◆d.DwwZfFCo さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16594202.html
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560:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 01:36:54.18:ozj55xs90 (6/6)
これで終わりです。
クビシメっぽい雰囲気目指して頑張ります。
それではまた明日とか。
これで終わりです。
クビシメっぽい雰囲気目指して頑張ります。
それではまた明日とか。
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
561:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 01:56:07.00:NG2qU3Nho (1/1)
クビシメって……もう碌な予感がしない
クビシメって……もう碌な予感がしない
562:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 02:27:26.96:GSHcrtUG0 (1/2)
>>550
>>551
>>553
>>517だからな
>>550
>>551
>>553
>>517だからな
563:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 07:35:55.31:cjkrNUhSO (1/1)
乙
クビシメ…。誰が生き残るんでしょうね…。
乙
クビシメ…。誰が生き残るんでしょうね…。
564:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 08:56:04.85:oQKlO+3DO (1/2)
この御琴さんは死ぬ気しかしない
というか4人の内何人が生き残れるのか…
この御琴さんは死ぬ気しかしない
というか4人の内何人が生き残れるのか…
565:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 10:15:02.40:WZ2jAyJDO (1/1)
いーちゃん×超電磁砲か
美琴が佐天さん利用して連続殺人のssを思い出す
いーちゃん×超電磁砲か
美琴が佐天さん利用して連続殺人のssを思い出す
566:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 10:15:13.89:dF8iTv9AO (1/3)
乙
さぁミステリっぽくなってきました
乙
さぁミステリっぽくなってきました
567:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 10:57:11.81:UMgi69WI0 (1/1)
乙
クビシメとか・・・絶対何人か死ぬよねこれ
共通点は今のところ佐天さんが少々テンションが巫女子ちゃんに似てる程度だけど
乙
クビシメとか・・・絶対何人か死ぬよねこれ
共通点は今のところ佐天さんが少々テンションが巫女子ちゃんに似てる程度だけど
568:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 11:27:55.55:b88yueSAO (1/1)
乙
クビシメのおかげですごい不穏な空気だな
最悪全滅も覚悟しておくか
乙
クビシメのおかげですごい不穏な空気だな
最悪全滅も覚悟しておくか
569:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 15:20:17.73:NlOVopKBo (1/1)
乙
釘バットじゃないんだな
乙
釘バットじゃないんだな
570:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 15:28:08.22:dF8iTv9AO (2/3)
前作じゃ佐天さんは愚伸礼賛使ってたけどな
前作じゃ佐天さんは愚伸礼賛使ってたけどな
571:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 20:29:14.65:OPp2DJ4f0 (1/5)
クビシメはやっぱり面白いね。
それじゃ、投下します。
クビシメはやっぱり面白いね。
それじゃ、投下します。
572:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 20:30:35.23:OPp2DJ4f0 (2/5)
2
そこから先は別段語るまでも無い会話が続いていた。どのアーティストが好きだとか、ある学区にクレープ屋ができたから行ってみようだとか、本当に年相応の会話が繰り広
げられているだけだった。ランチも食べ終わったぼくとしてはいい加減お別れをしたいのだが、涙子ちゃんに頑なに拒まれて(しかも「行かないでください」など明言はしな
い。このムスメかなりやり手だ)しまい、入店から二時間十五分も経過した今現在。ぼくはまだファミレス内に居るのだった。
あろうことかドリンクバーの割引券を使う破目になるとは。いやはや、恐るべき女子中学生。
「ん?あぁ!白井さん!もう時間ですぅ!」
ふと店内に掲げられていた時計に目をやった飾利ちゃんが慌てふためきながら黒子ちゃんの背中をバシバシと叩く。その衝撃で黒子ちゃんの飲んでいた紅茶(三杯目)がカッ
プから漏れ、テーブルに雫が落ちる。「いちいち叩かないで下さいまし!」と怒る黒子ちゃんをよそに美琴ちゃんはオレンジジュース(四杯目)をすすり、涙子ちゃんはコー
ラ(四杯目)が注がれたグラスをゆらゆらと回し、飾利ちゃんは立ち上がってミルクティー(十四杯目)を飲み干すと黒子ちゃんを引っ張る。
ぼくはそれを二杯目の水を飲みながら眺めていた。
「風紀委員の仕事ー?」と涙子ちゃんはどこか不満気に呟く。
「そうですの。冒頭に話した件ですわ」
黒子ちゃんはうんざりした様子で立ち上がりそう言った。
それは連続通り魔事件に対する何かなのだろう。恐らくは会議か、パトロールか。
「それでは、お姉様、佐天さん、いーさん。ごきげんよう」
そういい残すと、黒子ちゃんと飾利ちゃんはこの場から消える。空間移動というやつだろうか、便利な能力だ。
テーブルの上には、しっかりと自分達が注文した分のお金が置かれていた。
「忙しいわねぇ……あの子たちは」
息を吐き出して美琴ちゃんは伸びをする。
「で、これからどうするー?解散でもいいし、どっか遊びに行くでもいいしさ」
「うーん、かと言ってめぼしい所はないんですよねぇ……」
美琴ちゃんの提案になにやら思案する涙子ちゃん、少しして「今日は帰りましょうか」とまた満面の笑みで言った。
「オッケー。んじゃ会計して出ましょうか」
「了解です」
「……………」
ようやく開放された。ぼくはそう思いながら会計を済ませ、外に出た。既に日は傾き始めており、いかにファミレス内に長く居たのかを物語っている。
2
そこから先は別段語るまでも無い会話が続いていた。どのアーティストが好きだとか、ある学区にクレープ屋ができたから行ってみようだとか、本当に年相応の会話が繰り広
げられているだけだった。ランチも食べ終わったぼくとしてはいい加減お別れをしたいのだが、涙子ちゃんに頑なに拒まれて(しかも「行かないでください」など明言はしな
い。このムスメかなりやり手だ)しまい、入店から二時間十五分も経過した今現在。ぼくはまだファミレス内に居るのだった。
あろうことかドリンクバーの割引券を使う破目になるとは。いやはや、恐るべき女子中学生。
「ん?あぁ!白井さん!もう時間ですぅ!」
ふと店内に掲げられていた時計に目をやった飾利ちゃんが慌てふためきながら黒子ちゃんの背中をバシバシと叩く。その衝撃で黒子ちゃんの飲んでいた紅茶(三杯目)がカッ
プから漏れ、テーブルに雫が落ちる。「いちいち叩かないで下さいまし!」と怒る黒子ちゃんをよそに美琴ちゃんはオレンジジュース(四杯目)をすすり、涙子ちゃんはコー
ラ(四杯目)が注がれたグラスをゆらゆらと回し、飾利ちゃんは立ち上がってミルクティー(十四杯目)を飲み干すと黒子ちゃんを引っ張る。
ぼくはそれを二杯目の水を飲みながら眺めていた。
「風紀委員の仕事ー?」と涙子ちゃんはどこか不満気に呟く。
「そうですの。冒頭に話した件ですわ」
黒子ちゃんはうんざりした様子で立ち上がりそう言った。
それは連続通り魔事件に対する何かなのだろう。恐らくは会議か、パトロールか。
「それでは、お姉様、佐天さん、いーさん。ごきげんよう」
そういい残すと、黒子ちゃんと飾利ちゃんはこの場から消える。空間移動というやつだろうか、便利な能力だ。
テーブルの上には、しっかりと自分達が注文した分のお金が置かれていた。
「忙しいわねぇ……あの子たちは」
息を吐き出して美琴ちゃんは伸びをする。
「で、これからどうするー?解散でもいいし、どっか遊びに行くでもいいしさ」
「うーん、かと言ってめぼしい所はないんですよねぇ……」
美琴ちゃんの提案になにやら思案する涙子ちゃん、少しして「今日は帰りましょうか」とまた満面の笑みで言った。
「オッケー。んじゃ会計して出ましょうか」
「了解です」
「……………」
ようやく開放された。ぼくはそう思いながら会計を済ませ、外に出た。既に日は傾き始めており、いかにファミレス内に長く居たのかを物語っている。
573:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 20:31:27.23:OPp2DJ4f0 (3/5)
「それじゃ、私こっちだから。アンタ、ちゃんと佐天さんを送ってかなきゃ駄目だから」
さらっと面倒くさいことを口走る美琴ちゃんを止める。
「何言ってるんだよ。だいたい涙子ちゃんだって初対面の男に送っていってもらうほうが嫌だろう?」
同意を求めるために涙子ちゃんへと顔を向ける。すると「い、いえ。そんなことは……ない、です」などと言葉に詰まりながらもそう言った。
はあ、たぶん美琴ちゃんに言われたから社交辞令的な返事なのだろうが、そう言った肯定を第三者の前でしてしまえば実行するしかないという社会の常をまだ分かっていない。
その辺りはやはり中学生か。
美琴ちゃんはそれを確認すると口元をニヤリと歪め、嫌らしい笑みを浮かべる。
「んじゃ、しっかりエスコートするのよー」
そしてそのまま手を振りながら去っていく美琴ちゃん。取り残されたぼく達は数秒沈黙した後、歩き始めた。それはぼくの住む学生寮とは反対の方向だったが、恐らくは涙子
ちゃんの住居があるのだろう。ぼくは涙子ちゃんの三歩後ろをついて歩く。
しばらくはお互いに黙っていた。ぼくは沈黙が嫌いではないし、一年分はあのファミレスで語らされたと思うので別に今話題を出そうとも思わない。
涙子ちゃんも同じ事を考えているのか何度か後ろを振り向いては前を向き、進んでいく。
ビルの谷間に夕日が落ち、ぼく達の影を伸ばす。もう直に完全下校時刻を迎えるのだろう。
学生寮に戻ったら、きっとインデックスちゃんも戻ってきているだろうし、それに合わせて大量の食事を作らなきゃいけないと思うと、このまま歩いて何処かへ行ってしまい
たくなる。どこまでも歩いても、行き着く先は現実だというのは分かっているけれど。
「ねぇ、いーさん」
唐突に涙子ちゃんが口を開く。歩くスピードを緩めぼくと並ぶ。
「自分が、他人より劣っているって自覚したこと、ありますか?」
そう言って、笑う。
――自分が欠陥製品だと思ったこと、ないかな。
それは聞いたことがある言葉だった。自分が他人より劣っている自覚。世界から取り残されているような錯覚。
圧倒的に、足りない、自分。
嫉妬でも、怒りでも、不満でもなく。
ただ、足りない。
「それじゃ、私こっちだから。アンタ、ちゃんと佐天さんを送ってかなきゃ駄目だから」
さらっと面倒くさいことを口走る美琴ちゃんを止める。
「何言ってるんだよ。だいたい涙子ちゃんだって初対面の男に送っていってもらうほうが嫌だろう?」
同意を求めるために涙子ちゃんへと顔を向ける。すると「い、いえ。そんなことは……ない、です」などと言葉に詰まりながらもそう言った。
はあ、たぶん美琴ちゃんに言われたから社交辞令的な返事なのだろうが、そう言った肯定を第三者の前でしてしまえば実行するしかないという社会の常をまだ分かっていない。
その辺りはやはり中学生か。
美琴ちゃんはそれを確認すると口元をニヤリと歪め、嫌らしい笑みを浮かべる。
「んじゃ、しっかりエスコートするのよー」
そしてそのまま手を振りながら去っていく美琴ちゃん。取り残されたぼく達は数秒沈黙した後、歩き始めた。それはぼくの住む学生寮とは反対の方向だったが、恐らくは涙子
ちゃんの住居があるのだろう。ぼくは涙子ちゃんの三歩後ろをついて歩く。
しばらくはお互いに黙っていた。ぼくは沈黙が嫌いではないし、一年分はあのファミレスで語らされたと思うので別に今話題を出そうとも思わない。
涙子ちゃんも同じ事を考えているのか何度か後ろを振り向いては前を向き、進んでいく。
ビルの谷間に夕日が落ち、ぼく達の影を伸ばす。もう直に完全下校時刻を迎えるのだろう。
学生寮に戻ったら、きっとインデックスちゃんも戻ってきているだろうし、それに合わせて大量の食事を作らなきゃいけないと思うと、このまま歩いて何処かへ行ってしまい
たくなる。どこまでも歩いても、行き着く先は現実だというのは分かっているけれど。
「ねぇ、いーさん」
唐突に涙子ちゃんが口を開く。歩くスピードを緩めぼくと並ぶ。
「自分が、他人より劣っているって自覚したこと、ありますか?」
そう言って、笑う。
――自分が欠陥製品だと思ったこと、ないかな。
それは聞いたことがある言葉だった。自分が他人より劣っている自覚。世界から取り残されているような錯覚。
圧倒的に、足りない、自分。
嫉妬でも、怒りでも、不満でもなく。
ただ、足りない。
574:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 20:32:01.75:OPp2DJ4f0 (4/5)
「この学園都市は、残酷ですよ。冷徹だと言い換えてもいいかもしれません。決められた規定に沿ってランクが決まり、無能だと突きつけられる。テストの点ではないんです、
学校の成績ではないんです。ここは、能力を学ぶ場所ですから。それが全て。機械的に、規則的に、平等に分ける」
外の世界では気が付かなくて済む事実を、教えられる場所、と彼女は続ける。
「平等の先が不平等だなんて、笑えますよね。勿論、御坂さんのように例外は居ますけど」
美琴ちゃんは、元々レベル1だったそうだ。それが今ではレベル5の超能力者。
「……例外だなんて。そんなことはないだろう」
思ってもいないことを、言ってみる。
「例外ですよ」
それは、あっさりと切り伏せられた。
「例外中の例外。異常と言い表してもいいんじゃないですか?たしかにあたしはそこまでの努力はしていませんけど、御坂さんに劣らないほど努力をしてもなお、無能力者の
ままでいる人間は、学園都市には腐るほど居ます。腐るほど、腐っています」
学園都市に七人しか居ない、超能力者。
「レベル0とレベル1では、やはり違うんですよ」
そこで涙子ちゃんは、再び笑ってみせる。どこか、遠いところを見るように。
「……幻想御手(レベルアッパー)って知ってますか?」
ぼくは聞き覚えのない単語に、首を横に振る。
「簡単に言えば、能力のレベルを上げるシステムです。勿論、不法なシステムで認められていた物ではありません」
ドーピング剤のような物なのだろう。使用者のレベルを底上げする。
「あたし、それを使ったんですよ」
それは、意外な告白だった。
「この学園都市は、残酷ですよ。冷徹だと言い換えてもいいかもしれません。決められた規定に沿ってランクが決まり、無能だと突きつけられる。テストの点ではないんです、
学校の成績ではないんです。ここは、能力を学ぶ場所ですから。それが全て。機械的に、規則的に、平等に分ける」
外の世界では気が付かなくて済む事実を、教えられる場所、と彼女は続ける。
「平等の先が不平等だなんて、笑えますよね。勿論、御坂さんのように例外は居ますけど」
美琴ちゃんは、元々レベル1だったそうだ。それが今ではレベル5の超能力者。
「……例外だなんて。そんなことはないだろう」
思ってもいないことを、言ってみる。
「例外ですよ」
それは、あっさりと切り伏せられた。
「例外中の例外。異常と言い表してもいいんじゃないですか?たしかにあたしはそこまでの努力はしていませんけど、御坂さんに劣らないほど努力をしてもなお、無能力者の
ままでいる人間は、学園都市には腐るほど居ます。腐るほど、腐っています」
学園都市に七人しか居ない、超能力者。
「レベル0とレベル1では、やはり違うんですよ」
そこで涙子ちゃんは、再び笑ってみせる。どこか、遠いところを見るように。
「……幻想御手(レベルアッパー)って知ってますか?」
ぼくは聞き覚えのない単語に、首を横に振る。
「簡単に言えば、能力のレベルを上げるシステムです。勿論、不法なシステムで認められていた物ではありません」
ドーピング剤のような物なのだろう。使用者のレベルを底上げする。
「あたし、それを使ったんですよ」
それは、意外な告白だった。
575:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 20:32:45.03:OPp2DJ4f0 (5/5)
少なくとも、美琴ちゃんや黒子ちゃん達とは普通の会話をしているように思えた。高位の能力者に囲まれながらも、楽しそうに笑っていたように見えた。
でも、それは演技だったのだろうか。いや、違う。どちらも彼女だ。友人と話すのは楽しい反面、心のどこかで劣等感を抱く。
そんなこと、誰が責められるのか。
「それで、結果は意識不明。最後は御坂さん達が大本のシステムを破壊して解決してくれましたけど」
それは、どれだけ辛い事なのだろうか。
追い求めた能力者に、その幻想を壊されたのは、どれだけ、辛い事だったのか。ぼくには分からない。
純粋に、肩を並べたかっただけなのに。
単純に、並んで歩きたかっただけなのに。
切実に、同じ立ち位置に立ちたかっただけなのに。
それすらも、許されることはなかった。
「助けてくれて嬉しかった、でも、その時はっきりと気が付いたんです。『自分は劣っている』って。いや実際はもっと前から知っていた。初めて身体検査の結果表を見たあ
の時から。それでも気が付かない振りをしていたのかも」
自分を偽り、誤魔化し生きる。
「……って、いきなり変な話をしてごめんなさい」
涙子ちゃんは小走りでぼくの前に移動すると、両足をそろえて深々と頭を下げた。
「なんだかいーさんには話したくなっちゃって」
「別に謝る事じゃあないさ。面白い話だったよ」
それは、本心だった。
涙子ちゃんはフフ、と中学生らしい笑みを零すと、両手を広げ後ろ向きに歩きながら一回転する。脇に並ぶ、風車のように。
「案外、あたし達は似た物どうしかもしれませんね」
楽しそうに笑う涙子ちゃんを、ビルの隙間から漏れるオレンジ色の日差しが照らしていた。
ぼくは回答に困り、数秒黙ったまま歩いて、とりあえず頷いておくことにした。
「ああ、きっとそうかもね」
少なくとも、美琴ちゃんや黒子ちゃん達とは普通の会話をしているように思えた。高位の能力者に囲まれながらも、楽しそうに笑っていたように見えた。
でも、それは演技だったのだろうか。いや、違う。どちらも彼女だ。友人と話すのは楽しい反面、心のどこかで劣等感を抱く。
そんなこと、誰が責められるのか。
「それで、結果は意識不明。最後は御坂さん達が大本のシステムを破壊して解決してくれましたけど」
それは、どれだけ辛い事なのだろうか。
追い求めた能力者に、その幻想を壊されたのは、どれだけ、辛い事だったのか。ぼくには分からない。
純粋に、肩を並べたかっただけなのに。
単純に、並んで歩きたかっただけなのに。
切実に、同じ立ち位置に立ちたかっただけなのに。
それすらも、許されることはなかった。
「助けてくれて嬉しかった、でも、その時はっきりと気が付いたんです。『自分は劣っている』って。いや実際はもっと前から知っていた。初めて身体検査の結果表を見たあ
の時から。それでも気が付かない振りをしていたのかも」
自分を偽り、誤魔化し生きる。
「……って、いきなり変な話をしてごめんなさい」
涙子ちゃんは小走りでぼくの前に移動すると、両足をそろえて深々と頭を下げた。
「なんだかいーさんには話したくなっちゃって」
「別に謝る事じゃあないさ。面白い話だったよ」
それは、本心だった。
涙子ちゃんはフフ、と中学生らしい笑みを零すと、両手を広げ後ろ向きに歩きながら一回転する。脇に並ぶ、風車のように。
「案外、あたし達は似た物どうしかもしれませんね」
楽しそうに笑う涙子ちゃんを、ビルの隙間から漏れるオレンジ色の日差しが照らしていた。
ぼくは回答に困り、数秒黙ったまま歩いて、とりあえず頷いておくことにした。
「ああ、きっとそうかもね」
576:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/15(火) 20:36:56.36:dF8iTv9AO (3/3)
この佐天さんまさか……
この佐天さんまさか……
577:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(埼玉県):2011/03/15(火) 21:16:41.98:tCRfW7CA0 (1/1)
「この街の子どもたちはいつまでも俯いているほどヤワじゃない」みたいな〆だったけど
……みんながみんなそう在れる筈もない、のかな
「この街の子どもたちはいつまでも俯いているほどヤワじゃない」みたいな〆だったけど
……みんながみんなそう在れる筈もない、のかな
578:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/15(火) 21:36:56.24:rn9TetRb0 (1/1)
似た者同士…違うな!
俺はスーパーサイヤ人だ!
似た者同士…違うな!
俺はスーパーサイヤ人だ!
579:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 21:46:18.76:09BrjfFf0 (1/3)
3
涙子ちゃんを送っていった後、ぼくは寄り道もせずに真っ直ぐ家路についた。意外なことにインデックスちゃんは帰ってきておらず、当然だが当麻くんも不在だった。
ぼくは部屋に入るなりベッドに倒れこみ目蓋を下ろす。
昼食をとりに出掛けただけなのに、ひどく疲れている。もうこのまま夕飯も食べずに眠ってしまいたいぐらいだった。
ゆっくりと意識が沈んでいくのを実感しながら横になっていると、突如インターフォンが鳴り響く。
インデックスちゃんだろうか。いや、彼女はインターフォンを鳴らすなど常識的な人間ではない。一番無難な線は当麻くんだ。一応誘った手前、彼女の管理人であるぼくに一
言挨拶をしに来た、と考えるのが自然だ。
「……いや、よく考えろ」
こうやって油断して扉を開いた結果が、哀川さんとのご対面だったじゃないか。哀川さんがまたぼくの元を訪れる可能性は限りなく零に近いが、絶対ではない。
この世に絶対など、絶対ないのだ。
ぼくは一応チェーンロックをかけてから、扉を開く。
「おっすー!いーさん。ボクやでー。貴方の街の歩く愛情こと、ボクやでー」
扉を閉じた。
うん、何もぼくは見ていない。長身で青髪にピアスをつけて、怪しい関西弁の男など居なかったんだ。
今こうしている間にも「ちょ、おま!なにすんのー!開けてー」となにやら喚く声が聞こえる気がするが、間違いなく幻聴だ。幻だ。疲れてるんだ、ぼくは。
「開けてーな!いーさん!!ボク今日寝る場所あらへんのよ!」
「今は夏だからきっと公園でも充分に一夜を明かせるさ」
未だ聞こえる幻聴に返事をする、ぼく。
「カミやんも、つっちーも留守で頼めるのはいーさんしか居ないんよ!お願いですから泊めてくださいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいい!!」
「近所迷惑だから少し黙れ」
あーあー、認めましょう。ぼくの部屋の前にはクラスメイトの青髪ピアスくん(通称)が居る。
認めたくないけど、現実だ。
「で、どうしてここに居るんだ。君は確か下宿してるんだろ?」
3
涙子ちゃんを送っていった後、ぼくは寄り道もせずに真っ直ぐ家路についた。意外なことにインデックスちゃんは帰ってきておらず、当然だが当麻くんも不在だった。
ぼくは部屋に入るなりベッドに倒れこみ目蓋を下ろす。
昼食をとりに出掛けただけなのに、ひどく疲れている。もうこのまま夕飯も食べずに眠ってしまいたいぐらいだった。
ゆっくりと意識が沈んでいくのを実感しながら横になっていると、突如インターフォンが鳴り響く。
インデックスちゃんだろうか。いや、彼女はインターフォンを鳴らすなど常識的な人間ではない。一番無難な線は当麻くんだ。一応誘った手前、彼女の管理人であるぼくに一
言挨拶をしに来た、と考えるのが自然だ。
「……いや、よく考えろ」
こうやって油断して扉を開いた結果が、哀川さんとのご対面だったじゃないか。哀川さんがまたぼくの元を訪れる可能性は限りなく零に近いが、絶対ではない。
この世に絶対など、絶対ないのだ。
ぼくは一応チェーンロックをかけてから、扉を開く。
「おっすー!いーさん。ボクやでー。貴方の街の歩く愛情こと、ボクやでー」
扉を閉じた。
うん、何もぼくは見ていない。長身で青髪にピアスをつけて、怪しい関西弁の男など居なかったんだ。
今こうしている間にも「ちょ、おま!なにすんのー!開けてー」となにやら喚く声が聞こえる気がするが、間違いなく幻聴だ。幻だ。疲れてるんだ、ぼくは。
「開けてーな!いーさん!!ボク今日寝る場所あらへんのよ!」
「今は夏だからきっと公園でも充分に一夜を明かせるさ」
未だ聞こえる幻聴に返事をする、ぼく。
「カミやんも、つっちーも留守で頼めるのはいーさんしか居ないんよ!お願いですから泊めてくださいぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいい!!」
「近所迷惑だから少し黙れ」
あーあー、認めましょう。ぼくの部屋の前にはクラスメイトの青髪ピアスくん(通称)が居る。
認めたくないけど、現実だ。
「で、どうしてここに居るんだ。君は確か下宿してるんだろ?」
580:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 21:46:55.84:09BrjfFf0 (2/3)
記憶が確かならパン屋に下宿しているはずだ。目的はそこの女子店員の制服。
このままでは埒が明かないと思い、しかたなくではあるが、チェーンを外し、扉を開け青髪くんを招き入れる。
「おお!いーさん、サンキュー!!」
扉を開けた瞬間、靴を脱ぎ捨てズカズカと室内へと入り込む青髪くん。なんというか、遠慮というものがないのだろうか。
青髪くんはそのまま部屋の中の物色を始める。だが、そこはぼくの部屋だ。探す場所など数えるほども無いし、彼が期待しているような物など一つも無い。
だから焦る必要も無いのだ。
だが、ぼくは彼を甘く見ていたようだった。
「……いーさん」
ちょうど洗面台を観察していた青髪くんが、急激に声のトーンを落として話すので、ぼくは肩を落として彼の後ろへと寄る。
「これ……なんや……」
彼の顔に、笑顔はもう無い。その右手には一本の歯ブラシが持たれていた。
「ただの歯ブラシだけど?」
「ただの歯ブラシ……ねぇ……だったら何でもう一個歯ブラシが用意されとるんや……」
ゆらり、と振り向く。
彼は、
泣いていた。
「この学生寮は一人一部屋やったよなぁ。それなのに何で余分に歯ブラシがあるん。それにこの抜け落ちた一本の髪の毛。これ……いーさんの髪じゃないやろ?いーさんの毛
はこんな長くないし、ましてやこんな色してへん。外人さんかぁ……ええなぁ。ひょっとして昼間にカミやんが連れてたシスターさんか?ほぉう。なるほど、これは調査の
必要あり、やね。このフラグ体質野郎が。えーえー気が付いておりました、ワタクシ。転校初日から女子生徒がいーさんに向ける熱いまなざしにな。これが、現実かいな。
世知辛いねぇ……」
どこぞの迷探偵も真っ青の、迷いようだった。というか、迷いすぎて返って真っ直ぐに見える。
後半に至っては、もう何を言っているのか理解できない。
「……身辺調査はそれぐらいにしてもらえると、助かるな」
ぼくは歯ブラシを奪い取ると、元の位置に戻し、青髪くんを半ば引っ張り出すような形で洗面所からリビングへと移動する。
「……それで、どうしてここに来たんだ?」
記憶が確かならパン屋に下宿しているはずだ。目的はそこの女子店員の制服。
このままでは埒が明かないと思い、しかたなくではあるが、チェーンを外し、扉を開け青髪くんを招き入れる。
「おお!いーさん、サンキュー!!」
扉を開けた瞬間、靴を脱ぎ捨てズカズカと室内へと入り込む青髪くん。なんというか、遠慮というものがないのだろうか。
青髪くんはそのまま部屋の中の物色を始める。だが、そこはぼくの部屋だ。探す場所など数えるほども無いし、彼が期待しているような物など一つも無い。
だから焦る必要も無いのだ。
だが、ぼくは彼を甘く見ていたようだった。
「……いーさん」
ちょうど洗面台を観察していた青髪くんが、急激に声のトーンを落として話すので、ぼくは肩を落として彼の後ろへと寄る。
「これ……なんや……」
彼の顔に、笑顔はもう無い。その右手には一本の歯ブラシが持たれていた。
「ただの歯ブラシだけど?」
「ただの歯ブラシ……ねぇ……だったら何でもう一個歯ブラシが用意されとるんや……」
ゆらり、と振り向く。
彼は、
泣いていた。
「この学生寮は一人一部屋やったよなぁ。それなのに何で余分に歯ブラシがあるん。それにこの抜け落ちた一本の髪の毛。これ……いーさんの髪じゃないやろ?いーさんの毛
はこんな長くないし、ましてやこんな色してへん。外人さんかぁ……ええなぁ。ひょっとして昼間にカミやんが連れてたシスターさんか?ほぉう。なるほど、これは調査の
必要あり、やね。このフラグ体質野郎が。えーえー気が付いておりました、ワタクシ。転校初日から女子生徒がいーさんに向ける熱いまなざしにな。これが、現実かいな。
世知辛いねぇ……」
どこぞの迷探偵も真っ青の、迷いようだった。というか、迷いすぎて返って真っ直ぐに見える。
後半に至っては、もう何を言っているのか理解できない。
「……身辺調査はそれぐらいにしてもらえると、助かるな」
ぼくは歯ブラシを奪い取ると、元の位置に戻し、青髪くんを半ば引っ張り出すような形で洗面所からリビングへと移動する。
「……それで、どうしてここに来たんだ?」
581:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/15(火) 21:49:07.61:09BrjfFf0 (3/3)
途中で寝てしまった。とりあえず今日はここまでです。
それにしても、佐天さんの扱い方がまとまらねえぜ……
途中で寝てしまった。とりあえず今日はここまでです。
それにしても、佐天さんの扱い方がまとまらねえぜ……
582:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中国地方):2011/03/15(火) 21:55:27.20:GSHcrtUG0 (2/2)
乙
スレによって結構印象変わるよな佐天さん
乙
スレによって結構印象変わるよな佐天さん
583:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/15(火) 22:00:23.11:8dEGA8mc0 (1/1)
乙
黒子だけは何も知らずに生き残りそうな気もする。
乙
黒子だけは何も知らずに生き残りそうな気もする。
584:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/15(火) 23:15:17.21:oQKlO+3DO (2/2)
乙
しかしこのsatinさん死ぬ気しかしない
乙
しかしこのsatinさん死ぬ気しかしない
585:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/03/16(水) 00:29:14.63:j8FYyeAAO (1/2)
さちんさん…?
さちんさん…?
586:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/16(水) 01:38:13.27:1TEhjynQ0 (1/1)
さてん
さてぃーん
さーてぃーん
あとは分かるな?
さてん
さてぃーん
さーてぃーん
あとは分かるな?
587:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/16(水) 02:11:26.34:kbEqWDDfo (1/1)
乙
乙
588:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/16(水) 07:20:05.15:SJE7ccvAO (1/2)
間違いなく佐天さんがはんn……うわなにをするや
間違いなく佐天さんがはんn……うわなにをするや
589:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/03/16(水) 09:08:12.15:j8FYyeAAO (2/2)
>>585
なんかエロい
>>585
なんかエロい
590:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方):2011/03/16(水) 16:12:14.81:NPp+T2/AO (1/1)
クビシメ的には死ぬポジションだよな。佐天さん。
クビシメ的には死ぬポジションだよな。佐天さん。
591:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/16(水) 16:52:28.93:OLpl0KzIO (1/1)
さちんちん…?
さちんちん…?
592:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/03/16(水) 17:28:26.65:kuz43LlPo (1/1)
そちん?
そちん?
593:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/16(水) 20:27:06.53:UhnF/BMDO (1/1)
satinって単語あるみたいだな
超初見だけど
sat・in /stn|‐tn/
━【名詞】【不可算名詞】
しゅす(織), サテン 《表面がなめらかで光沢のある絹織物; cf. sateen》.
━【形容詞】
(比較なし) しゅすの(ような), なめらかな,光沢のある.
[産地であった中国福建省の海港の名から; 【形容詞】 satiny]
satinって単語あるみたいだな
超初見だけど
sat・in /stn|‐tn/
━【名詞】【不可算名詞】
しゅす(織), サテン 《表面がなめらかで光沢のある絹織物; cf. sateen》.
━【形容詞】
(比較なし) しゅすの(ような), なめらかな,光沢のある.
[産地であった中国福建省の海港の名から; 【形容詞】 satiny]
594:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/16(水) 23:45:36.59:yhEP5jsJ0 (1/1)
お疲れさまです。
申し訳ありませんが、今日は投下できませんm(__)m
暇潰しに通り魔殺人の犯人当てでもどうぞwwww
お疲れさまです。
申し訳ありませんが、今日は投下できませんm(__)m
暇潰しに通り魔殺人の犯人当てでもどうぞwwww
595:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/16(水) 23:46:48.96:xfAneiWKo (1/1)
犯人は私だ
犯人は私だ
596:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/03/16(水) 23:51:21.91:MRNJAg1Wo (1/1)
いやあいつだ
いやあいつだ
597:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/16(水) 23:58:17.50:SJE7ccvAO (2/2)
いや、僕だ
さておき乙
つうことは既に伏線張ってるってことか……
いや、僕だ
さておき乙
つうことは既に伏線張ってるってことか……
598:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 00:03:40.69:ZsD8LKT+0 (1/1)
懐かしいな、ザレゴト。
人識と出夢が好きだったな。出てこないかなぁ。
懐かしいな、ザレゴト。
人識と出夢が好きだったな。出てこないかなぁ。
599:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 00:08:54.26:hdFLZhwSO (1/1)
satin
satin
600:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 00:44:08.23:fPisjI41o (1/1)
初春ワンチャン
初春ワンチャン
601:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県):2011/03/17(木) 01:07:00.75:ypEK+Fre0 (1/1)
俺が、俺たちが犯人だ!!
とまあ冗談は置いといて犯人が4人の中にいるなら佐天1択なんだよなぁ・・・
だがそれもあざといな
俺が、俺たちが犯人だ!!
とまあ冗談は置いといて犯人が4人の中にいるなら佐天1択なんだよなぁ・・・
だがそれもあざといな
602:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 01:11:23.03:yiPyYIqgo (1/1)
この四人組でこの手の事件の犯人にされやすい度でいえば
佐天>=美琴>>初春>黒子
かな、なんとなくだけど
この四人組でこの手の事件の犯人にされやすい度でいえば
佐天>=美琴>>初春>黒子
かな、なんとなくだけど
603:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 01:39:47.47:EkcgB3Ot0 (1/1)
ここまで怪しいと餌撒かれたら逆に佐天さんが犯人だったらびびるわww
4人組限定なら初春が犯人だろうけど4人組以外なら青pかな。
ここまで怪しいと餌撒かれたら逆に佐天さんが犯人だったらびびるわww
4人組限定なら初春が犯人だろうけど4人組以外なら青pかな。
604:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/03/17(木) 01:56:30.10:as8n96tAO (1/1)
いーちゃんは相変わらず年下キラーだな
質問ですが神裂火織さんじゅうはっさいは年下にカウントされますか?
いーちゃんは相変わらず年下キラーだな
質問ですが神裂火織さんじゅうはっさいは年下にカウントされますか?
605:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/03/17(木) 02:08:18.74:xSjEujJAO (1/1)
神裂火織さんじゅうはっさいはじゅうはっさいでありさんじゅうはっさいでもあるのでカウントされま
…記述はここで途切れている
神裂火織さんじゅうはっさいはじゅうはっさいでありさんじゅうはっさいでもあるのでカウントされま
…記述はここで途切れている
606:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 13:11:23.68:JmRDifPDO (1/1)
バットを使う点に注目すれば、さてんさん。
大男だという点に注目すれば、青ピ。
だが俺はあえて姫神と予想。
バットを使う点に注目すれば、さてんさん。
大男だという点に注目すれば、青ピ。
だが俺はあえて姫神と予想。
607:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/17(木) 18:22:13.60:P0MJB8ZAO (1/1)
登場人物に青ピはいない代わりに名前不明の殺人鬼がいる
……あとは、わかるな
登場人物に青ピはいない代わりに名前不明の殺人鬼がいる
……あとは、わかるな
608:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 18:23:14.85:jqXMzdIco (1/1)
私だって言ってるだろ!!
私だって言ってるだろ!!
609:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/17(木) 19:58:09.00:zqNK3xLz0 (1/1)
青ピは絶対違うと思
青ピは絶対違うと思
610:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/17(木) 20:45:50.62:fkcnEuEAO (1/1)
>>609
えない?
>>609
えない?
611:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/18(金) 00:27:57.31:R4bBjenh0 (1/5)
犯人当てとか調子のって申し訳ありません。
それではごく僅かですが投下します。
犯人当てとか調子のって申し訳ありません。
それではごく僅かですが投下します。
612:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/18(金) 00:28:34.42:R4bBjenh0 (2/5)
「人探ししてたらこんな時間になってしもうて、下宿先に入れてもらえんのや」
青髪くんはベッドに腰を下ろし、言った。
ぼくは彼とテーブルを挟んで床に座る。
「誰を探して?」
「小萌先生」
即答だった。幾らかその名前に驚いたが冷静を装い「ふぅん」と相槌を打つ。
その姿に彼の細い目は、しっかりとぼくを見据えている。
まるで、獲物を狩る狼の様に。
「どうして探してるんだい?」
「いやなぁ、近々補習があるハズなんやけど、その連絡がまぁーったく来ないんよ。だからや」
「学校に連絡は?」
「今日したよ。んなら黄泉川先生が『小萌先生は昨日急な用事が入ったから、補習は延期じゃん』って教えてくれた」
彼女は七月二十日の深夜に死んでいるはずだ。だから昨日急な用事が入ったとは嘘で、それがあの少年の言っていた後始末というヤツなのだろう。
しかし、ずさんな対応にも程がある。ぼくは声をあげて言ってしまった。
「どうして」と。
言ってしまって失言に気がつく。彼の態度に油断をしてしまっていたのか、それとも、彼の対応に気圧されてしまったのかは、ぼくにも分からない。
そして青髪くんはその言葉を逃さなかった。
「どうして……どうしてやろうなぁ。んじゃあ、いーさんはどうしてそう思ったん?」
口元は緩めているのに、両腕で上半身を支えるようにベッドに座っているというのに、彼の醸し出す雰囲気はただ事ではない。
あのおどけた態度も、策略の内か。
まるで清流のように穏やかな表情を貫いている青髪くんだが、その眼はさながら、あの請負人のようだ。
彼には、隙が、
無い。
「人探ししてたらこんな時間になってしもうて、下宿先に入れてもらえんのや」
青髪くんはベッドに腰を下ろし、言った。
ぼくは彼とテーブルを挟んで床に座る。
「誰を探して?」
「小萌先生」
即答だった。幾らかその名前に驚いたが冷静を装い「ふぅん」と相槌を打つ。
その姿に彼の細い目は、しっかりとぼくを見据えている。
まるで、獲物を狩る狼の様に。
「どうして探してるんだい?」
「いやなぁ、近々補習があるハズなんやけど、その連絡がまぁーったく来ないんよ。だからや」
「学校に連絡は?」
「今日したよ。んなら黄泉川先生が『小萌先生は昨日急な用事が入ったから、補習は延期じゃん』って教えてくれた」
彼女は七月二十日の深夜に死んでいるはずだ。だから昨日急な用事が入ったとは嘘で、それがあの少年の言っていた後始末というヤツなのだろう。
しかし、ずさんな対応にも程がある。ぼくは声をあげて言ってしまった。
「どうして」と。
言ってしまって失言に気がつく。彼の態度に油断をしてしまっていたのか、それとも、彼の対応に気圧されてしまったのかは、ぼくにも分からない。
そして青髪くんはその言葉を逃さなかった。
「どうして……どうしてやろうなぁ。んじゃあ、いーさんはどうしてそう思ったん?」
口元は緩めているのに、両腕で上半身を支えるようにベッドに座っているというのに、彼の醸し出す雰囲気はただ事ではない。
あのおどけた態度も、策略の内か。
まるで清流のように穏やかな表情を貫いている青髪くんだが、その眼はさながら、あの請負人のようだ。
彼には、隙が、
無い。
613:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/18(金) 00:29:38.87:R4bBjenh0 (3/5)
「……あかんなぁ、いーさん。あかんで。簡単に隙を見せてもうたら。そこは『どうして』じゃなくて『そうなんだ』って答えるところやろ」
彼はひらひらと右手を振る。
「……理由。知ってるんやな」
その言葉は質問ではない。強制だ。
「さぁ、君が何を言っているのかが理解できないね」
「とぼけるなや」
青髪くんは身を乗り出す。もう口元は緩んでいない。
「とぼけてなんかいないさ。小萌先生の用事なんて知ったこっちゃ無い。唯一知っているといえば七月の二十日に彼女を見たね」
「ぼくが見たのは、それが最後だ」と付け加えると、青髪くんは姿勢を戻し、顎に手を沿えなにやら数秒思案した後に立ち上がる。
「そおか。それが最後か」
「ああ、それで最後さ」
ぼくを見下ろす青髪くんと、青髪くんを見上げるぼく。
沈黙が場を支配する。
一時間、いや実際は数秒も経っていないだろう。この沈黙は青髪くんの言葉によって破られた。
「ああ、いーさん。そう言えば泊まるアテあったわ。いやぁうっかりしとったわぁ。んじゃ、ボクはもう行くなぁ」
「なんだよ。せっかく男同士水入らずで腹を割って恥ずかしい告白大会でもしようかと思っていたのに」
ぼくの言葉に「それは魅力的やなぁ」と表情を緩めると、そのまま部屋を出て行ってしまった。
別れの言葉は、無かった。
「……あかんなぁ、いーさん。あかんで。簡単に隙を見せてもうたら。そこは『どうして』じゃなくて『そうなんだ』って答えるところやろ」
彼はひらひらと右手を振る。
「……理由。知ってるんやな」
その言葉は質問ではない。強制だ。
「さぁ、君が何を言っているのかが理解できないね」
「とぼけるなや」
青髪くんは身を乗り出す。もう口元は緩んでいない。
「とぼけてなんかいないさ。小萌先生の用事なんて知ったこっちゃ無い。唯一知っているといえば七月の二十日に彼女を見たね」
「ぼくが見たのは、それが最後だ」と付け加えると、青髪くんは姿勢を戻し、顎に手を沿えなにやら数秒思案した後に立ち上がる。
「そおか。それが最後か」
「ああ、それで最後さ」
ぼくを見下ろす青髪くんと、青髪くんを見上げるぼく。
沈黙が場を支配する。
一時間、いや実際は数秒も経っていないだろう。この沈黙は青髪くんの言葉によって破られた。
「ああ、いーさん。そう言えば泊まるアテあったわ。いやぁうっかりしとったわぁ。んじゃ、ボクはもう行くなぁ」
「なんだよ。せっかく男同士水入らずで腹を割って恥ずかしい告白大会でもしようかと思っていたのに」
ぼくの言葉に「それは魅力的やなぁ」と表情を緩めると、そのまま部屋を出て行ってしまった。
別れの言葉は、無かった。
614:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/18(金) 00:31:59.80:R4bBjenh0 (4/5)
0と1の世界―――――――――(レート1の世界)
登場人物
初春飾利―――――――風紀委員
0と1の世界―――――――――(レート1の世界)
登場人物
初春飾利―――――――風紀委員
615:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/18(金) 00:33:01.18:R4bBjenh0 (5/5)
駄目だ。頭痛いっす。
明日、体調が良ければ来ます。
駄目だ。頭痛いっす。
明日、体調が良ければ来ます。
616:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 00:35:32.30:5pI0cC9zo (1/1)
おっつー
青髪は殺人を知ってて復讐のために犯人探しをしてた落ち期待
おっつー
青髪は殺人を知ってて復讐のために犯人探しをしてた落ち期待
617:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 01:01:47.92:UdrJ2LK80 (1/1)
乙です
格好いいなあ青ピ
乙です
格好いいなあ青ピ
618:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/18(金) 01:26:00.59:z0e6rzFJo (1/1)
他スレの所為で青ピが激強キャラにしか見えねぇwwwwww
他スレの所為で青ピが激強キャラにしか見えねぇwwwwww
619:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/18(金) 01:50:52.15:Zlq3S9EAO (1/1)
乙
お大事にな
乙
お大事にな
620:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/18(金) 05:11:37.61:dg5jVYEH0 (1/1)
>>610
とでも?
>>610
とでも?
621:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:36:02.84:1SoyOtsB0 (1/7)
こんな時間に投下します
こんな時間に投下します
622:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:36:29.73:1SoyOtsB0 (2/7)
0
機械は嘘を吐けないの。
0
機械は嘘を吐けないの。
623:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:37:16.30:1SoyOtsB0 (3/7)
1
この学園都市では外界との交流を持たないことになっている。一番の理由は能力開発なのだろうが、それに匹敵するのが科学技術だ。
「外の世界と二十年は開きがある」とまで言われる技術レベルは、実際に体験してみて痛感した。
警備、清掃などはロボットが自動で行い、風力発電も実用レベルで稼動中だ。
他にも様々な最新技術(というかむしろSFの世界だ)があるが、その中でも群を抜いて注目されるのが人工衛星「おりひめ1号」に搭載された、
超高度並列演算処理器(アブソリュートシミュレーター)、通称「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」だろう。その性能をぼくのような学生が
身近で感じれるのは天気予報だ。驚くべきことに分子レベルまで解析し、もはや予言とも言える天気予報を知らしてくれる。その的中率は十割。
それさえも本来の用途から余った時間で演算しているというのだから、いやはや、もう驚くしかない。
天気予報といえば、哀川さんも得意らしい。本人曰く「そんなもんは風で分かる」だそうだ。こちらも、もう驚くしかない。
その他にも携帯電話も外界とは一線を引くものがあって、あのファミレスで美琴ちゃん達と連絡先を交換した時も驚かれたのには、カルチャーショックを受けた。
皆物珍しげにぼくの携帯電話を弄繰り回し、黒子ちゃんに至っては「前世代の遺物ですの」だとかなんとか言って目を丸くしていた。失礼な奴め。
それにしても、美琴ちゃんの趣味は何というか、その、独特だった。カエル型の携帯電話など、一体彼女以外の、どの層を狙って製造されたのだろう。
そんな学園都市だからこそ、治安維持にも技術は余すとこなく使われている。先述した警備ロボをはじめ、指紋だけでなく声帯ロックまである研究所の出入り口。
無数の監視カメラが町中を監視し、その最新技術を駆使した「化学兵器」で武装した治安部隊《警備員(アンチスキル)》も日夜パトロールを続けている。
外界との隔たりの為に巨大な壁で敷地内を囲い、数箇所ある出入り口には厳重な警備体制が敷かれ、空中からの進入には対空兵器まであるという。
学生や、子供を預ける親にとっては安心となる材料かもしれないが、ぼくにはそうは思えなかった。
――まるで大きな箱庭。
記憶を無くす前に、当麻くんがポツリとそんなことを言っていた気がする。そして、ぼくもそれに同意している。
無数の監視カメラが監視しているのは不審者ではなく、学生であり。
聳え立つ高い壁は進入を防ぐものではなく、脱出を拒むものであり。
訓練された警備員は、反乱を企てた能力者を抑制するものではないのだろうか。
コインに表があれば、裏があるように。
どんな組織にも表と裏が、必ずある。
光が当たれば影ができるように。
火を焚けば、煙が立ち上がるように。
それが例え企業であろうと、国であろうと――学園都市であろうと、例外ではないのだろう。
1
この学園都市では外界との交流を持たないことになっている。一番の理由は能力開発なのだろうが、それに匹敵するのが科学技術だ。
「外の世界と二十年は開きがある」とまで言われる技術レベルは、実際に体験してみて痛感した。
警備、清掃などはロボットが自動で行い、風力発電も実用レベルで稼動中だ。
他にも様々な最新技術(というかむしろSFの世界だ)があるが、その中でも群を抜いて注目されるのが人工衛星「おりひめ1号」に搭載された、
超高度並列演算処理器(アブソリュートシミュレーター)、通称「樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)」だろう。その性能をぼくのような学生が
身近で感じれるのは天気予報だ。驚くべきことに分子レベルまで解析し、もはや予言とも言える天気予報を知らしてくれる。その的中率は十割。
それさえも本来の用途から余った時間で演算しているというのだから、いやはや、もう驚くしかない。
天気予報といえば、哀川さんも得意らしい。本人曰く「そんなもんは風で分かる」だそうだ。こちらも、もう驚くしかない。
その他にも携帯電話も外界とは一線を引くものがあって、あのファミレスで美琴ちゃん達と連絡先を交換した時も驚かれたのには、カルチャーショックを受けた。
皆物珍しげにぼくの携帯電話を弄繰り回し、黒子ちゃんに至っては「前世代の遺物ですの」だとかなんとか言って目を丸くしていた。失礼な奴め。
それにしても、美琴ちゃんの趣味は何というか、その、独特だった。カエル型の携帯電話など、一体彼女以外の、どの層を狙って製造されたのだろう。
そんな学園都市だからこそ、治安維持にも技術は余すとこなく使われている。先述した警備ロボをはじめ、指紋だけでなく声帯ロックまである研究所の出入り口。
無数の監視カメラが町中を監視し、その最新技術を駆使した「化学兵器」で武装した治安部隊《警備員(アンチスキル)》も日夜パトロールを続けている。
外界との隔たりの為に巨大な壁で敷地内を囲い、数箇所ある出入り口には厳重な警備体制が敷かれ、空中からの進入には対空兵器まであるという。
学生や、子供を預ける親にとっては安心となる材料かもしれないが、ぼくにはそうは思えなかった。
――まるで大きな箱庭。
記憶を無くす前に、当麻くんがポツリとそんなことを言っていた気がする。そして、ぼくもそれに同意している。
無数の監視カメラが監視しているのは不審者ではなく、学生であり。
聳え立つ高い壁は進入を防ぐものではなく、脱出を拒むものであり。
訓練された警備員は、反乱を企てた能力者を抑制するものではないのだろうか。
コインに表があれば、裏があるように。
どんな組織にも表と裏が、必ずある。
光が当たれば影ができるように。
火を焚けば、煙が立ち上がるように。
それが例え企業であろうと、国であろうと――学園都市であろうと、例外ではないのだろう。
624:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:38:12.48:1SoyOtsB0 (4/7)
だからこそ、箱庭だ。
ひどく限定的なコミュニティ。
内部に居るからこそ、敷地の広大さに目を眩ませがちになるが、これはもはや牢獄に近い。
いや、学園都市なのだから「研究施設」と表したほうが適切だろうか。
あの白い少年も「実験」を夜な夜な行っているのだから。
投薬をし、
脳をいじくり、
催眠をかけ、
じっくりと、
頭
の
、
開発をする。
考えてみれば、実験用のマウスと大差無い扱いを受けている。
レベルなど、優良な実験体か否かの判別でしかないだろう。
それに一喜一憂をし、コンプレックスを抱く。
ひょっとしたら、マウスよりも人間のほうが扱いやすいのかもしれない。
他人と違う能力を持ちたい。
上のレベルへと上がりたい。
その前向きな理由によって、学園都市の人々は自らその身体を差し出している。
本当に、戯言だ。
0(何も無い)の人間と。
1(何か有る)の人間。
どちらが優秀で、劣っているかなど、このさい関係など無いのに。
だからこそ、箱庭だ。
ひどく限定的なコミュニティ。
内部に居るからこそ、敷地の広大さに目を眩ませがちになるが、これはもはや牢獄に近い。
いや、学園都市なのだから「研究施設」と表したほうが適切だろうか。
あの白い少年も「実験」を夜な夜な行っているのだから。
投薬をし、
脳をいじくり、
催眠をかけ、
じっくりと、
頭
の
、
開発をする。
考えてみれば、実験用のマウスと大差無い扱いを受けている。
レベルなど、優良な実験体か否かの判別でしかないだろう。
それに一喜一憂をし、コンプレックスを抱く。
ひょっとしたら、マウスよりも人間のほうが扱いやすいのかもしれない。
他人と違う能力を持ちたい。
上のレベルへと上がりたい。
その前向きな理由によって、学園都市の人々は自らその身体を差し出している。
本当に、戯言だ。
0(何も無い)の人間と。
1(何か有る)の人間。
どちらが優秀で、劣っているかなど、このさい関係など無いのに。
625:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:38:57.00:1SoyOtsB0 (5/7)
「いーさん。お茶をどうぞ」
目の前に出されていた資料に一通り目を通し、そんな考え事をしていると飾利ちゃんから声がかかり、テーブルの上にコーヒーが置かれる。
「ああ、ありがとう」
ぼくはそれをブラックのまま口に運び、カップを少し傾ける。
今、ぼくがのんびりと学園都市の資料を読んで、優雅にコーヒーをすすっている場所は風紀委員第177支部の詰め所だ。ぼくの部屋ではない。
ぼく以外には飾利ちゃんが居るし、奥には黒子ちゃんだって居る。それは何も間違いではない。なぜなら彼女達は風紀委員なのだから。
そう、この場合イレギュラーなのは、ぼくだ。
風紀委員とは警備員の他に唯一ある治安維持組織。学生のみで構成されているため、警備員ほど危険な職務はしないが不審者や、違法者の取調べもする。
つまり、ぼくは取り調べの為にこの支部に居るのだった。
「それにしても、朝から申し訳ありません」
「飾利ちゃんが気にすることじゃないよ。これは職務なんだろ?」
飾利ちゃんはぼくの言葉に微笑みながら「そうですね」と言ってテーブルを挟んで向こう側のソファーに腰掛ける。
ぼく達の会話を聞いていたのか、姿は見えないが奥から黒子ちゃんの声が聞こえてきた。
「いーさんの言う通りですわよ、初春。いーさんがここに居るのはそれ相応の理由があるんですから、当然ですの」
その言葉には、どこか棘があった。やはり朝方彼女と遭遇したときに、黒子ちゃんのツインテールを掴んでハーレーごっこをしたのがいけなかったのだろうか。
いや、普段のぼくならそんなことするキャラじゃないんだけど、あの時は何故か身体が勝手に動いたんだ。本当に。
「スキルアウトに絡まれてる学生が居ると初春から連絡を受けて現場に向かってみれば、まさか貴方でしたとは」
黒子ちゃんの声は、どこか低いトーンだった。肩をすくめて首を横に振っているような、そんな仕草をしているのかもしれない。
無理もない。先ほど見た彼女のデスクには山になった書類が鎮座しており、その全てが本日提出の始末書だという。因みに、ぼくの件でもう一枚追加されていた。
どうやら風紀委員の活動内容は非常に狭い範囲内らしく、ちょっとしたことで越権行為とみなされ、始末書を書かなければならないらしい。
変にリアルな学生組織だ。
飾利ちゃんは四苦八苦する黒子ちゃんを見てニヤニヤと笑っていた。どうやら彼女は黒子ちゃんに対してはそれなりの対応をするようだ。
「いーさん。お茶をどうぞ」
目の前に出されていた資料に一通り目を通し、そんな考え事をしていると飾利ちゃんから声がかかり、テーブルの上にコーヒーが置かれる。
「ああ、ありがとう」
ぼくはそれをブラックのまま口に運び、カップを少し傾ける。
今、ぼくがのんびりと学園都市の資料を読んで、優雅にコーヒーをすすっている場所は風紀委員第177支部の詰め所だ。ぼくの部屋ではない。
ぼく以外には飾利ちゃんが居るし、奥には黒子ちゃんだって居る。それは何も間違いではない。なぜなら彼女達は風紀委員なのだから。
そう、この場合イレギュラーなのは、ぼくだ。
風紀委員とは警備員の他に唯一ある治安維持組織。学生のみで構成されているため、警備員ほど危険な職務はしないが不審者や、違法者の取調べもする。
つまり、ぼくは取り調べの為にこの支部に居るのだった。
「それにしても、朝から申し訳ありません」
「飾利ちゃんが気にすることじゃないよ。これは職務なんだろ?」
飾利ちゃんはぼくの言葉に微笑みながら「そうですね」と言ってテーブルを挟んで向こう側のソファーに腰掛ける。
ぼく達の会話を聞いていたのか、姿は見えないが奥から黒子ちゃんの声が聞こえてきた。
「いーさんの言う通りですわよ、初春。いーさんがここに居るのはそれ相応の理由があるんですから、当然ですの」
その言葉には、どこか棘があった。やはり朝方彼女と遭遇したときに、黒子ちゃんのツインテールを掴んでハーレーごっこをしたのがいけなかったのだろうか。
いや、普段のぼくならそんなことするキャラじゃないんだけど、あの時は何故か身体が勝手に動いたんだ。本当に。
「スキルアウトに絡まれてる学生が居ると初春から連絡を受けて現場に向かってみれば、まさか貴方でしたとは」
黒子ちゃんの声は、どこか低いトーンだった。肩をすくめて首を横に振っているような、そんな仕草をしているのかもしれない。
無理もない。先ほど見た彼女のデスクには山になった書類が鎮座しており、その全てが本日提出の始末書だという。因みに、ぼくの件でもう一枚追加されていた。
どうやら風紀委員の活動内容は非常に狭い範囲内らしく、ちょっとしたことで越権行為とみなされ、始末書を書かなければならないらしい。
変にリアルな学生組織だ。
飾利ちゃんは四苦八苦する黒子ちゃんを見てニヤニヤと笑っていた。どうやら彼女は黒子ちゃんに対してはそれなりの対応をするようだ。
626:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:39:26.01:1SoyOtsB0 (6/7)
「それにしても凄いね」
「何がですか?」
ぼくの言葉に片手に持っていたカップを置き、首をかしげる飾利ちゃん。
「飾利ちゃんがぼくを見つけてくれたんだろ?」
探し物をしている途中、路地裏で不良たちに絡まれてから、黒子ちゃんが現場に到着するまでは五分もかからなかった。
「通報を受けたのが早かったからですよ。その情報と監視カメラを検索して照らし合わせれば場所なんて特定するのは簡単です」
どこか照れながらも、少し自慢げにそう話す飾利ちゃん。
昔、どこかで謙遜と謙虚の違いを聞いたが、恐らくは前者だろう。
「いや、それでも凄いと思うよ。的確な処置があってこそだ。だからもっと誇ってもいいんじゃないかな」
ぼくがそう言うと「いやぁ、へへ、あふぅ……」などとよく分からない呟きをしながら、身体をモジモジとさせる。
面白い娘だなぁ、と感心していたら奥からげんなりした表情を浮かべた黒子ちゃんが現れる。
本当に小柄な女の子だ。この子が不良たちを一瞬で鎮圧したのが嘘のように、華奢だ。
「ふん。あの程度の連中なら相手にもなりませんの」
自慢げに言い放った彼女は「なるほど。始末書のほうが厄介なんだね」というぼくの言葉に再び肩を落とし、ため息を吐く。
「まぁ黒子ちゃんの能力も凄いけど、飾利ちゃんのスキルも凄いと思うぜ。さっきチラッと見させてもらったけど、それだけで感じるくらいは」
まぁパソコンに余り詳しくないので、どのレベルで凄いのかは皆目見当もつかないが、一般的なレベルと照らし合わせても軽く凌いでしまうだろう。
「それで中学一年生だからなぁ。元々興味があったの?」
ただ会話を続けるために聞いたのだが、黒子ちゃんも興味があるようで「そういえば聞いたことありませんわね」と言いながら飾利ちゃんの隣へ腰を下ろす。
どうやら始末書は一時お預けのようだ。
「えっと、昔は全く興味が無かったんですけど……ある事件がきっかけで勉強するようになりました」
節目がちに話す彼女が続けた言葉は、ぼくを驚かすには十分すぎるほどのものだった。
「数年前にあったサイバーテロ事件って覚えていますか?」
「それにしても凄いね」
「何がですか?」
ぼくの言葉に片手に持っていたカップを置き、首をかしげる飾利ちゃん。
「飾利ちゃんがぼくを見つけてくれたんだろ?」
探し物をしている途中、路地裏で不良たちに絡まれてから、黒子ちゃんが現場に到着するまでは五分もかからなかった。
「通報を受けたのが早かったからですよ。その情報と監視カメラを検索して照らし合わせれば場所なんて特定するのは簡単です」
どこか照れながらも、少し自慢げにそう話す飾利ちゃん。
昔、どこかで謙遜と謙虚の違いを聞いたが、恐らくは前者だろう。
「いや、それでも凄いと思うよ。的確な処置があってこそだ。だからもっと誇ってもいいんじゃないかな」
ぼくがそう言うと「いやぁ、へへ、あふぅ……」などとよく分からない呟きをしながら、身体をモジモジとさせる。
面白い娘だなぁ、と感心していたら奥からげんなりした表情を浮かべた黒子ちゃんが現れる。
本当に小柄な女の子だ。この子が不良たちを一瞬で鎮圧したのが嘘のように、華奢だ。
「ふん。あの程度の連中なら相手にもなりませんの」
自慢げに言い放った彼女は「なるほど。始末書のほうが厄介なんだね」というぼくの言葉に再び肩を落とし、ため息を吐く。
「まぁ黒子ちゃんの能力も凄いけど、飾利ちゃんのスキルも凄いと思うぜ。さっきチラッと見させてもらったけど、それだけで感じるくらいは」
まぁパソコンに余り詳しくないので、どのレベルで凄いのかは皆目見当もつかないが、一般的なレベルと照らし合わせても軽く凌いでしまうだろう。
「それで中学一年生だからなぁ。元々興味があったの?」
ただ会話を続けるために聞いたのだが、黒子ちゃんも興味があるようで「そういえば聞いたことありませんわね」と言いながら飾利ちゃんの隣へ腰を下ろす。
どうやら始末書は一時お預けのようだ。
「えっと、昔は全く興味が無かったんですけど……ある事件がきっかけで勉強するようになりました」
節目がちに話す彼女が続けた言葉は、ぼくを驚かすには十分すぎるほどのものだった。
「数年前にあったサイバーテロ事件って覚えていますか?」
627:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/19(土) 01:40:59.10:1SoyOtsB0 (7/7)
ここまでです。
それじゃあ、また明日とか
ここまでです。
それじゃあ、また明日とか
628:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/19(土) 01:46:17.17:eRR9/LX1o (1/1)
乙
たまたま見に来たら更新してて微妙に嬉しい
乙
たまたま見に来たら更新してて微妙に嬉しい
629:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/19(土) 01:56:16.71:KlNIo7OAO (1/1)
乙
ここで玖渚か…
乙
ここで玖渚か…
630:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/19(土) 02:52:06.76:6Sbfb2cAO (1/1)
乙
ハーレーごっこで吹いた
乙
ハーレーごっこで吹いた
631:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/19(土) 12:57:12.24:g1gWOswDO (1/1)
いろいろうめぇなぁ
クロスものはこうじゃないとね
いろいろうめぇなぁ
クロスものはこうじゃないとね
632:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/03/20(日) 04:10:34.82:7+mkunk7o (1/2)
な、なんだと昼から今までまったくカキコがなかっただと・・・
珍しいな、
な、なんだと昼から今までまったくカキコがなかっただと・・・
珍しいな、
633:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/03/20(日) 04:53:06.15:amXKXRKso (1/2)
むしろ雑談が凄いのが異常なのでは?
むしろ雑談が凄いのが異常なのでは?
634:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/03/20(日) 06:51:15.31:7+mkunk7o (2/2)
>>633
今までが異常だったんだな
だが俺はその今までのスレを愛していた。
そう、それこそが俺の【異常】
デンジャラスラバー
【異常性癖】だ!!
書きたかっだけ
>>633
今までが異常だったんだな
だが俺はその今までのスレを愛していた。
そう、それこそが俺の【異常】
デンジャラスラバー
【異常性癖】だ!!
書きたかっだけ
635:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/03/20(日) 07:06:30.93:amXKXRKso (2/2)
あっちでノーマライズリキッドでも飲んでてください
あっちでノーマライズリキッドでも飲んでてください
636:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県):2011/03/20(日) 09:48:24.08:rYVDOAMJ0 (1/1)
二度と戻ってくるなよ邪魔で気持ち悪いから
二度と戻ってくるなよ邪魔で気持ち悪いから
637:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/20(日) 18:26:39.55:UzXi4owAO (1/1)
まだー?
まだー?
638:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/21(月) 00:48:28.55:XEOGybbE0 (1/1)
お疲れさまです。
申し訳ありませんが、今日も投下できませんorz
このssには関係ないけど、新訳を読む暇がねぇ……。
お疲れさまです。
申し訳ありませんが、今日も投下できませんorz
このssには関係ないけど、新訳を読む暇がねぇ……。
639:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/21(月) 07:11:40.38:zysVyw4AO (1/1)
おつおつ
ゆっくり更新してね
おつおつ
ゆっくり更新してね
640:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/21(月) 09:15:12.52:wuH5V2xAO (1/1)
新薬はちょっとアレだから読まなくてもいいんじゃ……
新薬はちょっとアレだから読まなくてもいいんじゃ……
641:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/21(月) 10:03:24.46:lVtZ4F4SO (1/1)
>>640
人によって感じかたは違うと思うが、俺も同意だ。
あれは禁書ではない、ロボット系の何かだ。
>>640
人によって感じかたは違うと思うが、俺も同意だ。
あれは禁書ではない、ロボット系の何かだ。
642:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県):2011/03/21(月) 15:27:45.89:622kkovH0 (1/1)
新約を読んでどう思うかは人それぞれだが、結構新しい情報も出ているし読んだ方がいいんじゃないかな。
まあ1巻は準備みたいなモンだろうし次に期待。
ゆっくり更新してください
新約を読んでどう思うかは人それぞれだが、結構新しい情報も出ているし読んだ方がいいんじゃないかな。
まあ1巻は準備みたいなモンだろうし次に期待。
ゆっくり更新してください
643:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/21(月) 15:35:27.34:g40HejZt0 (1/1)
別にロボット系になろうとなんだろうといいんだけど
避けただけでTPOわきまえ太郎があんなにビビったのには引いた
別にロボット系になろうとなんだろうといいんだけど
避けただけでTPOわきまえ太郎があんなにビビったのには引いた
644:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 20:15:06.67:bSOxKKvj0 (1/3)
ご無沙汰ですが投下します。新約は色々と……
ご無沙汰ですが投下します。新約は色々と……
645:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 20:16:00.05:bSOxKKvj0 (2/3)
飾利ちゃんの言うサイバーテロ事件というのは、ひょっとしなくてもあの事件だろう。
そしてその事件の概要を語るには、ついにと言うか、やはりと言うべきか、玖渚について説明しなければならない。
玖渚友。
サヴァンと呼ばれる異端の少女。青髪。完全記憶能力者。風呂嫌い。技術屋。うにー。
と、彼女についてふと思い付いただけの単語を羅列したところで、何の説明になっていないのは重々承知だけれど、
いかんせん玖渚については多く語りたくないというのが正直な意見だ。
観念してこの玖渚友――不覚にもインデックスちゃんを重ねて見てしまった少女を手っ取り早く、簡潔に、たった二文字で表すとするならば《天才》と言うのが
最も正しい表現だろう。特に情報工学と機械工学についてはスペシャリストで、あの陸の孤島に鎮座しているまるで牢屋のような研究所のセキュリティシステムも、
作成したのは玖渚だ。
さて、どうしてこの十代の小娘が飾利ちゃんの言うサイバーテロ事件と関係があるのかと言えば、答えは簡単だ。
事件を起こした《チーム》のリーダーこそ、玖渚なのだから。
目的を持たず、意思を表明せず、ネット社会に風よりも速く現れ、林よりも静かに動き、火よりも激しく破壊し、山をも粉砕するほどの勢いで暴れまわった《チーム》は
しなかったことがないぐらいに、何でもした。
それがサイバーテロ事件の曖昧すぎる全貌。結局、彼らの目的は明かされること無く、一度も表さなかった姿を消した。
飾利ちゃんがその事件を知っているということは、《チーム》の行動エリアに学園都市もエントリーされていたのだろうか。
そして事件と言うくらいなので、少なからず実害も発生したのだろう。
外界との技術差が天と地ほどあるこの学園都市に被害をもたらしたということは、つまり《チーム》の技術レベルは学園都市をも凌ぐということになる。
いや、ひょっとしたら他の例と同じように、《チーム》が現れたからこそ、技術レベルが上がったのかもしれない。
とにかく、飾利ちゃんの情報処理能力と、《チーム》が起こしたサイバーテロ事件には何らかの関係があるということ、らしい。
まさか飾利ちゃんが《チーム》の一員だったとは言うまい。もし仮にそうだったとしたら、ぼくは即効この場から逃げ出すぞ。
以前に一人だけ《チーム》の一員と合ったことがあるが、どうしようもなく厄介な存在だった。
「そのサイバーテロの犯人達がなんだか格好良く見えたんです」
風紀委員のくせに何を言っているんでしょうね、と飾利ちゃんは間に挟む。
「目的も言わずに現れて、好き勝手に暴れて、気の向くままに退散する。その、なんていうかその奔放さに」
「憧れた?」
ぼくの言葉にゆっくりと頷く飾利ちゃん。
「きっと今よりも私は子供だったんでしょう。今は犯人達のしたことは許せないと思っていますし、もしまた現れたのなら私が捕まえて見せます」
その目には、どこか強い意志が宿っているように見えた。
飾利ちゃんの言うサイバーテロ事件というのは、ひょっとしなくてもあの事件だろう。
そしてその事件の概要を語るには、ついにと言うか、やはりと言うべきか、玖渚について説明しなければならない。
玖渚友。
サヴァンと呼ばれる異端の少女。青髪。完全記憶能力者。風呂嫌い。技術屋。うにー。
と、彼女についてふと思い付いただけの単語を羅列したところで、何の説明になっていないのは重々承知だけれど、
いかんせん玖渚については多く語りたくないというのが正直な意見だ。
観念してこの玖渚友――不覚にもインデックスちゃんを重ねて見てしまった少女を手っ取り早く、簡潔に、たった二文字で表すとするならば《天才》と言うのが
最も正しい表現だろう。特に情報工学と機械工学についてはスペシャリストで、あの陸の孤島に鎮座しているまるで牢屋のような研究所のセキュリティシステムも、
作成したのは玖渚だ。
さて、どうしてこの十代の小娘が飾利ちゃんの言うサイバーテロ事件と関係があるのかと言えば、答えは簡単だ。
事件を起こした《チーム》のリーダーこそ、玖渚なのだから。
目的を持たず、意思を表明せず、ネット社会に風よりも速く現れ、林よりも静かに動き、火よりも激しく破壊し、山をも粉砕するほどの勢いで暴れまわった《チーム》は
しなかったことがないぐらいに、何でもした。
それがサイバーテロ事件の曖昧すぎる全貌。結局、彼らの目的は明かされること無く、一度も表さなかった姿を消した。
飾利ちゃんがその事件を知っているということは、《チーム》の行動エリアに学園都市もエントリーされていたのだろうか。
そして事件と言うくらいなので、少なからず実害も発生したのだろう。
外界との技術差が天と地ほどあるこの学園都市に被害をもたらしたということは、つまり《チーム》の技術レベルは学園都市をも凌ぐということになる。
いや、ひょっとしたら他の例と同じように、《チーム》が現れたからこそ、技術レベルが上がったのかもしれない。
とにかく、飾利ちゃんの情報処理能力と、《チーム》が起こしたサイバーテロ事件には何らかの関係があるということ、らしい。
まさか飾利ちゃんが《チーム》の一員だったとは言うまい。もし仮にそうだったとしたら、ぼくは即効この場から逃げ出すぞ。
以前に一人だけ《チーム》の一員と合ったことがあるが、どうしようもなく厄介な存在だった。
「そのサイバーテロの犯人達がなんだか格好良く見えたんです」
風紀委員のくせに何を言っているんでしょうね、と飾利ちゃんは間に挟む。
「目的も言わずに現れて、好き勝手に暴れて、気の向くままに退散する。その、なんていうかその奔放さに」
「憧れた?」
ぼくの言葉にゆっくりと頷く飾利ちゃん。
「きっと今よりも私は子供だったんでしょう。今は犯人達のしたことは許せないと思っていますし、もしまた現れたのなら私が捕まえて見せます」
その目には、どこか強い意志が宿っているように見えた。
646:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 20:16:38.00:bSOxKKvj0 (3/3)
「始めは憧れだったかもしれませんが、悪は悪です。私のスキルがここまで伸びた理由が彼らだとしても、捕まえるべき対象です。
それが、風紀委員として私が出来ることですから」
「……立派だね」
飾利ちゃんの話に黒子ちゃんがゆっくりと頷く。これが彼女達――風紀委員としての誇りであり、働き続ける理由なのだろう。
悪は必ず裁かれる。裁かれるというのは、裁く人間が居るということ。
それでも。
それでも、その裁くべき悪が守るべき善だったらどうするのだろうか。
正義の反対は必ずしも悪ではない。むしろ純粋な悪意などは稀だ。
正義の反対は別の正義であり、信念を貫く先には、別の信念が立ちふさがっている。
それに気が付いても尚、己が正義だと言い張れる人間は、最早、正義でもなんでもないただのエゴイストに過ぎない。
「こんな立派な子達に守られていると思うと、安心だ」
「顔がそうは言ってませんわよ」
黒子ちゃんがじろりとこちらを睨む。まだ今朝の一件を引きずっているのだろうか。それならそのチョッパーハンドルのような髪型は控えるべきだと思う。
思わず掴んで跨ってアクセルをふかしたくなってしまう。
「ふかすのは嘘だけで十分ですの!!」
ツインテールを逆立たせ、フシャー!っと威嚇音を鳴らす黒子ちゃん。
「まぁそう怒るなよ、黒子ダビッドソン」
「そうですよ。白井=ハーレー=黒子さん。始末書が残っているんですからさっさとご自分のデスクにタンデムしてくださいよ」
飾利ちゃんが満面の笑みを浮かべて被せてくる。この子、本当に黒子ちゃんを弄るときは楽しそうな顔するよな。何か恨みでもあるのだろうか。
黒子ちゃんはブツブツと何かを呟きながら、始末書の山を崩すべく立ち上がった。
「それじゃあ、もういいだろう?」
そして、ぼくもそれに続く。
「ええ、調書も取りましたし、問題ありませんの」
「長い間、お疲れさまでした」
別れの言葉を言う二人に軽く手を挙げて、ぼくは呑み掛けのコーヒーをそのままに、詰め所を後にした。
外に出て空を見上げると、飛行船が午後振る雨をぼくに知らせてくれる。傘など持っていないぼくは急いで帰ることを心に決めた。
全く。便利な場所だ。
「始めは憧れだったかもしれませんが、悪は悪です。私のスキルがここまで伸びた理由が彼らだとしても、捕まえるべき対象です。
それが、風紀委員として私が出来ることですから」
「……立派だね」
飾利ちゃんの話に黒子ちゃんがゆっくりと頷く。これが彼女達――風紀委員としての誇りであり、働き続ける理由なのだろう。
悪は必ず裁かれる。裁かれるというのは、裁く人間が居るということ。
それでも。
それでも、その裁くべき悪が守るべき善だったらどうするのだろうか。
正義の反対は必ずしも悪ではない。むしろ純粋な悪意などは稀だ。
正義の反対は別の正義であり、信念を貫く先には、別の信念が立ちふさがっている。
それに気が付いても尚、己が正義だと言い張れる人間は、最早、正義でもなんでもないただのエゴイストに過ぎない。
「こんな立派な子達に守られていると思うと、安心だ」
「顔がそうは言ってませんわよ」
黒子ちゃんがじろりとこちらを睨む。まだ今朝の一件を引きずっているのだろうか。それならそのチョッパーハンドルのような髪型は控えるべきだと思う。
思わず掴んで跨ってアクセルをふかしたくなってしまう。
「ふかすのは嘘だけで十分ですの!!」
ツインテールを逆立たせ、フシャー!っと威嚇音を鳴らす黒子ちゃん。
「まぁそう怒るなよ、黒子ダビッドソン」
「そうですよ。白井=ハーレー=黒子さん。始末書が残っているんですからさっさとご自分のデスクにタンデムしてくださいよ」
飾利ちゃんが満面の笑みを浮かべて被せてくる。この子、本当に黒子ちゃんを弄るときは楽しそうな顔するよな。何か恨みでもあるのだろうか。
黒子ちゃんはブツブツと何かを呟きながら、始末書の山を崩すべく立ち上がった。
「それじゃあ、もういいだろう?」
そして、ぼくもそれに続く。
「ええ、調書も取りましたし、問題ありませんの」
「長い間、お疲れさまでした」
別れの言葉を言う二人に軽く手を挙げて、ぼくは呑み掛けのコーヒーをそのままに、詰め所を後にした。
外に出て空を見上げると、飛行船が午後振る雨をぼくに知らせてくれる。傘など持っていないぼくは急いで帰ることを心に決めた。
全く。便利な場所だ。
647:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/22(火) 20:22:34.52:eegBae1AO (1/2)
キタァアアアア!
キタァアアアア!
648:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 21:08:43.49:gpHjgKQ/0 (1/2)
2
風紀委員の詰め所から学生寮へと戻り、そこで本来外出した目的を思い出して「不幸だ」と当麻くんのように呟いた後、空腹で部屋の隅っこに座り込みながらガチガチと
歯を鳴らすインデックスちゃんに素麺を茹でて恵んでやり、ぼくはまた外出することにした。
目的地へ向かう途中で玖渚に用件があることも思い出し、道を歩きながら携帯電話を取り出してコールする。
「どもー!いーちゃんお電話ありがっとーう!!僕様ちゃんだよー!!」
一コール目で出やがった。
「あれー?いーちゃんって今学園都市に居るんだよねー?だったら気をつけなきゃいけないよ!そこから外部への電波は傍受されてるからさ!きゃはははははは!
でもでもでもでも、それってとっても無意味だよん。無意味無意味無味無臭!僕様ちゃんといーちゃんの電波は誰にだって妨害されないんだからねー!!安心し
てお喋りできるよーん!」
何というか、久しぶりにここまで極端なキャラと喋った気がする。いや、まだぼくは一言も発していないんだけれど。
「お土産は常盤台中学の制服でいいか?」
「うん!って言いたいところだけど駄目ー。だって僕様ちゃん常盤台の制服持ってるもん!そだねーここは頂点上機か霧ヶ丘女学院をチョイスして頂きたいっ!
なんつってー!もう持ってるからいいよー!僕様ちゃんは思わぬいーちゃんからの電話で十分満足だっぜ!!ん?というかいーちゃんまた女装してるのかい!?
これはビックリ!驚天動地だね!常盤台とはまたまた王道を行くじゃないかぁ!ああ写メりたいデジカメりたい一眼レフたい!」
「ちょ、友。少し落ち着いてくれよ」
コイツはさんま師匠の弟子かなにかなのか。そういえば明石家さんまが一日で喋る量を換算したら中編小説一冊分になるという話を聞いたことがある。
あの人ならやりかねないと不思議と思ってしまえるあたり、冗談にならない。
「お前が昔《悪さ》してた時って、足が付いたことあるか?」
少し声のトーンを落とす。
「ん?あぁ皆と一緒にはっちゃけてたときだね!勿論見つかったわけ無いじゃん!……でも、あ!そういや一回僕様ちゃん当てにメールが来たことがあるよ」
「メール?」
「差出人不明!タイトル無し!本文にはたった一言「頑張ってください」ってねー!きゃはははははははは!さっちゃんがそれを見つけた瞬間パソコンごとぶっ壊しちゃった
から逆探できなかったんだよね。まぁ復旧させてしたんだけだけど!驚く無かれ!なんと送信先は」
2
風紀委員の詰め所から学生寮へと戻り、そこで本来外出した目的を思い出して「不幸だ」と当麻くんのように呟いた後、空腹で部屋の隅っこに座り込みながらガチガチと
歯を鳴らすインデックスちゃんに素麺を茹でて恵んでやり、ぼくはまた外出することにした。
目的地へ向かう途中で玖渚に用件があることも思い出し、道を歩きながら携帯電話を取り出してコールする。
「どもー!いーちゃんお電話ありがっとーう!!僕様ちゃんだよー!!」
一コール目で出やがった。
「あれー?いーちゃんって今学園都市に居るんだよねー?だったら気をつけなきゃいけないよ!そこから外部への電波は傍受されてるからさ!きゃはははははは!
でもでもでもでも、それってとっても無意味だよん。無意味無意味無味無臭!僕様ちゃんといーちゃんの電波は誰にだって妨害されないんだからねー!!安心し
てお喋りできるよーん!」
何というか、久しぶりにここまで極端なキャラと喋った気がする。いや、まだぼくは一言も発していないんだけれど。
「お土産は常盤台中学の制服でいいか?」
「うん!って言いたいところだけど駄目ー。だって僕様ちゃん常盤台の制服持ってるもん!そだねーここは頂点上機か霧ヶ丘女学院をチョイスして頂きたいっ!
なんつってー!もう持ってるからいいよー!僕様ちゃんは思わぬいーちゃんからの電話で十分満足だっぜ!!ん?というかいーちゃんまた女装してるのかい!?
これはビックリ!驚天動地だね!常盤台とはまたまた王道を行くじゃないかぁ!ああ写メりたいデジカメりたい一眼レフたい!」
「ちょ、友。少し落ち着いてくれよ」
コイツはさんま師匠の弟子かなにかなのか。そういえば明石家さんまが一日で喋る量を換算したら中編小説一冊分になるという話を聞いたことがある。
あの人ならやりかねないと不思議と思ってしまえるあたり、冗談にならない。
「お前が昔《悪さ》してた時って、足が付いたことあるか?」
少し声のトーンを落とす。
「ん?あぁ皆と一緒にはっちゃけてたときだね!勿論見つかったわけ無いじゃん!……でも、あ!そういや一回僕様ちゃん当てにメールが来たことがあるよ」
「メール?」
「差出人不明!タイトル無し!本文にはたった一言「頑張ってください」ってねー!きゃはははははははは!さっちゃんがそれを見つけた瞬間パソコンごとぶっ壊しちゃった
から逆探できなかったんだよね。まぁ復旧させてしたんだけだけど!驚く無かれ!なんと送信先は」
649:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 21:09:19.43:gpHjgKQ/0 (2/2)
言葉を溜める玖渚に一抹の不安が過ぎる。さっきのさっきで話が出来すぎやしないだろうか。
「まさか、学園都市からなんて言うんじゃないよな」
「およ?いーちゃん凄い!何で分かったの?なになに?学園都市で能力に目覚めちゃったの?右手翳して『さいこめとりー!!』って?」
そのまさかだった。ケラケラと電話越しに笑い続ける玖渚。
「茶化すなよ。ただ単にこっちでそのメールを送った人物に会っただけだよ」
「へぇー。じゃあ、いーちゃんお花畑見ちゃったんだ!」
「ああ、咲き誇ってたよ」
どうやら玖渚は個人の特定まで済ましていたようで、飾利ちゃんの特徴までしっかりと把握していた。
さすが《チーム》の元リーダー。あざとい、さすがリーダーあざとい。
「ま、そんなことはどうでもいいんだ。大事の前の小事ですらないよ」
「大事なのは僕様ちゃんだけって?」
「……とにかく、少し頼まれごとをして欲しいんだけど、忙しいか?」
「忙しくは無いよん!だからノープログレム!僕様ちゃんは何をすればいいのかな?学園都市の機密へクラック?研究内容の横流し?それとも――」
玖渚は相変わらず楽しそうな声で、言った。
「――また、通り魔事件のことかな?」
本当に、玖渚は話が分かる奴だ。何も言わずとも要求に答えてくれる。
ぼく達の間に余計な言葉は要らない。余計な情報は必要ない。
ぼくは少しだけあの青髪の少年を真似て目を細める。
「その通り」
そして、ニヒルを気取ってそう言い放った。
言葉を溜める玖渚に一抹の不安が過ぎる。さっきのさっきで話が出来すぎやしないだろうか。
「まさか、学園都市からなんて言うんじゃないよな」
「およ?いーちゃん凄い!何で分かったの?なになに?学園都市で能力に目覚めちゃったの?右手翳して『さいこめとりー!!』って?」
そのまさかだった。ケラケラと電話越しに笑い続ける玖渚。
「茶化すなよ。ただ単にこっちでそのメールを送った人物に会っただけだよ」
「へぇー。じゃあ、いーちゃんお花畑見ちゃったんだ!」
「ああ、咲き誇ってたよ」
どうやら玖渚は個人の特定まで済ましていたようで、飾利ちゃんの特徴までしっかりと把握していた。
さすが《チーム》の元リーダー。あざとい、さすがリーダーあざとい。
「ま、そんなことはどうでもいいんだ。大事の前の小事ですらないよ」
「大事なのは僕様ちゃんだけって?」
「……とにかく、少し頼まれごとをして欲しいんだけど、忙しいか?」
「忙しくは無いよん!だからノープログレム!僕様ちゃんは何をすればいいのかな?学園都市の機密へクラック?研究内容の横流し?それとも――」
玖渚は相変わらず楽しそうな声で、言った。
「――また、通り魔事件のことかな?」
本当に、玖渚は話が分かる奴だ。何も言わずとも要求に答えてくれる。
ぼく達の間に余計な言葉は要らない。余計な情報は必要ない。
ぼくは少しだけあの青髪の少年を真似て目を細める。
「その通り」
そして、ニヒルを気取ってそう言い放った。
650:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 21:16:41.41:HymMQn750 (1/2)
比較―――――――――(美学)
登場人物
白井黒子―――――――風紀委員
比較―――――――――(美学)
登場人物
白井黒子―――――――風紀委員
651:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 21:17:40.71:HymMQn750 (2/2)
0
消すと壊すの何が違うの。
0
消すと壊すの何が違うの。
652:VIPPERに変わりましてNIPPERがお送りします:2011/03/22(火) 21:43:56.03:UbNY2uvDO (1/1)
……終わり?
……終わり?
653:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 21:44:41.79:jZ1QWGn+0 (1/1)
1
「収穫無しか」
用事を済ませふらふらと行く当ても無く学園都市をさ迷い歩いているぼくは、誰に言うわけでもなくそう呟いた。
その呟き通りに、わざわざ夏休みだというのに学校に顔を出したが、欲しい情報は得られなかった。せいぜい青髪くんのあの言葉がやはりブラフだと判明したくらいで。
それだけならまだ良かったのに、黄泉川先生に捕まってこの間の火災報知機の件について根掘り葉掘り聞かれる羽目となり、余計に疲れただけだ。
というか、後半はただの愚痴だった。自分が受け持つ優等生ばかりのクラスに不満こそ無いが、面白くも無いのだという。その発言は教師としてどうなのだろうかと
思わなかったといえば嘘になるが、下手な事を言ってしまえば話が長引くだろうと思い、ひたすら黙って頷いていた。
それにしても散々自分で話しておいて「完全下校時間だから帰る様に」はいささか横暴すぎるのではないのだろうか。
日が沈みだす学園都市。ぼくは気が付けばあの路地裏へ到着していた。
「…………」
当然ながら、そこには二つの死体はおろか血痕一つも残ってはいない。その点で言えば白い少年の言う「後始末」は完璧だと言えよう。
そっとしゃがみ込み、彼女が持たれかかっていた壁へと手を伸ばす。何かあったわけでもないし、感傷に浸っているわけでもない。
ただなんとなく、そうしただけだ。
どうして彼女は殺されたのだろうか。あの金属バットで頭を割られて、死んでしまったのだろうか。
きっと彼女の死が公になれば悲しむ人間は沢山居るのだろう。それだけ、彼女は愛されていたし、その分他人を愛していた。
たった一週間足らずの付き合いだが、ぼくにはそれが痛いほど分かってしまう。それは別にぼくが彼女に共感したわけではない。
ぼくにはあんな生き方は出来ないだろう。
ぼくにはあんなすごし方は耐えられないだろう。
全く別の人間だからこそ、痛いほど違いを理解してしまう。自分が足りていないことを、感じてしまう。
もし、彼女ではなくぼくが死んでいたのならどうなっていたのだろう。
世界に必要とされている彼女ではなく、ぼくだったら。
ひょっとしたら、インデックスちゃんはちゃんとした形で救済されていたのかもしれない。通り魔殺人事件の犯人も捕まったかもしれない。
でもそれは絶対に起こりえない現実で、ここまで時が進んでしまえば、もう換えは効かない訳で。
「……戯言だ」
本当に、ぼくは何がしたいのだろう。この学園都市に何を求めているのだろうか。
1
「収穫無しか」
用事を済ませふらふらと行く当ても無く学園都市をさ迷い歩いているぼくは、誰に言うわけでもなくそう呟いた。
その呟き通りに、わざわざ夏休みだというのに学校に顔を出したが、欲しい情報は得られなかった。せいぜい青髪くんのあの言葉がやはりブラフだと判明したくらいで。
それだけならまだ良かったのに、黄泉川先生に捕まってこの間の火災報知機の件について根掘り葉掘り聞かれる羽目となり、余計に疲れただけだ。
というか、後半はただの愚痴だった。自分が受け持つ優等生ばかりのクラスに不満こそ無いが、面白くも無いのだという。その発言は教師としてどうなのだろうかと
思わなかったといえば嘘になるが、下手な事を言ってしまえば話が長引くだろうと思い、ひたすら黙って頷いていた。
それにしても散々自分で話しておいて「完全下校時間だから帰る様に」はいささか横暴すぎるのではないのだろうか。
日が沈みだす学園都市。ぼくは気が付けばあの路地裏へ到着していた。
「…………」
当然ながら、そこには二つの死体はおろか血痕一つも残ってはいない。その点で言えば白い少年の言う「後始末」は完璧だと言えよう。
そっとしゃがみ込み、彼女が持たれかかっていた壁へと手を伸ばす。何かあったわけでもないし、感傷に浸っているわけでもない。
ただなんとなく、そうしただけだ。
どうして彼女は殺されたのだろうか。あの金属バットで頭を割られて、死んでしまったのだろうか。
きっと彼女の死が公になれば悲しむ人間は沢山居るのだろう。それだけ、彼女は愛されていたし、その分他人を愛していた。
たった一週間足らずの付き合いだが、ぼくにはそれが痛いほど分かってしまう。それは別にぼくが彼女に共感したわけではない。
ぼくにはあんな生き方は出来ないだろう。
ぼくにはあんなすごし方は耐えられないだろう。
全く別の人間だからこそ、痛いほど違いを理解してしまう。自分が足りていないことを、感じてしまう。
もし、彼女ではなくぼくが死んでいたのならどうなっていたのだろう。
世界に必要とされている彼女ではなく、ぼくだったら。
ひょっとしたら、インデックスちゃんはちゃんとした形で救済されていたのかもしれない。通り魔殺人事件の犯人も捕まったかもしれない。
でもそれは絶対に起こりえない現実で、ここまで時が進んでしまえば、もう換えは効かない訳で。
「……戯言だ」
本当に、ぼくは何がしたいのだろう。この学園都市に何を求めているのだろうか。
654:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 22:12:12.27:dsHf32bY0 (1/2)
「オイ、そこのお前」
そこで声が掛かる。
「お前だよ、お前。こんな路地裏でボーっとしちゃってる幸薄そうなお前だよ」
「ギャハ!幸薄ってそのまんまじゃねーか!」
「ホント、不幸だねぇ。これからお金を巻き上げらるんだから、さ」
最初に掛かった声とは別に、四つの声が聞こえる。顔を上げればそこにはいかにも柄の悪いスキルアウトの集団が醜悪な笑みを浮かべてぼくを見下ろしていた。
「うっわ、本当に個性の無い面してやがる」
「逆に個性的だなぁ」
ゲラゲラと笑うスキルアウトをぼくはただ見つめていた。どうやらぼくは絡まれているらしい。朝に引き続きなんとも不幸な事態だ。こういうのは当麻くんの専売特許じゃ
なかったのか。とそんなことを思いながらスキルアウト達から目を逸らし、辺りを見渡す。人影は零。当然だ、ここは路地裏なのだから。
「……君達は能力者か何かなのかな?」
「あ?んなわけねぇだろ」
その言葉を聞いて、ぼくはポケットへ手を突っ込む。
「そうかい、なら安心だ」
「おい、勝手なまねを」
ぼくと一番近い位置に居たスキルアウトが何か言葉を言い切る前にポケットから手を抜いて、また戻す。一瞬のタイムラグの後、彼のシャツの右袖に亀裂が入る。
その光景を見たスキルアウトが怯むのを、ぼくは見逃さない。
「学園都市のレベル5って知ってるだろ?それの第六位ってどんな能力か聞いた事あるかい?」
じり、と一歩前に足を踏み出す。それに合わせて、まるで反発しあう磁石のように一歩後ずさるスキルアウト。
そこで、ぼくは口を開く。これで彼らは威圧されてお終いだ。
「ジャッジメントですの!」
「オイ、そこのお前」
そこで声が掛かる。
「お前だよ、お前。こんな路地裏でボーっとしちゃってる幸薄そうなお前だよ」
「ギャハ!幸薄ってそのまんまじゃねーか!」
「ホント、不幸だねぇ。これからお金を巻き上げらるんだから、さ」
最初に掛かった声とは別に、四つの声が聞こえる。顔を上げればそこにはいかにも柄の悪いスキルアウトの集団が醜悪な笑みを浮かべてぼくを見下ろしていた。
「うっわ、本当に個性の無い面してやがる」
「逆に個性的だなぁ」
ゲラゲラと笑うスキルアウトをぼくはただ見つめていた。どうやらぼくは絡まれているらしい。朝に引き続きなんとも不幸な事態だ。こういうのは当麻くんの専売特許じゃ
なかったのか。とそんなことを思いながらスキルアウト達から目を逸らし、辺りを見渡す。人影は零。当然だ、ここは路地裏なのだから。
「……君達は能力者か何かなのかな?」
「あ?んなわけねぇだろ」
その言葉を聞いて、ぼくはポケットへ手を突っ込む。
「そうかい、なら安心だ」
「おい、勝手なまねを」
ぼくと一番近い位置に居たスキルアウトが何か言葉を言い切る前にポケットから手を抜いて、また戻す。一瞬のタイムラグの後、彼のシャツの右袖に亀裂が入る。
その光景を見たスキルアウトが怯むのを、ぼくは見逃さない。
「学園都市のレベル5って知ってるだろ?それの第六位ってどんな能力か聞いた事あるかい?」
じり、と一歩前に足を踏み出す。それに合わせて、まるで反発しあう磁石のように一歩後ずさるスキルアウト。
そこで、ぼくは口を開く。これで彼らは威圧されてお終いだ。
「ジャッジメントですの!」
655:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 22:13:50.34:dsHf32bY0 (2/2)
個人的にキリのいいトコで休憩します。
久しぶりに書き溜めずに投下したらすごい疲れたっす。
個人的にキリのいいトコで休憩します。
久しぶりに書き溜めずに投下したらすごい疲れたっす。
656:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/22(火) 22:20:05.83:/KyX0tIJo (1/1)
乙
乙
657:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/22(火) 22:24:00.55:wA7eUiDPo (1/1)
あれ?「ですの!」って言ってるのって…
まぁいいや乙
あれ?「ですの!」って言ってるのって…
まぁいいや乙
658:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/22(火) 22:24:57.95:eExIQX5eo (1/1)
乙
学校の名前なんだけど
長点上機
ながてんじょうき
だったと思うぜ。
乙
学校の名前なんだけど
長点上機
ながてんじょうき
だったと思うぜ。
659:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/22(火) 22:39:36.79:iIzDRKUao (1/2)
曲弦糸、じゃないよな多分
つーかですのまで含めて決め台詞だと勘違いしてるのかよwwwwwwww
曲弦糸、じゃないよな多分
つーかですのまで含めて決め台詞だと勘違いしてるのかよwwwwwwww
660:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 23:24:18.37:AVaTdouF0 (1/2)
一つ説明をしておこうと思う。ぼくがポケットから取り出したのはなんでもない、ただのナイフで、それを一瞬出し入れして一人の袖口を切った。
ここでポイントになるのがナイフを見られないように一連の動作を行う、という所だ。これは後々にぼくが言う台詞の伏線となる重要な位置づけで、
逆に言えばそれが成功すれば後は簡単にスキルアウト達を追い払うことが出来る。
さあ、そうなると疑問点が一つ発生する。それはキメ台詞だ。ぼくはナイフを見られないように袖口を切ることに成功し、「レベル5の第六位は自分」というニュアンスを
含めた言葉を彼らに放った。これは何度も話しているけれど、ぼくは正真正銘の無能力者で、電撃を放つことも空間移動することもできない。つまり嘘だ。
当たり前だが、こんなことを普通に言っては信じられない。しかし、目の前の男がポケットから手を抜いただけで袖口が切れるという事実を目のあたりにした彼らは、
少なからず「もしかして第六位?」という思考が生まれてくる。
そこを考慮するならばぼくがキメ顔で言うべき台詞は、どこぞのキラ様のように死亡フラグを振りまきつつ不適に「ぼくが第六位だ」という選択肢しか存在しない。
実際にぼくはそう言ったつもりだった。いや、確かに言ったんだ。
それでも場に轟いたのは「ジャッジメントですの!」という何処か気の抜けてしまうような台詞だ。ぼくの言った文面と全く脈略がない。
だいたい、いつからぼくはこんな年老いた女性の声になってしまったのだろうか。ひょっとしたらあの時黄泉川先生に出されたお茶に何か入っていたのではないか。
とまあ、そんなことを一瞬考えたが、すぐに却下する。そうだ、そんな可能性よりもっと高いのは第三者が来るということである。
それに朝も全く同じ台詞を聞いた。正直「ジャッジメントですの!」というキメ台詞はどうかと思いながら彼女のツインテールを掴んでハーレーごっこをしたのだが、
いやまさか一日に二回も聞くとは思わなかった。
ぼくとスキルアウト達は同時に声のした方角へ顔を向ける。そしてその姿を確認したぼくは肩を竦めて首を振る。
「なんですの?いーさん。ご不満な点がございましたら後でゆっくりと訊いてさし上げますわ」
「……また取調べかぁ」
常盤台中学の制服で身を飾り、右腕に着けた緑を基調とした腕章を見せ付けるように左手で引っ張る一人の少女は毅然とした表情でこちらを睨みつける。
その腕章に描かれたシンボルにスキルアウト達も一瞬ではあるが怯んでしまう。
風紀委員。
学園都市治安維持組織の一つ。
「取調べられたくないのなら、こんな路地裏をうろつかないでくださいまし」
「善処するよ」
ぼくの返答に少女は――ぼくのキメ台詞を奪い去っていた黒子ちゃんはやれやれと首を振った。
一つ説明をしておこうと思う。ぼくがポケットから取り出したのはなんでもない、ただのナイフで、それを一瞬出し入れして一人の袖口を切った。
ここでポイントになるのがナイフを見られないように一連の動作を行う、という所だ。これは後々にぼくが言う台詞の伏線となる重要な位置づけで、
逆に言えばそれが成功すれば後は簡単にスキルアウト達を追い払うことが出来る。
さあ、そうなると疑問点が一つ発生する。それはキメ台詞だ。ぼくはナイフを見られないように袖口を切ることに成功し、「レベル5の第六位は自分」というニュアンスを
含めた言葉を彼らに放った。これは何度も話しているけれど、ぼくは正真正銘の無能力者で、電撃を放つことも空間移動することもできない。つまり嘘だ。
当たり前だが、こんなことを普通に言っては信じられない。しかし、目の前の男がポケットから手を抜いただけで袖口が切れるという事実を目のあたりにした彼らは、
少なからず「もしかして第六位?」という思考が生まれてくる。
そこを考慮するならばぼくがキメ顔で言うべき台詞は、どこぞのキラ様のように死亡フラグを振りまきつつ不適に「ぼくが第六位だ」という選択肢しか存在しない。
実際にぼくはそう言ったつもりだった。いや、確かに言ったんだ。
それでも場に轟いたのは「ジャッジメントですの!」という何処か気の抜けてしまうような台詞だ。ぼくの言った文面と全く脈略がない。
だいたい、いつからぼくはこんな年老いた女性の声になってしまったのだろうか。ひょっとしたらあの時黄泉川先生に出されたお茶に何か入っていたのではないか。
とまあ、そんなことを一瞬考えたが、すぐに却下する。そうだ、そんな可能性よりもっと高いのは第三者が来るということである。
それに朝も全く同じ台詞を聞いた。正直「ジャッジメントですの!」というキメ台詞はどうかと思いながら彼女のツインテールを掴んでハーレーごっこをしたのだが、
いやまさか一日に二回も聞くとは思わなかった。
ぼくとスキルアウト達は同時に声のした方角へ顔を向ける。そしてその姿を確認したぼくは肩を竦めて首を振る。
「なんですの?いーさん。ご不満な点がございましたら後でゆっくりと訊いてさし上げますわ」
「……また取調べかぁ」
常盤台中学の制服で身を飾り、右腕に着けた緑を基調とした腕章を見せ付けるように左手で引っ張る一人の少女は毅然とした表情でこちらを睨みつける。
その腕章に描かれたシンボルにスキルアウト達も一瞬ではあるが怯んでしまう。
風紀委員。
学園都市治安維持組織の一つ。
「取調べられたくないのなら、こんな路地裏をうろつかないでくださいまし」
「善処するよ」
ぼくの返答に少女は――ぼくのキメ台詞を奪い去っていた黒子ちゃんはやれやれと首を振った。
661:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/22(火) 23:25:54.02:AVaTdouF0 (2/2)
なんだよこの展開……ごめんなさい酔っぱらって書くもんじゃないですね。
眠気もヤバイんで今日はこれくらいで……orz
なんだよこの展開……ごめんなさい酔っぱらって書くもんじゃないですね。
眠気もヤバイんで今日はこれくらいで……orz
662:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/22(火) 23:29:44.12:iIzDRKUao (2/2)
乙
なんだババア声か
乙
なんだババア声か
663:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/22(火) 23:44:24.01:eegBae1AO (2/2)
乙!
なんというミスリードwwww
いやぁ黒子が弄られ可愛い
玖渚も可愛い
乙!
なんというミスリードwwww
いやぁ黒子が弄られ可愛い
玖渚も可愛い
664:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/23(水) 00:43:10.66:JK5ssrYAO (1/1)
乙
玖渚流石wwww
乙
玖渚流石wwww
665:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/23(水) 02:39:33.02:R3SlughRo (1/1)
久しぶりにハイテンションな玖渚見たな
久しぶりにハイテンションな玖渚見たな
666:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/23(水) 13:57:45.60:kn9/J6zDO (1/1)
黒子が完全にしとしとぴっちゃんと同じ扱いだなwwwwww
黒子が完全にしとしとぴっちゃんと同じ扱いだなwwwwww
667:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/23(水) 22:59:15.79:TLWTbX2AO (1/1)
果たして何人がこの先生きのるのか……
零崎期待
果たして何人がこの先生きのるのか……
零崎期待
668:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:18:14.57:x4h5SyDv0 (1/8)
投下します。
投下します。
669:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:19:21.72:x4h5SyDv0 (2/8)
スキルアウト達は困惑していた。不穏な挙動をするぼくと、風紀委員の黒子ちゃんの登場。この二点で彼らの戦意は綺麗になくなっていたのだろう。
彼らは唾を吐き捨てて暴言も吐きながら路地裏の奥へと消えていった。
「いーさん、わざとトラブルに巻き込まれてるんじゃ?」
ゆっくりと構えを解いて、ジト目でこちらを見つめる黒子ちゃん。
「そんなわけないだろう。ぼくはできれば無人島でゆっくりと暮らしたいタイプの人間だ」
「言い換えれば、他人と一切関わりたくないと?」
「否定はしないよ」
「好きに解釈させていただきますわ」
一歩一歩踏みしめるようにぼくに近づき、黒子ちゃんは文字通り目と鼻の先に立つ。
ぼくは身長が高いほうではないが黒子ちゃんはそれよりも小さいため、視界に移るのはご自慢のツインテールだけだ。
「朝に続いて助かったよ。それにしても随分と早かったね」
「偶然ですわ。最終の警邏中に初春から近くで学生が絡まれていると連絡を受けて駆けつけただけですの。まさかいーさんだったとは塵ほども思いませんでしたの」
「そりゃ運がいい」
こんな時間に警邏というのはやはり通り魔事件の影響なのだろうか。
「警備員と風紀委員だけではこの街の治安を完全に治めることは、悔しいですが不可能ですの」
「犯罪が起こらない街なんか無いだろう。もしそんな街があったとしても、ぼくはそこに住むのはごめんだね」
そんな場所に個人の意思などは存在しないだろう。
黒子ちゃんはぼくの言葉に「そうですわね」と頷いて三歩下がった位置へ空間移動で移動する。
「学生ばかりのこの学園都市では、外界に比べて圧倒的に犯罪が多いですの。その代わりに更生する人間も多いですわ」
「ま、若い頃なんてそんなものだろうさ」
過ちを犯して、過ちに気付き、正しい道を歩みだす。何が間違いで、何が悪いかだなんて、体験してからではないと気が付けないのだから。
それに気が付かないふりをして、諦めたように振舞うのはきっと少数だろう。はたして、ぼくはどちらの人間なのだろうか。
スキルアウト達は困惑していた。不穏な挙動をするぼくと、風紀委員の黒子ちゃんの登場。この二点で彼らの戦意は綺麗になくなっていたのだろう。
彼らは唾を吐き捨てて暴言も吐きながら路地裏の奥へと消えていった。
「いーさん、わざとトラブルに巻き込まれてるんじゃ?」
ゆっくりと構えを解いて、ジト目でこちらを見つめる黒子ちゃん。
「そんなわけないだろう。ぼくはできれば無人島でゆっくりと暮らしたいタイプの人間だ」
「言い換えれば、他人と一切関わりたくないと?」
「否定はしないよ」
「好きに解釈させていただきますわ」
一歩一歩踏みしめるようにぼくに近づき、黒子ちゃんは文字通り目と鼻の先に立つ。
ぼくは身長が高いほうではないが黒子ちゃんはそれよりも小さいため、視界に移るのはご自慢のツインテールだけだ。
「朝に続いて助かったよ。それにしても随分と早かったね」
「偶然ですわ。最終の警邏中に初春から近くで学生が絡まれていると連絡を受けて駆けつけただけですの。まさかいーさんだったとは塵ほども思いませんでしたの」
「そりゃ運がいい」
こんな時間に警邏というのはやはり通り魔事件の影響なのだろうか。
「警備員と風紀委員だけではこの街の治安を完全に治めることは、悔しいですが不可能ですの」
「犯罪が起こらない街なんか無いだろう。もしそんな街があったとしても、ぼくはそこに住むのはごめんだね」
そんな場所に個人の意思などは存在しないだろう。
黒子ちゃんはぼくの言葉に「そうですわね」と頷いて三歩下がった位置へ空間移動で移動する。
「学生ばかりのこの学園都市では、外界に比べて圧倒的に犯罪が多いですの。その代わりに更生する人間も多いですわ」
「ま、若い頃なんてそんなものだろうさ」
過ちを犯して、過ちに気付き、正しい道を歩みだす。何が間違いで、何が悪いかだなんて、体験してからではないと気が付けないのだから。
それに気が付かないふりをして、諦めたように振舞うのはきっと少数だろう。はたして、ぼくはどちらの人間なのだろうか。
670:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:19:52.85:x4h5SyDv0 (3/8)
「……わたくし今日はこれで直帰ですの」
「お疲れ様。それじゃあ、バイバイ」
ぼくはそう言って彼女の横を通り過ぎ、路地裏を抜けようとする。
「これで直帰ですの」
「…………」
しかし回り込まれてしまった。
回れ右をして、もう一度。
「直帰ですの」
「……はぁ」
この子は何が言いたいのだろうか。
「あらあら、いーさん。こんな物騒な時間帯にか弱き一般女子中学生をそのまま一人で帰らせるおつもりなのでしょうか」
「その文には幾つか間違いがあるから訂正してやろう。一つ、物騒な時間帯ってまだ日も沈んでいない。二つ、君は風紀委員だ。そして三つ、君はぼくより強い」
どこが『か弱き一般女子中学生』だ。詰め所で「あの程度の連中なら五分で黙らせることができますの」とか言ってたじゃないか。
本当に黒子ちゃんの言いたいことが分からない。いや、分かっているけど分かりたくない。
「夕暮れ時に路地裏に立つ二人の男女。男性は女性よりも年上で最近は物騒な事件も起こっている……このシチュで考え付く結論は一つしかないでしょうに」
黒子ちゃんは目を薄く細めて、微笑んだ。なんだろう、微笑んでいるのに全く微笑ましくない。
むしろ策略を感じる。
どうにかして断ろうと考えていたら、黒子ちゃんからとんでもない発言が飛び出す。
「佐天さんは嬉しそうにいーさんに送っていってもらった事をお話していただきましたわ」
その言葉に、ぼくの拒否権は根こそぎ奪われてしまった。
「……わたくし今日はこれで直帰ですの」
「お疲れ様。それじゃあ、バイバイ」
ぼくはそう言って彼女の横を通り過ぎ、路地裏を抜けようとする。
「これで直帰ですの」
「…………」
しかし回り込まれてしまった。
回れ右をして、もう一度。
「直帰ですの」
「……はぁ」
この子は何が言いたいのだろうか。
「あらあら、いーさん。こんな物騒な時間帯にか弱き一般女子中学生をそのまま一人で帰らせるおつもりなのでしょうか」
「その文には幾つか間違いがあるから訂正してやろう。一つ、物騒な時間帯ってまだ日も沈んでいない。二つ、君は風紀委員だ。そして三つ、君はぼくより強い」
どこが『か弱き一般女子中学生』だ。詰め所で「あの程度の連中なら五分で黙らせることができますの」とか言ってたじゃないか。
本当に黒子ちゃんの言いたいことが分からない。いや、分かっているけど分かりたくない。
「夕暮れ時に路地裏に立つ二人の男女。男性は女性よりも年上で最近は物騒な事件も起こっている……このシチュで考え付く結論は一つしかないでしょうに」
黒子ちゃんは目を薄く細めて、微笑んだ。なんだろう、微笑んでいるのに全く微笑ましくない。
むしろ策略を感じる。
どうにかして断ろうと考えていたら、黒子ちゃんからとんでもない発言が飛び出す。
「佐天さんは嬉しそうにいーさんに送っていってもらった事をお話していただきましたわ」
その言葉に、ぼくの拒否権は根こそぎ奪われてしまった。
671:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:20:31.98:x4h5SyDv0 (4/8)
2
「それで、通り魔事件については進展があった?」
「第一声がそれとは……ムードも何もありませんわね」
ぼくと黒子ちゃんは並んで歩いていた。ここがどの道なのか、それ以前に何学区なのかすら分からないけれど、黒子ちゃんの案内なので迷うことは無いだろう。
でも、帰りはどうすればいいのだろうか。この時間にバスは動いていないし、学園都市でタクシーを見かけるのも非常に稀だ。
「進展は……まぁありませんわ。むしろ後退したと言ってもいいでしょう」
「後退?」
「ええ、実は昨夜にも一人犠牲者がでていますの」
それは知らなかった。テレビも見ないし、新聞も取っていないぼくだが通り魔事件に関しての情報はなるべく得るようにしていたのだけれど。
「通り魔事件の犯人ではないかもしれませんが」
「どういうこと?」
ぼくの質問に少し躊躇った黒子ちゃんは「まぁこの位ならかまいませんわ」と一人で納得してから口を開く。
「殺害方法、被害者の特徴が今までの事件とは違いましたの」
「なるほど。一概に同一犯だと言えないって訳だ」
「その通りですの。ですがそんなことは犯人の気紛れで変わる事など充分にありえますから」
黒子ちゃんは頷く。五人目の事件と六人目の事件(正確には八人目だが)には日数がかなり空いている。
そこに別の殺害方法と共通点から外れた被害者が発生すれば現場は混乱するだろう。だから前進でもなく、横這いでもなく、後退。
「きっと別人でしょうが」
しっかりと前を見据えて話す黒子ちゃん。
「何でそう思う?」
2
「それで、通り魔事件については進展があった?」
「第一声がそれとは……ムードも何もありませんわね」
ぼくと黒子ちゃんは並んで歩いていた。ここがどの道なのか、それ以前に何学区なのかすら分からないけれど、黒子ちゃんの案内なので迷うことは無いだろう。
でも、帰りはどうすればいいのだろうか。この時間にバスは動いていないし、学園都市でタクシーを見かけるのも非常に稀だ。
「進展は……まぁありませんわ。むしろ後退したと言ってもいいでしょう」
「後退?」
「ええ、実は昨夜にも一人犠牲者がでていますの」
それは知らなかった。テレビも見ないし、新聞も取っていないぼくだが通り魔事件に関しての情報はなるべく得るようにしていたのだけれど。
「通り魔事件の犯人ではないかもしれませんが」
「どういうこと?」
ぼくの質問に少し躊躇った黒子ちゃんは「まぁこの位ならかまいませんわ」と一人で納得してから口を開く。
「殺害方法、被害者の特徴が今までの事件とは違いましたの」
「なるほど。一概に同一犯だと言えないって訳だ」
「その通りですの。ですがそんなことは犯人の気紛れで変わる事など充分にありえますから」
黒子ちゃんは頷く。五人目の事件と六人目の事件(正確には八人目だが)には日数がかなり空いている。
そこに別の殺害方法と共通点から外れた被害者が発生すれば現場は混乱するだろう。だから前進でもなく、横這いでもなく、後退。
「きっと別人でしょうが」
しっかりと前を見据えて話す黒子ちゃん。
「何でそう思う?」
672:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:21:05.23:x4h5SyDv0 (5/8)
ぼくの言葉に黒子ちゃんは目を伏せて数秒黙った後「風紀委員としての勘ですわ」と理屈もへったくれもない言葉を言い放った。
風紀委員の勘か。彼女はそう言ったけれどぼくには何か隠しているように聞こえた。
きっとそれを訊いた所で「一般人は巻き込ませんの」と切り捨てられるだろうからしないが、黒子ちゃんは何か事件の核に触っているのかもしれない。
そして、それを言わないということは風紀委員の捜査で分かったことではなく、彼女だけが把握した情報なのだろう。
あえて、隠している。
「いーさん」
ふと、声が掛かる。呼ばれて顔を向ければ黒子ちゃんもこちらを見ていた。
なんとなく、涙子ちゃんを送っていった時とダブってしまう。
「佐天さんとは、何を話して帰りましたの?」
思考を見透かされたようで一瞬驚いたが、ぼくはあの時の会話を思い出し正直に伝えることにした。
きっとこれが黒子ちゃんの目的なのだろう。
「自分が他人に比べて劣っているって思ったこと無いかな?」
「はい?」
「涙子ちゃんがぼくに言った言葉だよ。劣等感の告白をされた」
「…………」
黒子ちゃんは黙って手を顎に添えて考え込む。まるで探偵のように。
何かを推理する。
「それにこうも言ってたかな。『あたしといーさんは似たもの同士かもしれませんね』って」
「随分と好意を持たれていますわね」
「好意?馬鹿なことを言うなよ。厚意だね。厚かましい意思だ」
思い返して、考えてみる。彼女とぼくは似ていない。『自分は欠陥品だ』と自覚していた智恵ちゃんにすら似ても居ない。
足りないと、及ばないのでは全く違う。それこそ無能力者と能力者ぐらいには。0と1では比較にすらなりやしない。
「言ってみれば差別だね。ぼくは別に差別はいけないだとか言うつもりは無いけど、それを自覚しない人間は好みではないね」
ぼくの言葉に黒子ちゃんは目を伏せて数秒黙った後「風紀委員としての勘ですわ」と理屈もへったくれもない言葉を言い放った。
風紀委員の勘か。彼女はそう言ったけれどぼくには何か隠しているように聞こえた。
きっとそれを訊いた所で「一般人は巻き込ませんの」と切り捨てられるだろうからしないが、黒子ちゃんは何か事件の核に触っているのかもしれない。
そして、それを言わないということは風紀委員の捜査で分かったことではなく、彼女だけが把握した情報なのだろう。
あえて、隠している。
「いーさん」
ふと、声が掛かる。呼ばれて顔を向ければ黒子ちゃんもこちらを見ていた。
なんとなく、涙子ちゃんを送っていった時とダブってしまう。
「佐天さんとは、何を話して帰りましたの?」
思考を見透かされたようで一瞬驚いたが、ぼくはあの時の会話を思い出し正直に伝えることにした。
きっとこれが黒子ちゃんの目的なのだろう。
「自分が他人に比べて劣っているって思ったこと無いかな?」
「はい?」
「涙子ちゃんがぼくに言った言葉だよ。劣等感の告白をされた」
「…………」
黒子ちゃんは黙って手を顎に添えて考え込む。まるで探偵のように。
何かを推理する。
「それにこうも言ってたかな。『あたしといーさんは似たもの同士かもしれませんね』って」
「随分と好意を持たれていますわね」
「好意?馬鹿なことを言うなよ。厚意だね。厚かましい意思だ」
思い返して、考えてみる。彼女とぼくは似ていない。『自分は欠陥品だ』と自覚していた智恵ちゃんにすら似ても居ない。
足りないと、及ばないのでは全く違う。それこそ無能力者と能力者ぐらいには。0と1では比較にすらなりやしない。
「言ってみれば差別だね。ぼくは別に差別はいけないだとか言うつもりは無いけど、それを自覚しない人間は好みではないね」
673:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:21:36.79:x4h5SyDv0 (6/8)
心のどこかで彼女はぼくを見下しているのだろう。勿論、自覚は無い。自分以下を求める心。それは別に悪いことではない。人間である以上、それは当然のことだ。
劣っている自分より、下に居るのは足りない人間しか居ない。圧倒的に欠落したぼくぐらいしか。
「それを少し勘違いしちゃっているだけだ」
勘違い。これは誰かにも言った記憶がある。自分の感情など、とどのつまり理解できない。
好きも嫌いも、喜びも悲しみも、怒りも楽しみも、どれも曖昧で確定することなど出来やしない。
「……そう、なのかもしれませんわね」
てっきり友人を侮辱されて怒るのかと思っていたが、黒子ちゃんはどこか悲しい表情を浮かべてぼくの言葉を肯定する。
「尊敬も嫉妬も、切望も強奪も、願望と殺意も、同じかもしれませんわね」
黒子ちゃんはそこで一息吐き出して、空間移動でぼくの前に現れる。そこでお互い足を止めた。
「ここまでで結構ですわ、いーさん」
「もう到着したの?」
辺りを見るに学生寮の様な建物は見受けられない。
黒子ちゃんはフンと鼻を鳴らして胸を張る。
「わたくしは風紀委員で大能力者ですの。一般人にこれ以上送ってもらう訳にはいきませんわ」
先ほどとは反対方向の発言をする黒子ちゃんは、深々と頭を下げて「ありがとうございました」とお礼を言い顔を上げる。
その姿勢はとても整っており、誰が見てもお嬢様の風格を醸し出していた。これはきっと彼女なりの美学なのだろう。
「できれば今度からは風紀委員としてではなく、友人としてお会いしたいですわね。お姉様もきっとそう望んでいるはずですし。不本意ですが」
「ぼくも美琴ちゃんとは余り会いたくないな。電撃を飛ばされるのはもう勘弁だ。それに君からも警告を受けているしね」
「分かっていれば結構ですの」と黒子ちゃんは満足そうに微笑んで――今度こそ微笑ましい笑みを浮かべて再度頭を下げ、そのまま空間移動で姿を消した。
ぼくは彼女が居た場所を少し見つめ続けた後、踵を返して元来た道を戻ることにした。地理に関しては不安ではあるが、まあなんとかなるだろう。
少し歩けば日は完全に沈み、学園都市に明かりが灯る。ぼくは路地裏は避けるようにして、人の少ない大通りを歩く。
学生寮に帰ればまたインデックスちゃんに何かを恵まなければならない。元春くんの妹さんが夕飯にご招待していてくれないかなぁと淡い期待を抱きつつコンビニで
おにぎりを数個購入して帰路に着いた。ぼくは次に黒子ちゃんに会ったら詳しく事情を聞こうと思っていた。
心のどこかで彼女はぼくを見下しているのだろう。勿論、自覚は無い。自分以下を求める心。それは別に悪いことではない。人間である以上、それは当然のことだ。
劣っている自分より、下に居るのは足りない人間しか居ない。圧倒的に欠落したぼくぐらいしか。
「それを少し勘違いしちゃっているだけだ」
勘違い。これは誰かにも言った記憶がある。自分の感情など、とどのつまり理解できない。
好きも嫌いも、喜びも悲しみも、怒りも楽しみも、どれも曖昧で確定することなど出来やしない。
「……そう、なのかもしれませんわね」
てっきり友人を侮辱されて怒るのかと思っていたが、黒子ちゃんはどこか悲しい表情を浮かべてぼくの言葉を肯定する。
「尊敬も嫉妬も、切望も強奪も、願望と殺意も、同じかもしれませんわね」
黒子ちゃんはそこで一息吐き出して、空間移動でぼくの前に現れる。そこでお互い足を止めた。
「ここまでで結構ですわ、いーさん」
「もう到着したの?」
辺りを見るに学生寮の様な建物は見受けられない。
黒子ちゃんはフンと鼻を鳴らして胸を張る。
「わたくしは風紀委員で大能力者ですの。一般人にこれ以上送ってもらう訳にはいきませんわ」
先ほどとは反対方向の発言をする黒子ちゃんは、深々と頭を下げて「ありがとうございました」とお礼を言い顔を上げる。
その姿勢はとても整っており、誰が見てもお嬢様の風格を醸し出していた。これはきっと彼女なりの美学なのだろう。
「できれば今度からは風紀委員としてではなく、友人としてお会いしたいですわね。お姉様もきっとそう望んでいるはずですし。不本意ですが」
「ぼくも美琴ちゃんとは余り会いたくないな。電撃を飛ばされるのはもう勘弁だ。それに君からも警告を受けているしね」
「分かっていれば結構ですの」と黒子ちゃんは満足そうに微笑んで――今度こそ微笑ましい笑みを浮かべて再度頭を下げ、そのまま空間移動で姿を消した。
ぼくは彼女が居た場所を少し見つめ続けた後、踵を返して元来た道を戻ることにした。地理に関しては不安ではあるが、まあなんとかなるだろう。
少し歩けば日は完全に沈み、学園都市に明かりが灯る。ぼくは路地裏は避けるようにして、人の少ない大通りを歩く。
学生寮に帰ればまたインデックスちゃんに何かを恵まなければならない。元春くんの妹さんが夕飯にご招待していてくれないかなぁと淡い期待を抱きつつコンビニで
おにぎりを数個購入して帰路に着いた。ぼくは次に黒子ちゃんに会ったら詳しく事情を聞こうと思っていた。
674:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:22:15.75:x4h5SyDv0 (7/8)
ぼくは、彼女に二度と会うことが無いということなど、思いもせずに。
ぼくは、彼女に二度と会うことが無いということなど、思いもせずに。
675:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/24(木) 00:22:48.66:x4h5SyDv0 (8/8)
とりあえず、今日はこれで終わりです。
ようやく殺人鬼編も動きが出てきましたね。犯人ばればれな気がしますが。
一応落ちは決めているのですが、いかんせん話が上手く進めれませんorz
まだまだ妹達編まで遠い。
とても切りの悪いところでの更新が続きますが、寛大な心で読んでやってください。
それでは、また明日とか。
とりあえず、今日はこれで終わりです。
ようやく殺人鬼編も動きが出てきましたね。犯人ばればれな気がしますが。
一応落ちは決めているのですが、いかんせん話が上手く進めれませんorz
まだまだ妹達編まで遠い。
とても切りの悪いところでの更新が続きますが、寛大な心で読んでやってください。
それでは、また明日とか。
676:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 00:33:42.84:hdnlrlgDO (1/2)
乙
ですよねーとしか言いようがない展開。
乙
ですよねーとしか言いようがない展開。
677:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/24(木) 00:34:49.16:AY9/X1fAO (1/2)
最後に鳥肌
黒子……
最後に鳥肌
黒子……
678:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 00:38:03.94:OpBul0N1o (1/1)
乙
つまり残骸編までは行かないって事かぁ・・・
乙
つまり残骸編までは行かないって事かぁ・・・
679:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 00:54:32.29:G8gwafTWo (1/1)
まさかの黒子かぁ・・・
まさかの黒子かぁ・・・
680:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/24(木) 01:27:45.98:cHlMe0vAO (1/1)
乙
無為式マジ半端ねぇ……
乙
無為式マジ半端ねぇ……
681:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 08:54:26.54:904PwXRDO (1/2)
真琴っちゃんより先に黒子が死ぬとは…
真琴っちゃんより先に黒子が死ぬとは…
682:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/24(木) 14:16:07.28:nzUWUlcW0 (1/1)
黒子は生き残るかとおもってたわ…
黒子は生き残るかとおもってたわ…
683:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/24(木) 17:27:38.96:AY9/X1fAO (2/2)
流石に推理で雑談は不味いかな?
流石に推理で雑談は不味いかな?
684:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 18:36:30.95:bxErdYMto (1/1)
だめだろそりゃ
だめだろそりゃ
685:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/24(木) 21:47:11.40:m4eBLp9AO (1/1)
戯言知らない俺は未だに誰が犯人だか検討も付かないわ
戯言知らない俺は未だに誰が犯人だか検討も付かないわ
686:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県):2011/03/24(木) 21:57:08.20:oiK8kPEI0 (1/1)
戯言全部読んだ俺も未だに誰が犯人だか検討も付かないわ
しかしいーちゃんの無為式は相変わらず絶好調ですね
戯言全部読んだ俺も未だに誰が犯人だか検討も付かないわ
しかしいーちゃんの無為式は相変わらず絶好調ですね
687:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 22:16:42.99:hdnlrlgDO (2/2)
いーちゃん視点だからまだマシに見えるが、人間シリーズみたいに相手側から見たらマジ鬼畜人間にしか見えない
いーちゃん視点だからまだマシに見えるが、人間シリーズみたいに相手側から見たらマジ鬼畜人間にしか見えない
688:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 23:23:02.44:904PwXRDO (2/2)
傍目から見たら知り合いが殺されても気にせず日常を続ける野郎だからな…
禁書キャラは戯言キャラとは逆で人死にですごい動揺しそう
傍目から見たら知り合いが殺されても気にせず日常を続ける野郎だからな…
禁書キャラは戯言キャラとは逆で人死にですごい動揺しそう
689:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:18:35.87:i1n2DXHu0 (1/10)
お疲れさまです。これより投下します。
今回、書庫について独自設定があるような感じです。
>>678
残骸及びあわきんについては妹達編で触れる予定です。
犯人当ては解っても控えていただけると助かります。
お疲れさまです。これより投下します。
今回、書庫について独自設定があるような感じです。
>>678
残骸及びあわきんについては妹達編で触れる予定です。
犯人当ては解っても控えていただけると助かります。
690:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:19:43.37:i1n2DXHu0 (2/10)
学園と死―――――――――(学園都市)
登場人物
御坂美琴 超能力者
学園と死―――――――――(学園都市)
登場人物
御坂美琴 超能力者
691:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:20:37.28:i1n2DXHu0 (3/10)
O
ずっとずっと友達だよね。
O
ずっとずっと友達だよね。
692:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:21:07.03:i1n2DXHu0 (4/10)
1
ぼくが黒子ちゃんの死を知ったのは、黒子ちゃんと別れてから約十二時間が経過した午前七時頃。ぼくの部屋を訪れた美琴ちゃんによって叩き起こされたときだ。
その時インデックスちゃんは運良くユニットバスで眠っていたので(彼女が来てからベットとユニットバスを交代で寝床にしている)美琴ちゃんに要らぬ誤解はされなかった。
もの凄い剣幕で、まるでぼくが犯人だと言わんばかりの勢いで昨日交わした会話や出来事を訪ねてきたので、ぼくは涙子ちゃんのくだりだけを省略して、彼女に説明した。
そこで美琴ちゃんはぼくが冷静すぎるのではないかと憤慨していたが、仕方が無いだろう。
興奮する彼女を抑えるために「余りにも唐突過ぎて状況が把握できない」と嘘を吐いた。
本当はこうなることがある程度予測できていたし、こんな事態になるんではないだろうかと、根拠の無い自信もぼくにはあった。
黒子ちゃんを真似れば『勘』なのだけれど。
何処か納得のいかない様子の美琴ちゃんだったが、何か分かったら連絡をするようにと言い残してぼくの部屋を飛び出していった。
きっと黒子ちゃんの死を知ってからずっとあんな調子なのだろう。寝ずに学園都市中を飛び回っていてもおかしくは無い。
黒子ちゃんにとって美琴ちゃんがとても大事な存在だったように。
美琴ちゃんにとっても、黒子ちゃんはとても大事な存在だったろう。
だから彼女は、黒子ちゃんの命を奪った犯人は許せない。例えそれが誰であろうと。
誰であろうと、殺してやりたいと思うほど、許せないだろう。
美琴ちゃんによれば昨日の午後八時過ぎ、路地裏で黒子ちゃんが遺体で発見されたと彼女達が住む寮の管理人から、ルームメイトである美琴ちゃんへ知らされたそうだ。
死因は、やはりというべきか撲殺。
特に抵抗した様子は無く、何発も頭を叩かれて死んでいたそうだ。
空間移動などする間もなく。演算などできる余裕もなく。
彼女は、殺された。
死亡推定時刻はぼくと別れてからまもなくといった時間で、それを参考にすれば近いうちにぼくの元に警備員が事情聴取にやってくるだろう。
そんなことに時間を消費するのだけは、避けたかった。
「インデックスちゃん」
ぼくがそう呼ぶとひょっこりと風呂場から顔を覗かせるパジャマ姿のシスター。
寝起きの為か、その長い髪はあちこちが跳ねていて、両目はまだ眠りたいと意思表示のために半分閉じかかっている。
1
ぼくが黒子ちゃんの死を知ったのは、黒子ちゃんと別れてから約十二時間が経過した午前七時頃。ぼくの部屋を訪れた美琴ちゃんによって叩き起こされたときだ。
その時インデックスちゃんは運良くユニットバスで眠っていたので(彼女が来てからベットとユニットバスを交代で寝床にしている)美琴ちゃんに要らぬ誤解はされなかった。
もの凄い剣幕で、まるでぼくが犯人だと言わんばかりの勢いで昨日交わした会話や出来事を訪ねてきたので、ぼくは涙子ちゃんのくだりだけを省略して、彼女に説明した。
そこで美琴ちゃんはぼくが冷静すぎるのではないかと憤慨していたが、仕方が無いだろう。
興奮する彼女を抑えるために「余りにも唐突過ぎて状況が把握できない」と嘘を吐いた。
本当はこうなることがある程度予測できていたし、こんな事態になるんではないだろうかと、根拠の無い自信もぼくにはあった。
黒子ちゃんを真似れば『勘』なのだけれど。
何処か納得のいかない様子の美琴ちゃんだったが、何か分かったら連絡をするようにと言い残してぼくの部屋を飛び出していった。
きっと黒子ちゃんの死を知ってからずっとあんな調子なのだろう。寝ずに学園都市中を飛び回っていてもおかしくは無い。
黒子ちゃんにとって美琴ちゃんがとても大事な存在だったように。
美琴ちゃんにとっても、黒子ちゃんはとても大事な存在だったろう。
だから彼女は、黒子ちゃんの命を奪った犯人は許せない。例えそれが誰であろうと。
誰であろうと、殺してやりたいと思うほど、許せないだろう。
美琴ちゃんによれば昨日の午後八時過ぎ、路地裏で黒子ちゃんが遺体で発見されたと彼女達が住む寮の管理人から、ルームメイトである美琴ちゃんへ知らされたそうだ。
死因は、やはりというべきか撲殺。
特に抵抗した様子は無く、何発も頭を叩かれて死んでいたそうだ。
空間移動などする間もなく。演算などできる余裕もなく。
彼女は、殺された。
死亡推定時刻はぼくと別れてからまもなくといった時間で、それを参考にすれば近いうちにぼくの元に警備員が事情聴取にやってくるだろう。
そんなことに時間を消費するのだけは、避けたかった。
「インデックスちゃん」
ぼくがそう呼ぶとひょっこりと風呂場から顔を覗かせるパジャマ姿のシスター。
寝起きの為か、その長い髪はあちこちが跳ねていて、両目はまだ眠りたいと意思表示のために半分閉じかかっている。
693:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:22:00.00:i1n2DXHu0 (5/10)
「さっきの雷みたいな女の子はもう行った?」
彼女にしては珍しく空気を読んで隠れていたなと思っていたのだが、どうやら単純に美琴ちゃんに恐怖していただけらしい。
それにしても雷みたいとは、的を得たことを言う。
「ああ、もう行ったよ。それに伴ってぼくは少し外出するから君は当麻くんの部屋にでも遊びに行ってくれ」
そう言って彼の部屋の鍵をインデックスちゃんに渡す。どうしてぼくが合鍵を持っているのかといえば、単純に鍵を盗んで型を取っただけに過ぎない。
「うー。またもやしは嫌なんだよ……」
他人の家に押しかけることに罪悪感は無いようだが、出される料理に不満はあるようだ。どれだけ図々しいのだろう、この暴食シスターは。
ぼくが当麻くんに罪悪感を感じてしまったので、財布から福沢諭吉さんを一体召還して、インデックスちゃんの生贄に捧げる。
これだけすれば、多少の無理も当麻くんはきいてくれるだろう。
金の切れ目が縁の切れ目になるのであれば、金から結ばれる縁があってもいいじゃないか。
「それってとっても嫌な縁かも」
「ビジネスライクな取引だと言ってほしいね」
会社などの取引など、お金が全てだ。
「信用取引って言葉が在った気がするんだけど」
確かに存在するが、結局のところそれもお金が付いて回っているので、彼女が思っているほどクリーンな言葉ではない。
ぼくは会話が脱線することを恐れとりあえず首を振って間を置いてから彼女が握り締める一万円札を指差す。
「それじゃ、そのお金で当麻くんと食事してくれ。それと知らない人がぼくの家に来ていても話しかけちゃいけないよ。勿論、見つかっても駄目だ」
ぼくの忠告に黙って頷いて、再び寝床へ戻っていくインデックスちゃん。バタバタと音がするので修道服にでも着替えているのだろう。
ぼくは彼女の着替えを待たずに部屋を出た。
目的地は決まっている。やるべきことも、決まっていた。
「さぁ、つまんなくなってきやがった」
夏休み中日の今日は、見事に曇り空だった。
「さっきの雷みたいな女の子はもう行った?」
彼女にしては珍しく空気を読んで隠れていたなと思っていたのだが、どうやら単純に美琴ちゃんに恐怖していただけらしい。
それにしても雷みたいとは、的を得たことを言う。
「ああ、もう行ったよ。それに伴ってぼくは少し外出するから君は当麻くんの部屋にでも遊びに行ってくれ」
そう言って彼の部屋の鍵をインデックスちゃんに渡す。どうしてぼくが合鍵を持っているのかといえば、単純に鍵を盗んで型を取っただけに過ぎない。
「うー。またもやしは嫌なんだよ……」
他人の家に押しかけることに罪悪感は無いようだが、出される料理に不満はあるようだ。どれだけ図々しいのだろう、この暴食シスターは。
ぼくが当麻くんに罪悪感を感じてしまったので、財布から福沢諭吉さんを一体召還して、インデックスちゃんの生贄に捧げる。
これだけすれば、多少の無理も当麻くんはきいてくれるだろう。
金の切れ目が縁の切れ目になるのであれば、金から結ばれる縁があってもいいじゃないか。
「それってとっても嫌な縁かも」
「ビジネスライクな取引だと言ってほしいね」
会社などの取引など、お金が全てだ。
「信用取引って言葉が在った気がするんだけど」
確かに存在するが、結局のところそれもお金が付いて回っているので、彼女が思っているほどクリーンな言葉ではない。
ぼくは会話が脱線することを恐れとりあえず首を振って間を置いてから彼女が握り締める一万円札を指差す。
「それじゃ、そのお金で当麻くんと食事してくれ。それと知らない人がぼくの家に来ていても話しかけちゃいけないよ。勿論、見つかっても駄目だ」
ぼくの忠告に黙って頷いて、再び寝床へ戻っていくインデックスちゃん。バタバタと音がするので修道服にでも着替えているのだろう。
ぼくは彼女の着替えを待たずに部屋を出た。
目的地は決まっている。やるべきことも、決まっていた。
「さぁ、つまんなくなってきやがった」
夏休み中日の今日は、見事に曇り空だった。
694:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:23:07.71:i1n2DXHu0 (6/10)
2
ぼくが目指した場所は風紀委員第一七七支部の詰め所――ではなく涙子ちゃんの住む学生寮だった。
詰め所の方も後から寄るつもりだが、この時間に行っても取り合ってくれないだろうと思い、先にこちらの用事を済ませるためだ。
涙子ちゃんには予め連絡をしたので、問題は無いだろう。本音を言えばアポを取るのではなく、何号室に住んでいるのか忘れてしまったから聞いただけなんだけど。
バスに乗って学生寮へと到着したぼくは特に躊躇することなく涙子ちゃんの部屋のインターホンを鳴らす。
「はーい」という声と共にパタパタと歩く音がしてから扉が開いた。
「早かったですね」
現れたのは当然だが涙子ちゃんだった。どこかへ出掛けるつもりだったのだろうか、服装はどうみても部屋着ではなく余所行きの物に見える。
「バスを使ったからね。急に押しかけてゴメン。どこか出掛けるつもりだった?」
彼女の服に目をやると、何処か満足そうな笑みを浮かべて「これが普通です」と言って腰に両手を当てて胸を張る。
玄関先でそれだけの会話を交わすと涙子ちゃんは「どうぞ」と言ってぼくを中に招き入れてくれた。
通されたワンルームは綺麗に片付けられており、本棚にはアイドル歌手らしき人物が特集された雑誌が幾つか並べられていた。
いかにも、女の子らしい部屋だ。
「それで用件は……って一つしかないですよね」
座布団を用意してその上に座るよう促した涙子ちゃんは、パソコンが置かれた机の前にあった椅子に背もたれが前に来るように腰掛ける。
「白井さんの……ことですか」
「ああ。それを知っているって事は美琴ちゃんが来たんだね」
「ええ、五時くらいですかね。連絡も無く突然」
その時の様子を思い返しているのか、少し苦笑いをする。
「本当に驚きましたよ。まさか白井さんが……」
「本当にね。それでぼくは涙子ちゃんに聞きたいことがあるんだ」
目を伏せて呟く彼女にぼくは矢継ぎ早に質問をする。
2
ぼくが目指した場所は風紀委員第一七七支部の詰め所――ではなく涙子ちゃんの住む学生寮だった。
詰め所の方も後から寄るつもりだが、この時間に行っても取り合ってくれないだろうと思い、先にこちらの用事を済ませるためだ。
涙子ちゃんには予め連絡をしたので、問題は無いだろう。本音を言えばアポを取るのではなく、何号室に住んでいるのか忘れてしまったから聞いただけなんだけど。
バスに乗って学生寮へと到着したぼくは特に躊躇することなく涙子ちゃんの部屋のインターホンを鳴らす。
「はーい」という声と共にパタパタと歩く音がしてから扉が開いた。
「早かったですね」
現れたのは当然だが涙子ちゃんだった。どこかへ出掛けるつもりだったのだろうか、服装はどうみても部屋着ではなく余所行きの物に見える。
「バスを使ったからね。急に押しかけてゴメン。どこか出掛けるつもりだった?」
彼女の服に目をやると、何処か満足そうな笑みを浮かべて「これが普通です」と言って腰に両手を当てて胸を張る。
玄関先でそれだけの会話を交わすと涙子ちゃんは「どうぞ」と言ってぼくを中に招き入れてくれた。
通されたワンルームは綺麗に片付けられており、本棚にはアイドル歌手らしき人物が特集された雑誌が幾つか並べられていた。
いかにも、女の子らしい部屋だ。
「それで用件は……って一つしかないですよね」
座布団を用意してその上に座るよう促した涙子ちゃんは、パソコンが置かれた机の前にあった椅子に背もたれが前に来るように腰掛ける。
「白井さんの……ことですか」
「ああ。それを知っているって事は美琴ちゃんが来たんだね」
「ええ、五時くらいですかね。連絡も無く突然」
その時の様子を思い返しているのか、少し苦笑いをする。
「本当に驚きましたよ。まさか白井さんが……」
「本当にね。それでぼくは涙子ちゃんに聞きたいことがあるんだ」
目を伏せて呟く彼女にぼくは矢継ぎ早に質問をする。
695:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:23:40.83:i1n2DXHu0 (7/10)
「黒子ちゃんは誰かに恨まれるようなことあったかな?」
その質問に涙子ちゃんは眉を顰めたように見えたが、直ぐに首を振って「無いと思います」と否定した。
「風紀委員として捕まえた相手から恨まれることはあったかもしれませんが、白井さんは理由も無しに恨まれる人じゃないと思います」
「ふうん」
理由もなしに、か。
「だいたいこれって通り魔が犯人なんじゃないんですか?それなら動機なんてないでしょう?」
「確かに犯人は通り魔だと思う。でもだからといって動機が無いとは限らない」
「ど、どういう……」
うろたえる涙子ちゃんにぼくは通り魔殺人の被害者一覧を印刷した紙を無造作に床に広げる。
「これは涙子ちゃんに見せてもらった被害者一覧だ。共通点は覚えているかな?」
「え、っと。学生と能力者でしたっけ」
少し考えてから口にする涙子ちゃん。
「そう。さらに昨日殺された黒子ちゃんも漏れなく共通点に該当する」
常盤台中学生で空間移動の能力者。
「でも、それ以外にもう一つ共通点があるんだ」
「……っえ?」
ぼくの言葉に涙子ちゃんは紙を拾い上げて食い入るように見つめるが、分からないと首を傾げる。
「……精神干渉系の能力者が、居ないんだよ」
「あ」
「黒子ちゃんは誰かに恨まれるようなことあったかな?」
その質問に涙子ちゃんは眉を顰めたように見えたが、直ぐに首を振って「無いと思います」と否定した。
「風紀委員として捕まえた相手から恨まれることはあったかもしれませんが、白井さんは理由も無しに恨まれる人じゃないと思います」
「ふうん」
理由もなしに、か。
「だいたいこれって通り魔が犯人なんじゃないんですか?それなら動機なんてないでしょう?」
「確かに犯人は通り魔だと思う。でもだからといって動機が無いとは限らない」
「ど、どういう……」
うろたえる涙子ちゃんにぼくは通り魔殺人の被害者一覧を印刷した紙を無造作に床に広げる。
「これは涙子ちゃんに見せてもらった被害者一覧だ。共通点は覚えているかな?」
「え、っと。学生と能力者でしたっけ」
少し考えてから口にする涙子ちゃん。
「そう。さらに昨日殺された黒子ちゃんも漏れなく共通点に該当する」
常盤台中学生で空間移動の能力者。
「でも、それ以外にもう一つ共通点があるんだ」
「……っえ?」
ぼくの言葉に涙子ちゃんは紙を拾い上げて食い入るように見つめるが、分からないと首を傾げる。
「……精神干渉系の能力者が、居ないんだよ」
「あ」
696:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:24:21.55:i1n2DXHu0 (8/10)
そう、玖渚がぼくに言った「さいこめとりー」を始め、洗脳、テレパス等といった精神に干渉する能力者が一人も存在しない。
「でも、それは偶然じゃ……」
「そうだね、偶然かもしれない。偶然、非力な学生ばかり被害に合った。偶然、能力者ばかり殺された。偶然、精神干渉系の能力者は居なかった」
そして偶然、路地裏を全員が歩いていた。
ぼくがスキルアウトに絡まれたように、人目のつかない路地裏ばかりで殺害された。
「黒子ちゃんは例外として、レベル4以上の能力者が居なかったのも偶然かな?ぼくは犯人が獲物を選んでいるようにしか感じないんだけど」
書庫(バンク)という学生の能力データが記載されたデータベースが存在する。これはある程度なら一般人も閲覧が可能なため被害者の情報を事前に知る事だってできる。
それが例えぼくでも、涙子ちゃんでも。
「…………」
涙子ちゃんは手に持った紙を震わせている。何かに脅えているように、何かに気が付いてしまったように。
ぼくは続ける。
「そうなった場合、別に能力レベルは関係ないんじゃないかな。例えば後ろから不意打ちで――」
ドン、とぼくは床に拳を叩き落す。その振動で驚いたのか大きく涙子ちゃんが身体を揺らす。
「無能力者は能力者に勝てないっていう前提を取っ払えば、別の道は簡単に現れてくるよ」
高位能力者が犯人ならこんな小細工はしないだろう。それにそういった存在は満たされている。
能力者として成功した自身に。開発に成功したという自信に。
なんら不満は持たないだろう。
だからこの場合。
「無能力者による、能力者狩りなんじゃないかな」
「…………」
そう考えたほうが自然だ。
能力者に嫉妬し、能力を渇望し、学園都市のシステムに反抗し犯行に及んでしまったのではないかと。
不満を募らせて、凶行に走ってしまっても、おかしくはない。
そう、玖渚がぼくに言った「さいこめとりー」を始め、洗脳、テレパス等といった精神に干渉する能力者が一人も存在しない。
「でも、それは偶然じゃ……」
「そうだね、偶然かもしれない。偶然、非力な学生ばかり被害に合った。偶然、能力者ばかり殺された。偶然、精神干渉系の能力者は居なかった」
そして偶然、路地裏を全員が歩いていた。
ぼくがスキルアウトに絡まれたように、人目のつかない路地裏ばかりで殺害された。
「黒子ちゃんは例外として、レベル4以上の能力者が居なかったのも偶然かな?ぼくは犯人が獲物を選んでいるようにしか感じないんだけど」
書庫(バンク)という学生の能力データが記載されたデータベースが存在する。これはある程度なら一般人も閲覧が可能なため被害者の情報を事前に知る事だってできる。
それが例えぼくでも、涙子ちゃんでも。
「…………」
涙子ちゃんは手に持った紙を震わせている。何かに脅えているように、何かに気が付いてしまったように。
ぼくは続ける。
「そうなった場合、別に能力レベルは関係ないんじゃないかな。例えば後ろから不意打ちで――」
ドン、とぼくは床に拳を叩き落す。その振動で驚いたのか大きく涙子ちゃんが身体を揺らす。
「無能力者は能力者に勝てないっていう前提を取っ払えば、別の道は簡単に現れてくるよ」
高位能力者が犯人ならこんな小細工はしないだろう。それにそういった存在は満たされている。
能力者として成功した自身に。開発に成功したという自信に。
なんら不満は持たないだろう。
だからこの場合。
「無能力者による、能力者狩りなんじゃないかな」
「…………」
そう考えたほうが自然だ。
能力者に嫉妬し、能力を渇望し、学園都市のシステムに反抗し犯行に及んでしまったのではないかと。
不満を募らせて、凶行に走ってしまっても、おかしくはない。
697:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:25:02.28:i1n2DXHu0 (9/10)
幻想御手(レベルアッパー)事件という事例を取ってみてもそうだろう。あの事件の場合は低能力者も含まれていたが動機は皆同じようなものだ。
『能力への憧れ』
この一言に尽きる。
「で、でもそれは全部仮定でしょう?」
「うん。そうだね。全部ぼくの想像に過ぎないけど、あながち間違った意見でもないと思うよ」
玖渚に頼んだ件と、これから風紀委員支部に向い、調べ者をすればある程度裏づけは取れるだろう。
だからその前にここに来ておきたかった。
「さて、もう一つだけ質問がしたかったんだ」
「……なんですか?」
睨みつけるようにぼくを見る涙子ちゃんは手に持った紙を投げ捨て、椅子を回転させ背もたれに深く持たれかかる。
「涙子ちゃんは、人を殺そうと思ったことあるかな?」
ぼくの質問に涙子ちゃんは拍子抜けだと言わんばかりに目を丸くさせて、短く笑ってから答える。
「それは生きているのなら誰もが一度は思うでしょう。あたしだって例外じゃありませんよ」
「その通りだ。ぼくだってそう思う」
それだけ聞いて、ぼくは立ち上がり「ありがとう。もう帰るよ」と言って返答も待たずに玄関へ向かう。
ドアノブに手をかけたところで振り返り、未だ椅子に座る涙子ちゃんを見据えてこう言った。
「腕の怪我は、もう大丈夫?」
青髪くんの様に含みを持たせた言い分に涙子ちゃんは目を見開いて驚いたが、直ぐに笑顔になりグルグルと腕を回す。
「もう完治しましたよ」
「それはよかった」
ぼくはそう言い残し、涙子ちゃんの部屋を後にした。
幻想御手(レベルアッパー)事件という事例を取ってみてもそうだろう。あの事件の場合は低能力者も含まれていたが動機は皆同じようなものだ。
『能力への憧れ』
この一言に尽きる。
「で、でもそれは全部仮定でしょう?」
「うん。そうだね。全部ぼくの想像に過ぎないけど、あながち間違った意見でもないと思うよ」
玖渚に頼んだ件と、これから風紀委員支部に向い、調べ者をすればある程度裏づけは取れるだろう。
だからその前にここに来ておきたかった。
「さて、もう一つだけ質問がしたかったんだ」
「……なんですか?」
睨みつけるようにぼくを見る涙子ちゃんは手に持った紙を投げ捨て、椅子を回転させ背もたれに深く持たれかかる。
「涙子ちゃんは、人を殺そうと思ったことあるかな?」
ぼくの質問に涙子ちゃんは拍子抜けだと言わんばかりに目を丸くさせて、短く笑ってから答える。
「それは生きているのなら誰もが一度は思うでしょう。あたしだって例外じゃありませんよ」
「その通りだ。ぼくだってそう思う」
それだけ聞いて、ぼくは立ち上がり「ありがとう。もう帰るよ」と言って返答も待たずに玄関へ向かう。
ドアノブに手をかけたところで振り返り、未だ椅子に座る涙子ちゃんを見据えてこう言った。
「腕の怪我は、もう大丈夫?」
青髪くんの様に含みを持たせた言い分に涙子ちゃんは目を見開いて驚いたが、直ぐに笑顔になりグルグルと腕を回す。
「もう完治しましたよ」
「それはよかった」
ぼくはそう言い残し、涙子ちゃんの部屋を後にした。
698:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/25(金) 00:27:54.03:i1n2DXHu0 (10/10)
終わりです。露骨過ぎたかも。
これから投下前はageるようにしますねー。
gdgd感がヤバイですが、いつもコメント感謝しております。
それでは、また明日。
終わりです。露骨過ぎたかも。
これから投下前はageるようにしますねー。
gdgd感がヤバイですが、いつもコメント感謝しております。
それでは、また明日。
699:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/03/25(金) 00:37:34.34:aCmyIwEAO (1/1)
乙
乙
700:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/25(金) 00:37:44.53:EALxWbYAO (1/1)
乙
これは……うわ、インデックス編から伏線張ってたのかよ
やべぇ、読み返してくる
乙
これは……うわ、インデックス編から伏線張ってたのかよ
やべぇ、読み返してくる
701:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 00:43:32.51:Sa75Xyryo (1/1)
乙
実にクビシメ風だ
乙
実にクビシメ風だ
702:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 00:49:35.67:t/3F2leDO (1/1)
乙
Satinさん…
乙
Satinさん…
703:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/03/25(金) 00:56:08.39:VmaN8rFWo (1/1)
乙
これは確かにクビシメだな
乙
これは確かにクビシメだな
704:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 01:03:17.18:LxsN+DZH0 (1/1)
乙
>>1の過負荷かもしれんが
×的を得る ○的を射る、な
乙
>>1の過負荷かもしれんが
×的を得る ○的を射る、な
705:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/25(金) 03:31:38.49:53I3zug1o (1/1)
犯人は内臓潰しの横須賀に違いない
犯人は内臓潰しの横須賀に違いない
706:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/25(金) 04:28:00.93:E4X/LcnD0 (1/1)
能力潰しの
能力潰しの
707:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/26(土) 00:16:07.40:SbUzvT0AO (1/2)
いやいや火野さんだろ
よく考えたら前作でも黒子死亡してんだな……
いやいや火野さんだろ
よく考えたら前作でも黒子死亡してんだな……
708:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/26(土) 00:32:57.13:lgaaWdu7o (1/1)
前作は一応死んでないはず
前作は一応死んでないはず
709:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/26(土) 10:50:28.49:0dklZQOUo (1/1)
『死んだことを無かった事にしただけだよ』
『死んだことを無かった事にしただけだよ』
710:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/26(土) 13:13:10.82:XHBGbTuDO (1/1)
やっぱり西尾原作でツインテールは死亡フラグなのか・・・
やっぱり西尾原作でツインテールは死亡フラグなのか・・・
711:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:29:51.02:V/u9Kl/Z0 (1/9)
文法の間違いや誤字脱字や語彙が貧弱なのは僕が馬鹿だから。
地の文が少なくなってきているのは気のせい。
それでは投下します。
文法の間違いや誤字脱字や語彙が貧弱なのは僕が馬鹿だから。
地の文が少なくなってきているのは気のせい。
それでは投下します。
712:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:30:34.77:V/u9Kl/Z0 (2/9)
2
「あれ?」
涙子ちゃんと分かれてから、ぼくは風起委員一七七支部の詰め所に来ていた。目的は黒子ちゃんが集めた通り魔事件の資料を借りること。
だが、どうも飾利ちゃんを初めとする風紀委員の面々は出払っているらしく入り口には電子ロックが掛けられている。
試しにでたらめな解除ナンバーを押してみるが、開くはずが無かった。
「ちょっと、アンタ」
どうしようかと腕を組んでいたら背後から声が掛かり、振り向くとそこにはぼくと同じように腕組みをした美琴ちゃんが立っていた。
「こんな所でなにしてんのよ」
刺々しい言葉を投げつけてくる美琴ちゃん。
「君と同じだよ。通り魔の犯人を見つけようと思ってね」
「っは!アンタと一緒にしないで欲しいわね!私が探してんのは黒子をあんな目に遭わせた人間よ!」
「一緒じゃないか。黒子ちゃんを殺したのも通り魔だぜ?」
「……っ」
ぼくの言葉に歯を食いしばる美琴ちゃんは、一体どの単語に反応したのだろうか。通り魔と同一犯だったことか、殺したという言葉か。
「でも、生憎と留守みたいだから改めて出直す――」
肩を竦めるぼくの脇を通り抜け、電子ロックの基盤に手を添える。バチっと電気が走ったかと思えば基盤にはロック解除を知らせる青いランプが点灯した。
どうやら電撃使い最強の名は戦闘だけで決まったわけではないらしい。応用力に優れた能力だ。
感心するぼくを置いて、とっとと美琴ちゃんは入室してしまったのでそれに続くことにした。
室内は当然ながら、無人。
ぼくは始末書がそのままになっている黒子ちゃんのデスクに近づくと、手当たりしだい書類を手にとって確認する。
デスク上に無ければ引き出しを開け、そこにも無ければパソコンを起動させてフォルダを次々と開けていく。
そして。
2
「あれ?」
涙子ちゃんと分かれてから、ぼくは風起委員一七七支部の詰め所に来ていた。目的は黒子ちゃんが集めた通り魔事件の資料を借りること。
だが、どうも飾利ちゃんを初めとする風紀委員の面々は出払っているらしく入り口には電子ロックが掛けられている。
試しにでたらめな解除ナンバーを押してみるが、開くはずが無かった。
「ちょっと、アンタ」
どうしようかと腕を組んでいたら背後から声が掛かり、振り向くとそこにはぼくと同じように腕組みをした美琴ちゃんが立っていた。
「こんな所でなにしてんのよ」
刺々しい言葉を投げつけてくる美琴ちゃん。
「君と同じだよ。通り魔の犯人を見つけようと思ってね」
「っは!アンタと一緒にしないで欲しいわね!私が探してんのは黒子をあんな目に遭わせた人間よ!」
「一緒じゃないか。黒子ちゃんを殺したのも通り魔だぜ?」
「……っ」
ぼくの言葉に歯を食いしばる美琴ちゃんは、一体どの単語に反応したのだろうか。通り魔と同一犯だったことか、殺したという言葉か。
「でも、生憎と留守みたいだから改めて出直す――」
肩を竦めるぼくの脇を通り抜け、電子ロックの基盤に手を添える。バチっと電気が走ったかと思えば基盤にはロック解除を知らせる青いランプが点灯した。
どうやら電撃使い最強の名は戦闘だけで決まったわけではないらしい。応用力に優れた能力だ。
感心するぼくを置いて、とっとと美琴ちゃんは入室してしまったのでそれに続くことにした。
室内は当然ながら、無人。
ぼくは始末書がそのままになっている黒子ちゃんのデスクに近づくと、手当たりしだい書類を手にとって確認する。
デスク上に無ければ引き出しを開け、そこにも無ければパソコンを起動させてフォルダを次々と開けていく。
そして。
713:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:31:15.03:V/u9Kl/Z0 (3/9)
「見つけた」
黒子プライベートとタイトルを付けられたフォルダの中に溢れんばかりに保存されている美琴ちゃんの画像ファイルに埋もれるようにして、メモ帳のアイコンが一つ。
ぼくは躊躇することなくそれを開くと、内容を確認し印刷する。
勝手に備品を弄繰り回しているが、緊急事態ということで勘弁して欲しい。
「それがアンタの欲しがってた資料なの?」
「ああ、これで五割は正解に近づいた」
美琴ちゃんは「そんな物が?」と言った疑問の表情を浮かべながらそっと黒子ちゃんのデスクに手を置く。
ぼくは印刷された一枚のA4用紙を折りたたむとポケットに詰め込む。それと同時に携帯電話が震えたので取り出して確認する。
着信しているは玖渚の番号だった。
ぼくは美琴ちゃんに断りを入れると通話を開始する。
「いーちゃん、頼まれた件はフリーアドレスに送っておいたから!!それじゃあ僕様ちゃんは俄然に非常に忙しくなったんでバイビー!」
「おい、友……」
前回とは対照的に一言も会話を交わす前に通話が終了してしまった、ぼくは溜め息をひとつ吐くと、再び黒子ちゃんのパソコンを動かしメールの確認をする。
貼り付けファイルには動画があり、本文には学園都市の守護神(ゴールキーパー)からハットトリックを決めてやったというよく分からない文が書かれていた。
「守護神って……誰からのメールなのよ」
「天才から――って守護神ってなんだよ、強い能力者のこと?」
ファイルを落としている時間に美琴ちゃんから守護神とやらの概要を聞き、そこでまた一歩事件の核心に迫ることが出来た。
幾らなんでも、出来すぎなシナリオじゃないだろうか。
学園都市のセキュリティを守る、凄腕の技術者。それが守護神らしい。
玖渚からのメールを見る限りでは、思い切りゴールを決められたみたいだけど、相手が悪かった。中学生がプロにサッカーの試合を挑むようなものだ。
そんなやり取りをしている間に動画のダウンロードは完了し、映像が流れ出す。
ぼくと美琴ちゃんは会話を中断し、食い入るように画面を見つめた。
「見つけた」
黒子プライベートとタイトルを付けられたフォルダの中に溢れんばかりに保存されている美琴ちゃんの画像ファイルに埋もれるようにして、メモ帳のアイコンが一つ。
ぼくは躊躇することなくそれを開くと、内容を確認し印刷する。
勝手に備品を弄繰り回しているが、緊急事態ということで勘弁して欲しい。
「それがアンタの欲しがってた資料なの?」
「ああ、これで五割は正解に近づいた」
美琴ちゃんは「そんな物が?」と言った疑問の表情を浮かべながらそっと黒子ちゃんのデスクに手を置く。
ぼくは印刷された一枚のA4用紙を折りたたむとポケットに詰め込む。それと同時に携帯電話が震えたので取り出して確認する。
着信しているは玖渚の番号だった。
ぼくは美琴ちゃんに断りを入れると通話を開始する。
「いーちゃん、頼まれた件はフリーアドレスに送っておいたから!!それじゃあ僕様ちゃんは俄然に非常に忙しくなったんでバイビー!」
「おい、友……」
前回とは対照的に一言も会話を交わす前に通話が終了してしまった、ぼくは溜め息をひとつ吐くと、再び黒子ちゃんのパソコンを動かしメールの確認をする。
貼り付けファイルには動画があり、本文には学園都市の守護神(ゴールキーパー)からハットトリックを決めてやったというよく分からない文が書かれていた。
「守護神って……誰からのメールなのよ」
「天才から――って守護神ってなんだよ、強い能力者のこと?」
ファイルを落としている時間に美琴ちゃんから守護神とやらの概要を聞き、そこでまた一歩事件の核心に迫ることが出来た。
幾らなんでも、出来すぎなシナリオじゃないだろうか。
学園都市のセキュリティを守る、凄腕の技術者。それが守護神らしい。
玖渚からのメールを見る限りでは、思い切りゴールを決められたみたいだけど、相手が悪かった。中学生がプロにサッカーの試合を挑むようなものだ。
そんなやり取りをしている間に動画のダウンロードは完了し、映像が流れ出す。
ぼくと美琴ちゃんは会話を中断し、食い入るように画面を見つめた。
714:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:32:04.40:V/u9Kl/Z0 (4/9)
そこにはぼくが思ったとおりの映像が流れており、美琴ちゃんもその意味に気が付いたらしい。
「コレって……」
「うん。ぼくが襲われていたときの映像だね」
それは七月二十日の深夜、あの路地裏での映像だった。壁にもたれかかる二つの死体。それに手を伸ばししゃがみ込むぼく。そして、フルフェイスの通り魔。
バットを振りかぶりぼくを襲おうとする通り魔に、ぼくの蹴りが直撃する。丁度、通り魔から見て右腕の、肩に近い位置。
怯む通り魔、逃走するぼく。
映像はご丁寧にぼくの無様な逃走シーンを全ての防犯カメラを駆使して様々なアングルから撮影したものが流れている。
玖渚の趣味だろうか。それならば、悪趣味だ。
そして通り魔の不振な挙動の後に、白い少年が登場する場面。
そこでぼくは映像を切った。
「もう一個動画があるけど、これも似たような物だろうから、省略するね」
本当はこちらの映像のほうが重要なのだが、美琴ちゃんにはコレだけで全て伝わったと思うので割愛しよう。
美琴ちゃんが血眼になって探している黒子ちゃんを《殺した犯人》の正体。
ぼくはパソコンの電源を落とし、立ち上がる。
この事件にトリックなど必要ない。密室でもなければ容疑者は学園都市全ての人間だ。
そして、ぼくが言ったように通り魔ではない。確実な悪意の元に行われた、計画的な犯行だ。
能力者への報復。
的違いな復習。
信念無き、殺戮。
思えば、あの時にファミレスで会ってしまった時に気が付くべきだった。誰が満席のファミレスに入ろうと言ったのかを。
知らないぼくと相席を希望したのは、誰だったのだろう。
殺し損ねたぼくと相席を希望したのは、誰だったのだろう。
そこにはぼくが思ったとおりの映像が流れており、美琴ちゃんもその意味に気が付いたらしい。
「コレって……」
「うん。ぼくが襲われていたときの映像だね」
それは七月二十日の深夜、あの路地裏での映像だった。壁にもたれかかる二つの死体。それに手を伸ばししゃがみ込むぼく。そして、フルフェイスの通り魔。
バットを振りかぶりぼくを襲おうとする通り魔に、ぼくの蹴りが直撃する。丁度、通り魔から見て右腕の、肩に近い位置。
怯む通り魔、逃走するぼく。
映像はご丁寧にぼくの無様な逃走シーンを全ての防犯カメラを駆使して様々なアングルから撮影したものが流れている。
玖渚の趣味だろうか。それならば、悪趣味だ。
そして通り魔の不振な挙動の後に、白い少年が登場する場面。
そこでぼくは映像を切った。
「もう一個動画があるけど、これも似たような物だろうから、省略するね」
本当はこちらの映像のほうが重要なのだが、美琴ちゃんにはコレだけで全て伝わったと思うので割愛しよう。
美琴ちゃんが血眼になって探している黒子ちゃんを《殺した犯人》の正体。
ぼくはパソコンの電源を落とし、立ち上がる。
この事件にトリックなど必要ない。密室でもなければ容疑者は学園都市全ての人間だ。
そして、ぼくが言ったように通り魔ではない。確実な悪意の元に行われた、計画的な犯行だ。
能力者への報復。
的違いな復習。
信念無き、殺戮。
思えば、あの時にファミレスで会ってしまった時に気が付くべきだった。誰が満席のファミレスに入ろうと言ったのかを。
知らないぼくと相席を希望したのは、誰だったのだろう。
殺し損ねたぼくと相席を希望したのは、誰だったのだろう。
715:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:32:45.18:V/u9Kl/Z0 (5/9)
「…………ねぇ」
震える声で、美琴ちゃんが尋ねる。
その表情は悲しんでいるようで、怒っているようで、泣いているようで。
現状が理解できていないのだろう。現実を理解したくないのだろう。
「なんで……」
震える声で、身体で、心で
「なんで黒子は……」
懸命に意識を繋ぎとめている。
「なんで黒子は《あの子》に殺されたの……?」
ぼくは黒子ちゃんの言葉を思い出す。
――随分と好意を持たれていますわね
それが、動機なのだろう。
だから、黒子ちゃんは例外なんだ。通り魔は黒子ちゃんがどんな人間でも殺したはずだ。
好意も善意も尊敬も希望も誠意も全て変わり。
嫌悪に悪意に軽蔑に絶望に殺意に全て代わり。
自分の感情が分からなくなって、気が付けば足が動いて、気が付けば腕を振り下ろしていたのだろう。
気が付けば、殺していたのだろう。
黒子ちゃんはきっと犯人が彼女だと分かっていた。それなのに、彼女に殺された。
風紀委員で大能力者な彼女が《何の抵抗をすることなく無く殺された》。
美琴ちゃんは、ついに、泣き出して、口を開く。
「…………ねぇ」
震える声で、美琴ちゃんが尋ねる。
その表情は悲しんでいるようで、怒っているようで、泣いているようで。
現状が理解できていないのだろう。現実を理解したくないのだろう。
「なんで……」
震える声で、身体で、心で
「なんで黒子は……」
懸命に意識を繋ぎとめている。
「なんで黒子は《あの子》に殺されたの……?」
ぼくは黒子ちゃんの言葉を思い出す。
――随分と好意を持たれていますわね
それが、動機なのだろう。
だから、黒子ちゃんは例外なんだ。通り魔は黒子ちゃんがどんな人間でも殺したはずだ。
好意も善意も尊敬も希望も誠意も全て変わり。
嫌悪に悪意に軽蔑に絶望に殺意に全て代わり。
自分の感情が分からなくなって、気が付けば足が動いて、気が付けば腕を振り下ろしていたのだろう。
気が付けば、殺していたのだろう。
黒子ちゃんはきっと犯人が彼女だと分かっていた。それなのに、彼女に殺された。
風紀委員で大能力者な彼女が《何の抵抗をすることなく無く殺された》。
美琴ちゃんは、ついに、泣き出して、口を開く。
716:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:33:22.33:V/u9Kl/Z0 (6/9)
「なんで佐天さんは、黒子を殺したの……?」
「なんで佐天さんは、黒子を殺したの……?」
717:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:33:56.95:V/u9Kl/Z0 (7/9)
ぼくは躊躇うことなく、口を開く。
ぼくは躊躇うことなく、口を開く。
718:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:34:26.81:V/u9Kl/Z0 (8/9)
「勘違い」
「勘違い」
719:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/26(土) 22:34:59.79:V/u9Kl/Z0 (9/9)
やっぱり佐天さんが黒子を殺した犯人だと判明して、取り合えず終了です。
それでは、また明日とか。
やっぱり佐天さんが黒子を殺した犯人だと判明して、取り合えず終了です。
それでは、また明日とか。
720:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/26(土) 23:11:11.28:NM+SUBmAO (1/1)
乙
今更だけど容赦ねえな……
乙
今更だけど容赦ねえな……
721:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/26(土) 23:44:16.12:SbUzvT0AO (2/2)
伏線ぱねぇ…
でもまだ終わりじゃないんだろ?
伏線ぱねぇ…
でもまだ終わりじゃないんだろ?
722:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/27(日) 02:48:18.10:j+n1PblOo (1/1)
クビシメだぁ・・・
あとは誰がアイツに当てはまるかか・・・
クビシメだぁ・・・
あとは誰がアイツに当てはまるかか・・・
723:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/03/27(日) 04:55:53.99:PNQJ78jfo (1/1)
乙
わかっていても、つらいものはつらいんだね
乙
わかっていても、つらいものはつらいんだね
724:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/27(日) 15:37:40.03:8G6tg7/IO (1/1)
そして奴が出て来るのか、、、
そして奴が出て来るのか、、、
725:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/28(月) 08:00:27.67:vnalTNkAO (1/3)
追い付いた
なんか今までにない禁書SSだな
追い付いた
なんか今までにない禁書SSだな
726:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 08:54:17.71:gDVTuvbko (1/1)
まぁどの作品も戯言混ぜたらこんな感じになるだろうなー
まぁどの作品も戯言混ぜたらこんな感じになるだろうなー
727:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 09:17:33.95:uHn2b11a0 (1/1)
戯言ベースならクロス先は禁書である必要なんてのもぶっちゃけ皆無(ry
戯言ベースならクロス先は禁書である必要なんてのもぶっちゃけ皆無(ry
728:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/28(月) 10:05:58.38:vnalTNkAO (2/3)
>727
それを言ったら二次創作、特にクロスは全部当てはまるだろうよwwwww
まぁ普通に面白いから気にならないけどな
>727
それを言ったら二次創作、特にクロスは全部当てはまるだろうよwwwww
まぁ普通に面白いから気にならないけどな
729:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/03/28(月) 12:00:10.25:mRcmojFro (1/1)
禁書ベースの後で戯言ベースやってんだからクロス先も重要だろうよ
禁書ベースの後で戯言ベースやってんだからクロス先も重要だろうよ
730:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 13:11:52.07:P5G/NZNvo (1/1)
無双したいがためにわざわざ必要の無いクロスをして禁書キャラを出汁にするクズ書き手も多いからなぁ
億泰ジョジョのとかヘルシングのとか王土さんのとか見てて反吐がでたわ
無双したいがためにわざわざ必要の無いクロスをして禁書キャラを出汁にするクズ書き手も多いからなぁ
億泰ジョジョのとかヘルシングのとか王土さんのとか見てて反吐がでたわ
731:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/03/28(月) 13:53:55.65:uBkMFhjAO (1/2)
>>730
王土さんの能力の拡大解釈はあったけど、割りとどっちのキャラも立ててたように感じたけどな
>>730
王土さんの能力の拡大解釈はあったけど、割りとどっちのキャラも立ててたように感じたけどな
732:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 13:58:07.94:BhyvSvUvo (1/1)
自分も>>730のは楽しめたクチ
ヘルシングのクロスは複数あるんで俺が読んだのとは違うかもだけどね
酷いのになると禁書キャラ全員殺して「禁書キャラはガチの殺し合いに慣れてないからこうなる」と不思議な捨て台詞吐いてく書き手もいたし・・・
自分も>>730のは楽しめたクチ
ヘルシングのクロスは複数あるんで俺が読んだのとは違うかもだけどね
酷いのになると禁書キャラ全員殺して「禁書キャラはガチの殺し合いに慣れてないからこうなる」と不思議な捨て台詞吐いてく書き手もいたし・・・
733:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 16:05:21.11:egvagw5N0 (1/1)
>>730
もしかしてそれ全部セ●テープの作品じゃねーのか
あいつは禁書が好きでクロスしてたんじゃなくクロス先の作品を引き立てるために禁書を当て馬にしてただけだぞ
あれは書いてたのも悪かったが周囲のギャラリーもジョジョ厨や反禁書派が多かったってのも原因だった
>>730
もしかしてそれ全部セ●テープの作品じゃねーのか
あいつは禁書が好きでクロスしてたんじゃなくクロス先の作品を引き立てるために禁書を当て馬にしてただけだぞ
あれは書いてたのも悪かったが周囲のギャラリーもジョジョ厨や反禁書派が多かったってのも原因だった
734:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 16:13:55.47:T9p2Fuwlo (1/3)
まぁとりあえず他所の話はスレチな
まぁとりあえず他所の話はスレチな
735:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 17:11:15.47:rej4V3xDO (1/3)
トランセンドスレッド、話題や流れが住人の予想を超越する超攻撃型スレ
そんなにスレッドをここでやりてぇ
って感じっスか?
他スレ叩きはいい加減スレチっスよ?
そんなん二秒で切り返して下さいよ
トランセンドスレッド、話題や流れが住人の予想を超越する超攻撃型スレ
そんなにスレッドをここでやりてぇ
って感じっスか?
他スレ叩きはいい加減スレチっスよ?
そんなん二秒で切り返して下さいよ
736:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 18:52:23.08:CAdILkG50 (1/1)
他作品の批判は控えていただけると幸いです。その、王土さんのは僕も影響受けてますし。
しかし球磨川さんも、いーちゃんも無双してる気がするので、見直しながら書いていきます。
それでは、書き溜めてから投下します。
他作品の批判は控えていただけると幸いです。その、王土さんのは僕も影響受けてますし。
しかし球磨川さんも、いーちゃんも無双してる気がするので、見直しながら書いていきます。
それでは、書き溜めてから投下します。
737:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 19:26:54.77:rej4V3xDO (2/3)
来たか
王土さんのは面白かったな
来たか
王土さんのは面白かったな
738:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 20:20:38.61:ldWUQfmK0 (1/4)
3
その後の展開は、やはりというか、当然というか、修羅場だった。
涙子ちゃんの所へ行くと聞かない美琴ちゃんを「ここからは警備員の仕事だ」と言い聞かせ「嫌よ」と断られる。この繰り返し。
勿論ぼくは通報などするつもりはないが、今美琴ちゃんに勝手に動かれては困るので止むなしだ。どちらが折れるかの我慢比べ。
「復讐するつもりだろ?そんなことをしても黒子ちゃんは喜ばないよ」
結局この言葉が決定打となり、ぼくは美琴ちゃんを寮へと帰すことに成功した。
我ながら姑息な言葉だったと思う。喜ぶも何も、死者は何も感じないし、語ることなど無い。
戯言だ。
「さて」
誰も居なくなった風紀委員一七七支部の詰め所でぼくは黒子ちゃんの椅子に腰掛け腕を組む。
美琴ちゃんが一人で帰って行ったので電子ロックは掛けれない。なので、どうしようかと思案している訳だ。
まあ鍵を開けたままでも構わないのだが、これから先の行動を考えるのには丁度いい時間なのでくつろがさせてもらおう。
何と無しにパソコンを起動させてメモがあったフォルダを開いて画像を見てみる。
黒子ちゃんのことだろうからきっと美琴ちゃんの写真ばかりだろうと思っていたのだが、そこに在ったのはあの時ファミレスに来たメンバーで写った写真データばかりだった。
ファミレス内でお喋りをする涙子ちゃんと美琴ちゃん。眠っている飾利ちゃんに悪戯をしようとする涙子ちゃん。美琴ちゃんと黒子ちゃんのツーショット。
そして四人の集合写真。
そんな仲の好さを象徴する写真ばかりが保存されていた。本当に仲の良い友達だったのだろう。
「…………」
ぼくはある程度の写真を見た後に、その内の一枚を印刷してポケットに入れる。そして電子ロックをそのままに詰め所を後にして涙子ちゃんの家へと向かって歩く。
ぼくから彼女にかける言葉など決まっていたし、とるべき行動も考えている。美琴ちゃんにはそれが終わった後に思う存分話し合いをしてもらおう。
涙子ちゃんの家までなかなかの距離があるのでバスを使おうか、歩いて向かおうが迷っていた。
と、そこで。
「あー!あなた何してるの!?」
聞き覚えのある声が聞こえた。ぼくは出来れば幻聴だと信じたかったが現実は甘くない。いつだって。
3
その後の展開は、やはりというか、当然というか、修羅場だった。
涙子ちゃんの所へ行くと聞かない美琴ちゃんを「ここからは警備員の仕事だ」と言い聞かせ「嫌よ」と断られる。この繰り返し。
勿論ぼくは通報などするつもりはないが、今美琴ちゃんに勝手に動かれては困るので止むなしだ。どちらが折れるかの我慢比べ。
「復讐するつもりだろ?そんなことをしても黒子ちゃんは喜ばないよ」
結局この言葉が決定打となり、ぼくは美琴ちゃんを寮へと帰すことに成功した。
我ながら姑息な言葉だったと思う。喜ぶも何も、死者は何も感じないし、語ることなど無い。
戯言だ。
「さて」
誰も居なくなった風紀委員一七七支部の詰め所でぼくは黒子ちゃんの椅子に腰掛け腕を組む。
美琴ちゃんが一人で帰って行ったので電子ロックは掛けれない。なので、どうしようかと思案している訳だ。
まあ鍵を開けたままでも構わないのだが、これから先の行動を考えるのには丁度いい時間なのでくつろがさせてもらおう。
何と無しにパソコンを起動させてメモがあったフォルダを開いて画像を見てみる。
黒子ちゃんのことだろうからきっと美琴ちゃんの写真ばかりだろうと思っていたのだが、そこに在ったのはあの時ファミレスに来たメンバーで写った写真データばかりだった。
ファミレス内でお喋りをする涙子ちゃんと美琴ちゃん。眠っている飾利ちゃんに悪戯をしようとする涙子ちゃん。美琴ちゃんと黒子ちゃんのツーショット。
そして四人の集合写真。
そんな仲の好さを象徴する写真ばかりが保存されていた。本当に仲の良い友達だったのだろう。
「…………」
ぼくはある程度の写真を見た後に、その内の一枚を印刷してポケットに入れる。そして電子ロックをそのままに詰め所を後にして涙子ちゃんの家へと向かって歩く。
ぼくから彼女にかける言葉など決まっていたし、とるべき行動も考えている。美琴ちゃんにはそれが終わった後に思う存分話し合いをしてもらおう。
涙子ちゃんの家までなかなかの距離があるのでバスを使おうか、歩いて向かおうが迷っていた。
と、そこで。
「あー!あなた何してるの!?」
聞き覚えのある声が聞こえた。ぼくは出来れば幻聴だと信じたかったが現実は甘くない。いつだって。
739:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 20:21:31.96:ldWUQfmK0 (2/4)
「……君こそ何をしてるんだよ。インデックスちゃん」
目を向けた先には安全ピンで不恰好に繕われた修道服に身を包んだインデックスちゃんが居た。それも当麻くんを連れて。
よりによってこのタイミングでインデックスちゃんと遭遇するなんて不幸以外の何物でもない。
彼女は何かとぼくの行動に突っ込んでくるから厄介だ。いや、彼女一人だけならまだしも、今回は当麻くんも一緒だ。彼もまた面倒見が良い良すぎる。
「とうまと一緒にあなたを探してたんだよ!」
なぜか誇らしげに胸を張るインデックスちゃん。
「いや、いーさんの家に警備員が来てたからさ……」
対照的にどこかバツの悪そうな表情で頭を掻きながら言う当麻くん。そりゃあそうだ。ぼく達は絶賛敬遠中の間柄なのだから。
そういえばこうやって面と向かって話すのはあの病院以来かもしれない。
「ん……」
さてどうしようか。誤魔化すのが一番だろうけどこういった話には異常に察しの良い当麻くんのことだ。少しでも不信感を抱いたらまた首を突っ込んでくるだろう。
別にそれは問題ないのだが、んー、さて。
「一万円」
「は?」
「一万円、インデックスちゃんに渡したんだけど、もう使っちゃった?」
こんな場合は話を逸らすに限る。
「一万円、イチマンエン、いちまんえん……あ、ああ。一万円ねぇ。確かに受け取ったよ。うん。受け取った」
「良かった。インデックスちゃんが落としてしまわないか心配だったんだ」
「それが、とうまがおと……ムグっ!」
「なーにを言ってるんです?インデックスさん。金は命より重いという座右の銘を掲げる上条さんが、ま、まさか諭吉さんを路上に置き去りにする訳が無いじゃないですか」
何か言おうとするインデックスちゃんの口を塞ぎ汗を垂らしながら弁明をする当麻くん。なるほど、落としたのか。
「……君こそ何をしてるんだよ。インデックスちゃん」
目を向けた先には安全ピンで不恰好に繕われた修道服に身を包んだインデックスちゃんが居た。それも当麻くんを連れて。
よりによってこのタイミングでインデックスちゃんと遭遇するなんて不幸以外の何物でもない。
彼女は何かとぼくの行動に突っ込んでくるから厄介だ。いや、彼女一人だけならまだしも、今回は当麻くんも一緒だ。彼もまた面倒見が良い良すぎる。
「とうまと一緒にあなたを探してたんだよ!」
なぜか誇らしげに胸を張るインデックスちゃん。
「いや、いーさんの家に警備員が来てたからさ……」
対照的にどこかバツの悪そうな表情で頭を掻きながら言う当麻くん。そりゃあそうだ。ぼく達は絶賛敬遠中の間柄なのだから。
そういえばこうやって面と向かって話すのはあの病院以来かもしれない。
「ん……」
さてどうしようか。誤魔化すのが一番だろうけどこういった話には異常に察しの良い当麻くんのことだ。少しでも不信感を抱いたらまた首を突っ込んでくるだろう。
別にそれは問題ないのだが、んー、さて。
「一万円」
「は?」
「一万円、インデックスちゃんに渡したんだけど、もう使っちゃった?」
こんな場合は話を逸らすに限る。
「一万円、イチマンエン、いちまんえん……あ、ああ。一万円ねぇ。確かに受け取ったよ。うん。受け取った」
「良かった。インデックスちゃんが落としてしまわないか心配だったんだ」
「それが、とうまがおと……ムグっ!」
「なーにを言ってるんです?インデックスさん。金は命より重いという座右の銘を掲げる上条さんが、ま、まさか諭吉さんを路上に置き去りにする訳が無いじゃないですか」
何か言おうとするインデックスちゃんの口を塞ぎ汗を垂らしながら弁明をする当麻くん。なるほど、落としたのか。
740:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 20:22:23.85:ldWUQfmK0 (3/4)
「ま、いいさ。君に渡したお金だし」
「いや、上条さんは落としてなんか……」
そこで我慢できなくなったインデックスちゃんが当麻くんの手を噛み、開放される。
ぼくはその寸劇を眺めて、落ち着いたところを見計らって口を開く。
「それじゃ、ぼくは用事があるから」
「あ、ああ。立ち止まらせて悪かったな」
噛まれた手を振りながら当麻くんは言う。
「あ!そうだ!」
今度こそ別れようと歩き出した瞬間、インデックスちゃんが叫びをあげる。
「あおがみがあなたの事を探してたかも!」
「青髪くんが?」
ぼくは当麻くんに目を向け確認を取る。
「そういえば、そうだったな。朝方家を出て直ぐにアイツに聞かれたよ『いーさんはどこや』って」
「ちょっと、こないだのあおがみと様子が違ったかも」
「そうかぁ?」
恐らく完全記憶能力を持つインデックスちゃんだから気がつけた違いだろう。
何が違うのかと言われても回答に困るだろうが、人間は少なからず雰囲気を変えて生きている。きっとインデックスちゃんはそこに違和感を感じた。
「ふうん。ま、会ったら用件を聞いておくよ。……ああ、その前に一つ当麻くんに聞いてもいいかな?」
それは、彼女にしたものと同じ質問。
「人を殺そうと思ったこと――あるかな?」
当麻くんは苦笑いしながら即答する。
「わからねえよ」
「ま、いいさ。君に渡したお金だし」
「いや、上条さんは落としてなんか……」
そこで我慢できなくなったインデックスちゃんが当麻くんの手を噛み、開放される。
ぼくはその寸劇を眺めて、落ち着いたところを見計らって口を開く。
「それじゃ、ぼくは用事があるから」
「あ、ああ。立ち止まらせて悪かったな」
噛まれた手を振りながら当麻くんは言う。
「あ!そうだ!」
今度こそ別れようと歩き出した瞬間、インデックスちゃんが叫びをあげる。
「あおがみがあなたの事を探してたかも!」
「青髪くんが?」
ぼくは当麻くんに目を向け確認を取る。
「そういえば、そうだったな。朝方家を出て直ぐにアイツに聞かれたよ『いーさんはどこや』って」
「ちょっと、こないだのあおがみと様子が違ったかも」
「そうかぁ?」
恐らく完全記憶能力を持つインデックスちゃんだから気がつけた違いだろう。
何が違うのかと言われても回答に困るだろうが、人間は少なからず雰囲気を変えて生きている。きっとインデックスちゃんはそこに違和感を感じた。
「ふうん。ま、会ったら用件を聞いておくよ。……ああ、その前に一つ当麻くんに聞いてもいいかな?」
それは、彼女にしたものと同じ質問。
「人を殺そうと思ったこと――あるかな?」
当麻くんは苦笑いしながら即答する。
「わからねえよ」
741:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/03/28(月) 20:22:53.49:uBkMFhjAO (2/2)
がんばれ
がんばれ
742:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 20:23:19.56:ldWUQfmK0 (4/4)
ちょっと外出します。
また日付が変わる頃に投下します。
ちょっと外出します。
また日付が変わる頃に投下します。
743:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/28(月) 20:32:01.00:Vb5JI5wWo (1/1)
待ってるぜ
待ってるぜ
744:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/03/28(月) 20:33:23.17:x8a47SSAO (1/1)
やっぱこの作品いいな
いま張り付いてる中でも一番好きだ
やっぱこの作品いいな
いま張り付いてる中でも一番好きだ
745:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 21:04:24.52:cnMMPM4DO (1/3)
いーちゃんと狐さん無双は仕方ないと思うけどね。
いるだけで周りが狂ったり、因果律からはじき出されてたり、終わらせたりと人間っていうより悪魔だもんな
いーちゃんと狐さん無双は仕方ないと思うけどね。
いるだけで周りが狂ったり、因果律からはじき出されてたり、終わらせたりと人間っていうより悪魔だもんな
746:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/28(月) 21:49:14.04:J7efJxnI0 (1/1)
>>730
これだから禁書厨は
>>730
これだから禁書厨は
747:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 22:29:11.05:yHwZDDAV0 (1/2)
いいね、「わからねえよ」。
いーちゃんに対してはしっかりと真実を出さざるを得ない、いいね
いいね、「わからねえよ」。
いーちゃんに対してはしっかりと真実を出さざるを得ない、いいね
748:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:53:52.89:WI4imu730 (1/11)
少し早いですが投下します。
少し早いですが投下します。
749:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:54:29.87:WI4imu730 (2/11)
感知外―――――――――(勘違い)
登場人物
??? 殺人鬼
感知外―――――――――(勘違い)
登場人物
??? 殺人鬼
750:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:55:08.42:WI4imu730 (3/11)
1
ぼくはノックもせずゆっくりと扉を開けて室内へ足を踏み入れる。まず真っ先に気が付いたのは異様なまでに暗い室内だ。
外はまだ明るい時間帯だというのに、この部屋には一切の光が無い。照明も灯されず、カーテンは引いてある。
暗い、暗い、闇。
気を抜けばその中に溶けていってしまいそうで、思考が全て止まってしまいそうで。
全てを遮断される。
一瞬躊躇したが、ここまで来て引くわけには行かない。
ぼくは靴も脱がずに一歩足を踏み入れる。
視覚の次は臭覚に伝わる。これは、血の匂い。何度も嗅いだ事のある、あの真っ赤な液体。見慣れた死を連想させる液体。
心臓が強く締め付けられる錯覚を覚える。視界が揺れ、倒れそうになる。
胸の辺りを右手で握り締めて、何とか倒れまいと足元を強く踏みしめる。まだ、大丈夫。
少し慣れた目で足元を確認してみれば割れた食器だろうか、鋭利な物体が無数散乱していた。
血は見えない。
一歩、一歩、前に進む。
彼女と会話した部屋に入れば大事に本棚に陳列されていた雑誌がビリビリに破られ至る所へ撒かれており、その奥に座り込む一つの人影。
少し目を細めて確認すると、それは彼女が通う中学校の制服だと把握する。彼女の友人が一度だけ着ていたのを見たことがある。オーソドックスなセーラー服だ。
ゴン。
そこでぼくは何かを蹴ってしまう。ゴロゴロとフローリングの上を転がるボールの様なものはゆっくりと人影に向かって進む。
それはまるで元の位置に戻ろうとするように。必死に元に戻ろうとするように。
ゴロゴロと、転がっていく。
左右に揺れながら進む姿は、それがボールのように綺麗な球体でないことを示している。
やっと、血溜りが確認できる。
そして、それは人影のちょうど膝の位置で停止した。
「…………」
ぼくは、そこで、それと、目が、合った。
転がったボールの正体。
1
ぼくはノックもせずゆっくりと扉を開けて室内へ足を踏み入れる。まず真っ先に気が付いたのは異様なまでに暗い室内だ。
外はまだ明るい時間帯だというのに、この部屋には一切の光が無い。照明も灯されず、カーテンは引いてある。
暗い、暗い、闇。
気を抜けばその中に溶けていってしまいそうで、思考が全て止まってしまいそうで。
全てを遮断される。
一瞬躊躇したが、ここまで来て引くわけには行かない。
ぼくは靴も脱がずに一歩足を踏み入れる。
視覚の次は臭覚に伝わる。これは、血の匂い。何度も嗅いだ事のある、あの真っ赤な液体。見慣れた死を連想させる液体。
心臓が強く締め付けられる錯覚を覚える。視界が揺れ、倒れそうになる。
胸の辺りを右手で握り締めて、何とか倒れまいと足元を強く踏みしめる。まだ、大丈夫。
少し慣れた目で足元を確認してみれば割れた食器だろうか、鋭利な物体が無数散乱していた。
血は見えない。
一歩、一歩、前に進む。
彼女と会話した部屋に入れば大事に本棚に陳列されていた雑誌がビリビリに破られ至る所へ撒かれており、その奥に座り込む一つの人影。
少し目を細めて確認すると、それは彼女が通う中学校の制服だと把握する。彼女の友人が一度だけ着ていたのを見たことがある。オーソドックスなセーラー服だ。
ゴン。
そこでぼくは何かを蹴ってしまう。ゴロゴロとフローリングの上を転がるボールの様なものはゆっくりと人影に向かって進む。
それはまるで元の位置に戻ろうとするように。必死に元に戻ろうとするように。
ゴロゴロと、転がっていく。
左右に揺れながら進む姿は、それがボールのように綺麗な球体でないことを示している。
やっと、血溜りが確認できる。
そして、それは人影のちょうど膝の位置で停止した。
「…………」
ぼくは、そこで、それと、目が、合った。
転がったボールの正体。
751:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:56:01.00:WI4imu730 (4/11)
初
春
飾
利
の
首
だ
っ
た。
初
春
飾
利
の
首
だ
っ
た。
752:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:56:47.90:WI4imu730 (5/11)
頭に大きな花飾りを乗せたまま、目を閉じている彼女の顔は、眠っていると言われれば信じてしまいそうなほど穏やかなものだった。
首と胴体が切り離されていなければ。
甘い声で話す彼女。
悪は許せないと言った彼女。
《チーム》に憧れた彼女。
あの力強い目は、二度と開かれること無く、頑なに閉じられている。
遅かった。
あの時、風紀委員支部に誰も居なかったことで気が付くべきだった。
飾利ちゃんは、涙子ちゃんのもとへ向かっているということを。
とにかく、さすがに警備員へ連絡をしなければならないと思い携帯電話を取り出し番号をプッシュしようとする。
「っぐあぁ!」
突然右手に鈍痛が走り、携帯電話をどこかへ飛ばしてしまう。一瞬思考が追いつかなくなるが一度息を吐き出して考える。これは、殴られたのだ。
ぼくは殴れらた方角から距離を取り、狭い室内の角へ背中をつける。
殴られた右手を見てみれば不自然なほどに甲が膨らんでいる。試しに触っているが感覚が無い。
折れた、か。
少なくともヒビは入っただろう。これで右手は使い物にならない。が、ぼくは無理やり拳を握り締めると両手を胸の前に挙げて臨戦態勢をとる。
そして目の前に居る犯人へと話しかけた。
「……金属バットは人には向けちゃいけませんって習わなかったのか」
もう彼女はフルフェイスのヘルメットなどつけていない。自慢の長い黒髪を存分にさらけ出し、うんとオシャレをした服装でぼくの前に立っている。
ただ変わらずにあるのは、右手に持たれた金属バットだけだ。八人の命を奪った、鈍い凶器だけだ。
「あはは、生憎ですがあたしってコレを人以外に使ったこと無いんですよねー」
ケラケラと笑顔を見せる。あの時ファミレスで見せた笑顔と同じで、無邪気で、明るい、無垢なもの。
ただそれが、今は不気味に写る。
「そうかい。本当に君は愚か者だ」
ぼくの言葉に佐天涙子は、笑顔を消した。
頭に大きな花飾りを乗せたまま、目を閉じている彼女の顔は、眠っていると言われれば信じてしまいそうなほど穏やかなものだった。
首と胴体が切り離されていなければ。
甘い声で話す彼女。
悪は許せないと言った彼女。
《チーム》に憧れた彼女。
あの力強い目は、二度と開かれること無く、頑なに閉じられている。
遅かった。
あの時、風紀委員支部に誰も居なかったことで気が付くべきだった。
飾利ちゃんは、涙子ちゃんのもとへ向かっているということを。
とにかく、さすがに警備員へ連絡をしなければならないと思い携帯電話を取り出し番号をプッシュしようとする。
「っぐあぁ!」
突然右手に鈍痛が走り、携帯電話をどこかへ飛ばしてしまう。一瞬思考が追いつかなくなるが一度息を吐き出して考える。これは、殴られたのだ。
ぼくは殴れらた方角から距離を取り、狭い室内の角へ背中をつける。
殴られた右手を見てみれば不自然なほどに甲が膨らんでいる。試しに触っているが感覚が無い。
折れた、か。
少なくともヒビは入っただろう。これで右手は使い物にならない。が、ぼくは無理やり拳を握り締めると両手を胸の前に挙げて臨戦態勢をとる。
そして目の前に居る犯人へと話しかけた。
「……金属バットは人には向けちゃいけませんって習わなかったのか」
もう彼女はフルフェイスのヘルメットなどつけていない。自慢の長い黒髪を存分にさらけ出し、うんとオシャレをした服装でぼくの前に立っている。
ただ変わらずにあるのは、右手に持たれた金属バットだけだ。八人の命を奪った、鈍い凶器だけだ。
「あはは、生憎ですがあたしってコレを人以外に使ったこと無いんですよねー」
ケラケラと笑顔を見せる。あの時ファミレスで見せた笑顔と同じで、無邪気で、明るい、無垢なもの。
ただそれが、今は不気味に写る。
「そうかい。本当に君は愚か者だ」
ぼくの言葉に佐天涙子は、笑顔を消した。
753:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:57:35.41:WI4imu730 (6/11)
「愚か者で何が悪い!」
バットを思い切りフローリングへ叩きつける。衝撃で床がへこむ。
「そうやって人を見下して、劣等性を蔑んで、いい加減ムカつくんですよ!」
それは、誰に向けた言葉なのだろうか。
決壊したダムの様に、彼女の口から吐き出される。
「幻想御手を使って何が悪い!能力開発の投薬と何の違いがあるんですか!」
もはや、言葉が繋がっていない。
「何が能力者だ!あんな奴ら少し痛い思いをしたら何も出来ないくせに!!」
「あたしは正しい!無能力者の代表で、代理で、皆の気持ちを代弁してやっただけなんだ!!」
ああそうか。
涙子ちゃんは、もう――
「あたしにはそれができたんだ!無能なんかじゃ、欠陥品なんかじゃ――ない!」
壊れている。表と裏が混じって、取り返しが付かない。
感情が分からないんじゃない。感情が一つしかない。
喜びも、悲しみも、怒りも、憂いも、憤りも、楽しみも。何も感じない。
彼女を動かしているのは、殺意でしかない。
能力者に、学園都市に対する、殺意でしか。
「自惚れるなよ」
だから、ぼくはそう言い放つ。
「君なんかが欠陥品を名乗るなよ。虫唾が走る」
「な……!」
「愚か者で何が悪い!」
バットを思い切りフローリングへ叩きつける。衝撃で床がへこむ。
「そうやって人を見下して、劣等性を蔑んで、いい加減ムカつくんですよ!」
それは、誰に向けた言葉なのだろうか。
決壊したダムの様に、彼女の口から吐き出される。
「幻想御手を使って何が悪い!能力開発の投薬と何の違いがあるんですか!」
もはや、言葉が繋がっていない。
「何が能力者だ!あんな奴ら少し痛い思いをしたら何も出来ないくせに!!」
「あたしは正しい!無能力者の代表で、代理で、皆の気持ちを代弁してやっただけなんだ!!」
ああそうか。
涙子ちゃんは、もう――
「あたしにはそれができたんだ!無能なんかじゃ、欠陥品なんかじゃ――ない!」
壊れている。表と裏が混じって、取り返しが付かない。
感情が分からないんじゃない。感情が一つしかない。
喜びも、悲しみも、怒りも、憂いも、憤りも、楽しみも。何も感じない。
彼女を動かしているのは、殺意でしかない。
能力者に、学園都市に対する、殺意でしか。
「自惚れるなよ」
だから、ぼくはそう言い放つ。
「君なんかが欠陥品を名乗るなよ。虫唾が走る」
「な……!」
754:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:58:05.29:WI4imu730 (7/11)
「君はぼくと似ているって言ったよね。冗談じゃない、君はただのオチコボレで、劣等生だ」
似ても似つかない。
「ぼくからしてみれば子供が妬んでいる様にしか見えないね。自分は与えられている立場だというのに、それを全く理解していない」
「違う!あたしは何も……!」
「結局、君は何がしたかったんだ?たった二桁にも届かない人間を殺して学園都市が変わるとでも思ったのか?」
変わるわけが無い。それだけでシステムが変わるのならば、世界はもっと素晴らしいものになっているだろう。
「黒子ちゃんも殺して、飾利ちゃんも殺す。はあ、君達は友達じゃなかったのかい?」
――優先順位の問題だよ
涙子ちゃんと同じように、友人を殺めた彼女の言葉を思い浮かべる。
本当に、戯言だ。
涙子ちゃんも彼女と同じで、前提を間違えている。
「あ、あたしは初春を殺してない!全部、全部お前が居たから――」
「やれやれ、責任転嫁かよ。ま、ぼくのせいってのは否定しないけどさ……いい加減にしろ、人殺し」
ぼくの言葉にビクっと身体を震わせる涙子ちゃん。
「能力者の六人は、まあいい。黒子ちゃんと、飾利ちゃんもこの場合はおいて置こう。ただしなんで小萌先生を殺したんだ」
どの共通点にも当てはまらない、彼女。殺される理由などなかった彼女。
「っは」と涙子ちゃんは短く笑う、口元を歪めて、醜く笑う。
「そんなもの、目撃されたからに決まっているでしょう?見られたら、バレるじゃないですか?だから殺した」
悪びれる様子も無く、言い放つ。
ぼくは肩を竦めて首を振り「そうか」とだけ呟く。
「君はぼくと似ているって言ったよね。冗談じゃない、君はただのオチコボレで、劣等生だ」
似ても似つかない。
「ぼくからしてみれば子供が妬んでいる様にしか見えないね。自分は与えられている立場だというのに、それを全く理解していない」
「違う!あたしは何も……!」
「結局、君は何がしたかったんだ?たった二桁にも届かない人間を殺して学園都市が変わるとでも思ったのか?」
変わるわけが無い。それだけでシステムが変わるのならば、世界はもっと素晴らしいものになっているだろう。
「黒子ちゃんも殺して、飾利ちゃんも殺す。はあ、君達は友達じゃなかったのかい?」
――優先順位の問題だよ
涙子ちゃんと同じように、友人を殺めた彼女の言葉を思い浮かべる。
本当に、戯言だ。
涙子ちゃんも彼女と同じで、前提を間違えている。
「あ、あたしは初春を殺してない!全部、全部お前が居たから――」
「やれやれ、責任転嫁かよ。ま、ぼくのせいってのは否定しないけどさ……いい加減にしろ、人殺し」
ぼくの言葉にビクっと身体を震わせる涙子ちゃん。
「能力者の六人は、まあいい。黒子ちゃんと、飾利ちゃんもこの場合はおいて置こう。ただしなんで小萌先生を殺したんだ」
どの共通点にも当てはまらない、彼女。殺される理由などなかった彼女。
「っは」と涙子ちゃんは短く笑う、口元を歪めて、醜く笑う。
「そんなもの、目撃されたからに決まっているでしょう?見られたら、バレるじゃないですか?だから殺した」
悪びれる様子も無く、言い放つ。
ぼくは肩を竦めて首を振り「そうか」とだけ呟く。
755:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:58:32.20:WI4imu730 (8/11)
「それで、ぼくをどうするつもり?」
「決まってるでしょう?殺すんですよ」
そして、一閃。ぼくの頭に金属バット振りぬかれる。鈍い衝撃が伝わり、意識が揺れる。摩擦で切れたのだろうか、生暖かい血液がぼくの額を濡らす。
だが、倒れない。倒れてやらない。
「ど、どうして避けないんですか!?」
殴ったというのに困惑している。
「ぼくを、殺したいんだろ、う?だったら殺せよ」
舌が上手く回らない。思考が上手く纏まらない。
こんな様じゃ、戯言遣いは名乗れないかもしれないが、目の前の殺人者を止める事ぐらいはできる。
「だけど、ぼくは能力者じゃない。それどころか君以下の人間だ」
左目に血が入る。
「君は、ぼくを、殺す、理由が、あるのか――」
もう一つ、今回の事件の被害者から共通点を出すとすれば『佐天涙子より優れている人間』だということ。
それは能力面であり、役職であり、様々だがそれは同じことだった。
小萌先生ですら、それに該当してしまう。教師という一歩上に立つ存在。
「うう」
そんな理由は、無いだろう。少なくとも、殺人を犯し始めの彼女には、無かっただろう。
だが。
「ううぅうぅあぁあぁぁぁああああああああああああ!!」
今の彼女には、理由など必要は無かった。
邪魔になれば殺し。不利益なれば殺し。億劫に思えば殺し。苛立ちを覚えれば殺し。悲しんだら殺し。
殺したくなれば、殺す。
「それで、ぼくをどうするつもり?」
「決まってるでしょう?殺すんですよ」
そして、一閃。ぼくの頭に金属バット振りぬかれる。鈍い衝撃が伝わり、意識が揺れる。摩擦で切れたのだろうか、生暖かい血液がぼくの額を濡らす。
だが、倒れない。倒れてやらない。
「ど、どうして避けないんですか!?」
殴ったというのに困惑している。
「ぼくを、殺したいんだろ、う?だったら殺せよ」
舌が上手く回らない。思考が上手く纏まらない。
こんな様じゃ、戯言遣いは名乗れないかもしれないが、目の前の殺人者を止める事ぐらいはできる。
「だけど、ぼくは能力者じゃない。それどころか君以下の人間だ」
左目に血が入る。
「君は、ぼくを、殺す、理由が、あるのか――」
もう一つ、今回の事件の被害者から共通点を出すとすれば『佐天涙子より優れている人間』だということ。
それは能力面であり、役職であり、様々だがそれは同じことだった。
小萌先生ですら、それに該当してしまう。教師という一歩上に立つ存在。
「うう」
そんな理由は、無いだろう。少なくとも、殺人を犯し始めの彼女には、無かっただろう。
だが。
「ううぅうぅあぁあぁぁぁああああああああああああ!!」
今の彼女には、理由など必要は無かった。
邪魔になれば殺し。不利益なれば殺し。億劫に思えば殺し。苛立ちを覚えれば殺し。悲しんだら殺し。
殺したくなれば、殺す。
756:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 22:59:02.09:WI4imu730 (9/11)
ぼくは再び金属バットで殴られるのだろうと思った。今度こそは意識が飛んでしまうかもしれない。下手したらそのまま死んでしまうかもしれない。
ただ、それもぼくはどうでもよかった。このまま死んでしまえば死んでしまうだけだし、意識を失ったら死ぬまで殴られるだろう。
行き着く先は、どれも一緒だ。どんな選択肢を選んだところで、どんなルートを進んだところで、エンドは決まっている。
ぼくは目を閉じない。ひたすらに金属バットの矛先を見つめる。あとはそれが振り下ろされるのを待つだけだった。
「なにやっとるんや」
だが、一向にバットが空を切る音が聞こえない。変わりに聞こえてきたのは聞いた事のある胡散臭い関西弁。
同時に、金属バットが胡瓜みたいに輪切りになって地面に落ちる。
ぼくと涙子ちゃんは同時に声の主へと目を向ける。
「わざと殴られるなんて、いーさんはアレか?マゾか?攻撃を受ける理由が無いんなら避けんかい」
青髪に耳にピアスを着けた長身の少年は相変わらず胡散臭い関西弁と、それにも劣らない胡散臭い笑顔を浮かべながら右手をこちらに向けている。
「な!」
「あーあー。君はちょっと眠っといてや。ボクぁいーさんと話があるでな」
右手の人差し指と中指をクイっと挙げた瞬間、涙子ちゃんの視線が虚ろになりその場に崩れ落ちた。
「この子は裁かれる所で裁かれた後、ボクがお話しに行くからとりあえず放置で。警備員にも通報したから早う逃げるで」
カハハと笑いながらぼくの返答を待たずさっさと踵を返し退室しようとする彼にぼくは慌てて声を掛ける。
「話ってなんだよ」
ぼくの言葉に振り向いて、笑顔のまま言い放つ。
笑顔だというのに、視線は鋭く、冷たかった。
「いいから来いや、戯言遣い。いや、この場合は欠陥製品が正しいか?」
ぼくをあの人間失格のように呼んで、青髪くんは部屋から出て行ってしまった。
なるほど、そういうことか。
ぼくはその一言で全てを理解し――この事件の全てを理解してしまい、彼の後をついて部屋をでた。
飾利ちゃんの死体と、涙子ちゃんを置いたまま。
ぼくは再び金属バットで殴られるのだろうと思った。今度こそは意識が飛んでしまうかもしれない。下手したらそのまま死んでしまうかもしれない。
ただ、それもぼくはどうでもよかった。このまま死んでしまえば死んでしまうだけだし、意識を失ったら死ぬまで殴られるだろう。
行き着く先は、どれも一緒だ。どんな選択肢を選んだところで、どんなルートを進んだところで、エンドは決まっている。
ぼくは目を閉じない。ひたすらに金属バットの矛先を見つめる。あとはそれが振り下ろされるのを待つだけだった。
「なにやっとるんや」
だが、一向にバットが空を切る音が聞こえない。変わりに聞こえてきたのは聞いた事のある胡散臭い関西弁。
同時に、金属バットが胡瓜みたいに輪切りになって地面に落ちる。
ぼくと涙子ちゃんは同時に声の主へと目を向ける。
「わざと殴られるなんて、いーさんはアレか?マゾか?攻撃を受ける理由が無いんなら避けんかい」
青髪に耳にピアスを着けた長身の少年は相変わらず胡散臭い関西弁と、それにも劣らない胡散臭い笑顔を浮かべながら右手をこちらに向けている。
「な!」
「あーあー。君はちょっと眠っといてや。ボクぁいーさんと話があるでな」
右手の人差し指と中指をクイっと挙げた瞬間、涙子ちゃんの視線が虚ろになりその場に崩れ落ちた。
「この子は裁かれる所で裁かれた後、ボクがお話しに行くからとりあえず放置で。警備員にも通報したから早う逃げるで」
カハハと笑いながらぼくの返答を待たずさっさと踵を返し退室しようとする彼にぼくは慌てて声を掛ける。
「話ってなんだよ」
ぼくの言葉に振り向いて、笑顔のまま言い放つ。
笑顔だというのに、視線は鋭く、冷たかった。
「いいから来いや、戯言遣い。いや、この場合は欠陥製品が正しいか?」
ぼくをあの人間失格のように呼んで、青髪くんは部屋から出て行ってしまった。
なるほど、そういうことか。
ぼくはその一言で全てを理解し――この事件の全てを理解してしまい、彼の後をついて部屋をでた。
飾利ちゃんの死体と、涙子ちゃんを置いたまま。
757:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 23:03:16.30:WI4imu730 (10/11)
何の脈略もなしに初春が死んで、急に青ピが現れて終了です。
クロス作品の良さが出るように考えてこれからも投下していきますねー
そして0段落忘れてたのでここに追加。
―――――――――――――――――
0
理由が無ければ行動は起こらない。
原因が無ければ結果は出てこない。
―――――――――――――――――――――
ではまた。
何の脈略もなしに初春が死んで、急に青ピが現れて終了です。
クロス作品の良さが出るように考えてこれからも投下していきますねー
そして0段落忘れてたのでここに追加。
―――――――――――――――――
0
理由が無ければ行動は起こらない。
原因が無ければ結果は出てこない。
―――――――――――――――――――――
ではまた。
758:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:06:07.31:cnMMPM4DO (2/3)
まさかの曲弦?
まさかの曲弦?
759:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:06:34.89:LyhSYJwSO (1/1)
乙。
この話の青ピにも何か能力があるのか…?
それか変装した請負人か。
乙。
この話の青ピにも何か能力があるのか…?
それか変装した請負人か。
760:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(香川県):2011/03/28(月) 23:08:58.92:jvSoQpMQo (1/1)
人識の変装とかは・・・ないな
人識の変装とかは・・・ないな
761:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:09:31.58:T9p2Fuwlo (2/3)
まあクロスってのはどっちかが人身御供というか生贄というか
どう足掻いても公平な扱いにはできないからある程度は仕方ないんじゃ
まあクロスってのはどっちかが人身御供というか生贄というか
どう足掻いても公平な扱いにはできないからある程度は仕方ないんじゃ
762:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/28(月) 23:09:49.35:vnalTNkAO (3/3)
乙。
あれ?なんか違和感が……
いや文体とかじゃなくてだけど
乙。
あれ?なんか違和感が……
いや文体とかじゃなくてだけど
763:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/28(月) 23:13:27.29:WI4imu730 (11/11)
一応、次回からは解決回になると思われ。
>>762
それが僕の考えた違和感なら嬉しい。
誤字脱字ならヘコム。
一応、次回からは解決回になると思われ。
>>762
それが僕の考えた違和感なら嬉しい。
誤字脱字ならヘコム。
764:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:13:59.67:yHwZDDAV0 (2/2)
曲弦ぽいけどそれするとサテンサンがバラバラに・・・
糸でクビシメて圧迫して気絶とか?
そして何や青ピもくさいなあ・・・、続きが気になるわあ!!!
曲弦ぽいけどそれするとサテンサンがバラバラに・・・
糸でクビシメて圧迫して気絶とか?
そして何や青ピもくさいなあ・・・、続きが気になるわあ!!!
765:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/03/28(月) 23:15:49.87:4uzGZeWAO (1/1)
自分の好きな作品のキャラが理不尽に死ぬのが
イヤな気持ちもわからんでもないが
あくまで二次創作だしなぁ
それに何よりこの理不尽さが戯言っぽくて良いと思う
自分の好きな作品のキャラが理不尽に死ぬのが
イヤな気持ちもわからんでもないが
あくまで二次創作だしなぁ
それに何よりこの理不尽さが戯言っぽくて良いと思う
766:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:22:18.75:lyzjClVVo (1/1)
クロス先:クロス元の優劣比率は6:4か7:3くらいがいいとは言われてんね
世界観や舞台を借りる側が座布団を譲ると平和ではある
特にバトルでの勝敗やキャラの生死に関わる部分は不平不満も出やすいし
前作の球磨川に関してはその辺の調整がちょっとアレだったとは思う
クロス先:クロス元の優劣比率は6:4か7:3くらいがいいとは言われてんね
世界観や舞台を借りる側が座布団を譲ると平和ではある
特にバトルでの勝敗やキャラの生死に関わる部分は不平不満も出やすいし
前作の球磨川に関してはその辺の調整がちょっとアレだったとは思う
767:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:28:44.45:T9p2Fuwlo (3/3)
いやでもそんなに謙虚だと「お前何しに来たんだよwwww」ってならなくもない
いやでもそんなに謙虚だと「お前何しに来たんだよwwww」ってならなくもない
768:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/28(月) 23:34:58.72:y8JTZmbKo (1/1)
キャラクター自体にそんなに思い入れというか肩入れをしない主義の俺は
片方の無双だろうがなんだろうが話が面白ければおk
乙
違和感っていうのは、戯言読んでる人には分かりやすい感じであそこかな?
クビシメって言ってたし……
キャラクター自体にそんなに思い入れというか肩入れをしない主義の俺は
片方の無双だろうがなんだろうが話が面白ければおk
乙
違和感っていうのは、戯言読んでる人には分かりやすい感じであそこかな?
クビシメって言ってたし……
769:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:38:27.93:cnMMPM4DO (3/3)
曲弦は元々捕縛術だからな。
気絶ぐらいわけないだろ。
曲弦は元々捕縛術だからな。
気絶ぐらいわけないだろ。
770:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:50:54.86:rej4V3xDO (3/3)
乙だぜ
今回のセリフのせいで青ピのビジュアル鍋島さんとミックスされちまったじゃねぇか
乙だぜ
今回のセリフのせいで青ピのビジュアル鍋島さんとミックスされちまったじゃねぇか
771:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/28(月) 23:57:37.10:onA+J20IO (1/1)
両方共SSでしか知らなくて読んでるワタクシをアピール
両方共SSでしか知らなくて読んでるワタクシをアピール
772:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 00:18:05.33:LKkNCjO00 (1/1)
>>1乙、やっぱおもしろいわこれ
眠ってる顔の首春と目があった、ていうのはまあいいか。揚げ足取りみたいですまんこ。
ほぼ撲殺だけど初春だけは首チョンパかあ。
>>1乙、やっぱおもしろいわこれ
眠ってる顔の首春と目があった、ていうのはまあいいか。揚げ足取りみたいですまんこ。
ほぼ撲殺だけど初春だけは首チョンパかあ。
773:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/29(火) 00:38:19.73:nfEvISAAO (1/2)
乙
妹達編に入る前に美琴が再起不能になってしまいそうだ
何事もなかったような顔してたらそれはそれで怖いし
乙
妹達編に入る前に美琴が再起不能になってしまいそうだ
何事もなかったような顔してたらそれはそれで怖いし
774:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 00:46:55.18:FqeaDZZDO (1/1)
すげー関係ないんだけどさ
人間シリーズってどういう順番で買えばいいん?
すげー関係ないんだけどさ
人間シリーズってどういう順番で買えばいいん?
775:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 00:51:14.42:UEumWZQco (1/2)
刊行順でいいんじゃん?
刊行順でいいんじゃん?
776:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/03/29(火) 01:25:15.76:XznGSO/AO (1/1)
おつおつ
さてんさんは金属バットでどうやって初春の首を切ったんだ?
おつおつ
さてんさんは金属バットでどうやって初春の首を切ったんだ?
777:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/03/29(火) 03:03:39.81:SoX8RjPO0 (1/1)
前作の球磨川は『』つけてる全盛期仕様だったから
ストーリー台無しになっちゃうのはしょうがないんじゃないか
結末がハッピーでもバッドでも、言いようの無い読後感を残す文章ってのは
個人的にはすごいと思ったけど
前作の球磨川は『』つけてる全盛期仕様だったから
ストーリー台無しになっちゃうのはしょうがないんじゃないか
結末がハッピーでもバッドでも、言いようの無い読後感を残す文章ってのは
個人的にはすごいと思ったけど
778:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/29(火) 10:25:30.50:t5kJs5zAO (1/2)
ああ、結末が分かってしまった……
ぱねぇ……
ああ、結末が分かってしまった……
ぱねぇ……
779:名無しNIPPER:2011/03/29(火) 15:36:16.86:fPV+7aFDO (1/1)
チートキャラのいる作品とのクロスだとある程度そのキャラの無双になるのは仕方ないんじゃない?させない為にやたらと制限とかかけまくってもそこまでしてその作品でクロスさせる意味あんの?って感じになるし。
チートキャラのいる作品とのクロスだとある程度そのキャラの無双になるのは仕方ないんじゃない?させない為にやたらと制限とかかけまくってもそこまでしてその作品でクロスさせる意味あんの?って感じになるし。
780:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/29(火) 19:14:05.60:n16Rknt/0 (1/1)
言ってることは正論だけどこうやってコテにもならないようなものを付ける人ってふしぎね
言ってることは正論だけどこうやってコテにもならないようなものを付ける人ってふしぎね
781:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 19:19:18.45:s0lF8+vM0 (1/10)
それでは、書き溜めずに投下していきます。
とりあえず、この章は終わらせたい。
それでは、書き溜めずに投下していきます。
とりあえず、この章は終わらせたい。
782:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 19:20:30.84:s0lF8+vM0 (2/10)
2
「さ、解決編やで」
涙子ちゃんの住む学生寮前。青髪くんはぼくが姿を見せるとそう言って目的地も告げずに歩き出した。
これからどこへ行くのか、なんて分かりきってはいるのだけれど。
ぼくは黙って後に続く。まだお昼時をなのでそれなりに人通りが多い。誰も、この学生寮の中に死体があるとは思っていないだろう。
「解決も何も、たまたま犯人と面識があっただけで特に言うことはないよ」
「解決編やで」
「…………」
どうやら譲る気はないらしい。仕方がないけどさっき助けてくれた借りを忘れるほどぼくは薄情者ではないので白状することにしよう。
なんて、ぼくは情が薄いどころか存在しないのに。
「いつからあの子を犯人やと思っとったん」
「気にかけたのは最初からだよ。ファミレスで腕を怪我してると知ったときだ。それで半分この子が犯人だろうなぁってぼんやりと」
犯行がストップしていたのはただ単に怪我のせいだろう。利き腕が全快でなければバットは振るえない。
そしてその帰り道にぼくと交わした会話は恐らく値踏みのようなものだったのだろう。ぼくを殺すべきか、否かの判断をするための。
「それ前提で色々動いてる内に黒子ちゃんが殺されて、確信した。ただ証拠がなかったから、知り合いに頼んだ防犯カメラの映像待ちだったんだけど」
玖渚の仕事が速かったおかげでああして涙子ちゃんの家に押し掛けることができた訳だ。まあ飾利ちゃんの死は予想外だったけど。
「んー意外と行き当たりばったりなんやね。もしあの子が犯人じゃなかったらどうするつもりやったん?」
「だったらあの部屋に不釣合いな金属バットで野球でもしてたさ」
「なんやそれ」と青髪くんは興が殺がれた様に頭の上で両手を組み、口笛を吹く。
「でも、殺された空間移動の風紀委員ちゃんとあの子は友達だったんやろ?何で殺したんや?」
その答えは既に決まっている。
「勘違い」
「おいおい、超電磁砲には通用したかも知れんけど、それって意味不明やで」
この男はいったいどこまで知っているのだろう。
あの時、詰め所に居たのはぼくと美琴ちゃんだけだったのに。
2
「さ、解決編やで」
涙子ちゃんの住む学生寮前。青髪くんはぼくが姿を見せるとそう言って目的地も告げずに歩き出した。
これからどこへ行くのか、なんて分かりきってはいるのだけれど。
ぼくは黙って後に続く。まだお昼時をなのでそれなりに人通りが多い。誰も、この学生寮の中に死体があるとは思っていないだろう。
「解決も何も、たまたま犯人と面識があっただけで特に言うことはないよ」
「解決編やで」
「…………」
どうやら譲る気はないらしい。仕方がないけどさっき助けてくれた借りを忘れるほどぼくは薄情者ではないので白状することにしよう。
なんて、ぼくは情が薄いどころか存在しないのに。
「いつからあの子を犯人やと思っとったん」
「気にかけたのは最初からだよ。ファミレスで腕を怪我してると知ったときだ。それで半分この子が犯人だろうなぁってぼんやりと」
犯行がストップしていたのはただ単に怪我のせいだろう。利き腕が全快でなければバットは振るえない。
そしてその帰り道にぼくと交わした会話は恐らく値踏みのようなものだったのだろう。ぼくを殺すべきか、否かの判断をするための。
「それ前提で色々動いてる内に黒子ちゃんが殺されて、確信した。ただ証拠がなかったから、知り合いに頼んだ防犯カメラの映像待ちだったんだけど」
玖渚の仕事が速かったおかげでああして涙子ちゃんの家に押し掛けることができた訳だ。まあ飾利ちゃんの死は予想外だったけど。
「んー意外と行き当たりばったりなんやね。もしあの子が犯人じゃなかったらどうするつもりやったん?」
「だったらあの部屋に不釣合いな金属バットで野球でもしてたさ」
「なんやそれ」と青髪くんは興が殺がれた様に頭の上で両手を組み、口笛を吹く。
「でも、殺された空間移動の風紀委員ちゃんとあの子は友達だったんやろ?何で殺したんや?」
その答えは既に決まっている。
「勘違い」
「おいおい、超電磁砲には通用したかも知れんけど、それって意味不明やで」
この男はいったいどこまで知っているのだろう。
あの時、詰め所に居たのはぼくと美琴ちゃんだけだったのに。
783:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 19:24:52.17:s0lF8+vM0 (3/10)
「勘違いさ。あの子はどうもぼくの事を好いてたみたいでね」
「羨ましい話やわ」
「最後まで聞けよ。いいか、通り魔なんて馬鹿なことをする女の子がまともな精神だと思うか?」
むしろここまでよく発狂せずに居られたものだ。
美琴ちゃん達の友達で、いられたものだ。
「狂ってたんだよ、彼女は」
「ふうん」
そこで静寂が流れる。
「今度はぼくから質問していいかな?」
「まあ、いいやろ。ここまで教えてもらったからなぁ」
ヒラヒラと手を振りながら答える青髪くん。
「金属バットを輪切りにしたり、涙子ちゃんの気を失わせたのって君の能力か?」
「正解。隠しとるけどこれでもレベル5の第六位やからね」
あっさり重要な台詞を吐きやがった。
「え?誰が?」
「ボクが」
ケラケラと笑いながらポケットに手を突っ込んで一枚の紙を取り出す。
そしてそれを宙に放り投げると、一瞬の内に細切れとなって風に流され飛んでいった。
「風力使い。カマイタチ起こしたり、真空にして酸素奪ったり、逆に酸素濃度濃くしたり、二酸化炭素の割合多くしたりできるんやで」
なるほど、それの応用で涙子ちゃんの意識を奪ったのか。いや、ぜんぜん納得いかないけど。色々と。
「でも何でレベル5がウチの学校に居るんだよ」
確か、ぼくが通う高校のレベルは当麻くんを見ていただければ分かるようにそこまで高くない。
というか、青髪くんも補習受けてたような。
「勘違いさ。あの子はどうもぼくの事を好いてたみたいでね」
「羨ましい話やわ」
「最後まで聞けよ。いいか、通り魔なんて馬鹿なことをする女の子がまともな精神だと思うか?」
むしろここまでよく発狂せずに居られたものだ。
美琴ちゃん達の友達で、いられたものだ。
「狂ってたんだよ、彼女は」
「ふうん」
そこで静寂が流れる。
「今度はぼくから質問していいかな?」
「まあ、いいやろ。ここまで教えてもらったからなぁ」
ヒラヒラと手を振りながら答える青髪くん。
「金属バットを輪切りにしたり、涙子ちゃんの気を失わせたのって君の能力か?」
「正解。隠しとるけどこれでもレベル5の第六位やからね」
あっさり重要な台詞を吐きやがった。
「え?誰が?」
「ボクが」
ケラケラと笑いながらポケットに手を突っ込んで一枚の紙を取り出す。
そしてそれを宙に放り投げると、一瞬の内に細切れとなって風に流され飛んでいった。
「風力使い。カマイタチ起こしたり、真空にして酸素奪ったり、逆に酸素濃度濃くしたり、二酸化炭素の割合多くしたりできるんやで」
なるほど、それの応用で涙子ちゃんの意識を奪ったのか。いや、ぜんぜん納得いかないけど。色々と。
「でも何でレベル5がウチの学校に居るんだよ」
確か、ぼくが通う高校のレベルは当麻くんを見ていただければ分かるようにそこまで高くない。
というか、青髪くんも補習受けてたような。
784:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 19:40:58.50:s0lF8+vM0 (4/10)
「そんなん簡単や小萌先生が居たからなぁ」
どうやら普段から彼女に向けていた好意は(行為といってもいい)偽りではなく、本物だったようだ。
だから、ここまでしたのだろう。
「酔狂だね」
「褒めんといて、照れるやん」
一言も褒めてないのだが。
「それじゃ次の質問」
「ええ!?もっと小萌先生トークしようやあ!!」
「却下」
話が前に進まないだろう。その話は夏休み明けにぼくが居なくなった学校で存分に元春くんにでも語ってほしい。
切にそう思う。
ぼくはブツブツと文句を呟く青髪くんを無視して質問を投げかける。
「君は、零崎と知り合いなのか――」
これは一番知りたかった事。ぼくを《欠陥製品》と呼ぶ人間はアイツぐらいだろう。
だから、青髪くんはアイツと面識がある筈だ。それもごく最近。
「零崎と知り合いかって、そりゃあ幅広な質問やな。誰のことを指しとるんや?零崎ってのは一賊や。ちゃんと名前を教えてくれなアカンで」
「……零崎人識」
おどけるように、道化のように青髪くんは振舞う。
「ああ、人識クンね。あ、ボクがクン付けで呼んどったんは黙っといてね。一応年上やから。んで人識クンの事は勿論しっとるで。メル友やもんボク等」
とんだメル友が居たものだ。
「いーさんが転向してきた時に、人識クンと似てるなぁって思ってメールしたら『あの欠陥製品ね』って教えてくれたんや」
「ま、そうだろうね」
アイツ余計なことを言ってやいないだろうな。
いや、哀川さんに情報を与えてしまったのだからこれくらいはしょうがない気がするが。
「そんなん簡単や小萌先生が居たからなぁ」
どうやら普段から彼女に向けていた好意は(行為といってもいい)偽りではなく、本物だったようだ。
だから、ここまでしたのだろう。
「酔狂だね」
「褒めんといて、照れるやん」
一言も褒めてないのだが。
「それじゃ次の質問」
「ええ!?もっと小萌先生トークしようやあ!!」
「却下」
話が前に進まないだろう。その話は夏休み明けにぼくが居なくなった学校で存分に元春くんにでも語ってほしい。
切にそう思う。
ぼくはブツブツと文句を呟く青髪くんを無視して質問を投げかける。
「君は、零崎と知り合いなのか――」
これは一番知りたかった事。ぼくを《欠陥製品》と呼ぶ人間はアイツぐらいだろう。
だから、青髪くんはアイツと面識がある筈だ。それもごく最近。
「零崎と知り合いかって、そりゃあ幅広な質問やな。誰のことを指しとるんや?零崎ってのは一賊や。ちゃんと名前を教えてくれなアカンで」
「……零崎人識」
おどけるように、道化のように青髪くんは振舞う。
「ああ、人識クンね。あ、ボクがクン付けで呼んどったんは黙っといてね。一応年上やから。んで人識クンの事は勿論しっとるで。メル友やもんボク等」
とんだメル友が居たものだ。
「いーさんが転向してきた時に、人識クンと似てるなぁって思ってメールしたら『あの欠陥製品ね』って教えてくれたんや」
「ま、そうだろうね」
アイツ余計なことを言ってやいないだろうな。
いや、哀川さんに情報を与えてしまったのだからこれくらいはしょうがない気がするが。
785:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 19:43:27.66:D3KeeDxDO (1/1)
おしゃれガンバリストさんに、メル友……だと!?
おしゃれガンバリストさんに、メル友……だと!?
786:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/29(火) 19:44:22.80:bnhdiw0qo (1/1)
メル友が出来たのって、僕初めて
メル友が出来たのって、僕初めて
787:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 20:05:31.22:s0lF8+vM0 (5/10)
「人間失格に言われたくないけど……で、どうしてメル友になったんだよ」
「簡単や。だってボク零崎やもん」
「…………」
また爆弾発言が飛び出した。その零崎ってのが何を示しているのかは分からないが、哀川さん曰く「零崎を名乗る奴はヤバイ」とのこと。
どうしてそんなヤバイ奴が学園都市で普通に学生をやってるんだよ。それもレベル5って。
「まあ正しくは零崎やった、やな。今は普通の超能力者や。零崎ってのは血の繋がりやなく流血で繋がるからな、ボクみたいなオチコボレは勘当らしいわ。嘘やけど」
「普通の超能力者ってなんだよ……言ってる意味は分からないけど、とりあえず君は危険ってことでいい?」
そのまま右にフェードアウトする。
「物理的距離を開けんといて!心の距離を遠ざけんといて!大丈夫、だいじょーぶ!こっちおいでぇ!よしよし」
犬を懐かせるごとく、中腰でパンパンと手拍子を打ってきやがった。
周りの目が痛いので大人しく彼の隣に戻る。なんというか、そろそろ疲れてきたぞ。
「と、とにかく今は大丈夫やから」
「……不本意ながら信じよう」
話が進まない。いい加減にしなくては。
「君が零崎と知り合いなのは分かった。それじゃあぼくが高校生じゃないってのも知ってるんだな」
「え?そうなん?」
墓穴をパワーシャベルで掘ってしまった。
なんだよ、アイツは一体ぼくの何を話したんだよ。
「京都で遊んで、一緒にカラオケ行って、そのまま女の子ん家に押し掛けた仲やろ?」
「違う。いや、間違いはないけど間違いだ」
「それで、いーさんの家で一夜を共にした……」
「どことなくベーコンレタスなニュアンスで言うんじゃねえよ」
お前はどこのバスケが得意な後輩だ。出てくる物語を間違えないでほしい。
「人間失格に言われたくないけど……で、どうしてメル友になったんだよ」
「簡単や。だってボク零崎やもん」
「…………」
また爆弾発言が飛び出した。その零崎ってのが何を示しているのかは分からないが、哀川さん曰く「零崎を名乗る奴はヤバイ」とのこと。
どうしてそんなヤバイ奴が学園都市で普通に学生をやってるんだよ。それもレベル5って。
「まあ正しくは零崎やった、やな。今は普通の超能力者や。零崎ってのは血の繋がりやなく流血で繋がるからな、ボクみたいなオチコボレは勘当らしいわ。嘘やけど」
「普通の超能力者ってなんだよ……言ってる意味は分からないけど、とりあえず君は危険ってことでいい?」
そのまま右にフェードアウトする。
「物理的距離を開けんといて!心の距離を遠ざけんといて!大丈夫、だいじょーぶ!こっちおいでぇ!よしよし」
犬を懐かせるごとく、中腰でパンパンと手拍子を打ってきやがった。
周りの目が痛いので大人しく彼の隣に戻る。なんというか、そろそろ疲れてきたぞ。
「と、とにかく今は大丈夫やから」
「……不本意ながら信じよう」
話が進まない。いい加減にしなくては。
「君が零崎と知り合いなのは分かった。それじゃあぼくが高校生じゃないってのも知ってるんだな」
「え?そうなん?」
墓穴をパワーシャベルで掘ってしまった。
なんだよ、アイツは一体ぼくの何を話したんだよ。
「京都で遊んで、一緒にカラオケ行って、そのまま女の子ん家に押し掛けた仲やろ?」
「違う。いや、間違いはないけど間違いだ」
「それで、いーさんの家で一夜を共にした……」
「どことなくベーコンレタスなニュアンスで言うんじゃねえよ」
お前はどこのバスケが得意な後輩だ。出てくる物語を間違えないでほしい。
788:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 20:19:51.52:s0lF8+vM0 (6/10)
「冗談はこれからとして」
「これからって言うな。まるでこれまでが本気だったみたいじゃないか」
「え、違うん?」
「断じて違う」
おい。なんでそんな露骨に残念そうな表情を浮かべるんだよ。
だめだ、このままではぼくのキャラが崩壊してしまう。
「嘘うそ。怒らんといて。ちゃんと知ってるで、京都で同じような事件に巻き込まれたんは……いや違うな」
そこで一呼吸置いて。
「巻き込んだんやっけ」
「否定はしないよ」
今回と同じ、仲良し四人組が殺し殺されたあの事件。
そして、今回もどうやら結末は同じらしい。
「なあいーさん。学園都市の暗部って知ってるか?」
「いや、知らないな」
唐突に話題を変えて、ああ。別に変わっていないか。
「簡単にいやぁ表沙汰に出来ん物事の処理をしたりするとこでな」
表沙汰に出来ない物事の処理。きっとそれは人間も処理するのだろう。
裏の組織など、そんなものだ。
「ボクはそこの一員なんや」
「一体君はどれだけ衝撃発言をすれば気が済むんだ。超能力者だったり、零崎と知り合いだったり、暗部ってのに所属してたりって流石に信じきれないぜ」
「嘘つけ。もう気がついとるんやろ?」
「さあ何のことやら」
大げさに首を振って答えてみる。
確かにぼくは青髪くんがそのような組織に属していることにはある程度予測がついていたし、それによって彼が何をしなければならなかったのかも分かっていた。
今回の、事件の、後始末。
「冗談はこれからとして」
「これからって言うな。まるでこれまでが本気だったみたいじゃないか」
「え、違うん?」
「断じて違う」
おい。なんでそんな露骨に残念そうな表情を浮かべるんだよ。
だめだ、このままではぼくのキャラが崩壊してしまう。
「嘘うそ。怒らんといて。ちゃんと知ってるで、京都で同じような事件に巻き込まれたんは……いや違うな」
そこで一呼吸置いて。
「巻き込んだんやっけ」
「否定はしないよ」
今回と同じ、仲良し四人組が殺し殺されたあの事件。
そして、今回もどうやら結末は同じらしい。
「なあいーさん。学園都市の暗部って知ってるか?」
「いや、知らないな」
唐突に話題を変えて、ああ。別に変わっていないか。
「簡単にいやぁ表沙汰に出来ん物事の処理をしたりするとこでな」
表沙汰に出来ない物事の処理。きっとそれは人間も処理するのだろう。
裏の組織など、そんなものだ。
「ボクはそこの一員なんや」
「一体君はどれだけ衝撃発言をすれば気が済むんだ。超能力者だったり、零崎と知り合いだったり、暗部ってのに所属してたりって流石に信じきれないぜ」
「嘘つけ。もう気がついとるんやろ?」
「さあ何のことやら」
大げさに首を振って答えてみる。
確かにぼくは青髪くんがそのような組織に属していることにはある程度予測がついていたし、それによって彼が何をしなければならなかったのかも分かっていた。
今回の、事件の、後始末。
789:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 20:30:34.79:AZGQ9pODO (1/4)
零崎だった…だと…
零崎時の名前が気になるんですの
零崎だった…だと…
零崎時の名前が気になるんですの
790:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 20:40:41.83:s0lF8+vM0 (7/10)
青髪くんが金属バットを輪切りにした時点で、いや当麻くんから青髪くんがぼくを探していたと聞いたときから分かってしまっていた。
「黒子ちゃんから聞いたんだけど、涙子ちゃんが殺した被害者以外に一人通り魔に遭ったらしい」
その被害者は学生でも、能力者でもなく研究員だったそうだ。筋ジストロフィーの解明に携わっていたという研究員。
死因は撲殺ではなく、斬殺。刃物の様なもので体中を切り刻まれて死んでいたそうだ。
「あ、それボク」
あっさりと、それを肯定する。
「小萌先生の後始末をした人間か?」
「そや。でも上からそれ以上は首を突っ込むな言われて泣く泣く手を引いて、実行犯を探しとったんや。丁度そんな指令も出てたしな」
「それで、涙子ちゃんに行き着いたと」
「そうそう。ボクはそういう推理とか苦手やから全部いーさん頼みやってん。上も詳しいこと教えてくれんし」
「そりゃあ、上層部の人も分からなかったんだろ……ってあれ?」
青髪くんの目的地はぼくの住む学生寮で、そこで本格的な答えあわせでもしようとしてたのだろう。それは別に、いい。
予想できていたことだし、断る理由もないからここまで歩いてきた。
だからぼくが間抜けな声を発してしまったのはその事ではなく、学生寮に異変を感じたからだった。
いや、性格には学生寮の前の道路。
「うわぁ……」
青髪くんも同じようにため息混じりに絶望の声を漏らす。ということは、彼もアレが意味することを知っているのだろう。
路上駐車禁止の看板の真下に堂々と駐車された、真っ赤なオープンカー。
見直すことなく、それはコブラだった。
「潤さん来てんのかぁ……」
青髪くんが呟く。そうコブラがある所にその人あり。または事件のある所に哀川潤あり。それか哀川潤の居る所に事件あり、か。
とにかく、人類最強の請負人はまたしてもぼくの前に現れるのだろう。
今頃ぼくの部屋で直ったエアコンをつけてインデックスちゃんと戯れているかもしれない。
帰りたくねぇ。
「あ、ボク下宿先の手伝いせなあかんかったわー。んじゃボク帰るなぁ!」
「おい待てよ」
青髪くんが金属バットを輪切りにした時点で、いや当麻くんから青髪くんがぼくを探していたと聞いたときから分かってしまっていた。
「黒子ちゃんから聞いたんだけど、涙子ちゃんが殺した被害者以外に一人通り魔に遭ったらしい」
その被害者は学生でも、能力者でもなく研究員だったそうだ。筋ジストロフィーの解明に携わっていたという研究員。
死因は撲殺ではなく、斬殺。刃物の様なもので体中を切り刻まれて死んでいたそうだ。
「あ、それボク」
あっさりと、それを肯定する。
「小萌先生の後始末をした人間か?」
「そや。でも上からそれ以上は首を突っ込むな言われて泣く泣く手を引いて、実行犯を探しとったんや。丁度そんな指令も出てたしな」
「それで、涙子ちゃんに行き着いたと」
「そうそう。ボクはそういう推理とか苦手やから全部いーさん頼みやってん。上も詳しいこと教えてくれんし」
「そりゃあ、上層部の人も分からなかったんだろ……ってあれ?」
青髪くんの目的地はぼくの住む学生寮で、そこで本格的な答えあわせでもしようとしてたのだろう。それは別に、いい。
予想できていたことだし、断る理由もないからここまで歩いてきた。
だからぼくが間抜けな声を発してしまったのはその事ではなく、学生寮に異変を感じたからだった。
いや、性格には学生寮の前の道路。
「うわぁ……」
青髪くんも同じようにため息混じりに絶望の声を漏らす。ということは、彼もアレが意味することを知っているのだろう。
路上駐車禁止の看板の真下に堂々と駐車された、真っ赤なオープンカー。
見直すことなく、それはコブラだった。
「潤さん来てんのかぁ……」
青髪くんが呟く。そうコブラがある所にその人あり。または事件のある所に哀川潤あり。それか哀川潤の居る所に事件あり、か。
とにかく、人類最強の請負人はまたしてもぼくの前に現れるのだろう。
今頃ぼくの部屋で直ったエアコンをつけてインデックスちゃんと戯れているかもしれない。
帰りたくねぇ。
「あ、ボク下宿先の手伝いせなあかんかったわー。んじゃボク帰るなぁ!」
「おい待てよ」
791:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 20:54:27.99:s0lF8+vM0 (8/10)
このまま帰るのは構わないが、質問がひとつだけ残っていた。
「なんや、ボクって潤さんに見つかったらマズイんやで」
「一体何をしでかしたんだよ」
まぁ、哀川さんを名前で呼ぶあたり《敵》ではないのだろうけど。
「色々とな。で、まだ用件があるん?」
その場で駆け足をしながらせかす青髪くん。
なんだかその姿がとても可笑しく感じてしまう。
「いや、ひとつだけ質問が……確認が残ってた」
もうこの答えも分かりきってはいるが、念のためだ。
学園都市の暗部とやらに所属している彼。そして事件への介入を認められた彼。
ひたすらにぼくを使い、おいしい所だけ持っていった青髪くんだったが、ひとつだけアクションを起こしている。
彼もその確認の内容は分かっているのだろう。細い目をさらに細め、口元を吊り上げシニカルに笑った。
皮肉めいたその笑みは、やはりどこかあの真っ赤な請負人を髣髴とさせる。
「君だろ?」
「さあ、何のことか分からんな。主語はしっかり言ってや」
その場駆け足を止めてぼくと向き合う。
「飾利ちゃんを、殺したのは、君だろ?」
これまでの死体とは違い、飾利ちゃんは首を切られて死んでいた。
涙子ちゃんが使用していたのは金属バット。それでは人体の切断は不可能だ。
あの、綺麗に切られた切り口は鋭利な刃物か、先ほど彼がぼくに見せたカマイタチによるものしかない。
だから、涙子ちゃんが言った事は正しかった。
――初春はあたしが殺したんじゃない
どうして彼が彼女を殺したなんて理由は、もう説明しなくてもいいだろう。
青髪くんは笑みを浮かべたまま言い放つ。悪びれることなく、言葉を発する。
「その通り」
このまま帰るのは構わないが、質問がひとつだけ残っていた。
「なんや、ボクって潤さんに見つかったらマズイんやで」
「一体何をしでかしたんだよ」
まぁ、哀川さんを名前で呼ぶあたり《敵》ではないのだろうけど。
「色々とな。で、まだ用件があるん?」
その場で駆け足をしながらせかす青髪くん。
なんだかその姿がとても可笑しく感じてしまう。
「いや、ひとつだけ質問が……確認が残ってた」
もうこの答えも分かりきってはいるが、念のためだ。
学園都市の暗部とやらに所属している彼。そして事件への介入を認められた彼。
ひたすらにぼくを使い、おいしい所だけ持っていった青髪くんだったが、ひとつだけアクションを起こしている。
彼もその確認の内容は分かっているのだろう。細い目をさらに細め、口元を吊り上げシニカルに笑った。
皮肉めいたその笑みは、やはりどこかあの真っ赤な請負人を髣髴とさせる。
「君だろ?」
「さあ、何のことか分からんな。主語はしっかり言ってや」
その場駆け足を止めてぼくと向き合う。
「飾利ちゃんを、殺したのは、君だろ?」
これまでの死体とは違い、飾利ちゃんは首を切られて死んでいた。
涙子ちゃんが使用していたのは金属バット。それでは人体の切断は不可能だ。
あの、綺麗に切られた切り口は鋭利な刃物か、先ほど彼がぼくに見せたカマイタチによるものしかない。
だから、涙子ちゃんが言った事は正しかった。
――初春はあたしが殺したんじゃない
どうして彼が彼女を殺したなんて理由は、もう説明しなくてもいいだろう。
青髪くんは笑みを浮かべたまま言い放つ。悪びれることなく、言葉を発する。
「その通り」
792:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 20:55:52.38:s0lF8+vM0 (9/10)
もうええか?
ああ、十分だ
それじゃ、またな
うん。またね
もうええか?
ああ、十分だ
それじゃ、またな
うん。またね
793:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/29(火) 20:58:44.67:s0lF8+vM0 (10/10)
これで今日はおしまいです。
次回はやっぱり赤い人の出番。上条さんやインさんは出るかまだ決めかねております。
今回青髪さんに独自設定でまくりですが、許してください。
こんな結末しか用意できませんでした。
零崎一賊に関しても突っ込むところはあるかと思いますが、こまけえこたぁの精神で読んでください。
それでは、次回、殺人鬼編終了です。
これで今日はおしまいです。
次回はやっぱり赤い人の出番。上条さんやインさんは出るかまだ決めかねております。
今回青髪さんに独自設定でまくりですが、許してください。
こんな結末しか用意できませんでした。
零崎一賊に関しても突っ込むところはあるかと思いますが、こまけえこたぁの精神で読んでください。
それでは、次回、殺人鬼編終了です。
794:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 21:02:57.09:UEumWZQco (2/2)
なん・・だと・・?
なん・・だと・・?
795:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/03/29(火) 21:05:31.72:ApKAiTUAO (1/1)
乙
乙
796:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 21:18:59.47:RCR96ZSCo (1/1)
乙!
頭の悪い俺に誰か解説ぷりーず
なんで青髪は初春殺したの?
乙!
頭の悪い俺に誰か解説ぷりーず
なんで青髪は初春殺したの?
797:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/29(火) 21:20:38.84:8Kg+PB370 (1/1)
乙
いや、>>1は青ピ好きだなぁ…
乙
いや、>>1は青ピ好きだなぁ…
798:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/29(火) 21:27:49.85:t5kJs5zAO (2/2)
乙!
上で全部分かったとか言ってまったく違ってた、恥ずかちい
>>1の書く青ピはいつもカッコいいな
乙!
上で全部分かったとか言ってまったく違ってた、恥ずかちい
>>1の書く青ピはいつもカッコいいな
799:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/29(火) 21:47:19.43:nfEvISAAO (2/2)
乙
第六位で暗部で零崎とか、土御門もびっくりだなこの青ピはww
乙
第六位で暗部で零崎とか、土御門もびっくりだなこの青ピはww
800:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 23:00:33.31:QCLCCjqFo (1/1)
>>777
バレスレに来てたけど次週で球磨川株が上場廃止になるよ
西尾真骨頂の過負荷「竜頭蛇尾」を久々に見た
>>777
バレスレに来てたけど次週で球磨川株が上場廃止になるよ
西尾真骨頂の過負荷「竜頭蛇尾」を久々に見た
801:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/03/29(火) 23:13:57.07:yUAz0EkAO (1/2)
スルーする
スルーする
802:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 23:22:42.61:AZGQ9pODO (2/4)
都合の悪いことはスルスルスルーだね
都合の悪いことはスルスルスルーだね
803:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 23:23:16.87:AZGQ9pODO (3/4)
都合の悪いことはスルスルスルーだね
都合の悪いことはスルスルスルーだね
804:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 23:24:19.70:AZGQ9pODO (4/4)
都合の悪いことはスルスルスルーだね
都合の悪いことはスルスルスルーだね
805:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/03/29(火) 23:40:33.47:yUAz0EkAO (2/2)
おちつけ
おちつけ
806:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 23:49:50.34:XocCFcTyo (1/1)
ホラー漫画見た後だからやめろ怖い
1は青髪好きなんだなー
ホラー漫画見た後だからやめろ怖い
1は青髪好きなんだなー
807:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/03/30(水) 00:57:17.69:x2yhFIYAO (1/1)
>>796
潤さん登場だし次回で解説あんじゃね?
まぁ散々はってる伏線か単純な理由かってとこじゃね
あくまで個人的な予測に過ぎないけど
>>796
潤さん登場だし次回で解説あんじゃね?
まぁ散々はってる伏線か単純な理由かってとこじゃね
あくまで個人的な予測に過ぎないけど
808:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 01:24:11.98:/pnBGCFQ0 (1/1)
次回でさらに言い表しようの無いような感覚になれることを期待
青ピの兄貴かっこいいっす
次回でさらに言い表しようの無いような感覚になれることを期待
青ピの兄貴かっこいいっす
809:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/30(水) 13:21:45.95:A7wbq1DU0 (1/2)
>>800
おい
おい
竜頭蛇尾は割といつもじゃね?
次週をワクワクさせるような引き→次週冒頭から え・・・?展開なんてざらじゃんめだか
>>800
おい
おい
竜頭蛇尾は割といつもじゃね?
次週をワクワクさせるような引き→次週冒頭から え・・・?展開なんてざらじゃんめだか
810:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 13:32:29.88:6MgVTDHko (1/1)
めだかの話やバレは該当スレでやれって>>1からお達し出てるのに何で繰り返すかね
わざとなのかこれは
めだかの話やバレは該当スレでやれって>>1からお達し出てるのに何で繰り返すかね
わざとなのかこれは
811:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/30(水) 16:21:34.03:A7wbq1DU0 (2/2)
It's All Fictionかーらーのー江迎が2秒でやってくれましたはなんというかすごく裏切られた気分になった
It's All Fictionかーらーのー江迎が2秒でやってくれましたはなんというかすごく裏切られた気分になった
812:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/03/30(水) 22:11:30.35:9YSnlfZio (1/2)
原作読んでないからよくわからないんだけど
戯言遣いの戯言ってどういう効果があるの?
原作読んでないからよくわからないんだけど
戯言遣いの戯言ってどういう効果があるの?
813:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/30(水) 22:31:08.22:EL0cTtN0o (1/1)
>>812
特に効果はない。ただの戯言。
イフナッシングイズバッド
ただし相手の劣等感を刺激して物事をうまく進めなくさせる過負荷《なるようにならない最悪》を持つ
いーちゃんが使うことでその効果を引き上げているような気がする。
>>812
特に効果はない。ただの戯言。
イフナッシングイズバッド
ただし相手の劣等感を刺激して物事をうまく進めなくさせる過負荷《なるようにならない最悪》を持つ
いーちゃんが使うことでその効果を引き上げているような気がする。
814:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/30(水) 22:32:04.44:kfkG5X6Do (1/1)
子荻ちゃん曰く≪無為式≫
子荻ちゃん曰く≪無為式≫
815:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/03/30(水) 23:06:51.32:9YSnlfZio (2/2)
>>813
ありがとうございます
>>813
ありがとうございます
816:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/31(木) 00:05:03.08:kj1cRXmEo (1/2)
いーちゃんの戯言は簡単に説明すると「心をかき乱す」だけで別に特殊能力とかじゃない
ていうかいーちゃんは関るだけで周りの精神が乱されて予定がことごとく壊れていくっていう迷惑体質
(この体質っていうか性質のことを無為式って呼ぶらしい)
仲良くすると駄目だってんで敵に回ったら、関っただけでアウトだから敵対組織が勝手に自滅したりする
いーちゃんの戯言は簡単に説明すると「心をかき乱す」だけで別に特殊能力とかじゃない
ていうかいーちゃんは関るだけで周りの精神が乱されて予定がことごとく壊れていくっていう迷惑体質
(この体質っていうか性質のことを無為式って呼ぶらしい)
仲良くすると駄目だってんで敵に回ったら、関っただけでアウトだから敵対組織が勝手に自滅したりする
817:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:27:42.58:yhG+GQhAO (1/9)
お疲れ様です。急な出張で携帯から更新です。
戯言知らない人も読んでると思うと、凄く嬉しい。
では、投下します。
お疲れ様です。急な出張で携帯から更新です。
戯言知らない人も読んでると思うと、凄く嬉しい。
では、投下します。
818:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:31:09.43:yhG+GQhAO (2/9)
狂反射―――――――――(共犯者)
登場人物
哀川潤 人類最強の請負人
狂反射―――――――――(共犯者)
登場人物
哀川潤 人類最強の請負人
819:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:32:47.70:yhG+GQhAO (3/9)
0
固定概念は、捨てた方がいい。
0
固定概念は、捨てた方がいい。
820:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:37:12.09:yhG+GQhAO (4/9)
1
この場合、恐る恐るという表現が一番正しいのだろう。ぼくは目の前の扉を開くことをひどく躊躇している。
その扉に触れれば高圧電流が流れてくるんではないかと錯覚してしまうほど、躊躇っている。
自分の家へ続く、玄関だというのに。
「おう、いーたん。待ってたぞ」
待たれていた。
学生寮の前にコブラが停まっていたのだから当たり前だが、やはり哀川さんはぼくの部屋に勝手に上がりくつろいでいた。
予想外なのは一人だけという事だけ。
インデックスちゃんや当麻くんはどうしたのだろうか。
「インデックスたんは隣の部屋に居るぞ」
「勝手に人の思考を読まないで下さいよ。ひょっとして能力者じゃないんですか?」
本物の第一位がどの位なのかは知らないけれど、この人がレベル5の第一位だと言われても信じてしまうだろう。
「あたしはレベルなんてモンには囚われねぇよ。ただの読心術だ。特技だよ、特技。つーかこれから話す内容は聞かれたくないだろ?」
「別に、構いませんよ」
ぼくの態度に「可愛くねーな」と口を尖らせる哀川さんはぼくに手招きをして目の前に座るよう、促す。
なんだろう。自室だというのに全く落ち着かない。むしろ緊張する。
哀川さんが言った「これから話す内容」とは間違いなく通り魔事件の事だろうけど、本当に聞かれても構わないと思っている。
殺人事件に関わっていたことを知られたところで、それに対した行動を知られたところで、特に拘るわけでもないし。
例え、嫌われたとしても、別に困るわけでもない。
「さっき佐天涙子が捕まったってよ。どっかの誰かさんのおかげで自殺一歩手前だったそうだ」
「へぇ」
そうか。捕まったのか。
「リアクションが薄いなぁ……」
「遅かれ早かれ捕まっていたでしょうから。むしろ中学生一人の犯行がどうして今まで解決されなかったのか不思議なくらいですよ」
そこで、哀川さんの目付きが変わる。
1
この場合、恐る恐るという表現が一番正しいのだろう。ぼくは目の前の扉を開くことをひどく躊躇している。
その扉に触れれば高圧電流が流れてくるんではないかと錯覚してしまうほど、躊躇っている。
自分の家へ続く、玄関だというのに。
「おう、いーたん。待ってたぞ」
待たれていた。
学生寮の前にコブラが停まっていたのだから当たり前だが、やはり哀川さんはぼくの部屋に勝手に上がりくつろいでいた。
予想外なのは一人だけという事だけ。
インデックスちゃんや当麻くんはどうしたのだろうか。
「インデックスたんは隣の部屋に居るぞ」
「勝手に人の思考を読まないで下さいよ。ひょっとして能力者じゃないんですか?」
本物の第一位がどの位なのかは知らないけれど、この人がレベル5の第一位だと言われても信じてしまうだろう。
「あたしはレベルなんてモンには囚われねぇよ。ただの読心術だ。特技だよ、特技。つーかこれから話す内容は聞かれたくないだろ?」
「別に、構いませんよ」
ぼくの態度に「可愛くねーな」と口を尖らせる哀川さんはぼくに手招きをして目の前に座るよう、促す。
なんだろう。自室だというのに全く落ち着かない。むしろ緊張する。
哀川さんが言った「これから話す内容」とは間違いなく通り魔事件の事だろうけど、本当に聞かれても構わないと思っている。
殺人事件に関わっていたことを知られたところで、それに対した行動を知られたところで、特に拘るわけでもないし。
例え、嫌われたとしても、別に困るわけでもない。
「さっき佐天涙子が捕まったってよ。どっかの誰かさんのおかげで自殺一歩手前だったそうだ」
「へぇ」
そうか。捕まったのか。
「リアクションが薄いなぁ……」
「遅かれ早かれ捕まっていたでしょうから。むしろ中学生一人の犯行がどうして今まで解決されなかったのか不思議なくらいですよ」
そこで、哀川さんの目付きが変わる。
821:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:37:51.49:yhG+GQhAO (5/9)
「なぁいーたん。あの零崎もどきにすら看破された真実をあたしが見抜けねーとでも思ってんのか?」
「…………」
「普通の通り魔事件くれぇなら警備員が直ぐに解決するに決まってんだろ。そこまで無能じゃねえんだよ、アイツ等は」
「有能だとは思えませんけど」
「揚げ足をとるんじゃねえよ。……いーたんはこの学園都市をどう捉える?」
それは、能力開発をしている街――という概要を訊いているのではない。
「巧い例えは出来ませんが……そうですね、巨大な実験室といった所でしょうか」
無数の監視カメラによって記録され、はては人工衛星からも監視される。
学生は自身の開発に精を出し、研究員がそれを記す。
「ま、あながち間違っちゃいないだろう。それじゃあ、どうやって佐天涙子は今まで犯行を重ねてきた?」
書庫で自分が殺害できる能力者を検索し、その人物の後をつけ、人目が無くなった瞬間に金属バットで殴打した。
合計で八人。未遂だがぼくを含めれば九人。
「八人ってのは結構な人数だ。多少の計画性は見られても、たかが中学生の小娘が監視カメラの死角をついて八人も殺せると思うか?」
「能力者ならまだしもな」と哀川さんは付け足す。
「それでも、時間をかけて調べれば可能でしょう」
「一日一殺のハイペースの中か?そりゃあ随分と苦しい弁解だな。仮にそれほどの準備をしたとして、学園都市全ての監視カメラを把握できる訳じゃあない。そんな事は不可能だ」
「まぁ、そうですね」
「百歩譲って佐天が死角を把握している場所でターゲットを見つけたとしよう」
予め殺すつもりでいた能力者が涙子ちゃんの狩り場にやって来たとして。
そんな偶然がやって来たとして。
「なんで被害者すら監視カメラに写らねえんだろうな?」
哀川さんはその情報はどこで聞いたのだろうか。
確か都市伝説サイトにもそう記載されていたので、そこから知ったのかもしれない。
「普通に生活していて監視カメラの存在なんか気にしてない奴が、わざわざ死角に移動してくれたのか?」
まるで殺してくれと言うように。
まるで誘われたかのように。
「なぁいーたん。あの零崎もどきにすら看破された真実をあたしが見抜けねーとでも思ってんのか?」
「…………」
「普通の通り魔事件くれぇなら警備員が直ぐに解決するに決まってんだろ。そこまで無能じゃねえんだよ、アイツ等は」
「有能だとは思えませんけど」
「揚げ足をとるんじゃねえよ。……いーたんはこの学園都市をどう捉える?」
それは、能力開発をしている街――という概要を訊いているのではない。
「巧い例えは出来ませんが……そうですね、巨大な実験室といった所でしょうか」
無数の監視カメラによって記録され、はては人工衛星からも監視される。
学生は自身の開発に精を出し、研究員がそれを記す。
「ま、あながち間違っちゃいないだろう。それじゃあ、どうやって佐天涙子は今まで犯行を重ねてきた?」
書庫で自分が殺害できる能力者を検索し、その人物の後をつけ、人目が無くなった瞬間に金属バットで殴打した。
合計で八人。未遂だがぼくを含めれば九人。
「八人ってのは結構な人数だ。多少の計画性は見られても、たかが中学生の小娘が監視カメラの死角をついて八人も殺せると思うか?」
「能力者ならまだしもな」と哀川さんは付け足す。
「それでも、時間をかけて調べれば可能でしょう」
「一日一殺のハイペースの中か?そりゃあ随分と苦しい弁解だな。仮にそれほどの準備をしたとして、学園都市全ての監視カメラを把握できる訳じゃあない。そんな事は不可能だ」
「まぁ、そうですね」
「百歩譲って佐天が死角を把握している場所でターゲットを見つけたとしよう」
予め殺すつもりでいた能力者が涙子ちゃんの狩り場にやって来たとして。
そんな偶然がやって来たとして。
「なんで被害者すら監視カメラに写らねえんだろうな?」
哀川さんはその情報はどこで聞いたのだろうか。
確か都市伝説サイトにもそう記載されていたので、そこから知ったのかもしれない。
「普通に生活していて監視カメラの存在なんか気にしてない奴が、わざわざ死角に移動してくれたのか?」
まるで殺してくれと言うように。
まるで誘われたかのように。
822:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:38:18.92:yhG+GQhAO (6/9)
「確かに、こんな簡単な事に気が付かなかった警備員は有能ではないかもしれないな。でも、ま。しょうがないか」
そこで一度両手を天井に向けて伸びをする哀川さん。
「身内から送られた映像に細工がしてあるなんて、夢にも思わないだろうから」
「……参りましたよ。そこまで言われたら誤魔化す気も無くなります」
そう。それこそが今回の事件で涙子ちゃんが捕まらなかった理由。
そもそもの前提として犯人が一人だとしていたら、この答えには絶対に辿り着かない。
捜査側。この場合、警備員や風紀委員に内通者がいて初めて八人もの人間を殺めることが可能になる。
「で、この事にはいつ気が付いてたんだ?」
「強いて言うなら「監視カメラに何も写っていない」っていう情報を聞いた時には複数犯だとは思いました」
ぼくは涙子ちゃんを疑っていたから、より速くそこに辿り着けた。
「それに、涙子ちゃんに襲われた時、彼女の挙動がおかしかったんです」
彼女はぼくを殺そうとした時、首を横に振ったり、白い少年を見て驚いていた。
それは涙子ちゃんと共犯者の意見に食い違いが起きたり、白い少年の情報を聞いて驚いたのだろう。
殺人事件を闇に葬れるほどの後ろ楯をもつ少年は実験をしていると言った。
それがどのような実験かは解らないが、恐らく彼は高位能力者なのだろう。
「で、止めに玖渚からの動画」
「それが物的証拠か」
ぼくは頷く。
玖渚に送ってもらった、あの二つの動画は同じ日に同じ場所で撮影されたものだ。
一つは美琴ちゃんと観た内容。そしてもう一つには恐らく何も写っていないだろう。
「何も写っていない一つは警備員から拝借した動画。そしてもう一つは風紀委員から拝借した動画。そうなれば、内通者は風紀委員の誰かということになる」
哀川さんは黙っている。
ぼくは続ける。
「風紀委員で、ぼくに監視カメラには何も写っていないというの情報を教え、尚且つ学園都市の情報網を掌握できる程のスキルを持った人間は一人しか居ません」
それは、学園都市の守護神。
学園都市の情報を司る伝説のハッカー。
「佐天涙子の共犯者。それは――」
「確かに、こんな簡単な事に気が付かなかった警備員は有能ではないかもしれないな。でも、ま。しょうがないか」
そこで一度両手を天井に向けて伸びをする哀川さん。
「身内から送られた映像に細工がしてあるなんて、夢にも思わないだろうから」
「……参りましたよ。そこまで言われたら誤魔化す気も無くなります」
そう。それこそが今回の事件で涙子ちゃんが捕まらなかった理由。
そもそもの前提として犯人が一人だとしていたら、この答えには絶対に辿り着かない。
捜査側。この場合、警備員や風紀委員に内通者がいて初めて八人もの人間を殺めることが可能になる。
「で、この事にはいつ気が付いてたんだ?」
「強いて言うなら「監視カメラに何も写っていない」っていう情報を聞いた時には複数犯だとは思いました」
ぼくは涙子ちゃんを疑っていたから、より速くそこに辿り着けた。
「それに、涙子ちゃんに襲われた時、彼女の挙動がおかしかったんです」
彼女はぼくを殺そうとした時、首を横に振ったり、白い少年を見て驚いていた。
それは涙子ちゃんと共犯者の意見に食い違いが起きたり、白い少年の情報を聞いて驚いたのだろう。
殺人事件を闇に葬れるほどの後ろ楯をもつ少年は実験をしていると言った。
それがどのような実験かは解らないが、恐らく彼は高位能力者なのだろう。
「で、止めに玖渚からの動画」
「それが物的証拠か」
ぼくは頷く。
玖渚に送ってもらった、あの二つの動画は同じ日に同じ場所で撮影されたものだ。
一つは美琴ちゃんと観た内容。そしてもう一つには恐らく何も写っていないだろう。
「何も写っていない一つは警備員から拝借した動画。そしてもう一つは風紀委員から拝借した動画。そうなれば、内通者は風紀委員の誰かということになる」
哀川さんは黙っている。
ぼくは続ける。
「風紀委員で、ぼくに監視カメラには何も写っていないというの情報を教え、尚且つ学園都市の情報網を掌握できる程のスキルを持った人間は一人しか居ません」
それは、学園都市の守護神。
学園都市の情報を司る伝説のハッカー。
「佐天涙子の共犯者。それは――」
823:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:39:18.25:yhG+GQhAO (7/9)
「初春飾利しか居ないでしょう」
「初春飾利しか居ないでしょう」
824:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/03/31(木) 00:41:32.71:yhG+GQhAO (8/9)
色々突っ込みどころがあると思いますが、とりあえず以上です。
巧いこと伏線回収できたかな?まだ少し残ってるけど。
殺人鬼編はもう少し続きます。
それでは、また。
色々突っ込みどころがあると思いますが、とりあえず以上です。
巧いこと伏線回収できたかな?まだ少し残ってるけど。
殺人鬼編はもう少し続きます。
それでは、また。
825:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/03/31(木) 00:42:36.87:yhG+GQhAO (9/9)
酉忘れ失礼しました。
酉忘れ失礼しました。
826:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 00:44:48.60:cOoSus/so (1/1)
おつおつ
おつおつ
827:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/03/31(木) 00:46:22.61:iFT0vPfjo (1/1)
西尾っぽいてんかいになってきたぞぉ
西尾っぽいてんかいになってきたぞぉ
828:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/03/31(木) 00:52:54.00:ILM92GZAO (1/1)
いーちゃんの戯言は他人の心をかき乱すってわけじゃないよ
そういう風にも使えるってだけで色んな意味で使ってる
ともあれ>>1乙
いーちゃんの戯言は他人の心をかき乱すってわけじゃないよ
そういう風にも使えるってだけで色んな意味で使ってる
ともあれ>>1乙
829:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 00:54:52.61:kjXwEekz0 (1/1)
最初はなんで初春まで?って思ってたけど
よーく考えたらたしかに初春が共犯者の可能性はしっかりあったんだね
青髪はだから始末したのね
乙です
最初はなんで初春まで?って思ってたけど
よーく考えたらたしかに初春が共犯者の可能性はしっかりあったんだね
青髪はだから始末したのね
乙です
830:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/03/31(木) 01:23:02.34:zQPpGrJAO (1/1)
乙
超電磁砲組四人のうち二人は被害者で二人は犯人か…
つくづくとんでもないSSだな
勿論良い意味で
乙
超電磁砲組四人のうち二人は被害者で二人は犯人か…
つくづくとんでもないSSだな
勿論良い意味で
831:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 01:23:30.87:Y9WaDKLC0 (1/1)
俺の佐天さんが犯人なわけないやい!花が犯人なんだろ!!
↓
佐天さん犯人だったー、疑ってごめんね初春ー
↓
二人で通り魔だと・・・、\(^0^)/←今ここ
俺の佐天さんが犯人なわけないやい!花が犯人なんだろ!!
↓
佐天さん犯人だったー、疑ってごめんね初春ー
↓
二人で通り魔だと・・・、\(^0^)/←今ここ
832:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/03/31(木) 01:28:16.91:kj1cRXmEo (2/2)
乙
まだ何かありそうだと疑ってる俺
乙
まだ何かありそうだと疑ってる俺
833:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 07:47:42.22:oOWR7geDO (1/1)
これで妹達編入るって超電磁メンバー全滅の未来しか見えない
セロリさんとビリビリは大丈夫だといいのだけれど
乙です
これで妹達編入るって超電磁メンバー全滅の未来しか見えない
セロリさんとビリビリは大丈夫だといいのだけれど
乙です
834:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/31(木) 19:06:58.70:g2Upy60O0 (1/2)
打ち止めが即死にそう
打ち止めが即死にそう
835:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 20:03:47.27:hiLrQyfDO (1/1)
友達も後輩もいなくなって、一人ぼっちのレベル5……
友達も後輩もいなくなって、一人ぼっちのレベル5……
836:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/31(木) 20:08:37.40:a1nCmMmg0 (1/1)
でも、これから妹できるんだぜ。
クローンだけど。
でも、これから妹できるんだぜ。
クローンだけど。
837:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 20:15:54.99:stKgdsZ6o (1/2)
クローンが殺し合いとかしてたら一通さん発狂しそう
クローンが殺し合いとかしてたら一通さん発狂しそう
838:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 20:18:16.35:HMSGHkNno (1/1)
>>835
御坂「はぁ…今日もトイレで昼食かぁ…」 【便所メ4】 (432)
かがみ「もうぼっちでもいい」 その24 (211)
マミ「友達がほしいわ…」 2 (905)
担任「それじゃあ二人一組作ってー」 鈴「」 (266)
>>835
御坂「はぁ…今日もトイレで昼食かぁ…」 【便所メ4】 (432)
かがみ「もうぼっちでもいい」 その24 (211)
マミ「友達がほしいわ…」 2 (905)
担任「それじゃあ二人一組作ってー」 鈴「」 (266)
839:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/03/31(木) 20:38:15.48:g2Upy60O0 (2/2)
そのレスが何狙ってんのかわかんない><
そのレスが何狙ってんのかわかんない><
840:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 22:29:55.46:SPI+cgkpo (1/1)
全員ぼっちキャラ
全員ぼっちキャラ
841:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 23:07:48.83:stKgdsZ6o (2/2)
だから?
だから?
842:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/31(木) 23:51:44.65:3HDTWj5jo (1/1)
ここには戯言と禁書以外のネタは持ってくるなと何度言えば
ここには戯言と禁書以外のネタは持ってくるなと何度言えば
843:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/04/01(金) 00:04:33.56:0yaK+zk5o (1/1)
つい戯言全巻買ってしまった、>>1めやりおるな
つい戯言全巻買ってしまった、>>1めやりおるな
844:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/01(金) 08:41:00.87:zVGFFgRDO (1/1)
戯言クロスだと主要メンバーがすごいつまらない理由で死にそうだから怖い
学園都市第一位で物理攻撃無効とかネタ振りにしか見えない
戯言クロスだと主要メンバーがすごいつまらない理由で死にそうだから怖い
学園都市第一位で物理攻撃無効とかネタ振りにしか見えない
845:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県):2011/04/01(金) 09:48:13.99:XZn2VX7jo (1/1)
上条さんに殴られて演算忘れて着地点に尖った石があったりして死亡なんてのも十二分に有り得る世界だ
上条さんに殴られて演算忘れて着地点に尖った石があったりして死亡なんてのも十二分に有り得る世界だ
846:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/01(金) 10:00:01.08:sdf96KKDO (1/1)
セロリさん打ち止めに殺されるまであるでぇ
セロリさん打ち止めに殺されるまであるでぇ
847:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/01(金) 15:17:05.91:Co2bN4GAO (1/1)
>>846
打ち止め「ミサカを助けて救われると思ったの?ってミサカはミサカはあなたの胸にナイフを突き立ててみたり」
>>1ならやりかねんな
>>846
打ち止め「ミサカを助けて救われると思ったの?ってミサカはミサカはあなたの胸にナイフを突き立ててみたり」
>>1ならやりかねんな
848:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/01(金) 16:28:47.73:vUU0K6MAO (1/1)
まあまあそのへんで
まあまあそのへんで
849:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:22:25.75:bChFSf8f0 (1/8)
お疲れさまです。エイプリルネタを考えていたら遅くなりました。
そして気がついたら四月二日になっており、書いたデータを消すこととなり本末転倒な結末を迎えました。
では、殺人鬼編、終了です。
お疲れさまです。エイプリルネタを考えていたら遅くなりました。
そして気がついたら四月二日になっており、書いたデータを消すこととなり本末転倒な結末を迎えました。
では、殺人鬼編、終了です。
850:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:23:14.92:bChFSf8f0 (2/8)
「さらに言えば、飾利ちゃんはぼくを監視してましたし」
スキルアウトに二度絡まれたあの日。駆け付けた人物こそ黒子ちゃんだったが、ぼくの位置を指示したのは飾利ちゃんだ。
一度目はまだ分かるが、二度目はどうだ。回りを見渡しても誰もいない路地裏だというのに黒子ちゃんは「通報を受けて」やって来たと言った。
あんな迅速な対応がとれるのなら、この街に犯罪は発生しないだろう。
そこを見ても、彼女が学園都市中の監視カメラを掌握していることが分かる。
「全く、優秀な風紀委員ですよ」
「それはスキルだけの話じゃないってことか?」
どうやら哀川さんは飾利ちゃんがこの事件に荷担した動機すら、把握しているようだ。
本当、この人には敵わないな。
ぼくはポケットから折り畳んだ一枚の紙を取り出すと、ガラステーブルの上に広げる。
「これは黒子ちゃんの持ってた資料なんですけど」
あの時にパソコンから印刷した紙。これには通り魔事件の被害者の名前、能力名、死亡日時の他に補足文が記されている。
それは被害者達が過去に犯した罪の経歴。もちろんそこまで重大な犯罪を犯したわけではないが。
これが一般人には分からない最後の共通点で、飾利ちゃんの動機。
「悪の芽は早めに摘んどけってか?」
「いくら親友の為とはいえ、理由も無しに人殺しの片棒を担ぐわけがないですから」
正義感が強い飾利ちゃんのことだ、初めはきっと反対したのだろう。
いや、もしかすると強い正義感故に喜んで賛成したかもしれない。
正義はいつだって弱者の味方で。
正義はいつだって悪役の敵なのだから。
「それは佐天にも言えることだろうよ。初春飾利が話を持ちかけたのかもしれないぜ?どっちでもいいけどな」
もう終わったことだと言わんばかりに詰まらなさそうな表情を浮かべて、哀川さんは前髪を弄りながらベットの上に移動する。
ぼくのベットだと言うのに、ゴロゴロと転がって布団と戯れている姿がキャラと全然一致していない。
それにしても真っ赤なスーツを着たままだけど、シワとかは気にしないのだろうか。
「気に入らねえなあ」
哀川さんは、呟く。
「さらに言えば、飾利ちゃんはぼくを監視してましたし」
スキルアウトに二度絡まれたあの日。駆け付けた人物こそ黒子ちゃんだったが、ぼくの位置を指示したのは飾利ちゃんだ。
一度目はまだ分かるが、二度目はどうだ。回りを見渡しても誰もいない路地裏だというのに黒子ちゃんは「通報を受けて」やって来たと言った。
あんな迅速な対応がとれるのなら、この街に犯罪は発生しないだろう。
そこを見ても、彼女が学園都市中の監視カメラを掌握していることが分かる。
「全く、優秀な風紀委員ですよ」
「それはスキルだけの話じゃないってことか?」
どうやら哀川さんは飾利ちゃんがこの事件に荷担した動機すら、把握しているようだ。
本当、この人には敵わないな。
ぼくはポケットから折り畳んだ一枚の紙を取り出すと、ガラステーブルの上に広げる。
「これは黒子ちゃんの持ってた資料なんですけど」
あの時にパソコンから印刷した紙。これには通り魔事件の被害者の名前、能力名、死亡日時の他に補足文が記されている。
それは被害者達が過去に犯した罪の経歴。もちろんそこまで重大な犯罪を犯したわけではないが。
これが一般人には分からない最後の共通点で、飾利ちゃんの動機。
「悪の芽は早めに摘んどけってか?」
「いくら親友の為とはいえ、理由も無しに人殺しの片棒を担ぐわけがないですから」
正義感が強い飾利ちゃんのことだ、初めはきっと反対したのだろう。
いや、もしかすると強い正義感故に喜んで賛成したかもしれない。
正義はいつだって弱者の味方で。
正義はいつだって悪役の敵なのだから。
「それは佐天にも言えることだろうよ。初春飾利が話を持ちかけたのかもしれないぜ?どっちでもいいけどな」
もう終わったことだと言わんばかりに詰まらなさそうな表情を浮かべて、哀川さんは前髪を弄りながらベットの上に移動する。
ぼくのベットだと言うのに、ゴロゴロと転がって布団と戯れている姿がキャラと全然一致していない。
それにしても真っ赤なスーツを着たままだけど、シワとかは気にしないのだろうか。
「気に入らねえなあ」
哀川さんは、呟く。
851:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:24:47.45:bChFSf8f0 (3/8)
「無能が嫌なら超能力者にでも挑めば良かったじゃねえか、悪を懲らしめたければテメェが出張れば良いじゃねえかよ」
ああ、そういえばそういう人だったっけ。
「どんな大層な理由をつけても、やってるこたあ普通の通り魔と変わりがねえ。無能力者が殺せるレベルを選択して、準備を整えて行動するって、どうなんだ?」
「……返答に困るんですけど」
「人を殺す度胸があんならもっと別の事に向けろよって思うぜ、あたしは。少なくとも今回の事件に関しては八つ当たりとしか思えねえ」
「八つ当たり?」
おうむ返しするぼくに「おう」と答えて、哀川さんは続ける。
「虐められっ子が虐められっ子を虐めるようなもんだ。ったく、ジャイアンに単騎で立ち向かったのび太くんから学ばなかったのかよ」
「分かりやすい例えですね」
「映画も含め長編のドラえもんシリーズは素晴らしいからな」
それには同意するが、今掘り下げるべき話題ではないのでスルーすることにしよう。
ちなみにぼくはやはり旧ドラえもんが素晴らしいと思う。
現在のドラえもんを否定する訳ではないが、やはりテレビ版のジャイアンとスネ夫は虐めっ子だからこそ、劇場版で映えるのだ。
「そういう奴はどれだけ失敗しても、成長はしねえんだ。誤った信念を貫く奴もな」
「…………」
それなら信念を持たず、成長しないぼくはどうなっていくのだろう。
「飾利ちゃんはどうして涙子ちゃんの家に行ったんでしょうね」
「分かり切ったことを人に聞くなよ」
・
確かに、その通りだ。
「……恐らくは涙子ちゃんを殺しに行った」
「そんなところだろ」
きっと黒子ちゃんの死は飾利ちゃんにとってイレギュラーだったんだと思う。
今となっては確かめる術はないが、涙子ちゃんの独断で行われた殺害なのかもしれない。
だから、同じ正義を守る仲間を殺した涙子ちゃんを始末しに行った。
結果は青髪くんによって、逆に始末されてしまったのだけれど。
「無能が嫌なら超能力者にでも挑めば良かったじゃねえか、悪を懲らしめたければテメェが出張れば良いじゃねえかよ」
ああ、そういえばそういう人だったっけ。
「どんな大層な理由をつけても、やってるこたあ普通の通り魔と変わりがねえ。無能力者が殺せるレベルを選択して、準備を整えて行動するって、どうなんだ?」
「……返答に困るんですけど」
「人を殺す度胸があんならもっと別の事に向けろよって思うぜ、あたしは。少なくとも今回の事件に関しては八つ当たりとしか思えねえ」
「八つ当たり?」
おうむ返しするぼくに「おう」と答えて、哀川さんは続ける。
「虐められっ子が虐められっ子を虐めるようなもんだ。ったく、ジャイアンに単騎で立ち向かったのび太くんから学ばなかったのかよ」
「分かりやすい例えですね」
「映画も含め長編のドラえもんシリーズは素晴らしいからな」
それには同意するが、今掘り下げるべき話題ではないのでスルーすることにしよう。
ちなみにぼくはやはり旧ドラえもんが素晴らしいと思う。
現在のドラえもんを否定する訳ではないが、やはりテレビ版のジャイアンとスネ夫は虐めっ子だからこそ、劇場版で映えるのだ。
「そういう奴はどれだけ失敗しても、成長はしねえんだ。誤った信念を貫く奴もな」
「…………」
それなら信念を持たず、成長しないぼくはどうなっていくのだろう。
「飾利ちゃんはどうして涙子ちゃんの家に行ったんでしょうね」
「分かり切ったことを人に聞くなよ」
・
確かに、その通りだ。
「……恐らくは涙子ちゃんを殺しに行った」
「そんなところだろ」
きっと黒子ちゃんの死は飾利ちゃんにとってイレギュラーだったんだと思う。
今となっては確かめる術はないが、涙子ちゃんの独断で行われた殺害なのかもしれない。
だから、同じ正義を守る仲間を殺した涙子ちゃんを始末しに行った。
結果は青髪くんによって、逆に始末されてしまったのだけれど。
852:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:25:16.46:bChFSf8f0 (4/8)
「話は変わりますけど、青髪くんと知り合いなんですか?」
青髪くんは哀川さんの事を名前で呼んでいたし、哀川さんは青髪くんのことを零崎もどきと表していた。
その時点で知り合いなのは確定だが、いったいどういう関係なのかが気になっていた。
「あ?」
睨まれた。しかも寝転がった姿勢のまま。
聞いてはいけないことだったのだろうか。もしそうなら非常に不味いぞ。文字通り逆鱗に触れてしまったことになる。
ビクビクしながら制裁が来るだろうと待ち構えるが一向に拳は飛んでこない。どうやらセーフみたいだ。
「まあ弟子みたいなもんだったよ、アイツは。途中で零崎に成っちまったり、学園都市に連れてかれたりで破門にした」
「弟子って……意外ですね」
「面倒を見てやったってのが正しいがな」
哀川さんのイメージとしては知り合いは沢山居るが、仲間は居ないという感じだ。弟子の存在なんて考えたこともなかった。
零崎を名乗り、超能力者で、暗部に所属し、哀川さんの弟子とは。属性を含みすぎだろ、あの子。
逆にキャラが立たなくなるイメージしかしない。
「しっかし、アイツが学園都市の暗部ねえ……今度会ったら説教だな」
神妙な口調で話す哀川さんだが、顔が笑っている。が、これは久しぶりの再会に喜んでいる表情じゃない。
青髪くんが恐れていたのはこの事だったのか。
哀川さんから逃げ切れるわけ無いと思うが、逃げろ、青髪くん。この邪悪な笑みは危険だ。
「ということは、暫くはこっちに居るんですか?」
「そうだな。抱えてた仕事も終わったし、探し物関連はあたしも参加してやるよ。もう一個こっちで回収する物もあるしな」
もとはアンタの仕事だろ、とは言わない。というか言えるわけがない。
ぼくだって説教は受けたくない。
「さて、そろそろ出ていくわ」
ベッドから飛び起きて首を左右に曲げて音をならしながら哀川さんはそう言った。
「いーたん、これからが本番だぜ?くれぐれもビリビリ娘から目を離すなよ。今回で一番の被害者はアイツだからな」
「分かってますよ、これから彼女が中心となって動くことになるでしょうから」
哀川さんはぼくの言葉に口元を釣り上げ、シニカルに笑って部屋から出ていった。
当然、別れの言葉は、無い。
「話は変わりますけど、青髪くんと知り合いなんですか?」
青髪くんは哀川さんの事を名前で呼んでいたし、哀川さんは青髪くんのことを零崎もどきと表していた。
その時点で知り合いなのは確定だが、いったいどういう関係なのかが気になっていた。
「あ?」
睨まれた。しかも寝転がった姿勢のまま。
聞いてはいけないことだったのだろうか。もしそうなら非常に不味いぞ。文字通り逆鱗に触れてしまったことになる。
ビクビクしながら制裁が来るだろうと待ち構えるが一向に拳は飛んでこない。どうやらセーフみたいだ。
「まあ弟子みたいなもんだったよ、アイツは。途中で零崎に成っちまったり、学園都市に連れてかれたりで破門にした」
「弟子って……意外ですね」
「面倒を見てやったってのが正しいがな」
哀川さんのイメージとしては知り合いは沢山居るが、仲間は居ないという感じだ。弟子の存在なんて考えたこともなかった。
零崎を名乗り、超能力者で、暗部に所属し、哀川さんの弟子とは。属性を含みすぎだろ、あの子。
逆にキャラが立たなくなるイメージしかしない。
「しっかし、アイツが学園都市の暗部ねえ……今度会ったら説教だな」
神妙な口調で話す哀川さんだが、顔が笑っている。が、これは久しぶりの再会に喜んでいる表情じゃない。
青髪くんが恐れていたのはこの事だったのか。
哀川さんから逃げ切れるわけ無いと思うが、逃げろ、青髪くん。この邪悪な笑みは危険だ。
「ということは、暫くはこっちに居るんですか?」
「そうだな。抱えてた仕事も終わったし、探し物関連はあたしも参加してやるよ。もう一個こっちで回収する物もあるしな」
もとはアンタの仕事だろ、とは言わない。というか言えるわけがない。
ぼくだって説教は受けたくない。
「さて、そろそろ出ていくわ」
ベッドから飛び起きて首を左右に曲げて音をならしながら哀川さんはそう言った。
「いーたん、これからが本番だぜ?くれぐれもビリビリ娘から目を離すなよ。今回で一番の被害者はアイツだからな」
「分かってますよ、これから彼女が中心となって動くことになるでしょうから」
哀川さんはぼくの言葉に口元を釣り上げ、シニカルに笑って部屋から出ていった。
当然、別れの言葉は、無い。
853:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:25:48.73:bChFSf8f0 (5/8)
一人になった部屋でぼくはポケットから一枚の写真を取り出して、眺めてみる。
そこには仲の良い中学生四人組が思い思いのポーズをとって写っている。
涙子ちゃん、飾利ちゃん、黒子ちゃん、美琴ちゃん。
全員が笑顔で、本当に幸せそうな顔をしている。どこから見ても、誰が見てもこの子達は親友同士だ。
この笑顔に偽りなどはないだろう。お互いがお互いを信頼し合い、助け合い過ごしてきたのだろう。
仲間の痛みは自分の痛みで。
自分の痛みは仲間の痛みで。
共に笑い、泣き、怒り、悲しみ、憤り、落ち込み、舞い上がり、恋をすることが出来た。
だけど、その程度だった。本当の意味での信頼は、そこには無かった。あるのは間違った関係だけ。
殺意を募らせ能力者を殺すことが正しいと勘違いした涙子ちゃん。
それを汲み取り、犯罪無くす為に涙子ちゃんに荷担した飾利ちゃん。
親友が犯人だと気付いて尚、何もせず、あげく親友に殺された黒子ちゃん。
圧倒的に優秀な人間でありながらも、なにも気がつかなかった美琴ちゃん。
全てのピースが誤って嵌められてたというのに、完成したと思っていた四人。
歪に、不正に、型どられた人間関係。
全ての前提が、間違っていたこの一連の出来事。
もう修正する事は出来ない。
もう生成する事は出来ない。
もう修復する事は出来ない。
もう復元する事は出来ない。
もう、元には戻らない。
なかったことには、出来ない。
一人になった部屋でぼくはポケットから一枚の写真を取り出して、眺めてみる。
そこには仲の良い中学生四人組が思い思いのポーズをとって写っている。
涙子ちゃん、飾利ちゃん、黒子ちゃん、美琴ちゃん。
全員が笑顔で、本当に幸せそうな顔をしている。どこから見ても、誰が見てもこの子達は親友同士だ。
この笑顔に偽りなどはないだろう。お互いがお互いを信頼し合い、助け合い過ごしてきたのだろう。
仲間の痛みは自分の痛みで。
自分の痛みは仲間の痛みで。
共に笑い、泣き、怒り、悲しみ、憤り、落ち込み、舞い上がり、恋をすることが出来た。
だけど、その程度だった。本当の意味での信頼は、そこには無かった。あるのは間違った関係だけ。
殺意を募らせ能力者を殺すことが正しいと勘違いした涙子ちゃん。
それを汲み取り、犯罪無くす為に涙子ちゃんに荷担した飾利ちゃん。
親友が犯人だと気付いて尚、何もせず、あげく親友に殺された黒子ちゃん。
圧倒的に優秀な人間でありながらも、なにも気がつかなかった美琴ちゃん。
全てのピースが誤って嵌められてたというのに、完成したと思っていた四人。
歪に、不正に、型どられた人間関係。
全ての前提が、間違っていたこの一連の出来事。
もう修正する事は出来ない。
もう生成する事は出来ない。
もう修復する事は出来ない。
もう復元する事は出来ない。
もう、元には戻らない。
なかったことには、出来ない。
854:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:26:22.52:bChFSf8f0 (6/8)
どうして青髪くんは飾利ちゃんだけを殺したのか。どうして実行犯である涙子ちゃんを生かしたのか。
そして、どうしてぼくを殺さないのか。
そんなことは、今さら語ることでもないだろう。これ以上、ぼくが語ったところで蛇足にしかならないのは目に見えている。
もう舞台の幕は降りてしまっている。あの赤い請負人によって徹底的に終わらされてしまった物語。
殺した彼女と、殺された彼女と、殺し殺された彼女と、結果しか知らない彼女。
果たして誰が一番幸福なのだろうか。
その時、隣の部屋から絶叫が聞こえてきた。きっとまた当麻くんがインデックスちゃんに噛み付かれたのだろう。
ぼくは溜め息をついて写真を机に置いて立ち上がり、同居人がしてしまった蛮行を詫びる為に冷蔵庫からある程度の食材を取り出して隣の部屋に向かうとしよう。
そこで一緒にご飯でも食べながら今回の事件について話してみよう。もう終わった話ではあるが、食事の肴くらいにはなるかもしれない。
ぼくは適当に食材を見繕い、一度部屋を出て、通路に食材を置いくと再び部屋の中に戻る。
そして机の上に置いていた写真を拾い上げると、クシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てて、今度こそ部屋を後にする。
それにしても、散々な事件だった。今のぼくには達成感も充実感もなく、ただ疲れている。
こんな時はなんて言えば良かったんだっけ、とぼくはそれに適した言葉を隣の住民はいつも口走っているのを思い出す。
ぼくはこれまでの全てと、これからの出来事に思いを馳せながら呟いた。
「不幸だ」
どうして青髪くんは飾利ちゃんだけを殺したのか。どうして実行犯である涙子ちゃんを生かしたのか。
そして、どうしてぼくを殺さないのか。
そんなことは、今さら語ることでもないだろう。これ以上、ぼくが語ったところで蛇足にしかならないのは目に見えている。
もう舞台の幕は降りてしまっている。あの赤い請負人によって徹底的に終わらされてしまった物語。
殺した彼女と、殺された彼女と、殺し殺された彼女と、結果しか知らない彼女。
果たして誰が一番幸福なのだろうか。
その時、隣の部屋から絶叫が聞こえてきた。きっとまた当麻くんがインデックスちゃんに噛み付かれたのだろう。
ぼくは溜め息をついて写真を机に置いて立ち上がり、同居人がしてしまった蛮行を詫びる為に冷蔵庫からある程度の食材を取り出して隣の部屋に向かうとしよう。
そこで一緒にご飯でも食べながら今回の事件について話してみよう。もう終わった話ではあるが、食事の肴くらいにはなるかもしれない。
ぼくは適当に食材を見繕い、一度部屋を出て、通路に食材を置いくと再び部屋の中に戻る。
そして机の上に置いていた写真を拾い上げると、クシャクシャに丸めてゴミ箱に捨てて、今度こそ部屋を後にする。
それにしても、散々な事件だった。今のぼくには達成感も充実感もなく、ただ疲れている。
こんな時はなんて言えば良かったんだっけ、とぼくはそれに適した言葉を隣の住民はいつも口走っているのを思い出す。
ぼくはこれまでの全てと、これからの出来事に思いを馳せながら呟いた。
「不幸だ」
855:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:30:37.50:bChFSf8f0 (7/8)
細かい伏線を回収しきれず、終了です。
今回は色々とやり過ぎた感があり、反省しております。うん、クロスって難しいね。
クビシメを目指したらこんな結果だよ。
犯人は実は一人ではないっていうのが最大の見せ場だったんですが、如何でしたか?
さて、次回からは最終章(予定)です。妹達編です。
また登場人物だけ落としていきますね。
長くなると思いますがお付き合いよろしくお願いします。
細かい伏線を回収しきれず、終了です。
今回は色々とやり過ぎた感があり、反省しております。うん、クロスって難しいね。
クビシメを目指したらこんな結果だよ。
犯人は実は一人ではないっていうのが最大の見せ場だったんですが、如何でしたか?
さて、次回からは最終章(予定)です。妹達編です。
また登場人物だけ落としていきますね。
長くなると思いますがお付き合いよろしくお願いします。
856:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 00:45:04.98:bChFSf8f0 (8/8)
登場人物紹介
ぼく―――――――――――語り部。
一方通行―――――――――超能力者。
垣根帝督―――――――――超能力者。
御坂美琴―――――――――超能力者。
麦野沈利―――――――――超能力者。
青髪ピアス――――――――超能力者。
結標淡希―――――――――大能力者。
ミサカ――――――――――――妹達。
哀川潤―――――――――――請負人。
上条当麻―――――――――無能力者。
――――――――――――――――――
予定通りに行く気がしねえorz
殺人鬼編で疑問に思ったとこや、矛盾があったらぜひ教えてください。
ではまた。
登場人物紹介
ぼく―――――――――――語り部。
一方通行―――――――――超能力者。
垣根帝督―――――――――超能力者。
御坂美琴―――――――――超能力者。
麦野沈利―――――――――超能力者。
青髪ピアス――――――――超能力者。
結標淡希―――――――――大能力者。
ミサカ――――――――――――妹達。
哀川潤―――――――――――請負人。
上条当麻―――――――――無能力者。
――――――――――――――――――
予定通りに行く気がしねえorz
殺人鬼編で疑問に思ったとこや、矛盾があったらぜひ教えてください。
ではまた。
857:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/04/02(土) 00:50:13.39:b+tenDdvo (1/1)
>>1(゚д゚ )乙
登場人物がやけに豪華
>>1(゚д゚ )乙
登場人物がやけに豪華
858:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/02(土) 01:02:15.06:v9clhaeFo (1/1)
乙
どうして青髪が初春だけ殺したのか今だ読み取れない俺は文盲
乙
どうして青髪が初春だけ殺したのか今だ読み取れない俺は文盲
859:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/02(土) 01:04:24.56:bXb6dFmAO (1/2)
おお、来てた。乙です
そして登場人物やべぇwwwww
設定とか伏線とかは凄く面白いんだけど、投下のテンポを変えてほしいかも
毎日更新は嬉しいけど、切りがいい投下だと尚嬉しい
今回のオチもまとめて落とせばインパクトはもっと強かったと思うよ
まぁ俺個人の意見だけど
おお、来てた。乙です
そして登場人物やべぇwwwww
設定とか伏線とかは凄く面白いんだけど、投下のテンポを変えてほしいかも
毎日更新は嬉しいけど、切りがいい投下だと尚嬉しい
今回のオチもまとめて落とせばインパクトはもっと強かったと思うよ
まぁ俺個人の意見だけど
860:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/02(土) 01:05:10.96:bXb6dFmAO (2/2)
ageてた。すまんこ
ageてた。すまんこ
861:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/02(土) 01:05:50.17:8YqUpSfTo (1/1)
乙
聞きたい事って言うか確認したいことあるんだけど
>>750のいーちゃんに違和感感じたんだけど、何かの伏線だった?
それとも普通に血の匂いで気持ち悪くなってただけ?
乙
聞きたい事って言うか確認したいことあるんだけど
>>750のいーちゃんに違和感感じたんだけど、何かの伏線だった?
それとも普通に血の匂いで気持ち悪くなってただけ?
862:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/02(土) 01:13:18.40:X9bIQlkAO (1/1)
乙
青ピにさらに設定が増えただと…
そしてこの妹達編の登場人物…
色々凄過ぎて何から触れればいいのかわからん
初春の動機は《チーム》のサイバーテロについて話したくだりが伏線みたいなものだったのかな
まとまりなくてすまん、本当にこのSSは衝撃的で上手いこと感想が言えない…
いや、自分の表現力が不足してるだけなんだけどな
ともあれもう一回>>1乙!
乙
青ピにさらに設定が増えただと…
そしてこの妹達編の登場人物…
色々凄過ぎて何から触れればいいのかわからん
初春の動機は《チーム》のサイバーテロについて話したくだりが伏線みたいなものだったのかな
まとまりなくてすまん、本当にこのSSは衝撃的で上手いこと感想が言えない…
いや、自分の表現力が不足してるだけなんだけどな
ともあれもう一回>>1乙!
863:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/02(土) 01:26:10.60:GQ23NyRA0 (1/1)
乙
打ち止めちゃんは出そうにないか…。出そうにないか……
乙
打ち止めちゃんは出そうにないか…。出そうにないか……
864:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/02(土) 01:28:59.56:S/3pliMxo (1/1)
乙乙
正直殺人鬼編始まった時は全滅ENDも覚悟してたが美琴さん生き残っちゃったか
ある意味全滅よりも辛いかも知れんなぁww
美琴不在での妹達編もそれはそれで面白そうではあった
乙乙
正直殺人鬼編始まった時は全滅ENDも覚悟してたが美琴さん生き残っちゃったか
ある意味全滅よりも辛いかも知れんなぁww
美琴不在での妹達編もそれはそれで面白そうではあった
865:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/02(土) 01:29:51.58:UsmRSmwko (1/1)
超能力者全滅する気しかしねえ・・・
超能力者全滅する気しかしねえ・・・
866:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽):2011/04/02(土) 04:42:59.94:7Ot2NG+AO (1/1)
いーちゃんが学園都市に来ちまったからアレイスターの計画とやらも最早どうなるかわからんね。
いーちゃんが学園都市に来ちまったからアレイスターの計画とやらも最早どうなるかわからんね。
867:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/02(土) 05:11:24.85:vrmqOSCPo (1/1)
それでも、一方さんなら!
それでも、一方さんなら!
868:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方):2011/04/02(土) 06:30:50.58:63xvgjvAO (1/1)
超能力者がかませで終わる気しかしないwwwwwwww
超能力者がかませで終わる気しかしないwwwwwwww
869:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/02(土) 07:53:29.97:OavlxGGDO (1/1)
一通さん毒殺とかそんなしょぼい死に方しそう…
乙です
一通さん毒殺とかそんなしょぼい死に方しそう…
乙です
870:名無しNIPPER:2011/04/02(土) 11:12:24.14:mjofZLIDO (1/1)
なんか登場人物達に原作以上の死亡フラグがたってるな…
なんか登場人物達に原作以上の死亡フラグがたってるな…
871:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/02(土) 22:29:02.29:6zWaOdfL0 (1/1)
お疲れさまです。ちょっと構想練り直してるので、今日は投下なしです。
レスだけ返しておきますねー。
>>858
一応理由があるんですが、あえて書かずにご想像にお任せしますスタイルで貫こうかなと。
「意味わかんねぇ」ってレスばかりならいずれ書きます。
>>859
心がけます。もっと量を増やして投下しますね。
>>861
青髪の能力の伏線……にするつもりだったけど投げ出しました。
>>862
一応、初春は正義感が強すぎるってのを匂わすための会話です。
気づかれて嬉しい。
それと妹達編の登場人物ですがもっと増えるかもなので。打ち止めとか天井ちゃんとか絹旗とか浜面とか……
まとめきれる気がしないので、変更が必ずある。
それでは、出きる限り早く投下しに来たいです
お疲れさまです。ちょっと構想練り直してるので、今日は投下なしです。
レスだけ返しておきますねー。
>>858
一応理由があるんですが、あえて書かずにご想像にお任せしますスタイルで貫こうかなと。
「意味わかんねぇ」ってレスばかりならいずれ書きます。
>>859
心がけます。もっと量を増やして投下しますね。
>>861
青髪の能力の伏線……にするつもりだったけど投げ出しました。
>>862
一応、初春は正義感が強すぎるってのを匂わすための会話です。
気づかれて嬉しい。
それと妹達編の登場人物ですがもっと増えるかもなので。打ち止めとか天井ちゃんとか絹旗とか浜面とか……
まとめきれる気がしないので、変更が必ずある。
それでは、出きる限り早く投下しに来たいです
872:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/03(日) 00:25:29.30:kHpc0/KAO (1/1)
>>1は青ピも好きだけど天井ちゃんも好きだよな
続き楽しみに待ってます
>>1は青ピも好きだけど天井ちゃんも好きだよな
続き楽しみに待ってます
873:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/03(日) 00:51:51.06:jjPRmS+ao (1/1)
>>871
やっぱり青ピの能力だったか
空気濃度がどうとかって奴だよな?
納得したわ
端折った伏線についてとか語りたくなかったろうにゴメンな、ありがとう
>>871
やっぱり青ピの能力だったか
空気濃度がどうとかって奴だよな?
納得したわ
端折った伏線についてとか語りたくなかったろうにゴメンな、ありがとう
874:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/03(日) 12:31:43.25:szwW3fCAO (1/2)
一人称でそんだけの人数を描写するのは大変だろうけど頑張ってくれ
つーか花物語読んだらかなり>>1は西尾的な思考を把握してるって思った
やっぱ凄いね
一人称でそんだけの人数を描写するのは大変だろうけど頑張ってくれ
つーか花物語読んだらかなり>>1は西尾的な思考を把握してるって思った
やっぱ凄いね
875:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/04/03(日) 17:11:11.67:2Q5HRvnAO (1/1)
正直、花物語それほど面白くなかった
正直、花物語それほど面白くなかった
876:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(中部地方):2011/04/03(日) 17:18:21.21:dM2b2BdWo (1/1)
ネタバレは禁止な
ネタバレは禁止な
877:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:17:40.21:Cl1ZGNL00 (1/7)
お疲れ様です。導入部だけの短い投下ですが、ご了承ください。
では、投下します。
お疲れ様です。導入部だけの短い投下ですが、ご了承ください。
では、投下します。
878:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:18:48.89:Cl1ZGNL00 (2/7)
エピローグ
エピローグ
879:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:19:21.56:Cl1ZGNL00 (3/7)
0
さようなら
0
さようなら
880:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:19:52.20:Cl1ZGNL00 (4/7)
1
人間が永遠に生き続ける――ひらたく言えば不老不死のような存在というのは、当然ながら現段階で人類は確認できていない。
それは別に人間に限ったことではなく、生物であれば例外なく死を迎える。これは確定だ。例外などは存在しない。
首を切られなくとも、首を絞められなくとも、首を吊られなくとも、鈍器で殴打されなくとも、時が経てば勝手に死んでしまう。
生きているということは、死に向かうということであり。死ぬということは、生きているということ。
つまり仮に不老不死という不可思議でぼくには理解不能な存在が、この世界に存在しているとしても――それはもはや生き物とは呼べないだろう。
――別の、何か。
例え人の形をしていても、例え人の振る舞いをしていても、どれだけ人に模していても、結局は人間に限りになく近い物でしかなく、人間ではない。
人の形と書いて、人形。そう、人形だ。
神と呼ばれる存在が居る。いや、ぼくは実際に居るとは信じてはいないのだけれど、少なくとも神と呼ばれる《人よりも上位の存在》を信じている人は、居る。
思えばそういった大多数の人々が思い浮かべる神というのは、人の姿であることが多い。
ぼくは宗教関係に明るくはないので詳しい説明は出来ないのだが、別に神の姿は信仰するものによってまちまちで、
それこそ獣のような姿をしている神も存在しているらしいので、先の発言には差別的な発想も含まれている。そこはご了承を頂きたい。
神に仕える修道女と同居しているというのに、ぼくは神どころか、自分をも信じていない無神論者ならぬ無自分論者なのだから。
だがしかし、『神は人の姿をしている』という意見はあながち外れてはいない気がする。
それは神だけではなく、悪魔や物の怪の類と呼ばれる想像上の存在も人の成立ちをしている場合が多い。あとは――天使とか。
そこでぼくは考える。信じてもいないのに神について考察をする。
つまるところ神のような《人ではないモノ》は結局、人間によって生み出された存在なのではないだろうか、と。
都合の良い存在、ご都合主義、全知全能、人を超えしモノ。
それらは現実というあまりにも過酷な世界を生きる人間が拠り所にする希望なのだろうと。
幻想なのだろうと。
ぼくは、考える。
理不尽を、不義理を、不受理を、不幸を、一心に受け止めてくれる、存在。一方通行の感情を無償で受け止めてくれる、幻想。
ぼくは別にそれが悪いことだと思わないし、しょうがないことだと認めることも出来る。
だけど、自分がそれに縋ろうなどとは、思わない。
抱く期待は裏切られ。
望む希望は淡く消え。
強く現実は聳え立ち。
想う幻想は殺される。
それを知っている。知ってしまっている。
1
人間が永遠に生き続ける――ひらたく言えば不老不死のような存在というのは、当然ながら現段階で人類は確認できていない。
それは別に人間に限ったことではなく、生物であれば例外なく死を迎える。これは確定だ。例外などは存在しない。
首を切られなくとも、首を絞められなくとも、首を吊られなくとも、鈍器で殴打されなくとも、時が経てば勝手に死んでしまう。
生きているということは、死に向かうということであり。死ぬということは、生きているということ。
つまり仮に不老不死という不可思議でぼくには理解不能な存在が、この世界に存在しているとしても――それはもはや生き物とは呼べないだろう。
――別の、何か。
例え人の形をしていても、例え人の振る舞いをしていても、どれだけ人に模していても、結局は人間に限りになく近い物でしかなく、人間ではない。
人の形と書いて、人形。そう、人形だ。
神と呼ばれる存在が居る。いや、ぼくは実際に居るとは信じてはいないのだけれど、少なくとも神と呼ばれる《人よりも上位の存在》を信じている人は、居る。
思えばそういった大多数の人々が思い浮かべる神というのは、人の姿であることが多い。
ぼくは宗教関係に明るくはないので詳しい説明は出来ないのだが、別に神の姿は信仰するものによってまちまちで、
それこそ獣のような姿をしている神も存在しているらしいので、先の発言には差別的な発想も含まれている。そこはご了承を頂きたい。
神に仕える修道女と同居しているというのに、ぼくは神どころか、自分をも信じていない無神論者ならぬ無自分論者なのだから。
だがしかし、『神は人の姿をしている』という意見はあながち外れてはいない気がする。
それは神だけではなく、悪魔や物の怪の類と呼ばれる想像上の存在も人の成立ちをしている場合が多い。あとは――天使とか。
そこでぼくは考える。信じてもいないのに神について考察をする。
つまるところ神のような《人ではないモノ》は結局、人間によって生み出された存在なのではないだろうか、と。
都合の良い存在、ご都合主義、全知全能、人を超えしモノ。
それらは現実というあまりにも過酷な世界を生きる人間が拠り所にする希望なのだろうと。
幻想なのだろうと。
ぼくは、考える。
理不尽を、不義理を、不受理を、不幸を、一心に受け止めてくれる、存在。一方通行の感情を無償で受け止めてくれる、幻想。
ぼくは別にそれが悪いことだと思わないし、しょうがないことだと認めることも出来る。
だけど、自分がそれに縋ろうなどとは、思わない。
抱く期待は裏切られ。
望む希望は淡く消え。
強く現実は聳え立ち。
想う幻想は殺される。
それを知っている。知ってしまっている。
881:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:20:17.69:Cl1ZGNL00 (5/7)
無駄な期待は抱かない。
無碍な希望は望まない。
無常な現実は抗わない。
無理な幻想は生まない。
これまでぼくはそう生きてきたし、これからもそうやって生きていくのだろう。
全てのベクトルを操作できない。この世に存在しない物質など生み出せない。発電することも出来ない。原子を崩すこともできない。大気を掌握することもできない。
物質を移転させることもできない。見たものを全て記憶できない。人類最強でもない。無数の世界を器用に歩き渡れない。何かを守ろうとも思わない。
――全ての異能を殺せる訳でもない。
この都市にやって来てぼくが知った人々は何かを持っていたし、目的も持っていた。ぼくと対照的に。
だから、ぼくはあの存在にひどく興味を持ってしまった。
あの時、作為的な出会いを果たした一人の少女――正確には一万近いの少女達に共感めいたものを感じてしまった。
人によって生み出された、人ならざるモノ。彼女達はそんな存在だというのに、神と呼ばれる存在と同じような誕生理由があるというのに、死に向かって生きていた。
定められた、死。
悲しむことも、怒ることも、楽しむことも、笑うことも、そして生きることさえも許されない、彼女達。
たった一つの目的の為に殺されていく、彼女達。
彼女達は自分の事を『人形』と表現し、生み出した研究者達もそれを認めていた。
だったら、ぼくはどうなのだろう。目的もなく、死に向かって歩いていくぼくは彼女達よりも人ではないのかもしれない。
ぼくとしては珍しく、物事をぼかして表現するぼくとしては本当に珍しく、予めこの物語の結末を言っておこうと思う。
彼女達を巡る――そして幻想殺しを巡るこの騒動はバッドエンドで幕を下ろす。
誰の思い描いた結末とも違う、ある意味で拍子抜けとも思える結末。
無敵を目指す一方通行。
頂点を盗ろうとする未元物質。
全てを終わらせる超電磁砲。
意思など持たぬ原子崩し。
そして幻想殺しと戯言遣い。
きっと語り終える頃にはまた違う物語が彼らを取り巻いているのだろうけど、ぼくはもうそこには居ないのだろうけど、バッドエンドは確実だけど――
ひょっとしたら、ハッピーエンドなのかも知れない。
無駄な期待は抱かない。
無碍な希望は望まない。
無常な現実は抗わない。
無理な幻想は生まない。
これまでぼくはそう生きてきたし、これからもそうやって生きていくのだろう。
全てのベクトルを操作できない。この世に存在しない物質など生み出せない。発電することも出来ない。原子を崩すこともできない。大気を掌握することもできない。
物質を移転させることもできない。見たものを全て記憶できない。人類最強でもない。無数の世界を器用に歩き渡れない。何かを守ろうとも思わない。
――全ての異能を殺せる訳でもない。
この都市にやって来てぼくが知った人々は何かを持っていたし、目的も持っていた。ぼくと対照的に。
だから、ぼくはあの存在にひどく興味を持ってしまった。
あの時、作為的な出会いを果たした一人の少女――正確には一万近いの少女達に共感めいたものを感じてしまった。
人によって生み出された、人ならざるモノ。彼女達はそんな存在だというのに、神と呼ばれる存在と同じような誕生理由があるというのに、死に向かって生きていた。
定められた、死。
悲しむことも、怒ることも、楽しむことも、笑うことも、そして生きることさえも許されない、彼女達。
たった一つの目的の為に殺されていく、彼女達。
彼女達は自分の事を『人形』と表現し、生み出した研究者達もそれを認めていた。
だったら、ぼくはどうなのだろう。目的もなく、死に向かって歩いていくぼくは彼女達よりも人ではないのかもしれない。
ぼくとしては珍しく、物事をぼかして表現するぼくとしては本当に珍しく、予めこの物語の結末を言っておこうと思う。
彼女達を巡る――そして幻想殺しを巡るこの騒動はバッドエンドで幕を下ろす。
誰の思い描いた結末とも違う、ある意味で拍子抜けとも思える結末。
無敵を目指す一方通行。
頂点を盗ろうとする未元物質。
全てを終わらせる超電磁砲。
意思など持たぬ原子崩し。
そして幻想殺しと戯言遣い。
きっと語り終える頃にはまた違う物語が彼らを取り巻いているのだろうけど、ぼくはもうそこには居ないのだろうけど、バッドエンドは確実だけど――
ひょっとしたら、ハッピーエンドなのかも知れない。
882:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:20:43.21:Cl1ZGNL00 (6/7)
「戯言だけどね」
「戯言だけどね」
883:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/03(日) 22:23:08.10:Cl1ZGNL00 (7/7)
終わりです。少し物語シリーズ的な語りだし。
ではまた近いうちに。
終わりです。少し物語シリーズ的な語りだし。
ではまた近いうちに。
884:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/03(日) 22:24:17.54:0mMMZR6ho (1/1)
乙
乙
885:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/03(日) 23:33:48.17:szwW3fCAO (2/2)
乙
ワクワクがヤバい
>全てを終わらせる超電磁砲。
この一文で不安もヤバい
乙
ワクワクがヤバい
>全てを終わらせる超電磁砲。
この一文で不安もヤバい
886:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/04(月) 00:17:43.10:EDDWfQuDo (1/1)
乙
乙
887:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/04(月) 13:37:47.58:8rEJdsKAO (1/1)
乙
バッドエンドって言われた…
でもその後の「戯言だけどね」で何を信じていいかわからないww
もう何エンドでもとにかく楽しみ
乙
バッドエンドって言われた…
でもその後の「戯言だけどね」で何を信じていいかわからないww
もう何エンドでもとにかく楽しみ
888:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/04/04(月) 23:35:47.75:wLGmn9eK0 (1/1)
やっと追いついたぜ。
禁書でミステリっぽいのって始めて見たわ。期待。
それと
>だがしかし、『神は人の姿をしている』という意見はあながち外れてはいない気がする。
>それは神だけではなく、悪魔や物の怪の類と呼ばれる想像上の存在も人の成立ちをしている場合が多い。あとは――天使とか。
人工天使さんの登場フラグですねわかります。
やっと追いついたぜ。
禁書でミステリっぽいのって始めて見たわ。期待。
それと
>だがしかし、『神は人の姿をしている』という意見はあながち外れてはいない気がする。
>それは神だけではなく、悪魔や物の怪の類と呼ばれる想像上の存在も人の成立ちをしている場合が多い。あとは――天使とか。
人工天使さんの登場フラグですねわかります。
889:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/05(火) 00:42:29.01:5j2JIWNk0 (1/1)
>>888
ageんなks
>>888
ageんなks
890:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/05(火) 00:59:54.89:XVJQRtVro (1/1)
このスレで久しぶりに戯言読みたくなって
匂宮出夢との関係読んだら狐さんがカッコよすぎた
でも時系列的にこのSSには登場出来ないんだよなぁ……
このスレで久しぶりに戯言読みたくなって
匂宮出夢との関係読んだら狐さんがカッコよすぎた
でも時系列的にこのSSには登場出来ないんだよなぁ……
891:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:36:12.29:DZibQhQm0 (1/9)
お疲れ様です。ちょこちょこ溜めたつもりでしたがまったく書き溜めが無い。
それでも、投下します。多分4レスくらい。
お疲れ様です。ちょこちょこ溜めたつもりでしたがまったく書き溜めが無い。
それでも、投下します。多分4レスくらい。
892:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:37:32.18:DZibQhQm0 (2/9)
2
「暑い……」
「暑いんだよ……」
「暑いね……」
そんな呟きが漏れる八月二十日の正午、とある公園。ぼくとインデックスちゃん、それに当麻くんでベンチに腰掛けながら項垂れている。
今日も夏休みらしく快晴の真夏日。アスファルトは陽炎に揺れ、道行く人々はタオルやハンカチで汗を拭い、冷房目的で飲食店は一杯。
どうしてこんな暑い日にわざわざ外出しているのかというと、あれ、なんでだっけ?どうも暑さで思考が回っていない。
「まさかエアコンが壊れるとは……不幸だ」
「それも二部屋同時になんだよ……」
二人の呟きに「ああそうだ」と思い出す。こんな状況になったのはぼくと当麻くんの部屋のエアコンが同じタイミングで故障してしまったからだ。
当麻くんの部屋はとにかく、ぼくの部屋のエアコンはこれで三度目の故障で、修理を依頼するために電話した管理業者の人も電話口で露骨に嫌味を言っていた。
仕返しなのだろうか(何に対する仕返しなのかは分からない)、直ぐには修理できないとのことで仕方なくこうして外出したのだけれど。
因みに、当麻くんの部屋のエアコンは午後に修理するようだ。
「どの店も満席ってどんな確立なんだよ」とうんざり言い放ってみる。
外出してから入る店全てが満室で、冷房の効いた空間に留まる事ができなかったぼく達は仕方がなくこうして公園に居る。
図書館やらそういった施設に行けばいいだろうと思うが、残念ながらそこまで歩く元気もなくギブアップしてしまったのだ。
それにしても、ファミレス、ファーストフード店、果ては大衆向けではない店も全滅だとは、これも当麻くんの不幸体質の賜物なのか。
「これも全部その右手のせいだな。いっそ切り落とそうか?」
「それならあの魔術がお勧めかも。痛みを感じることなく終わらせてくれるんだよ」
「でも魔術なら右手に効かないだろうから、神裂さんでも呼ぼうか?あの刀ならそれこそ一瞬だろうし」
「名案かも!」
そんな会話をしているぼくと携帯電話を取り出したインデックスちゃん(こないだ買い与えた)の間を割って当麻くんが叫ぶ。
2
「暑い……」
「暑いんだよ……」
「暑いね……」
そんな呟きが漏れる八月二十日の正午、とある公園。ぼくとインデックスちゃん、それに当麻くんでベンチに腰掛けながら項垂れている。
今日も夏休みらしく快晴の真夏日。アスファルトは陽炎に揺れ、道行く人々はタオルやハンカチで汗を拭い、冷房目的で飲食店は一杯。
どうしてこんな暑い日にわざわざ外出しているのかというと、あれ、なんでだっけ?どうも暑さで思考が回っていない。
「まさかエアコンが壊れるとは……不幸だ」
「それも二部屋同時になんだよ……」
二人の呟きに「ああそうだ」と思い出す。こんな状況になったのはぼくと当麻くんの部屋のエアコンが同じタイミングで故障してしまったからだ。
当麻くんの部屋はとにかく、ぼくの部屋のエアコンはこれで三度目の故障で、修理を依頼するために電話した管理業者の人も電話口で露骨に嫌味を言っていた。
仕返しなのだろうか(何に対する仕返しなのかは分からない)、直ぐには修理できないとのことで仕方なくこうして外出したのだけれど。
因みに、当麻くんの部屋のエアコンは午後に修理するようだ。
「どの店も満席ってどんな確立なんだよ」とうんざり言い放ってみる。
外出してから入る店全てが満室で、冷房の効いた空間に留まる事ができなかったぼく達は仕方がなくこうして公園に居る。
図書館やらそういった施設に行けばいいだろうと思うが、残念ながらそこまで歩く元気もなくギブアップしてしまったのだ。
それにしても、ファミレス、ファーストフード店、果ては大衆向けではない店も全滅だとは、これも当麻くんの不幸体質の賜物なのか。
「これも全部その右手のせいだな。いっそ切り落とそうか?」
「それならあの魔術がお勧めかも。痛みを感じることなく終わらせてくれるんだよ」
「でも魔術なら右手に効かないだろうから、神裂さんでも呼ぼうか?あの刀ならそれこそ一瞬だろうし」
「名案かも!」
そんな会話をしているぼくと携帯電話を取り出したインデックスちゃん(こないだ買い与えた)の間を割って当麻くんが叫ぶ。
893:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:38:00.91:DZibQhQm0 (3/9)
「なに物騒なこと言ってるんでせうか!?そりゃあ確かに上条さんの不幸のせいかも知れないけども!ファミレスで待合の紙に記入忘れをしたのは俺だけれども!」
「俺の明暗を分ける会話は止めてくれ」と右手切断案を却下する。残念だ。
あと、別にそこまで巧くないよ、名案と明暗。
「言葉遊びっていうより言葉に遊ばれているかも」
「なかなか的を射た発言をするじゃないか、インデックスちゃん。そう、ぼく達は言葉に遊ばれているんだ。日本語なんて特にね。だから誤字脱字っていう言葉も生まれるし、
文法の間違いも生じる。だいたい違う漢字で同じ読みだなんて反則もいい所だ。それによって変換ミスが多発する。これは文明がもたらした弊害だね。いっそ障害と言ってもいい。
おまけに最近は新しい単語が続々と生まれてくる。若者が小難しい古書を読めないと同じように、年配の人間はネットの流行語が多用されるSSなんて読めないだろう。
つまり言語は進化とは言わないけれど、日々変わっているんだ」
「何か見えない意思を感じるんだけど……」
「戯言だよ」
それはきっと気のせいだろうと当麻くんの突込みをスルーする。インデックスちゃんの発言も、スルーする。
いろいろと自重して欲しい。
「話を戻そう」
閑話休題。それはさておき。とりあえず。
「飲食店は満席、図書館は遠い、かと言って冷やかしで何時間も粘れる店はないし、土御門姉妹も外出中で、こうやってぼく達は肌を焼いているんだけど……」
「このまま熱中症で倒れれば病院に搬送されるのかなぁ……病院の中は涼しいかも……」
「インデックス。それだけは止めろ」
虚ろな目(暑さによる)でそんな呟きを漏らすインデックスちゃん。それだけは本当に止めて欲しい。入院費はぼくが出すことになるだろうし、そもそも学園都市に正規で
滞在している訳ではないので、厄介なことになるのは目に見えている。面倒事は御免だ。
「なに物騒なこと言ってるんでせうか!?そりゃあ確かに上条さんの不幸のせいかも知れないけども!ファミレスで待合の紙に記入忘れをしたのは俺だけれども!」
「俺の明暗を分ける会話は止めてくれ」と右手切断案を却下する。残念だ。
あと、別にそこまで巧くないよ、名案と明暗。
「言葉遊びっていうより言葉に遊ばれているかも」
「なかなか的を射た発言をするじゃないか、インデックスちゃん。そう、ぼく達は言葉に遊ばれているんだ。日本語なんて特にね。だから誤字脱字っていう言葉も生まれるし、
文法の間違いも生じる。だいたい違う漢字で同じ読みだなんて反則もいい所だ。それによって変換ミスが多発する。これは文明がもたらした弊害だね。いっそ障害と言ってもいい。
おまけに最近は新しい単語が続々と生まれてくる。若者が小難しい古書を読めないと同じように、年配の人間はネットの流行語が多用されるSSなんて読めないだろう。
つまり言語は進化とは言わないけれど、日々変わっているんだ」
「何か見えない意思を感じるんだけど……」
「戯言だよ」
それはきっと気のせいだろうと当麻くんの突込みをスルーする。インデックスちゃんの発言も、スルーする。
いろいろと自重して欲しい。
「話を戻そう」
閑話休題。それはさておき。とりあえず。
「飲食店は満席、図書館は遠い、かと言って冷やかしで何時間も粘れる店はないし、土御門姉妹も外出中で、こうやってぼく達は肌を焼いているんだけど……」
「このまま熱中症で倒れれば病院に搬送されるのかなぁ……病院の中は涼しいかも……」
「インデックス。それだけは止めろ」
虚ろな目(暑さによる)でそんな呟きを漏らすインデックスちゃん。それだけは本当に止めて欲しい。入院費はぼくが出すことになるだろうし、そもそも学園都市に正規で
滞在している訳ではないので、厄介なことになるのは目に見えている。面倒事は御免だ。
894:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:38:29.50:DZibQhQm0 (4/9)
「とりあえずジュースでも買おうか?」
少しでも火照った体を冷やそうとそんな提案を持ちかける。だが二人の表情は暗い。
「それは大変魅力的な提案なんでせうが……」
「先立つものが無いんだよ……」
「…………」
インデックスちゃんはともかく、当麻くんがお金を持っていないのはおかしい。
学園都市では能力強度ごとに額は違うが、奨学金制度が導入されており、一人暮らしが可能なぐらいのお金は自動的に懐に入ってくるはずだ。
まぁ大方財布を落としたか、キャッシュカードを飲まれてしまったのだろう。ぼくが渡した一万円も含めてこれで何回目なのだろうか。
「ま、ジュースくらいなら奢るよ」
ぼくはそう言ってベンチから立ち上がり自販機が設置してある場所まで移動する。後ろから感謝の言葉を叫ぶ声が聞こえたが缶ジュース一本ごときで喜びすぎだ。
あの二人は勧誘に弱いだろうなぁなんて思いつつ振り向かないまま手を振って答える。
公園内とはいえ自販機がある場所までは少し距離があるので、目的地に着く頃には二人の姿は見えなくなってしまう。
「さて、と……」
覚悟を決めて自販機と相対する。別段どうってことの無い自販機だが、そのラインナップが問題だ。
イチゴおでん、ヤシの実サイダー、その他複数の如何わしい銘柄の缶ジュース。どれを見ても地雷臭しかしない。
ここは比較的安牌であるヤシの実サイダーをチョイスするべきだろう。下手な冒険は命取りとなる。
ぼくは財布から千円札を取り出し、皺を伸ばして受け入れ口へ差し込むと、ガガガと不穏な音を立てながら自販機は飲み込んでいった。
それにしても随分とボロボロの自販機だ。右側なんて凹んでるし、所々焦げた痕がある。スキルアウトの連中が売り上げ目的にこじ開けようとした名残だろう。
「――って、アレ?」
ボタンを押すが、反応が無い。連打してみても無駄。試しに他のボタンも押してみるがこれもまた反応無し。
返却レバーを引いてみるもこれまたお金が吐き出されることはないし、そして金額を表示するはずのディスプレイには、何も表示されていない。
これは、つまり。
「何お金飲まれてんのよ、アンタは」
「とりあえずジュースでも買おうか?」
少しでも火照った体を冷やそうとそんな提案を持ちかける。だが二人の表情は暗い。
「それは大変魅力的な提案なんでせうが……」
「先立つものが無いんだよ……」
「…………」
インデックスちゃんはともかく、当麻くんがお金を持っていないのはおかしい。
学園都市では能力強度ごとに額は違うが、奨学金制度が導入されており、一人暮らしが可能なぐらいのお金は自動的に懐に入ってくるはずだ。
まぁ大方財布を落としたか、キャッシュカードを飲まれてしまったのだろう。ぼくが渡した一万円も含めてこれで何回目なのだろうか。
「ま、ジュースくらいなら奢るよ」
ぼくはそう言ってベンチから立ち上がり自販機が設置してある場所まで移動する。後ろから感謝の言葉を叫ぶ声が聞こえたが缶ジュース一本ごときで喜びすぎだ。
あの二人は勧誘に弱いだろうなぁなんて思いつつ振り向かないまま手を振って答える。
公園内とはいえ自販機がある場所までは少し距離があるので、目的地に着く頃には二人の姿は見えなくなってしまう。
「さて、と……」
覚悟を決めて自販機と相対する。別段どうってことの無い自販機だが、そのラインナップが問題だ。
イチゴおでん、ヤシの実サイダー、その他複数の如何わしい銘柄の缶ジュース。どれを見ても地雷臭しかしない。
ここは比較的安牌であるヤシの実サイダーをチョイスするべきだろう。下手な冒険は命取りとなる。
ぼくは財布から千円札を取り出し、皺を伸ばして受け入れ口へ差し込むと、ガガガと不穏な音を立てながら自販機は飲み込んでいった。
それにしても随分とボロボロの自販機だ。右側なんて凹んでるし、所々焦げた痕がある。スキルアウトの連中が売り上げ目的にこじ開けようとした名残だろう。
「――って、アレ?」
ボタンを押すが、反応が無い。連打してみても無駄。試しに他のボタンも押してみるがこれもまた反応無し。
返却レバーを引いてみるもこれまたお金が吐き出されることはないし、そして金額を表示するはずのディスプレイには、何も表示されていない。
これは、つまり。
「何お金飲まれてんのよ、アンタは」
895:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:38:59.32:DZibQhQm0 (5/9)
ぼくが口にするよりも早く状況を説明してくれた声は、聞き覚えのある声。
「やあ、美琴ちゃん」
「この自販機は結構お金を吸い込んじゃうのよねー。私も昔万札をやられたわ」
常盤台中学の制服を着たレベル5の第三位、御坂美琴ちゃんは挨拶もそこそこに面倒くさそうな表情を浮かべて、ぼくを自販機の前から退く様に促す。
そしてその場でステップを踏み、二、三回、跳ねて――
「ちぇいさーーっ!」
思い切り回し蹴りを自販機に叩き込んだ。なるほど、あの凹みは美琴ちゃんによるもので、この様子なら焦げも電撃によるものなのだろう。
ぼくが感心していると自販機が缶ジュースを次々と文字通り吐き出した。なんというか取り出し口から飛び出してくる缶ジュースという光景はシュールすぎる。
「ほら、飲まれた分は出してやったわよ」
「…………」
爽やかな笑顔で缶ジュースを一本拾い上げてぼくに差し出す美琴ちゃん。この子は犯罪行為をしたことに自覚は無いのだろうか。
明らかに投入した金額より多くジュースが飛び出している。
ぼくが受け取ろうか躊躇していたら、突然自販機から警報が鳴り響く。あれだけ綺麗な回し蹴りを食らえば、当然か。
「これは逃げたほうがよさそうじゃ――」
「うるさい――」
それはぼくに向けた言葉なのか、それとも自販機に向けた言葉なのだろうか。
ぼくがこの場からさっさと逃げようと三人分のジュースを拾い上げた所で、美琴ちゃんは右手から電撃を放ち強制的に自販機を黙らせた。
なにこの中学生恐い。
ぼくが口にするよりも早く状況を説明してくれた声は、聞き覚えのある声。
「やあ、美琴ちゃん」
「この自販機は結構お金を吸い込んじゃうのよねー。私も昔万札をやられたわ」
常盤台中学の制服を着たレベル5の第三位、御坂美琴ちゃんは挨拶もそこそこに面倒くさそうな表情を浮かべて、ぼくを自販機の前から退く様に促す。
そしてその場でステップを踏み、二、三回、跳ねて――
「ちぇいさーーっ!」
思い切り回し蹴りを自販機に叩き込んだ。なるほど、あの凹みは美琴ちゃんによるもので、この様子なら焦げも電撃によるものなのだろう。
ぼくが感心していると自販機が缶ジュースを次々と文字通り吐き出した。なんというか取り出し口から飛び出してくる缶ジュースという光景はシュールすぎる。
「ほら、飲まれた分は出してやったわよ」
「…………」
爽やかな笑顔で缶ジュースを一本拾い上げてぼくに差し出す美琴ちゃん。この子は犯罪行為をしたことに自覚は無いのだろうか。
明らかに投入した金額より多くジュースが飛び出している。
ぼくが受け取ろうか躊躇していたら、突然自販機から警報が鳴り響く。あれだけ綺麗な回し蹴りを食らえば、当然か。
「これは逃げたほうがよさそうじゃ――」
「うるさい――」
それはぼくに向けた言葉なのか、それとも自販機に向けた言葉なのだろうか。
ぼくがこの場からさっさと逃げようと三人分のジュースを拾い上げた所で、美琴ちゃんは右手から電撃を放ち強制的に自販機を黙らせた。
なにこの中学生恐い。
896:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:39:33.33:DZibQhQm0 (6/9)
「で、暇だったりする?」
「暇といえば暇だけど、ご覧のとおり連れが居るんだ」
手に持った三本の缶ジュースを見せる。
「ふうん。一人はあのバカ?」
「うん、当麻くん。もう一人は美琴ちゃんの知らない子だよ」
「そっか」と何か言いたげな美琴ちゃん。
「思ったより、元気そうだね」
それは、あの事件についての話題。きっと美琴ちゃんがしたかったであろう会話。
「いーさんも言ってたじゃない。人間は次を見て生きていくから人間なんだって」
「そうだっけ?」
「そうよ」
そこで、沈黙が流れる。騒がしい蝉の鳴き声と、どこかで遊ぶ子供たちの笑い声が聞こえてくる。
美琴ちゃんはそんな音に不愉快そうな表情を浮かべて舌を打つ。
「佐天さんが昨日、自殺したらしいわ。どうやったかは知らないし、知りたくも無いけど」
「へえ……」
そうか、自殺か。別に驚くような報告ではないが一応そんな声を上げておく。
「あの事件に関してはもう何も聞かないわ。ある程度予測はついてるし、これ以上知ってももうどうすることもできないから」
そんな言葉とは裏腹に、美琴ちゃんはさらに眉間に皺を寄せる。
「で、暇だったりする?」
「暇といえば暇だけど、ご覧のとおり連れが居るんだ」
手に持った三本の缶ジュースを見せる。
「ふうん。一人はあのバカ?」
「うん、当麻くん。もう一人は美琴ちゃんの知らない子だよ」
「そっか」と何か言いたげな美琴ちゃん。
「思ったより、元気そうだね」
それは、あの事件についての話題。きっと美琴ちゃんがしたかったであろう会話。
「いーさんも言ってたじゃない。人間は次を見て生きていくから人間なんだって」
「そうだっけ?」
「そうよ」
そこで、沈黙が流れる。騒がしい蝉の鳴き声と、どこかで遊ぶ子供たちの笑い声が聞こえてくる。
美琴ちゃんはそんな音に不愉快そうな表情を浮かべて舌を打つ。
「佐天さんが昨日、自殺したらしいわ。どうやったかは知らないし、知りたくも無いけど」
「へえ……」
そうか、自殺か。別に驚くような報告ではないが一応そんな声を上げておく。
「あの事件に関してはもう何も聞かないわ。ある程度予測はついてるし、これ以上知ってももうどうすることもできないから」
そんな言葉とは裏腹に、美琴ちゃんはさらに眉間に皺を寄せる。
897:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:40:40.92:DZibQhQm0 (7/9)
「どうしてこうも厄介事が舞い込んでくるのかしらね。幻想御手にしても、あの事件にしても」
「…………」
「きっと悪いのは私」
そう言い切る美琴ちゃんに、何て言えばいいのか分からなかった。何時もの様に思っても居ない単語を並べて、戯言を言えば良かったのだろうが、それすら出来なかった。
とにかく口を開けてさえしまえば何か言葉が出るだろうと思い、ゆっくりと口を開く。
「お姉様?」
が、それすらも割って入ってきた声に邪魔され、適うことはなかった。
《お姉様》という呼び名で一瞬黒子ちゃんを思い出すが、彼女がここに居るはずが無い。なので常盤台の後輩かと思って顔を向けて――絶句した。
「こんなところで男性と逢引ですか、とミサカは驚きます」
「アンタこそ何してるのよ」
「外部研修中です、とミサカは言いつつお姉様の次なる言葉を予測します」
「そ、じゃあ今日も実験が行われるって訳ね」
「はい、とミサカはお姉様の質問を肯定します」
そんな会話を交わす二人の間には何か大きな壁があるように感じてしまうほど、他所他所しいものだった。
単純な先輩後輩の中ではないだろう。声を掛けてきた彼女の頭部には、女の子が着用するにはいささか無骨すぎる軍用ゴーグルが掛けられている。
それぐらいだ、美琴ちゃんと彼女を区別する特徴は。それほどまでに、目の前の二人は、同じだった。
声も、容姿も、背格好も、なるで写したかのように同じだった。
「美琴ちゃんって妹が居たんだね」
「厳密に言えば違いますが、概ね正解です、とミサカは死んだ目をした男性へと答えます」
正直、瞳にまったく生気を感じない君に言われたくは無い。
「概ね正解?っは、止めてよねそう言うのは」
短く笑って美琴ちゃんが言う。
妹ちゃんはそんな彼女をじっと見詰めている。何か言いたげですらなく、ただ、眺めているだけだ。
「おいおい、いくら不仲だからって妹をそんな風に言うもんじゃ――」
「違うのよ」
取り繕うとするぼくの言葉を遮って、美琴ちゃんは言い放つ。
悲しげに、怒っているように、自嘲的に笑いながら、言い放つ。
「どうしてこうも厄介事が舞い込んでくるのかしらね。幻想御手にしても、あの事件にしても」
「…………」
「きっと悪いのは私」
そう言い切る美琴ちゃんに、何て言えばいいのか分からなかった。何時もの様に思っても居ない単語を並べて、戯言を言えば良かったのだろうが、それすら出来なかった。
とにかく口を開けてさえしまえば何か言葉が出るだろうと思い、ゆっくりと口を開く。
「お姉様?」
が、それすらも割って入ってきた声に邪魔され、適うことはなかった。
《お姉様》という呼び名で一瞬黒子ちゃんを思い出すが、彼女がここに居るはずが無い。なので常盤台の後輩かと思って顔を向けて――絶句した。
「こんなところで男性と逢引ですか、とミサカは驚きます」
「アンタこそ何してるのよ」
「外部研修中です、とミサカは言いつつお姉様の次なる言葉を予測します」
「そ、じゃあ今日も実験が行われるって訳ね」
「はい、とミサカはお姉様の質問を肯定します」
そんな会話を交わす二人の間には何か大きな壁があるように感じてしまうほど、他所他所しいものだった。
単純な先輩後輩の中ではないだろう。声を掛けてきた彼女の頭部には、女の子が着用するにはいささか無骨すぎる軍用ゴーグルが掛けられている。
それぐらいだ、美琴ちゃんと彼女を区別する特徴は。それほどまでに、目の前の二人は、同じだった。
声も、容姿も、背格好も、なるで写したかのように同じだった。
「美琴ちゃんって妹が居たんだね」
「厳密に言えば違いますが、概ね正解です、とミサカは死んだ目をした男性へと答えます」
正直、瞳にまったく生気を感じない君に言われたくは無い。
「概ね正解?っは、止めてよねそう言うのは」
短く笑って美琴ちゃんが言う。
妹ちゃんはそんな彼女をじっと見詰めている。何か言いたげですらなく、ただ、眺めているだけだ。
「おいおい、いくら不仲だからって妹をそんな風に言うもんじゃ――」
「違うのよ」
取り繕うとするぼくの言葉を遮って、美琴ちゃんは言い放つ。
悲しげに、怒っているように、自嘲的に笑いながら、言い放つ。
898:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:41:19.37:DZibQhQm0 (8/9)
「この子は私のクローンなのよ」
「この子は私のクローンなのよ」
899:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/07(木) 00:44:55.35:DZibQhQm0 (9/9)
とりあえず今日はここまでです。
4レスかと思ったら7レスあった。何を言ってるry
早速美琴さんの様子がおかしいですが、友人三人死んじゃってるのでしょうがない。
クローンってばらしてるし。
では、また。近いうちに。
とりあえず今日はここまでです。
4レスかと思ったら7レスあった。何を言ってるry
早速美琴さんの様子がおかしいですが、友人三人死んじゃってるのでしょうがない。
クローンってばらしてるし。
では、また。近いうちに。
900:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 00:47:09.75:8uOEPU/uo (1/1)
美琴さん完全ぶっ壊れ済みか
救いが無いな・・・
美琴さん完全ぶっ壊れ済みか
救いが無いな・・・
901:名無しNIPPER:2011/04/07(木) 00:51:39.94:YE//JeADO (1/1)
乙。原作とは別方向に自暴自棄になってるな……
乙。原作とは別方向に自暴自棄になってるな……
902:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 01:03:03.06:wlXOvGYo0 (1/1)
乙。あっさり佐天さん死んだけど全然驚かないwwwww
この美琴さんはあはぎゃは言いながら妹達殺しそう
乙。あっさり佐天さん死んだけど全然驚かないwwwww
この美琴さんはあはぎゃは言いながら妹達殺しそう
903:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/07(木) 01:09:49.03:1x8z2gUAO (1/1)
佐天さん自殺は予測の範囲内なんだろうさ
主犯が初春だと考えればの話だけども
佐天さん自殺は予測の範囲内なんだろうさ
主犯が初春だと考えればの話だけども
904:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/07(木) 01:15:17.14:TnBRzg2eo (1/1)
乙
美琴の妙に冷めた感じが怖いな
乙
美琴の妙に冷めた感じが怖いな
905:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 01:34:51.51:DE9O1yuE0 (1/1)
ヤサグレールガン……だと
美琴に新たな可能性を見たぜ
なんとかヤサグデレールガンになってほしいけど
>>1だからなあ、どうかなあ、だめかなあ
ヤサグレールガン……だと
美琴に新たな可能性を見たぜ
なんとかヤサグデレールガンになってほしいけど
>>1だからなあ、どうかなあ、だめかなあ
906:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 07:43:29.52:Vj6ekBWDO (1/1)
御琴さんから主人公オーラが無くなっとる…乙です
御琴さんから主人公オーラが無くなっとる…乙です
907:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/07(木) 08:18:44.46:KWHj9NUAO (1/1)
いの字の事だからタダでさえろくでもない実験がろくでもない結果を膿むんだろうなぁ
いの字の事だからタダでさえろくでもない実験がろくでもない結果を膿むんだろうなぁ
908:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(栃木県):2011/04/07(木) 08:59:28.73:ApsY4Zoao (1/1)
妹達はなんかゴミ扱いしてそうな美琴だなww
妹達はなんかゴミ扱いしてそうな美琴だなww
909:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 13:43:59.14:mM2iW2gSo (1/2)
>>144
まどかは裏設定の深さが肝の一つ
シャルロッテ一つとっても何でチーズだけは作れないかの設定や結界内のイメージが生前のヒントとリンクしてたり
魔女の名前の意味や由来、形状が暗示、暗喩してるものとかがメチャクチャ深い
考察しないと見えないけど掘り返せば今流行の薄くて浅いラノベや軽くて細いミステリなんかとは比べ物にならないよ
トリプルミーニング以上のトリックや設定をゴロゴロ仕込める虚淵玄はエロゲライターで終わらせるには惜しすぎる
>>144
まどかは裏設定の深さが肝の一つ
シャルロッテ一つとっても何でチーズだけは作れないかの設定や結界内のイメージが生前のヒントとリンクしてたり
魔女の名前の意味や由来、形状が暗示、暗喩してるものとかがメチャクチャ深い
考察しないと見えないけど掘り返せば今流行の薄くて浅いラノベや軽くて細いミステリなんかとは比べ物にならないよ
トリプルミーニング以上のトリックや設定をゴロゴロ仕込める虚淵玄はエロゲライターで終わらせるには惜しすぎる
910:909:2011/04/07(木) 13:44:44.03:mM2iW2gSo (2/2)
ごめんスレを思いっきり間違った
ごめんスレを思いっきり間違った
911:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 15:50:40.08:e8Sqo5SDO (1/1)
こんだけ潔くキャラがお亡くなりになるのは逆に気持ちいいな
こんだけ潔くキャラがお亡くなりになるのは逆に気持ちいいな
912:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/07(木) 16:09:50.52:tki7U+aAO (1/1)
死んだのは小萌先生、佐天さん、初春、ですのか…
あと上条さんとインデックスさんも一応死んだんだよな(記憶的な意味で)
次は誰が犠牲に
死んだのは小萌先生、佐天さん、初春、ですのか…
あと上条さんとインデックスさんも一応死んだんだよな(記憶的な意味で)
次は誰が犠牲に
913:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮崎県):2011/04/08(金) 02:33:27.58:YC4TDVA+o (1/1)
このままクビツリハイスクールの内容行ったら学園都市壊滅するな・・・
このままクビツリハイスクールの内容行ったら学園都市壊滅するな・・・
914:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/08(金) 02:44:02.21:4SYV9upbo (1/1)
あ、そうか
次はクビツリ……風になるのかは知らんが順番的にはそうなる可能性はあるのか
……で、その場合いーたんは女装するのかね?
あ、そうか
次はクビツリ……風になるのかは知らんが順番的にはそうなる可能性はあるのか
……で、その場合いーたんは女装するのかね?
915:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北):2011/04/08(金) 02:55:33.11:ar7P5fVAO (1/1)
実験って言葉からサイコロみたいになると予想
実験って言葉からサイコロみたいになると予想
916:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/08(金) 08:13:25.81:574GmTdp0 (1/1)
戯れ言シリーズは一回読むだけでお腹いっぱいになる
読み返そうなんて思わないんだよな
戯れ言シリーズは一回読むだけでお腹いっぱいになる
読み返そうなんて思わないんだよな
917:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/08(金) 08:20:05.47:O6+5IeSAO (1/2)
そうか?真相がわかった後に伏線を見つけ直すのが良くね?
そうか?真相がわかった後に伏線を見つけ直すのが良くね?
918:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/08(金) 08:22:38.72:EJ+zTZEAO (1/1)
一回読むだけで相当疲れるからなぁ
無論面白いからだけど
一回読むだけで相当疲れるからなぁ
無論面白いからだけど
919:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/08(金) 08:22:55.32:z7pTGjPSO (1/1)
戯言シリーズな。
俺はクビシメの後味の悪さが好きで10回ぐらいは読んだけどな。
戯言シリーズな。
俺はクビシメの後味の悪さが好きで10回ぐらいは読んだけどな。
920:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(石川県):2011/04/08(金) 10:14:24.43:OD6SOL0m0 (1/1)
戯言シリーズは読み返そうとはあんまり思わんが人間シリーズは何度も読み返してる
というか美琴はロクな事にならなさそうだな
もしくはここまで行ったら最後まで生き残るのか
戯言シリーズは読み返そうとはあんまり思わんが人間シリーズは何度も読み返してる
というか美琴はロクな事にならなさそうだな
もしくはここまで行ったら最後まで生き残るのか
921:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/08(金) 11:14:23.28:O6+5IeSAO (2/2)
生き残っちゃうか
いーちゃんじゃないんだし精神が持つだろうか
生き残っちゃうか
いーちゃんじゃないんだし精神が持つだろうか
922:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/08(金) 19:49:24.92:WEF/D4IAO (1/1)
戯れ言の世界で生き残るにはいーちゃんとある程度親しくなっといたほうがいいんじゃないかというのが俺の持論
少し関わった程度だと大抵死んでしまう
戯れ言の世界で生き残るにはいーちゃんとある程度親しくなっといたほうがいいんじゃないかというのが俺の持論
少し関わった程度だと大抵死んでしまう
923:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/08(金) 20:02:37.13:8YPik7rAO (1/1)
だから上条さんとインデックスさんは無事なのか
っていうか妹達編にていとくん絡んでるSSって他にある?あるなら読みたい
だから上条さんとインデックスさんは無事なのか
っていうか妹達編にていとくん絡んでるSSって他にある?あるなら読みたい
924:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/04/08(金) 22:20:13.48:99OlQRZz0 (1/1)
そのいーちゃんと仲良くなるってのが至難の業だよな
ヒトクイ以前は好きも嫌いも零にするよう心掛けちゃってるし
そのいーちゃんと仲良くなるってのが至難の業だよな
ヒトクイ以前は好きも嫌いも零にするよう心掛けちゃってるし
925:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/08(金) 22:39:03.89:bQtKStuNo (1/1)
仲良くなっても死ぬ人は死ぬんじゃね
ソースはヒトクイでのあの娘
仲良くなっても死ぬ人は死ぬんじゃね
ソースはヒトクイでのあの娘
926:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/08(金) 23:26:40.08:xQ0uPokAO (1/1)
好感度の高さ=死亡率
好感度の高さ=死亡率
927:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/08(金) 23:28:22.58:7vMQBn1N0 (1/1)
仲良くなるといってもただいーちゃんを慕う側じゃ駄目なんじゃないかと思った
巫女子ちゃんや《危険信号》とか見てると。
…と思ったけど崩子ちゃんみたいな例もあるしな…死ぬ死なないのフラグは本当にわかりにくい
仲良くなるといってもただいーちゃんを慕う側じゃ駄目なんじゃないかと思った
巫女子ちゃんや《危険信号》とか見てると。
…と思ったけど崩子ちゃんみたいな例もあるしな…死ぬ死なないのフラグは本当にわかりにくい
928:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/09(土) 00:09:04.16:U2/AXTnDO (1/1)
萌太くんが引き受けてくれたんじゃないかと思ってみたり
萌太くんが引き受けてくれたんじゃないかと思ってみたり
929:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/09(土) 16:24:38.50:PKQP/aNSO (1/1)
いーちゃんを傷付ける(肉体的に)した人って意外と生きてるな
まあ、彼の周囲の人間に見られたら違う死亡フラグが立ちそうだが
いーちゃんを傷付ける(肉体的に)した人って意外と生きてるな
まあ、彼の周囲の人間に見られたら違う死亡フラグが立ちそうだが
930:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/09(土) 19:12:10.21:JA7lIZjAO (1/1)
読み返してたら気が付いたんだけど、佐天さん能力者殺してたくせに幻想御手に手を出してるんだよな
人殺しといてそれは狂ってるわ
佐天さんと初春の電話のシーンとかある意味ホラー
読み返してたら気が付いたんだけど、佐天さん能力者殺してたくせに幻想御手に手を出してるんだよな
人殺しといてそれは狂ってるわ
佐天さんと初春の電話のシーンとかある意味ホラー
931:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/09(土) 19:40:50.83:nakC2Pd80 (1/1)
自分に欠陥があると自覚してりゃ生きてられるとか?
自分に欠陥があると自覚してりゃ生きてられるとか?
932:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/10(日) 02:36:59.78:WmIhd6LSO (1/1)
智恵ちゃん死んだやん
智恵ちゃん死んだやん
933:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/10(日) 14:04:26.89:IQ9TIAme0 (1/1)
つか、この感じだと2スレ目突入かな
つか、この感じだと2スレ目突入かな
934:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/11(月) 00:44:42.07:M0O4Rwpk0 (1/6)
お久しぶりです。少量ですが投下します。
お久しぶりです。少量ですが投下します。
935:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/11(月) 00:45:35.46:M0O4Rwpk0 (2/6)
「クローン……」
「そう、クローン。聞いたことぐらいあるでしょ?」
「そりゃあ、あるけどさ」
そう言って妹ちゃんに目を向ける。美琴ちゃんと全く同じ容姿でその場に突っ立っている。
ぼくはそういった類の話に詳しいわけではないが、クローンの意味ぐらいは知っている。
確か遺伝子の情報を解析し、全く同じものを造り出す技術。
映画や漫画などではもはや使い古されたといってもいい技術だが、こうして実際に《造られたモノ》と相対するのは、当たり前だけど初めてだ。
ましてや人間のクローンだ。牛や豚などとは訳が違う。
人間が人間を造り出すなど神への冒涜であり、最大の禁忌。
「お姉様。《部外者》の方にこれ以上実験に関する情報を与えることは禁止されています、とミサカは情報漏洩を危惧します」と妹ちゃんが会話に割って入る。
「分かってるわよ。つか私も《部外者》だけどね」
「それならば安心ですが、とミサカは薄い胸を撫で下ろします」
「安心するほどむかつくわね」
そんな会話を交わす二人だが、相変わらずどこかギクシャクとしている気がする。
まあ自分のクローンと仲良くしろというほうが無茶な行いだとは思うけれど。
当然。ぼくは会話に入れない。
「それでは、ミサカは外部研修へと戻ります、とミサカはお姉様と没個性的な男性へと別れを告げます」
「さっきから君はぼくに対して辛辣だな」
「んじゃ、私も行くわ。あの馬鹿その一にもヨロシク言っておいて、その二さん」
「……わかったよ」
どうやらこの姉妹はぼくの事が嫌いらしい。それも文字通り遺伝子レベルで。
ぼくは溜め息を吐いて、反対方向に歩いていく二人のミサカを眺めながら当麻くん達が待っているベンチへと帰ろうとする。
随分と遅くなってしまったのでインデックスちゃんに噛みつかれるかも知れない。いやひょっとしたらあの二人は暑さで溶けているかも。
ぼくがそんなくだらない想像をしていると――
爆発音が、公園に轟いた。
「クローン……」
「そう、クローン。聞いたことぐらいあるでしょ?」
「そりゃあ、あるけどさ」
そう言って妹ちゃんに目を向ける。美琴ちゃんと全く同じ容姿でその場に突っ立っている。
ぼくはそういった類の話に詳しいわけではないが、クローンの意味ぐらいは知っている。
確か遺伝子の情報を解析し、全く同じものを造り出す技術。
映画や漫画などではもはや使い古されたといってもいい技術だが、こうして実際に《造られたモノ》と相対するのは、当たり前だけど初めてだ。
ましてや人間のクローンだ。牛や豚などとは訳が違う。
人間が人間を造り出すなど神への冒涜であり、最大の禁忌。
「お姉様。《部外者》の方にこれ以上実験に関する情報を与えることは禁止されています、とミサカは情報漏洩を危惧します」と妹ちゃんが会話に割って入る。
「分かってるわよ。つか私も《部外者》だけどね」
「それならば安心ですが、とミサカは薄い胸を撫で下ろします」
「安心するほどむかつくわね」
そんな会話を交わす二人だが、相変わらずどこかギクシャクとしている気がする。
まあ自分のクローンと仲良くしろというほうが無茶な行いだとは思うけれど。
当然。ぼくは会話に入れない。
「それでは、ミサカは外部研修へと戻ります、とミサカはお姉様と没個性的な男性へと別れを告げます」
「さっきから君はぼくに対して辛辣だな」
「んじゃ、私も行くわ。あの馬鹿その一にもヨロシク言っておいて、その二さん」
「……わかったよ」
どうやらこの姉妹はぼくの事が嫌いらしい。それも文字通り遺伝子レベルで。
ぼくは溜め息を吐いて、反対方向に歩いていく二人のミサカを眺めながら当麻くん達が待っているベンチへと帰ろうとする。
随分と遅くなってしまったのでインデックスちゃんに噛みつかれるかも知れない。いやひょっとしたらあの二人は暑さで溶けているかも。
ぼくがそんなくだらない想像をしていると――
爆発音が、公園に轟いた。
936:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/11(月) 00:46:16.12:M0O4Rwpk0 (3/6)
ぼくは爆発音が聞こえた方角。すなわちインデックスちゃんと当麻くんが居る場所に向けて走っていた。
すれ違う人々も同じように走ってその場から離れているということは、何かしら危険な状況が発生しているということだし、
その群れの中にあの二人が居ないので、巻き込まれている可能性も十分にある。
そして、その予想は外れてはいなかった。
ぼくが到着すると、先ほどまでの平和な光景は見事に無くなっていた。
捲り上がっている地面。舞い上がる粉塵。その場に居るのは三人。
一人は倒れている。一人は怒りで拳を震わせている。そしてもう一人は不適な笑みを浮かべながら二人を見下している。
その内、知っているのは二人。倒れているインデックスちゃんと、怒っている当麻くん。
「テメエ!いきなり何しやがる!」
「――――――。――」
当麻くんの声はなんとか聞き取れるが、もう一人の声は聞こえないが、どうやら当麻くん達が危害を加えられたらしい。
相変わらず不幸だなあ、なんて思いながら少し彼らに駆け寄ったところで、ようやくぼくの存在に気が付いてくれたようだ。
「いーさん!」
「あぁ?」
ぼくの登場にどことなく安堵したような表情を浮かべる当麻くんとは対照的に、もう一人――もう一人の少年は眉を顰めてぼくを睨む。
が、直ぐにそれを崩し、また口元を吊り上げてどこか嬉しそうな表情になる。
「お、戯言遣いじゃねぇか。こりゃぁ手間が省けて丁度いいな」
「――!」
ぼくは《戯言遣い》と呼ばれたことで警戒レベルを一気に吊り上げた。自己紹介などで自ら名乗っているので呼ばれることに対しては何も思わないが、
目の前の少年とは初対面だ。だから彼が知るはずも無い。
確かにぼくは記憶力が良い方ではないが――むしろかなり劣っているけどここまでインパクトのある人間を忘れる程ではない。
少なくともこの時点で少年の印象は不覚にも深くインプットされてしまった。二度と忘れれそうにも無い。
「まぁそんな警戒すんなよ。今日は別に殺しに来たわけじゃねぇんだ。幻想殺しもお前も、そこの白い女もな。ただちょっとうるさかったから眠ってもらったが」
「ふざけんじゃねえぞ!」
ぼくは爆発音が聞こえた方角。すなわちインデックスちゃんと当麻くんが居る場所に向けて走っていた。
すれ違う人々も同じように走ってその場から離れているということは、何かしら危険な状況が発生しているということだし、
その群れの中にあの二人が居ないので、巻き込まれている可能性も十分にある。
そして、その予想は外れてはいなかった。
ぼくが到着すると、先ほどまでの平和な光景は見事に無くなっていた。
捲り上がっている地面。舞い上がる粉塵。その場に居るのは三人。
一人は倒れている。一人は怒りで拳を震わせている。そしてもう一人は不適な笑みを浮かべながら二人を見下している。
その内、知っているのは二人。倒れているインデックスちゃんと、怒っている当麻くん。
「テメエ!いきなり何しやがる!」
「――――――。――」
当麻くんの声はなんとか聞き取れるが、もう一人の声は聞こえないが、どうやら当麻くん達が危害を加えられたらしい。
相変わらず不幸だなあ、なんて思いながら少し彼らに駆け寄ったところで、ようやくぼくの存在に気が付いてくれたようだ。
「いーさん!」
「あぁ?」
ぼくの登場にどことなく安堵したような表情を浮かべる当麻くんとは対照的に、もう一人――もう一人の少年は眉を顰めてぼくを睨む。
が、直ぐにそれを崩し、また口元を吊り上げてどこか嬉しそうな表情になる。
「お、戯言遣いじゃねぇか。こりゃぁ手間が省けて丁度いいな」
「――!」
ぼくは《戯言遣い》と呼ばれたことで警戒レベルを一気に吊り上げた。自己紹介などで自ら名乗っているので呼ばれることに対しては何も思わないが、
目の前の少年とは初対面だ。だから彼が知るはずも無い。
確かにぼくは記憶力が良い方ではないが――むしろかなり劣っているけどここまでインパクトのある人間を忘れる程ではない。
少なくともこの時点で少年の印象は不覚にも深くインプットされてしまった。二度と忘れれそうにも無い。
「まぁそんな警戒すんなよ。今日は別に殺しに来たわけじゃねぇんだ。幻想殺しもお前も、そこの白い女もな。ただちょっとうるさかったから眠ってもらったが」
「ふざけんじゃねえぞ!」
937:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/11(月) 00:46:52.68:M0O4Rwpk0 (4/6)
「……当麻くん。少し待ってくれ」
今にも殴りかかりそうな当麻くんに声をかけ、ぼくは一歩前に出る。
「目的はインデックスちゃんか?」
可能性は低いが、彼が魔術サイドの人間ならば禁書目録としての彼女を持ち帰ることが目的なのだろう。
しかし、彼はそれを否定する。
「そんな訳の分からねぇ格好してるガキなんざどうでもいい」
そう言いながら当麻くんを指差す。
どうやら本当にインデックスちゃんが目的ではないらしい。
「ちょっと幻想殺しに協力してもらいたいことがあるんでな。それとテメェに伝言も預かってる」
「伝言……?」
「これ以上余計な真似をするな、だとよ。近く直々に呼び出しもあんじゃねぇかな」
詰まらなさそうに少年は頭を掻く。
ぼくはそんな少年を見上げたまま問う。
「それは、誰からかな」
「学園都市統括理事長」
即答だった。少年はその人物に対して良く思っていないのか歯を食いしばるようにしている。
「ま、これはそんな大した用事じゃねぇから。それで、だ。幻想殺し。少し付き合ってくれるか?断られても無理やり連れて行くけど」
「テメエ、一体何者なんだよ」
痺れを切らした当麻くんが言い放つ。
少年はまた不適な笑みを浮かべるとぼく達の前に降りて、スッと右手を上条くんへ差し出して握手を求める。
そして少年はそのまま――くすんだ金色の長い髪で、少し柄の悪い少年には不似合いな白い翼を背中に生やしたまま口を開いた。
「……当麻くん。少し待ってくれ」
今にも殴りかかりそうな当麻くんに声をかけ、ぼくは一歩前に出る。
「目的はインデックスちゃんか?」
可能性は低いが、彼が魔術サイドの人間ならば禁書目録としての彼女を持ち帰ることが目的なのだろう。
しかし、彼はそれを否定する。
「そんな訳の分からねぇ格好してるガキなんざどうでもいい」
そう言いながら当麻くんを指差す。
どうやら本当にインデックスちゃんが目的ではないらしい。
「ちょっと幻想殺しに協力してもらいたいことがあるんでな。それとテメェに伝言も預かってる」
「伝言……?」
「これ以上余計な真似をするな、だとよ。近く直々に呼び出しもあんじゃねぇかな」
詰まらなさそうに少年は頭を掻く。
ぼくはそんな少年を見上げたまま問う。
「それは、誰からかな」
「学園都市統括理事長」
即答だった。少年はその人物に対して良く思っていないのか歯を食いしばるようにしている。
「ま、これはそんな大した用事じゃねぇから。それで、だ。幻想殺し。少し付き合ってくれるか?断られても無理やり連れて行くけど」
「テメエ、一体何者なんだよ」
痺れを切らした当麻くんが言い放つ。
少年はまた不適な笑みを浮かべるとぼく達の前に降りて、スッと右手を上条くんへ差し出して握手を求める。
そして少年はそのまま――くすんだ金色の長い髪で、少し柄の悪い少年には不似合いな白い翼を背中に生やしたまま口を開いた。
938:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/11(月) 00:47:52.58:M0O4Rwpk0 (5/6)
「垣根帝督。レベル5の第二位、《未元物質》の方が分かりやすいか?今後ともヨロシク」
「垣根帝督。レベル5の第二位、《未元物質》の方が分かりやすいか?今後ともヨロシク」
939:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/11(月) 00:51:18.60:M0O4Rwpk0 (6/6)
ていとくん登場で終了です。
一応今回はちゃんと禁書キャラが活躍する予定なので、そんなに死なないと思います。
そして長くなりそうなので次スレにも突入します。
ではなるべく早くこれるようにしますのでー
ていとくん登場で終了です。
一応今回はちゃんと禁書キャラが活躍する予定なので、そんなに死なないと思います。
そして長くなりそうなので次スレにも突入します。
ではなるべく早くこれるようにしますのでー
940:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県):2011/04/11(月) 00:58:22.63:9JfGrIqk0 (1/1)
待ってるさ
待ってるさ
941:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山陽):2011/04/11(月) 00:59:43.38:IO8hpNiAO (1/1)
乙ー。
そんなにとはいえ死ぬんだ。やっぱり死ぬんだ。
乙ー。
そんなにとはいえ死ぬんだ。やっぱり死ぬんだ。
942:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/11(月) 01:02:45.69:WE46KEsMo (1/1)
乙乙
大丈夫だ、多分いっその事死んだ方がマシって状態かもだが生き残るとかそんななんだよ、うん・・・
乙乙
大丈夫だ、多分いっその事死んだ方がマシって状態かもだが生き残るとかそんななんだよ、うん・・・
943:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/11(月) 01:02:46.86:vGZZJIMxo (1/1)
乙
レベル5勢ぞろいするのかな
乙
レベル5勢ぞろいするのかな
944:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/11(月) 06:51:26.35:AnxpUo6AO (1/1)
ていとくんがかませでないことを祈るばかり
ていとくんがかませでないことを祈るばかり
945:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/11(月) 07:31:33.46:7MKCAV3W0 (1/1)
戯言読みたいけど売ってないし、金がねえ・・・・・・
せめて○ックオフに売っていればいいんだけど・・・・・
戯言読みたいけど売ってないし、金がねえ・・・・・・
せめて○ックオフに売っていればいいんだけど・・・・・
946:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/11(月) 08:40:22.35:p7p+GHdDO (1/1)
ていとくん…噛ませにならなきゃいいけど…乙です
ていとくん…噛ませにならなきゃいいけど…乙です
947:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/11(月) 17:02:31.19:0u6gz4sAO (1/1)
乙
ていとくんの健闘を祈る
乙
ていとくんの健闘を祈る
948:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/04/11(月) 17:05:11.60:i7Lg9rufo (1/1)
>>945
そんなアナタに文庫版
ちなみに文庫にはオリジナル栞がついてくるからオススメ
そのせいで戯言3セット今持ってる
>>945
そんなアナタに文庫版
ちなみに文庫にはオリジナル栞がついてくるからオススメ
そのせいで戯言3セット今持ってる
949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/04/13(水) 06:38:35.97:jSRykmmao (1/1)
まーっだかな?
まーっだかな?
950:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/13(水) 23:12:54.87:DmbUs3Gx0 (1/5)
お久しぶりです。
投下します。
お久しぶりです。
投下します。
951:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/13(水) 23:13:21.82:DmbUs3Gx0 (2/5)
3
学園都市の能力者には六段階に分けられてランク付けされているというのは以前にも話したことがあると思う。
その中でもレベル5――すなわち超能力者と呼ばれる最高位に位置する能力者は、さらに序列というものが存在する。
序列は単に戦闘能力の優劣では決められておらず、能力研究から得られる利益、すなわちどれだけ学園都市へ恩恵をもたらすかで決まる。
ぼくはその内の二人を知っている。
第三位の美琴ちゃんと、第六位の青髪くん。
二人ともその能力の全力を見たわけではないが、やはり普通の能力者とは訳が違うのだろう。
青髪くんは風を操るどころか気体の操作もできるし、美琴ちゃんはクローン体が造られるほどの利用価値がある。
それならば、この男はどうなのだろう。ホスト崩れのような格好をした、いかにもな雰囲気を醸し出すこの男は自分を第二位だと名乗った。
その容姿に不釣合いな純白の翼を背負いながら、青髪くんや美琴ちゃんよりも上の順位だと言った。
能力研究によってもたらされる利益が多いということは、それほど応用性の利く能力か、全く未知の力なのかどちらかでしかない。
戦闘能力が関係ないとはいえ、この男――垣根帝督が弱いわけが無い。少なくとも、ぼく達を見逃そうという雰囲気は全く感じられない。
「なんだよ、黙りこくって。これじゃ俺が馬鹿みてぇじゃねえか」
差し出したままだった右手は握られること無く、帝督くんはそのまま「せっかくその右手の効果を試そうと思ったのによぉ……」と呟きながら頭を掻いた。
どうやら何かしらの細工をして、幻想殺しの威力を確かめるつもりだったようだ。
「インデックスに何をした……」
当麻くんの右手は握手をするどころか、固く強く握られている。
この言葉を聞く限り、インデックスちゃんは爆発の衝撃で気を失ったわけではないらしい。
「あん?何をしたって、何かしたんだよ。ま、何だっていいじゃねぇか。その内目を覚ますからよ」
悪びれる様子も無くヒラヒラと右手を振る帝督くんに、さらに拳を強く握り締める当麻くん。
本当に殴りかかりそうだ。
「君――帝督くんは当麻くんに協力をして欲しいと言っていたね。それは、何だ」
「随分あっさりと話題を変えやがるな。それが戯言ってやつか」
「その発言こそ、戯言だな」
「違いない」
3
学園都市の能力者には六段階に分けられてランク付けされているというのは以前にも話したことがあると思う。
その中でもレベル5――すなわち超能力者と呼ばれる最高位に位置する能力者は、さらに序列というものが存在する。
序列は単に戦闘能力の優劣では決められておらず、能力研究から得られる利益、すなわちどれだけ学園都市へ恩恵をもたらすかで決まる。
ぼくはその内の二人を知っている。
第三位の美琴ちゃんと、第六位の青髪くん。
二人ともその能力の全力を見たわけではないが、やはり普通の能力者とは訳が違うのだろう。
青髪くんは風を操るどころか気体の操作もできるし、美琴ちゃんはクローン体が造られるほどの利用価値がある。
それならば、この男はどうなのだろう。ホスト崩れのような格好をした、いかにもな雰囲気を醸し出すこの男は自分を第二位だと名乗った。
その容姿に不釣合いな純白の翼を背負いながら、青髪くんや美琴ちゃんよりも上の順位だと言った。
能力研究によってもたらされる利益が多いということは、それほど応用性の利く能力か、全く未知の力なのかどちらかでしかない。
戦闘能力が関係ないとはいえ、この男――垣根帝督が弱いわけが無い。少なくとも、ぼく達を見逃そうという雰囲気は全く感じられない。
「なんだよ、黙りこくって。これじゃ俺が馬鹿みてぇじゃねえか」
差し出したままだった右手は握られること無く、帝督くんはそのまま「せっかくその右手の効果を試そうと思ったのによぉ……」と呟きながら頭を掻いた。
どうやら何かしらの細工をして、幻想殺しの威力を確かめるつもりだったようだ。
「インデックスに何をした……」
当麻くんの右手は握手をするどころか、固く強く握られている。
この言葉を聞く限り、インデックスちゃんは爆発の衝撃で気を失ったわけではないらしい。
「あん?何をしたって、何かしたんだよ。ま、何だっていいじゃねぇか。その内目を覚ますからよ」
悪びれる様子も無くヒラヒラと右手を振る帝督くんに、さらに拳を強く握り締める当麻くん。
本当に殴りかかりそうだ。
「君――帝督くんは当麻くんに協力をして欲しいと言っていたね。それは、何だ」
「随分あっさりと話題を変えやがるな。それが戯言ってやつか」
「その発言こそ、戯言だな」
「違いない」
952:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/13(水) 23:14:20.77:DmbUs3Gx0 (3/5)
「いい加減にし――」
「当麻くん」
ぼくは痺れを切らして叫びだした当麻くんの目の前に右手を出し、静止させる。
そして小声で囁く。
「いいか、ここで下手に彼の怒りを買ってしまったらそのまま仲良くあの世行きだぜ?いくらその右手が異能を打ち消すって言っても相手の能力も分からなければ意味が無い」
当麻くんは少し納得したような、そうでないような表情を浮かべる。
「幸いインデックスちゃんは本当に気を失っているだけみたいだし、ここは様子を見るんだ」
「……分かったよ」
やっぱり納得がいかない様子だが、とりあえずは落ち着いてくれたようだ。
「作戦タイム終了か?」
「ああ、充分だよ。それで、まずは君の要求を聞こうか」
この男の目的とやらが分からなければ、ぼく達はアクションをとることが出来ない。
戦うにせよ、逃げるにせよ。
ぼくの言葉にニヤリと口元を歪め、小さく笑い声を漏らし「実にシンプルな事だ」と言う帝督くん。どこかその外見とはミスマッチな仕草だ。
いや、その笑顔はどんな人間でも似合わないだろう。
狂気が、悪意が、殺意が、全て混ざり合っているような。
彼は、しっかりとぼく達を見据えてこう言った。
「――第一位を、殺すんだ」
そんな、凄惨な笑みを浮かべながら。
「いい加減にし――」
「当麻くん」
ぼくは痺れを切らして叫びだした当麻くんの目の前に右手を出し、静止させる。
そして小声で囁く。
「いいか、ここで下手に彼の怒りを買ってしまったらそのまま仲良くあの世行きだぜ?いくらその右手が異能を打ち消すって言っても相手の能力も分からなければ意味が無い」
当麻くんは少し納得したような、そうでないような表情を浮かべる。
「幸いインデックスちゃんは本当に気を失っているだけみたいだし、ここは様子を見るんだ」
「……分かったよ」
やっぱり納得がいかない様子だが、とりあえずは落ち着いてくれたようだ。
「作戦タイム終了か?」
「ああ、充分だよ。それで、まずは君の要求を聞こうか」
この男の目的とやらが分からなければ、ぼく達はアクションをとることが出来ない。
戦うにせよ、逃げるにせよ。
ぼくの言葉にニヤリと口元を歪め、小さく笑い声を漏らし「実にシンプルな事だ」と言う帝督くん。どこかその外見とはミスマッチな仕草だ。
いや、その笑顔はどんな人間でも似合わないだろう。
狂気が、悪意が、殺意が、全て混ざり合っているような。
彼は、しっかりとぼく達を見据えてこう言った。
「――第一位を、殺すんだ」
そんな、凄惨な笑みを浮かべながら。
953:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/13(水) 23:15:23.01:DmbUs3Gx0 (4/5)
「なっ……」
同時に、当麻くんが驚きの声を上げる。無理も無いだろう。
第一位――この場合は勿論レベル5の序列第一位のことを指しているのだろうが、その人物を目の前の第二位は躊躇うことなく「殺す」と言った。
超能力者の上位二人。一体どんな能力なのかは皆目検討も付かないが、それはきっと強大な能力なのだろう。
第二位である帝督くんが、第一位を殺害するのにどうして当麻くんに協力を仰いだなんて、一つしかない。
「おっと、勘違いするんじゃねえぞ。別にその右手が無くとも俺は第一位を殺せる」
「だったらどうして?」
第一位との戦力差を埋めるために当麻くんの右手を利用するつもりじゃないのか。
「なんつーか保険だよ。念の為って意味だ。俺は確実にあの野郎を殺さないといけない。殺せる自信はあるが、確信は無い」
だから、お前に協力を仰いだって訳さ、と今度は無邪気そうに笑うが、その笑顔もやはり彼には似つかわしくない。
「もし断ったら……どうする」
「さっきからお前ばっかり喋ってるんじゃねえよ、戯言遣い。俺は幻想殺しと交渉しに来てるんだぜ?ま、どうでもいいけどよ。
それにしても『断ったら』って……お前、この状況でよくそんな台詞が吐けるよなぁ。感心しちまうぜ?そんなもん答えは一つしか無いだろうよ」
やれやれと首を横に振りながら、帝督くんは翼を広げて軽く羽ばたくようにしてみせる。
その直後ジェット機が滑空したかのような轟音が響き、公園に植えられている街路樹を数本根元から引きちぎられるように倒れる。
無言でその状況を満足気に眺めた後、「こうなる」と一言だけ添えて翼を閉まった。いや、消したという表現のほうが正しいだろう。
「幻想殺しには効かないかも知れないが、幾らでも殺害方法はある。知ってるか?この世は死で溢れてるんだぜ。申し訳ないな、これは交渉じゃなく、命令だ」
断る権利は無い。
ハッキリ、彼はそう言った。
否定は、死に繋がると。
ハッキリ、彼はそう表した。
「で、どうなんだよ幻想殺し。お前ここまでちゃんと話して無いだろ?対話しようぜ、対話」
「なっ……」
同時に、当麻くんが驚きの声を上げる。無理も無いだろう。
第一位――この場合は勿論レベル5の序列第一位のことを指しているのだろうが、その人物を目の前の第二位は躊躇うことなく「殺す」と言った。
超能力者の上位二人。一体どんな能力なのかは皆目検討も付かないが、それはきっと強大な能力なのだろう。
第二位である帝督くんが、第一位を殺害するのにどうして当麻くんに協力を仰いだなんて、一つしかない。
「おっと、勘違いするんじゃねえぞ。別にその右手が無くとも俺は第一位を殺せる」
「だったらどうして?」
第一位との戦力差を埋めるために当麻くんの右手を利用するつもりじゃないのか。
「なんつーか保険だよ。念の為って意味だ。俺は確実にあの野郎を殺さないといけない。殺せる自信はあるが、確信は無い」
だから、お前に協力を仰いだって訳さ、と今度は無邪気そうに笑うが、その笑顔もやはり彼には似つかわしくない。
「もし断ったら……どうする」
「さっきからお前ばっかり喋ってるんじゃねえよ、戯言遣い。俺は幻想殺しと交渉しに来てるんだぜ?ま、どうでもいいけどよ。
それにしても『断ったら』って……お前、この状況でよくそんな台詞が吐けるよなぁ。感心しちまうぜ?そんなもん答えは一つしか無いだろうよ」
やれやれと首を横に振りながら、帝督くんは翼を広げて軽く羽ばたくようにしてみせる。
その直後ジェット機が滑空したかのような轟音が響き、公園に植えられている街路樹を数本根元から引きちぎられるように倒れる。
無言でその状況を満足気に眺めた後、「こうなる」と一言だけ添えて翼を閉まった。いや、消したという表現のほうが正しいだろう。
「幻想殺しには効かないかも知れないが、幾らでも殺害方法はある。知ってるか?この世は死で溢れてるんだぜ。申し訳ないな、これは交渉じゃなく、命令だ」
断る権利は無い。
ハッキリ、彼はそう言った。
否定は、死に繋がると。
ハッキリ、彼はそう表した。
「で、どうなんだよ幻想殺し。お前ここまでちゃんと話して無いだろ?対話しようぜ、対話」
954:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/13(水) 23:17:04.76:DmbUs3Gx0 (5/5)
あれ?書き溜めが消えた……だと……
また溜めてきますorz
あれ?書き溜めが消えた……だと……
また溜めてきますorz
955:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/13(水) 23:33:15.31:VwXn9iylo (1/1)
乙
待ってるよ
乙
待ってるよ
956:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/13(水) 23:45:41.37:tinFTKwAO (1/1)
乙
いつもていとくんていとくん言ってるから
帝督くんってなんか新鮮だな
乙
いつもていとくんていとくん言ってるから
帝督くんってなんか新鮮だな
957:このまま投下してきます ◆d.DwwZfFCo:2011/04/13(水) 23:57:10.32:oUVngozP0 (1/1)
既に帝督くんはぼくの事など見てはいない。その瞳は真っ直ぐに当麻くんを捕らえている。
ぼくは当麻くんが返す答えなど完全に予測できていた。彼の性格を考えれば、おのずと答えは出てくる。
「断るに決まってるだろ」
即答だった。
迷うことなく、躊躇うことなく『第一位殺害』への協力を断った。
学園都市最強のレベル5の第二位を前にして。圧倒的な力を見せ付けられたというのに。
当麻くんは、断った。
幻想殺しを宿す右手があるから、ではない。
きっと彼はその右手が無くとも、完全なる無能力者だとしても断っていただろう。
彼は、そういう男だ。
「そーだろうな。うん。普通は断るよな。逆にここで承諾されちまったら俺が戸惑っちまうよ」
帝督くんもそこは予測していたのか、特に逆上することも無く笑っている。
あれだけの圧力をかけていたというのに、自由なものだ。
「今日は顔見せみたいなもんだ。後日訪問するわ、答えはその時。そろそろ警備員なり風紀委員なりが来るだろうからこれで退散するとするか」
派手に登場しすぎたからな、と言いながら再び翼を出現させて羽ばたかせる。
ゆっくりと帝督くんの身体が宙に浮き、最初に出会った時の様に見上げる形になってしまう。
「まてよ」と去ろうとする帝督くんを当麻くんが止める。
「答えは変わらねえよ。いつ聞かれたって協力なんてするかよ」
帝督くんはその言葉に「っは」と短く笑い、
「変わるさ。お前だって殺人鬼は見過ごせねえだろ?詳しい内容は資料を送るからそれ読んどけ。それと第三位にも気を掛けてやればお前は協力する」
例え俺が脅さなくてもな、と帝督くんは不適な笑みを浮かべて、返答も待たずに、文字通り飛んでいってしまった。
少しの間ぼく達は何も言わずに立ちすくみ、気が付けば当麻くんの部屋のエアコンの修理が終わる頃合で、日も少し傾いてきた。
残されたぼくと当麻くんは真っ白な羽が舞い落ちる中、取り合えず場所を移動することにし、インデックスちゃんを担いで公園を後にする。
完全に温くなってしまった缶ジュースをベンチの上に置き去りにして。
既に帝督くんはぼくの事など見てはいない。その瞳は真っ直ぐに当麻くんを捕らえている。
ぼくは当麻くんが返す答えなど完全に予測できていた。彼の性格を考えれば、おのずと答えは出てくる。
「断るに決まってるだろ」
即答だった。
迷うことなく、躊躇うことなく『第一位殺害』への協力を断った。
学園都市最強のレベル5の第二位を前にして。圧倒的な力を見せ付けられたというのに。
当麻くんは、断った。
幻想殺しを宿す右手があるから、ではない。
きっと彼はその右手が無くとも、完全なる無能力者だとしても断っていただろう。
彼は、そういう男だ。
「そーだろうな。うん。普通は断るよな。逆にここで承諾されちまったら俺が戸惑っちまうよ」
帝督くんもそこは予測していたのか、特に逆上することも無く笑っている。
あれだけの圧力をかけていたというのに、自由なものだ。
「今日は顔見せみたいなもんだ。後日訪問するわ、答えはその時。そろそろ警備員なり風紀委員なりが来るだろうからこれで退散するとするか」
派手に登場しすぎたからな、と言いながら再び翼を出現させて羽ばたかせる。
ゆっくりと帝督くんの身体が宙に浮き、最初に出会った時の様に見上げる形になってしまう。
「まてよ」と去ろうとする帝督くんを当麻くんが止める。
「答えは変わらねえよ。いつ聞かれたって協力なんてするかよ」
帝督くんはその言葉に「っは」と短く笑い、
「変わるさ。お前だって殺人鬼は見過ごせねえだろ?詳しい内容は資料を送るからそれ読んどけ。それと第三位にも気を掛けてやればお前は協力する」
例え俺が脅さなくてもな、と帝督くんは不適な笑みを浮かべて、返答も待たずに、文字通り飛んでいってしまった。
少しの間ぼく達は何も言わずに立ちすくみ、気が付けば当麻くんの部屋のエアコンの修理が終わる頃合で、日も少し傾いてきた。
残されたぼくと当麻くんは真っ白な羽が舞い落ちる中、取り合えず場所を移動することにし、インデックスちゃんを担いで公園を後にする。
完全に温くなってしまった缶ジュースをベンチの上に置き去りにして。
958:このまま投下してきます ◆d.DwwZfFCo:2011/04/14(木) 00:14:43.82:b/grOykn0 (1/1)
4
昼間のゴタゴタの後、ぼくは当麻くんの部屋で時間を潰しエアコンの修理が終わるのを待った。
案の定インデックスちゃんに色々と事情を聞かれたけれど、能力者同士の喧嘩に巻き込まれたと誤魔化しておいた。
彼女も彼女で物事に首を突っ込みがちなので、下手に事情を話せば何を言われるか分からない。
当然だが、ぼくと当麻くんの間でもその話題は出ていない。当たり障りの無い雑談をしていただけだ。
エアコンの修理に立会い、直ったことを確認したぼくはインデックスちゃんの世話を当麻くんに託し(なんだかペットを預ける感覚だった。飼った事無いけど)、
学生寮を出た。
向かう先は常盤台中学――の寮。
帝督くんが残した『第三位に気を掛けろ』という台詞が引っかかったので、こうして最終のバスに揺られているのだけれど。
因みに当麻くんはその言葉の意味をよく理解していないようだった。仕方が無いか。今の彼には美琴ちゃんと知り合いだったという記憶は無いのだから。
だから、気を使わなくて済んだ。
それにしても、どうしてあそこで美琴ちゃんの名前が出てくるのだろう――なんて、戯言だよな。
幸いなことに常盤台の寮はぼくの住む寮と同じ第七学区に在るらしいので(ガイドブック参照)そこまで遠出しなくても済む。
いや、例えどれだけ離れていても向かったのだけれど。
――これ以上余計な真似をするな
あの伝言が何を意味しているのかはいくら疎いぼくでも理解できる。だからといって「はい、わかりました」と言って引き下がることは出来なかった。
「らしくないな……」と呟いてみる。
本当に学園都市に来てからどうもぼくがぼくらしくない。ぼくらしさとは何か、なんて聞かれても答えることなんて出来ないのだけれど。
こんな事に自分から関わるなんて。いつものように適当に流していれば済む問題だというのに、それこそ余計な真似をしなければ。
「むしろ流されてる、か」
夏休み真っ只中の最終バスにはぼく以外の乗客は居ない。
だから独り言を言ったとしても誰も聞いていないし、尋ねられることも無い。
ゆっくりと法定速度を厳守しながら進むバスに揺られること十数分。ぼくは目的地に到着した。
「おおう……」
思わず間抜けな声が漏れてしまった。
4
昼間のゴタゴタの後、ぼくは当麻くんの部屋で時間を潰しエアコンの修理が終わるのを待った。
案の定インデックスちゃんに色々と事情を聞かれたけれど、能力者同士の喧嘩に巻き込まれたと誤魔化しておいた。
彼女も彼女で物事に首を突っ込みがちなので、下手に事情を話せば何を言われるか分からない。
当然だが、ぼくと当麻くんの間でもその話題は出ていない。当たり障りの無い雑談をしていただけだ。
エアコンの修理に立会い、直ったことを確認したぼくはインデックスちゃんの世話を当麻くんに託し(なんだかペットを預ける感覚だった。飼った事無いけど)、
学生寮を出た。
向かう先は常盤台中学――の寮。
帝督くんが残した『第三位に気を掛けろ』という台詞が引っかかったので、こうして最終のバスに揺られているのだけれど。
因みに当麻くんはその言葉の意味をよく理解していないようだった。仕方が無いか。今の彼には美琴ちゃんと知り合いだったという記憶は無いのだから。
だから、気を使わなくて済んだ。
それにしても、どうしてあそこで美琴ちゃんの名前が出てくるのだろう――なんて、戯言だよな。
幸いなことに常盤台の寮はぼくの住む寮と同じ第七学区に在るらしいので(ガイドブック参照)そこまで遠出しなくても済む。
いや、例えどれだけ離れていても向かったのだけれど。
――これ以上余計な真似をするな
あの伝言が何を意味しているのかはいくら疎いぼくでも理解できる。だからといって「はい、わかりました」と言って引き下がることは出来なかった。
「らしくないな……」と呟いてみる。
本当に学園都市に来てからどうもぼくがぼくらしくない。ぼくらしさとは何か、なんて聞かれても答えることなんて出来ないのだけれど。
こんな事に自分から関わるなんて。いつものように適当に流していれば済む問題だというのに、それこそ余計な真似をしなければ。
「むしろ流されてる、か」
夏休み真っ只中の最終バスにはぼく以外の乗客は居ない。
だから独り言を言ったとしても誰も聞いていないし、尋ねられることも無い。
ゆっくりと法定速度を厳守しながら進むバスに揺られること十数分。ぼくは目的地に到着した。
「おおう……」
思わず間抜けな声が漏れてしまった。
959:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/14(木) 00:42:46.43:MOESu+R90 (1/1)
お嬢様学校だからある程度は豪華な寮なのだろうと想像していたが、これは。
豪華すぎだ。
建築に明るくないぼくでもこの仕様の建物はそうそう目に掛かれないと理解できる。それほどまでに立派な寮だった。
ちょっと自分が住む寮との格差を感じてしまう。
建物に圧倒されっぱなしで目的も達成できず帰ったとなれば哀川さん辺りが盛大に笑ってくれそうだが、流石にぼくもそこまで酔狂ではない。
ここまで来たんだ。美琴ちゃんと会話ぐらいはしたいものである。
とりあえずインターホン的な物を探す為に門の辺りをウロウロ歩いてみる。
「…………」
ぼくの動きに合わせて監視カメラの首が旋回している。これは、中々のセキュリティだ。
別に悪いことをしている訳ではないのにどこか萎縮させる雰囲気を醸し出す監視カメラをどうにか意識の外に追いやり、ようやく発見したインターホンを押そうと手を伸ばす。
そこで、ある看板を見つけた。
《女子寮につき男性厳禁》
これはこれは。うん。いかにもお嬢様らしい。
ぼくは伸ばした手を引いて、回れ右をする。去り際に監視カメラにピースサインを向けてその場から離れた。
せめてもの抵抗である。
我ながら情けないなぁ。
でもインターホンを押したら、きっとぼくはとんでもない人物と遭遇していたのだろう。なぜか確信を持ってそう思えてしまう。
よし、美琴ちゃんとは偶然会うことを期待して今日は帰ろう。これは英断だ。
――と、バス停まで戻ってから気が付いた。
さっきぼくが乗ってきたバスが最終便だったことに。
「不幸だ」
そんな呟きを落としながら徒歩で学生寮まで戻ることにした。最近当麻くんの不幸が移ったような気がするのだけれど、あながち気のせいではないのかもしれないなぁ。
まだ夏なので日は沈みきってはいないが、学生寮に着く頃には完全に夜になっているだろう。
別に門限だとかそういった心配はないのだが、何となく早く戻りたい気分だったので気持ち足早に道を歩く。
途中、路地裏を眺めながら。
お嬢様学校だからある程度は豪華な寮なのだろうと想像していたが、これは。
豪華すぎだ。
建築に明るくないぼくでもこの仕様の建物はそうそう目に掛かれないと理解できる。それほどまでに立派な寮だった。
ちょっと自分が住む寮との格差を感じてしまう。
建物に圧倒されっぱなしで目的も達成できず帰ったとなれば哀川さん辺りが盛大に笑ってくれそうだが、流石にぼくもそこまで酔狂ではない。
ここまで来たんだ。美琴ちゃんと会話ぐらいはしたいものである。
とりあえずインターホン的な物を探す為に門の辺りをウロウロ歩いてみる。
「…………」
ぼくの動きに合わせて監視カメラの首が旋回している。これは、中々のセキュリティだ。
別に悪いことをしている訳ではないのにどこか萎縮させる雰囲気を醸し出す監視カメラをどうにか意識の外に追いやり、ようやく発見したインターホンを押そうと手を伸ばす。
そこで、ある看板を見つけた。
《女子寮につき男性厳禁》
これはこれは。うん。いかにもお嬢様らしい。
ぼくは伸ばした手を引いて、回れ右をする。去り際に監視カメラにピースサインを向けてその場から離れた。
せめてもの抵抗である。
我ながら情けないなぁ。
でもインターホンを押したら、きっとぼくはとんでもない人物と遭遇していたのだろう。なぜか確信を持ってそう思えてしまう。
よし、美琴ちゃんとは偶然会うことを期待して今日は帰ろう。これは英断だ。
――と、バス停まで戻ってから気が付いた。
さっきぼくが乗ってきたバスが最終便だったことに。
「不幸だ」
そんな呟きを落としながら徒歩で学生寮まで戻ることにした。最近当麻くんの不幸が移ったような気がするのだけれど、あながち気のせいではないのかもしれないなぁ。
まだ夏なので日は沈みきってはいないが、学生寮に着く頃には完全に夜になっているだろう。
別に門限だとかそういった心配はないのだが、何となく早く戻りたい気分だったので気持ち足早に道を歩く。
途中、路地裏を眺めながら。
960:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/14(木) 00:56:55.41:Rh34Qepe0 (1/1)
なんとなく意識してしまう。
既に終わってしまった事件ではあるが、犯人が二人とも死んでしまった事件ではあるが、ぼくの記憶には未だに残っている。
死んでしまった、彼女の姿を。
きっと飾利ちゃんは涙子ちゃんを殺そうとしたんだろう。だから青髪くんがそれを止めた。
飾利ちゃんを殺すという形で、それを止めた。
今となっては理由など知る由も無いが、知りたくも無いがそんなことを漠然と思う。思ってしまう。
あの路地裏からフルフェイスの殺人鬼が出てきそうで、あの白い少年が歪な笑顔を浮かべて出てきそうで。
なんとなく、意識してしまう。
そんなことを思いながら歩く人通りの無い道路に、突如車の排気音が轟く。
かなりスピードを出しているのだろう。後ろから迫ってくる音はドップラー効果を含みながら段々と大きくなっていく。
ぼくはこの時「学園都市でもこんな荒い運転をする人が居るんだ」とぼんやり考えていたので、ぼくの横を通り過ぎ五メートル先で止まったワンボックスカー
に疑問を抱くのが遅れてしまった。猛スピードで走りぬけ、急ブレーキを踏むもんだからくっきりとアスファルトにタイヤ痕が残り、ゴムが焦げた匂いが鼻を突く。
そこでようやく異質な車に警戒を覚えたぼくは冷静を装いながらその横を通り過ぎようとする。
当然、荒っぽいことになるだろうなと思いつつ。
「結局、こんな派手な登場じゃ警戒されるのがオチな訳よ」
勢い良く開かれたスライドドアからそんな呟きを言いつつ金髪の少女が降りてくる。
見るからに外人さんだ。
「いいじゃないですか、超C級映画のノリっぽくて」
続けて中学生位の小柄な少女も降りてくる。
そしてさらにもう一人、どこか独特の雰囲気を漂わせながらジャージ姿の少女(高校生くらいだろうか)ものっそりと現れる。
「南南東から信号が来てる……」
電波さんだ。文字通り、電波少女だ。
しかし、この子達の狙いはどう考えてもぼくだ。しかもやっぱり荒事になりそうな気配を持ち込んできやがった。
あーこれは当麻くん以上に不幸じゃないのか、ぼく。
「はいはい、無駄口叩いてないでさっさと目標をぶっ殺すよ」
なんとなく意識してしまう。
既に終わってしまった事件ではあるが、犯人が二人とも死んでしまった事件ではあるが、ぼくの記憶には未だに残っている。
死んでしまった、彼女の姿を。
きっと飾利ちゃんは涙子ちゃんを殺そうとしたんだろう。だから青髪くんがそれを止めた。
飾利ちゃんを殺すという形で、それを止めた。
今となっては理由など知る由も無いが、知りたくも無いがそんなことを漠然と思う。思ってしまう。
あの路地裏からフルフェイスの殺人鬼が出てきそうで、あの白い少年が歪な笑顔を浮かべて出てきそうで。
なんとなく、意識してしまう。
そんなことを思いながら歩く人通りの無い道路に、突如車の排気音が轟く。
かなりスピードを出しているのだろう。後ろから迫ってくる音はドップラー効果を含みながら段々と大きくなっていく。
ぼくはこの時「学園都市でもこんな荒い運転をする人が居るんだ」とぼんやり考えていたので、ぼくの横を通り過ぎ五メートル先で止まったワンボックスカー
に疑問を抱くのが遅れてしまった。猛スピードで走りぬけ、急ブレーキを踏むもんだからくっきりとアスファルトにタイヤ痕が残り、ゴムが焦げた匂いが鼻を突く。
そこでようやく異質な車に警戒を覚えたぼくは冷静を装いながらその横を通り過ぎようとする。
当然、荒っぽいことになるだろうなと思いつつ。
「結局、こんな派手な登場じゃ警戒されるのがオチな訳よ」
勢い良く開かれたスライドドアからそんな呟きを言いつつ金髪の少女が降りてくる。
見るからに外人さんだ。
「いいじゃないですか、超C級映画のノリっぽくて」
続けて中学生位の小柄な少女も降りてくる。
そしてさらにもう一人、どこか独特の雰囲気を漂わせながらジャージ姿の少女(高校生くらいだろうか)ものっそりと現れる。
「南南東から信号が来てる……」
電波さんだ。文字通り、電波少女だ。
しかし、この子達の狙いはどう考えてもぼくだ。しかもやっぱり荒事になりそうな気配を持ち込んできやがった。
あーこれは当麻くん以上に不幸じゃないのか、ぼく。
「はいはい、無駄口叩いてないでさっさと目標をぶっ殺すよ」
961:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 01:04:28.55:0EDAURf7o (1/1)
モアイー!おれだー!結婚してくれー!
モアイー!おれだー!結婚してくれー!
962:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/14(木) 01:05:21.42:uFWxyGXAO (1/4)
投下中のコメントってダメ?
投下中のコメントってダメ?
963:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/14(木) 01:25:20.48:bKC27mNt0 (1/3)
そして最後にそんな物騒な言葉を吐きながら、面倒臭そうに一人の女性が降りてきた所でワンボックスカーは走り去ってしまう。
どうやら、このぼくより少し年上に見える女性がリーダーのようだ。結構キツそうな性格をしていそうだなぁ。
ぼくは何も見ていないふりをしながら、彼女達を通り過ぎようとしたところで小柄な少女に右手首を掴まれる。
「何スルーしてるんですか?そこは超驚愕するところでしょう!」
「いや、驚いてるよ。あービックリしたなー驚いたー心臓止まるかと思ったー……じゃ、満足したならぼくはこれで」
「超不愉快な切り替えしです」
振り解いてそのまま歩いていこうとしたぼくだったが、少女の手はそのまま手首をホールドしたままだった。
何この子、すげえ力強い。
「絹旗はやっぱりなめられる訳よ」
「大丈夫。そんなきぬはたを応援してる」
「フレンダと滝壷さんまでー!」
どうやらぼくの腕を掴んでいる子が絹旗で、金髪の子がフレンダ、電波ジャージの子が滝壷という名前らしい。
まあ、この状況にあまり関係の無いことだけど。
それにしても、絹旗ちゃんの能力は肉体強化系なのか?さっきから抵抗してるのにビクともしない。
まるで固められてかのように、動かない。
「悪ノリしてんじゃねぇよ。さっさとコイツぶっ殺して飯でも食いにいきてえんだからよぉ」
「麦野怖い……」
フレンダちゃんに麦野と呼ばれた女性は口元を引きつかせながら三人のやり取りに苛立っていた。うん。怖いよこの人。
もっと年相応の落ち着きを見せていれば美人だというのに、実に勿体無い。まあ強気な女性は好みではあるけれど。
「テメエもテメエで妙に落ちついてんなぁ?」
「女の子に囲まれてちょっと気分が上がってるだけだよ」
「ハッ!そりゃあ随分と余裕じゃねえか。死ぬ前に良い思い出が出来てよかったな」
「……どうしてぼくが殺されるんだ」
ぼくの質問に答えずに麦野さんは顔を思い切りぼくの顔に近づけた。フレンダちゃんがなにか叫んでいる気がするが、生憎聞き取れない。
ジッとぼくを見つめる麦野さんに「何か」と声を掛けてみると、彼女はにっこりと優しい笑みを浮かべて――ぼくの右頬を思い切り殴った。
反動で転びそうになるが、掴まれた右手のせいで倒れることはできなかった。
「伝言、聞いたんだろ?テメェは忠告であり警告を無視したから殺されるんだよ!言われただろ?余計な真似すんなってよお!!」
ヒャハハハととても上品とはいえない笑い声を上げて、麦野さんは言い放つ。
頬を押さえるぼくを見下ろしながら、見下しながら、言い放つ。
そして最後にそんな物騒な言葉を吐きながら、面倒臭そうに一人の女性が降りてきた所でワンボックスカーは走り去ってしまう。
どうやら、このぼくより少し年上に見える女性がリーダーのようだ。結構キツそうな性格をしていそうだなぁ。
ぼくは何も見ていないふりをしながら、彼女達を通り過ぎようとしたところで小柄な少女に右手首を掴まれる。
「何スルーしてるんですか?そこは超驚愕するところでしょう!」
「いや、驚いてるよ。あービックリしたなー驚いたー心臓止まるかと思ったー……じゃ、満足したならぼくはこれで」
「超不愉快な切り替えしです」
振り解いてそのまま歩いていこうとしたぼくだったが、少女の手はそのまま手首をホールドしたままだった。
何この子、すげえ力強い。
「絹旗はやっぱりなめられる訳よ」
「大丈夫。そんなきぬはたを応援してる」
「フレンダと滝壷さんまでー!」
どうやらぼくの腕を掴んでいる子が絹旗で、金髪の子がフレンダ、電波ジャージの子が滝壷という名前らしい。
まあ、この状況にあまり関係の無いことだけど。
それにしても、絹旗ちゃんの能力は肉体強化系なのか?さっきから抵抗してるのにビクともしない。
まるで固められてかのように、動かない。
「悪ノリしてんじゃねぇよ。さっさとコイツぶっ殺して飯でも食いにいきてえんだからよぉ」
「麦野怖い……」
フレンダちゃんに麦野と呼ばれた女性は口元を引きつかせながら三人のやり取りに苛立っていた。うん。怖いよこの人。
もっと年相応の落ち着きを見せていれば美人だというのに、実に勿体無い。まあ強気な女性は好みではあるけれど。
「テメエもテメエで妙に落ちついてんなぁ?」
「女の子に囲まれてちょっと気分が上がってるだけだよ」
「ハッ!そりゃあ随分と余裕じゃねえか。死ぬ前に良い思い出が出来てよかったな」
「……どうしてぼくが殺されるんだ」
ぼくの質問に答えずに麦野さんは顔を思い切りぼくの顔に近づけた。フレンダちゃんがなにか叫んでいる気がするが、生憎聞き取れない。
ジッとぼくを見つめる麦野さんに「何か」と声を掛けてみると、彼女はにっこりと優しい笑みを浮かべて――ぼくの右頬を思い切り殴った。
反動で転びそうになるが、掴まれた右手のせいで倒れることはできなかった。
「伝言、聞いたんだろ?テメェは忠告であり警告を無視したから殺されるんだよ!言われただろ?余計な真似すんなってよお!!」
ヒャハハハととても上品とはいえない笑い声を上げて、麦野さんは言い放つ。
頬を押さえるぼくを見下ろしながら、見下しながら、言い放つ。
964:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/14(木) 01:27:10.84:bKC27mNt0 (2/3)
「レベル5の第四位。麦野沈利率いる暗部組織『アイテム』がテメエの始末を任されたんだよ」
「レベル5の第四位。麦野沈利率いる暗部組織『アイテム』がテメエの始末を任されたんだよ」
965:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/14(木) 01:29:57.49:bKC27mNt0 (3/3)
なんか唐突ですがこれで今日は終了です。
アイテム全員出したけど、多分これから空気になっていきます。麦のんだけが深く関わるだけなので。
でもモアイは活躍させたい。
それにしてもていとくんや麦のんって扱いずらいキャラですね。勿論良い意味で。
これからしばらくは禁書キャラのターンになると思います。いーちゃんマジ語り部。
赤い人も今回は物語に参加する予定です。
>>962
全然おkですよ
>>961
甘えるな
それでは、また。
なんか唐突ですがこれで今日は終了です。
アイテム全員出したけど、多分これから空気になっていきます。麦のんだけが深く関わるだけなので。
でもモアイは活躍させたい。
それにしてもていとくんや麦のんって扱いずらいキャラですね。勿論良い意味で。
これからしばらくは禁書キャラのターンになると思います。いーちゃんマジ語り部。
赤い人も今回は物語に参加する予定です。
>>962
全然おkですよ
>>961
甘えるな
それでは、また。
966:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/14(木) 01:39:52.24:kQXJ/rZAO (1/2)
乙!
ていとくんがカッコいい…だと…
主役じゃないていとくんは三枚目かかませとが多いけど、ここなら活躍してくれそうだ
そしてアイテムから滲み出るかませ臭……
絹旗は殺さないでくれ……
乙!
ていとくんがカッコいい…だと…
主役じゃないていとくんは三枚目かかませとが多いけど、ここなら活躍してくれそうだ
そしてアイテムから滲み出るかませ臭……
絹旗は殺さないでくれ……
967:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/14(木) 01:46:04.81:uFWxyGXAO (2/4)
乙
>>1はモアイちゃん殺しそうだぜ
……扱いずらい…?…づ…?
乙
>>1はモアイちゃん殺しそうだぜ
……扱いずらい…?…づ…?
968:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/14(木) 01:49:37.49:uFWxyGXAO (3/4)
いや、どっちでもいいのか
ごめん
いや、どっちでもいいのか
ごめん
969:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 08:39:03.17:CkntEhvDO (1/1)
アイテム全滅フラグ……
アイテム全滅フラグ……
970:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 08:54:02.24:/pHiQS7DO (1/1)
赤い人が今きたらアイテム崩壊しちゃう…でも赤い人はまだまだ来ないだろうな
乙
赤い人が今きたらアイテム崩壊しちゃう…でも赤い人はまだまだ来ないだろうな
乙
971:名無しNIPPER:2011/04/14(木) 11:12:20.52:81PYoqdDO (1/1)
前作では麦のんは半殺しで風車に磔、ていとくんはぬっ殺されて生き返った後磔だったからなぁ…なんかその流れを踏襲しそうだな。まぁ特に思い入れもないので別に構わんが
前作では麦のんは半殺しで風車に磔、ていとくんはぬっ殺されて生き返った後磔だったからなぁ…なんかその流れを踏襲しそうだな。まぁ特に思い入れもないので別に構わんが
972:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 12:26:50.50:XpZ9TF4IO (1/1)
つくづくいーちゃんと絡むと死亡フラグにしか見えないな。
つくづくいーちゃんと絡むと死亡フラグにしか見えないな。
973:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 16:05:14.84:WfSUXZcIO (1/1)
美琴を殺したらうるさい奴がでてきそうなのが心配
美琴を殺したらうるさい奴がでてきそうなのが心配
974:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 16:56:58.03:KBwnmrAco (1/1)
し! _ノ
小 上 / ) 上 え
学 琴 L_ ヽ 琴 |
生 が / , - 一 - 、_ , - 一 - 、_ i !? マ
ま 許 / / .:::ヽ、 / .:::::く ジ
で さ l /, -ー- -、 .:::://:ヽ /, -ー- -、 .:::://ヽ
だ れ i i..::/\::::::::ヽ、::|i::::::| i..::/\::::::::ヽ、::|i:::::レ ⌒Y⌒ヽ
よ る l /7 .:〉::::::::: /::|::::::| /7 .:〉::::::::: /::|::::::|
ね の _ゝ / / .:::/ .:::::|:::::::| / / .:::/ .:::::|:::::::|
l は 「 i / .:::::i :::::::|:::::::| i / .:::::i :::::::|:::::::|
ヽ i i;::::ヽ、 ,i .:::::::|::::::::| i i;::::ヽ、 ,i .:::::::|::::::::|
-┐ ,√ i `''''''''´ .::::::::|::::::::| i `''''''''´ .::::::::|::::::::|
レ'⌒ヽ/ ! i-=三=- 、 .:::::_人__人ノ_ i-=三=- 、 .:::::::::ゝ、ノ
人_,、ノL_,iノ! i .:::::「 L_i .:::::::::::i:::|
/ i .:::::::ノ モ 了 .:::::::::::::i:::|
ハ キ { ゝ、_ /!`h:::::::::) ア | 「ヽ .::::/)::/:::|
ハ ャ ヽ r-、‐' // / |;;;;;;く | > / / //;;/::.:::!
ハ ハ > /\\// / /ヽ_:::::! イ ( / / //:::::::::::::::::ヽ
ハ ハ / /! ヽ レ'/ ノ > ' ∠ -‐  ̄ノ
{ i l ! / フ / -‐ /
し! _ノ
小 上 / ) 上 え
学 琴 L_ ヽ 琴 |
生 が / , - 一 - 、_ , - 一 - 、_ i !? マ
ま 許 / / .:::ヽ、 / .:::::く ジ
で さ l /, -ー- -、 .:::://:ヽ /, -ー- -、 .:::://ヽ
だ れ i i..::/\::::::::ヽ、::|i::::::| i..::/\::::::::ヽ、::|i:::::レ ⌒Y⌒ヽ
よ る l /7 .:〉::::::::: /::|::::::| /7 .:〉::::::::: /::|::::::|
ね の _ゝ / / .:::/ .:::::|:::::::| / / .:::/ .:::::|:::::::|
l は 「 i / .:::::i :::::::|:::::::| i / .:::::i :::::::|:::::::|
ヽ i i;::::ヽ、 ,i .:::::::|::::::::| i i;::::ヽ、 ,i .:::::::|::::::::|
-┐ ,√ i `''''''''´ .::::::::|::::::::| i `''''''''´ .::::::::|::::::::|
レ'⌒ヽ/ ! i-=三=- 、 .:::::_人__人ノ_ i-=三=- 、 .:::::::::ゝ、ノ
人_,、ノL_,iノ! i .:::::「 L_i .:::::::::::i:::|
/ i .:::::::ノ モ 了 .:::::::::::::i:::|
ハ キ { ゝ、_ /!`h:::::::::) ア | 「ヽ .::::/)::/:::|
ハ ャ ヽ r-、‐' // / |;;;;;;く | > / / //;;/::.:::!
ハ ハ > /\\// / /ヽ_:::::! イ ( / / //:::::::::::::::::ヽ
ハ ハ / /! ヽ レ'/ ノ > ' ∠ -‐  ̄ノ
{ i l ! / フ / -‐ /
975:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/14(木) 19:09:18.03:uFWxyGXAO (4/4)
>>973
このスレにゃいないだろwwww
>>973
このスレにゃいないだろwwww
976:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/14(木) 19:19:49.00:kQXJ/rZAO (2/2)
>>1なら外野の声なんて気にせずに平然と[ピーーー]だろうさ
むしろ逆に生き残る気がするけど
>>1なら外野の声なんて気にせずに平然と[ピーーー]だろうさ
むしろ逆に生き残る気がするけど
977:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越):2011/04/14(木) 19:34:47.64:baju16gAO (1/1)
>>974
吹き出したいちごおでん返せ
>>974
吹き出したいちごおでん返せ
978:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/14(木) 19:50:48.21:RR6GCV0AO (1/1)
死ぬ死なない以前にこっからどう動いていくのかが
ものっそい楽しみな展開だな
死ぬ死なない以前にこっからどう動いていくのかが
ものっそい楽しみな展開だな
979:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/15(金) 15:21:22.65:x3GrF+kAO (1/2)
誰も突っ込まないがいーちゃんより年上に見られる麦のんェ…
誰も突っ込まないがいーちゃんより年上に見られる麦のんェ…
980:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 20:21:40.22:w3uvV5S60 (1/8)
書き溜め無しで投下するので、かなりのんびり。
では落としていきます。
書き溜め無しで投下するので、かなりのんびり。
では落としていきます。
981:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 20:22:14.17:w3uvV5S60 (2/8)
5
原子崩し。
本来『粒子』又は『波形』のどちらかの性質を状況に応じて示す電子を、 その二つの中間である『曖昧なまま』の状態に固定し、強制的に操る。
そして操った電子を白く輝く光線として放出し、絶大なる破壊を撒き散らす。
先に言ってしまえばレベル5第四位である麦野沈利の能力で、彼女が笑顔で丁寧に教えてくれた(勿論、光線は放ちっぱなし)。
現在ぼくはそれに狙われて、逃げ惑っている。
コンクリートの壁すら貫通して襲い掛かってくる光線に『どこかに身を潜める』なんていう行動は無意味で、実際にビルの陰に隠れたぼくの髪を一房持っていってしまった。
なんというバイオレンスな散髪方法だよ。
そんなこんなで、絶賛逃走中のぼくである。
「ギャハハハハ!おらおらおらぁあああ!!逃げてんじゃねえ!避けてんじゃねぇえよぉぉぉおお!!」
そしてノリノリな麦野さんであった。
……いや、こんな冷静に解説している場合じゃないんだけど。
どうもぼくには緊張感が欠けているようだ。
「逃げるに決まってるだろ」
元から戦うという選択肢は無かったけれど、ぼくは不規則に蛇行しながらとにかく逃げることに専念した。
あんな歩く戦艦ヤマトみたいな人の相手などしていられるか。幸い精密なコントロールは出来ないようだし。
それとも、制御する気が無いのか。
仲間の三人もなんか諦めて呆れた表情を浮かべてるし。
「チラチラこっち見んなよぉ!!照れちまうじゃねぇか!!ああ!?」
嘘だ。あんな嬉しそうに顔面を歪めているのに照れている筈が無い。むしろ喜んでいる。
ご飯を食べに行きたいんじゃ無かったのかよ。あの時もらったドリンクバーの割引券の余りをあげるから仲良く皆でファミレスにでも行ってほしい。
「全く、麦野はテンション上げすぎです。これは超仕事なんですが」
「同感だね……って、え?」
5
原子崩し。
本来『粒子』又は『波形』のどちらかの性質を状況に応じて示す電子を、 その二つの中間である『曖昧なまま』の状態に固定し、強制的に操る。
そして操った電子を白く輝く光線として放出し、絶大なる破壊を撒き散らす。
先に言ってしまえばレベル5第四位である麦野沈利の能力で、彼女が笑顔で丁寧に教えてくれた(勿論、光線は放ちっぱなし)。
現在ぼくはそれに狙われて、逃げ惑っている。
コンクリートの壁すら貫通して襲い掛かってくる光線に『どこかに身を潜める』なんていう行動は無意味で、実際にビルの陰に隠れたぼくの髪を一房持っていってしまった。
なんというバイオレンスな散髪方法だよ。
そんなこんなで、絶賛逃走中のぼくである。
「ギャハハハハ!おらおらおらぁあああ!!逃げてんじゃねえ!避けてんじゃねぇえよぉぉぉおお!!」
そしてノリノリな麦野さんであった。
……いや、こんな冷静に解説している場合じゃないんだけど。
どうもぼくには緊張感が欠けているようだ。
「逃げるに決まってるだろ」
元から戦うという選択肢は無かったけれど、ぼくは不規則に蛇行しながらとにかく逃げることに専念した。
あんな歩く戦艦ヤマトみたいな人の相手などしていられるか。幸い精密なコントロールは出来ないようだし。
それとも、制御する気が無いのか。
仲間の三人もなんか諦めて呆れた表情を浮かべてるし。
「チラチラこっち見んなよぉ!!照れちまうじゃねぇか!!ああ!?」
嘘だ。あんな嬉しそうに顔面を歪めているのに照れている筈が無い。むしろ喜んでいる。
ご飯を食べに行きたいんじゃ無かったのかよ。あの時もらったドリンクバーの割引券の余りをあげるから仲良く皆でファミレスにでも行ってほしい。
「全く、麦野はテンション上げすぎです。これは超仕事なんですが」
「同感だね……って、え?」
982:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 20:45:47.97:w3uvV5S60 (3/8)
「窒素ぱーんち!」
さっきまで麦野さんの隣に居たはずの絹旗ちゃんが突如ぼくの隣に現れ、殴りかかってきた。
ぎりぎりで避ける事が出来たのだが、絹旗ちゃんの拳は勢いあまってアスファルトを殴りつけ、そのまま粉砕する。
「…………」
これは力が強いとかそんなレベルじゃない。だってクレーターできてるし、殴った本人は全然痛そうじゃないし。
武威みてぇ。
「なんで避けるんですか!」
「そりゃあ避けるだろう」
この子は一体何を言っているのだろうか。あんなパンチを食らったら頭蓋骨どころか頭が砕け散ってしまう。
並走しながらそんな言葉を交わしている間にも原子崩しは飛び交っている。彼女は仲間が近くに居るというのに、関係ないのだろうか。
それにしても多勢に無勢過ぎるし、こちらは能力どころか武器すら持っていない。逃げ腰だし、丸腰だ。
「警備員も風紀委員も何してるんだよ……」
やっぱり彼らは有能ではない。今こうして一般人が派手に命を狙われているというのにどうして駆けつけて来ないんだろう。
きっと飾利ちゃんだったら直ぐにぼくの位置を感知して、黒子ちゃんが空間移動で駆けつけるだろうに。
叶わぬ戯言だけど。
「派手に騒ぎすぎましたからね。もうすぐ超到着するでしょう」
帝督くんもそうだったけど、もう少し大人しく登場してもいいんじゃないだろうか。
この場合は助かるんだけどさ。
「やっぱりファーストインパクトが超大事ですからね」
「それは暗部としてどうなんだ……」
全く暗くない。むしろ明るすぎて眩しい位だ。
「それで、警備員が来るまで逃げ切れれば君たちは帰ってくれるのかな?」
「ええ、帰りますよ。逃げ切れればですが」
「窒素ぱーんち!」
さっきまで麦野さんの隣に居たはずの絹旗ちゃんが突如ぼくの隣に現れ、殴りかかってきた。
ぎりぎりで避ける事が出来たのだが、絹旗ちゃんの拳は勢いあまってアスファルトを殴りつけ、そのまま粉砕する。
「…………」
これは力が強いとかそんなレベルじゃない。だってクレーターできてるし、殴った本人は全然痛そうじゃないし。
武威みてぇ。
「なんで避けるんですか!」
「そりゃあ避けるだろう」
この子は一体何を言っているのだろうか。あんなパンチを食らったら頭蓋骨どころか頭が砕け散ってしまう。
並走しながらそんな言葉を交わしている間にも原子崩しは飛び交っている。彼女は仲間が近くに居るというのに、関係ないのだろうか。
それにしても多勢に無勢過ぎるし、こちらは能力どころか武器すら持っていない。逃げ腰だし、丸腰だ。
「警備員も風紀委員も何してるんだよ……」
やっぱり彼らは有能ではない。今こうして一般人が派手に命を狙われているというのにどうして駆けつけて来ないんだろう。
きっと飾利ちゃんだったら直ぐにぼくの位置を感知して、黒子ちゃんが空間移動で駆けつけるだろうに。
叶わぬ戯言だけど。
「派手に騒ぎすぎましたからね。もうすぐ超到着するでしょう」
帝督くんもそうだったけど、もう少し大人しく登場してもいいんじゃないだろうか。
この場合は助かるんだけどさ。
「やっぱりファーストインパクトが超大事ですからね」
「それは暗部としてどうなんだ……」
全く暗くない。むしろ明るすぎて眩しい位だ。
「それで、警備員が来るまで逃げ切れれば君たちは帰ってくれるのかな?」
「ええ、帰りますよ。逃げ切れればですが」
983:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 21:04:00.49:w3uvV5S60 (4/8)
そう言いながら再び殴りかかってくる絹旗ちゃん。
今度は頭部ではなく稼動面積の少ない脇腹を狙われ、避けきれずに直撃する。
「――っが!」
大きな衝撃の後、体が宙を舞い対向車線の向こう側まで吹き飛ばされ、そのままビルの壁に背中を打ち付ける。
ずるずると地面に倒れこみ、そこで背中への痛みと、殴られた腹部の痛みをようやく感じる。
「ぁ……ぁあ……」
叫びを上げることも出来ず、情けない声が漏れる。同時、肺の空気が全て抜ける。酸素をとろうと思い切り息を吸う。が、上手く吸い込めない。
酸素が脳に回らない。立ち上がろうとするも膝が笑ってしまい適わない。視界が霞む。耳鳴りがひどい。
「――――!――」
「――。――」
数人、近づいてくるのが辛うじて分かる。きっとアイテムの連中だろう。
朦朧とする意識の中で四人の人影だけは確認できた。
「――」
「っぐがぁあ!!」
激痛。
脇腹に感じた痛みで無理やり意識が戻される。視界に入ったニヤけている麦野さんを見て蹴られたのだと理解する。
この女、どこまで人を痛めつけるのが好きなんだよ。
「なぁに勝手に眠ろうとしてるんだにゃーん?」
「やっぱり麦野は超ドSですね」
「見せ場が無かった訳よ……」
「わたしも……」
そう言いながら再び殴りかかってくる絹旗ちゃん。
今度は頭部ではなく稼動面積の少ない脇腹を狙われ、避けきれずに直撃する。
「――っが!」
大きな衝撃の後、体が宙を舞い対向車線の向こう側まで吹き飛ばされ、そのままビルの壁に背中を打ち付ける。
ずるずると地面に倒れこみ、そこで背中への痛みと、殴られた腹部の痛みをようやく感じる。
「ぁ……ぁあ……」
叫びを上げることも出来ず、情けない声が漏れる。同時、肺の空気が全て抜ける。酸素をとろうと思い切り息を吸う。が、上手く吸い込めない。
酸素が脳に回らない。立ち上がろうとするも膝が笑ってしまい適わない。視界が霞む。耳鳴りがひどい。
「――――!――」
「――。――」
数人、近づいてくるのが辛うじて分かる。きっとアイテムの連中だろう。
朦朧とする意識の中で四人の人影だけは確認できた。
「――」
「っぐがぁあ!!」
激痛。
脇腹に感じた痛みで無理やり意識が戻される。視界に入ったニヤけている麦野さんを見て蹴られたのだと理解する。
この女、どこまで人を痛めつけるのが好きなんだよ。
「なぁに勝手に眠ろうとしてるんだにゃーん?」
「やっぱり麦野は超ドSですね」
「見せ場が無かった訳よ……」
「わたしも……」
984:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/15(金) 21:25:44.74:CURseqfAO (1/2)
恒例のフルボッコ
恒例のフルボッコ
985:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/15(金) 21:34:39.42:c/8EeBzUo (1/2)
いーちゃんをフルボッコにするとかやばいぞ
死亡フラグが
いーちゃんをフルボッコにするとかやばいぞ
死亡フラグが
986:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 21:56:23.50:w3uvV5S60 (5/8)
「大人しく貫かれてりゃあ、こんな思いせずにスパっとグチャっと上半身と下半身をお別れさしてジオングみてぇにしてやったのによお!」
「……あいにく、ガ、ンダムには詳しく、無くてね……」
生身では足のことを指して「あんなの飾りです」とは言えまい。
「そんなことを言って、結局元ネタ知ってるって訳よ」
「さっさと任務完了してガンダム鑑賞会の続きを超しましょうよ」
「そうねぇ……って滝壷はなんでボーっとしてんのよ」
「真上から信号がきてる……」
人の生死を握っているというのにのんびりとそんな会話をしていた彼女達だが、ジャージの少女、滝壷ちゃんの言葉に首を傾げる。
そしていち早く《乱入者》に気がついた麦野さんが「テメェら!ここから離れろ!」と叫ぶと同時に上空に向け原子崩しを放つ。
それは攻撃というよりも、むしろ防御であり、同時にそこから漏れた衝撃が麦野さんの衣服を切り裂く。
「ざぁんねん。ラッキースケベとはいかんかったか」
その直後、一人の少年が残念そうな言葉と共に垂直に落下してきた。勢い的に地面に叩きつけられ即死するほどの勢いだったが、激突寸前で勢いが死にふわりと無事に降り立った。
少年の顔を見て驚愕する麦野さんを除くアイテムの面々。
「仕事の邪魔すんじゃねえよ」と不機嫌そうに顔をしかめる麦野さんに対し、少年は「ご生憎様。これもボクの仕事やからね」と笑いながら返す。
「麦野、この超KYな男って……」
「アンタは下がってなさい。相性が悪すぎるわ」
一度ぼく達から距離を置いた絹旗ちゃんが駆け寄ってくるのを麦野さんは制止する。
その言葉に絹旗ちゃんは肉体強化の能力者ではないことを悟った。
「別にボクは四対一でもかまわんで」
「テメエごとき私一人で十分なんだよ、第六位」
「大人しく貫かれてりゃあ、こんな思いせずにスパっとグチャっと上半身と下半身をお別れさしてジオングみてぇにしてやったのによお!」
「……あいにく、ガ、ンダムには詳しく、無くてね……」
生身では足のことを指して「あんなの飾りです」とは言えまい。
「そんなことを言って、結局元ネタ知ってるって訳よ」
「さっさと任務完了してガンダム鑑賞会の続きを超しましょうよ」
「そうねぇ……って滝壷はなんでボーっとしてんのよ」
「真上から信号がきてる……」
人の生死を握っているというのにのんびりとそんな会話をしていた彼女達だが、ジャージの少女、滝壷ちゃんの言葉に首を傾げる。
そしていち早く《乱入者》に気がついた麦野さんが「テメェら!ここから離れろ!」と叫ぶと同時に上空に向け原子崩しを放つ。
それは攻撃というよりも、むしろ防御であり、同時にそこから漏れた衝撃が麦野さんの衣服を切り裂く。
「ざぁんねん。ラッキースケベとはいかんかったか」
その直後、一人の少年が残念そうな言葉と共に垂直に落下してきた。勢い的に地面に叩きつけられ即死するほどの勢いだったが、激突寸前で勢いが死にふわりと無事に降り立った。
少年の顔を見て驚愕する麦野さんを除くアイテムの面々。
「仕事の邪魔すんじゃねえよ」と不機嫌そうに顔をしかめる麦野さんに対し、少年は「ご生憎様。これもボクの仕事やからね」と笑いながら返す。
「麦野、この超KYな男って……」
「アンタは下がってなさい。相性が悪すぎるわ」
一度ぼく達から距離を置いた絹旗ちゃんが駆け寄ってくるのを麦野さんは制止する。
その言葉に絹旗ちゃんは肉体強化の能力者ではないことを悟った。
「別にボクは四対一でもかまわんで」
「テメエごとき私一人で十分なんだよ、第六位」
987:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 22:13:49.17:w3uvV5S60 (6/8)
「今回ボクぁ第六位として来たんやないから、その呼び方は適切や無いなぁ」
第六位と呼ばれた少年はその髪を風に揺らしながら――その青い髪を風で揺らしながら言う。
「かと言って零崎を始めるわけにもいかんしなぁ……そもそもボクもう零崎やないし」
「テメエ何言って――」
麦野さんの声はそこで途切れる。いや届かなかったと言った方が正しいだろう。
「君の周りを真空にした――息したかったらちょいと黙っとってなぁ。君もボクと争いたくないやろ?ボクもやねん」
音は空気の振動で伝わる。それじゃあその空気が無くなれば?当然、音が届くはずも無い。
麦野さんは自分が何をされたのかを理解し、黙って頷き舌打ちをする。舌打ちの音が聞こえたということは、彼が能力を解除したのだろう。
「うん。これが一番しっくりくるなぁ」と満足げに頷いて少年はくるりとぼくに向き直る。
耳につけたピアスがキラリと光る。
「いーさん。いーさん。助けて欲しいん?」
「……別に」
ぼくの返答に少年は「可愛くないなー」とシニカルに笑った。
その笑顔はぼくが見慣れた哀川さんのそれと、よく似ている。
――まあ弟子みたいなもんだったよ、アイツは。
哀川さんの台詞を、思い出す。人類最強の請負人の言葉を、思い出す。
請負人の弟子ということは、そういうことで。
だから、彼は、そういうことで。
「じゃ、サポートしたるわ。このヤマ超えるまで」
「それなら、拒む気はしないかな」
そして赤い請負人の弟子は一層笑みを深くして、一言だけ言い放つ。
「その依頼。ボクが請け負った」
どうやら。
学園都市レベル5の第六位でありながら零崎かつ暗部所属というただの高校のクラスメイトは、請負人でもあったようだ。
「今回ボクぁ第六位として来たんやないから、その呼び方は適切や無いなぁ」
第六位と呼ばれた少年はその髪を風に揺らしながら――その青い髪を風で揺らしながら言う。
「かと言って零崎を始めるわけにもいかんしなぁ……そもそもボクもう零崎やないし」
「テメエ何言って――」
麦野さんの声はそこで途切れる。いや届かなかったと言った方が正しいだろう。
「君の周りを真空にした――息したかったらちょいと黙っとってなぁ。君もボクと争いたくないやろ?ボクもやねん」
音は空気の振動で伝わる。それじゃあその空気が無くなれば?当然、音が届くはずも無い。
麦野さんは自分が何をされたのかを理解し、黙って頷き舌打ちをする。舌打ちの音が聞こえたということは、彼が能力を解除したのだろう。
「うん。これが一番しっくりくるなぁ」と満足げに頷いて少年はくるりとぼくに向き直る。
耳につけたピアスがキラリと光る。
「いーさん。いーさん。助けて欲しいん?」
「……別に」
ぼくの返答に少年は「可愛くないなー」とシニカルに笑った。
その笑顔はぼくが見慣れた哀川さんのそれと、よく似ている。
――まあ弟子みたいなもんだったよ、アイツは。
哀川さんの台詞を、思い出す。人類最強の請負人の言葉を、思い出す。
請負人の弟子ということは、そういうことで。
だから、彼は、そういうことで。
「じゃ、サポートしたるわ。このヤマ超えるまで」
「それなら、拒む気はしないかな」
そして赤い請負人の弟子は一層笑みを深くして、一言だけ言い放つ。
「その依頼。ボクが請け負った」
どうやら。
学園都市レベル5の第六位でありながら零崎かつ暗部所属というただの高校のクラスメイトは、請負人でもあったようだ。
988:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 22:23:00.82:w3uvV5S60 (7/8)
という訳で、終了。ていとくん、麦のんに続き脈略も無く青髪さん登場。
唐突過ぎたかなぁ?
あ、次スレも建てたので次からはこっちで。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1302873665/
スレタイに2って付けるの忘れてたorz
シニタイ。
残りは質問、感想書いてくれると嬉しいです。なるべく答えます。
では、もう少しこの作品にお付き合いください。
という訳で、終了。ていとくん、麦のんに続き脈略も無く青髪さん登場。
唐突過ぎたかなぁ?
あ、次スレも建てたので次からはこっちで。
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1302873665/
スレタイに2って付けるの忘れてたorz
シニタイ。
残りは質問、感想書いてくれると嬉しいです。なるべく答えます。
では、もう少しこの作品にお付き合いください。
989:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋):2011/04/15(金) 22:34:02.60:0X36WSdho (1/1)
乙っす!!
やっぱ楽しいわ
これからものんびり頑張ってくれ
乙っす!!
やっぱ楽しいわ
これからものんびり頑張ってくれ
990:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/15(金) 22:35:00.21:c/8EeBzUo (2/2)
乙
刃牙ソースなんだが、酸素濃度が6%を下回る状態で呼吸すると意識を失うだのなんだの
乙
刃牙ソースなんだが、酸素濃度が6%を下回る状態で呼吸すると意識を失うだのなんだの
991:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸):2011/04/15(金) 22:41:44.74:CURseqfAO (2/2)
青ピイケメンだな
>>1はなんでこんなに青ピ好きなん?
>>990
そりゃ濃度だからだろ
水のなかでもある程度平気だろ?
青ピイケメンだな
>>1はなんでこんなに青ピ好きなん?
>>990
そりゃ濃度だからだろ
水のなかでもある程度平気だろ?
992:1 ◆d.DwwZfFCo:2011/04/15(金) 22:45:19.26:w3uvV5S60 (8/8)
>>990
完全に真空=息できない程度に考えてましたorz
確か昔ジャンプでこんなシーンを見た気がするので全く気にして無かったです。
>>991
なんでもないキャラを好きになる傾向があります。青ピしかり天井くンしかり。
それと、設定が細かくない分オリキャラ的な意味で動かしやすいですからねー。
>>990
完全に真空=息できない程度に考えてましたorz
確か昔ジャンプでこんなシーンを見た気がするので全く気にして無かったです。
>>991
なんでもないキャラを好きになる傾向があります。青ピしかり天井くンしかり。
それと、設定が細かくない分オリキャラ的な意味で動かしやすいですからねー。
993:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/04/15(金) 22:48:29.46:7pBACm+0o (1/1)
似たような能力で言えば黒猫の空気使いだな
似たような能力で言えば黒猫の空気使いだな
994:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海):2011/04/15(金) 22:59:18.61:x3GrF+kAO (2/2)
乙!
通り魔編の初春が犯人だっていう伏線って作中で言われた以外に何かある?
初春が佐天さんに言った「余計な亊を言うな」って台詞が改めて見ると凄く怖い
乙!
通り魔編の初春が犯人だっていう伏線って作中で言われた以外に何かある?
初春が佐天さんに言った「余計な亊を言うな」って台詞が改めて見ると凄く怖い
995:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/15(金) 23:02:17.47:zzDCNG9/o (1/1)
完全な真空=気圧差でパンク死
真空に触れる=真空波(かまいたち)で切れる
確かこうなるかと
↓は参考に
酸素濃度メモ
・21%
通常、空気中の酸素濃度
・18%
頭痛など 安全の限界=連続換気が必要
・16~14%
脈拍、呼吸数の増加、頭痛、吐き気 細かい筋肉作業がうまくいかない
精神集中に努力がいる
・12%
めまい、吐き気、 筋力低下 判断がにぶる
墜落につながる
・10%
顔面蒼白、意識不明、嘔吐、気管閉塞で窒息死
・8%
失神昏倒、7~8分以内に死亡
・6%
瞬時に昏倒、呼吸停止6分で死亡
完全な真空=気圧差でパンク死
真空に触れる=真空波(かまいたち)で切れる
確かこうなるかと
↓は参考に
酸素濃度メモ
・21%
通常、空気中の酸素濃度
・18%
頭痛など 安全の限界=連続換気が必要
・16~14%
脈拍、呼吸数の増加、頭痛、吐き気 細かい筋肉作業がうまくいかない
精神集中に努力がいる
・12%
めまい、吐き気、 筋力低下 判断がにぶる
墜落につながる
・10%
顔面蒼白、意識不明、嘔吐、気管閉塞で窒息死
・8%
失神昏倒、7~8分以内に死亡
・6%
瞬時に昏倒、呼吸停止6分で死亡
996:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府):2011/04/15(金) 23:04:56.84:qSxoxcOso (1/1)
乙
いーちゃん以外の戯言キャラはあんまり出てこないのね
乙
いーちゃん以外の戯言キャラはあんまり出てこないのね
997:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/04/15(金) 23:04:57.57:r5YqnpDbo (1/1)
>>1
乙
>>1
乙
998:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/04/15(金) 23:18:42.96:MFUc4ByAO (1/1)
乙!
青ピの設定欲張り過ぎワロス
乙!
青ピの設定欲張り過ぎワロス
999:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/15(金) 23:23:25.44:E5EiyIODO (1/1)
乙!
2スレも期待しています!
乙!
2スレも期待しています!
1000:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/04/15(金) 23:29:36.16:T6HKnh79o (1/1)
1000!
1000!
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http://s2-d2.com/archives/16594202.html
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