1VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:18:37.66PVxwcD5S0 (1/63)

ここでいいのかな

ttp://raicho.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1295015883
プロパイダ規制かかったのでお引越ししてきました、
お騒がせしてすみません。

では、ゆっくり投下していきますね。


2VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:19:08.10PVxwcD5S0 (2/63)

麦野「はーーーーーーーーーまづらぁ、またあんたはつまらないミスして……死にたいわけかにゃーん?」

浜面「す……すまねぇ、麦野。き、気をつける」

麦野「’気をつける’だぁ?! 気をつけるで済んだら警備員はいらねぇんだよ! 今日こそてめえのその情けない×××を×××してやろうかコラァ!!」

バァン

浜面「ひ、ひぃ?! 麦野っ、ゆるしてくれーっ。命、命だけはっ」

麦野「ア”アァ?! だったらさっさと下部組織に召集かけてシコシコ後片付けでもやっとけや!!!!!」


3VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:21:30.15PVxwcD5S0 (3/63)

フレンダ「き、今日の麦野……、いつにも増して怖い訳よ……」

滝壺「むぎの、こわい」

絹旗「さっきのは敵が超最期の足掻きで暴れただけで浜面のミスって訳でも無い気が……」

麦野「ほら、アンタらも無駄口たたいてないで、後片付けは下っ端に任せてさっさと退散するわよ」

絹旗「浜面は待たないんですか?」

麦野「なんで正規メンバーのアタシらが下っ端ごときを待ってなきゃいけないのよ」

絹旗「いや、だってほら。車が」

麦野「車だったら他の適当なヤツにでも運転させればいいじゃない。ほら、帰るわよ」

フレンダ「う、うん。まってむぎの」

麦野「はやくしなさい」

スタスタ


4VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:22:32.52PVxwcD5S0 (4/63)

バタン

ブロロロロロロロロロロロロロロ……

麦野「揃ったわね」

滝壺「うん」

麦野「出して頂戴」

「へい」

フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……」

麦野「……」

滝壺「……」

フレンダ「……」

絹旗「……」

麦野「……」

絹旗「む、ぎの?」

麦野「なに?」

絹旗「いや、なんでも……」

麦野「そう」


5VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:23:45.30PVxwcD5S0 (5/63)

フレンダ「(たきつぼ、たきつぼ)」

滝壺「(なに?)」

フレンダ「(なんかさぁ……ココ最近ずっと麦野の機嫌わるくない?)」

滝壺「(そうだね)」

フレンダ「(さっきからこの重たい空気、耐えられないのよ)」

滝壺「(べつに、私はへいきだけど)」

フレンダ「あたしが平気じゃないわけよっ」

麦野「どうしたの?」

フレンダ「ひゃっ?! い、いやべつになにも」

麦野「そう」

フレンダ「(ひゃ~……、何かあったなコレは絶対……)」


6VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:25:26.974P1ZtNDDo (1/1)

最初からかい

終わったら呼んで


7VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:27:47.64PVxwcD5S0 (6/63)

シーン……

麦野「……」

滝壺「……」ボー

フレンダ「……」そわそわ

絹旗「……」

シーン……

フレンダ「あ、あのさ」

麦野「うん?」

フレンダ「結局、さっきの浜面、最高にバカだったよね、あははー」

麦野「そうね」プイ

フレンダ「(はい原因特定っ……、はーまづらぁあああああっっ、アンタか、アンタのせいか!)」


8VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:29:19.54PVxwcD5S0 (7/63)

ブロロロロロロロロロロロ……

麦野「止めて頂戴、あたしはここで良いから」

「はい」

麦野「それじゃあアンタ達も、いつまでも遊んでないでさっさと帰って寝なさいよ」

絹旗「超わかりました」

滝壺「うん」

フレンダ「了解」

麦野「それじゃあまた明日」

バタン

フレンダ「……」

絹旗「……っだぁ~、なんか超疲れました」

フレンダ「結局、仕事よりしんどかった訳よ……」


9VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:30:25.72PVxwcD5S0 (8/63)

滝壺「二人ともへーき?」

絹旗「滝壺さんは超平気なんですか?」

滝壺「うん」

フレンダ「この子のマイペースさには感服ねー……」

絹旗「どうしたんでしょうね、超何かあったんですか麦野は」

フレンダ「何か知ってる?」

滝壺「ううん、何も」

絹旗「私も超知りませんよ、フレンダは?」

フレンダ「しらな~い」

絹旗「う~ん……」


10VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:31:33.99PVxwcD5S0 (9/63)

フレンダ「麦野さーここ最近、ずっとこんな調子じゃない?」

絹旗「そうなんですか?」

フレンダ「あ、そっか。絹旗ってずっと個人任務行ってたんだっけ」

絹旗「1週間ほど超出てましたけど、ずっとこんな感じだったんですか……、超ご愁傷様です」

フレンダ「ほんとにもー、麦野がこんな時に限って浜面が火に油注ぐようなマネ繰り返すからずっとヒヤヒヤだった訳よ」

絹旗「浜面、超空気読めませんもんね」

フレンダ「っだー、疲れたから温泉でも行って帰ろうかな。二人とも行く?」

絹旗「滝壺さん、どうします?」

滝壺「二人が行くなら」

絹旗「ん~、それじゃあ行きましょうか」

フレンダ「行くいく~、レッツゴー。運転手さ~ん、隣の学区の温泉までお願いね~」

「わかりました」

ブロロロロロロロロロロ……


11VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:33:23.20PVxwcD5S0 (10/63)

◇ ◇ ◇ ◇


「浜面さん、ココの片付け、あらかた終わりました」

浜面「わかった、いつもご苦労さんな。それじゃあ俺らもとっととずらかるか」

「あと……コレ、落ちてたんですけど。どうすればいいですか?」

キラッ

浜面「なんだこりゃ?」

「さぁ? 見た目がなんか綺麗だったんで拾ったんですけど、何かの部品みたいですね?」

浜面「まぁいい、俺が預かっとく」

「へい」

浜面「報酬はいつもの口座に振り込まれてるはずだから、確認しといてくれ」

「わかりました」

浜面「それじゃ俺も帰るか」


12VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:34:46.81GG/1wBReo (1/1)

VIPに誘導貼ってきた。思う存分やってくれ


13VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:35:37.49PVxwcD5S0 (11/63)

浜面「帰るか……って」

キョロキョロ

浜面「あれ」

キョロキョロ

浜面「……」

キョロキョロ

浜面「く……」

浜面「車が無えぇーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!」

♪トアルニチジョーハパラレルワールド♪

浜面「えぇぇぇ……ん? なんだ、メールか?」

From 絹旗
件名 三人で超温泉です
今日は超災難でしたねー
今フレンダと私と滝壺さんで温泉です
浜面はキッチンで水浴びでも
しといてください☆ミ
あ、後、浜面の車で皆超帰りましたから


浜面「犯人お前等かよ……思いっきり温泉自慢されてるし……」

浜面「温泉……いいなぁ、あいつら」

ヒュウウウウウウウ

浜面「うぅ……さむっ、はぁ……歩いて帰るか……」


14VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:37:04.62PVxwcD5S0 (12/63)

>>12
感謝です、痛み入ります


15VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:40:47.08PVxwcD5S0 (13/63)

浜面「こんな時、火の能力者だったらストーブ代わりに火を出して暖かくするんだろうなー?」

浜面「流行のエコだろそれ、エコロジーいっつイージーってか」

ヒュウウウウウ……

浜面「うぅっ……さみさみ、早く帰ろ」


黄泉川「おー? 誰かと思えば浜面じゃん」


浜面「げ」

黄泉川「ちょっと待つじゃん」

浜面「なんだよ! 俺はまだ何もしてねぇぞ!」

黄泉川「まだって事は何かするつもりじゃん?」

浜面「いや……ご心配なく、帰るとこだよ」

黄泉川「ふーん? 急に真面目になったじゃん? 感心感心」

浜面「真面目というか……はぁ」

黄泉川「どうした、元気ないじゃん?」

浜面「おめーにゃ関係ねぇよ」

黄泉川「ちょっと待つじゃん」

浜面「な、なんだよ」


16VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:42:24.53PVxwcD5S0 (14/63)

キラッ

黄泉川「これ、落し物。ちゃんとポケットに入れとくじゃん」

浜面「お、おう。ありがとよ」

黄泉川「随分高そうなモノ持ってんじゃん」

浜面「うるせーな、関係ないだろ」

黄泉川「関係ない?」

ガシッ

浜面「いてっ」

黄泉川「浜面……まーた何か悪さしたら、すぐ捕まえるから覚悟するじゃん?」

浜面「してねーよ、いてーな。離せよっ!」

黄泉川「ちゃんと家に着くまで監視するじゃん」

浜面「はぁ?! なんでだよ!」

黄泉川「完全下校時刻はとっくの昔に過ぎてるじゃん」


17VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:43:25.48PVxwcD5S0 (15/63)

テクテク

浜面「……」

テクテク

黄泉川「……」

テクテク

黄泉川「浜面、スキルアウトを抜けたらしいじゃん」

浜面「何でそんな事知ってるんだよ」

黄泉川「風の噂じゃん」

浜面「そーかよ」

黄泉川「なのに相変わらず学校には通ってないらしいじゃん」

浜面「何でそんな事知ってるんだよ」

黄泉川「浜面の学校の先生と知り合いじゃん」

浜面「……そーかい」


18VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:45:16.01PVxwcD5S0 (16/63)

黄泉川「今からでも遅くない、ちゃんと学校に通って勉強するじゃん」

浜面「大人はすぐそれだな口あけたら、勉強・勉強ってさ」

黄泉川「聞いてるじゃんよ浜面、昔は真面目な生徒だったって、だから──」

浜面「昔の事は言うな!!!!」

黄泉川「っ」

浜面「俺らの事、何もしらねぇくせに大人面するんじゃねえよ!!」

黄泉川「…………………………」

浜面「……なんだよ」

黄泉川「……随分な口を利いてくれるじゃん、こっちは心配して言ってるのに」

浜面「うるせぇ!」

黄泉川「このチンピラが……痛い目みないとわかんないじゃん?」

浜面「いいぜ黄泉川……かかってこいよ」


19VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:47:04.84PVxwcD5S0 (17/63)

黄泉川「今日こそその腐った根性、叩きなおしてやるじゃん!」

浜面「いくぜ黄泉川アァァァ!!!」

黄泉川「来るじゃん!」


浜面「必殺ッ・煙玉!」

ボワン


黄泉川「っ! 煙幕か!」

浜面「だっはっは! なーんてな! お前に腕力で勝てるわけねえだろ! 逃げるが勝ちなんだよ!」

黄泉川「待つじゃん! 浜面!」

浜面「誰が待つか!」

黄泉川「お前は! まだやりなおせる! だから!」

浜面「うるせえ! ばーか! おとといきやがれ」

タッタッタ……


20VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:48:41.64mMpBoVEFo (1/1)

え?作者なのか?


21VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:49:30.46PVxwcD5S0 (18/63)

──、走る。


──、走る。


──、走る、走る。


──、どこに。


──、……どこに。



22VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:50:36.91PVxwcD5S0 (19/63)

────────

────

──

浜面「……はぁっ、はぁ……逃げ切ったか……?」

浜面「ったくよー……仕事上がりでこっちも疲れてんだよ……」

浜面「勘弁してくれよなホント」

浜面「……だいたいよ」

浜面「もう堕ちるとこまで堕ちきった俺が、今更戻れるワケねぇだろうが……」


23VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:51:35.11PVxwcD5S0 (20/63)

──戻るって、どこに


浜面「あぁ? だからがっこ──」


──戻るって、どこによ?


浜面「……?」


──どこに戻るの?


浜面「さっきから……なんだ……? どっから声が……?」


24VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:52:15.61PVxwcD5S0 (21/63)

浜面「おい! そこに誰か居るのか!」

「……」

浜面「……(スキルアウトか? こんな狭いビルの間の空き地で集団だったらめんどくせえぞ)」ゴクリ

「……」

浜面「出てこいよ! 居るんだろ!」

ジリッ……

ジリッ……

「……」

……ゴクリ

浜面「……、来るっ!」


25VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:56:34.39PVxwcD5S0 (22/63)

麦野「大きな声出さなくても聞こえてるわよ、はーーまづらぁ」


浜面「っ、麦野っ?! なんでこんなトコに」

麦野「なに、私がこんなとこに居ちゃ悪いわけ? なんでいちいち浜面の許可もらわなきゃいけないのよ」

浜面「いや……何も悪いなんて言ってねぇけどよ」

麦野「ふぅ~ん? それで、浜面はこ~んな寂れた場所に何の用かにゃ~ん?」

浜面「……知り合いの警備員から逃げてきた」

麦野「警備員?」

浜面「なんていうか……、まぁ、ゴリラみたいなやつ?」

麦野「なによそれ、人間?」

浜面「いやはは、本当、なんなんだろうな」

麦野「ま、逃げてきたってのが浜面らしいわね。あんたがマトモに戦ってる姿なんか想像できないし」

浜面「うおい! 俺だって男らしく戦っただろうが今日!」

麦野「あれで?」

浜面「あれで……です」


26VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 21:59:33.26PVxwcD5S0 (23/63)

麦野「あんたは別に大人しくしてれば良いのよ、戦闘員で雇ってるわけじゃないんだから」

浜面「はぁ……でもよ」

麦野「うん?」

浜面「本当にお前等が危ないとおもったから突っ込んでいったんだよ」

麦野「あー、はいはい。それで死んでりゃ世話ないわよ」

浜面「……御尤もです、はい」

麦野「次は知らないからね、最低限自分の身くらいは自分で守りなさいよ」

浜面「了解……です」



27VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:04:40.59PVxwcD5S0 (24/63)

麦野「で? その死にかけた浜面は、こんなとこになんの用事よ?」

浜面「いや、用事というか……適当に逃げ回ってたらココに来たんだけどよ、お前こそこんな所でなにやってんだ?」

麦野「私がこんな所にいたらヘン?」

浜面「いや、ヘンというか。スキルアウトかと思ってビビったぞ」

麦野「スキルアウト如きでビビってんじゃないわよ」

浜面「いや、お前はそうかもしれないけどさ」

麦野「はいはい」

浜面「それより俺は麦野がこんなとこに居たのがびっくりでよ、何かしてたのか?」

麦野「ふーん? じゃあ浜面はどこだったら私に似合うと思うの?」

浜面「どこって……お屋敷とかじゃねえの?」

麦野「お屋敷?」

浜面「そ、お屋敷。しかも金持ちのお屋敷で執事とかつけちゃうお嬢様ってとこじゃね? わかんねーけどさ」

麦野「……ぷ」

浜面「あん?」

麦野「あはははははははははははははは! 私が? お嬢様? ……ククク……あははははは、笑える、サイッコーに笑えるわ、それ」

浜面「そーかよ」


28VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:05:51.60PVxwcD5S0 (25/63)

麦野「はーまづらぁ。浜面はそんな妄想を繰り広げて毎晩×××を上下させてるわけ? あー、幻滅だわ」

浜面「なんでそうなるんだよ!」

麦野「ま、育ちが良いのは否定しないけどね」

浜面「否定せんのかい」

麦野「……あんまり覚えてないのよねー昔の事って。能力開発していた事くらいしか覚えてないかも」

浜面「あぁ、そりゃ学園都市に七人しか居ないレベル五の第四位だからな。やっぱり小さい頃から実験漬けだったんだろうな」

麦野「なーに? 浜面のくせに知った風な口利いてくれるじゃない」

浜面「ひっ?! べ、別にイヤミとかじゃねえぞ」

麦野「当たり前でしょ。浜面は無能力者、私は超能力者なんだから」

浜面「はぁ……そうだな」


29VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:12:39.75PVxwcD5S0 (26/63)

麦野「浜面は覚えてる? 昔の事」

浜面「昔?」

麦野「そ、むかし」

浜面「べつに、普通の子供だったよ。普通に学校いって、普通に友達つくって、普通に……普通にスキルアウトに入ってたな」

麦野「なにそれ、つまんなーい」

浜面「ひでぇ」

麦野「なんかないの? 見知らぬ女の子をその身一つで救ったとか、銀行強盗を捕まえたとか、国際指名テロリストをぶん殴ったとかさ」

浜面「んなコトできてたらスキルアウトに流れてねぇよ!!」

麦野「そうよねー」

浜面「ったくよー俺に何期待してんだよ」

麦野「それじゃあ、学園都市に来る前の事は?」


30VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:14:10.07PVxwcD5S0 (27/63)

浜面「別に、普通だろ」

麦野「もっと具体的に」

浜面「はぁ?」

麦野「いいから、教えなさいよ。この第四位の麦野沈利様が興味を持って聞いているのよ。光栄に思いなさい」

浜面「まぁいいけどよ……」

麦野「うん」

浜面「学園都市に来る前は、……そうだな、こう見えて結構真面目な子供だったな」

麦野「この見るからに頭悪そうなチンピラ風情が?」

浜面「おおい! 過去の俺に謝れ!」

麦野「ふん、いいから続けなさいよ」

浜面「無茶苦茶だなオイ……」


31VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:14:37.68PVxwcD5S0 (28/63)

浜面「小学校じゃ学級委員とかやってたし、放課後行ってた野球チームじゃエースで四番のキャプテンだったよ」

麦野「全然そんな風には見えないわよね、今」

浜面「うるせー」

麦野「で、何でここに来たわけ?」

浜面「そりゃあ子供が学園都市に来る理由なんか一つだろ」

麦野「一つ?」

浜面「超能力に憧れてたんだよ、こう、能力をばーーーーーーっと使って、ごわーーーーーーーっと相手をやっつけて、正義のヒーローになるんだーーーーってな」

麦野「浜面が? 正義のヒーロー?」

浜面「そーだよ、悪いか」

麦野「いや、いいんじゃない? 私には良さがわかんないけど」

浜面「お前さ、テレビとかアニメとか見てなかったワケ?」

麦野「見てないわよ。それに戦隊モノなんてどれも同じじゃない、飽きるわよ」

浜面「わかってねぇ! お前は戦隊ヒーローの良さがわかってねぇなぁ、麦野」


32VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:15:35.85PVxwcD5S0 (29/63)

浜面「いいかぁ! まずはなぁ!」

浜面「────────で、────────な、──────だろ!」

浜面「────が出てきたら3分で──────で!」

浜面「──────────敵も──────そこはお約束で────────」

浜面「────がピンチになったら────────でよ!」

浜面「────────だろ!」

浜面「──────なんだよ!」

浜面「わかったか!」


麦野「──ふにゃ? もう、終わった?」


浜面「寝てたとか……ひどい……」


33VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:31:29.09PVxwcD5S0 (30/63)

浜面「まぁいい、とにかくそんな風だ」

麦野「ふーん」

浜面「?」

麦野「浜面もやっぱ、そういうのに憧れてたんだ」

浜面「まぁ……大抵のヤツはそうじゃないの?」

麦野「わっかんないなー、そういう憧れるっていう感情は」

浜面「そりゃ最初から上に居たからだろ。勝手に憧れて、勝手に堕ちてった、そんだけだよ」

麦野「憧れ、ねぇ」

浜面「憧れるのは自由だろ?」


34VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:31:58.78vlMH5I64o (1/1)

お、こっちに来たんだ


35VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:32:13.96PVxwcD5S0 (31/63)

麦野「という事は、浜面はこんな学園都市の最底辺まで堕ちてきといて勝手な妄想を抱きながら毎晩[田島「チ○コ破裂するっ!」]してるのかにゃーん?」

浜面「いつもそうやって茶化すのな、オマエさ」

麦野「は?」

浜面「別に」

麦野「……浜面の癖に」

浜面「悪かったよ、気に障ったなら謝る」

麦野「謝罪なんかいらないわよ」

浜面「そうかよ」

麦野「そ、……その代わりもっと話しなさいよ」


36VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:32:43.21PVxwcD5S0 (32/63)

浜面「何を」

麦野「浜面の小さい頃の話」

浜面「はぁ? なんで」

麦野「いいから!」

浜面「……ん~?」

麦野「例えばホラ! 学園都市に来た時の話とか!」

浜面「ここに来た時? ん~?」

麦野「そう、来たとき」

浜面「……来たとき……来たとき……?」

麦野「うん」

浜面「あー……、そういえばここに初めて来た時──」


37VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:34:24.61PVxwcD5S0 (33/63)

◇ ◇ ◇ ◇


カポーン……


絹旗「超極楽です」

滝壺「良い湯だね」

フレンダ「極楽極楽……」

絹旗「日々の疲れが超癒されていく気がします」

フレンダ「む~」

ジー

滝壺「ふれんだ、なに?」

フレンダ「麦野もカナリ大きいけど、滝壺も結構大きいね」

モミモミ

滝壺「ひゃっ」

フレンダ「待て、たきつぼっ」

滝壺「やだ」

フレンダ「ま~て~」

絹旗「やれやれ……二人とも超子供なんですから……」


38VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:35:26.11ZDrFyCxQo (1/1)

ここでは目欄にsaga入れるの推奨


39VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:40:49.76PVxwcD5S0 (34/63)

モミモミ

滝壺「ふえぇ……」

フレンダ「きひひっ」

絹旗「あーもー、二人とも、そこらへんにしといてくださいね」

フレンダ「わかってるって」

滝壺「……もー」

フレンダ「めんごめんご、後で牛乳奢ってあげるから許してね」

滝壺「……」

フレンダ「?」

滝壺「二本、ね」どーん

絹旗「勝利のブイサインっ?!」


40VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:42:21.94PVxwcD5S0 (35/63)


滝壺「……ごくごく」

絹旗「それにしても、今日の依頼は超ヘンでしたね」

フレンダ「そう? 適当に暴れただけで終わっちゃったから歯ごたえがなかったと思うけど」

絹旗「いつも爆弾で超ドカーンで終わらせてますもんね」

フレンダ「ふふ新種も開発中よ」

滝壺「……ごくごく」

絹旗「研究所を襲うのは超わかるんですけれど、暴れるだけで目的物の回収とかは依頼内容に含まれてなかったじゃないですか?」

フレンダ「ん、そういえばそうね」


41VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:42:54.90PVxwcD5S0 (36/63)

絹旗「それに、最期浜面と超殴り合いになってたあの研究員、やたらと好戦的というか、何かを守ろうと必死でしたし」

フレンダ「そりゃ、自分が殺されそうになるってなったら必死にもなるでしょ?」

絹旗「んー、そうでしょうか」

フレンダ「ま。あそこでどんな研究があったとか、何に応用されるとか私達には関係ないって」

滝壺「……ぷはー」

絹旗「そうですね」

フレンダ「さ、絹旗も飲む飲む。こうやって腰に手をあてて……」

滝壺「もう一本」

フレンダ「プハー! 結局、風呂上りの一杯は格別な訳よ!」


42VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:44:26.61PVxwcD5S0 (37/63)

絹旗「私も牛乳、超おかわりです」

フレンダ「あ、待ってよ絹旗」


────────

────

──


黄泉川「ちょっと待つじゃん! ……切れた」


鉄装「どうしたんですか?」

黄泉川「匿名のタレコミじゃん」

鉄装「匿名で?」

黄泉川「子供に大切なものを奪われた、取り返して欲しいって」

鉄装「大切な物って……?」

黄泉川「さあ? それを聞こうとしたら切れたじゃん」

鉄装「イタズラ電話ですかー?」

黄泉川「だと良いじゃん」



43VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:45:12.44PVxwcD5S0 (38/63)

鉄装「んーそうですね、最近。私達の出動回数も減ってますもんね」

黄泉川「なんだ鉄装、出動がないからって怠けるつもりじゃん?」

鉄装「そ、そんな訳じゃないですよ!」

黄泉川「ほー……?」

鉄装「バリバリ頑張りますよ!」

黄泉川「頼もしい頼もしい」

鉄装「はい!」

黄泉川「それじゃあ、今日も一杯やるじゃん!」

鉄装「えぇぇ……今日も、ですか」

黄泉川「ホラホラ、今日はもう終わりの時間じゃん! 行くじゃん行くじゃん!」

鉄装「ふえぇ~い」


44VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 22:51:48.96BNwZEC7Po (1/1)

あとどんくらいだっけ


45VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:02:12.92PVxwcD5S0 (39/63)

鉄装「そういえば、あの彼どうなりました?」

黄泉川「ん? あの彼?」

鉄装「はま……なんとか、くん。でしたっけ?」

黄泉川「浜面じゃん?」

鉄装「ああ、そうその子」

黄泉川「浜面がどうかしたじゃん?」

鉄装「いや、黄泉川先生の机の上に資料が置いてあったから……」

黄泉川「鉄装~……盗み見とは良い度胸じゃん?」

鉄装「そ、そんなぁ。別に盗み見たわけでは……、その、ちょっと好奇心で」

黄泉川「まぁいいじゃん、浜面は元々どこだかのスキルアウトでチンピラで過去14回留置場にぶち込んだじゃん」

鉄装「じゅ、14回って……」

黄泉川「絵に描いた様なチンピラで、困ったもんだったんだ……けど」

鉄装「けど?」

黄泉川「その浜面がどうやらスキルアウトを抜けたみたいじゃん」


46VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:03:11.01PVxwcD5S0 (40/63)

鉄装「え? じゃあ更正したんですか?」

黄泉川「わからん」

鉄装「わからん……って」

黄泉川「今日見てきたが相変わらず学校にも通わずフラフラしてるみたいじゃん」

鉄装「そうなんですか……」

黄泉川「……鉄装、どう思う?」

鉄装「どう、って?」

黄泉川「スキルアウトはそんな簡単に一言『辞めます』って辞められる様な組織じゃないじゃんよ」

鉄装「はぁ……それが?」

黄泉川「あそこのリーダー、駒場の姿もある日を境にぱったり見なくなった。一体何が起こってるじゃん?」

鉄装「仲間割れ、とか?」


47VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:03:58.64PVxwcD5S0 (41/63)

黄泉川「だったらまだいいんだけど……最近、街がやけに静かじゃんよ。何かが起こる前兆じゃなければ良いけど」

鉄装「もー、心配しすぎですよ、黄泉川先生」


────────

────

──


浜面「そんで、心配して探しに行ったら半蔵の野郎が郭とイチャイチャしててよ、さすがに頭に来たな」

麦野「……わかった」

浜面「あん?」

麦野「あんたのとこのスキルアウト? だっけ」

浜面「おう」

麦野「あんた含めて、バカばっかりだったって訳ね」

浜面「おーい!」


48VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:04:49.44PVxwcD5S0 (42/63)

浜面「まぁ……否定はできねぇけどよ」

麦野「ほらね」

浜面「それでも」

麦野「うん?」

浜面「俺らには俺らで、目的があったんだよ。組織としても、そしてたぶん、個人としても」

麦野「ふーん、目的ね」

浜面「おう」

麦野「ATM強奪したり、無駄に武装したりする事?」

浜面「いや、それはあくまで手段であってだな……少なくとも暗部組織とは違うぞ」

麦野「何が違うのよ、殺し……盗み……監視、観測、ハッキング、ピッキング、追跡……やってる事は一緒じゃない」

浜面「まぁ……そう考えるならそれでもいいけどよ……、それにもう俺はあそこを出た人間だからな」

麦野「哀愁漂わせちゃって、似合わないわよ」

浜面「うるせー」


49VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:06:37.82PVxwcD5S0 (43/63)

麦野「はー、なんか浜面の話聞いてたら私の悩み事なんか消えちゃいそう」

浜面「悩みだ? お前に悩みなんかあんのかよ」

麦野「失礼ね」

浜面「う、わりぃ」

麦野「だいたい誰のせいだと思って…………………………」

浜面「あん?」

麦野「……なんでもない」

浜面「そーかよ」

麦野「バカだから許してあげる、バカだから」

浜面「二回繰り返さんでもええわい!」

麦野「あははっ」

浜面「あー……なんかいつもこんな感じだな、俺。損な役回りというか……」


50VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:08:01.58ZLY1zJ85o (1/1)

むぎのんを幸せにしてやって欲しい


51VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:08:02.86PVxwcD5S0 (44/63)

浜面「……」

麦野「……」

浜面「……あー」

麦野「……」

浜面「……」

麦野「……」

浜面「……」

麦野「……なんか喋りなさいよ、はーまづらぁ」

浜面「お、おう」

麦野「……」

浜面「あ、あのさ」

麦野「うん?」

浜面「……えーっと……(やべ、なんか何喋っていいかわかんねぇ)」


52VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:09:03.44PVxwcD5S0 (45/63)

浜面「……」

麦野「……」

浜面「え……っと」

麦野「はーまづらぁ?」

浜面「……(つーかよぉ、よくみると麦野って結構美人?)」

麦野「?」

浜面「……(いや、結構っていうか、かなりというか……少なくとも俺の知ってる奴等と比べたら……)」

麦野「どーしたのよ、固まっちゃって」

浜面「……い、いや。別に」

麦野「?」

浜面「……(く……、顔! 顔! ちかいっての!)」

浜面「いや、ははは。そ、そうだ。上見てみるよ上」

麦野「上?」


53VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:09:56.42PVxwcD5S0 (46/63)

浜面「……(よ、よっしゃ、ナイス俺! とりあえず顔を離す事に成功したぜ!)」

麦野「はーまづらぁ? 上になんかあるの?」

浜面「……(し、しまった! 顔を離す事だけしか考えてなくてこの後の展開なんて何も考えてなかった!)」

麦野「はー……、それにしても、夜なのに星一つ無いわね」

浜面「そ、そうだな」

麦野「声裏返ってるわよ?」

浜面「そ、そうか? コホン、あーあー、うん。ゴホゴホ」

麦野「ヘンな浜面?」

浜面「(っだあああああああああああ!!! 近い! だから近いって! 顔! あたる! 顔が! 息が!)」

麦野「何よ鼻息荒くして、どうせエロい事でも考えてたんでしょ?」

浜面「な、ななななななんでだよ! はっ、アホな事いうなよ!」

麦野「だーれがアホだって……?」

浜面「いや! これは顔が! 顔じゃない! その、息じゃなくて! 近いのは! えっと!」

麦野「はーーーーーーーーまづらぁ……」

浜面「そ、そうだ! 麦野!」


54VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:11:02.30PVxwcD5S0 (47/63)

麦野「なーにかにゃーん?」

浜面「月だ!」

麦野「月がどうしたって?」

浜面「月が綺麗だな、なーんつって、ははは」


麦野「………………………………………………………………」


浜面「ほら、月が……」

麦野「どこ? 月なんか出てないじゃないのさ」

浜面「うぐっ?! なんだって!」

麦野「ほら、見てみなさいよ、どこに月があるって?」

浜面「……なん……だと」

麦野「あはは、バーカ面、浜面のバーカ」

浜面「う……ぐ(しかしなんか知らんが機嫌よくなったみたいで良かった……)」


55VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:12:09.05PVxwcD5S0 (48/63)

麦野「……ぷ」

浜面「?」

麦野「……あはは、あんた、さっきからなんて顔してんのよ」

浜面「は?」

麦野「くく……あはは、笑いすぎてお腹痛い……」

浜面「なんだよ……そんな笑う事かよ」

麦野「うん」

浜面「ああもう死んでもいいよ、畜生……」


麦野「………………………………………………………………」


浜面「え? 何この間」

麦野「はーーーーーまづらぁ」

浜面「え?」

麦野「私以外の女の前でこの台詞禁止な」

浜面「え? なんで?」

麦野「なんでって……なんでも」

浜面「なんか知らんが、わかったよ」


56VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:12:56.91Zm98In42o (1/1)

前スレ1というか書き手はいるのか?


57VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:13:02.40PVxwcD5S0 (49/63)

浜面「あ、そうだ。麦野」

麦野「ん? 何?」

浜面「いや。大した事じゃないかもしれないんだが」

麦野「今気分良いから特別に聞いてあげてもいいけど」

浜面「そうか、なら言うが。フレンダや絹旗、怖がってたぞ。お前が不機嫌だーってな」

麦野「あらそう? それならもう治ったから大丈夫よ」

浜面「は?」

麦野「だーかーら、もう大・丈・夫・だ・っつってんの!」

浜面「お、おう。さんきゅな、伝えとくよ」

麦野「フン、用が済んだら帰るわよ」

浜面「あ、おい。待てよ」

麦野「ついてくんな!」

浜面「待てよ! 麦野!」


──、……ありがとう


58VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:16:33.83PVxwcD5S0 (50/63)

◇ ◇ ◇ ◇

スタスタ

スタスタ

浜面「お、絹旗じゃん」

絹旗「……超おはようございます」

浜面「どしたん? なんか暗いぞ?」

絹旗「朝一番で超バカの浜面の顔みたからじゃないですか?」

浜面「ひどい! ……ひどすぎるっ!」


59VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:18:50.81PVxwcD5S0 (51/63)

浜面「ってかお前等温泉行ってたらしいな」

絹旗「そうですよー、超楽しかったです、浜面も来ればよかったのに」

浜面「誘う気なかったくせによく言うぜー」

絹旗「当たり前じゃないですか、温泉ですよ? 浜面だったら絶対覗くに決まってるじゃないですか」

浜面「しねえよ! んなこと!」

絹旗「そうでしょうか……」

浜面「絹旗さーん? その可哀想なものを見る目やめてもらいますー?」


60VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:21:44.17PVxwcD5S0 (52/63)

絹旗「それにしても」

浜面「ナンだよ」

絹旗「昨日の麦野、超こわかったですね」

浜面「あいつはいつもあんな感じだろ?」

絹旗「いやー、いつもの3割増くらいでブチ切れてましたよ」

浜面「……そうかも」

絹旗「何が原因なんでしょうね」

浜面「さあなー、あの日じゃね?」

絹旗「最悪、超[ピーーー]、女の敵」

浜面「ひでぇ……」


61VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:23:52.95PVxwcD5S0 (53/63)

絹旗「で、何があったか知りませんか?」

浜面「ああ、その件だけどよ」

絹旗「?」

浜面「昨日お前等が帰ったあと、麦野と会ったんだよ」

絹旗「超殺されませんでしたか?」

浜面「だったら今ココにいねえよ!」

絹旗「それで?」

浜面「昨日あいつ自分で言ってたけどさ、なんかもう機嫌治ったらしいぞ」

絹旗「超怪しいですね……」

浜面「あん? 何がだよ」

絹旗「麦野は私が仕事で居なかった一週間前から機嫌が超悪くなったんですね?」

浜面「あ? あぁ、そうだと思うけど」

絹旗「その一週間前。浜面、プライベートでどこか行きました?」

浜面「はぁ? なんでそんな事言わなきゃいけないんだよ」

絹旗「窒素装甲・展開」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

浜面「ちょ! 待て! その車を下ろせ! 街中だぞここ!」

絹旗「超話す気になりましたか?」

浜面「なった! なったから!」


62VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:24:22.10PVxwcD5S0 (54/63)

浜面「一週間前っつたらアレだな、なんかよ修道服着たシスター道端で倒れててがハラヘッタっつうからファミレスにつれてってやったんだよ」

絹旗「はぁ? シスターが道端でお腹を空かせて倒れてたぁ? もっと超マシな嘘はつけないんですか、浜面?」

浜面「いやだから本当なんだって!」

絹旗「はぁ……まぁいいでしょう、それで?」

浜面「それで、ファミレスに行ったのはいいんだけどよ。そのシスターの食欲がすごくてよ、店のメニュー殆ど一人で食いやがるんだ」

絹旗「超暴飲暴食シスターですか」

浜面「いやだからマジなんだって! 俺も一食くらいなら別に……って思ってたんだけどよ、これじゃさすがにやべーって思ってさ」

絹旗「財布が軽くなりそうですもんね」

浜面「軽くなるどころかマイナスなんだよ……」

絹旗「超ご愁傷様です、それで?」


63VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:25:01.43PVxwcD5S0 (55/63)

浜面「そんな所に麦野がやってきたんだよ」

絹旗「……他の女性と一緒に居るところを超見られたわけですね……」

浜面「おー、丁度いいところに! って思ってさ」

絹旗「修羅場的な意味でですか?」

浜面「ちげーよ、さすがに持ち合わせがなかったから金貸してくれーって言ったら財布投げられて走って帰っていっちゃったんだよな。何か機嫌悪かったのかな、ははは」

絹旗「お前が超原因です!」


64VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:29:49.74uqhuLlEx0 (1/1)

>>60
メル欄にsaga入れたら[ピーーー]無くなるぞ


65VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:35:19.38PVxwcD5S0 (56/63)

浜面「なんだ俺が原因……、俺っ?!」

絹旗「どう考えても浜面しか居ないじゃないですか!」

浜面「なんでそうなるんだよ!」

絹旗「なんでって……はぁ、それ本気で言ってるんですか……」

浜面「……わっかんねーな」

絹旗「超浜面ですね……」

浜面「って、おーい。どこ行くんだよ、路地裏だぞそっち」

絹旗「こっちのが超近道なんですよ、ボヤボヤしてると先行きますよ」


66VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:39:00.64PVxwcD5S0 (57/63)

浜面「おーい、待てよ……って行っちまった」

ポロッ

浜面「っとっと、また落としちまった、コレ」

キラッ

浜面「何なんだろうな、一体」


──、オマエさ。結局どこの誰なんだー?


浜面「……?」

浜面「まただ。……また、なんか聞こえたな……」

浜面「まさか俺、なんかの能力に目覚めたのか?」

浜面「ははっ、まさかな」

浜面「あんなに望んだって手に入らなかったんだ、今更手に入ってたまるかってんだ」


67VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:41:29.18PVxwcD5S0 (58/63)

浜面「空耳だろ空耳」

浜面「だいたい心理系の能力ってどうなのよ」

浜面「どうせならこう、わかりやすく火とか出てくれたらいいのにな」

浜面「リーダーのレッドっつたら、赤だから火だろ、イメージ的に」

浜面「……ま、うちのリーダーは火というか炎というか……まんま自然災害みたいなもんだけどな」

浜面「……能力、ねぇ」

浜面「まったく、無能力者の俺には関係のねー話だな」


68VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:43:17.17PVxwcD5S0 (59/63)

浜面「な、そう思うだろ絹旗……って,あれ? 絹旗ー? おーい」

浜面「……あいつ俺置いてとっとと行きやがった……」

浜面「ひでぇ……」

浜面「うぅっ、俺、アイテム入ってからずっとこんな扱いばっかり……」

浜面「スキルアウト時代が懐かしいなぁ、チクショウ」


69VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:50:16.31PVxwcD5S0 (60/63)

浜面「あの頃は適当に集まって、適当にバカやって適当に……」

浜面「駒場さん」

浜面「俺は、あんたみたいにはなれなかったよ」

浜面「あー、ほんっと。ツイてたなぁ俺は」

浜面「……つーかよ」

浜面「昔と違って、リーダーが怒りっぽくてな。遅刻するとすげー怒られるんだよ、出てくるならさっさとしてくれねーか?」


「浜面仕上だな?」


浜面「その浜面仕上に何の用だってんだよ、そんなゾロゾロと大人数でさ」

「悪いが一緒に来てもらおう」

浜面「お前らどこの組織だ」

「答える義理は無い」


70VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:53:53.90PVxwcD5S0 (61/63)

浜面「そーかよ……」

「大人しく従えば命までは奪わない」

浜面「随分高圧的だなおい」

「無駄な抵抗はしない事だ」

浜面「……(正面に3人、後ろに2人。やれるか? ……いや、無理だな。かと言って逃げ道は奴等が塞いでる……)」

「一緒に来てもらおうか」

浜面「万事休す、か」

ゴソッ

浜面「……(ん……ポケットの中に……、昨日のアレか)」

「さあ」

浜面「……(なんとか、なるんじゃねーか……やってみるか)」


71VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:56:36.61PVxwcD5S0 (62/63)

「答えは決まったか」

浜面「……へっ、そんなの答えは最初っから決まってんだろ!」

「そうか、それなら」

浜面「答えは、NOだ! 必殺! 煙玉っ!」

ボワン

「なんだこの煙はっ?!」

「く……子供だましが!」

浜面「っらあああああああああああああああああああ!!!!」

ドガッ

「ぐあっ……」


72VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:59:59.80PVxwcD5S0 (63/63)

浜面「(とにかく、後ろのあと一人ぶっ倒して逃げるっ!)」

浜面「(武器……武器……何か適当にぶん殴れるもん、落ちてないか……)」

浜面「!」

浜面「鉄パイプ! みーっけ!」

ガン!

浜面「なははははは!! 後は逃げるだけ──っ」

ガシッ

「捕まえたぞ、クソが、てこずらせやがって。オイ、上に連絡だ」

浜面「……あれ? 絶対絶命?」


73VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:04:17.79P7Kj2VIn0 (1/125)

「よくもブン殴ってくれたなガキが……」

「おい、一発くらいいいだろ?」

「死なない程度にな」

ドゴッ!

浜面「……ぐあっ?!」

「あーあーあーあー、情けねえなおい。地面の味はどうだ? あ? このバカ野郎が」

浜面「……バカはお前等だ」

「あん?」

浜面「あれがただの煙幕だと思ったか……信号弾なんだよ……」


絹旗「浜面! 超大丈夫ですか!!」


浜面「絹旗! ……っだああああ!! 車、車はやめろ!」

絹旗「えいっ」


74VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:06:39.04P7Kj2VIn0 (2/125)

絹旗「必殺・車投げ」


ぽいっ



浜面「……死ぬかと思った」

絹旗「何勝手にヘンな奴等に殺されかけてるんですか、浜面」

浜面「お前にだよ!」


75VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:08:24.00P7Kj2VIn0 (3/125)

「くそ……新手か!」

絹旗「なかなか来ないから超心配しましたよ」

浜面「……そりゃどーも、やれるか?」

絹旗「心配超ご無用ですよ!」

ドガッ

「ぐあっ」

絹旗「窒素装甲の前では銃弾も無力ですから!」

バキッ

「く……」


76VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:09:25.66P7Kj2VIn0 (4/125)

絹旗「あと3人!」

ガッ

「く……くそ!」

絹旗「後2人!」

ドゴッ

「っ!」

絹旗「残るは……!」

「く……来るなァァ!」

絹旗「銃ですか……」

「一歩でも動いてみろ! う……う、撃つからな!」

絹旗「どうぞ、超ご勝手に」

「は?」

絹旗「だから、どうぞご勝手に」


77VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:11:14.55P7Kj2VIn0 (5/125)

「な……何を言っているんだ、怖くないのか? 命がどうなってもいいのか?」

絹旗「怖い? 何を言っているんですかアナタ? そんな甘っちょろい事言ってるから命を落とすんですよ」

「ひ……」

絹旗「ほら、撃ちたきゃ撃てばいいじゃないですか」

「く! くるな!」

絹旗「ほら、ここが心臓ですよ。よく狙ってください」

「く……!」

絹旗「一歩」

「っ」

絹旗「二歩……三歩……」

「来るな……来るなよぉ……!」

パァン!

「……こ、殺した……殺しちまったアアァァァァ!!!!」

絹旗「……勝手に殺されるのは超不快ですね」

「……なっ」

絹旗「だから私には効かないって言ってるじゃないですか。ほら、今逃げたら私は超許してあげますよ」

「ひ……、ひ……、銃が効かない? ば……化け物!」


78VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:13:52.87P7Kj2VIn0 (6/125)

タッタッタ


絹旗「超逃げましたか」

浜面「……みたいだな」

絹旗「とんだ腰抜けですね」

浜面「逃がしちまっていいのか?」

絹旗「私は許すっていいましたけど」

浜面「でもよ」

絹旗「私がそうでも、麦野がどういうつもりかは、超わかりませんけどね」

浜面「……ご愁傷様……、って、いててて」

絹旗「超大丈夫ですか?」

グイッ

浜面「ギャース! ひっぱんな! 患部を刺激してんじゃねええええ!!」

絹旗「それだけ大声だせたら超大丈夫ですね」


79VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:14:43.72P7Kj2VIn0 (7/125)

────────

────

──

「はぁ……はぁ……、ここまで逃げてきたら平気だろう……」

「くそっ、なんだってんだ。無能力者のガキ一つさらってくるだけじゃなかったのか!」

「なんであんな強い女が一緒に居るんだよ! くそ!」

「とにかく連絡を……」

「あ……? あれ? 携帯電話がない?」



麦野「探してるのはコレの事かにゃーん?」


80VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:21:50.45P7Kj2VIn0 (8/125)

「あ、あ。あぁ……(なんだこの女……)」


麦野「さっき、そ・こ・で、拾ったのよーん」


「そ、そうか。ありがとう。それを返してくれないか? 大事なものなんだ」


麦野「ふふ、お兄さん? そんなコトよりわたしとイ・イ・コ・ト・してかない?」


「いぃいいい? いいこと?」


麦野「ふふ、赤くなっちゃって可愛い。そんな下半身おったちゃって、早漏なのかにゃーん?」


「な、なにを……」


81VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:24:03.82P7Kj2VIn0 (9/125)

麦野「ねぇ~? お兄さん」

「……?」

麦野「これ、返して欲しい?」

「あ、あぁ。返してくれないか?」

麦野「ふふ、いいわよ」

バキィィ

「なっ?!」

麦野「あ、ごめんなさ~い? 手が滑っちゃったぁ♪」


82VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:28:34.18P7Kj2VIn0 (10/125)

「手が滑っただぁ?!」

麦野「……りねぇ……」

「(こ、こいつ……笑ってやがる……)」

麦野「足りねぇ……足りねぇなぁ……こんなんじゃあよぉ……」

「なに……を……」

麦野「私はさぁ……別にいいんだよ、あのバカがどこで何してようが誰と居ようが何喋ってようが誰と一緒に食事してようがさぁ……」

「……?」

麦野「でもさぁ……アレはだめだ、お前……あいつの事蹴っただろ……アレはだめだなぁ……」


83VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:33:52.92P7Kj2VIn0 (11/125)

カツン

「ひっ」

カツン

麦野「大事な大事な身体なんだよ……傷がついたらどう落とし前つけるつもりなんだよ……なぁオイ」

カツン

「ひっ、ひぃいい……」

カツン

麦野「あいつをどうにかしていいのはなぁ、私。……私だけなんだ、それを何でどこの馬の骨とも知れない輩がよぉ……よくもでしゃばってくれたもんだ……」

カツン

麦野「ね? おにーさん?」ニコッ

カツン


84VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:34:40.86P7Kj2VIn0 (12/125)

カツン

カツン

麦野「そう、動かないで。いい子だから動かないで、そのまま」

カツン

カツン

「は? はい?」

麦野「だから、動くなっつーの。脳味噌まで×××なのかっつーの。大人しくしてたら逝かしてやるからよ」

「え、ええと……」

カツン

カツン

麦野「逝かしてやるって言ってんだろ? 聞こえなかった?」


85VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:36:33.57P7Kj2VIn0 (13/125)

「あ……ぁ……あぁ……」


麦野「クソが! どこの犬かしらねぇけどよぉおおお!」


「あ……あ……まさか……まさか……」


麦野「てめぇの所有物に手ぇ出されて黙ってられる程、お人良しじゃねえええええええんだよ私はアアァァァァ!!!!」


「まさか……まさか……原子崩し……」


麦野「人の事を能力名で呼ぶんじゃねえよ。私には、私にはなぁ……ちゃあああああんと麦野沈利って名前があるんだよおぉ、覚えとけクズがアァァァ!!!!!」


キュイイイイイイイイイイイイイィィィィィン……


「ゆ、ゆるし……」

麦野「──ま、最も。もう二度と喋れないだろうけどなァァァァァァァァアアアア!!!!!!」


ドッ


86VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:38:07.97P7Kj2VIn0 (14/125)

麦野「……ちっ、胸糞わりぃな」

麦野「二度とアイテムに手を出すんじゃねーぞ」

麦野「……」

麦野「原子崩し……か」

麦野「どいつもこいつも畏怖、畏怖、畏怖……レベル五だから、当たり前といえば当たり前か……」

麦野「歩く自然災害……か、私にぴったりじゃねぇか」

麦野「……はぁ」

麦野「なんか疲れちゃった……」

くたっ


87VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:41:37.009vGdb3PDO (1/1)

ところどころに見覚えのない部分がある気がするんだけど、もしかして加筆とか修正してる?
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



88VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:41:46.45P7Kj2VIn0 (15/125)

──、麦野!


麦野「麦野沈利……」


──、麦野! 麦野!


麦野「ちゃーんと……名前、あるのになぁ……」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



89VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:44:30.06P7Kj2VIn0 (16/125)

──ナ……マエ……。


──、そう。


──、伝えなきゃ。


──、私。私の、私のナマエは……。
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



90VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:44:50.13SO6VZ+Rbo (1/1)

>>87
なに?読み直しとな?
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



91VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:56:45.49P7Kj2VIn0 (17/125)

浜面「麦野!」

麦野「……あぁ?」

浜面「麦野! あぁよかった、気がついたか」
 
麦野「なんだ、浜面か……」

浜面「なんだじゃねぇだろうが麦野……何回呼んでも返事しねぇし、心配したんだぞ?」

麦野「はっ、無能力者の浜面が超能力者のこの私を心配? はーまづらぁ、腹で茶ァ沸かせるつもりかよ」

浜面「ほんとに心配したんだって、無事そうでなによりだ。ったく麦野よぉ、お前は一人で突っ走るから追っかけるのも大変だったぞ」

麦野「追いかけてきてくれたの?」

浜面「当たり前だろうが」

麦野「……あ、そ」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



92VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:57:36.75P7Kj2VIn0 (18/125)

浜面「ったく麦野よぉー」

麦野「むぎの」

浜面「あん?」

麦野「ねー、浜面」

浜面「なんだよ」

麦野「名前、呼んで」

浜面「はぁ? なんで」

麦野「いいから」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



93VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:58:25.56P7Kj2VIn0 (19/125)

浜面「麦野」

麦野「苗字じゃなくてちゃんと名前も」

浜面「……は、はぁ?(なんでそんなこと……)」

麦野「はーまづらぁ」

浜面「……っ(なんだ、どうしたんだ麦野? さっきから様子が変だぞ?)」

麦野「……おねがい」

浜面「なにこの麦野、可愛すぎだろ……(どうしたんだ麦野……)」

麦野「私、そんなに可愛い?」

浜面「し! まった! 心の声がっ!」

麦野「心の声? 浜面は心の中でどんな妄想を繰り広げていたのかにゃーん?」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



94VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:59:02.47P7Kj2VIn0 (20/125)

浜面「ドチクショウ……なんたる失態……」

麦野「はーまづらぁ?」

浜面「ああもう煮るなり焼くなり好きにしろぃ!」

麦野「あんたなんか煮たところで出汁なんか出ないわよ」

浜面「ひでぇ……」

麦野「それより、さっきの」

浜面「お? おおう……」

麦野「はやく」

浜面「ええい! ままよ!」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



95VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:59:30.77P7Kj2VIn0 (21/125)

浜面「沈利、麦野沈利」

麦野「ん、もっかい」

浜面「しずり」

麦野「もっかい」

浜面「もっかいだぁ?」

麦野「文句いわない」

浜面「……沈利」

麦野「……うん」

浜面「沈利」

麦野「……」

浜面「麦野沈利」

麦野「……うん……」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



96VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 00:59:57.36P7Kj2VIn0 (22/125)

浜面「も、もういいか」

麦野「……うん」

浜面「……なぁ、なんかあったのか?」

麦野「べつにー」

浜面「そぉかよ」

麦野「……」

浜面「まぁ、無理にはきかねェよ」

麦野「そ」

浜面「……」

麦野「それじゃあ私から一つ聞いてもいいかな」

浜面「あん?」
スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



97VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:06:12.12P7Kj2VIn0 (23/125)

麦野「浜面と、アイテムで会ったときから、ずっと聞こうと思ってたんだけどさ」

浜面「なんだよ」

麦野「……あー、やっぱりいいわ。気のせいかもしれないし」

浜面「らしくねーな、いいから話せよ」

麦野「そう? じゃあ聞くけど……」

浜面「おう」


麦野「……私とあんた、ずっと、どこか、ずっと前に会ってない?」


────────

────

──

絹旗「ちょっとフレンダ! 押さないでください!」

フレンダ「絹旗こそ! ちょっと下がるわけよ!」

滝壺「北北西から電波きてる……」

絹旗「っだあー、ここからだと声が聞こえませんね」

フレンダ「でも感じるのよ……あの辺り一帯に広がるピンク色のオーラを!」

絹旗「ピンク色って……なんだか超いやらしいですね」

フレンダ「ピンク色、もとい、バニー色な訳よ」

絹旗「あー、なんかそれ聞いて隠れてるの超アホらしくなってきましたよ……」

フレンダ「!」

絹旗「どうしました!」


98VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:06:53.84P7Kj2VIn0 (24/125)

フレンダ「あ……あ……」

絹旗「フレンダ……?」

フレンダ「とある魔術の禁書目録、録画するの忘れてたーーーーっ!!!」

ズコー

絹旗「な……なんですか?」

フレンダ「ごめん、先帰るね」

絹旗「帰るって、ちょ……」

滝壺「きぬはた、かえろ?」

絹旗「滝壺さんまで」

滝壺「いいから、ね?」

絹旗「むー」


99VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:07:50.20P7Kj2VIn0 (25/125)



黄泉川「そこの3人、ちょっと待つじゃん」


フレンダ「……(い、今、気配なんかなかった訳よ!)」

絹旗「……(……おそらく相当のやり手ですね、どうします?)」

フレンダ「……(まだ麦野と浜面が中に居るし、事は荒立てない方が良さそうな訳よ)」

滝壺「なんですか?」

黄泉川「お? さっきの奴等と違ってちゃんとお話できるじゃん、偉い偉い」

フレンダ「さっきの?」

黄泉川「なんか4人くらい静止を振り切ってここの廃工場に振り切って入ろうとしたから成敗したじゃん」

絹旗「そうなんですか、それじゃあ私達は超失礼しますね」

黄泉川「まーまー、待つじゃん」


100VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:08:28.16P7Kj2VIn0 (26/125)

絹旗「何でしょうか?」

黄泉川「この顔に見覚えあるじゃん?」

滝壺「だれ?」

黄泉川「昔、この辺りを根城にしてたスキルアウトの一員じゃん、名前は浜面仕上、こっちは駒場利徳」

滝壺「しらない」

黄泉川「そっか、ありがとじゃん」

滝壺「お役に立てなくてごめんなさい」

黄泉川「いいじゃん、それよりこんな古い工場で遊んでるといつ崩れてくるかわからないし危ないじゃん。早く帰るじゃん」

フレンダ「それじゃあお言葉に甘えてそうさせてもらう訳よ」


101VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:10:21.87P7Kj2VIn0 (27/125)

黄泉川「ここには居ないか……ほかを当たるじゃんよ」



スタスタ

フレンダ「……」

スタスタ

絹旗「……」

スタスタ

滝壺「……」

スタスタ

フレンダ「行った?」

絹旗「みたいですね。……っだぁ~、超疲れました」

フレンダ「何なのよあの警備員、絶対タダ者じゃない訳よ」

滝壺「はまづらを探してたね」

絹旗「滝壺さん……、’知らない’って嘘つくのに超微動だにしませんでしたね」

フレンダ「世界最高の嘘発見器があったとしても感知できなさそうね」

絹旗「超すごかったですよ」

滝壺「それほどでも」

フレンダ「照れちゃっても~、かわいいっ」


102VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:11:29.30P7Kj2VIn0 (28/125)

フレンダ「それよりあの写真の人、駒場っつったかしら?」

絹旗「駒場、駒場利徳でしたっけ?」

フレンダ「結局、誰なのよ?」

滝壺「しらない」

絹旗「誰なんでしょうね」

フレンダ「浜面に関係ある人なのかな」

絹旗「今度機会があったら聞いてみましょうか」

滝壺「……」

フレンダ「そういえば浜面の過去って、あたし等、なーんも知らないのよね」

絹旗「それはお互い様では……?」

フレンダ「まっ、一緒に働くからには、興味が無いわけじゃないのよね」


103VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:12:32.46P7Kj2VIn0 (29/125)

フレンダ「浜面だってほら、ひょっとしたらどこかの国の王子様かもしれないし」

滝壺「はまづらが王子様?」

絹旗「なんですかそれ、どこの超アホアホキングダムですか」

フレンダ「わっかんないわよ~、だいたい、ここに来る前どうしてたかなんて本人以外わかんないもんね」

絹旗「なんか超興味沸いてきましたよ」

滝壺「南南西から電波きてる……」

フレンダ「今度皆の前で吐かせるわけよ、きひひっ」

絹旗「超罰ゲームでもやりますか」

フレンダ「浜面限定罰ゲーム大会? いいねいいね」

絹旗「超かわいそうですけど、超お似合いなのが悲しいですね」

滝壺「お似合い」

フレンダ「そんじゃもう解散って事でいいかな? あたし先帰るね」

絹旗「あ、待ってくださいよ」

滝壺「どこいくのフレンダ」

フレンダ「サバ缶」

絹旗「昨日超勝ってたじゃないですか」

フレンダ「昨日とは違う味が新発売な訳よ、全国を代表するコレクターとしては抑えときたいアイテムなのっ」

絹旗「サバ缶コレクターって全国に何人居るんですか……」


104VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:14:01.32P7Kj2VIn0 (30/125)

────────

────

──


「……浜面仕上の捕獲に失敗した?」

「は、はいっ」

「どういう事だ、きちんと現状を報告しろ」

「それが……」


105VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:15:22.95P7Kj2VIn0 (31/125)

「……なるほどな、あの原子崩しが関与しているのか」

「どうしましょう」

「アレはまだ浜面仕上が所持している、間違いないな?」

「は、はい」

「ふむ……やぶへびだったか、どうしたものか……」


106VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:15:48.57P7Kj2VIn0 (32/125)

「社長、しかしアレには我が社の命運が……」

「わかっている」

「社長」

「ここは学園都市……、これ以上騒ぎを大きくして他の組織から目をつけられるのは得策ではない……静観する他あるまい」

「しかし!」

「なぁに、ただ何もせず待つと言っているわけじゃない」

「?」

「果報は寝て待て……ここには金で動く連中なら五万といるだろうさ」


107VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:18:12.40P7Kj2VIn0 (33/125)

◇ ◇ ◇ ◇




──あんまり覚えてないのよねー昔の事って。能力開発していた事くらいしか覚えてないかも。





──というのは嘘だ、本当は全部覚えている。

──ただ、思い出すにはあまりに無味乾燥で、

──黒と灰色しかない世界の事ばかりが支配していて、

──夜な夜な、それが私の心をチクチクと刺すように音も無くやってくるんだ。


108VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:21:49.63P7Kj2VIn0 (34/125)






──、沈利。

──、麦野沈利。

──、しずり、なんて。我ながら変わった名前だと思う。

──、それが申し訳程度につけられた名前だという事は子供ながらに理解していたけれど。

『アレが……原子崩し』

──そこでは誰も私の名前を呼んではくれなかったから。

『やあ、原子崩し。今日から僕が君の能力開発を担当する事になった』

──白衣を着た男が私の前にやってきて薄っぺらい顔で笑う。

『今日からよろしく頼むよ、原子崩し』

──毎回繰り返される意味の無い遣り取り、これで一体何人目なのだろうか。


109VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:25:15.63P7Kj2VIn0 (35/125)

──、白色の部屋。

──、何も無い部屋。

──これも、私の能力開発を促すための部屋らしい。

──原子崩し

──それがあの白衣の男によってつけられた、私の呼び名。

──、反芻してみる。

──、メルトダウナー。

──、私の能力名。

──、誰も呼んでくれない名前。

──、むぎの、しずり。


110VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:28:55.24P7Kj2VIn0 (36/125)

──振り返るとつまらない毎日だったと思う。

──研究室で見る0と1の繰り返しが面白いとは思えず

──インストールされるプログラムを横目に座りながら足をプラプラさせてみた。

──きっと彼らが興味あるのは私個人ではなくて、私個人から採取される0と1の世界なのだろう。

──、数値の変化に一喜一憂する彼らを見る事さえ、いつしか飽き始めて、やがて何も思わなくなった。

──ただ促されるまま

──0と1を吐き出す。


111VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:30:06.34P7Kj2VIn0 (37/125)

──朝が来る。

──足音が聞こえて、起床を促される。

──窓すらない研究施設の隅の部屋で与えられた物と言えば、研究者の男が趣味で読んでいるという本くらいだった

『おはよう、原子崩し』

──特徴の無い声が抜けていく。

──ああ、今日もあのつまらない時間が始まるのか。

──そう考えるとほんの少しだけ億劫になる。

『どうした? 行くぞ』

──いっそ目の前の男を殺してしまえばこの意味の無い日々に終わりがくるのだろうかと思って

──白衣を赤色で染め上げた事もあった。


112VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:31:33.22P7Kj2VIn0 (38/125)

──人を殺したという実感は無かった。

──なんだ、こんなものか。

──かんたんじゃないか。

──簡単なことじゃないか。

──いつも通り、普段やっている実験の通りに照準を合わせて、能力を解放する

──それだけで目の前の男は動かなくなってしまった。

──本当に。

──息をするのと同じ感覚で能力を解放しただけ

──たったそれだけの事だったんだ。

──何も生み出さない

──恐らくは、ただ、奪うだけ。

──ただ、壊すだけ。

──それが原子崩しだという事に

──私は気がつかないフリをした。


113VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:32:29.85P7Kj2VIn0 (39/125)

──騒ぎを聞きつけた警備員が私の部屋に集まってきた。

──なのに誰一人として私を咎める物は居ず

──ただ、畏怖

──そして、無関心

──淡々と、業務的に遺体を回収して消えていった。

『素晴らしい……素晴らしい力だ、原子崩し』

──おかしいな

──悪い事をした子供は怒られるんじゃないのか

──少なくとも本で読んだ世界では、そうなっていたのに。

『これは実験の計画を少し前倒しにしてもいいかもしれないな、ははははは』


114VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:34:30.49P7Kj2VIn0 (40/125)

──白衣が一つ消えて

──部屋に残ったのは何冊かの本だけ。

──そしてまた繰り返される。

『やあ、原子崩し。今日から新しく君の担当になった者だ、よろしく頼むよ』

──また。

──また、白衣を着た男が私の前にやってきて薄っぺらい顔で笑う。

──同じ顔で。



115VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:35:01.98P7Kj2VIn0 (41/125)

──実験

──実験

──実験実験

──被検体番号4

──能力名

──原子崩し

──実験

──実験


116VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:39:06.17P7Kj2VIn0 (42/125)

──ねぇ。

『何だ、原子崩し』

──こんな実験繰り返して、何になるの?

『いつも言っているだろう、お前は将来莫大な利益を生み出すんだよ』

──将来って、いつ?

『明日の明日の、もっと先だよ』

──その日が来たらどうなるの?


──答えは、無かった。


117VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:40:53.06P7Kj2VIn0 (43/125)

──捲ったカレンダーの数は覚えていないけれど。

──そんな日が、ぐるぐると続いた。

──窓の無い、白い部屋。

──寒暖の差など無く、空調で色を消された季節の無い部屋。

──最初の白衣が残していった本だけを読んで過ごしていた。


118VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:41:37.64P7Kj2VIn0 (44/125)

──やがて私はある一つの事に興味を持ち始めた。

──研究所の外

──この外側の世界はどうなっているのだろう。

──24時間をこの研究所の中で生きていた私が始めて関心を抱いた事柄だ。

──きっと、私の知らない不思議な出来事が沢山待っているに違いない。

──だったら。

──とっととこんな所、抜け出してしまおう。


119VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:48:40.11P7Kj2VIn0 (45/125)

──思い立ったが吉日。

──味気ない金属製のドアを原子崩しでぶち破った。

──警告音が鳴るが、気にしない。

──迷路の様な研究施設。だけど道筋は覚えている。

──途中、私を制止する大人達を何人か能力で黙らせた。

──大人達が後ろで何か叫んでいたけど聞こえない。

──行くんだ。

──外へ

──帰るんだ。

──外へ。


120VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:50:05.66P7Kj2VIn0 (46/125)

──右。

──右、

──ひだり

──階段を上がって

──長い廊下をぬけて

──いつも自分の実験が行われていた部屋を横目に私は走った

──銃を持った大人が立ちふさがる

──気にしない。

──能力を解放して駆けた

──皮肉なものだと思う

──壊す事にしか使えない私の能力が

──今、私の願いをかなえようとしている。


121VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:51:06.80P7Kj2VIn0 (47/125)

──息があがる。

──肺がつぶれそうだ。

──だけど、代償と思えば安いもの、

──今までの過去を清算するための。

──思い返せばつまらない毎日だった

──朝起きて一番に色々なプラグが取り付けられた服を着せられ

──その後いくつかの栄養を摂取し

──パラメーターの変化を測定

──それに従って白衣の男が指示する通りに原子崩しを発動させる。

──薄気味悪い笑い顔が浮かんだ

──それを、おもいっきり、右足でふみつけるようにして

──私は走る。


122VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:51:58.89P7Kj2VIn0 (48/125)

──外に出たら

──なにをしようか

──あの本で読んだ

──おしゃれ、というものにも興味があるし

──しゃけという魚にも興味がある

──やってみたいこと、みてみたいこと

──たくさんありすぎてどれをしようなんて選べない

──ああ

──ああ

──なんて、

──なんて楽しいんだろうか


123VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:52:27.96P7Kj2VIn0 (49/125)

──あと少しで

──あと少し

──あと少しで、

『め、原子崩し! 待て!』

──うるさい

──ジャマスルナ

『原子崩し!』

──私はそんな名前じゃない

──私は、私の名前は!


124VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:53:26.10P7Kj2VIn0 (50/125)

──

──

──

──

──

──

──

──、

──、これが、外の世界。

──思っていた程も、

──、いや、想像以上に

──、何も無かった。


125VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:54:16.64P7Kj2VIn0 (51/125)

──結論から言うと、何も変わらなかった。

──これが世界。

──これが世界か。



──でも、次にやってきたあの感覚は例えようの無い興奮・快楽の類で

──風・音・光・温度・匂い・声・人の気配・町並み・ビル・雲・車・建物・ガラス・木・道・煙突・煙・騒音……エトセトラエトセトラエトセトラ……

──同時にあまりに多数の情報が脳に入ってきて

──私の頭はどうにかなってしまいそうだった

──

──、……まぶしい

──これが日の光というものだろうか

──うん、……悪くない。


126VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:54:59.81P7Kj2VIn0 (52/125)

──感動と呼べばいいのだろうか。

──あるいは。

──だがその一時の感動はすぐに不快な声でかき消される。

『ばか! お前等撃つな! 撃つな! 当たったらどうするんだ! あいつは金の成る木なんだぞ!』

──振り返ると銃を構えた大人達が追いかけてくる

──オマケにあの耳障りな声だ。

──私はまた、走った。

──威嚇で何回か能力を解放すると、奴等の動きが止まる。

──追いかけてこないでよ

──私、帰るんだから。


127VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:55:45.65P7Kj2VIn0 (53/125)

『原子崩し!』

──声が聞こえる。

『原子崩し! どこにいくつもりだ!』

──私は答えない。

『お前は、お前は俺の元でしか生きていけない! 一人で生きていけると思ったのか!』

──そんなの、知らない。

『原子崩し!』

──、うるさい

『……く』

──、ジャマ、しないでよ!


128VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:56:38.11P7Kj2VIn0 (54/125)

『くそ……まだ実験段階だが、アレを使うか』

──白衣が携帯電話越しに何か指示を出した直後

──不快な音が私を襲う。

──とたんに演算に集中できなくなった。

──私の能力はその特性上「照準」が最も重要な要素であるらしい

──あの白衣の男が言っていた事だ

──「照準」が狂うと能力が暴発してしまうかもしれない、と

──最悪自分を傷つけてしまうかもしれない。

──、……だとするとこの状況で能力を発動させるわけにはいかない……っ

──大人たちの足音が大きくなる。

──私は、


129VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:57:26.04P7Kj2VIn0 (55/125)

──逃げる

──息があがる

──でも、逃げる

──だめ。

──だめ、捕まったら。

──私は、私は外の世界に行くんだから。

──白い部屋なんかじゃない、薄暗い研究所なんかじゃない太陽の世界に。

──、一度手に入れたんだ。

──離して、たまるか……っ


130VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:58:01.88P7Kj2VIn0 (56/125)

──、でも

──、……だめ

──、耳が痛い、頭が痛い。

──もう

──もう、何も考えられない。

──ああ

──そうか

──だめなんだ

──私は、私には

──この世界には

──私の場所なんて……



『おい! こっちだ!』


131VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:58:33.45P7Kj2VIn0 (57/125)

──その声は耳を塞いでいても聞こえたし


『こっちだ! はやく!』


──この、不快な音に支配された世界でも、はっきりと私に届いた


132VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:59:41.93P7Kj2VIn0 (58/125)

──男の子だった。

──年は同じくらいだろうか?

──背は私と同じくらい、髪はボサボサ、なぜか土色に汚れた半そで半パン。

『逃げるぞ!』

──手を掴まれて、ぐいぐいと引っ張られる

──痛いくらいに強く引っ張られて、私は思わず手を引っ込めた。

『なにやってんだよ! 追われてんだろ!』

──、え……あ

『いいから!』

──、また、手を引っ張られる。


133VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:02:51.48P7Kj2VIn0 (59/125)






──その手は今まで差し伸べられたどの手よりも汚れていて




──その手は今まで差し伸べられたどの手よりも暖かかった







134VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:03:53.92P7Kj2VIn0 (60/125)

────────

────

──



『……ふぃー、逃げ切ったか?』

──、

『なんだよ、せっかく助けてやったのにお礼もねえのかよ』

──え、あ、……

『どうしたんだ?』

──う、あ……

『なんだオマエ、喋れねえのか?』

──何かを伝えようとするほど、私の喉は枯れていった。


135VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:04:48.95P7Kj2VIn0 (61/125)

『んー、ま、いいや。無理に喋んなくてもいいよ。あいつらに何か怖い事されたんだろ?』

──、ん……

『さ、これからどうするか。それよりオマエ、腹へってないか?』

──、……おなか? そういえば今日はまだ何も……

ぐるるるるる

『そっか、じゃあ俺の家に来いよ! なんかレーゾーコの中にあったと思うから』

──、言葉を介さなくても、なんとか空腹の意思は伝わった様だ。


136VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:05:25.73P7Kj2VIn0 (62/125)

『つーかよ、最近この辺りも色々工事中ですげーよな、ビルとかいっぱい立つのかな?』

『学園都市ってさ、すげーよなぁ。俺の居た地元じゃこんないっぱい人いなかったしさ!』

『あーもうなんかワクワクするなー!』

『来週からさ! 俺! 学校なんだ! どんな能力に目覚めて、どんな事ができるか、今から考えたらワクワクするぜ!』

『っと、話してる間に着いたな。このマンションが俺の部屋、狭いけどゆっくりしてけよ!』

──、こくり

『って、オイオイオイ、靴脱げ靴!』

──、?

『ハテナ? じゃねえよまったく、欧米か』

──オーベイ?

『いやそんなキョトンとされてもだな……』


137VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:06:05.06P7Kj2VIn0 (63/125)

ガチャ

『あー……』

パタン

『おーい、コンビニで買ってきた鮭弁当しかないけど、食べるか?』

──、こくり。

『ん、ちょっとまってろ。暖めてくるから、えーっと、確か電子レンジはこのボタンで……』


138VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:06:40.29P7Kj2VIn0 (64/125)

──、そわそわ。

『なんだよ、なんか珍しいモンでもあったか?』

──、?

『テレビに机にポスター、あとタンス……雑誌、別に普通のモンばっかだけどよ』

──、じー

『あぁこれか? 昨日ゲーセンで取ったカエルのストラップだけど、欲しいのか?』

──、こくり。

『ま、いいぜ。俺は別にいらなかったし、欲しい人に持っててもらえるならそいつも幸せだろ』


139VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:07:12.68P7Kj2VIn0 (65/125)

──、じー

『それはダメ』

──、?

『いや、だってそのヌイグルミ取るのにすげー金つかったんだよ、でかいし重いしクレーン甘いしで大変だったんだからよ』

──、じー

『……そ』

──、じー?

『……そんな目で見てもだめなもんはだめだああああああああああああああああっ!!』

チーン

『あぁぁぁああああって、出来たみたいだな』


140VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:07:41.88P7Kj2VIn0 (66/125)

──、?

『ホレ、熱いから注意しろよ』

──、っ!

『あーもー、そんながっつくなって……ってオイ! 手で食べるな手で! 箸をつかえ! ギャグか? 身体を張ったギャグなのか!』

──?

『お箸だよ、お・は・し! 日本語アンダスタン? チョップスティーック!』

──、?

『この顔はマジでわかんねーって顔だな……』


141VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:08:07.70P7Kj2VIn0 (67/125)

『いいか? こうやって右手で……こう、わかるか?』

──、こくり。

『お、そうそう。そうやって掴むんだ』

──、こくり。

『おー、上手い上手い。そのまま食べちまえ』

──、もぐもぐ。

『どうだ? 美味いか?』

──、こくこく。

『そっか、鮭好きなんだなオマエ。コンビニ弁当くらいしかなくてすまねぇな』

──、ふるふる。


142VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:08:37.84P7Kj2VIn0 (68/125)

『そういえば、オマエ、名前は何て言うんだ?』

──、

『ナマエだよナマエ、いつまでもオマエのままじゃ嫌だろ?』

──、ナ、……マエ……

『そうだよ、名前、なんだよ喋れるんじゃん!』

『あ? あ、あぁそっか。人に名前を聞くときはまず自分からだよな』

『俺な、俺の名前は──』

────────

────

──

麦野「……私とあんた、ずっと、どこか、ずっと前に会ってない?」


143VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:09:10.50P7Kj2VIn0 (69/125)

浜面「俺と麦野が?」

麦野「うん」

浜面「さあなー、誰かと勘違いしてねーか?」

麦野「そうかな」

浜面「だいたいよー、俺は女の知り合いっつったらスキルアウト繋がりで数人居る程度だしよ」

麦野「……それじゃああの修道服の娘は一体何だったのよ」

浜面「っだあ! かあ! らぁ! あの娘は道端で倒れてたんだって何度も説明しただろぉ!?」


144VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:09:52.60P7Kj2VIn0 (70/125)

麦野「ふつーさぁ、今日日の日本で道端に倒れてる修道服の女の子って居ると思う?」

浜面「いや、ベランダに引っかかっててもおかしくねぇんじゃねぇの?」

麦野「……むぎのびーむ」

浜面「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ?!」

麦野「ち、はずしたか」

浜面「い、いま! 髪! チリって! チリっていった! 髪! チリ! 当たるトコだったぞ! 麦野!」

麦野「当たり前じゃない、当てる気だったんだから」

浜面「さらっと恐ろしい事を言ってくれるな麦野は……」

麦野「浜面の分際で私に口ごたえしようなんて態度が気に入らなかったのよ」

浜面「ひでぇ……」


145VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:10:32.57P7Kj2VIn0 (71/125)

麦野「ま、いいわ。今日はもう帰りましょう」

浜面「ん。そうだな」

麦野「ここの後片付けよろしくね」

浜面「っておい! 俺一人でっ?!」

麦野「当たり前じゃない、正規の依頼でもないんだから下部組織使うわけにもいかないでしょ?」

浜面「いや俺所属は下部組織なんだけど……」

麦野「はーまづらぁ? あんたのせいで今日は休日出勤なんだからね」

浜面「う……」

麦野「……ま、どうしてもっていうなら手伝ってあげてもいいけど」

浜面「ほ、本当かっ?!」

麦野「その代わり……、か、買い物、付き合いなさいよ」


146VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:11:08.80P7Kj2VIn0 (72/125)

『買い物だよ、か・い・も・の、わかる?』

──、?

『なんつったらいいか……、食べ物、無くなったから買ってくるんだよ。わかるか?』

──、こくり

『よっしゃ通じた、そんじゃ俺は行ってくるから』

──、ふるふる

『ん?』

──、とことこ。

『一緒にってか?』

──、こくこく

『はぁ……、ま、いっか。夜は冷えるからほらコレ、着てけよ』


147VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:11:45.83P7Kj2VIn0 (73/125)

『そんじゃあ、行くか』

──、こくり。

『戸締りして……と。まーったくよ、オマエさ。結局どこの誰なんだー?』

──、?

『迷子の迷子の子猫ちゃん、あなたのおうちはどこですかーってか……結局名前も聞けなかったしさ』

──?

『まぁ、誰だって言いたくない事の一つや二つあるもんだしな、気にすんな』

──、……こくり。


148VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:12:21.98P7Kj2VIn0 (74/125)

『さー着いた着いた、おい勝手に行くなよー』

──、?

『あぁ? これか? これはサバ缶っつってな、サバの缶詰だよ』

──?

『缶詰がわかんねーのか、缶詰ってのはまぁ、保存食みたいなもんか?』

──、こくり

『保存食って言葉はわかるんだな~?』

──、こくこく


149VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:12:56.97P7Kj2VIn0 (75/125)

『……ま、インスタントの麺類何個か買ってりゃ当分は大丈夫だろ』

──?

『ソレ、お湯入れたら食えるんだよ、うめーぞ』

──、っ

『あー……鮭味のラーメンは無い……かな』

──、……

『あからさまに落ち込んでるな……喋れねえのにナンつーわかりやすさだオイ』


150VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:13:22.93P7Kj2VIn0 (76/125)

『……あー、ちょっと来い』

グイ

──?

『魚のコーナーは、っと。ここか』

──!

『おお……目が輝いてるぜオマエ……』

──っ! っ!

『あーはい、はいはい。買う、買うから。ったくよーグリルなんて使った事ねーから焦げてもしらねーぞ?』


151VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:13:52.83P7Kj2VIn0 (77/125)

浜面「ったくよー、絶対コレ焦げてるって髪の毛さ」

麦野「さっきからグチグチと、女々しいのよ」

浜面「そりゃ女々しくもなるわい!」

麦野「はーまづらぁ」

浜面「なんだよ麦野」

麦野「……」

浜面「なんだよー?」

麦野「べつにー」

浜面「なんだぁ? ヘンな麦野だな」

麦野「ヘンはヘンでもヘンタイの浜面にだけは言われたくないわよ」

浜面「ははっ、負け犬上等ォ~……」


152VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:14:26.39P7Kj2VIn0 (78/125)

麦野「あった」

浜面「何買うかと思ったら弁当かよ」

麦野「明日の朝用よ。ここの鮭弁、好きなのよね」

浜面「ふ~ん」

麦野「なによ」

浜面「いや……意外っつーか、麦野がこんな庶民派スーパーを使ってるなんて思わなかったからさ」

麦野「なによー、人がどこで何買おうと勝手でしょ」

浜面「ちげぇねえ」

麦野「浜面は何買うの?」

浜面「そうだな……今日の晩飯、何にすっかなぁ」


153VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:14:53.51P7Kj2VIn0 (79/125)

浜面「……、あ」

麦野「うん? どうしたの?」

浜面「……麦野」

麦野「なに?」

浜面「……大変悲しいお話だ」

麦野「だからなによ」

浜面「金、ない」

麦野「……さー、かえろっと」

浜面「まままま、待って! 待ってよ~! 麦の~ん!」

麦野「誰が麦のんだ! ×されてぇのか浜面ァ!」

浜面「む、麦野! ビームはやめろ! 公共の場! 公共の場だって!」

麦野「……フン、なによ。お金が無いのってあのせいでしょ? 自業自得じゃない」


154VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:15:20.38P7Kj2VIn0 (80/125)

浜面「頼むよ~、腹が減って死にそうなんだ」

麦野「勝手に飢え死にしてれば?」

浜面「ひでぇ……」

麦野「フン」

浜面「俺がオマエの立場だったら絶対手を差し伸べるぞ麦野! 間違いなく! どこの誰であっても!」


『……オマエさ。結局どこの誰なんだー? 』


麦野「……」

浜面「あん? どうしたよ麦野?」

麦野「……なんでもないわよ」

ぐるるるるるるるるる……

浜面「は……はらへった……」


155VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:15:53.25P7Kj2VIn0 (81/125)

麦野「あーもう、わかった。わかったからそんな子猫みたいな目でみないでよ」

浜面「……麦野っ!」

麦野「そのかわり!」

浜面「?」

麦野「食材は買ってあげるわ。でも料理は浜面がすること、いい?」

浜面「お、おう! もちろんだぜ! 俺のスーパーでスペシャルな料理で麦野のほっぺた落としてやるから覚悟しとけよ!」


156VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:16:20.71P7Kj2VIn0 (82/125)

『っだああああああああああああああ!!!! 煙が! 煙が出てるっ?!』

──、けほ、けほ

『おい! ちょっとトイレ行ってくるから見ててくれって頼んだじゃねーか!』

──、?

『いや、見てたけど? って感じで顔をかしげられてもだな……』

──、ふるふる

ポン

『慰めてくれるのか、オマエ……』

──、こく

『そっか、優しいんだな』

──、……

『でも、晩飯は残念ながらカップラーメンだ』


157VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:16:47.25P7Kj2VIn0 (83/125)

──、ずるずる

『うまいか?』

──、こくり

『そっか』

──、ずるずる

『今度鮭味のラーメン、探してみるか?』

──!

『ここは学園都市なんだし、商品も変わったもの置いてたりするかもな』

──っ!

『あー、はいはい。また明日な、今日はもう遅いから』


158VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:17:14.16P7Kj2VIn0 (84/125)

『オマエ、布団つかっていいぞ』

──、?

『俺、ソファーで寝るから』

──、……?

『布団だよ、布団、ワカル? これを、こう、被ってねるの』

──こく

『お、そっか。じゃあ電気けすぞ、おやすみなー』

カチ

──、……。


159VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:17:40.35P7Kj2VIn0 (85/125)

──、……。

──、……。

スー

スー

スー

Zzz……。


160VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:17:41.04EAmWT06Yo (1/1)

> むぎのびーむ
なんて強力な・・・


161VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:18:08.34P7Kj2VIn0 (86/125)

『ふあぁ……よく寝た』

『って、うおお!!』

──、すー……すー……

『なんでオマエがソファーに……、ベッドで寝てたはずじゃ……』

──、すー……すー……

『ま、いっか。気持ち良さそうに寝てるし』

──、すー……すー……

『ほんっと、幸せそうに寝てるなー』

──、すー……すー……

『それにしても、誰なんだろこの子』

『やっぱ、誰か大人に相談した方がいいのかな』


162VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:18:36.00P7Kj2VIn0 (87/125)

『つっても、俺ここらへんの事まだよくわかんねーんだよな』

『こんな時どうすればいいんだっけ……』

『たしかこのガイドには……ええっと? こまった事は風紀委員か警備員にご相談って書いてあるな』

『これ、地図か』

『んー、ここからだと警備員の詰め所が近いのかな』

『んじゃ、買い物のついでに寄っていくとするかな』

──、ぱちり

『お? おはよ、おきたか?』


163VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:19:03.06P7Kj2VIn0 (88/125)

──、……ぼー

『おーい?』

──、びくっ

『そんな警戒すんなよ、俺だ俺。昨日の事は覚えてるよな?』

──……こくり

『そりゃ良かった、シャワーでも浴びて来いよ』

──、?

『買い物、いくんだろ?』

──!


164VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:19:34.46P7Kj2VIn0 (89/125)

『シャワーわかるか? お湯が出てくるんだぞ?』

──こくこく

『へ~、オマエでも知ってるのあるんだな』

──こく

ヌギヌギ

『って、うおお! バカ! こんなとこで脱ぐんじゃねえ!』

──?

『だから何? って顔してんじゃねえええええええええ!!!!』


165VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:20:05.34P7Kj2VIn0 (90/125)

シャーーーーーーーーーーーーー

──♪

『ったく、脱ぎ散らかすんじゃねーっての……、うへぇ……生暖かい……』

──♪

『ち、ちがう。これは別にやましい気持ちなんかじゃなくて、その! ちらかってるのはダメだろうどうかんがえても!』

──、♪

『ってかこいつ、服コレしかないんじゃ……』

──♪

『ついでに服屋にも寄ってくか? 金は親から振り込んでもらったのがまだたんまりあるし、大丈夫だろ』

──♪

『あいつ……結構胸、大きかったな……ってそうじゃねええええ!!!!!』


166VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:20:36.88P7Kj2VIn0 (91/125)

キュ

ポタポタ

ガチャ

──♪

『……』

──、?

ポタポタ

『……』

──?

『……タオルでふけー……』

──こく


167VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:21:08.20P7Kj2VIn0 (92/125)

カシャン

浜面「もー、なにやってんだよ。麦野が動いたから醤油倒れただろ? ホラ、これで拭けよ」

麦野「あんたが押すからよ!」

浜面「ただでさえキッチン狭いんだから、二人も入ったらそりゃキュウキュウだっての!」

麦野「何よ! せっかく手伝ってあげてるのに!」

フキフキ

フキフキ

浜面「……ん」

麦野「どうしたのよ」

浜面「このニオイ……」

麦野「あ?」

浜面「麦野! 火! 止めろ!」

麦野「火?」

浜面「魚! 焦げてる!」


168VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:21:34.62P7Kj2VIn0 (93/125)

麦野「……」

浜面「ま、焦げちまったもんはしゃーねー」

麦野「そうね」

浜面「責任の所在は一先ず置いといて……だ」

麦野「そ、そうね」

浜面「晩飯……どうするよ……、シャケしか買ってこなかったじゃねーか……」

麦野「なんとかするわよ」

浜面「なんとかってったって……」

麦野「ったく、しゃーないわね。アレを出すか」

浜面「あれ?」

麦野「鮭味のカップラーメン。あんまり売ってないから大事にとってたんだけど特別だからね」

浜面「どんだけ鮭好きなんだよ!」


169VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:22:02.24P7Kj2VIn0 (94/125)

◇ ◇ ◇ ◇


海原「お疲れ様でした」

一方通行「あー疲れた疲れた疲れた疲れたァ……、ほんっと、マジで疲れたわァ」

結標「っていうか……今日の依頼って、本当に四人で行く意味あったの? 三件とも全部瞬殺だったじゃない」

土御門「にゃー。依頼は完遂、何事もなく終わったんだから文句言わないにゃー」

海原「そういえばあの噂、聞きましたか?」

一方通行「何だァ?」

海原「なんでも人の記憶を自由自在に操るデバイスの研究が、とある施設で行われていたそうですよ」


170VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:22:34.22P7Kj2VIn0 (95/125)

結標「また悪趣味な研究をしていたものね」

一方通行「記憶だァ? ンなもんいじくってどうしよってンだ?」

海原「さぁ……そこまでは、ただ裏でその研究に不釣合いな程莫大な資金が動いていたとか何とか。噂じゃ子供の記憶の改変に用いられたらしいですけど」

一方通行「子供のねェ……」

結標「許せないわね、遺憾の意を表明するわ」

一歩通行「全くだァ」

海原「そうですね、でもまぁ統括理事会の意向に背いたとか何とかで封殺されたらしいですけどね」

土御門「おー、こわいこわい」

海原「ま、何かと尤もらしい理由をつけて、後は僕らみたいな組織が力づくで黙らせる。それが彼らのベーシックなスタンスですけどね」

土御門「さわらぬ神にたたりなしって事だにゃー」

海原「さて。与太話もこれくらいにして……、今日はもう解散ですかね?」

土御門「そうだにゃー、もう今日はアジトに残っててもやることがないにゃー。解散ですたい」

Prrrrrrrrrrrrrrrrrrrr.......

土御門「っと、電話か……」


171VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:23:40.01P7Kj2VIn0 (96/125)

結標「何の仕事?」

土御門「’メモリー’の回収だにゃー」

一方通行「’メモリー’?」

海原「その’メモリー’とは?」

土御門「詳しい事はわからないにゃー。ただ、……」


172VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:24:40.67P7Kj2VIn0 (97/125)

─────────────

────────

────


浜面「タダより高いものはねぇ!」

フレンダ「なによ」

絹旗「超大声だしてどうしたんですか?」

滝壺「耳……きーんってする」

浜面「いや、何故か叫ばなくちゃいけない衝動に駆られてよ」

フレンダ「バカなの?」

浜面「うるせーやい。それよりフレンダ、この前頼まれてた品できたぞ」

フレンダ「え?」

浜面「なんだ忘れちまったのか? これだよコレ」

ゴトリ

フレンダ「あ、靴と……えーっとなんだっけ?」

浜面「イグニスだろ? 中身はただの窒素ガスだけどよ」

フレンダ「あー、そうそう。イグニスよイグニス、ありがと」

浜面「大事に使えよな」

フレンダ「結局、フェイクの爆弾なんて使う場面が限られすぎてて使いにくい訳よ、発想が逃げ腰の浜面らしいというかさ」

浜面「おおい! 人に作らせといてそれかよ!」


173VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:25:33.81P7Kj2VIn0 (98/125)

浜面「あと絹旗、窒素のビン、お前にもだ」

絹旗「私にもですか?」

浜面「お前さ、窒素装甲使ってる時は殆ど無敵みたいなもんだけど、窒素なくなったらやべーんじゃねーか? クリボーみたいに踏み潰されちまうかもしれねーだろ?」

絹旗「は……浜面には超言われたくないです!」

浜面「へーへー、いいからほら、持っとけ。持ってりゃいつか使うだろ」

絹旗「あ、……ありがとうございます」

浜面「おう。それにしてもフレンダさー。靴に仕込みのナイフなんてよ、なんかスペツナズみたいだな」

フレンダ「憧れてたのよね」

浜面「映画の見すぎじゃね?」

フレンダ「ちょっと浜面さー、あたしの故郷バカにしないでくれる?」

浜面「え? フレンダってロシア人だったの?」

フレンダ「ぜんっぜん、縁もゆかりもないけど」

浜面「なんだそりゃあ……」

フレンダ「とりあえず、ありがと」


174VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:26:10.90P7Kj2VIn0 (99/125)

滝壺「はまづら」

浜面「ん、どした?」

滝壺「むぎのは?」

浜面「あと30分くらいしたら来るんじゃね?」

フレンダ「……なーんで麦野が来る時間を浜面は知ってるわけなの?」ニヤニヤ

絹旗「超謎ですね」ニヤニヤ

浜面「な……なんだよお前ら」

フレンダ「さぁねーはーまづらぁ」ニヤニヤ

浜面「なんだよ麦野のマネかフレンダ」

絹旗「昨日麦野の家に泊まったんですよね」ニヤニヤ

浜面「な”ぁ?!」

フレンダ「とぼけても無駄よ、浜面の靴にGPSチップを設置していたからねー」ニヤニヤ

浜面「お……お前らっ?!」

絹旗「で」

フレンダ「ぶっちゃけ、シたの?」


175VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:26:39.12P7Kj2VIn0 (100/125)

浜面「はぁぁぁぁぁぁああッ?! な、な、な、何を言ってるんだよ!」

フレンダ「何って、ナニでしょ」

絹旗「超ナニですよね」

滝壺「なに」

浜面「ナニとかさらっと言うんじゃねええええええ!!!!! だ……だいたいっ! 麦野は俺の事なんか全然好きでもなんでもねーよ!!」


絹旗「そうでしょうか?」ニヤニヤ

フレンダ「なんでそんな風に言い切れるのかにゃーん?」ニヤニヤ


浜面「あいつはベッドで寝たけど俺は廊下だぜ?! この扱いからわかるだろーが!」


フレンダ「という事はつまり」

絹旗「麦野の家に泊まった事実は認めるんですね?」



176VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:27:05.86P7Kj2VIn0 (101/125)

浜面「はぁ? 認めるも何もそれはお前等が俺の靴に細工して……」


フレンダ「あたしら、何も細工なんかしてないよ」

絹旗「まさかこんな簡単な誘導尋問にひっかかるなんて……浜面はやっぱり超浜面ですね……」

滝壺「たんじゅん」


浜面「なん……だと……」

フレンダ「(きひひっ、これから罰ゲームのはじまりはじまりよ!)」

絹旗「(フレンダ……悪魔の尻尾がでてますよ)」

フレンダ「(気のせい気のせい)」

絹旗「(超ワルですね。まぁこのノリ、嫌いじゃありませんよ)」

フレンダ「(さーさー、尋問開始よ!)」


177VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:27:32.19P7Kj2VIn0 (102/125)

フレンダ「ネタは上がってんだよにーちゃんよぉ」

浜面「何のネタだ何の」

フレンダ「……吐いてラクになってまえよ……カツ丼くうか?」

浜面「いらねーよ!!」

絹旗「ずばり、麦野のどこに惚れたんですか?」

浜面「はぁ?! なんで俺が麦野に惚れなくちゃいけないんだよ」

フレンダ「……」

絹旗「……なんで、って」

フレンダ「自覚なし?」

絹旗「ファミレスの件といい……きっと超自覚無しなんでしょうね……」

フレンダ「むぎの……不憫……」


178VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:28:21.30P7Kj2VIn0 (103/125)

フレンダ「浜面はさー、麦野の事どう思ってるの?」

浜面「どう……って」

絹旗「超好きだーーーー!! とか。超愛してるーーーー!! とか」

浜面「だからぁなあ、そんなんじゃねえんだよ」

フレンダ「婚前宿泊までしておいてっ?!」

浜面「婚前って……久々に聞いたぞそんな言葉、お前やっぱり日本人なんじゃ……」

フレンダ「今私の国籍の話なんかどうでもいいの」

浜面「はぁ……」

絹旗「昨日、麦野の様子はどうでしたか? 何か変わった様子は超ありませんでしたか?」

浜面「変わった……? 変わった様子って言われてもなぁ……」


179VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:28:54.22P7Kj2VIn0 (104/125)

浜面「あ」

絹旗「何か超おもいだしましたか?」

浜面「昨日夜さ、晩メシ作ってたんだよ」

フレンダ「どっちが! どっちに!」

浜面「どっちが……って別に、二人で、だけどよ」

絹旗「愛の共同作業ですねこれは……」

フレンダ「OH……LOVELY WORKS……トゥギャザー……」

浜面「いや、フレンダ意味わからんから」

フレンダ「それで、料理した。はい終わり。って訳じゃないんでしょ?」

浜面「あー、それでよ。狭いんだ麦野の部屋のリビング、二人入ったらもうキュウキュウでさ」

絹旗「つまりスキンシップも自然と増えるっていう超寸法ですね」

フレンダ「麦野……涙ぐましい努力……」

浜面「そしたらあいつさ、醤油とか零しやがってよ」

フレンダ「ドジっ娘アピールっ?!」

絹旗「なんか麦野のイメージが超崩れていきます……」

浜面「ったくしゃーねーなって感じで拭いてたら、鮭を焦がしちまってさ」

フレンダ「そこで更にワンモアパンチを重ねにいったのね麦野……」

絹旗「二重の仕掛けですか、超ハイレベルです」

フレンダ「上級者向けよ上級者向け」

絹旗「なるほど、超参考になりますね」

メモメモ

フレンダ「参考になるな……ならねーよ」

メモメモ


180VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:29:21.02P7Kj2VIn0 (105/125)

フレンダ「で、お風呂は当然一緒に入ったんでしょ?」

浜面「は……はぁ?!」

絹旗「超エロ面ですね」

浜面「あのなぁ……んな事してたら命がいくつあってもたりねーよ!」

フレンダ「3つくらい命、ありそうじゃない?」

絹旗「浜面でひとつ、エロ面でひとつ、バカ面でひとつですか?」

フレンダ「絹旗、上手いこというじゃない。ザブトン進呈よ」

絹旗「超ありがとうございます」

浜面「ったくよー、麦野が俺の事好きとかありえないからさ。お前等だけで盛り上がってんじゃねーぞ」

絹旗「それじゃー、昨日浜面が襲われた時の事はどうやって説明するんですか?」

浜面「昨日?」

フレンダ「結局、麦野ったらスゴい形相で逃げた一人を追っかけていった訳よ、あんな小物ほっといても別に大丈夫そうなものを。私が走っても追いつけなかったんだから」

絹旗「そうですよ、あんな小物」

浜面「その小物に追い詰められた俺の立場はっ?」

フレンダ「なし」

絹旗「超ありませんね」

フレンダ「でも浜面、よっく考えなよ」

浜面「あん?」

フレンダ「麦野の気持ちよ」


181VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:29:54.39P7Kj2VIn0 (106/125)

浜面「だから昨日のアレはアイテムのリーダーとして……」

絹旗「ここまでとなると……超呆れたものですね」

フレンダ「天然記念物クラスな訳よ、どっかの博物館に展示すればいいのに」

浜面「はぁ?」

絹旗「たぶん……超アレじゃないですかね」

フレンダ「アレだよね」

浜面「アレってなんだよ」

絹旗「アレはアレしかないです」

フレンダ「うん、アレしかない」

浜面「アレ?」

フレンダ「アレはアレよ」

浜面「アレってなんだよ」

絹旗「浜面だって自分の持ち物を勝手に取られたら超怒るでしょう? 例えば、お金を奪われたりしたら」

浜面「当たり前だろ」

フレンダ「麦野も一緒ってコト」

浜面「……そうだったのか」

絹旗「やっと気づきましたか」

フレンダ「鈍感」

絹旗「超鈍感」

滝壺「どんかん」


浜面「やっぱ麦野……ファミレスで金借りたコト怒ってるのか……?」


182VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:30:30.94P7Kj2VIn0 (107/125)

滝壺「」

絹旗「」

フレ ンダ「」

浜面「しかも昨日もお金無いって言ったらすげー怒られたし……金の切れ目が縁の切れ目って言うしなぁ……、次金が入ったら一番に謝りにいくよ……って、なんで三人ともずっこけてるんだ?」

絹旗「あの~、浜面? お金の事はものの例えで、実際麦野はそういう事で怒ってたわけじゃないと思うんです」

浜面「そうなのか?」

絹旗「え、えぇ。そうですよ」

フレンダ「こ……ここまでとは……」

絹旗「浜面仕上……超侮りがたし……」


183VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:30:59.02P7Kj2VIn0 (108/125)

麦野「随分楽しそうな話してるじゃない? 私も混ぜなさいよ」



フレンダ「む、むぎの」

絹旗「い、いつから居たんですか?」

麦野「いつ? 今きたとこだけど?」

フレンダ「そ、そう。なははー、なんか喉渇いちゃったなー、ドリンクバーでも行ってこようかなー」

麦野「あら? そんなの浜面に任せとけばいいじゃない」

フレンダ「な、なんだか今日は自分で入れに行きたい気分なのよ、そう! たまには自分で動かないとねー」

麦野「あ、そ。いってらっしゃーい」

滝壺「(にげた)」

絹旗「(超逃げましたね)」


184VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:31:25.77P7Kj2VIn0 (109/125)

浜面「お前等は何にする?」

絹旗「コーラ」

滝壺「かるぴす」

浜面「麦野は、いつものでいいな」

麦野「うん」

浜面「じゃ、行ってくるわ」


185VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:37:49.90P7Kj2VIn0 (110/125)

>>6
今日はここまで
うつすだけとは言えさすがに疲れました……

>>20
私です

>>34
まだあまり慣れないけど
さるさん無いって素敵です
25秒規制なんですね

>>38
sagaなんですね、sageじゃなくて
途中まで間違ってsageてた、はずかし

>>44
とりあえず現状ここまででした

>>50
任せた

>>56
私です

>>64
サンクス

>>87
ほんの少しだけ

>>160
むぎのびーむで地球がやばい


186VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:39:27.06mdjdZSHvo (1/1)

前に総合で投下したことある?


187VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:39:40.15tOOwWvOko (1/1)

sagaだとピーとか入らない


188VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:43:48.14EJT5gUiho (1/1)

saga sage両方いれればおk


189VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:46:20.95P7Kj2VIn0 (111/125)

>>186
総合ってどこでしょう?
VIP以外でSS投下するのは初めてです……

>>187
そういう事かw

>>188
両立も大丈夫なのね


190VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 04:13:24.72NhrHE0TRo (1/1)

1か!おかえり!マジ期待だわ支援


191VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 05:17:10.96/B5GF8LWo (1/1)

こっちに来てたのか!


192VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:36:17.03P7Kj2VIn0 (112/125)

フレンダ「(きゃ~! むぎのにバレた? 聞こえてた? それとも聞こえなかった?!)」

フレンダ「(……でも、なんかいつもと同じ風だし……別に大丈夫だよね)」

フレンダ「(それにしても、あ~、浜面、ほんとに麦野のコト、なんとも思ってないのかな)」

フレンダ「(麦野は麦野で、浜面のコト、どー思ってるんだか……)」

フレンダ「(でも正直、浜面に麦野はもったいないと思うわけよ)」

フレンダ「あれ、レモンティーが無い?」

フレンダ「むー、ツイてないな」


193VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:39:36.45P7Kj2VIn0 (113/125)

フレンダ「だったらこの特製のサバフレークをミックスして……」

浜面「やめんか」

ひょい

フレンダ「ちょ、返せバカ!」

浜面「あのなぁ、どこの世界にドリンクバーに持ち込みのフレークをミックスするヤツがいるんだよ」

フレンダ「ここに居るわよ」

浜面「アホか」

フレンダ「むきー!」

浜面「こういう時はな~。すみませ~ん店員さん。レモンティー切れてるみたいなんですけど」

「わかりました、少々お待ちください」


194VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:42:28.29P7Kj2VIn0 (114/125)

浜面「な? ホラこう言えばいいんだよ。ほれ、ティーパック」

フレンダ「……」

浜面「えーっと、何だっけ。滝壺がカルピスで絹旗がコーラで麦野が紅茶だったか」

フレンダ「あ、あのさ」

浜面「ん?」

フレンダ「ありがと」

浜面「あいよ」


195VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:47:39.57P7Kj2VIn0 (115/125)

麦野「~~♪」


絹旗「(滝壺さん、滝壺さん)」

滝壺「(きぬはた、なに?)」

絹旗「(さっきから麦野、超ゴキゲンじゃないですか?)」

滝壺「(そうね)」

絹旗「(……誰かさんの行動一つで機嫌が超良くなったり超悪くなったり……恋する乙女ですか)」

滝壺「(麦野も女の子だもの)」


麦野「~~♪」


196VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:51:36.95P7Kj2VIn0 (116/125)

浜面「ところでさっきの話だけどさ」

フレンダ「ん?」

浜面「その……マジな訳?」

フレンダ「何が?」

浜面「麦野が俺の事……その、なんだ、ほら」

フレンダ「さ~ね~」

浜面「はぁ?」

フレンダ「気になるなら自分で確かめたらぁ?」

浜面「で……できる訳ねぇだろんな事!」

フレンダ「そうだよね~、結局、浜面ヘタレだし」


197VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:55:18.24P7Kj2VIn0 (117/125)

浜面「……う」

フレンダ「ヘタレの浜面、略してヘタ面ね。お似合いじゃない」

浜面「うるせー」

フレンダ「……(なにこの浜面、ちょっと可愛い訳よ。こんな顔されたら母性本能くすぐられるわよね……、あ、それで堕ちたのか麦野)」

浜面「……で、どうなんだよ」

フレンダ「し~らないっと」

浜面「おい?! 待てよフレンダっ」

フレンダ「結局、外野がどうこう言う話でもないからね~」



198VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 19:59:33.76P7Kj2VIn0 (118/125)

浜面「お待たせ」

麦野「ん」

浜面「ほれ、紅茶」

麦野「ありがと」

浜面「お前等も、カルピスとコーラな」

麦野「さて、全員揃った所で作戦会議を始めましょうか」

フレンダ「作戦?」

麦野「依頼よ」

絹旗「内容は?」

麦野「詳細はもうすぐ届くと思うわ、浜面、あんたのとこにメールが届くはずだから全員に転送して頂戴」

浜面「あ? あぁ、わかった」


199VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:05:06.09P7Kj2VIn0 (119/125)

♪マヨエー ソノテーヲ ヒクモーノナ-ドイナイ♪

浜面「お、来たな」

コロン……コロッ、コロッ

麦野「浜面、ポケットから何か落ちたわよ」

浜面「ん、あぁ。すまんな」

ひょい

麦野「なにそれ?」

浜面「さあ?」

麦野「さあ……って。綺麗ね、パズルのピースみたい」

浜面「全員、転送したぞー」


200VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:09:51.04P7Kj2VIn0 (120/125)

滝壺「……聞こえる」

絹旗「……? 滝壺さん?」

滝壺「……声、聞こえる」

フレンダ「どーしたの?」

滝壺「……わからない、けど。悲しい声が、そこから」

麦野「ここから?」

浜面「あー、そういえば持ってて何か聞こえたな、俺も」

麦野「ふーん?」


201VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:12:59.77P7Kj2VIn0 (121/125)

麦野「ま、いいわ。それより浜面、大切なものならちゃんと持っておきなさいよ」

浜面「お? おう」

フレンダ「結局、麦野はモノは大切にする派な訳よ」

浜面「ほう?」

フレンダ「だってボロボロのヌイグルミ抱いてないと眠r」

浜面「ヌイグルミ?」

麦野「フーーーー……レー……ン、ダァ?」

フレンダ「ひぃっ?! な、なんでもない、なんでもないっ」


202VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:17:55.67P7Kj2VIn0 (122/125)

────────

────

──


「報告します。’メモリー’の件に関して依頼をしたところ『グループ』という組織とコンタクトがとれました」

「ふむ、ウデは確かなのか?」

「噂では学園都市でもかなり上級に位置する能力者が在籍しているとか」

「それは頼もしい」

「’メモリー’について情報を要求されていますが如何しましょう?」

「任せる」

「承知致しました」


203VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:28:02.87P7Kj2VIn0 (123/125)

◇ ◇ ◇ ◇


麦野「それじゃあ、今日は解散ね。各自そのデータを叩き込んでおくこと、いいわね?」

滝壺「うん」

絹旗「超お疲れ様でした」

フレンダ「は~帰って新しいサバ缶た~べよっと」

浜面「ほんと、サバ缶好きだよなぁ」

フレンダ「きひひっ」


204VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:32:38.32P7Kj2VIn0 (124/125)

絹旗「それじゃあ私はお先に超失礼しますね」

滝壺「ばいばい」

フレンダ「サバ缶サバ缶っと~♪」

麦野「はいはい」

浜面「おーう、またな」

麦野「ったく、サバ缶のどこがいいのやら」

浜面「ははは」


205VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:35:14.37P7Kj2VIn0 (125/125)

麦野「……」

浜面「……え、っと」

麦野「ん?」

浜面「お、俺らも帰るか」

麦野「そうね」

浜面「それじゃあお先に」

麦野「待ちなさいよ」

浜面「……え?」

麦野「女の子を一人で帰す気?」

浜面「あ、いや」

麦野「イヤならいいけどー?」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

浜面「お供させていただきます麦野さん」

麦野「うん、よろしい」

浜面「ははは……(こんなとこでビームだされたら死ぬだろーが!)」


206VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 00:45:48.51fTaIiVrAO (1/1)

麦野かわいい~


207VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 00:53:12.85PT9xgBvMo (1/2)

ふっきゅう


208VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 01:34:12.21OSk0YVKdo (1/1)

ふぁっきゅう


209VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 01:45:04.51Aoew1ww/o (1/2)

fack you


210VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 02:19:06.13v/ALD8NGo (1/2)

Oh
spell miss

fack me


211VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 02:25:20.059vl2sQHNo (1/1)

fuckなwww


212VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 02:31:44.69Tmlv+DAwo (1/1)

何故だろう、タイトルを見る度に
「私がオバさんになっても」を連想してしまう


213VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 02:33:55.72o/7V/Hx10 (1/1)

oh
miss spell

fuck you


214VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 03:06:09.12Aoew1ww/o (2/2)

>>213
fuck you


215VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 03:12:15.01LxK7YNWco (1/1)

麦野「fuck me」

浜面「oh……」


216VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:10:37.45MVKsivV40 (1/50)

スタスタ

浜面「で、──────昨日のサッカーがな──」

スタスタ

浜面「────岡崎が──────ハットトリックで──────」

スタスタ

浜面「決勝──────リーグに────────」

麦野「……」

スタスタ

浜面「────おーい……麦野ぉー?」

麦野「なによ」

浜面「オレノ、ハナシ、キイテマスカ」

麦野「聞いてるわよ、岡崎がハットトトリックして勝ったんでしょ」

浜面「あと、前田も2ゴールな」

麦野「はいはい、聞いてた聞いてた」

浜面「そーかよ、ならいいけどさ」



217VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:15:20.67MVKsivV40 (2/50)

浜面「でよ、次は開催国のカタールと試合なんだとさー。勝つと思うか?」

麦野「私サッカーなんかあんま見ないから」

浜面「そ、そうか…………(あー……スポーツの話題はNGだったか……)」

麦野「……」

浜面「……(気まずい沈黙だな……)」

麦野「……」

浜面「……(な、なんかないか話題、話題っ?!)」

麦野「ど……」

浜面「……?」

麦野「どっちかと言えば……」

浜面「……どっちかと言えば……?」

麦野「どっちかといえば、野球かなー……なんて」

浜面「は?」


218VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:18:20.84MVKsivV40 (3/50)

麦野「だから、どっちかって言えば野球かなって言ってんのよ!」

浜面「あ? あぁ……そ、そうか。お前でもナイターとか見るんだな」

麦野「何よ! おかしい!」

浜面「いや、別に。最近じゃ女も野球見るのは普通だろ」

麦野「フン」

浜面「なんだ麦野も野球好きだったのかー、どこのファンなんだ?」

麦野「あ、あんたはどこが好きなのよ」

浜面「あ? あー、どこって……強いて挙げるなら京浜アスレチックスとか?」

麦野「じゃあ私もそこ」

浜面「私も、って……」

麦野「何よ! おかしい?!」


219VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:20:29.77MVKsivV40 (4/50)

浜面「おかしくはねーけどさ」

麦野「ならいいじゃない、私がどこのファンだろうとさ」

浜面「いや、そうか。漫画が好きなんだな」

麦野「?」

浜面「?」

麦野「何?」

浜面「い……いや、べつに?」

麦野「そ」

浜面「……?」


220VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:27:17.00MVKsivV40 (5/50)

麦野「それじゃ、ここでいいから」

浜面「おう」

麦野「次は遅刻すんじゃないわよ」

浜面「しねーよ!」

麦野「はいはい」

浜面「またな」

麦野「また、ね」


────────

────

──



♪ハナテココロニキザンダユメヲーミライサエオーキーザーリーニシーテー♪

絹旗「超限界など~♪ しらない~♪ 超意味ない~♪」

絹旗「この力が~♪ 超光散らす~♪ その先に超遥かな思いを~♪」


ピ


絹旗「はい、絹旗です」

麦野『出るの遅い』

絹旗「はい、すみません。何か超緊急の用事ですか?」

麦野『……ちょっと、聞きたいんだけど、いいかしら?』

絹旗「は?」

麦野『だーかーら、聞きたい事があるんだけど』

絹旗「はぁ……私でわかる範囲なら超答えますけど」


221VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:32:36.49MVKsivV40 (6/50)

絹旗「ナイターのチケットぉ? 麦野、野球はとっくに超シーズンオフですよ?」

麦野『え? そうなの?』

絹旗「そうですよ」

麦野『でも、サッカーは試合あったんじゃないの?』

絹旗「いや、そもそも種目が超違いますし……」

麦野『そ、そうだったの……』


222VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:36:46.25MVKsivV40 (7/50)

絹旗「そうですよ」

麦野『まぁそんな事はと、当然、知ってたけどね。確認よ確認』

絹旗「はぁ……そうですか」

麦野『それじゃあもう一つ確認していいかしら』

絹旗「はい?」

麦野『京浜アスレチックスって何県の球団なの?』

絹旗「京浜? 超聞いたことありませんね」

麦野『え?』

絹旗「その京浜アスレチックスが超どうかしたんですか?」

麦野『いや、浜面が好きって言うから……どんなチームなのか気になって……』

絹旗「ちょっと待ってください、ネットで超調べますから」


223VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:38:35.39MVKsivV40 (8/50)

麦野『あ、ありがと……』

絹旗「お?」

麦野『みつかった?』

絹旗「あー……」

麦野『どうしたの?』

絹旗「漫画で出てくるチームみたいですね、実在しない架空の球団だそうですよ」

麦野『』

絹旗「むぎの、超どうかしましたか?」


224VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:45:18.99MVKsivV40 (9/50)

絹旗「……大体事情は把握しましたよ。浜面が昔野球やってたから? 野球好きをアピールしたと思ったら? 好きだって言った球団が架空の球団で?」

麦野『だ、だって。そんな事しらなかったんだから』

絹旗「どんだけ健気なんですか麦野」

麦野『し、仕方ないじゃない』

絹旗「っていうか麦野って、そんなキャラでしたっけ」

麦野『なによ、私にどんなキャラ期待してんのよ』

絹旗「いやいや、あえて無知な所を無知なりにがんばってみた感じの会話ってのがひょっとしていいかもしれませんよ?」

麦野『そ、そうかしら』

絹旗「っていうか、別に気にする事でもないと思いますよ。浜面ですし」

麦野『な……なんで浜面の事だって……』

絹旗「いや、さっきから自分で超言ってますよ、麦野」

麦野『はっ』

絹旗「超落ち着いてください」


225VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:49:36.00MVKsivV40 (10/50)

絹旗「超深呼吸ですよ」

麦野『スーーーー……ハーーーー……』

絹旗「落ち着きました?」

麦野『……おかげさまで』

絹旗「超良かったです」

麦野『で、どうしよう絹旗ァ……』

絹旗「はー……恋する乙女みたいですね、麦野」

麦野『みたいじゃなくて、してんのよ!』


226VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:50:11.34MVKsivV40 (11/50)

絹旗「そーですか」

麦野『そうなの』

絹旗「……」

麦野『……』

絹旗「……?」

麦野『いまの、きいた?』

絹旗「ええ、超聞きましたよ」

麦野『超・ブ・ッ・殺・す!』


227VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:50:44.64v/ALD8NGo (2/2)

野球だけに超どストレートですね、麦野


228VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:52:39.21MVKsivV40 (12/50)

絹旗「麦野っ?! 麦野、落ち着いてください!! 麦野!」

麦野『あーーーあーーーー、聞こえない何も聞こえない!』 


────────

────

──


ピンポーン

ガチャ

オジャマシマース

絹旗「と、とりあえず。お茶でもどうぞ」

麦野「あら、悪いわね」

絹旗「なぜこんな展開に……」

麦野「私の秘密、知ったんだから当然よ」

絹旗「ある意味超不可抗力ですけどね」


229VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:58:33.27MVKsivV40 (13/50)

麦野「……で、相談なんだけど。用件はもう言わなくていいわよね?」

絹旗「ええまぁ……だいたいは」

麦野「そう、じゃあ言わせてもらうけど」

絹旗「けど?」

麦野「どーしてこいつ等がいるのよ!」


滝壺「……お茶、おいしい」

ズズズ

フレンダ「なははー、面白そうじゃない。私も混ぜなさいっての。あれ? お茶菓子おいしいわね」

モグモグ


230VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 06:59:44.09MVKsivV40 (14/50)

絹旗「いや、なんか超面白そうでしたし」

麦野「そう……絹旗……あんたやっぱり……」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


絹旗「い、いやほら! 滝壺さんもフレンダも経験豊富というか! 私一人より大勢いたほうが客観的なアドバイスもできるかとおもいまして!」

滝壺「そうだよ麦野(けーけん?)」

フレンダ「そ、そうよ麦野。落ち着いて(だーれが経験豊富よきぬはたぁっ! 彼氏なんか居たことねーっつの!)」

麦野「そう……、ありがとね」

しゅん

フレンダ「小動物みたいなむぎの! たまらーん!」

麦野「っだあ! 寄るなフレンダ! 暑苦しい!」


231VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 07:03:07.69MVKsivV40 (15/50)

>>190
ただいま

>>191
お引越ししてきました

>>206-215
一連の流れにワロタw

>>227
きっと163km/hのストレートとか投げるに違いない


232VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 08:44:06.10r40RNmRAO (1/1)

いちいち歌詞に超つける絹旗超かわいい


233VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 10:23:28.67dvDB8My5o (1/1)


絹旗にこれ聞かせてやりてぇww


234VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 15:57:43.17z9Ui1/9m0 (1/1)

 乙!!
むぎのん可愛すぎるwwwwww
アイテムvsグループ……かぁ


235VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 16:35:23.44PT9xgBvMo (2/2)

浜麦浜絹浜レンダ


236VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 16:41:14.57HAwgGzls0 (1/1)

応援してる


237VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 18:20:02.21ufT4iETDO (1/1)

早く続きを!
関係無いけど、ウィルス性胃腸炎で熱38,5℃
だがこのスレを諦めるわけにはいかない!


238VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 18:26:06.51T320UFEDO (1/1)

>>237
ほんとに関係ねぇな


239VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 20:14:09.253tE05Xdd0 (1/1)

どうしてSSの麦野はこうもかわいいのか。結婚したい。


240VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:20:08.79MVKsivV40 (16/50)

────────

────

──


黄泉川「やっと見つけたじゃん、浜面」

浜面「……また黄泉川かよ」

黄泉川「まーまー、そんな顔しないしない」

浜面「何か用かよ」

黄泉川「用って程でもないじゃん、聞きたい事があって」

浜面「お前が俺に聞きたい事だぁ?」

黄泉川「お前がスキルアウトを抜けた事は把握してるんだけどね」

浜面「なんだ、そんな事かよ」

黄泉川「駒場はそれを許したのか?」


241VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:20:50.93MVKsivV40 (17/50)

浜面「……」

黄泉川「駒場じゃん、駒場利徳。お前んとこのリーダー」

浜面「……なんでお前がそんな事気にするんだよ、関係ねーだろ」

黄泉川「ある」

浜面「ないだろ」

黄泉川「関係ある」

浜面「ねぇよ!」

黄泉川「心配してんじゃん!」

浜面「……」

黄泉川「スキルアウトって組織はさぁ、そんな簡単に抜ける事ができる組織じゃないのはよくわかってんじゃんよ。なのに浜面はスキルアウトを抜けた、それ以降駒場の目撃情報は無い、心配するなっていう方が無理な注文じゃんよ!」

浜面「……いいだろ、そんなに知りたきゃ教えてやるよ……駒場の旦那は死んだよ」


242VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:21:16.86MVKsivV40 (18/50)

黄泉川「……っ」

浜面「……死んだんだ」

黄泉川「どうして……」

浜面「詳しい事は知らないし、知ってても教える義理はねぇよ、ただ……」

黄泉川「……」

浜面「駒場利徳っていう人間はもうこの世に存在しねぇ、それだけだ」

黄泉川「……墓、教えるじゃんよ」

浜面「あぁっ?!」

黄泉川「墓参りくらい、私にもさせてもらう権利があるじゃん」


243VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:21:52.68MVKsivV40 (19/50)

浜面「やなこった! だいたいお前が居なかったら……っ! お前が居なかったら……、お前が……クソッ」

黄泉川「頼む」

浜面「……っ」

黄泉川「頼むよ、浜面。私にとっては……誰であろうが大切な教え子なんだ」

浜面「……」

黄泉川「……頼む」

浜面「わかったよ……わかったから顔あげてくれよ黄泉川」

黄泉川「教えてくれるじゃん?」

浜面「……、第七学区の──────、通りを抜けて────」

黄泉川「連れていくじゃんよ、浜面」

浜面「……いいのかよ警備員、完全下校時刻はとっくに過ぎてるんじゃねーのかよ」

黄泉川「時と場合によるじゃん」

浜面「そーかよ」


244VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:27:10.44MVKsivV40 (20/50)



浜面「……ここだよ」


黄泉川「ここが……」

浜面「今日も誰か来てたみたいだな、花が添えてある」

黄泉川「随分慕われてたみたいじゃん」

浜面「たりめーだろ、駒場さんだぞ」

黄泉川「私にとっては……手のかかる子供だったけど、そうか、そうだったのか……」

浜面「……」

黄泉川「なぁ駒場よ」

浜面「……」

黄泉川「すまなかったな……」


245VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:31:37.12MVKsivV40 (21/50)

浜面「……」

黄泉川「本来、お前や浜面みたいにドロップアウトする生徒が出ないようにするのが私の、教師の仕事じゃん」

浜面「……」

黄泉川「なのに私ときたらお前等と顔を合わせるのはいつも、いつもいつもいつも事件の現場じゃんよ」

浜面「……」

黄泉川「そりゃいつも面倒事を起こしてくれて、腹が立った事もあるじゃん。クレーン車でATM強奪した時は怒り心頭だったじゃんよ」

黄泉川「でもそれは、お前達だけに怒りの矛先を向けるのは間違っていた事じゃないかって、最近そう思うじゃん」

黄泉川「お前達をそうさせてしまう、その前に、何か出来たんじゃないか……私の本来の仕事は、そこなんじゃないかって」

黄泉川「……なあ駒場よ」

黄泉川「お前は一体この学園都市で、何を見て、何を感じたんだ」

黄泉川「……ちょっとで良いから、教えてほしいじゃんよ……」


246VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:37:36.70MVKsivV40 (22/50)

『あのー……すみません、警備員の詰め所ってここで合ってますか?』

『いかにも。少年、警備員に何か用じゃん?』

『この子、迷子みたいなんですけど』

『迷子?』

『あー、えー。はい』

『よしよし、そんなに怖がらなくてもいいじゃんよ。ちょっとで良いから、知ってる事をおねーさんに教えて欲しいじゃん?』

──?

『?』

『すみませんこの子、喋れないみたいなんですよ』


247VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:40:08.38MVKsivV40 (23/50)

『んー、参ったじゃんよ。学生証は持ってるじゃん?』

『えっと、俺来週入学で、まだ発行してもらってないんです。たぶんこの子もそうだと思います』

『そうか。だったらとりあえず詳しい話を……』

──?

『そっか、話せないのか』

『あの……この子、ちゃんと戻れますか?』

『安心するじゃん、おねーさんに任せとくじゃんよ。ちゃーんとお家に戻してあげるじゃん』

『だってよ! オマエ、よかったな!』


248VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:42:31.86MVKsivV40 (24/50)

──、ふるふる。

『なんだ? 帰りたくないのか?』

──、こくり。

『んー……、そういう訳にはいかないじゃんよ』

──、……。

『あ、あの。この子の身元がわかるまでしばらく俺の家で預かっていてもいいですか? なんつーか、俺に懐いているというか、その』

『この子が良いなら構わないけど、どうするじゃん?』

──、こく

『ん、わかったじゃん。とりあえずいくつか質問するから、答えてほしいじゃん』


249VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:45:14.40MVKsivV40 (25/50)

『ありがとうございました』

『なんのなんの、困った事があったらいつでも相談にくるじゃん』

『はいっ』

『ん、良い返事じゃん。これから入学となると、身体検査が楽しみじゃん?』

『へへっ』

『勉学に励むじゃんよ、少年』

『わかった!』

『何かわかったら連絡するじゃん』


250VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:50:47.26MVKsivV40 (26/50)

カタカタ

『えーっと……身長約140センチ程の少女、迷子……』

カタカタ

『白色ワンピース……ロングヘアで栗色の髪』

カタカタ

『身元、捜査……願い……○月○日……』

カタカタ

『浜面仕上……家で……保護』

カタッ

『黄泉川! 出動だ!』

『わかったじゃん! すぐ行くじゃん!』

パタン


251VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 21:58:06.32MVKsivV40 (27/50)

────────

────

──


──、!

『……嘘……だろ……』

──、!!

『鮭味の……カップラーメン……だと……?』

──、こくこく

『シーフード味じゃなくて、なぜ鮭味のピンポイントなんだ…………』

──、きらきら

『すげー目輝いてんなオマエさ、そんなに心配せんでも買うからよ、安心しとけ』

──!

『っだあ! 抱きつくなコラ!』

──、しゅん

『あ……その、すまん……ほら、2個買ってあげるから』

──!

『喜怒哀楽がわかりやすすぎだろ……』


252VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:08:09.17MVKsivV40 (28/50)

『まーいっか、ほれ、カゴん中入れとけ』

──こくり

『おし、後ほしい食べ物あるか?』

──?

『なんでもいいんだぞー、ただし食べ物なー?』

──……

『いやー……、そんな真剣に悩まなくてもいい気が……』

──!

『ん? 何指差してんだ……?』

──じー……

『……』

──じー……

『いやアレ、この店のマスコットだから。いくら鮭のキャラクターだからってくえねえから』

──、ガーン


253VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:10:39.62MVKsivV40 (29/50)

『お買い上げありがとうございましたー』

『さて、食料も買ったし……次は服だな』

──?

『服だよ服、オマエそれしか着るもんねーだろ?』

──?

『別に困らないけど? みたいな感じで首を傾げられても……こっちが困るんだよ』

──こくり

『わかったら行くぞー、たしかセブンスミストっていう店があったはずだから』


254VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:16:43.92MVKsivV40 (30/50)

『さて……来たはいいが……よく考えたら俺、女の服の事なんてわかんねーぞ……』

──!

『お? 気に入ったのあったか?』

──!

『っだあ! こんなキワドイ水着選ぶやつがあるか! それに普通に着る服を選んでんだよ今は!』

クスクス

兄妹カシラー?

カワイイー

『ぐ……何故か周囲から白い目で見られてる気が……』

──?


255VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:20:11.59MVKsivV40 (31/50)

『ん?』

──?

『これなんかいいんじゃねーの?』

──……!

『向日葵柄のワンピース、どうだ?』

──、こく

『なんつーか、今着てるからかもしれねーけどよ』

──?

『ワンピースが似合う気がするんだよオマエには』

──?

『あー、とにかく試着してこい。って、まさか試着も一人でできないっていうオチじゃあないよな?』

──……

『さ、さすがに服くらいは一人で……』

──?


256VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:21:58.46MVKsivV40 (32/50)

『お買い上げありがとうございましたー』

──♪

『おー? 似合う似合う』

──ぺこり

『……ん? お礼のつもりか?』

──こくこく

『どーいたしまして』

──♪

『はは、子供みてぇにはしゃいでるな』


257VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:24:25.25MVKsivV40 (33/50)

ドン

不良A『……いてーな、このクソガキ』

──……!

不良A『あぁ?! 人にぶつかっておいてごめんなさいも言えねぇのかてめぇは!』

──ふるふる

不良A『なんだテメェ……おい、ふざけてんのか!』

──、ビクッ

不良A『あぁーん? よく見たら可愛い顔してんじゃねーか、おい、ちょっと来いよ』

『おい、待てよ』


258VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:27:12.42MVKsivV40 (34/50)

不良A『んだてめぇ!』

『この子の保護者……というか、まぁ、そんな感じだけどさ』

不良A『保護者だぁ?! ……だったらてめーが責任とるんかよ』

『責任だ?』

不良A『おー、いてえいてえ。こりゃ骨が折れてるな、おいニーちゃんよ、入院費と治療費寄越せや』

『どう見ても折れてるようにはみえねぇけどな』

不良A『はー? だから病院に行って検査してもらうんだろーが、頭沸いてんのか、あ?』

『……話し合いは無駄な様だな』


259VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:29:44.65MVKsivV40 (35/50)

『おい、荷物もってどっか隠れてろ』

──!

『いいから、どっか安全な所で、な?』

──、ふるふる

『良い子だから、言う事聞いてくれ』

──……

『ちょっとしたら戻ってきてくれ、待ってるからよ』

──、こくり

不良A『話し合いは終わったかよ、ええ? ニーちゃんよぉ』

『ああ』

不良A『だったら……とっとと死ねや!』

ゴッ


260VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:30:50.59MVKsivV40 (36/50)

──、おろおろ

──、あたふた

──、きょろきょろ

──、!

『何かしら? あの子』

『さー、行こう行こう。約束の時間に遅れちゃうよ』


261VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:32:22.95MVKsivV40 (37/50)

──!

──とてとて

『おー? お嬢ちゃんじゃん、どうしたじゃん?』

──!

『そんなに慌てなくても、ちゃんと見つけてあげるじゃん』

『おい黄泉川! また出動だ!』

『わかったじゃん! お嬢ちゃん、おねーちゃんはちょっとお仕事いってくるじゃんよ!』

──、……。



262VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:35:11.26MVKsivV40 (38/50)

──、とぼとぼ。

──、とぼとぼ。

──。

『よぉ……、無事だったかァ?』

──……

『ったくよー、最初は……いてて、最初は勝ってたんだけどな、チクショー、後でぞろぞろ4人も5人も出てきやがってよ、はは』

──……

『負けちまったー、あー、よわっちいな俺、ったくよー』

──……


263VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:38:16.48MVKsivV40 (39/50)

『なんか身体がふわっと浮いたり、鉄がぐにゃんて曲がったり、あれが能力ってやつなのかな?』

──、

『まぁオマエが無事でよかった』

──!

『はは、せっかく買った服、キレーなままで、良かったな?』

──……。

『おーい?』

──、

『どうした?』

──、くるっ

『おい、どこ行くんだよ! 待っ……いててて』


264VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:42:53.58MVKsivV40 (40/50)

ドクン

──、ハァッ

ドクン

ドクン

──、ハアッ

ドクン

──、ハァッ……ハア……ハ……ア……

──、……ロス……コ…………

──、ス………………

────、コロ………………ス……


265VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:44:06.09MVKsivV40 (41/50)

不良A『カカカカ、サイコーだったなオイ』

不良B『てんで弱っちいのによ、倒しても倒しても起き上がってきて笑えたな』

不良C『能力者に立ち向かう無能力者カッコイイ! ってかぁ?』

不良D『ま、あんだけやられたらもう立ち向かってこねーだろ』

不良A『あーあー、しかも全然金もってなかったしよぉ。働き損だっての』

不良B『ちげーねー』



266VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:46:47.06MVKsivV40 (42/50)

不良A『ったくよー、こんなんじゃ全然たりねえよ、あと2.3人狩ってくか?』

不良B『この時期だと新入生のガキが多くて簡単だしなぁ』

不良C『こっちのサイフが潤ってしゃーねーよ』

不良D『風紀委員も警備員も最近出てる事多いしな、こっちまで手がまわんねーのよ』

不良A『まさに俺らへの追い風だなオイ』

不良B『ははっ』


──、ミ……ツ……ケタ……


267VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:50:24.51MVKsivV40 (43/50)

不良A『あん?』

不良B『どうしたよ?』

不良A『なんか言ったか?』

不良C『いや?』

不良A『なんだ? 空耳か?』

不良D『おいおい、脅かすなっての』

不良A『ははっ、すまねえすまねえ』


──ミツ……ケタ


不良D『ああ? なんだぁ? このガキ』


268VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:52:18.43MVKsivV40 (44/50)

不良C『ガキ?』

不良A『さっきのガキの連れじゃねーか、なんだ? せっかく見逃してやったってのにまた来ちまったのか? ああ?』

不良B『げへへ、どーする? やっちまう?』

不良D『お前は女とか子供でも手加減なしだからな』

不良B『げへへ、げへ……げへ、いいだろ?』

不良A『程々にな』

不良B『いっただっきまーすっ!』

キュイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィン……

ドッ

不良A『……?』


269VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:54:11.68MVKsivV40 (45/50)

不良C『お、おい、あいつは?』

不良D『き……消えちまった?』

不良A『っ、何の能力だ!』


キュイイイイイイィィィン……


不良A『やべぇ……何か知らんがやべぇぞ!』

不良D『に……逃げろぉおおお!!』

不良C『おい、待てよ!』


270VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:56:48.14MVKsivV40 (46/50)

────────

────

──



──、とぼとぼ

──、とぼとぼ。

『お、いたいた! おーい!』

──!

『ったくよー、どこ行ってたんだー? 探したぞオイ』

──……

『ん?』

──くるっ

『あ、おい! 待てって!』

グイッ

──あ……

『どこ行くんだよ』


271VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 22:59:06.69MVKsivV40 (47/50)

──、どこ……

『はぁ……行く当てもなく走り出したんか? アホかオマエ、心配したんだぞー?』

──、うん……

『さ、かえろーぜ』

──、かえ……る?

『俺ん家だよ』

──、家?

『そ、いえ』

──、うん……。

『……』

──、?

『あれ……? ってか今喋って……?』


272VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 23:02:25.68MVKsivV40 (48/50)

黄泉川「できれば、もっとお前と喋ってみたかったじゃんよ駒場」

黄泉川「……また来るじゃん」


浜面「……」


黄泉川「ありがとう」

浜面「何を」

黄泉川「元々お前は迷子の女の子を届けてくれるような心優しい少年だったなって思い出しただけじゃん」

浜面「あ? 迷子だ?」

黄泉川「そうじゃん?」


273VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 23:04:45.11MVKsivV40 (49/50)

浜面「何で俺がそんなめんどくせー事しなきゃいけねぇんだよ」

黄泉川「……男にツンデレは似合わないじゃん?」

浜面「ちげぇよ!」

黄泉川「まあいいじゃん、今日はもう遅いから、まっすぐ家に帰るじゃんよ」

浜面「前みたく、ついてこねーのかよ」

黄泉川「浜面のこと、信じてるから」

浜面「そーかよ」

黄泉川「浜面はまっすぐ家に帰るはずじゃん」

浜面「けっ」


274VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 23:14:15.74MVKsivV40 (50/50)

>>232
かわいいに超つけるあたり超絹旗通ですね

>>233
顔ww
その顔はどうにかならなかったのかww

>>234
とある科学のハーレム軍団
VS
とある科学のロリショタ軍団
的な

>>235
生麦生米生たまご的な

>>236
ありがとうございます

>>237
お大事に

>>239
お幸せに!


275VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 23:19:19.24kIQjGxVYo (1/1)

超乙なのよ!!


276VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 23:39:43.67owDAoSt30 (1/1)

結局このssは俺のつぼにどストライクな訳よ



277VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 00:11:06.05hFLRBkSwo (1/2)

続きが楽しみなのである。


278VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 00:35:28.96EiWjZd9ko (1/1)

乙でした


279VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:10:53.585bVEXwja0 (1/14)

黄泉川「それじゃあ」

浜面「……待てよ、クソババア」

黄泉川「失礼なヤツめ、やっぱ手錠つけて留置場にぶち込んでやるじゃん?」

浜面「俺は学園都市のゴミクズだ、それは認めるよ」

黄泉川「……?」

浜面「けどな、そんなゴミクズにも、ひょっとしたら、守りたいものの一つくらいあったかもしれねーだろ」

黄泉川「何の話じゃん」

浜面「俺にもわかんねーよ、……ただ」

黄泉川「ただ?」

浜面「なーんか、大事なモン、忘れちまってる気がするんだよな」

黄泉川「……ま、せいぜい悩むといいじゃん、少年」

────────

────

──

フレンダ「悩み事?」

麦野「悩み事」



280VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:14:36.135bVEXwja0 (2/14)

絹旗「お茶どうぞ」

フレンダ「ありがと」

ズズズ

絹旗「麦野も」

麦野「ありがとう」

ズズズ

絹旗「滝壺さんも」

滝壺「……ん」

モグモグ

滝壺「ありがと」

ズズズ


281VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:17:27.465bVEXwja0 (3/14)

フレンダ「く~、お茶がおいし~」

麦野「そうね」

絹旗「お茶の国・静岡から超取り寄せましたからね」

滝壺「そうなの?」

絹旗「最近お茶に超凝ってるんですよ、このお茶菓子も美味しいでしょ?」

麦野「そうね」

モグモグ

フレンダ「ん~、サバ缶があれば文句なしね。カレー味、カレー味」

滝壺「お茶にカレー……」

フレンダ「意外とイケるかもしれないわよ」

麦野「あはは、そんなわけないでしょー」


282VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:19:43.715bVEXwja0 (4/14)

絹旗「このお茶に超含まれるカテキンが血圧とかコステロールとか血糖値……アレルギー等に超効果テキメンらしいですよ」

フレンダ「ほ~」

ズズズ

滝壺「おいしいね」

麦野「本当ね」

ズズズ

麦野「そんじゃ、お茶も頂いたし帰るわ」

フレンダ「は~い、またね~ん」

絹旗「超おつかれさまでした」

滝壺「ばいばい」

麦野「……あれ?」


283VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:22:00.305bVEXwja0 (5/14)

麦野「危うくいつも通り帰る所だったわ」

フレンダ「いや、やっぱりこう。お約束は一度はやっとかないと」

滝壺「おやくそく」

絹旗「超お約束です」

麦野「……で」

フレンダ「うん」

麦野「……あの」

絹旗「はい」

麦野「……その」

滝壺「うん」

麦野「……………………………………………………」

麦野「っだあ! やっぱりだめ、いえないっ!」


284VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:24:45.405bVEXwja0 (6/14)

滝壺「大丈夫、そんな乙女ちっくなむぎのを私は応援してる」

麦野「滝壺……あんた……」

フレンダ「で、浜面がどうしたって?」

麦野「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「へ? え?」

麦野「フー……レ、ン、ダァ……」

フレンダ「な、なになになになに?!」

麦野「人が今から言おうとしていた事をサラっといってんじゃないわよ~~~~~!!!!!!!」

フレンダ「きゃ~~~~~!! 麦野! 落ち着いて! 殿中! 殿中でござるっ!!!」

麦野「あんたそんなナリして忠臣蔵?! やっぱり日本人でしょ!」

フレンダ「今ソレは関係ないでしょ~~!!!」



285VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:26:59.325bVEXwja0 (7/14)

絹旗「私の家……超終わった……」

滝壺「大丈夫」

絹旗「ふえぇ~、たきつぼさぁあ~ん」

滝壺「ほらむぎの、フレンダ、きぬはたが泣いちゃったよ」

麦野・フレンダ「ご……ごめんなさい……」

絹旗「……(超計画通り)」


286VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:30:02.945bVEXwja0 (8/14)

麦野「……で、その……浜面の事なんだけどさ……」

フレンダ「うんうん、浜面がどうしたわけ?」

麦野「……その」

絹旗「はい」

麦野「……ええっと……」

滝壺「うん」

麦野「……その、えーっと。浜面の事が、気になってるというか……」


287VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:30:51.105bVEXwja0 (9/14)

フレンダ「……」

絹旗「……」

滝壺「……むぎの」

麦野「うん?」

フレンダ「結局、アタシらは麦野の事を応援してるわけよ」

絹旗「敵は超強敵ですが、めげない事が超重要だと思います」

滝壺「がんばって」

麦野「え? あ、うん。やけに話が早いわね……」


288VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:32:26.025bVEXwja0 (10/14)

フレンダ「だって~ね~?」ニヤニヤ

絹旗「ね~、ですよね~?」ニヤニヤ

滝壺「ね~?」

麦野「?」

フレンダ「結局、アタシらの目に曇りはないってワケよ」

絹旗「ですね」

滝壺「うん」

麦野「そ、そう……」



289VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:34:40.675bVEXwja0 (11/14)

フレンダ「でも正直、なんで浜面?」

麦野「え?」

絹旗「この際超ハッキリ言わせてもらいますけど、麦野と浜面じゃ超お似合いじゃないですよ」

麦野「そ……それは……」

滝壺「ワケアリ?」

麦野「う」

フレンダ「ワケアリなのね……」

滝壺「超ワケアリですか……」

麦野「べ、別に大したことじゃないんだけど、本当に、全然大したことじゃないのよ?」


290VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:56:15.78hFLRBkSwo (2/2)

続きが気になるのである。


291VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 02:56:27.125bVEXwja0 (12/14)

>>275
細切れですまぬ

>>276
そう言ってもらえると素直に嬉しいです

>>277
アックアさん……だと……

>>278
ありがとございます


292VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 03:09:34.555bVEXwja0 (13/14)

>>290
アックアさん!

>>289
くが、眠気でやっちまった。

×滝壺「超ワケアリですか……」
○絹旗「超ワケアリですか……」

超脳内保管たのんます。



293VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 16:05:19.737NsaH1Ea0 (1/1)

浜麦は俺のチャイナシンドローム


294VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 17:50:34.55wPjoTNDUo (1/1)

超楽しみにしてるって訳よ。


295VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 21:28:23.67UfaWNNGvo (1/1)

+   +
  ∧_∧ + 
 (0゚・∀・)
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +


296VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/20(木) 23:34:05.49Jfwdsp1AO (1/1)

ワクテカ久しぶりに見た


29722巻後アイテム2011/01/20(木) 23:58:22.035bVEXwja0 (14/14)

麦野「どこから話せばいいかしら……」


────────

────

──


──、む、ぎの

『麦野? お前麦野っていうのか?』

──、……うん。

『なんだよハハハ、良かったなおい、話せる様になったんだな!』

──、うん。

『あ、そうだ。まだちゃんと名乗ってなかったな。俺は浜面仕上、よろしくな、麦野……麦野……えーっと?』

──、なに?

『下は何て言うんだ?』

──、した?

『苗字じゃなくて、ナマエの方だよ』

──しずり。むぎのしずり。

『しずりかー、どんな字書くんだ?』



298VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:01:08.73kkpZ7rq/o (1/2)

きたきた


29922巻後アイテム2011/01/21(金) 00:03:30.91zFlo3s+x0 (1/30)

──沈利。

『へー、かわいいナマエだな、沈利か』

──、うん。

『沈利はどっから来たんだ? なんであんなトコに居たんだ?』

──、……。

『ま、言いたくなければそれでもいいけどさ』

──、うん。

『とにかく喋れる様になったみたいでよかったよ』

──、はまづら。

『あん?』

──、はまづら、しあげ?

『そーだよ、浜面だよ』


30022巻後アイテム2011/01/21(金) 00:07:48.23zFlo3s+x0 (2/30)

──、クスクス

『あー? 何が面白いんだよ?』

──、ヘンなナマエ。

『ぬわぁんだとぉう! 沈利っ! てめー飯抜きにすんぞ!』

──、キャー

『待てこのやろー!』

──、野郎じゃないもーん、女の子だもーん。

『あいつ……実は結構ポギャブラリー豊富なんじゃねえか? 常識知らずなのに……』

──、おーい、先行っちゃうよー?


30122巻後アイテム2011/01/21(金) 00:10:34.98zFlo3s+x0 (3/30)

『あーもー、こら。勝手に行くと迷うぞ、お前ただでさえ迷子なのにこれ以上迷子になってどーすんだ』

──、はまづら。

『なんだ?』

──、ふく、ありがと。

『あん?』

──、おしゃれ、してみたかったの。

『そーかよ』

──、怪我、大丈夫?

『全然、喧嘩なんか慣れっこだしよ』

グイ

『いてててててててててててて!!! バカ! 内出血してんだよ! ひっぱんな!』

──、いたいのいたいの、とんでけー。


302VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:13:03.58zFlo3s+x0 (4/30)

『お前……』

──、どう? 治った?

『……ん、あぁ。なんか治った気がする』

──、そ。良かった。

『ありがとな』

──ん?

『これで服とチャラだな』

──、えへへ。


303VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:15:30.35s+m8Ekbao (1/2)

麦のんかわいいな…


304VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:16:18.34zFlo3s+x0 (5/30)

『……ま、とにかく。そろそろ帰るか』

──うんっ

『ハラも減っただろ?』

──はやく鮭味食べたい。

『お前、どんだけシャケ好きなんだよ』


305VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:19:36.46zFlo3s+x0 (6/30)

──だって、今まで食べた事なかったから。

『そうなのか?』

──、うん。

『何食ってたんだよ今まで……』

──、さあ? 学園都市で独自に開発したサプリメントとか、栄養はドリンクか点滴で……

『待てまてまてまてえぇぇぇぇぇえ~~~~い!!! なんの話だよそりゃ!!』

──、え?

『独自に開発したサプリメントだぁ?』

──、うん。能力開発を促す薬みたいなものらしいけれど……。

『……ほー……』

──、私、レベル五候補だから。


306VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:23:46.71zFlo3s+x0 (7/30)

『はぇっ?! レベル五候補っ?!』

──、え? うん。

『……すげー』

──、はまづら?

『すげー! すげーよ沈利っ! 何の能力なんだっ!?』

──、えっと。原子崩しって言って……

『メルトダウナー?! く~、なんだそのカッコイイネーミングっ! あぁずりーなぁ、いいなぁ、俺も早く能力開発受けてみたいぜー』

──、ははは。

『俺とお前、友達な』

──、ともだち?

『おう、学園都市に来て最初にできた友達』

──、うんっ


307VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:25:55.78gf3jjtH+o (1/1)

なにこれかわいい鼻血でそう


308VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:27:24.16zFlo3s+x0 (8/30)

──、でも

『あん?』

──、友達って、何するの?

『いや、別に普通だろ?』

──、普通って何?

『んー……? 普通にしゃべったり、普通に遊んだり、普通に笑ったり喧嘩したり……? そういえば普通って何だろうな』

──はまづら

『ん?』

──わかんない、ちゃんとわかるように話して。

『……ガーン』

──……プ

『……あん?』

──、アハハハハ……ククク……アハハハハ、はまづら。へんな顔~


309VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:34:00.94zFlo3s+x0 (9/30)

ガチャ

『ただいまー』

──ただいまー。

パタン

『さて、と。今日野球やってたっけかな……』

ピ

──はまづら、鮭味!

『おいおいおいおいおいおい、待て待て、まずは手洗いだろうが!』

──洗ったよ!

『うそつけっ! ずっとその箱握ってただろうが!』

──むー……。


310VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:37:21.66zFlo3s+x0 (10/30)

『ごちそうさまでした』

──ごちそうさまでした。

『……なぁ』

──うん?

『……いくら好きだからって二箱も食うか?』

──いいじゃない

『まぁお前用に買ったんだからいいけどさ、明日の分ないぞ?』

──……

『……?』

──ジワッ……

『っだああああ!!! 泣くな! そんな事で!!』


311VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:40:11.96zFlo3s+x0 (11/30)

──、だって……だって……

『何も泣く事ないだろ?』

──、だって……美味しくて……

『あーはいはい、そうだな、すげー美味そうに食ってたな』

──、……ごめんなさい……

『そこまで真剣に謝られると何か罪悪感が……』

──、はまづら……

『ん?』

──、また、買っても……良い?

『……』

──?

『……(あれ? なにこの子、こんなに可愛かったっけ)』

──どうしたの?

『ゴホゴホ、いや、ん~? なんでもない』



312VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:43:13.53zFlo3s+x0 (12/30)

『ま、いいや。また買いに行けば済む話だしな』

──、やったあ!

『ただし、次からは一個だからな』

──、えー、ケチ。

『ケチじゃねえよ! 俺の金だろうが!』

──、お金にうるさい男はモテないらしいよ?

『どこで覚えたんだそんな知識』

──、小説。

『なんの小説だ……』


313VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:44:39.55zFlo3s+x0 (13/30)

『そんじゃ片付けやっとくからよ、先に風呂入ってこいよ』

──、うん、わかった。

『おう』

──、……。

『……?』

──、……。

『どうしたんだ?』

──、覗くなよ、はーまづらぁ。

『覗くかよ!』

──、あははっ。

『ったくどこでそんな言葉覚えてきたんだか……』


314VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:47:06.47zFlo3s+x0 (14/30)

『歯も磨いたし、寝るか』

──うん。

『じゃ……お前布団使っていいからな?』

──、はまづらは?

『ソファーで寝るよ』

──、……ね?

『あん?』

──、一緒じゃ、だめ?

『ナンデストー』


315VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:49:17.58zFlo3s+x0 (15/30)

『いや、俺はいいんだけどさ、お前はいいのかよ?』

──なんで?

『疑問に質問で返球されたっ?!』

──はまづらならいいよ?

『無防備すぎんだろうが……』

──なんで?

『なんでって……はぁ、まぁ、沈利が良いってんだから良いんだろうけどよ……』

──、ほらココ、ココ。

『あーもー、わかったよ』


316VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:49:54.17zFlo3s+x0 (16/30)

『じゃー、電気けすぞー』

パチッ

──おやすみ。

『ん、おやすみ』


317VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:51:06.27zFlo3s+x0 (17/30)

──、ね。はまづら。寝た?

『俺の鼻つまみながら言う台詞かそれ』

──、あははっ。

『はな、いたい』

──ごめんごめん。


318VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:53:09.62zFlo3s+x0 (18/30)

──ねー。

『なんだよ』

──、何かお話してよ。

『はぁ?』

──、こういう時ってさ、昔話とかしてくれるんじゃないの?

『俺はオカンか!』

──、悪寒?

『字面的に間違ってますそれ……』

──わかんないよ?



319VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:54:10.03zFlo3s+x0 (19/30)

──、ねぇ。はまづら。

『あん?』

──、あの時はまづら。私の事、助けてくれたよね。

『あぁ、あの事か』

──、ありがとう。

『別にいいって、たいした事じゃねーし』

──ううん。

『?』

──、私にとっては、すごく、大きな事だから。

『そーかよ』

──はまづらは、私の救世主だよ。

『オーゲサだなオイ』

──ううん、本当に。


320VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 00:55:20.80zFlo3s+x0 (20/30)

──、だから。

『ん?』

──私、私ね、あのね?

『なんだよ』

──はまづらの事、守ってあげるね。

『はは、ありがとよ』

──うんっ

『さ、もう寝ようぜ』


321VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 01:02:19.12zFlo3s+x0 (21/30)

>>293
ググったら炉心溶融とか映画とかいっぱい出てきて
10分くらい読みふけってしまったw

>>294
結局、超ありがとうって訳よ。

>>295
ワクテカ

>>296
可愛いですね

>>298
そういえば「キタキタおやじ」っていましたよね。
結構好きだった。

>>303
うっかり「>> 303」にされないようにご注意を!


322VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 01:05:17.79kkpZ7rq/o (2/2)

これには浜絹成分は少しでも含まれますか?


323VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 01:05:31.77s+m8Ekbao (2/2)

乙です!
応援してるよ!麦のんを( ´ ▽ ` )


324VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 01:09:11.20rQdkZH2IO (1/1)

もしもこんな過去があって本編の展開になったとか考えると……(´;ω;`)ブワッ


325VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 05:54:33.58wagnlNU70 (1/1)

ショタ面ときいてとんできました


326VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 07:50:29.19mVuKCfPIO (1/1)

>>325
あわきん、口から吐瀉物垂らしながらニヤニヤしないで気持ち悪い


327VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 16:24:36.31Oa8fgY0IO (1/1)

こんなに可愛いロリ麦野がああ成る訳ない


328VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 19:13:00.91q887SH32o (1/1)

ああ成っちゃったのは浜面のせいな気もするし
浜面が選択肢間違ってなければ……


329VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 21:02:17.681fwbYL/j0 (1/1)

 乙乙!!なんか涙が出てくる。
これってさ、
要は竜王の吐息の羽食らった後の上条さんと
インデックスみたいなもんなんだよな……
 むぎのんが可愛すぎるのとはまづらがイケメンすぎるのと
黄泉川先生がいい先生過ぎるのと……
 おい、浜面の記憶消しやがった学園都市ぶっ潰すぞ


330VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:02:57.19zFlo3s+x0 (22/30)

────────

────

──


『博士! 見つけました!』

『ふむ、情報元はどこだ』

『警備員の書庫です』

『警備員の?』

『迷子の名簿に登録が、……髪型や身長や着ていた服など身体的特徴が一致します』

『それはそれは……善良な学園都市の一般市民に感謝しなくてはな……はははは』


331VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:03:50.04zFlo3s+x0 (23/30)

『現在一般人の下で保護されているようですが……』

『構わん、すぐにつれて来い。最悪アレを使っても良い』

『はぁ……しかしアレはまだ開発途中では』

『なに、レベル五のデータが取れると思えば良い』

『わかりました』

『良い報告を待っている』


332VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:06:45.48zFlo3s+x0 (24/30)

『逃げられんぞ……原子崩し……私からはな……くくく』


────────

────

──


『逃げんじゃねーよ!』

──、やだ!

『てめー! 俺が隠しておいたお菓子食べやがって! ゆるせーーん!』

──、だからさっきから謝ってるじゃない

『ふんぬー! 理解は出来ても納得できーーーーん!!!』

──、つかまんないよーだ、べー。

『あ、てめー、こら! まちやがれ!』


333VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:10:10.67zFlo3s+x0 (25/30)

ピタッ

──、……。

『へへっ、とうとう観念したか』

──、……。

『食べ物の恨みは恐ろしい、くらえーーー!』

──、静かに。

『……どした?』

──、はまづら。

『あん?』

──、そのまま。動かないで

『は? なんで』

──、いいから。

『沈利?』


334VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:12:43.47zFlo3s+x0 (26/30)

──、今。隣のビルの屋上から一瞬だけ反射光が見えた。

『反射光?』

──、たぶん、双眼鏡か何かの。

『新手の覗きか?』

──、はまづら。カーテン閉めて、なるべく自然な動作で

『お? おう』

──、……まさか。まさかね。


335VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:20:35.63zFlo3s+x0 (27/30)

『ふふふふん♪ ふふん♪ ふふふふん♪ ふふん♪ 星屑ロンリネス♪』

──朝からジョーキゲンね。

『あったりまえだろー? 明日からついに学校なんだからよ』

──ふーん?

『夢にまでみた学園都市の学校……あー、はやく明日にならねーかなー』

──ふーん……はまづらは私より学校の方が楽しみなんだ……

『……へ?』

──、いいんだ、どうせ私なんか……

『お、おい沈利?』

──、……

『す、すまん、傷つけたなら謝る。な? このとおりだ』


336VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:24:35.38zFlo3s+x0 (28/30)

──、……

『すまなかった』

──、……プ

『……え?』

──、あはははは、こんなタンジュンな手に引っかかるなんて、ばっかみたい

『ぬわぁんだとぅおおおおおお!!!』

──、べー

『沈利っ! てめー!!』

──、はまづら、やさしいね。

『は?』


337VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:27:13.77zFlo3s+x0 (29/30)

──、服、かったくれたし

──、シャケも買ってくれるし

──、面白くないけどバカだし

『おい』

──、私の事、……名前で呼んでくれるし

『それはまぁ、当たり前だろ。友達なんだし』

──、……うん。


338VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 22:44:10.03zFlo3s+x0 (30/30)

『それより俺さ、いまから学校に手続きいかないといけないから留守番しててくれるか?』

──留守番?

『おう、2時間くらいで帰って来れると思うんだけど』

──、やだ、はまづらと一緒にいる。

『だーめ、関係者以外入っちゃいけないんだぞ?』

──、はまづらの友達だもん

『おいおい、我侭言う子はダメだぜ~?』

──、ワガママじゃないもん

『ちゃーんと留守番できてたら、シャケ弁買ってきてやるから、おとなしくまってろい』

──、……う、わかった……。

『あれ……? 冷静に考えたら 俺<シャケ弁 ってこと……?』


339VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 23:49:37.07Mz4Y4mtAO (1/1)

ちょっと吉田慰めてくる


340VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 00:46:04.32sK0txke00 (1/32)

>>322
ガチで期待してたらならごめんなさいとしか……

>>323
ありがとです

>>324
たまに書いてて (´;ω;`)ブワッ ってなる、こまったSSです

>>325
ショタ面×ロリのん

>>326
あわきんなら……あわきんなら仕方ない

>>327
そういえば超電磁砲の扉絵に載ってましたね
あれ? 違いましたっけ?

>>328
きっとまだ描写されてない二人の過去があるはず
いつかかまちーが書いてくれるはず

>>329
上条さんは記憶喪失なのに誰一人気がつかないなんて役者すぎると思うんです……

>>339
ごめんなさい書くの忘れてサッカーみてました
正直負けると思ったけど今日の試合、興奮したなあ。
アジアカップ面白すぎる。


341VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 00:49:53.35PqdjG7J1o (1/1)

まぁ浜絹はしょうがないやね 当然


342VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 02:59:47.02lcV3QIXTo (1/1)

続きはまだであるか?
結局今か今かと待ってしまう訳じゃん!


343VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:18:51.92sK0txke00 (2/32)

──、でも。気をつけてね

『迷子にならないようにか?』

──、違う。

『へいへい、すぐ帰ってくるから待っててくれ』


344VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:21:27.62sK0txke00 (3/32)

ガチャ

『じゃ、いってきまーす』

パタン


──、心配だ。

──、さっきのアレが私の勘違いだといいのだけれど。

──、……もし、あいつらがこの場所を特定してるとしたら絶対私を連れ戻しにくる。

──、はまづらにも危険があるかもしれない。

──、……だったら、私とはまづらとは別行動の方が……?

──、……。

──、いや、あいつらがはまづらに手出しするかもしれない。

──、でも……。

──、……よし、尾行だ。

──、むかし、推理小説とかで読んだ、大丈夫、やり方はわかる。


345VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:24:59.82sK0txke00 (4/32)

──、だったら準備だ。

──、必要なモノは?

──、ええっと……。

──、これと、これと。

──、それから、地図と

──、あとは、水筒と……お菓子ももっていこう。冷蔵庫のうえ、お菓子の隠し場所はもう覚えた。

──、それから、このぬいぐるみも。

──、あ、しまった

──、リュックに入らない。

──、はやくしないとはまづらが見えないところまで行ってしまう。

──、なんとか全部を詰め込んで、私は外に出た。


346VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:28:39.58sK0txke00 (5/32)

────────

────

──


『おい』

『なんだ』

『例の少年が家を出たぞ』

『原子崩しは?』

『いない、恐らくまだ家の中だ』

『キャパシティダウンの準備は?』

『いつでもイケる』

『だったら突入だ、原子崩しを確保する。突入と同時にキャパシティダウンを起動しろ。捕獲はなるべく人目につかないようにな』



347VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:31:43.11sK0txke00 (6/32)

『……待て、ターゲットが家を出た』

『何?』

『リュックサックに水筒……はっ、ピクニックにでも行くつもりか』

『どこに向かっている?』

『わからん……だが人の目の多い場所だろうな』

『……今日の捕獲は諦めるか?』

『いや、博士の堪忍袋が切れる前に仕事を終わらせたい。尾行を継続する』

『わかったよ、上司がアレだと部下は大変だな』

『気遣い感謝するよ』


348VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:35:51.06sK0txke00 (7/32)

『……に、しても。まだガキじゃねえか、本当にあんな子供一人捕まえるのにこんな仰々しい機械が必要なのかね』

『相手はレベル五候補だ、ただの子供……いや、人間とは思わない方が良い』

『鬼だねぇ』

『それが科学だよ』

『俺に子供が居たら絶対こんなところには遣りたくねぇな』

『バカバカしいほど正しい判断だと思うよ』

『皮肉だねぇ、研究者さん』

『……気にしないでくれ』

『はいよ』


349VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:43:31.99sK0txke00 (8/32)

『それと後一つ質問なんだけどいいか?』

『何だい?』

『キャパシティダウンは原子崩しの能力を封じる、それはわかるんだけどな』

『けど?』

『もうひとつ、この小さいのは?』

『そのデバイスを僕たちは’メモリー’と呼んでいる』

『’メモリー’?』


350VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:51:51.44au+EwykAO (1/1)

面白いよ~


351VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 03:58:01.23sK0txke00 (9/32)

『僕はつい半年前、原子崩しの担当になったんだ』

『おい、質問の答えになってねーぞ』

『聞けよ、内部の人間にはこんな話できないんだからさ』

『あーはいはい。聞くよ、聞けばいいんだろ』

『さっきの君の、子供が居たらこんなところに遣りたくないって言ったろ?』

『ああ言ったさ』

『僕もそう思うよ』

『へぇ、科学の鬼でもそう思うのかい?』

『全員が全員鬼なワケじゃないさ、博士の心は100%鬼だけどね』

『ははっ』

『……僕には子供が居てね』

『ほー? いくつだ?』

『3歳』

『一番可愛い時だな』

『その一番可愛い時に、死んだよ』


352VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:04:41.46sK0txke00 (10/32)

『……っと、わりぃな』

『いや、……いいんだ』

『また……なんでだ? 3歳っつたら……病気か?』

『娘は学園都市の犠牲になったんだ、とある研究の犠牲にね』

『研究ってまさか』

『ああ、僕も携わっていたさ。もちろん、あの博士もね』


353VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:10:01.30sK0txke00 (11/32)

『ある日、原子崩しの素養を持った女の子を博士がどこからか持ってきてね。脳にとあるデータを焼き付ける作業を行う必要があったのさ、それによって演算能力を飛躍的に向上させる事ができるんだ』

『狂ってやがるな』

『そうとも、狂った研究さ。でもさらに狂ってるのはその手術の予行演習を’生きた子供の脳’で行う必要があったって事さ』

『……まさか』

『万全に万全を期したさ』

『そりゃそうだ、自分の娘なんだからよ』

『結果は……、さっき言った通りだ』


354VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:16:40.08sK0txke00 (12/32)

『表向きには交通事故という形で処理されている、新聞の記事にもならない事件としてね』

『恨みはねぇのか?』

『自分の無力さを死ぬほど恨んだよ』

『……、救えねぇ話だ。娘が死んでなお研究を続ける父親……ねぇ』

『生きてるんだ』

『あん?』

『確かに娘は死んだ、けどその時に採取された娘のデータが原子崩しの一部になって今も生きているんだ』

『……よくデキた考え方だな、否定はしないがよ』

『だから正直、こんな実験なんか無くなれば良いと思ってる。原子崩しにはあんな暗い研究所なんかじゃなくて明るい世界で生きて欲しい……ってのが、本音といえば本音かな』

『たしかに、あの博士の耳には入れられない話だな。だが俺の仕事は、お前が言うその真っ暗な研究所にあのガキをお届けする仕事だぜ?』


355VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:18:15.84sK0txke00 (13/32)

『……あの原子崩しが逃げおおせたところで、博士はきっとたぶん別の子供で研究を始めるに違いない』

『あの博士ならそうするだろうな』

『その度に娘の様に犠牲になる子供が増えてしまう……』

『……だろうな』

『だからそこでこの’メモリー’の出番なんだよ』

『あん?』

『’メモリー’は人の記憶を一時的に預かっておく事ができる、そしていつでも他の媒体への保存・再生が可能になるのさ』

『へぇ……この小さいのがね』

『まだ研究途中だからね、保存できる容量には限りがある。けれど、ここ数日間のデータなら可能さ』


356VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:19:42.68sK0txke00 (14/32)

『はっはーん? わかったぜ、研究員。お前の考えてること』

『うん?』

『消したいんだろ? 外での記憶を。戻ってから憧れない様に、研究所での生活に疑問を抱かせない様に、希望を根こそぎ奪うつもりだろ。娘さんみたいな犠牲を出したくないが故に、あの博士に原子崩しを縛り付けておく為に、原子崩し一人苦しめばいい、そうだろ?』

『……逆さ、僕は原子崩しを救いたい』

『救う、ねぇ』

『そうさ、苦しまなくていいようにね。希望は堕落だ、だったらそんな希望、最初からなかった事にすればいい』

『俺には、お前自身が誰かに救ってもらいたい、……そう聞こえるけどね』

『解釈は自由だ』

『そうかい』

『とにかくこのメモリーで、原子崩しの記憶を奪う』

『わかったよ』


357VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:22:18.22sK0txke00 (15/32)

>>341
余力があれば次もアイテムSS書くと思うから
その時縁があれば是非

>>342
こんな夜中に待たれたら書かざるをえない……
という訳で数レスですが

>>350
ありがとうございます
正直そう言って貰えてめっちゃ嬉しいです


358VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 04:53:14.49sK0txke00 (16/32)

『与太話はこれくらいしにて、尾行を続けよう』


────────

────

──


──、尾行って楽しい!

──、お菓子美味しいし

──、ジュース美味しいし

──、このふく、おしゃれだし。

『ん……あれ? こっちで合ってるのかな?』

──、でもはまづら、さっきからきょろきょろしてばっかりだよね

『くそ……地図、やっぱり持ってきた方が良かったか?』

──、あれ、地図って確か……

『ちくしょー、でも時間が……』

──、……私、もってるーーー!!


359VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 05:01:45.28sK0txke00 (17/32)

──、どうしよう、どうしよう。

『どうしよう……』

──、渡しにいく……? でもはまづらには黙って出てきちゃったし……

『うーん……』

──、そうだ! この方法なら……


360VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 05:03:13.96sK0txke00 (18/32)

『困った……』


──、他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ……

──、あー……コホン、そこの少年や


『……なぁっ?! し……沈利っ?!』


──、他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ……

──、わ、我輩は麦野沈利ではない


『はぁ……? なに言ってんだ?』


361VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 05:03:59.51sK0txke00 (19/32)

──、他人のフリ他人のフリ他人のフリ他人のフリ……

──、こ……困っているのじゃろ、この地図を持っていくといい


『お前……まさかこれを届けに……』


──、他人のフリ他人のフリ……

──、さ、さきほどこれを君に渡す様に頼まれてだな……それでは私は忙しいからコレで失礼


タッタッタ


『あ、おい! 待てよ!』


──、他人のフリ……ふふふ、完璧だ、完璧な他人のフリ……ふふふ……


『……ありがとよ、沈利』


362VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 05:20:48.27sK0txke00 (20/32)

『よっしゃ、コレで間に合うぜぇぇぇぇ!!!!』

──、はーまづらぁ、間に合うかなぁ。

『くっそおおお!! 走れぇぇぇぇえええ!!』

──、あ、コケた。



363VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:26:18.16sK0txke00 (21/32)

────────

────

──



『というわけで』

──、ガッコ。間に合った?

『おかげさまで』

──、そ、よかった。

『で、なんで沈利がここにいるんだ?』

──、だってしょうがないじゃない、地図なしで帰れないし。

『やっぱさっきのお前だったんじゃねーか!』

──、し、しーらないっ

『おいぃ?!』


364VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:26:57.57sK0txke00 (22/32)

──、どうでもいいじゃない! 間に合ったんだからっ!

『……まぁ確かに』

──、さ、行くわよ

『おーい? どこいくんだー?』

──、どこって

『あん?』

──、シャケ弁、買いにいくの。

『誰が買うの?』

──、はまづらが、私に。

『なん……だと……?』


365VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:30:41.73sK0txke00 (23/32)

ありがとうございましたー


『……結局買ってしまうという』

──、わーい。

パカッ

『わかったからせめて家に帰ってから食べよう、な?』

──、ちぇ

『ちぇって何っ?! ってかそのリュックなに! なんかお菓子の袋いっぱい入ってるんですけどおおお!』

──、こ、これは……

『あ、てめー。このヌイグルミはダメって言っただろー?』

──、べ、べつに、いいじゃない!

『ダメダメ、これは俺のソウルそのものなんだからよっ! ああ懐かしいぜ……あのクレーンとの格闘……壮絶だったなぁ……』

──、ちょっとくらいいいじゃない、ケチ!

『ガーン』


366VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:37:56.75sK0txke00 (24/32)

──、んー、かわいい。これ何て生物?

『クマもしらんのかい!』

──、クマ? クマっていうの?

『そだよ、クマだよ』

──クマっ♪ クマっ♪

『ははは、そんなに気に入ってるのか?』

──うんっ





『でもあげねーーー!!!! ははははは!!!!!』

──、えーーー!!!!


367VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:40:28.63sK0txke00 (25/32)

『あのさー、そのシャケ弁10個分くらいあるんだぜこのクマ』

──、じゃ、じゃあシャケ弁10個分がまんする!

『あー……やっぱ12個分くらいだったかな?』

──じゃあ12個がまんする!

『いやー……? やっぱり15個だった気がする』

──15個! がまん!

『ははは、ごめんごめん。20個だった、うん、20個もなー、多いなー、我慢するのは大変だなー?』

──、何個でもがまんするもん!

──、する……もん

──、ジワッ

『だあああ!!! 泣くな! わかったから!』


368VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:42:48.54sK0txke00 (26/32)

──、~~♪ ~~♪

『よかったなぁ……』

──、うんっ!

『ははは、そーかい……』

──、クマさん♪ クマさん♪

『たははー……また取りにいくか……』

──、また取ってくれるのっ?!

『いつの間にか沈利の為にっていう前提になってる……』

──、ねぇねぇ。取ってくれるの?

キラキラッ

『く……まぶしい! 目が! 目がぁぁぁあああ!!!!』


369VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:46:00.57sK0txke00 (27/32)

『結局、来てしまった……ゲーセン……』

──、ね。アレ! アレとって

『どれだよ?』

──、あの奥の

『アレか? よーし、ちょっと待ってろ』

チャリン

ピ

ウィィィィィィィーーーン


370VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:46:30.06sK0txke00 (28/32)

──ねぇ

『ん?』

──このボタン押したら取れるの?

『そーだよ』

──ふーん。

ピ

『……』

ウィィィィィィィーーーン

『ってあああああああああ?! 勝手に押すんじゃねええええええええええええ!!!!!』


371VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:49:29.69sK0txke00 (29/32)

スカッ

ザンネンデシター

マタドウゾー

──、ちょっと。何も出てこないけど?

『たりめーだ、何も取れなかったんだからよ』

──、えぇ?!

『沈利が! へんなとこで! ボタン! おすから!』

──、はまづらが! 押したら! 取れるって! 言ったじゃない!

『いや、そりゃ言ったけどさ……物事にはタイミングってもんが……』

──、もう一回よ! もう一回!

『もう金ねーよ』

──、なんで?!

『今日は弁当も買ったし、もーすっからかんだよ』

──、……むー。


372VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:51:54.72sK0txke00 (30/32)

『また今度に取ってやるから、そんな落ち込むなって』

──、ほんとっ?!

『おう』

──、あのね! あのね! あの大きいのがいい!

『お、おう? あれだな?』

──、うん!

『わかったよ』

──、いつ?!

『い、……いつ?』

──、明日? あさって? しあさって?

『はは……いつだろうなー』

──、はまづら、約束して!

『あーもー、わかったよ。明日、明日また来ような?』

──、うん!

『ったくよー、その笑顔は反則だぜー……ははは』


373VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:56:38.08sK0txke00 (31/32)

『沈利』

──うん?

『なんでもねー、呼んでみただけ』

──なにそれー?

『はははっ』

──……むー

『ごめんごめん』

──はまづらだけ楽しそうにしてて、つまんない。

『ごめんって』


374VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 06:57:21.12sK0txke00 (32/32)

──はーまづらぁ?

『なんだー?』

──、呼んだだけー?

『なんで疑問系なんだよ』

──、さー? ふふふっ。

『まあいいや、もう遅いしそろそろ帰ろうぜ』

──、うんっ



375VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 12:52:41.37eZaiV3r00 (1/1)

浜面の前でだけ昔みたいになるとかだったらマジで萌える


376VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 18:42:21.18dbi254lDO (1/1)

麦のんはどんな麦のんでもかわいいよ!!


377VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 20:19:11.91JEPz9a77o (1/1)

うっひょおおおおおおおおおお


378VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 20:21:34.93ZSSk2E8AO (1/1)

ぬっふぅおうおうおうおうおう

さっさと子作りせんかい


379VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 08:58:35.748Gjx4MP80 (1/2)

麦は踏まれれば踏まれる程 虐げられれば虐げられる程
立派な恵みを稔らせる、農産物界を代表するドM作物


380VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 09:00:28.188Gjx4MP80 (2/2)

誤爆


381VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 09:12:28.62INvBydUto (1/2)

>>380
どんな誤爆だよ
続きマダー?


382VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:05:57.02e5fia6Hk0 (1/1)

ある意味誤爆とも言い切れんのが怖い


383VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:52:20.91vWq3dp/r0 (1/37)

◇ ◇ ◇ ◇


『んー。結構遅くなっちまったな』

──、そうだね。

『暗いから足元、気をつけろよ』

──……ねえ?

『なんだよ』

──、道、あってるの?

『……』

──?


384VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:53:43.19vWq3dp/r0 (2/37)

『アッテル』

──、ねぇもしかして

『アッテル』

──、はまづら、ねぇ

『……』

──、いんてる?

『ハイッテル』


385VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:55:15.76vWq3dp/r0 (3/37)

──迷った?

『迷ってねえよ! この裏道抜けるほうがちけーんだよ!』

──、ほんとに?

『地図だとそうなってる』

──、……

『っだああ!! そんな目でみんな!!』

──、バカ面

『誰がバカ面だ! 俺は浜面だっての!』


386VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:57:06.30vWq3dp/r0 (4/37)

──、……はまづら。

『そうそう、俺は浜面だ』

──、囲まれてる。

『あん?』

──、私が合図したら、すぐに走って。

『なんで?』

──、いいから。

『だからなん──』

──、いいから、行けっ!

『ッ!!』


387VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:58:10.79vWq3dp/r0 (5/37)




研究者『キャパシティダウン、起動しろ』


ィィィィィィィィイィイイィィィン………………………………


388VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 13:58:57.52vWq3dp/r0 (6/37)

──っ?! あ……ぐ……頭が……っ

『沈利っ?! おい、どうした?!』

──、いたい……

『おい?! 大丈夫かっ?!』

──、はまづら、だめ、……逃げて……

『バカ! お前も一緒にくるんだよ!』


389VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:01:28.29vWq3dp/r0 (7/37)

傭兵『ヘイヘイ、どーこ行くんだよお二人さん。ちょっと待ちなよ』

チャキ

──、……く……完全に囲まれた……。

傭兵『よう? お嬢さん。いや……原子崩しよぉ。あんたに用事があって来たんだぜ? 何の用かは……わかるだろ?』

スッ

『沈利に何の用だッ!』

傭兵『おお? この状況で女の子を守るたぁ殊勝な心がけだ、良い男になるぜ少年。だがおじさん達はその子の、まぁ、なんというか、保護者でね。迷子のお嬢さんを捜してたんだよ』

『嘘つけっ!』

傭兵『嘘じゃないさ、だいたい君は知っているのかい? そこに居るお嬢さんが何かを』

『麦野沈利、俺の友達だ』

傭兵『友達……友達ねぇ、ははは、友達? まるで普通の人間みたいだなぁ。なぁ? 原子崩しよぉ』

『帰れよ、お前ら!』

傭兵『そうはいかねぇ、お嬢さんをつれて帰るのがおじさんの仕事だからねぇ』


390VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:02:48.90vWq3dp/r0 (8/37)

──……。ブルッ

『……沈利?』

──、……やだ、かえりたくない……。

『大丈夫、大丈夫だからな?』

傭兵『へぇ、妬けるねぇ。こんな状況で励まし合いってか?』

『……』

傭兵『辞めとけ辞めとけ、これが見えるだろ? 銃だよ、本物だぞ? 当たったら痛いぞー、当たり所によっちゃ死んじまうかもな』

『……く』

傭兵『あんま抵抗すんなよー? あんまり反抗的だとお前もこわーーーいおじさんがいっぱいいる施設で脳みそいじられておかしくなっちゃうからなー?』

『くっそおおおおッ!!!!』

傭兵『丸腰で突っ込んでくるとは……バカがっ』

ガン


391VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:04:11.43vWq3dp/r0 (9/37)

『がはっ……』

──、はまづら!

傭兵『バカだなーお前さ。この体格差考えろよな。でもお前みたいなバカは嫌いじゃないぜ。ははは。おいお前ら、抑えとけ』

ボカッ

『ぐあぁ!!』

傭兵『でもよーあーあー、だめだこりゃ。あの世行き決定だなおい、まだ抵抗しないってんなら俺は見逃してやってもいいと思ってたんだぜ? 本当だぜ?』

ドガッ

『……っ!』

傭兵『何も抵抗せず、この場の事は忘れる約束をしてくれたらよぉ……誰も殺さず済んだのによ』

『沈利をどうするつもりだ!』

傭兵『うるせーよ。黙りな、浜面仕上クン?』

『沈利に何かしてみろ! ぶん殴ってやるからな!』

傭兵『おーおー、そうかいそうかい。そりゃ楽しみ……だっ!』

ガン!

『ぐは……っ』


392VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:05:43.203fIqDixUo (1/2)

うわああああああああああああああ


393VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:06:47.93vWq3dp/r0 (10/37)



傭兵『あのさー……俺も子供をいたぶる趣味はさすがに持ち合わせてねーんだ。だからもうこれ以上俺に殴らせんなよ、楽に死んどけ』


────、パァン…………。





394VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:08:11.07vWq3dp/r0 (11/37)

傭兵『……よう。そっちのほうは、いいのかよ?』

研究員『いま起動させたよ’メモリー’』

傭兵『そーかい』

研究員『引き上げだ』

傭兵『了解』

研究員『……』


395VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:09:30.77vWq3dp/r0 (12/37)

────────

────

──



あれ

わたし

なにしてるんだろう

はまづらは?

あれ?

はまづらってだれ?

え?

ここどこ?

わたし、なにしてるの?

なにを、していたの?


396VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:09:56.86vWq3dp/r0 (13/37)

えっと

今日は

朝からいつもの研究で

あれ

いつもの研究?

美味しかった

あれ?

何が美味しかったんだろう?


397VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:10:38.31vWq3dp/r0 (14/37)

目の前には大勢の大人

いつもどおり白衣を着ている

あれ?

でも、今日は皆、ヘンな服きてる

まるで

まるで、軍隊みたい?

軍隊?

あれ? なんで?

ここは?

いつもの研究所じゃ、ない?


398VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:12:07.70vWq3dp/r0 (15/37)

着ている服もいつもと違う

違う

何かが違う

何が違う?

わからない

けど、何かが

何かが違う

……気がする


399VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:13:26.68vWq3dp/r0 (16/37)

目の前の景色は見える

見えるけど理解できない

何か

すべての輪郭が曖昧で

ぼんやりとしていて

とけてしまいそうで

音が

音が一切聞こえない

私の耳はどうなってしまっているんだろう


400VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:13:56.66vWq3dp/r0 (17/37)

『沈利っ!』

……だれだろう

誰かから名前を呼ばれている気がする。

音は聞こえないはずなのに

……やさしい声だなあ。

『沈利っ!』

……こんなやさしい声、いままで聞いた事ない。

……ああ、ずっと聞いていたいなぁ。

『沈利っ!』


『うるせーよ。黙りな、浜面仕上クン?』


401VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:14:40.73vWq3dp/r0 (18/37)

……あれ?

はまづら?

はまづら……?

はまづら……

浜面?

浜面……

浜面、仕上

浜面仕上

……とても

……とても、やさしいなまえ。


402VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:15:18.40vWq3dp/r0 (19/37)

この服を選んでくれたのは誰?

私を助けてくれたのは誰?

鮭味を教えてくれたのは誰?

名前を呼んでくれたのは誰?

やさしくしてくれたのは誰?

私を友達って言ってくれた人は誰?

私が、守りたい人は、誰?


403VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:15:47.33vWq3dp/r0 (20/37)



はまづら。

浜面、仕上。


そう!


はまづら!

はまづらだ!


……はまづら、なんだ!



────、パァン…………。





404VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:19:46.80vWq3dp/r0 (21/37)

────────

────

──


傭兵『で、その’メモリー’で記憶とやらは回収できたのかよ?』

研究者『ああ、おそらく。反応があったからね』

傭兵『……ふーん』

研究者『興味なさそうだね』

傭兵『俺としてはもうこの都市からの仕事を遠慮させてもらいたいところだよ』

研究者『ははは』

傭兵『笑い事じゃねーよ。それじゃさっさとお嬢さんを回収して帰るか』


405VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:22:31.27vWq3dp/r0 (22/37)

──、……ロ……ス



傭兵『あん?』



──、…………コ……………ロ……


ヨロッ


傭兵『お、おい? 起き上がったぞ、あいつ?』

研究員『大丈夫、キャパシティダウンが起動しているから演算には集中できないはずだよ。何もできやしない』

傭兵『そうか?』



──、……コロス……


ドッ


傭兵『あん?』


406VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:23:22.44vWq3dp/r0 (23/37)

傭兵『ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!』



研究員『め……原子崩し……ッ?! まさか、キャパシティダウンが効かない……だと……ッ?!』



──、コロ……ス……コ……ロ……スッ


ドッ



──、コロス……



──、コロス


ドッ




コロス



コロス




コロス


407VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:24:59.31vWq3dp/r0 (24/37)

────────

────

──


私が正気に戻ると、目の前には誰も居なかった。

ただ、はっきりと覚えているのは

うざったい周波数をまきちらす車を爆発させた事

襲い掛かってくる男たちを能力を解放して爆ぜた事

浜面の体からとめどなく出る赤い液体。


408VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:26:53.56vWq3dp/r0 (25/37)

結論から言うと、私は逃げた。

その場から。そして、浜面から。

逃げた。

こわくなったのかもしれない。

何もしゃべらない浜面を見ているのが

うつ伏せで動かなくなってしまった浜面を見ているのが

とても、

こわ……かった……から。


409VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:28:47.42vWq3dp/r0 (26/37)

その後も何回か襲撃を受けた。

恐らくあの博士が寄越したんだろうと思う。

その度に能力を開放して蹴散らした。

四六時中命を狙われる生活は、相当のストレスだったけど。

その頃はただ生きているだけで、死んでいるのと何も変わらなかったと思う。

そんな時、薄汚れた路地裏で私はあいつと出会う。

最高で最低な、本当にクソッタレな出会いだった。


410VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:31:33.70vWq3dp/r0 (27/37)

『こいつときたら、本当に壊すことでしか生きられないのね』

──、誰よ、アンタ。

『こいつときたらーー! 年上に対する礼儀ってのがなってないわよ!!』

──……フン

『あー、気に入った。その態度が気に入ったわ。あんた、ウチで雇ってあげるわ、感謝しなさい』

──、は?

『あたしの所に来るってんなら、今あんたにちょっかい出してる組織の一つや二つ、潰してあげるわよー? それにアンタ、どこにも行くところ、ないんでしょ?』

──、そうだけど……


411VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:32:15.49vWq3dp/r0 (28/37)

『だったら交渉成立ね、あたしは働き手が欲しい、あんたは居場所が欲しい。そうじゃない?』

──……。

『さっそくだけど仕事、お願いしたいのよね。ちょっとしたゴロツキなんだけど、5.6人シメてきてくれない? 方法は任せるから』

──、ち、わかったわよ。

『あーそーそー、アンタのコードネームだけど、しばらく’アイテム’って呼ぶからそのつもりで』

──、アイテム?

『そ、アイテムね。そのうち人数が増えたらそれを組織名にでもしようと思ってるから。それじゃよろしくねーん』


412VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:34:08.09vWq3dp/r0 (29/37)

◇ ◇ ◇ ◇


麦野「……という、ワケなのよ」

フレンダ「……」

滝壺「……」

絹旗「……え……?」

フレンダ「え?」

滝壺「……」

フレンダ「えぇえっ?! け、結局。ど、どいう事なの?! 浜面! 死んじゃったのっ?!」


413VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:41:29.21vWq3dp/r0 (30/37)

滝壺「死んでたら、いま生きてないよ。フレンダ」

フレンダ「むむむ……、昔死んでたと思った浜面がひょっこり実は生きてましたーって、どこのドラマよそれ」

麦野「ほんとにね。だから最初にアイテムで浜面に会った時は心臓がどうにかなるんじゃないかと思ったくらいなんだから」

絹旗「はぁ……まさか二人の間にそんな超エピソードがあったなんて」

フレンダ「人に歴史アリって訳よ」

滝壺「それで、麦野の悩み事は?」

麦野「そう。それなのよねぇ……」

絹旗「それ、といいますと?」


414VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:45:04.35vWq3dp/r0 (31/37)

麦野「それとなく昔の事を聞いてみても私とは会ったこと無いって言うし……」

フレンダ「その浜面と、この浜面が別人だっていうの?」

滝壺「他人のそらに?」

麦野「でも、別人と言うにはあまりに似すぎてるのよね」

絹旗「私としては浜面超サイボーグ説を推しますね」

麦野「それはないわ、ちゃんと心臓がドキドキしてたから」

滝壺「まるで確認したみたい」

麦野「確認したもの、あいつが居眠りしてる最中に」

フレンダ「え?」

絹旗「え?」

滝壺「え?」

麦野「?」


415VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 14:47:52.45vWq3dp/r0 (32/37)

麦野「まだ他にもいろいろ確認したわよ、あいつが眠ってる間に──」

フレンダ「あーーーーー!!!!!」

麦野「なによ、もう、フレンダ」

フレンダ「それ以上は、……ストップよ麦野。……刺激が強い」

麦野「そう?」

絹旗「(超鼻血でるとこでした)」

滝壺「……」ボー


416VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:00:52.81vWq3dp/r0 (33/37)

フレンダ「……ん?」

絹旗「どうしました?」

フレンダ「ねー、むぎの?」

麦野「なに?」

フレンダ「あのさー、さっきの話で一つ質問なんだけど」

麦野「うん」

フレンダ「むぎのが毎晩抱いて寝てるヌイグルミってまさか、そのときの……?」

麦野「フーーーーーー……レ、ン、ダァ…………」

フレンダ「え? え? そうじゃないのっ?! ねぇ?! ねぇむぎのっ!」

麦野「後でお仕置きね」

チーン

フレンダ「なんでっ?!」


417VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:10:04.18vWq3dp/r0 (34/37)

絹旗「麦野。私からも質問、超いいですか?」

麦野「うん」

絹旗「私は浜面が過去何をやってたか、なんて超知らないですけど。それでもなんとなくそんなに超悪いヤツでは無いと思うんです。バカですけど、超バカですけど」

麦野「バカなのは否定しないわ」

フレンダ「バカを否定されない浜面、バカ面ね」

麦野「……お仕置き追加ね、フレンダ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「なんでっ?!」

滝壺「一言余計」

フレンダ「うぅ……」

絹旗「それで、麦野はどうしたいんですか?」

麦野「私は……」


418VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:11:23.38vWq3dp/r0 (35/37)

麦野「私、……浜面の事、好き、なんだと思う」

フレンダ「ついに言ったわね、麦野」

絹旗「なんとなく超そんな気はしてましたけど」

滝壺「うん」

麦野「でも……、その。ね? なんとなく、この気持ちそのものに自信が持てないというか……。昔の浜面を勝手に今の浜面に投影してるだけなんじゃないかなって、もし別人だったらどうしよう……って」

フレンダ「そりゃまぁ、何年も前に居なくなってたと思った人がひょっこりでてきたらねぇ」

絹旗「しかもそれが同じ浜面かどうかわからない状況じゃ、超しょうがないですよね」

麦野「……うん」

フレンダ「っだあぁ、それにしてもアノ浜面がねぇ~……」


419VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:19:46.33vWq3dp/r0 (36/37)

>>375
ちょw
天才現るw

>>376
ですよね。
麦のんマジ麦のん。

>>377
うっひょおおおおおおおおおお!!!

>>378
エロパロにGO
エロ書けなんです、すみません……。

>>379
麦に対する愛だけはヒシヒシと伝わって……
愛ですね愛。

>>381
ロリのんが可愛すぎて過去編ばっかり書いてて物語が進まなかったという(ry
もうちょいで終わります。あとちょっと辛抱してけろ

>>382
偶然の奇跡ですなー。

>>392
うわああああああああああああああ!!!


420VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:24:36.23F9kl9Svpo (1/1)

ショタ面とロリのんが可愛すぎる
もうだめ


421VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:33:56.003fIqDixUo (2/2)

あんなに素直だったロリのんが今ではこんなにアレな性格になってしまうとは
暗部の暮らしの悲惨さが伺えるって訳よ


422VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 15:41:21.84vWq3dp/r0 (37/37)

>>420
むすじめさんここです

>>421
ID:3fIqDixUo
IDにFが入ってるってことはあなたまさか……


423VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 17:01:32.46INvBydUto (2/2)

続きは読みたい。
でも終わって欲しくない。

いいぜ!続きを読めばこのSSが終わるっていうなら、まずはそげぶ。


424VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 18:44:05.85/959ShmZ0 (1/1)

あれ、麦野はちゃんと覚えてるんだな。
メモリーとやらで麦野の記憶がなくなってるという展開だと思ってた。意外意外。
浜面のほうの記憶が問題ってことだがそれは今からの展開のお楽しみね!

おもしろいお!


425VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 20:11:56.44pUvE4OaH0 (1/1)

ショタ面をかっさらいたい


426VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 20:44:53.86PYWqoCTDO (1/1)

いつでもいつまでも麦野沈利ちゃんが一番かわいい!!!


427VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 23:08:13.53sIYz42wAO (1/1)

僕は麦野沈利ちゃん!!


428VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 23:32:49.27aDqMCrGno (1/1)

僕も麦野沈利ちゃん!!


429VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 23:56:37.29TQvdXjpgo (1/1)

僕の麦野沈利ちゃん!!


430VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 23:59:25.781RTp4yxgo (1/1)

僕が麦野沈利ちゃん!!


431VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:01:27.1497Vpju9vo (1/1)

僕に麦野沈利ちゃん!!


432VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:02:57.09j+K0higgo (1/1)

僕を麦野沈利ちゃん!!


433VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:03:02.132fMCuo6Po (1/3)

僕へ麦野沈利ちゃん!!


434VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:12:39.736hSja+OBo (1/1)

僕で麦野沈利ちゃん!!


435VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:15:59.96NlD9vV4no (1/1)

僕と麦野沈利ちゃん!!


436VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:33:33.94IhISL7dio (1/1)

                                               ∧_∧
                                        ∧  ◯( ´∀` )◯
                                     ∧_( ´∀ \    /
           ∧_∧                  ∧_( ´ (つ.   _/ __ \_
       ∧_( ´∀∧_∧           ∧_( ´⊂   人⌒l(_/    \_)
       ( ´ (つ ⊂( ´∀∧_∧       (´∀( つ ノ ノ し(_)    ∧
  ∧_∧(○  |  ( /   ( ´∀`)     ⊂二、 \ヽ (_ノ、_ノ   僕は、麦野沈利ちゃん!
 ( ´.( ´||し⌒/ ⊂ ノG(   こ ∧_⊂(´∀`⊂(_(__)
⊂  (   | .|,ノ  し     (_,\  (  (´∀` )  / / / 
 〈 〈 .)  (_)            (_ ⊂  (ノ  (ノ  (__)_)
 (__(__)__)             (__)_)


437VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:46:25.22TGgvm5EAO (1/1)

僕に麦野沈利さま!!


438VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:52:31.37dCZT4GL20 (1/34)

僕と麦野沈利さま!!


439VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:55:19.50dCZT4GL20 (2/34)

麦野「……あー……、どうすればいいんだろー……」

絹旗「どうするって……」

フレンダ「どうすればいいのかな……」

滝壺「……」

麦野「それを相談しに来たんじゃない」

絹旗「正直チケットの取り方とか聞かれたから、超そっち方向の相談だと思ってたんですけど」

フレンダ「予想の斜め上をはるかに超えてヘビーだったわけよ」

麦野「……やっぱり、私、重いかなあ……?」


440VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:56:13.63dCZT4GL20 (3/34)

絹旗「うむむ……」

フレンダ「絹旗、例えば私がいきなり’絹旗っ、実は私はあんたの事が、あんたが死ぬ前から好きだった’とか言ってきたらどう思う?」

絹旗「超びびりますよそれ、どんなホラーですか」

フレンダ「そうよねぇ……」

麦野「……むー……」


441VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 00:58:17.79U0igygrAO (1/3)

来たっ


442VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:01:42.19dCZT4GL20 (4/34)

フレンダ「でもこれ、考え方によっちゃとってもロマンチックな話じゃない? だって、死に別れた二人が奇跡の再開を果たすのよ? オペラや小説じゃハッピーエンドな訳よ」

絹旗「でもあの浜面がその浜面じゃない可能性もあるんですよね?」

フレンダ「あの浜面とかその浜面とか……浜面のくせにややこしいわね……」

滝壺「……」ボー

フレンダ「そうねー……、でもまあ麦野の話を聞く限り要点は一つよね」

麦野「うん?」

フレンダ「要するに、過去面と今面が同一人物ならすべて丸くおさまるわけよ」

麦野「それはまぁ……そうだけど」

絹旗「過去面に今面って、どんな呼称ですか」

フレンダ「ややこしいからそう呼んだ」

滝壺「真東から電波きてる……」


443VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:11:47.21dCZT4GL20 (5/34)

フレンダ「過去面が今面だって証明できれば、麦野は後ろめたい気持ちなんてなく今面の事を好きになれるって寸法よ!」

絹旗「でもそれ、どーやって確かめるんですか? 麦野が今面に聞いても超ダメだったんでしょ?」

麦野「そうね、あれは’昔の事を忘れてる’っていうより単純に’知らない’っていう感じだったから……はは、あの時は結構キツかったなぁ……」

フレンダ「あ~、も~。そこ! ウジウジしないっ!」

絹旗「過去面が今面だって証明できる何か超良い方法があるんですか? フレンダ」

フレンダ「ふふふ。結局、私に策がある訳よ」

絹旗「へぇ、どんなですか?」


444VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:13:16.82dCZT4GL20 (6/34)

フレンダ『はーまづらー』

浜面『なんだ?』

フレンダ『ちょっと後ろ向いてて、あと、目つむってて』

浜面『はぁ? なんで俺がそんな事……』

フレンダ『……ばか、恥ずかしいからに決まってるでしょ……』

浜面『は? はぁああ?! おい、フレンダ何をっ、なんでバニーの衣装なんか持ってッ?!』

フレンダ『浜面のえっち……はやく後ろ向いてよ……』

浜面『わ、わかった! わかったから!』

フレンダ『絶対こっち見ないでよ?』

浜面『お、おう? おう!』

フレンダ『……』

浜面『……』



フレンダ「そこで背後からこの新開発のハンマーで思いっきり今面の頭をぶんなぐるッッッ!!!!」

絹旗「殺人だーーーーーーーっ?!」


445VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:16:57.20dCZT4GL20 (7/34)

フレンダ「頭部へのショックを与えて過去の記憶を取り戻す訳よ」

絹旗「どんな理論ですか」


麦野「それ、やってみたけどダメだったわ」


フレンダ「……」

滝壺「……」

絹旗「……」

麦野「なに? 皆黙っちゃって?」

フレンダ「……やったんだ」

絹旗「……超実行済みでしたか」

麦野「ダメよ、その手は効かないわ。何回やっても絶対避けるからアイツ」

フレンダ「今面よ……安らかに……眠れ……」

絹旗「まだ死んでませんってフレンダ」

滝壺「……」ボー


446VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:20:37.57dCZT4GL20 (8/34)

絹旗「ゴキブリ並の超回避ですよね、さすが浜面」

フレンダ「浜面じゃないわ絹旗、今面よ」

滝壺「いまづら」

絹旗「……なんだか超めんどくさいですね」

麦野「……はー……」

フレンダ「!」

絹旗「何か良い手、思いつきました?」

フレンダ「これだ……これしかない!」

絹旗「……超いちおう聞いてみますから、言ってみてください」


447VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:28:12.26dCZT4GL20 (9/34)

フレンダ『浜面』

チャキ

浜面『なんだフレンダ? 銃なんか構えて刑事ゴッコか?』

フレンダ『うるせーよ。黙りな、浜面仕上クン?』

浜面『あん?』

ガン!

浜面『ぐは……っ?!』

フレンダ『ふん、結局、あんた下っ端のくせに生意気な訳よ』

浜面『フレンダ……何をッ?!』

フレンダ『うるさい!』

ドガッ!

浜面『……っ!』

フレンダ『変態っ! 変態っ! 変態っ!!!』

ドガ バキ ドゴ

フレンダ『あのさー……俺も子供をいたぶる趣味はさすがに持ち合わせてねーんだ。だからもうこれ以上俺に殴らせんなよ、楽に死んどけ』


────、パァン…………。


448VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:29:00.04dCZT4GL20 (10/34)

フレンダ「とまぁ、こんな感じで当時を再現すれば何か思い出すんじゃない?」

絹旗「一理ありますね」

麦野「……」

フレンダ「ね? どう? 麦野」

麦野「……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

フレンダ「え? なに? なんで無言で? え? え?」

麦野「ふ、レ、ン、ダぁ……、……アイツを傷つけるのはいくらお前でも容赦しないよ……?」

フレンダ「むぎの! むぎのおちついて! これはあくまで仮定の話であって! きゃー!!!」


────────

────

──


絹旗「おーい、生きてますかー?」

滝壺「ご臨終です」

チーン

フレンダ「生きてる! 生きてるから!」


449VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:30:51.64U0igygrAO (2/3)

フレンダバカわいいよフレンダ
流石は俺の嫁


450VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:34:10.04dCZT4GL20 (11/34)

◇ ◇ ◇ ◇

フレンダ「でも結局、ハッキリしないのは麦野よ」

麦野「……ん?」

フレンダ「過去面と今面のどっちが好きなのさ?」

麦野「どっちって……そんなの選べない……」

フレンダ「仮によ? 過去面と今面が同一人物だとするじゃない? それだったら良いよ、でも違った時に麦野はどうするのさ?」

麦野「……」

フレンダ「麦野は過去面の事が好きだったかもしれない、でもそれは過去面が今面だったらっていう前提のもとでしょ?」

麦野「それは……」

フレンダ「もしさ、過去面と今面が全然関係ない赤の他人で、それでも好きって、浜面の事が好きって麦野は断言できるわけ?」

麦野「……」

絹旗「フレンダ、だから今それを相談して」

フレンダ「絹旗は黙ってて、私は今麦野と話してるんだから」


451VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:44:59.30dCZT4GL20 (12/34)

絹旗「なっ」

フレンダ「いいから黙っててよ!」

絹旗「っ」ビクッ

フレンダ「むぎの、よく聞いて」

麦野「……うん?」

フレンダ「仮にこの告白が成功してアイツが麦野と付き合ったとするじゃない?」



452VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:46:20.89dCZT4GL20 (13/34)

フレンダ「そりゃ幸せだろうさ、幸せだろうね。見てるコッチが嫌になるくらい幸せになるだろうさ」

麦野「……」

フレンダ「でもある日、ふとした事から過去面と今面が別人だって知ってしまうの」

麦野「……」

フレンダ「しかも最悪な事に、それが浜面に知られてしまうの」

麦野「……」

フレンダ「自分の愛する人が、本当に好きだったのは’自分に良く似た他人だった’なんて事知ったらさ、その時浜面、どんな顔すると思う?」

麦野「どんな……って」

フレンダ「ああもうハッキリしないなあ!」


453VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:48:38.23dCZT4GL20 (14/34)

フレンダ「あたしがイライラしてるのはね、麦野」

グイッ

麦野「……え?」

フレンダ「煮え切らない麦野に、じゃない。その煮え切らない麦野に! あたしが浜面を好きって気持ちが! 負けそうだって事に! イライラしてんのよ!」

麦野「……フレ、ンダ?」

フレンダ「むぎの、歯ァ食いしばりな!」

パン


454VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 01:57:15.91dCZT4GL20 (15/34)




フレンダ「あたしだってねぇ!」




フレンダ「あたしだって浜面の事が好きだよ! ああそうさ! あのバカの事が好きなんだ!」






455VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:00:27.57dCZT4GL20 (16/34)

フレンダ「そりゃ救えない程バカで! 変態で! おっちょこちょいで調子乗りだけどさ! あたしの事……ちゃんと、ちゃんとあたしの事を見ててくれるんだ……」

フレンダ「ファ……ファミレスで困ってたら助けてくれたり……、ちょっとお願いしたらすぐなんでも作ってくれたり……、いろいろ知らない事教えてくれたり……」

フレンダ「ああこの人ならひょっとして! って思ってたけど、けど……けどさ……」

フレンダ「あんな話聞いた後にそんな事言えるわけないじゃない!」

フレンダ「あたしには、昔の浜面の事なんかわかんない! どこで何してたかも知らないし!」

フレンダ「でも……でもさ……」

フレンダ「昔の事なんか関係ないって、これから知っていけばいいって思ってたところなのに……」


456VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:01:18.16dCZT4GL20 (17/34)

フレンダ「ずるいよ……」

フレンダ「麦野がどれだけ浜面の事思ってるか! 知っちゃったからには何もできないじゃない!」

フレンダ「二人にそんな過去があったなんて事言われたらさ……何もできないじゃない……」

フレンダ「勝てる訳……ないじゃない……」

フレンダ「……ずるいよ、むぎの……」

フレンダ「……ずるい、よ……」


457VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:01:32.51GEJfWDbDo (1/1)

なんやて・・・


458VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:05:03.672fMCuo6Po (2/3)

僕が居るやないの


459VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:06:14.30U0igygrAO (3/3)


超超展開ですね


460VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:06:27.07dCZT4GL20 (18/34)

>>424
世界一幸せなそげぶありがとう

>>425
ロシアまで追いかけられてもよければどうぞっ

>>427-438
ひっそり参加させてもらったけどお前ら……最高ですwwww

>>441
下から来るぞ……的な

>>449
フレンダいいですよね
原作?
15巻なんてなかった(ry

>>457
どうなっとるんや……この展開……


461VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:13:20.86v8GB2+k/o (1/1)

支援だァ三下ァ・・・
期待してンだぞ?
(めちゃくちゃ好みなンでほンとに頑張ってくださァァい!支援ですゥゥう!)


462VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:19:32.35OR1ACLy+o (1/1)

フレンダの超展開は読めなんだ!


463VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:25:08.20dCZT4GL20 (19/34)

>>424と>>423安価間違ってたスマソ

>>423
世界一幸せなそげぶありがとう
でもいつも読んでくれてる>>423は幻想じゃないから消えないんだぜ

>>424
そのへん後で書けたら……
グループもはやいこと出してあげないといろいろ忘れそうでコワイ
忘れてたら全力でごめんなさいするしかない。

>>458
ボクぁ落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪金髪ロングへアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタツンデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘まで あらゆる女性を迎え入れる包容力を持ってるんよ? 
の人ですね? 

……あれ? 金髪蒼眼はいってる……?

>>459
着地点見失いながら目隠しで全力疾走して書いてる感じを楽しんでもらえたら

>>461
アックアさんだけじゃなくて
まさか一方通行さんがこのスレをチェックしてるなんて思わなかった
……という事はまさかあの人も……

>>462
フレンダってほら
周りからいろいろと誤解されやすいんだと思いますよ。
だから実は死んだ事になってるけどそれは誤解で、
……ってな感じで本編に再登場おねがいしますかまちー。
……だめ?


464VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:29:19.11ycpJe/ODO (1/1)

アイテムは浜面の嫁
浜面は俺の嫁


465VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 02:54:37.756ae8jiL0o (1/1)

>>464
そしてお前は俺の嫁


466VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 03:31:01.63vyJJB6reo (1/1)

滝壺さんは参戦しないの?


467VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 03:32:14.992fMCuo6Po (3/3)

既に俺の嫁だから参戦する意味がない


468VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 09:44:16.50Mj7vmmIAO (1/1)

2fMC/uo6Po


469VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 11:06:02.88wbajKDU80 (1/1)

>>467もげろ


470VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 13:18:40.55xoIC2ZSIO (1/1)

俺も浜面に生まれたかった・・・!


471VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 13:37:57.42JJ24pEhKo (1/1)

ちょっとアンタ!期待してるんだから頑張りなさいよね!


472VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 17:20:21.32BgEffPhDO (1/1)

麦のんの暗部に俺の股間の黒ノ式をぶち込みたい


473VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:20:52.17DwUo/xOZo (1/1)

 +  ∧_∧
    (0゚・∀・) + ドキドキ
  oノ∧つ⊂)   ワクワク
  ( (0゚・∀・) +
  ∪(0゚∪ ∪
 +  と__)__)


474VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:31:15.65dCZT4GL20 (20/34)

◇ ◇ ◇ ◇

……。

とても懐かしい夢だった気がする。

例えば、昔持っていたはずのわりと大きいクマのヌイグルミがいつの間にか無くなっていた事とか。

例えば、なぜか知らないけれどいつの間にかクローゼットの中に紛れ込んでいたワンピースとか。

無くなっていたものが有ったり、有るはずのものが無くなっていたり。

それから

誰かと一緒に

居た気がする。

そんな夢。

……。


475VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:34:26.26dCZT4GL20 (21/34)

あの小さい石ころみたいな、キラキラした謎の部品みたいなもんを拾ってからここ最近、ずっとそんな夢を見ている。

やけにリアルで、まるで自分が経験してきたかのように臨場感のある夢。

どっからどこまでが現実で、どっからどこまでが夢なのか曖昧な世界は、けれどもなぜか温もりに満ちていた。

その夢はきまって一人の女の子と一人の男の子の出会いから始まる。

めちゃくちゃ可愛いけれど、世間知らずというか。そんな女の子。

そんでもって、どこにでもいる普通の男の子。

夢の中で男の子は女の子に振り回されっぱなしで、だけど男の子はそれも案外悪くないと思っている様子だった。

……でも、

夢の終わりにはいつも残酷な結果だけが待っていた。

乾いた音で目が覚める。



476VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:35:36.43dCZT4GL20 (22/34)

休日だというのに珍しく早い時間に目が覚めたので、

布団の中にあるはずのリモコンをもぞもぞと探し、旧世代のテレビに向かって

「起きろ」

と信号を送る。

彼はその眠りを妨げられたにも関わらず文句一つすら言わず、命令に忠実に従った。

ニュースや情報系番組が多くを占めるこの時間帯にザッピングを繰り返し、とある戦隊ヒーローの番組が目にとまった。

小さい頃に見たテレビのヒーローに憧れていた俺としては、チャンネルをここで止めるのがジャスティス。

男だったら誰しも大なり小なりヒーロー願望っていうか、

そういうくだらない妄想を抱く時期があると思う。



477VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:36:47.05dCZT4GL20 (23/34)

簡単なあらすじはこうだ。

「たった一人の女の子を守るためにテレビのヒーロー達はその身一つで巨大な悪に立ち向かっていく」

いつの時代にもお決まりのパターン。

ヒーロー達は敵の怪物に倒されても倒されてもめげずに立ち向かっていく。

爆薬が炸裂し、耳を劈く破裂音が響き、全てを溶かす閃光が散る。

怪物の攻撃で血を流し、骨が折れても、ヒーロー達のその真っ直ぐな心までは折れない。

何が彼らをそうさせるのか、

彼らの強さは何なのか。

眠い頭で考えてもわからない、

きっとヒーローだけが持っている特別な何かが彼らを駆り立てるんだろう。

そして、放送時間の終わりが近づくと、彼らはお決まりの台詞と必殺技で悪を蹴散らした。

そうしてヒーロー達は一般大衆の中へと帰っていく。


478VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:38:11.65dCZT4GL20 (24/34)

ああ自分もこんな風に生きることができたらどんなに良いんだろうか。

小さい頃、確かに持っていた憧れ。

けれどいま、

真っ黒で冷たい学園都市から見上げる空は、くすんで見える。

起き抜けに薄汚れたワンルームの部屋を適当に片付ける。

アイテムの集合時間までの時間をどう潰そうかと考えた挙句、伸びをひとつすると、履き慣れたスニーカーを選んで外に出た。


479VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:42:38.91dCZT4GL20 (25/34)

適当に路地裏をプラプラ歩くと

どっかの能力者同士が喧嘩をしていた。

片方はどういう理屈か重力に逆らって垂直の壁を走り、

もう片方はそれを待ち受ける。

壁を蹴って加速をつけたパンチが顔面に届く直前に、

これまたどういう理屈か今まさに殴りかかろうとしていた男の動きがスローモーションになった。

そこまで歩きながらなんとなく見て、興味を無くした俺の両足は別の場所へと向かう。


480VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:44:53.99dCZT4GL20 (26/34)

小さい頃、最初はアレを魔法だと思った。

けれど、どうやらそれは魔法ではなく超能力というものらしい。

何がどうなっているのかはわからない。

脳のある部分をいじくってカリキュラムを受ければ俺でも能力が使えるらしい。

というのを聞いた瞬間に頭の中がそれでいっぱいになった。

「学園都市に行きたい」

行った後の事なんか当時はそれほど深く考えちゃいなかった。

きっと自分は超能力者になるだろうし、

きっと自分はか弱い女の子を守るヒーローになるんだろうと思っていた。

だけど現実はそんなに甘くなかった。



481VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:51:10.26dCZT4GL20 (27/34)

入学して一番最初の身体検査ではレベル0判定。

それでも最初はクラスの大半もそんなもんだ。

けれど、日が経つにつれ、周りの者も何かしらの能力を扱えるようになっていく。

しだいに俺みたいなレベル0は周囲からおちこぼれの烙印が押されるようになった。

不思議と悔しさみたいなモンは沸いてこなかった。

「ああ、やっぱり自分にはヒーローなんて無理なんだろうな」

ド派手な技で敵を翻弄し、華麗にやっつけ、救うべき誰かを救う。

「やっぱり、自分には無理だったんだ」

わかっていた事じゃないか。

当たり前だ、誰しもがヒーローになれるわけじゃない。

人間、諦める事も肝心なんだってな。


482VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 21:56:16.20dCZT4GL20 (28/34)

ふらふら、ふらふら。

倒れる直前のコマみたく、あっちにブレたり、こっちにブレたり。

けれども、まだ倒れたくない。

ふらふら、ふらふら。

力が無い。

その事実だけで路地裏で暴れても虚しさだけが付きまとう。

それから何人かとツルんだけど、

そいつらだって結局同じレベル0っていう輪の中で付き合って、

見下されない同格のクズが欲しかったっていうだけで。

都合のいい話だと思う。

利用して利用された。

クズはクズらしく生きる。


483VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:00:32.96dCZT4GL20 (29/34)

思い描いた理想とか

守りたかった何かとか

きっと、たぶん

こんな自分にも、おちこぼれる前は何かがあったんだと思う。

むしろ何かがあって欲しかった。

……けれど、思い出せない。

思い出そうにも、……真っ白だ。

真っ白。

何も無い。

残念ながら、本当に自分には何も無い。

ただのクズだった。

ただのクズであるが故に、何回警備員に捕まって留置場に何回ブチ込まれようが、更正の余地なんてあったもんじゃない。


484VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:05:53.57dCZT4GL20 (30/34)

駒場さんと出会ったのは、それから少ししてからだった。


『お前が浜面仕上か?』

『……誰だ?』

『駒場という者だが……、率直に聞こう。お前、力が欲しくないか?』

『力?』

『そうだ』

『……興味ねーな』

『なぜ?』

『はっ、無能力者の俺が力を得た所でどうなるってんだよ、今更何も変えられないし、変わらねーんだよ』

『ちょっと違うな……』

『何が違うってんだ』

『無能力者でも、適切な力を身に着ける事で能力者とも対等に渡り合える事ができる』

『できねーよ』

『科学を生かせば可能だ』

『はぁ?』

『お前には手先の技術があると聞いている、協力して欲しい』


485VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:11:36.66dCZT4GL20 (31/34)

『やだね、何で俺がそんなめんどくさい事』

『……俺の友人が殺された』

『……?』

『能力者にだ』

『……』

『……能力者といっても大半はレベル1かレベル2。やつ等のストレスの捌け口として無能力者が襲われている』

『……』

『……俺は、それを救いたい』

『救う、だ?』

『ああ』

『できるのかよ、本当に、そんな事が』

『……できる、俺とお前。……仲間の力があれば』


486VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:13:37.86dCZT4GL20 (32/34)

『おい』

『……む?』

『だったらよぉ、リーダーはこの浜面仕上様、だよなぁああっ?!』

ドガッ

『……ふむ、良いパンチだが軽いな』

『いっ?!』


487VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:18:05.52dCZT4GL20 (33/34)

殴っても殴っても倒れない大男。

殴って、蹴って、叩いて、跳ねて。

いつの間にかぶっ倒れて、

気がついたら心配そうに俺の顔を覗き込んでやがった。

『すまん、つい力を入れすぎてしまった』

とか言われた日にはもう笑う事しかできなかった。

『わかったァ、わかったよ。あんたの仲間になる』

『……歓迎する』

『あんた、名前は?』

『……駒場、駒場利徳だ』

『わかったぜ、ボス』

その日俺は、スキルアウトに拾ってもらった。


488VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:28:29.42dCZT4GL20 (34/34)

>>464
やったね素敵なレスがすぐ下に

>>465
お幸せに!

>>466
滝壺さんの活躍は3月発売の新訳で

>>467
なん……だと……

>>468
>>469
良いコンビだ。

>>470
「だったら……アンタを待ってる人はどうするんだよ」
「今までだってそんな風に生きてきたんだろ。俺やディグルヴ達を助けてくれた時のあれは、アンタにとって特別な事だったんじゃない。アンタはずっと、そんな風に生きてきたんだろ!! そういうヤツは絶対に孤独なんかじゃない。アンタが考えていなくたって、アンタの後ろには多くの人達がついてきてる。そういう人達はどうするんだよ!!」
「世界を守って死にました。他人を庇って倒れました。そんなんで納得すると思ってんのかよ!! そんな訳ねえだろ!! アンタが掲げる『戦う理由』ってのは、アンタを待つ人達の泣き顔を見て笑みを作るようなくだらねえモンなのかよ!!」
「……立てよ、ヒーロー」
「立てェェェえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええッッッ!!!!!!」

原作のこの台詞で一気に浜面さんに惚れました。

>>471
ありがとう!
ここにゲコ太のストラップ置いておきますね

>>472
ID:BgE ffPhDO

>>473
かわいすぎるw


489VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 22:56:49.76qabfqHzAO (1/1)

さて麦のんと日韓戦みるか


490VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 03:32:07.12QyE/SbhIO (1/1)

超楽しみです!
超早く書いて下さい!


491VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:31:45.76ZhTHicm10 (1/27)

◇ ◇ ◇ ◇



本名。

内緒。

フレンダって名前もどこかの雑誌モデルが使ってた名前を拝借したものだ。

別に裏の世界では偽名を使うのは不思議な事じゃないし、

現に麦野や絹旗なんかは対外的には原子崩しや窒素装甲の能力名で通ってる。

一部の気が置けない人間にのみ本名を公開する。

例えば、仕事仲間とか。

私は学園都市の能力開発を受けた訳じゃないから能力が使えない。

だからフレンダ。


492VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:33:59.95ZhTHicm10 (2/27)

私が暗部なんていうアブノーマルな仕事をしているのは

「結局、まぁ人生楽しめればいいんじゃないかな」

それくらいの認識だ。

楽しめて楽ができたらそれでいい。

暗部は給料だって悪くない、

普通だと一生かかったって稼げない位のお金を手に入れる事だって難しい事じゃない。

せいぜい頑張って稼いで、後はどっか税金の安い外国でのんびりすればいい。

ただし、死ななければ、だけど。


493VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:34:50.66ZhTHicm10 (3/27)

自信満々の能力者を嵌めた瞬間に見せるあの絶望に満ちた顔を見るのも嫌いじゃないし。

そもそも私は他人の人生にあまり興味がない。

アイテムのメンバーにしたってある意味普通の友達っていう認識だし、

依頼で殺さなきゃいけなくなった人間の「それまでの人生」というものに興味が希薄だ。

雇い主が良い人間だとか悪い人間だとかそういうのはどうでもいい。

お金が貰えればそれでいいし、依頼を複数人でやらなければいけない以上は協力だってする。

たまーにミスって麦野からお仕置きされる事もあるけど、あはは。

結局、それはまぁ、ご愛嬌って訳よ。


494VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:36:24.65ZhTHicm10 (4/27)

思えば生まれた時からナイフを握っていた気がする。

例えばそれは、ただリンゴの皮を剥く為だったかもしれないし。

例えばそれは、ただ、自分の身を守る為だったかもしれないし。

例えばそれは……。

……今となっては、どうでもいい話だ。

本当にどうでもいい。

ただの、ありふれた話。

裏の世界に私と同じ経験をしたコなんて五万と居るに違いない。

私を含めて暗部に居る人間なんて多かれ少なかれ闇を抱えている。


495VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:44:15.70ZhTHicm10 (5/27)

私がアイテムに来る前は「5歳の殺し屋」なんてのと一緒に仕事をした事がある。

私は普段、キャンディと魔女っ子アニメが好きなその子のお守りをしたいた。

よく泣くし、よく笑って、誰にでも懐く。

どこにでもいる五歳児だった。

それでもきちんと給料をもらって仕事をこなしていた、

彼女に任されたのは主に「暗殺」

キャンディの中に毒を盛って「おじちゃん、これあげる」と、ターゲットを死に至らしめた事もあるし、

玩具の中に爆弾を仕込んだ事もあった、本人が自覚をもっているかどうかは別として。

そういえばいつも仕事場に人形を持ち込んできてその度に当時のリーダーに怒られてたっけ。

いや、良い大人が5歳児に向かってマジギレよ?

ありえねーっつーの。

結局、どこにも置き場がなくなって私が引き受ける事になったんだけど。

アイテムに配属になってから風の噂で「死んだ」って事を聞いた時は、

「明日は自分が死ぬのかな、にゃはは」

さすがにちょっとだけ強がった。

だって5歳だよ? フツーお父さんお母さん悲しむよ? あ、フツーじゃないから悲しまない? 

いやいや、そんな事ないでしょ……たぶん。


496VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:45:03.33ZhTHicm10 (6/27)

私が本名を明かさない原因もそこらへんにある。

どうせいつか消えるなら、

「せめて祝福されて生まれてきたはずの自分」は生きていて欲しい、という事だ。

乙女な願望?

こちとら乙女だっつーの。

偽名のまま死ねば偽名の私だけが死ぬ、それで済む。

本当の私はパパとママの胸の中へ……って?

……あはは、ありえねー。

だって、二人とも私が殺したんだから。


497VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:50:48.29ZhTHicm10 (7/27)

パパは酒が切れると暴れだす典型的なドランカー。

ママは金さえ貰えれば1ドルにだって股を開く娼婦。

この国の子供が思い描く「幸せな家庭」なんてものとは無縁の生活だった。

「誰のおかげで生きていけると思ってるんだ」

ご飯を食べるたびに振るわれる暴力、日に日に増えるアザ。

「ごめんね、ごめんね。大丈夫?」

ごめんねが口癖の母親の首筋には他人のキスマーク。

借金取りが来る日には決まって父親はどこかに逃げて

私と母親だけが誰のものともわからない足音に眠れない夜を過ごした。


498VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:56:03.19ZhTHicm10 (8/27)

ああ神父さん。

どうすれば私は幸せになれるのでしょうか。

助けを求めに駆け込んだはずの教会で性的暴力を受けた。

おまわりさん。

たすけてください。

破れた服で駆け込んだ法の番人はこの世のものとは思えない最低な笑みで私を辱めた。


499VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 07:56:57.64ZhTHicm10 (9/27)

結局、この世はそうなっているのだろう。

自分の置かれた立場がどうとか、どうすれば幸せになれるとか深く考えるヤツがバカなのだ。

だってほら、救いの手を差し伸べてくれるはずの大人はどこにもいない。

軽くていい。

ラクでいい。

あえて苦しい思いをしなくてもいい。

だって、きっと、もっと人生はシンプルなはずなんだ。


500VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:00:34.06ZhTHicm10 (10/27)

「あはっ。あははははははは、あはははははははははははははははははははは」

笑いがこぼれる。

……ひどい格好だ。

服は破れてボロボロ。

下着には薄汚れた白い液体。

月明かりに照らされた肌は青黒い。

私は笑った。

笑った。

あはは。

あははは。


501VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:03:46.24ZhTHicm10 (11/27)

表通りから2本裏の筋を進んだところに家がある。

どこにでもあるボロアパートだ。

築数十年を経過して木のドアはいつも開きっぱなし。

私はただいまも言わずにリビングに忍び込んだ。

あはははははは。

父親がテレビを見て笑っている。

頬が赤い、既に朝から何杯もの酒を入れているのだろう。

暢気なものだ。

今から殺されるとも知らずに。


502VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:05:48.44ZhTHicm10 (12/27)




右手にはナイフ。


例えばそれは、リンゴの皮を剥くときと同じ要領で。


だけどその日、私は明確な殺意をもってパパとママを殺した。


人生はもっとシンプルでいい。


さあ、これで苦労は終わった。


これからはきっと良い事が待っているに違いない。


503VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:10:37.75ZhTHicm10 (13/27)

────────

────

──

どうやら私が売られる事が決まったらしい。

買い手は日本という国の何とかっていう富豪だとか。

こんな貧乏な国で子供を買うなんて物好きが居たものだ。

半年世話になった女からは、

「あんた、高い値で売れるらしいから何かご褒美してあげるわ、欲しいもんはある?」

と聞かれたから。火薬をくれ、とびきりいいやつ。

と答えるとにっこり笑って、

「クレイジーね、良いアサシンになるわよ、あんた」

豪快に笑っていた。


504VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:13:41.65ZhTHicm10 (14/27)

良い事ってのが何なのかまだわからないけれど

日本に行けば何か良い事があるのだろうか

……でも、どんなクソッタレな生活が待っていたとして

私がすることはシンプルだ。

ラクなように、軽く生きる。

無理はしない、苦しい事は避ける。

シンプルに、シンプルに。

自分ひとりでだって生きていける。

この半年だってなんとかなった

これからだって、きっとそう。

シンプルに、

シンプルに。


505VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:19:46.91/rBEKoHAO (1/1)

ヤレンダか


506VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:22:15.36ZhTHicm10 (15/27)

>>489
アジアカップは毎回面白すぎると思うんです。
普段Jとかあんまり見ないんですけど代表戦はなぜかいつも見てしまいますね。
10人になってからの逆転勝利とかマンガの世界w

>>490
超楽しみにされてたから
超ちょっとだけだけど超書きましたッッッ


507VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:24:50.07ZhTHicm10 (16/27)

>>505
ヤンデレンダってのはどうでしょ?


508VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:25:52.79uNFiim2Q0 (1/1)

実は俺浜フレが一番好きなんだ…


509VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 08:32:55.35ZhTHicm10 (17/27)

>>508
昨日総合に
「たぶんフレンダ→浜面てきな何か。」
で短いというか1レスだけど一つ投下したからどうぞどうぞ



510VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 10:36:17.056mnORMR30 (1/1)

フレンダ可愛い。

けど出番が少ないから難しいんだよな…

あとアイテムは基本的に全員甘えん坊だと思う。


511VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 11:02:52.690y58fG6IO (1/1)

このフレンダはどこかレヴィに似てる気がする


512VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 13:32:36.25fedGWb5Jo (1/1)

フレンダェ…
俺がフレンダの初めての人になるつもりだったのによぉ!!

ちょっと牧師と警官殺してくるわ


513VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 13:54:35.31ZhTHicm10 (18/27)

それから、日本に来た後は一通り日本の事について学ばされてからこの学園都市に投げ込まれた。

私に日本語と殺しを教えてくれた女は

めんどくさそうに私が働きの何パーセントが胴元にいってうんぬんかんぬんという話をした後に、

「じゃ、せいぜい長生きしなさいな」

これまためんどくさそうにプラプラと片手を振って、私でも知ってる高級車で去っていった。


514VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 13:55:25.44ZhTHicm10 (19/27)

それからはいくつかの組織を転々とする生活が始まった。

生き残る為には裏切り、寝返り、殺し、なんでもありのバトルロワイヤルみたいな世界が広がってるモンと思ってたらどうやら違うらしい。

いくつかの組織に加入・脱退を繰り返したがどこも基本的に4~5人でまとまって行動する。

学園都市という特性もあるのだろう、構成する人間の多くは私と同じか少し年上くらいの若いメンバーだった。

皆何かしらの能力者であり、皆何かしらの後ろめたい過去を持っていた。

何かの怪しい実験に携わった者、刑務所から逃げて来た者。ここでは出生が曖昧なくらいで普通だった。


515VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 13:56:02.26ZhTHicm10 (20/27)

だから私の髪と青い目が特別目立つ事も無かったし、あらためて質問される事もなかった訳よ。

まぁ聞かれても適当にごまかすんだけどね。

めんどくさいじゃない?

同情なんてして欲しくないし、まぁどいつもこいつも同情なんてしてくれるヤワな相手じゃないんだけどね。

私はフレンダ。

それでいいじゃない。

連中には本名だって教えてやらない。

ただのフレンダ。

謎の女って感じでいいじゃない。

結局、私はそれほど他人を信じる事ができないんだと思う。

だから私はフレンダを名乗る。


516VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 13:58:50.64ZhTHicm10 (21/27)

基本的にココでの生活は自由だ、拍子抜けするくらい緩い。

仕事以外の時間は何をするのも自由。

買い物に行くのも良いし、武器を密輸するでも良い。

学校に行っても良いし(実際行ってる人間はいなかったが)株取引で一山当てるも良し。


ある日突然リーダーの元に依頼の電話がかかってきて、仕事が発生する。

仕事は大抵殺し、短い労働時間で嘘みたいな大金が転がり込む。

しかもいつもいつも成功するとは限らない。

酷い時は結成から3時間で組織が壊滅する事もあった。

生きるのはつまらないけれど、死ぬのはもっとつまらないから、仕事をこなしながらいつも逃げる準備だけはしていた。

雲行きが怪しくなると味方を売って生き延びる。

それでも大丈夫だ。

結局、そんな状況まで追い込まれるという事は、もう二度とメンバーと顔を合わせる事は無いという事だから。

乗り込んだ船が沈没しそうならば、そんな沈み行く船からはとっとと逃げてしまえばいい。

結局、それが利口って訳よ。


517VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:00:32.22ZhTHicm10 (22/27)

けれど参った。

私が関わった組織が立て続けに壊滅してしまった。

それだけならまぁ、いつもみたく新しい配属先を待つだけ……なのだが。

さらに参った事に私を学園都市に送りこんだ派閥まで抗争に巻き込まれて潰されてしまったらしい。

えーっと

つまり

結局、暗殺家業、クビって訳よ。

これにはさすがに参った。

金はあるが一生を生きていけるかと聞かれると圧倒的に足りない。


518VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:08:37.81ZhTHicm10 (23/27)

さてどうしようと立ち往生していた時に知らない番号から電話がかかってきた

不思議に思いながら通話ボタンを押すと

「あんた、失業中なんですって?」

馴れ馴れしい女の声だった。

「失礼な、これでも立派に働いてる訳よ」

「知ってる、けれど慣れもしないデイトレードなんてするもんじゃないわよ? その株ダメね、明日には300万円の損害が出るわ」

「なんでそんな事知ってるのよ」

「あら? この世界ではね、情報が命なのよ? ね、────ちゃん」

「……っ」

「あらあら? びっくりした? フレンダって呼んだ方が良かったかしら?」


519VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:13:46.46ZhTHicm10 (24/27)

「あなた……何者……っ?」

「原子崩しからは電話の女って言われてるわ。って、んな事はどうでもいいのよ。それよりフレンダ、この街の暗部の人間が後ろ盾を無くしたままどうするつもりよ? このままじゃあんた飢え死によ?」

「さー? このまま社会に無償奉仕ってのもいいかもしれないわね、せっかく学生の街なんだし普通に学生やるとか?」

「こいつときたらー! 口ごたえだけは超一流ね! いいわ! 気に入った! 無償で殺し? 普通の学生? んな事するんだったら、あたしがあんたを雇ってあげる」

「あたしが? あんたの元で?」

「暗殺のスペシャリストを探してたとこなのよね。うちには爆弾がいるんだけど、どうもあいつはド派手に立ち回る事しかできないみたいでね、任せられる仕事の幅が小さいのよ」

「?」

「会えばわかるわ」


その後に指定された場所で待っていた女が、

学園都市に7人しかいないレベル5の第4位。

原子崩し──、麦野沈利その人だった。

後に絹旗と滝壺が加わって今のアイテムの形になる、少し前の話だ。


520VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:28:49.80ZhTHicm10 (25/27)

>>510
超電磁砲4巻がなければアイテムに嵌る事も多分なかったし
フレンダかわいいって思うことも多分無かった
原作は無理でも外伝ならまだ出番の可能性が……!

>甘えん坊
なんとなくわかります、多分皆末っ子だと思う。


>>511

麦野「500だ」

「こいつときたらー! そんな金額出せないわよ!」

麦野「だったらアンタのヘソクリ(ポケットマネー)から出すんだな」

「んなもんあるか!」
                                     ・・・・・・ 
麦野「口の利き方に気をつけなよ電話の女(コールガール)こちとらあんた専用のナースコールじゃねーんだ、その自慢のケツをローストされたくなけりゃ500、耳を揃って払いな」

「……300」

麦野「450」

「……ああわかった、わかったよ。400! それ以上は出せない」

麦野「交渉成立だ、まいど」


……てきな感じ?
レヴィはそのまんま麦野が入っても違和感なさそうな気が


>>512
フレンダ、結局どこの国の出身なんでしょうね。


521VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:31:53.45swGy83Y1o (1/1)

VIPで初めて見た時はここまで掘り下げるとは思ってもいなかった
こっちに移ってきてくれてホントありがたいわ・・・


522VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:32:57.90ZhTHicm10 (26/27)

>>513

×めんどくさそうに私が働きの何パーセントが胴元にいってうんぬんかんぬんという話をした後に、

○めんどくさそうに私の働きの何パーセントが胴元にいってうんぬんかんぬんという話をした後に、

でした。
超脳内保管たのんます。


523VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:36:27.49HqZcwSpMo (1/1)

ガチSSは素晴らしい支援。


524VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:37:17.34ZhTHicm10 (27/27)

>>521
ぬおー、VIPから来てくれた人でしたか。
あん時は帰ってきて投下しようと思ってたら規制されててなんとか代理をお願いしたはよかったんですけど、続きをどこでやったらいいかわからなくてバタバタしてて申し訳なかです。

あとちょっとお付き合いいただければ最愛、もとい幸いです。


525VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 17:43:41.03n/kqLlbAo (1/1)

VIPから応援してるよ


526VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 18:08:42.89ZZsVDRabo (1/1)

結局、フレンダが一番可愛いって訳よ。


527VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 19:20:11.18GVlXZ/IMo (1/1)

個人的には浜絹>浜麦>>浜レンダ>>>>>>>>>>>>>>>>浜滝なんだな


528VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 20:13:51.4040Mzptt8o (1/1)

あ、そういうのはいいです


529VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 20:54:57.26n0pvXrWDO (1/1)

超期待してます


530VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 01:07:10.950+DFvmoAO (1/1)

駒野がついに決めたか


531VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 13:41:36.94Bu46zyIwo (1/1)

続きが気になるってばよ!


532VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 07:21:25.25BDi6VSSR0 (1/69)

麦野「新しいのって、あんたね?」

フレンダ「結局、そうみたいね」

麦野「私は麦野、この組織のリーダーだからよろしく」

フレンダ「よろしく麦野、フレンダよ。組織って、他にも何人か居るわけ?」

麦野「下っ端は何人かいるけど、正規メンバーはこれから増える予定」

フレンダ「ふぅん」

麦野「あぁそうそう、フレンダ? 先に言っとくけど、私の機嫌を損ねる様な事したらお仕置きだからね」

フレンダ「へっ?」

麦野「だーかーらー、私の足引っ張んなっつってんの。日本語わかる?」

フレンダ「りょ、了解な訳よ」

麦野「それじゃ、行くわよ」

フレンダ「どこに?」

麦野「仕事」


533VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 07:37:19.15BDi6VSSR0 (2/69)

ドカン!

ドガッ!

「ギャハハハ、死ねッ死ね死ねッッ!! ミナゴロシだ!!」

遠くから愉快な声が聞こえる。

あれはおそらく本物だ、人を殺すのをなんとも思っちゃいない、遊びと同じくらいの感覚でソレができる、本物の殺人者のソレだ。

そういう意味ではまぁ、私も同じかもしれないけれど。

「オラオラどうした? 足止めたら死ぬぞ? 止めなくても死ぬけどなァ!!」

それにしても、本当に愉快な声だ。

麦野の能力──原子崩しというらしい──が発動して、それが壁も遮蔽物も関係なく貫通しターゲットの命を根こそぎ奪う。

学園都市は常識では考えられない事が起こるのはある意味日常茶飯事だと思っていたがさすがにこれは……

「なるほど、電話で聞いた通りの爆弾な訳よ」

麦野が能力を開放する毎にガタガタと施設が軋む、大地ごと揺らすっていったいどれだけ高位能力者な訳っ?!

……これは間違って逆らいでもした日には大変な事になるなぁ。


534VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 07:43:10.25BDi6VSSR0 (3/69)

そんな事を考えながらピアノ線を使って簡単なトラップを仕掛ける、

誰かがこれを踏むかひっかけるかするとナイフが飛んできてズブっと昇天する仕組みだ。

逃げる時に追われたら目くらまし程度には役に立つだろう、逃走ルートを確保しながら施設の奥へ進む。

今日の仕事は「殲滅」と「目的物の回収」

おそらく放っておいても「殲滅」は麦野が一人でやってしまいそうだから私はさっさと目的物の回収に向かう。

「えぇっと、確か地図ではこの奥の突き当たりの部屋だったわね」

作戦会議の時「あー、めんどくさい事は任せたから」って言われてちょっとびっくりしたけど、

あんたリーダーじゃないのっ?! って。

でも、まぁ。

「初陣だし、名刺代わりにデキル女をアピールするには絶好のチャンスって訳よ」


535VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 07:53:09.31BDi6VSSR0 (4/69)

合流地点まで戻るとそこには既に麦野が待機していた。

麦野「首尾は?」

フレンダ「上々」

小型のキャリーバックを見せる。
すると麦野は「うん」と短く頷いて、

麦野「合格ね」

フレンダ「そう」

麦野「実は黙ってたけど採用試験も兼ねてたから、今回の任務」

フレンダ「薄々そんな気がしてた訳よ」

麦野「あら? もっと喜んでいいのよ?」

フレンダ「なぜ?」

麦野「もし’使えない’と判断したら、私があんたを殺すように指示されてたから」


536VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 07:55:49.91BDi6VSSR0 (5/69)

フレンダ「……」

麦野「やだなーもー、フレンダちゅわ~ん? そんなに硬くなっちゃって、そんなのジョークに決まってるにゃーん?」

フレンダ「え? あ? あぁ、そう、そうなのね? あはは」

麦野「麦野沈利だ、改めてよろしく」

フレンダ「う、うん。むぎの」

麦野「これで本格的なアイテムの旗揚げね」

フレンダ「はふぅ……なんだかお腹空いた訳よ」

麦野「それじゃあ歓迎会も兼ねて、ファミレスでも行こっか」

フレンダ「ふぁ、ファミレスぅ?」

麦野「なによ、嫌ならいいけど?」

フレンダ「い、行く行く。結局、仕事終わったばかりでお腹と背中がくっつきそうな訳よ」


537VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:07:28.39BDi6VSSR0 (6/69)

────────

────

──

それからしばらくは二人で仕事をこなした。

麦野が壊して、私が盗む。

あるいはその逆も。

麦野に関して言えば最初は「底知れない怖い人」っていう印象だった。

なんかもう仕事中の目とかヤバイし、言葉遣いも当社比200%くらい凶暴になるし、

キレると手がつけられないし、平気で死ぬだの殺すだの言うし……って、それは私もか。

その後加入してきた絹旗、滝壺との間に誰が言い出した訳でもないけど「さわらぬ麦野にたたりなし」っていう暗黙の了解があったりする。

ってか「怖い」っていうのは今もそれほど変わって無いけど。

それでもずいぶん麦野も丸くなったと思う今日この頃な訳よ。

……あれ?



538VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:12:38.16BDi6VSSR0 (7/69)

そういえばいつからだろう?

いつから麦野がちょっと優しくなったかなぁなんて思うようになったんだろ?

いつから……?

う~ん?


浜面「ほら、レモンティー。持ってきたぞ」

フレンダ「遅い」

浜面「仕方ねぇだろ! ティーパックが切れてて出してもらってたんだからよ!」

フレンダ「ふん、浜面の分際で口ごたえとは100年早い訳よ」

浜面「はぁ~……なんでこううちの女子はこんなに高圧的なんだよ……」

フレンダ「そんなの当たり前じゃない」

浜面「?」

フレンダ「結局、浜面だからでしょ」

浜面「ものっすごく見下されてる気がするんですがフレンダさん」

フレンダ「うん」

浜面「うんって、うんってオイ、即肯定っ?!」

フレンダ「あ~も~、うるさいなぁ、レモンティー冷めちゃうでしょ?」

浜面「それが冷めるのと俺関係ねーじゃねえか!」

フレンダ「はいはい」


539VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:17:32.48BDi6VSSR0 (8/69)

浜面「で、他の面子は?」

フレンダ「まだ着てない」

浜面「今日の集合時間って何時だっけ」

フレンダ「3時」

浜面「はぁ……、久々に早く起きたから遊びにいこうとしてたのに」

フレンダ「結局、あんた街中でも目立つから」

浜面「そんだけの理由で俺、連行されてきたのっ?!」

フレンダ「連行って人聞きが悪いわね、私もプラプラしてて暇だったから丁度いいじゃないお互いさー」

浜面「ん……まぁな、そりゃそうだ」

フレンダ「ね?」

浜面「はー……ったくよー、ワガママが多いぜウチは」


540VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:22:37.79BDi6VSSR0 (9/69)

フレンダ「で、浜面は何飲んでる訳?」

浜面「ダージリン」

フレンダ「ダージリン?」

浜面「そう書いてた」

フレンダ「結局、渋いのが浜面にはお似合いねー。ピーチティーとか言われたらブン殴ってるトコだったわ」

浜面「ピーチティーと俺に謝れ」

フレンダ「ごめんなさいピーチティーさん」

浜面「俺はっ?!」

フレンダ「100万円くれたら謝ってあげる」

浜面「よろしい、ならば法廷で会おう」

フレンダ「ばかじゃない?」

浜面「おめーだろ!」


541VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:31:23.50BDi6VSSR0 (10/69)

ズズズ

浜面「……」

ズズズ

フレンダ「……」

浜面「……プハー、あっちー、うめー」

フレンダ「静かに飲めないの?」

浜面「どう飲もうが俺の勝手だろ」

フレンダ「下品に飲まれるとこっちまで不味くなるんだけど」

浜面「フレンダ、お前あれだろ?」

フレンダ「な、なによ」

浜面「スパゲッティ音立てて食べると嫌がるタイプだろ?」


542VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:31:57.39BDi6VSSR0 (11/69)

フレンダ「へ?」

浜面「ああ~、なんでだろうなぁ。同じ麺類でもうどんやラーメンはこう、ズズズっと食べるのが当たり前なのにさぁ。同じ麺類なのにスパゲティだけ音立てて食べちゃだめなのはなんでだろうなぁ?」

フレンダ「知らない、文化の違いじゃない?」

浜面「あのよぉ、日本茶だって音立てて飲むのが普通だぜ? それで冷まして飲みやすくする、これぞ日本人が古来から編み出してきた文化って訳よ。それを文化と言うならばなぜダージリンにその文化を適用してはいけないのかっ!」

フレンダ「う」

浜面「ようするに音立てて飲んだっていいだろ」

ズズズ

フレンダ「な、何よ。屁理屈じゃない、そんなの」

浜面「食事中に屁とか言うなよ」

フレンダ「う」

浜面「……」

フレンダ「ご、ごめん」


543VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:34:44.81BDi6VSSR0 (12/69)

浜面「……」

フレンダ「……?」

浜面「……ぶ」

フレンダ「ぶ?」

浜面「ぶわっはっはっは! 何っ?! ちょっと真剣な顔したら黙ってやがんの! ぶわっはっは!!」

フレンダ「……」

浜面「どーでい、普段のツケを返してやったぜ」

フレンダ「コロス」

ヒュン

浜面「どえぇぇええい?! フォークを投げるなっ!」

ヒュン

浜面「死ぬ! 死ぬっておい!」

フレンダ「えぇ~い、もう死んじゃえ~!」


544VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:38:07.81BDi6VSSR0 (13/69)

浜面「フレンダ落ちつけ、話し合おう、まだ俺たちはわかり合える」

フレンダ「……ハァ……ハァ……」

浜面「な? だからその右手のフォークを仕舞うんだ」

フレンダ「……ハァ……」

浜面「良い子だから、な?」

フレンダ「なによバカにして……私に常識がないと思ってるわね?」

浜面「んな事ねーよ」

フレンダ「結局、そう思ってるからバカにしたんじゃないの?」

浜面「バカにはしてねぇ、ちょっとからかっただけだろ?」


545VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:40:59.80BDi6VSSR0 (14/69)

フレンダ「同じじゃない」

浜面「ごめんって」

フレンダ「許してあげない」

浜面「な? このとーり」

フレンダ「……ダージリン」

浜面「は?」

フレンダ「私もダージリン、入れてきて」

浜面「お? おう」


546VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:44:28.82BDi6VSSR0 (15/69)

浜面「入れてきたぞ」

フレンダ「ありがと」

浜面「どういたしまして」

フレンダ「……あのさー」

浜面「ん?」

フレンダ「私ってさ、やっぱり常識ない風に見えるの?」

浜面「んな事ねーんじゃね?」

フレンダ「どっちよ」

浜面「まぁ、異国の人だなーとは思うけど」


547VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:46:02.20BDi6VSSR0 (16/69)

フレンダ「……そ」

浜面「んだよ、遠い目しちゃってさ。らしくねえな」

フレンダ「はぁ? 浜面のくせに生意気よ」

浜面「そうそう、そうやってる方がフレンダらしいぞ」

フレンダ「浜面ってさ……」

浜面「あん?」

フレンダ「ひょっとして、さ」

浜面「?」

フレンダ「Mなの? 罵られるのがイイの?」

浜面「なんでだよ!」

フレンダ「あはは。結局、そういう反応がキモイのよね」

浜面「……ひでぇ……」


548VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:49:27.73BDi6VSSR0 (17/69)

ズズズ

フレンダ「……ん、美味しい」

浜面「そーかよ」

フレンダ「でも外国でこんな飲み方したら顰蹙モンだからね」

浜面「はっ、パスポートも持ってねぇよ」

フレンダ「それじゃあ動物園に帰る時大変よ?」

浜面「俺は日本人だ!」

フレンダ「あはは」

浜面「ったく」


549VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:53:37.805Pm+INOyo (1/1)

がんばれ


550VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:53:54.50BDi6VSSR0 (18/69)

フレンダ「は~、暇だわ……」

浜面「そういやぁ、フレンダさ」

フレンダ「うん?」

浜面「お前、結局何人な訳?」

フレンダ「地球生まれのサイヤ人」

浜面「なるほど……だから金髪なのか……」

フレンダ「そゆこと」


551VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:55:30.56BDi6VSSR0 (19/69)

浜面「お前の戦闘能力は?」

フレンダ「53万」

浜面「それじゃあ地球に転がってる七つの球を拾いにいかねーとな」

フレンダ「そうね、気がむいたら」

浜面「俺が死んだら生き返らせてくれよな」

フレンダ「嫌よ、なんであんたなんか」

浜面「はぁ? こんだけお前らに尽くしてんだろうが」

フレンダ「……ま、たしかに。結局、下僕が居ないと生活が不便になりそうね」

浜面「あ、復活させるけど下僕枠なのね」

フレンダ「な~に? 不満なワケ?」

浜面「いや、別に」


552VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 08:59:53.34BDi6VSSR0 (20/69)

浜面「で、結局どこの出身なんだよ」

フレンダ「そんなに知りたい?」

浜面「……ま、いいや別に」

フレンダ「あ、そ」

浜面「誰だって言いたくない事の一つや二つあるだろ」

フレンダ「ふ~ん、浜面にもいえない事とかあるの?」

浜面「言えないっつーか何つーか……」

フレンダ「ハッキリしないわね」

浜面「こう見えて色々あんだよ」


553VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 09:00:59.09BDi6VSSR0 (21/69)

フレンダ「チンピラ風情にも色々あるのね」

浜面「なんかよぉ、正直よくわかんねーんだ」

フレンダ「よくわからないって何なのよ」

浜面「思い出そうとしても、こう、モヤモヤしてるというか。記憶にモヤがかかってると言うか」

フレンダ「ふーん」

浜面「なんつーか、んー、わかんねーんだ」

フレンダ「何それ、全然わかんない」

浜面「俺だってわかんねーよ」

フレンダ「あのさー、浜面」

浜面「あん?」

フレンダ「好き」


554VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 09:06:15.28BDi6VSSR0 (22/69)

>>523
支援いただきました

>>525
ありがたやありがたや……

>>526
ご期待に添えるべく

>>527
浜滝は原作が一番

>>528
すンませンでしたァ

>>529
超感謝です

>>530
涙出た
本田のPKに全力で詰めてた細貝に萌えたw

>>531
お待たせしました

>>549
こんな朝からありがとですっ



555VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 09:24:23.674/9a/hSSO (1/1)

otsukare104(乙を担いし者)


556VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 09:31:37.07U3XHd8w9o (1/1)

ふれんだぁああああああああああああ
乙!


557VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 09:55:06.39aK+xODrAO (1/4)


あぁフレンダ、僕のフレンダ

君はなんでそんなに美しいんだい?
君はなんでそんなに可愛らしいんだい?

透き通るような碧眼…
艶やかに輝く金髪…

そんな君を見る度に、僕の薄汚れた心がときめいてしまうんだ
そんな君を見る度に、僕は今ここで生きている事を感じるんだ

あぁフレンダ、僕のフレンダ

この気持ちは恋ではないよ
僕は、君に見返りなんて求めないから

この気持ちは愛ではないよ
僕の、君への思いはもっと愛おしいから

最後のサバ缶を慈しみながら食べる君を
失敗して怒られて落ち込んでしまった君を

ただただ、見守っていたい

そう、これは……きっとこの気持ちは
もっと純粋で、もっと深いものなのさ

あぁフレンダ、僕のフレンダ

あぁフレンダ、僕のプリンス

僕は君の、ぬいぐるみに、なりたい……


(乙に替えて、ポエムを一編添えて)



558VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 10:01:13.55KeuqOvhDO (1/1)

はまづらかわいいよはまづら


559VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 10:54:13.55uxo3DBsvo (1/1)

ゲコ太かわいいよゲコ太


560VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 10:55:49.828Ulu/QAq0 (1/1)

 フレンダ……凄絶な過去と、報われない現在と未来……やるせないなあ


561VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 10:59:26.21BDi6VSSR0 (23/69)

◇ ◇ ◇ ◇


私を救ってくれた少年は私に関わったばかりに消されてしまった。

あれが裏社会のやり方だという事に、裏社会に入ってから気がついた。

事情を知った人間は例え子供だろうが容赦しない。

非道だと思ったが今はもう自分も他人の事をどうこう言える立場に無い事は理解している。

最低な生活をしていると思った。

けれど、生きる為には仕方ない。

仕方ないと割り切った。

ブチ殺した人間は、両手を超えてからもう数えていない。

依頼のある夜は適当にコンビニのシャケ弁を食べて朝方にヨロヨロと帰ってくる。

依頼の無い日は適当に街を歩いて、持て余した報酬でご飯を食べて服を買う。

一人で。