◆r8UzcYNXNc さんの作品一覧
http://s2-d2.com/archives/16593854.html
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1:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:41:03.29:jdAC/QEo (1/8)
・初SSです
・端的にレールガン勢とアイテム勢の入れ替わりです
・地の文形式を取っています
・「とある魔術の禁書目録」の根本に関する独自解釈とそれに準ずる独自設定があります
・原作との矛盾が出るかもしれません
・一応原作と漫画はある程度既読です
・キャラ崩壊があります
・特に佐天さんと美琴さんと麦野さんが酷いです
・オリキャラはいませんが青髪ピアスが実質そうなっているかもしれません
・グロ描写あります
・上条当麻が嫌いです
・時系列は記憶喪失直後辺りからです
・遅筆ですがプロットは完成しています
・初SSです
・端的にレールガン勢とアイテム勢の入れ替わりです
・地の文形式を取っています
・「とある魔術の禁書目録」の根本に関する独自解釈とそれに準ずる独自設定があります
・原作との矛盾が出るかもしれません
・一応原作と漫画はある程度既読です
・キャラ崩壊があります
・特に佐天さんと美琴さんと麦野さんが酷いです
・オリキャラはいませんが青髪ピアスが実質そうなっているかもしれません
・グロ描写あります
・上条当麻が嫌いです
・時系列は記憶喪失直後辺りからです
・遅筆ですがプロットは完成しています
モバP「泰葉からチョコもらった時の話?」
絵里「なんとかストロガノフ!」穂乃果「そう、カレーです」
タマ「ニャー」タラオ「タマ口臭いですぅ!」タマ「!!!!!!!」
玲音「風邪を引いてしまったようだ…」
苗木「霧切さん、この蝶ネクタイつけてみてよ」
2:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:42:16.62:jdAC/QEo (2/8)
麦野沈利が夜遊びをすることは、もう何年も続いた習慣になっていた。
ふらちなニュアンスのある言葉だが、単にゲームセンターやファストフード、カラオケなどを一人渡り歩く、ただそれだけのことなのだが。
その全く無意味な行動は、暇潰しと言うよりは、自分への乱暴のようなものだが、彼女自身この行為に意味を覚えようとは思っていない
ただ単に何年も続いた習慣で、夜に他にすることなどないからであり、意義など求められる事ではないのだ。
そして、学園都市は広い。
そこには数多くの学区があり、学生が入れない町もあるのだけれど、科学や芸術、買い物やテーマパークなど、全てを知りつくすことが出来る学生はまずいない。
とはいえ麦野沈利という女子大生は、並大抵でない特権――授業免除、単位の自動修得など――を持っていたため、例外的に、学生が入れるところなら、その持てあました時間を通して、ほぼすべてを闊歩していた。
彼女の容貌は、時折現れる凶暴な表情の歪みを除くのであれば、美人の部類に入るものであり、彼女はそれを必然的に意識せざるをえない状況下にいた。
遊び呆ける美人を見て、絡みついてくる性質の人間は、いつの時代にも、どんな場所にも存在したからだ。
学園都市におけるその通称はスキルアウト、その名前の由来にも、彼ら自身にも、それ相応の理由がある。
しかしそれは、彼女にとっても、それ以外の多くの人々にとっても、どうでもいいことだった。
一般人達にとって、それは風紀に害なすものであり、治安を悪化させるという存在でしかなかった。
夏、学生たちの長期休暇という季節柄もあってか、麦野が八月になってからこういう輩に絡まれたのは、今回を含めて三回目である。
麦野沈利が夜遊びをすることは、もう何年も続いた習慣になっていた。
ふらちなニュアンスのある言葉だが、単にゲームセンターやファストフード、カラオケなどを一人渡り歩く、ただそれだけのことなのだが。
その全く無意味な行動は、暇潰しと言うよりは、自分への乱暴のようなものだが、彼女自身この行為に意味を覚えようとは思っていない
ただ単に何年も続いた習慣で、夜に他にすることなどないからであり、意義など求められる事ではないのだ。
そして、学園都市は広い。
そこには数多くの学区があり、学生が入れない町もあるのだけれど、科学や芸術、買い物やテーマパークなど、全てを知りつくすことが出来る学生はまずいない。
とはいえ麦野沈利という女子大生は、並大抵でない特権――授業免除、単位の自動修得など――を持っていたため、例外的に、学生が入れるところなら、その持てあました時間を通して、ほぼすべてを闊歩していた。
彼女の容貌は、時折現れる凶暴な表情の歪みを除くのであれば、美人の部類に入るものであり、彼女はそれを必然的に意識せざるをえない状況下にいた。
遊び呆ける美人を見て、絡みついてくる性質の人間は、いつの時代にも、どんな場所にも存在したからだ。
学園都市におけるその通称はスキルアウト、その名前の由来にも、彼ら自身にも、それ相応の理由がある。
しかしそれは、彼女にとっても、それ以外の多くの人々にとっても、どうでもいいことだった。
一般人達にとって、それは風紀に害なすものであり、治安を悪化させるという存在でしかなかった。
夏、学生たちの長期休暇という季節柄もあってか、麦野が八月になってからこういう輩に絡まれたのは、今回を含めて三回目である。
3:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:43:02.97:jdAC/QEo (3/8)
「よー、ねーちゃん、綺麗な顔してんじゃん」
「一人なの? ちょっくら付き合ってくれねーか?」
長身の長髪に、だらしないジャージを着たガタイのいい男と、頭一つ低い茶髪で目の細い、たらこ唇の男。
ニタニタとその性欲丸出しの下品な顔はどうにもならんのか、と内心ごちる。
麦野は、近寄ってきた彼らの顔を一瞥すると、大仰にため息をつき、
「ごめんなさいね、残念ながらこれから用事があるの」
と、その場凌ぎの言葉を投げかけて、とっとと通り過ぎようとする。
しかしその歩みは、どこから湧いたかまた一人、いまどきスキンヘッドの仲間に遮られてしまう。
「連れねーなねーちゃん、少しくらい遊んでくれたっていいんじゃねえの?」
どうしてこういうクソッタレたちは、こうもぞろぞろと増えていくのだろうかと、考えるだけで気分が悪くなる。
強引に腕を掴まれ、路地裏の方に無理やり連れられていくが、彼女は特に動じず、なすがままにされる。
顔に恐怖のような感情はなく、引っ張られながらもう一度、腹の底からため息をついた。
「よー、ねーちゃん、綺麗な顔してんじゃん」
「一人なの? ちょっくら付き合ってくれねーか?」
長身の長髪に、だらしないジャージを着たガタイのいい男と、頭一つ低い茶髪で目の細い、たらこ唇の男。
ニタニタとその性欲丸出しの下品な顔はどうにもならんのか、と内心ごちる。
麦野は、近寄ってきた彼らの顔を一瞥すると、大仰にため息をつき、
「ごめんなさいね、残念ながらこれから用事があるの」
と、その場凌ぎの言葉を投げかけて、とっとと通り過ぎようとする。
しかしその歩みは、どこから湧いたかまた一人、いまどきスキンヘッドの仲間に遮られてしまう。
「連れねーなねーちゃん、少しくらい遊んでくれたっていいんじゃねえの?」
どうしてこういうクソッタレたちは、こうもぞろぞろと増えていくのだろうかと、考えるだけで気分が悪くなる。
強引に腕を掴まれ、路地裏の方に無理やり連れられていくが、彼女は特に動じず、なすがままにされる。
顔に恐怖のような感情はなく、引っ張られながらもう一度、腹の底からため息をついた。
4:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:44:23.23:jdAC/QEo (4/8)
「いい美人拾ってきたじゃないか」
「こいつは上玉ってやつだな……」
路地裏で蛆虫のごと蠢いていたスキルアウト達は、麦野が見る限り10人は超えていないようだった。
その中に見たことがある顔が存在しないことに、もう一度ため息をつきたくなった。
もしこのうちの誰かが私を知っていれば、すぐにでも逃げ出すだろうに、と。
「すみません、帰ってもいいですか?」
麦野はあくまで優しく、常日頃とはかけ離れた口ぶりで彼らに聞いてみる。
すると、どうやら彼らのリーダー格のようである、大男が前に出て言う。
「おいおい、ここまで来たのに返す訳ねえだろ?」
返事は彼女の想像通りの否定。
だよねぇ、と心の内で嘆く。
(こいつらは、学園都市の危険人物の顔も知らないのか)
「いい美人拾ってきたじゃないか」
「こいつは上玉ってやつだな……」
路地裏で蛆虫のごと蠢いていたスキルアウト達は、麦野が見る限り10人は超えていないようだった。
その中に見たことがある顔が存在しないことに、もう一度ため息をつきたくなった。
もしこのうちの誰かが私を知っていれば、すぐにでも逃げ出すだろうに、と。
「すみません、帰ってもいいですか?」
麦野はあくまで優しく、常日頃とはかけ離れた口ぶりで彼らに聞いてみる。
すると、どうやら彼らのリーダー格のようである、大男が前に出て言う。
「おいおい、ここまで来たのに返す訳ねえだろ?」
返事は彼女の想像通りの否定。
だよねぇ、と心の内で嘆く。
(こいつらは、学園都市の危険人物の顔も知らないのか)
5:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:45:05.57:jdAC/QEo (5/8)
周りに彼ら以外の人間が存在しないことを確認する。
とりあえずはコンクリートを壊す程度の威力で、周りの建物に被害が及ばない程度に。
下手に問題を起こす訳にはいかない。
右手をすっ、と前に伸ばし、演算を開始する。
細めの『原子崩し』を一発、このリーダー格の足に向かって撃てばいい。
しばらくでかい穴が開くだろうが、自業自得だ。
他の輩も、もう一度撃つフリでもすれば、すぐにでも逃げ出すだろう。
彼女は演算を完了し、無慈悲な光線を、ボロボロのジーンズに向けて発射した。
はず、だった。
「!?」
麦野沈利は二つの事に驚いた。
一つはもちろん、周到に演算した能力が発動していない事。
もうひとつは――
「こっちこっち! 急いで!」
自分の左腕を掴んだ、ツンツン頭の少年が、勝手に彼女と逃避行を始めていた事だ。
周りに彼ら以外の人間が存在しないことを確認する。
とりあえずはコンクリートを壊す程度の威力で、周りの建物に被害が及ばない程度に。
下手に問題を起こす訳にはいかない。
右手をすっ、と前に伸ばし、演算を開始する。
細めの『原子崩し』を一発、このリーダー格の足に向かって撃てばいい。
しばらくでかい穴が開くだろうが、自業自得だ。
他の輩も、もう一度撃つフリでもすれば、すぐにでも逃げ出すだろう。
彼女は演算を完了し、無慈悲な光線を、ボロボロのジーンズに向けて発射した。
はず、だった。
「!?」
麦野沈利は二つの事に驚いた。
一つはもちろん、周到に演算した能力が発動していない事。
もうひとつは――
「こっちこっち! 急いで!」
自分の左腕を掴んだ、ツンツン頭の少年が、勝手に彼女と逃避行を始めていた事だ。
6:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:47:13.29:jdAC/QEo (6/8)
幕間
麦野沈利は退廃的である。
彼女は学園都市と言う、名の通り学びの場にあり、その中でも著名な小学・中学・高校を出ている。
そこから進学した大学も、申し分なく優れてたところに在籍しているのだが、残念なことに彼女がその敷地に足を踏み入れるのは、せいぜい月に一度程度である。
高校まではまだ毎日通学したものの、大学における研究のような事には、彼女に興味はなかったのである。
正確には、研究行為そのものに、嫌気がさしていたのだが。
彼女は学園都市における、記念すべき一期生である。
まさに最初、学園都市という荒唐無稽な試みがある程度軌道に乗り、初めて生徒を受け入れるだけの体勢を整えられた時の生徒である。
とはいえ一期生とは名ばかりで、学校ではなくほとんど研究所、『生徒』という言葉は、モルモットとほぼ同義の言葉であった。
人数は200人にも満たず、そのうちのほとんどすべては孤児であり、あとはほんの少しだけ、広告塔のための、関係者の縁故による、数合わせだけの人間だった。
彼女はその数少ない、出資者の子供という、縁故による生徒である。
彼女が、半ば捨てられるように一期生となったのは、学園都市からの強い要望があったことが大きい。
要望する理由は、「あくまで」出資グループの家族の中で、適年齢の人物が彼女しかいないという理由だった。
一期生のころの技術では、能力開発が出来る年齢は八歳未満に限られていて、今となっても約十五歳以上の人物に対する能力開発は危険行為である。
これは主に『自分だけの現実』の開発が精神の過渡期に有効であることや、脳の成熟課程における投薬効果の有無などによるものが大きい。
未だに学園都市の能力者に、成人を迎えたものがいないのは、単に「そこまでの年齢に達した人間がいない」だけだ。
幕間
麦野沈利は退廃的である。
彼女は学園都市と言う、名の通り学びの場にあり、その中でも著名な小学・中学・高校を出ている。
そこから進学した大学も、申し分なく優れてたところに在籍しているのだが、残念なことに彼女がその敷地に足を踏み入れるのは、せいぜい月に一度程度である。
高校まではまだ毎日通学したものの、大学における研究のような事には、彼女に興味はなかったのである。
正確には、研究行為そのものに、嫌気がさしていたのだが。
彼女は学園都市における、記念すべき一期生である。
まさに最初、学園都市という荒唐無稽な試みがある程度軌道に乗り、初めて生徒を受け入れるだけの体勢を整えられた時の生徒である。
とはいえ一期生とは名ばかりで、学校ではなくほとんど研究所、『生徒』という言葉は、モルモットとほぼ同義の言葉であった。
人数は200人にも満たず、そのうちのほとんどすべては孤児であり、あとはほんの少しだけ、広告塔のための、関係者の縁故による、数合わせだけの人間だった。
彼女はその数少ない、出資者の子供という、縁故による生徒である。
彼女が、半ば捨てられるように一期生となったのは、学園都市からの強い要望があったことが大きい。
要望する理由は、「あくまで」出資グループの家族の中で、適年齢の人物が彼女しかいないという理由だった。
一期生のころの技術では、能力開発が出来る年齢は八歳未満に限られていて、今となっても約十五歳以上の人物に対する能力開発は危険行為である。
これは主に『自分だけの現実』の開発が精神の過渡期に有効であることや、脳の成熟課程における投薬効果の有無などによるものが大きい。
未だに学園都市の能力者に、成人を迎えたものがいないのは、単に「そこまでの年齢に達した人間がいない」だけだ。
7:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:48:09.99:jdAC/QEo (7/8)
そして、彼女が『LEVEL5 原子崩し(メルトダウナー)』の能力を手に入れたのは、一期生の能力開発の時、彼女が六歳の時である。
六歳の演算能力というものは、ほとんどあてにならないものであり、複雑な能力は大抵暴走した。
暴走を止める技術は当時の学園都市には存在せず、一期生の一割は能力開発過程で死亡している。
その犠牲が暴走を防止するための方法を編み出し、急激に安全性を増し、入学者を増やしたこともあるのだが。
麦野沈利の能力は、非常に強力なものだったのだが、演算方法は比較的抑え込みやすいものだった。
電子を粒子でもなく、波形にもせず、『曖昧なまま』の状態を保ち、決して外部から動かすことは出来ない。
それを彼女が振るえば、『曖昧なまま』の電子は、存在する物体に対し圧倒的な攻撃翌力を誇る。
『曖昧なまま』保つということが彼女の能力であり、保つだけならば、演算はさほど必要なかった。
それを内部から動かそうとしないなら、それは彼女の手の中で幻想的な輝きを見せるだけの存在だった。
それを他者への攻撃に転用することが、そもそも能力の使用方法の外にあるものだったのだ。
そして、攻撃を目的とした実験の時、彼女の力は呆気なく暴走した。
そして、彼女が『LEVEL5 原子崩し(メルトダウナー)』の能力を手に入れたのは、一期生の能力開発の時、彼女が六歳の時である。
六歳の演算能力というものは、ほとんどあてにならないものであり、複雑な能力は大抵暴走した。
暴走を止める技術は当時の学園都市には存在せず、一期生の一割は能力開発過程で死亡している。
その犠牲が暴走を防止するための方法を編み出し、急激に安全性を増し、入学者を増やしたこともあるのだが。
麦野沈利の能力は、非常に強力なものだったのだが、演算方法は比較的抑え込みやすいものだった。
電子を粒子でもなく、波形にもせず、『曖昧なまま』の状態を保ち、決して外部から動かすことは出来ない。
それを彼女が振るえば、『曖昧なまま』の電子は、存在する物体に対し圧倒的な攻撃翌力を誇る。
『曖昧なまま』保つということが彼女の能力であり、保つだけならば、演算はさほど必要なかった。
それを内部から動かそうとしないなら、それは彼女の手の中で幻想的な輝きを見せるだけの存在だった。
それを他者への攻撃に転用することが、そもそも能力の使用方法の外にあるものだったのだ。
そして、攻撃を目的とした実験の時、彼女の力は呆気なく暴走した。
8:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 18:48:36.33:jdAC/QEo (8/8)
呆気なく書き溜めって尽きるものですね
呆気なく書き溜めって尽きるものですね
9:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 19:24:56.98:o7uxCII0 (1/1)
期待です。面白そう。
期待です。面白そう。
10:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 21:20:31.26:6ukzAkw0 (1/1)
初春と佐天に期待。というか美琴ガラ悪いなww
初春と佐天に期待。というか美琴ガラ悪いなww
11:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/05(金) 22:28:03.73:sw9SEL.o (1/1)
面白そう。支援なんだよ!
面白そう。支援なんだよ!
12:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 01:44:01.50:26nnl2SO (1/1)
アイテムが普通に学生している世界か
麦野との関係性に期待
あと>>1の注意書きにある上条当麻が嫌いってどゆこと??
アイテムが普通に学生している世界か
麦野との関係性に期待
あと>>1の注意書きにある上条当麻が嫌いってどゆこと??
13:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 01:54:58.71:dyjA5gAO (1/1)
>>12
上条さんの扱いが悪いて事だろうな
>>12
上条さんの扱いが悪いて事だろうな
14:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 02:10:42.55:82IrPMAO (1/1)
それとも
「美琴が」神条さんを嫌いなのか
それとも
「美琴が」神条さんを嫌いなのか
15:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 02:15:46.96:D9oL6iAo (1/1)
作者が上条さん嫌いなんじゃないの?
作者が上条さん嫌いなんじゃないの?
16:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 11:02:43.91:/yl8soA0 (1/1)
某スレの佐天さんの様な扱いを受けても嫌いだから仕様が無い、って事じゃないのか
某スレの佐天さんの様な扱いを受けても嫌いだから仕様が無い、って事じゃないのか
17:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 14:14:54.33:lfmgSADO (1/1)
その某スレの作者は佐天さん大好きだぞ
その某スレの作者は佐天さん大好きだぞ
18:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 17:35:21.16:LYpbNhIo (1/1)
ということは某原作のフレンダの様な扱いを……されても上条さんは生えてきそうだな
ということは某原作のフレンダの様な扱いを……されても上条さんは生えてきそうだな
19:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 17:51:01.12:Zw4eo6DO (1/1)
はまづらスキーじゃない麦のんか…
期待
はまづらスキーじゃない麦のんか…
期待
20:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 18:32:53.24:nAiaReAo (1/2)
>>1です
たくさんのご期待ありがとうございます
現在執筆中です
数日中には投下出来るよう努力させていただきます
>>12-18
上条当麻が嫌いというのはこの物語が上条当麻を嫌いなだけです
>>1です
たくさんのご期待ありがとうございます
現在執筆中です
数日中には投下出来るよう努力させていただきます
>>12-18
上条当麻が嫌いというのはこの物語が上条当麻を嫌いなだけです
21:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/06(土) 18:56:31.07:nAiaReAo (2/2)
すんませんなんか疲れてました
物語というか設定ですね
すんませんなんか疲れてました
物語というか設定ですね
22:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 00:54:06.26:QWFG/EAO (1/1)
あまり無理をしないで下さいね、とミサカは応援のメッセージを送ります。
あまり無理をしないで下さいね、とミサカは応援のメッセージを送ります。
23:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 10:21:59.72:7EDzcIU0 (1/1)
つまり、どういうことだってばよ?
つまり、どういうことだってばよ?
24:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:43:50.01:Xd1dksco (1/14)
お気づかい痛み入ります
お気づかい痛み入ります
25:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:46:46.55:Xd1dksco (2/14)
息を切らしてどこともわからぬ狭い路地道を右へ左へ。
後ろから飛んでくる怒号に合わせて、眼前の男は「不幸だー!」と叫んでいた。
彼女はそれに続いたが、そんなことよりも、先ほどの現象の不可解さに頭を悩ましていた。
麦野沈利の能力は、確かに乱雑な演算をすれば空砲と化したり、あるいは明後日の方向へ飛んでいったりはする。
しかし、先ほどは確実に、あの屑の足を貫く為に、入念に演算をしていたし、出す必要のない腕を伸ばして、その精度をさらに高めたはずだ。
(……あれは、演算ミスというより、能力の発生を阻害されたような)
ツンツン頭の男の足は、行き止まりに向かうようなことはなく、どんどん後ろの輩を突き放していく。
(……セーフティも解除して、手に発生した私の『原子崩し』は形を取って、前方に照射されるはずだった)
息を切らしてどこともわからぬ狭い路地道を右へ左へ。
後ろから飛んでくる怒号に合わせて、眼前の男は「不幸だー!」と叫んでいた。
彼女はそれに続いたが、そんなことよりも、先ほどの現象の不可解さに頭を悩ましていた。
麦野沈利の能力は、確かに乱雑な演算をすれば空砲と化したり、あるいは明後日の方向へ飛んでいったりはする。
しかし、先ほどは確実に、あの屑の足を貫く為に、入念に演算をしていたし、出す必要のない腕を伸ばして、その精度をさらに高めたはずだ。
(……あれは、演算ミスというより、能力の発生を阻害されたような)
ツンツン頭の男の足は、行き止まりに向かうようなことはなく、どんどん後ろの輩を突き放していく。
(……セーフティも解除して、手に発生した私の『原子崩し』は形を取って、前方に照射されるはずだった)
26:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:48:42.14:Xd1dksco (3/14)
はたと気付けばそこはどこぞの公園で、男と共に近くの垣根の裏に滑り込んだ。
(あの段階になったら、演算はするというよりは、むしろやめることで発射されるはず……)
彼が息を荒らげながら後方を確認して、誰も追ってこないことを確認したらしい。
少し息の荒い麦野の顔を見て、ほっとしたような笑顔で語りかける。
「大丈夫でしたか?」
「え? ああ、ありがとう」
端から彼女は上の空だった。
理解不能な事項が目の前に現れたのだから、当たり前とも言えなくはないが、これほど頭を動かしたのは半年ぶりだろうか。
昔から、麦野という女性は、一度決めたらそれを貫き通す性癖であった。
そして、今回現れた疑問は、何年も続いているこの、何の起伏もない生活の中では、彼女の中で燻っていた好奇心を燃やすにはあまりに都合がよすぎた、ということだろう。
はたと気付けばそこはどこぞの公園で、男と共に近くの垣根の裏に滑り込んだ。
(あの段階になったら、演算はするというよりは、むしろやめることで発射されるはず……)
彼が息を荒らげながら後方を確認して、誰も追ってこないことを確認したらしい。
少し息の荒い麦野の顔を見て、ほっとしたような笑顔で語りかける。
「大丈夫でしたか?」
「え? ああ、ありがとう」
端から彼女は上の空だった。
理解不能な事項が目の前に現れたのだから、当たり前とも言えなくはないが、これほど頭を動かしたのは半年ぶりだろうか。
昔から、麦野という女性は、一度決めたらそれを貫き通す性癖であった。
そして、今回現れた疑問は、何年も続いているこの、何の起伏もない生活の中では、彼女の中で燻っていた好奇心を燃やすにはあまりに都合がよすぎた、ということだろう。
27:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:51:28.76:Xd1dksco (4/14)
(なら、外的条件? 別に特別変なものがあるわけでもなかったし、そもそもあんなへんぴな所に、レベル5の能力を阻止できるようなものがあるわけもない)
「いえ、俺はたまたま補修の帰りがけに見かけただけで、でもこんな時間に一人だと危ないですよ?」
(……だとすると、他の要因は――)
隣に座っている、男子学生の顔を見つめながら、一つの考えを浮かべる。
あまり確証はないが、聞いてみる価値はある。
「……お前」
だいぶ呼吸を整えながらも、疲れ切ったような表情を浮かべた彼は、
「へ?」
口調を変え、すっと立ち上がった彼女に対し、間抜けのような声を出した。
「レベルは、いくつだ?」
少し声を低くして、明らかに脅している口ぶりで話す。
「え、あの、上条さんは、はい、レベル0ですけど……」
(なら、外的条件? 別に特別変なものがあるわけでもなかったし、そもそもあんなへんぴな所に、レベル5の能力を阻止できるようなものがあるわけもない)
「いえ、俺はたまたま補修の帰りがけに見かけただけで、でもこんな時間に一人だと危ないですよ?」
(……だとすると、他の要因は――)
隣に座っている、男子学生の顔を見つめながら、一つの考えを浮かべる。
あまり確証はないが、聞いてみる価値はある。
「……お前」
だいぶ呼吸を整えながらも、疲れ切ったような表情を浮かべた彼は、
「へ?」
口調を変え、すっと立ち上がった彼女に対し、間抜けのような声を出した。
「レベルは、いくつだ?」
少し声を低くして、明らかに脅している口ぶりで話す。
「え、あの、上条さんは、はい、レベル0ですけど……」
28:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:52:45.01:Xd1dksco (5/14)
怯えたように話される言葉を聞いて、なら違うな。と別の思考を巡らす。
(なら周辺で、何らかの抗争があった? ……いや、いくら周囲に電子を操作する能力者がいたとしても、発射できないなんてことは……)
しかし、彼は、そのまま言葉をつづけていた。
「強いて言うなら、右手に『幻想殺し』っていうのがあるくらいで……」
「今なんて言った!?」
彼のつぶやきに反応した彼女の叫びは、ビクゥと彼の体を震えさせる。
「い、『幻想殺し』……です」
彼女はもちろんそんな能力名を聞いたことはない。
いくら勉学に関してサボタージュしている麦野とはいえ、能力関係の学識ならば、LEVEL5にふさわしい知識を持っている。
そして、そんな名前の付く能力など聞いたことはないし、そもそも個人特有の能力名が付属するのは例外を除いて、最低でもLEVEL4以上である。
怯えたように話される言葉を聞いて、なら違うな。と別の思考を巡らす。
(なら周辺で、何らかの抗争があった? ……いや、いくら周囲に電子を操作する能力者がいたとしても、発射できないなんてことは……)
しかし、彼は、そのまま言葉をつづけていた。
「強いて言うなら、右手に『幻想殺し』っていうのがあるくらいで……」
「今なんて言った!?」
彼のつぶやきに反応した彼女の叫びは、ビクゥと彼の体を震えさせる。
「い、『幻想殺し』……です」
彼女はもちろんそんな能力名を聞いたことはない。
いくら勉学に関してサボタージュしている麦野とはいえ、能力関係の学識ならば、LEVEL5にふさわしい知識を持っている。
そして、そんな名前の付く能力など聞いたことはないし、そもそも個人特有の能力名が付属するのは例外を除いて、最低でもLEVEL4以上である。
29:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:53:56.23:Xd1dksco (6/14)
「イマジンブレイカー、というと?」
「……異能の力なら、なんでも打ち消せるっていう代物です」
異能の力、彼が不幸そうに呟いたその表現に、彼女は酷く違和感を覚えた。
何故彼は今、この町で最もポピュラーな『超能力』という言葉を使わなかったのか?
そして、もしLEVEL5の能力を阻害出来るだけの能力があるのなら、どうしてLEVEL0判定を受けるのか?
この二つの事項を、少し上手く組み合わせてみると、考えたこともない仮定が生まれる。
(その右手は『超能力』ではなく、何か別の『異能』とでも――?)
顎に手を付き考え込んでいる彼女を見て、彼は一縷の望みをかけたように彼女に声をかける。
「あの! か、帰っていいですか?」
「待て」
哀れな嘆きを一蹴して、もう少し考えを進める。
「イマジンブレイカー、というと?」
「……異能の力なら、なんでも打ち消せるっていう代物です」
異能の力、彼が不幸そうに呟いたその表現に、彼女は酷く違和感を覚えた。
何故彼は今、この町で最もポピュラーな『超能力』という言葉を使わなかったのか?
そして、もしLEVEL5の能力を阻害出来るだけの能力があるのなら、どうしてLEVEL0判定を受けるのか?
この二つの事項を、少し上手く組み合わせてみると、考えたこともない仮定が生まれる。
(その右手は『超能力』ではなく、何か別の『異能』とでも――?)
顎に手を付き考え込んでいる彼女を見て、彼は一縷の望みをかけたように彼女に声をかける。
「あの! か、帰っていいですか?」
「待て」
哀れな嘆きを一蹴して、もう少し考えを進める。
30:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 17:55:44.78:Xd1dksco (7/14)
だが、彼女にこれ以上の考えは浮かばなかった。
何にしろ、その考え方は、あまりにありえない、荒唐無稽な戯言であることだからだ。
しかし、現に彼女の原子崩しは発動をやめており、燃え上がった好奇心は思考力さえ奪う。
「右手出してみろ」
「え? ……はい」
上条がすくっと立ち上がり、軽く右手を前に出したのを確認するやいなや、
キィィィィィ……
彼女は左腕から、『LEVEL5』『全力』の『原子崩し』を彼の『幻想殺し』とやらに接射した。
だが、彼女にこれ以上の考えは浮かばなかった。
何にしろ、その考え方は、あまりにありえない、荒唐無稽な戯言であることだからだ。
しかし、現に彼女の原子崩しは発動をやめており、燃え上がった好奇心は思考力さえ奪う。
「右手出してみろ」
「え? ……はい」
上条がすくっと立ち上がり、軽く右手を前に出したのを確認するやいなや、
キィィィィィ……
彼女は左腕から、『LEVEL5』『全力』の『原子崩し』を彼の『幻想殺し』とやらに接射した。
31:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:00:29.47:Xd1dksco (8/14)
------
がちゃり
という、ドアの開く音で浜面仕上は目を覚ました。
「んぁ……」
少し眠いし、まだ夏期休暇だしと、朝日が窓辺から差し込んでいるのを薄目で見て、二度寝をしようと目をつぶる。
しかし、がしゃんと何かが床に落ちる音を聞いて、気だるそうに右手を付いて上半身を持ち上げようとする。
が、右手が何か柔らかいものに触れた。
一気に体中に流れている血潮が凍りつき、目を見開いて、首がゆっくりと右下のそれを見ようと動く。
「……んん……」
滝壺理后と言う名の、彼が現在居候させてもらっている女性が、同じベッドで寝ている。
その時ようやく、昨日飲み潰れ、なんとかここに帰ってきたところまでを思い出す。
そして、肌を擦れるシーツの感触から、自分が全裸であることに気づく
顔をゆっくり、前方に向ける。
女性の部屋とも思えない、殺風景な部屋のドアが空き放たれた先にある廊下につっ立っていたのは、
下半身が主にきわどいワンピースを着た、浜面のまた良く知る、そして滝壺の親友である、明らかに外見が中学生なのに高校生1年生である、同じ寮に住んでいて、この部屋の鍵を持つ三人の一人である、絹旗最愛がいた。
コンビニで買ったと思われる、缶コーヒーやペットボトル、菓子パンの入ったビニール袋が、廊下の上で無残に潰れている。
------
がちゃり
という、ドアの開く音で浜面仕上は目を覚ました。
「んぁ……」
少し眠いし、まだ夏期休暇だしと、朝日が窓辺から差し込んでいるのを薄目で見て、二度寝をしようと目をつぶる。
しかし、がしゃんと何かが床に落ちる音を聞いて、気だるそうに右手を付いて上半身を持ち上げようとする。
が、右手が何か柔らかいものに触れた。
一気に体中に流れている血潮が凍りつき、目を見開いて、首がゆっくりと右下のそれを見ようと動く。
「……んん……」
滝壺理后と言う名の、彼が現在居候させてもらっている女性が、同じベッドで寝ている。
その時ようやく、昨日飲み潰れ、なんとかここに帰ってきたところまでを思い出す。
そして、肌を擦れるシーツの感触から、自分が全裸であることに気づく
顔をゆっくり、前方に向ける。
女性の部屋とも思えない、殺風景な部屋のドアが空き放たれた先にある廊下につっ立っていたのは、
下半身が主にきわどいワンピースを着た、浜面のまた良く知る、そして滝壺の親友である、明らかに外見が中学生なのに高校生1年生である、同じ寮に住んでいて、この部屋の鍵を持つ三人の一人である、絹旗最愛がいた。
コンビニで買ったと思われる、缶コーヒーやペットボトル、菓子パンの入ったビニール袋が、廊下の上で無残に潰れている。
32:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:02:02.93:Xd1dksco (9/14)
「……あ、おはよう、はまづら」
滝壺が、目をこすりながら起き上がる。
ドアの前の少女が、名状しがたい表情を浮かべながら、こちらを睨みつけていることに気づかない。
「昨日は酔ってあばれて、びっくりしちゃった」
いつものような表情の薄い顔で、明らかに顔の青さを増し、明後日の方向を向いている浜面に、淡々と会話をしている。
「未成年なんだから、お酒はあんまり飲まないほうがいいよ」
浜面は他方の絹旗の表情を、読みとれるだけの精神状態ではなかった。
「……あ、おはよう、はまづら」
滝壺が、目をこすりながら起き上がる。
ドアの前の少女が、名状しがたい表情を浮かべながら、こちらを睨みつけていることに気づかない。
「昨日は酔ってあばれて、びっくりしちゃった」
いつものような表情の薄い顔で、明らかに顔の青さを増し、明後日の方向を向いている浜面に、淡々と会話をしている。
「未成年なんだから、お酒はあんまり飲まないほうがいいよ」
浜面は他方の絹旗の表情を、読みとれるだけの精神状態ではなかった。
33:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:03:47.57:Xd1dksco (10/14)
「でも……、……、きゃ」
わざとらしく、しかし顔を赤らめながら、しなをつくって両手で頬を触れ、甘い声を出す。
そして、その言葉とほぼ同時に、
バキィッッ!!!
という、破裂音と共に、絹旗は自らの能力である、周囲の窒素を操作する『窒素装甲』をこれ以上なく利用し、廊下を強くへこませて玄関に向かって飛び出し、
バッキャァァ!!!
玄関もまたぶち破り、僚の手すりをもひん曲げ、その早朝の清澄な空気を弄び、四階から目の前の道路に着地して、朝日に向かって駆け出した。
「浜面の、超、超、超、超バカヤロー!!!」
絶叫を伴いながら、彼女はどこぞへ駆けていく。
「でも……、……、きゃ」
わざとらしく、しかし顔を赤らめながら、しなをつくって両手で頬を触れ、甘い声を出す。
そして、その言葉とほぼ同時に、
バキィッッ!!!
という、破裂音と共に、絹旗は自らの能力である、周囲の窒素を操作する『窒素装甲』をこれ以上なく利用し、廊下を強くへこませて玄関に向かって飛び出し、
バッキャァァ!!!
玄関もまたぶち破り、僚の手すりをもひん曲げ、その早朝の清澄な空気を弄び、四階から目の前の道路に着地して、朝日に向かって駆け出した。
「浜面の、超、超、超、超バカヤロー!!!」
絶叫を伴いながら、彼女はどこぞへ駆けていく。
34:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:06:00.51:Xd1dksco (11/14)
カップリングって先になんか言った方がよかったことすっかり忘れてました
ネタバレ入るかもしれませんが今からでも言った方がいいですか
カップリングって先になんか言った方がよかったことすっかり忘れてました
ネタバレ入るかもしれませんが今からでも言った方がいいですか
35:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:07:22.21:Eu/5fjwo (1/2)
言ったほうがいいんじゃね?
自分は別に気にしないけど
言ったほうがいいんじゃね?
自分は別に気にしないけど
36:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:07:37.33:7dSxWXko (1/1)
一応、出来れば
一応、出来れば
37:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:14:01.34:Xd1dksco (12/14)
上条と麦野さん
上条さんとインさん
滝壺さんと浜面さん
絹旗さんと一通さん
後は微妙です
上条と麦野さん
上条さんとインさん
滝壺さんと浜面さん
絹旗さんと一通さん
後は微妙です
38:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:16:48.88:SIWJmaAo (1/1)
上条と上条さんがいるのか
どういうことだってばよ
上条と上条さんがいるのか
どういうことだってばよ
39:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 18:17:59.87:Eu/5fjwo (2/2)
衝撃の上/条化フラグだな
衝撃の上/条化フラグだな
40:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 19:31:41.69:.NcoejU0 (1/1)
まあ上条刀夜さんもいるし
まあ上条刀夜さんもいるし
41:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 19:54:55.96:vXMRYvAo (1/1)
初代上条と二代目上条か
初代上条と二代目上条か
42:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 20:17:29.44:X5huG56o (1/1)
一方装甲……だと……?
一方装甲……だと……?
43:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 20:52:24.13:duNzsQAO (1/1)
つまり某スレの黒子みたいになるのか
可哀想だな麦野
つまり某スレの黒子みたいになるのか
可哀想だな麦野
44:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 21:02:16.63:eJk0bXAo (1/1)
学園都市は何十年も前からあるでよ
学園都市は何十年も前からあるでよ
45:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 21:11:05.84:Xd1dksco (13/14)
>>44
補完しておきます
>>44
補完しておきます
46:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/07(日) 21:36:37.84:Xd1dksco (14/14)
なんだか今更上手く作品内に練り込む機会が見つからぬので
----
学園都市はかつて『超常現象研究機関』という名を取っており、人間の観測による認識を誤認させることによる夢想事の個人組織であった。
しかし、その機関長として、名前「のみ」が知られている「アレイスター・クロウリー」の異様な人脈や、奇怪な研究から来る大量の副産物によって、技術の発展は類を見ないスピードで進んでいった。
とはいえ、超能力の開発を実際に『人体実験』に移せるまでに、社会的信用や土地、資本金を得ることに数十年の歳月がかかってしまったことは事実である。
ちなみに、人体実験が一部の研究者の実子に行われていたことは、あくまで噂でしかない。
----
これを>>6と>>7の間に入れておいてください
多分なんとかなります
なんとかなれ
なんだか今更上手く作品内に練り込む機会が見つからぬので
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学園都市はかつて『超常現象研究機関』という名を取っており、人間の観測による認識を誤認させることによる夢想事の個人組織であった。
しかし、その機関長として、名前「のみ」が知られている「アレイスター・クロウリー」の異様な人脈や、奇怪な研究から来る大量の副産物によって、技術の発展は類を見ないスピードで進んでいった。
とはいえ、超能力の開発を実際に『人体実験』に移せるまでに、社会的信用や土地、資本金を得ることに数十年の歳月がかかってしまったことは事実である。
ちなみに、人体実験が一部の研究者の実子に行われていたことは、あくまで噂でしかない。
----
これを>>6と>>7の間に入れておいてください
多分なんとかなります
なんとかなれ
47:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:48:35.51:LsO5uGEo (1/15)
考えてみればどうせそろそろ矛盾が出始めまくる頃なんだし、そこまで固執することもなかったかな。
考えてみればどうせそろそろ矛盾が出始めまくる頃なんだし、そこまで固執することもなかったかな。
48:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:50:35.43:LsO5uGEo (2/15)
幕間二
麦野沈利が対象物の破壊実験を行った時、能力の暴走によって三人が目の前で吹き飛ばされ、一人が首を刎ねられ、一人は左腕を残して蒸発した。
彼女がその時使用させられていた薬物は、意識を集中するためのもので、能力が暴走しながらも、自らが人を殺めていく様は、はっきりと彼女の目に映り込んでいた。
当時の彼女の精神を揺り動かしたことは想像に難くない。
幸か不幸か、その力を重くみた政府は、学園都市側からの働き掛けも受けて、超法規的措置として、その事件を不問とし、彼女に何ら不都合なことは起こらなかった。
彼女はそれまでの間、特に『挫折』というものを経験していなかったし、それからもほとんど経験していない。
この経験も、『挫折』という経験とはいくばくか違う物なのであったが、彼女はこれを『挫折』と捉えた。
人の命とは呆気ないものであり、全ては天運が左右してしまうのだと。
全てが順調に続いていたからこそ、強くそう思った。
彼女はその圧倒的な能や生まれの財を使い尽くして、さらなる上の何かを掴むだけの才はなかったが、その脳や財を使い果たして、破滅していくほど愚かでもなかった。
それゆえ、麦野沈利と言う女性は、常に自らを一定までは律してはいても、それ以上の事はしなかったのである。
幕間二
麦野沈利が対象物の破壊実験を行った時、能力の暴走によって三人が目の前で吹き飛ばされ、一人が首を刎ねられ、一人は左腕を残して蒸発した。
彼女がその時使用させられていた薬物は、意識を集中するためのもので、能力が暴走しながらも、自らが人を殺めていく様は、はっきりと彼女の目に映り込んでいた。
当時の彼女の精神を揺り動かしたことは想像に難くない。
幸か不幸か、その力を重くみた政府は、学園都市側からの働き掛けも受けて、超法規的措置として、その事件を不問とし、彼女に何ら不都合なことは起こらなかった。
彼女はそれまでの間、特に『挫折』というものを経験していなかったし、それからもほとんど経験していない。
この経験も、『挫折』という経験とはいくばくか違う物なのであったが、彼女はこれを『挫折』と捉えた。
人の命とは呆気ないものであり、全ては天運が左右してしまうのだと。
全てが順調に続いていたからこそ、強くそう思った。
彼女はその圧倒的な能や生まれの財を使い尽くして、さらなる上の何かを掴むだけの才はなかったが、その脳や財を使い果たして、破滅していくほど愚かでもなかった。
それゆえ、麦野沈利と言う女性は、常に自らを一定までは律してはいても、それ以上の事はしなかったのである。
49:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:51:38.64:LsO5uGEo (3/15)
自分だっていつ、学園都市から捨てられるかもわからない。
いくら財があろうとも、いくら力があろうとも、あまりに自分は惑わされる側で、操られる側であり、いつ殺されるかもわかったものでもない。
彼女が少女の時に受けつづけた実験の余波は、彼女の思考を支配し続けた。
どこかのお姫様が塔の頂上で外の世界を夢想し、自らの境遇を憂いているその真下で、哀れな乞食が餓えて死に行く事を、とかく過剰に意識していた。
麦野沈利は退廃的である。
この後、彼女はそれなりの友好関係を、それなりの人々と、それなりの回数築いていたが、ほとんどが彼女の退廃的な性格を変えることはなかった。
多くは彼女の人脈、才能などを求めるだけであり、彼女自身、別段上っ面以上の事を求めたこともなかったが、それらの人々はすぐに失望の表情と共に去っていった。
彼女は孤独だったが、別にそれを苦にしようとは思っていないし、一度それから解放されても、また孤独に慣れることが出来た。
麦野沈利は仲間を作り続けるほど強くはなかったが、一人で居られる程度には強かったのだ。
自分だっていつ、学園都市から捨てられるかもわからない。
いくら財があろうとも、いくら力があろうとも、あまりに自分は惑わされる側で、操られる側であり、いつ殺されるかもわかったものでもない。
彼女が少女の時に受けつづけた実験の余波は、彼女の思考を支配し続けた。
どこかのお姫様が塔の頂上で外の世界を夢想し、自らの境遇を憂いているその真下で、哀れな乞食が餓えて死に行く事を、とかく過剰に意識していた。
麦野沈利は退廃的である。
この後、彼女はそれなりの友好関係を、それなりの人々と、それなりの回数築いていたが、ほとんどが彼女の退廃的な性格を変えることはなかった。
多くは彼女の人脈、才能などを求めるだけであり、彼女自身、別段上っ面以上の事を求めたこともなかったが、それらの人々はすぐに失望の表情と共に去っていった。
彼女は孤独だったが、別にそれを苦にしようとは思っていないし、一度それから解放されても、また孤独に慣れることが出来た。
麦野沈利は仲間を作り続けるほど強くはなかったが、一人で居られる程度には強かったのだ。
50:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:52:41.21:LsO5uGEo (4/15)
しかし、今までで二つだけ、予期せず、彼女が幸せであると感じられた集団が、仲間たちがいた。
彼女が『LEVEL5共鳴計画』の名の元に、当時第一位『一方通行(アクセラレータ)』、当時第二位『未現物質(ダークマター)』、当時第四位『超常念力(サイコキネシスト)』と過ごした三年間の生活。
もうひとつは現在まで続いている、『暗闇の五月計画』の時の知り合いで、その後偶然打ち解けたレベル4三人組との、どちらかというとボランティアグループのような、下らない集まりである。
しかし、今までで二つだけ、予期せず、彼女が幸せであると感じられた集団が、仲間たちがいた。
彼女が『LEVEL5共鳴計画』の名の元に、当時第一位『一方通行(アクセラレータ)』、当時第二位『未現物質(ダークマター)』、当時第四位『超常念力(サイコキネシスト)』と過ごした三年間の生活。
もうひとつは現在まで続いている、『暗闇の五月計画』の時の知り合いで、その後偶然打ち解けたレベル4三人組との、どちらかというとボランティアグループのような、下らない集まりである。
51:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:53:21.16:LsO5uGEo (5/15)
学園都市の内部における盛衰は、やはり激しいものであり、運良く抽選に当たって学区内に店舗を構えることに成功した会社は少なからず、多くの負債と仕舞屋を残して立ち去っている。
窓は閉め切り、電気もガスも通っておらず、埃が被った備品が散らばるばかりである。
そんな暗い闇の中で、それ相応の暗い闇が蠢いていた。
一室に、三人の女子生徒と、一人の成年男性がいた。
暗い部屋を照らすのは、天井に『埋められた』小型ライトだけだ。
誰かが動くたび、床の埃が舞い、ライトの光を揺らめかせる。
女子生徒の来ている制服は、どこか曖昧な形で、セーラー服ではあるものの、酷く抽象的で何の特徴もない。
学園都市のあらゆる学校の制服とも違うが、ひと目で制服だとわかる服ではある。
学園都市の内部における盛衰は、やはり激しいものであり、運良く抽選に当たって学区内に店舗を構えることに成功した会社は少なからず、多くの負債と仕舞屋を残して立ち去っている。
窓は閉め切り、電気もガスも通っておらず、埃が被った備品が散らばるばかりである。
そんな暗い闇の中で、それ相応の暗い闇が蠢いていた。
一室に、三人の女子生徒と、一人の成年男性がいた。
暗い部屋を照らすのは、天井に『埋められた』小型ライトだけだ。
誰かが動くたび、床の埃が舞い、ライトの光を揺らめかせる。
女子生徒の来ている制服は、どこか曖昧な形で、セーラー服ではあるものの、酷く抽象的で何の特徴もない。
学園都市のあらゆる学校の制服とも違うが、ひと目で制服だとわかる服ではある。
52:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:56:20.15:LsO5uGEo (6/15)
「……わたくし、野郎の口なんか割らせる気ないですわよ?」
「はいはい、御坂様一筋の黒子さんの為に、わたくしめがお手を汚しましょうよ」
ツインテールの女子生徒が怠惰そうに呟き、壁に寄り添っているのを見て、ロングヘアーの一人が肩をすくめ、大げさに返事をする。
残る、過剰な花の髪飾りをつけているショートボブの一人は、床に座って携帯端末をいじくっているばかりで、二人の会話を気にしていることもない。
携帯端末の照明を受けた顔に表情はない。
「どうせ女の子だって好みじゃなけりゃ、壁にでも埋め込んどく癖に……」
「……わたくし、野郎の口なんか割らせる気ないですわよ?」
「はいはい、御坂様一筋の黒子さんの為に、わたくしめがお手を汚しましょうよ」
ツインテールの女子生徒が怠惰そうに呟き、壁に寄り添っているのを見て、ロングヘアーの一人が肩をすくめ、大げさに返事をする。
残る、過剰な花の髪飾りをつけているショートボブの一人は、床に座って携帯端末をいじくっているばかりで、二人の会話を気にしていることもない。
携帯端末の照明を受けた顔に表情はない。
「どうせ女の子だって好みじゃなけりゃ、壁にでも埋め込んどく癖に……」
53:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:57:37.37:LsO5uGEo (7/15)
そこでようやく、全裸で、口が『なく』、両手足が床に『埋め込まれて』四つん這いにされている男性の所に歩き、顔に触れる。
口が『開き』、唇が『現れ』、大きくむせる音ばかりが響く。
「さーて、口を割るなら、今が一番オススメですよ?」
笑顔でもなく、無表情でもなく、たまたまコンビニで好きだった商品が、なくなっていたような時の顔つきで、そう宣告する。
「……暗部にいるんだ、死んでも口は割らん」
男は吐き捨てるように言ってのけるが、携帯端末を弄っていた少女が口を挟む。
「なら、今頃舌噛んで死んでていいはずなんですがねー」
「舌も噛めないような輩が、口を割らないわけがない、ってね」
そこでようやく、全裸で、口が『なく』、両手足が床に『埋め込まれて』四つん這いにされている男性の所に歩き、顔に触れる。
口が『開き』、唇が『現れ』、大きくむせる音ばかりが響く。
「さーて、口を割るなら、今が一番オススメですよ?」
笑顔でもなく、無表情でもなく、たまたまコンビニで好きだった商品が、なくなっていたような時の顔つきで、そう宣告する。
「……暗部にいるんだ、死んでも口は割らん」
男は吐き捨てるように言ってのけるが、携帯端末を弄っていた少女が口を挟む。
「なら、今頃舌噛んで死んでていいはずなんですがねー」
「舌も噛めないような輩が、口を割らないわけがない、ってね」
54:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 18:59:56.34:LsO5uGEo (8/15)
軽く言ってのけた彼女は制服のポケットから、小さいファイルを取り出し、パラパラとめくり始める。
「うーん、どれにしよっか」
「……お前らの中に、読心能力者はいないのか?」
その様子を見て、男が呟く。
「んー、『ブレーカー』にはそういう、雑用に使える直轄の下部組織がないのよ、今回の件、あなた達の情報横流し計画を阻止するだけが目的の筈だったの」
ファイルを幾つか取って、見比べながら返事をする。
「何故だか知らないけど、その組織の解体まで依頼されちゃって、われらの電撃姫はそっちに行っちゃってね」
軽く言ってのけた彼女は制服のポケットから、小さいファイルを取り出し、パラパラとめくり始める。
「うーん、どれにしよっか」
「……お前らの中に、読心能力者はいないのか?」
その様子を見て、男が呟く。
「んー、『ブレーカー』にはそういう、雑用に使える直轄の下部組織がないのよ、今回の件、あなた達の情報横流し計画を阻止するだけが目的の筈だったの」
ファイルを幾つか取って、見比べながら返事をする。
「何故だか知らないけど、その組織の解体まで依頼されちゃって、われらの電撃姫はそっちに行っちゃってね」
55:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:01:50.31:LsO5uGEo (9/15)
これでいいか、と一枚の紙を選ぶと、残りの紙を制服に戻す。
「元々は情報関係の裏仕事をするだけの筈なのに、最近戦闘力が評価でもされちゃったのか知らないけど、こういう依頼が増えて困っちゃうよ」
左手に持った紙を読みながら、がっ、と男の頭を掴む。
「わざわざ他の組織から借りるなりするほどでもないし、あなたが口を割らないなら割らないでそれでもいいしね」
紙を読み切ると、それを軽く放り投げると、左手も顔を掴む。
「なっ……何を……」
彼女の顔は、先ほどのような自然な顔つきでなく、赤く頬を染め、酷く艶めかしく、荒い息をして、男を見つめていた。
「だって君、私たちに弄ばれるためだけにここにいるんだけど?」
これでいいか、と一枚の紙を選ぶと、残りの紙を制服に戻す。
「元々は情報関係の裏仕事をするだけの筈なのに、最近戦闘力が評価でもされちゃったのか知らないけど、こういう依頼が増えて困っちゃうよ」
左手に持った紙を読みながら、がっ、と男の頭を掴む。
「わざわざ他の組織から借りるなりするほどでもないし、あなたが口を割らないなら割らないでそれでもいいしね」
紙を読み切ると、それを軽く放り投げると、左手も顔を掴む。
「なっ……何を……」
彼女の顔は、先ほどのような自然な顔つきでなく、赤く頬を染め、酷く艶めかしく、荒い息をして、男を見つめていた。
「だって君、私たちに弄ばれるためだけにここにいるんだけど?」
56:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:03:05.59:LsO5uGEo (10/15)
みなさんが好きそうな展開と
物語の中で自然な展開と
物語の中ではちゃめちゃな展開と
俺の暴走
どれがいいですか?
みなさんが好きそうな展開と
物語の中で自然な展開と
物語の中ではちゃめちゃな展開と
俺の暴走
どれがいいですか?
57:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:07:04.04:MYIVeaEo (1/1)
無理の無い自然な展開
無理の無い自然な展開
58:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:10:30.37:mJ4uZYAO (1/1)
暴走もいいが自然な方向もすて難い…
暴走もいいが自然な方向もすて難い…
59:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:14:43.24:LsO5uGEo (11/15)
>>56
>>57
了解です
俺の性癖をコアにして佐天さんは構築してあるので、自然な展開でもドン引きかもしれませんがご覚悟ください
>>56
>>57
了解です
俺の性癖をコアにして佐天さんは構築してあるので、自然な展開でもドン引きかもしれませんがご覚悟ください
60:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:21:13.32:LsO5uGEo (12/15)
ああ、そんな自己満足なキャラじゃないですよ
おかしい展開はないはずです
ああ、そんな自己満足なキャラじゃないですよ
おかしい展開はないはずです
61:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:38:41.77:m3gRevgo (1/1)
佐天さんも能力者か・・・なんか別な意味で胸熱だ。
佐天さんも能力者か・・・なんか別な意味で胸熱だ。
62:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 19:42:37.42:LsO5uGEo (13/15)
佐天さんを無能力者にするか否かはかなり悩んだところなのですが
どっちを選んでも後悔できる難しい部分でした
佐天さんを無能力者にするか否かはかなり悩んだところなのですが
どっちを選んでも後悔できる難しい部分でした
63:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 20:47:29.48:Ph6tFPQ0 (1/1)
うっさい
うっさい
64:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 20:56:47.99:LsO5uGEo (14/15)
善処します
善処します
65:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 21:56:27.11:LsO5uGEo (15/15)
落ちついてみるとなんだか見苦しいことばかりしていて大変申し訳ございません
もう暫く書き溜める事にします
落ちついてみるとなんだか見苦しいことばかりしていて大変申し訳ございません
もう暫く書き溜める事にします
66:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 22:31:26.93:lu7RhSk0 (1/1)
乙!早くレスを返したい気持ちはわかるけど
一定の間が開いた時とか作品投下前にまとめてするのはどうかな?
あんまり小まめに返すとレス数の急激な増加に期待した人達が気を落とす事になるかも…
乙!早くレスを返したい気持ちはわかるけど
一定の間が開いた時とか作品投下前にまとめてするのはどうかな?
あんまり小まめに返すとレス数の急激な増加に期待した人達が気を落とす事になるかも…
67:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/09(火) 23:43:59.02:0Sn8kYAO (1/1)
ドSな佐天さんか……
いいぞもっとやれ
ドSな佐天さんか……
いいぞもっとやれ
68:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 07:53:33.33:ckNc/aY0 (1/1)
とりあえず浜滝というだけで期待
とりあえず浜滝というだけで期待
69:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/10(水) 17:40:23.59:M.XjTawo (1/1)
うん。これは面白そうだ。期待
うん。これは面白そうだ。期待
70:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 20:57:38.99:JGHDaXUo (1/8)
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幕間三の一
麦野沈利が高校生になった頃、通称『LEVEL5共鳴計画』は行われた。
その実験は年単位で、かなり長期化するらしいことは知っていたが、彼女がこの実験を受けた理由はそれにあった。
実験は学園都市統括理事会の直轄のもので、この実験を受けている間は他の実験を受ける必要はない、という契約があったからだった。
実験に対する拒否権を大手を振って行使出来るのは、こんな機会しかないと思ったからである。
そして、彼女はその為の実験場の中心、ソファーに座り込み、隅の自販機で買ったコーンソーダを飲んでいる。
ただ白い壁、隅の辺りにドアが幾つか付いているだけで、あとは家具などがぽつんぽつんと置き散らかされている、立方体のただ広い部屋である。
トイレや風呂、台所などは別の部屋だが、それ以外は全てここで生活しろということなのだろうか。
煌々と照明がやや遠い天井から、部屋の全てを照らしている。
ちなみに彼女には、その純白の壁に見覚えがある。
数ヶ月前の実験で、彼女の原子崩しを受けても焦げ付きさえ起こさなかった、採算度外視の新素材らしい。
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幕間三の一
麦野沈利が高校生になった頃、通称『LEVEL5共鳴計画』は行われた。
その実験は年単位で、かなり長期化するらしいことは知っていたが、彼女がこの実験を受けた理由はそれにあった。
実験は学園都市統括理事会の直轄のもので、この実験を受けている間は他の実験を受ける必要はない、という契約があったからだった。
実験に対する拒否権を大手を振って行使出来るのは、こんな機会しかないと思ったからである。
そして、彼女はその為の実験場の中心、ソファーに座り込み、隅の自販機で買ったコーンソーダを飲んでいる。
ただ白い壁、隅の辺りにドアが幾つか付いているだけで、あとは家具などがぽつんぽつんと置き散らかされている、立方体のただ広い部屋である。
トイレや風呂、台所などは別の部屋だが、それ以外は全てここで生活しろということなのだろうか。
煌々と照明がやや遠い天井から、部屋の全てを照らしている。
ちなみに彼女には、その純白の壁に見覚えがある。
数ヶ月前の実験で、彼女の原子崩しを受けても焦げ付きさえ起こさなかった、採算度外視の新素材らしい。
71:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 20:59:26.14:JGHDaXUo (2/8)
「今回の実験は本気、ってことか……てっきり、ギャグみたいな計画だと思ってたんだけど……」
よくもまあこんな不味いジュースを思いつくと、半分ほど残った缶を後ろに投げ捨てる。
清掃ロボットが数台置かれていたことは、確認済みだったからだ。
不運だったことは、二つ。
一つは、背後からやってきた男性が、『仕事』上、足音を消す技に長けていて、無意識にそれを行っていたこと。
もう一つは、彼が書類を読みながら歩いていて、前方から迫ったそれに気づくことが遅れたことである。
「今回の実験は本気、ってことか……てっきり、ギャグみたいな計画だと思ってたんだけど……」
よくもまあこんな不味いジュースを思いつくと、半分ほど残った缶を後ろに投げ捨てる。
清掃ロボットが数台置かれていたことは、確認済みだったからだ。
不運だったことは、二つ。
一つは、背後からやってきた男性が、『仕事』上、足音を消す技に長けていて、無意識にそれを行っていたこと。
もう一つは、彼が書類を読みながら歩いていて、前方から迫ったそれに気づくことが遅れたことである。
72:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:00:31.96:JGHDaXUo (3/8)
結果、投げ飛ばされた缶は頭にジャストミート、黄色いべとべととした液体は、彼の顔と体をびちょびちょに濡らした。、
彼女は缶の落ちる音に違和感を感じ、ふいと振り向いた。
「……御挨拶だな、原子崩しさんよぉ」
研究者の証明であろう白衣を着ながら、右顔面に入れ墨を入れた金髪の、明らかに悪人相の男が、顔を歪めてこちらを睨みつけていた。
「……えーと、ここは実験室であって、どっかの犯罪者が来るようなところじゃないはずなんだけど」
確かに監獄には似てるけどさ。と麦野が付け加えると、彼女はその男に見覚えがあることに気付く。
結果、投げ飛ばされた缶は頭にジャストミート、黄色いべとべととした液体は、彼の顔と体をびちょびちょに濡らした。、
彼女は缶の落ちる音に違和感を感じ、ふいと振り向いた。
「……御挨拶だな、原子崩しさんよぉ」
研究者の証明であろう白衣を着ながら、右顔面に入れ墨を入れた金髪の、明らかに悪人相の男が、顔を歪めてこちらを睨みつけていた。
「……えーと、ここは実験室であって、どっかの犯罪者が来るようなところじゃないはずなんだけど」
確かに監獄には似てるけどさ。と麦野が付け加えると、彼女はその男に見覚えがあることに気付く。
73:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:01:40.22:JGHDaXUo (4/8)
木原数多、今回の実験の保護者役、兼担当研究者。
麦野自身、被験者に保護者役を兼ねていたため、実験の概要は伝えられていた。
そして、この男の経歴も知らされている。
学園都市暗部において、異常なまでの体術を駆使し、唯一LEVEL5を虐殺出来るとまで言われる、まさにプロフェッショナルである。
確かに父親はこの学園都市では権威のある学者らしいが、白衣があまりにも似合わない。
麦野は暗部の事をあまり知らない。
片鱗を垣間見たことは幾度となくあるから、その恐ろしさは体感していたところではあるが。
(威勢は張れたけど、とてもこんな輩にちょっかいは出せないわ……)
木原数多、今回の実験の保護者役、兼担当研究者。
麦野自身、被験者に保護者役を兼ねていたため、実験の概要は伝えられていた。
そして、この男の経歴も知らされている。
学園都市暗部において、異常なまでの体術を駆使し、唯一LEVEL5を虐殺出来るとまで言われる、まさにプロフェッショナルである。
確かに父親はこの学園都市では権威のある学者らしいが、白衣があまりにも似合わない。
麦野は暗部の事をあまり知らない。
片鱗を垣間見たことは幾度となくあるから、その恐ろしさは体感していたところではあるが。
(威勢は張れたけど、とてもこんな輩にちょっかいは出せないわ……)
74:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:03:24.21:JGHDaXUo (5/8)
しかし実際にこの男を見ると、なるほど確かに尋常ではない。
見せられた顔写真からは解らない、邪悪な顔だ。
「確かに監獄には似ているな、これからお前異常のバケモノを閉じ込めておくんだからだから、当然といえば当然なんだが」
そんな彼女を知ってか知らずか、少し離れた所にあったカラーボックスに近づいて、中にあるタオルを引っ張り出して頭をごしごしと吹くと、それを乱雑に放り捨てる。
ピーとつまらない音と共に、清掃ロボットがそれを片づけるのを、彼はぼんやり見つめていた。
しかし実際にこの男を見ると、なるほど確かに尋常ではない。
見せられた顔写真からは解らない、邪悪な顔だ。
「確かに監獄には似ているな、これからお前異常のバケモノを閉じ込めておくんだからだから、当然といえば当然なんだが」
そんな彼女を知ってか知らずか、少し離れた所にあったカラーボックスに近づいて、中にあるタオルを引っ張り出して頭をごしごしと吹くと、それを乱雑に放り捨てる。
ピーとつまらない音と共に、清掃ロボットがそれを片づけるのを、彼はぼんやり見つめていた。
75:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:04:45.29:JGHDaXUo (6/8)
木原数多は『ガキ』を殺す気にはならない。
そこらにいるクズしか殺さないというわけでもないが、彼はあまり『ガキ』に手を出さない。
彼自身、この感情は理解できていない。
『ガキ』の前で親を殺すようなことに躊躇いは持たないし、殺しにかかってきたのなら半身不随程度にして放置する。
その後勝手に死んでいるかもしれないし、そちらの方がむしろ残酷だということも知っている。
ただ、彼はあまり『ガキ』に関連したことが好きではない事だけは、認めている。
(まさか、あの糞親父に碌な事されなかったから、なんて月並みな理由じゃあねえだろうけど)
そんなことを考えて、これからの実験内容を思うと、少し気が遠のく。
木原数多は『ガキ』を殺す気にはならない。
そこらにいるクズしか殺さないというわけでもないが、彼はあまり『ガキ』に手を出さない。
彼自身、この感情は理解できていない。
『ガキ』の前で親を殺すようなことに躊躇いは持たないし、殺しにかかってきたのなら半身不随程度にして放置する。
その後勝手に死んでいるかもしれないし、そちらの方がむしろ残酷だということも知っている。
ただ、彼はあまり『ガキ』に関連したことが好きではない事だけは、認めている。
(まさか、あの糞親父に碌な事されなかったから、なんて月並みな理由じゃあねえだろうけど)
そんなことを考えて、これからの実験内容を思うと、少し気が遠のく。
76:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:06:38.26:JGHDaXUo (7/8)
つかつかと麦野の所に歩いていく。
「それで、役割としては父と母ってか?」
そして向かいのソファーに座ると、麦野を見据えながら、塗れた書類をテーブルに置いた。
「父親ごっこなんて出来る自信はねえぞ? 教育者だって割に合わん」
麦野は塗れた書類を遠目に眺める。
「いくら第一位と第二位が能力を使いこなせてないとはいえ、私が保護者役なんて務まるの?」
「そんなこと言ったら俺はどーすんだよ。たかだかガキ、そう恐れることはねえよ」
自信に溢れるその言葉を聞くと、麦野は少しだけ安心していた。
それだけの説得力がある、それだけの説得力を持たせた経験があるのだろう、と。
つかつかと麦野の所に歩いていく。
「それで、役割としては父と母ってか?」
そして向かいのソファーに座ると、麦野を見据えながら、塗れた書類をテーブルに置いた。
「父親ごっこなんて出来る自信はねえぞ? 教育者だって割に合わん」
麦野は塗れた書類を遠目に眺める。
「いくら第一位と第二位が能力を使いこなせてないとはいえ、私が保護者役なんて務まるの?」
「そんなこと言ったら俺はどーすんだよ。たかだかガキ、そう恐れることはねえよ」
自信に溢れるその言葉を聞くと、麦野は少しだけ安心していた。
それだけの説得力がある、それだけの説得力を持たせた経験があるのだろう、と。
77:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:08:18.96:JGHDaXUo (8/8)
本編に平行させる程度に長いです
木原くンが少しキャラ崩壊キツいかな
本編に平行させる程度に長いです
木原くンが少しキャラ崩壊キツいかな
78:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2010/11/13(土) 21:34:05.66:Pikin3Io (1/1)
ん、終わりか?乙
ん、終わりか?乙
79:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:08:40.64:oj7ETtEo (1/14)
回れ右推薦
回れ右推薦
80:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:10:05.88:oj7ETtEo (2/14)
推薦じゃねえ推奨だ
どうしてこうも間違える
推薦じゃねえ推奨だ
どうしてこうも間違える
81:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:10:32.22:oj7ETtEo (3/14)
佐天涙子は、三つの顔を持っている。
一つはLEVEL0である彼女本来の顔、一つはセブンスミストの店員の顔、そして、LEVEL4の男子学生、『千変自在(シェイプシフティング)』の顔である。
彼女が三つの顔を持つのは、ただ『仕事上』必要なことである。
この三つの顔は、あくまで学園都市内で固定して使われているだけであり、必要であれば、幾人もの顔を貼りつけることができる。
非常に稀な能力であり、代えが効かぬ能力者である。
彼女の能力は、学園都市でもたった三人しか持ちえない『肉体変化 (メタモルフォーゼ)』系の、しかも最も高位の能力であり、またLEVEL5に最も近い『八人目』として数えられている一人でもある。
特に彼女は、残る二人の『肉体変化』とは、一線を画しているものがある。
佐天涙子は、三つの顔を持っている。
一つはLEVEL0である彼女本来の顔、一つはセブンスミストの店員の顔、そして、LEVEL4の男子学生、『千変自在(シェイプシフティング)』の顔である。
彼女が三つの顔を持つのは、ただ『仕事上』必要なことである。
この三つの顔は、あくまで学園都市内で固定して使われているだけであり、必要であれば、幾人もの顔を貼りつけることができる。
非常に稀な能力であり、代えが効かぬ能力者である。
彼女の能力は、学園都市でもたった三人しか持ちえない『肉体変化 (メタモルフォーゼ)』系の、しかも最も高位の能力であり、またLEVEL5に最も近い『八人目』として数えられている一人でもある。
特に彼女は、残る二人の『肉体変化』とは、一線を画しているものがある。
82:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:12:45.62:oj7ETtEo (4/14)
男の悲鳴が狭い部屋を占め続けている。
「あのー、佐天さん? 御坂さんのほうで裏が取れたので、もう拷問とか必要ないんですが……」
「うふふふ、気持ち悪い? 変な感覚でしょ?
違っているでしょ? 違うんだよぉ!!」
男、という言葉はもはや語弊があるかもしれない。
既に男性生殖器は存在しないし、生殖機能は奪われている。
そもそも、人であることが間違いであるのだが、少なくとも一時間前まではホモサピエンスだった。
それは既に床の戒めの中にいない。
その生物の手足は形を残さず、骨も消滅して数十本の赤色の触手となり果てている。
体は大きく縮み、顔と体が一体化していて、目は単眼となり、口は大きく裂けている。
皮膚は大きく爛れながら黄土色になり、ほんの少し硬化している。
「ギッ ギ ギッ ガッ!」
三又の舌が奇妙なリズムと共に跳ね、ぐにょぐにょと蠢く歯がそれと連動するように陰鬱に輝く。
声帯は人間の言葉を発生できるようには創られておらず、その呻きは単なる呼吸音の延長でしかない。
男の悲鳴が狭い部屋を占め続けている。
「あのー、佐天さん? 御坂さんのほうで裏が取れたので、もう拷問とか必要ないんですが……」
「うふふふ、気持ち悪い? 変な感覚でしょ?
違っているでしょ? 違うんだよぉ!!」
男、という言葉はもはや語弊があるかもしれない。
既に男性生殖器は存在しないし、生殖機能は奪われている。
そもそも、人であることが間違いであるのだが、少なくとも一時間前まではホモサピエンスだった。
それは既に床の戒めの中にいない。
その生物の手足は形を残さず、骨も消滅して数十本の赤色の触手となり果てている。
体は大きく縮み、顔と体が一体化していて、目は単眼となり、口は大きく裂けている。
皮膚は大きく爛れながら黄土色になり、ほんの少し硬化している。
「ギッ ギ ギッ ガッ!」
三又の舌が奇妙なリズムと共に跳ね、ぐにょぐにょと蠢く歯がそれと連動するように陰鬱に輝く。
声帯は人間の言葉を発生できるようには創られておらず、その呻きは単なる呼吸音の延長でしかない。
83:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:13:45.60:oj7ETtEo (5/14)
「あっはははははは!! もう何にもかも違うんだよぉぉ!?」
佐天の顔は歓喜に震え、声は高らかに狭い部屋に響いていく。
「初春、あの状況の彼女に何を言っても無駄ですのよ…… それにしても今回はなんですの?
今までは酷くても、動物のキメラが限界でしたのに、また無駄に能力が成長したんですの?」
「佐天さんが言うには、全く見たこともない生命体を創ってみたかったらしいです」
携帯端末を、どこにでもある学生バッグに戻した初春は、その惨劇をなんとなしに眺めてそう言った。
「だからって、ただでさえいつも理解できないのに、あれでは生きるグロ画像ですの」
うえー、と口を押さえる手真似を見せて、軽くおどける黒子に、初春は顔を顰める。
「脳の中に鉄芯埋め込んで、目玉くるくる回して遊んでる黒子さんが言えたことじゃないと思います」
「あれは見る人が見れは、あくまでサディズムの一環と理解してくれますのよ」
黒子が飄々と言ってのけると、初春は早く御坂さんに帰ってきてほしいと心から願った。
「あっはははははは!! もう何にもかも違うんだよぉぉ!?」
佐天の顔は歓喜に震え、声は高らかに狭い部屋に響いていく。
「初春、あの状況の彼女に何を言っても無駄ですのよ…… それにしても今回はなんですの?
今までは酷くても、動物のキメラが限界でしたのに、また無駄に能力が成長したんですの?」
「佐天さんが言うには、全く見たこともない生命体を創ってみたかったらしいです」
携帯端末を、どこにでもある学生バッグに戻した初春は、その惨劇をなんとなしに眺めてそう言った。
「だからって、ただでさえいつも理解できないのに、あれでは生きるグロ画像ですの」
うえー、と口を押さえる手真似を見せて、軽くおどける黒子に、初春は顔を顰める。
「脳の中に鉄芯埋め込んで、目玉くるくる回して遊んでる黒子さんが言えたことじゃないと思います」
「あれは見る人が見れは、あくまでサディズムの一環と理解してくれますのよ」
黒子が飄々と言ってのけると、初春は早く御坂さんに帰ってきてほしいと心から願った。
84:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:14:44.42:oj7ETtEo (6/14)
画す一線は、他者に干渉出来ること。
時間をより掛け、資料さえ手元にあり、丁寧に演算を行うことが出来るなら、彼女の前で『遺伝子』など、何の意味も持たない。
老若男女は彼女の前では意味をなさない。
人間などという括りをも、酷く脆くさせる。
しかし、彼女の能力には欠点もある。
相手の思考や能力に干渉できないことや、空間能力以上に繊細な演算が必要になるため、戦闘には非常に不向きなこと。
生物は生物にしかできないこと、非生物には干渉できないこと。
それゆえ、彼女はLEVEL5に固執する。
もし自らが、LEVEL5の域に入れるほどの進化を手に入れられたなら、きっと生れて初めて『満足』出来ると信じていたから。
もし普通だったなら、恋愛によって呆気なく満足することが出来ることなのだ。
ただ、彼女は恋が出来なかった。
普通とかけ離れた趣向を共とするものもいなかったし、それゆえ恋が発展する愛を手に入れることもできない。
無償の愛を与えてくれる父母など、そもそもいない。
きっとこの欲求に導かれるままにしていれば満足できるだろうと、信じる心はまさに恋する乙女なのだが。
眼前には、彼女の『たまたま』冒涜的な欲求が突き進むが為の、憐れな犠牲者が横たわっている。
画す一線は、他者に干渉出来ること。
時間をより掛け、資料さえ手元にあり、丁寧に演算を行うことが出来るなら、彼女の前で『遺伝子』など、何の意味も持たない。
老若男女は彼女の前では意味をなさない。
人間などという括りをも、酷く脆くさせる。
しかし、彼女の能力には欠点もある。
相手の思考や能力に干渉できないことや、空間能力以上に繊細な演算が必要になるため、戦闘には非常に不向きなこと。
生物は生物にしかできないこと、非生物には干渉できないこと。
それゆえ、彼女はLEVEL5に固執する。
もし自らが、LEVEL5の域に入れるほどの進化を手に入れられたなら、きっと生れて初めて『満足』出来ると信じていたから。
もし普通だったなら、恋愛によって呆気なく満足することが出来ることなのだ。
ただ、彼女は恋が出来なかった。
普通とかけ離れた趣向を共とするものもいなかったし、それゆえ恋が発展する愛を手に入れることもできない。
無償の愛を与えてくれる父母など、そもそもいない。
きっとこの欲求に導かれるままにしていれば満足できるだろうと、信じる心はまさに恋する乙女なのだが。
眼前には、彼女の『たまたま』冒涜的な欲求が突き進むが為の、憐れな犠牲者が横たわっている。
85:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:16:06.25:oj7ETtEo (7/14)
佐天涙子が手を離し、バッグからカメラを取り出そうとした時だった。
「佐天さん、まーた変なことやってるの……?」
冷たいドアが開き、茶色のショートヘアの、また同じ制服を着た女子が現れた。
ほんの少し幼さの残る顔だというのに、右手にはいびつな拳銃が握られている。
銃にしては正方形に近い形のそれは、彼女が軽く振るたびにかちかちと音を立てる。
「あ、御坂さん! グッドタイミングですよ! ちょうど「黒子」「了解ですの」ああああっ!!」
てかてかした笑顔の佐天を見事にスルーした黒子は、その奇怪な生物を適当なところにぶっ飛ばしたようだった。
「何するんですかー! これから多臓器不全で死んで、あの姿が固定したんですよー!」
佐天涙子が手を離し、バッグからカメラを取り出そうとした時だった。
「佐天さん、まーた変なことやってるの……?」
冷たいドアが開き、茶色のショートヘアの、また同じ制服を着た女子が現れた。
ほんの少し幼さの残る顔だというのに、右手にはいびつな拳銃が握られている。
銃にしては正方形に近い形のそれは、彼女が軽く振るたびにかちかちと音を立てる。
「あ、御坂さん! グッドタイミングですよ! ちょうど「黒子」「了解ですの」ああああっ!!」
てかてかした笑顔の佐天を見事にスルーした黒子は、その奇怪な生物を適当なところにぶっ飛ばしたようだった。
「何するんですかー! これから多臓器不全で死んで、あの姿が固定したんですよー!」
86:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:17:02.69:oj7ETtEo (8/14)
いじけるように頬を膨らませて、平気で黒子さえ引くような事を口にする佐天を見て、御坂美琴はうすら寒さを感じた。
別に、佐天涙子が悪いわけではないのだと言うことを知っている。
彼女自身、その行動が如何に悪魔の所業かを理解していることを知っている。
しかし、この真っ暗闇の暗い世界で、ある程度自らの事を許容してくれる人々に、特に隠す必要がないことが酷く嬉しいのだ。
本来達成しえない生まれつきの欲求を、自らの能力と今の環境が可能としてくれることが、あまりに嬉しすぎるのだ。
今までの彼女の世界は、男という存在がないのに、身を焦がす性欲を覚え続けたようなものだったのだから。
美琴はそんなことを考え、憐れなその様に、ほんの少し同情した。
いじけるように頬を膨らませて、平気で黒子さえ引くような事を口にする佐天を見て、御坂美琴はうすら寒さを感じた。
別に、佐天涙子が悪いわけではないのだと言うことを知っている。
彼女自身、その行動が如何に悪魔の所業かを理解していることを知っている。
しかし、この真っ暗闇の暗い世界で、ある程度自らの事を許容してくれる人々に、特に隠す必要がないことが酷く嬉しいのだ。
本来達成しえない生まれつきの欲求を、自らの能力と今の環境が可能としてくれることが、あまりに嬉しすぎるのだ。
今までの彼女の世界は、男という存在がないのに、身を焦がす性欲を覚え続けたようなものだったのだから。
美琴はそんなことを考え、憐れなその様に、ほんの少し同情した。
87:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:19:09.25:oj7ETtEo (9/14)
気分を変えて、肩を竦めて軽く言う。
「なーんで、この部隊は変人しかいないわけ?」
「御姉様! わたくしはただ御姉様と一緒にいられないから、代わりに自らを慰め「ちぇいさー」ぐふぉ!」
回し蹴りが見事に黒子の鳩尾に入り、床に転がる様を見て、黒子のがやっかいだと、心もとなげに思った。
初春はただ、その様に頭を抱えている。
佐天は唯一、その御坂美琴の顔に、何か違和感を感じ取った。
気分を変えて、肩を竦めて軽く言う。
「なーんで、この部隊は変人しかいないわけ?」
「御姉様! わたくしはただ御姉様と一緒にいられないから、代わりに自らを慰め「ちぇいさー」ぐふぉ!」
回し蹴りが見事に黒子の鳩尾に入り、床に転がる様を見て、黒子のがやっかいだと、心もとなげに思った。
初春はただ、その様に頭を抱えている。
佐天は唯一、その御坂美琴の顔に、何か違和感を感じ取った。
88:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:20:08.62:oj7ETtEo (10/14)
御坂美琴は学園都市二百三十万人の中で第三位、『超電磁砲(レールガン)』の名を与えられている。
『電撃使い』、そして、唯一LEVEL1からLEVEL5にのし上がった人物でもある。
その道は、それ相応のものである。
度重なる実験、薬物投与、手術、勉学、訓練。
あらゆる時間は能力のために費やされ、それ以外の事は何一つ考えていなかった。
そのためなら、資金のためにDNAマップを売ることも厭わなかったし、特例奨学金と言う名の借金さえも、幾度となく重ねた。
そしてようやく手に入れた座が、第三位のものだった。
彼女はさすがに一位になることまでは願っていなかったし、第三位という結末は、彼女にとって大成功と呼べるものだった。
御坂美琴は学園都市二百三十万人の中で第三位、『超電磁砲(レールガン)』の名を与えられている。
『電撃使い』、そして、唯一LEVEL1からLEVEL5にのし上がった人物でもある。
その道は、それ相応のものである。
度重なる実験、薬物投与、手術、勉学、訓練。
あらゆる時間は能力のために費やされ、それ以外の事は何一つ考えていなかった。
そのためなら、資金のためにDNAマップを売ることも厭わなかったし、特例奨学金と言う名の借金さえも、幾度となく重ねた。
そしてようやく手に入れた座が、第三位のものだった。
彼女はさすがに一位になることまでは願っていなかったし、第三位という結末は、彼女にとって大成功と呼べるものだった。
89:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:20:25.37:484HBqIo (1/2)
佐天さんがブサイク作品のキャラっぽくなっとる……
佐天さんがブサイク作品のキャラっぽくなっとる……
90:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:22:55.24:oj7ETtEo (11/14)
そのために、内臓の幾つかは壊れ、骨格の幾つかは金属で補強された。
特に、子宮はその役割を果たすことはなかった。
一部の薬物が脳にダメージを与え、9才の時に記憶の欠落を起こしていた。
だから、どうしてそこまで力を求めていたのか、今となっては彼女自身にさえ解らない。
薬物により縛られた都合のいい体と、莫大な借金によって、彼女は暗部に堕ちていったが、それさえ特にどうということでもなかった。
いつも何かが欠けていて、それを探すことも、特に望んでいなかった。
目的を達成してから、彼女はずっと抜殻だったし、中に何も入ることはなかった。
ただ、暗部に堕ち、それなりな生活を過ごし始めた今になって、彼女が例え学園都市に逆らってでも、彼女にとって消さねばならない存在が、つい先ほど、出現していた。
彼女が今回の依頼で、たまたま入手したデータに、その存在が記されている。
そのために、内臓の幾つかは壊れ、骨格の幾つかは金属で補強された。
特に、子宮はその役割を果たすことはなかった。
一部の薬物が脳にダメージを与え、9才の時に記憶の欠落を起こしていた。
だから、どうしてそこまで力を求めていたのか、今となっては彼女自身にさえ解らない。
薬物により縛られた都合のいい体と、莫大な借金によって、彼女は暗部に堕ちていったが、それさえ特にどうということでもなかった。
いつも何かが欠けていて、それを探すことも、特に望んでいなかった。
目的を達成してから、彼女はずっと抜殻だったし、中に何も入ることはなかった。
ただ、暗部に堕ち、それなりな生活を過ごし始めた今になって、彼女が例え学園都市に逆らってでも、彼女にとって消さねばならない存在が、つい先ほど、出現していた。
彼女が今回の依頼で、たまたま入手したデータに、その存在が記されている。
91:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:25:38.23:oj7ETtEo (12/14)
その名は『滝壺利后』。
能力は『LEVEL4 能力追跡(AIMストーカー)』。
『八人目』の一人で、もしも成長しすれば、『学園都市(PRクリエイター)』の能力名を与えられ、LEVEL5の序列どころか、能力の存在そのものを崩壊させるであろう人物である。
その名は『滝壺利后』。
能力は『LEVEL4 能力追跡(AIMストーカー)』。
『八人目』の一人で、もしも成長しすれば、『学園都市(PRクリエイター)』の能力名を与えられ、LEVEL5の序列どころか、能力の存在そのものを崩壊させるであろう人物である。
92:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:27:17.84:oj7ETtEo (13/14)
お粗末さまでした
お粗末さまでした
93:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:30:34.79:484HBqIo (2/2)
おつ
理后な
おつ
理后な
94:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 20:50:46.63:oj7ETtEo (14/14)
>>89
?
>>93
うわぁ凡ミスすんません
>>89
?
>>93
うわぁ凡ミスすんません
95:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/17(水) 23:25:23.10:jt3ZKkAO (1/1)
前にvipでやってたSSで佐天さんが動物の属性やら特徴を付与する能力を使ってたがちょっとここの能力と同じ臭いがする
前にvipでやってたSSで佐天さんが動物の属性やら特徴を付与する能力を使ってたがちょっとここの能力と同じ臭いがする
96:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/18(木) 04:11:48.74:Ne.sGMAO (1/1)
佐天さん……
超能力っていうよりはスタンドっぽい
佐天さん……
超能力っていうよりはスタンドっぽい
97:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:09:11.46:8d22xOQo (1/6)
第七学区のとあるファミリーレストランで、フレンダは三時間ほど、一人でドリンクバーのみという苦行を行っていた。
今日は絹旗達とファミレスで時間を潰す予定であるはずだったことと、財布を忘れてしまったということ。
そして、未だに麦野も浜面も滝壺も絹旗も、誰もここに来ていないという残酷な事実だった。
金髪の髪の毛を指先でくるくると巻き付け、ベレー帽のようなそれを整えながら呟く。
「……風紀委員が無銭飲食とか、洒落にならない訳よ……」
ちゅー、からから、と何杯目かもわからないコーラをかきまわす。
携帯電話で何度も何度も救難信号を発しているのだが、誰からも返事がこない。
ここまで店員の目つきが悪くなることをフレンダは知らなかったし、知りたくもなかったと、息を吐く。
(これはまさか、一昨昨日絹旗のバッグに発煙筒を仕込んだ仕返し? いや、一週間前に浜面にカラーボールを投げつけまくった復讐?)
思い当たる節があるだけあるので、マイナスな想像がぽんぽん膨らんでいく。
だからといって彼女は迷惑行為をやめることはないだろうが、今回ばかりは悪い考えは頭をぐるぐると回り続ける。
(俗に言われる村八分? それとももしかして、今この時私の家が襲撃されているとか?)
フレンダはぐっと氷の残る冷たいコーラをあおり、涙目になりながら窓の外を眺めていた。
「結局、下手な事はするもんじゃないわけよ……」
こんな状況になった理由は、三つある。
第七学区のとあるファミリーレストランで、フレンダは三時間ほど、一人でドリンクバーのみという苦行を行っていた。
今日は絹旗達とファミレスで時間を潰す予定であるはずだったことと、財布を忘れてしまったということ。
そして、未だに麦野も浜面も滝壺も絹旗も、誰もここに来ていないという残酷な事実だった。
金髪の髪の毛を指先でくるくると巻き付け、ベレー帽のようなそれを整えながら呟く。
「……風紀委員が無銭飲食とか、洒落にならない訳よ……」
ちゅー、からから、と何杯目かもわからないコーラをかきまわす。
携帯電話で何度も何度も救難信号を発しているのだが、誰からも返事がこない。
ここまで店員の目つきが悪くなることをフレンダは知らなかったし、知りたくもなかったと、息を吐く。
(これはまさか、一昨昨日絹旗のバッグに発煙筒を仕込んだ仕返し? いや、一週間前に浜面にカラーボールを投げつけまくった復讐?)
思い当たる節があるだけあるので、マイナスな想像がぽんぽん膨らんでいく。
だからといって彼女は迷惑行為をやめることはないだろうが、今回ばかりは悪い考えは頭をぐるぐると回り続ける。
(俗に言われる村八分? それとももしかして、今この時私の家が襲撃されているとか?)
フレンダはぐっと氷の残る冷たいコーラをあおり、涙目になりながら窓の外を眺めていた。
「結局、下手な事はするもんじゃないわけよ……」
こんな状況になった理由は、三つある。
98:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:10:39.08:8d22xOQo (2/6)
一つ目は、約十二時間前。すっかり更けた夜。
「……な、何をしたんでせうか?」
麦野沈利の『原子崩し』は、爆音を上げて上条の右手に触れると同時に、パキンと小気味の良い音を立てて、きらきらと仄かな光を散らばせながら幻想的に砕け散った。
上条は、ぽかんとその様子を見つめていたようだったが、それ以上に麦野の美しく歪んだ顔に怯えているようでもあった。
美麗な顔立ちが中途半端な笑みを浮かべる様は、ある種の恐怖を抱かせるものである。
「すごいじゃぁないの? この学園都市第四位の能力を、こうも呆気なく防いでくれるなんてさあ」
「……だ、第四位?」
大きく目を見開いた彼を見て、言葉を続ける。
「そう、レベル5の『原子崩し』、麦野沈利、比較的有名だと思うんだけど、知らない?」
「え、えっと、浅学なもので、す、すみません」
「ふぅん……」
初めてのLEVEL5の名も廃れたものだ、と改めて思ったが、上条の怯えるような様子は、もはや獲物を眼前とした子羊よりも憐れを誘いそうなものだ。
さすがに序列が落ちても、LEVEL5の能力は、そうはいっても恐怖の対象でしかないのだろう。
一つ目は、約十二時間前。すっかり更けた夜。
「……な、何をしたんでせうか?」
麦野沈利の『原子崩し』は、爆音を上げて上条の右手に触れると同時に、パキンと小気味の良い音を立てて、きらきらと仄かな光を散らばせながら幻想的に砕け散った。
上条は、ぽかんとその様子を見つめていたようだったが、それ以上に麦野の美しく歪んだ顔に怯えているようでもあった。
美麗な顔立ちが中途半端な笑みを浮かべる様は、ある種の恐怖を抱かせるものである。
「すごいじゃぁないの? この学園都市第四位の能力を、こうも呆気なく防いでくれるなんてさあ」
「……だ、第四位?」
大きく目を見開いた彼を見て、言葉を続ける。
「そう、レベル5の『原子崩し』、麦野沈利、比較的有名だと思うんだけど、知らない?」
「え、えっと、浅学なもので、す、すみません」
「ふぅん……」
初めてのLEVEL5の名も廃れたものだ、と改めて思ったが、上条の怯えるような様子は、もはや獲物を眼前とした子羊よりも憐れを誘いそうなものだ。
さすがに序列が落ちても、LEVEL5の能力は、そうはいっても恐怖の対象でしかないのだろう。
99:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:13:31.16:8d22xOQo (3/6)
「じゃ、名前は?」
「名前って、俺のですか?」
「他に誰の?」
「……上条当麻です」
上条当麻はバッグから学生証を取り出して、彼女に見せる。
麦野沈利は一考した。
随分と珍しい男だ。
明らかに女慣れしていない顔ではあるが、どこか筋は通っているようだ。
顔も良し、身長は少し私の方が高いが、高校生なら伸びる余地はあるだろう。
まあそんなことはどうでもいいと、彼の学生証をちらと見る。
聞いたこともない高校名から学業には随分疎いようだが、それゆえに実験などはあまり受けてきていないことが推察できた。
(――それならば)
ここまで理解不能で研究者の意欲をそそるような能力を持つ人間が、モルモット同然に生徒を扱う学園都市で、さも野放しにされている理由はなんだろうか?
そんな疑問が、自然に浮かぶ。
「じゃ、名前は?」
「名前って、俺のですか?」
「他に誰の?」
「……上条当麻です」
上条当麻はバッグから学生証を取り出して、彼女に見せる。
麦野沈利は一考した。
随分と珍しい男だ。
明らかに女慣れしていない顔ではあるが、どこか筋は通っているようだ。
顔も良し、身長は少し私の方が高いが、高校生なら伸びる余地はあるだろう。
まあそんなことはどうでもいいと、彼の学生証をちらと見る。
聞いたこともない高校名から学業には随分疎いようだが、それゆえに実験などはあまり受けてきていないことが推察できた。
(――それならば)
ここまで理解不能で研究者の意欲をそそるような能力を持つ人間が、モルモット同然に生徒を扱う学園都市で、さも野放しにされている理由はなんだろうか?
そんな疑問が、自然に浮かぶ。
100:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:15:57.30:8d22xOQo (4/6)
「ふーん、じゃ、アドレス交換しよっか?」
「……へ!?」
驚いたような顔を見せるも、一睨みで引きさがらざるを得なくなるようだった。
麦野のペースに乗せられて、言われたままに動くしかないように、機械的に携帯を取り出すと、乱暴に取り上げられる。
「なっつかしいケータイじゃん。当時は名器と崇められてたけど、新機種がすぐ出るから、年が経つと見向きもされなくなっちゃうものなのよねー」
「はぁ……そんないい機種だったんすか、コレ」
「もったいないじゃない、こういう物こそ大切に使ってあげなさい? 確か、電波強度は学園都市製の中じゃ随一のはずよ」
随分と慣れた手付きで携帯のアドレスを交換し終わると、強度なんてこの町だとほとんど意味もないけどね、と付加えながらそれを投げ渡す。
おっと、となんとかキャッチした上条に向かい、高らかに宣言する。
「どうせ夏休みなんだし、明日暇でしょ? ちょっと付き合いなさい」
「……えっ、ええ!」
「ふーん、じゃ、アドレス交換しよっか?」
「……へ!?」
驚いたような顔を見せるも、一睨みで引きさがらざるを得なくなるようだった。
麦野のペースに乗せられて、言われたままに動くしかないように、機械的に携帯を取り出すと、乱暴に取り上げられる。
「なっつかしいケータイじゃん。当時は名器と崇められてたけど、新機種がすぐ出るから、年が経つと見向きもされなくなっちゃうものなのよねー」
「はぁ……そんないい機種だったんすか、コレ」
「もったいないじゃない、こういう物こそ大切に使ってあげなさい? 確か、電波強度は学園都市製の中じゃ随一のはずよ」
随分と慣れた手付きで携帯のアドレスを交換し終わると、強度なんてこの町だとほとんど意味もないけどね、と付加えながらそれを投げ渡す。
おっと、となんとかキャッチした上条に向かい、高らかに宣言する。
「どうせ夏休みなんだし、明日暇でしょ? ちょっと付き合いなさい」
「……えっ、ええ!」
101:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:17:12.95:8d22xOQo (5/6)
(好奇心は猫をも殺すとは良く言われたものだけど、これが私に何かきっかけを与えてくれるかもしれない)
このまま私は廃れていくのだろうかという、ずっと内心燻っていた思いを、一度ぶちまけてみようとした。
浜面と滝壺を見ていて、なんとなく恋愛と言うものが楽しげに見えていた。
私もそんなことが出来るなら、何かがどうにかなってくれるかもしれない。
上条当麻という存在が、ほんの少し危なげで、LEVEL5である私を抑えられるように強そうで、そして信用出来そうな人間だったから。
麦野沈利はそんな考えを持って、それでいて半ば本能的に選択した。
これを運命の出会いとしてみようと。
(祭りってそれをやる前が、やった後よりもやってる最中よりも、一番楽しいのよね)
楽しみにしていることなんて、実際にやってみるとあまり楽しくないものだ。
それでも終わった後には特有の静けさが、非日常からの日常へ移行する時特有の憂鬱さが襲いかかってくる。
それなら、ずっと待っていた方が楽しいじゃないか。
本当にそれが楽しくなかったとしても、待っていた方がよっぽど楽しいじゃないか。
つまり、本当にそれが楽しいのかなんてこと、未来がどうなるかなんてこと、本当に彼女にとってはどうでもいいことだった。
麦野沈利は退廃的である。
彼女はそれを自覚せざるを得ない程度には賢いが、彼女の中で一定の筋が通った後の暴走を止めるほどに賢くはない。
ややこしい手順を回ったが、結局は単純一途なのである。
(好奇心は猫をも殺すとは良く言われたものだけど、これが私に何かきっかけを与えてくれるかもしれない)
このまま私は廃れていくのだろうかという、ずっと内心燻っていた思いを、一度ぶちまけてみようとした。
浜面と滝壺を見ていて、なんとなく恋愛と言うものが楽しげに見えていた。
私もそんなことが出来るなら、何かがどうにかなってくれるかもしれない。
上条当麻という存在が、ほんの少し危なげで、LEVEL5である私を抑えられるように強そうで、そして信用出来そうな人間だったから。
麦野沈利はそんな考えを持って、それでいて半ば本能的に選択した。
これを運命の出会いとしてみようと。
(祭りってそれをやる前が、やった後よりもやってる最中よりも、一番楽しいのよね)
楽しみにしていることなんて、実際にやってみるとあまり楽しくないものだ。
それでも終わった後には特有の静けさが、非日常からの日常へ移行する時特有の憂鬱さが襲いかかってくる。
それなら、ずっと待っていた方が楽しいじゃないか。
本当にそれが楽しくなかったとしても、待っていた方がよっぽど楽しいじゃないか。
つまり、本当にそれが楽しいのかなんてこと、未来がどうなるかなんてこと、本当に彼女にとってはどうでもいいことだった。
麦野沈利は退廃的である。
彼女はそれを自覚せざるを得ない程度には賢いが、彼女の中で一定の筋が通った後の暴走を止めるほどに賢くはない。
ややこしい手順を回ったが、結局は単純一途なのである。
102:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:19:03.13:8d22xOQo (6/6)
筆がちっとも進まない上に自分の文才の無さに諦めたくなってくる
それでも私はこういう中二病をこのスレッドで吐き捨てたいのだ!
筆がちっとも進まない上に自分の文才の無さに諦めたくなってくる
それでも私はこういう中二病をこのスレッドで吐き捨てたいのだ!
103:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:26:08.59:pcfxF5Eo (1/1)
構わん続けろ続けて下さい
構わん続けろ続けて下さい
104:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/24(水) 18:26:42.68:Tv6dXTYo (1/1)
適度に頑張れ
適度に頑張れ
105:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/25(木) 00:47:01.47:xC6UtASO (1/1)
麦条とか俺得なんで続けてください
麦条とか俺得なんで続けてください
106:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:12:02.52:t2xcXRgo (1/9)
佐天さんの言動については
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Shapeshifting
のあたりを参照するとわかるかもしれませんしわからないかもしれません
あと、カップリング要素は書いたには書きましたが、あんまり期待しないほうがいいと思います
一絹と浜滝はそんなに変にならないとは思いますが、麦野さんと上条は変です
佐天さんの言動については
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Shapeshifting
のあたりを参照するとわかるかもしれませんしわからないかもしれません
あと、カップリング要素は書いたには書きましたが、あんまり期待しないほうがいいと思います
一絹と浜滝はそんなに変にならないとは思いますが、麦野さんと上条は変です
107:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:13:25.53:t2xcXRgo (2/9)
そして一度別れたのち、翌日の朝。
麦野沈利が交換したプロフィール情報の中には上条当麻の寮のデータまでがしっかりと載っていたため、彼女は彼の部屋の前にたどり着くことができた。
しかも普段より三割増しの価格の青色ワンピースを着て、いつもの倍時間をかけた髪型のセットを施した、臨戦体制万全の状態である。
しかし、まさか銀髪碧眼の年端も行かぬ少女が出てくるなんてことを、一体誰が予想できただろうか。
安全ピンだらけの修道服を着た彼女は、明らかにこの学園都市とミスマッチである。
禁書目録と呼ばれる彼女はイギリス清教のシスターであり、十万三千冊の原典を完全記憶能力によって所有している超重要人物なのだが、無論このことを知るわけもない。
様々な事情が絡み合い、今現在上条当麻の家で居候になっていることなどもまた然り。
そして一度別れたのち、翌日の朝。
麦野沈利が交換したプロフィール情報の中には上条当麻の寮のデータまでがしっかりと載っていたため、彼女は彼の部屋の前にたどり着くことができた。
しかも普段より三割増しの価格の青色ワンピースを着て、いつもの倍時間をかけた髪型のセットを施した、臨戦体制万全の状態である。
しかし、まさか銀髪碧眼の年端も行かぬ少女が出てくるなんてことを、一体誰が予想できただろうか。
安全ピンだらけの修道服を着た彼女は、明らかにこの学園都市とミスマッチである。
禁書目録と呼ばれる彼女はイギリス清教のシスターであり、十万三千冊の原典を完全記憶能力によって所有している超重要人物なのだが、無論このことを知るわけもない。
様々な事情が絡み合い、今現在上条当麻の家で居候になっていることなどもまた然り。
108:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:15:09.55:t2xcXRgo (3/9)
「これは流石に考えてなかったわぁ、シスターのコスプレをさせられるような、女の子持ってたなんてねぇ?」
「とうま、この長身で怖い顔の女のひとはいったい全体誰なのかな?」
女同士の威圧感を持った闘い、それは明らかに彼女らの間に佇まされている男を原因とするものなのだが、彼は鈍感と常に言われているようにそれに気づいているようではない。
そして、気付いていないであろう故にこの戦いの本質に気付かないようである彼には、この戦いを止める術もまたない。
とはいえ、麦野が持参してきた値段の張る菓子折り(ボリューム重視)が、禁書目録との約一時間の鍔迫り合いに停戦協定を結ぶこととなる。
さらに、彼女のLEVEL5としての資産力と、禁書目録についての少なくとも『敵対』することはないという上条当麻の説得により、奇跡的に平和条約さえも結ぶことに成功した。
そして、なんだかんだで気が合って結構しゃべり合った後、彼女の携帯がマナーモードだったことに気づき、大量のメールが届いていたことを発見し、現在レストランに急行中である
その時間で、フレンダはポータブルプレイヤーの楽曲を一周することになる。
「これは流石に考えてなかったわぁ、シスターのコスプレをさせられるような、女の子持ってたなんてねぇ?」
「とうま、この長身で怖い顔の女のひとはいったい全体誰なのかな?」
女同士の威圧感を持った闘い、それは明らかに彼女らの間に佇まされている男を原因とするものなのだが、彼は鈍感と常に言われているようにそれに気づいているようではない。
そして、気付いていないであろう故にこの戦いの本質に気付かないようである彼には、この戦いを止める術もまたない。
とはいえ、麦野が持参してきた値段の張る菓子折り(ボリューム重視)が、禁書目録との約一時間の鍔迫り合いに停戦協定を結ぶこととなる。
さらに、彼女のLEVEL5としての資産力と、禁書目録についての少なくとも『敵対』することはないという上条当麻の説得により、奇跡的に平和条約さえも結ぶことに成功した。
そして、なんだかんだで気が合って結構しゃべり合った後、彼女の携帯がマナーモードだったことに気づき、大量のメールが届いていたことを発見し、現在レストランに急行中である
その時間で、フレンダはポータブルプレイヤーの楽曲を一周することになる。
109:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:16:03.95:t2xcXRgo (4/9)
二つ目は、約三時間前。絹旗最愛が飛びだした直後。
「……俺がゲロ吐いて、服を全部脱いで、ベッドで寝た?」
「うん」
「じゃあ、なんであんなややこしいことを!?」
「……はまづらの事、取られたくなかった」
ぽ、と顔を赤らめて可愛いことを言う滝壺に、浜面はただ呆れかえった。
二つ目は、約三時間前。絹旗最愛が飛びだした直後。
「……俺がゲロ吐いて、服を全部脱いで、ベッドで寝た?」
「うん」
「じゃあ、なんであんなややこしいことを!?」
「……はまづらの事、取られたくなかった」
ぽ、と顔を赤らめて可愛いことを言う滝壺に、浜面はただ呆れかえった。
110:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:17:22.95:t2xcXRgo (5/9)
そもそも滝壺と浜面の出会いは一年ほど前の事である。
スキルアウトの副長を務めていた彼が、別のスキルアウトの集団と小競り合いをしていた時、襲われかけていた女性が、滝壺理后である。
浜面にとってこういうことは、表沙汰にならずとも、何度も目にしてきた光景であり、そして彼はそれを幾度となく助けてきた。
スキルアウトと呼ばれる学園都市内で下辺のヒエラルキーである所まで落ち込んでも、どちらかというと正義感を振りかざしていたいような者たちが集まるのが、浜面が所属していた集団だった。
能力者たちによって弄ばれる無能力者を助けたり、戦闘に向かないまでも高能力である者を襲う阿呆を叩きのめしたりしていた。
そして今回もまた適等に助けた女の子を怖がらせるために脅し、二度と近づかないように言って、大通りに放りこんでおしまい。
の、はずだったのだ。
そもそも滝壺と浜面の出会いは一年ほど前の事である。
スキルアウトの副長を務めていた彼が、別のスキルアウトの集団と小競り合いをしていた時、襲われかけていた女性が、滝壺理后である。
浜面にとってこういうことは、表沙汰にならずとも、何度も目にしてきた光景であり、そして彼はそれを幾度となく助けてきた。
スキルアウトと呼ばれる学園都市内で下辺のヒエラルキーである所まで落ち込んでも、どちらかというと正義感を振りかざしていたいような者たちが集まるのが、浜面が所属していた集団だった。
能力者たちによって弄ばれる無能力者を助けたり、戦闘に向かないまでも高能力である者を襲う阿呆を叩きのめしたりしていた。
そして今回もまた適等に助けた女の子を怖がらせるために脅し、二度と近づかないように言って、大通りに放りこんでおしまい。
の、はずだったのだ。
111:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:19:06.19:t2xcXRgo (6/9)
滝壺理后の能力である『能力追跡』の読みは「AIMストーカー」であるが、彼女の行動はもはや真性のストーカーだった。
コンビニ、風呂、廃墟、ホテル、路地裏、寮、拘置所、トイレ。
幾度となく滝壺は浜面を追い回し、何故追ってくるのかと言えば「一目惚れ」だと言ってのけ、その行動をやめることなど決してなかった。
随分とおっとりしている性格だというのに、活動的になるとこうも違うものなのかと、彼女たちの友人も驚いていたらしい。
どんどんそのストーカー行為はエスカレートし、一度髪を真っ赤に染めて「私も一緒にここにいる」とまで言い始め、なんとか髪は染め直させたものの、スキルアウト内からも妬まれる羽目になる。
終いにリーダーから「彼女を守ってやれ」と肩叩きを受け、スキルアウトを追い出され、滝壺の寮に転がり込まされる結果となってしまった。
滝壺理后の能力である『能力追跡』の読みは「AIMストーカー」であるが、彼女の行動はもはや真性のストーカーだった。
コンビニ、風呂、廃墟、ホテル、路地裏、寮、拘置所、トイレ。
幾度となく滝壺は浜面を追い回し、何故追ってくるのかと言えば「一目惚れ」だと言ってのけ、その行動をやめることなど決してなかった。
随分とおっとりしている性格だというのに、活動的になるとこうも違うものなのかと、彼女たちの友人も驚いていたらしい。
どんどんそのストーカー行為はエスカレートし、一度髪を真っ赤に染めて「私も一緒にここにいる」とまで言い始め、なんとか髪は染め直させたものの、スキルアウト内からも妬まれる羽目になる。
終いにリーダーから「彼女を守ってやれ」と肩叩きを受け、スキルアウトを追い出され、滝壺の寮に転がり込まされる結果となってしまった。
112:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:20:52.32:t2xcXRgo (7/9)
まあ、もし本当にスキルアウトを抜けたくなかったのなら、適当に拳を振るうなどして、完全にフってしまえばよかった筈である。
だが、最初の出会いの時に破れかけた制服を着た彼女を見て鼻血を垂らした彼からして、互いにひと目ぼれだったのだろう。
しかし、感慨にふけっている暇もない。
「……なんか、外、うるさくないか?」
「きぬはた、派手に壊しちゃったからね、玄関」
人々のざわめきがだんだん近づいてくるのを聞いて、ただでさえ青かった浜面の顔が燃え尽きたように白くなる。
もともと学園都市のほとんどの学校は男女交際禁止であるし、特に関係を持つことは拘留、退学さえあり得ることだ。
そして、浜面仕上は、全裸である。
まあ、もし本当にスキルアウトを抜けたくなかったのなら、適当に拳を振るうなどして、完全にフってしまえばよかった筈である。
だが、最初の出会いの時に破れかけた制服を着た彼女を見て鼻血を垂らした彼からして、互いにひと目ぼれだったのだろう。
しかし、感慨にふけっている暇もない。
「……なんか、外、うるさくないか?」
「きぬはた、派手に壊しちゃったからね、玄関」
人々のざわめきがだんだん近づいてくるのを聞いて、ただでさえ青かった浜面の顔が燃え尽きたように白くなる。
もともと学園都市のほとんどの学校は男女交際禁止であるし、特に関係を持つことは拘留、退学さえあり得ることだ。
そして、浜面仕上は、全裸である。
113:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:22:02.13:t2xcXRgo (8/9)
「服は?」
「洗っちゃってて乾いてない」
「滝壺の服は?」
「ジャージと制服ならあるけど、はまづらにはサイズ合わないと思うよ」
「…………」
「大丈夫、私はそんな全裸でベッドに寝てるはまづらを応援してる」
「ぜんっぜん大丈夫じゃねええよおおおおおおお!!!」
その後ベッドの下で彼は、約三時間息を潜めて風紀委員や警備員の恐怖に怯えていたのだった。
ちなみに、実は滝壺が幾許か浜面の服を密かに入手していたことは、彼の知るところではない。
滝壺は元々、携帯は通話でさえ振動することの無い完全マナーモードにしてあり、チェックするのは常に三食の前と決めてある。
結果、フレンダは持ってきていた雑誌のクロスワードパズルを初めて完遂することとなる。
「服は?」
「洗っちゃってて乾いてない」
「滝壺の服は?」
「ジャージと制服ならあるけど、はまづらにはサイズ合わないと思うよ」
「…………」
「大丈夫、私はそんな全裸でベッドに寝てるはまづらを応援してる」
「ぜんっぜん大丈夫じゃねええよおおおおおおお!!!」
その後ベッドの下で彼は、約三時間息を潜めて風紀委員や警備員の恐怖に怯えていたのだった。
ちなみに、実は滝壺が幾許か浜面の服を密かに入手していたことは、彼の知るところではない。
滝壺は元々、携帯は通話でさえ振動することの無い完全マナーモードにしてあり、チェックするのは常に三食の前と決めてある。
結果、フレンダは持ってきていた雑誌のクロスワードパズルを初めて完遂することとなる。
114:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:22:45.63:t2xcXRgo (9/9)
とりあえずこんなところで
LEVEL5青ピは正義
とりあえずこんなところで
LEVEL5青ピは正義
115:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/27(土) 22:59:43.87:8Nd7R0Mo (1/1)
フレンダが哀れになってきた
フレンダが哀れになってきた
116:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/28(日) 13:27:05.08:Hhal0ASO (1/1)
フレンダいいとこなしwwwwww
フレンダいいとこなしwwwwww
117: ◆r8UzcYNXNc:2010/11/29(月) 23:58:28.90:GgNTqSIo (1/1)
作者です
一応トリップを付けておきます
いつものことながら、自分の文章には明らかに何かが欠けていて、それを発見して補うだけの技術がないので、見苦しい物をあまり見せないようにsage進行にでもしておくことにします
更新速度はこれから乗算的に落ちていきますが、ご了承ください
来年度までにはペースが回復すると思われます
作者です
一応トリップを付けておきます
いつものことながら、自分の文章には明らかに何かが欠けていて、それを発見して補うだけの技術がないので、見苦しい物をあまり見せないようにsage進行にでもしておくことにします
更新速度はこれから乗算的に落ちていきますが、ご了承ください
来年度までにはペースが回復すると思われます
118:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/03(金) 20:38:32.54:onq2UsU0 (1/1)
たのしんでよませてもらってる。
そんな作者を私は応援してる。
たのしんでよませてもらってる。
そんな作者を私は応援してる。
119: ◆r8UzcYNXNc:2010/12/06(月) 17:25:14.05:80sKvRko (1/8)
三つ目は、一時間前。飛び出してきて走り続けた結果。
絹旗最愛は、公園のベンチに座り込んでただ天を仰いでいた。
あの後、二学区を跨ぐだけに走り抜けた彼女は、この公園でようやく歩みを止めた。
公園でたそがれるような鬱々とした性質ではないのだが、がむしゃらに走っているとどうしてもこの公園に足が運ばれてしまう。
「……はぁ」
元々、絹旗最愛はフレンダや滝壺と同級生ではあるが、優秀な成績などによって飛び級をしていて年齢が少し違う。
三つ目は、一時間前。飛び出してきて走り続けた結果。
絹旗最愛は、公園のベンチに座り込んでただ天を仰いでいた。
あの後、二学区を跨ぐだけに走り抜けた彼女は、この公園でようやく歩みを止めた。
公園でたそがれるような鬱々とした性質ではないのだが、がむしゃらに走っているとどうしてもこの公園に足が運ばれてしまう。
「……はぁ」
元々、絹旗最愛はフレンダや滝壺と同級生ではあるが、優秀な成績などによって飛び級をしていて年齢が少し違う。
120:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:26:08.20:80sKvRko (2/8)
自然、彼女の友人は実に少ない。
彼女自身に友人をつくるスキルがないとかではなく、単なる環境の変化が多いということなのだが、それでもやはり、人との触れ合いは少なかった。
そういう彼女にとって、クラス内のLEVEL4と言う繋がり程度でしかなかったものが、ここまで強固になってくれたことは嬉しかったことだった。
彼女の保護者的な立ち位置の麦野とも打ち解けてくれて、フレンダとは共に風紀委員にもなった。
麦野や滝壺も時々仕事を手伝ってもくれたし、浜面は一見バカだが、その分一途でとても頼れる人で、絹旗にとっては兄のような存在だった。
そう、兄だった。
家族だった。
自然、彼女の友人は実に少ない。
彼女自身に友人をつくるスキルがないとかではなく、単なる環境の変化が多いということなのだが、それでもやはり、人との触れ合いは少なかった。
そういう彼女にとって、クラス内のLEVEL4と言う繋がり程度でしかなかったものが、ここまで強固になってくれたことは嬉しかったことだった。
彼女の保護者的な立ち位置の麦野とも打ち解けてくれて、フレンダとは共に風紀委員にもなった。
麦野や滝壺も時々仕事を手伝ってもくれたし、浜面は一見バカだが、その分一途でとても頼れる人で、絹旗にとっては兄のような存在だった。
そう、兄だった。
家族だった。
121:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:27:55.70:80sKvRko (3/8)
「やっぱり恋なんて、してなかったんでしょうか?」
事実として涙は流れないし、あまり悲しみも起きない。
いくら自分に恋愛経験がないのだとしても、まさか失恋がこんなさっぱりとしたものではあるまい。
実を言うなら浜面と滝壺のゴールインを祝福する余裕さえもあるのだ。
あの時は気が動転してここまで走ってきてしまったが、冷静に考えると別にどうということもなかったことに、自分が逆に驚かされている。
彼女にとって浜面の事は嫌いではないし、事実かなり好意を持ってはいる。
しかし、それは家族、あるいは親友という、元『置き去り』故の心の隙間をきれいに埋めたとかの具合なのだろう。
なかなか男前で、たまにドキリとさせることもあったというのに、結果として惚れていなかったのはむしろどうしてだろうか。
(そういえば、「そういう」意味で気になり始めた時って、好みのタイプの話をしていたんでしたっけ?)
滝壺が浜面を連れてきた時はまだ、大したことは考えていなかった。
滝壺が御執心であることは目に見えて明らかだったし、異性の友人とはいえ明らかに年上だし、垢抜けている。
(浜面が確か、バニーガールがどうとかでフレンダと麦野に超ドン引きされていた時の――)
「やっぱり恋なんて、してなかったんでしょうか?」
事実として涙は流れないし、あまり悲しみも起きない。
いくら自分に恋愛経験がないのだとしても、まさか失恋がこんなさっぱりとしたものではあるまい。
実を言うなら浜面と滝壺のゴールインを祝福する余裕さえもあるのだ。
あの時は気が動転してここまで走ってきてしまったが、冷静に考えると別にどうということもなかったことに、自分が逆に驚かされている。
彼女にとって浜面の事は嫌いではないし、事実かなり好意を持ってはいる。
しかし、それは家族、あるいは親友という、元『置き去り』故の心の隙間をきれいに埋めたとかの具合なのだろう。
なかなか男前で、たまにドキリとさせることもあったというのに、結果として惚れていなかったのはむしろどうしてだろうか。
(そういえば、「そういう」意味で気になり始めた時って、好みのタイプの話をしていたんでしたっけ?)
滝壺が浜面を連れてきた時はまだ、大したことは考えていなかった。
滝壺が御執心であることは目に見えて明らかだったし、異性の友人とはいえ明らかに年上だし、垢抜けている。
(浜面が確か、バニーガールがどうとかでフレンダと麦野に超ドン引きされていた時の――)
122:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:28:46.93:80sKvRko (4/8)
一瞬、思考が停止する。
浜面のイメージが、『彼』と被ったことに気づく。
ちゅんちゅんと鳥の鳴き声が聞こえ、噴水がしゅうしゅうと音を立て、掃除ロボが機械的な音と共に彼女の前方を通り過ぎる。
時折、小学生が辺りを駆けまわり、キャッチボールをしているようだった。
はるか昔の忌々しい思い出が、淡々と彼女の心を蹂躙し、気づきたくもなかったその感情と記憶をただ引き出していた。
考えたくもないプロセスが絹旗の中で繋ぎ止められ、反射的にぎゅっと手を強く握ってしまう。
傍から見る絹旗の表情の変化はほんの少しだったが、彼女の唇は乾き、目は何も無い前方をやわらかく睨みつけているようだった。
ぽん、と彼女の足元にボールが転がる。
一瞬、思考が停止する。
浜面のイメージが、『彼』と被ったことに気づく。
ちゅんちゅんと鳥の鳴き声が聞こえ、噴水がしゅうしゅうと音を立て、掃除ロボが機械的な音と共に彼女の前方を通り過ぎる。
時折、小学生が辺りを駆けまわり、キャッチボールをしているようだった。
はるか昔の忌々しい思い出が、淡々と彼女の心を蹂躙し、気づきたくもなかったその感情と記憶をただ引き出していた。
考えたくもないプロセスが絹旗の中で繋ぎ止められ、反射的にぎゅっと手を強く握ってしまう。
傍から見る絹旗の表情の変化はほんの少しだったが、彼女の唇は乾き、目は何も無い前方をやわらかく睨みつけているようだった。
ぽん、と彼女の足元にボールが転がる。
123:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:30:11.05:80sKvRko (5/8)
「あ、ごめんなさい! それとってください!」
「……それっ」
それを拾い上げ、しゅっとその男子の方に投げると、彼女は顔を下げて少し深呼吸をした。
(……私は超アホですね、いつものことながら)
ポケットから携帯電話を取り出し、操作する。
メールが何通か来ていたが、フレンダからだったのでとりあえず無視する。
タッチパネル式のそれが、少し読み込みの動作を通して、彼女の口座を吐き出した。
ずらずらと流れる数字の数は莫大だった。
「あ、ごめんなさい! それとってください!」
「……それっ」
それを拾い上げ、しゅっとその男子の方に投げると、彼女は顔を下げて少し深呼吸をした。
(……私は超アホですね、いつものことながら)
ポケットから携帯電話を取り出し、操作する。
メールが何通か来ていたが、フレンダからだったのでとりあえず無視する。
タッチパネル式のそれが、少し読み込みの動作を通して、彼女の口座を吐き出した。
ずらずらと流れる数字の数は莫大だった。
124:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:32:15.61:80sKvRko (6/8)
彼女の携帯電話はクレジットカードの機能が付いていた。
LEVEL4の奨学金は平均的になかなかの高額で、しかも返済義務がないため、それ相応の金額が定期的に彼女の口座に振り込まれている。
そうはいうものの、彼女のそれは常識を超えている。
一度、仲間内で麦野沈利の口座を見せてもらったことがある。
浜面が涙目になって無謀にも殴りかかり、麦野もあまりの拳の儚さに避ける気にもなれないまでにさせるような金額だった。
たしかにその額はまさにLEVEL5に相応しいものだった。
しかし、絹旗の口座にある現金は、それの倍以上である。
無論、彼女の能力がそこまで貴重というわけではない。
この莫大な現金は、数年以上前に突然振り込まれたものである。
学園都市内で展開していた幾つかの銀行が突然潰れた理由だと、まことしやかに囁かれた都市伝説の真実。
学園都市の第一位が行方不明になった際、隠したと言われる私財。
彼女の携帯電話はクレジットカードの機能が付いていた。
LEVEL4の奨学金は平均的になかなかの高額で、しかも返済義務がないため、それ相応の金額が定期的に彼女の口座に振り込まれている。
そうはいうものの、彼女のそれは常識を超えている。
一度、仲間内で麦野沈利の口座を見せてもらったことがある。
浜面が涙目になって無謀にも殴りかかり、麦野もあまりの拳の儚さに避ける気にもなれないまでにさせるような金額だった。
たしかにその額はまさにLEVEL5に相応しいものだった。
しかし、絹旗の口座にある現金は、それの倍以上である。
無論、彼女の能力がそこまで貴重というわけではない。
この莫大な現金は、数年以上前に突然振り込まれたものである。
学園都市内で展開していた幾つかの銀行が突然潰れた理由だと、まことしやかに囁かれた都市伝説の真実。
学園都市の第一位が行方不明になった際、隠したと言われる私財。
125:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:33:56.17:80sKvRko (7/8)
とはいえ、それは隠されたのではなくただ単に当の本人の意志で、彼女に託されただけなのだが。
「たかだか現金で、どうにかなるとでも超思ってるんでしょうか?」
無理やり絞り出した軽口を、心のなかで何回か反芻し、思っていないだろう、ということを彼女は再確認した。
思っているのなら、直接会いに来るはずだと。
絹旗がかつて、友の死の十字架を発端として押し付けて、子供であるが故の我儘で残虐な精神を、全力で叩きつけた仇。
残った恨みばかりをかき集めて殺害を望み、反撃を持って自らが滅ぼされることで心だけでも傷つけられるのなら、とさえも望ませた超能力者。
黙ったままで俯いていた彼女をただ抱きしめた、やけに細く、真っ白な肌に真っ赤な目を持った人物。
彼女を麦野沈利に押しつけて、学園都市の空に溶けた男性。
写真も何も残っていない、未だに行方不明を貫く、そしてやはり未だ彼女に会いにこない男。
「……一方通行、私は、どうして、ここまで――」
絹旗最愛は顔を上げ、ただ静かに言葉を空に呟いた。
その言葉が届くことは、ないのだろうと思いながら。
彼女がようやく動く気になった時には結構な時間が経っていて、フレンダはドリンクバーを全盛覇することとなる。
とはいえ、それは隠されたのではなくただ単に当の本人の意志で、彼女に託されただけなのだが。
「たかだか現金で、どうにかなるとでも超思ってるんでしょうか?」
無理やり絞り出した軽口を、心のなかで何回か反芻し、思っていないだろう、ということを彼女は再確認した。
思っているのなら、直接会いに来るはずだと。
絹旗がかつて、友の死の十字架を発端として押し付けて、子供であるが故の我儘で残虐な精神を、全力で叩きつけた仇。
残った恨みばかりをかき集めて殺害を望み、反撃を持って自らが滅ぼされることで心だけでも傷つけられるのなら、とさえも望ませた超能力者。
黙ったままで俯いていた彼女をただ抱きしめた、やけに細く、真っ白な肌に真っ赤な目を持った人物。
彼女を麦野沈利に押しつけて、学園都市の空に溶けた男性。
写真も何も残っていない、未だに行方不明を貫く、そしてやはり未だ彼女に会いにこない男。
「……一方通行、私は、どうして、ここまで――」
絹旗最愛は顔を上げ、ただ静かに言葉を空に呟いた。
その言葉が届くことは、ないのだろうと思いながら。
彼女がようやく動く気になった時には結構な時間が経っていて、フレンダはドリンクバーを全盛覇することとなる。
126:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:35:51.44:80sKvRko (8/8)
お粗末様でした
三番だけやたら長くなった上に、なんかなんども書き加えたり削ったりしてなんか違和感がある
誤字がないことは確かめはしたがやはり人の目なのでないことをひたすら祈る
お粗末様でした
三番だけやたら長くなった上に、なんかなんども書き加えたり削ったりしてなんか違和感がある
誤字がないことは確かめはしたがやはり人の目なのでないことをひたすら祈る
127:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/06(月) 17:39:54.65:V2DaNaMo (1/1)
乙~
この次も楽しみに読ましてもらいます
乙~
この次も楽しみに読ましてもらいます
128:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/07(火) 10:35:06.04:FZW9LMQo (1/1)
オチがww
オチがww
129:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/07(火) 19:56:59.58:bSwaJ2Q0 (1/1)
投下乙。
思春期だな最愛。
投下乙。
思春期だな最愛。
130:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/13(月) 01:13:16.87:25Uj9sAO (1/1)
おぅ……先が気になる
乙です
おぅ……先が気になる
乙です
131:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:24:39.94:wZuatrAo (1/14)
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幕間三の二
巨大な正方形の真っ白な部屋はやはり白い照明を受けて、どこか遠近を見間違えそうで目眩を起こさせる部屋。
その中央にぽつんと置かれた、それなりに大きいのだが部屋の大きさからか、小さくしか感じられない透明なテーブルとそれを挟む四つの黒いソファー。
一つには木原数多と麦野沈利が、缶ジュースを飲みながら共にだらしなく座り、対には三人の男子が背の巡に並んで座っていた。
「第二位の『未現物質』の垣根提督です! これからよろしくお願い致します!」
「……一方通行でいい……」
「わいも超常念力でええよ」
麦野沈利の第一印象、第一位はやけに恐怖感を煽る外見ということ、第二位は年相応のガキっぽいこと、第四位の身長が彼女より高いこと。
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幕間三の二
巨大な正方形の真っ白な部屋はやはり白い照明を受けて、どこか遠近を見間違えそうで目眩を起こさせる部屋。
その中央にぽつんと置かれた、それなりに大きいのだが部屋の大きさからか、小さくしか感じられない透明なテーブルとそれを挟む四つの黒いソファー。
一つには木原数多と麦野沈利が、缶ジュースを飲みながら共にだらしなく座り、対には三人の男子が背の巡に並んで座っていた。
「第二位の『未現物質』の垣根提督です! これからよろしくお願い致します!」
「……一方通行でいい……」
「わいも超常念力でええよ」
麦野沈利の第一印象、第一位はやけに恐怖感を煽る外見ということ、第二位は年相応のガキっぽいこと、第四位の身長が彼女より高いこと。
132:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:25:37.96:wZuatrAo (2/14)
(こいつデカいな、年下のくせに)
第四位のロン毛は手入れがされていないのか、ひどくぼさぼさとしているが、長さだけなら麦野沈利と同じ程度もある。
耳に付けたピアスがロン毛の隙間から時々ちらりと光って見えるが、それは仕組まれているものなのだろうかと思えるくらいにしつこく欝陶しい。
ただ、どこかとらえどころがなくて、彼女は過去に見たことがある研究員のような顔をしていると思った。
「にしても、ごっつい美人やねー」
「口説きたいならその耳障りな似非関西弁をやめてくれない?」
「んな殺生な。これはワイの数少ないキャラ作りやでー」
(こいつデカいな、年下のくせに)
第四位のロン毛は手入れがされていないのか、ひどくぼさぼさとしているが、長さだけなら麦野沈利と同じ程度もある。
耳に付けたピアスがロン毛の隙間から時々ちらりと光って見えるが、それは仕組まれているものなのだろうかと思えるくらいにしつこく欝陶しい。
ただ、どこかとらえどころがなくて、彼女は過去に見たことがある研究員のような顔をしていると思った。
「にしても、ごっつい美人やねー」
「口説きたいならその耳障りな似非関西弁をやめてくれない?」
「んな殺生な。これはワイの数少ないキャラ作りやでー」
133:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:26:14.54:wZuatrAo (3/14)
第四位は中学生だが、第一位と第二位は共に小学生高学年だったはずである。
一方通行は白髪に真っ白な肌、赤い眼とアルビノか何かかと思うような外見で、その上子供とは思えない目つきの悪さだ。
しかし麦野や木原と目が合うと、さっと目を伏せてしまう様は、やっぱり子供なのだろうと思わせた。
対して垣根提督は、おかっぱでメガネをかけているものの、はきはきとして可愛げがある。
そこらじゅうで自らの少年時代を満喫しているような扮装で、そういうことがテレビの中の幻想でしかなかった彼女にとっては少し羨ましく思えた。
それにしても背負っているリュックが随分と大きい。
「垣根君、そのバッグは?」
「え? ああ、これは私物で、漫画とかアニメとかが入ってます」
「へぇ。 そういうの好きなの?」
「はい! ただ、学園都市だとあんまり外のアニメが見れなくって……」
第四位は中学生だが、第一位と第二位は共に小学生高学年だったはずである。
一方通行は白髪に真っ白な肌、赤い眼とアルビノか何かかと思うような外見で、その上子供とは思えない目つきの悪さだ。
しかし麦野や木原と目が合うと、さっと目を伏せてしまう様は、やっぱり子供なのだろうと思わせた。
対して垣根提督は、おかっぱでメガネをかけているものの、はきはきとして可愛げがある。
そこらじゅうで自らの少年時代を満喫しているような扮装で、そういうことがテレビの中の幻想でしかなかった彼女にとっては少し羨ましく思えた。
それにしても背負っているリュックが随分と大きい。
「垣根君、そのバッグは?」
「え? ああ、これは私物で、漫画とかアニメとかが入ってます」
「へぇ。 そういうの好きなの?」
「はい! ただ、学園都市だとあんまり外のアニメが見れなくって……」
134:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:27:23.22:wZuatrAo (4/14)
俯く垣根の言葉を麦野は奇妙に思った。
「え? 別に外の映像媒体も買えるところでは普通に買えるはずだけど」
「いえ、生で見たいんですよ。ヘタをすると放送だけされて結局販売されないこともあるし……」
映像化されない作品と言われ、一体どんなものなのだろうかと少し思案にふけろうとしたところ、突然ロン毛が口をはさむ。
「おお! 話がわかる子がいるやないの! やっぱり本当に見たい作品ってのはこんな所じゃ見れんっちゅーのにな!」
「ですよね! 学園都市は学生のための街なんですから、マイナーな作品だってきちんと放送すべきなんですよ!!」
「君わかっとるなー! グッズももっと豊富になるべきなんやねん!!」
「二年前に放映されて結局打ち切りの『とある魔界の工業地帯』とか、ああいう隠れた名作はOVAでもいいから続編出すべきなんです!」
「OVAは重要やな! でもそれなら『ライト・サブジェクト』なんかもアニメ化しないかね!?」
がやがや二人で勝手に盛り上がり始めるのを見て麦野沈利はドン引きするが、一方通行は俯くままで何の反応も示さない。
俯く垣根の言葉を麦野は奇妙に思った。
「え? 別に外の映像媒体も買えるところでは普通に買えるはずだけど」
「いえ、生で見たいんですよ。ヘタをすると放送だけされて結局販売されないこともあるし……」
映像化されない作品と言われ、一体どんなものなのだろうかと少し思案にふけろうとしたところ、突然ロン毛が口をはさむ。
「おお! 話がわかる子がいるやないの! やっぱり本当に見たい作品ってのはこんな所じゃ見れんっちゅーのにな!」
「ですよね! 学園都市は学生のための街なんですから、マイナーな作品だってきちんと放送すべきなんですよ!!」
「君わかっとるなー! グッズももっと豊富になるべきなんやねん!!」
「二年前に放映されて結局打ち切りの『とある魔界の工業地帯』とか、ああいう隠れた名作はOVAでもいいから続編出すべきなんです!」
「OVAは重要やな! でもそれなら『ライト・サブジェクト』なんかもアニメ化しないかね!?」
がやがや二人で勝手に盛り上がり始めるのを見て麦野沈利はドン引きするが、一方通行は俯くままで何の反応も示さない。
135:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:28:21.13:wZuatrAo (5/14)
「……」
それにしても嫌な眼をしやがる。と木原数多は思った。
どっからどう見てもガキのバカと、ずっとへらへらしている黒髪ロン毛はともかく、この一方通行と呼ばれる子供は異様だった。
目はどこぞの下水道のごとく汚らしく淀んで、意志と呼ばれるものが存在していることさえ疑わせる。
一方通行と呼ばれる能力を持つ彼が、どんな道を歩んできていたかは幾通りもの資料から知らされている。
特力研から虚数研、叡智研、霧ヶ丘付属などなど、暗部に勝るとも劣らない、学園都市の錚々たる暗黒地帯である。
中途半端な全能感と、暴走した好奇心に動かされるままに『モルモット』を消耗品としてどんどん消費していく、殺し合いだらけの暗部がマシにさえ思える場所。
とはいえ、あんな場所達に入って出てこれる『モルモット』の方が規格外なのだろう。
あんな地獄は本来一方通行で、往復など出来る筈がない。
それ故に化け物のごとき力であろうことは想像に難くはないし、資料から見ても尋常ではない能力である。
「……」
それにしても嫌な眼をしやがる。と木原数多は思った。
どっからどう見てもガキのバカと、ずっとへらへらしている黒髪ロン毛はともかく、この一方通行と呼ばれる子供は異様だった。
目はどこぞの下水道のごとく汚らしく淀んで、意志と呼ばれるものが存在していることさえ疑わせる。
一方通行と呼ばれる能力を持つ彼が、どんな道を歩んできていたかは幾通りもの資料から知らされている。
特力研から虚数研、叡智研、霧ヶ丘付属などなど、暗部に勝るとも劣らない、学園都市の錚々たる暗黒地帯である。
中途半端な全能感と、暴走した好奇心に動かされるままに『モルモット』を消耗品としてどんどん消費していく、殺し合いだらけの暗部がマシにさえ思える場所。
とはいえ、あんな場所達に入って出てこれる『モルモット』の方が規格外なのだろう。
あんな地獄は本来一方通行で、往復など出来る筈がない。
それ故に化け物のごとき力であろうことは想像に難くはないし、資料から見ても尋常ではない能力である。
136:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:29:00.11:wZuatrAo (6/14)
『一方通行(アクセラレータ)』。
万物のベクトルを操作する能力。
たったこれだけで学園都市のあらゆる能力者を凌駕できる天下無双の力。
それを使う者が幼い人間であるが為、今はまだはその力の片鱗しか見せていないが、それさえも圧倒的だった。
過去の実験で軍隊を呼び出させたほどの力は、学園都市のイカれた研究者たちをどれだけ躍らせたことか。
彼の登場と共に失われた莫大な『置き去り』の人数は、その象徴だった。
そして当の本人は精神がヤラれて、一年間ほど精神病院に缶詰だったらしい。
(この実験も、こいつの精神安定ってのが肝なんだろうな)
木原はもう一度頭の中で今回の実験の要点を再確認して、視点を移す。
『一方通行(アクセラレータ)』。
万物のベクトルを操作する能力。
たったこれだけで学園都市のあらゆる能力者を凌駕できる天下無双の力。
それを使う者が幼い人間であるが為、今はまだはその力の片鱗しか見せていないが、それさえも圧倒的だった。
過去の実験で軍隊を呼び出させたほどの力は、学園都市のイカれた研究者たちをどれだけ躍らせたことか。
彼の登場と共に失われた莫大な『置き去り』の人数は、その象徴だった。
そして当の本人は精神がヤラれて、一年間ほど精神病院に缶詰だったらしい。
(この実験も、こいつの精神安定ってのが肝なんだろうな)
木原はもう一度頭の中で今回の実験の要点を再確認して、視点を移す。
137:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:30:32.87:wZuatrAo (7/14)
(それに比べて、こっちはなんてガキらしいガキだ)
一方通行の明らかな意志薄弱を見て、こちらの垣根提督とやらは随分と健康的に育てられたようだ。
経歴もいたって普通、いやむしろLEVEL5としてはあまりに普遍的で、普通の生徒より実験の回数が多い程度である。
通常(とはいえ名門だが)の学校にも通わせてあり、その中でも人間関係は良好のようだ。
同年齢だというのに、能力の発現の前後によるカリキュラムの変更で、ここまで人間が変わるというのか。
『未現物質(ダークマター)』と呼ばれる「この世に存在しない物質を作り出す」彼の能力は、一方通行よりも研究しがいがあろう能力だというのに。
おそらくは、これからも適当な幸せな生活を過ごさせ、適当なところで環境を壊して、上手く精神を安定させたまま暗部に誘導でもするのだろう。
「まさか、このまま放っておくはずもねーだろうしな」
「え?」
「いや、なんでもない。独り言だ」
(それに比べて、こっちはなんてガキらしいガキだ)
一方通行の明らかな意志薄弱を見て、こちらの垣根提督とやらは随分と健康的に育てられたようだ。
経歴もいたって普通、いやむしろLEVEL5としてはあまりに普遍的で、普通の生徒より実験の回数が多い程度である。
通常(とはいえ名門だが)の学校にも通わせてあり、その中でも人間関係は良好のようだ。
同年齢だというのに、能力の発現の前後によるカリキュラムの変更で、ここまで人間が変わるというのか。
『未現物質(ダークマター)』と呼ばれる「この世に存在しない物質を作り出す」彼の能力は、一方通行よりも研究しがいがあろう能力だというのに。
おそらくは、これからも適当な幸せな生活を過ごさせ、適当なところで環境を壊して、上手く精神を安定させたまま暗部に誘導でもするのだろう。
「まさか、このまま放っておくはずもねーだろうしな」
「え?」
「いや、なんでもない。独り言だ」
138:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:31:18.24:wZuatrAo (8/14)
(そーれでこいつ……)
ロン毛のほうは随分と処世術に長けているようだ。
けらけら笑って、情も、敵も、隙も作らない。一番子供らしくない。
おそらくこの部屋の中では、誰よりも一番も大人びているのではないだろうか。
能力名は『超常念力(サイコキネシスト)』。
最初はLEVEL3の強度だったが、最終的にLEVEL5に判定されるまでになった『念動力』の最上級能力者。
特に彼の力は、力場の発生点を自らに縛られないという特異性があった。
(まぁ、別にだからって強え訳でもないんだがな)
たしかに時差をなく能力を広範囲に展開できることは強みなのだろうが、時差がある代わりに彼より強力な力場を発生できる『念動力』の人物も数人いるのだ。
彼がLEVEL5判定を受けたのはその能力が手元に縛られないことが、『空間移動』系との『多重能力』ではないかとか言われるかららしい。
別に十一次元に干渉することはないし、他者の『空間移動』により移動も可能なので、そのあたりは考えすぎなのではないかと木原数多は思っている。
(そーれでこいつ……)
ロン毛のほうは随分と処世術に長けているようだ。
けらけら笑って、情も、敵も、隙も作らない。一番子供らしくない。
おそらくこの部屋の中では、誰よりも一番も大人びているのではないだろうか。
能力名は『超常念力(サイコキネシスト)』。
最初はLEVEL3の強度だったが、最終的にLEVEL5に判定されるまでになった『念動力』の最上級能力者。
特に彼の力は、力場の発生点を自らに縛られないという特異性があった。
(まぁ、別にだからって強え訳でもないんだがな)
たしかに時差をなく能力を広範囲に展開できることは強みなのだろうが、時差がある代わりに彼より強力な力場を発生できる『念動力』の人物も数人いるのだ。
彼がLEVEL5判定を受けたのはその能力が手元に縛られないことが、『空間移動』系との『多重能力』ではないかとか言われるかららしい。
別に十一次元に干渉することはないし、他者の『空間移動』により移動も可能なので、そのあたりは考えすぎなのではないかと木原数多は思っている。
139:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:32:22.00:wZuatrAo (9/14)
LEVEL5に至った理由には、あまりに研究し尽くされた能力、学園都市内で非常にポピュラーな能力故の膨大な研究成果とも言えなくもない。
それゆえ、実験や投薬等も厳選されていて、資料を見てもほとんど健康的であるようだ。
逆に言うなら、彼の誕生が既に実験の成功と終了を知らせているようなもので、今は実験と呼べるような実験は行われていないらしい。
(だとしても、こいつもずいぶんイカレてる感じだがな……)
「……まぁ、いいわ。私が第三位の『原子崩し』、麦野沈利よ。しばらくよろしくね」
「オレは木原数多だ」
垣根とロン毛の話は無視して、麦野と木原はとりあえずの自己紹介を終えると、三人はまたこちらを向き直す。
「ん、よろしゅう頼むわ」
「……わかッた」
「よろしくお願いします! ……ええっと、麦野さん?」
LEVEL5に至った理由には、あまりに研究し尽くされた能力、学園都市内で非常にポピュラーな能力故の膨大な研究成果とも言えなくもない。
それゆえ、実験や投薬等も厳選されていて、資料を見てもほとんど健康的であるようだ。
逆に言うなら、彼の誕生が既に実験の成功と終了を知らせているようなもので、今は実験と呼べるような実験は行われていないらしい。
(だとしても、こいつもずいぶんイカレてる感じだがな……)
「……まぁ、いいわ。私が第三位の『原子崩し』、麦野沈利よ。しばらくよろしくね」
「オレは木原数多だ」
垣根とロン毛の話は無視して、麦野と木原はとりあえずの自己紹介を終えると、三人はまたこちらを向き直す。
「ん、よろしゅう頼むわ」
「……わかッた」
「よろしくお願いします! ……ええっと、麦野さん?」
140:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:33:44.64:wZuatrAo (10/14)
「呼び方はそれでいいわよ。……にしても、垣根君はともかく残る二人がひどく呼びにくいんだけど」
どうにもぎこちない会話が続く。
木原数多はもともと他者との馴れ合いというものが苦手である。
無論彼にも学生時代なんてものもあったし、悪友と呼べる程度のものなら(今となっては名前すら思い出せないが)居たこともあった。
とはいえ、基本的には仕事の人間関係ばかりであり、そういう類ならば問題はないのだが、それとこれとはやはり違いがある。
(こういう時ぁ、どうすればいいんだったっけなぁ……)
今回の実験に当たって「子供をより良く成長させる科学検証済みテクニック42」などという本を渡されて、その場で研究者の頭にオーバースローしまったことを少し悔やむ。
木原が子供たちの書類ばかりを眺めて思考に耽っているとき、麦野と子供たちの会話が聞こえる。
「呼び方はそれでいいわよ。……にしても、垣根君はともかく残る二人がひどく呼びにくいんだけど」
どうにもぎこちない会話が続く。
木原数多はもともと他者との馴れ合いというものが苦手である。
無論彼にも学生時代なんてものもあったし、悪友と呼べる程度のものなら(今となっては名前すら思い出せないが)居たこともあった。
とはいえ、基本的には仕事の人間関係ばかりであり、そういう類ならば問題はないのだが、それとこれとはやはり違いがある。
(こういう時ぁ、どうすればいいんだったっけなぁ……)
今回の実験に当たって「子供をより良く成長させる科学検証済みテクニック42」などという本を渡されて、その場で研究者の頭にオーバースローしまったことを少し悔やむ。
木原が子供たちの書類ばかりを眺めて思考に耽っているとき、麦野と子供たちの会話が聞こえる。
141:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:35:42.33:wZuatrAo (11/14)
「んー? じゃあロン毛とかピアスとかイケメンなんかでええけど、本名は堪忍な」
「どうして? 普通に名前でいいじゃない」
麦野沈利には思い当たるふしはなく、そこまで考えが回るほどの経験があるわけではなかったが、彼女はこの言葉を最後まで後悔した。
この時一方通行の表情が動いた気がしたのは、気のせいではなかったことにも。
「わいは『置き去り』出身でな」
それは単純な告白。
「LEVEL5になる程度には優秀な能力やったから、自分を名前で呼ばれたことがなかったもんで、どーしても違和感があるんや」
「……えっと、ごめん」
一方通行が表情を少し柔らかくしたことにも気づいてしまって、麦野沈利は悪い質問をしてしまったを後悔せざるを得なかった。
麦野自身も実験中名前で呼ばれたことはなかったが、家族が雇った執事やメイドからは名前で呼んでもらえたことを思い出す。
「んー? じゃあロン毛とかピアスとかイケメンなんかでええけど、本名は堪忍な」
「どうして? 普通に名前でいいじゃない」
麦野沈利には思い当たるふしはなく、そこまで考えが回るほどの経験があるわけではなかったが、彼女はこの言葉を最後まで後悔した。
この時一方通行の表情が動いた気がしたのは、気のせいではなかったことにも。
「わいは『置き去り』出身でな」
それは単純な告白。
「LEVEL5になる程度には優秀な能力やったから、自分を名前で呼ばれたことがなかったもんで、どーしても違和感があるんや」
「……えっと、ごめん」
一方通行が表情を少し柔らかくしたことにも気づいてしまって、麦野沈利は悪い質問をしてしまったを後悔せざるを得なかった。
麦野自身も実験中名前で呼ばれたことはなかったが、家族が雇った執事やメイドからは名前で呼んでもらえたことを思い出す。
142:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:37:19.04:wZuatrAo (12/14)
「えーよえーよ、こんな些細なこと気にしてたら生きていけへんって」
まだぴちぴちの青少年やでー、と軽く受け流し軽い笑い顔を見せる長髪の少年は、あまりにも年に不相応の大人だった。
「……わかった。よろしく、ピアス」
「ん、よろしく。 ところで、姉貴のタイプってどんなん?」
「あ、姉貴!?」
「じゃあ姉御」
「姉御!!?」
ぎゃーぎゃーわめき散らしているのを横目に、あだ名か、となんとなしに思いつつ書類に目を走らせる。
そして偶然、木原数多は数少ない青春時代と目の前の書類から、とある考えが弾きだされた。
悪役顔の顔がより悪役らしい笑顔を作って、木原数多は資料をテーブルに叩きつけて乱暴に言った。
「とりあえずはテメェら全員仲良くなるためには、何か共同作業ってのをやったほうがいいよなぁ?」
「えーよえーよ、こんな些細なこと気にしてたら生きていけへんって」
まだぴちぴちの青少年やでー、と軽く受け流し軽い笑い顔を見せる長髪の少年は、あまりにも年に不相応の大人だった。
「……わかった。よろしく、ピアス」
「ん、よろしく。 ところで、姉貴のタイプってどんなん?」
「あ、姉貴!?」
「じゃあ姉御」
「姉御!!?」
ぎゃーぎゃーわめき散らしているのを横目に、あだ名か、となんとなしに思いつつ書類に目を走らせる。
そして偶然、木原数多は数少ない青春時代と目の前の書類から、とある考えが弾きだされた。
悪役顔の顔がより悪役らしい笑顔を作って、木原数多は資料をテーブルに叩きつけて乱暴に言った。
「とりあえずはテメェら全員仲良くなるためには、何か共同作業ってのをやったほうがいいよなぁ?」
143:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:39:27.67:wZuatrAo (13/14)
----
学園都市第七学区、通称窓のないビル。
ありとあらゆる最新科学の結晶であるそれに包まれた、学園都市理事長アレイスター・クロウリーはその中枢のビーカーの中で目を閉じながら浮かんでいた。
その有りとあらゆる特徴を持ち、またどんな特徴も持ち得ない彼は、すっと目を開けて前方の闇、あるいはまた彼のみが見ている景色に向かって呟いた。
「抜殻の狐は、いつまで狸寝入りを続けるのだろうな」
この言葉を聴く者はいないが、代わりとばかりに近くの機器がちらりと明滅する。
呼応するように淡く光る周辺の大小様々な機械たちが、跳ねるように音をたて始める。
彼は自らの至上の目的の為に、ただ全てを繰り続ける。
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学園都市第七学区、通称窓のないビル。
ありとあらゆる最新科学の結晶であるそれに包まれた、学園都市理事長アレイスター・クロウリーはその中枢のビーカーの中で目を閉じながら浮かんでいた。
その有りとあらゆる特徴を持ち、またどんな特徴も持ち得ない彼は、すっと目を開けて前方の闇、あるいはまた彼のみが見ている景色に向かって呟いた。
「抜殻の狐は、いつまで狸寝入りを続けるのだろうな」
この言葉を聴く者はいないが、代わりとばかりに近くの機器がちらりと明滅する。
呼応するように淡く光る周辺の大小様々な機械たちが、跳ねるように音をたて始める。
彼は自らの至上の目的の為に、ただ全てを繰り続ける。
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144:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:40:22.72:wZuatrAo (14/14)
なんかもう駄目だ
なんかもう駄目だ
145:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 18:46:45.57:rV0UPpko (1/1)
えっ
えっ
146:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 19:00:53.41:g9BWRXwo (1/1)
おっ
おっ
147:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/19(日) 21:50:31.62:XNg5Qoso (1/1)
久々に来てると思ってwwktkしてたんだが、何があった
久々に来てると思ってwwktkしてたんだが、何があった
148: ◆r8UzcYNXNc:2010/12/20(月) 17:47:27.84:.1ZlB7Qo (1/1)
すみませんなんでもないです
お気になさらず
とりあえずは作品のプロットに沿うイメージが確定した感じなので、あとはストーリーの進め方に苦心するだけです
中二病がひどくなるのもそろそろですのでご覚悟ください
更新は相変わらず遅くなりますが
すみませんなんでもないです
お気になさらず
とりあえずは作品のプロットに沿うイメージが確定した感じなので、あとはストーリーの進め方に苦心するだけです
中二病がひどくなるのもそろそろですのでご覚悟ください
更新は相変わらず遅くなりますが
149:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/12/27(月) 22:29:27.09:42fnb6DO (1/1)
続き待ってるよ
続き待ってるよ
150: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/03(月) 20:45:02.63:r6CLf5ko (1/1)
あけました
もうしばらくお待ち下さい
あけました
もうしばらくお待ち下さい
151:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/07(金) 22:08:09.05:wYof4fgo (1/1)
おk
おk
152:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/08(土) 23:58:16.32:I.8kNHoo (1/3)
絹旗やフレンダがいつも集まるファミリーレストラン。
半日遅れというハプニングがあったはいえ、少しずついつものメンバーがそれぞれ集まってきた。
が、異常があった。
麦野が男を連れてきた。
最初から居たフレンダは半日待たされたことなど一瞬で忘れて、泣きながら麦野の袖にしがみつき、
「結局私は遊びだったって訳!?」と叫んで、ファミレスの床へ一本背負いされた。
次に来た浜面は、見覚えがあるようなないようなと少し考えを巡らしたが、結局思い出すことはなかった。
続いた絹旗は、自らの知る麦野沈利のイメージからは到底思いつかなかった所業で、かなり意外には思ったが、
あまり興味がわかず、軽く挨拶するだけで、ぬるい麦茶をごくごくと飲んだ。
絹旗やフレンダがいつも集まるファミリーレストラン。
半日遅れというハプニングがあったはいえ、少しずついつものメンバーがそれぞれ集まってきた。
が、異常があった。
麦野が男を連れてきた。
最初から居たフレンダは半日待たされたことなど一瞬で忘れて、泣きながら麦野の袖にしがみつき、
「結局私は遊びだったって訳!?」と叫んで、ファミレスの床へ一本背負いされた。
次に来た浜面は、見覚えがあるようなないようなと少し考えを巡らしたが、結局思い出すことはなかった。
続いた絹旗は、自らの知る麦野沈利のイメージからは到底思いつかなかった所業で、かなり意外には思ったが、
あまり興味がわかず、軽く挨拶するだけで、ぬるい麦茶をごくごくと飲んだ。
153:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/08(土) 23:58:46.79:I.8kNHoo (2/3)
しかし、誰よりも驚いたのは、絹旗の暴走による部屋の工事などの手続き云々で、到着が一番遅れてしまった滝壺理后であった。
彼女はテーブルの目の前にやってくるやいなや、上条当麻に向かって脈絡なくその幼い敵意を剥き出しにした。
「あなた、何?」
彼女の性分でもある感情の乏しい顔が、こうも険しい表情を作ったのは
もっとも親しい浜面や、付き合いの長いフレンダでも見たことのないことだった。
何を突然怒りだしたのか、すぐには誰にも解らなかった。
しかし、彼女の観る世界、『AIM拡散力場』を視認することのできる彼女には、上条当麻の異常性が直接『観て』取れるのだ。
「あなたの右腕周辺に漂う力場が随時消滅してる。それでいて、それ以外なんの反応もない。
ただAIM拡散力場そのものだけを破壊しているとしても、こんなふうに消滅するなんてこと、ありえない」
上条当麻を見る滝壺の眼は、明らかに非人間に対しての目線。
それは互いの能力に依るものであれど、彼女を知る人々にとっても、この行動は明らかに非常識だった。
「お、おい滝壺。そんなに突っかからなくても」
「何をしているの?」
愛する浜面の制止の声も無視する、滝壺の刺すような視線に対し、上条当麻は困ったように説明を始めた。
「えっと、君がなんの能力者かは知らないけど、俺の右腕は『幻想殺し』って言って――」
しかし、誰よりも驚いたのは、絹旗の暴走による部屋の工事などの手続き云々で、到着が一番遅れてしまった滝壺理后であった。
彼女はテーブルの目の前にやってくるやいなや、上条当麻に向かって脈絡なくその幼い敵意を剥き出しにした。
「あなた、何?」
彼女の性分でもある感情の乏しい顔が、こうも険しい表情を作ったのは
もっとも親しい浜面や、付き合いの長いフレンダでも見たことのないことだった。
何を突然怒りだしたのか、すぐには誰にも解らなかった。
しかし、彼女の観る世界、『AIM拡散力場』を視認することのできる彼女には、上条当麻の異常性が直接『観て』取れるのだ。
「あなたの右腕周辺に漂う力場が随時消滅してる。それでいて、それ以外なんの反応もない。
ただAIM拡散力場そのものだけを破壊しているとしても、こんなふうに消滅するなんてこと、ありえない」
上条当麻を見る滝壺の眼は、明らかに非人間に対しての目線。
それは互いの能力に依るものであれど、彼女を知る人々にとっても、この行動は明らかに非常識だった。
「お、おい滝壺。そんなに突っかからなくても」
「何をしているの?」
愛する浜面の制止の声も無視する、滝壺の刺すような視線に対し、上条当麻は困ったように説明を始めた。
「えっと、君がなんの能力者かは知らないけど、俺の右腕は『幻想殺し』って言って――」
154:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/08(土) 23:59:52.35:I.8kNHoo (3/3)
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佐天涙子は『仕事』がない日は基本的にインドア派である。
どうしても他の『顔』を立てねばならぬ時もあるから、結局はほとんどの時間を外で過ごすのだが、そうでないときは家に居た。
家とは言うがそれはどこにでもあるマンションの一室であり、彼女が使うセブンスミスト店員の『顔』の本住所でもある。
とはいえ、基本的には佐天涙子本来の『顔』を使うのが彼女の主義であった。
着る服は外出用のものではなく、安物の寝間着をいくつか使い回すのが常だった。
「あー、切れてる」
自炊をしないため物置と化している台所のテーブルに置かれた、犬や猫のデフォルメされた絵の書かれた空袋をたたみ丸めながら、ぶつぶつとひとりごちた。
それを横のゴミ箱に押しこみ、冷蔵庫のドアを開けて、ずらりと並べられた牛乳パックの一本を取り出す。
賞味期限を確認すると、自動食器洗浄機から皿を取り出し、リビングへと足を運んだ。
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佐天涙子は『仕事』がない日は基本的にインドア派である。
どうしても他の『顔』を立てねばならぬ時もあるから、結局はほとんどの時間を外で過ごすのだが、そうでないときは家に居た。
家とは言うがそれはどこにでもあるマンションの一室であり、彼女が使うセブンスミスト店員の『顔』の本住所でもある。
とはいえ、基本的には佐天涙子本来の『顔』を使うのが彼女の主義であった。
着る服は外出用のものではなく、安物の寝間着をいくつか使い回すのが常だった。
「あー、切れてる」
自炊をしないため物置と化している台所のテーブルに置かれた、犬や猫のデフォルメされた絵の書かれた空袋をたたみ丸めながら、ぶつぶつとひとりごちた。
それを横のゴミ箱に押しこみ、冷蔵庫のドアを開けて、ずらりと並べられた牛乳パックの一本を取り出す。
賞味期限を確認すると、自動食器洗浄機から皿を取り出し、リビングへと足を運んだ。
155:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:00:22.32:UkoF3SUo (1/10)
「はーいみなさーん。ちょっと餌が切れちゃったので、あとで買ってくるから今は牛乳で我慢してねー」
リビングには八つの籠が所狭しと並べてあった。
そのそれぞれの中では犬が、狸や狐が、猫などがうずくまりながら彼女を見据えていた。
それら目は決して彼女から目線を外さない。
「明日には届く予定だけど、それじゃあかわいそうじゃない? 美味しいの買ってきてあげるからー」
華やかな笑顔でそう言いながら、それぞれの籠に牛乳を入れた皿を差し入れる。
しかし、その皿に口を近づける獣はおらず、それを見た佐天は笑顔を見せて言った。
「どうしたの? お腹へってないのかな?」
その言葉に弾かれるように哀れな獣達は一斉に牛乳を飲み始め、それを見て佐天涙子は更に笑顔になった。
「はーいみなさーん。ちょっと餌が切れちゃったので、あとで買ってくるから今は牛乳で我慢してねー」
リビングには八つの籠が所狭しと並べてあった。
そのそれぞれの中では犬が、狸や狐が、猫などがうずくまりながら彼女を見据えていた。
それら目は決して彼女から目線を外さない。
「明日には届く予定だけど、それじゃあかわいそうじゃない? 美味しいの買ってきてあげるからー」
華やかな笑顔でそう言いながら、それぞれの籠に牛乳を入れた皿を差し入れる。
しかし、その皿に口を近づける獣はおらず、それを見た佐天は笑顔を見せて言った。
「どうしたの? お腹へってないのかな?」
その言葉に弾かれるように哀れな獣達は一斉に牛乳を飲み始め、それを見て佐天涙子は更に笑顔になった。
156:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:01:06.96:UkoF3SUo (2/10)
これらの獣はかつて人として生を得ていた者達であるが、彼女の能力によって全ての尊厳を奪われた成れの果ての姿だった。
彼らの多くはもともと人権のないような暗部に居たのだが、彼女の要求はより屈辱的なものだった。
彼女は彼らを直接傷めつけなどはしない。
ただ、普通に首輪を付けて散歩に連れていったり、シャンプーをしてあげたり、固形型の動物用の餌を食べさせただけである。
外で排泄させたり、他の犬とじゃれあわせたり、つがわせたりさせただけなのだ。
それが彼らの現在の姿にとって全く問題のないことだからであった。
誰一人彼らを人間として見るものはなかった。
彼らには意を発する言葉もなく、何かを伝えるための手もなかったのだから。
誰がそれらに高度な知能を想定するだろうか?
誰がその様子に恥辱を感じさせる事に気づくのだろうか?
それは佐天も同様だったが、彼女は特に顕著だった。
これらの獣はかつて人として生を得ていた者達であるが、彼女の能力によって全ての尊厳を奪われた成れの果ての姿だった。
彼らの多くはもともと人権のないような暗部に居たのだが、彼女の要求はより屈辱的なものだった。
彼女は彼らを直接傷めつけなどはしない。
ただ、普通に首輪を付けて散歩に連れていったり、シャンプーをしてあげたり、固形型の動物用の餌を食べさせただけである。
外で排泄させたり、他の犬とじゃれあわせたり、つがわせたりさせただけなのだ。
それが彼らの現在の姿にとって全く問題のないことだからであった。
誰一人彼らを人間として見るものはなかった。
彼らには意を発する言葉もなく、何かを伝えるための手もなかったのだから。
誰がそれらに高度な知能を想定するだろうか?
誰がその様子に恥辱を感じさせる事に気づくのだろうか?
それは佐天も同様だったが、彼女は特に顕著だった。
157:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:01:39.96:UkoF3SUo (3/10)
この部屋にはひとつ空の籠があり、そこに一匹の犬が居た。
今となっては彼女の手によって『保健所に送られ』てしまい、ここにはいない。
その様子を、初春の尽力によって監視カメラを盗用して、映像を最初から最後まで、『この部屋』のテレビで鑑賞したのだった。
全てを観終えた後、彼女は彼らにこう言った。
「まあ、あんまりオイタはしないほうがいいよ? 私だって襲われたりしたら怖くなって――」
それは中学生の女の子が見せるような、悲しみや哀れみなどの自然な表情ではなかった。
「捨てちゃうかもしれないもん」
それは純粋な欲望だった。
中学生どころか幼稚園児が見せるような、ひどく無邪気で根本的な願望からくる欲求。
この部屋にはひとつ空の籠があり、そこに一匹の犬が居た。
今となっては彼女の手によって『保健所に送られ』てしまい、ここにはいない。
その様子を、初春の尽力によって監視カメラを盗用して、映像を最初から最後まで、『この部屋』のテレビで鑑賞したのだった。
全てを観終えた後、彼女は彼らにこう言った。
「まあ、あんまりオイタはしないほうがいいよ? 私だって襲われたりしたら怖くなって――」
それは中学生の女の子が見せるような、悲しみや哀れみなどの自然な表情ではなかった。
「捨てちゃうかもしれないもん」
それは純粋な欲望だった。
中学生どころか幼稚園児が見せるような、ひどく無邪気で根本的な願望からくる欲求。
158:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:02:14.04:UkoF3SUo (4/10)
ぴりりりり、と壁にかけていた制服のような服のポケットから、彼女の携帯電話が単調にベルを鳴らした。
嬉しそうな顔がとたんに疎ましさを顕にしながら、耳を済ます。
それは五回目のコールで途切れる。
彼女の『仕事用』の携帯がこの着信音で鳴り響くのは、『ブレーカー』招集の合図である。
佐天涙子はため息を付いて、洗面所の前に向かう。
もともと彼女らの組織は特殊な役割を持たされた単独部隊であり、下部組織が存在しないため、
電話受けから特殊能力者まで、その都度人材を雇う余裕が全くないのである。
このあまりに使い古された連絡法を使用せざるをえない事は、情報に関することを司る部隊にはあるまじきことではないかと、
ずっと前から思っているのだが、どういうわけか今までこの方法で困ったことはない。
科学一辺倒故に、逆に気づかれないのだろうか?
ぴりりりり、と壁にかけていた制服のような服のポケットから、彼女の携帯電話が単調にベルを鳴らした。
嬉しそうな顔がとたんに疎ましさを顕にしながら、耳を済ます。
それは五回目のコールで途切れる。
彼女の『仕事用』の携帯がこの着信音で鳴り響くのは、『ブレーカー』招集の合図である。
佐天涙子はため息を付いて、洗面所の前に向かう。
もともと彼女らの組織は特殊な役割を持たされた単独部隊であり、下部組織が存在しないため、
電話受けから特殊能力者まで、その都度人材を雇う余裕が全くないのである。
このあまりに使い古された連絡法を使用せざるをえない事は、情報に関することを司る部隊にはあるまじきことではないかと、
ずっと前から思っているのだが、どういうわけか今までこの方法で困ったことはない。
科学一辺倒故に、逆に気づかれないのだろうか?
159:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:02:50.13:UkoF3SUo (5/10)
「五回なら、そんな急な用事じゃないってことだよねー」
大まかに言えば一回で即座に戦闘態勢を取れ、二回ならば即座に脱出ルートを辿れ、三回ならば迅速に緊急の集合場所へ、四回でやや急いで集合。
五回ならば明日までに集まっていればよしという程度の合図なので、佐天は眉間に手を当てながら呟いた。
「とりあえず買ってきてまとめて出しとこ。ゆっくり食べてくれるだろうしね」
ドレッサーの前でくたびれた寝間着と下着を脱ぎ、全裸になる。
そのやや未発達な体を全身鏡に映しだして、彼女はゆっくりと深呼吸を始める。
手慣れた演算を脳内で構築し、実行に移す。
変化にかかる時間はほんの数分。
身長がぐいと伸び、髪の一本一本に茶の色合いが染み渡ると、顔つきが大人びて少し鼻が高くなり、虹彩が緑色に染まる。
胸は大きく張出して、代わりに全体的な筋肉が減少する。
「五回なら、そんな急な用事じゃないってことだよねー」
大まかに言えば一回で即座に戦闘態勢を取れ、二回ならば即座に脱出ルートを辿れ、三回ならば迅速に緊急の集合場所へ、四回でやや急いで集合。
五回ならば明日までに集まっていればよしという程度の合図なので、佐天は眉間に手を当てながら呟いた。
「とりあえず買ってきてまとめて出しとこ。ゆっくり食べてくれるだろうしね」
ドレッサーの前でくたびれた寝間着と下着を脱ぎ、全裸になる。
そのやや未発達な体を全身鏡に映しだして、彼女はゆっくりと深呼吸を始める。
手慣れた演算を脳内で構築し、実行に移す。
変化にかかる時間はほんの数分。
身長がぐいと伸び、髪の一本一本に茶の色合いが染み渡ると、顔つきが大人びて少し鼻が高くなり、虹彩が緑色に染まる。
胸は大きく張出して、代わりに全体的な筋肉が減少する。
160:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:03:23.78:UkoF3SUo (6/10)
「……ゴホンッ、あーあーてすてす、本日は晴天なりー」
口をわざとらしく大きく開けて出てきた声は、先程の幼さを残すものではなく、どちらかと言えば甘美な響きを持った大人の声であった。
それを確認して、彼女はまた全身を余す所なく見渡すと近くのタンスから、よりサイズが大きい下着を取り出し、それを着ながらクローゼットの中から適当なブラウスとスカートを取り出す。
「いろんな服が着れるっていうのは、やっぱり長所のひとつなのかなー?」
ストッキングを最後に着替えを終了すると、どこにでもあるようなポーチを取り出して、玄関へ歩く。
そこにいるのは、どこにでもいるような二十代の一般女性だった。
「でも、個人的にはやっぱりファーがいいなー」
独り言をつぶやきながらハイヒールを履いて、ペット達の餌を買いに部屋を出る。
「……ゴホンッ、あーあーてすてす、本日は晴天なりー」
口をわざとらしく大きく開けて出てきた声は、先程の幼さを残すものではなく、どちらかと言えば甘美な響きを持った大人の声であった。
それを確認して、彼女はまた全身を余す所なく見渡すと近くのタンスから、よりサイズが大きい下着を取り出し、それを着ながらクローゼットの中から適当なブラウスとスカートを取り出す。
「いろんな服が着れるっていうのは、やっぱり長所のひとつなのかなー?」
ストッキングを最後に着替えを終了すると、どこにでもあるようなポーチを取り出して、玄関へ歩く。
そこにいるのは、どこにでもいるような二十代の一般女性だった。
「でも、個人的にはやっぱりファーがいいなー」
独り言をつぶやきながらハイヒールを履いて、ペット達の餌を買いに部屋を出る。
161:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:03:49.82:UkoF3SUo (7/10)
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麦野沈利が上条当麻を紹介した次の日、フレンダと絹旗最愛は風紀委員の支部へと歩みを進めていた。
週に三日の当番制は、治安の悪さからくる緊急の呼び出しの多発のために、実質的な意味を失ってはいるが、
少なくとも当番の日だけは、どうあれどきちんと出席せねばならない。
「結局、麦野はあのツンツン頭にぞっこんなわけよ……」
「きっと、超いいことありますよ。そう焦る必要も超ないです」
敗北のオーラを見に纏ったフレンダを支えながら歩く絹旗は、先日の会合の出来事を頭の中で反芻していた。
上条当麻と言う名で、理解不能の異能を持った自称LEVEL0。
性格自体は浜面ほどフランクではないにしろ、明るくとっつきやすいタイプだと思ったが、どこか違和感を感じずにはいられなかった。
それはおそらく、終始滝壺が彼に対して心を許さなかったことから起因しているのだろうと絹旗は考えていた。
結局滝壺は上条を信用することはなく、逆に浜面にもたれかかって半ば無理やりラヴな空間を形成して上条と麦野の空間に対抗しようとしていた。
とはいえ、その人でないものを見るような目付きは変わることがなかった。
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麦野沈利が上条当麻を紹介した次の日、フレンダと絹旗最愛は風紀委員の支部へと歩みを進めていた。
週に三日の当番制は、治安の悪さからくる緊急の呼び出しの多発のために、実質的な意味を失ってはいるが、
少なくとも当番の日だけは、どうあれどきちんと出席せねばならない。
「結局、麦野はあのツンツン頭にぞっこんなわけよ……」
「きっと、超いいことありますよ。そう焦る必要も超ないです」
敗北のオーラを見に纏ったフレンダを支えながら歩く絹旗は、先日の会合の出来事を頭の中で反芻していた。
上条当麻と言う名で、理解不能の異能を持った自称LEVEL0。
性格自体は浜面ほどフランクではないにしろ、明るくとっつきやすいタイプだと思ったが、どこか違和感を感じずにはいられなかった。
それはおそらく、終始滝壺が彼に対して心を許さなかったことから起因しているのだろうと絹旗は考えていた。
結局滝壺は上条を信用することはなく、逆に浜面にもたれかかって半ば無理やりラヴな空間を形成して上条と麦野の空間に対抗しようとしていた。
とはいえ、その人でないものを見るような目付きは変わることがなかった。
162:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:04:33.57:UkoF3SUo (8/10)
「それにしても、スキルアウトから超助けてもらえたから超惚れるって、超麦野に似合わない超意味不明な出会いじゃないですか」
「ほんと、どこのB級映画って訳よ……」
「超ベタ過ぎているのに、あの性格だと逆にC級映画ですら超ありえないですね、あったとしたら超駄作の予感がします」
率直な感想を言う絹旗だが、フレンダはそんな事を気にできるほどの余裕はないようで、朝から顔が青い。
これは回復に超三日はかかりそうですね、と殆ど外したことのない予想を立てると、とりあえず話しを変えることにした。
「そういえば最近超ヒーロー物の映画見たんですよ」
「……へー」
「それにしても、スキルアウトから超助けてもらえたから超惚れるって、超麦野に似合わない超意味不明な出会いじゃないですか」
「ほんと、どこのB級映画って訳よ……」
「超ベタ過ぎているのに、あの性格だと逆にC級映画ですら超ありえないですね、あったとしたら超駄作の予感がします」
率直な感想を言う絹旗だが、フレンダはそんな事を気にできるほどの余裕はないようで、朝から顔が青い。
これは回復に超三日はかかりそうですね、と殆ど外したことのない予想を立てると、とりあえず話しを変えることにした。
「そういえば最近超ヒーロー物の映画見たんですよ」
「……へー」
163:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:05:01.80:UkoF3SUo (9/10)
「とは言っても主人公は悪の超ラスボスなんですけどね。
超最初にのち幹部になる仲間を集めて超小さい組織を作るところから始まって、少しずつ努力を重ねて世界征服なんて途方も無い夢を追いかけるために
あらゆる手段と努力を超惜しまず、犠牲を出さざるを得ない状況でも、そういう時こそ超協力しあって、どんどん成長していくんです」
超ご都合主義なんですが、敵側だとなんか超燃えますよね。と付け加える絹旗。
フレンダはとりあえず気分を立てなおそうとしているのか、話に耳を傾けつつとりあえず上を向きながら歩いている。
「そしてついに世界的な研究をものともしない大発見をして、一気に悪の組織は夢の世界征服を確実のものとする技術を手に入れたんです。
そして少しずつ世界を着実に征服しようとしたんですが、ポッと出のヒーローの手でことごとく破れていくんですよ」
「そりゃ、ずいぶんと救いのない」
「そもそもキャッチコピーが『正義は勝つ。』でしたからね……あれはなかなかの外道の仕業ですよ」
特に『。』を付けるあたりがなんか超やらしいですね、とよく解らない解説をされて困るフレンダを他所に話を続ける。
「とは言っても主人公は悪の超ラスボスなんですけどね。
超最初にのち幹部になる仲間を集めて超小さい組織を作るところから始まって、少しずつ努力を重ねて世界征服なんて途方も無い夢を追いかけるために
あらゆる手段と努力を超惜しまず、犠牲を出さざるを得ない状況でも、そういう時こそ超協力しあって、どんどん成長していくんです」
超ご都合主義なんですが、敵側だとなんか超燃えますよね。と付け加える絹旗。
フレンダはとりあえず気分を立てなおそうとしているのか、話に耳を傾けつつとりあえず上を向きながら歩いている。
「そしてついに世界的な研究をものともしない大発見をして、一気に悪の組織は夢の世界征服を確実のものとする技術を手に入れたんです。
そして少しずつ世界を着実に征服しようとしたんですが、ポッと出のヒーローの手でことごとく破れていくんですよ」
「そりゃ、ずいぶんと救いのない」
「そもそもキャッチコピーが『正義は勝つ。』でしたからね……あれはなかなかの外道の仕業ですよ」
特に『。』を付けるあたりがなんか超やらしいですね、とよく解らない解説をされて困るフレンダを他所に話を続ける。
164:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/09(日) 00:05:34.82:UkoF3SUo (10/10)
「でも悪役達は最後まで超抵抗するんです。
超必死に追いかけて、日常も幸せもモラルも捨ててきた夢を、今更超諦められるわけもないんです。
時には超奇襲をかけ、時には超人質をとり、超絶対的な正義に対して反抗するんです。
でも、こちらの経験の結実の技術は乗り越えられ、幹部たちは夢半ばに散っていき、最終的には自らも滅ぼされることとなるんです」
「……」
あまり急いでいるわけでもなかったが、彼女らの目の前に風紀委員の支部が見え始めた。
通りがかる人たちはそれぞれに急いでいるようで、彼女らの会話が他者に聞き取られることはない。
「倫理的には明らかに正義の味方のほうが正しいんですが、どうしても悪役に同情をしないではいられませんでした。
低予算のせいかシナリオもあまり練られてないし、傑作とは超言えませんが、試みとして評価はできると思います」
しばしの沈黙。
「んで、なんでそんな暗そうな話を」
「え? あ、いや、暗い話をするつもりは超なかったんですが、最近見た映画が超たまたまこれで……」
結局フレンダの気分を回復させる会話には成り得なかったことを絹旗が慌てると、フレンダは少し笑った。
フレンダが笑ったのを見て、絹旗も笑顔を見せた。
二人は風紀委員の支部にある、いつまでも無骨なドアをくぐる。
「でも悪役達は最後まで超抵抗するんです。
超必死に追いかけて、日常も幸せもモラルも捨ててきた夢を、今更超諦められるわけもないんです。
時には超奇襲をかけ、時には超人質をとり、超絶対的な正義に対して反抗するんです。
でも、こちらの経験の結実の技術は乗り越えられ、幹部たちは夢半ばに散っていき、最終的には自らも滅ぼされることとなるんです」
「……」
あまり急いでいるわけでもなかったが、彼女らの目の前に風紀委員の支部が見え始めた。
通りがかる人たちはそれぞれに急いでいるようで、彼女らの会話が他者に聞き取られることはない。
「倫理的には明らかに正義の味方のほうが正しいんですが、どうしても悪役に同情をしないではいられませんでした。
低予算のせいかシナリオもあまり練られてないし、傑作とは超言えませんが、試みとして評価はできると思います」
しばしの沈黙。
「んで、なんでそんな暗そうな話を」
「え? あ、いや、暗い話をするつもりは超なかったんですが、最近見た映画が超たまたまこれで……」
結局フレンダの気分を回復させる会話には成り得なかったことを絹旗が慌てると、フレンダは少し笑った。
フレンダが笑ったのを見て、絹旗も笑顔を見せた。
二人は風紀委員の支部にある、いつまでも無骨なドアをくぐる。
165: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/10(月) 22:53:57.33:N6+hmvLwo (1/1)
新刊が出るまでに終わる気配ない
矛盾点でたらどうしよう
新刊が出るまでに終わる気配ない
矛盾点でたらどうしよう
166:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/10(月) 22:58:16.27:EFKiGR+Bo (1/1)
二次創作の設定、ましてや原作が完結してない物の設定なんてやってしまったもん勝ちだ問題ないから気にすんな
二次創作の設定、ましてや原作が完結してない物の設定なんてやってしまったもん勝ちだ問題ないから気にすんな
167: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/11(火) 23:18:36.14:7Itk8KN7o (1/1)
>>166
そう言っていただけるとありがたい
第六位や第五位あたりが云々されたら困るのは誰もがだろうけど
更新はまた遅れますが、三月あたりからは一気にペース上げられると思います
理由は察してください
>>166
そう言っていただけるとありがたい
第六位や第五位あたりが云々されたら困るのは誰もがだろうけど
更新はまた遅れますが、三月あたりからは一気にペース上げられると思います
理由は察してください
168:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/12(水) 00:54:57.03:E5SLAs9AO (1/1)
なかなか遠いな……まあ乙
なかなか遠いな……まあ乙
169:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/12(水) 19:12:16.90:TPwPqH/AO (1/1)
>>1乙
第6位が昔の青ピなら一人称はわいじゃなくて僕じゃないの?
>>1乙
第6位が昔の青ピなら一人称はわいじゃなくて僕じゃないの?
170: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/12(水) 20:53:03.93:lvLQeTBgo (1/1)
>>169
人物の一人称間違えるとかなんて凡ミスを……
どうか脳内修正をお願いします
大変申し訳ない
>>169
人物の一人称間違えるとかなんて凡ミスを……
どうか脳内修正をお願いします
大変申し訳ない
171:VIPにかわりましてGEPPERがお送りします:2011/01/15(土) 15:34:35.43:Xq2mkIpFo (1/1)
SSスレは移転だそうですがどうしますか?
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
SSスレは移転だそうですがどうしますか?
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/
172:真真真・スレッドムーバー:移転: ()
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)
173: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/18(火) 21:01:19.23:7twDvS+Wo (1/1)
移転後生存報告
移転後生存報告
174: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/19(水) 22:30:27.08:EDmT9urIo (1/11)
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研究所に特有なのであろうか、やけに白い照明と壁をした、遠近感を狂わせるような細長い廊下を歩いているのは
白衣にメガネを掛けニキビを浮かせた青年男性と、よくわからない制服に身を包む御坂美琴だった。
「こちらです」
白衣の男性が立ち止まり、最後に曲がった角から何番目だったかも忘れた、上に垂れ下がっている番号札でしか
それの存在を証明できないような、他のものと殆ど同じ形をしている目の前のドアを開けた。
御坂が部屋に入ると、やや楕円を描いた円卓がこちらを向いて設置されて、ちょうど奥にひとつのスピーカーが置かれている。
長方形の部屋の壁に沿うように、SPらしき人物が二人、さもスピーカーを守るかのように立っていた。
「どうぞ」
そのうちの一人が、御坂の前の椅子を引く。
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研究所に特有なのであろうか、やけに白い照明と壁をした、遠近感を狂わせるような細長い廊下を歩いているのは
白衣にメガネを掛けニキビを浮かせた青年男性と、よくわからない制服に身を包む御坂美琴だった。
「こちらです」
白衣の男性が立ち止まり、最後に曲がった角から何番目だったかも忘れた、上に垂れ下がっている番号札でしか
それの存在を証明できないような、他のものと殆ど同じ形をしている目の前のドアを開けた。
御坂が部屋に入ると、やや楕円を描いた円卓がこちらを向いて設置されて、ちょうど奥にひとつのスピーカーが置かれている。
長方形の部屋の壁に沿うように、SPらしき人物が二人、さもスピーカーを守るかのように立っていた。
「どうぞ」
そのうちの一人が、御坂の前の椅子を引く。
175: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/19(水) 22:31:01.09:EDmT9urIo (2/11)
「どうも」
そこにそれなりの丁寧さを持って座ると、彼女はついとスピーカーを見据えた。
「それで、どうして統括理事会の、匿名Aさんが私に?」
少し置いて、がが、とスピーカーの起動音が鳴った。
「とりあえずは、前回渡した資料の感想を聞いてみたいな?」
スピーカーから機械的な男性の音声が流れる。
それは機械的でありながら、何かしらの高度な技術故か、日本人らしい流暢さを兼ね備えていた。
「どうも」
そこにそれなりの丁寧さを持って座ると、彼女はついとスピーカーを見据えた。
「それで、どうして統括理事会の、匿名Aさんが私に?」
少し置いて、がが、とスピーカーの起動音が鳴った。
「とりあえずは、前回渡した資料の感想を聞いてみたいな?」
スピーカーから機械的な男性の音声が流れる。
それは機械的でありながら、何かしらの高度な技術故か、日本人らしい流暢さを兼ね備えていた。
176:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:31:31.41:EDmT9urIo (3/11)
「……ああ、あれって貴方からだったんだ」
アレとは、前回の仕事の後に『追加報酬』として渡されたデータメモリ。
彼女の『電撃使い』としての能力は、電子データを読み込む程度ならハードの役割を代替できる。
帰りがけに受け取ったデータを読み込んで、その後握りつぶしてしまったものだった。
内容は通称『素養格付(パラメータリスト)』と呼ばれているもので、美琴も存在は知っていた。
一定の検査を行うことで能力開発をする前に、その人物の能力の発達の最短効率から
能力の最終到達点までをほぼ割り出すことを可能とする審査の個人リスト。
そんなモノが公表されれば、学園都市が消費している『生徒(モルモット)』の数は減ってしまうので、このことに関する情報は極秘中の極秘となっている。
その機密を守るために、彼女らの部隊が動かされたことも少なくなかった。
「……ああ、あれって貴方からだったんだ」
アレとは、前回の仕事の後に『追加報酬』として渡されたデータメモリ。
彼女の『電撃使い』としての能力は、電子データを読み込む程度ならハードの役割を代替できる。
帰りがけに受け取ったデータを読み込んで、その後握りつぶしてしまったものだった。
内容は通称『素養格付(パラメータリスト)』と呼ばれているもので、美琴も存在は知っていた。
一定の検査を行うことで能力開発をする前に、その人物の能力の発達の最短効率から
能力の最終到達点までをほぼ割り出すことを可能とする審査の個人リスト。
そんなモノが公表されれば、学園都市が消費している『生徒(モルモット)』の数は減ってしまうので、このことに関する情報は極秘中の極秘となっている。
その機密を守るために、彼女らの部隊が動かされたことも少なくなかった。
177:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:32:13.28:EDmT9urIo (4/11)
そして彼女が受け取ったメモリに刻まれていたデータは、たった一人分。
滝壺理后と呼ばれる『表』の女子高生。
「それで、あれは私に対するあてつけか何か?」
「まさか、君に今回の依頼をどうして受けてもらいたいがための善意さ」
スピーカーから流れる言葉は、一定の抑揚が付けられた違和感を持ったまま、よどみなく室内を埋めていく。
それから発せられている電磁波を感じ取っているのか、彼女の肌に少し鳥肌が立つ。
「それって善意って言うと、本気で思ってる?」
「善意さ。それを知らなかったら君は突然自らの凋落を知ることになる。
精神的な面だけでも、ソフトランディングがいいとは思わないかな?」
一瞬、部屋の電球が明滅したのは、御坂美琴の感情の高ぶりからくる僅かな放電からだろうか。
そして彼女が受け取ったメモリに刻まれていたデータは、たった一人分。
滝壺理后と呼ばれる『表』の女子高生。
「それで、あれは私に対するあてつけか何か?」
「まさか、君に今回の依頼をどうして受けてもらいたいがための善意さ」
スピーカーから流れる言葉は、一定の抑揚が付けられた違和感を持ったまま、よどみなく室内を埋めていく。
それから発せられている電磁波を感じ取っているのか、彼女の肌に少し鳥肌が立つ。
「それって善意って言うと、本気で思ってる?」
「善意さ。それを知らなかったら君は突然自らの凋落を知ることになる。
精神的な面だけでも、ソフトランディングがいいとは思わないかな?」
一瞬、部屋の電球が明滅したのは、御坂美琴の感情の高ぶりからくる僅かな放電からだろうか。
178:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:33:11.65:EDmT9urIo (5/11)
滝壺理后の最終的な信頼度は『LEVEL5』。
その程度なら佐天や白井もその手合いであり、学園都市にもすでに数十人はいるはずで、何も目新しいことではない。
ただ、彼女の能力はこの『学園都市』の名を受け継ぐ事すら可能とする到達地点を示されていた。
この学園都市において『超能力』と言われているのは、『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を形成することによる意識的な誤観測、極地的な波動関数の随意収束の技術である。
その『自分だけの現実(パーソナルリアリティー)』は名の冠する通り、各個人の様々な要因によって形作られていて、それを未だ完璧に説明できてはいない。
結局は、ある程度能力は個人に由来してしまい、それについてを研究することが学園都市の最重要課題のひとつでもあった。
「……私がそんなにヤワに見えるのかしら」
滝壺理后の最終的な信頼度は『LEVEL5』。
その程度なら佐天や白井もその手合いであり、学園都市にもすでに数十人はいるはずで、何も目新しいことではない。
ただ、彼女の能力はこの『学園都市』の名を受け継ぐ事すら可能とする到達地点を示されていた。
この学園都市において『超能力』と言われているのは、『自分だけの現実(パーソナルリアリティ)』を形成することによる意識的な誤観測、極地的な波動関数の随意収束の技術である。
その『自分だけの現実(パーソナルリアリティー)』は名の冠する通り、各個人の様々な要因によって形作られていて、それを未だ完璧に説明できてはいない。
結局は、ある程度能力は個人に由来してしまい、それについてを研究することが学園都市の最重要課題のひとつでもあった。
「……私がそんなにヤワに見えるのかしら」
179:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:33:52.62:EDmT9urIo (6/11)
「少なくとも、他のLEVEL5の中では特にね」
その『自分だけの現実』を持った人間からは、無意識にほんの僅かな力場、『AIM拡散力場』と呼ばれる力場が発せられる。
それは能力開発を受け、『自分だけの現実』を授かった者なら、どれだけ強力な能力者であろうと、無能力者であろうと、常に各個人に由来する力場を発生する。
大変微弱なその力場に干渉できる能力者が存在することは、御坂美琴にも既知の事だったが、そこから『自分だけの現実』にまでも干渉できるとは思わなかった。
滝壺理后と呼ばれる少女は、このまま順当に成長することで、数年内には『自分だけの現実』を構築、改変、削除さえも可能とする能力を得るという。
「少なくとも、他のLEVEL5の中では特にね」
その『自分だけの現実』を持った人間からは、無意識にほんの僅かな力場、『AIM拡散力場』と呼ばれる力場が発せられる。
それは能力開発を受け、『自分だけの現実』を授かった者なら、どれだけ強力な能力者であろうと、無能力者であろうと、常に各個人に由来する力場を発生する。
大変微弱なその力場に干渉できる能力者が存在することは、御坂美琴にも既知の事だったが、そこから『自分だけの現実』にまでも干渉できるとは思わなかった。
滝壺理后と呼ばれる少女は、このまま順当に成長することで、数年内には『自分だけの現実』を構築、改変、削除さえも可能とする能力を得るという。
180:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:34:35.43:EDmT9urIo (7/11)
それが意味するところは、学園都市内におけるLEVELの序列の崩壊である。
つまりは個人による才能の分別を必要としない、あらゆる学生が現在第一位の『一方通行』並の能力を得ることができるということだ。
それは同時に異常な軍事力、脅威の技術力を副産物として生み出す。
もしかしたら、この学園都市の目的と囁かれ続ける『LEVEL6』が生まれるかもしれない。
「……そう」
たった一人の能力が世界を動かすというのだ。
もともと学園都市の超能力者の存在が、世界のパワーバランスを大きく乱しているというのに、それが何百万人の単位で現れるというのだ。
人類の進化さえも予感させるその人物は、いったいどれだけの功績を生み出すかなど、誰にも測れない。
「他の、ってことは他の奴にも依頼したの?」
それが意味するところは、学園都市内におけるLEVELの序列の崩壊である。
つまりは個人による才能の分別を必要としない、あらゆる学生が現在第一位の『一方通行』並の能力を得ることができるということだ。
それは同時に異常な軍事力、脅威の技術力を副産物として生み出す。
もしかしたら、この学園都市の目的と囁かれ続ける『LEVEL6』が生まれるかもしれない。
「……そう」
たった一人の能力が世界を動かすというのだ。
もともと学園都市の超能力者の存在が、世界のパワーバランスを大きく乱しているというのに、それが何百万人の単位で現れるというのだ。
人類の進化さえも予感させるその人物は、いったいどれだけの功績を生み出すかなど、誰にも測れない。
「他の、ってことは他の奴にも依頼したの?」
181:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:35:33.50:EDmT9urIo (8/11)
「実を言うなら、ツテがある第二位にも依頼はしたがね、興味がないらしい」
「……私だって、依頼の内容によっては断るわよ?」
「彼女の暗殺だとしても?」
スピーカーから悪魔が囁いたかのような言葉が溢れると共に、ぱりん。と電球がひとつ、ふたつと呆気無い音を立てて割れた。
彼女は終始無表情を貫くが、その気配は何かしらの意志の高揚を表しているのだろう。明らかに雰囲気が変質した。
「実を言うなら、ツテがある第二位にも依頼はしたがね、興味がないらしい」
「……私だって、依頼の内容によっては断るわよ?」
「彼女の暗殺だとしても?」
スピーカーから悪魔が囁いたかのような言葉が溢れると共に、ぱりん。と電球がひとつ、ふたつと呆気無い音を立てて割れた。
彼女は終始無表情を貫くが、その気配は何かしらの意志の高揚を表しているのだろう。明らかに雰囲気が変質した。
182:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:36:52.47:EDmT9urIo (9/11)
「……それは正気? 人類の宝を殺そうっての?」
「むしろ、パンドラの箱と呼んでもいいだろう。あれが呼び起こす混乱は、一歩間違えば人類が滅びる」
学園都市の存在が一定の立場を成し得ているのは、ひとえに技術力とそれに釣り合うだけの優秀な政治力があるからである。
たった今さえも少し手を違えるだけで、第三次世界大戦などは呆気無く勃発するだろう。
そのぎりぎりのバランスを、おそらく彼女は一瞬で壊してしまう。
有史以前の王朝に核を与えるより、悲惨なことが起こるだろう。
「別に気にする事はない。人類はそう滅びを急ぐ必要はないのだよ。
あのような能力は、せめて数世紀後に生まれればよかったのさ」
「……それは正気? 人類の宝を殺そうっての?」
「むしろ、パンドラの箱と呼んでもいいだろう。あれが呼び起こす混乱は、一歩間違えば人類が滅びる」
学園都市の存在が一定の立場を成し得ているのは、ひとえに技術力とそれに釣り合うだけの優秀な政治力があるからである。
たった今さえも少し手を違えるだけで、第三次世界大戦などは呆気無く勃発するだろう。
そのぎりぎりのバランスを、おそらく彼女は一瞬で壊してしまう。
有史以前の王朝に核を与えるより、悲惨なことが起こるだろう。
「別に気にする事はない。人類はそう滅びを急ぐ必要はないのだよ。
あのような能力は、せめて数世紀後に生まれればよかったのさ」
183:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/19(水) 22:37:45.61:EDmT9urIo (10/11)
最後に呟くように言ったのであろうその言葉は、やはり同じ調子の声音で垂れ流されたが、
どこか苛立つような感情を顕にしているように、御坂美琴は思った。
やはり、革新的な何かがあれば、それ相応の保守を求む者がそれを止めていくのだろう。
まさか自分が保守派に回るとは思いもしなかったが、と御坂美琴はようやく笑みを見せた。
それは本当に溢れるようなほんのちょっとした、引きつっただけのような笑顔で、すぐにその表情は奥に消えた。
「それで、今すぐにでもそいつの息の根を止めに行けばいいの?」
「さすがにそうはいかなくてね、いくつかのプロセスを通してもらうよ」
最後に呟くように言ったのであろうその言葉は、やはり同じ調子の声音で垂れ流されたが、
どこか苛立つような感情を顕にしているように、御坂美琴は思った。
やはり、革新的な何かがあれば、それ相応の保守を求む者がそれを止めていくのだろう。
まさか自分が保守派に回るとは思いもしなかったが、と御坂美琴はようやく笑みを見せた。
それは本当に溢れるようなほんのちょっとした、引きつっただけのような笑顔で、すぐにその表情は奥に消えた。
「それで、今すぐにでもそいつの息の根を止めに行けばいいの?」
「さすがにそうはいかなくてね、いくつかのプロセスを通してもらうよ」
184: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/19(水) 22:41:58.97:EDmT9urIo (11/11)
最初はタイトルにある美琴VS麦野戦は上条さんが『幻想殺し』の微力なコントロールを得て
麦野さんの能力の内麦野さんに返ってくる反動のみを打ち消して限界突破させるなんてストーリーを考えていたんですが
それでは御坂さんが塵芥も残らないし麦野さんが狂わないのでやめました
最初はタイトルにある美琴VS麦野戦は上条さんが『幻想殺し』の微力なコントロールを得て
麦野さんの能力の内麦野さんに返ってくる反動のみを打ち消して限界突破させるなんてストーリーを考えていたんですが
それでは御坂さんが塵芥も残らないし麦野さんが狂わないのでやめました
185:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/20(木) 01:24:53.73:L9rh2yAVo (1/1)
とりあえず続きくれ
とりあえず続きくれ
186: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/21(金) 22:14:25.69:sM9fT+gmo (1/5)
天井亜雄は、ついに自らの実験が上層部に気に入られた事に歓喜していた。
『量産型能力者計画』と呼ばれた、一度は画期的と持て囃され、結局は大失敗と莫大な借金に終わった計画。
それを今、もう一度別の用途に使ってくれるという、しかも理事会からの直接要請があったというのだから。
「今まで、少しずつでも微調整を続けてきて良かった……」
彼の研究室は下手な物を買う余裕もないために酷くこざっぱりとしていているが、部屋の中心には何本ものケーブルが繋がれ、
どろりとした液体に満たされている、透明の蓋の棺が置かれていた。
正確には培養器。彼の実験の成果の一つでもある『修繕個体(フルチューニング)』が静かにそこで眠っている。
天井亜雄は、ついに自らの実験が上層部に気に入られた事に歓喜していた。
『量産型能力者計画』と呼ばれた、一度は画期的と持て囃され、結局は大失敗と莫大な借金に終わった計画。
それを今、もう一度別の用途に使ってくれるという、しかも理事会からの直接要請があったというのだから。
「今まで、少しずつでも微調整を続けてきて良かった……」
彼の研究室は下手な物を買う余裕もないために酷くこざっぱりとしていているが、部屋の中心には何本ものケーブルが繋がれ、
どろりとした液体に満たされている、透明の蓋の棺が置かれていた。
正確には培養器。彼の実験の成果の一つでもある『修繕個体(フルチューニング)』が静かにそこで眠っている。
187:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/21(金) 22:14:56.23:sM9fT+gmo (2/5)
髪はだらしなく伸びた亜麻色が、内部から照らされる橙色を受けて水中を揺らめく。
眼は静かに閉じられながらも、口が小さくぽかんと開いていて、全身は布のようなもので軽く包まれている。
そのクローン元の『超電磁砲』の年齢よりも大人びた、身体年齢だけならば成人を迎えた彼女の体には、いくつかの金属部品が、
一目に見える箇所――例えば眉間――にいくつも取り付けられている。
天井はゆらと椅子から立ち上がり、その透明の板に手を付け、彼女の顔を凝視する。
死亡しているわけではないが、度重なる投薬と手術により、こうして眠らせ続けなければ生命活動も保てない。
LEVEL5判定を受けるほどの能力を行使すると同時に、体の全てにガタがきてしまって、どう延命しようと、あと数年も持たないだろう。
とはいえ、彼女との意思疎通を可能とするため密かに培ってきた技術が、今回の大量『生産』決定に特に役立った。
髪はだらしなく伸びた亜麻色が、内部から照らされる橙色を受けて水中を揺らめく。
眼は静かに閉じられながらも、口が小さくぽかんと開いていて、全身は布のようなもので軽く包まれている。
そのクローン元の『超電磁砲』の年齢よりも大人びた、身体年齢だけならば成人を迎えた彼女の体には、いくつかの金属部品が、
一目に見える箇所――例えば眉間――にいくつも取り付けられている。
天井はゆらと椅子から立ち上がり、その透明の板に手を付け、彼女の顔を凝視する。
死亡しているわけではないが、度重なる投薬と手術により、こうして眠らせ続けなければ生命活動も保てない。
LEVEL5判定を受けるほどの能力を行使すると同時に、体の全てにガタがきてしまって、どう延命しようと、あと数年も持たないだろう。
とはいえ、彼女との意思疎通を可能とするため密かに培ってきた技術が、今回の大量『生産』決定に特に役立った。
188:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/21(金) 22:15:30.42:sM9fT+gmo (3/5)
『欠陥電気(レディオノイズ)』と呼ばれる『超電磁砲』のクローンが持つLEVEL1~3の不安定な『電撃使い』の能力と、クローンという特異性を利用した画期的なシステムの構築の成功。
通称『MSNシステム』。
各個体の脳波を彼女らの能力によるAIM拡散力場を利用してリンクさせ、ひとつの巨大な脳を形成するという試みである。
これを利用すれば、何の装置を必要とせず個々の意思疎通を可能とする上に、各個体の経験値を人数に比例させることを可能とし、
軍用クローンとして他の『超能力者』のクローンよりも、非常に有能かつ洗練された存在が生み出される事となる。
一個体への生産、成長のコストも、当初は量産できる値段ではなかったものの、『暗闇の五月計画』に始まる『学習装置(テスタメント)』の利用により、単価は二十万を切ることとなった。
現在『修繕個体』が眠っているそれも、『学習装置』の派生型である。
『欠陥電気(レディオノイズ)』と呼ばれる『超電磁砲』のクローンが持つLEVEL1~3の不安定な『電撃使い』の能力と、クローンという特異性を利用した画期的なシステムの構築の成功。
通称『MSNシステム』。
各個体の脳波を彼女らの能力によるAIM拡散力場を利用してリンクさせ、ひとつの巨大な脳を形成するという試みである。
これを利用すれば、何の装置を必要とせず個々の意思疎通を可能とする上に、各個体の経験値を人数に比例させることを可能とし、
軍用クローンとして他の『超能力者』のクローンよりも、非常に有能かつ洗練された存在が生み出される事となる。
一個体への生産、成長のコストも、当初は量産できる値段ではなかったものの、『暗闇の五月計画』に始まる『学習装置(テスタメント)』の利用により、単価は二十万を切ることとなった。
現在『修繕個体』が眠っているそれも、『学習装置』の派生型である。
189:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/21(金) 22:16:58.58:sM9fT+gmo (4/5)
天井は手を引いて、小奇麗に使っている机の上のコンソールに向き直ると、キーボードを打ち鳴らし始める。
今回の手前金ですでに借金返済はあらかた済ませてあり、これでようやく自らのためだけの行動を起こせるのだ。
求めるものは眠り姫との対話。
『--------------------------------』
あの時の返事を、今度こそ、答えてもらうのだと。
天井は手を引いて、小奇麗に使っている机の上のコンソールに向き直ると、キーボードを打ち鳴らし始める。
今回の手前金ですでに借金返済はあらかた済ませてあり、これでようやく自らのためだけの行動を起こせるのだ。
求めるものは眠り姫との対話。
『--------------------------------』
あの時の返事を、今度こそ、答えてもらうのだと。
190: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/21(金) 22:18:05.01:sM9fT+gmo (5/5)
ちっとも物語が先に進まない
ちっとも物語が先に進まない
191:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/21(金) 22:59:16.74:Vq+EbnoVo (1/1)
乙
乙
192: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/22(土) 22:47:54.94:RZG0Fn2do (1/1)
1、憎しみを育てる書き溜めを吐き出す
2、吐き出すものなどない
どっちがいいのかね?
全部投下すると本当に二月末まで投下できんのだけど
1、憎しみを育てる書き溜めを吐き出す
2、吐き出すものなどない
どっちがいいのかね?
全部投下すると本当に二月末まで投下できんのだけど
193:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/23(日) 00:16:46.85:gOPHlWANo (1/1)
とりあえず続きくれ
とりあえず続きくれ
194:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/23(日) 00:16:58.03:b+oKNsB/0 (1/1)
ゆっくりでもいいよ
ゆっくりでもいいよ
195: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/23(日) 21:13:59.43:2Xpzn4QEo (1/1)
ちょっと最近の妄想具合が非常によろしくない(主に死人が出過ぎる方向で)ので
投下はゆっくりで行かせてもらいます
本日は投下出来ませんが、いつもスレを見ていただいて本当にありがとうございます
それにしてもどうしたらうまく物語の一単位が長く書けるのか解らないですね
本当に上手い方はそういうところがよく出来ていて参考にしたいのですがいかんせん自分に咀嚼力がないので
変な途切れ方ばかりする羽目になってなんか書いてて精神おかしくなりますね
ちょっと最近の妄想具合が非常によろしくない(主に死人が出過ぎる方向で)ので
投下はゆっくりで行かせてもらいます
本日は投下出来ませんが、いつもスレを見ていただいて本当にありがとうございます
それにしてもどうしたらうまく物語の一単位が長く書けるのか解らないですね
本当に上手い方はそういうところがよく出来ていて参考にしたいのですがいかんせん自分に咀嚼力がないので
変な途切れ方ばかりする羽目になってなんか書いてて精神おかしくなりますね
196: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/27(木) 18:42:07.10:bxMvXLfmo (1/3)
幕間三の三
無駄な広さと無駄な明るさを兼ね備えた正方形の部屋の中心で、垣根帝督を登校させた後の昼過ぎごろに、残る四人で四角を描いて座っていた。
その中央には中国から輸入され、今では日本独自のルールがいくつも追加されたテーブルゲームが置かれている。
つまり、麻雀である。
「……ツモッ! タテホンイッツードラ1! 六千三千!」
ダン! と木原数多は行儀悪くも勢い良く引きヅモをすると、リーチをかけていた麦野はポーカーフェイスも何もないほどに顔を青くした。
「お、親っ被り……」
麦野沈利は半ば涙目になりながら、数少ない点棒を手のひらで愛おしがって転がしながら、それを木原に手渡さざるを得ない。
単なるお遊びゲームだったらいいのだが、千点一万円という、少なくとも成人すらしていない少年少女たちが、好き好んでやるようなレートではないのである。
LEVEL5の子供に相応しくないだけの資金源があるとしても、下手に負けたらそれ相応に辛い。
「木原くん強いなぁ。 ボクも腕には自信があったんやけどなぁ……」
ピアスはへらへらと笑いながら、それでいて少し苛立っているようで、乱暴げに点棒を投げ渡した。
「ギャハハハッ!! ガキどものクソ丁寧なデジタル打ちなんぞ、定石過ぎて背中が煤けてんだよ!」
その点棒を受け取った木原が年甲斐もなくけたけたと笑っている顔を見ると、眉間がピクリと動き、
目の前の麻雀牌を『超常念力』で一瞬でかき回し、そして一度中に浮かべて、ガシャンと叩きつけるように積み直した。
「……木原さン、まだやるンですか?」
そして一方通行は、馴れない手つきで点棒を手渡しながらそう言ったが、木原数多は上機嫌のまま言ってのけた。
「おいおい、そうつまらねえ顔をしてたら仲好し小好しパーティの意味がねえじゃねえか?
ああ、イッツー?」
サイコロを振りながら、木原数多は一方通行を睨みつけた。
一方通行は明らかに嫌そうな顔をするが、当の木原としてはこうして感情を表してくれるだけありがたい事だった。
半ば思いつきの発想だったが、意外としっくりのくる今の状況に彼は彼なりに満足していたのだ。
無論そんな思惑を知る由もなく、一方通行は不服のようだ。
「……それが言いたかっただけなンじゃァ……」
「あぁぁ? テメェは俺様がありがたくも与えてやったあだ名が、イヤイヤーって言うんですかぁ?」
一方通行は配牌を終えて、木原数多に何らかの感情を込めた目線を向けるが、
木原数多のあまりの悪意の篭った表情につい目を逸らしてしまい、そのまま理牌を開始した。
「さーて、次は俺が親だぜぇ?」
幕間三の三
無駄な広さと無駄な明るさを兼ね備えた正方形の部屋の中心で、垣根帝督を登校させた後の昼過ぎごろに、残る四人で四角を描いて座っていた。
その中央には中国から輸入され、今では日本独自のルールがいくつも追加されたテーブルゲームが置かれている。
つまり、麻雀である。
「……ツモッ! タテホンイッツードラ1! 六千三千!」
ダン! と木原数多は行儀悪くも勢い良く引きヅモをすると、リーチをかけていた麦野はポーカーフェイスも何もないほどに顔を青くした。
「お、親っ被り……」
麦野沈利は半ば涙目になりながら、数少ない点棒を手のひらで愛おしがって転がしながら、それを木原に手渡さざるを得ない。
単なるお遊びゲームだったらいいのだが、千点一万円という、少なくとも成人すらしていない少年少女たちが、好き好んでやるようなレートではないのである。
LEVEL5の子供に相応しくないだけの資金源があるとしても、下手に負けたらそれ相応に辛い。
「木原くん強いなぁ。 ボクも腕には自信があったんやけどなぁ……」
ピアスはへらへらと笑いながら、それでいて少し苛立っているようで、乱暴げに点棒を投げ渡した。
「ギャハハハッ!! ガキどものクソ丁寧なデジタル打ちなんぞ、定石過ぎて背中が煤けてんだよ!」
その点棒を受け取った木原が年甲斐もなくけたけたと笑っている顔を見ると、眉間がピクリと動き、
目の前の麻雀牌を『超常念力』で一瞬でかき回し、そして一度中に浮かべて、ガシャンと叩きつけるように積み直した。
「……木原さン、まだやるンですか?」
そして一方通行は、馴れない手つきで点棒を手渡しながらそう言ったが、木原数多は上機嫌のまま言ってのけた。
「おいおい、そうつまらねえ顔をしてたら仲好し小好しパーティの意味がねえじゃねえか?
ああ、イッツー?」
サイコロを振りながら、木原数多は一方通行を睨みつけた。
一方通行は明らかに嫌そうな顔をするが、当の木原としてはこうして感情を表してくれるだけありがたい事だった。
半ば思いつきの発想だったが、意外としっくりのくる今の状況に彼は彼なりに満足していたのだ。
無論そんな思惑を知る由もなく、一方通行は不服のようだ。
「……それが言いたかっただけなンじゃァ……」
「あぁぁ? テメェは俺様がありがたくも与えてやったあだ名が、イヤイヤーって言うんですかぁ?」
一方通行は配牌を終えて、木原数多に何らかの感情を込めた目線を向けるが、
木原数多のあまりの悪意の篭った表情につい目を逸らしてしまい、そのまま理牌を開始した。
「さーて、次は俺が親だぜぇ?」
197: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/27(木) 18:44:12.81:bxMvXLfmo (2/3)
----
ビジネスホテルの一室に居た初春飾利は、コンピュータの前でキーボードを打ち叩いていた。
暇な時間さえあれば、有事の為にあらゆる時に対応できるようにプログラムを作っておくのが、彼女の防衛の基本だった。
「!」
そして、彼女は目線の隅に走ったちょっとした警告文を瞬時に見分けると、手をキーボードの上で少し踊らせて、重要度がそれなりに高いメールボックスを開いた。
「……今度は誰ですか?」
彼女は『ブレーカー』の一員の中では、主に依頼の受付などを担当していて、重要事項の最終判断は御坂美琴に任せるとしても、大抵のことは初春飾利が決めていた。
それというのは彼女の能力の低さからくる裏切りへの可能性の低さと、常時の信頼度の高い行動からだった。
彼女は『常温保存(サーマルハンド)』と呼ばれる能力を持った低能力者であり、優れた言語能力と演算能力を持ちながら、
せいぜい自らの身に触れているものを保温するだけの、ひどくあっけない能力である。
彼女が暗部でその身を立てているのは、その類稀なる演算能力と言語解釈・構築能力によってである。
まさに天賦の才であるのだが、代わりなのか能力への素養はずいぶんと低いようで、彼女自身の身を守る術は、殆ど無い。
それ故、初春飾利は蔦が地面を覆い尽くすように、確実に自らの安全を確保してきた。
その過程では仲間を裏切るも同然のこともしたし、時にはどこかの組織をを間接的に壊滅に追い込んだこともあった。
彼女は後ろ手に背後のバッグからいくつかのメモリーを取り出すと、目の前のPCに接続する。
「あー」
無論彼女のリーダーであり、能力の併用によって初春以上の処理能力を持っている御坂美琴は、
彼女の裏切り行為のこと自体は、ある程度は知っていたが、彼女の逆鱗に触れる寸前のところで、初春は報復を回避していた。
しかし、初春のみが知り得る行為も少なからずあり、ある程度美琴の寛大さと甘さを利用している面もある。
その一つがこの、他の暗部組織との連絡だ。
「えーっと」
ぶつぶつと半ば無意識に呟きながら、青白く光る画面に目線を走らせつつ、もう一つメモリーを取り出して、また乱暴に突き刺す。
「はー」
突き刺したメモリーが自動的に目の前の暗号を復号化したが、どういうわけか文字が横に傾いてしまっていた。
頭上の花飾りが揺れたのは、彼女ががくりと顔を大きく傾けたからだった。
真横に首を折り曲げて、初春飾利は画面の文字を凝視した。
「……『メンバー』、壊滅しちゃったんですか」
----
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ビジネスホテルの一室に居た初春飾利は、コンピュータの前でキーボードを打ち叩いていた。
暇な時間さえあれば、有事の為にあらゆる時に対応できるようにプログラムを作っておくのが、彼女の防衛の基本だった。
「!」
そして、彼女は目線の隅に走ったちょっとした警告文を瞬時に見分けると、手をキーボードの上で少し踊らせて、重要度がそれなりに高いメールボックスを開いた。
「……今度は誰ですか?」
彼女は『ブレーカー』の一員の中では、主に依頼の受付などを担当していて、重要事項の最終判断は御坂美琴に任せるとしても、大抵のことは初春飾利が決めていた。
それというのは彼女の能力の低さからくる裏切りへの可能性の低さと、常時の信頼度の高い行動からだった。
彼女は『常温保存(サーマルハンド)』と呼ばれる能力を持った低能力者であり、優れた言語能力と演算能力を持ちながら、
せいぜい自らの身に触れているものを保温するだけの、ひどくあっけない能力である。
彼女が暗部でその身を立てているのは、その類稀なる演算能力と言語解釈・構築能力によってである。
まさに天賦の才であるのだが、代わりなのか能力への素養はずいぶんと低いようで、彼女自身の身を守る術は、殆ど無い。
それ故、初春飾利は蔦が地面を覆い尽くすように、確実に自らの安全を確保してきた。
その過程では仲間を裏切るも同然のこともしたし、時にはどこかの組織をを間接的に壊滅に追い込んだこともあった。
彼女は後ろ手に背後のバッグからいくつかのメモリーを取り出すと、目の前のPCに接続する。
「あー」
無論彼女のリーダーであり、能力の併用によって初春以上の処理能力を持っている御坂美琴は、
彼女の裏切り行為のこと自体は、ある程度は知っていたが、彼女の逆鱗に触れる寸前のところで、初春は報復を回避していた。
しかし、初春のみが知り得る行為も少なからずあり、ある程度美琴の寛大さと甘さを利用している面もある。
その一つがこの、他の暗部組織との連絡だ。
「えーっと」
ぶつぶつと半ば無意識に呟きながら、青白く光る画面に目線を走らせつつ、もう一つメモリーを取り出して、また乱暴に突き刺す。
「はー」
突き刺したメモリーが自動的に目の前の暗号を復号化したが、どういうわけか文字が横に傾いてしまっていた。
頭上の花飾りが揺れたのは、彼女ががくりと顔を大きく傾けたからだった。
真横に首を折り曲げて、初春飾利は画面の文字を凝視した。
「……『メンバー』、壊滅しちゃったんですか」
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198: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/27(木) 18:49:26.82:bxMvXLfmo (3/3)
まるで話が進まない……
まるで話が進まない……
199: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/31(月) 18:54:10.09:SaMR4XHQo (1/7)
PSPの禁書って明らかに地雷臭がしますが、どうも木原くんと麦野さんあたりの描写が参考になるっぽいので少しほしい気がします
PSPの禁書って明らかに地雷臭がしますが、どうも木原くんと麦野さんあたりの描写が参考になるっぽいので少しほしい気がします
200:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 18:55:09.30:SaMR4XHQo (2/7)
幕間四
「ねー! せんせい!」
「なんだい?」
「あしたから『かいはつ』っていうのがはじまるんだよね?」
「そうだね。ただ君たちは特別な方法を使うんだ」
「とくべつって?」
「やってみてからのお楽しみって事にしておこうか」
「わーい! とくべつだって! とくべつってすごいねー!」
「今日はもう寝なさい。明日は早いんだから」
「はーい! おやすみなさい!」
……
「せんせい」
「ん? どうかしたのかい?」
「なぜだか、ねむれないんです」
「緊張しちゃっているんだね。 大丈夫、布団の中で目をつぶっていれば、自然と寝入ってしまうから」
「……そうですよね、かけるくんもゆかちゃんも、もう、ねてますもんね」
「……」
「おやすみなさい……」
……
幕間四
「ねー! せんせい!」
「なんだい?」
「あしたから『かいはつ』っていうのがはじまるんだよね?」
「そうだね。ただ君たちは特別な方法を使うんだ」
「とくべつって?」
「やってみてからのお楽しみって事にしておこうか」
「わーい! とくべつだって! とくべつってすごいねー!」
「今日はもう寝なさい。明日は早いんだから」
「はーい! おやすみなさい!」
……
「せんせい」
「ん? どうかしたのかい?」
「なぜだか、ねむれないんです」
「緊張しちゃっているんだね。 大丈夫、布団の中で目をつぶっていれば、自然と寝入ってしまうから」
「……そうですよね、かけるくんもゆかちゃんも、もう、ねてますもんね」
「……」
「おやすみなさい……」
……
201:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 18:56:13.98:SaMR4XHQo (3/7)
「はい、全員寝つきました……はい、はい。
今のうちから? はい、『C』のものまでで間違いないんですよね?
はい、わかりました。 投与しておきます」
……
あたまがいたい。
きもちわるい。
おなかがいたい。
吐き気がする。
体中が痛い。
耳の奥が焼けるように熱い。
何か、入ってくる。
英語、ドイツ語、フランス語、物理学、数学、一般常識、柔術、理工学。
理解できない。
解らない。
『じゃあ、これはどう?』
……これって?
『記憶』
「はい、全員寝つきました……はい、はい。
今のうちから? はい、『C』のものまでで間違いないんですよね?
はい、わかりました。 投与しておきます」
……
あたまがいたい。
きもちわるい。
おなかがいたい。
吐き気がする。
体中が痛い。
耳の奥が焼けるように熱い。
何か、入ってくる。
英語、ドイツ語、フランス語、物理学、数学、一般常識、柔術、理工学。
理解できない。
解らない。
『じゃあ、これはどう?』
……これって?
『記憶』
202:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 18:58:06.57:SaMR4XHQo (4/7)
……
『五月計画』
目的:三月に行われた「直接脳に演算に必要な知識を導入するシステム」のより安定した実用化。
また、それを利用した優先度の高かった計画の実行。
(今までは心理系能力者の能力に依った記憶の移植のみが可能であったが、今回の『学習装置』によって今後、協力の必要を削ぐものとする)
さらに現在第一位の『一方通行』の脳内データを完全に移植することで『自分だけの現実』がどのように変化するかについての実験も可能となったため、それも並行して行う。
(詳細な過程に関しては別途の資料を参照)
結果:被験体三十八体の内六体が、知識の転送中に脳周辺にダメージを負い死亡。
残る三十二体に知識の転送は問題なく遂行された。
(今回失敗した六体の原因に関しては別途の資料を参照)
続いて『一方通行』の脳波パターンや記憶等を転送。
拒絶反応が強く、二十九体が転送から五分以内に死亡。
三体はそのまま生存するも、一体は意識混濁状態から回復せず、三日目に死亡。
(残った個体に関しては別途の資料を参照)
今回の実験で『学習装置』の基本的な調整は完了したものとする。
……
…
……
『五月計画』
目的:三月に行われた「直接脳に演算に必要な知識を導入するシステム」のより安定した実用化。
また、それを利用した優先度の高かった計画の実行。
(今までは心理系能力者の能力に依った記憶の移植のみが可能であったが、今回の『学習装置』によって今後、協力の必要を削ぐものとする)
さらに現在第一位の『一方通行』の脳内データを完全に移植することで『自分だけの現実』がどのように変化するかについての実験も可能となったため、それも並行して行う。
(詳細な過程に関しては別途の資料を参照)
結果:被験体三十八体の内六体が、知識の転送中に脳周辺にダメージを負い死亡。
残る三十二体に知識の転送は問題なく遂行された。
(今回失敗した六体の原因に関しては別途の資料を参照)
続いて『一方通行』の脳波パターンや記憶等を転送。
拒絶反応が強く、二十九体が転送から五分以内に死亡。
三体はそのまま生存するも、一体は意識混濁状態から回復せず、三日目に死亡。
(残った個体に関しては別途の資料を参照)
今回の実験で『学習装置』の基本的な調整は完了したものとする。
……
…
203:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 18:59:00.12:SaMR4XHQo (5/7)
----
滝壺理后は、甘いカフェオレの入った冷たい缶コーヒーに触れて、火照った風呂上りの体を冷まそうとした。
「……ひんやりして気持ちいい」
彼女の愛する男性である浜面仕上は、現在コンビニへ出張中である。
曰く、彼女の家でだらだらしていたらそれは世間で言う『ヒモ』になってしまう、らしく、日用品位は彼が購入することにしているのである。
そんな彼を可愛らしく思っている滝壺は、目を閉じてほんの少し『能力追跡』を使用する。
一瞬で彼女の脳裏に浮かぶのは、三次元空間に漂っている大量の点。
それは時折香ばしい匂いをさせたり、ぴちゃりとしたぬめり気を持ったり、それぞれがそれぞれの特徴を持っている。
そして滝壺の愛して止まぬ、ほんのりと温かみを覚えさせてくれる浜面仕上のAIM拡散力場を感じ取った。
「……まだコンビニかな?」
目を開け、ほんのり思案にふけりながら呟いた。
かち、とそのプルタブを開けることで情けない香料の香りが鼻をつき、ごくりとその冷たい飲み物を喉に通した。
半分ほど残したまま、それを浜面特製の小さい簡易式のテーブルに乗せると、ベッドにどさ、と寝転んだ。
そして、手をそのまま壁とベッドの間に落とし、がさがさと少し手を探って、何かをつかむ。
その紙を引っ張り上げて両手で広げると、天井からの照明を顔の部分だけ妨げた。
それはたった一枚の紙でありながら、彼女のこれまでの行動を変えさせる要因になったものだった。
『素養格付』
関係事項だけで人が数十単位で死んでいく特Aランクの極秘事項であり、本来一学生の彼女が手に入れるハズがないもの。
そこに記されたデータは彼女のものと、彼女が愛する人の物。
これは脅迫であり、報酬でもあり、賛歌でもあり、絶望でもあった。
もともと滝壺理后は能力の向上にあまり興味がなかった。
彼女が通う学校も名門とは程遠いもので、学校の成績も優秀と言えるものではない。
あまり人とのコミュニケーションに興味はなく、自らの感情にすらあまり興味はなかった。
生まれつきの性分なのだろうと、彼女はそれ以上のことは考えず、ただそのモラトリアム期間を消費していただけだった。
麦野沈利がそれに怯えるのに対し、滝壺理后はそれに甘んじることに何の違和感も覚えなかった。
それを変えた物こそ、有史以前から人を惑わせ、人を成長させ、人を弄び続けた『恋愛』だった。
浜面仕上との出会いは(彼女の中では)まさに運命的なものであり、その初めての快楽にどこまでも溺れていった。
頻繁にリミッターは外れ、もしも相手が拒絶していたなら精神科に連れていかれるような事を頻繁に行なった。
そして滝壺は、浜面の苦悶に突然気がついた。
学園都市において、あまりに数値化された格差である『能力強度』の問題。
心無い能力者達による無能力者への嘲笑、差別、襲撃。
それが彼の心を荒ませたのは目に見えて明らかだった。
そもそも、武装無能力集団(スキルアウト)などという、半ば無政府の組織が生まれた理由はまるで知られていない。
本来、この学園都市における根もとに関する出来事なのに、周囲から得られる情報はさも「単なる不良集団」であるかのようで、
その本来の目的はいつの間にかさっぱりと忘れ去られている。
それが初めて生まれた、大義名分となりうる事件の存在を『誰一人』『知らない』のだから。
----
滝壺理后は、甘いカフェオレの入った冷たい缶コーヒーに触れて、火照った風呂上りの体を冷まそうとした。
「……ひんやりして気持ちいい」
彼女の愛する男性である浜面仕上は、現在コンビニへ出張中である。
曰く、彼女の家でだらだらしていたらそれは世間で言う『ヒモ』になってしまう、らしく、日用品位は彼が購入することにしているのである。
そんな彼を可愛らしく思っている滝壺は、目を閉じてほんの少し『能力追跡』を使用する。
一瞬で彼女の脳裏に浮かぶのは、三次元空間に漂っている大量の点。
それは時折香ばしい匂いをさせたり、ぴちゃりとしたぬめり気を持ったり、それぞれがそれぞれの特徴を持っている。
そして滝壺の愛して止まぬ、ほんのりと温かみを覚えさせてくれる浜面仕上のAIM拡散力場を感じ取った。
「……まだコンビニかな?」
目を開け、ほんのり思案にふけりながら呟いた。
かち、とそのプルタブを開けることで情けない香料の香りが鼻をつき、ごくりとその冷たい飲み物を喉に通した。
半分ほど残したまま、それを浜面特製の小さい簡易式のテーブルに乗せると、ベッドにどさ、と寝転んだ。
そして、手をそのまま壁とベッドの間に落とし、がさがさと少し手を探って、何かをつかむ。
その紙を引っ張り上げて両手で広げると、天井からの照明を顔の部分だけ妨げた。
それはたった一枚の紙でありながら、彼女のこれまでの行動を変えさせる要因になったものだった。
『素養格付』
関係事項だけで人が数十単位で死んでいく特Aランクの極秘事項であり、本来一学生の彼女が手に入れるハズがないもの。
そこに記されたデータは彼女のものと、彼女が愛する人の物。
これは脅迫であり、報酬でもあり、賛歌でもあり、絶望でもあった。
もともと滝壺理后は能力の向上にあまり興味がなかった。
彼女が通う学校も名門とは程遠いもので、学校の成績も優秀と言えるものではない。
あまり人とのコミュニケーションに興味はなく、自らの感情にすらあまり興味はなかった。
生まれつきの性分なのだろうと、彼女はそれ以上のことは考えず、ただそのモラトリアム期間を消費していただけだった。
麦野沈利がそれに怯えるのに対し、滝壺理后はそれに甘んじることに何の違和感も覚えなかった。
それを変えた物こそ、有史以前から人を惑わせ、人を成長させ、人を弄び続けた『恋愛』だった。
浜面仕上との出会いは(彼女の中では)まさに運命的なものであり、その初めての快楽にどこまでも溺れていった。
頻繁にリミッターは外れ、もしも相手が拒絶していたなら精神科に連れていかれるような事を頻繁に行なった。
そして滝壺は、浜面の苦悶に突然気がついた。
学園都市において、あまりに数値化された格差である『能力強度』の問題。
心無い能力者達による無能力者への嘲笑、差別、襲撃。
それが彼の心を荒ませたのは目に見えて明らかだった。
そもそも、武装無能力集団(スキルアウト)などという、半ば無政府の組織が生まれた理由はまるで知られていない。
本来、この学園都市における根もとに関する出来事なのに、周囲から得られる情報はさも「単なる不良集団」であるかのようで、
その本来の目的はいつの間にかさっぱりと忘れ去られている。
それが初めて生まれた、大義名分となりうる事件の存在を『誰一人』『知らない』のだから。
204:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 18:59:38.82:SaMR4XHQo (6/7)
そして『それ』について、浜面仕上の口から聞いたとき、滝壺理后は何を思ったか。
『素養格付』について、何の理由もなく知らされたとき、滝壺理后は何を思ったか。
『能力追跡』の、途方も無い可能性への道を知ったとき、滝壺理后は何を思ったか。
それは悪魔の囁きだったのかもしれない。
安易な答えでしかなかったのかもしれない。
しかし、彼女は自らの力で、彼らを救えるのかもしれないのだと、愛する人を助けられるのかもしれないのだと、
そしてそれが出来るのが自分自身しかいないのだと知らされて、生まれて初めて彼女は感情を理由に自らを動かそうとしている。
それは無償の愛を捧げる聖母のごとく。
そして『それ』について、浜面仕上の口から聞いたとき、滝壺理后は何を思ったか。
『素養格付』について、何の理由もなく知らされたとき、滝壺理后は何を思ったか。
『能力追跡』の、途方も無い可能性への道を知ったとき、滝壺理后は何を思ったか。
それは悪魔の囁きだったのかもしれない。
安易な答えでしかなかったのかもしれない。
しかし、彼女は自らの力で、彼らを救えるのかもしれないのだと、愛する人を助けられるのかもしれないのだと、
そしてそれが出来るのが自分自身しかいないのだと知らされて、生まれて初めて彼女は感情を理由に自らを動かそうとしている。
それは無償の愛を捧げる聖母のごとく。
205: ◆r8UzcYNXNc:2011/01/31(月) 19:00:52.96:SaMR4XHQo (7/7)
書いてて恥ずかしくなる文章なんかをなんでこんなことしてるんだろう
そう思うことが常になってきましたが続ける
書いてて恥ずかしくなる文章なんかをなんでこんなことしてるんだろう
そう思うことが常になってきましたが続ける
206:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 19:06:30.70:IZKnT0eRo (1/1)
構わん続けろ続けてください
構わん続けろ続けてください
207:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/01/31(月) 20:07:09.26:rds5dxgwo (1/1)
面白いよ乙
面白いよ乙
208: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/05(土) 21:20:02.90:avDEWY0zo (1/1)
新刊来てほしくないなぁ
第六位が出てきたら即死だし
まだこの後三部くらいプロット残ってるのに
新刊来てほしくないなぁ
第六位が出てきたら即死だし
まだこの後三部くらいプロット残ってるのに
209:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 06:53:58.61:zt5Pe6tO0 (1/1)
支援!
支援!
210:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/11(金) 07:16:43.48:ce7NBl7eo (1/1)
完結するまでまで新刊は発売延期されたことにすればいい
完結するまでまで新刊は発売延期されたことにすればいい
211: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/12(土) 20:02:10.61:nbIUweHqo (1/1)
投下できないので予告でも
ただ、内容は実現しない可能性が大の何の役にも立たない予告
----
「はははははっ!! 楽しいねぇ第四位ぃ! いつの時代も努力したものが勝つって言うじゃない!?」
「糞ガキがぁ!! 世間知らずも程々にしやがれぇ!!!」
「……あんた、超いったい、何をしてるんですか……!」
「特級の極秘事項ですので、何も悟らないまま死んでいただけるとありがたいです」
「へぇー。なるほどなるほど、女の子を守りたいって訳か……ご主人様を守りたいわんこちゃんってところかな?」
「……俺は滝壺を……理后を守るって決めてるんだ」
「銃弾を!? こいつ、本当に一般人ですの!?」
「さあ、代わり映えのしない泥仕合は、ここまでって訳よ」
「……残念だったな。常識に執着しているお前じゃ、俺には勝てねえんだよ」
「絹旗ァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「ゴメンなカミやん。姉貴との約束があるんよ」
「ああ、そういう類のことがしたいのなら慰安婦機能もありますと00777号は自らの性能を誇ります」
「……はまづら?」
「――――いってらっしゃい、とうま」
「やあ、垣根帝督。同じhuid奇o絵zxiを繰る者同士、仲良くしようじゃないか」
「ああ、不幸だ」
投下できないので予告でも
ただ、内容は実現しない可能性が大の何の役にも立たない予告
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「はははははっ!! 楽しいねぇ第四位ぃ! いつの時代も努力したものが勝つって言うじゃない!?」
「糞ガキがぁ!! 世間知らずも程々にしやがれぇ!!!」
「……あんた、超いったい、何をしてるんですか……!」
「特級の極秘事項ですので、何も悟らないまま死んでいただけるとありがたいです」
「へぇー。なるほどなるほど、女の子を守りたいって訳か……ご主人様を守りたいわんこちゃんってところかな?」
「……俺は滝壺を……理后を守るって決めてるんだ」
「銃弾を!? こいつ、本当に一般人ですの!?」
「さあ、代わり映えのしない泥仕合は、ここまでって訳よ」
「……残念だったな。常識に執着しているお前じゃ、俺には勝てねえんだよ」
「絹旗ァァァァァァァァァァァァァ!!!」
「ゴメンなカミやん。姉貴との約束があるんよ」
「ああ、そういう類のことがしたいのなら慰安婦機能もありますと00777号は自らの性能を誇ります」
「……はまづら?」
「――――いってらっしゃい、とうま」
「やあ、垣根帝督。同じhuid奇o絵zxiを繰る者同士、仲良くしようじゃないか」
「ああ、不幸だ」
212:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/12(土) 21:42:13.09:4O8S0AS8o (1/1)
待ってるよ
待ってるよ
213: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/13(日) 20:25:46.08:RPM/mchEo (1/1)
零次元の極点については物語に組み込めそうなので組み込んでおくことにします
後々の神城VSアレイスター戦に取り入れられそうな断片に思えるので
あと、最近どうやらこのスレを見つけられない人が多いらしく
何度も聞かれるだけのことで本来良作が挙げられるべきスレに紹介されるのも惨めに思えるのでスレを一度上げておきます
零次元の極点については物語に組み込めそうなので組み込んでおくことにします
後々の神城VSアレイスター戦に取り入れられそうな断片に思えるので
あと、最近どうやらこのスレを見つけられない人が多いらしく
何度も聞かれるだけのことで本来良作が挙げられるべきスレに紹介されるのも惨めに思えるのでスレを一度上げておきます
214: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/15(火) 15:37:20.22:zjpv8vX4o (1/4)
風紀委員の仕事のうちに、暴徒鎮圧も含まれる。
基本的に少人数で、コンビニ強盗などをする程度のものを対処する。
今回もそんな五・六人の不良たちが、路地裏の狭い通路で手に入れた金を分け合っていた。
まさにそんな最中だった。
「ジャッジメントな訳よ! 黙って投降することを薦めるけど、どうする?」
ファッショナブル(死語)なベレー帽を被るほか、小奇麗に着飾ったスカートと脚線美が自慢の金髪白人『美』少女(自称)は、路地裏の彼らに向かってその腕章を大きく見せつけた。
それを聞いた彼らは、金属バッドを手にしたり、あるいはメリケンサックをはめたりする。
彼らとてそれ相応に喧嘩慣れはしているし、風紀委員を追い返したことも、なくはない。
臨戦態勢をとって、軽いアイコンタクトをとると、いざその敵を追い払おうと少しずつにじり寄ってくる。
しかしそんなことをフレンダは一切気にしない。
「投降の意志はない、って訳ね。じゃあこっちもお構い無く行くわよ」
風紀委員の仕事のうちに、暴徒鎮圧も含まれる。
基本的に少人数で、コンビニ強盗などをする程度のものを対処する。
今回もそんな五・六人の不良たちが、路地裏の狭い通路で手に入れた金を分け合っていた。
まさにそんな最中だった。
「ジャッジメントな訳よ! 黙って投降することを薦めるけど、どうする?」
ファッショナブル(死語)なベレー帽を被るほか、小奇麗に着飾ったスカートと脚線美が自慢の金髪白人『美』少女(自称)は、路地裏の彼らに向かってその腕章を大きく見せつけた。
それを聞いた彼らは、金属バッドを手にしたり、あるいはメリケンサックをはめたりする。
彼らとてそれ相応に喧嘩慣れはしているし、風紀委員を追い返したことも、なくはない。
臨戦態勢をとって、軽いアイコンタクトをとると、いざその敵を追い払おうと少しずつにじり寄ってくる。
しかしそんなことをフレンダは一切気にしない。
「投降の意志はない、って訳ね。じゃあこっちもお構い無く行くわよ」
215: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/15(火) 15:38:49.76:zjpv8vX4o (2/4)
そして彼女は、自らのスカートの裏に手を突っ込む。
引っ張り出したのは、暴徒制圧用として昔から広く遍く使われている、ある種原始的な兵器。
放水砲。
ずるりとスカートから零れ落ちるホースを無視して、彼女はその下に付いた固定させるための棒を地に打ち付けると、
「ひゃっはー!!!! 汚物は消毒って訳よ!!!!」
路地裏の狭さゆえ、逃げ場所のない彼らに向かって何の躊躇もなく、毎秒四五リットルを放出するそれをぶっ放した。
「ぎゃああああああ!!!」
「へぶっ!! ごふぅ!!」
「っきたねええ「あああ!?なんか言った訳!?!」ぐぼはぁぁぁぁ!!!!」
哀れな犯罪者達は、おもいっきり地面に倒れこみ、息をするのもままならない様子だ。
しかしその一方で、さも股間から垂れ落ちたかのようなホースを持ってそれはそれは大量の水を放出する様は、なんとも言えない。
最近の出来事からくるストレスが解消できているからという理由が分かっていても、あからさまに恍惚とした表情は、とても見られた姿ではない。
影で「莫大な量の水分を体の[ピーーー]から放出できる最悪の絶賛猥褻物陳列中風紀委員」と囁かれてもいるのも当然といえば当然である。
彼女の名誉のために言わねばならないが、彼女の能力は間違ってもそんな下品なものではない。
「掃討終了! 後は車を持ってくるだけな訳ね」
しゅるんとホースをスカートの裏へ戻すと、悶え苦しんでいるスキルアウト達を尻目にして、フレンダは本部に連絡を始めた。
そして彼女は、自らのスカートの裏に手を突っ込む。
引っ張り出したのは、暴徒制圧用として昔から広く遍く使われている、ある種原始的な兵器。
放水砲。
ずるりとスカートから零れ落ちるホースを無視して、彼女はその下に付いた固定させるための棒を地に打ち付けると、
「ひゃっはー!!!! 汚物は消毒って訳よ!!!!」
路地裏の狭さゆえ、逃げ場所のない彼らに向かって何の躊躇もなく、毎秒四五リットルを放出するそれをぶっ放した。
「ぎゃああああああ!!!」
「へぶっ!! ごふぅ!!」
「っきたねええ「あああ!?なんか言った訳!?!」ぐぼはぁぁぁぁ!!!!」
哀れな犯罪者達は、おもいっきり地面に倒れこみ、息をするのもままならない様子だ。
しかしその一方で、さも股間から垂れ落ちたかのようなホースを持ってそれはそれは大量の水を放出する様は、なんとも言えない。
最近の出来事からくるストレスが解消できているからという理由が分かっていても、あからさまに恍惚とした表情は、とても見られた姿ではない。
影で「莫大な量の水分を体の[ピーーー]から放出できる最悪の絶賛猥褻物陳列中風紀委員」と囁かれてもいるのも当然といえば当然である。
彼女の名誉のために言わねばならないが、彼女の能力は間違ってもそんな下品なものではない。
「掃討終了! 後は車を持ってくるだけな訳ね」
しゅるんとホースをスカートの裏へ戻すと、悶え苦しんでいるスキルアウト達を尻目にして、フレンダは本部に連絡を始めた。
216:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/15(火) 15:39:43.44:zjpv8vX4o (3/4)
----
第十学区、学園都市に唯一存在する墓地の中の一つの墓前で、ホストのような扮装の茶髪の男子がぽつんと黙祷を捧げていた。
ポケットに両腕を突っ込んだ様は、御世辞にも礼儀正しいとは言えないが、彼――垣根帝督は、別段この行為を墓中の男が文句を言うとは思えなかった。
「……俺は結局、骨を咥えて喜ぶケダモノでしかなかったみたいだ」
周りにチラホラと見かける人影には、聞こえないであろう声量で呟く。
「今さら足を洗おうだなんて、思わないさ。……けど」
ざあ、と吹いた風で、墓前に供えられた安物の造花が揺れたのを見て、手を出してより丁寧に整える。
「俺が裏に居てやるから、アイツにはこっちに来て欲しいとは思えないんだ」
----
第十学区、学園都市に唯一存在する墓地の中の一つの墓前で、ホストのような扮装の茶髪の男子がぽつんと黙祷を捧げていた。
ポケットに両腕を突っ込んだ様は、御世辞にも礼儀正しいとは言えないが、彼――垣根帝督は、別段この行為を墓中の男が文句を言うとは思えなかった。
「……俺は結局、骨を咥えて喜ぶケダモノでしかなかったみたいだ」
周りにチラホラと見かける人影には、聞こえないであろう声量で呟く。
「今さら足を洗おうだなんて、思わないさ。……けど」
ざあ、と吹いた風で、墓前に供えられた安物の造花が揺れたのを見て、手を出してより丁寧に整える。
「俺が裏に居てやるから、アイツにはこっちに来て欲しいとは思えないんだ」
217: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/15(火) 15:40:25.57:zjpv8vX4o (4/4)
人の死を単なる生命活動の停止としか考えないこの『学園都市』で、いくらでも代えが効く血液で汚れた手を眺めながら、淡々と言葉を紡ぐ。
「もう十分、俺は幸せだったからいいんだ。
でも、アイツはまだ逃げなきゃならないなんて、おかしいだろ?」
口から出る言葉は儚さを帯び、優しげとも言える目線は墓前から空へと映る。
「あとで地獄(そっち)に行くから、アイツを助けるまで待っててくれよ?」
くるりとそっけない十字架に背を向けて、今度は地に目を向けた。
「なぁ、木原くん」
人の死を単なる生命活動の停止としか考えないこの『学園都市』で、いくらでも代えが効く血液で汚れた手を眺めながら、淡々と言葉を紡ぐ。
「もう十分、俺は幸せだったからいいんだ。
でも、アイツはまだ逃げなきゃならないなんて、おかしいだろ?」
口から出る言葉は儚さを帯び、優しげとも言える目線は墓前から空へと映る。
「あとで地獄(そっち)に行くから、アイツを助けるまで待っててくれよ?」
くるりとそっけない十字架に背を向けて、今度は地に目を向けた。
「なぁ、木原くん」
218:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/15(火) 22:23:00.21:48kp4wrfo (1/1)
木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
何で死んじまったんだよ木原くん…
木ィィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!
何で死んじまったんだよ木原くん…
219:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/15(火) 23:09:55.48:wUaU3HsE0 (1/1)
フレンダ汚ねぇ
フレンダ汚ねぇ
220:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/15(火) 23:52:30.87:WZf7SD0no (1/1)
いつも素敵にバラされる木原くんいきなり墓の中か
あと[ピーーー]が気になってしょうがない
いつも素敵にバラされる木原くんいきなり墓の中か
あと[ピーーー]が気になってしょうがない
221:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/16(水) 03:45:25.38:WVBUUAuP0 (1/1)
もうね…立場が違うだけでここまで興奮できるとは自分でも思わなかった訳よ…!!
ていとくんに木原くン…だと!?
一方通行さんと絹旗のことも気になるし…
支援支援
もうね…立場が違うだけでここまで興奮できるとは自分でも思わなかった訳よ…!!
ていとくんに木原くン…だと!?
一方通行さんと絹旗のことも気になるし…
支援支援
222: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/16(水) 18:36:23.41:47dwroW0o (1/1)
>>218
後々出ます
>>219
一応フレンダさんは準主人公格なので、これからにご期待ください
>>220
察してください
>>221
最初は木原くンは一通さんにご執心の予定だったんですが
後々のため提督んと一緒にしました
投下はだいたい一週間後になります
それからは、ペースを上げられるかと思われます
>>218
後々出ます
>>219
一応フレンダさんは準主人公格なので、これからにご期待ください
>>220
察してください
>>221
最初は木原くンは一通さんにご執心の予定だったんですが
後々のため提督んと一緒にしました
投下はだいたい一週間後になります
それからは、ペースを上げられるかと思われます
223: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/23(水) 17:23:56.06:QcO/B6tJo (1/6)
----
「……長髪、本当にこれ全部食べられるの?」
「もしかして甘いの嫌いだった? それとも宗教的な理由で、なんか食べられないものがあったとか……」
「そ、そんなことないんだよ! いただきます!!」
時は真昼、上条当麻の広くはない部屋のテーブルの上で、所狭しと並べられた大量のお菓子達を、
常に空腹感を覚えているシスター、インデックスはここぞ天国とばかりにそれらを食い尽くし始めた。
「すみません麦野さん。こんなに良くしてもらって」
「呼び捨てでいいって何度も言ったじゃない。そもそもあんたのその右手を評価しない学園都市が悪いんだからさ。
たぶん、私なんかよりもっといい奨学金貰ってていいはずなのよ?」
インデックスの反対側で横並びに座っている麦野は、そんなことを言いながら目の前のショートケーキを一つ皿にとった。
----
「……長髪、本当にこれ全部食べられるの?」
「もしかして甘いの嫌いだった? それとも宗教的な理由で、なんか食べられないものがあったとか……」
「そ、そんなことないんだよ! いただきます!!」
時は真昼、上条当麻の広くはない部屋のテーブルの上で、所狭しと並べられた大量のお菓子達を、
常に空腹感を覚えているシスター、インデックスはここぞ天国とばかりにそれらを食い尽くし始めた。
「すみません麦野さん。こんなに良くしてもらって」
「呼び捨てでいいって何度も言ったじゃない。そもそもあんたのその右手を評価しない学園都市が悪いんだからさ。
たぶん、私なんかよりもっといい奨学金貰ってていいはずなのよ?」
インデックスの反対側で横並びに座っている麦野は、そんなことを言いながら目の前のショートケーキを一つ皿にとった。
224: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/23(水) 17:25:08.28:QcO/B6tJo (2/6)
「……この右手が、ねぇ」
上条当麻は気分が沈んだようにその右腕を眺め、儚げな表情を作ったようだった。
麦野沈利は知らない。
上条当麻に、かつてこの右腕によって様々な不幸が襲いかかっていたことを、未だに躊躇いなく襲いかかっていることを。
「そーよ、もっと自信持ちなさい。この第四位が保証してやってんだから」
麦野沈利は至らない。
強すぎる能力が、彼女を孤独に追いやったことを知っていながら、彼の能力が彼を苦しめていたという想像に。
「……ありがとう、沈利」
「……この右手が、ねぇ」
上条当麻は気分が沈んだようにその右腕を眺め、儚げな表情を作ったようだった。
麦野沈利は知らない。
上条当麻に、かつてこの右腕によって様々な不幸が襲いかかっていたことを、未だに躊躇いなく襲いかかっていることを。
「そーよ、もっと自信持ちなさい。この第四位が保証してやってんだから」
麦野沈利は至らない。
強すぎる能力が、彼女を孤独に追いやったことを知っていながら、彼の能力が彼を苦しめていたという想像に。
「……ありがとう、沈利」
225: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/23(水) 17:25:48.00:QcO/B6tJo (3/6)
さわやかに麦野に微笑みかける上条に、麦野沈利はぽかんとした顔をした。
しばし、インデックスの至福の時間が滞る。
「……呼び捨てにしていいとは言ったけど、いきなり名前ってずいぶんとせっかちなのね。
もしかして今夜は泊まっていいってこと?」
顎に手を当て、流し目で上条当麻の体を舐めるようにしてそんなことを言うと、目の前の大食いシスターがひどくむせた。
「ぐぇふえふっ! い…いきなり下品なんだよ! 聖職者が目の前にいるのに、そういうふしだらな事を言わないでほしいんだよ!」
「ふふっ、それはごめんね。嫉妬しちゃったかな?」
「し、嫉妬なんかしてないんだよ!! 七つの大罪の一つなんだよ!!」
七つの大罪には大食という物があった気がする、と麦野は思いながら、今度は上条当麻の慌てふためく様を余裕を持って眺める。
さわやかに麦野に微笑みかける上条に、麦野沈利はぽかんとした顔をした。
しばし、インデックスの至福の時間が滞る。
「……呼び捨てにしていいとは言ったけど、いきなり名前ってずいぶんとせっかちなのね。
もしかして今夜は泊まっていいってこと?」
顎に手を当て、流し目で上条当麻の体を舐めるようにしてそんなことを言うと、目の前の大食いシスターがひどくむせた。
「ぐぇふえふっ! い…いきなり下品なんだよ! 聖職者が目の前にいるのに、そういうふしだらな事を言わないでほしいんだよ!」
「ふふっ、それはごめんね。嫉妬しちゃったかな?」
「し、嫉妬なんかしてないんだよ!! 七つの大罪の一つなんだよ!!」
七つの大罪には大食という物があった気がする、と麦野は思いながら、今度は上条当麻の慌てふためく様を余裕を持って眺める。
226:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/23(水) 17:26:18.20:QcO/B6tJo (4/6)
「いや、そんな……上条さんはそんな下心があったわけじゃなくて、なんとなく感傷に浸っていたというか……」
手を振り回しながらさも弁解をしようというような上条当麻の行動に、麦野も自然と笑みを零した。
「冗談よ、当麻」
「「と、とうまぁ!?」」
インデックスと上条が同時に素っ頓狂な叫び声を上げる。
「……あれ? 私たち付き合うってこと言ってなかったっけ?」
度重なる衝撃発言に、上条当麻は処理能力の限界を迎えたようだが、インデックスは俯き、拳を握り締めながら震えている。
「いやいやいや、上条さんはなんにも聞いてませんよ?」
「いや、そんな……上条さんはそんな下心があったわけじゃなくて、なんとなく感傷に浸っていたというか……」
手を振り回しながらさも弁解をしようというような上条当麻の行動に、麦野も自然と笑みを零した。
「冗談よ、当麻」
「「と、とうまぁ!?」」
インデックスと上条が同時に素っ頓狂な叫び声を上げる。
「……あれ? 私たち付き合うってこと言ってなかったっけ?」
度重なる衝撃発言に、上条当麻は処理能力の限界を迎えたようだが、インデックスは俯き、拳を握り締めながら震えている。
「いやいやいや、上条さんはなんにも聞いてませんよ?」
227:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/23(水) 17:27:30.93:QcO/B6tJo (5/6)
「……とうま、知らない間にずいぶんと、楽しそうだったんだね?」
精一杯の笑顔という、明らかにそれに込められた意味は真反対の感情である事を隠す気もないような表情で、インデックスはにこりと当麻を見据えると、
「え、ちょっと待ってくださいインデックスさんこれは何らかの誤解でせう!」
「この女たらしがぁぁぁ!!!」
「ふ、不幸だー!!!」
生クリームの香りの消えない口で噛み付かれながら、上条当麻は不幸を嘆くようであるが、それを見た麦野沈利は何となく幸せに思えた。
(この子もコイツの事、好きなみたいね)
容赦ない牙から逃げ惑う上条当麻を見ながら、まるで親子のようだと麦野沈利は思った。
「……とうま、知らない間にずいぶんと、楽しそうだったんだね?」
精一杯の笑顔という、明らかにそれに込められた意味は真反対の感情である事を隠す気もないような表情で、インデックスはにこりと当麻を見据えると、
「え、ちょっと待ってくださいインデックスさんこれは何らかの誤解でせう!」
「この女たらしがぁぁぁ!!!」
「ふ、不幸だー!!!」
生クリームの香りの消えない口で噛み付かれながら、上条当麻は不幸を嘆くようであるが、それを見た麦野沈利は何となく幸せに思えた。
(この子もコイツの事、好きなみたいね)
容赦ない牙から逃げ惑う上条当麻を見ながら、まるで親子のようだと麦野沈利は思った。
228: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/23(水) 17:28:57.42:QcO/B6tJo (6/6)
ほのぼのなんてぼくにはとてもできない
ほのぼのなんてぼくにはとてもできない
229:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/23(水) 17:39:28.86:Xzz5pbnQo (1/1)
乙
乙
230:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/23(水) 17:45:48.64:m8WUUOXqo (1/1)
乙乙
無理せずに書いてくれればいいさ
乙乙
無理せずに書いてくれればいいさ
231:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/23(水) 21:23:22.42:4Vg0+v/m0 (1/1)
乙乙乙
ぼのぼのからはじめればいいさ
乙乙乙
ぼのぼのからはじめればいいさ
232: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/24(木) 18:02:53.97:kJxm4gT4o (1/9)
どうもです
どうもです
233:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 18:03:35.42:kJxm4gT4o (2/9)
----
第十七学区。
機械化の波が全てを覆い尽くした世界の中で、本来そこにあるべきではない異様な音が響きわたっていた。
それは銃声。
パァンというような可愛らしい乾いた音などではなく、さもそこは紛争地域かのごとく銃声は途切れることなく、しかしそれを聞く者もほとんどいない。
このオートメーション化された学区に訪れる人間は殆どいない。
しかし、そこには確かに余りある人間が、小型銃、あるいはスナイパーライフル、あるいは手榴弾、あるいは軍用ナイフを持ち、
たった一人の人間を殺すがために暗躍していた。
そのまだ年端も行かないような少女達は、あまりに似通った容貌をしていた。
亜麻色の短髪を靡かせ、簡潔さの中に優美さを含ませた常盤台中学の制服を着た少女たち。
『超電磁砲』のクローンである『妹達』は、その命じられた役割を果たすため、死をも恐れず対象への攻撃を続けていた。
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第十七学区。
機械化の波が全てを覆い尽くした世界の中で、本来そこにあるべきではない異様な音が響きわたっていた。
それは銃声。
パァンというような可愛らしい乾いた音などではなく、さもそこは紛争地域かのごとく銃声は途切れることなく、しかしそれを聞く者もほとんどいない。
このオートメーション化された学区に訪れる人間は殆どいない。
しかし、そこには確かに余りある人間が、小型銃、あるいはスナイパーライフル、あるいは手榴弾、あるいは軍用ナイフを持ち、
たった一人の人間を殺すがために暗躍していた。
そのまだ年端も行かないような少女達は、あまりに似通った容貌をしていた。
亜麻色の短髪を靡かせ、簡潔さの中に優美さを含ませた常盤台中学の制服を着た少女たち。
『超電磁砲』のクローンである『妹達』は、その命じられた役割を果たすため、死をも恐れず対象への攻撃を続けていた。
234:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 18:04:11.11:kJxm4gT4o (3/9)
その間、夏休みの中間である今日で四三日目。
銃弾の補充、個体ごとの疲労や負傷による後退と前進、軍用クローンとして生み出された彼女達は、その最たる特徴である『ミサカネットワーク』を完全に活用して、的確に対象を追い込んでいた。
「こなくそォ!!」
何度付いたかも解らぬ悪態を繰り返しつつ、学園都市で『行方不明』を貫く第一位、一方通行はそれらの猛攻を完全に防ぎきっていた。
しかしその着ている服は既に布切れのように破け、その白髪は所々が焼け焦げていた。
前方から飛んできた銃弾に左肩を突き出し、全て隣のコンクリート壁に反射させると、足にベクトルを付加して三体の妹達から距離を取る。
倉庫と倉庫の合間から飛び出すと、周囲に散らばる妹達に目をやった。
その数は十一体。
一方通行の移動を既に『MNW』で知り得ていた妹達は、出てくるのを確認すると同時にそれぞれの武器の一斉射をかける。
それらを全身で受け止めながら、全てのベクトルを下方へと流しこみ、地面へぶつかったその衝撃波のベクトルを操作、利用して一気に体を跳ねさせた。
その間、夏休みの中間である今日で四三日目。
銃弾の補充、個体ごとの疲労や負傷による後退と前進、軍用クローンとして生み出された彼女達は、その最たる特徴である『ミサカネットワーク』を完全に活用して、的確に対象を追い込んでいた。
「こなくそォ!!」
何度付いたかも解らぬ悪態を繰り返しつつ、学園都市で『行方不明』を貫く第一位、一方通行はそれらの猛攻を完全に防ぎきっていた。
しかしその着ている服は既に布切れのように破け、その白髪は所々が焼け焦げていた。
前方から飛んできた銃弾に左肩を突き出し、全て隣のコンクリート壁に反射させると、足にベクトルを付加して三体の妹達から距離を取る。
倉庫と倉庫の合間から飛び出すと、周囲に散らばる妹達に目をやった。
その数は十一体。
一方通行の移動を既に『MNW』で知り得ていた妹達は、出てくるのを確認すると同時にそれぞれの武器の一斉射をかける。
それらを全身で受け止めながら、全てのベクトルを下方へと流しこみ、地面へぶつかったその衝撃波のベクトルを操作、利用して一気に体を跳ねさせた。
235:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 18:04:37.33:kJxm4gT4o (4/9)
倉庫を軽々と四つ飛び越えると、音もなく地面に着地し、そこに妹達がいないことを確認すると、すぐさまその場に仰向けに倒れこんだ。
(……頭が、いてェ……)
仰向けになり、近くの蛍光灯をぼんやりと眺める一方通行の白い顔は、明らかに憔悴しきっていた。
一方通行は極力、あの少女たちに傷害を与えることを避けていた。
殺害はおろか、肌を傷つけることすら忌避していた。
その為には、単なる反射では足りない。
日常生活では殆ど全てのベクトルは、反射か否かを基調としていたため、ベクトルを調整して逸らすには従来不必要な演算が増える。
視界外からの奇襲にも、ゼロコンマ単位での反応と演算を必要とさせられ、それをほとんと飲まず食わず休まずの中、何千体もの攻撃から、一ヵ月半をやり過ごしきっていた。
結果として、妹達に未だ死傷者はおらず、それ故に攻撃の波は休まることを知らない。
倉庫を軽々と四つ飛び越えると、音もなく地面に着地し、そこに妹達がいないことを確認すると、すぐさまその場に仰向けに倒れこんだ。
(……頭が、いてェ……)
仰向けになり、近くの蛍光灯をぼんやりと眺める一方通行の白い顔は、明らかに憔悴しきっていた。
一方通行は極力、あの少女たちに傷害を与えることを避けていた。
殺害はおろか、肌を傷つけることすら忌避していた。
その為には、単なる反射では足りない。
日常生活では殆ど全てのベクトルは、反射か否かを基調としていたため、ベクトルを調整して逸らすには従来不必要な演算が増える。
視界外からの奇襲にも、ゼロコンマ単位での反応と演算を必要とさせられ、それをほとんと飲まず食わず休まずの中、何千体もの攻撃から、一ヵ月半をやり過ごしきっていた。
結果として、妹達に未だ死傷者はおらず、それ故に攻撃の波は休まることを知らない。
236:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 18:05:10.16:kJxm4gT4o (5/9)
(……気持ちわりィ……)
無論、過剰な能力の多用は彼の脳に確実に異常な域での損害を与ていた。
途中で食料品などを無理やり体に流しこんで入るものの、寝られる暇もないため、体を誤魔化す脳内物質を能力で無理矢理生成させ、それによって一部の脳細胞は破壊すらされつつあった。
いつ幻覚を見てもおかしくないだけの状況下で、まともな思考を可能とさせるのは、ある種の強迫観念の為だった。
妹達の、正確には女子の体に対する異常なまでの強迫観念。
かつて一方通行を殺そうと、そして殺されてでも一方通行に傷跡を残そうとした人間。
一方通行という名の能力を源泉とした実験で友を失った子供。
存在することすら罪であると、一方通行にどこまでも押し付けた少女。
抱きしめることしか出来なかった女。
(被るんだよォ……クソッタレがァ……)
絹旗最愛への懺悔と愁傷と親愛の混沌が、自らを封じ込めるが為に行方をくらまさせたように、操り人形たちへの反撃を阻害する。
(……気持ちわりィ……)
無論、過剰な能力の多用は彼の脳に確実に異常な域での損害を与ていた。
途中で食料品などを無理やり体に流しこんで入るものの、寝られる暇もないため、体を誤魔化す脳内物質を能力で無理矢理生成させ、それによって一部の脳細胞は破壊すらされつつあった。
いつ幻覚を見てもおかしくないだけの状況下で、まともな思考を可能とさせるのは、ある種の強迫観念の為だった。
妹達の、正確には女子の体に対する異常なまでの強迫観念。
かつて一方通行を殺そうと、そして殺されてでも一方通行に傷跡を残そうとした人間。
一方通行という名の能力を源泉とした実験で友を失った子供。
存在することすら罪であると、一方通行にどこまでも押し付けた少女。
抱きしめることしか出来なかった女。
(被るんだよォ……クソッタレがァ……)
絹旗最愛への懺悔と愁傷と親愛の混沌が、自らを封じ込めるが為に行方をくらまさせたように、操り人形たちへの反撃を阻害する。
237:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 18:05:43.47:kJxm4gT4o (6/9)
そして、コツンと響く足音に、一方通行は過敏に反応し、とっさに立ち上がって音の方向に体を向けた。
(……?)
違和感を感じた。
一方通行は知らないが、今まで彼がいなしてきた妹達は、曲がりなりにも軍用の知識、それを実行するだけの能力を植えつけられていた。
こうも、大きく靴音を鳴らしただろうか?
コツン、と勿体つけたような音を淡々と響かせながら、全く同じ顔つきをした少女は、ほんの少し何らかの表情を浮かべながら一方通行のもとに近づいてくる。
「……随分な顔をしてるのね。なんだか拍子抜けだわ」
そして、コツンと響く足音に、一方通行は過敏に反応し、とっさに立ち上がって音の方向に体を向けた。
(……?)
違和感を感じた。
一方通行は知らないが、今まで彼がいなしてきた妹達は、曲がりなりにも軍用の知識、それを実行するだけの能力を植えつけられていた。
こうも、大きく靴音を鳴らしただろうか?
コツン、と勿体つけたような音を淡々と響かせながら、全く同じ顔つきをした少女は、ほんの少し何らかの表情を浮かべながら一方通行のもとに近づいてくる。
「……随分な顔をしてるのね。なんだか拍子抜けだわ」
238:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 18:06:24.16:kJxm4gT4o (7/9)
今まで、彼を攻め続けた妹達はただの一言も発することはなかった。
「まぁ、『妹達』が言うにはもう一月半、まともに寝てないんでしょ?」
首をコキリと鳴らし、右手で見飽きたようなセーラー服のポケットから、あまりに短い銃口の拳銃を取り出す。
「それもわざわざ一匹も殺さずにしてくれちゃってるんだから、維持費がかさばって大変みたいよ?」
バチッ、と電気が弾けるまさにその音が、薄ぼんやりとした闇夜を照らすと、拳銃を静かに構える。
「……ま、要求されたからには、こっちもお仕事しないとね」
バチバチバチッ、と電気が周囲に充満していき、彼女は少しばかり笑った。
「とりあえずはじめまして。『オリジナル』の『超電磁砲』です」
音速の三倍のスピードで、彼女の手元の銃口からその名を冠する『レールガン』が、爆音を立てながら一方通行へ襲いかかった。
今まで、彼を攻め続けた妹達はただの一言も発することはなかった。
「まぁ、『妹達』が言うにはもう一月半、まともに寝てないんでしょ?」
首をコキリと鳴らし、右手で見飽きたようなセーラー服のポケットから、あまりに短い銃口の拳銃を取り出す。
「それもわざわざ一匹も殺さずにしてくれちゃってるんだから、維持費がかさばって大変みたいよ?」
バチッ、と電気が弾けるまさにその音が、薄ぼんやりとした闇夜を照らすと、拳銃を静かに構える。
「……ま、要求されたからには、こっちもお仕事しないとね」
バチバチバチッ、と電気が周囲に充満していき、彼女は少しばかり笑った。
「とりあえずはじめまして。『オリジナル』の『超電磁砲』です」
音速の三倍のスピードで、彼女の手元の銃口からその名を冠する『レールガン』が、爆音を立てながら一方通行へ襲いかかった。
239: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/24(木) 18:08:13.23:kJxm4gT4o (8/9)
ペースは上げます
有限実行
ペースは上げます
有限実行
240: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/24(木) 18:08:47.89:kJxm4gT4o (9/9)
言だよ……畜生
言だよ……畜生
241:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 19:38:02.42:v2jm7zEeo (1/1)
乙乙
無理のない様に頑張ってくれ 応援してる
乙乙
無理のない様に頑張ってくれ 応援してる
242:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 19:58:16.59:JlWrGeoXo (1/1)
乙乙
乙乙
243:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/24(木) 23:14:07.32:0nQIZMg/0 (1/1)
乙乙乙乙
有限だっていいさ
実行だもの
乙乙乙乙
有限だっていいさ
実行だもの
244:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/25(金) 02:47:23.73:AzcZ1Ihuo (1/1)
乙!
展開が読めなくて、続きが楽しみすぎる
乙!
展開が読めなくて、続きが楽しみすぎる
245:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/25(金) 03:33:48.30:9y72zShgo (1/1)
視点がコロコロ変わりすぎ
本筋のストーリーしっかりやりながらサイドを固めろと
視点がコロコロ変わりすぎ
本筋のストーリーしっかりやりながらサイドを固めろと
246:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/26(土) 04:12:28.80:nZcLcI560 (1/1)
うおおおおおシリアス!!だが熱い!!!
超待ってましたよこんな展開\(^0^)/
堪んねぇ…>>1乙通行!!!
うおおおおおシリアス!!だが熱い!!!
超待ってましたよこんな展開\(^0^)/
堪んねぇ…>>1乙通行!!!
247:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/26(土) 18:26:50.13:FaRqQngV0 (1/1)
有限じゃなく無限実行して欲しいくらいの面白さだね
>>1乙
有限じゃなく無限実行して欲しいくらいの面白さだね
>>1乙
248: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/27(日) 17:31:05.87:lPjDcYHxo (1/1)
>>245
アドバイス大変ありがとうございます
合間を縫って書いてきたせいか本筋がよれてしまったことは改善していきたいことだと思っています
人造救世主ギニーピッグスを読んでました
……泰三さん、何をどう血迷ってそんなラノベを書いてるんだ
とりあえず、明日投下します
>>245
アドバイス大変ありがとうございます
合間を縫って書いてきたせいか本筋がよれてしまったことは改善していきたいことだと思っています
人造救世主ギニーピッグスを読んでました
……泰三さん、何をどう血迷ってそんなラノベを書いてるんだ
とりあえず、明日投下します
249:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/28(月) 02:08:55.45:TZUFaDq90 (1/1)
明日っていうと今日か!
個人的に悪美琴はテンション上がるぜ…!
拳銃からレールガンとか凶悪且つ当たり前にかっこいい。なんか目から鱗
原作美琴は能力の使い方にどこか甘さがあるというかというかえげつなさが足りない感じなので
思いっきり悪辣且つ徹底的にやっちまって欲しいです
明日っていうと今日か!
個人的に悪美琴はテンション上がるぜ…!
拳銃からレールガンとか凶悪且つ当たり前にかっこいい。なんか目から鱗
原作美琴は能力の使い方にどこか甘さがあるというかというかえげつなさが足りない感じなので
思いっきり悪辣且つ徹底的にやっちまって欲しいです
250: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/28(月) 20:55:03.96:239GEVBoo (1/6)
----
幕間三の四
もともと必要以上に広い部屋で、壁に備え付けられている馬鹿でかいモニターで、何らかのゲームを遊んでいるピアス、
その近くで垣根帝督がリュックを背負ったまま、それを横目に眺めていた。
そこに、定期的で形式的な打ち合わせを終えた木原数多が、さも別次元の生物を見つめるかのようにピアスを見つめているのに垣根帝督が気付いた。
すたすたと近寄ってくると、木原数多に声をかける。
「木原くん木原くん! 今日って何の日だか知ってる?」
「……は? 日曜日」
キラキラとメガネの奥から無闇矢鱈に目を輝かせた垣根帝督の言葉に、木原数多は酷く漠然と答えた。
彼にはそれ以上の心当たりがなかったからだった。
----
幕間三の四
もともと必要以上に広い部屋で、壁に備え付けられている馬鹿でかいモニターで、何らかのゲームを遊んでいるピアス、
その近くで垣根帝督がリュックを背負ったまま、それを横目に眺めていた。
そこに、定期的で形式的な打ち合わせを終えた木原数多が、さも別次元の生物を見つめるかのようにピアスを見つめているのに垣根帝督が気付いた。
すたすたと近寄ってくると、木原数多に声をかける。
「木原くん木原くん! 今日って何の日だか知ってる?」
「……は? 日曜日」
キラキラとメガネの奥から無闇矢鱈に目を輝かせた垣根帝督の言葉に、木原数多は酷く漠然と答えた。
彼にはそれ以上の心当たりがなかったからだった。
251:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/28(月) 20:55:49.13:239GEVBoo (2/6)
「違うよ、違う! 今日って木原くんの誕生日なんでしょ? そこの研究員さんが言ってたし!」
指差す先にいた数人の研究員の群れは蜘蛛の子を散らすが如くそそくさと部屋を出て行った。
木原数多は、少し眉をひそめてため息をついた。
「……それにしても、よくもまぁ俺すら忘れてたようなことを……」
数多は頭をガシガシと掻きながら、そういえば普通はそんなモノがあったということを思い出す。
数多にとってその日程は、ただの数字以外ではありえないのだが、こういう少年たちから見ればそれは大それた大イベントと化してしまうのだろう。
実態はともかく。
「違うよ、違う! 今日って木原くんの誕生日なんでしょ? そこの研究員さんが言ってたし!」
指差す先にいた数人の研究員の群れは蜘蛛の子を散らすが如くそそくさと部屋を出て行った。
木原数多は、少し眉をひそめてため息をついた。
「……それにしても、よくもまぁ俺すら忘れてたようなことを……」
数多は頭をガシガシと掻きながら、そういえば普通はそんなモノがあったということを思い出す。
数多にとってその日程は、ただの数字以外ではありえないのだが、こういう少年たちから見ればそれは大それた大イベントと化してしまうのだろう。
実態はともかく。
252:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/28(月) 20:56:34.23:239GEVBoo (3/6)
「それでさ、俺誕生日プレゼント用意したんだ!」
背中に背負ったリュックサックから、じゃじゃーんと口で効果音を出しながらよく解らないフィルムケースのようなものを取り出した。
木原数多はさらに眉を潜めつつ、それでもとりあえずは驚いてみせた。
「ほぉー」
中身もなんにもない声をだしつつ、軽くピアスの方向を見たが、特にこれといった反応はなく、その視線に気がついたのだろうか、垣根は声を上げる。
「だって姉貴もイッツーもピアスもどうでもいーってさ!」
「喜ぶようなタチやあらへんやろー」
ピアスが軽く後ろを向いてそんなことを言うと、垣根はおもいっきり睨みつけ、おお恐ろしやとピアスがゲームに向き直る。
「それでさ、俺誕生日プレゼント用意したんだ!」
背中に背負ったリュックサックから、じゃじゃーんと口で効果音を出しながらよく解らないフィルムケースのようなものを取り出した。
木原数多はさらに眉を潜めつつ、それでもとりあえずは驚いてみせた。
「ほぉー」
中身もなんにもない声をだしつつ、軽くピアスの方向を見たが、特にこれといった反応はなく、その視線に気がついたのだろうか、垣根は声を上げる。
「だって姉貴もイッツーもピアスもどうでもいーってさ!」
「喜ぶようなタチやあらへんやろー」
ピアスが軽く後ろを向いてそんなことを言うと、垣根はおもいっきり睨みつけ、おお恐ろしやとピアスがゲームに向き直る。
253:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/28(月) 20:57:43.20:239GEVBoo (4/6)
「でもさ、やっぱり貰える物は貰ったほうが特だよね?」
「……そりゃ、否定はしねえけど」
そんな堅実的な理由で受け取ってもいいものなのだろうかと、数多は少し悩んだ。
「いよっしゃ! じゃあこれ!」
ずいと渡されるケースを、木原は必要以上に無表情な顔で受け取る。
これが木原数多の照れ隠しだということも、数ヶ月たった今では垣根でも見抜けていた。
「……はー、随分ちっぽけだな?」
随分と小さいケースを軽く振ると、中に入った粉末がキラキラと輝きながら狭い中を浮翌遊する。
それを見て垣根帝督は、ちっちっちと指を振って見せる。
「でもさ、やっぱり貰える物は貰ったほうが特だよね?」
「……そりゃ、否定はしねえけど」
そんな堅実的な理由で受け取ってもいいものなのだろうかと、数多は少し悩んだ。
「いよっしゃ! じゃあこれ!」
ずいと渡されるケースを、木原は必要以上に無表情な顔で受け取る。
これが木原数多の照れ隠しだということも、数ヶ月たった今では垣根でも見抜けていた。
「……はー、随分ちっぽけだな?」
随分と小さいケースを軽く振ると、中に入った粉末がキラキラと輝きながら狭い中を浮翌遊する。
それを見て垣根帝督は、ちっちっちと指を振って見せる。
254:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/28(月) 20:58:10.80:239GEVBoo (5/6)
「この前イッツーに『ハゲ』って言われてボコボコにしてたじゃない。
金髪に染めると、さすがに学園都市の技術があるとはいえ、やっぱり髪を痛めちゃうんだと思うんだ。
だから俺がDNAレベルで色素を変質させるっていう『未元物質』を、他の研究員さんに手伝ってもらってなんとか生成してみたんだけど……」
「ふーん。人体実験は?」
「……してない」
それを聞いた木原数多は特に躊躇いもなく、それをゲームに興じるピアスにむかってぶちまけた。
「ああああああっ!!!」
「……ん?なんかした?」
「いーや、何も?」
垣根帝督は思わず大声を上げるが、木原数多の顔に特に後悔の念は見られない。
ピアスは気づいているのやらいないのやら、特に何の反応も示さずゲームに興じた。
数週間後、それはそれは強烈なピーコックブルーがピアスの髪の毛を覆い尽くし、後々にアダ名として新たな友から『青髪ピアス』と呼ばれるようになった。
あとで垣根が金髪用にもう一度設定しなおしたものを木原に渡したが、それが結局使われることはなかった。
「この前イッツーに『ハゲ』って言われてボコボコにしてたじゃない。
金髪に染めると、さすがに学園都市の技術があるとはいえ、やっぱり髪を痛めちゃうんだと思うんだ。
だから俺がDNAレベルで色素を変質させるっていう『未元物質』を、他の研究員さんに手伝ってもらってなんとか生成してみたんだけど……」
「ふーん。人体実験は?」
「……してない」
それを聞いた木原数多は特に躊躇いもなく、それをゲームに興じるピアスにむかってぶちまけた。
「ああああああっ!!!」
「……ん?なんかした?」
「いーや、何も?」
垣根帝督は思わず大声を上げるが、木原数多の顔に特に後悔の念は見られない。
ピアスは気づいているのやらいないのやら、特に何の反応も示さずゲームに興じた。
数週間後、それはそれは強烈なピーコックブルーがピアスの髪の毛を覆い尽くし、後々にアダ名として新たな友から『青髪ピアス』と呼ばれるようになった。
あとで垣根が金髪用にもう一度設定しなおしたものを木原に渡したが、それが結局使われることはなかった。
255: ◆r8UzcYNXNc:2011/02/28(月) 20:59:40.16:239GEVBoo (6/6)
時間が開くことになってもだからといって執筆できる量が増えるというわけでもないことを最近気付かされた
もう少し量書き溜めてもっとボリューム感を持たせたいな
分量の匙加減が重要だ
時間が開くことになってもだからといって執筆できる量が増えるというわけでもないことを最近気付かされた
もう少し量書き溜めてもっとボリューム感を持たせたいな
分量の匙加減が重要だ
256:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/02/28(月) 21:02:15.74:dxl5IetVo (1/1)
乙
乙
257:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/01(火) 21:51:05.42:u/heFRnAO (1/1)
青髪にはそんな秘密があったのか!
乙乙
青髪にはそんな秘密があったのか!
乙乙
258:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 02:27:30.59:OvGEdqif0 (1/1)
カッキーマジ天使
未元物質マジ万能
カッキーマジ天使
未元物質マジ万能
259: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/02(水) 13:14:10.20:AHHwJ57po (1/10)
>>258
未元物質は独自解釈まみれなのでこれから先もトンデモ物質の嵐になります
というかそれくらいしないと第二位名乗れる気がしない
夜に投下します
>>258
未元物質は独自解釈まみれなのでこれから先もトンデモ物質の嵐になります
というかそれくらいしないと第二位名乗れる気がしない
夜に投下します
260:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 21:38:54.41:cK3vQfzp0 (1/1)
独自解釈というより何がおきても未知なる素粒子の力です。で済んじゃうからな
独自解釈というより何がおきても未知なる素粒子の力です。で済んじゃうからな
261: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/02(水) 22:08:49.17:AHHwJ57po (2/10)
----
ぽぉん。
ぽぉん。
絹旗最愛は、軽く飛び跳ねながら、学園都市でも指折りの高層ビルの非常階段を登っている。
天気は雲ひとつ無い快晴だが、彼女は何ら関係もないかのように歩みを進める。
ぽぉん。
ぽぉん。
能力を使って無理やり脚力を強化したそれは、文字通り『一歩』間違えば足場を乗り越え数十階下の地面に叩きつけられることになる。
ぽぉん。
ぽぉん。
何の躊躇いも見せず、虚ろな顔をしながら、淡々と階数を重ねていく。
----
ぽぉん。
ぽぉん。
絹旗最愛は、軽く飛び跳ねながら、学園都市でも指折りの高層ビルの非常階段を登っている。
天気は雲ひとつ無い快晴だが、彼女は何ら関係もないかのように歩みを進める。
ぽぉん。
ぽぉん。
能力を使って無理やり脚力を強化したそれは、文字通り『一歩』間違えば足場を乗り越え数十階下の地面に叩きつけられることになる。
ぽぉん。
ぽぉん。
何の躊躇いも見せず、虚ろな顔をしながら、淡々と階数を重ねていく。
262:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:09:16.68:AHHwJ57po (3/10)
ぽぉん。
ぽぉん。
ぽぉん。
そして、何もない屋上へ辿り着く。
建築物自体は学園都市でも有名な大学の施設だが、屋上は酷くこざっぱりとしていて、太陽光発電のパネル以外に目立つ物はない。
びゅうと真夏にしては涼しい風が絹旗最愛の顔をぴしゃりと叩き、それが若干彼女の目をはっきりとさせて、いつもの場所に向かう。
それはいつも右から七番目のパネルの裏。
風雨をぎりぎり避けられる位置に、嵌めこまれた安物のホワイトボード。
ぽぉん。
ぽぉん。
ぽぉん。
そして、何もない屋上へ辿り着く。
建築物自体は学園都市でも有名な大学の施設だが、屋上は酷くこざっぱりとしていて、太陽光発電のパネル以外に目立つ物はない。
びゅうと真夏にしては涼しい風が絹旗最愛の顔をぴしゃりと叩き、それが若干彼女の目をはっきりとさせて、いつもの場所に向かう。
それはいつも右から七番目のパネルの裏。
風雨をぎりぎり避けられる位置に、嵌めこまれた安物のホワイトボード。
263:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:09:56.14:AHHwJ57po (4/10)
普段なら、一つの線が乱雑に引かれていて、それを消すのが絹旗の存在意義にすら数えられるような習慣でもあった。
そして、それはおそらく相手も同じこと。
だがそこは、二ヶ月前から空欄のままだった。
「……また来てない」
絹旗はその白板に向けてべちゃりと呟くと、今度はその場所を降りていく。
特に慌てることもなく、階段に淡々と足を下ろしていく。
すれ違った事は、一度もない。
それでも、絹旗は疎ましい自らの感情を嫌悪しながらも、この何もない階段を登って降りる。
普段なら、一つの線が乱雑に引かれていて、それを消すのが絹旗の存在意義にすら数えられるような習慣でもあった。
そして、それはおそらく相手も同じこと。
だがそこは、二ヶ月前から空欄のままだった。
「……また来てない」
絹旗はその白板に向けてべちゃりと呟くと、今度はその場所を降りていく。
特に慌てることもなく、階段に淡々と足を下ろしていく。
すれ違った事は、一度もない。
それでも、絹旗は疎ましい自らの感情を嫌悪しながらも、この何もない階段を登って降りる。
264:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:10:30.66:AHHwJ57po (5/10)
----
幕間三の五
ありとあらゆる書類に囲まれながら、老齢の男性が骨の浮き出た手でキーボードに大量の文章を打ち込んでいた。
それを見ながら、木原数多は差し出されていたコーヒーを啜った。
「それにしても久方ぶりだな。幻生の忘れ形見」
「……クソジジイを、俺のことを呼ぶときに引き出すんじゃねえよ」
「それは失敬……優秀な科学者の『子』が親の七光りを嫌うのは、至極当然の事だった」
「そういう訳じゃねえんだが……」
----
幕間三の五
ありとあらゆる書類に囲まれながら、老齢の男性が骨の浮き出た手でキーボードに大量の文章を打ち込んでいた。
それを見ながら、木原数多は差し出されていたコーヒーを啜った。
「それにしても久方ぶりだな。幻生の忘れ形見」
「……クソジジイを、俺のことを呼ぶときに引き出すんじゃねえよ」
「それは失敬……優秀な科学者の『子』が親の七光りを嫌うのは、至極当然の事だった」
「そういう訳じゃねえんだが……」
265:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:11:07.47:AHHwJ57po (6/10)
どうにもやりにくい、木原の『博士』に対する印象はいつもそれだった。
彼の本名を知る人間は少ないし、知ろうとする人間も少ない。
超能力研究に置いてまさに歴史的な成果を大量に重ね上げた、学園都市内の研究者の中で最も高翌齢である彼の事を、誰もが尊敬の念を込めて『博士』と呼んでいた。
無論その実験は時に残虐性を孕むものでもあり、その多くに置いて数多の『父』である木原幻生は何の躊躇いもなくそれを手伝った。
その好奇心は『博士』を軽く超えていて、『博士』の元を離れた後には、従兄弟や実子などと共に異常な才覚を見せつけながら『木原一族』の名を知らしめた。
いつだったか恨みを買い、惨めに殺されてしまったが。
「今は確か、化物の飼育員をやってるんだったかな?」
「あんな奴ら、化物の要素を満たさねえし、満たせねえよ」
どうにもやりにくい、木原の『博士』に対する印象はいつもそれだった。
彼の本名を知る人間は少ないし、知ろうとする人間も少ない。
超能力研究に置いてまさに歴史的な成果を大量に重ね上げた、学園都市内の研究者の中で最も高翌齢である彼の事を、誰もが尊敬の念を込めて『博士』と呼んでいた。
無論その実験は時に残虐性を孕むものでもあり、その多くに置いて数多の『父』である木原幻生は何の躊躇いもなくそれを手伝った。
その好奇心は『博士』を軽く超えていて、『博士』の元を離れた後には、従兄弟や実子などと共に異常な才覚を見せつけながら『木原一族』の名を知らしめた。
いつだったか恨みを買い、惨めに殺されてしまったが。
「今は確か、化物の飼育員をやってるんだったかな?」
「あんな奴ら、化物の要素を満たさねえし、満たせねえよ」
266:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:11:34.58:AHHwJ57po (7/10)
「人の身を外れた力を持った時点で、皆須らく化物なのだと、私は考える」
一度モニターから目線を離して、ぎいぎいと音が響く椅子を、数多へ向ける。
「そうかい」
数多は、それに目線を合わさずコーヒーをまた啜った。
「……一歩、足りなかった身としては、嫉妬の念を覚えるのかね?」
「冗談言えよ。あそこまで悲惨な人生送ってでも、あんな力が欲しいとは思えねえ」
『博士』は立ち上がって数多の後ろにあった書類をいくつか取り出し、それを机の上に置き、また椅子に座った。
ぎぃ、と軋む椅子の音を気にせず、数多はその書類を手にとる。
「人の身を外れた力を持った時点で、皆須らく化物なのだと、私は考える」
一度モニターから目線を離して、ぎいぎいと音が響く椅子を、数多へ向ける。
「そうかい」
数多は、それに目線を合わさずコーヒーをまた啜った。
「……一歩、足りなかった身としては、嫉妬の念を覚えるのかね?」
「冗談言えよ。あそこまで悲惨な人生送ってでも、あんな力が欲しいとは思えねえ」
『博士』は立ち上がって数多の後ろにあった書類をいくつか取り出し、それを机の上に置き、また椅子に座った。
ぎぃ、と軋む椅子の音を気にせず、数多はその書類を手にとる。
267:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:12:07.25:AHHwJ57po (8/10)
「これが?」
「ご期待の演算シミュレート結果だ。『樹形図の設計者』を個人的に使える特権があるとはいえ、まさか本当にこの権利を使用することになるとは」
「……恩に着る」
「老躯に出来ることなどこの程度しかない。それに、君に対する同情も無いわけではない」
木原は何も答えなかった。
書類をカバンに詰め込んで、残ったコーヒーを飲み干すと、立ち上がった所で、『博士』が声をかける。
「これが?」
「ご期待の演算シミュレート結果だ。『樹形図の設計者』を個人的に使える特権があるとはいえ、まさか本当にこの権利を使用することになるとは」
「……恩に着る」
「老躯に出来ることなどこの程度しかない。それに、君に対する同情も無いわけではない」
木原は何も答えなかった。
書類をカバンに詰め込んで、残ったコーヒーを飲み干すと、立ち上がった所で、『博士』が声をかける。
268:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:12:38.11:AHHwJ57po (9/10)
「君は、今の科学がどこまで行けると思うかね?」
「……さぁな、超能力なんてSFの域にまで達してんだから、そろそろ世界の真理なんかが解っちまうんじゃねえか?」
「私は、まだ何も分かってなどいないと思う」
その『博士』の言葉に少なからず木原は驚いた。
「……おいおい、学園都市の権威そのものと呼ばれるアンタが、そんなどっかのちゃっちい哲学者みたいなことを」
そんな言葉を遮るように、『博士』は言葉を口にした。
「君は、『魔術』の存在を信じるかね?」
「君は、今の科学がどこまで行けると思うかね?」
「……さぁな、超能力なんてSFの域にまで達してんだから、そろそろ世界の真理なんかが解っちまうんじゃねえか?」
「私は、まだ何も分かってなどいないと思う」
その『博士』の言葉に少なからず木原は驚いた。
「……おいおい、学園都市の権威そのものと呼ばれるアンタが、そんなどっかのちゃっちい哲学者みたいなことを」
そんな言葉を遮るように、『博士』は言葉を口にした。
「君は、『魔術』の存在を信じるかね?」
269: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/02(水) 22:13:05.62:AHHwJ57po (10/10)
書き溜めがガリガリと削れていく
書き溜めがガリガリと削れていく
270:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 22:54:30.58:Hz7ur7Zzo (1/1)
頑張ってくれ
いつも見てる
頑張ってくれ
いつも見てる
271:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/02(水) 23:18:27.37:vzjCeAk6o (1/1)
乙
乙
272:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/04(金) 22:54:34.69:LHSgN/fj0 (1/1)
乙乙乙!!!
作品の世界観と文体がマッチしてて、読んでいてすごく引き込まれます
ストーリー書き上げるのは大変だろうけど、頑張って下さい
楽しみにしてます!
乙乙乙!!!
作品の世界観と文体がマッチしてて、読んでいてすごく引き込まれます
ストーリー書き上げるのは大変だろうけど、頑張って下さい
楽しみにしてます!
273: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/08(火) 23:45:00.95:kXzopqT3o (1/1)
そろそろ山場なのにそこに繋げるストーリーが不自然で違和感を消すのに必死
数日後には投下します
そろそろ山場なのにそこに繋げるストーリーが不自然で違和感を消すのに必死
数日後には投下します
274: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/10(木) 23:10:37.71:OZA9xfAvo (1/8)
----
滝壺理后と浜面仕上が付き合うようになって、今年の夏は初めての長期休暇である。
秘密裏に同棲しているとはいえ、実質的に昼と夜で部屋を分けて使っていた今までとは違い、長い時間二人きりでいることが出来、やはりそれ相応に中も縮まるものである。
そんな中近所で二人、デートという名の散歩をしていた時だった。
「……新手の大道芸?」
「いや、流石にそれはないだろ」
人通りがない小通りのど真ん中で、常盤台の制服を着て機関銃を持った女子中学生と思しき少女がうつ伏せに倒れこんでいた。
そのあまりの場違いというかコスプレというかの扮装のせいか、通りがかる人たちは何も見なかったかのように通り過ぎていく。
「セーラー服と機関銃だなんて、昭和の匂いがするね」
----
滝壺理后と浜面仕上が付き合うようになって、今年の夏は初めての長期休暇である。
秘密裏に同棲しているとはいえ、実質的に昼と夜で部屋を分けて使っていた今までとは違い、長い時間二人きりでいることが出来、やはりそれ相応に中も縮まるものである。
そんな中近所で二人、デートという名の散歩をしていた時だった。
「……新手の大道芸?」
「いや、流石にそれはないだろ」
人通りがない小通りのど真ん中で、常盤台の制服を着て機関銃を持った女子中学生と思しき少女がうつ伏せに倒れこんでいた。
そのあまりの場違いというかコスプレというかの扮装のせいか、通りがかる人たちは何も見なかったかのように通り過ぎていく。
「セーラー服と機関銃だなんて、昭和の匂いがするね」
275:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:11:11.76:OZA9xfAvo (2/8)
「……これは、セーラー服のカテゴリーに入るのか?」
そんな意味のない会話を続けながらも、とりあえずはとしゃがみ込んで介抱をする浜面仕上。
昔からこういう類の人を放っておけない性質なのが、自らの悪癖だと考えるのが彼である。
この機関銃だって、どうせコスプレグッズか何かだろうと思い込んでもいたからでもあった。
「もしもーし、大丈夫ですかー。意識ありますかー」
ぺしぺしと軽く顔をはたくと、うぅん、と呻きながら、女子中学生はその薄らぼんやりとした目を開ける。
その目には生気が見られないが、機械的に動かされた目線がすぅと浜面仕上を捉えた。
「……これは、セーラー服のカテゴリーに入るのか?」
そんな意味のない会話を続けながらも、とりあえずはとしゃがみ込んで介抱をする浜面仕上。
昔からこういう類の人を放っておけない性質なのが、自らの悪癖だと考えるのが彼である。
この機関銃だって、どうせコスプレグッズか何かだろうと思い込んでもいたからでもあった。
「もしもーし、大丈夫ですかー。意識ありますかー」
ぺしぺしと軽く顔をはたくと、うぅん、と呻きながら、女子中学生はその薄らぼんやりとした目を開ける。
その目には生気が見られないが、機械的に動かされた目線がすぅと浜面仕上を捉えた。
276:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:11:38.77:OZA9xfAvo (3/8)
「……肉体を動かすエネルギーがありません。と777号は食料を暗に要求し……!?」
ぼそぼそと訳の分からない事を口走ったかと思うと、その少女の目が滝壺理后を捉え、ほんの少し、それでいて強く驚きの表情を浮かべた。
滝壺はその目線を受けても心当たりはなかったが、それにどこか薄ら寒さを感じていた。
予感は的中する。
「……『学園都市』……」
その言語の意味する所を知らない浜面が、何をいきなりというような顔を滝壺に向けると、
滝壺もまた驚愕の表情を浮かべていて、突然少女の頭をひっつかんだ。
「ちょ、滝壺!? 何してんの!?」
「ごめん、少し黙ってて」
「……肉体を動かすエネルギーがありません。と777号は食料を暗に要求し……!?」
ぼそぼそと訳の分からない事を口走ったかと思うと、その少女の目が滝壺理后を捉え、ほんの少し、それでいて強く驚きの表情を浮かべた。
滝壺はその目線を受けても心当たりはなかったが、それにどこか薄ら寒さを感じていた。
予感は的中する。
「……『学園都市』……」
その言語の意味する所を知らない浜面が、何をいきなりというような顔を滝壺に向けると、
滝壺もまた驚愕の表情を浮かべていて、突然少女の頭をひっつかんだ。
「ちょ、滝壺!? 何してんの!?」
「ごめん、少し黙ってて」
277:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:12:06.14:OZA9xfAvo (4/8)
滝壺理后に見えていたのは、AIM拡散力場の異常な広がりの仕方だった。
その発生源である彼女の他に、全く同じような、それでいて大量のそれが、まるで電気的なネットワークを築いている。
そして今、何らかのデータを持ったであろう、奇妙な恣意性を持ったそれが目の前の少女に触れた。
滝壺理后は少女の能力に干渉する。
「なっ……何が……っっ!!」
滝壺の能力は未だ、LEVEL5に届くほどの力を持ち得てはいない。
しかし、浜面仕上との出会いの中で、ある程度その力の片鱗を見せることは可能となっていった。
滝壺理后に見えていたのは、AIM拡散力場の異常な広がりの仕方だった。
その発生源である彼女の他に、全く同じような、それでいて大量のそれが、まるで電気的なネットワークを築いている。
そして今、何らかのデータを持ったであろう、奇妙な恣意性を持ったそれが目の前の少女に触れた。
滝壺理后は少女の能力に干渉する。
「なっ……何が……っっ!!」
滝壺の能力は未だ、LEVEL5に届くほどの力を持ち得てはいない。
しかし、浜面仕上との出会いの中で、ある程度その力の片鱗を見せることは可能となっていった。
278:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:12:38.30:OZA9xfAvo (5/8)
そのひとつが、『能力強度への干渉』。
一時的ではあるが、その能力のLEVELを数度下げることが出来た。
「あっ……あああ、あああああ」
少女の目はまさしく驚愕の表情を浮かべ、目をぎょろぎょろと異常に振り回し、明らかなパニック状態に陥っている。
それをどこか、冷ややかな目で滝壺は見据えていた。
「おい!! やめろ理后!! 何やってんだよ!!」
その惨状に居ても立っても居られない浜面は、無理やり滝壺を引き剥がし少女を抱き抱える。
滝壺は少しバランスを崩し、地面に尻餅を付きそうになるが、すぐに体制を整えて、すっと浜面を見据えた。
「とにかく、救急車か何かに連絡を……」
「はまづら」
そのひとつが、『能力強度への干渉』。
一時的ではあるが、その能力のLEVELを数度下げることが出来た。
「あっ……あああ、あああああ」
少女の目はまさしく驚愕の表情を浮かべ、目をぎょろぎょろと異常に振り回し、明らかなパニック状態に陥っている。
それをどこか、冷ややかな目で滝壺は見据えていた。
「おい!! やめろ理后!! 何やってんだよ!!」
その惨状に居ても立っても居られない浜面は、無理やり滝壺を引き剥がし少女を抱き抱える。
滝壺は少しバランスを崩し、地面に尻餅を付きそうになるが、すぐに体制を整えて、すっと浜面を見据えた。
「とにかく、救急車か何かに連絡を……」
「はまづら」
279:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:13:05.60:OZA9xfAvo (6/8)
「……さっきからいったい何なんだよ!」
「その子を、、わたしの部屋に連れて行ってくれないかな?」
浜面に抱き上げられた少女は、なんとか落ち着きを取り戻したものの、うなされながら眠りに落ちていた。
それを見た不安げな瞳を、そのまま滝壺に向けるが、彼女の表情に変化は見られない。
「そんな、どうして」
浜面は、当然抱いていいはずの疑問を、感情的に投げかける。
「いいから」
滝壺理后の目は、どこか強い意志を感じさせるもので、浜面はうっ、と尻込みしてしまう。
その目の理由も彼は知らないのに、止める術などあるのだろうか。
「……さっきからいったい何なんだよ!」
「その子を、、わたしの部屋に連れて行ってくれないかな?」
浜面に抱き上げられた少女は、なんとか落ち着きを取り戻したものの、うなされながら眠りに落ちていた。
それを見た不安げな瞳を、そのまま滝壺に向けるが、彼女の表情に変化は見られない。
「そんな、どうして」
浜面は、当然抱いていいはずの疑問を、感情的に投げかける。
「いいから」
滝壺理后の目は、どこか強い意志を感じさせるもので、浜面はうっ、と尻込みしてしまう。
その目の理由も彼は知らないのに、止める術などあるのだろうか。
280:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:13:39.87:OZA9xfAvo (7/8)
人が通らないうちにと、急かされて少女を運んだ浜面仕上だったが、その心の中はどこか不安だった。
ああも激情を顕にした彼女を見たことがなかった。
時々のろけたような事を言うか、訳の分からない事を言うかのどちらかが殆どを占めていて、どこか庇護欲を掻き立てるような存在。
そんな彼女の特異な情熱に浮かされ、好意を互いに寄せ合っていたはずだった。
考えて見れば、麦野沈利が連れてきた上条当麻とかいうよく解らない初対面の人間に対しても、敵意を向けていた。
滝壺理后という人間像が、少しずつ、少しずつピントをずらされている。
そんな考えが浜面のざわりと胸を撫で、どこか息苦しかった。
人が通らないうちにと、急かされて少女を運んだ浜面仕上だったが、その心の中はどこか不安だった。
ああも激情を顕にした彼女を見たことがなかった。
時々のろけたような事を言うか、訳の分からない事を言うかのどちらかが殆どを占めていて、どこか庇護欲を掻き立てるような存在。
そんな彼女の特異な情熱に浮かされ、好意を互いに寄せ合っていたはずだった。
考えて見れば、麦野沈利が連れてきた上条当麻とかいうよく解らない初対面の人間に対しても、敵意を向けていた。
滝壺理后という人間像が、少しずつ、少しずつピントをずらされている。
そんな考えが浜面のざわりと胸を撫で、どこか息苦しかった。
281: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/10(木) 23:14:36.49:OZA9xfAvo (8/8)
新訳早く読みたい
新訳早く読みたい
282:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/10(木) 23:31:37.60:n7J4+pOIo (1/1)
乙
滝壺さんマジチート
乙
滝壺さんマジチート
283: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/11(金) 00:12:50.27:DzwmNB0yo (1/3)
やったッ!
ぶっちゃけ消すか消さまいか迷っていた伏線に張って置いた『五月計画』の生存者の二人目が公式でバックアップされたッ!
第三部完ッ!
やったッ!
ぶっちゃけ消すか消さまいか迷っていた伏線に張って置いた『五月計画』の生存者の二人目が公式でバックアップされたッ!
第三部完ッ!
284:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 15:35:06.75:gem9zk79o (1/2)
ちょっwwwwwwww地震来たwwwwwwww
ちょっwwwwwwww地震来たwwwwwwww
285:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 16:09:01.25:HUp7HraWo (1/1)
>>284
お前至る所に湧いてるなw
>>284
お前至る所に湧いてるなw
286: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/11(金) 16:27:17.96:DzwmNB0yo (2/3)
生存報告
生存報告
287:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 16:34:36.69:lrwPrIVDO (1/1)
288: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/11(金) 16:37:30.54:DzwmNB0yo (3/3)
289:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/11(金) 16:41:39.66:gem9zk79o (2/2)
290: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/18(金) 14:09:18.66:dUhIFL5do (1/6)
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「目標と接触を確認したって? じゃあ、ようやくセカンドステージへゴーみたいな?」
「頭の悪い言葉を使わないでください」
初春飾利は、サイケデリックな包装に包まれた箱の中から、花の髪飾りを取り出しながら佐天涙子に生返事をした。
彼女らの集合場所のうちの一つである、地下駐車場のトラックの荷台の中で、二人は残る一人の到着を待っている。
「でも、久々の休暇は楽しかったな。 そうだ、おみやげいる?」
佐天はごそごそとポケットから二頭身の子犬や子猫のキーホルダーを取り出すが、初春はちらと見るやいなや、その存在を見なかったことにした。
ちぇ、と口を尖らせながらそれをまたポケットに入れると、花飾りをせっせと付けているのを横目で眺める。
「……そんなに花が好き?」
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「目標と接触を確認したって? じゃあ、ようやくセカンドステージへゴーみたいな?」
「頭の悪い言葉を使わないでください」
初春飾利は、サイケデリックな包装に包まれた箱の中から、花の髪飾りを取り出しながら佐天涙子に生返事をした。
彼女らの集合場所のうちの一つである、地下駐車場のトラックの荷台の中で、二人は残る一人の到着を待っている。
「でも、久々の休暇は楽しかったな。 そうだ、おみやげいる?」
佐天はごそごそとポケットから二頭身の子犬や子猫のキーホルダーを取り出すが、初春はちらと見るやいなや、その存在を見なかったことにした。
ちぇ、と口を尖らせながらそれをまたポケットに入れると、花飾りをせっせと付けているのを横目で眺める。
「……そんなに花が好き?」
291:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 14:09:47.30:dUhIFL5do (2/6)
「は? 何のことですか」
「……」
いつもと変わらないか、と佐天は軽くため息を付いた。
初春飾利は、警戒心が強い人間だった。
それは、おそらくもっとも旧い『仲間』である佐天涙子に対しても同様だった。
かつて一度頼まれた『お願い』も、佐天にとっては何を意味するのかさっぱり理解出来なかったし、その理由も説明されなかった。
それでも、佐天涙子にとって初春飾利は数少ない『友人』である。
血を血で洗う真っ暗闇の中で、それでもなお年相応の『日常』なる幻想を共有できるのは初春のみであると、佐天は考えていた。
「……まぁ、極秘事項ですから」
そしてそれが、初春飾利にとって必要のないことであることも知っていた。
初春飾利の事を、佐天涙子はあまりにも知らない。
「は? 何のことですか」
「……」
いつもと変わらないか、と佐天は軽くため息を付いた。
初春飾利は、警戒心が強い人間だった。
それは、おそらくもっとも旧い『仲間』である佐天涙子に対しても同様だった。
かつて一度頼まれた『お願い』も、佐天にとっては何を意味するのかさっぱり理解出来なかったし、その理由も説明されなかった。
それでも、佐天涙子にとって初春飾利は数少ない『友人』である。
血を血で洗う真っ暗闇の中で、それでもなお年相応の『日常』なる幻想を共有できるのは初春のみであると、佐天は考えていた。
「……まぁ、極秘事項ですから」
そしてそれが、初春飾利にとって必要のないことであることも知っていた。
初春飾利の事を、佐天涙子はあまりにも知らない。
292:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 14:10:14.76:dUhIFL5do (3/6)
こんこんこん、とトラックを叩く音が聞こえ、合わせて二人は少し壁の端に寄った。
数秒後、シュンと空気の割れる独特の音と共に、白井黒子が荷台の中心に降り立った。
「御姉様からの連絡ですが、今のところは作戦に変更は無いとのことですの」
「ふーん」
少し血に濡れた黒子の制服をまじまじと眺めながら、佐天は軽く相槌を打つ。
その目線を追って、黒子がそのシミに気づくと、それを軽くつまんだ。
「……ああ、これは掃除の時にちょっと」
「ハンカチ要る?」
「もう乾いてしまってますの。お気遣いだけ、受け取らせていただきますの」
こんこんこん、とトラックを叩く音が聞こえ、合わせて二人は少し壁の端に寄った。
数秒後、シュンと空気の割れる独特の音と共に、白井黒子が荷台の中心に降り立った。
「御姉様からの連絡ですが、今のところは作戦に変更は無いとのことですの」
「ふーん」
少し血に濡れた黒子の制服をまじまじと眺めながら、佐天は軽く相槌を打つ。
その目線を追って、黒子がそのシミに気づくと、それを軽くつまんだ。
「……ああ、これは掃除の時にちょっと」
「ハンカチ要る?」
「もう乾いてしまってますの。お気遣いだけ、受け取らせていただきますの」
293:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 14:10:41.80:dUhIFL5do (4/6)
くだらない事務的な会話が交わされるが、白井黒子という女『性』は『御姉様』と言葉を交わすか、適当な『おもちゃ』と遊ぶとき以外に、事務的でない時はない。
異常に形式的すぎるお嬢様言葉ばかりを発するのは、その出生からなのか、それとも意図的なものなのか、知る由はない。
しかし、佐天涙子からすれば、それはこの暗黒の世界の中ではある種当然のことなのだろうと思った。
むしろ、自分がこうも『平気』で居られることがおかしいのだろうと。
「ま、サイは投げられたってことで待機待機」
うーんと伸びをしながら、佐天涙子は床に放り出された雑誌を手にとった。
荷台の天井にあるライトがジジジジと小さく音を鳴らす。
「……こんな狭いところで、よくもまぁ長らく居られるのですね」
少し、苛立った顔を見せながら黒子は軽く床を小突く。
くだらない事務的な会話が交わされるが、白井黒子という女『性』は『御姉様』と言葉を交わすか、適当な『おもちゃ』と遊ぶとき以外に、事務的でない時はない。
異常に形式的すぎるお嬢様言葉ばかりを発するのは、その出生からなのか、それとも意図的なものなのか、知る由はない。
しかし、佐天涙子からすれば、それはこの暗黒の世界の中ではある種当然のことなのだろうと思った。
むしろ、自分がこうも『平気』で居られることがおかしいのだろうと。
「ま、サイは投げられたってことで待機待機」
うーんと伸びをしながら、佐天涙子は床に放り出された雑誌を手にとった。
荷台の天井にあるライトがジジジジと小さく音を鳴らす。
「……こんな狭いところで、よくもまぁ長らく居られるのですね」
少し、苛立った顔を見せながら黒子は軽く床を小突く。
294:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 14:12:08.68:dUhIFL5do (5/6)
初春はいつもどおり何の反応も見せないが、佐天は珍しい愚痴を受けて少しだけ気を回した。
「ああ、空間転移能力者としては、狭いところは嫌いってヤツですか」
空間転移能力者にとって、転移時の演算ミスという物は直接死に繋がるもので、運が良くとも四肢欠損は覚悟しなければならないと言うことを、佐天は知っていた。
一度そんな金持ちの息子に、莫大な金で腕をそこらの死体から代用した生身の腕を生やしてやったことがあったからだった。
「いえ、わたくしは元々細かい調整が得意ですので、そこまで嫌な思い出はないのですが……」
軽く目を伏せながら言葉を続ける黒子は、少しばかり苦しげだった。
「せっかくの綺麗な足の皮を、まともに剥がしてしまうような方が居たことを、少しだけ思い出してしまうんですの」
初春はいつもどおり何の反応も見せないが、佐天は珍しい愚痴を受けて少しだけ気を回した。
「ああ、空間転移能力者としては、狭いところは嫌いってヤツですか」
空間転移能力者にとって、転移時の演算ミスという物は直接死に繋がるもので、運が良くとも四肢欠損は覚悟しなければならないと言うことを、佐天は知っていた。
一度そんな金持ちの息子に、莫大な金で腕をそこらの死体から代用した生身の腕を生やしてやったことがあったからだった。
「いえ、わたくしは元々細かい調整が得意ですので、そこまで嫌な思い出はないのですが……」
軽く目を伏せながら言葉を続ける黒子は、少しばかり苦しげだった。
「せっかくの綺麗な足の皮を、まともに剥がしてしまうような方が居たことを、少しだけ思い出してしまうんですの」
295: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/18(金) 14:13:33.77:dUhIFL5do (6/6)
……『絹旗がキレたら一方口調になる』って考えた末没ネタにしてたのは失敗だった
まだ取り返せるけど
……『絹旗がキレたら一方口調になる』って考えた末没ネタにしてたのは失敗だった
まだ取り返せるけど
296:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/18(金) 14:27:14.08:jhATp+dxo (1/1)
乙
乙
297:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2011/03/18(金) 23:46:53.23:MV0GD9CAO (1/1)
いつの間にか来てた乙
いつの間にか来てた乙
298: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/19(土) 20:51:07.10:Wn/CrSTmo (1/1)
>294
×>腕をそこらの死体
◯>そこらの死体
数日後に投下します
>294
×>腕をそこらの死体
◯>そこらの死体
数日後に投下します
299: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/24(木) 23:06:34.24:TRmgO1Z0o (1/5)
ちっとも筆が進まない……
ちっとも筆が進まない……
300:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 23:07:40.77:TRmgO1Z0o (2/5)
----
夏休み、友人たちとの合宿は校則の特に厳しい学校以外では、暗黙のうちに許される行為だった。
それは時に甘酸っぱい会話を作り、楽しい思い出を後に残す。
しかし、今現在そんな幸せな会話は彼らの間で交わされてはいなかった。
「……まさか浜面が、この女の子に超言葉に出来ない暴行を加えたとかですか? 超補導しないと超まずいじゃないですか」
「だから違うって!! 滝壺が突然、この子を部屋に入れろって……」
「幾ら何でも言い訳が苦しい訳よ……風紀委員として、ある程口添えはしてあげようか?」
「だから勝手に俺を劣悪な犯罪者に仕立て上げようとするな! 信じてくれよ!」
「いつの時代も超信じてくれと言われて、超信じられた犯罪者など超居ないのですよ?」
夜の帳が下りた滝壺理后の部屋は、てんやわんやの大騒ぎを繰り広げていた。
浜面は今にも泣きそうな顔をしているが、それに対してフレンダや絹旗の顔は冷ややかである。
麦野沈利はその状況を理解できずにぽかんと立ちすくみ、無理やり連れてこられた上条当麻も同様のようだ。
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夏休み、友人たちとの合宿は校則の特に厳しい学校以外では、暗黙のうちに許される行為だった。
それは時に甘酸っぱい会話を作り、楽しい思い出を後に残す。
しかし、今現在そんな幸せな会話は彼らの間で交わされてはいなかった。
「……まさか浜面が、この女の子に超言葉に出来ない暴行を加えたとかですか? 超補導しないと超まずいじゃないですか」
「だから違うって!! 滝壺が突然、この子を部屋に入れろって……」
「幾ら何でも言い訳が苦しい訳よ……風紀委員として、ある程口添えはしてあげようか?」
「だから勝手に俺を劣悪な犯罪者に仕立て上げようとするな! 信じてくれよ!」
「いつの時代も超信じてくれと言われて、超信じられた犯罪者など超居ないのですよ?」
夜の帳が下りた滝壺理后の部屋は、てんやわんやの大騒ぎを繰り広げていた。
浜面は今にも泣きそうな顔をしているが、それに対してフレンダや絹旗の顔は冷ややかである。
麦野沈利はその状況を理解できずにぽかんと立ちすくみ、無理やり連れてこられた上条当麻も同様のようだ。
301:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 23:08:37.63:TRmgO1Z0o (3/5)
一方、滝壺理后はベットに寝かされた少女から目を離そうとはしなかった。
「はまづらは何もしてないよ。むしろ私が運んでくれって頼んだの」
「……愛する人間の罪を素直に咎めるのも、恋人の仕事ではないのでしょうか?」
絹旗は手を差し伸べるかのごとく『風紀委員』のマル秘説得テンプレートを口にするが、滝壺理后は何の反応も示さなかった。
それを見ながら、フレンダは違和感を覚え、絹旗に軽く耳打ちをする。
「ねぇ、幾ら何でも滝壺がおかしいって訳よ。何かあったの?」
「え……まさか、超本当に、超バカ面が?」
一方、滝壺理后はベットに寝かされた少女から目を離そうとはしなかった。
「はまづらは何もしてないよ。むしろ私が運んでくれって頼んだの」
「……愛する人間の罪を素直に咎めるのも、恋人の仕事ではないのでしょうか?」
絹旗は手を差し伸べるかのごとく『風紀委員』のマル秘説得テンプレートを口にするが、滝壺理后は何の反応も示さなかった。
それを見ながら、フレンダは違和感を覚え、絹旗に軽く耳打ちをする。
「ねぇ、幾ら何でも滝壺がおかしいって訳よ。何かあったの?」
「え……まさか、超本当に、超バカ面が?」
302:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 23:09:09.06:TRmgO1Z0o (4/5)
女子たちが奇妙な類推を始めたのを他所に、上条当麻は滝壺理后に近づいた。
「なぁ……滝壺さん、だっけか。 この子はいったい誰なんだ?」
視線を少女から逸らすことなく、滝壺はぶっきらぼうに言った。
「知らない」
「知らないって……」
だめだこりゃ、と肩を竦めながら麦野沈利に聞いてくれないかと視線を送ろうとすると、彼女もまた少女の顔から視線をそらせないでいた。
その表情は険しく、どこか苦々しげだった。
「……これ、第三位じゃない」
麦野沈利の一声が、部屋のざわめきを壁に叩き潰した。
女子たちが奇妙な類推を始めたのを他所に、上条当麻は滝壺理后に近づいた。
「なぁ……滝壺さん、だっけか。 この子はいったい誰なんだ?」
視線を少女から逸らすことなく、滝壺はぶっきらぼうに言った。
「知らない」
「知らないって……」
だめだこりゃ、と肩を竦めながら麦野沈利に聞いてくれないかと視線を送ろうとすると、彼女もまた少女の顔から視線をそらせないでいた。
その表情は険しく、どこか苦々しげだった。
「……これ、第三位じゃない」
麦野沈利の一声が、部屋のざわめきを壁に叩き潰した。
303: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/24(木) 23:13:33.93:TRmgO1Z0o (5/5)
妹達の一人称がミサカじゃないのは妹達がオリジナルに何の敬意も抱いてないからです
打ち止めさんとか番外個体さんは出す予定ないです
打ち止めさん役は絹旗さんだし番外個体さん役は黒夜さんの予定です
……全く関係ないですが、いつか番外通行を書こうかと思ってます
妹達の一人称がミサカじゃないのは妹達がオリジナルに何の敬意も抱いてないからです
打ち止めさんとか番外個体さんは出す予定ないです
打ち止めさん役は絹旗さんだし番外個体さん役は黒夜さんの予定です
……全く関係ないですが、いつか番外通行を書こうかと思ってます
304:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 06:32:31.36:OhBO2fsIO (1/1)
おつおつ
おつおつ
305:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(茨城県):2011/03/28(月) 10:31:45.09:GFxeVDL1o (1/1)
なにやら引かれる設定に一気読みした!
むぎのんや一通さんがいいキャラクターしてて面白いわー
なにやら引かれる設定に一気読みした!
むぎのんや一通さんがいいキャラクターしてて面白いわー
306: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/30(水) 14:16:40.00:gDLxXK1wo (1/9)
----
幕間三の六
きっかけは小さいことでも、起こる事象は常に小さいものとは限らない。
『LEVEL5共鳴計画』のうち、最も有用であった日も、最も害悪であった日も、たまたま同日となった。
一方通行が勝手に垣根の日記を見たという、とても可愛らしい喧嘩の発端。
そして、片や殺人光線を直接照射し、片や大気圧のベクトルをぶつかり合わせるこのトンデモ状況は、どうして繋がりうるのだろうか。
「てめぇらいい加減やめろぉぉ!!!!」
彼らの保護者である木原数多の叫び声は、爆音によって呆気無く消し去られた。
----
幕間三の六
きっかけは小さいことでも、起こる事象は常に小さいものとは限らない。
『LEVEL5共鳴計画』のうち、最も有用であった日も、最も害悪であった日も、たまたま同日となった。
一方通行が勝手に垣根の日記を見たという、とても可愛らしい喧嘩の発端。
そして、片や殺人光線を直接照射し、片や大気圧のベクトルをぶつかり合わせるこのトンデモ状況は、どうして繋がりうるのだろうか。
「てめぇらいい加減やめろぉぉ!!!!」
彼らの保護者である木原数多の叫び声は、爆音によって呆気無く消し去られた。
307:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:17:34.62:gDLxXK1wo (2/9)
木原数多は一対一ならば、あらゆる超能力者を一方的に屠ることが出来るだけの知性と肉体を備える非常に優秀な人間である。
冷酷な精神的またはは肉体的誘導によって、心あるいは体を揺さぶり、隙を産み出して喰らいつき一気に食い千切る。
とはいえ、彼が紛争地域の前線に立ったからといって、ナイフ一つで勝利をもたらすことが出来るというわけでもない。
乱雑に飛び交い、生命活動を停止させうるそれらは、彼に向けられた殺意ではないのだから、想定のしようもない。
「これ一体どーすんのよ!! つうかなんでこの建物は壊れないの!? 無駄に頑丈な!」
麦野沈利が『原子崩し』によって展開する防壁は、あらゆる物質を拒絶出来るが、それを発生させるのは人間である彼女だ。
一時間にも渡る最終戦争のパノラマの如き惨状から身を守るには、あまりにも頼りない。
何度も『原子崩し』の壁に訳の分からない殺人光線や莫大な量の空気の塊がぶつかり、
麦野は自分がそれでも演算を続けていられることを、奇跡とさえ思うようになっていた。
木原数多は一対一ならば、あらゆる超能力者を一方的に屠ることが出来るだけの知性と肉体を備える非常に優秀な人間である。
冷酷な精神的またはは肉体的誘導によって、心あるいは体を揺さぶり、隙を産み出して喰らいつき一気に食い千切る。
とはいえ、彼が紛争地域の前線に立ったからといって、ナイフ一つで勝利をもたらすことが出来るというわけでもない。
乱雑に飛び交い、生命活動を停止させうるそれらは、彼に向けられた殺意ではないのだから、想定のしようもない。
「これ一体どーすんのよ!! つうかなんでこの建物は壊れないの!? 無駄に頑丈な!」
麦野沈利が『原子崩し』によって展開する防壁は、あらゆる物質を拒絶出来るが、それを発生させるのは人間である彼女だ。
一時間にも渡る最終戦争のパノラマの如き惨状から身を守るには、あまりにも頼りない。
何度も『原子崩し』の壁に訳の分からない殺人光線や莫大な量の空気の塊がぶつかり、
麦野は自分がそれでも演算を続けていられることを、奇跡とさえ思うようになっていた。
308:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:18:38.35:gDLxXK1wo (3/9)
「ちくしょうちくしょうちくしょう!! 俺のことを痛々しいと言ったな!! 俺のことを嘲笑ったな!!
アルビノみたいな中二病の塊のイッツーが、俺の夢を笑う権利があると思ってるのかよぉぉぉ!!!」
「うるせェよバ垣根!! ぼくのかンがえたさいきょうのロボットみたいなもン、本気で作る気でいるお前のが可笑しいンだよォ!!
そもそもなンでロボットがふさふさした羽生やすンだァ!? いろいろとありえねェだろォがァ!!」
「てっめええええ!! 俺だけでなくウィン[ピーーー]スタムをバカにしたなぁぁ!!」
爆音を生み出す側といえば、あまりに年齢相応の言い争いであり、もしもこの争いさえなければ周りの大人達は微笑を浮かべられるような内容だった。
しかし現在は中途半端に頭が切れる子供二人による、ギリギリ破滅に至らない歴史に残るような大戦争が繰り広げられているのだ。
一方通行は大気圧のベクトルを操作しては空気弾の如く体全体から射出、さらにそれを利用してランダムな高速移動を繰り返す。
垣根帝督はそれを背から現出させた二対の『未元物質』によって防御しつつ、時折手から『原子崩し』のような擬似粒子砲を放射する。
「ちくしょうちくしょうちくしょう!! 俺のことを痛々しいと言ったな!! 俺のことを嘲笑ったな!!
アルビノみたいな中二病の塊のイッツーが、俺の夢を笑う権利があると思ってるのかよぉぉぉ!!!」
「うるせェよバ垣根!! ぼくのかンがえたさいきょうのロボットみたいなもン、本気で作る気でいるお前のが可笑しいンだよォ!!
そもそもなンでロボットがふさふさした羽生やすンだァ!? いろいろとありえねェだろォがァ!!」
「てっめええええ!! 俺だけでなくウィン[ピーーー]スタムをバカにしたなぁぁ!!」
爆音を生み出す側といえば、あまりに年齢相応の言い争いであり、もしもこの争いさえなければ周りの大人達は微笑を浮かべられるような内容だった。
しかし現在は中途半端に頭が切れる子供二人による、ギリギリ破滅に至らない歴史に残るような大戦争が繰り広げられているのだ。
一方通行は大気圧のベクトルを操作しては空気弾の如く体全体から射出、さらにそれを利用してランダムな高速移動を繰り返す。
垣根帝督はそれを背から現出させた二対の『未元物質』によって防御しつつ、時折手から『原子崩し』のような擬似粒子砲を放射する。
309:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:19:26.55:gDLxXK1wo (4/9)
異常なベクトルを付加されたそれは一方通行に完璧な反射を許さないも、一方通行は時折肌を焦がさせるものの、ギリギリのところで受け流す。
そんな応酬が幾度と無く繰り返されているうちに、『超常念力』の青髪ピアスがのんきにも部屋に乗り込んできた。
「これは、ひどい……」
恣意性を持たず無作為に反射されていた粒子ビームをねじ曲げたり、圧縮された空気の塊を念力で無理やり逸らしつつ、ピアスは小走りで麦野沈利のもとへ向かう。
「ピアス!」
麦野沈利や木原数多は彼の登場を素直に喜んだ。
というのも、彼女の能力は二人の喧嘩を止めるには、あまりにも乱雑過ぎたからだった。
彼女の能力は、発動しないか相手を塵ひとつ残さず消滅させるかの二択しか存在しない。
それではいくらなんでも度が過ぎるし、彼女もそういった忌まわしき状況を再び再現する気にはなれない。
木原数多にも特に手立てがない以上、この場を収められそうだったのは彼しかいなかったのだった。
異常なベクトルを付加されたそれは一方通行に完璧な反射を許さないも、一方通行は時折肌を焦がさせるものの、ギリギリのところで受け流す。
そんな応酬が幾度と無く繰り返されているうちに、『超常念力』の青髪ピアスがのんきにも部屋に乗り込んできた。
「これは、ひどい……」
恣意性を持たず無作為に反射されていた粒子ビームをねじ曲げたり、圧縮された空気の塊を念力で無理やり逸らしつつ、ピアスは小走りで麦野沈利のもとへ向かう。
「ピアス!」
麦野沈利や木原数多は彼の登場を素直に喜んだ。
というのも、彼女の能力は二人の喧嘩を止めるには、あまりにも乱雑過ぎたからだった。
彼女の能力は、発動しないか相手を塵ひとつ残さず消滅させるかの二択しか存在しない。
それではいくらなんでも度が過ぎるし、彼女もそういった忌まわしき状況を再び再現する気にはなれない。
木原数多にも特に手立てがない以上、この場を収められそうだったのは彼しかいなかったのだった。
310:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:19:57.51:gDLxXK1wo (5/9)
「この糞ガキどもをなんとかしてくれ!!」
「木原くんは無理難題を仰る……僕第四位やで? どうしてトップツーを一人で止められるんよ……」
「別に叩きのめせってわけじゃねえよ! 軽く気を失わせる程度でいいから!」
「まーやってはみるけど……期待はせーへんで」
目に引っかかる蛍光色の髪を軽くかいて、その戦闘の様子を『原子崩し』の壁を通して注意深く眺める。
しかし、高速で飛び交う恐るべき子供たちを完全に目で追うことはもはや厳しく、そのことを認めると軽く肩をすくめつつ目をつぶった。
「……? 出来る限り早めに頼めるよね?」
麦野沈利がその様子に少し苦言を呈するも、ピアスの顔は一見真剣というよりは気が抜けたようだった。
「この糞ガキどもをなんとかしてくれ!!」
「木原くんは無理難題を仰る……僕第四位やで? どうしてトップツーを一人で止められるんよ……」
「別に叩きのめせってわけじゃねえよ! 軽く気を失わせる程度でいいから!」
「まーやってはみるけど……期待はせーへんで」
目に引っかかる蛍光色の髪を軽くかいて、その戦闘の様子を『原子崩し』の壁を通して注意深く眺める。
しかし、高速で飛び交う恐るべき子供たちを完全に目で追うことはもはや厳しく、そのことを認めると軽く肩をすくめつつ目をつぶった。
「……? 出来る限り早めに頼めるよね?」
麦野沈利がその様子に少し苦言を呈するも、ピアスの顔は一見真剣というよりは気が抜けたようだった。
311:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:21:01.40:gDLxXK1wo (6/9)
だが、防壁が幾つものの攻撃を防ぐ音が響き渡る中、何の反応も示さないほどに集中していた。
イルカが超音波を発して空間認識をするのと同様に、その力点を囚われない正真正銘の『念力』を正方形の部屋全体に発し、
その力の反応具合から部屋全体のあらゆる物質の運動を逆算、脳内でシミュレートする。
彼の視点は既に人間の五感を超え、やろうとと思えばレントゲン顔負けの全身検査を行うことが出来る。
無論一方通行の『反射』はややイレギュラーなエネルギー運動となるが、単なる『反射』ならば修正行為も容易。
そもそも、『反射膜』の内側から負荷をかけるのならば、一方通行の絶対防御を無視することも可能だからだ。
そして、すうっと両手を空に挙げ、まるでノックをするかのようにコツンと動かすと、重力を無視する動きを繰り広げていた二人が突然地面に崩れ落ちた。
だが、防壁が幾つものの攻撃を防ぐ音が響き渡る中、何の反応も示さないほどに集中していた。
イルカが超音波を発して空間認識をするのと同様に、その力点を囚われない正真正銘の『念力』を正方形の部屋全体に発し、
その力の反応具合から部屋全体のあらゆる物質の運動を逆算、脳内でシミュレートする。
彼の視点は既に人間の五感を超え、やろうとと思えばレントゲン顔負けの全身検査を行うことが出来る。
無論一方通行の『反射』はややイレギュラーなエネルギー運動となるが、単なる『反射』ならば修正行為も容易。
そもそも、『反射膜』の内側から負荷をかけるのならば、一方通行の絶対防御を無視することも可能だからだ。
そして、すうっと両手を空に挙げ、まるでノックをするかのようにコツンと動かすと、重力を無視する動きを繰り広げていた二人が突然地面に崩れ落ちた。
312:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:21:48.86:gDLxXK1wo (7/9)
「はぁぁぁぁぁぁ、しんど、はよ寝たい……」
ピアスがどすんと腰を下ろして気の入らない声を出すと、麦野沈利は防壁を解除して同じように腰を下ろした。
「お前、今何したんだ?」
「いや、頭蓋骨をちょいと揺らして脳震盪」
木原数多はさすがの状況に数刻立ちすくんでいたが、とりあえずはと二人をひっ捕まえて部屋の外に連れ出した。
先程の攻撃の嵐は、壁に傷をつけることに能わなかったものの、それ以外の物はもはや瓦礫の山と化していた。
テレビもソファーもテーブルも(もともとこの部屋における耐用『日数』は高くなかったが)原型をとどめては居ない。
そんな状況を見渡しながら、麦野沈利は長い青髪を弄ぶピアスに目線を向けた。
「はぁぁぁぁぁぁ、しんど、はよ寝たい……」
ピアスがどすんと腰を下ろして気の入らない声を出すと、麦野沈利は防壁を解除して同じように腰を下ろした。
「お前、今何したんだ?」
「いや、頭蓋骨をちょいと揺らして脳震盪」
木原数多はさすがの状況に数刻立ちすくんでいたが、とりあえずはと二人をひっ捕まえて部屋の外に連れ出した。
先程の攻撃の嵐は、壁に傷をつけることに能わなかったものの、それ以外の物はもはや瓦礫の山と化していた。
テレビもソファーもテーブルも(もともとこの部屋における耐用『日数』は高くなかったが)原型をとどめては居ない。
そんな状況を見渡しながら、麦野沈利は長い青髪を弄ぶピアスに目線を向けた。
313:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/30(水) 14:23:16.73:gDLxXK1wo (8/9)
「ピアスはすごいね、便利な能力で……」
「いやいや、研究のしがいがない残骸でしかあらへんよ」
惨状の後に残った物足りない照明の中で、彼は淡々と呟いた。
「……応用力の強弱は重要だよ。 私なんて守るか殺すかしか出来ない」
がらがら、と瓦礫が音を立てて崩れる。
「守れるなら、それでいいんやない」
「……そうかな」
回復のためか、照明が一時的に途切れると、必要以上に広い部屋は暗闇に落ちる。
「ピアスはすごいね、便利な能力で……」
「いやいや、研究のしがいがない残骸でしかあらへんよ」
惨状の後に残った物足りない照明の中で、彼は淡々と呟いた。
「……応用力の強弱は重要だよ。 私なんて守るか殺すかしか出来ない」
がらがら、と瓦礫が音を立てて崩れる。
「守れるなら、それでいいんやない」
「……そうかな」
回復のためか、照明が一時的に途切れると、必要以上に広い部屋は暗闇に落ちる。
314: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/30(水) 14:25:32.16:gDLxXK1wo (9/9)
特に描写してないですが、幕間の合間にはだいたい二、三ヶ月の開きがあります
やたらと一方通行さんが活発になってるのはまぁそのあたりで察してください
やっぱ念動力に始点がないってチートだよなぁ
まぁチートキャラの最期なんて言わずもがななんだけど
特に描写してないですが、幕間の合間にはだいたい二、三ヶ月の開きがあります
やたらと一方通行さんが活発になってるのはまぁそのあたりで察してください
やっぱ念動力に始点がないってチートだよなぁ
まぁチートキャラの最期なんて言わずもがななんだけど
315:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(九州):2011/03/30(水) 14:58:50.87:zgHRXvQAO (1/1)
いつの間にかきてた乙
いつの間にかきてた乙
316:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2011/03/30(水) 15:14:42.41:kladCpteo (1/1)
乙乙
乙乙
317: ◆r8UzcYNXNc:2011/03/31(木) 13:48:46.90:v40UWISNo (1/1)
>>309
×>>再び再現
◯>>再現
凡ミス
>>309
×>>再び再現
◯>>再現
凡ミス
318: ◆r8UzcYNXNc:2011/04/10(日) 10:22:40.34:O1w9n9x7o (1/1)
なかなか本筋に進めなくって試行錯誤中で更新に時間かかりそう
なかなか本筋に進めなくって試行錯誤中で更新に時間かかりそう
319:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/10(日) 10:24:18.07:i+d9SiQho (1/1)
待ってる
待ってる
320:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/10(日) 10:36:13.09:PS0Ik/vL0 (1/1)
舞ってる
舞ってる
321:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/10(日) 10:38:17.05:I89+mpnx0 (1/1)
ずっと待ってます。
悪美琴って素敵過ぎる。
ずっと待ってます。
悪美琴って素敵過ぎる。
322:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/04/10(日) 19:58:51.59:6VWXe2hK0 (1/1)
ま
ってる
ま
ってる
323:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/17(日) 11:18:11.30:mSqt/Ym60 (1/1)
まてる
おれは、まてる
まてる
おれは、まてる
324: ◆r8UzcYNXNc:2011/04/21(木) 21:08:55.74:tGrQ2dEfo (1/8)
浮気してみたら暴走しました
もう二度としない
浮気してみたら暴走しました
もう二度としない
325:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:09:48.79:tGrQ2dEfo (2/8)
----
「……第三位って、学園都市の序列の?」
「私も詳しいことは知らないけど、御坂美琴って名前だったはず」
麦野沈利の言葉に、浜面仕上は絶句した。
絹旗とフレンダはどこか落ち着かない様子だが、滝壺は無反応を貫いた。
「『電撃使い』の最高位で『超電磁砲(レールガン)』って呼ばれてる」
「麦野みたいに超特別な能力があるってわけではないんでしたよね?」
「……まぁ、はじめは低能力者から始めたっていう、強度の低い能力者達にとって、正真正銘希望の星だからね」
----
「……第三位って、学園都市の序列の?」
「私も詳しいことは知らないけど、御坂美琴って名前だったはず」
麦野沈利の言葉に、浜面仕上は絶句した。
絹旗とフレンダはどこか落ち着かない様子だが、滝壺は無反応を貫いた。
「『電撃使い』の最高位で『超電磁砲(レールガン)』って呼ばれてる」
「麦野みたいに超特別な能力があるってわけではないんでしたよね?」
「……まぁ、はじめは低能力者から始めたっていう、強度の低い能力者達にとって、正真正銘希望の星だからね」
326:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:10:31.83:tGrQ2dEfo (3/8)
「っ」
麦野沈利の何となしに口にした言葉を受け、滝壺が少し肩を揺らした事に、浜面さえも気づかなかった。
滝壺は、あまりに外見に似合わず、強くなりすぎた。
自らの内にあるものが、他者を傷つけるというのなら、自らだけを傷つけていればいいと。
そんな自己犠牲を厭わなくなっていた。
その成長の根底に、浜面仕上への愛情が存在していた。
しかし、それを感づいて止められる程、浜面仕上は強くない。
「っ」
麦野沈利の何となしに口にした言葉を受け、滝壺が少し肩を揺らした事に、浜面さえも気づかなかった。
滝壺は、あまりに外見に似合わず、強くなりすぎた。
自らの内にあるものが、他者を傷つけるというのなら、自らだけを傷つけていればいいと。
そんな自己犠牲を厭わなくなっていた。
その成長の根底に、浜面仕上への愛情が存在していた。
しかし、それを感づいて止められる程、浜面仕上は強くない。
327:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:11:14.86:tGrQ2dEfo (4/8)
「結局努力の賜物って訳ね……それで、なんでその第三位サマがこんなところに?」
フレンダがまじまじと倒れこむ少女を眺めると、上条当麻が右手で彼女の顔に触れた。
「……よかったら、ずっと触っててくれないかな」
「へ? ……は?」
上条当麻に向かってそう言うと、滝壺は席を離れて廊下へと向かった。
「たぶん、その『幻想殺し』とかいうので、暴走しそうなら押さえてくれ、って意味じゃないか?」
目線を滝壺から上条に移した浜面が彼女の意を汲むと、上条はよく解らないと思ったような顔で亜麻色の髪を撫でつつ、返事をした。
「結局努力の賜物って訳ね……それで、なんでその第三位サマがこんなところに?」
フレンダがまじまじと倒れこむ少女を眺めると、上条当麻が右手で彼女の顔に触れた。
「……よかったら、ずっと触っててくれないかな」
「へ? ……は?」
上条当麻に向かってそう言うと、滝壺は席を離れて廊下へと向かった。
「たぶん、その『幻想殺し』とかいうので、暴走しそうなら押さえてくれ、って意味じゃないか?」
目線を滝壺から上条に移した浜面が彼女の意を汲むと、上条はよく解らないと思ったような顔で亜麻色の髪を撫でつつ、返事をした。
328:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:11:58.06:tGrQ2dEfo (5/8)
「……わかった」
「面識はあるけど、それほど仲良くしたことはないのよ」
麦野沈利は最初のLEVEL5として、LEVEL5候補と知り合う機会は幾度と無くあった。
とはいえ、今現在彼女が良く知っている三人は皆行方不明となってしまっている。
その行方不明の決意を直接知る一方通行はともかく、垣根帝督とは疎遠になっているうちにいつの間にか連絡不能となってしまった。
研究をされつくした青髪ピアスはLEVEL5の第六位を空席にし、能力強度を偽りのんきに過ごしているらしいが、連絡を取りそこねている。
他の人間とは、一度か二度会話を交わすことがあった程度で、麦野にとっては紹介出来るかどうかすら危うい。
「……わかった」
「面識はあるけど、それほど仲良くしたことはないのよ」
麦野沈利は最初のLEVEL5として、LEVEL5候補と知り合う機会は幾度と無くあった。
とはいえ、今現在彼女が良く知っている三人は皆行方不明となってしまっている。
その行方不明の決意を直接知る一方通行はともかく、垣根帝督とは疎遠になっているうちにいつの間にか連絡不能となってしまった。
研究をされつくした青髪ピアスはLEVEL5の第六位を空席にし、能力強度を偽りのんきに過ごしているらしいが、連絡を取りそこねている。
他の人間とは、一度か二度会話を交わすことがあった程度で、麦野にとっては紹介出来るかどうかすら危うい。
329:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:12:29.15:tGrQ2dEfo (6/8)
「にしても、超第三位ねぇ……超なんでこんなとこに」
どこからか来る違和感、既視感、そんな感覚を覚えながら横たわる少女を見つめる絹旗最愛の言葉に、フレンダが応答した。
「結局、麦野以外のLEVEL5初めて見た訳よ。……意外と小さい?」
フレンダの目線が二人のある一定の場所を行き来する。
「……その目線は超なんですか」
「いや、似てるなーって。髪の色とか身長とか、特にそのむn」
「にしても、超第三位ねぇ……超なんでこんなとこに」
どこからか来る違和感、既視感、そんな感覚を覚えながら横たわる少女を見つめる絹旗最愛の言葉に、フレンダが応答した。
「結局、麦野以外のLEVEL5初めて見た訳よ。……意外と小さい?」
フレンダの目線が二人のある一定の場所を行き来する。
「……その目線は超なんですか」
「いや、似てるなーって。髪の色とか身長とか、特にそのむn」
330:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:13:11.17:tGrQ2dEfo (7/8)
「はい超鉄拳制裁」
「どげふっ!!」
絹旗の『窒素装甲』付きのボディーブローが、フレンダの鳩尾を的確に貫きその場に崩れ落ちさせ、同じことを密かに考えていた浜面は慌てて見ないふりを決め込んだ。
緊張していた部屋の空気が少しばかり和らぐと、それに呼応するかのように、
「……やかましいですね、と『なななななな号』は活動をのんびりと再開します」
むくりと少女が目を覚ました。
「はい超鉄拳制裁」
「どげふっ!!」
絹旗の『窒素装甲』付きのボディーブローが、フレンダの鳩尾を的確に貫きその場に崩れ落ちさせ、同じことを密かに考えていた浜面は慌てて見ないふりを決め込んだ。
緊張していた部屋の空気が少しばかり和らぐと、それに呼応するかのように、
「……やかましいですね、と『なななななな号』は活動をのんびりと再開します」
むくりと少女が目を覚ました。
331: ◆r8UzcYNXNc:2011/04/21(木) 21:14:09.54:tGrQ2dEfo (8/8)
ここまで
そろそろ戦闘シーン
ここまで
そろそろ戦闘シーン
332:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 21:19:13.99:mKqcHCbCo (1/1)
乙
乙
333:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 22:58:11.91:7K1VqPoA0 (1/1)
乙です。
そろそろ戦闘シーン、となると一方さん対美琴とか?
ダーク美琴がもっと出張ってほしいなぁ。
乙です。
そろそろ戦闘シーン、となると一方さん対美琴とか?
ダーク美琴がもっと出張ってほしいなぁ。
334:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/05/24(火) 08:30:58.08:eTqg3xQ2o (1/1)
こないのかな・・・
こないのかな・・・
335:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2011/06/05(日) 12:22:08.98:to0QHb5eo (1/1)
まだか…待ってるぞ
まだか…待ってるぞ
336: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/05(日) 20:50:10.56:nkjhrF4Mo (1/1)
生存報告しておきます。
リアルが忙しいのと、文才向上のための作業が忙しいのとが相まって更新できない日々が続いています。
かなりスローペースになりますが、七月までには更新を再開したい。
生存報告しておきます。
リアルが忙しいのと、文才向上のための作業が忙しいのとが相まって更新できない日々が続いています。
かなりスローペースになりますが、七月までには更新を再開したい。
337:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 21:51:37.25:ZOQQlQE30 (1/1)
うおっし! 生存報告来た!!
舞ってますよー、いついつまでも舞ってますよー。
うおっし! 生存報告来た!!
舞ってますよー、いついつまでも舞ってますよー。
338:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/05(日) 21:59:35.22:G1lMyTDDo (1/1)
待ってる
待ってる
339:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:02:06.17:nD23Lp0uo (1/7)
----
「ふむふむ」
その少女は、自らを『七七七号』と名乗り、御坂美琴ではないと紹介した。
自らは『軍事用クローン』の一体であり、能力強度は低能力者であると説明した。
「まさかここに『幻想殺し』もいるとは、今の世の中は一体全体どうなってしまっているのでしょうか、とスリーセブンは溜息を吐きます」
「……俺のことも、知ってるのか?」
上条当麻は、先程から聞かされる、非人道的な話から垣間見える暗闇に対して、怒りを抑えきれていないようだった。
拳は強く握り締められ、目線はやり場のない怒りを表しているように見える。
----
「ふむふむ」
その少女は、自らを『七七七号』と名乗り、御坂美琴ではないと紹介した。
自らは『軍事用クローン』の一体であり、能力強度は低能力者であると説明した。
「まさかここに『幻想殺し』もいるとは、今の世の中は一体全体どうなってしまっているのでしょうか、とスリーセブンは溜息を吐きます」
「……俺のことも、知ってるのか?」
上条当麻は、先程から聞かされる、非人道的な話から垣間見える暗闇に対して、怒りを抑えきれていないようだった。
拳は強く握り締められ、目線はやり場のない怒りを表しているように見える。
340:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:02:56.56:nD23Lp0uo (2/7)
「んー、どちらかと言えば知ってると言うより、『こっち』の業界では結構有名人ですとスリーセブンは情報をひけらかしてみます。
一応、軍用クローンですし」
自らを人間だと考えていないような、気色の悪い、笑ってるのかわからない笑みを浮かべて777号はそう言い、浜面仕上は得体のしれない悪寒を感じた。
絹旗や麦野にもそれ相応に暗い過去があるとは軽く聞いていたが、その産物を見せつけられたのは、一般人の彼には拒絶を呼び起こさせた。
「……まぁ、今現在はそこの『能力追跡』さんのお陰で他の個体とのネットワークも繋がらないのですが。
そのおかげで少しばかりハメを外せるというものもありますがね、とスリーセブンは自らのイレギュラーっぷりを誇ります」
滝壺理后はばつの悪そうな顔をしつつ七百七十七号を見て、ジャージのポケットに突っ込んだ手出し、さもハンズアップするかのように動かした。
「正当防衛」
「んー、どちらかと言えば知ってると言うより、『こっち』の業界では結構有名人ですとスリーセブンは情報をひけらかしてみます。
一応、軍用クローンですし」
自らを人間だと考えていないような、気色の悪い、笑ってるのかわからない笑みを浮かべて777号はそう言い、浜面仕上は得体のしれない悪寒を感じた。
絹旗や麦野にもそれ相応に暗い過去があるとは軽く聞いていたが、その産物を見せつけられたのは、一般人の彼には拒絶を呼び起こさせた。
「……まぁ、今現在はそこの『能力追跡』さんのお陰で他の個体とのネットワークも繋がらないのですが。
そのおかげで少しばかりハメを外せるというものもありますがね、とスリーセブンは自らのイレギュラーっぷりを誇ります」
滝壺理后はばつの悪そうな顔をしつつ七百七十七号を見て、ジャージのポケットに突っ込んだ手出し、さもハンズアップするかのように動かした。
「正当防衛」
341:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:04:04.27:nD23Lp0uo (3/7)
その発言を受け、軽くうんうんと頷きながら言葉を続ける。
「ぶっちゃけた話、この私七百七十七号は製造時における要求性能を満たせていなかったりしているので、ネットワークの接続が完全でないというのも有るのですがね。
なんで破棄されなかったかというと、運がよかったんですよ、運が、とラッキーセブンはごちってみます」
出来の悪い道化師人形のような、作為を感じさせる事を躊躇わない笑顔を見せながら、少女はくすくすと声を漏らした。
「製造番号がめでたいとか、研究者の怠慢が重なったとか、神様にでも愛されたのでしょうね。
クローンなのに、とラッキーセブンは笑いを禁じえません」
憐れみ、そんな感情が麦野沈利に浮かび上がった。
「……それで、なんでそんなことをホイホイと話す」
その発言を受け、軽くうんうんと頷きながら言葉を続ける。
「ぶっちゃけた話、この私七百七十七号は製造時における要求性能を満たせていなかったりしているので、ネットワークの接続が完全でないというのも有るのですがね。
なんで破棄されなかったかというと、運がよかったんですよ、運が、とラッキーセブンはごちってみます」
出来の悪い道化師人形のような、作為を感じさせる事を躊躇わない笑顔を見せながら、少女はくすくすと声を漏らした。
「製造番号がめでたいとか、研究者の怠慢が重なったとか、神様にでも愛されたのでしょうね。
クローンなのに、とラッキーセブンは笑いを禁じえません」
憐れみ、そんな感情が麦野沈利に浮かび上がった。
「……それで、なんでそんなことをホイホイと話す」
342:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:04:46.44:nD23Lp0uo (4/7)
「あなた、つまり『原子崩し』に接触することが第一任務だったからです、と七百七十七号は即答します」
その予想だにしない一言は、麦野沈利は当然、その場に居た殆ど全員を凍りつかせた。
それでいて、少女はなんの不都合もないように、機械的に話を続ける。
「現在、私たち『超電磁砲』の軍用クローン『妹達(シスターズ)』は、その生産ライン確定の認可テストとして、
学園都市第一位『一方通行』による『絶対能力進化計画』と絡めた実証テストを予定していたのですが、あろうことか『一方通行』が我々の殺害を拒絶。
数十回の交渉をすべて破棄し、一部の生産ラインを破壊することさえしたため、七七七二回目の交渉を申し入れました。
それを無視されたため、学園都市理事会はついに『一方通行』の敵性を認定。
私たちが『一方通行』のPTSDを刺激しながら約二万体のクローン兵を差し向ければ殺害可能であるという結論になりました」
淡々と少女は情報を垂れ流す。
「そして、今現在約二カ月間の攻防を続け、今現在『一方通行』は存命ですが、精神肉体ともに極限状態にあると思われます。
これを放置すれば、おそらく数日後に『一方通行』は死亡、あるいは死に際の反撃によって、こちらが全滅します。
と七百七十七号は全容を解説し終えました」
まさしく機械のように説明を終えると、またにへらにへらと笑い顔を見せながら、少女は麦野の顔を見つめた。
「あなた、つまり『原子崩し』に接触することが第一任務だったからです、と七百七十七号は即答します」
その予想だにしない一言は、麦野沈利は当然、その場に居た殆ど全員を凍りつかせた。
それでいて、少女はなんの不都合もないように、機械的に話を続ける。
「現在、私たち『超電磁砲』の軍用クローン『妹達(シスターズ)』は、その生産ライン確定の認可テストとして、
学園都市第一位『一方通行』による『絶対能力進化計画』と絡めた実証テストを予定していたのですが、あろうことか『一方通行』が我々の殺害を拒絶。
数十回の交渉をすべて破棄し、一部の生産ラインを破壊することさえしたため、七七七二回目の交渉を申し入れました。
それを無視されたため、学園都市理事会はついに『一方通行』の敵性を認定。
私たちが『一方通行』のPTSDを刺激しながら約二万体のクローン兵を差し向ければ殺害可能であるという結論になりました」
淡々と少女は情報を垂れ流す。
「そして、今現在約二カ月間の攻防を続け、今現在『一方通行』は存命ですが、精神肉体ともに極限状態にあると思われます。
これを放置すれば、おそらく数日後に『一方通行』は死亡、あるいは死に際の反撃によって、こちらが全滅します。
と七百七十七号は全容を解説し終えました」
まさしく機械のように説明を終えると、またにへらにへらと笑い顔を見せながら、少女は麦野の顔を見つめた。
343:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:05:56.77:nD23Lp0uo (5/7)
「なーんて言ったら、守るでしょうね。『一方通行』のこと、とラッキーセブンは思春期の乙女の心を見透かしてみます。
特に絹旗最愛と麦野沈利は、意地でも」
少女はその笑顔を絹旗最愛に移そうとした。
しかし、既に絹旗は少女の胸倉を掴み上げ、ベッドから引きずりおろしていた。
その力に対し少女はまさしく何一つ抵抗することなく、人形のようにずるずると床の上をひきずられていく。
それを止めようとする者はただ一人としておらず、しかし麦野だけが、どこか思考に必死になっているように思えた。
「……ンで、てめェさンの目的は超なンだってンですか」
「なーんて言ったら、守るでしょうね。『一方通行』のこと、とラッキーセブンは思春期の乙女の心を見透かしてみます。
特に絹旗最愛と麦野沈利は、意地でも」
少女はその笑顔を絹旗最愛に移そうとした。
しかし、既に絹旗は少女の胸倉を掴み上げ、ベッドから引きずりおろしていた。
その力に対し少女はまさしく何一つ抵抗することなく、人形のようにずるずると床の上をひきずられていく。
それを止めようとする者はただ一人としておらず、しかし麦野だけが、どこか思考に必死になっているように思えた。
「……ンで、てめェさンの目的は超なンだってンですか」
344:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:06:30.75:nD23Lp0uo (6/7)
少女はぽかんとしたような顔で、絹旗をただ茫然と見つめたが、そのまま彼女は顔をぐるりと回して、滝壺を見据えて言った。
「『能力追跡』の抹殺」
少女はぽかんとしたような顔で、絹旗をただ茫然と見つめたが、そのまま彼女は顔をぐるりと回して、滝壺を見据えて言った。
「『能力追跡』の抹殺」
345: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/14(火) 23:07:45.02:nD23Lp0uo (7/7)
なんかもう、そろそろ強引に行こうか
なんかもう、そろそろ強引に行こうか
346:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/14(火) 23:12:08.73:13IFv4hio (1/1)
乙
待ってた
乙
待ってた
347:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新潟県):2011/06/15(水) 16:46:45.29:R2pZbCJLo (1/1)
待っていた、待っていたぞ>>1!
乙
待っていた、待っていたぞ>>1!
乙
348:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/15(水) 23:43:16.25:9tDv0Auw0 (1/1)
待ってた。
そして折角更新来たんだから上げてみる。
待ってた。
そして折角更新来たんだから上げてみる。
349:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/06/17(金) 21:28:49.09:vf/NzbME0 (1/1)
おおう
おおう
350:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 22:59:36.66:UguLhngpo (1/12)
----
どこだかもわからない、暗い部屋。
そこを照らすのは、一つのパソコンのモニターから漏れる仄明るい光だけである。
「……だそうだ」
垣根は、そのモニターをずらし、光によって一人の少女が照らしだされた。
その少女は茶色のドレスを着込んでいて、金髪を揺らしながら垣根に向かって言った。
「へぇ、じゃあ『お父さん』も動くかな?」
----
どこだかもわからない、暗い部屋。
そこを照らすのは、一つのパソコンのモニターから漏れる仄明るい光だけである。
「……だそうだ」
垣根は、そのモニターをずらし、光によって一人の少女が照らしだされた。
その少女は茶色のドレスを着込んでいて、金髪を揺らしながら垣根に向かって言った。
「へぇ、じゃあ『お父さん』も動くかな?」
351:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:00:10.28:UguLhngpo (2/12)
彼女はすっとモニターの前から動き、垣根に近づいた。
光はそのまま部屋の隅に座っていた、ヘッドギアを付けた少年を照らしあげたが、少年はそれに「気づいていない」ようだった。
「さぁな。こっちが渡された仕事によるなら、確かに二人ともそっちに行って問題ないだろう。
おそらく『修繕個体』もそこにいる」
「あの人、子煩悩なのね」
少女がくすりと笑ったのを見て、垣根はモニターをまた動かす。
彼女はすっとモニターの前から動き、垣根に近づいた。
光はそのまま部屋の隅に座っていた、ヘッドギアを付けた少年を照らしあげたが、少年はそれに「気づいていない」ようだった。
「さぁな。こっちが渡された仕事によるなら、確かに二人ともそっちに行って問題ないだろう。
おそらく『修繕個体』もそこにいる」
「あの人、子煩悩なのね」
少女がくすりと笑ったのを見て、垣根はモニターをまた動かす。
352:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:01:10.14:UguLhngpo (3/12)
「最高の皮肉だな、『心理定規(メジャーハート)』」
垣根はあまり笑わなかったが、それなりに口角を上げてその冗談に返答した。
がさがさと音を立てて、部屋の隅からヘッドギアを付けた少年が、垣根の足元に近寄った。
「……ころしていいの?」
土星のようなリングから、いくつものコードを引っ張り上げているヘッドギアを付けた少年は、ただそう言った。
「好きにしろ」
モニターの電源が切れると、光源はなくなり、音も消えた。
「最高の皮肉だな、『心理定規(メジャーハート)』」
垣根はあまり笑わなかったが、それなりに口角を上げてその冗談に返答した。
がさがさと音を立てて、部屋の隅からヘッドギアを付けた少年が、垣根の足元に近寄った。
「……ころしていいの?」
土星のようなリングから、いくつものコードを引っ張り上げているヘッドギアを付けた少年は、ただそう言った。
「好きにしろ」
モニターの電源が切れると、光源はなくなり、音も消えた。
353:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:02:02.02:UguLhngpo (4/12)
----
一方通行と呼ばれる少年がいた。
そこは誰一人通ることのない、立ち入り禁止区域の路上だった。
白い皮膚は血で彩られ、服は中途半端にはぎとられたかのような様相を呈していた。
赤い目はまるで何かに怯えているかのようにあちこちを見まわしているように見えるが、ただ動きを止められないだけだった。
口は中途半端に半開きになり、息も荒く、思考が働いているとは思えなかった。
それを見下しながら、第三位の少女「御坂美琴」は屹立していた。
「……鬼ごっこ、いつまで続けようか?」
----
一方通行と呼ばれる少年がいた。
そこは誰一人通ることのない、立ち入り禁止区域の路上だった。
白い皮膚は血で彩られ、服は中途半端にはぎとられたかのような様相を呈していた。
赤い目はまるで何かに怯えているかのようにあちこちを見まわしているように見えるが、ただ動きを止められないだけだった。
口は中途半端に半開きになり、息も荒く、思考が働いているとは思えなかった。
それを見下しながら、第三位の少女「御坂美琴」は屹立していた。
「……鬼ごっこ、いつまで続けようか?」
354:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:02:26.30:UguLhngpo (5/12)
----
一方通行と呼ばれる少年がいた。
そこは誰一人通ることのない、立ち入り禁止区域の路上だった。
白い皮膚は血で彩られ、服は中途半端にはぎとられたかのような様相を呈していた。
赤い目はまるで何かに怯えているかのようにあちこちを見まわしているように見えるが、ただ動きを止められないだけだった。
口は中途半端に半開きになり、息も荒く、思考が働いているとは思えなかった。
それを見下しながら、第三位の少女「御坂美琴」は屹立していた。
「……鬼ごっこ、いつまで続けようか?」
----
一方通行と呼ばれる少年がいた。
そこは誰一人通ることのない、立ち入り禁止区域の路上だった。
白い皮膚は血で彩られ、服は中途半端にはぎとられたかのような様相を呈していた。
赤い目はまるで何かに怯えているかのようにあちこちを見まわしているように見えるが、ただ動きを止められないだけだった。
口は中途半端に半開きになり、息も荒く、思考が働いているとは思えなかった。
それを見下しながら、第三位の少女「御坂美琴」は屹立していた。
「……鬼ごっこ、いつまで続けようか?」
355:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:02:57.00:UguLhngpo (6/12)
パチンと指を鳴らす。
彼女の周りでふわふわと浮かんでいる金属の玉の一つが、即座に音速を超えて少年に突き刺さろうとした。
しかし、それは奇妙な軌道を描くと、彼の上を滑り、はるか上空へ向かうようにベクトルを転換される。
一方通行は微動だにしない。
「もう動けないの? 正直『待ち人』がいても、これ以上こんなつまんないこと、してたくないんだけど」
パチンと指が鳴るたびに、轟音とともに彼女の『超電磁砲』が第一位の体を嬲る。
反射膜をそのまま作用させない以上、軌道をそらすための瞬間の演算が必要になる。
しかし、迫りくるのは音速を超えた弾丸であり、少しでも演算が遅れれば肌は焼かれ、脳は悲鳴を上げ続けた。
それは淡々としていながら、拷問だった。
少年を支えているものは、もはや少年には知覚する時間も余裕もなかった。
だというのに、彼はいつまでもそれを堪えていた。
パチンと指を鳴らす。
彼女の周りでふわふわと浮かんでいる金属の玉の一つが、即座に音速を超えて少年に突き刺さろうとした。
しかし、それは奇妙な軌道を描くと、彼の上を滑り、はるか上空へ向かうようにベクトルを転換される。
一方通行は微動だにしない。
「もう動けないの? 正直『待ち人』がいても、これ以上こんなつまんないこと、してたくないんだけど」
パチンと指が鳴るたびに、轟音とともに彼女の『超電磁砲』が第一位の体を嬲る。
反射膜をそのまま作用させない以上、軌道をそらすための瞬間の演算が必要になる。
しかし、迫りくるのは音速を超えた弾丸であり、少しでも演算が遅れれば肌は焼かれ、脳は悲鳴を上げ続けた。
それは淡々としていながら、拷問だった。
少年を支えているものは、もはや少年には知覚する時間も余裕もなかった。
だというのに、彼はいつまでもそれを堪えていた。
356:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:04:19.60:UguLhngpo (7/12)
その賢人の如き様相は、御坂美琴を苛立たせる。
「……足一本くらいだったら、吹っ飛ばしても問題ないよね?」
指が鳴らされ、あたりが鳴動した。
ひゅんひゅんと音を立てながら、莫大な数の金属が一方通行の右上に集う。
金属球だけでなく、単なるガードレールの金属片に鉄の棒、コインに釘。
「時間差で、角度をアントランダムにしたうえで、一秒に十回くらい連射してみようか?」
一方通行の思考はもはや文字にならなかったが、それでもおそらく恐怖は感じ取っていた。
莫大な量の金属片は、電気にあてられてばちばちと音を散らしている電灯の光に照らされて、さも星のように見えた。
その賢人の如き様相は、御坂美琴を苛立たせる。
「……足一本くらいだったら、吹っ飛ばしても問題ないよね?」
指が鳴らされ、あたりが鳴動した。
ひゅんひゅんと音を立てながら、莫大な数の金属が一方通行の右上に集う。
金属球だけでなく、単なるガードレールの金属片に鉄の棒、コインに釘。
「時間差で、角度をアントランダムにしたうえで、一秒に十回くらい連射してみようか?」
一方通行の思考はもはや文字にならなかったが、それでもおそらく恐怖は感じ取っていた。
莫大な量の金属片は、電気にあてられてばちばちと音を散らしている電灯の光に照らされて、さも星のように見えた。
357:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:05:58.66:UguLhngpo (8/12)
「じゃあ、いっちゃおうか?」
指を鳴らし、すべてを突き刺そうとしたときだった。
「おい」
美琴の耳に、男性の声が聞こえた。
「そいつを傷つけるのをやめろ」
ちょうど一方通行のいた方向の反対側から、ある少年が静かに歩みよってきていた。
「じゃあ、いっちゃおうか?」
指を鳴らし、すべてを突き刺そうとしたときだった。
「おい」
美琴の耳に、男性の声が聞こえた。
「そいつを傷つけるのをやめろ」
ちょうど一方通行のいた方向の反対側から、ある少年が静かに歩みよってきていた。
358:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:07:05.68:UguLhngpo (9/12)
「……『エース』じゃなくて、『ジョーカー』が来るとはね」
御坂美琴はこともなげに呟き、すべての金属片をただ床に落とす。
いくつかが、一方通行の体の上で反射して、跳ねる。
「やめろと言ってるのが、わからないのか?」
右腕の拳は血管が浮かび上がるほどに強く握りしめられ、少年の目は怒りをもってに美琴を見据えているようだった。
「わかるわよ。だから今、やめているじゃない?」
美琴はスカートの裏から短銃を取り出す。
「……『エース』じゃなくて、『ジョーカー』が来るとはね」
御坂美琴はこともなげに呟き、すべての金属片をただ床に落とす。
いくつかが、一方通行の体の上で反射して、跳ねる。
「やめろと言ってるのが、わからないのか?」
右腕の拳は血管が浮かび上がるほどに強く握りしめられ、少年の目は怒りをもってに美琴を見据えているようだった。
「わかるわよ。だから今、やめているじゃない?」
美琴はスカートの裏から短銃を取り出す。
359:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:07:56.43:UguLhngpo (10/12)
「なら、離れろ」
「それは無理な相談ね。私はコイツを殺さなきゃいけないの。
そして、これを見た一般人もまとめてね」
ちゃき、と少年の頭に向かって、御坂美琴は拳銃を構えた。
少年は、数メートルほど離れたところで立ち止まる。
「……いいぜ、お前がそうやって人の命を弄ぶってんなら」
「なら、離れろ」
「それは無理な相談ね。私はコイツを殺さなきゃいけないの。
そして、これを見た一般人もまとめてね」
ちゃき、と少年の頭に向かって、御坂美琴は拳銃を構えた。
少年は、数メートルほど離れたところで立ち止まる。
「……いいぜ、お前がそうやって人の命を弄ぶってんなら」
360:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:08:28.84:UguLhngpo (11/12)
右手を構え、少年は大きく吠えた。
「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す」
右手を構え、少年は大きく吠えた。
「まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す」
361: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/17(金) 23:09:00.03:UguLhngpo (12/12)
>>353 >>354
連投ミス
>>353 >>354
連投ミス
362:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/17(金) 23:40:50.95:Bgo8UupDo (1/1)
乙
乙
363:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 00:35:51.79:VW+DU5dr0 (1/1)
乙です。
何故にいきなり上条さんが。
というかマジ勝負になった場合、上条さんと御坂ってかなり相性悪いような気がするな。
乙です。
何故にいきなり上条さんが。
というかマジ勝負になった場合、上条さんと御坂ってかなり相性悪いような気がするな。
364: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/18(土) 21:04:53.41:81c5kwgJo (1/8)
今読み直してみるとひどいな
深夜のテンションで書き上げるとこうなるという戒めになる
今読み直してみるとひどいな
深夜のテンションで書き上げるとこうなるという戒めになる
365:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:12:10.66:81c5kwgJo (2/8)
----
「……『ジョーカー』が、美琴さんと接触ですか。
下手すると、私が『エース』とぶつかる可能性がある」
初春飾利はため息をついた。
彼女の役割は、今回の『茶番』を円滑に進めることである。
麦野沈利と『妹達』の接触によって、その正義感をくすぐり戦闘へ介入させる。
そして、そこから『不可抗力』を口実として、『能力追跡』を殺害。
表にも『裏』にも説明がつく、全く問題のない作戦。
そのはずであった。
----
「……『ジョーカー』が、美琴さんと接触ですか。
下手すると、私が『エース』とぶつかる可能性がある」
初春飾利はため息をついた。
彼女の役割は、今回の『茶番』を円滑に進めることである。
麦野沈利と『妹達』の接触によって、その正義感をくすぐり戦闘へ介入させる。
そして、そこから『不可抗力』を口実として、『能力追跡』を殺害。
表にも『裏』にも説明がつく、全く問題のない作戦。
そのはずであった。
366:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:12:56.56:81c5kwgJo (3/8)
「まさか、出来そこないが口を滑らすだなんて……」
接触した『妹達』の一人、識別番号七百七十七号が作戦の全貌を暴露したため、だいぶ状況が狂った。
それでも、今回の状況を見る限り、どうやら滝壺理后を除く全員が『ブレーカー』を倒しにかかっているらしい。
『ブレーカー』の独断でしかない以上、その人員を戦闘不能に持ち込めば、この作戦が凍結されることは間違いない。
一方通行の有用性は未だ強力なのだから、今現在の勢いを保てないのなら、組織そのものも、恐らく消滅する。
「どちらにせよ、『キング』だけは潰さないと、顔が立たない……」
「まさか、出来そこないが口を滑らすだなんて……」
接触した『妹達』の一人、識別番号七百七十七号が作戦の全貌を暴露したため、だいぶ状況が狂った。
それでも、今回の状況を見る限り、どうやら滝壺理后を除く全員が『ブレーカー』を倒しにかかっているらしい。
『ブレーカー』の独断でしかない以上、その人員を戦闘不能に持ち込めば、この作戦が凍結されることは間違いない。
一方通行の有用性は未だ強力なのだから、今現在の勢いを保てないのなら、組織そのものも、恐らく消滅する。
「どちらにせよ、『キング』だけは潰さないと、顔が立たない……」
367:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:14:22.85:81c5kwgJo (4/8)
『能力追跡』さえ殺すことができたなら、高能力者全体の利益にもつながり、コネクションを構成するのにも役立つ。
これ以上、ヘマをやらかすわけにはいかない。
そんな思考をしながら、初春飾利はベンチに座って携帯端末を眺めていた。
第十七学区の外れ。一般利用もできるが、そもそも需要のない、芝だけが敷き詰められた公園。
そこから、初春飾利は大まかな統制を取っている。
全体の状況を見極め、最適化されたパターンの行動を随時連絡し、司令塔としての役割を果たす。
しかし、そうもいかないようだと言うことを、初春飾利は悟った。
「……『クイーン』が来ちゃうわけですか」
ざっ、と音を立てて、ちょうど初春の前に影が現れる。
「私が女王様に超見えるんですか? それは超光栄ですね」
『能力追跡』さえ殺すことができたなら、高能力者全体の利益にもつながり、コネクションを構成するのにも役立つ。
これ以上、ヘマをやらかすわけにはいかない。
そんな思考をしながら、初春飾利はベンチに座って携帯端末を眺めていた。
第十七学区の外れ。一般利用もできるが、そもそも需要のない、芝だけが敷き詰められた公園。
そこから、初春飾利は大まかな統制を取っている。
全体の状況を見極め、最適化されたパターンの行動を随時連絡し、司令塔としての役割を果たす。
しかし、そうもいかないようだと言うことを、初春飾利は悟った。
「……『クイーン』が来ちゃうわけですか」
ざっ、と音を立てて、ちょうど初春の前に影が現れる。
「私が女王様に超見えるんですか? それは超光栄ですね」
368:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:14:52.70:81c5kwgJo (5/8)
角度を限界まで調整されたミニスカートをはきながら、絹旗最愛が初春飾利の前に立ちふさがっていた。
初春飾利はため息をつく。
「そりゃあ、『ナイト』から見れば、守りたくて仕方がない『女王様』でしょう」
絹旗はその言わんとするところを察すると、鼻で笑いつつ軽く地面を踏みつけた。
窒素を纏った足は大きく地面を揺らし、芝を根こそぎ弾き飛ばす。
「てめェらさンが『一方通行』に超やったことは、超どこまでも私を超侮辱してるンですよ?
その点、超わかっていただけてるンですかね?」
その剣幕に対し、初春飾利はあわてる様子もなくベンチから立ち上がり、絹旗などいないかのように、背を向けて歩き始める。
絹旗はそれを苦々しい顔で見つめると、警戒しながら後を付ける。
角度を限界まで調整されたミニスカートをはきながら、絹旗最愛が初春飾利の前に立ちふさがっていた。
初春飾利はため息をつく。
「そりゃあ、『ナイト』から見れば、守りたくて仕方がない『女王様』でしょう」
絹旗はその言わんとするところを察すると、鼻で笑いつつ軽く地面を踏みつけた。
窒素を纏った足は大きく地面を揺らし、芝を根こそぎ弾き飛ばす。
「てめェらさンが『一方通行』に超やったことは、超どこまでも私を超侮辱してるンですよ?
その点、超わかっていただけてるンですかね?」
その剣幕に対し、初春飾利はあわてる様子もなくベンチから立ち上がり、絹旗などいないかのように、背を向けて歩き始める。
絹旗はそれを苦々しい顔で見つめると、警戒しながら後を付ける。
369:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:17:56.59:81c5kwgJo (6/8)
「かの有名な無敵の第一位に、あんな抜け穴があるなんて、私も長らく知りませんでした。
あなたがどれだけ凄惨な責め苦を差し向けたのかは知りませんが、あなたに対しての贖罪を超えたトラウマは、彼を殺しうるレベルに達していたということです」
「超減らず口をたたくのも……いい加減にしろよォ?」
「それも、そうですね」
初春飾利は携帯端末を投げ捨て、公園の中心で立ち止まる。
そして、くるりと絹旗を見つめ直した。
その瞬間、絹旗最愛は何か、異様な悪寒が背筋をなぞったことに気がついた。
初春飾利は何もしていない。
だというのに、彼女の体からは理解しがたい汗が染み出し、頭は痛み、腹部に何か吐き出してしまいたいような重みを覚える。
まるで、何か理解しがたいものが襲いかかってくるような――
「かの有名な無敵の第一位に、あんな抜け穴があるなんて、私も長らく知りませんでした。
あなたがどれだけ凄惨な責め苦を差し向けたのかは知りませんが、あなたに対しての贖罪を超えたトラウマは、彼を殺しうるレベルに達していたということです」
「超減らず口をたたくのも……いい加減にしろよォ?」
「それも、そうですね」
初春飾利は携帯端末を投げ捨て、公園の中心で立ち止まる。
そして、くるりと絹旗を見つめ直した。
その瞬間、絹旗最愛は何か、異様な悪寒が背筋をなぞったことに気がついた。
初春飾利は何もしていない。
だというのに、彼女の体からは理解しがたい汗が染み出し、頭は痛み、腹部に何か吐き出してしまいたいような重みを覚える。
まるで、何か理解しがたいものが襲いかかってくるような――
370:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:20:21.02:81c5kwgJo (7/8)
「まずは侵食を避ける為の結界を」
初春飾利が頭上の花飾りの内、五本を引き抜くと乱暴に空に投げ捨てる。
それは通常の物理法則を超えた動きを見せると、彼女を包むようにして等間隔に地に突き刺さった。
その一輪一輪が奇妙な色を発しながら成長すると、地面に線を伸ばし、それぞれがそれぞれを接続し、正五角形を描く。
その光線は伸びることをやめず、ちょうど野原を占める程の大きさの五芒星を美しくも、どこか冒涜的に弾きだした。
「面倒な手順が必要だというのは、万事に共通しているんでしょうかね?」
ぼう、と得体のしれない音とともに、初春飾利の足元にデフォルメされたような目のシンボルが浮かび上がる。
燃え上がり光る黒目のような部分から生まれる、ごちゃ混ぜのパレットのような極彩色の光が、ちょうど彼女を包みこむ。
「……あンた、超いったい何を」
絹旗最愛は今までに見たことも聞いたこともない、奇妙な圧迫感を持ったその奇妙な力の奔流にうろたえた。
そして、初春飾利はその顔をさも覚える気はないと言わんばかりに、冷ややかに見つめながら言った。
「特級の極秘事項ですから、何も悟らず死んでいただけるとありがたいです」
そして、天を仰ぎながら、呟く。
「――Amicitia225(人である友の横に)」
「まずは侵食を避ける為の結界を」
初春飾利が頭上の花飾りの内、五本を引き抜くと乱暴に空に投げ捨てる。
それは通常の物理法則を超えた動きを見せると、彼女を包むようにして等間隔に地に突き刺さった。
その一輪一輪が奇妙な色を発しながら成長すると、地面に線を伸ばし、それぞれがそれぞれを接続し、正五角形を描く。
その光線は伸びることをやめず、ちょうど野原を占める程の大きさの五芒星を美しくも、どこか冒涜的に弾きだした。
「面倒な手順が必要だというのは、万事に共通しているんでしょうかね?」
ぼう、と得体のしれない音とともに、初春飾利の足元にデフォルメされたような目のシンボルが浮かび上がる。
燃え上がり光る黒目のような部分から生まれる、ごちゃ混ぜのパレットのような極彩色の光が、ちょうど彼女を包みこむ。
「……あンた、超いったい何を」
絹旗最愛は今までに見たことも聞いたこともない、奇妙な圧迫感を持ったその奇妙な力の奔流にうろたえた。
そして、初春飾利はその顔をさも覚える気はないと言わんばかりに、冷ややかに見つめながら言った。
「特級の極秘事項ですから、何も悟らず死んでいただけるとありがたいです」
そして、天を仰ぎながら、呟く。
「――Amicitia225(人である友の横に)」
371: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/18(土) 21:20:54.24:81c5kwgJo (8/8)
一番書きたかったシーンその1終了
一番書きたかったシーンその1終了
372:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/18(土) 21:34:43.18:t+jbIti5o (1/1)
まさかの初春さん魔術師ですか
乙
まさかの初春さん魔術師ですか
乙
373:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/19(日) 00:49:51.35:3V4JcrI30 (1/1)
なんとこう来るとは。
初春の戦闘ってどうするのかなぁ、とは思ってましたけど。
何系の魔術師になるのかね。
しかし、投稿するときは上げてくれると個人的に嬉しい。来てるのに気付けないし。
というわけで、age
なんとこう来るとは。
初春の戦闘ってどうするのかなぁ、とは思ってましたけど。
何系の魔術師になるのかね。
しかし、投稿するときは上げてくれると個人的に嬉しい。来てるのに気付けないし。
というわけで、age
374:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2011/06/19(日) 08:59:03.33:ihRa+bCH0 (1/1)
初春さん魔術師とは。
十字教系ではないっぽいけど。
これはインさんも参戦フラグか?
初春さん魔術師とは。
十字教系ではないっぽいけど。
これはインさんも参戦フラグか?
375:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/06/19(日) 14:23:22.49:YLQkVErU0 (1/1)
花すげえ……
花すげえ……
376:ズル剥け短小ドラゴン:2011/06/19(日) 17:45:27.93:++RGwHZAO (1/1)
今のは指パッチンじゃwwwwwwwwwwwwwwwwww
そこのスレの人が気分悪くしてんだよ気持ち悪い
自治中心的な糞餓鬼がギャーギャー喚いてんじゃねえよ栃木さん(笑)
レスすんな構ってちゃん(笑)
偉そうにって言ってるけどお前の方が偉そうだよな(笑)
そんなに君は偉い立場なのかな(笑)そんなに上からギャーギャー言える立場なのかな?(笑)
迷惑かけてないって言ってるけど、レスしたスレもう一回行っレが汚されてんだよ
そんな事も分からないんなら二度とレスしない方が良いよ?ただただ人を不快にさせるだけだから
お前みたいなのを社会の底辺って言うんだろうなー
もうどうしようも無いもんな(笑)学生なら中二病とかで済ませられるけど
大人になったらどうしようも無いもんな
俺このコテ見たら無視するようにするわ、絶対にとは言わないけど出来たらみんなにも無視して欲しい
後名無しNIPPER君よ、君に書ける大作なんて無いからねwwwwwwwwwwwwwwww俺は出来る!!とか思って
立てたんだろうけど、君に書けるなら世界のみんな大作書けるからwwwwwwww
小学生でも君より良い作文書けるんじゃ無いのかなwwwwwwwwwwww麦野「美琴、私のものになりなよ」
今のは指パッチンじゃwwwwwwwwwwwwwwwwww
そこのスレの人が気分悪くしてんだよ気持ち悪い
自治中心的な糞餓鬼がギャーギャー喚いてんじゃねえよ栃木さん(笑)
レスすんな構ってちゃん(笑)
偉そうにって言ってるけどお前の方が偉そうだよな(笑)
そんなに君は偉い立場なのかな(笑)そんなに上からギャーギャー言える立場なのかな?(笑)
迷惑かけてないって言ってるけど、レスしたスレもう一回行っレが汚されてんだよ
そんな事も分からないんなら二度とレスしない方が良いよ?ただただ人を不快にさせるだけだから
お前みたいなのを社会の底辺って言うんだろうなー
もうどうしようも無いもんな(笑)学生なら中二病とかで済ませられるけど
大人になったらどうしようも無いもんな
俺このコテ見たら無視するようにするわ、絶対にとは言わないけど出来たらみんなにも無視して欲しい
後名無しNIPPER君よ、君に書ける大作なんて無いからねwwwwwwwwwwwwwwww俺は出来る!!とか思って
立てたんだろうけど、君に書けるなら世界のみんな大作書けるからwwwwwwww
小学生でも君より良い作文書けるんじゃ無いのかなwwwwwwwwwwww麦野「美琴、私のものになりなよ」
377:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/20(月) 04:49:02.67:IBQUmva40 (1/1)
「――Amicitia225(人である友の頭に)」
「――Amicitia225(人である友の頭に)」
378: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/26(日) 01:49:28.08:8PW5vdJDo (1/6)
まぁ、エルダーサインです
まぁ、エルダーサインです
379:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/26(日) 01:50:06.25:8PW5vdJDo (2/6)
----
フレンダ・セイヴェルン。
彼女の仕事は「風紀委員」。
学園都市内において、能力を有し暴徒を鎮圧する学生主体の自治組織。
「風紀委員」には国家単位で、ある種の特権が認められている。
それは「過剰防衛の緩和」。
学園都市内の「実験」は時として、少年少女たちの思考を不安定化させ、人間の良心の枠を超えた陰惨たる事件を起こすケースがある。
特に、「反社会性人格障害」を生まれつき、あるいは「洗脳」の中で脳内に存在させられた人間。
そこにある種の才能が重なると、そこに発生するのは悪夢と同等の惨劇。
----
フレンダ・セイヴェルン。
彼女の仕事は「風紀委員」。
学園都市内において、能力を有し暴徒を鎮圧する学生主体の自治組織。
「風紀委員」には国家単位で、ある種の特権が認められている。
それは「過剰防衛の緩和」。
学園都市内の「実験」は時として、少年少女たちの思考を不安定化させ、人間の良心の枠を超えた陰惨たる事件を起こすケースがある。
特に、「反社会性人格障害」を生まれつき、あるいは「洗脳」の中で脳内に存在させられた人間。
そこにある種の才能が重なると、そこに発生するのは悪夢と同等の惨劇。
380:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/26(日) 01:50:38.66:8PW5vdJDo (3/6)
「風紀委員」が必要性を問われた『無差別人体破損事件』、それから立て続けに十三人の犠牲者を出した『風力使い通り魔事件』。
それに似通った事件は年に数回は発生していて、そのつどすべての犯人は『正当防衛』の名のもとに「風紀委員」の一員によって「殺害」されている。
暴徒を安全に鎮圧出来るようになったのは、『警備員』の装備が大半の犯罪者に有効になったここ数年であり、それまでの間は「風紀委員」が自らと年齢の違わない人間をその手で殺めていたことになる。
無論そこには多大な社会的配慮がなされ、それを実際に表に出されることはない。
しかし、それが逆説的に働くこともある。
「風紀委員」が必要性を問われた『無差別人体破損事件』、それから立て続けに十三人の犠牲者を出した『風力使い通り魔事件』。
それに似通った事件は年に数回は発生していて、そのつどすべての犯人は『正当防衛』の名のもとに「風紀委員」の一員によって「殺害」されている。
暴徒を安全に鎮圧出来るようになったのは、『警備員』の装備が大半の犯罪者に有効になったここ数年であり、それまでの間は「風紀委員」が自らと年齢の違わない人間をその手で殺めていたことになる。
無論そこには多大な社会的配慮がなされ、それを実際に表に出されることはない。
しかし、それが逆説的に働くこともある。
381:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/26(日) 01:51:48.66:8PW5vdJDo (4/6)
フレンダはただ茫然と立っていた。
第十七学区、空きコンテナがそこらじゅうにばらまかれている、出来の悪い迷路のような空間で。
第三位のクローンは彼女にとても有益な情報を与えてくれた。
この位置に空間移動系の能力者が、武器調達や定時連絡のための中継地点として必ず現れること。
そして、この能力者を足止め出来るなら、滝壺理后への即効的な致命傷はまず防げるということ。
フレンダは、既に待っていた。
ここを道筋に通るであろう、その白井黒子と呼ばれるLEVEL4を。
ありとあらゆる武器を張り巡らせて。
フレンダはただ茫然と立っていた。
第十七学区、空きコンテナがそこらじゅうにばらまかれている、出来の悪い迷路のような空間で。
第三位のクローンは彼女にとても有益な情報を与えてくれた。
この位置に空間移動系の能力者が、武器調達や定時連絡のための中継地点として必ず現れること。
そして、この能力者を足止め出来るなら、滝壺理后への即効的な致命傷はまず防げるということ。
フレンダは、既に待っていた。
ここを道筋に通るであろう、その白井黒子と呼ばれるLEVEL4を。
ありとあらゆる武器を張り巡らせて。
382:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/26(日) 01:52:32.89:8PW5vdJDo (5/6)
金髪が風に靡くのも気にせず、彼女は右手に持った拳銃を、軽く構えてみた。
手は震えない。
「……はぁ」
なぜこんな、人を殺すことができるものを持っていて、私は怖くないのだろう?
拳銃をくるくるとまわし、スカートの奥へと『収納』する。
「結局、飼いならされても犬っころは、平気で人殺しができるって訳ね」
フレンダ・セイヴェルンが自らの両親を殺害したのは、彼女の妹であるフレメアが生まれた、ちょうど十才の頃である。
金髪が風に靡くのも気にせず、彼女は右手に持った拳銃を、軽く構えてみた。
手は震えない。
「……はぁ」
なぜこんな、人を殺すことができるものを持っていて、私は怖くないのだろう?
拳銃をくるくるとまわし、スカートの奥へと『収納』する。
「結局、飼いならされても犬っころは、平気で人殺しができるって訳ね」
フレンダ・セイヴェルンが自らの両親を殺害したのは、彼女の妹であるフレメアが生まれた、ちょうど十才の頃である。
383: ◆r8UzcYNXNc:2011/06/26(日) 01:54:45.80:8PW5vdJDo (6/6)
香辛料が少ないのは私用です
香辛料が少ないのは私用です
384:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/06/26(日) 20:10:46.93:5VNSJusS0 (1/1)
乙です。
フレンダって色々謎だしなぁ。超電磁砲で多少回収されたけど。
しかし、各所で同時進行でバトル展開するのか。
なかなか難しそうだ。
乙です。
フレンダって色々謎だしなぁ。超電磁砲で多少回収されたけど。
しかし、各所で同時進行でバトル展開するのか。
なかなか難しそうだ。
385:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/06/28(火) 11:44:15.41:VWFn/28n0 (1/1)
素材の味がよくわかるさ
素材の味がよくわかるさ
386:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/07/22(金) 19:13:54.46:ieVtgG9p0 (1/1)
生きてますか?
生きてますか?
387: ◆r8UzcYNXNc:2011/07/23(土) 16:26:33.43:1TuoWm8Xo (1/1)
生きてはいます
正直書いててアイテム愛でていてもレールガン勢が心底どうでもよかったんだなあと反省してます
夏はたぶん時間ができます
生きてはいます
正直書いててアイテム愛でていてもレールガン勢が心底どうでもよかったんだなあと反省してます
夏はたぶん時間ができます
388:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/07/23(土) 19:37:08.58:urZ+1KDm0 (1/1)
楽しみに待ってます
楽しみに待ってます
389:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/04(木) 14:00:55.72:1LACQC7S0 (1/1)
まだかまだかと
まだかまだかと
390:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道):2011/08/15(月) 18:27:47.49:H9fPHoi10 (1/1)
夏も中盤だが忙しいのか?
気長に待ってるよ。
夏も中盤だが忙しいのか?
気長に待ってるよ。
391: ◆r8UzcYNXNc:2011/08/17(水) 01:43:40.20:KEAybnWHo (1/4)
理由
1,新訳二巻を読んでからやや思考を変更中
2,想像を絶するほど夏に時間がなかった
3,全く別のところで全く別のものを書いている
理由
1,新訳二巻を読んでからやや思考を変更中
2,想像を絶するほど夏に時間がなかった
3,全く別のところで全く別のものを書いている
392:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/17(水) 01:45:11.33:KEAybnWHo (2/4)
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麦野沈利はずっと、自らの選択に恐怖していた。
そこは第十七学区に近い一室のホテル。
学園都市の技術が惜しげも無く使われているセキュリティは、たとえ一度でも出てしまえば、中にもう一度入るのに小一時間の手続きを必要とする。
それを一つでも失敗すれば、すぐに待機している「警備員」によって連れて行かれる。
麦野沈利と滝壺理后、「七百七十七号」と浜面仕上はそこにいた。
上条当麻は、麦野沈利の肩をがっしり掴んでこう言っていた。
「俺の右腕なら、たとえ超能力者だって相手取れる。
でも、それはあくまで一対一の状況でだけなんだ。
もし滝壺さんがたくさんの強能力者に袋叩きにされたら、それを守ることは俺には不可能だ。
だから、第三位は俺に任せてくれ。お前が滝壺さんを守ってやるんだ」
その力強い手に、麦野は反抗することができなかった。
右腕から感じられるある種の絶対的な自信のようなものが、彼女をどこまでも安心に感じさせていた。
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麦野沈利はずっと、自らの選択に恐怖していた。
そこは第十七学区に近い一室のホテル。
学園都市の技術が惜しげも無く使われているセキュリティは、たとえ一度でも出てしまえば、中にもう一度入るのに小一時間の手続きを必要とする。
それを一つでも失敗すれば、すぐに待機している「警備員」によって連れて行かれる。
麦野沈利と滝壺理后、「七百七十七号」と浜面仕上はそこにいた。
上条当麻は、麦野沈利の肩をがっしり掴んでこう言っていた。
「俺の右腕なら、たとえ超能力者だって相手取れる。
でも、それはあくまで一対一の状況でだけなんだ。
もし滝壺さんがたくさんの強能力者に袋叩きにされたら、それを守ることは俺には不可能だ。
だから、第三位は俺に任せてくれ。お前が滝壺さんを守ってやるんだ」
その力強い手に、麦野は反抗することができなかった。
右腕から感じられるある種の絶対的な自信のようなものが、彼女をどこまでも安心に感じさせていた。
393:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/17(水) 01:45:38.39:KEAybnWHo (3/4)
でも、数時間も経ってしまえばそんな気持ちはどこへやら、すべて消滅している。
絹旗とフレンダは「風紀委員」の仕事を御旗にして、それぞれ滝壺を守るために行ってしまった。
私は、こんなところにいていいのだろうか?
焦燥感と、どうしようもない緊張感。
それらは麦野沈利の心を少しずつ締め付けていく。
「……むぎの、怖い顔してる」
「え?」
滝壺の言葉に、麦野沈利はふと我に帰ったようだった。
顔を上げれば、滝壺は麦野の顔を心配そうに見つめている。
「あのひとが心配なの?」
でも、数時間も経ってしまえばそんな気持ちはどこへやら、すべて消滅している。
絹旗とフレンダは「風紀委員」の仕事を御旗にして、それぞれ滝壺を守るために行ってしまった。
私は、こんなところにいていいのだろうか?
焦燥感と、どうしようもない緊張感。
それらは麦野沈利の心を少しずつ締め付けていく。
「……むぎの、怖い顔してる」
「え?」
滝壺の言葉に、麦野沈利はふと我に帰ったようだった。
顔を上げれば、滝壺は麦野の顔を心配そうに見つめている。
「あのひとが心配なの?」
394:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/17(水) 01:46:52.94:KEAybnWHo (4/4)
「……当麻のこと?」
「そう」
麦野は上条当麻を一人で行かせたことに、確実に後悔していた。
たとえそれがその時点で行うことのできるベストであれ、それでも後悔していた。
「……あのひとのことは、そんなに心配しなくても、いいと思う」
滝壺は、なぜか麦野から目線を逸らし、言った。
「あのひと、たぶん強いよ」
「……当麻のこと?」
「そう」
麦野は上条当麻を一人で行かせたことに、確実に後悔していた。
たとえそれがその時点で行うことのできるベストであれ、それでも後悔していた。
「……あのひとのことは、そんなに心配しなくても、いいと思う」
滝壺は、なぜか麦野から目線を逸らし、言った。
「あのひと、たぶん強いよ」
395:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/08/17(水) 18:26:15.62:09ZwfX930 (1/1)
乙
待ち遠しかった
乙
待ち遠しかった
396:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/17(水) 18:43:25.25:L215EqsAo (1/1)
おつおつ
滝壺さんがどう動くかね
おつおつ
滝壺さんがどう動くかね
397:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/08/17(水) 20:15:24.54:fnhIYE5Co (1/1)
乙
乙
398:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2011/10/02(日) 11:56:49.60:B+GJxj6Mo (1/1)
まだか
まだか
399:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都):2011/10/18(火) 00:53:11.63:IX1OL8sio (1/1)
まだかな
まだかな
400:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です):2011/11/04(金) 20:54:54.81:HuJM4NGq0 (1/1)
>>1マダー?
>>1マダー?
401:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県):2011/11/08(火) 18:52:45.04:/3ISwzAGo (1/1)
あと十日だからせめて生存確認だけでも……
あと十日だからせめて生存確認だけでも……
402:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/16(水) 01:25:09.59:m6UggkZSo (1/1)
上げ
上げ
403:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋):2011/11/17(木) 10:30:19.37:Vq1KNlqfo (1/1)
投げたか
投げたか
404:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/11/17(木) 13:34:07.60:gs4TKDcAO (1/1)
おおきくふりかぶって
おおきくふりかぶって
405:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(東京都):2011/11/17(木) 18:32:39.76:AcMuCMyqo (1/1)
このssの設定って一部借りてもいいのかな
このssの設定って一部借りてもいいのかな
406:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県):2011/11/17(木) 19:17:14.74:wb1S55aro (1/1)
いいんじゃね?別スレだったら
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