1 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:32:12.72Hz9Qe8hjo (1/14)

初めての方は初めまして
お久しぶりの方はお久しぶりです
一応予告していた、ファニー・バレンタイン大統領「ジョースターの決闘を調べねば……」 の続編?にあたるものです
その都度説明していくので、前作は読んでも読まなくても結構です

とにかく遅筆なので暖かい目で見守ってやってください

それでは、よろしくお願いいたします……


2 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:32:57.15Hz9Qe8hjo (2/14)

私の名前は吉良吉影、カメユーデパートに勤務していた
年齢は33歳、だが結婚はしていない
『出来ない』のではない『していない』だけだ、勘違いしないでくれたまえ

いつも寝る前にはストレッチ、そして温かいミルクを一杯
それで朝までぐっすりさ……赤ん坊のように無垢なまま寝る事が出来る…
『くだらん』悩みや『無駄』な敵などに頭を悩まされる事無くね……


3 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:33:58.61Hz9Qe8hjo (3/14)

そして、私がなぜこんな話をしているかわかるかね?
それは、私がどんなに『平穏』を愛しているかをだな……

まあいい、本題はここからだ
今、私はある『都市』にいる、そして、なぜここに来たかは分からない
何故かって?答えは簡単、『飛ばされた』からさ

まずはあの『戦い』のことを語ることから始めよう
あの、ある意味、私を『救った戦い』をね……


4 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:35:17.84Hz9Qe8hjo (4/14)

私の愛する杜王町……
かつて……私はあそこを逃げざるを得ない状況にあった……
クソったれ仗助に阿保の億泰、ビビりの康一に無口の承太郎……
あのクソカス共から逃げねばならなくなるとは…今でも信じがたいよ……

奴らが一同に会した時、私は『再び』バイツァダストを使用しようとした
いいか、これは断じて『逃亡』ではない
『未来への遺産』つまりは、未来へと繋げるための『第一歩』だ‼
そして、キラークイーンは『スイッチ』を押そうとした

次の瞬間、私は『白い世界』にいたのだ


5 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:36:19.78Hz9Qe8hjo (5/14)

そして、いきなり殺しあう事を『自称』『大統領』に余儀なくされたのだ

そして、その『世界』は崩壊した
どうして崩壊したかは覚えちゃあいない
そして崩壊する最後の瞬間も覚えていないのだがね……
まあ、私以外の他にもその世界に生きていた人間はいただろう…
そいつの生死までは知らん、だが私は『生きている』
その事実さえ正しければ十分だよ

説明が急展開と思うかもしれないが
『私には』全ての戦いを把握出来るような状況じゃあなかったのだよ……
私に文句を言われても知ったこっちゃあないな
その辺は了承してくれ


6 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:37:07.69Hz9Qe8hjo (6/14)

話が長くなったな……

おそらく、私がここにいることはあの『クソカス共』にはバレてはいないだろう
とりあえず、今の所の安住の地は『ここ』とさせてもらおうか……

それではよろしくな……『学園都市』よ…


7 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:37:56.71Hz9Qe8hjo (7/14)

さて、先に私は『平穏』を愛してると言ったな
私は平穏の為なら自らの体を張る事さえ厭わないし
あまっさえ、自ら厄介ごとに飛び込むといった趣味も無い

だが、この状況は何だ?

「ふみゅうう~~、もう飲めないのれすよぉぉ~~」

何故、私の『背中』に『幼児』がへばりついているのだッ⁉

スタンド⁉いや、この重量感‼質感‼スタンドの『それ』じゃあない‼
しかも『背中にへばりつくだけのスタンド』なぞ聞いた事もない‼


8 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:38:53.14Hz9Qe8hjo (8/14)

いや……落ち着け…落ち着くのだ吉良吉影……
『逆』だ……逆に考えろ………
この『小娘』がいるという事は『親』もいるはずだ……
ならば、ここでこの娘に恩を売っておけば、当面の生活場所は確保……


よし、いける‼

「え、えーと?お嬢ちゃん?親御さんはどこかな?
迷子になっちゃったのかな?」

ええい、忌々しい‼どうしてこの吉良吉影がこんなちっぽけな小娘に媚を売らねばならんのだ‼
だが我慢だ……安定と平穏の為には避けては……

「んもー‼なにをいってんれすかぁ~‼
わたしはしぇんしぇいなのれすよぉぉ~‼」

フェンスイ?ああ『風水』の中国読みか?

「ちがいますぅ~~‼先生ですぅ~‼」

おっと、心の声が漏れていたようだな……


9 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:39:56.76Hz9Qe8hjo (9/14)

ん?今この小娘は何といった?
『元帥』?いや違うな『扇子』……も違うし……

「れすからぁ~‼せ‼ ん‼ せ‼ い‼なのれすぅ‼」

ああ、この子は錯乱しているようだ
こんな小娘が教師だったら、ギャングのボスがこの街にいても不思議じゃあない

「なるほどねー、で、お家はどこかな?」

まさか、営業で鍛えたこの笑顔がこんな所で役に立つとはな……
まだ何か言いたそうではあるが住所を教えてくれたぞ
クックック……まずは第一歩といった所か……

そしてタクシーを停める、運転手に
さっき聞いた住所を伝え、タクシーへと乗り込んだ

.
..
...
....
.....


10 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:41:04.72Hz9Qe8hjo (10/14)

そしてタクシーは目的地に到着した
幸いにも、ポケットの中には私の財布があったので支払う(無論、この小娘の親御さんに請求するがね……)

家に電気はついていないようだ
表札には...『小萌』と書いてあるな……
わたしはドアをノックする

「もしもぉーし、小萌さぁーん!もしもぉーし!」

「ひゃぁぁぁーい……」

この小娘が……!!そりゃ貴様も小萌に決まってるだろう……!
親子なんだからな………!!

ん?
ふと、再び表札に目を戻す
正確にいえば表札の下の『住居人欄』だが

「住居人は……『一人』!?」

馬鹿な!?最近の親はこんなにも放任主義だというのか!?
こんなどうみても6歳程度の子供を………!!


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/05/29(日) 22:41:29.68se8MmF2T0 (1/1)

凄まじく濃い気がするww

支援


12 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:42:29.32Hz9Qe8hjo (11/14)

さっきまで寝ていた
小脇に抱えた小娘が目を覚ましたようだ

「あいたたたた……また飲みすぎちゃったのです……
うぅ~~、二日酔いぃぃ……変な浮翌遊感……」

パチクリと目を瞬かせ、小娘は覚醒したようだった

「え?何で私……え!?」

小さな体とはいえ、犬のように震えられたらこちらも落とさざるを得ない
両手をホールドアップされたように上げると、彼女の体は重力に従いコンクリートへと顔面から着陸した


13 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:43:20.43Hz9Qe8hjo (12/14)

「あいたぁぁぁぁ!?何するんですかァ!?」

目覚めの強い一発、これで起きない奴はいないだろう
私の苦手な小さな女独特の金切り声に近いような声を荒げ始める

「あなたねぇ!人には礼儀というものがあるのですよ!!
そして、お顔から落ちるように手を離すのは礼儀とは……むぐぅ!!」

正直に言おう、物凄く『爆破』したい
だが、いきなり爆破も彼女の言う礼儀には当てはまらないだろうから
とりあえず口を塞ぐ

どこから事情を説明すればいいのだろう……
そんな事を考えながらここまでの経緯を彼女に説明した

.
..
...
....
.....


14 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:45:10.33Hz9Qe8hjo (13/14)

「うぅ……そうだったんですか……
そうとは知らず……ごめんなさいです……」

全くだ、あんな夜更けに子供を背負って歩くサラリーマン風の男など
十中八九、変質者か誘拐者のどちらかだ
ほとんどの人が通報するだろう、誰だってそーする、私だってそーする

「良いんだよ……所で、お嬢ちゃん?ご家族は?」

「うう……私は子供じゃないのです!!」

どうも気になるな、やけに子供じゃあないアピールをする……
一つ、失礼かもしれないが質問をさせていただこう

「あー……お嬢さん?今……『おいくつ』……かな……?」

張り倒される
あまりの衝撃、薄れゆく意識の中にこのクソガキの声を聞いた

「レディーに年齢を聞くなんて……!!失礼なのですよ……!」

むぅ……否定はできないが……クソ……!!
そこで私の意識は途絶えた


15 ◆tyuVXY5AEU2011/05/29(日) 22:46:15.29Hz9Qe8hjo (14/14)

とりあえずここまで
行数が少ないのはiPodのフリーズを避ける為なんでご了承……

それじゃ


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/05/29(日) 23:03:17.03Hf8TsbA2o (1/1)

すごく……楽しみです……


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/29(日) 23:20:32.04+IuAYtJSO (1/1)

すまんが誰か前スレのURLを貼ってくれないか?


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/05/30(月) 00:18:32.06hc2o9YIA0 (1/1)

これは期待せずにはいられないな。
乙です


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/05/30(月) 00:26:39.93jIr6lG7AO (1/1)

乙!続編待ってたよ。
今回はクロスなんだな。これから話がどう転がるのか楽しみだ。


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/05/30(月) 00:47:07.17K/631lpm0 (1/1)

酷い目に遭わされるオチ要員で使われる事が多いけど、吉良ってクロス物との相性が良いな。



21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 06:58:04.72sOaY7Q/So (1/1)

面白いそうだけど前作読んどいたほうがいい?


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 17:26:21.34XMPcceoHP (1/1)


前作終わったのか、頑張ったな
ところでビックリマークとハテナマークの表示がおかしい気がするんだけどまさか絵文字とかだったりする?


23愚者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/01(水) 00:15:11.96G97lxG4to (1/2)

二、三日後に投下します

絵文字は使ってないけどな……半角の!と?は使ってるけど……
!と?をくっつけて!?にしたのがいけなかったか

前作は読んでも読まなくても大丈夫
ただ、台本形式の時は自分で見ても何語?な次元だからな……

このSSの世界の設定をまとめると

・この世界は前作の中で出来た、色々な作品(漫画、小説、ゲーム、映画)の世界が違和感なく混ざった世界
・この世界の人々は記憶が改ざんされてて、他の世界のものに違和感を感じない
・元の世界の記憶がある『かもしれない』のは前作の闘いでの生き残りのみ(無い奴もいるかもしれない)

こんな所かな
何だこれ!?ムチャクチャじゃないか!?って思われた方はゴメンね!!

まあ、こんな感じでノンビリやってきますんでよろしくです

それじゃ


24愚者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/01(水) 00:25:13.28G97lxG4to (2/2)

お、長文が打てたので今度から長文打ちます

後、タイトルをつけ忘れてたので一応ご報告

「とある異界の来訪者(Now I'm Here)編」でよろしくお願いいたします

ネーミングセンスが無いのがお分かりいただけただろうか………
「とある いかいの なう あいむ ひあ」と読む
……深夜のイカれた命名力が恨めしいな……

それじゃ


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山形県)2011/06/01(水) 22:39:10.14PKIJ/cPjo (1/1)

半角じゃなくしたら多分大丈夫


26とある異界の来訪者(Now I& ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:10:20.87ZNsSnAxUo (1/15)

投下します


27とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:12:00.09ZNsSnAxUo (2/15)

目の前に『事切れている女』がいた
私は右手にもった『包丁』を手首に当てがってやる
ああ……もう少しで『彼女』から余分な『パーツ』を切除出来る……
まるでサンタのプレゼントでも開ける時のような気分の高翌揚に襲われる
たまらない、呼吸の荒くなるのを止められない
気分を落ち着かせるためにペロリと唇を舌で舐める……よし……

「やるぞ……」

左手で包丁の柄を持ち、右手を峰に添え、そして………

「………夢か…」


28とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:13:27.21ZNsSnAxUo (3/15)

頬がジンジンする
ん?ここは何処だったか……?私の家じゃあ………

ああ、そういえば私はあの小娘に殴られて……
クソ……!油断していた……!!
本当は避けられたのだ…だが、あえて食らう事によって『罪悪感』を植え付けようとしたが……
まさかあんなに綺麗に気絶させられるとはな……

そこで、タバコの匂いがプンと鼻につく
それもかなり年季の入ったもののようだ

私はタバコは吸わない
何故なら身体に全くメリットが無いし、自ら肺ガンになるような自虐的な性格でも無いしな

じゃあこのタバコの匂いの元はどこだ?


29とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:15:51.30ZNsSnAxUo (4/15)

1.昨日の小娘の親(一番可能性的には高い)
2.どこか外から漂ってきた(あり得るがこのハッキリとした匂いはじゃあない気がする)
3.スタンド(馬鹿か私は)

こんな所か
大穴としては4.あの小娘が実はヘヴィースモーカーってとこだな

そんな馬鹿な事を考えている場合じゃあなかった
ここで大事なのは私が追い出されもせずに
ここで布団の上で寝かせてもらっているという事なのだ

つまるところ、私は見事に小萌家に泊まりおおせる事に成功した

「クックック……我ながら…完璧だったな……
…………結果オーライというわけじゃあないが……」」

ご丁寧に掛けてあったタオルケットを剥がすと『紙切れ』が落ちてきた

「ん?」

どうやら『メモ』のようだ
読んでみよう


30とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:18:05.98ZNsSnAxUo (5/15)

【『学校』があるので行ってくるのですよー!
色々お話ししたい事もありますし、家のものは好きにして構いません!
たぶん、20時には帰ってこられます!
月詠小萌】

ほう、あの年にしては中々綺麗な字を書くものだ
なるほど……名前は月詠小萌というのか……

ん?何か『奇妙』だぞ?なんだこの感覚……?
何か大きな間違いをしているような……

そういえば

私は立ち上がり、踏み場のない床を足で安全地帯を作りながら玄関へ向かう

ドアを開け、昨夜見た表札を確認する

【小萌】

そして……彼女の名前は……月詠『小萌』……だと……?

つまり……つまりだ……!
この家は彼女『一人』の家だという事かッ!?
じゃあこのタバコの吸殻はなんだ!?
彼女は両親とかと同居してはいないのだ!つまり『彼女』自身が吸ったもの!
だが、あの年で!?いや、彼女は確か……自分を『先生』と言っていたな………!!
まさか彼女は本当に『成人』というのか……!?
馬鹿な……学園都市……!!見た事もないような機械が多くあると思ったが……
ここの科学は『不老』まで可能としたというのかッ!?

恐ろしい……恐ろしいぞ学園都市ッ!


31とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:19:51.06ZNsSnAxUo (6/15)

私は驚愕の新事実をどうにか胸の奥へ押さえ込む
彼女が『成人』……いや…『聖人』だったとは……
再び、鼓動が私を襲ってくる
落ち着け……何か気が紛らわせそうな物……

おお!『テレビ』だ!テレビをつけよう!
ニュースは私を落ち着かせてくれる……きっと……

ポチッとな

1ch....「本日の料理です、本日はイチゴおで」
次、2ch...「WRRRYYYY!!![ピーーー]ェェェ!」
次…3ch...「速報です!今日未明、アメリカの刑務所で脱獄が」
……4ch…「このように特定の自販機を蹴る事で、不正にジュースを得ている女子が」

ここに『平穏』はないのかァーーッ!?
『普通』な物が何一つないじゃあないかッ!
ここで落ち着けるわけがあるかァァァ!!

ハァハァ……!!全く……!
ここで暮らすのかと思うと頭痛が………

しょうがない、小萌さんには悪いが外出をさせてもらおうかな
この部屋では私の『胃』がもたないよ……

とりあえずその辺りをブラブラしてこよう
私は気の向くまま、歩を進めた
道中、ドラム缶のようなロボットを見かけたり
空に浮かぶ気球のような飛行船を眺めたり
それなりに『平穏』な一日が過ごせた

ように思えた


32とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:21:04.93ZNsSnAxUo (7/15)

私は驚愕の新事実をどうにか胸の奥へ押さえ込む
落ち着け……何か気が紛らわせそうな物……
おお!『テレビ』だ!テレビをつけよう!
ニュースは私を落ち着かせてくれる……きっと……

ポチッとな

1ch....「今日の料理です、本日はイチゴおで」
次、2ch...「WRRRYYYY!!!死ねェェェ!」
次…3ch...「速報です!本日未明、アメリカの刑務所で脱獄が」
……4ch…「このように特定の自販機を蹴る事で、不正にジュースを得ている女子が」

ここに『平穏』はないのかァーーッ!?
『普通』な物が何一つないじゃあないかッ!
ここで落ち着けるわけがあるかァァァ!!

ハァハァ……!!全く……!
ここで暮らすのかと思うと頭痛が………

しょうがない、小萌さんには悪いが外出をさせてもらおうかな…
この部屋では私の『胃』がもたないよ……

とりあえずその辺りをブラブラしてこよう
私は気の向くまま、歩を進めた
道中、ドラム缶のようなロボットを見かけたり
空に浮かぶ気球のような飛行船を眺めたり
それなりに『平穏』な一日が過ごせた

ように思えた


33とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:22:25.97ZNsSnAxUo (8/15)

小萌さんの家に帰る途中、もはや、お決まりと言っても良いようなやりとりが聞こえたのだ

そう、いわゆる『ナンパ』という奴だ
ナンパと言えば軽く思えるが、実際は『婦女暴行』に近かったがね……

いいか、先に言っておく『私からは』奴らの機嫌を損ねるようなしてはいない

全ては奴らからだった

いつだって……『馬鹿』というモノは理解出来ない……
どうして、自分から厄介ごとに首を突っ込むのだろうな?
だまっていれば平和に過ごしていけるというのに………



34とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:24:09.66ZNsSnAxUo (9/15)

最初、奴らの声を聴いた時は
あまりにも古典的な誘い方だったので笑いそうになってしまった

「よぉ~おねえちゃぁ~~ん?お茶しねえぇぇ~~?」

馬鹿が、やたら語尾を伸ばすなうっとおしい
そう思いながら声の出先を目で追う

そこには頭の悪そうな『不良達』とそれなりに頭の良さそうな『女生徒』がいた
どこからどう見ても紳士的な会話をしているようには見えない

「ちょっとでいいからよぉぉぉ~~~
一人ぼっちでサビシー俺たちに構ってくれてもいいんじゃあねぇぇかなぁぁぁ?」

当然、女生徒は腰までもある長い髪を振りながら
拒む様に逃げようとするが『手首』を掴まれる

この時から私はこの一連のやりとりが目から離せなくなった


35とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:26:26.42ZNsSnAxUo (10/15)

「(貴様如きがまだ『未成熟』な『彼女』に手を出すんじゃあない!
彼女は繊細な物なのだ……少しの家事で荒れてしまったり
少しの過食で見るに耐えない『肉塊』になってしまう……
それを貴様のような脳みそが糞になったような猿が
力任せに「握っていい物』なんかじゃあないんだ!!)」

あくまで、あくまで心の中に留めたが
もう少しで白昼堂々、私の『好み』を大発表してしまうところだった……

気がつくと、目の前に不良どもがいた

「おいオッさんよぉぉ~~?
人がナンパしてるのがそんなに面白いかねえええ~~~~?」

この不良A(無論、アホのA)、頭の中身まで不良のようだな
動作不良もここまでいくとメーカーも引き取ってはくれまい

「ムカついたッ!すっげムカついた!!
おいオッさん!金だしな!慰謝料だ!この気持ちの慰謝料だ!」

不良B(バカの略)も中々の不良のようだ
例えるなら、同じ言葉しかコピー出来ない印刷機だ
私がこれを買った日には泣くに泣けないな
経費じゃあ絶対に落ちないだろうし……


36とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:27:55.10ZNsSnAxUo (11/15)

「聞いてんのかよてめぇーはよぉぉぉおお!?」

しかたがない……無視してもついてこられるだろうしな……
関係のない小萌さんだけは巻き込むわけにはいかない………

だったら………

「それはすまなかったね、ほら、これでいいかな?」

『一万円札』をチラつかせてやる
馬鹿共め、動きに合わせて目を動かすなど……トンボか貴様らは……

「いいかい?今から投げるからね?
いくぞー……それッ!」

幼児に話しかけるような言葉遣いで言った事を
素直に首を縦に振りながら聞くところなど、もう逆に愛おしさすら感じるレベルだな

一万円冊はまるで『風』にさらわれたように『3m』先まで飛んでゆく

「俺だ!俺の金だ!やったあ!!」

さて、

「馬鹿が!これは俺の慰謝料だ!俺の慰謝料なんだよぉぉぉ!」

どっちが

「邪魔だ!どきやがれこのッ!」

先に

「てめー!足かけやがったな!てめーもだ!
てめーも後で慰謝料だ!絶対に慰謝料だ!!」




37とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:29:16.56ZNsSnAxUo (12/15)














『女王』の触れた金を取れるかな?


38とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:30:20.28ZNsSnAxUo (13/15)

「やった!とれる!とれるぞ………
…………ウゥゥォオパァァァァァ!!!!」

おお、先に取れたのはAの方だったか
こみ上げる笑いを噛み殺しながら不良達の方を向くと
Aが口を両手で抑えていたのが見えた

おそらく口で金をキャッチしたのだろう
軽い『爆破』に押さえてやったから全身が吹き飛ぶ事はなかったが
中々のブ男っぷりを晒している………
いや、むしろ先ほどよりもかなりルックスはイケメンかもしれないぞ……

私は背を向けて家に向かおうとすると声が聞こえた

「うぉぉぉぉ!てめぇぇぇよくもぉぉぉ!!」

おそらく不良Bが向かってきたのだろう
Aは今、喋るどころじゃあないだろうからな

後ろを向くまでもない

久しぶりに、彼女の降臨だ
私は声高らかに宣言した

『キラークイーンッ!』


39とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:33:12.16ZNsSnAxUo (14/15)

キラークイーンは不良Bの振りかぶった『左腕』を受け止め

『へし折る』!!

乾いたマキが折れるように!
キラークイーンは優雅とも言える動きでBの腕を引き寄せ!!へし折ったのだ!!

「あぎゃぎゃぁぁぁぁ!!!
いてぇよぉぉぉ!!いてぇんだよぉぉぉぉぉ!!!」

そんな事ぐらい言われなくたってわかる

私は再び歩みを進める

だが

仮に、人との出会いが運命だとするならば
その運命を司っている神がいるとするならば


なぜ、私をほうっておいてくれないのだろうか?


「アンチスキルじゃん!!お前ら!神妙にするじゃんよ!!」

どこからともなく車が来たと思えば
あっという間に機動隊のようなものに囲まれてしまった

また厄介なのが……
アンチスキルだと……?どんな名前だ、親の顔が見たいものだよ…

「喧嘩があるとの通報を受けて来た!
当事者は大人しく出てくるじゃん!」

逃げる……のは無理だな……
しかたがない………
私は大人しく『アンチスキルさん』とやらに従う事にした



40とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/02(木) 23:34:49.85ZNsSnAxUo (15/15)

以上です

とうとう明日七部が完結ゥ!!
八部も中々奇妙な始まりだったぜ!!

それじゃ


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/06/02(木) 23:42:34.84p9ol3gnJ0 (1/1)

乙!
前スレはどうなったんだ……まさか、BADEND!?


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/06/02(木) 23:49:46.95DelaNO/w0 (1/1)


爆破に見えない攻撃…
学園都市の学生には多重能力に見えるのかもな


43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/03(金) 00:04:06.66gNo97AAYP (1/1)


詰んでねーかこれwwwwww


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/03(金) 00:52:09.61xwUKrCQJo (1/1)




45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/06/03(金) 02:19:34.76a9fOR4WAO (1/1)




爆弾つながりでフレンダとの絡みを期待してもいいかね?


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/06/03(金) 02:40:40.47/SOkX88X0 (1/1)

>>45
その場合、手首に惚れるのか脚線美に惚れるのか


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/03(金) 10:05:01.87Ax2/LnTAO (1/1)

>>46
吉良なんだから手首だろ


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/03(金) 10:39:55.856nlP2W2DO (1/1)

分離した上半身からさらに手を分離させるわけだな


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/06/03(金) 18:04:08.16Zzi+csTAO (1/1)

乙!
テレビ番組がカオスwwwwww


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/06/03(金) 22:38:12.12/NmReydRo (1/1)

フレンタ /゙


51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/04(土) 00:31:45.07ib4Td6cwo (1/1)

>>47
いや間を取って足首かも知れん


52とある異界の来訪者編 ◆tyuVXY5AEU2011/06/04(土) 00:49:30.50a4WQq4h6o (1/1)

たぶん……たぶん4日後に投下します…
「4」って数字は縁起がわりーがしかたねえ……


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/04(土) 00:57:17.265ppXps9Do (1/1)

おお、待ってるぜ!


54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/06/04(土) 02:16:53.73VFqd8XgAO (1/1)

楽しみにしている


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)2011/06/04(土) 18:54:41.34zolLBt2AO (1/1)

………吉良って平穏な毎日を過ごすために相手は跡形もなく消滅させるんじゃなかったっけ


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/05(日) 08:49:05.875uwQw+nDO (1/1)

>>55爆破する前にアンチスキルが来たんじゃね?
それに吉良は緊急時(趣味がばれた時など)以外は人目に付きそうな外では殺人しないと思う。
緊急時もシアーハートアタック等で自分の正体がばれないように殺人をするはず


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/06/05(日) 10:56:44.08G8lZmHCn0 (1/1)

吉良のスタンドは操作性からレベル4ぐらい?
あとスタンドは幻想殺しで消せるのだろうか。


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/05(日) 22:17:05.192Vpbu/QAO (1/1)

>>57
まずスタンドには触られないからな

スタンド使いに触れば触ってる間は使えないんじゃね


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/06(月) 00:00:24.23n53/dUoOo (1/1)

クイーンの爆弾は右手で触れてたら発動しなさそうだな


60 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 00:51:47.46XTimCuxDo (1/24)

投下します


61 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 00:54:33.65XTimCuxDo (2/24)

「あんたがやったんだろう!?いいかげん吐くじゃん!!」

ダムッ!!と机を叩きながら
アンチスキルさん、もとい、黄泉川愛穂は私を責め立てる

この詰め所に来た最初に、黄泉川愛穂という自己紹介を聞いた時は耳を疑った
こんなゴツい(手首が)女が『愛穂』だと?
ふざけるな、名前詐欺とはこのことだ
せめて名前のどこかに『ゴリ』は入れるべきだろうゴリ川さん

ちなみに私も自己紹介をしたが特に何も変わった『反応』は示されなかった
良かった、この世界では吉良吉影が『ニュース』に出てしまったような事は無いようだな…

彼女が刑事ドラマさながらの迫力で私を問い詰めてくる

だがその内容自体は私の耳には入ってこない
やかましいBGMを聞いているようなものだった

私の『心』はただ一つ、小萌さんが私を心配しているかしていないか
ただ、それだけが私の心を曇らせる
ここで愛想を尽かされれば私はお終いだ
あっという間にホームレス……嫌な響きだ……

さっき、電話を借りようとは思ったものの
このクソやかましい女がそれを許してはくれなかったのだ


62 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 00:55:34.84XTimCuxDo (3/24)

胸ぐらを掴まれる
揺らすな、頭痛がしてしょうがない

「おいおい……刑事さん…」

「刑事じゃないじゃん!アンチスキルじゃん!!」

おっと失礼

「じゃあ黄泉川さん、私が何かやったという『証拠』あるんですかね?」

すると目の前の女は声をつまらせる


63とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 00:58:11.28XTimCuxDo (4/24)

無論、あるわけがない
『スタンド』は『スタンド使い』にしか見えないのだから

私にはキラークイーンがバカ共を蹂躙しているのが見えるが
おそらく、彼女には『勝手に』腕が折れていってるように見えるのだろう

そもそも、私自身はあのバカどもを『消滅』させてしまいたかったのだ
だが、こんな地理も把握できていない場所で
そんな事をすれば誰が見ているか分からない
だからこそ、あの程度で済ませてやったのだ

そして、どうやらこの時代には『人を監視するカメラ』があるらしい
さっき、本人確認の為にその時のビデオを見たが、カメラアングルの多さに驚いた

やはり私の判断は間違っていなかったのだ!
この吉良吉影に間違いなどあってはならないッ!!そうに決まっている!!

彼女は文字通り『何百回』とそのビデオを再生していたが
やはり証拠は見つからなかったらしい
だから、私が吐く方に賭けたのだろう


64とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 00:59:33.46XTimCuxDo (5/24)

「証拠は………ないじゃん……」

ほらな

「じゃあ、さっさと家に帰してくださいよ……」

彼女の不信そうな視線は止む事がない嵐のようだ
隠そうともせずに私の方に向かってくる

「分かった……今日の所は帰っていいじゃんよ…」

やった、根比べに勝ったぞ!!
この吉良吉影が敗北する事などあってはいけないのだ!!

「だが!!」

何だ!?情報を小出しにするんじゃあない!!

「あんたの『身分証明書』を見せてもらってからじゃんよ!!」



65とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:01:10.10XTimCuxDo (6/24)

…………?

身分……?このわたしの………?

………ハッ!?

そうだ!そういえば!!

私はあの時に『飛ばされて』おそらく『行方不明』扱いとでもなっているはずだ!!

なら!ならそれならば!!

『この世界での私の存在はどうなっているのだ!?』

この世界は『統合』されたものッ!!
ここはいくつもの世界を『統合』し、元から統合されていたかの様に『歴史の修正』を施された世界だ!!
だが『統合』された時に私はこの世界に『いなかった』!!
ならばあの大統領がおこなった『歴史の修正』に加えられていなくもおかしくはない!!

いうなれば私は!!

『存在しない存在』とでもいうのかッ!?


66とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:03:40.64XTimCuxDo (7/24)

「さあ!!とっとと見せるじゃんよ!!」

黙っていろ乳女!!今、考えをまとめている所だ!!

「どうした?何か見せられない理由でも……あるのかァ………?」

クソ!クソ!クソォ!!どうする!?
…この女………『消す』か……?

「だいたい、この街に大人がいる事自体が珍しいのに
身分すら不明なんて怪しさMAXじゃんよ!!

いやいやいや!それはマズイぞッ!!
さっきの場所ですらあんなにカメラが有ったのだ!!
ここに無いはずがないッ!!

「よォーしッ!!まずはポケットをひっくり返せェェェ!!
五秒だッ!!五秒以内に捲り上げるじゃん!!」

グオオ……何故だ……!?何故このわたしにこんな事が……!?
あっていいはずがないぞ……!!あっていいはずがないのだ……!!

とはいえ、従わなければどうなるかわかったものじゃあない……!

彼女に従い、ズボンのポケットをひっくり返す


67とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:05:08.69XTimCuxDo (8/24)

まずは『右』だ
見覚えのあるサイフが出てくる

「ほほォ~?これがあんたのサイフじゃん?
中々良いブランド物じゃんよォ~!」

やかましい、貴様に指摘されなくても分かっている
ヴァレンチノだぞ、ヴァレンチノ

サイフの中身は昨夜のタクシー代で空っぽになってしまっていた

「今時クレジットカードも無し?めずらしいじゃん………」

『くれじっとかーど』?
この吉良吉影のいた時代にそんなものはなかったぞ?

「サイフには何も無し………
よしッ!じゃあ次じゃん!『左側』を出すじゃん!!」

何かあるはずがない
渋々、再び、彼女に従う事にした

左ポケットに手を突っ込む


68とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:05:59.35XTimCuxDo (9/24)







…………ガサリ!!


69とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:07:43.95XTimCuxDo (10/24)

「「ん!?」」

不本意だが彼女とハモってしまったがそんな事はどうでも良い!!
『何』だ!?これは!?

「なぁーに隠してるじゃぁ~ん?」

不審そうな目で私を見るなこの『雌牛』がァァァァ!!
私にだって分からないのだ!!貴様にわかってたまるかァァァァ!!

左腕を引き出す

これでアメでも出たら見逃してくれるだろうか…?
そんな事を考えていたが

出てきたのは

『私の身分証明書』だった

何だ……!?何時の間にこんなモノが……!?
さっきまではこのポケットは『カラ』だったはずだ………!!
思わずポケットを引きずり出すが、確かに今度は『カラッポ』だ

「ほぉーら!あったァーッ!!見せるじゃぁ~ん!!」

身分証明書をひったくられた

相手がご丁寧に読み上げるのを聞く


70とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:09:36.65XTimCuxDo (11/24)


「ふんふん……1976年の1月……30日生まれ……
血液型は……A型ね……」

何故だ!?何故、生年月日が『合っている』のだ!?
そんなモノを『作った』覚えはないぞ!?

「そして……職業は……?」

何!?『職業』!?それは少しマズイぞッ!!
いやッ!かなりマズイ!!
私がカメユーデパートに務めていた事を知ればッ!
この女は会社に『連絡』を取るだろうッ!!

だがッ!!

この吉良吉影を『辿らせる』事は絶対に避けねばならないッ!!
私は『平穏』を守り抜くのだッ!!

『キラークイーン』!!!

キラークイーンは手刀の構えを取り
黄泉川愛穂の首を切り落とさんと……ッ!!



71とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:10:46.84XTimCuxDo (12/24)










「へぇ~、あんた『教師』じゃん?」










72とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:12:13.04XTimCuxDo (13/24)

『殺人女王』の手刀が止まる

今、この女は何と言った?
きょうし?キョウシ?
それらの言葉が私の頭の中をグルグルと回る

そして漢字に変換する事を完了した

「私が教師だとォォォォォォォォォッ!?」

不肖、吉良吉影、人生で初めて『吠えた』瞬間であった

「貸せィ!!」

身分証明書をひったくる
そこには撮った覚えのない、いつもの私の顔じゃあない『川尻耕作』の顔写真があり
生年月日、職業という欄が確かに存在した
生年月日は……合っている……
職業は……やはり『教師』だと……!?

「でもあんたさァ~~『居住地』の欄が『空白』じゃん?
今、あんたどこに住んでるんじゃんよ?」

わたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしがきょうしわたしが

それしか頭にない私にはその場を凌ぐ良い嘘が見つからず

「小萌……の……家…………」

そうとしかいう事が出来なかったのだ

するとさっきまで厳しかった視線が
急に噂話好きの主婦の『ソレ』となった


73とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:15:13.15XTimCuxDo (14/24)

「おいおいおいおい~!!小萌センセの家に……『同居』してるだとォ~!?
いや……この場合は『同棲』になるじゃん!?キャー♪
小萌先生も隅に置けないじゃァ~ん♪
しかも『呼び捨て』って………!!
よぉーし!これで小萌先生に一杯奢ってもらう口実ができたじゃん!!ラッキィィィ~!!」

ワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシワタシガキョウシ

まだこの驚異的で脅威的な事実に支配される

「まー!小萌先生が一緒に住むような人だから
今回は『信用』して『不問』とするじゃん!
それにしても異性の教師同士で同棲とは……イカンですなァ~♪」

そういうと黄泉川愛穂は机をバンと叩き
軽快に飲みに行こうと虚ろなわたしに伝えると
小萌さんに電話をかけ始めたのだった……



74とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:16:46.05XTimCuxDo (15/24)

気がつくと私は『屋台』にいた
どうやら、強引に連れてこられたようだった
既に黄泉川愛穂は酔いつぶれて机に突っ伏している

ベンチの左端に私、右端には黄泉川愛穂

そして

「酷いじゃあないですかァ~!!」

ん?ああ、この人は……えーと…不老不死の……
話が飲み込めないな、何がひどいのだ?

「も~!あなたが私の家に『住んでいる』とか言うから
黄泉川しぇんしぇいがァ~~……うぇぇぇぇ~~~ん!!」

何だ?顔を『真っ赤』にしながら泣き始めたぞ?
とりあえず頭をスッキリさせたい

「すいません、お水を下さい……なるべく氷を多めに……」

そういうと屋台の親父というよりは『シェフ』寄りの男は

「オ・カピートォ……」

とだけ言いながら屋台の下に仕舞ったコップを取り出し、水を注いでくれた


75とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:18:35.63XTimCuxDo (16/24)

「ですからぁ~~~!!あなたがぁ~~~~!!
私とぉぉぉぉ……その……」

何だ?最後になんと言ったのか……?

話を遮り、親父が私にグラスを差し出してきた

「お待たせいたシました……」

出てきた、屋台には不似合いなピカピカのグラスにそそがれた水を私は飲み干す

美味い、こんな美味い水は初めてだ
これで『タダ』とは嬉しいな……

「もー、良いのですよ……
ところで………お名前、聞いてませんでしたね?
私は………」

おお、最近には滅多に見かけない自ら名乗るタイプの人間か
好感が持てるな

「貴女のお名前は知ってますよ、小萌さん
メモに書いていてくれたじゃあないですか」

おお!と可愛らしいリアクションを取りながら
小萌さんは私を見つめ直す

「じゃあ、あなたのお名前は何なのですか?」

おっと失敬

「失礼……私の名前は…」

私の自己紹介はGUUOOOHH!!!GYYAAAAAA!という雑音にかき消される
そう、黄泉川愛穂の『イビキ』だ


76とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:20:52.61XTimCuxDo (17/24)

「小萌さん、ちょっと待ってて下さいね
すいません、親父さん?『握り拳大の食材』はありますか?」

「オ・カピートォ…」

そういうと親父は『モッツアレラ・チーズの塊』を渡してきた
礼を言いながら受け取り、塊を黄泉川愛穂の口に詰める

おお、快適だ

では改めて

「小萌さん、私の名前は吉良吉影
『これからも』よろしくお願いします」

営業で培った75度の礼に小萌さんもアセアセと首を振る

「そ、そんなご丁寧にしなくてもいいのですよ!!
『こちらこそ』よろしくなのです!!」

クックック……お気づきだろうか……
先ほどの会話の中に私の『テクニック』が潜んでいた事を……

いいか?私は『これからも』と言い、彼女は『こちらこそ』と言った!!
つまりだ!!もう数日は彼女の家に住む口実が出来たのだ!!
屁理屈だと!?なんとでも言うがいいッ!!
この年でホームレスの仲間入りだけは嫌だ!!私のプライドが許さないからなッ!!

我ながら完璧……そんな優越感に浸る……

「BOOOHHHUUUAAAAAAA!!!」

やかましい噴射音と共にチーズが机に転がり出る
何だ騒々しい

「こ……[ピーーー]気じゃん!?」

はて、何の事やら



77とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:21:18.64XTimCuxDo (18/24)

「すいません小萌さん、ちょっと待ってて下さいね
すいません親父さん、『握り拳大の食材』はありますか?」

「オ・カピートォ…」

そういうと親父は『モッツアレラ・チーズの塊』を渡してきた
礼を言いながら受け取り、塊を黄泉川愛穂の口に詰める

おお、快適だ

では改めて

「小萌さん、私の名前は吉良吉影
これからもよろしくお願いします」

営業で培った75度の礼に小萌さんもアセアセと首を振る

「そ、そんなご丁寧にしなくてもいいのですよ!!
こちらこそよろしくなのです!!」

クックック……お気づきだろうか……
先ほどの会話の中に私の『テクニック』が潜んでいた事を……

いいか?私は『これからも』と言い、彼女は『こちらこそ』と言った!!
つまりだ!!もう数日は彼女の家に住む口実が出来たのだ!!
この年でホームレスの仲間入りだけは嫌だ!!私のプライドが許さないからなッ!!

我ながら完璧……そんな優越感に浸る……

「BOOOHHHUUUAAAAAAA!!!」

やかましい噴射音と共にチーズが机に転がり出る
何だ、騒々しい

「こ……殺す気じゃん!?」

はて、何の事やら



78とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:22:57.34XTimCuxDo (19/24)

「夜も更けてきましたねー
そろそろお開きにしましょうかー」

そうですね、と相槌を打つ
今日は色々な事がありすぎた……眠りたい……

その時だった

「HHYAAAAAHHHAAAAAA!!!」

酔っている(と思しき)不良がバイクにこちらに向かって来るッ!!
改造をしているようだ、普通の車と速度が大差ない!

「死ねェェェェェ!!黄泉川ァァァァ!!
仲間の恨みじゃあァァーーーッ!!」

どうやらこの雌牛に用があるようだ
まったく騒々しいったらないな


79とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:24:23.48XTimCuxDo (20/24)

だが、『感心』しない!
確かに人にものを伝える事は素晴らしいッ!!
だがッ!!『許されざる』方法でなら話は別だ!!
無関係の他者を巻き込んだり無力な相手を襲う事など言語道断ッ!!
少し……いや、『タップリ』と!
『痛い目』にあって貰うぞッ!

吉良は無意識のうちに、かつて川尻しのぶに抱いたような感情を抱いていたッ!
確かに彼が言うのは『矛盾』しているということもあるだろう!!
だが!今の彼には『純粋』なる気持ち!!『月詠小萌を守りたい』!!
ただのそれだけしか頭に無かったのだ!!


80とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:27:04.44XTimCuxDo (21/24)

キラークイーンを発現させッ!!小石を拾いッ!!
暴走バイクの『前輪』に投げつけるッ!!

パァァァァァン!!というタイヤの破裂音の小気味良い音に続くは
前輪が沈み込んだ事によるバイクの後輪の『跳ね上がり』!!

「にゃにぃぃぃぃ!?」

不良は空高くスカイハイッ!!

後に残るは暴走バイクッ!!勢いは衰えずッ!!
こちらへ突撃して来る事をやめない!!

「きゃああああああああ!!」

小萌の悲鳴はトランペットのように響き渡るッ!!

だが!だが吉良吉影は『戸惑わない』ッ!!

問題なく!!まったく問題なくッ!!
何も来なかったかのようにバイクを『爆破』ッ!!『消滅』させる!!
音は無いッ!!後に残るはまるで指揮者が演奏を止めた後
拍手が来るのを待っている間のような静けさだった!!

そして今頃落ちてきた不良をキラークイーンでキャッチする
不良は泡を吹いていたが無視して放り投げく

そして、今までバイクの向かって来る方を向いていた吉良吉影は振り返り

ただ一言、

「帰りましょう?」

そういいながら呆気にとられる黄泉川愛穂を残して、小萌の手を握ったのだった




81とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:28:01.38XTimCuxDo (22/24)

以上です

次はいつか分からないです

それじゃ


82とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 01:28:41.76XTimCuxDo (23/24)

以上です

次はいつか分からないです

それじゃ


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 01:30:45.16bbbxNXhIo (1/1)




84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 07:05:58.41OK2Ivq3Do (1/1)

面白いです


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 07:25:17.76NOSEcj5DO (1/1)

ディ・モールト・ベネッッ!!


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/06/07(火) 08:04:26.959ZXjWwUu0 (1/1)

乙!


87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 16:32:00.99P6MAWV+MP (1/2)


吉良のテンションイカれてんなwwww


88VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/07(火) 17:17:06.94Im1cHQ8Eo (1/1)

黄泉川流石になんかあるって気付くだろこれwwwwwwwwwwwwwwwwww
いや、大人が能力者とかありえないからそっちの発想には至らないか


89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/07(火) 18:33:18.96o4+BXfCro (1/1)

せっかく不問になったのにwwwwww

世紀末なスキルアウト(?)もいたもんだな


90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 19:08:17.03NRA6prbDO (1/1)

ロリコン吉影


91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/06/07(火) 19:41:05.56Lum+/Kkqo (1/1)

おつー

>>90
たまたま好きになった手首が幼かっただけだ!


92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/06/07(火) 20:33:50.47Ba7Rgp4AO (1/1)

乙!
屋台の親父がwwww


93とある異界の来訪者 ◆tyuVXY5AEU2011/06/07(火) 20:51:43.82XTimCuxDo (24/24)

>>91
吉良「まだ査定すらしていないぞッ!!」

次はだいたい5日後ぐらいかな?
あくまで目安としといて下さい

それじゃ


94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 21:07:25.64P6MAWV+MP (2/2)

ロリ ペド影とは新しい


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/07(火) 21:37:05.14iI90K1YSo (1/1)

全然上手くない!!


96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/08(水) 01:26:16.25W14Wa7SDO (1/1)

>>94 私は小萌の様な可憐な幼女を守ろうとする吉良の「愛」に感動し
敬愛の念を抱き彼を「愛の戦士(ロリコン)」と呼んだんだ・・・
「ペド」の様なクズと「愛の戦士」を一緒にするんじゃないッ!


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/08(水) 01:50:30.17rr5vje9fo (1/2)

何言ってんだオメェ?


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/08(水) 05:14:12.51K4gddaEro (1/1)

ロリコンとペドフィリアは一線を画す
混同されては困る


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/08(水) 19:25:13.38rr5vje9fo (2/2)

まあ、原義としては、ペドは『総合的な子供好き』 ロリは『少女を性的に好き』だから、
逆転しているな


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)2011/06/09(木) 09:32:43.76LKV0H+mAO (1/1)

>>98
さすがIDがエロなだけあって説得力があるな


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/09(木) 16:48:01.98yWdtxuHIO (1/1)

>>99
ペドは病気、ロリコンは趣向
が通俗的な分け方だな


102 ◆tyuVXY5AEU2011/06/12(日) 20:15:37.30gxVphk1xo (1/1)

ちょっと日をまたぐけど今日投下します


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/12(日) 20:26:20.41sfdo0gpWo (1/1)

待っていたぞ!


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/06/12(日) 21:06:16.81ZopCmgnCo (1/1)

上条さんの右ひじあたりを爆弾化して嫌がらせしたい


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/12(日) 22:42:29.74/Mvj3oFjo (1/1)

じゃあ俺は上条さんの左足の小指を爆弾化して嫌がらせしたい


106 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:07:54.60Tmw9fKzdo (1/15)

投下


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/13(月) 00:09:37.43b1a77haeo (1/1)

迎撃


108 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:11:33.10Tmw9fKzdo (2/15)

7月11日、本日は晴天なり
テレビでは少年向けのヒーロー番組をやっていたり
朝っぱらからのんびり出来る最高の曜日だ
杜王町にいた頃ならピクニックにでも行こうかと思っていただろうな

そして『今の』私はどこにいると思うかね?

サンジェルマン?だとしたら最高だね

体育館?二度といくかあんな場所、忌々しい

刑務所?吹き飛ばすぞ貴様

さて、今、私がいる場所を言う前に
一つだ、一つ『こんな場所』にいる言い訳をさせてくれ
別に信じられなかったら信じなくたって良い…だが言わせてくれ……

あの時の私は『ハイ』になりすぎたのだ……
.
..
...


109 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:16:24.64Tmw9fKzdo (3/15)

7月11日、日の出のまだずっと前
私は二人の女性の『エスコート』を受けていた
それも二人ともある意味、『対極』のタイプと言っても過言ではないな
それに、なかなか両方とも『上玉』だ……
しかも、二人に手を『つながれて』いると来たものだよ……

羨ましいと思うかね?
本当に羨ましいと思うかね?

失礼
説明が足らなかった
おそらく、この説明さえすれば君たちも考えが変わるだろうな
私は二人に私の『手』を『手錠』でつながれているのだ
私が『逃げられない』ようにね………

「今から吉良ちゃんには施設で『能力検査』を受けてもらうのですよー」

私は彼女を救った報酬に『検査を受ける権利』をありがたく頂いてしまったのだ

……ふざけるな、この私に能力がある事を公表されたら……
必ず誰かが『嗅ぎつけてくる』に決まっているぞ……!!


110 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:19:02.83Tmw9fKzdo (4/15)


うう……この…この吉良吉影にこんな事があって良いはずがない……
バイクから救ったあとに小萌さんに手を差し出した結果が
『手錠でカチャリ』など……笑えるか……

ここはしらばっくれて……

「能力?何を言ってるんです?私はただの平凡な……」

「平凡な男にバイクを『消失』させることは不可能じゃーん」

このクソッタレ黄泉川が……!!余計な事を……!!!

グム………他に何か良い言い訳が…

む?

待てよ

今まで気に留めなかったが……『能力検査』だと…?


とすると……この町には『スタンド使い』が大勢いるのか…?
いや、黄泉川愛穂が私のした事が分からなかった事から
スタンド使いはいないと考えるのが妥当だ…


111 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:22:09.81Tmw9fKzdo (5/15)

「小萌さん、この街には能力を持った人がいるのですか?」

はぁ?と飽きれたような声でプッツン黄泉川が声を上げる
貴様には聞いていないッ!!私は!小萌さんに聞いたのだ!!

「あんた教師の癖にそんなことも知らないじゃん?
この街の学生のほとんどは、大なり小なりはあるが能力者じゃんよ
でも能力を持てるのは『子ども』だけじゃん
だから、あんたの『バイクを消失させた事』が『奇妙』なんじゃんよ!」

なるほど……『記憶』したぞ……
能力使用が出来るのは子どもだけなんだな……
つまりこの街は『能力養成』のためにあるわけだ……

しばらく無言が続く
すると一行は歩みを止めた

「ほら、着いたじゃん」

私の眼前には馬鹿でかい施設がそびえ立っていた
まるで今から私を一飲みにでもしそうな雰囲気を漂わせて


112 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:24:17.95Tmw9fKzdo (6/15)

「……ゴホッ!!ゴホッ!!ゔゔ…!
小萌さん……私、どうやら風邪を……」

フハハ!!渾身の『仮病』だ!!吉良吉影の奇妙な冒険完!!

すると私の先を進む小萌さんはこちらを振り返りもせずにいう

「ここは病院も兼ねてるのですよー
ここのお医者さんにかかれば風邪なんか5、6時間で消し飛んじゃうのですー」

冒険……続いてしまったぞ………

というか、そんな薬は本当にあるのか?
もはや特効薬じゃあないか……ノーベル賞モノだぞ……

そうこうしてるうちにアホの黄泉川が手続きを済ませてしまった


113 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:26:17.72Tmw9fKzdo (7/15)

「ほら、あんたが一番乗りじゃん
小萌先生と一緒にさっさと行ってくるじゃんよ!」

子どもか私は

そのまま私は小萌先生にズルズルと引きずられていった
言っておくが、断じて私はこんなキャラじゃあない……!!
こんな災難は億泰のようなアホにこそあってしかるべきなのだ……!!


お?
………そうか
そうだ!!私が能力を持ってないとしらばっくれれば……
簡単な事じゃあな……

「私が見た事をやらないと家から叩き出すのですよー」

と、小萌さんが笑顔ですかさず私に叩き込む
笑顔でなんてひどい事を抜かすんだ
読心能力でもあるのかこの小娘……いや、吸血鬼め……

どうする…能力を出せばこの街では『彼女』を作れなくなる……
かといって追い出されて行く当ては……



114 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:28:44.73Tmw9fKzdo (8/15)

診察室に通された
クソ……まだ対策を考えられない……

中にはカエルそっくりの医者がいた
今にもゲロゲロと鳴き出しそうだな
癪だが、カエルに指示される

「じゃあ、そこのベッドに寝てくれるね?」

「……よろしくお願いします…」

ペコォーと頭を下げたところで見逃してくれるはずもない

「ちょっと電極付けるよ?」

電極にちょっともクソもあるか……
ペタペタと奇妙な感触の電極を裸の上半身に付けられる
小萌さんは見まいとしているのだろうか
両手で顔を覆っているが、指の隙間がスカスカだった


115 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:29:58.83Tmw9fKzdo (9/15)

「はい、じゃあ『AIM拡散力場』を測るよ」

『えーあいえむ』?何か分からんが好きにしろ
もう、まな板の上の何とやらだ……

.
..
...
....
.....

静寂
静寂
静寂
静寂
静寂

.....
....
...
..
.


116 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:32:26.91Tmw9fKzdo (10/15)

「あれ?」

カエル顏の医者が怪訝な顔をしたのを見て
小萌先生が不安そうな声で聞く

「どうかしたのですか?」

カエルが禿げ上がった頭を掻きながら
困った声で小萌さんに伝える

私にとっては『天使の福音』とも言える言葉を


「彼は『能力者』じゃあないね?」


は?と私と小萌さんの間抜けな声が病室内に響いた


117 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:36:01.73Tmw9fKzdo (11/15)

「彼が能力者じゃあないってどういうことじゃん!?」

待合室に戻ってきた私たちの説明を受けた黄泉川愛穂は叫ぶ
やかましいぞ、病院では静かにと学ばなかったのかこのスカタンめ

小萌さんが『不思議』そうな顔で呟く

「……AIM拡散力場が発生していないのです……」

おっと、そのえーあいえむとやらは何だ?
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥というからな
この辺で質問しておこう

「小萌さん、その…えーあいえむなんとかというのは……?」

ぶー、と唇を尖らせて、彼女は私に説明してくれる

「…簡単に言ったら、能力者が無意識に放つ『力の波』のようなものなのです……」

彼女が言うにはこうだった
・能力者はAIM拡散力場というモノを必ず放っている
・能力者が能力を使用するには、これが『自分だけの現実』とやらに干渉しないと出来ない
・だが私からはそれが出ていない

だそうだ


118 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:40:12.49Tmw9fKzdo (12/15)

……フ…フフ………フハハハハ…
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!
やった…!やったぞ…!!やはりっ!!運命はッ!!この吉良吉影に味方してくれているッ!!
つまり!!この街の『能力』は『スタンド』とは一線を画するのだッ!!
つまり!私がいくらキラークイーンを使用しようと
『AIM拡散力場』という証拠は残らない!!
完璧だ……!!この街は私にとっての『理想郷』だ……!!

「吉良ちゃん?吉良ちゃーん?聞いてるのですかー?」

おおっと……いけないいけない……
また『ハイ』になっていたようだな……
小萌さんが改まった様子で私を見つめる

「疑ってごめんなさいなのです……」

小萌さんがピンク色の髪を振り下ろしながら礼をする
やはり小萌さんは良い……おっと、性的にじゃあないぞ
近頃、礼儀を解していない奴が多すぎるのだ…

「良いんですよ……疑いさえ晴れればね……」

私は上っ面だけだが寛容の笑みを浮かべる
もっとも、この気分で笑顔をこぼさないという方が難しいのだ

だが

「あんた……やっぱり『臭う』じゃん……」


119 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:42:10.28Tmw9fKzdo (13/15)

目の前の女、黄泉川愛穂はこちらに再び『敵意』の視線を向けていた

「私は見たじゃん……タイヤの前輪がいきなり破裂したのも!!
あのバイクが消えたのも!!あの少年が『何か』に支えられる様に着地したのも!!
小萌先生!あなたも見たじゃん!?」

フン……言ってろ……
この吉良吉影、ここで食ってかかるほど間抜けじゃあない

「黄泉川先生!それは言い過ぎなのですよ!
さっきの診断でも吉良ちゃんは能力者じゃないって出たじゃないですか!!」

フフフ……『信頼』というモノは作っておくべきだな
私が危機に陥った時、支えとなる命綱になりうるようだ……
もう既に小萌さんは『篭絡』しているッ!!


120 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:44:40.13Tmw9fKzdo (14/15)

「だが!私の『心』は言っている!!
こいつは『臭い』!!『ゲロ以下の悪』の匂いがプンプンするじゃんよォ!!
少なくともこいつは『善人』じゃあないじゃん!!」

黄泉川はあくまで己の心に従うようだ
さぞかし心に自信があるのだろう……
それにしても、貴様の心とやらも当てになるもんだな…
まあ…他人に『信じられる』かどうかは置いておいてだが……

すると黄泉川愛穂は駆け出した
当てなどないのだろう、私と小萌さんのすぐそばを駆け抜ける

「待ってください!黄泉川先生!!」

小萌さんも慌てて駆け出す
私は止めない、止めたところでどうしようもないだろう
『納得』なくして『先』には進めない
そして無理やり納得する事は黄泉川愛穂の『心』とやらが許さないだろう

二人が出て行ったあと、正午を告げるサイレンが鳴り響いた
これから『ぶらつき』でもするかな……
私の足は『第七学区』へ向かったのであった


121 ◆tyuVXY5AEU2011/06/13(月) 00:52:07.37Tmw9fKzdo (15/15)

打ち止め
この>>1がもっと長文を打てると思ったのかこのマヌケがァァァ!!

一応ここまででとある異界の来訪者編は終了です
というか、タイトルのとある~のセンスがなさすぎるので
とりあえずキラークイーン関連でQueenの曲名とかと絡めていこうかと思います

次回から「レイジング・オン・サンデー・アフタヌーン編」です

禁書風に付けるなら
「とある二人の買物戦争『ファーストコンタクト』」ってところかな

次回は未定です

それじゃ


122VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/13(月) 00:54:15.82f9ouRohNo (1/1)


来訪者と聞くとどうしてもバオーを思い出すな
作者繋がりでそう名付けたのかもしれんが


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/13(月) 01:45:02.38Gx8GJ3JAo (1/1)

え?つまり続きがあったら
それは違うスレでってこと?


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/13(月) 20:06:46.84rIlCumnAO (1/1)

いっそ幽霊仕様の吉良先生でも良かったかも
>>1さん乙っす


125VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/06/14(火) 03:47:54.0441hFXuvAO (1/1)

乙!
今さらだけど、毎回の吉良の語りが面白いな
次回は何するんだ一体wwww


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/15(水) 02:21:45.62SI/mkBDqo (1/1)

幽霊仕様の吉影先生は間違いなく仕事に生き甲斐を持ってる
でも上条さんに触られて腕が消されちゃって尼さんの腕がスペアにされちゃうんですね


127 ◆tyuVXY5AEU2011/06/16(木) 00:10:52.62BSCg0VbKo (1/1)

ちょっと間が空きます!気長に待っててね!

>>123
このスレ内で1話、2話みたいにしていこうかと
文章がおかしかった、すまんねジャーニー君

とりあえず予定としては
ある程度禁書のストーリーに沿って
途中からオリジナルに移行しようと思ってます

それじゃ


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/16(木) 21:06:44.48cNIXhEtjo (1/1)

うむ、期待しよう


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/20(月) 04:15:37.90OMwUq21SO (1/1)

キングクリムゾン!


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/06/24(金) 19:04:51.31TMsoi5Vyo (1/1)




131 ◆tyuVXY5AEU2011/06/25(土) 19:08:21.67vpzWLASuo (1/1)

来週の土曜に投下します
時間は未定


132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/25(土) 23:36:37.79FYKAizmK0 (1/1)

了解


133VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/06/27(月) 22:46:53.95RzkxgfND0 (1/1)

おk


134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/07/02(土) 18:47:30.4283x5MDKIo (1/1)

わくわく


135 ◆tyuVXY5AEU2011/07/02(土) 19:19:23.47eR9486F7o (1/4)

ちょっと日をまたぐかもだが今日投下します


136VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/02(土) 21:45:02.13FBq6IzzDO (1/1)

まっとるぞー


137 ◆tyuVXY5AEU2011/07/02(土) 23:56:49.22eR9486F7o (2/4)

投下


138 ◆tyuVXY5AEU2011/07/02(土) 23:58:06.86eR9486F7o (3/4)

「らっしゃーい!!タイムサービスだよー!
5分間だけ一部のパンが半額だよー!」

訪れた店先で活気に溢れた呼子の声が響き渡っている
やかましいが……悪くはない……
気の向くままに歩いていたら商店街のような場所に出た
こういう所は普通の街のようだな、親しみを感じるぞ
こういう所にこそ『平穏』はあるのかもしれないな

私は少し目を瞑り、街の喧騒に耳を傾けようとした

その時

「ちょっとまったぁぁぁぁぁぁ!!」

ん?

「グフォッ!?」

衝撃、吉良の腹部に『何か』がぶつかってきた
あまりの勢いに押し倒される形となってしまう


139 ◆tyuVXY5AEU2011/07/02(土) 23:59:22.57eR9486F7o (4/4)

「ああっ!?すいません!大丈夫でせうか!?」

「……これが無事に見えるなら君は大した眼球を持っているようだね…」

80%の憎しみと20%の苛立ちを抱えながら
ぶつかってきた奴の顔を見る
どうやら高校生のようだ、『ツンツン頭』に『ペッタンコ』な財布を持った彼は
ひたすら私に頭を下げている

「本当にすいませんでしたァーッ!!」

いちいち騒ぐなうっとおしい
私はスーツに着いた砂や埃を払う

「ああ……怪我もないようだから良しとしようか…」

こんな事でいちいち怒っていては胃がいくつあっても足らないよ


140 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:00:58.13zXjZPQyDo (1/17)

「ところで君?急いでいたようだったが?」

「へ?……GYYYYAAAAAAAA!!
特売のパンがァァァァァァァ!!WRY切れているゥゥゥゥ!!!」

Oh! No!とでも言いたげなオーバーリアクションで少年は頭を抱える

だからいちいち騒ぐんじゃあない……

私は大地に感謝でもしているようなポーズでうずくまる少年を尻目に
特売の対象ではない『焼きそばパン』を買う

「おい」

へ?と言いながら起き上がる少年に焼きそばパンを放る

「ふぎゃ!」

見事な顔面キャッチを決めた少年だった
いや、私が顔面シュートをしたのか?
まあ、どっちだっていい


141 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:04:00.32zXjZPQyDo (2/17)

「何するんですか!?……って、ウオオオオオオオ!!
う、美しい!この均整の取れた蕎麦!それをふんわりと支えるパン!
味を高みへと導いてくださるソース!!
そしてカラフルに色を添える紅ショウガッ!!
まさに!赤い糸で小指を結ばれているようなこの組み合わせ!!
そんなこの焼きそばパンをこの私めに!?」

焼きそばパンにここまで感動するとはな

「ああ、いらないなら返してもらうが」

「いやいやいや!ありがたく頂戴仕りますですハイー!!」

………『奇妙』な男だ……
正直、このタイプの人間は苦手だ…
熱過ぎるというか……うっとおしいのだよ……
だから……『知らなくてもいい』事まで知りたがる……

「いやー…助かりましたよ…
正直、今のお財布と相談したらこんな上等な焼きそばパンは買えないし……
Oh……上条さんの『不幸体質』もここに極まれてしまいました……」

ガックリと肩を落とす少年
名前は『カミジョー』というのか?


142 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:05:34.12zXjZPQyDo (3/17)

「おっと!上条さんとした事が自己紹介もせずに!
俺は『上条当麻』って名前です!よろしく!」

……うっとおしいな……

「そうか、それじゃ私はこの辺で失礼するよ」

よし、私よ、そのままターンして進め
決して振り返らずに……こんなのと関わるのはごめんだ……

ガシィ!! と肩を掴まれてしまった

「あのー……ですね………
初対面の人にこんな事をお願いするのもなんなのですが………」

嫌な予感がする、というかむしろこれで嫌な事が起きないはずがない
私の心は全力でこいつから逃げろと言っているが
思いのほか、力の強いこの男の手で逃げられないようだ

するとこの男は90°、いや、120°は頭を深々と下げて

「この通りですッ!!どうかッ!どうかッ!
この後から始まる特売にも付き合っていただけないでしょーか!!」



143 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:08:33.29zXjZPQyDo (4/17)

は?

「袖振り合うもなんとやらじゃあないですかァ~!!
お願いしますよォ~!!貧乏学生の上条さんは毎日を生き抜く事で精一杯なんですよォ~!!
このすぐ近くのスーパーで『肉』が『お一人様一袋詰め放題』の脅威の『半額』大放出祭ッ!!」

ここで上条は大きく息継ぎをする
よくもまあ、あの長口上を一息で言えたものだ
ここだけは唯一感心できる

「ここで逃しちゃあ特売ハンター上条さんの名が廃るってモンですよッ!!
一人なら一つ!!だが二人なら何十倍もの力が出せるッ!!
違いますかッ!?」

知るか
何なんだ、特売ハンターとは
というか、お一人様一人なら二人だと二倍だろうこのマヌケ

……だが、悪くはないかもな…
見たところ彼はこの街の学生のようだ
色々とこの街について情報収集が出来るかもしれないしな
なあに、余計な事を話さなければいいだけだ


144 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:10:34.99zXjZPQyDo (5/17)

「わかった、わかったよ
良いだろう、だからそのどんどん角度が大きくなる『礼』をやめてくれ
周囲に人に見られているじゃあないか……」

もう少しで180°を越そうとしていた礼をやめ
上条当麻は私を『聖人』に向けるような目でキラキラと覗く

「本当ですかァーッ!!
ありがとうございますゥーッ!!」

やかましい
誰が貴様ごときの為に買い物に付き合うか

「もう礼は良いから……行こう…」

はい~ッ!!と返事をした上条と共に歩き出す

「いや~、助かりましたよォ~!!
………えーっと?お名前をまだ……?」

「『吉良』だ」

「じゃあ吉良さん!吉良さんはなんでこの学園都市に?」

……同行しようと思った事を早くも後悔してきたぞ……



145 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:12:20.87zXjZPQyDo (6/17)

「ああ……私は『新任教師』でね……
今度からこの街の学校に赴任してきたらしい……」

「『らしい』?」

「い、いや、『だしぃ』だ『だしぃ』!
たまには若者のように語尾を伸ばしてみようと思ってだな……!!」

こんのクソカスがァーッ!!
この吉良吉影に『冷や汗』をかかせるような質問をしてくるんじゃあないぞッ!!

「へぇ~、まだ吉良さんは全然若いですよォ~
ところで『どこの学校』に行くんです?」

グッ……!!このガキ……なかなかに鋭い所を突くな……
当然だが、身分証明書には『そんな事』は書いてはないだろうしな……



146 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:14:26.10zXjZPQyDo (7/17)



『がさり』


ハッ!?
この感覚!!突如としてポケットに何かが現れるこの感覚!!
あのアンチスキルの事務所で感じたこの感覚!!

『再び』か……!!再び、私に『何か』を与えようというのか……!!
だが、『誰から』だ!?誰が私にこんな事をするッ!?
いきなり『瞬間移動』でもしたかのようにモノを出現させるだと……!?
良いだろうッ!受け取ってやろうじゃあないか!!
この『贈り物』を私は受け入れるッ!!

「ちょっと待っててくれよ……えーっと……」

私は意を決してポケットに腕を突っ込む……
『紙』の感触!!
やはりか……!!やはり新たな【モノ』が……!!

『ソレ』を掴み、引き抜く


147 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:16:07.96zXjZPQyDo (8/17)

『案の定』だ
そこには仰々しい書体で『赴任依頼状』と書いてある依頼状があった
差出人は……クソッ……書いていないか……

私は依頼状に書いてある『赴任先』を上条に伝える

「ええっ!?そこは上条さんの通う学校ですことよ!?
いやー!!『運命』って奴感じちゃうなァーッ!!」

ほほう……この上条当麻……利用できるかもしれないな……
幸いにしてこいつはあまり賢そうな『ツラ』じゃあない
ならば、私は『教師』じゃあないということは隠し通せるぞ…!

このマヌケ頭でも今、勉強はどの位進んでいるかぐらいは分かるだろう
(まあ、どこを勉強していようが教えられるという確固たる自信はあるがね)
一応、それさえ知っておけば、授業をしろと言われても対応出来るからな



148 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:17:12.34zXjZPQyDo (9/17)


「ああそうだな、運命を感じるな
そんな事より、勉強は楽しいかね?」

「いやー、上条さんの頭じゃあ現代文ですら暗号文ですよー
それに最近あの『授業』分からなくなってきたんだよなー……ハァ…」

なるほど、ここも外とはあまり授業は変わらないのか

「あの授業?何だい?教えてあげようか?」

「おお!!本当ですかァーッ!?『吉良先生ェーッ!!
ありがとうございますゥーッ!!ありがとうございますゥーッ!」

やかましい

「まあ、そんなに興奮しなくても良いじゃあないか、で、どんな所だい?」

すると上条は歩みを変わらず進めながら
恥ずかしそうに頭を掻く

「それがですね……『AIM拡散力場』なんですけど……」


149 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:18:35.85zXjZPQyDo (10/17)

は?

えーあいえむ?

エーアイエム?

Aアイエム?

AIエム?

…………『AIMだとォーッ!?』

まずいぞ……!!この吉良吉影がいた『外』にはそんなモノは……
いくら私でも知らない事を教えられはしない……!!

「いやー、あの授業のせいで何回先生を泣かせた事か……
上条さんの『カン』的にそろそろ『補修』(デート)がありそうなんですよ……って聞いてます?」

「……ん!?あ、ああ!聞いているさ……!」

マズイ……マズイぞ吉良吉影……!!
どおする……?どおする…?

「なら良いですけど……
あぁー……流石にもうこれ以上、『小萌先生』泣かせちゃあマズイだろうしな……
担任が苦手な教科の担当って辛いなあ……
あれ以上泣かせたら青ピに殺られる……ハァ……不k」

どおする……!!どおするんだ……!!

……ん?

今、このウニ頭は何と言った?
『~~先生』?
待て……思い出せ………!

『小萌先生』?



150 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:20:54.32zXjZPQyDo (11/17)

「小萌先生だとォーッ!?」

「うわっ!!いきなり大声出さないで下さいよ!!」

「うるさいッ!!今はそんな事はどうだって良い!!
上条君!!今、君は小萌先生と言ったか!?」

「え!?あ、ああ!!言いましたよ!!」

これはッ!これはもしやッ!!

「まさか小萌先生は君の学校の教師かッ!?
君は彼女の授業を受けるのかッ!?」

「受けるも何も俺の『担任』ですよッ!!
先生こそ小萌先生の事知ってるんですか!?」

「……ああ…!!神がいるとしたならばッ!!
これほど計算された『出会い』もないだろうッ!!
私はやはりツイているッ!!運命は私に味方してくれている!!」

やったぞ!!彼女がこいつに教えているのならッ!!
今日彼女の家で私が教わる事も可能だッ!!
授業内容の再確認とでも言って押し切れば良いッ!!

「質問に答えろォーッ!!先生ェェェェーッ!!!
あなたと小萌先生関係を今すぐにだァーーーッ!!
事によっては血が流れる事になるッ!!俺の友人の『両眼』からッ!!」


この二人のやりとりは周囲の人間に
イカれた二人扱いされるに十分だったという…………

.
..
...
....
.....



151 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:22:02.12zXjZPQyDo (12/17)

吉良と上条のやりとりを『路地』で見ている『二人』がいた

一人は高身長の男、一人は中背の女のようだ
彼らは静かに二人を『観察』していた

「何故……神は奴にだけは『記憶を与えた』のだろうな……?
え?どう思うね君は?」

男が女に問う

「…………」

女は、答えない

「おっと……今は君は話せないんだったな
まあ、聞きたくなくても聞いて欲しい
もっとも、聞く『知能』さえないかもしれないがね」

男は続ける


152 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:22:57.64zXjZPQyDo (13/17)

「昔話をしようか、そんなに長くはならないよ
かつて私は友がいてね
彼が今はどうなってしまったかは分からない
ともかく私は彼を心から尊敬し、『敬愛』していた」

男は深く息を吐く

「そして、彼は一度『死んだ』
それを聞いた私は深く嘆き、悲しんだものだよ」

男は『右眼』の『眼帯』をなぞる

「だが、彼は『蘇った』
いや、蘇らされたといった方が正しいか?
そして私と『共闘』した………!!」

男の拳が握り締められ、揺れる



153 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:23:59.94zXjZPQyDo (14/17)

「だがな!!私はこの一連の戦いを一切覚えていないのだ!!
まるでモヤがかかっているように!!
その時の記憶を辿る事ができないのだ!!
だが!!私は『一部』だけ『取り戻した』!!
これのお陰でな………!!」

男は服から『ヒビの入ったDISC』を取り出した

「これは私のスタンドで作られたモノでね……
憎き宿敵の『記憶』が詰まっているのだよ……!!
『あの世界』で『奴』から奪ったモノだ……!!
あの世界が崩壊した後、この世界にきたのだろう……
私はこれを保管していた『ローマ聖教』の『最大主教』から奪う事に成功した……」


154 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:25:29.04zXjZPQyDo (15/17)

「だが!!これは!このDISCは『不完全』なのだ!!

本来は壊れないはずだッ!!『完璧』なモノのハズだッ!!

なぜ!なぜ『重要』な部分だけ欠けているのだ!?

『人』の力で『出来る』事じゃあないッ!!
まるで『魔法』だ!!『魔術』だ!!
人知を越えた『技術』によって壊されている……!!」

男はもはや女に聞かせる気は失せ
独白のような状態であった

「『承太郎』がエジプトで読んだ『天国への行き方』は読んだッ!!
だが!!この記憶の最後!!最終場面!!
崩れゆく館にいた『DIO』に私は駆け寄り、彼から『何かを聞いている』ッ!!
それこそが『NEW・Stairway・To・Heaven』となるものだ!!」

男、『プッチ神父』は息を整える


155 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:26:48.25zXjZPQyDo (16/17)

「はぁ……はぁ……
私がこの学園都市に来たのもそれが理由だ……
私はこの街に『ある少女』がいるという情報を得た……
聞くと、彼女は『十万三千冊』もの魔導書の知識があるらしいじゃあないか……
彼女ならDISCを修復出来るかもしれない……そう思ったのだよ……!!」

さて、とプッチ神父は改まった口調で女に言う

「だからだ、この街に詳しい人が一人は必要だろう?
だから、強引だったかもしれないが
君に私の言う事を聞くようにDISCを入れさせてもらったのだよ
これからも引き続き、私のサポートを頼むよ………」

プッチ神父は『花飾りの少女』の肩に手を置いた


156 ◆tyuVXY5AEU2011/07/03(日) 00:27:18.70zXjZPQyDo (17/17)

打ち止め
買い物してねぇじゃねえかというツッコミ大歓迎です

それじゃ


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/07/03(日) 00:40:33.46M9MuQxrS0 (1/1)


プッチ神父だと……ッ!?


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/03(日) 00:55:26.69dTyUbFuDO (1/1)

乙!
最初思ってたより設定が凝ってて、長いこと楽しめそうで何より


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/03(日) 01:51:08.86j/NJeJvAO (1/1)

乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙乙ゥッ!


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/07/03(日) 05:28:53.08OBZzKKTAO (1/1)

神父きちゃった…


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/03(日) 09:28:38.30D6dCEzODO (1/1)

これは期待


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/03(日) 12:26:39.5556uFzhKvP (1/1)


神父さんやたらハイテンションっすね


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/03(日) 16:40:37.04wQ8iyLhAO (1/1)

ブラボーッ!!


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/03(日) 22:04:55.73zlBI5p/y0 (1/1)

おお・・・来てる・・・!乙!


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/06(水) 00:16:30.76VlZr7dyIO (1/1)

続きが気になるぜッ!!


166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/07/07(木) 12:28:13.320mbOi27AO (1/1)

更新頻度は週1くらいかな?
期待


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/08(金) 03:14:10.5366SsgjpWo (1/1)

前作見てないんだけど大丈夫かな?


168 ◆tyuVXY5AEU2011/07/12(火) 19:04:05.42X8n+Yrrso (1/1)

今晩投下します


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/07/12(火) 20:03:41.86S6DS0EVjo (1/1)

ヒャッホォォォォォォォォォウ(重低音)


170 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:12:24.27mMW+kVd+o (1/19)

投下


171 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:12:50.87mMW+kVd+o (2/19)

「ふう……」

買い物を終えた私たちは上条の家へと向かっていた

「いやー!ありがとうございました先生!!
この『ご恩』は『一生』忘れませんです!!」

……『一生』という言葉を使ったんなら『覚悟』をするんだな上条当麻……
貴様が私に『一生』従う覚悟をな……

「ああ、別に気にしなくていいさ
私の方も色々聞かせてもらったしね」

これで学園都市の基礎知識やら地理に問題はないぞ…
後は、ここの『監視の眼』の『盲点』を調べるだけだ…

そうこうしていると、中々に立派な集合住宅に着いた

「じゃあ俺ここなんで!『また、明日』!」

「ああ、『また、明日』な」

私は上条と別れ、小萌さんの家へと足を向ける


172 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:14:22.45mMW+kVd+o (3/19)

「(確か……この通りを真っ直ぐだったな…)」

そういえば、小萌先生は黄泉川とどうなっただろうか
アンチスキルの事務所を飛び出して行ったっきり連絡をしていなかったな
それにしても、この街には『公衆電話』は無いのだろうか……
まあ、あったとしても彼女の家に電話をしても『いない』だろうがね

「家に『灯』は無い……か…」

『家』に着き、外から薄汚いアパートの『彼女の部屋』を見る

ま、そのうち帰ってくるだろう
かつん、かつんと乾いた音を立てながらアパートの階段を登る

かつん、かつん、かつん
かつん、かつん、かつん……『スン』……



173 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:20:07.37mMW+kVd+o (4/19)

「ん……?」

今……何か聞こえたか……?
足を止め、耳を澄ます

……、……、…『グスン』……

『啜り泣き』のようだ、出どころは特定出来ない
まるで『幽霊』が今まさに消えようとする『断末魔』の残り香のようだった

今は夕方の『6時45分』ってところだ、『幽霊』が出るには早すぎる
ま、幽霊なんて信じちゃあいないがね

啜り泣きの正体には構わず、部屋のドアノブを『捻り』、『引く』
かちゃり、と金属音を立てて部屋が私を受け入れる

『ぐすん……!!』

足元で『何か』が啜り泣いている事から察するに
『音源』はこの『部屋』だった

「一体…どうしたんですか……?」

それもこの『奇妙な』啜り泣きは
この部屋の主である『小萌月詠』が発していたのであった

....
...
..
.


174 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:21:31.87mMW+kVd+o (5/19)


私はすすり泣く小萌さんを茶の間まで連れて行き、暖かいお茶を淹れた
こぽこぽと風流ともいえる音を立て、急須が次第に熱を持ち始める

急須の立てる音が止むと、完全な静寂がこの空間に広がった
このまま黙っていても埒があかないな……しかたがない……
私の方から口を開く事にした

「どうしたんですか?小萌さん?」

再び、小萌さんはしゃくりあげ始めたが
どうにかそれを堪えられたようで、彼女も口を開いてくれた


175 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:22:41.37mMW+kVd+o (6/19)

「…っく……えぐ……ぉみかわしぇんしぇいがぁ……」

大きく呼吸を乱し、小萌さんの頬に涙が一筋伝う

「……黄泉川しぇんしぇいはぁ…やっぱり吉良ちゃんの事を疑っててぇ……
私が吉良ちゃんを庇うとぉ……うっうぅぅ……」

嗚咽、嗚咽、嗚咽
リズムを刻む『メトロノーム』のように嗚咽が続く
ようやく収まったのか、彼女は言った

「ぅっく…わたしにぃ……『生徒の事を本当に想っているのか?』ってぇ……」


176 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:25:11.07mMW+kVd+o (7/19)

何だと?何故、私を庇っただけの小萌さんが生徒を想っていない事になるのだ?
小萌さんに罪はない、罪があるのは私だ(悪いとは思っていないがね)
私があのクソガキ共を『のして』やっただけの事だ

「ようするにぃ…ひっく……
…黄泉川先生は……私が生徒を庇わずに吉良ちゃんを庇うからぁ……
生徒達を『救ってやるべき』教師が……生徒の事を『見捨てているじゃあないか』って……うぅ…」

……つまり…つまりだ……
あの黄泉川愛穂が言っている事をまとめるとだ

『小萌さんが私に依怙贔屓のような事をしている』、と?
『生徒の怪我に目を背け、同居人の罪を庇っている』、と?

つまり

奴は『小萌さんは生徒の事を想っていない』と、言っているのか?


177 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:26:21.85mMW+kVd+o (8/19)

無意識の内に、私の手が、震えていた
馬鹿な、あり得ない、この吉良吉影がか?
この吉良吉影が、この吉良吉影が


『後悔しているのか?』


自らの感情に身を任せて自らの思うがままにやりたい事をして
その結果がこの目の前の『女』にとばっちりを食わせた事を

私が、この『女の友人』に
この『女』の『心』を裂くような言葉を言わせてしまった事を


『後悔しているのか?』


178 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:27:12.42mMW+kVd+o (9/19)


「……一つ…一つです小萌さん、聞いてもいいですか…?」

「……何でしょう…?」

「貴女に……貴女にとっての『生徒』とは……何ですか…?」

今まで俯いていた彼女は私の方へ向き直る
そして、ウサギのように真っ赤に腫らした目を私に向ける
そこに、さっきまでのオドオドしていた『小娘』のような『意思』はなかった


179 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:28:24.25mMW+kVd+o (10/19)




「『命』を、『命』を彼らの為に捧げても良いと思っています」





180 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:32:52.21mMW+kVd+o (11/19)

この返答を聞いた私は『誓う』

この生まれもった『サガ』は消せない
これまでの『業』を『消し飛ばす』事だって出来ない
これまでの生き方を『変える』事だって不可能だ

だが、この街でだけでも『隠し通して見せる』と

私の『サガ』『性癖』『生き方』全てをだ
『彼女』を悲しませる事だけは許されない
他の誰でもない、『私』が『私』を許せないだろう


そしてもう一つ

『彼女だけは【一生】護り通す』と

恋人が相手に抱く様な甘っちょろい感情じゃあなく
この私に誓わせる『源』は『清らか』なるモノを守るような『清々しさ』だ
『聖人』に身を捧げるような『使命感』だ
彼女だけは全てから守り抜かねばならないッ!


ただのそれだけを、私は誓ったのだった


181 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:34:17.29mMW+kVd+o (12/19)

キーンコーンカーンコーン
小気味良いチャイムが私の耳を震わす
何十年ぶりだろうな?私がこの音を聞くのは?

「どうぞー」

『教室』のドアの向こうから明朗快活な声が私に向けて届く

がらら、と音を立てて私はドアを引いら

なるほど、なかなかに個性的なクラスだ
青髪、金髪、黒髪、『ウニ頭』色とりどりだな……

ウニ頭がこちらをニヤニヤと見てくる
気味が悪い、その薄汚い薄ら笑いをやめろ

そして、どう考えても教卓は必要がないだろう『小萌先生』の隣に立つ


182 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:37:34.83mMW+kVd+o (13/19)

「えー、残念でしたー野郎共ー、喜びなさい子猫ちゃん達ー
夏休みまで後、少しですが飛び入り転入してきた新任教師さんなのですよー
じゃあ、吉良『先生』、自己紹介をお願いするのですよー」

学校では『先生』呼ばわりか…
少しさみしい気もするが、まあいい
これまた何十年ぶりに握る『チョーク』で名前を書いてゆく

「新任教師の『吉良吉影』です
このクラスの『副担任』にならせていただきました
どうぞ、よろしくお願いいたします」

ペコォーッと頭を下げる
下げた頭で誰にも感づかれない様にククッと笑う
完璧だ、何もヘマをしていない
昨日、『誓った』後に必死に考え抜いたこのあいさつ……
どこも『噛んだり』はしていない……
つまり、笑われたり、いわゆる『ネタ』にされるような事は何もなかった……
完璧さ……依然問題なく………!!

頭を上げる

その途端、クラスに『笑い』が巻き起こった
それも、その『好奇の視線』は私に向けられているモノだった


183 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:42:08.96mMW+kVd+o (14/19)

何だ?今日の朝食は『ご飯』に『味噌汁』だったはずだ……
『ジャム』のような、顔についていましたァーッ!いつのまにかァーッ!!な要素を含んだモノは口にしていないぞ?

脳内をフル稼働させて理由を導き出そうとしている私に
『青髪』が笑いながら私に言った、いや、ついつい『こぼして』しまったというべきか

「せ、せんせー……プ…くく……ウワッハッハッハ!!
だ、ダメや!こらえきれん!!ヒィーッヒィーッ!!『勇気』あるなァーッッハッハッハッハ……」

何だ!?そんな『ヘマ』をこの私が!?
何だ!?何も思いつかないぞッ!?
チョークの粉でもついていたかッ!?

そんな私の焦りを知ってか知らずか
ウニ頭、もとい、上条が私に向かって飽きれた様に言うのだった

「先生………『教師』の初登校が『髑髏のネクタイ』って……どうよ……」

後で上条から聞いたが、奴ら生徒からすると
真面目くさった、特に特徴もないような『普通』の教師が
『デスメタル』の象徴のような馬鹿でかい『髑髏』のネクタイをつけていたギャップにやられたとの事だった

「(………ヴァレンティノだぞヴァレンティノ……
ここのガキ共は『センス』ってもんがないな……)」



184 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:43:18.77mMW+kVd+o (15/19)

その日からの一週間は大変だった
上条の『学力』が目を見張るほどの『不毛の大地』で
かと思えば『青髪ピアス』と呼ばれる生徒は
私の問いには100%の確率で正解するクセに
小萌先生の問いには%以前に答えようともしていなかったり
『おデコ』が特徴的な吹寄は
一週間内の上条に対するヘッドバッド数が3桁の大台に登る勢いだったり
アロハの土御門は義妹に対する異常な愛をところ構わずぶちまけていたり
そんな光景を日々、眺め続けていた

……本当に…『疲れた」……な……

そんな事を思っていた時だった


185 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:44:43.55mMW+kVd+o (16/19)

【夏休み初日】
小萌先生と二人掛かりで『補習』を行ったにもかかわらず
全くの『上の空』だった上条が補習終了直後に私に話しかけてきた

「なあ…先生?今から俺のいう事を信じてくれるか…?」

こいつ…慣れたからって『タメ口』を使いやがって……
これだから『クサレ脳ミソ』は……『敬意』って奴を知らない……
若干、イラっとしつつも私は答えた

「……ああ、聞いてあげるよ、聞くだけならな……」

一体なんだ?進路か?色恋沙汰か?
この年代の子どもが話す事と言ったら大方そんな……

「ありがとう……それじゃあ言うけどさ……」

だから『タメ口』を……

「もしも……もし、朝起きたら『ベランダ』に
『腹ペコ無防備シスター』が引っかかっていたら…先生ならどうする……?」





………『最高』じゃあないか……


186 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:45:47.50mMW+kVd+o (17/19)

打ち止め

本当は買い物を詳しく書きたかったけど
C-MOON主婦とか究極生命体SYUHUとか


187 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:48:30.94mMW+kVd+o (18/19)

>>184
ミス 途中送信

色々主婦との食材の取り合いを書きたかったけど
そいつらが主役張りそうな凄みがあったので中断しました

後、皆さんのレス読んでたらこのSSの進行計画を
180°転換したくなったので間が空いちゃってましてね………
なるべく週1で来たいと思います

それじゃ


188 ◆tyuVXY5AEU2011/07/13(水) 00:50:43.33mMW+kVd+o (19/19)

ああクソ!!クソッ!クソォーッ!
レス番号とかミスだらけじゃあねーかこのクソカスがァーッ!!



打ち止め

本当は買い物を詳しく書きたかったけど
C-MOON主婦とか究極生命体SYUHUとかとの食材の取り合いを書いてるうちに
そいつらが主役張りそうな凄みができたので中断しました

後、皆さんのレス読んでたらこのSSの進行計画を
180°転換したくなったので間が空いちゃってましてね………
なるべく週1で来たいと思います

それじゃ


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/13(水) 01:10:18.39f2026Bcco (1/1)


180度というのが気になるな……


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/14(木) 14:38:18.242ml4+HEMP (1/1)

復帰したかな?

超像可動フィギュアの白ネクタイバージョンなら許されたな


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/14(木) 18:35:45.82cWKYg1Km0 (1/1)

吉良カッコよすぎ泣いた 乙


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/16(土) 02:39:52.995XyW1qLSO (1/1)

週1で楽しみが出来るのか!
嬉しい限りです!



193 ◆tyuVXY5AEU2011/07/20(水) 22:17:23.06MNGdDvlgo (1/3)

明日投下します


194 ◆tyuVXY5AEU2011/07/20(水) 22:18:51.51MNGdDvlgo (2/3)

明日投下します


195 ◆tyuVXY5AEU2011/07/20(水) 22:19:57.68MNGdDvlgo (3/3)

明日投下する




196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/20(水) 22:23:51.43f5wack600 (1/3)

wwktk



197VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/20(水) 22:24:49.10f5wack600 (2/3)

wwktk



198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/20(水) 22:25:53.85f5wack600 (3/3)

wwktk



199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/21(木) 20:43:32.09m28mRVXDO (1/1)

今日ッスか!
楽しみッス


200 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:02:06.23va0pA9kqo (1/9)

遅れた
投下する


201 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:07:58.43va0pA9kqo (2/9)

上条当麻の家へと続く道を私は歩いていた
無論、家主である上条当麻も一緒だが

「だから、なんでこの私が自ら出向いていかなければならないのだッ!?
その子は『シスター』なんだろう!?なら『適材適所』だ!
『ナース』は病院!『キャビンアテンダント』は『飛行機』!!
シスターには『教会』が第二の故郷みたいなものだろう!?
きっと彼女も今頃教会で『神父』とヨロシクやってるさッ!」

私は上条当麻に『引きずられていた』
こう表現すると馬鹿らしくはあるが事実なんだからしょうがない

厄介ごとを抱え込むのはごめんだぞ…
もう既に黄泉川愛穂には『マーク』されている
ここでヘタに揉め事を起こせば今度は『学校』に目をつけられかねんからな……

「お願いですよ吉良先生ッ!!『彼女』はどーやらこの街の地理もわかってなかった!!
それに……えーと…『何か』に追われてるとも言ってたし!!
俺が預けられる教会を探してる間に先生が彼女を見ててくださいよッ!!」

彼女というのは彼曰く『ベランダに引っかかってたシスター』の事だ
『うさんくささ』が尋常ではないぞ
こいつはとうとう妄想世界に女を作り始めたか……
まあ、そんな事を言うわけにはいかないので
私はあくまで『正論』を述べた

「待て上条君!君はさっきそのシスターは既に出ていったと言ってただろう!?
だったら君の家にいるという事はないんじゃあないか!?」

「いや!でも!」

「やかましいぞッ!!これからが結論だ!!
そう……つまりだ……!!つまり……帰らせろォーーッ!!
さっきから掴んでる右肩を離せェェェェーッ!!」

うおおおおお……!!全力を尽くすがこの『バカミジョウ』……
まさに『馬鹿力』で私に抵抗を許してはくれないぞ……!!


202 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:10:03.14va0pA9kqo (3/9)

大体、最初に話を聞いた時から嫌だったんだ
シスターといえば私の脳内では『天使にラブソングを』のような
なんというか…その……『豪放磊落』な女性しか出て来ないのだよ…
そんな女性が『しなやか』だったり『キメの細やか』な『手首を持っているはずがない……
その時点で私の『興味』は完全に失ってしまったというのに……

ズルズルズル……ズルズルズル………
哀れな私を引きずり続ける上条当麻
お前は人の子じゃあないな

ああ……嘘だろ…
楽しい時間ほど早く過ぎるとはいうが…
こんなに楽しくもない事の時間の進みが早いのは初めてだ……

そう、奴の家に着いていたのだった

……もうしょうがない、ここまで来たら腹を括ってやるよ……
『覚悟』を決めろよ吉良吉影……この私に出来ない事は何もないのだ……!!


203 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:12:06.79va0pA9kqo (4/9)

階段を登り、奴の部屋の階の辺りまでやってきた
ハァーハァー……何階あるんだ一体……
運動不足だな……この街にジムはあるのかな…?
結局『杜王町』のジムには行けず終いだったしな……

そんな事を思いながら歩いていると自分より前を歩いていた上条当麻とぶつかった

「どうした?まさか君の家は『向かいの住居』だったって事はないよな?
そうだとしたら私は帰らせてもらうぞ」

返事がない
私は上条当麻を見るが、彼は『ある一点』を見つめたまま動かない
何だ?奴の部屋の方を向いているようだが……?
私も彼と同じ方向を見る

『衝撃』が私を襲った

「まさか……本当に『神父とヨロシクやってた』とはな……


204 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:13:30.38va0pA9kqo (5/9)












『赤髪の神父』が『私の想像』とは全く『かけ離れたシスター』を踏みつけていた




205 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:14:34.91va0pA9kqo (6/9)

「何やってんだよテメェッ!?」

上条当麻が声を荒げた

グリグリと小さなシスターを大きな足で踏みにじっていた神父がこちらを向く

「あれ?おかしいな……
『イノケンティウス』のついでに『人払い』も貼っておいたと思ったが……
僕とした事がウッカリってヤツだね、ハハハ」

私の耳には聞き慣れない言葉を発した神父がこちらに向き直る
全身を見て改めて思う、『デカイ』
このクソ暑い中で『真っ黒』のコートに『真っ赤』な髪などイカれてる……
奴の姿は私の愛する『平穏』とは対極なんじゃあないだろうか……

「質問に答えろよマヌケッ!!彼女に何やってんだって聞いてんだよッ!!」

なおも、上条は声を荒げる
対して、奴は自身の髪の色とは対照的に『クール』なままだった


206 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:17:24.78va0pA9kqo (7/9)

「ハァ……『部外者』は関わらないで貰えるかな……
こっちにはこっちの『事情』ってものが…」

赤髪は気だるそうに答える
髪をクシャクシャと掻き、『神父服』の埃を落としながら答えた
それ程までに『こちら』に興味がないのだろうか

すかさず、上条は吠えた
まるで、この世の不条理さは全て奴の責任だと言及するように

「知るかよそんな事ッ!!事情だァ!?
じゃあ聞くがな!その事情とやらは誰が聞いたって『笑顔』で頷けるもんなのかよッ!?
誰が聞いたって『納得』のいくものなのかよ!?
無力な女の子を嬲って『納得』いくかッ!?俺はいかねえ!!
納得が無ければその先に『道』は無え!『光り輝く』道は無えんだよッ!!
てめえはその……ムグッ!!」

そこまでだ、話が長い
こーいう事はまるでダメなのだなこの上条は……
頭に血が上りやすいというか……『熱血バカ』というか……
こういう輩がいちゃあ話は先に進まない
私は上条の口を手で抑えながら『赤髪』に問うた


207 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:18:42.83va0pA9kqo (8/9)

「まずは……そうだな………
ウチの『生徒』が失礼な事をした、すまない
こーいう単純な所が彼の短所でね……私も常日頃から困ってるんだよ……

だがな、彼の言ってる事も間違っちゃあいないと私は思うんだよ
どうだ?まずはその足をその娘からどける所から始めようじゃないか?
まさか、そういう『性癖』は無いだろう?あったとしても白昼堂々とさらさないだろうしな
まあ、彼女が『足拭きマット』のように汚れを取り尽くしてくれるってんなら別だがね」

そういうと『赤髪』は静かに従った
おっと、おやおや、話がわからん奴じゃあなさそうだぞ?
こりゃあ、あの娘にも踏まれる原因があったのかもな……
よし、このままあくまで紳士的に話を進めていくとするか……

その時だった

「ウグ!?」

『左手』に激痛走る
どうやら上条当麻は自分をおいて話が進むのがお好みじゃあないらしい
私の手のひらを噛んで、晴れて自由の身となりおおせたようだ

「黙って話を聞いてれば……
てめえはこっちに何の情報もよこさねえじゃねえか!
一体、てめえはなんなんだよ!?」

あゝ…何というマヌケな質問だろうか……
人に名乗る時は自分からと習わなかったのかこいつ……

そんな事を思っていると『赤髪』は一言
色々な意味で衝撃的な言葉を発したのだった

「うん?『魔術師』だけど?」



208 ◆tyuVXY5AEU2011/07/22(金) 01:20:38.50va0pA9kqo (9/9)

以上です

あまりにも短すぎるので3、5日後に再び来ます
『4』って数字は不吉だからな!!

それじゃ


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/22(金) 01:51:03.03Lc3nw0Dp0 (1/1)




210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/22(金) 04:06:06.53TrqTkUvSO (1/1)

そっか、じゃ4日間は待ってみるかな


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/07/22(金) 07:00:49.780JQ3is5AO (1/1)

不吉じゃしょうがない


212VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/25(月) 16:03:09.03Kfmsgr+AO (1/1)

今更だが見つけた!!!
期待!!今から読む!!!
さて、前スレと同じ様に張り付くか


213 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 18:24:20.44drrtH6uio (1/1)

今日投下します


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/27(水) 18:37:28.89dibi12bE0 (1/1)

わーい


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/27(水) 21:44:24.27bR4TZsSR0 (1/1)

wwktk



216 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 21:47:19.35Fx2eApN+o (1/18)

投下する


217 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 21:49:32.67Fx2eApN+o (2/18)

「魔術……師…?」

私と上条の表情が全く同じになった
何を言ってるんだこいつは、頭が可哀想な人なのか?

「あー……良いよ、そういう反応にもそろそろ慣れて来たから……
ま、『コレ』を見せれば一発で納得してくれるんだがね」

奴は余裕綽々といった様子で『タバコ』を取り出し、吸う
白い煙がモクモクと奴の口から抜け出て、辺りを少し白く染めた


218 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 21:51:06.21Fx2eApN+o (3/18)

「おっと、まだ名乗っていなかったね
僕とした事がこれは失礼した」

奴は着ていた神父服の『ヨレ』を正し、言う

「僕の名前はステイル・マグヌスと言う
覚える、覚えないは君たちの自由だ
ところでだ、僕にはある『覚悟』があるんだよ…君たちには計り知れないだろうがな……
そしてその『覚悟』を示す時に、魔術師は『魔法名』を相手に示すんだ」

ステイルは私たちに『指』を向け、『空中』に何かを書き出した

「僕の魔法名は『Fortis931--我が名が最強である事をここに証明する』だ」

瞬間、奴はタバコを投げ出し私たちに駆けてきた
どうやら『丸腰』のようだ、仕方がない…殴るのは趣味じゃあないんだが……
私はボクサーが取るようなファイティング・ポーズを取った……が

「違うッ!!先生!奴は『何か』を持っているんだァーッ!!」


219 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 21:53:51.48Fx2eApN+o (4/18)

上条は私を左腕で庇い、奴に向かって『右腕』を突き出したッ!!

すると、パキョォォーン!と『奇妙な音』を立て何かが砕けたのだ!!

「貴様……僕が『炎剣』を出すのを読んでいたのか……!?」

ステイルは信じられないといった様子で上条を見つめる
奴らの間には『炎の残り火』とでもいうべきモノが散っていた

「知ら……ねえよ……!!何となく『予感』がしただけだッ!!」

上条は右腕をステイルに向かって振り抜くッ!!鳩尾に命中したッ!
奴と上条の距離が近かっただけにダメージはデカイようだった!

奴は上条と距離を取り、懐を探り始める

「グオガァッ!ガ……!ガハァッ……!ハァ……ハァ…
驚いたよ……僕の『魔術』が消されるなんてな……!
正直な話……君は『魔術師』にとっての『天敵』だよ……」


220 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:00:23.88Fx2eApN+o (5/18)

魔術を……消す…?馬鹿な、上条当麻は『レベル0』のはずだぞ?
奴の資料にも書いてあったはずだった
そんな上条が『天敵』だと……?

「俺の右手はな……『幻想殺し』っていってな……
『能力』だったら何でも消せるんだよ………!
良いか、魔術師……!!この娘を置いてさっさと消えろ…!
これ以上くるなら俺だって容赦はしねえ……!!」

この答えを聞いたステイルはとても滑稽だとでもいうように笑い始める
馬鹿な、ふざけるな、僕のこの魔術を使いこなすための努力は
貴様の右腕のたった一振りで無駄となってしまうのか
そんな思いが彼を『支配』するが、彼は決して『囚われ』はしない
直ぐに思いを制御し、上条に言い放つ

「……今朝あったばかりのその娘に貴様となんの関係があるんだい?
貴様を動かすモノはなんだ?『同情』?『エゴイズム』?」

上条が何かを言おうとするがステイルは遮る

ステイルは言い放ったのだった


221 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:01:17.08Fx2eApN+o (6/18)

「おおっと、『彼女が困ってるから』なんてトボけた事は言ってくれるなよ?
貴様にその娘の何が分かるっていうんだ?」

私はこの時、ステイルの目に『光』を見た
ゲス野郎には決して持ち得ない、『正しい行いをしている者』にだけ現れる『光』を
消えそうに震えるが、決して消えない『光』を

「少なくとも僕には分かる、だが貴様にわかるとは思えない
いいか、貴様がもし本当に『彼女の為』を思うなら今日の一件は忘れろ
貴様の『独りよがりなヒーロー気取り』の為に僕の『覚悟』を邪魔されたくはないんでね」

そして

「予言しよう、君が次に僕に向かって来るのならば
『貴様は燃え尽きて死ぬ』」

ステイルは静かにそう言った


222 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:04:00.26Fx2eApN+o (7/18)

「さあ、どうする?」

上条はしばらく黙り込む
私にはそこまで分かりはしないが彼は『闘っている』事は確かだ
己の中で蠢く感情と体が必死にせめぎ合い
己の頭と心が反発しあう
かつて私と闘った『東方仗助』のように迷っているのだ

奴は正しいのかもしれない、自分が間違っているのかもしれない
確かに、彼はあのいつでも止めを刺しえた状況で
あえてあの娘を殺してはいなかった
拷問愛好者でもない限りは、こんな人通りの多い所でいたぶりはしないだろう

少しの静寂の後、上条は、答えた


223 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:09:10.96Fx2eApN+o (8/18)

「……せぇよ…!!うるせぇんだよッ!!
確かに俺はこの娘に出会ったばかりだよ!!そうさ!
だがな!いくら事情があろうとも!目の前で人が傷ついてたら助けにいかねえワケにはいかねえ!!
それが俺の『原動力』だッ!俺の『根源にあるモノ』なんだよッ!!
それを今更ッ!変えるワケにはいかねえ!
絶対にだァァァァァァーーーッ!!」

上条は何時の間にか距離を取っていたステイルへと『走る』ッ!!
自慢の右手を握りしめ、奴の鼻っ柱に拳を叩き込む為にッ!
目の前の男の『幻想』をぶち壊す為にッ!!

「行くぜオイ!『覚悟』しやがれェェーッ!!」

向かう上条当麻ッ!だが当のステイルはッ!!
今から殴られるはずのステイル・マグヌスはッ!!


『何もしていないッ!!』


ただただ、向かって来る上条当麻を見つめているだけだったのだッ!!
再び炎剣を作るワケでもない!!ファイティングポーズをとるワケでもないッ!!
ただ、見つめている『だけ』なのだッ!!

ついに上条はステイルのすぐ側に駆け寄った!
右手を深く握りこみ!右腕を大きく振りかぶる!
伊達に喧嘩慣れしているワケじゃあないッ!そんな貫禄が彼にはあったッ!

「覚悟は出来たかッ!このクソッタレ……」

この時だ!この時なのだ!
ステイル・マグヌスが待っていたのは『この時』なのだッ!!


224 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:11:54.55Fx2eApN+o (9/18)









「『点火』ッ!!」




225 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:12:53.15Fx2eApN+o (10/18)

ステイルの宣言と共に上条当麻の『左』から『炎』が吹いたッ!
左側に貼ってあった『ルーン文字』により、炎が召喚されるッ!
だが、その炎は上条にとって『脅威』ではないッ!彼には『幻想殺し』があるのだから!!

「甘いんだよ魔術師ィィィ!!」

上条は振りかぶった『右』腕をそのまま『左側』の炎へと向かわせるッ!!
ガラスを砕いたような音と共に炎は掻き消えたッ!
そして!上条当麻は炎から意識を戻し、ステイルに再び視線を戻すとッ!!

「さっきのお返しだよ、この『クソッタレ』」

さっきまでの自分と同じように『右腕を振りかぶった』ステイルが視界に入り
轟!という唸りと共に自らの頬を襲う激痛で上条当麻の意識は消え去った
.
..
...
....


226 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:15:43.09Fx2eApN+o (11/18)

「ふう……」

私の近くまで殴り飛ばされた
上条当麻の事をもう忘れてしまったかのような様子で
ステイル・マグヌスは自らの右手をさすっていた

「本当は僕は『こーいう事』は専門外なんだがね……
『相方』の方が武闘派なんだよね
でも『魔術』が効かないのならこうするしかないだろう?
彼の鋭すぎる『予感』とやらに僕は救われたワケだ」

岡目八目、とでもいうべきだろうか
私が見ている限りではあの炎にさえ気づかずに
右腕を振り抜いていれば『痛み分け』という形で済んでいただろう
下手に炎に対処してしまった彼の負けといった所か
そんな風に感じるね

「まあ、貴方の『判断』は『賢い判断』だったといえるよ
あそこで僕に攻撃していれば貴方まで『火傷』していたかもしれないからね
貴方が何もしなければこちらだって何もしないさ」

そう言うと奴は懐からタバコを取り出し、口に咥える
そして指先から炎を出してタバコに火を灯した


227 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:17:38.98Fx2eApN+o (12/18)

「さて、その娘を『回収』させてもらうよ?」

ハハハ、私の口から乾いた笑いが出てしまう
全く、彼は何もわかっちゃあいないようだ

「君は『二つ』だ、『二つ』勘違いしているぞ
第一に君はこの小娘を連れて帰る気だろうが、それは『不可能』だ」

何か口に出そうとした彼を制して私は続ける

「最後に一つ言わせてもらおうか」

言葉を切り、ステイルを指差した


「『本当に私が何も手を出さなかったと思っているのか?』」


228 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:19:17.90Fx2eApN+o (13/18)

ギャルギャルギャル……ギャルギャルギャル……
『何か』がステイルに近づいていく
だが彼には『見えていない』ようだ
無理もない、彼がいくら高尚な『魔術』とやらを使えても


『スタンドにはスタンドでしか触れられないのだから』

さあ、『小さな戦車』の行進だ
邪魔するモノは………『吹き飛ばせ』

「Go! 『Sheer Heart Atack』!」

私の呼びかけにシアー・ハート・アタックは
呼応する様にステイル目がけて走り出す

「!? 何か!何かが来るッ!?貴方、いや、貴様の仕業かッ!!」

私は答えない
シアー・ハート・アタックの行進は何をしようが止められはしない


229 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:20:57.51Fx2eApN+o (14/18)

「『イノケンティウス』ッ!僕を守れ!!」

ステイルの前方に『炎の怪物』が現れた
姿は炎の様に形が固定されないが雄々しくはあるようだ
ま、私にはなんの関係もないがね

それに

『炎』はシアー・ハート・アタックにはとっては好都合だがな

イノケンティウスとやらの発現と共に
我が、シアー・ハート……ええい、長いな
『SHA』と呼ばせてもらおうか
我がSHAの『爆発』が始まった

「グオオ……ッ!!この『パワー』!!
イノケンティウスが押し負けているッ!?」

私にとってはSHAを耐えているイノケンティウスとやらの方が脅威だよ
ま、SHAに爆発の限界は無いからいくらでも爆発出来るんだがね


230 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:22:25.33Fx2eApN+o (15/18)

さて……

「オイ、オイ上条くん、起きるんだ」

私は日頃の鬱憤も込めて少し強めに上条当麻をビンタした
さーてどこまで耐えられるかな?と思った所ですぐ起きてしまった

何だ、つまらないな

「……アイダッ!!何するんですか先生!?」

パーかお前は、状況を見ろ状況を

「ハッ!?あいつは!?ステイルは!?」

私は私のスタンドの事を上手い具合に隠して
上条当麻に簡単な状況を説明した

「どうやら敵は自分の魔術とやらを制御できていないらしい
そこでだ…………」

上条に私は『作戦』を耳打ちする
まあ、SHAの爆発でステイルには何も聞こえていないだろうがね


231 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:24:27.79Fx2eApN+o (16/18)

「ええー!?嫌ですよそんなの!」

やかましい、こっちはスーツが煤まみれなんだぞ
クリーニング代だって馬鹿にはならないんだぞ
ヴァレンチノだぞヴァレンチノ

そーいった事をあくまで紳士的に優しく教えてやると

「イエッサー!不肖、上条当麻!お国の為に……」

そーいうところが面倒臭いんだよお前は

「何故だあああああ!?何故爆発が止まらないんだァァァァァァ!?」

おっと、マズイ
奴ならそろそろ冷静さを取り戻して対策を立てて来かねんな

よし、作戦決行だ


232 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:26:55.16Fx2eApN+o (17/18)

「待てよ…まだだぞ………今だッ!!」

私は即座にSHAを解除するとイノケンティウスの動きが止まった
突然の敵の消失に本体のステイルの戸惑いが現れているのだろう
奴はイノケンティウスを
これだ、この時を逃してはいけない

『奴はイノケンティウスでこちらが見えていない』という
この時を逃してはいけない

「うおおおるぅぅぅあああああああああ!!!!」

上条当麻がイノケンティウスに突っ込む
熱そうだなとは思うが同情はしないぞ

彼の右手で一時的にイノケンティウスが消失した
もはや、ステイル・マグヌスを守るモノは何もない
ステイルは飛びかかって来る上条当麻を凝視する事しかできずに……

「どーやらテメーの予言は外れたみてえだな魔術師ィィィィ!!
こいつはお返しの『お返し』だッ!このクソッタレェェェェーッ!!」

ボガス!!と鋭い右ストレートがステイルの高い鼻をへし折ると
ステイルはそのままノーバウンドで『5m』ほど飛んでいき、壁に激突した

よくもまあ、一高校生がパンチ一発であんなに吹き飛ばせるな

上条当麻はしばらく肩で息をした後、こちらにニコリと笑うとそのまま倒れてしまった
オイオイ……アレも運ぶのか…?この小娘と一緒に……?

私はこれから運ぶ重量を想像すると
溜息が出ざるを得ないのであった


233 ◆tyuVXY5AEU2011/07/27(水) 22:27:39.42Fx2eApN+o (18/18)

打ち止め

書いてて思ったけど、ステイルって相当強くね?
次回は一週間以内だと思う

それじゃ


234VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/07/27(水) 22:38:23.25NZvBiy6to (1/1)

ステイルはいつも相手が悪いんだよなあ
乙、次も楽しみにしてる


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/27(水) 22:49:04.891U9erWe/P (1/1)


シアハめんどくさいってお前自分で名付けた癖に


236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/27(水) 23:03:06.72WqqHIa+D0 (1/1)

ステイルさんは弱くはないんだよ。弱くは。


237VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/07/28(木) 00:19:59.74vb57sb/z0 (1/1)

インデックスを爆弾にしないだけ丸くなったな
まあこれからとどめを刺されるのかもしれんけどさww


238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/28(木) 00:31:31.35N+cIHTFE0 (1/1)


シアハはやはり反則級だなwwww


239名無しNIPPER2011/07/28(木) 08:22:13.27C+bYtYqDO (1/1)

元々拠点防衛型って設定なのに自分から討ってでちゃってるから…
加えて言うとSHAとの相性もわるいし


240VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/07/28(木) 13:21:45.34yu4JzBGAO (1/1)

>>1乙
やっぱ吉良さん強いな


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)2011/07/28(木) 20:51:58.92gERfTkd50 (1/1)

>>237
インさんを爆弾にして触ったら死亡とか恐ろしすぎるwwww

そしてさすがのシアーハートアタックさん、原作でも「治す」という手段でしか完全無力化できなかっただけあるww 


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/07/29(金) 20:33:43.22T2d+4lk20 (1/1)

やっぱりジムで体を鍛えるべきだったんだな吉良さん


243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/08/01(月) 03:30:16.59Vq7NeIxno (1/1)

でも、災誤先生がチ○コ触った手でトレーニングしてる器具だしなぁ


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/03(水) 14:20:50.14UOdbCuUso (1/1)

はいむらー絵が全て荒木絵に変換されて脳内再生ッッ!!
これが>>1のスタンドかッッ!!


245 ◆tyuVXY5AEU2011/08/03(水) 19:23:33.35RTGBMXKPo (1/1)

明日投下しますゥ


246名無しNIPPER2011/08/04(木) 00:02:45.29rL+64h8DO (1/1)

>>245
把握


247VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/04(木) 08:59:26.92uGFwG9iq0 (1/1)

モナリザ待機



248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/08/04(木) 23:09:16.16A+uaCoVCo (1/1)

冬のナマズのように待機


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/04(木) 23:22:03.33hJnA3X6Ko (1/1)

「柱の男」のように待機


250 ◆tyuVXY5AEU2011/08/04(木) 23:23:12.09Q6GF2hcFo (1/1)

ちょっと日をまたぐ


251 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:46:11.91KIHiKLL1o (1/17)

投下


252 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:47:05.45KIHiKLL1o (2/17)

「はぁ……やはりジムに通っておくべきだったか……」

私はやっとの事で小萌先生のアパートへ転がり込んだ
そして今だ目の覚めぬ二人を布団へ投げ込み、今に至る

肩が痛い、それに足もだ
私よりも重たいモノを持った私の体は
まるでその不満を全て私にぶつけるかの様に痛みだす


253 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:48:29.86KIHiKLL1o (3/17)

「大丈夫なのですかー?」

小萌先生はとてとてと私に近寄り『湿布』を差し出してくれた
有難い、これで少しは私の苦労も報われるというモノだ

私が湿布を貼るために上着を脱ぐと
小萌先生は顔を真っ赤にして外に出て行ってしまった
なんだ?何か私がしたか?
何か分からんがともあれ、湿布を患部に貼ると
先ほどまでの反抗が嘘のように鎮圧される
これでしばらく休んでいられると思っていた

その時だった

「肉体の損傷を確認、生命活動の不可の測定の開始
………不可能と判断、対策の構築に移行……」

虚ろな目をした小娘が突然起き上がり、ワケの分からない事を話し始めたのだ


254 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:50:49.52KIHiKLL1o (4/17)

「『書庫』内を検索……対策を『二種』発見
治癒の『確実性』の高いモノを『優先的に』提示
一つ……『回復術式』…周囲の回復術式を使用可能な人物の存在を検索……
『Not Found』…対象の存在を認められない」


「よって『二つ目』の使用に移行』」


正直に告白しよう……私は呆気にとられて何も出来なかったのだった
何より奇妙奇天烈な単語が多すぎる
回復術式だと?自分の耳には馴染みが無さすぎる言葉だ
いや、馴染みたいというワケでもないが


小娘がすっくと立ち上がる


「おい、まだ寝ていないと……」

彼女は私の忠告をどこ吹く風といったように聞き流す

「『左手の型』の作成……Successed……
これより『SENDOU』の実行に移る」

そう言った彼女は左手を『奇妙』な形で握り込むと


『自らの鳩尾に叩き込んだのだった』


255 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:51:40.39KIHiKLL1o (5/17)

「何をしているだァーッ!!小娘ェェーッ!!
行動はともかく理由を言えェーーッ!!」

ドムゥ!と肉を鉄パイプで叩きつけたような音とともに
小娘は自らの拳の前に倒れ伏せた

彼女の口から肺を最後の最後まで振り絞ったような『呼気』が漏れる
馬鹿な、どうして自ら傷口を再び刺激するような真似をするのだ?

私は彼女の肩を掴み、引っくり返した
こんな華奢な身体でよくあんな鋭いパンチが打てたものだと感心しながら
出血の酷かった『背中』を覗く

「……!?…馬鹿な!?何故……何故あの深い傷が……」

私は自分の目を疑った
こんな事が許されるのかというぐらい無惨だった
背中の『刀傷』が、無数の『切傷』が

「『治って』いるのだッ!?」


256 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:52:29.26KIHiKLL1o (6/17)

この小娘ッ!まさか…『スタンド使い』かッ!?
……いや、よく考えるのだ吉良吉影……
スタンド能力は一人『一能力』が基本だ……
ならばこの小娘のスタンドは
あのクソッタレ仗助と同じように『治療』出来る能力があるという事になる……

だったらなぜ即座に治療しない?
それに対策が二つとか言っていたぞ?

やれやれ……この街に来てから疑問が多すぎるな……

私が思考の海で溺れかけていると
小娘がヨロヨロと立ち上がった

「ここは………?」

「………ここは安全だ……
君を傷つける者などいやしないよ……」

改めて見ると……この小娘……『悪くない』……



257 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:53:55.75KIHiKLL1o (7/17)

今まで傷一つ付いた形跡の無いプニプニとした掌にしなやかな指がまた『そそる』じゃあないかそれにこの年頃の女の子にしてはバカ丸出しなネイルアートとやらはしていないのもなかなか好印象だ、程よく伸びて程よく整えられた爪がまたたまらないな……おっと大事なチェックを忘れていた…指の毛は……Good…!!『生えていない』な……おっとおやおや?それぞれの指の比率も完璧じゃあないか……これはかなりポイントが高いぞ……こんな芸術的な『彼女』は久しぶりだ、ぜひ切り……


ハッ!?イカンイカン!思わず『査定』に入ってしまったッ!

欲望をなんとか理性が押さえつける
クソ……こんな『寸止め』……辛すぎるぞ……

彼女と話でもして紛らわすか……

「あー……お嬢さん…お名前は……?」

すると彼女は上目遣いというのだろうか?
おずおずと私の方を見る

「………インデックス…」


258 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:55:35.97KIHiKLL1o (8/17)

インデックス…?『目次』か?
是非、親の顔が見たいな……なんて『センス』だ……

「じゃあ……インデックス、君は……あー……」

聞きたい事が多すぎて何から聞けばいいか分からんな……

「あー……そう…えーと……」

「いいよ、無理に会話を続けなくて
私……行かなくちゃ……」

彼女は私に背を向けて部屋から出ようとするが
私は彼女の肩をつかんで制止する

「まあ待ちなさい、私は曲がりなりにも君の『命の恩人』だぞ?
少しぐらい言う事を聞いてくれたっていいじゃあないか?」

少し恩着せがましいが良いだろう
もし、このまま行かせてしまったら『教え子』の努力が水の泡だからな

「一つだけ聞かせて欲しい、君は一体『なんなんだ』?」

.
..
...
....
.....



259 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:56:40.45KIHiKLL1o (9/17)

「なるほどな、つまり君の所持している『モノ』を
謎の『2人組』が狙っていると?」

彼女が話してくれた莫大な情報を脳内に叩こみ、要約する
正直、『書庫』だとか『宗教』だとか『魔術』は理解出来なかったがね
それに彼女が『完全記憶』の持ち主というのもどーだかなって所だ

「……信じてくれるの……?」

彼女が驚きといった様子でこちらを見てくる
ええい、やりづらい……そんな目で私を見るんじゃあない……

「ああ、信じるよ
こんな状況下で嘘を吐くメリットなんて無……」

そこまで言いかけた私の顔を『白』が占拠する
数秒後に私はインデックスに抱きつかれたという事を認識した


260 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:57:47.82KIHiKLL1o (10/17)

「うぅ……っく…うっく………
うえぇぇえぇぇん………」

な、な、何だ!?何かミスでも犯したかッ!?
今さっきの言動に彼女を泣かせるような事は何も……!!

彼女は涙交じりに語り出した

「私の言う事なんかぁ……誰も『信じて』くれなくってぇ……!!
私は……ずっと……『一人』でぇ………!
『こわい』……『さみしい』……
私の『思い出』はそればかりでぇ……」

……私はこの子に何て声をかけてやればいいのだ…?
………思いつかないので私は考える事をやめ、彼女の背中を撫でる事に集中した

吐き出したい事があるのなら吐き出せばいい
伝えたい事があれば伝えればいい
したい事があるならすればいい
それらが一番難しいという事を、私自身も生きて行く上で実感したが


261 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:58:41.76KIHiKLL1o (11/17)

「どうだ?治まったか?」

まだしゃくり上げているが、呟きが治まった所で私は声をかけた

「……うん…ありがとう…黙って聞いてくれて……
とても……胸の奥がスッキリしたんだよ……」

目こそ真っ赤だが彼女は元気になったようだった

「そうか、じゃあこれからの事を聞いておきたい」

私は彼女の目を見据え、言った

「君はこれからどうしたい?」

沈黙、沈黙、沈黙
重い空気が部屋の中に立ち込める

返事を急ぐ必要は無い
どっちにしろ彼女の傷が完全に治るまで外に出す気はないのだから



そして、沈黙を破ったのは



「ほしゅ……『補修』は勘弁してくらさい……」



親愛なる馬鹿生徒、上条当麻の『寝言』であった

.....
....
...
..
.


262 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 00:59:47.36KIHiKLL1o (12/17)

「煮えましたよー!さあ、お腹いっぱい食べるのですよー!」

小萌先生の音頭で『すき焼き』の蓋が開かれる
小萌先生は買い出しに行っていたようだった
だが、なぜ顔を赤らめていたのかが不思議でならないが

「うおおおお!小萌先生ェーーッ!これ食べてもいいんでせうかァーッ!?」

上条当麻が歓声を上げる
先ほどの『寝言』のお礼に私とインデックスがかけた『ツープラトン』により
彼の『両頬』は『真っ青』になっているが気にしない

「おお……これがジャパニーズスキヤキなんだね……!
『オットンガエル』が入っているというのは本当なのかな!?」

どこの医療アドバイザーだというツッコミは抜きにしても
さっきまでの気張った様子が、年相応の女の子のそれとなったインデックス
カチャカチャと箸を鳴らしているので咎めると、素直に従った所を見ると
素直ではあるようだ……『食欲』の方もだが……

私も取り皿に卵を割り入れ、箸を取る

「それでは……『いただきます』!」


263 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 01:00:49.80KIHiKLL1o (13/17)

刹那、闘いは始まった

「煮え尽きるほどBEEEEEEEEEEEF!」

謎の奇声を発した上条当麻の箸が鍋の『牛肉』を狙うッ!!

「甘いのですよォォォォーーッ!!」

それを遮る小萌先生の箸が『回転』!!
その箸と箸の間に生まれるは
圧倒的風圧の小宇宙!!
風で牛肉が浮かび上がるゥゥゥ!!
見事にキャッチした小萌とは対照的に上条当麻の箸は虚しく空を切ったッ!!

「何ィィィィィ!?だが!甘い!甘いぜ!小萌先生ィィィ!
貴女の取り皿を見てみなッ!貴女は根本的な所でミスを犯しているゥゥゥゥ!!」

「フン!上条ちゃんのハッタリ如きで
この道ン十年の私に精神的動揺は……ハッ!?」

そう!上条当麻は決してハッタリをカマしたワケじゃあなかったッ!!
彼女の!小萌の取り皿には!!


『卵が入っていなかったッ!!』


これでは肉を『冷やせない』!!


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/08/05(金) 01:01:52.45pD8AHrKdo (1/2)

ステイル戦より熱いバトルが始まったか


265 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 01:02:12.46KIHiKLL1o (14/17)

「MMUUUUUU!!だが関係ないィィィ!!
この肉の熱さ如き支配出来ずに『年齢』を支配……」

小萌は躊躇わずに口へと突っ込んだッ!

「………熱いィィィィィ!!ひた(舌)がァァァン!
わらひのひたがァァァァァァ!!
HHHEEEEYYYYYYYYY!!あぁぁぁんまりですぅぅぅぅぅ!!」

ベロを出し悶える小萌ェェェェ!
それをニヤリと笑い!上条当麻は突き抜けるゥゥゥゥ!!

「もらった!!このすき焼き!!完!」

今度こそと上条当麻の箸は肉へと一直線ンンン!!

だがァァァァァァ!それを邪魔する箸が一膳!!


266 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 01:04:35.71KIHiKLL1o (15/17)

「ほーう?ひゃあ、はへがこのふきひゃきのふいーんをふほへふんへふ?
(ほーう?じゃあ、誰がこのすき焼きのクイーンを務めるんです?)
ひはへいほうほう(気化冷凍法)れふよッ!!
上条ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!
『何を食べられるのですか?』貴方は『食刑』ですゥゥゥゥゥ!!」

小萌は!ああ!何という事だろう!小萌は何とッ!!


『上条当麻の皿に『小松菜』を突っ込んだのだッ!!』


「追加は皿のモノをちゃんと食べてからですよォォォォーーッ!
お残しはゆるしませェェェェン!!」

「残念だったなッ!先生!貴方の皿も見てみなッ!
どうも貴女は『一手』遅れる傾向にあるようだッ!!」

小萌は皿をみて驚愕するッ!!

「何ィィィィィ!?これはッ!まさかこれは!
『汁をタップリ吸ったしいたけ』!?」

「フフフ……汁入りのしいたけは熱かろう……!
そして言わせてもらうぜッ!!『お残しはゆるしませェェェェン!!!』ってヤツだァァ!!」

はたして勝者はどちらだッ!?勝利の女神はどちらに微笑むのだろうかッ!?
それは神のみぞ知る事だろうッ!
彼らの闘いは終わらない!!

....................<完>......................

.
.
.


267 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 01:05:45.90KIHiKLL1o (16/17)

「さあインデックス、取り箸が使いにくいだろうから取ってあげたよ
バランス良く入れてあるから残さず食べなさい」

避難させておいた皿を私はインデックスに差し出した
自分でいうのもなんだが、栄養バランスは完璧なように思う

「はーいなんだよ」

舌を出してノックダウンしている二人の分も隔離しておく
だから争いというのは無駄なのだ………

インデックスのシャクシャクと小気味良い音を立てる咀嚼音を聞きながら
そんな事を思った、そんな夏の夜の出来事だった


268 ◆tyuVXY5AEU2011/08/05(金) 01:07:01.29KIHiKLL1o (17/17)

打ち止め

地の文がテンション高かったらナレーション
低かったら吉良吉影の心中って事でお願いします

それじゃ


269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/08/05(金) 01:12:44.70pD8AHrKdo (2/2)


楽しそうな食卓だ


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/05(金) 01:37:56.47z7dCG9lL0 (1/1)


小萌先生wwww


271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/08/05(金) 01:56:06.86/g4Jv3Oxo (1/1)


吉良サイドは平穏だなぁ


272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/08/05(金) 02:18:54.30cQow3HyAO (1/1)

吉良は金八並み


273VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/05(金) 11:15:05.08rN9115z2P (1/1)


しかし鈍感吉良はムカつくな


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/05(金) 12:38:08.61mAlSPtMDO (1/1)

パラメディックインさんww

そしてさっそくインさんに死亡フラグが


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/05(金) 18:55:48.041xU/25LD0 (1/1)

さて神裂さんにはどう対処するのか・・・


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/08/05(金) 20:55:54.51F9oZPxbMo (1/1)



波紋やっぱすごいな


277 ◆tyuVXY5AEU2011/08/10(水) 17:55:06.13pmipcFjJo (1/1)

10日ほど頂きたい……
いざ書いてみるとかんざきさんじゅうはっさい強え……


278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/11(木) 09:21:31.96YWsL5HcM0 (1/1)

おk


279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/08/12(金) 00:41:15.897u6FuFjAO (1/1)

遅れたが了解


280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(四国)2011/08/12(金) 23:54:37.25KTtCtDHAO (1/1)

>>277
肉弾戦あんまり経験してないしな吉良とキラークイーン


281VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/13(土) 04:37:45.50CrIJTgybo (1/1)

原作準拠で負ければいいのでは・・・


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/08/13(土) 11:01:16.32Covqu2CAO (1/1)

>>281
原作はぶん殴ってただろ


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/08/13(土) 12:22:02.16FaHiX+M10 (1/1)

シアーハートアタックに任せて逃げてしまえばどうかな
あるいはスタンドが見えないんだからは命乞いするふりをして触れてしまえば…
まあ殺しちゃまずいんだろうけどww


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/13(土) 16:54:47.583q/OChba0 (1/1)

>>283
ある意味最強だけどきたねえwwww


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/13(土) 18:22:18.07xG/90Sd5o (1/1)

まあスタンド使いと一般の差はそれぐらい酷い物だからな…
一般人は早人みたいに前知識を持って戦闘を避けて駆け引きに持ち込まないとまず勝てない


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/13(土) 22:04:55.179L4Wc/RV0 (1/1)

聖人である神裂さんの「幸運」もチート級だけど


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/13(土) 22:30:26.79mkHmZJO/o (1/1)

[幸運]lackと[勇気]plackの刀、七天七刀か


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/14(日) 00:20:14.27b0un8vvL0 (1/1)

ワイヤーの代わりに髪の毛を使うんですねわかります


289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/14(日) 02:41:18.89A80HxIQUo (1/1)

lackておま
そういう綴りの単語が無いわけじゃないが


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/14(日) 12:07:24.11ISgv7dHH0 (1/1)

luckだ… 二度と間違えるな!  つづりはluckというんだ! lackでもrackでもない!


291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/08/14(日) 14:24:01.00w4Uq4G8t0 (1/1)

ワイヤーの一本でも掴むか触れるかすれば爆弾にして勝てそうだが…


292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/15(月) 17:17:58.59taq0UcrKo (1/1)

吉良と上条はこれからも絡むのかな?
ダブル主人公だと活躍とか補正とかで読んでても忙しくなりそうだから、できれば別がいいな
上条は別件で活躍(=原作での)を伝聞とかの扱いでいい

でも、そこは完結の実績がある>>1の好きなようでいいんだけどね


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/08/16(火) 00:24:38.80UA6tS1wg0 (1/1)

キラークイーンの爆弾って爆弾自体が爆発するものと爆弾に触れたものが爆発するタイプの2種類があるんだよ
実は後者のタイプを利用すると吉良って原作ではやらなかったが接近戦では無敵なチート技が出来るんだよな

自分自身を後者のタイプの爆弾にしておくと相手が攻撃叩きこんできた瞬間に…
早い話が炸裂装甲だがこれやると物理攻撃完全無効になるww


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/16(火) 00:29:20.75pxV2WWsoo (1/1)

仗助と同じ理由だろう。そこまで都合よくは無いよってこと
それが出来たなら迷わず使うだろう、吉良なら




295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/16(火) 07:29:06.79796B5l7DO (1/2)

四部スタンドは自分自身にできないタイプの多かったしな


296VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/16(火) 09:13:30.23Tpc509qwo (1/1)

炸裂装甲は敵の攻撃を綿密に計算された角度から炸裂させた装甲で押し返すことで威力を無効化させる


なんてことだ…吉良は一方通行だったのか…


297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/08/16(火) 09:39:11.62UEcWgYqAO (1/1)

>>293が言ってるのは重ちーの時みたいに自分の服(あの時は100円)を爆弾にすれば無敵ってことだろ


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/16(火) 10:10:07.06796B5l7DO (2/2)

服だとまず吉良が爆発するんじゃねww
エステシンデレラの時のように


299VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/17(水) 22:13:25.03Py2RR2nSO (1/1)

吉良ってあの時片手無いままで他人に成り済ますつもりだったんだろうか
まあ治されたから結果オーライだが


300 ◆tyuVXY5AEU2011/08/19(金) 18:32:15.30K32xpzAPo (1/1)

明日か明後日投下します
レスが多くて感動した


301VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/19(金) 22:44:07.358tInl7+To (1/1)

楽しみでぐっすり寝れなくなるな


302 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 00:51:43.71kFlL/0rCo (1/26)

投下する


303 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 00:52:36.32kFlL/0rCo (2/26)

「プレゼント……だと……?」

昨夜のすき焼きの際に浴びるように飲んだ酒と
今頃きっと夢の中でパーティーでも開いているだろう小萌先生の傍で
私は上条当麻の言った事を聞き返していた

「そうですよ!先生って一緒に住まわせてもらってるんでしょ?家賃も払わずに!
よーするにそれってアレですよね!……えーと……『ヒm』」

瞬間、私は上条当麻の口を塞ぐ
彼がもし仮に、次に母音の『o』を発していたら
側で聞いているインデックスが必ず意味を聞いてくるか、辞書並みの正確な意味を私に投げつけてくるだろう
そんな事をされたら、私の心が持つだろうか?いや、持たない

「それ以上言葉を発するんじゃあないぞ上条君………?
君のウニ頭からウニが出るのは嫌だろう……?
それで……私が『日頃の感謝の気持ち』を……?プレゼントで表せと……?」

事態を理解できていないインデックスが
私たちを不思議そうな眼差しで見るが気にしない


304 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 00:54:04.92kFlL/0rCo (3/26)

「……ブハッ!ゲホッゲホゲホ……
すいません…口が滑りました………
えーと、まあそういう事ですよ…小萌先生にプレゼントをくれるような彼氏もいないようですし……
ここで吉良先生がプレゼントでもしておけば『切られz』」

黙れェェ!!断じて!私は!ヒ……もういい……
だが、名案かもしれないぞ?一応、住まわせてもらってる恩義もあるしな
『家賃』代わりと考えれば……

「まあ……悪くはないんじゃあないか……
『純粋』に!『感謝』を!『形』で!示したいと思っていたしな!!」

さいですか……という上条の呟きは聞き流す



305 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 00:55:28.19kFlL/0rCo (4/26)

「ねぇねぇ!?ショッピング!?ショッピングに行くんだね!?」

インデックスが妙に興味を示してきた
目が謎の輝きに満ち、尻尾があれば振りちぎれんほどに振っているだろう

「いいなあ~こもえだけプレゼントかぁ~~いいなあ~
私に買ってくれる人は……いないだろうなぁ~~」

……?何故こっちをチラチラと見てくるんだ?
欲しい物があるのなら買えばいいのに……

私は上条に耳打ちをする

「なぁ……?彼女は何を求めてるんだ……?」

「さぁ……?上条さんにはサッパリですよ……」

ううむ……………?
………ハッ!分かったぞ!分かったぞ彼女の真意が!!

「そうか!インデックス!そういうことか!」

インデックスがパァ!と顔を輝かせた

「『外食』がしたいんだな!?そうかショッピングの後といえばそうだな!」


306 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 00:56:34.60kFlL/0rCo (5/26)

同じくハッ!と息を飲むと共に上条が私に続いた

「そうか!外食か!いやー!気づきませんでしたよォ~!
そりゃ無理もない!腹が減っては何とやらですし!
流石は吉良先生!感情を読むのが……」

上条がそこまで言った時だった

「…………よしかげの……」

ん?そんなに喜んだのか?
『三軒』か?三軒も外食に行きたいのかこのいやしんぼ……

「馬鹿ァァァァァァァーーッ!!」
.
..
...
....
.....


307 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 00:58:52.00kFlL/0rCo (6/26)

頭が痛い、いや、比喩ではなくてだな
彼女の健康的な『歯型』が私の頭に刻み込まれ、それが熱を帯びているようだ
私が一体何をしたと言うんだ

どーもこの街に来てから私の『キャラ』が崩れているぞ……

まあ、いい

今、私と上条とインデックスは『セブンスミスト』とやらに向かっている
実際のセブンスミストは『服屋』だとからしいが
目印にはピッタリだからとりあえず向かう場所となっているらしい

私がインデックスと手をつなぎ、上条もインデックスと手をつないでいる

「この光景………『アレ』だな……」

何だったか……思い出せない……
いや、思い出してはいけないような気がする……

私がうーむと考え込むと
上条は自信ありげに口を開く

「ああ!分かりますよ先生!えーと確か……そう!『宇宙人捕獲』でしたよね……」

哀れ、上条の腕から先がインデックスの口へと消える
言わなくてよかった………心から安堵する


308 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:00:33.71kFlL/0rCo (7/26)

「うう……不幸だ………なんで上条さんばっかり……
……あっ、着きましたよー!ここがセブンスミストであっちが……」

上条の説明を聞くと、ここら一帯はいわば商店街のようなモノらしい
色々な種類の店が集まっているので買い物がしやすいな

「それじゃあ……何から見ます?」

うーむ、そうだな…じゃあまず………

「ソフト!『ソフトクリーム』買って欲しいんだよ!!」

……決まりだな……、鶴の一声という奴だ

私はソフトクリーム屋に声をかける

「イラッシャイマセ……ゴ注文ハ……?」


309 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:02:30.60kFlL/0rCo (8/26)

ん?

「君?どこかで会ったことはないか?」

この『外人』……どこかで会ったような……?

「イエ……会った記憶はゴザイマセン……」

そうか、まあ思い出せないのなら重要じゃあないのだろう

インデックスはソフトクリームの味を決めるのに夢中だった

「んーと!んーと!リンゴソース味に……プリン……
ああ!トマトってのもあるんだよ!!」

言っておくが、一つしか買わないからな

「……よしかげのケチ…」

何とでも言うがいい

結局、インデックスは『雪解け』味とやらを選んでいた

「オ・カピートォ……」

ものの十秒でソフトクリームを持ってきた店員に金を払った

アルプスの雪解け………美味いのか…?
まあ、鼻の頭に付いてる事も気にせずに食べてる様子で美味さは分かるよ



310 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:03:49.99kFlL/0rCo (9/26)

「さて……今の内にプレゼントを選んでおくか…」

インデックスはベンチに座らせ、上条と私は品定めだ

少し歩くと雑貨屋を見つけたので入ると

「イラッシャイマセ……」

ん!?さっき……まあいいか……

店の中で私は上条と別れて、各々で探す事にした

うーむ……よく考えれば……彼女の『趣味』を知らなかったな…
上条に聞いておけば良かった……

すると、上条が何かを持ってこっちに走って来た

「適当に見繕って来ましたァーッ!」

ほう、上条にしてはやるじゃあないか……!



311 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:06:30.86kFlL/0rCo (10/26)

「えーと…とりあえず女性が喜びそうな物って事で……
まずはラバーソウル社製の『美顔器』!!
余分な物がグジュルグジュル潰れてェーッ!」

却下、今のままで十分に彼女は小顔だ

「まーそうですね……じゃあこれは!?
ていとうこ.com製品の『付け爪』!
なんとこれは爪の先から護身用のレーザーを……」

却下、彼女は既に美しい『手』をしている

「………じゃあこれは!?
アウターヘブン・コーポレーションの『無限・美容フェイスペイント』!!
これを顔に塗るだけで……」

却下、彼女はもう可愛らしい顔をしている

「……………まあいいです……
……倉院の里限定品の『クライン・リバース』………これをつきつけ……」

却下、もう既に「デレデレじゃあねーかァァァ!!」

なんだ、人が話している時に

「さっきから黙って聞いてりゃ先生!
俺が持ってきた物を全部『却下』で済ませたあげくに小萌先生を褒めあげるし……!
もう何も言いません!何も言いませんから先生が決めてくださいよォォォォ!!」

彼はこの鈍感教師ィィィ……と叫びながら何処かへ去って行った
彼は一体、何がしたかったのだろう……?

一人残された私はおとなしくプレゼントを探すのだった……
.....
....
...
..
.



312 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:07:31.22kFlL/0rCo (11/26)

「『コレ』にしたが……いいのだろうか……?」

私は上条とインデックスと共に帰路についていた
といってもインデックスは何故か、待ち合わせ場所で眠りこけていたので
私がおぶっているがね

プレゼントは結局私自身のセンスで選んだが
我ながら良いセンスなんじゃあないか?
きっと彼女も気に入ってくれるだろう


313 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:08:24.55kFlL/0rCo (12/26)











『どくん、どくん、どくん』


314 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:09:54.03kFlL/0rCo (13/26)

………?
なんだ?この『奇妙な』感覚は……?
この道は家への最短距離なのだが……妙に『近づきたくない』ぞ……?
なぜだ?特に理由はない…のだが……『通りたくない』……だと…?

思わず立ち止まってしまった私を見て
上条当麻は問いかける

「先生?どうしたんですか?気分でも悪いんですか?」

いや、これは病気の症状ではない
ではないのだが、説明できない思いでいっぱいになる
とにかく通りたくないのだ
純粋にそれだけが私の身体を支配する

「いや……そういうんじゃあないんだ、ありがとう
だが、ちょっと私は回り道をして帰ることにするよ……
先に帰って小萌先生に言っておいてくれないか?」

わかりました、と上条は了解してそのまま帰っていった
私はすぐにこの場を立ち去り、近くの休めそうな場所を探した
幸運なことに『三沢塾』という塾の前に、公園があったのでそこのベンチで座り込む

気づくとあの奇妙な感覚は消えていた
何だったのだ一体?

そう思った時だった


315 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:10:46.95kFlL/0rCo (14/26)

「やあ、また会ったね
確か……そう…ヨシカゲ・キラとか言ったっけ?」

赤髪の魔術師、ステイル=マグヌスが立っていた

「おやおや……いつかの雪辱戦というワケか…?」

私は静かにインデックスをベンチへ寝かせ、キラークイーンを発現する

ここなら人通りも少なそうだ
奴が私を殺してでもインデックスを奪うのなら……『容赦』はしない

だが魔術師の返答は違った


316 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:11:46.04kFlL/0rCo (15/26)

「馬鹿な、君と争う理由はないよ
第一に僕を二度もぶん殴ってくれたのは、あのカミジョーとかいう奴だしね」

なるほど、確かに『殺意』は感じられないな
私は臨戦体制を解いた、まあキラークイーンはまだいるがね

「そうか、じゃあ何の用だね?
まさか、しがない教師からカツアゲというワケじゃあないだろうな?」

私が軽い冗談を飛ばしても奴は反応しなかった


ただ、彼が言ったことは


「説明をさせてほしい、僕が…『僕ら』がインデックスを追っていることについて……」

.....
....
...
..
.


317 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:12:39.30kFlL/0rCo (16/26)

なるほどな
彼女の絶対記憶能力のせいで記憶を消さなくてはならなかった

だから追って、捕まえないとインデックスが死ぬ所だった

ちなみに、脳の内容量を%で表すと魔導書が85%、記憶が15%
その周期はおよそ『1年半』である


……ん?
待てよ……何か見落としていないか……?

「ステイル君、君は一年半で15%を丸々使い切ると言ったな?」

タバコの灰を落としながらステイルは肯定した

「だったら……『矛盾』が生じないか……?
なにかで読んだが、世の中にはインデックス以外にも完全記憶が出来る人はいるそうだ……
だが、そいつは少なくとも10歳の誕生日を迎えているぞ?
君の言うとおりに完全記憶だと1年半で15%も脳を使うというのなら……」

そこまで言いかけた時だった


318 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:13:19.60kFlL/0rCo (17/26)



















「ハイジョスル」


319 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:14:18.88kFlL/0rCo (18/26)

ステイルが炎剣を取り出し、斬りかかってきたのだ!

「何を……!?」

私は奴の瞳を見て、違和感を覚える
経緯を語る彼の瞳には『光』があった
騙し討ちをしかけてくるようなクズには決して現れない光が

だが、今の彼にはそれがない
まるで死んだ昆虫の虚ろな眼のようだ
私をただの標的としか見ていない

「ハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスルハイジョスル」

ステイルは吉良に向かって再び飛びかかるッ!
狙うは吉良の首!ただそれだけが彼を満足させるものだったッ!!


320 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:16:31.94kFlL/0rCo (19/26)

「ハイジョスルゥーーッ!!」

しかたがないと吉良は呟き、キラークイーンで応戦しようとしたッ!!
吉良に久方ぶりの『敵意』が発生!
さっきまでの話はデタラメだったのか、そこまでのゲスだったのか!
こんなゲスに生きる価値はないッ!消えてもらうッ!!
吉良吉影はステイルを殺しにかかろうとした!

だがッ!吉良は再びステイルの『瞳』を見てしまった!

そこにあったのは『涙』だった!
とめどなく流れる涙は彼のローブをひたすら濡らすッ!!

ついさっきまでは流していなかった涙ッ!
この涙を見て、吉良の心は……

「うおおおおおおーッ!
キラークイーンッ!『守れ』ェェェーッ!!」

揺らぎ出したのだったッ!!

彼は守りに転じる!
彼は『ワケ』が!『ワケ』が聞きたくなってしまったのだ!
なぜそこまで堕ちてしまったのに『涙』を流すッ!?
理由によっては……小萌先生への『誓い』破らざるを得ないッ!!


321 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:18:06.32kFlL/0rCo (20/26)

「来い!魔術師ィィィ!!」

吉良は決めていたッ!この戦いで『SHA』は使わないッ!
一発……!奴に一発叩き込んでしまえばこちらのものだ!
一瞬で彼をまどろみの世界へと送り出せるッ!!
だが……ああ……何ということだろう……!


『一発が遠い……遠すぎるのだッ!』


奴の火炎は自由自在だった!
炎剣が吉良の顔の側まで来ると『火力』が上がりッ!吉良の『肩』を炎が舐めるッ!!

「グッ……!!やはり……シンプルなのが強いか……!!」

事実、吉良は押されていた…!
彼のキラークイーンは『近距離型』!射程はせいぜい2m!
だが奴の炎剣に『限界』が見えないのだったッ!
奴は見境なしに魔術を注ぎ込み!炎剣はグングン『伸び』てくるッ!!


322 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:20:46.11kFlL/0rCo (21/26)

「(クソッ…!左肩が重すぎる……!動かない…!!
この戦い……!!さっさと終わらせたいが……!近づけばやられる……!)」

キラークイーンの能力は爆弾を作る事ッ!
だが!『素材』が無いのなら話は別だッ!

「(砂利でも何でも良いが……奴が『拾う』隙を与えてくれるワケが無い……!!
それに、砂利ではダメージが少ない……かといって消し飛ばすのも……!!)」

どうする!?逃げるか!?いや、それは無理なのだッ!
吉良はインデックスを守らねばならないッ!
だが!インデックスを拾っている間に殺られてしまう!

だが!彼の脳内に悪魔がいるのならば!こう囁くだろう!


323 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:22:22.59kFlL/0rCo (22/26)

『インデックスを見捨てろ』

なんて心地よい『可能性』だろうかッ!?
そうだ、元々はただの行きずりだ!
逃がしてしまおうじゃあないかッ!
彼らの世界の住人なのだ!彼らの世界の『掟』に従わせればいいのだ!!

だが、吉良吉影は見捨てないッ!

いや!見捨てなかったのは吉良吉影自身の『思い』だけの功績では無い!
『上条当麻』の熱いインデックスに対する思いがッ!吉良の『何か』をプッシュしたのだろう!

上条当麻の優れている所はそこなのだ!
彼は知らず知らずの内に周囲に『波紋』を広げる!
影響される者も少なからず存在するのだッ!!


324 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:24:01.77kFlL/0rCo (23/26)

「クソ……!!やるしかないのか…!
これだけはやりたくなかった……いつかの『アレ』を思い出すんだよ……!!」

吉良吉影は足元の砂を蹴り上げるッ!
だが『砂』を爆弾にしても!ステイルを完全に消し飛ばすか、ほんの少しのダメージしか与えられないのだッ!!
何事も都合良くいくワケではないのだッ!!

なら彼の選択はどっちだ!?
ステイルを『見極める』のはやめるのかッ!?
それともチマチマと攻撃して、お互いがボロボロになるまで続けるのかッ!?


325 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:32:10.24kFlL/0rCo (24/26)

だがッ!彼はその『どちら』も取らない!!


『メリメリメリメリ……!!』
『メリメリメリメリ……!!』
『メリメリメリメリ…』『ブシャァァァーッ!!!』

「うう……!!痛いよ……!!すごく痛い……!
やっぱり『何回やった』って慣れやしない……」

砂埃が収まり、ステイルが吉良を発見した時はもう遅かった


『ペチャリ』

『何か』が神父服に飛んできた
ステイルは自分の腹に飛んできた物を見る


「やっぱり……『自分の肉体』を『千切る』のは痛いよ……!!」


『ステイルの神父服には吉良の【左肩】がくっついていたのだった』


「うう……クソ……絶対に治せよ学園都市……」


ステイルが逃げるにはもう遅かった


吉良は宣言する


『着火!!』

何という『憎き肉片』だろうか
『肉』が『肉』、『骨』を焼き尽くす
普通の人間なら泣き出すか、痛みのあまり即、失神であろう

ステイルは仁王立ちのままタバコを取り出し、喫う
そしてタバコを取り落とし、絞り出すように言った

「アリ……ガトウ………」

吉良は倒れ伏しているステイルの側へ寄っる
吉良はゆっくりと『手首』を取り、脈を採った


……………………『トクン』……


「良し、ギリギリ死んではいないようだ……」

念のため、『首筋』の方の脈も採っておこう
彼はそう思い、神父服を脱がす

『ストン』

ステイルの首筋から『何か』が落ちる
『ソレ』は、よく今まで、この神父服からこぼれ落ちなかったなと感心させるような大きさだった

吉良吉影が『ソレ』を拾い上げ、確認する


『ソレ』の正体は


『ドス黒い色をしたDISC』であった


326 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:34:57.71kFlL/0rCo (25/26)

打ち止め

http://i.imgur.com/mOAVo.jpg
宇宙人捕獲ってのは捕らえられた宇宙人の事ね
真ん中がインデックスさんです

それじゃ


327VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/21(日) 01:35:52.85RmzE8tlSO (1/1)

吉良やディアボロ改心させまくってる上条さん凄すぎるだろ


328 ◆tyuVXY5AEU2011/08/21(日) 01:45:03.99kFlL/0rCo (26/26)

>>327
すまん、言わせてほしいが
吉良は改心はしてないんだわ、ただの「上条がああ言ってたしなあ」程度なんだ
深く書きたかったけど、あそこで長々と書いても蛇足かなあと思っちゃって……
性格を「隠してる」程度と考えてくれたらすごく嬉しい


329VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/21(日) 01:47:03.51QdeKXv/DO (1/1)

乙!


330VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/21(日) 02:09:48.06JRceCaTHo (1/1)

吉良は「自分が悪い事してる」て思ってないからな


331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/08/21(日) 03:26:17.57mq5bKyWAO (1/1)


吉良さん覚悟してるだけあって格好いいな


332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/21(日) 09:53:08.27FotZrtCDO (1/1)

ふと思ったんだが、誰か適当な空力使いとコンビ組めば原作以上に高性能な空気爆弾ができるんじゃね?


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/08/21(日) 09:59:37.02Yx0sm8POo (1/1)

吉良は悪いわけじゃない
社会が許さないだけ


334VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/21(日) 11:32:08.17I0qLH2BnP (1/1)


プッチの存在完璧に忘れてたわwwww

>>333
悪じゃん


335VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県)2011/08/21(日) 11:41:42.214zmvjXCn0 (1/1)

原作でも[ピーーー]とまずい状況だって頭で分かっていても我慢できずに無意識のうちに首絞めようとするくらいだからな
もって生まれたサガは止められない、それこそ人が自分の爪が伸びるのを止められない様にと言ってる様に割と仕方ないことなのかもしれんな

それこそ社会が許さないが、ある意味では純粋なのだろうww

そしてねーちんは上条さんが頑張るのかww


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/21(日) 12:24:55.70UoQiMkd7o (1/1)

でもあの鈍感っぷりは明らかに上条さん混じってるぞww


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/22(月) 00:02:59.13dsHspvLSO (1/1)

吉良は自分の欲求が悪である事は自覚しているし、社会的に許されない事も理解している
しかしそれを自らの抑えられないサガと受け入れたうえで自分の幸福と心の平穏のために全力を尽くす
最悪の自己中なのに実力や頭脳が伴ってるから質が悪い


自らを悪だと理解していないのはプッチ神父
これが正義で自分は正しい事の白の中にいると信じて疑わない
マックイィーンへの言葉がまんま自分にブーメランしてる残念な人


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/22(月) 00:22:58.12VHAHZkCao (1/2)

悪だと気づいているのに前向きにその悪癖と付き合おうとしてる
字面だといい事の様に聞こえるけど、荒木がずっと言っている悪そのもの
自分だけの為だけに他者を利用し踏みつける。まさに吉良吉影のこと

他の作品で似たタイプにからくりサーカスの白金がいる。違うことは自分が悪として認識してないって事だけど
どっちが最悪かな



339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/22(月) 12:41:35.18+yb+6BjDO (1/1)

実際心の平穏を保つには開き直るしかないし
生まれついてそういうのだからむしろ可哀想ちゃ可哀想なんだよな
プッチ神父は完全に自分の目的を果たすためにやってるけど吉良は自分じゃ抑えられない部分があるからな


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/08/22(月) 13:43:59.617CR7uC0Oo (1/1)

自分の心は抑えこむ事はできても確変する事はできない
世間はいつだってロリコンに厳しい、ロリコンに生まれたものは[ピーーー]と言わんばかりだ
しかし解決策なんてない、性癖の時点で人生詰んでる、吉良もシチュエーションはそう変わらない


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/22(月) 14:46:43.12VHAHZkCao (2/2)

そこで一般人なら二次元に走るが、吉良は何らかの絶対にばれない、足のつかない方法でロリに近づく


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)2011/08/22(月) 20:25:03.41myhb3LlAO (1/1)

吉良ッ! おまえの命がけの行動ッ! ぼくは敬意を表するッ!


343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/26(金) 16:39:32.64I0rV0lN00 (1/1)

http://jump.vip2ch.com/http://gigazine.net/news/20110826_jojos_bizarre_adventure_movie/
ジョジョ、実写化て正気だろうか?



344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/08/26(金) 17:03:18.21WpNLTeeBo (1/1)

世の中には言っていいことと悪いことがある
世の中には知っていいことと悪いことがある


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/08/26(金) 19:10:04.84NybJBvJdo (1/1)

死んでもやっちゃいけないコトと死んでもやらなきゃいけないコトがあるんだ!!


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/28(日) 01:00:24.83ELke8P6nP (1/1)

マダー


347 ◆tyuVXY5AEU2011/08/28(日) 14:58:22.32lCs8V3b2o (1/1)

近日中に投下

ジョジョ実写化……豪華アイドル……
たぶん、緑の赤ちゃん起動させる為のキーワードに違いない


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/08/28(日) 15:33:51.46lq1ByLF3o (1/1)

これは試練だ


349VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/28(日) 15:35:58.98kt20BVG8o (1/1)

映像化に打ち勝てと・・・俺は受け取った


350VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/28(日) 17:15:21.85LxHkGiYd0 (1/1)

実写化なんてゲロ以下のにおいがぷんぷんするぜ


351VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/28(日) 18:35:45.42OEU4AwwDO (1/1)

実写化して変なの増えなきゃいいな~………


352VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/08/28(日) 20:53:04.66dTmTb7Gqo (1/1)

はっきり言ってDBよりむずかしいだろ
しかも一部ってスタンドないから分かり難いし


353VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/08/28(日) 23:14:20.54/BreCByVo (1/1)

実写は俳優がジョジョ立ちできてればそれで成功でいいよもう


354VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/29(月) 00:05:51.62orpq6HvXo (1/1)

とにかく完全再現&雰囲気作りに注意してもらいたいね
ゲーム二作、映画一作とこけてるんだから


355VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/29(月) 09:55:21.91WsKpnuYDO (1/2)

作者は映画も意識してるし実写はそんなに気にしなくていいと思う
役者は知らんがまあ必死に生きてる様が撮れればいいんじゃあないかな


356VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/29(月) 10:00:05.60WsKpnuYDO (2/2)

作者は映画も意識してるし実写はそんなに気にしなくていいと思う
役者は知らないけどまあ必死に生きてる様が撮れればいいんじゃあないかな
常に試練の嵐だし案外やり易かったりして



357 ◆tyuVXY5AEU2011/08/30(火) 18:26:27.83DmI3mFvoo (1/2)

ちょっとテスト
ローカルルール云々が出る?自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


358 ◆tyuVXY5AEU2011/08/30(火) 18:55:35.51DmI3mFvoo (2/2)

なんか変なの出るから今晩の投下はやめときます
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


359VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/31(水) 19:43:33.162udxSDlR0 (1/1)

まだ当分投下はないって事か・・・・・・
見辛いけど他のスレじゃ普通に投下してる人も多いし早く続きが読みたいジレンマ自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


360 ◆tyuVXY5AEU2011/08/31(水) 22:16:03.44V8C1zu+Do (1/1)

良い機会だから『とある異界の来訪者編』の終わりまで書いてから投下するわ
たぶん、これもその頃には消えてるだろうし⇨自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


361VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/08/31(水) 22:17:01.38ZirOXF+jo (1/1)

おk自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


362VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/08/31(水) 22:26:32.75q2URt74to (1/1)

期待して舞ってる
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/08/31(水) 23:29:35.397X3XiwSAO (1/1)

キテタ!自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1314546216/


364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/05(月) 16:48:03.56l/87Y4Z0o (1/1)

下表示されなくなったな


365 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 19:37:51.36Xzn+2avfo (1/23)

……正直に告白しよう……
『最後まで書ききれていない』……
でも今夜投下するよ!


366VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/09/05(月) 20:25:26.621KD+e0yAO (1/1)

覚悟完了


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/09/05(月) 21:39:19.652arOZnI8o (1/1)

当方に徹夜の用意あり!


368 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:49:19.41Xzn+2avfo (2/23)

投下する


369 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:50:14.14Xzn+2avfo (3/23)

「おい、起きろ」

おかしいな、猫草の時とは同じようにいかないか……?
タバコを鼻の前に近づけても起きる気配はゼロだ

それにしてもである
吉良は自分の手の中にあるDISCが気になって仕方がない
人体からヌルリと出てきたこの『DISC』
彼にはその『用途』というか、『意味』が分かりかねていたのだ

「(魔術とは無縁のように思えるがな……)」

DISCは市販のCDが巨大化したようなモノだった
唯一、CDと違うといえば『弾力』がある事ぐらいだろうか?

しかたがない、こいつを起こすのは後回しにせざるを得んな…

ステイルが起きるまで、吉良はDISCを調べ始めたのだった

.
..
...
....


370 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:51:16.19Xzn+2avfo (4/23)


時間は彼が小萌の家への帰路についていた時に遡る
突然の吉良の行動の理由を不思議には思いながら
特に詮索する必要もなかろうと、他の事について考える事にした

「インデックス……か……」

ベランダに引っかかっていた時の事
赤髪の魔術師に踏みつけられていた時の事
無邪気にすき焼きに喜んでいた時の事

どうして彼女が巻き込まれねばならない?
どうして彼女はそんな重荷を背負わねばならない?
どうして彼女は『泣かない』といけない?

上条当麻は自らの事を『不幸』だと称してきた
実際に、それは正しいのだろう
彼自身も『外』では酷い目にあってきたのだから
そんな彼にはインデックスの事が、どうも他人事とは思えなかった


371 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:52:50.52Xzn+2avfo (5/23)

上条当麻は『バカ』である
困っている人がいれば自分が傷つこうが助ける『バカ』である
だが、必死に自らの苦しみを隠している人に気づかない程の『バカ』ではない

彼は、『誓う』
インデックスを守り抜く事を、インデックスを泣かせない事を
彼は、『祈る』
インデックスがこれから笑って暮らせるようにと

彼は、彼は、彼は、彼は
筆舌に尽くし難いインデックスへの『思い』が彼を満たす
それは『恋』だなんだという甘っちょろい『感情』じゃあなく、純粋な『思い』だった

彼の『思い』を止められるものはあるだろうか?
彼の『心』を止められるものはあるだろうか?

その問いに我こそはと立候補するかのように
『何か』が音を立てて空から降ってきた
アスファルトを砕き、体に良さそうではない煙で辺りが覆われる


「上条……当麻…ですね……」


372 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:54:48.38Xzn+2avfo (6/23)

煙が止み、上条は改めて目の前を見ると『女』が立っていた
ジーンズを片方、どこかに引っ掛けてきたような『非対称』な服装の彼女は言う

「手短かに言わせていただきます、インデックスを渡しなさい」

彼女は『刀』の柄を握りしめ、いつでも抜けるような体制をとる
心なしか、上条には『刀』が光り輝いたように見えた

「いきなり誰だよお前は……?
一体、インデックスの何なんだよ!?」

彼の問いに、決して構えは解かず彼女は言う

「『神裂火織』
それ以上は答えるつもりはありません」

今度はこちらの番とばかりに
改めて、彼女は言い放つ



373 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:56:26.38Xzn+2avfo (7/23)

「インデックスを、渡しなさい」

ダラリ、嫌な汗が上条の頬を伝う
まるで得体のしれない『何か』が、後ろで舌なめずりをしているようだ

お前の命は私の手の上だと脅しつけてくるような『ソレ』が上条当麻の心臓を掴んだ
決して一思いには潰してくれそうにはないようである

彼の心臓の常務を乱す『ソレ』に上条当麻は小さな抵抗を試みた

「……嫌だと言ったら…?」

「斬ります」

即答だった

彼女の表情は無機質な『鉄』のように動かず、感情を伺わせない
その『鉄』が冷やされているのか熱せられているのかは定かではないが……

ポツリと、上条当麻は呟いた

「……お前はさ……出来んのか……?」


374 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 21:59:12.84Xzn+2avfo (8/23)

上条当麻は拳を握りしめる
ぴきりぴきりと青筋が立ち、ぷるぷると拳が震えだしていた

「大事なモノを壊してやるから渡せと言われて渡せんのか……!?
大事な人を……悲しんでいる人を見殺しにできんのか……!?

もう遅いんだよ…インデックスは俺の中で大きくなりすぎちまってんだよ……!!
もう、悲しませたくはねえんだよ……!!
もう…アイツを……泣かせたくはねえんだよ……!!

俺はなッ!てめえの『命』の為にッ!『プライド』を差し出すようなマネはしたくはねえッ!!

俺はなッ!いいか!?俺はなッ!!

『自分』に逆らう事は出来ねえんだッ!

『自分』に逆らうくらいならッ!『自分』に嘘を吐くぐらいなら『死』を選んでやる!!
お前らから見ればバカかもしれない!
だけどなッ!!俺から見れば『お前ら』の方がどうかしてるとしか思えねえッ!!」

上条当麻は肺の中の空気を吐き出すように叫ぶ

「お前らのようにッ!ただの女の子を『理由もなく』……」

叫びを遮り、神裂も同じように叫んだ

「やかましいんだよッ!このド素人がッ!!」


375 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:00:43.42Xzn+2avfo (9/23)

彼女は巨大なダムの決壊のような勢いで叫ぶ

「私が本当にあの子の事をただ傷つけるだけとでも思ってるんですかッ!?
あの子を理由もなく……!!追い回してるとでも……!!!
私たちはッ!!『あの子の為』に行動を……!!」

上条当麻は問い返す

「何を言っているんだッ!?インデックスの背中を斬ったのはてめーらじゃあねーのか!?
そんな事をしておいて『あの子の為』だと!?ふざけてんじゃあねーぞッ!!」

瞬時、神裂は『刀』の鋒を上条の鼻先へと突きつける
黙れ、黙らないとお前の顔を平らにしたって構わないんだぞ?
目の前の口やかましい男を『物』に変えたって構わないんだぞ?
そんな鬼気迫る様子で彼女は声を荒げる

「何も分かってないのに口を出さないでくださいッ!!
こうでも……こうでもしないと彼女を『救え』……」

その時だった

「おぉ~っと~?神裂ちゃんよォ~?
ちょ~っと話しすぎのようじゃあねえかァ~?」


376 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:03:06.45Xzn+2avfo (10/23)

どこからか声がすると共に、神裂は地面にストンと膝をついた
その、いわば『脱力状態』とでも呼べる状態は糸の切れたマリオットのようである
そんな神裂の様子を知ってか知らずか、『声』は続ける

「まぁったくよォ~これだからこの姉ちゃんは向いてねえんだよなァ~
闘いの時に敵の話を聞くのはド三流ってもんよォ~!
何百年も闘いを見てきたがなァ~そーいう奴は真っ先に死んだがね、ギャハ!」

突然の『第三者』の声に上条当麻は戸惑いを隠せない
どこからだ?どこから声がしているのだ?
声は『男』のようで『女』のようでもあるが
『赤ん坊』のようで『老人』のようでもあった



377 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:05:02.28Xzn+2avfo (11/23)

「誰だッ!?姿を表しやがれッ!!」

上条当麻をバカにした口ぶりで『ソイツ』は言う

「姿だ?もうてめーには見えてんじゃあねーか」

上条当麻は辺りを見回す
自分たち以外は誰もいない事に気づいたが、今はどうだって良い

道路、街頭、歩道橋、座り込む神裂……


そして


「まさか……!?」

声の『発信地』は眼前からであったのだ


378 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:06:43.87Xzn+2avfo (12/23)

「そぉうだ!やっと気づいたかッ!
最初っから俺はてめーの前にいたんだよォ~ン!」

『刀が喋っていたのだ』

「我が名は『アヌビス神』ッ!!」

神裂が不意に立ち上がり、首だけでこちらを向いた

彼女の口が動く、今まで話していたのは彼女だったのだッ!!
だが、明らかにその声は刀に『憑かれて』いたッ!!

「命によりッ!!貴様を[ピーーー]ッ!トーマ・カミジョォォォォ!!!」


379 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:08:36.48Xzn+2avfo (13/23)

「そぉうだ!やっと気づいたかッ!
最初っから俺はてめーの前にいたんだよォ~ン!」

『刀が喋っていたのだ』

「我が名は『アヌビス神』ッ!!」

神裂が不意に立ち上がり、首だけでこちらを向いた

彼女の口が動く、今まで話していたのは彼女だったのだッ!!
だが、明らかにその声は刀に『憑かれて』いたッ!!

「命によりッ!!貴様を殺すッ!トーマ・カミジョォォォォ!!!」


380VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/05(月) 22:09:12.82Xzn+2avfo (14/23)

その勢いは疾風ッ!辺りに風を吹き起こし、上条当麻に向かってきたッ!!

上条はとっさに選択肢を作り上げた!
受け止めるかッ!?向かっていくかッ!?
否、両方とも不可!どちらの行動にしろ、上条当麻の頭は唐竹のように割られるであろうッ!!

上条は右へと飛びのいたッ!!

無音ッ!上条の元いた場所が無音で二つへと割れるッ!!

「(こいつは……ッ!!マズイ……!!)」

上条は『神裂withアヌビス神』の恐ろしさに気づくッ!
『アヌビス神』自体の切れ味も素晴らしいッ!だがッ!神裂の身体能力は『異常』だったッ!
レベル5の肉体強化でもここまでは強化出来るはずがない!

「『すまん』ッ!先に謝っとくぜェーッ!」

上条当麻ッ!渾身の力で神裂の鳩尾を打ち抜いた!
だが!神裂にまったくダメージは無いッ!


それどころか!!


381 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:10:49.11Xzn+2avfo (15/23)

「『捕まえた』ぞ……!!ウオシャアアアアアアアアアアアッ!!」

神裂は刀を持ってない方の手で上条の頭を掴みッ!!刀を振り下ろすッ!!
狙うは『首』!そう!上条当麻の頭と胴を繋ぐ『首』!!

「やられて……たまるかよォォォ!!」

その時ッ!上条の『生存本能』が彼の『右腕』をプッシュするッ!

『刀の柄を掴み返したのだッ!!』

普段の彼なら決して出来るはずはないッ!
上条の『中』の何かが危機に反応したのだろうか!?
その実は彼自身にも分かってはいないだろうッ!!


382 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:12:29.55Xzn+2avfo (16/23)

「はっ!?私は……!?」

神裂が『元の声』に戻るッ!
彼女に憑いていたアヌビス神はどうやら『消え去った』ようだったッ!!

上条はその様子に安堵!安堵!安堵ォッ!!
その『安堵』は上条当麻の『右手』を緩ませる事に成功してしまったッ!!

「ウバシャアアアアアアッ!!」

アヌビス神ッ!!復活ゥゥーッ!!

アヌビス神は逃さないッ!この『緩み』を逃さないッ!!

神裂の脅威の筋力をフルに使った一閃!!
肩から胸にかけての一文字斬りッ!!
タフではあるが、ただの一高校生である上条当麻を狂い悶えさせるには十分な一撃ッ!!


383 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:14:28.44Xzn+2avfo (17/23)

「うっぐゥゥ……!!」

上条当麻が地面に膝をつくのも無理はないッ!!
達人による『剣技』ッ!『鋼鉄』を『気軽』に斬り払う『剣』ッ!
そんな『2力』の調和による『一撃』をモロに食らってしまったのだ!
今、こうして上条当麻が生きているだけでも不思議なほどである!

一方の神裂withアヌビス神は距離をとった!
アヌビス神は求めているのだッ!上条当麻の『右手』について考える時間をッ!!

「うー……ハァァァァ……」

神裂withアヌビス神は呼吸を整え、思考の海へと潜る

「(ヤバイぞ……『奴の右手』は……!!
あのクソッタレ神父に聞いた以上じゃねえか……!!
スタンドに『干渉』出来るだと……!?スタンドを『押さえ込める』だと……!?)」

アヌビス神は上条当麻に触れられた瞬間、一種の『眠り』のような状態に陥った
それも薬かなにかで無理やり眠らされたような『強制力』により
一時的に神裂を支配する事が『不可能』となってしまったのだ


384 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:16:29.69Xzn+2avfo (18/23)

「(だが…それも『触れられている間』だけのようだぜ……)」

ならばとばかりにアヌビス神は神裂を『構え』させる

「(『簡単』な事だ…!ヤツに勝つのはな……!!
『純粋』に触れられないほどのスピードで斬り裂きゃあいいんだ……!!
そうだ……!俺は……俺は……『絶対』に……!!)」

神裂の暗い瞳が『光る』

「ぜぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇったぁぁぁぁぁぁぁぁいにィィィィィィィィィ!!!
負ァァァァけんのだァァァァァァァァァァァァーッ!!」

神裂withアヌビス神は上条へと向かうッ!!
その距離ッ!およそ『50m』ッ!周囲は『街』ッ!
『武器』になりそうなものは何一つとしてないッ!!

ならば!ならば上条当麻はどうすればいいッ!?
腕を出せば腕がッ!脚を出せば脚が叩き斬られるッ!!


385 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:18:59.28Xzn+2avfo (19/23)

上条当麻は動けなかったッ!
それが痛みによるものか、多量出血によるものかは定かではない!!
その『贄』として選ばれた子羊のように、おぼつかない足で立ち上がる様子は
アヌビス神に『勝ち誇らせる』には十分であったッ!!

「クソガキィィィ!てめぇはもう!『チェック』」

アヌビス神は声高らかに『宣言』しようとするが
上条はアヌビス神の言葉を遮りッ!!『継いだ』ッ!!

「『メイト』にはァァァ!!まだ早いぜェェェェーッ!!」

眼前へと迫る神裂へ向かって
上条当麻が取った行動!その行動とはッ!!


386 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:21:14.93Xzn+2avfo (20/23)










「『血』のォォォ!!『目潰し』しかねえだろうがァァァーーッ!!!」








387 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:21:44.98Xzn+2avfo (21/23)

右手にベッタリと付いた血糊を神裂の『顔面』へと振り抜くッ!
視覚を『共有』していたアヌビス神の視界は血に染まるッ!!

「ぬ……!!拭えねえッ!!拭う暇が……!!」

悶えるアヌビス神ッ!!
ああ!悲しいかな、アヌビス神に『失策』があるとするならば『二つ』あるッ!!

一つはッ!アヌビス神が『覚えた』行動を『再使用』されなかった事ッ!
彼は一度された事ならば『絶対に』食らう事はないッ!

もしも上条当麻が掴みにいっていればそれは『悪手』ッ!!
上条の掴む動きはさっきの柄を掴んだ際にッ!
完全に『覚えられて』いるのだから!
そうなっていたのなら、まさに『チェックメイト』となっていただろう!

そして!最後の『二つ目』はッ!!
実にッ!実に簡単な事であるのだッ!

それは上条の口から語られるッ!!



388 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:23:52.97Xzn+2avfo (22/23)

「俺はな、チンピラと『喧嘩』する時の経験から学んだ事がある……!
いいか?てめーが言っていた『戦いの時に話すな』という事も正しい
だがな、『喧嘩』には、もっとシンプルな『法則』みてーなものがあってな……!!」

上条当麻の右手が
顔を抑え悶える神裂の持つアヌビス神を奪い取り、鞘へと収めた
そして、彼は今は動かぬアヌビス神へ言った


「『勝ち誇った』時には、もう、そいつは既に『敗北』してんだよ」



389 ◆tyuVXY5AEU2011/09/05(月) 22:25:24.73Xzn+2avfo (23/23)

打ち止め

きっと、まだ消えないだろうと思って余裕かましてたらこの少なさだよ!
今の気分はマックイィィーン!

それじゃ


390VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/09/05(月) 22:47:19.33wobEIpOAO (1/1)

乙&追いついた。

続き待ってます。


391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/09/05(月) 23:18:21.20qX2xpyTZ0 (1/1)

乙です
>>安堵!安堵!安堵ォッ!!
全然安堵してるように見えねぇ…


392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/09/05(月) 23:58:08.92pCDhSTijo (1/1)

しかしまた無駄にテンションたけぇな


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/09/06(火) 00:55:02.12XpTXYkeAO (1/1)

>>1乙
続き楽しみにしてます


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/07(水) 03:54:36.08vEBRYZUSO (1/1)

おつ!
次も楽しみにしてます!


395 ◆tyuVXY5AEU2011/09/14(水) 21:36:11.30enH9HQjNo (1/1)

遅れた、明日投下する


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/14(水) 23:18:40.548f4siieD0 (1/1)

ガタタッ!


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/09/14(水) 23:34:40.56w0tc4t/k0 (1/1)

wktk


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/15(木) 00:31:10.25Nvlwpg7DO (1/1)

アヌビス神って強いよな
歩く教会とか反射膜も透過して切れるのかな

防がれても覚えて切れるな


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/09/15(木) 02:15:19.481RYby2bmo (1/1)

反射は当たる寸前で引けばいいからアヌビス神にとっては楽すぎるだろ


400 ◆tyuVXY5AEU2011/09/15(木) 20:21:44.65kw8LPV2po (1/1)

だいぶ日をまたぐ


401 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:45:55.06x8PR9XAvo (1/19)

短いが投下


402 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:46:47.57x8PR9XAvo (2/19)

「……とは言ったものの……」

私はグニグニとDISCを手でこねくり回す
やはり『魔術』とやらでないと、作動しないのだろうか?
ううむ、かったるいな、キラークイーンで『消し』とばしてしまおうか?
いやいや、そんな事をしては大切な情報源が消えてしまう
かといって、地面にこすりつけようが、水に漬けようが、全く作用しないコイツをどうするというのだ?

これを読み取る『媒体』のような物でもあるのだろうか?
そもそも、これは何のために作られた物なんだ?
魔術師が首に仕込むような物だぞ?『防御』の為か?
もしかして、『魔翌力』とやらの向上に役立ったりするのか?


403 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:47:32.76x8PR9XAvo (3/19)

「イン……デッ………」

突如聞こえた声の主はベンチで横たわるステイル=マグヌスだった
額からは玉のような汗が噴出し、苦しそうに顔を歪めている

やかましい、私だって肩が抉れているんだ
悪夢ぐらい我慢するのは普通じゃあないか?
もう一発食らわせて、深い深い夢の底に叩き落としてやろうか?
さぞかし良い気分で寝れるだろうな……

ステイル=マグヌスは唸り、再び口を開いた


404 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:48:35.28x8PR9XAvo (4/19)

「すまな……い…すまない……」

…………フン、やかましい寝言だ
残念ながら、私にはグズる子供をあやす『義務』は無いんでね
いつまでも貴様の寝顔を拝むような『趣味』だって無いさ

吉良は立ち上がり、DISCに指を差し込み、くるくると回す
キラリ、キラリとDISCは反射光を放つ


「そのまま寝ていろクソガキ、ここからは」


吉良は公園の入り口の方を見やり、言った


405 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:49:20.88x8PR9XAvo (5/19)





































「『私たち』だけの時間だ、そうだろう?『神父』さん?」


406 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:50:25.31x8PR9XAvo (6/19)


公園の入り口には黒い『神父服』で身を包んだ『男』がいた
彼は被っていた、つばが長めの帽子を取り、小脇に抱える
今まで隠されていた顔が露わになるが、夜の闇の濃さに飲まれて見えなかった

「この『科学』の街に『宗教家』とは、なかなかのミスマッチっぷりじゃあないか?
まともな脳みそがあるのなら、この街では『神父服』は脱ぐべきだと思うがね」

「………善処しよう…」

そう言いながら、彼はこちらへと一歩ずつ歩を進めようとするが
吉良は手を、遮るように神父に向かって突き出した

「おおっと、近くに寄るんじゃあないぞ
もう、私は散々な目にあってきたんだ
これ以上酷い目にあったら、次は病気休暇の申請を理事長にでも頼むハメになりかねん」

軽口を叩く吉良だったが、その神父を見据える『瞳』は揺らがず、ただただ神父を捉えていた


407 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:51:34.06x8PR9XAvo (7/19)

「単刀直入だ、シンプルが好きなんでね
一体、あんたはこんな夜中に何をしにここへ来た?
神父様なら、幸運な明日が来るようにとでも祈っているべきじゃあないか?」

神父は、動かなかった
………いや、訂正しよう
彼はゆっくりとこちらに『指』を指してきた

「その……DISCについて教えてあげよう……」

神父の指は吉良の持つDISCへと伸びていた


408VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県)2011/09/16(金) 01:52:00.02/2LgD1pWo (1/1)

こんなに早く会うことになるとは


409 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:52:39.65x8PR9XAvo (8/19)

「君はこれを知っているのか?」

吉良は声のトーンを変えずに問う
決して欲している事を悟られてはならない
いつだって人は『価値』のある物事を人に差し出す時には『見返り』を求めるものだ
それが相手の欲しがっているものならなおさらだ
吉良は子供の時から既にそれを悟っていた
だからこそ、彼は誰にも『負い目』を作らずに『平穏』に暮らせてきたのだ

寄付ぐらいは求めてくるかもな……
どうやら、この街に『信心』という言葉はありそうにないしな
必要なものは『神の恵み』ではなく『科学の結晶』によってもたらされているのだから。
吉良は一応、ポケットに小銭でも無いかと探し出す

だが、神父の返答は吉良の予想とは違った


410 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:53:40.23x8PR9XAvo (9/19)

「『頭』だ、DISCを『頭』に差し込んでみろ」

………は?
今、この神父は何と言った?
『どこ』に『何』を『差し込む』と言ったのだ?

「聞こえなかったか?」

神父は、先ほどよりはハッキリとした声で繰り返す

「DISCを、頭に、差し込むんだ……理解できたか?」

私に、差し込む場所を提示しているのか、こちらをおちょくっているのかはわからないが
神父はこめかみをトントンと指先で突つきながら説明してくるのだった

「では、失礼する」

そう言うと、帽子を深く被り直した神父は
再び街の闇の中へと消えて行こうとする



411 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:54:37.61x8PR9XAvo (10/19)


「待て、どうも話がうますぎるんじゃあないか?
そっちには何の得もないだろう?
それに何故このDISCについて知っているのだ?」

立ち去ろうとしていた神父は
決してこちらを振り向かずに言う

「最初の質問にだけ答えてやろう
こちらに得は無いと言ったな?それは間違っている
『無償の愛』などは決して存在しない
なぜなら、全ては『天国』へ行く為の『見返り」だからだ」

神父はそう言い残し、再び街の中へと消えていった

「………待てよ、あの神父……『どこか』で……」

先ほど神父がやったように
私も、こめかみを突つきながら思い出そうとするが出てこない

まあ、良い
思い出せないのならどうでもいいという事だろうからな


412 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:55:23.29x8PR9XAvo (11/19)

「これを……差し込む…か……」

改めて、DISCをまじまじと見つめるが
どう考えても人間の頭に入るような大きさではないぞ?
それにこめかみに差し込むだと?馬鹿な

DISCをこめかみに当てがってみるが、何もDISCに変化は訪れない
そう、『DISCには』だ

【突如、私の頭が裂け、DISCは私の頭の中へ、中へ、中へ……】

.
..
...
....
.....


413 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:56:40.72x8PR9XAvo (12/19)

「…ネン……ガツ…ニチ……むぉくゆぉうび……
コノ良キ日にィくわぁぬぉじょぬぉ……」

「ナニヲスルンでス!?さぁいどぅあいしゅきょぉう」

早送りと巻き戻しを交互に行ったような声で、私は目覚めた
最初は、擦り切れる寸前のビデオのような光景だったのが
今ではちゃんと像を結びつつある



414 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:57:35.90x8PR9XAvo (13/19)

「ステイル、これはしょうがなき事なりけるのよ
私たちの為にも、貴方たちの為にも、『あの子』の為にも」

さて、今、私はどこにいるのだ?
ここはどこだ?さっきまでいた場所からどうやってここまで来たのだ?

「理由を!理由を説明して下さい!
なぜ、あの子は『記憶』を奪われねばならないのですか!?」

状況を把握し直さねばなるまい
ここは部屋だ、四隅に燭台が有る以外は何も無い
そしてこの部屋にいるのは私と赤髪のクソガキ、ステイル=マグヌス

そして

「……あの子はね、記憶が『害』になりゆけるのよ……
あの子は七歳を越えて少し経ちければ『容量切れ』で死に……」

美しい金髪を携えた『女』だった
いや、髪などどうでもいい、問題は『手


415 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 01:58:49.23x8PR9XAvo (14/19)

「馬鹿な!世の中にも『完全記憶能力者』はいます!
ですが……!…ですが彼らの中には『天寿』を全うした者も…!
貴女の理論では、魔術を抜きにした記憶容量でも『成人』にすら成り得ませ……」

危ない、赤髪のお陰で『アチラの世界』に行かずに済んだか……
落ち着いて、もう一度整理しよう
今日は女が言ってた事を正しいとすると、今は…年……月…日だとッ!?
あの女!狂っているのか!?
いや!違う!この場において『異質』なのはこの『私』だ!
こいつらは私の身体を通して会話しているというのにッ!

『こいつらの瞳には私は写っていない!!』

つまりだ!ここは…!!この『空間』は!『過去』なのだ!!
おそらくはあのDISC!あれは『ステイル=マグヌス』の『記憶』を閉じ込めているモノ!
私は『記憶の中』にいるッ!!


416 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 02:02:39.08x8PR9XAvo (15/19)

………だが、気になる点もいくつか有るぞ
ここが過去だとするならば、既にステイルは『記憶の矛盾』について気づいていた事になるな……
だが、彼の態度から察するに『本日時点』での彼は記憶の矛盾に気づいてはいないようだったが……

「失礼する」

部屋の隅のチェック柄の扉が開き、男が入って来る
女と男は目配せをしあった後、入れ違うように女が部屋から出ていった

こいつは………まさか……
この『奇妙』な風格、白人ではあるが浅黒い皮膚に神父服……
こいつは………まさか………!
私とさっき話し、私にヒントを与えた男……
こいつは……!こいつはまさか……!!

「貴様ッ!!『プッチ』ィィ!!ただの神父風情が何をッ!
貴様が来てから全てがおかしくなってしまった!!
神裂は『七天七刀』を手放しッ!!『教会』の仲間はどこか『機械的』となりッ!!
そしてッ!…そして……!!」

吠えるステイルが息をつまらせ、声が途切れる
その言葉をプッチが引き継いだ

「君の愛しの『インデックス』の体調不良が始まった……だろ?」


417 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 02:06:34.32x8PR9XAvo (16/19)

「貴ッ様ァァァァァァ!!」

ステイルは懐に手を突っ込み、ルーンが描かれたカードを……

「安っぽい感情で動くんじゃあないぞッ!!
ステイル=マグヌス!貴様の『藁の家』の如き薄っぺらな感情などどうでもいいのだッ!!」

刹那、神父の傍から『奇妙』な男が突然現れ、ステイルの首を締め上げた
パラパラとカードが、ステイルの手から落ちていくのは、どこか美しかった

「『全て』は『天国』の為にあるッ!!
その架け橋となる『NEW・Stairway・To・Heaven』をッ!!
貴様は愚かにも破壊しようとしているのだ!!
悔い改めよッ!ステイル=マグヌス!
邪魔するヤツは………呪われるのだッ!!」


418 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 02:09:16.91x8PR9XAvo (17/19)

ステイルの首が、肉が、皮膚が
『彼には視えない』何かによって締め上げられる


「……グッ!!なんだ……!?なにを……ガハッ!!
一体、『何が起きているんだ』ッ!?」

これは、まさか、いや、決して不思議な事ではない
……だが、『信じたく』はないな……これは……

『神父もスタンド使いだったのだ』

ステイルには自分が何に何をされているか分からないだろう
目の前の男が、自分を殺しにかかっている事すら気づけずに死んでいくのだ
だが私には『視える』、視たくなくとも視えてしまうのだ

【スタンドはスタンド使いにしか視えない】


419 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 02:24:56.33x8PR9XAvo (18/19)

「クソォォォォーッ!!イノケンティウスッ!!
僕の『首の皮一枚』ッ!!焼き払ってしま
えーーッ!!」

私がそんなルールを思い出していたと同時に
足元のカードがステイル指揮により『群』をなし、火の化け物と変貌する

【ウォォォォォ………!!】

私が驚かされたのはここからだ
何と、イノケンティウスは『神父のスタンド』に『食らいつく』

【スタンドはスタンドでしか傷つかない】


主人には視えずとも、『感じる』外敵に対して、主人を守り抜こうと闘いを挑んでいたのだ

【ヴァァァヴォォォォーッ!】
もっと、もっと、もっと
主人を襲うものを襲うんだ、僕が主人を守るんだ
『魔術』に『意志』はないかもしれない
だが、私には『少年』を『愛犬』が救うような光景に見えていた
『恩』を、『愛』を返す為に
『恩』に、『愛』に報いる為に

「フン……コンナ『魔術』如キデモ『スタンド』に干渉デキルノカ……
『性質』ガ似テイルカラナノカ……?
ダガ、無意味ッテヤツダナ……小僧………」

「口を慎め、『ホワイトスネイク』
黙って仕事をこなすんだ、いいな?」

なるほど、神父のスタンド名は『ホワイトスネイク』というのか
確か、聖書では蛇は『邪悪の化身』として描かれていたな……
それが聖職者のスタンドとは面白いものだ……

それにしても不思議だ
魔術がスタンドに干渉できるとはな……
二つを生み出す『意志』が同じだからだろうか?
スタンドの語源には諸説ある、だが私はこれから来ているんじゃあないかと思うのだ

【『Stand Up To』(立ち向かう)】

平穏を邪魔するものに立ち向かい、消す
それだけで私は『幸せ』でいられるのだ

魔術もそうなのではないだろうか?
私には、魔術が【神ならぬ身で神に立ち向かう能力】のように思えて仕方がない
私には、彼らも『一種のスタンド使い』のように思えてくるのだった

「了解シマシタ」

ホワイトスネイクは何気ない、いつもの事だといった様子で、手刀一閃
ステイル=マグヌスの『額』は割れ、彼は膝から地面へ崩れ落ちたのだった


420 ◆tyuVXY5AEU2011/09/16(金) 02:25:22.30x8PR9XAvo (19/19)

打ち止め

また、近日中

それじゃ


421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/09/16(金) 02:29:57.235kapcDnY0 (1/1)


DISKが便利すぎるwwww


422VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/09/16(金) 12:19:16.423hpDpyZAO (1/1)

>>1乙
この展開は胸熱
キラークィーンVSホワイトスネイクに期待


423VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/16(金) 19:50:06.18MyIX27H50 (1/1)

「6M進んで破裂しろ」とかの呪いじみた命令も与えられるからなぁ


424VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/09/22(木) 21:49:00.50YpUwb89IO (1/1)

引き込まれるなァ…


425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/09/23(金) 10:18:58.98CPLE0HzM0 (1/1)

画像も欲しいよなァ・・・・・・・・・・


426 ◆tyuVXY5AEU2011/09/26(月) 01:08:48.31CnOM8jyIo (1/1)

生存報告
書く時間が無いから気長に待っててくれ

>>423
あれ使ったら軽く最強だよな


427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/09/26(月) 02:16:50.55OSKoNzqko (1/1)

生きてたか…全く『グレート』な奴だぜ…


428VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/09/26(月) 15:05:27.75TT2HA06AO (1/1)

了解
wwktkして待ってる


429VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/06(木) 10:59:49.98Eq5jSKQao (1/1)




430VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/10/06(木) 17:30:38.35w3B0iKaNo (1/1)

ストーリーはともかく文章そんなに良くないな
読むけどさ


431VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/07(金) 17:51:59.20oJSGfG1E0 (1/1)

素人(と思われる人)に何を期待してるの


432VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/10/14(金) 17:18:36.00k0em79a60 (1/1)

まあ気長に待つわ


433 ◆tyuVXY5AEU2011/10/14(金) 20:01:44.12vo9WkLtqo (1/1)

>>432
こーいう言葉にグッと来るぜ……

3日以内に投下する


434VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/14(金) 20:03:13.34KV2PPSUvo (1/1)

嘘だろ!?>>1!!


435VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/14(金) 20:25:33.37mMrsYxOSO (1/1)

ホントかよ>>1!!


436VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/14(金) 21:43:56.45zYelc2h4P (1/1)

うそだろ>>1太郎!


437VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/16(日) 11:53:23.50Elp0QDcS0 (1/1)

ああ嘘だぜ


438VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/16(日) 17:52:34.48ZsEBS/zao (1/1)

だが間抜けは見つかったようだな


439VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/17(月) 07:46:26.74vnHiZxvzo (1/1)

!!!!!!


440 ◆tyuVXY5AEU2011/10/17(月) 22:17:10.440VK0qnvDo (1/1)

ちょっと日をまたぐ

>>434->>439
お前らwwww


441VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/17(月) 22:50:40.503uAdzY9po (1/3)

>>440
渋いねぇ・・・お宅まったく渋いねぇ・・・


442VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/17(月) 22:55:07.313uAdzY9po (2/3)

>>440
渋いねぇ・・・まったくおたく渋いぜ・・・


443VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/17(月) 23:06:28.073uAdzY9po (3/3)

恐怖!投稿失敗の巻き


444VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/17(月) 23:07:13.55KzX2ruf9o (1/1)

多重カキコで渋い顔になってますよ


445 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:13:32.33ULxv3C/po (1/26)

投下する


446 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:15:45.20ULxv3C/po (2/26)

「あ、あ……う……うあああ……」

ステイル=マグヌスがホワイトスネイクに額を抉られる
その時だ、私には見えたのだ
ステイル=マグヌスの額から『DISC』が出てきたのが
ただ、今現在私が『視ている』DISCとは『少し違った』がね

「『抜けた』ようだな」

プッチ神父が床へ落ちたDISCを拾い上げ、自らの額へ『挿入』する

静寂、静寂、静寂……

誰も言葉を発さない
この沈黙を崩す者は誰もいなかった
強いて言えばステイル=マグヌスが
自らが発声できると知った赤ん坊のように、声にならない声を発している事ぐらいか


447 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:18:27.14ULxv3C/po (3/26)

「……やはり、このステイル=マグヌス……
全てに『気づいて』いたようだな……」

神父はじっとりと『汗』をかいていた
それはこの部屋の温度によるものではない
まるで乗り遅れた『バス』が『谷底』へ転落した事を知った時の様な
安堵とも興奮とも恐怖とも似た、一種の『幸福感』
そんな感情が神父の中には湧き上がっていた

「もう少し気づくのが遅れていれば
ローラ、君も私と共に『火あぶり』だったかもしれなかったようだ……」

ローラ、そう呼ばれた女は静かに返事をする

「おお、それは恐ろしけるのよ
でも、魔女は炙られても『聖職者』が炙られるというのはありえなき事」

「冗談を言っている場合じゃあない
もう少しで『計画』が全て破綻する所だったんだぞ?」

ローラは神父の言葉に耳を貸さず、逆に神父に問うた


448 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:20:33.70ULxv3C/po (4/26)

「そんな事よりも、神裂の方はどうするつもり?
あの子は『聖人』、貴方の『すたんど』とやらでも捕まえるのは難しき事よ?」

「何の事はない、彼女には『コレ』を与えるだけで良い」

プッチはどこに隠していたのかと疑問な程の大きさの『日本刀』をローラに手渡した
その刀は素人目の私でも『名刀』と分かるような『凄味』を放つと共に
どこか……そう、その刀は『妖し』かった……

「これは『KATANA』?
こんなナマクラ、彼女の『七天七刀』の方が……」

ローラはスルリと刀を『抜いた』、その時だった

「だーれが『ナマクラ』だと?
切り裂いてやろうかこのクソアマァ!!!」」

部屋の中に『男』の声が響き渡る
突然の第三者の存在に私は姿を探すが見つからない
だが、プッチは全く動揺せずに語りかける


449 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:22:33.15ULxv3C/po (5/26)

「……アヌビスよ、川底から回収してやった恩を忘れたか?」

『男』は下卑た声で返す

「ヘッヘッヘ…忘れちゃあいねえぜ神父様よォ……
あんたがいなけりゃあ、今でもずっと『蟹』を『口説き』続けてるか
ナイル川を漂う錆にでもなってただろうしなァ!
でもアンタ、よく俺を『見つけられた』よなァ!?『運命』って奴を信じちゃいそうだぜ!!」

男は神父の返事を待たず、さらに話し続ける

「ところで神父様?あんたはこの『赤髪の小僧』をどうするおつもりで?
秘密を知ったからには…………」

男は、あえて言葉を継がなかった
だが、よほどの間抜けじゃなければ
その先の言葉は想像がつくだろう

だが、神父は否定した


450 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:24:35.32ULxv3C/po (6/26)

「いや、こいつはまだ利用させてもらう
とりあえず、こいつには『矛盾に気づけない』という命令を記したDISCと……
………そうだ、こいつには『守護者』になってもらう
『矛盾』に気づいた者は、発見次第[ピーーー]ようにDISCを作っておこうか……」

神父の側にホワイトスネイクが出現する

「ホワイトスネイク、今言った通りにDISCを書き換えるん」

神父の言葉が終わるかと思われた刹那
突如、世界が『崩れだす』

ぐにゃり
ぐにゃ~り
ぐぅにゃあ~り
ぐぅにぃやぁ~り
ぐぅ~にぃやぁ~り

何だ……!?『部屋』が……『世界』がまるで『渦』のように……『ねじれている』だと……?
私は感じる、吐き気、めまい、頭痛……
そう、それらもまた渦のようにねじれ、ねじれ、ねじれ………


そして、『世界』もまた『白』へ、『白』へ、『白』へ………

気が付くと私は『ステイルの記憶』から『退出』させられ、公園へと意識が戻っていた


451 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:27:08.93ULxv3C/po (7/26)

だが、既にそこにはあの『神父』、プッチはいなかった
彼は一体、私に何を伝えたかったのだろうか?
自分が犯人ですと自白したようなものじゃあないか?
それによって、あの神父はどう『得』をするというのだ?

「うぐッ!?」

思い出したように『肩』がグジュルグジュルと痛みだす
血こそ止まっていたものの、私の意識を刈り取るには十分なようだ

だが、まださっきのDISCについての考えがまとまっていないのだ……
こんな所でこの吉良吉影が倒れてなるものか
両掌で膝を握りしめ、震える足を押さえつける

「はぁ……クソ、なんでこの私がこんな目に……」

痛みを無視する為に右手の時計を確認する
今はなるべく傷の事は忘れたい、忘れねばならないのだ
傷には出来る限り意識を向けたくはないからな


452 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:28:58.01ULxv3C/po (8/26)

「フム……まだ、上条と別れてそんなには経っていないようだな」

どうする?家に帰るか?
おそらく、彼の『不幸体質』がフル稼働したとしても、流石にもう既に家には着いているだろう

いや、ダメだ
帰り道をつけられて、魔術師共に彼女の家を知られるワケにはいかない

「それに……このステイル=マグヌスとやらに
『試して』みたい『仮説』が出来たしな……」

.
..
...
....
.....

私がステイルの頬を、奴の髪の色ぐらいになるまでひっぱたくと奴は起きた

「…………頬が痛い……」

「ああ、君がいきなり暴れだして街路樹に頬をぶつけ始めた時には驚いたよ
あれも魔術に必要な事なのかい?」

嘘だ、奴の頬は私のビンタによって赤くなったのだ
だが、それを素直に伝えて私に得があるか?
私は起こしてやったのだ、悪くはないさ



453 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:30:42.77ULxv3C/po (9/26)

「何故だ……?そんな記憶は……」

ゴニョゴニョと呟くステイルを制し、私は彼に問いかけた

「そんな事はどうでもいいんだ
ところでね、私は君にとって『良い情報』を知っているんだよ」

「……情報…?」

ステイルは私の話に興味を示す
よし、これで敵だの味方だのという余計な『境界線』をとっぱらえたはずだ
まあ…………『今のところ』は…だがな…

「ああ、その……何と言ったかな?
君の大好きな………そう…『インデックス』も関わる事なんだが……」

刹那、視界が揺れ、目から星が飛び出し、脳が揺れた
出処不明の衝撃を、揺れる脳が『痛み』と認識すると共に理解する

ああ、私は殴られたのだな、と

拳を振り上げたステイルが憎々しげに私を睨む
視線で私を焼き殺してやりたいというのが、ヒシヒシと伝わって来るぞ


454 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:32:30.09ULxv3C/po (10/26)

「………『脅迫』か…?このゲスめ………」

きょう……はく……?
キョウ……ハク……?
……『脅迫』と言ったのかこいつは?
インデックスを保護してる私が?このクソッタレ魔術師を脅迫?
この誰よりも『平穏』を愛する吉良吉影が?
小銭稼ぎの為に『安心』を捨てると言うのか?
馬鹿なのか?この魔術師とやらは馬鹿なのか?
最近の学校では『話は最後まで聞きましょう』と教えていないのか?
外国では『礼儀』という概念が無いワケでもあるまい……

痛む頬を押さえ、私は続ける

「突然殴るとは酷いじゃあないか…
それに脅迫だと…?馬鹿馬鹿しい、話にならないね
人がせっかくインデックスを『救う』方法を教えようというのに
信頼もしてくれない相手に教えるワケにはいかなくなってしまったなァ……?」

もう痛みは引いたが、殴られた顎を大げさに擦る
この程度のパンチ…『東方仗助』の一発に比べれば……

あの運命が『奴ら』に味方した戦いが脳裏に蘇ってきた
他者を癒すという『矛盾』に満ちたあのパンチ……
出来れば『一生』食らいたくはないあのパンチ……
思い出すだけで心の底から『殺意』が湧いてくるあのパンチ……

……ダメだ…殺意は押さえねばならない……
全ては『私が』平穏に暮らす為なのだ……こんな感情などクソの役にも立ちやしない……



455 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:34:24.21ULxv3C/po (11/26)

「あの子を……救う…?馬鹿な……!!
あの子は記憶が限界量になれば死んでしまうんだ……
だから……だからこそ僕達は……ずっと…ずっと……!!」

涙、ステイル=マグヌスの頬を涙が伝う
懺悔?怒り?後悔?無力感?
その涙の意味する所は私には計り知れない……
ま、計り知ろうとも思わないがね

そして、今、奴は『大事』な言葉をこぼしてくれた



『あの子は記憶が限界量になれば死んでしまうんだ』




「……ふうむ…私が『指摘』した事は『覚えていない』……
もう一度指摘すれば……さっきの戦いがもう一度……ってワケだな……」

こいつに『完全記憶に関する矛盾』を問えば、襲ってくる
そして、こいつは襲いかかった事、指摘された内容については
戦いが終われば綺麗さっぱり忘れてしまうようだ
あの神父……なかなか上手い事を考えるものだ……

私の呟きにステイルが反応する

「何の話だ?」

奴の問いかけは無視する
さて、『仮説』を試してみるか…


456 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:36:34.31ULxv3C/po (12/26)

「ところで…君、このDISCに見覚えは?」

「無い」

即答だった

「そうか……そうかそうか………
このDISCに見覚えが無いのか……なら…しょうがないな……」

私は、大きく息を吸い、吐き出す
質問の意図をはかりかねているステイルを見つめ、『呼ぶ』

「キラークイーンッ!!」

『側』に現れた私のスタンド、キラークイーンがステイルを羽交い締めにする
突然の事に驚き、見えないスタンドを振りほどこうと
ステイルはもがく……が、無駄である

私はすかさず懐のルーンカードを没収させてもらう
これで、こいつに出来る事といえばせいぜいライターの真似事程度しか無くなった

「何をするッ!?離せッ!!離すんだ!」

おいおい、これじゃまるで私が悪者みたいじゃあないか
誤解を招くような事はやめてほしいね
今から『真実』を『見せて』やろうというのに

「あんまりギャーギャー騒ぐんじゃあないぞ
なあに、今からする事に痛みは無いさ、私が身をもって試したからな
私は言わば『実験台』になってやったんだ、少しは感謝してくれたまえよ」

私は手に持ったDISCを彼に『挿入』した
抵抗を続けていたステイルはDISCが完全に挿入されると
その場に膝をつき、祈るような体制で硬直した


今、彼の意識はDISCの中にある
いわば、彼は彼の記憶を『再体験』しているのだ


457 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:37:57.38ULxv3C/po (13/26)

さて、ここで私の『仮説』を確認しておこう
DISCによると彼は既に完全記憶の矛盾に気がつき、ローラに『申し上げ』をしていた

さて、この『ステイル自身』が言った『申し上げ』を
今現在の、『ステイル』が聞いたらどうなるのだろうか?

私はDISCの内容は全て記憶している、というか記憶『させられた』ようなのだ
まるでDISCの中身を脳に『焼きつけ』られたようにな
神父の額のシワからローラのシャンパンゴールドの髪のツヤまで思い出せてしまう

だが、ここで『矛盾』が生じる

記憶DISCによると神父はステイルに『矛盾に気づけなくなる』命令DISCと
『矛盾を指摘した者を抹[ピーーー]る』命令DISCの二種類を挿入した

ここで問題なのは前者のDISC、『矛盾に気づけなくなる』命令DISCである

今、ステイルは記憶の中で『矛盾に気づかされている』だろう
いや、正しく言うのならば『矛盾を記憶させられている』はずだ
だが、彼には『矛盾に気づけない』命令が下っている
彼のさっきの、襲った事を『忘れて』いる様子から
『矛盾の指摘を自動消去』するようにもなっているんだろう

つまり、彼は『矛盾を記憶している』のに『矛盾を記憶出来ない』というややこしい状況に陥ってるワケだ


458 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:39:30.55ULxv3C/po (14/26)

以上が私の仮説だが、なにぶん、即興で考えたモノだ
『穴』が多々あるとは思う、だが、ここで重要なのは一つだけである

『このDISCを見終わった後のステイル』だ

私としては……そうだな……

ステイルの『処理落ち』を期待している……とでも言っておこうか
つまりは、矛盾を記憶する→記憶した矛盾を消去する→DISCによって、再び記憶する……
というループから抜け出さないで欲しいというのが私の『願い』だ


459 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:40:55.35ULxv3C/po (15/26)

この学園都市に来て、私の中でたくさんの心情の変化があった事は事実だ
それが小萌先生や上条からの『影響』でもあった事も否定しない
小萌先生の顔を立てて『クズ共』を消さないように努めてきたりもした
街の中で何人もの『美しい』『女性』を見てきたが
その都度、『欲求』を消すという事だってしてきた

だがな、やはり私は『私自身』には逆らえないようだ
生まれもった『サガ』だけは変えられなかった
私は『平穏』を愛する事をやめられない
たとえ、それが他人の犠牲の上に成り立つとしてもだ

今回だってそうだ、確かにステイルは苦しんでいる
だが、それは私には関係の無い事なのだ
テレビで見かける貧困の中、喘ぎ苦しんでいる子ども達のようなものだ
同情はするだろう、だが視聴者の中に彼らの為に行動する奴が何人いると言うのだ?



460 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:42:02.32ULxv3C/po (16/26)

その時だった
ステイルに異変が起きていた
微動だにしなかったはずの彼が、頭を抱えうめき始めていたのだ

「(マズイな……襲いかかってくるかもしれない…)」

静かにスタンドを発現させる
これで迎撃する準備はひとまず整った

だが、その迎撃体制は無意味となったのだった

「ゴッ……!!!ガアアアアアアアーーッ!!」

ステイルの奇声が発されると同時に彼の額から『何か』が飛び出す
いや、何かというのは嘘になるな
少なくとも私は『ソレ』を知っていた
ま、『色』こそ違ったがね


出てきたのは『ドス黒いDISC』だったのだ、それも『二枚』もである




461 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:42:58.68ULxv3C/po (17/26)

フーッフーッと息を荒げるステイルを観察する
良し、少なくとも襲ってきた時のような『目』じゃあないな
これなら近寄っても大丈夫だろう
そう思い、私はステイルの側に近寄った

「…………した……」

ん?何か言ったか?

「思い出したぞ……!!完璧に………!!」

力強い言葉と共に持ち上げた、ステイルの伏せていた顔は
さっきとは違う『涙』でグシャグシャだった
こちらの涙も私がはかり知る事は出来ないが
少なくとも『マイナス』な涙ではない
これから『プラス』へと向かって行くような涙だった



462 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:44:10.11ULxv3C/po (18/26)

「礼を言わせてもらうよ、ヨシカゲ
お陰で……『進むべき道』を見つけた……
光り輝く……『未来への道』をね……」

ええい、下の名前で呼ぶな気持ち悪い
ワケのわからない事を言っている、このクソガキにどんな嫌味を言ってやろうか?
そんな事を考えていた時だった



463 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:45:12.76ULxv3C/po (19/26)

ぐらり

足元がふらつく
視界もブレる
物の焦点が合わない
呼吸をしても息苦しい

何だ?
どうした?
風邪でも引いたか?
この吉良吉影が体調を崩す?
馬鹿な、私に限ってそんな事はあり得ない
体調管理は万全のはずだぞ

【ジクリ】

ああ、わかったぞ
こんな分かりやすい原因だったとは
我ながら間抜けと言わざるを得ないなこれは

【ドロリ】

『肩からの出血』を『再確認』した後に
私の意識はプツリと途絶えてしまった
.....
....
...
..
.


464 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:46:15.67ULxv3C/po (20/26)

『空間』
それ以上、形容しようのない場所にいた
何もない、あるのは地面だけだ
いや、これは地面なのか?それすらも確信出来ない場所に私はいた

キョロキョロと辺りを見回すが
人も、動物も、植物すら存在しないようだ

空間に声が響く

「例えば………私が『赦す』ことをやめたとしよう……
だが……結果的には『赦さざるをえない』という状況になってしまうのだ……
世界はな……世界は元の通りになる事を『望む』からね……」

なんだ?お前は誰だ?姿を見せろ
だが、これらの文字を言葉にする事は出来なかった

「吉良吉影……君は『死なず』にいられるかな?
私は『君の死』の助けになる事を『せざるを得ない』のだよ……
私がいくら君を『赦そう』としても『赦す』事を諦め『ざるを得ない』……
君を赦す事は本来では『無かった』出来事だからね……」


465 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:47:09.02ULxv3C/po (21/26)

.
..
...
....
.....

目を開けると『純白の世界』が広がっていた
なんだ?私は死んでしまったのか?
案外、死ぬというのはあっけないものだな

「ん?」

純白の世界が、スルスルと音を立てて『ズレて』いく
いよいよ私の頭も狂ってきたか?

さっきも何だか意味の分からない事を見ていた『気がする』しな
たしか……誰かが赦す赦さないとかワケの分からない事を……
………ダメだ、思い出せない……



466 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:48:36.46ULxv3C/po (22/26)

「あッ!!起きたのですかーッ!?
だいじょうぶですか!?吉良先生!?」

純白の世界、もとい、『包帯』を剥がしてくれたのは小萌先生だった
どうやら、私はまだ生きているようだな

「小萌先生……貴女、ホラー映画がお好きなのですか…?」

横目で近くの鏡をみると
鏡の中から『ミイラ』がこちらを見ていた
スタンドと思ったがどうやらそうではないようだ
じゃあ、あのミイラは誰だ?答えは簡単、『私』だ

「んもーッ!看病のお礼とかの前にそーいうことを言っちゃうのですかーッ!?
もう先生はプンプンなのです!」

そう言って頬を膨らました小萌先生の近くには
お粥を持ったインデックスがいた


467 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:49:37.12ULxv3C/po (23/26)

「よしかげ!起きたんだね!?
良かったー!あの魔術師がよしかげをウチに届けに来た時はビックリしたんだよ!
てっきり、私は魔術師がよしかげに『罠』をしかけて……」

ああ、ステイルが私を送り届けてくれたのか
そう思いながら頭を掻く
どうも頭が痒い……風呂ではしっかり洗ったのに……
それに……『だるい』……異常なほど……
まるで『寝すぎた』かのような………
だが、私は睡眠時間はかならず『9時間』を厳守するよう……に……


頭の中で、稲妻が走った



468 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:50:45.28ULxv3C/po (24/26)

「小萌先生!インデックス!今日は何月何日だッ!?
私がッ!私がここに運ばれてから何日経ったッ!?」

若干、二人が怯えた表情を見せたが今はどうでもいい
今は無事なようだが、インデックスの記憶が限界に達するのは時間の問題だ
それに、さっきは流してしまったが魔術師がこの家に私を届けにきたという事は
ここの家は奴らに知られてしまったという事だッ!!
直ぐにでも、魔術師とその仲間がここにインデックスを奪いに来るだろうッ!
もしもそうなった時ッ!小萌先生と上条が抵抗しないワケがないッ!!

もしも!もしも小萌先生が傷つくような事が有ればッ!
肉体的、精神的に傷つくような事が有ればッ!!
私は魔術師共を『消さない自信』が無いッ!!
騒ぎを起こす事だけはしたくはないぞッ!!

私の問いは、意外な人物から答えられた


469 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:53:08.86ULxv3C/po (25/26)

「七月……『二十八日』だよ……『ヨシカゲ』……」

声の主は『ステイル=マグヌス』だった
だが、声の出処があまりにも近いようだ
私は身体に何重にも巻きつけられた包帯のせいで動けず
目だけでステイルを探す事となったが
思いのほか、早く見つかった

「君は……包帯をインデックスに巻かれたようだね……
…………………ウラヤマシイ………!!」

ステイルは私の隣の布団でアグラをかいていた
それに包帯の巻き方が私のようなミイラではなく、キチンとした巻き方であった
これが格差社会か………?

「………………羨ましい?」

私には彼の言った言葉をオウムのように繰り返す事しか出来なかった


470 ◆tyuVXY5AEU2011/10/18(火) 00:55:22.50ULxv3C/po (26/26)

打ち止め

一ヶ月待たせたわりには少なくてすまん

そういや、ジョジョリオンの単行本が出るより
新訳の方が発刊スピード速いってどういうことなの……
おのれ、ウルトラジャンプ……

それじゃ


471VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/10/18(火) 01:01:55.53prNbX9h90 (1/1)

>>1乙!



472VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/18(火) 01:04:57.18Mx92SBpDO (1/1)




473VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/18(火) 03:35:33.76SoEJGly10 (1/1)

オイツイタゾッ!キヒヒッ!!


474VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/18(火) 05:52:19.12ywCligwDO (1/1)

>>473
そんな気持悪いハーヴェストは嫌だ


475VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/10/18(火) 10:30:38.10PUWOc1tGo (1/1)

乙!


476VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/18(火) 21:20:54.25pDlKnX1Uo (1/1)

再点火したな・・・!



477VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/19(水) 00:50:41.83vK8WL7qno (1/1)

乙!相変わらず面白い


478VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/10/20(木) 19:14:28.40iyqwfnGAO (1/1)

>>1乙
続き気長に待ってるぜ


479VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/10/23(日) 19:30:50.589h1s3o2AO (1/1)

まだカー


480VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/23(日) 20:05:16.99ayhyimcSO (1/1)

急かせばいいってもんじゃない


481 ◆tyuVXY5AEU2011/10/24(月) 22:58:05.27cSlStFNZo (1/1)

乙レスが多ければ多いほど狂い悶えるのだッ!喜びでな!
レスッ!励みにならずにはいられないッ!!

明後日投下します


482VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/10/25(火) 13:58:59.45G1zZLkPAO (1/1)

おっしゃゃゃゃゃあああああ
キタァァァァアアアアア
りょぉぉぉぉかぁぁぁぁい


483VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/25(火) 23:30:12.927IERJVme0 (1/1)

wktk


484VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/26(水) 16:38:37.53OBvaUj2z0 (1/1)

早く書けよ、この・・・


485VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(空)2011/10/26(水) 18:14:24.77GRG+GEt30 (1/1)

チンカスがぁぁぁっ


486VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/26(水) 19:02:46.13wcRPYVNOo (1/1)

お前が投稿するのを楽しみに待っているぞッ!


487VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/26(水) 20:00:02.91LsdVodhk0 (1/1)

>>1!
明後日って今さ!!


488 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 22:06:26.88yefEQOheo (1/7)

ちょっと日をまたぐ


489 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 23:51:27.90yefEQOheo (2/7)

投下する


490 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 23:52:21.51yefEQOheo (3/7)

「……………なるほどな……
つまり……今日があの子の……」

「………ああ、今日がインデックスの『命日』であり
………『誕生日』に……なるのかな」

小萌先生とインデックスには買い物に行ってもらい
私はステイルに改めてインデックスの事について話してもらっていた

彼の話が進むにつれ、私は事態の深刻さを再認識する事が出来たが
再認識から先へ進む事ができるような事は、何一つ見つかりはしなかった

「他に情報は無いのか?例えば……『どのようにして』インデックスは死ぬんだ?
単に心臓が止まるのか?それとも………」

ステイルは目を伏せ、首を振る
まあ、当然といえば当然か
まだ、このステイルも『子ども』なのだ
子どもは無意識のうちに『最悪の事態』を避けると何かで聞いた事がある
まだ『心』の発達しきっていない彼にそれを求めるというのも酷か

…………困ったな……このままでは『小萌先生』が悲しむぞ……
住わせてもらってる私としては『家主』が悲しむのは……『困る』な……



491 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 23:53:54.06yefEQOheo (4/7)

「そういえば『上条当麻』はどうした?
また、あの無自覚男はどこかで女でもはべらせているのかね?」

場を和ませる……ワケではないが
少し別の事に目を向けねば、煮詰まりきってしまうからな
煮詰まり、考える事をやめた瞬間、インデックスの命も続く事をやめてしまうのだ
そうなってしまえばあの忌々しい『神父』の思うツボだ
奴の『策略』にマンマとかかってしまうのは癪なのだ

「いや……彼は……『病院』を駆け巡っているだろう……
このだだっ広い『学園都市』中のね……
フフン、彼はそんなに『モテる』のかい?
僕からしたらただの『冴えない男』としか見えないが」

ステイルが初めて『笑み』を見せる
この仏頂面でも笑う時は笑うのだな
彼は懐から『タバコ』を取り出し口に付け、『火』を探す
………私は『非喫煙者』なんだがね……
このクソガキに私の『肺』を汚されると思うと……
ああ…!!イライラするぞ………!!



492 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 23:56:02.37yefEQOheo (5/7)

「ああ、奴は相当モテるな
学校でも奴を好きな女子が何人いるだろうか……
いくつ『手』があっても数えきれないな…」

そうだ、奴の忌々しい『特技』とも言えるアレがあったな

「それに、奴は妙に『ラッキー』というか『不運』というかだな……
そう…例えば『女子の着替え』に遭遇するというのは日常茶飯事で……
そうだ、奴は家でも『インデックスの裸』を……」

電光石火、という言葉は彼のとった行動のためにある言葉では無いのだろうか
それほど次の瞬間に奴のとった行動は速かった

【ステイルの、タバコが、一瞬にして、『灰』に、なったのだ】

「ヨシカゲェェェェェェェッ!!
貴ッ様ァァァァァ!!今、何と言ったァァァァーッ!?
今ッ!!貴様はッ!!何と言っただァァァァァーッ!?
インデックスッ!!のッ!!何を見ただァァァーッ!?
俺がッ!私がッ!ワシがッ!!ヴォクがッ!!僕がッ!!
聞こえた言葉通りに君が言ったとすればァァァァーッ!!
『生きながら』にして貴様の『脳』だけを焼いてやるゥゥゥーッ!!
くぉんのッ!!『イカれヘアー』がァァァァァァァァーッ!!」

……前々から思っていた事で
あえて今日まで口にしなかったが………
………『こいつ、イカれてるぞ』……

奴の『一人称』が安定していないのはこの際どうでもいい
奴のルーンが私のこめかみの周りを『クルクル』と『旋回』し始めた事だってどうでもいい
奴の『眼球』が右だけ『上』を向き、左だけ『下』向きなのもどうでもいいさ

奴のインデックスに対する『思い』は本物だ
だが、だがしかしだ
これは『思い』で済むものなのか?


いや、まさか


まさか……これは……私には理解できないが……『アレ』…か…?
『思春期』特有の……『アレ』……なのか……?



493 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 23:57:19.53yefEQOheo (6/7)

「あー……ステイル君?ステイル=マグヌス君?
二つほど言いたい事があるのだがね?
一つはだな、インデックスの裸を」

「やはり見たのかァァァァァァァァァァ!?
ィィィィインデックスのォォォォォォ!!」

顎を殴りつける
気の毒に、舌でも噛んだのだろうか?
フゴフゴと悶え苦しむ神父というのはなかなか滑稽だな

「話は最後まで聞けと教わらなかったのか?
インデックスの裸を見たのは『上条当麻』だ、私じゃあない
奴の頭を『焼きウニ』にしたいのならすればいいじゃあないか
私だってそれは見てみたいしな、そして『二つ目』だ」

私は言葉を切り、『上条当麻調理計画』を練り始めたステイル=マグヌスに問うた



494 ◆tyuVXY5AEU2011/10/26(水) 23:58:40.51yefEQOheo (7/7)























「君、インデックスの事が好きだろ」



495 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:00:14.39hwgMTVYRo (1/25)


【ガチンッ!!】

歯と歯が景気良く噛み合う音が響き渡る

「ばばばばばばあばばばばばばばかなななあなななななな
そそそそそそそそそそそそすうをかぞえるんだだだだだだだだだ」

こいつ……『ギャグキャラ』だったか……?
『クール』という言葉が似合っていたステイルはそこにはなく
代わりに、震える顎と共に震える指で『素数』を数えるステイルがいた

「いちちちちちちちちちち………ににににににににに………
スススススススリリリリリリイイイイイイイイ……
フォフォフォフォオオオオオオオオオオ……」

……色々おかしいのは気のせいだろう……
まさか、こいつがここまで『ウブ』だとはな……
ええい、このままでは元の話に戻れないじゃあないか……
まさか、ここまで大きく話が逸れるとは予想もしなかったぞ……
私だってそう話が簡単に浮かぶワケがない……
………ああ、そういえば気になってた事があったな


496 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:01:25.47hwgMTVYRo (2/25)

「あー、ステイル君!ステイル君!
ずっと気になっていた事を聞いてもいいかッ!?」

大声で素数を数え続ける奴の声に負けないように
私も声を張り上げ返す

「ににににににににおくくくくくくくくくくく………」

ああクソッ!聞いていなかろうが話し続けてやるぞッ!!
私はさっさと対策を練り直したいのだッ!!

「インデックスにも『あった』が
君の宗派では『刺青』というか『タトゥー』をするのかねッ!?
すき焼きの際に彼女の『喉』を見た時にはビックリしたがッ!
いったいどうやって、あんなところに『彫った』んだッ!?」





素数を読み上げる声が、止んだ


497 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:02:25.39hwgMTVYRo (3/25)

「………ヨシカゲ、それはどんな『形』だったか言えるかい?」

『形』だと?あの『象形文字』のような形を口で伝えるのは………

「『絵』でも良い、僕に伝わるのならなんだって良い
とにかく、教えてくれないか」

どうしたものか
彼の声のトーンが急に変わったのも驚いたが
形を伝えるというのもなかなか難しい……

困ったものだ……

あの『呪文』のような形はどうやって伝えたものだろうか……?


498 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:05:55.23hwgMTVYRo (4/25)

「ん?『呪文』?」

その刹那、私の脳内で、伝わる
ドミノが倒れるように情報が、繋がる
今まで私が体験した事、感じたこと、聞いた事
それらが答えを知り尽くしたジグソーパズルのようにハマって、形を成し始める

そして『思いつく』
全てを、どうにかする方法を
どうにか、どうにか収拾をつける方法を

だが、問題はそれを『どうにかする奴』がいないという事だ

「頼む、早く教えて欲しい」

問うてくる奴の声に苛立ちが混ざってくるがどうだっていい
最後のラストピースの人物が思いつかない事の方が重要なのだ

考えろ……考えろ吉良吉影……
今まで、この吉良吉影がぶち当たった問題に解決出来ない事はなかった……
考えろ……考えろ吉良吉影……


そうだ



499 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:07:33.45hwgMTVYRo (5/25)

簡単なことがあるじゃあないか
全てがうまく行く方法があるじゃあないか
全てが解決する方法があるじゃあないか
全てを『ぶち壊してくれる奴』を知っているじゃあないか


「ちょっと出てくる
ステイル君、君はそこにいたまえ」


私は食い下がろうとするステイルの延髄に
キラークイーンの手刀を叩き込み、眠らせた

奴の傷は私が一番良く知っている
数ヶ月は再起不能になってもらおうと思っていたのだ
まさか、ここまで正常な思考を保ちつつ話せるとは思わなかったが
やはり、言葉の節々に『詰まり』があったしな(まあ、途中の『発狂』は驚いたが)
私は立ち上がり、顔の包帯だけ取り、スーツを羽織って外へ出た

「たぶん……あの辺りだろうな」

ドアを開けると、夏真っ盛りだというのに『奇妙な』寒さを感じたので
小萌先生へ『プレゼント』を買った時に、一緒に買っておいた『帽子』を被り

街へと旅立った

.
..
...
....
.....


500 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:08:29.34hwgMTVYRo (6/25)

上条当麻の取る行動はいつだってシンプルだ

倒して気絶した神裂は危険の無い場所へ連れて行った
鞘へ納めたアヌビス神は駅のコインロッカーへ預けた

そして家に帰った



501 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:09:37.35hwgMTVYRo (7/25)

家に帰ると、眠る吉良と吉良を看病する女性陣を確認した
そして近くでタバコを吸おうとして、小萌に没収されたステイルを発見した

彼がここにいる理由を聞き、上条当麻は彼を信じた
彼は、上条当麻にインデックスの『期限』について説明した

それを聞いた上条当麻は再び立ち上がろうとした
だが、彼は立ち上がれなかった

布団へへたり込んだ

そして、眠りについた


502 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:11:00.18hwgMTVYRo (8/25)

彼は眠った、眠り続けた
疲労を、全身を支配する疲労を消化し続けた

そして、目覚めた

彼は、絶望した

彼は小萌に教えられた
今日は『七月二十八日』だと教えられた
彼は寝ぼけた頭を震わせた
寝る直前にステイルから伝えられた事を思い出した
彼は今日が期限だと思い出した

思い出した彼は、何をすべきかを考えた
自分がインデックスに何をしてあげられるだろうか考えた


503 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:12:04.25hwgMTVYRo (9/25)

彼は、知らなかった
いや、知っていたはずだった
困る人を助ける方法を知っていた

だが、知らなかった
彼はインデックスを助ける術を知らなかった

不良に絡まれる人には身体を張ってやった
迷う人には道を教えてやった
困る人には相談に乗ってやった
泣く人には支えになってやった

だが、彼は出会ってしまった

いや、出会わなかった
いや、出会えなかった
いや、出会いたくなかった

いや、出会ってしまった
死にゆく人に出会ってしまった
救えぬ人に出会ってしまった



504 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:13:00.40hwgMTVYRo (10/25)

死に出会ってしまった
どうしようもない、死に、出会ってしまった
抗う事のできない、死に、出会ってしまった

上条当麻は死に触れた事はなかった
だが、死の恐怖に近い感情は感じた事があった

外で、感じた事があった
いじめられた事があった
痛みを感じた事があった
敵意にさらされた事があった
悪意にさらされた事があった

それらは上条当麻の中へ溜まっていった
溜まるべきではないモノを溜めてしまった

両親は優しかった
だが、優しさは上条当麻を潤し、救いきる事は出来なかった


505 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:13:48.48hwgMTVYRo (11/25)

その結果、彼は知った
人を救うのは人だ
だが、人の手では人を救いきることは出来なかった

それを、知っているからこそ、上条当麻はインデックスを救いたかった
救われぬ者に救いの手を、と、誰かが言った
上条当麻は救われぬ者だった
だが、上条当麻は救いたかった
救われぬ者が救いの手を差し出そうと思った
救われぬからこそ、救いたかった


506 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:14:57.99hwgMTVYRo (12/25)

だが、彼は死は味わったことがなかった
彼は実感した、死から救う事は出来ないと実感した

だが、彼は抗いたかった
緩やかに死にゆくインデックスを見捨てたくはなかった

上条当麻はインデックスだった
上条当麻の境遇はインデックスだった
彼にはインデックスと共感できることが多すぎた


彼らを救おうとする手はすり抜けていった

彼らは、一人ぼっちだった

彼らは、悪意にさらされた

彼らは、彼らは、彼らは、


さみしかった


507 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:16:08.19hwgMTVYRo (13/25)


だから、せめて、せめてだ
彼女の助けにはなりたかった
彼女は救えないと聞かされた
だが、行動を起こさずにはいられなかった

彼はどこかで無意味とは知りつつも病院へと走った
学園都市中の病院へと走った
名医と言われる医者にもかかった
最新鋭の技術が揃う病院へも走った

だが、無意味だった


508 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:17:11.67hwgMTVYRo (14/25)

最後の病院のロビーから出た
病院の近くに公園があった
彼は公園のベンチに座った

彼は、自らの無力に泣いた
彼は、自らの無力を嘆いた
彼は、自らの無力へ憤った
彼は、自らの無力が悔しかった

彼は
彼は
彼は
彼は
彼は


ただ、救いたかった



彼は、呟いた


「もう………」

風がブランコを揺らした
風がシーソーを傾けた
風が街路樹を揺らした


509 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:17:56.73hwgMTVYRo (15/25)










風が、呼び寄せた



510 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:18:41.41hwgMTVYRo (16/25)







「『先生』として言わせもらうぞ、上条君」







かぜは、男を、呼び寄せた


511 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:20:04.10hwgMTVYRo (17/25)









「君は国語をやり直した方がいいな
今度からは私がマンツーマンで見てやろう
国語力が無いというのは辛いな上条君?こんな時にも言う言葉を間違えるとは驚きだよ」







「いいか、君が発して良い言葉はただ一つだ」








かれは、男を、呼び寄せた



512 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:21:00.10hwgMTVYRo (18/25)








「『彼女を救う』、ただのそれだけだ」








彼は、不幸な彼は


513 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:21:49.93hwgMTVYRo (19/25)









「『友人』としても言わせてもらうぞ、上条当麻」








「君は、『彼女を救える』」









不幸な彼は、『幸運』を引き寄せた


514 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:22:38.37hwgMTVYRo (20/25)

「俺が……救う……?」

「このマヌケめ、さっき私が言った事を忘れたか?」

吉良吉影は頭を押さえながら首を振った

「いいか、君は既にインデックスを救っている
いや、救う一歩手前と言った方がいいかな」

「君は見ていないか?すき焼きをした時に彼女が開けた『大口』を
人体構造的にあんなに開くというのは
教師として納得いかないが、まあ、ここはおいておこう
おおっと、君は小萌先生と戦っていたんだったな」

吉良は頭を押さえていた手で自らのノドを押さえた


515 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:24:53.64hwgMTVYRo (21/25)

「ならば、教えてやろう
彼女の『ノド』には『紋章』のようなモノがあった
そして、君はステイル=マグヌスから聞いたはずだ
彼女は一定の期間しか記憶を保存出来ない
そして、記憶を消さずに一定の期間をすぎれば彼女は死ぬ」

吉良の右手が大きく開かれ、爆発したようなジェスチャーがなされた

「だが、ここで問題なのは彼女は『どのような原因』で死ぬのかと言う事だ
まあ、イメージで考えれば脳が破裂するとかが浮かぶだろうが
だとすれば、記憶による爆発という世にも珍しいものが見られるだろうな?
私たちは人類初の記憶が物質化したものの発見者というワケだ
そうすれば我々を世界中の学者は、今世紀最大のホラ吹きが来たと思って下さるだろうな」


516 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:26:30.42hwgMTVYRo (22/25)

「つまりだ、一定期間経過はあくまでリミットとしか意味が無いし
脳に記憶が直接作用する事は無い
そして、改めて彼女の周囲を見てみろ
彼女を追っているのは誰だ?」

「魔……魔術師……!?」

「このヌケサクが、言って良い言葉はただ一つだといっただろう
まあ、正解だ
奴らが魔法か何かをかけたのだろうと考えられるだろうな
ただしステイルは『シロ』だ、髪は『アカ』だがね
『奴の上司』がインデックスが情報ごと盗まれないようにしたんだろう
もし、インデックスがさらわれて悪用でもされたら困るだろうしな
あまり良い気分ではないが、完璧な『鍵』と言えるだろう」



517 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:28:08.75hwgMTVYRo (23/25)

「話を戻すぞ
私は今、君に情報を与えた、整理してやろう
一つ、彼女には鍵がかかっている
二つ、その鍵が作用して彼女を[ピーーー]
三つ、彼女のノドには『紋章』があった
ここから導ける事は……言わずもがなだな
【『鍵』は『紋章』で『ノド』にある】」

「だが、困った事にその紋章は『魔術』で書かれたモノなのだよ!!

ああ、困ったぞ!私には魔術は解除出来ないし
あのステイルがやるにしても、一からのスタートからでは
今日中という期日には間に合わないだろうなあ!

どこかに『右腕』で見ず知らずの『女の子』を『全裸』にした奴がいればなあ!
どこかに『タダの右腕』に『なんとかブレイカー』とか名付けている奴がいればなあ!
どこかに『神の奇跡』だろうが『打ち消せる右腕』を持っている奴がいればなあ!」

吉良は、息を吸い直し、自らの言葉を継いだ

「どこかに『彼女』を『救いたい』奴がいればなあ!
なあ!?上条君!君は心当たりはないか!?
君はッ!言いたい事はないかッ!?」

上条は返した
ニヤリと微笑みながら返した
先ほどまでの顔とは全く違うその顔で返した


518 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:32:24.41hwgMTVYRo (24/25)

「言いたいこと……俺の言いたい事は……」


上条当麻は、言った


「彼女を………!!救う!!」



続ける、上条は言葉を吐き出し続ける
弱々しかった口調が力を取り戻す
右手を握りしめ、言の葉を紡ぐ

「俺が…!この『不幸』な俺が……!!
『死』からッ!『孤独』からッ!!『不幸』からッ!!!
インデックスをッ!救うッ!!救えるんだッ!!」

流れる涙など気にもせず
頬が帯びた熱もものともせず
ただただ、彼は噛み締める
自らの力を再確認する

彼の心は、死んでいた
緩やかに死んでいくだけだった彼の『心』が息を吹き返す

「ああ…俺は………」

心が、動き出す

「『幸せ』だ…………」

心はもう止まらない
上条当麻も止まりはしない
彼の心は蘇り、彼の心には『覚悟』が出来ていた

上条当麻は、救いたがりの上条当麻は、今、ここにいた


519 ◆tyuVXY5AEU2011/10/27(木) 00:33:16.48hwgMTVYRo (25/25)

打ち止め

吉良に帽子を被せたのは思いつきです
デッドマンズQ見てたらやりたくなった、後悔は無い

それじゃ


520VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/10/27(木) 00:34:56.725uUEeGDT0 (1/1)

乙(おつ) 雅三


521VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/27(木) 00:39:16.89EXxWOXcy0 (1/1)

ねえねえ乙させて


522VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/10/27(木) 00:48:30.92yL2FXgwg0 (1/1)

>>1乙!

この調子で次も頼むぜ・・・


523VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/27(木) 00:54:53.19E+hC3Nlgo (1/1)

>>1!君に乙を贈ろう!


524VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/10/27(木) 01:16:06.69v+3RqBkeo (1/1)

熱い展開!乙せずにはいられないッ!!


525VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/10/27(木) 08:10:25.19DXImCXhd0 (1/1)

よくよく考えたら右手に何とかブレイカーとか名付ける人って…



526VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/10/27(木) 16:37:07.56yoCVdVxAO (1/1)

>>1乙
続き楽しみにしてる


527VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/27(木) 22:50:03.70PTz0yMf90 (1/1)

あの帽子いいよな
後上着の襟元

>>525
お前は世のスタンド使いに謝れ!!


528VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/10/28(金) 02:12:55.71SwZuQzAvo (1/1)

ルビまで自分で考えたんだぜ?幻想殺し(イマジンブレイカー)なんだぜ?
好きな音楽とかから名前取ったであろうスタンド使いとは痛さの格が違うわ


529VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)2011/10/28(金) 10:33:53.31W1Dw+WhAO (1/1)

どっちも痛い事には変わりないんだな


530VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2011/10/28(金) 16:57:55.48a/ArkaWz0 (1/1)

いや偽善使い(フォックスワード)のほうが妙にひねくれた感じで痛い


531VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 18:37:29.701XSGqc6/o (1/1)

おっとアホレイツォの悪口はそれまでだ


532VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 18:57:19.75KbGFsbzDO (1/1)

>>531
スペースリパースティンギーズアイ!


533VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 19:25:50.52D/a39Bxmo (1/1)

このアホレイツィオ、容赦せん!!


534VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 19:36:23.13SpPRsVPto (1/1)

アイズじゃなかっけ?


535VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県)2011/10/29(土) 09:31:05.99/V/jfxLi0 (1/1)

あーんスト様が痛い


536VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/29(土) 10:04:16.27gFoO3dcEo (1/1)

しかも自分で開発した技じゃなくて他人からパクった技というのがまた痛いよな


537VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/30(日) 13:39:55.917jd0ijE50 (1/1)

まあそんなに喧嘩すんなよ
俺が一番痛いんだからさ(ドヤァ


538VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/10/30(日) 17:23:54.957qL6Zpjvo (1/1)

痛さでいうなら俺のほうが上だぜ


539VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/10/30(日) 19:05:01.470PoPG6qAO (1/1)

いや、私の方が痛い!


540VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/10/30(日) 23:23:32.99DTMVedjQ0 (1/1)

じゃあ俺が(ry


541VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/31(月) 06:28:32.89kMV955YSO (1/1)

>>540
スレageちゃったみたいだし、お前が一番痛いよ


542VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/03(木) 15:01:13.36xKN0K8jDO (1/1)

>>530
それは名前が痛いとかそれ以前の話だな、上条さんのは性格は能力かよ


543 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:18:47.54CaGnZ8fto (1/48)

遅れた、投下する


544 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:19:38.10CaGnZ8fto (2/48)

木枯らしが吹く
ひゅるり、ひゅるりと吹き続く

日の照りが失われてゆく
じわり、じわりと消えてゆく

こんな簡単な事すらインデックスは忘れるのか
こんな当たり前の風景への思いも消えていくのか

私は小萌先生のウチへ走り続けながら、そんな事を思っていた

困ったものだ

最初は小萌先生を悲しませないというだけのつもりでやってきたはずだ

だが今はどうだ?

この吉良吉影が女の子を救おうとしているだと?
小萌先生に頼まれたワケでもないのに?
女の子を助ける事が自分に対する大きなメリットになるワケでもない
女の子を助ければ永遠の『平穏』が約束されるワケでもない

この私も甘っちょろくなってしまったものだな
反吐が出そうになるよ



545 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:20:39.14CaGnZ8fto (3/48)

だが、今回の事さえ片付けば良いのだ
今回の事が片付いたら私は『ただの一教師』へ戻るのだ
上条の『厄介ごと』にも関わらず
土御門の『妹トーク』も出来るだけ受け流し
……名前を忘れたが、あの青髪ピアスの下らない『性癖暴露』は無視をする

悪くない、いや、むしろ良いじゃあないか
社会的地位で他人に『ナメられる』事も無い
給料が大幅に変動する事も無い
突然の『リストラ』だって無いのだ
幸いにしてうちの学校に『モンスター・ペアレント』と呼ばれる人種もいない
教師……なかなか『平穏』な職業じゃあないか……


546 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:22:20.71CaGnZ8fto (4/48)

そんな事を考えていた時だった
突如として『脳』に『モヤ』がかかり何も考えられなくなる
この感覚は……この感じは……以前…にも………

モヤが脳内を覆い尽くすと、脳が『誰か』を映し出したのであった

.
..
...
....
.....
......
.......
........



【これは『試練』だ】

【君は、乗り越えねばならない】

【いや、乗り越えるだろう】

【たとえ、自らが『滅ばざる』を得なくとも】

【君が、君でなくなろうとも】



.......
......
.....
....
...
..
.


547 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:23:40.69CaGnZ8fto (5/48)

「ハッ!?」

まただ、また『奇妙』な夢を見た気がするぞ……!?
走りながら見る『夢』というのもおかしいが、あれは確かに『夢』だ…!
内容は……クソッ!!思いだせない……
………『誰か』に『忠告』を…されたのか……?
なんか分からんがそんな気がするぞ……

「先生ッ!!何してるんですッ!?着きましたよ!」

どうやら『夢』を見ている間にアパートに着いてしまっていたようだ

私たちはそのオンボロアパートの一部屋
小萌先生の部屋のドアの前に立ち、ドアノブを捻り、引いた


548 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:25:04.25CaGnZ8fto (6/48)

「き、吉良先生!どこいってたんですか!?
シスターちゃんが…!シスターちゃんがぁ………!!」

そこにいたのは布団で苦しげに呻くインデックス
そして、彼女を取り囲むように座っている小萌先生と魔術師たちだった

「ヨシカゲ……もう…ダメだ……
さっきから神裂とコモエで『回復魔術』を試みたが……」

そこまで言ったステイルはうつむき、肩を震わす

それと共に『神裂と呼ばれた女』が膝を叩く
まるで、自分は無力だと体に刻み込ませる様に叩き続ける
とめどなく流れ落ちる涙が彼女のジーンズにシミを作る

「また……またなのですか……!!
また……『最初』から……!もう……『ゼロ』はイヤ……!!」

残念だが、私に彼らの悔いを慰めている暇は無い
私は彼らの脇をすり抜け、小萌先生の目の前に座った


549VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:26:21.23CaGnZ8fto (7/48)

ウルウルとした瞳
への字になった唇
スンと鼻息を立てる鼻
それらを見て、私は溜息を出してしまいそうになる

どうして『そんな顔』をするのですか小萌先生?
私がどうして、ずっと『おとなしく』してきたと思っているのですか?
私がどうして『手を選ぶ』のをやめたと思っているのですか?


あなたのそんな顔を『見ない』為なのですよ?


そして、私があなたのその顔を『見てしまった』のなら
あなたにこんな顔を『させて』しまったのなら


その『原因』は取り除きましょう、『誓って』です


私は口を開く


550VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:29:00.90CaGnZ8fto (8/48)

「小萌先生、今すぐここから出ていってください」

ああ

「ハッキリ言わせていただくと」

何故だろうな

「あなたは今からする事の『邪魔』です」

最初は

「むしろ『足でまとい』にしかなりません」

ただの酒癖の悪い女としか思っていなかったのに

「貴女とは一切関係無い事です」

どうして

「貴女に手伝える事はありません」

こんなにも

「これだけ言ってもわからないんですか?
じゃあ、シンプルな言葉に置き換えてあげましょう」

私は



「今すぐ、私の前から消えろ」




辛いんだろうな?


551VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:30:03.26CaGnZ8fto (9/48)

小萌先生は無表情で口を押さえ、固まっている
私が言った言葉を『反芻』しているのだろうか?
あの聡明な小萌先生でも処理が追いつかない事もあるのだな


小萌先生はすっくと立ち上がり、部屋から飛び出していった



部屋に静寂がもどった次の瞬間、私は上条に頬を張り倒されていた

「吉良ァーッ!!小萌先生になんて……!!」

私は、すぐさま上条を殴り倒す



552VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:31:22.01CaGnZ8fto (10/48)


「このマヌケがッ!!小萌先生まで巻き込みたいのかッ!?
インデックスの『仕掛け』がすんなり消えるだけとでも思っているのか!?
全く『反撃』もしてこないで終わると思うのかッ!?」

私は上条の胸ぐらを掴み、揺さぶる

「反撃がただの怪我で済まなかったらどうするッ!?
掠っただけで『廃人』になってしまうものだったらどうするッ!?
何も出来ない小萌先生をここに置いておくメリットを言ってみろッ!!
出来る事はあるかッ!?もし、貴様が私を納得させられるメリットをあげられればッ!!
小萌先生がインデックスを救う決定的な事ができると言うのならッ!!
喜んで小萌先生を呼び戻してやろうじゃあないか!!
さあッ!!言ってみろ上条当麻ッ!!
危険を犯してまで彼女を残すメリットを言ってみろッ!」


553VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:32:11.76CaGnZ8fto (11/48)

これは私のキャラじゃあない
私は生まれてからこんなクサイセリフを吐いた事はない
そんな事ぐらいわかっているさ
だがな、本当に気づかないうちにだ
私が意にも解さない、そんな間にだ
私の中での『優先順位』は変わってしまっていたのだ
私の『大切なモノ』は変わりつつあったのだ



つまりだ


つまり、彼女は私の『平穏な暮らし』に欠かせない存在になっていたのだ



554VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:33:12.50CaGnZ8fto (12/48)

アパートに二人で帰り、交代で夕飯の用意をする

嗜む程度と決めている私とは違い、浴びるように彼女は酒を飲む
だんだん酒癖の悪くなってきた彼女に水を飲ませる

その間に布団を敷いて、その上に寝かせてやる

私は翌日使う教材などの確認をした後、私も彼女の寝顔を見ながら就寝する

これが、いつのまにか『普通』になっていたのだ
私は『普通』を愛する
激しい喜びもなければ、深い絶望も無い
そんな『普通の生活』を愛している
もしも、私からこの生活を奪う者がいるのならば
徹底的に『争わねば』ならない
たとえ、それが『神の意思』であろうと


555VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:34:10.45CaGnZ8fto (13/48)

「……………すいませんでした」

俯きながら、上条は謝ってきた

「でも先生、必ずです……
必ず、後で小萌先生に謝ってください
小萌先生ってあー見えて、結構抱え込むタイプなんです」

知ってるさ、そんな事ぐらい
だからこそ、だからこそ彼女は『良い先生』なんだよ

「私も殴ってすまなかったな上条君
もう少し深く謝りたいが『時間』だ、始めないといけない」

私と上条は魔術師達に事情を説明した
幸運な事に神裂は『刀』に操られていただけなので(アヌビス神とか言ったか?)
ステイルの時のように暴れる事はなく、すんなりと聞いてくれた


556VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:35:17.01CaGnZ8fto (14/48)

「……つまり、上条が『紋章』を打ち消す
そして『反撃』があれば僕が援護をする……
要するに、挟み撃ちの形になるのか……」

ま、反撃が無いに越した事はないがね
一人呟いた後、若き指揮官は即興で作戦を立て始める

「分かった、僕はイノケンティウスで援護するよ
まあ、インデックスには『魔翌力』が無いから
『防御網』といってもたいした事は無いかもしれない
だが、『油断』は決してするんじゃあないぞ」

ステイルの作戦発表の後、神裂はオズオズと手を上げた

「あの……私は何をすれば……?」

ああ、そう言えばこの女も『魔術師』だったな
だが、彼女は『刀』を使って戦う筈だが……?


557VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:36:40.99CaGnZ8fto (15/48)

「神裂、すまないが今回、君に出来る事はない」

神裂はハッと息を飲み、ステイルに怒号を浴びせた
何故、自分が参加出来ないのか
自分は『せいじん』(私にはこう聞こえた)なのだ
刀ごとき無くたって自分には『体』がある
まとめると、このような趣旨の事を言っていた

だが、ステイルにも言い分は有ったようだ
体といっても『仕掛け』が触れるだけで効果が出る危険なものかもしれない
自分は『火』、上条当麻は『異能』で身を守れる
だが、彼女にはそれがない
インデックスも目覚めた時に彼女が『廃人』だったら悲しむだろう?

ステイルがそう言うと神裂はションボリと頷いた

そうだ、と私の方をチラリと見て
彼は彼女に『小萌先生の保護』を頼んでくれた



558VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:38:32.81CaGnZ8fto (16/48)

「『救われぬ者に救いの手を』が君のモットーだろう?
今、あのチビッコ教師には『救い』が必要じゃあないかな?
女教皇自らが救いにいくというのも中々贅沢だ

あ、そうそう、必要ついでに君にはチビッコ教師と『買い出し』に行ってもらおう
インデックスが目覚めた時に腹ペコだったら困るしね
もちろん、領収書は『ローラ・スチュアート』当てでだよ」

ニカッと笑ったステイルの顔は幼く『年相応』のモノだった

「神裂、インデックスが起きたら今までの事を全部謝ろう
今までしてきた事が許されるとは思わない
だが、僕は出来る事をするつもりだよ
インデックスが忘れる前にした事だって、もう一度してやるつもりさ
遊園地にだって行ってやろう
映画館にだって行ってやろう
彼女が望むならどこだって行ってやろう
彼女が望むなら何だってしてやろう
馬鹿馬鹿しいが、それくらいしか僕らには出来そうにないしね
ま、食事関連の場所は遠慮したいところだけど」

神裂もつられて頬を緩ませた
そして、頼みましたと私たちに一礼した後
彼女はこの部屋から出ていった


559VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:39:59.03CaGnZ8fto (17/48)

「ところで、ヨシカゲ
君は一体何をするつもりだい?
また、あの僕にしてくれた『爆破』でもするのかい?」

おおっと、まだこいつらにはスタンドの事を話してなかったか?
だが、説明は長くなりそうだ
とりあえず無視しておこう

「………もう、時間は無さそうだぜ……」

ちょうどいいタイミングで上条が口を挟む
見ると、インデックスの顔には玉のような汗が吹き出ており
苦悶の表情を浮かべていたのだった

上条当麻は私たちを見回した
ほう、いつのまにか顔つきが『変わった』じゃあないか
公園で一人、泣きそうになっていた時とは別人のようだ

「ステイル、準備は良いか?」


560VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:41:15.22CaGnZ8fto (18/48)

愚問だな
今のステイルの『瞳』には『意思』がある
DISCに操られていた時には無かった『意思』がな
今、奴は『自分自身の意思』で生きている
仮に奴がこの作戦でくたばろうが『後悔』はしないだろうな

「…………行くぞ」

上条はゆっくりとインデックスの口を開き、指を差し込む


【バギン】


瞬間、上条の右手は電流で弾かれたかのように後ろへ吹き飛ばされた

おそらく、今までこんなことは無かったのだろう
『異能』に『幻想殺し』が押し負けることなど

「………作動したようだぞッ!!」


561VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:42:52.58CaGnZ8fto (19/48)

彼は魅入ったようにインデックスを見つめながら叫んでいた
私もつられてインデックスを覗き込む
インデックスの瞳を見た私は思わず声をあげていた

「なんだ……!?こいつの……『目』は……!?」

インデックスの眼球には『魔方陣』のようなモノが輝いていた
それは、赤く、暗く、『理解』というモノから遠いものであった

「ヨシカゲッ!!避けるんだァーッ!!」

ステイルが私に吠えた時には、遅かった

『爆発』が私へと飛び込んできたのだった
キラークイーンを出す暇もなく、無防備のまま後ろの壁へと叩きつけられる
グゥ………シスターがこんな乱暴をして良いのか………?


562VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:44:05.82CaGnZ8fto (20/48)

「----------警告、第三章第二節。
Index-Librorum-Prohibitorum------禁書目録の『首輪』
第一から第三まで全結界の貫通を確認。再生準備………失敗
『首輪』の自己再生は不可能、現状、十万三千冊の『書庫』の保護のため、侵入者の迎撃を優先します」

インデックスではない『ソレ』は防御策を講じ始めていた
彼女の周囲に『魔方陣』が広がり、真っ黒な『亀裂』が入る
ソレが何か人では理解出来得ないであろう『何か』を歌う度に亀裂は増えていく
いつのまにか、亀裂は『防壁』となっていたのである

それの名は『聖ジョージの聖域』と言った

爆発の痛みで動けない私とは違い、魔術師は『衝撃』で動けないようだ

「何故……この子が…これほどの術式を…!?」

奴の驚く理由はなんとなく分かる
この魔方陣、素人の私にでも分かる事があるからだ
いや、分かるというのは違うな
これは……『本能』と言う奴だろうか?
『本能で理解』してしまうと言う奴だろうか?

私が確信した事、それは

【あの亀裂の中にあるモノを直視すれば、私という存在は消える】


563VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:44:59.99CaGnZ8fto (21/48)

こんなシンプルにして最悪な事実は
私を爆発の痛み以外で動かなくするには容易であった
恥ずかしいが、『恐ろしくて』動ける気がしない

だが、私は言いたかった
今のインデックスを見て思った事をありのままに叫びたかった


【………こいつは…『誰』だ?】と。



あの無邪気な性格はどこへ行ったというのだ?
あの天真爛漫な微笑みはどこへ行ったというのだ?
断じて認めるわけにはいかない
こいつはインデックスじゃあない
私の目の前にいるのはインデックスであってはいけない
インデックスにあって『こいつ』に無いものは明白だ

生憎、その答えは上条当麻に取られたが


564VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:46:02.65CaGnZ8fto (22/48)

「インデックス……じゃあない……
お前はインデックスじゃあない!!
てめえはただの『ロボット』にすぎねえんだよ!!
クソッタレのイギリス正教の『仕掛け』で作動する!
てめえはただの『ぬくもり』の無い『傀儡』だッ!!
『書庫』だと!?『保護』だと!?そんなものは俺には関係ねえんだ!!
どっかの魔術師がイギリス正教の書庫を根こそぎ持っていこうが!!
イギリス正教ごと書庫を滅ぼし尽くそうが俺には関係ねえさ!!
聞いてやがるかイギリス正教のお偉いさんよ!!
いいかッ!!俺はなッ!!そんなモノよりも大事なモノを知ってる!
いやッ!『大事にしなけりゃいけないモノ』を俺は知ってるんだよ!!
それが無ければ人は誰だって『ロボット』だ!
それが無ければ人は!人である事が出来ないんだッ!!
だがイギリス正教ッ!!てめーらはそれをインデックスから『奪い』やがった!
許さねえッ!!それだけは許しちゃいけないんだ!!
てめーだけの都合でッ!!他人の『心』を奪うような事をする奴こそッ!!
俺はそういう奴らこそ『悪』だと思っているッ!!
何が『正教』だッ!!何が正しいって言うんだよッ!!
てめーらの教えでは『他人』を『利益』のために犠牲にする事が『正しい』って言うのか!?
こんな罪も無い女の子をッ!!何も知らない友人達をッ!
騙しッ!惑わしッ!!傷つける事が『正しい』って言うのか!?
ふざけるんじゃあねーぞッ!!
思い上がるんじゃあねーぞッ!!
この世界はてめーらの思い通りに動くと思ってんじゃあねーぞッ!!
この世界がッ!!てめーらの作った『筋書き』通りに進むと思ってるのならッ!!

上条は『防壁』に『幻想殺し』を突き出しながら、走る
目の前の『大切なモノ』へと手を伸ばしながら、走る


そして、叫ぶ








「まずは、その幻想をぶち[ピーーー]!」


565VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:52:36.36CaGnZ8fto (23/48)

「インデックス……じゃあない……
お前はインデックスじゃあない!!
てめえはただの『ロボット』にすぎねえんだよ!!
クソッタレのイギリス正教の『仕掛け』で作動する!
てめえはただの『ぬくもり』の無い『傀儡』だッ!!
『書庫』だと!?『保護』だと!?そんなものは俺には関係ねえんだ!!
どっかの魔術師がイギリス正教の書庫を根こそぎ持っていこうが!!
イギリス正教ごと書庫を滅ぼし尽くそうが俺には関係ねえさ!!
聞いてやがるかイギリス正教のお偉いさんよ!!
いいかッ!!俺はなッ!!そんなモノよりも大事なモノを知ってる!
いやッ!『大事にしなけりゃいけないモノ』を俺は知ってるんだよ!!
それが無ければ人は誰だって『ロボット』だ!
それが無ければ人は!人である事が出来ないんだッ!!
だがイギリス正教ッ!!てめーらはそれをインデックスから『奪い』やがった!
許さねえッ!!それだけは許しちゃいけないんだ!!
てめーだけの都合でッ!!他人の『心』を奪うような事をする奴こそッ!!
俺はそういう奴らこそ『悪』だと思っているッ!!
何が『正教』だッ!!何が正しいって言うんだよッ!!
てめーらの教えでは『他人』を『利益』のために犠牲にする事が『正しい』って言うのか!?
こんな罪も無い女の子をッ!!何も知らない友人達をッ!
騙しッ!惑わしッ!!傷つける事が『正しい』って言うのか!?
ふざけるんじゃあねーぞッ!!
思い上がるんじゃあねーぞッ!!
この世界はてめーらの思い通りに動くと思ってんじゃあねーぞッ!!
この世界がッ!!てめーらの作った『筋書き』通りに進むと思ってるのならッ!!」




上条は『防壁』に『幻想殺し』を突き出しながら、走る
目の前の『大切なモノ』へと手を伸ばしながら、走る




そして、叫ぶ








「まずは、その幻想をぶち殺す!」


566VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)2011/11/08(火) 01:53:12.84CaGnZ8fto (24/48)

「インデックス……じゃあない………!
お前はインデックスじゃあない!!
てめえはただの『ロボット』にすぎねえんだよ!!
クソッタレのイギリス正教の『仕掛け』で作動する!
てめえはただの『ぬくもり』の無い『傀儡』だッ!!
『書庫』だと!?『保護』だと!?そんなものは俺には関係ねえんだ!!
どっかの魔術師がイギリス正教の書庫を根こそぎ持っていこうが!!
イギリス正教ごと書庫を滅ぼし尽くそうが俺には関係ねえさ!!
聞いてやがるかイギリス正教のお偉いさんよ!!
いいかッ!!俺はなッ!!そんなモノよりも大事なモノを知ってる!
いやッ!『大事にしなけりゃいけないモノ』を俺は知ってるんだよ!!
それが無ければ人は誰だって『ロボット』だ!
それが無ければ人は!人である事が出来ないんだッ!!
だがイギリス正教ッ!!てめーらはそれをインデックスから『奪い』やがった!
許さねえッ!!それだけは許しちゃいけないんだ!!
てめーだけの都合でッ!!他人の『心』を奪うような事をする奴こそッ!!
俺はそういう奴らこそ『悪』だと思っているッ!!
何が『正教』だッ!!何が正しいって言うんだよッ!!
てめーらの教えでは『他人』を『利益』のために犠牲にする事が『正しい』って言うのか!?
こんな罪も無い女の子をッ!!何も知らない友人達をッ!
騙しッ!惑わしッ!!傷つける事が『正しい』って言うのか!?
ふざけるんじゃあねーぞッ!!
思い上がるんじゃあねーぞッ!!
この世界はてめーらの思い通りに動くと思ってんじゃあねーぞッ!!
この世界がッ!!てめーらの作った『筋書き』通りに進むと思ってるのならッ!!」



上条は『防壁』に『幻想殺し』を突き出しながら、走る
目の前の『大切なモノ』へと手を伸ばしながら、走る



そして、叫ぶ






「まずは、その幻想をぶち殺す!」


567連投の上にトリ消えてた… ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:54:35.99CaGnZ8fto (25/48)

ベギリ、ベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリベギリ

………呑気な例えで申し訳ないが、私には『ゆで卵』の殻を剥いでるようにしか見えなかった
一つ剥がせばつられて二つ
二つ剥がせばつられて四つという風に。
亀裂はどんどん剥がれていくのだった


唐突に、『ソレ』は口を開いた


「『竜王の殺息』の発動」


亀裂から『光の柱』が降り注いだ
上条は超人的と言ってもいいほどの速度で光の柱へ手を伸ばす
おそらくだが、彼の中の『生存本能』が奴の『幻想殺し』をプッシュしたのだろう
これで竜王の殺息は打ち消した
お次は何だとばかりに上条は右手を引こうとした時

既に『異変』が起きていた


568 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:56:01.43CaGnZ8fto (26/48)

「おいッ!魔術師ッ!何だこの魔術はッ!
どうしてッ!どうして俺の幻想殺しで消せないんだッ!?」

呆然としていたステイルは意識を取り戻し
上条当麻の問いに『叫び』と言っても良いような必死さで答えた

「そもそもだッ!そもそも、その術式は人の身で勝てるようなモノじゃあないッ!!
絶対的な対処法は無いんだよッ!!」

ステイルは懐からルーンを飛び立たせ、天井や床を埋め尽くした

「魔女狩りの王ッ!!」

魔女狩りの王は意思無き聖女から放たれる光の柱を身を張って防ぐ
光の柱の勢いを少し殺し、上条の体制を整わせるよう手助けした


569 ◆tyuVXY5AEU2011/11/08(火) 01:57:24.42CaGnZ8fto (27/48)

「イノケンティウスでも竜王の殺息は打ち消せないッ!!
せいぜい威力を減らす事しか出来ないぞッ!!」

事実、イノケンティウスは光の柱に消し飛ばされそうになっていた
だが、執念としか言いようのない状態で粘れていたのだ

「ああクソッ!鬼が出るか蛇が出るかならまだ良かったッ!!
まさか、こんなとんでもないものが出るなんか聞いてないぞッ!!」

そんな苦しそうな台詞を吐きながらも
ステイル=マグヌスの表情は『笑顔』であった
口に咥えた煙草を食い千切らんばかりに噛み締め
『喜び』に打ち震えていたのだ

「感謝するよ上条当麻ッ!!僕に『可能性』をッ!!
彼女を『1%』でも救える『可能性』をくれた事にねッ!」

イノケンティウスが光の柱を押し返す
イノケンティウスの咆哮もまるで歓喜しているようだった