531以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/28(火) 01:39:54.46wHo/dhI0 (1/1)

乙です
この女の子はラジオ塔事件あたりで再戦して欲しいなぁ
そしてヘビーボール・・・律が扱えそうな体重の重いポケモン・・・怪獣グループあたりか


532以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/28(火) 16:16:42.8201gQS3c0 (1/1)

ちょwwwwフルメタだなwwww
とりあえず、1乙!!続きも期待


533以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:20:49.281qgQCAIo (1/28)


――ヒワダタウン


『それは……いったいどういうことなんだろうね……』

声は律の腕から聞こえてくる

手首にまいたポケギアだ

律「いや、それはこっちもわからないんだけどさぁ……」

律が歩きながらもポケギアを通して話す相手は、ウツギ博士だ

さきほど起こったロケット団のことも含めた、シルバーの情報を伝えている


534以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:23:47.591qgQCAIo (2/28)


ウツギ『そうか……すまないけど律君はもう少しその子を追ってくれるかな……』

律「うん、まぁそれはいいんだけどさ……」

ウツギ「……?」

律「あいつ、あんまり悪いやつには見えないんだよなぁ……」

それが律が一晩ポケモンセンターで考えた答えだった

ウツギ「……その子のヒノアラシは元気そうだったかい?」

律「え?うん、まぁもうマグマラシになってたけど……普通にシルバーのやつに従っていたよ」

ウツギ「……そっか、まぁその子の事情も気になるところだけど……」

そうウツギの声が聞こえたとき、律の足が歩みを止めた


535以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:26:47.771qgQCAIo (3/28)


律「あっ、博士。ジムについたから、もう切るわ」

ウツギ「えっ?ちょ、律くん?え……」ブチッ

博士の言葉を待たずに、ポケギアの通話終了ボタンを押す

そして

律「(ジム戦だもんな……集中しないと)」



536以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:29:13.061qgQCAIo (4/28)


――ヒワダジム


律「すいませーん、ジム戦を……」

っと、言ったところで律が見たのは、森だ

ジムの建物内に、木々が茂っている

それだけではない、そのところどころにはコクーンやキャタピーなどのポケモンが

律「ということはここは………」

「虫タイプのジムか!!」


537以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:32:32.041qgQCAIo (5/28)


???「ようこそ、ヒワダジムへ」

立ちすくんでいた律に、中性的な声がかかった

ツクシ「ボクの名前はツクシ。君のことはガンテツさんから聞いてるよ。
    なんでも、この町からロケット団を追っ払ってくれたらしいね。心からお礼を言うよ。ありがとう」

そこにいたのは

律「(……女のジムリーダー?……でもボク……?)」

ツクシ「さぁ、奥へどうぞ。さっそくボクが相手になるよ」

そういってツクシは律を導くように奥へと手のひらを差し出した



538以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:36:48.221qgQCAIo (6/28)




そのフィールドは草原を彷彿とさせた

見れば、地面には芝がひかれている

どうやら、キキョウジムとは違い、そこまで変わった場所ではなさそうだ

律「よっし、女のジムリーダーでも油断はしないぞっ!!」

そう言って、律は自分の頬を軽く叩いた

その言葉を聞いた対面にいるツクシは困った顔で

ツクシ「えっと、ボクはおとk……」

律「あ、そういえば、使用ポケモンは何体までいいんだ?」

ツクシの言葉を遮るように律が問う


539以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:38:34.151qgQCAIo (7/28)


ツクシ「えっ?あぁ、それなら3体で……それとボクはおとk……」

律「ならフル出場かな。よっし、いくぜ。いけイーブイ!!」ボンッ

イーブイ「ブイ♪」

出されるのは先日の闘ったばかりのイーブイだが、もちろん回復はさせている

ツクシ「……えっと、まぁいいや。 いくよ、ストライク」ボンッ

対して出されるのは、両手にスルドイ鎌をもったカマキリのようなポケモンだ

ツクシ「さて、速攻でいくよ。ストライク、でんこうせっか!」

指示を出した瞬間に、ストライクが前かがみになり

そして

消えた


540以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:41:24.841qgQCAIo (8/28)


律「はやいっ!!」

その言葉を作ったときにはすでに

――ドンッ

イーブイとストライクのぶつかった音がなる

その結果は

一切予想だにしなかったイーブイは後ろに数m飛ばされ

ストライクは連撃をかけようと、もういちど体を前倒しにした


541以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:44:45.781qgQCAIo (9/28)


律「っく……イーブイこっちもでんこうせっかだ!!」

ツクシ「遅いです!!つばめがえし」

イーブイが構えた直後、その目の前に緑の体があった

律「!!」

その片手はすでにふりかぶっており

ストライク「――」

そのまま斜めにふり抜き

イーブイ「!?」

光りの反射によって、きらめくように光った鎌がイーブイを襲った


542以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:47:28.281qgQCAIo (10/28)


そして

イーブイ「……ブイ………」バタッ

たった2発。

2発の攻撃によって、イーブイは地に伏してしまった

だが、律の反応は

律「……」

その口から反応が漏れることはない

律は見とれていたからだ

そのあまりに綺麗な一連の動作に。



543以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:50:17.671qgQCAIo (11/28)


だが

いつまでもそうしているわけにもいかず

ツクシ「どうしたんですか? 次のポケモンを出してください」

ツクシから、次のポケモンを出せ との催促が飛び

律「!!……悪い、戻れイーブイ」

イーブイをボールに戻すと

ボールを構え言った

律「まさか、たった2発の攻撃でおとされるとはな……だけど、今度はこっちの番だぜ」

「虫ポケモンには炎だ!!頼む、ガーディ!!」ボンッ

ガーディ「ワオーン」


544以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:53:18.431qgQCAIo (12/28)


繰り出されたガーディはすぐに、相手を威嚇しながら警戒態勢を取る

ツクシ「炎タイプですか……これはたしかにやっかいですが……」

「その対策がない、とは思いませんよね?」

そして再び戦闘が始まる

律「ひのこで丸焼きにしてやれ!!」

ガーディ「グルルッ!!」

だが、ツクシは至って冷静に指示を出す

ツクシ「ストライク……」

「――とんぼがえり!」


545以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:57:01.041qgQCAIo (13/28)


ガーディの飛ばした火の粉の間を舞うように突破し、そしてガーディへと鎌を一振りした

だが、ガーディはその攻撃に当たりながらもしっかりとストライクを見据えるのだが

そのストライクは、一度攻撃を当てたあと

攻撃の反動で後ろへと大きく飛び上がり、ツクシの目の前まで戻り

そして

律「なっ、ボールに戻したのか?」

そしてツクシが替わりのポケモンをくりだす

それは

律「今度はコクーンか!!」

律も見慣れたモンスターが新たにフィールドに現れていた



546以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 21:59:23.551qgQCAIo (14/28)


律「なら、そのモンスターをやきつくせえ!かえんぐるま!!」

ガーディが駆け出し、コクーンへと向かう

その途中でその体に炎をまとい、低くうねる

そして

――ドンッ

全身でぶち当たった

ツクシ「っく……もどって、コクーン」

律「よっし、これでまだ残り二匹同士の互角だ」

ツクシはその攻撃で瀕死となったコクーンを手早くボールに戻し

ツクシ「いくよ、ストライク」

再びさきほどのストライクを繰り出した


547以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:02:19.991qgQCAIo (15/28)


律「今度はそうはこっちからいくぜ、かみつけ」

ツクシ「とんぼがえり!!」

お互いの指示にさきに動いたのはストライクだった

先ほどの光景が繰り返される

――ドンッ

ストライクが一当てし、その反動で後ろへと逃げるように引いていく

当然ガーディのかみつく攻撃は空振りし

律「くっそ、こんなのありかよ」

ツクシ「ふふっ、行ってトランセル」ボンッ

ストライクを戻し、新たにトランセルを繰り出した


548以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:05:59.061qgQCAIo (16/28)


律「(これで3匹めか……)」

「ガーディ、やきはらえ!!ひのこ」

ボウッと火の粉が空を飛来し、うごけないトランセルへと降りかかった

そして

また

トランセル「――バタン」

ツクシ「ごくろう、トランセル。戻って……」

「さぁ、こっからふんばろうか。ストライク」

そのモンスターが繰り出された


549以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:09:12.581qgQCAIo (17/28)


1度目、2度目に出てきたときより、その鎌が凶悪そうに見えるのは今まで戦ってきてその恐ろしさを知っているからだろうか

律「こんどはもう逃げ場はないぞ。いけ、ガーディかえんぐるま」

ガーディがもう一度駆け出した

だが、

ツクシ「もう逃げ場は必要ないよ。だって、この一撃でそのガーディはおわりだからね」

「――つばめがえし」

ストライクが、片手を上げる

ガーディは炎をまとい、なお勢いを上げる


550以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:12:39.621qgQCAIo (18/28)


そうツクシが誇らしそうに言うが、ある異変にきづく

ツクシ「っと……片手をやられたのか……」

ストライクの右の鎌がガーディとぶつかった時の炎にやられ、ボロボロにかけていた

だが

ツクシ「まだ、やれるなストライク?」

その言葉にストライクが静かに、頷いた


551以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:15:44.041qgQCAIo (19/28)




それにしても

律「(あいつの技の威力が高すぎる……見た目はそれほど派手なわけでもないのに……)」

律の疑問はそれだ

すると顔にでていたのか

ツクシ「不思議そうな顔してますね。わかりますよ、ストライクの攻撃の強さにおどろいているんでしょう?」

「ここへやってきた皆さん、そのように驚きますよ」

そういってツクシが微笑んだ


552以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:18:37.211qgQCAIo (20/28)


ツクシ「簡単なことなんです。このストライクの特性はテクニシャンって言って威力の低い技を、その射抜く精度やタイミングで補うんです。
     まぁ、威力の高い技はコントロールしにくく、この特性は働きませんが……」

律「へぇ、それを教えていいのかよ?」

ツクシ「えぇ、だって、わかっててどうにかなるものではないでしょう?」

律はそのとおりだと思う

あれは、分かってもどうにかなる問題ではない

ツクシ「さぁ、続けましょう。どうぞ3匹目を」

その言葉に呼応するようにストライクが構えを見せた


553以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:22:00.821qgQCAIo (21/28)




律「いくぜ、アリゲイツ!!」ボンッ

アリゲイツ「!!」

青いワニがやる気マンマンにボールから出てくる

律「(今度は出てきた瞬間に速攻をかけてこないのか……)」

見れば、ストライクはしんちょうに様子をうかがっている

律「ならっ……アリゲイツ、先手だ。かみつけ」

指示をうけたアリゲイツが、飛びつくようにストライクへとジャンプした

だが

ツクシ「むかえうて、ストライク!!れんぞくぎり」

今度は左の鎌をアリゲイツへと振り下ろした


554以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:25:51.991qgQCAIo (22/28)


その威力はそれほど高いものではなかったので、アリゲイツは叩きつけられずに済んだが

地面へと引き摺り下ろされる

ツクシ「まだだっ!!れんぞくぎり」

一刀目で勢いを殺したところに、ボロボロの右が襲い掛かった

律「なっ、アリゲイツ……!!たえろ!!」

スパッっという気持ちのいい音が聞こえるが

まだ終わらない

3刀目の左が来た

――ズバンッ

さらに大きい音が響くが

律「くっそ!!アリゲイツ、いかれよ!!」

アリゲイツが右の拳に力を込めた


555以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:27:35.201qgQCAIo (23/28)


ツクシ「まだまだ!!これで終わらせる」

ストライクの4刀目が振り下ろされる

ボロボロの右でだ

だが、それが隙となった

振り下ろそうとしたときに、ストライクの動きが止まったのだ

ストライク「…!?」

ツクシ「あぁ……ダメージがたまりすぎたのか!?」

ボロボロの右はすでに限界を迎えていた

ツクシがストライクを心配する間に律は笑う


556以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:30:11.171qgQCAIo (24/28)


律「へへっ、この隙もらったああああ! アリゲイツ、冷凍パンチ!!」

さきほど握り締めた拳に冷気をまとい

ふりかぶる

ツクシ「つばめがえしで対抗して、ストライク!」

対して左の鎌が振りかぶられる

律「ははっ、最初から狙いはその左腕だよ!」

アリゲイツがストライクの鎌の軌道にあわせるように、拳を出していく

――

ぶつかり合う

右の拳と左の鎌が


557以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:33:33.801qgQCAIo (25/28)

そして

――ピキッ

その音が生まれたのは、ストライクの鎌からだ

右はボロボロにはこぼれしており、左の鎌は――

凍っていた

ツクシ「あぁ……これではもう戦えない…か」

律「やった、よくやったアリゲイツ!!」

そういいながら戻ってくるアリゲイツを抱き上げ、そのまま抱きしめた



558以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:36:33.021qgQCAIo (26/28)




ツクシ「はい、これがインセクトバッジです」

差し出されるバッジを律は受け取った

律「ありがとう。ほんと危なかったよ……」

ツクシ「いえ、こちらこそいい勝負をありがとうございました」

律「はは、それじゃぁ、ツクシちゃん。私ももう行くわ」

ツクシ「あははは……えっと、最初から訂正しようとおもってたんですけど……」

律「?」

律が首をかしげる



559以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:40:12.021qgQCAIo (27/28)


ツクシ「ボクは、男ですよ?」

そういってツクシがニコッっと微笑んだ

律「へ?……えええええええええええええええ!?」

「お、お、お、おとこおおおおおおおおお!?」

ツクシ「ハイ」

律「えっ、ボクっ娘とかじゃなく、ほんとに男?」

ツクシ「そうですってば」

困ったように笑うツクシに、もう一度律が叫びを上げた




「VS ストライク」 〆


560以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:41:48.551qgQCAIo (28/28)

っと、なんとか投下
ちょっといつもよりスピード上げて投下したのは早寝早起きしたいからだったり
コミケェ……

とりあえず、読んでくれて毎度毎度ありがとう


561以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 22:55:53.91UKtc7VA0 (1/1)


ウツギ博士ェ・・・

テクニシャンストライクに見惚れたということは・・・ストライクかエイパムか・・・
新たな仲間フラグか!?


562以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/29(水) 23:43:40.45P.wtBoAO (1/1)




563以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/30(木) 14:16:46.02jZp6W.DO (1/1)

1乙

なんか唯編に比べると結構スローテンポだな。投下ペースとかじゃなく、本編の進行が

まぁ面白いから全然OKだけど
次からも期待してる


564以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/31(金) 01:08:27.01Eqp2NoU0 (1/1)

律と気があいそうなアカネとトラウマミルタンクに期待


565以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/31(金) 13:34:27.96IpAqMKQo (1/1)

今まとめて、全部読んできた
おもしろいな!!
でも、結構先はながそうだな。

期待してる


566あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 17:55:37.36pcuULKwo (1/17)

完全に曜日感覚が無かった。
今日が日曜日だと思っていた。いやまぁ、言い訳なんだけど
とりあえず今から一つ


>>563
すまん、たしかにゆったりと進んでる気がする。てか、ジョウトのイベントがおおすぐる
少しやりたかったイベント飛ばしてでも進行ペース上げるわ。

>>565
長いかも……知れない……


567あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:01:49.67pcuULKwo (2/17)


――ウバメの森


空の下に深緑の一帯がある

緑の森林へとオレンジ色の斜陽がかかる

ウバメの森だ

木々に光りを遮られ森の中は暗い

そこにはかろうじて道と呼べるようなものはあるが、

ところどころで別れたり、途切れたりと、確かなものではない

まさにそんなところにカチューシャの少女――律はいた


568あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:05:20.41pcuULKwo (3/17)


律「また木に阻まれて、行き止まりか」

出した声はすでに疲れた声だ

律「もうガーディとイーブイの体力はのこってないぞ……」

森に入ってから出てくる野性ポケモンたちを相手しているうちに、ガーディとイーブイはヘトヘトになっていた

律「あとはアリゲイツだけか……だけどこいつも体力が少なくなってきてるな」

早いうちに、森を抜けないと と思う

それは時間的な問題にもだ


569あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:10:15.63pcuULKwo (4/17)


律は夜の森の怖さを知っている

本当にかすかに入ってくる光りすらもなくなるということ。

夜に動き出すポケモンもいるということも。

それらはトキワでの経験からくるのだが

律「方向はこっちでいいと思うんだけど……とりあえず戻るか」

反転し一人ゴチたその時

――ガサガサ

脇道にあった茂みが揺れた

そしてそれが飛び出した


570あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:16:13.31pcuULKwo (5/17)


律「鳥……?なんでネギみたいなのもってるんだ?」

No.083 カモネギ
ひじょうしょくの クキを たべると 
いちもくさんに かけだして 
ほかの クキを さがしにいく。

図鑑に情報が表示され

律「なんだこいつ、クキを探しに慌てて飛び出してきたのか……いや、でも手にそれっぽいの持ってるしなぁ」

カモネギ「グワー!!」

カモネギが律の後ろにまわりこみ、隠れた


571あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:21:11.72pcuULKwo (6/17)


律「なんだ?」

すると、カモネギから出てきた茂みのほうから後を追うようにコウモリの大群が現れた

律「ズバットか! ……そうか、このカモネギはこいつらから逃げ回ってたのか」

「しかたない、いけアリゲイツ!!」ボンッ

繰り出されたアリゲイツがそのままズバットの群れに突っ込んでいく

律「その群れの中心であばれろ!!」

ズバット「ズバッ……!!」

青と紫の色の大群の中、青と白のワニががむしゃらに周りにまとわりつくものを落としていく

1匹……2匹……3匹……次々に地面にズバットが落ちていくと、集団から逃げ出すものも現れる

そして

群れの半分が、すでに地に落ちたときには、残りの半分は散り散りに逃げていた


572あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:25:33.02pcuULKwo (7/17)


律「ふぅ……なんとかやりすごしたな。……っと、アリゲイツが毒受けちゃったか……戻れアリゲイツ」

ボールにアリゲイツを戻し、一息つく

律「ほら、これでもう安心だろ?」

カモネギ「グワァー」

カモネギに向かって話しかけたとき

『おーい、カモネギー!!どこいったんだー!』

微かだが、声がこちらに向かってくる


573あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:30:48.65pcuULKwo (8/17)


律「なんだ、お前トレーナーがいたのか?」

カモネギ「グァ?」

そして、茂みを掻き分けて

男「あ、いたカモネギ!!」

職人風の男が現れた

男「すいません。ズバットを追い払ってくれたのはあなたですね。本当にありがとうございます」

律を見て言い放ち

男「あ、自分ヒワダで炭職人にやってるんだけど、このカモネギは親方のポケモンでね。

炭の材料となるウバメ樫を取りに、このカモネギと来てたんだけど、なにせボクにあんまり懐いてくれなくてね」


574あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:35:09.50pcuULKwo (9/17)


律「はぁ」

律が相槌をうつが

男「ズバットを追い払おうと指示を出したんだけど、ボクを置いてこいつが逃げ出してしまって……」

男がカモネギを小突いた

律「なんだ、お前ちゃんとトレーナーの言うことは聞かないとダメじゃないか」

そういいながら律もカモネギへと手を伸ばす

律「あ、そうだ。ちょうどいいや。えっとここからのコガネ方面に抜ける道って分かる?」

そう尋ねると、男が道を教えようと口を開くが

男「ああ、それならここから少し戻って回り道を……いや、ちょっとまてよ……」

男が少し考え込み、ポンと手を鳴らした


575あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:40:41.29pcuULKwo (10/17)


男「お礼に近道を教えますよ」

律「へ?近道……?そんなのなかったように思えるんだけど」

男「えぇ、だから………これから作るんですよ。カモネギ、いあいぎり!!」

男が自身満々に、カモネギに指示をだすが

カモネギ「グアァ」

カモネギはそっぽを向いている

男「…………」

律「…………」

男「あははは……このとおりボクの言うことなんて聞きやしない……」


576あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:45:42.38pcuULKwo (11/17)


男がトホホと肩を落とすと、見かねた律がカモネギの頭に手を置き

律「なぁ、頼むよ。カモネギ、なにかわからないけど、命令をきいてやってくれないか?私も今少し困ってるんだ」

すると、カモネギがこくりとゆっくり頷き

カモネギ「ガッー、グワワ!!」

大きく鳴くと、カモネギが律の背中のほうへと回り

律「お、おい、そっちは木が邪魔して、いきどまりだぞ」

男「はは、まぁ少し見ていてください」


577あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:50:44.95pcuULKwo (12/17)


その言葉に律は従うことにし、カモネギを見守る

すると

目の前に木を見据えたカモネギは手に持ったクキを構え

カモネギ「――!!」

斜めに一閃した

――ズズズドン

切られた木がが切れ目を滑るようにずれていき、地面に大きな音を立てて倒れた

律「うおお、すっげ………」

男「やればできる子なんでですけどね~……さてと、カモネギ、そのまま道まで切り進みなさい」

その指示を受け、カモネギが切った木の奥まで進んでいく

男「さてと、ぼくらはもう少し待ってましょうか」



578あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:55:58.87pcuULKwo (13/17)





律「……ほんとに道ができた……」

律は簡易的にだが、たしかに進める道があることに感心する

その横ではカモネギが堂々と胸を張っているのだが

律「でも、こんなことしちゃっていいのか?」

男「まぁ、あの木がボクの目的の木だったんで」

そういいながら、切り倒された木を指差した



579あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:58:32.60pcuULKwo (14/17)


男「ウバメガシって言うんですよ。あれが僕たちの仕事、木炭の材料なんです」

律「……そっか………さてと、それじゃぁ、私も行くかなぁ……」

男「あ、はい。ではお気をつけて」

律が後ろに手を振り、数歩歩き出したとき

男「この道を抜けたら、祠があるんで、そこを道なりに進んでください~!」

後ろから声が聞こえた

そして

律「ありがと~~!」

そうして律は男の視界から消えていった


580あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:59:03.46pcuULKwo (15/17)





男と別れしばらく進んできたとき、男の言っていた祠へと突き当たった

律「あぁ、これか。えっと、ここを右にと……ん?」

律が言いかけた言葉を止めた

それは

――リ-ンリン

音だ

律の耳に微かだが、鈴の音に似た音が聞こえてきた



581あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 18:59:30.76pcuULKwo (16/17)


律「なんだ?……これは……祠からか?」

言いながら、祠に近づいていくと

ピカっと祠がまばゆい光りを放った

律「な、なんなんだよ、まぶしー」

余りの眩しさに目を細めた時

律「――!?」

なにかが祠から飛び出した

『ビィ――!!』

律「(眩しくて見えない………なんなんだ、ポケモンか?)」


582あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 19:00:18.07pcuULKwo (17/17)


『ビィービィー」クスクス

その鳴き声が聞こえた直後、光りが収まり

さきほどの真っ暗な森の景色にもどるが

律「……なにもいない」

そのとき、カタカタと腰につけたボールが揺れた

アリゲイツのボールだ

さきほど、毒をくらってからボールでおとなしくしていたのだが

律「……毒が治ってる……?」

目の前に持ってきたボールの中には、毒をくらったことなど忘れたかのように平然とするアリゲイツがいた

律「いったいなにが起こったんだよ……」

言葉通りなにが起こったのかわからない律はしばらく、ただその場に立ち尽くしていた



「VSカモネギ」 〆


583あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 20:58:44.0183s.6UAO (1/1)

時渡りのセレビィーだったけ?今回の
とりあえず乙


584あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/03(月) 22:20:15.270nNXSADO (1/1)



ペースはあんま気にしないんでいいんじゃないか?投げ出すとかなら嫌だけど


585あはっぴぃにゅうにゃぁ2011!2011/01/04(火) 02:06:20.27VztneBI0 (1/1)


種族値ALL100族は一匹づつけいおん部の前にあらわれるのかな?


586VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 21:01:03.54TX8oDfko (1/19)


――コガネシティ


コガネの中心にはジョウトで随一のデパートがある

コガネには背の高い建物がいくつかあるが、そこもその一つだ

コガネ百貨店と書かれた垂れ幕を飾り、その横には安売りを示すセールの文字の垂れ幕が風に揺れている

そんなわけで、今日のコガネ百貨店は人の入りがいつもの倍以上あった

そして

律「えっ?進化の石売ってないの?」

律もそのデパート、2階トレーナーズマーケットにいた


587VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 21:10:21.32TX8oDfko (2/19)


店員「申し訳ございません。当百貨店では取り扱いをしていません。あ、しかし1週間ほどかかりますが、取り寄せが……」

律「あ、そうですか。それならいいです。ありがとうございました」

肩を落としながら、その店員に背を向け

律「(あっちゃー、ガーディとイーブイのためにと思ってたけど売ってないのか……)」

律「しかたない、また進化は別の機会だな」

そう一人呟き、階段へと向かおうとするが

???「なんでやー、なんでピッピ人形が売ってないんやー。いつもあーんなに売ってるやないか」


588VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 21:24:43.44TX8oDfko (3/19)


女の声だ

店員とのなにかやり取りをしているのだろうが、大きな女の声しか聞こえてこない

???「ふ~ん、もうそれやったらいいわ。入荷したら教えてな」

その声がするほうに振り返ってみると

――ゴチン

振り返った時、衝撃が来た

後ろから来た人に誰かにぶつかったと気付いたのは、その衝撃に負け腰をついた後だった


589VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 21:30:37.83TX8oDfko (4/19)


律「――!! いっつ……」

???「――……!!」

目の前には、同じように腰をついた、明るく淡い赤の髪の毛を左右で縛った少女が悪態をついている

???「いたた……なにすんねん!!」

律「なっ、そっちがぶつかってきたんだろ!!」

強気に出る少女に対してこちらも負けじと言い返すが

???「そっちがそんなところに突っ立ってるからやろ!」

律「それならそっちもどうせ前みて歩いてなかったんだろ。前見て歩いてたらよけれるもんな~?」


590VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 21:46:07.59TX8oDfko (5/19)


お互い立ち上がりにらみ合い

???「なんやてー! そっちが………ん、あんたポケモントレーナーか」

コガネ弁の女の子が腕を組みながら、改めて律を見て告げた

律「あぁ……そうだけど、なにかあるのかよー!」

???「ふ~ん、それなら、コレで白黒つけるっていうのはどうや?」

そういいながら女の子がモンスターボールをちらつかせた

律「ポケモンバトルってことか……!!へっへん、やってやろうじゃん!!」


591VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 21:50:57.70TX8oDfko (6/19)


売り言葉に買い言葉でそう告げた時、店員がようやく止めに入るが

店員「お客様、店内での揉め事は……それにアカネ様も……」

どうやら桃色の髪の女の子はアカネという名前のようだが

アカネ「あんたはだまっときー!」

「そんでアンタ、バトルやったら表でやろか」

律を指差し、そして表へと出ろと言いながら階段を下っていった

律「なんだよ……あいつ……」

ぼやくと、先ほど止めにはいった店員が話しかけてきた


592VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 22:02:11.32TX8oDfko (7/19)

店員「ああ、あの、バトルはやめといたほうが……」

律「え?」

店員「あの人、あぁ見えてもコガネのジムリーダーなんです……だから……」

律「ジムリーダー?え?さっきのあいつが?」

店員「……はい」

困った顔を見せる店員を傍に律は

律「そっか、ジムリーダーか。そっかそっか! なら丁度いいや」

店員「?」

そして律もハテナ顔の店員をフロアに置き去りにし、階段を下っていった


593VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 22:11:04.62TX8oDfko (8/19)




アカネ「へぇ、逃げずにきたんや? もしかしてうちのこと知らんのか?」

コガネ百貨店の自動ドアを抜けた先、さっきの女がいた

律「いや、知ってるさ。ジムリーダーなんだろ?」

先ほど店員に聞いて知ったのだが、そのことは伝えない

アカネ「知っててもバトル挑もうっていうんかいな。面白いやないの」

律「あぁ、でもさっきと目的が変わっちまったけどな」

アカネ「……なんや?」

律「本当は負けて謝らせようと思ってたけど、それはいいや」


594VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 22:20:26.17TX8oDfko (9/19)


そして

律「私が勝てばジムバッチをもらう! ほら、今までずっと集めてきたんだ!」

そういって、キキョウとヒワダで勝ち取ったバッジをアカネに見せる

アカネ「ふ~ん……アンタ結構な実力者やってんな。 まぁどっちでもいいわ。どっちみちウチが勝つからな」

律「いったな! 約束だぞ、負けたらバッジだからな!」

アカネ「それならウチが勝ったら一週間パシリでもしてもらおかな」

律「なっ……お前ジムリーダーだろ!?」

アカネ「なんや? 勝つ自信ないんかいな。はは、それはごめんな」

バカにしたように笑うアカネに

律「…!! よっし、その条件でやってやろうじゃん!」

アカネ「よっしゃー、やったろやないか」

律・アカネ「まぁ――」

律「勝つのは私だけどな!」 アカネ「勝つんはウチやけど!」

律・アカネ「ムッ……!」


595VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 22:32:42.44TX8oDfko (10/19)




アカネ「それじゃぁやるでぇ」

アカネがモンスターボールを掲げ言う

先ほど決めたルールは、こうだ

お互い使用ポケモン2体までのポケモンバトル

ただし、フィールドは街全体ということだった

律が人がいて危険ではないか、と意見をだしたが、

どうやらこの街ではストリートバトルが流行っており街中でバトルの光景は慣れっこらしい

律「街中全体がフィールド……ねぇ。ま、こっちはいつもどおりやるだけだ」


596VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 22:42:06.76TX8oDfko (11/19)


アカネ「準備はええな? いくでぇ、ピッピ!!」ボンッ

律「いけ、アリゲイツ!!」ボンッ

律のアリゲイツに対して出されたのは、クルっと巻いた頭と尾が愛くるしいモンスターだった

律「先制だー!冷凍パンチ!!」

アリゲイツがさっそくピッピへと拳を振り上げながら、飛び掛るが

アカネ「そんな大振りな攻撃あたるかいな! ピッピかわすんや」

ピッピがひらりと身を翻し、アリゲイツを横の動きでかわし

そして

アカネ「甘える!!」

着地したアリゲイツに擦り寄った


597VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 22:51:19.13TX8oDfko (12/19)


律「くっそ、そんな攻撃翌利くかよー! アリゲイツ、もう一発だ」

アリゲイツがすりよったピッピに冷凍パンチをしかけるが

律「なっ!?」

アリゲイツの拳がピッピに当たる直前、勢いを落とした

アカネ「甘えるは物理攻撃翌力を下げる技や。 それ、ピッピものまねや」

ピッピ「ピッピ~♪」

ピッピが先ほどのアリゲイツと同じ動作を作った

つまり、拳を大きく振りかぶり

そして

――ドンッ

アリゲイツのおなかへとぶちこんだ


598VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:02:39.78TX8oDfko (13/19)


律「な、アリゲイツ! 大丈夫か」

ピッピの冷凍パンチにより、建物の壁まで吹き飛ばされたアリゲイツがなんとか立ち上がる

律「(氷タイプの技で助かった……)」

タイプの相性の問題だ

単純に水タイプに氷タイプの攻撃は利き難い

ましてやノーマルタイプのピッピの攻撃だ。そんなに威力はない

「アリゲイツ、まだいけるな?」

その問いに、アリゲイツがコクリと首を縦にふった


599VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:13:33.18TX8oDfko (14/19)


律「よし、物理攻撃がダメなら……狙い打て!!水鉄砲」

ピッピ目掛けて、アリゲイツの口から水が放たれる

アカネ「……や、ピッピ――!!」

律にはアカネがなにかピッピに向かって指示をだしたように見えたが

その声ははっきりと聞こえない

そして

アリゲイツの水鉄砲がピッピに直撃した


600VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:22:40.29TX8oDfko (15/19)

律「(なんだ……? やっぱり気のせいか……)」

「ピッピが怯んでるうちに、今度こそ冷凍パンチをお見舞いしてやれ」

アリゲイツがピッピに向かって、走り出し、飛び掛るようにジャンプした

律「そんまま振りかぶっておもいっきりお見舞いしてやれ」

宙で構えをとるアリゲイツが前倒しになり、ピッピへと目掛けたとき

アカネ「――」ニヤ

アカネがいやらしい笑みを浮かべた



601VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:25:20.59TX8oDfko (16/19)


そして、アリゲイツが拳を振り下ろそうとしたとき

――

律「なっ?」

律は驚く光景を見た

冷凍パンチの指示を受けたはずのアリゲイツが、拳を振り下げようとしたとき

その思っていた行動はとられず、アリゲイツの口から水鉄砲が出た

空中で水鉄砲を放ったアリゲイツは、噴水に押し上げられるように空へと上って行く

アカネ「はは~ん、驚いた顔しとるようやから、ここでタネあかしや。さっきピッピが水鉄砲食らったときあったやろ?」

「あのとき、ピッピが避けへんこと不思議におもわんかったか?」

律「…………」

律は黙ってアカネの言葉の続きを待った


602VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:30:16.20TX8oDfko (17/19)


アカネ「あの時な、実はアンコールしとってん。 いやぁ、ウチって策士やわぁ~」

少し鼻高々なアカネが言うが

律「なんだ、アリゲイツがわたしの言うことをきかなくなったわけじゃないんだな。安心したぜ」

アカネ「なんや?つよがりかいな?」

律「そんなんじゃないよ。 ただ、それならまだやりようがあるって話だよ!!」

律がアリゲイツを一度見て、そういった

アカネ「それなら………そのやりようっていうのを見せて貰おうやないの」

「ピッピ、指をふれ!!」


603VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:35:07.88TX8oDfko (18/19)


水浸しになったピッピだが、まだ余力を残している

そして、ピッピの指が光りを放った

律「アリゲイツ、なにかくるぞ!!」

律の言葉にアリゲイツは身を引き締めた

アカネ「さぁ、やったってピッピ!!」

ピッピが光った指を数回振ると、その指に炎が宿った

律「これは……」

アカネ「よっし、火炎放射や!!」

ピッピの指先から、炎がアリゲイツ目掛けて走った

律「炎なら……水鉄砲でかきけせ!!」

アリゲイツが遅れて水流を放つ


604VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/06(木) 23:59:02.34TX8oDfko (19/19)


アカネ「あかん、炎じゃ水には不利か!」

じわじわと水鉄砲を発射しながら、距離をつめるアリゲイツにアカネが舌を一度鳴らした

律「よっし、そのままピッピへと近づいていけえ」

だが、お互いの技がいったんそこで途切れた

アカネ「まだや、もっかい指をふれ」

律「アリゲイツ、走れ!! あの指振りが終わるまでに懐にもぐりこむんだ」

指に光りを集めるピッピとそれへと向かい全速力で走り出すアリゲイツ

早かったのは――


605VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 00:10:03.15oKyoo0Yo (1/14)


律「なんだ指を振っている時は隙だらけじゃないか。そのまま後ろにまわりこんで」

アリゲイツだ

律「ゼロ距離から水鉄砲だ!!」

ピッピの背中側に回り込んだアリゲイツがすかさず、放った

その水圧にピッピが吹き飛ばされ

――ドンッ!!

壁に打ち付けられた大きな音が生まれた

アカネ「ピッピ……」

アカネの声にピッピはこたえること無く、そのまま目を回し地面へと倒れこんだ


606VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 00:12:54.77oKyoo0Yo (2/14)


律「やった………え?」

そのとき

――ゴロゴロ

――ドカン

アリゲイツへと空から一閃が走った

雷だ

律「うわぁ、アリゲイツー!?」

そしてこちらもその声に返答することなく、地面へと倒れこむ


607VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 00:15:25.82oKyoo0Yo (3/14)


アカネ「ピッピの指をふるや……よくやったで、ピッピ……」

その様子を見ていたアカネはそういいながら、倒れたピッピを抱き上げボールに戻した

そして

アカネ「グズッ……まだまだ終わってない!! 次や、いくでミルちゃん!!」ボンッ

ボールから現れるのは乳牛のようなモンスターだ

律「(……どうでもいいけど、なんであいつ半泣きなんだ……ちょっと罪悪感が生まれてくるじゃないか……)」

アカネ「ほらっ、アンタもさっさとだしいや!!」

律「あ、あぁ……」


608VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 00:20:30.90oKyoo0Yo (4/14)




律「いけ、イーブイ!!」ボンッ

イーブイ「ブイ~♪」

アカネ「や~ん、かわいいポケモンもってるやん。 でも、手加減はせえへんで」

「ミルちゃん、転がるや!!」

乳牛のようなモンスターが体を丸め、地面を転がった

向かう先は、イーブイだ

律「でんこうせっか!!」

イーブイが真正面から、ぶつかりに行く


609VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 00:25:20.47oKyoo0Yo (5/14)


ドンという音ともに、ミルタンクの軌道がずれ、別の方向に転がっていく

アカネ「ミルちゃん!!」

その呼ぶ声に答えるように、ミルタングがそのままもう一度イーブイへと転がる

律「はっ、何度やっても同じさ。イーブイ何度でも受け流してやれ、でんこうせっか!!」

もう一度、さきほどと同じようにイーブイとミルタンクがぶつかった

――ドンッ

律「(……あれ……さっきよりぶつかった音が……)」

ミルタンクは再び軌道をはずれ、なにもいないところを転がっていく


610VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 00:30:41.52oKyoo0Yo (6/14)


アカネ「まだまだや!!」

そしてミルタンクがさらにイーブイ目掛けて引き返してくる

イーブイはもう一度受け止める気満々で、すでに駆け出そうとしていた

律「………ダメだ!!」

が、それは遅かった

――ドンッ

さきほどまでのミルタンクのスピードならあそこから避けるのも可能だっただろう

しかし

ミルタンクのスピードはどんどんと上がっていた


611VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:04:23.21oKyoo0Yo (7/14)


律「イーブイ!?」

ミルタンクに押し負けたイーブイがなんとか立ち上がる

アカネ「まだいくでぇ~!!」

さらにミルタンクが転がりつづけ

律「イーブイ、ダメだ。その攻撃は威力を増してる。よけろー!!」

イーブイが転がるその脅威をなんとかかわし、律は安堵を得る

アカネ「なんや、気付いたんだかいな。ミルちゃん、攻撃方法をかえるからいったんストップや」

静止の言葉にミルタンクが従い、ぐるんと丸まった体を起き上がらせた


612VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:05:24.11oKyoo0Yo (8/14)


アカネ「あっちゃー、でんこうせっか2発やと思ってなめ取ったら結構なダメージくらってたかー」

「ミルちゃん、いったん回復や。ミルクのみ」

律「な、ここも回復技持ちかよ!!」

No.241 ミルタンク
ミルクは えいようまんてん。
おとしよりや びょうきの ひとに 
とって さいこうの のみもの。

アカネ「よっし、ならふみつけや」

起き上がったミルタンクの巨体が、イーブイにせまる

そして

前足をイーブイ目掛けて叩き下ろした

――ズシン

律「イーブイっ!?」

その攻撃に食らったイーブイは吹き飛ぶが、すぐに立ち上がり


613VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:06:09.09oKyoo0Yo (9/14)


律「……勝つんだもんな………いっけ、イーブイ、その分厚そうな肉をかみついてやれ!!

食らいつくように、イーブイがミルタンクの巨体に噛み付いた

アカネ「……こざかしいわ!! ミルちゃん、もう一回転がるでイーブイを振り払うんや」

ミルタンクがもう一度転がるために体を丸めた

律「イーブイ、離れろ。大丈夫、お前はあのころがるを2回目までは受け止めれたんだ……だから大丈夫だ!」

イーブイがコクンと頷き、ミルタンクから距離を取った

アカネ「はっ、なにが大丈夫や? 少なくともそのイーブイは3回目以降は避けるしかできひん」

ミルタンクが転がり始めた

まださきほどの転がるのピークに比べると全然遅いと感じられるスピードだ


614VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:06:44.23oKyoo0Yo (10/14)


律「イーブイ、こらえる!!」

イーブイが地面をしっかりと踏ん張り、ミルタンクを受け止めた

だが、ミルタンクは自分から軌道をずらし、さらにスピードに乗って攻撃しようとする

アカネ「なんや、結局耐えるだけかい!!このままじゃ、ジリ貧やで」

ミルタンクが再び地面を削り始めた

今度は転がる音も大きくなっていっている

律「ジリ貧なんかにはならないさ……」

「――これでおわらせるからな。でんこうせっかだ!!」

アカネ「なんや、さっきとおなじやないか!?」



615VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:08:11.58oKyoo0Yo (11/14)


ミルタンクとイーブイが真正面から何度目かの衝突をした

だが違ったのはそこからだ

ミルタンクは再び軌道をずらし、イーブイから離れていこうと通りすぎようとした瞬間

律「まだ終わってないさ!! じたばた!!」

ミルタンクの真横から衝撃が走った

ミルタンクに比べて小柄なイーブイが真横から思いっきり体をぶち込んだからだ

そしてそのまま横倒しになり

――ドシン

大きな音が街中へと響き渡った


616VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:10:38.37oKyoo0Yo (12/14)


だが、響き渡ったのはそれだけではない

アカネ「ミルちゃん………グズ……グズッ……うわああああああああん」

アカネの大きな泣き声だ

律「ちょ、えっ? な、な、ななんでこうなるんだよー。おい、泣き止めって……」

言いながらアカネに駆け寄るが、アカネの鳴き声は止まらない

すると

遠くから、年上の女性が走ってくるのが見えた

女性「あぁ、アカネちゃん負けちゃったんだ。おっと、ああ、あなたはいつものことだから気にしないでいいよ。

バトルに負けちゃうとこうなっちゃうのよ。そうね、ポケモンセンターで待っててくれるかしら。泣き止んだら向かわせるから」

律「……はぁ」

律はただその言葉に従うしかなかった



617VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:15:14.86oKyoo0Yo (13/14)





――ポケモンセンター

それから、アカネがポケモンセンターに現れたのは30分後だった

その頃には、すでにあったころの元気が戻っており

アカネ「なんや、アンタやるやないか!!」

そういいながらバンバンと律の背中を叩いた

アカネ「これがレギュラーバッジや、受け取っとき」

アカネの手にはジムリーダーに勝ったあかしのジムバッチがあった

それを律に差しだし

律「よっしゃぁ、これで3つめのバッジゲット!」


618VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:26:42.98oKyoo0Yo (14/14)


そして

律「それじゃぁ、わたしは行くから」

言いながらアカネに背を向けたとき

アカネ「あ、あんな……!!」

しぼみそうな声でなにかを言おうとしていることに気付いた

アカネ「そのな……えっと……百貨店の件……悪かったな……」

少し赤くなった顔を伏せるように頭を下げた

そして

律は

律「……ははは、あははははは」

アカネ「な、なんやねん! ウチ、なんか変なこと言うたか~?」

律「いやぁ、だってさ、あまりにも予想外だったからさ~、あはははは」



「VSミルタンク」 〆


619VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 01:32:39.26DSVEnmc0 (1/1)


世代によって進化の石の手に入れやすさの差がはげしいんだよな
でもこれは通常進化フラグかな?


620VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 13:07:30.78waD5f9k0 (1/2)

トラウマミルタンク倒したか
イーブイの進化先が気になるぜ


621VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 13:08:28.03waD5f9k0 (2/2)

すまん、ageてしまった……


622VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:03:28.50HLo7FSPXo (1/39)

――37番道路


律「これでとどめだ、ガーディ! きしかいせいだ!!」

ガーディ「――!!」

プクリン「……!?」パタ

おとなのおねえさん「あぁ、私のプクリンが……!!」

そこで繰り広げられているのは、ポケモンバトルだ

律は自然公園・36番道路を経由してここまできたが、その道の途中、幾度も勝負を挑まれては勝ってきた

そのことは自信につながり、余裕を生む

律「よし、私たち強くなってるよな」

と、隣を歩くガーディに話しかける。


623VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:05:25.33HLo7FSPXo (2/39)


ガウと言う返事しか返ってこないが、それでも律は満足そうだ

律「っと、見えてきたな。あれがスズのとうか」

さきほど闘っていたおとなのおねえさんはすでに後方遠く、律が東北の空を見た

そこにはエンジュシティのシンボルともいえる塔がある

律「よーし走るぞ、ガーディ!!」

そして律は町の入り口へと抜けていく

律が目もくれず通り過ぎた看板には

『エンジュシティー―むかしと いまが どうじに ながれる れきしの まち』

の文字があった



624VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:07:52.55HLo7FSPXo (3/39)


――エンジュシティ


時間はまだ日が西に傾きだして間もない

だというのに

律「ジムが閉まってる……」

呆然とジムの前に立ち、律が呟いた

律「………まっ、明日には空いてるよな。と、なればまずは観光だあ!」

「あ、そういえば前にキキョウであったマイコさんが歌舞練場がどうとか言ってたなー」

考える間、一時

律「行ってみるかな……えっと、ジムより東側だから、この道を……っと」


625VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:10:15.21HLo7FSPXo (4/39)




律「ここも閉まってる……だと……」

扉に手をかけ何度も押し引きするが、屈強な扉がそんなことでびくともするはずがなく

律「ああっ、もう、ならスズの塔だスズの塔!!」

そういってさらに北への道を辿っていくが、そこでも

律「え?バッチがないとここは入れない……?」

坊主に止められ、中へは入れてもらえなかった

もうポケモンセンターに行き、不貞寝をしてしまおうかとも考えながら、町を歩いていると

律「なんだ……もう一個塔みたいなのがあるのか?」


626VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:13:18.38HLo7FSPXo (5/39)


西に見えるそれはスズの塔と比べて小さく、二階には燃えた後のような跡が残っており

まだ昔には上の階があったことを推測できる

律「こっちは普通に入れるんだな」

先ほど断られたスズの塔のことを思いだし、愚痴っぽく言うと

そのまま塔の中へと足を踏み入れた


627VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:15:43.30HLo7FSPXo (6/39)


――やけたとう


律「……少し暗いな」

老朽化してきているのか、地面の軋む音がやけに目立つ

建物に灯りなどもあるはずもなく、光りはお堂の横からや上、ところどころから差し込まれる陽の光りだけが頼りだ

律「これは………岩か」

人の一人くらいなら隠せてしまえそうな岩に手をつき、野生ポケモンを警戒するが

律「(……不自然なくらい静かだな)」

このくらいの暗さになるとズバットの一匹でもいてもよさそうなものだが、飛び出してきそうな気配すらもない

だが、そのとき律が目を凝らした

岩場の影に隠れるようにして潜む数匹のコラッタがそこにいた


628VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:17:31.46HLo7FSPXo (7/39)


その様子はなにかを警戒しているようで

律「(これは……怯えている……?うーん、なんか違うな)」

足をとめ考えたとき、話し声が聞こえた

『あぁ?………なぜ俺が……下……………など………ない!!』

不審な空気を感じ取った律はさっと岩場に隠れ、耳を澄ます

イラついた感じの男の声と、もう一つは……女の声だ

『そういえば、あなた、カントーで三鳥まで使って惨敗したらしいわね。あはは、惨めね』

『……さい!!…………グリー………から………だ」

女の声は高く、そのおかげで澄ませば聞こえるが、男の低い声は聞き取りづらく途切れ途切れになってしまう


629VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:20:47.66HLo7FSPXo (8/39)


律「(もう少し……どこかに隠れながら近づいて……)」

ソロリと歩幅を小さく、極力音をたてないようにして音の暗闇へと近づいていく

大丈夫だ、と一度うなずいたときさらに声は続いてきた

『まぁ、なんでもいいけどしっかり働きなさいな。
ここにはあなたが惨めたらしくも負けた図鑑の少女なんていないわ。邪魔もはいらないでしょう』

『少し黙れ。アテナ、ここでお前と一戦やってもいいんだぞ』

律「(なんだ……図鑑の少女って? ………まさか…………)」

「(……いやまだ決まったわけでもないし、もし私の思い描いた人物だったとしても、
この声の持ち主が負けたってことは、あいつであっても無事だ。本当はあいつにはやっかいごとは抱え込んでほしくないんだけどな……)」

その近場にあった物陰に隠れ、さらに様子をうかがうことにした

『あらっ怖い。でも、私も仕事があるから殺されないうちに帰…………ランス!』

急に鋭くなった女の声がもう一方の男へと呼びかけた


630VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:25:24.72HLo7FSPXo (9/39)


気付かれたか、と思うと同時に一つ思い出したことがある

ランスとは以前聞いた名だ。それを聞いた場所はヒワダタウン

たしかあれは洞窟を抜けて出てきたときだ

つまりあれは

律「(ロケット団!!)」

思ったとき、律はもう一つの気配を感じ取った

それは自分の背後、自分も通ってきた場所である入り口だ

そこに人が一人ボールを持った右手を横に広げ立っている


631VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:27:20.48HLo7FSPXo (10/39)


アテナ「邪魔はいっちゃったわね。私がやろうか」

ランス「いや、いい。俺がやろう」

律は隠れたまま動けずにいる

入り口にいたのは、何度もかかわってきた少年だ

その少年と目があうが、少年は何も言わずボールを投げた

律「(……シルバー!!)」

そして少年は足元にだしたマグマラシとともに、男達の声のするほうに走る

律の隠れていた場所の前を通り過ぎるが、やはり何も言わず、ただ前へと進んでいく

マグマラシの炎により、よりはっきりと空間が浮かび上がる

そして、シルバーの声がはっきりと告げた



632VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:31:13.52HLo7FSPXo (11/39)


シルバー「……やれ」

律の隠れている場所からはその様子は見えないが、おそらくシルバーが攻撃をしかけたのだろう

律「(なんで……あいつがロケット団を……そういえば、ヒワダのときも……)」

いろいろな情報に頭が整理しきれず、混乱してくる

ただ、時間はそれを整理することさえもまってくれそうにもなく

状況は進んでいく


633VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:32:14.47HLo7FSPXo (12/39)




ランスの機嫌はどんどんと悪くなっていく

己だけで進めていた計画も失敗し、いかりの湖へと収集がかかったと思えば、すぐにこんな下っ端みたいな仕事



その上、帰ってきたときには自分の部下達はヒワダで捕まったという報せ

極めつけは目の前のガキだ

気に入らない、と唇を噛んでみれば血の味がした

最近はガキの邪魔がよく入る と口の中で呟いた途端にイライラが蘇った

そして目の前にいる赤毛のガキはいきなり攻撃をしかけてきた

ならば、やることは一つだろう

マグマラシから放たれる火の粉を後ろにステップする形で回避し、ボールを手にした

ランス「やれ、ゴルバット」



634VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:35:11.28HLo7FSPXo (13/39)




突っ込んでくるマグマラシをゴルバットの翼が受け止めた

ランス「おい赤毛、ガキだからといって加減などせんぞ」

すると、ランスの横にいたアテナがケラケラと笑った

アテナ「あらら、じゃぁ、カントーで子供に負けたのは加減でもしたからって言うの? 違うんでしょ? あははこれ

は傑作だわ」

黙って横に並ぶアテナをにらみつける

アテナ「……あー怖いわ。このままここにいたら私が殺されちゃいそう」

そういってアテナはボールからヤミカラスを出し、その足に捕まり

二階の焼けてしまい壁がなくなったところから、外へと飛び立った


635VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:39:59.31HLo7FSPXo (14/39)


ランス「チッ……」

その様子を気に入らないとでもいうようにランスが舌打ちをした

目の前にはすでにシルバーがいる

シルバー「……かえんぐるまだ」

ゴルバットと押し合いを続けていたマグマラシの体を炎が逆巻いた

その様を見たランスが、ゴルバットへと声を飛ばす

ランス「かみつけ……!」

ゴルバットの大きく開いた口の中の牙が、マグマラシを映し出した

そして

炎を気にもとめずに、その牙で噛み付いた

ランスは顔色一つかえることもない。

ゴルバットのアゴがやける音がするが、そんなものはかまわないと思う

所詮はガキ一人にも勝てないポケモンだ



636VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:40:29.54HLo7FSPXo (15/39)


ランス「そんなことで怯むんじゃない……距離を取ってエアカッターだ」

自らのダメージを気にとめるゴルバットへ鬼のような言葉をかけ、さらに攻撃をしかけさせた

シルバー「スピードスターで応戦しろ」

マグマラシが星型の光りを放った

が、ゴルバットの翼から出た風の凶器がその光線を食い破る

ランス「……雑魚がっ! エアスラッシュ」

シルバー「…!?」

追撃をかけるように、風による追撃がマグマラシを襲った


637VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:42:48.22HLo7FSPXo (16/39)


そしてそのままマグマラシが地面に伏す

ランス「レベル差を考えろよガキが。
だが、ここで終わりじゃない。二度と邪魔などしようとおもわないようにしてやるぞ」

そこからは酷かった

シルバーの出すポケモンを次々とゴルバットだけで突破していく

シルバーの足元には、すでにHPがないコイルとズバットが倒れていた


638VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:46:57.50HLo7FSPXo (17/39)




レベル差が違いすぎる

シルバーの感じたものはそれだ

場数、戦闘経験、技の精度、どれをとっても向こうのほうが上だ

だが、引くわけには行かなかった

引けない理由があった

潰したいと思う組織があった

だが、その組織は自分が潰す前に、少し年上のまだ少年といってもいいトレーナーに潰されてしまった

モヤモヤした気持ちを持ちながらも、時はすぎ

それはそれでよかったのかも知れない と思い始めたころだ。

再びその組織が活動を始めたという話が耳に入った


639VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:50:06.62HLo7FSPXo (18/39)


もう一度、決意を固めるのに時間は必要なかった

だが、そのためには力が必要だった

あるとき、ワカバの研究所には戦闘用の3匹のポケモンがいると聞いた

だから、盗みをしてでもそのポケモンを手に入れた

全ては目的のためだと割り切った

ポケモンに愛着などは無かった

ただ、それを利用するのが一番都合がよかった

気付けば、盗んだポケモンは自分になつくようになっていた

だが、それに答えることもしなかった


640VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:55:43.63HLo7FSPXo (19/39)


必要ないからだ。そんなものは邪魔になると考えたからだ

甘さとは弱さだ。そんなものはいらない

だが、強さが足りない。勝てない。

このままでは一番負けたくないと思っていたヤツらに負けてしまう

だから、最後のモンスターであるゴーストを出してまでまだ闘おうと思っていた

シルバー「……」

ゴーストのボールに手を伸ばす

だが

――カタリッ

ボールが地面を叩く音がした

手に握ったはずだと思ったボールはそのまま、重力に負け落ちたのだ



641VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:57:24.11HLo7FSPXo (20/39)


ランス「なんだ、もう終わりか。やはりガキはガキだな。」

言い返せ

はっきりとまだ終わっていないことを告げてやれ と脳が命令を送るが

口が動かない。それどころかひざから力が抜けていく

トンと地面にひざがついた

ランス「まさかこのまま逃がしてもらえる、なんて思ってないよな。………じゃぁな、さっさと[ピーーー]」

そしてランスの腕に止まったゴルバットの羽がキラリと光った

そして手を振り上げ、シルバーめがけて振り下ろす

それはまるで刃物のように空を滑る

だが

――

それを止める動きがあった

気付けば、シルバーとゴルバットの間にはアリゲイツが入り込み、その翼を冷気を放つ拳で受け止めていた


642VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 00:59:56.88HLo7FSPXo (21/39)




律「……なんなんだよ……あいつ……レベル差がありすぎる……」

シルバーの戦いを陰で見ていた律の感想はそれだ

あっという間に3体のポケモンを倒してしまったロケット団の男は、シルバーにしだいに近づいていっている

律「(おい…逃げろよ……おい、まて……いいから逃げろよ……なんで立ち尽くしてるんだよ)」

今にもランスは次の指示をだそうとしている

だが、シルバーは動かない



643VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:04:25.56HLo7FSPXo (22/39)


律「(助けるか……!! いや、でもあの強さに私は対抗できるのか? 無駄になるんじゃないのか)」

ランスが手を振り上げた

律「(いや、そうじゃない!! 行くんだ……それでも行くんだ)」

そしてアリゲイツのボールを見た

律「大丈夫、やれる」

言い聞かせたのはアリゲイツにだろうか、それとも……

律「いけ、アリゲイツ!!」

物陰から飛び出し、シルバーとロケット団の間に滑り込ませるようにボールを放った




644VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:05:04.10HLo7FSPXo (23/39)




ランス「ほう……また邪魔が入ったか」

ボールが飛んできた方向をみれば、トレーナーがいる

カチューシャを頭につけた少女だ

ランスを痛いほど睨んでいる

そして

律「アリゲイツ、冷凍パンチだ!!」

ゴルバットの片翼が力任せに殴りつけられ、凍り始める


645VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:09:03.30HLo7FSPXo (24/39)


ランス「またガキの邪魔か……しかも今度は女だと!」

邪魔が入ったことにより、ランスがシルバーから離れまた後ろにステップした

逆に律は距離をつめていく

シルバーのところへ駆け寄るためだ

律「おい、立つんだよ。……立てってば!!」

シルバーの肩をつかみ、強引に立ち上がらせる

律「私が止めてるうちにさっさと逃げろ!! いいな?」

シルバー「……お前は……」

律「マダツボミの塔とヤドンのイドの借りを今ここで返す。だからはやくボールにポケモンたちを収めて逃げろ」


646VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:12:24.86HLo7FSPXo (25/39)


だが

ランス「しゃべっている暇などあると思うなよ!!」

「ゴルバット、翼で打て」

律「っ!! もう氷が治ったのか……アリゲイツ、もう一度凍らせてやれ!」

ランス「そんな攻撃、2度もくらうかっ!!」

翼がアリゲイツの拳の下を通り、アリゲイツの腹の部分を強く打った

――バタン

律「一撃っ!? 戻れ、アリゲイツ」

「いけ、ガーディ!!」ボンッ

ランス「邪魔なんだよ!! ゴルバット、どくどくの牙だ」

律「ガーディ、かえんぐるま!!」

だが、さきほどのシルバーのマグマラシと同じ結末を辿る


647VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:15:48.29HLo7FSPXo (26/39)


炎を纏うガーディの体にかまわずゴルバットが牙を立てた

その身を炎で焼いているが、かまわず牙を刺しこんだ

律「戻れガーディ!!」

ランス「なんだ、もう終わりか……おっと、さすがにこいつも限界か」

ゴルバットがやけどのダメージで苦しそうにしていた

ランス「こいつが倒れようが別にかまわんのだが、飛べなくなるのは困るのでな。戻れ、ゴルバット」

律「(くそ、このままじゃ、どうにもならない……)」

そのとき、横にいたシルバーがボソっと呟いた

シルバー「おい………聞け。必ず俺が道を開けてやる………だから、あそこに転がるボールを俺の手に」

指差したのは、さきほどシルバーが最後に出そうとしたモンスターボールだ


648VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:18:14.01HLo7FSPXo (27/39)


そして

シルバー「頼む……」

それに答える形で律はコクっと静かにうなずいた

ランス「なんだ?二人して死ぬ覚悟でも決まったか? なら今すぐに死ね」

「いけ、マタドガス!!」

律「いけ、イーブイ!!」

ランス「マタドガス、ヘドロ爆弾だ!!」

律「イーブイ、走れ。目標は分かるな」

その言葉に、イーブイが地をかけた

イーブイがマタドガスから飛ばされるヘドロ爆弾をかわしながら、走る

目指すべき場所は、転がっているモンスターボールだ


649VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:20:57.56HLo7FSPXo (28/39)


残り3m……2m………1m……

そして、その場所へとたどり着く

と同時、後ろ足でイーブイがモンスターボールを律のほうへと蹴った

しかし、それが隙となり

ランス「そこだ、ヘドロ爆弾!!」

イーブイの体を直撃した

律「イーブイッ!!」

シルバー「………がとう……」

シルバーが足元に転がったボールを拾いながら小声でなにかいったようだが聞き取れない

だが、言葉は続く


650VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:23:09.52HLo7FSPXo (29/39)


シルバー「イーブイを戻せ!!」

律「戻れ、イーブイ!!」 シルバー「いけ、ゴースト!!」

代わりにでてきたのはゴーストだ

No.093 ゴースト
ほんとうに なにも みえない 
くらやみで ゴーストは しずかに 
えものを ねらっているのだ。

律「こいつは………あのときのゴースの進化系か!!」

それはマダツボミの塔でのことだ

あのときも協力してなんとかその場をきりぬけたが

そのとき、ランスの様子が一変した

ランス「ポケモン図鑑だと……!……くっくっく……はははは!! 
そうか、こいつもポケモン図鑑を持つトレーナーか!!」

ランスの視線は律を捉えている


651VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:26:50.15HLo7FSPXo (30/39)

ランス「お前には直接恨みはないが、あの唯とか言う女と繋がってる可能性があるからな。
あの女には返しても返しきれない借りがある。ここいらで、利子分でも返済しておこうか……」

「お前になー!!」

「マタドガス、あの女に大文字だ!!」

律「なっ……!?」

シルバー「お前の相手はこっちだ。ゴースト、ふいうち!!」

ゴーストの姿は闇に溶け、マタドガスの後ろをとっていた

そしてそのままマタドガスの攻撃方向をずらすように、その風船状の体を殴りつける

マタドガスから放たれた大文字は明後日の方向へ飛んでいき、建物の側面を焼いた

ランス「こざかしいわ!! まずはそいつを片付けろ!!大文字」

シルバー「っく、パワー不足だったか。戻れゴースト」

マタドガスの炎に晒される直前、シルバーがボールにゴーストを戻した


652VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:29:04.11HLo7FSPXo (31/39)


ランス「あぁん?」

ランスがシルバーを睨みつける

ランス「どういうつもりだ?」

シルバー「……こういうつもりだ!!うけとれ!!」

律「へっ?」

シルバーが戻したばかりのゴーストの入ったボールを律へと放りなげた

そのボールを慌てながらも右手でキャッチし

シルバー「そのまま、ボールを投げろ」

言われたとおりに律が、ボールを投げた

そこからは再びゴーストがでてくる。

そう思っていた


653VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:30:12.22HLo7FSPXo (32/39)


だが、そのボールの開く音がしたとき、

その位置にはなにもなかった

律「…………え?」

ランス「……くっく……ははははは、とうとう諦めたのか!! だが、もう泣こうが喚こうが許されることはないぞ」

シルバー「許してもらおうなんてはじめからおもっていないさ……」ニヤリッ

ランス「もういい、さっさと死ね。大文字!!」

今度はシルバーめがけて炎が発射されようとしたとき

マタドガスが真上に吹き飛んだ


654VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:34:14.58HLo7FSPXo (33/39)


律「あれは……!!」

No.094 ゲンガー
よなか ひとの かげに もぐりこみ 
すこしずつ たいおんを うばう。
ねらわれると さむけが とまらない。

そこにあったのは寸胴の黒い影

律「マタドガスの影の中に忍んでいたのか!!」

ランス「これくらいでは倒れんわ!! マタドガス、だめおしだ!!」

ランスの怒声が、マタドガスへと飛ばされるが

マタドガスが指示にしたがうことは無い

シルバー「【のろい】であんたのポケモンはもう瀕死寸前だ。もうろくに行動もできない」

「……これで終わりだな」


655VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:36:54.24HLo7FSPXo (34/39)


だが

ランスは不敵に笑う

ランス「甘すぎる……HPがなくなったわけではないのだろう? なら、終わるのはお前らだ」

「――大爆発!!」

律「!!」 シルバー「!?」

やけた塔内をまばゆい光りが包み込んだ

爆風が来る

――ガラッ

そのとき、律の体が空を踏んだ

律「うわああああ」


656VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:38:01.59HLo7FSPXo (35/39)




やけた塔の2階から飛び出した影がある

ランスだ

ゴルバットに捕まり、空中をぶらりと飛遊する

ランス「ふんっ……あれではもう無理だろう……」

マタドガスの大爆発はたしかにあの場にいたガキ二人をしとめたはずだと思う

ランス「邪魔は入るが、目的のものはいない……」

「とんだ茶番だな」

そして顔の前にポケギアをもって行き

ランス「こちら、ランスだ。伝説の3獣は確認できず。またホウオウの現れる気配もなしだ」

『ご苦労。もう一度いかりの湖へ戻ってきてくれ。いよいよ実験は成功だ」

ランス「了解」



657VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:39:55.66HLo7FSPXo (36/39)




――やけた塔 B1

体が動かない

律は必死にもがこうと、頭だけでも働かせようとするが、それもあまり意味をなさない

あの大爆発には直撃はしなかった

それには理由がある

ただ、自分とシルバーの立っていた位置。

そこの地面が抜けたのだ

律「(なんとか、助かったけど……ここに地下なんてあったのか……)」

そして、律は見る

自分と同じように倒れてうごかないシルバーの背中を


658VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:42:49.63HLo7FSPXo (37/39)


律「(気を失っているのか……)」

「(くそ、なんだ……私も意識が……)」

途切れる寸前、律の眼前に水色4つ足があらわれた

シルバーの前にはオレンジ色の4つ足と黄色の4つ足がある

律「(なんだ……まさかこんなときに野生のポケモンか……)」

ぼんやりと薄れていく意識の中、その水色の体を視界にいれ

???「――」

美しい鳴き声を聞いた


659VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:45:12.14HLo7FSPXo (38/39)




――コガネシティ

リニア乗り場の前に、うーんと伸びをする少女がいた

どうやら、リニアに乗ってきたため少しくたびれた様子だ

???「わぁ、ここがジョウトだね!!」

「大きいなぁー」

少女が大きなビルを見上げては、感嘆の声をあげる

???「タマムシシティとかヤマブキシティみたいだね」

そういったとき、少女のポケットが振動した

少女はポケットに手を突っ込み、おもむろにモンスターボールを眼前にもってきた

???「えー、うんうん、この景色がみたいの? もうしょうがないなぁ」

しょうがないと言ったわりにはやけに楽しそうだ

???「いくよ、出ておいで」

「――リュー太!!」





「VSゲンガー」〆




660VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 08:40:38.93FmUq3dbu0 (1/1)


なるほど、通信進化か。こうやってゲンガー手に入れたのか
そして三犬キタ!三鳥とちがってストーリーに密接に関わるけど、ここでは味方になってくれるのかな?
そして唯とのダブルバトルに期待


661VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 10:38:54.37enQTQ4FDO (1/1)

うおおおお、来てたああ!

そして唯もきたあああああ


662VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 10:40:28.14uxbwvEoAO (1/1)

ゲンガーの進化熱い展開だったわ。
今や遥か格上の唯と律の絡み期待


663VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 10:44:48.96QT0uDJfo0 (1/1)

ポケスペ感覚で読んじゃう


66412011/01/13(木) 22:30:38.03HLo7FSPXo (39/39)

うおっ、なんかSSスレが出来てにお引越しのようだからそっちにうつるよ
とりあえず、ペースは一応早めたいとは思ってるんだけど……いまのところあまり実行できずorz



SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




665真・スレッドムーバー移転 ()

この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)


66612011/01/13(木) 22:46:55.936One6xH8o (1/2)

てすてす

まぁ、なんとかこっちでもやっていければなぁ と


667VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/13(木) 22:47:38.256One6xH8o (2/2)

あ、そうか。引っ越したからにはIDも替わるわな
完全に忘れていた


668VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/13(木) 22:48:03.937MDqbsuW0 (1/1)

マジ応援してる


669VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/14(金) 13:16:19.690jgqAoUy0 (1/1)

SSスレ大移動になってたんだな
場所変わっても期待してる


670VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 14:02:44.630r/grVDSO (1/1)

ドラえもん


671VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 23:40:29.39lYY38v9DO (1/1)

>>1がこない……
まさかここで逃亡じゃないだろうな


672VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 18:30:26.94+EqbMDTAO (1/1)

唯が来て、展開どうしようか筆が進まないだけだろ
気長に待てよ


673VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 08:22:36.91ns54i0cy0 (1/1)

今の律の実力じゃあ、どうしても唯に負けるだろうからなぁ・・・
あと律を主体におくか、唯を主人公に戻すかもあるだろうし


674VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 13:43:33.17c9FsjY4No (1/26)

すまん、1月後半私生活でバタバタしてて投下できなかった。
ほんとすんません




675VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 13:44:29.23c9FsjY4No (2/26)

――???


これはなんだ?

律にまずでてきた疑問はそれだった

目に映るのは、緑とオレンジ色の生えた木々

懐かしい森の風景だ

そうして気付いたのは

律「(これは………夢か……)」

気付いた瞬間に意識が途切れた



676VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 13:45:18.12c9FsjY4No (3/26)


そうして繋がれた意識が、また次の夢に移ったことを自覚するのに時間はかからなかった

なぜなら、そこにはかつての自分の記憶と一致する光景があったからだ

トキワの森、まだ小さかった自分、隣には今にも泣き出しそうな澪、夕方の橙色の空気、そして……

律「大丈夫だよ、澪ちゃん」

そうだ、あの時はまだ澪のことをちゃん付けで呼んでいたんだっけ

俯瞰して自分を見るのは変な感じがする

澪「……でも、もう暗くなって……」

律「それでも大丈夫」

なんの根拠もなかったはずだ。それでも澪の手を握り締めずにはいれなかった

そしてこのあとはたしか……


677VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 13:50:48.75c9FsjY4No (4/26)


律「げっ……」

澪「あっ……」

幼い自分達の前に大きな蜂がいた

律「逃げよう、澪ちゃん……」

澪「……うん」

でも、小さな体に残っていた体力なんて知れたもので

手を引いて、一生懸命に走ったけどおいつかれて


678VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:08:19.72c9FsjY4No (5/26)


律「こうなったら、いっけガーディ」

ガーディ「がう」

全然バトルなんてしたこともないのに、精一杯強がって

――

そのとき、風景にゆがみが現れた

……あれ、このあとどうなったんだっけ?

そして律の意識が反転した


679VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:09:35.77Etv4e7vbo (1/2)

うおお久しぶりだな
これからもがんばってねー


680VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:10:59.83c9FsjY4No (6/26)




――エンジュシティ(ポケモンセンター)


律「………ん」

知らず出した声に、意識がはっきりとしてくる

目覚めと自覚したのはそれからだ。

そして

律「あれ? たしか、焼けた塔で……」

「そうだっ……! シルバーは……」

現状に思考が追いついた時、声がきた


681VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:15:37.73c9FsjY4No (7/26)


???「目覚めたようだね……」

そこには、バンダナを巻いた青年が腕を組みながら立っていた

マツバ「オレの名前はマツバ。この町でジムリーダーをやっている。目覚めて早々悪いんだが、君に聞きたいこと

がある」

律「ちょっ、ちょっと待って。私は……私はどうしてここに」

マツバ「……まずはそっちから話したほうが事は早そうだな」

律「……」

マツバ「オレの友人があるポケモンを探していてね。それの手がかりを得るためあの焼けた塔に通っていたんだが、
昨日あそこに行ってみると、床に大きな穴があいてるじゃないか。そしてその穴の中には……」

律「私が倒れていたってわけか……」


682VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:22:58.32c9FsjY4No (8/26)


マツバ「? ……いや、君はその穴の横で寝かされていたみたいだが」

律「え?」

マツバ「オレが君をみつけたのは、その穴の横。あの地下にあったフロアじゃない」

どういうことだ、と律は思う

そして

律「そうだ……私と一緒にもう一人赤毛の男が倒れていなかった?」

マツバ「いや、オレが見つけたときには君だけだったな……」

ん?と首を傾げながら疑問の顔をつくる律にマツバが続けた


683VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:24:56.59c9FsjY4No (9/26)


マツバ「だいたい君がここにいたるまでの状況は分かってもらえただろうか? なら、今度はこっちの質問に答えてほしい」

律「あぁ……」

マツバ「まず一つ、あの建物を破壊したのは君か? 二つ目、あそこでなにがあった?」

深刻そうな顔をマツバがつくった

律「一つ目の答えだけど、半分正解って感じかもしれない」

はっきりしない答えにマツバが困ったような顔をつくるが、律がそのまま無視し続けた

律「私は……いや、もう一人一緒にいたんだけど、私とそいつはあそこでロケット団と戦った……」

マツバ「……!!」


684VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:25:23.07c9FsjY4No (10/26)


律「あの地面の穴はロケット団が大爆発の技を使ったときに地面が抜けた。そこに落ちて私ともう一人は気を失ったんだが……」

律が話している間、マツバは律の様子をうかがうように凝視していた

マツバ「……うん、嘘はいってないみたいだね」

律「……わかるのか?」

マツバ「あぁ、オレには少し変わった力があってね。それに……」

律「それに?」

マツバ「人が嘘をついているかどうかぐらいは、わかるつもりだ」

その言葉を聴き律は、あぁ悪い人間ではないな と思う


685VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:29:46.57c9FsjY4No (11/26)


マツバ「それにしても、ロケット団か……」

「またやっかいな組織が絡んできたもんだね……また彼らは最近頻繁に目撃されるようになってね」

律「………」

そしてマツバがポツポツと話をはじめた

マツバ「君は知っているだろうか? あの塔とスズの塔にまつわる伝説を?」

黙ってマツバの話を待つ

マツバ「まずあのスズの塔だけど、あそこにはこのジョウトの伝説の鳥ポケモンが存在していて、
今はいないんだけど時が来れば舞い降りると言われているんだ」

「そして対になるカネの塔には……」

その時、律が寝かされていた部屋にノックの音が響いた


686VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:35:20.65c9FsjY4No (12/26)


マツバ「……ちょうどいい」

そしてマツバがドアに近づき、その人物を招きいれた

そこにいたのはマツバと同じくらいの年齢の男だ

???「やぁ、レディ。お目覚めはどうだろうか? さっそく君には一つ聞きたいことがあるのだが」

やたらテンションの高いマントを羽織った青年が律に尋ねてくる

律「えっ?だれ」

ミナキ「おっと紹介が遅れたね。私はミナキだ。あるポケモンを追っていてね。レディの名前をきてもいいだろうか」

律がマツバの顔を見た

マツバ「あぁ、さっき話した友人だ」

そして

律「律……」


687VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:39:43.76c9FsjY4No (13/26)


律がうさんくさいものをみるような目でミナキを見、マツバがやれやれといった表情をした

ミナキの動作がいちいち白々しいからだ

ミナキ「そうか、律。君はあの塔でスイクンをみなかっただろうか?」

律「スイクン?」

そこへ、マツバが割って入ってきた

マツバ「さっきカネの塔にも伝説があるといったね?あの塔にもかつて伝説の鳥ポケモンがいたといわれているんだ。
しかしあのとおり焼けてしまってから鳥ポケモンは姿を消したという伝説がある。」

ミナキ「そう、あの塔は焼けてしまった。そしてその焼けた時、犠牲になった名もない3匹のポケモンがいてね。で

もその3匹は空の神様の目に止まり、命を与えたんだ」

律「(あぁ、なんでこの人の動作、こんな演劇みたいな動作なんだろう)」

そんな律の目も気にせず、ミナキは続ける


688VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:45:23.61c9FsjY4No (14/26)


ミナキ「その中の一匹がスイクンさ!! あの透き通るような水色の体色。水の上を走る颯爽とした姿」

そううっとりと自分の世界に入り込んだミナキを傍に、律は今の特徴をどこかでみたような……と思い出す

そして

律「あっ!! あの時の!!」

ミナキ「!! やはりみたのかね!!」

律「……あぁ、私が倒れる寸前、あの地下のフロアで……でも赤いのと黄色いのもいたぞ」

マツバ「……!! やはり、あそこに3匹が帰ってきていたのか!!」

驚いたような声をだしたのはミナキではなく、マツバだった

マツバ「そうか……つまり近々……」

マツバがブツブツ呟きながら一人自分の世界に浸っていく


689VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:49:46.86c9FsjY4No (15/26)


ミナキ「それでスイクンの行方は……?」

律「いや、さっきも言ったけど意識が飛ぶ直前にぼんやりと見ただけだから……」

ミナキ「……そうか、それでも私は諦めないぞー!! 私は今すぐにでもあのスイクンを追おうではないか」

マツバ「いや、待て」

考え事をしていたマツバが、部屋を飛び出していこうとするミナキをとめた

そして、律のほうを向くと

マツバ「最後の質問だ。この羽をどこで?」

マツバが“これ”とさしたものは、その手の中にあった羽だ

見たところ鳥の羽のようだが、その色はまばゆい銀の色を放っている


690VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 14:55:20.47c9FsjY4No (16/26)


律「……? 私はそんなものもっていなかったぞ」

マツバ「んっ? これは君が倒れている時に、その手に握り締めてたものなんだが……」

律「へっ?」

何のことかわからない といった風な律に対して、マツバはゆっくりと息を吐き

マツバ「これはおそらく……空の神様と呼ばれるスズの塔に対になる海の神様の羽だ」

「そしてさっき、カネの塔が燃えた時に飛び立った鳥ポケモンの伝説があるといったね?」

律「あ、あぁ……」

マツバ「それがオレはこの海の神様だと考えている。スズの塔とついになったカネの塔。空の神様と対になる海の神様。
どうだい?なかなかできたものだと思わないかい?」

「つまり、君がこれをカネの塔で拾ったというのなら、その線も濃くなると、思ったんだが……」

律「そう……なのか……でも私は本当にその羽を手に入れた記憶がない」

マツバ「そうか………」


691VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:00:02.47c9FsjY4No (17/26)


ミナキ「もしかしたら、スイクンが君へと託したものだとは考えられないかね?」

冗談じみた口調でミナキが言った

マツバ「!!」

ミナキ「はは、冗談だよ!!」

マツバ「いや、それもありえるかもしれない。元々はカネの塔にいた3聖獣だ。ルギアがここにいたというのなら、そ

れを持っていてもおかしくはない。そしてそれがもし真実であるのなら……」

「スイクンはなにかを伝えたかったのかもしれない」

律「……でも、なんでわたしなんか………」


692VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:05:40.89c9FsjY4No (18/26)


さきほどからチラチラと脳裏によぎるのは負けた記憶ばかりだ。

こうやって話している間もその記憶はどこか虚ろな気分へと引き摺り下ろす

へんな夢を見ていたことも関係しているのだろう。

あの敗北が頭から焼きついて離れない。

だからこそ、なぜ私にそんなものを と思う。

もっと託すのにいいトレーナーがいたのではないのか? なにか伝えるべきなのはもっと別のトレーナなのではないか?

そんなネガティブな考えばかりが浮かぶ。

律「(私らしくないなぁ……)」

マツバ「………」


693VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:09:28.10c9FsjY4No (19/26)


マツバの視線はずっと律をとらえていたが、そのとき

ミナキ「まぁ、仮定ばかりの話だからね。それにスイクンは私というトレーナーをまだ知らなかっただけだ。
私のことを知ればきっと次は私を選ぶだろうさ」

またしてもミナキが茶化すような口調で言った

マツバ「まぁ……なんにせよ。これは君が持つべきだな……」

律「え?」

そういってマツバは律の手に、銀色の羽を握らせた

律「これは私が持つより、マツバさんがもったほうが……」

マツバ「いいや、きっとこれはなにか意味があるんだろう」

それだけを言うと、ミナキの襟を掴み背を向けた



694VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:15:29.00c9FsjY4No (20/26)


マツバ「それと君はジムを巡っているようだね。ジムバッチを見せてもらったよ。
当然オレの元にも挑戦にくるのだろうが……」

律「?」

マツバ「迷いが晴れてから来るがいいさ。今の君と戦っても全力で戦えそうにないしね」

ミナキ「おい、マツバ、引っ張るな。ちょ、おい、歩けるから引っ張るな。おいきいてるのか……」

そして扉の外へと二人の姿が消えた

残されたのは、知らず間にはいた溜息と手のなかに握らされた羽の重みだった



695VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:20:31.27c9FsjY4No (21/26)




ミナキ「おい、マツバ。あのレディに何をみたんだ?」

マツバ「なにがだ?」

ミナキ「言っていたじゃないか。きっと意味があるんだろう って」

マツバ「あぁ、羽の話か」

ミナキ「千里眼で未来視したんだろ? オレにぐらいその成りえるかも知れない未来ってやつを教えてくれてもい

いんじゃないのか」

マツバ「未来視なんてできるわけないだろう?あんなのが意図的にできるのはもっと修行を積んでからだよ」

ミナキ「なら、なぜあんなことを? あの子がいろいろ背負ってしまって潰されてしまわなければいいが」


696VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:25:59.62c9FsjY4No (22/26)


マツバ「はは、感かな。なんとなくあの子があれを持っているべきだと思ったんだよ。それに――」

ミナキ「?」

マツバ「潰されないよきっとあの子は」

ミナキ「それも感かね?」

そしてマツバがコクリと頷いた

ミナキ「ははは、お前が感に頼るとはね。これは面白い」

マツバ「まぁ、お前は笑っていられないぞ」

ミナキ「は?」


697VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:28:36.05c9FsjY4No (23/26)


マツバ「なにせ彼女はお前の愛してやまないスイクンに、お前より一歩近い位置にいるわけだ」

ミナキ「!!」

マツバ「……オレの夢が叶う鍵も、お前のスイクンへの道も彼女が鍵になりそうだなぁ」

そして背後に聳え立った2つの塔を見比べた

マツバ「まぁ……それも」

マツバ「感だけど」 ミナキ「感だろ?」

声が重なり、二人は顔を見合わせた

そして町には二人の青年の笑い声が響いた。



698VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:29:59.73c9FsjY4No (24/26)




――コガネシティ

???「ふふふ、買っちゃったね」

そういったのは傍らにハクリューをつれた女の子だ

そしてその手にもつのは、おそらく今、背後にたったコガネデパートで買ったのであろう新品のポケギアだ

???「えっと、これをここにつけて……っと」

「どう、リュー太、似合う?」

ハクリュー「りゅーー!!」

???「えっへん」

ハクリューの反応に満足した少女が、胸を張った



699VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:35:18.67c9FsjY4No (25/26)


???「昨日は疲れちゃったから、そのままこの町に滞在しちゃったけど、今度こそは進まないとね」

「えっと、ジョウトで強いジムの3つは……っとたしかアサギ、チョウジ、フスベだからとりあえず北だね」

買ったばかりのポケギアのマップ機能で場所を確認して

???「さーて、進むよー!!いくよー、リュー太………っと行かないといけないんだけど……」

少女がフラフラととある看板に近づいていく

???「ポケモン美容室だってー、えっと地下通路か~」

「あ、あっちに地下通路への入り口が~~」

そして少女は地下通路のほうへと走っていき、ハクリューがその後を追った



「VS スイクン」 〆



700VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:35:56.72c9FsjY4No (26/26)

相変わらずVSはしていないわけだが……

長いこと間あいてほんとすんませんっしたあ


701VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 15:39:37.43Etv4e7vbo (2/2)

唯と律が再開した時の反応が楽しみすぎる



702VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 16:07:15.61wN6RC2G10 (1/1)

マジ乙なんですけど~♪


703VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 18:56:57.95ivflQb1S0 (1/1)

乙乙
ルギアと接触フラグか・・・ダーク化とかしてないだろうな


704VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 22:39:29.70td+32PdAO (1/1)

乙、待ってました


705VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 22:43:43.42Y/2twH/DO (1/1)

りっちゃん、ちょっと欝ってる感じなのかこれは

以後も期待してます


706VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 10:54:41.63Tc5JBefJ0 (1/2)




707VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 13:06:40.49Tc5JBefJ0 (2/2)




708VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 18:49:00.88kyhhjKC8o (1/34)


――エンジュシティ


ジムの扉の前に少女がいる。

律だ

律がこのジムにきたのは今日で3回目になる

一度目はあの焼けた塔での一件の前。

2度目は昨日だ

目覚めた後、すぐにでもジムに行ってバッチを取ってやると意気込んだものの、ジムの前に来て急に尻込みしてしまった

先日マツバに迷いが晴れたら来い と言われたことが律の心に棘を残していた

自分でもなにかに引っかかっているが、その引っかかっている部分、なにに迷っているのかがわからないのだ

そして、そんなこんなで今日になり、また扉の前で固まっている


709VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 18:50:23.60kyhhjKC8o (2/34)


律「……はぁ……」

今日で何度目かになる溜息をつき、また出直すことにした

「こんなところでなにしてはるんどすか?」

言葉と同時に肩にポンと手が乗った

タマオ「キキョウで会ったお嬢さん」

振り返るとそこには、以前会った舞妓さんがいた

タマオ「マツバさんへのジム戦にきはったん?」

律「いや、その……」

居心地の悪さに少しつまった言葉になってしまい

律「……勝負っていう気分じゃないっていうか……あぁ、もう私はなにがしたいんだああ」



710VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 18:55:51.74kyhhjKC8o (3/34)


タマオ「なにかお悩みでも?」

その言葉に律がコクリと頷くと、タマオが腕をポンと叩いた

タマオ「……そや!それなら気分転換に自然公園にいってみたらどうやろか? 今日はたしかむしとり大会の日どすから」

タマオが着物の懐に腕をいれ、一枚のビラを取り出し律に手渡した

タマオ「まぁ、気が向きはったら行くといいどす」

そしてニコっと笑うと、そのまま律を通り過ぎ、

律が開くことのできなかったジムの扉を開き中へと入っていった

律「むしとり大会か……」

ビラを眺め、それもいいかも知れないと考える

……なんにせよこのもやもや感が晴れればいいや


711VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:01:50.74kyhhjKC8o (4/34)


――自然公園(東口ゲート)

律「へぇ、結構参加者っているんだなぁ……」

あたりを見渡すと、老若男女様々だ

そんなことを思っていると、数人並んでいた受付があいた

律「っと、受付はここですか?」


712VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:11:14.64kyhhjKC8o (5/34)


係員「はい。こちらに、登録ポケモンとお名前をお書きください」

律「登録ポケモン?」

係員「こちらのイベントははじめてでしょうか? この大会ではムシポケモンを捕まえるために使えるポケモンは一体となっております。
なので、ここにその使用するポケモンをお書きください」

律「あ、はい」

律が係員に渡された紙に必要事項を記入すると

係員「はい、承りました。こちらがコンペボールになります。それでは開始のアナウンスまでおまちください。
なおアナウンスは自然公園内とこの受付の東ゲート、南ゲートだけになりますのでお気をつけください」



713VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:15:09.94kyhhjKC8o (6/34)


――自然公園

律「さてと、ムシポケモンかぁ……あんまりいい思い出はないんだけどなぁ」

ガーディ「がう」

律の言葉にガーディが喉を鳴らしながら答えた

とくにとあるむしポケモンとは腐れ縁といっていいほど係ってきた

おもにこちらが襲われ、それを追い払うといった形なのだが

律「っと、ここの公園の草むらって結構深いんだよなぁ……」

律の目の前には律の全身すらも隠してしまえそうな草むらがある。

それほど草の密度が高いというわけでもないが、視界を遮るのには充分すぎるぐらいだ

律「さてと、それじゃぁさっそく行ってみますか~」

そして一人と一匹が緑の中へと消えていった


714VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:20:09.26kyhhjKC8o (7/34)






時々、草むらに虫取り網がささっているのは、そこに他のトレーナーがいるのだろう

あちこちの草むらからガサゴソという音が聞こえるが、どうも人が出した音らしい

しかし、そのときブンッと言う音が聞こえた

律「うしろからか……!! ガーディ、ダッシュでこの草むらから抜けるぞ」

ガーディ「ガウ!!」

ガサガサという草を薙ぐ音が耳に障るが、気にしてなどいられない

前傾体勢だった姿勢をさらに倒し、草むらを抜けた

高さはあってもあまり広さはない草むらなので、すぐに終わりが来る

そして、草むらを抜けた瞬間クルりと反転した



715VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:24:38.88kyhhjKC8o (8/34)


律「ははは、ほんと腐れ縁だよ。お前は」

そこにはよく見慣れた姿

先日夢でも見た姿だ

スピアーだ。だが、群れではなく一匹。

珍しいなと思うと同時に

律はこいつに何度襲われたのだろう……と内心思う


716VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:31:07.77kyhhjKC8o (9/34)

そして

律「お前を倒して調子を取り戻させてもらうぞ」

「先手だ。ガーディ!! ひのこ」

<<どくどくの牙>>

そのとき、律の脳内で嫌な記憶がよみがえる

律「なんだよ……私はもしかしてビビっているのか……」

耳にまとわりついて離れないよみがえる声は先日のものだ

そして脳に焼き付いて離れない光景すらも。

律「……トレーナー相手でもない野生ポケモン相手でもダメなのか……」

己の震えた手を見て、思いが言葉になった


717VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:36:31.00kyhhjKC8o (10/34)


だがそんな律の思いとは別にして、技は繰り出される

ガーディの口から出た赤の粉がフワリと宙をまい、スピアーに絡まるようにまとわりついた

チリッっという音がかすかだが、律の耳に届く

しかし、次の瞬間。スピアーが消えた

本当に消えたわけではない

律が目で追えなかっただけだ。

炎の攻撃に宙でもがき始めるだろうと思われたスピアーは、一瞬で距離をつめていた

そう、ガーディの真上にだ


718VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:40:00.35kyhhjKC8o (11/34)


律「……なっ……!? ガーディ、下がれ」

その指示に朱い体が後ろに思い切り飛び退く

だが、スピアーは焦ることなくその上の空にピタリと張り付いたままだ

律「ガーディ、吼えろ!!」

ガーディが真上を向き、大きく喉を鳴らし、声を張り上げるが

そこにスピアーの姿はない

気付けばそのスピアーはガーディの目の前

喉元へと針を向けたまま、止めていた

まるでそれは降伏を忠告する騎士のように

それは野生のスピアーにはあるまじき行動なのだが、律はそんなことに気付ける状態ではなかった


719VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:44:27.88kyhhjKC8o (12/34)


律「なんだよ、このスピアー……こんなに強い野生のポケモンがいるのかよ」

「それとも……」

脳がその言葉を言うな とストップをかける

やめろ、認めたくないと

だが

律「私がそんなに弱いのかよ……」

自信はあった

律「(今まで4つのジムを勝ってきたんだろ……? それでも私はこんなに弱いのか……)」

どうしてだろう。以前はこんなに怖くなどなかったのに

いつからだろうと自分に問えば、それはあの敗北からだ



720VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:49:27.59kyhhjKC8o (13/34)


律「……っ、戻れ……あっ!!」カタッ

ボールはガーディを収めることなく、地に落ちた

見れば手がさきほどより震えていた

そして、しびれをきらしたスピアーがガーディを制した逆のほうの腕を振りかぶった

それは誰の目にも見て明らか

とどめだ

律「(やめろ……やめろって……やめろやめろ……もう)」

「やめてくれ」

その叫びと同時にようやく自分がなにが怖いのか理解した


721VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 19:49:54.80kyhhjKC8o (14/34)


律「(そうか……こいつらが……私についてきてくれたポケモンたちが傷つくのが怖いんだ。私の力不足のせいで負けるのが怖いんだ)」

気付いたと同時

「すとーーっぷ!!ビー太!!」

前方、先ほど自分達が抜けてきた草むらから聞きなれた声が聞こえてきた

うつむいた顔を上げるとそこには懐かしい顔があった

律「……ゆ……い?」


722VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:10:38.10kyhhjKC8o (15/34)




唯「りっちゃあああああん!!」

駆け寄ってきたと思えば、すぐに抱きつかれた

律「うおっと……唯?なんでここに?」

唯「いやー、それがいろいろありましてねー」

「あ、っと、ごめんね。このこ私のポケモンなんだ」

そういって指差すのはさきほどのスピアーだ

そのスピアーは唯の肩の辺りに羽音を鳴らしながら浮いている


723VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:16:00.55kyhhjKC8o (16/34)


唯「さっき、バタフリーを捕まえようとしたんだけど、ボールをもたついているうちに超音波をくらっちゃって
……それで混乱してビー太がそのままどこかにいっちゃうし……」

「えっと、大丈夫だった……よね?」

唯が不安げにこちらに尋ねてくるので、こちらとしてもその言葉にあぁ、と返すしかなかった

唯「そっか。よかった。でも、ジョウトっておもしろいねー。昨日も美容院にいって……」

律「ちょっと待った。唯。その前になんでこっちにいるか なんだけど?」

唯の思い出話も少し話も長くなりそうだったので、

唯「うーん、それじゃぁ、あそこのベンチに座って話そう?」

その言葉にも軽くうなずき、同意をすると

唯「ほら、いこう!!」

唯が律の手を引いてベンチへと向かった



724VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:24:27.04kyhhjKC8o (17/34)




『実はね、私まけちゃったんだ……』

唯の口から出たのはトキワのジムでの敗北のこと、そしてジョウトでもバッチを3つ集めなければならないということだった

律「……そっか」

唯「うん、まったく敵わなかったよ。さすが、りっちゃんたちの町だよ」

律「はっは、すごいだろ!! って、なんでやねん」

唯「あー、りっちゃん、コガネ弁だね!!」

唯がおおっーっと声を上げた

律「まぁ、うちの町は最強のジムリーダーで有名だったからなぁ~」

律「あれそういえば…? ということは唯はもうバッチ7個はもってるのか」



725VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:30:38.72kyhhjKC8o (18/34)


唯「うん、そだよ。 あ、りっちゃんは今いくつー?」」

律「私はまだ4つだ……」

唯「おおー、順調だねっ。」

その唯の言葉が胸に刺さった

順調なものか

律「でもさ……私はもう駄目かもしれない。……唯と澪との約束もさ……」

唯「……どうしたのりっちゃん?」

すると律は一呼吸入れ

律「なぁ、唯。唯はさ、ロケット団と闘ったんだろ?」


726VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:35:18.00kyhhjKC8o (19/34)


唯「!!……なんでりっちゃん知ってるの?」

律「はは……やっぱり唯だったのか。あの男が言ってたのは」

唯「……まさか、りっちゃんも闘ったの?」

律「あぁ………でも結果は惨敗だったよ。ヒーローごっこの果てがコレだよ」

「なぁ、唯?唯は怖くなかったのか。私は今でも思い出すと手が震えるんだ……」

唯ねぇ、「りっちゃん……」

「私も怖かったよ……でもさ、私が旅にでた理由はポケモンバトルにもトレーナーにも憧れたっていうのもあるけどさ、始めに憧れたのはりっちゃんだったんだよ」

律「――」

唯「だって、りっちゃんは私達のヒーローだったんだよ。
澪ちゃんや私がポケモンに襲われたときもりっちゃんとガーディがすっとんできてさ、守ってくれるんだ。
それでありがとうって言ったら、りっちゃんは照れながら笑うんだ。」


727VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:39:16.90kyhhjKC8o (20/34)


それは幼い頃の記憶

……そうだ、そこにはじまりがあったんだ。自分も。

……あの時、シルバーを助けたのも間違いじゃない。だってあいつはありがとうって言ってたから

……いつだって、その言葉が嬉しかったんだ

唯「だから、わたしも誰かを守れるようになりたいなぁ ってきっと思ってたんだよ。だから怖くても、それでもここまでこれたんだ」

「だからこれだけは知っててほしいなぁ。」

「――始まりはりっちゃんだったことを。ね?」


728VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:44:38.80kyhhjKC8o (21/34)


律「………ははははは、あはははは」

唯「りっちゃん?」

唯が首を傾げるが、律は笑い続ける

律「唯には敵わないな。ほんとに。そこまで言われたらもう一回立ち上がろうって気になっちゃうじゃないか」

「まだ自分は強くなれる。まだもっと大きなものを守れるようになるんだって」

「なぁ?唯。最後に聞いていいか?」

唯「?」

律「私は、そのときの私はかっこよかったか?」

すると唯が楽しそうに笑った


729VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:52:48.03kyhhjKC8o (22/34)


唯「うん!! それにね」

律「?」

唯「りっちゃんにナーバスな雰囲気は似合わないよ」

律「なんだと、こんにゃろー!!」ゴンッ

唯「あいたっー!!」

握った拳が震えることはもうなかった


730VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 20:55:27.98kyhhjKC8o (23/34)




律と唯の腕にまいたポケギアがもうすぐ18時をさそうとしていたころ、

2人はもう一度草むらのなかにいた

律「さてと、むしとり大会もあと5分か」

唯「あっちゃー、もうそんな時間だったんだねー」

律と共に歩いていくのは唯だ

律「唯は捕まえに行かなくていいのか?」

唯「うーんとね、よく考えたら私、野生のポケモンって普通にゲットしたことないなぁと思って」

「というか、ゲットできない……ボールが当たらない……」



731VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:03:06.53kyhhjKC8o (24/34)


律「なんだそりゃ。今までどうやってきたんだよ」

唯「うーん、みんななんか気付いたら仲良くなっちゃって」

律「………ボールいらなくね?」

唯「いや、お家になるんだから、そのためにはいるよ~」

律「うん、どこか唯はおかしい」

唯「えぇ~、そんなことな………りっちゃん!!」

律「あぁ、私にも聞こえた。ガーディ、警戒しろ。このさきにきっといるぞ」

ガーディ「クゥン!!」


732VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:05:07.20kyhhjKC8o (25/34)


――シュン

そのとき、律の目前の草むらが横一文字に斬れた

そしてそこには刈り取られた草。

サークル上の小さな広場ができていた

律「あれは……ストライク!!」


No.123 ストライク
すばやい うごきが じまん。
あいては たおされたことにすら 
きづかないほど はやく うごける。



733VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:09:42.63kyhhjKC8o (26/34)


律「いまさっきのは、しんくう波か!!」

唯「まって、りっちゃん。あっちにも大きいのがいるよ!!」

ストライクと向かいあうようにいたのは、大きなはさみを持ったクワガタのようなモンスターだ


No.127カイロス
ツノに はさんでも ちぎれない 
ばあいは はさんだまま ふりまわし 
なげとばす せんぽうを つかう。


律「よっし、2匹いっぺんにいっちゃる」

唯「おー」

ぱちぱちと拍手をする唯を、手で後ろへと制し


734VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:16:08.38kyhhjKC8o (27/34)


律「よっし、まずはガーディ吼えろ!!」

ガーディ「――!!」

にらみ合った2匹に向かって吠えたことで、2匹の視線がガーディを捉えた

唯「くるよ!!」

律「あぁ」

始めにきたのカイロスだった。ガーディよりもはるかにでかい巨体がはさみを開いて突進してきた

律「ガーディ、もぐりこんでとっしんだ!!」

横へと倒した大きく開いたハサミの下

そこへともぐりこんだガーディが真下からカイロスへとぶちあたり、吹き飛ばした


735VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:19:34.36kyhhjKC8o (28/34)


だが、

律「まずい!!ガーディ後ろにジャンプだ」

ガーディが後ろにさっと下がった

さきほどガーディがいた位置には、うっすらと透ける綺麗な鎌がある

律「ストライクか……でも、速さはつくしのほうが早かったな」

律「さぁ、炎の牙でその鎌をボロボロにしてやれ」

退いたガーディが今度はさっと前へと跳躍した

噛み付く先は、その地面に刺さった鎌

ガーディ「グルル!!」

熱を帯びた牙は、その刃を焦がし、やがて炎がともったが

ストライクが一振りしただけで鎮火してしまった



736VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:25:50.30kyhhjKC8o (29/34)


そして

律「次は2匹いっぺんにってわけね……」

吹き飛ばしたカイロスが、再びガーディに襲い掛かろうとし、ストライクがもう一度飛び掛ろうと前傾姿勢をとった

律「2匹の周りを走れ!!ガーディ」

挟むようにジリっと距離をつめてきた2匹の周りを円を描くように駆け抜け

律「――かえんぐるま!!」

その軌道上に炎が灯った

そのうえここは草むら地帯だ

炎は勢いを増し、2匹の囲いながら渦をつくった

律「いまだな。これをっと」

取り出すのは受付でもらったコンペボールだ


737VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:29:44.68kyhhjKC8o (30/34)




――36番道路

唯「あ~あ、優勝できなかったね」

そうぼやいたのは、不満たらたらの唯だ

律「しょうがないさ。タイムアップだったんだから」

唯「うーん、それでも絶対りっちゃんのほうがあの優勝してた人のポケモンよりすごかったよ」

律「まっ、それでもポケモンはもらえたんだから良しとしよう」

そういってコンペボールをのぞきこみ

律「なぁ?ストライク」



738VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:36:42.53kyhhjKC8o (31/34)


ボールの中に入っているストライクへと話しかけると

――カタカタ

返事をするかのように、反応があった

律「で、唯は私と一緒に来ていいのか? 飛行手段があって目的のジムへはひとっとびでいけるんだろ?」

唯「うん、でも……ロケット団のこともあるしね……」

律「……そう……だな」

唯「それに、りっちゃんって意外と寂しがりでしょー」

「だから、私が……」

律「はいはい、わかったわかった」

唯「ぶぅ~、りっちゃんノリわる~い」


739VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:40:51.34kyhhjKC8o (32/34)


北には初めに来たときと同じように塔が見える

唯はその塔を見て、うわぁ~と子供のように走っていった 

そして律は

律「もう大丈夫さ」

呟きの言葉と共に、手のひらに4つのモンスターボールをとりだした

……大丈夫、もう震えることはない。

……怖さも、胸を刺す痛みもまだ消えることは無いけど



律「――強くなろうな」




740VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:45:07.22kyhhjKC8o (33/34)

すると、一斉に手のひらのボールたちが震えを返した

唯「おーい、りっちゃんはやくはやくー」

遠くからは唯が呼ぶ声がする

見れば、こちらに手を振っている

律「すぐに追いつくから待ってろよー」




「VSカイロス」 〆


741VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:46:16.57kyhhjKC8o (34/34)

それにしてもこれスピアーさん出すぎだな。
律っちゃんに入ってから、脅威のスピアーさん率


742VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 21:49:54.33+xLfaJOE0 (1/1)

真下がガラ空きだ!



743VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 22:29:14.02p5beiVYAO (1/1)




744VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 01:52:37.08h1llIaKO0 (1/1)

>>1乙
ストライクか、いいポケモンだ


745VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 01:40:22.12u4RA81aAO (1/1)

カイロス「俺…は?」

ビー太「ごめんな、虫枠はもう埋まってるんだよ」


746VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:09:51.93ZCuFqbMyo (1/31)


――エンジュシティ(ポケモンセンター前)


律「さてと、それじゃあジムに挑戦してきますか~」

唯「うん、りっちゃん頑張ってね」

唯が胸の前で小さく手を振った

律「唯はその間、この町の観光だっけ?」

唯「うん、そうしようと思ってるよ。あ、りっちゃん、ジム戦が終わったらここに集合ね?」

律「あぁ、それはいいんだが。たぶんスズの塔はここのバッチを持っていないと入れてくれないぞ? 
だから見るならカネの……焼けた塔ぐらいしか……」

唯「えー、ということはあっちの高い塔は入れない?」


747VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:16:07.59ZCuFqbMyo (2/31)


指指した先にはまさしくスズの塔があり

律「まっ、そういうことだな。あっちの焼けた塔なら入れるからそっちにしときなさい」

ふとそこで一つ注意しておくことを思い出した

律「……穴には落ちるなよ」

唯「?」

そして唯は街中を走り出す

だが少し距離をあけたところで、くるりと振り返り

唯「りっちゃーん、約束は健在だからねー。お互い8つ集めたときは勝負しようねー!!」

律は顔に少し嬉しそうな苦笑を浮かべた。

律「……ほんと唯には救われるよ」

誰にも聞こえないように呟くと、律も唯を見送ったほうに背を向けた


748VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:20:36.79ZCuFqbMyo (3/31)




場所はエンジュジムの前

もう一度律は深く息を吸い込み、吐き出した

そして強く頷くと、エンジュジムのドアへと手をかけた

……大丈夫

そして扉を大きく開き

律「たのもー!!」

声を張り上げた


749VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:25:48.95ZCuFqbMyo (4/31)


――エンジュジム

マツバ「きたか……」

そこには、先日あったバンダナの青年、マツバがいた

マツバ「……ふむ、どうやら。なにかふっきれたようだね」

「いいだろう、やろうかジム戦を」

律「よろしくお願いします」

マツバ「さっそくオレが相手になろう。使用ポケモンはそうだな……」

律「1匹だけの勝負でお願いします!!」

その言葉にマツバが眉を顰めた


750VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:32:19.77ZCuFqbMyo (5/31)


マツバ「オレはいいんだが、君はそれでいいのか?」

律「ハイ。私はこの先日捕まえたストライクだけで行きます」

マツバ「……いいのかい?出すポケモンまで教えてしまって」

律「はい、こちらの条件を飲んでもらった対価だと思ってもらってかまわないです」

「それに、私はこれで勝ってこそなにかを取り戻せる気がするんです」

「だから……」

マツバ「そうか。余裕といったわけでもなく、それなりの覚悟があってきたわけかい。いいだろう、それでやろう」

「ただし、それで勝てるかどうかは別問題だ」


751VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:37:35.67ZCuFqbMyo (6/31)




マツバ「悪いが、オレのポケモンは君のストライクにとって最悪といっていいポケモンだ」

「さぁ、いこうかゲンガー!!」ボンッ

黒くガス状のずんぐりとした人影。それは以前みたことあるモンスターだ

律「いけっ、ストライク!!」ボンッ

一方律のボールからでたのは、鋭い刃を携えたカマキリのポケモン

両手の刃をサッっと一度振ると、身構え

律「でんこうせっか!!」

走った

だが、それはどちらかというと宙を滑るように見える

体はぶれず、平行に移動していく。


752VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:38:42.33ZCuFqbMyo (7/31)


マツバ「無駄だ」

その言葉と共に、ゲンガーはただ笑う

そしてストライクがゲンガーに直撃しようとしたとき、

その体を通過した

ストライク「――!!」

マツバ「ゴーストタイプにノーマルタイプの技はきかない!!」

透き通った体を貫通したストライクの背後で再びゲンガーが笑う

そして、その背中目掛けて

マツバ「ジャドーボール!!」

放たれ

黒の塊が不意のストライクの背中を襲い、直撃した


753VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:41:55.71ZCuFqbMyo (8/31)


律「ストライク!!」

ゲンガーの攻撃に前方に吹き飛ばされたストライクだが

ストライク「ストッ!!」

くるりと回り着地した。

マツバ「まだだゲンガー、追撃のヘドロ爆弾!!」

今度はストライクの着地したところを狙って、ヘドロの塊が飛来した


754VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:44:24.37ZCuFqbMyo (9/31)


律「高速移動!!」

だが、投げられたそれはストライクに当たることはなく、

マツバ「速いなっ!!」

高速で地を滑ったストライクは、気付けば再びゲンガーの目の前にいた

律「シザークロス!!」

その鎌がキラリッと光り

――スッ

影を真っ二つに裂いた

だが

律「やっぱり、駄目か」

斜めに一閃されたゲンガーの体が繋がり、また怪しく笑い始めた


755VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:48:42.12ZCuFqbMyo (10/31)


マツバが‘最悪’と言った理由はここにあった

ストライクの主力といえる虫タイプの攻撃はほとんどきかず、ノーマルタイプの攻撃にいたっては当たらない

その上ゲンガーは虫タイプに有利な毒タイプの攻撃ももっている

そのことを指した上でのさきほどの言葉だった

律「なら、攻め方を変えるか……それにゲンガーなら……」

すると律がふっと笑った

マツバ「……」

そのことにマツバは少しの危うさを感じていた

あからさまに不利といえる状況であのように笑えるのは、無謀な馬鹿かそれとも……


756VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:49:21.89ZCuFqbMyo (11/31)


マツバ「ゲンガー、シャドーボールだ!!」

至近距離からの大きな黒い一撃がゲンガーの手のひらから放たれた

だが、ストライクは後ろに大きく跳び、着地すると

律「ストライク、今は避けることに専念しろ!!高速移動!!」

シャドーボールが移動するストライクを目掛けるが

寸でその姿を消し、少し離れた地点でまた姿を現す

そしてそこへと再びゲンガーがシャドーボールを放つと

また姿を消し、今度はゲンガーの目の前に現れ

また消える。

それはゲンガーの目には挑発されているようにうつり

だんだんとゲンガーの焦れったさも目に取れるようになってくる

マツバ「(……うーん、向こうの決定打がないとは言え、長引かせるのも良くないか……)」

そしてマツバが指をパチっとならした


757VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:53:38.28ZCuFqbMyo (12/31)




それは合図だった

マツバ「ゲンガー、ナイトヘッド!!」

赤いゲンガーの目が、妖しくも眩く光り

ストライクの周りの空間が締め付けられたようにゆがんだ

律「っ!!ストライク大丈夫か!!」

その言葉にストライクはコクっとうなずきゲンガーのいた方をみると

そこにゲンガーの姿はなかった



758VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:55:41.38ZCuFqbMyo (13/31)


マツバ「さぁ、ここからがゲンガーの本領だ!!」

律「まずっ!!――ストライク、しt……!!」

だが、その言葉は遅かった

マツバ「シャドーパンチ!!」

――ドンッ

衝撃と共にストライクが感じたのは驚きだった

その攻撃は真下

地面からアッパーのように打ちだされたからだ

そして吹き飛ばされながらストライクはゲンガーを見る

ストライクの影にまどろむように溶ける紫の影を


759VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 21:58:12.07ZCuFqbMyo (14/31)


律「ストライク、体勢を立て直せ!!」

指示にしたがい、くるりと宙返りをしきれいに着地した

律「ストライク、もう少し我慢してくれ!!絶対に……絶対にお前を勝たせてやる!!」

マツバ「(ほぅ……)」

律の目を見てマツバは思う

……あぁ、やはり待ってよかった と



760VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:00:32.91ZCuFqbMyo (15/31)




マツバ「もう一度お見舞いしてやれ、シャドーパンチ!!」

ストライクの真下からぬっと伸びてくる腕が来る前に

律「飛び上がれ、つるぎのまい!!」

ストライクの体が宙にふわりと飛び上がった

パンチに打たれたからではない、自ら飛び上がったのだ

当然ゲンガーのシャドーパンチは空振りとなるが、

マツバ「避けるだけでは勝てない!!」

もう一度影に潜った

そしてふらりと体を揺らしながら舞うストライクの体をもう一度パンチしようとするが

そのたびにストライクは空中に飛び上がり、綺麗な着地をきめる

幾順かのループだ


761VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:03:45.99ZCuFqbMyo (16/31)


地で舞をおどりながらも、攻撃が来ると宙へと逃げる。だが、紫の影も攻撃が終わると影へと逃げる

その一連の攻防自体がまるで舞の一部のようだ

だが、あるときマツバが笑った

丁度ストライクが空中で着地の体勢に入ったときだ

マツバ「君には今ゲンガーがどこにいるかわかるかい?」

不意に飛んできた言葉に律は驚きながらも

律「どこって、影の中だろ?」

マツバ「そうだよ、影の中さ。それは間違いないさ。でも!!」

そしてストライクが律の目の前で着地した


762VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:07:04.23ZCuFqbMyo (17/31)


マツバ「さぁゲンガー、シャドーパンチ!!」

攻撃の支持にストライクが再び飛び上がった

だが、さきほどのように真下から来ると思われた攻撃はストライクの真後ろから叩きつけるようにきた

律「――!!」

そう今飛び出したのは、ストライクの真後ろ

律「私の影か!!」



763VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:10:11.30ZCuFqbMyo (18/31)




律は宙を舞うストライクを見て思う

……よしっ!!狙い通りだ

律はゲンガーが影に潜ることができるのを知っていた

それはかつてのシルバーとの共闘したときに見た能力だったからだ

そして、シャドーパンチ

遠距離攻撃のシャドーボールから近距離攻撃のシャドーパンチに変わることも待っていた

そのために最初の挑発するかのノーマル攻撃や虫タイプの攻撃からの回避行動だった

こうすれば、焦れて接近戦に持ち込んでくるだろうとふんでいた

……そろそろだ


764VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:13:19.68ZCuFqbMyo (19/31)


だが、そう思ったとき不意に言葉が来た

丁度ストライクが宙へと跳んだときだ

マツバ「君には今ゲンガーがどこにいるかわかるかい?」

その言葉に疑問を持ちながらも

律「どこって、影の中だろ?」

そう当たり前のように答えた

だが、そのときマツバが楽しそうに笑った。

マツバ「そうだよ、影の中さ。それは間違いないさ。でも!!」

そしてまずいと悟る

なにか来る とも


765VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:16:53.64ZCuFqbMyo (20/31)


しかし

マツバ「さぁゲンガー、シャドーパンチ!!」

さきほどと変わらない指示に一瞬だがほっとした

なぜならストライクは完全にゲンガーが飛び出してくるタイミングを掴んでいたからだ

だが、それがいけなかった

変わらぬ指示に安堵している場合ではなかった。

変わっていたのは

ゲンガーの潜んだ場所のほうだった



766VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:19:12.67ZCuFqbMyo (21/31)


律「私の影か!!」

自分の影から飛び出したゲンガーはストライクの飛び上がった瞬間に飛び出し

上から叩きつけるように殴りつけた

……やられたっ!!

律「すまない、ストライク!!今のは私のミスだ」

「まだいけるか!?」

叩きつけられたストライクが、ゆっくりと起き上がると

再びその刃を構えた。それは肯定の意思

律「そうか。なら――――そろそろ勝とう」

告げた瞬間ストライクが、走り出した


767VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:22:10.65ZCuFqbMyo (22/31)


律「高速移動」

そのスピードは一度目にみせたスピードよりかは劣っている

マツバ「……さっきのシャドーパンチがきいたようだな。それではもう長くは避け続けれないだろう」

「ゲンガー、シャドークローでとどめだ!!」

影に潜むゲンガーにとってストライクの地上を走るスピードはほとんど関係がない

影はどこにいてもストライクについてまわるからだ。

それでもスピードを上げるのは、己を奮い立たせるためか

そして、攻撃が来る

走るストライクの影から、ぬっと手が伸びた

影の手は握りこぶしではなく、鋭利な3つに割れた爪の形をしている


768VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:25:16.59ZCuFqbMyo (23/31)


律「ストライク!!」

掛け声と共にストライクが飛び上がった

だが

マツバ「ゲンガー!!あわせて飛び出せ!!この一撃で終わらせるぞ!!」

飛び上がったストライクを追うように、ゲンガーが影から飛び出し

ストライクの後を追った

律「――きたな」

ストライクの跳躍が最高点に達したとき、くるりと宙がえりをする

今まではそのまま着地に入るための一回点のジャンプだった


769VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:27:54.04ZCuFqbMyo (24/31)


しかし今度は

マツバ「半回転!! 迎え撃つ気かっ!!」

頭を地へと向けた状態で、落ちる

その先には飛び上がったゲンガーの姿がある

そしてゲンガーが爪を振りかぶったとき

律「――つじきり!!」

落下のスピードと共にまっすぐに刃を振り下ろした

ゲンガー「!?」

物理攻撃の態勢をとっていたゲンガーは今、質量を持っている

だから、律はこの物理攻撃をしかけてくる瞬間を狙っていた

――スパッ

空中で影が真っ二つに割れる


770VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:30:31.70ZCuFqbMyo (25/31)


そして

ストライクが着地した

空中で二つにわれたガスは2つから1つに合わさり、ゲンガーの形をつくる

だが

そのまま落下し、地へとひれ伏した

みれば、ゲンガーが戦闘不能なのは明らかだ

マツバ「……オレの負けか」

マツバはボールにゲンガーを戻し、律へと歩み寄ろうとしたとき

律が言葉を放った


771VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:33:55.83ZCuFqbMyo (26/31)


律「マツバさん……次のポケモンをお願いします」

はじめの勝利の条件。1対1の勝負。だが、今自分は次のポケモンを待っている

これは自惚れだ。それは分かっている。だが

律「今、私はもっと強くなれる気がする――だから」

マツバはさきほどからこちらをじっと見ている

それでなにか伝わるのならばそれでいいとも思う

マツバ「……いいだろう。ならばそれに答えよう」

「いこうか――ゲンガー!!」

そしてマツバは2匹目のゲンガーを繰り出した


772VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:37:37.10ZCuFqbMyo (27/31)




――エンジュジム

広いジムの中央に座り込んだ青年がいる

そしてその青年に近づく影も

ミナキ「負けたのか……マツバ」

マツバ「あぁ……」

ミナキ「それにしてもこっぴどくやられたな」

マツバ「みてたのか」

ミナキ「それでどうだった」

マツバ「………」

なにも答えないマツバにミナキがやれやれといった風に手で動作を行った


773VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:39:20.25ZCuFqbMyo (28/31)


そこへポツリと

マツバ「いや、本当に驚いた」

ミナキ「……ん?」

マツバ「彼女だよ」

そしてマツバが地面に手をつき、ゆっくりと立ち上がると

マツバ「彼女は結局オレのポケモン3体を1匹だけで倒していったよ」

ミナキ「ほぅ……」

マツバ「それにしても後半は凄かった……まさに怒涛だ。あと一発食らわせることができればあのストライクは戦闘不能だった。だが……それができなかった」

マツバのゆったりとした口調は続く



774VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:41:59.76ZCuFqbMyo (29/31)


マツバ「後半になるたびに、強くなるんだ……あれはノリ始めると止められないタイプだ」

ミナキ「……とんでもない才能だな。迷いとやらはなくなったのかな」

マツバ「あぁ、もうその心配はいらなさそうだ。それになミナキ」

まだなにかあるのか といったミナキにさらにマツバが

マツバ「彼女のそのストライクは先日捕まえた と言っていたんだ」

ミナキ「なにっ!?……つまりは」

マツバ「あぁ……そういうことだ」

ミナキの背中に底知れないなにかが走った

これが鳥肌だと気付いたのはそれからしばらく言葉を失ったあと



775VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:42:38.68ZCuFqbMyo (30/31)


マツバ「本当に……さすがスイクンたちに選ばれただけはあるよ」

ミナキ「あぁ……そうだな……って待て、あれは単なる仮説だろ。それになスイクンはこの私が捕まえるのであってな……」

ミナキの言葉は続くが、マツバの意識はすでに別のところだ

マツバ「(もう迷うことはないだろうな)」

思いながら見た方向には窓がある

そしてその先には

うれしそうに歩くカチューシャの少女がいた





「VS ゲンガー(2)」




776VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:46:51.06rDp4pKFAO (1/1)

〆忘れてる気がするが乙
ゲンガーもストライクもかっこいいお


777VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:47:35.49ZCuFqbMyo (31/31)

とうとうやっちまった……
後先考えなずに、モンスター出すからこうなる……(2)てなんだよ……

>>745
本当はカイロスにしようかと思ったんだ。今回もかたやぶりじしんとかでゲンガー倒すとかにしようとも思っていたんだ……
でも、どうしてもストライクが書きたかった
ポケスペでも好きなシーンが無人発電所でのストライクVSゲンガーのシーンで、
そこが好き過ぎたせいで、どうしてもやってみたかったんだ……

>>776
ほんとだ。〆忘れた。
指摘ありがとう!



778VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 22:48:32.58ZNfCVzMC0 (1/1)

うんうん



779VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 23:17:44.69FNfegsxe0 (1/1)


ストライクはイケメンポケモン。ハッサムもいいが、やっぱストライクのほうがかっこいい
そしてマツバェ・・・ノーマルタイプで完封できるゲンガーの次は、二刀流ゲンガー・・・


780VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 10:55:41.27CUEujUfAO (1/1)

乙、りっちゃんスランプ脱出?おめでとう


781VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 21:51:56.64j/wN5msAO (1/2)

>>779
技は演出上しょうがない部分もあると思う
10まんボルトでいきなり倒されちゃ面白くないだろ?


782VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 21:53:23.60j/wN5msAO (2/2)

うっわsage忘れた
申し訳ない…


783VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/14(月) 18:43:34.20ngO9lUTIO (1/1)

話の流れ的にはどうでもいい突っ込みなんだが
虫タイプに毒タイプの技が抜群なのは初代だけで金銀から密かに等倍に修正されている
重箱の隅を突くような細かいことでスマン


784VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/14(月) 22:05:14.92J7M/53ta0 (1/1)

ツッコんだら負け


785VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 22:35:22.50c6+ZnX50o (1/23)

>>783
すまん、言われるまで虫タイプには毒タイプは抜群だとずっと思ってた
言われなかったから気付かないままでいたから、正直そういう指摘はありがたいっす




786VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 22:37:25.25c6+ZnX50o (2/23)


――ポケモンセンター前

太陽が傾き始めた

遅い、そう律が呟いたのももう何度目になるのだろうか

律「唯のやつ、なにやってるんだ……?」

やけた塔を見るくらいしかないのだから、そんなに時間がかかるわけはない

ということは

律「どこで寄り道してるんだよ……」

はぁ、と溜息を吐くと律は歩きはじめ

律「まぁ、唯のことだから大丈夫だろうとおもうけど……」


787VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 22:40:09.77c6+ZnX50o (3/23)




――歌舞練場前

律がそこの前をとおりすぎたとき、見知った後ろ姿があった

なにやら窓から中の様子をのぞいているようだ

……やっぱり寄り道か

律「おい、覗きは犯罪だぞ」

後ろから声をかけると、さっと唯は振り返り

唯「あ~、りっちゃん別に覗きじゃないよ~」

律「いや、どうみても覗きにしか見えないぞ」

「それより、ポケモンセンター前に集合はどうし……た……って、なにを見てたんだ?」

そういいながら律も唯の覗いていた窓を横から顔をだして覗こうとする


788VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:03:39.76c6+ZnX50o (4/23)

すると

唯「あああ、りっちゃん今は駄目ー!!」

律「いやだって気になるじゃ………えっ?」

そこには1人の男と数人の女がいる

数人の女性は、華やかな着物にその身を包んでいることなどから舞妓なのだろう

そこには知った顔もある

律「……あの人は……」

数ええてみれば5人の舞妓が一箇所に集められて、縄で動けないように縛られていた

その周りにはドガースが漂っている。

そして、一人の男だ

見れば、男は捕らえられた5人に対してなにかを聴いているようだ


789VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:05:47.28c6+ZnX50o (5/23)


あまり穏やかといった様子ではない

さらにその男は律と唯にとって忘れるはずもない

律「またロケット団か……」

すると、しばられていた舞妓と窓越しに目があった

律「タマオさん……か」

そして一度、窓の下にかがみこむと

唯「どうやって助けるかを迷ってたんだけど……」

唯が小さく呟いた

律はもう一度窓を覗き込み

律「(人数は一人か……問題はあっちのドガースだな)」

フラフラと舞妓の周りを回るドガースが厄介な問題となっていた

下手になにかすると、危害加えられるかもしれないからだ


790VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:08:15.39c6+ZnX50o (6/23)


それに

律「(こんなとこで大爆発なんてされたら……)」

考えただけでぞっとする

となると

律「唯、ちょっといいか?」

そういうと、唯の耳にヒソヒソとなにかを告げた



791VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:11:23.45c6+ZnX50o (7/23)




律は扉の前に佇んでいた

そして深呼吸一回

音も立てずにゆっくりとノブを捻る

だが当然のごとく鍵は掛かっていた

分かっていたことだが、さすがにあまり荒いことはしないほうがいいだろうとおもっていた

しかしそう都合よくいくはずもなく

――もう一度呼吸を整えた

そして

――ドンッ

扉を蹴破った


792VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:14:11.53c6+ZnX50o (8/23)




目の前にひろがる光景はさきほど窓から見た光景とそれほど変わらない

あえて変わったことといえば、さきほどまで5人に対して屈み込んでいたロケット団が驚いた顔でこちらを見ていた

ことだ

ただそこまでの10m。

その直線を思い切り走る。

ただ、相手に考えさせる時間を与えないように

額に緊張を伴った嫌な汗が流れるが、速度のままに流されていく

律「(まずは安全第一……っと)」

ロケット団下っ端「なっ……!! お前は……」

立ち上がり振り返ったロケット団がなにかいいたげだが、気にせずその距離を縮めていく

見れば、捕らえられた舞妓さんもこちらを見て驚いた顔をしている


793VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:17:08.91c6+ZnX50o (9/23)


そして

腰のボールに手を伸ばした

投げる先は、漂うドガースの真下

ボンッという音ともにそれが飛び出した

律「イーブイ!! 真下からとっしんだ!!」

下からの衝撃に耐え切れずドガースが天井へと吹き飛ばされる

律「イーブイ、次はそっちだ」

指差した先にはロケット団がいる

着地したイーブイが、そのまま団員に向かって走り出した


794VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:20:14.15c6+ZnX50o (10/23)


ロケット団下っ端「くそっ、なんだってこんな……」

男がそのまま3歩バックステップする形で下がる

そしてそのまま走ってきた律とすれ違う形になった

位置が入れ替わった

今では律が舞妓が捕まっていた近くのポジションにいた

律「(とりあえず、安全面はこれでなんとかなるかな……)」

タマオ「あらっ……あなたは……」

すると後ろからのんきな声が聞こえた

これまで何度か会ってきたタマオだ

だが、律はそれに答えず、手をかざすことでその言葉に静止をかけた

向き合った男が逃げる気配もないからだ


795VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:23:24.39c6+ZnX50o (11/23)


律「……ったく、ここで逃げてくれたほうが楽なんだけどな」

下っ端「……お前は誰だ? 邪魔をするな!!」

男が激昂する

律「見ちゃったからには……っとそういうわけにもいかなくてね」

男が新たなボールに手をかけた

律「イーブイっ!!来るぞ!!」




796VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:25:47.85c6+ZnX50o (12/23)




男は今日も楽な任務だと思っていた

自分の上にいるものから、任されたものはあるものをこの歌舞練場から奪ってくることだけだった

あらゆる犯罪行為にも手を染めているロケット団で、たかが盗みなど楽に部類に入る

さらに盗む相手はポケモンバトルのエキスパートというわけでもなく舞妓だ。

たしかに自分にはそれほどの強さがあるわけではないが、この程度は楽勝だと思っていた

だが、男は念を入れ稽古中を狙い、強盗に入ることにした

稽古中ならば、人もいないだろうし、手持ちのポケモンを持っていないだろうと考えたからだ

そしてそれは予想通りだった

そこへ入ったとき、ポケモンを出して脅せばすぐに、舞妓たちは諦めたのか抵抗することなく縄についた


797VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:29:56.16c6+ZnX50o (13/23)


だが、そこからが問題だった

この歌舞練場を物色するも、目的のものは見つからず

脅しの色を込めながら、一度持ち主の本人達に尋ねてみることにした

――そんなものは知りやしません

長女と思われる舞妓がたった一言それだけを告げた

それ以降はだんまりだ

そして、どうしようかと思った時、その音が響いた

ドアを蹴破る音だ

振り向けば、そこに一人の少女がいる

いや、いた といったほうが正しいのかもしれない。少女は常に移動し続けているのだから

こちらへと一直線に


798VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:32:06.64c6+ZnX50o (14/23)


……だれだ?

はじめに来た疑問はそれだった

だから

下っ端「なっ……!?お前は……」

だれだ?と続けようとしたが、その言葉を言い切ることはない

少女が次の行動にでたからだ

少女の手にはモンスターボール。そしてそれをそのまま放り投げた

そして

「イーブイ!! 真下からとっしんだ!!」


799VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:35:28.83c6+ZnX50o (15/23)


ボールから飛び出したポケモンは自分のドガースを吹き飛ばすと

今度は

「イーブイ、次はそっちだ」

少女がこちらを走りながら指した

……まずい、くるか

そう思い、イーブイから距離を取るために後ろへとステップした

そのとき、こちらへとまっすぐ走ってくる少女とすれ違いざまに目が合った

少女はニヤリッと笑っていた

そして気付いた

……しまったっ! 人質が

だが、もう遅い

すでに人質と自分の間には少女が割って入ってしまった


800VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:38:02.28c6+ZnX50o (16/23)


こちらへと攻撃しようとしたイーブイは、こちらが数歩下がると少女の下へと下がる

まるで、最初からそれが目的だというように

「……ったく、ここで逃げてくれたほうが楽なんだけどな」

少女がポツリと呟きを残した

……っく

そういうわけにもいかない。こちらもまだ目的を果たしたわけではない

だから

少しでも思考時間を取るために


801VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:41:05.90c6+ZnX50o (17/23)


「……お前は誰だ? 邪魔をするな!!」

意味のない言葉を告げた

答えなど求めたわけではない

すると少女は言う

「見ちゃったからには……っとそういうわけにもいかなくてね」

その言葉を聞き届けたあと、ゆっくりとボールに手をのばした

律「イーブイっ!!来るぞ!!」

………たかが鈴の奪取でこれほど苦労するとは

頭にそんな言葉が浮かんだが、言わずボールを放り投げた



802VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:44:36.02c6+ZnX50o (18/23)




律「(やっぱり、ドガース一体だけってことはないよな)」

相手から出された犬のようなポケモンを見て思う

律のガーディとはまた違った犬のポケモンだ

その体色は黒

どこか野犬を彷彿させる

律「あれは……」


No.228 デルビル
なかまに れんらく するときと 
えものを おいつめるときでは 
なきごえの しゅるいが ちがうのだ。



803VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:47:18.32c6+ZnX50o (19/23)


律「(デルビルか……仲間を呼ばれるのはやっかいだなぁ……)」

「(まぁ、こっちも保険はとってあるから大丈夫かな)」

そんなことを思っていると、もう一度後ろから声が掛かった

タマオ「ちょいとお嬢さん」

捕らえられた状況だというのに、のんびりとした声で律を呼んだ

律がふりむくと

タマオ「この縄を解いてもらえませんか? さすがにお客さんに相手させるわけには行きまへん」

???「おねえちゃん!?」

おそらく妹なのだろう。一緒に捕まっていたマイコが驚いた声を出した


804VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:50:10.43c6+ZnX50o (20/23)


律「でも……」

下っ端「なにをごちゃごちゃいっている! デルビル、かみつけ」

黒の猛犬がイーブイに襲い掛かった

イーブイは噛み付かれながらも、その場に踏みとどまるが

やはり、指示なしには力も出し切れず、押されてしまう

タマオ「お嬢さん!!」

律「あぁ、もう!! わかったよ。 イーブイ、じたばたでデルビルを吹き飛ばせ!!」

体を大きく振るわせ、噛み付いていたデルビルを壁まで吹き飛ばした

そして

律「振りほどいたらこっちだ。この縄をかみきってくれ」

律がイーブイを手元に呼び戻した


805VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:53:22.76c6+ZnX50o (21/23)


そして縛られていた舞妓の縄を噛み千切ると

タマオ「さぁ、後は私達に任せておくれやす」

ゆったりと着物が崩れぬように立ち上がると、力強くそういった

???「でも、おねえちゃん!! 稽古中だからボールが……」

タマオ「これのことどすか?」

タマオが袖から取り出したのは正真正銘モンスターボールだ

???「えっ?姉さんなんでもっているの?」

今度は違う舞妓がタマオに尋ねた

タマオ「コウメちゃんもサクラちゃんも備えあれば憂いなしって言葉が……」

にっこりと笑いながら言う

コウメ「でも、姉さん……稽古中はよけいなものはもってくるなって……」

タマオ「あらっ?なんのことどすか?」


806VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:56:45.87c6+ZnX50o (22/23)


律「えっと、とりあえず任していいんだよな?」

タマオ「あら、そうでした。 それでは下がっといてもらえますか」

そして律を手で制すと

タマオ「お痛がすぎたようどすな」

体勢を立て直したデルビルとロケット団に向き直した

その振舞いは

律「(あぁ……なんでこんなにも……)」

律が思った感想はただ一つだった

……華麗なんだろうか

一つ一つの仕草から艶やかさすらもうかがえる

サクラ「えっと、少しさがってましょうか?」

さきほどサクラと呼ばれていた少女が律の手を引いてにっこりと笑った


807VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 23:59:21.51c6+ZnX50o (23/23)




下っ端「くっそ、とりあえずやっちまってから考えるか」

「いけ、デルビル!! おしおきだ!!」

無防備なタマオにデルビルが一直線にかけていく

そして跳んだ

黒犬の狙いはタマオの頭

だが、タマオは慌てずにそっと目の前に手をかざし

ニコリと笑った

そして次の瞬間には

――ガンッ

デルビルが吹き飛ばされていた


808VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:02:04.84EYcI+PA+o (1/10)


下っ端「!!」

ロケット団の目にも、律の目にもなにが起こったのかまったくわからなかった

ただ事実として

――

タマオの差し出した腕の上には一匹のポケモンが乗っていた

タマオ「ようこそ、歌舞練場へ」

そっと告げると、タマオの腕に乗っていたポケモンがストンと床へと飛び降りた

律「あのポケモンは……」

No.197 ブラッキー
まんげつの よるや 
こうふん したとき ぜんしんの 
わっかもようは きいろく ひかる。



809VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:07:02.30EYcI+PA+o (2/10)


律「ブラッキー……このポケモンは」

律は足元にいた自分のイーブイを見るが、イーブイはその姿に夢中なようで一心不乱に見つめていた

律「イーブイの進化系……か!!」

そしてタマオがそっと腕を振るった

袖がゆったりと空を薙いだ

タマオ「ブラッキー、くろいまなざし!!」

ブラッキーの目が光ると同時、全身のわっか模様が黄色い光りをはなった

下っ端「かみつけ、デルビル!!」

デルビルがブラッキー目掛けて飛びつく

黒の体と黒の体がぶつかり合おうとしたとき

タマオ「かげぶんしん」

タマオがゆったりと告げた


810VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:09:42.73EYcI+PA+o (3/10)


ブラッキーの体がかみつかれる直前

4つに別れ

そのままデルビルは空を透かし、地面へと着地する

タマオ「ブラッキー、挑発」

1つのブラッキーがデルビルに向かって喉を鳴らす

タマオが一歩後ろへと下がった

下っ端「デルビル、火炎放射だ」

デルビルが大きく口を開け、構えた

そして、口の中で炎の渦を作り

――はなった

向けた先はさきほど挑発したブラッキーだ

避ける様子もないブラッキーはやはり

下っ端「……影かっ!!」



811VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:12:08.10EYcI+PA+o (4/10)


そう呟いたとき、炎を放つデルビルの横に黒い影が笑っていた

いや、黄色いからだのわっかもようが笑っているような目に見えただけだ

タマオ「さぁ、お客さん。終幕どす。だましうち」

ブラッキーが横から思い切りデルビルを吹き飛ばした

下っ端「くそ、戻れデルビル。いったん退くぞ」

ロケット団がボールにデルビルを戻し、その場に背を向けた

律「なっ……逃がすかっ!!」

タマオ「あらあら……」

追おうとする律に、のんきに頬に手をあてるタマオ


812VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:15:33.04EYcI+PA+o (5/10)


そして団員が振り返ると

律たちの真上を指差しす

律「……ドガース!!」

真上を見ると先ほどのドガースが上空でフワフワと漂っていた

そして

団員が扉付近までちかづくと、ただ叫んだ

下っ端「だいばくは……」

律「(なっ、しまった……!!)」


813VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:18:09.32EYcI+PA+o (6/10)


だが

その言葉が最後まで告げられることはない

「――フィーちゃん、とっしんだよ!!」

団員が叫びながら扉から出ようとしたところを一匹のイーブイが、全力で体をぶつけた

律「……唯」

そこにはVサインで立ち尽くす友人の姿があった



814VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:21:16.66EYcI+PA+o (7/10)




時刻はすでに夜だ

日も沈みきり、町も夜の帳に包まれている

唯「……りっちゃん、正直に言ってね?」

唯が律に向かってニコリと微笑んだ。

だが、よく見れば目は笑っていない

唯「私のこと……忘れてたでしょ?」

律「!!」ギクリッ

「えっと……ははは、なんのことかな」

実際、律は唯の言うとおり、途中から唯のことを忘れていた

本来は律が先に突入してから、安全を確保して、前から律が、後ろから唯が取り押さえる気でいたのだった



815VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:24:05.97EYcI+PA+o (8/10)


律「でもさ、唯だって早くこなかったのが悪いんだぞ」

唯「いやぁ、だってなんかタイミング逃しちゃってさ」

そういって後頭部に手を当ててエヘヘと笑った

唯「それにしても……綺麗だったね」

それはさきほどの舞妓さんの闘い方をいっているのだろう

まるでそれは舞いを見ているようだった

サクラ「えっと、すいません。タマオお姉ちゃんから少し話があるそうなんででここで待ってもらっていいですか?」

先ほどの舞妓の少女の一人がこちらへと申し訳なさそうに尋ねてきた


816VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:27:16.54EYcI+PA+o (9/10)


律「あぁ、別にかまわないよ」

唯「どうせ、りっちゃん暇だもんねー」

律「おい、どういうことだこら」

唯「あいたっ」ゴチンッ

サクラ「あはは、仲がいいんですねー」

律「あ、それでタマオさんは?」

サクラ「……あはは、えっとあのとおりです」

指指した方向を見れば、タマオが正座をさせられ「なんで姉さんはポケモン持っていたのに、はじめに抵抗しないの?」とか
「そもそもなんで姉さんは稽古場に持ってきてるの?」などと怒られている

どうやらその周りにいる3人も全員姉妹なのだろう

律「えっと、サクラちゃんだっけ? あそこにいるのは全員お姉さん?」

サクラ「はいっ!! 私が一番の末っ子なんです。あそこの右からサツキお姉ちゃん、コウメお姉ちゃん、コモモお姉ちゃんです」

嬉しそうに告げる

唯「へぇ~、仲いいんだね~」

サクラ「エヘヘ……」


817VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:31:04.63EYcI+PA+o (10/10)


律「唯のところも仲いいだろ……」

唯「エッヘン!!しっかりお姉ちゃんしてますから」

律「どこに威張るところがあったのかがよく分からん。それにどっちかというとお姉ちゃんさせてもらってますじゃないのか?」

唯「りっちゃん………現実って過酷だね……」

ホロリと泣きまねをする唯にサクラと律が笑った

そこへ

タマオ「すんまへん、お待たせしてしまって。それでお話なんですが
……単刀直入に言ってこれ預かってもらえませんやろか?」

タマオが袖からとりだしたのは

唯・律「すず……?」

ニコリとタマオが笑みを作り、頷いた



「VS デルビル」 〆


818VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 00:35:34.24B7BupQGT0 (1/1)





819VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 01:05:58.01DvMtEeFAO (1/1)




820VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 12:19:04.96eYuMmtDm0 (1/1)


あの舞妓さんたち何気にエリートトレーナーやジムトレーナーの次ぐらいに強いんだよな・・・


821VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 21:56:44.80rk6oPizAO (1/1)

ブイズの安定感はさすがだな


822VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/20(日) 17:40:11.58Tv5+avUAO (1/1)



カイロス「カイ太…カー太…えへへへ…」

キャタピー「お巡りさんあいつです」


823VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/21(月) 17:08:30.26i+nr/eJDO (1/1)

とうとうイーブイ進化くるかとオモタがそんなことなかった


824VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 00:28:40.36sQxzyJlqo (1/1)

おつー
やっと追い付いた


825VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/07(月) 07:05:10.33c1giMWwjo (1/1)

おっつー
更新マダカナー?


826VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/26(土) 07:54:48.45AlqRzrnT0 (1/1)

へへっ、


827VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/03/26(土) 16:34:19.45tqosMbuUo (1/1)

熱い捕手


828VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/30(水) 12:52:02.838Nljzx4j0 (1/1)

地震に波乗り、それにスモッグとは
まだー?


829VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 21:42:43.40FCXfuct5o (1/1)

色々あって1ヶ月以上あいちまった……
もう人いないかもしれないけど、一応明日からまた投下したい

あっ、トリつけてなかったから>>1だと証明できないけど、一応>>1でございます

読んでくれていた方長い期間空いて申し訳ございませんでした


830VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/03/31(木) 21:50:31.86SLZAOOijo (1/1)

待っていたぞ


831VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/03/31(木) 23:41:14.264/bxsE5DO (1/1)

きたああああああああ

この際だからトリつければいいんじゃない?


832VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 13:08:38.83UZ4hPrec0 (1/1)

ほしゅ


833VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 15:55:22.72Nbmq9TbY0 (1/1)

ここに保守はいらない


834 ◆KyDuLODZns2011/04/01(金) 22:02:52.77ZiggdEpio (1/24)

とりあえず、昨日言ったとおり投下を
一応なんかあったときのトリはこれで

あと
文中の行間の開け方ちょっと変えていこうかと思っています
その点とか「見難い」とかなにか意見あればいってくれれば、また改善したい

では


835VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:05:00.69ZiggdEpio (2/24)


――38番道路

エンジュの西にあたるそこは草原地帯になっている
中型の野生ポケモンも生息するその道路はアサギシティへの道だ
この先のアサギシティを目指していた唯と律も必然的にここを訪れることとなった

律「結局あずかっちゃったなぁ」

そういった律の手には不思議な色の輝きを放つ鈴がある
一見すれば銀の色に見えるが、よくみれば銀の色に層がありとても神秘的に見える

唯「まぁ、しょうがないよ。りっちゃんが認められた証ってことだしね。
  ロケット団がこれを狙って歌舞練場に何度も襲撃してきたんじゃ、
  練習にならないだろうし」

律「あー、なんか唯は結構落ち着いてるな」

唯「うん、まぁ私もちょっと似たようなことあったしね」

そういって唯が少し引きつったような笑みを浮かべた


836VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:11:30.23ZiggdEpio (3/24)


かつて唯はカントー地方でロケット団にかかわったことがある
それは一つの預かりものをしたことから生まれたわけだが……
当然危険もあったわけだが、後悔はしていなかった

律「っていっても、伝説のポケモンに繋がる鈴ねぇ……
  やっぱりあんまり実感はないな」

唯「そうだね。私も伝説のポケモンって見たこと…………あ」

律「んっ どうした?」

唯「うんうん、なんでもないよ」

唯の脳裏に浮かぶの三匹の鳥ポケモン
ロケット団に使役されていた3鳥だったが、今頃は野生に戻っているだろう
そして伝説のポケモンはそう簡単に使役できるわけではない と言っていた人のことも思い出す
それは唯が敗北し、ジョウトに来るきっかけになった人物

唯「(強くならないとね……)」

あくまでジョウトに来た目的はあの人に勝つための経験をつむことだ
回り道や色々なことに首を突っ込んでもそれは忘れてはいけない と思う


837VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:18:00.95ZiggdEpio (4/24)


律「そういや、次は唯もジムに挑戦するんだよな?」

唯「うん、そうだね。私もいよいよだよ」

律はまだ唯の強さを全てを知らない
当然、ある程度の力というのはわかる
そしてそのある程度の力という判断材料だけでも、はるかに自分より上にあることは分かる
ただ少し前、自然公園で不本意ながら唯のスピアーを相手にしたことがあった。それも唯の指示抜きで
トレーナーである唯の指示抜きだというのに、それはとても強かだった。
だから律は思う。かならず追いついてやると
そして

律「(強くなるさ)」

とは思うものの

律「いろいろややこしくなったなぁ」

唯「?」

律が人差し指でつまんだ鈴を一度揺らし、その音を響かせた


838VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:25:18.12ZiggdEpio (5/24)




――エンジュシティ(歌舞練場)

時は昨日にまで遡る
ロケット団の襲撃場面に遭遇した唯と律は、それを追い払い
そこの舞妓さんたちを救っていた

タマオ「単刀直入に言って、これ預かってもらえまへんやろか?」

それが始まりだった

律「え?」

唯「すず……だよね?」

唯がそう言うとタマオが頷くかわりに、一度その音を響かせた

律「きれいな音……」

唯「……うん、そだね」

二人がその鈴の音に耳を傾けていると自然とそんな言葉がでた
そんな様子をみていたタマオもまたニッコリと笑う



839VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:33:19.75ZiggdEpio (6/24)


タマオ「どうでしょか?」

律「えっと……この鈴はどういう……」

律がそういったとき、横から少し幼さを残した声がきた
サクラだ。彼女はこの歌舞練場の姉妹のなかでも、一番下。つまり末妹だ
その彼女を見れば、少し真剣な面持ちになっている

サクラ「それは伝説のポケモンに繋がるかも知れない といわれた鈴です。
     羽と一対になって海の神様へと繋がる、という言い伝えがこの地方に残されてるんです」

海の神様――それは律の記憶にも少し覚えがある
焼けた塔の一件の後のことだ
この街のジムリーダーがそのことを少し話していた
そして、今彼女が言った羽は

律「これか……」

唯「りっちゃん、その羽……もしかして?」

律「うーん、よくわかんないけど伝説のポケモンの羽らしい」


840VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:37:36.22ZiggdEpio (7/24)


タマオ「えぇ、おっしゃるとおり、その羽は間違いなく伝説のポケモンの羽。
    私が先日マツバはんのところを訪れた時、あなたがそれを持っているとをおっしゃってました」

律「(あの時か……)」

先日、唯に会う前のこと。
少し悩んでいた時期だった。
律はジム前で立ちすくんでいるときに、このタマオに会っていた

タマオ「きっとこの機会は神様のめぐり合わせどす。だから私はこの鈴もあなたのもとにあるべきだと。
     そしてあなた達に任せたい と」

唯「……どうするのりっちゃん?」

律「うぇ!? 私が決めるのかよ」

唯「当たり前だよ。この旅はりっちゃんの旅だもん。わたしはおまけだよ」

律「む……」

そう言われると、返す言葉がない
そして目の前のタマオが頭を下げる


841VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:41:31.38ZiggdEpio (8/24)


サクラ「ただ……」

サクラが続きの言葉を言い淀んだ

サクラ「その鈴を持つってことは、ロケット団に狙われることにもなるかもしれません」

タマオ「……さっきのロケット団もこれを狙ってきていた節があります。
     そのことを、そういった負担を負わせるかもしれない。そういうことを承知でお願いします。
     もちろん断ってもらっても構いません」

タマオがもう一度深く頭を下げた
そして横にいたサクラも続き、気付けば歌舞練場にいた姉妹達全てが頭を下げていた

律「……っとさすがにここまで言われたら断れないよなぁ」

唯「りっちゃん」



842VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/01(金) 22:48:24.53ZiggdEpio (9/24)


そして

律「わかりました。えっと顔を上げてください。その鈴預からせてもらいます」

タマオが頭を上げて、少しためながら、ただ……というと

タマオ「まぁ、その鈴も本物かどうかわかりやせん」

律「へ?」

サクラ「その……言いにくいんですが、レプリカも多いんです。
    神様の鈴ですから、それにあやかろうって作られたものが……
    だから、そんなに気負わないでいってくださいね」

最後に気の抜けるような事実をきかされ、ふと心の中の緊迫した気持ちが削られたようだったが
それでも鈴は彼女達の手に渡った
タマオの手から律の手に渡る時鈴がもう一度その音を響かせた
やはりそれは綺麗な鈴の音だった


843VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:49:45.47ZiggdEpio (10/24)


………
……



それから数十分後
歌舞練場にはすでに唯と律の姿はなかった
そこにあるのは舞妓たち、姉妹の姿だけ
その中でサクラがタマオに向かい一つの疑問をぶつけていた

サクラ「お姉ちゃん、なんで嘘をついたの?」

タマオ「はて、なんのことですやろ?」

サクラ「……」

タマオ「はぁ、サクラちゃん怖いわぁ~、そんな顔して」

サクラ「とぼけないでよ~」

頬を膨らませながら、サクラがタマオに詰め寄った


844VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:54:44.07ZiggdEpio (11/24)


サクラ「あの鈴、レプリカじゃなく本物だよね。私達の家で受け継がれてきた正真正銘の……」

タマオ「あらっ、サクラちゃんだって、その後それらしくレプリカの話なんかしちゃって」

サクラ「むっ、私のは嘘はいってないもん。
    それにあの人たちいい人だったからあの鈴のせいで色々縛られるのもいやだなって……」

そういったあとサクラの後ろでふふっ、笑い声が聞こえた
そしてその笑い声の持ち主は

サツキ「ふふっ、やっぱり姉妹ね。きっとタマオ姉さんも同じことを考えてたのよ」

サクラ「サツキお姉ちゃんっ!」

タマオ「あら、サツキちゃん、もう舞台の点検はいいの?」

サツキ「うーん、もうちょっと確認したいけど……っていうか姉さん達も手伝ってよ!それに姉さん京言葉を忘れてるわよ」

そういってサツキがタマオを引っ張り、舞台の上へと上がっていく
その様子を見たサクラが苦笑いで見送った

タマオ「(どうかいい旅を……そしてどうか……)」



845VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 22:59:44.78ZiggdEpio (12/24)




――38番道路

ややこしくなった と告げた律に唯が首を傾げた

唯「?」

律「いや、なんか全然問題が解決されないうちに、次々と積まれていくなぁ とおもってさ」

やはりその言葉に唯はよくわかっていないといった風な顔をする

律にはおおまかに3つの問題が積まれている

一つは、伝説のポケモンの問題
この件に関しては、ほとんど成り行きに任せて積まれていったため、自分でもよくわかっていない

そして二つ目、ロケット団の問題
ヒワダ・エンジュと関わってきてしまい、さらにさきほどの問題の鈴の件もある

律「(……おそらくこれではおわらないだろうなぁ)」


846VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:03:15.66ZiggdEpio (13/24)


そして3つ目、シルバーの問題だ
ウツギ博士から受けた依頼からはじまったこと。
捕まえるのが目的だったのだが、焼けた塔で倒れていた後どうなったかは分からない
同時に、あれほどロケット団に執着していたことも気にかかる
ともあれ、行方がわからない上、手がかりもないことにはどうしようもない

とその時、律は服を軽く引っ張られる感覚を覚えた
引かれるほうに振り向くと、すぐに原因がわかる
唯だ
だが、その唯もどこか真剣な面持ちで足をとめている

律「どうしたんだ、唯」

唯「ねぇ、りっちゃん。おかしくないかな?」

律「?」

律は唯の言っている意味がわからない
そしてそんな律の様子を見た唯が説明をはじめた

唯「……さっきから野生ポケモンがいないよね……それに静かすぎるよ」


847VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:05:58.68ZiggdEpio (14/24)


言われ律が周りを見渡した
身長ほどもある草、茂るように豊かな木々、そして地面に大きな影をのこす岩場
そのどこにもポケモンの姿がない
そしてそのことに気付いてみれば、連鎖的にほかのことにも意識は向かう

律「たしかに……静かすぎるな」

のんびりとした農場地帯にしても、この静けさは異常すぎる と思う

唯「やっぱりだよね」

だが、そうはいったものの二人には原因がまるで分からない
だから

唯「のどかな風景なんだけどねー」

暢気に言うが、その声色に警戒の色は隠せない

律「おい、唯……原因がわかったかもしれない……あそこだ」

律が指差した先、そこには違和感があった

唯「なにあれ……?」


848VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:07:30.79ZiggdEpio (15/24)


共に捉えた視界の先
広大な草原に朱い体がある
そしてそれが立つ地面の草は焼き払われ、土がむき出しにされている

律「私は一度みたことある……」

律の記憶の中
思い出されるのは先日のことだ
焼けた塔――その地下で気を失う前に見たポケモンの一匹


No.244 エンテイ
ほえると かざんが ふんかする。
みなぎる ちからを おさえきれず 
みちという みちを かけめぐる。


849VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:10:17.34ZiggdEpio (16/24)


律「伝説の一匹か!!」

その言葉を言ったとき、圧倒的なプレッシャーがきた
思わず後ずさりそうになりながら、律はそれでもそれを見据える
横を見れば唯も気圧されているようにも見える

そしてそのプレッシャーは

律「来たっ!!」

熱量を伴いながらその体が大地を踏んだ
駆ける。足元の草がその足に踏まれるたびに焦げていく
やがて駆け出したその獣はスピードを捉える。一直線に
ただ律を目掛けて



850VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:13:32.94ZiggdEpio (17/24)




律が反応したのはそのスピードの初速を見届けてからだった。
臆したわけではない
ただその毛並みを風に揺らしながら走る姿が美しく見えたからだ
だが、それをゆったりと眺めているほどの余裕もない
だからモンスターボールに手を伸ばし、開閉スイッチを押そうとしたとき

唯「行って、カラ太!!」

律の少し後ろ、そこに立っていた唯が律よりはやく行動を起こしていた
エンテイと律たちの間、その一直線上に飛び出たカラカラが骨を前に構える。
突進に備えるために

律「唯っ!!」

唯「りっちゃん、二人で行こう。きっと余裕を出していられる相手じゃないよ」


851VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:14:55.21ZiggdEpio (18/24)


言っているうち、エンテイとカラカラがぶつかった
カラカラの骨が軋む。かろうじてその巨体を受け止めたが、
どうしてもその体格差の前には押されてしまい
やがて

カラカラ「!?」

真後ろへと吹き飛ばされた

唯「カラ太!!」

律「行け、アリゲイツ!!」

唯のカラカラが後ろへと吹き飛ばされたかわりに、律がアリゲイツを繰り出す
だが――エンテイが飛び出してきたアリゲイツに向かい一吼えした
呻りに近いその声に律は大地が揺れたかのような感覚にとらわれる


852VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:16:42.05ZiggdEpio (19/24)


エンテイ「―――」

アリゲイツ「!!」

アリゲイツの勢いがその遠吠えだけによって止まる
まるで声という実体がアリゲイツを押し返したように……

律「アリゲイツ!?」

だが、その遠吠えをするためにエンテイの足も止まり、
場が硬直した。

そして吹き飛ばされたカラカラも体勢を立て直しエンテイの前に立ちふさがる
現在この場にいるのは3体
うち2匹はこちら側で数ではこちらが有利だと思う
だが同時に

律「(……体格差が違うか)」



853VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:17:16.89ZiggdEpio (20/24)


こちらのモンスターはどちらかというと小型のモンスターである
体格差だけで勝負は決まるわけではないが、やはり直接のぶつかりあいでは大きな要因となる

律「なら……手数でいくしかないか」

唯と目を合わせると、同じことを考えていたのかコクリと頷いた
そして

唯「カラ太、ボーンラッシュ!!」

律「アリゲイツ、隙ができたところに冷たい一撃をぶち込んでやれ!」

カラカラが前へと飛び出しながら、宙へ跳んだ
目指すはエンテイの頭
そこを目掛けて振り下ろし骨で打撃する



854VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:17:51.29ZiggdEpio (21/24)


エンテイ「――グルル」

真正面から頭で受け止めたエンテイがその攻撃に唸った
だが、攻撃は終わらない
そのままエンテイの懐へと着地したカラカラが今度はエンテイの顎をめがけて突き上げた

巨体がわずかだが揺れる

唯「カラ太!!もう一度上から揺らして!」

再びカラカラが跳び上がり、今度も頭を目掛けて振り下ろす
だが、今度はそれだけではない
もう一つ動きがある。
――アリゲイツだ。


855VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:18:44.87ZiggdEpio (22/24)


カラカラのさらに上へと飛び上がったアリゲイツがそのままエンテイの胴のほうへと、
滑空するかのように飛び越えて行き拳を作る。
拳に纏うのは冷気だ。

律「冷凍パンチ!!」

その指示と共にエンテイの体めがけて拳が振り下ろされた
――よし、決まる
そう確信した律だが、それはすぐに裏切られることになる

律「!?」

気がつけば、アリゲイツの体を泡のようなものが包み込んでいた
そしてその泡は攻撃の勢いをとめることにまで成功している

唯「え?」

律「なんだ……?」


856VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/01(金) 23:19:35.68ZiggdEpio (23/24)


律があたりの風景を観察する
これはあきらかに水タイプによる攻撃、つまり目の前のポケモンの攻撃ではない
ということは、あきらかに第3者による介入があった証拠だ
そして律はあることに気付く

律「(エンテイがこっちを見ていない……?)」

唯「りっちゃん、あれ!!」

今度は唯がとある方向を指差した
それはエンテイの見ている方向。
そしてそれは律から見てずっと東の位置。

そこに水晶のような体をもった透き通るような青のポケモンがいた


「VSエンテイ 〆」



857>>856訂正版2011/04/01(金) 23:33:26.65ZiggdEpio (24/24)


律があたりの風景を観察する
これはあきらかに水タイプによる攻撃、つまり目の前のポケモンの攻撃ではない
ということは、あきらかに第3者による介入があった証拠だ
そして律はあることに気付く

律「(エンテイがこっちを見ていない……?)」

唯「りっちゃん、あれ!!」

今度は唯がとある方向を指差した
それはエンテイの見ている方向。
そしてそれは律から見てずっと東の位置。

そこに水晶のような体をもった透き通るほどの青のポケモンがいた


「VSエンテイ 〆」


858VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2011/04/02(土) 00:28:12.08tEyJ+7cAO (1/1)




859VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/02(土) 01:52:44.94EpXF/UlDO (1/1)


唯一神様きたか


860VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/02(土) 09:43:37.66zYLu0E1AO (1/1)


続きが気になる。


861VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/04/03(日) 09:54:24.41/+Ac3sCSo (1/1)

乙です


862VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/04(月) 07:15:06.40SoeCn1PAO (1/1)

俺の中で
唯→一年次学祭
律→制服

で再現されるんだが


863VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大阪府)2011/04/04(月) 13:04:55.85+Ta1krQr0 (1/1)

フレドラをおぼえちゃった唯一神さまなんて唯一神さまじゃない!!


864VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/04/04(月) 13:36:38.78buMa/1BAO (1/1)

俺も律ちゃんは制服の夏服のイメージ


865!ninja2011/04/05(火) 02:16:46.96YMTXos50o (1/1)

乙ですわあ


866VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/05(火) 21:44:43.98Iy+FP2rIO (1/1)

各シリーズの女主人公の服装で勝手に脳内補完していた
律はリメ金銀の服装がなんか似合わないからクリスタル版で


867VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/08(金) 11:25:02.7219xwk1UAO (1/1)

このSS3周くらい読みまくると、完璧に頭でアニメが出来上がる


868VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/08(金) 19:39:36.34GQdHTkgQ0 (1/1)

今日くるかな?


869 ◆KyDuLODZns2011/04/11(月) 00:10:57.129Z5oHP53o (1/34)

遅くなってごめんよー。
とりあえず、服装については自分も描写を避けてきたから、各々で好きな風に補完していただければと
最初服装描写はみんな制服にしようかと思ったけど、この世界で制服はどうよ? とか突っ込まれるのが怖くて、一切服装描写かかなかった
ただなにかしらみんな鞄はもっていることにしといておくれー

では


870VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:11:48.299Z5oHP53o (2/34)


さきほどまでの乾燥した空気が少し湿りを帯びていた
北風だ
水気を含んだ風が、なでるように彼女達の髪をさらしていた

律「唯……少しいいか……?」

唯「ん……なにかなりっちゃん?」

さきほどまで熱を帯びていた戦場が時を止めていた
カラカラも、アリゲイツも、そしてエンテイですらも
突然現れた来訪者に誰もが目を奪われていた

No.245 スイクン
いっしゅんで きたなく にごった 
みずも きよめる ちからをもつ。
きたかぜの うまれかわり という。


871VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:14:55.249Z5oHP53o (3/34)


律と唯の手に持った図鑑がそれの情報を示す
だが、それを気にもとめず律が言葉の続きを作った

律「悪い、唯。少しこっちを頼んでいいか。私は……あいつと向かい合わなきゃいけない気がする」

律は自分自身ですらもよくわからない感覚にとらわれていた
出た言葉の理由もなんとなく感じたからにすぎない
だが、それでも

律「頼む唯」

唯「うん、りっちゃん。こっちはまかせてよ」

律「……悪い唯。行くぞアリゲイツ」

そして彼女は走り出す。
少し遠く離れた場所に見える水色のポケモンの元へ
またそのポケモンも彼女を待っているかのようにただそこへ立ち尽くしていた



872VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:16:28.799Z5oHP53o (4/34)




唯「さぁ、ごめんね。少し私につきあってもらうよ」

目の前の朱の体を持つポケモンに話しかける
すると目の前のポケモンも唯と向き合った

エンテイ「―――」

声にならない咆哮がまるで返事のように聞こえた
――構わない
まるでそういっているかのように

唯「君は……ううん、なんでもないや」

「さてと、やっぱりここは大きいポケモンで対抗するべきかな?」

唯の手持ちには大型のポケモンも存在する
だから、今目の前の力に真正面から対抗するにはポケモンを替えるという手もある

……どうしようっか

そう数瞬悩んだとき、目の前のカラカラがこちらを振り向いていた


873VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:18:21.849Z5oHP53o (5/34)


カラカラ「カラっ!!」

まだいける、その鳴き声はまるでそういった意味を含んでいるかのように思えた
だから

唯「そうだね、カラ太。うん、カラ太なら勝てるよ。だから――」

「やってみよう」

その言葉にカラカラも頷いた
そして

カラカラ「カラッ!?」

カラカラの体が眩いほどの光りに覆われる
その光りの中外観が変化していく
より逞しく、より機能的に


874VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:20:19.889Z5oHP53o (6/34)


ガラガラ「――!!」

No.105 ガラガラ
ははおやに あえない かなしみを のりこえた 
カラカラが たくましく しんかした すがた。
きたえられた こころは かんたんに くじけない。

唯「カラ太も進化したっ」

ガラガラ「ガラッ!!」

唯「いけるね、カラ太?」

さきほどよりも手に持った骨にも力が入っている
それがガラガラの返事
だから

唯「お待たせ、ごめんね?」

目の前のエンテイにそう言うと、ガラガラが飛び出した
そしてエンテイも真正面からぶつかりに来る

唯「(あれ……お待たせ……?)」

ふと自分の言葉に疑問が生まれた


875VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:22:26.859Z5oHP53o (7/34)




ガラガラが地面を蹴った

唯「ホネこんぼう!!」

2度目の真正面からのぶつかり合い
カラカラのときはすぐに吹き飛ばされてしまった
だが、今は巨体と押し合うこともできるようになっている

唯「……でも、やっぱり力は向こうのほうが上みたいだね」

エンテイ「――!!」

叫びと共に押し合っていたエンテイがガラガラの懐に頭を潜らせた
そしてそのまま、ガラガラを真上へと放り投げる

ガラガラ「!?」

唯「大丈夫、カラ太、落ち着いて。それほど飛ばされてないよっ」


876VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:24:22.689Z5oHP53o (8/34)


言葉にガラガラが落ち着きを取り戻し、クルリと空中で回り体勢を整えた

唯「ずつきだよ」

重力に任せ地面へとまっすぐに向かう
そこには待ち構えているかのようなエンテイがいる
そして

――ガンッ

大きな音が響いた
ガラガラがエンテイの頭に己の頭をぶつける音

エンテイ「――!!」

当然勢いをつけた攻撃には反動もある
だが、ガラガラはその反動で後ろへと着地し、また攻撃態勢を作る


877VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:27:49.599Z5oHP53o (9/34)


唯「みねうち!」

今度はガラガラが懐に入り込む
足とその胴体の間。エンテイのそこへと滑り込んだガラガラが一気にホネを降りぬいた

――

打撃音だけがその場に残る

そんな攻撃にエンテイがぐらりと揺れた
そして足を曲げ、地面に伏すような姿勢を作る

――バキッ

今度はなにかが折れる音がした
見れば、ガラガラの持つ骨が真っ二つに折れている


878VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:28:57.139Z5oHP53o (10/34)


唯「ふぅ……痛みわけだね」

伏したエンテイへと唯が近づいていく
そして自分のカバンからきずぐすりを取り出すと

――シュゥゥ

エンテイの足の部分へとスプレーし始めた

エンテイ「……」

唯「……君はなにかを試しに来たね?あるいは私達のことを計りにでもきたのかな? あの水色のポケモンも……」

エンテイはなにも答えない
だが、唯の独り言のような言葉は続く


879VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:30:48.939Z5oHP53o (11/34)


唯「君は炎のポケモンなのに、闘いの途中一切炎を使わなかった。そしてさっき私達の準備が整うまで待ってくれていたね」

エンテイ「……」

唯「あはは、分かるよ。だって待ってくれる相手っていうのは大抵こっちを思ってくれているってことだからね」

とあるジム戦のとき闘いの最中に待ってくれた人がいた
まるでこちらの万全を出し切れるように と
そして先ほどのガラガラへの進化の間、目の前のポケモンも待っていてくれた
それが先ほどの自信の疑問の答え
正解かどうかなど分からないが、それが不思議と間違いではないような気がした

唯「ふぅ……よっし、とりあえず手当ても終わり。次はカラ太の番だね」

ガラガラ「ガラッ!!」

唯「君ももう行っていいよ。あ、でもりっちゃんの邪魔はしないであげてね」

「……さてと、カラ太も逞しくなっちゃって、ふふふ」

ガラガラ「ガラッ!!」


880VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:32:14.319Z5oHP53o (12/34)


唯とガラガラがじゃれあいはじめる
が、エンテイはその様子を見守ることなく立ち上がり

エンテイ「……」

そのままもう一つの戦場を見つめると、朱の体が毛並みを揺らしながらまったく別方向へと走りだす
唯たちとの距離はどんどんと離れていく
だが、一度だけ足を止め遠くでガラガラとじゃれあう唯のほうを見た
唯とガラガラはそのことには気付かない

エンテイ「――」

ゆっくりとエンテイが一つの動作を作る
その様子はまるで唯たちに頭を下げたかのように見えるものだった


「VS ガラガラ」 〆



881VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:35:17.679Z5oHP53o (13/34)

あら、予想以上に短かったからもう一個いくお


882VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:37:49.079Z5oHP53o (14/34)




律「この羽を置いていったのはお前か?」

律の目の前には青いポケモンがいた
スイクンと認識されたそのモンスターは伝説とされているが、
律がそのモンスターを見るのは2度目だった

そして

スイクン「……」

律の質問に対するスイクンの答えは無言だった
吼えるわけでもなく、唸るわけでもなく、ただ沈黙する
それがそのポケモンの答えだった


883VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:40:14.759Z5oHP53o (15/34)


律「……私がこっちの鈴を手に入れたから、慌てて取り返しにでもきたのか?」

2度目の質問に対する答えは――

律「バブル光線か!! アリゲイツ!」

泡による攻撃だった

アリゲイツが律に呼ばれ、だされた泡をその爪で割ろうとするが

――バチン

アリゲイツの攻撃を受ける前にそれが破裂する
だがその泡の中からは、2つめの攻撃が仕込まれていた

……目晦まし!?

まるで泡の中に強引に光りを押し込み、割れたことによって中の光りが一気に開放されたかのようにそれが炸裂した。
それはまるで天然の閃光弾を連想させる
そして律もそれに気付いたときには、思わず目を閉じてしまっていた
やがて目を開けば驚くような光景がある
その数瞬の間、あたりの光景はさきほどとはまったく別の世界になっていた


884VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:42:15.149Z5oHP53o (16/34)


律「っく……しろいきりか!!」

真っ白の霧の世界
ふと頬に違和感を感じた律が己の頬に手を伸ばした

律「(……氷の粒が混ざってるのか……)」

そして

スイクン「――!!」

姿の見えないスイクンの鳴き声だけが響いた
同時、突風が発生する
氷の粒を巻き上げながら、風が向かう先は
――あたりを見渡しながらその姿を探していたアリゲイツの元だった

アリゲイツ「!」


885VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:43:45.409Z5oHP53o (17/34)


無防備なアリゲイツを氷を含んだ風が襲う
小さな氷の粒とも言えど、風に乗り勢いをつけたそれはアリゲイツの身を削っていく
まるで刃――あるいは弾丸のような氷だった

律「アリゲイツ、水鉄砲でこの霧を吹き飛ばせ!!」

風と氷に耐える中、アリゲイツはその声を聴いた
そして、一度大きく息を吸い込んだ。
口の中に氷が入ってくるが構わない

そして

アリゲイツ「――アリッ!!」

水を噴射した


886VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:46:46.629Z5oHP53o (18/34)




まっすぐにアリゲイツの口から発射された水が霧の中を走っていく
霧の中を裂くように割断したそれが一本の道をつくった

律「よしっ、アリゲイツ。霧を抜けよう。そのまま水を出しながら走れ」

言いながら律が一歩を踏み出したとき、急にそれがきた
水流だ
アリゲイツの水流を押し返すように、真正面からその水流はきていた

律「押し合いか。負けるなよアリゲイツ!」

中空で起こるのは水と水のぶつかりあいだ
そしてぶつかり合った水は弾け、少しずつだが、霧を晴らしていく

律「(……やばい、押されてるか……向こうのほうがパワーは上)」

そう考えたとき、アリゲイツに一つの動きがあった
正確には、アリゲイツにではない、アリゲイツの周りにだ


887VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:49:21.669Z5oHP53o (19/34)


風だ

再びアリゲイツの回りを囲むように、突風が渦巻いていた
そして風は中心のアリゲイツへと範囲を狭めていく。――氷の弾丸つきで

律「まずい、アリゲイツ! 回りを見るんだ」

だが遅い
アリゲイツの反応は間に合わず、風の中に飲み込まれていく

律「……アリゲイツ!!」

なぜ……?
水鉄砲を撃ちながら、風による攻撃。そんなことができるのか……
そんな疑問が頭に浮かぶ

霧が晴れる
白の世界は再び緑の世界に戻ろうとしていた


888VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:50:36.159Z5oHP53o (20/34)


律「あれは……!!」

律が見たのはさきほどまでアリゲイツが水鉄砲を撃っていた方向――真正面だ
そこにスイクンがいたわけではない
ただそこには

律「ミラーコート……」

草原に不自然な水で作られた鏡のようなオブジェ
特殊攻撃を倍にして返す技がそこにあった

やられた……
律はそう思う。押し負けていた理由も理解した
考えてみれば、気付けたのかも知れない
わざわざ霧をはったというのに、自分の位置を知らせるような攻撃をするだろうか
そんなことに思い至っていればもっと別の方法があったのだろう


889VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:52:10.839Z5oHP53o (21/34)


スイクン「―――」

律の真後ろから透き通るような鳴き声が聞こえた
風が止む。霧と風両方がなくなった今、この場にいるのは律とおそらくその真後ろにいるであろうスイクン。
そして今攻撃を受けてなお立ち上がろうとするアリゲイツだ

律「ここまでか……アリゲイツ、戻れ」

告げた。それは己の力のなさを告げる敗北宣言
だが

アリゲイツ「――」フルフル

アリゲイツが首を振る
それはまだ負けていないという闘うための意思だ

律「……そっか……お前も私と一緒で負けず嫌いだったんだな」


890VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:54:42.549Z5oHP53o (22/34)


その言葉にコクリとアリゲイツが頷いた
……ならば
やることは一つだ。
もう一度あの水の獣を見据え、こいつに勝たせてやる。
それだけだ

だから

一歩、後ろに右足を引いた
そしてその足を軸にクルリと振り返ると

やはりそこにはスイクンがこちらを見つめながら待っていた

律「お前がなにをしにきたかは分からないけど、ここは勝たせてもらう……」


891VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:56:12.439Z5oHP53o (23/34)


アリゲイツも再び律とスイクンの間に立ちふさがろうと歩み出す
アリゲイツの視界に律の背中が写る
一歩踏み出した。彼女はまだ遠い
二歩目を蹴った。彼女の背中が近づいた

そして己の体が光っていることを認識した

これではいけないとアリゲイツも思う
自分は守られる側ではなく、守る側でなければいけない
そのためには彼女より前に出なければ、それが叶わないことを知っている
少し前、自分のトレーナーが悩んでいたことも知っている
それは無力さにだろうか、それは自分には分からないが自分がもう少し強ければなんとかなったのではないか
そう思う

三歩目でようやく彼女に並んだ
自分の体が彼女を見下ろせるほど大きくなっていることに気付いた

そして四歩目
目の前の伝説はまっすぐとこちらを見据えていた

背中越しに彼女の声が聞こえる
新しい自分の名前。

律「オーダイル!!」


892VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 00:58:18.589Z5oHP53o (24/34)




律は目の前のスイクンをじっと見つめながら考えていた

……なぜこの時間を待っているのだろう?

私を攻撃をするならば今がチャンスだろう
だけど目の前の敵は、待っている
まるで私を計るかのように
そしてアリゲイツがもう一度自分の前に立ちふさがるのを待ち望んでいるかのように

ならば、このポケモンにもなにか理由があるのかも知れない
それはなにかはわからない
だが、相手が私にこれ以上を望むというのならば思い知らせてやろう
私とアリゲイツはまだやれるってことを


893VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:00:33.119Z5oHP53o (25/34)


――ザッ

背中でアリゲイツの歩みよる音を聞く
それは力強く、負けないという意思による一歩

そして二歩目の歩みの音がする

振り向いて確認しなくても分かる
今、自分のアリゲイツは進化の時を迎えていると

三歩目。さきほどよりもさらに力強く大地を踏む音がした
並んだ。横を見てみればとうに自分の身長などを越してしまったかつてのアリゲイツの姿がある
そして図鑑が開いた

No.160 オーダイル
おおきな からだを もっているが 
ちからづよい うしろあしを つかって 
ちじょうでも すばやく うごく。


894VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:02:56.449Z5oHP53o (26/34)


律「(オーダイル……)」

この地方にきて初めて仲間になったパートナー。
ワニノコがアリゲイツにそして今オーダイルにまで進化した
ならば、今この新しい名前でよんでやろう
精一杯の信頼を込めて

四歩目、オーダイルがとうとう私の前へと歩みでた
大きな背中はワカバを旅立ったころとはまるで違っていた

律「オーダイル!!」


895VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:04:21.039Z5oHP53o (27/34)




呼びかけと共にオーダイルが前足を地面にべったりとつけた
這うような格好になるが、これが一番スピードの出せる格好だ
そして

律「アクアジェット!!」

口から出した水流を後ろに発射し、そのまま体を突っ込ませた
速さは威力に直結する
まるでそう言わんばかりのスピードで巨体がスイクンに突進していく

だがスイクンもまたそれを避けることはしなかった
真正面、オーダイルが突っ込んでくるほうへと四肢で大地をけり駆け出した

――神速
そのスピードをもってスイクンはオーダイルに対抗する
直後、大きな音と共にその場が震えた


896VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:06:21.699Z5oHP53o (28/34)


スイクン「――!!」

だが、2匹は衝突後、距離を取ることはない
零距離。その位置で二匹の意地がぶつかり合っていた
だが、そこにさらなる介入がある
オーダイルに勝たせてやろうとする思いをもった律の指示が――

律「オーダイル!!」

組み合ったオーダイルが下から突き上げるように力を入れる
ゆっくりと……だが、たしかにスイクンの体が宙に浮いていく
そして頭上にまで持ち上げたとき、そのまま

律「――ばかぢから!!」

投げつけた。
スイクンの体が不安定なまま宙を滑空する
だがやがて、重力にひかれて地面に落ちるが
それでもその勢いは止まらず、砂煙を巻き上げながら地面を滑る



897VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:08:18.279Z5oHP53o (29/34)


律「よっし、やったなオーダイル!!」

オーダイル「――!!」

律「にしても、大きくなったなぁ」

言うとオーダイルが嬉しそうに鳴き声をあげた

律「なんだ、そんなに大きくなってもあんまり中身は変わってないんだな」

律がオーダイルの背中をなでながら、
ワニノコと旅立ちの頃を思い出す

律「(そういえばあの時噛まれたんだっけな、はは)」

少し苦笑いをして、ポンポンと軽く叩いた


898VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:10:26.069Z5oHP53o (30/34)


律「さてと……」

息を吐きながら言うと、もう一度砂煙のほうを見た
そろそろ砂煙が晴れる頃、そこにスイクンの姿が――
――あるはずだった

律「いない……?」

晴れたその場にスイクンの姿はない
だが、そのさらに向こう。50mほど先の位置に唯がいるのを確認した

唯「おーい、りっちゃーーん、大丈夫」

走りながら彼女はこちらに手を振っていた

律「おい転ぶなよー、唯ー」

唯「うわっと……」

律「言った側からかよっ!!」


899VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:12:27.319Z5oHP53o (31/34)


唯がエヘヘと頭をかきながら、律の前へとたどり着いた

律「ったく、そういうところは変わってないなぁ。」

唯「あはは、そんなに褒めてもなにもでないよ?」

律「褒めてねーよ!!」

唯「ふぅ……にしてもりっちゃん大丈夫だった?」

律「あぁ、まぁな。ふふん、唯にも見せてやりたかったぞ私とポケモンの勇士」

唯「むむっ、私のポケモンだってかっこよかったよ!!」


900VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:14:10.449Z5oHP53o (32/34)


唯と律が顔を見合わせ同じタイミングで笑い声を上げた
彼女達の南には光りがある
灯台だ。すでに夕刻となった空を裂くように一筋の光りがくるくると回っている
次の町は港町だ。それゆえ灯台が設置されている

律「行こうか」

唯「だねっ」

目指すのはアサギシティ
灯台の光りがまるで彼女達を歓迎するかのように彼女達を照らしていた


901VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:16:43.019Z5oHP53o (33/34)




――とある道路

満月を背にしたとある大きな岩場の上、3匹のポケモンがいた
一匹の体は朱く、一匹の体は青く、そしてもう一匹は黄色かった

やがて集まるべくして集まった3匹のポケモンは互いに顔を見合わせ、コクリと頷いた
そして

エンテイ「――」

スイクン「――」

ライコウ「――」

三匹が満月に向かい咆哮をあげた
それはまるでなにか嬉しいことがあったかのように
そしてなにかを確信したかのように



「VS オーダイル」 〆


902VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 01:17:41.469Z5oHP53o (34/34)

3獣の鳴き声が……わからない……かゆ……うま……


903VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/11(月) 08:20:38.79KqyYH4d40 (1/1)

おつ


904VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/11(月) 09:54:01.41s9vrmGiAO (1/1)


アリゲイツ進化のところもんすごく感動したわ


905VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟・東北)2011/04/11(月) 10:51:06.026Ds/RgHAO (1/1)




906VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/04/11(月) 16:54:27.94okd05KLYo (1/1)

唯のキャラが…


907VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/12(火) 22:10:11.02rhIDWWVAO (1/1)

おつ
唯がストーリー通して成長してるのが凄くわかりやすくていい
そんななかいつもの調子でボケるあたりもいい



908VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/13(水) 01:08:15.05Mz32snTt0 (1/1)

乙!
御三家も最終進化で幼馴染ポケっぽいガーディより早い進化か

もう900だけどスレどうすんの?
見た感じではあと2話くらいはいけそうだけど


909VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/13(水) 20:02:41.39aRqj0s4DO (1/1)

乙乙
38ばんどうろってミルタンクでてくるところだっけ


910!ninja2011/04/15(金) 22:06:36.42QYn2ME/zo (1/1)

おつ!


911VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/16(土) 14:37:40.79xw1kq6mAO (1/1)

唯がジムに挑戦するって事は律はどうするんだろう?めっちゃ気になるし楽しみ


912VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/04/21(木) 01:36:56.32y2QBY3bgo (1/1)

乙です


913VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/21(木) 10:49:41.633BsMi/mAO (1/1)

今日来る予感


914VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/04/22(金) 13:34:16.522iCvsNuAO (1/1)

唯がポケモンに懐かれるのが得意なら、律はポケモンの力を最大限に引き出すのが得意なんだな。


915VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/26(火) 22:17:18.71FzQaldsZ0 (1/1)

乙です
今日くるかな?


916VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)2011/04/30(土) 14:43:53.89d8TZpR2fo (1/1)




917VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/04/30(土) 17:50:49.46/efVyKeT0 (1/1)

ここに保守はいらない


918VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/02(月) 00:06:21.658+npS5iAO (1/1)

まだかな?忙しいのだろうか


919VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/09(月) 02:37:57.225Mq82WVAO (1/2)

>>1まだー?


920VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/09(月) 04:30:10.92oLt0jGOSO (1/1)

忙しいのか……
まさか……


921VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/09(月) 14:24:07.395Mq82WVAO (2/2)

逃亡はいやだ!
このSS楽しみにしてるのに!


922VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/05/09(月) 16:24:09.49kQsEX7zAO (1/1)

気持ちは分かるが>>1が帰ってくるまで、投下分のレス数は残しておけよ


923VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/11(水) 21:59:59.81j6fFxG3t0 (1/1)

おれはいつまでも待つぞ


924 ◆KyDuLODZns2011/05/19(木) 01:39:34.73UGsF972/o (1/24)

また間が空いてしまった……
ごめんなさい


925VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:40:29.15UGsF972/o (2/24)


――アサギシティ

夜の港町。
空の高い場所に光りが点滅を繰り返していた。
その光りの発生源は街のシンボルともなっている灯台だ。
そしてその足元、二人の少女が灯台を見上げ、

唯「りっちゃん、見てみて灯台だよ!灯台!」

律「うおっー、近くでみると大きいなぁ」

唯「りっちゃん!」

律「唯!」

言うと二人は顔を見合わせ

唯・律「海だーー!!」

暗い海に向かって声を上げた


926VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:41:00.11UGsF972/o (3/24)


律「って、唯お前はカントーで何度もみてるだろー!」

唯「ふふふ、りっちゃん海にきたら叫ぶルールがあるんだよ!」

律「聞いたことねーよ」

唯「ぶぅぶぅー、ノリわるーい。りっちゃん」

律「あ、そうだ……」

唯が疑問の顔を作った横、律が自分のカバンを漁り一つのモンスターボールを取り出した

唯「? ……オーダイル?」



927VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:42:14.28UGsF972/o (4/24)




――ポケモンセンター

律「たく、唯が悪いんだからなぁー」

唯「えっー? りっちゃんだよー」

二人はびちょびちょに濡れた全身をタオルで拭いながらぼやいた。
髪の毛からはまだほのかに磯の匂いが漂っている

律「にしても……派手に落ちたなぁ……」

唯「りっちゃんが初波乗りだー、とか言ってもう暗いのに練習をはじめたせいだよー」

律「……唯もノリノリだったじゃん! 自分も「ずるーい、リュー太私達も!」とか言ってはじめたくせに」



928VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/05/19(木) 01:42:41.64G/LF03Gjo (1/1)

キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!


929VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:42:46.99UGsF972/o (5/24)


唯「うぅ……にしてもなんだったんだろうねー、あの渦潮」

律「なんかもうちょっと海にでると渦潮が名物みたいに発生してるらしいけど……」
  あんな街から近くでなんてなぁ……」

唯「ぷぷぷ、あの時のりっちゃんださかったね」

律「なにをっー!?」

唯「焦ってバランス崩して海に落ちちゃうなんて」

律「むむ、その後唯も落ちただろー!」

唯「私は落ちたりっちゃんを助けようとしたんだもん」エヘン

律「ぐぬぬ……」

唯「ふっふっふ……ハクシュン」



930VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:43:26.83UGsF972/o (6/24)


律「……着替えようか」

唯「だねっと……明日はジム戦かー」

律「そういえば、ジムの明かり点いてなかったな……」

唯「夜だからじゃない?」

律「……そっか。そうだよな」

唯「さてと、今日は寝ますかー」

律「風邪引くなよ」

唯「りっちゃんこそ」


931VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:45:16.79UGsF972/o (7/24)




――アサギジム前

律「いない……!!」

唯「なんでだろうねー」

ジムの前で二人がドアノブに手をかけて開こうとすると、鍵の錠が音を立てた
そして二人はジムの横の窓へと回り込むと

律「……なんか最近こんなんばっかだなぁ」

唯「あ、やっぱりジムの中は空っぽだね。電気も点いてないや」

律「どうみても、これ覗きだよなー」

唯「うーん、どうしたんだろう……」

律「よし、人に聞いてみよう」

言うと、律が手上げて通りすがりへと声をかけた

律「おーい、すいませーん!ここのジムって……」


932VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:46:16.30UGsF972/o (8/24)




――灯台前

律「まったく、ジムリーダーが灯台でなにしてるんだよー」

唯「まぁまぁ」

律「………唯、今灯台見学できて嬉しいなぁ とか思っただろ」

唯「ギクリッ……」

すると律が肩をあげてやれやれとポーズをつくると

律「……まぁいいや。でもジムリーダー探しにきたんだからな。本分を忘れるなよ」

唯「了解であります! りっちゃん隊長」

律「んじゃ、いきますかっと」


933VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:47:10.15UGsF972/o (9/24)




――灯台1階

唯「ねぇねぇ、りっちゃん」

律「ん?」

唯「灯台ってさ、お昼も普通は灯りついてるよねー?」

律「まぁそうだなぁ」

唯「ここ入ってくる前に見上げたとき、灯りついてなくなかった? それに昨日のよるもなんかチカチカしてただけ

のような……」

律「そうだったかー? 昼間は明るかったから見えなかっただけじゃないのか? 夜はそれどころじゃなかったな…

…」

唯「うーん、そうかなぁ……」

律「ほら唯、階段、足元気をつけろよ」



934VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:48:23.14UGsF972/o (10/24)


――灯台3階

唯「うーん、ジムリーダーっぽい人いないねー」

律「っていうか、人がいないな」


――灯台4階

律「うお、穴が空いてる」

唯「あ、でも見てりっちゃん。下の部屋のところにまた階段があるよ」

律「……うーむ、他に上に上がる階段はないし……降りてみるか」



――灯台5階

唯「ほらね、りっちゃんやっぱり一回降りてまた上るのが正解だったんだよ」エヘン

律「だれだよ……こんな構造考えた奴」

唯「うーん、みんなきっとみんなエレベーター使うんだろうね」




935VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:49:13.80UGsF972/o (11/24)


――灯台6階

律「おおっと、ここが最上階か」

唯「おお、ナイスな眺めだね」

二人がたどり着いたのは360度ガラス張りの窓になっている部屋だった
そこには小さなベッドなども置かれているが、

律「……ん? あそこにポケモンがいるぞ」

唯「え? あ、ホントだー」


No.181 デンリュウ
シッポのさきが ひかりかがやく。
ひかりは はるか とおくまで とどき 
まよったものの みちしるべとなる。



936VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:50:26.68UGsF972/o (12/24)


律「へぇ、あ、じゃぁあいつがこの灯台の光りの源かー」

唯「………」

律「唯……?」

律の疑問の言葉に答える前に唯がそのポケモンにダッシュした

唯「りっちゃん、あのポケモン様子がおかしいよ!」

律「なにっ!?」

律が後に続き、デンリュウの元へと駆け寄った
そして唯が丁度、デンリュウに駆け寄った時

デンリュウ「リュウ………」パタリ

フラリとその黄色の体を傾いた
だが

律「いけ、オーダイル!」

倒れそうになったところに青の巨体が飛び込み受け止めた


937VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:53:10.75UGsF972/o (13/24)


唯「……やっぱり……この子体調おかしいんだ……」

律「唯、そこのベッドに運ぶぞ。オーダイル頼む」

唯「まって、りっちゃん!! そこのベッドの影になにかいる……ってあれは足?」

律「人だ。人が倒れてる!!」

ベッドの影、そこに近づき、覗き込むと
一人の女の子が気を失い倒れていた


938VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:55:03.16UGsF972/o (14/24)




???「……うーん……ハッ、あかりちゃん!!……あれここは……」

唯「よかった……目が覚めた?」

???「え?あなたは……?」

唯「えっと唯っていうんだけど」

???「唯……さん……ですね。……なんで……あれ?ちょっと待ってください少し記憶を整理する時間を……」

そのとき、部屋の隅、ちょうどベッドのほうでまた違う声が上がった
律だ。

律「唯、駄目だ。おそらく毒系統にやられてると思うんだけど、毒消しがきかない」

???「!! そうだあかりちゃん!」

言うと、女の子がガバッと立ち上がり、ベッドへと駆け寄った


939VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:55:42.29UGsF972/o (15/24)


律「あ、目が覚めたのか」

唯「うん、こっちは大丈夫みたい」

律と唯がベッドに駆け寄った女の子を見て、息をついた
そして

律「ごめん、悪いんだけどちょっと事情を説明してくれないか?」

律が女の子の肩にポンと手を置いた
すると、女の子が長い髪を揺らしながら振り返り

???「……はい、すいません。ですが、私からも一つお願いがあるんです」



940VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:57:16.53UGsF972/o (16/24)




………
……


律「で、ミカンちゃんだっけ? その話しは本当に……」

ミカンと名乗った少女が、律の言葉に頷きながら

ミカン「はい……たしかに本当です。昨日の夕方いきなりロケット団と名乗る集団が現れたと思ったら、
    この部屋を占拠しだして抵抗したアカリちゃんと私を……」

律「……ふぅ……またロケット団か……」

ミカン「!……なにか知ってるんですか?」

律「いや、悪いんだけどここがなぜ狙われたとかはわからない」

ミカン「そう……ですか……駄目ですよね、私……友達になったポケモンすらも守れないなんて……
    せめて自分のポケモンを持ち歩いていたら……
    いえ、すいません言い訳ですね。忘れてください……」


941VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:57:59.46UGsF972/o (17/24)


すると今まで黙って話しを聞いていた唯がミカンの手を取った
そして彼女と目を合わせると

唯「ううん、違うよ。この子は倒れそうになりながらも、あかりを灯してた……昨日の夜たしかに見たもん」

唯「あれはきっと、あなたを助けようとして助けを呼ぶ救援光だったんだよ。だから……」

唯「ミカンちゃんがこの子を助けようとした気持ちも伝わってるよ」

ミカン「……そうでしょうか……」

唯「うん、そうだよ」

ミカン「……ありがとうございます」

唯の言葉に今まで泣きそうだったミカンがかすかに微笑んだ


942VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 01:58:48.53UGsF972/o (18/24)


律「さてと……それじゃ、いっちょ行って来ますか」

ミカン「……本当にお願いしてもいいんでしょうか」

律「はは、そんなに気にすることないよ。お使いくらいなら私にだってできるさ」

ミカン「いえ、そうではなく。 あったばかりなのに……」

律「気にしない気にしない。 で、そのタンバでひでんのクスリをもらってくればいいんだっけ?」

ミカン「はい、お願いします!! それがあればこのアカリちゃんの毒も大丈夫だと思うんです」

律「このりっちゃん隊長にまっかせなさーい」

唯「りっちゃん頼んだよ」

律「あぁ、唯もしっかりここ守っとけよ。またロケット団が来たら困るしな」

唯「イエッサー! りっちゃん隊長!」


943VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 02:01:03.80UGsF972/o (19/24)


律「……それにしても、なんでロケット団はここに来てすぐ引き上げたんだろうな……」

ミカン「……わかりませんが、ただ」

律「ただ?」

ミカン「いえ、そんなに重要なことだとは思いませんが……おそらくリーダーであろう人が、そこの窓から向こうのほ

うを見て……」

律「向こう?」

ミカンが指を指し律が見たさき、そこにあるのは海ばかりだ

ミカン「えぇ、ただ一言待っていろ、と」

唯「なんだろうね……」

律「おっと、こんなことは後でいいか。とりあえずさっさと行って来るよ」

ミカン「あ、はい。すいませんお願いします」

ミカンがペコリと頭を下げると、律が背中を向け手を上げた


944VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 02:01:49.64UGsF972/o (20/24)




唯「おー、りっちゃん行ったねー」

ミカン「どうかご無事で……」

唯「ねぇねぇ、ミカンちゃん?」

ミカン「はい?」

ベッドの横で、デンリュウの看病をしながらミカンが首を傾げた

唯「ミカンちゃんはここに結構きてるの?」

ミカン「はい、アカリちゃんは友達で、意外に寂しがりやだから……それに私はこの街の……」

唯「えっ!? ミカンちゃんこの街の…………なの!?」

ミカン「あ、はい。すいません言ってませんでしたね」

唯「………りっちゃん帰ってきたら驚くよ」

ミカン「?」


945VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 02:03:31.35UGsF972/o (21/24)




――アサギ港

律「さてと、行くか。頼むぞオーダイル」

律が海へとモンスターボールを投げ、海に浸かったオーダイルの背中へと飛び乗った

律「よし、もう落ちないぞ……っと」

そのとき、オーダイルがフラリと水の中で揺れた
そして、波が少し引き

律「これは、あの時と同じ……」

思い出すのは先日のこと
ちょうど今のようにオーダイルで波乗りをしようとしたときだ
あの時も同じように

律「やっぱり、あの渦潮はおかしいと思ってたんだよなぁ……こんな街の付近でなんて」

律「で、また今回もってか。でも、今度はかまってやれないぞ」

No.117 シードラ
オスが こどもを そだてる。
そのとき ちかづくものは 
もうどくの トゲを つかって おいはらう。


946VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 02:05:20.37UGsF972/o (22/24)


図鑑の向けた先、うずの中心点。
そこに青いトゲトゲしいタツノオトシゴのような姿があった

律「毒か……近づくわけには行かないな……でも時間をかけるわけにもいかない」

律が数秒の間口元に手を当て、

律「ならっ……渦を飲み込むほどの激流だ。ハイドロポンプ!」

掛け声とともに律がオーダイルにしがみつき、
そしてオーダイルは口を大きくあける。
その口からでるのは波に負けないほどの水流だ。

オーダイルの口から放たれた水流は渦の上から呑みこんでいき、やがて中心部のシードラを飲み込んだ

律「よしっと、あとは……」

律がオーダイルに静止を指示し、モンスターボールを取り出した
律が待つのは、波がもう一度収まるとき

律「いまだ!」

ハイドロポンプの水流が消えたあと、そこに渦はなくただ一匹、ひるんだシードラが浮かんできていた
そして、そのシードラは律と目を合わせると、もう一度渦をつくろうとするが

律「おそいよ」



947VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 02:07:38.19UGsF972/o (23/24)


律がモンスターボールをシードラへと放った
そしてそのボールがシードラを捕らえると、プカプカと水の上でゆれ
収まった

律「よっし、とりあえずシードラゲットか。ま、これが一番早いよな」

律が浮かんだボールを拾うと、ボールの中のシードラを見た

律「おおっと、まだイキがいいな。はは」

律「さて、急ぐぞ、オーダイル」

律は再びオーダイルへと指示を出し、どんどん小さくなっていくアサギの街を振り返った

律「そういえば、ジムリーダーみつけられなかったなぁ……まっ、帰ってからでいいか」



「VS シードラ」 〆



948VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 02:10:17.57UGsF972/o (24/24)

ちょいと短かったかも知れない。間が空いて本当に申し訳ないです
話し自体はできてるので、今度は近いうちにこれるようにがんばる


……もう一話くらいならこのスレでやれるよね



949VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 08:51:19.53mcHusDXJ0 (1/1)

話忘れかけてた



950VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/19(木) 12:28:28.00v7Gfy8JDO (1/1)

おおきたか
乙!

あれりっちゃんつよくね


951VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/19(木) 15:07:22.19/pk5v7CAO (1/1)


まあ無理せんでな
自分のペースも大切だろうし


952VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/21(土) 13:50:49.36bLgeYTyr0 (1/1)


投げ出さないならそれでいいと思うよ
早いとうれしいけど


953VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/21(土) 14:57:50.46fav60aDAO (1/1)

シードラか
唯の持ってるりゅうのウロコとの関連性、渦巻き島突入フラグか

楽しみで仕方ない!
>>1乙


954VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/22(日) 02:38:08.34GhjUW4qAo (1/1)

正直唯が飛んだほうが早……くぁwwせdrftgyふじこlp;


955VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/05/23(月) 06:39:52.47A5AEAe1Xo (1/1)

乙です


956VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/23(月) 07:18:57.53WSc1ooXDO (1/1)

だから考察とかうぜーんだよ
半年ROMってろ


957VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:40:41.36NzpMTO1Mo (1/36)


――41番水道

律「お、見えた。あれがタンバシティか」

オーダイルにサーフィンのようにのりながら、海を渡っていた律が前方を見た

律「意外に時間はかからなかったなぁ」

律がアサギシティを出発してから、それほどの時間は経過していなかった
律の感覚としては2時間程度。
その感覚が正しいか確かめようとポケギアを見れば

律「よっし、大体思ったとおり」

時刻は昼下がり
太陽が真上から下がろうとする時間帯だった
しかし、振り返り空を見れば雲がある
暗雲だ。
丁度ここへ来る途中見た、いくつかの島のあたりを暗雲が層を作っていた



958VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:41:39.57NzpMTO1Mo (2/36)


律「もうちょっと遅かったら……」

雨の中あそこを通らないといけなかったんだろうなぁ、と言葉を作らずにに思う
そしてぶんぶんと首を振り

律「さぁ、ラストスパート頼むぞ、オーダイル」

言うと、オーダイルが速度を上げる形でその指示に答えた

律「はやくしないとな……」


959VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:42:32.57NzpMTO1Mo (3/36)


――タンバシティ(タンバ薬屋)


律「え?夕方までかかるの……?」

タンバシティのフレンドリィショップ代わりともなっている薬屋で律が落胆の声をあげた。
律の前には年輩の老女が一人

薬師「うむ……症状は毒じゃったな? おそらく話しを聞くかぎりその毒は猛毒じゃろう……
    とするとその毒に効くクスリとなると強いクスリが必要なんじゃが、
    今そのクスリは作れないんじゃ……
    だから複数のクスリで補うしかないんじゃが、数をつくるとなると時間がかかってそれくらいになってしまうのぅ」

律「そんなぁ……」

薬師「急ぎのようかい?」

問いに律がコクリと頷いた

薬師「そうかい、それは困ったねぇ……少し前であれば大抵の毒に効く万能薬ともいえるクスリがつくれたんじゃがなぁ」


960VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:43:35.47NzpMTO1Mo (4/36)


律「そうだ、さっき強いクスリは作れないって……! なんでなんだ?」

薬師「そのクスリを作るのにあるポケモンのトゲが必要なんじゃが、
    最近そのポケモンはうずまき島~アサギのほうに住処を移したらしくてのう……
    そのポケモンがタンバの付近であまりみられなくなってしまったんよ」

律「……しかたないか……はぁ……」

薬師「すまんのう……また夕方きてくれるかえ?」

律「はい、それじゃ……あ、ちなみにさっき言ってたポケモンって?」

律がショップを出ようとしたとき、顔だけ背中へと振り返り言った

薬師「あぁ、シードラと言って、こんな青い……」

律「!!」


961VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:44:15.68NzpMTO1Mo (5/36)


薬師「なんじゃ?」

律「そのポケモン……持ってる。」

薬師「……本当か?」

律「あぁ、ほら」

律がモンスターボールを一つ取り出し老女の前へと差し出した
すると老女がボールを受け取り、その中を目を凝らし覗き込む

薬師「おお、このヒレのトゲの部分じゃ。これがあれば」

律「おっけー、なら。でてこいシードラ」

律がボールを真上に投げ、空中でシードラが放たれ下へと落下するが
そのまま腕を構えキャッチした

律「っと、水はないけど少し我慢してくれよ……」

シードラ「――」

薬師「ほう……少しそのままもっておれよ」

律「すまん、シードラ。少しトゲの部分もらうぞ」

言えば、シードラが律の手の中でコクリと頷き
それを見た老女がピンセットでシードラのヒレへと手を伸ばした


962VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:44:45.43NzpMTO1Mo (6/36)


――タンバシティ


律「っと、シードラのトゲがあっても一時間はかかるのかよ……」

ポケモンセンターで回復を済ませた律はさきほどのことを思い出し呟いた。

律「さてと、この時間どうするかなぁ……」

何もすることがなく、ただ散策していた律は気付けば浜辺にまで出てしまっていた

律「うーん……ジムに挑戦にしたら時間が足りないよなぁ……」

呟いたそのとき、

――ポツリ

水の音が地面を叩いた。
雨だ。
空を見ればさきほどうずまき島の上空に見えた雲が真上にまで広がっている。
風も強く、雨はすぐに横雨となる。


963VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:49:19.56NzpMTO1Mo (7/36)


律「ったく、最近濡れてばっかだなぁ」

そして律が浜辺から急ぎ足でポケモンセンターまで戻ろうかと思った時、
二つの異様な光景を見た

一つは波だ。
さきほどまでそれほど荒れていなかった波が、今では砂浜の漂流物を一切さらおうとするまでの高波となっていた

もう一つは……

律「なんだあれ……」

浜辺、下半身だけ胴着のようなものをきた上半身裸の中年の男がいた
だんだんと強くなる雨に呼応するように波も高くなる。
その波際だ。その男が仁王立ちでなにかを待つような姿勢だ

そして律があぶないなぁと、そう注意の声を出そうとしたときだとした時だった
突如、海の方角、さきほどまでの波とは比べ物にならない高波が来た
その高さは目測で、およそ2mほど
浜とそこに立つ人を飲み込むには充分な波だ

律「……おいおい、なんで動かないんだ!! 危ない!」


964VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:50:32.02NzpMTO1Mo (8/36)


だんだんと浜へと近づいてくる波にも動きをみせない仁王立ちの男へと叫んだ
だが、やはり男は動じずなんのアクションも起こさない

だから律は

律「間に合え、ストライク!!」

ボールから飛び出たストライクは早かった
瞬く間に距離をつめ、その男を目指し走っていく
だがそれでも、波に間に合うかギリギリというタイミングだ

そしていよいよ波があと数瞬で男もろとも助けにむかったストライクを飲み込もうとした時だった
さきほどまでまったく動じていなかった男が、手を動かしなにかを取り出したのを律は見た

律「あの丸いのは……」

律の見たもの、それは自分もよく見慣れていたもの。
赤く、丸い、モンスターボールだった



965VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:51:28.95NzpMTO1Mo (9/36)




飛び出したストライクが男にたどり着く直前で足をとめていた
それを見ていた律が思わず息を呑んだ
そして男は

???「出ろ、ニョロボン!! 気合パンチじゃ!!」

呼応するように、男の手に持ったモンスターボールからポケモンが飛び出した
そしてすかさず波に向かって拳を構えると、
ただ一突き――その拳を振るっただけで……

律「……ありえねぇ……」

波が割れた。

男を中心に二つに別たれた波は、ただ回りの漂流物や岩石もぎ取りながらその威力を見せる。
が、男とその男の出したポケモン、そしてその男まであと少しといった距離にいたストライクは、
飲まれることなくその場に立っていた。

気付けば雨はやんでいた
まるでその男が波とともに悪天候すらも吹き飛ばしたかのように

そして男がこちらへと振り向き叫んだ

???「いやー、すまんかったのう!! これはいつものワシの修行じゃ。心配せんでもいいぞ」

そう言ってガハハと豪気に笑った男が、律を手招きよせた



966VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:52:15.78NzpMTO1Mo (10/36)




シジマ「ガハハ、いやぁすまんすまん。
     ……にしてもよく鍛えられたストライクだな。あそこからここまであのスピードで来るとはの」

シジマと名乗った男が、律の横に立ったストライクを一瞥してから言った
少し話してみるとどうやらシジマという男は、荒れた天気の時には今みたいな修行をしているとのことだった

律「……ったく……修行かよ」

と、ぼやいた律の言葉はシジマの耳にははいらなかった
なぜならシジマはアゴに手をあて、ストライクを眺めながらなにか考え事をしていたからだ

シジマ「……うむ、少女よ。一つ提案がある」

なにかを考えていたシジマが律へとそう言いながら、指を立てた

律「?」


967VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:53:10.19NzpMTO1Mo (11/36)


シジマ「ここで一戦ワシと戦ってみんか?」

律「ポケモンバトルかっ!!……って駄目だ」

一瞬テンションの上がった律だが、すぐに肩を落とした
その様子を見たシジマがなぜと問いかけると

律「私はあと一時間くらいでこの島をさらなきゃならない。急ぎの用があるんだ」

シジマ「ふむ、一時間か……ならどうじゃ、1対1の勝負で。
     交代はなし。時間が来たときに決着がついていなければ引き分けということで」

律「……うん、それならなんとか」

シジマ「よし、決まりじゃな!! ガハハ、まぁ心配はいらん。30分で終わらせてやるからのう」

律「……言ったな」

シジマ「ワシはこのニョロボンで行くとしよう」

律「……!! なら私はこのストライクで行く」

律が咄嗟に言葉を返す
舐められたというほどではないが、やはり対等でやりたかったからだ


968VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:53:46.49NzpMTO1Mo (12/36)

シジマ「ガハハハ、その負けん気いいなぁ。しかし、こちらも勝負は負けん。
そうだな、修行に付き合ってもらう礼としては、ワシに勝てればジムバッチをやろう」

律「……ジムリーダー!!」

驚きの反応を見せた律にシジマが言う

シジマ「なんじゃ知らんかったのか」

律「……あ、あぁ」

シジマ「萎縮したか?」

すると律が首を横に振った
そして不敵に笑い

律「いいや、俄然やる気がでてきた」



969VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 00:59:39.40NzpMTO1Mo (13/36)




闘いの始まりは律からだった。

律「ストライク、高速移動」

今まで敵のニョロボンを見据えていたストライクが消える。
そして現れる場所は、ニョロボンの真後ろ。
ニョロボンの反応はない。
だから

律「もらった、れんぞくぎり」

ストライク「――!!」

背中を目掛けた一振りが走った。
完全な不意。ニョロボンの意識の外の攻撃だ。
だが

シジマ「みきれよ、ニョロボン」

背中側から振り下ろされる一撃。
それに対してニョロボンが取った行動は簡単なものだった。
自分の体へ届く前の刃。その側面へ手のひらをかざし、体の外側へと押し出す。
ただそれだけの行為。
だが、それを背中側をも見ずに腕と手の動きだけで行った。

ストライク「!?」

ストライクの鎌が受け流されるまま地面へと刺さった。


970VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:00:54.03NzpMTO1Mo (14/36)


律「――!! なんだ!?来る攻撃が分かっていたのか」

その質問への答えはない。
その代わりに

シジマ「ニョロボン、気合をためろ」

律「!!」ゾクッ

ニョロボンが拳を構えた直後、律の背中に寒気のようなものが走った。

律「かげぶんしん!!」

シジマ「……ほぅ……察したか」

とっさにストライクが、地に刺さった鎌を抜きステップを踏んだ。
ニョロボンを囲むように、走り出したストライクが影をそこへと置いていく。
1つ……2つ……3つ……ニョロボンの周りに三体のストライクが現れる。
だが、さらにその3体はスピードを上げ、その倍――6体のストライクをニョロボンの目に映し出した。

律「(よっし……これでピンポイントにうつ打撃などは当たらない……)」



971VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:01:43.31NzpMTO1Mo (15/36)


シジマ「今、安堵の顔を作ったな?」

シジマが口端を吊るすように上げ

シジマ「それが隙に……っと」

と言いかけたところでシジマがさらに声を張り上げた。

シジマ「じごくぐるま!!」

律「(なんだ……あのニョロボン今一瞬目を閉じた?)」

見間違いか、と律が思った、直後。
ニョロボンが浜の砂を蹴り、走った。
そのさきには一体のストライクがいる。

律「まずい!!」

と思った時にはすでに遅かった。
ニョロボンはストライクの本体を地面へと引き倒し、車輪のように転がり投げた。

シジマ「フハハ、本物だったようじゃな!!」

律「……っく、ストライク、体制を立て直せ」

投げられたストライクは地面を滑りながらも、立ち上がる。


972VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:04:15.22NzpMTO1Mo (16/36)


シジマ「ふぅ……なかなかやりおるが、甘いな」

律「……さっきのはこころの目か」

シジマ「ほう、分かったか。ならばたった今の言葉を撤回しよう」

律「っく……」

その言葉にすらも悔しさを感じる。
相手は今、自分の上にいるつもりでいる。
たしかに今までの攻防では相手のほうが一枚上だった。
だが、まだ終わっちゃいない。

だから――

律「ストライク!!」

ストライクが今度はニョロボンへと真正面から切りかかりにいった。
速さだけに任せた押しだ。



973VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:06:20.61NzpMTO1Mo (17/36)


シジマ「みきり!!」

だが、その一言だけでニョロボンは幾応にも重なる太刀を最小限のうごきだけで避けていく。

律「くそ、ストライク!!」

その呼びかけでストライクが律の目の前へと戻った。
ニョロボンの追撃はない。
そして律が一息、大きく息を吐いた。

シジマ「退くべきところはわかっているのか、申し分……」

シジマの感心した声を遮るように律が言葉を紡いだ。

律「攻撃を見切られる理由がようやくわかったよ……さっきので」

シジマ「……」

シジマの答えはない。
だが、それはまるでその先を促しているようで。


974VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:08:47.03NzpMTO1Mo (18/36)


だから律は

律「さっき私が嫌な予感を感じて、ストライクにかげぶんしんを命じた。あれと一緒だったんだな」

「ようはあんたとあんたのニョロボンは私のストライクの攻撃の一々に嫌な予感みたいなものを感じ取ってるんだな?」

「アンタの場合、経験でそれを捉える範囲がハンパないんだ」

律が言い切ったときシジマが咆えるように笑った。

シジマ「大したもんだな!! そう攻撃とはつねに気配を持ちながら行われるもの。
     よほどの訓練をつまなければ気配を消した攻撃などできん! ゆえにワシらはそれを感じ取り応じる。
     それが武の力。ゆえにワシのタイプは格闘! 格闘のエキスパートじゃ!」

律「へぇ、そこまでいっていいのかよ」

シジマ「かまわん! だが、どうする少女よ。攻撃を当てなければ勝てはせんぞ」

律「分かってるさ。ようは分かってても避けられない攻撃をすればいい。そしてそれは速さだ」

シジマ「ほぅ……ならばワシは力を持ってそれを制そうか」


975VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:13:11.69NzpMTO1Mo (19/36)


言ったシジマがこちらへと手の平を向け

シジマ「見ていろ、これがワシの力じゃ。ニョロボン、気合をためろ!!」

そして律は見た。
ニョロボンの構え。それはさきほどいやな予感がしたあの構え。
ニョロボンが拳を高く振り上げ

シジマ「――気合パンチ!!」

真下へと振り抜いた。
地面を穿った拳が浜辺の湿りを帯びた砂を巻き上げる。
そして穿たれた地面。そこに大きな穴があった。

律「!!」

それは幅としては大きいものではない。
驚くべきは深さにあった。
だいたい大人が二人ははいれてしまいそうなほどの穴だ。
そしてそれはニョロボンの攻撃の威力を表していた。


976VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:13:45.98NzpMTO1Mo (20/36)


律「これが波を割った力……」

シジマ「うむ。 そういえば、まだ名前を聞いていなかったな」

律「律」

シジマ「そうか、律よ。この力を前にしてもさきほどの言葉をいえるか?」

律「……あぁ……だからと言って私がやることは変わらない。その力を制してやるよ」

シジマ「ガハハハ! 面白い!」

律「ところでいいのかよ?」

律がニヤリと笑った

シジマ「なにがだ?」

律「もう30分は過ぎようとしてるぞ」

シジマ「……言いよるわ!!」

シジマもニヤリと笑みを浮かべ返した。


――そして再び場が動き出した




977VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:14:25.49NzpMTO1Mo (21/36)




浜を駆ける音が聞こえる。
走り、跳び、踏み込み、そして攻撃する音だ。
そしてその音に交じり合うように声も聞こえる。

律「ストライク、スピードをあげろ!!」

2つの人影と2つのポケモンの影。
その人影の一つから声が上がった。
応じるのはその人影の前にいたポケモンの影。

――

ストライクとニョロボン。
2匹のポケモンがこの砂浜で攻防を繰り広げる。
片方が拳を穿てば、片方はその後ろへと回り込もうと宙へ跳び。
片方がその刃できりつけようと刃を立てれば、片方は体をそらすことでいなし

律「つるぎのまい!!」

シジマ「ほう……速さといいながら、力も上げるか。貪欲な」

だが

シジマ「悪くない」


978VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:15:03.86NzpMTO1Mo (22/36)


ストライク「――!!」

シジマはストライクが応え、咆えるのを聞いた。
次の瞬間、ストライクが宙へと飛び上がった。
そして空でその羽で羽音を響かせ、地へと降り、また舞う。
剣の舞――それはまさしく闘いの舞い。己を鼓舞するための舞いだった。

シジマ「ニョロボン、バブルこうせんだ」

距離を取りつつも舞うストライクに対しての攻撃は泡による攻撃だった。
いくつもの泡がストライクへ向かい弾けていく。
大したダメージにはならない。
しかし、その泡の攻撃は舞の最中のストライクの気を散らしていく。

シジマ「ニョロボン、こちらもビルドアップだ!!」

ニョロボン「ニョロ!!」

律「こうそく移動!!」

ストライク「――!!」


979VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:15:46.27NzpMTO1Mo (23/36)


ニョロボンの筋肉が膨れ上がり、ストライクが地を駆けスピードを上げていく。
そしてストライクが不意にニョロボンの後ろに現れた。
最初の攻防の時と同じだ。

律「れんぞくぎり!!」

シジマ「みきれ」

やはりその攻撃は最初と同じ結果だった。
ニョロボンが手のひらで刃を受け流す。

シジマ「かわらわり」

すかさずシジマがニョロボンに指示をだす。
ニョロボンが今度は手刀を作ると、刃を地面に振り下ろしたストライクへと向けた。

律「かげぶんしん!!」

シジマ「むだじゃ、こころのめ!!そして穿てばくれつバンチ」

ストライクが先ほどの6体の分身よりもさらに多い分身を作る。
数にして12.先ほどの倍に当たる数だ。
だが、ニョロボンはやはり一直線に本体を見抜き、そこへ向けてこぶしを放った。


980VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:16:35.22NzpMTO1Mo (24/36)


律「っく!!」

ストライク「――!!」

その拳の突きに対してストライクが後ろへと退いた。
ニョロボンの手の届かぬ位置。
そこへとバックステップした。

シジマ「む、なかなか速いな。まだ上がるか?」

その質問に律は答えない。
だが、ストライクの行動がそれを示していた。
もう一度、浜を走る。
さきほどよりも速く、そしてするどさを増して――


981VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:21:57.44NzpMTO1Mo (25/36)




最高速はまだ遠い
そうストライクは思う

まだ上がる。まだ出せる。主人は自分の速さを誇った。
ならばそれに応えなければいけない

だから


――行った


982VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:22:28.10NzpMTO1Mo (26/36)




再び、ストライクの姿がニョロボンの後ろに現れた。

律「れんぞくぎり」

シジマ「なんどやればわかる!!!」

やはりその攻撃もあっさりと受け流される。
そしてさきほどの繰り返しだ。

相手のニョロボンの動きは速いわけではない。
だが、こちらの攻撃が通じない。
何故か? そう律は考える。
そしてそれは
……相手の予想内だからだ。

ストライクの速さはすでに充分速い。だが、足りない。

……もっと

律「ストライク!!」

浜を駆けたストライクが今度は一直線にニョロボンへと向かった。
真正面――そこから刃で斬りかかっていく。
近接戦闘。


983VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:23:10.80NzpMTO1Mo (27/36)


ストライクのリーチとニョロボンの近接でのリーチは似たものだ。
わずかにストライクのほうが長いが、それでも状況はかわらない。

刃は拳で受け止められる。
拳は刃で受け止められる。
互いが互いに決定打のないままに近接での攻防をしていた。

……もっと

だが、わずかな間の0距離の戦闘。
はじめに間を取ったのはストライクだった。
攻撃した刃、そのかえす刃とともにストライクがバックステップで距離をとった。
つまりそれは――危機感を感じたのはストライクのほうということだった。

……もっと

距離をとった直後ストライクがニョロボンの周りを再び走り出す。
すでに視界には捉えられないレベルだ。

律「……そうだ、もっと速度を上げろ、ストライク!!」

ストライク「――!!」


984VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:23:41.55NzpMTO1Mo (28/36)


音にならない鳴き声が上がる。
ただひたすらに速度を上げ、走り、相手を捉え、回り込み

そして

律「れんぞくぎり!!」

シジマ「すでに見切られるだけではすまんぞ!!」

さきほどの再生にはならなかった。
ストライクが回り込んだ段階で、ニョロボンがストライクの腕をとった。
そしてそのまま地面へとたたきつけてから、自分の体を車輪のように回しストライクを巻き込みながら。

シジマ「じごくぐるま!!」

律の前へと投げた。

律「ストライク!!」

シジマ「ふむ……これでおわりか」

律「いや……まださ」

シジマ「!?」

そう言ったシジマが見たのは再び立ち上がるストライクだった。


985VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:24:57.39NzpMTO1Mo (29/36)


シジマ「ガハハハ、いいぞ! まだやれるのか!! いけ、ニョロボン」

今度は距離をつめたのはニョロボンだった。
地面を蹴り、立ち上がったばかりのストライクへと接近する。

シジマ「穿てよ――気合パンチ!!」

ニョロボンがストライクへと近づきながら、こぶしを構えた。

律「なっ、まずい。よけろストライク!!」

ストライク「――!!」

その声にストライクがいち早く反応し、ニョロボンの真上、上空へと跳び上がった。

律「(よしっ……逃れた)」

シジマ「さっきも言ったな。それが隙だと」

その言葉に律がシジマとニョロボンを見た。
シジマがニョロボンと呼応するように拳を作る。

律「(拳!? そんなまだ撃つきか!?)」

その数瞬の攻防、ニョロボンは真上へと跳んだストライクを見ていなかった。
見ていたのは――

律「(――地面!!)」

「まずい!!」


986VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:25:45.97NzpMTO1Mo (30/36)


ニョロボンが地面を穿った。
そしてその結果巻き上げられるのが砂だ。
砂は真上へと礫のように舞い上がり、ストライクを射ち落とす

そして

シジマ「これでしまいじゃぁ!!」

ニョロボン「ニョロ!!」

なんとか着地したストライクの真後ろ、そこにすでに拳を作ったニョロボンがいた。

シジマ「気合パンチ!!」

律「あぶない、ストライク!!」


987VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:28:50.14NzpMTO1Mo (31/36)




叩き落された。

主人の声が聞こえる。
それは危ないと告げる言葉だ。

後ろにいるのは、ニョロボンだろう。
嫌な予感は背中からする。

速度――結局速さは足りなかった。
最高速だったのだろうか?
どうだろうか?

疑問は自身へと還った。

そして思うのは、まだ最高速ではないということだ。
なぜならまだ足は動く。ならばまだ戦える。

だからこそ反応しろ。
背中だ。背中から嫌な予感がするのならば前へと進め。

一歩、その最速で

――行った。


988VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:29:52.20NzpMTO1Mo (32/36)




次にシジマが見たのはニョロボンの拳が空を撃った姿だった。
さきほどまでそこにいたストライクはいない。
なら、どこに? と思いさらに前を見るとそこに

ストライクがいた。

シジマ「移動したのか、あの場所からそこまで!?」



989VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:30:35.67NzpMTO1Mo (33/36)




その姿を律だけは見ていた。
ニョロボンの拳から逃れる、その瞬間を
そして今までとの違いを


律「高速移動だ!!」

ストライクがニョロボンの周りを同じように駆け抜ける。
残像を数えてみれば、2桁の数だ。

シジマ「さきほどよりも速いな!!これは……背中の羽せいか!!」

ストライクの背中、さきほどと違う動きがある。
今までストライクの移動は足だけで行われていた。
だが、今は

律「いけ、ストライク!!」

羽ばたきがストライクの一瞬のスピードを爆発的に上げていた。
ストライクのスピードがさらにます。

すでに目視できないレベルだ。



990VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:31:24.48NzpMTO1Mo (34/36)


そして

律「――ストライク!!」

シジマ「来るぞ、ニョロボン!!」

律の声に応じるようにストライクが行った。
それも今度は後ろにまわるのではなく――真正面からだ。

ニョロ「――!?」

律「れんぞくぎり!!」

れんぞくぎりの5刀目。それは最速の一撃だ。
その最速の一撃が、不意に目の前に現れ焦るニョロボンを襲う。

一閃。

ニョロボンのうずまき状の模様の見える体へとぶち込んだ。
そして次の瞬間、ニョロボンが後ろへと倒れこんだ。

シジマ「……ガハハハ、ワシの負けか!!」



991VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:31:50.99NzpMTO1Mo (35/36)




シジマ「ほれ、これがショックバッチじゃ」

律「ありが……」

シジマ「あぁ、いい。そういう挨拶はいい。それよりもうすぐあれから50分じゃぞ。急がなくていいのか」

律「え? あぁー!!」

シジマ「ほれ急げ急げ」

そういってシジマが慌てながら走っていく律を見送った

シジマ「さてと、ニョロボン。また修行の日々だぞ」

ニョロ「ニョロ!!」

シジマ「ガハハ、それでこそワシのポケモンじゃ」


992VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:32:37.33NzpMTO1Mo (36/36)




なりゆきでジム戦を終えた律は、クスリを受け取りまた浜まで出ていた。

律「帰りもやっぱり波乗りだよなぁ……」

そうぼやいた時、自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。

???「律さーん!!」

聞きなれた声に振り向くとそこには

律「ゴールド!?」




「VS ニョロボン 〆」


993VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/05/30(月) 01:33:46.17W3WNOZDIO (1/1)

乙!
ストライクかっけぇwww


994VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/05/30(月) 02:21:49.65EUodHFRAO (1/1)





995VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛知県)2011/05/30(月) 03:10:09.967rc2ZtxQ0 (1/1)




996VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海)2011/05/30(月) 09:00:33.08eFmzHtNAO (1/1)

更新ありがとうございます!


997VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)2011/05/30(月) 11:33:45.13ay7wN4O8o (1/1)

乙です


998VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東海・関東)2011/06/04(土) 02:46:53.18gL8Bc2HAO (1/1)

乙!
次のスレでまた読ませて


999VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東・甲信越)2011/06/05(日) 00:56:11.022aG/XDpAO (1/1)

次スレは?


1000VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)2011/06/05(日) 00:56:15.33UA+DHAfOo (1/1)

999