1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:12:00.21dZ6nCkpA0 (1/5)

禁書×型月のクロスオーバーSSです。
原作のイメージを壊したくない人は急いでスレを閉じてください。

時系列的には禁書は1巻ちょい前から

月姫はメルブラの直前、Fateはhollowの後です。

空の境界も出せればいいかななんて思っております。

進行はゆっくりめですので、まったりお付き合いをお願いします。


次から投下します


2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:13:53.44dZ6nCkpA0 (2/5)

7月16日

昼下がり、あるマンションの一室での会話。話しているのは猫を彷彿とさせる金髪の少女と眼鏡をかけた少年。
少女が少年に話しかける

「ねぇ志貴、学園都市って知ってる?」

「知ってることには知ってるよ。何でも超能力の開発をしてるって話だけど・・・・・・それがどうかした?」

「私行ってみたいな!学園都市!」

「行ってみたいなって言ったって、あそこはセキュリティが厳しくて、年に1回ある大覇星祭の時ぐらいしか一般開放されてないんだぞ?無理だって」

「ふっふっふー正面がダメなら上から行けばいいのよ!」

嫌な予感しかしない!少年はそう感じた。

「えーとアルクェイド?上からって一体・・・・・・?」

「もちろん壁を飛び越えて中に入るのよ!」

聞かなきゃよかった。そんな後悔をしたが時は既に遅い

「とゆーわけで志貴、行くわよ!」

「ちょっと待てアルクェイド!せめて準備くらいさせt・・・・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

1人の少女と1人の少年が空を舞う。目的地は学園都市。科学の粋を集めた未来都市。そこで生活している1人の少年とその周りの運命が、彼女らによって大きく変わることになるとは誰も知らない。


同日

一人の少女が学園都市方面行きの列車に乗っていた。眼鏡をかけていて、まだ若そうな風貌ではあるが、どこか達観したような雰囲気さえ感じさせる。
彼女の目的は先ほど三咲市から学園都市に向けて移動し始めた真祖とその連れの少年の監視。しかし、正直なところ目的は真祖ではなく連れの少年――遠野志貴である。

「なんで遠野君はあんなあーぱー吸血鬼について行っちゃうんですかねぇ・・・・・・」

ため息混じりにそんな愚痴をこぼしつつ、彼女もまた学園都市へと向かっていた。

「でも2人ともどうやって中に入る気なんでしょうか?学園都市はセキュリティが厳しくて有名なのに・・・・・・・」

そこまで考えた彼女は志貴が真祖の姫と一緒である意味を悟った。

「あぁ・・・・・・壁飛び越えるんですね」

そんな結論に至った彼女は再びため息をつく

「私も同じようにしなきゃダメなんですよねぇ・・・・・・」

普通の人間だったらまず無理であろう。しかし彼女は特別である。埋葬機関第7位であり代行者である彼女ならば。

「さーて、ついでに学園都市見物でもしてきますか」

彼女――シエルはそうひとりごこちた。


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:15:21.76dZ6nCkpA0 (3/5)

同日・夕方


「不幸だー!」

辺りに響く叫び声。発しているのは黒髪をツンツンさせたウニを彷彿とさせる髪型をした男子高校生――上条当麻である。
どうして不幸かというと、彼は先ほどガラの悪い男たちに絡まれている少女を助けた。しかし、その後が問題だった。
少女を助けたはよいのだが、その後先ほど退治した野郎共が仲間を引き連れてきたのである。上条といえどもこれには適わない。一目散に逃げ出した。
そこへ――

「おーい!大丈夫ー?」

先ほど助けた少女が現れたのである

「えぇっ!?」

驚いた、というレベルではない。唖然としたのだ。
先ほど助けたばかりの少女が、絡んだやつらとその仲間を引き連れた自分の前に現れたのである。骨折り損もいいところである。

「あなたは何故ここにいらっしゃるんでせうか?上条さんはよく現状が把握できていないのですが!」

「えーっと、助けてもらったお礼を言いにあなたを追いかけてきたんだけど・・・・・・」

「だぁあああああああ嗚呼ああああああああああああああああああああ!!!!」

上条は叫んだ。どうしようもなく叫んだ。お礼を言いにきてまた絡まれそうになるなんて元も子もないではないか。
とりあえず、少女を安全な場所へ連れて行こうとその手を握って走り出す。

「ちょ、ちょっと!どこいくの!?」

「あいつらが追ってくるのをやめる所までだよ!」

そういって上条は走り続けた――




数分後
「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・」

肩で息をする上条と平気な顔で立っている少女。
2人は何とか追っ手から逃れたのであった。

「大丈夫?」

少女が心配そうに上条の顔を覗き込む。

「まぁ慣れてるからな・・・・・・」

そういって上条は身を起こした。そして改めてその少女をよく見てみる。
まず目を引くのは綺麗な金髪。肩まで伸ばしたその髪は染めたのでは出ないような綺麗な金色である。そして活発そうな目。髪と同じ色の瞳は、吸い込まれてしまいそうな錯覚さえ覚える。

「あの・・・・・・どうかしたの?」

じっと見つめられたのを不振に思ったのだろう。少女がそう問いかけてきた。

「あぁごめん。綺麗な髪と目だったからつい見蕩れてた。」

「うわー初対面の人によくそんなに恥ずかしい事言えるね・・・・・・」

お気に召さなかったようだ。ちょっと心に多大なダメージが入った上条だが、気を取り直して少女に話しかける。

「お前名前はなんていうんだ?」

「私?私はね――」


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:15:58.79dZ6nCkpA0 (4/5)

「アルクェイド!ようやく見つけたぞ。勝手にどっか行くなよな・・・・・・」

少女の言葉の途中で少年の声が挟まった。

「あっ!志貴ー!」

目の前にいるアルクェイドと呼ばれた少女が声の主の少年に返事をする。
少年は同じ高校生くらいで眼鏡をかけていた。特に特徴と呼べるようなものの無い普通の少年だった。
そして少年は上条の下までやってきて声をかけた

「連れがお世話になったようですみません。ほらアルクェイド、お礼言わないと」

促されたアルクェイドがお礼を言う

「ありがとう。えーと・・・・・・」

「あぁ、上条当麻だよ」

「そっか。ありがとう当麻」

「ありがとうございました上条さん。俺は遠野志貴です。」

「遠野志貴ね。だからさっきアルクェイドに志貴って呼ばれてたのか。」

「そうそう。志貴ったら勝手にどっか行っちゃうんだもん。おかで当麻に助けてもらわなかったら男の子たちに連れてかれちゃうとこだったんだから」

そんな文句を志貴にたれるアルクェイド

「お前に限ってそれはないね。魔眼使えばいいじゃないか・・・・・・」

そこまで言って志貴は上条がこちらのことをまったく知らない事を思い出した。
案の定

「魔眼?」

不思議そうな顔をしてこちらを見ていた。

なんと言い訳したものか志貴が考えていると――

ぐぅ・・・・・・

志貴の腹の虫が鳴いた。昼にアルクェイドに連れ出されてから飲まず食わずだったのである。
ちょっと恥ずかしそうに志貴が頭を掻く。

「ごめん、学園都市に来てからまだ何も食べてないんだ」

「学園都市に来てからって、遠野達は外からきたのか?」

と上条は改めて志貴たちの姿を眺める。確かにアルクェイドなんかは外人だ。てっきり留学生かなにかと思っていたのだが、外の人間だったとは・・・・・・

「それで、学園都市へはどんな用事で入ってきたんだ?学校の交換生とか?」

と上条は軽い気持ちで聞いたのだが、当の志貴は

「えーと・・・・・・」

と言葉を濁す。普段は鈍い上条だが、この時だけは妙に鋭くなっていて、志貴達が正規の方法で入ってきたのでは無い事を悟ってしまった。
もしそれがバレてしまえば、志貴たちは大変なことになってしまうだろう。ついさっきであったとは言え、自己紹介までしあったのでお人良しの上条が見逃せるわけもなく

「あー、なんだ。二人ともうちで飯でも食ってくか?」

そんな事を口走っていた。

「えっ――いくらなんでもそこまで甘えるわけにはいかないよ」

「でもその様子だと、今日泊まる所も怪しいんだろ?いいから来いって」

最初は断っていた志貴だったが上条の説教スキルA++により結局上条の家で夕飯を食べることを了承させられていた。

「やったーごはんーごはんー」

アルクェイドだけが一人楽しそうだった。



5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:17:36.53dZ6nCkpA0 (5/5)

本日の投下はこんな感じの導入部分までです。

読みにくい等の要望があれば言ってください。




6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:37:12.10wk9/qkEN0 (1/1)

姫神さんがアップを始めたようです


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:44:30.19kWCpzGX50 (1/1)

もしも歩く教会が魔眼封じに使えるなら欲しいだろうね
眼鏡だけじゃ足りない状態だし


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:56:05.34I+sgtM+SO (1/1)

パス無いから宿泊施設や交通機関も使えないんだな
期待


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 00:45:58.23tgcXt8qb0 (1/1)

直死の魔眼に幻想殺しはどう反応するのか……。
wktk


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 02:10:42.79yYtYfe2IO (1/1)

……ふむ、


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:18:30.54USx+3m3T0 (1/1)

これは楽しみだ
直死で上条さんの右手みてもそこだけ線が見えないとかになりそうだな


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:27:03.320dGVbAIV0 (1/1)

吸血殺しって真祖も即死なのかな? 一般的な吸血鬼と違って精霊だけど。

支援。


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:32:36.59lpaf3kGDO (1/2)

なあ!式と幹也はカップルか?
そこが重要なんだが


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:37:37.82FquXOv3AO (1/1)

とりあえず右手で志貴の眼鏡にさわるんだ


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:51:42.4124kxaDUO0 (1/1)

直死の魔眼は幻想殺しの上位互換だよね


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 03:56:06.62FqwtaHZr0 (1/1)

アルクェイドの眼の色が金ってヤバいと思うんだ、マジって書いて本気でやばいじゃん
歌月十夜でコハッキーに地獄に落とされる
などと突っ込み入れつつも支援


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 13:30:04.40c6Rl+jnAO (1/1)

>>13

式は幹也じゃないと無理だろ。


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 20:53:35.51lpaf3kGDO (2/2)

>>17
だよな



19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:40:18.22KVXzuGOv0 (1/10)

そして夕食後


「それで、遠野達はどうやって学園都市に来たんだ?」

上条がいきなり核心を突く質問をする。

「そりゃもちろん飛び越えてきたのよ」

アルクェイドが誇らしげに答える。

「飛び越えて?」

上条が怪訝な目をする。当然である。この学園都市に入るために飛び越えるものと言ったら――

「まさかとは思うけど・・・・・・まさか壁を越えて来たのか?」

学園都市を外の世界と隔絶する壁。しかもただの壁ではなく、カメラやセンサーなどが多数設置された究極の監視壁である。
その壁を越えるなんて不可能だ。ましてや生身の人間なんかでは

「あら、だって私人間じゃないもの。」


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:42:02.77KVXzuGOv0 (2/10)

上条の呟きが漏れていたのか、アルクェイドが当然のように答える。

「ア、アルクェイド!?」

隣で志貴が狼狽している

「そうか、人間じゃないのか。じゃあ不可能じゃないな・・・・・・ってえっ!?人間じゃない!?」

途中から自分が言ってることがおかしいと気がついたのか上条が驚愕の表情でアルクェイドをまじまじと見つめる。
どこからどうもても普通の人間の少女にしか見えない。

「じゃあ、アルクェイドは人間じゃなかったら一体なんだっていうんだ?まさか吸血鬼とか?」

前に同級生の青髪ピアスから貸してもらった漫画の主人公が吸血鬼だったので適当に言ってみたのだが――

「すっごーい!当麻なんで私が吸血鬼だってわかったの!?」

ビンゴだったらしい。

「いや・・・・・・勘で言っただけなんだけどさ、それでアルクェイドは吸血鬼なわけ?」

「そうだよ。吸血鬼。しかも真祖なんだぞー!」

またしても誇らしげに胸を張る。その隣では志貴が机に突っ伏していた。あまりの事態のために脳が思考を放棄したのだろう。そっとしておいてやろうと思い、上条は放置を決め込む

「でもさっき太陽の下歩いてたじゃないか?太陽は吸血鬼の天敵のはずだろ?」

そんな至極まっとうな質問にアルクェイドはどう答えたものかと頭を悩ませている

「うんとね・・・・・さっきも言ったけど私は真祖っていう区分の吸血鬼だからとっても力が強いのだから太陽はそこまで苦手じゃないんだよ」

「真祖ねぇ・・・・・・」

そういえば漫画の吸血鬼の男も真祖だったな。平気で太陽の下とか歩いてたしそんなもんか。とかなり適当な解釈をする。

「あーうん。大体分かった。それで、どうして2人は学園都市に来たんだ?」

ようやく本命の質問を2人に投げかける。
わざわざ壁を越えてまでこの街に侵入してきたのだ。ただならぬ事情があったのだろう。

「うーんとね――

そういってアルクェイドは間をつくる。
ごくり・・・・・・と上条は息を呑む



21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:43:17.31KVXzuGOv0 (3/10)

「観光!」

空気が凍った。そこだけ時が止まったように全員の動きが停止する。
そんな中上条がかろうじで言葉をつむぐ。

「観光って・・・・・・観光?」

「そ、観光」

「観光って観るに光って書いて観光?」

「そう。楽しむ旅行。つまり観光。」

のんきな顔で言うアルクェイド。
思いっきりうなだれる上条。当たり前である。おそらく日本で最高のセキュリティを真正面から破ってきた目的が『観光』では拍子抜けもいいところである。
そんな上条を尻目にアルクェイドは楽しげである。

「どうしたの当麻?具合でも悪いの?」

「いや・・・・・・そこに突っ伏してる遠野の気持ちがよく分かったんだよ。でも普段の学園都市って面白くもなんともないぞ?大覇星祭の時ならともかく」

「でもみんな超能力者なんでしょ?こう炎だしたり手を使わないで物動かしたり!当麻もできたりするんでしょ?」

「いや俺の場合はちょっと特別というか話せば長くなるんだけど・・・・・・」

そういって上条はアルクェイドと突っ伏している志貴のために学園都市の現状と仕組みを説明し始める。
能力のこと、レベルのこと。

「へぇー意外と大変なのねぇ学園都市って。その大半が無能力者、つまりレベル0だなんて。で、当麻はレベルいくつなの?まさか5?」

「いや、俺はレベル0なんだけど、ちょっと事情が違うんだよ・・・・・・

そうして上条は自分の右手を示してみせる

「俺の右手はちょっと特殊でな、自分では幻想殺しって読んでるんだけど、超能力とかそういう異能の力を全部消しちまうんだ。だからかどうか分からないけど、俺は能力が使えないんだ」

アルクェイドはそんな上条の右手をまじまじと見つめて言う

「へぇ・・・・・・当麻の右手ってすごいんだねぇ。志貴の目と同じ位すごいかも」

「遠野の目?」

ここでようやく落ち着いたのか、机に突っ伏していた志貴が体を起こした。

「そうだね、確かに似てるかもしれないけど、俺の目は殺す目だからね」

そういって志貴は眼鏡を外す。

「俺の目はすべての物に内包された死期を視覚情報の線と点として見ることができる。そしてその線をなぞれば、鋼鉄であれなんであれ切ることができるってわけさ。」

「よくわかんねーけどさ、遠野の目は何でも切れるようにすることができるってことか?」

「うーん、厳密には違うんだけど、だいたいそんな風に考えてくれていいよ。ところで何かいらない塊かなんかないかい?」


22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:44:07.32KVXzuGOv0 (4/10)

キョロキョロと辺りを見回す志貴。

「塊?あぁ、ちょっと待っててくれ」

そういって上条は立ち上がり、奥のほうへ何か取りにいった。数分後、彼はボロボロのちゃぶ台を抱えて帰ってきた。

「いやーこれ古くなっていい加減捨てようと思ってたんだけど、粗大ゴミに持っていくのめんどくさくてさ。丁度いいと思ったんだけど」

よっこらせ、という掛け声と共に上条はちゃぶ台を床に置いた。

「それで、これを一体どうするって言うんだ?」

「今から俺の目の効果を実演しようと思って」

そしてズボンのポケットから無骨な鉄の棒のようなものを取り出した。するとその先からナイフの刃が出てきた。

「あのー遠野さん?それで一体何を・・・・・・?」

「まぁいいから見てなって」

そう言うと、志貴はちゃぶ台へゆっくりナイフの刃を当て、何かをなぞるように刃を走らせていく。
すると特に力を入れてる風でもないのに刃が通ったところから次々にちゃぶ台がばらばらになってゆく。
ものの数秒でちゃぶ台は無数の木片へと姿を変えてしまった。

「すげぇ・・・・・・」

ぽかんと口をあけてしまう上条。それもそのはず、確かに切れ味の良さそうなナイフではあったが、それだけではちゃぶ台はこのようにバラバラになったりはしない。
しかし、目の前でそれが行われてしまったのである。これでは志貴の目の力を信じなければなるまい。

「これが俺の目、直死の魔眼の力だよ。でも上条、君の右手もすごいね。死の線がまったく見えないよ。」

「えぇっ!?志貴それ本当!?」

すべての物に内包される死を見ることができる直死の魔眼だが、なぜか上条の右手だけはまったく線が現れていないのだ。
これは今までにはなかった事態である。

「君の異能を打ち消す右手の話も本当みたいだね。お互い変な力を持つ仲間だね。」

「へぇー、実は私ちょっと当麻のこと疑ってたんだけど、本当なんだー!すごいね!」

と目をきらきらさせるアルクェイド

「でも、こいつのおかげでビリビリ中学生に絡まれたり上条さんもいろいろ大変なのですよ・・・・・・」

そういってため息をつく上条。どうやら彼も特殊な力の所為で苦労しているらしい。

「ところでお前ら、今日はどこに泊まる予定なんだ?」

「一応お金はあるからホテルに行こうかと思ってるんだけど」

「あぁ、無理だな。お前ら不法侵入だからパス持ってないだろ?パスがないと交通機関とか宿泊施設とか利用できないぜ?」


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:45:05.80KVXzuGOv0 (5/10)

「えっ・・・・・・」

言葉に詰まる志貴。当初の予定が音を立てて崩れていく。
そんな志貴を見かねてか、上条が提案する。

「お前らうちに泊まるか?」

「いや・・・・・・流石にそれは」

「でも泊まるとこないんだろ?」

「うぅっ・・・・・・」

「じゃあ殆ど決まったようなもんだ。食費だけもらえれば何時までも置いてやるよ」

いつものお人よしが発動し、有無を言わせない上条。
どうしようもない志貴は頷くほかなく――

「よろしくお願いします」

頼むことした。

この後寝るところを決め、アルクェイドがベッド、志貴と上条が床で布団となりそれぞれ風呂に入って寝る準備をすることに。
2人の服はとりあえず上条のを借りることとなったのだが――

「あーさっぱりしたー」

と気持ち良さそうに風呂から出てきたアルクェイド。
しかし、その姿に男2人は大慌て

「ア、アルクェイドさんっ!?一体その格好はなんでせうか!?」

「このばかおんな!人前でそんな格好するなよ!」

こんな格好――端的に言うと裸ワイシャツである。
別に服がそれしかなかった訳ではないのだが、なぜかアルクェイドはワイシャツしか着ていなかった。

「えー、いいじゃないこれくらい」

と当の本人は気にしていないが、流石にこれは不味い。

「ちょっと服買ってくる!!」

「あっ!?おい上条――行っちゃった」

あまりの羞恥プレイに耐え切れなかった上条は外へ飛び出していってしまった。
これは帰ってくるまで大人しくしておいたほうがよいだろうと判断したのか、志貴もアルクェイドも追いかけなかった。



24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:46:21.21KVXzuGOv0 (6/10)

そんなわけで>>1です。
2回目の投下はここまでです。

そしてこのスレに未来視いすぎてワロタ


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 00:49:39.237muBXx8+o (1/1)

メルブラの直前ってアルクの、相手「本人」より少し強い設定が入る前のチート状態じゃないか


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 02:24:58.66YTvIlyYN0 (1/1)

空間移動能力者同士は互いにテレポートできないみたいなのがあるけど、真祖ワープが使えるアルクェイドはどうなんだろうな


27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 02:41:24.46o5L5mKpY0 (1/1)

>>22
青子「志貴、あなたは今とても軽率なことをしたわ」

なんかまた月姫やりたくなってきたなァ、リメイク版まだかよ


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 04:43:12.51UwqGsBXr0 (1/1)

ありそうでなかったクロスだよね
続きが楽しみだ


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 08:16:42.94rNCvebJSO (1/1)

幻想殺しVS直死の魔眼…
つまり童貞VS非童貞か


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 09:52:37.685QHKkUG70 (1/1)

なんで上条さんいきなりタメ口なん?


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 12:20:13.18tfJAHEOI0 (1/1)

>>29まさしく上条さんに勝ってほしいな……と思ったがいずれ上条さんも非童貞になるだろうから両方死ね


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 13:27:14.58ntdx6hpAO (1/1)

初対面の人に敬語も使えんとは……流石は暴力の申し子w   女の子殴り倒してヒーロー気取るだけはあるな


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 13:31:05.11uR8be0Wdo (1/1)

こういう序盤でお互いの能力と素性を説明しあうSSはすべからく糞


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:17:39.50ovupIB/AO (1/1)

>>32
こういう糞虫早く死んじゃえばいいのに


35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:20:59.89S9t+OwLto (1/1)

>>32
二次創作でこういうこと言っちゃう人って・・・


36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 20:37:39.68JbIfaOm4o (1/1)

秋葉は出るのか?俺の嫁の秋葉は


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 21:39:17.292w/4LbvEo (1/1)

秋葉は出ないんじゃね。出たとしてもちょい役以外無理だろうな
見ただけで終了な略奪が強すぎて使いづらいだろうし


38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 23:25:07.89KVXzuGOv0 (7/10)

こんばんは>>1です

上条さんなんでいきなりため口なん?

についてですが、>>1が「上条さんが敬語使ってるとこ見たことねーよ」
と思ったのでため口になってます。小萌先生とかには敬語なんですけどね

次に
>>33
肌に合わなかったのは残念ですので、ご気分を害す前に速やかにブラウザの戻るボタンと押してスレを閉じてください。

>>36
秋葉は大覇星祭にだせたらええなーと思っています。
そこまでたどり着けるかは分かりませんがw




さて、次から投下します


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 23:26:05.35KVXzuGOv0 (8/10)

「はぁ・・・・・・勢いで飛び出してきたけど、どうすっかなぁ」

夜の街を上条は歩いていた。完全下校時刻を過ぎてはいるが、人通りは少なくはない。
時間は9時と言ったところで、大学生や研究者、塾帰りの学生たちが出歩いているためである。
そんな中をいく当てもなく彷徨っていた上条だが、ふと唐突に

「あーアルクェイドの服でも買っていくか」

そう考えた。しばらく居ることになるのに流石に毎晩あれでは持たない。主に上条の理性が、だが。
しかし、どんなサイズの服を買っていけば良いのか見当もつかず

「フリーサイズでいいいかぁ・・・・・・」

とりあえず近所の遅くまでやっている量販店へ向かった。
その途中――

「ん?」

なにやらこちらへ手を振ってくる女性がいる。
よくよく見ると上条と同じような年齢の少女で、見慣れぬ学校の制服を着ている。

「誰だったかなぁ・・・・・・」

記憶の中を探してみるが、該当する顔思い浮かばない。
すると

「上条君ですよね?」

そういってその少女のほうから話しかけてきた。

「そうだけど、あんたは?」

「えっ!?上条君私のこと覚えてないんですか?」

そう少女は言う。しかし覚えがないものは覚えがない。

「覚えてないというか・・・・・・」

思い出そうと少女の顔をじっと見つめる。そして目が合った――
すると、急にはっきりとした記憶が思いだされた。

「あーすいません、忘れちゃってたみたいです――シエル先輩」

と、上条は言った。ようやく思い出したというように。


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 23:26:51.17KVXzuGOv0 (9/10)

そう言って申し訳なさそうに頭をかく。
その瞬間、ガラスが割れるような音がした。
そして――記憶が消えた。

(今一瞬俺が昔から知っている人だと思い込まされていた!?まさか催眠系の能力者!?)

「どうしました上条君?」

上条の様子がおかしいのに気がついたのか、自称シエルが声をかける

「なぁ、あんたは一体何者だ?生憎、俺の知り合いにシエル先輩なんて奴はいないんだよ」

「何言ってるんですか上条君?さっき自分から私のことをシエル先輩って――」

「それは、あんたに思い込まされていたからだ。あんたはどうやってか知らないが、俺に催眠術のようなものをかけて俺と知り合いだったかのように思い込ませたんだ」

「・・・・・・」

「なぁ、あんたは一体何の目的で俺にこんなことをしたんだ?」

問い詰める上条。答えなんか期待してはいなかったが、予想外にすぐに帰ってきた。

「今あなたの家に居る2人を監視するためですよ」

「監視だって!?」

物騒な言葉だ。しかし少女ははっきりと言った。見張るのではなく――監視と

「あんたはあの2人のなんだっていうんだよ!」

「そうですねー・・・・・・おせっかい焼きのお姉さんって所でしょうか」

そういって不適に笑う。
それは、どこか美しくさえもあり、また恐怖さえ感じられた。

「ちなみに私はシエルで間違ってませんよ、上条当麻君。ただし初対面ですけどね」

さてと――

「そろそろお暇しましょうかね。あんまり上条君を引き止めておくと2人が心配するでしょうし」

そういってくるりと上条に背を向けるシエル

「それでは、今夜はここで失礼します。おやすみなさい上条君」

そういってシエルは去っていった。

「なんだったんだ一体?」

府に落ちないというか未だに状況整理ができていない上条であったが、当初のアルクェイドの服を買っていくという目的を思い出し、再び量販店へ足を向けた。
適当にフリーサイズの部屋着を買って家に帰ったのは10時過ぎである。遅くなったことを謝りはしたが、シエルのことは2人には言わなかった。





41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 23:28:30.37KVXzuGOv0 (10/10)

短くてすいません。

書き溜めが早くも尽きてしまうというダメっぷりなので明日はたぶん投下できません。

申し訳ありませんが、明後日までお待ちください


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 01:11:09.11bJJ0SNlCo (1/1)

はやくするんだあちこちさむい((((;゚Д゚)))))))


43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 07:28:49.991DhUvtlG0 (1/2)

絶賛記憶喪失中の上条さんにそのネタは酷だと思うんだ・・・
知り合いの振りされたら適当に話合わすしか選択肢がないんだよ;;
尻シエルも催眠なんかかけなきゃうまくいってたろうに


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 08:09:08.28cm0kIEY9o (1/1)

読んでからレスしろよ禿
時系列的には1巻前からって言ってんだろ
そも読んでりゃそのくらいわかるだろ


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 08:16:46.15dlGe+eZ4o (1/1)

まぁまぁ
ここは何の疑問もなくここまで読んで>>43でハッとして成る程な~とか思って
その直後に>>44で自分の記憶力に絶望した俺が一番馬鹿ってことで


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 11:06:11.67S78UhhhSO (1/1)

>>45
おまえは俺か


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 22:47:36.101DhUvtlG0 (2/2)

えぐえぐ;;
調子乗りましたさーせん;;


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 00:06:38.53k8lvpTwN0 (1/1)

いいからとっとと書け太郎


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:27:08.13EQnkB5NM0 (1/6)

どうも>>1です

今日は早めに投下します。

時系列のことですが、説明が足りなかったために混乱させてしまったようで申し訳ないです。
次回からはきちんと分かりやすいようにしますので


それでは投下します。



50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:28:15.48EQnkB5NM0 (2/6)

7月17日

「不幸だーー!」

上条当麻はお決まりのセリフを叫んでいた。その後ろからは

「今日こそは待ちなさいよ!」

そう言って追いかけてくる一人の少女

「もうやめろって言ってるだろうが!このビリビリ中学生!」

「だーかーらー!あたしには御坂美琴って名前があるんだってーの!」

バチッ!そんな音と共に彼女の手から光が奔る。性格には雷――電撃である。
あたったらタダでは済まないような電流が上条へと向かう。しかし

ぱきん

そんな音と共に突き出した上条の右手によってその電流は打ち消される。

「なんであんあたはやられないのよ!さっさとやられなさいよ!」

「理不尽だぁあああ!!」

叫びながらも2人の追いかけっこは続く。時間は午後10時ほどであった。
そもそもどうしてこうなったかといえば、しばらく前に御坂がスキルアウトの連中に絡まれていると勘違いした上条当麻が助けに割って入ったところ、それが気に食わなかったのか御坂が電撃を放ち、
それを打ち消してしまったばかりに、こうして追いかけられるハメになっているのである。
今回が初めてではなく、既に恒例ともなってしまっていることであった。
今日は御坂が決着をつけたいと言うので、河原でやっていたのだが、流石に女子中学生相手に本気を出したら不味いだろうと思って上条が手を抜いたのがバレて、めでたくお冠である。
既に10時を回っているので早く帰りたいし、2人の客人にも心配をかけたくないのでできるだけ早く振り切ろうと逃げているのだが、御坂はしつこく追ってくる。
そこへ――

「あ、当麻!ようやく見つけたわよ」

前方から近づいてくる影、アルクェイドであった。

「助かった!」

そういってアルクェイドの傍で立ち止まる上条。

「どうしたの当麻?こんな夜遅くまでマラソンの練習?」

「違うに決まってるだろ。アホな事言ってないで助けてくれ」



51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:28:55.97EQnkB5NM0 (3/6)

「助ける?」

とそこに

「ようやく追いついたわよ!」

後ろから御坂が追いつて来た。

「ここで決着つけてやるんだから・・・・・・って、その隣の人はどちら様?」

御坂は上条の隣に立つ見慣れない外国人のような少女を見る。

「日本人じゃないみたいだけど・・・・・・あなたはコイツとどんな関係なの?」

「どんな関係?うーん・・・・・・」

考え込んでしまうアルクェイド。そして

「一つ屋根の下で暮らす仲?」

とんでもないことを言ってのけた。

「なななななな、何言ってんのよ!そそそそ、それじゃああなたはコイツと同じ部屋で寝泊りしてるって言うこと!?」

「うん」

なんのためらいも無く答えていた。

「アルクェイド!?さっきからお前誤解を招くようなこと言うなっての!」

「でも本当のことでしょう?」

「いや、それはそうなんだけど・・・・・・」

と目の前で交わされた不穏当な会話が聞こえてしまったのか、御坂の声のトーンが変わる
上条の方へと向き直り

「あーんーたーはー・・・・・・何にも知らない外国人の女の子を部屋に連れ込んで何してんのよ!!!」

バチン!!御坂の手から電撃が繰り出される。
しかし、とっさに突き出した上条の右手によって打ち消されてしまう。
それでも

「このっ!このっ!このっ!このっ!」

御坂は懲りずに電撃を飛ばす。
それを全部右手で消し飛ばす上条。
しかし、だんだん辛くなってきたのか、アルクェイドに助けを求める

「アルクェイド!助けてくれ!」

そう言ってアルクェイドの方を向くが――


52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:29:53.35EQnkB5NM0 (4/6)

「すっごーい!!!」

感動していた。普通に感動していた。
初めて見る超能力に興奮しきっていた。

「当麻!これって超能力だよね!?すごいすごい!本物だー!」

「見入ってないで助けてくれぇええ!」

懇願する上条だが

「あんたはさっきから何をごちゃごちゃ言ってんのよ!」

電撃を止め、どこからか集めてきた砂鉄で、河原の時のような剣を作り出す。

「どりゃぁあああああああ!」

「うわっと!?」

咄嗟に回避する上条。

「チェストぉおおおお!」

「くそっ!」

ギリギリまで引き寄せた剣に右手で触れる。すると、触れた部分から剣が砂鉄に戻っていく。

「すっごーい!今の黒いの何!?剣みたいだったけど、当麻の右手で触って消えたって事はあれも超能力なの?」

一人だけとてもはしゃいでいる吸血鬼が居た。

「はしゃいでないで助けてくれ!そもそもお前は俺を探しに来たんだろうが!」

「あっ、そうだった。ごめんごめん」

ポンッと手を打って思い出したように言うアルクェイド。
そして御坂に向き直り。

「ごめんねー。ホントはもっと見てたいんだけど、私は当麻をつれて帰らなきゃいけないから。この辺でお終いにしてもらっていい?」

「よくないわよ!あんたはきっと騙されてんのよ!コイツと同じ部屋なんかにいたら何されるか分かったもんじゃないわよ!あたしと一緒に来なさいよ」

「うーん・・・・・・しかたないな。ごめんね」

そういって御坂の目をじっと見つめるアルクェイド。すると

「分かったわ。お終いにして帰るわ」

そう言ったかと思うと、クルリと背を向けて反対側に歩いていってしまう。

「ばいばーい」

手を振るアルクェイド。しかし上条は同じような出来事を思い起こしていた



53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:30:33.86EQnkB5NM0 (5/6)

(あのシエルって奴と同じようなことをしたんだな)

アルクェイドが御坂の目を見ていたことで、そんなことを考えしまった。

「どうしたの当麻?深刻そうな顔しちゃって」

「なぁアルクェイド。お前あいつに暗示みたいなのかけたろ?」

と聞いてみると、彼女は悪戯っぽく微笑んで

「ひ・み・つ。さて帰りましょ。探してくれてる志貴も見つけて帰らないとねー」

そういってスタスタと歩いていってしまう。
しかし、上条にはあのアルクェイドの笑い方が、シエルの笑い方とダブって見えていた。

(あいつらは俺の知らない『何か』を使えるんだな・・・・・・)

「ほらー当麻ー行くよー?」

アルクェイドの声で我に返る。

「ああ、悪い。今行く」

そういって家路へと着いた。



54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:36:55.58EQnkB5NM0 (6/6)

本当はこからもう1展開あるんですが、手違いでここだけ消えちゃったので
今日の投下はこれでお終いです。

ごめんなさい。

また明日投下できるように頑張りますので、もう少々お待ちください。


後、分かりにくい点や質問などあったらどんどん聞いてください。
それでは


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 20:31:44.44rm+3/3iIO (1/1)

やっほぅ、待ってたぜこういうのwwww
さて、これからどうなっていくのか・・・期待だな


気になった事が一つあるが、内容は面白いし大人しくしとく
>>1が指摘もいいと言うならするが。


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 23:34:43.33G21nfbIIO (1/1)

カレーから催眠かけてたけどそれってかけた段階で幻想殺しって発動しないもんなの?



57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 23:46:57.36XDvPqJWE0 (1/1)

>>56
アウレオルスに記憶操作された時も同じような展開だったから不自然はない


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 23:50:09.89ql5UTXuIO (1/1)

>>56
暗示系は右手が対象に入ってないから、頭触るまでは効果がある
下手練さんの時もそうだった
右手に暗示かけるってんなら別だが、そんな暗示はないしな


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 00:55:21.95+X4YUl8K0 (1/2)

姫神が活躍しそう

しかしアルクェイドが超能力程度で驚くか?


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 01:57:03.27UQ9mjQbYo (1/1)

>>59
微妙な映画観て興奮する子だし
「魔術も使わないで超常の力を操っちゃうなんてスゴーイ!」
みたいな感じじゃね


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 08:01:21.01zrD+EMcIO (1/1)

でも型月の世界には一応超能力って存在してた筈なんだけどアルクが知らないのってどうなの?


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 08:25:24.71ZZHMkrkZP (1/2)

知識として知っていたとしても、見たことはなかったんじゃね?
それと、型月の世界の超能力と、学園都市の超能力は、根本的に別物な気がする。


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 09:01:44.109IKMx5pDo (1/2)

アルクェイドの解説だと
脳は送信と受信をつかさどる機能をもってるけど、普通の人はその回線が自分自身に対してのみで閉じている。
でも、超能力者はその回線が開いてしまっているらしいね。志貴の魔ガンも超能力だと指摘してるな
空の境界用語集だと
本来、人間という生き物に含まれない機能であり異能。超常現象を引き起こす回線の事らしい
型月の超能力者は先天的な才能が必要不可欠なんだとさ。
息を吸うように使用出来るほど出来て当たり前の事だから外部からの指摘で本人は初めて異常に気づくんだと


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 09:55:37.40+X4YUl8K0 (2/2)

まぁアルクェイド無双になるんだろうな

それでいいけど


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 18:23:01.80p8AfKH9Oo (1/1)

姫神の事を注意しないなーと思ってたらまだ会ってなかっただな、と今更思う


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 20:32:51.61hRtROSrZ0 (1/5)

どうも>>1です

アルクって超能力ぐらいじゃ驚かないんじゃね?
とのことですが

>>62のように、知識として仕組みなどは知っているけど、見たことは無い。ということでどうか一つ。

文中での説明が足りなくて、混乱させてしまいました。すみません


今日は昨日投下できなかったシーンを投下します

それでは


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 20:34:07.23hRtROSrZ0 (2/5)

一方


「おっかしーわねぇ・・・・・・」

御坂は独り言を呟きながら、常盤台中学の寮への道を歩いていた。
先ほど上条とじゃれていて、それからここまで歩いてくるまでの記憶がどうにも曖昧なのである。
金髪の少女に声をかけられた所までは覚えている。しかし、それ以降はもやがかかったように思い出せないのである。

「あの金髪の子が催眠系の能力者で、あたしに能力を使用した・・・・・・としか考えられないわね」

上条当麻に能力が無いのは知っている。だとしたら疑うべきは、あの金髪の少女だ。

「まぁ、あそこまで追いかけていったあたしも大人気なかったしね」

御坂は、そう自分の考えを締めくくった。
そこへ

「なぁあんた、一人で暇そうにしてんな?よかったら俺たちと遊ばない?」

そんな声が聞こえてきた。
声のほうに目を向けてみると、少女が不良3、4名に囲まれていた。

「君みたいな可愛い子だったら俺テンションあがっちゃうなぁ!」

「「「「ぎゃはははははははははははははははははは!!!!!」」」」

下卑た、耳に障る笑い声が夜の街に響く。

「まったく・・・・・・」

御坂は足を止め、騒ぎの方へと歩いて行く。
元来、御坂は困ってる人を放っておけない性格なので、こういうところによく割って入っていく。
そして、レベル5の力で有無を言わせず制圧するのだ。

「ちょっとあんたたち。こんな時間にナンパなんてしてないで勉強でもしなさいよ。顔も悪いのに加えて頭も悪いなんていったら、女の子は普通振り向いてくれないわよ?」

「なんだお前?」

「ガキじゃねぇか。こんな遅くまで歩いてると危ないぜ」

「そうそう、怖いお兄さんたちに襲われちゃったりなぁ!!!」

そう言って不良の一人が御坂に襲い掛かってくる。
先ほどの言葉がよほど頭にきていたのだろう。
しかし――

「あっそ」

バチンという音と共に、襲い掛かっていった不良はその勢いのまま地面に伏せる。



68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 20:34:34.25hRtROSrZ0 (3/5)

「なんだ?あいつ能力者か?」

「だが、数はこっちのほうが上だからな!」

そういって次々と襲い掛かってくる男。
しかし次々と御坂の電撃によって倒れていく。そして、ものの数分でその場を制圧してしまった。

「ふぅ、アホな奴らだこと」

パンパンと服を叩きながら御坂は感想を述べる

「大丈夫だった?怪我とかしてない?」

さっきまで囲まれていた少女へと声をかける。

「ええ、特には。ありがとうございました。」

そう、お礼を言う少女を御坂はじっと見つめる。
紫色の制服のような服。長い髪を三つ編みに縛り、手には金色の腕輪。顔は日本人のそれではなく、西欧と中東系を足して2で割ったような顔立ちをしていた。

「私は御坂美琴、あなたは?見たところ日本人じゃないようだけど・・・・・・」

「私ですか?私はエジプトから来た留学生です。名前は――」

留学生と名乗る少女は続ける

「シオン、シオン・エルトナム・アトラシア。長いのでシオンで構いません」




69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 20:35:02.34hRtROSrZ0 (4/5)

「そう。じゃあシオン、あなたは一体こんな夜遅くに何をしていたの?」

「別に私は遅いと思わないんですけど・・・・・・ちょっと人探しをしていたんです。夜じゃなきゃ会えない人なので」

「人探し?こんな夜じゃなきゃ会えないだなんてそいつは頭がおかしいの?」

「まぁおかしいと言っても間違いではないですね・・・・・・でも今日はもう止めにします」

「泊まるところとかあるの?」

「ええ、ホテルを取ってますから」

そういってシオンは歩き出す。

「それでは助けていただいてありがとうございました」

「もう絡まれちゃだめよー」

そういってシオンの姿が見えなくなるまで見送ると、御坂も寮へ道へと戻った。




(さっきの超電磁砲の頭の中もハックしてみたが結局それらしい情報は得られなかった。)

(一体今回は何時開幕する気だ――タタリ)






70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 20:38:36.19hRtROSrZ0 (5/5)

異常です。
じゃなくて以上です。

シオンがホテルに泊まってるのは伏線ですって言ったら伏線じゃないですよねw

今回も指摘・質問などありましたらどうぞ。




71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 21:08:20.509IKMx5pDo (2/2)


疑問といえばエーテライトいつ刺したんだ?ってくらいか
メルブラは無印しかやってないけど、志貴に刺したときは頭に直接刺してたな


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 22:08:15.75ZZHMkrkZP (2/2)

タタリSSが同時に二つか……。
こっちでは姫神は活躍するのだろうか


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/05(土) 13:34:08.28nqpGtKQe0 (1/1)

なんで敬語を使えないの?

どう考えてもシオンの方が年上に見えるだろ


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/05(土) 13:43:14.76acPfC+lTo (1/1)

気に入らないならタブを閉じるかIEを閉じる


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/05(土) 13:52:37.32srX5E8i6o (1/1)

確かにこのSSの敬語じゃない率は高いなww
まあその辺許容出来るなら楽しめると思うぜ


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/05(土) 14:13:04.20MDekgVjCP (1/1)

禁書世界では見た目で年齢は判断できない。
ステイル然り、子萌然り


77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/05(土) 14:33:46.21XCzfzVx50 (1/1)

>>1です

敬語使えなくて申し訳ないです・・・
最近敬語使えない岡崎ばっかり見ているのでついついため口になってしまいます・・・

しかし、ここでこの>>1は出来る>>1だということを見せ付けてやりたいと思います。

嘘です。出来ない>>1なので生暖かく見守っていてください。




78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 11:48:21.11NuX/yGwl0 (1/1)

子萌×小萌○
神崎×神裂○


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 00:20:51.813JEoWo/e0 (1/2)

まだですかァ


80VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 16:33:21.563JEoWo/e0 (2/2)

      ゴガギーン
             ドッカン
         m    ドッカン
  =====) ))         ☆
      ∧_∧ | |         /          / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     (   )| |_____    ∧_∧   <  おらっ!早く続き書け>>1
     「 ⌒ ̄ |   |    ||   (´Д` )    \___________
     |   /  ̄   |    |/    「    \
     |   | |    |    ||    ||   /\\
     |    | |    |    |  へ//|  |  | |
     |    | |    ロ|ロ   |/,へ \|  |  | |
     | ∧ | |    |    |/  \  / ( )
     | | | |〈    |    |     | |
     / / / / |  /  |    〈|     | |
    / /  / / |    |    ||      | |
   / / / / =-----=--------     | |



81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/17(木) 00:10:13.41VhIRtReDO (1/1)

タタリ全く関係ないけど翡翠と舞夏の絡みがみたい


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 05:02:16.58lnUIYn6p0 (1/1)

ワラキーかロアがアレイスターと話とかすると面白いな


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 21:14:33.08pHF70lKv0 (1/1)

久しぶりです>>1です。
ただいま構成を大幅変更しております。
読んでいただいてるのなら最高のものをお送りしたいと思っているので、申し訳ありませんがもうしばらくお待ちください。

投下と出来なくて申し訳ないです


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/20(日) 01:30:53.593QkAFG680 (1/1)

やっほぉおおおおおおおい生存報告だい


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 00:03:26.61pjqGHZU60 (1/7)

さて>>1です

ちょっと書きあがった短い部分を投下します


アルクェイドと合流し、寮までの道をぷらぷら歩く上条へ、隣のアルクェイドが声をかける。

「ねぇ当麻。私さっき始めて超能力を見てすごく感動しちゃったんだ。だって私の知ってる超能力とはぜんぜん違うんだもん」

感嘆の声をあげるアルクェイド。

「知ってる超能力も何も、普通SFとかの超能力ってあんなもんだろ?頭で念じただけでなんかが起こるーってな奴。それとアルクェイドの知ってる超能力って違うのか?」

「うん。あのね、私が知っている超能力は『閉じた力』なの」

「閉じた力?」

「そう、超能力って言うのは外部から指摘されない限り本人は異常を覚えないようなものなの。つまり自ら外部に発現することは無い力。つまり閉じた力なの」

アルクェイドは言葉を紡ぐ。

「だから私が知っている超能力はこの街の超能力とは違うの」

「そうだったのか・・・・・・それであんなにはしゃいでたのか」

「その通りなんだけど、改めて言われるとちょっとアレね・・・・・・」

「まぁまぁ、いいじゃねぇか。外部の人間なんて普通はそう思うさ」

「そうだよね!うんうんきっとそう」

一人で納得し始めるアルクェイドを他所に、上条は先ほどのアルクェイドの言葉を思い出していた。

「閉じた力・・・・・・か」

上条の幻想殺しは異能を打ち消す力を持っているが、その力は日常生活を送る上でなんら支障が出るものではない。
そもそも異能の力の無い日常生活ではそんな力があることすら気がつかないだろう。
そんな自分の右手はアルクェイドの言う『超能力』ではないのだろうか?

「当麻のその右手はね、超能力だと私は思うんだ」

上条の考えを見透かすように、アルクェイドは話し始めた。

「この街の身体検査(システムスキャン)は外部に現れた力を計測するだけ。だから外部に発現しない『閉じた力』はわからない――当麻の右手みたいなね」

アルクェイドは微笑む

「だから当麻はこの街の定義に合わないだけで、無能力者(レベル0)なんかじゃなくて、立派な超能力者なんだよ。」

「俺が能力者・・・・・・」

今まで散々無能力者のレッテルを張られてきた自分が能力者。
ちょっと信じがたい話だと上条は思った。

「そうだよ。だから当麻の右手はもっと進化すると思うの」

「進化?」

「うん。当麻が自分の右手を超能力だって自覚したら、変わると思う。何がどう変わるかは分からないけど、きっと良い方に向くよ」

「そんなもんかねぇ・・・・・・」

「きっとそうだよ」

そういってアルクェイドは笑う。
屈託の無いアルクェイドの笑顔を見て、上条はなんだか心が穏やかになる不思議な感覚を覚えた。

「そっか、ならそうかもな。ありがとな、アルクェイド」

「どういたしまいしてー」

そんな会話をしているうちに寮へと帰り着いていた。
部屋で志貴の出迎えを受け、その日の夜は更けていった。



86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 02:13:16.39Vbqv2acK0 (1/2)

さぁ速く書きあげるんだ。


87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 09:00:06.359nm/qpDio (1/1)

チャームの能力が開花するのか?


88VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 18:40:10.620XZ3RraAO (1/1)

ワラキー出るならパンツ履くわ


89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 19:35:18.15pjqGHZU60 (2/7)

どうも>>1です
キリがいいところまで書きあがったので投下します



7月20日

「ふぁぁ・・・・・・」

今日は夏休みの初日である。
昨日までの辛い学校生活が終わり、今日から長期休暇となる。

「あ、上条起きたんだ。おはよう」

「おはよう」

そういって挨拶を交わしたのは志貴。
この上条家でおそらく一番早起きな男である。
本人曰く「家では毎日起こしてもらっている」そうなのだが、意外ときちんと起きれているのである。

「今日から休みらしいね。どこか遊びに行くかい?」

「いいなそれ。でもアルクェイドが起きるかどうか・・・・・・」

志貴とは違ってアルクェイドはお昼近くまで惰眠を貪るダメっぷりである。
彼女を起こすのは難儀である。

「とりあえず飯でも食いながら予定を――」

Prrrrrr!!Prrrrrrr!

上条の携帯が着信を告げる。
こんな朝っぱら、しかも夏休み初日から一体なんだ?と思いつつ液晶を見ると

『月読 小萌』

「上条の担任の先生だ。なんか用事があるっぽいね」

「ああ、出来れば厄介じゃないのがいいけどな」

そういって電話に出る

『おはようございます上条ちゃん。起きてましたか?』

『まぁ一応は。それでこんな朝からどうしたんですか一体?』

『そうなのです。先生は上条ちゃんにお知らせがあるのですよ』

お知らせと聞いていやな予感が上条の脳裏に浮かぶ

『お知らせって・・・・・・?』

『上条ちゃんはバカなので補習です!今から学校に来てくださいねー。待ってますから』

それだけ言うと小萌は電話を切ってしまった。
切れた電話を呆然と見てから上条はがっくりと肩を落とす。



90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 19:36:03.42pjqGHZU60 (3/7)

「なんだって?」

「今から補習だってさ・・・・・・悪いけど遊びには行けない。ごめん」

聞いてきた志貴にそう答える。

「そっか・・・・・・ご愁傷様、頑張ってくれ。俺たちは今日はどこにも行かないで家に居るからさ」

「ああ、行ってくるよ。とその前に布団でも干していこう」

そういって気分転換のためにカーテンを開け、ベランダの扉も開け布団を持って外へ出る。

「今日もいい天気だなー・・・・・・」

上条の目の前には珍妙なものがあった。
ベランダに何か白いものが引っかかっているのである。

「なんだ・・・・・・?」

近づいてみると、もぞっと動く。
よく見てみると白いのは服のようで、その隙間から綺麗な肌と長い銀髪が見える。

「おーい、大丈夫か?」

恐る恐る声をかけると、それはこちらへと顔を向けた。
まだいたいけない、14・5ほどの少女であった。
彼女はにっこりと笑うと

「ご飯くれると、うれしいな」

そう言った。






91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 19:36:54.52pjqGHZU60 (4/7)

とりあえず、食事を与えると共に事情を聞こうと思い、家の中へ招き入れる。

「お邪魔しますなんだよ」

「上条その子は?」

中に居た志貴が目を丸くしていた。

「あーなんというか・・・・・・ウチのベランダに引っかかってたんだ。とりあえずお腹空いてるらしいからなんかあるか?」

そう言うと、志貴は昨日の残りの野菜炒めをレンジで温めて持ってきてくれた。

「はい、どうぞ」

そういって志貴が差し出すが早いか、銀髪の少女はものすごい勢いで野菜炒めを食べはじめた。
しかし、箸に不慣れなのかその使い方はたどたどしい。
少女が食事に夢中になってる間に、上条と志貴は少女の服装を見てみる。

「なぁ、ベランダに引っかかってたって本当なのか?」

「ああ、しっかり引っかかってたぜ」

「でも、この部屋の周りってかなりビル高いよね・・・・・・」

確かに、上条の部屋のある男子寮の周囲にはこの寮より高いビルしか建っていない。
それも、かなり高いのだ。

「そこから落ちてきて、傷1つ無くベランダに引っかかってるっておかしくない?」

言われてみればその通りだった。
普通の人間が周囲のビルの高さから落ちてきてベランダにぶつかったら、かなり酷いことになるだろう。
ひっかかるどころではない。

「そうだよな・・・・・・一体どうしたんだろうな。そもそも落ちてきたんじゃないんじゃないのか?」

少女の口から、どうしてベランダに引っかかっていたのか聞いた訳ではないので、まだなんとも言えないのが現状である。
それに、少女の服装も気になる。

「これってシスターさんとかが着てる服に似てない?」

「言われてみればそうだな・・・・・・でもなんでそう思ったんだ?」

「いや、知り合いにその手の人が1人だけいてね」

と志貴は一瞬だけシエルの姿を思い浮かべるが、すぐに視線を少女へと向ける。
すると少女は野菜炒めを食べ終わっていた。

「ごちそうさま。とっても美味しかったんだよ」

屈託の無い笑顔でお礼を言う少女。

「ああ、お粗末さまでした」

とついつい返事をしてしまう上条。



92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 19:37:32.11pjqGHZU60 (5/7)

(上条、上条、本題聞くなら今しかないよ)

(おぉ、わかった)

志貴と上条のやり取りが小声で行われる。

「二人とも何をこそこそ話してるのかな?」

と疑問の言葉を発する少女。
ここで腹を決めた上条が本題に入る。

「ところでお前はどうしてウチのベランダなんかにひっかかってたんだ?」

「それはね、追っ手に背中を撃たれたからなんだよ」

なんとも無しに言う少女。しかし、上条と志貴は少女の口から出るべきではない『追っ手』という言葉に驚愕した。

「追っ手?お前誰かに追われてるのか?」

「うん。私は執行者と代行者に追われているの。だって私は・・・・・・禁書目録だから」

「執行者?代行者?いんでっくす?」

聞き覚えの無い単語の羅列に困惑する上条。

「そう、私は禁書目録。10万3000冊の魔道書書を有する魔道図書館」

知らないというか明らかに危ない単語の羅列。
そして明らかに偽名だと思われる『禁書目録』という名前に疑問符を浮かべる上条と志貴。

「えーっと・・・・・・ちょっと質問をいいかな?」

先に口を開いたのは志貴だった。
彼は知識として代行者と言う単語を知っていたからである。

「君は代行者に追われているって言ったね?それって青い髪のショートカットの代行者だったかい?」

「ううん。顔は見えなかったけど、髪の毛は青くも短くも無かったんだよ」

それを聞いた志貴は、インデックスを追っているのがシエルではないと分かりホッとした。
しかし、疑問は何も解決していない。

「そっか、ありがとう。それで、君はどうしてそんな物騒な人たちに追われているんだい?禁書目録って言うのは一体?」

「教えてもいいけどその代わり――」

少女は言葉を放つ

「私と一緒に地獄の底まで付いて来てくれる?」


93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 19:55:05.65pjqGHZU60 (6/7)

それは明らかなる拒絶の言葉。
これ以上自分に構うんじゃないという拒否の言葉。
辛そうな顔をして否定の言葉を放つ少女。
そんな少女へと上条は声をかける。

「地獄?笑わせんな。俺は神様の奇跡だって殺せる右手を持ってんだ。地獄の業火ぐらいで死んでたまるかよ」

「えっ?」

きょとんとした目で上条を見つめるインデックス。
当たり前だ。彼女ははっきりと近づくなと彼らを突き放したのだ。
それにもかかわらず、彼は自分に構ってこようとする。
さらには――

「いいね。上条が地獄の業火を殺すって言うなら、俺は悪魔でも殺そうかな」

そう、調子のいい口調で志貴まであわせてきた。

「なっ・・・・・・なんでそんなこと簡単に言えちゃうの!?私はちゃんと言ったはずだよ?地獄の底まで付いてきてくれるって。それなのになんでっ・・・・・・!」

「そんりゃあ――」

「そんなの――」

インデックスの悲痛な訴えに被せるように、男たちの回答が示される。

「「地獄の底まで行くより、目の前で今にも泣きそうになってる女の子を見過ごす方が嫌だからに決まってん(る)だろ!」

何の苦労も無しに。何の努力も無しに。何の誇張も無しに。
彼らはそう言い放った。まるで漫画か何かのヒーローのように。

「・・・・・・ひっぐ、えぐ・・・・・・」

吐き出される嗚咽の声。
インデックスは泣き出していた。
しかし、その表情を見る限り悲しんではいない。ただ――

「嬉しいんだよっ・・・・・・!」

それが素直な少女の気持ちだった。

「おうおう、いいぞ泣いても。遠野が慰めてやるからな」

「えっ!?俺だけなの!?上条は?

「俺はほら、補習あるからさ。帰ったら詳しく話しを聞くから、それまでゆっくりしてけ」

そう行って上条は遅刻ギリギリな補習へと向かった。

「とりあえず――」

泣いてる少女を目の前にしてどうしたらよいか分からない志貴は

「えーと・・・・・・ごめんね」

そういって、インデックスを優しく――抱きしめた。
まるで兄が泣きじゃくる妹をあやすように、優しく背中を撫でてやる。

(こうすると昔の秋葉を思い出すなぁ・・・・・・)

そんな感傷に浸っている志貴の背後から――

「志貴ー?一体あなたは朝から何をしているのかしらー?」

そんな声が聞こえてきた。
まるで地獄の底から聞こえてくるような悪魔の声。
正確に言うと吸血鬼なのだが――ともかく

「待ってくれアルクェイド!これには深いわけが!」

「へぇ・・・・・・じゃあそのわけとやらをじっくり聞かせてもらいましょうか?」

にっこりと微笑むアルクェイド。
しかし、その微笑みはそれだけで人を殺せそうな威圧感を含んでいた。
そんな空気を感じた志貴は、同居人の口癖となっている単語を叫ぶ

「不幸だー!」

そんなやり取りを見て、インデックスは慈悲深い聖女のように柔らかく微笑んでいた。



94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 19:57:54.16pjqGHZU60 (7/7)

以上で、禁書1巻の導入部が終わります。
この辺りを書くにあたって1巻を改めて読み直したのですが、複雑ですね・・・・・・
意外と簡単に動くと思っていたキャラがなかなか動いてくれません。


とりあえずこれからはある程度キリがいいところまで書きあがったら随時投下していくので
風邪を引かないようにお待ちください


95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 20:13:10.35dMHHgKA+o (1/1)

乙乙



96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 20:14:48.40gklYWggAO (1/1)

まだ導入部か…乙


97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 23:05:47.10Vbqv2acK0 (2/2)

おつん


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 23:53:09.57SZuYYEQ20 (1/1)

乙乙
空の境界以前にFate出す余裕あるのか?
とにかくwktkしとくぜ


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 09:25:20.69VuT/K/zfP (1/1)

追っては誰が来るのか……


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 22:02:18.144KbKJuVd0 (1/1)

乙!!
こりゃFateとか呼んだ方が楽しめるっぽいな。



101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 00:25:32.459RPTG0jJ0 (1/6)

うっす>>1です
こんな時間ですが投下します


「はーい。それじゃ先生プリント作ってきたのでまずは配るですー。それを身ながら今日は補習授業を進めますよー?」

と高らかに宣言するのは、上条の所属するクラス1-7の担任、月詠 小萌である。
驚くべきはその身長で、安全面の理由からジェットコースターのご利用をお断りされたほどの低さ、135センチだ。
教卓の前に立つと首しか見えない彼女だが、教壇の上ではしっかり教師である。

「先生はりきってプリント作ってきたので、出来なかった人は罰ゲームでーす」

そんなことを言いながら手際よくプリントを配っていく。

「それでは始めてくださいー」

小萌の掛け声と共に皆が一斉にプリントを解き始める。
上条だけが上の空だった。

(あいつら何してんのかなー・・・・・・)

考えるのは家に残してきたインデックスと名乗る少女のことだった。
明らかに訳ありの少女。その少女が見せた涙。そして彼女が追われる理由。そして彼女の正体。
考えることは山ほどあり、考えれば考えるほど疑問は沸いてくる。
そんな上条は自分に向けられる視線にしばらく気がつかなかった。
その視線の主は――

「・・・・・・」

小萌だった。
無言で、しかし今にも泣きそうな目で上条を見つめている。
サンタの正体を知ってしまった12歳のような顔までして。
それに気がついた瞬間、子供の人権を守るべくクラス中の敵意ある視線が上条へと突き刺さった。




102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 00:26:22.619RPTG0jJ0 (2/6)

「不幸だ・・・・・・」

夏休みの補習といえども最終下校時刻まで拘束されてしまった。
思いがけず長引いてしまったので、帰りが遅くなる旨を志貴の携帯へとメールしてあった。
しかし、志貴の携帯は妹の秋葉からの度重なる電話とメールを避けるために大方電源が切られているので気がついてもらえたかどうかは怪しい。

「しかしあっついなぁ・・・・・・」

学園都市の公共交通機関の時刻表は、学生たちが夜出歩かないように完全下校時刻にあわせてある。
ギリギリまで学校に拘束されていた上条は終バスにも乗れるわけが無く、こうして寮までの道を歩いているのであった。
そこへ――

「あっ!いたいた。この!ちょっと待ちなさい・・・・・・ちょっと!アンタよアンタ!止まりなさいってば!!」

とぼとぼ下を向きながら歩いていた上条は、それが自分へ向けた声だと気がつくのにしばらくかかった。
なんだ?と思い声の方へ顔を向けると

灰色のプリーツスカートに半袖ブラウスとサマーセーターという常盤台中学の制服を着た短髪の少女。

「またかビリビリ中学生・・・・・・」

御坂美琴であった。

「ビリビリ言うな!私には御坂美琴って名前があんのよ!いい加減覚えなさいよ!まったく・・・・・・」

そこまで一気に言い終えると、息を整えるために一度深呼吸してから御坂が続ける

「今日という今日こそ電極刺したカエルみたいに足ひくひくさせてやるから遺産分配やっとけやゴルァ!」

「やだ」

「なっ、なんでよ!何様なのよ!」

「俺は忙しいんだ。後、上条様」

「っざっけんじゃ無いわよ!!」

そう言うやいなや御坂の手がら雷撃の槍が放出される。
しかし、音より早い速度で上条まで到達するはずのそれは、御坂の予備動作から危険を察知した上条が突き出した右手によって雲散霧消させられた。

「あっぶねぇな!いきなり何すんだよ、ったく・・・・・・」

そしてそのまま御坂を説得へかかる

「いいかビリビリ――じゃなくて御坂。俺は家に助けてやらなきゃいけない女の子がいるだ。だから今すぐに帰らなきゃならない。だから帰らせてくれ」

「そんなアンタの都合なんか知ったこちゃ無いわよ!この前もなんかうやむやになったし・・・・・・って女の子ってっまさかこの前の金髪の!?」

「まぁ、それで間違いではないんだが・・・・・・」

上条は間違えてしまった。
言葉の選択という大事なものを。



103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 00:26:53.189RPTG0jJ0 (3/6)

「っアンタって奴は・・・・・・!」

「ひっ!?」

御坂が発するただならない空気に威圧される上条。

「恥を知りなさいよぉおお!」

またしても繰り出される電撃。
それも先ほどと同じように、上条の右手によって消されてしまう。

「ああムカつく!なんなのよアンタは!あたしは超電磁砲なのよ?レベル5なのよ?それなのにレベル0のアンタは何で倒れないのよ!」

「それは――俺が魔術師だからさ」

「はっ・・・・・・!?」

上条は嘘をついた。
それもすごくダメな感じの。

「というのは冗談だが、御坂。今日ばかりは見逃して欲しい。頼む」

真剣な表情になり御坂の目を見て頼み込む上条
対する御坂は

「ふぇっ・・・・・・///しょ、しょうがないわね!今日は見逃してあげるわ

「そうか、ありがとな御坂。お前って意外と優しい奴だったんだな」

そう言うと上条は踵を返し、手を振りながら歩いていく。
その背中に御坂は最後の声をかける

「ねぇ」

「ん?」

「アンタは私が困ったとして助けてくれる?」

「あぁいいぜ。相談しろよな」

そういうと上条は御坂の元へと戻ってきて

「メアド交換しとくか」

「え?あぁ、いいわよ」

科学の都市に住む者同士、すぐにアドレスの交換を終える。

「今度こそじゃあな」

「はいはい」

そうして二人は別れた。




104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 00:27:19.319RPTG0jJ0 (4/6)

(やれやれ、とんだ災難だったな・・・・・・)

どっと疲れた上条は、その疲れを癒すべく寮への道を歩く。
しかし、本当の災難はこれからだった。

「あれ?」

気がつくと自分の周囲に人が一人も見当たらない。
人どころか、車すら通らない。

(おかしい。これは明らかにおかしい)

完全下校時刻を過ぎたといってもまだ人通りが多い時間帯のはずだ。
しかし、それにもかかわらず上条の周囲には人の気配が無い。
いや――無かった。

「おまえは――」

一瞬にして上条の直線状、距離にして10メートルほどの位置に人影が現れた。
その人物はとても奇妙だった。とても奇妙な格好をしていた
黒い長髪をポニーテールにまとめ、上半身はTシャツ。下半身は、何故か片足だけ根元からカットしてあるジーンズに膝まであるブーツ。
そしてその人物を一番特徴づけているものとは。

「なんだありゃ・・・・・・」

身長よりも長大な刀。2メートルほどの黒塗りの鞘に収まった刀をその人物は、腰のベルトから吊っているのだ。

「神浄の討魔、ですか――良い真名です」

「あんたは一体なんだ?」

そう問いかけた上条だったが、相対する人物の正体の検討は付いていた
本能的に。
本性的に。

「神裂火織、と申します。そして――」

そう、彼女は――

「必要悪の教会に所属する代行者にして魔術師です」



105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 00:30:32.709RPTG0jJ0 (5/6)

今回は以上となります。
次回は志貴saidをお送りしたいと思います。

そしてFateと空の境界ですが、1巻時点では出番がありません。
申し訳ありませんが、1巻は月姫onlyでお楽しみください

予定では、2巻で空の境界。3巻でFateを出すつもりなので
それまで頑張って書き続けたいと思います

それでは次回まで風邪を引かないようにお待ちください。


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 01:24:54.22GEJaeIHc0 (1/2)

楽しみやね


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 01:39:05.60emfq+YAH0 (1/1)

境界勢相手とかアウレオルスが可哀想すぎるwww


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 10:25:26.03TN+yjelDO (1/1)

こういうSS見る度に月姫やっときゃ良かったと後悔する
空もFATE(STAYだけ)もDDDも持ってるのにクソッ

とにかく面白い


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 11:13:16.72mmdxVsxG0 (1/1)

>>1
saidやない、sideや


110 ◆hStwx3xZ6g2011/02/24(木) 19:59:09.529RPTG0jJ0 (6/6)

どうも>>1です
今から24時間以内に志貴sideを投下します。
そしてsaidとは一体なんだったのか・・・・・・

そういえばこのスレの上条さんのカップリングですが
上 琴 で は あ り ま せ ん

ここで既に嫌悪感を覚える方は、この先は止めたほうがいいでしょう・・・・・・
後はねちょシーンを書くか書かぬかでちょっと迷っていますので、
おk!orNO!を書いてくれるとありがたいです

後、酉つけてみましたが上手く反映されてますかな?




111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 21:37:05.25GEJaeIHc0 (2/2)

やったぜ!! 上琴じゃないということで俺のテンションがうなぎ昇りだ


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 22:44:54.40uASkr73DO (1/1)

いつも叩かれるから言わなかったけど……俺、御坂好きじゃないんだ。だからヒャッハー!!


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 22:49:19.16D7IwV8BTo (1/1)

書き込まなくていいよ


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/24(木) 23:24:16.63T6cr3TO/0 (1/1)

カップリングにはあまりこだわらないが
上琴が嫌いとか御坂好きじゃないとかはアンチスレでやれ。
俺は好きでも嫌いでもないが露骨なアンチは正直キモイ


115 ◆hStwx3xZ6g2011/02/25(金) 01:05:13.94NI8ebgPZ0 (1/5)

>>1です
余計なことを書いてしまったばかりに申し訳ありません。
ただ、最近は上琴じゃないと無理!って方が多いと聞きましたので
先に警告として書かせていただきました。
あまり上琴好きの人を叩かないようにお願いいたします。

さて約束どおり次から投下します。
若干短めですが、ご容赦ください


116 ◆hStwx3xZ6g2011/02/25(金) 01:05:45.92NI8ebgPZ0 (2/5)

「あっ、上条からメールが来てる」

上条と神裂の邂逅の数十分前。
アルクェイドにインデックスのことを説明してなんとか許してもらった志貴。
ご機嫌取りのためにブランチを作ったのだが、インデックスも欲しがったために2人分を作って食べさせたら、2人とも食べた後に寝てしまい一人の時間をもてあましていたのだった。
そんな中、お昼ごろに上条から届いたメールを志貴が目にしたのはもう完全下校時刻も程近い時分だった。

「そっか、補習が長引いて・・・・・・道理でこんなに遅いわけだ」

それなら今晩の夕飯の買い物にでも行ってくるかなーと思い、仲良く寝ている2人を起こさないように出かける支度をすませる。

「今日はどうするか上条に聞かないとな――」

そう呟きながら玄関のドアを開けるとそこには――」

身長2メートルはあるであろう赤毛の人物が立っていた。

「・・・・・・この部屋になんの御用ですか?」

相手の格好を見定めながら志貴が尋ねる。
顔立ちは14か15ほど。黒い服は教会の神父などが着るような修道服。右目の下にはバーコード状のタトゥーを入れていて、両手の10本の指には例外なく指輪がはめられており、口に咥えたタバコが紫煙をくもらせていた。

「いや、ちょっとした野暮用でね」

男はなんでもない風に言ってのける

「禁書目録を回収しにきた。引き渡してもらいたい」

そう、告げた。


117 ◆hStwx3xZ6g2011/02/25(金) 01:06:28.41NI8ebgPZ0 (3/5)

「インデックスを回収する・・・・・・?ということは君は代行者か?」

「いや、代行者は僕の相棒でね。僕のほうは魔術師さ」

ふぅ・・・・・・とタバコの煙を吐き出しながら男は続ける

「僕としてもなるべく手荒な真似はしたくないんだ。だから早く渡してくれると助かる」

めんどくさそうに。
だるそうに。
なんの感情のこもらないような声で、男は言った。
それが志貴の神経を逆撫でする。
インデックスのことを人間として見ずに、ただの物として見ている様な物言いに怒りを覚える

「――・・・・・・だね」

「ん?何か言ったかい?」

「嫌だね。そう言ったんだよ、魔術師!」

志貴は思い切り怒鳴りつける。
やりきれない怒りをぶつけるようにして

「そうかい、それは残念だ。本当はステイル=マグヌスと堂々と名乗りたいんだが、僕たち魔術師は真名を言っちゃいけないという馬鹿げた決まりがあってね」

すっと袖口から1枚のカードを取り出しながら男は言う。
そして口にする、殺し名を

「Fortis931(我が名が最強である理由をここに証明する)!」

そして唱える。必殺の呪文を

「Kaza(炎よ)――PurisazNaupizGedo(巨人に苦痛の贈り物を)!」

瞬間、ステイルの手にしたカードから炎が溢れ出す。
それは瞬く間に剣を形作ったかと思うと、志貴のほうへと叩きつけられた。
炎は膨れ上がり、やがて本流となり志貴の体を覆い隠してしまった。

「やりすぎた、かな?」

閃光と熱風と黒煙が吹き荒れる中、魔術師はそう呟いた。
先ほどの炎剣の一撃は摂氏3000度にも及ぶ。
その炎は志貴を『溶かし』ガムのように床にはりつけている事を想像するのはステイルにはたやすかった。
しかし、その余波でしばらくはあの部屋のドアに近づくことすらままならないだろう。
周囲は爆弾テロがあったような有様になっていた。
黒煙が分厚いカーテンのようにステイルの眼前を覆っている。

(これではインデックスを回収できないな・・・・・・)

ステイルはそうため息をつく。
そして先ほど葬った人間へと言葉をかける。

「ご苦労様、お疲れ様、残念だったね。ま、そんな程度じゃ1000回やっても勝てないってことだよ」

「誰が勝てないって?」


118 ◆hStwx3xZ6g2011/02/25(金) 01:06:59.13NI8ebgPZ0 (4/5)

ギクリ、と炎の中から聞こえてきた声に魔術師は身を凍らせる。

(バカな!?消し飛ばしたはず――)

そんな考えを否定するかのように、辺り一面の炎と黒煙が渦を巻いたように消し飛ばされる。
その中に遠野志貴は立っていた。眼鏡をとり、手には一本のナイフを握ったまま。

「邪魔だ」

一言。炎の群れにナイフを振るう。
すると魔術の炎がナイフに切り裂かれた火かのように消滅していく。
まるで殺されたかのように

(なにが起こっている!?)

ステイルはうろたえていた。
突然の『想定外』に対し、ただの人間のようにうろたえていた。
いや、もはやこれはただの人間だった。
恐怖に怯え、未知にあせる、ただの人間だった。

(まさか魔術を――!?)

しかし、彼はその考えを一瞬で打ち消す。
目の前の少年からは魔力を一切感じないからだ。
ならば何故、彼の魔術は破られた?

「――あ」

理解不能の現象に対して、ステイルは無意識のうちに後退し始めていた。
その隙を見逃さずに志貴はステイルへと迫る。

「クッ!MTWOTFFTOIIGOIIOF(世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ)」

魔術師は言葉を紡ぐ

「IIBOLAIIAOE(それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり)
IIMHAIIBOD(それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり)
IINFIIMS(その名は炎、その役は剣)
ICRMMBGP(顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ)――ッ!」

「魔女狩りの王(イノケンティウス)!!」


119 ◆hStwx3xZ6g2011/02/25(金) 01:08:24.97NI8ebgPZ0 (5/5)

志貴vsステイル前編です。
次の投下で後編をお送りいたします。

明日の夜にお会いしましょう。
それまで風邪を引かないようにしてください。


120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 02:53:46.53/pwWgWBAO (1/1)

イノケンさんも一撃で倒せるのだろうか?


121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 03:10:01.65eORHEIlAO (1/2)

イノケンさん殺してもルーンは残ってるんだから
またすぐに新しいの作れるんじゃ・・・
と、思ったけどそれやったらステイるの体力が終わるな


122VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 04:13:22.56+8gUlpOL0 (1/1)

シエルルートでのVSアルクみたいな感じかな
まぁ、イノケンさんとアルク比べると見劣りってレベルじゃないけど


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 07:07:45.99955aYXbIO (1/1)

転生して生きながらえてきたロアさんをやれたから余裕でしょ


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 18:11:00.97eORHEIlAO (2/2)

>>122
アルクと比べたらほとんどの敵が見劣りするだろ
それこそフィアンマクラス持って来ないと


125VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/25(金) 23:46:04.10CDyjVtCAO (1/1)

初見なら志貴が目の前のイノケンさんの除去を死と勘違いして復活出来そうだな
逆にペンデックスの解説後なら魔術ごと殺せそう


126 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 01:12:32.59oroXQhkC0 (1/9)

どうも深夜に>>1です。
志貴vsステイル後半戦投下しまーす


言葉が発せられると同時に、ステイルの眼前に炎の塊が生まれる。
それはただの炎の塊ではなかった。
真紅に燃え盛る炎の中で、重油のような黒くドロドロしたものが芯になっている。
それは人の形をしていた。
その名は『魔女狩りの王(イノケンティウス)』。その意味は必ず殺す。
必殺の意味を背負う巨人は両手を広げ、それこそ砲弾のように志貴に襲い掛かる

「邪魔だよ」

志貴がナイフを振るう。
流れるような動作で、なぞる様に凶器を振る。
そして伸ばされた『魔女狩りの王』の両手を切り飛ばした。
しかし――

「――っ!?」

志貴は本能的に後ろに跳び退る。
その直後、切り飛ばしたはずの両腕が復活し、志貴が先ほどまで存在していた空間を、摂氏3000度の熱をもってなぎ払う。

「ああ、惜しい。もう少しだったのに」

残念そうに、しかし何の焦りも無く、魔術師は言う。
まるで負けることが無いかのように。

「どうして『魔女狩りの王』を攻撃できたのかは知らないが――それは無意味だよ。コイツは僕がこの建物のあらゆる所に設置したルーンによって起動している。そのすべてを潰さない限り、何度でも甦る」

しかし、ステイルは違和感を感じていた。
先ほど『魔女狩りの王』の両腕が切り飛ばされた時、魔力の経路が切られる感覚があったのだ。
両腕の魔力供給が切られたため、自動再生は望めなかったので、新たに魔力を消費して経路を繋ぎ、両腕を再生したのだ。

(どうも妙な感じがするが――勝てる!)

絶対的な自信が、数々の魔術結社を潰してきた実績が、彼を動かす。

「殺せ!『魔女狩りの王』その邪魔者を焼き尽くせ!」

さらに唱える

「Ash to ash(灰は灰に)
Dust to dust(塵は塵に)
SqueamishBloody Rood(吸血殺しの紅十字)!!」

2本の炎剣が、志貴へと向かい
『魔女狩りの王』の両腕がハンマーのように志貴に向かって振り下ろされる



127 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 01:13:16.11oroXQhkC0 (2/9)


「だから、邪魔だって」

志貴は迷い無く炎剣をナイフの一振りで消し飛ばし、『魔女狩りの王』へナイフを突き立てる。
瞬間、『魔女狩りの王』は霧散した。

「バカなっ!?」

ステイルの心臓の鼓動が止まりそうになる。
嫌な汗がドッと噴出してくる。
必殺の『魔女狩りの王』は復活しない。
炎のかけらも残ってはいない。

「こ――こんなことが・・・・・・僕のルーンはまだ生きているというのに」

そういってから初めて気がつく。
この建物のルーンの気配が消えているということに。

「そんな!?一体何故!?」

「分からないなら教えてやるよ」」

言葉が魔術師に向かって投げかけられる

「こ れ が モ ノ を 殺 す っ て い う こ と だ !!」

「い、のけんてぃうす・・・・・・『魔女狩りの王』!」

しかし、『魔女狩りの王』は現れない。

「い、の・・・・・・けんてぃうす」

魔術師は壊れた電話の受話器に叫ぶような大声で、かの最強の名を呼ぶ。

「いのけんてぃうす・・・・・・イノケンティウス、『魔女狩りの王』!」

魔術師は叫ぶ。しかし――世界は何も変化しない。

「さてと、ついでに教えてやるよ」

そういって志貴はステイルの眼前まで歩を進める。

「さっきのあんなんじゃ吸血鬼は死なないよ。アイツらを殺したかったら――」

拳を固め、思いっきり振りかぶる

「あっ――」

「17分割しないとね!」

志貴の拳が、魔術師の顔面に突き刺さる。
魔術師の体は、それこそ竹とんぼのように回転し、後頭部から金属の手すりに激突した。


128 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 01:14:28.60oroXQhkC0 (3/9)

結構あったと思ったら2レス分しかなかったでござる・・・・・・ちょっとショック。
続きはまた明日の夜ということで、体調を崩さずお待ちください。



129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 03:11:50.49JPw72Xvu0 (1/1)

その意味は必ず[ピーーー](笑)、吸血殺しの(笑)
>「こ れ が モ ノ を 殺 す っ て い う こ と だ !!」
この台詞やっぱかっこいいわァマジ惚れる、志貴になら掘られてもいい


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 12:56:20.03hDYDowwr0 (1/1)

志貴マジでかっけー!!


131 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 22:41:01.12oroXQhkC0 (4/9)

うっす>>1です
上条vs神裂編投下しまっす




「ふぅ・・・・・・」

気絶した魔術師を見下ろしながら、志貴は息をつく。
その周囲の惨状は燦々たるものだった。
天井や床は焼け焦げ、パイプや鉄の手すりなどは熱によって歪んでいる。
一種の地獄絵図のようだった。

「これはどうしようもないなぁ・・・・・・」

もうどうにでもなれ、と諦めの念をこめて呟く。
そのとき

「志貴ー、さっきのすごい音なにー・・・・・・って何これっ!?」

と玄関のドアを開けてアルクェイドが姿を見せる。

「私が寝てる間に一体何があったのよっ!」

「いやまぁ話せば長いんだけど――」

そこまで言って、志貴は先ほどの魔術師の言葉を思い起こす。

『いや、代行者は僕の相棒でね。僕のほうは魔術師さ』

(この魔術師は相棒って言っていた。すると、2人で行動していたことになる。ここへ1人で来たんだとすると、もう一人は――)

最悪の予想が志貴の頭をよぎる。

「アルクェイド、今すぐ上条を探しに行ってくれ!彼はおそらく代行者に襲撃される!」

「えっ?えっ?当麻が代行者に?なんだかよく分からないけど、探しに行くわ」

そういうが早いかアルクェイドは風のように飛び上がり、瞬く間に見えなくなった。

「頼むから間に合ってくれよ――」



132 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 22:41:38.33oroXQhkC0 (5/9)

「それで、魔術師さんが俺に一体何の用なんですかね?」

口調こそ丁寧だが、警戒心はむき出しのまま、上条は目の前の女性に対して話しかける。

「えぇ、用件は唯一つ――禁書目録をこちらに返していただきたいのです」

「渡す?インデックスはあなた達に追われている、と言っていたんです。それなのに、はいそうですかって渡すわけにはいきません」

やはり口調は丁寧なままだが、はっきりと拒絶の意思を神裂へと伝える。

「そうですか、ではもう一度だけ言います。禁書目録をこちらへ引き渡してください」

(ッ!?)

そう神裂が言ったかと思うと、ビリビリする殺気のようなものが上条を襲った。
生存本能が"こいつはヤバイ。早く逃げろ"と警鐘を鳴らす。
右手の付け根がギリギリと締め付けられるような感覚にとらわれる。
それでも上条は逃げなかった。

「・・・・・・嫌だ、と言ったら?」

引く理由は無く、立ち向かう理由は存在したから。

「仕方がありませんが――無理やり諦めさせるまでです」

まるで爆弾が爆発したかのような、ドン!という音と共に、衝撃が空気を揺らす。
視界の隅で、夕暮れより赤い炎が揺らめいていた。
どこか遠く――何百メートルも先で、巨大な炎が燃え広がっている。自分の家の方角で

「インデックス・・・・・・ッ!」

インデックスは言っていた。代行者と魔術師に追われている、と。
ならばもう一人が彼女を連れ去りに行っていたのだ。
上条は反射的に炎の方に走り出そうとしたが

瞬間、神裂火織が襲い掛かってきた。

上条と彼女の間には10メートルの距離があった。
加えて、神裂の持つ刀は2メートル以上の長さを持つとはいえ、女性の細い腕では振り回すことすら適わないように思えた――はずだった。
それなのに、次の瞬間、上条の頭上スレスレの空気は巨大なレーザーが振り回されたかのように引き裂かれる。
驚愕で凍る上条のすぐ後ろ、風力発電機のプロペラが、まるでバターでも切り裂くように音もなく斜めに切断されていた。

「やめてください」

10メートル先から声が飛んでくる。

「私から注意を逸らせば、辿る道は絶命のみです」

既に、神裂は2メートル以上ある刀の刀身をその鞘に収めている。あまりに早すぎる太刀筋に、上条は刀身が空気に触れた瞬間すら見ることは出来なかった。
上条は動けなかった。まるで足がその場に縫い付けられたかのようで、動いてくれなかった。
声すら出せず、汗が噴出してくる。


133 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 22:42:14.08oroXQhkC0 (6/9)

ズドン!!という音ともに、背後では切断された発電機のプロペラが地面に落ちる。
今ここに立っていられるのは、彼女がわざと外したから。かろうじでそう思うのが精一杯で、理解力と思考力が追いついてこない。
そこへ、神裂が静かに声をかける。

「私の相方が刻んだルーンによってここへは人が来ません。助けを期待しているのなら無駄です」

もっとも、その助けすら相手にはなりませんが――と神裂は小さく呟き

「もう一度言います。インデックスを、彼女を私達へと渡してください」

神裂の声はよどみが無い。
まるでこの程度のことはなんでもない、といわんばかりに。

「なにを――言ってやがる」

ようやく口を動かし、否定の言葉を送り出す。

「テメエ相手に、降参する理由なんざ――」

「何度でもいいます」

ほんの一瞬だけ、神裂の右手がぶれて、消える。
そして、すさまじい風と共に見えない何かが上条へと襲い掛かる。
上条当麻を目の前にして、アスファルトが、街灯が、街路樹が、まとめてウォーターカッターで切り裂かれたように宙を舞う。
握り拳ほどの大きさのアスファルトの欠片が上条の右肩を捉え、その衝撃で上条は後ろ向きに吹っ飛ばされる。
気絶しそうな痛みを堪え、右肩を手で押さえながら、上条は立ち上がる。
首を動かさず、視線だけで辺りを見回す。
1本、2、3、4、5、6、7本。
都合7つもの直線的な『刀傷』が平たい地面の上を何十メートルにわたって走り回っていた。
様々な角度からランダムに襲う『刀傷』は、まるで鋼鉄の扉に生爪を剥がす勢いで傷をつけているようにも見える。

チン、と刀が鞘へと納まる音が響く。

「私は、魔法名――つまり殺し名を名乗る前に彼女を保護したいのですが」

右手を刀の柄に触れたまま、神裂は憎悪も怒りも無く、本当にただの『声』を出した。
7回。たった一度の斬撃すら見えなかったのに、あの一瞬で7回もの『居合い切り』見せた。
それも、その気になれば7回も7回とも上上条の体を両断できる、必殺の7回。
いや――刀が鞘へと納まる音は一度きりだ。おそらく、異能の力だ。
システムは分からないが、たった一度の斬撃の射程距離を何十メートルに引き伸ばし、たった一度の鞘走りで7回の斬撃を生み出すような異能を使っているのだ。
もちろん上条の知っている超能力にはこのような力は存在しない。
ならば彼女が魔術師と名乗った通り、これは魔術なのだろう。
そして魔術でも超能力でも、彼の右手に触れてしまえばそれは消滅する

「私の七天七刀が織り成す『七閃』の斬撃速度は、一瞬と呼ばれる時間に7回殺すレベルです。人はこれを瞬殺と呼びます。あるいは――必殺とも」

上条は無言で拳を握り締める。
斬撃速度がどれだけ早かろうと、一瞬の内に7回殺せても、必殺であろうとも、その正体が異能の力であれば、彼の右手が触れる事が、必殺となる。
それでも、失敗すれば彼の『幻想殺し』は、軌道の読めない斬撃によって輪切りになっているだろう



134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/26(土) 22:42:47.73/TOkQNm90 (1/1)

野暮なことだが
志貴と上条さんは喧嘩しそうなんだが
俺の勝手なイメージだが上条さんと士郎のほうがにてる気がする


135 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 22:42:50.67oroXQhkC0 (7/9)

「幾度でも、問います」

神裂の右手が、静かに腰の七天七刀の柄へと触れる。
上条の頬を冷や汗が伝う。
この『気まぐれ』が終わって神裂が本来通りに殺しにかかれば、上条は間違いなく一瞬で8つに分割される。
何十メートルという射程距離、発電機すら切り刻む破壊力を考えれば、後ろへ逃げたり何かを盾にする、という考えは自殺行為にしかならない。
上条は神裂との距離を測る。
おおよそ10メートル。筋肉を引きちぎる思いで走れば四歩で相手の懐へ飛び込める距離。
・・・・・・動け。
地面に縫い付けられた両足に、上条は必死に指令を送る

「彼女をこちらへ渡していただきたいのですが?」

・・・・・・うご・・・・・・け!!
地面へ貼り付けられた足を無理矢理剥がすように、上条は一歩を踏み出す。
神裂の眉が動く前に、上条は弾丸のように次の一歩を爆発させる。

「おおっ・・・・・・ぁあああああああ!!」

続いて一歩。逃げることも、盾にすることも敵わないならば、残る選択肢は1つだけ――前に進んで道を切り開くだけ

「何があなたをそこまで駆り立てるのかは分かりませんが・・・・・」

神裂はあきれるよりも、寧ろ哀れみの色が混じるため息を吐き出して、

七閃。

その時、周りには砕かれたアスファルトや、街路樹の葉などが舞い、漂っていた。
風のうなりと共に、それらが上条の目の前で切り刻まれる。

「あ、-―――ォオオオオ!!」

右手手で触れれば消せる。
そんな核心と共に、咄嗟に太刀筋に右手を伸ばす――

ドカカカカカカッ!!

上条と七閃の斬撃に割って入るように上空から何かが飛来する。

「――っ!?」

反射的に上条は右に転がる。
そして、顔を上げるとそこには――

「こんな街中で物騒ですね」

黒っぽい修道服のようなものを纏ったシエルが立っていた。



136 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 22:43:42.82oroXQhkC0 (8/9)


シエルの立っている周囲のアスファルトには、細い長い剣のようなものが数本刺さってた。
数は1、2、3、4、5、6本。
6本の剣が、アスファルトを抉るように突き立っていた。
そして、それらが遮っているのは

「細い・・・・・・ワイヤー?」

細いワイヤーのような物が剣によって止められている。

「そうです。彼女の7つの斬撃の正体はこのワイヤーです」

そう解説を加えるシエル。
神裂の七閃の正体が7本のワイヤーだとしたら突き立つ剣によって6本は止められている。
残る1本は、シエルが右手に持っているナイフのような短剣に止められていた。

「なんてこった・・・・・・そもそもあいつは魔術師ですらなかったのか・・・・・・」

「いいえ、この七閃を乗り越えた先には真説である『唯閃』が待っていますが――」

とそこで神裂は視線を上条からシエルへと移す。

「この黒鍵。そしてその容姿――埋葬機関の第7位。こんなところでお目にかかるとは思いませんでした」

「ええ、私も同じことを思っていましたよ。『聖人』神裂火織」

「そこまで知っているのですね・・・・・・ならば話が早いです。そこをどいてください。私は今、聖堂教会の代行者として動いています」

神裂の口から再び『代行者』の単語が飛び出す。

「しかし、私はは埋葬機関の第7位。あなたに無理矢理命令を聞かせることも可能です」

あくまで平和的に話しかけるシエル
それでも――と神裂は七天七刀の柄へと手をかける。

「私は引き下がれません。今回ばかりは」

「そうですか――なら仕方がありませんね」

シエルが一瞬、右手を振る。
次の瞬間、その手にはアスファルトに刺さっているのと同じ剣が3本握られていた。

「「実力行使と行きましょう――!!」

両者がスタートの一歩を踏み出す。
その時――

ドン!!という音と共に2人の間に土煙があがる。
そしてその中から現れたのは

「あんまり調子に乗ってると――ぶち殺すわよ人間(ヒューマン)」

真祖の姫・アルクェイド=ブリュンスタッドだった


137 ◆hStwx3xZ6g2011/02/26(土) 22:52:00.15oroXQhkC0 (9/9)

今回は以上です。
2時間近く書き続けたのに量が少なすぎて泣けてきます。
筆の早い書き手さんはほんとに尊敬します。


>>134
志貴と上条は鈍感、野暮天、殺す、と共通項があるように>>1は思ったのですが、
確かに家事スキルなんかや会話を見ると士郎のほうが合ってるかな・・・・・・とも思います。




Fate編は若干オリジナル要素を入れるか入れないか思案中です。
オリ要素入ると士郎は出ないけど、上条さん大活躍なんですよね・・・・・・どうしましょう?

まぁまだ全然先の話なので、もうちょっと良く考えてみます


次の投下は明日の夜になります。
お風邪を召されませんよう、お気をつけください。


138VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 11:44:24.65AXVt+hnIO (1/1)

乙です


139VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 15:35:02.39kezBoUh+o (1/1)

なんか殺さずに殴る志貴ってのも新しい感じがする


140VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 17:31:56.97zJwA8Tsro (1/1)

こもこパンチ


141VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 19:43:51.58lo9+HYbb0 (1/1)

殴るよりは蹴るイメージ強いかな、メルブラ的に>自分でもよくわからない蹴り
> 一瞬と呼ばれる時間に7回[ピーーー]レベルです
一瞬で17回切り付けて17分割することに比べるとwwww


142VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 20:52:41.595xy6NfBKo (1/1)

瞬殺と呼びます。あるいは――瞬獄殺とも


143 ◆hStwx3xZ6g2011/02/27(日) 21:33:05.86GoYQ5Vc30 (1/5)

上条「乾杯!」

志貴「乾杯!」

士郎「乾杯!」

幹也「乾杯・・・・・・?」

上条「いやー、こんな作者の趣味をごちゃまぜにしたSSに出演してもらって感謝の極みですよ」

志貴「いやいや、リメイクリメイクって騒がれてる割にはされないし、2も出ないしで暇してたしな」

士郎「俺は丁度映画版終わったとこだから、タイミング的には丁度良かったよ」

幹也「あの?僕はどうしてここにいるのかあんまり理解してないんだけど?」

上条「そりゃあ、このSSにクロスされた作品の主人公の集まりですからね」

志貴「俺は月姫の」

士郎「俺はFateの」

幹也「それで僕は空の境界代表って訳かい?」

上条「そういうことになりますね」

幹也「僕なんかより式のほうがずっと適役な気がするんだけどなぁ・・・・・・」

志貴「それだとホラ、僕とかぶっちゃうじゃないですかキャラ的に」

幹也「いや、僕も君とは十分かぶってるんだけどね、中の人的に」

志貴「幹也さん!」

幹也「はっ、はい!」

志貴「アニメなんて無かったんです。いいですか?もう一度言いますよ、ア ニ メ な ん か 無 か っ た ん で す !」

幹也「はい、理解しました!」

士郎「上条さん。俺空気なんですけど、どうしたらいいんですかこれ?」

上条「大丈夫だ衛宮。俺も空気だから」



144 ◆hStwx3xZ6g2011/02/27(日) 21:33:34.42GoYQ5Vc30 (2/5)

士郎「そういえば上条さん。作者が士郎の口調ワカンネとか言ってますけど」

上条「好きにやらせとけ。後でファンが叩いて訂正してくれる」

士郎これ、男衆しかいなくてヒロインとか女性キャラがいないんですけど、いいんですか?」

上条「いいか衛宮、禁書と型月には女性がたくさんいる。無闇やたらに呼んだりすると、後で『×××だせ!』とか『■■は?』とか言われるから男衆だけでいいんです」

幹也「そもそもこの企画次回なんかないんじゃぁ・・・・・・」

志貴「ま、まぁまぁその辺は置いといて、折角皆いるんですしほら、意見交換とかしましょうよ」

上条「いや、実はもう一人呼んであるんだけど――」

ピンポーン

上条「おっ来た来た」

アーチャー「失礼する」

士郎「うぇっ!?アーチャー!?どうしてここに?」

アーチャー「上条当麻に呼ばれてきたのだが・・・・・・帰るとしよう」

士郎「あぁ!待って待って!お願いします待ってください!」

アーチャー「むぅ・・・・・・仕方が無い、少しだけならいてやる」

上条「ふぅ、一時はどうなることかと思ったぜ・・・・・・気を取り直して、意見交換しましょう!」

志貴「いや、それ俺がさっき言ったんだけど・・・・・・まぁいっか。それで?何について話す?」

幹也「なんか流れが某ドラマCDちっくになってるんだけど・・・・・・」

士郎「だってモロにそういう企画ですし。んじゃあまそのCDに則って近況の報告からしましょう」

上条「俺は最新巻がそろそろでるかな。それにアニメ2期も大絶賛放送中で、出番はあるほうですかね」

志貴「俺は出番ないなぁ・・・・・・メルブラで細々とやってるくらいで。それに作者シエルと七夜しか使わないし」

士郎「俺は去年映画出たなぁ。な、アーチャー」

アーチャー「あぁ、俺が主役をやらせてもらった奴だな」

幹也「僕は最近BDボックスと終章があったから意外と出番あったかもなぁ」

志貴「あれ?もしかして出番無いの俺だけ?」

上条「まぁまぁ、これぞ型月!ってキャラなんだから、出番無くても大丈夫だって」

志貴「その立場も最近いろんな人に奪われかけてるけどね・・・・・・」

士郎「だ、大丈夫ですよ!俺だってFateと言ったらアーチャー見たいな扱いになってるし」

幹也「でも士郎君とアーチャーって同一人物なんじゃ・・・・・・」

士郎・アーチャー「「違う!!」」

幹也「は、はいっ!!」



145 ◆hStwx3xZ6g2011/02/27(日) 21:35:04.13GoYQ5Vc30 (3/5)

士郎・アーチャー「「違う!!」」

幹也「は、はいっ!!」

上条「じゃ、じゃあお互いの作品の作風とか行ってみましょうか。まずは月姫から」

幹也「エロいね」

士郎「エロいですね」

上条「エロいな」

アーチャー「エロだな」

志貴「ちょっと待て!なんで感想がエロしか無いんだよ!」

士郎「そんな、超絶倫人が何言っても逆効果ですよ志貴さん」

志貴「衛宮だってR-18のFateに出てるだろうが!裏切るなよ!」

士郎「いや、Fateはなんというか・・・・・・グロでR-18みたいな?」

アーチャー「それもどうかと思うんだが」

上条「まっ、まぁまぁ落ち着いて、次行きましょう次!空の境界は?」

志貴「エロいな」

士郎「エロいね」

幹也「ちょっと待って!月姫はまだ分かるとして、何で空の境界までエロなのさ!?」

上条「エロいじゃないですか、3章の藤のんのシーンとか」

志貴「1章の式の裸Yシャツとか」

士郎「鮮花の寝巻きとか」

幹也「部分的過ぎる!?そして士郎君と志貴君、ちょっと表に出ようか?」

志貴・士郎「「申し訳ございません!!」」

アーチャー「自業自得だと思うがなぁ・・・・・・」


146 ◆hStwx3xZ6g2011/02/27(日) 21:35:31.00GoYQ5Vc30 (4/5)

上条「それで、禁書目録は?」

志貴「もげろ」

士郎「もげろ」

幹也「もげろ」

アーチャー「もげろ」

上条「え、ぇええええええええええええ!?何!?なんなのでせうかこの仕打ち!上条さんが何かしましたか!?それにあんた等も同じようなもんでしょうが!」

志貴「いやいや、俺達は違うよ」

士郎「ほら、俺達マルチエンディングだから。個別だから」

幹也「いや、僕は式だけだし・・・・・・」

上条「嘘をつけぇ!鮮花さんとか藤乃さんとか霧絵さんとか里緒先輩とかたぶらかしてるでしょうが!」

志貴「そうです!自分だけ逃げようったってそうは行きませんよ!」

士郎「何が『僕は式一筋だから・・・・・』ですか!ちょっといいこと言って誤魔化そうったってそうは行きませんよ!」

アーチャー「本心なんだろうけどな・・・・・・それにセリフ違うぞ」

士郎「うっ・・・・・・それより上条さん!あなたの方が重症です」

上条「いや、正直上条さんはどの辺が悪いのかあんまり理解していなくてですね・・・・・・ぶっちゃけ、何が悪いの?」

志貴「だからもげろって言われるんだよ!この鈍感野郎!」

上条「あぁ?お前もだろうがこの野暮天!」

幹也「ちょっとちょっと2人とも落ち着きなよ」

アーチャー「やることやってるこの面子に比べたら、上条なんか全然いい方だと思うけがな」

士郎「そう言われると何も言い返せない・・・・・・」

志貴「上条、頑張れよ」

士郎「大変なのはこれからだぞ」

幹也「死なないようにね」

アーチャー「生きて帰れよ」

上条「なんで皆さん、死地へ仲間を送り出すような面持ちで上条さんの肩へ手を置いてるんですか!?」

上条「もうなんか不幸だぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」





147 ◆hStwx3xZ6g2011/02/27(日) 21:37:17.30GoYQ5Vc30 (5/5)

うん、ごめんなさい
本編の筆が乗らなかったので、アーネンエルベ聞いてたらこうなりました。
口調とかあれですがご容赦ください。

本編は明日に投下できるよう努力いたしますので
もう少々お待ちください。


148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/27(日) 22:16:57.579OqkJM61o (1/1)

乙乙
気長に待ってるんだよ


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/28(月) 05:24:28.11TJZ0URxt0 (1/1)

メルブラ前なら志貴はレン食ってるだろ、ド外道めがうらやまけしからん


150 ◆hStwx3xZ6g2011/02/28(月) 23:33:41.65yEydsTkc0 (1/1)

どうも>>1です。
今日の投下はちょっと無理っぽいです。

明日のお昼ごろには投下できると思うので、すみませんがお待ちください

さてFate/EXSTRAやろーっと(オイ


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/01(火) 14:39:34.51hq7Z45YIO (1/1)

昼って何時頃よ?


152 ◆hStwx3xZ6g2011/03/01(火) 19:45:14.70W/THfHPZ0 (1/1)

今日のお昼に投下とか言ってごめんなさい
無理です

今日から土曜日までおそらく投下できません・・・・・・
まことに申し訳ございませんが、お待ちください。


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/04(金) 08:38:17.72aizm1KdSO (1/1)

一、二週間程度なら余裕で待てる


154 ◆hStwx3xZ6g2011/03/07(月) 00:23:55.27lYc9vKL60 (1/5)

うす、>>1です。
テストという地獄が終わり、Fate/EXSTRAも終わり、すべてが終わったので投下再開します。

今回は短いです・・・・・・すいません







155 ◆hStwx3xZ6g2011/03/07(月) 00:25:46.65lYc9vKL60 (2/5)

>>133の続き



「貴女は・・・・・・!?」

「真祖・・・・・・」

二者二様の反応を見せる代行者2人。

「当麻を襲う代行者がどっちだか私は知らないけど――2人一緒でも私は構わないんだけど・・・・・・」

2人の代行者を前に、宣言する

「当麻を傷つける奴は、1人残らず叩きのめすわ」

埋葬機関第7位、そして真祖の姫の乱入。状況を不利と見て取ったのか、神裂は七天七刀の柄から手を離す。

「上条当麻、あの子は必ず返していただきます」

それだけ言うと、神裂は姿を消した。

「先ほど人払いの魔術を破壊してきました。もうじきここにも人がやってきます。その前に移動してしまったほうがいいですよ」

「え――」

聞き返す暇も無く、シエルも何処かへ飛び去ってしまった。

「まったく、どうして聖堂教会にはロクな奴がいないのかしらね」

ハァ、と大げさにため息を吐くアルクェイド。心なしか本気に見える。

「ま、ここでどうこう言ってても仕方ないし、私達も帰りましょ。ぐずぐずしてると色々面倒になるわよ?」

そう言われて初めて、上条は周囲を見渡した。
幾筋もの亀裂の入ったアスファルト。なぎ倒された街路樹。切り落とされた発電機のプロペラなど、辺りは台風と地震が一度に襲ってきたような有様だった。

「ああ、そうだな・・・・・・いまいち話が見えてこないけど、とりあえずここから逃げるとするか」

「それじゃ、おうちへ帰りましょー」

2人して走りかけたところで

「ああそうだ――」

上条はアルクェイドに向き直って

「ありがとうな。助けてくれて」

「どういたしまして。ほら、早く帰りましょ」

「おう」

2人は警備員、風紀委員が来る前にその場を後にした。


156 ◆hStwx3xZ6g2011/03/07(月) 00:27:55.77lYc9vKL60 (3/5)

「おかえり上条、無事でよかった・・・・・・!ありがとうな、アルクェイド」

「私が行った時はもう殆ど終わってたわよ」

「おかえりなさいなんだよ」

そう言って出迎えてくれたのは志貴とインデックスだった。

「ただいま。無事でよかったって、お前なんで知ってるんだ?」

「まぁ、こっちも色々あったというかね」

「後、その人誰だ?」

「通りすがりの情報提供者・・・・・・かな?」

「彼が帰ってきた途端尋問でも始める気かい?」

「尋問してもいいけどね、あんまり手荒なのは得意じゃないんだ。だから説明して欲しい」

「断る。と言ったら?」

「とりあえず、インデックスに知ってることは全部喋ってもらう」

「ちっ・・・・・・!!」

上条を置いてきぼりにして、なにやら話し始めた志貴と見知らぬ赤髪の男。

「あ、あの・・・・・・上条さんはまったく状況が把握できていなのですが?」

「私もわかんなーい」

頭にハテナマークが浮きまくっている上条とアルクェイド

「それは今からこいつが話してくれるよ」

「くそっ・・・・・・僕はステイル=マグヌス。必要悪の教会に所属する魔術師だ」

しぶしぶ、といった体で話し始める男。

「インデックスはもともと僕達と同じ必要悪の教会の一員だった。ある魔術師が根源へ至る手段として10万3000冊の魔道書を彼女へ覚えさせた、彼女の完全記憶能力を利用してな」

「完全記憶能力?あの一度見たものは忘れないって奴か?」

「ああ、存在するあらゆる魔術の知識を覚えさせ、それらを統合して根源へ至ろうとしたんだ。
しかし、魔道書を集める手段がだんだん見過ごせないものになってきて、粛清のために僕らが派遣された。そこで保護したのが彼女だ」

沈黙の中、彼は一人で滔々と話し続ける。

「しかし、保護したはいいが彼女にはある問題があった」

「問題?」

「ああ、彼女は記憶しすぎていたんだ。1年ごとに魔道諸以外の記憶を消さなければ生きていけないほどに」



157 ◆hStwx3xZ6g2011/03/07(月) 00:28:26.73lYc9vKL60 (4/5)

沈黙が部屋を支配する。誰も何も言うことが出来なかった。
あまりに衝撃的過ぎる言葉だった。

「すれ違う人の顔も、降った雨粒の数も、見たものすべてを記憶するには脳のスペックはあまりにも足りない。それを10万3000冊の魔道書によって埋められている彼女ならなおさらだ。
僕達は1年毎に彼女の記憶を消した。彼女を殺さないために、死なせないために・・・・・・
アルバムなども作ったりした。思い出してもらえるように。だが、すべてが無駄だった!!彼女は思い出せない、忘れてしまったから!!
忘れてしまうなら、思い出なんか必要ない。馴れ合いなんて必要ない。だから僕達は彼女に対して敵としての姿勢を取らざる終えなかったんだ・・・・・・」

悔しそうに口元をゆがめる男。
インデックスを助けられたことではなく、自分の気持ちを口にしてしまったような後悔。
そんな感情が彼の顔にはあった。

「これで気は済んだかい?分かったなら彼女は連れて行かせてもらいたいんだけど?」

Prrrrrr!Prrrrrrr!

ステイルと名乗った男の携帯に着信が入る。

「神裂からか・・・・・・僕が指定地に居ないからかけてきたのか?」

その電話に出ようとするステイルを上条は静止する

「待て、俺に出させろ」

「は?一体君は何を言っているんだ――」

「いいから早くしろ!」

やれやれ、といった風に携帯を上条へと渡す。
上条が通話ボタンを押して携帯を耳へと近づけると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

『もしもし、ステイル?今どこに居るのですか――』

『悪いけど、俺はステイルじゃない』

『あなたは――上条当麻・・・・・・!!どうしてステイルの携帯にあなたが、ステイルはどうしたのですか!!』

聞こえてくる神裂の怒声。しかし、上条は冷静に続ける

『ステイルなら俺達に捕まってる。返して欲しければ俺の部屋まで来い。場所は調べれば分かるな?』

『何を――』

それだけ言い終えると、上条は通話を終える。

「彼女をここへ呼び寄せてどうするつもりだい?」

「どうするってそりゃ――インデックスを助けるんだよ」

決定事項を、確定事項を、確約事項を言うように上条は言ってのけた。

助ける――と



158 ◆hStwx3xZ6g2011/03/07(月) 00:30:08.55lYc9vKL60 (5/5)

今日は以上です。続きはまた明日で

だんだん文章が酷くなってきてますね・・・・・・
文才は無いようです

かまちーやきのこの文をトレース・オンできたらいいんですけどね


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 12:43:21.5971wnXx6SO (1/1)


短い投下でも、何回か続くならどこかでageると投下がたまってる事に気付きやすいんだぜ


160 ◆hStwx3xZ6g2011/03/08(火) 01:08:54.8698vZjioc0 (1/3)

うす、>>1です
今回も短い投下です。さらに1巻部分が終わります。
ラストは端折った訳ではなく、最初からこの予定でした。
志貴とアルクを加えても原作と展開が変わらなかったので・・・・・・

>>159アドバイスありです



>>157の続き


――数十分後

神裂を交えて上条たちは計画を話し合っていた。

「それで、どうやって彼女を助けるというのですか?」

神裂とステイルは疑いの眼差しを上条へ向けている。
それもその筈、魔術を操る彼らですらも助ける事が出来なかったのだ。
それをただの一般人。それも科学サイドの住人が助けると言い出すのだから疑うのにも無理はない。
しかし、上条には勝算がある

「いいからまず話を聞け。本来の人間の脳ってのは、たった10万3000冊の文章で埋まっちまうほどやわには出来てないんだ。遠野、完全記憶能力者見た事あるか?テレビでも何でもいい」

「ああ、あるよ。それがどうかした?」

あまりに突拍子のない話に戸惑う歴々。しかし上条の話は続く

「おう、そいつ何歳だった?」

「えっ?確か40-―そういうことか!!」

突然大きな声を上げる志貴

「一体どうしたんだい?大声なんか出して」

「まったく話の意図が読めないので説明して頂きたいのですが・・・・・・」

「ああ、さっき遠野は言ってたな。完全記憶能力者が40歳位だって。この意味が分かるか?」

「いいえ、よく分かりません・・・・・・」

「いいか、通常生活を送っていても40歳まで生きている完全記憶能力者が居るんだ。たかが10万3000冊の本を覚えたくらいで、記憶が1年しか持ちませんなんて事があるか?」

「そ、それは――」

「つまり、だ。インデックスの頭の中には要領を占領してるデカブツがあるって事だ」

愕然とする魔術師達。
なぜなら、彼らは上司から偽の情報を与えられていたという事だからだ。

「それはきっと首輪のような物ね。彼女を決して自分から逃がさないようにするための・・・・・・」

そのように分析するアルクェイド。
何時になく冷静であり、激昂している。

「ああ、だからインデックスを好き勝手しようとしてる奴らが居る。ただし俺は――そのくだらない幻想をぶち[ピーーー]!!」

ここから先、特筆する事はあまり無い。
史実のように、上条当麻はインデックスの首輪を破壊して自動書記を発動させてしまう。
史実と違うのは、空から降ってくる羽に頭を焼かれなかった事だろう。
その場に居合わせた志貴とアルクェイドによって上条の記憶は焼かれることなく、失われる事なく、無事にこの1日を終える事が出来た。
また、インデックスはステイルや神裂と一緒にイギリスへ帰る事となった。
彼女が所属している必要悪の教会は、聖堂教会の中でもイギリス清教派と呼ばれる派閥に属する部署だそうだ。
異端を嫌悪するがために異端(魔術)を用い異端(魔術師)狩りをする異端の部署。それが必要悪の教会。
魔術師のコミュニティである魔術協会とも手を結んでいるらしいのだが、正直上条にはよく理解できていない。
それでもインデックスが無事であったことは上条や志貴、アルクェイドにとっては嬉しい事だった。

そういえば特筆すべき事といえば――

「ん?手紙?」

「ああ、遠野宛だぜ?なんでここへ届けられたんだか・・・・・・」

そう言って上条から封筒を受け取る志貴。
早速封を開けてみると、中に入っていたのは一枚の学生証兼ICカード。

「遠野志貴 高校2年生 能力――『一撃必殺(ワンターンキル』?」



161 ◆hStwx3xZ6g2011/03/08(火) 01:10:09.5298vZjioc0 (2/3)

やっちまった!!

>>160

――数十分後

神裂を交えて上条たちは計画を話し合っていた。

「それで、どうやって彼女を助けるというのですか?」

神裂とステイルは疑いの眼差しを上条へ向けている。
それもその筈、魔術を操る彼らですらも助ける事が出来なかったのだ。
それをただの一般人。それも科学サイドの住人が助けると言い出すのだから疑うのにも無理はない。
しかし、上条には勝算がある

「いいからまず話を聞け。本来の人間の脳ってのは、たった10万3000冊の文章で埋まっちまうほどやわには出来てないんだ。遠野、完全記憶能力者見た事あるか?テレビでも何でもいい」

「ああ、あるよ。それがどうかした?」

あまりに突拍子のない話に戸惑う歴々。しかし上条の話は続く

「おう、そいつ何歳だった?」

「えっ?確か40-―そういうことか!!」

突然大きな声を上げる志貴

「一体どうしたんだい?大声なんか出して」

「まったく話の意図が読めないので説明して頂きたいのですが・・・・・・」

「ああ、さっき遠野は言ってたな。完全記憶能力者が40歳位だって。この意味が分かるか?」

「いいえ、よく分かりません・・・・・・」

「いいか、通常生活を送っていても40歳まで生きている完全記憶能力者が居るんだ。たかが10万3000冊の本を覚えたくらいで、記憶が1年しか持ちませんなんて事があるか?」

「そ、それは――」

「つまり、だ。インデックスの頭の中には要領を占領してるデカブツがあるって事だ」

愕然とする魔術師達。
なぜなら、彼らは上司から偽の情報を与えられていたという事だからだ。

「それはきっと首輪のような物ね。彼女を決して自分から逃がさないようにするための・・・・・・」

そのように分析するアルクェイド。
何時になく冷静であり、激昂している。

「ああ、だからインデックスを好き勝手しようとしてる奴らが居る。ただし俺は――そのくだらない幻想をぶち殺す!!」

ここから先、特筆する事はあまり無い。
史実のように、上条当麻はインデックスの首輪を破壊して自動書記を発動させてしまう。
史実と違うのは、空から降ってくる羽に頭を焼かれなかった事だろう。
その場に居合わせた志貴とアルクェイドによって上条の記憶は焼かれることなく、失われる事なく、無事にこの1日を終える事が出来た。
また、インデックスはステイルや神裂と一緒にイギリスへ帰る事となった。
彼女が所属している必要悪の教会は、聖堂教会の中でもイギリス清教派と呼ばれる派閥に属する部署だそうだ。
異端を嫌悪するがために異端(魔術)を用い異端(魔術師)狩りをする異端の部署。それが必要悪の教会。
魔術師のコミュニティである魔術協会とも手を結んでいるらしいのだが、正直上条にはよく理解できていない。
それでもインデックスが無事であったことは上条や志貴、アルクェイドにとっては嬉しい事だった。

そういえば特筆すべき事といえば――

「ん?手紙?」

「ああ、遠野宛だぜ?なんでここへ届けられたんだか・・・・・・」

そう言って上条から封筒を受け取る志貴。
早速封を開けてみると、中に入っていたのは一枚の学生証兼ICカード。

「遠野志貴 高校2年生 能力――『一撃必殺(ワンターンキル』?」





162 ◆hStwx3xZ6g2011/03/08(火) 01:13:36.1598vZjioc0 (3/3)

酷い間違いをした上に1レスで終わるという残念っぷり。
そしてシエルは空気。

そんなわけで1巻編も終わり、次は2巻編ですー
それでは予告をどうぞ





















どこからともなく届いた手紙。
そして中に入っていたICカード。
そこへ書かれた志貴の能力。

そして学園都市に忍び寄る複数の影

???「ようやく見つけた。私の敵。絶対に逃がさない――アウレオルス=イザード!!」

???「果然。見つけたぞ、直死の魔眼!!」

???「分割思考――開始!!」

???「凶れ!!」

???「じゃあ、仕事をお願いしましょう。いいか、上条」

そして、訪れるもう一人の魔眼

???「お前が神様?生憎俺は――」



???「生きているなら神様だって殺してみせる!!」


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 04:18:15.71rmf/miNY0 (1/1)

ふじのん、だと?


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/08(火) 18:46:58.69VzSSSv6h0 (1/1)

おっぱいだと……


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/12(土) 19:54:04.45KcSwmDpD0 (1/1)

>>1は大丈夫かな……


166 ◆hStwx3xZ6g2011/03/14(月) 13:38:53.63Kf/gy1lG0 (1/1)

どうも>>1です。
一応被災地に入っているところに住んでいて、未だに水道とか通ってないです・・・・・・

再開はもうちょっとだけ待ってね!!


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/14(月) 13:51:14.97nDBCG4PAO (1/1)

生存報告あっただけでもめっけもんだよ
しばらく来なくてもいいから>>1気をつけてな


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/14(月) 15:19:00.61PspsB3E10 (1/1)

禁書と型月って根本的な所で設定が噛み合ってないからクロスするとなると型月の設定を壊さないといけないからなぁ


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/14(月) 20:43:29.89qyFRrlrIO (1/1)

まぁ設定が噛み合ってるのは魔術と魔法の定義位じゃない?


170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/15(火) 17:34:59.15/IacCxzDO (1/1)

一番合わないのが魔術回りの設定じゃね?

型月だと神の教え(キリスト教)と魔術は相反する要素だから、必要悪みたいなのは設定上あり得んし


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)2011/03/16(水) 02:17:39.52Ge6ing6AO (1/1)

つい昨日空境を一晩で全部読んできて予習も終わったし待つべ


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/16(水) 07:08:12.77gBUFJFVIO (1/1)

>>170
そうかもな
魔法が奇跡の類いとし括らてるくらいか


173 ◆hStwx3xZ6g2011/03/16(水) 16:46:26.99D5a0vTER0 (1/6)

うっす>>1です。
レスありがとうございます。
確かに魔術周りの設定が全然違うのでかなりこじつけ満載でお送りすることになると思います。
どうぞご容赦ください。

それでは次から投下スタートでーす。
頑張って書いたけど、恐らくかなり短いです


174 ◆hStwx3xZ6g2011/03/16(水) 16:48:36.90D5a0vTER0 (2/6)

7月28日

志貴宛に届いた身分証明書と共に、上条の寮の部屋の真上の部屋があてがわれた。
どうやら上条と同じ高校に通うような段取りになっているらしい。
不審に思った志貴が学校側に問い合わせた所、2学期から転校ということだという。
ますます怪しく思い妹の秋葉の下へ電話をしたのだが、

『勝手に何処かに行ってしまう兄さんの事なんか知りませんっ!!』

と、きつい雷を落とされたので、すぐに電話を切ってしまったのだ。
仕方なしにあてがわれた部屋で生活する事となった志貴と、連れてきた張本人であるアルクェイド。
そのアルクェイドは帰る気などまったく無く、だんだんこちらの生活に慣れ始めているようである。
奇しくもこの日は「史実」では「上条当麻が記憶をなくした日」なのだが、こちらの世界ではとても――とても平和だった。

「なんでこうなっちゃったんだろうか・・・・・・」

夏の昼下がり。夏休みの昼間ということもあってか通りには多くの学生などが見える。
そのうちの一人である――遠野志貴はホームセンターの紙袋を両手にぶら下げながら歩いていた。
中には、これから必要になるであろう日用品などが入っている。
それを購入するための資金はどこから出てるかというと、先日送られてきたICにはキャッシュカード昨日も付属しており、その口座から引き出したお金が軍資金として当てられていた。

「しかし、結構な額はいってたよなぁあれ・・・・・・何かの間違いじゃないんだろうか」

結構な額――おおよそ1000万円ほどが入金されていた。
しかも上条曰く、それは毎月入金される額との事。
なぜなら彼は――

「レベル5かぁ・・・・・・実感ないよないきなりそんな事言われても」

学園都市のトップ。7人しか存在しなかった超能力者(化物)の仲間入りを果たしていた。
一体誰がどのように測定したのかは知らないが、彼は8人目のレベル5となっていた。
能力名『一撃必殺(ワンターンキル)』として。
この事は公にはされていないらしく、誰も志貴の事を新たなレベル5だと気がつくそぶりすら見せない。

「学校ねぇ・・・・・・重複するんだけどどうなんだろう」

彼には、三咲町で通っている学校もある。
現在は夏休みだからいいが、2学期が本格的に始まるとそちらも気がかりになる。

「ともかく2学期になる前に何とかしなきゃな」

そんな志貴の視界に、ある人物が飛び込んできた。

「あれは――着物?」

この最先端科学の蔓延る学園都市で――いや、普通の生活を送っていたとしてもなかなかお目にかかれないであろう着物。
それを着た女性がこちらに向かって歩いてくる。
しかし、彼女が目を引くのは着物を着ているからではない。その上から羽織っているものが問題だった。
赤い革ジャン。そう、血のように真っ赤な色をした。
革ジャンと着物があまりにもかみ合っていないために目を引いているが容姿は悪くなく、寧ろ端正な顔立ちと何処か鋭い雰囲気を併せ持っていて、綺麗だった。
と、ここまで感じるのは恐らく一般人だ。志貴が彼女を気にしたのはそんな事ではない。

(同じ感じがする・・・・・・死に近い存在のような)

自分と似ている感覚を彼女から感じ取ったからだ。
あるいはデジャヴ。
そんな感覚がこみ上げてくる。
そして、すれ違いざまにすさまじい悪寒が背筋を駆け上がる。
まるで、出会ってはいけないもの同士が出会ってしまったかのように。
振り返れ。頭の中の誰かがそう言った気がした。
しかし、志貴は振り返らなかった。
振り返ったら、何か運命の歯車が狂ってしまいそうだったのだ。
何事も無くすれ違い、何事も無く去っていった。
そう、まだ何も無かった。



175 ◆hStwx3xZ6g2011/03/16(水) 16:49:15.64D5a0vTER0 (3/6)

「――以上のことからシュレディンガーの提唱した理論に基づいて『自分だけの現実』は構築されているわけで――上条ちゃーん聞いてますかー?」

「はいはい・・・・・・聞いてますことよー」

同じ頃、上条当麻は補習中だった。
日頃から厄介ごとに巻き込まれてるおかげで、成績はガタガタ
しかも、持ち前のバカさもあってこうして夏休みの間も補習続きというわけである。
しかも1人だけで。
最初は何かのいじめかと思った。
次は無人島に取り残された気分になった。
その次からは絶望しかなかった。
それでも、自分ひとりのために授業をしてくれる小萌のためにも、きちんと補習はサボらず受けている。

「なんで小萌先生は、俺だけのためにここまでしてくれるんですか?俺の右手の事知ってるでしょう?」

入学当初からやんちゃだった上条は、色々な事に首を突っ込んでいて、小萌とはそれで親しくなっていた。
故に、右手の所為で能力が発現しない可能性のある事を知っている小萌がどうしてここまでしてくれるのか、上条にはあまりよく分からない

「それはですねー、好きだからです」

「なるほど――ってえ!?す、すすすす好き!?で、でも小萌先生と俺とは先生と生徒の関係であって・・・・・・いや別に俺は先生が嫌いって訳じゃないんですよ?寧ろ好きな範疇というかですね――」

「授業がですけど」

「・・・・・・脅かさないでください」

くすくすと笑う小萌に対して、どっと疲れたような顔をしている上条。
そんなこんなで2人だけの補習は進んでゆく。
夏真っ盛りの昼過ぎだった。


176 ◆hStwx3xZ6g2011/03/16(水) 16:49:50.06D5a0vTER0 (4/6)

「なぁ浅上、どうして俺はお前とこんなところを歩いているんだ?」

「知りません。迎えに来るのが両義さんだって私は知らなかったんですから。てっきり黒桐さんが迎えに来るんだと思っていたのに・・・・・・」

「文句なら燈子の奴に言ってくれよ。俺だって何も聞かされてなかったんだからな」

そう言い合いながら大通りを歩いてゆく2人の少女。
片方は大人しめのワンピーススタイル。そしてもう片方は着物姿。
あまりに正反対の格好をした2人は、言い争いを続けながら歩いてゆく。

「大体なんでお前学園都市なんかにいるんだよ。超能力使えるから引っ越してきたのか?」

「違います!病気の治療のために半年に1回ほどお世話になってるんです。いつもの事なので迎えが来るなんて思ってませんでしたけど・・・・・・」

「あぁ、燈子がな『最近は物騒だからな。迎えに行ってくれ』なんて言うから何事かと思ったけどな。なんともないじゃないか」

「それで、その張本人の青崎さんはどこですか?」

「この通りを真っ直ぐ行ったところにあるホテルにいるよ。俺をパシリにして高みの見物決め込んでるんだアイツは」

と、うんざりした様子で吐き捨てる着物姿の少女。
名前は両義 式。とある人物に連れられてこの学園都市へとやってきた少女である。
その隣を歩く長髪の少女は浅上 藤乃。彼女は無痛症という病気の治療のため、学園都市を訪れていた。
そして式を浅上の迎えによこした人物。式の雇い主である人物がホテルのロビーで待っていた。

「あら式、浅上さん。遅かったわね」

と2人に声をかけたのは、燃えるような赤髪を縛って眼鏡をかけている女性。
式の上司でもあり、事務所「伽藍の堂」の所長――青崎 燈子だった。

「遅かったわね、じゃ無いだろう。こっちは炎天下の中はるばる歩いてきたんだ。そりゃあ遅くもなるさ」

「お疲れ様。これでいいか?」

眼鏡を外しながらそういう青崎。
眼鏡をつけていた時と、つけていないときの口調の違いはわざとであり、ONとOFFを切り替えているのだ。
要するに、猫をかぶっている。

「さて、浅上を無事連れ帰ってきたばかりで済まないんだが、式にはもう一つ仕事を頼みたい」

そういって1枚の写真を取り出して式へと見せる。その脇から浅上も写真を覗き込む。
写真に写っていた人物は、つんつん髪の毛を尖らせた高校生くらいの少年だった。

「こいつは・・・・・・?」

「そいつは上条当麻。ただの高校生だ」

「それで?俺はこの上条当麻とやらをどうすればいいんだ?」

「ああ、見つけてここまで連れてきて欲しいんだ」

「あのなぁ燈子、俺はお前のパシリじゃないんだ。人1人くらい自分で探してこいよ」

もううんざりだ、といった様子で青崎につっかかる式
しかし、当の青崎はなんともなしに

「私は今忙しくてな、生憎自分で迎えにいけるほど暇じゃないんだ。そんなわけで頼んだ」

それだけ言うと、青崎はさっさと自分の部屋へ引っ込んでしまった。
はぁ、と仕方なさそうにため息をつく式。
さっきまで出ていた炎天下の地獄に、このクーラーの効いた天国から出て行くのはあまりに気が重い。

「あの・・・・・・私が代わりに行きましょうか?」

と、そう言い出したのは、隣で話を聞いていた浅上である。
理不尽な命令を受けた式を哀れに思ったのだろうか、代わりに行くなどといっている。

「いい、お前は休んでろ。一応とはいえお前は病人だし、それにこれは俺の仕事だからな」

そう言うと、覚悟を決めたようにホテルのロビーからエントランスへと向かって歩いていく式。
その背中を浅上はじっと見ていた。それからぽつり

「でも、両義さん彼がどこにいるか知ってるのかしら?」

そう溢した。



177 ◆hStwx3xZ6g2011/03/16(水) 16:51:34.26D5a0vTER0 (5/6)

「疲れた・・・・・・死ぬ」

そう呟いたのは上条だった。
ようやく補習が終わって開放されたのは午後3時。いつもと同じ終業時間ではあるが、補習は変則的な時間割で行われる為、いつもよりも授業を受けている時間は多い。
さらに小萌があまりに熱心に授業を行うので、休み時間など無かったに等しい。
しかし、その地獄からも上条は生還した。精神力の殆どを引き換えにして――だが。

「腹へったな・・・・・・なんか食ってくか」

「正史」と違い、インデックスが居候していないので食費に大分余裕のある上条なので、何かを食べていく事に抵抗は無い。
何にしようか、ああハンバーガーでいいかという思考が完了するまで1秒。
上条は近くのハンバーガーショップに向けて歩き出していた。
そこで――



ぐにゃ



何かを踏んだ。
アスファルトではないかなり柔らかい感触。そう、強いてあげるならば――人間

「へ?」

恐る恐る顔を下へと向ける上条。
そこで彼が目にしたのは、長く光沢のある綺麗な黒髪。
すらりと伸びた華奢な四肢。
そして、恨みがましくこちらを見上げる端正な顔。

「痛い。それとお腹が空いた」

行き倒れている少女だった。


178 ◆hStwx3xZ6g2011/03/16(水) 16:52:43.27D5a0vTER0 (6/6)

これで書き溜め終わりっす。
短いな・・・・・・
また夜に来れるように書き溜めてきまー

なんか要望とか質問とかあったらどうぞ


179VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)2011/03/16(水) 17:46:38.84BmYiLlx3o (1/1)

志貴はLEVEL5の第何位なんですか?


180VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/16(水) 17:58:37.91ORFZKkCbo (1/1)

>>178
おつー


181VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/16(水) 17:59:08.94Rm1xJ70IO (1/1)

燈子と志貴って出会う?


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/17(木) 02:34:54.92tQSpm82Z0 (1/1)

両義じゃなくて両儀じゃなかったっけ?


183VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)2011/03/17(木) 23:59:10.61km5ISgWAO (1/1)

青崎じゃなくて蒼崎じゃね?


184VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/18(金) 08:41:37.34ZYf7C13DO (1/2)

燈子さんって眼鏡外してる時女口調じゃなかったか?


185 ◆hStwx3xZ6g2011/03/18(金) 17:55:14.07EqlOe0ot0 (1/1)

>>181
流石にそれは秘密ですw

>>182
>>183

マジ申し訳ないです。
こんな誤字するなんて・・・・・・
ちょっと17分割されてきます

>>184
たしか着けてるときが優しくて、外してるときがキツかったはずです・・・・・・




今日か明日中に投下いたしますのでもうちょっとお待ちください。


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/18(金) 20:27:19.37ZYf7C13DO (2/2)

>>185
今確認した。俺の勘違いだったスマン

続き楽しみにしてるノシ


187 ◆hStwx3xZ6g2011/03/20(日) 01:00:03.41DnReN2+B0 (1/1)

ダメだー遅筆過ぎて書きあがらんです・・・・・・申し訳ない

細切れに投下するのもあれなので、10レス位たまってから投下します

明日にはなんとか投下したい・・・・・・マジで


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道)2011/03/26(土) 02:50:23.95vsBf8PZAO (1/1)

楽しみに舞ってるんだよ


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/03/26(土) 20:05:11.22+BjOm/+n0 (1/1)

俺は舞ってるぜ


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/28(月) 22:33:27.85o6a/gMDl0 (1/5)

堕天使エロメイドでるー?


191[_Vani:lla]2011/03/28(月) 22:43:32.04Ed75TWlAO (1/1)

>>190

堕天使エロメイド姿のアルクェイド…イエスだね!


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/28(月) 22:59:26.85o6a/gMDl0 (2/5)

その発想は・・・・ありだな!!                          だったら式には、なにがにあうだろうか<じゅるり        


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/28(月) 23:07:38.28o6a/gMDl0 (3/5)

おもいついた!! ワンサイズ小さ目のブルマなんかどうだ!!?


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 23:18:24.94ZsJTW2xIO (1/1)

学校指定のスク水一択かの


195VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/28(月) 23:35:12.73cnMMPM4DO (1/1)

殺人鬼のパンツは――いいパンツ
by M.K


196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/28(月) 23:35:35.66o6a/gMDl0 (4/5)

いや、そこは、サーフィンをする時のような背中が大きく出た水着だろ!!!


197VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/28(月) 23:39:59.24o6a/gMDl0 (5/5)

うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! 番外編でもいいから海編だしてくれーーー!


198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/03/29(火) 00:01:10.55WdjJBLuAO (1/1)

色気の方向ではないが、俺はソギー+まききゅーX=すごパ(大)を期待したい


199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/03/29(火) 00:16:44.16E2T6QXHAO (1/4)

志貴と上条が会ったらどっかで仲悪くなる気しかしないなぁ~
なんかいざ修羅場になった時に上条の説教つーか理想論的なのが気にくわないとか


200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/03/29(火) 00:25:17.75rHcsRkbP0 (1/1)

そうかもしれんな、意外に上条は士郎と似てそうだし。
上条は自分の好きなように助けているっていうけど助ける奴の範囲広すぎだしな。


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/29(火) 00:43:56.64CYW6c2ZA0 (1/5)

本気で殺りあったら志貴の圧勝だろうな。 魔眼壊されてもあんま関係ないし


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸)2011/03/29(火) 13:21:47.36lJ2u0LOAO (1/1)

>>201
聖人ですら勝てるか危しいしな


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/03/29(火) 13:46:08.02E2T6QXHAO (2/4)

アルクレベルの規格外じゃなければどんな奴相手でも一撃必殺可能だしな


204[_Vani:lla]2011/03/29(火) 13:58:27.47yuyNS9tAO (1/1)

真月譚月姫2巻のような七夜モードに入った志貴に誰も勝てる気しない。


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州)2011/03/29(火) 14:42:19.61SynRcgjAO (1/1)

志貴も士郎も上条も日常生活の範囲内ならそこそこ仲良く出来るけど、極限状態になったら本質的な部分でお互いを受容出来ずに最終的には殺し合う。そんなイメージ


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/03/29(火) 15:26:50.94E2T6QXHAO (3/4)

士郎と上条は結構似てるけど、上条の不幸不幸言ってるので対立しそうな気がする
士郎にとって人のために生きること=生き甲斐だから、上条のわざわざ首突っ込んで不幸とか言ってるのとは意見合わなそう


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/29(火) 15:51:01.43CYW6c2ZA0 (2/5)

士朗VS上条だったら、身体能力で決まりそうだな まあ主人公補正で上条が勝ちそうだが。


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/29(火) 16:02:32.74CYW6c2ZA0 (3/5)

そもそも人を殺したことのない上条が殺し合いになったら、圧倒的に不利じゃね? 士朗は聖杯戦争で免疫ついているから上条よりは、いけると思うけど。


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/03/29(火) 16:45:14.50E2T6QXHAO (4/4)

まじめに何年も鍛えてさらに英霊に鍛えてもらった士郎が魔法なしでも上条に負けるわけがない
殴られたとしてもケロッとしてそうだわ

てか上条は某弓兵もびっくりの理想に溺れっぷりだよな


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/29(火) 22:20:23.89CYW6c2ZA0 (4/5)

なんか上条の男女平等パンチが洗脳技に見えてきた^^;                      説教<男女平等パンチ(顔面強打)<改心(しかし女のほうが確率が高い)            うわあああ(ドコウ                                    上条さんの悪口はもういわないよあははははははhhh


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/03/29(火) 22:35:22.23QrG6yMEAO (1/1)

>>210
とりあえず書き込むときはsage入れような


212VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/03/29(火) 22:54:25.95CYW6c2ZA0 (5/5)

スマン


213VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/29(火) 23:29:35.06rO7Cs78F0 (1/1)

>>209
その理想を有言実行してしまうのが上条だけどね。


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/03/30(水) 00:51:43.12b0oGa0DAO (1/1)

てか上条の理想って救える人はみんな救うって感じか?
説教は他人事に自分理論を押しつけてるだけだから上条の理想とは違う気がすっけど


上条は志貴より先にアルクと言い合いになるかもね
アルク「そいつらはもう人間じゃないわよ」
上条「なんであきらめるんだよ!…(中略)…そげぶ」

みたいな


215 ◆hStwx3xZ6g2011/03/30(水) 01:39:52.59tEl15kL60 (1/4)

遅くなって申し訳ない!
俺に10レス貯めるとか無理だった!

というわけでちょっと投稿する。
これからも細切れでいくんでたまったら上げるからその時見に来てください。

次レスからです



後、海とかですがこの前の飲み会みたいな感じでなら書きましょう。
これ終わったら


216 ◆hStwx3xZ6g2011/03/30(水) 01:40:56.94tEl15kL60 (2/4)

流石の上条も思考が止まった。
幾ら不幸体質で珍妙な事件に巻き込まれていたとしても、初めての体験だったのだ。
道端で行き倒れの少女と出会うなんていうことは。
そもそも学園都市で行き倒れなんてことはまずありえない。
学校に在籍している分には寮や下宿などが与えられる。
学生が大半のこの街では倒れている少女の様な年齢で行き倒れるなんてことはないのだ。
にもかかわらず目の前には倒れている少女。
いや、まだ行き倒れと決まったわけではない。
意を決して上条は目の前の少女へ声をかけた

「あのー・・・・・・大丈夫か?」

「貴方に踏まれて痛い。それに。さっきも言ったけどお腹が空いた」

帰ってきたのはそんな返事。
別段変わった返事は返ってきていない。
この少女はお腹が空いているだけだ。きっと学費を使い込んでしまったのだろう。今月末までもう少しのところをやり過ごしているのだ。
そう信じることにした。いや、信じたかった。つい先週に外部からの侵入者を計5人見ているのだ。
これ以上厄介ごとには巻き込まれたくない。

「あぁ、踏んじまって悪かった。大丈夫か?とりあえず立ってくれ]

「大丈夫。もう痛くは無い。それよりお腹が減った」

差し出された上条の手を取りながら、少女はようやく身を起こした。
改めてみると端正な顔立ちをしていた。
大和撫子のような、大人しめの表情。
そして、墨で真っ黒に染めたかのような綺麗な黒髪。
それでいて、何処か影の薄さというか儚さをにおわせる少女だった。

「お腹が減ったお腹が減ったってお前なぁ・・・・・・財布は?」

「無くした」

「無くしたって・・・・・・いつからだよ」

無くしたという少女の発言にため息をつく上条。
無くしたのなら倒れていないで探すなり風紀委員に届け出るなりすればいいものを。

「ついさっき。気が付いたら無かった」

「それで、探しにいかないのか?」

「お腹がすいてもう動けそうにない」

堂々巡りのようだ。
要するに目の前の少女はお腹が空いて空いて仕方が無く、財布を捜せないのだ。
そういう結論に達した上条は、とりあえず少女に食料を食べさせてやる事にした。

「なぁ、そんなに腹減ってるなら飯くらい食べさせてやろうか?」

「本当に?それなら。助かる」

提案した途端少女が目を輝かせる。
それほどまでに極限状態だったのだろう。
上条に続いて嬉々とした表情で、ハンバーガーショップへと入っていった。




217 ◆hStwx3xZ6g2011/03/30(水) 01:41:51.24tEl15kL60 (3/4)

「ごちそうさまでした。ありがとう」

「おう、どういたしまして」

十数分後、食事を終えた2人はハンバーガーショップの席で向かいあっていた。
上条としては彼女はもっと山ほどのハンバーガーを食べる気がしていたのだが、杞憂に過ぎなかったらしく、普通にセット1つだった。

「それで、お前名前はなんて言うんだ?」

「秋沙。姫神 秋沙。あなたは?」

「上条当麻だ、よろしくな姫神。それで財布なんんだけど、どの辺で落としたか解るか?」

「よく覚えていない。いつの間にか無くなっていたの」

「そっか。最後に見たのいつか覚えてるか?」

「多分。大通りの方だったと思う」

上条と姫神が居るハンバーガーショップは第7学区にある。
学園都市には23まで学区があり、それぞれ商業区画や工業区画などの役割分けされており、大通りと言っても、この周辺にはレジャー施設の集まる第6学区の大通りや、23の学区の中で一番広い第7学区の大通りなどが存在する。
現在は下校時刻なので、人通りも少なくなくない。
その中を探すのは、あまり得策ではない。
だからと言って、姫神を見捨てるというような考えが上条にあるわけも無く

「まぁ、とりあえず近くの通りから探してみるか?」

こくり、と頷く姫神。
案外聞き分けのいい子なのかもしれない。
そんなことを思いながら上条は席を立ち、姫神もそれに続く。
ドアを開けると、夕方の喧騒が2人を包んだ。
夏真っ盛りの夕方でも、昼間よりは涼しいほどだ。

「とりあえず、1時間くらい探してみて見つからなかったら風紀委員に届け出るでいいか?」

「・・・・・・構わない」

一瞬の沈黙の後に答えは帰ってきた。
ただ、その一瞬の内に少女の目に迷いの色があったのを、上条は見逃さなかった。

(また訳ありかよ・・・・・・)

そう思うものの、だから止めるなんてこは無論無く

「そっか。じゃあとっとと探して見つけるかー」

「・・・・・・うん」



218 ◆hStwx3xZ6g2011/03/30(水) 01:45:11.45tEl15kL60 (4/4)

「で?なんでまたお前と一緒に歩いてるんだ俺は」

「だって、両儀さん上条君がどこに住んでるか聞かないまま行っちゃうんですもの」

日も傾いた夕方。先ほどと同じペアが通りを歩いていた。
上条当麻の学校と寮の場所を聞かないまま式が出て行ってしまったため、藤乃は燈子にそれらを聞き、式を追いかけたのである。

「どうせ第7学区に居るんだろ?その辺歩いてりゃすぐ見つかると思ったんだよ」

「それで、私が合流するまでフラフラしてたんですか?」

それらを教えなかった燈子も燈子だと思い、それでも仕事に行く式も式だと思う藤乃であったが、放っておけず付いてきてしまったのである。

「まぁな・・・・・・それよりお前だって財布パクったりしてるだろ」

「なっ、人聞きの悪い事言わないでください!これはさっき拾ったから交番に届けようと思ってですね――」

「はいはい。そうかよ」

自分に都合に悪い展開から抜け出せたので、すぐさま会話を打ち切る式。
2人はそのまま歩き続ける。目的地は、第7学区にある上条当麻の住む学生寮だ。
本当なら高校に向かう予定だったのだが、既に完全下校時刻を過ぎているため学校に向かったとしても会えないであろうとして、彼の部屋へと向かっているのである。
しかし、先ほども言ったように完全下校時刻を当に過ぎているので、交通機関はすべて止まっているので徒歩で向かっている。
帰りは蒼崎に払わせる為にタクシーで帰ろうなどと黒い考えをめぐらす式であった。
そこへ――

「あれ。私の財布」

「えっ?あのーすいません。ちょっといいですか?」

話しかけてくる人物が居た。
上条と姫神であった。
お目当ての人物がいきなり目の前に現れた事で驚く式と浅上。そんなこともお構い無しに、上条は話を進める。

「その財布俺の連れのやつらしいんですけど、ちょっと確認させてもらっていいですか?」

「えっ、あぁ構いませんけど・・・・・・」

いきなり自分の持っていた財布に話題を振られ戸惑う浅上を他所に、その手から財布を受け取り姫神へと手渡す。
それを受け取った姫神は、財布を開き中身を確認する。
外側な年頃の少女らしい可愛い模様などが付いているが、中身は何か得体の知れない札などが挟まっている。
それらをきちんと確認してから

「これ。私のです。拾ってくれてありがとうございました」

「いえ、次から落とさないように気をつけてくださいね」

お互い会釈をする。どこと無く声の質が似ているように聞こえるが、恐らく気のせいだろう。
ありがとうございました、と立ち去ろうとする上条へと式が声をかける。

「お前、ちょっと待て」

「はぁ、俺ですか?」

「そうだ、お前だ。お前、上条当麻だな?」

いきなり自分の名前を呼ばれてキョトンとする上条。

「そうですけど・・・・・・あなたは一体?」

「お前に話がある奴がいる。付いて来い」

そう言うと、手を上げてタクシーを止めて、それに乗り込む。浅上もそれに従い、上条と姫神だけが取り残される。

「どうした?乗らないのか?」

「いや・・・・・・」

気遣う視線を姫神へと向ける上条だったが

「私の事は気にしないで。行ってきて」

問題ないという意思を上条へと伝え、頷く姫神。

「そっか、じゃあ行ってくるから。気をつけて帰れよ」

「あなたこそ。気をつけて」

その言葉だけ交わして上条はタクシーへと乗り込む。そして発車するタクシーを見送った姫神は、歩き始める。
第7学区のはずれにある進学塾「三沢塾]へと


219VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/03/30(水) 01:54:05.98iAOYlRfL0 (1/1)

もしかして投下終了か?
それならそれと言って欲しい


220 ◆hStwx3xZ6g2011/03/30(水) 02:19:05.80tEl15kL6o (1/1)

>>219
すいませんこれで終わりっす

面目ないなぁ……


明日も同じ位投下します


221VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/03/30(水) 15:30:09.77wikKgLmG0 (1/1)

よし舞ってる


222VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/01(金) 01:06:09.87mfpAYFyj0 (1/1)

まだー?


223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/01(金) 10:29:55.11GCpBsMkAO (1/1)

俺らのために書きためてるんだよ


少し出しゃばるけど、書きにくいならキャラを減らしちゃえば?


224 ◆hStwx3xZ6g2011/04/01(金) 23:42:04.27iXwZQMfCo (1/1)

すいません。
書くのにかなり時間かかるので、ちょこちょこ見にくる位でいいと思います。

書けたらageてお知らせするので


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/02(土) 00:10:25.31YkC7tf830 (1/2)

上条が両儀に右手で触ったら『両儀式』は消えるのだろうか? 俺的には、消えると思うけど。


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 01:46:48.54W0U88g1DO (1/1)

幻想殺し「ちょっと不思議なら神様だって殺してみせる」


ってか
式より触ったら危ない燈子さんなのは確定的に明らか


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 02:17:16.51dLMHqNheo (1/1)

完全な複製だから大丈夫だと信じてる。


228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/02(土) 22:37:00.42YkC7tf830 (2/2)

あと、魔眼や浄眼て壊されたら元に戻るのか?


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/02(土) 23:40:52.71wAeQloTAO (1/1)

戻らないんじゃね?

てか志貴の魔眼は脳がうんたらで死を理解してどうたらで生まれつきの浄眼がどうこうだった気がするから、目を触られたらどうなるか想像できんな


230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 23:40:58.75kLPdcUOIO (1/1)

そういう考察は無謀かつ無意味じゃないかなぁ


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県)2011/04/02(土) 23:41:23.463G5N9kT3o (1/1)

学園都市の能力者の能力自体を消せてないから、現象だけじゃないのかな
霊装とかは壊せるけど


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/03(日) 12:59:29.436F22IfBV0 (1/1)

なるほど、確かに現象しか消していないな。あれ?だったら、志貴と上条がくめば最強じゃね?


233VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/03(日) 18:11:34.43aohuituAO (1/1)

志貴も目とか脳に負担かかるけど宝具とか壊せるよな
志貴と上条じゃ身体能力とか格闘技能違いすぎて組んでもうまく行かない気が
てか志貴はアルクと組んどけばいいよ


234VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/04(月) 12:37:51.303FTuF6Zj0 (1/1)

宝具を志貴の魔眼で見たらそれだけでパンクしそうなんだが。士朗のは、偽物だからどうなるかはわからんけど。 


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/04(月) 23:40:32.20O2O2Q7eAO (1/1)

上条は自分の感情を押しつけるだけだからコンビ組むとか無理だろ
飛行機の機長殴ったときはビビったわ


236 ◆hStwx3xZ6g2011/04/05(火) 02:05:38.168NyWzg6q0 (1/3)

どうも>>1です。
マジ遅筆過ぎて泣けてきます・・・・・・

少し投下しますー












走るタクシーの中、重い沈黙が漂う。
前の席に着物の少女、後ろの座席にワンピースの少女と上条というように乗っている。
着物の少女は窓から外の景色を眺め、ワンピースの少女は閉じた両足の上に乗せた手をじっと見ている。
上条は一人忙しなく視線を彷徨わせていた。
いきなり知らない少女2人に連れられてタクシーへと乗車したので、居心地が悪い事この上ない。
さらには2人とも明後日の方向を向いているため、何とも話しかけにくい。
そんなわけで右往左往していたのだが、そうこうしている間に着物の少女が上条へと声をかける

「何も聞かないのか?」

その言葉にはっと顔を上げる上条だったが、聞きたい事など山ほどありすぎてなかなか言葉が出てこない。
それを見透かしたかのように、着物の少女が短く説明をする。

「お前に話があるのは、蒼崎橙子ってやつだ。どんな話かは俺達は知らない。ただ連れて来いって言われただけだからな。何か質問は?」

「いえ、ありません・・・・・・」

本当は山ほどあるのだが、前に座っている少女が知らないと言うのだから聞いても仕方の無いことだろうと割り切る。
しかし、思い出したように1つ質問をあげる。

「やっぱり1つだけいいですか?」

「なんだ、言ってみろ」

「2人の名前を教えてほしいんですけど・・・・・・いいですか」

先ほど出会ってからそのまま付いてきただけなので、2人の名前を知らない事を今思い出したので聞く事にした。
流石に、名前を知らない2人とこのまま目的地までタクシーで一緒、というのは精神的にきつかったらしい。
そんな質問に拍子抜けしたような顔というか、半ばあきれたような顔をしながらも、着物の少女は質問に素直に、しかし素っ気無く答えてくれた。

「式。両儀式だ。そっちは浅上藤乃」

極めて事務的に、聞かれた事だけ答える式。
それと反対に、上条と目を合わせて軽く会釈をする浅上。
2人に対照的な印象を覚えつつ、前の席に座る少女には何処か身近な感じを覚える。
いつも一緒に居る、嘗て同居人だった少年を彷彿とさせる感覚だった。

(なんだろうな・・・・・・志貴に似た雰囲気をしてる)

ただ、なんとなくそんな感じがするというだけで、何が似ているというのは断言できはしないのだが。
そんなやり取りをしている間に、タクシーは目的地へと到着したらしい。
運転手へと料金を支払い、タクシーを降りる式に上条と浅上も続いた。
降り際に式が何か小声で呟いていたのが耳に入ったが、特に気にも留めずに歩を進める。
目に前に立っているのは、第7学区にあるホテルである。
エントランスを抜け、ロビーのエレベーターに乗り込み上の階へとあがる。
ベルの音と共にエレベーターは停止し、扉が開く。
式の後に続き、廊下を歩いてたどり着いたのはスイートルームの1つ。
ノックもせずにドアを開けて、中に居るはずであろう人物の名前を呼ぶ。

「橙子。客だぞ」



237 ◆hStwx3xZ6g2011/04/05(火) 02:06:11.268NyWzg6q0 (2/3)

その声に反応したのは
部屋の真ん中に置かれたソファに座って、タバコをふかしていた人物。
振り返ってこちらを見る。赤い髪を後ろでまとめ、眼鏡をかけている女性――蒼崎橙子だった。

「あら、遅かったわね式、それに浅上さん。そちらが上条君?」

と優しげに声をかけてくれる。
上条は密かに心の警戒を解いた。
怪しげな男とかだったらどうしようかと思っていたのだが、予想にいいように反したためだ。

「こんにちは上条君。私は蒼崎橙子、あなたを呼んだのは私よ」

そう言って、ソファから立ち上がり、握手を求める。
少し戸惑ったが、差し出された手を握る上条。
そのまま促されソファへと腰掛ける。
後ろに居た、浅上も上条の隣のソファに腰掛ける。
式は近くの壁にもたれかかって話を聞く体勢を整えている。

「早速だけど、あなたをここへ呼んだ理由を説明するわね」

そう前置きして、蒼崎は話し出す。

「ステイル=マグヌスって名前を覚えているかしら?」

上条は身を強張らせた。
ステイル=マグヌス――それは先週学園都市に進入した「魔術師」の名。
その名が彼女から出たという事は、彼女は恐らく魔術師――もしくはその関係者という事だ。
先ほどまで緩めていた気を締めなおし、彼女を見据える

「あいつとどんな関係ですか・・・・・・?」

一言だけ蒼崎へと質問する。
彼女が自分の敵かを見極める為に。
しかし、彼女は優しい微笑みを残したまま上条の質問へと答える。

「そうねぇ、先生と教え子って所かしらね。彼がまだひよっこだった頃に私が魔術を教えてあげたってだけよ」

蒼崎が学院時代に専攻したのは「ルーン魔術」。
彼女が立て直したこの分野へとやってきたのが、まだ幼い頃のステイル=マグヌスだったのだ。
彼女が人形作りの工房を確保するまで、彼に魔術の手ほどきをした。
その後に、ステイルは新たなルーンを発見するまでに至るのだが、それはまた別の話である。

「しばらく疎遠だったんだけど、彼から依頼が来てね。あなたに手伝って欲しいのよ」

あのクソ神父面倒事に巻き込みやがって、と心の中で悪態をつく。
それを表情から読み取ったのか、蒼崎は苦笑しながらも続ける。

「シオン=エルトナム=アトラシアという魔術師を探して欲しいの」

魔術師――またその言葉から面倒事に巻き込まれると思うと、頭痛がしてくる上条だった。
そもそも、彼女達が自分に依頼をしても、それに答えるだけの義理は上条には無い。
そう思って断りの言葉を口にしようとしたが、その前に蒼崎が楔をうつ

「禁書目録からの依頼でもあるわ」

禁書目録、上条にとっては思い入れのある名前だ。
地獄のそこまでついて来てくれるかと尋ねた少女。
彼に助けてくれと頼んだ1人の少女。
そして、皆で助け出した囚われた少女。
その彼女からも頼まれれば――断る理由は無い。

「俺がどこまで力になるかは分かりませんが――お話を聞かせてください」



238 ◆hStwx3xZ6g2011/04/05(火) 02:07:18.498NyWzg6q0 (3/3)

以上っす
書きたいシーンは沢山あるのに話がすすまねぇ・・・・・・

お待たせして申し訳ないっす


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/04/05(火) 10:07:54.81sVDEA8+80 (1/1)

握手は左手?


240VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/04/06(水) 15:47:23.63AT6vci0x0 (1/1)

探し物ならこくとうに頼んだ方が・・・
右手で握手したら橙子さん死んじゃうの?


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/07(木) 00:17:30.49i+rTfS1AO (1/1)

さつきみたいに吹寄あたりが吸血鬼に噛まれるとか面白そうだよな


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/08(金) 23:52:26.46nbFohirDO (1/1)

吹寄噛まれたら死徒になってしきにやられるイメージしか湧かない


243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/09(土) 02:09:26.19nuvH57MAO (1/1)

志貴とさっちん的に上条と吹寄の会話ってのも面白いかも
上条がほぼ確実に死ぬ気がするけど


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/10(日) 03:30:34.36GXmg9R1AO (1/1)

さつき「久しぶりだね、遠野君」

学園都市で再びタタリが幕を開ける。

上条「助けてくれ、て言ったんだろ?お前も助けたいと……(以下略)」

志貴「上条、君に何が分かる」


月の夜に正義の味方と殺人貴が出会うとき、また一つの物語が始まる


みたいな話だと思った


245[_Vani:lla]2011/04/10(日) 16:37:30.05oT+IJwBAO (1/1)

タタリとか一方通行にとっては地獄だよな。


246VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/13(水) 03:26:16.49EBAMtgODO (1/1)

タタリは普通にやばい

あくせらとかそういう問題じゃあない


247VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/13(水) 18:05:06.34DZBlsYdZ0 (1/3)

アルクみたいなチートがいないと倒せない。志貴や式でも絶対無理『両義式』でも防戦一方だと思う。


248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/13(水) 18:16:48.85Qp8Ss9yAO (1/1)

待て、これは禁書とのクロスという事を考えるんだ
つまり

・アレイ☆さんが科学の力で再現した
・何たら力場がバグった
・何故か魔術を使いまくる教会の人たちの魔術
・とりあえず演算

とか考えられるんじゃないだろうか
つまり難しいことを考えたら負けってことだ


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/04/13(水) 18:21:03.32yUd3rs96o (1/2)

>>234
士郎の宝具はどれだけ投影されようが片っ端から殺して
士郎本人もやれるけど、終了後に」オーバーフロー起こして志貴本人も自滅するって作者が言ってる


250VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/13(水) 21:48:33.29w89rhhNIO (1/1)

>>247
いや七夜モードはいれば一瞬だろ


251VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/13(水) 22:34:55.96DZBlsYdZ0 (2/3)

いやタタリは殺せてもすぐ復活するし、アルトとタタリの契約を解かなきゃ倒せない。


252VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(富山県)2011/04/13(水) 22:44:24.77yUd3rs96o (2/2)

>無駄だな。タタリというカタチを無くした私はただの現象だ。
>いかに直死と言えど、現象である私を[ピーーー]事はできぬ。
>我を退場させられるのは夜明けのみ。

現象は殺せないからな
カタチになったのだけならいけるんだが


253VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/13(水) 23:00:30.04DZBlsYdZ0 (3/3)

原作のタタリって最後かなりあつかいがひどかった気がする。


254VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/14(木) 00:12:04.01d5RUr6VAO (1/3)

所詮格ゲー
しょうがない


255[_Vani:lla]2011/04/14(木) 00:39:39.91Pl7LLzaAO (1/1)

>>253

マンガのメルブラはもうちょっとワラキーに活躍して欲しかったな。


256VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/14(木) 02:35:53.95UXagX6Rn0 (1/2)

タタリがチートすぎてワラキーがしょぼく見える。ワラキーも結構強いのに


257VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/14(木) 03:27:02.564qECPEne0 (1/1)

えっ?


258VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/14(木) 10:33:32.67d5RUr6VAO (2/3)

多分ワラキアの夜とズェピアさんのことかね


259名無しNIPPER2011/04/14(木) 11:25:39.6281PYoqdDO (1/1)

>>235
遅レスですまんが、たしか前に禁書スレで上条さんには正義感はあるけど正義はないって誰かが言ってたな


260VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/14(木) 13:36:55.46UXagX6Rn0 (2/2)

そういや、アルクの髪の毛なぜ短くなったんだっけ?確かアルトに奪われてあの長さになったと記憶しているが。<あってる?


261VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/14(木) 13:46:32.26d5RUr6VAO (3/3)

確かそうだったと
で、取り返すまでは伸びないんじゃなかったっけ?


262VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/15(金) 16:53:50.27FPmOdLCX0 (1/1)


                    _,-'´ヽ
                  ,r'´>`ヽ `、
             ,r‐'''''''''''‐' 7>、:.:.:ヽ i
     r‐--‐‐‐-v''''‐i::.    :.  `'''‐-;;;! !
    l;,r'´¨¨''‐;:! .::::l:: :.:. :.__::.       〈 <>>1早く書かんと侵略するにゃ
     !ヾ7;r;./ .: .:: ::/!:..i、;-''i ! ̄ヽ    `、
     ヽ::ヽ/: .:::.::_/___ヽ!/  l !   !       ヽ
      `、:.:: .:;-"l ! `i、  l_,! _,-'’      ヽ
      _,/.:::.:/  l_,!  / `'''''''''´/.:  .:: .: :.  : i !
     // ::::::ヽ ____ ,/ ,、_丿 !::: .:::..:::: :::::. ::: l !
   // / :::::: / ヽ  `ー'′   !i::.::;イi::;ri:..:::::.:::: ll,!
    l,!l/l :::i:::i:!::::::::::`:..、     _l!;/:::''´:/ヽ:ト、i、/
    ,r‐`、!:/!!::::::::::;::::::::`''''ニ=''''¨二l,イ´_  `
   ヽ _ 〈 ′l;!ヾ;/`´`´_Y’‐''´ :.. i´ ` 、
     l,r'''''''''ヽ   /7::     ::i::!.   ヽ
    /:.     `i-'''’/:: .:.  ::. ::Y:. :.    ヽ
    !:::::..    .:l::!::::;!::: ..::::.  :::..:::!:: _,.┬‐,〉
     ヽ ______,,ノ!_!/.:::::.:::::::::...  :::::::l∠-! l<_    !
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263VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/16(土) 00:47:42.78ola5+91AO (1/3)

ところで志貴って一方さんの反射抜けれると思う?
俺は
『一方さんは死への攻撃というものを理解できない』→『抜けれる』
と思うんだが


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 01:14:27.22VVJakvg10 (1/8)

死の前にはどんな力をもってしても無意味=抜けれる
あと志貴と一方通行が戦っかたら確実に一方通行の腕がなくなる。


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/16(土) 01:16:44.348+PheaFg0 (1/2)

物理的だろうが魔術的だろうがとにかく防御無効という特性を鑑みれば、直死は効くだろうよ。
ただし、腕の動きとかナイフの動きとかをベクトル操作で線や点から攻撃を逸らされたら無意味。



266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 01:37:25.42VVJakvg10 (2/8)

>>265
すまん普通に攻撃がとどくまでに志貴の骨捻じ曲げられるわ



267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/16(土) 02:00:25.29v2rKXEAIO (1/1)

志貴なら反射膜ごと殺せるだろ
秋葉の略奪も殺してたし


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/16(土) 02:04:17.47ola5+91AO (2/3)

ここ案外人いるんだな
じゃあ秋葉の略奪は?と話をふってみる


269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 02:26:13.06VVJakvg10 (3/8)

志貴の眼で視ると朱い糸状のように見えて体にそれが体に触れるまでに[ピーーー]ことで
略奪を阻止することができる。(糸の多さは秋葉の髪の毛ぐらい)


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 02:34:37.07VVJakvg10 (4/8)

>>268
と言うか普通に>>267で秋葉の略奪を殺してると言ってるだろ


271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/16(土) 02:42:09.98ola5+91AO (3/3)

ごめん
略奪は一方さんに効くかって意味


272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 02:50:49.07VVJakvg10 (5/8)

最初は無理だろけど秋葉が調子に乗って秘密をばらせばいけると思う。


273VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 02:52:05.26VVJakvg10 (6/8)

ミスこれは一方視点から


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 03:05:58.09VVJakvg10 (7/8)

>>272
またミス(;一_一)
電気普通にはじいていたし普通にはじかれると思う



275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/16(土) 15:52:46.488+PheaFg0 (2/2)

まあ、一通さんは志貴のネタしってれば楽勝で勝てるでしょ。
瓦礫やら鉄骨やらで飽和攻撃すれば良いだけなんだから。

とはいえ、ネタを知らず反射設定なんかしちゃってた日には即死させられるな。
接近されちゃった場合、ベクトル操作でどうにかして志貴の体の動きに干渉して
攻撃点を逸らさせるくらいしか防御方法は無いんじゃないかな。
ただし、ふじのんのあれみたいにそれをキャンセルされる可能性はあるが。
もっとも、完全に近接戦になってしまうと、接触した瞬間に血流いじられて志貴即死だが。

結局、志貴は不意打ちで一気呵成に一通さんを始末できなければ、後は不利になる一方だな


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/16(土) 17:17:19.77VVJakvg10 (8/8)

まあ一方さんが志貴を殺してもアルク(相手に合わせた強さになる設定がなければ)にぶち殺されるだろうし
一方さんと志貴が本気で殺し合えば一方さんが確実に死ぬ。(勝ってもアルクに殺されるから)
アルクにこの設定があったらどうなるかはわからんがアルクは戦闘にかんしては、天才だから一方の弱点とかを見抜いて勝ちそうな気がする


277 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 02:09:57.38Sw0te/0y0 (1/6)

うっす>>1です
遅くなってすいません。投下します

次レスから




278 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 02:11:06.92Sw0te/0y0 (2/6)

上条が財布探しを始める丁度そのころ、志貴は第7学区の繁華街をぶらついていた
昼間のうちに買い物を済ませて、後は部屋で好きにして過ごそうと思っていたのだが、アルクェイドにしては珍しく昼間からどこかに行ってしまっていたのでやることがない。
仕方なしに繁華街へ出てきたのだ。

(ついでに夕飯でも食べて帰ろうか?いやアルクェイド帰ってくるかも知れないしなぁ・・・・・・)

そんなことを考えつつ、特に目的地を決めずに歩く。
これといって趣味が無いので、特に用事があるわけでもない。
唯一刃物の蒐集が趣味と呼べそうなものだが、流石に学園都市で刃物を求めるほうが無理というものだろう。
そこで、ふとわき道に目を向ける。
大きな都市ならどこにでも存在しそうな路地裏。
そんななんでもない道へと目を向ける。
特に何かを見つけたわけでもないし、音を聞いたわけでもなかった。
強いて言うなら匂い。『死』の匂いを感じとったのだ。
住んでいる大半が学生の学園都市で、警備体制もしっかりしているはずの近代都市で、嗅ぐことは無い匂い。
それを志貴はその路地の置くから感じ取った。
無意識のうちに制服のポケットに入っている七ツ夜を握り締める。
行ったら確実に面倒ごとに巻き込まれるだろう。それは分かっている。
しかし、志貴は足が路地裏へ向かうのを止めることは出来なかった。
一歩一歩慎重に、周囲の気配を探りながら路地を進んでいく。
進むにつれて濃くなっていく『死』の匂い。
そして、微かに感じられるむせ返るような臭い。
血の臭いだった。

(拙い・・・・・・これ以上行ったら確実にヤバイことに巻き込まれる――!!)

頭では理解している、しかし足は止まらない。
何かに誘われるかのように、どんどん奥まで進んでいく。
まるで、誰かに呼ばれているかのように


279 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 02:11:57.70Sw0te/0y0 (3/6)

そこで、突然視界が開けた
丁度、十字路のようなところに出たらしい。
そして見てしまった――

地面に横たわる血まみれの少女と、その傍らに立つ濁った白を。
突然の来訪者に気がついたのか、濁った白がその赤い目で志貴を見つめる

ゾクリ――!!

背中に悪寒が走った。
その目には、凶器のような目には、狂気と――狂喜が詰まっていた。
そして――

「くかかかかかかっっ!」

おかしそうに、侵しそうに、犯しそうに、笑った。
まるで、長年来の友人に出会ったかのように。

「何を・・・・・・したんだ。彼女は・・・・・・」

そう聞くのがやっとだった。
状況があまりに異常すぎて頭の理解が追いつかない。
それでも、倒れている少女がどんな状況かは、分かってしまった。
一目で理解してしまった。彼女はどうしようもなく――

「死んでるよ。俺が殺したからなァ」

こともなげに、つまらなそうに濁った白は言い捨てた。
まるで、自分が殺したのが人間ではなく、実験用のモルモットか何かのように。
そして、口元を歪めて笑う。

「お前もやりたかったか?けど、ダメだなァコイツは俺専用だからよォ」

そう言って、志貴に近づいてくる。
志貴は一歩も動けなかった。別段恐怖に固まったわけではない。義憤に駆られている訳でもない。
その濁った白と、彼と会話をしてみたかったのだ。
どうしてそう思ったのかは、自分でも分からない。ただ、そう思っただけだ。
理由など無い。あるのは本能と直感だけだった。



280 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 02:12:51.65Sw0te/0y0 (4/6)

「お前は一体なんなんだ・・・・・・?」

彼に問いかける。どうやら彼は機嫌がいいらしく、素直に答えてくれた。

「俺か?俺ァ最強だ。この学園都市で1番強い存在だ」

その返答で、志貴はとある人物を思い出す。
学園都市に7人存在するレベル5。その第1位をを。
顔写真を見たことは無いが、送られてきた資料にその名前が記載されていたのを覚えていたのだ。
最強にして最高。230万分の1の天才。その名は――

「一方、通行・・・・・・」

自分の名前を呼ばれて、一方通行はさらに嬉しそうに口元を歪める

「なんだァお前、俺のこと知ってんじゃねえか。いやァ嬉しいねェ」

一方通行が笑うたびに、志貴は嫌悪感を感じていた。
どうしてだかは分からない。しかし、それが正義感ゆえで無いことだけは、はっきりしていた。

「同類に名前を覚えられてるってのは光栄だねェ。なァ?殺人鬼さんよォ」

笑う。彼が笑う。口を歪めて、その不自然なほど白い肌と対照的に真っ赤な口をあけて、真っ赤な瞳を光らせて、笑う。
嬉しそうに、楽しそうに、感動的に笑う。
その光景に、志貴は最大の嫌悪を感じた。
ここまでくれば嫌でも分かってしまう。認めたくは無い。自分があんな奴と同類だなんて認めたくない。
しかし、彼を見ていると志貴は不安になる。自分も他人から見ればああなのではないかと
そして、彼を嫌悪してしまう。同属嫌悪をしてしまう。
それが顔に表れていたのか、一方通行は残念そうな顔をする

「おいおい、そんなに嫌そうな顔すんなよ。同属だぞ?仲良くしようぜェ」

「残念だけど、そいつは出来ないな。俺は人を殺したことがないから」

「そんなあからさまな嘘つくなよ、悲しくなっちまうぜェ」

言葉とは反対に楽しそうな表情を崩さない一方通行
まるで、値踏みをするかのように嘗め回すように、志貴を眺める。
そして、志貴の肩に手を置く。


281 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 02:14:08.36Sw0te/0y0 (5/6)

瞬間――、志貴はその手から逃れるように屈み、ポケットから七ツ夜を抜いて一方通行へと突きつける

「そんなナイフじゃァ俺は殺せねえよ。まぁ、この世に存在する武器じゃ俺は殺せないんだから落ち込むこたァねえよ」

眼前にナイフを突きつけられているのに、まったく物怖じする様子を見せない。
それどころか、ますます楽しそうな表情を浮かべる。

「折角同類に会ったんだし、あんまり殺したくねェんだけどよォ、ちょっと我慢できそうにねーわ」

視線を志貴へと向ける。真っ赤な瞳が志貴を見つめる。
まるで、獲物を狙う蛇のように。
交錯する視線。しかし、状況は唐突に終わる。

「それ以上は実験への支障がでます。とミサカは一方通行へと警告します」

唐突に響く少女の声。
その声が聞こえたとたん、一方通行は嫌そうな表情をする。

「チッ、わーってる。ただの冗談だ」

「そうですか、ならミサカはこれで失礼いたします。とミサカは報告しつつ立ち去ります」

突然現れた闖入者は、一方通行へと一言告げると、すぐさま立ち去ってしまった。
普通に考えると、一般人のようだった。彼女の容貌を除けば、だが。

「どうして・・・・・・彼女は・・・・・・」

その容貌は、地面に倒れている少女と瓜二つだったからだ。
双子、というなら理解できないことも無い。
しかし、血のつながった姉妹なら、倒れている片割れをそのまま置いて帰ったりしないだろう。
ならばなんだ。彼女は――彼女達は一体なんなのだ?

「あいつらはそういう奴だ。気にすんじゃねェ」

それだけ言うと、興ざめしたのか一方通行はすぐにその場を立ち去った。
暫く呆然としていた志貴だが、彼が立ち去ってから1,2分してから、ようやく動き出した。
もやもやとした気分を引き連れて、路地裏から抜け出した。
街は、うだるような暑さだった。



282 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 02:16:44.88Sw0te/0y0 (6/6)

以上ですー

レス数を稼ぐために細かく区切ったりとかしてねえよ?

そんなわけで次は明日投下っす。
意外と人いてびっくり
期待に答えられるようがんばります


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/17(日) 03:01:37.429f4/iTEAO (1/1)

頑張れ

上条との絡みより一方通行との絡みに期待


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/04/17(日) 03:58:11.34UDbF7V520 (1/1)

一方さん、全力で殺しを楽しんでるな
腕の一本でも切り落とすかと思ったが命拾いしやがったか


285 ◆hStwx3xZ6g2011/04/17(日) 10:14:21.13Sw0te/0yo (1/1)

なんか違和感と思ったらンになってなかったよ・・・

今日も同じ位に投下します


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/17(日) 15:11:25.02QtTc7UZT0 (1/1)


         / ̄ ̄ ̄フ\               _       ノ^)
       // ̄フ /   \            .//\     ./ /
      //  ∠/  ___\___  __//   \   / (___
    // ̄ ̄ ̄フ /_ .//_  //_  /      \./ (_(__)
   // ̄フ / ̄////////////         |  (_(__)
 /∠_/./ ./∠///∠///∠//      ∧ ∧ /) (_(__)
∠___,,,__/ .∠__/∠__/∠__/       (´∀` ( ( (_(___)
\    \ \/ ̄ ̄ ̄フ\ \ \_ \  _   /⌒ `´  人___ソ
  \    \ \フ / ̄\ \ .//\  //\ / 人 l  彡ノ     \
   \ _  \//___\/∠_  //   < Y ヽ ヽ (.       \
    //\///_  //_  ///     人├'"    ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   //  //.////////∠/      ヽ-i ヽ__  ヽ
 /∠_//./∠///∠// .\\       `リノ ヽ |\  ヽ
∠____/.∠__/∠__/∠フ\.\\      c;_,;....ノ ヾノヽ__ノ

おもしろかった次も期待している!


287 ◆hStwx3xZ6g2011/04/18(月) 01:46:07.77F8zMgL0E0 (1/5)

今日の分投下しまー

次レスからです


288 ◆hStwx3xZ6g2011/04/18(月) 01:47:06.91F8zMgL0E0 (2/5)

蒼崎から詳しい説明を受けた上条は、寮へと帰る帰路へとついていた。
話を終えて外へと出ると、すでに太陽は沈んでおり、仄暗い闇がひろがっている。
先ほどの話を思い出しながら、どうして首を突っ込んでしまったのかと後悔し始めていた。

「シオン・・・・・・なんです?」

「シオン=エルトナム=アトラシア。とある魔術結社に所属する魔術師よ」

日本人ではありえない長い名前を、蒼崎は上条へと言い聞かせるように繰り返す。
魔術結社、という聞きなれない単語についても、丁寧に説明する

「魔術結社というのはね、魔術師達が作るコミュニティのことなの。魔術の管理や隠匿をし、研究成果を狙う外敵に抵抗するための武力を持ち、魔術の更なる発展のための研究機関を備える。これが魔術結社の概要。大小の差はあるけどね」

「それで、そのシオンさん――でしたっけ、その人がどうかしたんですか?」

魔術結社についての説明は把握できた上条だったが、問題はそこではない。
その目的の人物を、どうして探さなければならないという理由が重要だ。

「彼女はその結社の研究成果を盗み出して逃走中なの。だからそれを捕まえてくれって依頼がきたわけ」

逃走中。捕縛。物騒な単語が次々と上条を襲う。
もっと普通の人探しを期待していた上条にとっては、この時点で後悔し始めていた。
魔術師と聞いたので、面倒ごとには間違いないと思っていたが、逃走者の捕縛などただの学生である上条が関わるべき事柄ではない。
魔術結社という組織があるのなら、その組織に任せておけばよいのだ。



289 ◆hStwx3xZ6g2011/04/18(月) 01:47:39.86F8zMgL0E0 (3/5)

「それなら、その魔術結社ってとこに任せておけばいいんじゃないんですか?魔術師同士のほうが探しやすいでしょ?」

「それがそうも行かなくてねぇ」

と、蒼崎が嘆息の声を上げる。
確かに、上条が言うことはもっともである。しかし、それで対応しきれないからこそ、外部へと依頼があったのだ。

「その魔術結社の本拠地はエジプトにあるの。だからあんまり東洋の方にはコネクションも無くてね。探すあてもないから外部へと依頼がだされて、私たちまで回ってきたの」

確かに、それならば納得できない話ではない。
そこで、今まで黙って話を聞いていた式が口を挟んだ。

「それならコクトーにやらせればいいんじゃないのか?探しものはあいつの得意分野だろうに」

コクトーとは言わずとも、蒼崎の事務所に所属する黒桐幹也のことだ。
彼は探し者が得意であり、厳重に隠されている蒼崎の事務所を自力で特定しまったのだ。

「式、あなたは進んで黒桐君を危ない目に合わせたいの?」

「それは・・・・・・」

途端に、口をつぐむ式。
流石に最愛の人を、魔術師同士の抗争には巻き込めないのだろう。

「そういうわけで、代わりに上条君、君にお願いしたいの」

突然話を戻されてきょとんとする上条。
どうしてそういうわけに繋がったのか、話が見えてこない。

「どういうことですか・・・・・・?」

「彼女の最終目撃証言があったのは、この第7学区のはずれにある三沢塾なの」



290 ◆hStwx3xZ6g2011/04/18(月) 01:48:15.22F8zMgL0E0 (4/5)

三沢塾、全国トップのシェアを誇る大手進学塾だ。
最近になって学園都市にまで進出してきて、この第7学区のビルに支店を構えている。
その第7学区でシオンが目撃されたというのだ。

「私たちでは塾への侵入は難しい。けれども学生であるあなたなら、怪しまれること無く塾の中へ入ることが出来るわ」

確かに、外部の人間である蒼崎たちは進学塾である三沢塾には入りにくいだろう。
しかし、学生である上条ならば進学塾へ行くのはなんら不自然ではない。

「それに、上条くんには不思議な右手があるっていうしね」

上条の右手の幻想殺しならば、おそらく魔術師に対しては強力なアドバンテージになるだろう。
初見ならば、まず見破られることはない。

「いつ行くかはあなたに任せるけど、行くならここへ連絡して頂戴」

そう言って蒼崎は名刺を取り出し上条へと手渡す。
受け取った上条はそれを財布へとしまう。

「さ、お話は以上よ。そうそう、終わったらちゃんと手伝ってくれた報酬があるから期待してくれていいわ」

そういって蒼崎は上条を部屋の出口まで送る。
上条が蒼崎に背を向けて、出口をでようとしたとき、ふと蒼崎が問いかけた

「上条君、第3位にそっくりな女の子って知ってる?」

第3位、恐らくいつも絡んでくるビリビリ中学生こと御坂美琴のことだろう。
彼女に双子がいるなんて本人の口から聞いたことは無い。

「知りませんけど・・・・・・?それもなにか関係あるんですか?」

「いや、なんでもないわ。ちょっと聞いてみただけだから、気にしないで頂戴」

と、蒼崎はなんでもないようにこの話題を終わらせた。

「それじゃあ、気をつけて帰って頂戴」

といいつつも、キチンとタクシー代を渡しているあたりが大人の対応というやつなのだろう。
それに従って、大人しくタクシーで帰ろうと決めていた上条だった。




291 ◆hStwx3xZ6g2011/04/18(月) 01:50:02.96F8zMgL0E0 (5/5)

以上です。

一方通行と志貴の絡みはノリノリでアドレナリンでまくりだったのに、上条さんが出てくると一気に筆が鈍ります・・・・・・

次の更新はとりあえず今週中ってことで

書き溜め出来るといいなー

それでは


292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/18(月) 02:45:27.33h1+eHyJDO (1/1)

ジャン*コクトーさんはぶられますた


293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/04/18(月) 02:55:33.504wRheMNe0 (1/1)

自己の研究は自己にのみ公開する
公開したから追われてるんじゃなかったっけ?


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/18(月) 03:39:56.13EqkVjE/z0 (1/1)

 残念!式のデレの可能性は、なくなってしまった!


295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/24(日) 21:26:45.40egn8jrVDO (1/1)

式デレがないとか…

\(^o^)/オワタ


296 ◆hStwx3xZ6g2011/04/25(月) 01:08:00.79Y5LKd9nQ0 (1/5)

投下!!次レスから!!



297VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(山口県)2011/04/25(月) 01:08:36.789HDlLYN9o (1/1)

待ってた!


298 ◆hStwx3xZ6g2011/04/25(月) 01:08:44.08Y5LKd9nQ0 (2/5)

人通りの少なくなった道を、志貴は歩いていた。
先ほど一方通行に言われた言葉が頭から離れないのだ。
殺人鬼、同属、この2つの単語が脳内をぐるぐる回っている。
去年の自分の暴走と、先ほどの言葉が重なる。
アルクェイドを、愛する彼女を殺してしまった瞬間が、フラッシュバックして脳裏に焼きつく。
気分が悪くなってのか、壁に手をついて苦しそうな呼吸を繰り返す。
そしてまた歩き出す。さっきからずっとこれの繰り返しだ。
志貴の足は一応寮の方へと向いているのだが、一向に歩が進まない。
そのままふらふらと細い道へと入っていく。
特に目的もなく、おぼろげな足取りで路地を進んでいく。
先ほどの路地よりは広めの、しかしやはり人通りのない裏路地だった。

「偶然、貴様――直死の魔眼か?」

道の中ほどまで言ったところで、志貴の背後から声がかけられた。
振り返ると、白いスーツを着た長身の男性が立っていた。
特徴的な緑の髪は、オールバックとして後ろに撫で付けられており、精悍な顔立ちをしてはいるが、その表情にはどこか狂気が浮かんでいた。
静かな瞳は志貴を見据えており、その口元には若干の笑みが浮かんでいる。
そしてそこから覗くのは鋭くとがった犬歯。
志貴にとってはあまりにも見慣れた異常だった。
そう、まさに彼は――

「あんた、吸血鬼か?」

去年、彼が対峙した地上最強の生物。
人の血を糧に生きながらえる化け物。
そして、この世界の異端中の異端。
それが吸血鬼だ。



299 ◆hStwx3xZ6g2011/04/25(月) 01:09:20.91Y5LKd9nQ0 (3/5)

「瞭然。私が吸血鬼だとして、少年、君はどうするかね?」

眼鏡を外しつつ、志貴は答える。

「どうもこうも――ここで殺すだけだ」

言うが早いか、志貴はポケットの七ツ夜を右手で掴み、神速の勢いで走らせる。
しかし、相手の吸血鬼はバックステップのみで、それをひらりとかわす。

「慨然。今日は君と戦いたくないのだよ、直死の魔眼。まだ私は本調子ではないのだ」

反撃に、吸血鬼はスーツの袖口から取り出した投擲ナイフを志貴へと投げつける。
それらは、常人の動体視力では捕らえられないような速さで志貴へと飛来する。
しかし、志貴は造作もなくすべてを七ツ夜で弾き、地面へと叩き落す。
キィン、と金属同士がぶつかる甲高い音が、夕闇の路地裏に響いた。

「陰然。流石に、直死の魔眼の使い手はただの人間ではないということか」

まるで予想道理であったかのように、しかし少しだけ嬉しそうに吸血鬼は言った。
そして、右手を軽く上げて、何かを呼ぶような仕草をする。

「なにを――っ!?」

一拍遅れて志貴は周囲の異変に気がついた。
殺気の数が増えているのだ。それもかなりの数に。

「確然。言ったろう、私はまだ本調子ではないと。故に君の相手はそれらが引き受ける」

そういって姿を現すのは、吸血鬼によって血を吸われた者たちの成れの果てだった。
うつろな表情をした彼らは、志貴をその視界に納めると、一斉に襲い掛かってきた。
少なく見積もっても十数名それらを一度に相手にするには、志貴でも手間取る。
そして、その隙に――

「悠然。私はこれで失礼させていただこう」

言ったかと思うと、吸血鬼は姿を消していた。
死人たちに囲まれている志貴にとって、その逃走先の視認など不可能だった。

「――いいぜ、今日は機嫌が悪いんだ」

そう言って、七ツ夜を逆手に構え、死人の群れと対峙する。
いつになく精神が高揚している。
そう、先ほど一方通行と対峙した時と同じように。
殺し尽くせと、脳のどこかで叫んでいる。
今だけは逆らう必要は無い。好きなだけ殺していい。
殺戮だ。殺戮を開始しよう。
気の向くままに、おもむくままに、殺して殺して殺そう。
今の志貴の考えはそれだけだった。
そして、路地裏の殺戮が始まった。



300 ◆hStwx3xZ6g2011/04/25(月) 01:10:00.23Y5LKd9nQ0 (4/5)

同じ頃、一方通行もまた対峙していた。
彼女は、はいつも殺している少女とは違う風貌をしていた。
真っ赤な髪を後ろでまとめ、タバコをふかし、片手には大きなトランクを下げていた。
年齢は若く見えるが、実年齢は分からない。どこか仙人のような雰囲気を感じさせる女性だった。

「君が一方通行か。なるほど、面白いな」

「あァ?誰に向かって口聞いてンのか分かってのかよオ・バ・サ・ン?」

先ほどの少女の介入によって激しく機嫌を悪くしているところへ、彼女――蒼崎橙子が現れたのだ。
それも――

『量産された人形ではなくて、私のお手製の人形と遊んで行かないか?』

そんな言葉とともにだ。
悪かった一方通行の機嫌がいっそう悪くなり、そして現在に至っている。
しかしながら、まったく悪びれた様子もなく、蒼崎どうやってか、その手に持っていた小さなトランクから1体の人形を取り出した。
その人形は和服を着ており、どことなく――両儀式を連想させた。
そして、死を連想させた。
人形を見た瞬間に、一方通行の表情が変わる。
先ほどまでのつまらなそうな表情から、嬉しそうで楽しそうな表情へと一変してたのだ。

「いいねェいいね、最っ高だねェ!!」

嬉しそうに笑い声を上げる一方通行。

「所詮人形なンざどれでも同じだと思ってたけどよォ、そいつはァ間違いだったな。何せ、こンなに楽しくなってきちまったンだからよォ!!」

狂気の具現が狂気して吼える。
獲物を見つけて吼える。
そして宣言する。

「いいぜェ、殺して解して並べて揃えて晒してやンよォ!!」

「殺して解して並べて揃えて晒せるもんなら、殺して解して並べて揃えて晒してみな!!」

激突が起きた。



301 ◆hStwx3xZ6g2011/04/25(月) 01:11:43.31Y5LKd9nQ0 (5/5)

以上で終了です。眠いと日本語不自由だな
いつもながら、志貴と一方さんはノリノリで書いてます。
自分でも無意識に妹達編突入してました。あまり調子に乗らないようにしないと・・・・・・

そんなわけで次回もお楽しみに。


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東)2011/04/25(月) 02:01:12.35v+p0s3gAO (1/1)

戯言厨?


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(三重県)2011/04/25(月) 02:13:51.89HBlm1Ng50 (1/1)

良かったな、一方さん
くすんだ赤なんて言ってたらぶち殺し確定してたぞ


304843の男2011/04/25(月) 13:51:01.98H9LbRbAP0 (1/1)

識て動いたっけ?映画しか見たことないからわかんね。


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西地方)2011/04/26(火) 01:02:21.83etI2isiz0 (1/1)

843の男は消し忘れ


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/03(金) 13:37:27.65/0HrJpPSO (1/1)

元気か?


307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/06/04(土) 11:38:58.94qdHkwcuSO (1/1)

三ヶ月音沙汰無しでHTML化だから、見てたら生存報告だけでもしたほうが良いよ


308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/05(火) 00:02:52.92vJEHBgoDO (1/1)

このスレには期待してる


309 ◆hStwx3xZ6g2011/07/20(水) 17:49:48.48G74lnPyqo (1/1)

お久しぶりです。
スランプです。投下はまだちょっと出来そうにないです・・・

お待たせして申し訳ないです


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/07/21(木) 11:03:25.27jnY1EEbSO (1/1)

きてたああああ
もうダメかと思ってたよ
急かしはしない、待ってる


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)2011/08/21(日) 21:18:11.15hJLHpyq/o (1/1)

心配になってきた


312 ◆hStwx3xZ6g2011/09/17(土) 22:35:43.09L51XWbZR0 (1/4)

しかし、というのもなんだかアレなのでここは案の定ということにしておきたい。一方通行が実験以外での戦闘を許されているはずもなく

「一方通行、即時に戦闘行為を終了してください。これ以上の戦闘は実験に支障が出ます。とミサカは報告します」

どうやって嗅ぎつけたのか、妹達数名が既に現場に到着していた。

「あァ?実験動物(モルモット)風情が俺に意見しようってのか?」

大好きなお遊戯を邪魔された子供のように不機嫌な顔つきになる一方通行。一般人ならその場で回れ右をするところだが、妹達は顔色一つ変えずいつもの無表情を貫いている。

「一方通行、戦闘行為を即時に終了してこの場から離れてください。とミサカは再度警告します」

「チッ・・・・・・」

軽く舌打ちをして踵を返し、路地から立ち去って行く一方通行。その後ろ姿と姿と妹達を見比べながら蒼崎は小さくつぶやいた。

「結局君はお人形遊びが大好きな子供なわけだ・・・・・・」

「そこのオバサ・・・・・・いえお姉さん。あなたもここから離れて下さい。とミサカは忠告します」

「ほほぅ・・・・・・君たちはそんなに死にたいのか?ん?」

ピクピクとこめかみに青筋を浮かべながら蒼崎は妹達へと向き直る。

そこにいるのは、能面のような無表情を顔に張り付けた全く同じ外見の少女達だ。

「一つだけ質問したいのだが、いいかな?」

「実験に関わること以外ならお答えしましょう。とミサカは簡潔に返答します」

抑揚のない声。ぶれない瞳。変わらない表情。まるで工場で大量生産されている人形の様でさえある。

そこへ蒼崎は一言投じる。全く動きのない水面に向かって一つの石を投げ込むように。

「君たちは生きているかい・・・・・・?」


――――


313 ◆hStwx3xZ6g2011/09/17(土) 22:37:21.65L51XWbZR0 (2/4)

「不幸だ・・・・・・」

既に口癖となっているその言葉を呟き、上条当麻は歩いていた。

タクシーで帰る算段を立てていたのだが、来るタクシーのどれもが満車となっていては拾えるはずもなく――

「結局歩いて帰るしかないんだよなぁ・・・・・・」

既に最終下校時刻は過ぎており、バスや電車は既に走っていない。寮まで帰るには己の足を駆使するほかないのだった。

ここから自分の寮までの距離を考えると――あまり考えたくはないが――いい運動になる距離だ。

「ついでに夕飯の買い物もしてかねぇとなぁ――ん?」

今晩の夕飯を冷蔵庫に残っているもやしでどう勝負するか考えるために、上条の脳が回転を始めようとしたその時だった。

目に見覚えのある少女を発見したのだ。それは――

「姫神・・・・・・?」

こんな時間に何をしてるんだろう、とか、家に帰ったんじゃなかったのか、と色々な疑問が上条の脳内を席巻する。

そうこうしているうちに、先を歩いている姫神は路地を曲がって姿を消してしまった。

「あっ、ちょっ」

声を掛けようとしていたので、上条は慌てて追いかけた。先ほど姫神が曲がった路地を曲がると、眼前に飛び込んできたのは――

「・・・・・・三沢塾」

全国トップのシェアを誇る大手進学塾。学園都市に進出してきたその支店。

そして、探し人であるシオン=エルトナム=アトラシアが潜伏している砦であった。

姫神はこの建物に入ったのかどうか、確証はない。しかし上条はえも言われぬ胸騒ぎを感じた。

まるでその建物に誘われているかのように・・・・・・

「はぁ・・・・・・」

ため息のような呼吸を一息入れ、上条は三沢塾へと歩を進めた。自動ドアをくぐり、三沢塾へと足を踏み入れ彼が見たのは――

「フツーの塾?」

上条の眼前に広がるのは、どこにでもありそうな塾の待合室の風景だった。

休み時間なのかソファーに座って談笑する生徒。此方を見ながら「あの子一体なんなのかしら」的な視線を投げかける受付のお姉さん。

全てがごくありふれた光景であり、とても魔術師が侵入している雰囲気ではない。とりあえず聞いてみるのが一番かと思い、受付まで歩いて行く。

途中足の裏に違和感を覚えたが、なんなのか原因は解らない。

「あのーすいません、ちょっといいですか?」

「はい、どうされました?」

「あの、この塾にシオンさんっていますか?」

シオン、その言葉を発した瞬間、全ての視線が上条へと集まった。

その場に存在する上条以外の全てが上条を見つめていた。



314 ◆hStwx3xZ6g2011/09/17(土) 22:38:29.22L51XWbZR0 (3/4)

「えーと、どうしたんでせうか?」

あまりの事態の急変ぶりについていけず、目を点にしていた上条だったが振り返ろうとした瞬間――

「危ない」

との言葉とともに

パン

一つの銃声が響いた。

「え?」

直後に何か重たいものが落ちる音。振り向いてみれば、足元には先ほどまでソファーで談笑していた生徒の一人が倒れていた。

その身を血の海に沈めて。

「・・・・・・おいおい、なんの冗談だよこれは」

いきなりの出来事に、上条の思考が硬直する。気がつけば体も小刻みに震えていた。

目の前で人が死んでいる。どうしたらいいのだろうか。風紀委員に連絡?いやそれよりも警備員の通報しなければ。でも携帯壊しちゃったし。ここの人電話貸してくれるかな

「上条君。こっち」

いきなり名前を呼ばれ、ビクッと反応する。顔をあげてみるとそこに立っていたのは

「姫神・・・・・・」

昼間知り合い、先ほどまで追っていた少女、姫神秋沙だった。しかし、上条の知る姫神とは異なる点があった。

両手に持った白銀のもの。それはまるで

「拳銃・・・・・・なんで姫神がそんな物持ってるんだよ」

「話は後でするから。とにかく一緒に来て」

手を引かれ、一緒に歩き出す。状況が全く理解できない上条はただただ、姫神についていくばかりだ。

「ふせて」

突如そういうと、姫神は両手に持った拳銃を構えた。

言われた通りに両耳をふさいでその場にしゃがみこむ。それと同時に、姫神の銃が火を放った。

ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドンドン

姫神の両手に構える獲物から絶え間なく銃弾が放たれる。次々と飛びかかってくる塾生を撃ち抜いて行く。

頭を、胸を、腹を、腕を、足を的確に射抜いていく。

弾切れになる前に巫女服の袖口から弾倉を取りだし、リロードする。

撃つ、穿つ、砕く、千切る、吹き飛ぶ。

大量の死が、姫神秋沙という少女を中心にばら撒かれていた。

気がつけば、上条は蹲っていた。現実離れしすぎた現実からその両目を反らしていた。

魔術程度の非現実なら体験した。しかし、人が死ぬような非現実は知らない。

そんなものはテレビの画面の中で起こっていることだ。自分には全く関係ないことだ。

目の前の出来事は夢だ。全て虚構だ。きっと目がさめればいつもの自分の寮なんだ。

いくら偽善使いと言っても人の死なんか関係ない。自分とは縁のない遠い世界の事なんだ。

だから早くこの悪夢から――――

トントン

上条お肩を優しく叩いた人が居た。

「もう大丈夫。終わったよ」

そう言って手を差し伸べてくる。彼女だけは初対面と変わらないのに、変わらないはずなのに、どうして――どうして

「姫神・・・・・・」

こんなにも彼女は血に塗れているのだろうか。


315 ◆hStwx3xZ6g2011/09/17(土) 22:39:56.06L51XWbZR0 (4/4)

ちょっとだけ書けましたんで投下しておきます。

スレが落ちない程度にはぼちぼち書きすすめていくつもりです。


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/09/18(日) 01:20:38.35UYXO5Qec0 (1/1)

まってましたー
これからも期待してる


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2011/10/08(土) 19:34:02.48jwkafvaAO (1/1)

追いついたおつおつ


318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県)2011/10/16(日) 09:34:03.50MR1jHvpC0 (1/1)

おつ



319VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/10/28(金) 20:50:55.05+wAiTsDDO (1/1)

おつ


320VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/17(木) 12:14:33.4373P/MdJDO (1/1)

おつ


321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)2011/11/30(水) 13:53:19.426bdWqX/k0 (1/1)

追いついたぜ乙


322 ◆hStwx3xZ6g2011/12/01(木) 23:40:51.71D4wJDf2p0 (1/4)

お待たせして申し訳ないっす。

ちょっとですが、とりあえず一区切り着くとこまで投下しますね


323 ◆hStwx3xZ6g2011/12/01(木) 23:42:14.28D4wJDf2p0 (2/4)


「ここまで来れば大丈夫。だと思う」

そういって姫神は歩を止めた。ここに来るまでに何度も先ほどのような襲撃を受けた。

その度に彼女はこれを撃退していたが、その顔には疲れの色一つさえ見えない。

反対に、上条の顔色は真っ青だった。あれほどの激戦を何度も受けたら彼でなくとも、一般人はそうなるであろう。

「大丈夫?酷い顔色」

心配そうに上条の顔を覗き込む姫神だが、それに対して上条は返事さえも出来ない。

ただ肩を上下させ、空気の出し入れをするだけだった。

その様子を見た姫神は壁にもたれかかり、静かな声色で話し始めた。

「さっきから私達に襲い掛かってくるのは死徒。いわゆる吸血鬼と呼ばれるモノ」

吸血鬼。人間の血を喰らい、闇夜をを闊歩するナイトウォーカー。人間を超越た化物。

それが、先ほどから上条達に襲い掛かって来ていたモノの正体だった

「吸血鬼・・・・・・?」

上条は脳裏に一人の女性が思い描いた。真祖の姫、アルクェイド・ブリュンスタッドだった。

彼女は以前自分の事を吸血鬼だと明言していた。しかし、上条は彼女が血を吸ったりしているところを見てはいない。

ましてや、こんな残酷な事をする人間だとも思っていない。

「そう。世間一般に吸血鬼と呼ばれるものの特徴を兼ね備えた吸血鬼。それが死徒」

「死徒・・・・・・でも、なんだってそんなやつらが学園都市なんかに――」

「さぁ。それは解らない。けれど今までのは正確には死徒じゃない。死徒が餌として食い散らかしたものが動く死体になったもの。だから。親玉がいるの」

そう言ってから一拍置き、姫神は言った

「私は。その親玉を殺さなきゃならない。アウレオルス=イザードを」

「殺す・・・・・・?」


324 ◆hStwx3xZ6g2011/12/01(木) 23:42:52.23D4wJDf2p0 (3/4)

あまりにも非日常。あまりにも不正常。あまりにも異常。あまりにも無秩序。

日常に生きる上条にとっては、先ほど初めて色濃く感じた『死』という恐怖。

姫神秋沙はそれを他人に与えるという。そんなことは彼には許容することはできない。

殺されるアウレオルス=イザードが哀れなのではない。殺す姫神が哀れなのだ。命を殺したという罪を一生背負っていかなければならない彼女が。

「殺すって・・・・・・姫神が?」

「そう。私が殺す」

絶句する。姫神はとても静かに、呼吸をするかのように自然に言ってのけた。

その冷静さが、冷徹さが、冷然さが、とても怖ろしいもののように感じられた。

「っでも、なんで姫神なんだ。それにお前は一体――」

「私は教会の代行者。理由はそれだけで十分」

代行者――教会の異端審問員であり、教義に存在しない「異端」を力ずくで排除するモノたち。法王を支える百二十の枢機卿たちによって立案された、武装した戦闘信徒。

それらは主の教えに反するものならば、なんであろうと――殺す

「なんだよそれ・・・・・・」

どうして姫神が、いったい何故、どうして、何故、何故、何故

疑問の言葉が上条の脳内を駆け巡る。しかしそれらが口から吐き出されることは無い。

何を言っても仕方が無いと理解してしまったから。自分ごときの言葉では彼女は揺らがないと解ってしまったから。

だから、もう何も言うことは出来ない。

「解ったのなら。下まで送るから着いてきて」

上条は言葉を発しない。否、発することができない。

自分とはまったく違う世界に生きて、全く違う信念を持っている。そして彼女にはその信念を貫く力がある。

ならば――自分は用無しだ。

最後に

「なぁ姫神。お前は寂しくないのか?」

「寂しくないわ。寂しさなんて忘れてしまったから」

「そうか……」

それだけ言うと、上条は黙って立ち上がった。

それを姫神が出口まで先導して行く。

先ほどと違って食屍鬼の襲撃は無い。ただ二人の足音だけがリノリウムの床から反響する。

無言のまま正面の出口にたどりついた。

「街の中なら安全だから」

「あぁ、ありがとうな」

たった二言の言葉だけを交わして二人は背を向けあい――そして歩き出した。



325 ◆hStwx3xZ6g2011/12/01(木) 23:51:26.17D4wJDf2p0 (4/4)

制限が80行になってから中身が少ない気がしてならない・・・・・・

次は来週までには


326VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県)2011/12/02(金) 00:10:07.26hjOpjhHPo (1/1)

乙でした
久々ですね


327VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関東・甲信越)2011/12/02(金) 01:28:52.84Uqrf5YKAO (1/1)

一気に読んで追いついた


最近になって月姫の漫画版を読んだから型月系のSSに惹かれてしまう


328VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福井県)2011/12/03(土) 23:42:40.08ijcCPoAAo (1/3)

>>327
お前は俺か
俺も最近月姫読んで暇さえあれば型月系のSS探しまくってるわ


329VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福井県)2011/12/03(土) 23:45:27.29ijcCPoAAo (2/3)


久々の更新でスゲーうれしい

>>327
お前は俺か
俺も最近月姫読んで暇さえあれば型月系のSS探しまくってるわ


330VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(福井県)2011/12/03(土) 23:46:43.31ijcCPoAAo (3/3)

あれ?変なことになってる


331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)2011/12/04(日) 15:55:41.96vXBqouuD0 (1/1)

>>329
お前こそ俺か
俺も漫画版読んで型月系のSS読み始めてるんだわ


332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(チベット自治区)2011/12/05(月) 23:17:18.21NXxyUqj60 (1/1)

漫画版のvsネロ時の志貴がかっこよすぎてわろた


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方)2011/12/07(水) 02:28:47.22uRqF2gQDo (1/1)

アニメなんて無かった


334SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/08(木) 06:12:09.26prLYISnAO (1/1)

カレーを食べないインドなんてインドじゃない


335SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/08(木) 23:55:10.59UNFsajyH0 (1/1)

あれ?俺がたくさんいるな


336SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b)2011/12/23(金) 18:28:29.16ldBA1onDO (1/1)

まほよ体験版凄すぎワロタww

リメイク版月姫も期待できるな


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/11(水) 01:08:19.21Uigc1OqDO (1/1)

歌月十夜面白い


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/01/29(日) 23:43:39.07HhHhpV1DO (1/1)

劇場版っていつやるんだ?


339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(青森県)2012/02/07(火) 05:51:33.29zfM9Bsly0 (1/1)

生存報告くらいはしてほしいな


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/02/07(火) 11:03:23.22euN0SaUso (1/1)

生きているものなら例え>>1だって殺して見せる…ッ!


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2012/02/21(火) 01:20:24.52APn9gcXDO (1/1)

もうだめかなこれは


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北陸地方)2012/03/02(金) 10:39:31.68akC6ftEAO (1/1)

まだかな