1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 23:03:01.36WYQV+q5yo (1/2)

┏━ ノ ー‐  j  ji       |l|     _,,,,,_    ji     ji     i  i!  ,_,,xz   .|l| |l|   ┃
┃  -イ.ー┬‐ | ーチ‐      ||        |!  ーナ ̄|   ト-、  |  |!    /    ||  ||   ┃
┃.   │ _|   レ _ノ  `"⌒)  o     ,__,,」  ノ´ 、ノ   .|     丿   /^\  .o .o ━┛
                . ̄

――かつて、人間と魔族が共存し、争いを繰り広げていた時代…
   幻獣を召喚し魔物を倒す者がいた…。
   名を「召喚士」…。後に「救世主」と呼ばれる者である…。


                           ――かもしれない…。

~前回までのあらすじ~

朱雀先生の称号を受け継ぎ、魔王を倒す為、旅を続ける召喚士。、
パーティー仲間の強くて頼れる二枚目の戦士、いつも明るく笑顔が
可愛い魔道士。スタイル抜群ツンデレな盗賊との冒険はまだまだ続く。
徐々に明らかとなる内通者の存在。そして四人は再び東へと向かう。

◆7xまとめ様(いつもありがとうございます)
http://nanabatu.web.fc2.com/new_genre/summoner_ike_Cockatrice.html

◆キャラクター人気投票所(ありがとうございます!)
http://vote3.ziyu.net/html/cocka.html

◆専用あぷろだ(支援ありがとうございます!)
http://ux.getuploader.com/cockatrice/

◆前スレ(その25)
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1297002187/


2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 23:03:57.25WYQV+q5yo (2/2)
3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 23:32:06.31u5O1Qc/vo (1/1)

フッ… l!
  |l| i|li ,      __ _  ニ_,,..,,,,_
 l|!・ω・ :l. __ ̄ ̄ ̄    / ・ω・≡
  !i   ;li    ̄ ̄ ̄    キ     三
  i!| |i      ̄ ̄  ̄  =`'ー-三‐ ―

              /  ;  / ;  ;
          ;  _,/.,,,//  / ヒュンッ
            /・ω・ /
            |  /  i/             
           //ー--/´
         : /
         /  /;
    ニ_,,..,,,,,_
    / ・ω・`ヽ  ニ≡            ; .: ダッ
    キ    三    三          人/!  ,  ;
   =`'ー-三‐     ―_____从ノ  レ,  、



4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 00:15:44.458f7UmOyDO (1/2)

>>1乙!
新スレおめでとうございま-す!!


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 00:47:33.2226P9kxOAO (1/1)

>>1おつ

こんだけ出世されるなんて青年兵の先輩の魔道兵涙目だな


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 07:55:38.5349it7EXDO (1/2)

>>1乙っす

クラーケンって雌だったんだな……
あと巫女って魔物化しちゃったから師匠とかと同じとこには行けないんかな


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 08:23:29.91jI1vGRMno (1/1)

一応これも張っとこう

~国軍階級~

大元帥:
元帥:
上級大将:司令官
大将:副司令官
中将:各部司令
少将:騎士団長、青龍先生、将軍
准将:
上級大佐:エリート、左翼長、隊長、大軍師
大佐:白虎長、各部副指令、博士<技術士官>、青年兵←New
中佐:各部参謀、各部魔道長、各拠点長
少佐:占い師、男隊員、女隊員、南方弓長、(バーテン)、(戦士父)
大尉:
中尉:
少尉:各部副官、青龍士官
准尉:
曹長:格闘家
軍曹:ボス
伍長:東方伍長
兵長:
上等兵:
一等兵:
二等兵:

()は現役当時。<技術士官は>通常二階級下

召喚士「行けっ!コカトリス!!」 その22 より
http://ex14.vip2ch.com/news4gep/kako/1290/12906/1290677469.html/889


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 10:14:43.26kGFlIjvlo (1/1)

東方先生より上になっちゃったか


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 12:33:38.6559CeCC170 (1/1)

>>1

いつもありがとう!



10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 17:38:30.38oPhMC0xAO (1/1)

>>1乙

愛してるぜ


11 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:42:02.89V1PrEx6go (1/27)

カツカツカツカツ

青年兵「……はぁ」

カツカツカツ…

青年兵「……あっ」

戦士父「……」

青年兵「ど、どうも」

戦士父「…どうも」

カツカツカツカツ…

青年兵「あの人は…確か……」

カツカツカツ…ガチャッ

戦士父「……」

司令官「…悪いね、わざわざ」

戦士父「何でしょう?」

司令官「東方にさ、行ってきてくれない?」

戦士父「…まさかゾディアックですか?」


12 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:43:04.32V1PrEx6go (2/27)

司令官「…ん」

戦士父「東方は訪れた事がありません」

司令官「案内人付けるよ」

戦士父「……」

司令官「いや、もう依頼しちゃったんだけどね」

スッ

司令官「これ、依頼書ね」

戦士父「……よりにもよって…っ」

司令官「東方にも縁があるし、君も知らぬ仲じゃないだろう?」

戦士父「……」

司令官「明朝、もう一度来てくれないかな」

戦士父「……分かりました」

司令官「頼んだよ」

戦士父「……失礼します」

司令官「……ん」


13 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:43:52.87V1PrEx6go (3/27)

~本国、郊外~

青年兵「新聞社とはいえ、夜中に行くのはちょっとね……」

テクテクテク

青年兵「……っ」

ピタッ

青年兵「出でよ、ワイバーン!」

シュイイィィン

青年兵「飛ばせばすぐの距離だしね…」

テクテク…グッ

青年兵「このまま真っ直ぐ、西へ」

ゴウッ!!…バサッバサッ…

ワイバーン「……どうした?」

青年兵「んー?どうもしないよ」

ワイバーン「……なら、いいが」

青年兵「……うん」


14 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:45:02.12V1PrEx6go (4/27)

ゴウッ…ドシュウウゥゥ

青年兵「あのさ、ワイバーン」

ワイバーン「……何だ」

青年兵「この前の事、覚えてる?」

ワイバーン「…いや、一瞬だったからな。何も覚えておらん」

青年兵「そうだよね…。ごめん、ありがと」

ワイバーン「何か関係があるのか?」

青年兵「ん?」

ワイバーン「お前の落ち込み具合とさ」

青年兵「…ははっ、落ち込んでなんていないって」

ワイバーン「……今日の飯は不味いな。透明さがない」

青年兵「……」

ワイバーン「まぁ良い。ところで、どこへ行くのだ?」

青年兵「……もう…見えてくるよ」

上空を悠然に飛ぶワイバーンと青年兵の視界に、暗い海が見え始めていた。


15 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:46:17.06V1PrEx6go (5/27)

ゴウッ…バサッバサァ

青年兵「ありがと」

ワイバーン「ここは?」

青年兵「…僕の故郷だよ」

ワイバーン「そうか」

青年兵「それじゃ、またあとで」

シュイイィィン

青年兵「……さて」

ザッザッザッザッザ

青年兵「……っ」

ガチャッ

青年兵「……?」

テクテクテク

青年兵「母さん?」

人の気配を感じない実家。青年兵はひとまず、居間の明かりを灯す。


16 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:47:11.67V1PrEx6go (6/27)

青年兵「…こっちかな?」

テクテク…カチャッ

青年兵「……っ!!」

母「……青…年兵かい?」

青年兵「母さんっ!」

母「ごほっ!……ごほごほ…っ!」

タタッ

青年兵「母さんっ!大丈――」

ゲシッ!!

青年兵「痛っ!!」

母「何を…のこのこ帰ってきてるんだいっ」

青年兵「ご、ごめん…っ。でも何も蹴らなくたって……」

母「全く、人が寝てる最中に。来るならもっと早く……ごほっ!」

青年兵「か、母さん…っ」

母「…今、起きるよ。ちょっと肩を貸しておくれ」


17 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:48:13.95V1PrEx6go (7/27)

グイッ

青年兵「……っ」

母「すまないねぇ」

青年兵は返す言葉を失った。肩に回した腕は、

かつて漁業で培ったそれを失い、支える為に手を回した腰も同様、痩せ細り、

かつて頑健そのものであった母親の面影は微塵たりともなくなっていた。

母「それで、今日はどうしたんだい?」

ひとまず母を椅子へ座らせると、青年兵は台所へ向かいながら返答した。

青年兵「久し振りに本国まで来たからさ、ついでだよ」

母「久し振り…?あんた、今は本国勤めじゃないのかい?」

青年兵「うん。今は東方司令部…東にいるんだ」

カチャカチャッ

青年兵「でも左遷じゃないよ、自分で望んでの事だし…出世もしたんだ」

母「……ごほっ」

青年兵「さっき総司令に言われてね、近々大佐だってさ」


18 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:49:24.79V1PrEx6go (8/27)

母「……」

青年兵「はい」

無言で顔を見つめる母。青年兵は茶をテーブルへと差し出す。

母「何かあったんだろう?」

青年兵「え……っ」

母「たったそれだけの事で来るなんて…違うだろ?」

青年兵「……いや、報告したかっただけだよ」

母「そんなもの、手紙の一つで十分じゃないか」

青年兵「……っ」

母「情けないねぇ。救いが欲しくて親の顔を見に来るなんてさ」

返す言葉はなかった。全て見透かされている、ただそれだけだった。

母「言ったろ?お国の為に、人を幸せにする為に働けって…」

青年兵「……」

母「ましてや偉い身分になって、立ち止まってる場合じゃないだろう?」

青年兵「……」


19 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:50:24.14V1PrEx6go (9/27)

母「ほら、行きな。あんたが帰ってくるべき場所は、ここじゃないよ」

青年兵「…うん」

スクッ

青年兵「次、帰って来る時は…自分の夢が叶った時にするよ」

母「……ああ、そうなさいな」

青年兵「……大元帥になったら、帰ってくるから」

母「……夢は大きすぎると、苦労するよ?」

青年兵「この程度で苦労してたら、誰も助けられないよ」

母「言うじゃないのさ。男に二言はないよ?」

青年兵「…うん。それじゃ、行ってきます」

母「いってらっしゃい」

スタスタスタ…パタン

母「ごほごほっ!!げほ……っ!!」

青年兵「――っ」

グッ……タッタッタッタッタ…


20 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:51:26.11V1PrEx6go (10/27)

青年兵(母さん…ごめん……っ)

タッタッタッタ

青年兵(僕にはまだ…やらなくちゃいけない事が…残ってるんだ!)

タッタッタッタ

青年兵(きっとまた、きっと……帰ってくるから!)

母の病状が悪化している。それは青年兵にとっても、一目瞭然であった。

たった一人の肉親。全てを捨てて残り僅かに迫る余生を共に過ごすという

選択肢も決してないわけではない。

青年兵「……」

だが、それは最も確率の低い選択肢であった。おそらく母親の思いも同じであろう。

タッタッタ…ザッ

青年兵「出でよ、ワイバーン!」

シュイイィィン

ワイバーン。龍の姿をした青龍を代表する召喚獣。

その背中に乗り、使い手は再び、自分の居場所へと戻って行った。


21 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:52:21.06V1PrEx6go (11/27)

~最北の村~

大軍師「……どうぞ」

占い師「……っ」

カツ…コツコツコツ…

大軍師「明かりを」

ヒゲの男「……へい」

ボッ

占い師「――っ!!」

大軍師「…どうです?」

占い師「……こ……んな」

ザシャッ

大軍師「あまり触れない方が宜しいですよ。崩れては元も子もない」

占い師「……っ」

大軍師「今はまだ、このままです。必ずや刻は来ます」

占い師「……はい……っ」


22 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:53:33.66V1PrEx6go (12/27)

~次の日~

戦士「さーて、来たはいいが……」

魔道士「いますかねぇ…?」

召喚士「とにかく、聞いてみましょう」

テクテクテクテク

召喚士「あの、総司令官はお戻りになられてますか?」

受付「あぁ、はい。昨晩お戻りになられましたよ」

戦士「んだよ、入れ違いだったのか」

受付「朱雀先生ご一行様ですよね?お通しするよう言われております」

盗賊「……どうも」

スタスタスタスタ

戦士「準備万端てか」

魔道士「一体、どんな依頼なんでしょうね?」

召喚士「気になりますね」

盗賊「…ああ」


23 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:55:02.36V1PrEx6go (13/27)

~司令室~

コンコン…カチャッ

秘書官「朱雀先生がお見えです」

召喚士「失礼致します」

スッ

戦士「んな……っ!?」

魔道士「戦士さんの……お父様…!?」

戦士父「……はぁ」

司令官「よく来たね。まぁ座って」

召喚士「…し、失礼します」

ススッ

司令官「今日はね、君達に頼みがあるんだ」

召喚士「まさか、戦士父さんと関係が…?」

司令官「うん」

戦士「やだよ」


24 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:55:50.07V1PrEx6go (14/27)

戦士父「こっちの台詞だ」

召喚士「ま、まぁまぁ……」

司令官「あのね、東方へ行って貰いたいんだ」

盗賊「…東方?」

司令官「そう。彼が用事あるんだって」

戦士父「……っ」

召喚士「何か…するんですか?」

戦士父「ちょっと探し物をな」

司令官「だからね、東方に詳しい君達に案内して貰えないかと思って」

魔道士「なるほどですね…」

盗賊「……」

召喚士「…戦士」

戦士「……っ、分かったよ。私情で四の五の言える立場じゃねぇ」

司令官「…ん、助かるよ」

戦士「……はぁ」


25 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:56:46.69V1PrEx6go (15/27)

~新聞社~

テクテクテクテク

青年兵「あの、すみません」

受付嬢「はい」

青年兵「こちらに、女記者さんとう方がお勤めだと思うのですが……」

受付嬢「生憎、女記者は外出しておりますが」

青年兵「存じています。その件でお話したい事が……」

受付嬢「あの、失礼ですが……」

青年兵「あ、私はこういう者です」

スッ

受付嬢「国軍の……っ」

青年兵「急を要する話です。責任者の方をお願い出来ますか?」

受付嬢「……少々お待ち下さいませ」

スクッ…カツカツカツカツ…

青年兵「……」


26 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:57:32.45V1PrEx6go (16/27)



カツカツカツカツ…

受付嬢「青年兵様、お待たせ致しました」

編集長「私が女記者の上司にあたります、編集長と申します」

青年兵「始めまして。国軍所属――」

編集長「議会立役者の青年兵殿、ですな。知ってますよ」

青年兵「ど、どうも。流石ですね」

編集長「いや、あの時は我が社も出遅れましてなぁ」

青年兵「……」

編集長「他社に持っていかれてしまいましたよ。はっはっは」

青年兵「そうですか…」

編集長「それで、あのバカ…何かやらかしましたか!?」

青年兵「え…っ?」

編集長「何とか……示談で事を納めては頂けませんでしょうか?」

青年兵「い、いえ……っ。あの……」


27 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:58:13.85V1PrEx6go (17/27)



編集長「……死んだ……?」

青年兵「……」

編集長「…………」

青年兵「現在、国軍本部にてご遺体と遺留品を保管しております」

編集長「死……」

青年兵「あと、これを……」

スッ

編集長「……」

青年兵「現場で見つかりました。彼女の取材手帳かと」

編集長「……っ」

青年兵「……彼女は、死の間際まで…立派な記者でした」

編集長「バッキャロ……ッ、死んじまったら…取材出来ねぇじゃねぇか…っ」

青年兵「…………」

編集長「最後の最後まで……面倒かけやがって……っ」


28 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:59:01.68V1PrEx6go (18/27)

スクッ…ザッ

青年兵「申し訳ございませんでした!」

編集長「……」

青年兵「私が国軍を代表し、謝罪させて頂きます」

編集長「やめようや、青年兵殿」

青年兵「……」

編集長「アンタが深く頭を垂れたところで、帰ってくるわけじゃないんだ」

青年兵「……」

編集長「その涙は、嬉し泣きにとっておいて下さいよ」

青年兵「……は……い…っ」

編集長「これ、頂いてもいいですかね?」

青年兵「少し、待って貰えますか?」

編集長「……?」

青年兵「その手帳に、犯人のカギが残っているかもしれないんです」

編集長「……っ」


29 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 17:59:58.93V1PrEx6go (19/27)

青年兵「先程も申したように、女記者さんは最後まで……」

編集長「そうかぁ…。最後の最後に大スクープだなぁ……」

スクッ

編集長「では、他の遺留品と……女記者の遺体はこちらで引き取ります」

青年兵「…よ、宜しいのですか?」

編集長「はい。……ありがとうございました」

青年兵「こちらこそ……」

編集長「あんなバカの為に涙してくれる人がいて、あいつも喜ぶ事でしょう」

青年兵「……」

編集長「では、失礼」

スタスタスタ

青年兵「……」

受付嬢「お、女記者さんは……編集長の娘さんなんです…っ」

青年兵「――っ!!」

受付嬢「平静を装ってはおられますが……辛いでしょうね……」


30 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:00:43.31V1PrEx6go (20/27)

青年兵「……っ」

ガクッ

青年兵「僕は…僕は……っ」

張り詰めていた青年兵の何かが、音を立てて切れた。

受付嬢「あ、あの……っ」

スクッ…テクテクテク

青年兵「……大佐?望むところじゃないか」

テクテクテク…

青年兵「このまま…頂点まで突っ走ってやる!」

冷静さを欠いても無謀な行動には決して出ない。

無謀と勇敢を履き違える事のないそれはまさに、青年兵ならではの事。

先代の大元帥とは無論、面識はなくとも、それを自然と体現している彼だからこそ、

周囲の期待も非常に大きく、性格や勤勉さも相まって、

短期間での大出世に大きく反映されているのである。

そして青年兵はこの後、大きな飛躍を遂げる事となる。


31 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:01:23.08V1PrEx6go (21/27)

~本国、港~

戦士「…しっかし、まさか親父のお守りとはねぇ」

戦士父「……」

戦士「介護にゃ早いぜ…ったく」

戦士父「五月蝿い奴だな。嫌なら残れ」

戦士「そうはいかねぇだろ!国軍付なんだしよ」

戦士父「だから前に言っただろう、軍属は面倒だと」

戦士「なりたくてなったんじゃねぇっ!」

戦士父「じゃあ何故、なったのだ?」

戦士「うっ……」

戦士父「…自業自得だ、馬鹿」

戦士「てめぇこそ軍の言いなりになってんじゃねぇかよ!」

戦士父「別に言いなりではない」

戦士「じゃあ断ればいいだろうがっ」

戦士父「……」


32 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:02:35.20V1PrEx6go (22/27)

召喚士「ほ…ほらっ、船が出航しちゃいますよ?」

魔道士「そ、そうですよ。周りもみんな…注目してますし……」

盗賊「……恥だな」

戦士父「…ところでお前、何故それを持っている?」

戦士「それ…?戟の事か?元から俺のだろ」

戦士父「……」

戦士「親父にはその槍を渡しただろ。覚えてねーのか?」

戦士父(戟は確かに、一昨日送ったはずだが……)

戦士「聞いてんのか?」

戦士父「まぁいい。とにかく、それを返せ」

戦士「だーから!俺のだって言ってんだろうがっ!!」

戦士父「それはお前の手に余る物だ。それに……」

戦士「ゾディアックだってんだろ!知ってるよ」

戦士父「……」

戦士「もう何がなんだか分からんから、とにかく話をしよう、話を!」


33 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:04:14.93V1PrEx6go (23/27)



戦士「……あー」

戦士父「そういう事か」

魔道士「でも、どうなるんですかね?」

召喚士「ドッペルゲンガーのコピーでも、ソディアックとして発揮するんですか?」

戦士父「……さぁ、どうだろうな」

戦士「お気楽な……」

戦士父「今更言ってももう遅い。手遅れだ」

召喚士「駄目だったら…どうするんです?」

戦士父「威力は落ちるが、何とかなるんじゃないか?」

召喚士「……」

盗賊「…お前より呑気だな」

戦士「…うっせ」

魔道士「と、とにかく…東方で見つかるといいですね…っ!」

召喚士「そ、そうですね……ははは…っ」


34 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:04:50.73V1PrEx6go (24/27)

~鉱山の街、鍛冶屋~

おかみ「あんた~荷物届いたよーっ」

鍛冶屋「はいはいはいはいっ」

おかみ「まったく、こないだといい…国軍の連中は……」

鍛冶屋「まぁ仕方ないよ。大軍師さんとも約束しちゃったし……」

おかみ「…でも、本当にいいのかい?」

鍛冶屋「ん?」

おかみ「…こいつさ。ゾディアックなんだろ?」

鍛冶屋「うん。正しき者が使えば、それはきっと力になる」

おかみ「……」

鍛冶屋「その刻が来たら、お前の判断に任せる……そう言われたからね」

おかみ「律儀に…結婚してまで守っちゃってさ」

鍛冶屋「違うよ。前にも言ったけど、僕が結婚したのは君が好きだからだよ」

おかみ「……そ、そんな事どうでもいいからっ、さっさと運ぶよ!」

鍛冶屋「そうだそうだっ、運んじゃおう!」


35 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:05:41.12V1PrEx6go (25/27)

気温はやや暖かさを戻し、日没の時間もやや延びていた。

18時頃になるだろうか、薄暗さを増した空の下、船はターミナルへと入港した。

~ターミナル~

召喚士「ここで乗り換えですね」

戦士父「いよいよ東方か」

魔道士「素敵な所ですよ~っ」

戦士父「それは楽しみな限りだな」

盗賊「……ああ」

戦士「出航まで1時間くらいあんぞ?」

召喚士「着くのは深夜になりそうだね」

盗賊「…どうする?」

魔道士「このまま東方で宿を取ればいんじゃないですか?」

召喚士「ええ、それがいいと思いますよ」

戦士「急ぐ旅でもねーしな」

召喚士「そうだね。出航まで身支度整えておこっか」


36 ◆1otsuV0WFc2011/02/25(金) 18:06:27.95V1PrEx6go (26/27)



船員「出航致します」

戦士「…おっ、あれ御者さんじゃねーか?」

召喚士「本当だ!これからターミナル出るみたいだね」

魔道士「お仕事頑張ってますねーっ」

戦士「あの、うるせぇ奴も頑張ってっかな?」

召喚士「青年兵くんもいるし、心配ないと思うよ」

盗賊「…そうだといいな」

召喚士「みんな、どこに居ても頑張ってるんだよね」

魔道士「私達も頑張らないとですねっ!」

召喚士「ええ」

戦士「まぁ…まずは……」

戦士父「…何だその目は」

召喚士「は、はは…っ」

五人を乗せた船は、夜分遅く東方の都へと到着した。


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 18:09:04.55V1PrEx6go (27/27)

金曜だし多分、深夜投下出来ると思います!
また後ほど。来なかったら疲労限界で落ちたという事で…

新スレもご支援感謝!ありがとう!それでは!ノシ


38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 18:11:35.54w1Ahs/fZo (1/1)

>>1乙

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     >     ワイバーン        <
   /  ─ / ──┐ ──┐ll ヽ|  |ヽ  ム ヒ | |
 \/  ─ /    /   /    | ̄| ̄ 月 ヒ | |
  ノ\ __ノ   \   /\   / | ノ \ ノ L_い o o


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 18:36:50.868f7UmOyDO (2/2)

>>1乙
青年兵は召喚士一行とは違う立場で物語のキーマンになってきてるね。
金曜深夜更新来てると嬉しいけれど、無理はしないようになー


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 19:27:38.68AEHPqroDO (1/1)

>>1乙
あくまで予想でしかないけどやっと繋がった
伏線スゲー


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 19:51:44.742DrjcFGW0 (1/1)

泣いた


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 19:53:54.05YuVXhhlAO (1/1)

>>1乙
編集長…

天才のおまけは要人が集まるパーティーへの潜入任務とかどうだろう


43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 20:13:09.41ovb94xpAO (1/1)

>>1乙

女記者死んじゃったね
こんなにズバッと死ぬとは…


魔導師ちゃんがもう召還士一筋って気づいてしまって以来、良い子だなぁとか思って目を付けてたのに…非常に残念
どうか天国では変なオジサン達に気をつけながら幸せにね


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 20:18:14.0649it7EXDO (2/2)

>>1乙っす
目から汗がとまらない


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 22:13:39.56gY5nhygDO (1/1)

>>1先生乙であります(。・x・)ゞ
ところでドッペル君と戦士が捕まった時に装備って実は入れ替わってたりするのかな?かな?
ゾディアックはともかく斧兼盾って本物と偽物で差異ってあるのかな?
斧に5行付加されてからドッペル君に会ってたらある意味チートだったような……


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 22:39:30.53XvD6sAtDO (1/1)

アレだろ?つまりドッペルはポケモン金銀の増殖バグだろ?



47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 23:19:18.32VRNHruOAO (1/1)

>>46
戦士が99人とか誰得ww


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 23:33:01.73OXWL3taAO (1/1)

>>47
盗賊「!!」ガタッ


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 02:46:13.74kpRJk5eDO (1/2)

>>47
ウィッチ「!!」ガタッ


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 03:09:29.284zC+p2OH0 (1/1)

>>47
俺「!!」ガタッ



51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 03:11:15.09R7iXN75Fo (1/3)

>>50
俺「!!」ガタッ



52 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:13:27.61QMQV7h+3o (1/11)

~東方、都~

戦士父「……おぉー」

シャンシャンシャン

魔道士「夜なのに、随分と活気がありますねぇ!」

召喚士「おそらく、都付近の魔物が居なくなったからでしょうね」

戦士「やっぱいいよな…この、夜の東方の雰囲気!」

盗賊「……ああ、華やかだ」

テクテクテクテク

客引き「兄ちゃん達っ、どうだい?酒に女…揃ってるよぉ~」

戦士「おぉー」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「冗談だっての」

召喚士「まずは宿を確保しないといけませんね」

戦士「…と、なると」

盗賊「……あそこか」


53 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:14:02.95QMQV7h+3o (2/11)

~旅籠~

女将「まぁまぁ、いらっしゃいまし」

召喚士「夜分遅くすみません」

女将「あら、うちは全然構いませんよ」

魔道士「また、お世話になりますーっ」

女将「…あら、こちら初めてお目にかかるお顔やわぁ」

戦士父「…どうも。世話になります」

女将「いいえ~。こちらこそ」

魔道士「こちらの戦士父さんは、戦士さんのお父さんなんですよっ」

女将「あらまぁ、そうだったの」

戦士「…はぁ、まあ」

女将「親子で有難いわぁ。それじゃすぐに仕度してきますわね」

ササッ…パタパタパタッ

戦士父「……何だ?」

戦士「…別に」


54 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:14:38.44QMQV7h+3o (3/11)



召喚士「さて、明朝からの予定ですが……盗賊さん」

盗賊「…ん?」

召喚士「槍の使い手とか、情報は分かりますか?」

盗賊「…聞いた事ないな」

戦士「…となると、まずは情報収集からか」

戦士「どこに聞きゃいいんだ?」

魔道士「あっ、盗賊さんのおうちなら何か分かるんじゃないですか!?」

戦士「情報収集も生業だもんな」

盗賊「…うん」

召喚士「最終手段はそれですね」

魔道士「という事は…後はぁ……」

戦士「鬼丸にも聞いてみっか。相当数の武器を溜め込んでるみてーだし」

召喚士「そうだね。あとは……あの人か」

戦士父「……?」


55 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:15:10.31QMQV7h+3o (4/11)

~朝、名代の屋敷~

戦士父「ここは…?」

魔道士「名代さんのお屋敷です」

召喚士「こちらの方は本国で言う、右大臣様のような役職の方です」

戦士父「…ほう、大物だな」

召喚士「さて、いるかな…?」

ザッザッザ

召喚士「すみませーん」

小姓「……?」

召喚士「あの、名代さんはいらっしゃいますか?」

小姓「名代様ですか?生憎、おりませんが……」

召喚士「いつ頃お戻りで?」

小姓「…戦ですから、いつになることやら」

召喚士「……そうですか」

小姓「何か、ご伝言などあれば伝えますが…?」


56 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:15:37.69QMQV7h+3o (5/11)

召喚士「いえ、大丈夫です。ありがとうございました」

ザッザッザ

戦士父「戦…?」

召喚士「おそらく、帝が東方平定に動いているのではないかと…」

テクテクテク

戦士「名代はどうだった?」

召喚士「それが、不在で……」

戦士「そっちもか」

召喚士「え…?という事は……」

盗賊「…鬼丸も…いなかった」

召喚士「……みんなで払ってるって事か」

戦士「どういう事だ?」

戦士父「どうやら、戦いが始まっているらしい」

魔道士「名代さんも、それでいらっしゃらないみたいなんですよ」

戦士「……そういう事か」


57 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:16:06.85QMQV7h+3o (6/11)

盗賊「…どうする?」

召喚士「…ひとまず、城へ向かってみましょう」

盗賊「…上様も…いないのでは?」

召喚士「ええ。ですが、他の方ならいる可能性はあります」

戦士「行くだけ行ってみるか」

召喚士「うん」

テクテクテクテク

門番壱「……ややっ!?」

門番弐「あ、あなた方は…っ!」

召喚士「ど、どうも……」

門番壱「藤蔵の姫ではござりませぬかっ!」

門番弐「生憎、上様はご出兵なされておりまして……」

召喚士「ええ、そのようですね」

盗賊「…藤蔵の者はおるのか?」

門番壱「はい。今は土忍様がおられますが……」


58 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:16:33.25QMQV7h+3o (7/11)

盗賊「…ちと会わせて貰えぬか?」

門番壱「勿論です。さぁどうぞ、お通り下さいませ」

魔道士「ありがとうございますっ!」

テクテクテク

戦士父「…凄いものだな。この国でも顔パスか」

戦士「大したモンだろ?」

戦士父「お前の力じゃないだろ」

戦士「……けっ」

一同は正門を抜け、そのまま西門へと向かい、藤蔵の詰所を訪ねた。

盗賊「……おーい」

土忍「……姫っ!?」

戦士父「…なぁ」

戦士「んー?」

戦士父「さっきから姫って言っているが、何なんだ?」

戦士「あー、あいつ…東方の姫様なんだよ」


59 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:17:02.93QMQV7h+3o (8/11)

戦士父「!?」

召喚士「領主の娘のようです。東方ではかなりの地位かと……」

戦士父「……そうだったのか」

盗賊「土、ちと聞きたい事があるのだが……」

土忍「…何なりと。戦の事ですか?」

盗賊「それも気になるが、別件だ」

土忍「…?」

盗賊「東方で槍の使い手と言えば、何か情報はないか…?」

土忍「槍…ですか?そうですね……」

盗賊「……」

土忍「使い手は存じませぬが、総本山などはどうでしょうか?」

魔道士「総本山?」

盗賊「…ああ、全国に建立されてる寺の本拠と言ったところだ」

召喚士「なるほど。そこは槍で有名なのですか?」

土忍「…うむ。東方における槍術の頂点と言っても、過言ではないな」


60 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:21:51.32QMQV7h+3o (9/11)

戦士「なるほど。その…総本山てのに行けば槍の手がかりが……」

土忍「…ああ」

召喚士「盗賊さん、場所は分かりますか?」

盗賊「…一応」

土忍「この時期はなかなかきついものがありますぞ?」

盗賊「分かってるよ」

召喚士「…?」

盗賊「とにかくありがと」

土忍「あ、姫……」

盗賊「…?」

土忍「もしなんでしたら、一度御館様にご相談なされては?」

盗賊「父上に…?」

土忍「御館様であれば、総本山の法主様とも懇意であられます故……」

盗賊「なるほどな。どうせ通り道だ、寄ってみよう」

土忍「それに……」


61 ◆1otsuV0WFc2011/02/26(土) 03:25:58.93QMQV7h+3o (10/11)

盗賊「…?」

土忍「いえ、何でもありませぬ」

盗賊「土、ありがとな」

土忍「姫様もお気を付けて」

召喚士「ありがとうございました」

戦士「そんで、まずは盗賊の家へ行くのか?」

盗賊「…ああ。そうする」

魔道士「それじゃ、はりきって行きましょーっ!」

テクテクテクテク

土忍「……喜ぶなどと申せば、御館様に咎めを受けてしまうやもしれんからな。ふっ」

五人は土忍より話を伺い、城を出て都を離れる。

その足でまず目指すは、都より北に位置する藤蔵の屋敷。

戦士「お前も久々に、親父に会えて嬉しいんじゃないか?」

盗賊「…べ、別に嬉しくはないし…久しくもないっ」

道中、東方の風情を楽しみながら夜には藤蔵へと到着したのであった。


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 03:30:24.62QMQV7h+3o (11/11)

PSPとマウス握って落ちてましたごめんなさい…
ちょっとだけだけど投下。そして寝ます…
ご支援ありがとうございましたーおやすみー!ノシ

~オマケ~

御館様「むっ!?」

侍女「…どうなさいました?」

御館様「見ろ、茶柱が立っておる」

侍女「おぉー、良い事あるかもしれませんね」

御館様「しかも、先程から何か悪寒のようなものが……」

侍女「あら、風邪ですか?」

御館様「たわけ。忍が風邪など引くものか」

侍女「でも、火は体調不良で寝込んでますよ?」

御館様「……」

侍女「…あっ、言わない方が良かったかしら…っ」

御館様「……火はどこにおる?」

侍女「えっと、離れの屋敷に……って、どうするおつもりですか!?」

御館様「…なぁに、すぐに任務へ向かうか切腹するかは選ばせてやるつもりだ」


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 03:31:55.96R7iXN75Fo (2/3)

>>1おつ!
深夜のリアルタイム嬉しかったず
疲れてるんだからしっかり休みなさいよね


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 03:32:12.354yjuLDguo (1/1)

>>1乙
ここでご両親顔合わせか……これで色々と円滑に進められるな……


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 04:41:37.55fjv1fLIDO (1/1)

乙です。
不休の投下、感服&感謝です。


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 05:03:18.12/JEdZvo3o (1/1)

いやあこれは鬼対決が見れますよー!!!
女記者追悼…


深夜更新乙!


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 11:37:08.45G708lJeDO (1/1)

槍、寺、総本山・・・

宝蔵院胤舜を出してくれるのか?
漢字もあってるか自信ないけど、、、


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 12:01:03.446yjQ9d8ao (1/1)

でも宝蔵院は技はあっても名槍ってなくね?


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 12:41:04.84VFCgVibCo (1/2)

東方の名槍といえば3本あるが、はたして・・・


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 12:56:35.95qDEoUTeoP (1/1)

東方の名僧が実はゾディアックの正体だったんだよ!


71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 13:02:28.56R7iXN75Fo (3/3)

向こうで戦士が俺のゾディアックうんぬんで暴れるとみた


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 13:39:33.37f0eDhs3vo (1/1)

>>71
昼まっからシモネタか・・・


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 14:07:38.54VFCgVibCo (2/2)

名僧に名槍をぶっこんでゾディアックと成す・・・なるほどな


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 15:32:04.845ataSmzgo (1/2)

スレ民の迷走


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 15:32:16.11REy4NnfDO (1/1)

ここでまさかのゾディアックシステムで舞台はFF12へ!!


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 15:48:21.57tTF3CiwAO (1/1)

バガボンドで胤舜は十文字槍使ってたな


77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 16:05:28.72jSpuDC0Co (1/1)

肥桶の柄杓をたんぽ槍ならぬ田んぼ槍と言って振りかざすわけですね


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 18:05:50.27iqTmreyR0 (1/1)

ゾディアック・・・・・・ゾディアッーーーーーーーーーーーーー!!!!


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 18:43:34.47n2pV5CrAO (1/1)

戦士「ところで俺のゾディアックを見てくれ。コイツをどう思う?」


80VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 18:50:16.29kpRJk5eDO (2/2)

>>79
戦士父「よこせ」


81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 19:08:38.295ataSmzgo (2/2)

だれだよ
こんな所につまようじ捨てたの


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 19:24:03.93cVI8/puDO (1/1)

タンポン槍を…


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 20:01:47.849zv9E2z8o (1/1)

分割されたゾディアックを一つに重ねると
ドーナッツ状態になれる

TrainTrain走っていけ!TrainTrainどこまでも!


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 20:06:55.12j70Uf5IAO (1/1)

レスを控えろ
もうすぐで>>1登場。


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 20:21:36.550YJ8OfFAO (1/1)

  __
  /。 \
 |ノ ゚|
 ノ ゴ ハ


86 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:44:12.00mLnmhV20o (1/14)

~藤蔵~

盗賊「…着いた」

戦士父「これは…家なのか?」

召喚士「まぁ、城と言った方が近いかもしれませんね……」

ザッザッザ…

男忍「……姫っ!?」

盗賊「ただいま」

男忍「おかえりなさいませ!ささっ、どうぞ」

魔道士「失礼しますーっ」

テクテクテクテク

風忍「……姫っ!!」

侍女「おかえりなさーい!」

タッタッタッタ…ガバッ!!

侍女「最近、頻繁に帰ってきてくれて…嬉しいわぁ~!」

盗賊「……」


87 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:44:48.82mLnmhV20o (2/14)

風忍「…こちらの御仁は?」

戦士「ああ、俺の親父だ」

風忍「――っ!!」

侍女「……っ!!」

ズザッ

侍女「とうとうこの刻が…来てしまったのね……」

戦士「はぁ?」

風忍「姫……っ、お気持ちは…変わらないのですか…?」

盗賊「…何が?」

侍女「あとは……御館様を口説き落とせるかどうかね…っ」

風忍「…うむ。こうなったら我らも、出来る限りの協力はしようではないか」

侍女「そ、そうね……っ」

盗賊「さっきから何を言っておる」

侍女「ご安心を…!私達は姫の味方ですからっ」

盗賊「だから、何の話だっ!!」


88 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:45:14.27mLnmhV20o (3/14)



風忍「御館様のお成りである」

スッ…スタスタスタ

御館様「一同、面を上げい」

スッ

盗賊「この度はお目通り頂き、恐悦至極」

御館様「うむ。して、今日は何用じゃ?」

盗賊「父上にお力添え頂きたく……」

御館様「……申してみよ」

盗賊「槍の総本山、我らはそこへ向かいたく…」

御館様「…ほう。理由を申してみよ」

盗賊「それはこちらの方より…」

スッ

戦士父「始めまして」

御館様「そなた、見ない顔だな。何者だ?」


89 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:45:41.33mLnmhV20o (4/14)

戦士父「……一介の旅人です」

風忍「こちらの、戦士殿のお父上にあられるそうです」

御館様「何…?」

戦士父「戦士父、と申します」

御館様「何故、総本山へと向かわれる?」

戦士父「私は、とある理由の為…世界中を回っております」

御館様「……」

召喚士「ゾディアックと呼ばれる、12本の槍を探しているんです」

御館様「それが総本山にあると?」

戦士父「東方に存在する、とまでしか分かりませぬ」

戦士「名代さんの話によると、総本山が槍術に長けていると…」

盗賊「そこに手がかりがあるのでは、と踏んでおります」

御館様「それで、どうしろと?」

盗賊「もし面識がおありならば、事を円滑に進める為……」

御館様「助力せよと申すか」


90 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:46:07.64mLnmhV20o (5/14)

盗賊「……いえ、その…っ」

御館様「構わん」

盗賊「……っ」

御館様「総本山は元より、来る者拒まず。まぁ問題はあるまい」

盗賊「…はっ」

御館様「しかし、法主への書状の一つでもあれば話は早かろう」

盗賊「……」

御館様「明日にでも整える。今日は泊まっていくが良い」

盗賊「…有難う御座いまする」

戦士父「助かります」

御館様「うむ」

スッ…スタスタスタスタ…

盗賊「……良かった」

召喚士「無事、いきそうですね」

盗賊「…ああ」


91 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:46:34.13mLnmhV20o (6/14)



ホーッ…ホーッ

戦士父「東方も、夜は冷えるな」

戦士「だな。ま、どこに居ても世界は一緒って事だろ」

戦士父「その通りだな」

スタスタスタ

魔道士「いいお湯でしたねーっ」

召喚士「魔道士さん、ええ…やっぱり天然の温泉はいいですね」

風忍「そうであろう?」

召喚士「風忍さん」

スタスタスタ

風忍「まだ、眠らんのか?」

召喚士「あの、風忍さん。お聞きしたい事が……」

風忍「……もしや、戦の事かな?」

召喚士「……ええ」


92 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:47:06.07mLnmhV20o (7/14)



ジャリッジャリッジャリッ

盗賊「……父様」

御館様「……」

縁側に座り、夜空を見上げ佇む盗賊の元へ、

石庭の脇を歩き、父である尾館様が無言で歩み寄る。

盗賊「…上様は、大丈夫ですか?」

御館様「……ああ。あの方の強さは本物だ」

盗賊「……」

御館様「物理的なものではない。芯の強さだ」

盗賊「…ええ」

御館様「物理的なものは、我らが補えば良い」

盗賊「……火と、水が付いているそうですね」

御館様「流石に此方も、全員を派遣するわけにはいかんからな」

盗賊「あの二人、大丈夫でしょうか……」


93 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:47:32.91mLnmhV20o (8/14)

御館様「……ふっ」

盗賊「……?」

御館様「お前に心配されるようになるとは。二人も落ちたものよ」

盗賊「あ、いえ…っ、そうではなく……仲が…悪いから」

御館様「たわけが。戦の最中に私情を挟むほど愚か者ではないわ」

盗賊「……っ」

御館様「名代や鬼丸も付いておる。何も心配はあるまい」

盗賊「ええ……」

御館様「槍の総本山。強いぞ」

盗賊「……」

御館様「心してかかれよ」

ジャッジャッジャリッ…

盗賊「父上…っ!」

御館様「…?」

盗賊「……おやすみ…なさい…っ」


94 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:48:05.02mLnmhV20o (9/14)



召喚士「…なるほど、火忍さんと水忍さんが…っ」

戦士「それに名代さんと鬼丸だろ?まぁ安心だわな」

戦士父「反抗勢力は強いのかな?」

風忍「いえ、数はさほどでもありません。徐々に平定も進んでおるようです」

魔道士「おぉーっ」

風忍「この調子でいけば、半年とかからず東方も平定される事でしょう」

召喚士「そうすればいよいよ……」

風忍「はい。本国と正式な同盟へと進みます」

戦士「そこでついに……」

戦士父「ああ。五ヵ年計画の…最後が始まる」

風忍「…?」

召喚士「最後…即ち、魔王討伐……」

戦士父「そういう事だ。心してかかれよ」

召喚士「……はいっ」


95 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:48:32.34mLnmhV20o (10/14)

魔道士「それじゃ、おやすみなさーい!」

戦士「俺らも寝るか」

召喚士「うん、おやすみなさい」

スタスタスタ

戦士「…親父、行かねーのか?」

戦士父「ああ、もう少ししたら戻る」

戦士「……んじゃ、おやすみ」

戦士父「……」

ジャッジャッジャ…

戦士父「……どうも」

御館様「…まだ、起きておられたのか」

戦士父「…東方の夜空は始めてでしてな」

御館様「本国とは違いますかな?」

戦士父「違うようで同じようで……。何とも言えませんな」

御館様「……宜しければ、一献傾けるかな?」


96 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:49:02.93mLnmhV20o (11/14)



戦士父「すみません。酒は弱いもので…一杯だけ……」

御館様「構わぬ。此方こそ下戸なのに申し訳ない…」

戦士父「いえいえ、では…頂きます」

コクッ

戦士父「……効きますなぁ」

御館様「…ふっ」

戦士父「……失礼ですが、奥方は?」

御館様「…既に死別しておる」

戦士父「それは失礼……っ」

御館様「構わん。……貴殿は?」

戦士父「…私もです。随分と前に」

御館様「そうであったか……」

戦士父「…実は、妻も軍人でしてね」

御館様「…もしや、戦死なされたのか…?」


97 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:49:46.73mLnmhV20o (12/14)

戦士父「……ええ」

御館様「それは…気の毒な」

戦士父「…私は、妻を救ってやれなかった」

御館様「……」

戦士父「だから軍より身を引いたのです」

御館様「そうであったか……」

戦士父「そして、息子には同じ道を歩んで欲しくなかった」

御館様「…親の背を見て、育ったのでしょう」

戦士父「いえ、私は何も語っておりませんし、見せてもいません」

御館様「……」

戦士父「あいつは自分の意思で、戦いの中に身を置いたのです」

御館様「そうであったか」

戦士父「血は争えぬ…と言ったところか」

御館様「しかし貴殿も、今は戦いの中にその身をおいておられる」

戦士父「学んだのでしょうね」


98 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:50:51.35mLnmhV20o (13/14)

御館様「……ほぅ」

戦士父「しかも息子から。学んだのでしょうね」

御館様「……」

戦士父「ただ、逃げているだけだと思い知らされたのです」

御館様「それもまた、一つの道なのでしょうな」

戦士父「貴殿は強いですな」

御館様「……?」

戦士父「一人娘なのでしょう?」

御館様「あれも勝手に、飛び出しただけの事」

戦士父「……」

御館様「それを制する道理など、某には持ち合わせておらぬ」

戦士父「…成程。しかし、その身に何かあれば……」

御館様「父である前に藤蔵の長。長である前に…東方の忍」

戦士父「……」

御館様「某とてそうして生きてきた」


99 ◆1otsuV0WFc2011/02/27(日) 00:51:18.94mLnmhV20o (14/14)

戦士父「……」

御館様「兄弟もそうやって死んでいった。今更の事よ」

戦士父「しかし逃げなかった。やはり貴殿は強い」

御館様「強さの形など一つでは御座らん」

戦士父「確かに、そうかもしれませんな」

御館様「……とを頼みます」

戦士父「保障は出来ませぬ。この先の戦いは、熾烈を極めます」

御館様「……」

戦士父「しかし、目に届く限りは…出来るだけの事は致しましょう」

御館様「忝い……」

戦士父「……良い娘さんをお持ちで。羨ましい限りです」

御館様「…ただの世間知らぬな小娘ですよ」

ジャリッ

御館様「…さて、そろそろ失礼致そうか。……話せて良かった」

戦士父「……こちらこそ」


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 01:25:01.92ts5feHTDO (1/1)

>>1乙!

最近忙しいみたいだし、無理に深夜更新とかしなくて良いんじゃないか?
こっちとしては、すごく嬉しいけどな。


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 01:25:20.68wOUDyQmV0 (1/1)

乙です。


102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 01:26:56.23RrJR7ZcAO (1/1)

>>1おつ

そういえば昔は戦士父がホームレス状態なのを最近の活躍ですっかり忘れてたわ


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 01:52:59.778Qr6Au7SO (1/1)

もし自分が槍の使い手だって事を忘れてなくてホームレスしてたら恐ろしいことになってたな


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 02:00:17.37l+YLImiDO (1/1)

>>1乙!
パパ会談が平和に終わって良かったwwww


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 02:03:54.56yQ/Pj1vDO (1/1)

>>1乙です愛してる


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 06:14:26.54xWrKh6yDO (1/1)

>>1乙
結局戦士父はどんな強敵に出会ったんだろうか


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 07:37:11.55hGjFPHjfo (1/1)

とを


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 18:32:59.66EELE3xVx0 (1/1)

雷忍死んでから全く見てなかったが、このスレまだ続いてたのね…乙


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 20:08:06.57osAPQ0MAO (1/1)

今最初から読み直してるんだが召喚士五行無双はどこだっけ?


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 21:26:03.17da/G6buAO (1/1)

>>1乙

>>99で予測変換が出来てないぜ。多分

御館様「……とを頼みます」

御館様「……盗賊を頼みます」

違ってたら聖行受けてくる


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 21:32:29.33iAjPvhcRo (1/1)

               ,、
             //
           ///)
          /,.=゙''"/       _,r'三 ̄`ヽ、
         i f ,.r='"-‐'つ     /ヘ/" ゙̄\,ミ\  >>110
         /   _,.-‐'゙~     ,! 、!r r。-r ミ   i   こまけぇことはいいんだよ
        ,i    ,二ニー;     ドツ ヽ ̄  fハ, il
        ノ    il゙ ̄ ̄      l ー-_゙   ,、/ /
      ,イ「ト、  ,!,!         ゙! )二」゙  ,!i Y
     / iトヾヽ_/ィ"___.     ヽ.t  _/,!  i
    r;  !\ヽi._jl/゙_ブ,フヽヾーtー:、__ ,トf-≦-=、_,L
    ∧l   \゙7'゙ .j!/ / /\jr=ニ:ー-゙┴、 ゙ミ三ヽi]l「/l
   ./ i !   \.// /./  ./   \ ┌‐ヽミ≦‐十'"!
  /  i゙i     /  ̄ ̄ ̄       i .l ッー-、\_ミ「彡゙ー=r.、
 ノ   ヾ、  /            i! ! \_ ̄i i l r‐へ__\ー-、
/      ゙''y'              l .i  、 l  !.j .l l 「,> ゙t.,>‐fi


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 23:20:36.92iWNLAF1Ko (1/1)

>>111
                              (\
                            (\\\
                             \"''゙=.,\
こまけぇことが大事なんだろうが       ⊂'‐-"'=r., f i     \
                     /_ノ  ー、\~'‐-.,_   |     ヽ
                    /(●) .(● )⊂ニ二,   i,   \
                  / :::::⌒(__人__)⌒::::::ブli    ヽ.   ヽ
                  |     |-┬r|     |!,!,  、ト「イ,
                  \     `'ー`      /"ィ丶_/ヾトi 丶



113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 23:22:39.08X/iG51J6o (1/1)

>>112
           ___ }\ __
           >   `  ` ∠_       _
           ∠ _    _     \      l」}
.           ∠ └ '´  ` ┘  ゝ ヽ__   ノj !
           /  ( ・)} ( ・)  NこLL山彡' ノ   Sorry 悪いが 聞こえないよ。
          {/   (__,_う_    ヽ-{了-┬''´
  r‐r-、     _,{/ / /  ヽ、 \  }┤  |
  E「ヽ  ̄ ̄  Ⅳ し O  し,  丶    ノ
 └― ‐-  ,,__| | }  `´   し  } 丁´
             レし1      | し'   |
              |  |   {{   |    N
             {  {       |    }

           ___ }\ __
           >   `  ` ∠_       _
          ∠ ┌-、 <丶   \     l」}
.        _  ∠   ̄     ´  ゝ ヽ__   ノj !
    〔[[.し レ、/  ( ・)} ( ・)  NこLL山彡' ノ   耳に バナナが入っててな。
.      { こ/´{/   (__,_う_    ヽ-{了-┬''´
.     }   |_{/ / /  ヽ、 \  }┤  |
.      |  `  Ⅳ し'^マ ヲ し  丶    ノ
        、 __| | }   `   .し  } 丁´
            レし1       | し'   |
              |  |   {{   |    N
             {  {       |    }




114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 23:28:36.83eknhvSS+0 (1/1)

やめれwwwwwwwwwwwwwwww


115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 23:36:53.07NPsaAEVJ0 (1/1)


【喧嘩中】
マーマー ∧,,∧  ∧,,∧オマエラヤメ
 ∧∧(´・ω・)(・ω・`)∧∧
(´・ω・)  U) (U とノ(ω・` )ケンカイクナイ
|し U∧∧    ∧∧と ノ
 u-u( ・ω・)=つ);:)ω・`)
    (っ ≡つ=つ⊂⊂)
    ( /∪ バババ∪ ̄\_)
     オラオラ!!



116 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:06:55.01Zmk8eoJQo (1/13)

~次の日~

侍女「はい。これ、御館様からの書状」

盗賊「ありがと。……父様は?」

侍女「…さぁ。朝から見てないけど」

盗賊「……そっか」

風忍「それでは皆様方、お気を付けて」

魔道士「はいっ。ありがとうございます!」

召喚士「それでは行きましょうか」

風忍「道案内を付けたいところなのですが……」

戦士「こっちはこっちで忙しいんだろ?気にしないでくれ」

盗賊「うん。道なら分かるから」

侍女「じゃあ、ご武運をっ!」

戦士父「一宿一飯のご恩はいずれ。御館様にも宜しくお伝え下さい」

風忍「ははっ。確かに」

盗賊「それじゃ、行ってきます」


117 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:07:28.60Zmk8eoJQo (2/13)

テクテクテクテク…

戦士「んで、総本山てのはどの辺りなんだ?」

盗賊「…ここから南西の…山の上だ」

魔道士「山の上にあるんですねぇ」

盗賊「…うん。結構険しい」

魔道士「そ、そうなんですか!?」

盗賊「…行けば…分かると思う」

戦士「この前の雪山みてぇのは勘弁だなぁ……」

召喚士「とにかく、行くしかないですよね」

戦士父「ああ、すまんな」

召喚士「いえ、戦士父さんのせいではありませんよ」

戦士「いーや、親父のせいだね」

魔道士「戦士さんっ!」

戦士「…へいへい、とにかく早めに行こうぜ日が暮れると厄介だろ」

盗賊「…ああ。そうだな」


118 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:08:23.37Zmk8eoJQo (3/13)

~東方司令部~

青年兵「それでは、お世話になりました」

東方司令「……ああ」

青年兵「皆様方も…お元気で」

スッ…ザッザッザッザ…

東方副司令「しかし、随分と急な話でしたね」

東方司令「……」

東方副司令「…まさか、先日の件……っ」

東方参謀「馬鹿者がっ。あやつの仕業だとでも申すのか!」

東方副司令「……ですよね」

東方司令「なんにしろ、これからどうなる事やらだな」

東方参謀「一気に二人も、士官を失ったからな」

東方副司令「え、ええ…っ」

東方参謀「まぁ、本部からの通達を待つしかあるまい」

東方司令「……」


119 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:08:57.15Zmk8eoJQo (4/13)

ザッザッザ

東方伍長「……お、おい…っ」

青年兵「……」

東方伍長「ど、どうなっちまうんだよ!?なぁっ!」

青年兵「……」

ザッザッザッザ

東方伍長「なぁ、何とか言ってくれよ…っ!」

青年兵「分かったでしょ先輩、あれが左翼のやり方ですよ」

東方伍長「……っ」

青年兵「用無しと判断すれば、同胞ですら死に至らしめる……」

東方伍長「じ…じゃあやっぱり、東方魔道長様は…っ」

青年兵「……」

東方伍長「お、教えてくれっ!俺はどうしたら……」

青年兵「自分で考えて下さい。それに…口の利き方には気を付よ、伍長殿」

東方伍長「……っ」


120 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:09:48.56Zmk8eoJQo (5/13)

~東方、山中~

戦士父「……」

魔道士「…はぁ……はぁ」

戦士「…何なんだ、ここはよ!」

標高3000メートル付近。やや暖かさをみせた地上とは打って変わり、

氷点下と豪雪が一同の足取りを重く、遅くさせる。

戦士「予想以上だな……」

召喚士「うん…。視界が遮られて……遭難しないように気を付けないと」

魔道士「い、いつも…こんなひどいんですかっ?」

盗賊「…ああ。難なく登山出来るのは夏の3ヶ月程度であろう」

魔道士「うえぇ……っ」

召喚士「今はまだ…何とか進めるけど……」

戦士「これ以上になると厄介なんてもんじゃねぇぞ?」

召喚士「…うん。その時は……」

戦士「…?」


121 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:10:43.82Zmk8eoJQo (6/13)



ビュオオォォォォ

戦士「魔道士ぃ!!見えるかぁーっ!?」

魔道士「…えぇーっ?何ですーっ?」

召喚士「……これは、もう限界だなぁ」

戦士父「……どうした?」

召喚士「……」

ジャッ…ザザッ

召喚士「行けっ!クジャタ!!」

盗賊「!?」

シュイイィィン

戦士「な…んだぁ!?」

召喚士「クジャタ!お願いっ!!」

クジャタ「……ブオオォォォォ!!」

魔道士「え……えっ!?」


122 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:11:51.43Zmk8eoJQo (7/13)

雪原の中に召喚された一匹の巨大な牛、クジャタ。

クジャタは召喚士のよびかけに咆哮し、天を見上げる。

盗賊「これ……はっ!?」

クジャタを中心に巻き起こる風。それは徐々に徐々にと外側へ広がり、

五人の行く手を遮る豪雪を、周囲より跡形もなく消し飛ばした。

戦士父「おぉ……っ!!」

戦士「これが…クジャタ!!すっげぇ!!」

召喚士「さぁ急ごう。まだ未知数の召喚獣だから、どうなるか分からないし……」

魔道士「はいっ!」

タタッ

召喚士「…ん?」

戦士「どした?」

召喚士「……今、あそこに女性の姿が」

戦士「…あん?」

盗賊「……見えぬぞ?」


123 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:12:46.04Zmk8eoJQo (8/13)

ゴウッ

召喚士「あ……」

背後を振り向いた召喚士の視界が、再び雪へと戻る。

召喚士「……気のせい…か」

――「面白い奴じゃのう」

召喚士「っ!?」

戦士「召喚士ーっ!早くしろぉーっ!!」

召喚士「あ、うん……っ!!」

タッタッタッタッタ…

走るクジャタの後を、召喚士達は懸命に追う。

召喚士(クジャタを中心に、天候がかわるみたいだな……)

チラッ

召喚士(でも、離れすぎた背後は…徐々に天候が戻ってる…)

タッタッタ…

召喚士(……魔力次第って事か)


124 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:13:56.69Zmk8eoJQo (9/13)

走ることどれ程か。頂上へ近づくにつれ空気は薄くなる。

召喚士「はぁ……はぁはぁ……はぁ…っ」

戦士父「大丈夫か?」

召喚士「…はぁ、え……えぇ…っ」

ただでさえ空気の薄い場での困難な登山。それに加えて、

クジャタを召喚し続ける召喚士の体力には、限界がきていた。

召喚士「……なんとか…もう少し…っ」

盗賊「…見ろっ!雲を抜けるぞ!」

周囲の景色を捉えながら、盗賊が叫ぶ。

戦士「よし…いいぞ、召喚士!クジャタを解除しろっ」

召喚士「……うん…っ」

シュイイィィン

召喚士「はぁはぁはぁ……はぁ…はぁ」

魔道士「召喚士さん…大丈夫ですか…っ?」

召喚士「……な、なんとか…っ」


125 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:14:41.45Zmk8eoJQo (10/13)



戦士「…しっかし、本当にこんな所に…寺なんてのがあるのか?」

盗賊「……ある」

戦士「物好きな奴らもいたもんだわ」

盗賊「…昔から」

召喚士「…?」

盗賊「…ここは昔から、『不死の山』と呼ばれている」

魔道士「不死の山…ですかっ?」

盗賊「…うん。険しい道のりゆえ、登頂すれば不死を得られると伝わる」

召喚士「なるほど…。それで修験者はこの山に……」

盗賊「…ああ」

戦士父「それで、その総本山は頂上にあるのかな?」

盗賊「…おそらくは」

戦士「…しゃーねぇ、雪も落ち着いた事だし、一気に頑張るか!」

魔道士「はいっ!頑張りましょう~!」


126 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 00:15:42.06Zmk8eoJQo (11/13)



戦士「……おっ!?」

魔道士「…わぁっ、日の出だ!綺麗~っ!」

盗賊「ご来光か……。噂には聞いたが…素晴らしいな」

召喚士「……ええ」

戦士「おいっ!あれって……っ!!」

戦士父「どうやら頂上のようだな」

召喚士「……あれは屋根…ですかね?」

魔道士「やっと…着いたみたいですね」

戦士「ようやくかぁ…。長かったなぁ……」

盗賊「…ああ」

頂上到達と同時に迎える重々しい鉄の扉。

その向こうには幾つかの建物らしき屋根が見える。

召喚士「ここが……総本山」

五人は不死の山頂上、総本山へと、今…辿り着いた。


127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 00:37:52.06Zmk8eoJQo (12/13)

週末はちょこっと更新ですんません…そして花粉ががが
それではおやすみなさい!ご支援感謝!ノシ

~オマケ~

火忍「……はぁ」

ザシュッ

火忍「風邪…引いて辛い……」

ザシュッ…ドシュッ

火忍「こんな時…姫が看病してくれたりしたら……」

ズバシュッ…ズバッ

火忍「…何だか、姫が近くに居る気がしてきたぞ…!」

ザクッ…ドムッ…グフッ

水忍「……何、馬鹿な事を言ってるんだお前は」

火忍「うるせぇ…。はぁ…姫……」

鬼丸「…アイツ、すげぇな」

帝「うむ。飄々と100人斬りは達しておるな。無我の境地というやつか……」

火忍「……うおおぉぉ!!姫ええぇぇ!!」


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 00:42:41.40Zmk8eoJQo (13/13)

あとごめんなさい。>>110は仰るとおりです。聖行受けてきます

>>108>>109
ありがとございます!
五行無双は伯爵のところのやつかな?
だとすれば19スレ目の中盤あたりですね!


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 00:44:29.575NjeUBfDO (1/1)

>>1乙!

最近、召喚士が女にしか見えなくなってきたんだが、そこで気づいたんだ。
ここの召喚士一行って、FF5じゃね?ってさ。

再生厨うぜーとか思われるのは仕方ないが、何よりも言いたいのは、召喚士タンチュッチュ


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 01:19:07.83Yy+QEqIDO (1/1)

>>1乙っす
雪女か……
大好物です(キリッ


131VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 01:20:21.43IR+U5IUao (1/1)

>>1おつおつ ただ火忍の斬撃にモビルスーツ混ぜんなwwww

>>129 FF5・・・
戦士・・バッツ(男性)  盗賊・・ファリス(海賊)  魔道士・・クルル(最年少)
ということは 召喚士・・レナ(メインヒロイン・・!!)




132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 01:38:27.06XrN89NiAO (1/1)

>>128
うお!わざわざ>>1が教えてくれるとは!ありがトン見てくる!

そして>>1愛してるぜ


133VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 01:42:05.35xL0Wds+AO (1/1)

富士山に寺建てるとはなんという建築技術


134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 08:21:13.96I4jcLWpDO (1/1)

>戦士「名代さんの話によると、総本山が槍術に長けていると…」

名代、留守だったよな…


135VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 18:07:51.889dT107R1o (1/28)

>>134
やべぇ…名代ではなく土忍でしたごめんなさい↓続き


136 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:08:42.189dT107R1o (2/28)

ゴゴンッ…ギギイイィィィィ

魔道士「門が…っ!?」

戦士「お出迎え頂けるのかねぇ」

開門と同時に、その向こうより剃髪した男性が近づいてくる。

ザッザッザッザ…

僧兵「このような所に何用か」

盗賊「初めてお目にかかる。私は藤蔵の者だ」

僧兵「藤蔵の…!?というより……女か…っ」

盗賊「まずはこの書状を拝見して頂きたい」

僧兵「……私は、一回の僧にすぎませぬ」

ザッ

僧兵「中にお入り下さいませ」

召喚士「い、いいんですか?」

僧兵「拒む理由は御座いませぬ。何人も……ね」

召喚士「……」


137 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:09:36.899dT107R1o (3/28)

僧兵「どうぞ、ご案内致しましょう」

戦士父「失礼」

テクテクテクテク…

召喚士「…あれは?」

門を潜る直前、召喚士が足を止め、右方の景色を見つめて呟いた。

盗賊「……影不死だな」

魔道士「影不死…?」

盗賊「…不死山の隣に位置する…言わば双子山だ」

戦士「ふぅん」

盗賊「…不死山と違い…影不死は登山も困難と言われている」

戦士「こっちですらあれだったのに…更に困難なのかよ…っ」

盗賊「…妖は住まう地と聞く。何かあるのかもな」

召喚士「……」

戦士「触らぬ神にってやつか」

先へ進む僧兵を追うように、一同は小走りに屋内へと入って行った。


138 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:10:06.609dT107R1o (4/28)

ザッザッザッザ…

僧兵「おい……女だ」

坊主「……っ」

テクテクテク…

盗賊「……」

魔道士「な、何だか…凄い見られてませんか…っ?」

戦士「異国人が珍しいんだろ。今更だよ」

魔道士「……うぅ」

僧兵「匂いが――」

坊主「ああ…っ、服の上からでも分かる――」

戦士「…確かになんか…ぶつくさ言ってるな……」

戦士父「経というやつだ。古来からの教えを復唱しているのさ」

戦士「…ほぉ、物知りだな」

戦士父「…以前、話で聞いた事があってな」

召喚士「ふーん」


139 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:10:32.339dT107R1o (5/28)



魔道士「……おぉーっ!」

召喚士「質素かと思いましたが、意外と煌びやかですね」

戦士「金やら朱やら…むしろ派手なもんだ」

堂内に広がる絢爛な作り構え。朱に染まった柱や天井。金で塗られた像。

その様は登頂した者にしか得られない、まさに極楽といったところか。

僧兵「…こちらです」

戦士父「……」

そんな景色を余所目に、僧兵は脇の廊下を奥へと歩んで行く。

五人はただ無言で、その後を付き従うしかなかった。

スタスタスタスタ…

僧兵「……僧兵長」

廊下の途中、一つの襖の前で僧兵は立ち止まり、声を発した。

すると、中から低い男の声で、返答が帰ってくる。

僧兵長「……何かな?」


140 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:11:00.069dT107R1o (6/28)

僧兵「お客人です。何でも…藤蔵の者と」

僧兵長「藤蔵の…?ふむ、通しなさい」

僧兵「はっ。……では、どうぞ」

ススッ

盗賊「失礼致します」

襖の奥は畳十畳程度であろうか。その端にぽつりと置かれた平机。

その前にて書き物を記す、これまた剃髪した大男がこちらを振り向いた。

僧兵長「遥々このような所へ、如何なるご用かな?」

盗賊「藤蔵のお館様より書状を持参して参りました」

僧兵長「…何、藤蔵の?」

盗賊「まずはこちらをご一読頂きたく」

僧兵長「……ふむ」

盗賊の差し出す書状を受け取り、僧兵長はゆっくりとそれに目を通す。

僧兵長「……成程。槍の為にわざわざ本国から参られたのか」

戦士父「…ええ。何か手掛かりを、と思いまして」


141 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:11:35.819dT107R1o (7/28)

僧兵長「確かにここ、総本山は槍術に長けておる」

戦士父「そのようですね」

僧兵長「……しかしながら、名槍の話は存じ上げないですな」

戦士父「……」

召喚士「こちらには、ないのですか?」

僧兵長「歴史上、そのような槍も存在しなかったわけではございません」

盗賊「……」

僧兵長「しかし、近年は特にそのような事も聞きませぬな」

戦士「…まいったな。外れか」

戦士父「本国より伝わった槍です。そのような話は?」

僧兵長「本国から…ですか。やはり聞いた事はありませんな」

戦士「ちょいと失礼」

僧兵長「…?」

戦士は立ち上がり、長い布をその場で解き、中より戟を取り出す。

戦士「…この柄の部分。こういう紋章の付いているやつなんだが……」


142 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:12:21.419dT107R1o (8/28)

僧兵長「…見た事はあるか?」

僧兵「…いえっ、私はありませぬ」

僧兵長「……やはり見覚え御座いませぬ」

戦士「そっかぁ……」

魔道士「残念ですね…」

戦士父「まぁ仕方ない。他の手掛かりを探そう」

僧兵長「一応、大僧正にお話を伺いますか?」

召喚士「大僧正…?何者ですか?」

僧兵長「ここの長、法主であられるお方です」

戦士父「その方が何かご存知で?」

僧兵長「総本山を司るお方ゆえ、何か存じておるかもしれません」

戦士「なるほどな。まぁ、聞くだけ聞いてみようぜ。金がかかるわけでもないし」

召喚士「うん。そうだね」

戦士父「では、お願い出来ますかな?」

僧兵長「はい。ご案内致しましょう」


143 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:13:23.709dT107R1o (9/28)

再び場を変え、僧兵長の後に続き本堂へと戻る一同。

木作りの巨大な象の背後へ回ると、そこから奥へと伸びる一本の通路がある。

僧兵長「こちらです」

狭い通路を真っ直ぐに進んで行くと、やがて開けた小さな部屋へと辿り着いた。

僧兵長「……大僧正様」

小さな部屋の中、中央に座禅を組み瞑想する一人の老人。

大僧正「……お客人か。成程、異国の方に藤蔵の者……か」

召喚士「!?」

魔道士「な、何で……っ」

大僧正「心じゃよ。無の心を用いれば、相手の心も分かるというものよ」

ゆっくりと目を開き、大僧正と呼ばれた老人は白髭を撫でながら微笑んだ。

戦士父「初めてお目にかかります。戦士父、と申します」

召喚士「同じく召喚士です。こちらは戦士、魔道士、盗賊……」

戦士「みんな本国の冒険者だ。宜しく」

大僧正「……ふむ。どうやら帰依、などというわけではなさそうじゃの」


144 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:13:51.979dT107R1o (10/28)



大僧正「……書状は確かに、拝見させて貰ろうたぞ」

盗賊「はい」

大僧正「それで、お主は藤蔵の……」

盗賊「当主、お館様の娘にあたりまする」

大僧正「そうかそうか。あやつももう、父であったか……」

盗賊「父を…ご存知なので?」

大僧正「勿論存じておるよ。直接、関係を持ってはおらんがのう」

盗賊「そうでしたか…」

大僧正「さて、本題じゃが……お主らが探しておるような槍は、ここにはない」

召喚士「やっぱり…そうですか」

大僧正「この総本山はの、俗世とはかけ離れた場所なのじゃよ」

戦士父「……」

大僧正「そのような場に、異国の文化なぞ入ってくるわけもない」

召喚士「確かに……」


145 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:14:27.179dT107R1o (11/28)

大僧正「それに槍術と言えど、過大評価されとるだけの事よ」

戦士「そうなのか…?」

僧兵長「我らは下界に降りる事など、そうはありません」

盗賊「……」

大僧正「その通りじゃ。噂が一人歩きしている…という事じゃ」

戦士「でもよ、それだけでそんな評判になるかね?」

魔道士「そうですよっ」

僧兵長「それは、例えば帝の前にて披露したり……」

大僧正「あとは、ここより出て行った不届き者の仕業よ」

召喚士「…?」

大僧正「最初は清らかな心をして、此処を訪ねてもじゃ……」

盗賊「……」

大僧正「槍術を身に付け、己の腕を試したいと、邪な心が芽生える」

戦士父「……」

大僧正「中には下山し、その槍術を以って腕を試す者もおるのじゃよ」


146 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:14:54.149dT107R1o (12/28)

召喚士「なるほど。それが風評となって世間に……」

大僧正「悲しき事じゃ。心身を鍛える為の武術が、そのような事にのう」

魔道士「……っ」

僧兵長「我らが総本山流槍術は、命を奪う為のものではない」

大僧正「……そう。命を助ける為のものじゃ。それが古くからの教えよ」

戦士「それを破ってる奴らが、結果的にここの名を上げてるってわけか」

大僧正「皮肉なものじゃよ。悪名じゃ」

戦士父「……」

僧兵長「とにかく、お分かり頂けましたかな?」

召喚士「ええ。ここにゾディアックは存在しないと……」

戦士「結局白紙だな。本当にあるんだよな?」

戦士父「……まぁ、そういう話だがな」

戦士「……っ」

召喚士「仕方ありませんよ。次の手掛かりを探してみましょう」

盗賊「…ああ、そうしよう」


147 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:15:59.969dT107R1o (13/28)

テクテクテクテク

魔道士「色々とありがとうございましたっ」

大僧正「遥々来て下さったのに、力になれずすまんなぁ」

召喚士「いえいえ。こちらが勝手に訪ねただけですから」

戦士「……あの」

大僧正「…?」

戦士父「もし宜しければ、槍術をご披露頂けませぬかな?」

盗賊「!?」

戦士「親父…?」

戦士父「いえ、無理であらば結構。ただの興味本位ですので」

僧兵長「……い、如何なさいますか?」

大僧正「ふぅむ。しかしお主、相当の腕前とみるが。相手できる者がおるかどうか」

僧兵長「…あやつならば或いは」

大僧正「…むうぅ、しかしのう……っ」

召喚士「…?」


148 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:16:45.709dT107R1o (14/28)



僧兵長「こちらが稽古場です」

戦士父「……」

正面の鉄門を潜る事なく、砂利道を左手に曲がると、その一画は顔を出す。

正方形に囲まれた壁の中。複数の者達が長棒を手に振り回している。

召喚士「…おぉーっ」

僧兵「はぁっ!!」

坊主「ぬんっ」

ガキィ!!…ガンガンガンッ!!…ゴガッ!!

戦士「なるほどな。噂になるわけだ」

戦士父「ああ。皆、良い動きをしている」

僧兵長「……槍侶!」

名を呼ばれた一人の若い男が、駆け寄り近づいて来る。

ザッザッザッザッザ

槍侶「はいはいっ!」


149 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:17:28.139dT107R1o (15/28)

僧兵長「異国より来られし客人が、腕をみたいと申しておる」

槍侶「なんと…っ!」

僧兵長「お主、手合わせしては貰えぬか?」

槍侶「願ったりです。こちらこそ是非に!!」

僧兵長「……では、宜しいですかな?」

戦士父「ありがとうございます」

ザッザッザ

槍侶「宜しくお願い致しますっ!」

戦士父「こちらこそ」

棒を脇に挟み、胸の前で左手の拳を右手包み、一礼する槍侶。

それに応じるかのように一礼し、戦士父は足元に転がる棒を拾い上げる。

僧兵長「それでは……始めぃ!」

ザザッ

槍侶「……」

戦士父「……」


150 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:23:42.339dT107R1o (16/28)

間髪入れず唐突に始まった試合。いや、試合とはそういうものなのだろうか。

召喚士達四人はおろか、稽古の途中であった僧兵らも無言で息を飲む。

戦士父は右手で低く棒を構え、それに対し槍侶は両手で棒を握り締め、

頭上よりやや高く、己の右……眉間の辺りにそれを静かに構える。

戦士父「……」

間合いを少しずつ詰め、そして離す二人。そこで戦士父は一つ気付いた。

戦士父(……動きが…全く読めぬ…っ)

槍侶は時に身体をゆらゆらと揺らし、目線は戦士父を見ているようで見ていない。

その得体の知れぬ戦法に、戦士父は迂闊に踏み込めない。

戦士「おいおい、どうなってやがんだ……?」

召喚士「互いに……動けないようだね」

戦士父「……」

槍侶「……」

ピクッ

戦士父「!?」


151 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:24:18.009dT107R1o (17/28)

ザッ

槍侶「……」

戦士父(……フェイント。いや、一歩間合いを詰めただけか)

盗賊「…全く隙がない。いや…隙だらけなのか?」

戦士「それすらも分からねぇ…。何なんだこの感じは……っ」

僧兵長「あれこそが総本山流槍術です」

召喚士「……っ」

僧兵長「言うなれば枝より落ちる枯葉の舞う如く」

魔道士「……」

僧兵長「流れる川に浮かぶ花弁の如く」

槍侶「……」

僧兵長「その動き、読む事は困難極まりけり」

戦士「確かに…。あれはちょっとやそっとじゃ攻略出来ねーぜ」

僧兵長「中でもあの槍侶は、心技体全てにおいて秀でておる」

盗賊「……」


152 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:25:20.049dT107R1o (18/28)

戦士父「……」

槍侶「…………」

戦士父(無駄だとは思うが……)

ドンッ!!

戦士「うお……っ」

召喚士「凄い……威圧っ!」

ビリビリビリッ…ゴゴゴゴゴゴ

槍侶「……」

僧兵長「暖簾に腕押し、というやつです」

戦士「何だそりゃ?」

盗賊「…暖簾をいくら押しても…手ごたえがないって事」

戦士「なるほどな。そりゃ言えてるわ」

戦士父(やはり無駄か。押して駄目なら引くところだが……)

ズザッ

戦士父(引いたところで相手が仕掛けぬのでは…意味もないっ!)


153 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:26:34.269dT107R1o (19/28)

長らくの睨み合いから、ようやく風景に動きが加わった。

戦士父「……っ!!」

険しい表情の戦士父が右手で繰り出す突きの一撃。

槍侶はそれを表情一つ変えず、軽やかにかわす。

戦士父「……」

ビュオッ!!…シュババババッ!!

戦士父の手は止まる事なく、突きの連撃が繰り出される。

槍侶「……」

戦士「……全部…受ける事なくかわしてやがる…っ」

魔道士「す、すご…っ」

戦士父(カウンターを仕掛けてくる気配もなし。あくまで見切るつもりか)

槍侶「……」

戦士父(……ならば)

乱れ突きの動きが流動的に移り変わる。

槍侶「……っ」


154 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:27:50.579dT107R1o (20/28)

突ききった瞬間から棒を即座に打ち下ろし、その軌道を変える。

更にそれを振り上げ、今度は薙ぎ、その途中で突きへと動く。

僧兵長「……凄いものだな。棒が生き物のように動いておる…っ」

戦士父(相手の動きを読むというならば、読ませなければ良い)

言うは簡単な事だが、それを実戦するは難しいものであろう。

しかしそれを為し得るには、戦士父の技量、ただその一言に尽きる。

槍侶「……っ」

カツッ

戦士「防御に回った!?」

槍侶は初めて、戦士父の棒を己の棒で弾き防いだ。

戦士父(ここだっ!)

相手が防御に出れば、そこからは経験則がものを言う。

防御をすれば後手に回る。そこには必ず防ぎきれぬ隙が生じる。

その一点を戦士父は、数多の戦いの中から、自然に身に付け知っていた。

戦士父「はぁっ!」


155 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:28:17.749dT107R1o (21/28)

ビュオッ!!

槍侶「…………」

戦士父「……」

ズザッ

戦士父「……!?」

絶対に回避出来ない一点。そのはずであった。

戦士父(避けた……だと!?)

槍侶が防いだ棒は左膝付近への薙ぎ払い。その時、確かに動きは静止した。

そこから防いだ棒を右上部へ持ち上げる事は、常識的に考えれば困難。

戦士「マジ…かよっ」

盗賊「……っ」

左下から右上、若しくは右下への動きというものはそこまで困難ではない。

しかし左下から左上への動きというのは、身体の可動域からして

他の部分に比べると、これは容易にいくものではないはずなのだ。

しかし、棒を携えたこの若い、剃髪した男はそれをやってのけた。


156 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:29:24.339dT107R1o (22/28)

戦士父「…はぁ!」

ブオォッ!!

一瞬、戸惑いを見せた戦士父であったが、再び攻撃を再開する。

戦士父(手を休めればこちらの敗北は必死)

槍侶「……」

繰り出す攻撃を一つ一つ、まるで楽器を演奏するかのように打ち鳴らす。

甲高い棒のぶつかり合う音が稽古場全体に鳴り響く。

戦士父「……っ」

槍侶「……」

決して命のやり取りではない。しかし二人の眼差しは真剣そのものであった。

それに気圧されるかのように、周囲で見守る僧兵達は、一言も発する事はない。

ただ、固唾を飲み込み、瞬きも忘れるほど、両者の試合にのめり込んでいる。

戦士父「……はぁっ!!」

槍侶「……っ」

何十合とその攻防は繰り広げられ、ただ木が打ち合う音と風だけが耳に残る。


157 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:30:35.129dT107R1o (23/28)

ガンッ…ガンッ…ガツッ!!

槍侶「……」

目の前の猛者が振るう棒を打ち払い、槍侶は若干の焦りを覚えていた。

槍侶(……この者、どこまで無尽蔵なのだ!?)

先程から延々と繰り出される棒による猛攻。

槍侶は一撃……いや、かすりもしてはいないが額に汗を感じていた。

戦士父「はあぁ!!」

ズバババババッ!!…ブオンッ…ヒュンッ!!

槍侶「……っ」

そして足元の影に気付き、また改めて一つ気付いた。

槍侶(押されている……!?知らぬ間に……後退していた!?)

別段、このような攻撃が初めてというわけではない。

何度となく繰り返された鍛錬の中、このようなやりとりも多々あった。

しかし一つ違うのは、その攻撃が休む事無く、長時間であるという事。

槍侶(……どれだけ無尽蔵な…体力をもっているのだ…っ!)


158 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:31:15.609dT107R1o (24/28)

下界ならなんら不思議な事ではない。だが、ここは高所。それもかなりのだ。

その境遇においてこれ程までに攻撃を繰り返せば、呼吸は乱れ、

下手をすれば倒れる事すらあるだろう。それが目の前の男には微塵も感じない。

むしろ攻撃の手は徐々に速度を増しているようにすら思える。

槍侶(……いい加減に仕掛けねば、此方がまずいか…っ)

戦士父「……っりゃあ!」

攻撃が増しているように思えるのは、戦士父が速度を上げているわけではない。

槍侶が防御しつつも、徐々にその体力を失っているのである。

戦士父はその時を待っていた。槍侶が攻撃に転じるその時を。

ススッ

槍侶「……はっ!!」

一瞬、戦士父の両腕が上がり、腹部に隙が出来る。

それを逃す事なく、槍侶は棒で鋭く突きを放った。

戦士父「……」

槍侶(……何かが…おかしい)


159 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:31:51.149dT107R1o (25/28)

突きの途中、槍侶はそんな事をふと思っていた。

既に止まる事のない一撃ではあるが、どうにも不自然な状況なのだ。

何故攻撃してしまったのか。一つ言えばそれは『焦り』である。

作られた焦りの環境に、防御から攻撃へ転じてしまった。

先程まで繰り広げられていた両者の攻防は逆転している。

そんな状況こそが不自然そのものの原因であった。

槍侶「……っ」

突き切る前に、槍侶は敗北を確信した。

この攻撃は、作られた隙に焦りを見せ、打ち込んでしまった、

言わばこの試合において、最も愚策なる一手としか言い様もない。

戦士父「……ふんっ!」

そんな事を思いながら槍侶は、手にした棒が舞い上げられる光景を

ただ呆然と見上げる事しか出来なかった……。

槍侶「……参り……ました」

空を見上げる槍侶の顔は、敗北してなお、嬉しそうな笑顔そのものであった。


160 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:33:05.619dT107R1o (26/28)

カランッ…カラカラカラッ

僧兵長「……そ、そこまで…っ」

ドヨドヨドヨッ

僧兵「ま、まさか……あの槍侶を…っ」

坊主「何という……っ」

僧兵長「一応訪ねるが、他に一手交えたい者はおるか?」

その一言に返答する者は一人も居なかった。

戦士父「……いい試合であった」

槍侶「……お見それ致しました。上には上がいる者ですなぁ!」

二人は固く握手を結ぶと、ニッコリと笑顔で一礼を交わした。

ザッザッザッザ

僧兵長「……お見事でした」

戦士父「いや、勝敗はありません。どちらが勝ってもおかしくはない」

僧兵長「槍侶を負かした者は初めてですよ。それだけでも素晴らしい……」

戦士父「……どうも」


161 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:33:50.389dT107R1o (27/28)

ザッザッザ

戦士「……」

盗賊「…戦士?」

戦士「ん、あぁ…何だ?」

盗賊「……いや」

魔道士「これから、どうしましょうかね…?」

召喚士「ひとまず下山して、どうするか考えましょうか」

盗賊「…そうしようか」

ザッザッザ

大僧正「では、気を付けて帰りなされ」

僧兵長「もし何か、情報があらば藤蔵へお伝え致します」

召喚士「助かります。ありがとうございました!」

戦士父「…では」

槍侶「……また、会いましょう」

戦士父「ああ」


162 ◆1otsuV0WFc2011/02/28(月) 18:34:42.589dT107R1o (28/28)

ザッザッザッザッザ

槍侶「……井の中の蛙とはまさにこの事ですね」

僧兵長「彼は戦いに身を置く者。我らのそれとは勝手が違う」

槍侶「しかし、人を助ける為の戦いです。それは正しい事では…?」

大僧正「人であれ妖であれ、命を奪うは罪な事よ」

僧兵長「その善悪、そして責を背負う心が出来たら、お主も為すが良い」

槍侶「……心」

大僧正「お主は座禅や瞑想が大嫌いじゃからの」

槍侶「ぐむ…っ」

僧兵長「一人前になりたくば、心技体を鍛錬するが良い」

大僧正「そうじゃ。戦いのみでなく、平常の心技体をじゃぞ?」

槍侶「…今日から頑張るかぁ。あの人に…勝ちたいもんなぁ」

僧兵長「…全く。お前が真面目なのは、得物を手にしている時だけだな」

槍侶「……へへっ。これからは身を改めまっす!」

開いた鉄の門は、再び下界と隔離するように閉じていった。


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 20:09:57.452wHn1rAAO (1/1)

や…槍侶?


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 21:25:43.78/olH+DRDO (1/1)

マジレスすると
そうりょ


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 21:54:06.56lyjGJ8yA0 (1/1)

は…早漏?



166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 22:19:01.634TBwSasvo (1/1)

>>164
マジレスなのか


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 08:47:50.75huHaoDPu0 (1/2)

質問というかチラ裏だから答えてくれなくていいんだが
世界中に存在する魔物が召喚獣として存在していたり或いは召喚獣になることはあるのかな?
これ過去スレにあるかな?


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 11:39:13.21irY9Uzuno (1/1)

>>167
ない
召喚獣と召喚師の住んでる世界はそもそも
別の次元だって言ってた気がするし

クジャタみたいに召喚されっぱなしの召喚獣がいたら
魔物って呼ばれることはあるかもしれんが


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 12:40:41.66iS0SHFhto (1/1)

一歩ごとにマグネタイトを消費する


170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 15:26:43.22FvZbzLiE0 (1/1)

ダークハーフか


171 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:31:06.31+icQjqmlo (1/28)

ビュオオォォォォ…

戦士「だああぁぁ!!昼なんだからちょっとは晴れろよぉ!!」

戦士父「怒鳴るな。雪崩でも起きたらどうする」

戦士「そんなんで起きるかっての」

戦士父「起きるから行っているのだ。山をなめるな」

戦士「……っ」

戦士父「登山より下山の方が困難なのだ。気を抜くな」

戦士「…へいへい」

召喚士「……そろそろ限界だな。行けっ!クジャタ!!」

シュイイィィン

戦士「もう使うのか?」

召喚士「いや、これでも遅いくらいだよ。俺にもっと魔力があれば……」

戦士父「十分さ。もう少し下れば斜面も緩やかになるだろう」

召喚士「……ありがとうございます」

クジャタが道を切り拓く中、一同はその傍を離れぬよう懸命に追随した。


172 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:31:50.72+icQjqmlo (2/28)

ザッザッザッザ

魔道士「でも、本当に凄い召喚獣ですね」

盗賊「…ああ。助かるな」

召喚士「意外と役に立ちましたね」

魔道士「ほんとっ、ピクニックの時とか大助かりですね!」

戦士「何で?」

魔道士「だってぇ、雨降ったら嫌じゃないですかぁ」

戦士「……はぁ」

召喚士「ま、まぁ…そういう使い方もありますよね…」

戦士「怒られても知らんぞ?」

ザッ

クジャタ「……」

戦士「…ほれ、クジャタが怒ったぞ」

魔道士「ご、ごめんなさいっ」

召喚士「……いやっ、違う!……これはっ」


173 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:32:53.25+icQjqmlo (3/28)

即座にクジャタは左方を見つめる。

雪に閉ざされた真っ白な視界。しかしその奥に、確かに気配を感じる。

盗賊と戦士父は気配でそれを感知し、召喚士と戦士は察知で気が付く。

魔道士は月読で、その僅かな風と雪の動きを察知する。

五人それぞれの手段ではあるが、心中考える事は同様であった。

召喚士「何か……いる…っ」

戦士「盗賊っ、親父!……前を張るぞ!」

盗賊「…ああ」

戦士父「……」

ザッ

魔道士「魔物…ですか…?」

召喚士「…分かりません。しかし、このような場に居る事は普通じゃありません」

魔道士「……ですよね…っ」

前衛、盗賊を中央へ据え、左右に槍を構えた親子二人が身構える。

クジャタの拓いた道の上、細く白い足が一歩、また一歩と近づいて来た。


174 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:33:36.38+icQjqmlo (4/28)

ビュオオォォォォ…

戦士「!?」

――「おや、先程の人間か」

ザッザッザッザ…

魔道士「……女の…人…っ!?」

召喚士「この気候の中…防寒具も付けず素足でいられる人なんていませんよ」

戦士父「それに、先程の『人間』…と、言ったな」

――「うふふっ、頭の良い人間は嫌いではない」

ザッザッザ…

――「……おや?どこかで見た顔じゃの」

ザッ

――「……思い出したわぁ。わらわの邪魔をしてくれた人間じゃ」

戦士「――っ!!」

召喚士「…お前は……っ!!」

かつて華国で対峙した、九尾を持つ若い女の姿。名を夫人と言った。


175 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:34:16.70+icQjqmlo (5/28)

魔道士「あ……あぁ…っ」

盗賊「…よりにもよって…こんな時にっ」

ザッザッザ

夫人「うふふっ。あの時は…世話になったのぅ」

召喚士「……」

夫人「うふっ、そう構えなさんな。わらわに戦う気はないからの」

戦士父「見逃してくれるのか?」

夫人「…ん、この渋い殿方は初めてお会いするのぅ」

戦士「んな事ぁどうでもいいっ!こんな所で何してやがるっ!」

夫人「それはこちらの台詞じゃ。お主らこそ何をしておるのじゃ?」

召喚士「……話す必要はありません」

夫人「うふふ…っ、怖い顔をする。まぁ良いかの」

ザッザッザッザ

夫人「このまま真っ直ぐ下山する事じゃ。そうすれば何ら、身の危険はないからの」

戦士「質問に答えやがれっ!こんな所で何をしている!?」


176 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:34:56.11+icQjqmlo (6/28)

夫人「……何をと申しても、ここはわらわの棲み処じゃ」

魔道士「……!?」

夫人「ずーっと前からの。人間が後から勝手に来たのであろう?」

盗賊「……」

夫人「余計な道草をせず、そのまま帰る事じゃな」

召喚士「あなたは…一体何が目的で……」

夫人「目的…?わらわの目的はただ一つよ」

召喚士「……」

夫人「わらわは…一国の主となりて、いや…この世界を我が物として――」

戦士「今、改めて思うと…こいつって危なくない系の魔物じゃないか?」

召喚士「……そうかもしれない」

戦士「だったら、相手にせずさっさとおさらばすっかね」

召喚士「…うん」

夫人「……えぇいっ!自分から話を振っておいてえぇ~っ」

召喚士「!?」


177 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:35:40.72+icQjqmlo (7/28)

ズオッ…ゴウッ!!

クジャタ「――!?」

眉間に皺を寄せながら、夫人は力任せにクジャタを右手で押し潰す。

夫人「話は最後まで……聞かんかぁ!!」

ドズウウゥゥゥゥンッ!!

戦士「しまっ……」

召喚士「ぐふ…ぁ…っ!!」

ガクン

盗賊「…景色がっ」

戦士「クジャタがやられた!召喚士を頼むぞ!」

魔道士「は、はい…っ!」

ビュオオォォォォ

戦士「くぅ…っ!!視界が……」

魔道士「召喚士さん、召喚士さんっ!?」

召喚士「ぐく…っ!だ、大丈夫…です」


178 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:36:45.68+icQjqmlo (8/28)

夫人「あーっはっはっは!いい気味よのっ」

戦士父「全員動くなよ!無事だな…?」

戦士「…ああ。しかし…こう四方の視界を遮られちゃあな」

盗賊「…ん?」

ボッ…ボッボッボッ

魔道士「照明!?」

盗賊「…そんなものはなかった!何か怪しい……」

夫人「狐火じゃ。聞いた事はあるかの?」

戦士「知るかっ」

夫人「ふんっ、まぁ良い。わらわは帰るとする」

ザッ

夫人「なんならお主らも来るかえ?うふふっ」

ザッザッザッザッザ

魔道士「……火が少しずつ消えて…っ」

戦士父「……」


179 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:37:29.93+icQjqmlo (9/28)

戦士「おいっ、どーすんだよ!?」

召喚士「このまま……真っ直ぐ下山出来るとは…思えない」

盗賊「…大丈夫か?」

召喚士「ええ。しかし魔力回復まで少し時間が……」

戦士父「……あの魔物、信用出来るか?」

戦士「……分からん。南東国をメチャクチャにした張本人だからな」

戦士父「……」

召喚士「でも、話が出来る分…他の魔物よりは……」

魔道士「火がどんどん消えていきます…っ!」

戦士父「…仕方あるまい。全員離れるなよ、付いて来い!」

戦士「お…おいっ、まさか……行くのかよっ!?」

戦士父「止むを得んだろう。じっとしていても死ぬだけだ」

戦士「罠かもしれないんだぜ!?」

戦士父「そんな手間を掛けるくらいならとっくに殺されてるさ」

戦士「……っ」


180 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:38:29.01+icQjqmlo (10/28)



召喚士「…はぁ……はぁ」

魔道士「召喚士さん、大丈夫ですか…?」

召喚士「……はい」

どれ程歩いたか。景色は相も変わらず変わらないが、

いつの間にか寒さはなくなっていた。

戦士父「……!?」

盗賊「……視界が…開ける」

大雪の影響で真っ白だった視界。それが突如真っ白な視界へと変わる。

同じ白い景色でもそれは全く別物であり、雪も他の景色もない完全なる白。

戦士「なんだ……ここは…っ!?」

魔道士「い、一体どういう事なんでしょうか…?」

パーティーの中で唯一人、かつて似たような景色を経験した覚えがあった。

召喚士「……召喚獣の世界みたいだな」

五人はその先へ吸い込まれるように、ゆっくりと前進した。


181 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:39:10.23+icQjqmlo (11/28)

テクテクテク…テクテク…

ぼんやりとした視界の中、徐々に風景が作り上げられてゆく。

戦士父「……!?」

そこは先程の天候とは真逆の、穏やかな風が吹き、青空の下、

白い雲が流れ、小鳥が心地良さげに囀り飛び回っている。

戦士「夢の中にでも入り込んじまったのか…っ?」

戦士父「夢や幻術などではない。紛れもない本物だ」

盗賊「……!?」

ザザッ

夫人「……おや、本当に付いてくるなんてね」

召喚士「……っ」

夫人「ここがわらわの棲み処じゃ」

戦士「なかなかいい所じゃねーか」

夫人「……そうかの?わらわは嫌いじゃ」

盗賊「……」


182 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:40:02.33+icQjqmlo (12/28)

夫人「このような……不自由で狭い、何の楽しみもない所……」

召喚士「…?」

夫人「…まぁ良い。ほれ、さっさと帰るがよい」

魔道士「あ、あのぉ……どうやって帰ったら……」

夫人「……そこを下れば樹海に行き着く。あとは自力で帰る事だの」

戦士父「地上に…出られるのだな?」

夫人「うふふっ。多分ね」

戦士父「……」

夫人「ほれ、早よう行かぬかっ」

召喚士「……行きましょう」

戦士「ああ。んじゃな、狐の化物」

夫人「わらわは夫人じゃ!化物などと呼ぶでないっ!」

戦士「へいへい」

夫人「全く……。まこと無礼な人間――」

呆れ口調で言葉を発する夫人の声が止まった。


183 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:40:58.14+icQjqmlo (13/28)

ゴゴゴゴゴゴ

夫人「――っ!!」

――「なーにを騒いでおるか、夫人」

夫人「な、何でもないわっ」

――「……んん?そこにおるのは……人間かえ?」

召喚士「な、何だ…っ!?」

夫人「よいから早よぅ行けっ!!」

戦士父「何か嫌な予感がするな。行こう」

盗賊「…ああ」

ザザッ

召喚士「……っ」

タッタッタッタッタ

――「…ほぉ、戯れで人間を助けるとは。お前らしくもないのぉ」

夫人「別に、そんなつもりではないわ。さーて、寝るとするかの」

――「……ふっふ、お前もひねた性格をしとるのぉ」


184 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:41:45.39+icQjqmlo (14/28)

タッタッタッタッタ

魔道士「な、何だったんでしょう!?」

召喚士「分かりませんっ。しかし……」

戦士父「先程の声の主。あれは……」

戦士「夫人より格段に高い威圧だった…っ」

盗賊「……ああ。一瞬ではあったが…確かに感じた」

その場に留まり迎え撃つ事も可能ではあった。

しかし、魔力を失った召喚士を戦力と換算する事は出来ず、

残った四人で夫人と更なる化物を相手には出来ない。

結論は逃走。そう判断した故の、戦士父の一言であった。

戦士父(逃がしてくれたと言ったところだが、素性も分からんしな……)

いつもの四人であれば逃走という手段は最優先に出てこなかったかもしれない。

長年の経験と軍人、しかも特殊遊撃に所属していたからこその、咄嗟の判断。

結果として不必要な交戦はなく、その場を難なく凌ぎきれた。

その結果が幸か不幸かは、まだ先の話である……。


185 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:42:18.81+icQjqmlo (15/28)

タッタッタッタ…ザザァ

戦士「はっ…はっ……はっ」

盗賊「…なんとか…戻ってきたようだな」

戦士父「ああ。しかし、悪天候は変わらずか」

召喚士「森林…というより、ここが夫人の言っていた樹海…?」

盗賊「…そのようだな」

戦士「んお…っ?」

魔道士「ど、どうしました…!?」

戦士「何だか……左手が重…っ」

グググッ

召喚士「まさか、どこか怪我を…!?」

戦士「いんや、そうじゃねぇ…っ。この感じは……」

ググッ…グイッ

戦士「これだ…っ」

盗賊「……斧?」


186 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:43:02.97+icQjqmlo (16/28)

戦士「こいつの磁石がどうも、反応しているらしい」

戦士父「磁場が強いのかもしれんな」

戦士「仕方ねぇ。ひとまず担いで運ぶとすっか…」

戦士父「急いだ方がよさそうだな」

戦士「あん?」

戦士父「磁場が強いとあまり良い事はない」

魔道士「そ、そうなんですか…?」

戦士父「魔力は弱まり、しかも金行……」

ガサガサッ

盗賊「!?」

法衣を纏った複数の男がゆっくりと近づいてくる。

戦士「…何だ?総本山の坊主か?」

魔道士「ちち、違いますよっ!顔を見て下さい…っ!」

盗賊「…囲まれた!?」

傘の先を上げ顔を向けると、そこには真っ青な肌をした男が牙を剥いて笑った。


187 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:43:49.63+icQjqmlo (17/28)

盗賊「ちぃっ!…魔物の気配は感じ取れなかったぞっ」

戦士父「磁場の影響だ、焦らず各個撃破で突破するぞ」

戦士「おうっ!」

五人を取り囲む法衣の男らは妖怪、青坊主。

青坊主「…けけけっ、この樹海からは…出さぬぞぉ」

戦士「召喚士、いけるかっ?」

召喚士「召喚術は無理だけど……」

チャキッ

召喚士「こっちなら、なんとか」

腰のレイピアを鞘から抜き、召喚士は戦士の横に居並ぶ。

戦士「何だ?武闘派召喚士でも目指すのか?」

召喚士「……足手纏いには…なりたくないからねっ」

戦士「…よっしゃ、そんじゃあ行くか――」

戦士父「待て!!」

戦士「!?」


188 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:44:47.53+icQjqmlo (18/28)

腰の雷切を抜刀しかけた瞬間、背後より戦士父の怒号が響いた。

戦士父「雷切は使えぬ!磁場なんだぞっ!」

戦士「!?」

戦士父「磁場で雷を放てば暴走する。どうなるか分からんぞ」

戦士「……ちぃ、そういう事か」

戦士父「君もだ。いいね?」

魔道士「は、はいっ!雷は……なしですねっ!」

盗賊(雷遁は使えない…。ならばっ!)

タタッ

青坊主「!?」

先手必勝と言わんばかりに、盗賊は一匹の青坊主めがけクナイを放つ。

更にそのクナイは、印を結んだ盗賊より発せられた炎に包まれた。

青坊主「ぐぎゃああぁぁ!!」

盗賊「…まず一匹……とはいかぬか」

青坊主「……やぁってくれるぜぇ」


189 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:45:44.55+icQjqmlo (19/28)

ザザッ

戦士「召喚士、左は任せて…いいんだな?」

召喚士「うんっ!」

戦士「……おっし、行くぞ!」

タンッ!!

戦士と召喚士。二人は迫る青坊主を迎え撃つ為、左右に分かれ走り出す。

召喚士(俺の腕力でいけるかどうか…っ)

様子見を兼ねて、召喚士はフェイントを織り交ぜながらレイピアを放つ。

ヒュオッ…サクッ

青坊主「……いでぇ!このやろぉ!!」

召喚士「無傷…ではないな。よし…っ、お次は……」

青坊主「一斉にかぶりついてやれぇーっ!」

召喚士「はぁっ!!」

ザザッ…ゴオオォォォッ!!

召喚士の振り上げたレイピアより突風が巻き起こり、青坊主の群れを吹き飛ばした。


190 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:46:35.61+icQjqmlo (20/28)

戦士「派手にやってるじゃんかよ」

青坊主「余所見してんなってのぉ――」

ドズン

青坊主「……へっ?」

戦士「悪い悪い。この斧、磁石が仕込まれててさー」

青坊主「……あが、あががが」

戦士「磁場に引っ張られて落としちまったわ。ははっ」

青坊主「あ、足がああぁぁ!?」

戦士「ふんっ!」

ザシュッ!!…ビュオッ

戦士「……さぁどうする?降参するなら…命は助けてやるぜっ!」

妖怪を一振りで真っ二つした戟を再び身構え、戦士が威勢良く啖呵を切る。

青坊主「な、なめるなよぉ!この人数相手にいいぃぃ!!」

戦士「でっりゃああぁぁ!!」

戦士の振り上げた戟の一撃により、青坊主の群れがあえなく吹き飛ばされた。


191 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:47:48.43+icQjqmlo (21/28)

青坊主「んやろう!!」

キィンキィンキィンッ

戦士父「……ふんっ」

ブオォッ!!…ザシュッ!!……ドサァ

戦士父「退くがいい。勝ち目はあるまい」

青坊主「人間のくせに生意気なぁ…っ!」

ジリジリジリッ…

青坊主「奥の手を見せてやるっ。いくぞお前らっ!」

ジャラララッ

盗賊「まずいっ!鎖鎌だ!」

青坊主「ふんぬりゃああぁぁ!!」

複数の青坊主が一斉に放つ鎖鎌。それは直線的な動きではなく、

まるで生き物のように地を這い、木々をすり抜けながら迫り来る。

戦士「なにぃ!?」

召喚士「……くっ」


192 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:48:29.06+icQjqmlo (22/28)

フォンフォン…ヒュオッ

召喚士「かわすのが…精一杯…っ」

戦士「なんつう数だよ…っ」

盗賊「……はぁっ!」

タンッ!!……ガシィ

盗賊「……!?」

青坊主「なーにも目に見える所だけってわけじゃあないんだよねぇ」

木の葉の隙間から針に糸を通すように、盗賊の左足に鎌の分銅が絡みつく。

盗賊「くぅっ!」

青坊主「立て続けに仕掛けろぉ!」

ジャラララッ

盗賊「あぐ…ぅ!!」

更なる追撃の鎖。それは左足だけではなく、盗賊の右足、両手をも捉えた。

青坊主「吊るし上げろぉ!!」

盗賊「くあぁ……っ!!」


193 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:49:20.06+icQjqmlo (23/28)

ギチギチギチッ

まるで蜘蛛の巣に囚われた蝶のように、盗賊の身動きが封じられる。

盗賊「あ……うぅ…っ」

青坊主「このまま喰ろうてやるわぁ!!」

ババッ!!

戦士「盗賊っ!!」

ヒュイイィィ…ドドオオォォォォンッ!!

青坊主「あ……がぁ……っ」

ドシャッ…ブスブスブスッ

空中で黒焦げに燃えた青坊主が、無残にも地面へ叩きつけられ、

焚き火のように燻り、そのまま動きを止めた。

魔道士「私だっている事っ、忘れないで下さい!」

青坊主「あいつ、術を使うぞ!あいつから殺れぇ!」

魔道士「え…っ、きゃあぁーっ!!」

召喚士「魔道士さん!!」


194 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:50:18.82+icQjqmlo (24/28)

ギュルルルッ…ガシィ

首筋に絡まる鎖。それは頭上の枝を介して、まるで絞首台であるかのように、

魔道士の身体を持ち上げ、呼吸を奪う。

魔道士「か…は……っ」

戦士「くっそぉ……っ!!」

ヒュンッ

戦士「…?」

青坊主「後ろだぁ!一人接近――」

ブンッ!!…ヒュンヒュンヒュン…ドサッ…コロコロコロ

青坊主「あ…え?」

戦士父「……」

瞬時に迫った戦士父の十字槍が、魔道士を痛めつけていた青坊主の首を、

一瞬の内に斬り落とし、それが地面をころころと転がった。

戦士父「……大丈夫か?」

魔道士「げほげほ…っ。は、はい……ぃ」


195 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:50:51.76+icQjqmlo (25/28)

青坊主「なんだこいつら…っ!?強いなんてもんじゃあねぇぞ」

召喚士「てりゃあぁ!」

青坊主「く、くそぉ!鎖の数が……っ」

戦士「だっりゃああぁぁ!!」

青坊主「鎌も分銅も…何も……」

盗賊「…はぁ!」

青坊主「わわっ!こっちに来るううぅぅ――」

魔道士「やあぁっ!!」

青坊主「あんだけ居たのに……何でぇ……」

戦士父「…ふんっ」

ドササッ

戦士「…片付いたみてーだな」

召喚士「魔道士さん、盗賊さん……大丈夫ですか!?」

盗賊「…ああ、大丈夫だ」

魔道士「ご、ご心配かけました……」


196 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:51:29.14+icQjqmlo (26/28)

チャキッ

戦士父「他に魔物は居ないようだな。早くここを抜けた方が良さそうだ」

召喚士「ええ、そうしましょう」

戦士「よっと」

ガシャッ…スタスタスタ…

戦士父「……ここからでは見えんな」

タタッ…スタッ…トッ

戦士父「……」

戦士「急に木登りなんかして、どうしたんだ?」

召喚士「多分、星を見ているんだ」

戦士「星…?」

魔道士「あっ、星の位置で方角を……」

スタッ

戦士父「まだ夕暮れだが、多少は把握出来た。こっちだ」

盗賊「……うん」


197 ◆1otsuV0WFc2011/03/01(火) 18:52:23.43+icQjqmlo (27/28)



ザッザッザッザ…

戦士「おっ!?」

戦士父「どうやら抜けたようだな」

魔道士「はぁ~っ。これで一安心ですねぇ」

召喚士「ところで、ここはどの辺なんだろう…?」

盗賊「…おそらく南だな。海がかすかに見える」

戦士「海?暗くて分からん」

戦士父「……凄い視力だな」

盗賊「…まぁ…慣れてるから」

戦士「そんで、どうやったら帰れんだ?」

盗賊「……ここより西へ進んでいけば、都に着くはず」

召喚士「それでは一旦、都へ戻るとしましょうか」

戦士父「ああ、それが良かろう」

不死の山を辛うじて下山した五人は、一路都へと戻る事に相なった。


198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 19:04:32.40+icQjqmlo (28/28)

それでは帰ります!ご支援ありがとうございました!
あとで来れたら来ます!ノシ


199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 19:05:20.94zjivCLgYo (1/1)




200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 20:08:45.37clbDKv7AO (1/1)

>>1乙

今って、知らずとは言え戦士父が死ぬのを手伝っている形になるんだよな…
残酷なディスティニーだぜ…

てか、俺も俺の魔導師ちゃんへのこの溢れんばかりの気持ちも、叶わぬ愛だけど、それでも物語を見続ける辺り…何か通ずる物があります


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 21:59:32.35huHaoDPu0 (2/2)

亀だが>>168
ありがとう


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 22:14:52.72b36T99zDO (1/1)

>>1乙っす



203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 22:47:02.45UVfn+pOko (1/1)

ピンチのはずなのに縛り上げられるとニヤニヤしてしまうのはなぜだ


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 22:51:52.41SgovKcoDO (1/1)

>>1先生乙です(。・x・)ゞ

巨乳の盗賊は縛られ要員だからな、仕方のないことだ


205 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:03:42.66S35AjapIo (1/10)

テクテクテクテク

戦士「やっぱり山を下ると、少し暖かいな」

魔道士「もうすぐ春ですねぇ~」

召喚士「ええ」

戦士父「だが、季節が過ぎれば過ぎる程……」

戦士「……決戦の時は近い、ってか」

盗賊「…だな」

魔道士「あっ」

タッタッタッタッタ

飛脚「こんばんはっ!」

魔道士「こんばんは~」

戦士父「今のは…?」

盗賊「…飛脚。手紙を運ぶ仕事の者だ」

戦士「ふーん。ワーカーの依頼みてぇなもんか」

盗賊「…まぁ、そうだな」


206 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:04:29.73S35AjapIo (2/10)



召喚士「盗賊さん、都までどの程度かかりそうですか?」

盗賊「…ここからだと、数時間は」

戦士「うげ…っ」

魔道士「と、とにかく頑張りましょうよ!」

戦士父「どうする?野宿するかそれとも、夜通し歩くか」

魔道士「うーっ、究極の選択ですねぇ」

召喚士「俺はどちらでも……。任せますよ」

戦士「ちゃっちゃと行って、ゆっくり休んだ方がいいんじゃねぇか?」

魔道士「…うぅ、そうかもしれませんね」

戦士父「それじゃこのまま頑張って、歩くとしようか」

盗賊「…ああ」

戦士「おーし、気合入れて行くぞーっ!!」

魔道士「おーっ!!」

掛け声響く中、一同は夜通し都を目指し、海岸沿いの道を進んだ。


207 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:05:09.06S35AjapIo (3/10)

~東の砦~

タッタッタッタッタ

飛脚「……都より、書状をお持ち致しました」

名代「ご苦労」

カサッ

名代「……老中殿からですね。西の諸侯はこちらに靡く気配との事」

帝「そうか。何よりだ」

名代「先達て平定した、西の大名家が降った事が大きいですな」

帝「それに、この東征も功を奏しておるようだな」

名代「無駄な血を流さずに済みそうですね」

鬼丸「ちぇっ、つまんねーの」

名代「鬼丸、何も殺し合いのが戦いなのではないぞ?」

鬼丸「……へいへい」

飛脚「そういえば道中、怪しげな異国の者らを見かけました」

帝「異国の者…?」


208 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:06:26.09S35AjapIo (4/10)

飛脚「ええ…っ。五人かそこからの…旅人のような格好でしたが…」

帝「反抗勢力が異国と組む可能性は皆無に等しい。捨て置け」

飛脚「はっ。それでは失礼致します」

シュバッ

名代「関の解放、もう少し遅らせても良かったかもしれませんな」

帝「…いや、平定して直ぐだからこそ意味があるのだ」

名代「……」

帝「これからは東方同士、隔たりなどない国を作り上げなくてはならん」

名代「それが東方の団結に繋がりまするな」

帝「……ああ」

名代「…さて、間もなく火忍殿と水忍殿も戻りましょう」

帝「あと一息だな。この戦いが終われば……ようやく落ち着けるか」

名代「ですな」

鬼丸「美味いモンたらふく食って、爆睡してぇわ」

帝「……ふふっ、そうだな。うん」


209 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:07:16.13S35AjapIo (5/10)

~次の日、都~

戦士「だぁ~着いたぞー!!」

召喚士「お疲れ様」

魔道士「すっかり遅くなっちゃいましたね~」

戦士父「これでも早いものさ。四人とも大したものだよ」

魔道士「ありがとうございます。えへへっ!」

盗賊「…さて、と」

戦士「飯だ、飯っ!」

盗賊「…だな」

召喚士「盗賊さん、何かお勧めはありますか?」

盗賊「…そうだなぁ」

魔道士「あっ、じゃあ……私食べたいものが……」

召喚士「…?」

戦士「美味いのか!?何だ!?」

魔道士「えへへ~っ、それじゃ行きましょうか!」


210 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:08:01.33S35AjapIo (6/10)

~寿司屋~

ガラッ

板前「らっしゃい!」

戦士父「ここは…?」

盗賊「…寿司屋。魚料理…かな」

戦士父「…ほぉ」

板前「さっき漁港から仕入れた、新鮮なタネが揃ってるよ!」

魔道士「冬の魚と言えば……」

板前「鰤にカンパチ、それに鮭もいいよっ!」

魔道士「じ、じゃあ……それをっ!」

戦士「それも美味そうだなぁ」

板前「冬は脂が乗ってて、一番旨い時期だからねぇ~」

召喚士「よ…読めない…」

板前「もしなんなら、こっちで適当にオススメ握らせて貰いやすぜ?」

召喚士「じゃあそれでお願いします」


211 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:08:54.49S35AjapIo (7/10)



板前「へいっ、お待ち!」

戦士「どれ……」

魔道士「…んーっ!!美味しい~っ!!」

戦士「うほぉ…っ、脂が乗ってて…たまんねぇ!」

戦士父「確かにこれは…格別だな」

召喚士「……ええ」

盗賊「…どうした?……モグモグ」

召喚士「えっ、いえ…何でもないですよっ」

盗賊「……?」

召喚士「…ワサビ、でしたっけ?ちょっと目にしみて…ははっ」

盗賊「…そうか」

板前「山葵駄目でしたかい?もし言って下されば抜く事も出来ますんで!」

召喚士「はいっ、ありがとうございます」

潤んだ瞳を擦りながら、召喚士は遠い日の思い出を寿司と同時に飲み込んだ。


212 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:12:18.29S35AjapIo (8/10)



戦士「あー食った食ったぁ!」

板前「毎度どうもっ!また来て下さい!!」

魔道士「ご馳走様でした~っ」

戦士父「寿司か……。なかなか美味であった」

召喚士「ええ、本当に美味しかったですね」

盗賊「…さて、次は」

魔道士「お茶屋さんですねっ」

盗賊「…え、う…うん」

~茶屋~

看板娘「いらっしゃいまし~」

召喚士「えぇと、お茶5つと……」

盗賊「…団子。みたらしとあんこで」

看板娘「はいっ!毎度~っ」

戦士「よく食うなぁ」

盗賊「…甘い物は…別腹だ」


213 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 00:24:16.22S35AjapIo (9/10)



看板娘「はいっ、お待たせ~!」

カチャカチャッ…コトッ

魔道士「…はーっ、暖かくて美味しい~」

戦士「んで、手がかりなしでどーするよ?」

戦士父「ここからは俺一人で大丈夫だ」

戦士「はぁ!?」

戦士父「心強い情報源も得る事が出来たしな」

盗賊「……あ、あぁ」

召喚士「でも、宜しいんですか?」

戦士父「お前らだってやらねばならん事が多々あるのだろう?」

戦士「まぁ、そりゃあそうだけどよ……」

戦士父「だったらいつまでも縛り付けてるわけにはいかんさ」

魔道士「そ、そんな事は……」

戦士父「いやいや、心配せんでくれ。元々一人の身だ」


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 00:27:15.22S35AjapIo (10/10)

中途半端ですが…タイムアップにて寝ます!
ご支援ありがとうでした!おやすみなさい!ノシ

~オマケ~

火忍「ぶぇ~っくしょん!!」

水忍「…まだ風邪が治らんのか?」

火忍「……さぁ…ひ、ひえぇ~っくしょい!!」

ゴシゴシッ

火忍「…いや、これは違うな。風邪じゃない」

水忍「…?」

火忍「…きっと姫が噂をして……ぶふぇっくし!!」

水忍「…ああー」

火忍「…なっ!?だろっ……ぶひぇーっくしょん!!」

水忍「成程な。火よ……」

火忍「……あん?」

水忍「それ、花粉症だ」

火忍「何ぃ!?……は、はーっくしょいぃ!!」


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 00:29:44.47O1H6v3STo (1/1)

磁場ときいてノームさんようやく活躍かと思ったらそんなことなかったぜ!


216VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 00:40:45.53YcKl8H0SO (1/1)

そういや精霊は結界貼るのとは別に能力持ってたな

ノームおじいちゃん………


217VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 00:46:42.11w23uyBAco (1/1)

老衰で…


218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 01:02:13.31U9DATzrAO (1/1)

初出番の千載一遇のチャンス逃しちゃったな


219VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 01:06:43.93Vmy91bXio (1/1)

召喚士は武士に寿司をおごってもらったのを思い出してたんだな


220VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 03:11:47.31ULtRXEDKo (1/1)

1乙


221VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 03:53:14.21kVmFn/EDO (1/1)

ワサビが食べれない召喚士ちゃんかわいい


222VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 04:04:18.89Ur1A6UfAO (1/1)

夫人かわいいよ夫人


223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 05:28:17.342G2TNRHDO (1/1)

>>1乙っす
寿司食いてぇ


224VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 09:52:48.68kzZnC/SDO (1/1)

鎖緊縛プレイが見れたので満足している
うむ、あれはいいものだ。


225 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:12:05.738ii6X30ko (1/28)



店主「毎度どうもー」

召喚士「えぇっと……」

バサッ

戦士「ほー、これが東方の地図か」

召喚士「どうみます?」

盗賊「…本国の地図と比べると…そこまで精巧ではないと思う」

召喚士「測量技術の問題ですかね」

盗賊「…多分。でも…問題はないと思う」

召喚士「えっと、藤蔵の位置は……」

盗賊「…ここ」

キュッ

召喚士「…よし。ここが都で……不死の山が……」

盗賊「…ここだ」

召喚士「なるほど」


226 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:12:44.908ii6X30ko (2/28)

魔道士「この辺りが樹海ですかね?」

召喚士「……そ、そうか」

戦士「ん?」

召喚士「夫人の居た場所……影不死なんだ!」

魔道士「!?」

盗賊「…なるほど…そういう事か」

召喚士「魔物も住んでて登山も困難って言う意味がやっと分かりましたよ」

戦士父「確かに、言われて見れば合点がいくな」

戦士「でもよ、下山した時は一つしか山はなかったぜ?」

召喚士「そうなんだけど、不死山の山頂からは確かに見えたよ」

戦士「どうなってんだかなぁ」

魔道士「隠れ家みたいな感じなんですかね……」

盗賊「…スグリーヴァの城もそうだしな」

魔道士「確かにそうかもしれませんねぇ」

召喚士「……なるほど」


227 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:13:15.058ii6X30ko (3/28)

戦士父「では、地図は頂くぞ」

召喚士「はい。この程度しかお役に立てませんけど」

戦士父「いやいや、十分に助けて貰ったさ」

盗賊「…何かあれば…藤蔵へ」

戦士父「ああ、そうさせて頂こう」

ザッ

召喚士「もう、行かれるのですか?」

戦士父「ああ。日が暮れぬうちにもう一度、藤蔵を訪ねたいと思ってな」

魔道士「そうですか……」

戦士父「これを、総司令に渡して置いてくれ」

盗賊「…手紙。確かに預りました」

戦士父「ああ、頼んだよ」

魔道士「それでは、お気を付けて!」

戦士「……あのよっ」

戦士父「……?」


228 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:14:00.818ii6X30ko (4/28)

戦士「……えぇとだな。あの…あれだ、総本山で戦った時にさ」

戦士父「ああ」

戦士「親父はあいつに、避けられない一撃を放ったよな?」

戦士父「…ああ、あれか。おそらくこういう事だろう」

スッ

戦士父「正面に構えて、槍を俺の左足に添えてくれ」

戦士「……こうか?」

戦士父「そこから素早く、左肩へ振り上げてくれ」

戦士「…いいのか?」

戦士父「早くしろ」

戦士「……っ」

ビュオッ!!

召喚士「かわした…っ!?」

戦士「……なんでそんなアッサリと」

戦士父「簡単な事だ。全ては下半身の体重移動だよ」


229 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:14:39.478ii6X30ko (5/28)

魔道士「体重移動!?」

戦士父「東方の槍術は、言わばしなやかな自然の動きを主体としている」

盗賊「……」

戦士父「南東国の槍が剛であれば、東方の槍は柔」

戦士「要は、そのしなやかな動きでかわしたってのか?」

戦士父「最初の左下への攻撃。この時、重心をあえて左にかけていたんだ」

召喚士「!!」

戦士父「そうする事によって、素早く身体を右に移動させる事が出来る」

戦士「でもよ、普通に右方向への攻撃がきたらどうすんだよ」

戦士父「言ったろ。柔軟な動きだからこそ、どこに重心があろうと防御出来るんだ」

召喚士「凄いな…っ、そんな事まで…」

戦士父「事実、奴は次の攻撃も防ぐつもりでいたのだろう」

盗賊「…そうなのか?」

戦士父「ああ。しかし思いがけぬ左方向への攻撃により、回避という行動をとった」

戦士「ハナっから避けるつもりだったんじゃないのか?」


230 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:16:54.798ii6X30ko (6/28)

戦士父「もしそうなら、その後の間に説明がつかん」

召喚士「あ……っ」

戦士父「もし奴が回避を前提としていたならば、すかさず距離をとるか……」

召喚士「場合によっては、攻撃していたかもしれない…っ」

戦士父「…そういう事だ」

召喚士「しかしあの場面、両者共に不意を突かれたような間に……」

戦士「言われてみればそうだな。確かに不自然だった……」

戦士父「互いに予想外だった、という事さ」

戦士それがあいつの…強さの秘密か」

戦士父「一朝一夕で身に付くものではない。若いのに相当鍛えているな」

魔道士「でも、勝った戦士父さんは…やっぱり強いですよね!」

戦士父「強い…か。まぁ真理で言えばそうなのかもしれんな」

魔道士「え…っ?」

戦士父「99回負け続け、泥水をすすり生き長らえたとしても……」

盗賊「……」


231 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:17:38.278ii6X30ko (7/28)

戦士父「最期の1回、100回目で勝てば、その者が勝者という事さ」

召喚士「……なるほど」

戦士父「今回は技術ではなく、肉体面と経験でこちらが勝った」

戦士「だな…」

戦士父「次は分からぬし、奴がこのまま経験を積んでいけば、負けるかもしれん」

魔道士「……深いですね」

戦士父「戦いにおいての勝利とは、命あってのもの。忘れるなよ?」

召喚士「…はい」

戦士父「それじゃ、そろそろ……」

戦士「あ、あのよ……っ!」

戦士父「何だ、まだ何か――」

戦士「親父も…気を付けてな……っ!」

戦士父「……ふっ。息子に心配されるなど、俺もヤキが回ったかな」

戦士「……っ」

戦士父「……それじゃあな」


232 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:18:17.698ii6X30ko (8/28)

スッ…テクテクテクテクテク…

召喚士「……」

魔道士「行っちゃいましたね…」

戦士「……さ、これで任務終了だ!こっちも本国へ戻るとすっか!」

盗賊「…そうだな。一先ず手紙を届けねばならぬしな」

召喚士「ええ」

戦士「ほれ、行くぞ」

召喚士「うん」

魔道士「あっ、はい……っ!」

タッタッタッタッタ

本国、南東国間での同盟。東方司令部の内通者による事件の処理。

そして東方での一連の動き。全てはバラバラであるが、思いは一つである。

それは無意味な命のやり取りなどなく、安心して暮らせる平和な世界。

それを脅かす根源である魔王を討つべく、世界は急激に掛かりつつあった。


~第三十九部、完~


233VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 18:19:32.568ii6X30ko (9/28)

バカバカッ!!最後の最後で……っ!!

× それを脅かす根源である魔王を討つべく、世界は急激に 掛かり つつあった。
○ それを脅かす根源である魔王を討つべく、世界は急激に 変わり つつあった。


234 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:20:36.148ii6X30ko (10/28)

~本国、国軍本部~

通信士「ももっ、もし…申し…もし……」

博士「何を言っているのら」

助手『もしもし…?何ですそれ?通信時の合図ですか?』

通信士「えぁ?えっと……も、申し…もし…っ」

博士「何をそんなに緊張しているのら。貸せ」

通信士「あ……っ」

パシッ

博士「申し上げるのら。聞こえるか?」

助手『もしもし?聞こえますよ~』

博士「もしもしはやめるのら!」

助手『もしもしもしもしー!』

博士「……」

ガチャッ

通信士「!?」


235 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:21:23.188ii6X30ko (11/28)

博士「とにかく、無事通信は出来ているようなのら」

カツカツカツ

司令官「……どうかな?」

博士「うむ。問題なしなのら!」

司令官「ついに出来たか。よく間に合わせてくれた」

博士「何を言ってるのら。これからが大仕事なのら……」

司令官「…ん、そうだね」

博士「とにかくこれで、本国と西方司令部間での電話は繋がったのら!」

通信士「す、凄いものですね……。一体どうやって……」

博士「それを事細かに説明すると長くなるから省くのら。あとは軍事機密なのら」

通信士「は、はぁ……」

司令官「……それで、次は?」

博士「無論、北なのら。ここから北方司令部へ繋げるのら」

司令官「間に合うかい?」

博士「知らんのら。それは穴掘りの連中に聞くのら」


236 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:22:05.408ii6X30ko (12/28)



召喚士「行けっ!コカトリス!!」

    ~第四十部~


237 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:22:35.188ii6X30ko (13/28)

~ターミナル~

召喚士「うーん、船はしばらく空きますね」

戦士「しゃーねぇ。軽く食事でも取りながら待つとするか」

魔道士「そうですねぇ」

ターミナルは船の終着地点。言ってみれば超大型のドックのようなものである。

その為、周囲に大きな町村もなく、多ジャンルの店舗がこの中に集約されている。

本国の大通りや北の港の商業地区ほどではないが、それなりの華やかさがあった。

テクテクテクテク

盗賊「…店が増えているな」

戦士「作り途中のもチラホラあるな。何かあったのか?」

召喚士「多分、東方との同盟を見越しての事じゃないかな?」

魔道士「同盟の影響…ですか?」

召喚士「ええ。そうなればここから東への海路が自由に拓けますからね」

戦士「そうすりゃあ、必然とここの利用者も増えるってわけだな」

召喚士「うん。観光に交易に…賑やかになると思うよ」


238 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:24:00.268ii6X30ko (14/28)

魔道士「なるほどですね~!」

戦士「そんじゃ俺らも、店でも出しておくか?ははっ」

――「残念だが、そう簡単にはいかん」

テクテクテク…

魔道士「――っ!?」

召喚士「……高官…さんっ」

高官「久し振りだな、議会の時以来か」

戦士「……」

高官「ところで、本当に出店を考えているのかね?」

召喚士「い…いえっ、冗談ですよ」

魔道士「お店出すのって、そんなに大変なんですか?」

高官「……君は確か、商家の出ではなかったかな?」

魔道士「あ、あの……っ、そういった事は疎くて……」

高官「まず、出店するには場所というものが必要になる」

盗賊「…ああ」


239 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:24:34.708ii6X30ko (15/28)

高官「その辺りの平地で露店をするならばいざ知らず、ここは本国の領地だ」

戦士「まぁ、ターミナル内だからな」

高官「そう。そこで出店するには、当然ながら本国の許可がいる」

召喚士「ちなみに、いくらなんです?」

高官「察しがいいな、朱雀先生」

盗賊「…?」

高官「出店にはまず本国から場所を借りる。これにより月々の家賃が発生する」

魔道士「ほうほうっ」

戦士「何メモってんだよ」

魔道士「だって、いつか役立つかもですよっ?」

高官「もちろん立地の良い場所であればある程、家賃も高い」

盗賊「…目立つしな」

高官「更に、実際出店をした場合、売上に応じて本国へマージンを支払う」

戦士「マージン?」

高官「販売手数料の事さ」


240 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:25:15.228ii6X30ko (16/28)

戦士「家賃払ってんのに手数料も取るのかよっ!?」

高官「これが売上の5%。それが本国への支払いだ」

召喚士「結構取られますね……」

高官「そうか?安いものだぞ」

盗賊「…?」

高官「ターミナルという特異な場所と性質を考えてみろ」

魔道士「えっと……つまり……」

高官「ターミナルはたまたま通りかかるような場所ではない。必然と来ているのだ」

召喚士「…そうかっ。結果、値段は高くても買う人はいるんだ…!」

戦士「そうなのか?」

召喚士「例えば今の俺らがそうだよっ」

戦士「は?」

召喚士「次の船まで時間が空いてるから、軽食を取ろうとしていた」

魔道士「…そっか!それは多少割高でも使わざるを得ないっ!」

召喚士「そういう事です」


241 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:25:47.458ii6X30ko (17/28)

高官「他にもそうだな、例えば……旅の道具をつい忘れてしまったりとか」

戦士「船内じゃ手に入らないものだってあるもんな」

高官「そういう意味では5%など高いものではないのだよ」

戦士「ふぅん。なんか難しそうな話だわな」

盗賊「…ああ」

召喚士「まぁ他にも、人件費や諸経費はかかりますけどね」

高官「しかし一から店舗を立てて商売するよりはコストダウンが図れうだろう」

召喚士「ですね」

高官「我々はこうしった手法を『テナント』と呼んでいる」

魔道士「テナント……」

高官「テナントの確立で、小額の資本金でもビジネスが起こせるという事だ」

召喚士「商業支援の一環ですね」

魔道士「土地やお金がある人だけが、設けられるというわけではないんですねっ」

高官「そうだ。それが経済機関が行っている政策の一つさ」

盗賊「……」


242 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:26:36.948ii6X30ko (18/28)

戦士「しかしよ、何で俺らには難しいんだ?」

高官「知っていると思うが、我が国は東方との同盟を結んだ」

盗賊「…ああ」

高官「今後、最も多くの往来が見込まれておるのだ」

魔道士「西国や南東国もそうなんじゃないですか?」

高官「東方は最近まで、国同士の交流を閉ざしていた」

召喚士「他の国に比べ、異国の者にとっては未知なる国……」

高官「そうだ。本国とは違う数々の文化。興味を惹かれる者はすくなくないだろう」

戦士「えぇと、そんで?」

高官「言わば本国で今、最も注目されている土地。それがターミナルなのだ」

召喚士「商売にはうってつけな環境になるわけですからね」

高官「だからこそ、もう飽いているテナントもほぼ皆無なのだよ」

戦士「…そういう事か」

高官「それに……」

召喚士「…?」


243 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:27:53.668ii6X30ko (19/28)

高官「先程も述べた通り、政策は経済機関が管轄している」

盗賊「……」

高官「裏を返せば、権限は全て……左翼にある」

魔道士「!!」

高官「君達が仮に出店希望したところで、申請が降りると思うかね?」

戦士「あーそういう事ね……」

高官「だから私は、簡単ではないと言ったのだよ」

召喚士「高官さんは、ターミナルの政策担当なんですか?」

高官「……まさか。担当であればこんな所にはおらんよ」

盗賊「…?」

高官「先日の一件でな、左翼でのポジションを失ったよ」

魔道士「え…っ!?」

高官「役職こそそのままだが、たかが一地方の現場監督さ」

召喚士「……そうでしたか」

高官「別に良いさ。因果応報と言ったところだろう」


244 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:28:53.978ii6X30ko (20/28)

戦士「……すまねぇな」

高官「君のせいではない」

戦士「でも、俺だって絡んで……」

高官「元凶を作り出したのは私だ。目が覚めたよ」

戦士「……っ」

高官「君達親子には本当に感謝しているよ」

戦士「……親父を?」

高官「まぁな」

召喚士「そういえば、先日ウィッチさんに会いましたよ」

高官「…ウィッチに!?」

魔道士「はいっ!元気で旅してましたよっ。仲間も居て……」

高官「そうか」

召喚士「次会う時は、笑顔で抱きしめてあげて下さい」

魔道士「きっと…ウィッチちゃんも喜びますよっ」

高官「……ああ、そうだな」


245 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:30:27.938ii6X30ko (21/28)



高官「済まなかったな、引き止めてしまって…」

盗賊「…お気になさらず」

魔道士「色々とお話が聞けて、勉強になりましたっ!」

戦士「だな。こちらこそありがとうございます!」

高官「しかし、大変だったな」

召喚士「…?」

高官「おや、東方司令部へ居たと聞いたが……」

戦士「ああ、えぇと…ちょろっと……な」

魔道士「その後は東方に行ってましたから」

召喚士「あの、何かあったんですか…!?」

高官「大規模な火災があったらしいではないか」

盗賊「!?」

魔道士「火災……っ!?」

高官「知らなかったか?何でも東方魔道長と民間人が亡くなったと……」


246 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:30:55.058ii6X30ko (22/28)

ゾクッ

召喚士「…………」

確信はなかったが、召喚士の身に悪寒が走った。

召喚士「民間人……?」

高官「ああ、新聞社の記者が巻き込まれたとか」

目の前の男が次々に言葉を発しているが、召喚士の頭には入らなかった。

高官「西地区と西の塔も全焼だとかいう話でな。お陰でこの辺りも慌しい」

頭の中はただ真っ白になり、景色も音も止まり、心音だけが脳裏に響いた。

高官「青年兵は本国へ戻され、更に近々東方司令部解体の噂も出ている」

ドクドクと脈打つ鼓動は徐々に早まり、呼吸が乱れ始めた。

召喚士「…は…はっ、は……っ……は……っ」

盗賊「……女記者が」

戦士「死んだ……っ!?」

魔道士「嘘……っ」

重く圧し掛かる現実が数分かけて整理され、四人を再び現実へと引き戻した。


247 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:31:58.948ii6X30ko (23/28)



盗賊「…………」

戦士「…………」

魔道士「ひっ、ひぐ…っ!うっ……うっ」

召喚士「……」

ギリッ

戦士「…何で、アイツが死ななきゃなんねーんだよ」

盗賊「……っ」

戦士「あと一日……俺らが居てやれば……っ」

召喚士「…どうだろうね」

戦士「…?」

召喚士「俺らが居たからって助けられたとは限らない」

ガタッ…グイッ

戦士「……助けられなかったってのかよ」

召喚士「……」


248 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:32:34.578ii6X30ko (24/28)

魔道士「戦士さんっ、やめて下さい!」

戦士「…ちっ」

パッ

召喚士「それに、タイミングが良すぎる」

盗賊「……?」

召喚士「俺らが去った矢先に火災だなんて。早々起きるものでもないだろうし」

盗賊「…つまり、どういう事だ?」

召喚士「犯人は何かしらの証拠を隠滅したかったんじゃないかな?」

魔道士「……証拠…ですか?」

召喚士「海峡北の森に居たという事実ですよ」

戦士「じゃあ…っ、俺らが青年兵に与えた情報が漏れたってのか!?」

召喚士「分からない。分からないけど……」

ググッ…ギリッ

召喚士「そう考えれば、辻褄があうんだよ……っ」

盗賊「……青年兵が……そうは思えんが」


249 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:33:41.928ii6X30ko (25/28)

召喚士「青年兵くんだとは思っていませんよ。ですが……」

スクッ

召喚士「彼が何か知っているのは事実。急いで本国へ向かいましょう!」

魔道士「ええ…っ。ぐす…っ」

戦士「……ぜってぇ…見つけ出してやる」

盗賊「…ああ」

軽食を済ませた四人は本国への船へと乗り込み、ターミナルを出航した。

ザザーン

戦士「人間てのは、呆気ないもんだよな」

召喚士「……」

戦士「少しだけ…ほんの少しだけどよ、不死を求めるバカ共の気持ちも分かるわ」

召喚士「……不謹慎だよ」

戦士「……分かってるよ。でも、やるせないんだよ」

召喚士「……」

悲しみを乗せた船は、本国へと入港した。


250 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:35:52.078ii6X30ko (26/28)

~本国、国軍本部~

召喚士「えっと……7時か。まだ早いかな?」

戦士「いいんじゃねーか?軍人なんて24時間営業だろ」

召喚士「いや、そうかもしれないけどさ……」

テクテクテク…

門兵「ご苦労様ですっ!」

召喚士「ど、どうも……」

テクテクテクテクテク…

召喚士「あの、すみません」

受付「朱雀先生っ!?」

召喚士「えっ、は……はい」

受付「司令ですか?いらっしゃいますよ」

戦士「今日はすんなりだな」

盗賊「…みたいだな」

テクテクテクテクテク


251 ◆1otsuV0WFc2011/03/02(水) 18:43:34.158ii6X30ko (27/28)

召喚士「あの……」

受付「はい」

召喚士「青年兵く……殿はいらっしゃいますか?」

受付「はい。召喚兵舎の方へいらっしゃるかと」

召喚士「召喚兵舎?」

受付「裏手の、講堂の脇ですよ」

召喚士「へぇ。ありがとうございます」

受付「いえいえ」

テクテクテクテクテク

秘書官「朱雀先生…?」

受付「では私はこれで」

秘書官「司令、朱雀先生がお見えです」

カチャッ

召喚士「失礼します」

司令官「……ん」


252VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 18:49:29.828ii6X30ko (28/28)

すっげー中途半端…。ごめんなさい…
ノームさんはきっと出番があるはずです。きっと!

それでは失礼致しまっす!ご支援ありがとうでした!ノシ


253VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 19:06:21.87GeurxHnDO (1/1)

>>1先生乙です(。・x・)ゞ

明日はひな祭りですなぁ、きっと帝が出てくるオマケがあると期待するであります!!


254VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 20:14:34.00K1bdATpAO (1/1)

いよいよ四十部。残りは六十部だっけか


255VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/02(水) 20:28:58.74FysPcxXuo (1/1)

そろそろ司令官の素顔も明らかになるんだろうか・・・


256VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 00:31:36.74C8Ll1XBAO (1/1)

もうそろそろ50章行きそうなのに展開が読めなくて面白いわ


257VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 01:26:39.47cKXoHzFDO (1/2)

飛ばしているとはいえ40は純粋にすごいと思う


258VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 08:34:19.054Up1eoeAO (1/1)

>>1乙

今日はひな祭りだね
どうか愛しの魔導師ちゃんに幸せが沢山あるように、僕も祈ってるよ*^^*


259 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:37:11.30GHSy577/o (1/29)

召喚士「ただいま、東方より戻りました」

司令官「ご苦労さん。戦士父は?」

召喚士「まだ滞在中です。実は…ゾディアックは未だ見つかってなくて……」

司令官「そうなの」

盗賊「…彼より…文を預かってきました」

スッ

司令官「…ん。ありがと」

召喚士「東方の有力者への橋渡しは済んでおります。問題はないかと…」

司令官「…ん、ご苦労だったね」

召喚士「……あの」

司令官「…ん?」

召喚士「東方司令部、大変だったようで…」

司令官「…ああ、君らが病む必要はないよ。こちらの問題だ」

召喚士「……」

司令官「ま、色々と失った代わりに…得たものも大きいしね」


260 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:37:47.96GHSy577/o (2/29)

戦士「大丈夫なのか?」

司令官「予定外の出来事だけど、計画に支障はきたさないよ」

魔道士「……っ」

司令官「報酬は後日、ワークショップ経由で受け取って」

召喚士「…分かりました。それでは失礼します」

スッ

司令官「…あ、そうそう」

召喚士「…?」

司令官「朱雀先生に一つ、聞きたい事があるんだ」

召喚士「何でしょうか?」

司令官「……コカトリスってさ、石化以外の力…あるの?」

召喚士「…………」

俯いた顔の前で両手を組み静かに語る総司令の姿を見て、

召喚士は素直に答えるかどうか、一瞬躊躇した。

盗賊「……この人は…大丈夫」


261 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:38:25.34GHSy577/o (3/29)

それを察してか、横に立つ盗賊が後押しするようにぽつりと呟いた。

召喚士「……いえ、石化だけではありませんよ」

司令官「……」

召喚士「尾に毒を持ってます。勿論、解毒作用も……」

司令官「石化解除も出来るの?」

召喚士「……え、えぇ。あの…それが何か?」

司令官「…ん。興味本位…かな」

召喚士「そうですか……」

司令官「国軍本部の…ましてやトップが訪ねるんだ。何かあると思うよね」

召喚士「…えっと……まぁ」

司令官「あるよ。でもね、悪い事じゃないんだ。信じてくれ」

召喚士「……」

司令官「そのうち分かると思うよ。切り札だから今は教えられないけどね」

召喚士「……信じますよ」

司令官「…ん、ありがと」


262 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:39:12.72GHSy577/o (4/29)



魔道士「それでは、失礼致します~」

パタン…テクテクテクテク

戦士「んで、どーすんだ?青年兵に会っていくのか?」

召喚士「…もちろん」

戦士「まぁ、そうだよな。えっと…講堂の方って言ってたっけか?」

召喚士「うん。あっちなら道も分かるし、受付にだけ許可を貰っておこうか」

四人は一旦、受付へと戻り、青年兵を訪ねる旨を伝え講堂方面へと向かった。

テクテク…ザッザッザ

召喚士「えぇと。こっちかな」

盗賊「…声が聞こえるな」

戦士「兵舎っつー事は、召喚兵の寮って事か?」

召喚士「寮もあるかもね。召喚兵の拠点ってとこかな」

魔道士「なるほど~」

召喚士「…ん?あっちから声が聞こえる……」


263 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:39:45.88GHSy577/o (5/29)

~召喚兵舎、練兵場~

青龍兵「だっりゃああぁぁ!!」

青龍士官「後ろから仕掛けろっ!!」

青龍兵「了解です!」

ゴウッ!!

青年兵「……」

前後左右、四方よりワームとワイバーンが青年兵を取り囲む。

その中心に立つ青年兵の頭上にはリンドブルムが一匹。

青龍士官「同時に攻めればかわされる!時間差攻撃だ!」

ババッ

青龍士官「ゴーッ!!」

青龍兵「うおおぉぉ!!」

青龍士官の掛け声えお合図に、召喚獣の群れが順番に、

一体のリンドブルムへと牙を剥き襲いかかる。

青年兵「……」


264 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:40:26.15GHSy577/o (6/29)

フワッ

青年兵「……いけるっ」

リンドブルムは錐もみ状態で空中を旋回し、前方のワイバーンを潜り抜けると、

その後に続くワームらも次々に回避し、再び中央へと戻った。

青龍兵「……くっ」

青龍士官「……もう一体ずつ…召喚だっ!」

青龍兵「出でよ、ワーム!」

青龍士官「出でよ!リンドブルム!!」

シュイイィィン

青年兵「これで8体。流石にかわすには限界か」

ザザッ

青龍士官「あちらももう一匹だすつもりだぞっ」

青龍兵「召喚前に……叩くっ!」

ゴウッ!!

青年兵「出でよ、アンフィスバエナ!!」


265 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:41:04.72GHSy577/o (7/29)

シュイイィィン

青龍士官「な、何だとぉ!?」

青龍兵「……くぅっ!」

青年兵「はあぁーっ!!」

迫る召喚獣らの魔道士に突如姿を見せたアンフィスバエナ。

当然使い手はかれらの知る限り青龍先生のみであり、青年兵がこの召喚獣を

呼び出した事に対し。驚きを見せていたのであった。

青龍士官「まずいっ!前後の召喚獣を――」

ドゴオオォォンッ!!

青龍兵「がふぅ……っ!」

青年兵「まずは…2匹!」

アンフィスバエナの前後にある頭部より猛毒の霧が吐き出される。

青龍士官「早く召喚解除をしろっ!」

もがき苦しみ力尽きるワイバーンらを余所目に、青年兵はその召喚主を探す。

魔力を消費した事により、息の上がっている者を捉えるのは容易であった。


266 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:42:01.88GHSy577/o (8/29)

青年兵「あの二人か。という事は……」

回避に専念していたリンドブルムが一転、攻撃へと移り変わる。

青年兵「……ここだっ!」

リンドブルム「ガアアァァーッ!!」

おびただしい量の落雷がリンドブルムを囲むように覆い、帯電した球体を

作り上げたそれは、空中の龍達を次々に地面へと墜落させる。

青龍士官「ぐあぁ……っ!」

ズドオオォォンッ…ドシャアアァァ

青龍兵「8体もいた召喚獣が……っ」

青龍士官「たったこれだけの時間で……」

スタッ

青年兵「次っ、稽古できる者はいないか?」

青龍士官「青年兵――様」

青年兵「呼び捨てでいいよ、青龍士官」

青龍士官「今日はお前も含め、みんな疲労が激しい。また明日にしよう」


267 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:42:30.25GHSy577/o (9/29)

青年兵「……」

青龍士官「気持ちは分かるが、正直残った魔力ではお前の相手にはならん」

青年兵「……よし、今日はここまでとする。各自しっかり休むように」

青龍兵「ありがとうございましたっ!」

ザザッ…カツカツカツカツ

青龍士官「俺も、失礼するぞ」

青年兵「ああ、ありがとう」

ザッザッザ

青龍士官「っ!?」

召喚士「ど、どうも」

青年兵「召喚士……さんっ!?」

タッタッタッタッタ

青年兵「どうしたんですかっ、こんな所へ……」

召喚士「うん。ちょっと本部へ用事があったから…ついでにね」

青年兵「……召喚士さん、ちょっと宜しいですか?」


268 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:43:24.14GHSy577/o (10/29)

召喚士「え…?う、うん」

青年兵「青龍士官、あとは頼む。すぐ戻るから」

青龍士官「お、おう…っ」

テクテクテクテク…

召喚士「あ、あの……」

青年兵「東方司令部の事、聞きましたか」

召喚士「…うん。よく分かったね」

青年兵「つい先日まで東方司令部に居た僕を、わざわざ本部で訪ねるなんて…」

戦士「そっか、異動したって知らなくちゃ有り得ないわな」

魔道士「青年兵さん、女記者さんは本当に……」

青年兵「……っ」

ババッ

青年兵「申し訳ありませんでしたっ!!」

召喚士「……!!」

青年兵「全ては……この私の過失です」


269 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:43:52.33GHSy577/o (11/29)

召喚士「せ、青年兵くん…っ」

戦士「お前のせいじゃないだろ、頭を上げてくれよ」

青年兵「いえ、僕が殺したも同然です」

盗賊「…それならば、我らとて同罪だ」

召喚士「……ええ」

戦士「何があったか…聞かせてくれよ」

青年兵「予兆も何もありませんでした。本当に突然です」

魔道士「放火…ですか?」

青年兵「いや、魔法によるものです。犯行はおそらく東方魔道長……」

魔道士「――っ!!」

青年兵「確信はありません。本人も死亡しておりますから」

戦士「つー事は、左翼の仕業なのか…?」

青年兵「左翼は左翼でしょうけど、同胞の東方魔道長もころされてます」

盗賊「……裏切ったのか?」

青年兵「何かしらの理由で、不要な者を切った…という見解も出来ます」


270 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:46:42.21GHSy577/o (12/29)

召喚士「それで、何故…女記者さんが……」

青年兵「真犯人の目的が何なのか……」

盗賊「……」

青年兵「消失した西地区、及び西の塔はほとんど無人の地区です」

戦士「だから被害者が少なかったのか……」

魔道士「何で人が少ないんです?」

青年兵「保管庫だからですよ。備品や……資料のね」

召喚士「……っ」

青年兵「もし、資料の喪失が真犯人の目的ならば女記者さんは…」

戦士「まさか…口封じに!?」

青年兵「……これ、何だか分かりますか?」

スッ

魔道士「手帳……?」

召喚士「もしかして……っ」

青年兵「ええ。生前、女記者さんが使っていた手帳です」


271 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:47:32.79GHSy577/o (13/29)

魔道士「っ!!」

盗賊「…これが…何か?」

青年兵「先日、東方司令部で僕がお二人に言った事、覚えてられますか?」

戦士「二人?俺らか…?」

召喚士「……えっと」

青年兵「風呂で話したかと思います。女記者さんの事で……」

戦士「ああ、お前が女記者に好意を寄せてるって……」

青年兵「違いますっ!……女記者さんは一字一句間違う事無く……」

パラパラッ

青年兵「聞いた事を書きとめている。そう言いましたよね?」

召喚士「こ、これは……っ!!」

戦士「行きの馬車でした…俺らの会話!?」

魔道士「こ、こんな事まで書き記していたんですね…っ」

青年兵「この中に一文、ある言葉が書かれています」

盗賊「……?」


272 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:48:13.09GHSy577/o (14/29)

青年兵「ただ一言なんです。『海峡北の森はどうする?』……と」

召喚士「――っ!!」

青年兵「だれの発言かは分かりません。いや、そんな事はどうでもいいのです」

召喚士「その一文だけでも……当事者にとっては……」

青年兵「そうです。まずいでしょうね」

戦士「つ、つまり……」

青年兵「ここから話す事は、完全にぼくの推測です」

盗賊「……」

青年兵「一連の犯行は、真犯人の実行犯である東方魔道士長によるもの」

魔道士「……」

青年兵「目的は西地区にある資料。具体的に言えば行動記録です」

戦士「……っ」

青年兵「それを喪失させる為に、理由を付けて東方魔道長に犯行を起こさせ…」

召喚士「…口封じに…殺害……っ」

青年兵「更にはこの手帳を見た真犯人は……女記者さんを……」


273 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:49:17.73GHSy577/o (15/29)

戦士「じゃあ犯人は……」

青年兵「東方司令部の士官。その線が濃厚です」

魔道士「でもっ、士官って司令と副司令と参謀さんと……」

召喚士「皆、犯人には思えない……っ」

青年兵「……東方魔道長と女記者さんは、素手で殺害されていました」

戦士「素手?」

青年兵「しかも、僕は犯人を一瞬目撃した……」

魔道士「っ!!」

青年兵「しかし、召喚したワイバーンも一瞬で消し飛ばされました」

召喚士「……まさか…魔法で…?」

青年兵「腕力があり、強力な魔法が放てる。普通はそんな者いませんよ」

盗賊「…それはそうだ」

戦士「……普通は?腕力……?」

召喚士「……っ」

青年兵「僕は……信じたくありません」


274 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:49:59.09GHSy577/o (16/29)

……――

戦士『……あぁー』



ザブザブザブ…バシャッ



召喚士『腕相撲終わったの?』



戦士『ん、ああ』

召喚士『勝った?』



戦士『結局、勝負付かずで引き分けだ』



召喚士『へぇ、東方参謀さんて強いんだね』



戦士『あれで文官とか……反則だろ』



青年兵『ええ…っ。戦う軍師というか……』


――……

魔道士「あの……っ、えっとつまり……」

戦士「いるんだよ…っ。一人だけどっちもすげぇのがよ……っ」

召喚士「でも…そ、そんなはずは……っ」

盗賊「……っ」

青年兵「真犯人は……東方参謀です」


275>>274修正 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:52:10.43GHSy577/o (17/29)

……――

戦士『……あぁー』

ザブザブザブ…バシャッ

召喚士『腕相撲終わったの?』

戦士『ん、ああ』

召喚士『勝った?』

戦士『結局、勝負付かずで引き分けだ』

召喚士『へぇ、東方参謀さんて強いんだね』

戦士『あれで文官とか……反則だろ』

青年兵『ええ…っ。戦う軍師というか……』

――……

魔道士「あの……っ、えっとつまり……」

戦士「いるんだよ…っ。一人だけどっちもすげぇのがよ……っ」

召喚士「でも…そ、そんなはずは……っ」

盗賊「……っ」


276 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:53:16.09GHSy577/o (18/29)

青年兵「真犯人は……東方参謀です」

魔道士「う、嘘……っ」

戦士「それ以外にいねぇよな……っ」

召喚士「……」

青年兵「この事、絶対に言わないで下さいね」

召喚士「…もちろん」

青年兵「お願いします」

召喚士「でも、一つだけ……」

青年兵「…?」

召喚士「俺には東方先生が内通者とは、思えないんだ……」

青年兵「…僕だって未だにそうですよ……っ」

召喚士「だから、他の道も探して欲しいんだ。出来る限りの協力はするから!」

青年兵「…勿論です。既に動いていますから」

召喚士「……うん…っ」

青年兵「おそらく、東方司令部は近々、解散する事になると思います」

召喚士「…………」


277 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:54:50.93GHSy577/o (19/29)



召喚士「じゃあ、青年兵くんも気をつけてね」

青年兵「ええ、召喚士さん達も。狙われる可能性はありますから」

盗賊「…心得ておこう」

召喚士「それじゃ、また」

青年兵「はい」

召喚士「あ、あのさ……」

青年兵「…?」

召喚士「女記者さんは……」

青年兵「新聞社の編集長へお願い致しました」

戦士「……」

青年兵「あの方が、女記者さんのお父さんだそうです」

魔道士「……っ!!」

召喚士「……そんな事…って」

青年兵「良かったら、訪ねてあげて下さい」


278 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:56:31.32GHSy577/o (20/29)

テクテクテクテク

戦士「……」

召喚士「……」

戦士「……どうしていいか…分かんねぇよ」

盗賊「……うん」

戦士「新聞社へ行ったところで、何も出来るわけじゃない」

召喚士「でも、やっぱり行くべきだよね」

戦士「…ああ、そりゃそうだ」

カツカツカツ

博士「およ?朱雀先生なのら」

召喚士「博士さん…?」

博士「こんな所で何をしているのら?」

召喚士「博士さんこそどうしたんです?」

博士「ふっふっふ。ついに、ついに完成したのら!」

魔道士「…?」


279 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:57:10.94GHSy577/o (21/29)

~通信室~

博士「君達だから特別に見せるのら」

召喚士「ありがとうございます。これが……」

博士「そう。電話なのら」

戦士「ほんとにこんなんで、離れた人間と会話が出来るのか?」

博士「……試してみるか?」

戦士「い、いいのか…っ!?」

博士「…おい、準備するのら」

通信士「は、はいっ」

ガチャッ…ブゥン

博士「こっちを口元、こっちを耳に当てるのら」

戦士「お、おう」

博士「しばらくすると声が聞こえるはずなのら」

魔道士「…な、なんだか緊張しますね……っ」

召喚士「え、ええ……」


280 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:58:29.96GHSy577/o (22/29)

~西方司令部、通信室~

ジリリリリッ…カチャッ

助手「はーいっ。もっしもーし!」

戦士『聞こえるかー』

助手「聞こえますよー。ってか、誰ー」

戦士『そっちこそ誰だ?』

助手「助手でーす。博士いますかぁー?」

戦士『博士、呼んでるぞ』

博士『…全く、なんなのら』

ガタガタッ…ザザッ

博士『代わったのら』

助手「今の誰です?」

博士『ああ、朱雀先生パーティーの戦士なのら』

助手「ふぅん」

博士『それだけなのら。以上』


281 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:59:20.87GHSy577/o (23/29)

ガチャッ

博士「……とまぁ、こんなもんなのら」

魔道士「へぇーっ!すっごぉい!!」

戦士「さっきの女は誰なんだ?」

博士「ああ、西方司令部の助手なのら」

召喚士「本当に、西方司令部と……」

盗賊「…あんな…離れた場所なのに」

博士「今は本部と西方司令部だけだけど、今後は全部繋げるのら」

魔道士「夢のようなお話ですね~っ」

博士「それが夢じゃないのら。既に始まっているのら」

召喚士「でも、これどうやって……」

博士「詳しくは言えないのら」

戦士「軍事機密か」

博士「少しだけ教えると、地下に結果石と雷の鉱石を使っているのら」

召喚士「地下…ですか?」


282 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 17:59:56.03GHSy577/o (24/29)

博士「地上だと魔物の目にもつくし、余計な混乱を招くのら」

戦士「よく海上を通せたな」

博士「そこは以前からの動きに便乗させて貰ったのら」

魔道士「何かあったんですか?」

博士「大昔に本国と三日月島を地下で繋ぐ計画があったのら」

盗賊「…!!」

博士「そこを再利用して、まぁみんな頑張ってくれたのら」

戦士「そんな形跡なかったけどなぁ……」

博士「そうでもないのら」

盗賊「…?」

博士「西方司令部には地下があるし、本国だって……」

戦士「地下水路かっ!!」

博士「ほら、形跡はちゃーんと残ってるのら」

召喚士「そうだったんですね…っ」

魔道士「それで、他の司令部にはいつ頃繋がるんですか?」


283 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 18:00:48.65GHSy577/o (25/29)

博士「うーん。南はまだ先なのら……」

召喚士「という事は、北は近い将来……」

博士「うむ。穴掘り連中の進み具合によるのら」

戦士「穴掘り?」

博士「今、懸命に地下道を掘っている連中がいるのら」

盗賊「……」

博士「本国から北にある鉱山の町の――」

召喚士「あぁーっ!!」

博士「!?」

召喚士「鉱山の町……穴…っ、そいいう事か!!」

戦士「まさか…穴掘り連中って……」

召喚士「ジュニアさんや眼鏡さん達だよきっと!」

盗賊「……っ!!」

召喚士「前に言ってた……特殊な任務だって……」

ジュニアと初めて会った日、バーテンの店での会話を召喚士は思い出す。


284 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 18:01:29.97GHSy577/o (26/29)

……――

召喚士『ジュニアさんこそ、その若さで功績三位だなんて凄いじゃないですか!』

ジュニア『んーまぁ特殊な任務してっからかねぇ…ハッハ』

盗賊『…特殊?』

ジュニア『そ。モチロン戦ったりもするけど、裏方のが多いからねぇ』

バー テン『…もしや、龍脈絡みのアレか!?』

ジュニア『ご名答!でも…国家機密なんでこれ以上は言えませーん』

――……

召喚士「きっと……この事だったんだ」

戦士「どーりで功績もバカスカ上がるわけだわな」

召喚士「でも、龍脈が関係するんですか?」

博士「さぁ、それは研究機関の管轄外だから分からないのら」

召喚士「……」

博士「多分、本国から鉱山の町まではすぐにでも着工出来るはずなのら」

魔道士「そこから更に北の……北方司令部まで……」


285 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 18:02:27.61GHSy577/o (27/29)

博士「うむ。まぁ鉱山から司令部までの距離はそこまで難しくないはずなのら」

召喚士「それ以外にも繋げるんですか?」

博士「最終的な構想は、海峡まで引くつもりなのら」

戦士「海峡!?とんでもなく遠いじゃねぇか」

博士「馬鹿なのら」

戦士「誰が馬鹿だっ!」

博士「遠いからこそ、電話導入の意味があるのら」

召喚士「それは…そうですけど……」

博士「海峡はそこまで困難ではないはずなのら」

魔道士「そうなんですか?」

博士「うむ。既に結界石を使った母体があるから楽なのら」

盗賊「……母体?」

博士「おや、知らぬのか?司令部、北関、海峡を繋ぐ立派な……」

戦士「……地獄の壁……かよっ」

博士「何だ、知ってるじゃないか」


286 ◆1otsuV0WFc2011/03/03(木) 18:03:21.85GHSy577/o (28/29)

戦士「……全部、計画通りって事か……っ」

博士「別に電話の為に作ってきたわけではないのら」

召喚士「……っ」

博士「でも結果的にこうなる事は、運命ってやつなのら」

召喚士「このタイミングで全てが出来上がっていく……」

盗賊「……」

召喚士「そりゃ五ヵ年計画が…実行されるわけだ…」

博士「ここまで完璧に整えて、それでも勝てなかったら……」

魔道士「……」

博士「人間はこの先、魔物に勝つ事は出来ないのら」

召喚士「…………」

戦士「事は思った以上に重大。改めて思い知らされたぜ…」

盗賊「…ああ」

召喚士「俺らは出来る限りの事を…やるだけですよ」

魔道士「……はいっ!」


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 18:19:41.85GHSy577/o (29/29)

キリいいのでこれにて失礼致します
ご支援ありがとうございました!では!ノシ

>>253-258
ありがとうございます!雛祭オマケ頑張りますー
先の読めない展開=何も考えてな(ry


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 18:41:02.29mwRZuDVDO (1/1)

>>1乙
乙です
回収見事


289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 18:44:48.61IHxFL9XAo (1/1)

おつー!
リアルタイムで見れて楽しかった!


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 18:50:22.69nYid3brB0 (1/1)

>>1乙
司令の謎の言葉。
先が楽しみでござる。


291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 19:29:10.83asTAb7yDO (1/2)

>>1先生乙です(。・x・)ゞ

そのうち東方先生は東方不敗と名前を変えたり石破天驚拳を使ったりしないのでしょうか?



292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 20:12:55.625srFnMYDO (1/1)

うぜぇ予想厨まがいのコテまがいが湧いてきたな
みんな自重してるってのに、空気の読めん奴だ


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 20:24:04.84YM4NxGTJo (1/1)

ブーメラン攻撃になってる


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 20:41:35.43h/d09Oj/o (1/1)

>>1おつんつん
予想してるレスがあんまり見当たらないが、まぁアレだ。
荒れそうな話題はアッチでってこったな!



295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 21:40:02.126f0OZJJAO (1/1)

>>291
お前寒いよ


296VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 23:01:25.34cKXoHzFDO (2/2)

>>1乙っす

おまけwwktk


297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/03(木) 23:53:20.94asTAb7yDO (2/2)

寒いの承知してるし予想だの言われるなら自重する、コテまがいって言うなら以降レスしないよ
でも他人批判する前に>>1乙くらいは言うべきじゃない?
それに>>1乙wwktkだけだとなんか寂しいだろうし>>1もレスは見てくれてるみたいだしさ
何か一言なり付け加えて>>1の話のネタになればと思っただけです

とりあえず以降はレスしませんが>>1先生自分のペースで頑張ってください


298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:21:52.72uvwSY7A90 (1/1)

そーゆーの厨っていうんだぜ

出しゃばりは消えなよ


299VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:23:21.77t2RH7xDwo (1/18)

まぁまぁ、みんなで楽しく盛り上がりましょうよ!
やっぱり和気藹々と色々するのがこういう所の醍醐味であって…
まぁなんかごめんなさい。自分がもうちょっとちゃんとせねばですね…気を取り直して↓続き!


300先にオマケ ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:24:00.56t2RH7xDwo (2/18)

火忍「3月3日と言えば……ひ・な・ま・つ・りいいぃぃ!!」

風忍「……そうだな」

火忍「うわぁ……やる気ねぇ」

水忍「お前がやる気なだけだろう」

火忍「姫っ!!姫初……雛祭りしましょう、雛祭り!!」

盗賊「もうそんな年じゃないよ……」

火忍「何を言いますかっ!大切な行事!!」

土忍「お前は姫を行き遅れにする気か?」

火忍「はぁ?」

土忍「雛祭りは女児の成長を祈る行事」

水忍「雛人形を出しっぱなしにしておると、行き遅れるなどといった言い伝えもあるな」

火忍「……と、いう事は姫はずっとここに……っ」

ズイッ

御館様「ほぉ、盗賊が生涯独身でもいいと……?」

火忍「い、いやっ!ていうか御館様だって行って欲しくないくせぐげええぇぇ!!」


3013月3日終わってた…orz ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:24:41.40t2RH7xDwo (3/18)



名代「……それで、此処へ来たというわけですか」

火忍「はい」

盗賊「……何だか、すみません」

帝「いや、構わぬ。皆で祭った方が…楽しいし」

召喚士「……かわいい」

戦士「かわいい」

魔道士「……かわいいけど…むぅ」

火忍「早速雛人形を飾りましょう!!」



火忍「お内裏様と~お雛様~」

召喚士「テンション高いね」

戦士よく分からんけど、東方じゃめでたい事みたいだしな」

盗賊「…まぁな」

風忍「……よし、これで終了だ」


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:25:09.00t2RH7xDwo (4/18)

魔道士「おぉーっ!!素敵ですー!!」

戦士「この一番上の二人は誰だ?」

盗賊「お内裏様とお雛様。言わば王と女王だな」

帝「……私はどちらになればいいのだろう」

名代「それは上様のご自由にどうぞ……」

召喚士「その下の三人は?」

水忍「これは三人官女と言って、宮仕えの女官だな」

鬼丸「そんじゃこれはお前らだな」

魔道士「私達ですかっ!?」

盗賊「…でも、一人足らんぞ?」

魔道士「あーじゃあ……」



召喚子「……何故」

火忍「……何で可愛いんだ?」

水忍「……俺は至って正常のはずだ」


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:25:40.10t2RH7xDwo (5/18)

名代「その下は五人囃子。その名の通りお囃子を奏でる楽人だな」

帝「これはさしずめ、五忍囃子と言ったところか」

土忍「流石上様、うまいですな」

風忍「このような大業を仰せつかり恐悦至極……」

帝「いや、そんな畏まられても……」

帝「その下は随身。右大臣と左大臣だな」

召喚士「それでは名代さんと老中さんですね」

老中「おぉ、私も入れて頂けるとは……何と有難い」

帝「だから何故、そんなに畏まるのだ?」

名代「一番下に仕丁。これは従者ですね」

戦士「そんじゃ俺と鬼丸と……あと一人は」

召喚士「武士さんだね」

盗賊「……ああ」

魔道士「凄いっ!全部配役が決まりましたよ!!」

帝「結局、お内裏様は居ないけど」


304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:26:07.50t2RH7xDwo (6/18)



戦士「おっ、これ知ってるぞ!」

盗賊「…それは雛あら――」

戦士「鬼は外おおぉぉ!!」

魔道士「鬼は外ーっ!」

鬼丸「痛てっ!何すんだよ!?」

盗賊「使い方違うっ!それは節分だっ!」

火忍「普通に食やいいんだよ、普通に……むしゃむしゃ」

水「だからと言ってお前は全部食うな」

帝「……私の……雛あられ」

名代「う、上様っ!?お泣きになられまするなっ」

帝「雛……あられ……」

火忍「…………」

風忍「火、責任持って……」

火忍「…買ってきます」


305 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:26:39.55t2RH7xDwo (7/18)

風忍「切腹せい」

火忍「何でだよっ!?」



戦士「あー騒いだ騒いだ!」

召喚士「楽しかったですね」

魔道士「はいっ!えへへ!!」

盗賊「…たまにはこういうのも…いいか」

火忍「たまになどと言わず毎年やりましょうよ姫」

土忍「お前は早く腹を切れ。介錯人が今か今かと待っておるぞ」

鬼丸「……へっへっへ」

火忍「だから何故っ!?」

帝「皆、ありがとう」

名代「上様の成長を祈っての事です」

帝「……そんなに…小さいかな」

名代「あの、何処を見て仰られているのです?」


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:27:08.35t2RH7xDwo (8/18)



帝「……はぁ」

テクテクテク

帝「お内裏様とお雛様~」

スッ

帝「皆で祝うのも……良いものだな」

フリフリッ

帝「……あやつも祝ってくれてるかな?」

コトッ

『カカッ――』

帝「!?」

クルッ…キョロキョロ

帝「……ふふっ」

テクテクテクテク

帝「お内裏様とお雛様~」


307ここから本編 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:27:40.23t2RH7xDwo (9/18)



魔道士「それでは、本当にありがとうございました!」

召喚士「色々と勉強になりました」

博士「いやいや、大した事でもないのら」

盗賊「…それじゃ…失礼します」

テクテクテクテク…

博士「……」

通信兵「…あのっ、宜しかったのですか?」

博士「何がなのら?」

通信兵「国軍の人間でもないのに、その……」

博士「……ああ、彼らは特別なのら」

通信兵「特別……」

博士「そうでもなければ、本部を自由に出入りできる?」

通信兵「……いえっ」

博士「それに一介のワーカーに司令直々相手など、普通はあり得ないのら」


308 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:28:09.07t2RH7xDwo (10/18)

テクテクテクテク

魔道士「あ……っ」

召喚士「……」

カツカツカツ…

左翼官「ほぉ、このような所までご苦労な事だ」

召喚士「…どうも」

左翼官「右翼の犬も大変だな」

戦士「左翼のネズミよりは楽っすよ」

左翼官「……」

ピタッ

左翼官「口の利き方に気を付けろよ」

戦士「アンタの下にいるわけじゃねぇ」

左翼官「……ちっ」

カツカツカツカツ…

戦士「…なんだよっ、あいつ」


309 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:28:40.58t2RH7xDwo (11/18)

魔道士「戦士さん、喧嘩腰は駄目ですよ……っ」

戦士「仕掛けてきたのはあっちだろ…」

魔道士「そ、そうですけどぉ……」

召喚士「とにかくうちらは新聞社へ急ごう」

盗賊「…だな」

テクテクテク…

文官「ワーカー風情が生意気な奴らですね」

左翼兵「全くだ。そんなに権力があるのか特別扱いなのか……」

左翼官「……おいっ!!」

盗賊「!?」

左翼官「……えぇと君、名はなんと言ったかな?」

魔道士「えぇ…っ、魔道士…ですけど」

左翼官「魔道士さん、君……大商家と何か関係があるのかな?」

魔道士「!?」

左翼官「あぁ、深い意味はないんだ。以前…たまたま見かけたものでね」


310 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:29:10.35t2RH7xDwo (12/18)

魔道士「大商家は…私の父ですけれど……」

文官「っ!?」

左翼官「……そうだったのか。成程」

魔道士「あの、それが何か……?」

左翼官「それで右翼と繋がりがあるというわけかね」

魔道士「父は関係ありませんっ」

左翼官「……ああ、そうか。それは失礼した。……行くぞ」

クルッ…カツカツカツカツ

魔道士「何なんですかっ、あの人……っ!」

戦士「魔道士さん、喧嘩腰はいけませんよぉ?」

魔道士「変な事聞いてきたのはあちらですよっ」

戦士「……へいへい」

盗賊「…行くぞ?」

魔道士「あ、はいっ!」

タッタッタッタッタ


311 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:29:37.93t2RH7xDwo (13/18)

~受付~

左翼官「……資料室へ通して貰うぞ」

受付「あ、はいっ。どうぞ」

左翼官「……朱雀先生の一行、何をしに此処へ?」

受付「えぇと、総司令官へ会いに……」

左翼官「司令に?一ワーカーがか?」

受付「は、はぁ」

左翼官「……そうか」

受付「あ、あの…何か?」

左翼官「いや、たまたま顔を会わせたので気になってな」

受付「そうですか」

カツカツカツカツ…

左翼官(総司令が直々に会う……どういう事だ?)

文官「あの、左翼官様?」

左翼官「……何でもない。行くぞ」


312 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:30:11.86t2RH7xDwo (14/18)

~資料室~

資料室長「では、どうぞ」

左翼官「うむ」

カツカツカツ…コツ

左翼官「……おい」

左翼兵「はっ」

左翼官「朱雀の四人、先にそちらを調べるぞ」

文官「朱雀先生…ですか?」

左翼官「少し気になってな」

文官「はぁ……」

左翼官「室長、ワーカーの名簿はあるか?」

資料室長「週に一度ですので、先週分となりますが…」

左翼官「構わん。貸してくれ」

資料室長「えぇと……こちらですね」

左翼官「うむ」


313 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:32:58.73t2RH7xDwo (15/18)

ドサッ…パラパラパラッ

左翼官「……S-39とS-4、それからM-104……一人足らんな」

文官「どうやら東方の出らしく、名簿はありませんね」

左翼官「それではその三つをここに」

左翼兵「はっ」

ザザッ…タッタッタッタッタ

文官「ありました。S-39……朱雀先生こと召喚士」

左翼兵「こちらがS-10…戦士とM-104…魔道士です」

左翼官「ご苦労。召喚士……何、最北の村出身なのか!?」

文官「最北と言えば屯田の…。何か因果があるのでしょうか?」

左翼官「さぁな。……先代の朱雀先生は師匠にあたるのか」

左翼兵「S-40ですね。念のため持って参ります」

左翼官「すまんな。……それにしても情報量が少ないな」

文官「ワーカーの期間も短いですし、天涯孤独ではどうしようもありませんね」

左翼官「……」


314 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:36:36.39t2RH7xDwo (16/18)



左翼官「S-4…戦士。何だとぉ……!?」

文官「…?」

左翼官「あの一番槍の息子だそうだ」

文官「一番槍と言えば、確か初代特殊遊撃の……」

左翼官「しかし追記は最近だな。それまで知らなかったのか…?」

タッタッタッタ…

左翼兵「S-40お持ち致しました!」

左翼官「ご苦労。……ふぅむ、こいつも特に特筆すべきは無しだな」

文官「残るはM-104、魔道士ですね」

パラッ

左翼官「大商家の一人娘か……」

文官「……至って普通ですね。むしろ魔道学校の成績は…普通以下……」

左翼兵「こんな連中で、よくやっていけておりますな」

左翼官「……」


315 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 00:41:23.79t2RH7xDwo (17/18)



文官「結局、何もありませんでしたね」

左翼官「……」

スクッ…カツカツカツ

左翼官「まさかとは思うが……」

左翼兵「…?」

左翼官「室長、ここの鍵を貸してくれ」

資料室長「そこは未分類の棚ですよ?それに開錠の許可は上層部の……」

バサッ

左翼官「これが読めるか?私は左大臣様の代理としてきた。権限も預かっておる」

資料質長「……は、はい…っ」

カチャカチャッ…ギイイィィ

左翼官「…………」

グッ…パシッ

左翼官「……未分類439。タイトルは…全属性を持つ召喚士の記録……っ」


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:42:29.92t2RH7xDwo (18/18)

うぅ…手がかじかむ!寒いですね。風邪など引かれぬ様お気をつけ下され!
それではご支援ありがとうございました!おやすみなさい!ノシ


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 00:44:19.71P5n5iyiIo (1/1)

おつ
ついに召喚士の秘密が明らかに
正座して待て!


318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 02:33:02.10SqMsFkgDO (1/1)

これは気になるっ 
全裸待機で正座してます 
さむいよぉ・・・


319VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 07:43:54.9139ZCt8eDO (1/1)

>>297
そういうこといってる時点で書き手側にも負荷与えてるって気付こうな


320VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 08:57:45.55D0gdQWWDO (1/1)

>>1乙

スルーで良いじゃないか
予想にしても>>1が良いって言ってるんだから、
気にくわなかったらスルーすれば良いだけ
粘着するわけじゃないんだから注意するよりもスルーしておけばそこで終わりでしょ
書き手に不快な思い与えたくないなら
でしゃばるよりも引くほうが助けになると思う


321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 08:59:03.60LVYUzDmAO (1/1)

>>1乙んつん 今病院の待合室なんだが全裸にならなきゃ駄目?


322VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 10:10:18.85RnA678sIO (1/1)

おうちでね


323VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 12:26:42.571uB1MEsPo (1/1)

全裸待機は用法、用量を守って正しくお使いください


324 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:19:12.1673IRWxYRo (1/17)

カサッ…パラパラッ

左翼官「……」

文官「ど、どうでしょうか……っ?」

左翼官「然したる内容でもないな」

文官「全属性の召喚が出来る事以外は、特筆すべき事もないようですね」

左翼官「……編集者は大軍師か」

パタン…スッ

左翼官「……?」

文官「未分類1031。あぁ、功績ランク一位ワーカーの……」

左翼官「天才、と言ったか」

パラッ

左翼官「……凄いものだな。何十年ワーカーをしているのだ…っ」

パラッパラパラッ

左翼官「……ん?」

文官「何かありましたか?」


325 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:19:43.9673IRWxYRo (2/17)

左翼官「いや、随分と訂正や追記が多いなと思ってな」

文官「確かに、やたらと改変されておりますね」

左翼官「……何だったかな」

文官「……?」

左翼官「いや、こちらの話だ。何だろうなこの既視感――」

文官「……左翼官様?」

左翼官「……っ!!」

バッ…タッタッタッタ

左翼官「どこだ……確かこの辺りに……」

ガシッ

左翼官「――っ!?」

左翼兵「…左翼官様?どうなされました?」

左翼官「違う…っ、以前は確かにそうだったはずだ……っ」

カツカツカツ…

左翼官「S-4…S-39…S-40、M-104……」


326 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:20:10.0773IRWxYRo (3/17)

文官「あ、あのぉ……」

左翼官「S-477……大商家の名簿はどこだ?」

文官「えぇと…M-477ですね。すぐにご用意致します!」

タッタッタッタッタ…

左翼官「……あの連中は何をそこまで」

タッタッタ…

文官「ありましたっ」

左翼官「よし、貸せ!」

ババッ…パラパラパラッ

左翼官「……ははっ、そうだろうなぁ!」

左翼兵「…?」

左翼官「……室長!」

資料室長「は、はいっ」

左翼官「……所属名簿を見せてくれ……王宮のだ」

資料室長「す、すぐに…ご用意致します…っ」


327 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:20:38.8573IRWxYRo (4/17)

~新聞社~

召喚士「…………」

魔道士「……っ」

編集長「そう改まらんで下さい」

召喚士「しかし…ですね……」

編集長「朱雀先生のお気持ちは重々分かります。感謝致しますよ」

戦士「……すみません」

編集長「誰が悪いわけでもない」

盗賊「……」

編集長「それに貴方達には、女記者を東方司令部へ届けてくれと頼んだ」

魔道士「……」

編集長「それ以降の事は頼んでおらん。任務は遂行したではないか」

召喚士「そんな……」

編集長「それが彼女の運命だった…。それだけの事さ」

召喚士「……っ」


328 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:21:06.7873IRWxYRo (5/17)

スクッ

編集長「おっと、すまんがこの後来客でな。失礼する」

テクテクテクテク

戦士「ああ言われちまうとなぁ…」

盗賊「…うん」

テクテクテク…

召喚士「記者さん…」

記者「……どうも」

スッ

記者「いやぁ、大変な事になってしまいました……」

召喚士「…はい」

記者「まさか…何故彼女があんな目に……」

盗賊「……っ」

記者「いや、事件やスクープを追う身としては…いずれはこういう事だって…」

戦士「そうかもしれないけどよ。でも……」


329 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:21:44.3273IRWxYRo (6/17)

記者「……私達は断じて許しません」

召喚士「……っ!?」

記者「彼女を死に至らしめた連中を…」

魔道士「記者さん…」

記者「私達は新聞社です。世間に真実を伝える事が仕事です」

盗賊「……」

記者「もし人間が魔物と加担し、悪事を働いているというのであれば……」

戦士「……」

記者「絶対に許せません。追い詰めてやりますよ」

召喚士「……しかし」

記者「編集長もやる気ですし、我が社を挙げて取り組みます」

召喚士「…気を付けて下さいね。深入りすると記者さんも危ないですよ」

記者「分かっております。それでも、やれるところまではやってやりますよ!」

召喚士「……何かあれば言って下さい。お手伝いします」

記者「…はいっ、ありがとうございます!」


330 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:22:47.4673IRWxYRo (7/17)



戦士「少し安心したっつーか…何だろうな」

召喚士「……うん」

戦士「みんな、強いな」

盗賊「…ああ」

魔道士「私達も頑張りましょう!絶対に許せませんよ…っ」

召喚士「……ええ。必ず見つけ出しましょう」

盗賊「…見つけ出して…どうするのだ?」

召喚士「……」

そこからは誰も答えなかった。いや、答えられなかった。

人間同士の命のやり取りに、答えなど存在しなかった。

魔族相手ですら命のやりとりを最終手段と置き始めた彼らにとって、

目には目をの報復手段は間違った答えであり、選択する余地はない。

しかし心の奥底に眠る葛藤が否定ではなく沈黙へと表現された。

無言のまま四人は新聞社を後にした。


331 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:23:29.6373IRWxYRo (8/17)

~国軍本部、資料室~

左翼官「……」

パタン

左翼官「……やはりな。やっと繋がった」

文官「……」

左翼官「道理で……。裏が取れれば何の事はない。納得だよ」

左翼兵「あ、あの……」

左翼官「引き揚げるぞ。もうここに用はない」

文官「は、はいっ」

左翼官「それでは室長、世話になった」

資料室長「ど、どうも…っ」

カツカツカツカツ

資料室長「……一体、何だったんだろうか」

カサッ

資料室長「ん…?妹…未分類?」


332 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:24:06.7273IRWxYRo (9/17)

~本国、大通り~

テクテクテクテク

戦士「…ん、何だありゃ?」

魔道士「行列ですね。何かあるんでしょうか?」

男「押すなって!順番だろうが!」

おっさん「次の馬車なんて待ってられるかよ!」

召喚士「……あれ?参謀さん…!?」

タッタッタッタッタ

魔道士「参謀さんっ!」

参謀「!?……これはこれは、どうしました?」

戦士「こっちの台詞だよ。何でまた本国なんかに…」

参謀「あぁ、彼らを迎えに来たんですよ」

盗賊「…彼らは?」

参謀「失業者達です」

召喚士「……て、事は」


333 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:24:53.6273IRWxYRo (10/17)

参謀「ええ。北方司令部では本格的に屯田が始まります」

魔道士「おぉーっ!」

参謀「電話の話、聞きました?」

召喚士「あ、はい。つい先程」

参謀「どうやら思ったより早く進んでいるようで、こちらも急がされる事に……」

盗賊「…なるほど」

戦士「でもよ、穴掘りは順調なんじゃないのか?」

参謀「そちらは問題なさそうなのですが、もう一つの…」

召喚士「地獄の壁…ですか?」

参謀「こちらも開戦に間に合わせるつもりでいましたからね。迂闊でした」

戦士「ほんとに海峡まで伸ばすつもりかよ…?」

参謀「あくまで上はそう考えてますよ」

盗賊「……」

参謀「私は最悪、北関まででも良いかとは思うのですが……」

召喚士「……そうですか」


334 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:25:42.1173IRWxYRo (11/17)

タッタッタッタッタ

北方兵「馬車出発出来ます」

参謀「うむ。すぐに北関へ向けて出発してくれ」

北方兵「ははっ!」

参謀「それでは私も、これで失礼します」

魔道士「はいっ!頑張って下さい!」

召喚士「何かあればお手伝いしますからっ」

参謀「ありがとうございます」

テクテクテクテク…

戦士「いよいよ慌しくなってきたなぁ」

盗賊「…そうだな」

召喚士「俺らもジッとしているよりは、色んな所の手伝いとかしたいね」

魔道士「あ、そうですよね!それがいいですよ~っ」

五ヵ年計画も残すところ1年半余り。最後の1年を覗くと猶予は既に半年。

武官文官問わず、人間対魔族の最後になるであろう戦いに向けて動き始めていた。


335 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:26:31.5973IRWxYRo (12/17)

~経済機関~

左秘書官「……」

左大臣「本当なのだろうなァ?」

左翼官「はい、間違いないと思われます」

左大臣「次にこちらがヘタを打てばァ、再起は難しいのだぞ?」

左翼官「分かっております。しかし、それだけ自信がございます」

左大臣「…フッハハハハァ!!」

左文官「……っ」

左大臣「確かに資料を見る限り、間違いはなさそうだなァ……」

左翼官「……はい」

左大臣「王宮へ向かい裏を取れ。あとはァ……」

スクッ

左大臣「しばらく留守にする。あとは任せるぞ」

左秘書官「はっ」

左大臣「……さて、うまく取り込めると良いがなァ」


336 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:27:48.4873IRWxYRo (13/17)

~サモナーの家~

サモナー「……ふーっ」

眼鏡を机に置き、サモナーは大きく仰け反るように上半身を伸ばす。

サモナー「……」

そして窓の外からマーメイドを見つめ、目が合うと手を振り、にっこり微笑む。

サモナー「あとちょっとなんだけどなぁ……」

キィ…

サモナー「おわっ!?」

ガタンッ…ドサドサドサッ

椅子を斜めに揺らしていると、バランスを崩し倒れるサモナー。

その上に背後の本棚から無数の本が零れ落ちた。

サモナー「い……っててて」

ヨロッ

サモナー「…ん?」

右手の上に被さった一冊の古びた書物。


337 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:29:10.6173IRWxYRo (14/17)

サモナー「なんだっけこれ……」

市販のものではない。かつて玄武先生の下に集った弟子の一人が記した手記。

サモナー「……」

手で埃を払うと、おもむろにそれを開く。

パラパラパラッ

手記は異質な内容であった。これまでどの文献にも記載がない、

言わば独自解釈。本国が密教と認定する、魔王を崇めた思想集団。

それは万物全てにおいて命があり、生を始まりとし、死を終わりとしている。

人間は現世の行において、来世の命が決まると言う。

それを輪廻と言い、魔族にも同様の事だと言うのだ。

人間は魔族の手にかかり魔族化する事も無論ある。

しかし密教において、それは外道とされており、真なる救いは輪廻によって、

来世で魔族として生まれ変わる事だと言うのだ。

サモナー「馬鹿げてる……こんな話……っ」

口ではそう言いつつも、サモナーの中で微かな思惑が浮かんだ。


338 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 18:30:01.7773IRWxYRo (15/17)

サモナー「……」

ならば召喚獣はどうなのであろうか?」

人間と魔物が並列した存在であるとするならば、同じく万物における

召喚獣という存在も、同様の事が言えるのではないのか。

サモナー「…………」

しかしその存在は根本的に違うものであった。まずはその世界である。

人間と魔物は同様の世界に存在するが、召喚獣はあくまで、人間の魔力を

媒介とし、その存在を同じ世界へと、言わば召喚するのである。

サモナー「……」

ところが人間が召喚獣の世界へ行く事は可能なのである。

限られた条件の下ではあるが、確かに行く事が出来るのだ。

サモナー「……」

もし、四属性の召喚獣と式神に繋がりがあるとするならば、

どちらが本当の形であるかは明白な事であった。

サモナー「……龍脈か。もしそうならば…なんて残酷な話なんだ」


339 ◆1otsuV0WFc2011/03/04(金) 19:08:31.1173IRWxYRo (16/17)

~数日後~

戦士「おいっしょおおぉぉ!!」

おっさん「兄ちゃん、若いのにタフだねぇ」

戦士「おっさんも頑張れよ~」

おっさん「おうよ!やっと手にした職だ、気合入れねーとな!」

召喚士「……ふーっ」

目の前に広がる巨大な壁。四人は北関を拠点とする屯田の元を訪れていた。

魔道士「皆さーんっ、昼食の準備が出来ましたよーっ!!」

男「おぉ!?待ってましたぁ!!」

戦士「召喚士、俺らもメシにしようぜ!」

召喚士「うんっ」

魔道士「はいっ、盗賊さん!」

盗賊「……いただきます」

戦士「働いた後のメシは格別ってやつだわな!」

召喚士「そうだね、本当に美味しいっ」


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 19:13:50.5573IRWxYRo (17/17)

色んなもの開いてたらPCフリーズ→勝手に再起動したので帰ります
書き溜め分の残り少なくて良かった…
ご支援ありがとうございました!ノシ


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 19:25:19.358soxFcRx0 (1/1)


妹……だと……?


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 20:09:53.28SXYOIO3AO (1/1)

>>1乙

なるほど…魔導師ちゃんが俺の妹って可能性もあるわけか…
つまり初めから結ばれぬ運命と言うことだったのか
神様は意地悪だな


343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 20:51:52.19KqNTzioAO (1/1)

魔導師ちゃん(67)


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 21:44:55.902YSuMmqAO (1/1)

>>1乙

そういえば魔道士がパーティーから抜けた時に何か伏線があったような…


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 21:45:47.85Ag15KYdko (1/1)

サモナーがケモナーに見えた・・・寝てくる


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 21:54:04.31IvrCxKmao (1/1)

お前ら予想とかはあっちでやれ

サモナーはケモナーだろwwwwwwww


347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 23:37:39.51pWuoW0qAO (1/1)

未分類の妹とかどこのssまとめサイトの管理人だとか思ってしまったww


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 23:51:02.31ggP1lZ8IO (1/1)

やっぱり魔導士はあの人の妹なんか…


349VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 05:05:15.41Yb40Q+dSO (1/1)

あー昨日誕生日だったんだ俺……
妹が欲しいです


350VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 08:02:35.10fEIPR4lAO (1/1)

戦士がS-4と分類されるのなら戦士父はS-408っと言ったところか


351VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 09:55:05.64l94Dz/SW0 (1/2)

せんしおっさんということか


ハッΣ(・□・;)


352VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 10:46:06.03jzagzr7Q0 (1/1)

戦士父は既出じゃなかったか?

ところでこれの二次創作とかはおkなのかな?
>>1は前におkみたいな事言ってた気がするけど一応


353VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 10:55:47.441Sj1+f/DO (1/1)

そういうのはあっちのスレでやったほうがいいぞ


354VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 12:20:05.96rV6vsy7IO (1/1)

>>352
お前過去スレ全部読み直してこい


355VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 16:29:00.44l94Dz/SW0 (2/2)

>>349
誕生日おめ

             /)
           ///)
          /,.=゙''"/              人人人人人人人人人人人人
   /     i f ,.r='"-‐'つ____      <                  >
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\    < 細けぇ事はいいんだよ!! >
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\   <                  >
   /    ノ    il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \  YYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /



356VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 16:33:53.64Wij5gDn/o (1/1)

>>349
妹が欲しい?
逆に考えるんだ。「今からなら娘を作った方が早い」と考えるんだ


357VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/05(土) 23:48:17.05iF/lW8FAO (1/1)

>>359
娘を産む機械はどこで売ってますか?orz


358 ◆1otsuV0WFc2011/03/05(土) 23:48:47.46MgQyNNmlo (1/4)



戦士「あー食った食ったぁ!」

盗賊「…ご馳走様でした」

召喚士「ほんと、美味しかったですよ」

魔道士「そうですかっ!?ありがとうございます~!」

戦士「さーて、腹も膨れたところで午後も……ん?」

パッカパッカパッカパッカ…

左翼長「おーっ、やってるな」

戦士「おじさんっ!」

左翼長「何だか悪いな。わざわざこんな事をやらせちまってよ」

召喚士「いいんですよ。好きでやってる事ですから」

左翼長「しかしお前らも物好きだよな。なーんでこんな事を……」

召喚士「……してみたかったんですよ、こういう事も」

左翼長「…まぁ、こっちとしちゃありがてぇけどな」

魔道士「楽しいですよっ、えへへ!」


359 ◆1otsuV0WFc2011/03/05(土) 23:51:59.98MgQyNNmlo (2/4)



左翼長「……とまぁ、こんなところだな」

戦士「司令部まで伸びてるんだろ?結構、完成してるよなぁ」

召喚士「あと…半年ですもんね」

左翼長「山岳地帯は途切れ途切れだがな」

盗賊「…間に…合うのか?」

左翼長「まぁな。形だけならなんとかなる」

戦士「形だけって……」

左翼長「いいんだよ。そもそもが魔物を近づけさせない為のものだ」

盗賊「……」

左翼長「兵なり結界石なり配置してカバーする事は簡単だからな」

魔道士「なるほど~」

左翼長「そんで、親父からは何か連絡あったのか?」

戦士「…いや、まぁ何かあってもわざわざ連絡してくるとは思えねぇけど」

左翼長「……それもそうだな」


360 ◆1otsuV0WFc2011/03/05(土) 23:53:49.83MgQyNNmlo (3/4)

~本国、王宮~

カツカツカツカツ

左翼官「お目通り頂き、ありがとうございます」

エリート「……何の御用でしょうか」

左翼官「まぁ、そのような怖い顔をなさらずに」

エリート「……」

左翼官「今日は王宮で管理されている資料を拝見したく……」

エリート「資料?」

左翼官「無理難題を申し付けるような物ではありません。至極、簡単な物です」

エリート「どういった物でしょうか?」

左翼官「王宮に仕えていた者を記した名簿を拝見したいのです」

エリート「……?」

左翼官「何か問題でもありますか?」

エリート「いや、特にないが……一体、何の為に……?」

左翼官「それをお話する必要はございません。いや、するつもりはありません」


361 ◆1otsuV0WFc2011/03/05(土) 23:59:55.82MgQyNNmlo (4/4)

エリート「……随分と正直ですね」

左翼官「隠す必要はありませんからね。しかし目的は言えません」

エリート「……」

左翼官「断る事は出来ぬはずです。公な資料ですからね」

エリート「……分かりました。しばしお待ちを」

左翼官「はい」

カツカツカツ

エリート(一体……何が目的なのだ…っ?)

カツカツカツ…コンコン

皇太子「いいぞ」

エリート「失礼致します」

皇太子「どうした?」

エリート「左翼官殿が参られました」

右秘書官「左翼官?一体、何用だ…?」

エリート「それがですね……」


362 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 00:02:32.64evX4dAM5o (1/18)



右秘書官「……過去の名簿?」

エリート「どう考えても裏があります。しかし……」

皇太子「断る道理はない。いや、権利はないな」

エリート「……はい」

右秘書官「止むを得ないが、従うしかないでしょう」

エリート「但し、不審な動きがないか、私が同行します」

右秘書官「願ってもない。頼むぞ」

皇太子「……」

エリート「はい。それでは行ってきます」

カツカツカツ…パタン

右秘書官「……一体、何の目的なのでしょうか」

皇太子「さぁな。しかし全てを疑うのはあまり好ましいとは思えぬが」

右秘書官「お気持ちは分かりますが、それが我らの仕事です」

皇太子「……そうか。そうだな」


363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 02:42:21.72IGTjjQYDO (1/2)

>>1乙っす
もう少しで大きな戦いが始まろうとしているのになぜ左翼はこんなにも邪魔してくるのか


364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 04:12:49.40PpYIxtl9P (1/1)

>>363
スレを全部読み直して来るべきだと思う


>>1乙!


365VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 08:03:44.60OoXtUEsSO (1/1)

左翼は経済担当→戦いがあれば武具やらワーカーの需要と供給が生まれ→経済ウマー

流石にこれ以上は言いたくない


366VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 11:20:34.86IGTjjQYDO (2/2)

>>364-365

いやそんなことはわかっちゃいるんだがね……
どうしても言わずにはいられなかったんだすまんね


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 12:29:46.21NQT00+/go (1/1)

死の商人的なアレだよ


368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 19:31:06.20RapFjIPq0 (1/1)

まず左翼は敵と内通しているかもってこともあるし
戦争による経済効果にしたって、それは第三国が戦場になる場合だよ
自国の領土が戦場になる状況で経済効果なんて最初のうちだけ
しかも開戦したって一か八かの戦争なわけで、反対派がいるのも当然

内通してる左翼が妨害工作として反対してる
真面目に国益考えて反対してる

どちらにせよ反対の立場に違和感なくない?


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 20:04:33.97I6XEqsGSo (1/1)

戦争によるリスクを考えると現状を維持したほうが国のためになるという考え方 資本主義ではないし
また内通者が妨害工作として妨害している

屯田の効果は経済的にも大衆的にも受けが良いので支持率が右翼に持って行かれる


370 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:49:43.97evX4dAM5o (2/18)

カツカツカツ…コツ

~保管庫~

エリート「……こちらです」

左翼官「どうも」

カツカツカツ…

宮仕「エリート様?」

エリート「左翼官殿が資料を閲覧されたいとの事だ。開けてくれ」

宮仕「あっ、はい」

カチャッ…キイィ

エリート「どうぞ、お入り下さい」

左翼官「……?」

エリート「どうしました?私も一緒では、何か不都合ですか?

左翼官「ははっ、仕事熱心な方だ」

エリート「それしか取り柄がないものでね」

左翼官「そうですか……私もですよ」


371 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:50:38.78evX4dAM5o (3/18)



エリート「この棚のものがかつて王宮に所属していた者らの資料です」

左翼官「かなりの数だな」

エリート「無論、公に出来ない事項などは別……」

左翼官「それは結構。えぇと、年代は……」

エリート(何を知りたいと言うのだ?ここにあるものでは履歴書以下のレベルだぞ…?)

左翼官「……この辺りか」

スッ……パラパラッ

エリート「……っ」

左翼官「……やはり…ないな」

エリート「お探しのものは見つからなかったようですな」

左翼官「……ないのだよ」

エリート「……?」

左翼官「22年前のこの名簿。突如、陛下の世話係が入れ替わっている」

エリート「それが何か…?」


372 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:51:07.14evX4dAM5o (4/18)

左翼官「男女一名ずつ。前任者の名が一切…載っていない」

エリート「……」

左翼官「……君も知っていると思うが…22年前、ある記事が新聞に流れた」

エリート「新聞?」

左翼官「この年、一人の女性な亡くなっている」

スッ

左翼官「当時の新聞を切り抜いたものです。どうぞ」

エリート「……」

左翼官「亡くなった女性は故、女王陛下の世話係」

エリート「ま、まさか……」

左翼官「女王亡き後、陛下と密に関係があったと噂されていましたっけ」

エリート「……っ」

左翼官「前年より姿を見せなくなり、この年に突然の死去……」

エリート「……」

左翼官「世間は色々と噂したものです」


373 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:52:18.70evX4dAM5o (5/18)

エリート「何が……言いたいのです……っ」

左翼官「分かっているでしょう?その記事の通りですよ」

エリート「……っ」

左翼官「ある新聞社の記者が、スクープとして取り上げたものです」

エリート「しかし……これは……」

左翼官「女は、陛下との間に女児を設け…出産後、間もなく死んだ……と」

エリート「……っ!!」

左翼官「そして同時期に、陛下の世話係が2名入れ替わっている」

エリート「…………」

左翼官「これはどういった意味なのでしょうね。因果関係があると思いませんか?」

エリート「こんな記事はデマではないか!因果以前の問題だっ!!」

左翼官「その通り。この記者はデマをでっち上げたと新聞社からも謝罪があった」

エリート「それはそうでしょう。侮辱だとしても甚だしい……」

左翼官「ですが、これがもし本当だとしたら……一体どうなってしまうのでしょうね」

エリート「……っ」


374 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:54:06.90evX4dAM5o (6/18)

バンッ!!

エリート「貴方達は何が目的なのだっ!こんなデタラメまで……」

左翼官「私は上の者に従うのみです。それ以上は知りません」

エリート「従う…?あのような国賊まがいの事を認めると言うのかっ!?」

左翼官「国賊?それは違うっ!国を思えばこその事であろう!!」

エリート「国を思ってこのような真似をすると言うのかっ!」

左翼官「無益な血を流さずに世を統べる事こそが政治であろう!」

エリート「それは全てを為しえてからの問題だ。魔物がいる以上、空論に過ぎん」

左翼官「魔物がいるからこそ、政治が成り立つ事とてあるのだ」

エリート「そんな世の中だからこそ、血が流れるのであろう!」

左翼官「……若いな」

エリート「……?」

左翼官「まぁいいでしょう。ここで貴方と論争しても何も始まらぬ」

エリート「……っ」

左翼官「ありがとうございました。もう十分ですよ、収穫はありましたから」


375 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:54:42.72evX4dAM5o (7/18)

バンッ!!

エリート「貴方達は何が目的なのだっ!こんなデタラメまで……」

左翼官「私は上の者に従うのみです。それ以上は知りません」

エリート「従う…?あのような国賊まがいの事を認めると言うのかっ!?」

左翼官「国賊?それは違うっ!国を思えばこその事であろう!!」

エリート「国を思ってこのような真似をすると言うのかっ!」

左翼官「無益な血を流さずに世を統べる事こそが政治であろう!」

エリート「それは全てを為しえてからの問題だ。魔物がいる以上、空論に過ぎん」

左翼官「魔物がいるからこそ、政治が成り立つ事とてあるのだ」

エリート「そんな世の中だからこそ、血が流れるのであろう!」

左翼官「……若いな」

エリート「……?」

左翼官「まぁいいでしょう。ここで貴方と論争しても何も始まらぬ」

エリート「……っ」

左翼官「ありがとうございました。もう十分ですよ、収穫はありましたから」


376 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:55:50.84evX4dAM5o (8/18)



左翼官「では、失礼」

カツカツカツカツ…

エリート「……っ」

宮仕「……あ、あのぉ」

エリート「もう良い。閉めてくれ」

宮仕「は、はい」

カツカツカツ

エリート「……」

カツカツカツ

エリート「……だとしたら、何だと言うのだ…っ」

カツカツカツ

エリート「……狙いは」

カツカツカツ…ピタッ

エリート「――っ!!」


377 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:57:04.76evX4dAM5o (9/18)

~右大臣室~

タッタッタッタ…バンッ

右大臣「!?」

エリート「はぁはぁ……はぁ……っ」

右大臣「エリート…?」

エリート「…はぁ…はぁ、父上…っ」

右大臣「一体どうしたと言うのだ?」

カツカツカツ

エリート「今しがた、左翼官が王宮を訪れました」

右大臣「左翼官?」

エリート「過去に王宮へ所属していた者の名簿を見たい、と」

右大臣「……それで?」

エリート「彼は22年前の名簿を見て、ただそれで帰って行きましたよ」

右大臣「……」

エリート「父上ならば、この意味がわかるのではありませんか?」


378 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 22:58:24.64evX4dAM5o (10/18)

右大臣「…………」

エリート「父上、いえ…右大臣殿。何か知っているのであれば…教えて頂きたい」

右大臣「…………」

エリート「奴らは既に、何かに気付き……答えに辿り着こうとしております!」

右大臣「……」

エリート「時間がないのです!」

右大臣「……」

エリート「分かっておるのですか!?奴らの狙いは殿下なのですぞ!」

右大臣「……」

エリート「父上っ!!」

右大臣「……付いて来い」

エリート「どこへ?」

右大臣「陛下の下へだ。……殿下も連れてな」

エリート「……っ」

右大臣「先に行く。待っておるぞ」


379 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:00:37.52evX4dAM5o (11/18)

~陛下の寝室~

コンコン…カチャ

エリート「失礼致します」

右大臣「……来たか」

皇太子「話とは、一体何かな?」

右大臣「…陛下、宜しいですな?」

陛下「……う…む」

右大臣「今から話す事、それは殿下……」

皇太子「……」

右大臣「貴方の異母妹の事です」

皇太子「――っ!?」

エリート「それでは……まさかっ」

右大臣「今こそ真実を明かそう……」

エリート「噂は…本当に……」

右大臣「殿下の妹君。それは――」


380 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:01:33.68evX4dAM5o (12/18)

~???~

コツ…コツ…コツ…

左大臣「……」

――「来ましたか」

左大臣「ここのところやられっぱなしでなァ」

――「そうですね……ククッ」

左大臣「我慢してきたがァ、もう耐えるのもいい加減、飽きたわァ」

――「おや、動くと言うのですか?」

左大臣「いつまでも待てと言われて……待てる程、気は長くないのだぞ」

――「……」

左大臣「悪いがァ、好きにやらせて貰うぞ」

――「全く。火の粉だけは飛ばさぬように……頼みますよ?」

左大臣「私を誰だと思っておる」

――「……」

左大臣「せいぜい大人しく、見ておる事だなァ。……ネクロマンサー」


381 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:03:02.16evX4dAM5o (13/18)

コツコツコツ…

ネクロマンサー「……やれやれ。困ったものですねぇ」

――「良いのですか?あのような勝手を許して」

ネクロマンサー「構わんよ、ククッ」

――「……」

ネクロマンサー「もう、期待は出来ない」

――「それもそうですね」

ネクロマンサー「左大臣さんには、囮にでもなって貰いますよ。ククッ」

――「そうですね」

ネクロマンサー「まぁ、こちらも動くとしよう」

――「……」

ネクロマンサー「君には期待しているよ、しっかりね」

――「勿論です。ご先祖である貴方の……お導きのままに」

ネクロマンサー「期待しているよ……副司令官」

副司令官「……はい」


382 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:04:02.80evX4dAM5o (14/18)

コツコツコツ…ヒュン

副司令官「……」

――「ネクロマンサーは去ったか?」

副司令官「……おや、貴方もいらしていたのですか」

――「左大臣は勝手に動くつもりらしいな」

副司令官「……まぁ、放っておきましょう」

――「最後まで使えぬクズであったな。まぁ良い……」

コツコツコツ…

――「この機に乗じて、厄介者を一掃するとしようじゃないか」

副司令官「東方司令部の件もまだ落ち着いていないのに…ですか?」

――「だからこそだ。一気に畳み掛けたほうが撹乱にもなる」

副司令官「……畏まりました」

――「この白いコートとも、そろそろおさらばしたいところしな」

副司令官「……」

――「いいか、まず最初の標的は――」


383 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:05:34.84evX4dAM5o (15/18)

~北関~

戦士「ふい~っ。つっかれたー!!」

魔道士「今日も働きましたね~っ」

召喚士「ええ」

盗賊「……」

戦士「しっかし、こんな事ずっとしてていいのかねぇ」

魔道士「大切な事ですよー?」

戦士「まぁ、そうなんだけどさ」

召喚士「今は国軍も忙しい時だからね」

盗賊「……」

召喚士「俺達も出来る事を精一杯手伝おうよ」

戦士「……まぁ、それもそうだな」

盗賊「……ああ」

魔道士「それじゃお食事にしましょうかっ」

召喚士「ええ、そうしましょう」


384 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:08:37.95evX4dAM5o (16/18)



テクテクテクテク

戦士「ん?」

参謀「戻られましたか」

召喚士「参謀さん」

参謀「先程、ワーカーが手紙を届けに来ましたよ」

魔道士「手紙?私達にですか……?」

参謀「はい」

スゥッ

戦士「誰からだ?」

召喚士「……サモナーさんっ!!」

盗賊「……何!?」

魔道士「も、もしかして……っ」

戦士「召喚獣の事か……!?」

召喚士「……うん。おそらく」


385VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 23:36:42.16dfBbpWvDO (1/1)

事態が大きく動いて来たな…ますます楽しみになってきた。
乙です。


386 ◆1otsuV0WFc2011/03/06(日) 23:46:06.48evX4dAM5o (17/18)



戦士「何だって?」

召喚士「えぇと……召喚獣の事で新たな進展があったみたい」

魔道士「おぉーっ!」

盗賊「…それで?」

召喚士「…まぁ、暇が出来たら訪ねてくれって…っ」

戦士「急ぎじゃないのか……。大した動きでもなさそうだな」

魔道士「でも、行くなら今こそチャンスじゃないですか?」

戦士「んーまぁ、それもそっか」

盗賊「…どうする?」

召喚士「そうですね。出来るなら話は聞いてみたいと思いますけど」

魔道士「それじゃ行ってみましょうよ!ここも落ち着いてきましたし……」

戦士「ああ、俺もそれは賛成だな」

盗賊「…だってさ」

召喚士「……う、うん」


387VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 23:47:24.47evX4dAM5o (18/18)

あー全然進まなくてごめんなさい。言い訳はしません
いつも沢山のご支援ありがとうございます!
それではまた明日!おやすみなさーい!ノシ


388VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/06(日) 23:53:25.07NojoHiZIo (1/1)

乙楽しみに待ってるよー


389VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 01:16:54.58+6fvoOAAO (1/1)

左大臣ェ……


390VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 02:43:52.60tt2hJoEVo (1/1)

副司令官は怪しかったけどやっぱりつながってたか


391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 07:02:09.42PsS1EoYSO (1/1)

副ってつくやつはだいたい怪しいの法則


392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 07:15:08.82Koi7ttaDO (1/1)

副司令官はわかりやすすぎだったな
司令官か副司令官のどちらかが内通者→司令官は内通者ではない
ってわかる話がどっかにあったはず
あえて言わなかったが

>>1乙


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 08:28:31.88cRXcHjrDO (1/2)

>>1乙っす


394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 11:13:33.27ZQlXEVqAO (1/1)

>>1乙んつん 相変わらずのドキドキ〆 次回が楽しみで仕方がないっす!


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 13:19:22.57WIPBORgAO (1/1)

>>1おつ
物語が急展開だな


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 18:13:56.73Dxn8vLIDO (1/1)

>>1乙
みんなはもう一人の内通者を待っているのだよ…
主人公達よりも周りのお偉いさんの過去がこれからわかると思うと胸熱


397 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:25:17.08yQZio3Uno (1/18)

~本国、王宮~

皇太子「…………」

エリート「……バ、バカな……っ」

ダンッ!!

エリート「父上っ、今……何と申された!?」

右大臣「申した通りだ」

エリート「そ…んな……」

皇太子「…………」

エリート「では貴方は、それを承知の上で私を……」

右大臣「エリート、声を鎮めよ。陛下の御前だぞ」

国王「……う…う」

エリート「……っ」

ズザッ

右大臣「……殿下っ、申し訳御座いませんでした!全ては私の責務!」

皇太子「……」


398 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:26:10.06yQZio3Uno (2/18)

スッ

エリート「で、殿下?」

皇太子「大丈夫、部屋に戻るだけだ。一人にさせてくれ」

エリート「……っ」

右大臣「殿下……」

カツカツカツカツ…パタン

右大臣「……う、うぅ」

エリート「何故、公になさらなかった…!?」

右大臣「……」

エリート「どうして殿下にまでっ」

右大臣「話せるわけがなかろう。このような事……」

エリート「何ですと……?」

右大臣「相手は絶大なる魔力を持った……」

エリート「それは分かっております!」

右大臣「殿下に変わる存在だったのかもしれぬのだ!言えるわけがなかろう」


399 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:28:03.08yQZio3Uno (3/18)

エリート「何を……言っている……」

右大臣「殿下の魔力が開花しなかった時は……」

エリート「何を言っている……」

右大臣「やむを得ぬ事なのだ。そうして代々王家を……」

エリート「貴方は何を言っているのだ!」

右大臣「分かっている、分かっているのだ……」

エリート「分かっていない!貴方は人の人生を弄んだのですよ!」

右大臣「重々承知の上よ。しかしこの国を守る為には致し方ない事……」

エリート「承知?ならば何故、捨てるような真似を!」

右大臣「捨てたわけではない」

エリート「手離したのでしょう!?結果としては変わらぬっ!」

右大臣「男子であれば……しかし女子は……」

エリート「そんなものは差別、偏見です」

右大臣「……普通の女子ならば問題はなかったのだ。しかし……」

エリート「……っ」


400 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:29:05.35yQZio3Uno (4/18)

右大臣「……魔力を持ち過ぎた。後々、利用される事は明白だ……っ」

エリート「だから手放したと?」

右大臣「隠したのだ…。全ては国を守る為の事なのだ……」

エリート「人と国と、どちらが大事かっ!!」

右大臣「……っ」

エリート「国とは、人々が成り立ってこそのものであろう!?」

右大臣「言い分は分かる。だがな、これは古来より代々執り行ってきた……」

エリート「悪しき習慣だ。もしそんなものが代々許され、伝えられると言うなら…」

右大臣「……」

エリート「そんなものは私が壊す。新しい時代を作ります」

右大臣「エリート、良いか?私も陛下もだな――」

国王「……もう…良い」

右大臣「……陛下!?」

国王「全て……エリートの申す……通りよ」

エリート「……」


401 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:29:41.65yQZio3Uno (5/18)

国王「我らが……馬鹿であった…っ」

右大臣「陛下……」

国王「すまぬ……エリート。すまぬ皇太子……ごほごほっ!!」

右大臣「陛下っ!!」

エリート「……今日はこれにて失礼致します…っ」

クルッ…カツカツカツ…パタン

国王「ごほごほごほ…っ!!ごほっ!!」

右大臣「陛下っ!無理に起きたりなさらず……」

国王「……右大臣」

右大臣「……」

国王「…新しい……時代が…来たな」

右大臣「陛下…」

国王「老いぼれはそろそ…ろ、去るとしようか……」

右大臣「……っ」

国王「ごほごほ…っ!……げほぉ!!」


402 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:30:23.61yQZio3Uno (6/18)

カツカツカツカツ

エリート「…………」

カツカツ…カツ…ピタッ

エリート「……」

皇太子の部屋の前。一度は足を止めたエリートであったが、

眉間に皺を寄せ、再び足を前へと出す。

エリート「――っ」

コンコン

皇太子「開いているぞ」

カチャッ…キイィ

皇太子「……どうしたエリート?」

窓から外を見つめる皇太子はドアの隙間から覗く男に声を掛ける。

エリート「よく…分かりましたね」

皇太子「一人にしてくれと言ったのに来るような無礼者はお前しかおらぬ」

エリ-ト「……失礼致しました…っ」


403 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:32:40.09yQZio3Uno (7/18)

皇太子「ははっ。冗談だ、入りたまえ」

エリート「……っ」

パタン…カツカツカツ

皇太子「落ち込んでいる私を、励ましにでも来たか?」

エリート「い、いえ……っ」

皇太子「気に病む事はないぞ、別に落ち込んではいないさ」

エリート「……」

皇太子「王家では昔からある事だ。お前も知っているだろう?」

エリート「しかしですね……」

皇太子「事情があったのだろう。手離さなくてはならぬ事情が」

エリート「だからと言って、許される事では……」

皇太子「そうかもしれないな」

エリート「……」

皇太子「しかし、驚いたよ……落ち込んだ方がまだ良かったかもしれん」

エリート「……ええ」


404 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:33:49.77yQZio3Uno (8/18)

皇太子「エリート、お前はどう思う?」

エリート「……と、申されますと?」

皇太子「もし生まれてからずっと、この城で王女として生活する事と……」

エリート「……」

皇太子「城を離れ、一人の女性として生活する事。どちらが幸せだろうな?」

エリート「……私には、分かりません」

皇太子「そうだな。しかし、彼女を見ていると…これで良かったのではないかな」

エリート「……」

皇太子「今更、妹として見る事は出来そうもないけれどな。はははっ」

エリート「私だって……そうですよ…っ」

皇太子「……申し分…ないんだがなぁ」

エリート「……え?」

皇太子「…いや、何でもない」

エリート「殿下…?」

皇太子「気晴らしに、たまには剣の稽古でもしようか。はははっ!」


405 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:36:10.70yQZio3Uno (9/18)

~次の日、北関~

召喚士「すみません、何だか急に……」

騎士長「構わんさ、お陰で助かったよ」

戦士「そうか?別に何もしてないけどなぁ……」

騎士長「いやいや、俺らも常駐出来るわけじゃないだろ?」

戦士「…はぁ」

騎士長「現にこうして、日替わりで来てんだ」

盗賊「……」

騎士長「現状分かる人間が現場仕切ってくれて、大助かりってわけよ」

戦士「なるほどなぁ。ま、一応お役には立てたわけか」

騎士長「んで、お次はどちらへ行くんだ?」

魔道士「西方ですっ」

騎士長「東奔西走ってやつだな。忙しいこった…」

召喚士「ははっ、本当ですね」

騎士長「気を付けてな……って言っても、もうそんな立場じゃねーか」


406 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:37:37.76yQZio3Uno (10/18)



魔道士「それでは、行ってきまーすっ!」

騎士長「おーう!」

戦士「おっさん達も頑張ってな」

おっさん「おうよっ、任しとけぃ!」

召喚士「それじゃ、行きましょうか」

盗賊「……ああ」

テクテクテクテク

戦士「ルートはどうする?」

召喚士「シンプルに……いや、待てよ」

盗賊「…?」

召喚士「陸路で西高原国から入ろうか」

戦士「おーそうだな。どの程度進んだかも気になるし」

魔道士「それじゃ陸路で行きましょっか!……ちょっと…大変だけど…」

盗賊「…頑張ろ。みんな一緒なら大丈夫」


407 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:39:46.02yQZio3Uno (11/18)

~本国、国軍本部~

コンコン…カチャッ

秘書官「大軍師様、お見えです」

司令官「…ん」

大軍師「失礼致します。今日はどういったご用件で?」

司令官「…分かっているくせに」

大軍師「ふっふ、ここ最近やる事が多すぎて、どれの事やら」

司令官「強いて言えば全部かな」

大軍師「欲張りなお方だ」

司令官「新聞社の懐柔は進んでる?」

大軍師「……もはや打つ手なしですね」

司令官「……」

大軍師「墓穴を掘ってくれたお陰で、動かずとも事を終えましたよ」

司令官「例の亡くなった記者の件かな?」

大軍師「彼らは社の総力を挙げて、内通者を追い詰めると意気だっておりますよ」


408 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:41:50.11yQZio3Uno (12/18)

司令官「……」

大軍師「事前に内通者の事を明かしておいた甲斐がありました」

司令官「…君、怖いねぇ」

大軍師「偶然ですよ。私とてそこまでは読めません」

司令官「それで、その東方司令部はどうするつもり?」

大軍師「私はただの参謀役です。それを決めるは副司令官様でしょう?」

司令官「それもそうだね。彼に任せるとしようか」

大軍師「そろそろ、仕掛けてきますよ」

司令官「…だろうね」

大軍師「どうなさるおつもりですか?まさか囮に……?」

司令官「…うーん、それもアリだね」

大軍師「……っ」

司令官「いい機会だね。死んで貰おうか」

大軍師「……」

司令官「…ん、決めた。総司令官には死んで貰う事にしよう」


409 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:43:13.60yQZio3Uno (13/18)

~北方司令部~

戦士「すっかり夜になっちまったなぁ」

魔道士「でもっ、日没もだいぶ遅くなりましたよ~」

召喚士「そうですね。気温も暖かくなってきましたし」

盗賊「…ああ。助かるな」

テクテクテクテク

魔道士「こんばんはーっ」

左翼長「お、来たな」

参謀「どうぞごゆっくりなさって下さい」

召喚士「いえいえ、宿泊させて頂くだけでも十分なのに……」

カツカツカツ

騎士団長「おや、朱雀先生か」

召喚士「騎士団長さん…っ!?お久し振りです」

魔道士「今日はどうなさったんですか?」

騎士団長「ん、ああ。実はな……」


410 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:45:26.46yQZio3Uno (14/18)



盗賊「…軍事演習?」

騎士団長「うむ。決戦間もなくだしな、そろそろ本格的に準備せねばならん」

戦士「ほぉ」

騎士団長「我らの役目は壁。その為のルートと連携において失敗は許されん」

召喚士「……壁ですか?」

騎士団長「いずれ分かると思うが、最終決戦の場は北となる」

魔道士「……っ!!」

騎士団長「全軍を押し上げ、更に精鋭が魔王城へと乗り込むだろう…」

召喚士「まさか……っ」

騎士団長「その時、我らが壁となり雑魚共を封じるのさ」

盗賊「……なるほど」

騎士団長「壁が崩れれば潰走の危険もある。だから入念に準備せねばならんのだ」

戦士「つー事は、地獄の壁と……」

騎士団長「我ら国軍の壁。これで魔王軍を全て封じる」


411 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:46:28.93yQZio3Uno (15/18)



左翼長「そんじゃな。おやすみ」

召喚士「おやすみなさい」

テクテクテクテク

戦士「国軍も、本当に忙しそうだな」

ぽつりとそう呟く戦士の目には、爛々とした正面にある多数の窓が飛び込む。

魔道士「本当だ……。あんなに沢山明かりが点いて……」

戦士「さっきの騎士団長さんもそうだけどよ、大変だよな」

盗賊「…でも、仕事だからな」

戦士「そうだけどさ、俺らみたいなワーカーはまだ気楽じゃん?」

盗賊「…まぁ、それはそうだけど」

戦士「なーんで国軍なんて入りたがるんだろうなぁ」

召喚士「……前にさ、青年兵くんが言ってたけど……」

魔道士「…?」

召喚士「みんな、それが夢だったんじゃないかな?」


412 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:47:13.02yQZio3Uno (16/18)

戦士「夢…?」

召喚士「うん。例えば子供の頃とかにさ、助けて貰ったりとか……」

戦士「なーるほどな。そういう事か」

召喚士「きっとその国軍の人に憧れて、自分もそうなりたい…ってさ」

盗賊「…そう…かもな」

魔道士「……ええ…っ」

戦士「……」

召喚士「……」

四人がそれぞれ、己の胸に問いかける。自分がこの道を選んだきっかけ。

それは幼き頃に見た光景。それぞれが景色は違っても、思いは同じ。

その勇姿、その背中を見て、そして追いかけてきた。

戦士「形は違えど、みんな通る道は同じって事だわな」

盗賊「…そうだな」

魔道士「はいっ!」

召喚士「……うん」


413 ◆1otsuV0WFc2011/03/07(月) 18:48:23.51yQZio3Uno (17/18)

~次の日~

テクテクテクテク

召喚士「まずはこのまま、北の街まで向かいましょう」

魔道士「はいっ!」

召喚士「そこで一晩過ごし、明朝より山岳地帯を進みます」

戦士「おう。一度行ってるし降雪もない。前ほど苦戦はしねぇだろ」

召喚士「それからは進み具合だね。行けるならば西高原国の城跡までか…」

盗賊「……無理なようなら高台の山で野宿…か」

魔道士「野宿は嫌だなぁ……」

戦士「どのみち西高原国まで行っても、風呂は入れねーぞ?」

魔道士「うぅ……」

召喚士「それから西国まで一気に進む……と」

戦士「船使わないだけで、こんなにも大変なんだなぁ……」

盗賊「…でも、最初の頃はそうだったぞ?」

戦士「……言われてみりゃそうだわな!よーし……気合い入れて行くかぁ!」


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 19:06:40.71yQZio3Uno (18/18)

雪やんだー良かったー!
それでは帰ります!ご支援ありがとうございました!ノシ

極力あとで来ようと思うのですが、期待薄で…
手の空いた時にでも読んで頂ければ結構ですので!まじまじ!


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 19:10:08.10IEcFvokKo (1/1)

>>1乙乙

ふむ、今日雪が降ってた地域か…把握した


416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 19:17:45.64NkAoPTl2o (1/1)

乙!

まさかの王女か、胸熱だ……
画面見ながらにやついてた


417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 19:20:21.24q7kNw9jIO (1/1)

関東地方かな?
とりあえず大阪はふってないよ


418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 21:14:58.58anLHa7KIO (1/1)

うぉぉ、まだ続いてたのか!
長期入院してて追えなかったから嬉しい。

今から読むぞー


419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 21:42:56.22eXAO0anko (1/1)

退院おめでとう


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 22:33:31.55cRXcHjrDO (2/2)

>>1乙っす
>>418も退院おめでとう



421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 22:34:52.09klfvMtYvo (1/1)

このまえの雪のときも言ってたから関東は確定


422 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:04:19.06lkamvrGVo (1/15)

~北の道~

魔道士「あっ、花が咲いてる!」

召喚士「本当だ」

魔道士「ありゃ何て花だ?冬の花じゃないのか?」

魔道士「遠くてよく分からないけど……春の花だと思いますよ~」

盗賊「……もう…季節も変わるんだな」

召喚士「いいのか悪いのか…ですね。ははっ」

戦士「なんか……色々と緊張しちまうよな」

魔道士「あんまり考えたくないですよ……」

召喚士「まぁまぁ、のんびりいこうよ」

戦士「そうだな!どーんと構えてようぜ!」

盗賊「……ああ」

魔道士「やる事はしっかりやらないとですよ~?」

戦士「もっちろんよ!」

召喚士「ええ!」


423 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:04:45.01lkamvrGVo (2/15)

~北の街~

盗賊「……到着」

戦士「割かし早く着いたな」

召喚士「うん。時間が時間だけに…普通のホテルも取れそうだね」

魔道士「良かった!えへへっ!」

戦士「そんじゃ大通りの……ん?」

盗賊「…何だ?」

召喚士「あれは……っ!!」

パッカパッカパッカ…

従者「……」

四人の前を豪華な馬車が一台、通過する。

パッカパッカパッカ…

戦士「今の馬車…知ってんのか?」

召喚士「……うん。あれは――」

盗賊「!?」


424 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:05:20.17lkamvrGVo (3/15)

ババッ

戦士「どうした!?」

盗賊「魔物の気配……っ」

魔道士「えっ!」

召喚士「どこです……っ!?」

盗賊「……」

クルッ

盗賊「あれだっ!!」

通りの反対側を指差すその先、法衣を纏い笠を深く被った者が路地裏に姿を消す。

戦士「どうする?」

召喚士「もちろん追うっ!」

戦士「だよなっ!!」

ダダッ…タッタッタッタッタ

戦士「…ちぃっ、早いな……っ」

魔道士「お、追いつけますか!?」


425 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:05:47.18lkamvrGVo (4/15)

盗賊「…仕方ない。先に行くぞ」

シュバッ…タタタタタッ

戦士「気を付けろよっ!!」

タタタタタッ

盗賊(……いたっ!)

シュバッ!!…タンッ…タンッ

盗賊(……あの動き、まさか……っ)

タタタタッ……スタッ

盗賊「……どうした?もう…逃げぬのか?」

――「……ふっ」

タッタッタッタッタ

戦士「盗賊!」

召喚士「いたっ!!」

魔道士「はぁ…はぁ……はぁ……っ」

――「勢ぞろいか。相変わらず元気そうで何よりだ」


426 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:06:13.85lkamvrGVo (5/15)

シュルッ…ハラッ

召喚士「あ、あなたは……っ!!」

魔道士「ハヌマーンさんっ!?」

ハヌマーン「こんな所で会おうとは、奇遇だな」

戦士「そっちこそこんな所で何してるんだ!?」

ハヌマーン「……先程の馬車」

召喚士「名士さん…ですか?」

ハヌマーン「ああ。彼の者に用があってな」

召喚士「名士さんに?一体……」

盗賊「……あの者、魔物ではないのか?」

魔道士「えぇっ!?」

盗賊「…微かだが、あなたとは違う…魔物の気配を感じた」

ハヌマーン「……流石だな」

召喚士「め、名士さんが……魔物…っ」

戦士「一体、どういう事だよっ!?」


427 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:06:40.22lkamvrGVo (6/15)

ハヌマーン「あの者は魔族だ。古くからこの地に住んでいる……な」

魔道士「……っ!!」

召喚士「そうか……っ。どうりで……」

戦士「何か思い当たる節でもあるのか?」

召喚士「……言われてみれば…だけど」

盗賊「……」

召喚士「以前、同門さん達の件で訪ねた時……」

戦士「ああ、一度会ったって言ってたよな?」

召喚士「うん。でも、正確に言えば会ってはいないんだ」

魔道士「……どういう事ですか?」

召喚士「カーテンごしに姿は見えなかったし、話も従者の方を通してだったんだ」

盗賊「…なるほど。姿を隠していたわけか」

召喚士「まさかハヌマーンさんが会いに来たというのは……」

ハヌマーン「……ああ。想像の通りだ」

魔道士「スグリーヴァ様と……?」


428 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:07:08.52lkamvrGVo (7/15)

ハヌマーン「うむ。わが主とは共闘の契りを結んでおる」

戦士「!!」

召喚士「い、いつの間に……っ」

ハヌマーン「法師様に付いて、世界を回っている時に偶然な……」

戦士「そういう事だったのか……」

ハヌマーン「オークは北の出身であろう?そこから情報を得てな」

魔道士「……凄い…っ」

ハヌマーン「我らとて驚いたさ。まさか北の地に志同じ者がおるとはな……」

召喚士「そうか、どうりでこの辺りの魔物も減ったわけだ……っ」

ハヌマーン「おそらく名士殿が裏で動いてくれておるのやもしれぬな」

盗賊「……」

ハヌマーン「ともかく、この事は秘密裏に頼むぞ」

戦士「言ったところで、誰も信じねーって」

ハヌマーン「…ふっ。それもそうだな」

魔道士「え、ええ……っ」


429 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:07:35.20lkamvrGVo (8/15)

ザッ

ハヌマーン「では、私はこれで……」

召喚士「ハヌマーンさんも気を付けて下さいねっ!」

ハヌマーン「お主等もな。また会おう!」

シュバッ…フッ

魔道士「……驚きましたね」

盗賊「…ああ」

戦士「動いているのは、国軍だけじゃねーって事か……」

召喚士「うん……。個々がそれぞれ…準備を進めているんだ」

魔道士「……っ」

戦士「こりゃ、俺らもどっしり構えてる場合じゃねーかもな」

盗賊「……出来る範囲で動けばいいさ」

召喚士「うん…。他の邪魔にもなりかねないしね……」

戦士「……そうだな」

四人は静寂を取り戻した路地裏を後にし、ホテルへと向かった。


430 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:09:54.38lkamvrGVo (9/15)

~ホテルの部屋~

魔道士「お風呂ーっ!!」

バシャーンッ!!

盗賊「……っ!!」

魔道士「盗賊さんっ、ちゃんと洗わないと駄目ですよー?」

盗賊「……あ、洗ってるよ…っ」

魔道士「いえいえ。いつもより念入りに、です!」

盗賊「……何故」

魔道士「だってぇ~っ、明日はお風呂は入れないじゃないですかっ!」

盗賊「…はぁ」

魔道士「だから、超洗わないと駄目です!えへへっ!」

盗賊「…超…ですか」

魔道士「超です!……えいっ!!」

盗賊「ひっ、ひああぁぁ!」

夜は更けた。


431 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:12:37.69lkamvrGVo (10/15)

~次の日~

戦士「おーし、そんじゃ行くぞー」

魔道士「はーいっ!」

召喚士「ここからは険しい道になりますからね。頑張りましょう」

盗賊「……ああ」

戦士「険しいったって、前ほどじゃねーだろ」

召喚士「それはそうだけど……」

戦士「大丈夫大丈夫。ノンビリ行こうじゃないの」

魔道士「戦士さん、そんな余裕ぶって、痛い目みても知りませんよ?」

戦士「はははっ!俺にはそのくらいの方が丁度いいって!」

盗賊「……」

戦士「さぁさぁ、出発~」

魔道士「…大丈夫ですかね?」

召喚士「まぁ……多分……ですけど」

戦士「あっはっはっはー!」


432 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:15:17.14lkamvrGVo (11/15)

ビュオオォォォォ

戦士「……ささっ、寒い……っ!!」

魔道士「だから言ったじゃないですかっ!」

召喚士「凄い吹雪……っ。こんなにも天候が変わるなんて……」

戦士「何が楽勝だよバカヤロー!」

魔道士「自分で言ってたんじゃないですかっ!」

盗賊「……全くだ」

戦士「うぅ、こいつは敵わん。さっさと下山しようぜ」

召喚士「そうだね」

戦士「召喚士、あれだよほら……クジャタだクジャタ」

召喚士「はぁ……」

魔道士「他人任せですねぇ」

戦士「仕方ないだろっ!寒くて剣も握れネェ・・・。こんな時に敵にでも遭遇したら……」

盗賊「何かくる!?」

魔道士「えっ!?」


433 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:17:01.11lkamvrGVo (12/15)

ドドオオォォ

召喚士「イ…イエティ……!!」

戦士「でけぇ!!こりゃ多分、ボスクラスの奴だぞ!!」

魔道士「詠唱します!」

イエティー「ガアアァァーッ!!」

ブオンッ

戦士「あっぶね……」

盗賊「戦士っ!後ろにもいるぞ!!」

戦士「何ぃー!?」

イエティ「グオオォォ!!」

ガバァ

戦士「ちぃっ」

ザザッ

召喚士「戦士ーっ!!」

キュイイィィ……ドドオオォォンッ!!


434 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:19:39.98lkamvrGVo (13/15)

イエティ「グアアァァ!熱いいぃぃ!!」

戦士「魔道士ナイス!助かった!!」

魔道士「い、いえ…っ。まだ撃ってないですよ……!?」

戦士「何!?」

召喚士「それじゃ一体……誰が……」

イエティ「グ…ウオオォォ」

――「こっちよ!!」
――「魔物さん!!」

キュイイィィ…

イエティ「――!?」

――「炎の魔法とぉー」
――「風の魔法でぇー」

ドドオオォォンッ!!

――「合体攻撃ーっ!!」

ドッグオオォォォォン!!

イエティ「グギャアアァァーッ!!」


435 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 00:23:11.62lkamvrGVo (14/15)

ドシャアアァァ…ブスブスブスッ

魔道士「す、凄い……威力っ」

召喚士「イエティを一撃で……っ」

盗賊「……何者だ?」

ザッザッザッザ

――「大丈夫ですか!?」
――「皆さんっ!!」

戦士「あ、あぁ…。お陰で助かったぜ」

召喚士「ありがとう…ございます」

――「いえいえ、私達は」
――「当たり前の事をしたまでっ」

魔道士「え、えぇと……」

――「ご紹介が遅れましたわっ」
――「私達、旅のワーカーです」

双子姉「私が姉っ!」
双子妹「私が妹っ!」

双子姉妹「二人合わせて、シスターズですわっ!ヨロシク!」


436VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 00:27:54.14lkamvrGVo (15/15)

雪かと思ったらポップコーンとわたあめでした。
間違えちゃいましたね、今日は晴れです晴れ

>>418
まだ続いてましたすみません…
何はともあれ、退院おめでとーございます!

また無駄に新キャラ出しちゃった…増えすぎてごめんなさい
折角なので、双子姉妹の特徴でも募集を……

あと忘れてた。開発局の局長も募集しましょう!
安価はなしで色々なご意見のいいとこ取りでいきたいと思います!

それではおやすみなさい!
ご支援ありがとうございましたー!ノシ


437VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 00:34:19.436smzlPXwo (1/1)

なんだ、ポップコーンとわたあめか

1乙


438VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 00:53:34.59DUqhD7FRo (1/1)

>>1乙
双子の特徴か
外見ならポニテとツインテールて感じか?


439VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 01:01:43.10c0Lv8Fc/o (1/1)

>>1乙
発想が>>438と全く同じで悔しい


440VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 01:03:38.57F/+hMEAYo (1/1)

どう見ても全く同じ見た目だけどなぜか見分けのつく戦士がモテモテ


441VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 01:21:27.79ywquQj6IO (1/1)

これってまだ続いてたのか…


442VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 01:58:51.31Ql/LJACSO (1/1)

いちおつ!

師匠…あの時の合体魔法の修業の時の双子の例え話は…伏線だったのですね……?


443VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 02:03:49.16JJSaV/9P0 (1/2)

じゃ外見以外で

双子らしくシンクロした会話になるなら、あえてそれが噛み合わないとか
例えば、姉がしゃべらせてもらえない、もしくは出遅れる、あがり症で上手く話せない等々

さらに言うと、きっちり信頼関係はあってほしい
二人とも悪気は一切なく素でそうなっちゃうみたいな


444VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 02:04:32.16o8KiNLA3o (1/1)

なんだろう。策略姉妹みたいなの想像した。


445VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 02:22:04.52PfHfq5WAO (1/2)

姉は召喚士、妹は魔道士に惚れてほしい


446VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 02:26:44.22D6VQuSJDO (1/1)

魔道士 盗賊
    俺 
  姉 妹
これでバッチリ


447VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 03:13:46.88UCZJ8TqAO (1/1)

シスターズと聞いてダルトンゴーレムを思い出した

まねっこ!


448VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 03:44:29.37PIpmXZgIO (1/1)

なにこのパロムポロム的な双子w



449VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 04:50:14.198WddDTbDO (1/1)

まさかの石化フラグですね、わかります


450VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 05:19:45.58mK22bfpDO (1/1)

>>1乙
>>408の
司令官「…ん、決めた。総司令官には死んで貰う事にしよう」
これって総じゃなくて副?
違ってたらごめん


451VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 05:23:34.32KDXNfr8SO (1/1)

自分を死んだことにするって事だと思った


452VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 08:00:32.47EicYM4QIO (1/1)

誤植かどうかも含めて、この先の展開をまとうではないか
( ´Д`)y━・~~


453VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 08:37:52.00qrigD2pAO (1/1)

>>418が退院したのとほぼ入れ違いに入院したwwwwwwタイミング合いすぎワロタwwwwwwww

双子の特徴……両極端にする事が多いからあえて殆ど同じにしてみたりとか?


454VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 09:02:18.06c7lnQLRko (1/2)

右と左で逆のサイドテールに一票


455VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 11:50:32.20NtrzczuDO (1/2)

わかった!片方は実は男で定期的に入れ替わるとかでどうだ!?


456VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 12:16:36.37ziiJUDVAO (1/1)

白黒だナ


457 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:09:01.33XfspLDDso (1/35)



盗賊「……」

戦士「……」

魔道士「……えっと」

双子姉「あのー」
双子妹「何か?」

召喚士「双子の…魔道士さん…ですか?」

双子姉妹「はいっ!」

戦士「二人でワーカーやってんのか?」

双子姉妹「はい、そうですよ!」

盗賊「……何故、こんな所に?」

双子姉「私達はこれから」
双子妹「西高原国へ向かう所です」

魔道士「そうなんですか!?実は私達もなんですよー」

双子姉妹「おぉーっ!」

戦士「……左と右から同じ音が聞こえる」


458 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:09:57.49XfspLDDso (2/35)

テクテクテク…

双子姉「いやぁー」
双子妹「すみません、何だかご一緒させて貰っちゃってー」

召喚士「いえいえ、頼もしい限りですよ」

戦士「そうそう。あのでけぇイエティを一撃だもんなぁ」

双子姉「いえいえー」
双子妹「ありませんわ。むしろ皆様こそ頼もしいですよー」

魔道士「そんな事ないですよー」

盗賊「……うん」

双子姉「だってー」
双子妹「まさか、あの朱雀先生方とは驚きですよー」

双子姉「……ちょっと双子妹ちゃんっ!」

双子妹「なぁに、お姉ちゃん」

双子姉「私にもお話させてよぉー!」

双子妹「すればいいじゃないー」

戦士「……おぉ、分離した」

召喚士「分離…!?」


459 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:11:02.70XfspLDDso (3/35)



召喚士「え、えっと……双子姉さん?」

双子姉「は、はいぃっ!」

召喚士「双子姉さんと妹さんは、何故二人でワーカーを?」

ドキーン!!

双子姉「…………」

ドッドッドッ…

双子姉(朱雀先生ってば、わざわざ私がお話出来るように配慮を……)

召喚士「……あ、あのぉ?」

双子姉「そ、それはですねっ!」
双子妹「母が病気で入院していて、そのお金を稼ぐ為です」

双子姉「きぃーっ!!」

双子妹「父は蒸発して行方不明ですし、私たちが稼がなくてはいけなくて」

魔道士「そうだったんですか……偉いですねっ!」

双子妹「そんな事ないですよー」

魔道士「いえいえっ、本当に偉いと思いますよ!えへへっ!」


460 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:12:06.07XfspLDDso (4/35)

ドキーン!!

双子妹「……」

ドッドッドッ…

双子妹(なんて可愛らしい方なんだろう……)

魔道士「……あのぉ」

双子妹(同じ魔道士として、とても勉強になるわ)

魔道士「双子妹……さん?」

双子妹(あの杖…ハート型!?やっぱり魔道士はこう在るべきよっ、うん!)

戦士「なんだか…別世界に行ってるぞ?」

盗賊「…う、うん」

双子姉「たまに双子妹ちゃんはこうなります。放っておいて結構ですよー」

戦士「はぁ……」

双子姉「それでは皆様」
双子妹「西高原国までヨロシク!ですわー」

双子姉「私にも言わせてええぇぇ!!」

戦士「……こいつら、面白いな」


461 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:12:52.41XfspLDDso (5/35)

~北の山岳地帯~

戦士「ここを越えりゃーひとまず一泊だな」

魔道士「結局野宿ですかぁ……」

戦士「仕方ねーだろ、この暗闇じゃ危ないっつーの。なぁ?」

召喚士「……まぁ、うん」

双子姉「それならば」
双子妹「致し方なし、です」

盗賊「……とにかく、ここを登らないとな」

魔道士「結構険しいですからねー」

戦士「そんじゃこっちは俺が先頭で、姉のお前が続いて最後に魔道士」

双子姉「……っ!!」

ドキーン!!

双子姉(な、何でこの人、私達の区別がつくの!?)

召喚士「こっちのルートは俺が先頭で、双子妹さんと…最後に盗賊さん」

盗賊「…よろしくな。何かあっても必ず私が守るから」

ドキーン!!

双子妹(……なんてカッコイイの!?女の人なのに……っ)


462 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:13:46.42XfspLDDso (6/35)



戦士「大丈夫かー?」

双子姉「は、はいぃ」

ガシッ…グググッ

魔道士「よ……っと」

戦士「こっちは登り終えたな。召喚士、そっちは――」

フォンッ…フワッ

戦士「!?」

スタッ

魔道士「な……んで……」

双子姉「え……えっ!?」

戦士「離れろぉ!!」

ザザッ

召喚士「何だか上が騒がしいな……戦士ーっ!?」

戦士「ちっくしょぉ……何でこんな時にぃ……っ」


463 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:14:58.46XfspLDDso (7/35)

ザッザッザッザ

魔道士「戦士さん!」

戦士「下がってろ!召喚士らが登ってくるまで待て!!」

ザッザッザッザ

戦士「……そこで止まれ……ネクロマンサー!!」

ネクロマンサー「……ククッ、貴方達とも不思議な縁ですよ」

戦士「こんな所で何してやがるっ!?」

ネクロマンサー「こちらの台詞ですよ。私はただ帰還途中なだけです」

戦士「……っ」

ネクロマンサー「急いでいるのでね、あまり相手はしていられません」

戦士「来るぞっ!」

魔道士「詠唱します……っ!」

ネクロマンサー「一瞬でケリを付けてあげますよ!」

フォンッ!!…ビュンビュンビュンッ!!

ネクロマンサーの両腕から伸びる針が、鞭のようにしなった。


464 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:16:04.65XfspLDDso (8/35)

ググッ

召喚士「……やっと着いたぁ」

ガガガガガガッ

召喚士「ん……?」

戦士「召喚士ぃ、避け――」

召喚士「っ!?」

双子妹「えっ、何です――」

ガバッ

双子妹「ひゃっ!?」

崖を登りかけた矢先、目の前に迫る攻撃に対し、

召喚士は慌てて双子妹を抱きしめ崖から飛び降りる。

盗賊「召喚士っ!?」

召喚士「盗賊さん、避けて――」

盗賊の左右両脇から生き物のようにうねった針が通過する。

盗賊「な……っ!?」


465 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:16:34.77XfspLDDso (9/35)

召喚士「くっそぉ……っ」

クルッ……ドグゥッ…ザシュウウゥゥ

身を捻り双子妹を庇った召喚士は、二本の針に貫かれ血を吹き出した。

盗賊「召喚士ぃーっ!!」

召喚士「コカ…トリス……」

シュイイィィン

落下の最中、召喚士とその両腕に抱き抱えられた双子妹は、

空中でコカトリスの背中へと着地、いや……かろうじてしがみ付いた。

双子妹「朱雀先生っ!?」

召喚士「コカトリス……っ、丘……」

コカトリス「おうっ!」

ゴアッ!!…ドシュウウゥゥ

戦士「召喚士……っ」

盗賊「なんとか無事だっ、それよりも……」

ネクロマンサー「……ククッ、流石…・・・ですかねぇ」


466 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:17:15.94XfspLDDso (10/35)

戦士「盗賊、召喚士が回復するまで時間を稼ぐぞ!」

盗賊「…ああ!」

戦士「魔道士っ!」

魔道士「……」

戦士「おいっ、魔道士!!」

魔道士「召喚士さん……っ」

ズザザザザアアァァ…ドサァ

召喚士「う……ぐ…っ」

双子妹「朱雀先生っ!!」

召喚士「……シービショップ、ごほっ!」

魔道士「……ない」

ザッ

魔道士「許せない……っ」

盗賊「……魔道士…?」

戦士「な……んだ!?」


467 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:17:55.98XfspLDDso (11/35)

キュイイィィィィ…

魔道士「よくも……っ、召喚士さんを……」

ネクロマンサー「何です……!?」

戦士「……双子!魔道士の支援を頼む!!」

双子姉妹「えっ!?」

盗賊「……召喚士には…近づけさせんっ!」

タンッ

戦士「てめぇだけは……許せねぇんだよおおぉぉ!!」

ネクロマンサー「小賢しいっ!」

チュイン!!…キィン!!

盗賊「はあぁっ!!」

ネクロマンサー「無駄ですよ、不死身の私に物理攻撃など――」

双子姉「土の魔法とぉー」
双子妹「土の魔法でぇー」

ドドオオォォンッ!!

双子姉妹「合体魔法っ、土ぃー!!」


468 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:18:34.06XfspLDDso (12/35)

ネクロマンサー「ッ!?」

地面が隆起し、ネクロマンサーの下半身を飲み込む。

ガボオオォォ!!

ネクロマンサー「こ…の……」

オオォォォォ

ネクロマンサー「……?」

空に浮かぶ巨大な、白く輝く球体。

ネクロマンサー「――っ!!」

魔道士「許せないんだからあぁーっ!!」

ゴウッ!!

ネクロマンサー「ちいぃ!!」

ヒュンヒュンヒュンッ……ブヂイイィ!!

戦士「何ぃ!?」

盗賊「…自ら…胴を……っ」

ネクロマンサーは下半身を捨て、上半身のみで退避した。


469 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:19:15.87XfspLDDso (13/35)

ドウッ!!…ズゴゴゴゴゴッ

双子姉「これは……っ」
双子妹「……五行っ!?」

双子姉妹「あ、有り得ない……っ!」

ドズウウゥゥゥゥンッ!!

戦士「くあ…っ!!」

召喚士「魔道士……さん……」

ズウウゥゥゥン…

魔道士「はぁ……はぁ……はぁ……」

ネクロマンサー「……っ」

双子姉「あの魔物っ」
双子妹「まだ…生きてるっ!」

ネクロマンサー「無駄な魔力を使わせてくれる……っ」

フォンッ

盗賊「……!?」

ネクロマンサー「……仕方ない、今日は退くとしましょう」


470 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:19:54.67XfspLDDso (14/35)

フワッ

戦士「逃げるかっ!」

ネクロマンサー「先程も言ったように、帰還途中なのでね」

召喚士「……っ」

ネクロマンサー「お相手はまだ今度、改めますよ……ククッ」

フッ

双子姉「魔物が……」
双子妹「消えた……っ!?」

魔道士「はぁ、はぁ……はぁ。……っ!!」

クルッ…タッタッタッタッタ

魔道士「召喚士さんっ!?」

召喚士「……大丈夫です、傷は…なんとか……」

シービショップ「やれやれだわい」

魔道士「良か……った」

戦士「無事…みたいだな……」

盗賊「……ああ」


471 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:20:26.35XfspLDDso (15/35)



双子姉「先程の魔物は」
双子妹「一体、何者?」

戦士「…まぁ、ちょっと因縁があってな」

召喚士「……」

戦士「それよりも魔道士、二度と無茶するんじゃねーぞ?」

魔道士「……ごめんなさい」

双子姉「それにしても」
双子妹「ビックリしました」

盗賊「……」

双子姉「まさかあれ程の」
双子妹「魔力をお持ちとは……」

魔道士「召喚士さんが血だらけで……無我夢中で……」

双子姉「これが」
双子妹「いわゆる」

双子姉妹「……愛の力」

魔道士「ちちっ、ちが……違います……っ!!」


472 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:20:57.34XfspLDDso (16/35)



戦士「……っと、ここでいいか」

盗賊「…ああ」

戦士「召喚士、大丈夫か?」

召喚士「うん、傷は平気。ただ出血でふらふらするけど……」

双子姉「任せて下さいっ!」
双子妹「私たちが……」

ギュッ

双子姉妹「両脇から支えますっ!」

召喚士「え、えぇ…!?」

戦士「ははっ、良かったな召喚士」

魔道士「良くないですっ!!」

召喚士「!?」

戦士「え、だって……愛の力じゃないんだろ?」

魔道士「……戦士さん、怒りますよ?」

戦士「…ごめんなさい」


473 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:21:47.74XfspLDDso (17/35)



グツグツグツッ

盗賊「……いい匂い」

魔道士「もうすぐ出来ますからねっ」

双子姉「お料理も完璧だなんて」
双子妹「魔道士お姉様ったら…」

双子姉妹「……素敵っ」

戦士「何なんだお前らは……」

召喚士「は、はは…っ」

魔道士「は~い出来ましたーっ!」

コトッ

盗賊「…い、いただきますっ」

戦士「……んー、うめぇ!!」

魔道士「……はい、召喚士さん」

召喚士「あ、ありがとうございま……」


474 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:22:29.12XfspLDDso (18/35)

コトッ

召喚士「…………」

魔道士「どうしました?」

召喚士「何だか…変な虫が蠢いてますが……」

魔道士「……これは腹の虫です」

プイッ…スタスタスタ…

戦士「おーおー、腹の虫が大暴れしてますなぁ」

召喚士「……っ」

盗賊「…はらわたも…ぐつぐつと煮えくり返っているな」

召喚士「……ち、ちょっとやめてよ…っ」

戦士「冗談だよ、その虫は鉄分豊富で血止めにも効くって話だ」

盗賊「…魚の内臓だって栄養素が高いのだぞ」

召喚士「……」

パクッ…ゴクゴクッ

召喚士「……良薬…口に苦し……かな。はは…っ」


475 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:23:34.50XfspLDDso (19/35)

~次の日~

召喚士「……ん」

ノソッ…

召喚士「……うん、いい感じだ」

テクテクテクテク

召喚士「……あっ」

魔道士「……おはようございます」

召喚士「おはようございます。あ、あのぉ……」

魔道士「……」

召喚士「昨日はありがとうございました。お陰で…元気になりましたよ」

魔道士「……あんまり…心配させないで下さいよ…?」

召喚士「…はい、ごめんなさい」

魔道士「…ふふっ、許しますっ」

召喚士「……魔道士さん…っ」

魔道士「えへへっ!!」


476 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:24:36.29XfspLDDso (20/35)

タッタッタッタッタ

双子姉「朱雀先生っ、おはようございます」
双子妹「体調はいかがですかー?」

ムギュウウゥゥ

召喚士「い、いっ……あの、大丈夫ですから…っ」

双子姉妹「まぁ、それは良かったです!」

召喚士「は、はは……っ」

魔道士「……」

スッ…テクテクテクテク

召喚士「あっ!魔道士さん……っ!?」

双子姉「さぁさぁ朱雀先生ー」
双子妹「朝食に致しましょうー」

魔道士「……ふん」

召喚士「あ、あぁ……っ」

ジーッ

戦士「朝から賑やかな事ですなぁ……」

盗賊「…そうですなぁ」


477 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:25:22.91XfspLDDso (21/35)



召喚士「では、今から一気に西高原国の城跡まで向かいます」

盗賊「……」

召喚士「まず、このまま真っ直ぐ南……」

グッグッ

召喚士「……あの、ちょっと話して貰えますか…?」

双子姉妹「えっ?あ、すみませんー」

パッ

召喚士「えぇと、城跡到着後は軽食の後にそのまま一気に……」

魔道士「……」

召喚士「……一気に、西国まで…頑張りましょう」

戦士「おーうっ」

双子姉妹「おぉーっ!」

盗賊「……おー」

召喚士「お、おーっ!はは……っ」

魔道士「……」


478 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:26:13.49XfspLDDso (22/35)



テクテクテクテクテク

戦士「しっかし妹ちゃんの服、汚れちまったなぁ」

召喚士「すみません…。何だか俺のせいで……」

双子妹「構いませんよ。いっその事全部赤くしちゃおうかしら」

盗賊「…?」

双子姉「そうすれば姉妹の」
双子妹「見分けも付きやすいです」

戦士「別にそんな事しなくても分かるけどなー」

双子姉妹「何故っ、分かるの!?」

戦士「何故って…顔とか全然違うし……」

魔道士「……す、すご」

盗賊「…戦士って…こういうところ、結構気付くよな」

召喚士「え、ええ」

双子姉「私達を見分けるなんて……」
双子妹「こんな事…初めてかも……」


479 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:26:56.77XfspLDDso (23/35)

すったもんだの挙句、西高原国の城跡へと辿り着いた六人。

~西方、西高原国城跡~

魔道士「そういえば、ここは国境とかないんですねぇ」

戦士「言われてみりゃそうだな。素通りだもんな」

召喚士「多分、置くつもりないんじゃないかな?」

盗賊「どういう事だ?」

召喚士「元々、西高原国の領土だったし、その後は魔王軍の領土だったから」

戦士「西国としちゃ、堂々とここから自分の物だって、謳えないって事か?」

召喚士「大義的にはそうなるんじゃない?私利の為ではないし……」

魔道士「そっかぁ」

召喚士「それに、いずれはここkが防衛線になるようだし」

盗賊「…関係もなくなるわけか」

召喚士「ええ。西国の兵だけでなく、国軍なんかも参加するでしょうしね」

戦士「そっか……」

双子姉「なるほどー」
双子妹「そういう事ですねー」


480 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:28:45.27XfspLDDso (24/35)

ザッザッザ

双子姉「城跡の中には」
双子妹「入らないのですか?」

戦士「あーまぁ、色々と面倒な事になりそうだから……」

召喚士「こっちの端でいいよね、この辺りで軽食を取ってすぐに……」

――「おやぁ!?」

魔道士「っ!!」

ザッザッザ

西国兵長「やはりっ、救世主様方!!」

双子姉妹「救世主ー!?」

召喚士「は、はは……っ」

西国兵長「どうなさったのですこのような所で!ささっ、どうぞどうぞ!」

魔道士「い、いえっ……私達はそのぉ……」

西国兵長「何を仰いますか!ささっ、どーぞどーぞ!!」

戦士「……はぁ」

盗賊「…結局…これか」


481 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:29:38.81XfspLDDso (25/35)

~城跡内~

西国兵長「いやはや、こちらも未完成なので…ロクな物もありませんが……」

召喚士「十分すぎますよ……」

戦士「あの、マジでお酒は結構ですので」

西国兵長「そう仰らずどうどうぞ!」

盗賊「…じゃあ、いただきます」

魔道士「すみません…何だか……」

西国兵長「この程度の持て成しで感謝されては、私こそ恥ですよ」

西国兵「そうそうっ。我らが陛下や神官様に怒られてしまいます。あはは」

召喚士「……」

戦士「…な、だから言ったろ?」

西国兵長「何か申されましたかな?おかわりですか?」

戦士「い、いやいや!独り言です!感嘆の声っ!」

西国兵長「それは何より。さぁおかわりです、どうぞどうぞ!」

双子姉「この方達って」
双子妹「一体何者…?」


482 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:30:39.19XfspLDDso (26/35)



盗賊「…ご馳走様でした」

戦士「……苦し。これから砂漠越えだってのに」

西国兵長「また是非にいらして下さい!いつでも歓迎致しますぞ!」

召喚士「はいっ。あ、ちなみに結構出来上がってますけど…完成は…」

西国兵長「そうですね。このペースでいけば半年弱と言ったところでしょうか」

魔道士「おぉーっ」

西国兵長「拠点としてはほぼ機能出来ますよ。あとは防壁や細部のみですかね」

召喚士「なるほど。楽しみですね」

西国兵長「もしかしたら共に戦う事になるかもしれませんね!」

戦士「その時はよろしくっす!」

西国兵長「こちらこそ!むしろ是非一緒に!」

召喚士「か、考えておきます……はは…っ」

盗賊「…それじゃ行こうか」

魔道士「はい。それでは失礼致しますっ!!」


483 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:31:35.81XfspLDDso (27/35)

テクテクテクテク

双子姉「何だか唖然と」
双子妹「するばかりでした」

戦士「まー不思議な縁で、こんな事になっちまったんだよ」

双子姉「流石、朱雀先生方」
双子妹「お見それ致しました」

召喚士「いやっ、本当にただの偶然なんですよ」

魔道士「そ、そうそうっ」

双子姉「またまたー」
双子妹「ご謙遜しちゃってー」

盗賊「…してない」

戦士「あー腹苦しい、だーから軽食で良かったのに…」

召喚士「夜までにはなんとか西国まで着きたいところだね」

戦士「…へいへい、頑張りますよ」

盗賊「…欲張っておかわりするからだ」

戦士「仕方ねーだろ、あの状況で断れるか!誰かさんの胃袋とは違うんだ」

盗賊「っ!?」


484 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:32:26.16XfspLDDso (28/35)

夕暮れを背に、砂漠を南下する召喚士ら一同。

日はあっという間に暮れ、やや冷え込んだ砂漠を足早に過ぎる。

そしてようやく、西国の城下町へと到着したのであった。

~西国、城下町~

双子姉「おぉーっ、これが……」
双子妹「西国の城下町ですか」

ギュッ

召喚士「あ、あの……」

双子姉妹「駄目ですかっ!?」

召喚士「駄目ですよ……っ!」

魔道士「良かったですね、召喚士さん」

召喚士「えぇっ!?」

盗賊「…ニッコリ笑顔で…威圧が出てる」

戦士「すげぇな。いつのまに会得したんだ?」

盗賊「…それで、どうする?」

戦士「ちゃっちゃか宿取って、城近辺は回避だ」


485 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:33:14.57XfspLDDso (29/35)

双子姉「お城の周辺は何で」
双子妹「駄目なんですかー?」

戦士「だから、さっきも言ったろ!色々とマズイんだよ」

魔道士「そうそうっ、西国のお城なんてさっきの比じゃないですよっ」

盗賊「…うん。早く去ろう」

召喚士「あんまりのんびりしていると――」

――「あーっ!?」

戦士「……あーあ。ほれみろ」

テクテクテクテク

盗賊「……?」

――「やっぱり……そうですわ」

召喚士「え、えぇと……?」

――「お久し振り…ですのー!!」

戦士「あれ…?誰……?」

――「えぇ!?私達の事……忘れちゃったんですのー!?」

――「まぁ……っ、薄情なものですわね」


486 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:34:25.96XfspLDDso (30/35)

召喚士「そ、その口調……まさか……」

魔道士「玄武娘ちゃんに……朱雀嬢ちゃんっ!?」

玄武娘「やっと思い出してくれたですの!!」

朱雀嬢「それ以外に誰がいるのかしら」

戦士「い、いやだって……全然違うし……」

朱雀嬢「……はい?」

魔道士「二人共すっごい大人っぽくなっちゃって!!」

朱雀嬢「それはそうですわ。あれから随分経ってますわ。レディの嗜みですわ」

盗賊「…幾つになったのだ?」

玄武娘「私は今年で16ですのー!」

朱雀嬢「私は18……ですわ」

戦士「えっと、魔道士さんは?」

魔道士「えっ、私ですか?……23ですけど」

戦士「……ふーん」

マジマジ


487 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:35:30.06XfspLDDso (31/35)

魔道士「……どこ見て言ってるんですか?」

戦士「えっ、いやどことかじゃなく全体的に……」

魔道士「へぇ、もっと悪いですねそれ」

戦士「……っ」

魔道士「私、五行使えるようになったみたいなんですよねー」

戦士「へ、へぇ~。……ごめんなさい」

朱雀嬢「それよりも朱雀先生っ!」

召喚士「は、はいぃ」

朱雀嬢「その両脇の……お二人はどなたかしら?」

召喚士「え、えっと…あの……」

双子姉「私は双子姉っ」
双子妹「私は双子妹っ」

双子姉妹「二人合わせて、シスターズ!ヨロシク!」

朱雀嬢「……それで、何でさっきからくっ付いているのかしら?」

双子姉「それはきっと」
双子妹「好意…かしら?」


488 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:37:46.71XfspLDDso (32/35)

朱雀嬢「……ふーん」

魔道士「朱雀嬢ちゃん、いいんですよ」

朱雀嬢「よくありませんわ!」

魔道士「へっ……?」

朱雀嬢「レディーの嗜みがなっておりませんわっ!」

玄武娘「おぉ、朱雀嬢ちゃんが怒っているですの……」

戦士「何だか面倒な事になってきたぞ」

盗賊「…ああ。触らぬ神に祟りなし、だ」

朱雀嬢「とにかくっ、街中でそれはどうかと思いますけれど」

召喚士「そ、そうですよねっ。はは……」

双子姉「あら、またしても」
双子妹「ライバル現る?」

朱雀嬢「ライバル!?そ、そんな事……ありませんわっ」

召喚士「こ、困りましたね……魔道士さん」

魔道士「……ふん」

召喚士「……は、はははっ。……はぁ」


489 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:44:05.19XfspLDDso (33/35)

~食事処~

召喚士「と、とにかく食事でもして…整理しましょうっ」

玄武娘「はいですの!」

朱雀嬢「……むー」

双子姉「私はこれっ」
双子妹「私はこれっ」

戦士「双子なのに、好きな食べ物は違うんだな……」

双子姉妹「そんな事ないですよー」

戦士「いや、実際違ってんじゃん」

魔道士「さーて、何食べようかなぁ」

戦士「あーっ!!」

盗賊「な…何だよ…っ!急に大声出すなっ、たわけっ!」

戦士「召喚士っ」

召喚士「…?」

戦士「金…大丈夫か?」

召喚士「え……?あっ!!」


490 ◆1otsuV0WFc2011/03/08(火) 18:50:04.31XfspLDDso (34/35)

チラッ

玄武娘「これとこれと、あとこれとこれとあれとそれと……」

召喚士「……」

戦士「こりゃやばいぞ…?」

召喚士「ちょっと、お金降ろしてくる」

スクッ

召喚士「……っ」

魔道士「えぇっと……」

召喚士「魔道士さんっ!」

魔道士「は、はいぃ!?」

召喚士「お金降ろしに行くんで、一緒に来て貰えますか?」

魔道士「わわ、私が……ですか…っ?」

戦士「いくら召喚士と言えど、一人だと危険かもしれないしな」

盗賊「…ああ。女性であっても…二人で行った方が安全だ」

魔道士「……は、はい…っ」


491VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 18:53:40.54XfspLDDso (35/35)

やばい、凄い中途半端なところで終わってしまったぞ…
本日もご支援ありがとうございました!あと、リクもありがとうございます!
色々と交えてみました!やっぱりこういうの楽しいですねー

それでは、失礼致します!ノシ


492VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 19:06:26.29t8DBorINo (1/1)

1乙!
召喚士もげろ