1>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/04/26(火) 04:06:49.06I3Xn7PpAO (1/1)

やあ (´・ω・`)
ようこそ、このスレ。
この1/144ユニオンフラッグはサービスだから、まず作って落ち着いて欲しい。
うん、「次スレ」なんだ。済まない。
マリナの財布もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このスレを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「まさしく愛だ」みたいな、まぁだいたいそんな感じの何かを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい
そう思って、このスレを立てたんだ。
嘘だよ、本当は間違って立っちゃったんだ
とりあえず、注文を聞こうか。

1:此処は00世界を基準に宇宙世紀設定を織り交ぜた感じの世界です。改変が多く、名称は同じでも設定が違う単語も多いですが御容赦を

2:NT能力を持った00キャラが多数現れます。逆に名前だけ出演の他ガンダム作品キャラも沢山います。要はカオスです

3:色々と形を変えた他作品MSも多々現れます。基本的には00外伝から引っ張ってきますが、やっぱりカオスです

4:基本的にグラハムのガンダム愛が薄いです。NT化によるズレと認識してください。マリーダと稀にイチャイチャしますが、その時は壁があるじゃないか諸君


前スレ
http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/1299918768/l20

ガンダム速報さんの方で初期VIP時代はまとめられているようです


2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2011/04/26(火) 04:54:36.26nTewpi62o (1/1)

このスレッドは天才チンパンジー「アイちゃん」が
言語訓練のために立てたものです。

アイと研究員とのやり取りに利用するスレッドなので、
関係者以外は書きこまないで下さい。

                         霊長類研究所



3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/26(火) 07:00:44.50aKsqFYGDO (1/1)

>>2
NTwwww

そんでもってスレ立て乙!


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/26(火) 09:40:59.29v3xJlP6IO (1/1)

ハリソンが戦った猿か


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)2011/04/26(火) 12:19:55.99PmePglOAO (1/1)



アレハンドロがもはや御大将にしか見えん


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/26(火) 18:02:16.4397QUhzTs0 (1/1)

乙!
あえて言わせて貰おう……前スレ>>1000、お見事であるとっ!!


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/04/27(水) 00:21:00.19nhFejIWGo (1/1)

スローネ・アインは好きな機体なんで頑張って欲しいぜ…GNフィールドでガチガチのアルヴァトーレには打つ手無しだけど


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/04/28(木) 02:04:24.13IjmfbSkM0 (1/1)

再び>>1が書き始める前に追いつかねば!間に合え!間に合え!間に合えーっ!


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/04/29(金) 22:53:53.10uNbtG4D4o (1/1)

ゴーカイジャーに出演らしいなフラッグファイター


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2011/05/02(月) 20:09:39.04m2Y3F5g/o (1/1)

EXTREME VSにプルツー参戦と。
早くリボンズが出ないかな・・・・・

無論、フィンファングが残念な仕様でなくて。


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/05/03(火) 03:47:33.07cTzS6Mog0 (1/1)

この人気……本当に羨ましいぞグラハム!


12>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 02:39:04.93VmIvWdkAO (1/23)

GWに入り逆に忙しくなるとはな、世は分からんものだ

投下再開だフラッグファイター


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/05/04(水) 02:40:19.63qI5IwrXvo (1/2)

待機していた甲斐があったな、待ち遠しかったぞ、ガンダム!


14>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 02:43:03.31VmIvWdkAO (2/23)

ーバージニアー

マネキン「各自、緊急用の小型艇から離れるなよ。いつ敵が来るやも知れんからな」

『了解です』

ウィンッ

マネキン「!」

マリーダ「……」

マネキン「ん、予想以上に早かったなマリーダ」

マネキン「もう少し話し込んでから来ると思っていたが……もっとも、そんなに時間も無いか」

マリーダ「いえ、私達にはこれで十分です。お心遣いありがとうございました」ニコッ

マネキン「……私達、か」

マネキン「私がもっと気を利かせられるなら、何とかして君に機体を渡しているのだが」

マネキン「組み上げた予備機はコーラサワーの一機だけしか作れなかったから……な」

マリーダ「……」

マネキン(しかし、ニュータイプの精神感応というものなのか……まるで小一時間語り合えたとでも言うようにすっきりとした表情をしている)

マネキン「……私には、分からん世界だな」

マリーダ「はい……?」

マネキン「なに、気にするな」

オペレーター「大佐、こちらに接近する小型艦船を確認しました」

オペレーター「所属はユニオン、こちらに通信を求めています」

マネキン「……」

マネキン「先ほどの一件もある、リニアキャノンを小型艦に向け、注意しつつ対応しろ」

オペレーター「了解」

マリーダ「小型艦船……」

マリーダ「大佐」

マネキン「分かっている

マネキン「タイミングからしてグラハム大尉の関連の可能性が高いだろう。危険性は少ないが、念のためだ」

マリーダ「はい」

マリーダ(ピーリス少尉……頼んだぞ)


15>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 02:46:38.47VmIvWdkAO (3/23)

ートレミーー

フェルト「左舷第一出力部被弾! 機能停止しています!」

クリス「GNフィールド発生機に異常発生! GNフィールドの展開が出来ません!」

スメラギ「エネルギーを右舷第二出力部に全て回して! リヒティは次射に備えて、任せたわよ!」ガタンッ

クリス「スメラギさん!?」

スメラギ「マイスター達には既にミッションプランを通達したわ、GNフィールドが発生出来ない以上強襲用コンテナでトレミーを守らなきゃ」

ピッ

スメラギ「イアンさんも強襲用コンテナへ! 砲手も多い方が良いわ、手伝ってください!」

イアン『りっ、了解だ!!』

スメラギ「クリス、ブリッジは宜しく!」

クリス「はい!」

ウィンッ

スメラギ「まだ死ぬわけにはいかない……いかないのよ」

ー宇宙ー

ヨハン「止まれぇッ!」

敵機の猛攻をかいくぐり、隙あらば反撃の粒子ビームを放つスローネアイン
だがそれも敵機のGNフィールドに傷を付けること適わず、時折放たれる敵の主砲を止めることさえ出来ずにいた

アレハンドロ『哀れだなヨハン・トリニティ……兄弟を殺され存在価値も無くし、敵だったソレスタルビーイングに与してまでささやかな抵抗を試みるが、その実、アルヴァトーレの前に手も足も出ないとは』

ヨハン「……ッ」ギリッ

アレハンドロ『また私の元に戻ってくるつもりはないか? 今からソレスタルビーイングの母艦を沈めてくるなら、また私の下で働かせてやってもいいのだが……』

飛び込んでくる不遜な通信に、ヨハンは血が滲む程に唇を噛み締めていた



16>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 02:57:50.27VmIvWdkAO (4/23)

ヨハン「富や権力を手に入れると、恥を知る心も忘れるらしい……!」

ヨハン「我々を勝手に産み出した挙げ句、ゴミ同然に使い捨てたのは一体誰だッ! アレハンドロ・コーナーッ!!」

アレハンドロ『また拾ってやろうという温情も感じられぬとは、哀れを通り越して情けなさすら覚えるな』

ヨハン「貴様ッ……もはや人間の感覚さえも失ったかッ!」

アレハンドロ『違うな、超越したのだよ! 矮小な人間の領分の更に先へと!!』

刹那「嘘だッ!!」

アレハンドロ『ぬ!?』

アレハンドロの言葉を遮るように、アルヴァトーレのGNフィールド目掛け数多の粒子ビームが叩きつけられる
フィールドこそ破られはしないものの、不毛な会話の腰を折ることには成功したといえるだろう

アレハンドロ『貴様はッ……刹那・F・セイエイ!』

アレハンドロがモニターに映し出すは、支援兵器に身を包む蒼のガンダム
GNフィールドを切り裂く可能性を秘めし巨大な刃を携え、一直線にアルヴァトーレへと突貫していた

刹那「見つけたぞ、世界の歪み!」

刹那「ガンダムエクシア、GNアーマー! 敵機を駆逐するッ!」

ラッセ『やぁってやるぜ!』


17>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:04:02.18VmIvWdkAO (5/23)

ーアステロイド付近ー

ギュゥゥ……ン

ソーマ「中佐、あと500カウントで目標地点に到達します」

セルゲイ「了解した。プランBの後プランZに以降、各機は散開、ガンダムへのラストミッションを開始せよ」

グラハム「プランZ……つまりは、現地での個々の判断に任せるということか」

ダリル「致し方ありませんぜ隊長、敵は三十六機の裏切り者部隊に、ガンダムなんですから」

セルゲイ「第三勢力の介入を前提としたミッションプランは想定されなかったからな……」

グラハム「……」

セルゲイ「乱戦が予想されるが、我々はその隙を突きガンダムを強襲、撃破の後戦域から即座に撤退する」

コーラサワー「撤退? アレハンドロとか言う奴はやっちまわないのかよ」

セルゲイ「……口惜しいが、我々の戦力はアルヴァトーレのようなMAと戦う術を持たん」

セルゲイ「あの粒子バリアに対抗することが出来ればまだ違うのだが……このままやれば犬死にだ」

セルゲイ「これはカティ・マネキン大佐と共通の見解だ、従ってもらうぞ少尉」

コーラサワー「う……大佐が言うなら……」

グラハム「……」

ガツンッ

グラハム「!? 接触回線か」

ダリル「隊長」

グラハム「どうしたダリル、わざわざ接触回線など使って」

ダリル「良いんですよ、行っちまっても」

グラハム「何……?」

ダリル「隊長の部下として長らく働いてきたんです、何考えているかくらいはすぐに分かりますよ」

ダリル「やるつもりでしょう? あの金ピカMAと」

グラハム「……」


18>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:11:05.10VmIvWdkAO (6/23)

ダリル「隊長、これだけは言っておきますぜ」

ダリル「頼みます。絶対に、生きて帰ってきてください」

グラハム「ダリル……」

セルゲイ「……どうやら、話が先についてしまったようだな」

ダリル「!」

グラハム「スミルノフ中佐……」

セルゲイ「何も言うな。同じ事を二度も言うほど私もナンセンスではない」

セルゲイ「恐らく、あの男は何らかの強化改造手術を受けている。更にMAの武装の火力、粒子バリア、その性能はガンダム以上かもしれん」

セルゲイ「行くなとは言わん……だが、決して逝くな」

グラハム「スミルノフ……中佐?」

セルゲイ「もう、見たくないのだ。私より若い者達が死んでいくのは……」

ソーマ「中佐……」

セルゲイ「……」

ピキィィィィン

グラハム「……ッ」

コーラサワー「……」

コーラサワー(あ、今悟ったな。アルヴァトーレに中佐の残った部下がやられたの)

コーラサワー(トップガンの事だからなぁ……)

グラハム「アルヴァトーレ……アレハンドロ・コーナー」

グラハム「貴様が味わうのは勝利の美酒ではない。我が剣の錆びだ……ッ!」

コーラサワー「止まらねえぞ、こりゃ」


19>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:19:19.52VmIvWdkAO (7/23)

ソーマ「ッ! 中佐、マスター!」

グラハム「!」

セルゲイ「おぉ……!」

ゴゴゴゴ……

コーラサワー「う、宇宙が燃えてやがる……ッ!」

ダリル「隊長……今までで一番厳しい戦いになりそうですね」

グラハム「あぁ」

グラハム「だが我々はそれでいいのだよ、ダリル」

ダリル「……」

グラハム「思えば……我々とガンダムの逢瀬に、楽な一戦など一つたりともなかった」

グラハム「圧倒的な性能差に押し切られ、苦杯を舐めさせられ、その度に努力し、我々は此処まで上り詰めた」

グラハム「多くの仲間を亡くした……多くの家族を死なせてしまった」

グラハム「だが我々は敗北する度に這い上がってきた、そしてその度に力を得、今ここに立っている」

グラハム「今日こそ勝つぞダリル、ガンダムをこのアステロイドに葬り去る!」

ダリル「遂にこの時が来たぞハワード……ッ!」

ソーマ「中佐に、マスターに、そして今まで戦って来た仲間達に……今こそッ!」

コーラサワー「俺だって今度こそッ! 大佐のキッスを頂きだぁぁぁぁぁ!」

セルゲイ「よし……!」


20>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:24:30.55VmIvWdkAO (8/23)

セルゲイ「往くぞ……全機散開!」

セルゲイの一喝と共に、GN-Xは左右に分かれ、RGMの群れる戦場へと突入していく
生きて帰れぬかも知れぬ死地へと、戦友が数多散った世界の敵へと、互いの想いを胸に、五人の兵士達は星の海を突き進んでいく

グラハムはそのまま真っ直ぐに、一際激しい放火に呑まれる渦の中へ飛び込んでいった

グラハム「……ッ!」

ピキィィィィン

額に電波のように飛び込んでくるのは、アルヴァトーレと対峙する二つの影の像、そして遠方からでも容赦なく響く強烈なプレッシャー
どちらもが鮮明にグラハムの頭の中に浮かび上がる
GNフラッグの操縦桿を握る指に自然と力が込められた

グラハム「ぬ……?」

しかし近付く度に感じる違和感が、グラハムの背筋を冷たくさせる
強大な一つのプレッシャーに取り込まれたように、小さな精神の形がアルヴァトーレの影に重なって見えた為だろう
それが何を意味するのかは、今のグラハムには知る由も無い

グラハム「……」

ただグラハムはひたすら突き進んでいく
それは、自らの我が儘を聞き入れ、最強のフラッグを造り出した盟友の為
それは、フラッグファイターの矜持を自身に預け、宇宙に散っていった仲間達の為
そして、必ず帰ると、唯一約束した女の為に
自身の身体が上げる悲鳴も無視し、最大出力で戦線へと突入していった

『おっと』

『そうはさせないよ、ライセンサー』


21>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:32:40.70VmIvWdkAO (9/23)

グラハム「ッ!?」

その時だった
横合いからグラハムを遮るように、紅い粒子の帯が見舞われる
とっさに機体を急停止。身体がコクピットの前のめり、急激なGに背骨が悲鳴を上げる

グラハム「ぐぅッ……!」

巨大な足に踏みつけられるような苦痛、顔が歪み汗が噴き出す
しかし苦しんでいる余裕は無い、即座に機体の向きを粒子が飛んできた方向に向ける
攻撃してきたのは二機のRGMカスタム……粒子ビームを放つGNロングレンジライフルを装備した群青色の遠距離機体と、実体弾をバラまく大型ガトリングガンを装備した朱色の中距離機体だ

グラハム「二機……足止めをしに来たか」

グラハム「ふ、だがガンダムでもないMSに私の相手は勤まらんよ」

舌先に鉄の味を感じながらも、自らを鼓舞する意味も込めて強気の独り言を漏らす

『何、ちょっとの間だけ此処で遊んでくれればそれで良いんだよ』

『ヒリング、油断は禁物だ。カスタム化されたフラッグとて、乗っているのはニュータイプだよ』

『分かってるよリヴァイヴ……でも所詮は人間。深追いしなきゃ、それでいいのさッ!!』

朱色のRGMカスタムがガトリングガンを構え、引き金を引く
ものの数秒で数百発もの弾丸が吐き出され、グラハムへと襲いかかっていく

グラハム「引かんよッ!」

斜め前へと急加速、放射状に広がる弾丸の横へと機体を回避させ、剣を構える

『あたしの弾を避けた!?』

『流石に良い動きだ、だが!』

グラハム「ぬッ!」

それを読んでいたと言わんばかりのタイミングと位置に粒子ビームが撃ち込まれグラハムの動きを止める
敵が仕掛けてきたのは、確かなコンビネーションとリーチの差を利用しての、徹底的な消耗戦
明らかにレベルの違う搭乗者、しかしグラハム・エーカーは怯まない。怯まないからこそグラハム・エーカーなのだ

グラハム「私の道を阻むなぁぁッ!!」

『楽しめそうね、ライセンサー!』

『有り難いよ人間、肩慣らしにはなりそうだッ!』


22>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:33:50.10VmIvWdkAO (10/23)

ー一方アステロイド・ティエリア側ー

二方向に分かれたRGM部隊、その数は十八機
一際大きな隕石をぐるりと迂回し抜けようとしたその時、目の前に青い光球に身を包むMSが立ちはだかった
ティエリア・アーデの駆るヴァーチェ・フィジカルだ

ティエリア「数が多ければ勝てるという愚策は、今まで幾度となく叩き潰してきたッ!」

戦術予報による先制の一打、胸部GNコンテナミサイルの一斉放射が飛蝗の一群となりRGMを襲う
前方に配置されたRGMはおろか、部隊中枢にまで破壊は及び、次々にRGMを葬り去っていく
一挙に半数以上、十機が薙ぎ払われた

ティエリア「ロックオンの想い、このティエリア・アーデが成し遂げる……!」

ティエリア「たかが量産機に、ガンダムの相手が務まると思うなッ!」

背部のGNキャノンが逃げ延びた一機を狙い、粒子を放つ
一機は盾で防いだものの、押し込まれるように隕石にぶつかり、そのまま盾ごと焼き尽くされ散る

今まで使用してきたヴァーチェ、パーティクルと違う実弾兵器主体の武装形態・フィジカル
特筆すべきはその粒子フィールド、パーティクルでは武装に回した粒子をフィールドに回している為、RGMの武装などまるで通さない堅牢さを誇る

RGMは残り七機、しかし、見慣れぬ実体の刃を握るカスタム機がその中に紛れていた


23>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:51:19.84VmIvWdkAO (11/23)

ティエリア「やはりな……私達を狙うための装備、意図的に構成された処刑者達という訳か!」

ティエリア「だがその程度の機体で、我々と相対出来ると思うなッ!」

GNバズーカを発射すると、砲弾が弾け数多の粒が噴き出すように広がっていく
元々フィジカルには存在しない散弾タイプの実体弾バズーカ、聞けばこれもシェリリン・ハイドがフィジカルパーツ搬入の段階で準備してくれたものらしい
強度に劣る三国MSやこの謎の量産機を相手取るには十分な威力であり、パーティクルに対し残弾の不安があるフィジカルにはうってつけの武装といえる

RGMが二機、霧のように散弾を吹きつけられ爆発する
カスタム機も下手に接近出来ず遠くから睨みつけるばかりとなっている
流れを掴んだ。手応えをティエリアは感じていた

コーラサワー「見つけたぁぁぁ!」

ダリル「退きやがれッ! そいつは俺達の相手だ!」

ティエリア「!」

すると、隕石の陰を抜け突然現れた二機のGNーX、RGMを横合いから撃ちつけ三機を一瞬で葬り去る

ティエリア「国連軍の残党……まさか、三つ巴の乱戦をやるつもりなのか!?」

スメラギの戦術予報には無かった相手だけに、動揺は抑えきれず、端麗な表情は僅かに曇る
しかし今のティエリアは、それらを跳ね除けるだけの強さを秘めていた
それを与えたのは他でもない。ロックオン・ストラトスの死である

ティエリア「彼の死に報いねば……私は先に進めない!」

ダリル「隊長を死なせて、あの人を泣かせるわけにゃいかねえんだ!」

ダリル「早々に片付けるッ! 悪く思うなよガンダムゥッ!!」

ティエリア「ロックオン・ストラトスの為にィッ!」

戦況は荒れる一方、しかし闘う者は皆迷うことなく、自らの意志で引き金を引いていった


24>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 03:58:42.83VmIvWdkAO (12/23)

>>22の胸部ミサイルは脚部に変更頼む、済まない



ーアステロイド・アレルヤー

ハレルヤ「くははははは……!」

シールドクローの一撃を腰に受けRGMが両断される
アレルヤとハレルヤ、二度目の解放を果たした真の超兵は、他機からの攻撃を物ともせず既に五機のスクラップを生み出している
飛行ユニットを外しながらも、ガンダムキュリオスはRGMを圧倒していた

ハレルヤ「ビンビン来やがるぜ……お前等も脳量子波を使えるみてぇだが、所詮その程度」

ハレルヤ「俺達超兵にゃあ勝てねぇんだよッ!」

自らに向けられ、雨霰と降り注ぐ粒子ビーム
それらの情報を反射的に認知し思考、最も有効な回避パターンを実行。キュリオスは身を翻し縦横無尽に駆け回り集団を翻弄する

ハレルヤ「ソコだよ、逝けやぁ!」

追った一機のRGMがサブマシンガンに蜂の巣にされ、爆発する
トランザムという鬼札をキープしつつ、そのまま敵機を殲滅せんという勢いだ

ピピッ

ハレルヤ「!」

ハレルヤ「Eセンサーに反応……この識別番号は……」

アレルヤ「来たよハレルヤ……」

ハレルヤ「はっ!」

ハレルヤ「仲間割れした割には、いい度胸じゃねえか……女ァァ!!」



25>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:12:26.82VmIvWdkAO (13/23)

ソーマ「……」

ソーマ・ピーリスは、宿敵を前に数時間前の事を思い返していた
それは自身の内面、夢にも現れたもう一人の自分との対話の最中、突然入った通信のことだった

相手はマリーダ・クルス。先ほどグラハムとの接吻を覗き見ていた件もあり、正直ソーマは舞い上がりながら通信を開いた

マリーダ『済まない少尉。一つだけ、頼みたいことがある』

次の瞬間、彼女はピーリスに頭を下げる
ピーリスが何かを言い出す間さえ無く、マリーダは更に言葉を紡ぐ

マリーダ『頼む。私の代わりに、マスターの力になってほしい』

マリーダ『不甲斐ない私の代わりに……彼を助けてくれ……!』

ソーマ「……」

ソーマ・ピーリスが、内なるマリーの申し出に対し迷っていた時だった
ブリティッシュ作戦の闘いで、真の超兵と自らを呼び、圧倒的な戦力を以てヤザンに相対した被験体E-57
そして、その圧倒的戦力に徐々に対応さえしてみせた、ヤザン・ゲーブル
この二人の闘いの中で、自らが背負っていた矜持は全て崩れていた。自身より以前に改造された出来損ないに劣り、全く改造していない、普通の人間より下の戦力しかない自分
崩れた矜持はつまらない自尊心に変わり、それまで僅かな時間の縫うように行われてきた、マリーとの対話を受け入れづらくする要因ともなっていた

ソーマ「……ッ」

しかし
先ほどの出撃の直前、マリーダからの個別通信によってそれは意識の外から完全に離れていった
あの彼女からの、常にグラハムの隣に居続けたマリーダからの、切なる願い
通信を受け、棘のように刺さっていた矮小なプライドは、嘘のようにあっさりと抜け落ちた
彼女が自身を頼ってくれた、それが何よりも嬉しかったから
その願いに応えたかったから

ソーマ「いこう、マリー・パーファシー」

ソーマ「超兵としての矜持の為で無く、私の大切な人々の為に……!」

ハレルヤ「往くぜ女ァッ!!」

ソーマ「そうだ、私達は戦う! 己の意志でッ!!」


26>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:19:01.60VmIvWdkAO (14/23)

ハレルヤ「ッ!?」

キュリオスのシールドニードルとビームサーベルがぶつかり、その接点を軸に両機は同時に圧を横へとかける
アレルヤの見通しなら自身の揺さぶりで敵機はバランスを崩すはずだった、だがGN-Xは彼の思考反射の領域に確かな対応をしてきていたのだ

ソーマ「相手の先を読む……ッ」

ハレルヤ「てめぇッ!」

ソーマ「そして……」

ソーマ「私達はその上を往くッ!!」

マリーの見立て通りに、ハレルヤは一際強く力を掛けて弾きにかかる
その動きに抗わず、むしろ乗ることでその勢いを利用して横に強く回転

ハレルヤ「ッ!?」

ソーマ「はぁぁぁあッ!!」

ハレルヤ「がぁっ……!」

それは、セルゲイがスローネドライに見せたような強烈な後ろ回し蹴り
キュリオスのマシンガンの照準を許すことなく、上体を容赦なく蹴り飛ばす

アレルヤ「この動きッ……!?」

ハレルヤ「まさかてめえ、こっちの領域に踏み込んで……!」

キュリオスが体勢を立て直す。動揺が伝わってくるように感じられた
あのガンダムと被験体に対応出来た、その喜びが電流のように彼女の身体を駆け巡る

ソーマ「これがあなたの世界……」

ソーマ「マリー・パーファシーとソーマ・ピーリスの、思考と反射の融合!」

ハレルヤ「女ぁぁぁッ!!」

ソーマ「もう私は負けない!」

ソーマ「来い、ガンダム!」

体勢を立て直したガンダムに、ビームサーベルを抜き接近するピーリス
ガンダムもまたサブマシンガンで応戦しつつ、距離を詰め一撃を叩き込まんと狙いを定めていく
互いに超兵として完成した者同士の、最後の闘いが始まった


27>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:23:01.97VmIvWdkAO (15/23)

ハレルヤ「舐めんなぁぁッ!」

ソーマ「それは此方の台詞だッ!」

獣のような超反射的反応を駆使し、両者共に一瞬の交錯を止まることなく重ねていく

アレルヤ「サーベルとシールドニードルで同時攻撃!」

ソーマ「防ぎつつバルカンで牽制……ッ!」

アレルヤ「シールドで防いで踏み込む!」

それでいながら思考は互いに互いを探り合い、熾烈な心理戦が内側で行われていた
故に二機は下手な手も打てず、秒感二度刃を交える程度の、ただただ凄まじい単調なドッグファイトを演じていく

ハレルヤ「ぐぅッ!」

ソーマ「甘いッ!」

振り上げられたシールドニードルにGN-Xは体当たりで対応、よろめいたキュリオスにビームライフルで追撃し出足を叩き流れを奪う
思考の及ぶ範囲ではアレルヤに軍配が上がっていた
ソーマがマリーであると気付いていないことも幸運であったが、基本人格として外に出ていた経験が、マリーの後一歩の戦術的追随を許さずにいた

ハレルヤ「くそッ……!!」

ソーマ「どうした被験体E-57! もう終わりか?」

ハレルヤ「はっ……聞こえねえなぁぁ!」

しかし、ハレルヤとソーマ、反射を担当する意識同士の闘いはソーマに分があった
能力の差か、機体の性能か、体力的問題か

ハレルヤ「ッ……」

違う。闘いを制する絶対条件には、どれも不適格だ
ハレルヤは初めて焦りを覚えた
負けているという事実さえ、彼の思考では理解しがたい事だったからだ


28>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:30:35.89VmIvWdkAO (16/23)

不意に両機に襲いかかる粒子ビーム。二人は離れてそれをかわすと、争いの場を通信による舌戦に切り替え、乱入者の迎撃を始めた

ソーマ「何故押されているか分からないか、被験体E-57!」

ハレルヤ「あぁ?!」

ソーマ「私には分かるぞ、その理由が今なら分かる!」

四方から二機を狙うRGMに、両者不本意ながら背を合わせ迎撃行動に出る
奇しくもその動きは、頂武GN-X部隊の編み出した密集陣形に近いもの

ソーマ「お前は生き残る為、自分を守る為に戦っている。所詮は獣の本能のようなもの、そこに意志は宿らない!」

ソーマ「だが私は違う、スミルノフ中佐やマリーダ中尉、私の側にいてくれる人の為に銃を取っている!」

ソーマ「保身の為に引いた一歩と、誰かの為に踏み出す一歩。その差が私とお前の差だ!」

ハレルヤ「おセンチなこと抜かしてんじゃねえぞ女ッ!」

二機の連携でRGMは次々に撃ち落とされ散っていく
もはや一蹴に近いその光景、一瞬の出来事であった
邪魔者がいなくなった瞬間、二人は同時に振り向きビームサーベルとシールドニードルをぶつけ合う
火花がカメラアイを真っ白に塗りつぶす、それでもお互い力を緩めたりはしない

ハレルヤ「てめえには分からねえだろうなぁッ! 仲間殺して生き延びた、俺達の業なんぞよぉ!」

ソーマ「なっ……?!」

ハレルヤ「あの腐れた地獄から一緒に脱走まで、声かけあって助け合った仲間さ!」

ハレルヤ「だが俺は殺した! 酸素も飯も足らなかった、自分が生き残るためには何だってして生きてきた!」

ハレルヤ「だったらよぉ……何かデカいことやって、あいつ等の死に意味を持たせてやらなきゃ……」

ハレルヤ「アレルヤもあいつ等も、救われねえんだよッ!」


29>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:36:06.70VmIvWdkAO (17/23)

両者の攻防が佳境に入る中、二機を離すように粒子の奔流が辺りを包み込む

ソーマ「ッ……!?」

ハレルヤ「なっ……!」

それは、別の場所で起こった一戦の余波
アルヴァトーレの粒子砲であった

           ・
                         ・
                         ・

蒼いGNアーマー目掛け、アルヴァトーレの粒子砲火が一斉に火を噴いていく
一拍に二十二発打ち上げられる紅い花火は、それらの一撃一撃を狙いすまして撃ったかのような精密さでGNアーマーに飛んでいく

ラッセ「舐めんじゃねえよッ!」

しかしただで当たるわけには行かない。GNアーマーも強固な粒子フィールドを形成、敵の猛攻を物ともせずに受け止める

ヨハン「そこだッ!」

スローネアインはアルヴァトーレの攻撃の瞬間、フィールドの解除した瞬間を狙いブラスターを数発立て続けに叩き込む

アレハンドロ『遅い遅い遅いぃッ!』

ヨハン「くっ……!」

しかしあろうことか、アルヴァトーレの巨体は戦闘機が行うような横方向の軽やかな回転でそれらを全て避けていく
GNアーマーを含めた十字砲火が届く頃には、再び頑強な殻に身を包み傷一つつけられない
苛烈な攻撃に堅牢な防御、同時代最強のMS・ガンダム二機で相手にしながら、状況は全く好転せず硬直していた

アレハンドロ「はっ! 所詮急拵えのトリニティに未熟なガンダムマイスターか、動きが透けて見えるわ!」

通信から飛び込んでくる罵倒、刹那は歯軋りし、爆発しそうな意識を平静に保ちつつGNライフルの引き金を引いていく


30>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:40:20.54VmIvWdkAO (18/23)

GNアーマーの粒子キャノンも合わせ、アルヴァトーレへ強烈な一撃を叩き込む
だがそれらでさえもアレハンドロの嘲笑を止める一打にはならず、球体のバリアは揺るぎもせずMAを守り抜いてしまう

刹那「遠距離攻撃では手の出しようがない……ッ!」

ラッセ「飛び込むか!?」

刹那「今はそれしかない。やれるか、ヨハン、ラッセ!」

ラッセ「おう! 俺の身体、お前に預けるぜ!」

ヨハン「刹那・F・セイエイ、援護する!」

中距離以遠の対峙では勝ち目がない。ならばこそ、エクシアの距離に近付かねばならない
粒子を無駄に消費することは避けねばならない。ならば、やるだけだ

ヨハン「全弾持っていけッ!」

トゥルブレンツ・ユニットのミサイルコンテナから無数のGNミサイルが発射され、牽制とばかりにアルヴァトーレへと向かっていく
全発着弾、無論これでさえもGNフィールドに効果は望めない

ラッセ『今だ刹那!』

刹那「おぉぉッ!」

本命となるGNアーマーの巨体が粒子バリアを伴いながら加速、迂回するようにアルヴァトーレへと突撃を始める
元より対ガンダムの為に造られたガンダムエクシア、そしてその支援兵器であるGNアーマー・typeE。対粒子フィールドへの切り札は、刹那の手元にある

刹那「断ち切るッ!」

振り上げた大型ブレードを、爆炎の中に突き込ませる。これで終わらせる為に、渾身の力を込めて

刹那「……ッ!」

ラッセ「なっ!?」

刃が、直前になって止められる。粒子フィールドにぶつかった感触ではない。しかし、何かにぶつかるような感触は確かにエクシアへと届いていた


31>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:43:19.96VmIvWdkAO (19/23)

アレハンドロ「見え透いた手だ。そんな手で私のアルヴァトーレを破壊しようと思ったのかね、刹那・F・セイエイ」

アルヴァトーレは粒子フィールドを解除し、GNアーマーのフィールドに真っ向からぶつかる形で前進していた
展開された金色の鋏が、大型GNソードの付け根をしっかと挟み押し返す
読み切られていた、その事実は刹那から一瞬思考を奪う

刹那「動けない……ッ!?」

アレハンドロ「くははっ!! この距離ならかわせまいッ!」

髑髏の口に似た砲門が展開、真っ赤に圧縮された粒子を吐き出さんとせり出される
このままでは、死ぬ

ヨハン「刹那・F・セイエイッ!!」

叫びながらブラスターを構え、狙いを定めるヨハン。しかしGNアーマーとアルヴァトーレの距離はかなり近い、一瞬の躊躇いが引き金にかかる指を伸ばしてしまう
その僅かな隙は、スローネアインの背後からの射撃にも対応を遅らせた

ヨハン「ぐぁっ!?」

機体を揺らす粒子ビームの一撃、大型ファングがヨハンの邪魔をするように四方からスローネ目掛け攻撃を加えていく
スローネの左腕が砕かれ、右足が貫かれて爆発する

刹那「ヨハンッ!」

アレハンドロ「飼い犬風情に、邪魔はさせぬよ!」

アレハンドロ「今度こそ最後の時だ……消え失せろ、イオリアの亡霊がッ!」

刹那「ッ……!」

発射まで秒読み段階。もう手の打ちようが無い、刹那は目をつむった


32>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:45:06.46VmIvWdkAO (20/23)

ラッセ「分離しろ、刹那ァッ!」

刹那「はっ!?」

今わの際、ラッセの叫びに我に返る刹那
即座にGNアーマーとのドッキングを解除し、敵の砲門を踏み台にして離脱する

アレハンドロ「なッ!?」

とっさの事で、さしものアレハンドロも対応に身体が追いつかない。そして、エクシアと違い鋏に拘束されたGNアーマーには逃げ場など無い
ラッセは恐らくそれを理解して刹那を逃がしたのだろう
踏み台にされた瞬間下方にズレたアルヴァトーレの波動砲は、発射と同時にGNアーマーの脚部を一瞬で灰に変え、アステロイド地帯めがけ扇状に移動しながら放射される
RGM、ガンダム、プトレマイオス、GN-X……未だその場で戦う戦士等を薙払いながら、その一撃は宇宙を赤い炎で染め上げていく

ラッセ『刹那ッ……俺達の存在を……ザザッ』

ラッセからの返答が消える。仲間の命が消える感覚を、刹那は背後に感じていた

刹那「はぁぁあぁッ!」

それでも止まれない
GNソードを展開し、アルヴァトーレの胴体目掛け刃を突き出す
金色のボディに、薄緑に輝く刃が深々と突き刺さり、火花を散らした

しかし

アレハンドロ「なめるなぁッ!!」

刹那「かはっ!?」

下からすくい上げるように鋏がエクシアを強かに叩き、そのまま挟み込んで引き剥がしてしまう
とっさのことに突き立てた刃も抜け、細いエクシアの胴がみしりと嫌な音を立て軋む


33>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:48:42.03VmIvWdkAO (21/23)

アレハンドロ「無駄無駄無駄ァァァ! 羽虫が何匹寄り集まろうがッ! このアルヴァトーレの前には無為に等しいッ!」

強化されたアレハンドロの反射神経は既に常人のそれを遥かに上回り、只でさえ小回りの効かないアルヴァトーレに精密な挙動を強要するまでに至っていた
再び身動きを封じられたエクシア、刹那はせめてもの抵抗としてモニターに映る醜悪な支配者を睨みつける

刹那「ッ……」

アレハンドロ「だが今のは流石に褒めてやろう。このアルヴァトーレに一太刀浴びせられたのは意外だった」

アレハンドロ「もっとも、今の一撃で貴様の仲間は風前の灯火だがな……聞こえないか? 敗北者達の哀れな慟哭が」

刹那「何ッ!?」

アレハンドロから送られる通信の合間から、叫ぶようにトレミーの破損状況を伝えるクリスティナの声
途切れ途切れに聞こえるだけでも、その損害の大きさが伺える
先ほどの一撃はラッセのみならず、トレミーさえも貫き灼いていたことを刹那はようやく理解した

アレハンドロ「私が貴様等を倒すためだけに主砲を撃つと思ったか?」

アレハンドロ「物のついでで狙わせてもらったのだよ、母艦と他のガンダムもな」

刹那「そんな……ッ!」

アレハンドロ「ふはははは……! 良い顔だ、後悔と絶望が入り交じった素晴らしい表情だよ刹那・F・セイエイ!」

刹那「アレハンドロ・コーナー……貴様という男は……!」

アレハンドロ「ふふ、君とも出会い方が少し違えば、良い関係が築けたかも知れんな」
アレハンドロ「だが、もう終わりだ!」


34>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:53:23.52VmIvWdkAO (22/23)

再びアルヴァトーレが粒子フィールドを形成。その内側に半ばめり込むような形にエクシアが押し付けられる
再びせり出す主砲、エクシアは抵抗しようにも粒子フィールドとの干渉で手が動かない

刹那「世界の歪みを前にして……俺は……ッ!」

アレハンドロ「だとしても、これから私こそが世界の規範となり正しき形の見本となる!」

アレハンドロ「せいぜい地獄で仲間と仲良くな……二百年前の亡霊共ォッ!!」

エクシアに残された手、彼が亡霊と謗る男が託したガンダムの切り札
刹那はそれに手を伸ばし、モニターへと表示させた


刹那「トランザ……!」

刹那「ッ!?」

ボタンを押す直前、刹那の眼前に紅い粒子の閃光が散る
しかしそれはアルヴァトーレの主砲の光ではない、それは粒子フィールドをも貫徹し届いてみせた刃の一閃

刹那「な……?」

アレハンドロ「なぁぁにぃぃぃぃ!?」

両者の間に壁を作るかのように現れた長大な一撃により、主砲とエクシアを掴む鋏が同時に切り捨てられ、切り裂かれた粒子フィールドからエクシアが離脱する
何が何だか分からない。それはアレハンドロもヨハンも、刹那も同じであった

アレハンドロ「上からッ……!」

刹那「……!」

見上げた先に立つ者、それは、ロングソードにGN粒子を纏わせた黒いユニオンフラッグ

グラハム「会いたかった……」

グラハム「会いたかったぞ、ガンダムッ!」

それは、自らが追い求めた強者との再会に震える、阿修羅の姿だった


35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/05/04(水) 04:54:43.91qI5IwrXvo (2/2)

満を持しての登場!
騎兵隊のお出ましだ!


36>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/04(水) 04:58:15.45VmIvWdkAO (23/23)

本日は此処まで

予想以上に長引きそうだ、デラツエイガーの活躍を見ながら待っていてくれフラッグファイター


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/04(水) 07:36:54.92urtEPjPDO (1/1)

来てたのだな、ガンダム!


38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/04(水) 09:05:10.50M6gjVuKAO (1/1)

ノリスケさんが止まらない…


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/04(水) 12:48:20.43WCIpaQ2oo (1/1)

流石だなフラッグファイター。
次回にも期待だ!


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/04(水) 18:59:24.75VdSpBtEDO (1/1)

エントリィィィィィィィ!!

投下乙


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/05/04(水) 20:19:17.41NV8Wl+Xzo (1/1)

ラッセがダンクーガに乗っちまった



42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/04(水) 21:45:15.50KdCVdJsDO (1/1)

\やってやるぜ!/
\やってやろうじゃん!/
\やってやるわ!/
\やぁっ…先に言われた…/
\やってやるさ!/
\やってやります!/

とにかく>>1乙


43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/05/04(水) 22:42:18.82GikHTjT2o (1/1)

ノヴァは批評だよな。
オレは好きだが


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/04(水) 22:46:11.31LswLEthzo (1/1)

刹那とヨハンの共闘とか胸熱杉です。

次回も期待!


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/05(木) 22:32:44.65FouF5b3o0 (1/1)

お前らがノリスケって言いまくるからイオリアが波平にしか見えなくなった


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(熊本県)2011/05/07(土) 14:40:19.443+pITNNMo (1/1)

左様


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/08(日) 10:23:55.595fUKuo0AO (1/1)

しかしこのノリスケ、ノリノリである


48>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 01:24:08.64gKXWbJfAO (1/16)

???「あげゃげゃげゃげゃ!」

グラハム「!」

再開だフラッグファイター


49>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 01:25:03.39gKXWbJfAO (2/16)

           ・
                         ・
                         ・


セルゲイ「つっ……!」

閃光が疾った直後戦場、アステロイドの影に隠れたことで難を逃れたセルゲイのGNーX
見回せばアルヴァトーレの一撃で焼かれたRGMの残骸が無惨にも散らばり、地獄絵図と化している

セルゲイ「自らの主に省みられもせず……殺されたのか」

セルゲイ「……」

敵とはいえあまりにも哀れな死に様、セルゲイはコクピットの中でそっと手を合わせ、冥福を祈る
命を落としてしまえば皆等しくタンパク質の塊と化す。裏切られた憎しみも忘れ、セルゲイはその場を後にした

セルゲイ「ピーリス少尉……!」

単騎でガンダムの下に向かった部下の援護の為、軋む機体を省みる事無くペダルを踏み込む
もしかしたら、この量産機達のように骸を晒しているかも知れない
そんな不吉な想像を振り払い、レーダーを頼りにピーリスを探す

セルゲイ「ッ!」

セルゲイ「反応……こちらか!」

動体を感知したモニターが方角を素早く指し示す
はやる気持ちを抑え、導きのままMSを進めるセルゲイ
無事でいてくれ、ただ切に願いながら


50>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 01:27:35.23gKXWbJfAO (3/16)

ー一方トレミー付近ー

ティエリア「何という失態だ……!」

強大なアルヴァトーレの主砲の直撃、ヴァーチェ・フィジカルのGNフィールドでさえそれに対抗する事は適わなかった
灼かれた装甲はGNフィールドの発生も出来ない。分厚い装甲も溶けて脆く固まり、ただの重荷としてヴァーチェにへばりついている
そしてGNバズーカ、コンテナミサイル、GNビームキャノンに到るまで、全ての武装が破壊され完全に沈黙していた
戦力はほぼ0に等しい

ティエリア(これは私自身のミスだ……!)

ティエリア(ヴァーチェ・フィジカルの防御力を過信しトランザムの使用を躊躇した、それがこの結果を生み出した……!)

事実、ヴァーチェ・フィジカルの武装にはトランザムにより強化されるビーム兵器が少なく、防御力もそれを必要としない堅牢さを誇っていた
ティエリアの判断にミスは無い、それ故に彼はぶつけようのない怒りに身を焦がしていた

ティエリア「……ッ」

ティエリア(いつまでもこの様な場所でくすぶっているわけには行かない……)

ティエリア(やればいいのだ、彼が望んでいたように!)

ティエリア「まずは遅れを取り戻すッ!」

ティエリア「ナドレ!」

融解したパーツを切り離し、ガンダムナドレの肢体を晒す
武装は唯一無事だったGNビームサーベルのみ、周囲の敵機が皆残骸と化していなければとても闘えない
一度限りのトランザムも残しているとは言え、粒子貯蔵量の乏しいナドレでは満足な時間は動かせないだろう

ティエリア(だとしてもやらねばならない……ガンダムマイスターとして!)

ピピッ

ティエリア「!」


51>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 01:31:59.65gKXWbJfAO (4/16)

エネルギー反応、即座に回避行動に移る。ナドレ目掛け頭上から粒子ビームが降り注ぎ、分離した破片を砕いていく
それは実体剣を装備した新型のRGMカスタム。RGMの中では唯一無傷で逃げおおせたらしく、存在を省みられなかったことなど意に介さず急接近してくる

ティエリア「新型のカスタマイズMS……まだ生き残っていたのか!」

現れた新型機は、驚くべき事に無傷。逃げるナドレを執拗に追撃してくる
乱射されるGNビームマシンガン、散らばる粒子ビームの威力は微々たるもののナドレの装甲では驚異となる
下手に当たることも出来ず、徐々に距離は縮まっていく

ティエリア「嘗められたものだ……ッ!」

接近戦しか出来ないナドレに、武器の利を見て接近戦を仕掛けるつもりだろう
ティエリアは最小限の動きで粒子ビームをかわしつつ、わざと距離を離すことなく詰めさせていく

ティエリア「その侮辱、万死に値する……!」

ティエリア「その身を以て償え!」

敵機のGNソードが触れる一瞬の間、かき消えるガンダムナドレ
RGMカスタムの挙動がスローモーションに見えるほどの加速、対するRGMカスタムは完全に置き去りにされてしまう

ティエリア「トランザム……!」

ティエリアは自らを捉え切れぬRGMカスタム目掛け、GNビームサーベルを抜き放つ


52>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 01:45:23.58gKXWbJfAO (5/16)

背後から腰部を一刀両断、RGMカスタムは真っ二つにされ力無く虚空を漂い、もがくことも出来ずに沈黙する
離れ際にカスタム機の握るビームマシンガンを奪い取り、トランザムの加速力で一挙にその場から離脱
遥か後方で爆発するRGMカスタムに、ティエリアは目もくれなかった

ティエリア「急がなければ、トレミーが!」

           ・
                         ・
                         ・

コーラサワー「ふぃ~……危なかったぜ」

ダリル「あの野郎、味方ごと俺達を撃ちやがった……!」

ポイントを大きく外れた場所に二機のGNーX。破壊されたアステロイド地帯を眺め呆然と立ち尽くしていた

ダリル「しかし助かったぜ。あんた、何でさっきの一発が来るって分かったんだ?」

コーラサワー「ふっ、このパトリック・コーラサワーに不可能なんてないんだぜ?」

鼻高々に勝ち誇るコーラサワー。NT能力はあれど毛色の違う彼の力は、同じNT能力を持つアレハンドロに強く反応したのだろう
結果として両者は無傷。加えて状況は好転している

コーラサワー「さぁて……そろそろやっちまうかぁ!?」

ダリル「……」

コーラサワー「お、おいおい……流石に無反応は寂しいんだけど」

ダリル「! あぁ、悪い。ちょっとな」

千載一遇のチャンスに興奮するコーラサワー、対照的にダリルは不安感を露わに、星空の一点を見つめていた

コーラサワー「まぁ良いさ、あの一発でガンダムが傷ついてりゃ御の字だ」

ダリル「……」

コーラサワー「行くぜフラッグファイター、今度こそ大金星だぁぁ!!」

ダリル「すまねぇAEUの! 俺は戻る!」

コーラサワー「えええッ!?」

ダリル「距離的に隊長は俺達より速くあのMAと対峙しているはずだ! なのにアイツはまだ生きてる……!」

ダリル「胸騒ぎがしてしょうがねえんだ、済まん!」ガクンッ


53>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 02:02:23.58gKXWbJfAO (6/16)

コーラサワー「ちょ、置いてくなよ! おぉーい!!」

ダリル(隊長、生きていてくださいよ……!)

コーラサワー「……行っちまった……」

コーラサワー「……」

コーラサワー「おらぁぁぁぁぁ! ガンダムめ、このパトリック・コーラサワー様が相手だぁ!」

一機で敵の戦艦が確認された位置に向かうコーラサワー。その瞳は少しばかり潤んでいたとかいないとか……
           ・
                         ・
                         ・
アレハンドロ「グラハム・エーカー……!」

グラハム「アレハンドロ・コーナー、貴方の用意したゴシップにはなかなか踊らされましたよ」

グラハム「お陰で友との約束……守れずに終わってしまった」

開いた回線にアレハンドロは反応し、自らの顔をモニターに晒す
その変わり果てた姿にグラハムは顔をしかめ、哀れな、と一言呟いた

アレハンドロ「一体どんな手品を使ったかは知らぬが……アルヴァトーレに二度同じ手は通じぬ」

アレハンドロ「ガンダム諸共沈め、イレギュラー!」

グラハム「ッ!」

その様子に気付くことさえ無く、剥き出しのエゴに従いアレハンドロは引き金を引く
二十二門の粒子ビーム砲の一斉砲火、GNフラッグもまた最大戦速を以て全力で回避していく
ガンダム二機が手玉に取られた同時代最強MAとパイロット、グラハムの技量をもってしても、その砲火をかいくぐり接近するのは至難の業であった

アレハンドロ「ぬっ……!?」

と、アルヴァトーレを囲むように数発の弾丸が打ち込まれ、軽い炸裂音と同時に白煙を発し視界を遮る
機体を砕かれながらも状況を冷静に見極めた、ヨハン・トリニティの仕業だ

ヨハン「刹那・F・セイエイ! いったん距離を取るッ!」

刹那「しかしっ……」

ヨハン「頭を冷やせッ! 乱入したフラッグも味方とは限らんのだぞ!」

刹那「ッ……!」


54>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 02:06:48.35gKXWbJfAO (7/16)

グラハム「これは……新型の煙幕か!」

砲火が止み、アルヴァトーレから距離を取る
グラハムは結果として、攻めるか引くかの選択肢を迫られた形になった

グラハム「……」

虎の子の一撃、ハイパーGNビームサーベル改め【グラハムスペシャルⅡ(命名:ビリー・カタギリ)】は結果的にガンダムを助けるため使ってしまった
盟友ビリー・カタギリの話では、二発目が成功する可能性は半々、成功するか機体が爆散するかの賭けになるという
中距離からでも対GNフィールドを有する一撃、その威力に相応しい賭ではあるが

グラハム「……」

易々と命を担保にすることを、今の阿修羅の価値観は是としない
そもそも不意打ちでもなければ、あのMAにグラハムスペシャルⅡを当てることは出来なかっただろう。そう考え、今は距離を取る
経緯はどうあれ今のアレハンドロが強いのは紛れもない事実。策も無く突貫すればガンダムにだって足元を掬われかねない
無理をしない、これはコーラサワー少尉からグラハムが学んだ処世術だった

グラハム「彼の片意地を張らない生き方がよもや決戦の場で活きるとは……パトリック・コーラサワー、つくづく読めん男だ」

グラハム「さて……どうしたものかな」

機体を隕石群の陰に隠し、息を潜めながら意識を周囲に集中させる
ガンダムの出方を見つつ敵機への対応を考える、堅実だが我慢弱い彼には辛い戦術でもある


55>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 02:18:25.57gKXWbJfAO (8/16)

グラハム「……」

ただ、グラハムにはどうしても気がかりがあった
アルヴァトーレの中から感じ取れる、見知らぬ何者かの気配のことである

グラハム「明らかに能力を持った者の意識……アレハンドロ以外の何者かであることには間違いない」

グラハム「だが奇妙だ。口では言い表せない感覚……」

グラハム「私はこの感覚を知っているのか……?」

PiPi

グラハム「!」

刹那『フラッグのパイロット、聞こえるか』

刹那『こちらはガンダムエクシアのガンダムマイスター、其方の意図を聞きたい』

と、フラッグの回線に飛び込んでくる通信
その送り主はまさかの相手、グラハムの想い人たるガンダムのパイロット
そしてそれは、アザディスタンでグラハムが何かを感じ取った謎の少年でもあった

刹那『!?』

刹那『お前はあの時の……』

刹那は其処まで言いかけ、脳内の回想に当時の映像を思い浮かべる
若く凛々しい副官の女性に自らをマスターと呼ばせ、仰々しい素振りの男
そんな印象しか無かったグラハムに対し、刹那はもうこの言葉しか吐くことが出来なかった

刹那『歪んだ男!』

グラハム「……ご挨拶だな少年。あの時のマスターという呼び名、不可抗力だと弁明させてもらおう」

当時のあの瞬間の刹那の表情を思い出し、グラハムは今更ながら頭を抱え弁明する
ただその直後の表情は、本人も意図せぬほど鬼気迫った面構えに変わる

グラハム「しかしまさか君がガンダムマイスターとは……センチメンタリズムな運命を感じずにはいられない」

グラハム「我々は、闘う運命にあったということだッ!」

刹那「ッ!」


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/05/11(水) 02:20:53.02qTXKGwCSo (1/1)

歪ンダム!


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/05/11(水) 02:22:06.40hvIJXFfPo (1/1)

別に恋人同士と思えばそこまで歪んではないだろwwwwwwww


58>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 02:24:22.44gKXWbJfAO (9/16)

ヨハン『そこまでだ』

グラハム「む」

ヨハン『フラッグのパイロット、グラハム・エーカー上級大尉とお見受けする』

グラハム「……如何にも」

グラハム「君が新型ガンダムのガンダムマイスターか……」

ヨハン『ガンダムスローネのマイスター、ヨハンだ』

ヨハン『その表情では、此方と手を組むつもりは無さそうだな』

刹那『……』

グラハム「無論だ。君達は敵の敵である前に敵、ただ倒すならばあの強化人間の方が先決と判断しただけのこと」

グラハム「奴を倒してから、正式にガンダムとの決着も着けさせてもらおう」

刹那『……良いだろう』

ヨハン『……』

刹那『先ほどの一撃で俺とエクシアを狙うことも出来たはずだ。それに、この男は嘘がつけるほど器用じゃない』

グラハム「褒め言葉として受け取っておこう」

刹那『まずはあの歪みを断つ。この男に対する対応はそれから決めればいい』

ヨハン『……ふむ』

ヨハン『君がそう言うなら、従おう』

グラハム「ふ、冷静な判断だ。好意を抱くよ」

刹那『っ、必要最低限は喋るな!』

グラハム「おっと、邪険にされるとは……嫌われてしまったな」

ヨハン『…………』



59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/11(水) 02:34:40.73GsXc9W9AO (1/1)

>>56
チクショウwwこんなのでwwwwww


60>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 02:49:58.93gKXWbJfAO (10/16)

グラハム「……」

実際グラハムの内情は、今にでもガンダムに飛びかかりたいくらいの衝動に駆られていた
しかし、此処でガンダムを敵に回せばどうなるかくらい彼にだって分かっていた

グラハム「それに正々堂々、ガンダムとは決着をつけたいものだ」

グラハム「まずはお前からだ、アレハンドロ・コーナー!」

グラハムの独り言と同時に、彼が隠れていた隕石に百発近い粒子ビームが叩きつけられ、粉々に消し飛んでしまう
その場から素早く退避するGNフラッグ。見下ろす先には、未だその機能の殆どを残す金色の怪物、アルヴァトーレがいた

アレハンドロ「急拵えのフラッグもどきが一匹増えたところで、アルヴァトーレに勝てる気でいるのか? 滑稽だなライセンサー」

グラハム「滑稽なのは貴様の方だアレハンドロ・コーナー。そのアルヴァトーレの片腕と口、切り落としたのはどこの誰だったかな?」

アレハンドロ「……」ピクッ

グラハム「そうやって安い挑発ですぐに血が上る。衰えましたな、先輩殿」

アレハンドロ「言わせておけば……ッ」

グラハム「それを差し引いてもッ! 私が負けることは決して無いと思って頂こうッ!」

アレハンドロ「いい気になりおってぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

グラハム「何故ならば……勝利の女神の祝福は! このグラハム・エーカーの唇に授けられたのだからッ!」




61>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 03:17:38.13gKXWbJfAO (11/16)

アルヴァトーレの砲門ぼグラハムのGNフラッグ目掛け一斉に火を噴いていく
怒り心頭、茹で上がった頭でもアレハンドロは全砲門一つ一つで的確にフラッグを狙っていく
下手な接近は即死に繋がる。GNフラッグはアルヴァトーレの周りを回りながら機を見計らう

グラハム「ッ……!」

しかし、元来想定されていない暴力的な加速に晒され、グラハムの身体は内外問わずダメージを負っていく
内出血と筋肉の断裂、内臓への負担。口角に血の泡が滲み、視界はぼやけ始め像を上手く結べずモニターが霞む
身体が沸騰しそうな位にたぎる熱を歯を食いしばりながら耐え、粒子砲をすり抜け接近を試みる

アレハンドロ「愚かだな、自ら囮を引き受け姿を晒すとは」

アレハンドロ「そのガラクタを打ち砕き、中身を引きずり出してばらまいてやるわッ!」

グラハム「ガラクタッ……言ってくれるなアレハンドロ!」

グラハム「我が友とフラッグファイターの想いへの侮辱ッ! その命で贖ってもらおうッ!」

アレハンドロ「ほざけぇッ!」

ジグザグの変態機動、機体の節々が軋み悲鳴を上げるも、粒子ビームをかいくぐり射程圏内にアルヴァトーレを捉える
振りかざしたGNロングソードをアルヴァトーレ目掛け振り下ろす。アルヴァトーレの突き出す鋏とかち合い、眩い火花が飛び散った

グラハム「ッ!」

グラハム「斬れんとは……当たる瞬間鋏を横合いにずらし受けたか!」

アレハンドロ「精密動作には自信があるのでね、ライセンサー」

アレハンドロ「ところでそのガラクタ、機動性はそれなりにあるようだが……ッ」

アレハンドロ「この距離からの掃射、かわせるかね!?」


62>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 03:34:55.45gKXWbJfAO (12/16)

グラハム「かわさんよ、必要が無い」

アレハンドロ「ッ!」

粒子ビームが一斉にグラハムへと照準を合わせた瞬間、アルヴァトーレの真下から飛来する高機動の物体

アレハンドロ「あれはスローネ・トゥルブレンツの飛行ユニット……!」

高速で猛追するその勢いは衰えを知らない。直下は死角、このまま行けば、まず間違い無く衝突するだろう

グラハム「……ッ」

アレハンドロ「無人機による特攻、成る程な」

アレハンドロ「俗物が考えそうな手だ、だがアルヴァトーレにはまだこれがあぁる!!」

慌てず騒ぎながら、大型のファングを展開させ一斉に飛行ユニットを攻撃させるアレハンドロ
そのためのファングであり、強化されたアレハンドロの力でその動きは精密かつ正確に飛行ユニットを貫いていく



グラハム「さて、あのMAを倒すための作戦だが」

グラハム「まず私が真っ向から特攻してダメージを与え怯ませる。そうしたら君達が後から来て追撃し倒す。これで行きたいのだが構わないかな?」

刹那「却下する」

ヨハン「作戦として成り立っていないぞライセンサー」

グラハム「……分かった、ならばどちらかが私が奴に接近した段階で何らかのモーションをかけてほしい」

ヨハン「モーション?」

グラハム「奴にあのバリアを張らせるだけのモーションだ。鉄壁の防御に身を包んだその瞬間、それが奴の隙となる」

刹那「わざわざフィールドを張らせるのか……?」

グラハム「ふふ、我々が新型ガンダムから奪ったのは、腕と剣だけではないということさ」

グラハム「一発限りの隠し玉だ、囮も盛大に頼むぞガンダム!」


63>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 03:52:37.98gKXWbJfAO (13/16)



ヨハン「今だ、刹那・F・セイエイ!」

アレハンドロ「何ッ!?」

瞬間、ファング目掛け粒子ビームが撃ち込まれ次々に叩き落とされていく
ガンダムエクシアのビームライフルの狙撃であった

刹那「何を狙うか分かれば、何処に来るか位容易に読める……!」

刹那「狙い撃つッ!」

飛行ユニットの周囲に展開したファングは全て撃破され、大破寸前のユニットがアルヴァトーレ目掛け突貫

アレハンドロ「ちぃッ……!」

グラハムのロングソードを鋏む鋏を遠ざけ、アレハンドロはGNフィールドを展開
ギリギリのタイミングで飛行ユニットは粒子バリアに衝突、激しい爆発がアルヴァトーレを包み込む
GNアーマーの砲火にも耐え抜いたフィールド、無論無傷でそれを耐え抜いてしまう

アレハンドロ「無駄な足掻きを。アルヴァトーレのGNフィールドに……」

しかし

アレハンドロ「ッ……!?」

突如としてアレハンドロのモニターに映り込む、小型の砲塔端末
GNフィールドの内側に入り込んだそれは、形状こそ原型とは違うものの、ガンダムスローネツヴァイのGNファングそのものであった

アレハンドロ「馬鹿なッ……何故ファングが……!?」

グラハム「ほう、ファングというのかこの武装は」

アレハンドロ「ッ!」

グラハム「技術の解明が進まなかったので、全く違う武器として作り直させていただいた」

アレハンドロ「投げ入れたのか……フィールドを張る瞬間に……!?」

グラハム「噴進機能だけを復活させたGNショットダガー! ガラクタの隠し玉、とくと味わえアレハンドロ!」


64>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 04:07:49.28gKXWbJfAO (14/16)

グラハムの声に呼応したかのように、粒子を放出し突撃するファング改めGNショットダガー
先ほど刹那のエクシアが突き刺した装甲の裂傷に食らいつき、中に火花を放ちながら突き刺さっていく

アレハンドロ「おのれッ……!」

火薬が仕込まれていたようで、ショットダガーが刺さった場所が爆発しアルヴァトーレの各部が火を噴き機能障害を訴える
フィールドを解除しGNフラッグを狙い撃たんとするアレハンドロ、しかし解除の瞬間を待ち望んでいたかのようにGNブラスターが直下の腹に飛び込んでいく

アレハンドロ「ッ!?」

ヨハン「私を忘れないで貰いたいなアレハンドロ・コーナー」

ヨハン「此処で貴様との因縁、ケリを着ける!」

アレハンドロ「ッッ……!」

狼狽し取り乱すアレハンドロ。何か手は無いか、機器を漁り手段を探す最中、モニターにはロングソードを構え直すフラッグの姿

アレハンドロ「ひッ!?」

そして、GNソードを構え急接近するガンダムエクシアの姿

更に、ビームサーベルを抜くガンダムスローネアインの姿までが次々に映し出されていく

グラハム「切り捨て……御免ッッ!」

刹那「でぇやあああああああああッッ!!」

ヨハン「ミハエルの仇ぃぃぃぃいいいいい!!!」


65>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 04:22:25.69gKXWbJfAO (15/16)

スローネアインのビームサーベルが下からアルヴァトーレを串刺しにし、GNフラッグがロングソードで縦に深々と刃の一撃を加える
ガンダムエクシアのGNソードは横からアルヴァトーレに刃を突き立てると、そのまま前進し一文字に切り裂いていく

アレハンドロ「馬鹿な……この、このアルヴァトーレがッ……!?」

機能停止、危険の文字が画面一杯に広がっていく
アルヴァトーレは完全に破壊され、爆発しながらゆっくりと崩れ落ちていった

アレハンドロ「……!」

かくなる上は。アレハンドロはアルヴァトーレの真の姿を現すべく、機器に指を伸ばしコンソールを動かす

アレハンドロ「……!?」

しかし起動しない。如何にダメージが大きいとて、アルヴァアロンにはダメージが伝播しているはずがない
にもかかわらず、機器はアレハンドロにも分からないプログラムを立ち上げ、再構築している

アレハンドロ「何をやっている……!」

アレハンドロ「さっさと起動せんかぁぁぁぁぁ!!」

怒りに身を任せ、モニターを強かに殴りつける

『EXAMシステム・スタンバイ』

アレハンドロ「は……?」
聞き慣れぬ機械音と共に、アレハンドロの脳髄に電流が迸る
それは最後に黎明の時代を終わらせるため産み出された、最後のEXAM

ー???ー

プルツー「……」ムクッ

リボンズ「おや、起きたかいプルツー」

プルツー「リボンズ……」ギュッ

リボンズ「あぁ、彼女が目覚めたよ」スッ

リボンズ「アルヴァアロン・ブルーデスティニー……時代の終わりを飾るに相応しいMSだ」


66>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/11(水) 04:28:01.37gKXWbJfAO (16/16)

本日の投下は終了だフラッグファイター

【GNショットダガー】

カタギリが壊れたファングを加工し、一種のパンツァーファウストのように作り直した代物
グラハムやホーマーはこれをGNクナイと名付けようとしたが却下された
無線のタイミングで噴進し刺さったら爆発、という仕組みで速度も遅いものの、対フィールド性能だけは残った(劇中時間差発射という使い方をされて披露はしなかったが)


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県)2011/05/11(水) 04:56:02.95pohmwf4v0 (1/1)

元トリニティの武器が決め手になるのが運命か。


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/11(水) 05:36:38.08+WPpadbXo (1/1)




69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/11(水) 08:56:01.53GUydxc/AO (1/1)


ブルーなのか黄金なのか…どっちだ


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/11(水) 17:29:41.30eytIeSYAO (1/1)

マリオンは犠牲になったのだ


71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/05/11(水) 21:35:48.03dxsc8DNNo (1/1)

アルヴァロン未だキット化してないの?


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/05/11(水) 21:53:25.85O4fj9Kmjo (1/1)

乙乙
グラハムスペシャルⅡは良くてGNクナイは駄目だというカタギリィ……


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/05/12(木) 00:18:07.75OtkEurDO0 (1/1)

乙です。
このSSのおかげでグラハムとマリーダが大好きになったよ。


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/12(木) 00:25:12.855EyLOxsDO (1/1)

投下乙
へへ…ドロップだ、食うか?


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/12(木) 00:56:54.54qEETkKgDO (1/1)

GNクナイwwwww


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/12(木) 12:21:23.614OlqHe4DO (1/1)

地の文があるのに「」の前に名前を書くのはやめてくれぇ・・・・・・


77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/12(木) 14:36:19.19EhzjgMjho (1/1)

言いたいことは分かるけど、このSSの場合はあった方が読み易いよ


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/12(木) 16:47:35.85bp+d6heDO (1/1)

>>76
無いと読みづらい


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県)2011/05/12(木) 17:23:06.228lLIqFG+0 (1/1)

地の文が多いからわかりやすい部類なんだけどなここのは



80VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2011/05/13(金) 00:58:35.11TjOXwzZ/o (1/1)

最後のEXAMの覚醒。
そして、もしこれが破壊されたら誰が目覚めるのだろう?


81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/13(金) 20:50:25.19iy8fb8LAO (1/1)

>>80
ありがとう

きっと君を呼んでいる人もいるよ

マリオン

それよりこのEXAM二号機みたいにリミッター無いのかな


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/14(土) 14:51:11.54nbAGcOvdo (1/1)

>>81
悪夢が来るぞそんなことしたら


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/15(日) 22:21:40.05pkkeevUe0 (1/1)

ここがフラッグファイター達の場かぁ・・・
はじめましてだな!みなのもの!
という挨拶は置いといて・・・初めての掲示板投稿だな・・・
楽しみにしてます

>>1の人!


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/15(日) 22:34:32.42TqholoUp0 (1/1)

とりあえずsageろ


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/15(日) 22:47:48.08mWgwZJpk0 (1/1)

sageって・・・もうしわけありませんがどうやるんですか?


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/05/15(日) 23:13:37.15p5R9ky58o (1/1)

メール欄にsageぶち込め


87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/16(月) 07:20:30.24EQS9Fqp/0 (1/1)

こうですか?


88VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/16(月) 11:15:21.74bNOt7gQn0 (1/1)

romってろよks


89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/16(月) 13:30:03.73kuCqC0EDO (1/1)

近年稀に見るアホだな


90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/16(月) 16:10:32.06mG4YutzNo (1/1)

専ブラ使ってなさそうだな


91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2011/05/16(月) 21:17:19.25CTz6ASd3o (1/1)

まあガンダム無双3やりながらゆっくりマテや。


92>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 00:32:40.41EbTBknlAO (1/16)

グラハム「未来への水先案内人は、この……!」

刹那「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

投下再開だフラッグファイター、スレ内の紛争には投下による武力介入も辞さないから覚悟したまえ


93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/18(水) 00:40:10.50Vpfn3kVDO (1/1)

流石ですフラッグマスター


94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)2011/05/18(水) 00:42:24.54awMq2zoWo (1/1)

よもやリアルタイムで出会えようとは
牡羊座の私にはセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない


95>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 00:49:06.19EbTBknlAO (2/16)

ユニオン軍、基地

滑走路に降り立つ二機のユニオンリアルドがMS格納庫に滑り込むように入り、所定の位置に付く
かたや無傷、かたや模擬戦用のペイント弾をこれでもかと叩き込まれ、真っ赤に染まった無惨な様
これが戦場ならオーバーキルも良いところだ。整備士は、べったり付いたペイントに霹靂しながら、降りてきたパイロットを睨みつけた

「……」

「まだまだだなグラハム。これで俺が三十勝目をマークしてしまったわけだ」

「スレーチャー少佐……」

「どんな気持ちだ? ん? 今どんな気持ち?」

「~~~~!」

圧倒的な技量で陵辱された愛機を見つめうなだれるのは、まだ軍人となって間もない若きパイロット、グラハム・エーカー
からかってくる上官を恨めしげに睨むその姿は、まるで徒競走に負けた子供のような幼さが見える

「冗談だよ、熱くなるなって。だからお前のリアルドはこの様になる」

「う……!」

認めたくない気持ち、そして上官たるスレッグ・スレーチャーの技量への感嘆、この2つが入り混じる妙な感覚に、新兵グラハムは胸焼けのような不快感を覚えた
だがこんなことでへこたれていてはスレーチャー少佐の下では働けない。彼の反省会はここからが本番なのだ

「お前の操縦は独り善がり過ぎるんだグラハム。言っちまえばオナニーだなオナニー」

「オナ……!?」

「相手のことをま~ったく考えちゃいない。だから操縦が自分勝手になって状況に乗り遅れ、相手の言いようにされちまう」

「分かってんのか? 軍人として空を飛ぶ以上、お前が独りで飛ぶことはまず有り得ないんだ。バカの尻拭いは仲間がやらなきゃならん」

「今みたいな飛び方してたら、真っ先に死ぬのはお前じゃない。お前のパートナーだ」

「はい……承知しています」


96>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 00:56:54.11EbTBknlAO (3/16)

いつもの厳しいお説教。グラハムは胸に突き刺さる指摘の数々に呻きながら、同時に満たされていく感覚に頬を緩める
毎日の訓練により少しずつ彼の背に近付けているという実感、そして彼と共に空を飛んでいる事実が、どうしようもなくグラハムを高揚させていた

「何にやけてんだ若造っ!」

「ふぐっ!?」

直後に振り下ろされた鉄拳、ゴン、という重い音。グラハムは頭を抱え痛みに涙を浮かべる
いつもながらの手厳しい仕打ち、馴れたと言うには少々一発が重すぎるのではないか。数少ない少佐への不満の一つだ

「つまりだ、相手が何を考え、どうしようとするか」

「それを考え、肌で感じて対応する。それが出来りゃあ少しは違ってくるさ」

「ファントンでもヘリオンでも、MSの操縦にパイロットの感情は必ず乗ってくる。後は、読むだけだ」

「なぁに、お前にもいつか出来るさ若造。何たって、俺が教えてるんだからな」

簡単に言ってくれる。笑いながら前を歩くスレーチャー少佐に心の内で文句を告げ、遅れないように付いて歩く



――この人のようになりたい
その憧れだけは、この日と今と、何ら変わりはしない


97>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 01:00:21.41EbTBknlAO (4/16)

グラハム「はっ……!?」

意識が現実に戻る。目の前では、破壊されたアルヴァトーレが火花を噴き上げながら燃え上がっていた
まだあのMAに刃を振り下ろした感触が残っている。時間にすれば、ほんの数秒の間の夢だった

グラハム「走馬灯……?」

全身に篭もる熱と痛みに顔を歪めながら、確かめるようにGNフラッグの操縦桿を握り直す
手足の筋肉は酷使した代償から鈍痛を帯び、肋骨は時折見え隠れする鋭い痛みに、一部罅が入っていることが疑われる
元々マリーダと別れた時からダメージを負っていたこの身体は、更なる強敵との戦いにより満身創痍であった

グラハム「……ッ」

刹那『終わった、のか?』

ヨハン『分からん。ただこの爆発なら無事ではすまい……』

通信が入り、他の二人の無事が確認される
ヨハンの駆るスローネアインが此方を警戒するように見つめ、距離を離す
しかしグラハムはアルヴァトーレの残骸から目を離せずにいた。
まだだ、まだ終わっていない。まだ何かある
グラハムの中の何かが、必死にその証拠を探そうと意識をアルヴァトーレに向けていた


98>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 01:06:30.91EbTBknlAO (5/16)

グラハム(奴の、アレハンドロのプレッシャーは依然として響いてきている)

グラハム(だが此処まで破壊してしまえば、さしものアルヴァトーレとて動けはしまい。動けたとしてももはや虫の息、逃げることさえもままならんはずだ)

グラハム(だが……)

刹那『……』

グラハム「……」

十数秒の思考。アルヴァトーレは爆発により切り裂かれた胴体が崩落し、GN粒子の煙で全体像も把握できなくなっている
ヨハンの動きに合わせ、刹那もまたグラハムを警戒し半身をずらしGNフラッグに隙を見せぬよう立ち位置を変えていた
動かねば不利になるのは自身、しかし、気になってしまう

グラハム「…………」


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/05/18(水) 01:10:14.508I1x95bQo (1/1)

リアルタイムだ……!
待っていたぞフラッグファイター!


100>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 01:11:31.75EbTBknlAO (6/16)

その時だった

グラハム「ッ……!!?」

アルヴァトーレを中心に大気が張りつめるような感覚、グラハムの総身の細胞が一瞬にして戦慄き警戒態勢に入る
ニュータイプとしての直感が、恐るべき何かの存在を強く感じ取っていた

グラハム「退け少年ッ! 奴が来るぞぉッ!」

刹那『何……!?』

ヨハン『奴、だと?』

GNフラッグが飛び退くようにその場から離れる。エクシアはグラハムの叫びに粒子の出力を上げ対応力を上げるが、半壊しているスローネアインは行動に一歩遅れを見せてしまう

それが、生死の分かれ目となった

ヨハン『』

刹那『ぐぅっ!?』

グラハム「!」

噴煙の中から粒子砲が二発、別々の方向に迸り飛んでいく
視界不良の状況下でありながら、それを感じさせぬ精密な射撃、一本はガンダムエクシアの右肩を掠め、装甲の一部を削り取っていく
そしてもう一本は、スローネアインの胴体を深々と貫き通し破壊していた

刹那『ヨハンッ!』

ヨハン『刹那・F……!』

何が起きたのか分からない。無線から響いたヨハンの声は上擦っていた
貫かれた穴から爆ぜるスローネアイン、無線は途切れ、そのまま虚空に漂いぴくりとも動かなくなった

刹那『ヨハン・トリニティーッ!!』


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/05/18(水) 01:15:18.06JjJaHhuf0 (1/1)

ヨハ兄……


102>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 01:17:23.92EbTBknlAO (7/16)

グラハム「……!」

刹那の慟哭がGNフラッグのコクピットにも木霊する。しかし、グラハムには慰める余裕も叱咤する猶予も無かった
アルヴァトーレの中から二人を狙った何かの意識は、上空から兎を狙う猛禽の如く、グラハムを視ていたからだ

グラハム(一瞬でも気を抜けば向かってくる……!)

全神経を集中し、敵のモーションに反応出来るよう操縦桿を強く握りしめる
隣のエクシアからも、その緊張感がひしと感じられた
やがて煙も消え、視界を遮るものは無くなり
壊れたアルヴァトーレを踏み越え、中から【それ】は姿を現た

グラハム「な……ッ」

刹那『コイツは……!』

背に大きな翼を背負い、全身を眩い黄金に彩る疑似太陽炉搭載型のMS
砲身の長いビームライフルを腰にためて構え、微動だにしないその様は、古代AEUの彫刻にも通ずる美的調和さえ感じられるものであった

グラハム「あれが本体……」

グラハム「今まで我々が戦ってきたMAは、本丸を守る城塞に過ぎなかったということか…!」

アルヴァトーレとは違う、異質なプレッシャーに唾を飲むグラハム
二人の見守る中、それは一歩前に踏み出し、再び停止する

刹那「っ!?」

そして踏み出した右脚から、全身へと広がっていく深い蒼。金色の彫刻は、一瞬にして蒼い死神へとその姿を変貌させる

グラハム「色が変わった!?」

『EXAMシステム、スタンバイ』


103>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 01:25:30.66EbTBknlAO (8/16)

敵のビームライフルが一丁右に投げ捨てられた瞬間、赤い軌道が線を描き、グラハムの目の前で止まる
それが謎のMS、アルヴァアロンのカメラアイの色と分かるのには僅かながらの時間を要した

グラハム「え」

反応しきれなかった。フラッグが防御態勢に入る前に、アルヴァアロンの手刀が思い切り右肩に叩きつけられる
凄まじい衝撃に揺さぶられ、意識の追随がしきれない

グラハム「がっ……!?」

殴られた肩部装甲板のひしゃげる嫌な音が、直接グラハムの耳に届く
そのままアルヴァアロンは脚を振り上げ、踏みつけるようにフラッグへとそれを向ける

グラハム「ッ!」

恐らく狙いはコクピットなのだろう、踏み抜かれ、鉄塊に潰される自身の姿が脳裏に浮かぶ

グラハム「お……!」

グラハム「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

のしかかる恐怖感に耐えきれず、絶叫しながら本能に任せ機体を動かす
無理やり機体を捻り、右腕のGNシールドのアタックスパイクを脚にぶつけ、衝撃を利用し何とか離脱に成功した
相手の足裏にわずかながらスパイクが傷を付けるが、アルヴァアロンはフラッグの一撃を意にも介さぬ様子で見下す

『ふむ』

グラハム「はぁっ……はぁっ……!」

『悪くない』

グラハム(全く捉えられなかった……だと……!?)

グラハム(この感覚、まさかあの特殊システムは太陽炉搭載MSにも……!)


104>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 02:03:40.68EbTBknlAO (9/16)

刹那「アレハンドロッッ!」

仲間をやられた激情に駆られ、ガンダムエクシアがGNソードを振りかざし突っ込んでいく
蒼いMSは空いた手にビームサーベルを握ると、唐竹に振り込まれたそれを軽々とそれを受け止める

刹那「あぐっ……!?」

ビームサーベルとGNソードの激しい鍔競り合いが、両機の蒼を浮かび上がらせ照らす
だが一瞬目映い光が発せられたかと思えば次の瞬間蒼いMSがエクシアを押し込み、体勢を崩したその胴体部と蹴りを叩き込み突き放していた
パワーの差、反応速度、出力、機動性
一合の刃の交わりが、その圧倒的な性能を雄弁に語っていた

グラハム「なんと……」

刹那「コイツは一体……!」

『素晴らしい性能だ……!』

グラハム「!」

『望めば望むほど、更なる能力を私の前に見せてくれる! これがアルヴァアロンの、このアレハンドロ・コーナーの力!』

刹那「アルヴァアロン……?」

グラハム「やはり、あのMSには……!」

『最早ガンダム、ライセンサーなど……恐るるに足らんッ!』

グラハム「つッ……」

高笑いと共にビームライフルがグラハムに照準を合わせ、立て続けに粒子ビームを放出していく
GNフラッグも負けじと右へ左へと回避するが、急激なGの変動にグラハムが耐えきれず、次第に照準を外しきれなくなっていく


105>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 02:13:19.67EbTBknlAO (10/16)

二十二門の粒子ビーム砲ほどの密度はないにせよ、一発の威力と速度はアルヴァトーレのそれの比ではない
グラハム(このままでは……ッ!)

刹那「ライセンサー、援護する!」

グラハム「! かたじけない……!」

GNフラッグの窮地に、エクシアのGNビームライフルがアルヴァアロン目掛け数発発射される
しかしアルヴァトーレ同様、アルヴァアロンは粒子フィールドを発生させそれを容易に受け止めていく

刹那「GNフィールド!?」

グラハム「アルヴァトーレの機能は完備しているというわけか……」

グラハム「だが、この隙を逃す私ではッ!」

強力なフィールドを発生させたのならば、攻撃の手は一瞬であろうとも必ず途切れるのが定石
アルヴァトーレ同様の利点は、アルヴァトーレ同様の弱点になりうるとグラハムは考えていた

グラハム「アレハンドロ・コーナー……覚悟ッ!」

加速し、その一瞬の隙を突き一気に距離を詰める
先ほどのMAが強化パーツならば、アルヴァアロンがアルヴァトーレに勝る筈はない
反撃のビームライフルがフラッグの頬を掠め、装甲を僅かに焼く。それでもグラハムの猛進は止まらない
対フィールド性能を有した実体剣による、加速をつけた一点集中の一撃。思い切り、アルヴァアロンの粒子フィールドに突き出した

グラハム「行けぇぇ!」
『……ふん』

思惑通り、粒子フィールドを刃が突き破る。そのまま先端がアルヴァアロンの胸部目掛けて延びていき……

止まった

グラハム「なっ!?」

刹那「何だとッ!!」

アレハンドロ『甘いのだよ。サイコミュ的精神波によるGN粒子の操作、よもや自身にのみ許された能力とは思っているまいな?』

グラハム「まさか……!」

アレハンドロ『馬鹿め! その、まさかだッ!』


106>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 02:25:20.61EbTBknlAO (11/16)

ロングソードの切っ先を止めたのは、胸部の一点、ピンポイントに小さく生み出された多重構造のGNフィールド
GNフラッグの侵攻は完全に止まり、アルヴァアロンは手も使わずそれを成し遂げている

グラハム(対フィールド性能の武器でさえ貫けぬ極小圧縮フィールドを、真っ向からぶつけ攻撃を受け止めたというのか……!?)

グラハムの使い方とは全く逆の、防御に回した粒子干渉能力の応用
殺意を読み取る特殊システム機の力を併用すれば、このカウンターのような使い方も可能なのかもしれない
ただしそれは、GNフラッグがアルヴァアロンに出せる手が無くなった事をも意味する、死刑宣告でもあった

アレハンドロ『そのガラクタでよくぞ此処まで戦い抜いたものだ……』

ビームサーベルを左手に構えるアルヴァアロン、その粒子出力は強化され、極太の一刀となりGNフラッグに迫る
グラハムは咄嗟にブーストを逆噴射し離れようとするが、僅かに逃げ切れない

アレハンドロ『新世界の礎となれ、フラッグファイター!』


107>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 02:46:31.29EbTBknlAO (12/16)

咄嗟にGNシールドを構え、粒子の刃を受ける
絶大なエネルギーの塊に一秒と立たずフィールドは弾け、右腕を諸共に巻き込みながらシールドは融解
ビームサーベルの描く紅い軌跡が、GNフラッグの横をすり抜ける
一秒の間を空け、切り捨てられた右腕が爆発
断面から粒子が血のように吹き出し、星の海を紅く染め上げた

グラハム「ぐぉああっ!」

コクピットは衝撃でスパークし、機器の破片がグラハムの身体に容赦なく降り注ぐ
激痛に顔が歪む、それでもモニター越しのアルヴァアロンはビームライフルを構えグラハムに追い討ちをかけんと狙いを定めている
動け、動け、動け!
飛びそうになる意識を必死に繋ぎ止め、操縦桿を動かしロングソードを構える

アレハンドロ『はっははははははは……!!』

何発も何発も打ち込まれるビームライフルを、直感でロングソードをぶつけて受け続ける
朦朧とする意識の中、背にぶつかる石の感覚
見れば、大型アステロイドがグラハムの行く手を阻むように背後にそびえ立っている
逃げ場が、無い

グラハム「ッ!」

グラハム(ぬかった……!)

アレハンドロ『……ふん』

乱射されるビームライフル、GNフラッグを縫いつけるように撃ち込みながら背後の大型アステロイドを幾度も叩き、やがて罅を全体に走らせGNフラッグを押し込んでいく
機体はみしりと嫌な音を立て、各部に過剰な負荷がかかりアラート表示がモニターを埋め尽くす

アレハンドロ『終わりだ』

三発、とどめとばかりに放たれる粒子ビーム
閃光と衝撃。大型アステロイドは砕け散り、フラッグはまるで糸が切れた操り人形のように吹き飛ばされ別のアステロイドに叩きつけられる

刹那「フラッグのパイロットッ!」

グラハム「……ッ」ゴボッ

グラハム(強い……ッ)

グラハム(これほどとは……!!)

喉にこみ上げた血を吐き出すと同時に、グラハムの肉体から力が抜けていく
機体性能、パイロットの能力、OS、どれを取っても圧倒的な差
勝てる要素が、見当たらない


108>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 02:58:05.69EbTBknlAO (13/16)

済まない、眠い。ちょっとまとめなおしてくる

明日にまた投下し直す。済まんなフラッグファイター


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/18(水) 04:27:08.6778c8QKQ8o (1/1)

アニメじゃのこのこ戦場にヤラレに来ただけのアレハンドロさんが…強い!


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/18(水) 04:38:23.833rD9rj1AO (1/1)

ヨハ兄……生き延びてくれると思ったのに

こんな手に汗握るSSは初めてだ、>>1乙と言わせて貰おう


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/18(水) 08:10:39.77tkxoMaFAO (1/1)

青くなっただけで強くなるだと…
しかも見た目も良くなってるし…


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/05/18(水) 11:10:58.82cCfjnP/Xo (1/1)

デビルウィングの生えたBD壱号機と大差無いデザインだもんな。細部はちがうが


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/18(水) 11:45:34.50jXvVZ18AO (1/1)

だがNT能力ある大使乗せるとEXAMの性質上大使ヤバいんじゃね


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/18(水) 15:19:23.55ETDF6iSDO (1/2)

>>1が帰還するまでこのEフィールドを死守する!!

投下乙


115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/18(水) 18:27:26.36pMSVnXEq0 (1/1)

投下、おつかれさまです
ところで、グラハムさんのNT能力は、誰と同じ位ですか?


116>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 23:29:32.15EbTBknlAO (14/16)

プルツー「ふぅん……アレハンドロとは一緒に寝てるのに、あたしは駄目なのか」

それでは再開だフラッグファイター

>>115
そろそろ一期も終わるし纏めてみた

S:??? コーラサワー
【別格・毛色の違う壁】
A:ニール プルツー 大使
B:リボンズ マリーダ
C:グラハム フェルト
D:ビリー サーシェス

???は作中の誰かです
グラハムはCとBの間、だいたいシャアと同じ位の能力
Dに関しては感応したら感じ取れる程度の能力なので殆ど無きに等しい
ただ粒子干渉能力に関しては個々のセンスの領域で、能力の強さとは違う部分にある、といった感じです
脳量子波とNT能力の兼用は現段階ではリボンズのみです


117>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 23:31:59.54EbTBknlAO (15/16)

プルツー「ふぅん……アレハンドロとは一緒に寝てるのに、あたしは駄目なのか」

それでは再開だフラッグファイター

>>115
そろそろ一期も終わるし纏めてみた

S:??? コーラサワー
【別格・毛色の違う壁】
A:ニール プルツー 大使
B:リボンズ マリーダ
C:グラハム フェルト
D:ビリー サーシェス

???は作中の誰かです
グラハムはCとBの間、だいたいシャアと同じ位の能力
Dに関しては感応したら感じ取れる程度の能力なので殆ど無きに等しい
ただ粒子干渉能力に関しては個々のセンスの領域で、能力の強さとは違う部分にある、といった感じです
脳量子波とNT能力の兼用は現段階ではリボンズのみです


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/18(水) 23:35:31.22kEKZ3dwho (1/1)

大事なことなら仕方ないな
それにしてもコーラサワーがSとは…


119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/18(水) 23:36:11.73RzKW9gjDO (1/1)

投下早っ
???はAレイさんか?


120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/18(水) 23:41:49.19ETDF6iSDO (2/2)

リアルタイムで遭遇!
足と手があります!!


121>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/18(水) 23:56:03.51EbTBknlAO (16/16)

刹那「おい、応答しろ! ライセンサー、ライセンサー!」

刹那は必死に無線に呼び掛ける、しかし応答は無い
弱々しい呼吸音が微かに耳に届く、まだ生きてはいるだろう

刹那(気絶しているだけか、頑丈な男だ)

刹那(だが……あいつはもう戦えまい)

エージェントとして訓練された刹那から見ても、フラッグの損傷ははもう戦えない
いや、そもそもフラッグ程度のMSで此処まで戦えたことが奇跡なのだ
そして、最早刹那にも他人を気にする猶予は残っていない。フラッグに背を向け、蒼いMSへGNソードを構える

アレハンドロ『もうあのフラッグは戦えないだろう。後は貴様だけだ、刹那・F・セイエイ』

刹那「アレハンドロ……!」

アレハンドロ『流石はオリジナルの太陽炉を得たガンダム……未熟なパイロットながら私を最後まで苦しめるとはな』

刹那「……ッ!」

アレハンドロ『だがもうこれまでだ』

アレハンドロ『貴様を始末し、私の新世界を盤石な物とする……』

刹那はフラッグに攻撃していた様子を思い出す
あのMSの武装、威力は凄まじいがどれも取り回しに難があり、白兵戦に置いては扱いにくいものだと分析していた
ならば、付け入るのはその隙か
幸いにもアレハンドロは刹那を甘く見ている、近付く隙は幾らでもあるはずだ

刹那「……ふう……」

込み上げる怒りを抑えながら大きく息を吐く


刹那「ガンダムエクシア!」

アレハンドロ『消え去れ、ガンダムッ!』

刹那「敵機を駆逐するッ!」


122>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 00:33:45.16QLm2n4NAO (1/17)

刃と刃が交錯し、粒子の火花が二つの蒼を照らす

その様子を、遥か遠方から眺める者達がいるとも知らず……

ー???ー

デヴァイン「リボンズ、ヒリングとリヴァイヴは撤退に成功したそうです」

デヴァイン「RGMは損傷警備、しかし固有武装を失ったと」

プルツー「……」

リボンズ「そのまま帰還してくるように伝えてくれ」

リボンズ「流石に近接戦闘能力の高い機体ばかりのあの戦場に、中距離以遠の整備を施した機体では行かせられないからね」

デヴァイン「わかりました。ではそのように……」

プルツー「……」

王留美「プトレマイオスは大破。他の戦闘も徐々に収束し、残すはエクシアとフラッグ、そしてアルヴァアロンのみですわね」

リボンズ「ええ」

王留美「理想は相討ち……でもそう上手く行かないのも世の常ですわ」

王留美「最強の能力と最強のMSを有するアレハンドロが勝ち残った場合、始末はどうなさるおつもりなのかしら?」

リボンズ「……抜かりはありませんよ」

リボンズ「そのためのEXAMです。オリジナルの……ね」


123>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 00:51:17.39QLm2n4NAO (2/17)

           ・
                         ・
                         ・

全身を包み込む心地良い感覚に、そっと目を開ける。静かで優しい光に包まれながら、グラハムの意識は虹色の世界を漂っていた

グラハム「……ここは……」

グラハム「私は……死んだのか?」

見れば、パイロットスーツは消え、一糸纏わぬ姿
しかし不思議と恥じらいの感情は湧き上がらない。それは、此処が以前感じた思念の交わる場と同じだからなのだろう

グラハム(以前は……MSWAD基地で服も来ていた。だがこちらの方がより鋭敏な意識の発達を感じられる)

グラハム(成る程、媒介を使わぬ心と心の交わり……それがこの世界……)

『遅い! 遅いよお兄ちゃん!』

グラハム「!」

ふと、後ろから声をかけられる
瑞々しい、元気な若い少女の声……聞き覚えがある声だった
振り向くグラハム。そこに立っていたのは、栗色の髪を揺らし、明るく笑う少女の姿

グラハム「君は……」

プル『はじめまして、かな? グラハム』

グラハム「……!」

この場がそうさせたのか、死の淵故にグラハムの能力が鋭敏になっているのか
とにかく、彼女がいったい誰なのか……グラハムにはすぐに理解できた

グラハム「プル……エルピー・プル?」

プル『あったりー! えへへ、直ぐにバレちゃった』


124>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 01:03:56.87QLm2n4NAO (3/17)

グラハム「驚いたな……君は確か亡くなったと聞いたが」

グラハム「肉体が死んでも、死者の意志は世に残るというのか……?」

グラハムの問いに、プルは少し寂しげな表情を浮かべ首を横に振る

プル『あたしは他の人とはちょっと違うんだ……心の一部と力だけが離れて、此処にずっと縛られてるの』

プル『こうやって、力がある人や、う゛ぇーだの作った道の中なら出てこれるんだけど……ね』

グラハム「そうか……」

グラハム「……詳しい事情は私には分からんが、君がずっと私の近くにいたことは、今なら何となく理解が出来る」

グラハム「ニールが言っていたのは、君のことだったのだな……?」

プル『うん、ニールは凄く優しかったよ。グラハムを助けてって御願いしたときも、直ぐに飛んできてくれたんだから』

プル『それにしてもヒドいよ! ニールはすぐに気付いてくれたのに、グラハムお兄ちゃんは全く気付いてくれないんだから!』プンプン

グラハム「……謝罪しよう。だがニールほどの能力は私にはない、許してくれ」

プル『チョコパフェ買ってくれたら許したげる!』

グラハム「ははは、約束しよう」

プル『ほんとにっ!?』

グラハム「男の誓いに訂正は無いよ」


125>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 01:22:43.00QLm2n4NAO (4/17)

嬉しそうな表情のプルを見ていると、戦いの最中である事も忘れ、グラハムの顔が緩んでいく
マリーダの昔の頃も、この様に可憐な少女だったのだろうか……

プル『グラハム、マリーダのこと考えてるでしょ?』

グラハム「む?」

プル『此処じゃあ筒抜けだよ?』クスクス

グラハム「ぬ……」

グラハム(……こればかりはどうも慣れんな)

気恥ずかしそうに俯き腕を組むグラハム
そんな彼にプルは近付くと、その頬に両手を添え、優しい笑みを浮かべ語りかける

プル『でもねグラハム、あなたは気付かなきゃいけないの。マリーダがあなたを必要とする以上に、あなたがマリーダを必要としていることに』

グラハム「何……?」

プル『思い出して、あなたは一人じゃなかった。だからもう、後悔なんてしなくていい。誰かと一緒にいてもいい……それは決して悪いことじゃない』

グラハム「プル、一体何を……」

プル『あたしが手伝ってあげられるのはここまで……だから、あとはお兄ちゃん次第』

プル『大丈夫、きっとあなたなら進めるよ。あの人もそれを望んでいるから』

そっと突き放す、小さな手
突然重力に引かれるように、グラハムの身体は真っ逆様におちていく

グラハム「……!」


126>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 01:56:47.31QLm2n4NAO (5/17)

『御願いグラハム……生きて……!』

グラハム「はっ……!?」

気が付けば、そこは焼け焦げたコクピットの中
再び身体を支配する激痛、モニターには粒子残量とフラッグのダメージ状況が事細かに表示されている

グラハム「……」

意識は戻った、だが感じられる
まだ近くにエルピー・プルがいる

グラハム「……っ」

痛みを堪えながら、意識をバイオシートに乗せて彼女を探す
何故あんなことを言ったのか、その真意を知りたい一心に思念を広げていく

グラハム「いた……ッ!」

そして、プルの気配は直ぐに感じられる
グラハムが思っていたよりもずっと近く、彼女は確かにそこにいるという確信も感覚として存在した
頭部を動かすだけで節々からスパークし、嫌な音を立てるフラッグ
そして、モニターに映し出されたのは……

グラハム「……ッ!?」

エクシアを圧倒するMS、アルヴァアロン


127>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 02:41:34.61QLm2n4NAO (6/17)

グラハム「まさか……?!」

そんなはずはない、頭の中では否定しながらもグラハムの脳波は確かにプルの存在をアルヴァアロンに見出している
元よりアルヴァトーレの中から微かに感じた感覚が、今となってはエルピー・プルの存在としてはっきりと感じ取れてしまう

グラハム「……!」

特殊システムは、此方の敵意を読むように動く
彼女はニュータイプだ
そして、アルヴァアロンの性能とあの動き
様々な情報が結びつき、やがて一つの結論を導き出す

グラハム「……」

           ・
                         ・
                         ・

アレハンドロ『どうしたガンダム! 最初の威勢は何処へ行った!?』

刹那「はぁぁぁぁッ!」

エクシアのGNビームライフルを多重フィールドで受け止め、反撃の粒子ビームを撃ち返していくアルヴァアロン
完全に動きを読まれている、その事に刹那は焦りを覚えていた

刹那「だがっ……!」

粒子ビームを回避し、更に接近を試みる
エクシアがアルヴァアロンに勝つためには、まず何よりも近づかねばならない
ならば迷ってなどいられない。刹那は出力を更に上げ、蒼い死神へ再び接近していく



128>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 03:00:36.96QLm2n4NAO (7/17)

アレハンドロ『ふん、単調だなエクシアのパイロット!』

対するアレハンドロはビームライフルの弾幕をわざと弱め、出力を強化したビームサーベルでエクシアを迎え撃つ
挑発的な行為、だがチャンスでもある

刹那「おおおおっ!」

GNソードで横に一閃、深々と切り込んでいく
ビームサーベルとの、もう何度目か分からない刃の交錯。エクシアは僅かに身を引くと、一回転を加え更に左手のビームサーベルを抜き一撃を追加する

アレハンドロ『ふんっ!』

刹那「くっ……!」

しかし、どちらの切っ先もアルヴァアロンを捉えること適わず、強化ビームサーベルか多重フィールドのどちらかに阻まれそれ以上の侵攻を許されない

刹那「やはり……!」

フラッグのパイロットを瞬殺した性能、技量、そのどちらにも偽りはない
刹那はその強さを自ら体感し、自らの無力さに歯を食いしばる

刹那「だとしても……俺は戦う!」

刹那「ロックオンの為に、紛争根絶の為にッ!」

アレハンドロ『しゃらくせええッ!』

刹那「ぐあああッ!?」

アルヴァアロンが前に動き、エクシアの胴体を強かに蹴りつけ機体を揺らす
ガンダムはフラッグとは違いパイロットへの衝撃緩和も万全ではある、が、それでも刹那の意識は数瞬飛び、エクシアは隙だらけになる

アレハンドロ『そんなに仲間が恋しいか刹那・F・セイエイ!』

アレハンドロ『ならば貴様も送ってやろう……仲間の下へなぁ!』

刹那「ッ……!」


129>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 03:18:52.71QLm2n4NAO (8/17)

その時だった
遠方からアルヴァアロン目掛け、紅い粒子ビームが襲いかかったのだ

アレハンドロ『何ッ!?』

刹那「この威力は……!」

とっさにGNフィールドを発生させ弾き返すアレハンドロ。EXAMシステムによりこの奇襲もまた予測の範囲にあった
このレベルの粒子ビーム砲を持つのは、現状ただ一機

アレハンドロ『ガンダムスローネ・アインか……!』

ヨハン『刹那・F・セイエイ……逃げろ……!』

刹那「ヨハン・トリニティ!」

エクシアに通信が入る。モニターには血まみれのメットを被るヨハン、更に遠方からGNブラスターが立て続けにアルヴァアロンを狙い撃つ

アレハンドロ『ちぃっ……』

ヨハン『逃げろ刹那……私が時間を稼ぐ……!』

ヨハン『だから早く……ッ』ゴフッ

刹那「ヨハン、もういい! 後は俺がやる、だから……!」

GNドライブを砕かれ重症を負いながら、虚ろな意識でヨハンは引き金を引き続ける
それでもアルヴァアロンはびくともしない。その事実に、刹那は唇を噛み締め涙を堪えた

アレハンドロ『雑魚が……黙って残り数時間の命を噛みしめていれば良かったものを』

アレハンドロ『そんなに死にたければ、私自ら地獄に叩き落としてくれるッ!』

刹那「ッ!? 止めろおぉぉぉぉぉ!!」


130>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 03:36:57.77QLm2n4NAO (9/17)

GNフィールドを展開したままガンダムスローネへ突撃するアルヴァアロン
その手にはビームサーベル。今のヨハンにはそれを防ぐ手だてはない
エクシアはアルヴァアロンの侵攻を止めようと全速力で追撃する
だが初速から計算してみても、恐らくは追いつけない
エクシアが遅いのではなく、アルヴァアロンが速すぎるのだ

刹那「ッ……!」

GNブラスターが飛んでこない。恐らく粒子が尽きたのだろう
ヨハンを助ける方法は、一つしかない
やるしかない。刹那は覚悟を決めて、スイッチに手を伸ばした

アレハンドロ『ふははははははぐぁっ!?』ガゴンッ

刹那「ッ!」

トランザムを発動させようとした、ほんの一瞬の間
すぐ先を行くはずのアルヴァアロンの背中が、一瞬にしてモニターから消え去った
Eセンサーには、二機の反応が重なり合うように明後日の方向に外れていくのが見える
一つの機体識別反応はアレハンドロのアルヴァアロン、そしてもう一つは、あの男の駆るユニオンフラッグカスタム

グラハム「少年、此処はこのグラハム・エーカーが預かった! 君はあのパイロットを遠くへ!」

刹那「ライセンサー……!」

アレハンドロ『貴様ッ! まだ、動けたのか……!』

グラハム「私は諦めが悪くてね……それに、お前に勝たねばならないもう一つの理由も出来た!」

アレハンドロ『何だと?』

グラハム「問答無用ォッ!」


131>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 04:11:53.02QLm2n4NAO (10/17)

再び乱入したフラッグファイターは、先ほどとは別人のようなプレッシャーでアルヴァアロンに切りかかっていく
倒せるとは思えない。だが、今の彼ならば幾分か持ちこたえてくれるだろう
そう信じて背を向け、ガンダムスローネの下にエクシアを走らせる

刹那「ッ……!」

その直後、背後で巻き起こる大爆発
スローネのすぐ側で繰り広げられる戦闘、こうなっては直ぐに戻ることもかなわない
彼ならば耐えられる……その判断が間違いであったことを、刹那はすぐに思い知らされることになる

――

チャージされたアルヴァアロン砲が爆音と共に粒子の奔流を生み出し、アステロイドを次々と飲み込み破砕していく
捉えたか、姿が見えないことに一瞬安堵する
が、すぐに残骸の中から此方に向かってくるのが見えた。紛れもない、ユニオンフラッグカスタムⅡの姿だ

アレハンドロ『しつこい男だ……!』

ビームライフルはしばらく使えない。リスクは把握していたが、至近距離からの一撃なら、余波でも相応のダメージになると判断し撃ち込んだ
機能停止は確実かと思ったが、フラッグの動きは機敏さを失わず、パイロットのプレッシャーも全く衰えない
どうやらあのフラッグカスタムは予想以上にしっかりと作り込まれているようだ。自身の古巣だけに、ユニオンの技術力が高いことには喜びを覚える

アレハンドロ『限界を超えても尚戦うその信念、敵ながら賞賛に値しよう』

アレハンドロ『だが結果は変わらない。もう休みたまえ……ライセンサー!』

GNロングソードが真上から突き出されるのを、ビームサーベルで受け止める
更に繰り出される刃を、真っ向から全て受け止めていく
軽い一撃だ、アレハンドロは余裕を持ってそれを凌いでいた


132>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 04:33:35.36QLm2n4NAO (11/17)

相手の一撃に合わせ、思い切り正面から叩き込み弾き飛ばす
勝った、勝ち誇るアレハンドロを後目に、機体の体勢を立て直し、ロングソードを握り直すGNフラッグ
その機体から感じるプレッシャーは、グラハムがまだ諦めていないことをアレハンドロに教えていた

アレハンドロ『馬鹿な……無駄な足掻きだぞライセンサー』

アレハンドロ『分かっただろう。君と私の差、フラッグとアルヴァアロンの差。気合いだけで埋められる差では無い』

グラハム「だとしても……私は諦めの悪い男でね……!」

グラハム「今ここで退いてしまったら、私は死んでいった部下に合わせる顔が無くなってしまう……」

アレハンドロ『意地と矜持を支えに立ち上がるか、愚かしいな』

グラハム「意地も張れず、矜持も持てぬ一生など……此方から願い下げだと言わせてもらおう」

アレハンドロ『はっ!』

アレハンドロ『大局を見据えられぬ俗物の考え方だな! 人の想いなど、時代の流れには何の効力も持たぬ!』

アレハンドロ『そして私はその世界を、私色に染め上げるッ!』

グラハム「それが、それこそが間違いだと何故気付かない!」

アレハンドロ『何……?』

グラハム「人を包むのが世界なら、世界を成す最小単位もまた人だ!」

グラハム「人の想いを無視し、命を踏みにじって生まれる変革がッ……」

グラハム「世界を良くする筈がなかろうがッ!!」


133>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 04:57:03.87QLm2n4NAO (12/17)

数合の打ち合いと、一瞬の鍔迫り合いを繰り返し、二機はもつれ込み、ぶつかり合う

アレハンドロ『はっ! それならば何とする! 世界はどうしようもないほどに絡み合い、もはや取り返しなどつく筈もない!』

グラハム「暴力で変えられた世界は、いずれ暴力でまた変えられる! 力による支配を容認した時点で、世界から争いが無くなることはない!」

アレハンドロ『構わんさ。楯突くならば潰す! そしていずれは全てが私に跪くのだ!』

グラハム「世迷い言を!」

アレハンドロ『優しさで世界を直せると信じる貴様よりは、現実的な考え方だと思うがねッ!』

グラハム「貴様という奴は……ッ!」

アレハンドロ『あぁ……だからか。マリーダ・クルスを部下にして、主従関係ごっこをしているのは』

グラハム「……何が言いたい!」

アレハンドロ『女としては出来損ないも良いところだからな……優しくしてやればすぐに懐いただろう。もう抱いたのかね? なかなか良い身体をしていたじゃあないか』

グラハム「ッッ……!!」ブチッ

アレハンドロ『良いぞライセンサー、その顔だ! 今貴様の内に沸き起こる感情が、貴様の理想が間違いだという何よりの証!』

グラハム「黙れえぇぇぇぇぇッ!!」

アレハンドロ『怒りに狂った刃で私を捉えられると思うな……俗物ゥッ!』

フラッグの横腹にアルヴァアロンの膝が叩き込まれ、ビームライフルによる殴打でフラッグの頭部の一部が砕けて欠ける
場は完全にアレハンドロが支配していた


134>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 05:12:35.82QLm2n4NAO (13/17)

アレハンドロ『ははははははは!』

グラハム「ッ……!」

それでもフラッグは止まらない。何度でも何度でも刃を構え、終わらない

アレハンドロ『ふん、まだ立ち上がるのか。ここまで来ると哀れだな』

アレハンドロ『何より貴様は軍人だろう? 暴力を振るうのが仕事である軍人が……世迷い言だな』

グラハム「……力無き……」

アレハンドロ『ん?』

グラハム「力無き正義は無力なり……だが、正義無き力は暴力なり」

グラハム「貴様の振るう力には正義が無い……故に私は暴力と形容した」

グラハム「私を、私達を! お前のような男と一緒にするなッ!!」

アレハンドロ『屁理屈を……!』


135>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 05:55:29.17QLm2n4NAO (14/17)

アレハンドロ『黙れッ!』

上から打ちつけるアルヴァアロンの拳がフラッグを殴り飛ばす
アステロイドに叩きつけられ、激しく揺れるフラッグ
これならば減らずも叩けまい。そう考えた矢先、それでもフラッグは起き上がってくる

グラハム「ッ……」

グラハム「……貴様のMSに搭載されているシステムの中にはな……」

アレハンドロ『! 貴様まだ……!』

グラハム「一人のニュータイプの少女の心が……閉じ込められている……」

アレハンドロ『!』

アレハンドロ(エルピー・プルの事を知っているだと……いや、まさか!?)

グラハム「彼女は……自身が囚われの身でありながら、私を助け、身を案じ、生きろと言ってくれた」

グラハム「私に、助けてという一言さえも言わずにだ……!」

アレハンドロ『何だと……!』

グラハム「十分だ」

グラハム「命を賭ける、これ以上の理由など有りはしない……!」

肉は裂け
骨は砕かれ
神経は感覚を失いただただ熱く燃えるよう
視界は白濁に沈み淡い像しか結ばず
鼻は血の香のみを伝え過ぎてその機能を失い
耳は繰り返し遠雷のような耳鳴りだけを残し言葉すら聞き取れず
ただ、鮮明な意識だけが壊れた肉体を支配し、動け、動けと命令を繰り返す

グラハム「……」

頼む、私の身体よ
まだ倒れないでくれ
後少し、後少しでいい
もう少し動いたら、ゆっくり休ませてやる
そう念じ、出来ているのかも分からない深呼吸を何度も繰り返す

グラハム「……よし」

アレハンドロ『ッ……!?』

何故動ける、あれだけの損傷を受けながら
何故動ける、あれほどの損傷ならば中身とて無事では無かろうに

グラハム「……」ガコンッ

そうだ
そうだった
この男は、千機に近い大軍でさえ傷つけることかなわなかったガンダムの腕を、たった独りで切り落とし
雲海の先、成層圏を狙い撃つ男の射撃を難なく避けて見せ
道理を無理でねじ伏せ、EXAMの奇襲が生み出した如何なる危機的状況をも叩き潰し
現にアルヴァトーレを沈め、限界をとうに超えた機体と身体で、尚アレハンドロの前に立ちはだかっている

グラハム「……!」

そうだ
これこそがこの男の
グラハム・エーカーの真骨頂!


136>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 06:12:35.89QLm2n4NAO (15/17)

投下終了だフラッグファイター


137VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 06:22:40.08vBlW8x1yo (1/1)



グラハムがかっこよすぎて濡れる


138VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/19(木) 07:30:12.72DDsBi9mM0 (1/1)

乙です
良い所で・・・
次回はどんな風になるのか・・・
楽しみです!
まさかコーラがSランクとは・・・
ゼータの鼓動の様な技は出せませんよね?


139>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 07:38:25.60QLm2n4NAO (16/17)

以前どなたかが言ってたが、コーラサワーはXのNT(ポストティファ)なので戦闘以外の能力の見せ場が基本的に多い感じ
数千キロ離れたグラハムの安否を感じ取るようなことはしても、戦闘で役に立ってる気配0みたいな
無論Xのニュータイプが全員そういう感じではなく、あくまでコーラサワーはそういうNTという感じで頼む
どちらかというと異能炭酸生命体としての側面が(ry


140VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/19(木) 07:53:17.83XATM60eAO (1/1)

>>1乙、ハムさんカッコ良すぎるだろ

俺が無知なだけかも知れないけど>>135の「減らずも叩けまい」って口抜けてないか?


141>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/19(木) 07:55:50.58QLm2n4NAO (17/17)

>>140
済まない、完全な脱字だ
もっと確認しなきゃ……


142VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/19(木) 08:03:08.007YKTiCyAO (1/1)

DOMEはXのNTをただの超能力者って言ってたし…
超能力ならコーラが異能炭酸生命体でも不思議じゃないな!
ていうか、コーラには未来が見えてるのか?


143VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/19(木) 11:09:59.51ZgLynRSn0 (1/1)

乙です。
グラハムかっこいいよ!


144VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/05/19(木) 11:31:58.10SRtGrxNio (1/2)

乙です
プルさんじゅういっさいが全く変わりなくて安心した


145VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/05/19(木) 11:33:46.73lsYDY8tHo (1/1)

>>122
×損害警備
○損害軽微




146VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/19(木) 14:09:59.91y7btNoqAO (1/1)

マリオン「……」


147VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 21:23:42.33QQJEAqGDO (1/1)

つまりコーラは「明後日…そんな先の事は解らない」とか言い出したり、舞台が整い役者が揃えば暴走したり、AEUで飲むコーヒーが苦くてむせるようなNTと言う事か…


148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 21:27:45.219Hd8Hkhho (1/1)

>>147
戦いは飽きたということだな


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/19(木) 22:05:04.45zgP49fjZ0 (1/1)

そんな硬派なコーラは似合わない……
と思ったら元祖異能生存体も女一人のために戦う男だったなww


150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/05/19(木) 22:26:19.32VjZwWavu0 (1/1)

ところで
>>1は、劇場版まで続けるつもりなのだろうか?
もしかしたらそのへんもう、前に書き込まれていたかもしれないが・・・
すまん、あんまりおぼえていない


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/19(木) 22:29:53.57hh1KtkC3o (1/1)

第二部の構想はあると明言しているけど、劇場版については何も言って無いかと。


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/19(木) 22:31:51.93z6/SkHu+o (1/2)

ブレイヴの名が出てるから有り得なくはないな


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/05/19(木) 23:17:08.20JuYxXO0AO (1/1)

ここのグラハムはミスターブシドーにならなさそうだ


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/05/19(木) 23:21:34.83SRtGrxNio (2/2)

それどころかこのまま行くとせっちゃんとの一騎打ちも難しそうだしなぁ


155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/19(木) 23:24:39.80z6/SkHu+o (2/2)

に、二期になったら戦うさ…00ライザーが負けちゃったら駄目だから…勝敗は……


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/05/20(金) 00:50:05.54xQT8dTiZo (1/1)

>>155
エクシアリペアⅡがあるじゃないか
状況的にもラスボス倒した後で丁度いい


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/05/20(金) 01:22:08.78TaYm/b0w0 (1/1)

ユニコーンの原作でマリーダに対してミネバが、
ユニコーンが求めていたのは、あなただったかもしれないのに  
とか言ってたけど、どう言う意味なんだろ?


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/05/20(金) 03:34:13.33bDxIN8qAO (1/1)

黄金大使もしっかり悪役してて好きだな


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/20(金) 07:00:50.11jzX009Y10 (1/1)

>>157
バナージが自分でも自覚はないがマリーダのことを好きだった、という意味だと勝手に解釈している。
スレチすいません。


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県)2011/05/20(金) 19:06:24.82HJLYnWa70 (1/1)

小物ってことは変わらないけど黄金大使がラスボスらしいことになってるとわ


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/20(金) 19:23:27.54AzV9UUgso (1/2)

アルヴァロンって性能的には普通に一期最強だったしね


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/20(金) 20:06:22.313FEfw/HYo (1/3)

アルヴァロンを二機の技術で作ったら無敵なんじゃね?
トランザム使えるアルヴァロンとか勝てる気がしない…


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/05/20(金) 20:07:53.17VtquAtRyo (1/1)

>>162
つガデラーザ


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/20(金) 20:08:15.653FEfw/HYo (2/3)

あ、アルヴァトーレ含めてな


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/20(金) 20:09:29.893FEfw/HYo (3/3)

>>163
あぁ…いたな、そんなの…
存在忘れてた


166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/20(金) 20:13:48.31pi7ct2fNo (1/1)

リボンズのNT能力は際立って高いわけでもないんだな
脳量子波とは別なんだろうけど

それにしても刹那が活躍出来ないな・・・これまでCB側のメインはロックオンで
純粋種として覚醒するにもまだまだ先の話だろうし
それ以上にこの世界じゃグラハムの片思い相手でもないしな


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/20(金) 20:17:38.79J8bKxXDHP (1/1)

おいおい、噛ませとしてネタになってるが、
ガデラーザもデカルトも印象に残る見せ場あったぞ。
あれらは良演出だった。


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/20(金) 22:10:35.67AzV9UUgso (2/2)

リボンズは「イノベイター(自称ではなく)かつニュータイプ」ってのが凄いんだろうな


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/21(土) 00:26:23.29W7rkW10W0 (1/1)

そもそも1期の刹那はコーラとかグラハムとかの他のキャラクターの印象が強すぎて
『俺がガンダムだ』とはつトランザムの回くらいしか印象に残ってないな



170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/21(土) 02:07:36.17zgzw+676o (1/1)

リボンズはCVがアレだしな
作中じゃ中華おっぱい叩いたり小物臭いシーンもあったが総じて悪くないラスボスだったと思うぜ
本編じゃ覚醒刹那のダブルオーライザーしか相手にしたことないのが勿体ない所だ


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/05/21(土) 16:00:32.27nMcYHBmBo (1/2)

デザイナーはタンク形態も入れたかったらしいんだよなアレ


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/05/21(土) 16:21:49.08qsPnVRkP0 (1/1)

青くしただけで大使ってわかり辛い!ふしぎ!
ttp://convini.ddo.jp/imguploader/src/up10154.png


173VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方)2011/05/21(土) 16:22:45.435IBUC7Voo (1/1)

>>172
カイオーガ思い出した


174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)2011/05/21(土) 17:15:58.81GoKBqGy8o (1/1)

>>172
かっけぇ


175VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/21(土) 19:14:01.52nbGVyd9to (1/1)

>>172
こう格好いいと、大使のセンスがどれだけ残念かよく分かるな


176VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/05/21(土) 21:00:18.85EO+L8yEe0 (1/1)

>>172
青ジム…ってただのブルーディスティニーだな


177VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/05/21(土) 21:38:45.21nMcYHBmBo (2/2)

そのうちグラハムの中の人のスパロボ参戦作が増えたら中断メッセージで一人中村劇場とかやるんだろうか・・・


178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/22(日) 08:42:39.38OCWArbyDO (1/1)

>>177
グラハム以外だとマクロスFのアルト姫、ラインバレルの森次室長、あと第二次OGでジョッシュ役に確定したな >中の人


179VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2011/05/22(日) 09:05:45.063+4obRTCo (1/1)

>>172
背中のバインダー見たいのが後頭部に付いているように見えた私は、
きっと疲れているんだろな・・・・・


180>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/22(日) 11:32:51.48O9t2HX8AO (1/1)

>>172
やだ……かっこいい……
支援感謝するぞフラッグファイター

一番最初にこのスレを立てた時のプロットを確認したら「コーラサワーが死なない話」とあった。いや確かに間違いないんだがな……

どんな話か見失いながらもやらせていただくよ、私はしつこくて諦めの悪い、俗に言う人に嫌われるタイプの男だ


181VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/22(日) 14:57:52.71ZvJdHmm2o (1/1)

コーラサワーならサテライトキャノン撃たれても生きてるって信じてる


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/22(日) 15:34:22.66rcepiXg1o (1/1)

XのNTなら未来が見えるんだぜ


183VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/05/22(日) 19:52:16.15dbdU+naXo (1/1)

1人の少年の頑張りで覆される未来だけどな


184>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 01:19:37.04GV8Tfe4AO (1/9)

コーラサワー「マネキン大佐はバーロー可愛い……と」カタカタ

ちょっと投下再開だフラッグファイター


185>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 01:23:49.78GV8Tfe4AO (2/9)

アレハンドロ『死に損ないが……ッ!』

強気な言葉を吐いて見せても、その手の震えは他ならぬ自身が目の当たりにしている

アレハンドロ『もう良かろう……今度こそ奈落に沈め、!』

声まで震える前に通信を切り、大きく息を吸い込み平静を保たんと試みる
長い政治生活は軍人だった過去を蝕んだのだろう、アレハンドロがそれに気付く気配はない
改めて操縦桿を握り直し前を見る。依然としてGNフラッグは立ちはだかり、彼方からはガンダムエクシアの気配も感じ取れる

アレハンドロ『流れは私の方から奴に向いている……だが関係などあるものか』

アレハンドロ『如何に立ち上がろうと確実にコクピットを破壊してしまえば奴は死ぬ』

アレハンドロ『……そうとも、勝者はこのアレハンドロ・コーナーだ!』

急加速でGNフラッグめがけ突撃するアルヴァアロン。一番最初にグラハムが反応すら出来なかった接近速度だ
――これならば、殺れる!

アレハンドロ『今度こそくたばれ、ライセンサー!』

グラハム「……言葉が汚いなアレハンドロ」

アレハンドロ『はっ?』

グラハム「ふんッ!!」

突き出されたGNビームサーベルはフラッグのロングソードとかち合い粒子を放出、本来フラッグの右腕があった空間をすり抜けていく

アレハンドロ『なっ――!』

フラッグはその威力を受け流しつつ一回転、突っ込んでくるアルヴァアロンの横を抜け背後を取る
アルヴァアロンの最大戦速を逆手に取った、一瞬の出来事
何が起きた? 自らに問う間さえなく、フラッグの一撃は確かにアルヴァアロンを捉えていた


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/25(水) 01:41:45.85kPW+Y/PAO (1/1)

そろそろと思ったら案の定きてた

私と君は運命の赤い糸で繋がっているようだな


187>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 01:47:39.39GV8Tfe4AO (3/9)

アレハンドロ『ぐぉっ!?』

グラハム「おおぉぉぉぉぉぉッ!!」

左翼部に渾身の一刀が食い込み、振り抜かれた刃がそれをむしり取っていく
小さな爆発と共に揺らぐアルヴァアロン。即座に急停止し、振り向き様ビームサーベルを大きく横に振るう
しかし切っ先ギリギリでフラッグは止まり、左半身に機体を傾け一撃をかわせば、ロングソードを構え一直線にアルヴァアロンへと突き出してきた

アレハンドロ『……ッ!』

グラハム「何のこれしきィッ!」

極小圧縮フィールドがロングソードを防ぐものの、それを読んでいたとばかりに体勢を立て直したフラッグが胸元に蹴りを叩き込む

アレハンドロ『がッ!?』

グラハム「ぐっ……!」

大きく仰け反るアルヴァアロンに対し、体勢をそのままに再びロングソードを構えるフラッグ
装甲表面には、揺らめく炎のようなエネルギーを纏っているのが見える

アレハンドロ『何だ……あれは!?』



グラハム「……ッ!!」

自身の攻撃で伝わる衝撃にさえ、グラハムの身体は電流のような激痛を感じていた
まだだ、萎えそうになる心を抑え、込み上げる血塊を喉奥に押し込み、全神経を集中する
グラハムがアレハンドロに勝てる数少ない要素、技量と精神力
この二つに全てを賭け、アレハンドロの心を損耗することに辛くも成功した

グラハム(動きは何度も見た、考え方もペラペラと喋ってくれたおかげで容易に掴むことが出来た)

グラハム(後は読み切って合わせるのみ……ッ!)

虎視眈々と狙っていた、一度限りのカウンター。絶妙なタイミングで訪れた絶好の機会を、グラハムは確かに物にしていた

だが


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/05/25(水) 02:08:17.59ALQGjPMW0 (1/1)

ゴクリ・・・


189>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 02:23:21.26GV8Tfe4AO (4/9)

GNフラッグはもとより、グラハム自身も限界を越えいつ倒れるとも分からない
そして片翼を失ったアルヴァアロンでも、冷静に立ち回れば今のグラハムをなぶり殺すだけの力は十分残されている
チャンスは、一度限り

グラハム「アレハンドロ・コーナーッ!」

アレハンドロ『ひッ……!』

実際問題、アレハンドロの力とアルヴァアロンならばまだ対処の余地があっただろう
だがそれが出来ないのは、アレハンドロが見てしまっていたからに他ならない
グラハムの、フラッグの中に集う【何か】を……

グラハム(今、今決めねば私に勝機は無いッ!)

アレハンドロ『来るな……来るなァァァッ!!』

グラハム「でやあぁぁぁぁッ!!」

一直線に突き出されたGNフラッグのロングソードがアルヴァアロンの頭部を捉える
多層GNフィールドが自己防衛の為に発動するも、発生器たる片翼を失いその強度は半減
遂には一撃の下に打ち砕かれ

アルヴァアロンの首が、宇宙に舞った


190>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 02:39:17.27GV8Tfe4AO (5/9)

アレハンドロ『ばっ……馬鹿な……!』

グラハム「……私の」

アレハンドロ『このアレハンドロ・コーナーがッ!?』

グラハム「勝ちだ!」

特殊システムによる稼働機体は、システムの中枢たる頭部を失えば活動を停止する
グラハムの読み通りアルヴァアロンの動きは止まり、力無くその四肢を投げ出し無重力に浮かんでいる
ところどころから火花を噴き出し、魂が抜けるかのように元の金色に戻り、プレッシャーも掻き消え完全に沈黙した

           ・
                         ・
                         ・

アレハンドロ「……う……」

焼け焦げたコクピット。血の雫と砕けた破片が舞っている
電力の集中した頭部を破壊されたことによる逆流が生み出した惨事に、アレハンドロは力無くシートに寄りかかっている


アレハンドロ「こんな馬鹿なことが……私は、世界を手にする資格を持った……!」

リボンズ『やぁ、アレハンドロ』

アレハンドロ「!?」

爆裂した破片に傷つくアレハンドロに、何者かが声をかけた
それは半壊したモニターに映る青年リボンズ、そして彼の肩の上に顎を乗せ無邪気に笑う少女プルツー
両者共に、端麗なその面持ちに侮蔑を浮かべアレハンドロを見下していた

プルツー『あ~ぁ、酷い有り様だ。全く見てらんない』クスクス

リボンズ『そう言ってやるもんじゃないよプルツー、彼は十分働いてくれた』

アレハンドロ「リ、リボンズ、何を……」

リボンズ『ご苦労様アレハンドロ。貴方は最後までいい道化でしたよ……』



191>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 02:58:54.07GV8Tfe4AO (6/9)

二人からは自身に従っていた時の態度の片鱗さえも見えない
その邪悪な笑顔を見るにつれ、アレハンドロの脳裏に一つの結論が浮かび上がる

アレハンドロ『ま、まさか貴様等……私を裏切ったというのか……!?』

リボンズ『裏切った? とんでもない。最初から貴方は我々の計画の駒に過ぎなかっただから』

リボンズ『ともかくこれで第一段階は終了だ。まぁ……フラッグ如きに潰されるとは思わなかったけどね』

プルツー『まさか自分がニュータイプに覚醒したなんて、本気で思ってたんじゃないだろうね?』

プルツー『あっははははは! 強化人間にされて、【自殺兵器】に載せられた事実も知らないで! やることがいちいちマヌケなんだよアレハンドロ!』

アレハンドロ『……ッ!』

プルツーの嘲笑、リボンズの蔑視。それらによって曾祖父の代から受け継がれたコーナー家の悲願、その二百年の計画が踏みにじられたことをアレハンドロは知った

アレハンドロ『貴様等……コーナー家の計画を……!』

リボンズ『そんな物言いだから、器量が小さいのさ』

アレハンドロ『リボンズウゥーーーッッ!!』

燃え上がる怒り、搭載されたサイコミュがその思念を吸い取り力に変える
再び目覚めたアルヴァアロン。機能を復活させたサブモニターが見たもの、それは紅の光を纏い現れたガンダムエクシアであった

アレハンドロ『あ……』

リボンズ『……』クスッ

プルツー『バイバイ、アレハンドロ』


192>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 03:14:14.97GV8Tfe4AO (7/9)

           ・
                         ・
                         ・

グラハム「ッ!?」

確かに消えていたプレッシャーが復活し、もがくように手足を動かし始めるアルヴァアロン

グラハム「頭部を失えば動けないのではないのか……!?」

一度沈黙した機体だけに、驚きは隠しようもない
ロングソードを構え、追撃せんと身構えるGNフラッグ
だがその直後、レーダーに写る高速の物体がグラハムの視線を釘付けにする

グラハム「……ッ!?」

それは深紅に染まり、此方に猛烈な速度で接近してくるガンダムエクシアの姿
グラハムは初めて確認する、トランザム状態のガンダムであった

刹那「これ以上は……」

GNソードの巨大な刃がアルヴァアロンの腰を捉え、一刀両断、斬り伏せる
半ば暴走状態で制御の効かないアルヴァアロンも、真っ二つにされては最早手の打ちようも無く

刹那「やらせない!」

そのまま紅蓮の炎に飲まれ爆発。アレハンドロは断末魔を上げることなく、光の中に呑み込まれて消えた

刹那「……」

グラハム「……少年……!」


193>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 03:16:53.25GV8Tfe4AO (8/9)

投下終了だフラッグファイター

何だかアレハンドロが凄くあっさり死んでしまった気がする。もっとちゃんと書くべきだったなぁ……
とりあえず明日で一期は終わらせる。長々と済まんな


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/25(水) 04:17:37.25ca7wQ3SAO (1/1)


自爆スイッチはついてなかったか


195VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/25(水) 08:09:15.39PVSH0+XAO (1/1)

アレハンドロはこのくらいで調度良い
だが、刹那とグラハムの対決は……ないか


196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/25(水) 19:24:50.43yXJ33cwT0 (1/1)

乙乙乙
この状態のグラハムに戦い挑んだら刹那極悪人だろww


197VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/25(水) 19:32:56.23CLXaDB1d0 (1/1)

乙と書かせていただこうフラッグファイター

あなたこそ真のフラッグファイターにしてマスターなのだろう




198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/25(水) 20:05:18.26vPC3V6yDO (1/1)

最近、いろんなスレをageまくってる荒らしがいるが、なんなんだろうな


199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方)2011/05/25(水) 20:28:18.26S8iafgK40 (1/1)

>>198
荒らしの共通見解:気にしたら負け


200>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/25(水) 20:35:43.09GV8Tfe4AO (9/9)

えぇいッ!予定ではやらなかったが、やはり刹那とグラハムは一騎打ちさせたい!
>>185からの昨日の更新は全て無かったことにしていただきたいッ!全て書き直した上で終わらせるぞガンダムッ!
本当に済まない

しばし待てフラッグファイター、我慢弱いのは分かるが耐えるのも男のステータスだ


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/05/25(水) 20:37:47.64yBUZWwOAo (1/1)

画太郎先生みたいな事するのかフラッグファイターwwwwwwwwwwww


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/25(水) 20:41:35.60UDqv+dJmo (1/1)

それで良いのかwwwwwwww
まぁ、グラハムと刹那が戦うのは俺得だからここは耐えるぞマスター…


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/05/25(水) 20:49:32.87Os3fCbETo (1/1)

マリーダがポロポロ泣くような展開ならいくらでも耐えて見せるぞフラッグファイター


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/25(水) 20:57:39.94mbp1Rcouo (1/1)

MXでやってる再放送も来週はここになるのかな?
来週は『刹那』らしいが


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/25(水) 21:51:17.92CihrcxoQo (1/1)

どこの手塚先生だフラッグファイター


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/25(水) 22:04:08.928Py52BFDO (1/1)

今北産業を頼む、フラッグファイター


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/05/25(水) 22:18:27.82JdlQPy80o (1/1)

素晴らしい。やり直すその姿勢、
貴方は真のフラッグファイターだ。


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/26(木) 01:12:51.84TpqvwLyDO (1/1)

大使ェ…


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/26(木) 17:19:39.43lf9y4fk/0 (1/1)

グラハムは現実にいたらうざいけどいいやつなんだろうな


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/26(木) 18:20:26.84MphRXgXDO (1/1)

そんな実験で~スレのあげ荒らしの飛び火受けてね?


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/26(木) 21:46:33.25UCQOs6sDO (1/1)

IDがUC記念sage


212>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/26(木) 22:42:45.78siIgkahAO (1/6)

投下再開だフラッグファイター。私の我が儘を許してくれ


213>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/26(木) 22:47:17.23siIgkahAO (2/6)

グラハム「さぁ、続きだ!」

アレハンドロ『…………』

しかしアレハンドロには、腑に落ちぬことがあった
ユニオンフラッグカスタムⅡ、GNフラッグは基本性能こそ疑似太陽炉とバイオシートによる強化がなされているが、その装甲と強度まではオーバーフラッグ準拠のはずだ
事実ユニオンフラッグや前身のユニオンリアルドは、最悪ガンダムに蹴られるだけで墜落する
……そうでもしなくては飛べないからだ

アレハンドロ(何故だ、何故あれだけの攻撃を受けてまだあれほどまでに動ける?)

アレハンドロ(装甲は損壊しているにも関わらず動きが変わらない……ダメージが内部に通っていないのか)

アレハンドロ『ッ……まさか……!』

モニター照準を装甲に合わせ、拡大する
度重なる攻撃に割れたEカーボン。その隙間には光り輝く粒子の流れが微かに見える

アレハンドロ『GN複合装甲、だと!?』

グラハム「GN……何だと?」

アレハンドロ『はっ?』


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/26(木) 22:47:37.36HwgPpbqqo (1/1)

どう変わったのか、結末を見届けさせてもらうぞフラッグファイター


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)2011/05/26(木) 22:48:42.45Q1W8ww6eo (1/1)

俺得展開が始まるのか


216VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/05/26(木) 22:48:47.41rZsAQXD4o (1/1)

というか、書き直すの随分と速かったなフラッグファイターwwww執筆速度もフラッグ級かwwww


217>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/26(木) 22:54:03.60siIgkahAO (3/6)

つい洩れてしまうアレハンドロの台詞、しかしグラハムは首を傾げ反応も乏しい
グラハムの今までの戦い方は、GN複合装甲による強度があればこその動きであり、それが無ければ初撃で墜ちていてもおかしくない
本能的に機能を理解していたのか、はたまたただの偶然か……
どちらにしても、一応納得のつく理由は見つけられたと言えよう


アレハンドロ(とにかく……バイオシートの共鳴による機動力の向上が、この粒子制御による粒子の膜がもたらした副次効果に過ぎんとすれば……)

アレハンドロ(ただの打撃に過ぎぬ奴へのダメージ、それが影響しない理由にも説明がつく!)

アレハンドロ『だが……だが分からん。だとしても、だとしてもだ!』

グラハム「……」

アレハンドロ『貴様にそれほどの力がある筈がない! ニュータイプとしての力はマリーダ・クルスにすら劣る貴様が……!』

グラハム「やはり貴様は軍人ではなくなったようだな、アレハンドロ」

アレハンドロ『…………………ッ!』

グラハム「分からんだろう。自分の事しか省みず、散っていく命の重さも分からぬ貴様には」

グラハム「他者の為に自らの命を盾とする……兵士という存在の事などッ!」

アレハンドロ『……まさか貴様……!?』

グラハム「今日は死ぬには良い日だな、アレハンドロ」

グラハム「……往くぞ」


218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/26(木) 22:57:43.51Zpd/b6uAO (1/1)

GNフラッグが変形しなくて良かった…
スイカバーしか思い浮かばないからな


219>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/26(木) 23:06:54.04siIgkahAO (4/6)

機体が前のめりに傾き、GNフラッグは最大出力でアルヴァアロンに突撃する
装甲の内側、本来存在し得ない膜……後の研究で、バイオフィールドと呼ばれる存在……それを纏ったフラッグは、迷うことなく懐に飛び込んでいく

アレハンドロ『ッ!?』

グラハム「シィッ!」

刃と刃がぶつかり合い、粒子の光が暗闇の宇宙に小さな光点を生み出す
それでも止まらず頭がぶつかり、互いの装甲が欠けても尚グラハムは前進し、アルヴァアロンを勢いで制していく

アレハンドロ『玉砕覚悟……!』

アレハンドロ『私を道連れに、死ぬつもりかライセンサー!?』

グラハム「……ッ!」

グラハムは答えない。答える余裕も無い

アレハンドロ『だが、それでも!』

アレハンドロ『貴様の力では私は倒せないッ! 分かっているのかッ!?』

グラハム「……そんな道理……ッ」

グラハム「私の無理でこじ開ける!!」

圧し切られたアルヴァアロンが体勢を大きく崩し、突き抜けたロングソードが青色の装甲に紅い線を刻み込む

アレハンドロ『う……!』

アレハンドロ『うああああああ!!』

グラハム「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

そして、振り抜かれるGNロングソードの一閃
ビームサーベルが勢いで弾け飛び、切っ先がアルヴァアロンのカメラアイに触れ破片が飛び散る
とっさに身を退いた為カメラアイは無事だが、カバーを失いガンダムタイプの眼が露出し異様な光が線を描く

グラハム「はっ……はぁっ……!」

背後のアステロイドに叩きつけられ、激しい振動に揺さぶられるアルヴァアロン
ダメージは恐らく、皆無
煮えたぎる身体に呻き、グラハムの表情が苦痛に歪む

グラハム「まだだ……まだ……!」


220>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/26(木) 23:21:13.28siIgkahAO (5/6)

グラハム「まだ……!!」

―ヴァージニア艦―

ビリー「マリーダ、準備は良いね?」

マリーダ「はいカタギリ顧問、いつでもどうぞ」

グラハムが死闘を繰り広げている頃、ビリー・カタギリはMSドッグの中で幾多ものコードと対峙していた

マネキン「どうかね、カタギリ顧問」

ビリー「やれるだけはやってみました。これで太陽炉とバイオシートを直結出来たはずです」

ビリー「理論上はこれでサイコミュの機能を最大限発動出来、マリーダの脳波を増幅出来る筈です」

マネキン「そうか……」

通路に設置されたコクピットシートには、アルヴァトーレにより潰されたGN-Xの太陽炉とコードにより繋げられていた
そこにはマリーダが鎮座し、頭部に特殊な機器を繋げている

ビリー「あとは、増幅された脳波がちゃんとグラハムのフラッグにあるバイオシートまで届くかどうかですけれど……」

マネキン「実験したわけではないのだろう? 可能性は?」

ビリー「……全くの未知数と意わざるを得ないですね」

マネキン「……っ」


221>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/26(木) 23:55:00.04siIgkahAO (6/6)

マリーダ「カタギリ顧問……」

ビリー「信じてやってみるしかないさ、とはいえ、以前グラハムが話してくれた【夢】の話を元に構築した推論なんだけどね」

ビリー「向こうについたら、景気づけに一発尻でも叩いてやれ。頼んだよマリーダ」

マリーダ「……はい!」

ビリー「よしっ! オットー、火を入れてくれ!」

ビリー「バイオシートを最大出力で起動させる! 一か八かだ、頼むぞぉ!」

マリーダ(マスター……)

マリーダ「……」キッ

アレハンドロ『……成る程な』

グラハム「……」

ゆっくりと起き上がり、体勢を立て直すアルヴァアロン
そのプレッシャーには、先ほどまであった波は無く、嵐の前の静けさのような静寂が辺りを包み込む

グラハム「ッ……」

アレハンドロ『感謝するよグラハム・エーカー。私は今、自らの慢心を自覚するに至った』


アレハンドロ『もう手は抜くまい。全身全霊、全力を以て君を葬り去ってくれよう』

もう一本のビームサーベルが抜き放たれた瞬間、プレッシャーはグラハムを押し潰さんばかりに広がっていく


222>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/27(金) 00:13:21.54ZKiFhlRAO (1/4)

依然として、アルヴァアロンの性能はフラッグを凌駕し
依然として、アレハンドロ・コーナーの強化された能力はグラハム・エーカーを超えている

グラハム「……」

アレハンドロ『ほう、気勢は衰えぬか。そうでなくてはな』

それでも、グラハムには明確な勝算があった
ただ一方的に殴られていたわけではない、ギリギリの範囲で見極めた確かな勝算が

グラハム(持ちこたえてくれ……!)

あとはそれを忠実に実行するのみ。身体など、それまで保てばいい

アレハンドロ『……』ニィ

グラハム(気付いた途端にこの感覚か……俗物め)

恐らく、敵はこちらの状況に感づいているに違いない
だとしても構わない。やることは一つなのだから
ロングソードを構え、出力を調整し加速体勢に入る
敵もビームライフルの照準を合わせているだろう、長期戦は不利になる

アレハンドロ『――死ねッ!』

グラハム『――参るッ!』


223>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/27(金) 00:39:26.86ZKiFhlRAO (2/4)

圧縮された粒子の激流が鮮烈な輝きと共にGNフラッグに襲いかかる
アルヴァアロン砲、喰らえば塵も残るまい

グラハム「おおぉぉぉぉぉぉ!!」

黒い影がひらりと宙を舞い、その一撃をかわしアルヴァアロンめがけ一直線に飛翔する

アレハンドロ『甘いな、ライセンサー!』

グラハム「まだまだぁぁッ!!」

一瞬の邂逅、ぶつかり合う刃
弾かれつつその衝撃を利用し一回転して更にもう一撃
押し戻される瞬間出力を一時的に止めわざと戻されてから、即座に最大出力で突っ込み腕を突き出す

アレハンドロ『ッ……!?』

GNフラッグは片腕というハンデを思わせぬ動きを見せ、アレハンドロに【刀を振るう】ことを許さない
EXAMシステムも近接戦闘主体の戦いでは、その力を発揮しきれないでいた

アレハンドロ『えぇいっ!!』

グラハム「……!」

何とかして繰り出したビームサーベルの刺突も、出先を捉えられそれ以上先には進まない
それだけではない。体当たりもビームライフルも、全ての攻撃が命中することなく空振り始めたのだ

アレハンドロ『貴様ッ……何をした!』

グラハム「……」

つい先刻、あれだけ叩き込めた攻撃が一撃たりとも当たらない
先ほどの一撃でアルヴァアロンの頭部にダメージを負ったか?
それとも機器が故障し不備が発生したか?

アレハンドロ(違う……ッ)

アレハンドロ(この感覚、先ほどと何ら変わらない。アルヴァアロンに異常は見られない!)

アレハンドロ(だとするならば、私の攻撃が当たらないのは……!)


224>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/27(金) 01:40:58.11ZKiFhlRAO (3/4)

グラハム「読めるのだよ、アレハンドロ」

アレハンドロ『何……!?』

ビームサーベルとロングソードの交錯に、激しいスパークが散っていく
アルヴァアロンの挙動より僅かに速く、GNフラッグは動き確実に対応してみせた
如何にMSの性能が高かろうと、如何にパイロットの身体能力が高かろうと、ニュータイプだろうと
命を賭け、身を以て学び取り、培った経験、技量だけは決して変わらない
グラハムが唯一アレハンドロに勝てるとすればその一点、グラハムもまたそこに賭けていた

グラハム「スレーチャー少佐から学び、エイフマン教授に導かれ」

グラハム「そして盟友カタギリが、部下達が支えてくれた今までの道のり……!」

グラハム「貴様ごときにッ! 否定されてたまるかぁぁぁぁぁッ!!」

アレハンドロ『ぐぉっ!?』

突き出されたビームサーベルを敢えて受けず、胴体に掠らせながらロングソードを繰り出す
アルヴァアロンは右手を上げ、腕ごとロングソードの軌道を変えることで難を逃れた

グラハム「ッ!!」

だが、その瞬間振り上げたフラッグの右足がアルヴァアロンの左手、ビームライフルを握る指めがけ叩き込まれる
フラッグの右足は衝撃で足首からへし折れるものの、四本の指が根元から引きちぎれ、ビームライフルを手放してしまう


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/27(金) 03:13:28.74PTAv7CYAO (1/1)

まさか寝落ちかフラッグファイター?


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/27(金) 17:07:37.11kJxFQMhdo (1/1)

今夜は来るだろうか…


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/05/27(金) 23:11:02.77t1n3iagJ0 (1/1)

金ジムの頭吹っ飛ばすのがギガンティック・フォーミュラーのラストバトルを思い出す


228>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/27(金) 23:55:25.32ZKiFhlRAO (4/4)

寝落ちとは……諸君等にジャパニーズ・ドゲザが必要なようだ
済まないフラッグファイター、投下再開だ


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/05/27(金) 23:58:51.54g+TJZq6eo (1/1)

時には休む事も必要だぞフラッグファイター


230>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 00:01:39.16vqZMeF7AO (1/26)

グラハム(これでようやく五分ッ!)

蒼のマニピュレーターが、スローモーションのように落脱していくのが見える
アルヴァアロンに対しGNフラッグが初めて与えた明確なダメージ

アレハンドロ(並ばれた……ッ!)

機体の状態は未だ五分とは言えず、アルヴァアロンが優勢だろう
グラハムも満身創痍なのは変わらず、いつ倒れてもおかしくはない状態にある
だがGNフラッグで傷つけたという事実が、この一瞬のみ両者の差を同格へと押し上げる

アレハンドロ『馬鹿なッ……貴様、不死身か!』

グラハム「その言葉はパトリック少尉に言うのだな……ッ」

グラハム(だが五分では勝てん……!)

アレハンドロ『ちぃっ!』

振り下ろされたロングソードを、ビームサーベルが受け止める
劣るパワーを出力による加速でカバーし、一気呵成にぶつけ押し返す

グラハム「このまま一気に……ッ!」

それと、ほぼ同時に事は起きた

アレハンドロ『るあぁぁぁぁぁぁ!!』

グラハム「ッ!?」

アルヴァアロンが翼を逆展開し、GNフィールドでフラッグを覆い尽くし、完全に取り囲んでしまったのだ

グラハム「っ……!」

アレハンドロ『はぁっ……はぁっ……』

アレハンドロ『如何に見えようと……読めようと……』

アレハンドロ『動けねば意味など有るまいな、ライセンサー!』


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/28(土) 00:04:59.95xsnOkYApo (1/1)

GNフィールドで相手囲むって戦法、普通に強そうだな
どうしても電子レンジの中のダイナマイトを思い出すけど


232>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 00:16:45.15vqZMeF7AO (2/26)

グラハム「……」

アレハンドロ『……ん?』

その瞬間、EXAMシステムが最大警告を発しアレハンドロへ撤退を進言する

アレハンドロ『な、何だ!?』

モニターに拡大されて映るGNフラッグ、その手の中には粒子を纏うロングソードが握られている
その刃の紅い輝きは目に見えて膨れ上がり圧縮、半透明の薄い一刃を形成する

アレハンドロ『ッッ……!』

アレハンドロの言うとおり、グラハムはニュータイプとしては他に劣る能力しかない
既に脳も限界に達し、それを示すかのように血の涙が視界を赤く染めていく

アレハンドロ『それは……ッ』

グラハム「刮目しろアレハンドロ……」

グラハム「そうとも!」

それでも、グラハムは止まらない
戦友達の死が無駄ではなかったと示すために
先に逝った友、ニールへの敬意の為に
そして何より、自分自身の生き様を貫くために

グラハム「私が……!」

グラハム「私達がッ! フラッグファイターだッ!!!」

ブツリと音が響くような、エネルギーを真っ向から断ち切るハイパーGNビームサーベル
片翼の獣の一角はアルヴァアロンの頭部を穿ち、機体すら持ち上げ吹き飛ばす
GNフィールドも解け、投げ出されるGNフラッグ
その手に握られた剣は、奇しくも以前彼が捨てたパーソナルマークの剣に似ていた


233>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 00:27:02.36vqZMeF7AO (3/26)

アレハンドロ『ばっ、馬鹿な!』

グラハム「……私の」

アレハンドロ『このアレハンドロ・コーナーが……!』

グラハム「勝ちだッ!」

紅刃を引き戻した瞬間、アルヴァアロンの節々がスパーク、内部で小規模の爆発が幾つも起こる
EXAMシステムは確かに機体性能を120%にまで引き上げる力がある
ただそれは機体をオーバーロード寸前にまで追い込み続ける諸刃の刃
故にEXAMによる稼働機体は、システムの中枢たる頭部を破壊されると一線を越え破損してしまう
少なくとも、このEXAMはそうであった

グラハム「ふう……ッ」

グラハムの読み通りアルヴァアロンの動きは止まり、力無くその四肢を投げ出し無重力に浮かんでいる
勝った……その事実がグラハムの張り詰めた気を緩め、その身をシートに投げ出させた
           ・
                         ・
                         ・
アレハンドロ「……う……」

焼け焦げたコクピット。血の雫と砕けた金属が舞っている
電力の集中した頭部を破壊されたことによる逆流が機器を爆発させ、その破片に深手を負わされたアレハンドロは力無くシートに寄りかかっている

アレハンドロ「こんな馬鹿なことが……私は、世界を手にする資格を持った……!」

意識朦朧として、譫言のように後悔の念を吐き出すアレハンドロ
その哀れな敗者に、何者かが声をかけた

リボンズ『やぁ、アレハンドロ』

アレハンドロ「!?」

それは半壊したモニターに映る青年リボンズ、そして彼の肩の上に顎を乗せ無邪気に笑う少女プルツー
両者共に、端麗なその面持ちに侮蔑を浮かべアレハンドロを見下していた

プルツー『あ~ぁ、酷い有り様だ。全く見てらんない』クスクス

リボンズ『そう言ってやるなよプルツー、彼は十分に働いてくれた』

アレハンドロ「リ、リボンズ、何を……」

リボンズ『ご苦労様アレハンドロ。貴方は最後までいい道化でしたよ……』


234>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 00:31:47.52vqZMeF7AO (4/26)

二人からは自身に従っていた時の態度の片鱗さえも見えない
その邪悪な笑顔を見るにつれ、アレハンドロの脳裏に一つの結論が浮かび上がる

アレハンドロ『ま、まさか貴様等……私を裏切ったというのか……!?』

リボンズ『裏切った? とんでもない。最初から貴方は我々の計画の駒に過ぎなかったのだよ』

リボンズ『ともかくこれで第一段階は終了だ。まぁ……フラッグ如きに潰されるとは思わなかったけれど』

プルツー『まさか自分がニュータイプに覚醒したなんて、本気で思ってたんじゃないだろうね?』

プルツー『あっははははは! 強化人間にされて、【自殺兵器】に載せられた事実も知らないで! やることがいちいちマヌケなんだよアレハンドロ!』

アレハンドロ『自殺……ッ!?』

リボンズ『EXAMシステムは対ニュータイプ殲滅用のシステム……』

リボンズ『すべての敵が消えた後、貴方ごと死んでくれるはずだったんだよ……君のアルヴァアロンはね』

アレハンドロ『あ……がっ……!』

プルツーの嘲笑、リボンズの蔑視。それらによって曾祖父の代から受け継がれたコーナー家の悲願、その二百年の計画が踏みにじられたことをアレハンドロは知った

アレハンドロ『貴様等……コーナー家の計画を……!』

リボンズ『そんな物言いだから、器量が小さいのさ』

アレハンドロ『リボンズウゥーーーッッ!!』


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/28(土) 00:37:24.17IL8mvErAO (1/2)

やっぱり大使はあっけないwwww


236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 00:47:30.24Bbhu1E890 (1/1)

よく考えたら初めて戦う相手攻撃にあわせてドンピシャでグラハムスペシャルできる人間が
素人の大使の動きを読めないわけが無いか


237VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/05/28(土) 00:51:19.36bbZ+cM4wo (1/2)

大使殿だって元はユニオンのエースだったんだぜ!だぜ!


238>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 00:57:24.75vqZMeF7AO (5/26)

           ・
                         ・
                         ・
グラハム「は……ぐ……うぁ……!」

血まみれの身体を起こす気力も無く、グラハムは沈黙したアルヴァアロンを前にシートに身を預ける
呼吸をするのも苦しい。意識的に酸素供給をせねば、このまま窒息死してしまいそうだ

グラハム「……ッ」

全身の筋肉はもはや悲鳴すら出せぬほど痛めつけられ、気を抜けば指先すら動かせなくなりそうなほど疲弊しきっている
神経も、痛感が麻痺し深刻な痺れが身体を支配しつつあった
骨も何本かは折れているだろう。確認したくもないが、パイロットスーツ越しの感触から分かるだけでも三本は肋骨がお亡くなりになっている

グラハム「ッ……」

アルヴァアロンは倒した。これでスミルノフ中佐の部下や、トリニティに消された多くの命の慰めにはなろう
だが……慰めにはなっても、失われた命は還ってこない
どうしようもないと知りながら、無力感がグラハムの心に染み渡る

グラハム「……くそっ……」

その時だった

グラハム「……ッ!?」

宇宙空間に浮かび流されているアルヴァアロンの右腕が、ゆっくりと上に伸ばされたのが見えた
――馬鹿な
終わりだと安堵したグラハムの心に、衝撃が走る

アレハンドロ『逃がさん……貴様だけは……!』

活動限界を超えたMSの起動。何処までもしぶとくつきまとうアレハンドロに、さしものグラハムも閉口する
一度解した緊張感が、四肢から力を奪ってしまった
サイコミュ能力ももう限界、これ以上の発動はままならない


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 01:33:07.90NZW6xuRDO (1/1)

逝ったか……


240>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 01:48:04.08vqZMeF7AO (6/26)

それでも頭部を失ったためか、アルヴァアロンの動きは先ほどに比べれば緩慢である
メインカメラもなく、ビームサーベルと親指しかない左腕を力任せに振るうしか攻撃手段も残されてはいない

グラハム「ッ――!」

アレハンドロ『おぉぉぉ……!』

それですらも対応出来ぬほどに、一度萎えてしまった身体は持ち直すことが出来ず
まるでチャンバラのようなデタラメなビームサーベルにも、フラッグは避けるしか術が無い

グラハム「……!」

逃げ回るだけでは、いずれ刃に捉えられるだろう
操縦桿を握り直そうと、指に力を込める
だが、パイロットスーツを伸ばすだけの精神力すら、今のグラハムには残っていない

グラハム(最後の最期で……ッ!)


241>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 01:57:32.82vqZMeF7AO (7/26)

死を覚悟したその瞬間、何故か身体が軽くなったような気がした

グラハム「……!」

それは、死の間際に錯覚した都合の良い感覚か
動かぬ腕を誰かの手がそっと支え、握れぬ手の上から重ねるように細い指が絡む
血まみれの眼がそっと拭われ、淡い光に包まれた彼女の顔が、網膜に飛び込んでくる
傷ついた身体を労るように、温もりが伝わり痛みを消していく

『マスター』

グラハム「マリーダ……?」

幻聴か?
いや、幻聴ではない。確かに聞こえた、彼女の声
自身の身体の中に、彼女の命が入り込んでくるような、そんな満たされた感覚がグラハムの全身を包み込む
これならば、戦える!


242>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 02:06:38.39vqZMeF7AO (8/26)

突然サイコミュが起動し、GNフラッグが息を吹き返す
重たかったペダルが、羽根のように軽くなっていき
操縦桿もまるで手の延長であるかのように、グラハムの手に吸い付きも違和感なく追随してくれる
盟友カタギリが仕上げてくれたような完璧な状態、コクピットに座るグラハムにとって、まるで時が戻ったような不思議な感覚をもたらしていく

グラハム「これならば……いける!」

怒り狂った金色の怪物がこちらを目指し、急接近してくるのが見えた
雄叫びを上げ、ビームサーベルを突き出し向かってくる

アレハンドロ『ぎぃっ……!!』

グラハム「はぁっ!!」

伸ばされた右腕は、フラッグに触れる前に二の腕から断ち切られ宙に舞う
がら空きの胴体の中心、グラハムは迷うことなくロングソードを突き出した

アレハンドロ『コーナー家の……悲願を……!』

グラハム「言っただろう……アレハンドロ」

グラハム「勝利の女神は、私の腕の中だとな」


243>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 02:12:59.78vqZMeF7AO (9/26)

トドメの一撃がアルヴァアロンを穿ち抜く
その四肢は今度こそ完全に機能停止しダラリと垂れ下がり、野望に縛られた一人の権力者の死をグラハムに伝える

グラハム「……ふんっ!」

ロングソードを抜きつつ、その胴体を蹴りつけ遠くへと追いやっていく
しばらく離れてから眩い閃光が辺りを照らし、金色の機体は粒子の煌めきと共に爆発
宇宙の闇に飲み込まれるかのように、余韻を残しながら消え去っていった

グラハム「……ふう……」

終わった――
大きく息を吸い込み、肺に残る嫌な気を呼気に乗せ吐き出していく
ともあれ、最大の脅威は退けた
グラハムの興味は隣に立つマリーダへと向けられた

グラハム「マリーダ・クルス中尉」

マリーダ『はっ!』

グラハム「……本当にマリーダだ……」

マリーダ『正真正銘、マリーダ・クルスであります。マスター』

グラハム「……ひどく懐かしく感じるな、お前にマスターと呼ばれるのも」

マリーダ『出番がありませんでしたから』

グラハム「?」

マリーダ『いえ……此方の話です』


244>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 02:21:41.26vqZMeF7AO (10/26)

グラハム「しかし驚かされた……マリーダ、お前は一体どうやって此処に来た」

グラハム「ッ、まさか……」

マリーダ『いえ、死んではおりません』

マリーダ『説明は長くなりますので、それは後ほどカタギリ顧問にお聞きください』

マリーダ『ともかくまずはご帰還を……その様なご無理をなさっては、後々に響きます……』

グラハム「……そんな顔をするな。我々は勝ったのだぞ」

グラハム「それに痛みは引いている。大事には……」

グラハム「……?」

グラハム「そう言えば何故、痛みが引いている? そんな機能はバイオシートには……」

マリーダ『……それは、バイオシートの共鳴で一時的ながらマスターの感覚を私に移しているからです』

グラハム「何だと……!?」

マリーダ『ご心配なく。苦痛には……馴れていますから』

グラハム「ぬ……」

マリーダ『以前お話いたしました通り、マスターに分けていただいただけのことです』

マリーダ『今の私は……空虚な人形ではない。貴方の隣に立つ、フラッグファイターです』

グラハム「……」

グラハム「……うむ」

グラハム「ありがとう。感謝してもしきれん」

マリーダ『お役に立てたなら幸いです』ニコッ

グラハム「……」フッ


245>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 02:32:24.72vqZMeF7AO (11/26)

――ありがとう、お兄ちゃん

グラハム「!」

ふと、コクピットの中を何かが通り過ぎていく

マリーダ『!』

それはマリーダの心も感じたのか、GNフラッグが何かに共鳴するように脳波を響き渡らせた

グラハム「――」

眼を閉じて、彼女のことを思い浮かべる
可憐な少女が、花咲く笑顔を振りまき、星の海へと旅立っていくのが見えたような気がした

グラハム「……」

マリーダ『マスター……』

グラハム「見えたかマリーダ? お前の姉の心は、無事に還っていったよ」

マリーダ『……ッ!』

グラハム「泣くな、笑って送ってやるのが彼女への礼儀だろう」

マリーダ『はい――!』

グラハム「……」

グラハム「さらばだ、エルピー・プル」

グラハムが自然に取った姿勢は、敬礼
軍人として、一人の人間として、エルピー・プルという存在に敬意を表したが故の敬礼
彼なりの、最大限の感謝の印であった

グラハム「……」

グラハム「――来た!」


246VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/05/28(土) 02:33:18.28GL6kNoROo (1/2)

来たか


247>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 02:44:50.23vqZMeF7AO (12/26)

操縦桿を強く、強く握り直すグラハム
マリーダとの再会、エルピー・プルの解放に緩んだ顔は何処へやら。その表情は戦場に生きる兵士のものへと変わっていた

グラハム「マリーダ、済まない」

グラハム「もう少しだけ私の背を支えていて欲しい」

マリーダ『マスター……?』

グラハム「最後の仕上げが残っている」

グラハム「手伝ってくれ、フラッグファイター」

マリーダ『……』

マリーダ『了解、マスター』

グラハム「マスターは止せ」フッ

天を仰ぐグラハム。その眼差しの向こうには、紅い軌跡を残しながら急速接近する、MSの機影
それは一年間追い続け、恋い焦がれた存在
乙女座の運命が結びつけた、グラハムの宿命の敵である

グラハム「これだけ苦戦してから言うのは気も退けるが……やはり言わせてもらいたい」

グラハム「我々の戦いが、何処からともなく現れた外野との一戦で終わって良いはずがない!」

グラハム「やはり最後の〆は、私と、君とで終わらせるべきなのだッ!」

グラハム「……そうだろう!」

グラハム「ガンダムッ!!!」

その表情は、まさに想い人を待つ少年の顔
まさに今、決着の場にガンダムが降り立とうとしている

刹那「刹那・F・セイエイ……ガンダムエクシア!」

刹那「ユニオンフラッグとアルヴァアロンの戦闘行為を紛争と断定!」

刹那「武力介入に移行するッ!」

グラハムは戸惑った。使命感や信念とは全く違う、高揚感を伴った喜の感情が、背骨から全身の神経へと電流のように流れていく、その感覚に

――不謹慎極まりない
こんな時に、全ての根源を目の前にしておきながら
自身の中に、強者との戦いに震える自分自身が存在してしまっている!
ならば致し方在るまい
初めて君と剣を交えた時、初めて伝えたあの言葉! 今再び君に届けよう!
私と、マリーダと、フラッグファイターの誇りを乗せた!
このッ!GNフラッグでッ!!

グラハム「敢えて名乗らせてもらおう少年!」

グラハム「グラハム・エーカー……君の存在に心奪われた男だッ!!」


248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/05/28(土) 03:04:13.43n4x/sqk30 (1/1)

まさかリアルタイムとは刮目させてもらおう!


249>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 03:04:31.46vqZMeF7AO (13/26)

ガンダムエクシアのGNソードとGNフラッグのGNロングソードの刃が激しくぶつかり合い、火花を散らし喰らい合う

グラハム「正直理解に苦しむよガンダムッ!」

グラハム「あのまま逃げていれば追っ手も振り切れように、わざわざ虎の子の奥義まで使って駆けつけてくれるとは!」

グラハム「だが君に其処まで求められるとは、男冥利に尽きるというもの! このグラハム・エーカー、その想いに全力で応えてみせるッ!」

刹那「ぐぅッ……!」

バイオフィールドを纏う機体は興奮するグラハムのテンションに呼応、想像以上の力を発揮しエクシアを押し上げる
だがトランザムを発動したガンダム、無論これしきではびくともしない

刹那「貴様はロックオンを通じソレスタルビーイングを知り、アレハンドロを通じ世界の闇を知った!」

刹那「そして、それでもソレスタルビーイングに敵対することを選んだ! 世界の側に付くことを選んだ!」

刹那「ならば俺は貴様と、世界と向き合わねば先に進めない!」

刹那「それが俺の、ガンダムの意志だッ!」

グラハム「ぐぉっ!?」

グラハム「圧倒されたか……初めての逢瀬を思い出すな! ガンダム!」

圧倒的な出力差に弾き飛ばされるGNフラッグ
しかし、纏うバイオフィールドそのものが慣性を制御したのか、即座に体勢を変えロングソードで斬りつける
凄まじい速度で動き回るエクシアを捉えることは至難の業、だがエクシアもまたGNソード以外ではGNフラッグのバイオフィールドを貫けない
勝負は、まだどちらにも傾いてはいないのだ

グラハム「読み切るッ!!」

刹那「させるかぁッ!!」


250>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 03:26:17.31vqZMeF7AO (14/26)

グラハム「君からは、ロックオン・ストラトスに似た感覚が感じられる……以前は無かった感覚だ」

グラハム「成る程、ロックオンがソレスタルビーイングで見いだした可能性が君か、少年!」

刹那「何を言っている……!?」

グラハム「ロックオン・ストラトスは言ったッ! ソレスタルビーイングは弱き者の最後の砦だと!」

グラハム「だが果たして、剣と矛は弱者に恵みをもたらすか!?」

グラハム「武力により得た富は、必ず敗者と憎しみを生み、いずれはまた同じ輪廻の輪で争いを始めるだろう!」

グラハム「無意味なのだよガンダム、ソレスタルビーイングの理念は!」

刹那「ッ……!」

ぶつかり合う剣と剣、動のガンダムエクシアに静のGNフラッグ
圧倒されながらも先読みし対応するグラハムに、刹那は臆することなく速度を上げ強気に立ち回る

刹那「だとしても、優しさだけでは世界は変わらないッ!」

刹那「想う気持ちもやがて暴走し、アザディスタンのような宗教の争いを生み出していく!」

刹那「俺も其処から生まれた……親を殺した人でなしだ!」

グラハム「なんと……っ」

刹那「愛でも……憎しみでも戦争は起こる」

刹那「ならばそのどちらでもない! 戦争への武力介入を行うためだけの存在、ガンダムで紛争根絶を為す!」

刹那「あんな思いをするのは……もう俺達だけでいいッ!」

グラハム「ぬぁっ!?」

感情的な刹那の動きはトランザムにより無駄なく加速され、読めたとしても対応出来ぬほどの超高速に引き上げられている
グラハムは先読みの先の領域に繰り出される攻撃に、幾度となく弾かれ振り回されてしまう

グラハム「まだまだ……ッ」

――ならば二手先、三手先を読み切り、そこで反撃を叩き込む!


251>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 04:16:20.87vqZMeF7AO (15/26)

グラハム「だとしても私は、ソレスタルビーイングを見過ごすわけにはいかない……!」

グラハム「ユニオンのフラッグファイターとして、私は君を否定するッ!」

刹那「貴様ァァッ!」

残像を伴う超速の剣閃が、GNフラッグの右足を両断する
グラハムの反撃は、振る前にエクシアが射程から外れ空振りさえ許されない

グラハム「ッ……!」

グラハム「私は孤児だ……親もいなければ兄弟もいない、物心ついた頃から天涯孤独のみなしごだ!」

刹那「……ッ」

グラハム「だが私は愛を知っている! 父が、恩師が、盟友が、部下が! こんな私を愛してくれたからこそ、今君と対峙することが出来る!」

更に、エクシアの左手から繰り出されたGNブレイドがフラッグの頭部を貫く
だが今度は違った。完璧なタイミングでのカウンターが、ガンダムエクシアの左腕を切り落としていたのだ

グラハム「変革してみせろ少年……それでこそ私と雌雄を決するに相応しい存在!」

グラハム「それこそが、ガンダムッ!」

刹那「ガン……ダム……?」


252>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 04:27:59.37vqZMeF7AO (16/26)

その時、エクシアの圧縮粒子が底をつきトランザムが解除される

刹那「ッ!」

グラハム「はぁっ!!」

すかさず振られたロングソード、とっさに下がり距離を取ったものの、切っ先はエクシアの左顔面を捉え丸々半分をえぐり取っている

刹那「トランザムがッ……!」

グラハム「奥義は時間切れというわけか……さぁどうする少年」

刹那「……」

トランザムの活動限界に達し、粒子残量の尽きたガンダムは著しく性能が劣化する
勿論刹那は忘れてなどいない
一般的な考えであれば撤退も視野に入れるべき状況である

刹那「……ッ」キッ

だがガンダムエクシアが取った行動、それはGNソードを前に突き出すように構え、前傾姿勢を取った突撃の姿勢
一直線に突貫するという覚悟を表した、刹那らしい構えであった

グラハム「……それが答えかガンダム」

刹那「ソレスタルビーイングに後退は許されない」

刹那「いや……許されたとしても俺は下がらない」

刹那「それがソレスタルビーイングのガンダムマイスターとしての、俺の覚悟だ!」

グラハム「……それでこそ、それでこそだ」

グラハム「ガンダム……!」


253>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 04:48:39.52vqZMeF7AO (17/26)

対するグラハムも、大きく左腕を引き半身に構えエクシアに対峙する
此方も残るは左片手のみとはいえ、平突きを放てる体勢。エクシアと違い損傷は激しいが、マリーダのサポートにより機動力の損失は最小限に抑えられている
勝つのはガンダムか、GNフラッグか
勝敗の行方は、未だネットに弾かれたテニスボール
どちらに落ちるのかは、誰にも分からない

刹那「……」

グラハム「……」

が、ただ確実なのは、必ずテニスボールはどちらかに落ちるという事
そして……

刹那「うおぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

グラハム「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!」

それは、すぐに落ちるということ


254>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 04:52:45.46vqZMeF7AO (18/26)

           ・
                         ・
                         ・

……グラハムが目覚めた時に見たものは、真っ白い天井と覗き込む二つの顔
頭に靄がかかったようで、思考が上手く働かない
呟くように、思ったがままの言葉を口走る

グラハム「……ここは地獄か。閻魔と小鬼が私を睨んでいる」

セルゲイ「起きがけに閻魔呼ばわりとは……言ってくれるなグラハム」

コーラサワー「小……鬼……?」ガクッ

グラハム「此処は……」

セルゲイ「ようやく意識もはっきりとしてきたようだな。ヴァージニアの医務室だ」

セルゲイ「君はもう三日ベッドの上だったのだぞグラハム」

コーラサワー「緊急の再生治療用のカプセルが他の重症者で埋まってたからヤバかったらしいけど、よくまぁ起きられたもんだなトップガン」

コーラサワー「ま、ガンダムセミヌードを撃破し無傷で帰還したこのAEUのエース、パトリック・コーラサワーには劣るがな」フンスッ

セルゲイ(機体は殆ど吹っ飛ばされていた筈なのに……本当に何故無傷なのだ? この男は)

グラハム「ぐっ……!」

セルゲイ「! 無理はするなグラハム、今ピーリスが医師を呼んでいる」

コーラサワー「お前全身打撲に骨折八カ所、その他諸々でヤバいんだぞ? 寝てろ寝てろ」

コーラサワー「まぁこのパトリック・コーラサワーは無傷なんだけどなっ」フンスッ

セルゲイ「……」


255>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 05:02:55.90vqZMeF7AO (19/26)

グラハム「ヴァージニア艦……」

グラハム「私は、生きて帰ってこれたのか……」

セルゲイ「その点に関しては我々が保証しよう。君は間違いなく生きている」

セルゲイ「よくやった……グラハム」

グラハム「……」

グラハム「……ガンダムは……ッ」

セルゲイ「……」

コーラサワー「……」

セルゲイ「蒼いガンダムは、君のフラッグを撃破し離脱、後続艦隊の追撃も振り切った」

セルゲイ「行方を追ってはいるが、広い宇宙でMS一機が捜索対象だ……恐らくは見つかるまい」

グラハム「……」

コーラサワー「覚えて……ないのか?」

グラハム「あぁ、全くだ」

グラハム「だが納得は出来るさ。やれるだけのことはやり通した、結果として敗北したのなら受け止めよう」

グラハム「あの時の私には、勝利の女神が味方してくれていた……それでも駄目なら致し方あるまい」

コーラサワー「????」

グラハム「……中佐、ブリティッシュ作戦の結果を教えて頂けませんか」

セルゲイ「まだ絶対安静だぞグラハム」

グラハム「無論です。飛び出していくような真似は致しませんよ」

セルゲイ「どうかな……君のことだ、手足が折れていても口で操縦桿を動かしてフラッグに乗りかねん」

グラハム「ち、中佐……!」

セルゲイ「閻魔呼ばわりのお返しだ」


256>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 05:13:57.24vqZMeF7AO (20/26)

――その後のことは、全てスミルノフ中佐からグラハムに伝えられた

ソレスタルビーイングは母艦轟沈、確認出来る範囲でMSは四機とも大破(内一機はパイロットごと回収)
ガンダムに搭載された太陽炉は回収ならず、他の三機の行方も不明

ブリティッシュ作戦はソレスタルビーイング壊滅により、大成功として幕を閉じたのだそうだ

セルゲイ「各国の連帯はこれを機に一層強まるだろう。噂によれば、もう地球連邦発足案が三国間でまとめられているという話さえある」

セルゲイ「これから世界は一つに統一されていくだろう。我々も忙しくなるぞ」

グラハム「……」

コーラサワー「ま、あんたはしばらくはお休みだけどなトップガン」

グラハム「…………」

コーラサワー「……トップガン、寝ちまったのか?」

セルゲイ「パトリック少尉、今は一人にしてやろう」

コーラサワー「あ、はい!」

グラハム「…………」

           ・
                         ・
                         ・


257VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/28(土) 06:12:36.59QdqGKVcAO (1/1)

あえて投下終了といわなかったのか、はたまた寝落ちか……

とりあえず乙だフラッグファイター


258>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 08:20:48.55vqZMeF7AO (21/26)

グラハムは、次第に鮮明になりつつある自身の記憶を辿り、その瞬間へと意識を遡らせていく

加速した二機のMSは、お互い刃に貫かれ、爆散し吹き飛ばされた
グラハムの記憶にも残っている、刃を突き立てる感触と、刃を突き立てられる感触
その直後フラッグは遂に限界を迎え、完全に機能を停止したのだった

グラハム「……」

――俺は生きる。生きてこの世界の行く末を見届ける
――ソレスタルビーイングの、ガンダムマイスターとして

微かに受信できた通信から聞こえた、刹那の声
そのままガンダムエクシアが遠退いていくのが、グラハムにもはっきり感じられた
生かされたという感覚より、相討ちという感覚がグラハムの実感としてあった

グラハム「……テニスボールは落下しなかった……」

グラハム「まだ、雌雄を決する場があるということか」

天井に右手を掲げ、銃の形を作る
あの男がしていたような、狙撃のつもりで狙いを定めて、心の中で引き金を引く

グラハム「少年、次は……」


259>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 08:49:27.41vqZMeF7AO (22/26)

グラハム「……私が勝つぞ、ガンダム」

いつかの再会を夢見て、彼方に消えた背中へ語りかけるように呟いた
ガンダム、停滞した世界へと楔を打ち込んだ存在
いつかまた必ず現れるだろう。グラハムが軍人であり、彼等がソレスタルビーイングである限り

西暦2308年、グラハムは、ガンダムの戦いにひとまず幕を下ろした

グラハム「……」ボフンッ

ウィンッ

『マスターッ!』

グラハム「む」


260>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 09:14:45.11vqZMeF7AO (23/26)

不意に、部屋に飛び込んできた人影
それが誰であるかなど、グラハムは一番よく知っていた

マリーダ「はぁっ……はぁっ……」

グラハム「マリーダ!」

マリーダ「……っ」

グラハムが言葉を紡ぐ前に、彼女はグラハムめがけ床面を蹴り跳んでいた
ぐんと近付く艶やかな眼差し、そして……

グラハム「む……」

マリーダ「マスター……!」

―医務室―

ソーマ「……」

ダリル「隊長ォォォォォ!!」

ビリー「グラハァァァァァァム!!」

ソーマ「!ダリル・ダッジ准尉にビリー・カタギリ…………」

ビリー「技術顧問でも何でも良いよ! それより」

ソーマ「今は駄目です、面会謝絶です」

ダリル「は?」

ソーマ「とにかく、面会謝絶です」

医師「そういうことだ君達。珈琲一杯飲む頃には、中に入ることも出来よう」

医師「飲むかね?」


261>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 09:44:42.59vqZMeF7AO (24/26)

―そして、三ヶ月後―

グラハム「……」

久方振りに袖を通したパイロットスーツの感覚。それを待ち望んでいたかのように全身がわななき喜びを表現する

ビリー「どうだいグラハム、久し振りのパイロットスーツは」

グラハム「しっくり来る、やはりこうでなくてはな」

ビリー「はは……和服姿も悪くなかったけど、やっぱり君はパイロットスーツが一番似合う男だね」

グラハム「ふっ、誉めすぎだカタギリ」

グラハム「……行ってくるぞ」

ビリー「あぁ、気をつけて」

自身のパーソナルマーク、片翼とユニコーンの描かれた機体に乗り込むグラハム
コクピットの感覚に、身体が自然と覚醒していくのが分かる

マリーダ『マスター、ご指示を』

グラハム「フォーメーションFで敵陣を強行突破、司令部を殲滅し戦闘の即時終結を狙う!」

グラハム「休暇明けの初任務だ。頼りにさせてもらうぞ、フラッグファイター!」

通信からは、新人の一際大きな返事が響いてくる
グラハムの隣のMSが動き出し、グラハムの前を通過する
その肩には、左翼と剣の描かれたパーソナルマーク
以前のグラハムが使っていたものを、マリーダが新しく使い始めたものだ

マリーダ「マリーダ機、先行する!」

グラハム「……」


262>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 10:12:38.86vqZMeF7AO (25/26)

あれ以来、ガンダムの気配は影も形も現れず、世間からソレスタルビーイングの存在は忘れ去られようとしていた
だがグラハムは感じていた、あのガンダムのパイロットの少年の存在を
世界を見届けるといった彼の視線を

グラハム「グラハム・エーカー、出るぞ!」

機器の数値を確認し、出力を上げペダルを踏み込んでいく
シートに押し込められるような感覚、心地良い圧迫感がグラハムを大空へと誘う
――良いだろう。ならば刮目しているがいい
我々がやれることなど微々たるものかもしれない。だが、私は私なりのやり方で世界に向き合い続けてみせる
これが、私の戦いだ!

グラハム「全機……フルブラストッ!」

遠い異国の地、統一の混乱により戦火のくすぶる空の下
グラハムは、世界と対峙し続けていた

TO BE CONTINUED...


263>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/05/28(土) 10:18:42.93vqZMeF7AO (26/26)

投下終了だフラッグファイター
何かもうgdgdで本当に済まない。猛省する

とりあえず一期は終了、二期に飛ぶ前にその間四年間の一部をやっていこうかと思う(作品系列的にF辺りの時期)

描写しなかったがとりあえず最終決戦の流れは準拠。アレルヤは捕まりました

それでは、また


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/28(土) 10:25:42.23IL8mvErAO (2/2)


二期にリディは出られるのだろうか…


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 10:28:37.32/mKkY8JSo (1/1)

乙!

我々の冒険はまだ始まったばかりだということだなフラッグファイター


266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 10:31:30.63PHSvswyKo (1/1)

あえて言わせて貰おう。乙であると!


267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 10:45:36.40hX52UDSDO (1/2)

ご苦労だった、フラッグファイター
あと関係無いが最後の

>アレルヤは捕まりました

で何故か吹いてしまったぞwwww原作通りなのにwwwwww


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/28(土) 14:25:06.73+EXnwzx+0 (1/1)

まさかこの私がリアルタイムで見れなかったとはな
残念だ

とりあえず乙だ武士よ


269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 14:55:24.57z70RBUTDO (1/1)

ブシドー乙

そしてグラハムの飲むコーヒーは苦い


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/05/28(土) 14:59:41.59/qpw1X+go (1/1)

乙!アレルヤはやっぱり捕まったのかwwwwww
ヨハ兄は死んじゃったの?


271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 15:54:58.12fjlP3fSB0 (1/1)

乙!
こっからいかにしてブシドー化するのだろうか……?



272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/28(土) 17:16:43.11TEx2pjn50 (1/3)

アレルヤは拘束具がよく似合う・・ぼそ


273VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/28(土) 17:18:04.69TEx2pjn50 (2/3)

投稿乙でした。
そしてアレルヤは拘束具がよく似合う・・ぼそ


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/28(土) 17:19:24.04TEx2pjn50 (3/3)

連続投稿になってる~!申し訳ない。


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/05/28(土) 18:34:26.17EagwV2AAO (1/1)

>>264
それマリーダ死亡フラグじゃね


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 19:03:29.93z3PkgE7Qo (1/1)

>>275
このSSのグラハムは、フラグすら凌駕する存在だ!


277VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/05/28(土) 20:03:31.61KT+bKPQAo (1/1)

何気にテクスさんがいたような…


278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/05/28(土) 20:45:15.50GL6kNoROo (2/2)




279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/05/28(土) 21:18:20.65bbZ+cM4wo (2/2)

乙乙
ダリル生存で俺歓喜、そしてヨハ兄もきっと生き延びてると信じてる


280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/05/28(土) 22:32:57.25YpJEZyEE0 (1/1)


ヨハ兄が仮面被るんじゃ…


281VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/28(土) 23:07:31.21hX52UDSDO (2/2)

>>280
仮面じゃ無くて真っ赤なサングラスだな、中の人的に考えて


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/05/28(土) 23:27:22.21m7apKwbYo (1/1)

おうおうおうおうおう

別にパインケーキ喰わせてくれる人でもいいんだぜ


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)2011/05/28(土) 23:43:40.69EB+ODZbso (1/1)


続きも楽しみだ


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県)2011/05/29(日) 13:44:50.63PvhE/WpU0 (1/1)

マリーダをオリジナルのキャラにしてOVA作っても違和感がないな


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/29(日) 14:44:46.01w1xmHQYAO (1/1)

グラハムに続いてリボンズまでゴーカイジャーに……


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/05/29(日) 20:02:50.97sdpMJtaco (1/1)

>>285
実は結構前から出てたのは内緒だ


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/05/29(日) 22:25:43.17zAyFi0K5o (1/1)

>>261-262でグラハム達はどんなMSに乗ってんだろ?
GIN-X系は原作通りに開発が進んでいるだろうけど


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/29(日) 22:27:30.54EEQEQiBro (1/1)

三ヶ月しか経ってないならフラッグカスタムじゃないだろうか


289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/29(日) 23:19:21.10ttDDAYDDO (1/1)

OOの世界に御大将は似合いそうだよな。
ELSとか来たら大歓喜しそう


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:55:25.39VeRIR8ADO (1/1)

>>289
御大将は宇宙世紀じゃないから出て来なそう


291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/05/30(月) 16:18:14.71PkqpcSZYo (1/1)

パイロットは00と宇宙世紀からしか出ないのかな


292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/05/30(月) 22:40:08.857OEoOm5Fo (1/1)

何故かスパロボじゃ宇宙世紀ガンダム扱いなんだよな∀


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/05/30(月) 23:40:19.573Lzk86Af0 (1/1)

乙です。
第2期楽しみにして待たせてもらいます。


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/31(火) 21:21:07.78+CIS9O7DO (1/1)

ターンAの黒歴史に、ZZもいたから、宇宙世紀の未来じゃね?


295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2011/05/31(火) 23:44:35.694h5c6jwv0 (1/1)

乙!
第二期待たせて貰おう、ガンダム!


296VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/01(水) 00:13:35.60ZEMvtqEwo (1/1)

TOKYOMXのダブルオーも終わったしどっちも乙!!!


297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/01(水) 17:58:22.87gx5efyjDO (1/1)

医務室の医者はテクスか…あざといが嫌いではないぞッ!


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/02(木) 23:43:43.43/UCNxMWO0 (1/1)

いまさらだけど、エイミー・ジンバリストは出てこなかったなー。
描写されてないけど、予備パイロットとしていたが出撃せず、
負傷したジョシュアとかと一緒に撤退したのかな?


299>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/05(日) 02:06:03.38FT/xXSFAO (1/5)

むかしむかし、遡ること二百年ほど昔の、とある小さな別荘
暖かな木漏れ日の差すテラスでは、二人の男性がテーブルを囲み静かなティータイムを満喫している
一人は黒い髭をたくわえ、禿げ上がった頭に強い意志の宿る双眸が印象的な初老の男性
もう一人は、オールバックの金髪に年齢を感じさせぬ若々しい肉体、赤いスーツがよく似合う男性だ

「リボンズ、少し席を外してくれ」

「はい」

初老の男性は、傍らに立っていた青年の名を呼びその場から人払いをする
機を見計らい金髪の男は口を開く。その表情は険しい

「彼が例のイノベイド……ですか」

「如何にも。人類を変革に導くための道標となる存在だ」

「道標……捨て駒の間違いではありませんかな?」

「……」

男の厳しい言葉に、初老の男性は口を噤み溜め息にも似た鼻息を漏らす

――まだ、私を許せないか?

初老の男性の呟くような一言にも、金髪の男の表情は変わらない

「私はビスト財団とは何ら関係無い、レイと同じく貴方の友人として忠告しているのです」

「この計画は貴方らしくもない、傲慢と独善の塊のようなものだ。人の心をこの様な一方的な手で変えられるとでも思っていらっしゃるのか」

「……だとしてもだよ大佐。それでも、私は未来に対し投げかけねばならない」

「ガンダムは警鐘だ。来るべき対話の為の布石……あの者が羽根を広げる前に、世界は一つにならなければならない」


300>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/05(日) 02:34:26.42FT/xXSFAO (2/5)

初老の男性は確固たる意志を自らの言葉にして金髪の男に伝えていく
大佐、と呼ばれた金髪の男は、深く息を吐き椅子の背もたれに身を投げ出す

「確かに、私やレイには貴方のような強い力は無い。実際貴方が見た来るべき対話には、計画による備えが必要なのかもしれない」

「だがこれだけは言わせていただきたい。未来を作っていくのは老人ではない、やがて成長し巣立っていく子ども達なのだ」

「大佐……」

「あの二人の子がもうそろそろ生まれます。私は、あの二人に出逢って変わりました」

「もしかしたら、私はあの二人に逢わねば貴方に賛同していたかもしれない。そう思うと……尚更なのですよ」

あの二人、と言われ初老の男性の眼が僅かに歪む
それは自らの行為へ彼が抱く、ささやかな迷いの表れであった

「……彼等には、悪いことをした」

「彼は自らの意志で財団を解体致しました。彼の覚悟の証です」

「……だが、計画は絶対に遂行されねばならん!」

「ッ、イオリア・シュヘンベルグ!」

「私とて出来うるならば信じたい! だが人々は思い込みや先入観に囚われ、友と成りうる隣人に銃を突きつけ、霧中の真実を探そうとすらせず自らの欲を貪り続けている! 愚劣極まりない、この様な歴史をもう二千年以上繰り返しているッ!」

「……イオリア……!」

「確かに計画により多くの血が流れよう。イノベイド達にも産まれながらの隷属を架すこととなる、私は罪人だ」

「だが大佐、例えこの計画が間違いであったとしても!」

「……世界は……変わらなければならないのだ……!」

突然の激昂の後、初老の男性、イオリア・シュヘンベルグは俯き一筋の涙を流す
それを見た大佐は言葉を失い、肩を落とす。彼もまた、イオリア・シュヘンベルグが失ってきたものを知っているからだ
言葉だけでは世界は変えられない、ましてや憂うだけでは何も救えはしない

「……」

「私は、必ず計画を遂行する」

「行きたまえ。私はこれから月に上がる、私なりのけじめをつけるためにね」


301>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/05(日) 02:54:36.03FT/xXSFAO (3/5)

「宇宙に……まさかもうコールドスリープに入るというのか!?」

「リボンズ、客人がお帰りだ。見送りを頼む」

「待てイオリア! せめて二人の子を、未来への可能性を見てから!」

イオリア・シュヘンベルグの言葉に大佐は慌てて詰め寄り説得する
半ば掴みかからんとする大佐の勢いに、イオリアは立ち上がり微笑みと共に相対した

「子供に逢ってしまったら……きっと私の意志は鈍ってしまうだろう」

「計画とは関係無い! これは二人の意志でもあるのだ!」

「駄目だ。財団の意志、彼等の想い、生まれてくる可能性、その全てを振り払った私にその様な権利は無い」

「その権利は彼等にあるのだ! イオリア・シュヘンベルグ!」

「もう決めたことだ。私は逢わない」

「何処までも頑固なッ……!」

「あぁそうだ。そしてそんな私に最後まで付き合ってくれたのは君達だけだった」

「済まない大佐、ありがとう」

「イオリアッ……!」

今生の別れを惜しむように、友情の抱擁を交わす二人の男性
「大佐……友人としての、最後の頼みだ」

「【箱】とシステムを君に託す。レイと共に来るべき時が来るまで保管してくれ」

「私の計画が可能性を妨げる存在になったり、悪しき方向へ進んでしまったなら……【箱】が計画を壊す最後の楔となる」

「頼んだよ大佐……いや、シャア・アズナブル」


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/05(日) 03:03:23.96w+Z5ZjnDO (1/2)

台詞の前に名前入れるのやめてしまったの‥?


303>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/05(日) 03:04:40.97FT/xXSFAO (4/5)

コーラサワー「……という夢を見たんだが……どう思う?」

猫「にゃー」

コーラサワー「お前に言っても分かんねえよなぁ……はぁ」

コーラサワー「イオリア・シュヘンベルグとか名前が出て来たけど……訳わかんねえ夢だったなぁ」

コーラサワー「……まぁいっか」

マネキン「何をやっているパトリック、私の家の前で」

コーラサワー「! はい大佐、このパトリック・コーラサワー、大佐をお迎えに上がりました!」

猫「にゃー」

マネキン「……全く……猫と会話とはな。貴公という人間もつくづく解らん男だ」ナデナデ

猫「ゴロゴロ」

コーラサワー「あぁ! 羨ましいっ……!」

マネキン「行くぞパトリック、これから忙しくなる」

マネキン「貴公の力も当てにさせてもらう。尽力せよ!」

コーラサワー「はっ! このパトリック・コーラサワー、大佐の命なら火の中水の中、何なりとお申し付け下さいっ!」

猫「にゃー」

マネキン「猫は下ろせ……毛だらけだぞ」



Intermission END


304>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/05(日) 03:10:11.07FT/xXSFAO (5/5)

インターミッションということで、ちょっと追記した。わかりにくくて済まないなフラッグファイター

次からは続きだ、二期ではない真ん中の話だがどうなるのだろう、FなのかMなのかはたまたF2か……
とりあえず本日は投下終了だ、また逢おう

次回【再来】
それは、二百年の時を越えて


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/05(日) 03:25:36.03XFoF3UDZo (1/1)

乙!と言わせて頂こう、フラッグファイター。


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/05(日) 03:44:50.30w+Z5ZjnDO (2/2)




307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/05(日) 07:48:43.23EsIIuVgDO (1/1)

ついにユニコーンが来るか……。
しかも御大将フラグまで立つとは


308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/05(日) 08:28:14.34P1agKClJo (1/1)

流石当代No.1ニュータイプというところか!


309VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/05(日) 08:39:02.118Aj/sPAAO (1/1)


今度は丸裸さんか…?


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/06/05(日) 22:40:24.12DJctmR0No (1/1)

パイロットとしての実力とニュータイプとしての実力は必ずしも比例しないって誰かが言ってた


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/06(月) 21:43:38.43pWhnCccA0 (1/1)

乙!ついに来たか


312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/08(水) 15:50:06.72AO8YtWD30 (1/2)

御大将フラグどこにあった?


313VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/08(水) 15:50:52.22AO8YtWD30 (2/2)

御大将フラグいつ立った?


314VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/08(水) 21:44:35.089XC6V9zg0 (1/1)

二人とも浴衣でも着て将棋盤をにらんで座っているハムと御大将が思い浮かんだ


315VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/06/08(水) 22:56:28.71YYZABz/g0 (1/1)

なんだその微笑ましい光景


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/09(木) 01:32:42.64dn6w9OCDO (1/1)

大使が完全に御大将と化してたからなぁ


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/09(木) 20:48:24.14bb4A7C6go (1/1)

大使強かったねぇ


318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/06/10(金) 17:41:14.47+1Reopnf0 (1/1)

本編もあれぐらい強けりゃな・・・・・・
機体スペック自体はかなりのもんだったんだろ?


319VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/11(土) 00:39:47.83sNtY114DO (1/1)

新しいガンダムが駄目すぎる……
あれがガンダムであるものか!


320VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/06/11(土) 00:42:09.99ybG+N7RRo (1/1)

子どもが楽しんでくれればそれで良いだろう、最初からそう意識してるなら分かりやすくてよろし。
それに年齢上組にはユニコーンがまだ展開続くし


321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/11(土) 09:22:31.60C0TDbR+uo (1/1)

Vガンダム一年見切ったあとにGガンダムの宣伝特番見たときも同じこと思ったし、始まればそれはそれとして楽しめると思う。


322VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/06/11(土) 11:02:46.49M1/80Vdjo (1/1)

話や設定はまあそのうち慣れるとは思うがキャラデザだけは駄目だ
イナイレっぽくて受け入れられん、せめてガンプラビルダーズの絵柄でやってほしい


323VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/11(土) 14:48:40.23iEdw14iDO (1/1)

スレチってレベルじゃねーぞ


324VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県)2011/06/12(日) 00:25:49.437dHJlfq90 (1/1)

なんだあの子供向けにも程があるキャラデザ


325>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 01:31:05.47Mf7/9J8AO (1/14)

グラハム「うおおおお!くらえヤザン、新必殺グラハムスペシャルXゥゥゥ!」

ヤザン「来やがれライセンサー! 実は俺は酸素が足りなくなると死ぬぞぉぉ!」

ズバァァァァァ

ヤザン「ぐぁぁぁぁぁぁ……野獣(ザ・ビースト)と呼ばれたこのヤザン・ゲーブルが……馬鹿なぁぁぁぁ」

ドサッ

ヤザン「ぐぁぁぁぁぁぁ」

リボンズ「ヤザンがやられたか……」

サーシェス「だがアイツは我々イノベイターの中でも最弱……」

プルツー「グラハム如きにやられるなんて、イノベイターの面汚しだよ」

グラハム「切り捨てごめぇぇぇん!!」

三人「「ぎゃああああああ!!!」」」

グラハム「やった…ついにイノベイターを倒したぞ…これで少年のいるトレミーへの扉が開かれる!!」

刹那「よく来たな…待っていたぞ…」
(ギイイイイイイ)
グラハム「こ…ここがトレミーだったのか…!感じる…少年の愛を超え、憎しみを超えた宿命を…」



326>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 01:31:59.12Mf7/9J8AO (2/14)

刹那「……戦う前に一つ言っておくことがある お前は俺を倒すのに『可能性の獣』が必要だと思っていたようだが…別になくても倒せる」
グラハム「な 何と!?」

刹那「そしてイノベイターに捕まっていたお前の友人は赤毛の女を妊娠させてしまったので最寄りのコロニーへ解放しておいた あとは俺を倒すだけだな…」

(ゴゴゴゴ)

グラハム「フ…望むところだと言わせてもらおう少年…私も一つ言っておくことがある 私に議員の父がいる部下と、戦場の中で想いを伝えあった恋仲の女性が出来たような気がしたが、別にそんなことはなかったと!」

刹那「それは流石に引くわ」

グラハム「問答無用! いくぞガンダム、トランザム!!」

刹那「さあ来い歪んだ男!」

グラハムの可能性が世界を変革すると信じて…! ご愛読ありがとうございました!


327VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/06/12(日) 01:33:09.447xCyMHIVo (1/1)

ハジマタ
待っていたいましたよ、マスター


328>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 01:33:52.29Mf7/9J8AO (3/14)

投下再開だフラッグファイター


329>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 01:35:02.64Mf7/9J8AO (4/14)

―AEU軌道エレベーター・アフリカタワー―

マネキン「……」

軌道エレベーターの頂部一室、カティ・マネキンは今回のブリティッシュ作戦に於ける報告書を纏めていた

マネキン「……」

細くしなやかな指がコンソールを叩き、PCの画面へと情報を次々に詰め込んでいく
あれから一週間、世界は仇敵ガンダムの消滅に沸き立ち、統一という目標に向けひた走っている
だがマネキンからすれば、それほど楽観的になれる状況では当然有り得ない

マネキン「……」ピッ

記録上全てのガンダムを撃破したのは確かだが、ガンダムの動力源である太陽炉は一基さえも手に入らなかった
それだけではない、ソレスタルビーイングという組織の内情も、バックに存在したであろう協力者達の存在すら判明してはいないのだ
このままソレスタルビーイングが活動しないと高をくくるのがどれだけ危険なことか……勿論マネキンは報告書にもそれを記載していく
唯一捕らえられたパイロットも、恐らくは何も話しはしないだろうし、知らされてすらいまい
まるで機械のように統制された組織、マネキンは嫌悪にも似た感情を抱いた

マネキン「ふう……」

マネキン(とりあえずは、これぐらいで良いだろう)

マネキン(これから世界は大きなうねりの中に飲まれていく)

マネキン(その中で私が出来ること……)


330VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/06/12(日) 01:35:23.04NYU5TK+Go (1/1)

マイスターもびっくりのナイス介入だぞ! マスター!!


331>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 02:05:00.74Mf7/9J8AO (5/14)

ピッ

マネキン「! 通信、これはスミルノフ中佐?」

マネキン「……」

ピッ

セルゲイ『済まないな大佐、今は大丈夫だったかな?』

マネキン「スミルノフ中佐、その階級章は……」

セルゲイ『ん、あぁ……今回のガンダム撃破と回収の功績により昇進してな』

セルゲイ『私一人の手柄にしてしまったようであまり喜べる状況でも無いのが何ともな』

マネキン「いえ、おめでとうございます大佐。スミルノフ大佐の昇進を聞けばピーリス少尉も喜びましょう」

セルゲイ『うむ……』

セルゲイ『それで、例の件だが』

マネキン「はい」

PiPi

セルゲイ『ッ!』

セルゲイ『これが、例の……?』

マネキン「はい」

マネキン「ブリティッシュ作戦の最終決戦時……ダリル・ダッジ准尉が遭遇したMSです」

マネキン「この緑色と薄青のアンノウンMS、明らかに人革連側の技術が転用されています」

マネキン「国連軍に寄せられたデータベースに照らし合わせた結果、緑色のアンノウンは該当しなかったものの、もう片方のMSは以前コンペに提出された試験MS【ヅダ】であることが確認されました」

セルゲイ『……』

マネキン「大佐、ヅダの開発者は……」

セルゲイ『デュバル少佐は、一ヶ月からその所在が不明になっている』

マネキン「そう、ですか」

セルゲイ『……火種はまだくすぶっている、ということか』


332>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 02:28:03.04Mf7/9J8AO (6/14)

マネキン「我々の仕事はまだまだ残されています。ガンダムを倒したとしても、世界は統一の過程で少なからず歪み、人々はその歪みの中で争いの火に呑まれていく」

セルゲイ『戦火に喘ぐ市民を護るのが我々軍人の責務だ。それは今までも、これからも変わらない』

セルゲイ『だがそれは我々自ら志願した大人によって為されるべきこと……何も知らぬ子供まで巻き込む必要は無い』

マネキン「……先日判明した、超兵の生き残りですか?」

セルゲイ『あぁ』

セルゲイ『少年が三名、生存が確認された。統合が現実味を帯びた為恥部を残す必要が無いと判断したのかは知らんが』

セルゲイ『情けない話だ……我々人革連は、償わなければならない罪をまた一つ抱えてしまった』

マネキン「それは我々も同じです。再燃する可能性のある紛争地域は我々の領地が半数を占めており、PMCトラストの解体も反対派が各地で抵抗しているため難航を極めている」

マネキン「強制された変革により、我々は自らの業を見せつけられている……」

セルゲイ『これも、ガンダムの目的だったのかな』

マネキン「それを知っているのは、彼等だけなのでしょうね」


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/12(日) 02:37:04.81gD2AS3/k0 (1/2)

ヅダwwwwwwwwwヅダwwwwwwwwwwww
よりによってあの欠陥機か
全く何でもかんでもジオ○ックのせいにしやがって


334>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 02:49:52.20Mf7/9J8AO (7/14)

セルゲイ『そうだ、グラハムの件だが』

マネキン「はい?」

セルゲイ『今回の功績を認められ、奴もまた少佐への昇進が決定したそうだ』

マネキン「本当ですか?」

セルゲイ『うむ、だがアイツの事だ。あまり興味は無いだろう』

セルゲイ『マネキン大佐、未確認MSの情報が入り次第此方から連絡をする。其方も何かあったら報告してくれ』

マネキン「えぇ、その様に」

セルゲイ『では失礼するよ』

ピッ

マネキン「ふう……」

ヴンッ

マネキン「!」

マネキン「マリーダからか……ユニオン領の紛争再発地域とそれに対する軍隊の派遣、その内約」

マネキン「自身の意見も添えて私の意見を聞きたいと……」

マネキン「ふっ、相変わらずだな。熱心にも程がある」

マネキン「うちのコーラサワーも、もう少しエースの自覚を持ってもらいたいのだが……」カタカタ

マネキン「……まだ会議には時間がある、今の内に返信しておくとしよう」


335>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 02:58:06.47Mf7/9J8AO (8/14)

―大学―

沙滋「……」カタカタカタカタ

友人A「もう帰ろうぜ沙滋。講義も終わったしそんなに根詰めなくてもよ」

沙滋「ごめん、でも僕は今まで遅れた分もあるから……」

友人B「気持ちは分かるんだけどねぇ」

友人A「無理すんなよ沙滋。この前頼まれた講義の資料、圧縮して送っておいたから」

沙滋「有り難う、助かるよ」

友人A「良いってことよ」

友人B「ルイスに宜しくね」

沙滋「うん……」

沙滋(宇宙技師の試験も近い、大学の試験と併用してでも間に合わせなきゃ……!)

―大学・理事長室―

理事長「……そちらの旨は理解できました。それでは、沙滋・クロスロードの学費及び奨学金の返済は其方が全額負担と言うことで宜しいのですかな」

紅龍「はい。その様にお願いします」

紅龍「彼の後見人……とはいえもう彼自身成人も近いのですが、話は付けてありますので」

理事長「そういうことでしたら、我々からはなにも言うことは有りません」

理事長「彼にはこの短時間で不幸な事が起きすぎました……私としても彼の幸せを望まずにはいられない」

紅龍「……」

理事長「宜しくお願いします」


336>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 03:14:37.88Mf7/9J8AO (9/14)

紅龍(全く、思いもしていないことをペラペラと喋る……)

紅龍(昨晩は沙滋・クロスロードの一件など気にも留めず、愛人との夜を楽しんでいた癖に)

理事長「?」ニコニコ

紅龍「それでは私はこれで……」

紅龍(だが私が彼に、沙滋くんに出来ることはこれくらいしかない)

紅龍(絹江さん……あなたに報いるには、これしか……)

コツコツコツ

紅龍「……」

紅龍「!」

沙滋「……!」カタカタカタカタ

紅龍「沙滋くん」

沙滋「ッ!」

沙滋「あ……紅龍さん」

紅龍「講義は終わったのかね」

沙滋「はい、紅龍さんは……どうして此処に?」

紅龍「君に会いに来た、では理由として不足かな?」

沙滋「え、えぇ!?」

紅龍(何故そんなに恥ずかしがるのだ……?)


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/06/12(日) 03:16:45.88aNgcptibo (1/1)

ウホッ


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/12(日) 03:22:20.58+EThZApPo (1/1)

アッー!


339>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 03:34:12.73Mf7/9J8AO (10/14)

沙滋「ほ、紅龍さんは姉さんの昔からの友人だったんですよね!?」

紅龍「あぁ、そうだ」

紅龍「絹江さんとは取材の最中で出逢ってね、そのよしみで友人として付き合ってもらっていたよ」

沙滋「友人……」

沙滋「……っ」ササッ

紅龍「……」

紅龍「宇宙技師の勉強か」

沙滋「あっ!」

紅龍「進んでいるようで何よりだ、だが一番大変なのは実技だからな」

紅龍「ワークローダーによる練習がしたければ私に連絡するといい、用意させよう」

沙滋「え?」

紅龍「私は宇宙開発の事業展開をしていてね、絹江さんにもその関係で取材を受けたんだ」

紅龍「勿論君さえ良ければ、だが……」

沙滋「は、はい! その時は是非とも!」

紅龍「良い返事だ」ニコッ

沙滋「……!」ササッ

紅龍「……」


340>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 03:55:41.98Mf7/9J8AO (11/14)

<センチュリーカラーミリオカーラーデレッデレッデー

沙滋「あ!」

紅龍「メールかね」

沙滋「はい、ルイスからです!」

紅龍「ルイス・ハレヴィ……ガールフレンドだったかな?」

沙滋「はい……」ピッピッ

紅龍「……」

紅龍「不幸な事件だった」

沙滋「……良いんです。過去には戻れないし、ガンダムは倒された。もう過去の話です」

紅龍「……」

沙滋「今は、訳あって離れ離れになっていますけど」

沙滋「でもいつか、宇宙で働けるようになって、独り立ちして……必ず彼女を迎えに行くんです」

沙滋「絶対に……絶対に……」

紅龍「沙滋くん……」

紅龍(確かに、彼の身には数多の不幸が降り注いだ)

紅龍(だが彼ならば、沙滋・クロスロードならば……きっと悲劇も乗り越え、新しい時代を逞しく生きてくれるだろう)

紅龍(絹江さん、他ならないあなたの弟なのだから)

紅龍「きっと【彼女】もその日を心待ちにしているだろう……頑張れよ、沙滋くん」

沙滋「はい……!」

紅龍「では家まで送ろうk」

沙滋「い、いえ! 結構ですっ!」

紅龍「……」


341>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 04:01:42.87Mf7/9J8AO (12/14)

それから、更に1ヶ月。光陰矢の如しとはよく言ったもので、目まぐるしい日々は吹き抜ける風のように、実感の湧かないまま通り過ぎていった
ただし世界は確実に変革を迎え、暗躍する影は確実にその魔手を広げていっていた

―墓地―

グラハム「……」

グラハム「済まないハワード、報告が遅れてしまった」

グラハム「ソレスタルビーイングは壊滅、お前との誓いも何とか守れたよ……」

グラハム「だが大事なのはこれからだ、世界は統一に向けて大きく動き出すだろう」

グラハム「世界が変わったということを証明しなければ、我々の前に第二・第三のソレスタルビーイングが必ず現れる」

グラハム「…………」スッ

グラハム「ハワード、私は君の墓前に新たな誓いを立てよう。フラッグファイターとして、新たな世界を守り抜いてみせると」

グラハム「それが生き残った私の為すべき義務であり、権利であり……オーバーフラッグスの戦友達への弔いになると信じて」

グラハム「……さらばだ、ハワード・メイスン」

マリーダ「……」スッ

マリーダ「マスター、松葉杖を」

グラハム「あぁ」

グラハム「……無理を言ったなマリーダ、済まん」

マリーダ「それ以上はおっしゃらないで下さい。私が好きでやっていることです」

グラハム「……む……」

マリーダ「病院に戻りましょう。医師も心配されています」

グラハム「分かっている」

マリーダ「まだ身体も万全ではありません、ただでさえ先週も病院を抜け出しRGMのロールアウトを覗き見に出掛けているというのに……」

マリーダ「これ以上のご無理を重ねられては、部隊への復帰も遅れます。それに……」

グラハム「分かっていると言っている!」


342>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 04:03:51.92Mf7/9J8AO (13/14)

グラハム「全く、完全に私のお目付役だな」

マリーダ「本当にお目付役ならば、病院を抜け出す手筈など取りは致しません」

ピッ

マリーダ「マスター……カタギリ司令から連絡が入りました、お怒りのご様子です。急いで戻りましょう」

グラハム「……」ムスッ

マリーダ「……はぁ……」

マリーダ(全く、子供がそのまま大きくなったかのようなお方だ)

マリーダ(だがそれ故に裏がなく純粋……だからこそ、なのかもしれないな)

バタンッ
ブロロロ……

グラハム「……」ウツラウツラ

マリーダ「……」

マリーダ(まだ身体も万全ではないのに、相変わらず無理をなさる)

マリーダ(これで体調を崩されたら、ハワードも立つ瀬がないというのに)

マリーダ「なぁハワード……」フッ

《国連は今日未明、国際的な軍縮路線を進めていくことを議会で確認し、正式な会合を開いていくことで……》

マリーダ(この二週間、国連は統合した軍備の再編に負われている)

マリーダ(無理もない、ガンダムがいなくなったことによる紛争の再燃は、PMCトラストを始めとする軍縮路線に反発した傭兵会社を取り込み無視できない一大勢力として拡大しつつある)

マリーダ「世の中は良くも悪しくも変わる……か」



343>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/12(日) 04:16:14.04Mf7/9J8AO (14/14)

マリーダ「……」ピッ

マリーダ(新たな人員の編入、及びライセンサーを有する独立飛行隊としての再編成)

マリーダ(ワンマンアーミーを基礎とするライセンサーとは別に、ライセンスを有する部隊長が部隊レベルでの独立した戦時介入を可能にすべく、自身でMS小隊を率いることを許す今回の計画)

マリーダ(人事の手がマスターに回っているということは、既に【ライセンサーズ構想】が進行しているということか)

マリーダ「ん……?」

グラハム「……」ZZZ

マリーダ「……」

マリーダ「全く、動かなければただ普通のいい男なのだがな」

グラハム「普通とは、私とは最も乖離した言葉だな」

マリーダ「ッ!?」

キキキィィィィッ

グラハム「ぬぉっ!?」

マリーダ「っ……申し訳ありませんマスター、起きてらしたとは思いもよらず」

グラハム「そんな驚くとは私も思わなかったぞマリーダ……以後サプライズは控えるとしよう」ドキドキ


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/12(日) 04:28:16.14gD2AS3/k0 (2/2)

>>340
CENTURY COLORはネタにされるけど良い曲だよウン


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/12(日) 07:57:21.44blrdVWZZo (1/1)

ヅダもプルツーのコレクションかな


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/12(日) 13:06:52.80bFUVPzrIO (1/1)

>>344
ターンネーガンダムッ


347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/06/12(日) 13:48:53.600ZgoCBaAo (1/1)

>>333
屋上


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/13(月) 13:27:46.97rZIXPtsJo (1/1)

ヅダも出てきた事だしゼクなんかも出てくればいいなー……


349VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/13(月) 23:27:36.83RuwcNUsN0 (1/1)

正式採用のRGMはGNドライヴついてのか?


350VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/06/14(火) 00:15:09.47c+q4BoL1o (1/1)

ドライブや各部の簡略化での低コスト&テロリストの使用防止の為のドライブ管理が主だから搭載してないんじゃね?


351>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 00:50:51.28cJTS37xAO (1/17)

グラハム「む、ライセンサーズ構想の資料か。もう目は通したのか?」

マリーダ「はいマスター、一応一通りは」

グラハム「そうか」

グラハム「独立したワンマンアーミーを更に昇華した、部隊レベルのライセンス集団……既にヤザン・ゲーブルがMS小隊を率いて実践に出ているという話もある」

グラハム「情報が錯綜しやすい現状の戦場では、ライセンサーのような独自判断を持った兵士の有能性がどこまで発揮できるか……疑念ではあるがな」

マリーダ「ヤザン・ゲーブル……あの野獣が、ですか」

グラハム「凄まじい腕前と的確な状況判断力の持ち主だと聞いた。私は会わなかったが、どうだった? マリーダ」

マリーダ「概ねその通りです。協調性と品性に著しく欠けている、という点が抜けていますが」

グラハム「……その様子だと一悶着あったようだな。お前ほどの者が、希有なことだ」

マリーダ「……っ」グッ

グラハム「詳しくは聴かんさ。ヤザン・ゲーブルという人物、直接会った時に刮目させてもらうまでのこと」

グラハム「しかし……協調性と品性に欠けた存在か。どことなく親近感が湧く」

グラハム「ふっ、好意を抱くな」

マリーダ「マスター、冗談でもその様なことは……!」

グラハム「……よほど嫌われているようだなヤザンとやらは」

マリーダ「あんな……っ」

マリーダ(あんな野獣がマスターと同等だなんて……認めるものか!)


352>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:08:12.40cJTS37xAO (2/17)

―一方その頃・モラリア―

『うっ、うわぁぁぁぁぁぁ!』

武装解除に応じず、武力による抵抗を続けているPMCトラストの前線部隊
ガンダムに対抗するという名目で軍備が増強されていた表の部隊の一つであり、サーシェスのような裏の部隊程ではないにせよ、AEUイナクトでのみ編成された最新鋭の部隊であることは間違いなかった

ヤザン「何だ、もう終わりかァ? 古巣も随分と生っちょろくなったもんだぜ」

その最新鋭の部隊、イナクトのみで編成されたMS三個小隊。その全てが、たった今一機のイナクトにより全滅した
深い緑に塗られた、ヤザン・ゲーブル専用AEUイナクト。その周りには破壊されたMSのパーツがそこかしこに転がり、死屍類々の荒野にただ一機、ヤザンのイナクトだけが存在していた

ヤザン「ちっ……やっぱり無理してでもガンダムと戦っておくべきだったな、同じ性能のMSでも全く相手になりゃしねえ」

ラムサス『ははっ、これじゃあライセンサーズ何たらも意味がありませんな!』

ダンケル『ヤザン大尉だけで戦闘が終わっちまうんだ。ある意味楽出来ますよこっちは』

ヤザン「悪ィなラムサス、ダンケル。しばらくは見学だけで我慢しろ」

ヤザン「まぁ良い、骨のありそうな奴ならまだいるだろう。せいぜい、統一世界の戦争を楽しませてもらうぜ」

ラムサス『次の戦場は、俺達にも引き金を引く猶予があってほしいもんだ』

ダンケル『まぁ無理だろうよ……この人がいたんじゃ、な』

ヤザン「くくく……ははははは! はーっはっはっはっはっは!!」

野獣の渇きは未だ潤せず、次なる流血を求め戦場を飛び回る
ヤザン・ゲーブルとグラハム・エーカーの道が交わるのは、もう少し先のことであった


353>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:11:29.17cJTS37xAO (3/17)

グラハム「それにだ、今は他の部隊のことを気にしている暇はないぞ」

マリーダ「?」

ピッ

グラハム「我々も世界も大打撃を被り、軍部はベテランを多く失い人員不足が否めない」

グラハム「我々のオーバーフラッグスも待機メンバー二人が既に抜け、別の地域で作戦に従事している」

グラハム「現在私を含めオーバーフラッグスは五名……この意味が分かるか?」

マリーダ「……」

マリーダ「新たなフラッグファイターの転任、ですか?」

グラハム「ふっ、流石だなマリーダ。察しがいい」

グラハム「私が以前から目を付けていた一人の兵士を、オーバーフラッグスに引っ張ってくるよう司令に懇願したのだ」

グラハム「本当ならばガンダム調査隊の時点で来るはずだったのだが、彼とも運命の赤い糸を感じずにはいられないな」

マリーダ「それはもしや、以前話していた……」

グラハム「あぁ」

グラハム「楽しみだよ……実にな」


354>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:16:59.20cJTS37xAO (4/17)

―病院―

グラハム「司令は帰ったか。流石に多忙と見える」

マリーダ「カタギリ司令のお仕事を増やした方が何を……」ハァ

グラハム「む……しかしこれ以上司令のご機嫌を損ねる訳にも行かん。そろそろご機嫌取りも考えねばならんな」

グラハム「なにせ、一源珊悪琴割のリョーテイが待っているのだからな……!」

マリーダ(何故この国の人間は漢字を妙に曲解するのだろうか……?)

ウィンッ

グラハム「む?」

マリーダ「!」

ソーマ「あ……!」

グラハム「ソーマ・ピーリス少尉!」

ソーマ「お久しぶりですマリーダ中尉、そして昇進おめでとうございますマスター・グラハム少佐!」

グラハム「もはや君の中での私の名前はマスター・グラハムか、ピーリス少尉」

マリーダ「久しぶりだなピーリス、変わりないようで安心したよ」

ソーマ「マリーダ中尉こそ、ご健勝で何よりです」

マリーダ「ふふ……少し背が伸びたかな?」

ソーマ「ね、年齢は中尉と同じですっ! そんな1ヶ月やそこらで……!」

マリーダ「少尉は成長期が遅いのだろう、これからきっと成長していくよ」

ソーマ「そう……でしょうか?」

グラハム(ほう……)


355>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:25:16.18cJTS37xAO (5/17)

グラハム「しかし少尉、何故君は此処に?」

ソーマ「はい、実は……」

           ・
                         ・
                         ・


グラハム「成る程な……そのジャン・リュック・デュバルという人物の開発したMS、【ヅダ】が最終決戦時に妨害行動を起こした」

グラハム「そしてその当人は1ヶ月前、この北米大陸に渡ってきてから行方知れずになっている」

グラハム「それの調査の為にスミルノフ大佐は君を伴い此方に渡ってきたと、そう言うのだな? 少尉」

ソーマ「纏めていただき恐縮です、マスター・グラハム」

グラハム「なに、事情を知らぬ者達にはこうでもしなければ伝わらないからな」

マリーダ「?」

ソーマ「?」

グラハム「コホン……それで、だ」

グラハム「手掛かりは見つかったのかね? スミルノフ中……大佐ならば既に何かを掴んでいそうなものだが」

ソーマ「はい」

ソーマ「シティホテルのPCから、彼の名義でビリー・カタギリ顧問にメールが送られていたのを確認し、ついでということで此方に足を運ばせていただきました」


356VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/06/14(火) 01:32:51.001Ah3PDDyo (1/1)

メタもイケる口か、フラッグファイター!!


357>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:33:35.68cJTS37xAO (6/17)

ソーマ「カタギリ顧問の話では、それがレイフ・エイフマン教授の作成した疑似太陽炉搭載型フラッグの草案だったと言うことですが……」

グラハム「!?」

マリーダ「GNフラッグの……プロフェッサーの設計図を?」

グラハム「マリーダ」

マリーダ「いえ……プロフェッサーの口からはジャン・リュック・デュバルなる人物の名は聞いたことがありません」

グラハム「私も先ほど初めて聞いた名だった。プロフェッサー・エイフマン、ユニオンのみならずMS関連の技術者としては世界的権威だった方だ」

グラハム「あの方がフラッグの設計図を、人革連の技術者に渡していたというのか?」

マリーダ「そんなっ……!」

グラハム(だがプロフェッサーの死が、カタギリの読んでいた【知りすぎた】ことに起因するとすれば……予め信用に足る何者かに情報を渡すことも考えられる)

グラハム(逃亡者の身で危険を省みず設計図を送りつけてきたのも、それならば頷けるというものだが)

グラハム「やはり、本人から直接聞かねば解らぬことか」

ソーマ「はい、大佐も同じことを言っておりました」

グラハム「スミルノフ中佐……済まない、大佐は今此処に?」

ソーマ「いえ、此方の人革連の大使館で情報を整理しています」

グラハム「そうか」

グラハム「そうと決まればこうしてはおれん! 今すぐにでも退院して……」バッ

マリーダ「マスター」ガシッッ

グラハム「……」ズルズルズルズル

ソーマ(あぁ……マスター・グラハムが……)

           ・
                         ・
                         ・


マリーダ「まだ骨も完全に繋がっていないのに無理をなさらないで下さい」

グラハム「えぇい、もどかしい! こんなことならば再生治療で一気に治癒すれば良かった」

ソーマ(まだ繋がってなかったのに外出していたのか……)


358>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:43:37.08cJTS37xAO (7/17)

グラハム「ピーリス少尉、見ての通り私は怖いお目付役のおかげで此処から外には出られない」

マリーダ「……」

グラハム「デュバル氏の一件、何か判明したことがあれば可能な限りで構わない、私に一報くれ」

ソーマ「はいマスター・グラハム、大佐にもその旨をお伝えしておきます」

グラハム「頼んだ。肝心の私が病院のベッドの上では申し訳ないことこの上……」ガチャッ

――グラハムはその時、初めて軽蔑という感情を親友に対し向けた

ビリー「……!」

本来グラハムが寝ているはずのベッドに、乱れた白衣をそのままに横になっているビリー・カタギリ
林檎のように真っ赤に染まった顔は、困惑と羞恥の二枚重ねで何とも情けのない色に仕上がっている

「あら残念、意外と早かったのね♪」

その上から覆い被さり、見方によってはビリーを押し倒しているようにも見える赤毛の女性
その着衣は身体の艶めかしいラインが浮き出るほどに乱れ、豊かな胸元は白い谷間がくっきりと見えている
露出した太ももは肉付きも良く、羚羊のような脚はビリーの長い脚に絡み、健康的なエロスを演出していた
この肢体を見せつけられたなら、男なら生唾を飲まずにはいられないだろう
問題はグラハムは女に興味が無く、肝心のカタギリが童貞であるということくらいだ


359>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:46:36.13cJTS37xAO (8/17)

グラハム「…………」

マリーダ「ピーリス少尉、見てはいけない」サッ

ソーマ「え? え??」

マリーダは入室とほぼ同時にピーリスの視界を手のひらで遮り目の前の痴態から遠ざける
グラハムとマリーダは無表情の中に最大限の蔑視を込め、ベッドの上のビリー・カタギリにそれをぶつけていく

ビリー「ちちちち違う! 違うんだグラハム、マリーダ! ていうかピーリス少尉まだいたの!?」

グラハム「ビリー・カタギリ技術顧問、とりあえずベッドから降りて服を直した方がいい。着衣の乱れは心の乱れだ」

マリーダ「要約しよう。さっさとベッドから降りてそこに直れ俗物」

ビリー「 」

?「ごめんなさいねビリー、もうちょっと早く始めていれば良かったのに」

ビリー「むしろやらないでくれよミーナ!? 幾ら何だって悪ふざけにも程があるっ!」

?「あははは、ノックしないとは思わなくって」

ビリー「彼の病室なんだからノックするわけ無いだろうッ!?」

グラハム「ノックするとかしないとか、そういうことじゃないと思うぞビリー・カタギリ技術顧問」

マリーダ「……」ジャキンッ

ビリー「わーっ! わーっ!」

ソーマ(い、一体何が起きているというの!?)

ソーマ(起きてマリー、今こそ真の超兵の力を……!)


360>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 01:53:54.48cJTS37xAO (9/17)

―十分後―

グラハム「成る程、事態は把握した」

ビリー「……」セイザ

?「正座なんて久しぶり~」セイザ

マリーダ「…………」

ソーマ「あの、中尉……彼らは何故床に座らされているのですか?」

マリーダ「少尉、世の中には知らなくて良いこともあるんだ」

?「改めて自己紹介させてもらうわライセンサー、グラハム・エーカー少佐」

ミーナ「私はミーナ・カーマイン。ユニオン国立宇宙局の技術研究科所属、宇宙物理学を専門に研究しているわ。ビリーとは大学時代の同窓生なの」

ミーナ「お会いできて光栄だわ最強のフラッグファイター」

ミーナ「そしてその副官にして最年少のフラッグファイター、マリーダ・クルス中尉もね」スッ

グラハム「ビリーの同窓……成る程、旧友か」スッ

マリーダ「……」ピキィィィィン

マリーダ(思ったより純粋な心の持ち主らしい……見た目のギャップはあるが)

グラハム「だが旧交を暖めるのに私のベッドを使ったのは容認できんな」

ビリー「そ、それは彼女が勝手に……!」

グラハム「今度からちゃんとそれ相応の場所を選択し行うことを推奨する」

ミーナ「ラージャ♪」

ビリー「やること自体には肯定的なんだねグラハム……?」

ミーナ「ふふ、でも残念なことにまだそういう関係じゃないの」

グラハム「男女の関係には、友情もまた立ち入れぬ深い穴がある」

グラハム(27)「しっかりと順序を踏んで、健全な関係を築いてくれたまえ」

マリーダ(18)「お幸せに、カタギリ顧問」

ミーナ(何だろう……釈然としないわ)

ビリー「おぉ……神よ……」


361>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:04:40.89cJTS37xAO (10/17)

ビリー「さ、さて! グラハム、君に頼まれていた例のMSの情報なんだけどね」

グラハム「む、手に入ったかカタギリ」

マリーダ「ダリルが遭遇した、あのMSですね」

ビリー「あぁ。カティ・マネキン大佐に連絡したところ、二つ返事で送ってもらえたよ」

マリーダ「マネキン大佐が?」

ソーマ「スミルノフ大佐へもマネキン大佐から情報が送られてきたそうです」

グラハム「素晴らしい判断だ、AEUの女傑にはいつもいつも助けられる」

ミーナ「~♪」ギュー

ビリー「う、写すよグラハム」

グラハム「断固辞退する」

ビリー「彼女じゃない、映像だ!!」

グラハム「あぁそうか、頼んだ」

ビリー「……はぁ……」

ビリー「まぁ兎に角、これは非常に貴重な映像だよ」

ビリー「それと同時に、危険な映像でもあるけど……ね」

ヴンッ

グラハム「!」

マリーダ「カタギリ顧問、これは……!」

ビリー「あぁそうさ、所属不明のアンノウン」

ビリー「この緑色のMSは、疑似太陽炉搭載型のMSなんだ」


362>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:05:53.44cJTS37xAO (11/17)

―???―

プルツー「何でさ!? あたしが出ればガンダムだってすぐにやっつけてみせるのに!」

リボンズ「駄目だ」

プルツー「リボンズっ!」

リボンズ「二度は言わないよプルツー。部屋に戻って大人しくしていろ」

プルツー「っ……!」

リヴァイヴ「……」ペラッ

ヒリング「……」ソワソワ

ヒリング「ね、ね、リヴァイヴ」

リヴァイヴ「何だいヒリング、今良いところなんだ」

ヒリング「そんな小説なんかよりさ、あの二人何を言い争ってんの?」

リヴァイヴ「……ヒリング、君のそういう野次馬根性のようなものは少し控えた方がいい。リボンズにも注意されただろう?」

ヒリング「気になっちゃったんだもの、仕方ないじゃない」

ヒリング「それに、何だかんだリボンズはあの人間の時だけ反応が違うから、見ていて面白いのよね~」クスクス

リヴァイヴ「リボンズに折檻される前に口を閉じるんだね……庇いきれないよ、全く」

ヒリング「は~い」

ヒリング「それで、それで?」

リヴァイヴ「……ハァ」パタンッ


363>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:08:29.92cJTS37xAO (12/17)

リヴァイヴ「プルツーは壊滅したソレスタルビーイング、及びその支援組織であるフェレシュテの捜索と太陽炉の奪取を提案している」

リヴァイヴ「だがリボンズは首を縦には振らず頑として受け入れない。そしてその対応はいつも通り……後で話すの一点張り」

ヒリング「あぁ、だからプルツーは気に入らなくて突っかかってるってワケね」

リヴァイヴ「リボンズの秘密主義はプルツーの逆鱗に触れやすい……」

ヒリング「いつもみたいに強制送還しないの?」

リヴァイヴ「ブリングもデヴァインも別件で今は不在だ」

ヒリング「リジェネもいないのよね、そう言えば」

リヴァイヴ「それに我々は彼女の強制送還が出来るほど力量差があるわけじゃない、リボンズだけで何とかしてもらわないとどちらかが怪我をする羽目になる」

ヒリング「曲がりなりにも彼女は強化人間、ちっちゃいからって侮れないのよねぇ」

ヒリング「ま、二人がかりで無理です! と言い切っちゃう私達の存在意義を考えちゃうと悲しいところよね」

リヴァイヴ「それは言わないでほしいなヒリング、私にだってそのことについては思うものが無いわけじゃない」

ヒリング「良いじゃない。RGMカスタム四号機と五号機のカスタマイズは進行中、ガ・シリーズの開発はまだ途中」ガサガサ

ヒリング「どちらにせよ私達の出番は当分まだなんだから、さ」パリッ


364>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:19:32.84cJTS37xAO (13/17)

プルツー「…………!」

リボンズ「……」

プルツー「…………!」

リボンズ「……」

リボンズ「はぁ……」

リボンズ「これを見るんだプルツー」

プルツー「最初からそうすりゃ良かったんだよ、全く」フンッ

ヒリング「あ、リボンズが折れた」

リヴァイヴ「ふふ、何だかんだ彼も甘いことだ」

リボンズ「……」

ヒリング(やばっこっち見た)コソッ

リヴァイヴ(はぁ……やっぱりこうなる)コソッ

リボンズ「……これは先日、ラグランジュ1付近で撮られた映像だ」

プルツー「例の、疑似太陽炉搭載型の未確認機かい?」

リボンズ「そうだ」

プルツー「……コーンスラスターじゃない。このMSはティエレンの技術を使ってはいるけど、疑似太陽炉に対する技術は既存のものじゃないのか」

リボンズ「GN-Xはコーンスラスター型、スリースラスター型は第二世代機にしか存在しないものだ」

リボンズ「以前宇宙に上がったテロリストを見逃させたのは覚えているね」

プルツー「あぁ、月のヴェーダを乗っ取っているときだろ?」

リボンズ「本来あの時にイノベイターを数人紛れ込ませ、スパイとして送っていた。それで情報が得られるからと敢えて放置したのだけれど……」

リボンズ「……その全てのイノベイターが何らかの方法で消され、彼らは完全に消息を絶ってしまった」

プルツー「え……?」


365>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:24:25.94cJTS37xAO (14/17)

リボンズ「……待機の命は変わらないよプルツー。今は膝の上で寝ていると良い、状況の分からない今君を出すわけには行かないからね」

プルツー「……」

リボンズ「計画に存在しないスリースラスター型の未確認機……そして排除されたイノベイター」

リボンズ「間違い無い。ヴェーダとソレスタルビーイングに深く通じる人物が、この宇宙に潜んでいる」

―宇宙―

「はっ……はぁっ……!」

アステロイドの狭間を縫うように飛び、一目散に逃げる一機のGN-X
パイロットの顔は恐怖に引きつり、時折何かに怯えるように後方を確認、アステロイドにぶつかりそうになりながら危なげに機体を動かしていく

「こんなはずじゃ……こんなはずじゃ無かったのに……!」

――そう、こんなはずじゃ無かった
同僚とガンダムの捜索任務に赴き、センサーとにらめっこしながらくだらない話に沸き立って
帰ったら一杯引っかけて、休暇の予定でも考えながらぐっすりと眠ろう
そんな他愛もない計画を立てながら、哨戒任務という退屈な作業をこなしていただけなのに
それは、友軍機を貫いた一条の光によって、一瞬で潰えて消えてしまった

「ッ!?」

センサーに感
それは徐々に追いつかれているという証拠であり、敵のMSが国連軍の最新鋭MS、GN-Xに匹敵する性能であることを示していた

「来るな、来るなぁ!」

モニターに移る敵の機影は、密集したアステロイドの中でも意に介さぬ軽やかな機動で迫ってくる
通常衝突を恐れ減速するこの地形において、このMSは速度を落とすどころか更に加速、アステロイドを蹴り上げ動力にすることで類い希な加速を生み出していた

――その速度は、減速しながら進むGN-Xの優に三倍
眼に焼きつく赤い機影、それはまさに……

「あ、赤い……彗星……!」


366>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:33:38.94cJTS37xAO (15/17)

逃げ切れぬと諦めたGN-Xは反転、ビームライフルを向け接近を拒むように粒子ビームを乱射する
赤いMSはそれらを軽々と避け、アステロイドを蹴ることによる変則機動でGN-Xを手玉に取っていく

『済まないが、私が欲しいのはそのMSと太陽炉だ』

『パイロットには……死んでもらおう』

腰から抜いたGNビームアックスが、オレンジ色の光を放ちながら分厚い刃を形成する
ビームライフルの照準は、赤いMSを全く追いきれずただただ哀れな抵抗を繰り返す

『えぇいッ!』

そして赤いMSが身を翻しGN-Xへ鋭い蹴りを叩き込む
小さな悲鳴のようなものが接触した瞬間回線に割り込んでくる。しかし赤いMSの挙動は小揺るぎもしない
続けざま、コクピットへのビームアックスによる一撃
パイロットは一瞬にして蒸発し絶命……GN-Xは赤いMSの手の中に堕ちた

『……』

《流石です大佐、逃げる太陽炉搭載型MSをいとも容易く仕留めるとは》

『パイロットが未熟だっただけのことさ』

『他のGN-Xの回収は終わったな?』

《抜かりありません》

『よし、帰投する。長居は無用だ!』

駆け寄ってきた深緑のMSと通信し、撤退命令を下すMSの操縦者
ふと眼下に見える小さな青い星、地球に目を向けると、思案するかのように立ち止まった

『……』

『ソレスタルビーイング、か』

『見せてもらいたかったものだな、新しいガンダムの性能とやらを』

マスク越しに、母なる星へと微笑みかけた男
新たなる戦禍を齎す凶星は、星の海で着々とその力を蓄えていた

TO BE CONTINUED...


367>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:35:13.76cJTS37xAO (16/17)

エコ「お~い、機材はこっちでいいのか?」

シェリリン「違う違う! それは向こうでそれがあっち!」

エコ「へいへい……ったく」

黒ハロ『プルプルプルプルー!』コロコロ

エコ「……?」


368>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/14(火) 02:38:17.88cJTS37xAO (17/17)

投下終了だフラッグファイター。寝落ちしていた、済まない

次回【雛鳥】

新たなるフラッグファイター、現る


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県)2011/06/14(火) 03:09:13.03uq9g3GN50 (1/1)

フルフロンタルさんか……


370VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/06/14(火) 07:50:32.19dCqezT2mo (1/1)

全裸か
赤い機体に擬似太陽炉の粒子は映えそうだな



371VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/14(火) 10:38:17.15kI7HesZDO (1/1)

ということは、新人はバナージか?


372VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/14(火) 11:26:53.05e7WSxGqAO (1/1)

いやリディだろ
読み直してこい


373VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/14(火) 12:23:05.13kadUp1slo (1/1)

ミーナって誰だ?劇場版見てないんだよね…


374VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽)2011/06/14(火) 13:22:45.47uZLepqgAO (1/1)

フロンタルいるってことはシャアもいたりするのかね


375VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鹿児島県)2011/06/14(火) 13:52:41.60J+6ODhnZo (1/1)

っていうかフロンタルじゃなくてシャアじゃないの?
フロンタルっぽいのはミスリードで。

>>373
来歴に関しては>>360
あと二人の姿がそっくりなのは、
ネーナの遺伝子にはミーナの祖先のものが使われているからとの事。(遠隔遺伝、いわゆる先祖がえり)


376VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/14(火) 14:09:42.82sEUguRLuo (1/2)

この時点でミーナ登場と言う事はネーナとミーナの邂逅の可能性もあるのかww


377VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/14(火) 14:16:36.53sEUguRLuo (2/2)

シャアは>>299-301で登場済みなのでフル・フロンタルで確定。


378VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/06/14(火) 18:50:49.480kbcpnCAO (1/1)

全裸大佐か……


379VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/15(水) 00:27:53.09/wVOhegK0 (1/1)

あの翼の間に筍生やしたシナンジュか……いいじゃないか!


380>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/16(木) 00:27:44.26MnUk/ipAO (1/1)

このSSにおけるグラハムとマリーダの関係って何なんだろうな、フラッグファイター

ところでフラッグファイター諸君、ソルブレイヴス隊の面々の人格や人間像が全く公表されていないことは兄等も知っての通りだ
よって諸君らでだべりながら妄想でもしてくれると彼等の活躍が増えるかも知れない。まだタケイ位しか作り込めていなくてね、なかなかに死活問題なのだよ
あと少し、諸君らの力を貸してもらいたい
さすれば私は、父スレーチャーの元に召されるであろう


381VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/16(木) 01:11:01.43erfw1Hxpo (1/1)

まだ召されるわけにはいかんよ!
悔しいが00もUCも見てない自分にはアドバイス出来ない
これ程自分の無力さを歎いた事はこれまでなかったフラッグファイター
これはSAMURAI達の間で流行っているというSEPPUKUをして詫びる他無い!


382VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/16(木) 01:26:39.093ju+tWU70 (1/2)

了解、フラッグファイター。劇場版で目立った、ネフェル姐さんは現在PMCトラストが解体中で就職先を探しているだろう。これで、カタロンに行くか、国連に来るかで二期の登場が決まるのではな
いか、個人的にはマリーダとソーマ以来の女性パイロットが来るので、同じ女性陣で会話や付き合い方を見てみたいな。ヴィクトルとルドルフはAEU出身だからコーラやマネキンの紹介で来そうだ。ヴィクトルはエミリオの元上官とか、戦友とかで、エミリオが死んだ作戦にも一緒に参加していたがヤザンに撃墜されて、予備役になっていたが、多くのベテランが死んだので復帰したとか、エミリオを殺したヤザンに因縁があるとか、あったら面白いな。
(かなり妄想が入っているので不快だったら無視してください)


383VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/06/16(木) 01:30:11.84NwTrkpNKo (1/2)

↑のように幾らかは資料が出ているので(HGのプラモなど)、それらから妄想の羽を広げてみては?
出身国ひとつで結構いろいろ出ますし


384VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/06/16(木) 08:49:59.31uOLjz52Xo (1/1)

映像じゃモブよりちょこっとマシな程度だったけど、そういやブイレブの一般機プラモはこいつら専用って扱いだったか
キャラよりMSの方が明らかに目立っていたからなぁ


385VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/16(木) 19:15:29.50M76w/jLA0 (1/3)

マスター少し質問が。

プトレマイオス大破轟沈したってことはモレロさん、クリス、リヒティアニメ同様フェードアウトでFA?


386VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/16(木) 19:17:45.27M76w/jLA0 (2/3)

とりあえず隊員まとめてみた。順番と(顔アングル)はHGブレイブから。

ヴィクトル・レオーノフ(右真横)
「ソルブレイブス」隊副隊長。
旧AEU圏出身のモスクワ生まれのロシア系白人。
多分部隊内で最年長のおっさん。(1stの時のセルゲイさんよりは年下っぽい)
隊長以外の男性隊員で一番背が低い。

ルドルフ・シュライーバー(左斜め上)
旧AEU圏出身のドイツ系白人。
ジニンさんと同い年くらい?(それだとハムより一つ下!)
月軌道戦でELSジンクスにうろたえたり、「隊長!ポイント206を!」と結構しゃべってた。
(以外といい声)

アキラ・タケイ(右斜め)
旧ユニオン圏出身で元沖縄基地所属の日系人。
オーバーフラッグス隊の生き残り。
特徴的な眉毛。部隊で最年少っぽい。

イェーガン・クロウ(真正面やや上)
旧ユニオン圏出身でオーストラリア系白人。
おっさん(グラハムよりちょっと年上?)
部隊で一番ガタイがでかい。

ネフェル・ナギーブ(左斜め)
唯一の女性隊員で、褐色肌で白髪のエジプト系。
モラリア共和国のPMCトラストに所属。
姐さん。

あくまで予想だけど劇中で二番目にやられたパイロットは若い男性声だったからルドルフさんかタケイさんのどっちか。
初回盤の絵コンテとかになんか書いてないかな…



387VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/16(木) 20:11:48.51M76w/jLA0 (3/3)

そして早速全開でヴィクトルさん妄想してみた。

・AEUロシア軍の少佐(1st)
・1stの時点で30代後半、映画だと1stセルゲイさんぐらい)
・2290~2300年代の太陽光発電紛争でヘリオンのエースパイロットとして活躍(異名が欲しいね)
・ちなみにグリプス事件(同士討ち事件)は2303年、十分絡めるね。
・CB介入前にMSパイロットから退き教官職につく(トップガンはコーラに)
・連邦軍の再編とAEUトップガン全滅を機に前線パイロット復帰
・寡黙で冷静な性格。セルゲイさん並に状況判断も優れる。但しやや頑固な面も
(グラハムに振り回されそう)
・コーラの数少ない頭の上がらない人の一人(←これはさすがに無理か)

こんなので大丈夫なのかな…?


388VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県)2011/06/16(木) 21:10:32.07NwTrkpNKo (2/2)

>>386
人づてに聞いたから確かではないけど、オーディオコメンタリーでルドルフだと言ってたそうな


389VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/16(木) 22:17:08.31ydgtMH7zo (1/1)

同じく人づてだから確証はないが、アキラ・タケイは戦死していないはずなのでルドルフさんが二人目の戦死者と思われる


390VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/16(木) 23:47:56.743ju+tWU70 (2/2)

00Vを読んでいて気付いたんだが、エイミーが一期の時期に沖縄でシェルフラッグに
搭乗していた。という記述を見つけたんだが、タケイはエイミーと同じ基地にいたと
いう事で、話ができそうだ。しかし一方は沖縄のトップエース、方や基地一番のヘボ
パイロットというのだから、どんな交友があったのか想像がふくらむな。
(ちなみにエイミーはフォーリンエンジェル作戦にGN-Xの予備パイロットとして参加
していたらしいが、ブリティッシュ作戦に参加してたらマリーダを口説いて、彼女にブン殴
らてそう)


391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/17(金) 02:15:18.28/4TWpOfno (1/1)

エイミーはGN粒子使うMSで活躍しないとな…>>1さんの作品だとRGM生産されてるようだが、
そこで二つ名得るまで活躍できてるんだろうか。女ったらしって設定なのに、天然ボケのイメージが強くて好きなキャラだが…
うさん臭いロベールともども、コメディリリーフとしては映えるか?


392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/06/17(金) 02:37:55.434tJvb8Aj0 (1/1)

どこで見たのか忘れたが、G-ROOMS で福地神が描いたフラッグのパイロットがイェーガンらしい
つまり、イェーガンはカタロン構成員だったということになる
乳母車とカンガルーのマーキングが共通だったのかな……


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(佐賀県)2011/06/17(金) 12:24:02.31kJiwNRCP0 (1/1)

>>386
「ルドルフ・シュライーバー」じゃなくて「ルドルフ・シュライバー」じゃなかったか?


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/17(金) 23:24:56.41YbEiLFnto (1/1)

ジュドーやカミーユ、ハマーンはどうなってるんだろうかと考えて木星じいさんの事を思い出したww
イオリアのGNドライブ作成計画に同行してそのまま探査船に居残ってそうだ、ELS来たらメタルZZ、メタルジュドーか胸熱
シャアの事を考えれば皆死んでいるんだろうけど、ヤザンやプルの事を考えるとカミーユやジュドーは出てきてもおかしくないのかな?


あと、イェーガンがカタロン出身なら無理に絡ませない方が良さげかもしれない
敵が強すぎてこの世界のカタロンは難儀しそうだ、何かテコ入れしないとあっという間に滅びそう
ただでさえ沙慈がバラした直後に基地壊滅しちゃうくらいだし……


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東地方)2011/06/18(土) 23:52:24.55zb+Se9Vh0 (1/1)

>>394
エゥーゴの面子なら居ても違和感ないな
アロウズなんかは元からティターンズ色強い組織だし
原作だとCBにフォーカスしすぎてハーキュリーのクーデターやマネキンの造反が駆け足気味だったからこのSSには期待してる


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 08:10:37.472A81xxGDO (1/1)

あまり出しすぎるとごちゃごちゃするから心配


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 09:27:35.82TJoVH3fO0 (1/1)

自分としては、このSSではマリーダさんに幸せになってほしい。
それだけは頼む、いやお願いします。


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 10:34:38.11hFaoR4LIO (1/1)

マスラオたんが開発されるかがとても心配です


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/19(日) 14:11:06.36JE1eKDPa0 (1/1)

ユニコーンガンダムとかデルタプラスでたらいいな


400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/06/20(月) 11:57:25.61vK9MeQMT0 (1/1)

GN電池さんの活躍に期待


401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/21(火) 00:22:31.05/Cssd9uAO (1/1)

月光蝶の代わりにGN粒子を撒き散らしながら暴れるターンX・・・


402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/21(火) 00:41:20.69BH2L5LRko (1/1)


この太陽炉すごいよ、さすが擬似太陽炉のお兄さん!

 ト ラ ン ザ ム である!


403>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 01:59:23.82q6O0+WVAO (1/16)

やぁ諸君、君達の栄光はヅダと共に

投下再開だゴーストファイター


404>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:03:55.62q6O0+WVAO (2/16)

―ユニオン領日本・京都―

女将「それでは、ごゆっくりどうぞ」

ホーマー「うむ」

グラハム「……」

小綺麗な和装に身を包む女性が恭しく一礼し、障子戸を閉めながら消えていく
座敷はホーマーとグラハム、二人だけの空間となる
二人の間には所狭しと豪勢な料理が並べられており、遠くからは三味線の音色が微かに耳に触れ、静寂に一滴の風情を加えていた

グラハム「……」

ホーマー「くつろげ。もう骨も繋がり、今まで通りに動くことが出来るのだろう?」

ホーマー「約束通り馳走してやろうというのだ、遠慮などせず、冷めぬ内に食え」

グラハム「は……頂きます」

徳利を傾け、猪口に酒を注ぎながらホーマーが口を開いた
そのまま一口、くいと飲み干す。自らも倣って酒を注ぐと、透明な液体が小さな器に波紋を浮かべ、芳醇な香りを放つ
何時もならグラハムもこのまま美酒に酔いしれ、普段は口に出来ぬ和の真髄に舌鼓を打つのだが……今は少し状況が違っていた

グラハム(マズいな……)チラッ

ホーマー「……」ズズ

グラハム(マリーダにあの様なことをした手前、直視できん)

二カ月ほど前、最終決戦の折
マリーダ・クルスへしでかした行為を思い返すと、年甲斐もなく恥ずかしさに顔が朱くなる
ただの口づけだと言ってしまえばそれまでだが、ただの口づけで片付けられないから今グラハムは気まずさと対決している
――あれからしばらくマリーダが泣いていたせいで、ヴァージニア艦の面々には大体バレている事は、まだグラハムも知らないことである


405>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:12:38.90q6O0+WVAO (3/16)

グラハム「……」

ホーマー・カタギリという人物がどういう人物か、ユニオン軍の中でも特に自身は詳しいつもりだ
もし、娘(名義上ではあるが)を傷物にされたと彼が知ったならば……

グラハム「……」

グラハム(SEPPUKU……!)

最悪の展開である。とはいえ冗談でも無事で済むはずはない

グラハム「……旨いですな」

現状の問題を忘れようと杯を一気に傾け、熱燗を飲み干す
鼻先から抜けるアルコールの甘美な刺激も、グラハムの頭から当面の問題をぬぐい去ってはくれないようだ

グラハム「……」

ホーマー「む、箸の使い方がなっていないぞグラハム。以前連れてきた時から成長しておらぬではないか」

グラハム「はっ……申し訳ありません」

ホーマー「迷い箸も、行儀が悪いと教えたぞ」

グラハム「」

ホーマー「お前という奴はいつもそうだ、上官の言うことを聞かず気付いたらあっちこっち飛び回り、私に尻拭いばかり押しつける」

ホーマー「結果を出せばいいのではない。大人になれば過程や方法、周りの目を考えそつなく動くことが求められてくる」

ホーマー「お前は確かに腕が立つ。この一年間、アレだけの無理をして生き延びてこられたのも頷けるというものだ」

ホーマー「だがそれはビリーやエイフマン教授が与えてくれたフラッグの恩恵であり、共に戦う部下の助けによるものだ」

ホーマー「実際は知らん。だがそのつもりで日々驕らず、慎ましく生活することで人との軋轢は最低限のものに抑えることが出来る」

ホーマー「私に押しつける前に、自分からそういう下らん諍いを背負わぬよう努力してみせろ」

ホーマー「お前にマーセナスの坊やまで預けたんだ、ついてきてくれる部下の為にも、もう少し上手く世の中を渡っていかねばならんのだぞ?」

ホーマー「自分を律し、大きく構えていれば自然とそういうものは振り落とせるというものだ、お前は少しパフォーマンスが過ぎる。おいグラハム、聞いているか?」


406>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:15:24.11q6O0+WVAO (4/16)

グラハム(まずい……お説教が始まった……!)

こうなるとホーマーは止まらない。料理もホーマー側のものが一方的に無くなっていき、淡々とぶつけられる言葉のジャブにグラハムの箸は動くことさえままならない

ホーマー「」ガミガミクドクド

グラハム「……」

苦い顔を空の猪口で隠しながら、アルコールで舌の回るホーマーの武士道講義を右から左に聞き流す
此処にはホーマーの話に割り込んでくれる盟友もいなければ、彼を諫めてくれる奥方もいない

グラハム(まさに八方塞がり、四面楚歌というわけか。認めたくないものだな、この状況!)

グラハム(援軍はまだ来ないのか……!)

窮した眼差しでちらりと隣の席に視線を移す
こんな時に脳波で彼女を探してしまう自分が情けない、これが人類の革新ニュータイプのあるべき姿なのだろうか、いや無い!

グラハム「……ニュータイプ……」

グラハム(そういえば確か、あの時……)

必死に現実逃避するグラハムブレイン、走馬灯のように過去へと意識が戻っていく
そうだ、たしか退院の数日前に……


           ・
                         ・
                         ・




407>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:20:16.22q6O0+WVAO (5/16)

―回想・病院―

グラハム「……」

隔離された病室の見慣れた天井。外に通じる唯一の扉には黒服が二人警備に就いており、ビリー・カタギリやマリーダ・クルスが幾度も門前払いを受けている

グラハム「ふう……」

時折掴みかかりそうになるダリルの怒号、それを止めるタケイの影が垣間見える度、ハラハラさせられろくに休むこともままならない
接合途中の肋骨を支えるギブスのせいか、息苦しさが全身を押しつける

黒服「気分が優れないかねグラハム少佐」

グラハム「私は冷水に叩き込んできたり、顔が腫れるほど撫で回してくれた連中と一緒にいて気分が良くなる程マゾヒストではないと自覚している」

黒服「我慢してくれると此方も仕事がしやすい」

グラハム「見続けるにしても黒服の能面は頂けない」

黒服「見なければいい、テレビでも雑誌でも欲しければ用意させよう」

グラハム「男なら、もう少し違う発散の仕方もある。まさかそれまで見張るつもりか?」

黒服「趣味ではないが仕事だからな」

グラハム「……ナンセンスだな……」ハァ

黒服「で、するのか」

グラハム「辞退しよう。私はこれでも嗜好に関してはノーマルもいいところでね、その様な特殊性癖は存在しない」

黒服「それは助かる」

グラハム「はぁ……」

グラハム「で? 肝心の彼女はまだなのか」

黒服「まだ約束の時間より二十分しか過ぎていない」

グラハム「どの位過ぎたかではなく過ぎたという事実を重要視しないか!」

黒服「ミーナ女史のやることだ、いちいち目くじら立てていては身が持たん……」

グラハム「全く、ナンセンスだッ!」


408>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:25:38.12q6O0+WVAO (6/16)

ガチャッ

ミーナ「はぁいライセンサー、気分は如何?」

グラハム「二十三分の遅刻だ、私は我慢弱い」

ミーナ「あらごめんなさい、ちょっとした用事がありまして♪」

グラハム「仕事の前に用事を作るな……」

ミーナ「やん、虫の居所はだいぶ悪そうね少佐」

グラハム「すこぶる最悪だ。待ち人は遅刻しても悪びれず、目の前には可愛がられた黒服の面々……」

グラハム「これならばショーウインドウのマネキンでも眺めていた方が建設的というものだ」

ミーナ「あら、ショッピング中のマネキン大佐が見たいだなんて変わった趣味をお持ちなこと」

グラハム「……」

ミーナ「冗談よ、へそ曲げないで頂戴? これから質問するんだからお手柔らかにお願いね」

グラハム「質問? 黒服まで呼び出して何をするかと思えば……」

ミーナ「あによ、あたしだって出来ればこんなターミネーター集団呼びたくなかったわ」

ミーナ「政府から押し付けられちゃったんだもの、仕方無いじゃない……元々ビリーにも逢いたくて申請してたし、背に腹は変えられないって奴ね」

グラハム「ふん、私は口実か……」

ミーナ「三割はね。残りの三割は私自身の研究の為、もう三割は……」

ミーナ「……止めとくわ。これ以上あなたのへそを曲げたら黒服ぶっ飛ばしてでも抜け出しかねないし」

グラハム(……?)

ミーナ「はいこれ、ビリーから預かったの。BGM代わりにしちゃ勢いあるけど、かけてあげるから機嫌直して?」


409>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:30:15.15q6O0+WVAO (7/16)

グラハム「ケルト音楽か……流石はカタギリ、良いチョイスだ」

ミーナ「アナタってこういうの好きなの? 意外ね」

グラハム「疾走感がたまらない。唯一欠点を挙げるとするなら、空を飛びたくなるということくらいかな」

黒服「ミーナ研究員……」

ミーナ「あら、心配になってきた? ふふ、話の流れだとあなた達をぶっ飛ばして空飛びそうだものね彼」

黒服「程ほどにお願いしますよ、ターミネーターも人間ですので」

ミーナ「らーじゃ♪」

ミーナ「さて……」パチンッ

~♪~~♪

ミーナ「改めまして、私はミーナ・カーマイン。以前話したように専攻は宇宙物理学、でもここ数年間はニュータイプ理論の研究も始めているの」

ミーナ「正直今の国連のニュータイプに対する態度には懐疑的なんだけど、それを覆すにしてもそれなりの研究結果が必要でね」

グラハム「……そこで私に目を付けたか」

ミーナ「注目したと言ってもらいたいわね、現在国連軍に在籍する中でもサイコミュを動かすほどのNTはアナタとマリーダ・クルス中尉だけだもの」

ミーナ「おまけに私のビリーとお友達、これはもはや運命といっていいんじゃない?」

グラハム「成る程……私も自身が乙女座であることを忘れていた。このグラハム・エーカー、縁というものにつくづく困らないらしい」

ミーナ「納得してもらえたようで幸いだわ。出来れば末永く、友好的な関係を続けたいものね」

グラハム「努力しよう。君が遅刻しないと約束してくれるならば」

ミーナ「極力善処しますわグラハム少佐」

ミーナ「さて……それじゃそろそろ、良いかしら?」

グラハム「その旨を由としよう」


410>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:35:01.20q6O0+WVAO (8/16)

ミーナ「じゃ、まずは最初の質問」

グラハム「……」

ミーナ「アナタ、ホモセクシャル?」

グラハム「……」

グラハム「はぁ!?」

黒服(今素が出たな)

ミーナ「真面目に答えてよ、これだって質問なのよ?」

グラハム「馬鹿を言うな、こんなものが質問か!? いやお前が馬鹿か!」

ミーナ「馬鹿とは何よ馬鹿! 軍内部では結構有名な噂なのよ、アナタはガンダムに欲情するとか、男、特に少年に反応する性癖の持ち主って」

黒服「……コホン」

グラハム「………………」

ミーナ「あら、結構ショックだった? ごめんなさいね」

グラハム「上官殺しやMr.プロパガンダと揶揄されたことはあるが……まさかそれほどまでに私は……」

ミーナ「同情するわ少佐」

ミーナ「で、どうなの? 真相のほどは」ワクワク

グラハム(こンのアマ……!!)

グラハム「断じて違う! 私は対物性愛者なければエフォボフィリアでもない! 至って普通に女性が好きな、ノーマルの人間だ!」

ミーナ「あっそ」サラッ

ミーナ「ビリーに手を出されたりビリーがそっちの道に走っちゃっても困るもの、手を打つ必要が無いみたいで安心したわぁ」ピッ

グラハム「…………」

黒服「少佐……その、なんだ。済まない」

ミーナ「ほらぁ、何惚けちゃってるの? 次の質問行くんだからしゃっきりしてよね」

グラハム「今からでも面会謝絶にならないものかな、暫く人生について考え直したい」

ミーナ「質問に答え終わったら幾らでもどうぞ」

グラハム「カタギリ……マリーダ……この戦場は地獄だ……」


411>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:43:24.51q6O0+WVAO (9/16)

           ・
                         ・
                         ・


ミーナ「さて……だいたいこんなもんかしら。御協力感謝感謝っ」

グラハム「……」

ミーナ「あれ? どうかしたの少……」

グラハム「マリーダに質問はしたか」

ミーナ「……」

ミーナ「あぁマリーダさんね。アナタの後にやろうと」

グラハム「間が空いたな」

ミーナ「っ……」

ミーナ(急に目つきが変わったわね、もしかして知らず知らずに地雷踏んでた?)

グラハム「……先ほどからずっと考えていた。全部で五十弱の項目の質問、その全てが私自身のことを知った上で作られた、妙に限定的な質問ばかりだった」

グラハム「本来調査対象が複数あるなら、共通した質問をある程度織り交ぜて行くもの……それが必要無いということは、だ」

ミーナ「グラハム……」

グラハム「凡例が存在する状態で特異な調査対象が現れた場合、つまりマリーダと私だけが特別なのではなく、私だけが特別ということだ」

ミーナ「グラハムッ!」

グラハム「……先ほど君は残りの三割を言いよどんでいたな」

グラハム「知っているな、【あの計画】のことを」

黒服「……」スッ

ミーナ「止めなさいッ!」

黒服「威嚇です、万が一もある」

ミーナ「彼はそんな愚かな男じゃないわ。ジョークでもそんなものを私の目の前に出さないで」

黒服「……」

ミーナ「……それでいいわ」


412>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 02:53:52.73q6O0+WVAO (10/16)

グラハム「……」

ミーナ「一つ聞かせて……どの辺から怪しんでた?」

グラハム「正直に言えば最初からだ。違和感のようなものだがな、君は少し無理をして明るく見せていたように感じた」

グラハム「いくら私が他者の感情が解らぬろくでなしでも、そのくらいはな」

ミーナ「……はぁ……」

ミーナ「演技には結構自信あったんだけどね、それも返上か」

グラハム「……確かに彼女【達】が残したデータは、研究に於いては有意義に働くことだろう」

グラハム「質問よりは遥かに貴重なデータがある以上私の重要性は薄い。イレギュラーである私と、彼女達とのデータ上の差異を見極めるのが君の仕事か」

グラハム「……人革連をどうこう言えんな、ユニオンも」

ミーナ「えぇ……本当に」

ミーナ「ごめんなさい。黙っていたのは悪かったわ」

ミーナ「あんな実験……彼女に思い出させてしまうと思うと、言い出せなくて」

グラハム「いや、今更だ。私こそ君を誤解していた、謝罪しよう」

ミーナ「お互い様ね……」

グラハム「あぁ、そういう事だ」

グラハム「それより私が畏れているのは……」

ミーナ「彼女を元に再び計画が再開されること、でしょう?」

グラハム「!」

ミーナ「アナタの顔を見ていればだいたい書いてあるもの、分かるわよそれくらい」

グラハム「……」

ミーナ「はっきり言ってそれは無いわ。政府はNTを制御こそしようとはすれ、量産しようとは考えていないもの」

ミーナ「あなたが考えているほど、今の国連軍はニュータイプに期待などしていない……」

グラハム「……?」

ミーナ「むしろこのままじゃ排斥が進みかねないほどに、あなた達を危険視しているのよ」

グラハム「何……!?」


413>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 03:00:52.77q6O0+WVAO (11/16)

           ・
                         ・
                         ・

グラハム(余計謎が深まった……!!)

ホーマー「おいグラハム、お前本当に聞いているのか?」ウィー

グラハム「えぇ勿論っ!」

グラハム(あれからミーナ・カーマインは黒服に制止され面会は中止になってしまったからな……厄介なことを思い出したものだ)

グラハム(しかし、政府が我々を危険視しているとは一体どういうことだ?)

グラハム(まさかまだ本気でソレスタルビーイングとの関連性を疑っているわけではあるまいな……それならばニールの存在を知らない政府が、ニュータイプごと疑う理由も無い)

グラハム(マリーダもろともに疑われている理由は……まぁ大体理解してるのだが)

グラハム(……)

『失礼します』

ホーマー「む?」

グラハム「!」


414>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 03:27:11.79q6O0+WVAO (12/16)

――その時、泥沼と化した座敷に一筋の光が差した

マリーダ「司令、お待たせ致しました」

ホーマー「うむ……」

グラハム「……!」

障子戸を開け姿を現したのは、和装に身を包み慎ましく座すマリーダ・クルスその人
普段の凛とした態度・姿勢とはまた違う……それでいながら普段の良さを微塵も失わない、美がそこにはあった

ホーマー「遅かったな。久しぶりで少し手間取ったか」

マリーダ「概ねその通りです。この一年間、軍服とパイロットスーツが殆どでしたので」

ホーマー「ふっ、流石に普段着に小紋は難しいか」

ホーマー「どうだグラハム、馬子にも衣装とはよく言ったものだろう」

グラハム「…………」

ホーマー「グラハム?」

呆けた表情を、直せない
視線を彼女から離せぬまま、グラハムは空の猪口を落としたことにも気付かなかった

マリーダ「……マスター、どうかなされましたか」

グラハム「美しい……」

マリーダ「え?」

グラハム「!」

譫言のような呟き、幸いにも二人には聞こえなかったようだ
隣に座るマリーダの顔がすぐ目の前に来て、ようやくグラハムは己を取り戻し、猪口を拾い上げ平静を装った

グラハム「い、いや、何でもない。よく似合っているよマリーダ」

マリーダ「……ありがとうございます、マスター」

ホーマー「マリーダ、グラハムに酌をしてやれ」

マリーダ「はっ」

ホーマー「少し話しすぎたな。料理が冷めてしまう」

ホーマー「グラハムも、見とれている暇があるなら食え。今日はお前のための席なのだからな」

グラハム「し、司令!」

ホーマー「くっくっく、慌てて酒をこぼすなよ」

グラハム「お人の悪い……こうなることを予測して仕掛けましたな?」

ホーマー「だが存外、戦果はあったようだ」

マリーダ「?」

ホーマー「……私の唯一の気掛かりだ」


415>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 03:50:20.67q6O0+WVAO (13/16)

それから、先ほどまでの混沌が嘘のように会食は進み、一行は帰路に着いた
ホーマーの別荘の一室に泊まることになったグラハム、敷かれた布団に身を投げ出し大きく息を吐く

グラハム「……」

先ほど、連絡があった
ガンダム掃討作戦に於けるGN-Xの残骸及びパイロットの遺留品捜索、その全行程を打ち切る、と
フラッグファイター達の乗った六機のGN-Xもその殆どが回収され、遺体や遺留品などは遺族に届けられたという
しかし、一機だけは例外として処理されたとビリー・カタギリから伝えられていた

グラハム(ギルボア機だけは回収されなかった、か)

グラハム(ギルボア……)

彼にはよく家族の写真を見せられ、自慢されていた
きっと息子は、きっと娘は、そんな未来を語る彼の眼差しをグラハムは思い出していた

グラハム「……」

死んだ
軍人も、そうでない者も
知人も、見知らぬ者も
沢山の人間の命が、この一年間で散っていった

グラハム「……ッ」

命の散る瞬間、筆舌に尽くしがたい虚無感が身体を通り過ぎていく
その感覚を思い出しグラハムは膝を抱え縮こまる
孤児院に居たときのような孤独感に、それはよく似ていた


416>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 04:08:17.03q6O0+WVAO (14/16)

ビリー・カタギリ
ハワード・メイスン
レイフ・エイフマン
ダリル・ダッジ

グラハム「……」

マリーダ・クルス
ニール・ディランディ
パトリック・コーラサワー

グラハム「違うの……だな」

思い返す、今まで逢ってきた人々の名前と顔を
いつの間にかそこには、明確な【区切り】が存在していた

グラハム「……」ムクッ

ミーナ・カーマインが言い残した、【排斥】という言葉が強くグラハムの心に突き刺さっていた
ニュータイプに覚醒してから、少なからず感じていた自身の変化
そしてその変化に対する他者の反応
それに敏感になっている自分

グラハム「怖いのか?」

またあの頃のように独りになるのが……
そう自身に問うてみても、答えを出せるほど吟味もしていない

グラハム「だから、マリーダに縋るのか……私は」

この感情は、彼女を利用する為の都合のいいものなのか
――もしそうなら、私は……


417>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 04:20:38.10q6O0+WVAO (15/16)

その時、グラハムの携帯電話が着信に震え点滅する

グラハム「!」

表示された名前は、セルゲイ・スミルノフ
確かデュバル少佐の調査に自ら出向いていたはずだ
これはその報告だろうか

グラハム「……」

取るべきか、取らざるべきか
グラハムは少し迷ってから、淡く光る携帯電話へと手を伸ばした

TO BE CONTINUED...

―ユニオン軍・宿舎―

<エントリイィィーーッ!!

「あれ、俺の出番は?」


418>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/21(火) 04:27:42.40q6O0+WVAO (16/16)

投下終了だフラッグファイター

サブタイ詐欺は気にしないでくれ、よく分からんことになってしまった

次回【翼】

片方だけでは、飛べない


419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 07:26:25.21HQDAQokR0 (1/1)

>>1キタ━━(゚∀゚)━( ゚∀)━( ゚)━( )━( )━(・ )━(∀・ )━(・∀・)━イイ!!!!
おつおつ。
和服姿のマリーダが見れるとは・・・


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 21:27:33.35o/O7TIz90 (1/1)

乙と言わせてもらおう


421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県)2011/06/21(火) 21:30:08.66iKaOGPINo (1/1)


なんかグラハムがかわいい


422VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 22:03:52.78uJqBx8oDO (1/1)

マイ技術中尉も登場しそうな予感


423VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/21(火) 22:14:15.7626co7wjDO (1/1)

乙です。
マニアックな機体多いみたいなんで、ザンスカール系モビルスーツも出してみませんか・・・メッメドーザとかゲンガオゾとか・・・


424VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/06/21(火) 22:21:23.75GP0R3bFUo (1/1)

ホルバイン氏がゼーゴッグで飛び込んだと聞いて


425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/21(火) 23:04:02.572LWgF4Wb0 (1/1)

しかし、今のハムの状態で可能性の獣に乗る場面が想像がつかないな。


426VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/22(水) 00:16:17.19Dr36T2aDO (1/1)

あまり出しすぎると00の世界観壊れちゃうからほどほどでいいような


427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/22(水) 01:32:32.92LF/boeip0 (1/2)

このハムはブシドーになりそうもないな
しかしそうするとサキガケやマスラオやスサノオが出てこなくなりそう
特にマスラオが出ないと後のブレイブにまで響く
マスラオ(=勇気あるもの)からブレイブ(=勇気)って名付けられたわけだし


428VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/22(水) 01:43:49.27PWdAbitto (1/1)

ブレイヴ関連は同意だが、マスラオ→スサノオ系の機体は設計思想偏りすぎてるよな。
あのGNソードが設定上すごい武装とはいえ、遠距離武器がビームチャクラムとトライパニッシャーの特殊武装しかないのが痛い。
スタンドプレーしか見えなくなった妄執ブシドーならではの機体かな?

リボンズも赤い人(?)も特化機体だけで襲ってこないだろうし、汎用性ないときつそう…


429VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/06/22(水) 02:12:06.73LF/boeip0 (2/2)

ああっしまった!
ブじゃなくてヴだ!ブレイヴだ!


430VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/06/22(水) 07:34:14.720q277O5AO (1/1)

ブレイヴはすでに設計図があるじゃないですか
それを元に、マスラオができるかも


431VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/06/22(水) 19:01:12.42p2WolWv3o (1/1)

あ、そういえばそうか…
いずれにせよ、RGMシリーズといいガノタ脳が活性化するスレですね!
続きも楽しみです


432VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/06/24(金) 11:47:04.69yxQJ/1bY0 (1/1)

今日G-ROOMSを読んでいたんだが、GN-Xて純国連製の量産一号機が生産できるまで三年かかった
みたいだね。まあ制式採用が決まって量産一号機の情報が公開されたから、もっと前に完成して
かもしれないが。この小説ではRGMのロールアウトはグラハムが入院中にもう出てきたので早いなと思
ったけど、この話でのGN-Xのロールアウトいつになるのかな?
(本編でGN-Xの量産が遅れたのは機体の解析と量産体制が整うのに三年かかったみたい。そのあい
だは既存のMSを使用して世界を統合していったみたいです。使用した機体には国連仕様のオーバ
ーフラッグもあったみたで、無理な機体設計を改善した機体を使用していたのかな?)


433VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/24(金) 13:07:13.49zb4zd6LDO (1/1)

>>432
どうでもいいからsageてね


434VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/06/27(月) 13:06:03.51nSp4clGAO (1/1)

今夜来るとみた


435VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/27(月) 14:38:42.107VsY6H0IO (1/1)

誘い出されて現れるか……ガンd(ry


436>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 00:53:50.371Bxy9QYAO (1/18)

読まれていただと……!?

投下再開だ、フラッグファイター


437>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 01:03:26.441Bxy9QYAO (2/18)

―ユニオン・イリノイ基地―

ジョシュア「ぶはぁっ! ……はぁ……」

ジョシュア「くそっ……もうこんな時間かよ」

ジョシュア(しかしまぁ、アラスカのジョシュアが此処まで衰えるとはな)

ジョシュア「……くそっ!」

ダリル「ようジョシュア」

ジョシュア「!」

ダリル「ひでぇ汗だな、まさか朝からずっとか?」ホレ

ジョシュア「何だよ、病み上がりをからかいに来たのか? 暇な野郎だなダリル」フキフキ

ダリル「ま、程ほどにはな」

ダリル「無理はすんなよ。肩が砕けてたんだ、いきなり鍛えたところでどうにかなるもんじゃねえんだ」

ダリル「今度は疲労で倒れましたなんて冗談、御免だぜ?」

ジョシュア「いつからてめえは俺の世話が焼けるほど偉くなったんだかな」

ジョシュア「……いまいち操縦桿を握れてるって感じがしねえ。無理にでも動かさなきゃ、止まっちまいそうでな」

ダリル「ガンダムを倒したってのに、俺達の仕事は一向に減りそうにねぇ」

ジョシュア「休暇が終われば忙しくなる、今の内に事に馴れとかなきゃしょうがないだろうよ」

ジョシュア「……そういや、タケイは?」

ダリル「ん、あぁ……アイツはMSドックだよ」


438>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 01:12:39.521Bxy9QYAO (3/18)

ダリル「あそこは今、乗り手の居ないオーバーフラッグの解体作業が急ピッチで行われてる」

ダリル「目に焼き付けておきたいんだとよ……仲間の機体の最後を」

ジョシュア「へぇ……」

ジョシュア「あの無口がそんな事を言うなんてな、来たときは一番変な奴だったのに」

ダリル「アイツはアイツなりに、GN-Xに乗れないことを悔やんでいたみたいだからな」

ジョシュア「……仕方ねえだろう。アイツが憂いてどうにかなる話でもない」

ジョシュア「念仏でも唱えてた方がよっぽど供養になるぜ」

ダリル「……」

ジョシュア「それより、例の話はどうなってんだ? ほら、例の新型の件」

ダリル「あぁ……GN-Xの支給の話か」

ダリル「カタギリ顧問にも聞いてみたが、先行生産機はまず軌道エレベーター付近の警備に回されるらしい」

ダリル「現状の軍事行動は各国の旧型を使うことで対処しろってことだ」

ジョシュア「やっぱりそうなるか……けちくせえ」

ダリル「だが妥当だな。三大国合同の軍事力は今や圧倒的、例え全MSがアンフになったって敵らしい敵なんぞ……」

ダリル「……」

ジョシュア「? どうしたよ」


439>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 01:29:28.051Bxy9QYAO (4/18)

ダリル「いや……忘れてたぜ。宇宙にいたんだったな、厄介な奴が」

ジョシュア「……例の新型か」

ダリル「あぁ、コードネーム【サイクロプス】。モノアイタイプの疑似太陽炉搭載型MS」

ダリル「ファーストコンタクトが俺だってのに、忘れちまうなんてな。情けねえ!」

ジョシュア「いきり立つなよドレッドゴリラ、暑苦しい」

ダリル「あぁ!?」

ジョシュア「それで、そっちに対する技術顧問殿の見解は」

ダリル「……チッ」ガサゴソ

PP

ジョシュア「へえ……」

ダリル「武装はライフルにも使えるビームマシンガン、ビームアックスにシュツルムファウスト、バズーカ持ちや旧世代の武装を流用した奴もいたらしい」

ダリル「あれから幾つも宇宙で小競り合いが起きてるらしくてな。RGMに代表される新戦力も半分以上がお空の上だ」

ジョシュア「へえ……」

ジョシュア「そういやほら、アイツも駆り出されたんだろ? あのアホウドリ」

ダリル「アホウドリ? あぁ……エイミーか」

ジョシュア「RGMカスタム・ストライカーユニット装着の近接タイプを受領したって喜んでやがったぜ、アイツ」

ダリル「ま、ガンダムとは戦えなかったからなアイツ……無事だった予備パイロットは即座に戦線に送り出されてたし」

ジョシュア「マリーダにちょっかい出して半殺しにされてたよなアイツ、よく即座に復帰出来たもんだ」

ダリル「軌道エレベーターで降りてる時か……ありゃサンドバッグもエイミーに同情したね」


440>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 01:40:49.461Bxy9QYAO (5/18)

ダリル「その可哀想なエイミーちゃんなら、ほれ」

バサッ

【鋼鉄のカウボーイ エイミー・ジンバリスト! 軌道エレベーター防衛戦で五機のティエレンを撃破!】

【遅れてきた天才エイミー・ジンバリスト、その魅力とは!】

ジョシュア「……あらららら」

ダリル「あれから分かったんだけどな、アイツGN粒子を使うMSの操縦になると途端に腕が上がるみたいでな」

ダリル「RGMに乗り換えてからの戦果は新型に乗り換えた奴らの中でもぶっちぎり、他の奴らが馴れないでよちよちやってる隣でリミッター外してブン回してるとさ」

ジョシュア「暴れ馬を乗りこなすように新型MSを乗り回すその姿はまさに新時代のカウボーイ……あのアホウドリが大した出世だぜ」

ダリル「まぁRGMカスタムともなればGN-Xに並ぶ性能だ、人は何が取り柄か解ったもんじゃねえな」

ジョシュア「……」ペラッ

ジョシュア「……それに引き替え、グラハム少佐の記事はちっちえぇな」

ダリル「そりゃあインタビューも殆どうけちゃいないし、あの人のマスコミ嫌いは相当なレベルだ」

ダリル「マスコミは自分達になびかない対象にゃ手のひら返す、そういった意味じゃ隊長のマスコミ受けは最悪の部類に入るぜ」

ジョシュア「おーおー、【ライセンサーはGN-Xにも乗れないただの腰抜け】【ガンダム打倒の裏側、ただのプロパガンダか】、酷い書かれようだぜ」

ダリル「エイミーとはえらい違いだが……この調子でアイツには世間様の目を引きつけてもらいたいもんだな」

ダリル「毎度毎度記事がこんな感じなもんで、マリーダ中尉の機嫌が……だ」ピッ

ジョシュア「くわばらくわばら……」

ジョシュア「今頃どうしてんのかねぇ、うちの隊長殿は」

ダリル「さぁな……」


441>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 01:46:37.131Bxy9QYAO (6/18)

           ・
                         ・
                         ・



セルゲイ『やあグラハム。容態はどうかな』

グラハム「お陰様で、有意義な休暇を過ごしておりますよ」

セルゲイ『そうか。日本の原風景は美しいと聞く、しばし戦場から離れて心を落ち着かせるのも一興だろうよ』

グラハム「えぇ、条約で保全されているだけのことはあります」

グラハム「いつか大佐をお誘いして、桜でも眺めながら一献と洒落込みたいものですな」

セルゲイ『それは夢のある申し出だ。君の全快祝の時には、それを見越して奮発させてもらおう』

グラハム「はは……期待させて頂きます」

チュドーン

『私は下士官以下のクズパイロットだ……こんなんじゃスミルノフ大佐に申し訳が立たないっ!』ウワァァァァン

ソーマ『落ち着け少尉! 今のミスは君の責任ではない!』

グラハム「……今のは?」

セルゲイ『あぁ、彼女は先日新しく配属された新人の女性士官でな』

セルゲイ『技量は高く度胸もある……だが如何せんメンタルが弱すぎて、ちょっと失敗するだけでいつもああなのだ』

グラハム「はは……苦労しますなスミルノフ大佐」

セルゲイ『だが光るモノもある。上手く育てられればきっと良い軍人になってくれる筈だ、気長に待つさ』

グラハム「スミルノフ大佐のお墨付きとは、いずれ共に戦う日が楽しみでなりません」

セルゲイ『他人事だと思って……全くお前という奴は』


442VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/06/28(火) 01:56:22.94AOJ4YreAO (1/1)

なんとまぁ
あの泣き虫かい

最終決戦時には一気に垂直下降して相手を抑え込んだりと
伸び代はあるに違いない


443>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 01:58:10.651Bxy9QYAO (7/18)

セルゲイ『しかし……パイロットスーツやユニオンの軍服を着た君はよく見るが、日本の着物を着た姿を拝見するのは初めてだな』

グラハム「作務衣です、ホーマー氏に貸していただきました」

グラハム「なかなかの着心地、爽快ですよ」

セルゲイ『新鮮だが、よく似合っている』

グラハム「ありがとうございます……少々、気恥ずかしい面も否めませんが」

グラハム「スミルノフ大佐とピーリス少尉にも私から一着お届けいたしましょう。特に少尉には、マリーダからも同じ提案がありました」

セルゲイ『ほう』

セルゲイ『私はともかくとして、ピーリスならば着物も映えよう』

グラハム「如何にも、可憐な和服姿が瞼に浮かぶようです」

セルゲイ『うむ……』

セルゲイ『ところで、君がその格好ならば彼女もそうなのだろう』

セルゲイ『で、どうだった?』

グラハム「は……?」


444>>1 ◆/yjHQy.odQ2011/06/28(火) 02:09:31.561Bxy9QYAO (8/18)

セルゲイ『とぼけずとも良かろう。率直な意見を聞きたいだけなのだからな』ニヤニヤ

グラハム「お戯れを……」

セルゲイ『きっとよく似合うのだろう、彼女も年相応の乙女だ』

セルゲイ『乙女座と乙女か……ふふ、良いものだな、若いとは』

グラハム「た、大佐!」

『うわぁぁぁぁぁぁぁん!』

ソーマ『少尉ッ! 少尉ィィィイ!!』

セルゲイ『っと……何やら慌ただしくなってきたな』

セルゲイ『済まないなグラハム、夜半の暇つぶしに付き合わせてしまったようだ』

グラハム「え……?」

セルゲイ『マリーダ中尉の感想はまた後で聞かせてもらうとしよう。それでは……』

グラハム「そ、それだけだったのですか?」

セルゲイ『? どうしたグラハム』

グラハム「いえ……私はてっきり、軍部で何か情報が手に入ったり、例のヅダの一件についての話かと……」

セルゲイ『うむ、其方については分かり次第君にも伝えるつもりだ』

セルゲイ『今夜はただ、久しぶりに君と話したくて電話したのだが……もしかして迷惑だったかな、済まない』

グラハム「そんな、滅相もない!」

グラハム「ただ……」

グラハム(ただ……)

グラハム「……」

セルゲイ『……グラハム?』