネクロマンサー。ただ1人だ」

火の先生「しかし、あれとて不死身なのじゃろう?」

影忍「ああ、不死身だ」

水の先生「だったら……」

影忍「不死身だが、奴は魔力の消費を恐れている」

ネクロマンサー「……」


352 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:08:37.68tGmviwnqo (12/26)

影忍「故に……」

ザッ…シュバッ!!

影忍「はあぁーっ!!」

ガインガイン!!…キィン!!

魔法剣士「続くぞ!」

女剣士「ああっ!」

火の先生「こっちは援護じゃ!」

水の先生「ええ……っ」

ズザッ…ブオォッ!!

女剣士「くらえっ!」

魔法剣士「……っ」

ガクガク…グッ

魔法剣士「いけるっ、やってみせる!」

ネクロマンサー「……ぬぅ」

影忍「貴様は自身を守るにあたり、過剰防衛なのさ」


353 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:10:15.66tGmviwnqo (13/26)

ピクッ

魔剣士「……」

眼鏡「……隙ありっ」

ブオンッ!!…ズザザァ

眼鏡「!?」

魔剣士「……」

燃えさかる炎の中を悠然と歩いてゆく魔剣士。その姿に眼鏡は戸惑う。

眼鏡「馬鹿な……。触れるだけでば魔力を失う……」

ザッザッザ

眼鏡「それを大量に、ものともせずに……?」

音を立てて燃えながら炎の壁を突破する魔剣士。

その姿はあっけなく炎の中へと消えて行った。

眼鏡「……そうか!」

何故、そのような奇妙な行動を取ったのか、眼鏡はようやく理解する。

眼鏡「ネクロマンサーの加勢か……っ。させないよ!」


354 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:11:32.19tGmviwnqo (14/26)

ザッザッザ…ヒュッ

魔法剣士「何っ!?」

魔剣士「……」

ブンッ!!

水の先生「ウィッチ!?」

タタッ…ドドオオォォォォン!!

着地するネクロマンサーの前へ、魔剣士とウィッチが立ち塞がる。

魔法剣士「なるほど、過剰防衛と言うのはこれか」

影忍「そうだ。遠隔でない限り、奴を守るよう作られている」

くの一「作られている……って……」

影忍「だからこそ、ネクロマンサー1人を狙えば良い」

くの一「作られるって……何だよぉ……!!」

ネクロマンサー「ククッ、そこまで気付くとは……やはり貴方は素晴らしい」

影忍「この地より消えろ。最早、用はないはずだ」

ネクロマンサー「……全く、困ったものですね」


355 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:13:27.89tGmviwnqo (15/26)

ブワッ

ネクロマンサー「兵隊連中が消えて、少し探りを入れるつもりだったのですが」

女剣士「逃がすか!」

影忍「構うな!」

女剣士「……っ」

ネクロマンサー「でも、思った以上に楽しめました。良いゲームでしたよ」

水の先生「何を……言うかっ!」

ネクロマンサー「忠告しておきましょう」

影忍「……」

ネクロマンサー「先日からチョロチョロと北へ遊びに来ているようですが……」

スタッ…ザザッ

眼鏡「……」

ネクロマンサー「あまり、深入りしない方が身の為ですよ……ククッ」

眼鏡「どうするんだい? 追う?」

魔法剣士「……いや、放っておいて構わないそうだ」


356 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:15:22.25tGmviwnqo (16/26)

眼鏡「分かった」

ネクロマンサー「ベルゼブブ様は大層、嘆いておられる」

女剣士「……」

ネクロマンサー「人間には餌場で静かに暮らしていて欲しい、と」

火の先生「ふざけるでないわいっ!!」

ネクロマンサー「アンラ・マンユを倒したそうですね」

魔法剣士「それがどうした」

ネクロマンサー「……いえ、まぁせいぜい……頑張って下さい。クククッ!」

フッ

水の先生「消え……た!?」

魔剣士「……」

ウィッチ「……」

フッ…フッ

影忍「……」

くの一「ウィ……ッチ……」


357 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:16:28.48tGmviwnqo (17/26)

~国軍本部~

戦士「はあぁーっ!? 3日だぁ!?」

青年兵「はい。大丈夫ですか?」

召喚士「こっちは大丈夫だけど……短すぎない?」

青年兵「青龍先生たっての希望です」

盗賊「……」

召喚士「そういう事なら……」

魔道士「……」

青年兵「明日と明後日はご自由に過ごして下さい」

召喚士「……?」

青年兵「準備などは全て軍で済ませます」

戦士「3日後に合流すりゃいいって事か」

青年兵「はい。皆さんは遺跡にお詳しいようなので、前衛をお願いしたいと……」

盗賊「……喜んで務めよう」

青年兵「ありがとうございます。それでは、失礼致します」


358 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 17:19:30.40tGmviwnqo (18/26)

カツカツカツ…

召喚士「……」

戦士「随分と冷静だったな」

召喚士「うん。でも、心中はかなり複雑だろうね……」

魔道士「それはそうですよ……っ」

召喚士「ところで、玄武娘さんと朱雀嬢さんは?」

戦士「先にホテルへ戻ったぜ。玄武娘が滅入っちまっててな」

召喚士「そっか……」

魔道士「……っ」

戦士「お前も滅入るなよ? これで終わりじゃねぇんだからよ」

魔道士「分かってます……分かってますけど……」

召喚士「無理はしないで下さいね。辛ければ今回は――」

魔道士「いえ、参加はします。それが課せられたものだと思ってますから……」

盗賊「魔道士の言う通りだ。頑張ろう、青龍先生の為にも」

魔道士「……はい」


359 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:30:27.69tGmviwnqo (19/26)

~海峡、砦内~

テクテクテク

影忍「どうだ?」

女剣士「先程、寝たとろこだ」

水野先生「ウィッチと顔見知りであたそうですね」

影忍「ああ。以前は共に戦っていたようだ」

火の先生「それで錯乱しておったのか……。辛かったろうに」

水の先生「私とて動揺しました」

火の先生「うむ。まさか元教え子があのような事になぁ」

水の先生「彼女は本国高官の娘でもあります。これはなかなかに……」

火の先生「それは追々になるじゃろ。まぁ……学園長経由で報告はするが」

影忍「もう1人の男は……?」

魔法剣士「念の為、周囲を警戒している……と」

影忍「……そうか」

魔法剣士「……」


360 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:30:57.56tGmviwnqo (20/26)

~海峡、外部~

眼鏡「……」

ザッザッザ

眼鏡「流石にあの中には入れないよね、ふふっ」

タッタッタ

犬「ワンワン!」

眼鏡「異常なしか。ご苦労さん」

犬「ワン!」

眼鏡「あの森かい? あれはいいよ。僕には無理だ」

犬「クゥーン」

眼鏡「バフォメットを倒すには限られた人材が必要」

ザッ

眼鏡「人さえ見つかれば、あとは容易いさ」

犬「ワン!」


361 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:32:02.63tGmviwnqo (21/26)

眼鏡「そうだね。少し休んでおこうか」

~海峡、砦内~

火の先生「それで、あれは一体なんなのだ?」

影忍「結論から言えばアンデッド。ネクロマンサーの作り上げた物だ」

女剣士「……」

影忍「しかし通常のアンデッドとは違い、魔法耐性を持ち、日光にも物怖じしない」

魔法剣士「……」

影忍「そして、本人の記憶はあれど、自我はない」

水の先生「まるで……人形のようだな」

影忍「その表現が一番正しいのだろうな」

魔法剣士「どうやって倒せばいい?」

影忍「本体を倒す以外に方法はない」

女剣士「本体……?」

影忍「……ネクロマンサーの人形には2種類ある」

火の先生「どういう事じゃ?」

影忍「1つは人間の死体自身を利用するもの」


362 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:33:12.22tGmviwnqo (22/26)

水の先生「……」

影忍「それ自体を利用する事で、結界石や五行を封じる役目がある」

火の先生「成程な。確かに人間相手には通じんわな」

影忍「しかし、利点ばかりではない」

女剣士「どんな不都合が?」

影忍「死んだ人間が意識を持つ事など、当然ない」

火の先生「当たり前じゃ。死んでおるのだからな」

影忍「そこで奴は別の魂を生成し、それを死体に入れるのだ」

魔法剣士「何……!?」

影忍「つまり中身は完全な別物。器だけの存在というわけだ」

水の先生「酷い事を……」

影忍「但し、肉体がそのままという事は、技量も変わらぬ」

魔法剣士「魔法は効かなくとも、力さえ上回れば……」

影忍「倒せない事もない。まぁ相手は不死、完全に死ぬ事はないけれどな」

女剣士「……」


363 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:33:42.79tGmviwnqo (23/26)

影忍「奴の持つ人形では別の2体を確認している」

魔法剣士「……あの2人か!?」

火の先生「知っておるのか?」

魔法剣士「先日、北で剣を交えたばかりだ」

影忍「手っ取り早い方法は特殊攻撃で封じてしまう事だな」

水の先生「特殊……なるほど、石化といった類か」

影忍「そしてもう1つの種類。これが厄介なのだ」

女剣士「先程の連中か」

影忍「あれは死体そのものを使用せず、本体を元に複製を作り上げる」

火の先生「何ぃ!? コピーという事か……っ」

影忍「当然見た目は同様でも肉体は別物。力など幾らでも調整出来る」

水の先生「……っ」

影忍「そして極めつけは、何度でも作る事が出来るという事だ」

女剣士「馬鹿なっ!! そんな話があってたまるか!!」

影忍「現実にあるのだ」


364 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:35:21.52tGmviwnqo (24/26)

火の先生「もしや、同じものを何体も……?」

影忍「それは出来ない。消滅するまでは生成出来ない」

水の先生「そんな事が出来るなんて……」

影忍「奴は『賢者の石』などと呼んでいた」

火の先生「賢者の……石!?」

水の先生「……古に伝わるエリクサーというものか……っ」

影忍「方法までは存ぜぬが、奴は各所にあるラボでそれを行っている」

魔法剣士「しかし、五行が効かないというのはどういう……」

影忍「……ここまでの話は以前のネクロマンサーの話」

女剣士「……?」

影忍「今回のタイプは信じられん事に、その2種類を融合させたものだ」

魔法剣士「――っ!?」

火の先生「馬鹿なっ!? 不死身で五行も効かぬ挙句……複製まで……」

影忍「本体を倒さぬ限り、完全なる不死身という事だ」

水の先生「それで、肝心の本体というのは……」


365 ◆1otsuV0WFc2011/06/30(木) 18:40:03.41tGmviwnqo (25/26)

影忍「……魔王城」

女剣士「……え?」

影忍「最北に位置する、ベルゼブブの魔王城内にある」

ダンッ!!

火の先生「手も足も出ぬではないかっ!!」

水の先生「魔王城? かつて数千年と人間が踏み込んだ事のないと言われる?」

ググッ

水の先生「不可能だ……そんな事っ。救いもないとは」

影忍「救いはある」

女剣士「!?」

影忍「幸い、ネクロマンサーの狙いは人間の抹殺ではない」

魔法剣士「確かに、奴は何か……戦いを楽しんでいる節がある」

影忍「真の目的は分からんが、無益な戦闘は行わない。それが唯一の救いだ」

火の先生「結局は、傍観しろという事じゃろ……くそっ」

水の先生「ウィッチ……。出来る事なら何とかしてやりたいが……」


366VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/30(木) 18:42:59.96tGmviwnqo (26/26)

それではここまでにて帰ります!
ご支援ありがとうございました!ノシ


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/30(木) 19:34:05.592lKGYKFzo (1/1)

乙!


368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 00:31:04.920ktwlIXOo (1/1)

>>1乙!
水野先生と一緒に拳を叩きつけたくなる状況だな


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 00:44:52.26ySYwEJpzo (1/1)

1乙
海峡の砦って結界石の橋とかあって、眼鏡さんには鬼門なんだっけ
せっかく活躍したのにみんなと一緒に砦に入れないとか、なんかかわいそう


370VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/07/01(金) 04:25:25.65wuoLLY0c0 (1/1)

いちおつ
ドッペルはどうなっちゃったんだろ?



371VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 08:27:16.00atZ1rDRIO (1/2)

いちおつ!
眼鏡がかっこいいなあwwwwww

>>370
不死身って言ってたからまだ生きてるんじゃね?



372 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:08:39.36QgPRf5l6o (1/21)



影忍「では、くの一を頼む」

魔法剣士「あんたはどうするんだ?」

影忍「ネクロマンサーを追う。これ以上好きにはさせん」

魔法剣士「……」

水の先生「打開策でもあるのか?」

影忍「先程言った通りだ」

火の先生「では……魔王城へ?」

影忍「……いや、それは無理に近しいだろうな」

女剣士「……」

影忍「とにかく奴の動きを追い、動きを制限するつもりだ」

魔法剣士「分かった。それで……彼女が起きたらどうすればいい?」

影忍「故郷で待つ、と伝えてくれ」

女剣士「故郷……東方か?」

影忍「ああ、頼んだぞ」


373VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 18:09:29.55n+Kzft5DO (1/1)

>>1乙
眼鏡は結界石があるから皆と一緒にいれないだけでぼっちな訳ではないからな!!!!


374 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:10:41.60QgPRf5l6o (2/21)

シュバッ

火の先生「消え……た!?」

女剣士「奴は忍だ。それぐらい容易い」

魔法剣士「知っているのか?」

女剣士「同じ東方の出、素性はともかく技量程度は分かるさ」

水の先生「とりあえず、何とか凌いだ……か」

火の先生「凌いだと言えるかどうか分からんがな」

魔法剣士「いいさ。被害は最小限に食い止めた。それでいいさ」

女剣士「……彼女を見てくる」

魔法剣士「頼む」

火の先生「ワシらは砦内の巡回をしてくるか」

水の先生「そうしましょう」

テクテクテク

魔法剣士「眼鏡……遅いな。見てくるか」

スクッ…テクテクテク


375 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:13:22.92QgPRf5l6o (3/21)

~海峡、外部~

スタッ

影忍「……?」

眼鏡「やぁ」

影忍「……」

眼鏡「君、不思議な生き物だね」

影忍「どういう意味だ?」

眼鏡「アンデッドのように見受けるけど」

影忍「……俺は人形さ。但し……操る糸を断ち切ったがな」

眼鏡「ネクロマンサーのマリオネットか」

影忍「色々あったお陰で、自我や肉体も取り戻せたがな」

眼鏡「そういえば、結界石も通過出来るようだね」

影忍「ああ。五行も結界石も効かぬ完全体だ」

眼鏡「へぇ、便利な体だね」

影忍「……1つ聞きたい」


376 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:13:58.24QgPRf5l6o (4/21)

眼鏡「……?」

影忍「お前は、魔族なのか?」

眼鏡「……僕は鍵さ」

影忍「鍵?」

眼鏡「来るべき日に門を開ける為の鍵。それだけさ」

影忍「……そうか」

眼鏡「君の本体、魔王城にあるんだろう?」

影忍「ああ」

眼鏡「また、会えるといいね」

影忍「……そうだな」

シュバッ

眼鏡「人間も魔物も……大変だ。ははっ」

テクテクテク

魔法剣士「ここにいたのか。異常は?」

眼鏡「もう大丈夫みたいだ。さぁ、北へ戻ろうか」


377 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:14:57.13QgPRf5l6o (5/21)

~???~

ネクロマンサー「……」

ヒュッ

ネクロマンサー「アンラ・マンユの次は北か東あたりと思いましたが……」

魔剣士「……」

ネクロマンサー「どうやら違うようですねぇ。これは困りました」

ウィッチ「……」

ネクロマンサー「まさかとは思いますが、いや……有り得ない」

ヒュオッ…フワッ

ネクロマンサー「まぁいい。彼からの連絡をまつとしましょうか」

魔剣士「……はい」

ネクロマンサー「行き先変更。魔王城へ戻りますよ」

ウィッチ「はい」

ネクロマンサー「パズズ様がやられるような事があれば、その時は……」

不気味な笑うネクロマンサーらは、静かに闇の中へと消えて行った。


378 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:21:45.89QgPRf5l6o (6/21)

~次の日、本国~

戦士「……」

ジーサンには悪いが、正直ホッとしちまったのは確かだ。

戦士「……」

こんな折れた刀じゃ話にならんし、ましてや……。

ガシッ…グイッ

左腕は順調に回復してる。寝る前にやった500回の腕立ても翌朝には影響なし。

戦士「……」

でも、盾は扱えず、戟も今しばらくは右手1本で振り回す事になろうだろうな。

テクテクテク

盗賊「……おはよ」

戦士「……おう」

盗賊「横、座ってもいい?」

戦士「ああ」

そう言うと戦士は、腰に巻いたおいたマントを自らの横へ広げて置く。


379 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:23:01.98QgPRf5l6o (7/21)

盗賊「……ありがと」

戦士「おう」

盗賊「……」

戦士「……」

盗賊「雷切、折れちゃったね」

戦士「ああ。流石は魔王ってとこか」

盗賊「うん……」

戦士「まぁ完璧な武具なんてないさ。仕方ない」

盗賊「直りそう?」

戦士「一応おやっさんに聞いてみたけど、難しそうだなぁ」

盗賊「……そっか」

戦士「直せるなら、専門家に打ち直して貰う必要があるわな」

盗賊「専門家……鍛冶屋じゃなくて?」

戦士「東方によ、刀匠っていただろ? 刀専門の作り手だよ」

盗賊「それなら……」


380 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:24:15.75QgPRf5l6o (8/21)

戦士「ああ。東方に行って、腕のいい刀匠を探すしかない」

盗賊「……」

戦士「前に一度、刀匠にあったよな?」

盗賊「……うん」

戦士「でもあの人は死んじまった。他にいればいいんだが……」

盗賊「それしか方法はないの?」

戦士「あとはおやっさんでも出来る方法があるらしいんだが……」

盗賊「……?」

戦士「条件がハンパない。雷切と同等かそれ以上の刀が必要になる」

盗賊「つまり?」

戦士「それを母体に、残りを移植して1本にするんだとさ」

盗賊「……」

戦士「ドワーフの爺さんがとてつもない腕前の鍛冶屋だからなぁ」

盗賊「並大抵の刀では駄目……か」

戦士「そういう事」


381 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:25:07.08QgPRf5l6o (9/21)

盗賊「……とにかく、頑張ってみよう。出来る限りの手伝いはするからっ」

戦士「ああ、サンキュ」

盗賊「……うん」

戦士「さて、と。もう稽古は終わったのか?」

盗賊「うん」

戦士「それじゃホテルに戻るとすっか。そろそろ朝メシだろ」

盗賊「そうだね……」

スクッ

盗賊「……私、頑張るから」

戦士「バーカ。俺だって片手で戟くらい扱えるっつーの」

盗賊「……うん」

戦士「騎都尉から譲り受けた戟……。そういや偽者も頑張ってっかなぁ」

盗賊「……うん、きっと頑張ってる」

戦士「俺達も負けてらんねーな! さて、行くぞ!」

盗賊「あ、うんっ!」


382 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:27:07.69QgPRf5l6o (10/21)

~ホテル~

玄武娘「お腹空いたですのー!」

朱雀嬢「……」

召喚士「げ、元気になったみたいで良かったですね……」

魔道士「え、ええ」

朱雀嬢「全く。昨日のあれは何だったのかしら?」

玄武娘「だってぇ~昨日の昼から何も食べてないですのー!」

朱雀嬢「自分のせいですわっ!」

玄武娘「もう大丈夫ですの! 悲しんでたら青龍先生も報われませんの!」

朱雀嬢「まだ生きてますわよっ! 失礼ね!」

召喚士「は、はは……あ、戦士と盗賊さんが戻ってきましたよ!」

戦士「お待たせ。んじゃメシにしようか」

玄武娘「はいですの~くふふーっ!」

盗賊「……?」

魔道士「と、とりあえず万事オッケーですね……えへへ」


383 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:28:26.71QgPRf5l6o (11/21)

~国軍本部、司令室~

コンコン…カチャッ

秘書官「大軍師様、お見えです」

天才「おーう」

カツカツカツ

大軍師「なんだか久々のような気がします」

天才「そうか? まぁ確かに……元副司令葬ったとき以来か」

大軍師「視察の件ですが、まずは南方という事で宜しいでしょうか?」

天才「はいはい、宜しいですよ」

大軍師「畏まりました。それでは本日夜間より出発し、明朝、南方入りとします」

天才「おーう」

大軍師「……それでは、失礼致します」

カツカツカツ…パタン

秘書官「ご苦労様です」

大軍師「司令、お疲れのようですね」


384 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:30:05.69QgPRf5l6o (12/21)

秘書官「……ええ。連日の軍務で、少々お疲れのようです」

大軍師「支えてあげて下さい。ここに居るうちは……ね」

秘書官「そのつもりです」

カツカツカツ

青年兵「あっ、おはようございます」

大軍師「おはようございます。作戦は明後日だそうで」

青年兵「ええ。明日の午前中までに支度を整えます」

大軍師「後ほど、緊急時の資料をお渡しします。目を通しておいて下さい」

青年兵「ありがとうございます。それでは」

カツカツカツ

秘書官「青年兵様、副司令になられたそうですね」

大軍師「ええ。彼は正直で真っ直ぐで、いい指揮官ですよ」

秘書官「……ええ」

大軍師「では、失礼」

秘書官「あ、はいっ」


385 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:31:02.14QgPRf5l6o (13/21)

~司令室~

コンコン…カチャッ

青年兵「失礼致します」

天才「おう。日程は決まったみたいだな」

青年兵「はい。承認を……」

天才「承認? お前、副司令なんだから承認の権限あんだろ」

青年兵「あ……っ」

天才「全くよ、頼むぜ……ハーッハッハ!」

青年兵「失礼致しました……っ」

天才「分かってると思うが、青龍のジジイはこれで死ぬ」

青年兵「……はい」

天才「次世代を担うのはお前らだ。しっかりと技術と意思を継げ」

青年兵「今回の件に推薦して頂き、本当にありがたく思います」

天才「残り2日。存分にジジイ孝行してやれよ」

青年兵「……はっ。心得ております」


386 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:33:41.49QgPRf5l6o (14/21)

~本国、大通り~

戦士「食った食った~」

玄武娘「食った食った~ですのー!」

魔道士「このあとはどうします?」

召喚士「本当は青龍先生と過ごしたかったんですが……」

魔道士「都合がつきませんでしたか……?」

召喚士「今日は打ち合わせと、夜は召喚隊のみんなと過ごすそうで」

朱雀嬢「残念ですわね」

玄武娘「どこ行くですのー?」

盗賊「……どうしよう」

魔道士「それじゃあ久々に、本国を離れてみましょっか!」

召喚士「どこへ行くんです?」

魔道士「バーテンさんの所に行きましょうーっ!」

戦士「おぉ、そうだな。火山の時の件もあるしな」

召喚士「それじゃ、そうしましょうか」


387 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:35:00.74QgPRf5l6o (15/21)

~港~

玄武娘「おぉーっ、船で行くんですの?」

盗賊「……陸路でもいいけど、早いからな」

朱雀嬢「そういえば、本国より北へ行くのは初めてですわね」

魔道士「そうなの?」

朱雀嬢「あ、ワーカーになってからは……って事ですわ」

戦士「そういや朱雀嬢って家族とか大丈夫なのか?」

朱雀嬢「へっ!?」

戦士「いや、玄武娘は一人身だからあれだろうけどうよ」

朱雀嬢「……別に……大丈夫ですわ」

召喚士「……」

朱雀嬢「そんな事より早く船の手配をしないと、出てしまいますわよっ」

魔道士「あっ、大変!」

召喚士「それじゃ手配してきます!」

魔道士「私も行きますっ!」


388 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:36:16.39QgPRf5l6o (16/21)

ボーッ…ボーッ

船員「出航致します。甲板にお出でのお客様は十分にお気をつけ下さいませ」

玄武娘「うーみーはひろいーな~ですのー!」

魔道士「玄武娘ちゃん……歌上手いんだね」

玄武娘「そうですの!? うへへぇ~嬉しいですの!」

朱雀嬢「あんまりそうは見えないのに……不思議なものですわ」

玄武娘「失礼しちゃうですの!」

盗賊「ふふっ」

玄武娘「それじゃ、みんなで合掌するですの!」

朱雀嬢「嫌ですわよ」

玄武娘「朱雀嬢ちゃんだって上手いですの!」

朱雀嬢「そうじゃありませんわよっ! いい年して恥ずかしいって言ってるのよ!」

玄武娘「恥ずかしい!? は、恥ずかしい事なんですの……?」

魔道士「そ、そうですよ~。歌なんて人それぞれ! ねっ、ねっ?」

盗賊「……あーあー。んんっ、あ~あ~」


389 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:37:04.83QgPRf5l6o (17/21)



召喚士「戦士、左腕の調子はどう?」

戦士「あー割かしいいぜ。数日中には治るだろ」

召喚士「そっか、良かった」

戦士「しばらくは戟で戦わんといかんし、意地でも治すさ」

召喚士「……ごめん」

戦士「召喚士のせいじゃないって言ったろ? お前のレイピアこそ……」

召喚士「いや、レイピアはいいんだ」

戦士「……?」

召喚士「せっかく鍛冶屋さんに頂いた武器だけど、使う頻度も減るだろうから」

戦士「そうなのか?」

召喚士「召喚術の使い方が大きく変わってるからね。指揮する頻度が……ね」

戦士「確かに言われてみればそうだなぁ」

召喚士「やっぱり一番大きいのは、直接乗るって事かな」

戦士「確かに。前はそんな事なかったよな」


390 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:38:05.77QgPRf5l6o (18/21)

召喚士「うん」

戦士「それに、無言での瞬時召喚とか」

召喚士「そうそう。レイピアで指揮するロスタイムがないからね」

戦士「だよな。一瞬の油断がなんちゃらって話だ」

召喚士「やっぱり、召喚獣と心を通わせるのって大切だよ」

戦士「……だな」

召喚士「青年兵くんのお陰で、国軍も変わりつつあるしね」

戦士「だな。新しい時代の到来って感じか!」

召喚士「ははっ、それは魔王討伐がおわってからじゃない?」

戦士「それもそっか……はははっ!」

召喚士「あははっ!」

船員「間もなく、大陸港の町に入港致します。お降りの方は~」

戦士「おっと、もうすぐ到着か。降りる準備しておくか」

召喚士「うんっ。俺はみんなを呼んでくれるよ」

戦士「おう!」


391 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:38:35.23QgPRf5l6o (19/21)

~国軍本部、会議室~

青年兵「青龍先生?」

青龍先生「ん~? 聞いとるよ」

青年兵「それでは、青龍士官のプラン通りで宜しいですね?」

青龍先生「うむ。任せるよ」

青龍士官「……」

青龍先生「最早、召喚隊はお主らの管轄じゃ。好きにするが良い」

青龍士官「そうは言っても、未だに青龍先生の名は……」

青龍先生「欲しけりゃくれてやるわい。ひょっひょ」

白虎長「先生、あんまり戯れないで下さい」

青龍先生「すまぬすまぬ。ひょっひょっひょ!」

青年兵「では青龍士官、君のプランで進めてくれ」

青龍士官「了解した。……それでは早速、失礼します」

カツカツカツ

青年兵「私も、午後の準備を進めてきます」


392 ◆1otsuV0WFc2011/07/01(金) 18:39:19.53QgPRf5l6o (20/21)

カツカツカツ…パタン

青龍先生「……」

白虎長「先生も、ご満悦なんじゃないですか?」

青龍先生「んー?」

白虎長「あんな頼もしい後継者が……しかも2人も」

青龍先生「そうじゃのぉ。嬉しい誤算じゃよ」

白虎長「本当に、託して……」

青龍先生「これでも長く生き過ぎた。お主もこのぐらい頑張れよ?」

白虎長「……出来る限りは」

青龍先生「少なくとも後継者が……いや、結婚するまではの。ひょっひょ」

白虎長「……余計なお世話です……っ」

青龍先生「儂がもっと若ければ、娶ってやったんじゃがのぅ」

白虎長「最近はデートのお誘いもセクハラもなくて寂しい限りですよ」

青龍先生「言ってくれるわ! ひょっひょっひょ!」

白虎長「……っ」


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 18:40:16.85QgPRf5l6o (21/21)

そいではここまでにて!
本日もご支援ありがとうございます!
では失礼致します!ノシ


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 18:42:18.76QQ/AMPwDO (1/1)




395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 18:59:18.086oVgHtuDO (1/1)

クリトリ乙


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 19:11:03.56atZ1rDRIO (2/2)

眼鏡さん……


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/01(金) 20:00:24.47OVZj4Lq5o (1/1)

1おつ
眼鏡さんの好感度の高さは異常ww
魔法剣士って眼鏡が魔物ってもう知ってるのかな?
前に三途の川でうまいことごまかされてたけど

めがね「アクマでも あいして くれる?」


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/07/01(金) 20:11:18.25UliQE2X4o (1/1)

眼鏡えええええええええええええええええええええええええええええ


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/07/02(土) 03:41:40.93v6JpvihAO (1/1)

おつつ


400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/02(土) 11:57:14.47scIcmymZo (1/1)

>>397
ククリなつかしいなwwww

1おつ!
皆で合掌だと・・・青龍先生(´;ω;`)ブワッ


401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/07/02(土) 12:43:54.82Hp29sJono (1/1)

>>397
魔法剣士「ヒーホー」


402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/02(土) 13:37:16.836y7u3vdRo (1/1)

>>401
魔法剣士はジャックフロストか!
かわいすぎるじゃないかwwww
でも、もともとクール君だし妥当なのかな


403VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/07/03(日) 20:25:24.50Iks4NX7AO (1/2)

(´・ω・`)


404 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:20:27.14b5FEIZn4o (1/7)

~大陸港の町~

魔道士「着きました~!」

玄武娘「着きましたですのー!」

朱雀嬢「へぇ、なかなかのどかで、素敵なところですわね」

盗賊「おーい、行くぞ」

魔道士「あっ、は~い!」

テクテクテクテク

戦士「そんじゃ早速、バーテンさんのとこに行くか」

召喚士「先に行ってて。ワークショップで金の手配してくる」

戦士「おーう。あ、俺も包帯買っておくか」

盗賊「巻き直す?」

戦士「んーそうだなぁ」

盗賊「それじゃ一緒に……行くよ」

召喚士「魔道士さんは2人と一緒に、バーテンさんの所へ行ってて下さい」

魔道士「分かりました」


405 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:30:27.33b5FEIZn4o (2/7)

テクテクテク

魔道士「それじゃ行こっか!」

玄武娘「はいですの!」

朱雀嬢「どんな所なのかしら?」

魔道士「んーとね、お酒飲むところなんだけど、ご飯も食べられて~」

玄武娘「ご飯!? 素敵ですのっ!!」

朱雀嬢「はいはい、そうですわね」

テクテクテクテク

魔道士「あっ、ほら……見えてきたよ~」

玄武娘「おぉ!」

朱雀嬢「ほんと、なかなかオシャレな構えですわね」

魔道士「上はね、ホテルなんだよ。その一画にあるんだ~」

玄武娘「早速行くですの! ご飯ご飯!」

朱雀嬢「ご飯はまだですのっ!」

魔道士「あはははっ!」


406 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:30:53.83b5FEIZn4o (3/7)

カチャッ…チリチリンン

魔道士「こんにちは~」

バーテン「!?」

朱雀嬢「お邪魔しますわ」

魔道士「……あれ? ジュニアさんいいらして――」

バーテンと向かい合いカウンターで酒を嗜む見覚えのある後姿。

スッ…カタン

魔道士「……」

クルッ…カツカツカツ

魔道士「あ……あ……っ」

――「魔道士ちゃん、元気そうだね。ハッハ!」

バーテン「……ったく、こんな早く来るとはなぁ」

魔道士「――っ!!」

タッタッタ…ギュウゥ!!

魔道士「マジシャンさぁん!!」


407 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:31:32.57b5FEIZn4o (4/7)

マジシャン「ハッハ! どうしたどうした?」

魔道士「どうしたじゃないですよぉ! ひっくひっく……!」

マジシャン「いやぁ、悪い悪い……ハッハ」

魔道士「うぐ……っ、本当に……良か……」

マジシャン「まぁ、俺自身も生きようと思っての事じゃなかったからな」

玄武娘「……何ですの?」

朱雀嬢「さ、さぁ……」

カチャッ…チリチリン

戦士「ういーっす」

マジシャン「……おう」

盗賊「――!?」

戦士「オ……オッサン!?」

マジシャン「元気そうだな。何よりだ」

盗賊「なな……なんで……っ」

魔道士「マジシャンさん……生きてたんですよぉ!!」


408 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:32:16.65b5FEIZn4o (5/7)

戦士「でも……何で」

マジシャン「いや、それが全くの偶然なんだよなぁ」

盗賊「……偶然?」

戦士「いやいやいや! 詳しい話は召喚士が来てからにしようぜ!」

魔道士「あっ、そうですよ! きっと驚きますよ~!」

マジシャン「あー召喚士はな……」

戦士「どんな反応するか楽しみだな!」

魔道士「私なんて号泣しちゃいましたもん……」

マジシャン「だ、だからアイツはだな……」

カチャッ…チリチリン

魔道士「帰ってきた!!」

マジシャン「おう」

召喚士「あれ? マジシャンさんいたんですか?」

魔道士「え……っ?」

戦士「……は?」


409 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:32:44.08b5FEIZn4o (6/7)



召喚士「……ごめんなさい」

魔道士「いや、まぁ……そういう事情であれば仕方ないですけど……」

戦士「何も俺らにまで秘密にする事ねーじゃんかよ」

召喚士「だって……」

マジシャン「すまんな。俺としてもまだ隠しておいて貰いたかったんでな」

盗賊「……」

召喚士「俺だっていち早く伝えたかったんだよ、本当に!」

戦士「分かってるって。悔しいからちょっと冷やかしただけだ」

召喚士「も~っ!」

朱雀嬢「あのー」

魔道士「あぁっ! 放置しちゃってごめん……っ!」

朱雀嬢「いや、別に構いませんけど……」

バーテン「とりあえずよ、全員に分かるよう説明してやれよ」

魔道士自社b「ああ、そうだな」


410 ◆1otsuV0WFc2011/07/03(日) 21:33:44.09b5FEIZn4o (7/7)



盗賊「……っ」

戦士「なるほど、そういう事だったのか」

召喚士「うん。俺も無我夢中だったからうろ覚えだったんだけど……」

バーテン「いやいや、まさに執念が生んだったやつだな。見事だ」

魔道士「ほんと良かったですよぉ……ぐすっ」

戦士「それで、戦線には復帰すんのか……?」

マジシャン「そのつもりではいる。だが……」

盗賊「……まだ、万全ではないと?」

マジシャン「ああ。肉体もだが魔力が全く戻ってねぇからな」

魔道士「……っ」

戦士「まぁ、俺が言うのも何だが、焦る事はないっすよ」

召喚士「うん……」

マジシャン「だな。せっかく生き返って即、お陀仏じゃお前らにも申し訳ねぇや」

魔道士「……」


411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/07/03(日) 22:39:30.82Iks4NX7AO (2/2)

魔道士自社a


412VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2011/07/03(日) 22:44:12.65Yn08vArCo (1/1)

召喚士「も~っ!」
可愛い


413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/03(日) 22:49:11.08P4vobJeho (1/1)

戦士相手のときに出る子供モードだな


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/07/03(日) 23:55:51.52Lr9Zi3CAO (1/1)

>>1おつ


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2011/07/04(月) 02:36:18.24YaxbP+9Eo (1/1)

盗賊がなんか甲斐甲斐しくなってきてるな
キュンキュンする


416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/04(月) 04:49:49.66QD3rbPPDO (1/2)

>>1乙
いろいろ身震いしたけど自社でふいた
どうやって変換間違えたんだあれw


417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/07/04(月) 05:47:12.03v2NpoE6v0 (1/1)

いちおつ


418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/04(月) 06:59:19.86X/FTQXvAO (1/2)

マジシャンって打とうとして

ま→魔道士
じしゃ→自社
ん→aに打ち間違い
を一瞬で妄想した

誤字るのは1乙のチャームポイント(キリッ




419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/04(月) 07:54:57.40UOMtw9HDO (1/1)

>>418

1乙「も~っ!」


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/04(月) 09:38:06.945u4bnPxIO (1/1)

ウィッチちゃーん
帰っておいで?


421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/04(月) 09:50:38.97oXLMiskjo (1/1)

ウンダッタ
ウンダッタ


422 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:28:04.76sUZs4Bl6o (1/23)

カチャッ…チリンチリーン

占い師「マジシャンー、そろそろ……あらっ!?」

戦士「おっ、久し振り!」

占い師「……はぁ。だからあんまりうろうろするなって言ったのに」

マジシャン「コイツらはいいだろ、別によ。なっ?」

召喚士「ま、まぁ……」

魔道士「占い師さん、どうしたんですか?」

占い師「えっ? あぁ、えーっと……今、マジシャンの面倒見てるのよ」

魔道士「そうなんですか!?」

マジシャン「そうそう。世話になっちゃってるのよ、ハッハ!」

召喚士「占い師さんはどうですか?」

占い師「ん、調子? そうね……かなりいいかな」

盗賊「……へぇ」

占い師「ま、お互いにリハビリ中ってカンジかしらね。ふふっ」

マジシャン「全くだな、ハッハ!」


423 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:28:36.10sUZs4Bl6o (2/23)



マジシャン「いっただっきまーす!」

占い師「んーっ、美味しい!」

魔道士「本当ですか!? 良かった~えへへ!」

玄武娘「おかわりですの!」

朱雀嬢「早っ!!」

盗賊「……負けられぬ」

戦士「いいから負けておけ」

召喚士「……明後日、パズズ討伐作戦があります」

バーテン「ほぉ、パズズか」

召喚士「占い師さん」

占い師「……青龍先生の事?」

召喚士「……ええ」

占い師「1つだけあるわ」

召喚士「!?」


424 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:30:03.84sUZs4Bl6o (3/23)

占い師「その代わり、誰かが死ぬ事に変わりはないけれどね」

召喚士「……っ」

占い師「もう1つ言っておくと、青龍先生はどのみち近いうちに……亡くなるわ」

魔道士「えぇ……っ!?」

占い師「知ってると思うけど、先生は高齢の挙句、患ってる」

盗賊「……ああ」

占い師「そして魔力で延命を続けているような現状。もう長くはないの」

玄武娘「……」

占い師「だから先生はね、自ら花道を作って、幕を引こうという考えなのよ」

マジシャン「そんな境遇を邪魔や口出し出来るか?」

戦士「……出来ねぇし、そんな立場じゃねぇわな」

占い師「まさにその通りよ。結局、始まりは青龍先生なんだから」

召喚士「始まり……」

マジシャン「50年以上前にパズズ封印を成し遂げた……まさに伝説さ」

バーテン「五ヵ年計画の土台に費やした50年間……だな」


425 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:30:58.62sUZs4Bl6o (4/23)



召喚士「すみません。すっかり長話になってしまって」

マジシャン「いやいや、お前らに会えて元気を貰ったよ」

戦士「さーて、そろそろ本国へ戻るとするか」

玄武娘「もう帰っちゃうんですの?」

戦士「明後日には任務があるから下準備もしないとな」

盗賊「……うん」

戦士「それに、明日は青龍先生と過ごすんだろ?」

朱雀嬢「……ですわね」

魔道士「そうですよ! バーテンさん!」

バーテン「ん?」

魔道士「青龍先生に絶品のお酒を贈ろうと思ってまして……」

バーテン「絶品か……」

テクテクテク…ゴソゴソ

バーテン「……おっ、コイツなんかいいんじゃないか?」


426 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:32:15.89sUZs4Bl6o (5/23)

ゴトッ

召喚士「これ……は?」

バーテン「55年もののワインだ」

占い師「55年って……まさか!?」

バーテン「そう。その名も『伝説』。記念に発売された1本だよ」

召喚士「そうか……パズズを倒した伝説の記念に……」

バーテン「飲んだ事は勿論あるだろうが、55年モノは流石にないだろ」

戦士「いいかもしれないな」

魔道士「でもこれ、高いんじゃないですか?」

バーテン「いや、流石に時が経ちすぎて味もそこまで良くはないだろう」

盗賊「……」

バーテン「コレクション的な1品だが、先生へ餞別に持ってけ」

召喚士「いいんですか!?」

バーテン「ああ。俺からも手向けとして贈らせて貰うよ」

魔道士「ありがとうございます~っ!」


427 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:38:28.67sUZs4Bl6o (6/23)



召喚士「それじゃ、失礼します」

バーテン「おう。またな」

テクテクテク

マジシャン「……」

ガタッ

マジシャン「なぁ、俺もついてくわ」

占い師「マジシャン……?」

マジシャン「青龍のジジイの最後だろ? 見届けてぇんだ」

召喚士「……いいんですか?」

マジシャン「目立つ格好してなきゃ大丈夫だろ。ハッハ!」

戦士「どうする?」

召喚士「どうするって言っても、俺らにそんな権利はないし……」

魔道士「せっかくだからみんなで行きましょうよ!」

召喚士「……ええ。そうしましょう」


428 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:42:10.24sUZs4Bl6o (7/23)



玄武娘「それじゃ、さようならですの!」

朱雀嬢「お邪魔致しましたわ。素敵なお料理ありがとうですわ」

バーテン「ああ、頑張れよ若いの」

マジシャン「んじゃな」

テクテクテク…パタン

占い師「船までまだ時間ある?」

召喚士「えぇと、はい。あると思いますけど」

占い師「マジシャンの薬とか取って来てもいいかしら?」

マジシャン「2、3日だろ? んなの大丈夫だっての」

魔道士「それは駄目ですよ! ちゃんと療養しないと……」

召喚士「あ、それじゃついでに師匠の家に行ってきます」

占い師「私は医者の所だから……2時間もあれば戻るわ」

召喚士「はい。それじゃ2時間後に港で」

テクテクテクテク


429 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:43:12.44sUZs4Bl6o (8/23)

魔道士「私も行きましょうか?」

召喚士「あ、大丈夫です。すぐ戻りますので」

戦士「んじゃ、その辺で待ってるわ」

召喚士「うん。……行けっ、コカトリス!」

シュイイィィン…バサァ

召喚士「それじゃ、行ってきます」

ドシュウウゥゥゥゥ!!

盗賊「……何しに行ったのだ?」

戦士「師匠酒だろ」

盗賊「……あぁ、なるほどな」

朱雀嬢「私は折角だから、町中を散策して来ますわ」

玄武娘「私も行くですのー!」

魔道士「じゃあ私も。マジシャンさんは?」

マジシャン「……そうだね、俺も邪魔しちゃ悪いし一緒に行くとすっか。ハッハ」

魔道士「……?」


430 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:44:01.13sUZs4Bl6o (9/23)

スタスタスタスタ…

戦士「……変な気、遣いやがって」

盗賊「……」

戦士「あれ、そういやオッサンとジュニアって面識ないんだっけか?」

盗賊「……確か」

戦士「親子の初対面もあるかもしれないな」

盗賊「でも、どうなんだろ」

戦士「ん?」

盗賊「会いたくない……って、思ったりしてないかな?」

戦士「会いたくない親子なんていんのかよ」

盗賊「戦士も?」

戦士「……前言撤回」

盗賊「ふふっ、照れるな照れるな」

戦士「お前なぁ……」

盗賊「悪かったって。ふふっ」


431 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:44:41.94sUZs4Bl6o (10/23)

~本国、国軍本部~

カツカツカツ…コツ

青年兵「司令」

天才「おーう」

青年兵「珍しいですね、資料室へいらっしゃるなんて」

天才「ん~そうかぁ?」

資料室を訪れた青年兵は棚の前に立ち資料を読み耽る天才に声を掛ける。

そして天才は振り向きもせず返答すると、そのまま言葉を続けた。

天才「別にお前らが知らんだけで、結構色々やってんだぞ?」

青年兵「あっ、それは失礼致しました……っ」

天才「ハーッハッハ、構わん。んで、どうした?」

青年兵「パズズ討伐作戦の草案が出来ました」

天才「おう。あとで目を通しておく」

青年兵「それと……もう1つ」

天才「……内通者か?」


432 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:45:44.73sUZs4Bl6o (11/23)

青年兵「……流石ですね。その通りです」

天才「パズズが終わったら動く。総指揮はお前の予定だ」

青年兵「ありがとうございま――」

天才「但し、実働部隊は俺が執り仕切る。いいな」

青年兵「司令が……ですか!?」

天才「なんか文句あっかよ?」

青年兵「い、いえっ! 文句はないですけど……わざわざ前線に……」

天才「敵はある意味厄介だぞ」

青年兵「ええ、かなりの実力……」

天才「ちげぇよ。相手は完全な生身の人間だ。魔物じゃねぇ」

青年兵「……っ」

天才「お前らじゃ斬るにはまだ早すぎる。俺様が引き受ける」

青年兵「し、しかし……っ」

天才「じゃあお前は人を斬れんのか?」

青年兵「……やります」


433 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:47:10.90sUZs4Bl6o (12/23)

天才「……ふー。やっぱ駄目だな」

青年兵「!?」

天才「お前は、自分がいながら東方司令部を襲われ……」

パタン…カツカツツカツ

天才「目の前で守るべき者を失った。その仇を討ちたい……そうだろ?」

青年兵「……」

天才「私怨で人を斬るようじゃ、荷が重いって言ってんだよ」

青年兵「……っ」

天才「そりゃ内心ムカついてるだろうが、その為に斬るんじゃねぇ」

青年兵「では、一体どうすれば……」

天才「どーもしねぇよ。ただ人を斬るだけだ」

青年兵「……?」

天才「理由なんざねぇんだよ。人間が人間を斬るって事に代わりはねぇ」

青年兵「……」

天才「どんな理由であれ、人を斬っちまったら魔物と一緒だ」


434 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:48:40.60sUZs4Bl6o (13/23)

青年兵「司令……っ」

天才「その責をお前は生涯、背負って生きていく覚悟があるのかって事だ」

青年兵「……」

天才「俺様は今まで、何百何千と殺してきた」

青年兵「――!?」

天才「勿論、直接手を下した奴らもいるが、司令としての話だ」

青年兵「……なるほど」

天才「軍の、国の作戦として、それだけの命を預かって葬ってきた」

青年兵「……」

天才「確かに、人を斬る事で強くなる奴もいる。だがお前は違う」

青年兵「……」

天才「お前はこの先、国軍と本国を見据えていかにゃならん使命がある」

青年兵「……」

天才「1人の命よりも、大局を以ってその重さを量るがいい。以上!」

青年兵「はっ!」


435 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:50:52.63sUZs4Bl6o (14/23)

天才「ま、あんまり固くならずお前の好きなようにやれ。ハーッハッハ!」

カツカツカツ…

青年兵「あっ、司令!」

天才「んー?」

青年兵「その、内通者の事で1つご相談が……」

天才「相談? 何だ?」

青年兵「……失礼します」

ゴニョゴニョゴニョ

天才「……あーまぁ、そうだろうな」

青年兵「やはり……そうですか」

天才「消去法でいくとそれしか浮かばねぇんだよ」

青年兵「……どうします?」

天才「それだけじゃ証拠としては薄い。何か決めてがあれば面白くなるんだがなぁ」

青年兵「……あたってみます」

天才「頼んだぜ。無理する必要はねぇぞ」


436 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:52:17.96sUZs4Bl6o (15/23)

青年兵「了解です」

カツカツカツ…

青年兵「……やっぱりそうか」

資料室長「……あのぉ」

青年兵「うわぁ! あ……すみません」

資料室長「片付けても、宜しいですか?」

青年兵「あ、えぇ! すみません」

資料室長「司令も閲覧は構わないんですが、せめて片付けてくれるとね……はは」

青年兵「そ、そうですね……」

ゴソッ

青年兵「ん……?」

資料室長「あぁ。これは、かつて起きた召喚士戦争の時の資料です」

青年兵「召喚士……あぁ、クーデターがあったとかいう……」

資料室長「ええ。国軍もワーカーも、かなりの召喚士を失ったようです」

青年兵「……すみません、ちょっと読ませて下さい」


437 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:53:56.31sUZs4Bl6o (16/23)

~師匠の家~

バシュウウゥゥゥゥ

召喚士「よ……っと」

テクテクテク

召喚士「まずは師匠の墓を少し手入れしておくか」

ゴソッ…ザッザッ

召喚士「この時期は雑草が凄いな……」

バシャッ…ザッザッ

召喚士「……よし、これでオッケー」

コカトリス「……」

召喚士「なんかさ、師匠の墓だけひんやりしてるよね」

コカトリス「風通しが良いのだろうな」

召喚士「うん。ちょうど木の間を抜けて、風の通り道になってるからね」

コカトリス「それに、埋葬の際に冷凍したのだろう?」

召喚士「えっ? そうなの!?」


438 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:54:45.76sUZs4Bl6o (17/23)

コカトリス「……いや、私は知らんぞ。だがそういった類の冷気を感じるが」

召喚士「埋葬はマジシャンさんに任せてたからなぁ……」

コカトリス「あ奴が気を遣ってくれたのであろう」

召喚士「そっかぁ。火葬じゃないから、後々が大変だもんね……」

コカトリス「それよりもいいのか? 早く戻るのだろう?」

召喚士「そうだった! ちょっと行ってくる!」

タッタッタ

コカトリス「やれやれ……」

しばらくすると召喚士が荷物を抱え、コカトリスの元へ戻ってきた。

召喚士「お待たせ、それじゃ帰ろっか」

コカトリス「うむ」

バシュッ…バサアァ

召喚士「青龍先生、喜んでくれるかな?」

コカトリス「きっと喜んでくれるさ。皆の気持ちがこもっているのだからな」

召喚士「……そうだよね!」


439 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:55:51.25sUZs4Bl6o (18/23)

~本国、国軍本部~

大軍師「……」

国軍兵「失礼致します! 郵便物をお持ち致しました」

大軍師「ご苦労様」

バサバサッ

大軍師「凄い量ですね……」

国軍兵「はっ! ご不在の際にも溜まっておりましたので!」

大軍師「それは失礼。では、確かに受け取りましたよ」

国軍兵「はっ、失礼致しました!」

クルッ…カツカツカツ

大軍師「幕僚だけでこの数ですと、全体では途方もない事になりそうですねぇ」

カツカツカツ

衛兵「お手伝い致します」

大軍師「これは助かります。各方面に仕分けて貰えますか?」

衛兵「はっ!」


440 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:58:05.71sUZs4Bl6o (19/23)



大軍師「これで……最後と」

衛兵「北と南の分はどうしますか?」

大軍師「兵卒のものとまとめて、送って下さい」

衛兵「はっ」

カツカツカツ

大軍師「これが司令宛て。こっちは青年兵……ん?」

パサッ

大軍師「青年兵殿の故郷からか。珍しい」

ゴソッ

大軍師「えぇと、私の分は……結構ありますね……」

カサッ

大軍師「……まぁ、なんともユニークな方からお手紙が来ていますねぇ」

ピリッ…カサカサッ

大軍師「……成程、これは興味深いですねぇ。ふっふっふ」


441 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 17:59:07.51sUZs4Bl6o (20/23)

~大陸港の町~

占い師「お待たせ~」

テクテクテク

魔道士「それじゃ行きましょうか!」

召喚士「船の手配は出来てますので、まっすぐ本国へ行きましょう」

占い師「……何、その格好は?」

マジシャン「顔がバレたらマズイだろ」

占い師「だからって口元隠してサングラスなんて……ただのヘンタイじゃない」

マジシャン「……あのな、俺だってしたくてしてるわけじゃ――」

戦士「ほれ、とにかく行くぞー」

マジシャン「……っ」

朱雀嬢「玄武娘、行きますわよー」

玄武娘「はいですのー!」

マジシャン「それじゃ出~発!!」

魔道士「おーっ!!」


442 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 18:00:29.40sUZs4Bl6o (21/23)

ザザーン

召喚士「……」

テクテクテク

マジシャン「んー。やっぱり海はいいわなぁ」

召喚士「……ええ」

マジシャン「どうしたよ、そんな神妙な顔してよ」

召喚士「いや、何だか思い出しちゃって……」

マジシャン「……?」

召喚士「初めてマジシャンさんと会ったのって、この船ですよね」

マジシャン「あぁーそういやそうだな! あの時は大陸港行きだったけどな」

召喚士「ええ。まだ俺らも駆け出しの頃で……」

マジシャン「そうそう! クラーケンに手こずってたっけか! ハッハ!」

召喚士「……っ」

マジシャン「おいおいっ! 何泣いてんだよ!?」

召喚士「す、すみませ……そんなつもりじゃ……」


443 ◆1otsuV0WFc2011/07/04(月) 18:01:41.50sUZs4Bl6o (22/23)

フキフキッ

召喚士「何だか色々考えてたら涙が……は、ははっ」

マジシャン「ったく。俺が泣かしてるみてぇじゃねーか……」

召喚士「……すみません」

マジシャン「あれから5年。お前らは本当によく頑張ってるよ」

召喚士「そんな事ないですよ」

マジシャン「いやいや。まさかここまで成長するとは、正直思ってなかったよ」

召喚士「マジシャンさんのお陰ですよ」

マジシャン「ハッハ。よせよ、そんな大層な事もしてねーって」

召喚士「マジシャンさんと出会って、戦って、本当に勉強させて貰いました」

マジシャン「……次世代を育てるのも仕事。今度はお前らの番になるぞ?」

召喚士「まぁ、生きていればですけどね」

マジシャン「ハッハ! 死なせやしねーよ」

召喚士「ははっ」

船は間もなく、本国へと入港した。


444VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/04(月) 18:31:46.11sUZs4Bl6o (23/23)

ひとまずここまでにて失礼致します!
ご支援ありがとうございました!

魔道士自社bは>>418さんご想像の通りです…
まで魔道士変換、ジシャンのNを踏み外してb…ごめんなさい

予断ですけどやっと機種変したので更新頻度増やせるかも…
それではでは!!ノシノシ


445VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/04(月) 18:33:51.47QD3rbPPDO (2/2)

>>1乙
もうすぐで裏切り者登場か
機種何にしたか教えてくれ


446VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/07/04(月) 20:38:41.08+F0S1Ydo0 (1/2)

>>1乙!ノシ
今の戦士と盗賊を見ると、俺とあの鬼嫁の馴れ初めを見てるようで、辛い…(´;ω;`)


447VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/07/04(月) 20:38:40.80+F0S1Ydo0 (2/2)

>>1乙!ノシ
今の戦士と盗賊を見ると、俺とあの鬼嫁の馴れ初めを見てるようで、辛い…(´;ω;`)


448VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/04(月) 23:25:12.68X/FTQXvAO (2/2)

大事な(ry

盗賊→鬼嫁とか
なにそれこわい


449VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/07/04(月) 23:29:13.520PaX7fzAO (1/1)

>>1乙

今頃クラーケンはあの世で師匠達にゲソカレーをご馳走しているのだろうか…
戦士達と自社bも再開果たせて良かった良かった


450VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/07/05(火) 00:51:46.08Z0THxMRAO (1/1)

>>1おつ

片腕で初老の大魔道士とか中二心くすぐるキャラすぎるぞマジシャン


451VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 01:48:00.38Q7rSIpZqo (1/1)

1おつ
そういえば魔法って手から出るんだっけ
まだ義肢つけてないなら、口からビーム出すのかな


452VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 03:00:14.26HcovjZp7o (1/1)

1乙
ただし魔法はケツからでる


453VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 04:33:29.083lpSPRjDO (1/1)

>>1乙

>>452
グルグル乙


454VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 08:35:57.252YB2v2h4o (1/1)

このスレには濃厚なグルグルファンが潜んでいる

>>1乙!


455VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 10:00:24.49IjdaicyIO (1/1)

召喚士は長い声の猫を召喚した


456 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:49:48.35oNJx2m+zo (1/24)

~本国、港~

ボーッ…ボーッ

マジシャン「本国も久々だな」

召喚士「見た目は変わってないですけど、本国もだいぶ変わりましたよ」

マジシャン「ほぉ、そうなのか」

召喚士「ええ。電話が開通して遠方との連絡が瞬時に取れるようになりました」

占い師「ついに出来たのね」

召喚士「まだ全部ではないみたいですけど……」

戦士「あとは左翼が潰れた事で、色んなものが変わったな」

召喚士「うん。病院や新聞社なんかもね」

マジシャン「いい事だ。中が固まらないと敵にも遅れを取るからな」

魔道士「あっ!!」

盗賊「……?」

魔道士「電話と言えば……ジュニアさんは!?」

マジシャン「……!?」


457 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:51:06.45oNJx2m+zo (2/24)

戦士「そうそう。オッサンの息子だろ? ジュニアってよ」

マジシャン「……」

戦士「せっかくなんだし、顔を合わせてけよ」

マジシャン「本国に……いんのか?」

盗賊「……多分」

召喚士「そういえば、会議以降見てないですね」

朱雀嬢「ですわね……」

魔道士「それじゃジュニアさんを探しに行きましょうか」

マジシャン「……あーいいよ」

魔道士「え……?」

マジシャン「無理に会う必要はねぇさ。そのうち嫌でも会うだろ」

召喚士「いいんですか?」

マジシャン「目的はジジイとの面会だ。終わってからでいい」

戦士「……」

召喚士「じゃあ……そうしましょうか」


458 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:51:55.41oNJx2m+zo (3/24)



戦士「とりあえず今日は夜も遅いし、明朝訪ねるとすっかね」

召喚士「うん。そうしよう」

戦士「それじゃホテルの部屋を取って、晩メシだな!」

玄武娘「待ってましたですの!」

ガラガラガラッ…パッカパッカパッカ

盗賊「……ん?」

魔道士「国軍の馬車ですね。夜なのに忙しそう……」

ガラガラガラッ…ガガアアァァ

朱雀嬢「止まりましたわよ?」

ガチャッ…カツカツカツ

天才「……何してんだこんな所で?」

魔道士「天才さん!?」

大軍師「こんばんは。おや……?」

占い師「……どうも」


459 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:52:58.74oNJx2m+zo (4/24)

天才「何でお前がいるんだ? それに……」

ザッザッザ

マジシャン「……よぅ」

天才「治ったのか?」

マジシャン「まぁ、動ける程度にはな」

天才「……」

マジシャン「青龍のジジイが死ぬんだろ? 最後の挨拶にな」

天才「律儀な奴だな。どうせすぐに会うハメになんだろ」

マジシャン「……あのなぁ」

天才「ハーッハッハ! ま、いい心がけだ」

占い師「司令はどちらへ?」

天才「パズズ戦には参加しねぇからな。南の視察だ」

占い師「それはご苦労様です」

大軍師「パズズはお任せ致しますよ?」

召喚士「……はい」


460 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:54:50.49oNJx2m+zo (5/24)

天才「そんじゃ、またな。素性だけはバレんなよ!」

カツカツカツ

天才「……あーそうだ、ところで」

マジシャン「……?」

天才「魔力はどの程度だ?」

マジシャン「1割がいいところだな。五行放出でほとんど失った」

占い師「……っ」

マジシャン「それに肉体がもたん。返して貰わん限りは厳しいだろうな」

天才「嫌でも返る。だが時期は4体目以降だな」

マジシャン「あぁ。半分叩けば開放しても影響力は低いだろ」

天才「ま、気長にリハビビって待っててくれや」

マジシャン「おい待て、その前には連絡しろよ!?」

天才「あん?」

マジシャン「俺はいいが、あっちは……」

天才「てめぇ……まさか……っ!!」


461 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:55:47.44oNJx2m+zo (6/24)

戦士「何の話だ?」

盗賊「……さぁ」

天才「ハーッハッハ! 抜け目ない野郎だな!」

マジシャン「もしかしたらって事もあるだろうってな。ハッハ!」

大軍師「司令、そろそろお時間が……」

天才「おー悪い悪い。連絡はする。お前こそしくじるなよ?」

マジシャン「分かってるよ」

カツカツカツ…

召喚士「マジシャンさん、今の話……」

マジシャン「気にすんな。個人的な問題だよ……俺らのな」

召喚士「……っ」

マジシャン「ほれほれっ、早くメシにしようぜ! 腹減っちまったよ!」

玄武娘「そうですの! もうペッコペコですのー」

マジシャン「悪かった悪かった! そんじゃ俺のオゴリで食いに行くぞ!」

玄武娘「やったですのー!!」


462 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:56:52.14oNJx2m+zo (7/24)

~レストラン~

玄武娘「すいません、これとあれとそれと……これも3つ追加ですの!」

店員「はい、畏まりました」

マジシャン「……」

戦士「後悔してるだろ」

マジシャン「……べ、別に~」

召喚士「いいですよマジシャンさん。ここは俺らに払わせて下さい」

マジシャン「ハッハ! こう見えても任務で稼いだ貯蓄がだな……」

占い師「ないわよ」

マジシャン「えっ?」

占い師「あなたが亡くなったと思って、バーテンさんが全部ツケ代に……」

マジシャン「はぁーっ!?」

戦士「ツケ代で消えるとか……どんだけだよ」

召喚士「ていうか、バーテンさんもよく生活出来てましたね……」

魔道士「あ、あはは……っ」


463 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:57:53.00oNJx2m+zo (8/24)



玄武娘「食ったですのー!」

朱雀嬢「あの、お代は私達が……」

召喚士「いですよ、気にしないで」

朱雀嬢「でも……」

戦士「心配すんなって。俺らだって意外と稼いでんだから」

マジシャン「ところでどんくらい稼いでんだ?」

戦士「何だよ、金の話はやめようぜ」

マジシャン「気になるじゃねーか」

占い師「ちょっと、もう……っ」

召喚士「えっと……ごにょごにょ」

マジシャン「い……っ!?」

玄武娘「ほえ?」

マジシャン「4人で……か?」

召喚士「はい。ですから1人当たりは割る事の4ですね」


464 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:58:51.19oNJx2m+zo (9/24)

マジシャン「……」

占い師「マジシャン?」

マジシャン「再来の全盛期並に稼いでるぞコイツら」

盗賊「……そうなのか?」

占い師「再来の全盛期ってそんなに稼ぎ良かったの?」

マジシャン「デカイ仕事なら1発で家が建つレベルだ」

朱雀嬢「――!?」

召喚士「い、いや……幾ら何でもそんなには貰ってないですよ!」

マジシャン「ワーカーは仲介料やら税金やらもあるってのに……」

戦士「別にいいじゃんかよ」

マジシャン「そうういやランキングは?」

召喚士「国軍付だからよく分からないですね」

戦士「でも上にいるのって、天才と眼鏡とジュニアと魔法剣士くらいじゃねぇか?」

魔道士「女賢者さんもいますよ」

マジシャン「……立派になったモンだよ全く。ハッハ!」


465 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 17:59:34.15oNJx2m+zo (10/24)



占い師「それじゃご馳走様。ほんとごめんね」

召喚士「気にしないで下さい。快気祝いという事で」

マジシャン「快気してねーけどな。ハッハ!」

占い師「えばる所じゃないでしょ!」

朱雀嬢「ホテルへは行かれませんの?」

占い師「私は本国に自分の家があるから」

マジシャン「俺はコイツんちに泊まらせて貰うよ」

朱雀嬢「……おぉ」

占い師「広ければみんなも招きたいんだけど、ごめんなさいね」

戦士「気にしないでくれ。2人の邪魔すんのも悪いしな」

占い師「もうっ!」

戦士「はははっ!」

召喚士「それじゃまた明日!」

魔道士「おやすみなさーい!」


466 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:00:23.37oNJx2m+zo (11/24)

テクテクテクテク

朱雀嬢「さ、私達も戻って寝ると致しますわ」

玄武娘「はいですの」

魔道士「今日も一緒にお風呂だよー!」

玄武娘「はいですの!」

朱雀嬢「流石にもう慣れましたわ」

盗賊「順応力高いな……」

テクテクテクテク

召喚士「それじゃ明日は7時にロビーで」

魔道士「はぁい!」

朱雀嬢「お休みなさいですわ」

玄武娘「ですの!」

盗賊「です」

戦士「おう、おやすみ」

召喚士「お休みなさい!」


467 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:01:17.32oNJx2m+zo (12/24)

~男部屋~

戦士「お疲れさん」

召喚士「お疲れ様」

ゴクゴクッ

戦士「……っはぁ! うめぇ!」

召喚士「気温も高くなってきたし、美味しいね」

戦士「……」

召喚士「どしたの?」

戦士「ちょっとだけ飲んでいいかな師匠酒」

召喚士「駄目だよっ! 明日青龍先生と会う時までお楽しみ……」

戦士ちぇっ」

召喚士「もう……」

戦士「じゃあ深酒しないように、これを最後でして寝るかー」

召喚士「そうだね。そうしよっか」

戦士「おうっ!」


468 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:01:56.63oNJx2m+zo (13/24)

~次の日~

魔道士「おはようございます~」

戦士「おはよーさん」

盗賊「あれ?」

戦士「包帯か?もう大丈夫だろ」

盗賊「……」

戦士「心配すんなって。ほれ」

グルグルグル

戦士「なっ?」

盗賊「……うん」

召喚士「朱雀嬢さんと玄武娘さんは?」

魔道士「もうじき来ると思いますけど……」

テクテクテク

朱雀嬢「お待たせ致しましたわ」

玄武娘「おはよう……ございますですの……」


469 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:03:05.78oNJx2m+zo (14/24)



占い師「おっはよー」

魔道士「おはようございますー!」

召喚士「このまま真っ直ぐ国軍本部へ向かいますけどいいですか?」

マジシャン「ああ、構わんぜ」

戦士「もうすぐ8時か、時間的にもちょうど良さそうだな」

盗賊「……ああ」

占い師「私も久し振りだわ」

魔道士「そういえばそうですよねっ。お休み中ですか?」

占い師「うん。休職させて貰ってるの。そろそろ復職しようかしら」

戦士「まぁ無理せずにな」

占い師「ふふっ、ありがと」

テクテクテクテク…

玄武娘「見えてきたですの!」

魔道士「到着~!」


470 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:04:00.67oNJx2m+zo (15/24)

~国軍本部~

テクテクテク

受付「――っ!?」

占い師「久し振りね。元気?」

受付「占い師様っ!!」

占い師「青龍先生は?」

受付「あっ、はい! えぇと……講堂にいらっしゃいますよ!」

占い師「ありがとっ。それじゃ行きましょうか」

カツカツ…テクテクテク…

マジシャン「本部も、随分と静かになったなぁ」

召喚士「今は前線へ出兵してますからね」

マジシャン「あぁ、そういう事か」

召喚士「天才さんは人手不足だって嘆いてましたよ」

マジシャン「何十年も計画してきて今更人手不足なんてあるかってっつーの」

召喚士「それもそうですよね……ははっ」


471 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:04:57.03oNJx2m+zo (16/24)

~講堂~

テクテク…カチャッ…ギイイィィィィ

召喚士「おはようございます」

青龍先生「……? おぉ、朱雀先生か」

占い師「青龍先生……っ」

青龍先生「占い師ちゃんも来てくれたのか。ひょっひょ!」

マジシャン「おうジーサン、調子はどうだい?」

青龍先生「誰じゃ?」

マジシャンおっと、すまん」

シュルルッ…パサッ

青龍先生「お……お主は……っ!!」

マジシャン「久し振りだな……ハッハ!」

青龍先生「……誰じゃっけか?」

マジシャン「そういう古典的なヤツはもういいよ」

青龍先生「冗談じゃよ、ひょっひょ!」


472 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:06:08.36oNJx2m+zo (17/24)



マジシャン「んで、死ぬんだって?」

青龍先生「お主、もう帰っても良いぞ」

占い師「ちょっとマジシャン!」

マジシャン「事実だろ。んで、いいんだな?」

青龍先生「……」

魔道士「……っ」

召喚士「……」

青龍先生「うむ。もう決めた事じゃ。どのみち長くはないしのぉ」

マジシャン「ハッハ、そうかい。それならいい」

青龍先生「あおの世はどんな所じゃった?」

マジシャン「先立ったみんなが待ってるぜ、ハッハ!」

青龍先生「そうかそうか、それは何よりじゃ……ひょっひょ!」

マジシャン「おーし、そんじゃまだ昼前だが……飲むぞぉ~!」

青龍先生「おぉ、良いのぅ! ここは飲食禁止じゃ。外へ行こうかの」


473 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:06:35.77oNJx2m+zo (18/24)

~国軍本部、裏庭~

テクテクテク

青龍先生「ここいらで良いじゃろ」

戦士「先生にはまずコイツだ」

青龍先生「ひょっ?」

魔道士「55年もののワイン、その名も『伝説』 です!」

青龍先生「……っ!!」

召喚士「パズズを倒した記念に作られたワイン……ですよね?」

青龍先生「よくもまぁ、こんな年代モノを……」

戦士「バーテンさんからの贈り物だ。さ、開けてくれ」

青龍先生「バーテン……あ奴か。どれ……」

キュッキュッ…ポンッ

青龍先生「……匂いもいまいち落ちとるのぅ」

マジシャン「誰かさんと一緒だな、ハッハ!」

青龍先生「全くじゃのぉ……ひょっひょ」


474 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:07:29.78oNJx2m+zo (19/24)



召喚士「それでは、乾杯~」

チィン

戦士「……んおっ!?」

マジシャン「……っ!?」

青龍先生「ほぉ……!」

召喚士「これ、普通に美味しいですよ!?」

占い師「本当。長時間寝かせておいてコクが出たと言うか……」

魔道士「美味しさが中にぎゅっと詰まったような感じですね!」

マジシャン「熟成された濃厚な味わいか。一癖あって唸らせるような感じもあるな」

戦士「ああ。これはこれで味がある、いいワインだな」

マジシャン「ハッハ! やっぱり誰かさんみてぇじゃねぇか」

青龍先生「……」

召喚士「ええ。本当にいいワインですよ」

魔道士「……はいっ、えへへ!」


475 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:08:07.88oNJx2m+zo (20/24)



盗賊「……」

玄武娘「んーワインはよく分からないですの」

朱雀嬢「味わってないからですわ」

盗賊「……」

玄武娘「……んーやっぱり分からないですの」

朱雀嬢「もっと少しずつ飲んで、口の中で香りを楽しむ――」

玄武娘「モゴモゴ……ぶふぅ!」

朱雀嬢「ちょっと! 汚いですわねぇ……」

玄武娘「げほっ、ごっ、ごめんなさい……ですの」

盗賊「……」

朱雀嬢「そういえば、盗賊さんは飲まれないのかしら?」

盗賊「飲まれません」

朱雀嬢「美味しいですわよ、折角なら飲まれたら――」

盗賊「飲まれません! 飲めません!」


476 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:08:56.84oNJx2m+zo (21/24)



戦士「じゃーん! お次はコイツだ!」

マジシャン「うおぉ!! 待ってました師匠酒!!」

青龍先生「ほぉ」

召喚士「これは師匠が造った酒です」

青龍先生「先代の朱雀がか……」

召喚士「まぁ実際は鉱山北にある山奥の名産みたいなんですが」

マジシャン「オリジナルじゃねぇのかよ!?」

魔道士「そうらしいです」

マジシャン「つーか、よく調べたな」

召喚士「まぁ、偶然ですけどね」

マジシャン「しっかしアイツも……至る所に旅してたんだなぁ」

戦士「一緒に行ったんじゃないのか?」

マジシャン「いんや。俺らの場合任務以外は割と単独行動だったからなぁ」

魔道士「へぇ~っ! 聞きたい聞きたーい!」


477 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:10:12.70oNJx2m+zo (22/24)

マジシャン「俺の話はいいよ。せっかくだからジジイの思い出話でも聞こうぜ」

召喚士「そうですよね……」

青龍先生「儂か? 特に話すような事はないぞ」

戦士「そんな事はないだろ。昔話とかさ」

青龍先生「昔話のぉ……」

魔道士「あっ、じゃあ……青龍先生はどうして召喚士になろうと思ったんですか?」

召喚士「いい質問ですね」

青龍先生「そうじゃの。最初はなる気なんぞ、これっぽっちもなかったがの」

魔道士「そうなんですか!?」

青龍先生「うむ。儂はな、幼い頃から大工になりたくてのぉ」

召喚士「大工……ですか?」

青龍先生「うむ。子供の頃に家を建てている大工を見ての。それが印象深くてな」

盗賊「……」

青龍先生「手際よく毎日毎日少しずつ、そしてあっと言う間に家を作り上げる」

戦士「あーでも分かるかも。大工って凄いよなぁ」


478 ◆1otsuV0WFc2011/07/05(火) 18:11:20.35oNJx2m+zo (23/24)

青龍先生「憧れたもんじゃよ。ひょっひょ」

魔道士「でも、どうして召喚士に……?」

青龍先生「小さい頃から玄武とは幼馴染でのぉ」

魔道士「玄武……って、玄武先生ですか!?」

青龍先生「そうじゃ。あやつは昔っから召喚士になるのが夢でなぁ」

召喚士「それで、青龍先生も一緒に?」

青龍先生「あれ1人じゃ心配じゃったし、どうしてもとせがまれてな。ひょっひょ」

魔道士「そうだったんですね~」

青龍先生「それで2人で、魔道学校の門を叩いての」

戦士「なるほどな」

青龍先生「まぁまさか、召喚士になんぞなれるとは思っておらんかったがの」

召喚士「そうなんですか!?」

青龍先生「うむ。成績とて平々凡々、そんなレベルでもなかったわい」

朱雀嬢「初耳ですわね……っ」

青龍先生「じゃが、儂と違って玄武はとにかく努力家でなぁ。助けられたわい」


479VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 18:16:09.98oNJx2m+zo (24/24)

ビックリするぐらい話が進みませんでした…すいません
それでは失礼致します!ご支援ありがとう!ノシ

あ、グルグル好きですよ!内容うろ覚えですけど…
キャラに個性があっていいですよねぇ~


480VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/07/05(火) 18:21:27.674ZHkveW8o (1/1)

>>1乙
こういった戦闘の合間の出来事をしっかり書いてくれるからこそより感情移入できるんだと思うんだ
ということで焦らずじっくり書いていったら良いと思うんだ


481VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 19:12:07.52dw/2W4b20 (1/1)

1乙
やべぇ泣けてきた



482VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/07/05(火) 19:25:30.37/CnpG8es0 (1/1)

リハビビの>>1乙

最終話以外すばらしいねグルグルは


483VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 21:03:40.35cbvPK7kDO (1/1)

再来のほうの思い出話も
のちのち宜しくでござる


484VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/07/05(火) 21:12:27.959AXqxarAO (1/1)

冷凍食品って便利だよね


485VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/05(火) 21:46:20.98mCQmd91AO (1/1)

なんつーフラグを…


486VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/07/05(火) 23:07:02.34Ysrjd1Pr0 (1/1)

初代朱雀の話も聞きたいな。
いちょつ


487VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/07/06(水) 01:00:53.01OoR0LoIAO (1/2)

>>1おつ


488VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/06(水) 01:25:47.21/RKqNP3DO (1/1)

乙でした。日常パートはやはり良いですなぁ


489VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/06(水) 12:56:52.97kyH7oKVIo (1/1)

召喚士が池上さんに見えた

いちおつ!


490VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/07/06(水) 13:43:43.754o9fCx+x0 (1/1)

いちおつ
伝説の話も再来の話も聞きたい



491 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:31:09.21PPYd2D+Qo (1/17)

……――

青龍先生「明日の試験どうすんだ?」

玄武先生「俺はちゃんと纏めておいたよ。青龍はやってないの?」

青龍先生「……ま、まぁ予習くらいは済ませてあるけどな! ハハッ……」

玄武先生「仕方ないなぁ。ほら、ノート見る?」

青龍先生「うおぉ! その言葉待ってました!」

玄武先生「もうっ、すーぐそうやって人に頼るんだから……」

青龍先生「悪い悪い。しっかし、お前のノートは本当に見やすいなぁ」

玄武先生「そう? なんだか書いたりするの好きだからさー」

青龍先生「将来は本でも書いたらいいんじゃないか?」

玄武先生「そこまでは無理だよ。でも、文献とか自分なりに解釈とかしたいかも」

青龍先生「いいじゃんいじゃん! 召喚士になったらやりなよ! なっ?」

玄武先生「ははっ、そうだね」

青龍先生「よーし、まずは明日の試験を乗り切るぞー!」

玄武先生「うんうんっ、頑張ろうね!」


492 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:32:23.53PPYd2D+Qo (2/17)

――……

玄武娘「お爺ちゃんが……」

青龍先生「昔っから書き物が好きな奴じゃったわい。ひょっひょ」

召喚士「だから玄武先生は、あんなに膨大な資料を残されたんですね」

青龍先生「そうじゃな。到底、真似出来んよ」

魔道士「お2人が幼馴染だったわけですよね?」

青龍先生「うむ。そうじゃが?」

魔道士「朱雀先生や白虎先生とは顔見知りじゃなかったんですか?」

青龍先生「朱雀とはその時に出会ったのじゃ」

召喚士「そうなんですか!?」

青龍先生「最初はなんだか偉そうな輩でのぉ。あまり好かんかったがな」

盗賊「……へぇ」

青龍先生「ひねくれた性格で本当に腹の立つ男じゃったわい……」

召喚士「そうだったのか……」

青龍先生「じゃが、ライバルと言うか……妙に憎めん奴でなぁ」


493 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:33:56.12PPYd2D+Qo (3/17)

……――

朱雀先生「てめぇらか、召喚士目指してるとか言ってんのは」

青龍先生「は? 誰だお前?」

朱雀先生「クラスメイトぐらい覚えておけよっ!」

玄武先生「朱雀くんだよね。ちゃんと覚えてるよ」

朱雀先生「ガハハッ! お前は利口そうだな。こっちと違って」

青龍先生「んだとぉ!?」

朱雀先生「馬鹿そうな顔してるもんな。赤点とかあんだろ? ガハハ!」

青龍先生「ぐむ……っ」

朱雀先生「あんのかよ!!」

青龍先生「たまたまだ!」

玄武先生「たまたま赤点だったの!?」

先生「朱雀、何をほっつき歩いてる! これから赤点の補習だろうが!」

朱雀先生「ちょ……っ、こら! 先公!」

青龍先生「てめぇも赤点はねぇか! ぶはははっ!」


494 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:35:30.36PPYd2D+Qo (4/17)

――……

青龍先生「そして儂ら3人は力をつけ、無事卒業したわけじゃ」

朱雀嬢「それぞれバラバラの召喚士になられたわけですわね」

青龍先生「折角ならという事でな。いずれは皆でパーティーを組もうとな」

戦士「確かにそれならバラバラの方がいいもんな」

青龍先生「それに、それぞれの思いもあったしのぉ」

占い師「思い?」

青龍先生「玄武はとにかく人の為に生きていきたいと申しておってな。口癖じゃった」

玄武娘「……」

青龍先生「朱雀は人と被る事が大嫌いでなぁ。常に個性的じゃったわい」

マジシャン「ああ、確かになぁ」

召喚士「知ってるんですか?」

マジシャン「生前に何度かな。あれの師匠なワケだし」

召喚士「あ、そうか」

青龍先生「2人共、腕は確かじゃった。朱雀は流派を切り拓く程じゃったからなぁ」


495 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:36:49.25PPYd2D+Qo (5/17)

……――

玄武先生「それじゃ、しばらくお別れだね」

青龍先生「おう。必ず青龍マスターして再開すんぜ!」

朱雀先生「俺は朱雀だな。アテはねーが、だからこそやり甲斐がある」

玄武先生「俺はもちろん玄武。人を助けるには一番の属性だし」

朱雀先生「何でプリーストにならなかったんだ?」

玄武先生「回復魔法じゃ限度があるからね。その点、召喚獣は……」

青龍先生「未知なる回復召喚獣もいるかもしれない……だろ?」

玄武先生「そういう事っ」

朱雀先生「ふぅん、勉強熱心ですねぇ~」

青龍先生「でもよ、ここまできたら白虎召喚士も欲しいよな!」

玄武先生「そしたら勢ぞろいだねっ」

朱雀先生「そうだ、じゃあ白虎召喚士探してよ、4人でパーティー組もうぜ!」

?玄武先生「面白そうだね。でもまずは自分達が習得しなきゃ……」

青龍先生「違いねぇや! あははっ!」


496 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:38:12.29PPYd2D+Qo (6/17)

――……

召喚士「そんな経緯が……」

青龍先生「最初はそんな軽い気持ちじゃったよ」

盗賊「……」

青龍先生「それから数年後、儂らは召喚士となりて再開した」

マジシャン「んで、パーティーを組んだってわけだな」

青龍先生「そうじゃ」

魔道士「白虎先生はどうしたんです?」

青龍先生「しばらく3人だったんじゃが、朱雀の後輩に優秀な白虎使いがおってな」

召喚士「それが……」

青龍先生「うむ、白虎先生じゃ。唯一年下で……確か7、8は離れておったかの」

戦士「じゃあかなり若かったんですね」

青龍先生「パーティーへ加わったのは20歳の頃じゃったか」

召喚士「20ですか!? 凄いなぁ……」

青龍先生「まぁ実力は発展途上じゃったが、気持ちの良い男じゃったよ」


497 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:39:20.76PPYd2D+Qo (7/17)

……――

白虎先生「始めまして! 白虎、と申します!」

青龍先生「お、おぅ。元気だなぁ……ヨロシク!」

玄武先生「宜しくね、白虎くん」

白虎先生「はいっ! 宜しくお願いします!」

朱雀先生「こっちが青龍。んでこっちが玄武な」

白虎先生「若輩者ですが勉強させて頂きます!」

青龍先生「面と向かって言われると……照れるな」

朱雀先生「安心しろ、お前から学ぶ事はねーってよ」

青龍先生「何だとこらぁ!!」

白虎先生「あははははっ!」

玄武先生「とにかくこれでパーティー完成だねっ」

青龍先生「おうよ。こっから伝説を作ってやろうじゃんか」

朱雀先生「伝説か……悪くねーな! ガハハ!」

白虎先生「はいっ! 俺も頑張ります!!」


498 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:41:07.71PPYd2D+Qo (8/17)

――……

戦士「伝説の幕開けってカンジだな」

青龍先生「まぁ当時は、明確な目的もなく名を挙げる事ばかりに夢中じゃったがの」

朱雀嬢「それも大事な事ですわよ」

青龍先生「その通りじゃ。お陰ですぐに軍の連中に声をかけられたわい」

魔道士「おぉーっ」

青龍先生「当時の軍は、まぁ酷いもんじゃったよ」

召喚士「酷い……ですか?」

青龍先生「権力を笠に着てワーカーなど捨て駒にしか見てないような連中じゃ」

占い師「研修で聞きましたね。今からは想像もつかないわ……っ」

青龍先生「儂らも随分とまぁ、良い様に利用されたわ」

盗賊「……なるほど」

青龍先生「しかし働けばちゃーんと金は貰えた。4人で必死に耐えたわい」

召喚士「そんな時代もあったんですね……」

青龍先生「不自由ない便利な暮らしなぞ、近年の事じゃよ」


499 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:43:03.41PPYd2D+Qo (9/17)

……――

朱雀先生「次は南だとよ。ラクシャーサの集落だ」

青龍先生「数は?」

朱雀先生「200は下らない……だとさ」

白虎先生「これまたハードな任務ですね!」

玄武先生「……」

朱雀先生「玄武、嫌ならいいんだぜ?」

玄武先生「ううん。戦う事だって人々の助けになるなら……」

青龍先生「……」

朱雀先生「……おっしゃ!」

青龍先生「……?」

朱雀先生「次の仕事が終わったらよ、4人でパーッと遊びにでも行こうぜ!」

白虎先生「いいですねぇ! 最近、全然でしたもんね!」

青龍先生「野郎4人でかよ……寂しい事この上ねぇな」

朱雀先生「バカヤロー! 現地調達だよ、ガハハッ!」


500 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:44:09.87PPYd2D+Qo (10/17)

――……

魔道士「結構、ハードだったんですね」

青龍先生「今と違って、ワーカーなんぞ現れては死んでの繰り返しじゃったからな」

マジシャン「そこで生き残った者が強い。信頼も得られたわけだな」

青龍先生「お陰で仕事には困らなかったがのぉ……ひょっひょ」

盗賊「……」

青龍先生「じゃが、玄武には申し訳ないと思っておったよ」

戦士「……?」

青龍先生「人を救う事を夢見た男が、戦いに借り出されてはの……」

玄武娘「……っ」

青龍先生「そんな矢先、魔王の存在を目の当たりにしてのぅ」

召喚士「魔王ですか!?」

青龍先生「そうじゃ。初めて魔王と相見えて……戦った」

盗賊「……っ!」

青龍先生「そして、儂らの目指す道が見えたのじゃ」


501 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:45:15.51PPYd2D+Qo (11/17)

……――

朱雀先生「あれが……魔王……っ!!」

玄武先生「くっ、この位置で……凄い威圧だ……!」

白虎先生「あっ! あそこ見て下さい! 人がいますよ!?」

青龍先生「おいアンタ!!」

??「……何か用かな?」

青龍先生「出すぎだぞっ、退がれぇ!」

玄武先生「後ろっ、魔物が来ているっ!」

朱雀先生「ちぃ……! 行けっ! コカト――」

ズバシュウウゥゥゥゥ!!

白虎先生「……い、一撃で!?」

青龍先生「アンタ……何ものだよ……!?」

??「謙虚なナイトは自ら名乗ったりはしない」

白虎先生「か、かっこいい……!!」

??「ただ、魔王を倒す者……とだけ言っておこうか」


502 ◆1otsuV0WFc2011/07/06(水) 17:46:13.90PPYd2D+Qo (12/17)

――……

戦士「ふぅん、それがきっかけで魔王討伐をねぇ」

青龍先生「当然、実力など乏しい。10年は費やしたがの」

盗賊「……凄いな」

召喚士「それで、何故パズズを……?」

青龍先生「パズズが当時、一番厄介な実害のある魔王だったからじゃ」

朱雀嬢「あ……っ、先程仰られていた魔王がパズズだったわけですわね?」

青龍先生「そうじゃ。あの戦いでも大勢が死んだ」

玄武娘「どうして……戦ってたんですの?」

青龍先生「魔物と手を組んで、余計な入れ知恵をし始めた連中がおってな」

マジシャン「中と外から敵か。厄介な話だよ」

青龍先生「最も好戦的であったパズズが仕掛けてきたのじゃよ」

魔道士「――っ!?」

召喚士「……っ」

青龍先生「幾度も幾度も仕掛け、かろうじて追いやり……そしてその刻が訪れた」