531 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:46:58.5292k1CN830 (13/25)




まどか「わたしなんかがいたから…」グスッ


まどか「…」


まどか「ごめん…ごめんね…」


まどか「わたしって…最低…だよね…」



ギュッ


まどか「もう…消えたい…」







まどか「消えちゃいたい…」



少しづつ黒く染まっていくソウルジェムを握りしめ

まどかはゆっくりと目を閉じた






532 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:48:11.1192k1CN830 (14/25)

……………………………………


QB「…彼女、壊れちゃったかな?」

ヤプール「奴はもうどうでもいい…問題はここからだ」


QB「鹿目まどか以外の魔法少女達だね」

ヤプール「そうだ、奴等が二日後のワルプルギスに対してどう出るか…」


QB「一度彼女達に探りを入れた方がよさそうだね」

ヤプール「奴等は巴マミの家を拠点にしている…そこへ向かえ」スッ


バリーン

QB「わかった…それじゃ行ってくるよ」トテトテ


ヤプールが開いた次元の穴へ入っていくキュウべえ


ヤプール「…」





533 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:48:40.5592k1CN830 (15/25)

ヤプール「…」


ヤプール(さっき鹿目まどかに迫られたときのあいつの反応…)


ヤプール(どうやら間違いないようだな)


ヤプール(…)スッ


ヤプールが手を赤黒い空へ掲げた瞬間
空の一点が少し歪む


ヤプール(さて…)チャラ


懐のアクセサリーを取り出し、握りしめる





534 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:49:10.2792k1CN830 (16/25)



……………………………………


……………………………………


……………………………………


~学校~


ガララッ

マミ「美樹さん、暁美さん帰りましょう?」


ほむら「ええ…美樹さやか、行きましょう」

さやか「う、うん」





「どうしたんだろうね~鹿目のヤツ!」

「そうそう…なんかここ数日無断で休んでるしさ~」



ほむら「…」ピクッ




535 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:50:47.3392k1CN830 (17/25)

二人の生徒の会話は瞬く間にクラス全体に広まる




「先生は何も教えてくれないけどさ~」

「俺知ってる!なんか家にも帰ってないらしいぜ!」

「え?マジで!?」

「マジマジ!隣のクラスのヤツに聞いたんだけどさ~」



「なんかアイツの家にパトカー止まってんの見たってヤツもいるよ?」

「うっそマジで?捜索願いとか出てんのかな!?」


「え?なにそれ?行方不明?誘拐とか!?」

「いやそれは知らないけど…」



「暁美みたいな気持ち悪ぃヤツとつるんでたからじゃね?」

「え?」




ほむら「!?」ビクッ

さやか「は…はぁ…?」

マミ「な…!?」





536 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:51:51.5592k1CN830 (18/25)



「え?なんで暁美?」


「いや俺見たんだよ。真夜中に暁美がウロウロしてるとこ」

「それくらいお前もやってね?」

「いやいや!俺はダチと一緒にブラブラしてるだけだけどさ」
「あいつ一人でブツブツ何か呟きながら裏通り走り回ってたんだよ!」

「うわ何それ!怪しさ満点じゃん!」



ほむら(!? 見られてた…!)


「暁美がアイツを巻き込んだんじゃね?」

「やべー!事件の臭い!」

「顔は良いのにな」

「暁美さん?なんか知ってるんじゃないの?」


ほむら「わ、私は…」

さやか「アンタら馬鹿じゃないの!?ワケわかんないよ!」


「さやかー…アンタも最近暁美と仲いいよね」

「アンタもなんか知ってたりして~!」


さやか「うるさいな!関係ないでしょ!?」





「そういや鹿目ってさ…最近なんか変な男達と歩いてるの見ない?」


マミ「!!」


「あ…私も見たかも…」

「でしょ?見るからに歳の離れた人とかさ~」

「あ~そいつらに攫われたんだ!絶対!」

「こりゃあいよいよ怪しく…」





537 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:52:28.3592k1CN830 (19/25)





バンッ!

仁美「いい加減にしてください!!」


ほむら「!」

さやか「あ…仁美…」


机を叩き、声を荒げる仁美
教室全体に広がった騒ぎが一気に静まりかえる


仁美「私の友人たちを悪く言わないでください!!」

仁美「そ、それ以上言うなら私は…!」



「…なにマジになってんだよ」

「ちょっとしたギャグじゃん!」


「いや…アンタらちょっと言い過ぎ」

「謝っといたほうがいいぞ」


仁美「そうですわ!早く二人に謝って…」





538 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:53:20.4992k1CN830 (20/25)



ほむら「志筑仁美…もう十分よ」

仁美の言葉を遮る



仁美「暁美さん!?…で、でも」

ほむら「ありがとう」

仁美「!…っ」


恭介「さやか…」

さやか「いーよ、恭介…大丈夫だから」


「二人ともあんまり気にしない方がいいよ?」

「そーそ!きっとすぐ帰って来るって!」



マミ「…二人とも行きましょう」

ほむら「ええ」

さやか「…」






539 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:53:51.0692k1CN830 (21/25)



マミ「…」


マミ(…私は…)


『暁美みたいな気持ち悪ぃヤツとつるんでたからじゃね?』
『暁美がアイツを巻き込んだんだろ?』
『そういや鹿目ってさ…最近なんか変な男達と歩いてるの見ない?』
『そいつらに攫われたんだ!絶対!』


マミ(私は…あんな人達を守るために…)


マミ(…)


マミ(…いえ)



マミ(今は目の前のことに集中しましょう…)


頭の中の嫌な考えを振り払い
二人を連れて帰宅する






540 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:54:25.2192k1CN830 (22/25)



~マミホーム~


ガチャ

マミ「ただいま」

杏子「おっ!お帰り~」


さやか「お邪魔します」

ほむら「…」


杏子「…?なんだよ元気無いじゃん」

マミ「なんでも無いのよ…」


我夢「お帰りマミさん。言われた通りこの町の地図用意しといたよ」

ダイゴ「ついでに紅茶もね…少し落ち着いてから始めよう」


マミ「ありがとうございます…二人とも上がって?」





541 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:57:28.3692k1CN830 (23/25)



……………………………………


ほむら「アスカの姿が見えないけど…」

ダイゴ「ああ…あっちの部屋で寝てるよ」


テーブルを囲み、紅茶を啜る六人




杏子「まーだ不貞腐れてんのかアイツ?」

さやか「え?なんかあったの?」


杏子「なんかさ?こんな時に何にも出来ないのが悔しい…ってさぁ」

さやか「!…」


我夢「あ…でも、不貞腐れてばかりじゃないよ!彼、さっきまで色々地図に書き込んでくれてたんだ」

我夢「ほむらちゃんから聞いたワルプルギスのだいたいの出現ポイントとか…どの位置が狙いやすいかとかね」

ダイゴ「昨日の夜からずっと考えてたみたいだから…寝かせといてあげよう」


杏子「へぇ~…ちょっと見直したかもな!」

マミ「あはは…昨日の夜、隣の部屋から聞こえた唸り声はそのせいだったのね」



ほむら「紅茶、ごちそうさま」カチャ

マミ「…そろそろ始めましょうか?」

杏子「作戦会議だな!」





542 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:58:41.8192k1CN830 (24/25)

……………………………………


ダイゴ「…」

我夢「…」


テーブルの上にペンで書き込まれた印だらけ地図を開き
作戦を練る少女達



ほむら「…ここよ、このポイントでスペシウム弾頭弾を発射して…」

マミ「私がこの技で仕留める…と」


さやか「それが当たれば勝てるかな…?」

ほむら「どうかしらね…」


ほむら「でもこれが現在の私達にできる最大火力の攻撃であることは間違いないわ」

マミ「これで倒せなかったら…さすがに厳しいわね」




543 ◆jPpg5.obl62011/07/10(日) 23:59:35.4992k1CN830 (25/25)


ダイゴ「これは作戦というには…あまりにも無謀じゃないかい?」

我夢「ファイターを設置してワルプルギスを狙い撃つこのポイント」

我夢「ここにヤツを誘い出すまでどれだけダメージを与えられるか…だね」


杏子「…なぁ、トドメはマミの攻撃で決めるんだろ?」

マミ「ええ、そうよ?」


杏子「その攻撃するためにはありったけ魔力を溜めて狙わなきゃいけないんだろ…?」

杏子「その間アンタ動けないじゃないか…危険だぜ?」


心配そうな顔でマミを見つめる


マミ「…危険なのはみんな同じだと思うわ」

ほむら「その通りよ」


ほむら「むしろあなた達は自分の心配をしなさい」

さやか「…!」

杏子「あん?」


ほむら「私と巴マミが最後の攻撃を仕掛けるまで…あなた達はワルプルギスの足止めをするのよ」




544 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:00:32.41hvINNmim0 (1/98)



さやか「あ…」


ほむら「一番危険なのは接近戦主体のあなた達じゃないかしら?」

さやか「…」ビクッ

杏子「…分かってるよ」


さやかと杏子の表情が緊張の色に染まる

さやか(一番…危険…)




ドタドタドタ ガチャッ



マミ「あら?」

アスカ「お、おいみんな!これ見てくれ!!」





545 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:01:29.34hvINNmim0 (2/98)


ダイゴ「どうしたんだい?血相変えて…」

ほむら「起きたのね…騒がしい」


アスカ「こっ、これ!」バッ


右手に握りしめたリーフラッシャーを全員に見せつける


我夢「!? これは…!」

ダイゴ「光が…!」


アスカ「ダイゴさん達は!?」

ダイゴ「僕のは…」ゴソゴソ

我夢「あ…!」ゴソゴソ




546 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:02:44.46hvINNmim0 (3/98)



スパークレンス、リーフラッシャー、エスプレンダー
その全てにわずかな光が灯っていた



ダイゴ「…」

我夢「戻ってる…光が!」

アスカ「これなら…やれるかもしれねぇ!」


ダイゴ(…だがこれでは)


喜ぶ二人とは対照的に暗い表情のダイゴ


アスカ「マミさん!俺達も…」




ほむら「…駄目よ」

さやか「えっ…?」




547 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:03:33.60hvINNmim0 (4/98)



アスカ「え!?な、なんでだよ!」

杏子「何言ってんだほむら?戦力は多い方が…」


ほむら「そのほんの少しの光で…あなた達は変身できるの?」

我夢「!」

マミ「…ダイゴさん?」


ダイゴ「…気付いていたんだね、ほむらちゃん」

ダイゴ「恐らく…これだけのエネルギーでの変身は…難しいと思う」

さやか「そ、そんな…」


ほむら「…でしょうね」

ほむら「それにそんな状態で仮に変身できたとしても…ロクに力を出せずにやられてしまうでしょうね」

杏子「ちょっと待てよ…そんな状態で負けたら…」


ダイゴ「死ぬ…だろうね」





548 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:04:30.21hvINNmim0 (5/98)



アスカ「…」

ほむら「アスカ・シン。あなた達は別世界の人間なのよ…」

ほむら「ワルプルギスとの決着は私達…魔法少女が着ける」

我夢「…だけど」



マミ「大丈夫です、必ず勝ちますから…!」

アスカ「…」

ダイゴ「…彼女達を信じて待とう?」



スタスタ ガシッ

マミ「わ…!」

ダイゴ「…」


マミに駆け寄り肩を掴むアスカ





549 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:05:03.59hvINNmim0 (6/98)



アスカ「勝てるんだな…?本当に…」

マミ「!…はい」

アスカ「…」スッ


肩から手を離す


アスカ「…わかったよ」

アスカ「みんなを信じて…待つよ、俺」


我夢「…そうだね…僕も…」


杏子「ま…死なれちゃ困るしな!」

さやか「…」




550 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:05:39.06hvINNmim0 (7/98)



ほむら「…今日はもう解散しましょう」

マミ「ええ、明日は各自万全の状態で指定のポイントに集合ね」


杏子「さーて…さやか!今日はアタシと明日に備えて特訓だな!」

さやか「…」


杏子「…さやか?」

俯いたままのさやかの顔を覗き込む杏子





さやか「へっ!?…あ、ああ…うん」


杏子「どうかしたか?」

さやか「何でもない!ホラ行こ!特訓するんでしょ!」

杏子「…ああ」


ガチャ バタン





551 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:06:08.11hvINNmim0 (8/98)



我夢「帰っちゃいましたね…」

ダイゴ「ああ…そうだね」

マミ「…」


ダイゴ「マミさん、今日はゆっくりしてるといい」

マミ「え?…で、でも」

ダイゴ「大丈夫、夕飯は僕が作るからさ」


マミ「…じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら?」

我夢「明日は決戦だから疲れを残さないようにね」



アスカ「あ~…ダイゴさん?俺ももうひと寝入りしていいかな?」

ダイゴ「…ああ、構わないよ」

ダイゴ「君ずっと地図とにらめっこしてたからね…寝不足でしょ?」

アスカ「すんません…それじゃ」


ガチャ




552 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:07:45.62hvINNmim0 (9/98)


マミ「それじゃあ私も部屋に…」


ドガッ!!



我夢「!?」

マミ「!! な、なんの音!?」

部屋全体に響くような音に驚く二人




マミ「あっちの部屋から聞こえた…」

ダイゴ「…アスカか」


マミ「アスカさん…」

我夢「…」

ダイゴ「…そっとしておいてあげよう」





553 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:08:31.32hvINNmim0 (10/98)



……………………………………


QB「…どうやら彼等にほんの少し力が戻ったようだね」

ヤプール「ほう」


空間に空いた穴
その向こうには数分前のマミの家の光景が映し出されていた


ヤプール「あの三人の光エネルギーは全て吸いつくいたのではないのか?」


QB「そうだよ。あの三人は特殊なアイテムに光の力を封じ込めて使っているからね」

QB「純粋な宇宙人である宇宙警備隊員のウルトラ兄弟達…」

QB「そして宇宙人の力を借りて変身している春野ムサシ、孤門一輝達とは違う…まったく異質のウルトラマンだ」

QB「光そのもので変身しているあの三人のエネルギーは簡単に回収できたよ」


ヤプール「ではなぜ奴等に光エネルギーが…?」




QB「…鹿目まどかの願いだろうね」

ヤプール「!…なるほどな」

ヤプール「可能な範囲で叶えられた願いがコレか」

QB「うん、気付いてないと思うけどマミ達のソウルジェムの穢れも浄化されてると思うよ」





554 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:09:40.87hvINNmim0 (11/98)



ヤプール「ふむ…」

顎に手を当てる、考え込む


QB「どうかしたかい?」

ヤプール「…あの三人のウルトラマンの戦闘データを手に入れておきたい」

QB「?…ティガ、ダイナ、ガイアのデータを?」


ヤプール「そうだ、すでにメビウス…そしてネクサスとコスモス…だったか?」

ヤプール「あの三人…そして鹿目まどか以外の魔法少女のデータはすでに収集済みだ」


シュゥウ… パンッ

ヤプール「このガディバでな…」



ヤプールの持った黒い風船
その一つが割れ、黒い霧状の生物が出現する


QB「宇宙同化獣ガディバ…君達は本当に便利なものを持っているね」





555 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:10:47.20hvINNmim0 (12/98)



QB「その存在を知った時は驚かされたよ」

QB「対象に寄生し、強化、生体情報の収集まで出来るんだから」

ヤプール「そして寄生した生物が戦った相手のデータは我々の物に…と」


ヤプール「行けガディバよ!ワルプルギスの夜に寄生するのだ!」スッ



シュゥウン

ヤプールが手を掲げ、指示を出すと
ガディバは凄まじい速度で飛び去り、一瞬で視界から消え去った


QB「しかしヤプール…データを得るにはワルプルギスが三人と直接戦闘しなければいけないんだろう?」

QB「あの三人は変身せず戦いを見守る気だよ?」


ヤプール「…以前の時間軸で四人の魔法少女達は致命傷を負いながらもワルプルギスに勝利した」

ヤプール「しかしガディバで強化されたこの時間軸のワルプルギスには…どうかな?」


QB「…なるほどね、引きずり出すってワケか」





556 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:11:45.46hvINNmim0 (13/98)



ヤプール「そうだ。あの三人も目の前で少女達が殺されれば黙ってはいまい」

ヤプール「半分にも満たないエネルギーで変身した奴等など取るに足らん存在だ!」


ヤプール「それに加えて鹿目まどか達を失い、魔法少女達は精神的にダメージを負っている」

ヤプール「誰か一人を追いつめれば奴らの戦力を削ぐことも可能というわけだ」


説明を終えたヤプールにキュウべえが話しかける


QB「一番精神的に弱っているのは…美樹さやかかな?」

QB「僕が行って様子を見てこようか」


ヤプール「頼む」





557 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:12:51.12hvINNmim0 (14/98)



QB「…しかし凄いね、ガディバは」

QB「影の魔女…犬の魔女」

QB「そして美樹さやかの人魚の魔女…」

QB「その全てに寄生した時は驚かされたけど…まさかワルプルギスにまで寄生出来るとはね」

QB「こんな物を提供してくれた君達には感謝しているよヤプール」

トテトテ



ヤプール「…」


ヤプール(さて…)


ヤプール(もしもの時の保険を使う時は来るかな…くくく…)ニヤリ



不敵な笑みを浮かべ
その場から立ち去るヤプール





558 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:13:21.97hvINNmim0 (15/98)



~さやかホーム~


さやか「はぁ…」ボスッ

ため息を吐き、自室のベッドに腰を下ろす


さやか「いよいよ明日だ…」

さやか「…」




さやか「…あ~あ!早く寝ちゃお!」



トテトテ

QB「やぁさやか!お邪魔するよ!」

さやか「!?」ビクッ




559 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:14:01.11hvINNmim0 (16/98)



さやか「アンタ…どうしてここに…!」スッ


ソウルジェムを手に取り、キュウべえを睨みつける


QB「おっと、やめてよ…僕は君達の様子を窺いに来ただけなんだから」

QB「無駄に魔力を消費するような真似は止めた方がいいよ」

さやか「く…」


QB「それにしても大変だねぇ」

QB「明日の事を考えると眠れなくなるんじゃないのかな?」


さやか「…!」ピクッ

さやか「大変だね…だってぇ!?」




560 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:14:41.56hvINNmim0 (17/98)



キュウべえの発言を聞き、
さやかの抑え込んでいた感情が溢れ出す


さやか「あたし達を騙しておいてよくそんな事が言えるね!!」

さやか「アンタに騙されなれば…」

さやか「魔法少女の真実を知ってればこんな体には…!!」

ガシッ


キュウべえの首を掴み、持ち上げる


QB「…僕は騙してなんかいないよ?ただ聞かれなかっただけ」

さやか「ふざけんなっ!」


ブンッ ベシャッ




561 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:15:09.43hvINNmim0 (18/98)



QB「いたたたた…」


壁に叩きつけられ、そのまま落下するキュウべえ


QB「…さやか、僕はちゃんと魔法少女になってくれってお願いしたじゃないか」

QB「実際の姿はどんなものか説明は省略したけどね」


さやか「そんなの…!」


QB「それに人間は命が尽きるとその精神まで消滅してしまうそうじゃないか」

QB「そうならないために…君の魂を手に取れる器に入れ替えてあげたんだよ」

QB「魔女と戦えるようにね」


さやか「よ…余計なお世話だ!」

QB「余計なお世話?…やれやれ」


QB「君はまだ戦いというものを甘く考えてないかい?」トテトテ





562 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:15:49.41hvINNmim0 (19/98)




さやか「何が!?」


キュウべえが自分の手をさやかのソウルジェムに当てる


QB「そうだなぁ…例えば」

QB「君、あの影の魔女と戦った時に腹を貫かれたよね」

QB「あの時…君はすさまじい激痛を感じただろう?」


さやか「ッ…!」ググッ


魔女の攻撃を受けた部分を押さえ、
恐怖の表情を浮かべる


QB「…あれでも痛みはセーブされてたんだよ?」

さやか「…え?」


QB「えーっと実際に腹に穴が開くとどれくらい痛いかっていうとね…」

さやか「!? や、やめ…」




ビキィッ!






563 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:16:29.20hvINNmim0 (20/98)



さやか「ぎっ!!?」

ドサッ


さやか「あっ、が…!?」

さやか「うぁぁぁああああああ!!!!」


想像を絶する痛みを受け、
気絶、覚醒を繰り返し、のた打ち回るさやか




QB「…どうだい?恐ろしいだろう?」

さやか「はぁっ…はぁっ…あっ、く…」


QB「さて…ワルプルギスの夜との戦いでは…」

QB「もしかすると君はこれくらいの痛みを何度も受けるかもね?」


さやか「ひっ…!!」


QB「…」

QB「それじゃ、明日はがんばりなよ」トテトテ




さやか「あ…ああ…あ…」




さやか「…」






564 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:17:01.36hvINNmim0 (21/98)



……………………………………


~ワルプルギスの夜出現当日~



「本日午前七時―――」




「突発的異常気象に伴う避難指示が発令されました」




「付近にお住まいの皆様は速やかに最寄りの避難所への移動をお願いします」




「繰り返します。こちらは――――」




全ての住人が消えた町
静まりかえる中、スピーカーから流れる避難指示が響き渡る





タッタッタッ…


杏子「よう、待たせちゃったな」

マミ「お待たせ」


ほむら「いえ…私達もさっき来たところよ」

さやか「…」


町の高台に四人の魔法少女達が集結する






565 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:17:55.47hvINNmim0 (22/98)



ほむら「ダイゴ達は…?」

マミ「あの人達とは避難所近くで別れたわ」

マミ「多分だけど…ここよりもっと離れた所で私達の戦いを見るんだと思う」

さやか「…」



杏子「しっかし…ワルプルギスが出てくる場所はもっと先に行ったとこだろ?」

杏子「わざわざこんな離れた場所で出待ちすること無いんじゃねーの?」


首を傾げた杏子がほむらを見つめる


ほむら「出現位置で待機していたらヤツが現れたと同時に狙い撃ちされる可能性があるわ」


ほむら「だから離れたこの位置から私が時間を停止させ、重火器で一気に攻撃する」

ほむら「ヤツが爆煙で視界を制限されているうちに接近するわ」



杏子「要するにコッソリ近づいて攻撃って感じか…まどろっこしい作戦だな」

マミ「少しでも安全性を高めるためなのよ?我慢なさい」





566 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:18:57.01hvINNmim0 (23/98)


ゴゴゴゴゴゴ…


ほむら「…お喋りはそこまで…来たわよ」

マミ「!!…あれが…」

杏子「…」

さやか「う…」



クスクスクス… 


キャハハハハ… 


アッハハハハハハ…





567 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:19:46.82hvINNmim0 (24/98)




暗雲が空を覆い


万国旗のようなものが張り巡らされ


その暗雲の向こうから


赤と白のドレスを身に纏った巨大な女性型の魔女が出現する



ワルプルギス『クスクスクス…』



魔女のドレスのスカートからはゆっくりと回転する不気味で巨大な歯車が顔を覗かせ



胴体はその歯車を上にして逆さまにぶら下がるようにして浮いていた




ワルプルギス『クッ…クックククキキキ…』


ワルプルギス『クヒヒヒヒヒヒヒ…』キュイン





568 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:20:33.82hvINNmim0 (25/98)



マミ「あれが…ワルプルギスの…夜…!!」

杏子「想像してたよりずっとデカイな…おい」

さやか「…」


キュインキュインキュイン

ワルプルギスの体が赤黒い色に輝き始める




ほむら「…!?」

杏子「おい、ほむら!さっそく時間停止して…」


ほむら「待って…!もう少し様子を…」


バシュシュシュン!


ドガァァァアアアアン!!




マミ「うっ!?」

杏子「おわっ!?」

さやか「!!!」



569 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:21:09.71hvINNmim0 (26/98)



ゴゴゴゴゴゴ…


杏子「…おいおい」

ほむら「…出現位置で待ち構えなくてよかったわね」

マミ「なんて威力…!」


出現地点だったビル街は
ワルプルギスが放った光線に吹き飛ばされ、見るも無残な風景と化していた



杏子「こりゃあほむらの判断が正しかったな!」

マミ「ええ…あそこにいたら私達は今頃致命傷を負っていたでしょうね…」

ほむら「…いえ」


ほむら「正直あれほどの攻撃が出来るとは思わなかったわ…」


さやか「…」





570 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:21:46.42hvINNmim0 (27/98)



マミ「…けど見たところあれを撃つには数秒の溜めが必要みたいね」シューン

杏子「よし…ほむら!今度こそ頼むぜ!」シューン

ほむら「わかってる…」


ほむら(今度こそ…決着を着ける!!)シューン


ソウルジェムを掲げ、変身する三人


さやか「…」

杏子「…さやか?」








さやか「…無理だよ」








571 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:22:17.65hvINNmim0 (28/98)



杏子「!? お前…」

ほむら「…」

マミ「…」


さやか「だ、だって…見たでしょ?今の…」

さやか「あんな滅茶苦茶なヤツに勝てるわけないよ…!」


肩を震わせ、俯きながら話し続ける


さやか「怖いんだ…」

さやか「戦うのが怖いんだよぉ!!」



ほむら「…」


ほむら(彼女…とうとう限界がきてしまったわね)





572 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:23:05.29hvINNmim0 (29/98)



さやか「あ、あたしは!」

さやか「ほむらみたいに凄い能力持ってるわけでもないし…!」


ほむら「…」


さやか「魔女とだって数えるくらいしか戦ったことない…!」

さやか「杏子みたいに戦闘経験が豊富なわけでも…ない」


杏子「さやか…」


さやか「そ…それに…」

さやか「マミさんみたいにベテランで勇敢な魔法少女でもないよ!!」


マミ「!…」


さやか「あたしには無理だよ…」

さやか「みんなみたいな勇気あたしには無いし!キュウべえに騙されなきゃ魔法少女なんかには…」








パシン!







573 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:24:19.21hvINNmim0 (30/98)



さやか「っ…!?」ペタン

マミ「…」


マミに頬を叩かれ、地面にへたり込むさやか


杏子「お、おいマミ…」

ほむら「…」スッ

杏子「!…」


駆け寄ろうとした杏子はほむらに腕で制止され、立ち止まる




マミ「美樹さん…見なさい」




マミ「これがそんなに勇敢な人間の手に見える?」


叩いたその手をさやかに見せつける



さやか「…あ」

さやか(マミさん…震えて…)




574 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:25:42.51hvINNmim0 (31/98)



マミ「…私だって怖い」


マミ「戦うのが…怖いわよ」


マミ「私があなた達の前で戦ったあの魔女…」

マミ「あの時アスカさんが来てくれなかったらどうなっていたか…とか」

マミ「ワルプルギスの夜と戦っても手も足も出なかったら…とか」


マミ「そんな事を考えたら…恐怖で震えが止まらない」


さやか「ま…マミさん、あたし…」


マミ「…でもね」




575 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:26:49.82hvINNmim0 (32/98)



真っ直ぐにさやかを見つめ
語りかける


マミ「その恐怖は自分自身で乗り越えていくしかないの…!」

マミ「恐れから逃げずに…真正面から向き合わなくちゃいけないのよ」

マミ「それが戦うってことだから…」


さやか「!!…」


マミ「…行きましょう、二人とも」タッ



ほむら「…美樹さやか」

ほむら「ここであなたが逃げ出そうと…私はあなたを責めたりはしない」

ほむら「ここから先は…あなたの自由よ」タッ


杏子「…」ポン

さやか「杏子…」


無言でさやかの肩に手を置く杏子


杏子「…行ってくる」タッ


さやかを残し、
三人の魔法少女はワルプルギスの夜へと立ち向かう



さやか「…」





576 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:27:27.78hvINNmim0 (33/98)



……………………………………


ほむら(…時間停止!)

カチン


ほむら「…さて」ジャキッ


時間を止め、盾から大量の重火器を取り出し
自分の周りに並べる


ほむら「…」

ドンドンドンドンドンッ!

ガチャッ ポイッ


その全てをワルプルギスへと放つ


ほむら「よし…停止解除…」


カチン




577 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:28:01.91hvINNmim0 (34/98)



ワルプルギス『きゃははははっ!??』

ズドドドドドドドッ!


停止解除と同時に空中で静止していた弾頭がワルプルギスに直撃し
大爆発を起こす


ほむら「…」

杏子「おぉ…随分と派手にやるなぁ」ジャキン

マミ「でもこれでヤツは視界が制限されるハズ…!」チャキ



ほむら「一気に接近する…行くわよ!!」ガチャ


それぞれの武器を構え、一気に跳躍する


杏子「おうっ!」

マミ「ええ!行きましょう!」


ダッ





578 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:28:50.61hvINNmim0 (35/98)




……………………………………


~避難所~


ガタガタガタ…


知久「…風、強くなってきたね」

詢子「…そうだね」

タツヤ「…」


避難所で身を寄せ合うまどか以外の鹿目家の三人


タツヤ「ねぇパパ…ねーちゃは…?」

詢子「!!」

タツヤ「ねーちゃ、いつ帰って来るの…?」


知久「…」





579 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:30:44.85hvINNmim0 (36/98)



詢子「知久…アタシ、もう一度探してくるよ」

詢子「まどかもここに避難してくるかもしれないし…」スッ


知久「駄目だ…!」ガシッ


立ち上がろうとした詢子の腕を掴む


詢子「いや、でも…!」

知久「外を見なよ!?…また風が強くなってきている…」

知久「それにここ何度も探し回っても見つからなかったんだ…」


知久「消防署に任せよう…下手に動かない方がいい」


詢子「っ…!!」

知久「…それに…もしかしたら別の避難所に行ってるかもしれないだろう…?」


詢子「…くぅ…ぅ…」

知久「…まずは君が落ちついて…」





詢子(まどか…アンタ何処で何やってんだよ…)







580 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:31:28.94hvINNmim0 (37/98)



……………………………………


ドカァァアアン… ガラガラガラ…


離れた場所でワルプルギスと戦う少女達を見つめる三人の影


我夢「…始まりましたね」

ダイゴ「うん…そうみたいだ」

アスカ「…」


アスカ「勝つ…あいつらは勝つんだ…!」ググッ


拳をきつく握り締め、魔法少女達の戦いを戦いを見つめる



ダイゴ「…信じて待とう…彼女達を」

我夢「ええ…」




581 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:32:23.21hvINNmim0 (38/98)



……………………………………


ドンドンッ ドカァアン


ほむら「…」ジャキ

ワルプルギス『きゃははは!!』

ドカン!



ワルプルギスの周囲を跳び回りながら、重火器で攻撃するほむら


杏子「うらぁあっ!!」

マミ「くっ…」


ほむらに続き、それぞれの武器で攻撃する二人


ドガガガガッ!


ワルプルギス『クスクスクス…』





582 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:33:09.45hvINNmim0 (39/98)



スタッ


杏子「ちっ…コイツほんとにダメージ受けてんのか?」

マミ「こっちの攻撃は確実にヒットしてるからダメージはある…と思うわ」

ほむら「…」


一旦ワルプルギスから飛び退き、距離を開ける三人


ほむら(…使うのを躊躇っている場合じゃなさそうね)

シュイン ジャキッ


左腕の腕の盾からディバイトランチャーを取り出し、構える


マミ「暁美さん!それは…」



ほむら「佐倉杏子…美樹さやかが戦えない以上私もヤツに接近して攻撃するわ」

杏子「大丈夫かよ?危ないんじゃねえの?」

ほむら「一人で行かせるわけにもいかないでしょう…行くわよ」


杏子「…マミ、援護頼む!」

マミ「任せて頂戴!」




583 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:33:54.20hvINNmim0 (40/98)



ワルプルギス『ひゃはっ!!』バシュシュッ


ドガガガッ

ほむら「く…ぁっ!」

杏子「おおっと…!」


光弾をほむらは盾で、杏子は槍で、それぞれ受け止める


ワルプルギス『きゃはは!』バシュシュッ

杏子「ッ…調子に…のんな!」ブンッ


ズバッ

ワルプルギス『ひひひ!』


杏子「ほむら、今だ!!」

ほむら「…!!」ガチャ





584 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:34:29.41hvINNmim0 (41/98)



バァン! ドガッ!

ワルプルギス『ひっ!!?』


ディバイトランチャーの魔法弾を受けたワルプルギスが
今までとは違う声を上げる


杏子「おっ!」

ほむら「!!…やった…効いてる!」


ダメージが通っていることを確信し、銃を握る手に力が入る


杏子「いける…いけるぜ!」

ほむら「ええ…!今度は連続で…」


ワルプルギス『きゃはっ!!』ブンッ

ギュン!


ワルプルギスの腕が伸び、二人に迫る


ほむら「!!」

杏子「やべ…!」





585 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:35:34.20hvINNmim0 (42/98)




シュルルル ガシィッ!


ワルプルギス『きっ!?』ギシッ…

ほむら「!…これは…」


二人の眼前まで迫ったワルプルギスの腕は
リボンの拘束魔法で縛られ、その動きを止める




マミ「間一髪…だったわね…」

杏子「マミ!悪い、助かった!」


ワルプルギス『あはははっ!!』ググッ



マミ「!!…なんて力…」

マミ「不味いわ!もう長くは持たない!」





586 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:36:16.76hvINNmim0 (43/98)



ほむら「!…全員で一ヶ所に攻撃を!」

杏子「よし!任せろ!」ダッ


ワルプルギス『ヒヒヒヒヒヒ…!!』ググッ

拘束と解くために腕の力をさらに強める




マミ「…させないっ!」

ジャキン




マミ「ティロ・フィナーレ!!」ドンッ

ドゴォォオオン!!



ワルプルギス『きひゃっ!?』



杏子「まだまだ…!続けていくぜっ!」ジャキッ




587 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:36:56.94hvINNmim0 (44/98)



ワルプルギス『!!?』


杏子「だぁぁぁあああああっ!!」

ドガガッ!


ワルプルギス『きゃははは!!』


杏子の魔力を帯びた槍の一撃がワルプルギスに直撃する






ほむら「あの位置を…!!」

ドババババァン!!


ワルプルギス『はひゃ…!!』


ゴウッ!





588 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:37:30.95hvINNmim0 (45/98)




ズドォオオオオォン… ガラガラガラ…


三人の一斉攻撃を受けたワルプルギスがビルに叩きつけられ
動きを止める




杏子「よし…!」


マミ「動きを自ら止めたわ!かなり弱ってる!」


ほむら「ええ…ダメージがあることはもう分かってる…!」




スチャ

ほむら「二人とも、今の攻撃でかなり魔力を使ったわ…」

ほむら「今の内にグリーフシードを使っておきなさい」ポイポイッ




杏子「サンキューほむら!」パシッ

マミ「ありがとう、使わせてもらうわ」パシッ





589 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:38:14.93hvINNmim0 (46/98)



シュゥウウ…


それぞれ自分のソウルジェムの穢れをグリーフシードで浄化し
態勢を整える



杏子「アイツはもう動かないのか…?」


マミ「分からないわ…消滅しない以上倒せてはいないみたいだけど」


ほむら「なら…ここで止めを…」


ジャキン


ディバイトランチャーを構えワルプルギスに狙いを定める







キュインキュインキュイン


ほむら「…?」





590 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:39:02.63hvINNmim0 (47/98)



カッ! バシュシュシュン!


ほむら「!! 避けてっ!」




杏子「な…!?あ、あの野郎!」


マミ「しまった…!間に合わない…!」





ドガァァァアアアアン!!!





瓦礫の中から薙ぎ払うように放たれたワルプルギスの光線が
町を、三人を吹き飛ばす






591 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:39:41.03hvINNmim0 (48/98)


……………………………………


ガラガラガラッ… ゴトン



杏子「っ…く…生きてるか?」


マミ「う…な、なんとか…直撃は免れたようね…」


ほむら「…やつは…何処に…!?」



崩れたビルの瓦礫から這い出る三人




ゴゴゴゴゴゴ…





ほむら「…!?」





592 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:40:24.17hvINNmim0 (49/98)



ワルプルギス『クヒヒヒヒヒ…アハハハハ…』


ゴゴゴゴゴゴ…




ほむら「あれは…いったい?」

杏子「なんだありゃ…?なにしてやがるんだ?」


マミ「逆さに…なった?」




ワルプルギス『クスクスクス…キキキキキキ…!』




逆さまだった人型の部分が引っくり返ったワルプルギスの夜が
さらに不気味な笑い声を上げ、宙に浮いていた




ほむら(なんのつもり…?今までの時間軸ではあんな行動は…)






593 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:41:26.33hvINNmim0 (50/98)



ワルプルギス『ヒャァァアアアアアッハハハハハ!!!』


バシュシュシュッ! ゴオオオ





ほむら「な!!?」


マミ「うっ!?」


杏子「は、速いっ!!」



ドガガガァン…



先程までのゆっくりとした動きとは違い
暴風の様なスピードで光弾をばら撒きながら暴れ回る





594 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:42:01.22hvINNmim0 (51/98)



ワルプルギス『ヒャヒャヒャヒャヒャァ!!!』


ドカンドカンドカン!



杏子「ぐっ…!あぁああ!!」

マミ「速すぎる…!狙いがつかない!!」

ほむら「ちっ…!」


ほむら(さっきまでのは…遊びだったとでも言うの!?)




ワルプルギス『アハハハハハハハ!!』


ゴォオオオオォ…





595 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:42:58.81hvINNmim0 (52/98)

……………………………………


ダイゴ「あれが…あの魔女の全力…!」


我夢「不味いですよ!…あのままじゃあ…」


アスカ「ぐぐ…くっそぉ…!」



グググッ…


ポタッ…ポタポタ…



強く握り締めたアスカの拳から

血が一滴…また一滴と流れ落ちていた





596 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:43:58.14hvINNmim0 (53/98)


……………………………………



杏子「!…おい、あいつ逃げてくぞ!」


光弾をばら撒きながら飛び去るワルプルギスを指差し、杏子が叫ぶ



ほむら「違う…ヤツはもう私達には目もくれない」

ほむら「今のヤツの攻撃で敵ではないと判断されたのかもしれないわ…」



杏子「く…ちくしょう!」



マミ「…!」

マミ「不味いわ!あいつが飛び去った方向!」

杏子「何が!?」



マミ「あっちにはファイターで狙撃するためのポイントがあったはず!」

マミ「あそこを破壊されたら…安定にファイターを設置できる場所は無いわ!」



ワルプルギスが向かった方角にある廃ビル、その屋上
他の建物よりもやや背が高く、安定して狙える場所だった





597 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:44:38.59hvINNmim0 (54/98)



杏子「へっ!元々あっちに誘き出すつもりだったんだ!」

杏子「かえって好都合だぜ!」


ほむら「…だけど不味いことには変わりないわ!急ぎましょう!」

マミ「破壊されたら元も子もないしね…!」




ダッ!


ワルプルギスが飛び去った方向へ駆け出す三人










ヒュン!


杏子「…!!」ガキィン!




598 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:45:21.14hvINNmim0 (55/98)



マミ「佐倉さんっ!?」

ほむら「…!」


杏子「なっ…こ、こいつらは…!!」ガギギ…



突然飛んで来た攻撃を槍で受け止める




使い魔(杏子)『へへ…』ググッ

使い魔(さやか)『ヒヒヒ…!』

使い魔(マミ)『クスクス…』





杏子「あ、アタシ達じゃねーか…!」

マミ「これは…使い魔?」


ほむら「私以外の魔法少女の姿を…コピーしているとでも言うの…!?」




599 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:46:20.41hvINNmim0 (56/98)


……………………………………


さやか「…」


地面にへたり込んだまま、うな垂れているさやか


さやか「…」



さやか「…」



さやか「…」スッ



さやか「…すぅ……」



さやか「……はぁっ…」



さやか「あたしは…」バッ



顔を上げて大きく深呼吸し、立ち上がる






さやか「あたしは…!!」







600 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:46:59.72hvINNmim0 (57/98)


……………………………………






使い魔(杏子)『ハハハッ!』ブンッ

杏子「くっそ…!こいつらっ!」ガキン



ほむら「こんな時に…!!」スッ

盾の砂時計に手を伸ばす




マミ「暁美さん、ここで無駄に消耗してはだめよ!」

ほむら「巴マミ…!けど…!」ピクッ



ガキンッ!

杏子「そうだぜほむら!」キィン

杏子「アイツの動きを確実に捉えられるのはアンタの能力だけだ!」



マミ「だから先に行ってヤツを止めて!」

バンバンッ!


杏子「こいつらの相手はアタシ達がやる!!」




601 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:47:30.83hvINNmim0 (58/98)



ほむら「…!!」


ほむら「頼んだわよ…二人とも!」

ダッ


使い魔の相手を任せ、ワルプルギスを追う





使い魔(杏子)『アッハハ!』ダッ

使い魔(さやか)『ヒヒッ!!』ダッ


杏子「行かせるか!」ブンッ




使い魔(マミ)『…』


バァン!



使い魔(マミ)『グッ!?』


マミ「邪魔は…させないわよ!」





602 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:48:25.21hvINNmim0 (59/98)


ガキィン!

使い魔(杏子)『キヒヒヒッ!!』

杏子「こいつっ!こっちと同じ動きで攻撃してきやがる!」


使い魔(マミ)『…』チャキ

バンバンッ!



杏子「うっ、ぐっ!?」


無防備な杏子の背中に銃弾が撃ち込まれる




マミ「佐倉さん!」

使い魔(さやか)『アハハハハ!』ヒュッ



スパッ!



マミ「!!…この…!」ブンッ





603 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:49:04.37hvINNmim0 (60/98)


使い魔(さやか)『キャハハ!』サッ


マミ「!…速い…」



マミが使い魔を殴り倒すために振り下ろされたマスケット銃はむなしく空を切り

逆に大きな隙を作ることとなった


使い魔(さやか)『アッハハハ!!』

ドガッ!


マミ「くっ!…う、あ!!」ドシャ


使い魔の一撃に吹き飛ばされるマミ




杏子「マミ!…くっそ!」


ダッ





604 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:49:41.42hvINNmim0 (61/98)



使い魔(杏子)『キヒャッ!』スタッ


杏子「!」


マミの元へ駆け出した杏子の前に使い魔が立ち塞がる



チャキッ


杏子「どけぇえええーーっ!!」


使い魔(杏子)『ヒィイイヤッ!!』チャキッ



ダダダッ



二人が武器を構え、同じ動きでお互いを狙う






杏子「…」ニヤ





605 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:50:33.88hvINNmim0 (62/98)


ガシャガシャガシャン!


使い魔(杏子)『ギッ!!?』


ギシッ!



杏子「多節槍ってやつだぜ…こいつはな」


杏子の槍が変形し、鎖部分が使い魔の首に巻き付く





杏子「動きは真似出来ても武器は真似出来なかったみてーだな!」

使い魔(杏子)『ギ…カハッ…!』ギシギシッ



杏子「そぉぉおおらっ!!」グンッ


ブチィッ!!


使い魔(杏子)『!!!』





606 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:51:20.62hvINNmim0 (63/98)


変形した槍を一気に引く杏子

使い魔の首に巻き付いた鎖部分はより強力に巻き付き、そのまま首を引き千切る



使い魔(杏子)『…』ブシューッ


シュゥゥウウ…


どす黒い血を噴き出し、消滅する使い魔





杏子「うえ…偽物でも自分の死ぬ姿を見るってのは…気分良いもんじゃねえな…」チャキッ



ダッ

杏子「だが仕留めた!まってろマミ!」





607 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:51:55.28hvINNmim0 (64/98)


杏子「てめー!そこどけっ!」ヒュン


使い魔(さやか)『!』



ダダダッ

杏子「大丈夫かマミ!?」


マミに駆け寄る杏子



マミ「ごめんなさい…!もう大丈夫!」

杏子「よし…一匹は仕留めた!後はアイツと…」




シュルルルッ



マミ「!! あ、危ない!」

杏子「げっ!?」





608 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:52:27.02hvINNmim0 (65/98)


ガシィッ!


マミ「うあっ!?」

杏子「しまった…!!」


ギシギシギシッ…



使い魔(マミ)『クスクス…』




使い魔のリボンで拘束され、動きを完全に封じられる二人




使い魔(さやか)『アハァ…!!』チャキッ

使い魔(マミ)『クスクスクス…ヒッヒヒ…!』チャキッ





杏子「!!…やばいぞ…おい!」

マミ「う、動けないっ…!」ギシッ…





609 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:52:56.17hvINNmim0 (66/98)


使い魔(マミ)『ク…ヒヒヒヒ…!』


使い魔(さやか)『アハッ!』



タッタッタッ



武器を持った使い魔達が動けない二人に迫る




マミ「反撃も出来ない…このままじゃ!」


杏子「くそ!こんなところで…!」





610 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:53:29.39hvINNmim0 (67/98)



ズババッ!


使い魔(マミ)『グギャアアッ!!?』



シュゥゥウウ…



杏子「あ…!?」

マミ「あなたは…!」



使い魔が倒されたことにより、リボンの拘束が消滅する


使い魔(さやか)「…!?」







スタッ



さやか「…」






611 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:54:08.16hvINNmim0 (68/98)



杏子「さやかーー!!」

マミ「美樹さん…!」



駆けつけた仲間に歓喜の声を上げる



さやか「ごめん!二人とも!」



杏子「へへ…!」

杏子「…まぁアタシは来るって分かってたけどな!」


マミ「美樹さん…ありがとう、助かったわ」



さやか「マミさん、あたしもう恐怖から逃げません!」

さやか「戦います!!」


マミ「…ええ!」





612 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:54:37.77hvINNmim0 (69/98)



使い魔(さやか)『クゥウウウ…!』



杏子「さぁ~て…」ジャキッ

さやか「行きましょーか!!」ジャキッ



シュルルルルッ


使い魔(さやか)『!?』


マミ「動きを止めたわ!二人とも!」



杏子「さやか!遅れんなよ!」

さやか「そっちこそ!」


ダッ





さやか・杏子「「たぁぁあああっっ!!」」






613 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:55:09.74hvINNmim0 (70/98)



ズバン!!


使い魔(さやか)『!!!』



シュゥゥウウ…


マミの魔法で動きを止めた使い魔はさやかと杏子の同時攻撃を受け、消滅する





さやか「いっちょあがり!」


杏子「あとはワルプルギスだけだ!」


マミ「急ぎましょう!!」






614 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:55:36.88hvINNmim0 (71/98)


……………………………………


ゴゴゴゴゴゴ…



ワルプルギス『ヒャハハハッ!!』バシュン!


ほむら「!!」カチン



カチン ドカァアアアン!



ほむら「危なかった…!あれに当たれば…」




ザザッ


杏子「まだ無事みたいだな!」


マミ「暁美さん!来たわよ!」


さやか「ほむら!」



ほむらの元へ集結する三人




ほむら「あれは…」

ほむら「美樹さやか!来てくれたのね…!」




615 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:56:04.37hvINNmim0 (72/98)



杏子「よーし、四人全員が揃ったんだ!やろうぜ!」


マミ「この位置から狙うわ!」


ほむら「やつに止めを刺す…!」


さやか「やれる…やってみせる!!」



ダッ!


マミをその場に残し、三人が大きく跳躍する




616 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:56:31.24hvINNmim0 (73/98)



マミ「…」


グググッ



マミ(銃の形をイメージ…)

マミ(今の私なら…作り出せる…)


マミ(メモリーディスプレイの記録で見た…あの銃を…)



シュゥゥウウ



マミ「できた…!」


マミ「メテオールショット…!」グッ


二丁のメテオールショットを作り出し、両手に持つ




マミ「さぁ…!これは外せないわよ!」


銃に魔力を溜め始める





617 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:57:05.39hvINNmim0 (74/98)


……………………………………



さやか「たぁぁあああ!!」

杏子「うぉぉおおお!!」



ガキンッ!


ワルプルギス『アーーーッハハハハハ!!!』



さやか「くっ!!」

杏子「速すぎてロクに攻撃できねぇ…!」



ワルプルギスに弾き飛ばされる二人



ワルプルギス『ヒャァアアッ!!』グンッ




618 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:57:35.15hvINNmim0 (75/98)


ドガッ!!


さやか「うわぁあっ!!」



ドゴォオオン…


ワルプルギスの腕に薙ぎ払われ、ビルに叩きつけられるさやか



杏子「さやか!…この野郎!」



ワルプルギス『キャハハハハハ!!!』





619 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:58:03.19hvINNmim0 (76/98)



ほむら(時間停止…!)カチン



ジャキッ


ほむら「…」


ディバイトランチャーを構える



ほむら(ありったけの魔力を込めて…!!)



バァン!!



ほむら(停止解除!)カチン





620 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 00:58:31.57hvINNmim0 (77/98)



ドグシャッ!


ワルプルギス『グヒャァアアア!!?』



ほむらの放った強力な魔法弾はワルプルギスの顔面に直撃する




ほむら「杏子!ヤツの動きが止まったわ!」


ほむら「一気に仕掛けなさい!!」



杏子「!…よっし!!」ダッ





621 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:00:41.07hvINNmim0 (78/98)




杏子「いくぜぇー…!」


シュゥゥウウ…



杏子の槍の先端に魔力が集束する


杏子「はっ!」ダッ



グググググッ



宙に跳び上がり、弓なりに大きく身を反らす



杏子「でぇぇえええやぁあああああ!!!」


ブンッ!!





622 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:01:19.51hvINNmim0 (79/98)



ドゴォォォオオオン!!


ワルプルギス『ギッ!!アアアア!!!』



ワルプルギスの下半身の巨大な歯車に、杏子が投げた魔力を帯びた槍が突き刺さる


ゆっくりと回転していた歯車は、槍が食い込み、その回転を止める




ワルプルギス『グッ!?キ…キャハハ!!』ガガガ…



杏子「効いてるぞ!!」

杏子「ほむら!あの槍に撃ち込んでやれ!」


ほむら「ええ…!」ジャキッ



バンバンバンッ!




623 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:01:54.16hvINNmim0 (80/98)




ワルプルギス『キィィヤハハハハ!!?』


バキバキバキッ




ほむらの魔法弾が杏子の槍を杭打ちの要領で深く打ち込む




ドゴォオオオン… ガラガラガラ…


暴れ回るワルプルギスが落下し、
ビルに墜落する



杏子「やったぜ…!」


ほむら「よし…このままあのポイントへ」





624 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:02:35.78hvINNmim0 (81/98)


ワルプルギス『アヒャヒャヒャヒャ!!アーーッハハハハハ!!』


バシュシュシュッ!



ほむら「!?…なにを…」



ビルに突っ込んだワルプルギスが滅茶苦茶な方向に大量の光弾を発射する



杏子「なんだ!?最後の悪あがきか!?」



ヒュゥゥゥゥウウン


ほむら「…!」

ほむら「…違う!!ヤツにはこっちの作戦が…」

杏子「!…あっちは…」




ほむら「マミ!狙われているわよ!!」





625 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:03:11.13hvINNmim0 (82/98)



マミ「…え?」


あらぬ方向へ飛んでいったはずの光弾が向きを変え
その全てがマミへと向かう



ほむら「避けて!!」



杏子「マミから離れすぎた…!この位置からじゃ間に合わねえ!!」ダッ




ワルプルギス『キヒャハハハ…!!』



マミ(ここで避けたら…ありったけ溜めた銃の魔力が散らばってしまう!)


マミ(あの光弾が着弾するまでに撃つしか…!!)








スタッ

さやか「ま、マミさんっ!!」





626 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:07:06.98hvINNmim0 (83/98)



大量の光弾とマミの間にさやかが割り込む



マミ「美樹さん!?離れなさい!!」


さやか「嫌です!マミさんはヤツから目を離さないで!!」チャキッ


剣を握りしめ、構える



マミ「なにをする気なの!?あれだけの数が当たればタダでは…!!」




さやか「怖いけど…怖いけどやりますっ!!」

さやか「あたしは…もう恐怖から逃げない!」


さやか「それが戦うってことだから!!」


マミ「!!」


ゴォオオオ…





627 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:07:57.66hvINNmim0 (84/98)



さやか「だぁぁあああああああっっ!!!」ブンッ


バシュゥゥウウ!

マミ「!?…これは…!」



大量の光弾を剣で受け止める





さやか「うっ…ぁあああああっ!!」


さやか「こ・ん・の・ぉぉぉおおおおおおお!!!!」




バシュゥゥウウン!!



マミ「!!!」




628 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:08:35.57hvINNmim0 (85/98)



受け止めた光弾のエネルギーを剣に溜め、
ワルプルギスに向けて放出する



ワルプルギス『!!?…キャアヒャァアアアア!!』


ドガガガッ!!



ほむら「すごい…!あんな業を!」



さやか「…くっ…あ…」ガクッ


バキィン!



砕け散った剣を落とし、膝をつく

剣を握っていたさやかの手の手袋は焼け焦げ、跡形も無くなっていた





629 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:09:03.95hvINNmim0 (86/98)



シュゥウン!


マミ「!! そんな…まだ来るの!?」

さやか「…!」



返し切れなかった光弾が再び向きを変え、二人に迫る



ググッ…



さやか「まだまだっ…!!」バッ


マミ「美樹さんっ!もういいから離れて!」



剣を生成が間に合わないさやかがその身を盾にする




マミ「なっ…!?やめて!」






630 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:09:49.46hvINNmim0 (87/98)


ズバッ ドカァアン!






マミ「!!」

さやか「あ……き、杏子…!」



杏子「…さやか…やるじゃん」



間一髪のところで杏子の槍が光弾を叩き斬る



さやか「はは…は…ありがと…」フラッ


ガシッ


杏子「おおっと!」




631 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:10:44.11hvINNmim0 (88/98)


ダッ!


杏子「マミ、ほむら!トリはアンタ達だ!上手くやれよーっ!!」


さやかを抱え、その場から離れる杏子




マミ「…ええ!」ジャキッ

ほむら「これで決着をつける…!」スタッ




シュゥウン


狙撃ポイントに着き、ファイターを設置するほむら


両手のメテオールショットに魔力を溜め終えるマミ





632 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:11:10.09hvINNmim0 (89/98)



ほむら「この向きなら当てれる…!!」カチッ


ほむら「スペシウム弾頭弾…!」



バシュシュシュン!!



ほむらが右手の装置のスイッチを押すと同時に六発のミサイルが放たれる


ワルプルギス『!!!?』




ほむら「マミ!今よ!!」

マミ「…!」チャキッ


マミ「キャプチャーキューブ!!」



パシュゥン!





633 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:11:55.91hvINNmim0 (90/98)



ワルプルギス『ハヒャッ!!?』


パシィィン!




スペシウム弾頭弾が着弾した瞬間


メテオールショットから放たれた多数の光線が一直線に進み


それが立方体型のバリアーを形成する



ドガァァァアアアアアン!!!



ワルプルギス『アアアアヒャァアアア!!』




バリアーはワルプルギスを爆発の衝撃から隔離し、
逃げ場を失った破壊のエネルギーが増幅しワルプルギスに襲いかかる





634 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:12:47.39hvINNmim0 (91/98)




ワルプルギス『ヒャ…ヒャハッ…!!』



バキバキバキッ


ワルプルギス『アァァアアアアッハハハハハ!!!キャーハハハハ!!!』


ワルプルギス『ハァァァァアアギャアアアッハハハハハ!!!!!』




シュゥゥウウウン… パンッ






弾けるような音を立て



ワルプルギスはバリアーと共に完全に消滅する






635 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:13:34.65hvINNmim0 (92/98)



シュォォォオオオ…




ほむら「……勝っ…た」



マミ「…ふぅっ……」



シューン


変身を解除し、息をつくほむらとマミ





杏子「終わった…な!」


さやか「やっ…たぁぁあああ!!」



杏子とさやかも変身を解除し、喜びを分かち合う






636 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:14:02.61hvINNmim0 (93/98)



……………………………………


ダイゴ「…!!」


我夢「ワルプルギスが…消え去った!」


アスカ「よっしゃぁあああ!!!」




ワルプルギスの消滅を確認し、歓喜の声を上げる三人






637 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:14:40.15hvINNmim0 (94/98)



アスカ「こうしちゃいられねぇ!」

アスカ「早くあいつらを迎えに行こう!」


我夢「ええ!行きましょう、ダイゴさんも!」



駆け出そうとする二人



ダイゴ「ああ…!彼女達は勝ったんだ!」


ダイゴ「本当によかった…」



タッタッタッ




638 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:15:08.33hvINNmim0 (95/98)



……………………………………



マミ「さぁ…帰りましょう?」


ほむら「ええ…あの三人も心配してるでしょうからね…」


杏子「今回ばっかりはコンビネーションの勝利だな!」


さやか「なんか不思議だね…あたし達が一緒に戦ってるってさ」



ほむら「…そうね」


肩を並べてその場から立ち去ろうとする四人




ほむら「…!」ピクッ


ザッ





639 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:15:38.75hvINNmim0 (96/98)




突然立ち止まり、表情を険しくするほむら



マミ「暁美さん…?」


杏子「お…?どうしたほむら?」


さやか「んー?」














QB「やぁ…まさかウルトラマン達の力を借りずに勝つとはね…」トテトテ


ほむら「インキュベーター…!!」





640 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:24:31.76hvINNmim0 (97/98)

   ~次回予告~



……………………………………


QB『君達に許される唯一の行為は』


QB『これから見せる僕の新しい力に恐怖し』


QB『絶望することだけだ』


……………………………………


さやか「杏子ぉぉおおおっ!!」


マミ「この…タイミングでっ…ソウルジェム…が…!」


ほむら「まどかを…返して…」


……………………………………


アスカ「あいつらは今…自分に出来ることを精一杯やってる…!」


我夢「僕達も…やるべきことをやるんだ!」


……………………………………


ダイゴ「そんな運命なんて…変えればいい」


……………………………………



???『鹿目さん…』


???『いえ……まどか…』


まどか「…ほむら…ちゃん…?」





641 ◆jPpg5.obl62011/07/11(月) 01:25:51.86hvINNmim0 (98/98)

今日はこれで終わりです

結局こんな時間での投下になってしまったい


642VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/11(月) 01:27:51.18c5ZDUbZ5o (1/1)

乙~ いよいよクライマックスか。はたして、まどかやウルトラマン達に出番はあるのか!?次回も期待。


643VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/11(月) 01:33:22.48u4Ct/gxio (1/1)

乙まど


ギリギリまで頑張って、ギリギリまで踏ん張った
これで駄目なら巨人さん達にご出陣願うしかあるまいて


644VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)2011/07/11(月) 01:54:01.455298dEZGo (1/1)


ワルプルギス戦めちゃくちゃ燃えた!本当よかった!
予告wイレギュラー達の活躍が…?また次回楽しみだ


645VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/11(月) 02:07:17.52pMT4buiSO (1/1)

追い付いた 乙!
ヤプールがなんかたくらんでそうだな…


646VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/11(月) 08:08:10.46ZFlTH7RBo (1/1)

お疲れ様でした。


647VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(奈良県)2011/07/11(月) 18:59:22.56qY3ZqsRfo (1/1)

いかにもウルトラマン的な良い話だな
感動した!


648VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/11(月) 20:17:32.61zNgttOpt0 (1/1)

乙! 熱いワルプルギス戦ごちです!

ヤプールもそうだがQBも何やら腹に一物持ってるふうなんだよな~…。
あと冒頭から伏線になってるまどかのアクセサリーの正体も気になる…。

続きを楽しみにしとります。


649VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/11(月) 20:39:51.15m0VOpLUAO (1/1)

乙だぜ

ヤプールとQB…お互いに腹黒いもの同士だから、どう仲間割れするのか楽しみだわ


650VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/11(月) 21:53:08.3801+YRrOio (1/1)

乙まみ
ヤプールのもしもの時の保険とは…


651VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)2011/07/11(月) 21:55:40.66jwHsdKLVo (1/1)

アフラック


652VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/11(月) 22:06:18.59nPOhhz65o (1/1)

>マミ(私は…あんな人達を守るために…)

この辺の台詞から

「素直に言うがいい。人間たちに失望した、と」

とつなげるのかな

しかし今回は熱かった

クラーコフ、浮上せずを久々に観直しちゃったよ


653 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:28:57.22B69pS99z0 (1/103)

再開します
終わりが見えてきた


654 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:29:31.09B69pS99z0 (2/103)



QB「…」


杏子「!…この野郎、人が良い気分の時に現れやがって…」チャキ

さやか「…丁度良いじゃん、こいつには聞きたい事いっぱいあるし」チャキ

ほむら「ワルプルギスの夜という脅威は去った…あとはあなた達だけね」ジャキッ



武器を構え、キュウべえを睨みつける三人




マミ「ちょ、ちょっと待って!そんな脅すようなことせずに…」



ほむら「…甘いわね、マミ」

ほむら「あなたはキュウべえと一番長く一緒に過ごしていたようだけど…」


杏子「そいつが何か企んでんのは分かってんだ!」


さやか「脅しが効くような相手とは思えないけど…無理やりにでも吐かせてやる!」





655 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:30:09.27B69pS99z0 (3/103)



ほむら「さぁインキュベーター…答えてもらうわよ」

ほむら「あなた達の目的が宇宙の延命だということ…らしいけど」

ほむら「あれは本当なの…?」



QB「…」

ほむらの質問に答えず、
あらぬ方向を見つめて動かないキュウべえ



さやか「答えたくないってか!?」

ほむら「正直言って…今のあなたはこれまで私が別の時間軸で接触してきたインキュベーターとは違う」

ほむら「執拗に契約を持ちかけてくることはあったけど…まどかを連れ去るなんて強行策は初めてよ」



QB「…」


杏子「だんまりかよ、おい」

さやか「まどかを返してよ!」

マミ「キュウべえ…お願い、鹿目さん達を返して?」



ほむら「あなたに出来ないのならあの黒服に頼むわ…アイツを出しなさい」

ほむら「まどか達を連れ去ったあの能力はアイツの物なんでしょう?」





656 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:30:38.44B69pS99z0 (4/103)



杏子「…なんとか言えよ!」


QB「…うん」



さやか「…!」

マミ「…」

ほむら「…インキュベーター…あなたは…」



QB「うん…そう…」

QB「そうだよ。予想は外れたみたいだ」

QB「ああ。やっぱりそうなるだろうね」





ほむら「!?」

さやか「え…え?」

マミ「キュウべえ?」

杏子「こいつ…誰と話してるんだ…?」





657 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:31:05.31B69pS99z0 (5/103)



QB「…そうかい」

QB「たしかに三人のウルトラマンのデータを取れなかったのは残念だけど」

QB「彼女達を残しておくのは…確かにね…」

QB「わかった。命令が出たのならそうしよう」

QB「それじゃ」


キュウべえが四人に向き直る


QB「待たせちゃったね」



ほむら「…今誰と話していたの!?」

杏子「お前また何か企んでんのか!!」



QB「いや…はっきり言って君達は先の戦いで全滅すると思っていた」

QB「大したものだよ!」



マミ「っ…!」

さやか「マミさん…」




658 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:31:39.46B69pS99z0 (6/103)



ほむら「…もういい…話が噛み合わない」チャキッ


銃を構え、キュウべえを睨みつけるほむら


ほむら「あなたが知っていることを洗い浚い全部教えなさい」






QB「…今から排除される君達にそんな事を教える必要は無いみたいだよ」





さやか「な…!?」

杏子「…やるってのかい?」

マミ「そんな…」


咄嗟に身構える四人



ほむら「本性を現したってことね…」





659 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:32:22.21B69pS99z0 (7/103)



QB「本星からの命令が出た以上そうするしかない」



杏子「…アンタ本気かい?一匹でこの人数に…」

ほむら「あなたが戦う術を持っているとは思えないのだけれど?」



QB「そう、今まではね」

QB「だが異次元人ヤプールの力を借りて…僕自身はとてつもない力を手に入れた」

QB「これを使ってしまえば…君達が全滅するまで暴れまわることになる」


ほむら「ヤプール?…それがあの黒服の…?」


シュゥゥゥウウン…


さやか「…なんの音?」

マミ「…!」




マミ「暁美さん!上!!」





660 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:33:00.21B69pS99z0 (8/103)



ほむら「…!?」


上空からキュウべえのいる場所へ巨大な赤い球体が落下してくる



杏子「退がれ!!」

ガシッ

ほむら「うっ…!」


ほむらの腕を掴み、後ろへ飛び退く杏子



マミ「美樹さん!!」

さやか「わぁああっ!?」






ドゴォォォオオオン!





661 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:33:31.27B69pS99z0 (9/103)



……………………………………



ドゴォォォオオオン ズゴゴゴゴ…



アスカ「うおっ!?」


我夢「なんだ…!?あの光は…!」


ダイゴ「あの位置には…みんなが…!」



球体の落下による衝撃波でよろめく三人





ゴゴゴゴ…



アスカ「…!!」


我夢「!…あれ…は…?」


ダイゴ「…怪獣?」





662 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:34:31.22B69pS99z0 (10/103)





……………………………………



さやか「なん…だよ…なんだよコレぇ…!」

マミ「キュウべえ…!?それは…」

ほむら「…魔女?…違うわね…」

杏子「おいおい…こんな隠し玉が…」




ガラガラガラ…



四人の目の前にワルプルギスの夜以上の巨大な影が立ち塞がる




QB『…すごい…ね…これは…』


QB『ヤプールの怨念が体の中から溢れ出してくるようだよ…!!』


QB『ふふ…ふふふふ…』



杏子「でっ…けぇ…」

ほむら「…?」


ほむら(インキュベーターが…笑った…?)





663 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:35:01.05B69pS99z0 (11/103)



杏子「おい!あれ見ろ!」

さやか「うっ…!?」



杏子が指差した先、
怪獣の額にある赤い結晶体にキュウべえがその半身を同化させていた




QB『こんなもので驚いてもらっちゃ困るよ』


バキバキバキッ!ゴキッ…


QB『まだまだ変わるよ…!!素晴らしいね…!』


ドゴゴゴゴゴ…



周辺の建物を押し潰し、怪物はその大きさを増していく

巨大な下半身の側面から新たに足が二本生え、昆虫を思わせる姿へと変貌し、

黄金色の上半身からは大小さまざまな大きさの不気味に蠢く触手が飛び出す




さやか「こんな…こんなのって…!」


杏子「なんだ……何なんだよその姿は!!」


QB『…ウルトラキラーザウルス・ネオ…』

QB『ウルトラマン抹殺の為の力を…君達から手に入れたエネルギーで少しばかり強化した』






664 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:35:34.33B69pS99z0 (12/103)




マミ「キュウべえ…どうして…」


QB『マミ…君には随分世話になったけど…』

QB『君達を消すことはもう決定されてしまったんだ』

QB『運が悪かったと思って…死んでよ』



ほむら「…ここまできて…!」

杏子「ふ…ふざけんな!そんなワケわかんねー理由で…!!」



QB『君達に許される唯一の行為は』

QB『これから見せる僕の新しい力に恐怖し』

QB『絶望することだけだ』



グオッ





665 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:36:03.07B69pS99z0 (13/103)



巨大な足を上げ
四人に向かって振り下ろす


さやか「き、来たっ!!」


マミ「…」


ほむら「!? マミ!何をしているの!?」


Uキラーザウルスの姿を見上げたまま、呆然と立ち尽くすマミ



さやか「マミさんっ!!」


杏子「ッ…!!」



ガシャン!


ドゴォォオオオオォン!!





666 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:36:39.78B69pS99z0 (14/103)



ガガガガッ!


QB『おや』


杏子「ぐっ…おあああ…!!」


さやか「!! 杏子!」




振り下ろされた足を障壁で受け止める杏子



杏子「ボサッとしてんじゃ…ねぇっ…ぞ!!」グググッ

マミ「あ…!さ、佐倉さん!!」



杏子「こいつはっ…アタシ達を殺しにきてんだ!!」

杏子「油断してたら……死ぬぞ!!」



マミ「!…」

ほむら「障壁が砕けるわ!」



バキン!!





667 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:37:25.26B69pS99z0 (15/103)



……………………………………


ヤプール「始まったか」


???「そうみたいだ。君はどうなると思う?」


ヤプール「…魔法少女だけであれを倒すことは不可能だ」


???「だろうね…剣や銃でどうにか出来るようには思えないし」


???「どちらにしろ…地球へ向かわせたあの個体は…」





668 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:38:29.33B69pS99z0 (16/103)



???「鹿目まどかはどうなったんだい?」


ヤプール「まだあの空間にいる。ソウルジェムにも少しづつ穢れが溜まっているようだ」


???「彼女があの空間で魔女化するのも時間の問題かな」


ヤプール「…さて」


ヤプール「どうだろうな?」



???「早いとこ魔女化して欲しいんだけどね。大したエネルギーを持ってるわけでもないし」

???「まぁ今となってはどっちに転んでも…」



ヤプール「…なら絶望させて止めを刺すとするか」

ヤプール「終わりだ、鹿目まどか」



ヤプールの目が怪しく輝き、空間が歪む




669 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:39:09.88B69pS99z0 (17/103)



……………………………………


バババババッ


ほむら「く…!」


マミ「これならっ!!」



重火器の一斉射撃がUキラーザウルスの上半身に直撃し、
辺り一面が爆煙に包まれる




Uキラー「グルルルルル…」ズンッ

QB『無駄だというのが解らないのかな?』





二人の魔法少女の攻撃をものともせずに、爆煙の向こうからその巨体を現す



ほむら「!…駄目…」

マミ「止まらない…っ!!」





670 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:40:01.47B69pS99z0 (18/103)




ダンッ


杏子「うぉぉおおおおおっ!!」

さやか「このぉぉおおお!!」


ドガガッ



QB『…なんだいそれは?』




杏子とさやかが同時に足に斬りかかる

しかし、黒く硬化した外殻に難無く受け止められてしまう



杏子「ちぃっ!!」

さやか「う…ぅっ!ビクともしないっ!!」





671 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:40:34.41B69pS99z0 (19/103)



QB『そろそろ反撃するよ!』

Uキラー「グァオオオオオオオオオオオオ!!!」


ヒュヒュン!


杏子「な…ッぐうっ!?」ドガッ

さやか「うっ…くあぁ!!」ドゴッ



防御が間に合わず、無数の触手に弾き飛ばされ、ビルに叩きつけられる



ドシャッ…



ほむら「さやか!杏子!」


さやか「うぅ…」

杏子「ぐっ…一発当たっただけで…バラバラになりそうだ…」


マミ「待ってて!今治療を…」




672 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:41:06.66B69pS99z0 (20/103)




QB『ほらほら休んでる暇なんてないよ!』


Uキラー「グガァァアアアア!!」


バシュシュシュン!


背中の大量の棘が生体ミサイルとなり、四人の上に降り注ぐ



杏子「なっ…!!?」

さやか「避け切れない…!」



ほむら「!…」

ほむら「マミ!こっちに!」ガシッ

マミ「え!?ちょ、ちょっと…」




カチン




673 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:42:03.63B69pS99z0 (21/103)



生体ミサイルが空中で静止し、
同じくUキラーザウルスもその動きを止める



マミ「!?…止まってる…?」


ほむら「私の能力よ…私達以外の時間は今は停止している」


ほむら「あなたも私に触れている限りは止まった時の中を動けるから…」


チャキ


マミに体を密着させた状態で銃を構える




ほむら「この間にミサイルを撃ち落とす…離れないで!」

マミ「!…そういうことね…わかったわ!!」チャキ





674 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:43:13.02B69pS99z0 (22/103)


ババババッ

ほむら「…」


マミ「よし…!」



バンバンバンバンッ


マミ「…!」

ほむら(これは…!)



ミサイルへ銃を撃ち続ける

しかしその数は二人の予想を遥かに上回っていた


ほむら「うっ…くっ…!!」ガクッ

マミ「暁美さん!?」




ほむら(迎撃が間に合わない…っ!)


ほむら「マミ…もう限界よ…時間停止が…!」

マミ「え!?」





カチン


マミ「!!?」





675 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:43:43.26B69pS99z0 (23/103)




ドカァァアアン


QB『!!…』


杏子「な、何だ…!?」

さやか「ミサイルが…」


シュゥウウウウン…



ほむら「油断しないで!次が来るわ!」ガシッ

マミ「二人ともこっちへ!一旦退くわよ!!」ガシッ



ほむらが杏子を、マミがさやかの手を引き、その場から飛び退く





ドゴゴォォオオオン…!


ほむら「っ…!!」





676 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:44:45.48B69pS99z0 (24/103)



……………………………………

……………………………………

……………………………………




まどか「…」



まどか「……みん…な…」



まどか「戦ってるの……かな…」



まどか「ワルプルギスの夜……」



まどか「………」



ビクンッ



まどか「…!」





677 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:45:46.24B69pS99z0 (25/103)




まどか「な、何…?今何か…」



マミ『鹿目さん』

まどか「!!?」


杏子『よう、まどか』

さやか『久しぶり…かな?』



まどか「さやかちゃん!?な、なんで…」


ほむら『まどか…』


まどか「あ…」



まどかの目の前に、
巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか、そして暁美ほむらが現れる



まどか「よ、よかった…ほむらちゃん…!」タッ

ほむらに駆け寄るまどか





678 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:46:31.07B69pS99z0 (26/103)







ほむら『…』

ドシャッ


まどか「………え?」


まどかがほむらに手を伸ばした瞬間、
ほむらの体は真っ赤な血を流し、力無く崩れ落ちた









679 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:48:05.54B69pS99z0 (27/103)





まどか「ほ、ほむらちゃん…?ほむらちゃんっ…!!?」

まどか「やだ…やだ…!!」




目を開いたまま力尽きたほむらを抱きしめ、絶叫する





まどか「いやぁぁぁあああああああああっっっ!!!!」






680 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:48:42.54B69pS99z0 (28/103)





まどか「なんでぇ…?」ジワッ

まどか「なんでこんな事に…」



ドカッ



まどか「ッ……!」ドシャ

杏子『解ってんだろ?』



杏子が涙目のまどかを蹴り飛ばし、さやかが耳元で囁く





さやか『あんたのせいだってね』ニコ

まどか「!!!」





681 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:49:23.48B69pS99z0 (29/103)




マミ『所詮あなたは自分じゃ何も出来ないの』

マミ『何かあったら誰かが何とかしてくれると思ってるような人間と…一緒にいたくないわ』




杏子『誰かの為にとかそんなんでよく言えるよな?』




さやか『魔法少女になったのに…足引っ張って迷惑掛けるだけなんだから』






うずくまり、耳を塞ぐまどかの周りに魔法少女達が集まる


まどか「……」





682 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:50:13.08B69pS99z0 (30/103)



ほむら『まどか…』

まどか「あ…ほむらちゃん」


地面に転がったほむらの顔がまどかを見つめ、
ゆっくりと口を開く




ほむら『全部あなたのせい』


ほむら『あなたのせいで…私は……』



まどか「う…うううぅぅぅ………!!!」


ピシッ…ピキピキッ…

穢れの溜まったソウルジェムに少しづつヒビが入る




ほむら『あなたが…あなたさえいなければ……』

まどか「うぅ…うあぁぁああ……!!」





683 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:50:50.83B69pS99z0 (31/103)




まどか(…もう…いやだ…)



まどか(悲しいくて……)



まどか(辛くて……)



まどか(痛い………)



まどか(怖い……)



まどか(もう……)



まどか(こんなの………)




ピキピキ






684 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:51:22.59B69pS99z0 (32/103)





ほむら『ねぇ…まどか…』









ほむら『消えて……?』









まどか「…!!」


まどか「ぁぁぁぁぁああああああっっ!!!!」



ビキッ







685 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:51:52.79B69pS99z0 (33/103)


















『闇に惑わされるな』



















686 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:52:27.20B69pS99z0 (34/103)



シュォォオオオッ…



杏子『なに…!?』

マミ『…!!』

さやか『あ…』




ほむら『…』

ほむら『ちっ…』



まどか「え……?」




まどかの頭の中にほんの一瞬、銀色の巨人の姿が浮かび上がり


目を見開き、驚いた瞬間には辺り一面が真っ白な世界へと変わり




耳元で囁いていたさやかと杏子
少し離れていたところで嘲笑っていたマミ

そして血塗れでまどかに語りかけていたほむらは




跡形もなく消滅していた





687 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:53:23.00B69pS99z0 (35/103)



まどか「な、何が…?」

まどか「……あ…れ?」

まどか「わたし…さっきまで砂漠に…」



???『鹿目さん…』



まどか「…?」



???『いえ…まどか…』



まどか「…!」




真っ白な世界に取り残されたまどかの目の前には

眼鏡を掛けた三つ編みの少女が立っていた






まどか「………」


まどか「ほむら…ちゃん…?」







……………………………………

……………………………………

……………………………………




688 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:53:50.72B69pS99z0 (36/103)



……………………………………



~裏通り~


マミ「…はい、どう?佐倉さん」

杏子「ああ…悪い、助かった」


杏子の傷を魔法で治療し、裏通りで身を寄せ合う四人



マミ「美樹さんは?あなたも傷を…」


さやか「あたしは…もう大丈夫です!自分の能力である程度は…」

さやか「それに…あの時とっさに杏子が庇ってくれたし…」

マミ「…そう」



杏子「へっ……気付いてたのか」

さやか「へへ~…まぁね」


お互いの顔を見て、自嘲気味に笑う



ほむら「体勢を整えたところで相談なんだけど…どう戦いましょうか…」





689 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:54:38.96B69pS99z0 (37/103)




杏子「…グリーフシードのストックは?」


ほむら「もう無いわ…全員連戦でかなり消費してる」

ほむら「それに加えて…あの怪物相手に結構使ったもの…ね」


杏子「…くそっ」ドンッ


握りしめた拳を壁に打ち付ける杏子





さやか「魔力を込めた攻撃じゃないとアイツの体にダメージ与えるのは難しいと思う…」

マミ「でしょうね…普通の攻撃じゃ駄目…あの巨体にはビクともしないわ」



さやか「あたし達…あとどれくらい戦えるんだろ…」

マミ「…」




690 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:55:18.62B69pS99z0 (38/103)



杏子「普通の攻撃じゃ駄目…か」

ほむら「ええ、それにいくら強力な攻撃を繰り出してもヤツを倒せなければ無意味よ」



さやか「…じゃあどうするのさ!?」

マミ「狙うなら…最大火力の攻撃を弱点に…かしら?」

杏子「弱点って…あの化け物にそんなのあるのかよ?」



ほむら「弱点…?」

ほむら「…………!!」バッ

ほむら「あるかもしれない…!ヤツを倒す方法が!」



ほむらが突然顔を上げ、提案する



杏子「マジかよ…!?」





691 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:55:47.30B69pS99z0 (39/103)



ほむら「ええ…アイツの弱点…」

ほむら「額よ」トントン


自分の額を指で突きながら三人に説明する



さやか「額?……あっ!」

杏子「なるほどな……そういうことか」

マミ「…キュウべえね」



ほむら「そうよ、あの怪物が現れた時…額の結晶体と一体化したインキュベーターを見たわね?」

ほむら「あの怪物はおそらくインキュベーターの意思で動いている…」

ほむら「一体化したあの部分は…言わば脳みたいなものね」



さやか「そこを潰す…ってワケ?」

ほむら「ええ」




マミ「…それは無理よ」





692 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:56:15.85B69pS99z0 (40/103)




さやか「えっ?」

杏子「…」

ほむら「…」


マミ「確かに…そこを狙えば勝機はあると思う」

マミ「けど…どうやって狙うの?」


険しい表情でほむらに問う



マミ「見上げるほどの巨体なのよ…!?」

マミ「あの弱点を突くには下からじゃ射線が通らないわ…!」



さやか「じゃ、じゃあ!アイツより高い所から狙えば…」

杏子「あの化け物より高い建物なんて滅多に無いよ…あったとしても今日の戦いで破壊されてる」



さやか「そ…そんな…」


提案も空しく、がっくりと肩を落とすさやか





ほむら「あるわよ…アイツより高い所から攻撃する方法が」

マミ「!?」






693 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:57:31.65B69pS99z0 (41/103)



杏子「何…!?」

さやか「ほ、ホント!?」



ほむら「本当よ」

ほむら「ただ…かなり危険…賭けみたいなものよ」




さやか「…この際だ!アイツを倒せるなら何だってやる!!」

マミ「…嫌な予感しかしないのだけれど?」


ほむら「鋭いわねマミ」


杏子「勿体ぶってないで教えてくれよ!その方法ってやつをさぁ!」




ほむら「…わかったわ」





694 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:58:36.74B69pS99z0 (42/103)



ほむら「じゃあまず…」

ほむら「マミ、杏子…あなた達には待機していてもらうわ」


杏子「はぁ!?」

マミ「ちょ、ちょっと待ちなさい!あなたと美樹さん二人でやると言うの!?」


さやか「…!」


作戦を聞いた二人がほむらに詰め寄る



ほむら「もちろんあなた達にもやってもらうことはある」



ほむら「でも…今のところソウルジェムの穢れが少ないのは私達二人…」

ほむら「これが最善の策なのよ…さやか、いけるわね?」



さやか「お…おー!もちろん!」

ほむら「…よし」





695 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:59:05.62B69pS99z0 (43/103)



さやか「でもさ…」


さやか「どうやってアイツより高い位置に行くのさ?」

さやか「あの体をよじ登っていくとか?」


ほむら「いいえ…それじゃあ途中であの触手に叩き落とされるのがオチだわ」



杏子「…触手……」

杏子「…!!」


マミ「…佐倉さん?」



杏子「おいほむら…アンタまさか……」




ほむら「…」



……………………………………



696 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 22:59:35.92B69pS99z0 (44/103)



……………………………………




ほむら「……」

マミ「め…めちゃくちゃだわ…正気の沙汰とは思えない……!」


作戦を説明し終えたほむらに対し、声を荒げて反論するマミ


マミ「無茶よ!…そんなことをして…攻撃する前に限界が来てしまったら…」

ほむら「無茶は百も承知よ」



さやか「…」

杏子「何か別の策は無いのかよ…?」


ほむら「無いわね。ダメージ覚悟で行くしかない」



杏子の問いに、キッパリと言い放つ





697 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:00:24.01B69pS99z0 (45/103)



ほむら「そうでもしなきゃヤツは倒せない…」

ほむら「さやか…覚悟を決めなさい」




さやか「…」

さやか「…分かったよ!」

さやか「もう逃げないって高らかに宣言しちゃったしね!!」パシン!


気合いを入れるように自分の頬を叩く



ほむら「あなた達二人には…私達がヤツを倒した後に触手を攻撃してもらいたい」



杏子「…わかったよ」

マミ「……任せて」グッ





698 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:01:03.55B69pS99z0 (46/103)




ゴゴゴゴゴゴ…


マミ「…近いわ!」

ほむら「来たようね…頼むわよ、みんな…!」

杏子「…ちゃんと仕留めろよ…?」

さやか「わかってるって!」





ドゴォォオオォン



Uキラー「グギャォオオオオオオ!!!」

QB『…見つけたよ!!』



建物を触手と扇状の手で破壊し、Uキラーザウルスが出現する



さやか「ほむら!」

ほむら「ええ!こっちに!!」


ダッ



杏子「マミ!アタシ達はこっちだ!!」

マミ「分かってる!」





699 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:01:30.69B69pS99z0 (47/103)



さやか「…」

ほむら「…」


武器を構えず、Uキラーザウルスの前に立ちはだかる二人



Uキラー「グゥ……?」

QB『…何のつもりだい?諦めたとでも?』


ほむら「さぁ?どうでしょうね?」

さやか「…」


QB『あとの二人はどうしたんだい?』


ほむら「答える必要は無いわ。私達だけで十分」



QB『…ふぅん』

QB『じゃあ…死んでよ!!』





700 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:01:56.85B69pS99z0 (48/103)



Uキラー「グガァァアアアア!!!」


グオッ


ほむら「!…」

さやか「うわぁああ…!」


ガシッ カチン



足が振り下ろされる瞬間、
ほむらがさやかの手を引き、時を止める


ほむら「こっちへ!」

さやか「!…う、うん!!」


カチン



QB『…!』

ドズゥウウウウン…





701 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:03:06.77B69pS99z0 (49/103)




巨大な足による踏みつけを間一髪で回避し、
狭い路地へと飛び込む


QB『逃げられると思っているのかい!?』


シュルルルッ



ほむら「…!」

さやか「来たっ!!」



ガシィッ!



路地に入り込んできた細い触手が二人の腰に巻き付き、
そのまま引きずり上げられる



QB『捕まえた…!』

ヒュン




702 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:04:15.13B69pS99z0 (50/103)




ブンッ ドゴォン!


さやか「うっ…!がっ、あぁっ!!」


ブンッ グシャッ!


ほむら「ぐぅっ!?…あっ!」




鞭のようにしなる触手が二人を振り回し
勢いよくビルの壁面に叩きつける


ほむら「がふっ!!…っあ!」ブシュッ

さやか「ぶっ!?がっ!」ゴンッ



真っ赤な鮮血が飛び散らせ、成すがままの二人





703 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:05:01.85B69pS99z0 (51/103)




ドゴッ ゴッ


さやか(こりゃあ…予想…以上…にっ……)ビチャ

さやか(きっつ……)


血を吐き、頭を庇いながら振り回されるさやか



ドシャッ ガンッ


ほむら「ぐっ、あ……」

ほむら(視界が…霞む……)




薄れゆく意識の中、ほむらの瞳はUキラーザウルスの姿を捉え続ける



Uキラー「グォオオッ!!」



ドゴンッ!





704 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:05:41.09B69pS99z0 (52/103)



杏子「…く…ぅ…!」

杏子「さやか……ほむら…っ!!」グググッ



建物の影に隠れ、拳を握りしめる杏子
その視線の先には一方的に叩きつけられる二人の魔法少女



マミ「耐えなさい…佐倉さん!」

杏子「でも…っ!!」

マミ「…っ…!」


唇を噛み締め、杏子を制止する



マミ(早く…早くっ!!)





705 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:06:11.49B69pS99z0 (53/103)



Uキラー「グルルル……」

QB『随分しぶといね…』


ほむら「あ…ぐぅ…」ギシッ

さやか「っ……あう…」ギシッ



QB『だが…そろそろ終わりにしよう』



グンッ



ほむら「…!!」






706 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:06:45.07B69pS99z0 (54/103)




細い触手に拘束された二人が

Uキラーザウルスの頭より高い位置に上げられる



QB『あれだけ叩きつけられてまだ息があるんだ…』


バリバリバリッ!!




Uキラー「グゥゥウ…」

QB『この一撃で消し炭にしてあげよう…!!』





Uキラーザウルスの背中に生えている一際巨大な触手の先端が開き
帯電を始める






杏子「!!」

マミ「暁美さん!美樹さん!!」





707 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:07:13.58B69pS99z0 (55/103)




ほむら「!!…」

ほむら「ぅぅうう…!!」バッ

ジャキン


ほむら「っっ……さや…かぁぁっ!!」



盾からディバイトランチャーを取り出し、
さやかに向かって声を絞り出すほむら





さやか「わかっ……てるよぉぉおおおっ!!」


シャキン!


剣を左腕に生成し、握りしめるさやか





QB『……!!』





708 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:07:48.38B69pS99z0 (56/103)



ほむら「これでぇぇええっっ…!!」


バァン!!


さやか「トドメだぁぁあああああっ!!!」


ゴウッ!






ほむらの放った魔法弾とさやかの投擲した剣


その二つが強烈な強烈な風切り音を発し、
一直線にUキラーザウルスの額…キュウべえに向かって飛んでいく










杏子「いけーーーーっっ!!」

マミ「お願いっ…当たって!!」





709 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:08:18.80B69pS99z0 (57/103)






QB『…』シュイン


バチッ!!




ほむら「…え」

さやか「あ…れ…?」




魔法弾と剣は直撃する寸前に、

Uキラーザウルスの頭から首部分まですっぽりと覆い尽くす灰色の障壁に弾かれ

粉々に砕け散ってしまう







Uキラー「グルルルゥ…」

QB『亜空間バリアー…なんとか間に合ったよ』






710 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:08:54.13B69pS99z0 (58/103)




QB『なるほどね…やけに簡単に捕まってくれると思ったら…』

QB『触手を利用して僕自身をその位置から狙うためかい…』



さやか「そ…そんな…そん…な…」

ほむら「…」



QB『残念だったね』

QB『ここを狙うっていう考えは悪くなかったんだけど…』

QB『バリアーを張られることは予想外だったんだね?』



ほむら「…」


QB『所詮君達じゃこの力には手も足も出ない』

QB『それじゃ、お疲れ様』



Uキラー「ギャォオオオォ!!!」

バリバリバリッ!!



さやか「ひっ…!!」

ほむら「!…」


バァン!




711 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:09:25.02B69pS99z0 (59/103)




ドグシャッ!


さやか「え…?」

ほむら「…」ジャキッ


QB『!』



ほむらがディバイトランチャーを撃ち、さやかを縛る触手を切断する


さやか「…ほむ…ら…?」


拘束が解かれたさやかは宙に投げ出され
地上へと真っ逆さまに落下していく




マミ「!! 美樹さん!」

シュルルルッ ガシッ


さやか「うっ…!」





712 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:09:54.62B69pS99z0 (60/103)




マミが拘束魔法でさやかを空中で受け止め、
抱き寄せる


さやか「ほむら…が…ほむらがっ…!」

さやか「あたしを…助けるため…に…!」



マミ「佐倉さん!!」



杏子「っ…ほむらぁぁああっ!!」ダッ



杏子がUキラーザウルスへと跳躍し、ほむらを助けに向かう





713 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:10:33.39B69pS99z0 (61/103)



ほむら「あっ…か…」ギシギシッ


QB『…大したものだね』

QB『残り少ない魔力を仲間を助けるために使うとは…』



ほむら「まどか…をっ…!」ジャキッ

QB『ん?』



ボロボロの体で、なおも武器に手を伸ばす




QB『…やめたほうがいいよ?』

QB『いくら魔法少女の身体が頑強でも…もう限界だろう?』



ほむら「ま…ど…か……を…」



うわ言のように友の名前を呟き
焦点の定まらない瞳をキュウべえに向ける





714 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:11:44.88B69pS99z0 (62/103)




ほむら「まどかを…返して…!」



QB『うーん、あれだけ叩きつけられたんだから…』

QB『きっと内臓のどこかが相当なダメージを負ってるんじゃない?』


QB『口の中が血の味でいっぱいだろう?』

QB『大人しくしていればソウルジェムを砕いて楽に――――』




バァン バチッ!




QB『…おやおや』

ほむら「く…くぐぐっ……!!」



魔力を絞り出した決死の一撃も

バリアーに阻まれ、キュウべえには届かない





715 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:13:30.76B69pS99z0 (63/103)




QB『そうか。それが君の答えか…』



ほむら「……ッ!!!」


ほむら「ぁぁぁぁああああああっ!!!!」


ほむら「まどかを返せぇぇぇええええっっ!!!」グッ


ドババババァン!



錯乱し、ディバイトランチャーのトリガーを引く




QB『な…!!』


バチチチチッ!!


放たれた大量の魔法弾、
命を削る攻撃もバリアーの前には全くの無力だった




ほむら「ううぅっ!!ぅぅぅぁぁあああ!!」

バンバンバンッ!





716 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:14:08.84B69pS99z0 (64/103)





QB『暁美ほむら!君は…!!』

QB『そんなに撃ち続ければ君は……!』


ほむら「返せっ!返せっ!」

ほむら「まどかをかえ―――――」




ゴキッ




QB『…』


ほむら「かっ……!」









717 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:14:37.56B69pS99z0 (65/103)




ほむら「………」ピクピク


QB『…最後まで手こずらせてくれるね…』


QB『だがこれで…』


バリバリバリッ!!



赤い稲妻を帯びた触手がほむらに迫る




杏子「だらぁあああっ!」ブンッ!!

QB『!!』





718 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:15:51.20B69pS99z0 (66/103)



ズバッ!


ほむら「…」グラッ

杏子「ほむらっ!!」ガシッ



杏子の投げた槍が触手を切り落とし
支えを失い、落下してきたほむらを杏子が受け止める




QB『…杏子か!』

QB『逃がさないよ!二人まとめて…!』




マミ「キュウべえっ!!」

QB『…マミ?』





719 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:16:16.36B69pS99z0 (67/103)



マミ「喰らいなさい…!」チャキッ

バンッ!



QB『…?』


QB『何を考えているんだい…今更こんな銃弾一発が…』




バチュン!!


QB『うっ!?』

Uキラー「グガッ!?」




720 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:17:12.67B69pS99z0 (68/103)




QB『目が…!』



マミの撃った銃弾がUキラーザウルスのバリアーに接触する直前
強烈な音と共に破裂する


Uキラー「グゥ…ガルルル……」

QB『今のは…』



QB『炸裂弾だね』

QB『目くらましが目的だったってワケかい…』




キュウべえの視界が回復した時、すでに四人の魔法少女達はその場から消えていた



QB『…逃げたか』






721 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:17:43.05B69pS99z0 (69/103)



……………………………………



ガラガラガラ… ゴゴゴゴゴ…



ダイゴ「…」


我夢「圧倒的だ…」


アスカ「……」



暴れ回るUキラーザウルス

傷つく少女達を遠方より見つめる三人



アスカ「…くっそぉぉおお!」

アスカ「もう我慢できねぇええっ!!!」


ダッ





722 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:18:32.98B69pS99z0 (70/103)




ダイゴ「待て!アスカ!!」


駆け出すアスカを引きとめるダイゴ



ダイゴ「…行くのかい?」


アスカ「…当たり前っすよ」クルッ

アスカ「助けに行くに決まってんでしょ!!」


ダイゴに向き直り、怒鳴るように言う





723 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:18:58.38B69pS99z0 (71/103)




ダイゴ「…変身する気かい?」


アスカ「そうです!」

アスカ「確かに俺達のエネルギーはほんの少ししか戻って無い…」


我夢「…」


アスカ「でも…俺は…」

アスカ「黙って見ているだけなんて耐えられないっ!!」



ダイゴ「解っているのかい?」

ダイゴ「少ないエネルギーで変身して…もし負ければ…確実に…」





724 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:19:39.65B69pS99z0 (72/103)



我夢「…だったら」


黙り込んでいた我夢が口を開く


我夢「簡単なこと…負けなければいいんですよ」



ダイゴ「…!」




アスカ「あいつらは今…自分に出来ることを精一杯やってる…!」

我夢「僕達も…やるべきことをやるんだ」



町を破壊し続けるUキラーザウルスを睨みつけ

それぞれの変身アイテムを握りしめる





725 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:20:07.38B69pS99z0 (73/103)




ダイゴ「どうやら皆…気持ちは同じようだね」


アスカ「!…ダイゴさん…」

我夢「…はい!」




ダイゴ「…決まりだね」



ダイゴ「……行こう!」

アスカ「よっしゃ!待ってろよ!!」

我夢「必ず助ける…それまで無事でいてくれ…!」


ダッ


少女達の元へ

三人の男たちが駆け出す





726 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:20:59.56B69pS99z0 (74/103)



……………………………………



半壊したビルの中に身を隠す四人の魔法少女

その内の二人はボロボロに傷つき、すでに戦える状態ではなかった



杏子「マミ、治癒魔法だ!早く!!」

マミ「もうやってるわよ!…やってるけど…っ!」



キュゥウウン…

ほむら「…」

さやか「…んっ」ピクッ



杏子「さやか…よかった…!」





727 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:22:28.47B69pS99z0 (75/103)



さやか「あ…?あたし…」

杏子「マミ!さやかが目を覚ました!!」


マミ「ええ…恐らく美樹さん自身の能力も加わってのことでしょうね」

マミ「でも問題は…」


ほむら「…」


血に塗れ、ピクリとも動かないほむら

その身体になおも手をかざし、治癒魔法を掛け続ける


さやか「マミさん…ほむらは…?」




728 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:24:23.72B69pS99z0 (76/103)



マミ「ソウルジェムが無事なら…まだ助かるハズだけど…」

マミ「肉体へのダメージが大きすぎる…完全に回復するにはまだ…」



ドゴォォォオオオン!!



マミ「!?」

杏子「もう来やがったか…!」

さやか「不味いよ…!このままじゃここが…」




ビルのフロアの床を巨大な触手が突き破り、
半壊状態だったビルが完全に崩壊し始める



ガラガラガラッ!


マミ「く…!」

ほむら「…」ガシッ





729VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2011/07/18(月) 23:24:56.45fyhk173Ho (1/3)

ほむほむー!


730 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:25:26.73B69pS99z0 (77/103)




……………………………………



さやか「いっ……たぁ…」

杏子「…ま…マミ…ほむらは…?」


ガコッ


マミ「大丈夫…ここに…」



瓦礫を押し退け、マミが現れる

その腕にはしっかりとほむらを抱き締めていた


ほむら「っ…あ…」ピクッ

マミ「!!…暁美さん…」





731 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:26:22.93B69pS99z0 (78/103)




ほむら「…ここ…は…?」

杏子「よぉ…最悪のタイミングで起こしちまったな…」



ズンッ ズンッ


Uキラー「グォオオオ…!」

QB『やあ、ようやく見つけたよ!』




倒壊したビルの前に、
追い打ちをかけるようにUキラーザウルスが迫る



バリバリバリッ!!


QB『今度こそ終わりだ』


バシュシュシュゥウウ!!





732 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:26:53.52B69pS99z0 (79/103)



ほむら「インキュ……ベーター…」

マミ「こんな…こんなところで…!」

さやか「…」

杏子「…!!」チャキッ




触手から放たれた赤い雷撃が

瓦礫の上の四人に迫る







ガシャン! ドガガガガガガッ!!








733 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:28:08.02B69pS99z0 (80/103)






ほむら「…!!」



マミ「…あ…れ…?」

さやか「攻撃が…こない…?」




さやかとマミがきつく閉じた目を恐る恐る開く



杏子「…………」ドサッ



マミ「!!」

さやか「うそ…」






開いた瞳に映し出されたものは


粉々に砕けた赤い障壁と


その場に倒れ込んだ杏子の姿だった






734 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:28:39.89B69pS99z0 (81/103)




さやか「杏子ぉぉおおおっ!!」


タタタッ…


倒れた杏子に駆け寄る



杏子「無事…か…へへ…」

杏子「ギリギリ…間に合ったみたいだ…」


さやか「あ…あああ…やだ…」


ドクン…

杏子「!…やべ…え…な…」

杏子「これ…死んじまうか…な…」




さやか「杏子…やだ…やだ!」

さやか「マミさん!!杏子を…」


ドクン…





735 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:29:31.91B69pS99z0 (82/103)



さやか「うっ…!?」


ドクン…


ほむら「あ…」


ドクン…


マミ「そん…なっ!」

マミ「この…タイミングでっ…ソウルジェム…が…!」



全員のソウルジェムが真っ黒に染まり、

苦痛に耐えられなくなったマミとさやかが崩れ落ちる





736 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:30:05.87B69pS99z0 (83/103)



ほむら「はぁっ…はぁっ…」

ほむら「このままじゃ…全滅…」


ガシッ


再び時を戻すため、
左腕の砂時計に手を伸ばす



QB『…また繰り返すの?』

ほむら「…!」ピクッ



キュウべえの一言で、手が止まる



QB『まぁそれもいいかもね』

QB『鹿目まどかは契約してしまったんだし…』



ほむら「…?」





737 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:31:34.46B69pS99z0 (84/103)



ほむら「…今…なんて…」

QB『おっと…』



絶望の表情を浮かべ、Uキラーザウルスを見上げるほむら



QB『まぁ教えてあげてもいいか…』

QB『鹿目まどかは契約したよ…君達を守るために』


ほむら「?……?…」

QB『理解できないって顔だね…』



QB『契約させるのは簡単だったよ』

QB『今、この状況』

QB『君達全員が僕の力の前に屈服している…』

QB『これと全く同じ破滅のビジョンを見せてあげたんだよ』


ほむら「…!!」






738 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:32:07.04B69pS99z0 (85/103)




QB『それで僕はこう言ってあげたんだ』

QB『彼女達を助けたい?…ってね』



ほむら「……」


QB『それなのに…』

QB『彼女からはロクなエネルギーが取れなかったよ』


ほむら「…え?」


ほむら「なん…で?だってまどかは…」


QB『そう、君のおかげで最強の魔法少女になったはずなんだけどね』

QB『どういうわけか…彼女に集中した因果の力は消えてしまったみたいだ』




739 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:33:46.51B69pS99z0 (86/103)



Uキラー「グルルルル…!」

QB『…お喋りが過ぎたようだね』


ほむら「!!…」ガシッ


QB『時を戻すなら無駄だよ』

QB『僕達は回収した記憶とエネルギーを次の時間軸へ持ち越せる』

QB『ヤプールのおかげでね』



ほむら「!?…じゃ、じゃあ」

ほむら「私が何をしようと…」



QB『うん。どこに逃げようと、どう足掻こうと…』

QB『もう無駄ってこと』





740 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:34:26.01B69pS99z0 (87/103)




ほむら「……」ガクン

糸の切れた人形のように、力無くその場に倒れ込む





ほむら「うっ…くっ…」ジワッ

ほむら「う…うう、っく…」

ほむら「…あ、ああ…あ、ああああ、うっ、うう、う…」ポロポロ




恐ろしい喪失感


恐怖と絶望の表情を浮かべ


その瞳から悲しみの涙が溢れ出す




QB『まぁそう悲観することは無い』

QB『君の絶望はエネルギーとなって宇宙の糧になるんだからね』








741 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:35:04.74B69pS99z0 (88/103)













ザッ



Uキラーザウルス「グゥ…」

QB『?…君達は…』



742 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:35:57.20B69pS99z0 (89/103)




ほむら「…?」



少女の瞳から涙がこぼれおちたその時


Uキラーザウルスの前に


三人の男達が立ち塞がる









アスカ「うぉお…近くで見るとでけぇ!」

ダイゴ「やっと着いた…思ったより離れていたね」

我夢「みんな!大丈夫!?」



ほむら「……!」




743 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:37:15.61B69pS99z0 (90/103)



マミ「我夢…さん…?」

さやか「…お兄さん達…」

ほむら「あなた達…なんで…」



アスカ「あーあー!起きなくて大丈夫だって!」

我夢「後は僕達に任せて!」


優しい笑顔で少女達に語りかける




QB『…君達、まさかとは思うが…僕と戦う気かい?』


ダイゴ「そのまさかだよ」





744 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:37:51.86B69pS99z0 (91/103)



さやか「…!」

マミ「無茶ですよ…っ!その残り少ないエネルギーじゃ…」


アスカ「それでもやるんだ!」

マミの言葉を遮るアスカ



我夢「ああ…無茶かもしれないけど無理じゃない」

ダイゴ「その通り」



ほむら「!…なんっ…で…」

ダイゴ「?」





745 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:38:21.05B69pS99z0 (92/103)



ほむら「なぜあなた達は…」

ほむら「別の世界の住人なのに…ここまで…」


QB『まったくだね!』

キュウべえが会話に割り込む



QB『僕達に協力してくれれば元の世界に帰してあげることもできるよ?』

QB『ヤプールとインキュベーターの科学力があれば次元を超えることも―――』



ダイゴ・アスカ・我夢「「「断る」」」



QB『……わけが解らないよ…』





746 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:39:21.40B69pS99z0 (93/103)



QB『なぜメリットの無い方に味方するのかな…』

QB『熱くなって一時の感情に身を任せると後悔することになるよ?』



アスカ「うるせぇ!熱くならなきゃ後悔するときだってあるんだ!!」スッ



巨体を見上げてアスカが叫ぶ

その右手にリーフラッシャーを握りしめて



QB『…』

QB『解らない…解らないよ…』

QB『魔法少女達は…滅びる運命にあるんだよ…!!』



ダイゴ「もしそうだとしても」スッ

ダイゴ「そんな運命なんて…変えればいい!」


スパークレンスを握りしめ、身構えるダイゴ



QB『そんなことが出来ると思っているのかい!?』



我夢「出来る出来ないじゃなくて…」スッ

我夢「やるんだ。僕達が」


我夢がエスプレンダーを手に取り、胸の前に構える





747VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2011/07/18(月) 23:39:38.03fyhk173Ho (2/3)

漢だ……


748 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:39:53.24B69pS99z0 (94/103)




QB『…やれやれ』

QB『どうせ戦うんならワルプルギスと戦って欲しかったよ』

QB『僕が君達と戦ってもデータは取れないからね…』



Uキラー「グガァァアアア!!」

バシュゥウウン!



赤い雷撃が、七人に向けて放たれる



ダイゴ「…」

アスカ「…!!」

我夢「…!」



バッ






749 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:40:30.40B69pS99z0 (95/103)







ダイゴ「ティガァァアアアアアッッ!!!」


アスカ「ダイナァァァアアアア!!!」


我夢「ガイアァァァアアア!!!」











750VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/07/18(月) 23:40:49.54+tZvxcuio (1/1)

頼むぞ、ウルトラマン


751 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:41:15.69B69pS99z0 (96/103)





バチッ ドガガガガッ



Uキラー「グゥゥ!!?」

QB『なに…!!』




暗雲が立ち込める空へ、一直線に伸びる三本の光の柱


その光は雷撃を弾き返し、巨人の形を形成する



ズンッ


ティガ「…」


ダイナ「ジュアッ!!」


ガイア「ディヤッ!」






752 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:41:53.84B69pS99z0 (97/103)





クルッ

ティガ「…ジャッ!」


キュィイイン…



ほむら「……?…この…光は…」

マミ「!…ソウルジェムが…」

さやか「…わぁ…」



ティガの額のクリスタルから照射された光が魔法少女達を包みこみ
体の傷を癒し、ソウルジェムの穢れを浄化する



QB『…馬鹿な…残り少ないエネルギーを他人の為に…!?』





753 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:42:35.06B69pS99z0 (98/103)




QB『君達のエネルギーは三分の一にも満たないというのに…』

QB『まるで生き急いでるようだね』



ダイナ『お前みたいな卑怯者をぶちのめすまで俺達は死なねぇ!!』


ガイア『僕は彼女達を守る…この星から出ていけ!!』



QB『…こっちの台詞だよ!!』

Uキラー「グォァアアアアアッ!!」

バシュゥウウン



ティガ『!…君達は離れていて!』ダッ





ほむら「……」

マミ「あっ…!」





754 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:43:14.53B69pS99z0 (99/103)



……………………………………


ドガッ ガガガッ バシュッ



ほむら「……」

マミ「…ダイゴさん達が…戦ってる…」



Uキラーザウルスの周囲を飛び回りながら戦う三人のウルトラマン

その姿を呆然と見詰める二人



杏子「…遅れている場合かよ……!」ググッ

さやか「!!…杏子…!」



槍を杖代わりに体を起こし、立ち上がる杏子






755 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:43:51.27B69pS99z0 (100/103)




杏子「アタシも一緒に戦うんだ…!」

さやか「!…」


チャキッ


さやか「そうだ…!別の世界のみんなが戦ってるんだから…」

さやか「あたしだって!」



マミ「そうね…!」

マミ「こんなところで…何もせず終わってしまっていいはずがない!!」



ほむら「……」




756 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:44:23.47B69pS99z0 (101/103)



杏子「ほむら!」

さやか「ほむらっ…!」

マミ「暁美さん…」



三人がほむらへ瞳を向ける



ほむら「…彼等と力を合わせて…この戦いで勝利すれば…」

ほむら「運命を…変えれるかもしれない…!」ジャキッ


再びディバイトランチャーを手に取り
足を踏みしめ、立ち上がる



ほむら「…行きましょう」

杏子「!…へへっ」

マミ「ええ!」

さやか「そうこなくちゃね!!」






757 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:47:08.89B69pS99z0 (102/103)



   ~次回予告~


……………………………………


ガイア『亜空間バリアーの突破…多方向からの同時攻撃!』

マミ「届いて…!!」


……………………………………


まどか「迷惑ばっかり掛けてきたわたしが…」

まどか「最後に…少しだけみんなの力になって…」

まどか「一人孤独に死んでいく…」

まどか「それがあなたへの…せめてもの罪滅ぼし…」


ほむら『…まどか……』


……………………………………




まどか「私は……」






758 ◆jPpg5.obl62011/07/18(月) 23:49:23.89B69pS99z0 (103/103)

今日はここまでです
キュウべえも>>1の頭もぶっ壊れてきてます

残すところあと三回くらいかな?


759VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/18(月) 23:50:52.35tQT43N6do (1/1)

乙!
きっと守り抜けるさ、勇気抱きしめて強く♪ ですね



熱血展開のオンパレードだがまだクライマックスには遠いと言うのか……
先にスレが埋まりそうwwwwwwww


760VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)2011/07/18(月) 23:55:43.32o3RsXwXAo (1/1)

乙!
イレギュラー達がんばってくれ!!・・・そしてまどか…まどかはどうなるんだ…!!


761VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2011/07/18(月) 23:59:36.63fyhk173Ho (3/3)

乙でした
これは燃える…そして続きが気になって魔女化しそう


762VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/19(火) 00:02:42.96V8aGtdzT0 (1/1)

お疲れ様! すばらしい!
前回あれだけ盛り上がってまだ盛り上がり続けるとか!
4人の魔法少女組と3人の平成ウルトラ組、どちらも男前過ぎるぜ。

ヤプールの陰湿な精神攻撃とQBの剥き出しになった野心も
連中の外道ぶりが前面に出ててグッド♪
ラストのカタルシスが楽しみだ!

まどかと月偵察組と宇宙警備隊組の出番考えると
まだ盛り上がる先があるわけで、嬉しくなってくる。

さぁ、来週もみんなで見よう!


763VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/19(火) 00:20:19.87hFRdVPy9o (1/1)

お疲れ様でした。


764VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/19(火) 01:07:42.29bdn2fTqSO (1/1)

更新きてた!
ゾフィー隊長はまだか!?


765VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/07/19(火) 01:11:15.16Osu6LMtm0 (1/1)

ウルトラマンジャスティス出てきてコスモスと合体してレジェンドになって戦ってくれないかな?


766VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/19(火) 04:35:27.36XinYPkgBo (1/1)

追いついた 乙!

平成三部作の3人が熱すぎて燃える!


767VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/19(火) 12:42:46.765EBTMMh4o (1/1)

乙!!やっぱ、ウルトラマンが出ると燃えるねえ。ホント、どう展開が転ぶか楽しみだにゃ。


768VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/07/20(水) 23:01:56.24PoUblKGAO (1/1)

ウルトラマンノアはまだか……!!


769VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/28(木) 01:16:00.6603OhPjdIO (1/1)

いやこれまじで傑作だわ
だって読み進めるうちに体が熱くなっていくもん
ウルトラ兄弟の復活はまだか?
乙!


770 ◆jPpg5.obl62011/07/29(金) 23:12:35.268q5qjztf0 (1/1)

面倒な用事が片付いて…
とりあえず一気に書き溜めました

しかし、明日は天地が引っくり返らない限り仕事があるので次の投下は夜になると思います
半端に待たせてしまってすいません


771VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/29(金) 23:13:29.88FzScRV3+o (1/1)

オッケー、楽しみに待ってます
お休みまどまど


772VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/30(土) 00:49:22.653LeTs0kSO (1/1)

天地をひっくり返すしか無いじゃない!


773VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/30(土) 10:23:03.75rQJUK8TSO (1/1)

>>772

QB「それが君の願いかい?」


774 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:48:49.745iG7YSDv0 (1/55)

ダイナ(ミラクル)みたいな書き方をしていましたが
ダイナ(M)みたいな感じに変えます

それじゃ再開します


775 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:49:47.455iG7YSDv0 (2/55)



……………………………………



Uキラー「ギャオァァアアアアア!!!」



ティガ「…!!」

ダイナ「!…ジュアッ!」


ドガガガガッ



咆哮と共に触手から放たれる雷撃、
それを二人のウルトラマンが鮮やかなバック転で回避する



QB『ほらほら避けてるばっかりじゃあ勝つことなんて出来ないよ!』

Uキラー「グゥゥウ…!!」



不規則な動きの触手がウルトラマン達を追いつめる



ガイア「…!」





776 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:50:15.605iG7YSDv0 (3/55)


ガイア『まずはあの触手をなんとかしないと…!』シュンッ


ザシュッ!


Uキラー「!!」



ガイアが右腕から青い光の剣を展開し、
迫り来る触手を細切れに切り裂く



QB『速いね…!大したものだ』





ガイア『今だ!!二人とも!』ズンッ


光の剣を収納し、飛び退く





777 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:50:45.895iG7YSDv0 (4/55)



ダイナ『!…よっしゃあ!!』バッ

ティガ『奴の弱点は…』バッ


ティガとダイナが攻撃から止んだ隙に、光線の構えを取る


QB『…ふふ』




ダイナ『見とけよ~!俺の超ファイ…』



ドガガガガッ!



ガシッ!


ダイナ「グアッ!?」

ティガ「グ…ゥ!」



778 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:51:20.825iG7YSDv0 (5/55)



ティガとダイナが光線をUキラーザウルスの頭部へ放とうとした瞬間

瓦礫を吹き飛ばし、地面を突き破って出現した触手が二人の首を締め上げる



ダイナ「グゥゥウウ…ッ!!」

ティガ『下からだと…!ぐっ…!』




Uキラー「グルルル…!!」

ガイア『何…!』


QB『よそ見してる暇は無いと思うけど?』



ドゴッ!


ガイア「グゥオアッ!?」




779 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:52:02.725iG7YSDv0 (6/55)


巨大な足に蹴り飛ばされ、瓦礫の上に叩きつけられるガイア



ダイナ『くっそー!こんなもん…!』

ギギギッ



QB『暴れるだけ無駄だよ』

Uキラー「ガォオオオオォッ!!」



ティガ「グウゥ!?」ギギギッ


触手が更に強く二人の首を絞め付ける


QB『このまま一気に…』







ドグシャッ!!

QB『!?』




780 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:52:55.595iG7YSDv0 (7/55)



QB『援護射撃!?何処から…?』

Uキラー「!」



キュウべえの視線の先

そこには大砲を出現させたマミ

そして、発射煙の昇るランチャーを構えたほむらの姿があった



スタッ



杏子「今だ!」

さやか「ダイゴさん!アスカさん!!」



ティガ「!!」

ダイナ「…!」





781 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:53:24.575iG7YSDv0 (8/55)


ダイナ「ジュアッ!!」

ティガ「ハァッ!」


バシュシュッ!



首に絡み付いた触手を払い落し、
Uキラーザウルスの顔面へビームスライサーを放つ


QB『…!』

Uキラー「!!」


シュイン バチチッ




さやか「っあ~!惜しいっ!!」

杏子「くっそ…もうちょっとだったのに!」



バリアーに当たって消滅したビームスライサーを見て、歯がみする二人




782 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:54:03.175iG7YSDv0 (9/55)


Uキラー「グゥ…?」シュー

QB『…せっかく生き長らえた命を捨てに来たのかい…?』



眼下の少女達と二人のウルトラマンを見下ろすキュウべえ



QB『君達は――――』



杏子「バーカ!よそ見してんじゃねぇっ!!」

さやか「我夢さん!!」



QB『!?』

Uキラー「グガッ!!?」




783 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:54:54.165iG7YSDv0 (10/55)


四人の魔法少女の参戦
その予想外の事態によって生じた一瞬の隙



QB『しまった…!』



その隙を見逃さなかったガイアが既に光線を放っていた



ガイア『いけっ!!』


杏子「当たれぇえーーっ!!」

さやか「このタイミングなら…!」





ドガガガガッ!!




784 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:56:35.195iG7YSDv0 (11/55)



シュゥウ…

Uキラー「グフゥ…!!」

QB『…』



さやか「あぁっ…!」

ほむら「……!」



灼熱の破壊光線が頭部に直撃するより早く
Uキラーザウルスはその扇状の手を盾にして、完全に防ぎ切っていた



ガイア『駄目か…!!』ダッ


L字型に組んだ腕の構えを解き、その場から退避する




QB『…なるほどね』

QB『少しの隙も君達には見せちゃあいけないってことか…』




785 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:57:25.255iG7YSDv0 (12/55)


ズズンッ



ティガ『君達どうして……』

ダイナ『おいおい!待ってろって言われただろ?』

ガイア『君達のソウルジェムの穢れが完全に浄化されたワケじゃないんだよ…?』



三人のウルトラマン、四人の魔法少女が一ヶ所に集まる



杏子「わかってるよそんな事は!!」

ほむら「だけどこれは…私達の戦いでもある」



マミ「別の世界から来たあなた達が戦ってるのに…」

マミ「私達が黙って見ているだけなんて……出来ませんっ!!」チャキ



さやか「みんなで戦えば…きっとヤツを倒すことも…!!」





786 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:58:02.495iG7YSDv0 (13/55)


ガイア『みんな…!』

ティガ『…確かに…君達の援護で助けられた事は事実だしね』

ダイナ『…しょうがねぇな!』


ダイナ『こうなりゃ運命共同体ってやつだ!付き合ってもらうぜ!』

杏子「おお!任せときなよ!」

マミ「はい!」






ズンッ…


QB『運命共同体か…』

QB『なら地獄にまで一緒に行かなきゃね…!』

Uキラー「グァルルルッ…!!」



ほむら「!!」




787 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:58:54.165iG7YSDv0 (14/55)


ドドドドドドッ


Uキラーザウルスの全身の突起から生体ミサイルが放たれ、
七人に降り注ぐ


杏子「やべ…!!」

ティガ『!!…退がって!』


ダイナ「ジュアッ!!」

ガイア「ディヤッ!!」



キュイン!



三人のウルトラマンが少女達を退がらせ、円形のバリアーを展開する



ドガガガガガガッ!!




788 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 22:59:33.395iG7YSDv0 (15/55)


シュゥゥウ…



Uキラー「グゥ…」

QB『さて…どうかな…?』

目を細め、眼下に広がる爆煙を見下ろす




Uキラー「…!!」

QB『おや…?』



爆煙が晴れた時、
キュウべえの瞳に映ったのは、三人のウルトラマンだけだった


QB『彼女達は…!?』



ティガ「…」

ダイナ『さぁて…何処だろうな!?』

ガイア『勝負はここからだ!いくぞ!!』




789 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:00:29.825iG7YSDv0 (16/55)


……………………………………



ヤプール「!…あの三人…現れたか……」


???「概ね計画通りじゃないか。ここまでは」


ヤプール「ああ、そうだな…だが」

ヤプール「鹿目まどかに止めを刺すことはできなかったよ」




???「!……驚いた…」

???「彼女自身が君の精神攻撃を跳ね除けたとでも…?」


ヤプール「それは分からん」

ヤプール「だが何者かの力が働いていることは確かだろう」


???「……彼女…この世界の住人なのに不確定要素が多すぎるね」

???「ロクなエネルギーも取れなかったし…どうなっているんだか」


ヤプール(……)




790 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:01:41.755iG7YSDv0 (17/55)



???「そうだ。僕も君に報告しておきたい事があったんだ」


ヤプール「?」


???「月面で交戦していた二人…春野ムサシと孤門一輝」

???「あの二人が地球へ帰還するようだ」


ヤプール「!……奴等を始末することは出来なかったのか…!?」


???「まあ仕方ないよ。ここで無駄に戦力を消費するのは馬鹿馬鹿しいもの」

???「それに…彼等が相手にしていたのはあくまで失敗作だからね」

???「ゴミの処理を手伝ってもらったようなものだよ」


ヤプール「…」


???「心配する必要は無いよ!」

???「残りのウルトラマン達のデータが取れれば……僕達は…」




791 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:02:45.235iG7YSDv0 (18/55)



……………………………………


Uキラー「グォアァァアアアア!!!」ドガガッ


ティガ「ジェアァッ!!」

ダイナ「デュア!」


次々に振り下ろされる触手を避けて打撃を繰り出すものの、
強固な外殻に覆われたUキラーザウルスの体には決定打と成り得なかった



ティガ『くっ…』

ダイナ『堅ってぇな!!』



QB『駄目だなぁそんなんじゃあ!!』


ヒュン!

ダイナ「!?」ガシッ




792 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:03:26.675iG7YSDv0 (19/55)


Uキラー「ギャオオオオォッ!!」ブンッ

ダイナ「グアァッ!?」


Uキラーザウルスの触手はダイナを捕らえ、
そのまま瓦礫の山に叩きつける


ダイナ『こ、この野郎…!』ググッ



QB『まず一人…!!』

Uキラー「ガァアッ!!」



バチュン!!



QB『うぐっ!?』




793 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:04:10.425iG7YSDv0 (20/55)


ダイナを踏み潰そうと足を振り上げた瞬間
目の前で強烈な閃光が迸り、視界を奪われるキュウべえ



QB『こ…これは…!!マミの…!』

マミ「…これで二度目ね」チャキ


したり顔で銃を下げる



ティガ『!…今だ!』バッ

シュォオオ


ティガの胸にある黄金のプロテクターにエネルギーが集中する



Uキラー「!!?」

ティガ「ジャッ!!」



794 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:04:42.385iG7YSDv0 (21/55)


ドシュッ!!

QB『!…』

Uキラー「グギャァァアアアア!!!」



キュウべえの視界が奪われた一瞬
ティガの両腕から放たれた大型の切断光線がUキラーザウルスの右腕に直撃



Uキラー「グ…グゥゥウウウ…!!」



しかしダメージは与えたものの、切断までには至らない



ティガ『く…浅かったか…!!』

マミ「まだです…!もう一撃加えれば…!」









ドゴォォォォオオオン!

さやか「おりゃぁぁあああっ!!」

QB『!?』




795 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:06:08.565iG7YSDv0 (22/55)


さやか「これでもぉぉおおっ…!!」ブンッ!


Uキラー「グッ!!?」ザクッ



ビルの壁を砕き、飛び出てきたさやかがUキラーザウルスの右腕、
ダメージを受けた部分に剣を突き立て、




ドゴォォォォオオオン!


QB『な…!?』

杏子「喰らえぇぇえええっっ!!!」


ズバンッ!!




別のビルの壁を砕きながら突き出した巨大な槍が

Uキラーザウルスの右腕を完全に斬り落とす




796 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:06:59.455iG7YSDv0 (23/55)


Uキラー「グァギャァアアアアア!!!!」


ドズンッ!


肉片となった右腕が鮮血を撒き散らし
巨大な音を立てて地面に落下した






杏子「うぐっ…!!」ドシャッ

さやか「っあ!!」ズシャッ



それに続いて右腕を攻撃した二人も落下し、地面を転がる




797 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:07:33.515iG7YSDv0 (24/55)


Uキラー「グゥオオオォ…」


QB『く…まさかここまで…!』


QB(ヤプールから与えられたこの力が…!)


QB(たった四人の魔法少女と…)


QB(エネルギー不足のウルトラマン三人に…これ程のダメージを!!)







ガイア『キュウべえ!!』キュイン

ほむら「…インキュベーター!!」ジャキン


QB『!!』




798 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:08:24.695iG7YSDv0 (25/55)


ガイア「ディィヤァァアアアアッッ!!!」


バシュゥゥウウッ!!


ほむら「これでトドメよ…!!」


バァン!


ガイアがUキラーザウルスの頭部へ向けて、
自身の頭部から光の刃・フォトンエッジを放ち

それに続いてほむらも魔力を込めてディバイトランチャーのトリガーを引く




QB『!!…勝負に出たか…!』

Uキラー「!」シュイン



799 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:09:01.695iG7YSDv0 (26/55)


バチチチチッ!!


Uキラー「グゥゥウウウ!!!」



二人の同時攻撃が直撃する寸前、
Uキラーザウルスは亜空間バリアーを展開させ、受け止める



ガイア「ハァァアアアアッッ!!」ググッ

ほむら「っ……!!」



スタッ



マミ「私も…!!」チャキッ

ババババッ!



QB『…く…!!』


バリアーに阻まれてもなお、三人の攻撃は続く




800 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:09:36.105iG7YSDv0 (27/55)



QB『…ふ…ふふ…!!』


バチチチチッ


QB『無駄だよ…!』

QB『君達の最後の攻撃も…この亜空間バリアーの前には…!』








ティガ『果たして…そうかな?』

ダイナ『バーカ!そっちは釣り球だってーの!!』






QB『!?』





801 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:10:10.085iG7YSDv0 (28/55)


QB『何…!?』



右方向からの声




そこには両腕を広げてエネルギーを集約させたティガの姿


そして瓦礫の山に倒れていたはずのダイナが両腕にエネルギーを溜め、待ち構えていた





ティガ・ダイナ「「ジュァアアッ!!」」






802 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:11:29.575iG7YSDv0 (29/55)


バシュゥゥウウ!


Uキラー「!!?」

QB『しまった…!!』



ティガとダイナがUキラーザウルスの頭部へ
ゼペリオン光線とソルジェント光線を同時発射



バチチチチッ!!



QB『まさか…気付いていたのか…!』




間一髪の所でバリアーを展開し、防御



しかし二方向からの攻撃は続く




803 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:12:09.805iG7YSDv0 (30/55)


ガイア『そうだっ…!亜空間バリアーの絶対無敵の防御力は…!

ガイア『意識を集中した一方向に対してのみ…!!』



ほむら「だからあなたは…!」

ほむら「あの時、我夢の放った光線を素手で防いだ…!!」

ほむら「飛んで来た攻撃に対して自動で展開されるわけじゃないっ…!」



バチチチチッ!!


Uキラー「グ…オ…オオオ!!」

QB『!!…あの時に見破っていたのか…!』




804 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:15:16.205iG7YSDv0 (31/55)


ティガ「ハァアァアアッ…!!」

ダイナ『そのまま…ブチ破れろぉぉおおっ…!!』



バチチチチッ!!



ガイア『亜空間バリアーの突破…多方向からの同時攻撃!』

マミ「届いて…!!」



Uキラー「…!!」バキッ…

QB『!?…バリアーが…!』



二方向からの攻撃を受け続けた亜空間バリアーに大きな亀裂が入る



QB『た…対応しきれない…!!』




805 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:17:55.965iG7YSDv0 (32/55)




QB『こ、この力は……』


QB『決して敗れることなど…無いはずじゃなかったのか…!?』


QB『これが…彼らの…!!』


QB『光の…力なのか…!?』





806 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:19:42.605iG7YSDv0 (33/55)







シュゥン…



QB『…!!!』








807 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:21:48.495iG7YSDv0 (34/55)





ほむら「…な!?」

マミ「っ…嘘…!?」


ほむらとマミが攻撃の手を止め、驚愕する



杏子「ッ…!マジ…かよ…!!」

さやか「え…!?」



杏子がさやかに肩を貸して起き上がらせ、
目の前で起こった出来事に絶句する



ガイア「!?」



QB『……』








808 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:25:32.025iG7YSDv0 (35/55)



ダイナ『ぐ…くそ……!』

ティガ『もう…エネルギーが…!!』



マミ「アスカさんっ!ダイゴさん!!」



魔法少女達の目に映ったのは

地面に膝を付き、カラータイマーを赤に点滅させたティガとダイナの姿だった



QB『エネルギー切れ…か…!』

QB『…今度ばかりは…完全に駄目かと思ったよ…!』


バシュシュシュッ!


バリアーを消し、
触手から眼前のガイア、ほむら、マミに向けて雷撃を放射する



マミ「あ……っ!!」

ほむら「…っ!」



ガイア『二人とも!……っぐぅ!!』


ドガガガガッ


ほむら「我夢…!?」

ガイア「グ…ァ…」



ガイアが二人の盾となって雷撃をその体に浴び、
地面に倒れ込む





809 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:28:55.925iG7YSDv0 (36/55)



Uキラー「ガァァァアアアアアァッ!!!」ブンッ

QB『君達には驚かされてばかりだよ…!!』



ドガガッ


ティガ「グゥッ!!」

ダイナ「グァッ!?」



横薙ぎに払われた触手は二人のウルトラマンを吹き飛ばし
瓦礫を舞い上げる




Uキラー「ゴォァアアアアアァ!!!」



バシュシュシュッ!





810 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:32:00.545iG7YSDv0 (37/55)

巨大な六本の足で地響きを起こしながら全身の武器を開放

Uキラーザウルスの全身から次々に放たれる攻撃


ドガガガッ!


杏子「さやかっ!こっちに……ぐぅッ!?」

さやか「杏子!!…うぁあっ!!?」


雷撃に撃たれ、飛び散った瓦礫の破片をまともに浴びる二人


ダイナ『このヤロ……!ぐあっ!?』

ティガ「グッ…!!」


攻撃を阻止すべく立ち上がろうとしたティガとダイナ

しかし執拗に続く無差別攻撃を受け、爆煙の中に倒れる



811 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:35:05.805iG7YSDv0 (38/55)

ドガァァアアアアアン…


辺り構わず、空に、地上に、あらゆる方向に放たれる攻撃

町の至る所で激しい爆発が起こり、火の手が上がる


ほむら「くっ…!!」ダッ

迫りくる攻撃を跳躍して回避する


Uキラー「!…グルルァアア…!!」


バシュッ!

マミ「!! きゃあぁっ!?」


ほむら「!……マミ…!」

QB『よそ見をしている場合じゃないよ!暁美ほむら!!』



812 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:38:33.205iG7YSDv0 (39/55)


ドシュン ドガッ!

QB『終わりだね…』


爆風に吹き飛ばされたマミに気を取らた一瞬、
赤色の光弾を背中に受けるほむら



ほむら「!…ッ…あ!!…か…!」ズシャァ


そのまま落下し、地面に叩きつけられた彼女の背中は抉れ、

溢れ出した血が焼け焦げた服を真っ赤に染める


ほむら「うっ…あ゛っ…ぁ…!」




813 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:41:27.555iG7YSDv0 (40/55)


Uキラー「グルルゥ…」

QB『…』


シュルルル グチャッ


Uキラーザウルスの細い触手が斬り落とされた右腕に絡み付き、持ち上げ、
切断面に押し当てる


ジュゥゥウウ…


杏子「ッ…!冗談…だろ…っ」

ティガ『再生能力…!?』



焼け焦げるような音と共に切断面同士が張り付き、固定され
元の右腕の位置に収まる




814 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:42:54.545iG7YSDv0 (41/55)


Uキラー「グルル…」

QB『……』



QB『まさかロクにエネルギーの残っていない君達が…ここまで戦えるとは…』

QB『想像を超えた爆発力が君達にはあるのかもしれないね』



ティガ『!…』

ダイナ『くっ…まだ…!』

ガイア『…』



カラータイマーが赤く点滅し、地に伏す三人のウルトラマンを見下ろす




815 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:45:18.745iG7YSDv0 (42/55)

ほむら「ぐ……かはっ…!」ググッ


口の端から血を垂らしつつも
腕に力を込め、立ち上がろうとするほむら


ほむら「っ…!」

ドシャッ

ほむら「はぁっ…は…ぁっ…ッ…」


しかしその度に全身の激痛に耐え切れず、力無く地面に突っ伏す



ズンッ


QB『暁美ほむら…』

QB『幾多の時間軸を渡り歩き…運命を変えようと奮闘した君の旅も…』

QB『ここで終わりだね』


巨体を揺らし、少しづつほむらへ迫るUキラーザウルス



816 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:48:39.665iG7YSDv0 (43/55)


QB『残念だったね…』

QB『最後に鹿目まどかに会うことも出来ずに…死ぬんだから』


ズンッ


呪いの呪文のように呟きながら
一歩、また一歩とほむらに迫る


ほむら「く…ぅ…ぅぅ…」ググッ



瓦礫の上で腹這いになり

彼女の腕は、何かを掴もうとするかのように空へと伸ばされる



817 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:49:26.475iG7YSDv0 (44/55)

ほむら「くっ…く、あぅ……っ!」


ほむら「…ぁ……!」ドシャッ



しかし、その腕は虚空を掴み

力無く地面に投げ出された




Uキラー「グォァアアア…!!」

巨大な足が、ほむらへ振り下ろされる




ほむら「ま……ど…か……」










……………………………………

……………………………………

……………………………………




818 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:49:59.285iG7YSDv0 (45/55)



……………………………………

……………………………………

……………………………………










まどか「……」


『……』






819 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:51:06.055iG7YSDv0 (46/55)




真っ白な世界


地面も、空も、全てが白


何も無い無の空間






まどか「…」






その空間で力無く、地に四肢を投げ出し

だらしなく口を開け、虚ろな瞳で虚空を見上げる鹿目まどか




『……』




その傍らに、寄り添うように座り込む

三つ編みで眼鏡を掛けた少し気弱そうな少女





820 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:51:42.215iG7YSDv0 (47/55)



まどか「……ごめん…ね…」

『……?』



不意に、まどかが少女へ顔を向け
弱々しい声を漏らす




まどか「あなたは……今も…」

まどか「苦しんで…るん…だ…よね…」



『……』



消え入りそうなまどかの声を聞いた少女の顔は

悲しく、辛そうな表情をしていた




821 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:52:19.955iG7YSDv0 (48/55)


まどか「辛い…よね……苦しいよね…」

まどか「うっ…くっ…」ジワッ



心身両方の痛みに、焦点の合わない瞳から一筋の涙が零れ落ちる



まどか「最後まで…何にも出来なくて…みんなに守られてばっかりで…さ……」

まどか「馬鹿…だよ…わたし…」



『……っ!』ギュッ



自身の胸を掴み、悲しい表情のまま、まどかの話を聞き続ける少女





822 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:52:49.145iG7YSDv0 (49/55)


まどか「………でも…ね」

『…?』



少女から視線を離し、再びまどかの瞳は虚空に向けられる



まどか「キュウべえと契約した時…聞いたんだ…」

まどか「わたしの願いは…叶えられて……みんなの助けになった…ってさ」



『……』






823 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:53:29.135iG7YSDv0 (50/55)


まどか「わたし……ね」


まどか「キュウべえと契約して…魔法少女になって……こんなことになったのは…ね…」


まどか「罰なんだと…思うんだ」




『……!』




少女の瞳が驚きに見開かれる






824 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:55:10.005iG7YSDv0 (51/55)


まどか「この運命は……わたしが魔法少女になったのは…」


まどか「みんなや…ほむらちゃんに迷惑掛けてた…駄目なわたしに……」


まどか「神様が与えた……罰」



『………』



まどか「迷惑ばっかり掛けてきたわたしが…」


まどか「最後に…少しだけみんなの力になって…」


まどか「一人孤独に死んでいく…」


まどか「それがあなたへの…せめてもの罪滅ぼし…」





825 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:56:03.785iG7YSDv0 (52/55)



まどか「でも……その罪滅ぼしも…終わる…」スッ


『…!!』



まどかの右拳が開かれる

その手に握られていた物は、真っ黒に染まり、ヒビの入ったソウルジェム




826 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:57:14.685iG7YSDv0 (53/55)


『…まどか……』


スッ


まどか「……?」

『罰…なんか……じゃないっ…よ』



ソウルジェムの乗ったまどかの右手に、
震える声で、今にも泣き出しそうな少女が自身の右手が添える



まどか「え…?」



驚き、再び少女へ視線を戻すまどか




827 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:58:05.765iG7YSDv0 (54/55)


『私は…あなたに迷惑を掛けられたと思ったことなんて…』

『一度も無いよ…?』



まどか「嘘…」



『嘘じゃない…だって…』

『これは私が……暁美ほむらが自分で決めて…』

『自分自身で選んだ道だもの……』




まどか「…!…自分…で…」

ハヤタに聞かされた言葉が、頭を過ぎる




828 ◆jPpg5.obl62011/07/30(土) 23:59:07.645iG7YSDv0 (55/55)


『…まどか…これを見て…』


シゥゥューン…


まどか「うっ……え!?」





頭の中に、流れ込むビジョン


そこには今、目の前にいる少女、


銃を構えて使い魔と戦う巴マミの姿


そしてピンクの髪をなびかせ、弓を引き絞る魔法少女


鹿目まどか自身の姿があった





829 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:00:36.50E8lcbH220 (1/95)


まどか「あれは…わたし…?」


『そうだよ…』

『…あなたと私が初めて出会った時間軸…』


まどか「……」

『私はあなたに救われた…』グイ



まどかを抱き起こす少女、見つめ合う二人



まどか「…でも…でも……」

まどか「あなたは…わたしなんかと出会わなければ……」



830 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:03:57.94E8lcbH220 (2/95)


『それは違うよ…』スッ

まどか「……ん」


少女が指でまどかの涙を拭う


『あなたが救ってくれたのは…命だけじゃない』


自身の胸に手を当て、真っ直ぐにまどかを見つめる


『救われたのは…この心…』



まどか「……?」





831 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:06:01.89E8lcbH220 (3/95)


『グズで…臆病で……』


『自分に自信が持てなくて……』


『助けてくれる人もいない私は…独りぼっちだった』


『朝に太陽が昇っても独りぼっちの私には…周りの世界が真っ暗な闇に感じられた…』


『……だけど』


悲しい表情の少女はまどかの顔を見つめ、優しく微笑む





『そんな私が…あなたに出会った』


『あなたと出会って…あなたと過ごせて…独りぼっちじゃ無くなった私は…』


『初めて世界が…明るく輝いて見えた』





832 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:08:18.44E8lcbH220 (4/95)


『そんなあなただから…私は戦えた…』

『まどか…私に光をくれた…自慢の友達…』シュゥ…



言葉を残し、光の粒子となって消えていく少女

その光は穢れの溜まったまどかのソウルジェムに吸い込まれ、桃色の光を放つ



まどか「あ…!ま、待って…!!」

『思い出して……最初の気持ちを…』






まどか「っ……!!」


まどか「ほむらちゃんっっ!!!」









……………………………………

……………………………………

……………………………………




833 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:11:03.01E8lcbH220 (5/95)

……………………………………

……………………………………

……………………………………


まどか「……う」ピクッ

まどか「…あ…れ…?」


重い瞼を上げ、起き上がるまどか



まどか「……夢…だった…の…?」



辺りを見回すまどか

そこは白い世界ではなく、
先程まで彷徨い続けていた不気味な赤い空の砂漠だった



ゴゴゴゴゴゴ…


まどか「…?」


まどか「あ…!!」



834 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:13:30.36E8lcbH220 (6/95)


まどかの視線の先、赤い空の一角に小さな穴が空いていた


まどか「…ほむらちゃん…!?…みんなも…!」

まどか「それにあの怪物は…!!」


穴の向こうには、

Uキラーザウルスに追い詰められるティガ、ダイナ、ガイアの姿
そして触手に打たれる四人の魔法少女が映し出されていた



まどか「……」ガクッ


砂漠の大地に膝をつく




835 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:15:24.91E8lcbH220 (7/95)


まどか「ヤプールの…言った通りだ…」


まどか「わたしは…何も…」


まどか「一人じゃ何にも出来ない……」













「君は一人じゃないぞ、まどか」




836 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:16:49.86E8lcbH220 (8/95)

まどか「!?」

目を見開いて、声の主を探す


まどか「あ……みんな…!!」


動くものは何も無いはずの死の空間

赤い空の砂漠の砂を踏みしめ、五人の男達がまどかの元へ



ハヤタ「君には聞こえるはずだ」

ダン「勝利を信じて戦う、仲間達の声が」



まどか「……!!」

目を閉じ、集中する




……………………………………




837VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東日本)2011/07/31(日) 00:16:57.31wi8PMOVto (1/1)

ヤバい、熱すぎる


838 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:18:17.22E8lcbH220 (9/95)


……………………………………



ダイナ「デュアァ!!」バシュッ

ドガガッ!


ほむら「…!!」

QB『む…!』



ビームスライサーを放ち、ほむらへ振り下ろされた足の軌道を変える



杏子「さやか!そっち持て!」ガシッ

さやか「ほむら!諦めるのはまだ早いんじゃないの!?」ガシッ


ほむら「!…あなた達…!」



杏子とさやかがほむらに肩を貸し、
立ち上がらせて走る



839vipにかわりましてultramanがお送りします2011/07/31(日) 00:18:37.486TkxPcUIO (1/2)

こいつぁ……最高だぜ……!


840 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:19:20.73E8lcbH220 (10/95)


マミ「これで少しは…」

ガイア『すまないマミさん…助かったよ…』シュゥウ


倒れ込んだガイアの巨体に手をかざし、
可能な限りの治癒魔法を掛けるマミ


QB『馬鹿な…何故まだ立ち上がる…?』ズンッ



ググッ

ティガ『そんな力で…彼女達の光を消すことは出来はしない…!!』



ティガが立ち上がり、Uキラーザウルスへ向かって突進する



……………………………………




841 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:21:34.73E8lcbH220 (11/95)


……………………………………


まどか「聞こえる…みんなの声が…」

目を開き、声を震わせるまどか


ダン「…うむ」



郷「だがこのままでは…いずれ彼らにも限界が訪れるだろう」

ミライ「兄さん達!早く助けに行きましょう!!」




まどか「!?……出来るんですか…そんなこと…?」





842 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:24:09.72E8lcbH220 (12/95)


ダン「…この異次元空間の一角に俺達のエネルギーをぶつけてゲートをこじ開ける」

郷「俺達もそうやってヤプールの作り出した別の次元から脱出し、ここまで来た」

ミライ「僕達がいた空間には少しだけ歪みがあったからね。少ないエネルギーでもなんとか脱出できたんだ」


ハヤタ「問題はここだな。歪みの無いここから脱出するにはかなりのエネルギーが…」


北斗「……」


口々に話す仲間達に対し、
顎に手を当て、考え込む北斗



ダン「どうした。エース」

北斗「…俺達がいた空間の歪み…あれがあったから少ないエネルギーで脱出できた…」


ハヤタ「?…それがどうかしたのかい?」


北斗「…あまりにも出来過ぎていると思うんです」




843 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:26:21.42E8lcbH220 (13/95)


ダン「……?」

北斗「まるで俺達を空間の外に誘い出すかのような…」


ハヤタ「あの空間に欠点があったとは考えられないか?」

北斗「いえ…あのヤプールがそんなミスをするとは思えません!」

郷「…」



ハヤタ「…確かにそうかもしれないが…」

ハヤタ「今はこの空間から脱出することが先決だ」


ダン「…だが警戒はしておく。それで構わないな?」


北斗「!…はい!」




ハヤタ「…さて、まどか」

まどか「…」



844 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:28:32.12E8lcbH220 (14/95)


ハヤタ「我々はこれからこの空間を脱出し、奴と戦うことになるが…」


ハヤタ「君はどうする?」

まどか「…!」



後ろ手に腕を組み、まどかに問い掛ける



ハヤタ「以前僕が言ったように…仲間の帰りを信じて待つことも一つの戦いだ」

ハヤタ「君自身が決めることだ。誰も文句は言わないし恨んだりもしない」



まどか「わたしは…」




845 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:30:30.52E8lcbH220 (15/95)




まどか「…」ピクッ

まどか(……?)


視線を自分の右手に落とし、握られた拳を開く


まどか「…!」

まどか(夢じゃ…なかったのかな……)


まどかの右手の上のソウルジェムの穢れは完全に浄化され
光り輝いていた





846 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:31:45.23E8lcbH220 (16/95)


まどか「……」グッ






『思い出して……最初の気持ちを…』






まどか「………ハヤタさん」

ハヤタ「?」



まどか「もし…わたしの手に入れた魔法少女の力が…」

まどか「みんなを守る為になるのなら……」


まどか「わたしは………」






847 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:32:41.58E8lcbH220 (17/95)

















まどか「戦います」














……………………………………

……………………………………

……………………………………




848 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:33:16.69E8lcbH220 (18/95)



……………………………………

……………………………………

……………………………………




ドガッ!!


マミ「うぁ…!!」

ダイナ「グゥッ!?」

ティガ「…!!」


触手の強烈な一撃に吹き飛ばされ、ビルに叩きつけられる


Uキラー「ギャォァアアアアア!!!」

QB『ほらほら!もう後が無いよ?』




耳を劈く咆哮を上げ、
大地を砕き、Uキラーザウルスが暴れ回る






849 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:33:47.38E8lcbH220 (19/95)




ダッ


ガイア『まだまだ…!!』

杏子「おい!アンタ達は退け!」

さやか「そうですよ!ただでさえ消耗してるんですから!」



吹き飛ばされた三人と入れ替わるように、
ガイア、杏子、さやかが飛び出る



Uキラー「グォァアアアアア!!!」バシュッ

ガイア「!! デュア!」シュン


バチッ!


杏子「! 今だ!行くぞ!」

さやか「うんっ!!」




850 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:34:21.43E8lcbH220 (20/95)


Uキラーザウルスの光弾をガイアがバリアーで弾き返す

ガイアの股を通り、Uキラーザウルスの足へ杏子とさやかが斬りかかる



QB『!!…しつこいなぁ君達は!!』


ドガガッ


杏子「…っぐ!!」

さやか「ぁあっ!!?」



決死の攻撃もUキラーザウルスの攻撃に阻まれ、届かない


ガイア『!!』



QB『そして…』

QB『そこにいることは分かっているんだよ!暁美ほむら!!』




851 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:35:31.13E8lcbH220 (21/95)


Uキラー「グォアッ!!!」

ほむら「っ!?…しまった…!」


ドゴッ! ガラガラガラ…


Uキラーザウルスの触手が半壊したビルに突き刺さる

そのまま先端の爪がほむらを掴み、拘束する


ほむら「うっ、あ…!あぁっ!!」ギギギッ

ほむら(っ……ランチャーがっ……!)



QB『ふ…ふふ…ふふふふ…何が光だ…』

QB『このままバラバラに…!!』



ギギギッ…


ほむら「!!…!……」


ほむらの肌を突き破る爪、少しづつ強くなる絞め付け


ほむら「ぐっ…!!…く…!」

ほむら「………」






ほむら「…ふ…ふ」

QB『?』




852 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:36:21.45E8lcbH220 (22/95)




血が滴る唇の端を吊り上げ、笑みを浮かべるほむら



QB『なんだ…!!なにを笑っているんだ!!』


グググッ


ほむら「っ…つ…ふふ…」

ほむら「…なんだか……可笑しいんだもの……」



見下したような

挑発をするような態度で、キュウべえを睨みつける



QB『何が言いたいんだい!?』



ほむら「ふ…くふ…ふふ……インキュベーター…」

ほむら「…感情の無いあなたが……」

ほむら「何を熱くなってるの……?」



QB『……!!』






853 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:37:08.42E8lcbH220 (23/95)




QB『やめろ……暁美ほむら…!!』


ほむら「…っふふ……あなた…」

ほむら「それじゃあまるで………」


QB『!!!』




グギギギギッ



ほむらに止めを刺すべく、絞め付けを一気に強める



ほむら「!!うっ、ぁぁあああっぐっ!!」



体に圧し掛る触手、
それに伴う背中に受けた光弾の傷

全身の骨が軋み、激痛に叫びを上げるほむら





バキィイン!






854 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:37:51.87E8lcbH220 (24/95)





Uキラー「!!」

QB『なに!?』




暗雲立ち込める空

その一角が砕け、巨大な穴が開く




ティガ『…く…何だ…?』

ダイナ『あの……穴は…?』

ガイア『……また何か来るのか!?』



ほむら「うっ……ぁ?」



さやか「……なに…?」

杏子「……もう何がでるやら…」

マミ「……新手…?」



その場にいる全員の視線が空の穴へと集中する





855VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県)2011/07/31(日) 00:38:18.86cQICKie+o (1/1)

0M0)…


856 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:39:04.29E8lcbH220 (25/95)


シュン ズバッ!


QB『…!』

ほむら「あ……!」


空を裂き、穴の向こうから光輪が飛ぶ

その光輪はほむらを捕らえたUキラーザウルスの触手を斬り落とす


ポスッ


ほむら「う……た、助かったわ…」

ティガ『構わないよ……しかし一体何が……』


大きな手のひらでティガがほむらを受け止める




QB『なんだ……何が起こって…!!』




シューン


QB『!!!』





857VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/31(日) 00:39:27.44/tyYEGtao (1/1)

>>855
何故見てるんですッ!?


858 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:39:53.07E8lcbH220 (26/95)



ズズーン…


マン『…なんとか…脱出できたか』

セブン『そこまでだ!!インキュベーター!』

ジャック『これ以上貴様の好きにはさせんぞ!!』



QB『!!…そ…そん…な……!』



エース『みんな、無事か!!』

メビウス『後少しだ…!諦めないで!』



空の穴の向こうから
大地を揺らし、土埃を巻き上げ

五人のウルトラマン達が出現する




ほむら・マミ・杏子・さやか「!!!」



ティガ『!!…』

ダイナ『!…へへ…』

ガイア『は、ハヤタさん達が…!』





地に伏した体を起き上がらせ、
歓喜し、驚くほむら達






859 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:40:51.86E8lcbH220 (27/95)


Uキラー「グルル…!」

QB『馬鹿な……そんな馬鹿なことが…!』

QB『ヤプールの力以外で…空間に穴を開けることなんて…!不可能のはずだ!!』



焦りを隠しきれないキュウべえが叫ぶ



メビウス『どんな時でも最後まで諦めず…不可能を可能にする…!!』

マン『それが……ウルトラマンだ』



QB『ふ…ふざけるな…こんなことが…!』



シュバッ!


マン『…』

セブン『…』

ジャック『…』

エース『…』

メビウス『…』

ティガ『…』

ダイナ『…』

ガイア『…』



Uキラー「グァルルルォォオオ!!」



唸るような低い咆哮を上げるUキラーザウルス

その眼前に八人のウルトラ戦士が集結し、ファイティングポーズを取る




860 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:43:23.31E8lcbH220 (28/95)


QB『何が光だ……!!』

QB『いくらウルトラマンが集まったところで僕を止めることは…!!』


マン『いや…勝利を信じて諦めないのは…我々だけではない』


QB『!……何を…』


ゴゴゴゴゴゴ…


QB『うっ…?』



空の穴から光が溢れ出し、
キュウべえが空を仰ぐ




マミ「また……何か来るのかしら…?」

杏子「もう何が来ても驚かねぇぞ……」

さやか「……」

さやか(…まさか)



ほむら「あ……あ!!」

ほむら「……あの…光は……!」



シュゥゥ……






861VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/31(日) 00:43:25.87zDmtAQ2vo (1/2)

緑の地球を 穢した奴らは 決して許しておかないぞ ウルトラマン♪


862 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:43:59.23E8lcbH220 (29/95)





灰色の空
その薄暗く不気味な色の中に差し込む一筋の光




包み込むような
淡く、優しい輝き




暁美ほむらにとって、見覚えのある
忘れるはずの無い友の光





桃色の粒子を身に纏い
二つに分けた髪とフリルのスカートを風に靡かせて





ゆっくりと地上に舞い降りる





魔法少女 鹿目まどか







863 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:44:51.27E8lcbH220 (30/95)





スタッ


まどか「……」



QB『な…何故だ…!!鹿目まどか、君は……!!』

QB『もう魔女になる寸前だったというのに…!!』



まどかの出現に呆気に取られる一同



杏子「…前言撤回……驚いた…」

さやか「帰って来た……まどかが帰って来た…!!」

マミ「鹿目さん…!本当に…鹿目さんなのね…!」




ほむら「……ま、まど…」

ほむら「……っ」



真っ直ぐにUキラーザウルスを見据えるまどか

その背中を見て、ほむらは言葉を止める



ほむら(今は……まだ…)






864 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:46:54.60E8lcbH220 (31/95)



まどか「……」ス…


Uキラー「グルル…!」

QB『…!!』ビクッ



身の丈ほどの弓を左腕で支え
右腕で弓を引き絞る


QB『そ…そんなもので…!!』


まどか「…いけぇっ!!」

シュパッ!


Uキラー「!?」



まどかの放った光の矢は分裂し、
光の軌跡を描いてUキラーザウルスへ飛ぶ





865 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:47:40.80E8lcbH220 (32/95)


QB『な…!?』シュン

Uキラー「グガッ!!」


ガガガッ  バチッ!


分裂した矢はUキラーザウルスの両腕に阻まれ、弾け飛ぶ

両腕の防御を通り抜けた矢も亜空間バリアーに阻まれ、同じように消滅する



QB『何故…何故…!!』

QB(以前の時間軸程ではないけれど…!)

QB(今の彼女がなぜこれほどの力を!?)


まどか「っ…」




866 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:48:16.31E8lcbH220 (33/95)


杏子「へっ…ダメージは対して無いみたいだけど…」チャキッ

さやか「あいつ…結構面食らってるよ!!」シャキン


再び刃をUキラーザウルスへ向ける二人


QB(!…なぜだ…!あの二人も既に相当のダメージを…!)

QB(もう動くことなど出来ないはずなのに…)



QB『わけが……解らないよ……』



ジャック『魔法少女達の……信じる心』

エース『その心は…時として不可能を可能にする!』



ダイナ『へへ!勢い付いてきたな…』

ティガ(まどかちゃん…彼女には人の光を輝かせる力がある…)

ガイア『もう負ける気がしない…!』





867 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:49:09.97E8lcbH220 (34/95)


QB『ぅ…ぅぅうううう…!!』

Uキラー「ゴォガァァアアアアアアアアッッ!!!」


今までに無いほどの強烈な咆哮を上げるUキラーザウルス


QB『…いいだろう』

QB『何人揃おうと同じ事…君達全員まとめて消し去ってやる!!』


Uキラー「グォォオオオオオオオオ!!!」



ヒュヒュヒュン!



全身の触手全てを使い、
眼下の者達に向けて攻撃を仕掛ける






868 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:49:58.10E8lcbH220 (35/95)



セブン『! 来たぞ!』


マン『…我々の力を合わせ、この悪魔を倒す!』


ジャック「シェアッ!!」


エース「デァアッ!」




襲い来る触手を避け、飛び立つ四兄弟



ティガ『気をつけてください!奴の弱点を破壊するにはバリアーの突破が最優先です!』

ダイナ『よーし!やってやるぜぇ!』

ガイア『あの雷撃が来る前に触手の数を減らさないと!』



それに続いて飛び立つ三人のウルトラマン





869 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:51:27.90E8lcbH220 (36/95)



メビウス『杏子ちゃん!さやかちゃん!君達はこっちに!』

杏子「は!?お、おいちょっと…」

さやか「え!?」


メビウス『いいから早く!』

メビウス(あのバリアーを突破する攻撃を…!)



手の平で杏子とさやかを胸にしまい込むように乗せて、メビウスが飛び立つ



まどか「よし…!わたしも…!」

ほむら「……まどか」



ガシッ





870 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:52:35.67E8lcbH220 (37/95)



まどか「あ…」


ほむらがまどかの肩に手を当て、呼び止める


ほむら「……」

マミ「暁美さん…」


まどか「ほ、ほむらちゃん……あの…」

ほむら「……」



グイッ

まどか「わ!」

マミ「あ…?え?」


まどかの体をUキラーザウルスの方へ向けるほむら


ほむら「マミ、あなたも手伝いなさい…」

マミ「…?」





871 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:53:13.91E8lcbH220 (38/95)


ほむら「私達の魔力をまどかに送り込むわ」

マミ「!…」

まどか「え…?」


ほむらの提案に、目を丸くする二人


ほむら「私達が受けたダメージでは…今奴に向かって行っても足手まといになるだけだわ」

マミ「じゃ…じゃあ私が回復を…」


ほむら「…無茶よ、あなた自身の傷も治せてないじゃない」

マミ「!…」



マミの体の傷を見て呟く



ほむら「自分の体を治す余裕も無いほど…あなたの力が弱まっている証拠よ」

マミ「う…」



マミ「……」スッ





872 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:53:53.68E8lcbH220 (39/95)



まどか「!……マミさんも…」


まどかの背中に手をかざす二人


マミ「少しだけど…足しになるでしょう?」

ほむら「チャンスは一回よ、まどか」


ほむら「集中しなさい」

まどか「……!」


まどか「うんっ!」



Uキラーザウルスの巨体を真っ直ぐに見据え

ゆっくりと弓を引き絞る



まどか「……」

ググググッ…



マミ「……」

ほむら(…あとは彼らが隙を作ってくれれば……)




873 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:54:44.56E8lcbH220 (40/95)


……………………………………


セブン「デュワァッ!!」

マン「シュワッ!」


ズバババッ


アイスラッガーを逆手に持ち、振るうセブン

光輪を投げるウルトラマン


五人のウルトラ戦士の参戦で、大量の触手が次々に切り裂かれ
地に落ちる



Uキラー「グゥゥウウウ…!!?」ブンッ


腕を振り回し、

全身から生体ミサイルを放つUキラーザウルス





874 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:55:55.30E8lcbH220 (41/95)


ジャック『まだまだ…!』シュン

エース『次はコイツだ!!』シュン


QB『!?』



ミサイルを避け、接近する二人


ジャックが左手首のウルトラブレスレットを変形させ、Uキラーザウルスの右腕に
エースが頭部に集束させたエネルギーを光輪にしてUキラーザウルスの左腕に、それぞれ放つ



ズバンッ!


Uキラー「グァギャァアアアアア!!」

QB『く…』



白熱化し、空を裂く刃は巨大な扇状の両腕を斬り落とし、
辺りに肉片が飛び散る





875 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:57:15.30E8lcbH220 (42/95)


QB『だが……これくらいのダメージならすぐに…!』

Uキラー「!!」


シュルルル


ガイア『!!…駄目だ、奴には再生能力が…』


残り少ない触手が斬り落とされた両腕を拾い上げ、体へと引き寄せる


マン「シャッ!!」

セブン「デュワッ!」


ピタッ


QB『…?』

Uキラー「?…グ…?…」





876 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:58:02.99E8lcbH220 (43/95)


QB『な、何だ…!?引き寄せられない……持ち上げられない!?』


二本の腕は空間に固定されたように動かない


マン『アスカ!!』

セブン『我々がウルトラ念力で止めている…今の内にあの能力で…!』



セブンが叫ぶ



ダイナ『!!……そうか!それかぁ!!』

シュィン

ダイナ(M)「デュア!!」



両腕を交差させ、ダイナが青い姿

超能力を得意としたミラクルタイプへチェンジする



ダイナ(M)「ハァァアアアア……!!」シュゥゥ





877 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:59:09.49E8lcbH220 (44/95)


ダイナ(M)「ディヤァッ!!」バシュッ


右腕に圧縮した空間を衝撃波として撃ち出し、それが落ちたUキラーザウルスの両腕に直撃する


QB『!……』


放たれた衝撃波・レボリウムウェーブは直撃と同時にブラックホールを作り出し、
両腕を次元の彼方へ吹き飛ばす


ダイナ(M)『はっはー!どうだこの野郎!!』

QB『!…両腕が…っ』



エース『よぉし!!』

ジャック『あとはあの亜空間バリアーを…!!』



ティガ『!……よし』


QB『!…』

Uキラー「ギャォァアアアアアァ!!!」


バシュシュシュッ!





878 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 00:59:50.68E8lcbH220 (45/95)


怒り狂うUキラーザウルスの全身から、
あらゆる方向に雷撃、光弾、ミサイルが放たる


ティガ「……ハッ!」

シュゥン

ティガ(S)「ジュアッ!!」バッ


交差させた両腕を振り下ろし、スカイタイプにチェンジするティガ

そのまま攻撃を避け、Uキラーザウルスの頭部に向かって飛行する



QB『!!…速い…!』


シュゥゥゥウウ


Uキラー「!?…グ…グゥゥゥウウウ!!」



超高速で飛び回り、翻弄するティガ

触手をほとんど斬り落とされたUキラーザウルスはティガを止めることは出来なかった




QB『くぅううう…!!』

ティガ「…」




ティガ(S)『今だ!!』






879 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:00:30.02E8lcbH220 (46/95)


QB『…!!?』

Uキラー「グルゥ…!!」



QB『……上か!?』

Uキラー「グォオオオォオオオォ!!」



Uキラーザウルスが大きく首を持ち上げて、
遥か上空から迫る三人へ咆える



ゴォォォオオオ…



メビウス「ハァァァアアッ!!!」

杏子・さやか「「うぉぉおああああっ!!!」」




メビウスの手から飛び降りた杏子とさやか

二人の魔力を纏わせた武器がUキラーザウルスの頭部を狙い、

メビウスが落下の勢いを加えたキックを繰り出す




ティガ(S)「…!」シュン


Uキラーザウルスの前から飛び去るティガ


QB『!…そっちは囮だったってワケかい…!!』




880 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:01:29.29E8lcbH220 (47/95)


ほむら「チャンス…!!」

ガイア『!! 今です!あのバリアーに…!』



マン「シュワ!!」

セブン「デュワ!!」

ジャック「シェアァッ!」

エース「デァアアッ!」


バシュゥゥゥウウ!!



ガイアがまどか達を守りながら叫ぶと同時に、
四兄弟がUキラーザウルスの頭部へ向けて、地上から必殺光線を放つ




Uキラー「グォォオオ!!」

QB『だが…!』シュン


バチバチバチバチッ!!


七人の攻撃が亜空間バリアーのに直撃

耳を劈く轟音が鳴り響き、強烈な閃光が辺りを照らすが、
バリアーの破壊までには至らない


杏子「くっ、そぉおっ!!」

さやか「く…ぅぅううう!!」

メビウス『…!』


グググッ


QB『不意打ち気味の狙いは悪く無かったが……もう一押し足りなかったね…!!』

さやか「っ…!…うっ!!」





881 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:02:37.53E8lcbH220 (48/95)


メビウス『……ならもう一押しだ!!』

QB『…!?』

メビウス「ハッ!!」シュイン


光と共にメビウスの体を炎が包み込み、
強化形態、バーニングブレイブへと姿を変える


メビウス(BB)『二人とも!続いて!!』

さやか「え!?」

杏子「何だ!?」



バチバチバチ…!



メビウス(BB)「ハァァアアアアア…!!」


バリアーに接触した右足を軸に、高速回転を始める


Uキラー「!? グゥゥウッ!!」

QB『何をする気だい…!?』




882 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:03:28.42E8lcbH220 (49/95)



バチバチバチバチッ!!


QB『!!…キックの威力が…!』


メビウスの足元からさらに強烈な火花が散り、
その火花は螺旋を描きながら円錐状の炎を起こす



杏子「あ、アレに続けってか!?」

さやか「やるしかないよ!!」グンッ


杏子「…あ~っ!もうっ!!やってやるよ!!」グンッ



さやかが突き立てた剣を軸に、
杏子が槍を軸にしてメビウスに続いて高速回転する



メビウス(BB)「セァアアアーーーーッ!!」

さやか・杏子「「だぁぁああーーーーーっ!!!」」


バチバチバチバチッ!!


ピシッ


QB『!!…そ、そんな…!バリアーが…!!!』





883 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:04:02.85E8lcbH220 (50/95)


パキィィイイン…!


Uキラー「!!?」


セブン『…!』

マン『よし…!』



ガラスの砕け散るような音を響かせて、
亜空間バリアーはエネルギーの粒子を散らし、消滅する


杏子「うわぁっ!!」

さやか「あっ!?」


ポスッ


メビウス(BB)『二人とも!お疲れ様!』シュン


バリアー消滅時の衝撃で吹き飛ばされた二人を手で受け止め、その場から飛び去るメビウス


杏子「ど…どうだ…!」

さやか「う……目が回る…」





884 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:04:55.79E8lcbH220 (51/95)



ほむら「!!」

マミ「鹿目さんっ!!」

まどか「……っ!」ググッ


まどかが弓を引く手に、より一層力を入れる



QB『…!……鹿目…まどか!!』

Uキラー「ゴォァァアアアアアァッ!!!」


ガシュン!


まどか「うっ…!」

マミ「!!…あ、危な…」



Uキラーザウスの腹部から巨大なクワガタの鋏の様な牙が飛び出し、
まどかを狙う



ガイア「!…ディヤッ!!」

ガシッ!

Uキラー「ガ…ァアアアア!!」





885 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:06:32.54E8lcbH220 (52/95)


マミ「我夢さん…!!」

QB『っ…まだそんなパワーが…!!』


Uキラーザウルスの牙を受け止め、
まどか達を背中に庇うガイア


ガイア「グ…ゥゥウウウ…!」シュゥウ…

Uキラー「ガァォォァアアッ!!」


バキバキバキッ…


ガイア「ディヤァァアアアアッ!!」


バキッ!


QB『がっ…!!』



体を赤く発光させたガイアがUキラーザウルスの牙をへし折り、その場から飛び退く


ガイア(エネルギーが足りずに変身は出来なかったが……これなら!)


QB『ま…不味い…!!』





886 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:07:23.29E8lcbH220 (53/95)


マミ「…今よ!」グッ

ほむら「まどかっ!!」グッ


魔力を送り込む手に力を込める二人



まどか「……っ!」



Uキラーザウルスの巨大な姿、バリアーが消えて完全に無防備な頭部

そこを真っ直ぐに見据えて、放つ



まどか「たぁぁあーーーーーっ!!!」




バシュッ!!






887 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:08:19.63E8lcbH220 (54/95)




QB『うっ!?』



まどかの放った矢がUキラーザウルスの頭部へ、
風を切り裂き一直線に飛ぶ



ズバシュッ!!



Uキラー「グゴァッ……!!」

QB『!!!』




桃色の矢は、黄色と紫の光の筋を纏い、
Uキラーザウルスの下顎を打ち上げるように直撃


頭部を吹き飛ばし


そのダメージは額の結晶体と同化したキュウべえにも致命的なダメージを与える





888 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:10:47.81E8lcbH220 (55/95)


ダイナ『…!!』

ティガ『勝った……か?』



ズシン



巨大な頭部がUキラーザウルスの足元に落下すると同時に、
胴体がゆっくりと沈み込むように倒れ込む 



杏子「また何かあるんじゃないか…?」

さやか「……アンタそれ笑えない」

メビウス『いや…そんなことは…』



マミ「やった……の?」

ほむら「…」

まどか「……」スッ


確かな手応えを感じたまどかが弓を下ろす



サァァァアア…



マン『……む?』

ジャック『…』





889 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:11:55.17E8lcbH220 (56/95)



ガラガラガラ…


エース『いや……もう立ち上がることは無いだろう』

セブン『奴の最期だ…』


Uキラーザウルスの身体が少しづつ灰になり、

音を立てて崩れ落ちる



Uキラー「………………」シュー













ピシッ


ガイア『……?』





890 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:12:53.00E8lcbH220 (57/95)




パキパキパキッ


静寂が支配する中、
空に赤い亀裂が入り、不気味な音が響き渡る



ほむら「!!……」


ガイア『!…気をつけて!まだ何か来る!!』

エース『あれは…!』



さやか「ほらぁ!アンタが余計なこと言うから!」

杏子「あ、アタシのせいか!?」


セブン『落ち着け!何が出てくるか分からんぞ!』



予想外の事態に全員が後ずさり、空の亀裂を睨む







バリーン! ズズンッ!





???「フシュゥゥウ……」

???「……」

???「グルル…」





マン『…!!』

まどか「!?…か…怪獣!?」





891 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:13:43.69E8lcbH220 (58/95)



空がガラスの様に砕け散り、その向こう、別の空間から
三体の巨大な怪物が出現する



メビウス『…エース兄さん!』

ジャック『エース!…これはまさか……』

エース『ええ、間違いありません……超獣です!』



マミ「超獣…?」


三体の超獣とエースの姿を交互に見つめ、マミが呟く



杏子「ここにきて面倒くさそうな奴等が出やがったな…!」

エース『奴が絡んできている以上…超獣の出現は避けられないとは思っていたが…』ググッ



固く握り締めた両手の拳を怒りに震わせながら、
超獣に戦いの構えを取る



ダイナ『ま、待ってくれ!こっちにも分かるように説明してくれよ!』





892 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:14:13.05E8lcbH220 (59/95)



超獣1『……』

超獣2『…ギィィイイ…』



獲物を見つけた獣のように唸り声を上げ、超獣達がウルトラ戦士と魔法少女達に滲み寄る



ほむら「!……来るわ…」

ティガ『不味い…こちらにはもうほとんどエネルギーが残っていない…!』



エース『超獣とは手短に説明すると…』

エース『異次元人ヤプールが別々の生物を合成させることで生み出した…怪獣兵器といったところか』


まどか「ヤプール…!」


表情を険しくして、武器を構えるまどか




ガイア『他の生物との合成…?』

マン『……だがこの三体は何の超獣だ?見たことが無いタイプだが…』





893 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:14:59.75E8lcbH220 (60/95)



超獣3「グルルルゥ……」

さやか「……ん?」



目の前に現れた超獣達


その体色は頭の先から尻尾まで不気味なまでに白く


両目は鋭く発光し、宝石のように赤い


頭部から垂れ下がった長大な耳のような部位、
その先には浮く様に固定された金色のリング


そして背中には一同にとって見覚えのある特徴的な赤い印があった






さやか「ねぇ……こ、こいつら…もしかして」

マミ「まさか……」



超獣1「グォォオオオォ!!!」ズンッ



ほむら「…!!」

杏子「来やがったぜ…!」チャキ




894 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:15:46.04E8lcbH220 (61/95)




シュンッ ドガッ!



超獣1「グァギャ……!!」ズズンッ

さやか「……え?」



牙を剥き、襲い掛かろうと駆け出した超獣が、
空の彼方より現れた二人の巨人に蹴り飛ばされ、瓦礫の上に転がる




まどか「あ…!!」

マン『…彼等は…!』




超獣2「!?……グゥゥ…!!」

超獣3「ギャォアアアア!!」





コスモス(C)『そのまさかだよ……マミさん』

ネクサス『なんとか戻って来れたか…!』





二体の超獣が、
仲間を蹴り飛ばした銀色の巨人ウルトラマンネクサスと、

太陽の炎の様な赤い姿、コロナモードに変身したウルトラマンコスモスを睨み付け、咆哮する






895 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:16:23.22E8lcbH220 (62/95)



ほむら「あのウルトラマン……孤門…!」

杏子「ムサシ!無事だったんだな!!」



突然の二人のウルトラマンの帰還に歓喜の声を上げる



マミ「そのまさかってやっぱり…」

さやか「じゃああの超獣は!」



ネクサス『…話は後だ!』

キュイン!

コスモス(C)『まずはこの状況を…!』



超獣1「!!……」





896 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:16:53.74E8lcbH220 (63/95)



コスモス(C)「ハァァアアア……」

シュゥウ…

コスモス(C)「デヤッ!!」



コスモスが両腕に灼熱のエネルギーを球状に集束させ、
炎の破壊光弾、プロミネンスボールを打ち出す



コスモス(C)『孤門さん!今です!!』


ネクサス「!!…シュアッ!」バシュッ



コスモスが叫ぶと同時にネクサスが両腕をクロスさせ、
三日月状のエネルギーをプロミネンスボールに放つ




超獣2「…!!」

超獣3「ギッ!?」




ドガァァァアアン…!






897 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:17:23.13E8lcbH220 (64/95)



ネクサス「……」

コスモス(C)「……」


エネルギー刃はプロミネンスボールを起爆させ、三体の超獣達の前で炸裂

拡散した灼熱のエネルギーは超獣達を焼き払い、消滅させる



さやか「すごい…!一気に三体も…」



まどか「……」

ダイナ『…とりあえずこれで全員集合だな!』




五人の魔法少女と十人のウルトラマンが一ヶ所に集う






898 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:18:48.01E8lcbH220 (65/95)



マミ「あの…孤門さん…あの怪物はやっぱり…」

ネクサス『…その答えは奴等に聞いた方が早そうだ』

さやか「え…?」




バリーン!




ヤプール「…結局…こいつらを始末することは出来なかったか」

???「まぁ…いいんじゃないかな?ここまでは想定内だし」




再び空間が割れ、
その向こうからヤプールと少女達にとって見覚えのある白い生物が現れる



エース『出たな…ヤプール!!』

まどか「……!!」



マミ「え……キュウべえ…よね?」

ほむら「違うわ。別個体よ…私達が知るインキュベーターとは別…」



ヤプールの足元の生物を見て驚き、呟くマミ
そのマミにほむらが冷静に答える




インキュベーター「……」






899 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:19:29.53E8lcbH220 (66/95)


ほむら「インキュベーター…答えてもらうわよ」

マミ「……私達をおそったあの生物は…」



インキュベーター「超獣だよ……僕達インキュベーターをベースにした…ね」

ヤプール「私の超獣製造機を利用して作り出した」



ガイア『超獣製造機…?』

エース『貴様っ!……またそんなものを持ち出してきたのか…!!』



エースが感情を露わにし、ヤプールを睨み付ける



インキュベーター「さて……仕事だよ」

ヤプール「うむ…」スッ



ヤプールとインキュベーターが歩き出し、
今尚灰化が進むUキラーザウルスの亡骸に手をかざす



QB「………………う…」ピクッ

マミ「!!…キュウべえ…?」





900 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:20:16.38E8lcbH220 (67/95)



ヤプール「!…まだ息があったか」

インキュベーター「死んでいた方が幸せだったのかもしれないのにね」



QB「……ぁ……な、何…を…」



既に虫の息なキュウべえが、ヤプールの姿を見上げる



ヤプール「ワルプルギスとの戦闘でウルトラマン達が現れず…尚且つUキラーザウルスが敗れた今…」

インキュベーター「もしもの時の為の保険…使わせてもらうよ」



シュゥゥウウ…



QB「う゛…っ!?……あ……そん…な…!!」

ほむら「…!」

メビウス『な…!?あれは…!』




キュウべえの身体から黒い霧状の生物、

宇宙同化獣ガディバが抜け出し、ヤプールの手に戻る




901 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:21:21.23E8lcbH220 (68/95)


ヤプール「よし…十分なデータだ」

インキュベーター「この場にいる者達全員のデータ…これで集まったね」



QB「なん…で……なんで……僕…に」



サァァァアア…



インキュベーター「……君、本当は気付いてるんだろう?」

QB「……」

インキュベーター「魔法少女……多数のイレギュラー達との接触で……」








インキュベーター「君の中に感情が芽生えてきたことにね」


QB「!!……う…そ……だ…」





902 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:21:54.91E8lcbH220 (69/95)


インキュベーター「嘘なもんか!…ほらヤプール、見せてあげなよ」

ヤプール「ああ…」スッ



差し出したヤプールの右手の上に、
不気味な黒いエネルギー球が出現する



ヤプール「たった今回収できた……お前の絶望のエネルギーだ」

QB「!!!」



インキュベーター「感情の無い生物からはこんなもの回収できないよね?」

QB「……ぁ…ぁぅ……」

インキュベーター「欠陥品は処分しなくちゃ」


ほむら(…まさかとは思ったけど……やはり…)




インキュベーター「ヤプールが君の変化に早目に気付いてくれてよかったよ」


ヤプール「魔法少女達がソウルジェムの秘密を知ったあの夜…」

ヤプール「絶望する巴マミを見ていたお前の中の…微かな揺らぎに気付いた」



ほむら「!……あの日から既に…」

マミ「……キュウべえ…」



QB「…」




903 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:22:37.86E8lcbH220 (70/95)


ヤプール「おかげで…ワルプルギスと戦闘しなかった者達のデータも取れた…」



ティガ『!…』

ダイナ『俺達の事か…!?』

ガイア『…』



ヤプール「それだけでは無い」

ヤプール「そこにいるウルトラ兄弟達がUキラーザウルスと戦闘出来るように…あの空間に歪みを作ったのも私だ」



マン『…我々のデータも完全に取られたというわけか』

セブン『エースの言う通り…あれは初めから仕組まれていたのか』

ジャック『……用意周到な奴らだ』

エース『仲間を捨て駒のように使うとは……』

メビウス『…こんな…酷い…』



インキュベーター「全てのイレギュラー達のデータは回収済みだ」




904 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:23:16.77E8lcbH220 (71/95)


ヤプール「しかし…一番のイレギュラーは…」

インキュベーター「……」



一人と一匹の視線が、
一人の魔法少女に注がれる



まどか「……」

マン(……この子…か)



ヤプール「鹿目まどか……お前は何なんだ?」

インキュベーター「精神攻撃を跳ね除けて…別のイレギュラー達の助けがあったとは言え…生還するとは」


まどか「……」グッ






QB「ぁ……ぁ…」

サァァァアア…

マミ「!」




905 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:24:05.62E8lcbH220 (72/95)


マミ「…キュウべえ…!」

杏子「待てマミ!崩れるぞ!」ガシッ

マミ「っ…で、でも…!」



キュウべえの元へ駆け出そうとしたマミを引き止める



QB「………マ…ミ…」

QB「………」

QB「…」


ガラガラ サァァァアア…



キュウべえの身体が

Uキラーザウルスから崩れ落ちた灰の中に消える



マミ「あ…ぁ……」

ダイナ『……』





906 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:24:47.86E8lcbH220 (73/95)


セブン『何故だ…?何故そうまでしてエネルギーに拘る?』

ほむら「……インキュベーター、あなた達の目的は何?」



インキュベーター「…宇宙延命のため。それは変わらないよ」



メビウス『だったら…!!』




インキュベーター「だが延命というのは…一時的な滅びから逃れるだけの『逃げ』の手段だ」

インキュベーター「またいつ滅びの危機を迎えるかわかったもんじゃない」

インキュベーター「だからいらないものは…切り捨てなくちゃあいけないんだ」


杏子「なんだと…!」


インキュベーター「例えば…野蛮で愚かな地球人類とかね」


さやか「…!!」





907 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:25:17.57E8lcbH220 (74/95)


インキュベーター「新しい宇宙に存在することが許されるのは…」


インキュベーター「何者にも倒されず…壊されず…」


インキュベーター「互いに争い合うことの無い、無駄な『感情』というものを切り捨てた生物のみ」



さやか「あたし達はいらないっての!?」



インキュベーター「そういうことになるね」

インキュベーター「…確かに僕達の言っていることは夢物語に聞こえると思うけどね」



インキュベーター「ヤプールの接触でもたらされた技術で…僕達の唯一の欠点だった個々の肉体の弱さ」

インキュベーター「それも完全に克服済み」



インキュベーター「既に超獣製造機により全インキュベーターの改造は完了した」



エース『!!……なんということだ…!』

セブン『…愚かなことを……』




908 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:26:27.69E8lcbH220 (75/95)



インキュベーター「素晴らしいよ…この肉体は…」


ほむら「見た目的には何の変化も感じられないのだけれど…?」


インキュベーター「自分の意思で…君達が見たあの巨大な超獣の姿になれるからね」

インキュベーター「手に入れたデータで強化された超獣は…ウルトラマン達とも互角に渡り合えるだろう」



ジャック『…個々の戦闘力が跳ね上がったというわけか』



まどか「…」

杏子「マジかよ…」

マミ「そんな奴が…何体も…」



魔法少女達の顔が絶望に染まる



ヤプール「……」

インキュベーター「…さて本題に入ろうか」





909 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:27:00.57E8lcbH220 (76/95)


インキュベーター「僕達が管理することになる新しい宇宙…」

インキュベーター「そこにヤプールの技術を施せば…無益な争いなど全て無くなり…」

インキュベーター「夢物語が現実のものとなるだろう」


ほむら「…何が言いたいのかしら?」


インキュベーター「…君達が望むのなら…」




インキュベーター「新しい宇宙に迎え入れてあげてもいいかな…と思ってね」




さやか「!…」

マミ「!!」

ほむら「……」

杏子「ふん…」

まどか「……」




910 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:27:28.78E8lcbH220 (77/95)


ティガ『!!…』

ダイナ『ふざけんな!こいつらがお前らなんかに…』


インキュベーター「君達には聞いていないんだよ…僕は魔法少女達に聞いてるんだ」

ヤプール「さぁ、答えを聞こうか?」



チャキッ



ほむら「聞くまでも無いでしょう?」

杏子「お前らの手先になるくらいなら…死んだ方がマシだね」


武器を突きつけ、
インキュベーターの誘いを一蹴する二人




インキュベーター「…まぁ君達はそう言うと思ったよ」

ヤプール「では巴マミ、美樹さやか…お前達はどうだ?」





911 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:28:06.79E8lcbH220 (78/95)



マン『…』

メビウス『…兄さん達…』

セブン『メビウス…今は見ていろ』



ヤプールが手を差し伸べ、マミとさやかに滲み寄る



ヤプール「お前達は愚かな人間達に絶望したのではないのか?」

インキュベーター「人間に見切りをつけてこちら側にくるのが賢明だとおもうけどなぁ」



さやか「……」

マミ「私は…」



マミ「……」チラッ





912 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:29:09.55E8lcbH220 (79/95)


既に原形が失われつつあるUキラーザウルスの亡骸を一瞥し、
マミがマスケット銃を構える


マミ「仲間を捨て駒にするような人達は…信用できないわね」


チャキン


さやか「…ま…あたしは最初から信用できないとは思ってましたけどね…っと」


マミに続き、
さやかも剣の切っ先をヤプールに向ける


ヤプール『……』

インキュベーター「…じゃあ」



まどか「わたしも行く気は無いよ」



インキュベーターの視線の先の少女、
まどかがきっぱりと言い放つ



まどか「ここであなた達に屈したら……みんな嘘になるから…!」


ヤプール「…ふうん」





913 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:29:45.00E8lcbH220 (80/95)



マン『解かるかインキュベーター…これが彼女達の答えだ』

セブン『生命を弄び、可能性を奪うことは許されることではない!』


インキュベーター「…」


ティガ『一つの生命が他の生命を完全に管理し、貪り尽くすなんて不自然だ』

コスモス『心無き力はいずれ滅びる!』





インキュベーター「…ならば君達が滅びるがいいよ。僕達の力の前に」

ヤプール「…」スッ


バリーン!


ヤプールが手を掲げ、再び空間に穴を開ける





914 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:31:19.60E8lcbH220 (81/95)


ヤプール「…既に我々の母艦が月の裏側に待機している」

インキュベーター「…それに伴い全インキュベーターが地球の周辺宙域に集結してるよ」


メビウス『!!』

マン『なんだと…!?』

さやか「そんな…!」

杏子「総力戦かよ…上等じゃん」



インキュベーター達の答えに驚愕する一同



インキュベーター「今から五日後の正午…この町に超獣を一斉に送り込む」

ヤプール「そして邪魔な貴様達を消し去った後、地球全土に超獣を送り込み…」


ヤプール「地球を制圧した後には人類全てを超獣に改造してやろう!」


エース『……悪魔め』





915 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:32:18.64E8lcbH220 (82/95)



インキュベーター「…じゃあね。交渉は決裂ってことで」

ヤプール(…もうこれも必要無いな)スッ


チャリン


ヤプール「精々残された時間を楽しむかがいい………ふふ…ふふふふ…」




シュゥウウ…




不気味な笑い声を残し、
次元の穴の向こうへ消える一人と一匹




まどか(?………あれは…)


さやか「……」


杏子「ちっ……人を見下したような笑い方しやがって…」



タッタッタッ…



まどか「…あ」





916 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:32:52.86E8lcbH220 (83/95)


ヤプールが消え去った地点、
そこに落とされた物を拾い上げる



まどか「これ…わたしの…だよね…?」



拾い上げられた物は、
まどかがヤプールに奪われたはずの小さなアクセサリー


しかし以前の透き通る様な輝きは失われ、
化石の様な冷たい灰色になっていた



まどか(……こんな色じゃなかったのに…なんでだろ)



まどか「…」スッ



自身の頭の中に浮かんだ疑問を残し、拾い上げたアクセサリーを首に掛け直す



まどか(今は…それどころじゃないかな)






……………………………………




917 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:33:23.86E8lcbH220 (84/95)


……………………………………




ハヤタ「……すまない、結局別世界の君達まで巻き込むことになってしまって…」



廃墟と化した町で、
人間体に戻ったウルトラマン達が一ヶ所に集う



アスカ「困った時はお互い様じゃないっすか!」

我夢「僕達も危ないところを助けてもらいましたしね」

孤門「それに…奴等をこのまま放っておくことなんてできませんよ」



ダン「……とにかくみんな無事でなによりだ」





918 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:33:52.50E8lcbH220 (85/95)



郷「しかし…奴等と戦うとなったらそれなりに対策を立てておいた方がいいな」

北斗「ええ…今回の戦いで俺達の光エネルギーは殆どが失われてしまいましたからね」


ダイゴ「……とにかく今はマミさんの家に戻りましょう」

ダン「ああ……」

ムサシ「……えーっとあとは…」







ほむら「…」

さやか「…」

マミ「…」

杏子「…」


まどか「………」


ミライ「…」ハラハラ



少女達を落ち着かない様子で見つめるミライ





919 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:34:30.90E8lcbH220 (86/95)




まどか「……えっと…みんな…」



頼りなさげに、何も無い方へ何度か視線を泳がせ、
再び四人へ向き直るまどか



まどか「心配掛けて……本当にごめ――」


ベシッ


まどか「痛っ!?」



唐突に頭を叩かれ、言葉を謝罪の言葉を遮られる



さやか「…ばか」

杏子「へへっ………バーカ」





920 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:35:29.16E8lcbH220 (87/95)



小さく歯を見せて、
杏子とさやかが悪戯っぽく笑う


さやか「……まぁあたしも人の事そんな言えないけどさ」

杏子「でも…無事だとは思ってたけどな、アタシは!」


まどか「……あはは」


まどかの口から自然に短い苦笑いがこぼれる




マミ「鹿目さん…」

まどか「!…マミさん…」



マミ「本当に……よく無事で…」



マミがそっと微笑み、
包み込むような優しい笑顔をまどかに向ける



まどか「……はいっ!」





921 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:36:02.76E8lcbH220 (88/95)



ほむら「……」クルッ

まどか(…!)


ほむらが踵を返し、廃墟の町へ向かう


杏子「お…おい、ほむら!」

ほむら「無事でよかったわ。まどか」



振り返ること無く、ほむらが小さく呟く



マミ(…!)

杏子(お……っと)




さやか「…どこ行くの?」

ほむら「……ディバイトランチャーをさっきの戦闘で落とした…拾ってくるわ」

さやか「…ふーん」



タッタッタッ



まどか「あ……わたしも行ってくるよ」





922 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:36:41.20E8lcbH220 (89/95)



ほむらの後を追い、まどかが駆け出す



ミライ「あ!…僕達も行った方が…」

さやか「分かってないなぁ先生!」


ガシッ


ミライ「え!?…な、なんで?」


まどかが駆け出してすぐに後を追おうとするミライ
その袖を持ち、さやかが引き止める


さやか「こういうのは少し待ってから行くもんだって!」


杏子「おっ!分かってんじゃんさやか!」

マミ「あらあら…」

ミライ「そういうものなの…?」



少女達は気付いていた

無愛想に答えたほむらの肩が少し震えていたことに




ハヤタ「ははは…」

ダン「……俺達は先に戻っているぞ」



溜息混じりに笑い
ダン達がその場から立ち去る






……………………………………




923 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:37:30.16E8lcbH220 (90/95)


……………………………………



ほむら「……」カチャカチャ


瓦礫の上に腰を掛け、拾い上げたディバイトランチャーを弄り、
盾に収納する



まどか「…ほむらちゃん」スッ

ほむら「…!」



その背後から近づいたまどかが

後ろからほむらの肩に手をまわし、優しく抱きしめる



まどか「わたし……ね」

まどか「みんなと別れて……独りぼっちになった時にね…解ったんだ」

まどか「ほむらちゃんが……どんなに傷ついて…苦しんで…わたしの為に戦ってくれてたか…って」ジワッ


ほむら「!!」





924 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:38:50.64E8lcbH220 (91/95)



まどか「あは……我慢…してたけど……駄目だなぁ…わたし…」ポロ

ほむら「!…まどか…」


まどか「ほむらちゃん…っ…が…我慢してた……か…ら」

まどか「わたしも…我慢しようと…思ってたん…だけどな…」ポロポロ



零れ落ちる涙を拭わず、
ほむらの耳元で囁き続ける



まどか「でも……今は…今だけ…は」ポロポロ

ほむら「っ……うっ…く…ひっ………く…」ジワッ



まどかと顔を合わせず、声を押し殺して

ほむらが肩を震わす



まどか「……ちょっとだけ…泣いても……いいよね…」

ほむら「っ……まど…かっ……!!」ガバッ




感極まったほむらがまどかに抱きつく

振り返ったほむらの顔は涙で濡れていた






……………………………………




925 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:39:17.68E8lcbH220 (92/95)



……………………………………



杏子「おーおー…見せつけてくれるねぇ…」

さやか「あいつ素直じゃないなぁ…」



涙を流して抱き合う二人

その姿を廃墟の陰から見つめる四人



マミ「いいのかしら……盗み見なんて…」

ミライ「え!?こ、これ悪い事だったの……?」


目を丸くして驚くミライ


さやか「遅いよ!?」

杏子「まぁ時と場合によるというか…何というか……」




……………………………………




926 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:42:35.25E8lcbH220 (93/95)



……………………………………


ほむら「ひっ…く……まど…かぁぁ…」

まどか「うん……うんっ…!」


溢れ出す思いを抑えようともせず、
お互いの身体をきつく、親に縋り付く子供のように抱き合う


ほむら「よかっ……た…ほん……とに…!」

まどか「ごめんね…ほむらちゃんっ……」



二人が声を上げ、涙を流し、鼻声でお互いの名を呼び合う



ほむら「もう…どこへも……行かないっ……で……!」ギュッ

まどか「うん……みんなで…ずっと一緒にいよう…!?」ギュッ





ほむら(もう……離さない…離したくない…)



まどか(ありがとう……ほむらちゃん…)



まどか(わたしの…最高の…友達……)






927 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:51:18.16E8lcbH220 (94/95)



   ~次回予告~

……………………………………


杏子「おい!これ外せよーっ!!」

さやか「えーっと動けないんですけど…」


ダン「甘えるな!!」


……………………………………


マミ「私…あの時、ヤプールの言葉が…ちょっと心に突き刺さったんですよね」

郷「…」


……………………………………

北斗「あれはウルトラの星と言ってな…」

さやか「ウルトラの星?」

……………………………………

マン『この…砂漠の砂一粒を狙い撃ちにするかのような精度…』

メビウス『まさか…!』

……………………………………

まどか「あなたは…?」

???「俺はご覧の通り風来坊よ!」


セブン『こ、こいつ…』

……………………………………

ヤプール「教えてやる…真の計画を!!」

……………………………………

ほむら「世界の…終焉…」





928VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/31(日) 01:53:31.57jK89hJe70 (1/1)

まさかテクターギア・ゼロで特訓ですかw


929 ◆jPpg5.obl62011/07/31(日) 01:55:07.10E8lcbH220 (95/95)

今日の投下終了

残すところあと二回程度
最後はみんなに見せ場を…

次が最終回前編みたいな感じになりそうです
よかったら最後までお付き合いを…


930VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2011/07/31(日) 01:55:11.530Nxq3ZvT0 (1/1)

乙シウム光線b
最強最速さんでるんかな....好きなんだけどな( ´ ▽ ` )ノ


931VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/31(日) 01:55:42.266TkxPcUIO (2/2)

ついに潔癖性のあの方が……ゴクリ


932VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/31(日) 01:58:36.23uhid8dY8o (1/1)

乙!今回も燃える展開のオンパレードだったなぁ



僕らの先生に出番あるのかなーっと


933VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/31(日) 01:58:57.61qQnjU47Ao (1/1)

お疲れ様でした。


934VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/07/31(日) 02:20:23.05xegW7lXz0 (1/1)

セブンの息子さんは来ないのかな


935VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/31(日) 02:38:06.45zDmtAQ2vo (2/2)

乙 くるかCVが新世界の神で銀河美少年でガンダムな奴!?ww


936VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/07/31(日) 04:45:23.94TNfU9bsno (1/1)

ゾフィー隊長とタロウはやっぱいいとこ持ってく係なのか


937VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/31(日) 05:08:13.53ukeXdQ5zo (1/1)

乙でした~やっぱ燃えるねえ。次回も期待してます。


938VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/07/31(日) 10:56:10.10xzsOv0JT0 (1/1)

乙! 相変わらず素晴らしい!
そこかしこに「あの回のあれか!」と思わせる
小ネタがちりばめられてるのが嬉しい。

まどかとほむらの再会場面にほろり、
直後のミライの天然ボケにくすり、
なかなか心得てらっしゃる!

次回にも期待! …ん? 風来坊!?


939VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)2011/07/31(日) 22:24:51.40pd3Corq5o (1/1)

顔がうるさい「計画通りに俺が颯爽登場!フーハッハッハデュワデュワ」が来るのか?


940VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/01(月) 20:28:22.78bokAqgUmo (1/1)

ワルプルの夜を過ぎてるって事は
ほむらの時止めはもうできなくなっている設定なのかな?



941VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/08/01(月) 21:11:13.78D7lhOvUy0 (1/1)

>940
え? と思って読み返したら確かに。
うーん…ほむほむにとっては決戦に向けて手痛いハンデ…。

でも“仲間と共に目前の運命を切り拓こう”としている今の彼女にとって
“誰にも頼らず何度でもやり直す”ための時間絡みの魔法との決別は、
未来への熱い闘志と決意が感じられていいかもね。


942VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(京都府)2011/08/02(火) 00:10:31.89D7SoGv7Yo (1/1)


燃えた~イレギュラー達と運命共同体!燃えるな~


943 ◆jPpg5.obl62011/08/10(水) 22:09:41.21c39Xdc9D0 (1/1)

わけあって妙に投下間隔か空いてしまいました
今から書き溜めて明日の夜に再開できると思います

報告あげ

>>940-941
ほむほむは時止め縛りです
一ヶ月限定なので…


944VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/10(水) 22:14:44.04+XGFnEB4o (1/1)

たった一日であれだけ書き溜められるのか……完敗だ、スケールが違う……


945VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県)2011/08/11(木) 22:44:03.18SbUyG6dao (1/1)

そろそろかなー


946VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/11(木) 22:59:04.25GNuvnmISO (1/1)

マダー?


947 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 01:00:46.408rPhV+Vl0 (1/51)

ぬぁあああ
書き溜めながら気付いたんですか量がとんでもないことになりそうで…

待っていただいた人にはほんっとうに申し訳ないのですが明日の夜に…


ごめんなさいぃいいい


948VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/08/12(金) 01:03:29.63VxAIznDlo (1/1)

このスレに収まりそう?


949VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/12(金) 01:03:42.13ejoDHl2go (1/1)

お疲れ


無理せず出来る限りを尽くしてくださいな


950VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/08/12(金) 21:36:18.98i6+aPQ7z0 (1/1)

大丈夫!!
いつまでも待つ
期待&支援


951 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:49:37.128rPhV+Vl0 (2/51)

今から再開します
量が凄まじいのでとりあえず今日は前半部分を

>>948
さすがに無理です…
次スレは>>980くらいに立てます


952 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:52:28.948rPhV+Vl0 (3/51)


……………………………………


~光の国~


ウルトラの父『…プラズマスパークのエネルギーコアが異常な反応を示している…』

ウルトラの母『一ヶ月前より更に…ですか?』

ウルトラの父『うむ…』



異常な輝きを発するプラズマスパーク
それはこの宇宙の新たなる脅威の訪れを意味していた



ウルトラの父『…地球へ向かわせた者達からのウルトラサインは…?』

ウルトラの母『…』


無言で首を横に振る母


ウルトラの父『……そうか』





953 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:53:03.148rPhV+Vl0 (4/51)



ウルトラの母『地球に侵入したインキュベーターという異星人…そして別世界の戦士達…』

ウルトラの母『その情報を最後にそれ以降サインが送られてこないということは…』

ウルトラの母『彼らが非常に切迫した状況下に置かれているということなのではないでしょうか?』


ウルトラの父『…』


母の声色は明らかに不安を露わにしていた


ウルトラの母『例えば…ウルトラサインすら出せないほどの…』

ウルトラの父『それは解っている!だからこうして彼ら二人に準備を…』




シュイン

???『果たして…それだけで十分かな?』




954 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:53:29.598rPhV+Vl0 (5/51)



ウルトラの母『!…あなたは…』

スタッ

キング『自体は我々の想像を遥かに超えているようだ』


眩い光の中、
伝説の超人ウルトラマンキングが降臨する


ウルトラの父『?…それはどういう…』



キング『見るがいい…今、地球でどれ程の事態が起ころうとしているか…』


シュンッ


ウルトラの母『!!』

ウルトラの父『こ…これは…!』





955 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:54:06.328rPhV+Vl0 (6/51)



キングの力によって上空に映し出された巨大なビジョン

そこには月の裏側に待機している球状の巨大な宇宙船
そして地球を覆う様に発生した歪みが映し出されていた




ウルトラの母『宇宙船…!?それにあの歪みは…?』


キング『…あれは異次元へのゲート』

キング『あの歪みがある場所に亀裂が入り…奴らはそこから超獣を送り込んでくるのだろう』


ウルトラの父『超獣!?…それはつまり…!』


キング『うむ…インキュベーターの背後にはヤプールがいる』


ウルトラの母『……なんてこと…』

ウルトラの父『これ程の状況になるまで察知出来なかったとは…!!』



キング『恐らく奴らの技術で地球人はインキュベーター達の存在を察知することは出来ないのだろう…』

キング『今、あの星で奴らに対抗することが出来るのは…』

キング『数人の魔法少女達とウルトラ戦士だけだ』




956 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:54:58.138rPhV+Vl0 (7/51)



キング『どうだ?これ程の敵に対して…地球に送るのはたった二人か…?』


ウルトラの父『……しかしそうなると…』



キングの言葉に閉口し、俯く父



ウルトラの母『……どうかご決断を』

ウルトラの父『…………』



ウルトラの父『…うむ』



静かに頷く父

その視線の先にはプラズマスパークのエネルギーコアに手をかざす二人のウルトラマンがいた






……………………………………



957 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:55:34.838rPhV+Vl0 (8/51)


……………………………………

~避難所~


パシィン!


ミライ「う……!」


目の前の光景から目を反らすミライ

頬を叩く乾いた音が避難所のロビーに響き渡る



詢子「……」

まどか「……」


叩かれた頬を少し赤く腫れ上がらせて、
怯むことなく詢子を見つめるまどか



詢子「ふざけるんじゃないよ…!アンタの言ってることはワガママじゃ済まされない…!!」





958 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:56:18.618rPhV+Vl0 (9/51)



驚き、怒り、悲しみ、戸惑い
それらの感情が入り混じった表情でまどかを睨む詢子


詢子「ここ数日…連絡も寄こさず家出紛いのことしておいて……」

詢子「いきなり帰って来たかと思えば……この町に残るだってぇ…!?」

まどか「…うん」


静かに頷くまどか


詢子「……この避難所も危ないかもしれないってことで…この町からの避難指示命令も出てる」

詢子「しかもアンタがこの町に残る理由は言えないと来たもんだ!」

詢子「…なに考えてんだアンタは!!」




ミライ「か、鹿目さん……まどかちゃんは…」

詢子「親子の間に入るなっ!!!」

ミライ「!!…」



激昂した詢子はミライの制止を一蹴し、怒鳴り続ける





959 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:57:02.708rPhV+Vl0 (10/51)


詢子「アンタ一人の勝手で周りにどれだけ迷惑を…!」

まどか「解ってるよっ!!」


詢子に張り合うような大声で、彼女の言葉を遮るまどか


まどか「みんなが心配してくれてるって……解ってる…」

詢子「……」



詢子「……アンタの他にここに残る奴はいるのかい?」

まどか「?…うん、いるよ」



冷静さを取り戻し、詢子の口調が皮肉めいたものに変わる



詢子「へっ……お友達が残るから…アンタも残るってか?」

まどか「!…違うっ!!」





960 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:57:34.958rPhV+Vl0 (11/51)



詢子「!!」


まどか「わたしがこの町に残るのは…みんなを守りたいから…」

まどか「わたしに出来ることを…精一杯やる…!」

詢子「…」


まどか「そして…」


決意の眼差しで、詢子を見つめる


まどか「これはわたしが……わたし自身が出した答えだから…!!」


詢子「!……」

ミライ「…」



まどか「ごめんねママ……だからわたしは―――」

ガシッ!




961 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:58:00.738rPhV+Vl0 (12/51)



まどか「ひゃあっ!?」ゴツン

詢子「……」


詢子がまどかの顔を両手で挟み、
引き寄せて、額と額を優しく合わせる


まどか「ま、ママ…?」

詢子「……はぁ」


浅いため息がまどかの顔にかかる




詢子「…今のは本当なんだな?」

まどか「え…?」

詢子「誰かの嘘に踊らされてねぇんだな……!?」



険しい表情、厳しい声音でまどかに問いかける



まどか「……うん!」

詢子「…」スッ






962 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:58:36.908rPhV+Vl0 (13/51)



詢子「………先生」

ミライ「は、はい!?」


まどかから顔を離した詢子がミライに向き直る


詢子「悪かったね…怒鳴ったりして」

ミライ「い…いえ!こちらこそ…」


詢子「アンタのことは和子からちょっとだけ聞いたよ……信用できそうだ」

ミライ(!……早乙女先生…)



詢子「まどかを……よろしく頼みます」ポン

まどか「!…」

ミライ「……はい!任せてください!」


まどかの背中を優しく叩き、詢子が小さく頭を下げる


まどか(……ありがとう…ママ…)



……………………………………




963 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 22:59:19.438rPhV+Vl0 (14/51)



……………………………………


詢子「……」


知久「…行ったみたいだよ」スタスタ


まどかとミライが立ち去った後、
詢子の隣には二人と入れ替わるようにして知久が現れる


詢子「……悪いね、あたしが勝手に話進めちまったみたいで…さ」

知久「…いや」スッ


首を横に振り、詢子の肩に手を回す




知久「あの子自身が決めて…君が送りだしたんだ」

知久「僕は何も言わないさ」



詢子「……はぁ」



詢子「あいつ…まるで急に大人になったみたいでさ…」

詢子「……なんか…寂しいというか…なんというか…」





964 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:00:28.048rPhV+Vl0 (15/51)



知久「……見てごらん」

詢子「…?」



避難所の窓から見える、所々崩壊した町並みを指差す知久

その指示した先には、一片の迷いも無く仲間の元へ走るまどかの姿があった



知久「…大丈夫、きっと無事で帰って来る」

知久「彼女は僕達の子だよ」



詢子「!…」

詢子「………」スッ


少し強張った表情を崩し、知久の胸に身を預ける


詢子「……そうだね」




……………………………………



965 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:01:10.298rPhV+Vl0 (16/51)


……………………………………



マミ「……」


冷たい風が吹き荒れる、人の気配が消えた夜の街

目の前に積もった灰と石の山をぼんやりと眺めるマミ




タッタッタッ


さやか「あ!いたいた!」

杏子「ここかぁ…探したんだぜ?マミ」

郷「冷えるだろう?早く帰って来なさい」

北斗「皆帰りを待っているぞ」



マミ「!…みんな…」


マミを迎えに現れた四人


北斗「む…?これは……?」

さやか「あれ…そういえばここって…?」


目の前の光景を見て、二人が目を丸くする


杏子「あの化物の…亡骸だよな?」

マミ「…ええ」





966 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:02:06.748rPhV+Vl0 (17/51)



マミがながめていた灰と石の山

それは灰化して、微かに面影を残したUキラーザウルスの亡骸だった


郷「…あまりここにいない方がいいぞ?」

杏子「え?…なんでだ?」




北斗「この亡骸…灰化したとはいえまだ少し内部にエネルギーの流れを感じる…」

マミ「!!」

さやか「え…えぇ!?」





967 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:02:42.888rPhV+Vl0 (18/51)



北斗の答えに驚愕する一同


杏子「それってやばいんじゃないか!?」

さやか「またコイツが復活したり!?」



郷「いや、その心配は無い」

北斗「肉体自体は崩壊しているし、再び動き出すほど莫大なエネルギーがあるわけでもないからな」



さやか「そ、そっか……よかった…」

杏子「…まぁあんまり長居するもんじゃねーな」


安堵し、胸を撫で下ろす二人






郷「こんなところで何を…?」

マミ「あ、いえ…ちょっと考え事を……」

北斗「考え事?」


苦笑し、気恥ずかしそうに答えるマミ






968 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:03:13.728rPhV+Vl0 (19/51)


郷「…あの時のヤプールの言葉か?」

マミ「!……はい…」


図星を突かれ、背を向けるマミ


杏子「……人間に絶望したとかなんとか言ってたな…」



さやか「あ、あんなヤツの言う事なんか気にしちゃ駄目ですよマミさん!」

北斗「その通りだ」



北斗「心の隙を突き、負の感情を利用することはヤツの常套手段だからな」

郷「……」




マミ「……それは…解ってるんです」





969 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:03:53.308rPhV+Vl0 (20/51)



マミ「……私が…これまで人を守るために戦ってきた理由は…」

郷「…?」

杏子「どうしたんだよマミ…急にさ?」


一同に背を向けたまま、唐突に呟く


マミ「……魔法少女になった時…助けられるはずの命を救えなかったから…」

マミ「あの時は自分が助かる事に必死で…」

マミ「だから私は…ただその罪の意識から逃れる為だけに戦ってたのかもしれない」



さやか「マミさん…」



マミ「でも…鹿目さんや美樹さん…」

マミ「それに…守るために戦い続ける皆さんを見て……私も純粋な気持ちで戦えるようになったんです」



郷「…」

北斗「……」





970 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:04:19.288rPhV+Vl0 (21/51)



マミ「だから尚更…人の嫌なところを見て…あんな言葉を掛けられたら…」

さやか「あ……」



数日前の学校での出来事が、二人の脳裏を過ぎる



マミ「私怖いんです…!」

マミ「もしかしたら私のやってきた事は…全部無駄だったんじゃないかって思うと…」

杏子「…」



心の奥底から溢れ出しそうな感情の波を抑え、
肩を震わせながら話し続けるマミ



北斗「……」




郷「……それでいいんだ、マミ」





971 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:04:46.998rPhV+Vl0 (22/51)


マミ「っ…!?」


予想外の言葉に驚き、咄嗟に振り返る


杏子「…どういうことだ?」



郷「護るべきものを見つけ、守る」

郷「そのためには相手を……人間を知らなければならない」



さやか「人間を…知る?」


郷の言葉に、少女達は首を傾げる


郷「…人間の強さも、弱さも、美しさも醜さも…」

郷「相反する両面を知らなければ…守ることは出来ない」



マミ「!!」





972 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:05:25.678rPhV+Vl0 (23/51)



郷「その両面を知った上で、俺たち兄弟は戦い続けてきた」

郷「人間が…守るに値するものと信じて」



遠い星空を眺めながら、郷が語る



さやか「……難しいんだね、守るって事はさ」

杏子「ああ…ブチ壊すのは一瞬なのにな…」



崩壊した街の光景を見回しながら
さやかの言葉に付け足すように呟く杏子



マミ「…」

北斗「俺が思うに…お前達は人の悪い面にばかり目が行きがちなのかもしれないな」



さやか「?…そ、そう…かな?」





973 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:05:55.678rPhV+Vl0 (24/51)



北斗「お前達の周りには…心配してくれる人や、優しく接してくれる大人はいなかったのか?」


さやか「うーん…」

マミ「……」




さやか(……そういやちょっと前に行った花屋のおばちゃん…いい人だったなぁ)

マミ(そういえばスーパーに閉じ込められた時のあの店員さん……優しかったな…)

さやか(仁美も恭介も……なんだかんだで心配してくれてるし)

マミ(アスカさん達も…文句一つ言わずに私達を助けてくれている…)




北斗「どうだ?探せば色々出てくるもんだろう」


さやか「まぁ…言われてみれば」

マミ「……なんだか気が楽になりました」


郷「それはよかった」





974 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:07:51.208rPhV+Vl0 (25/51)



杏子「……あ!」


杏子「なぁなぁみんな!あれ見てみろよ!」


満点の夜空に一際美しく輝く星を指差し、
興奮した様子で大声を上げる杏子



郷「……どうした、急に」

北斗「!…あれは…」


さやか「あ!なにあの星!」

マミ「ほんと……すっごく綺麗…」


北斗「おぉ!……お前達あれが見えるんだな?」


嬉々とした表情で少女達を見つめる





975 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:08:23.538rPhV+Vl0 (26/51)



マミ「え?…何か知ってるんですか?」


北斗「ああ…あれはウルトラの星と言ってな…」

さやか「ウルトラの星?」

杏子「なんだそりゃ?」



聞きなれない言葉に興味を示し、三人が北斗の話に耳を傾ける



北斗「あの星はな、辛い事があっても負けるもんか…って思った者にだけ見えるんだ」

郷「君達が人として成長し、目指すべきもの、守るべきものを見つけた強い者になった証……といったところか」



杏子「へぇ…」

マミ「ウルトラの星…かぁ」

さやか(あたし…強くなれたのかな?)




……………………………………




976 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:08:52.458rPhV+Vl0 (27/51)


……………………………………


~廃工場~


ガコン

孤門「よし……こんなもんかな?」


ほむら「……」

孤門「…どう?使えそう?」



廃工場の各所に空のドラム缶を設置する孤門

その作業を終え、資材の上に座り込んで盾の砂時計を弄るほむらを呼ぶ



ほむら「…駄目ね。やっぱり発動しないわ」

孤門「そうか…」



ほむら「…まぁ解っていた事だけど」

ほむら「時間停止が使えなくなったのは…ね」





977 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:09:18.898rPhV+Vl0 (28/51)



孤門「え?原因は解ってるんだ?」

ほむら「ええ…これを見て」カチャ


魔法少女の姿のほむらが孤門の目の前に盾を突き出し、
砂の落ち切った砂時計を指差す



孤門「それは?…砂、もう無いみたいだけど?」

ほむら「そうよ」



ほむら「この砂時計に流れ続ける砂を止めることで発動する時間停止能力」

ほむら「砂が落ち切ってしまった時、新たに補充するには……」


孤門「!……砂時計を回転させる…?」

ほむら「御名答よ」シューン


変身を解除し、髪を手で流す


ほむら「それはつまり…もう一度時間を巻き戻すということ」


ほむら「元々この能力は一ヶ月限定みたいなものよ」

孤門「…一ヶ月?」


ほむら「……私が退院して……まどかとの出会いをやり直すために契約するまでの期間よ」





978 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:10:10.318rPhV+Vl0 (29/51)



孤門「…ごめん、嫌な事思い出させたね……」


自身の失言に視線を落とし、詫びる


ほむら「構わないわ。とにかくこの能力はもう使えない」

ほむら「だから…あなたにこんなこと頼んでるのよ」


広い工場内を見渡すほむら


各所に設置されたドラム缶

ペンキで壁に描かれたバツ印の的

全て孤門が彼女に頼まれて用意した物だった




孤門「でもまさか訓練の教官役になれってのはなぁ……」


少し恥ずかしそうに頭を掻く孤門



ほむら「あなた元の世界では特殊部隊に入っていたんでしょう?」

ほむら「その時に受けた射撃訓練だけでも私に……」



孤門「それは構わないんだけどさ…」

孤門(あの突貫工事みたいな訓練を……ねぇ)





979 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:10:43.448rPhV+Vl0 (30/51)



我夢「話は終わった?」スタスタ

ほむら「!…我夢」


工場の奥から、ディバイトランチャーを腕から提げた我夢が現れる


孤門「お疲れ様。どうだった?」

我夢「銃口部分が少し痛んでいたから少し手を加えました」


我夢「はい、ほむらちゃん」ガチャ

ほむら「ありがとう…助かったわ」


修理が完了したディバイトランチャーがほむらの手に戻る



我夢「……だけど大丈夫なの?撃つ度に魔力を消費する武器で訓練なんて…」

ほむら「その点については色々考えてあるわ」


盾に武器を収納し、再び髪を流す


ほむら「奴らが来るのにあと五日と考えて……ランチャーを使った訓練は前日にしましょう」

ほむら「その日の訓練終了と同時にグリーフシードを使用する」


我夢「そして次の日に万全の態勢で決戦に…ってわけだね」

ほむら「残り少ないグリーフシードを皆で分ける事を考えたらこうなるわね」


孤門「まぁ、とにかく…教えるとなったら全力でやるからね」

ほむら「ええ」



我夢「…とりあえず今日は帰ろう?」





……………………………………



980 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:16:44.238rPhV+Vl0 (31/51)

スレ立て完了しましたー

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1313158546/


981 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:17:11.448rPhV+Vl0 (32/51)


……………………………………


ミライ「あれ?」

まどか「あ…」



マミ「あら、みんな…」

杏子「よう!お前らも戻ってきたところか」

さやか「なーんだみんな出掛けてたんだ!」

郷「改めて見ると凄い人数だな」

北斗「この家に入りきるのか…?」



ほむら「悪いわね、マミ」

孤門「この人数に加えて……あと五人?」

我夢「マミさんにはお世話になりっぱなしだなぁ…」



マミの家であるマンションの一室

その前で総勢十名の者達が鉢合わせになる



マミ「ロクに使ってない部屋もありますから大丈夫ですよ……さぁ、入りましょう?」





982 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:17:38.958rPhV+Vl0 (33/51)


~マミホーム~


杏子「ただいま~っと!」

マミ「はい、お帰りなさい」


嬉しそうに靴を脱ぎ散らかし、早足で上がり込む杏子

その後ろ姿に、マミが少し微笑みながら挨拶を返す


まどか「お邪魔しまーす…」

さやか「うわぁ…やっぱ広いなぁ」

ほむら「……」


少し躊躇いながら、続いて上がり込む少女達

その手には着替えの服や必要な物が詰まった鞄を提げていた



ハヤタ「お帰り」

ダン「帰って来たか」




983 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:18:16.558rPhV+Vl0 (34/51)


ドタドタドタ…


アスカ「お帰り!待ちくたびれたぞー!」


リビングの奥から駆けて来たアスカが、
少し険しい表情で出迎える


郷「なんだ?やけに騒がしいが…」

マミ「何かあったんですか…?」


ダイゴ「えぇっと…ね」

ほむら「…?」


ダイゴが苦笑いを浮かべ、アスカに視線を移す


アスカ「いや~ダイゴさん達が晩飯作ってくれたのにさ、ムサシが皆が戻って来るまで待とうってさぁ…」

ムサシ「だってその方が良いじゃないですか!皆で食べたほうが…」

アスカ「とにかく俺はすっげぇ腹減ったの!!」


広いリビングにアスカの大声が響く


北斗「そんなことか……」

ダン「こいつはさっきからこればっかりでな…」

ほむら「何かと思えば…」


呆れた様子で額に手を当て、ため息を吐くほむら





984 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:18:46.718rPhV+Vl0 (35/51)



まどか「……あははっ…!」

マミ「……ぷっ…」

杏子「…っはははは!!なんだそりゃ!」

さやか「ぶ、ぶれないぁ…!この人…!」



予想外の答えに、まどかとマミが思わず吹き出し、
杏子とさやかが腹を抱えて笑いだす



郷「…やれやれ」

ほむら「…………ふふっ」



つられるように可笑しさが込み上げ、
呆れ気味だったほむらの口から小さく笑みがこぼれる


ハヤタ(おや…)





985 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:19:14.788rPhV+Vl0 (36/51)



まどか「あっ!」

アスカ「お!やっと笑ったじゃん!」

ほむら「え…?」


驚いた一同が、普段見せる事の無いほむらの笑顔に釘付けになる


ムサシ「やっぱり人間、笑顔が一番だよ!」

杏子「そういやアンタの笑ったとこ見たの初めてかもな」




ダン(強い者ほど笑顔は優しいものだ…)

ほむら「ちょ…ちょっと…やめなさい……」


杏子にまじまじと顔を見つめられ、
ほむらは羞恥に頬を少し赤く染める



さやか「仏頂面ばっかりだからね~……結構イケてるのにもったいない…」

まどか「……そうだ!」


ゴソゴソ




986 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:19:56.368rPhV+Vl0 (37/51)



マミ「鹿目さん…?」

まどか「えー……っと」ゴソゴソ


唐突に声を上げ、
自分の手に提げられた鞄の中を楽しそうに漁り始める


まどか「あった!……はいっ、ほむらちゃん!」

ほむら「…あ……これって?」


ピンク色のリボンを取り出し、ほむらに突き出すまどか


さやか「お揃いじゃん!」

まどか「うん、わたしの予備……ほむらちゃんに似合うかなって…」

ダイゴ「この年頃の子は少しくらいお洒落してもいいんじゃないかな?」



杏子「アタシが結んでやるよ!ほらほらこーして……」

ほむら「あ!ちょ、ちょっと!?」


シュルッ





987 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:20:27.778rPhV+Vl0 (38/51)



ほむら「………」


孤門「………」

ハヤタ「……まぁ、何と言うか…」

マミ「その……」


頭に巻いたピンクのリボンを巻いて、
まどかと同じ髪型にしたほむらが少し照れ臭そうに視線を泳がせる

その姿を見て、気まずそうに目を逸らす一同



さやか「ん~…」

アスカ「あれ?あんまり似合ってないんじゃねぇの?」

杏子「まぁ…ちょっとな」


ほむら「!!」ピクッ

まどか「ひ、酷いよみんな!あんまりだよ!!」


ムサシ「あはは…」



ほむら「………」シュルッ

まどか「ほ、ほむらちゃん…」




988 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:21:01.208rPhV+Vl0 (39/51)



頭のリボンを解くほむら
二つにまとめ上げられた髪が下に垂れる


まどか「な、何かごめんね…」

ほむら「いえ……ありがとう」

まどか「……」


二人の間に気まずい空気が流れる


孤門「ま…まぁ明日から訓練だからね!」

孤門「せっかくもらったリボンなんだ!ボロボロになっちゃ不味いだろ?」


まどか「そ、そっか…そうだよね…!」

ほむら「え…ええ…」


孤門が焦った様子でその場を取り繕う





989 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:21:34.188rPhV+Vl0 (40/51)



ハヤタ「…とにかく明日から忙しくなりそうだ」

ダン「さやか、杏子……明日、お前達は俺と特訓だからな」


さやか・杏子「「え?」」


まどか「マミさん……あの…」

マミ「大丈夫、解ってるわよ」

まどか「!……よろしくお願いします!!」



我夢「じゃあムサシさん…明日は当日の作戦について…」

ムサシ「あ、はい!奴らの行動パターンなんかもある程度は……」




アスカ「何でもいいから早く食おうぜ!」





……………………………………




990 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:22:09.508rPhV+Vl0 (41/51)



……………………………………


~翌日~


ダン「この辺でいいだろう…もう降りていいぞ」


ワルプルギスの夜、そしてUキラーザウルスの暴れ回った爪痕が特に酷く残っている地域
そこにジープを止めて下車するダン

それに続き、後部座席の二人が明らかに不満そうな顔で下車する


ガチャッ


杏子「なんだよこんなとこ連れて来て…」

さやか「特訓って言ってもたった数日で……」


ダン「まずは変身。話はそれからだ」


さやか「…?」シューン

杏子「はいよっと」シューン



ダンの言葉通りに変身する二人


杏子「ほれ!変身したぜ!」

さやか「それで?これからどうやって?」


ダン「うむ……ではこれを着て貰おうか」ガチャ

ジープのトランクを開けるダン


さやか「?…それは…」



……………………………………



991 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:22:48.738rPhV+Vl0 (42/51)


……………………………………


杏子(ギア)「……おい、何だこりゃ」

さやか(ギア)「矯正ギプスみたいなヤツ?ちょっと重いけど…」


トランクから取り出された鎧を着込む二人


その鎧は数本のパイプで胸と背中の鉄板を固定し、
黒いバイザーが付いた兜が付属した歪な物だった



杏子(ギア)「……勿体つけずに教えろよ!こんなんで強く――――」

ダン「ふんっ!」バッ


ガシュン!


杏子(ギア)「なっ!?」

さやか(ギア)「重っ…!!」





992 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:23:23.008rPhV+Vl0 (43/51)



ダン「それは訓練用アーマー……テクターギアだ」


ダンがウルトラ念力で鎧の力を発動させると同時にパイプがオレンジ色に発光、
胸と背中の鉄板が二人の身体を圧迫し、急激に重量が増加する



杏子(ギア)「ふざっ……けんな…!」

ググッ


アーマーの重さに耐え、体を持ち上げる杏子



杏子(ギア)「おいっ!これ外せよーっ!!」

さやか(ギア)「えーっと…動けないんですけど…」



ダン「甘えるな!!」

さやか(ギア)「!?」ビクッ





993 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:23:49.978rPhV+Vl0 (44/51)



ダン「いくらお前達が魔法少女の力を自在に使えると言っても…!」

ダン「敵はこちらのデータを解析して強化された超獣なんだぞ!!」


ダン「今のお前たちが戦っても…ただ殺されに行くようなものだ!!」


落ち着いた口調で話していたダンが突然声を荒げ、
二人に檄を飛ばす


杏子(ギア)「なんだよ……」

杏子(ギア)「鍛えよ!勝つために!………ってか?」


ダン「そういうことだ……まずはそれを装備したままで自在に動けるようになれ!」

ダン「…安心しろ。風呂の時くらいはアーマーを脱ぐ事を許可する」


さやか(ギア)「そうは言っても……これじゃ普通に動くだけで疲れそうだなぁ…」





994 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:24:24.588rPhV+Vl0 (45/51)



ガチャ バタン


ダン「嫌でも全力で走れるようになるしかないぞ……!!」

さやか(ギア)「え?」


ダンがジープに乗り込み、
エンジンを掛け、二人に向かって走り出す



ブゥゥウウン……


杏子(ギア)「おいおいおい…!!冗談だろ!?」

さやか(ギア)「うそぉ…!?」


ダン「この訓練が終われば最終日に俺と組み手だ!乗り切って見せろ!!」


ブゥゥウウン!!


さやか(ギア)「目がマジだよ!?こ、殺されるー!!!」

杏子(ギア)「くっそぉお!!超スパルタ特訓ってワケか!走れ走れ!!」


ガチャガチャガチャ…


アーマーが擦れる金属音を鳴らしながら、二人は全力で走りだした






……………………………………



995 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:24:51.758rPhV+Vl0 (46/51)


……………………………………

~廃工場~



タッタッタッ… 

バァン! ガキンッ!


ほむら「っ……外した!」

孤門「速く撃つ事を考えないで!まずはしっかり狙って!!」



工場内の決められたルートを走り、各所に設置された的を狙うほむら

孤門は資材の上で仁王立ちになり、その姿に声を飛ばす



ほむら「次……!」チャキ

バンッ!


孤門「肩上がり過ぎ!飛んだら着地と同時に重心をもう少し下げて!!」

ほむら「わ、分かって………あっ!?」


ガシャーン!


孤門「あ……」



重心を下げ過ぎた事により、下半身のバランスが取れず
その場に豪快に転がるほむら






996 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:25:20.848rPhV+Vl0 (47/51)


孤門「大丈夫?…ほら」

ほむら「………御免なさい」


孤門がほむらの服に付いた土埃を払い、
手を差し出して起き上がらせる



孤門「難しいもんだろ?動き回りながら撃つってのはさ」

ほむら「ええ……でも時間停止が出来ない以上、立ち止まって撃つのは難しいわね」


その場に座り込む二人


ほむら「それに魔法で銃を撃った時の反動はある程度軽減できるけど…」

孤門「微妙なブレを完全に消すことは出来ない…かな」


ほむら「……時間停止に頼りきった戦い方のツケね」


ほむらが肩を落とし、左手の盾を見つめる


孤門「まぁこればっかりは特訓あるのみだね…」





……………………………………



997 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:25:53.908rPhV+Vl0 (48/51)


……………………………………



まどか「………」

マミ「そう…落ち着いて呼吸を整えて…」


荒廃した街で変身し、お互いに向かい合って目を瞑る二人

まどかは弓、マミはマスケット銃を持ち、魔力を集中させる



マミ「いくわよ………それっ!!」

シュン!


マミの魔力を帯びた黄色いリボンがマスケット銃を包み、
巨大な大砲へと変化する



まどか「………はっ!!」

シュゥン…


マミ「…!」

まどか「あ…あれ…?」





998 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:26:45.328rPhV+Vl0 (49/51)



まどかがマミに続いて魔力を弓に纏わせる

しかしその魔力は小さく弱い光を放ち、音を立てて拡散してしまう


まどか「駄目だ……マミさんごめんなさい…」


小さく頭を下げるまどか


マミ「いえ…初めてでここまで出来るなんて正直驚かされたわ」

まどか「でも…」



タッタッタッ…



ハヤタ「おぉ…ここにいたのかマミ」



まどか「ハヤタさん!」

マミ「?………あっ!当日の作戦についてですか?」





999 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:27:57.348rPhV+Vl0 (50/51)



ハヤタ「そうだ。済まないが一度戻って来てくれないか?」

マミ「分かりました………鹿目さん!」シューン


ハヤタの言葉に返事をするや否や、
変身を解除し、まどかに向き直るマミ


まどか「はい?」


マミ「大事なのはまず魔力のコントロールに慣れる事よ……頑張って!」

まどか「!…分かりました!頑張りますっ!」


ハヤタ「無理をしすぎないようにね……それじゃ行こうか」



タッタッタッ…



まどか(よーし………)グッ





……………………………………



1000 ◆jPpg5.obl62011/08/12(金) 23:31:55.848rPhV+Vl0 (51/51)

キリが悪いので埋めちゃいます