1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 18:19:02.83YVPYbLUmo (1/15)

┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

~前回までのあらすじ~

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
国王崩御。その波紋は大きく、本国は混乱の事態を迎えるのだった。

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その26)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1298556181/


2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 18:20:41.68YVPYbLUmo (2/15)

◆過去ログ(その1~25)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1292945466/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
◆過去ログ(その1~24)
http://yutori7.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1256864948/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257265640/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1257266712/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258207232/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1258977379/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1259802767/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1260686779/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1261734559/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1262770503/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/part4vip/1263825599/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1264909048/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1266505073/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1269413340/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1272349542/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1274882847/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1276786014/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1278595800/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1280599031/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1282639369/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1285213402/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1288152937/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1290677469/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1294929946/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/


3 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 18:29:36.52YVPYbLUmo (3/15)



エリート「さて、どうするか……」

右大臣「陛下……陛下ぁ……っ」

エリート「…父上、貴方が気丈に振舞わずどうするのですっ」

東方参謀「今は放っておいてやれ。気持ちはわかるであろう」

エリート「先生、それは分かりますが、今は悠長な事を言っている場合ではないかと」

東方参謀「……ふぅむ」

カツカツカツ

皇太子「私とエリートで手続きを進めるぞ」

エリート「殿下……」

皇太子「ん、どうした?」

エリート「……いえ」

皇太子「落ち込んでなどいられないさ。今動かずにどうする」

エリート「……その通りです」

皇太子「一先ず、着替えさせてくれ。すぐに戻る」


4 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 18:30:24.69YVPYbLUmo (4/15)

エリート「私も、仕度をして参ります」

カツカツカツカツ

東方参謀「殿下も、ご立派になられたものだ」

エリート「ええ。だからこそ私は、最後まで付き従います」

東方参謀「そうだな」

エリート「だから、今だけはそっとしておいてあげましょう」

東方参謀「……」

エリート「辛くないわけがないのです。実の……父親なのですから」

カツカツカツカツ…

皇太子「…………」

カツカツ…カチャッ…パタン

皇太子「……」

ズズズッ…ドサッ

皇太子「父上……。私は……っ」

部屋に入るや否や、皇太子は壁にもたれかかり、倒れるように泣き崩れた。


5 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 18:31:07.05YVPYbLUmo (5/15)



青年兵「……」

戦士「偉い事になっちまったな……」

魔道士「……私……私ぃ……っ」

盗賊「…魔道士、君のせいじゃないよ」

召喚士「そうですよ。気にする必要はありませんよ」

魔道士「でっ、でも……陛下を……っ」

戦士「これから、どうなっちまうのかな」

青年兵「どうにもなりませんよ」

戦士「…?」

青年兵「殿下が跡をお継ぎになられて、事態は収束です」

戦士「……そりゃ…そうだがな」

召喚士「……」

タッタッタッタッタ

召喚士「……?」


6 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 18:35:18.03YVPYbLUmo (6/15)

カチャッ

魔道士「……っ!!」

大商家「……っ」

魔道士母「……へ、陛下は……っ」

一同が沈黙する中、かろうじて青年兵が首を横に振る。

大商家「そ、そんな……っ」

魔道士「何で……お父様とお母様が…!?」

魔道士母「……右大臣様、陛下は……っ」

右大臣「……す、すまない…っ。私は無力だ……」

大商家「……陛下」

魔道士「どうしてお二人がここへ……」

右大臣「……君に、話をせねばならぬ」

大商家「……宜しいのですか?」

右大臣「……ああ。最早、明かさねばならぬ状況だ」

召喚士「……明かす?」


7 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 18:43:00.24YVPYbLUmo (7/15)

カツカツカツ…

エリート「間もなく殿下もお見えになられます。そうしたら…宜しいですね?」

右大臣「……ああ」

召喚士「あの、俺達は……」

エリート「一緒に聞いてくれ。全く関係のない話でもない」

盗賊「……?」

エリート「殿下が来る前に、玉座へ移るとしましょう」

右大臣「……分かった」

エリート「青年兵、皆を案内してくれ。私は文官を招集してくる」

青年兵「畏まりました。……皆様、参りましょう」

召喚士「う、うん……。魔道士さん、行きましょう」

魔道士「……っ」

ゾロゾロゾロ…

右大臣「エリート。お前にも、あとで話がある」

エリート「……?」


8 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 18:58:06.27YVPYbLUmo (8/15)

ザワザワザワッ

右秘書官「……陛下が……崩御!?」

右文官「そっ、そんな……」

エリート「皆、うろたえてはならぬぞ。今こそが一致団結し、本国の為に……」

カツカツカツ…

皇太子「すまぬ、待たせた」

エリート「殿下、大丈夫ですか?」

皇太子「何がだ?私は至って問題ない」

東方参謀「……」

皇太子「集まってくれた諸君、既に話はきいていると思うが……」

右大臣「……」

皇太子「先程、我が父である国王陛下が崩御なされた」

右秘書官「……っ」

皇太子「これより即座に、国民への発表と戴冠式の手筈を……」

ガチャッ…ギイイィィィィ


9 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 19:03:59.24YVPYbLUmo (9/15)

召喚士「……!!」

皇太子「……」

右大臣「……貴……様っ」

カツカツカツカツ

左大臣「此度はァ、大変な事となったなァ」

エリート「……遅かったですね」

左大臣「あァ、色々と資料に手間取ってなァ」

右大臣「資料!?貴様、何をぬけぬけとっ!!」

左秘書官「えらく興奮気味ですが、何かありましたか?」

右大臣「……くっ」

左大臣「なぁ右大臣、お前にはまんまと欺かれたなァ」

右大臣「貴様こそ魔物を使い……よくもっ!!」

左大臣「……フハハァ!話が読めんなァ。何を言っておるのだァ?」

エリート「左大臣様、それで?」

左大臣「陛下の……跡継ぎの事よ」


10 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 19:07:03.00YVPYbLUmo (10/15)

戦士「跡継ぎ…!?」

盗賊「…殿下では…ないのか?」

エリート「……ちっ」

左大臣「私の部下がなァ、面白い発見をしてなァ」

カツカツカツカツ

左翼官「資料室で拝見したもののレポートです。ご覧になられますか?」

皇太子「結構だ」

左大臣「……フハハァ。どうやら、右翼も事態は把握しておられるのかなァ?」

右大臣「回りくどいぞ!本心を申せ!!」

左大臣「……本心、ククッ!!」

クルッ

左大臣「右翼の連中なぞに用はない。用があるのは……」

カツカツカツ

左大臣「……貴方です。お迎えにあがりましたァ、魔道士……王女」

魔道士「――っ!!」


11 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 19:10:56.58YVPYbLUmo (11/15)

ドヨッ…ザワザワザワ

右文官「……今……なんと」

大商家「……くっ」

戦士「魔道士……」

盗賊「……王女…と、聞こえ……」

召喚士「…………」

魔道士「……っ」

左大臣「貴方はァ、商家の娘などではありません。王家の姫君なのです」

エリート「左大臣様おやめ下さい。このような刻に非常識ですぞっ」

左大臣「非常識?……ならばァ、何十年もの間ァ、公にもせず隠す事は常識なのかね?」

右大臣「……貴様は……分かっておらんのだ」

左大臣「何がだァ?そんなものに分かるも分からぬもあるかァ!!」

タッタッタッタッタ…バンッ

隊長「はぁ……はぁ……はぁ……っ」

青年兵「……隊長殿?」


12 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 19:14:16.58YVPYbLUmo (12/15)

カツカツカツ

隊長「このような場に飛び込み、咎めは後でお受け致します」

皇太子「構わん。急用か?」

隊長「……総司令が……脱獄、逃亡致しました」

ザワッ!!

右大臣「何だとぉ!?」

隊長「……っ」

カツカツカツ

隊長「何故、持ち場を離れた!?」

青年兵「……申し訳ありません」

皇太子「彼を責めないでやってくれ。火急の言を伝えてくれたのだ」

隊長「火急……?」

右大臣「……陛下が、崩御なされた」

隊長「――っ!?」

皇太子「このような刻に、何という事だ……っ」


13 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 19:19:58.47YVPYbLUmo (13/15)

青年兵「……殿下、申し訳ありません。本部へ戻らせて頂きます」

皇太子「こちらこそ、すまんな」

隊長「騎士団長には既に命を発してある。現場指揮はお前が執れ!」

青年兵「はいっ!」

召喚士「お、俺達も……」

左大臣「駄目だなァ。貴様らは此処に残るがいい」

戦士「……何でだよ」

左大臣「まだァ、話が終わってはおらぬ」

魔道士「……」

戦士「さっきから何なんだよ、魔道士が……王女とか……」

左大臣「言葉の通りだァ。そのまま受け止めるが良い」

盗賊「……」

魔道士「わ、私は……っ」

大商家「……今までのご無礼を……お許し下さいませっ!」

バッ

魔道士母「隠し通す為とは言え、あのような生活を……」


14 ◆1otsuV0WFc2011/03/23(水) 19:25:14.09YVPYbLUmo (14/15)

魔道士「お父様……?お、お母様……?」

右大臣「……全ては私が悪いのだ。彼らや陛下に非はないのだ」

魔道士「えっ、いや……だって……」

エリート「……今までの数々のご無礼、お許し下さいませ。魔道士王女」

皇太子「……すまぬ」

魔道士「みんな……何を言ってるの……?」

左大臣「分かったかね?君はァ、姫君なのだよ。この……本国のね」

魔道士「嘘……よ……っ」

左大臣「そして、我ら左翼が支持する……後継者であらせられるのだァ」

魔道士「嘘よっ!!ねぇ、そうでしょう!?召喚士さんっ!!」

召喚士「…………」

魔道士「嘘よおぉーっ!!だって、だって私はあぁ……っ!!」

召喚士「……魔道士……さんっ」



 ~第四十一部、完~


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 19:26:16.47YVPYbLUmo (15/15)

それでは失礼致します。前スレご支援感謝感謝!
27スレでも宜しくお願い致しますです!!ノシ


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/03/23(水) 19:31:08.26Un4fFKENo (1/1)

かなしいはなしや


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/23(水) 20:06:21.399yd0+GP6o (1/1)

>>1乙
続きが気になって仕事が手につかない



18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/23(水) 20:34:03.39J3Zzdf3AO (1/1)

>>1おつ


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/23(水) 21:47:14.43e3GFJlyNo (1/1)

いちおつ
妻の出産よりも続きが気になっちゃう



20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 21:48:55.611bIwfWOEo (1/1)

>>19
おいwwww
そばにいてやれwwwwwwww


21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 22:14:15.26hoxfPseDO (1/1)

>>19
お前結婚の時もここにいただろw

>>1乙



22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 23:25:53.76seF9jzmDO (1/1)

>>1乙
新スレおめでとうございまーす!
前スレの最後が絶妙な間の消化で感動したww

そして続きの展開が気になり過ぎてヤバい!


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/23(水) 23:31:17.44qoA2dwrDo (1/3)

>>19
結婚、ハネムーン、出産
どんだけこのスレと結婚生活をともにするんだよwwwwww

あ、>>1おつです


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/23(水) 23:31:34.00qoA2dwrDo (2/3)

>>19
結婚、ハネムーン、出産
どんだけこのスレと結婚生活をともにするんだよwwwwww

あ、>>1おつです


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/23(水) 23:34:02.38qoA2dwrDo (3/3)

あ・・・二重レスすんません・・・


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/23(水) 23:54:25.88Hd7z7MLDO (1/1)

>>1乙

魔道師ちゃん・・・



27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/24(木) 00:10:27.14Y32FID9AO (1/1)

>>19
子供の名前はハヌマーンだよな?


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/24(木) 00:18:34.87YzAgZOUW0 (1/1)

>>21
結婚式の時にいたのは、自分ですw



29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/24(木) 00:22:36.81wCygI4hDO (1/1)

虎火鳥栖でいいんじゃね?


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/24(木) 01:05:22.48Oxwci7QAO (1/1)

いちおつ愛してる

マジ続きが気になりすぎる


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/24(木) 02:26:42.61/oKl7uzDO (1/1)

>>1(・ω・`)乙 これは乙じゃなくてポニーテールなんだからね!


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/03/24(木) 03:29:39.86yIrP58e70 (1/1)

>>1乙
1日一度はここを見ないと調子が出ない体になってしまった…

責任とってよね>>1乙君///


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/03/24(木) 06:32:00.21+3/NNMqV0 (1/1)

1乙
いつもありがとう!



34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/24(木) 11:26:31.93vHM2j+qDO (1/1)

>>1乙っす


35 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:45:46.19uTobbTdPo (1/24)

王宮内の騒動など知る由もなく、本国は静寂な宵に包まれていた。

フォン

道士「……ククッ」

闇から闇へ。魔物はその姿を北へ北へと進ませる。

いつものように任務を追え、静かに、速やかに帰還する。ただそれだけの事であった。

ピクッ

道士「……?」

魔物の移動が止まる。いや、何かの気配を感じ取り、移動を止めたのだ。

道士「……下?」

建物の並ぶ街中を抜け、郊外に出た矢先の事。

結界石が敷き詰められた城壁の、効力が最も弱い部分に差し掛かった頃であった。

道士「移動して……背後かっ!!」

それは即ち、龍脈上。道士の背中に佇む地下へと続く坑道への出入り口。

道士「……ッ!!」

そこから姿を現すは、上位ランカーと謳われる二人の男であった。


36 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:46:52.74uTobbTdPo (2/24)

ザッザッザッザッザ

ジュニア「ハッハ!本国着いて早々、魔物のご歓迎かよ」

眼鏡「このような所に、何をしている?」

道士「く……ッ!!」

ジュニア「おっと動くなよ?」

キュイイィィ

眼鏡「……返答次第では、殺す」

ジャキッ…スタスタスタ

道士「……カアァ!!」

ドンッドンッドンッ!!

ジュニア「な……っ!?」

間合いを詰めるジュニアと眼鏡の前に、突如地面から魔物が現れる。

僵尸「……」

ジュニア「眼鏡っ、左右に散って迎え撃つぞ!!」

眼鏡「……ああ!」


37 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:47:40.00uTobbTdPo (3/24)

ザザザッ…タンッ

ジュニア「この程度の使い魔で……やれると思ってのかぁ!?」

キュイイィィ…ドドンッ!!

先程から手に溜めていた魔力が、一気に爆発する。

僵尸「ギイイィィーッ!!」

その白い閃光は、赤みを帯び始めると発火し、容赦なく僵尸の全身を飲み込んだ。

ジュニア「やっぱりコイツら……ゾンビかっ」

ゴオオォォ

ジュニア「コイツらの弱点は火だ!!」

眼鏡「分かっているっ!!」

ザザッ…ダダッダダッダダッ…

僵尸「――!?」

犬「ガウウゥゥ!!」

立ちはだかる僵尸めがけ、眼鏡の左右より無数の犬が飛び掛かり、

その身を食い千切り、僵尸は次々とその場へと崩れ落ち始めた。


38 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:48:08.89uTobbTdPo (4/24)

眼鏡「さぁ、離れていておくれ」

犬「ウワンッ!!」

キュイイィィ…

眼鏡「はあぁーっ!!」

全ての犬が後退するのを見届けると、眼鏡は両手で長剣を握りしめ、

激しく燃え盛るその刀身を勢いよく、水平に振り払った。

ブオォンッ!!…ゴアオオォォ!!

ジュニア「すっげ……っ」

眼鏡「追うぞ!」

ジュニア「あん!?あっ、あの野郎……逃げやがったかっ!!」

眼鏡「こっちだ!」

ジュニア「分かるのか!?」

眼鏡「臭いで分かる。下種な瘴気だ」

ジュニア「本当、犬みてぇな奴だな」

眼鏡「……あはは、そうかもしれないね」


39 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:48:48.16uTobbTdPo (5/24)

ザザザザッ

道士「……ッ」

最初に感じた気配。その殺気とも言えるべきものに、道士は恐怖を感じていた。

道士(……あれは、人間などのものではない……っ)

ザザザザザッ

道士(あれは……)

シュバッ!!

道士「――ッ!?」

眼鏡「……逃げられると、思うなよ」

道士(そう、これは……魔族の――)

シュバッ…ボトッ…コロコロコロ…

眼鏡「…………」

スタッ

ジュニア「うっわ……。問答無用だな」

一閃の下に斬り落とされた道士の頭部を見下ろし、ジュニアは苦笑した。


40 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:49:21.74uTobbTdPo (6/24)

道士「……グ……ウゥ」

眼鏡「まだ終わりではない。こいつは不死だ」

首のない体を眼鏡が掴み挙げ、ジュニアへと突き出す。

道士「や……めろぉ……っ」

ジュニア「はぁ、五行は使いたくないんだよなぁ……」

ポウッ…キュイイィィ

ジュニア「あんまり魔力高めると死んじゃうし。……ま、こんなモンでいっか」

道士「やめ――」

眼鏡「やめろと言った人間を、お前は何人殺してきた?」

道士「私を殺したところで、何も変わらんぞおぉ!!」

ジュニア「首だけのくせに、元気だこと」

道士「フッ、フフフフハハハハ!!」

ジュニア「あん、頭おかしくなっちまったか?まぁいいや……そんじゃな」

ドドオオォォンッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

道士「国王暗殺の任は終えたのだあぁ!我が命、とうに不要の事よ!フッフハハ!!」


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/24(木) 18:50:32.23fWQUTFGAO (1/1)

>>1乙

ジュニア&眼鏡…そこに俺が加わればイケメン五行が発動し、世界中の幼女が孕むと言う…
伝説は本当だったのか……っ!!


42 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:50:59.29uTobbTdPo (7/24)

シュウウゥゥゥゥ…

眼鏡「……!?」

ジュニア「……おい」

ザッザッザ

ジュニア「今、なんと言ったぁ!?」

道士「明日になれば分かるさ、貴様らの王はああぁぁ」

ジュニア「……っ」

キュイイィィ…

道士「私がああぁぁ暗――」

ドドオオォォォォンッ!!

体に続き、道士の頭部も同様に、五行の光に包まれ消滅した。

眼鏡「…………」

タッタッタッタッタ

犬「ワンッワンッ!」

ジュニア「陛下を……暗殺……だとぉ!?」


43 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:51:47.78uTobbTdPo (8/24)



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    ~第四十二部~


44 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:52:57.25uTobbTdPo (9/24)

~国軍本部、地下牢~

隊長「……まぁ、こんな状況だ」

決して破壊などされるはずもない、頑強な牢獄。

その内側から何者かが無理矢理こじ開けた、無残な形跡だけが残る。

青年兵「壊せるものなんですか……っ」

隊長「無理だな。常識で考えりゃ設計上、人の手には皆無に等しい」

青年兵「……」

隊長「設計は総司令だ。おそらく、己の魔力限界で破壊出来る作りになってたんだろ」

青年兵「何のために……」

隊長「こういう時の為か?まぁ、それにしちゃ出来過ぎだよ」

青年兵「魔力……」

隊長「厳密にゃ五行だな。まぁ、仕組みはよう分からんが」

青年兵「結界石で固められたこの牢を……抜けるなどと……」

隊長「んで、その後の状況はどうなんだ?」

格闘家「……」


45 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:54:03.60uTobbTdPo (10/24)

……――

ズズウウゥゥゥゥ

国軍兵『何の音だ……!?』

衛兵『地下……じゃないのか……?』

国軍兵『地下って、まさか総司令!?』

カツカツカツ

格闘家『そこにいろ。俺が見てくる』

国軍兵『格闘家様っ!』

タッタッタッタ…ササッ

格闘家『…………』

司令官『「あー。隠れなくてもいいぞ』

格闘家『!?』

司令官『お前を付けておくたぁ、副司令も捨てたモンじゃねぇな』

格闘家『……いえ、青年兵様の命令です』

司令官『そっちか。ふぅん、こりゃ楽しみになってきた』


46 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:55:52.14uTobbTdPo (11/24)

格闘家『……あの』

司令官『お前の、無口なところが好きだぜ?』

格闘家『……?』

司令官『ふんっ!!』

ドグゥッ!!

格闘家『がは……っ!!』

司令官『油断しすぎだよ、バーカ』

クルッ…タッタッタッタッタ

格闘家『……ぐ…くっ!』

ドシャッ

格闘家『な、何をしようと……言うのです…っ!?』

――……

格闘家「……と、言うわけです」

隊長「情けねぇ。それでも特遊の一員かよ」

格闘家「申し訳ありません」


47 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:56:57.49uTobbTdPo (12/24)

青年兵「とにかく、追うしかありませんね」

隊長「しかし、街中に騎士団を配備している。到底逃げ切れるとは思えんぞ?」

青年兵「いえ、算段が無くば、こんな無謀な真似をするとは思えません」

隊長「じゃあ何か?隠し通路でもあるってのかよ」

青年兵「ありますよ」

隊長「何っ!?」

格闘家「そうかっ、地下水路!!」

青年兵「その通りです。おそらく、もう本国を離れていると思われます」

隊長「畜生……っ、人の事言えた立場じゃねぇな。俺もヤキが回ったもんだわ」

ザッ

隊長「青年兵殿、手遅れかもしれんが出動命令を!」

青年兵「……分かりました。特殊遊撃4名、直ちに総司令捕縛へ向かって下さい」

隊長「了解っ。行くぞ!!」

格闘家「はい」

タッタッタッタッタ…


48 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:58:04.98uTobbTdPo (13/24)

~王宮~

左大臣「……」

魔道士「…………」

左大臣「流行の服はァ、お嫌いですかなァ?」

魔道士「…………」

左大臣「それとも王女様ァ、先程のお話……ご理解頂けておりませんのかなァ?」

魔道士「……すかっ」

左大臣「……?」

魔道士「何で、私がこんな事……っ。何なんですかっ」

左大臣「それがァ、しきたり……いやァ、この国での決まりだからですよ」

魔道士「そんな事……今更、王女とか……」

左大臣「全く、亡き陛下と右大臣にはァ、失望致しますなァ」

魔道士「そんな……」

左大臣「とにかく貴女はァ、我らの支持する後継者なのですよ。フハハァ!!」

魔道士「……っ」


49 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 18:59:40.53uTobbTdPo (14/24)

~数刻前~

右大臣「な、何だとぉ……っ!!」

左大臣「聞こえなかったのかね?かの右大臣も、耄碌したものよなァ」

エリート「陛下の後継者は皇太子殿下、それで問題はないはずです」

左大臣「まぁ待て。それは改めて、話そうではないかァ」

右大臣「改めるも何もあるものかっ!」

左秘書官「まぁ落ち着いて下さい。では、会議室へ移ろうではありませんか」

エリート「ここでは問題があると?」

左秘書官「そうではありません。不要な方々も多い、という事です」

東方参謀「不要?」

左大臣「殿下と王女、それにワーカーの諸君らは下がって良いぞ」

召喚士「……?」

左秘書官「ここからは文官の仕事です。どうぞお引取り下さい」

戦士「お引取りって……」

召喚士「戦士、行こう。それでは失礼致しました」


50 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:01:02.64uTobbTdPo (15/24)

戦士「おいっ、召喚士!!」

召喚士「邪魔になるだけだ。俺らは戻ろう」

戦士「……あのなぁ」

盗賊「…戦士、行くぞ」

戦士「……ちっ」

魔道士「あ……っ」

スタスタスタ

皇太子「魔道士、我らも下がるとしよう」

魔道士「……っ」

皇太子「彼らと、居たいのかな?」

魔道士「……」

皇太子「構わんぞ。但し、あとで呼ばれるだろうから、王宮内に居てくれ」

魔道士「……すみません」

ペコリ…タッタッタ

皇太子「……荷が……重いな」


51 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:01:31.07uTobbTdPo (16/24)

テクテクテクテク

戦士「……もう頭ん中がどうにかなっちまいそうだぜ」

盗賊「…うん」

戦士「何なんだよ、魔道士が王女だとか陛下が崩御だとか……」

召喚士「……」

戦士「挙句に総司令が内通者で逃亡しただぁ?次は何だ、魔王でも攻めてくるってか?」

召喚士「戦士、もうやめ――」

タッタッタッタッタ

魔道士「皆さんっ!!」

盗賊「…魔道士?」

魔道士「はぁ、はぁ……っ」

召喚士「魔道士さん、いいんですか?」

魔道士「……はい。今は、一緒に居させて下さい」

戦士「いや、まぁ…俺らは構わないけど……なぁ?」

召喚士「……うん。もちろん」


52 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:02:37.61uTobbTdPo (17/24)

~会議室~

エリート「ではすみませんが、左大臣殿らのお話を伺いたい」

左秘書官「先程、左大臣様が述べたように、我らは魔道士王女を擁立する」

右文官「貴様らは国家に反逆すると言うのかっ!?」

左文官「何だとぉ!?言葉に気を付けよっ!!」

左翼官「宜しいですか?一先ずはこちらの資料をご確認下さいませ」

右文官「……資料資料と、文字で見たところでどうなる事か」

左翼官「百聞は一見に……とも言いますぞ?」

右文官「……ぐぬっ」

カサッ

左翼官「陛下が崩御された今、早急に跡継ぎを決定し、戴冠式を行う必要がございます」

右大臣「だからそれは、殿下が即位すれば済む事であろうっ!」

左秘書官「ところが、ここにきて何故か、もう一人候補者が出てしまいましたからね」

エリート「失礼だが、貴方達は常識というものを知らないのですか?」

左秘書官「……と、申されますと?」


53 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:03:56.99uTobbTdPo (18/24)

エリート「皇太子殿下は第一王子。それがどういう意味か分かっているのですか?」

左翼官「直径の王族で長男。何も問題が無ければ王位継承権一位という事ですね」

エリート「ならば結論は出ているではありませんか」

右文官「そうだ、余計な混乱を招く必要がどこにあるっ!」

左翼官「私の言葉では伝わりませんでしたかな?」

右秘書官「……?」

左秘書官「左翼官殿は『何も問題がなければ』、と申したのです」

右文官「問題があるとでも言うのかっ!」

エリート「……くっ!!」

左大臣「気付いたかね?そう、想像通りだァ」

左翼官「皇太子殿下は、魔力を持っておられません」

右大臣「……っ」

左翼官「例え男子で、継承権が一位であろうとも、それは最早……論外なのです」

右文官「いい加減にしろっ!無礼にも程があるぞ!!」

左文官「無礼なのはそちらであろうがっ!!」


54 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:04:52.81uTobbTdPo (19/24)

左秘書官「古来より、絶対的な魔力を持ってして王族は成り立ってきたのです」

右秘書官「時代が違います」

左秘書官「それはどうでしょうか。王族は国の象徴。時代などかん系ありません」

右秘書官「だが、魔力など今は王族が率先する時代ではない」

左秘書官「亡き先代とて、パフォーマンスには利用されておりましたよ?」

右秘書官「パフォーマンスであろう?それならば別の手段とて取れるではないか」

左秘書官「魔法とは目に見える強さ。殿下は如何にして国民に示すのです?」

右秘書官「……っ

左秘書官「まさか罪人を、自らの剣で錆にでもなさると……?」

右大臣「もう良い。しかし魔道士王女は女性であり、まだ若い」

左翼官「それは偏見です。そちらこそ時代が違うのでは?」

右大臣「刻が来れば、禅譲すれば良い。それまで殿下が……」

左翼官「禅譲するならば、最初からでも問題はありませんよ」

右大臣「…………」

左翼官「それに、こんな事は古より度々、起こっている事なのです」


55 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:05:39.09uTobbTdPo (20/24)

パサッ…スッ

左翼官「ご存知かと思いますが、本国の歴史は古い」

エリート「……」

左翼官「数代前の女王陛下。彼女もまた、同じような境遇でした」

左大臣「落胤である王女がァ、病弱な殿下を押し退けて即位したァ」

左翼官「ご存知でしょう?鉄の女王と呼ばれた有名な御方ですから」

右大臣「ケースが違う。殿下は魔力が使えないというだけであってだな……」

左翼官「だから、それgは重要だと我らは申しておるのです」

エリート「魔道士王女は政務の一切を存じ上げておりません。それでもですか?」

左秘書官「その為の我らです」

右文官「ふざけるな!それでは王女は……ただの傀儡ではないか!!」

左秘書官「人聞きの悪い事を申されますな」

右大臣「そうやって……本国を牛耳るつもりか……っ」

左大臣「聞こえは悪いがァ、結果的にそうなっても致し方あるまいなァ」

右大臣「貴様という男は……っ」


56 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:06:09.78uTobbTdPo (21/24)

左大臣「フッハハハァ!!右翼よ、とんだ茶番であったなァ!!」

エリート「……」

左大臣「今まで必死に殿下を支え、我らを封じ込めてきたと言うのに……」

右文官「……くっ」

左大臣「まさかここにきて、落胤が発覚するとはなァ!!」

エリート「一応聞きますが、本人が辞退した場合は……」

左翼官「辞退は一向に構いませんよ」

カサッ

左翼官「これも歴史にある事です。辞退したケースもございますから」

右秘書官「……」

左翼官「辞退は出来ますが、それは認められません」

左秘書官「王族の血を覆す事は出来ませんよ」

左大臣「お前も分かっておるのだろう右大臣?だからこそ……」

右大臣「……」

左大臣「赤子の段階で、魔道士王女を隠したのだァ」


57 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:07:02.62uTobbTdPo (22/24)

左秘書官「当然、即位後の政務放棄は可能です」

エリート「代行は貴方達が為さるという事か」

左秘書官「ご名答です」

左大臣「皮肉なものよ。なァ、そうであろう?」

エリート「……」

左大臣「今まで右翼の為に働いてきたワーカーが王女」

右文官「く……っ」

左大臣「それが左翼擁立の王女となり、右翼と戦う羽目に遭う」

右秘書官「……」

左大臣「自ら守ってきた皇太子殿下にとどめを刺す、というわけだァ!」

右大臣「…………」

左大臣「確かに殿下の支持率は国民の間で非常に高い。高いが、どうであろうなァ?」

左翼官「朱雀先生のパーティ。今や押しも押されもせぬ実力者らしいですね」

左秘書官「国民の支持も大変高いものでした。新聞にも載ったそうで」

エリート「……ちっ」


58 ◆1otsuV0WFc2011/03/24(木) 19:08:44.73uTobbTdPo (23/24)

左翼官「更に男性の大半は、魔道士王女の支持に流れると見て良さそうですしね」

左文官「うむ。器量も良く毅然とし、外見にも申し分はない」

左大臣「民はこう考えるはずよ。『絶大なる魔力を持つ女王陛下の誕生』、となァ」

右大臣「……馬鹿げている……っ」

左大臣「そして『小覇王と武勇名高き殿下は、女王補佐に適任』……となァ」

エリート「……」

左大臣「目を瞑ると、その光景が鮮やかに浮かぶではないかァ。フハハハハァ!!」

左翼官「お分かり頂けましたかな?」

左大臣「右大臣よ、恥じるが良い。長年の間、隠蔽した報いが来たのだからなァ!」

右大臣「私が……っ」

左大臣「あの時隠さねば、その間に手をうてたやもしれぬものを…フハハァ!!」

右大臣「陛下……お許し下され……っ」

左大臣「楽しみにしておる事だなァ!フッハハハハァ!!」

カツカツカツカツ…パタン

右大臣「陛……下ぁ……」


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/24(木) 19:12:46.73uTobbTdPo (24/24)

いよいよ明かされる秘密!全然ワクワクしない展開!情けなや…
たくさんの>>1乙ありがとうございます!!それでは失礼致します!!ノシ

>>19
お願いですから奥さんに付いていてあげて下さいいぃぃ!!

>>22
それはおそらく偶然です!!

>>32
頑張って、毎日書きます!

全レス出来なくてすみません!!ちゃんと全部読んでます!!感謝!!


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/03/24(木) 19:23:07.55QudYfxyko (1/1)

>>1愛してる

召喚士の内心のゴゴゴゴ…具合にwwktk


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/24(木) 21:11:06.94OX+Alq050 (1/1)

>>1乙!

魔導士「パフォーマンスとして、左翼一派を焼き払いますね!えへへっ!」
左大臣「ぬわーっ!!」


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/03/24(木) 21:58:38.76+dDScG8AO (1/1)

乙!

なんか左翼が勝ち誇ってるけど、魔道士が「皇太子に王位を譲る」って発言すればそれまでなんじゃねえの?


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/03/24(木) 22:11:44.01hImq+OHbo (1/1)

>>1乙

何で左翼がこんなにヒャッハーしてるのか自分が低脳すぎてわからん
魔導士が右大臣とかエリートとか殿下に任せるって言ったりして終了じゃないのか


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/24(木) 22:56:57.88VlUWgYPAO (1/1)

王政ってのはそういうもんなんだよ


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 05:16:56.69Swd+qOGSO (1/1)

普通に相手にしなきゃ済む話だろ
「嘘よおぉーっ!!だって、だって私はあぁ……っ!!」
じゃねえよボケ


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/25(金) 08:31:32.789TRkjGMAO (1/1)

魔導師ちゃん(78)の出番か……


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/03/25(金) 08:39:45.06VcV53gTi0 (1/1)

>>66
……!?


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 09:05:15.98LwQKULm3o (1/1)

話が展開しないから無理やり不自然にするしかないんだ。
普通に小説読んでてもいやこうすればいいだろって思う時があるだろうけど、今回もその例だろう。
現実的にするとつまらないからね、あくまで娯楽。


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/25(金) 09:36:49.12WILPRqodo (1/1)

>>65
いや、普通に親だと信じていた人が違ったってだけでもけっこうショックだろ
即座に相手にしないという判断を下せる奴の方が非現実的


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/03/25(金) 09:39:45.78sgoTl+6Eo (1/1)

現実も個人の意志で決められることではないだろ
独裁国家じゃないんだから

しかも皇太子の支持率が激減するのはほぼ確定だろ


71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 09:53:59.30Tx5dsN1DO (1/1)

>>1乙
議会がある国で王とはいえ左翼全無視とかしたら大問題過ぎるだろ。
王に強行な人事権とかは無いだろうし、左翼が先に魔道士を擁立しているし、
右翼は過去に魔道士を隠匿というか捨てている様な物だから、今更後見するのも難しそうだし
魔道士を捨てた事に関わっていた事を公開されたら、右大臣とかは失脚してしまうだろう。


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/25(金) 10:08:40.7345feFNl4o (1/1)

お前ら向こうに行ってきて思う存分議論でもしてこい


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 12:15:47.746WhBQVzDO (1/1)

今まで親だと思ってた人に土下座された挙げ句敬語で謝られるとかトラウマになりそう


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 12:51:22.77i+koe8SS0 (1/1)

感想と野暮の区別くらいつけろよ
まぁ、ゆとりには無理か(苦笑)


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 13:31:42.74ehwQAiK3o (1/1)

俺が魔道士ちゃんちゅっちゅして慰めておくから
おまいら落ち着け


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/03/25(金) 14:07:46.82KAeAAoLLo (1/1)

>>75
召喚士「…」

                ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…





77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 14:12:10.01q6wP1+3DO (1/1)

王家は魔法使いの血筋じゃないの?


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 17:51:34.782x+gjCRDO (1/1)

>>77
もう一回読んだ方が良いと思うの

前に誰かも書いていたけど>>1が盛り上がる分には構わないって言っているんだから
いちいち目くじらたてる必要はないのでは?
気持ちはわかるけど嫌ならスルーすればいいだけだし
少なくとも雑談の流れに悪態が入っている方が気分悪い
まあ、雑談は読んでないんだけども、どちらも一歩引こうってことだ
ここまで書いてきてくれるんだし気分よく書いてもらいたいじゃないか


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/03/25(金) 18:34:32.03kpGQrEV4o (1/1)

チラ裏


80 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:53:12.82fQE5rY9Jo (1/13)

~控え室~

戦士「……」

盗賊「……」

召喚士「……」

魔道士「…………」

控え室に漂う重い空気。普段の明るい会話はなく、ただただ沈黙が続く。

入室から何分経ったであろうか、ようやくこの状態を打破しようと彼は試みる。

召喚士「……なんだか、妙に納得」

盗賊「……?」

戦士「何がだよ」

召喚士「いや、魔道士さんが……王女様だった事」

魔道士「……」

盗賊「…納得…納得か。そうだな」

戦士「あー、分からんでもない」

魔道士「……!?」


81 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:53:59.03fQE5rY9Jo (2/13)

召喚士「なんて言うかその、魔道士さんて……お姫様っぽいなぁって」

魔道士「へっ!?」

戦士「分かる。お嬢様って感じじゃないんだよなぁ」

盗賊「…うん」

戦士「おしとやかなのがお嬢様って感じだもんな」

魔道士「!?」

戦士「食い意地はってるし、よく喋るし、おてんばだし」

魔道士「そんな事ないですよっ!」

盗賊「…いや、結構当たってる」

戦士「お前もだろ、東方の姫様よー」

盗賊「……うぅ」

魔道士「そうですよっ!」

戦士「でも、それが魔道士なんだよな」

盗賊「…うん。魔道士は魔道士だよ」

召喚士「はい」


82 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:55:07.20fQE5rY9Jo (3/13)

ポロポロポロッ

戦士「おわっ!何泣いてんだよっ!!」

魔道士「……だってぇ、意味が分かりませんよぉ……っ」

盗賊「だ、だからだな……っ」

召喚士「魔道士さんがいると、元気になれるんです」

魔道士「……?」

召喚士「魔道士さんの笑顔を見ていると、笑顔になれるんです」

魔道士「……ぐすっ」

召喚士「そういうのって、誰にでもあるわけじゃない気がするんです」

戦士「ああ。俺もそう思う」

盗賊「…特別な力だ」

魔道士「…そんな事……ないです」

戦士「あのほら、なんだっけ…議会の時とかもそうだよな」

魔道士「…?」

戦士「青年兵がぶっ倒れて、お前の演説でみんな、心打たれてた」


83 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:55:56.29fQE5rY9Jo (4/13)

魔道士「……」

召喚士「やっぱりそれは、生まれ持って持ち合わせているものなんだと思います」

魔道士「……っ」

召喚士「あっ、でもだからといって……」

魔道士「分かってます」

召喚士「え…っ?」

魔道士「ありがとう……ありがとうございますっ」

盗賊「……」

魔道士「三人とも、ちゃんと私を名前で呼んでくれてる。だから……」

戦士「そりゃそうだ。俺達にとっちゃ、お前は王女でもなんでもねぇ」

盗賊「…言ったろ?魔道士は…魔道士だよ」

召喚士「ええ。魔道士さんは……俺らの大切な仲間ですから」

ポロポロポロポロッ

魔道士「ふ……ふえぇ……っ」

戦士「だから、いちいち泣くなって!!」


84 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:56:28.92fQE5rY9Jo (5/13)



魔道士「それじゃ、行ってきます」

召喚士「はい」

テクテクテク…ピタッ

魔道士「……私、どこにも行きませんから」

戦士「俺達だって、どこにも行かねーよ」

盗賊「…待ってるぞ」

魔道士「きっと……きっとすぐ、戻ってきますからっ!」

召喚士「……はい!」

テクテクテクテク…パタン

戦士「……しかし、そうは言ったものの、これからどうすっかねぇ」

盗賊「……無理に連れて行くわけにもいかんしな」

戦士「俺らまで国家なんたらで捕まっちまうよ」

盗賊「…しばらくは…大人しくするしかあるまいな」

召喚士「……ええ」


85 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:57:26.06fQE5rY9Jo (6/13)

~会議室~

テクテクテクテク

右秘書官「右大臣様のご容態は?」

エリート「眠りについた。精神的な疲労であろう」

右文官「……」

エリート「だが、正直…父上はよもや期待できん……」

右文官「……くそぉ!」

ダンッ!!

右文官「左翼の奴ら、何が今更…後継者問題だ!」

右秘書官「そうは言っても現実問題、これは大事ですよ」

エリート「防ぐ手立ては本当にないのですか……?」

右秘書官「ない……でしょうね」

エリート「……」

右秘書官「後継者一位に問題が生じる場合、特例として二位が即位するものとする」

右文官「左翼の奴らはおそらくこの、特例を謳ってくるであろう」


86 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:58:37.16fQE5rY9Jo (7/13)

エリート「王女が拒否した場合は?」

右秘書官「無理です。そのような権利はありません」

右文官「そうだっ、王女の出自において証明するものなくば、擁立自体……」

カツカツカツ

東方参謀「それは無理だ。奴ら、全ての調べを済ませておるようだわ」

エリート「東方先生……それに……」

大商家「……」

魔道士母「……申し訳…ありません」

エリート「いえ、別に貴方達が悪いわけではありません」

右文官「やはり…調べは既に…?」

東方参謀「うむ。資料室の記載を参考に、各所から取り纏め済みのようだ」

右文官「まさか…資料が残っているとはな……」

東方参謀「いや、隠蔽…とまでは言わんが、普通には分かるものではない」

右秘書官「よくもまぁ、調べあげたものです」

エリート「……」


87 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:59:17.90fQE5rY9Jo (8/13)

東方参謀「やはり、魔道士王女の即位には問題があるのか?」

右秘書官「時代が悪かったです。今や王宮内の主要な者らは、皆……左翼派です」

右文官「国軍に力を入れ過ぎた結果がこれか……っ」

エリート「仕方ありませんよ。落胤が発覚するなど誰も思っておりませんでしたから」

東方参謀「魔道士王女が即位すれば、政務の実権は左大臣……か」

右文官「こうなれば腹を括って、一度即位した後……譲位すると言うのは?」

右秘書官「単純な王位の移行という意味合いでは無論、可能ですよ」

エリート「それでは駄目なのですよ」

右文官「……?」

エリート「議会の時に経験されましたよね?」

右秘書官「議会の際は、本国と国軍全体においての投票でした」

東方参謀「政策においては、国軍は関係ない。単純な本国のみのものとなる」

右秘書官「議会の際の、本国での投票数……覚えておられますか?」

右文官「……っ」

右秘書官「……左翼、359票に対し、右翼141票です……っ」


88 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 18:59:55.07fQE5rY9Jo (9/13)

右文官「――っ!!」

エリート「この数字の意味するところ、分かりますか?」

東方参謀「これではどんな政策でも通ってしまうぞ」

右秘書官「そういう事です」

右文官「王女の一存で止める事は……いや、不可能だな」

右秘書官「まず標的にされるは……」

エリート「五ヵ年計画でしょうね。このままでは潰れますよ」

右秘書官「そして、それは即位とほぼ同時のタイミングで提案されるはずです」

エリート「それが譲位では間に合わない理由ですよ」

東方参謀「王女が譲位し、廃位の後に殿下が即位。はたして何日かかる事か…」

右秘書官「その間に五ヵ年計画の主要な計画は凍結されるでしょう……」

右文官「もはや……手立ては……」

東方参謀「のこされた手は……」

エリート「……」

東方参謀「継承者が……居なくなる事よ」


89 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 19:01:23.63fQE5rY9Jo (10/13)

~控え室~

コンコン…カチャッ

左翼官「王女、左大臣様がお呼びです」

魔道士「……」

召喚士「俺らも、一緒に……」

左翼官「分を弁えたまえ」

戦士「もし魔道士に何かあったら……許さねぇぜ」

左翼官「我らはそんな、魔物じみた事は致しませんよ。無礼にも程がある」

盗賊「…せめて、送らせてくれないか?」

左翼官「……まぁ良いでしょう。どうぞ」

スクッ…テクテクテクテク

魔道士「……っ」

左大臣「……やァ、王女。少しは落ち着かれましたかなァ?」

魔道士「……」

左大臣「おい、王女を部屋へ案内しろ。すぐに行く」


90 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 19:02:05.52fQE5rY9Jo (11/13)

左翼官「はっ。それでは王女、参りましょう」

魔道士「……」

スッ…テクテクテク

召喚士「……魔道士さんっ」

魔道士「……」

召喚士「待ってますから。頑張って下さい!」

魔道士は何も言わず、ただ力強く頷き、去って行った。

左大臣「フハハァ、ご苦労な事であったなァ」

召喚士「……」

左大臣「……そうだァ。礼をせねばならぬナァ」

カツカツカツ…

左大臣「受け取りたまえ、これは心ばかりのお礼だァ」

戦士「こんなもの……っ」

左大臣「お前らのお陰で、魔道士王女の名声はとても高いものになったァ」

盗賊「……くっ」


91 ◆1otsuV0WFc2011/03/25(金) 19:02:40.75fQE5rY9Jo (12/13)

左大臣「国民を納得させるに……十分な程になァ!」

召喚士「……そんなつもりで、旅してきたわけじゃありませんから」

左大臣「結果論だよ。どこぞの村娘であらばァ、我らも骨を折るとろこだがァ……」

ジャラジャラジャラッ

左大臣「かの朱雀一派とあらばァ、国民とて即位に納得してくれるものよ」

ジャラジャラッ…チャリッ

左大臣「ではァ、元気で旅を続けられよ。フッハハハァ!!」

カツカツカツカツ…

戦士「召喚士、こんな金受け取る必要ねぇぜ!」

盗賊「…ああ。こんなものの為に…魔道士と旅してきたわけではない!」

召喚士「……行きましょう」

盗賊「……!?」

召喚士「王宮に居ては魔道士の迷惑になります」

戦士「あのなぁ……」

召喚士「今は、行きましょう……今は」


92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 19:06:14.17fQE5rY9Jo (13/13)

この度は混乱を招いてしまい、申し訳ございません
精進し、今以上に努めさせて頂きます

本日もご支援ありがとうございました!
それではまたあとで!失礼致します!ノシ


93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 19:08:08.26R0nYIsVDO (1/1)

>>1が気にすることじゃあない
これからも楽しみにしてるから

乙乙


94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/25(金) 19:21:34.917RWj3rBAO (1/1)

心底どうでもいい自分の意見の押しつけ合いで>>1を悲しませるお前らを俺は絶対に許さないぞ!


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/25(金) 19:42:56.00qvwSQ7/AO (1/1)

>>1おつ


96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/25(金) 20:45:13.72Pq62+reAO (1/1)

色んな解釈があったっていいじゃない。人間だもの


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/25(金) 21:33:19.87rvqWitHIO (1/1)

>>1乙です
とりあえず左翼が魔導士になんかしたら五行ぶち込んでもいいよな


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/03/25(金) 21:50:49.11vfjvCZTM0 (1/1)

西国編の頃にもこんな意見でもめてたような気がするが
1が作る物語を楽しませてもらってる立場なんで1がやりたいようにしたらいいのです。

クライマックスの予感が現実のものとなり、この物語がずーっと続けばいいなとおもうけど、これは1の物語見届ける

まぁなんだ1乙愛してるよ
けど王子てめーは駄目だ!


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/25(金) 22:24:33.97nlAb2ssMo (1/1)

>>1おつ

左翼一派がますますムスカ色を増している


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 00:44:09.55D1/3oJnDO (1/1)

>>1乙っす


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/26(土) 03:39:17.44tozip7/AO (1/1)

いちおつ愛してる


お前らゆとりか?物語に何の矛盾もないだろが…


102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 04:07:21.729TWMrt7SO (1/1)

ゆとりゆとりうるせえな


1おつ
こんな面白い展開はなかなかないぜ


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/03/26(土) 04:11:09.49os8T+7cAO (1/1)

>>1乙!

この状況を解決する方法は一つ。
俺と魔道士ちゃんが駆け落ちして、誰も知らないどこか遠い所へ行くしかないな


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 07:43:14.63LZMY4vkx0 (1/2)

では、召喚士はオレが・・・


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/03/26(土) 08:05:32.87gBS1Z3pOo (1/1)

>>103-104
あれ?お前らが駆け落ちすれば万事解決じゃね?


1061042011/03/26(土) 10:34:43.08LZMY4vkx0 (2/2)

オレは構わないけど・・・
>>103くんが何ていうか・・・///////


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 12:07:38.99I+iTsNzSO (1/1)

おいまて
>>103 さん ならどうする


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 13:35:41.48TO3+4+/DO (1/1)

どうする? ア イ フ ル ー


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/03/26(土) 16:29:26.62q5TMOdsAO (1/1)

>>103なら俺の隣で寝てるよ


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/03/26(土) 16:32:28.93qmHWS1JAo (1/1)

上がってたから更新来てるかと思ったらホモスレだったござる


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/03/26(土) 18:46:59.32fqSV0+OO0 (1/1)

今こそ言える!届けこの思い!

1乙愛してるよ!

ずっとついて行くよー!


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県)2011/03/26(土) 20:53:38.73cncNJuXNo (1/1)

真・スルー 何もレスせず本当にスルーする。簡単なようで一番難しい。
偽・スルー みんなにスルーを呼びかける。実はスルーできてない。
予告スルー レスしないと予告してからスルーする。
完全スルー スレに参加すること自体を放棄する。
無理スルー 元の話題がないのに必死でスルーを推奨する。滑稽。
失敗スルー 我慢できずにレスしてしまう。後から「暇だから遊んでやった」などと負け惜しみ。
願いスルー 失敗したレスに対してスルーをお願いする。ある意味3匹目。
激突スルー 話題自体がスルーの話に移行してまう。泥沼状態。
疎開スルー 本スレではスルーできたが、他スレでその話題を出してしまう。見つかると滑稽。
乞食スルー 情報だけもらって雑談はスルーする。
質問スルー 質問をスルーして雑談を続ける。
思い出スルー 攻撃中はスルーして、後日その思い出を語る。
真・自演スルー 議論に負けそうな時、ファビョった後に自演でスルーを呼びかける。
偽・自演スルー 誰も釣られないので、願いスルーのふりをする。狙うは4匹目。
3匹目のスルー 直接的にはスルーしてるが、反応した人に反応してしまう。
4匹目のスルー 3匹目に反応する。以降5匹6匹と続き、激突スルーへ。



113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 22:52:01.39ZsZsOP6Ko (1/1)

そろそろここらで>>1登場



114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 22:57:22.27UkbfP8Jdo (1/1)

│↑
└┘
      ,一-、
     / ̄ l |   / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    ■■-っ < んなーこたーない
    ´∀`/    \__________
   __/|Y/\.
 Ё|__ | /  |
     | У..  |


115 ◆1otsuV0WFc2011/03/26(土) 23:32:04.86TL5k8iIHo (1/3)

~玉座の間~

エリート「「居なく……なる!?」

右文官「まさか王女を!?そのような真似が出来るわけなかろうがっ!!」

東方参謀「そうよ。つまりは万策尽きたという事だ」

右秘書官「……」

エリート「即位の後、譲位するとすれば、日数は?」

右秘書官「略式にしたとしても、一月は要するでしょうな」

エリート「政務の廃案など紙一枚の手続き……」

右秘書官「陛下の印を保留しても、稼げる時間は1週間程度」

エリート「つまり、最低でも4つ近くの計画が潰される事になる」

東方参謀「問題ない……などと、口に出来るものではないな」

カツカツカツカツ

皇太子「事は済んだのかな?」

エリート「殿下……っ!!」

皇太子「その様相では、まだのようだな」


116 ◆1otsuV0WFc2011/03/26(土) 23:33:22.55TL5k8iIHo (2/3)

エリート「ご安心下さい。必ずや殿下の身に……」

皇太子「構わんよ。そんな気を遣う必要はない」

エリート「……」

皇太子「王家に生まれた身。しきたりには従うさ」

右秘書官「全ての計画が終わってしまうかもしれないのですぞ?」

皇太子「大丈夫さ。あとは仕上げだけだ。もう止める事など出来ないよ」

右文官「……」

皇太子「それに、今もなお現場で戦っている者達、彼らはそんなにヤワではないさ」

エリート「殿下……」

皇太子「何度も言うが、左翼とて国民を思っての事。無茶な政策は取らん」

右文官「しかし、左大臣が内通者である事は確定的ですぞ!?」

東方参謀「それは国軍が動いてくれる。心配するな」

皇太子「ああ、気にする事もなかろう。……さて、と」

エリート「……どちらに?」

皇太子「今日は疲れたな。君達ももう休むといい、明日にしよう」


117 ◆1otsuV0WFc2011/03/26(土) 23:34:27.13TL5k8iIHo (3/3)

カツカツカツカツ…

右文官「殿下……っ」

右秘書官「気丈に振舞っておられるが、内心……辛いであろうな」

エリート「……」

右文官「御労しや……」

エリート「……寝てなど、いられませんな」

東方参謀「ん?」

エリート「殿下があれだけ頑張っておられるのです。寝てなどいられませんよ」

右秘書官「仰る通りだ。徹夜で対策をねるぞ」

右文官「よぉし……やってやりますかっ!こうなったら三日でも四日でも!」

東方参謀「ワシは寝るぞ、そんなに起きていられるか」

右文官「なんと薄情な……っ!!」

東方参謀「馬鹿者が。きちんと頭を働かせるには、適度な睡眠も必要なのだ」

エリート「先生の仰る通りですよ。もちろん必死にならねばなりませんが……」

エリート「こちらが潰れては元も子もありませんよ。さぁ、頑張りましょうか!」


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/27(日) 00:42:16.67qA3JAIlAO (1/1)

これは>>1おつでいいのかな?せっかくの休日だし休んでくだされ


119 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 01:02:40.70jpxVP+umo (1/28)



左大臣「いい加減、事情は理解して貰えましたかね?」

魔道士「……」

左大臣「まァ、良いでしょう。せめて食事くらいは摂って下さいませ」

魔道士「……」

左大臣「……ではァ、失礼致しますぞ」

カツカツカツ

左大臣「まさかとは思いますがァ、王宮内からの外出はお控え下さいませ」

魔道士「…………」

カツカツカツカツ…パタン

魔道士「……全然……分からないよ」

テクテクテク…トスッ

魔道士「王女とか実の父とか……整理着くわけないじゃない……」

ウズウズウズ

魔道士「……魔道士、落ち着きなさいって。……はぁ、外の空気でも吸ってこよ」


120>>118感謝!投下まちまちなので週明けにでもまとめ読み下さいませ ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 01:03:41.97jpxVP+umo (2/28)

テクテクテクテク

魔道士「……あっ」

皇太子「……」

魔道士「殿下…」

皇太子「丁度良かった。付き合って貰えるかな?」

魔道士「……はい」

皇太子の誘いに魔道士応じ、二人は塔のテラスへと移動した。

カチャッ…サアアァァ…

皇太子「どうだ?街も良く見えるであろう?」

魔道士「ほんとだっ、素敵ですねぇ!」

皇太子「……敬語は止してくれ。兄妹でないか」

魔道士「……」

皇太子「受け入れられない……かな?」

魔道士「…はい。いきなりの話で…自分でも何が何だか分かりません」

皇太子「無理もない。そして、済まないと思っている」


121 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 01:05:12.40jpxVP+umo (3/28)

魔道士「そ…そんなっ、殿下が謝る事ではありませんよ!」

皇太子「いや、私にも責任はある。それは事実だ」

魔道士「そんな事……」

皇太子「なぁ、魔道士」

魔道士「……?」

皇太子「女王陛下となる気は……ないか?」

魔道士「!?」

皇太子「勿論、左大臣の言いなりになれ、というわけではない」

魔道士「分かっています。分かっていますけど……私には無理ですよ……っ」

皇太子「……」

魔道士「商家の娘で、魔法学校の成績も落ちこぼれで……」

皇太子「……」

魔道士「名前も小さい、ただのワーカーだったのに……」

皇太子「今は本国でも名だたるワーカーじゃないか」

魔道士「それはっ、他の皆さんのお陰です。私なんて何も……」


122 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 01:06:17.08jpxVP+umo (4/28)


皇太子「王宮にもな、新聞や各種情報は入ってくるのだ」

魔道士「……?」

皇太子「朱雀先生のパーティーは、四人それぞれが活躍していると聞いているぞ?」

魔道士「……っ」

皇太子「高魔力を用い、五行全ての魔法を高度に駆使する魔道士とな」

魔道士「……買いかぶりです」

皇太子「本当に、即位する気はないというのだな?」

魔道士「……ありません」

皇太子「どうしてもだな?」

魔道士「ありません。出来るわけないですっ」

皇太子「……そうか。分かった」

魔道士「……?」

皇太子「ならば魔道士、その命……私に預けてくれ」

スラッ……チャキッ

魔道士「……っ!?」


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/27(日) 01:36:37.85FG8V7tbDO (1/2)

ひぃ……


あ、>>1乙


124 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 02:26:58.46jpxVP+umo (5/28)

~宿~

召喚士「それじゃ、おやすみなさい」

戦士「おう」

盗賊「……大丈夫か?」

召喚士「ええ、俺は別に……大丈夫ですよ?」

盗賊「…そうか…なら、いいけど」

召喚士「盗賊さんこそ、久々にゆっくり入浴できるんじゃないですか?ははっ」

盗賊「……そうだな」

戦士「んじゃ、おやすみ」

召喚士「おやすみ。また明日」

テクテクテクテク

召喚士「……」

スッ…テクテクテク

召喚士「大丈夫なわけ……あるもんか」

長すぎる夜はようやく終わった。そして朝日と共に、波紋は本国全土……いや、世界中へと広がる。


125 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 02:32:57.21jpxVP+umo (6/28)

~王宮前、朝~

記者「陛下が崩御っ、そして跡継ぎの……落胤の噂は本当なのですかっ!?」

老人「陛下ぁ……っ。ついに、このような時が来てしまうとは……っ」

女性「落胤って噂は本当だったんだねぇ……」

男「どうなっちまってるんだよっ!?総司令は内通者だって言うし…陛下は……」

ザワザワザワ

東方参謀「いやはや、大混乱だな」

エリート「何もかもがいっぺんに起こって、これでは収拾が着きませんよ」

東方参謀「国軍の事は国軍に任せておけば良い。お前らがやるべき仕事は……」

エリート「分かっております。しかし、昨晩も結局……結論は出ず……」

東方参謀「自信を持て。右大臣がああなっては、お前がやらねば誰にも出来ぬ」

エリート「……ええ。泣き言は言ってられません」

タッタッタッタッタ

右秘書官「たっ、大変ですよ!!」

エリート「……?」


126 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 02:50:37.52jpxVP+umo (7/28)



左大臣「だからなァ、我らは落胤であらせられる、魔道士王女を正統なる後継者と支持するものである」

記者「陛下は……ご病気で亡くなられたのですよね!?内通者との関係は……」

左大臣「陛下は病死だ。しかし、内通者の調査もこれから本格化していくものである」

左秘書官「国軍のトップが氾濫分子なのです。国軍の人事も総入れ替えする必要があるかもしれません」

左大臣「ともかく、近日中に後継者を選定し、国民への発表もさせて貰う」

タッタッタッタッタ

左翼官「左大臣様っ!!」

左大臣「ん?何だァ?」

左翼官「……っ」

左大臣「すまんなァ、急用のようだァ。また後ほど…改めて説明させて貰う」

記者「左大臣様!最後にもう一つ……っ!左大臣様っ!」

テクテクテクテク

左大臣「全く。五月蝿くて敵わんなァ。それで、何用だァ?」

左翼官「……で、殿下と王女が……失踪致しました!!」


127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/27(日) 05:31:47.47RKo162/DO (1/1)

>>1乙



128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/27(日) 08:22:26.82zi6E96WAO (1/1)

召喚士「行け!コカトリス!!」
左大臣「ぎにゃーーー!」

勝った!第一部完!


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/27(日) 08:49:56.328ruD/N2Io (1/1)

>>128
ごめん、笑いどころがわからない
解説頼む


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/27(日) 12:43:43.44VQuAwP0IO (1/1)

俺も頼む
すまんな、読解力がなくて


131VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/27(日) 13:26:29.06FG8V7tbDO (2/2)

ジョジョ3部で車に乗った敵が主人公轢いたページのラストの台詞のパロディ。
面白いかどうかは別として笑い所はそこ。


132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/03/27(日) 13:45:52.98JY8M1pBko (1/1)

許してやれよ


133VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/27(日) 20:33:40.681lQP/ZjDO (1/1)

辛辣すぎわろた
いや>>128はつまらないが


134 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:30:00.60jpxVP+umo (8/28)

タッタッタッタッタ…バンッ!!

左大臣「どういう事だァ!!」

右翼一同の集う会議室に左大臣の怒声が鳴り響く。

右文官「こちらの台詞だ!!貴様等の所業であろうがっ!!」

左大臣「何だとぉ……!?」

エリート「右文官殿、お気を静めなされ」

左翼官「貴方達もご存知ないと仰られるのですか?」

エリート「私もつい先程、伺いました」

左大臣「どういう事だァ?ならばァ、あの二人が勝手に出ていったとでも言うのかァ?」

エリート「……」

右秘書官「本当にご存知ないと言うのであらば、そういう事になりますね」

左大臣「……クッ!」

左翼官「捜索は既に出しておられるのですか?」

エリート「ええ、国軍にも依頼済みです」

左大臣「……良いかァ?もし何かあってみろ!!責任は取って貰うぞ!!」


135 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:30:39.90jpxVP+umo (9/28)

ダンダンダンッ…バタンッ

右文官「何が責任だ!こちらに押し付けるつもりかっ!」

右秘書官「今はそのような事を申している場合ではありません」

エリート「……」

右秘書官「エリート、本当に……知らないのだな?」

エリート「……ええ」

右秘書官「……そうなると、自主的に出て行ったという事か」

エリート「魔道士王女が画策するとは思いません。おそらくは……」

右文官「殿下か……」

一同は俯きながら頭を抱え、大きく溜息をつく。

右秘書官「ともかく、左翼が動き出す前にこちらが片を付けなくてはな」

エリート「その通りです。それに、お二方に万が一の事があらば……」

右秘書官「あるわけなかろう。殿下の事だ、考えがあっての行為であろう」

右文官「無論よ、好転せねば……本国は未曾有の危機に曝されるぞ」

エリート「……殿下、何を考えておられるのか……っ」


136 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:31:47.44jpxVP+umo (10/28)



皇太子「ん?いや、何も考えておらんよ」

魔道士「……」

皇太子「たまにはこう、外に出るのも良いものではないか。ははっ」

魔道士「でもっ、こんな事したらエリートさん達に怒られてしまいますよっ」

皇太子「構わんさ。その時はその時、今はこの時間を有意義に楽しもうではないか」

魔道士「私、てっきり考えがあっての事かとおもってましたよ……」

皇太子「ははっ、すまんすまん」

魔道士「それで、これからどうするんですか?」

皇太子「どうしようかな。実は何も考えていない」

魔道士「……」

皇太子「こらこら、そんな顔をするな」

魔道士「だってぇ……」

皇太子「兄妹親睦を深めるという事で、ぶらり旅にでもするか」

魔道士「……もーっ」


137 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:32:39.63jpxVP+umo (11/28)

~本国郊外、西の平野~

ザザッ

女隊員「こっちは異常なしッス」

隊長「異常なしじゃ困るんだよ。くっそぉ、どこに行きやがった」

男隊員「そっちは?」

格闘家「……いえ、何も」

隊長「ったく、特遊揃ってこれとは……情けないにも程があるぞ」

男隊員「なーにを他人事みてぇに。あんたが隊長だろうがよっ」

隊長「分かってるっつの。さぁて、こうなったら……」

格闘家「……!?」

女隊員「どうしたッスか?」

格闘家「……来るっ!」

ザッザッザッザッザ

隊長「――っ!!」

男隊員「あ……れは……っ!!」


138 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:33:25.94jpxVP+umo (12/28)

ザッザッザッザッザ

隊長「な……んで……っ」

カランッ…カラカラカラッ

女隊員「これって……司令の……」

天才「探してたのはコイツだろ?」

隊長「……」

天才「その仮面くれてやるよ。受け取りな」

格闘家「師匠……」

天才「残念ながら総司令は俺がぶっ殺した」

男隊員「な――っ!!」

天才「でもまぁ、その仮面さえありゃ証拠になんだろ」

隊長「……討伐までは言われてないぞ」

天才「あぁ?じゃあこれは何だよ」

ポイッ…パシッ

女隊員「ワーカーへの……依頼ですか?」


139 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:34:34.56jpxVP+umo (13/28)

天才「中身100回黙読しやがれタコ」

カサッ

隊長「――っ!!」

天才「俺には確かに『裏切り者の総司令を殺せ』、そう届いたぜ?」

男隊員「バカな……」

天才「副司令様、直々によ」

隊長「こっちにゃそんな話、届いてねぇぞ!」

天才「独断なんじゃねーの?……ったく、しっかり管理しろよなぁ」

男隊員「つまりどういう事なんだ?青年兵経由じゃなく副司令が動いてんのか?」

天才「指揮系統が乱れてんだろ」

格闘家「それは……」

天才「有事の際に指揮系統が一元化しなきゃ、どうしようもねぇだろうが」

隊長「そりゃもっともだが、口出し出来る立場じゃないだろ」

天才「ハーッハッハ!そりゃそうだわな、たかがワーカー如き…こりゃ失礼」

格闘家「……」


140 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:35:32.79jpxVP+umo (14/28)



天才「んじゃ、手柄はくれてやったからな。そんじゃな」

男隊員「あ、あのよ……っ」

天才「あん?」

男隊員「総司令は本当に……」

天才「まさか、俺が匿ってるとでも言いてーのか?」

男隊員「そうじゃ……ねぇけどよ……」

天才「なんなら……試してみっか?」

ゴゴゴゴゴゴ

女隊員「――っ!!」

男隊員「い…いやっ、やめておくわ……っ」

天才「あーそうそう」

振り向き様、天才は特殊遊撃の4人に、Vサインを示す。

天才「総司令はあと……2回蘇る」

隊長「……?」


141 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:37:33.43jpxVP+umo (15/28)



ザッザッザ

女隊員「隊長、さっきのってどういう意味ッスか?」

隊長「……知らん」

天才と別れ国軍本部へと戻る特殊遊撃隊。足取り重く、口数も少ない。

仮面のみとなった総司令であった者。その重責が肩に圧し掛かる。

男隊員「あと2回。どういう意味だ?」

格闘家「……」

隊長「そのうち分かるさ。ともかく、今はこれを……」

カシャッ…

隊長「……青年兵へと届けよう」

女隊員「副司令じゃないんスか……?」

隊長「お前だって事態は分かってるんだろ?それに俺らの指揮官は青年兵だ」

男隊員「ヒャハハ!隊長の言う通りだぜ」

隊長「これで、好転すればいいがな……っ」


142VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/03/27(日) 23:37:49.70snma9JfHo (1/1)

いくつマスク持ってんだよ


143 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:38:39.85jpxVP+umo (16/28)



盗賊「…しっ」

ヒュバッ…シュンシュンッ…シュタッ

盗賊「……ふーっ」

スタスタスタ

召喚士「精が出ますね」

盗賊「……召喚士」

召喚士「おはようございます。邪魔してしまいましたか」

盗賊「…いや、気にするな。お前こそ早いな」

召喚士「ちょっと外の様子を見に……」

テクテクテク

戦士「うーす。早いなお前ら」

召喚士「おはよう」

戦士「こんな中庭でまで朝稽古かよ。気合い入ってんなぁ……」

盗賊「……今日からは……3人だからな」


144 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:39:57.06jpxVP+umo (17/28)

戦士「あのなぁ、別に魔道士は――」

召喚士「きっと帰ってくるよ。それまでは3人で頑張ろう」

盗賊「……ああ」

戦士「……」

テクテクテクテク

フロント「召喚士様、で宜しかったでしょうか?」

召喚士「あ、はい。何でしょうか?」

フロント「ロビーのお客様がお見えです」

戦士「客?」

フロント「国軍の方でしたが……」

召喚士「……分かりました。ありがとうございます」

フロント「それでは、失礼致します」

戦士「国軍って……誰だ?」

盗賊「…とにかく、行ってみよう」

召喚士「……ええ」


145 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:42:08.40jpxVP+umo (18/28)

テクテクテクテク

盗賊「!?」

召喚士「青年兵くん……!?」

青年兵「おはようございます。連日申し訳ありません」

召喚士「いやいや、それより一体……」

青年兵「……魔道士さん、いや……魔道士王女は、来られておりませんよね?」

召喚士「え…?う、うん。魔道士さんに何か……?」

キョロキョロ

青年兵「……こちらへ」

召喚士「……?」

テクテクテクテク

戦士「何なんだってんだ?こんな人気のない所で……」

青年兵「今朝。殿下と王女が……失踪なされたそうです」

盗賊「――っ!!」

戦士「何ぃ!?」


146 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:44:37.58jpxVP+umo (19/28)

召喚士「……い、一体なぜ……っ」

青年兵「両翼ともに存じ上げないそうです。おそらくはご自身にて……」

戦士「まさか、二人揃って逃げたってのか?」

青年兵「可能性は……否定出来ません」

盗賊「…しかし、一体どこへ行くというのだ?」

青年兵「書置きも手がかりも全くなく……正直、検討もつきません」

召喚士「魔道士さん……」

戦士「それで、俺らにどうしろってんだ?」

青年兵「いえ、もしやこちらに来られているのかと……すみません」

召喚士「いや、気にしないで。でも俺らは本当に何も知らないんだ」

青年兵「……ありがとうございます」

盗賊「…何か…手伝うか?」

青年兵「いえ、事を公には出来ませんので、国軍親衛隊が極秘に動いております」

戦士「……」

青年兵「どうか、この事は今しばらく内密に願います」


147 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:46:28.98jpxVP+umo (20/28)

召喚士「……うん。もし何かあったら、すぐに報告するよ」

青年兵「感謝致します」

戦士「しっかし……何が何だかもう訳が分からんぜ」

青年兵「すみません。正直、僕らも混乱しております」

召喚士「総司令は見つかったの?」

青年兵「……いえ、それがまだでして」

盗賊「……そうか」

青年兵「司令の事です。考えがあっての行動だと踏んではおりますが……」

召喚士「魔道士さんや殿下もきっとそうだよ」

戦士「ああ。即位問題だかの時間稼ぎとかじゃねーの?」

青年兵「そうですね。だと良いのですが……」

盗賊「…信じよう…魔道士達を」

青年兵「そうですよね、そう致しましょう。それでは、失礼致します」

召喚士「うん。青年兵くんも大変だろうけど、気をつけてね」

青年兵「ありがとうございます。召喚士さん達もどうか気を付けて」


148 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:48:46.19jpxVP+umo (21/28)

スッ…テクテクテクテク

戦士「……そうかぁ。魔道士と殿下がねぇ」

盗賊「……どう見る?」

召喚士「正直、検討もつかないですよ」

戦士「やっぱり即位云々の話だよな?」

召喚士「だと思うけど、目的はともかく……行く場所なんて……」

戦士「そうだよな。王族なんぞ、外出すりゃすぐに目立っちまうぞ?」

盗賊「……ああ」

戦士「あとは、馴染みの奴に何とかすがるしかないよなぁ」

盗賊「…馴染み。可能性は?」

召喚士「……バーテンさん、剣士さん、南東国、東方……ぐらいですかね」

戦士「……どこも怪しい」

盗賊「…ああ。しかし可能性としては国外の方が安全と考えるだろうな」

召喚士「そう思います。そして深い縁があるとすれば……」

盗賊「……東方か」


149 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:50:08.22jpxVP+umo (22/28)

~東方、東の城~

ワアアァァ

名代「……なかなかしぶといものですね」

帝「……ああ」

鬼丸「兵糧攻めとか回りくどい事してんねーで、さっさと強行突破しちまおうぜ?」

名代「駄目だ」

鬼丸「何でだよ!?その方が短期間でバシっとだな……」

名代「力で押す事ばかりが戦ではない。それが人間の戦い方だ」

鬼丸「……」

帝「いいか鬼丸、兵糧攻めというのは、あくまで被害を最小限に留める戦術なのだ」

鬼丸「そうかぁ?」

名代「ここ数日の動きを見て分からぬか?投降者の数…枚挙にいとまがないぞ」

帝「それはつまり、敵の数が減る上に、こちらの数が増えるという事だ」

鬼丸「なるほどなぁ。ただ減らすだけじゃねぇって事か!」

帝「そうだぞ。それが戦上手というものだ」


150 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:53:09.87jpxVP+umo (23/28)

ドドッドドッドドッ

伝令「ご注進ーっ!!」

名代「どうした!?」

伝令「本国より伝令っ!!本国の国王陛下が崩御との事!!」

帝「っ!!」

名代「それで、本国は何と申しておるのだ!?」

伝令「いえっ、第一報のみにて……詳細は追ってご連絡するとの事です!!」

鬼丸「何だ、あっちの王が死んだのか?」

帝「……そのようだな」

鬼丸「すると、どうなるんだ?」

名代「先日参られた殿下が、本国の王となるであろう」

鬼丸「んじゃ、何の問題もないじゃねーか。代わりの王がいるんだろ?」

名代「まぁ……それはそうなのだが……」

鬼丸「結局よ、誰が王になったって……やる事は決まってんだ。変わんねーよ」

帝「……そうだな。鬼丸、お前の言う通りだ」


151 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:53:39.31jpxVP+umo (24/28)

ザザザザッ…スタッ

火忍「…………」

戦士父「……何だ?」

火忍「…いえ、大した身のこなしだと思い、驚いているところです」

戦士父「いやいや、皆には敵わぬよ。それに随分と歳も取った」

火忍「……」

下忍「あそこが、東の城の裏門です」

火忍「成程な。噂どおり、脱出用の隠し門てわけだ」

下忍「しかしこの包囲の中、突破出来るとは思えませぬが……」

火忍「いーや、兵糧攻めももうかなりの日数だ。そろそろ敵さんの底も尽きるはず」

戦士父「ここまで降伏しないと言うならば、最後まで徹底抗戦の構えであろうな」

火忍「……もしくは、既にポックリいっちまってたりしてな」

戦士父「……ん!?」

火忍「何か出てくるぞっ!」

木々の間に隠れた裏門がゆっくりと開き、茶色い馬がひょっこりと顔をだした。


152 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:54:11.62jpxVP+umo (25/28)

パッカパッカパッカ

火忍「来たっ!!東の大名だ!!」

下忍「……我らは周囲を固めますっ!」

シュバッ…シュバッ!!

火忍「戦士父殿、宜しいか?」

戦士父「……ああ、いつでも」

チャキッ

火忍「では……いざ――」

戦士父「待てっ!!」

火忍「!?」

戦士父「上を……」

火忍「……?」

フォンッ…シュイイィィ

火忍「あ……れは……っ!!」

戦士父「魔物か……」


153 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:55:50.09jpxVP+umo (26/28)

スタッ

東の大名「あ…あわわわわっ」

夜行「おやおや?どこへ行くってんだい?ヒヒッ!」

東の大名「もっ、もはやこの城もおしまいじゃあ!わ、わしは逃げるぞぉ!!」

夜行「やれやれ。逃げるって、どこへ行くってんだい」

東の大名「あ、あんたらが匿って……いやっ、代わりにあいつらを蹴散らしてくれ!」

夜行「……おやおや、何か勘違いしちゃあいねぇかい?」

ザッザッザ

東の大名「ひっ、ひいぃ!!」

夜行「こちとらね、お前さんがどうなろうと……知ったこっちゃあないんだよ」

衛兵「大名様!お下が――」

ブンッ!!……ボトッ…ゴロゴロゴロッ

東の大名「ひひっ、ひいいぃぃーっ!!」

夜行「騒ぐなって。一撃で楽にしてやるから……ヒヒッ」

東の大名「いやじゃっ!!いやじゃああぁぁーっ!!」


154 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:57:07.71jpxVP+umo (27/28)

ブンッ……ザシュウウゥゥ

夜行「…………」

東の大名「ぎっ、ぎひひっひひいいぃぃー」

ジョロロロ…

夜行「……誰だい?余興に割り込んじゃあ…いけないねぇ」

ザッザッザ

戦士父「……」

火忍「…ちっ、何でこんな下衆の助けに…小便まで漏らしてやがる」

戦士父「その者を後方へ」

火忍「了解した!……戦士父殿!!」

戦士父「……」

火忍「その妖怪……不死ですぜ。直に退却を!」

戦士父「…承知した」

夜行「……ほぉ、殺り合おうってのかい?」

戦士父「……」


155 ◆1otsuV0WFc2011/03/27(日) 23:59:29.65jpxVP+umo (28/28)

夜行「仕方ないねぇ……」

ジャキッ

夜行「この大刀……かわせるかいっ?」

グオォッ!!

戦士父「大刀なら……見慣れているさっ!!」

夜行が大きく振りかぶる大刀を潜り抜け、戦士父は槍を捻る様に突き出す。

夜行「――ッ!?」

戦士父「はああぁぁ!!」

シュゴオォッ!!……ドヴォッ!!

槍は夜行の右肩を抉るように貫き、右腕もろとも大刀を後方へと吹き飛ばした。

戦士父「ふううぅぅ……っ」

夜行「……やるねぇ」

ザッザッザッザッザ

夜行「まさか、腕ごと弾き飛ばされるとは……予想外予想外。ヒヒッ」

先程、一刀の下に絶命した衛兵から槍を奪い取る夜行。


156 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 00:00:03.96hmqvJLnzo (1/2)

夜行「…ヒヒッ、こりゃあいい槍だねぇ」

戦士父「……」

チャッ

夜行「さーて、これで間合いは一緒。続きと行こうかねぇ」

ズズッ…ズブブブブッ

戦士父「……っ」

夜行「腕の再生見ても、顔色一つ変えないとはねぇ……」

ザッザッザ

夜行「あんた、戦い慣れてるね。こりゃ楽しめそうだね」

両者が構える槍の穂先が触れる程の間合いにまで近づく。

夜行「……」

戦士父「……」

ヒュオッ!!…ガキンッ…チュインッ…ガキイイィィ!!

夜行「……ヒヒッ、こりゃあ思った以上だ」

戦士父「……っ」


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 00:31:27.25hmqvJLnzo (2/2)

本日ここまでにて!
多数のご支援ありがとうです!
それではおやすみなさい!ノシ

~オマケ~

火忍「……」

戦士父「…何か?」

火忍(…くっ、この人が姫様の義理の父に……っ)

戦士父「…?」

火忍「はっ!俺は何を諦めているんだ……!?」

戦士父「……一体、どうしたというのだ?」

火忍「諦めたら…そこで試合終了じゃないか!バカッ、俺のバカッ!」

戦士父「……あの」

火忍「戦士父殿っ!貴方の息子には…負けませんからね!!」

戦士父「…すまん。全くもって意味が分からん」


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/28(月) 00:40:23.984QkBD4+AO (1/1)

>>1おつ


天才「私の戦闘力は53万です」


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/03/28(月) 00:40:40.880bgjfqLX0 (1/1)

火忍……そろそろ諦めようぜ?

今日も今日とて>>1乙


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 03:09:37.567W09gqBDO (1/1)

>>1乙っす


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/28(月) 14:04:16.65FLCwjRIAO (1/1)

相変わらず大量投下乙んつんです。


162 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:25:23.01RuOqXbTYo (1/25)

ババッ

夜行「全部弾き返すたぁ、大したモンだねぇ」

戦士父「……」

初手の攻防は、互いの長得物が激しくぶつかり合い、相殺に終わった。

これを良と取るは夜行。悪と取るは戦士父。

戦士父(……あの槍をへし折るつもりでしかけたのだ)

ザザッ…チャキッ

戦士父(それが……この結果はどうだ)

夜行「さーて、二回戦といこうかねぇ」

ヒュバッ!!

戦士父(こいつの実力も然る事ながら、この槍の強度……っ!)

ガキイイィィンッ!!…ググググッ

戦士父(……間違いない。ゾディアック!!)

夜行「…ヒヒッ、顔色が優れないねぇ」

戦士父「…………」


163 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:25:59.59RuOqXbTYo (2/25)

グググッ…ザスッ

戦士父「……ちっ」

夜行「押し返す力は、持ってないみたいだねぇ」

戦士父とて決して貧弱なわけではない。むしろ人間からすれば強靭な部類に属する。

しかしながら魔族のそれとは非にならない。夜行の強大な肉体から繰り出される、

単純な力。それは努力でどうこうなるというものではない。

夜行「人間てのは、脆弱だねぇ」

戦士父「だから美しいし、経験にもなる」

夜行「へぇ」

戦士父「こんな言葉を知っているか?」

夜行「……?」

戦士父「押して駄目なら……引いてみろ、ってな!」

クンッ…ガクンッ

夜行「何……ぃ!?」

戦士父「これが魔物には存在しない……経験というものだっ!」


164 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:26:48.35RuOqXbTYo (3/25)

勢いよく槍を手前に引き戻し、夜行はバランスを大幅に崩した。

夜行「う……おっ、こんな子供騙し……」

そもそも夜行はその身を以って飛行が可能である。

たかがバランスを崩された程度では、何ら影響にも及ばない。

戦士父「……」

しかしそれは戦士父も把握していた。だからこそ仕掛けたのである。

夜行「ヒヒッ。残念だったなぁ!」

こちらが身を引けば、夜行は必ずそれに乗じ、攻撃に転じるであろうと。

ブオンッ!!…ギュルルルッ!!

夜行は前のめりに体を崩すと、その重心、反動を利用して槍を振り下ろした。

相手は身を引き、態勢を整える前の動作。到底、回避は不能と思われた。

だが、夜行の予想とは全く異なる結果が今、眼前にて展開されているのだ。

夜行「――ッ!!」

戦士父「まぁ、そうくるだろうと思ったよ」

夜行の振り下ろした槍の柄を、戦士父の十字槍が穂先で挟むように捕らえていた。


165 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:27:15.84RuOqXbTYo (4/25)

夜行「何だ……これは……っ!!」

戦士父「はああぁぁーっ!!」

両手で捻るように繰り出された十字槍。それを戦士父は逆方向へと再び捻り突く。

ギュルルルルッ!!

夜行「!?」

回転する十字槍により、当然、そこに挟み込まれた夜行の手にする槍も捻られる。

バチイイィィッ!!

回転に耐える事の出来なかった槍が、空中へと大きく弾き飛ばされた。

夜行「ち……っ!」

夜行はその槍を拾うべく、慌てて宙へと跳躍する。

……が、時既に遅く、槍は目の前の人間へと所有権を移した。

戦士父「……うっりゃああぁぁぁぁ!!」

夜行「――!!」

それぞれの手に握られた槍が、夜行めがけ突き出される。

ビュオッ……ドドズウウゥゥゥゥッ!!


166 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:27:47.77RuOqXbTYo (5/25)

戦士父「……」

夜行「……ぐ…ぬっ」

ドサドサッ

二本の槍による突きで、夜行の両腕は吹き飛び、無残にも地面へと落ちた。

夜行「……ヒヒッ」

ヒュバッ……スタッ

夜行「いやぁ、まいったまいった」

戦士父「……」

夜行「槍の特性を即時に判断し、絡め取るたぁ、大したモンだねぇ」

戦士父「そういうお前は、やりは不得手のようだな」

夜行「ひひっ、普段使わないものはどうも駄目だわな」

後方へ跳躍し、間合いを取った夜行は、真横に突き刺さる大刀をちらりと見つめる。

夜行「……ぬうぅ!」

ズググッ…バシュシュッ

戦士父「不死と言うのは、便利なものだな」


167 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:28:21.68RuOqXbTYo (6/25)

再生した両腕を見据え、戦士父は呆れた口調で話す。

夜行「便利だろ?お前も仲間になるんなら……こんな力、貰えるぜ?」

戦士父「いや、遠慮しておく。気味が悪い」

夜行「ヒヒッ。俺からしちゃあ、人間の方が気味悪りぃや」

ジャキッ

夜行「それじゃあ……三回戦といこうかねぇ」

戦士父「……」

シュバッ

夜行「ん……っ!?」

火忍「火遁っ、焔ぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォォォッ!!

夜行「ちぃ――」

下忍「はあぁ!!」

ボボンッ!!…バシュウウゥゥゥゥ

火忍「戦士父殿っ、退きますぞ!」


168 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:29:23.85RuOqXbTYo (7/25)

戦士父「……」

火忍「さぁっ!」

タタッ

下忍「我らも退くぞっ!四散っ!!」

ババッ…タタタタタッ

夜行「く……っ、この程度の……目晦ましでぇ」

シュウウゥゥゥゥ

夜行「……」

複数の下人が投げた煙球が徐々に晴れていく。

夜行「……気配が消えた。こりゃあ、ただの目晦ましじゃあないねぇ」

周囲は微かな煙と鎮火しかけた小火が燻るばかりである。

夜行「今日はここまでかな。……やるねぇ」

スッ

夜行「こないだの奴といい、人間もちょっとは楽しめそうだぁね。ヒヒッ」

不気味に笑う夜行は、そのまま北の空へと消えて行った。


169 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:30:17.50RuOqXbTYo (8/25)

タタタタタッ…ズザザッ

火忍「……撒いたか」

ヒュン…ヒュン…ヒュン…スタッ

下忍「ご無事で!?」

火忍「お前らも……全員無事のようだな」

戦士父「……」

火忍「……しかし、あれ相手に御見逸れ致しました」

戦士父「いや、運が良かっただけさ」

火忍「……?」

下忍「火忍様、上様がお呼びに御座りまする」

火忍「上様が……?よぉし、一度本陣へ戻る!」

下忍「ははっ!」

シュババッ…タタタタッ…

火忍「さて、我らも参りましょう」

戦士父「……ああ」


170 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:30:55.30RuOqXbTYo (9/25)

タッタッタッタッタ

火忍「……只今、戻りました。何か御座いましたか?」

名代「戦士父殿もご一緒ですね?」

ザッザッザ

戦士父「…ええ、ここにおります」

帝「……本国の陛下が、崩御なされたそうだ」

戦士父「――!!」

名代「合戦中ではあるが、一度都へ戻るつもりです」

帝「そなたらも共に来るが良い」

鬼丸「戻るって、ここはどーすんだよ?陥落まであとちょっとじゃねーか」

名代「包囲だけなら、我らが居なくとも部将や侍大将にも務まる」

鬼丸「えぇ~?んんだよ、つまんねーなぁ」

火忍「それならば。……おい」

下忍「はっ」

ザッザッザ…ドサッ


171 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:31:30.67RuOqXbTYo (10/25)

東の大名「ひぎゃあ!どどっ、どこなんだここは!?目隠しを外してくれいっ!」

名代「これは……っ!」

火忍「目隠しを外せ。縄は解くなよ?」

下忍「はっ」

グイッ…シュルシュル

東大名「ぶっ、無礼者がっ!ワシを誰だと……」

帝「…やぁ、久し振りだな」

東の大名「――っ!?」

帝「部下を見捨てて、己だけ脱出とはな。不届千万にも程がある!」

チャキッ

東の大名「ひいいぃぃ!!」

帝「今すぐここで首を刎ねられるか、無血開城するか……好きな方を選べっ!」

東の大名「しししっしますううぅぅぅぅ!!」

名代「切腹するか?」

東の大名「ちちっ、違うぅ!降伏しまっ、しますうぅ!!」


172 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:32:30.23RuOqXbTYo (11/25)



ザワザワザワザワ…

名代「食事は万遍なく行き渡るように配るのだぞ」

火忍「怪我人はいないか?いたら申告してくれ」

下忍「全ての開錠、完了致しました」

帝「うむ、ご苦労であった」

名代「これで、全て終わりましたね……」

帝「……ああ」

城主の降伏により開門された東の城。そこから出てくる徴発に近しい形で

連れてこられた、足軽とも呼べぬ半農の者達。

空腹に耐えかね、ふらふらと我先に場外へ飛び出し、食糧に飛びつく。

帝「……辛い思いをさせてしまったな」

鬼丸「でもよ、言うとおり……踏み込んでたらコイツら殺すところだったんだよなぁ」

名代「少しは戦というものが分かったか?」

鬼丸「……まぁ、従うだけさ。難しい事は俺の担当じゃねぇわな!グハハッ!!」


173 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:34:28.80RuOqXbTYo (12/25)



名代「では上様、勝ち鬨を」

帝「うむ。今ここに、東の大名は我らに降伏した。戦は我らの勝ちだ」

足軽「おぉーっ!!」

帝「これにて東方は……統一された。皆の者、ご苦労であった」

足軽「おぉーっ!!」

帝「被害を最小限に留められたのは、皆の努力の賜物である」

足軽「おぉーっ!」

帝「次はいよいよ……魔王の討伐。しかし今は、ゆっくりと休むが良い!」

足軽頭「えいっ、えいっ、おー!!」

足軽「えいえいおーっ!!」

名代「さて、我らは一旦、都へ戻ると致しましょう。事後処理は任せたぞ」

部将「ははっ、御意に!」

帝「では、参ろうか」

戦士父「……ええ」


174 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:35:26.79RuOqXbTYo (13/25)

~本国、中央広場~

召喚士「……」

戦士「でもよ、本当に東方に行くかね」

盗賊「…どういう意味だ?」

戦士「だってよ、東方は交戦中なわけだろ?」

召喚士「そうらしいよ」

戦士「殿下だって長い事滞在してたんだし、邪魔になるんじゃねーか?」

盗賊「…だが、事情が事情。無碍には出来ぬだろう」

召喚士「東方側はそうですが、確かに殿下の心中を考えると……」

盗賊「…可能性は…低いか?」

召喚士「かも、しれませんね」

戦士「そんじゃ、東方以外だと…どこだ?」

召喚士「本国内に留まるとは思えないしなぁ」

盗賊「……やはり他国。だとすれば……」

戦士「……南東国あたりか?」


175 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:37:09.55RuOqXbTYo (14/25)

~南東国、東の城~

老文官「まことかっ!?」

白馬騎士「…ええ。つい先程、本国からの伝令が届きました」

三男「……そうか」

若文官「弔問に出向く必要がありますね」

白馬騎士「ええ。まぁ、こう言っては何ですが…丁度良い機会ですね」

側近「それは、本国の視察も兼ねて…と言う意味合いですかな?」

白馬騎士「はい。本国の技術は、我らの想像を遥かに上回るものです」

兄者「……確かにな」

白馬騎士「いくら技術を伝授されても、有効活用出来ねば、なんら意味はありません」

老将軍「百聞は一見にしかず……という事じゃな」

三男「うむ。それではすぐに、弔問の手配を致せ」

若文官「ははっ」

三男「白馬。お主も同行せよ」

白馬騎士「仰せのままに」


176 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:38:29.35RuOqXbTYo (15/25)

~本国、中央広場~

盗賊「…しかし南東国とは…それ程親密とは思えんが」

戦士「東方ほどじゃねーよなぁ」

召喚士「同盟も組んだばかりだしね。ようやくこれからって時だし」

戦士「まぁ、だからこそってのはあるかもな」

召喚士「…うーん」

盗賊「……」

召喚士「国政でもないのに訪問したとしても、あまり意味はないんじゃないかな」

戦士「そりゃそうだけどよ……」

召喚士「それに、どのルートを使っても、南方司令部に押さえられちゃうんだよね」

盗賊「…言われてみれば…そうだな」

戦士「南東国もないとすれば、残るは……」

盗賊「…西方か」

召喚士「三日月島は西方司令部もあるけど……」

盗賊「……互いの連携はまだ、取れておらぬ……か」


177 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:39:36.20RuOqXbTYo (16/25)

~三日月島~

神官「…………っ」

副官「な、何と……?」

神官「本国の国王陛下が亡くなられたそうだ」

副官「っ!?」

神官「これから本国は忙しくなるぞ」

副官「我らとして、為すべき事は!?」

神官「先ずは早急に、王子……陛下と連絡を取れ」

副官「はっ」

神官「それから、本国へ出向く手筈も整えておけ。いつでも動けるようにな」

副官「ははっ」

神官「いよいよ……始まる」

副官「始まるとは……」

神官「本国が一つとなった刻、それが始まりだ。我らも遅れを取るわけにはいかんぞ」

副官「はい!」


178 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:41:01.68RuOqXbTYo (17/25)

本国だけではなく、各国にまで広がる波紋。しかしそれは国王の崩御だけに留まり、

現在における本国の動きはまだ、届いていない。

届けばその騒動は大混乱を招く事は容易に想像がつき、とても手に負えるものではない。

~本国、街外れ~

テクテクテク

皇太子「どうだ?いかにもワーカーっぽいであろう?」

魔道士「どこでそんな服、買ったんですか?」

皇太子「以前にお忍びで出掛ける機会があってな。取っておいたのだ」

魔道士「まぁ、確かに……傍から見ればワーカーのようですけど」

皇太子「そうであろう?これなら容易に見つかりはしないさ」

魔道士「でも、他国には行かないんですよね?」

皇太子「これは本国の問題だ。他国に迷惑はかけられんよ」

魔道士「まぁ、そうですよね」

皇太子「それに、国軍の連中とて、それは真っ先に浮かぶであろう」

魔道士だから、その裏をとって……」

皇太子「灯台下暗し、という事だ」


179 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:41:32.63RuOqXbTYo (18/25)

ザッザッザ

天才「ふーん」

魔道士「!?」

皇太子「……厄介な者に、見つかってしまったな」

天才「厄介?失礼な奴だな」

魔道士「……」

天才「しっかし、殿下と王女が揃って駆け落ちとはねぇ……」

魔道士「ちっ、違います!!」

天才「ハーッハッハ!冗談だっつーの」

皇太子悪いが、ここは見逃してくれ」

天才「見逃すも何も、俺様にゃ関係ねぇ話だ」

魔道士「……」

天才「んで、どうするつもりなんだ?」

皇太子「このまま、ワーカーとして旅するのも良いかと思ってな」

天才「ぶははっ!!そりゃいいわ!!」


180 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:42:06.99RuOqXbTYo (19/25)

魔道士「ちょっと、やめて下さいよ……もうっ」

天才「剣の腕はそこそこあんだし、絶大な魔力も手に入ったから丁度いいかもな」

皇太子「なんなら、仲間になるか?」

天才「なーんでこの俺様がお前らの尻拭いしなきゃなんねーんだよ。アホか」

魔道士「天才さんっ、失礼ですよ!?」

天才「あぁ?殿下が嫌で逃げ出して来たんだろ?じゃあ一般人じゃねーか」

魔道士「そんな事……」

天才「実績もねぇ一般人にトップランカーの俺様がはなしかけてやってんだ」

魔道士「……」

天才「むしろ、そっちに感謝するんだな!ハーッハッハッハ!」

魔道士「……ひどいっ」

皇太子「気にする事はない。事実だ」

魔道士「でもぉ……」

天才「ところでよ、これからどーすんだよ?」

皇太子「私も、魔道士が即位する事が、一番望ましいと考えている」


181 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:43:18.73RuOqXbTYo (20/25)

魔道士「ですから私は……」

皇太子「しかし、本人とて今まで生きてきた人生というものがある」

天才「そらそうだ」

皇太子「私の事はどうでもいい。魔道士の事をなんとか……」

天才「お前は、王女様なんかになりたくねぇって事だな?」

魔道士「……はい」

天才「お前が拒否ったせいで、本国が乱れてもだな?」

皇太子「そういう聞き方は好ましくないな」

天才「事実を言ったまでだろ。我侭で血筋が選べるかよ」

魔道士「……っ」

皇太子「魔道士が気に病む必要はない。今まで、大商家の娘として生きてきたのだ」

天才「それが急遽、お姫様だもんな。そりゃ敵わんわなぁ」

魔道士「…………」

天才「…なーるほどな。お前らの覚悟は分かったよ」

魔道士「……?」


182 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:44:04.82RuOqXbTYo (21/25)

天才「俺様が良い事を教えてやろう」

皇太子「……何かな?」

天才「殿下は『王の手紙』、ってのを聞いた事があるか?」

皇太子「…いや、初耳だな」

天才「そりゃそうだろうな。あくまで保険みてぇなモンだし」

魔道士「あの、お手紙なんですか……?」

天才「亡き陛下が、こういう時の為に書き記した遺書だよ」

魔道士「えぇっ!?」

皇太子「そんな物が……あるのか……」

天才「勿論、極秘裏にな」

皇太子「それは一体誰が持っているのだ?右大臣か?」

天才「んなワケねーだろ。極秘裏っつったろうが」

皇太子「……」

天才「見つかったが最後、そんな危ねぇモンが王宮内にあるわけねーだろ」

魔道士「じ、じゃあ……」


183 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:45:00.76RuOqXbTYo (22/25)

天才「思い当たる節はねーか?」

皇太子「残念ながら……ないな」

天才「かぁ~。これだから凡人どもは……」

魔道士「すみません……」

天才「いいか?お前ら二人が世話になった、重要機関があんだろうが」

魔道士「……?」

皇太子「まっ、まさか……っ!!」

天才「行ってみ。あのババア……おそらく知ってるぜ」

魔道士「…え、えっと……?」

天才「あーだがな、王の手紙を手に入れても、すぐには動くな」

皇太子「何かあるのか?」

天才「両翼慌てふためいてる。国軍もな。少し落ち着くまで待ってろ」

皇太子「成程。承知した」

天才「それに……ちょいと一仕事せにゃならんからな」

魔道士「一仕事…ですか?」


184 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:45:55.84RuOqXbTYo (23/25)

天才「気にすんな。コッチの話だ。聞かねー方がいいぜ?」

魔道士「……っ」

天才「ま、しばらくは本当に旅でもしてろよ」

皇太子「……」

天才「戦力はいんだろ。ババアの孫でも連れてけ。あ、でももう一人くらい欲しいわな」

魔道士「あの……何の話かさっぱり……」

天才「おーおー、王女付きの家系がいるじゃねーか。一報入れといてやるよ」

魔道士「天才さんって……何者なんです……?」

皇太子「知らないのか?彼は……」

天才「おうコラ!そういうのは野暮ってモンだぜ?」

皇太子「……と、言う事らしい」

魔道士「教えて下さいよっ。イジワル……!」

天才「ハッハッハ!嫌でもいずれ分かる。そん時は……」

魔道士「……」

天才「……ま、いいか。そんじゃ頑張れよ」


185 ◆1otsuV0WFc2011/03/28(月) 18:47:07.19RuOqXbTYo (24/25)

テクテクテクテク

魔道士「ちょっとぉーっ!」

皇太子「気まぐれな輩だ。だが、それが彼の良いところでもある」

魔道士「そうですか~?」

皇太子「さて、それでは行くとするか」

魔道士「陛下のお手紙を入手しに……ですか?」

皇太子「ああ。しばらくは二人きりだが、頼むぞ」

魔道士「やっぱり……他の方には頼めないですよね……」

皇太子「ああ。いかに事情を知っていようと、これは危険すぎる」

魔道士「……」

皇太子「朱雀先生に会いたいか?」

魔道士「――!?そ、そういうつもりじゃ……っ」

皇太子「ははっ。悪かった」

魔道士「もう…っ。それであの……どこへ?」

皇太子「……魔道学校さ。学園長に会いに行くぞ」


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 18:50:00.84RuOqXbTYo (25/25)

それではここまでにて!
ご支援ありがとうございました!ノシ


187VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 19:01:17.900Ywef/jDO (1/2)

>>1乙
ついに天才まで謎のベールが
ババアの孫も王女付きも全くわからないけど楽しみだ


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/03/28(月) 19:24:56.02NH66dRnSo (1/1)

天才のベールというかなんというかだな
伏線回収ってたのしい


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/28(月) 20:34:25.24I81n6DYVo (1/1)

>>1乙

>>187
今更言われても天才は登場時からずっと謎多すぎだろ


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/03/28(月) 21:19:31.22PUK/CUhS0 (1/1)

天才を自称する愉快なオッサン……まさかな
腹巻きはないな


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 21:42:14.970Ywef/jDO (2/2)

謎のベールが明らかになるのかって意味だったんだすまん
勝手に伝わると思っててすまんかった


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/28(月) 22:12:28.976Kqi97CHo (1/1)

話をまとめると面白いということですね
メガネクィッ


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 22:16:06.52BrTObHBCo (1/1)

ゾディアックは東の大名が持ってたのか


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/29(火) 00:45:44.9574t47MlAO (1/1)

>>1おつ


195VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/29(火) 02:09:30.83Z7oyqEYDO (1/1)

俺の股間のゾディアックはいつ取りに来るんだ?


196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/29(火) 02:12:40.831o5SZv/AO (1/1)

いちおつ愛してる

しかし本当に毎日楽しみでしょうがない


197VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/29(火) 09:28:35.503IhEdkmqo (1/2)

>>195
戦士父に取りにきて欲しいのか?


198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2011/03/29(火) 12:46:16.58j83nqmNoo (1/1)

こんなフニャフニャでゾディアックとは・・・


199 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:30:11.83JmZMxM0Yo (1/12)

正午前、王宮内において会見が開かれた。

但し、それは殿下や右翼陣ではなく、左大臣主体の左翼によるものである・

左翼官「早朝の発表にもありました通り、昨晩、陛下が崩御なされました」

ザワザワザワッ

記者「それで、今後はどうなるのです!?殿下はいつ、即位なさいますかっ?」

左翼官「その事についてですが……」

スクッ

左大臣「諸君もご存知の通り、殿下は生まれ持って、魔力を持ち合わせておらぬ」

記者「ええ、それが何か……?」

左大臣「よって、我々は殿下がご即位なされるものを、適当ではないと判断する」

記者「しかし、殿下がご即位為さらねば一体誰が……」

左大臣「……じつはなァ、それについても重大な発表をせねばならぬ」

ドヨドヨッ

記者「……発表?」

左翼官「どうか驚かずにきいて頂きたい。実は――」


200 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:30:47.95JmZMxM0Yo (2/12)

~会議室~

ダンッ!!

右文官「どういう事だ!!断りもなく勝手に会見などと……っ!!」

エリート「……」

右秘書官「早々に誇示したいのですよ。王女の存在をね」

右文官「……身勝手な」

カツカツカツカツ

左秘書官「身勝手とは、失礼ですね」

右文官「貴様らっ!会見中ではないのか!?」

左文官「左大臣様と左翼官殿に任せておけばいい。我らにも別の仕事がある」

エリート「別の仕事…?」

左秘書官「改めて、女王陛下誕生に向けての話を詰めようかと思いまして」

右文官「何…っ!?」

左秘書官「皆様もご着席下さい。このまま此処で行いますので」

その一声を合図に、王宮や経済機関に勤める幹部らが会議室へと入室する。


201 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:31:43.75JmZMxM0Yo (3/12)

ズラズラッ…カツカツカツ

エリート「……!?」

左文官「王女は国政について、これから勉強せねばならぬ」

左秘書官「その為には、われらがしっかり補佐する所存」

右秘書官「……くっ」

ズラッ…スッ

高官「……」

左秘書官「さて、まずは戴冠式の手筈だが……」

右文官「勝手に話を進めるでない!」

左文官「ならば退出したら如何かね?」

右文官「……っ」

左秘書官「王女付の世話役は、代々それを生業とされている……双子父殿」

双子父「うむ。よもや我が代ではないものと思っていたが……」

右秘書官「右文官殿には、作法や所作のご指導を」

右文官「うむ」


202 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:32:14.46JmZMxM0Yo (4/12)

左秘書官「そして左大臣様と左翼官様、更に私で国政の指導を……」

エリート「その間の施策はどうするのです?」

左文官「それは決まっておろう。我ら金融機関が代行する」

右文官「それでは国政を牛耳ると言うのか!?」

左文官「人聞きの悪い事を申すでないわ」

エリート「貴方達は、本当に分かっておられるのですか?」

左秘書官「……」

エリート「左大臣様の意向を、本当に把握しておられるのですか?」

左秘書官「我らは国家運営の為の礎を築くに過ぎん」

エリート「それで何千、何万の人々を危険に晒す事になるのです」

左秘書官「ならば、五カ年計画で一人も死者を出さないとでも言うのか?」

エリート「その先にあるものを話しているのです」

左秘書官「人間の命を平等に考えているとは思えぬ発言だな」

エリート「魔王を倒さねば、この世界が何百年と続くのです」

左秘書官「しかし現に、人々はそうやって暮らしているのだ」


203 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:35:22.45JmZMxM0Yo (5/12)

エリート「いずれは脅威を取り払わねばなりません」

左秘書官「……」

エリート「魔王軍は、必ずや人間を滅ぼします」

左秘書官「だが、人間は生きている」

エリート「時代が変わったのです」

左秘書官「……?」

エリート「魔王軍に、人間が多数介入しております」

左秘書官「確証がない。それは最早、推測の域でしかない」

エリ-ト「内通者が多数おるのです。明らかに魔王軍の動きは変わっております」

左秘書官「左大臣様が、そうとでも言うつもりか?」

エリート「……身近に居ながら、何故……気付けんのです」

左秘書官「外に居る者が、何故分かるか」

エリート「…………」

左秘書官「…………」

左文官「とにかくだ、まずは失踪した殿下と王女の身柄を確保せねばならん」


204 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:36:28.60JmZMxM0Yo (6/12)

エリート「国軍が動いております。近いうちに必ずや」

左文官「早急に頼むぞ。後継者不在など、それこそ国家の大事であるからな」

エリート「……」

左秘書官「各々には改めて、分担の資料をお配り致します」

右秘書官「我らはどうすれば宜しいのです?」

左文官「右翼の連中は、国軍の整理でもしておるがいい」

右文官「何……っ?」

左文官「貴様らが言う内通者が出たのであろう?全く、困ったものよ」

左秘書官「それではお疲れ様でした。また明日、改めて」

ガタガタッ…カツカツカツカツ

左文官「せいぜい大人しくしておる事だ」

左秘書官「では、失礼致します」

カツカツカツ…

右文官「……くそっ!」

エリート「……」


205 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:37:15.70JmZMxM0Yo (7/12)

カツカツカツ

高官「困った事になりましたな」

エリート「高官殿」

高官「彼らもかつての私と同様です。耄碌しているのですよ」

エリート「左大臣と密な二人は正直、説得の余地はないでしょうね」

右秘書官「しかし、今日集まった幹部の中には、疑問を抱いている者もおるようだ」

エリート「はい。どう見ても焦りすぎです。そこに矛盾を感じているのでしょう」

右秘書官「遠回りだが、個別に説くしかないか……」

エリート「加えて、何とか殿下を即位させる手立てを考えねばなりません」

右文官「八方塞がりか……。困難を極めるな」

エリート「やるしかありませんよ。やらねば……人間は滅びます」

右秘書官「…だな。こうなれば一人でも多く、こちらに味方を引き入れるしかあるまい」

右文官「各司令部にも連絡して貰い、協力を仰ごう」

右秘書官「ええ。各国にもです」

エリート「……まずは……あの人か」


206 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:38:22.90JmZMxM0Yo (8/12)

~国軍本部、資料室~

大軍師「はっくしょん!」

参謀「珍しいですね、隊長でも崩しましたか?」

大軍師「いや、この埃はちょっと敵わんな」

参謀「確かに。それに、誰かが噂しておるのやもしれませんね」

大軍師「噂?……私のか?」

参謀「そろそろ要請がかかるのではありませんか?」

大軍師「……ふっふ。そうかもしれないな」

参謀「しかし……このような、重箱の隅を突く真似をする事になろうとは……」

大軍師「何れはせねばならなかった事。前倒しだと思えば楽なものさ」

参謀「はぁ」

大軍師「さて、これで最後……と」

参謀「これで本当に……」

大軍師「内通者は一人で十分です。不要な方には……退いて頂きましょう」

参謀「……っ」


207 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:39:32.28JmZMxM0Yo (9/12)

~本国、郊外~

テクテクテクテク

盗賊「…本当に本国を離れても…いいのか?」

召喚士「ええ。留まっていても何も始まりませんから」

戦士「…まぁな。ブラブラしてた方が、情報入るかもしれないしな」

召喚士「うん…」

盗賊「…しかし、どこへ行くのだ?」

戦士「まずは手短なところからがいいんじゃないか?」

召喚士「俺もそう思う」

盗賊「……と、いう事は」

召喚士「バーテンさんの所ですね」

戦士「だな。そこで今後の計画を立てようじゃねぇか」

盗賊「…ああ」

召喚士はにこりと笑顔を見せ、戦士と盗賊も笑みを返す。

しかしそれは、どこか寂しげな、そんな笑顔であった。


208 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:44:43.72JmZMxM0Yo (10/12)

ザッザッザ…

青年兵「……」

隊長「……」

~国軍本部、作戦室~

スッ

隊長「天才からだ。お前の手柄にするといい」

青年兵「司令は……」

隊長「死んだ。その仮面が証拠だ」

青年兵「……」

隊長「どうした?暗い顔だな……?」

青年兵「殿下と魔道士王女が失踪致しました」

男隊員「何ぃーっ!?」

隊長「本当……なのか……っ?」

青年兵「間違いありません」

隊長「どうなってんだよ……っ」


209 ◆1otsuV0WFc2011/03/29(火) 18:48:37.23JmZMxM0Yo (11/12)

青年兵「現在、騎士団長様指揮の元、捜索にあたっております」

隊長「合流しろってか?」

青年兵「お願いします」

女隊員「国外へ出た可能性は……ないッスか……?」

青年兵「有り得ます。有り得ますが、今は国内優先でお願いします」

隊長「……分かった」

青年兵「それともう一つ」

隊長「……?」

カツカツカツカツ

大軍師「ある人物を、徹底的に追って貰えませんかね?」

隊長「……大軍師か。それで、ある人物とは……?」

大軍師「決まっているでしょう?」

隊長「……?」

大軍師「……左大臣殿です」

隊長「――っ!!」


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/29(火) 18:52:45.60cZy0ec5AO (1/1)


――っ!?


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/29(火) 18:55:48.11JmZMxM0Yo (12/12)

震災ですっかり忘れてましたが年度末でしたやばいですね…ひぃひぃ
それでは帰宅します。仕事お持ち帰りなので来れなかったらごめんなさい!ノシ


212VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/29(火) 19:19:10.513IhEdkmqo (2/2)

>>1乙
双子父とか登場しただけでネタバレしててワロタ


213VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/03/29(火) 21:18:21.90XHvcX7Fk0 (1/1)

乙です。


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/03/29(火) 21:49:17.25i0g1CoOAO (1/1)

>>201
>>201
>>201


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県)2011/03/29(火) 21:54:08.59+EfiLJoHo (1/1)

一乙
双子父って双子姉妹の父親だよな


216VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/29(火) 23:10:09.25NXtgDVqu0 (1/1)

212、214
うぜぇ


217 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 00:15:59.86u+eopvAYo (1/5)

再び訪れる夜。その喧騒は普段のものとは違い、いつもにも増して激しさを持つ。

それは当然、王宮内で起きた一連のものに基づいていた。

その然るべき張本人とも言える二人は、本国東側へと足を運んでいた。

~魔道学校~

魔道士「ふぇ~っ、やっと着いたぁ……」

皇太子「疲れたか?徒歩ですまんな」

魔道士「いえいえっ、徒歩でないとばれちゃいますからね!」

皇太子「うむ。陸路は当然ながら、おそらく海路も絶たれているであろうな」

魔道士「……なるほどぉ。国外へも行けそうにありませんね」

皇太子「まぁいいさ。国外へは毛頭、行くつもりもないしそれに……」

魔道士「…?」

皇太子「国外へ逃げたと踏んでくれれば、こちらとして好都合だ」

魔道士「…あえて国内に残ったんですね?」

皇太子「木を隠すなら……という事さ」

魔道士「なるほど……っ」


218 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 00:16:38.77u+eopvAYo (2/5)

テクテクテク…ザッ

皇太子「いやぁ、何年振りだろうか」

魔道士「殿下も通ってらしたんですかっ!?」

皇太子「当然さ。王家のものも代々、魔道学校へは通う風習でな」

魔道士「そうでしたかぁ……!!」

ザッザッザ

皇太子「このような夜分では、学園長も居らぬかもしれんな」

魔道士「でも、結構遅くまで残っていらっしゃるみたいだし……」

皇太子「そうなのか?」

魔道士「ええっ。この前来た時は遅くまでいらっしゃいましたよ」

皇太子「なかなか大変だな」

魔道士「ですねぇ。学生の時はちっとも気にした事なかったですよ。えへへ」

テクテク…ザッ

警備「……ん?」

魔道士「こんばんは~」


219 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 00:17:34.86u+eopvAYo (3/5)

警備「何だ……?」

皇太子「すまんが、学園長に会いたいのだが」

警備「誰だアンタら?」

魔道士「え、えっとぉ……」

皇太子「旧友さ」

警備「…………」

魔道士「え、えっと……魔道士とその兄が来たとお伝え下さいっ!」

警備「……待ってろ」

ザッザッザ

魔道士「…ふぇ~。思いっきり疑ってましたねぇ」

皇太子「まぁこのような夜分に、ワーカー二人だからな」

魔道士「会えると……良いですけど」

待つ事しばらく、先程の警備が校内より戻ってきた。

警備「入っていいぞ、学園長室にいらっしゃる」

魔道士「やった!ありがとうごxざいます~えへへっ!」


220 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 00:18:39.26u+eopvAYo (4/5)

皇太子「では、失礼する」

ザッザッザッザ…

警備「……どっかで見た事あるんだよなぁ。誰だっけか」

ザッザッザ

魔道士「うまくいきましたねっ!」

皇太子「話が早くて助かったな」

魔道士「本当ですね」

皇太子「やはり、学園長は何か知っているようだな」

魔道士「え……っ?」

皇太子「君が兄妹と言っただろう?」

魔道士「え、えぇ。でないと…殿下の名前を出すわけにはいかないですし…」

皇太子「君に兄が居ない事は知っているはずだな?」

魔道士「あ……っ」

皇太子「それをすんなり受け入れるという事は、私達の関係を知っているという事だ」

魔道士「なっ、なるほど……!!」


221 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 00:21:26.06u+eopvAYo (5/5)

~学園長室~

コンコン…カチャッ

魔道士「こんばんはー」

皇太子「失礼する」

学園長「……」

魔道士「ご無沙汰…してます。遅くにすみません……」

皇太子「……」

学園長「やはりこの刻が来てしまったのね…。どうぞ、お座りになられて」

皇太子「うむ」

スッ…ストッ

学園長「お飲み物は紅茶で宜しいかしら?」

魔道士「あ…あのっ、お構いなくっ!」

皇太子「我らも悠長な時間はないものでな。気になさらず」

学園長「……そう」

皇太子「さて、時間もない事だし、単刀直入に申し上げる」


222VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/03/30(水) 00:23:32.782Ebdeib6o (1/1)

ageちゃダメダメ


223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/30(水) 01:34:44.70EWGtCREAO (1/2)

>>1おつ


224VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 01:40:54.11ekUhBepDO (1/1)

魔翌力の一切を持たない皇太子って学校で何やってたんだろうか・・・ 
皇太子っての隠してたらやっぱぼっちの便所飯なんだろうか


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/03/30(水) 02:39:07.65dtxaeL7AO (1/1)

>>1おつ

学校といっても護衛みたいなのはいるだろうし、そういうのと食ってたんじゃね


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 09:14:25.02y/3d858IO (1/1)

お前らと違って価値があるんだ
友達になろうとするやつはごまんといるだろ


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 09:45:08.38GI5/Ci6To (1/1)

>>1乙

>>224,225
とはいえ肩身は狭かっただろうな
魔法学院なのに魔法が使えないどころか魔翌力がない
実技は参加できないから学科のみだし学んでも戦場で使える知識が得られるかどうかも怪しい



228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/03/30(水) 11:04:37.41UUCWDkhW0 (1/1)

それでも仲良くやっていけるのが皇太子の人格


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 12:36:41.10hoI2AlZIO (1/1)

魔法が使えないからこそ、
魔法をよく知り、魔道士達の運用を
人一倍上手にできないと。
それに、魔法学校がいわゆる
学習院のような存在だったとか?
そんなことを、勝手に想像しているw


230 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:27:46.04s5D7Nj62o (1/12)

学園長「……」

皇太子「我が父、国王から預かった手紙を頂戴したい」

魔道士「天才さんから聞きました。『王の手紙』があるって……」

学園長「……やっぱり、そうよね」

魔道士「…?」

学園長「貴方達二人がここへ来た。その意味は一つしかないわ」

皇太子「やはり、事情はご存知のようだな」

学園長「私もこういった職に就いてから、長いから」

スクッ…スタスタスタ

皇太子「それは?」

学園長「金庫よ。ちょっと特殊だけれど」

魔道士「…?」

学園長「結界石で出来ていて、最初に魔力を流し込むの」

皇太子「……」

学園長「それで封が為されて、再び開けたい時はまた魔力を与えれば良いの」


231 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:32:39.07s5D7Nj62o (2/12)

魔道士「そんな事が……出来るんですか?」

学園長「貴方は出来ると思う?」

魔道士「え……?」

学園長「人間、何でもやってみなくちゃ分からないものよ?」

魔道士「……」

学園長「王女なんて、誰もなりたくてなるわけではありませんからね」

魔道士「……」

学園長「出来るか出来ないかではなく、貴方のハートが決めるものよ?」

魔道士「……はい」

学園長「ごめんなさいね。お説教じみてしまったわね」

スタスタスタ

学園長「はい」

皇太子「……魔力で封をしてあるのではないのか?」

学園長「ふふっ。長生きすると、どのくらいの魔力を流したかなんて忘れてしまうわ」

皇太子「……」


232 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:34:16.32s5D7Nj62o (3/12)

学園長「だから、最初から魔力なんて流し込まなかったわ」

皇太子「それでは誰にでも開けられてしまうではないか」

学園長「でも、こんなご大層なものなら、頭を悩ますと思わない?」

皇太子「成程。魔力前提でありながら、あえて手を付けなかったのか」

学園長「それに、私にもしもの事があったら……」

皇太子「…?」

学園長「貴方が開ける事……出来なくなってしまうじゃない」

皇太子「……先生は昔から、変わらないな」

学園長「そう?」

皇太子「ああ、優しい指導者の鏡さ」

学園長「ふふっ。褒めても何もありませんよ。さぁ、お開けなさいな」

皇太子「……うむ」

グッ……カチャッ

魔道士「……こ、これが……っ」

皇太子「……」


233 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:35:06.13s5D7Nj62o (4/12)

周りを結界石で覆われた特殊な小箱の蓋が、ゆっくりと開く。

その中にやや黄色がかった一通の手紙が寝かされていた。

コトッ…カサカサッ

皇太子「……」

まじまじとその手紙を読む皇太子に、魔道士は息を呑み声をかけた。

魔道士「ど、どうですか……っ?」

皇太子「……読んでみるか?」

魔道士「はい…っ」

パサッ

魔道士「…………」

受け取った古手紙を熟読し、魔道士は目を丸くした。

魔道士「……っ」

皇太子「難しい事は何も書いていない。ただシンプルな遺言さ」

魔道士「…………」

皇太子「内容は3つ。それも至極、当たり前のものだ」


234 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:35:43.36s5D7Nj62o (5/12)

魔道士「……」

皇太子「1つ目。自分の身に何かあった場合は、私に譲位する……と」

学園長「ええ、それが彼の意思……」

皇太子「二つ目。魔道士、君が君の意思で王家に戻るというのならば……」

魔道士「……」

皇太子「その時は特例として、君に譲位するとの事だ」

魔道士「わ……たし……」

皇太子「……」

魔道士「出来る出来ないとかじゃなくて……」

学園長「……」

ポロポロポロッ

魔道士「召喚士さん達と……一緒に居たい……っ」

皇太子「ああ。それは我侭ではない。君が選択した、人生だ」

魔道士「……はい……っ」

学園長「それで、3つ目は何かしら?」


235 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:37:02.06s5D7Nj62o (6/12)

皇太子「3つ目。魔道士が譲位を拒否した場合は、直ちに議会を開会し……」

魔道士「……っ」

皇太子「王宮内にてそれを承認する事」

学園長「あら、陛下の意思では決められないの?」

皇太子「歴史あるしきたりだからな。易々とそんな事は出来ないさ」

魔道士「ひっく……。でも、議会だなんて……」

皇太子「今回は国軍抜きの議会だしな。だが、父上が最後に残した事だ」

魔道士「……」

皇太子「おそらく、何か手はあるのだろう」

学園長「そうかしらね。結局、最後はみんなの良心にかけたように思えるけれど」

皇太子「……そうかもしれんな。そうであってくれれば良いが」

魔道士「……ぐすっ」

皇太子「ともかく、この手紙……確かに預からせて貰うぞ」

学園長「ええ。元より貴方の物ですからね」

魔道士「良かった……」


236 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:38:17.15s5D7Nj62o (7/12)



皇太子「いやぁ、夜の校内というのは、あまり心地良いものではないな」

魔道士「え、ええ……。殿下も怖いですか?」

皇太子「それは勿論だ。昔から苦手でな」

魔道士「そうなんですか?」

皇太子「……あの頃は、どれだけ努力しても全く魔法が使えなくてな」

魔道士「……っ」

皇太子「夜遅くまで残って頑張ってみたりもしたものだ」

魔道士「そうでしたか……」

皇太子「まぁ、それを口実に友人と遊んだり――」

ガタッ!!

魔道士「きゃあっ!!」

皇太子「!?」

――「こんな時間に何をしているっ!!」

皇太子「……?」


237 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:39:10.36s5D7Nj62o (8/12)

カツカツカツ…

魔道士「……あっ」

皇太子「水の……お前か!?」

水の先生「……?」

魔道士「水の先生っ!私ですっ、魔道士ですよ!!」

水の先生「おぉ、どうしたのだ。不審者かと思ったぞ全く……」

魔道士「ごめんなさい……」

水の先生「いいか?いくら知った人間とは言え、夜分に校内でうろつくなど……」

皇太子「……くっく、はっはっは」

水の先生「……?」

皇太子「私だよ水の。気付かんか?」

水の先生「――!?」

ガシッ

水の先生「皇太子……っ、お前かぁ!!」

魔道士「え……えっ!?」


238 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:47:04.57s5D7Nj62o (9/12)

水の先生「全く気付かなかったぞ!何でまたこのような所に……」

皇太子「そういうお前は変わらないな。はははっ」

魔道士「あ、あの……お知り合い?」

皇太子「さっき話した悪友さ」

水の先生「おいおい、人聞きの悪い事を言うなよ」

皇太子「そうか?事実だと思うが」

水の先生「お前こそよくもまぁヌケヌケと……」

皇太子「はははっ。では、お互い様という事だな」

魔道士「……」

皇太子「しかしお前が魔道学校で指導する身になるとはな」

水の先生「自分自身、驚いているさ。そういう皇太子殿下は相変わらずらしいじゃないか」

皇太子「ああ、どうも魔法は才能がないらしい。こればかりは仕方ないさ」

水の先生「しかし本当にいいのか?一国の殿下ともあろう御方がこのような所に……」

皇太子「……まぁ、今だけはな。そのうち分かるさ」

水の先生「……?」


239 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 18:57:27.84s5D7Nj62o (10/12)



水の先生「何だ、もう行ってしまうのか?」

皇太子「急ぎで学園長に用があっただけでな。すまん」

水の先生「そうか、まぁ、仕方ないな」

皇太子「今度、ゆっくりと同窓会でも開こうではないか」

水の先生「おぉっ、それはいいな!!」

皇太子「皆、元気でやっていれば良いがな……」

水の先生「……ああ。死んだって奴も何人かは耳にしたけれどな」

皇太子「申し訳ないと思うよ」

水の先生「お前が気に病む必要がどこにある。責任感が強すぎなんだよ」

皇太子「……そうかな」

水の先生「とにかく、お互い頑張ろうじゃないか。もうじき終わるんだろ?」

皇太子「ああ。終わるよ……いや、終わらせるよ」

水の先生「期待してますよ、皇太子殿下!」

皇太子「ははっ、プレッシャーをかけないでくれ」


240 ◆1otsuV0WFc2011/03/30(水) 19:00:38.08s5D7Nj62o (11/12)



皇太子「いやぁ、恥ずかしいところを見られてしまったな」

魔道士「まさか水の先生と同級生とは思いませんでしたよ~」

皇太子「本当に良い奴でなぁ」

魔道士「仲……良さそうでしたもんねっ」

皇太子「最初は王族というだけで、皆も恐縮して……なかなか話す機会もなかったよ」

魔道士「……」

皇太子「しかしある日、あいつが積極的に話しかけてくれてな」

魔道士「へぇ~」

皇太子「それ以来、皆とも打ち解ける事が出来て、本当に感謝しているよ」

魔道士「水の先生、優しいですもんねっ」

皇太子「ああ。あいつは今でもああやって、敬語など使わず接してくれる」

魔道士「あ……」

皇太子「本当に私は、良い友人だと思っているよ」

魔道士「……素敵な事です。えへへっ!」


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 19:02:16.98s5D7Nj62o (12/12)

はああぁぁ全然進まないぃ!それでは帰ります…
ご支援ありがとうございました!ノシ


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 19:14:58.35HYOCJV6DO (1/2)

いやいや、こうして毎日?投下するだけでもすごいことですよ!感服します。




243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/30(水) 21:05:23.90EWGtCREAO (2/2)

>>1おつ


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 22:16:47.77/+sKb7UDO (1/1)

おまけリクエスト
~お花見~


245VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/30(水) 22:38:51.928+o1qp6AO (1/1)

>>244
自粛しろ


246VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 23:40:42.44HYOCJV6DO (2/2)

>>224
いきなりリクとか…>>1への負担とか考えようよ…


247VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 00:27:04.343E0FIC2I0 (1/1)

春だからな。
春厨がわいてきてるな


248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/03/31(木) 04:05:59.84Qkp+0dMAO (1/1)

そこまで叩かれるような事か?
今までにも何度もあったし、>>1自身も割と寛容的だろ
強制なんてしてないしただの願望。やるもやらないも>>1が決めるだけ
流れで言ってるんだとしても>>245は本気じゃなくただのネタだろ。石原的な意味で
長々とどうでもいい事書いてしまって申し訳ない。気になったからちょっと言いたくなった

要するに>>1乙いつもありがとう


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/03/31(木) 04:15:24.18k5r+0Ydfo (1/1)

>>248
どこ立て読み?


250VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 09:18:38.25VqGHuSmDO (1/1)

春だししかたないね


251VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/31(木) 10:49:23.51XCAWsrCAO (1/1)

マジレスきめえ


252VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 17:34:27.03JjQh2Pwx0 (1/1)

1はイイ奴だぞ。お前も言っている通り寛容なんだ。
時間あったらわざわざ書いてくれるかもしれない。
だからこそ見ている俺達は負担かけずに1の物語を読みたいんだ。
毎日の更新だって大変だぜきっと。
感謝しなきゃ。それが見るほうのルールだと思うぜ。
せっかくここまで続けてこれたんだ。
1応援してちゃんと結末見届けようぜ!

と、賢者タイムのオレが言ってみる・・・・ふぅ


253 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:15:06.01PqgjVUlwo (1/26)

~バーテンの店~

カチャッ…チリチリン

バーテン「……おう」

召喚士「こんばんは」

バーテン「今回は魔道士ちゃんかい」

盗賊「……」

バーテン「全く。お前らも落ち着かないもんだな」

戦士「好きでやってるわけじゃないよ」

バーテン「そりゃそうだわな。んで、今回は何だってんだ?」

召喚士「実は……」

バーテン「まぁ座れ。何か飲むか?」

戦士「適当にお願いします」

バーテン「適当って……まぁいいや。アルコールなしでいいな?」

盗賊「……うん」

バーテン「そんで、魔道士ちゃんが何だって?」


254 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:15:52.62PqgjVUlwo (2/26)

バーテンの淹れたコーヒーが、心地よい香りとともに湯気をくゆらす。

カチャッ…コトッ

バーテン「……本当かよ……っ」

召喚士「ええ。俺らも……全く知りませんでした」

バーテン「落胤とはな……。何かある娘だとは思ったが……」

戦士「ビックリだよ。何たってこのパーティーじゃ二人目だぜ?」

盗賊「わ、私は……っ」

バーテン「そうか、盗賊ちゃんも東方の姫様だったっけか」

盗賊「…しかし、私のそれとは事情が違う」

バーテン「まぁな。陛下崩御のニュースは飛び込んで来たが…まさかなぁ」

戦士「ああ、こんな事になるなんて思いもよらなかったぜ」

バーテン「んで、どうすんだ?」

召喚士「……」

バーテン「このままってわけにもいかんだろ」

召喚士「……実は」


255 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:16:31.10PqgjVUlwo (3/26)



バーテン「何ぃ!?殿下と二人で失踪しただぁ!?」

戦士「……ああ」

バーテン「何を考えてやがるんだ……っ」

召喚士「分かりません。でもあの二人の事です。考えがあっての事かと……」

バーテン「魔物の仕業じゃないんだろうな…?」

召喚士「それはないと思います」

バーテン「断言出来るのか?」

召喚士「左翼か魔道士さんを担ぎ上げています。おそらくは……」

バーテン「成程。それを阻止すべく動いてるって事か」

召喚士「ええ……」

バーテン「ともかく、事態は急だが……部外者は静観するしかないってか」

盗賊「…ああ。下手に手出し出来ぬ」

バーテン「そうとなりゃ、信じて待つしかないな」

召喚士「……はい」


256 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:17:08.95PqgjVUlwo (4/26)

~魔道学校、学園長室~

皇太子「何だか申し訳ないな」

学園長「一国の主を、野宿させるわけにはいきませんよ」

魔道士「でも、ご迷惑になりませんか……?」

学園長「メイドも貴方にまた会いたいと、前に言ってましたよ?」

魔道士「ほ、本当ですか……っ。嬉しいけど恥ずかしいなぁ……へへっ」

学園長「表は目立つといけませんから、うらに馬車を用意します」

皇太子「うむ。先に行くとしようか」

魔道士「はいっ!」

学園長「私もすぐに参りますから」

テクテクテクテク…パタン

学園長「……ふーっ」

サアアァァ

学園長「……?」

いつのまにか開いていた窓から風が入り込み、カーテンがひらひらと揺れる。


257 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:20:07.32PqgjVUlwo (5/26)

学園長「……お行儀が悪い事」

スタッ

天才「正面から入ったら鉢合わせんだろうが」

学園長「全く。相変わらずねぇ」

天才「ババアこそ変わらねーなぁ。不老不死にでもなったか?」

学園長「貴方に言われたくないわよ……ジジイ」

天才「ハーッハッハ!そりゃそうか」

学園長「それで、わざわざ二人の護衛?」

天才「バーカ。何でお路柄がそんな事しなきゃなんねーんだよ」

学園長「ひねくれてるわねぇ。合流して同行すれば良いじゃない」

天才「だから違げぇって言ってんだろババア」

学園長「……まぁいいわ。それで、何用?」

天才「お前の孫を付けてやれよ」

学園長「それは構わないけれど、すぐ王宮へ戻るんじゃないの?」

天才「本国がまだ浮き足立ってる。収拾までにもうちょい時間が必要だ」


258 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:21:57.94PqgjVUlwo (6/26)

学園長「国軍が何とかすれば良いんじゃないの?」

天才「聞いてねーのか?総司令は死んだぞ」

学園長「……はぁ」

天才「気のない返事すんなっつーの……」

学園長「それで、何日かかるのかしら?」

天才「俺に聞くな。王宮内次第だ」

学園長「3日もあればいいかしらね」

天才「そんな遅くはならんだろ。右大臣が動いてるみてーだし」

学園長「議会、開くんでしょう?勝ち目はあるの?」

天才「知らん」

学園長「無責任ねぇ……」

天才「あのなぁ、俺様は……」

学園長「あの二人にもしもの事があったら……許さないわよ?」

バチバチバチッ

天才「……おぉ怖っ」


259 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:22:29.84PqgjVUlwo (7/26)

ザッ

天才「安心しろ。議会は右大臣と大軍師が何とかしてくれる」

学園長「貴方は?」

天才「俺は本丸叩きだよ。汚ねぇ仕事は俺一人で十分だ」

学園長「そうやって、また十字架を背負っていくのね……」

天才「…バーカ。罪を重ねてるだけだ」

学園長「……。あっ、そろそろ行かなくっちゃ」

天才「おー待て待て。俺の本題を聞けってんだよ」

学園長「あら、二人の護衛で来たのではないのね」

天才「だから、最初からそう言ってんだろうがっ」

学園長「はいはい。それで何しから?」

天才「教頭はどこに行った?」

学園長「教頭先生……?あぁ、昨日からお休みを取っているわよ?」

天才「……ちっ。遅かったか」

学園長「教頭が……どうかしたの?」


260 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:23:22.86PqgjVUlwo (8/26)

天才「どこまでお人好しなんだよ……」

学園長「……」

天才「あれは左翼……いや、左大臣の手下だ」

学園長「……そう」

天才「やっぱり、疑っちゃいたみてぇだな」

学園長「この部屋の鍵は、私か教頭しか持っていませんからね」

天才「王の手紙でもパクろうとしてたのか?」

学園長「それは大丈夫。気付かない場所に置いておいたから」

天才「ほぉ。そんな場所があるのか?」

学園長「……そこよ」

天才「はぁ!?……食器棚じゃねぇか!!」

学園長「ええ。紅茶の葉を入れた器、ちょっと似ていると思わない?」

天才「……ハーッハッハ!その為にこのティーセット一式揃えたってか!」

学園長「固定概念に囚われてはいけないという事。何事もね」

天才「流石はかつての大魔道士様。狡猾さは衰えてねぇわ」


261 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:24:41.81PqgjVUlwo (9/26)

学園長「でも、厄介なものを盗まれてしまったわ」

天才「……?」

学園長「一冊だけね、名簿が足りないのよ」

天才「名簿?あぁ、卒業生とか在籍してたとかのアレか」

学園長「魔道士さんの時の物が一冊……ないの」

天才「別に今更だろ」

学園長「一般人が見れば、なんの変哲もない物だけれども……」

天才「……」

学園長「私自身はいいの。でも、ここや他の人に危害が加わるのを見過ごしては…」

天才「めんどくせー」

学園長「……っ」

天才「わーったよ。教頭は何とかすっから、ここはテメーで守れ」

学園長「そういう優しいところ、好きよ」

天才「気持ち悪りぃな。ババアの好意なんて要らねえっつーんだよ」

学園長「ふふっ、そういう照れ屋なところも好きよ。ジジイ♪」


262 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:25:28.17PqgjVUlwo (10/26)



魔道士「あっ、来ましたね!」

テクテクテク

学園長「ごめんなさい。遅くなっちゃったわね」

皇太子「いやいや、遅くまで大変だな」

学園長「これが仕事ですからね。もう慣れたわ」

皇太子「教師の鏡であるな」

学園長「ありがとう。さて、行きましょう」

魔道士「はいっ」

テクテクテク…ストッ

学園長「それじゃ、出して頂戴」

執事「はい」

パッカパッカパッカ…

皇太子「そういえば……」

学園長「…?」


263 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:27:14.05PqgjVUlwo (11/26)

皇太子「学園長の孫はどちらにいらっしゃるのかな?」

学園長「魔道学校にいるわよ。たまに」

魔道士「たまにですか?」

学園長「普段はどこをほっつき歩いているのか……。全く、定職にも就かずふらふらと」

魔道士「そうなんですかぁ」

学園長「それが何か?」

皇太子「うむ。貴方の孫を仲間にと、進言を受けてな」

学園長「明日は魔道学校へ来ると思うわ」

皇太子「そうか。ならば、直接伺ってみるとしようか」

学園長「ひねくれ者だから失礼がないといいですけれど……」

魔道士「……?」

学園長「まぁ、流石に電化と王女相手に無礼はないわね」

皇太子「今はただの旅人だ。殿下も何も礼など無用さ」

魔道士「そうですよっ、私だって……王女じゃありませんからっ」

学園長「……ふふっ、そうかもしれないわね」


264 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:28:16.06PqgjVUlwo (12/26)

~本国、経済機関~

カツカツカツ…

左秘書官「このような夜分に、何用か?」

教頭「左大臣様に面会を……」

左秘書官「明日に致せ。何時だと思っておる?」

カツカツカツ

左大臣「構わん。申せ」

左秘書官「左大臣様!?」

左大臣「悪いがこやつはァ、お前より格上だぞ?」

左秘書官「――っ!?」

教頭「お目通り、感謝致します」

左大臣「あァ。王女の話は聞いたなァ?」

教頭「驚きましたよ。まさか、あの魔道士であったとは……」

左大臣「見つけられなかったようだなァ」

教頭「一縷の望みで探しておりましたが……」


265 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:28:59.85PqgjVUlwo (13/26)

スッ

左秘書官「これは……?」

教頭「魔道士王女の代の名簿です」

左大臣「最早、。不要であったなァ」

教頭「王族ゆえ、魔力の資質が高い者を当たっておりました……」

左大臣「……」

教頭「まさか、卒業後に開花するとは……」

左大臣「……おい」

教頭「はっ」

左大臣「魔法に疎いわけではないがァ、専門家としての意見を聞きたい」

左秘書官「応えられる範疇にて」

左大臣「魔道学校に通い、資質の全くなかったものがァ」

教頭「……」

左大臣「卒業後、いくらワーカーになったとはいえ、開花するなど有り得るのかァ?」

左秘書官「資料に基づくもののみで話せば、前例は聞いた事がありません」


266 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:29:57.33PqgjVUlwo (14/26)

教頭「左秘書官殿に同じく、存じ上げません」

左大臣「……あそこの学園長、一枚噛んでおったかァ!」

教頭「しかし、そのような素振りは見当たりませんでしたが……」

左大臣「馬鹿者がァ!裏をかいたつもりがァ、裏をかかれておったのだァ!」

教頭「な、何と……っ」

左秘書官「つまり……あえて才能がないと見せていた……っ!?」

左大臣「それがァ、一番しっくりくる結論ではないかね?」

教頭「……学園長っ」

左大臣「まさか左翼の伝統長き魔道学校で……裏をかかれるとはなァ」

教頭「申し訳御座いません……」

左大臣「貴様のせいではない。頑なに靡かなかった学園長を……

左秘書官「……」

左大臣「無派閥と放置したァ……こちらに落ち度がある」

左秘書官「確かにあの学園長になってからというもの、無所属者が多かったが……」

左大臣「東方参謀に教師ども。皆ァ、無派閥に見せた右翼よっ!」


267 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:30:45.40PqgjVUlwo (15/26)

教頭「片付けましょうか?」

左大臣「今更ではあるがァ、これ以上余計な動きをされるのは目障りだなァ」

教頭「……御意に」

左秘書官「では、名簿は確かに預かります」

スッ…カツカツカツ

左大臣「こんなものも、最早無用の産物……」

パラパラパラッ

教頭「では、失礼致します」

左大臣「あァ。手段は選ばぬぞ。人間を捨てても構わぬ」

教頭「宜しいのですか?」

左大臣「どうせもう間もなく、人間の世界は終わりだァ」

教頭「……御意に」

スゥッ…カツカツカツカツ…

左秘書官「あの者も、魔族の洗礼を……?」

左大臣「……あァ。限られた我らの仲間だァ」


268 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:31:43.13PqgjVUlwo (16/26)

左秘書官「……成程」

左大臣「魔族化の後はァ、貴様より格上だぞ?」

左秘書官「…そ、そのようで」

パラパアラパラッ

左大臣「王女の経歴など、既に資料室で調査済よ……」

左秘書官「もう少し早ければ、事もスムーズでしたな」

左大臣「……まァ、そういうものだろう」

パラパラッ…パラッ

左大臣「……?」

左秘書官「……どうなさいました?」

左大臣「魔道学園の理事、気にも留めなかったがァ、いつから変わったのだァ?」

左秘書官「さ、さぁ。それは理事である左大臣様の方がお詳しいのでは……」

左大臣「右大臣に青龍先生に院長。それに新聞社社長……これは分かる」

左秘書官「……」

左大臣「この……村長というのはァ、何者だァ?」


269 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:33:15.72PqgjVUlwo (17/26)

左秘書官「……左翼官殿に確認させましょう」

左大臣「……」

左秘書官「左大臣様?」

左大臣「ん、あァ。早急に頼むぞ」

左秘書官「はっ。失礼致します」

カツカツカツカツ…

左大臣「……クソッ、何故こうも裏をかかれておるのだァ……っ」

グシャッ

左大臣「これが予言の民の力なのかァ?認めん、そんなものは認めんぞ……っ」

~学園長の屋敷~

テクテクテク

学園長「ただいまー」

タッタッタッタ

メイド「お帰りなさいませっ」

魔道士「こんばんはーっ」


270 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:34:45.68PqgjVUlwo (18/26)

メイド「!?」

皇太子「世話になる」

メイド「――っ!!」

学園長「急に泊まる事になってしまってねぇ」

メイド「……だ、だからっ!お客様がお見えになられるのならばご連絡をとっ!」

皇太子「すまない。急に世話になる事と相成ってな」

メイド「い、いえっ!お客様のせいではございませんよっ」

魔道士「また、お世話になりますね!」

メイド「は、はい!すぐにご準備を!」

タッタッタッタッタ

学園長「ごめんなさいね、慌しくって。さぁ、お寛ぎになって」

魔道士「お邪魔しまーす!」

皇太子「荷物はこのここに置いて構わないかな?」

学園長「ええ、王宮ほど広くはないですけれど、自分の家だと思って下さいな」

皇太子「……ありがとう。感謝するよ」


271 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:35:22.95PqgjVUlwo (19/26)



メイド「……え、えっと」

学園長「だから、殿下よ」

メイド「…………」

皇太子「始めまして……かな?」

メイド「殿下と申されますと……で、殿下……ですか!?」

皇太子「あ、ああ」

メイド「――っ!!」

学園長「魔道士ちゃんは会った事、あるわよね」

メイド「え、ええ……っ」

学園長彼女がその義妹。つまりは王女ね」

魔道士「そ、そんなつもりはありませんけれど……」

メイド「…………」

クラッ…ヨロヨロ

メイド「な、何が……何だか……はうぅ」


272 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:36:24.85PqgjVUlwo (20/26)

~本国、王宮~

エリート「……ふーっ」

右文官「少し休んだらどうだ?疲労が溜まっておるのではないか?」

エリート「……大丈夫です。休んでいるわけにはいきませんから」

右文官「しかしだな、お前が潰れては……」

右秘書官「右大臣様の容態は?」

エリート「それが……」

右文官「……?」

エリート「さきほど外出したらしく、まだ戻っていないようです」

右文官「何!?このような時にどちらへ……っ」

エリート「分かりません。しかし……責任を感じていたようですし……」

右秘書官「まさか……」

エリート「何もなければ良いのですが……」

右文官「不吉な事を申すでないっ。何もあるわけなかろう」

エリート「……ええ。父上はそんなに、弱くはありませんよ」


273 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:37:18.21PqgjVUlwo (21/26)

~経済機関~

カツカツカツ

左翼官「お待たせ致しました」

左大臣「うむ。それで、何者か分かったのかァ?」

左翼官「はい。どうやら右大臣様の旧友のようで……」

左大臣「旧友?」

左翼官「はい。魔道学校では学友だったとか」

パサッ

左大臣「…………」

左翼官「今は南東国に程近い地にて、孤児の為の村を為しておるようです」

左大臣「……どうも怪しいなァ」

左翼官「……?」

左大臣「まぁ良い。ご苦労であった」

左翼官「……はっ。失礼致します」

左大臣「……」


274 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:39:09.69PqgjVUlwo (22/26)

~双子家~

双子父「……ただいま」

双子姉「あら、お父様」
双子妹「おかえりなさい」

双子母「随分とお疲れね。お忙しいの?」

双子父「知っておるだろう?陛下が崩御なされてな……」

双子姉「それが何か」
双子妹「大変なのですか?」

双子父「それだけなら苦労せんのだが、王女の存在が明らかになってな」

双子母「まぁっ!殿下にご兄弟が……!?」

双子父「異母妹のようだ。それで我が家に白羽の矢が立ってな……」

双子母「私達の代では、王女付などないと思っておりましたわ」

双子父「……と、いうわけだ。二人は明日、私と共に王宮へ行って貰うぞ」

双子姉「……へぇ」
双子妹「王女様かぁ」

双子姉「一体どんな方かしら?」
双子妹「……楽しみ♪」


275 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:40:02.07PqgjVUlwo (23/26)

再び迎えた朝。遅ればせながら落胤の騒動が世界中に走る。

~東方、都~

家老「上様っ、一大事ですぞっ!!」

ダッダッダッダ

帝「何だ、朝から慌しいな」

家老「本国からの伝令が……っ」

帝「……どれ」

カサッ

帝「……これは……まことなのかっ!?」

名代「どうなさいましたか?」

家老「魔道士殿が……陛下の隠し子であられるそうじゃ」

名代「魔道士と申されますと……あ、あの……っ!?」

帝「……何という事かっ」

名代「それで、何が問題なので?」

家老「どうも本国は、後継者問題で揺れておるようじゃ」

帝「……こちらからも動く必要がありそうだな」


276 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:41:17.12PqgjVUlwo (24/26)

~南東国、東の城~

白馬騎士「馬鹿なっ!!」

三男「……」

若文官「私とて疑いたい話です。しかしこれは信用足りうる公文書……」

弟者「魔道士っていやぁ、あの……?」

錦将軍「そんな話なかったぜ?」

老文官「今になって発覚したようだ。当の本人も知らぬ事のようじゃ……」

兄者「それで、今後どうなるというのだ……?」

側近「その件で今、本国は混乱中のようでして」

白馬騎士「早急に確認を取る必要がありますね」

若文官「しかし、一体誰に話を通せば良いものか……っ」

老将軍「それならば白馬の。あの者ならば適任ではないのか?」

白馬騎士「……剣士殿か。分かりました、確認してみましょう」

三男「良いか、何があろうと我らは本国の盟友。忘れるでないぞ」

白馬騎士「……無論です。魔王軍の好きにはさせませぬ!」


277 ◆1otsuV0WFc2011/03/31(木) 18:43:29.93PqgjVUlwo (25/26)

~西方、西国の城~

王子「……帰ってきて早々、何だってんだ?」

神官「こ、これを……っ」

プルプル…カサッ

王子「本国から?面会だったらもうしばらく――」

ガバッ!!

王子「どういう事……っ!?」

神官「本国の陛下崩御について、今日はお話するつもりでした」

王子「魔道士……さんが……!?」

神官「たった今……届いた伝令です」

王子「魔道士さんが……王女様ぁ!?」

王女「お姉様がっ!?やはり、素晴らしい方だとは思っておりましたが……」

女王「我らと同様、王族の身であらせられたのね」

王子「……そうか、そうだったのか……っ」

神官「本国はかなり混乱しておるようです。こちらも情報収集を急ぎます」


278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 18:53:21.21PqgjVUlwo (26/26)

ひとまずここまでー!多数のご支援ありがとうございます!
リクもお気軽にどうぞ!出来る範囲になちゃいますがあしからず
お花見いいですねー!明るく楽しくなるよう頑張ります!
それでは失礼します!ノシ


279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 19:03:07.72ZeMjC1+DO (1/1)

>>1乙乙


280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/03/31(木) 19:39:47.176wUadRoAO (1/1)

>>1乙

王子はサソリの毒でも喰らって砂漠の真ん中で息絶えろ


281VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/03/31(木) 19:50:19.36B1O/R7ZAO (1/1)

>>1おつ


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 20:55:59.75rb3LCQkDO (1/1)

王子「魔導士お姉ちゃん!これで僕らを隔てる身分の壁はなくなったね♪」


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/04/01(金) 02:43:48.29qicsRC8AO (1/1)

なんというマスター・ノーグ


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/04/01(金) 03:59:14.32kq+OPvl4o (1/1)

>>1乙
王子はもう許してやれよ


285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 04:05:38.18fPumL+XSO (1/1)

未だに王子ネタがうけるとおもってるあたりびっくりだなぁ

1乙


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 07:15:21.19R0jf1K/DO (1/1)

玉子?
何それ、おいしいの?


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 13:21:14.70ArHiO89DO (1/1)

玉子はうまいよ


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 15:01:31.705j9QGQ5DO (1/1)

主子うまー


289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 17:48:12.48oR7oSUJYo (1/11)

召喚士「今日は大事なお知らせがあります」

魔道士「私達、結婚します!」

召喚士「……えっ?」

魔道士「えっ?」

~やり直し~

召喚士「今日は大事なお知らせがあります」

魔道士「はい」

召喚士「これまで2年近く、だらだらと続けさせて頂きましたが……」

魔道士「はい」

召喚士「新年度を向かえ、作者都合により更新が大変厳しくなりました……」

魔道士「はい……」

召喚士「急で大変申し訳ありませんが、今日で……」

魔道士「エイプリルフールですね?」

召喚士「……あ、あの……っ。先に言ったら……」

魔道士「……あっ。……続き……です↓」


290 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 17:53:48.73oR7oSUJYo (2/11)



東方司令「あの時のワーカーが王女であったとは……それはもう驚いたさ」

南方司令「ただの少女ではないと思っていたが……まさか、と言ったところさ」

西方司令「はああぁぁ……っ。わ、私はなんという恐れ多い数々の愚考をああぁぁ」

青龍先生「ひょっひょ。長生きはしてみるもんじゃ。こんな事が起きようとはのぉ」

白虎長「いや、だって……あの、魔道士ちゃんがよ?」

占い師「信じるとか……そんなレベルで図れるものじゃないわよ……っ」

博士「まぁ、予想だに出来るようなものでもないのら。ただ、驚いたのら」

左翼長「全く。まさか、の一言だよ」

参謀「私だって最初に聞いた時は、ただ驚愕するあまりでした」

騎士長「これからどう接していけばいいのか……悩んじまうよなぁ」

大軍師「事実は事実。これを如何に受け止めて受け入れるかが問題なのですよ」

これは後の取材に応じた国軍一同の発言によるものだが、

この時点での混乱は前述の各国における混乱同様、国内においても、

全く予想外の出来事であり、浮き足立っていたのは事実であった。一部を除いて。


291 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 17:55:06.26oR7oSUJYo (3/11)

~魔道学校~

パッカパッカパッカ

学園長「それじゃ、私はこのまま仕事に入るわね」

皇太子「うむ、色々とすまんな」

学園長「来賓室を自由に使って頂戴。孫もそちらへ行くよう伝えておきますから」

魔道士「お孫さんの名前は何と言うのですか?」

学園長「あら、そうよね。ごめんなさい。孫は――」

ドオオォォン

魔道士「!?」

皇太子「何の音だ?」

学園長「学園の反対側のようだけれど……」

魔道士「あ、あれ……っ!!」

声をあげ魔道士が指差す先、建物の一画より黒煙が上がっている。

学園長「……っ!!」

皇太子「何かあったようだな。行くぞ!」


292 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 17:55:44.88oR7oSUJYo (4/11)

ダッ!!

魔道士「殿下っ!?」

学園長「仕方ないわね。後を追いましょう」

魔道士「はいっ!」

タッタッタッタッタ

皇太子「…………」

タッタッタ

皇太子(……王族だからとか、そんなものは関係ないのだっ。命とは平等なもの!)

ザザッ

皇太子「……」

教頭「こんな所にいらしたのですか……殿下」

皇太子「君は……」

タッタッタッタ…

学園長「教頭!?」

魔道士「教頭先生っ、ご無事で――」


293 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 17:58:40.23oR7oSUJYo (5/11)

グイッ

魔道士「!?」

皇太子「退がるんだ、どうも……普通ではない」

学園長「この騒ぎは一体、何なのです?」

教頭「……」

現場に急行した3人の前に立ちはだかる教頭。彼は微動だにする事なく、

無表情のまま横へ左手を上げ……魔法を放つ。

キュイイィィ…ドドオオォォンッ!!

学生「――っ!?」

皇太子「しまっ――」

ズガアアァァッ!!

教頭「……!?」

逃げ惑う学生に放たれた教頭の魔法。それを突如現れた魔法の壁が弾いた。

学園長「……私の目の前で、生徒は一人も傷つけさせませんよっ!」

教頭「……ククッ」


294 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 18:00:44.07oR7oSUJYo (6/11)

魔道士「教頭……先生……!?」

皇太子「……貴様、魔物か」

教頭「いや、人間ですよ。たった今まではね!」

学園長「皆さんっ、早くお逃げなさい!!」

学生「きゃああぁぁ!!」

教頭「実力行使の許可は頂いた……」

ズズッ…ズググッ

魔道士「かっ、身体が変化して……っ!?」

教頭「ようやくだ、ようやく……素晴らしき力を得られるのだ!」

グググッ…ベギィ!!

教頭「魔族化……そして、不死と言う名のなああぁぁーっ!!」

目の前に立つ人間だった男が、徐々に魔物の外見へと変化する。

顔はおぞましい髑髏のように変わり、皮膚は赤みが消え灰色がかる。

教頭「……ブハアアァァ!!」

それは『ワイト』と呼ばれる、アンデッドの魔物であった。


295 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 18:04:23.99oR7oSUJYo (7/11)

魔道士「う……うぅ……っ」

学園長「……っ」

皇太子「気をつけろ、奴は最早、人間ではない」

学園長「ええ」

教頭「……ここにいる人間は、皆殺しだ」

魔道士「……っ!」

教頭「我らが同胞として、魔王様に忠節を誓うが良いわっ!」

ボコボコボコォッ!!

皇太子「な……っ!?」

教頭「さぁ、喰らうが良いわっ!!」

グール「……グ、ウゥ」

学園長「こ、この数では……っ」

皇太子「くそっ、先に生徒を避難させるぞ!」

ダッ…ズシャッ

皇太子「!?」


296 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 18:05:38.72oR7oSUJYo (8/11)

教頭「逃がしませんよ……?」

皇太子「貴様の相手は後だ!」

教頭「何を仰います。大将同士、死合いましょうよ……ククッ」

皇太子「……分かった」

カランッ

皇太子「ならば、私の命と引き換えに、生徒らを逃がしてやってくれ」

教頭「……ほぉ」

魔道士「殿下っ!!」

皇太子「君らも早く、生徒を避難させるんだ!」

学園長「何を言っているのっ!貴方は一国の……」

皇太子「そんなものは関係ない!命は皆、平等だ!!」

学園長「……っ」

皇太子「これからの時代を担う若者だその多数が私の命で救えるのなら安いものよ」

魔道士「殿下……」

パチパチパチパチッ


297 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 18:07:59.71oR7oSUJYo (9/11)

教頭「……さて、茶番劇はもう宜しいかな?」

皇太子「……」

教頭「圧倒的な戦力を持ちながら、貴方一人の命で見逃せなどと……」

スッ

教頭「愚の骨頂にも程があるっ!!」

キュイイィィ

教頭「死になさい」

ドドオオォォォォンッ!!

冷たい空気を纏った氷の魔法により、右腕が吹き飛んだ。

皇太子「……っ!!」

教頭「……貴様……ぁ」

校舎の二階部分より魔法を放った主を睨みつけ、教頭は吹き飛んだ腕を抑える。

水の先生「何をしているっ!早く剣を拾うんだ!!」

皇太子「助かった、すまん!」

水の先生「学園長っ、魔道士!生徒達を安全な場所に!」


298 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 18:08:48.03oR7oSUJYo (10/11)

学園長「水の先生っ。え、ええ……そうねっ!」

ヒュバッ……スタッ

水の先生「皇太子、いくぞ!」

皇太子「ああ、援護を……頼むぞ!」

教頭「貴様程度の魔力でえぇ!!」

着地と同時に走り出す水の先生と、並走する皇太子。

その前にて悠々と構える教頭は、再生した右腕を突き出し、魔力を高める。

水の先生「1……2……」

教頭「はああぁぁ!!」

皇太子「今だっ!!」

ババッ…ドドオオォォンッ!!

教頭「な……っ!?」

左右に分かれた二人が、白煙の中、教頭の頭上より姿を現した。

水の先生「全力で……叩き込めっ!!」

皇太子「はあぁーっ!!」


299 ◆1otsuV0WFc2011/04/01(金) 18:15:48.46oR7oSUJYo (11/11)

氷結した皇太子の長剣が教頭の頭部へと振り下ろされる。

ブオッ……ズシャアアァァッ!!

教頭「グ……ギギ……ッ」

鈍い斬撃の音が響くと同時に、教頭の身体がよろめき、体勢を大きく崩す。

水の先生「次っ!!」

皇太子「はぁ!!」

ブンッ…ガギイイィィッ!!

水の先生「まだまだぁ!!」

皇太子「あぁっ!!」

ビュオッ……ガギギイィッ!!

皇太子「今の内に行けっ!!」

魔道士「……で、でもっ」

学園長「今は二人を信じましょっ。そう簡単にやられたりしないわっ」

魔道士「……っ」

タッタッタッタッタ


300VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/04/01(金) 18:55:42.02EkDiS6VAO (1/1)

>>289

う…うそだぁぁあああああああああああああいああああいああああああああああああああ
うわああああぁぁああああぁあぁぁああいあああああああああああああああああアアアアアアアアアイアアアアアアアア



301VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/04/01(金) 20:09:13.71txl4oqJAO (1/1)

フールとは騙す方なのか、それとも騙される方なのか

なんにせよ>>1乙


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 20:17:31.63Wx5t48d40 (1/1)

1乙
びびった
オレの戦士に会えなくなるかと思ったら涙がでてくらぁ


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 21:19:57.84bb6kGDFDO (1/1)

1乙
毎日更新ありがとうございます


304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/04/02(土) 02:47:29.01JPQJGi/AO (1/1)

いちおつ
悪い冗談はやめてくれ心臓止まるわ


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 03:26:07.29/vZYHcPDO (1/1)

>>1乙
一瞬マジでびびったぜ!!!!
>>1の話を最後まで読みたいから、身体に気をつけて無理はしないペースで頑張ってください。


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2011/04/02(土) 10:09:07.98ex37+tLwo (1/1)

泣きそうになったじゃないかww
>>1乙


307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/04/02(土) 10:27:46.67Xm4XOn+Zo (1/1)

ヌクモリティ


308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/04/02(土) 11:03:05.05i4HQhB4go (1/1)

>>1乙

ところで私事で恐縮ですがHDDのデータが消えてしまいこのシリーズのdatファイルも消えてしまったのですがどなたか上げてはもらえませんか


309VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 11:17:42.70yiGtCZuXo (1/1)

普通に>>2から取得できるよ
vipのはロダにあげました


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 12:01:54.672ZH+fdIHo (1/1)

datで管理したがるんなら取得方法くらい調べとこうぜ


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 17:28:52.97XSCASjjIO (1/1)

一乙ラブリー愛してる!



312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 18:00:22.4165lklnMIO (1/1)

一瞬皇太子に変なフラグたったかとおもった


313 ◆1otsuV0WFc2011/04/02(土) 23:51:39.98Q+fQRRwGo (1/6)

教頭「……」

水の先生「さぁて、どうする?」

教頭「たった二人で……やり合おうというのかね?」

水の先生「ああ。俺らで十分だわな、皇太子!」

皇太子「ああ、そうだな」

教頭「――っ!!」

ドゴオオォォンッ!!

教頭「なめるなよ!貴様等如きに……」

キュイイィィ…

教頭「やられるとでもぉ、思うてかぁ!!」

水の先生「来るぞっ、かわせ!!」

皇太子「分かっているっ!!」

ババッ

逆上する教頭の両腕から、黒光りを帯びた雷撃が周囲へ落ちる。

教頭「貴様等に魔族化など不要つ、灰にしてくれるわぁ!!」


314 ◆1otsuV0WFc2011/04/02(土) 23:52:15.63Q+fQRRwGo (2/6)

ダダッ…ザザザザッ

皇太子「望むところよっ、毛頭……魔族化など望んでおらん!」

水の先生「ああ、その通りだ!!」

教頭「後悔させてくれるわああぁぁ!!」

ドドンッ…ドドンッ…ドドオオォォンッ!!

水の先生(……そうは言っても、俺も皇太子も……っ)

チラッ

皇太子「……ちっ!」

ババッ…スタッ…タタタッ

水の先生「かわすのがやっとか……」

教頭「チョコマカと逃げ回りおってぇ……!!」

皇太子「水のっ!!余計な事は考えるな……っ!!」

水の先生「!?」

皇太子「我らの役目は……生徒らを無事、避難させる事であろうっ」

水の先生「……ああっ、そうだな!」


315 ◆1otsuV0WFc2011/04/02(土) 23:52:47.79Q+fQRRwGo (3/6)

教頭「クッハハハハ!!」

水の先生「……?」

教頭「そう易々と……逃がすわけがなかろうがっ!!」

水の先生「忘れたのか?」

教頭「あぁ?」

水の先生「校内は結界石で守られている。魔物の侵入は不可能だ!」

教頭「……私がここで、どれ程の時間を過ごしたと思うておるかぁ!!」

グアッ

教頭「そんな事は百も承知!!だからこそ……」

皇太子「!?」

教頭「グールを使ったのだ!!校内へ辿り着く前に……殺す!!」

水の先生「どういう事……」

教頭「グールをただの人形だと思うなという事だぁ!!」

叫びと同時に教頭は頭上に両手を広げ、構える。同時に足元より、

再び複数体のグールが土の中より姿を現した。


316 ◆1otsuV0WFc2011/04/02(土) 23:53:13.43Q+fQRRwGo (4/6)

ズググッ…ドシャアァ

水の先生「またか……っ」

教頭「クックククク!!」

皇太子「……」

教頭「こやつらの身に着けている物に見覚えはないかね?」

水の先生「……?」

皇太子「馬鹿なっ!?あ、あれは……っ」

教頭「そう。国軍……魔道兵のものよっ!!」

水の先生「――っ!?」

教頭「つまりこやつ等は、アンデッドでありながら魔法も会得しているという事っ!」

水の先生「まずいっ!!学園長――」

教頭「おっと、逃がしはせん……。貴様等もグールの餌食となるがいいっ!!」

皇太子「こう囲まれては脱出は困難。ひとまずは……」

水の先生「やるしかないか……。しかしこの数、何とかなるものか……っ」

教頭「さぁ、死ぬがいいっ!!」


317 ◆1otsuV0WFc2011/04/02(土) 23:53:39.90Q+fQRRwGo (5/6)



タッタッタッタッタ

魔道士「っ!!」

学生「うっ、うわああぁぁ!!」

グール「グガアアァァーッ」

魔道士「やあぁーっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオォォッ!!

グール「ギイアアァァーッ!!」

魔道士「早く逃げて!!」

学生「あ、あああ……っ」

学園長「校内へお逃げなさい」

学生「……っ」

ガバッ…タッタッタッタッタ

学園長「それにしても……凄い炎ね」

魔道士「あれから……頑張りましたから」


318 ◆1otsuV0WFc2011/04/02(土) 23:54:52.20Q+fQRRwGo (6/6)

学園長「……」

魔道士「ここで食い止めましょうっ!」

学園長「そうね」

魔道士「さぁ、かかってきなさい!」

グール「……グウゥ」

魔道士の威圧に気圧されたのか、グール達の動きが突如止まった。

グール「……グギィ」

魔道士「……?」

学園長「魔道士さんっ、退がって!!」

魔道士「え……っ!?」

キュイイイィィ…

魔道士「魔法っ!?」

グール「グ……ウガアアァァ!!」

ドドオオォォンッ!!

魔道士「きゃあぁーっ!!」


319 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:33:41.48lymar0u0o (1/14)

学園長「まずいっ!!」

ダッ

グールの群れが放つ雷の魔法。それは魔道士と学園長の頭上を飛び越え、

校内へと走る生徒らの元へと撃ち放たれる。

魔道士「あぁ――」

学園長「……まだよっ!!」

キュイイィィ

学園長「はあぁ……っ!!」

煌く学園長の両掌から白光を帯びた無数の線が飛び交う。

それはグール達の放った魔法より、更に早い速度で生徒らの元へと迸り、

巨大な円を描き、あたかも盾のような形状と化した。

グール「――ッ!?」

バキイイィィッ!!…ドドオオォォォォンッ

魔道士「あれは……魔法結界!?」

学園長「……ふぅ、間に合ったわね」


320 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:37:44.81lymar0u0o (2/14)

グール「グウゥーッ!!」

学園長「はぁっ!!」

ドドオオォォンッ!!

グールらと学園長の魔法の攻防が続く。

学園長「……っ」

本国でも魔法力は随一と謳われた学園長ではあるが、

やはり高齢か、徐々に魔力の限界が近づき始める。

魔道士「学園長……っ!!」

学園長「生徒は……避難した……っ?」

魔道士「あ、あと少しで……」

学園長「もう……っ、頑張ってよ……私の魔力っ!」

グール「グガガカアァ!!」

学園長に比べればさほど強くはないグールらの魔法。

しかしながらそこは元国軍の魔道兵と言ったところか。数で増している彼らは、

単身、懸命に結界をはる学園長へ非情とも言える猛威をもって攻撃を仕掛け続ける。


321 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:40:27.28lymar0u0o (3/14)

学園長「くう……ぅ!」

魔道士「……学園長っ!」

ダッ

魔道士はたまらず、学園長の援護へと走った。

学園長「駄目よっ、生徒の身を守って!!」

魔道士「でも……っ」

学園長「いいからっ!!」

その時、グールらの一部が雷から新たな魔法へと手段を替える。

グール「ギキィ!!」

キュイイィィ…ドドオオォォンッ!!

魔道士「きゃっ!!」

地面が隆起し、多数の幹や枝が魔道士と学園長を取り囲む。

学園長「しまった……っ!身動きが!!」

魔道士「学園長っ、上から……っ」

グール「キャハアアァァ!!」


322 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:44:10.58lymar0u0o (4/14)

魔道士「させないっ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴアオオオォォ!!

学園長「早くこの……木を何とかしないとっ」

魔道士「私が……っ」

学園長「魔道士さんっ、後ろ!!」

魔道士「!?」

ドドオオォォンッ

魔道士「集中できない……っ」

学園長「こちらも……結界で精一杯……」

次々と迫る魔法を跳ね除ける。それだけでも高等な技術と言えようこの中で、

身動きを封じるように囲まれた土行のそれを打破する事は困難であった。

魔道士「何とか……方法を……っ」

学園長(結界を一度解除すれば、生徒らに危険が及ぶ……。どうすれば……」

その時、木の枝の一画から火の手が突如上がり始めた。

魔道士え……っ!?」


323 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:46:42.43lymar0u0o (5/14)

ゴアオオオォォ!!

魔道士「っ!!」

学園長「敵!?違う……っ、これは……」

ザザッ

火の先生「学生は皆、校内へ入りましたぞ!」

魔道士「火の先生!!」

学園長「魔道士さん、先に脱出してっ」

魔道士「は、はいっ!」

ガバッ…タッタッタ

火の先生「魔道士っ、大丈夫か!?」

魔道士「助かりました!でも、まだ学園長が……っ」

火の先生「なぁに、任せておけ!お主は殿下と水の援護へ戻れ!」

魔道士「!?」

火の先生「生徒が避難した今、ここはワシと学園長で十分防げる!」

魔道士「……わ、分かりました!」


324 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:49:38.29lymar0u0o (6/14)

ダッ

火の先生「5分……いやぅt、3分凌げ!」

魔道士「……?」

火の先生「奴がすぐに駆けつける!それまで……」

魔道士「奴……?」

学園長「……孫よ」

魔道士「!!」

学園長「……全く、あの子はいっつも遅刻なんだから」

魔道士「分かりました……やってみます!」

タッタッタッタッタ

火の先生「さぁ学園長!このまま一気に片付けますぞぉ!!」

学園長「ええっ。魔道学校の力……見せてやりましょう」

火の先生「そぉら、かかってくるがいい!!」

学園長「手加減は……しないわよっ」

グール「グガガァーッ!!」


325 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:51:59.36lymar0u0o (7/14)



ガキイイィィンッ…バチィッ!!

皇太子「……っ」

教頭「さぁ、どうしました?もう鬼ごっこは終わりですかな?」

水の先生「まだまだぁ!!」

教頭「ふんっ」

キュイイィィ…ガカアアァァ!!

水の先生「ぐわあぁーっ!!」

皇太子「水のっ!!」

教頭「ククッ、貴方と何年……一緒に過ごしたとお思いかな?」

ドシャッ…ズズッ

水の先生「ぐ……くっ」

教頭「手の内は全て、把握済みですよ……水の先生」

ザッザッザ…ザッ

教頭「……では、死になさい」


326 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 01:54:26.69lymar0u0o (8/14)

キュイイィィ……ドドオオォォォォンッ!!

教頭「――っ!?」

皇太子「……魔道士っ!!」

魔道士「はぁ…はぁ……はぁ……っ」

教頭「……性懲りもなく、戻ってきたか」

皇太子「何故、戻ってきた!?」

魔道士「生徒さんなら……みんな大丈夫です!」

皇太子「……」

魔道士「あとはお二人だけ……」

皇太子「退くわけにはいかぬな」

水の先生「……あ、あぁ。ここまでやられて……黙っていられるかっ」

教頭「しつこい奴等ですね。まぁいいでしょう」

スッ

グール「……ググゥ」

教頭「三人まとめて、片付けてしまいなさい」


327 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 02:00:38.71lymar0u0o (9/14)

皇太子「魔道士っ、炎を!!」

魔道士「はいっ!!」

キュイイィィ…ドドオオォォォォ!!

皇太子の手にする長剣が灼熱の炎へと染まりはじめる。

教頭「ちぃ……っ」

皇太子「すまんな……。土に還ってくれ!」

ズバシュッ!!…ゴアオオォォ

グール「ギイアアァァーッ!!」

ズシャアァ

皇太子「はあぁーっ!!」

次々と襲い掛かるグールを、炎の剣で一刀の下に斬り伏せていく皇太子。

炎に包まれ灰と化すかつては人間であった魔物。その消滅を眉間に皺を寄せ、

無念の表情で一人一人を見送る。それは即ち、魂を開放するに同じであった。

その隙を突いて皇太子を狙うグールにおいても、魔道士と水の先生の援護で徐々にその数を減らした。

水の先生「……まだ、この程度の事は出来るっ!」


328 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 02:10:25.33lymar0u0o (10/14)

教頭「…………」

魔道士「やあぁ!!」

水の先生「でっりゃあぁ!!」

皇太子「……次っ!!」

教頭「……くそっ、くそっ、くそおおぉぉ!!」

ゴゴオオォォッ!!

魔道士「っ!?」

水の先生「魔力が……上昇している!?」

教頭「貴様等如きにワイトと化した……この私がああぁぁ!!」

ズザァッ…キュイイィィィィ

教頭「負けるわけが……ないのだああぁぁ!!」

皇太子「まずいっ!!」

水の先生「全魔力を撃ち放つつもりか……っ」

教頭「死ねええぇぇーっ!!」

――「……させないよ……ふぅ」


329 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 02:13:14.63lymar0u0o (11/14)

教頭「――なっ!?」

膨大な魔力を練りこみ、一挙に解き放とうとした教頭。

しかし、突如足元に現れた魔法陣により、その魔力をかき消される。

教頭「力が……消え……」

ザッザッザ

皇太子「あれは……っ」

水の先生「ようやく来てくれたか…!!」

魔道士「……賢者さんっ!?」

ザッ

賢者「……面倒な事は嫌いだ……ふぅ」

教頭「貴様……っ」

賢者「これでもう魔法は使えないよ……ふぅ」

教頭「くっそおおぉぉーっ!!」

ガバッ!!…ダンッ

教頭「ならばぁ!!魔物と化した肉弾で貴様を……潰すぅ!!」


330 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 02:16:37.74lymar0u0o (12/14)

魔道士「賢者さんっ!!」

賢者「やれやれ。これはどうしようもないな……ふぅ」

迫り来る教頭の攻撃をかわすでもなく、賢者は無表情のままその攻撃を受ける。

受けるといっても防御するわけでもなく、ただその攻撃を棒立ちで待つのみであった。

教頭「ハーッハハハハハアアァァ!!」

グオッ……ザシュウゥッ!!

魔道士「――!?」

皇太子「くそっ!!」

賢者「……ごふぅ」

鋭くとがった教頭の右腕が賢者の腹部を容易く貫く。

教頭「……バカめっ、よけもせぬとは自殺願望か?」

賢者「……」

キュイイィィ…パアアァァ

皇太子「あれは……」

水の先生「回復魔法!!」


331 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 02:20:13.93lymar0u0o (13/14)

魔道士「すご……っ。水があっという間に癒えて……」

賢者「……悪いが、よけるまでもないのさ……ふぅ」

教頭「そうだったな、貴様は賢者であったな」

ズボォ…ビシャッ

教頭「だが、知っているぞ」

賢者「……」

教頭「賢者は攻撃と回復、どちらの魔法をも駆使する事が可能」

賢者「……そうだよ……ふぅ」

教頭「しかしそのスイッチの為、攻防の間にラグが生じるっ!!」

ヒュオッ…ズボォ!!

教頭「つまりはぁ!攻撃し続けておればぁ、貴様は手出し無用っ!!」

賢者「……だから?」

教頭「その間に……あの3人を殺す」

再び腹部を貫いた右腕をそのままに、左腕に魔力を溜める教頭。

教頭「奴等葬った後にぃ……貴様を!!」


332 ◆1otsuV0WFc2011/04/03(日) 02:23:26.01lymar0u0o (14/14)

ガシッ

教頭「……?」

賢者「悪いね……ふぅ」

キュイイィィ…

教頭「な……に……!?」

賢者「僕を、世間の常識で……」

教頭「何故っ、攻撃魔法が……!?回復魔法を使っているのではないのかあぁ!?」

賢者「比べないでくれ……ふぅ」

教頭「やっ、やめ……っ!!許し――」

賢者「さよなら……ふぅ」

ドドオオォォォォンッ!!…ガカアアァァァァ!!

魔道士「あれは……五行の光……っ」

水の先生「完全に……消滅した……」

皇太子「何と言う魔力の使い手かっ」

賢者の撃ち放った聖行。それは微弱ながら教頭を消滅させるに十分な一撃となった。


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/03(日) 02:42:11.88ZWtoHYhAO (1/1)

ワクワクテカテカ


334VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/03(日) 02:46:53.92AK1IWMl1P (1/1)

ワイトワイトコウ300シュ200


335VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/04/03(日) 02:50:53.43nRYgiY960 (1/1)

賢者は俺らの希望の星だな。


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/04/03(日) 02:54:52.13UnI+iLvAO (1/1)

いちおつ

リアルタイムに見てる奴大杉ワロタwwww


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/03(日) 02:58:07.09ybRIRKnao (1/1)

ふぅ…


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/03(日) 03:11:03.90lRKdDV0Vo (1/1)

>>1乙
賢者強すぎ!というか回復魔法すげーな!
よくあるRPGの設定だと「自己の生命力を最大限に引き出す」為、致命傷では回復出来ない事が多いけど
賢者の回復はまさに魔法だな!

…ふぅ


339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/04/03(日) 05:20:15.783hywo0l2o (1/1)

>>1乙

ふぅ…



340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/04/03(日) 08:43:47.311Wghd/PAO (1/1)

>>1おつ


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/04/03(日) 09:29:47.13KpSoub1b0 (1/1)

いちょつごふぅ


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/04/03(日) 10:54:50.45+WMKY8ZAO (1/1)

なんという賢者無双


343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/03(日) 12:24:26.66R9bLQIKDO (1/1)

ふぅ…

>>1乙


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/04/03(日) 18:51:47.01W3+aEIGAO (1/1)

>>1おふぅ…


345 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:21:14.79TFj1pllFo (1/14)

オオォォォォ…

賢者「……ふぅ」

水の先生「倒した……のか……」

皇太子「そのようだな」

タッタッタ

魔道士「賢者さんっ、大丈夫……」

賢者「問題ない……ふぅ」

ザッ…スタスタスタ

皇太子「しかし、あの男も教師の一人なのか?」

水の先生「ああ。学園長の孫さ」

皇太子「何っ!?」

魔道士「じ、じゃあ……天才さんの言ってた孫って……」

皇太子「……道理で、大した男だ」

水の先生「俺達も校舎へ向かおう。まだ完全に終わったわけではないからな」

魔道士「……はいっ」


346 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:22:10.85TFj1pllFo (2/14)

タッタッタッタッタ

魔道士「あぁっ!?」

水の先生「学園長!!」

学園長「……く……くうっ」

火の先生「いいところに来てくれた!手を貸してくれっ!」

皇太子「!?」

水の先生「あの塊は……!?」

ザッザッザ

賢者「魔力同士が均衡し、燻っているのさ……ふぅ」

魔道士「あ、あれが全部……魔力!?」

人間側と魔物側、双方の間に浮かぶ巨大な球体。

さまざまな色を発し、空間は歪み、時に火花を散らし、時に雷鳴を轟かせている。

皇太子「あんなものが降りかかってきたら……」

水の先生「結界石などお構いなしに……全てが消し飛ぶぞっ!」

魔道士「ど、どうすれば……っ」


347 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:23:00.95TFj1pllFo (3/14)

賢者「押し返す以外に方法はないね……ふぅ」

水の先生「押し返すとは言っても、劣勢……」

火の先生「だから、手伝えと申しておろうっ!」

魔道士「……やりましょう!」

水の先生「私はおろか、魔道士と賢者が加われば……っ」

賢者「仕方ない……ふぅ」

キュイイィィィィ

火の先生「おぉっ!押し返し始めたぞ!!

学園長「このままっ、一気に……」

ザザッ!!

火の先生「なぁっ!?」

皇太子「あれは……先程のグールかっ!」

水の先生「まだいたのか……っ」

グール「ゲギャアアァァーッ!!」

残党のグールが加わり、押し始めた魔力は再び、劣勢へと傾く。


348 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:23:44.97TFj1pllFo (4/14)

火の先生「馬鹿もんっ、押されておるぞ!気合い入れんかっ!!」

水の先生「……文字通り、腐っても元国軍の魔道兵か」

魔道士「くうぅ……っ!」

グール「グガガアアァァ!!」

学園長「やられて……なるものですかっ!!」

ゴゴゴゴゴゴ

賢者「手強いね……ふぅ」

水の先生「賢者がいてこれか……。アイツら、大したもんだよ」

火の先生「死してなお、これ程の魔力……」

水の先生「生前にかなりの鍛錬を繰り返したのだろうな……」

火の先生「ああ。魔王を倒す事を夢見てなぁ」

水の先生「賢者っ、それで全力なのか!?」

賢者「さっき、結構な魔力を消費したからね……ふぅ」

水の先生「何か……決め手があれば……」

皇太子「……私が行こう」


349 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:25:43.14TFj1pllFo (5/14)

魔道士「!?」

水の先生「皇太子!?」

バッ

皇太子「……」

ザザザッ…タッタッタッタッタ

水の先生「何してるっ!?戻るんだ!!」

皇太子「奴らは今、魔法で全力を注いでいるっ!」

ザザッ…チャキッ

皇太子「つまり、剣による攻撃に於いては……」

ズバシュッ…ドシュッ…ズババッ!!

皇太子「隙だらけだっ!!」

グール「グギャアアァァーッ!!」

皇太子「はあぁーっ!!」

ザシュッ…ドシュッ…キィン…ザシュウウゥゥ

皇太子「……次ぃ!!」


350 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:26:24.81TFj1pllFo (6/14)

火の先生「殿下……っ!!」

魔道士「え、援護を……っ」

水の先生「駄目だっ!」

魔道士「!?」

水の先生「今ようやく、魔力が均衡したのだ。一人でも抜ければまた押される」

魔道士「……っ」

水の先生「それに奴とて、魔法が使えないなりに、自分の出来る事をしているのだ」

学園長「……」

水の先生「今は皇太子を信頼し、魔法に集中するんだ!」

魔道士「……はいっ!」

賢者「……しかし、困ったねぇ……ふぅ」

学園長「あと少しっ、少しでいいから魔力があれば……」

ブウウゥゥン…キュイイィィィィ…

魔道士「え……っ!?」

水の先生「あ……れは……っ!!」


351 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:29:22.15TFj1pllFo (7/14)

宙で均衡し燻っていた魔力が、徐々にグールの群れへと押し返し始める。

学園長「何……故っ!?」

火の先生「……あやつらっ!!」

その押し返す力は校内の至る窓から輝きを放ち、球体へと伸びていた。

学生「先生方が頑張ってるんだ……っ!俺だって……」

女学生「助けになるか分からない。でもっ、私だって将来は魔道士にぃ!!」

ドドオオォォンッ

学園長「あの子達……っ」

水の先生「バッカやろう……。危険だって言うのに……」

火の先生「……こんの、馬鹿者がぁ!!」

学生「――!?」

火の先生「いつも言っておるだろう!?魔法は心の強さっ!!」

女学生「……っ!!」

火の先生「もっと気合いを入れて、感情を高めんかぁ!!」

学生「……はいっ!!」


352 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 00:33:24.54TFj1pllFo (8/14)

空が白く光っていた。

賢者「……ふぅ」

魔法の巨大な球体は生徒らの援護により、一気に校外へと弾き出された。

水の先生「皇太子っ!!戻れぇ!!」

皇太子「……ああっ」

いつのまにか淀んだ色は、球体から消え去り、煌びやかに輝いていた。

火の先生「うおおぉぉーっ!!」

学園長「これで……おしまいよっ!!」

そして球体は、グールの群れが身構える、その頭上に降り注いだ。

グール「ギギャアアァァァァ――」

魔道士「……っ!!」

空が白く光っていた。

その白い光に包まれ、軍服を着た元魔道兵達が包まれていった。

表情は変わらなかったし、言葉も発す事はなかった。

だが、彼らから『ありがとう』、という想いが確かに発せられていた。


353VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 07:50:49.60YYMUiltDO (1/1)

おつ


354VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2011/04/04(月) 08:25:27.815plelkT0o (1/1)

>>1おつ
はらはらさせられるなぁ


355 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:26:31.88McVc3/fDo (1/40)

コオオォォォォ…

学園長「…………」

皇太子「終わったな」

魔道士「……ええ」

ドサァ

火の先生「ふはぁ、しんどいわい……っ」

水の先生「まさかこのような所まで狙われるとはな……」

皇太子「これは由々しき問題だな」

魔道士「……?」

皇太子「まさか、実力行使で挑んでくるとはな」

水の先生「魔王軍も本気って事か?」

皇太子「いや、今まであれだけ秘密裏に進めていたのだ……」

魔道士「つ、つまり……?」

皇太子「これは焦り、だな」

魔道士「焦り……」


356 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:26:57.59McVc3/fDo (2/40)



皇太子「さて、行くとしようか」

水の先生「おいおい、まだ1時間も経ってないってのに……」

皇太子「うむ。しかし、本国の方も気になるのでな」

学園長「賢者、貴方は殿下にお付きなさい」

賢者「断る権利はなしか……ふぅ」

皇太子「すまんな、短い期間だが宜しく頼む」

魔道士「賢者さんが居れば、怖いものなしですよっ!」

賢者「……ふぅ」

皇太子「再度仕掛けてくる事はないと思うが、くれぐれも気を付けてな」

火の先生「ええ。生徒は校内へ避難したし、他の先生方も出勤するでしょうから……」

水の先生「もう大丈夫だろう。俺達の学園だ。あとは任せてくれ!」

皇太子「うむ。すまんな」

水の先生「何を言っている、自分のすべき事をしているだけさ」

皇太子「……」


357 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:27:26.96McVc3/fDo (3/40)



水の先生「それじゃ……またな」

皇太子「ああ」

魔道士「行ってきます!」

学園長「賢者、二人をしっかりね」

賢者「……お婆様の頼みだ、分かっているよ……ふぅ」

水の先生「生きて必ず会おう。そして……」

皇太子「同窓会、誘ってくれよ」

水の先生「無茶言うなよっ、国王陛下になるんだろ?こっちから誘えるものか」

皇太子「そうか、ならば王宮で催すとしようか」

水の先生「それも……キツイな」

皇太子「それでは失礼するぞ」

バサッ…ザッザッザッザ

火の先生「殿下っ、人目だけでも振り向いてやって貰えませんかっ!?」

皇太子「……?」


358 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:27:59.41McVc3/fDo (4/40)

クルッ

皇太子「……っ!!」

ワアアァァァァ

学生「殿下っ、殿下っ、殿下ー!!」

女学生「私達も頑張りますからっ!!」

水の先生「あいつら……っ」

皇太子「……頼もしい限りではないか」

魔道士「ええ……!」

皇太子「あの子らの暮らす世を平和にする為にも、頑張らねばならんな」

魔道士「はいっ!」

ザッザッザッザッザ

魔道士「それで、これからどこへ……?」

皇太子「先程の魔物、おそらくは学園狙いではない。我らを狙ったのであろう」

魔道士「!?」

皇太子「一箇所に留まるのは危険だ。それに……他の地も何もなければ良いが……」


359 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:28:33.06McVc3/fDo (5/40)

~剣士の村~

パッカパッカッカ

少年「おっ、立派な馬車だ!きっと金持ちだぜ!」

少女「村長のお客さんかなぁ?」

カチャッ…テクテクテク

少女「こんにちはっ!」

右大臣「おぉ、こんにちは。元気かな?」

少年「おうっ!おっちゃん何者だい?村長に用?」

右大臣「ああ。村長はいるかな?」

少女「家に居ると思うよー!」

右大臣「そうか、ありがとうよ」

テクテクテクテク

右大臣「……」

コンコンッ…カチャッ

村長「……!?」


360 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:29:01.51McVc3/fDo (6/40)



右大臣「すまんな、急な来訪で」

村長「いや、構わんさ」

カチャカチャッ…コトッ

村長「それで、今日は一体どうしたというのだ?」

右大臣「……」

村長「陛下が亡くなったそうだな。その件についてか?」

右大臣「……もう伝わっておったか」

村長「こんな田舎の村にまで入っている。おそらくは全土に伝わっておるよ」

右大臣「そうか……」

村長「何か深刻な事態のようだな」

右大臣「……かつて、お前に預けた箱を覚えておるか?」

村長「箱……あぁ、随分前に預かったな。確か誰にも知られてはならんと……」

右大臣「ようやく必要な時が来た。それを貰いにきたのだ」

村長「……あの箱、一体何なのだ?」


361 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:29:58.25McVc3/fDo (7/40)

右大臣「あれは世界をも変える力を持つ、危険なものだ」

村長「……」

右大臣「さぁ、あまり時間がない。頼む」

村長「……ついてくるが良い」

スクッ…テクテクテク

二人は村長の家を離れ、村外れにある小さな教会へと向かった。

右大臣「ここに……?」

村長「お前の頼みだ。決して知られる事のないように保管しておるよ」

右大臣「……ありがたい」

村長「こっちだ」

テクテク…ザッザッザ

村長「礼拝堂の壇の下。少し安直やもしれんがな」

右大臣「!?」

ズズッ…ゴトンッ

村長「……これだったな」


362 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:30:27.72McVc3/fDo (8/40)

コトッ

右大臣「……おぉ」

村長「これはどういった物なのだ?」

右大臣「……亡き陛下の意思を記したものよ」

村長「!?」

カチャッ…

村長「紙の束……手紙かっ!?」

右大臣「重臣へ一人一人向けた、陛下の想いを込めた直筆の手紙よ」

村長「何と……っ」

右大臣「陛下ほど人の和というものを重んじた方もおらなんだ……」

村長「……」

右大臣「こうなる日が来る事も全く考えてなかったわけではない」

カサッ

右大臣「自身亡き後に生じる派閥問題、後継者争い……」

村長「その時を見越して……これを……っ」


363 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:31:03.22McVc3/fDo (9/40)

右大臣「そういう事だ。陛下の御心を知れば皆とて――」

バンッ…カツカツカツ

右大臣「――っ!?」

左秘書官「そういう事でしたか……」

右大臣「貴様……っ」

村長「な、何事だ……!?」

左秘書官「左大臣様の命により、このような辺境の地へ来てみれば……」

カツカツカツ…コツ

左秘書官「何やら、面白い事になっておりますね」

右大臣「貴様には関係のない事であろうっ!」

左秘書官「……ふっふ、クッハハハハ!!」

村長「!?」

左秘書官「どうでしょう、それを大人しくお渡し頂けませんかね?」

右大臣「馬鹿な事を申すなっ!」

左秘書官「大人しく渡せば、痛い目は見ずに済みますよ?」


364 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:31:33.30McVc3/fDo (10/40)

村長「右大臣、これは……っ」

右大臣「……っ」

左秘書官「左大臣様から、魔族化解禁の承認は得ている」

カツカツカツ

左秘書官「しかしね、私も手荒な真似は極力したくはないのですよ」

村長「どうせ渡したとしても、村を滅ぼすつもりなのだろう!?」

左秘書官「お望みとあらば……」

村長「貴様は……人ではない!恥を知るがいいっ!」

左秘書官「人ではない……クハハッ、それは褒め言葉ですね」

右大臣「貴様らは何をそこまで……」

左秘書官「左大臣様のお考えは存じ上げません」

右大臣「……」

左秘書官「しかし、あの御方が魔物と通じていると知った時、衝撃が走りましたよ」

村長「何じゃとぉ……っ!」

左秘書官「人と魔物が共存するこの世界、必要な物は……戦い!」


365 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:32:46.34McVc3/fDo (11/40)

右大臣「……」

左秘書官「人は戦う為に武具を生み出し、魔物を狩る」

村長「……っ」

左秘書官「そして失えば再び作り上げ、それを売り、そして買う」

右大臣「何を……」

左秘書官「経済を発展させ、町を築き生活を始める……」

カツカツ…カツ

左秘書官「そして魔族はそれを遅い、人間は再び町を作り直す」

右大臣「何を言っている!何が望みだっ!」

左秘書官「この卓越した経済!それを操る事こそが我らのようなものにとって……」

カツ…ザッ

左秘書官「至福の時とは思えませんか!右大臣殿っ!」

右大臣「お前は狂っておる……。人間の命を何だと思っているのだ」

左秘書官「人はいずれ死にます。魔族のようにはいかない」

右大臣「だから守るのであろうっ!!」


366 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:33:25.43McVc3/fDo (12/40)

左秘書官「守ったところで直ぐに死ぬっ!!」

ザッ

左秘書官「……このようにね。クククッ」

村長「――っ!!」

教会の扉から光が入り込む。そこに立つ数人の国軍兵、であった者。

彼らの右手には鋭い剣。そして左手には……小さな子供達。

少年「離……っせよぉ!お前ら国軍だろ!?」

少女「やだよぉ、降ろしてっ!!」

村長「やっ、やめろぉ……やめてくれっ!!」

左秘書官「さぁ、大人しく箱を渡す気になりましたかね?」

右大臣「……っ」

左秘書官「守ってみせるのでしょう?人間の命とやらを」

右大臣「……下衆が」

ポイッ…ゴトゴトゴトッ

右大臣「約束しろ、村の者らには手を出さぬとな」


367 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:38:24.55McVc3/fDo (13/40)

左秘書官「……」

カツカツカツ…コトッ

左秘書官「これが箱……。ククッ、確かに頂きましたよ」

スゥッ

左秘書官「引き揚げるぞ」

ゾンビ「……」

ザッザッザッザッザ

村長「まっ、待て!!」

ザザッ…タッタッタッタッタ

村長「子供達を……解放しろっ!!」

右大臣「箱は渡したぞ!!」

左秘書官「……」

クルッ

左秘書官「……不愉快だな」

右大臣「!?」


368 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:39:02.56McVc3/fDo (14/40)

左秘書官「もっと絶望的な顔を見せて下さいよ」

ザッザッザ

左秘書官「最早、打つ手なしなのですよ?貴方達……右翼はね」

ザッザッザ

左秘書官「何故、いつまでも諦めぬのか。何故、そのような顔でいられるのか」

右大臣「諦めたらそこで終わりだからじゃよ」

左秘書官「……」

右大臣「一抹の希望がある限り、諦めるわけにはいかんのだ!!」

左秘書官「……おい」

ザッ

ゾンビ「……」

左秘書官「この思想家に現実を突き付けてやろう」

村長「!?」

左秘書官「……まぁ、元よりそのつもりではあったがね」

右大臣「くっ!!」


369 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:39:38.40McVc3/fDo (15/40)

左秘書官「辺境の村が1つなくなったところで、また作り直せば良いだけの事です」

村長「たっ、頼む……やめてくれっ!!」

左秘書官「その方が、経済も豊かになる。フッククク」

ゾンビ「……」

左秘書官「……殺れ」

ゾンビ「……ギヒッ!」

右大臣「――っ!!」

村長「やめ――」

ドドオオォォォォンッ…シュウウゥゥ

左秘書官「……?」

ゾンビ「……グ……ギャアアァァ!!」

抱え挙げた少女を突き刺そうと、ゾンビが長剣を振りかざした途端、

その両腕が吹き飛び、煙を上げて地面へと落ちる。

左秘書官「何が……起きた……!?」

それは魔法によるもの。その主は剣を向けられていた少女であった。


370 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:40:09.17McVc3/fDo (16/40)

右大臣「何と……っ」

村長「……幼女!!」

幼女「……許せない」

ストッ…テッテッテ

幼女「みんなを……離しなさいっ!!」

キュイイィィィィ

左秘書官「ちぃ……っ!!」

ドドオオォォォォンッ!!…ゴアオオォォォォ

ゾンビ「ギヒアアァァーッ!!」

ボトボトボトッ…ズシャアアァァ

幼女「みんなっ、大丈夫!?」

少女「けほけほっ!」

少年「さっすが幼女ちゃん!助かったぜぃ!」

幼女「早く離れてっ!」

少年「おうよっ!みんな、逃げるぞー!」


371 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:40:40.52McVc3/fDo (17/40)

タッタッタッタッタ

左秘書官「ガキがぁ……っ」

幼女「はああぁぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ガカアアァァァァ

右大臣「炎の次は落雷っ、しかも何という魔力か……っ」

幼女「みんなには、近づけさせないんだからぁ!」

ドドオオォォンッ!!…ズガアアァァァァ

左秘書官「ぐ……がああぁぁ!!」

ブスブスブスッ…ヨロッ

左秘書官「く、くく…っ。肉体が持たぬ……」

ズザッ

幼女「はぁ……はぁ……っ」

左秘書官「躊躇なく攻撃してくるとは。子供は無邪気なものよ……ククッ」

村長「なっ、何だ!?」

左秘書官「良かろうっ、どうせ肉体は持たぬ。私は……人間をやめるぞおぉ!!」


372 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:41:22.11McVc3/fDo (18/40)

グアッ…メキメキメキッ…ボゴォッ!!

右大臣「魔族化かっ!!」

幼女「えっ、えぇ!?」

村長「幼女っ、お前も早く逃げるんじゃ!!」

右大臣「……っ!!」

左秘書官「……さぁ、楽には殺さんぞ。己の無力さを痛感するがいいわっ!!」

ザッ

左秘書官「まずは……この箱を消し去ってくれるわ」

右大臣「――っ!!」

左秘書官「クッハハハ!!灰と化すが良いわぁ!!」

フォンッ!!

左秘書官「何ぃ!?」

風を切る音と共に、一本の矢が左秘書官の腕を射落とす。

ドシュッ!!……ゴトンッ

右大臣「箱が……っ!!」


373 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:41:57.21McVc3/fDo (19/40)

タッタッタッタ…ガシィッ

左秘書官「貴……様ぁ!よこせっ!!」

ヒュオンッ…ドスドスッ!!

左秘書官「ぐうっ!?……な、何だ……この矢は!?」

――「結界石でこさえた鏃よ。そう簡単には抜けないでしょう?」

ザッザッザ

左秘書官「何者だぁ…?」

村長「お、お主……っ」

幼女「……お母さんっ!!」

弓使い「幼女、下がっていなさい」

幼女「いやっ!」

弓使い「!?」

幼女「私も……戦うっ!」

弓使い「あなたねぇ……」

幼女「……」


374 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:42:30.97McVc3/fDo (20/40)

弓使い「……分かったわ。でも、後ろに下がってて頂戴ね」

幼女「うんっ」

弓使い「そして、お父さんの援護をお願いねっ!」

幼女「うんっ!!」

ガバッ!!…ジャキッ

剣士「はあぁーっ!!」

左秘書官「何ィ――!?」

突如背後から現れた剣士は、そのまま剣を振り下ろす。

虚を突かれた左秘書官は回避するコトが出来ず、その一撃を肩に受けた。

ザシュウウゥゥ

村長「やったか!?」

剣士「……いやっ、この手ごたえ……やはり不死か」

左秘書官「……グ…ヌヌゥ」

ヨロッ……スタッ

左秘書官「まだゴミが居たのか。全く気付かなかったわ……」


375 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:43:19.99McVc3/fDo (21/40)

ザザッ

剣士「村長っ、右大臣様!ご無事でっ!?」

右大臣「かたじけない……っ」

村長「ま、まだ子供達が……」

剣士「それならばゴ安心下さい」

村長「……?」

パッカパッカパッカパッカ

白馬騎士「子供達は我が騎馬隊が無事、保護致しました」

村長「お、おぉ……!!」

右大臣「あれは南東国の……!!」

剣士「残るは貴様だけだ」

左秘書官「……クッフフフフ。小賢しい、実に小賢しい!」

グアッ

左秘書官「不死となったこの私相手に……どう戦うというのかねっ!!」

剣士「……っ」


376 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:43:47.66McVc3/fDo (22/40)

ブオッ…ドズウウゥゥゥゥン!!

剣士「……」

左秘書官「ほらほらっ、逃げてばかりではどうにもなりませんよっ!!」

剣士「…………」

左秘書官の言う事は、あながち間違いではなかった。

剣士や弓使いの通常攻撃では、致命傷を与える事は難しい。

可能な手段はあくまで、幼女の援護を受けての魔法付加。

幼女「たあぁ!!」

ドドオオォォンッ!!…ゴオオォォォォォ

剣士「っりゃああぁぁ!!」

ズバシュッ!!…ゴアアァァァァッ

左秘書官「再生に無駄な魔力を消費しますが、この程度、大した事はありませんよ!」

剣士「……っ」

炎による魔法剣を浴びせるも、左秘書官の胸部は即座に再生し、

再び反撃へと転じる。剣士はそれを冷静に、そして器用に回避する。


377 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:44:40.44McVc3/fDo (23/40)

ヒュッ…スタッ…タッタッタッタ

左秘書官「さぁさぁ、どんどんいきますよぉ!!」

キュイイィィィィ…

弓使い「幼女っ!」

幼女「はいっ!」

ビュオッ…ドドオオォォォォン

魔法を放とうと身構える左秘書官の両手に氷の矢が突き刺さる。

ガギキキイイィィ

左秘書官「……」

剣士「はああぁぁーっ!!」

ザシュウウゥゥ

左秘書官「だから、無駄だと言っているでしょう……」

ズザザァ…スタッ

剣士「……はぁはぁ……はぁ」

左秘書官「それとも、私が再生不能になるまで、魔力を削り続けますか?」


378 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:45:28.71McVc3/fDo (24/40)

剣士「……くっ」

左秘書官「三日三晩戦い続ければ、それも可能やもしれませんねぇ」

右大臣「確かに、左秘書官の言う通りだ……っ」

村長「だがっ、どうする!?」

右大臣「アンデッドを完全に葬り去るには、五行の力以外にない」

村長「……っ!!」

右大臣「だが、我らの魔力ではおろか、あのような少女では……」

村長「負担が大きすぎる!微弱な五行でも命にかかわるぞ!」

右大臣「分かっておる。だからこそ八方塞がりなのじゃ……っ」

村長「ならばっ、奴が言うように三日三晩戦い続けろと!?」

右大臣「…………」

パッカパッカパッカ

白馬騎士「さぁ、お二方もお退き下さいませ」

村長「儂はこの村の長。おめおめと逃げるわけにはいきませぬわ」

白馬騎士「しかしですね……」


379 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:46:07.54McVc3/fDo (25/40)

村長「この村は我が命。直せば良いやもしれぬが、そんな簡単なものではない」

白馬騎士「……」

村長「それに、ここに住まう者らは我が家族も同様。失えば取り戻せるものではない!」

右大臣「その通りだ」

白馬騎士「……」

右大臣「時に白馬騎士殿、貴公は魔法を扱えるかな?」

白馬騎士「……氷の魔法であれば、多少は」

村長「どうするつもりだ?」

右大臣「残す手は、合体魔法以外あるまい……っ」

村長「どうやって……」

右大臣「私とお前、そして白馬騎士殿」

村長「それに、幼女と……弓使いか?」

右大臣「剣士殿を媒介に、それで仕掛けるしかあるまい」

村長「そんな間に合わせの五行で成功するものかっ」

右大臣「他に手はないのだっ」


380 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:46:37.40McVc3/fDo (26/40)

村長「魔力を均一に押さえ込まねば……暴走するぞ」

右大臣「……」

村長「そしてしくじれば、それは媒介者の元へ、全て跳ね返る……っ」

右大臣「……」

白馬騎士「……剣士殿なら大丈夫でしょう」

村長「……?」

白馬騎士「あの者の強さはその柔軟性にある」

村長「ど、どういう事かな……?」

白馬騎士「微量の誤差ならきっと、修正可能なはずですよ」

右大臣「……どうする?決断はお主が下すが良い」

村長「……っ」

右大臣「この村や、彼らはお前自身も同じなのだろう!?」

村長「……剣士っ、弓使い……幼女!!」

剣士「!?」

弓使い「な、何っ!?」


381 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:47:38.26McVc3/fDo (27/40)

剣士「……行くぞっ!」

幼女「えっ!?」

弓使い「でもっ、魔物が……」

白馬騎士「突撃ぃーっ!!」

騎馬兵「おぉーっ!!」

ドドッドドッ…

左秘書官「何だ……?」

村長の呼び掛けに応じ反転する剣士らと同時に、白馬騎士の号令にて

騎馬隊が入れ替わるように左秘書官へと一気に突撃する。

白馬騎士「しばしの間で良い!華国騎馬隊の意地を……見せてやれっ!」

騎馬兵「おおうっ!!」

ドドッドドッ…ガキイィィン

左秘書官「何かするつもりだな……?小賢しいっ!!」

騎馬兵「進ませるかっ!!足止め程度なら……我らとてっ!!」

左秘書官「無力な蟻のような分際で……生意気な口を叩くなぁ!!」


382 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:48:37.09McVc3/fDo (28/40)

ドドオオォォンッ!!

剣士「!?」

白馬騎士「振り返るな!」

剣士「……っ」

タッタッタッタッタ…ザザッ

右大臣「良いか、時間がない。手短に話すぞ」

弓使い「……」

右大臣「奴はアンデッドと化している。倒すには五行以外にない」

幼女「……っ」

右大臣「剣士、君を媒介として他の者で同調五行を放つ」

村長「おそらく、完全に均一するとは思えぬ」

白馬騎士「剣士殿、最終調整は君自身の魔力で均等化してくれ」

剣士「……僕に、出来るでしょうか?」

白馬騎士「君なら出来る。間違いなくな」

剣士「……」


383 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:49:29.81McVc3/fDo (29/40)

右大臣「良いか、奴は狡猾な男だ。チャンスはたった一度きり」

白馬騎士「私が水行を担当します」

弓使い「私は……風以外、自信がないわ……っ」

村長「儂が金行……雷を引き受けよう」

右大臣「幼女ちゃん、君は?」

幼女「じゃあ……土」

右大臣「では、私が火。これでいこう」

白馬騎士「合図はいかがなさるので?」

村長「弓使い、お前がまず、矢を空へ放ってくれ」

弓使い「……?」

村長「それが着地を合図に、一斉に放つ」

弓使い「……分かりました」

村長「魔力は一番弱いと思われる、弓使いにベースを合わせるぞ」

右大臣「では各々、準備にかかってくれ」

幼女「……う、うんっ!」


384 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:50:01.19McVc3/fDo (30/40)

ザザザッ

左秘書官「そうらっ、ひとたび当たれば……死に繋がるぞぉ?」

騎馬兵「くそっ、弄びやがって……っ」

左秘書官「そろそろまとめて消し去ってくれようか!」

騎馬兵「ただで……死ぬかってのおぉ!!」

左秘書官「無力だなっ、己の無力さを噛み締めるがいいわっ!」

白馬騎士「散っ!!」

騎馬兵「――!?」

左秘書官「何だ……っ?」

白馬騎士の叫び声は号令の合図。その指示に従い、各騎馬兵は

即座に四方へと散開し、一斉に騎馬を反転させる。

白馬騎士「爆っ!!」

白馬騎士「はああぁぁーっ!!」

ジャキジャキジャキッ…ドシュシュシュシュッ!!

剣士「一斉投擲!?」


385 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:50:30.85McVc3/fDo (31/40)

左秘書官「目晦ましか何かのつもりか……?」

白馬騎士「今ですっ!」

ザザッ…ギリギリギリッ

弓使い「……んっ!」

ビシュッ!!

弓使い「頑張って!」

剣士「ああ、君達もっ!」

幼女「うんっ!」

タッタッタッタッタ

左秘書官「勝てぬと分かって逃げ出したか……」

タッタッタッタ…

左秘書官「ん……?」

剣士「……」

左秘書官「(一人だけどこへ向かうつもりだ……?)

キュイイィィィィ


386 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:50:58.38McVc3/fDo (32/40)

左秘書官「何っ!?……あれは……五行かっ!!」

ババッ

左秘書官「いや、待てよ。あの男……そうか、そういう事か。ククッ!」

クルッ

左秘書官「貴様の剣を媒介に、五行を撃つつもりだなぁ?」

剣士「――っ!?」

村長「しまった……読まれたっ!!」

右大臣「構わんっ!もうじき矢が……」

剣士「弓使いぃーっ!!」

弓使い「!?」

そして弓使いの放った矢がぽとりと地面に突き刺さる。

右大臣「撃てぇーっ!!」

ドドオオォォォォンッ!!

左秘書官「……手遅れだ」

剣士の目の前に移動した左秘書官の両手から、赤黒い闇の炎が放たれた。


387 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:51:37.71McVc3/fDo (33/40)

ズガガアアァァァァッ!!…ドドオオォォォォ…

村長「け……剣士……っ」

左秘書官「フッククク!!ハハハハッ!!」

黒煙の中から崩れた土の壁と共に、人影が浮かび上がる。

左秘書官「何……っ?」

ガラガラガラッ…ゴトン

剣士「……ぐ……ふっ」

左秘書官「な、何故だ!?至近距離で……バカなっ、直撃のはずだっ!」

剣士「……よ、幼女……っ」

右大臣「!?」

村長「幼女っ、お前……咄嗟に切り替えたのか……っ」

幼女「……ごめんな……さい」

白馬騎士「人の命には変えられんさ」

左秘書官「ククッ、しかしこれで……策は尽きたというわけだな」

剣士「……どうかな」


388 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:52:55.10McVc3/fDo (34/40)

左秘書官「何……っ?」

攻撃をかわす刹那、必死で叫んだ弓使いの名。

その叫びだけで両者の間には、想いが伝わっていた。

弓使い「……」

ギリギリギリッ

村長「!?」

右大臣「こぼれた四行を……矢で……!?」

白馬騎士「あの矢は最初に放った……」

剣士「拾って投げるだけで精一杯だった……攻撃の回避も……」

フラッ

剣士「助かったよ……ありがとう、幼女」

幼女「お父さんーっ!!」

左秘書官「させるかああぁぁ!!」

ザクッ…ガクンッ

左秘書官「……?」


389 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:53:50.35McVc3/fDo (35/40)

踏み出そうとした己の右足を、突如封じる長剣。

剣士「倒れこむくらいはまだ……出来るさ」

秘書官「――ッ!!」

最後の力、とは最早言えないかもしれない、剣士の一撃。

その場に倒れこみながら突き刺さった剣は、左秘書官の身動きを封じ込めた。

弓使い「……っ!!」

剣士より受け取った四行の魔法が付加した矢を、弓使いは放つ。

バシュウウゥゥ!!…キイイィィィィンッ

左秘書官「……ちぃ」

最初は事の起こりに焦りを生じた左秘書官であったが、その頭脳はかつて

経済機関で培われてきたもの。咄嗟に、そして冷静に状況を判断する。

左秘書官「……」

それは四行である事を踏まえた上での防御。相当の魔力を失う事は必須だが、

五行ではない分、完全消滅には至らないと判断したのだ。

そして、その選択は結果、失敗に終わった。


390 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:54:32.37McVc3/fDo (36/40)

ィィィイイイイ…

左秘書官(…………?)

迫り来る矢を見つめ、左秘書官は違和感を覚えた。

左秘書官(何だ、あの……周囲に漂うものは……っ)

イイイイイイ…

左秘書官「……バカなっ!?ま、魔法だとおぉ!?」

四行の矢を追うように、周囲に付随する魔力。それは左秘書官の見据える、

弓使いの更に後方、教会の脇から流れていた。

キイイィィィィ…

――『……れた……かな』

弓使い「……えっ?」

左秘書官「光が……五行の光――」

ボシュンッ!!…ズシャアアァァァァ!!

五行の光を形成した矢は、紙を貫くように左秘書官を突き破り、消失した。

それと同時に発生した光の柱へ吸いこまれる様に、左秘書官も、消失した。


391 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:55:02.73McVc3/fDo (37/40)



剣士『…………』

――『おーい』

剣士『……くっ』

――『生きてるか?』

剣士『……魔道士!?』

男『やっと、君らに力を貸せた』

剣士『何を言ってる。君にはいつも力に……』

男『……いや、ずっと心残りだったんだ』

剣士『そんな事はないさ、僕の方こそ……』

男『いいや、剣士。君は立派に頑張っているさ』

剣士「僕はただの……臆病者さ』

男『でも、再び立ち上がったじゃないか。僕とは違う』

剣士『お、おいっ!!魔道士!?』

男『弓使いを泣かせるなよ?その時は化けて出てやるからな。はははっ――』


392 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:55:48.23McVc3/fDo (38/40)

剣士『待てっ、待ってくれ!!魔道士――』

ガバッ

剣士「……っ!?」

村長「おぉ!!気付いたかっ!!」

幼女「うっ、ひぐぅ……うわああぁぁんっ!!」

ガバッ

剣士「幼女……痛っつぅ!!」

村長「これ、まだ傷は癒えておらんのだ。抱きつくでない」

弓使い「……良かった。無事で良かった……っ」

白馬騎士「剣士殿、まことに見事であったぞ。貴殿の力があってこその勝利だ」

剣士「勝った……のか……」

弓使い「でもっ、無茶はしないでよぅ……」

剣士「弓使い……。ちょっと、泣かないでくれよ……っ」

弓使い「だって、そんな事言ったってぇ……」

剣士「君に泣かれると……彼に叱られてしまうからね……」

弓使い「……?」


393 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 18:56:51.84McVc3/fDo (39/40)



騎馬兵「……問題ありませんっ!死者はおりません!」

白馬騎士「負傷者も数名程度。皆、無事のようだな」

剣士「しかしこれ程の被害で済むとは……っ」

右大臣「全て、彼女のお陰だ」

剣士「彼女……?」

スクッ…テクテクテクテク

女「始めまして、たまたま通りかかったもので」

剣士「……?」

女「魔物の気配を感じて来たのだけれど、既に戦いは……ごめんなさいね」

右大臣「この者が皆の治癒を施してくれたのだ。無論、君の治癒もな」

白馬騎士「我が隊の者も大いに助かりました。ありがとう」

女「いいえ、この程度の事しか出来ませんから」

剣士「え、えっと……お名前は……」

女賢者「功績ランク5位、女賢者と申します。うふっ♪」



~第四十二部、完~


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 18:58:20.75McVc3/fDo (40/40)

ひとまずここまで!それでは失礼致します!
ご支援ありがとうございました~!ノシ

細かいので別にいい気もしますけど…
>>384
×白馬騎士「爆っ!!」
×白馬騎士「はああぁぁーっ!!」

○白馬騎士「爆っ!!」
○騎馬兵「はああぁぁーっ!!」


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/04/04(月) 18:59:56.42o7XWYsB7o (1/1)

>>1おつ

秘書官に針でぷつぷつ魔翌力が尽きるまで突っつくのを
想像してワロタ


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 19:08:33.378i9fFu1DO (1/1)

>>1乙!
弓使い一家が好きすぎてダメだ!!
幼女が戦っているのを見て、戦場でおとうと戦ってたのとか思い出したり
弓使いの普通のワーカーレベルなのに頑張って戦っている姿とか
みんなから貰った結界石の矢が役に立ったりとか見てて胸熱過ぎた。

そして極めつけで魔道士まで出てくるとか……

うん、なんか花粉症が酷くなってきたし帰ろう
大量更新お疲れ様!


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 19:20:59.96PVTYZZPe0 (1/1)

右大臣かっけーな!濡れた!!!


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 20:23:05.651W0EVhrDO (1/1)

女賢者か…
…ぅふ…


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(鳥取県)2011/04/04(月) 21:20:38.93hcBKLiVU0 (1/1)

いちょつうふ

チラ裏なんだが
ふと左秘書官戦で
村長「ふむ……使いたくはなかったが……仕方あるまい……」
的展開があるかと期待してしまったそれだけです


400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/04/04(月) 21:57:23.16iCn75o2Jo (1/1)

女賢者が『うふっ♪』によって俺の脳内でおネェキャラに…
この怒りは左大臣に向けとくわ


401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/04/04(月) 21:58:31.3377H9gIuxo (1/1)

女 の 賢者…だと?


402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 22:15:42.95UV0zml42o (1/1)

魔導師△


403VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/04(月) 22:34:48.63OknFpN1DO (1/1)

いちおつ

もう四十三部かぁ
これって魔王倒すまでがプロローグだっけ?


404VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県)2011/04/04(月) 23:27:26.19eBFTyRaPo (1/1)

魔王倒してプロローグ終わり

それから始まる召喚士と魔道士の二人の生活に戦士と盗賊が来て楽しく騒いだり
朱雀嬢が来て修羅場ったりする話が本編


405 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 23:46:11.28TFj1pllFo (9/14)



トテトテトテ…コトッ

幼女「はいっ、どうぞ」

女賢者「ありがと」

幼女「お姉さんは、賢者なの?」

女賢者「そうよ~」

幼女「やっぱそうなんだ、すごーい!」

女賢者「そんな事ないわよ~。攻撃と回復、両方出来れば誰でもなれるもの♪」

幼女「それが……難しいと思う」

テクテクテク

弓使い「綺麗な人ねぇ」

とても上位ワーカーには見えないよ」

弓使い「……ええ」

幼女「あははははっ!」

女賢者「うふふっ♪」


406 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 23:48:02.54TFj1pllFo (10/14)



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    ~第四十三部~


407 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 23:49:50.54TFj1pllFo (11/14)



村長「ほっ、本当なのか……っ!?」

右大臣「うむ。本当の事だ」

村長「道理で……躍起になって襲ってくるわけだ」

右大臣「まさか、ここまで実力行使してくるとは思わなんだがな……」

村長「それにしてもあの……魔道士の少女が」

白馬騎士「華国でも大騒ぎですよ……」

右大臣「すまない。語るわけにはいかなかったのだ……っ」

白馬騎士「お気持ちは分かりますよ」

右大臣「……」

白馬騎士「後継者争いで国が荒れる事は……断じてあってはならないのです」

右大臣「……経験かね?」

白馬騎士「あのような悲劇は……二度と……」

村長「それで、この箱で解決致すのか?」

右大臣「してみせるさ。この真なる……王の手紙で」


408 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 23:50:58.12TFj1pllFo (12/14)

~バーテンの店~

戦士「……はぁ」

バーテン「どうした?溜息なんぞ吐いて」

戦士「なーんか、ジッとしてるってのも……どうなのかな~ってよ」

バーテン「何も動く事ばかりが戦いじゃねぇんだぞ」

戦士「そりゃ……そうだけどよ」

バーテン「お前も他の二人見習って、ちったぁ何かしたらどうだ?」

戦士「見せの手伝いはごめんだぜ」

バーテン「お前になんぞ頼むかって」

戦士「へいへい」

スクッ

バーテン「どこ行くんだ?」

戦士「外で剣でも振ってくるわ。鈍っていけねぇ」

テクテクテクテク

バーテン「……ったく」


409 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 23:52:14.04TFj1pllFo (13/14)

テクテクテク

戦士「……おーっす」

召喚士「戦士。どうしたの?」

戦士「ちょいと素振りでもかましておこうかと思ってな」

召喚士「そっか。頑張るね」

戦士「こんな時にゃ、そのくらいしか出来んからなぁ」

召喚士「……うん。無力だよ」

戦士「全くだ」

盗賊「…だが、それが私達の…今の力だ」

召喚士「盗賊さん」

テクテクテク

戦士「何だ、お前も素振りか?」

盗賊「…もう終わった」

戦士「あっそ……」

盗賊「…召喚士は…何してるんだ?」


410 ◆1otsuV0WFc2011/04/04(月) 23:54:43.30TFj1pllFo (14/14)

召喚士「ええ、これを……」

戦士「召喚術の本と、サモナーさんのレポートか。真面目だねぇ」

召喚士「そんな事ないって。必要だから読んでるんであって……」

戦士「別に読みたくない?」

召喚士「勉強とか苦手何だよ……っ」

盗賊「…意外だな」

戦士「ああ。全然そうは見えん」

召喚士「やっぱり、身体動かしてる方がいいよ」

テクテクテク

バーテン「そんじゃ、身体動かしてきたらどうだ?」

召喚士「……バーテンさん」

戦士「何させる気だよ?」

バーテン「阿呆。てめぇらの師匠の墓くらい、綺麗にしておきやがれ」

召喚士「あ……っ」

バーテン「ついでに家ん中も埃まみれだろ。ほれ、掃除してきな」


411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 00:05:39.635FrbZXe2o (1/1)

ちょろっとですが冒頭だけ…それでは、おやすみなさいです!ノシ
弓使い一家の人気は相変わらずで嬉しい限りです!

>>403-404
ちょっとww

~久々すぎるオマケ~

戦士「……あー」

召喚士「ど、どうしたの!?」

戦士「なんか……久々すぎてなにやってたか忘れた」

召喚士「えぇ!?」

戦士「もう何でもいいか……。ふわ、寝よう寝よう」

召喚士「ちょっと!?これから一番大変な時なんだよ!?」

戦士「だってよー出番ねーし……。盗賊なんかほれ」

召喚士「!?」

盗賊「な、何でございましょーか!?」

戦士「……完全に別キャラになっちまってるぞ」

召喚士「……っ」

盗賊「元からこういうキャラだもんっ!ぷんすかっ☆」


412VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県)2011/04/05(火) 00:37:48.64oxmrPC/40 (1/1)

>>411 ワロタwwww
やっぱり盗賊が一番好きだww


413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 00:55:38.15nvH/FaHzo (1/1)

>>1乙
久しぶりといえば麻雀編は俺達の戦いはこれからだ!な流れでいいのか?



414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/04/05(火) 01:31:17.19wMay/cjAO (1/1)

>>1おつ

左大臣ファミリーがハリポタの死喰い人みたいだな


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 03:12:15.098YAJF1FSO (1/1)

いちおつ!

ダンデVS魔王を見て、魔王討伐とか無理だろwwwwwwとか思ったが
だんだん五分に持ち込める感がでてきたな

それにしても「魔導師ちゃん」の人は無事なのか自重してるのかが気になる
いるとキモいけど、いないとキモいけど気になる


416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 03:28:35.29ol/kZhUDO (1/1)

女賢者とか俺得 
魔王軍に捕まって監禁凌辱とか考えただけど汁でちゃう


417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/04/05(火) 08:42:44.18RvquDo1to (1/1)

五行の力があれば、原発も消し飛ばせるだろうか


418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 09:15:34.84XbGYnMSDO (1/1)

たまには黒騎士三人のことも思い出してあげてください……


419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/04/05(火) 15:24:29.302f+J6vdAO (1/1)

どこぞのは書籍化漫画化だというのにこっちときたら(笑)


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/04/05(火) 15:43:43.90oNo2xWhlo (1/2)

漫画になっても読まねえわ
ドラマCDなら考える


421 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:27:27.11ysIh2Tobo (1/37)



召喚士「それじゃ、行ってきます」

バーテン「おーう。頼んだぜ」

戦士「そんじゃあ行くとするかね」

盗賊「…ああ」

召喚士「戦士も盗賊さんも、付き合わなくていいんだよ?」

戦士「こんな所でボーッとしてるより全然マシ」

バーテン「ああん?」

盗賊「…本も…返したいしな」

戦士「それに、そろそろ仕入れておかないとな」

召喚士「……?」

戦士「ほれ、これだよこれ」

ズイッ

召喚士「……師匠酒、ね」

戦士「そういう事!」


422 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:28:16.35ysIh2Tobo (2/37)

テクテクテク

召喚士「何だか、師匠の家も久し振りだなぁ」

戦士「そうだな。本当は月1くらいで手入れしないといけないんだろうけどな」

盗賊「…うん」

召喚士「まぁ、師匠も分かってくれるんじゃないかな」

盗賊「…?」

召喚士「今、自分達がやらなくちゃいけない事」

盗賊「…ああ、そうだな」

戦士「全部落ち着いてからにすっか。寂しがらなきゃいいけどな、はははっ」

召喚士「……さぁ、一気に登ろっか!」

戦士「おーし、真っ直ぐ突っ切るぞ!今の俺らなら素通りもいいとこだろっ」

盗賊「……ビリは…罰ゲーム」

戦士「よーし乗った!」

ダダッ!!

召喚士「ち、ちょっと!?……ずるいっ!!」


423 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:28:45.33ysIh2Tobo (3/37)

~剣士の村~

コンコン…カチャ

剣士「お茶のおかわり、要りますか?」

村長「良いところに来た」

剣士「……?」

右大臣「これからの方向性を決めようと思ってな」

剣士「僕も……何か?」

右大臣「うむ。ひとまず私は、本国へ戻ろうと思う」

白馬騎士「私は此度、剣士殿を通じて本国を訪ねるつもりであったのだ」

剣士「なるほど……っ。それでこの村へ……」

右大臣「しかし今は、大変に危険な状態だ。謁見相手も居らぬでな」

白馬騎士「ええ、その件につきましては、日を改めたいと思います」

村長「その際には剣士、君が本国まで案内を頼む」

剣士「僕が……ですか?」

村長「お主以外に橋渡しの出来る者など居らんじゃろ」


424 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:29:32.99ysIh2Tobo (4/37)

剣士「……分かりました」

白馬騎士「それともう一つ」

村長「……?」

白馬騎士「我が国の兵を、こちらの村へ駐屯出来ませんか?」

村長「何と……っ」

白馬騎士「このような騒ぎがあったのでは、村の者も不安がる事でしょう」

右大臣「うぅむ、更なる追っ手が来ないとは限らぬしな……」

白馬騎士「流石に村の者だけでは支えきれないと存じますが……」

右大臣「……良かろう。私が許可する。頼めるだろうか?」

白馬騎士「はい。本国のお力になれる機会です。願ってもない事ですよ」

村長「有難い……!」

剣士「感謝致します」

白馬騎士「それでは、ひとまず騎馬隊をこのまま駐屯させ、後ほど増援を送ります」

右大臣「……さて、私は本国へ戻り……手筈を整えるとするか」

剣士「……」


425 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:30:20.49ysIh2Tobo (5/37)

~本国、平野~

テクテクテク

皇太子「のどかなもだな」

魔道士「はいっ、だいぶ暖かくなってきましたからね~」

賢者「……」

皇太子「どうした?」

賢者「……気楽なものだね……ふぅ」

皇太子「そうか?気張り過ぎてても良くはないぞ?」

賢者「まぁ、いいけど……ふぅ」

魔道士「それで、これからどうしましょうか?」

皇太子「そうだな、出来れば本国内へ入りたいところなのだが」

賢者「……難しいだろうねぇ……ふぅ」

魔道士「でもっ、いつまでも逃げ回っているわけにはいきませんよ……?」

皇太子「それはそうだが、どうしたものかな……」

賢者「……?」


426 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:31:02.01ysIh2Tobo (6/37)

ピクッ

皇太子「……どうした?」

賢者「何か来るね」

魔道士「ま、魔物ですか……っ!?」

賢者「……そんな気配だ」

皇太子「周囲にそれらしき姿はない。つまり、あの正面の森か」

魔道士「どうします……っ?」

皇太子「ひとまず物陰で様子を見よう。迂回して森に入るぞ」

タッタッタッタッタ

皇太子「……どうだ?」

賢者「……魔物のような、そうでないような」

皇太子「……?」

賢者「変な感じだね……ふぅ」

皇太子「……っ」

賢者「かなり近いよ、もう見える」


427 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:32:12.32ysIh2Tobo (7/37)

ガサッ…ザッザッザ

魔道士「あぁ――っ!!」

皇太子「!?」

ザッ

ジュニア「……お?」

眼鏡「君は確か……」

魔道士「ジュニアさんに……眼鏡さんっ!?」

ジュニア「魔道士ちゃんっ!!ってか……殿下ぁ!?」

皇太子「ワーカーの者か。すまんがここは……」

眼鏡「一体、何をしているのかな?」

魔道士「実は、色々と事情がありまして……」

眼鏡「聞かせて貰っても……良いかい?」

魔道士「えっとぉ……」

皇太子「……構わんぞ。信頼のおける者達なのだろう?」

魔道士「は、はいっ!」


428 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:32:48.05ysIh2Tobo (8/37)



眼鏡「…………」

ジュニア「……マジ……かよっ」

魔道士「マジ……みたいです」

皇太子「分かって頂けたかな?」

眼鏡「しかし、今のままで状況が改善するとは思えないな」

皇太子「無論、承知している。だが、それは私達にはどうにも出来ぬ事だ」

ジュニア「……」

皇太子「既に動いてくれている。我らはそれを信じて待つだけさ」

眼鏡「……成程」

ジュニア「しっかし、魔道士ちゃんが王女だったとはねぇ……ハッハ」

魔道士「私だって未だに信じてませんよ……」

ジュニア「ハッハ……あぁっ!!」

魔道士「!?」

ジュニア「お尻触って……すみませんでした……」


429 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:33:15.55ysIh2Tobo (9/37)

魔道士「……いやっ、別にいいですよ。よくないですけど」

ジュニア「あぁーっ!!」

眼鏡「何なんだ、騒がしい奴だな」

ジュニア「おいっ、本国内に入る方法があるじゃないか!!」

皇太子「何?」

眼鏡「……ああ、あれを使うのか」

魔道士「な、何です……?」

ジュニア「信じて、付いて来て貰えますか?」

皇太子「無論、助力頂けるならこちらとて願ったりだ」

ジュニア「分かりました。では、向かいましょう」

皇太子「頼む」

スクッ…ザッザッザ

眼鏡「……何か?」

賢者「……君、面白いね。何者だい?」

眼鏡「……」


430 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:33:51.75ysIh2Tobo (10/37)

~剣士の村~

右大臣「それでは、色々と世話になった」

弓使い「こちらこそ」

幼女「気を付けて下さいっ」

右大臣「ありがとう。君達もな」

剣士「はい。華国の方々もいらっしゃいますし、大丈夫だと思います」

村長「……死ぬなよ?」

右大臣「……ふっ。この歳になって、死など恐れるものかよ」

村長「……」

右大臣「だがな、まだやるべき事は残っている」

村長「……うむ」

右大臣「老兵は死なず、ただ消え去るのみよ」

村長「……それで、良いのか?」

右大臣「まだまだヒヨッコだと思っていたが、何も心配は要らなかったさ」

村長「……」


431 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:34:18.88ysIh2Tobo (11/37)

パッカパッカパッカ…

剣士「右大臣様、大丈夫ですかね?」

村長「責任感の強い男だ。心配は無用じゃろう」

剣士「……」

村長「その強い責任感で、何もかも背負わなければ良いがな……」

テクテクテク

女賢者「それでは、お邪魔しました♪」

剣士「あっ、もうお帰りで?」

女賢者「ええ、元より旅人の身ですから」

弓使い「本当にお世話になりました。ありがとう」

白馬騎士「我が隊の者らも大変世話になった。感謝します」

女賢者「いいえ、お気になさらず。それでは……うふっ♪」

テクテクテクテク

幼女「さよーなら~!!」

剣士「……」


432 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:35:03.63ysIh2Tobo (12/37)

~師匠の家~

戦士「到着~っ!!」

盗賊「……私が一番だな」

タッタッタ

召喚士「ねぇっ、ズルくない?」

戦士「コイツに言えよ、急に走り出したのは盗賊だぞ?」

盗賊「……」

召喚士「さすが忍者……汚い」

盗賊「つっ、つべこべ言うなっ!本気で勝ちたければコカトリスを使えば良かろうっ」

召喚士「あ……っ」

戦士「そうだぜ。コカトリスに乗りゃひとっ飛びじゃんかよ」

召喚士「それ、アリなの……?」

盗賊「…勝利に貪欲ならば…思いつくはずだ」

戦士「お主、まだまだ修行が足りぬな。はっはっは!」

召喚士「……腑に落ちないっ。でも返す言葉がない」


433 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:35:43.76ysIh2Tobo (13/37)



戦士「そんじゃ、俺は酒蔵に行ってくるわ」

召喚士「うん。俺らは先に墓へ行ってるね」

戦士「師匠酒持ってきたら、すぐ行くわ」

テクテクテク

召喚士「俺らも行きましょうか」

盗賊「…うん」

テクテクテク

召喚士「……あれっ?」

盗賊「…想ったより綺麗だな」

召喚士「ええ、てっきり雑草とかひどいかと思ってましたけど」

盗賊「…冬だからかな?」

召喚士「うーん、俺はマジシャンさんが手入れしているものだと思ってました」

盗賊「…気候の問題かな?」

召喚士「……?」


434 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:36:36.60ysIh2Tobo (14/37)

テクテクテク

盗賊「…ほら、墓の周りだけ草木が生えていない」

召喚士「あぁ、海からの冷たい風が……通り道になっているのかも」

盗賊「……」

召喚士「それじゃ簡単に手入れして……」

ザッザッザ

戦士「コイツで弔うとしますか」

召喚士「どうだった?」

戦士「メンテ要らずの酒だけあるぜ。なおもコクが出ていて旨い」

盗賊「……飲んだのか」

戦士「味見せにゃ分からんだろっ」

召喚士「あははっ」

盗賊「…ほらっ、早く手入れするぞ」

戦士「へいへい」

召喚士「じゃあ、反対側は俺がやるね」


435 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:37:07.53ysIh2Tobo (15/37)



戦士「……ま、こんなモンだろ」

召喚士「うん。いいと思うよ」

戦士「そんじゃ……」

キュポッ…トクトクトクッ

戦士「さぁ、たらふく飲んでくれよ」

盗賊「……」

召喚士「……よし、それじゃいよいよ家の中を掃除しますか」

戦士「うん。行ってらっしゃい」

盗賊「…行ってらっしゃい」

召喚士「え……っ?」

戦士「忘れたのかよ?……罰ゲーム」

召喚士「……」

盗賊「…埃が払われたら…入るから」

召喚士「…………」


436 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:37:39.84ysIh2Tobo (16/37)

テクテクテク…ガチャッ

召喚士「……っ!!」

戦士「どーだぁ?」

召喚士「ごほごほっ!これは思った以上にキツイ……っ!」

盗賊「…ファイト」

召喚士「……もういいです。行ってきますよ」

テクテク…パタン

戦士「ちょっとからかいすぎたかな?」

盗賊「…仕方ないな、手伝うか」

戦士「ハナっからそのつもりだったんだろ?」

盗賊「う、五月蝿いっ!たわけっ!」

テクテクテク…カチャッ

戦士「おーい、召喚士――」

召喚士「うおおぉぉぉぉーっ!!」

ババババッ…テキパキテキパキッ


437 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:38:05.98ysIh2Tobo (17/37)

戦士「…………」

盗賊「…………」

ザザザザアアァァ

召喚士「……ふーっ。あ、二人共どうしたの?」

戦士「……いや、エプロン姿……似合いますね」

盗賊「…うん」

召喚士「へっ?」

戦士「手伝うまでもなさそうだな。流石、召喚士」

召喚士「いや、流石の意味がよく分からないけど」

盗賊「…本片付けてくる」

戦士「あっ、俺のも頼むわ」

盗賊「…何だこれは?」

戦士「武具辞典」

召喚士「あぁ、そういえば。もう要らないの?」

戦士「一通りの知識は頭に叩き込んだし、何より貴重な武具は載ってなかったからな」


438 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:38:36.25ysIh2Tobo (18/37)

盗賊「……?」

戦士「ゾディアックとか、その辺の事だよ」

盗賊「…なるほど」

召喚士「結局、有意義な情報はなかった感じ?」

戦士「いや、武具についての知識はそれなりに得たし、役立ったよ」

召喚士「……そっか」

戦士「他にも面白そうな本あるかもな」

召喚士「掃除が終わったら、ゆっくり見てみようか」

盗賊「…じゃあ、ついでに整理しておくよ」

テクテクテク

戦士「そんじゃ、家の中は任せるわ」

召喚士「どこ行くの?」

戦士「上~。屋根と煙突の中、掃除してくるわ」

召喚士「うん。気を付けてね」

テクテク…パタン

召喚士「……よーし、一気に頑張るぞ~っ!!」


439 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:39:06.35ysIh2Tobo (19/37)

~本国郊外~

魔道士「こ……こは!?」

眼鏡「本国内の地下水路へと続く入り口さ」

ジュニア「つい最近、ようやく掘り進んで繋いだものだ」

皇太子「……と、いう事は」

ジュニア「本国と鉱石の町を繋ぐ、トンネルです」

魔道士「あ……っ!!これって、電話の……」

眼鏡「そういう事」

皇太子「成程。ここなら国軍の手も回らぬか」

ジュニア「絶対、とは言い切れませんけどね。特に本国内に入れば……」

眼鏡「地下水路に手を回されている可能性もある」

皇太子「……」

賢者「どうするつもりかな……ふぅ」

皇太子「行く価値はありそうだ。念の為、夜まで待つとしよう」

魔道士「はいっ!」


440 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:39:34.20ysIh2Tobo (20/37)

~師匠の家、夕方~

戦士「盗賊~。釘取ってくれー」

盗賊「…投げるぞ」

ポイッ

召喚士「そっちはどう?」

戦士「おーう、あとはここの補修で完――」

ガンッ

戦士「いってぇ!!」

盗賊「…余所見しているからだ、馬鹿っ」

召喚士「だ、大丈夫!?」

戦士「ハンマーで指叩いちまっただけだ。心配すんな」

召喚士「だ、だけって……」

戦士「おーし終わり!これで屋根の雨漏りも隙間風もないはずだ!」

召喚士「さっすが戦士っ!!」

戦士「おうよっ、任しとき!」


441 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:40:06.00ysIh2Tobo (21/37)



グツグツグツ

召喚士「もうじき出来るよ~」

戦士「ん~っ、いい匂いだ」

盗賊「…うん」

召喚士「魔道士さんには負けるけどね、ははっ」

戦士「……」

盗賊「……」

召喚士「あっ、ごめん……」

盗賊「…いや、別に…謝られても」

戦士「ああ。俺らは別に……なぁ?」

盗賊「…でも、魔道士の料理も恋しいな」

召喚士「ええ」

戦士「もうちょっとの辛抱だろ。気にしたら負けだ」

盗賊「……うん」


442 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:40:42.11ysIh2Tobo (22/37)

テクテクテク

召喚士「はいっ、お待たせ!」

戦士「おぉ、美味そう!!」

盗賊「……ビーフシチュー?」

召喚士「ええ、多分食べられると思いますけど」

盗賊「…だ、大丈夫だ!匂いが間違いない!」

召喚士「!?」

戦士「あん?何だそれ?」

盗賊「…あとで読もうと思って」

召喚士「あっ、何でしたっけこれ。あの有名な戯曲の……」

戦士「ふぅん。どんなんだっけ?」

召喚士「争う両家の男女を描いた恋の話で……有名じゃん」

戦士「知らん。つーか、こっちは絵本か?」

召喚士「魔物と老人。眠り姫……あっ!!」

盗賊「…雪山で聞いたから…気になってな」


443 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:41:15.26ysIh2Tobo (23/37)

戦士「面白いのか、これ?」

盗賊「…さぁ」

戦士「まーいいや、そんな事よりメシだメシ!」

召喚士「うんっ、冷めないうちに食べちゃってよ」

盗賊「…いただきます」

戦士「……おぉ」

盗賊「……おぉーっ」

召喚士「な、何っ?」

戦士「うまい!」

盗賊「…うんっ!」

召喚士「良かったぁ~。結構心配だったんだよね」

戦士「そして久々のコイツ!」

ドンッ…キュポン

戦士「……ぷっはああぁぁ!!染みるぅ~!!」

盗賊「……オッサン」


444 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:41:51.77ysIh2Tobo (24/37)



召喚士「はぁ、食べたし飲んだねっ」

戦士「ああ。ちょいとばかし贅沢しちまったな」

召喚士「お風呂どうする?」

盗賊「…先にいいぞ」

召喚士「じゃあ準備してきます」

戦士「おうっ」

盗賊「……」

戦士「んで、面白いか?」

盗賊「…自分で読むがいいさ」

ポイッ…パシッ

戦士「……魔物と老人、ねぇ」

ペラッ

戦士「あるところに、魔法も使えない、か弱いお爺さんがおりました」

盗賊「声に出さなくていいっ!静かに読めっ!」


445 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:42:34.35ysIh2Tobo (25/37)

戦士「おーおー手厳しいです事」

盗賊「…あのなぁ」

テクテクテク

召喚士「戦士、先に入ったら?」

戦士「おっと、そんじゃひとっ風呂浴びてくっかぁ!」

タタッ

盗賊「……っ」

召喚士「どうかしたんですか?」

盗賊「…いや、何でもないよ」

召喚士「さて、と薪の用意してきます」

盗賊「…ああ」

召喚士「もう春とは言え、流石に夜になると冷えますね」

盗賊「…うん」

召喚士「……それじゃ、行ってきます」

盗賊「……気を付けてな」


446 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:43:16.74ysIh2Tobo (26/37)

~本国郊外~

ジュニア「さーて、それじゃ行きますか」

皇太子「うむ」

眼鏡「僕はここで待機していよう」

ジュニア「すまん、何かあったら頼む」

眼鏡「まぁ、何かあったらまずいんだけどね」

賢者「それじゃあ僕も残るとしようか……ふぅ」

皇太子「では、我ら3名が先に入るとしようか」

魔道士「はいっ」

ジュニア「30分後、異常がなければ地下水路への入り口で集合だ」

眼鏡「……分かった」

タッタッタッタッタ

眼鏡「……それで、さっきの話の続きかい?」

賢者「……君、魔物なのかな?」

眼鏡「そうだとしたら?」


447 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:43:46.44ysIh2Tobo (27/37)

賢者「……別に。何もないよ……ふぅ」

眼鏡「……」

賢者「不思議なものだね。外見も人間のそれなのに……ふぅ」

眼鏡「外見を模す事が出来る魔物なんて、少なくないよ」

賢者「……そう」

眼鏡「気配では決して、分からないと自負してたんだけどなぁ」

賢者「気配なんて分からないさ……ふぅ」

眼鏡「じゃあ、どうして気付いたのかな?」

賢者「……君に流れる魔力、人間のものじゃないからね……ふぅ」

眼鏡「へぇ、そんな事まで分かるのか。凄いな」

賢者「知りたくもないんだけどね……ふぅ」

眼鏡「……まぁ、安心してくれ。僕は君達の味方さ」

賢者「だろうね。悪い感じはしないよ」

眼鏡「そういうところが好きなんだ。人間のね」

賢者「……ふぅ」


448 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:44:17.82ysIh2Tobo (28/37)

タッタッタッタッタ

魔道士「……」

ジュニア「ここを抜ければ地下水路です」

皇太子「……うむ」

タッタッタ…ザザッ

ジュニア「……」

キョロキョロ

ジュニア「……特に何もないみたいですね」

皇太子「そうか」

魔道士「良かったですねっ」

皇太子「国軍にしては手緩いな」

魔道士「へ……っ?」

皇太子「総司令が居らんとは言え、警備網が軽いとは思わんか?」

ジュニア「……まぁ、確かに」

皇太子「大軍師や青年兵が指揮しているはずなんだがな」


449 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:50:58.38ysIh2Tobo (29/37)

魔道士「確かに、あの人達ならここだって気付きそうなものですけど……」

皇太子(知っていながら、あえて外した……?)

ジュニア「罠、か?いや、それはないな」

魔道士「……?」

皇太子「魔物や犯罪者ならいざ知らず、我らを捕らえれば良いだけの話」

ジュニア「いちいち罠を張り巡らせる必要はないって事さ」

魔道士「なるほど…っ、言われてみれば……」

ジュニア「まぁ、先に進んでみれば分かるって事ですね……ハッハ!」

皇太子「ああ、行くしかあるまいな」

魔道士「……よぉしっ!」

ジュニア「ひとまず港側へ抜けて、身を潜めましょう」

皇太子「そうだな。しかし、何処へ身を寄せるとするか」

ジュニア「……木を隠すなら森の中ですよ」

魔道士「……?」

ジュニア「とにかく、あの二人が来るまでここで待機したましょうや。ハッハ」


450 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:51:48.75ysIh2Tobo (30/37)

ドドッドドッドドッドドッ

王宮兵「開門っ、開門ーっ!!」

ギギイイィィ…パッカパッカパッカ…

右秘書官「……」

カチャッ…テクテクテク

エリート「このような刻に何処へ行かれていたのですっ、父上!!」

右大臣「……すまんな、どうしても必要だったのだ」

エリート「……?」

右秘書官「ともかく、王宮内へ戻りましょう」

右大臣「左翼の動きは?」

エリート「特にありません。殿下と王女についても未だ行方不明です」

右大臣「……そうか」

エリート「幾つか対策案を考えました。目を通して頂けますか?」

右大臣「分かった。こちらも見て貰いたいものがある」

エリート「……?」


451 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:52:34.40ysIh2Tobo (31/37)

~会議室~

右文官「おぉ、右大臣様!心配致しましたぞ!」

右大臣「すまんな、どうしても知られたくなかったものでな」

エリート「……」

テクテクテク…パサッ

右秘書官「それでは改めて、資料をお配り致します」

右大臣「……」

エリート「まず、基本的な概要ですが……」

右大臣「駄目だ、これでは時間が掛かりすぎる」

エリート「……」

右秘書官「しかしですね、今は時間を稼ぐ事でしか防ぐ手立ては……」

右大臣「五ヵ年計画はどうする?」

エリート「当然、スライド致します。それ以外には……」

右大臣「駄目だな、時期は絶対にずらせないのだ」

エリート「何故ですっ!?内通者が存在する今、時期など……」


452 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:53:26.57ysIh2Tobo (32/37)

右大臣「確かに筒抜けやもしれぬ。しかし、それは前から分かっておる事」

エリート「……?」

右大臣「何も内通者だけが、有利なわけではないのだぞ」

右文官「そっ、それは一体……」

エリート「内通者を泳がせ、逆手を取っていると……?」

右大臣「……そこまでは知らんよ。国軍の者にでも聞くが良い」

エリート「……」

右大臣「それにだ、五ヵ年計画は最低限の被害に基づいた作戦なのだ」

右秘書官「……?」

エリート「……予言、ですか」

右大臣「そうだ」

エリート「では父上、どうすれば良いと申されるのか?」

右大臣「その為に私は、はるばる足をを運んだのだよ」

エリート「……?」

右大臣「これを見て欲しい」


453 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:54:00.86ysIh2Tobo (33/37)

コトッ

右文官「これは……?」

右大臣「我らは、王の手紙と呼んでおる」

エリート「王の手紙?」

カチャッ…ドサッ

右大臣「陛下がこれをしたためたのは、何年前であったかなぁ」

スッ

右秘書官「……?」

右大臣「お主宛にだ、受け取るが良い」

右秘書官「へ、陛下が私に……ですか!?」

右大臣「これは右文官宛。そしてこれは……」

パサッ

右大臣「エリート、お前宛だ」

エリート「……っ」

右大臣「各自それを読んで、陛下の思いを汲み取ってくれ」


454 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:54:26.85ysIh2Tobo (34/37)

右秘書官「…………」

右文官「…………」

エリート「…………」

右大臣「陛下の思い、伝わったか?」

右文官「……へっ、陛下ぁ」

右秘書官「……ここまで私達の事を想って……っ」

エリート「……っ」

パサッ

エリート「亡き陛下の国を愛する、そして憂う気持ちは重々に伝わりました」

右大臣「……」

エリート「しかし、これで全てが変わるとは思えません」

右大臣「……」

エリート「殿下の思いを無碍にしようと言うわけではありません。しかし……」

ガチャッ…カツカツカツ

大軍師「……どうも。お忙しいところ失礼致しますよ。ふっふ」


455 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:54:58.26ysIh2Tobo (35/37)

エリート「大軍師殿っ!?」

大軍師「此度は、大変な騒ぎにとなってしまいましたね」

右大臣「何用か?」

大軍師「現在我が国は、国と軍のットップ二人を失うという、危機に陥っております」

右文官「そうだ。だからこそ我々が……」

大軍師「実は、先日より独自に調査している資料がありまして」

カツカツカツ…パサッ

大軍師「本部の資料室における物なので、表面上のみの資料ですが」

右秘書官「こ、これはっ!!」

右大臣「……っ」

大軍師「お役に、立ちますかね?」

エリート「……あった」

大軍師「……?」

エリート「王の手紙に……これが付けば、威力は倍増なんてものではないっ」

大軍師「ほぉ、そうやらお役に立てそうですね」


456VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/04/05(火) 18:55:19.82vlGz7qnAO (1/1)

>>1乙
逃避行パート面白いな
戦士一行もとりあえず元気そうでなにより
そして今が一番の狙い時なのに現れない魔導師ちゃん(68)の人…>>415のせいで気になり始めてきたわ


457 ◆1otsuV0WFc2011/04/05(火) 18:55:31.03ysIh2Tobo (36/37)

右秘書官「そうかっ、確かにこれは脅迫にも近いやもしれんが……」

エリート「……父上」

右大臣「……」

エリート「貴方のものもありますが?」

右大臣「……そうか」

エリート「これを放てば貴方も消えますよ……?」

右大臣「……構わん」

エリート「!?」

右大臣「私の事など気にするな。構わずやってくれ」

右文官「右大臣様……っ」

エリート「……分かりました。では、お言葉に甘えましょう」

大軍師「王の手紙……ですか。成程、確かに……効果的ですねぇ」

エリート「よしっ、すぐに準備を始めてくれ!」

右大臣「あとは……あの二人が戻ってくれば……」

エリート「左大臣の野望もこれまでです」


458VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 19:00:39.72ysIh2Tobo (37/37)

とりあえずここまでにて!多数のご支援、本当に感謝!
それではお疲れ様でした!失礼致しますー!ノシ

>>456
ありがとうございます!
多分あの方は…ワーカーとしてあちらの世界に…


459VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 19:04:07.87GzURcyVDO (1/1)

>>1乙
確かに日常パートなんかもそうだけど、>>1の話は戦闘以外も面白いのが凄いよな-


そして魔導師の人は確かに気になるな…
無事だと良いんだけどね。


460VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 19:20:57.58pkx02iKDO (1/1)

>>1乙
いい加減投下中にレスするのやめようよ
流れ見てわかるっしょ


461VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長崎県)2011/04/05(火) 19:36:25.98oNo2xWhlo (2/2)

ごめんごめん


462VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/04/05(火) 20:07:41.35AvqfLo0V0 (1/1)

乙です。


463VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 22:41:55.032QNf++yeo (1/1)

>>460
お前こそいい加減読者様卒業しろよ
流れ見ればわかるっしょ
スレは黙ってみるような所じゃねえよ
レスがどれだけありがたいか、SS制作者総合スレにでも行って訊いて来い


464VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 23:15:00.12w1VnzpISO (1/1)

レスは大事だろうけど投下終わってからでよくね?


て意味じゃね?


465VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/05(火) 23:19:19.17FmBT9JPho (1/1)

まぁ書いてる人によるけど
俺は投下中はやめて欲しいな

他の人が読みにくくなるしね


466VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/04/05(火) 23:32:15.58Xsld7BaAO (1/1)

[田島「チ○コ破裂するっ!」]途中で止められるの嫌だろ?


467VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 23:36:19.62IZ9qkEFUP (1/1)

はいはい、何度もあがった話題だからしたい人にはさせて強制しないようにね


468VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 00:09:09.69E0Zuh3jDO (1/1)

レスに文句はつけないけど投下中の時に待ってほしいのは確か



469VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 00:13:42.52a0ORKbhDO (1/1)

投下されてるのかとぬか喜びしたじゃないか…
議論はどうでもいいからsageてくれ


470VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県)2011/04/06(水) 02:42:15.18HZBiw4Djo (1/1)

つNG


471VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 07:03:17.90VckleTnz0 (1/1)

投下中レス=空気よめない=ゆとり
自治厨=空気よめない=ゆとり


どっちもクズwwだっせーww


472VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/04/06(水) 09:50:23.65hhX+36YAO (1/1)

眼鏡さんからはそこはかとなくホモ臭がする


473VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 11:25:51.30wMNjaxVDO (1/1)

変に伸びてると思ったら
どうでもいい討論だったでござる


474VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 11:51:18.93DC0fbyuDO (1/1)

違うよ眼鏡さんは女の子なんだよ


475VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 13:18:34.37RkOO3NFDO (1/1)

将来は眼鏡の似合う巨乳美少年に…


476VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(静岡県)2011/04/06(水) 13:21:29.62qWsKClU0o (1/1)

巨乳美・・・少・・・年・・・・・・?


477VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 13:36:49.75LDYQLK5DO (1/1)

…高見盛


478VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 17:16:36.452TGYedneo (1/1)

伝説の魔族、モーニングアッパードラゴン誕生の瞬間である


479VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/06(水) 17:48:18.63gCyHSyMDO (1/1)

此処だと支援とかもいらんしな


480VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都)2011/04/06(水) 17:49:48.38jBGsahRzo (1/1)

要は限度を守れってこった


481 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:35:31.78owmiQAUUo (1/21)

~地下水路~

ジュニア「……遅っせえなぁ。何やってんだアイツら」

皇太子「……」

ジュニア「俺、ちょっと見てきます」

魔道士「お、お気を付けてっ!」

ジュニア「ハッハ!ありがと!」

スクッ…タッタッタッタッタ…

皇太子「……彼は、上位ランカーだったかな?」

魔道士「はいっ。ジュニアさんは鉱石3位の。あと、眼鏡さんも2位の方ですよ」

皇太子「そうか。まだ若いのに大したものだな」

魔道士「……ええ」

皇太子「……ん、どうした?」

魔道士「あ、いえ……っ」

皇太子「何かあるなら遠慮せず申してくれ」

魔道士「……私、殿下が跡を継ぎたくないのかと思ってました」


482 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:36:39.68owmiQAUUo (2/21)

皇太子「……どうして?」

魔道士「だって、私でもいいなんてそんな――」

皇太子「確かに事実だ」

魔道士「……」

皇太子「私は元来、魔力を持ち合わせてはおらぬ」

魔道士「……」

皇太子「それが引け目でな。正直、悩んだものさ」

魔道士「殿下……」

皇太子「まぁしかし、歳を取ると半ば諦めと言うか、受け入れと言うか」

魔道士「でしたら……」

皇太子「そこへ魔道士、君がの存在が明るみに出た」

魔道士「――っ」

皇太子「ようやくこの、呪縛から逃れられると思ってしまったよ」

魔道士「……」

皇太子「だがな、君の姿、そして眼を見て、正直戸惑いを覚えた」


483 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:37:53.78owmiQAUUo (3/21)

魔道士「戸惑い……?」

皇太子「君の、ワーカー、国、そして人を愛する気持ち」

魔道士「そ、そんな事は……っ」

皇太子「いや、それが意志として伝わった。己の為すべき事が分かっているのだ」

魔道士「そこまで……考えた事、ありませんよ」

皇太子「考えていなくとも、自然と認識して行動しているのだろう」

魔道士「……難しいです」

皇太子「それを感じた時、自分はなんて幼稚なんだと思ったよ」

魔道士「……」

皇太子「ならなければならぬ立場に居ながら、それを拒絶し……」

スクッ

皇太子「挙句、大切な者らまで危険に晒すような真似をしてしまった」

魔道士「でもっ、殿下のお考えは間違ったものではないと思いますっ」

皇太子「……」

魔道士「人って、悩んで考えて、それで生きているんだと思います……っ」


484 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:38:55.97owmiQAUUo (4/21)

皇太子「……」

魔道士「絶対に正しい事なんてないんじゃないかって……そう思います」

皇太子「魔道士、君は本当に優しいのだな」

魔道士「!?」

皇太子「君と旅を出来て良かった。心から礼を言うよ」

魔道士「こっ、こちらこそっ!」

皇太子「己を見つめ直す、絶好の機会になったよ。ありがとう」

魔道士「い、いえ……っ」

皇太子「私の身勝手で、これから本国を支えてくれる若者達を……」

魔道士「……」

皇太子「そして、私を皇太子と慕ってくれる国民の期待を裏切るわけにはいかん」

魔道士「そ、そうですっ!!」

皇太子「……まぁ尤も、君が義妹だからこそ、身を引くつもりでもあったのだがな」

魔道士「……?」

皇太子「いや、何でもない。魔道士、君が義妹で本当に良かった。ありがとう」


485 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:39:28.74owmiQAUUo (5/21)

魔道士「えっ!?い、いや……っ、えっと……」

皇太子「きっと、君の母上に面影を重ねていdたのだろうな。私もエリートも」

魔道士「え……っ?」

皇太子「ああ、君の母上はな……」

タッタッタッタッタ

ジュニア「すみませんっ、お待たせ致しました」

皇太子「無事か?」

眼鏡「ええ。特に変化なしです」

賢者「それじゃあ行こうか……ふぅ」

皇太子「それで、港に抜けてどうする?」

ジュニア「先程、述べた通りです」

魔道士「木を隠すなら森……って」

ジュニア「ハッハ!そういう事」

魔道士「つ、つまり……?」

ジュニア「王宮内へ向かいましょう!」


486 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:40:27.67owmiQAUUo (6/21)

~王宮、会議室~

右文官「ではこれより、各理事に連絡を取るぞ」

エリート「お願いします」

右大臣「……」

エリート「本当に、宜しいのですね?」

大軍師「この策を採用する、それは即ち……」

右大臣「……」

大軍師「貴方ご自身の終わりも意味するのですよ?」

右大臣「分かっておる。その上で何度も申しているのだ」

エリート「大軍師殿、父上の覚悟は揺るがないようです」

大軍師「……ふむ、そのようですね。分かりました」

スッ

エリート「お戻りですか?」

大軍師「あの方より頼まれた、私の仕事は終わりましたので。では」

エリート「……感謝致します」


487 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:41:31.17owmiQAUUo (7/21)

タッタッタ…ザザッ…キョロキョロ

ジュニア「……大丈夫そうです」

皇太子「それで、どのように戻ると言うのかな?」

ジュニア「月並みですが、シンプルに馬車で正面から帰りますよ」

皇太子「下手な小細工は無用、と言うわけか」

ジュニア「ただ問題は、左翼の連中、。嗅覚だけはいいですからね」

眼鏡「まぁ、用心するに越した事はないね」

魔道士「……っ」

ジュニア「とりあえず、馬車を手配しましょう。正面は目立つ……裏通りを」

賢者「……そうだね……ふぅ」

眼鏡「魔道士ちゃん、君は中央へ」

魔道士「……?」

眼鏡「ガタイいいのが4人もいるからね。一人目立ってしまう」

皇太子「成程、4人で囲むように歩けば良いわけだな」

ジュニア「ええ。殿下もマントを被って、顔は目立たないようにして下さいね」


488 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:42:21.18owmiQAUUo (8/21)



テクテクテクテク

ジュニア「ん……っ?」

ドドッドドッドドッドドッ…

皇太子「王宮の馬車だな。病院へ行くようだが……」

賢者「王宮内で病人かな……ふぅ」

魔道士「だ、大丈夫でしょうか……っ」

ジュニア「……そうだ」

眼鏡「どうかしたかい?」

ジュニア「いやっ、とにかく馬車を手に入れよう!話はそれからだっ」

眼鏡「ああ」

賢者「それで、馬車は?」

ジュニア「この先、病院の近くに店がある。そこで入手する」

魔道士「そのあとは、いよいよ……」

皇太子「……」


489 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:42:49.60owmiQAUUo (9/21)

ドドッドドッ…ドドォ

警備員「……?」

右秘書官「院長はいらっしゃるかな?」

警備員「え、ええっ。何か……ご用で?」

右秘書官「用があるから来ておるのだ。通して貰うぞ」

警備員「あっ、あの……」

王宮兵「火急の用件なのだ。貴様も今、本国の状況が分かっておるのだろう?」

警備員「……っ」

カツカツカツカツ

右秘書官「君達はそこで待ってなさい」

王宮兵「はっ」

コンコン

右秘書官「失礼致します」

院長「……君は王宮の。夜分に何だね?」

右秘書官「これは院長。それに御曹司もご一緒でしたか」


490 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:43:36.28owmiQAUUo (10/21)

ドクター「……では、僕はこれで」

院長「構わん。そこにおるがいい」

右秘書官「宜しいのですか?」

院長「陛下崩御の事であろう?丁度良いわ」

ドクター「今、そのお話をしていたところです」

右秘書官「そうでしたか」

院長「悪いが、貴様は右翼の者であろう?」

右秘書官「如何にも。右翼だと不都合でもございますか?」

ドクター「院長、何故分からないのです?」

院長「……」

ドクター「私は数年間、各地を巡り歩いてきました」

院長「……」

ドクター「確かに戦いで、数多くの血が流れておりました」

院長「……」

ドクター「しかし、その血のお陰で、何十倍という血が救われているのです!」


491 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:44:24.22owmiQAUUo (11/21)

右秘書官「院長、貴方とて理事の一人。左翼の横暴は分かっておりましょう?」

ドクター「もう、こんな世界は終わりにしましょう!」

院長「……っ」

右秘書官「これが……気掛かりですかな?」

スッ

院長「――っ!!」

右秘書官「確かにこれが明るみにでてしまっては……さぞかし辛いでしょうね」

院長「……脅迫する気か……っ」

右秘書官「あくまでこちらにはこういう切り札も持っている、という事です」

院長「……」

右秘書官「それよりも見せたいものがあります。王宮までご同行頂けませんか?」

バンッ!!

ドクター「院長……いや、父さん!これはどういう事ですかっ!?」

院長「……っ」

ドクター「あなたという人は……っ」


492 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:46:50.17owmiQAUUo (12/21)

右秘書官「残念ながら、これが現在の、本国経済の裏ですよ」

ドクター「許せない……っ。これが本当ならば……こんな事があるのならば……」

院長「……わ、分かった!行くっ、王宮へ行こうではないか」

右秘書官「ありがとうございます」

院長「……くそっ、このような事があろうとは……っ」

右秘書官「あまり国軍を舐めない方が良いですよ?」

院長「……っ」

右秘書官「大元帥もでしたが、総司令もかなりやり手のようでしたから」

ドクター「父さん、僕も同行させて貰いますよ」

院長「……好きにしろ」

右秘書官「では、正面に馬車を用意しておりますので。どうぞ」

院長「仕度する。先に行っておれ」

ドクター「……はい」

右秘書官「では、私は院長を待たせて頂くとしましょう」

院長「……逃げやせんよ……っ」


493 ◆1otsuV0WFc2011/04/06(水) 19:48:06.42owmiQAUUo (13/21)

テクテクテクテク

ドクタ-「…………」

テクテクテク

ドクター「確かに……心のどこかで分かっちゃいたけど……っ」

パッカパッカパッカ

ドクター「……?」

ジュニア「ドクターさんかい?」

ドクター「……そ、そうですが」

ジュニア「ちょっと話があるんだが……」

ドクター「……裏へ回って下さい」

ジュニア「……?」

ドクター「警備員がいます。ここでは目立ちすぎる」

ジュニア「……ハッハ、察しが良くて助かりますわ」

ドクター「すぐに行きます」

ジュニア「あっ、出来れば用意して貰いたいものがあるんだが」