475終わり2011/09/26(月) 00:20:47.67GCmQeLxAO (6/6)

そぎみさ?って言うべきなんでしょうか、ていうか電撃大王さんありがとう!本当にありがとう!!!
ローラはアレすぎて武家の奥方みたいですよねーふふ
何スレと呼べば良いの?という質問に対し「自分は白銀【プラチナ】コンビと呼んでるよ」と言うと苦笑されますがまあ元気です

今回もお付き合いいただきありがとうございました!次回もよろしくお願いします



476VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/09/26(月) 00:40:29.59tKKsEOwF0 (1/1)

いっつーさんはそれがつっちーの上司でもあることに
気付いちゃったりするんだろうか……


477VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/09/26(月) 00:45:43.78G+51MP0AO (1/2)

すごい掌握……だと?


478名無しNIPPER2011/09/26(月) 00:52:07.45CCXtXz8AO (1/1)

プラチナwwwwwwwwそれは逆にアリだ
そぎみさとか青吹とかマイナーの宣教師幼女△


479VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/26(月) 08:41:23.40zWWVSN8AO (1/1)

アク禁なんてのもあるな


480VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/09/26(月) 08:59:01.94G+51MP0AO (2/2)

プラチナは白金なんだ


481VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/26(月) 17:15:42.50gCJ8e+VIO (1/1)

すごい掌握吹いたw
>>1乙


482VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/09/26(月) 20:52:47.57xYD015MJ0 (1/1)

>>474乙
最大通行?


483VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/26(月) 20:55:01.20hRNuOoUIo (1/1)

>>467
それだと追っかけで入学したことは否定できているかもしれんが
恋愛感情を持っていることは否定できていないというかむしろ自爆してるぞ

そういうアレなことを指して恋愛脳というんじゃねーのと突っ込まれたら
きっと顔から火を噴いて能力による洗脳どころじゃなくなるんだろうな


484VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/27(火) 03:51:44.22pCjUQw150 (1/1)

このみさきち本編より好みだ



485VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/11(火) 21:34:19.449LYBxgZto (1/1)

そろそろ白もやしと白い天然ポリバケツのキャッキャウフフが見たいです


486VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/12(水) 18:20:20.0251CMgnuy0 (1/1)

なんかしら報告がほしいね


487VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/17(月) 20:58:16.69xrZkFSZOo (1/1)

生きてるんだろうか


488VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県)2011/10/17(月) 21:33:32.85f7Uvz09Ho (1/1)

別スレでは、先週の金曜夜に投下予告があったけど
そっちもまだなんでちと心配



489VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/26(水) 19:21:28.93v/xBEXmIO (1/1)

綺麗だろ……?


490VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/27(木) 12:22:18.68AtnJ0FJIO (1/1)

これ……


491 ◆ObanGQEW7M2011/10/27(木) 23:03:39.01rNnae0yAO (1/1)

死んで…………ねーーーよ!!!!!

ってワケであっちこっちに迷惑かけて申し訳ないです、旅行だの原稿だので年取っただの家庭のゴタゴタだの上条さんフィグマの誘惑だのでまたドタバタしてました
とりあえず今週を目処ぐらいに進めて行きたいのでよろしくお願いします!



492VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 03:59:38.67s/FSWt+f0 (1/1)

報告乙

待ってるよ


493VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/28(金) 10:34:44.70OVkUa1KOo (1/1)

おお、生きてたか


494VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 22:14:06.030Psufdgdo (1/1)

貴重な幼女は守られたか


495VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/10/30(日) 06:35:44.45kHlzeSs40 (1/1)

>>491生きいることに、感謝

最大通行楽しみにしているのです。


496VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/02(水) 23:07:26.63OzeocDcE0 (1/1)

幼女は!生きてたんだ!
待ってるよー


497VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/12(土) 16:08:10.077LDWcoNb0 (1/1)

忙しいのだろうし完結させてくれるのなら何の文句もないな


498VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(栃木県)2011/11/13(日) 09:31:12.065Spc5LzJo (1/1)

スピンアウトの青ピ-吹寄の方は更新あったし待つわ


499 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:00:23.40ch9s1pwAO (1/13)




衝撃的な邂逅を経て

「聞きてェなら貴様は止めろ。 人に頼む態度かソレ」

一方通行が真っ先にしたのは「お前が言えるのか」との指摘である。

「ふん、この英国淑女のコミュニケーションの方法を理解できぬとは。
あの男の計画性の無かることにはほとほと失笑したるわ」

「……」

「なあ白髪。 長点上機だの、何だのへ私を連れて行きたることね」

ふふんと笑うその顔もなるほど見覚えがあるような。
一方通行はその女の様子にやれやれとため息をついて、



かつん、かつん

「……ねみィ……」

大きく欠伸をした。

「え、あ、待ちたるのよ! いや、聞け!」

そういえばあの少女、最近見ないと思っていたが海外に行っていたと言っていた。
出身国に帰ったのだろうか。

それと桜のせいか何なのか、妙に鼻がむずむずする。
これが花粉症なのか?
だったら反射でどうにでもなるのだろう、
大ざっぱに演算をしながら彼はチョーカーに指をかけた。




500 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:05:49.37ch9s1pwAO (2/13)


「ま、ちたまえー!」

素っ頓狂な声。
尊敬語が聞こえてようやく、一方通行は歩みを止めた。

「あァ?」

ビシッ!

スーツを着たその女は片手に持った傘で彼の方を差した。

「道案内、この私にしたまえ!」

「高圧的なのが気に食わねェ」

「え、み、案内、した」

やれやれと嘆息せざるを得ない。
全く、この女に妙なものを感じ取ったなど恥でしかないのだから。

「お手数かけてすみませン。 どォか案内していただけませンか、このわたくしめに。
リトライ」

「お手数かけてすみません。どうか案内していただけませんか、このわたくしめに!! どうかしら!」

さっきの圧迫感は何だったのだ。
頭が少し弱そうなこの女はまたもや誇らしげな顔でこちらを見る。

胃が重くなるほど鬱陶しいので、仕方ない、案内してやることにした。





501 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:07:11.37ch9s1pwAO (3/13)



ついて来い、と声をかけられたローラは小走りで一方通行に追いつく。

「で、何の用だ」

「入学式とやらに行きたしなのよー」

「長点上機のかァ?」

「そのとおりたるわね、全く、聞き出すこといと苦しかりけりってやつかしら?
アレったら、全然言わざりけるものだから」


改めて時計を見た。
13時を10分ほど過ぎている。

「もォ終わってンぞ」

「嘘言え」

彼女の手に巻きつく腕時計から時刻を確認しズレがないことも知った。

「入学式は10時からじゃねェの」

「……だってあの子、2時からと……」

「………」

強張った表情でその場にただ固まる。
その姿があまりに哀れに見え、何も言わないことにした。


「…………言いたいことは山ほどあるが、………殺す………」

「……止めろ」

ふしゃー!と爬虫類のような鳴き声を上げる。
ギラギラと鈍く獰猛に光る黒目。
心なしか彼女の金髪もよりいっそう輝きを増したような、目に痛いのは事実である。



502 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:11:17.07ch9s1pwAO (4/13)



「だってぇ! このギチギチのスケジュールを日本観光のために1日だけ開けたると言うの……くしゅん!」

春霞と言うか黄砂が舞うと言うか、靄がかかった景色の中くしゃみをする音が響く。

「観光なのかよ」

「いくら私を嫌いとはいいしも、まさかここまでとは思わざるけりよ!」

「その日本語力も嫌われる要因なンじゃねェの?」

「うるさし!うるさし! あのクソ陰陽師め……インチキばかり教えやがってぇ!」

陰陽師、とのワードが21世紀のこの学園都市で聞こえるとは。
どうにも疑わしい。
平安で滅び終わってしまったはずの職業とばかり思っていたのだが違うのか。

このインチキ臭い女と話していて問題無いわけなさそうだが、如何せん知識欲というのは止められない。
自分でいてこれなのだからあの少女は、知識欲の塊のような銀色のシスターは大変だろう。



503 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:13:53.21ch9s1pwAO (5/13)



「オイ、ババァ」

「……完全に呼称を間違えけるわよ」

「ハァ? そのスーツと香水付けといて、若いと言い逃れ出来ると思ったのかァ?」


ローラの服を纏うのはどれも一着で車を買えてしまうものばかり。
イタリア製の最高級スーツ、フランスの老舗メーカーの香水。
長く伸びた髪を留める宝石付きのバレッタは、陽光を浴びてキラキラと乱反射する。
それを指摘すると合点のいかないような表情が驚いたそれへと変わる。

「こ、これは、世界的大企業の社長である父が買い与えしものよ!」

「若い令嬢だとしたら、そいつら向けの商品あるのぐらい知ってるだろ。
そんないかにも、な組み合わせもしねェだろォし」

「ぐぬぬ……」

「異論はねェな、ババァ」

「……そう言えばこの小僧どうして女物のブランドを……」


何か聞こえた気がしたが、目的地までそう距離もない、スルー推奨。




504 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:15:20.29ch9s1pwAO (6/13)



日差しは緩く明るく、空気もまだ冷たさが残る春の日。

「――で、オマエはアイツの何なンだ」

何事も無いような響きを装った。
コクリという嚥下の音に苦々しい顔を一瞬だけして、一方通行は彼女を見やる。

「アイツ? さぁな」

「しらばっくれンな」

小馬鹿にしたような声色、そよぐ髪の毛。
鋭い剣を指すように、重石を海に沈めるように、何よりも自身に確認させるように口を開いた。

「アイツだよ、インデックス」

「それは――この1年の“アイツ”との意味で言いけるのね?」

「あァ?」

「もう分かりたるのよ」

得心したとばかりに優越と軽薄を振りまく姿は顔は嫌に似ているのに、あの少女のそれとは似つかない。

「公的に言うのであれば、アレと私は部下と上司――でありたるけれど」

歌うような柔いソプラノ。

「お前はそんな回答、気に入らぬと言うでしょうね。
全く、そのふてぶてしき態度は賛辞に十分値するわ」

杖がコツンと響き、角を曲がる。



505 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:15:59.08ch9s1pwAO (7/13)



同じ制服を着た見知らぬ顔がちらほらと見え始めた。

ローラはそんな生徒を、視界の中の科学を、彼が創造した全てを見つめる。

「……そうね、隠蔽し続けたるのもアンフェアよ」

誰が誰に対してだとか、一方通行に話を理解させるつもりは微塵も無い。

後になってみればそれが宣戦布告だったのだ、最重要の秘匿を喋るという何よりの形での。


「アレと私は――叔母と姪と言うべきなのかしらね」


今更吹いてきた風に、ざまあみろと蔑んでローラは空を仰ぐ。
そんな姿は、やはりあの少女の叔母にしてはいささか攻撃だった。



506 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:19:12.02ch9s1pwAO (8/13)



***

所変わって入学式終了後の1年特進クラス。

「みさきお疲れ!」

机に突っ伏し顔を隠した食蜂にインデックスは労いの言葉をかけた。
金髪はもそもそと動き、しかし顔を上げることはない。

「もぉやんないぃ……、絶対にやんなぁい……!」

沼の底から浮き上がったと形容したいなあと彼女は思い、苦笑しながら机に手を置いた。

「えー、とっても良かったんだよ?」

「貴女以外のほぼ全員、精巧な蝋人形だと思うことにしたのよぉ……」

「そんなに? 緊張しちゃうタイプなのかも?」

「かもじゃないのぉ、現代日本を生きる小心者なのよぉ」

「なるほど、あ、そう言えば」

上半身が起き上がり、心底疲れきった顔が露わになる。
頬杖を付いて、自分の右隣に立つインデックスを見た。

「みさきってせいとかいちょーと知り合いなんだね」

随分豪気で熱血そうな男。
それがこの高飛車で実は陰気のお嬢と知り合う機会がどこであったのだろうか。

この都市の申し子と生きる異端と言っても差し支え無いだろうに。



507 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:21:53.15ch9s1pwAO (9/13)



「えぇ、まぁ……、うん……」

「どこで知り合ったの?」

彼女には珍しく追及してきた。
これが漫画だったらインデックスが彼に一目惚れするところだが、まぁ無いだろう。

(インデックスは同室の当麻さんが好きなみたいだしぃ)

食蜂が想像する当麻さんは料理が上手で格好良くてたまにお茶目な“女性”である。

「最初は大覇星祭、の選手宣誓、次は一緒に協力要請されたのよぉ」

「ああ、新聞で第5位&第7居お手柄!みたいな見出し見たんだよ」

「そう、小学校立てこもり事件。
一応レベル5には全員来て、引き受けたのはこの正義感のつよぉい私と、あれだったのよぉ☆」

茶化して言ってみたのだが、何やら神妙な面持ちで頷かれてしまった。

「みさきが実は良い人って、私は知ってるんだよ」

「止めなさい! そんなの私のキャラじゃないからぁ!」

「少なくともあくせられーたよりは良い人なんだよ……、何をしていたのやら」

やれやれとばかりに肩をすくめる。
だが別に要請を蹴ったわけでも何でもなく、行こうとして仮眠を取ったら次の日まで寝てしまっただけだ。




508 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:23:42.65ch9s1pwAO (10/13)


「さぁねぇ、それで私たちが問題解決して今回も縁があっただけよぉ、大した仲じゃないわ」

「大した、ふぅん」

「何をニヤニヤ……」

「いや、何でも無いんだよ?」


入学初日の教室は、彼女たちの他に中学が同じである人間がコソコソと寄り集まるぐらいしか話し声がしない。
しかも男子9割のこのクラスでは食蜂の一挙一動に注目がいってしまう。

いたたまれない、何か話を変えなくては。

「え、えっとぉー、そんなことばっか言ってて良いのかしらぁ?」

「どういうこと?」

「だって貴女、レベル5のサイン集めてるんでしょぉ?」

「まさか剥奪されちゃうの!?」

目を見開いて抗議されるが、そんな自分のサインなどゴミに等しいものを奪ったところで何になるのか。



509 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:25:31.91ch9s1pwAO (11/13)



「違うわよぉ。 あのねぇ、生徒会長もレベル5なのよぉ?」

「え、じゃあ、えっと」

「第7位は彼よ、私の前座の、ねぇ」


しばしの沈黙。

急に会話が途絶えたことで、クラス全員の目が集中するだけの時間を与え。

「すごーーいっ!!! みさきぃ!!! 後でサイン貰いに行くんだよ!」

案の定けたたましい声で騒ぎ出した。

「案内してあげるからぁ、分かったわよねぇ」

「おっけー! かいちょーの前でみさきをからかわないことにするんだよ!」

「今もよぉ!!!」

ぐるりと教室を見回すと苦笑いの目ばかりで、早速誤解されたのは気のせいではなかった。



510 ◆ObanGQEW7M2011/11/14(月) 01:27:27.93ch9s1pwAO (12/13)

***

それからも話し続けて数分。
一方通行が質問してはのらりくらりとかわされてを繰り返して数題。

「……着いたぞ」

正直、とても疲れた。
疲れた。

鬱陶しいと形容するのが可愛らしいものと思えるレベルなのだ。
疲れた。

「ふん、ここがアレの行くガッコーとやらか」

「テンプレ的浮き世離れした奴なセリフをどォも」

入学式が終わってもこれから父母説明会があるだろうと言うことで、ローラはずかずかと中へ入ってゆく。


追いかけるように一方通行も入ろうとして

「……」

フラッシュバックとはこのことを言うのか。
何万もの殺戮をしたその記憶が、呼びかけてくるようだった。
ここで安穏と過ごしていいのか。

長点上機学園、と掘られた石の看板をじっと見る。

「早く来たれー」

「あァ、分かってる」

こうして悩むのもこれから何度も何度もあるのだろう。
その度嫌になって、忘れたくて、壊したくて歪みも生じるのだろう。


かつん、かつん。

門を追い越して追い去って、彼は足を前に進める。

躊躇するのは決して今この時では無いのだから。



511終わり2011/11/14(月) 01:29:35.01ch9s1pwAO (13/13)

≡┏(^o^)┛→樹海

ごめんなさいいい、かなりゴタゴタしておりましたあああ!
これからも不定期になると思われるのですが頑張って完結までは進めますのでよろしくお願いします。


512VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/14(月) 01:40:34.82Diprve2DO (1/1)

乙乙
次も全裸で待ってるわ


513VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/14(月) 03:37:57.20FV55P4gGo (1/1)

乙ー
ここのみさきちは相変わらずかわいい


514VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)2011/11/14(月) 04:10:57.766miM1cNC0 (1/1)

>>1乙そして久しぶり

gateで足が止まるとは登校拒否児…



515VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/14(月) 18:45:46.18ZePq4GXI0 (1/1)


叔母ですか…
良い感じに先が読めないな


516VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東)2011/11/14(月) 18:54:57.51ajvH2b3AO (1/1)

おつょうじょ


517 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:39:09.23BRgDPIlAO (1/11)

こんばんはー、投下しますー


518 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:41:33.85BRgDPIlAO (2/11)




「ええと、特進科保護者の待機室といいたるのは」

「貸せ」

半ば引ったくるようにプリントを手にした一方通行は、2人から見て斜め右の建物を指差した。

「521教室ならそこの南棟だ」

「時間まであそこで待機したらば良きなのよね?」

白髪と金髪と日本の高校には異質な2人組に興味を持ち目を向ける生徒は少なくない。
更にコレが変な日本語を使う妙な女と知れたらどうなることか。
怪しさ満点、胡散臭さ花丸、警備員を呼ばれても文句を言える立場ではないのである。

「……オマエ、絶対に英語で喋れよ。
人の目とか些事な事だから気にすンな、お前の所属集団が哀れすぎる」

「ふん、散々馬鹿にされたるし分かっとるわ!」

「バカなモンにバカっつーことの何が悪い、ありがたい指摘とでも言うべきだろォが」

「お前ほんとマジイギリス来たとき覚悟しろ」

べーっと舌を突き出すローラはどう見ても20前後、叔母と姪と言うよりかは姉妹である。
格好が格好なら高校生とも見れるのではないか。



519 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:44:16.80BRgDPIlAO (3/11)



「………」

さっきから妙に胸騒ぎがする。


銀色と金色、髪型、声。
こんなに、そうだこんなにも相違点を見つけ出せると言うのに。
体のパーツの比率、仕草、骨格、動作の一挙一動が否定する。
気味が悪いくらいに合致していて、それに気付く度不快感が襲いかかる。


嫌な予感を消したくて無理やりに思考の先は一回転換させる。
自分、上条当麻、風斬氷華、黄泉川愛穂、芳川桔梗。
ぐるり、半回転。

インデックス、ローラ。

―――打ち止め、番外個体、妹達、御坂美琴。

ああ駄目だ。
彼女たちこそ考えないようにしたのに。



「ンで、もう一つ」

杖がアスファルトを叩き、カツンと響く。

「オマエがどンな立場であっても、確立された個人をアレと俺の前で呼ぶな」

「何故なのかしら? お前に迷惑をかけし覚えはこれっぽっちも」

「ちゃンと実害被ってンだよ」

物扱いされることの嫌悪感は覚えがあるし、鏡の自分を見せられたようで気分が良くない。
似ているから、彼女の嫌なことは同じく嫌で逆もまたそうなのだろう。


520 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:48:59.21BRgDPIlAO (4/11)



「お前はアレを、道具の一種でも無く何の代用品でも無しと言いたるの?
面妖な話もあるものね」

「分かンねェのか」

食い気味な反応、怒気が滲み出る様子にローラは少し肩をすくめる。
こうやって彼女の処遇に噛みついてくるのはきっとあの少年でしかない。
と考えていた彼女にとって、今の状況は驚きであり、面倒であり――

「……なら良い、美しい友情に免じて聞き入れてやるわ」

「どォも」

「……そうね、お前が居たるのね。
ああ、本当に人狂いで……」

「とっとと行け」

まだ何か言いたげにしていたので時間もないのだしと手で追い払う素振りをした。
ローラは微かに笑って、唇を動かした。

「私が言える立場には無きことだけれど、……あの子を見ていてあげて」

何度目の頼まれごとだろうと嘆息しつつも確かに一方通行は頷いた。

「言われなくても分かってる」




521 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:53:28.83BRgDPIlAO (5/11)



ローラと別れて、さて自分もホームルーム教室へと向かう必要がある。
確か中央棟の2階の最奥であるとか、そのことについてやたらと教師が謝って来たが別に気にする必要は無いのに、と思う。

少し早めに来たらしい、教室棟には思っていたよりも生徒たちが少ない。
ちらほらと感じる視線は束ねて無視し、ゆっくりと廊下を歩いていく。
ブレザーの違和感は段々気にならなくなってきた。

そんな時、やたらと活動的な清掃用ロボットが彼の脚に纏わりついた。

「コンジョーダイイチ! センリノミチモイッポカラ!」

「これがアイツの言ってた……」

可愛いおそうじろぼ!との説明はあながち間違いではなく、円錐形でその姿はワンピースを着た女を意識しているのかもしれない。

「オマエの主張は分かったが、俺をゴミ扱いたァ、良い度胸してやがンじゃねェの」

杖を支えにして屈み、つるりとした表面を撫でる。
キュッ
洗った後の皿を乾布でこすったように小気味の良い音だ。


522 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:57:01.28BRgDPIlAO (6/11)



そのロボットが爆発しやすいと知る周りの生徒たちは恐る恐る脇を通り過ぎていく。
気の毒とは思うが声をかけてみて白髪赤目のアバンギャルド極まりない男を不機嫌にさせることや機械の暴発、それと自分の命を天秤にかけたら断然後者の方がウェイトが大きくて当然だろう。
誰もが戯れる一方通行とロボットを素通りしていく。

そう“普通”の生徒は。









「おおー、早いじゃねーか一方通行! おはよう!
それに触れるたぁなかなかどうして根性があるな!」





「……あァ?」

声のした方に顔を向ける。
ボタンもネクタイもラフに止めた男子生徒、黒髪、身長は自分よりやや高いような。

「だ」

「ただなぁ、まあ扱いによっては怪我しかねん物体で。
触らぬ神に祟りなしってところか、お前のように気骨溢れる人間なら関係ない気もするが」

誰だお前、と言わせる間も与えてはくれなかった。
それはバカみたいに大きい声で話を降られていることもあるのだがそれだけではない。




523 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 00:58:54.19BRgDPIlAO (7/11)




「全く、科学技術ってのは恐ろしいもんだよな。
こいつらが一斉に反旗を翻したら主従構造逆転、俺たちの人生は大きく変わっちまう。
機械的に管理されて生きてく自信なんて俺にはねえな」


確証は無いがこの声の主なら絶対に生き残れるだろうし負けもしないのだろう。

言われたとおりにロボットから体を離し、しゃんと立った。
体温が無くなったことを感知した円錐はカメラをがしゃがしゃ半回転させた後に、また何事も無かったかのように業務へと戻っていく。

「………」

話しかけてきた男は5メートルほどから歩いてくる。

「ああ、それでオールグリーンだ、一方通行」

満面の笑みだ、これなら太陽のようなと形容しても差し支えがない。

「何だお前静かな奴だなー。
あ、お前の名前を知っていたのは俺がストーカーだからってわけじゃ無いぞ。
だからそう固まることも」

「……ちげェよ」

一挙一動に注目を集めてしまう人間には度々合ってきたが、注目したいと思わせる者となると数は大きく減る。
ずば抜けて顔が美しいわけでも綺麗な体躯でも上品な声でも無い、だけれども見ていないといけないと思わせるのだ。
彼の意見には耳をそばだて目を凝らすべきだと感じてしまう。



524 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 01:01:35.46BRgDPIlAO (8/11)



「そうか、それなら良かった!」

少年は一方通行の隣まで来ると、長年の友人がするように軽く彼の肩を叩いた。

「さあ、行こう! まだ道も分からんだろう」

正直迷うほどの距離ではないし、彼もちゃんと覚えていたのだが大人しく着いていく。
この時点で番外個体であったら盛大に茶化すのだろうが、もちろんここに彼女は居ない。

「どこの高校もご老体に優しいシステムは変わらないらしいな、病み上がりじゃきつくねーか? 何なら担いでくが」

「オマエは俺を何だと思っていやがる、生憎そンなにヤワには出来てねェンだよ」

「そーかそーか、まあ何かあったら言ってくれ」

と笑いつつも鞄をかすめ取られる。そして先導され、手すりを握らされる。
ここまで尽くされることに軽い屈辱を覚えるのだがやる方は恥ずかしく無いのだろうか。




525 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 01:03:37.56BRgDPIlAO (9/11)



トン、トン、トン
階段を登り終え、水道の横をすり抜ける。

「今日はうちのクラスが初めて全員揃うか、と楽しみにしてたんだがなあ、生憎1人傷病で休んでるんだ。
まあ、見舞いに行けるくらいに回復したし来るのも遠くねえだろう」

ここで彼が初めてクラスメートだということを知る、そう言えばまだ紹介を受けていないのだ。

少年が扉を開ける、まだ誰も到着していなく空っぽの教室が現れる。
木と日向の独特な、新鮮で吸ったことのない匂いが胸に広がる。

「お前はAで先頭だから、左端っと」

テレビの中でしか見たことの無かった黒板、木材の椅子と机。
その中の一つに彼は一方通行の鞄を置いた、どうやらそこが席らしい。


椅子に座る、そして壁に体を寄せ正面に立ったままの男に尋ねる。

「ンで、オマエは誰だ」




526 ◆ObanGQEW7M2011/11/24(木) 01:04:55.51BRgDPIlAO (10/11)



自分でも尊大だったかもと感じたのだが彼は一切気を悪くした様子はない。

「わりぃわりぃ、名乗って無かったか」

「人の名前は連呼するくせに、なァ?」

嫌味が分からないのか屈しないのか、いっそう笑顔を濃くする。
後光が指してもおかしくはない、高校生とはみなこんなに徳の高い人間だとは思わなかった。
別の意味で順応できるか心配である。

「俺は削板軍覇、この高校の生徒会長もやらせてもらってるしがない高校生だ」

そんなわけあるものか、まずしがない高校生は同級生を公衆の面前で俵担ぎしようとはしない。
とは言わずに黙っておいた。

「仲良くしてくれたら嬉しいぞ、よろしく!」

「一方通行だ、オマエが思うよりも病弱じゃねェ」

「体よえー奴はみんなそう言うんだがなあ」

「俺は例外だ」

差し出された手を軽く握り一方通行はため息を吐く。


「……よろしく」


527おわり2011/11/24(木) 01:07:45.72BRgDPIlAO (11/11)


個人的禁書の三大イケメンが1人削板さんでした。
いつになったら彼の活躍を拝めるのか、そんなことを考え生活しています、ほんとにもう!
今回もお付き合いいただきありがとうございました!


528VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)2011/11/24(木) 04:28:54.14e/LkjnyJ0 (1/1)

>>1久しぶり、そして最大通行乙

舞っていた。


529VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(新潟・東北)2011/11/24(木) 09:57:43.34FiYlm5aAO (1/1)

最高!


530VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/24(木) 11:12:34.70IfQZWYrDO (1/1)

乙!
待望の軍覇さんktkr


531VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(不明なsoftbank)2011/11/24(木) 13:12:57.98fAnShH3bo (1/1)

選手宣誓のシーンでこのスレを思い返してニヤニヤしてた俺きめえ

そぎーマジそぎー


532VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/24(木) 20:41:36.23ml8IDzjM0 (1/1)

おつんつん


533VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/11/28(月) 18:59:05.3903s0maN50 (1/1)




534VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/12/02(金) 18:09:16.10M5etNA++0 (1/1)

おつおつん


535 ◆ObanGQEW7M2011/12/04(日) 21:32:52.95F7S38SUAO (1/1)

こんばんはー、今年のクリスマスは3日あるそうですね
1日ぐらい仏教サイドに譲ってあげても良いと思いますってな感じで今晩投下します


536VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋)2011/12/04(日) 23:06:55.63Uc+XWmS+0 (1/1)

待ってたんだよ!



537VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県)2011/12/05(月) 00:05:18.77/inS4JDz0 (1/1)

まだかー


538 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:36:54.68nryI8b1AO (1/12)



「あ、そうだ。
お前、何か部に入る予定あるか?」

「特にねェ、つーかこの体で出来ることはたかが知れてる」

「文化部だってかなりあるし――例えば、茶道部や手芸部は部員不足に喘いでたな」

「俺に刺繍や茶を淹れろと……?」

彼の鋭い三白眼に睨まれたにも関わらず、削板は臆する様子もなく笑いかける。

「アリだろ全然、女子も喜ぶと思うぞ」

「俺は何ら嬉しくねェが」

正座をしたことなど今までの人生でも思い出せないし、自分で何か物を作り出すくらいなら既製品を買った方がよっぽど効率的では無いのか。


消費することに長けているからこそ、そういう生み出す苦しみは理解できそうにも無い。

「じゃあそれは追々考えるとして、なら生徒会でも手伝ってくれねえか?」

「もっと適役が居ンだろ」

「いや、卒業だったり留学でみんな抜けちまったんだ。
第1位の演算力を生かして会計とかすげえ助かるがなあ」

会計、そうは言ったって高校の生徒会だなんて規模が知れてるだろうに。
そういった正義感溢れる行動に出る自分なんて想像しただけで寒気がする。

開いた窓から吹き込む春の風。
2階からでは桜の木の全貌を伺い知ることは出来ないが、きっと素晴らしい咲き様なのだろう。
そしてしばらくの沈黙。

静かに口を開いた。




「オイ、何で俺が1位だってこと―――知ってやがンだ?」




539 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:41:13.29nryI8b1AO (2/12)



張り詰めた空気が場を支配するだろう。
と思ったのは一方通行だけのようである

「ん、生徒名簿に載ってたぞ? それに第1位は白髪に赤目の男って噂も聞いたことがある」

「個人情報の保護って何だよ……」

課題だなと呟き手帳にメモする。
この彼に他意は有るはず無いだろう、小さくため息をつく。



「……で、早速お前に1つ聞きたいことがあるんだが」

ガタッ、ガガガカ
隣の椅子に腰掛けた削板は切り出した。

「何だ」

「あの清掃用ロボット、どうすりゃ止められると思う?」

何であんな危険なものを野晒しに、と思っていたが制御不可なのらしい。
聞くところによると、使い始めから回路がそもそも不全。
なのに防衛動作は完璧で、下手に人間が押さえると爆発する。
盗難防止の機能が仇になったというらしい。

一方通行はゆるゆると頭を降る。

「ンなのは製作者に聞け」

「はははは……今は居なくて、俺ってことにしておいてくれ」

「マジかよ……」

「おお、割と真剣だ」

開発者の不在。
まさか開発中途に死んでしまった、なんてことは無いだろうな。




540 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:43:23.29nryI8b1AO (3/12)



「追い詰めたりして、学園敷地から出せねェのか?
もしくは水ぶっかけるとか」

「メイン製作者が凄くてな、あいつら水陸空地中どこでも動けるんだ」

「最早軍事力だろ……」

そこまでいくとあとは宇宙空間だけだなと考えながら、あの白い体躯に思い馳せる。
滑らかな高級感漂う円柱は見たものに撫でたいと思わせてやまない。
あのままだと在校生はともかく自分と同じ立場の新入生などは触れたくて仕方ないはずだ。

「耐久性はどれくらいなンだ?」

「地上100メートルから襲われても傷がつかない特殊合金を採用、そのくせして回路の周囲は絶縁体で保護してある」

「どこぞの誰かは、何でこンな高スペで作ったンだよ。ギャグかこれ」

「何事も根性論で誠心誠意やんねーとなと思ったら……って感じだな、ほんとにわりぃ」

「詰めが甘いンだよ……ったく」

「先生方もお手上げでな、俺も万事休すといったところなんだ」

ここで話を聞いても埒が明かない。
とりあえず今日のHRが終わったら、再度ロボットのところへ向かうということにした。





541 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:45:25.25nryI8b1AO (4/12)


***

初日のHRも無事終わり、放課後の廊下にて。

「かいちょ-も、それからあくせられーたも見ないかも」

渡したいものがあるのに、と呟き紙袋を握る少女を視界の端で捕らえる。
赤っぽい光が差し込む廊下は教師達がせわしなく行き交いしていた。
入学式の片付けをしているようで少し居心地が悪い。

「教室にも生徒会室にも居ないんじゃぁ、
私のこの探索力を総動員しなきゃ駄目なようねぇ……」

「私のせいでごめんね、嫌だったら帰っても」

「い、いえ、こっちにも予定はあるからぁ」


どちらかというと行きたがっていたのは食蜂であり、
連れていくという口実が無いと困るのも彼女のほうである。

(この子……実はとてつもなく策士なんじゃぁ)

と疑問が生まれるのだが真偽を確かめるつもりはさらさらない。
何より面倒だ。




542 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:47:35.25nryI8b1AO (5/12)



手持ちのスクールバックからリモコンを取り出し、幾度かキーを操作した。

「ええと、広域探査はスリー・オー・スリーと」

「すっごく科学だね……!!」

「私なんてどっちかと言うとオカルトの領域に近い気もするけれどぉ……。
ええと、ここから南西50メートルらしいわよぉ」

「お、結構近いんだよ」

大学規模に広いこの学校の敷地。
なので自転車で移動しないと追いつけないか、
と思ったのだが歩行で対応できそうだ。
インデックスと並んで示された方へと歩いていくことにする。

「その紙袋はどうしたのぉ?」

「春休みのお土産なんだよ」

「なるほど、あ、あの石鹸良かったわぁ」

「ほんと? これから頻繁に行くかもだから買って来るんだよ」

観光にしても短期間に何度も行く場所では無いのだが、何か違った用事があるのだろうか。
2人分の足音が絶え間なく響く。


廊下の突き当たりに到着した。
右に行くか、左か、それとも戻るか。

「とりあえずこっち行ってみるんだよ!」
特に断る理由も無いので右に曲がる。
数歩してから気がついた、数メートル先の怪しげな2人組。



543 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:48:55.20nryI8b1AO (6/12)



「………」

「………」

間違いなく彼らだ。
動向が不自然でなければ今でも声をかけたいのだが少し様子を見ることにする。

「……あの男ぉ……」

「あくせられーた……何を……」

清掃用ロボットの蛇行にあわせてふらふらとその後ろをついて行く彼らは正直不気味だ。
顔を突き合わせて何かを相談しているようだが内容は伺い知れない。

「あの真っ白が一方通行?」

「そうだよ」

ふぅん、と鼻を鳴らして食蜂は目を凝らす。
髪が白くてやたら細いことを除くと、まあまあ普通の人間であるようだ。
第1位と言うのだからもっと実験動物臭を漂わせる存在だと思っていたのだが予想は外れた。

「取り込み中の用だけどぉ、まぁ深刻な雰囲気ではないしぃ?」

「ええ、あ、ちょっと」

実のところは全校生徒の命運をかけた話し合いを散々にこき下ろして食蜂は奥へと歩み出す。
空気を読むが下手というか、これはむしろあえてなのだろうか。

危険と警告されたロボットを見つめながら真剣な会話をする2人。

(どこからどう見てもお取り込み中じゃ……)

インデックスは嘆息を隠せなかった。



544 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:53:10.60nryI8b1AO (7/12)



「見る限り、排気口から異物混入ってのも期待できそうにねェ」

「直接的制裁しか方法が無いなら、それはそれで腹をくくるだけか」

腹をくくってどうにかするには些かこの機体は危険なんじゃないだろうか。
自爆機能も無駄に広範囲に及ぶのだし。
柄にも無く進言しようとした彼は

(………?)

モーター音に紛れながら近づいてくる足音に気付く。

―――きゅ、きゅ、きゅ
リズミカルなゴムの擦れる音だった。

ゴォン、ゴオン、ゴォン

「―――こんにちはぁ、第7位サン」

聞きなれない低めの女声が後ろからする。
第7位?
しゃがんだまま後ろに目をやると、眩しい金髪の女が一人。

「む、その声は食蜂か」

「ごきげんいかかがぁ?」

「そうそうってところだな」

蠱惑的な喋り方だ。
言葉に合わせて白い布に覆われた指が動くのも妙に艶めかしい。

「ふうん、それであのスピーチなのねぇ?」

「根性があれば大半のことはどうにかなるっつー好例を示したくてな。
まあノープランだったんだ」

「それは行き当たりばったりと言うんじゃなくてぇ?」

「違いねぇ」

含み笑いにも顔をしかめることなく、削板は監視の目を緩めようとはしない。
目を半月状に細めた彼女は、そのまま水平に視線を動かす。
冷たい顔がよく似合う美しい女だ。そして2人の目が合う。




545 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:54:56.49nryI8b1AO (8/12)



「ああ、始めまして、第1位」

「なんでオマエまで……」

片目を閉じ、人差し指は唇の上へ。
靴の色からするに彼女は1個下であるはずなのに、この妙な威圧感は何なのだろう。

妙に甘ったるい香りがする。

「ふふ、私の情報把握力を見くびって欲しくはないわねぇ。
この街で私に掴めない情報なんてありはしないのよぉ☆ アクセラレータ?」

「クッ……!」

この女は何者なのか、ぐるぐる回る思考に整理が追いつかない。
削板の知り合いか? だったらもしや2人揃って自分を陥れようとしていたのか。
どういうことだ、何故こんなに混乱するのかも分からない。

一方通行の指がチョーカーに伸び――





「みさき! ちゅーにおつ!!!」






変な発音と妙なアクセント。
可愛らしいソプラノに、2人の行動は一時停止する。




546 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 00:58:21.53nryI8b1AO (9/12)




女の向こう側から歩いてくるのは、銀髪碧眼の少女。
十字架を片手にしたインデックスは彼女の手とそれを接触させる。

カチン。

爪と十字が触れ合い硬質な音が生じる。

「ちょっとぉ! べ、別にこれは!」

「何か変な技かけようとしたでしょ!? あくせられーたの目、何か変だったかも!」

「少しだけだけど、第1位もめんたる☆あうとできないかなぁってぇ……てへ」

「てへ、じゃないんだよ! 心理を掌握ってまた物騒な言葉をぉお!
ほら、あくせられーたもこのクロス握るんだよ!」

言われたままに右手を伸ばす。
インデックスは一方通行の手首を握りその手のひらの上に乗せる。

「これはどォいうことだ」

「そこにいるみさきは心理掌握って能力者で、
すっごく緊張しぃだから初対面の人の心を操りたがるんだよ」

精神感応系能力者は一挙一動からこちらの無意識に干渉しているという。
胸のつかえと妙な匂いが急速に去っていく。
心拍数も急速に落ち着いて、ああなるほどこのクロスは宗教的要素があるらしい。

「……オマエは下がってろ」

「あ、大丈夫大丈夫! 友達なんだよ!」

「オマエもちったァ人付き合いに気をつけろ」

どうもこの少女は変人ばかり引き寄せる天才らしい。


547 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 01:01:47.02nryI8b1AO (10/12)


「だってぇ、私の友達の話を聞く限りぃ貴方は度し難いほどに横暴だったんですものぉ?」

「友達っつゥのは双方からのベクトルがあってよォやく成り立つンじゃないですかァ?」

ああ非常に醜い。
良い意味でも悪い意味でも口喧嘩の強い2人だったのだ、会わせない方が良かったか。
紙袋を両手でもう一度握る。

「……ん、お前は新入生か」

下から聞こえた声。
少し寄ってみる。

「そう、です」

確か彼は自分より年上だった。
慣れない敬語は不自然なくらいたどたどしかった。

「俺は削板軍覇、ここの会長をやらせてもらっている」

返して名乗ると、削板は顔を機械に向けたまま立ち上がった。
後ろでは相変わらずワーワーという口論の声が飛び交っていて騒々しい。

「インデックス!
お前の日本語の向上に役立てんのは残念だが、俺は敬語を使われるのがむず痒いタチでな。
一方通行と同じように話しかけてきてくれ」

「うん、分かったかも、かいちょー!」

気の良さそうな人物であることにインデックスは少々安堵した。
何だかんだ仲良くなれるとしても、やっぱり常識人の友人に飢えている。



548 ◆ObanGQEW7M2011/12/05(月) 01:05:11.22nryI8b1AO (11/12)




「で、かいちょーは何やってるの?」

「この清掃用ロボットの破壊法の模索だ、如何せん不良品のくせに防御に優れてやがって」

「誰か学校外に連れ去ることは出来ないの?」

「飛べるんだよコイツ」

「えーっ、すっごいね!」

「制作者が天才だからな」

その滑らかな表面に手をついて、しばらく物思いにふけた彼は、それから手を離した。
妙に名残惜しそうに見えた。

どくん

「止めないと大変なの?」

「まあ、良くはねえよな。
誰かが傷ついてからじゃあ遅いんだ」

正義感溢れるセリフ。
それだけではなく何の違和感もさせずに言ってのけるのが凄い。
きっと本心からの言葉なのだろう。

どくん

「そっか……、私も出来ることがあったら手伝うんだよ」


「ありがとよ、一緒に頑張ろうぜ」

「うん」

そう無邪気に返事をしながら、裏で彼女の小さい心臓は早鐘を打っていた。
痛いくらいに早くなる脈拍、その理由を知らないはずはない。
かといって許されるわけもない。

「何よぉ! このアルビノもやしぃ!!!」

「性格悪いのが目に見えてンぜ? 常盤台の女王様(笑)?」

「うがー、お前らも喧嘩する根性あるなら打開策を考えてくれー!」


その顔に、声に、精神に。


在りし日の彼を思い出すのは、きっとこの上ない罪悪なのだろう。




549終わり2011/12/05(月) 01:07:49.90nryI8b1AO (12/12)

遅くなっちゃってすみませんでした
まさか12thがあんなに早く脱落するとは……ショック激しい
それではお付き合いいただきありがとうございました!


550VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長崎県)2011/12/05(月) 04:14:14.26m8nQCuJB0 (1/1)




551VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)2011/12/05(月) 05:02:13.71/A/vDbJU0 (1/1)

>>1乙

第一掌握は最悪から…


552VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/12/05(月) 07:54:08.699h+zZ58h0 (1/1)

乙です。
何か文章が綺麗なんだけど、あっちこちとっちらかってるからよくわからないところが多いな。



553VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/12/05(月) 15:46:15.46dRhqfidoo (1/1)

削さんかっけえな


554VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/12/05(月) 20:51:28.18QM5Jj8xZo (1/1)

>>547
かいちょうー、どうしてインデックスの名前知ってるんですかー?
入学生含めて学生全員把握してるのか
それとも正義の味方兼ストーカー的な何かだったりするのか。



555SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/11(日) 19:17:43.06K8jkwFnxo (1/1)


この4人いいな
先が楽しみだ

>>554
返して名乗ると、って地の文にあるから
インデックスが自分で言ったんだと思う


556SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/11(日) 23:21:11.78wzD+p5tOo (1/1)

未来日記か


557SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/14(水) 02:45:56.74ys/UQoauo (1/1)

>>555
ん? これってそぎーが返して名乗ったってことじゃないの?


これは解釈をめぐって読者があーだこーだ言っても結論は出ないから
ようじょを問い詰めねばならぬな!


558SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/15(木) 04:37:00.384VV9j5Cv0 (1/1)

>「俺は削板軍覇、ここの会長をやらせてもらっている」

>返して名乗ると、削板は顔を機械に向けたまま立ち上がった。
>後ろでは相変わらずワーワーという口論の声が飛び交っていて騒々しい。

この辺の地の文はインデックス視点みたいだし
「俺は削板軍覇、~」に対して、
(インデックスが)返して名乗ると、削板は顔を機械に向けたまま立ち上がった。
という風に取れるのではないだろうか
俺も分かりにくいとは思ったが


559SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/25(日) 20:37:53.63adg1MuZI0 (1/1)

>>1に遅ればせながらメリ-クリスマス


560VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/10(火) 18:23:09.52TqMw7dLdo (1/1)

>>1あけおめ!
早く続きを投下してくれたら嬉しいな!ニコッ


561VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2012/01/15(日) 15:43:35.59nONg5s+0o (1/1)

昨日受けたセンターの国語より文章が難しいんだが……


562VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/16(月) 22:13:37.69UzeCyHSdo (1/1)

もう一つが来たということはそろそろか。
期待してるよ!


563VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/18(水) 01:37:29.05y/CMyRJo0 (1/1)

まってます


564VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/01/18(水) 08:09:53.15FpYHUOiAO (1/1)

センターってそんなにレベル低いの?


565VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/18(水) 09:16:47.46oYgbiwvDO (1/1)

難しいかは知らんが、調べれば問題出てくるから見てみたら?



566VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/18(水) 10:41:18.75vQAZaV5Po (1/1)

>>564
センター受けたこと無いのか
あれは基礎レベルしか出題されない


567VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/18(水) 22:40:29.81PEQUM3Vo0 (1/1)

キターー!と思ったのに……思ったのにッッ!!


568VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/28(土) 02:54:06.37JOWGVTaO0 (1/1)

まだかー!


569 ◆ObanGQEW7M2012/02/05(日) 23:30:00.713iE460CAO (1/1)

2ヶ月ルールに抵触するところでした、すみません
もうちょいしたら投下します

>>554
>>555さんが書いてくれるとおりですー、分かりにくくてすみません


570 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 01:52:11.81NudAFFxAO (1/10)




第1位と第5位による舌戦も勝敗がつかぬまま収束を迎え、改めてそれぞれの存在を見やる。

「……で、オマエは何の用があったンだ」

「あくせられーたにお土産と、こっちのかいちょーに頼みごとがあったんだよ」

「俺にか?」

「そう、あなたに!」

そう言うとインデックスは鞄を地面に下ろし、中からペンと色紙を取り出した。
脇で眺める2人にも何やら見覚えのあるそれを手に取り
ボールペンと一緒に削板へと渡す。

「サイン下さい!」

「全然構わねえが、何つーか俺ので良いのか?」

「もちろんかも、あなたがいなきゃ完成しないもん」

そこで声を上げるのは、ただ1人状況を把握できない一方通行だった。

「ちょっと待て、それはレベル5にさせてるサインじゃねェのか」

「ふーん、そうなのか」

「そのとおりなんだよ……おお、達筆なんだね」

ペンが走るさまを嬉しそうに見つめるインデックスには悪いが、今はそんな場合ではない。
何だろうか、重大なことがさらりと流れていったような………。



571 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 01:53:59.79NudAFFxAO (2/10)



「あれ、貴方も書かされたのねぇ?」

確かメモ帳だったがと心中で返答する。
ペンと色紙を返した削板は、満足げに腕を組んでいた。

「オイ削板」

「ん、どうしたよ」

希有なことに、一方通行の瞳は動転の色を隠しきれていない

「―――オマエ、レベル5なンじゃねェの」

視線が絡む。
しばしの逡巡、無言。
その姿は必死で思いだそうとするようにも見れる。

「あー、うん、そうらしいな! 言うの忘れてた」

両手を合わせ謝罪するのだが、それは何となく拳法を彷彿とさせる動きだ。

一方通行は呆ける。
この学校は学園都市で最高教育機関の1つだ。
が、230万分の7のうちの3人がこうして一堂に会するものなのか。

レベル5の安売りというフレーズが脳裏を掠める。

「ちょっとぉ、何でそんなこと忘れて平気でいられるのよぉ」

「強さのバロメータならまだしも、金になるならないの指標のことなんざなあ。
ま、いちいち覚えてらんねぇよな」

「そう言うものなの?」

「俺にはあんま関係ねぇんだよ」

一方通行が1位だから、と言うのもあるかもしれない。
だが超能力者であることに人生を振り回されてきた一方通行とは違い、
削板の自分が先で能力は随するだけだという態度には驚き呆れるべきなのか。

もしくは敬意を払うべきなのか。



572 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 01:54:49.63NudAFFxAO (3/10)




彼と同じく苦笑している食蜂は、片目を閉じ人差し指を自身の唇に乗せる。

「傑物にほど近い阿呆の方だと忠言はしておくわぁ?」

「それを早く言えってンだよ」

このペースだとこれからも面倒ごとに巻き込まれるのだろうな。
既定してしまった厄介な未来に対し溜め息をつくしか出来ない。


「そういやインデックス、それは何個貰えたんだ」

「あなたので3個めかも」

「そうか、ここに居る3人だな。
俺のダチにもう1人居るが貰ってきてやろうか?」

「ううん、自分で頑張るんだよ」

「そうかそうか、なら根性出して頑張れよ!」

「うん!」

削板の友人とは第3位だろう、気質的に合いそうだ。
床に置いていた鞄を持ち上げ杖をつき直す。
日暮れには時間はあるが初日から長居する必要も無いだろう。

思惑通り目敏く気付いたインデックスは、そろそろ帰ろうかと切り出した。




573 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 01:56:12.80NudAFFxAO (4/10)


「そうだな、三人とも俺に付き合ってくれてありがとう。
初日だし、遅くならねえうちにそろそろ帰るべきだな」

「貴方はどうするのかしらぁ?」

「生徒会選挙関係の告知の用意してかねえと」

「みさきは電車なのかな?」

「いえ、送迎待ちよ」

「そうなんだ、じゃあ私とあくせられーたは帰るね」

「とりあえず爆発させンな、くれぐれも信管なンざ弄ろォとすンなよ?」

「おお、また明日」

「ばいばーい」

踵を返し、明度を下げた廊下を真っ直ぐに進んで行く。
インデックスが半歩ほど先を行くため、この学校にしては複雑で分かりにくい道を迷うこともない。
空間いっぱいに靴の音が響く。


踊り場に張られてある部活勧誘のポスターを見て彼女は呟いた。

「学校て―――こういう所なんだね」

「不服か?」

「ううん、そんなことは無いんだよ。
賑やかなとこで面白い人がいっぱいで、とっても楽しいかも」

「そォか」

この人懐っこい少女ならどこへ行こうと順応出来るとは思っていた。
むしろ心配するべきは彼のほうであり、
しかしそう言いつつ、携帯のアドレス帳は2件増えているのだが。




574 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 01:58:51.41NudAFFxAO (5/10)


「クラスの女の子が私とみさきだけなんだけど、あなたたちもなの?」

「いや、10人前後は居るはずだ」

どの者もこっちを見ると不思議そうな目を向けていた。
あの中にも能力開発研究者は居るのかもしれない。
注意しなければ。


「あなたはこの春休み、どこかへ行ったりした?」

「ンな暇ねェし、だりィし」

「私は春になると堪らなく外に出たくなっちゃうかも
深夜徘徊も何とか思いとどまったりして」

「そォかい、じゃ、わりィがこれを持て」

階段の前で立ち止まり電極のスイッチを入れる。
エレベーターがあれば良いのだが、些か杖をついて降るのは昇るのよりも面倒だ。

「りょーかいかも」

インデックスはいつものように杖を受け取ると階段を一気に降った。
新品のスニーカーで木造の廊下を踏み、数秒宙を舞う。

ダン!

「毎回思うんだけど、もっとアクロバティックに………
そうだ、前宙とかするべきなんだよ!」

「そンなのはニチアサで補給しろ」

杖を手元に寄せ電極をオフにした。

踊場が無い一直線の階段は一番上から下まで飛び降りる。
そうやって時間短縮するのが習慣になっていた。




575 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 01:59:41.67NudAFFxAO (6/10)


「あくせられーたがやるから異常で面白いんだよ?」

「面白いつったな?」

「えへへ」

下駄箱で靴を脱ぎ、これも卸したてのローファーに履き替えた。
日が落ちてきたせいで冷たくなった春風が、髪を乱してやまない。

「こんなに強いと花びらとかならまだしも、砂とかまで巻き込んじゃうんだよね」

「縛れば良いだろ」

「もうちょっと暖かくなったらそうするかも、日本は春も寒いんだもの」

「イギリスと比べてるのなら大差ねェと思うが」

「あ、違うんだよ。 出張先が暖かくて」

幼い見た目のインデックスが“出張”したというのは違和感しか生じ得ない。
彼女は自身の職を全うしているだけなので、間違いなどどこにもないのだが。

「ぽかぽかーって感じ? 暑さまで感じちゃったんだよ」

「そォか」

「私は観光も楽しみたかったけど、また何度でも行くからって」

1度きりじゃ済まない出張を強いられるとは、なかなか難儀だ。
フランスに行かされたことを思い出す、
自分も凱旋門やエッフェル塔など観光しに行けば良かったのだろうか。

「でもなー、泳ぎたかったなー」

「で、どこに行ったンだ?」

「水着も買う気満々だったのに……あの年増め……」

「………」

呪詛のような言葉が聞こえた気がしたが、きっと空耳だと一方通行は思うことにした。
禍々しい顔も空目だろう、全く春だから寝ぼけているのだろう。




576 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 02:02:44.31NudAFFxAO (7/10)


「ご飯はとっても美味しかったし、ホテルもふかふかで気持ちよかったなー」

「俺の質問にも答えろよ」


「ふふふふ、恒例のインデックスクイズの時間かも!」

「覚えが無いぞ」

「商品はお土産だから頑張るんだよ!」

さっき渡しに来ただのと言っていたのは何なのかと激しい脱力感に見舞われる。

「さあ、当ててみて!」

「ヒントの1つも無しか」

「んーとじゃあ、あなたへのお土産はお香です」

「世界各地どこでも売ってンじゃねェか」

悪態をつきつつも、することがあるわけでもないので自動的に思考はそちらへと向かっていく。
この時期に暑くて? 聖職者が出張で行く?

「これは国名で答えるのか?」

「何でも良いんだよ」

暖かくて宗教家が行く場所。
思考。

「……南欧」

バツ印を出された。

「曖昧すぎるかも」

「そんな情報量で分かる訳がねェンだよ」

その後はヨーロッパでは無いとヒントを出されたが、
のらりくらりと質問から逃れられてしまい全く分からない。

南欧でも南米でもアフリカでもない、それでは少女は何をしにどこへ行ったのか。


577 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 02:04:26.89NudAFFxAO (8/10)




駅に着き、丁度良く出発する電車に乗り込む。
ここから発車するため車内に人は居たが、席に座ることが出来た。
これも長点上機生の特権なのだろうか。

「じゃあもう渡しちゃうね、はい」

「どォも」

日本でもありそうな普遍的な包装紙だった。
いよいよ分からないぞと思い袋を一回転する。

――脱力。

「あァ……こんな所に………」

「どうしたの?」

覗き込んできたインデックスの銀髪が輝く。
彼は袋を止めるテープ――Hawaiiと書いてあるそれを指差した。

「あ……、答えが」

苦笑いする彼女に一方通行は労いの言葉を寄せる。

「ハワイまであの化け物じみた飛行機で?」

「オール失神だったかも……、あんなの飛行機じゃ……」

日本―ハワイ間など30分で往復できると豪語しているCMを見るが、
あれは人間用ではないというのがこの街の生徒の総意に近い。



578 ◆ObanGQEW7M2012/02/06(月) 02:06:09.66NudAFFxAO (9/10)



「ほんとはもうちょっと楽しみたかったけど」

「目的は知らねェがまた行くンだろ?」

右隣から空気の抜ける音がして、モノレールの扉が閉まる。

「そうそう、これからもまたいっぱい行くんだもんね」

「大丈夫か」

「うん、とっても」

夕焼けの空を切るように走り出したモノレール。
彼ら2人を乗せた車両はゆるりとその速度を増していく。


徐々に、皆が気づかないくらいゆっくりと。




579終わり2012/02/06(月) 02:07:17.78NudAFFxAO (10/10)

それではお付き合いいただきありがとうございましたー


580VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/02/06(月) 04:55:31.899POUJtw70 (1/1)

>>1乙 作中は春ですか


581VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/02/06(月) 05:21:34.63Mh28CQlDO (1/1)

1乙!!
>>あの年増め
神裂さんじゅうはっさいのことかー!!


582VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/02/06(月) 09:50:26.479pHfEo3Mo (1/1)

>>581
いや最大主教じゃね?


583VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/02/06(月) 19:03:06.74313Elrkuo (1/1)

>>1乙
白白コンビは相変わらず和むわー
図らずも?ソギーと二人きりになったみさきちがどんな会話をするか気になるな

ラストの一文がなんとなく不穏な感じがしてちょっと怖いぜ…


584VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2012/02/09(木) 19:51:45.65sJ1ZEVtAO (1/1)

期待


585VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2012/02/15(水) 17:41:51.75EgHP9quAO (1/1)

この2人かわいいな
続きが楽しみ


586 ◆ObanGQEW7M2012/02/19(日) 23:23:40.350CqfalOAO (1/6)

こんばんは、もうちょいしたら投下しまーす


587VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/02/19(日) 23:31:16.94coZE4FY4o (1/1)

わーい


588 ◆ObanGQEW7M2012/02/19(日) 23:41:59.830CqfalOAO (2/6)



インデックスと分かれ、マンションへ向かう一方通行。
彼は気付いているのだろうか。
10メートルぐらいでつかず離れず忍び寄る、1つの影のことを。


「ハワイか……」

観光というものに縁が無い生活で考えたこともなかった。
年中暖かく、人々の生活もゆったりとしていると聞くと一方通行の心は大きく揺れる。
常夏の島で、クーラーで適度に冷えた部屋で惰眠を貪る。
何という贅沢なのだろう、今この瞬間にも飛び去りたい。


遥か彼方に思いを馳せる彼に、影は出来る限りの大声を叩きつける。

「止まれ!!!」

「……」

言われたままに一方通行は足を止めた。


「ふははッ! 貴様の命は今、ミサカの手の中にある!大人しくするんだな!

……って、天の邪鬼なあなたが本当に止まるとは思わなかったんだけど」

声の主は明らかに自然には有り得ない色の髪の毛を振り乱す。
ここで止まらないと後々面倒そうだったので従ったのだが不本意だったらしい。

「……ハァ」

「あ、置いてかないでよ白モヤシー!」

一方通行も勿論気付いていた影の正体とは、同居人が1人
体以外は打ち止めよりも幼いと噂の番外個体である。
調整で大分柔らかな性格へとシフトしたらしいが
むしろこれはただの幼稚化じゃないだろうか。



589 ◆ObanGQEW7M2012/02/19(日) 23:44:48.080CqfalOAO (3/6)



黒いセーラー服を着た彼女はどんなに言っても白線の上を歩きたがる。
理由を聞くと、譲れないものがそこにあるらしい。

「オマエは何キャラ目指してンだよ」

「ハードボイルド……かな」

「一生無理だ」

「うっせえ」

歩道と車道を分けるブロックに乗り換えた番外個体は器用にもスキップで進んでみせる。
怒っても聞かないので黄泉川に言いつけるしか無さそうだ。
全く、この0歳児には手が焼ける。

それにしてもこの女、今までの人生でも一・二を争うほど上機嫌じゃないだろうか。

「何何? 第一位ってばミサカの一挙動が気になっちゃうのかにゃー?」

「ひかれても自分で何とかしろよ」

「相変わらず冗談通じねー奴。
けっ、仕方ないから高圧的なあなたのために話してあげる」

誰も頼んではいないし寧ろ言いたげにしてただろうにとは指摘しなかった。




590 ◆ObanGQEW7M2012/02/19(日) 23:47:55.500CqfalOAO (4/6)



「ミサカはロシアからの帰国子女って設定転入じゃん?
で、学校の方もクラス替えがあるみたいで。
MNWで知ったあの人のクラスとヨミカワに教えられてたミサカのは違ってた。

だけど、今日行ったら同じクラスにあの人が居たの!」

「それは、まァ……めでてェな」

憎悪とは真逆の感情でも抽出する番外個体。
彼女の最近の関心事は例のヒーローである。
直接助けられて無いとは言え、共有する記憶の中に勇姿は残っているらしい。

そこで少し表情を和らげ、番外個体は続けた。

「見てた画像とは違って、イケメンてよりかは美少年なのかな。
熱血さはあんまり感じられなかったけど、ある意味凄みみたいなのがあったかも。

ああ、そういや目撃談どおり怪我しまくりだったね」

分からなくもないどころか、一言一句共感してしまえる。

春休みのあの日、彼は明らかに雰囲気がおかしかった。
包帯、湿布、眼帯、痩せた体。
酷い怪我を負ったということしか推察できなかった。
加えて本人に大丈夫かと聞いても、儚げに笑うだけだ。
決して、ああいう表情をする人間では無かったろうに。
精神だって大きく変わっていそうだが、それにしては同居の少女は落ち着いている。
学校にも行くようだし、一方通行の感じた不信感は杞憂なのだろうか。


それならそれで問題はないのだが。




591 ◆ObanGQEW7M2012/02/19(日) 23:54:54.220CqfalOAO (5/6)


「クラスメートとまだ話はしなかったけど、リアルツンデレ巨乳委員長とか
青い髪の毛のハイな男とか隣のクラスも金髪グラサンだの金髪鼻ピアスだの。
なんかミサカがショッキングピンクにしたところで普通なんじゃね?みたいな」

一方通行も自身のクラスメートを思いだそうとするのだが
削板の印象が強すぎて後はまともに出て来てはくれない。
とりあえず番外個体の転入先がアバンギャルド極まりないということはよく分かった。

「先生はすっげえ小さくて、どう見たって小学生。
なんだけど職員室の机には灰皿三個もあって、めちゃくちゃシュールだった。
そっちは? なんかあった?」

「レベル5が俺を入れて3人も居ることと、殺人ロボが闊歩してたぐらいだ」

「何それ!? え、気になるんだけど!!」

まだ1日目だというのに、内容が濃かったのはどちらも変わらないらしい。
鞄に入れた土産品のことも伝えるべきか、思案しながら道を歩く。



592 ◆ObanGQEW7M2012/02/19(日) 23:58:04.710CqfalOAO (6/6)



翌日



「おはよう、あくせられーた」

「あァ……」

「眠そうなんだよ、昨日何時に寝たのかな?」

「10時……」

「予想以上に長くてとってもびっくりしてるんだよ!?」

体力が絶望的に足りないのか、ある程度眠らないと使い物にならない。
脳が必要以上に働きすぎるのが悪いのだ。

未だに緊張した面持ちでインデックスは改札を通る。
ぎこちない足取りとロボットのような腕の角度に、不覚にも笑みが零れる。
これは儀式だと思うことにしたそうだが、まだまだ不慣れな点が多いようだ。

快速のモノレールに乗って最寄り駅へ。
車内も席に座れるくらいに空いていた。
横一列に設置された座席に隣り合って座った。

「昨日ね、みさきからこんなめーるが来たんだよ」

インデックスが持つ携帯を片目で見る。
車体が揺れるせいですらすらとは読めなかった。

「したは? たの……みにし……」

「明日は良いことがあるから楽しみにしておいてって」

「それはあの女にとっての良いことか、それともオマエにとってなのか」

銀髪が小刻みに揺れる。
苦笑しながら少女は、あの子は破天荒だからと笑う。



593 ◆ObanGQEW7M2012/02/20(月) 00:02:50.31Pr5IU2FAO (1/5)



「オマエがそれを言うのか」

「でもみさきは結構おか……おもしろいんだよ、破天荒なのにチキンで」

言い直したのはインデックスの自分の友人への精一杯の優しさである。
引っ越しの時に駆り出されたときに、食蜂の趣味や人間性は理解したつもりだ。

「良いか、レベル5に真っ当な人間性を求めるな」

「あくせられーたが言うと説得力が異常かも」

インデックスの額を軽く小突く。

自分で言ったことだが、思いのほか納得してしまった。
自分だけの現実が大いに平均から異なるからレベル5なのだ。

「平凡で小心者で野心のない普通に幸せな超能力者なンざ居てたまるか」

――そんなの、狡すぎる。




594 ◆ObanGQEW7M2012/02/20(月) 00:03:47.77Pr5IU2FAO (2/5)

数十分ほど揺られ、目的駅に着いた。
桜咲き乱れる並木通りを、同じ制服を着た少年少女に紛れて歩く。
紛れて、というのは彼らの主観であり実際のところ
注目を得なかったわけではないのだが。

「1時限まで20分もあるじゃねェか……もっと寝てられるだろ」

時計を見て一方通行はぼやく。
上空の太陽もまだまだ東に振り切れている。

「いや、次のだとほんとギリギリなんだよ」

「どこを脅せば都合の良い時刻表になるンだろォなァ?」

「何て言うか、あなたが言うと冗談に聞こえないかも」

「確かに割と本気かもなァ」

「や、止めて!?」

ふと下を見ると、散った桜の花びらがアスファルトにべっとりと付いている。
あまりに見苦しいので風で散らそうとも思うのだが、ここでは人目に付きすぎる。
これこそあのロボで掃除するべきなのではないか。


学校に着き、2人は食蜂の言う“良いこと”の意味をまざまざと思い知らされる。



595 ◆ObanGQEW7M2012/02/20(月) 00:09:22.46Pr5IU2FAO (3/5)




靴を履き替え教室棟へ向かう途中に、イベントが催せそうなスペースがある。
昨日は入学式によせての華美な装飾と電報が張られていたはずだが
今日の主役は金髪の少女のようである、ご丁寧にステージまで用意してある。
到着した生徒・教室の多くが彼女の動向を気にして立ち止まっていた。

「みさきだ……」

インデックスの呟きは妙な緊張に包まれている。
彼もこの事態を飲み込めない。
ただ間違いなくこれがメールの内容なのだろうと理解出来る。
少し離れたところに、何故か削板が立っていて満足そうに頷いている。

5分ほど笑顔で様子を窺っていた食蜂は
スペースいっぱいに人が集まったことを確認するとマイクの電源を入れた。


「――えっと、朝のお忙しいときにお時間とらせてごめんなさぁい」


それだけでざわついていた生徒たちが一瞬にして静まり返る。
それも一言一句逃さないように、身を乗り出す者さえ見える始末だ。
さすがは心理掌握の名を冠するだけある、内心唸ってしまった。




596 ◆ObanGQEW7M2012/02/20(月) 00:15:33.50Pr5IU2FAO (4/5)



「突然のことですが昨日付けで副会長になりましたぁ、食蜂操祈です。
まだ1年の身ですが、削板会長のサポートを精一杯勤めたいと思ってます。

精一杯頑張るのでご協力よろしくお願いします」

幽かなどよめきの後に湧いたのは空間いっぱいに響き渡る盛大な拍手。
それに何度も礼をして、食蜂はステージを降りた。

インデックスは考える。
人見知りだと言っていた彼女が嘘であるようには思えない。
だけれど、自分に精神操作をしてるようにも見えない。
マイクを持つ手は震えていて、両目は宙をさ迷っていたと思うのだ。


と、なると――。


「……あくせられーた」

杖を付くため拍手に加わらない隣の一方通行に声をかけた。

「……どォした」

「――恋ってさ、凄いよね」

「あァ……そォいうことか」

「うん、そういうことなんだよね。
引っ越しのときとか、ずーっとかいちょーがいかに素晴らしいか話されたもん」

どんなに否定してみせたところで、食蜂は削板に心酔している。
そんな彼は生徒会長で、副会長以下のポストは不在。

あの後、勇気を振り絞って可愛い企みを実行にうつしたのだろうか。
それを思うと、自然と口角が上がってしまう。
目一杯茶化して、そのあとよく頑張ったと言ってあげよう。


そして本職も頑張れと付け加えて。


597おわり2012/02/20(月) 00:22:44.40Pr5IU2FAO (5/5)


玉虫色のコートの女は抜粋部分より後も出たのでしょうか、なら読みたいなと思っています
そんな感じで今回もお疲れ様でしたー!



598VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/02/20(月) 01:59:08.284omWDpaOo (1/1)

>>597
乙なんだよ!

みさき達には是非とも健全にいちゃいちゃして皆がうらやむ円満カップルにでもなってもらいたいものである。
そして白色コンビにはどこまでも刹那的で痛々しい、傷を甞めあうように互いを求め合うドロドロのカップルになってもらいたいものである。


599VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2012/02/20(月) 21:30:15.72EvOfuarj0 (1/1)

乙であります
私がそぎみさに目覚めたのはあなたのせいだ


600VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/02/20(月) 23:24:13.70nusu9AhLo (1/1)

乙!
精神系能力者のトップなのに無自覚に惚気るみさきちか…胸が熱くなるな


601VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/02/23(木) 13:33:01.39KYT/caAbo (1/1)

みさきちのくせにかわいいじゃねえか


602VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/03/03(土) 00:12:28.93PctuIQD5o (1/1)

ソギ―さんマジいい男
結婚してくれ


603 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 21:50:17.02ujZlC7WAO (1/14)


みさきちがもしかしたら13歳の可能性あるとか、何か心理掌握されてる感が否めないっすね……
ってなわけでもうちょいしたら投下しますー


604 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:26:28.58ujZlC7WAO (2/14)



「みさき、ねえみさきってばー」

早速得た副会長専用の机に突っ伏し、身動ぎ1つもしない食蜂に声をかける。
が、聞き入れる様子はない。

「……」

「……どうしよう、あくせられーた」

彼は煩雑な部屋の中をぐるりと、
それから放心した副会長と脇で困っている彼女の友人を順に見る。

「その前に、ここに俺を連れてきたわけを話せ」

「そんなの、このみさきの対処は私1人じゃ無理そうだったからだよぉ」

「俺が居た方が駄目だろ」

「でも、昨日楽しくお喋りしてたかも」

「決して楽しくはねェよ」

初対面なのにあの罵り合い、どこが面白そうに感じたのだろう。

「みさきね、1時限目からずーっとこうなんだよ。
人見知りなのに頑張ったから疲れちゃったんだとは思うんだけどね」

「あの生き恥晒しっぷりで人見知りとはよく言うな」

「い、きはじさらし……」

金髪がごそごそと音を立てる。
自販機で買ってきた缶コーヒーのプルタブに指をかけ一思いに飲み干した。




605 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:28:05.96ujZlC7WAO (3/14)



「ああ、みさきってば自分も人にえげつないこと言うんだから、被害受けちゃ駄目かも」

「ごめんなさいねぇ……」

彼女は頬杖をつき溜め息を漏らす。
埃っぽい部屋の中、やけにその声は響くのだ。

「で、副会長様はあンなご立派な所信表明しておいて何が憂鬱なンだよ?」

「引っ越しサービスの人たち相手に指示どころか挨拶も出来ない子なのに。
うんうん、よく頑張ったんだよ」

と彼女を見ると、早速弁当を広げ食事に取りかかっていた。
相変わらず女子が食べるとは思えない、凄まじく重そうな弁当箱だ。

「……何て言うか、迷惑じゃなかったのかなぁ……」

「茶番を見せられた俺は、そォ思う権利があるだろォな」

「貴方なんかどうでもいいのよぉ……問題は……あの人がぁぁああ!!!」

両手で顔を被い、じたばたとスカートの翻ることも気にせずその場で悶える。
どうしようもなく情緒不安定なのは分かっているのだが
しかし急速に不安になってきてしまった。

「でもみさきが副会長になることも認めたんだよね? なら」

「実は嫌だけど調子に乗った1年の面目潰さないために、とかぁ! 私の馬鹿ぁ!」

まあ有り得ない話では無いが、それをこちらにぶつけたところでどうしてほしいのか。
ぬるいコーヒーをすする。



606 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:29:53.26ujZlC7WAO (4/14)



「うっせェな、そンなに不安なら削板に聞けば良いだろォが」

そんなことが出来るかと、食蜂が息を吸い込んだ時だった。

ガラガラと音を立て、扉が開く。
両手がふさがっているせいで足で開けられた向こうにやはりというべき人影。

「おーっす」

「かいちょー、お邪魔してるんだよ」

「つゥか邪魔なら出て行くが」

「おう、ここは陰気くせえが良かったらゆっくりしていってくれ。
ああ気にしないでくれ、俺も静かなのは苦手でな」

トレイに学食で買ったと思われる昼食を乗せ、削板は自分の席につく。

「な、なんで貴方がここに」

「片付けねえとならん仕事があるからだが、ん、不都合だったりするのか?」

「そんなことないわぁ、いつだって居れば良いじゃないのよぉ……」

何というタイミング、そしてメンバーなんだろう。
食蜂が危惧することは1つ。
先ほどの会話を白コンビが蒸し返さないかどうか、ということだ。
横目で見る限り耳打ちし合っているのがどうにも恐ろしい。



607 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:30:40.39ujZlC7WAO (5/14)



「それで食蜂、外で聞こえたが何か質問があるのなら遠慮なくしてくれ」

「いえ、特に大したことじゃ無いのよぉ。ほんとに、ねぇ」

「そうか?」

なら良いが、と呟いて削板は食事を始めた。
自分がまだ何も食べていないことを思い出しゼリーの封を開けた。

つるんとしたそれが喉を通るのだが、今の微妙な心境もあり快いとは言えなかった。

「食蜂、お前それだけなのか?」

「ええ、元々少食だしぃ」

「どう考えてもお腹空いちゃうんだよ!」

「そうねぇ……でも食堂行くほどじゃないしぃ」

「オイ、第五位」

声の主、一方通行を見ると何故だか振りかぶっているではないか。

「わ、わわ」

急に投げられた細長い何かを、危なげながら両手で掴んだ。
見ると棒状のフルーツケーキである、何故これを彼が持っているのだろう。
訝しげな顔に気付き、大したことは無いと言う。

「コイツを黙らせる用で持ってンだよ、うるせェから食え」

「あくせられーたのそれ凄く美味しいんだよー、いいなー私も欲しいかもー」

「弁当あンだろォが」

言われた通りにかじってみるとふんわりとした甘さとドライフルーツの酸っぱさがクセになりそうだ。

「まあ、礼はしておくわぁ」

パッケージも高級そうであるし、これを機嫌取りでもらえるだなんて過保護というか甘々だ。
羨ましいとも思わない。


608 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:31:34.67ujZlC7WAO (6/14)




***

放課後

部活勧誘に励む2・3年生の声を後ろに聞きながら
夕暮れの中、食蜂は箒を手にアスファルトを掃いていた。
今日は風が強いのでせっかくセットした髪も荒れてしまうのが悔しい。

「……きったなぁい」

落下し薄汚れた花びらを地面からこそいでゆく。
桜は好きではないのだが、こうするといっそう憎さが募る気がした。

あんなに開花を待たれても、散ってしまえば労れることもなく靴裏で擦られるのがオチだ。
そうやって手のひらを返されることも知らず呑気に咲き誇るのが彼女には馬鹿馬鹿しくて仕方ない。

汚くて見苦しい、落ちてしまったら引き上がることはもうないのに。

「こっちが嫌いとも知らずに、……本当にお節介よねぇ」

お節介で、直視できないくらいの眩しさだった。

誘蛾灯に誘われると同じく、醜い心根の自分なのに心を寄せている。
焦がれているのは彼そのものか、能力者なのに純粋に慕われている彼の立場か。



609 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:34:17.16ujZlC7WAO (7/14)



「……あぁ」

――いつの間にか手が止まっていた。
これ以上考えても答えは出ないのなら作業をして忘れるべきだ。

箒を再度握り掃除を再開する。
慣れてしまえばピンク色が捌ける様が案外楽しい。

「おー、やってんなあ」

唐突な声。

「!?」

驚き肩を震わせる。
やましいことをしているわけではないのだが、それでも妙な気恥ずかしさがある。

「ど……独断と美意識に基づき動いてるけど、……何かいけなかったかしらぁ」

やはり皮肉げになってしまう、直したいのにいつもこうだ。
出過ぎた真似ではなかったかとも心配になったのだが、晴れ晴れとする笑顔を返された。

「そんなこたぁねえ、気に入った! 俺にも手伝わせてくれ」

「別に良いけれどぉ……な、何で身構えるのよぉ!?」

武術には詳しくないので彼の体制が何かの型かは知らないが
このポーズを取った後は必ず謎の爆発と七色の煙が辺りを襲うのである。

白昼堂々殺す気か、慌てて止めに入る。

「いや、この煙でこいつらをどどーんとまとめてだな」

「何でもかんでも変な衝撃波出してばぁーん☆ じゃ済んでくれないってばぁ!
花びらは千切れちゃうし砂が舞い上がっちゃうでしょぉ!?」

全く、何を考えると思いきや。
気に入らないから殴られるのかとさえ思った。


610 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:35:41.63ujZlC7WAO (8/14)



「む、そうか」

「何で変に疎いのよぉ!」

先人の編み出したことは大抵が最善だ。
それを独創的な立場で……
別に嫌いでは無いが冒険し過ぎでは無いのだろうか。


「なるほど、じゃ箒を」

「……そこに置いてあるわぁ」

「おお……! 気がきくな、流石は心理掌握」

「いえ、どうせ私に言いくるめられて手伝うと思っただけよ。
貴方の行動は読みやすいし推理力を働かせるにも値しないわぁ」

やはり、ここでこうやって掃除をしていても手伝ってくれたのは削板だけだった。
インデックスは用事があると申し訳無さそうにしていたし
杖を付いた人間に箒を扱わせるわけにもいかない。

「しっかし、もう大分綺麗になったな。いつからやってたんだ?」

「授業終わってすぐかしらねぇ」

「そろそろ2時間になるってところか、お疲れさん」

「だってあまりに見苦しくてぇ、しかも夕焼けってことは明日は雨だし。
全く……新入生にこんなことさせていいのかしらぁ?」

違う、手伝ってくれることの感謝を言うのが先じゃなきゃいけないのに。
何故悪態はこんなにすらすらとでてくるのだろう。




611 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:37:03.70ujZlC7WAO (9/14)



「はは、違いねえ。そうだそうだ、アイス食わせてやるから許してくれねえか」

「あの時も連れてかれたけど特別好きってわけじゃないのよぉ?
それに寒いしぃ……仕方ないわ、ワッフルにしても良いわよねぇ」

「ああ、許してやろう」

なら、と呟き掃除に戻る。

残っていた花びらを一ヶ所に纏め、庭掃除用のちりとりで残さず取った。
ゴミ集積場へ二度往復し鞄を取りに行き、全てが終わる頃には辺りは真っ暗になってしまっていた。

「随分と暗くなっちまったが、菓子を夕飯にするのもな……」

「アイスは良いってばぁ。
それよりどこか食べに行くなら付いていくわよぉ
もちろん奢って下さるわよねぇ、センパイ☆」

「残念だな、俺の財布はどうしようもなく軽い!
……と言いてえところだが、しかしだ。
後輩を寒い中長時間拘束した挙げ句、ポイ捨てというのも義理が通らねえよなあ。

……良いだろう、付いて来い!」

「うふふ、遠慮なくいただくわぁ」

正直なところ嬉しすぎて舞ってしまいそうな気持ちを押し込めている。
押し込めて、押し込めて、それでも心の多くを占める。



612 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:38:20.59ujZlC7WAO (10/14)



暗く人通りの少ない道を並んで歩く。
女子にしては高い身長は数あるコンプレックスの1つだった。
今だけは感謝しようと思える。
隣の早歩きにも付いていけるし、何より表情がよく見えるのだ。

「なあ、副会長さんよ」

「改まってどうしたのよぉ」


ぽつぽつと街灯が光り出す以外は
清濁併せ持つ学園都市に似つかわしくない静かな夜。

「お前の冷静で気が回ることってのは、それはそれは得難い長所だと思うわけだ」

「急に……どうしたのよぉ」

目を閉じ首を横に振る。

「俺は行動してから思考する性格だから後で首回んねえって展開も頻繁にあるのさ。
馬鹿なことにいつまでたっても学習しねぇ、毎回思うのにな。思慮深くいけって。

お前にはきっと俺の短所を補ってもらえる、そう思って副会長に任命したわけだ。
現にこれだって1人じゃ気付かなかっただろうしな」

「……」

「お前は俺に借りがあると思っているのかもしれねえが、それはこっちだって変わらねえ。
あの時のお前の行動は最良で最善で最高だった。
衝突もしたが俺たちは正反対で持ちつ持たれつなんだろうよ。

……だから義理を感じて提案したのなら、それは取り消してくれていい」


そんなこと、あるはずが――。

生唾を嚥下する。


613 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:40:41.11ujZlC7WAO (11/14)



あの冬の一件は、自分と彼の人間性の差をくっきりと分けたあの事件は
自分が一方的に救われ、彼には何も出来なかった。
納得がいかないのに折れてもらい、いざ立てた作戦は成功しなかった。

そんな醜態を晒したのに、助けてもらった。
なのに、感謝している――?

「あれは……私のミスだけで、何も……」

「要請に応えた超能力者はお前だけ
それに初めての対テロ組織で良く立ち回ったと思う。
それに俺だって勉強になったんだ。
救いたくても、どちらかの重りを捨てなければいけない日が来るかもしれないって」

それだって興味があったから、この件と早く手を切りたかったから。
不純でしかない、目も当てられない。

それなのにどうしてここまで言ってくれるのだろう。
嬉しさと恥ずかしさで、彼女の視界はぼやけ瞳は涙により覆われる。

「でもな、もし義理じゃなくて善意や興味から来るのなら両手を上げて歓迎する。
お前は俺に必要で協力して欲しいと思うからだ。

――だから考え込むな、卑下すんな。
俺にとってお前の提案は喜ばしく、納得のいくもんだったんだぜ?」

隠していたつもりなのにどうして気付いてしまったんだろう。
優しく暖かみのある声を聞く度、涙腺が緩む。悟られまいと上を見た。




614 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:43:07.33ujZlC7WAO (12/14)



「……私は、貴方を傀儡に学園を乗っ取ろうとしているのかもしれないわぁ。
それでも良いのかしら、ねぇ」

「まあ、そうかもしれんが。
お前が能力を使う時はしょっちゅう髪を弄るって癖に気が付いてるしなぁ」

「えっ、そうなの」

「嘘だ」

「ううううううう!!!」

睨んでから、こんな目を向けると嫌われるかもしれないと慌てて眉間の力を抜く。
そのせいで百面相のように表情が定まらない、嬉しいのか悲しいのか悔しいのか。

「俺なんかに騙されてるうちは大丈夫だろうし、何より下克上は大歓迎だ。
はは、立ち向かってこい!」

「精神操作系の私がどうして貴方に勝とうとするのよぉ!?
馬鹿じゃないのぉ!? そういうところが脳筋なところが嫌い!」

また心にも無いことを言ってしまった、今日は大人しく寝れるだろうか。
ともかく大きく深呼吸をし、瞳を真っ直ぐに見据えた。



615 ◆ObanGQEW7M2012/03/18(日) 22:48:14.66ujZlC7WAO (13/14)



「いつか私が貴方を掌握するまで……首根っこ洗って待ってるといいわぁ。
だってそう言ったのだもの、許可したものねぇ」

「まあそうなんだが、何だ食蜂、急に元気になったじゃねえか。
腹でも空いてたのか?流石にゼリー1つは、なあ」

「良いの、ダイエットしてるのよぉ!

まあ、それまではせめて従順にしていようかしらねぇ」

「ああ、寝首掻かれる日を楽しみにしとこうじゃねえか」

「会長の腕章、無くさないようにしておくことねぇ」

いつかこの優しさに報えるのだろうか。
自分の行動を見透かしているその余裕さも、越えることが出来るだろうか。

この気持ちすら悟られてしまっていたらと思うと叫びたくなるのだけど
今はぐっと我慢し先へと歩こう。


「……ほんとにぃ、大嫌いなんだから」

朧に光る月が夜空で存在を主張する。

小さな小さな呟きにも笑みが送られた、そんな気がした。



616終わり2012/03/18(日) 22:51:56.78ujZlC7WAO (14/14)


そんな感じの会長と副会長のアレコレでした、白コンビはまた次回

それではお付き合いいただきありがとうございました!


617VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/03/19(月) 06:24:31.655FybyACto (1/1)

乙!

素直になれなかったり、情緒不安定だったりとみさきちマジ恋する乙女
ソギーにあっさり騙されるみさきちとか、そんな食蜂さんを見守るソギーとか
会長副会長コンビ最高すぎる!

白白コンビを楽しみにしながら
”庶務野郎”の参戦も楽しみにしてる


618VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/03/19(月) 15:11:47.394hHJdG2Xo (1/1)

次回は白コンか、待ってる


619VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/03/19(月) 16:50:09.24UdsD+Fa90 (1/1)

なんと、乙


620VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/03/19(月) 17:05:09.69cp53vdA2P (1/1)


それにしても過去編が語られるのはいつになるんだろうか


621VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/03/20(火) 05:53:48.671rCoduu50 (1/1)

目録さんは問題ないと思うが、

第1位はクラスに溶け込めているのか? 


622VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/03/22(木) 20:42:43.75Mh4Lqaxv0 (1/1)

みさきちかわいいよみさきち


623VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/03/23(金) 02:21:58.65ll4J3zFZ0 (1/1)

そぎみさ可愛すぎわろた…

白白にも幸せになって欲しい俺に
希望をよこせくださいお願いします


624VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/04/02(月) 08:34:13.05zron/mwzo (1/1)

>>623 桃白白に幸せになって欲しいとは……変わってるな


625VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/04/03(火) 09:29:01.73+/Z1IJiH0 (1/2)

追いついた
乙!


626VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/04/03(火) 11:20:57.34+/Z1IJiH0 (2/2)

追いついた
乙!


627VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/04/03(火) 13:30:37.85hn/ebIsAo (1/1)

追いついた!乙!


628VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/04/10(火) 07:19:02.06/gDqXfU3o (1/1)

そろそろ続きが読みたいでござる
白白コンビの一見健全な交際風味の何かや
乙女心200%全力全壊な食蜂さんの願望駄々漏れライフや
ヒューズが飛んじゃってる風斬さんや
黒子以上にレズ道に邁進してそうな初春さんや
黒子の負担絡みで何気に友達失ってそうな御坂さんや
恋人が出来てうはうはな変態青ピの青春ライフや
コンシーラー代を稼ぐのに余念の無い上条さんや
そんなアレコレが読みたいでござる!



629VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/04/11(水) 19:56:38.35v9bzq6Lv0 (1/1)

ずっと舞ってる


630VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/04/14(土) 00:04:46.53GrOsrtKA0 (1/1)

白白の会話劇をもう随分読んでない気がするんだよ…


631VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/02(水) 00:59:40.01EWCiH5kDO (1/1)

待ってる


632VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/03(木) 22:51:39.88fyEk9huF0 (1/1)

頑張れ応援してるぞ


633VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/05(土) 11:12:52.43RntpFbboo (1/1)

まだかなまだかな


634VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2012/05/05(土) 16:30:55.70tGYc5awX0 (1/1)

学研の


635 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:25:50.22rD/g4EBAO (1/13)

気付けば5月……だと

遅くなってすみません、投下しますー!


636 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:26:28.70rD/g4EBAO (2/13)



前の授業は棟が違ったため、一方通行には移動するのも面倒である。
おまけに体中にまとわりつく眠気、授業中熟睡してもまだ体は重い。
風は麗らかで、どこであっても花の匂いがついてくる。
4月の中旬は昼寝に限ると、カフェテリアで人を待ちながらそう思った。

「いやっほうあくせられーた! 今日はたのしっいがっくしょくー!」

お腹が空きすぎてハイなのだろうか。
一方通行に彼女の活力のわけは分からない。

「どうしよー、うふふAランチかBランチかなんて選べないかも!
あっ、ここはいっそ両方で……!」

10の指をもぞもぞと動かすインデックスの目は煌々と輝いていた。
我慢が出来ないのか口の端からちらり、犬歯がのぞく。

「……オマエは元気だな」

「いつも通りだと思うけど、あくせられーたはお疲れなの?」

「夜まで……クソガキ二匹の相手させられたンだよ……ねみィ。
見れねェならスプラッタなンざ借りるンじゃねェっつゥ」

「スプラッタ……! それは気力も削られそうな……」

「まァ仕方ねェ……食券買いにいくか」

席を立ち学生がひしめきあう食券売り場へと向かう。


637 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:27:15.53rD/g4EBAO (3/13)


ここの学校の生徒層は割と裕福なためか、学食にしては値段は安くない。
その分味は折り紙付きといったようで、生徒や教師のみならず
近所の住民や関連施設の職員も来ているようであった。

購入した券を出し、待つこと数分。

「結局何にしたンだ」

「Aランチと特上御膳なんだよ?」

それがものの数分で出てくるこの学食のシステムも凄いし収まる少女の胃も凄い。

苦戦しながらも持ち帰り、いざ食べようと箸を持ったときだった。

「すみません、インデックスさん。お隣よろしいですか」

それは新緑を具現化したような声だった。
見上げた顔は涼やかで、嫌味を感じさせるほど甘いマスク。

「わたしの隣は誰も居ないからね、どうぞー」

「ありがとうございます」

「それにしてもそんな量で足りるのかな?」

「ご心配ありがとうございます。ですが」

切り取ってしまえばただの和やかな談笑である。
制服のボタンを見るに新入生のようだ
もしかしたら彼女とは同じクラスなのかもしれない。

「――なァ」

「ん、どうかしたの?」

少女ではない、と首を振る。
一方通行の瞳は正面より右、茶髪の少年の方へと向いていた。


638 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:27:42.31rD/g4EBAO (4/13)


「えっと、僕でしょうか? 何の御用で」

「知らばっくれンじゃねェ」

皆まで言わせなかった。

この顔に声に名前に、気がつかないとは言わせない。
彼らは望んでいないと言いつつも、一蓮托生の仲では無かったのか。

「……俺達に何の用だ、海原」

場を沈黙が駆け巡る。
海原の形の良い目は不可解という光をたたえ、微笑を浮かべつつも強張っている。

「あれ、みつきとあくせられーたは知り合いなの?」

「いえ、僕は初めてお会いしたと思うんですが……」

「そォいう指令なンだろォな……チッ、何が目的だ」

“グループ”のメンバーが1人、海原という彼のことを一方通行はよく知らない。
同じチームであるのだが、向こうに興味など持たなかったしあちらもそうだろう。

「目的と言われましても。僕はここで昼食をとろうとしただけで」

「あァ?」

「まあまあ2人とも、早く食べないと冷めちゃうんだよ?」

「生憎だが俺は冷そばだ」

「でもみつきはカルボナーラかも。いただきます! ほらあなたたちも!」

「い、いただきます」

「……いただきます」

インデックスの気迫に押されとりあえず箸をとることにした。


639 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:28:22.20rD/g4EBAO (5/13)


ずるずるとそばをすする一方通行とは対照的に、海原はスプーンを使いパスタを食している。
それが妙に腹立つので、これでもかと唐辛子を器に振り入れた。

「ははははひ、ふぃりはいはんはほへ」

「俺はそう思ってるが」

「あの、今なんと」

「『あなたたち、知り合いなんだよね』だと」

「ですから僕は全く見に覚えがな……ああ、またあれですかね」

憂いを帯びる海原の瞳。
インデックスはエビフライを平らげ、彼に尋ねた

「あれって?」

「ドッペルゲンガー、もしくは他人の空似とも言いますか。
僕に瓜二つの何者かがこの街を闊歩していたとの目撃情報がありまして、それも数件ではなく」

「じゃあさ、あくせられーたもそれを見ていたんじゃないのかな?
だってこのみつきはさ、高校に入学手続できたんだよ?」

そうだ、確かに入学前に行った健康診断により誰かになりすますことなど不可能だ。
仮に肉体変化出来るものが細胞レベルで変身したといえど
遺伝子まで操作することは不可能だ。



640 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:29:11.88rD/g4EBAO (6/13)



「そのドッペルゲンガーには何かと良い噂を聞かなくて。
同時刻にアリバイが成立していたから良かったもの、犯罪の濡れ衣を着せられそうになったこともあり……」


思い当たる節が有りすぎる。
グループにおける海原の役割は諜報員、確か皮を使った肉体変化だったか。

「露出狂のピンクのさらし女に覚えはねェか」

「ありませんね」

「シスコン金髪グラサン男は」

「……ありませんよ」

「何者かに皮膚を剥がされた、何てことは」

「それは……」

途端に翳りを見せる顔から、そういうことらしかった。
はあ、と溜め息をつきテーブル上に置いてあるグラスを取る。

「オマエも災難だな」

「全くですよ」

「ふーん、じゃあみつきはあくせられーたと珍走してたわけじゃないんだね」

「元よりしてねェよ」

「え、あなたが族のヘッドだったんじゃないの?」

「オマエ俺の名前から判断してるだろ」

どうでもいいがこの少女の口から
族のヘッドと発せられるのは不条理にもほどがあった。

「じゃあ音楽性の違いで解散なのかな」

「あいつらと奏でるハーモニーは不協和音だろォな……」

「そうそう、最強なんてくれてやるって歌ってそうだなって思ったんだよ」

「生憎最強じゃねェし、俺が睡眠欲に抗えるものか」

インデックスはかき揚げを一口で飲み込みうふふふと笑ってみせた。


641 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:30:12.95rD/g4EBAO (7/13)


よほど美味しかったらしく、目はとろりと溶け落ちそうだ。

「美味かったのか」

無言のまま鷹揚に頷いた。
天かすを口につけたまま焼き魚を食べるようだったので
ポケットに入っていたウェットティッシュを差し出した。

「いつもすまないねぇ……かも」

「だったら持って来い」

「違うよあくせられーた!
そこは『それは言わない約束でしょ』なんだよ」

「そンな老人ごっこ誰がやるか、こいつとでもやってろ」

何のためにインデックスの隣に座ったのか分からない。
気を利かせたつもりで我関せずとばりにパスタを食べる少年を指差した。

「え、あ、僕ですか」

「みつきにやらせたら可哀想かも」

「ほォ……言ったな」

親指と人差し指を擦り合わせ、なるべく残忍に笑ってみせる。
青くなったインデックスは縋るように海原を見た。




642 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:31:18.71rD/g4EBAO (8/13)


「ううう、すぐデコピンなんてあくせられーたってば凶暴なんだよ……」

「お言葉ですが、デコピンならお優しいなあとしか」

「全くだ、どこぞのお子様はこれだからいけねェ」

どこぞのお子様はふんと鼻を鳴らし、春の七草粥を飲み込んだ。
粥はいつ飲み物になったのか、と男性陣は口には出さない。

「それにしてもお二人は入学前から知り合いだったんですか?」

「そうだね! 路頭に迷う彼を私が助けてあげたのが始まり」

「虚言癖め。違うだろォが、俺がオマエに奢らされたんだよ」

「む、あの時人探ししてたよね!」

言い争う二人を見て海原はフォークをそっと置いた。

かたや第一位、かたや特待生。
肩書きは立派なものだが本人達を見てしまえばそれも無粋だと思える。
自分も意中の少女とこんなに和やかな会話が出来れば良いのだが。

また今日もゲコ太DVDで研究するしかないな、と海原は息を吐いた。
まあそれも嫌いではないのだけれど。


643 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:32:57.64rD/g4EBAO (9/13)



放課後

インデックスの首にかかるロザリオが西日を受けてキラキラと輝く

「今日はね体育でバスケットボールをやったんだよ。
みさきのガードの仕方が機械的で凄く笑っちゃったかも」

「そォか、あいつ運動出来そォだが」

「バスケは人に触っちゃうかもだから苦手なんだって」

「なるほどな、オマエはどうだったんだ?」

「私はドリブルからの練習だったね!」

まあ、そうだろう。
ルールは完璧であろうと、理論を知っていようと
そのデータを自身の体であっても完璧に出力出来る者は居ないのだから。

閑散とした箱の中は何とも閉まらない空気に満たされている。
緩くて生暖かい、その雰囲気は眠気を醸成してきた。
がたんごとんという縦揺れも瞼を重くする要因だ。

「あの後みつきが、相席させてくださりありがとうございましたって」

「慇懃だな、人生辛くないのかとすら思うが」

「良い人なんだよ? 美味しい飴くれるし、クラス長もやってくれたし」

「まァ……悪意は感じなかった」

しかし眠い、瞬きの都度に旅立ちそうになる。
ちゃんと日本語で会話出来ているのだろうか。




644 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:33:48.96rD/g4EBAO (10/13)



そんな一方通行を見てインデックスはくすりと笑った。

「ふふ、寝ても良いよ」

「……悪ィな、そォする」

「らすとおーだーとみさかわーすとだっけ、あなたの同居人」

「あァ」

「わーすとはとうまのクラスメートで、結構話しかけてきてくれるんだって。
ケガしてて何かと不便なところに気を回してくれるって言ってたんだよ。
2人にもいつか会ってみたいなって」

「ゴールデンウイークにでも来れば良い……アイツ等暇だろォし」

「時間があったらお邪魔しちゃうんだよ、どんな人たちなのかな」

「姦しい奴らだがオマエとは仲良くなれるだろォよ……」

「そっか、なら嬉しいな」

ふわりとした沈黙。
つかず離れずの距離にある少女の温もりのせいで尚のこと温まる。

眠ってしまおう、そう目を閉じるも最近あることが引っかかる。
この精神状態なら話しても良いかもしれない、後で言い訳出来るのだし。

それだけ指摘して寝てしまおうと彼は口を開いた。

「……オマエってよォ」

「どうしたの、とってもおねむなあくせられーた」

「……自分のこと喋らないな」

人、人、人。
少女が語る『誰か』は愉快で、彼女からの愛を感じる。
だからこそ、語り手が埋没しているような気が最近少ししていたのだ。

他でもない彼の友人はインデックスであるのに。

「ただの感想だが……まァ、駅に着いたら起こせ」

うん、と小さな返事の声が聞こえた。



645 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:36:01.58rD/g4EBAO (11/13)




「話さない……か」

上手にごまかしてきたつもりなのに、彼は本当に敏い。

話したいこと、話したくないこと、話さなくてはいけないこと、話してはいけないこと。
ぐるぐると少女の頭を回り、縛る。

情報の取捨選択に自信が無いから、不用意なことは喋らないことにしたのだ。
不用意なことには――やはり自分も含まれる。

この不器用で優しい友人と話していると、まるであの頃に戻れた気がするから。

がたごとと電車は進む、帰りたくないというインデックスの気持ちを知らぬまま。
安住の地はもうあそこにはない、必死に幸せを繕う。
優しさの膜で覆った痛々しい場所だ。
家族ごっこをしていたあの夏や秋を思う。
今は家族ごっこのままごとをしているようなものだ。
あまりにも救えない。


2人でいると骨の髄から寂しくて、3人でいると身が切られるように辛くて。

――1人でいると死にたくなる。

あの部屋に、戻りたくはなかった。


(それでも、私は私を恨める分マシなんだ。
当麻と氷華はそれすら出来ない、私のせいで……ううん私のためだったから)

車窓から覗ける景色はのどかで美しく、インデックスの心情を逆撫でする。




646 ◆ObanGQEW7M2012/05/07(月) 02:49:52.84rD/g4EBAO (12/13)



(ねえ、一方通行。
いつか私が君に話すときが来たら、その時はさ……)

この賢く優しい友人は、ぶっきらぼうにも自分を気にかけてくれるから。
彼の力を使えば全てを知るだろうから。


例えば――彼女が上条当麻を取り返すために、或る少女を再起不能にしたことであるとか。

例えば――上条当麻のために魔術を科学を、生命をも冒涜したことであるとか。

例えば――自分の願いで風斬氷華に上条当麻を殺めさせたことであるとか。

例えば――そうやって強引に取り戻した彼の精神は肉体は、磨耗しきっていることであるとか。

例えば――風斬氷華の暴走を知りながらも止められないことだとか。

例えば――先日、ハワイで戦争の火種を巻いてきたことだとか。


薄氷の上でうずくまるインデックスに、手を差し伸べてはいけない。
踏み出したらきっと誰もが沈んでしまう。

「私のこと、ちゃんと、軽蔑してね」


情けないこの話のあらましを。
所詮幸せになれなかった道化を。
のうのうと生きている極悪人を。

せせら笑ってね、とうそぶいた。




647終わり2012/05/07(月) 02:53:20.76rD/g4EBAO (13/13)

海原(真)の不憫さは禁書でもトップクラスかなあと
現実で言ったら自分の顔でヤのつく職業で働かれているみたいなものですしね

そんな感じで今日は終わります、お付き合いいただきありがとうございましたっ!


648VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2012/05/07(月) 05:17:41.906jNr4+Ds0 (1/1)

>>1乙

「所詮幸せになれなかった道化を。」

さすが白白、病んで来た…


649VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2012/05/07(月) 18:59:12.92V3gh5h3L0 (1/1)

>>1乙
久々に覗きにきて良かったぜ


650VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/08(火) 08:30:34.82o2Z8BgTVo (1/1)

不穏な空気…


651VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/05/08(火) 08:51:57.17U7t1BWJ+0 (1/1)

念動力使いの海原(本物)さんじゃないですか!
ラブラブだけどなんか病んでる……イイ!


652VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2012/05/08(火) 19:14:24.89UfNORV/M0 (1/1)

なんだかこのインさんグレムリンなんじゃねえの?って思ってしまう


653VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/05/22(火) 23:33:19.334PPMJwU6o (1/1)

もうすぐ一年だね
毎度楽しく見させてもらってます


654VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/27(日) 12:23:54.06q86qJ9/Qo (1/1)

海原さん……!


655VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/28(月) 00:22:48.88N7fdRvQNo (1/1)

マダカ


656VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/05/30(水) 23:57:01.07xKxHdn+So (1/1)

一年たったったね


657VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/06/16(土) 10:49:12.68O6BZpSxao (1/1)

たったったな


658VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/06/21(木) 22:44:07.142tlPSCxto (1/1)

舞ってます


659VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/09(月) 02:35:37.11d/0DB/PDO (1/1)

このままエターナってしまうのか


660VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/07/21(土) 16:01:45.59P+yEiJjDO (1/1)

白白コンビ大好きです

まってますー


661VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/07/25(水) 21:18:13.39jgyuagzUo (1/1)

まってまーす
エターならないでね


662VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/08/07(火) 23:16:37.58k+fgHqTz0 (1/1)

わたしまーつーわ♪ いつまでもまーつーわ♪


663VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(岡山県)2012/08/13(月) 04:44:32.26Zp9D1osPo (1/1)

埋まってます


664VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2012/08/30(木) 05:00:59.06mMtDwQ8H0 (1/1)

すげえ下がってるな…


665VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/09/10(月) 06:38:38.32E82RyWz30 (1/2)

頼む!もう禁書通行成分が足りないッ!
あの甘くはなってないけど、でも互いを意識し始めているあの酸っぱさが欲しい!あの酸っぱさを所望するッッ!!


666VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2012/09/10(月) 06:40:05.36E82RyWz30 (2/2)

そして余裕のキリ番get


667VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/09/19(水) 17:02:18.57GuSmB+fIO (1/1)

キリ番(失笑)


668VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2012/09/23(日) 22:51:48.69/VwPIX6No (1/1)

舞ってるお


669VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/09/27(木) 18:36:16.59gsoq3nPIO (1/1)

まだー


670VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/09/30(日) 22:14:37.39orgEGgin0 (1/1)

まってるー