479以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/01(水) 13:16:18.75NzKSoE.o (1/1)

Fortis893(関節技こそ王者の技よ)
Fortis905(俺より強い奴に会いに行く)
Fortis926(サイキョー流マジ最強!)

こんな感じか?


480以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 03:22:10.33IpwlWYAO (1/1)

法王級魔術 挑発伝説!!


481以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 09:07:00.90HPyAwwDO (1/1)

出生とか、魔術の種類とか、なんか関連付けがあるんじゃないの?
神裂の000見るとそういうのじゃないかなーって


4821 ◆fftSPPkhRw2010/12/02(木) 19:38:56.95vhrl9/Q0 (1/1)

それなりにお久しぶり? >>1です。
最近ドリップコーヒーが淹れられる器具を購入してしまいました。
某百合子スレの影響とか、そんなの全然ないんだからッ!!

とりあえず再び途中経過の報告です。
書きためは順調、とは言えないものの細かい展開やキャラのノリが決まってきたので、来週の月曜か火曜には投下できると思います。
もうちょっと待ってね。

てかみんな魔法名好きすぎるだろwwwwww
第二部は本筋とは関係ない、寄り道的な短編もいくつか書きたいと思っていたので
皆さんのレスはその参考にさせていただきたいと思います。
また>>442で、アレイスターについてはあまり調べてなかったので参考になりました。ありがとうございます。
あと>>449、お前賢すぎ! 多湖輝が死んだら君が『頭の体操』を書くべき。

そんな感じで第二部はストーリー進行的にも、投下スピード的にも十二月中はまったりいきます。
それではまた来週に!



483以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 19:57:20.21uU6C.yYo (1/1)

おお、キタか
ドリップコーヒー使ってたけど面倒くさくなってインスタントに戻った俺が通りますよ


484以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/02(木) 22:14:51.966.rtKUwo (1/1)

楽しみにしてるんだよ!


485以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/07(火) 23:26:55.25ar67INQ0 (1/1)

今日はもう来ないかな?


486以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 01:44:03.47CxuzGP20 (1/1)

な~に、2,3日なら誤差のうちさ


487以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 12:57:50.30Zfu9qJEo (1/1)

今日は来るかな


4881 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 17:52:09.41A9ZfreQ0 (1/19)

どうもお待たせしました!!
予告より少し遅れてしまいましたが、今日の二二時から第二部の投下を開始します!

それまで暫しお待ちを……


489以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 18:03:06.201EZXJH6o (1/1)

ktkr


490以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 19:21:46.104ZaXnQAO (1/1)

今日か、そういえば名は単語のみじゃなくて数字も含めて自分で決めんでしょ


491以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 20:44:12.37WdIkunU0 (1/1)

今まとめ読みしたところなんだけど、>>313の

佐天「さて、初春をSOLしたところで」

SOLって何? ググッたけど良く解らんかった。


492以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 21:14:05.05nLp1hGE0 (1/3)

待ってました!


493以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 22:09:39.16xbvKb0Q0 (1/1)

マダー?


494以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 22:12:36.587uXJcSwo (1/1)

22時ですよー!


4951 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:19:04.68A9ZfreQ0 (2/19)

>>491
Stalker Oshioki Laser(ストーカーお仕置きレーザー)のことです。
……嘘です。「AKIRA SOL」でググッてみてください。

それでは投下していきます!
第二部を始める前に、簡単な注意書きを……


●このSSは佐天さんが中心的に活躍する『とある魔術の禁書目録』、『とある科学の超電磁砲』の二次創作SSです。

●第二部からは「超電磁砲」組は少しおやすみ。主に魔術側でストーリーが進行していきます。

●オリジナル設定やキャラクターが登場します。解説は第二部が終わったらまとめてする予定です。

●感想、雑談、質問大歓迎!! 魔術や伝承関係が>>1の大好物ですので、そんなレスがあると>>1のテンションがもれなく上がります。
 また誤字や間違いがあったら指摘してもらえると助かります。


それでは第二部をどうぞ!!


496以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 22:20:54.77nLp1hGE0 (2/3)

>>495
正座して読みます!


4971 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:22:43.57A9ZfreQ0 (3/19)


―――ロンドン、『イギリス清教』女子寮前




佐天「…………」

ボーッと佐天は目の前の古めかしい建物を見上げた。

ステイル「おい、何を呆けているんだ」

佐天「……いやぁ、あれよあれよという間に連れて来られたから、実感が沸かなくって」

ステイル「まあ無理もないが、君は今日からここで暮らすんだよ」

佐天「そうだよね、私、ロンドンで生活していくんだよねぇ……」ボーッ

ステイル「もちろん。だからもっとシャキッとしらたどうだい」

佐天「う、うん……! 今からここに住んでる人達と会うんだよね。
 うぅ……何か今度は緊張してきた……!」

ステイル「面倒な性格だね。何をそんなに緊張することがある?」

佐天「これから一緒に生活する人たちに会うんだよ? 緊張もするって」

ステイル「そんなものかね……」



4981 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:25:40.66A9ZfreQ0 (4/19)


そう言ってステイルは、佐天と同じように目の前の建物、『イギリス清教』女子寮を見上げた。

ステイル「しかしおかしいな。駅に迎えが来てくれると聞いていたのに」

佐天「……もしかしてあたし、歓迎されてない感じ?」

ステイル「そうかもね。ここにいる連中は皆魔術側に属する人間ばかりだ。
 科学側にいる人間を忌み嫌っているかも……」

佐天「…………!!」

ステイルのその言葉を聞く佐天の顔は見る見る真っ青になり、小刻みに震えだした。

佐天「あたし、やっぱり学園都市に帰ります……」クルッ

ステイル「待て。ただの冗談だよ、冗談」

佐天「冗談でもそんなこと言わないでよ!! 人がナーバスになってんのに!!
 それにあながち『科学側の人間を嫌ってる』って間違いじゃないかも知れないし……!」

ステイル「心配しなくていい。少なくともここにいる連中は科学側を嫌ってはいない。
 むしろ恩義すら感じているかもね。いや、科学側というよりも、あの男一人に、か……」

佐天「?」



4991 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:27:32.90A9ZfreQ0 (5/19)


ステイル「さあ、ぐずぐすしてないで中に入ろう。
 日が暮れるまでここに突っ立ってるわけにも行かない」

佐天「そ、そうだね。よし!」

そう気合を入れてた佐天は、一歩下がってステイルに力強い眼差しを向けた。
そしてビシッとドアを指さす。

佐天「お先にどうぞ!」

ステイル「はぁ……。先が思いやられる」

そう言いながらも、ステイルはドアノブに手を掛けた。
ギィーと見た目の古さ通りの音を立てて、女子寮のドアを開けた。

ステイル「誰か、誰かいないのか?」

女子寮の中はシーンと静まり返り、ステイルの声に応えるものはない。

佐天「……お留守、なのかな?」

ステイル「そんなはずはない。ここには数十人が生活を―――」

『ギャアアアアアァァァァァァ!!!』

ステイル「ッ!?」
佐天  「ッ!?」



5001 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:31:01.88A9ZfreQ0 (6/19)


佐天「な、何ッ!?」

ステイル「まさか、敵襲? クソッ!!」

ステイルは叫び声が聞こえた方に走りだした。

佐天「ま、待って!」

その後を佐天が追う。

ステイル「どうした! 何があった!」

「す、ステイル!? それが……」

飛び込んだ部屋には惨状が広がっていた。
壁は爆発の跡なのか所々煤けており、床はなにかヌメヌメとした液体で溢れていた。
そして学園都市でよく見かける清掃ロボットが、無残な姿でそこに転がっていた。

「シスター・アンジェレネ! だから言ったでしょう
 便利だからと言ってまとめて使えば良いものではないと!!」

「うぅ……。でもシスター・ルチアだって
 『清掃ロボット、万能洗剤、無音サイクロンジェット掃除機……
 これが科学における三位一体なのですね!!』って興奮してたじゃないですか!!」

「あ、あれは、ただの冗談で……」

「普段冗談なんて言わないくせに!! 私だけのせいじゃないですよ!!」



5011 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:33:30.21A9ZfreQ0 (7/19)


佐天「……どういうこと、これ?」

「もしや貴方が佐天涙子さんですか?」

佐天「は、はい。そうです」

神裂「お見苦しいところをお見せしてしまって申し訳ありません。
 私は『必要悪の教会』に所属する神裂火織と申します」

佐天「あッ! わ、私が学園都市から来た佐天涙子です!!
 どうぞよろしゅく……」

佐天(か、噛んだ……)ずぅぅん

ステイル「それで、一体何があったんだい?」

神裂「それが、彼女のために空き部屋の清掃をしていたんですが
 学園都市から送られてきた清掃器具を使っていると、このような、原因不明の状態に陥ってしまって……」

アンジェレネ「清掃ロボットが凄い速さで部屋中疾走し始めて、その拍子に洗剤が床にこぼれてしまって
 シスター・ルチアの持っていた掃除機が洗剤を吸い込んで持ち手だけ残して爆発したんです」

佐天「どんな状況なんですかそれ!?」



5021 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:39:03.12A9ZfreQ0 (8/19)


神裂「相変わらず、科学というものは不可思議なものです」

佐天「いや、それはちょっと違うような……」

ルチア「正直に申し上げれば、調子が悪いと言って
 神裂さんがあの機械にチョップを連発したのがそもそもの原因だと思うのですが」

神裂「し、しかし調子の悪い機械にはそうすれば良いのではないのですか!?
 四五度の角度で、こうッ!」ブンッ!

アンジェレネ「聖人の力でバシバシやったら壊れるに決まってるじゃないですか!」

神裂「なッ!? 私のせいだと言いたいのですか!?
 そもそも貴女が三つ同時に使ったらいいと提案したのではありませんか!!」

アンジェレネ「だってシスター・ルチアが『科学の三位一体』だと―――」

ルチア「もう『科学の三位一体』は忘れてください!!」

ギャアーギャアーと騒ぐ三人を、佐天は為す術も無く眺めることしかできなかった。

佐天「……す、ステイル君、これ……」

ステイル「はぁ、まったく。君たち、いい加減にしたらどうだ。
 新しく僕達の仲間になる彼女を、ずっとここに立たせておくつもりかい?」

神裂「うッ……」

ルチア「確かに……」

アンジェレネ「うぅ……でも問題がありますよぉ」

佐天「問題?」



5031 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:41:00.99A9ZfreQ0 (9/19)


神裂「はい。実は最近入居者が増えてきまして、空室はここ一つしかないんです」

佐天「えッ!? ってことはあたし、この部屋で生活するんですか!!」

ルチア「さすがにそんなことはできません。しかし当分この部屋を使うのは無理でしょうね。
 この床一面に広がった洗剤だけでも、どうやって片付ければいいか分かりませんし」ベトォ

ステイル「仕方ない。君にはこの部屋が使えるようになるまで、別の場所で生活してもらおう」

佐天「別の場所って?」

ステイル「そうだね。マンスリータイプのアパートを借りるか、ホテルに泊まるかだな」

神裂「しかし彼女はロンドンに来るのは初めてなのでしょう?
 数日とは言え、そんな彼女を一人にするのは些か親切心に欠けるのではありませんか。
 ロンドンは都会ですし、地理も複雑ですよ」

アンジェレネ「そうですよね。私も初めてこっちに来たときはよく道に迷いました」

ルチア「それは貴女が方向音痴だからでしょう、シスター・アンジェレネ」

佐天「じゃあ、どうしたら……」



5041 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:48:26.56A9ZfreQ0 (10/19)


ステイル「困ったな。男子寮なら部屋が開いているんだが。ちょうど僕の―――」

神裂はその言葉を聞いて、唖然とした表情でステイルを見つめた。

神裂「はぁぁぁぁッ!? だだだ、男子寮ですって!? 
 し、しかも自分と同じ部屋に、か、彼女を連れ込むつもりですか!!!」

佐天「へ、ヘッ? す、ステイル君の部屋に、つ、連れ込む……////」

ステイル「そ、そんなことは言ってないッ!!
 ただ僕の隣の部屋が空いていたと思っただけで……!」

ルチア「……不潔です」ギロッ

ステイル「だから、違うと言っただろう!!」

神裂「ステイル、貴方も年頃の男性なのは分かります。
 しかしそのような歪んだ願望をぶつけるなど、到底許されることではありませんよ!」

佐天「願望を、ぶつける……///」あわあわ

その言葉の、神裂は意図していない意味を想像して、佐天の頭はさらに混乱した。

ステイル「言ってないッ!! 誰も言ってないぞ、そんなこと!!」

ルチア「……汚らわしい」



5051 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:50:49.69A9ZfreQ0 (11/19)


アンジェレネ「あれ? こういうのって『欲望のはけ口』っていうでしたっけ?」

神裂「『欲望のはけ口』!? 土御門ですかッ!!
 貴方がそんなふうになってふうになってしまったのは、土御門に毒されてしまったからなのですか!?
 あの猫真似アロハ野郎ォ!!」ジャキッ

ステイル「落ち着け神裂ッ!! 奴は同情の余地もない人間だが、この問題には無関係だッ!!」

佐天「『欲望のはけ口』とか、そんなの、無理ッ!!///」ブンブン

ステイル「君もいい加減に落ち着けッ!!」

神裂は刀を持って今にも飛び出していきそうだし、ステイルはそれを止めるのに必死だし
ルチアはそんなステイルに軽蔑の眼差しをくれているし、アンジェレネは状況がよく分かっていない。
そして佐天の頭の中では、『欲望のはけ口』という言葉が、具体的な妄想を伴って暴れまわっていた。

「あの、女教皇(プリエステス)、頼まれていた帯揚げを持ってきたんですが……。
 どうかされたんですか?」

控え目な声が、その騒ぎの外から聞こえた。

神裂「い、五和! いいところに!
 今ステイルの邪な欲望をどうすれば消すことができるか話し合っていたんです!」

五和「は、はぁ?」

ステイル「そんなことは一度も話し合っていないぞ!! 本題に戻れ!!」



5061 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:52:41.47A9ZfreQ0 (12/19)


神裂「そ、そう言えばそうでしたね。私としたことが……」

五和「それで、一体どうされたんですか?」

神裂「いえ、ちょっとした手違いによって、彼女が住むはずだった部屋が使えなくなってしまったのです」

五和「彼女?」

五和と呼ばれた少女は、そう言って首を傾げた。

佐天「あッ、はい!! え、えっと、今日から『必要悪の教会』の一員になる、佐天涙子と言います!
 学園都市から来ました」

五和「学園都市!?」ピクッ

神裂「はい。この土地に不慣れな彼女を一人で生活させるのも心苦しいので
 どうすればいいか考えていたのですが……」

五和「そ、それなら私たちのアパートに来てもらえばいいんじゃないでしょうか!!」

佐天「私たち?」

神裂「天草式の、ですか?」



5071 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:55:22.50A9ZfreQ0 (13/19)


五和「は、はい、そうです。天草式はいくつかのアパートに分かれて生活しているんですが
 ちょうど私のアパートに一つ空室があるんです。
 佐天さんにはそこに来てもらえばいいんじゃないでしょうか!」

ルチア「確かに、それは名案かも知れませんね。
 同じ日本人である天草式の皆さんとなら、彼女も暮らしやすいでしょうし」

ステイル「という申し出みたいだけど、君自身はどうなんだい?」

佐天「へ? 確かに部屋もこんな感じだから、願ってもない話だけど……」

五和「なら決定ですね! あ、私は天草式十字凄教の五和と言います。
 よろしくお願いします!」

佐天「よ、よろしくお願いします……」

妙に押しの強い五和の言葉にやや圧倒されながら、佐天はぺこりと頭を下げた。

神裂「しかし五和、やけに積極的であるように見えるのですが、どうかしたのですか?」

五和「えッ!? べ、別に、あの人に会いに行く時のために
 学園都市のことを沢山聞きたいとか、け、決してそんなことは……」

佐天「?」

五和「と、とりあえずですね! 佐天さんのことは私にお任せください!」



5081 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 22:58:14.47A9ZfreQ0 (14/19)


神裂「分かりました。それでは彼女のことは貴女にお任せします。
 五和、彼女はまだこちらに慣れていなのですから、貴女がしっかりと助けてあげるのですよ」

五和「はい、分かりました」

「どうしたのでございますか? 先程から何やら騒がしいようでございますが」

のんびりとした声が、廊下の向こうから聞こえた。

神裂「ああオルソラ、こちらは私たちの新たな仲間となる佐天涙子さんです」

佐天「よろしくお願いします」ぺこり

オルソラ「ああ、学園都市から来たという方でございますね。
 私はオルソラ・アクィナスと申し……ふぁぁぁ……」

オルソラの言葉は欠伸の中に吸い込まれた。

神裂「随分眠たそうですね。どうかしたのですか?」

オルソラ「昨日起きた件について、徹夜で調べ物をしていたのでございますよ。
 ですから、ふぁぁ……ねむねむなのでございます」

神裂「そうだったのですか。それはお疲れ様です」

ステイル「何かあったのかい」



5091 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 23:01:57.77A9ZfreQ0 (15/19)


神裂「ええ、『イギリス清教』の関係施設で盗難がありまして。
 資料閲覧中の魔術師がたまたま現場に居合わせて、交戦になったとのことです」

ステイル「賊はまだ捕まっていないのか?」

神裂「残念ながら」

オルソラ「昨日の深夜に連絡を受けたものでございますから
 シェリーさんと一緒に資料と格闘しながら朝を迎えることになったのでございます。
 私たちだけで手に負えない場合は、助っ人に来てもらう可能性も……
 それで『まるで科学の三位一体やぁ』とは一体何なのでございますか?」

アンジェレネ「本当に眠いんですね。いつも以上に話題が前後してます」

ルチア「ですから『科学の三位一体』はもう忘れてくださいッ!!
 しかもちょっと言葉も変わっていますし!!」

佐天「…………」

さっきまでの掃除機がどうした、アパートがどうしたという聞き慣れた言葉とは違うかけ離れた会話。
佐天は今いる場所が、数日前とは全く別の世界であることを改めて実感させられた。



5101 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 23:03:15.77A9ZfreQ0 (16/19)


佐天「あのー……」

神裂「どうかしましたか?」

佐天「えっと盗難とか事件が起こってて、今は緊急事態ってことなんですよね?
 なんていうか、こんな風にのんびりしていて大丈夫なんですか?」

アンジェレネ「?」

ルチア「…………」ジー

オルソラ「ZZZZ……」

アンジェレネは不思議そうに、ルチアは怪訝そうに佐天を見つめた。
オルソラはすでに夢の中へ旅立っているようだった。

神裂「クスッ」

佐天「えッ!? あの、すいません! 何も知らないあたしなんかが生意気なこと言って!」

神裂「いえ、そういうわけではありません。改めて言われてみると、そうなのだな、と」

佐天「へ?」



5111 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 23:08:37.17A9ZfreQ0 (17/19)


ルチア「『ローマ正教』にいた時も忙しくはありましたが
 今はあの頃と比べてさらに忙しいですね」

アンジェレネ「ですねー。私も忙しさの余り、九時課のお祈りをちょいちょい忘れてしまいますから」

ルチア「それは貴女に敬虔さが足りていないからです! シスター・アンジェレネ」

佐天「え、えーと……」

不安そうな表情で、佐天はステイルに助けを求めた。

ステイル「常に何か起こっているってことだよ。「非常事態」は「日常」の一部なのさ。
 ここ、『必要悪の教会』にとってはね」

神裂「『必要悪の教会』とは、そのようなところなのですよ」

佐天にはその神裂の言葉が、「非常事態」を「日常」として過ごせる余裕で満ちているように聞こえた。

佐天「あたしなんかが上手くやっていけるか、何だか不安になりますね。
 アハハハ……」

神裂「…………」



5121 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 23:14:02.57A9ZfreQ0 (18/19)


神裂「貴女がどのような理由があってここに来たのは詳しくは存じませんが
 学園都市を離れ、単身『イギリス清教』に身を寄せたということは
 それ相応の覚悟があったのだと思います」

神裂の表情でとても真剣で、しかしどこか包みこみように柔らかだった。
佐天はその言葉に、ゆっくりと頷く。

佐天「はい」

神裂「そして貴女が所属することになる『必要悪の教会』は
 決して楽でもなければ甘いもない組織です。
 しかし、貴女が私たちとともに戦う仲間であり
 最初の決意と覚悟を失わない限り、私たちは貴女のことを全力で助けます。
 改めて、『必要悪の教会』にようこそ。佐天涙子さん」

そう言って、神裂は佐天に向かって微笑みかけた。

佐天「はい! よろしくお願いしますッ!!」


―――この日を以て、日本で生まれ、『科学』の元で育ってきた佐天涙子の
    『魔術』と共に生きる物語が始まる。



5131 ◆fftSPPkhRw2010/12/08(水) 23:26:49.42A9ZfreQ0 (19/19)

というわけで第二部のプロローグは以上!
次回からは本格的に佐天さんのロンドン生活が始まります。

次回の投下は……って感じで決めたいところですが、ちょっと未定です。
やっぱり卒論と同時にSS書くのは大変ですね。てへっ(・ω<)
でも今週あと一回は投下したいです。

あと軽く補足を……

・予告通り今回からちょこちょこ地の文を入れてみました。
 なるべくこれ以上増やさないように、楽に読めるSSを心がけたいです。

・ルチアの神裂の呼び方ですが、原作では「神裂火織」とフルネームで呼んでいますが
 その呼び方だとあまりに他人行儀な気がしたので、このSSでは「神裂さん」にしました。

・五和を登場させた理由? >>1が一番好きな禁書ヒロインだからに決まってんだろォ!!
 あ、でも上琴も大好きです。


では次回の投下でまた!!


514以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 23:29:42.19VfK0n.U0 (1/1)

>>1お疲れ様。
大丈夫、そんな卒論とSSを同時進行して自らを追い詰めている>>1を
私は応援する。


515以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 23:32:15.81EYzljroo (1/1)

乙でした
やっぱり五和が超一番ですよね!


516以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 23:37:33.89nLp1hGE0 (3/3)

乙です!


517以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 23:50:59.28vNZqhu20 (1/1)

やはり佐天の魔法名は○○310になるのだろうか



518以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/08(水) 23:51:50.26jSPU4awo (1/1)

るいこー、おつなんだよ


519以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 00:47:08.005QTVlmY0 (1/1)

乙です
続きが来るまで全裸待機してます


520以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 01:17:04.87kPD3F.AO (1/1)

乙です


521以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 11:26:53.66FtSX15co (1/1)

>>517

佐天「panties310〔初春の下着を毎朝確認する者〕!!!」
ですねわかりますん


522以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 12:38:22.84vegeggQo (1/1)

cafe310(喫佐天)かもしれない


523以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 15:00:11.48n2xMFXso (1/1)

0310(無能力)だろう


524以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 16:13:13.45pUsqAgAO (1/1)

佐天「で、この魔法名を希望したいんですけど…」

受付「少々お待ちを……んー、既に登録されている魔法名なので、語尾に番号を指定させて頂きますね」

佐天「あ、はい。それはステイル君から聞いてたので問題無いです。で、何番になるんでしょう?」

受付「072です」

佐天「えっ…」

受付「その魔法名を付ける73人目ということです。初代は000ですから」

佐天「……072」


525以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 17:16:03.93.8MtBEU0 (1/1)

Oナニーww


526以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/09(木) 19:18:41.90GWkEaAA0 (1/1)

んなこといったらステイルはfortis臭い(931)になるけど


527以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/10(金) 10:45:32.88WqrIUw2o (1/1)

>>526
刺激臭という事だな


528以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/11(土) 00:18:59.54rtGtdHEo (1/1)

佐天さんSSはあまり読まないんだが、このSSは非常に面白そうだ。


529以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/11(土) 02:04:06.12a90x2QDO (1/1)

>>526
煙草臭いんじゃない?


530以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/11(土) 07:56:25.85x1EiNL.0 (1/1)

>>528
他をsageるようなことは言わずに仲良く楽しもうぜ


531以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/11(土) 15:38:16.993C8oW1go (1/1)

>>530
勝手に深読みし過ぎだろ


532以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/12(日) 02:29:18.54sXiWq8Io (1/1)

>>530
佐天さんのSS自体を読む事が少ない(もしくは単純に総数が少ない)だけで、読まないようにしてるってわけじゃねぇだろ? つまり何が言いたいかってーと、>>1マーダー?


533以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/12(日) 08:33:05.13GEIlU/.o (1/1)

ルチアかわいい


534以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/14(火) 03:39:58.72SEEk/ADO (1/1)

>>526
あわせると
最強に臭い
だな


535以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/15(水) 17:45:21.55CD1FPfwo (1/1)

ま、まだかうぎぎぎぎぎぎ


536以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/21(火) 18:51:18.96o8VbvaEo (1/1)

まだー?



537以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/22(水) 23:10:04.717m3fft2o (1/1)

まどぅくぁあ



538以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/23(木) 11:31:16.25uV1aqHU0 (1/1)

2週間で何か言うこともなかろう
気長に待とうぜ


5391 ◆fftSPPkhRw2010/12/23(木) 15:41:37.76wBCk2UE0 (1/1)

やっと例のアレが終わったぁぁぁぁ!!
「書くのに疲れたら、息抜きがてらSS書く」とか、そんなのやっぱり無理でした。
もう少し考えてやれ!って感じですね。

前回の書きため期間を合わせると、一ヶ月くらい休んでしまいました。ホントにごめんなさい!
投下をしたいところなんですが、まだ投下できる分量がないので、
今週の日曜日くらいまでにガガッと書いて投下したいです。
幸い明日も特に予定とかないしね。ハハハ! ハハハ……

というわけでもう少しお待ちください!



540以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/23(木) 18:32:30.73IWBnZHQo (1/1)

まつよ! 


541以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/23(木) 20:23:49.32i82Fnjg0 (1/1)

私ま~つわ いつまd(ry


542以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします2010/12/25(クリスマス) 21:44:18.77g0M0lt60 (1/1)


上条さんの話を聞いても佐天さんは何が何だか分からないだろうな
原作では出会ってないし。あ、でも興味はもつかもしれない


543以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2011/01/01(正月) 04:23:14.64RnlCozE0 (1/1)

いつまでも、待ちまっせ


544VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/05(水) 22:09:20.779mtwMFE0 (1/1)

魔術募集みたいなのがあったので

バベルの塔を基にした魔術
範囲内の人物と自分が使う言語が違うものになる
よって意志の疎通が困難orできなくなる
魔術を使う際に使用する呪文も普段使う言語でなくなるため使用不可or劣化する

敵味方の判別がつけられるなら中々強力でない?
佐天さんに使ってほしいけど強すぎるかな?


545VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/07(金) 08:20:03.093RLzheQ0 (1/1)

サテンさんはサタンとか


546VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/08(土) 02:02:01.23vNXjbos0 (1/1)




547以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2011/01/08(土) 08:23:26.36YYvSDM20 (1/1)




548VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/08(土) 16:39:32.81kG8feRo0 (1/1)




549VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/08(土) 19:34:08.64auLcARYo (1/1)




550VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/08(土) 19:44:52.37rEjCU0go (1/1)




551VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/08(土) 20:05:41.24.5y2JKAo (1/1)




552VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/08(土) 23:41:00.01CEgxdA6o (1/1)




553VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/09(日) 00:19:06.63flHukQ2o (1/1)




554VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/09(日) 14:29:08.18AuhC1FM0 (1/1)




555以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします 2011/01/10(月) 09:00:54.02wZ0jrkE/0 (1/1)




556VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/10(月) 14:28:22.43jMEA8B0Io (1/1)




557VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/10(月) 14:32:07.089BPifQImo (1/1)

んん?


558VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/10(月) 23:43:27.87NB+Fa6lR0 (1/1)

やっと追い付いた。
すげえ、原作であってもおかしくないレベルだわ。
支援。

ステイルの佐天さんに対する呼称だけど、ステイルは基本苗字で呼ぶんだよね。
佐「名前で呼んで」→ス「だが断る」っていうのステイルっぽいイメージがある。

余談だけど佐天さんと美琴で「名前で呼びたいけど今更感があって悶々する」の
想像しただけでかなり悶える。

……乙です。


559VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/11(火) 16:31:32.969sR1aZH80 (1/1)

まだかな?


560VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/12(水) 17:38:53.80yn2AWLOFo (1/1)

まだかなー


561VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/12(水) 17:45:58.871YMOY4G9o (1/1)

学研の


562VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/12(水) 18:25:04.16JCHg6V1W0 (1/1)

おばちゃん


563VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/12(水) 18:32:08.113QoAj2pio (1/1)

マナカナー


564VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/12(水) 20:37:20.81G0+1hGSAO (1/1)

魔法名の流れから



ステイル「逃げろ! キミがいても無駄に怪我をするだけだ!」

佐天「イヤだ! 私は逃げない!」

ステイル「何を言って……。キミはまだ弱いんだ。だから――」

佐天「そんなこと、私が一番よくわかってる! でも、ここで逃げたら昔と何も変わらない。ううん、昔よりもっと悪い」

佐天「私、ちっぽけだけど力を持って気づいたんだ。結局、今まで私が逃げてきた理由は、力がないからじゃなくて、自分の心が弱かったからだって」

ステイル「……」

佐天「私の願いは『強い人に全て任せず、少しでも強い人の助けになる』こと。だから、もう逃げない!」

佐天「さあ、いくよ!

『punish310(己の弱さを挫く者)』!」



という電波を受信した。

>>1がんばれ!


565VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/13(木) 01:25:22.94XhUP8T0go (1/1)

なんていう激アツなスレだ・・・支援


566VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/15(土) 01:22:38.84Axar6uPAO (1/1)

落ちないよな?
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




5671 ◆fftSPPkhRw2011/01/16(日) 20:07:56.37d86dgzPr0 (1/1)

さあ、日曜日になったしそろそろ投下を……って気が付いたらメッチャ時間経ってた!!

かなり遅れてすいません&明けましておめでとうございます!
忙しかった反動で遊び呆けてました。
核戦争後のベガスを走りまわったり、錬金術師として冒険する生活を続けてました。

今日投下したい所なんですが、この後ちょっと予定があるので、明日の22時くらいに。
あと掲示板自体新しくなってるみたいなんですけど、このままここに投下して大丈夫なんでしょうか?


SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




568VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/16(日) 20:38:08.25Uy9zfIyRo (1/1)

SSはNIP(SS速報VIP)に移転なので続ける場合は申請してスレをあっちに持ってってもらう必要があるよ。
申請はここで→ http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4gep/1294924033/

SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




569VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/16(日) 20:43:35.47SXelPtYAo (1/1)

>>567
待ってたよー!
移転は運営さんがいるとき手動でやってもらう形なので、移転してから投下するつもりなら今日申請しといた方がいいかも
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




570VIPにかわりましてGEPPERがお送りします2011/01/17(月) 00:01:10.33zBkS/oon0 (1/1)

すごいSSを見つけちまった…
やべぇおもしろすぎる
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




5711 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 22:12:14.37RMuNXBNG0 (1/1)

まだ移転はされていないみたいですね。もっと早めに依頼出しとけば良かったかな。
すまぬ(´・ω・`)

とりあえず今日はこのまま投下しても大丈夫なんだろうか?
大丈夫なら投下したいと思います。予告より少し遅れるけど、23時くらいに。
SS・小説スレは移転しました
http://ex14.vip2ch.com/news4ssnip/ Mobile http://ex14.vip2ch.com/test/mread.cgi/news4ssnip/




572真真真・スレッドムーバー移転 ()

この度この板に移転することになりますた。よろしくおながいします。ニヤリ・・・( ̄ー ̄)


573VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:05:48.87gFfpPk3fo (1/1)

移動したああああああ!!
>>1さん23時ですよ


5741 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:15:36.42zLdG+dDY0 (1/9)

ウワォォ!! 移転しとる!!
移転作業ありがとうございます!!

それでは投下していきますよー


5751 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:19:22.01zLdG+dDY0 (2/9)


―――ロンドン、日本人街、とあるアパートの共同台所




五和「あッ、佐天さん、おはようございます」

佐天が共同台所を覗くと、そこでは五和が朝食の準備をしていた。
まだここでの生活に慣れていないものの、朝食の準備は彼女の日課らしい。

佐天「おはようございます。何か手伝いましょうか?」

五和「そうですね。じゃあ食器をテーブルに運んでもらっても大丈夫ですか?」

佐天「了解です!」ビシッ

五和「フフ、じゃあお願いします」

佐天「それじゃあ、よっと……」

「おッ、佐天嬢、今日は早起きなのよな。それに朝食の準備の手伝いとは、感心感心」

佐天「おはようございます、建宮さん」

クワガタのような髪型をしてだぼついたシャツとジーンズの男、建宮が台所に顔を出した。
佐天は建宮が『天草式十字凄教』と呼ばれる一団の教皇代理だとここに来たときに聞かされたが、
一体何が教皇『代理』なのか未だによく分かっていない。
とりあえずリーダーなんだろうなということで納得している。



576VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/17(月) 23:19:29.16Dv4bsU7S0 (1/1)

このスレは学園都市に監視されています


5771 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:25:11.77zLdG+dDY0 (3/9)


五和「建宮さんも佐天さんに感心ばかりしてないで、少しは手伝ってくれませんか?」

建宮「『男子厨房に入るべからず』ってな。男の戦場は家の外にあるものなのよ」

佐天「でもうちのお父さんは日曜日なんかはよく料理作ってくれましたよ」

五和「それに私は外でも戦ってますけど」

建宮「建宮さんってば、古い日本男児だから、うんうん……」

佐天五和「…………」

「あれ、どうしたんすか? 朝から白々しい空気が漂ってますけど」

そこにやって来た小柄な少年、香焼はその場に流れるアレな空気を敏感に感じ取っていた。

佐天「香焼君、おはようー」

建宮「おお香焼。なに、ちょっとばかし“男”とは何か、二人に語ってたところなのよ」

香焼「そうなんすか。
 自分はてっきり教皇代理がまた空気読めない感じの発言したのかと思ったすよ」



5781 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:27:39.07zLdG+dDY0 (4/9)


建宮「あ、あれ? どうしたのよ香焼君!? そんなキャラだったっけ?
 原作にあんまり出てないからって、設定の改変は―――」

香焼「あ、自分も手伝います」

佐天「お、感心だねぇ、香焼君」

五和「それじゃあこっちをお願い」

香焼「了解っす」

香焼は佐天と一緒に朝食の準備を手伝い始めた。
それを見つめる建宮は、完全にこの場の流れに取り残されていた。

建宮「そしてこの疎外感……。し、仕方ないから建宮さんもお手伝いを―――」

五和「準備できたので、頂きましょうか」

項垂れる建宮。しかし誰もその様子に突っ込もうとしない。
佐天もここでの生活に必要なこの辺の『ノリ』に順応し始めていた。

佐天「他の皆さんはどうしたんですか?」

五和「牛深さんは任務で外に出てます。対馬さんは、この時間はまだ寝てますね。
 そう言えば佐天さん、今日から魔術の勉強が始まるんでしたよね?」



5791 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:34:18.40zLdG+dDY0 (5/9)


佐天「はい。だから何だから朝からソワソワしちゃって」

建宮「早起きだったのはそういう訳か。感心して損しちまったのよな」

佐天「でも魔術の勉強ってどんなことするんですかね?」

五和「詳しくは聞いていないんですか?」

佐天「そうなんですよ。ステイル君に『覚悟しておくんだね』って脅されただけで。
 皆さんはどうやって魔術を覚えたんですか?」

五和「魔術を覚えたとき? うーん、どうでしたっけ……」

香焼「そう言えば自分もよく思い出せないっす。いつの間にか使えるようになってたような………」

佐天「えーッ、そんなテキトーな感じなんですか?」

建宮「天草式は魔術を生活の中に溶け込ませる性質上、日常的な行動と魔術の境目が曖昧なのよ。
 だから格式張った魔術の修行みたいなものがあまり存在しないのよな。
 佐天嬢だって、いつ箸が使えるようになったとか、そういう日常動作については覚えてないよな?
 それとおんなじってことよ」

佐天「へー、じゃああたしもそういう風に魔術を覚えていくのかな?」



5801 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:40:49.73zLdG+dDY0 (6/9)


建宮「いやいや、これは天草式十字凄教っていう流派に限ったことであって
 たぶん他は違うと思うのよ。むしろ『格式張った魔術の修行』って感じなんじゃないの?
 しかも魔術を教えるのが、奴さんだしな」

佐天「うぅ……」

そう言われて、佐天は頭を抱えた。
本格的に魔術の勉強が始まると聞いてから、くすぶり続ける不安材料があったのだ。

五和「ステイルさん、すごく厳しそうですよね……」

佐天「薄々感じてたことをズバッと言われた……!」

何かにつけて刺のある言葉を吐くステイルのことだ。
教える側になった途端、物腰が柔らかくなるとは到底思えない。

香焼「でもステイルさんって何気にすごい魔術師すよね。
 『必要悪の教会』の戦闘要員の中では、かなり上位クラスじゃないすか?
 さすがに女教皇には負けると思いますけど」

五和「あれ? でもステイルさんって魔導師ではないですよね?」

建宮「今回はたぶん特別ってことなのよな。
 さすがのステイルも、弟子を取るほど完成された魔術師でもないのよ」

佐天「魔導師?」



5811 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:48:59.44zLdG+dDY0 (7/9)


建宮「魔術を使うのが『魔術師』。弟子を取ってその魔術を教えるのが『魔導師』。
 あと魔導書を所有している者って意味も含んでるか。
 まあ魔術の先生ってことよな。
 ステイルはあの歳でルーン文字の全解析と新たな文字の創出を成し遂げた『天才』かも知れんが
 弟子を取るとなると、自分の魔術を完成された一つの体系として纏め上げなけりゃならんのよ。
 そういう意味ではまだまだ経験不足よな」

香焼「教皇代理も、そんな的確な分析ができるんすね。どうしたんすか?」

建宮「そりゃあ教皇代理だからに決まってるのよ!? ホントにどうしたのよ香焼君!!
 もちろんそれはボケで言ってるのよな!?」

香焼「すいません、醤油取ってももらっていいすか?」

佐天「はーい」

建宮の言葉を軽くスルーして、香焼は佐天から醤油を受け取った。
他の二人も建宮の言葉に反応しないところが何だが哀しみを誘う。

建宮「何この扱い!? クソッ、香焼!! お前もそんなのほほんとしてていいのか?
 ぶっちゃけステイルとお前ってそんなに歳変わらないのよ!
 魔術でも身長でも完膚なきまでに敗北してるのよ!!」

香焼「なッ!? 魔術のことはともかく、身長のことはいいじゃないすか!!
 自分には自分の成長の時期ってもんがあるんすよ!!」

五和「魔術はともかくなの?」



5821 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:57:07.29zLdG+dDY0 (8/9)


建宮「はんッ!! そんなまったく需要のないショタ要素を満たしてどうするっていうのよ!
 そんなんだから何時まで経ってもモブキャラ+αくらい存在感しかないのよ!
 『けいおん!』で言えば、2期の第7話で出てきた澪ちゃんファンクラブの子くらいよな!!」

香焼「えーッ!? 自分はもう、純ちゃんくらいの立ち位置だと思ってたすけど」

建宮「それもう準レギュラーキャラじゃねぇか!? なんでそんな自己評価高いのよ!!
 建宮さんだってまだ、さわ子先生くらいのポジションだというのに!!」

香焼「そっちもレギュラーキャラじゃないすか!?
 教皇代理なんて精々ギー太くらいの存在感すよ!!」

「はぁ!? 何言ってんのよ香焼ッ!! どういうつもりだ、コラッ!!」
「教皇代理なんて、唯ちゃんのそばにずっといるだけで、存在感の薄いキャラってことっすよッ!!」
「何だとッ!! ……あれ? それはけっこうよくね?」

二人が存在感を巡る熱い(?)議論を交わしていると、スラリと背の高い女性が台所に姿を見せた。
金髪の似合う綺麗な女性なのだが、その髪も今はボサボサでその片鱗はどこにもない。

五和「あッ、対馬さん、おはようございます」

対馬「うん……おはよー……」ボケッー

香焼「相変わらず対馬先輩朝弱いっすね」



5831 ◆fftSPPkhRw2011/01/17(月) 23:59:19.45zLdG+dDY0 (9/9)


対馬「低血圧なんだらからしょうがないで、ふぁぁぁ……。
 ああ、えーと、さ、さ、さ……」

佐天「佐天です、佐天涙子です」

対馬「うんうん……覚えてた覚えてた。佐々木ちゃんもおはよー……」

佐天「いやだから佐天です。ていうか、そろそろ行かないと!」

壁に掛かっている時計は、約束の時間の四十分前を指している。
時間的にはまだ余裕があるものの、慣れていない土地なので少し早めに出る必要がある。

佐天は残りの味噌汁を一気に喉に流し込んだ。

五和「佐天さん、頑張ってくださいね!」

建宮「頑張ってくるのよー」

香焼「道に迷わないように気をつけたほうがいいっすよ」

対馬「いってら、ふぁぁぁ……」

佐天「はい、それじゃあ行ってきます!」



5841 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:08:31.66UtyHmu9r0 (1/13)


―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館




佐天「し、失礼しまーす……」

指定された部屋のドアを開けて、佐天は恐る恐る部屋の中に入った。

「いらっしゃいませ、佐天さん」

佐天「あれ? なんでオルソラさんがここに?」

そこにはこの前女子寮で会ったおっとりしたシスター、オルソラが待っていた。

オルソラ「あら? お聞きになっていないのでございますか?
 佐天さんの魔術の勉強に関しては、何人かで分担して行うことになっているのでございますよ」

佐天「まったくの初耳ですよ」

オルソラ「あらあら。もしかしたらステイルさんなりの心憎いサプライズなのかも知れませんね」

佐天「何ですか、その微妙なサプライズ……」

オルソラ「ステイルさんも忙しい身の上でございますからね。
 ステイルさんも私も他の方も、仕事の都合上、毎回お教えできるとは限りません。
 佐天さんにはご迷惑をお掛けしますが、このような形式になってしまったのでございます」



5851 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:15:47.98UtyHmu9r0 (2/13)


佐天「い、いえ、教えてもらえるだけでも、十分ありがたいですよ!」

オルソラ「フフフッ、佐天さんは優秀な生徒さんのようでございますね。
 それでは改めましてよろしくお願いします、佐天涙子さん」

佐天「はい、よろしくお願いします」

そう言って二人はお互いに頭を下げた。

オルソラ「では私がお教えする内容でございますが、十字教の基本的な『教え』でございます」

佐天「基本的な教え、ですか?」

オルソラ「はい、つまり、この聖書を学んでいくのでございますよ。
 言わばこれが私の授業の教科書でございます」

オルソラが佐天の目の前に差し出したそれは、慣れ親しんだ学校の教科書とは明らかに異なっていた。
一応日本語で書かれているようだが、読めと言われてスラスラ読める自信はない。

佐天「うぅ……何か難しそうですね。しかも分厚い」

佐天はその聖書を手に取ってみる。ズッシリとした重みが手に伝わった。

オルソラ「そのようなことはございませんよ。
 聖書に書かれていることをすべて覚え、理解することは確かに容易ではございませんが
 少しずつ学んでいけば問題ないのでございますよ」



5861 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:20:41.38UtyHmu9r0 (3/13)


佐天「そういうものですか。ああそうだ、一つ、気になってたことがあるんですけど」

オルソラ「何でございましょう?」

佐天「えっと、あたし、十字教徒じゃないんですけど、聖書を学ぶ資格とか、あるんでしょうか?」

オルソラ「ということは佐天さんは、仏教でございましょうか?」

佐天「はい、たぶん。うちってそんな宗教とか熱心じゃなくて、仏教のほうもよく分からないんです」

佐天は首を傾げて、学園都市を出る前まで住んでいた実家のことを思い出してみた。
親戚の葬式に行ったときはお坊さんが来ていたはずだが、
宗派はなんだったかと言われても全く分からない。

オルソラ「はい、それでも問題はございませんよ。お教えするのはあくまで十字教の教え。
 信仰心まで押し付ける気はございません」

佐天「うーん……あんまり違いが分からないんですけど……」

佐天はさらに首を傾げる。

オルソラ「フフフッ、今はよく分からないものかも知れません。
 しかしそのうち分かるようになるのでございますよ。
 それでは今日は神の子の生い立ちと足跡についてを学んでいくことにいたしましょう」



5871 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:26:55.79UtyHmu9r0 (4/13)


………………………………

………………

………


オルソラ「はい、今日はこの辺で終わりでございます。
 お疲れ様でございました」

佐天「お疲れ様ですー」

佐天はそのままぐでーと机に突っ伏した。

オルソラ「本当にお疲れのご様子でございますね。少し難しかったでしょうか?」

佐天「いえ、むしろすごく分り易かったです。
 だから沢山の情報が頭に入ってきて、それで今頭の中が『ウワァー』って感じです」

オルソラ「『ウワァー』でございますか?」

佐天「はい、『ウワァー』です!」

そう言って佐天は両手を高らかに天に突き上げた。
文化の壁を超えるためのボディランゲージである。

オルソラ「『ウワァー』はよく分かりませんが、やはり佐天さんは優秀な生徒さんでございますね」



5881 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:30:50.09UtyHmu9r0 (5/13)


佐天「オルソラさんってすっごい教えるのが上手ですよね。
 あ、こんなこと言ったら失礼ですよね」

オルソラ「いえ、お褒めいただき光栄でございます。
 私は長い間様々な土地で布教活動をしておりましたので
 きっとそのお陰なのでございますよ」

佐天「布教って電車の中で三人掛かりで猛烈に話しかけたり
 英会話サークルだと思ったら宗教団体だったというやつですか?」

オルソラ「恐ろしいくらい偏った知識でございますね。誰の体験談なのでございますか?
 というよりも、やはり日本の方は少し宗教というものに対して抵抗があるのでございますね」

佐天「うーん、そうかも知れませんね。特にあたしの場合は学園都市から来ましたから」

オルソラ「確かに『神』という目に見えない存在を信仰するというのは
 科学側の人達からすれば愚かに思えるのでございましょうね。
 しかしどちらも人々が積み重ねてきた知識という意味では同じ。
 今日お教えしたことも『神』という存在を通して生きた人々の知恵や歴史なのでございますよ」



5891 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:37:44.39UtyHmu9r0 (6/13)


佐天「…………」

オルソラ「やはり少し難しかったのでございますか?」

佐天「いえ、そうじゃなくて、あたしって
 そういうことなんにも知らないでここに来ちゃったんだなあと思って。
 もうちょっと勉強してくれば良かったです」

もちろん学園都市を出るときに決意や覚悟がなかったわけでない。
しかし魔術を学ぶために、もっと自分でもできることがあったのでないだろうか?
それが小さな後悔となって、佐天の心を掠めた。

オルソラ「それも含めて少しずつ学んでいけば良いのでございますよ」

佐天「うぅ……頑張ります!」

オルソラ「その意気でございます。それでは本日は私はこの辺で。
 この後次の方でいらっしゃるので、その方がまた色々教えてくれるのでございますよ」

佐天「次の方?」



5901 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:43:08.45UtyHmu9r0 (7/13)


ルチア「先日お会いしましたね。ルチアと申します。
 元は『ローマ正教』に所属しておりましたが、現在は『イギリス清教』の一員です。
 私はシスター・オルソラに比べて、人に物を教えた経験が多くはありません。
 不束者ですがよろしくお願いします」

佐天「よ、よろしくお願いしますッ!」

佐天の目の前に立っているのは、オルソラと同じく、先日女子寮で会ったルチアだった。
しかしさっきのオルソラを見たときのような安堵は、そこにはない。
むしろ少し嫌な予感がする。

佐天(ルチアさんか……。この前会った時何か怖そうだったし、大丈夫かな)

ルチア「私が教えるのは『言語』です。まずは、そうですね……」

ドンッ!とルチアが机の上に置いたのは、かなり使い込んだ感のある本だった。
先程オルソラからもらった聖書よりもさらに分厚い。

ルチア「このラテン語訳の旧約聖書を読むところから始めることにします。
 ラテン語は現在では口語として学ぶ価値はあまりありませんが
 魔術分野は元より、多くの分野で存在感を持ち続けている言語です。
 ラテン語訳の参考として、このイタリア語訳版を使ってください」

さらにその横にドンッ!と置かれた本は、ラテン語版と同じくらいに分厚かった。

スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



5911 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 00:58:33.40UtyHmu9r0 (8/13)


ルチアは一気にまくし立てた。
もちろん佐天にとってそれらは全部まとめて“知らない言葉”であり、
ヘブライ語にいたっては「えッ? そんな言葉あるの?」という状況である。

佐天「日本語だけですぅ……」

ルチア「はぁぁぁ!? 本当に日本語しかできないのですか!?
 一体貴女は何のために遥々ロンドンまでやって来たのですか!!」

佐天「すいません……」

涙目になる佐天。嫌な予感は見事的中した。

ルチア「まったく、呆れて物も言えません。
 学園都市という場所は、神の教えに背くような研究をしているばかりではなく
 他国の文化まで蔑ろにしているのですか?」

佐天「ホントにすいません……。でも日本の中学生が英語を喋れないのは
日 本全国どこでもそうだと思うんですけど」

ルチア「日本全土が我々を馬鹿にしているのですか!?」

佐天「そ、そういうことは偉い人に言ってください!!」

スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



5921 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 01:00:04.82UtyHmu9r0 (9/13)


話題が違う方向にスライドしていきそうな雰囲気の中、部屋のドアが開いた。

アンジェレネ「どうしたんですか、シスター・ルチア? 何か叫んでいたみたいですけど」

ルチア「シスター・アンジェレネ! 聞いてください!!
 やはり日本などという国は異教の蛮族の地です!!
 今すぐ『ローマ正教』に戻り、対学園都市の戦列に加わるべきです!!」

佐天「えぇ!? そんな話じゃなかったですよね!? あたしが英語できないって話ですよ!!」

アンジェレネ「えッ? 英語できないんですか?」

小さく可愛らしいシスター、アンジェレネが若干引き気味で佐天に尋ねた。

佐天「そ、そうです……」

佐天(そう言えばこの子もあたしと同じくらいか、少し下くらいの歳なのに日本語話してるもんね。
 やっぱり学園都市でもっと色々と勉強しておけば良かったよぉ……)

アンジェレネ「この国際社会で、母国語しかできないっていうのはちょっと問題があると思いますよ。
 少なくとも三ヶ国語くらいはできるようにならないと」

佐天「はい……」

スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



5931 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 01:01:27.19UtyHmu9r0 (10/13)


ルチア「そうです! シスター・アンジェレネ、もっと言ってあげてください!」

アンジェレネ「私だってヨーロッパの言語は元より、日本語だって喋れるんですからね。
 まあラテン語はよく分かってないですけど」

ルチア「えッ!?」

佐天「ん?」

アンジェレネ「あッ!」

再び部屋の空気が凍り付く。しかし今回はさっきよりもさらに冷たい。
さっきのが零度の氷だとすると、今度はマイナス二〇〇度の液体窒素くらいに。

ルチア「シスター・アンジェレネ!! 今何と!?」

アンジェレネ「い、いやシスター・ルチア! よく分かってないって言っても
 時々分からない単語とかがあるくらいで、ほとんどは分かってますよ!!」

ルチア「ラテン語が読めない魔術師なんて前代未聞ですよ!?
 普通有り得ませんよ、そんなこと!!」

アンジェレネ「そ、そんな訳ないじゃないですか! ホントです、ホントですってば!!」

スレが壊れたところ、直します。。@荒巻 http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/operate/1161701941/



5941 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 01:06:11.20UtyHmu9r0 (11/13)


ルチア「では私が魔術として使っている聖カテリナの『車輪伝説』について説明してください。
 魔術を学び初めた頃、一緒にラテン語の専門書で読みましたよね?」

アンジェレネ「え、えーと、確かうっかり坂の上で聖カテリナが車輪を落としてしまって
 それが八百屋に突っ込んで大惨事という……」

ルチア「どんな愉快な出来事なんですか!? それはもう『伝説』じゃなくて『町内事件簿』ですよ!!
 それよりもシスター・アンジェレネは
 私の魔術の元がそんな下らない事件だと思っていたのですか!!」

アンジェレネ「車輪の破片が飛び散るのが、八百屋の野菜が吹き飛ぶのを模しているのかと」

ルチア「それだったら私は車輪ではなく野菜を使いますッ!!」

怒り狂うルチアと、必死に取り繕うアンジェレネを、佐天は呆然と見つめた。

佐天(あたしにも分かる……。この子、駄目だ……!)



5951 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 01:08:41.65UtyHmu9r0 (12/13)


ルチア「もう分かりました!! シスター・アンジェレネ!!
 貴女もこれから佐天さんと一緒に私の授業を受けてもらいます!」

アンジェレネ「えーッ!? お菓子を食べる時間がぁ」

ルチア「そんな時間は元よりありません!!
 佐天さんは英語、シスター・アンジェレネはラテン語です!! 返事はッ!!」

佐天    「は、はいッ!!」
アンジェレネ「は、はいッ!!」

ルチア「ではまずは―――」

佐天(うぅ……大変なことになりそう)

アンジェレネ「えーッ、そんな難しいものからやるんですか? もっと簡単なのを―――」

言い争いながらも、お互いを信頼して、頼り合っているのが伝わる二人。
そんな二人を見て、どこか懐かしいような気持ちを佐天は覚えた。

佐天(初春たち、今頃どうしてるかな?)












―――学園都市、第七学区、風紀委員一七七支部



初春「…………」

カタカタカタッ…




5961 ◆fftSPPkhRw2011/01/18(火) 01:36:39.14UtyHmu9r0 (13/13)

めっちゃ重くてなかなか書き込めなかったけど、なんとか投下終了!
建宮の声がTOVのレイヴンの影響で、竹本英史さんで脳内再生されるのは自分だけでしょうか?

最後になったけど遅めのレス返しをいくつか
>>558、>>570
温かいお言葉ありがとうございますッ!!
実際まだまだ自分の思う「面白い」には程遠いですが、これからも完結目指して頑張ります!
あと>>558のネタはおまけで使いたいかも。
>>544
このSSで登場するオリジナル魔術は攻撃系よりも妨害系が多いので、そのアイデアは面白いですね。
でも『とある』の世界観的に、出てくる魔術師はかなり多言語に精通しているので、けっこう対応してきそう。
いっそ「オセアニア諸島の言語のどれかをランダムで使わなくてはならない」とかならかなり強力かも。
>>564
クソッ!! また一つ魔法名を名乗るときのいい感じのシチュエーションが一つ減った!! どうしてくれる!!
ってのは嘘で支援ありがとうございます!!
佐天さんの魔法名は何となく決まりました。ちなみに最後の数字は「310」ではありません。

というわけは本日はここまで。次回は1月21日(金)の予定です。
これまではなるべく週3回のペース(最近はまったく守れてませんでしたが)で投下してきましたが、
今後は投下量を増やし週2回のペースを目標にやっていきたいです。
書くペースは以前とあまり変わらないと思いますが、けっこうきっちりプロットができてしまっているので、
量ではなく、話のキリごとに投下するほうがいいかなと思っています。
こまめに投下してほしいという方はゴメンなさい。

それではまた次回に!あ、感想や質問はお気軽に!




597VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:40:47.85VickQylC0 (1/1)

乙なんだよ!
魔術の解説といえばこの私の出番なんだよ!


598VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 01:51:37.861E2Q1CS70 (1/1)

インフィニットさんはお引取り下さい


599VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 02:29:19.27UYrqgJoN0 (1/1)






600VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 03:48:59.01obqhAQjn0 (1/1)




601VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 03:51:05.12/t9xcqWSO (1/1)

お、1来てたのか。乙です!
佐天さん分が減ってきてたんで久々に堪能したわ~。


602VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 04:32:09.45FOX8u6Zbo (1/1)

そげ夫wwwww


603VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 07:17:47.11wKQAqbaDo (1/1)

なんか新しいキャラできそうだな


604VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 11:10:36.44VnKDcVee0 (1/2)

                       そげ夫→ヘ(^o^)ヘ いいぜ                         |∧                       /  /                 (^o^)/ てめえが何でも                 /(  )    思い通りに出来るってなら       (^o^) 三  / / > \     (\\ 三 (/o^)  < \ 三  ( / / く  まずはそのふざけた       幻想をぶち殺す




605VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 11:11:39.85VnKDcVee0 (2/2)

なんかメチャクチャずれたorz


606VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/18(火) 20:09:41.8412xZ+UfCo (1/1)

建宮さんは確かにキャラ的にはTOVのレイヴンだなww
でも声はユーリという不思議な状態・・・
佐天さんはどの輪に入れても友達作りが上手そうで羨ましい


607VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 01:24:30.068avDyNS0o (1/1)

英語……俺も勉強しようかな……


608VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/19(水) 16:57:45.78wpjfm6dJ0 (1/1)

こなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいい


6091 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 19:08:12.34hOZPeY+X0 (1/18)

予告通り、今日の二十三時頃に投下を開始します!

『seisoku-index@wiki』 http://www35.atwiki.jp/seisoku-index/
のこのスレのページに、前回の投下分までが更新されていました。お暇な時にでも御覧ください。
毎回細目に更新していただき本当にありがとうございます。wikiに載せてもらえたことはSSを書く上で大きな励みになっています。
厚かましいですが、これからも宜しくお願いします!

もちろん皆さんのレスも励みになってますよ!ありがとう!
でもゴメン、>>604はちょっとキモイと思うんだ……。


610VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/21(金) 21:27:09.04gTlGeFh20 (1/1)

追いついた


6111 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:02:14.36hOZPeY+X0 (2/18)

それじゃあ投下開始します。


6121 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:06:31.57hOZPeY+X0 (3/18)


―――学園都市、第七学区、風紀委員一七七支部




初春「…………」

カタカタカタッ…

いつも喧騒の止まない風紀委員一七七支部は、今日は恐ろしいほど静かだ。
物音一つしない、というわけでない。
初春がキーボードを叩く、カタカタという無機質な音しか聞こえてこないのだ。

白井「う、初春ー、そろそろ休憩したらいかがですのー?」

白井はソワソワした様子でそう尋ねた。

初春「……大丈夫です」

白井「そ、そんなことを言わずに。あら、こんなところに牛乳オタ……ではなく
 固法先輩が持ってきてくださった牛乳まんじゅうが!」

初春「…………」

カタカタカタッ…

初春は白井が話しかけている間、一度もパソコンのモニターから目を離さなかった。



6131 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:08:34.61hOZPeY+X0 (4/18)


仕方なく白井は、手に持つ『“あの”武蔵野牛乳が放つ究極の一品、武蔵野牛乳饅頭ゥッ!!』
とテンションの高い煽り文句が書かれたまんじゅうを頬張った。

白井「うッ……お、おいしいですわね、このおまんじゅう」

初春「…………」

白井「美味美味ぃ、です、の……」

初春が視線をモニターに固定したまま、口を開いた。

初春「……白井さん、この前の引ったくりの件、容疑者のリストアップ終わってますか?」

白井「えッ!? あ、あの、それでしたら、ま、まだですの。
 も、もちろんこの後やろうと思っていたんですのよ」

初春「そうですか。じゃあ私、こっちが終わったのでそれやっておきます」

白井「そ、そんな!? それは私の仕事! 私が責任をもってやりますわ。
 初春はそれよりも少し休憩を―――」

初春「大丈夫ですよ。私―――」

スッと、この時初めて初春はモニターから視線を外し、正面からその眼差しを白井に向けた。

初春「疲れてませんから」



6141 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:11:14.17hOZPeY+X0 (5/18)


白井「うッ!?」

白井(そんなどんよりした目で言われても、全く説得力ありませんの。でも……)

初春「だから白井さん、私に任せてください」

その目からは、決してポジティブではないタイプの強い意志が見て取れた。
こうなった時の初春は、誰が何と言おうと自分の意見を曲げない。
これまで風紀委員のパートナーを務めてきた白井にはそれが嫌というほどよく分かっている。

白井(言い返せる気がしませんの……)

白井「で、ではお願いしましょうか。ホホッ、ホホホホッ……」

白井の返事を聞くと、初春はモニターに向き直り、キーボードを叩き始めた。

カタカタカタッ…

白井「はぁ……」

固法「お疲れ様」

トボトボと敗残兵よろしく戻ってきた白井に、固法は声を掛けた。

白井「お疲れ様、ですの」



6151 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:14:00.75hOZPeY+X0 (6/18)


固法「初春さん、今回はかなーり思い詰めてるわね」

白井「そうですわね。初春ったら、辛い時や悩んでいる時はそう言えばよろしいのに。
 周りの人間に言わず、自分だけでどうにしかしようだなんて、全く困りものですわね」

固法「ホントニソウデスネ」

白井「ん? どうしたんですの固法先輩? 新発売のボーカロイド、固法ミイですの?」

固法「微妙に語感が似てるからやめて。誰かさんととっても似てると思っただけよ。
 それにしても、初春さんがああなってるのって、佐天さんが原因なのよね。
 こう言っちゃ悪いけど」

白井「そうですわね。佐天さんが、というよりも佐天さんの突然の留学が、ですが」

白井が佐天の留学のことを話したのは、佐天が学園都市を出たすぐ後だった。
白井自身、この話を聞いた時は心底驚いたが、それは固法も同じだった。

固法「それにしても佐天さん、なんで突然留学なんかすることになったの?」

白井「それがよく分かりませんの。初春に聞いたところ
 学校側も佐天さんの留学は直前になって上層部から言い渡されたそうで」

固法「学園都市上層部から? 不自然っていうか明らかにおかしいでしょ?」

白井「そうなんですの。そもそも佐天さんはレベル0。
 あまり言いたくありませんが、上層部が何からの強い関心寄せているとは……」



6161 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:18:40.56hOZPeY+X0 (7/18)


固法「もしかして最近話題の『原石』だっていう可能性は?
 あれなら通常の能力検査じゃ判定できない場合もあるから、レベル0でもおかしくないんじゃない?」

白井「例え佐天さんが『原石』であったとしても
 そのような稀少な能力者を学園都市が海外へ送るでしょうか?
 しかも他国と戦争をしているという、こんな危険な状態の最中に」

固法「うーん、確かに……」

白井「まあ、その辺の不明確さも初春の精神を圧迫する材料の一つに―――」

初春「白井さん」

白井「は、はいですのッ!?」

突然を掛けられた白井は、ビクゥッ! と飛び上がった。

初春「私、この仕事が終わったら、今日は帰らせてもらいます」

白井「ど、どうぞどうぞ。早く帰って体を休めるのが一番ですわ。
 そうですわ初春! この後一緒にお茶しに行きませんこと?
 最近アップルパイが美味しいお店を見つけたんですのよ。
 固法先輩も一緒に、ねえ?」

固法「い、いいわね。是非一緒にいかせてもらうわ!
 あ、私はアップルパイじゃなくてミルクパイにしようかしら」

白井「固法先輩、それは某錬金術ゲームにしか存在しない一品ですのよ」



6171 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:26:04.80hOZPeY+X0 (8/18)


初春「……すいません、今回は遠慮しておきます」

少し考えるような間を開けて、初春はそう答えた。

白井「そ、そうですの。ざ、残念ですわねぇ! ねえ固法先輩?」

固法「そ、そうね! 全くそう!! お茶しに行くのはまた次の機会にしましょうか!」

初春「……はい」

カタカタカタッ…

再び初春の打鍵音が虚しく響く。
自分の提案を少しの間検討してくれただけでも、良いことなのかも知れない。
しかし、

白井「はぁ……」

と溜息をつかずにはいられなかった。

白井(全く困りものですわ。初春も、そして……)

白井は思い浮かべる。
表面上はいつもと変わらないものの、きっと心の内はこの厄介な同僚と同じ、愛すべきルームメイトのことを。

白井(お姉さまも)



6181 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:28:41.91hOZPeY+X0 (9/18)


―――第七学区、とある公園




御坂「チェイサーーーッ!!!」

その掛け声で御坂が蹴りを放つと、ドンッ!! という本来自動販売機からしてはいけない音と共に、
いつものように缶ジュースが一本転がり出た。

御坂「よいしょっと……何これ? 『ガヴァアロエアガリクスQ10』って
 どんだけ健康になりたいのよ」

明らかに不審な緑色の缶のプルトップを開け、御坂はグイっとその缶ジュースを呷った。

御坂「うげぇ!? しかも不味いしッ……」

御坂「はぁ……」

溜息をついた御坂の視界に、見知った人の姿が入った。

御坂「あッ……」

初春「御坂さん……」

御坂「初春さん、今帰り?」

初春「はい、さっき風紀委員の仕事が終わったので」



6191 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:30:53.01hOZPeY+X0 (10/18)


御坂「そう。じゃあ黒子もそろそろ帰ってくる頃ね。私も寮に戻ろうかしら」

御坂はそう言って大きく伸びをした。

初春「あの、御坂さん」

御坂「ん? 何?」

初春「あの……佐天さんからメールが来たんです」

そう告げる初春の表情は、決して明るいものではない。
その意味が、御坂は何となく分かる気がした。

御坂「それ、いつのこと?」

初春「はい。今日の朝のことなんですけど」

御坂「そのメール、見せてもらっていい?」

初春「はい、これです」

初春は鞄の中から携帯を取り出し、メール画面を開くとそれを御坂に手渡した。
急いで御坂は携帯を受け取り、ざっとその文面に目を通した。



6201 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:36:26.12hOZPeY+X0 (11/18)


初春「学校で先生から聞いた説明と同じでした。偶然イギリスへの交換留学生に選ばれたって」

御坂「でも……そんなの、突然過ぎるわ!」

初春「このイギリスとの交換留学の件、調べてみたんですけど、確かに学園都市が決定した正式なものでした。
 でもどこにその交換留学が計画された形跡がないんです。まるで……」

御坂「誰かが最近になって突然決めた。
 しかも学生一人を自由にできるくらい、権力を持つ人間が」

しかしそれは何のために? 御坂の思考はいつもそこで止まる。
何度考えを巡らしてみても、納得のいく答えを得ることができない。
そして思考を繰り返すたび、不安は増す。

御坂「初春さん、佐天さんにこっちに戻ってきてもらうように説得しよ!
 この件は、やっぱりどこかおかしいわ!!」

初春「……どこかおかしいところがあっても、説得なんてできませんよ」

御坂「そんなことないわよッ!! 事情を説明すれば、きっと―――」

初春「御坂さん、覚えてますよね?
 私たちがあの日、佐天さんに会いに空港に行った時のこと」

御坂は思い出す、あの日のことを。
佐天がイギリスへ行くことを知ってしまった初春と共に、御坂は第二十三学区の国際空港へ向かった。



6211 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:39:24.95hOZPeY+X0 (12/18)


あの時、御坂は初春に佐天と会うのを任せ、空港の外で一人佇んでいた。
それは、こういう時は一番の親友である初春のほうがいいだろうとか、そんな意図ではなかった。
それは……

初春「あの時の佐天さん、誰かに無理やり連れて行かされてるとか、そんなのじゃありませんでした。
 ましてや精神を操られてるとかでもない。
 自分で考えて、自分で決断したんです。佐天さんは」

初春「そんな佐天さんのやろうとしてることを邪魔するなんてできない……!
 だからそのメールにも、なんて返せばいいか分からないんですッ!!」

御坂は改めてそのメールを読んだ。
やはり佐天の留学の説明は不自然で、どこか辿たどしさのようなものを感じる。
それでも学園都市を出た決意や初春への気遣いは、どう見ても本物だった。

御坂「でも、それでも―――」

初春「御坂さんだって、佐天さんが変だって気付いてたのに、何もできなかったじゃないですかッ!!」

御坂「……ッ!!」

御坂は唇をぎゅっと噛み締めた。初春の言葉に腹を立てたわけではない。
その言語の通り、何もできなかった自分の無力さが、あまりに悔しかったからだ。

だってあの時佐天に会わなかった理由は、説得できる自信がなかったからなのだから。



6221 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:42:47.06hOZPeY+X0 (13/18)


初春「す、すいません……!」

ハッと自分が何を言っているのか気付いた様子で、初春は頭を下げた。

御坂「ううん。いいわ……。本当のことだもの」

初春「御坂さん、この件、あの誘拐事件と関係してるんでしょうか?」

御坂「それは、佐天さんの誘拐の直後に留学が決まったから?」

初春「それもあります。それにあの誘拐犯たちが英語を話していたっていう情報があるんです」

御坂「英語……イギリス人だったかも知れないってこと?」

初春「はい。もちろんはっきりしたことは分かりませんが」

それは御坂も考えていたことだった。
あの誘拐事件と佐天の留学は、あまりにも連続している。
そして御坂が感じた『佐天の不自然さ』も、誘拐事件の後から始まっている。

初春「御坂さん……」

御坂「それが本当で、佐天さんのことをいいように利用しようとする連中がいるんだとしたら―――」

御坂「私はそいつらを絶対に許さない……!」



6231 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:45:23.04hOZPeY+X0 (14/18)


―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館




ステイル「というわけで午後からは僕が『魔術』について教えていくんだが……」

佐天は期待のこもった、いや期待がこもり過ぎてキラッキラしてる視線をステイルに注いでいた。

ステイル「何だい? その見てるだけが目がチカチカしてきそうな眼差しは。
 欝陶しいから止めてほしいんだが」

佐天「いやぁー、ついにあたしも魔術を使える日が来たんだと思うと
 こう、ワクワクが止まらなくってさ! 今のあたしは、どんな厳しい修行にだって耐えちゃうよ!
 で、どんなことするの?」

ステイル「何と言うか、そこまで期待されると、正直やり辛いな。まあやる気があるのはいいことか」

ステイルは調子を整えるように、小さく咳払いをした。

ステイル「一口に魔術を教えると言っても、魔術理論や魔力精製の法則
 さらに魔術の論理的基盤となる伝承・伝説の知識とか、教えることは多岐に渡る。
 とりあえず今のところは基礎的な部分全般を僕がまとめて教えることになっている」

佐天「はーい」



6241 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:47:26.86hOZPeY+X0 (15/18)


ステイル「えらく気軽に返事してくれるね。本当に君は午前中真面目に話を聞いていたのか?
 疲労の色とか、そういうのが見られないんだが」

佐天「だからやる気に満ち溢れてるだけだって!! 午前中も真面目に勉強してたよ!
 まあ、難しくて分かんないことも沢山あったけど」

ステイル「十字教の教えを学ぶことも言葉の勉強も、魔術を覚えるには必要であることは分かっているね?
 特にラテン語なんかは日本人の君にとって全く馴染みのないものだと思うけど
 魔術関連の書籍の多くがラテン語で書かれているから、読めないと話にならないんだ」

佐天「うん、何かそれはすごくよく分かった。
 あたし英語ができるようになったらラテン語頑張るよ……」

ステイル「?」

えらく神妙な様子の佐天に、ステイルは不審そうに眉をひそめた。

佐天「で、どんなことするの? 早く教えてよ!」

ステイル「そう焦るな。君が使うのは、これだ」

もう「ワクワク」と口で言ってしまうそうな佐天の目の前に、ステイルは懐から取り出したものを置いた。

ドンッ! と、今日は何だかよく聞いた気がする音と立てて机に置かれたそれは、
今日見たもののうち、一番古びていて、一番分厚い一冊の本だった。



6251 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:52:13.94hOZPeY+X0 (16/18)


佐天「で、デジャヴ……!? ステイル君、これ、何?」

ステイル「はぁ? タイトルが書いてあるじゃないか。
 『西洋魔術理論の基礎(上)』だよ。
 日本語訳の本を見つけるのは大変だったんだよ。神裂にも協力してもらって、ようやく見つけたんだ。
 ラテン語はおろか、英語さえできない君に、翻訳されていないものを渡すのは酷だからね」

佐天は恐る恐るその本を手に取り、ページを捲った。

佐天「なになに……『伝承と其れに依拠する魔術の関係 問題(一)
 魔術師丙が北欧神話に基づくミュルニルの槌を顯現させ
 魔術師乙がデートリヒ叙事詩のヒルデグリムの兜で其れを防いだ時、兩者の魔術はどうなるか答へよ』」

ステイル「さすが魔術理論の基本書だね。非常に分り易い問題だ。
 つまり魔術の大元である伝承の関係性に魔術自体も影響を受けるというもので―――」

佐天「何これッ!? 数学なの? 国語なの? 全然意味が分かんないしッ!!
 ていうかまた本で勉強するの!?」

ステイル「仕方ないだろ。魔術理論なんだ、こういった書物で勉強するのが最も効率がいい」



6261 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:55:31.54hOZPeY+X0 (17/18)


佐天「えーッ、魔術の勉強だから、今度こそ『これぞ魔術ッ!!』って感じのことができると思ったのに!」

佐天は駄々っ子のように椅子の上でジタバタした。
ステイルは迷惑そうにそれを眺めた。

ステイル「そう駄々をこねるな。もちろん理論だけじゃなく、魔術の実践も勉強してもらう」

佐天「えッ、ホント!? やったーッ!!」

ステイル「使うのは、これだ」

そう言ってステイルが机の上に置いたのは、何の変哲もない二つの卵だった。

佐天「卵……これを一体どうするの?」

佐天(もしかしてこの卵に魔術を掛けて、強力なモンスターの卵に変えるとかじゃない?
 ハッ!? これって所謂『召喚』だよ!! スゴイッ!! 魔術っぽい!!)

今や佐天の頭の中では、佐天の魔術を受けた二頭の竜が、天を狭しと暴れまわっている。
RGPのオープニング映像などにありそうな感じである。



6271 ◆fftSPPkhRw2011/01/21(金) 23:58:27.64hOZPeY+X0 (18/18)


ステイル「今日行うのは、この二つの卵のうち、どちらが生卵でどちらがゆで卵か判別する魔術だ」

その瞬間、今まで暗闇の中でも光って見えるんじゃないかというくらい輝いていた佐天の瞳が、
残念なくらい一気にどよんと曇った。

佐天「……ステイル君」

ステイル「何だい?」

佐天「地味……」

ステイル「じ、地味だとッ!? そんなことはない!! 今から実演して見せよう。
『我が母と崇めし偉大なる神 大母神ガイア様…… 親愛なる大気の精霊たちよ
 大いなる大地に眠る熱き地脈 澄み渡る大気に潜む鋭き気流よ……』」

佐天「何でそこは無駄にカッコイイの!?
いやー、何て言うか、あたしが想像してた魔術と違うんだよね。もっとこう、派手な感じのさ」

ステイル「君は何か勘違いしていないか?
魔術はディズニー映画に出てくる魔女が使うようなお手軽で万能なものじゃないんだよ。
魔術はあくまで正当な理論に則った学問なんだ」

佐天「分かってはいるんだけど、何となくモチベーションが下がるというか」

ステイル「見習いの君にはちょうどいいよ」



6281 ◆fftSPPkhRw2011/01/22(土) 00:01:21.44XINhMn6c0 (1/6)


佐天「うーん、そうだ、簡単なのでいいから、ステイル君みたいに炎を出せる魔術を教えてよ!
 そうすれば、あたしだって少しくらいは『必要悪の教会』の戦力に……」

それまで憎まれ口を叩いていたステイルの口が閉ざされた。
佐天はステイルの顔を覗き込んだ。

佐天「ステイル君? どうかした?」

ステイル「いや、何でもない。
 君はそんなことを言う前に、基礎的な魔術をマスターすることに集中しろ」

佐天「はーい。まあ確かにそうだよね。千里の道も一歩から!
 よーし、地味な魔術を完璧に使いこなせるようになって、
 カッコイイ感じの炎の魔術を教えてもらうぞぉ!!」

ステイル「…………」



6291 ◆fftSPPkhRw2011/01/22(土) 00:03:31.60XINhMn6c0 (2/6)


―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館、入り口




ステイル「それじゃあ明日も今日と時間に」

佐天「りょーかいッ!」

佐天はそう言うと、ふざけてステイルに向かってビシッと敬礼した。

ステイル「気を付けて帰るんだね。最近は婦女子ばかりを狙う
 切り裂きジャックなる人殺しが出るって専らの噂だ」

佐天「あたしだってそのくらい知ってるよ。それ、百年くらい前事件でしょ?
 ていうか心配なら送ってくれてもいいじゃん。紳士じゃないなぁ、ステイル君は」

ステイル「僕はまごうことなき英国紳士だよ。
 ……この後片付けなくちゃいけない仕事があるんだ。悪いね」

佐天「ううん、別に大丈夫。そういうことじゃないかって思ったよ。
 ステイル君が何気に色々と気を使ってくれる人だって、少しは分かり始めたからねぇ」

ステイル「……勝手に言ってろ」

ステイルはそう言って佐天から顔を背けた。
佐天はそれを見て、くすりと笑った。



6301 ◆fftSPPkhRw2011/01/22(土) 00:06:28.42XINhMn6c0 (3/6)


佐天「それじゃあまた明日!」

ステイル「ああ」

佐天は、そう言葉少なく去っていくステイルの後ろ姿をしばらく見送り、アパートへ向かって歩き出した。

佐天(うーん、やっぱり慣れないことばっかりだったし、疲れたぁー)

佐天は腕を突き上げ、大きく伸びをした。
一日中座りっぱなしで凝り固まった体の筋がほぐれていくのを感じる。

佐天(予想はしてたけど、どれも難しそうだよね。本当に、あたしにできるのかな……。
 ああ!! ダメダメ!! 弱気になってちゃ駄目だ!!
 ポジティブだ! ポジティブになるんだ佐天涙子!!)

佐天(ここで頑張らなきゃ、何のために学園都市を飛び出してきたか分かんないし……)

そう自分に言い聞かせ、佐天は歩を早めた。

佐天が歩いているのはロンドンの中心部から少し離れたエリアで、都会の喧騒からも一線を画している。
通り過ぎる建物もビルなどは少なく、オープンテレスのカフェや古びたアパートが目に付いた。



6311 ◆fftSPPkhRw2011/01/22(土) 00:10:54.99XINhMn6c0 (4/6)


佐天(そう言えばロンドンの街中って、学園都市とぜんぜん違うなぁ。
 学園都市はきっちり整備されてどこもかしこも真新しかったけど
 ここは建物とか道路に歴史が詰まってる感じ)

佐天(どことなく『学舎の園』に似てるかも。
 こんな素敵な街で暮らしてるって知ったら、初春羨ましがるかな)

初めて『学舎の園』に行ったあの時、初春は『本来私みたいな庶民は一生縁がない場所なんですよぉ』
と言ってはしゃいでいたっけ。
自分もミーハーであるという自覚はあるけれど、初春のは筋金入りだ。

佐天(あの時食べた『パスティチア・マニカーニ』のケーキ、美味しかったなぁ。
 ああそう言えばあの時に『マユ毛事件』が起こって、重福さんに会ったんだっけ。
 ヤバッ! 重福さんにロンドンにいること知らせてないよ。スゴイ数の手紙があっちに届いてそう……)

佐天(あれから数ヶ月しか経ってないのに、何だか懐かしい気がするな。
 御坂さんと白井さんに出会って、あたしが幻想御手を使っちゃって、初春やみんなが助けてくれて
 春上さんと木山先生の生徒さんの事件を解決して……)

佐天の心の中で、学園都市での様々な思い出が反芻される。
辛かったこと、悔しかったこと。
それらも今は、みんなと過ごした日々が眩しくてはっきりと見えない。



6321 ◆fftSPPkhRw2011/01/22(土) 00:14:54.68XINhMn6c0 (5/6)


佐天(何だろう、この気持ち。あたし、自分で望んで、自分で決めてここに来たのに。
 初春が伸ばした手を払いのけてまで、ここまで来たのに……)

佐天は、胸の奥に風が吹き込んだように、スッと冷たくなるのを感じた。
自分が見知らぬ土地に、今たった一人でいるという事実が、痛いほどに思い出される。

佐天(何、この感じ……。何か嫌だ。強くなろうって決めたのに……)

夕刻、行き交う人々はみな家路を急いでいる。
きっとそこには家族や恋人が彼らの帰りを待っているのだろう。

佐天の足は少しずつ鈍くなり、そして止まった。
沢山の人が佐天の背後からやって来て、足早に去っていく。

佐天(あたし……)



6331 ◆fftSPPkhRw2011/01/22(土) 00:21:39.85XINhMn6c0 (6/6)

というわけで今回は以上!

最近気づいたんですが、このスレに限らず、見てる人は若い人が多いんですね。
何となく同世代がそれより上だと思ってました。
第一部で魔法陣グルグルの台詞をどこかに入れた記憶があるんですが、そりゃあ気付きませんよね。
これからは懐かしいガンガン系漫画のネタとかは入れないようにします。

次回は一月二十五日(火)を予定しています。もしかしたらその翌日になるかも知れませんが。
それではまた来週にお会いしましょう!!


634VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 00:25:54.19toUm251Xo (1/1)

超乙でした!!
>>1オススメのグルグル読んでみるか・・・


635VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 00:29:48.83tlWwupzOo (1/1)

御坂さんの目にはキタキタ踊りがカッコよく見えたりするのかねぇ


636VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 01:01:23.865pc/w5fAO (1/1)

乙、佐天さんホームシックか


637VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 01:33:34.95LzQDmS3Vo (1/2)

俺は二十代でグルグル直撃世代だからガンガン来い


638VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 02:29:57.09ij3fgAvqo (1/1)

但し魔法は尻から出るが真っ先に浮かんだ


639VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 02:42:53.82ABJ1OuOSO (1/1)

わ、腋の下でおにぎりを!


640VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 12:52:32.72fmZ3jdRAO (1/1)

ここはわんわんののろい


641VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 14:34:35.79P3mDueb40 (1/1)

ギンギー料理


642VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 15:17:03.30gCoAx83AO (1/1)

佐天「じぇ、聖母殺人伝説ッ!」


643VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 16:46:43.31LzQDmS3Vo (2/2)

落ち着け
グルグルネタでスレが埋まっていくぞ


644VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/22(土) 23:50:28.25fOreo6GCo (1/1)

じゃあ俺はパカパカ餃子を


645VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 00:12:34.73zDTVwm1bo (1/1)

佐天さんが真面目に勉強している姿が思い浮かべられない
難しい講義だと途中で飽きてぐでーってなるイメージ


646VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 01:39:18.55zKb3ZvADO (1/1)

面白い


647VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 18:31:46.30gjjvfBhp0 (1/1)

佐天さんはアレだよね
神話とか本で読むよりもアニメとか漫画にしてあげるとすぐに覚えられるタイプな感じ
詳細が分からなくてもモチベ維持や大枠理解のためにそういうのの方が向いてそう


648VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 20:09:57.45WgaGGFDoo (1/1)

では早速夜なべして作ったこの紙芝居で教えるのである


649VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/23(日) 22:46:33.83aEdE15J00 (1/1)

>>642
佐天さんが最強になってしまうじゃないか


650VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 16:48:36.46ujoaHcWE0 (1/1)

聖母殺人伝説(ジェノサイド・エクストリーム)

懐かしすぎワロタ


651VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 17:19:58.45Nw6h14WQo (1/1)

一気に読んだけど、初春と美琴の勘違いがうぜぇ・・・
とくに美琴が空回ってやがる


652VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/24(月) 18:25:49.38t7h7ua/IO (1/1)

続きが待ちどおしい


653VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 00:32:58.02qBwouQ5ko (1/2)

やっと火曜日か


6541 ◆fftSPPkhRw2011/01/25(火) 18:58:44.88yIRiq7EF0 (1/1)

ちょいと間に合いそうにないので投下は明日に延期します。
(m´・ω・`)m ゴメン…


655VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 19:54:29.26qBwouQ5ko (2/2)

( ´゚д゚`)エーッ!!?





656VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/25(火) 21:15:43.25w4lWK0400 (1/1)

おkおk
待ってます


657VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 08:28:38.65ywkyWOtSO (1/1)

グルグル最終巻だけない
最終巻だけどこにも売ってない…何故だ………


658VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 10:09:21.774zeBl24DO (1/1)

聖母殺人伝説wwwwww

魔王倒せるんだから天使も倒せるかもなwwwwww


659VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 12:47:54.11jA2YFzTW0 (1/1)

5ダメージもあればさすがにどんなキャラでも倒せるだろう


660VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 15:53:43.81vLkCD1rAO (1/1)

股間紳士伝説(チャーグル・イミスドン)!!

…ごめんちょっと言ってみたかったんだ
ビアージオと中の人同じだし


661VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/26(水) 17:42:22.42PLt17Eyo0 (1/1)

>>660
マジ?そんなフィアンマやアックアさんともやり合えそうな声なのかwwwwwwwwwwwwww


662VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 00:24:27.78TA8gHQi5o (1/1)

明後日…


663VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 05:44:40.822ERAhYEL0 (1/1)

あれ?


664VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 20:08:40.86XxA5U7ZWo (1/2)

マダァ?(・∀・ )っ/凵⌒☆チンチン


6651 ◆fftSPPkhRw2011/01/27(木) 20:27:11.40ygD1AKHB0 (1/1)

昨日はメシ食ったら寝ちゃってました。てへッ☆(・ω<)……すいません、ちょっと寝てなかったもんで。

というわけで今日の0時頃に投下しますよー。

>>642、>>650、>>658
こ、コルネットー!! >>1も『ハーメルンのバイオリン弾き』大好きですよ。初めて買った漫画がこれです。
てか>>627の元ネタがハーメルンだと気付いてくれたんだろうか?

>>660
ビアージオは若本さんでしたね。小物臭半端なかったビアージオが、若本さんのおかげでメッチャ強そうですね。
このビアージオは仲間吸収して変身とかするんじゃないか?

今回の投下で第二部の最初のまとまりが終わります。あと3,4回投下したらやっと半分かな?
先は長ぇですが、今後もよろしくお願いしやす。


666VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/27(木) 20:46:11.47XxA5U7ZWo (2/2)

キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!


667VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/27(木) 21:03:45.03icz+arBX0 (1/1)

>>665
がんばれ!かんばれ!がんばれ!
俺、この話が終わる前に禁書全巻読み終わると約束する


6681 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 00:29:47.38r7gCkUTy0 (1/15)

それじゃあ投下開始します!


669VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 00:30:08.80MLqpFYqyo (1/2)

wwkwwk


6701 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 00:31:09.33r7gCkUTy0 (2/15)


―――日本人街、とあるアパートの共同台所




佐天「ごちそうさまでした……」

そう言って佐天は茶碗を置いた。茶碗の中にはまだ半分ほどご飯が残っている。

五和「佐天さん、もういいんですか?」

佐天「はい、ちょっと食欲がなくて」

香焼「あれ? 佐天さん調子でも悪いんすか? 風邪でも引きました?」

佐天「いや、そういうわけじゃ……」

しかしその声はいつもの明るい佐天のものではない。
香焼が頭を傾げると、建宮はやれやれと言わんばかりに香焼を見た。

建宮「香焼、女性がそういうことを言う理由は一つしかないのよ」

香焼「なんすか、その理由って?」



6711 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 00:39:00.50r7gCkUTy0 (3/15)


建宮「ズバリ、ダイエットなのよな!! 佐天嬢もお年頃よなぁー。
 男は女が思うほど、体形なんて気にしてないっていうのに」

五和「佐天さん、ダイエットしてるんですか!? そ、その体のどこに痩せる余地があるっていうです!?」

佐天「い、いや、ダイエットなんてしてませんよ! ただちょっと、食欲が無いだけで」

建宮「いかんのよな。朝食は一日を元気に乗り越えるためには欠かせないのよ」

五和「そうですよ。むしろ朝食をしっかり採ったほうが太りにくいって聞きますし」

香焼「へー、そうなんすか。あれ? 対馬先輩珍しく朝早いのにやけに静かすね。
 どうかしたんすか?」

対馬「……私、佐天ちゃんが元気じゃない理由知ってるのよ」

対馬は手に持ったお椀を見つめたまま、そう言った。

佐天「えッ!?」

五和「何を知ってるんです、対馬さん?」

対馬「それは……いや、本当に言ってもいいのかしら」



6721 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 00:47:01.26r7gCkUTy0 (4/15)


香焼「どういうことすか?」

佐天「あの、皆さん、あたしの問題はその辺で……!」

対馬「その、この問題は、天草式の尊厳に関わるっていうか……」

佐天「へ?」

建宮「穏やかな話じゃないのよな。しかしそこまで言われちゃあ聞かないわけにもいかない」

対馬「でも……」

牛深「そうだぞ対馬。佐天ちゃんがどんなことで悩んでいるとしても
 手を差し伸べるのが俺たち天草式なんじゃないのか?」

天草式の一員で、大柄な体躯を持つ牛深は、諭すように対馬にそう言った。

対馬「くッ!!」

対馬は牛深に鋭い視線を向けると、手に持った箸とお椀をテーブルに叩きつけた。

対馬「何他人面して言ってんのよ!! 原因はあんたでしょ!!」



6731 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 00:52:32.95r7gCkUTy0 (5/15)


牛深「はぁ!?」

佐天「えーッ!?」

牛深、そして佐天からも驚きの声が上がった。
特に佐天は突然の事態の完全に困惑している。

五和「う、牛深さんがッ!?」

香焼「ちょ、ちょ、ちょっとそれ、どういうことすか!?」

対馬「私、見てしまったのよ。昨日、牛深が佐天ちゃんを部屋に連れ込んでいるのを!」

五和「えッ? それって……///」

牛深「ち、違う! あれは―――」

対馬「それだけじゃないわ。その後、牛深の部屋からドタドタ音がして、静かになったと思ったら
 佐天ちゃんが頬を真っ赤にして部屋から出ていったのよ!!」

五和「そ、そんな……///」

香焼「それのどこが佐天さんが落ち込む原因になるんすか? よく分かんないんすけど」

対馬「これだからお子様は……! いい、香焼、よく聞きなさい!
 牛深は、佐天ちゃんを部屋に連れ込んで、無理やり、て、て、手篭めにしようとしたのよッ!!」



6741 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 00:58:00.74r7gCkUTy0 (6/15)


佐天「ちょ、えーッ!?」

佐天は再び驚きの声を上げた。
自分の知らないところで事態が進行しているこの状況に、佐天は全くついていけていない。

香焼「手篭め?」

対馬「無理やりいやらしいことするってこと!」

五和「……牛深さん、見損ないました。佐天さんに、そんなことするなんて……!」

香焼「そう言えばいつのまにか『佐天ちゃん』とか馴れ馴れしく呼んでたすよね」

五和と香焼から凍り付くような冷たい視線が注がれた。
対馬は深刻な表情で、牛深を見た。

対馬「まさかとは思ってたけど、あんた、ロリ―――」

牛深「ろ、ロリコンちゃうわッ!! 違う!! そういうことじゃない!!」

対馬「じゃあ何だっていうのよ!!」

牛深「いや、昨日突然DVDプレーヤーが動かなくなって、
 学園都市から来たんだからそういうのに詳しいだろうと思って佐天ちゃんに聞いたんだよ」

対馬「それで?」



6751 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:02:48.95r7gCkUTy0 (7/15)


牛深「で、説明書とか持ってないかって言われて探してたら
 押入れの奥に収納してた、俺の……コレクションが落ちてきまして……」

五和「コレクション?」

牛深「えっと、その……」

対馬「つまり、いやらしい本が出てきたってこと?」

牛深「はい……」

観念したように、牛深は頷いた。
誤解を解く代償として、彼は大切なものを失ったのだ。

香焼「どっちにしろ結構最悪すね」

牛深「本当にそれだけなんだよ!! なあ、佐天ちゃん!!」

対馬「だから馴れ馴れしく佐天ちゃんとか言ってんじゃないわよ!!」

佐天「でも、本当にそれだけで……」

五和ははっと気付いたように声を上げた。

五和「もしかして、佐天さんが脅されて本当のことを口止めされているんじゃ……!」

対馬「あんたどこまでゲス野郎なの!!」

牛深「だから違うってッ!!」



6761 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:05:02.31r7gCkUTy0 (8/15)


建宮「落ち着け。お前ら、ちょっとは仲間を信じるってことができないのか」

その場にいる全員が、今まで状況を静観してきた建宮の方を見た。

五和「建宮さん……」

牛深「そうだぞ、少しくらい俺の言い分を―――」

建宮「ロリコンってのは一種の病気なのよ。俺たちが治るって信じてやれないで、誰が信じるのよ」

牛深「えーッ!! そっちの信じる!? ちょっと、何言ってるんですか!!」

香焼「でも具体的にどうやって治療するんすか?」

建宮「当面は佐天嬢へ牛深の欲望が向かわないのが最優先よな。つー訳で香焼、お前、女装しろ」

香焼「はぁぁぁ!? 何で自分がッ!?」

建宮「ロリコンはショタコンの素質を持っていることが多い。
 そこで香焼が『男の娘』になることで、牛深の歪んだ欲望を香焼に向けてもらおうって寸法よな」

香焼「無理無理無理ッ!! 大体そんなことしたら牛深先輩の病気が悪化するじゃないすか!」

牛深「病気って言うなッ!!」



6771 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:07:36.44r7gCkUTy0 (9/15)


建宮「四の五の言ってんじゃねぇ香焼! 大人しくこの『小妖精ロリメイド』を着るのよな!!」

そう言って建宮は、なぜかテーブルの下から一着の服を取り出した。
全体的にフリルがあしらわれたその服は、よく見るとスカート部分が透けるような作りになっているらしい。

香焼はそれを凝視して、全力で首を横振った。

香焼「何でそんなもの持ってんすか!! 着れないすよこんなの!!」

建宮「香焼、男ならか弱き女性を守るため、一肌脱ごうって気にならないのか!!」

香焼「男だから着れないんすよ!!」

ガタッと椅子が引かれる音がその場に響いた。
混乱の極みの中にある天草式の面々がそちらを見ると、佐天が椅子から立ち上がっていた。

佐天「あ、あたし、そろそろ時間なんで行きます」

五和「えッ、佐天さん?」



6781 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:10:56.07r7gCkUTy0 (10/15)


佐天はそのままアパートの玄関へ向かって走り去った。

五和「ちょっと、佐天さん!!」

建宮「放っとけ、五和」

五和「でも!」

建宮「きっと、俺たちにゃあ分からん悩みなのよな」

対馬「私たちには、分からない悩み?」

建宮「そういうことよな。帰る場所があるっていうのも、決していいことばかりじゃないってことよ」



6791 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:14:59.07r7gCkUTy0 (11/15)


―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館




ルチア「つまり、この一文は、この前の九節の『パウロとも呼ばれていたサウロは
 聖霊に満たされ、魔術師をにらみつけて』を受けたもので……」

佐天はルチアの言葉に耳を傾けながら、聖書に書かれている英文を必死に書き写していた。

ルチア「佐天さん、そこは ”light ways” ではなく ”right ways” です。
 それでは『真っ直ぐな道』ではなく『光の道』になってしまいます」

佐天「あ、すいませんッ!」

急いで佐天はそれを消しゴムで消す。
力んだせいか、ノートに亀裂のような皺が走った。

ルチア「どうしたんですか? 少したるんでいるのではありませんか。
 昨日も似たよなミスをしていたように思いますが」



6801 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:18:44.18r7gCkUTy0 (12/15)


佐天「き、気をつけます……!」

ルチア「しっかりしてくださいよ。私も通常の職務の間を縫ってこうやって来ているのです。
 奉仕活動ではないのですよ」

佐天「……すいません」

ルチア「まったく……。シスター・アンジェレネ、何を他人事のように聞いているのです。
 貴女もそこの文、間違っていますよ」

アンジェレネ「えッ、どこですか?」

ルチア「ここです、ここ! もう、二人ともしっかりしてください」

アンジェレネ「でもシスター・ルチア、私はそろそろお腹が空いてきました。
 持ってきたチョコレート食べていいですか?」

ルチア「いけません! 大体なんでこんなところにチョコレートなんか―――」

佐天「…………」



6811 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:22:50.20r7gCkUTy0 (13/15)


………………………………

………………

………



ステイル「じゃあ今日も昨日の続きを―――」

佐天「ステイル君!」

ステイル「何だい?」

佐天「あ、あの……そろそろあたしにも攻撃系の魔術を教えてほしいんだけど」

ステイルは溜息を吐いた。佐天を見下ろすその目は、いつもより厳しい。

ステイル「……またその話か。今教えている魔術が不服だというのかい?」

佐天「そういうわけじゃないけど……」



6821 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:26:26.83r7gCkUTy0 (14/15)


ステイル「じゃあどういうわけなんだ?」

佐天の目が泳いだ。

佐天「えっと、それは……そう、あたしだって『必要悪の教会』の一員なんだし、戦う力を手に入れて
 みんなの役に立ちたいって、その、思ってるから」

ステイル「…………」

佐天「ステイル君! あたし―――」

ステイル「駄目だ。今の君にはそんなもの、必要ない」

佐天「どうして! あたしは―――」

ステイル「現状に不満があるというのなら、君に魔術を教えるのは止めだ。
 僕はそれでも一向に構わない」

佐天「……ッ!!」

ステイル「……話はそれだけか。じゃあ今日のやることは……」



6831 ◆fftSPPkhRw2011/01/28(金) 01:31:08.31r7gCkUTy0 (15/15)

というわけで今回は以上!

本当は最後まで行きたかったんですが、少し気に入らない箇所があったので、
書きなおして明日また投下します。

ウオォー!もっとスピードアップして書きたいぜ!!


684VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 01:34:02.13MLqpFYqyo (2/2)


期待してる


685VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 01:42:12.49qm2O8D42o (1/1)

天草式が天草式過ぎて何というか天草式だ


686VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 02:36:30.07pyjKJ/gAO (1/1)

理想に対して現実が伴わない、魔術サイドでもそれは変わらずか


687VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/01/28(金) 07:47:18.69QLmgYzbP0 (1/1)

>>685
建宮がきれいな建宮だったころはこんなことにならなかったのに・・・・・・
いい奴をなくしたもんだぜ・・・・・


688VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/28(金) 13:40:21.437O3SnpyAO (1/1)

すぐ結果を欲しがる所が佐天さんっぽくて良いな。これからどう変わっていくか期待


6891 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 19:47:14.84j3uVEvFJ0 (1/19)

今回は色々と遅れたり予告通りに投下できなかったりしてすいませんでした。

二二時から続きを投下します!



690VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 20:54:14.22auv2DOzUo (1/1)

ごっつあんです


6911 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:14:24.48j3uVEvFJ0 (2/19)

そいじゃあ投下していきます。


6921 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:20:52.33j3uVEvFJ0 (3/19)


―――ロンドン、市街地




昨日から振り続く雨が、今日もまだ歩道を濡らしていた。
佐天はその道を、傘をさしてとぼとぼと歩いている。

佐天(何やってるんだろ、あたし……)

佐天(もっと真面目にやらなくちゃいけないのに。
 これじゃあ何のためにここに来たのか、分からなくなりそうだよ。でも……)

佐天はここ数日のことを思い出していた。
慣れない魔術の勉強、言葉の通じないロンドンでの生活、そして時折感じる孤独……。

それに加え、佐天にはここのところ気になっていることがあった。

佐天(なんでステイル君は攻撃系の魔術を教えてくれないんだろう。
 そりゃああたしがまだまだ未熟だってことは間違いないけど、
 『必要悪の教会』の一員なんだから、いつかは戦わなくちゃいけないはずなのに)

佐天の足が水溜りを踏んだ。じんわりとした冷たさが、ゆっくりと立ち上ってくる。

冷たさが、一つの疑念を佐天の中に生じさせる。
それは学園都市で何度も聞かされ、そして何度も自分でも思い知ったことだった。



6931 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:25:12.10j3uVEvFJ0 (4/19)


佐天(もしかして、あたしに才能がないから? そ、そんなはずないよね。
 だって魔術は才能がなくても使える力なんだし、簡単な魔術なら今だって使えるんだし)

佐天(でももし、ずっとこのまま簡単な魔術しか使えなかったら?
 どんなに頑張っても、それ以上できなかったら?)

初めて学園都市に来た日、自分にはどんな能力があるんだろうとワクワクしていた。
結果、自分には何の能力もない『レベル0』だと聞かされたが、
最初は努力すれば能力が得られるだろうと思っていた。

しかしいつまで経っても身体検査(システムスキャン)が突きつける数字は『0』のまま。
いつしか佐天は、能力向上のために努力することを諦めていた。

佐天(困った時はいつだって御坂さんや白井さん、初春が助けてくれた。
 あたしもそんな風になろうって、みんなを助けられるようになろうと思ったのに)

佐天は立ち止まった。
この先は考えちゃいけない。考えたら、また歩き出せなくなる。でも……

佐天(でももし、ここに来るって選択が間違っていたとしたら―――)

後ろからドンッと鈍い衝撃が佐天に走った。
その衝撃で、佐天は前のめりに倒れた。佐天の手から傘が飛び、歩道に放り出された。



6941 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:26:30.20j3uVEvFJ0 (5/19)


佐天「キャッ!?」

女性「Oh!」

佐天「す、すいません!」

見上げると、ビジネススーツを来た女性が迷惑そうに佐天を見下ろしていた。

女性『もう、急に立ち止まんないでよ』

佐天(英語だ……! 何言ってるか分かんないよ)

佐天「あ、あ、あの……」

女性『はぁ? ちょっと貴女大丈夫なの? どこか怪我でもした?』

頭が混乱する。降りしきる雨で身体は濡れていくのに、口の中はカラカラに渇いて言葉が出てこない。

佐天「えっと……」

女性『貴女、人が心配してるんだから何か言いなさいよ!』

佐天「あ、あ、あ……」

女性『ねえ、聞こえてるの?』



6951 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:32:46.19j3uVEvFJ0 (6/19)


「佐天さん!」

聞き覚えのある声が佐天の耳に飛び込んできた。
声のした方を見ると、買い物袋を抱えた五和がこちらに向かって走ってきていた。

佐天「い、五和さん……」

五和「大丈夫ですか! 何かあったんですか?」

五和は急いで自分の傘の中に佐天を入れた。
歩道の上に座り込む佐天の目は、怯えるように焦点が合っていなかった。

佐天「あの、その……」

女性『もしかして貴女たち、日本人なの?』

五和『はい。彼女、まだこっちに慣れてなくて。あの、彼女が何か……』

女性『ぶつかっただけよ。でも安心したわ。どこか怪我したわけじゃないのね。
 その子に私も悪かったって伝えておいて。それじゃあ』



6961 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:36:36.18j3uVEvFJ0 (7/19)


少々バツが悪そうにそう告げると、女性は歩き去っていった。
五和は歩道に投げ出されている佐天の傘を拾い、その手に持たせた。

五和「佐天さん、立てますか?」

佐天「……はい」

五和「あー、服とかだいぶ濡れちゃいましたね。風邪を引かないうちに、早くアパートに戻りましょう。
 さあ―――」

佐天は五和の腕をギュッと掴んだ。五和が佐天の顔を覗き込む。

五和「佐天さん?」

佐天「う、う、う゛ぅ……」

佐天の目から、ゆっくりと涙が流れ落ちるのを、五和は見た。

五和「佐天さん!? ちょっと、大丈夫ですか? 佐天さん!!」



6971 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:39:48.98j3uVEvFJ0 (8/19)


―――日本人街、とあるアパートの共同台所




五和「はい、佐天さん。ホットココアです。熱いから気をつけてください」

佐天「ありがとう、ございます」

バスタオルを肩から羽織ったまま、佐天はマグカップを受け取った。
五和はテーブルに背を預け、じっと動かない佐天を見た。

五和「佐天さん、何があったか教えてもらってもいいですか?」

佐天「…………」

佐天は黙って湯気が立ち上るココアの水面を見つめていた。

五和「あの、言いたくなかったら、無理にとは……」

佐天「……五和さん、魔術って才能とは関係ないものなんですよね」

五和「はい、一応はそういうことになってます」



6981 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:44:54.52j3uVEvFJ0 (9/19)


佐天「一応って、どういうことですか?」

佐天は顔を上げた。その沈んだ瞳を見て、五和は少したじろいだ。

五和「えっと、使用することそのものに才能は関係ないと言っても、魔術は一つの技術です。
 才能、と言っていいのか分かりませんが、向き不向きは確かに存在します」

佐天「向き不向き?」

五和「例えば、そう、お料理なんかも一つの技術ですが、得意な人とそうでない人がいますよね。
 覚えるのも得意な人と不得意な人では早さも違いますし」

佐天「それが、魔術にも言えるってことですか?」

五和「は、はい。魔術師は世界中にそれなりの数がいますけど、
 強力な魔術を行使したり、魔導師になったりする魔術師は僅かです。
 えっと、ステイルさんなんかはそういう意味では魔術の『才能』に溢れていると言えると思います。
 ルーンを使った魔術を極めた『天才』と呼ばれるくらいですから」

佐天「……じゃあ、才能のない人間が、どう頑張っても意味がないってことですか」

五和「いえ、そんなことは……」



6991 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 22:55:54.33j3uVEvFJ0 (10/19)


五和はそこで口篭ってしまった。
佐天は下を向いたまま続ける。

佐天「学園都市の学生が超能力の開発を受けてるのは知ってますよね?」

五和「はい」

佐天「あたし、六段階ある能力レベルの中の一番下、レベル0だったんです。
 つまり、あたしには何の能力もなかったんです」

佐天「どんなに頑張っても結果は変わらなくて、良くない方法に手を出してみんなに心配をかけて
 それでも……力を手に入れることは諦められなくて、ここまで来たのに―――」

佐天「ここでも何の結果も出せなかったら、努力が無駄に終わってしまったらって思うと
 あたし……怖い。これ以上、努力するのが怖いんですッ!!」

五和「佐天さん……」

五和は佐天に下を向いて震える佐天をしばらく見つめた後、すっと短く息を吐いた。

五和「……失礼します」

パンッ!

佐天「ッ!?」

佐天は一瞬何が起こったのか分からなかった。
五和が自分の頬に平手を打ったと気付いたのは、熱くなった頬に手を当てた時だった。



7001 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:00:17.78j3uVEvFJ0 (11/19)


五和「私は佐天さんがどのくらいの覚悟を持って学園都市を飛び出してきたか知りません。
 それがどのくらい辛いことだったのかも」

佐天「…………」

五和「でもそれはそんなに簡単に砕けてしまうようなものなんですか?
 貴女が学園都市にいる親しい人と離れてまで魔術を学ぼうと思ったその決意は
 そんなに簡単に揺らいでしまうものなんですか?」

佐天「……違います」

佐天「違いますッ!! あたしの決意は、そんなに安っぽいもんじゃないッ!!」

五和はふっと笑みを漏らした。

五和「それなら努力することを恐れる必要なんて、ないんじゃないですか」

佐天「でも……」

五和「私だってそれほど才能のある魔術師ではありません。本当に才能のある人にはきっと負けてしまう。
 でも、守りたい人たちがいるから、大切な人がいるから強くなろうって努力しています」



7011 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:04:02.79j3uVEvFJ0 (12/19)


五和「だから佐天さん、立ち止まるのは止めにしましょう。
 この先辛いことがあっても、少しくらいは私がその支えになります」

佐天「う、う、う゛ぅ……五和さんッ!!」

佐天は腕を伸ばし、五和の胸に飛び込んだ。
五和はそっと、その震える背中に手を回した。

五和「大丈夫です。佐天さんならきっとできます」

佐天「はい……」

五和が佐天の頭を、幼い子供をなだめるように撫でる。
さらさらとした黒髪が、五和の指で柔らかに流れた。

佐天「……おっきい」

五和「はい?」

佐天「胸、おっきい」

ムニュ

五和「にゃああああああああああああッ!!!」

五和が悲痛な叫び声を上げる中、佐天はその平均値を圧倒的に凌駕する五和の胸に顔を擦り付けていた。



7021 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:07:04.95j3uVEvFJ0 (13/19)


佐天「やっぱりおっきい……。初春のとは段違いだよ。ていうか柔らかッ……」

五和「や、止めてください佐天さん!! こんなの、うぅ……嫌……///
 離して、ください!!」

佐天「あと三〇分、いや二五分だけ!」

五和「長過ぎますッ!!」

五和は佐天の背中に回していた手を離し、肩を思い切り押した。
勢い余って佐天は、そのまま後ろ向きに椅子から転がり落ちた。

佐天「ウギャッ!?」

五和「さ、佐天さん!? 大丈夫ですか?」

佐天「は、はい。何とか……」

五和「す、すいませんでしたッ!! あ、あの……」

したたかに打ち付けた腰をさすりながら、佐天は立ち上がった。
そして五和に向かってぺこりと頭を下げた。

五和「さ、佐天さん……?」



7031 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:09:36.13j3uVEvFJ0 (14/19)


佐天「五和さん、ありがとうございました」

五和「えッ!? いえ、私の胸なんか女教皇に比べてたら全然―――」

佐天「いやいや、そっちではなくて」

佐天は改めて五和の方に向き直った。
その目はさっきまでとは違い、力強い光を宿していた。

佐天「五和さんが励ましてくれなかったら、あたし、また頑張るのを止めちゃうところでした」

五和「慣れない土地に一人できたんです。誰だって不安になりますよ」

佐天「それに、気合も入れてもらいましたし」

佐天は五和に張られた頬に手を当てながら笑った。

五和「す、すいませんでしたッ!! あの、勢いっていうか、何ていうか……」

佐天「でもちょっとビックリしたなぁ。五和さんがそんな熱血タイプの人だったなんて」

五和「いや、その……面目ないです……」

佐天「ハハハッ。気にしてないで……クシュンッ!!」

五和「大丈夫ですか? 風邪でも引いたんじゃ」



7041 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:13:38.84j3uVEvFJ0 (15/19)


佐天「たぶん雨に濡れてちょっと身体が冷えただけですよ」

五和「うーん……そうだ、私の部屋にどてらがあるので一緒に取りに行きましょう」

佐天「どてら! すごいですね、お祖母ちゃん家みたい!」

五和「それは、ちょっと複雑です……」

二人は共同台所がある二階の階段を登り、五和の部屋がある三階に向かった。

佐天「どてらって、イギリスでも売ってるんですか?」

五和「いえ、自分で作りました。こっちは結構冷えますからね」

佐天「料理も裁縫もできるなんて、五和さんって何でもできるんですね!」

五和「そんなことないですよ。家事が好きなだけです」

佐天「五和さんならいつでもどこにだって嫁に行けますね」

五和「そんな嫁だなんて……あッ、ここが私の部屋で―――」

ドアノブに掛けた五和の手が、何かに気付いたように止まった。。
佐天は五和の方を覗き込んだ。



7051 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:18:36.18j3uVEvFJ0 (16/19)


佐天「どうかしました?」

五和「いや、その……ちょ、ちょっと部屋の前で待ってもらってもいいですか?
 今、部屋がすごく散らかってるので……」

佐天「女同士じゃないですか。そんなの気にしませんよ」

五和「ホントに! ホントに散らかってるんです!!
 台風と地震が同時にきて、絨毯爆撃を受けた後みたいになってるんです!!」

佐天「そんなに!? でもさっき家事は好きだって……。
 もしかして五和さん、何か部屋に見られたら不味いものでもあるんじゃないですか?」

佐天はニヤニヤした笑みを浮かべながら、体を使ってドアを塞ぐ五和に詰め寄った。
五和の顔がどんどん青ざめていく。

五和「そそそそそ、そんなことないですッ!! ホントにすごく散らかってて―――」

佐天「そこまで言うなら仕方ないですね。大人しくあたしは部屋の前で……」

五和「ホッ……」

五和が安堵の溜息を漏らした時だった。その一瞬の隙をついて、佐天は部屋のドアを勢い良く開けた。

五和「あッ!?」

佐天「さあ、どんなものを隠しているのか、な……」



706VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 23:19:16.66NIrM0IXyo (1/2)

大精霊ェ…


7071 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:24:24.68j3uVEvFJ0 (17/19)


顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔、顔……。
部屋に飛び込んだ佐天が目撃したのは、すべて同じ人物の顔だった。

よく見るとそれはポスターで、同一人物の写真が壁中に所狭しと貼られていた。
最初は芸能人か何かと思ったが、冴えない表情のツンツンした黒髪の男の人はそうは見えない。
さらにどの写真も隠し撮りのように、日常の風景を撮ったものであるらしかった。

それ以外にも机の上には写真の男の人を模したと思われるフィギュア、
椅子の上には全身の写真がプリントされた抱き枕が置かれている。

その異様な光景は、一瞬にして佐天の思考力を奪うに十分だった。

佐天「何、これ……」

五和「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

叫ぶのと同時に、五和は壁に備え付けられた紐を急いで引いた。
すると天井の縁に設置された和柄の布が降りてきて、壁のポスターを全て隠した。
それと同時に刹那の速さで(しかし割れ物を扱うように丁寧に)フィギュアと抱き枕を押入れに収納した。

五和「み、見ましたよね……」

佐天「見てません見てません見てませんッ!! あたしは何も見てませんッ!!」



708VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 23:25:18.66Zap/OV+po (1/1)

おおぅ・・・


709VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 23:29:50.75NIrM0IXyo (2/2)

そっちかよwwwwww


7101 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:36:34.31j3uVEvFJ0 (18/19)


五和「佐天さん……」

佐天「ヒィッ!? 忘れますッ!! ここで見たことは全て忘れますッ!!
 だだだ、だから、命だけは―――」

五和「佐天さんって学園都市から来たんですよね? 実はこの人も、学園都市にいる人なんです。
 だから……」

五和は佐天の肩を引き寄せ、自分の方に無理やり顔を向けさせた。

五和「お願いします!! 私に協力してください!!」

佐天「きょ、協力!?」

五和「天草式のみんなは協力してくれるんですが、何て言うか、どうも上滑りしているような……
 特に建宮さんなんて、ただ面白がってるだけのような気がするんです!!」

佐天「そんなこと言われても……」

五和「学園都市のことを教えてくれるとか、それだけでもいいんです!!
 だからお願いします!! 私も佐天さんを色々お助けしますから!!」

五和はガシッと力強く佐天の手を取った。力強すぎてむしろ痛い。

五和「佐天さん、一緒に頑張りましょう!!」

佐天「えぇ―――ッ!?」

その日、日本人街の一角に建つとあるアパートで、乙女の同盟がやや強引に締結されることとなった。



7111 ◆fftSPPkhRw2011/01/29(土) 23:48:20.00j3uVEvFJ0 (19/19)

というわけで今回は終了!

そう言えば今更ですが、このSSの時系列は原作一四巻の後くらいかな~って感じにフワッと思っててください。
あんまり厳密に考えると少し変なところがあると思うので。

次回の投下予定は二月二日(火)です。今後はなるべく、なるべく遅れたりしないようにできたらいいです。

次回はまだ登場していないイギリス清教のあの人が登場します。
そして『とある』のメインヒロインのあの人も、出てくるかも。
あれ?メインヒロインって誰だっけ?


712VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/29(土) 23:59:29.869bFnXAvAO (1/1)

つまりアイテム会議中のファミレスの外を歩いてる佐天さんは上条さんをスネークしているという事か


713VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 00:47:15.89VgP3ozJAO (1/1)

五和痛すぎるwwwwwwww


714VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 01:06:07.41TFq00WLAO (1/1)

禁書のメインヒロインと言えば唯一キス描写のあるあの子だな


715VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 01:34:29.34m70Gpz+bo (1/1)

>>711
メインヒロインはもちろんインデックスに決まってるだろ?
インデックスに死角はない


716VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 03:51:57.48N8jPWNO3o (1/1)

五和のおっぱいも佐天さんの毒牙に掛かったか・・・
で、メインヒロインが出てくるって事はインデックスさんも佐天さんにコマされるんですね分かります


717VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 20:28:20.04UdqSiA4I0 (1/1)

>>715
かまちーコメントだからなwwwwww

俺のヒロインはアニェーゼだけどな!


718VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/30(日) 23:06:52.17Ke6EMhwp0 (1/1)

やったー
インデックスさん登場だーwwktk

五和のフィギュアは自作なんだろうかww


719VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/01/31(月) 17:10:47.84vZDW9cuAO (1/1)

やばい……五和のお姉さんっぽい感じが良すぎる

今、佐天さんがメインのSS書いてる最中で五和の出番はなかったんだが、これ読んでたら少々無理にでも五和だしたくなってきたわ


7201 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 19:24:41.38ORrat/IZ0 (1/24)

SSを書いていて意外に面倒なのは「ある人が他の人をどう呼んでいるか」だったりします。
例えばこのSSで活躍の場が多い香焼の場合、五和のことは「五和」、対馬のことは「対馬先輩」、建宮のことは「教皇代理」と呼んでいます。

……何が言いたいのかというと、前回の五和の台詞で神裂のことを「女教皇」と呼ばせてしまっています。
正しくは「女教皇”様”」でした。あ、第二部の最初も「女教皇」になってるわ……。
これくらいは割とどうでもいいっちゃいいんですけど、原作との食い違いがあると冷める人もいると思うので念のため
(>>1は割とそういうタイプです)。


>>709
大精霊チラメイドの存在を軽く忘れてました。そっちでも良かったけど、インパクト重視でこっちで。

>>718
上条さんグッズはネット上でニャーニャーいう多重スパイが暴利で販売しています。
余裕があればこれに関わる番外編を書きたいな。この元ネタはラブプラスの上条さん版を作るSSだったり。

>>719
この二人の絡みは意外に書きやすいッスよ。
てことで実は五和が佐天さんの実のお姉ちゃんだったなんていう設定はどうでしょう?



そんな感じで、二十二時から投下を開始します!




721VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 20:29:24.98YfqabPmQ0 (1/1)

キター
部屋を明るくして離れて見るからな!


722VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 20:39:46.77EgZiXFiio (1/1)

キター
部屋を暗くして近くで見るからな!


723VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 21:48:02.19zfSLU6J1o (1/1)

キター
部屋を暗くして離れて…見えねェ…!


724VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 22:13:14.320aR4InQso (1/1)

キター
部屋を離れて暗く見るからな…



7251 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:13:29.70ORrat/IZ0 (2/24)

最近「ステイル」って書くところをよく「ステルス」って間違います。

■■「来た。ついに私の時代が……」

というわけで投下開始します!

■■「えッ。ちょっ……」



7261 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:16:36.35ORrat/IZ0 (3/24)


―――ロンドン、古びた聖堂




薄暗い大広間を、床に点在する大小幾つもの灯りが照らしていた。
そこに立っているのは、黒い祭服を纏った長身の男と薄汚い格好をした男だった。

ステイル「さあ、これでお前だけになったわけだ」

男「ヒッ!?」

男は怯えて後退った。男の足が、床に落ちている真っ黒な何を踏みつけた。
それは何の抵抗もなく砕け散った。

ステイル「これでも僕は十字教の牧師だからね。“告解”といこうじゃないか。罪の告白を聞こう」

男「お、俺たちは何もしてないッ!! ただ情報を教えただけなんだ!!」

ステイル「何の情報だ?」

男「れ、例の図書館の、警備に関する情報だ」

ステイル「具体的には?」



7271 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:20:42.22ORrat/IZ0 (4/24)


男「警備の人数、交代時間、それに……」

ステイル「図書館に仕掛けられている防衛術式ってところか。面倒なことをやってくれたもんだよ。
 それで奴らは今、どこにいる?」

ステイルがじわりと男との距離を詰めた。男はさらに後退った。

男の足元で燻った炎が消える。肉が焼ける、酷い臭いが一層強くなった。

男「し、知らない!! 本当だ、それ以上は何も知らないんだ!!」

ステイル「だろうね。一人になってもなお守るほどの秘密でもないだろうし」

男「お、俺たちはただ依頼されただけなんだ!! あんなもの、俺たちには関係ない!!
 俺たちは情報屋なんだ、あんただって分かるだろ!? これが俺たちの仕事なんだよ!!」

ステイル「分かってるさ。それを知っているからこそ、僕はお前の目の前にいるんだ」

男「だったら、命だけは……どうか俺だけは見逃してくれよ!!」

男はなおも後退りをする。ドンッと男の背中が壁にぶつかり、男は慌てて飛び退いた。

ステイル「一応最初からそのつもりではあったんだけどね。
 抵抗しなければ、お前の仲間も死なずに済んだものを」



7281 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:23:05.46ORrat/IZ0 (5/24)


床に散らばる幾つのもの灯り。それはよく見るとどれも人の形をしていた。
目の前の怯える男の仲間は、今は無残な焼死体として大広間を照らしていた。

ステイル「投降すれば命だけは助けてやろう。勿論牢に入ってもらうことになるが」

男「分かった。命あっての物種だ。大人しく、投降する……」

ふと男の懐から折りたたまれた紙が落ちた。床に落ちたそれを、ステイルは拾い上げた。

ステイル「何だこれは?」

男「いや、それは……」

ステイル「正直に白状したほうが身のためだぞ」

男「奴らとの取引のメモだ。い、今渡そうと思ってたところなんだ!」

ステイル「取引のメモって―――」

ステイルが折りたたまれた紙を開く。そして紙面に刻まれた文字に目を走らせると、

―――ピカッ!!

突然、突き刺すような閃光がステイルの眼前を覆った。



7291 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:27:43.28ORrat/IZ0 (6/24)


ステイル「グッ!?」

ステイルは目を覆ってその場に膝を付いた。男は一瞬の隙を付いて走り出した。

男「馬鹿めッ!! 引っかかりやがったな!!」

ステイル「ちッ! 『申命記』第二八章を利用した目眩ましの術式か。どこまで面倒な奴なんだ」

ステイルは両目を手で抑えながら、口に咥えた煙草をふっと地面に落とした。すると、

―――ドンッ!!

耳を劈くような爆発音が鳴り響くと、二人が立つ大広間は瞬く間に火の海と化した。

男「なッ!? 何だ、いきなり火の手が!?」

ステイル「戦闘による死者が出た時のために用意した証拠隠滅用の術式さ。
 この部屋を起点として、じきにこの建物全体が火の手に包まれる」

男「こんなことをすれば、お前も逃げられないぞッ!!」

ステイル「ご心配なく。これでも火の扱いにも慣れていてね。焼け死ぬ前に脱出するつもりだよ」

目を瞑ったまま、ステイルは懐に手を入れ、ルーンが書かれたカードを取り出した。



7301 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:31:29.33ORrat/IZ0 (7/24)


ステイル「さてと。しばらく目が使えないのは厄介だな。
 感覚に頼って相手の居所を探るなんて芸当、僕にはできそうもない」

―――ド―――ン!!

床が衝撃でぐらぐらと揺れる。他の部屋の術式が連鎖的に起動し、火の勢いはますます強くなった。

男「ヒ、ヒ、ヒィ……! 助けてくれ、お願いだ!! 
 お、お前らだって国のお抱えにあるだけで、やってることは俺たちと変わらんじゃないか!!」

ステイル「そこか。大雑把に的の位置が分かれば問題ない。何故なら―――」

ステイルの持つカードが一瞬にして燃え上がった。そしてそれは十字架に似た巨大な剣の形を成した。

ステイル「得物を限りなく大きくすればいいからね」

男「た―――」

ステイル「炎よ、巨人の苦痛を贈り物をッ!!」

ヒュッと短い風切り音と共にステイルが炎の大剣を、男の方に向かって投げ付けた。
男の声を頼りに描かれた射線は、男の脇を逸れ、背後の壁に突き刺さった。

―――ズドォォォ―――ン!!!

烈火と爆風が刹那に男の全身を包んだ。壁に穿った穴から隣室の炎が吹き入った。
聖堂が、ガラガラと音を立てて崩れていく―――



7311 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:36:17.51ORrat/IZ0 (8/24)




ステイル「相変わらず、殺しは面倒だ」

ステイルは指先に炎を灯すと、咥えた煙草に火をつけた。

ステイル(今回も奴らの現在地の情報はなし。拠点を点々をしているのは間違いなさそうだな。
 こういうずる賢い真似が上手いのも、奴らの特色といったところか)

先程の戦闘が行われた聖堂の近く、人気のない路地をステイルは歩いている。
十人以上の死者を出す戦闘を終えたばかりだというのに、その足取りは疲れを感じさせない。

ステイル(やってることは変わらない、か。正にその通りだな。
 どんな大義名分があろうと人殺し。『必要悪の教会』とは、よく言ったもんだね)

暗い路地の中で、煙草の灯りだけがちらちらと仄かに明るく揺れた。
その時ザクッと、砂利を踏む音がステイルの背後から聞こえた。

「ステイル=マグヌスだな」

ステイルは後ろを振り向いた。そこには見窄らしい格好をした年端も行かない少女が立っていた。

ステイル「人違いだ」



7321 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:39:37.87ORrat/IZ0 (9/24)


少女「長身、牧師姿、目の下の刺青、そして血みたいに真っ赤な髪。聞いてたとおりだ」

ステイル「だから人違いだ」

少女「父と母を殺した『必要悪の教会』の魔術師、ステイル=マグヌスだッ!!」

少女は後ろ手を前に出した。
その手には錆びついたナイフが握り締められており、暗闇のなかで鈍く煌めいた。

ステイル「……人違いだと言ったはずだ」

少女「まだ言い逃れをするつもりかッ!! お前が父さんと母さんを殺した魔術師だッ!!」

ステイル「はぁ。何度も言わせるな。人違いだよ」

少女「嘘を付くなッ!! お前は―――」

ステイル「仮に僕がそのステイル=マグヌスだとして、言えることが二つある。
 一つは君の両親は何らかの罪を犯していたこと。そしてもう一つ。
 その魔術師は君の両親のことなど知らないということ」

ステイルは煙草を持つと、ふぅっと煙を吐き出した。

ステイル「何故なら、その魔術師は一々殺した人間のことなど覚えていない」



7331 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:42:16.49ORrat/IZ0 (10/24)


少女「あ、あ、あ……あああああぁぁぁぁぁぁッ!!!」

掠れた少女の悲鳴が路地に響き渡った。
そして少女はナイフを腰だめに構えながら、ステイルに向かって走りだした。

ステイルは煙草を指で弾いた。
緩やかに放物線を描いた煙草は、少女の目の前で鮮やかなオレンジの炎となった。

少女「グァッ!?」

驚いた少女は飛び退いた勢いで後ろに倒れた。手から落ちたナイフが、地面に転がった。

ステイル「一つだけ忠告してやる。本気で復讐するつもりなら、そいつだけじゃなく
 そいつの親兄弟、知り合いに至るまですべて殺すぐらいの覚悟を持て。
 そしてそいつらに殺されるほど憎まれる覚悟も。それができないなら真っ当に生きろ」

少女「自分が殺しておいて、よくもぬけぬけとッ!!」

ステイル「何とでも言えばいい。しかし殺す者は殺される。それだけは変わらない」

少女を見つめたまま、ステイルは自分に言い聞かせるように呟いた。

ステイル「ここは、そういう世界なんだ」



7341 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:44:46.31ORrat/IZ0 (11/24)


―――『イギリス清教』女子寮




五和「料理です!」

佐天「料理?」

いつもは自分たちのアパートで食事を取る佐天と五和は、
今日はオルソラたちに招かれて『イギリス清教』女子寮で昼食を取っていた。

食後のお茶を飲みながら、五和は続けた。

五和「現在の問題は、ステイルさんが佐天さんに攻撃魔術を教えてくれないってことですよね。
 ならステイルさんの心を軟化する手段は料理しかないと思います」

佐天「いや、そこがよく分かんないんですけど。なんでいきなり料理?」

五和「女性が作る美味しい料理で気持ちが動かいない男性なんていません。
 これは世界中どこでも通用する真理ですよ」

勿論この“真理”に五和の希望的観測がリヤカー一台分は積載されていることは言うまでもない。
“あの人”を巡る強敵に対する唯一のアドバンテージが、この料理だと五和は思っているからだ。



7351 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:47:59.17ORrat/IZ0 (12/24)


佐天(うーん、何か話がズレてる気がするけど……)

五和「佐天さん。だから頑張りましょう、二人で”一緒に”!!」

佐天(断れないなぁ)

佐天「分かりました。とりあえず頑張ってみます」

五和「そうと決まれば早速―――」

「あの、ちょっといいですか」

五和「貴女は……」

佐天「?」

佐天が振り向くと、そこには赤毛を幾つのも三つ編みにした小柄な女の子が立っていた。

アニェーゼ「そちらの、確か佐天さんでしたっけ、貴女とは初めましてですね。
 アニェーゼ=サンクティスって言います」

佐天「はぁ、どうも」

五和「えっと、何か御用ですか?」



7361 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:49:50.56ORrat/IZ0 (13/24)


アニェーゼ「さっき貴女たちは、その……料理がどうこう言ってやいませんでしたか?」

五和「はい、そうですけど」

アニェーゼ「実は、お願いがあるんです。一つ聞いちゃくれませんか?」

佐天「お願い?」

アニェーゼ「えっと、その……。私にも……りを、お、お、教えて……」

五和「えッ? なんて言ったかよく聞こえなかったんですけど」

アニェーゼ「だから、……ぅりを」

佐天「“うり”? 瓜ってあの瓜ですか? 」

五和「佐天さん、瓜は基本的に夏の食べ物ですよ。今は旬じゃありません」

佐天「そうなんですか?」

アニェーゼ「いや、だから―――」

五和「ちなみに“瓜”に“南”を付けると“南瓜(かぼちゃ)”になり、旬の野菜になりますね」

佐天「おぉー!」パチパチ

アニェーゼ「だ・か・ら!! 私にも料理を教えてくれって言ってんでしょうがッ!!」



7371 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:53:03.19ORrat/IZ0 (14/24)


アニェーゼの叫びに、二人は目をぱちくりさせた。

佐天「はい?」

五和「料理を教える、ですか?」

アニェーゼ「そ、そうですよッ! 何か文句でもあるって言いやがる気ですか!!」

五和「いえ、文句はありませんし、教えるのは構わないんですけど、どうして急に?」

佐天「あッ、さっきのあたしたちの話を聞いてたってことは、
 もしかして料理を作ってあげたい人がいる、とかだったりして」

キャハ♪ と効果音でもつきそうな感じで佐天は言った。

アニェーゼ「…………」

五和「…………」

佐天「……あれ?」

アニェーゼ「……そうですけど、何か?」

佐天(当たっちゃったーッ!!)



7381 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:54:28.79ORrat/IZ0 (15/24)


五和「佐天さんッ!! 何でちょっと気不味い空気にしてるんですか」ヒソヒソ

佐天「えーッ!? そ、そんなこと言われても」ヒソヒソ

アニェーゼ「それでッ!! 教えてくれるんですか?」

五和「え、ええ、それは全く問題ないんですけど、本当に私なんかでいいんでしょうか?
 例えばオルソラさんなんかも、すごく料理がお上手だと思いますよ」

アニェーゼ「う゛ッ!? それは……」

佐天「もしかして、その料理を作ってあげたい相手がオルソラさんだったり……」

アニェーゼ「…………」

五和「…………」

佐天「なんかして……」

アニェーゼ「……さっきの話、男じゃなくて女でも美味しい料理で気持ちが動いちまうもんなんですか?」

佐天(また当たったーッ!!)



7391 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:56:40.38ORrat/IZ0 (16/24)


五和「だから何でそんなこと言っちゃうんです!」ヒソヒソ

佐天「いや、本当にわざとじゃないんですよ!」ヒソヒソ

佐天「はッ!? もしかしてアニェーゼさん、レ―――」

アニェーゼ「そんなんじゃありませんッ!!
 くだらねぇこと言ってやがると、そのヘアピン引きちぎりますよッ!!」

佐天「す、すいませんッ!!」

アニェーゼ「そんなんじゃねぇんですよ。そんなんじゃ……」

アニェーゼはそう言ったまま、視線を下に向けて項垂れた。
五和はそれを見て、何かを悟ったように、

五和「……分かりました。どれだけ力になれるか分かりませんが、お手伝いします」

アニェーゼ「本当ッ!?」

そう喜びの声を上げたアニェーゼは、歳相応の女の子らしい笑みを浮かべた。
しかしすぐにそれを誤魔化すように、わざとらしく咳払いをした。

アニェーゼ「お、恩に着ます」

五和「それじゃあ早速始めましょうか」



7401 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 22:59:31.60ORrat/IZ0 (17/24)


―――『必要悪の教会』女子寮、台所




五和「料理をお教えする前に、お二人がどの程度料理ができるのか知りたいんですが、
 佐天さんは確かけっこうお上手ですよね?」

佐天「一応一人暮らしで自炊もしてましたから。でも本格的なものはちょっと……」

五和「得意料理とかってあります?」

佐天「うーん、カレーライス、かな? 作り置きもできるし、なにより美味しいし!」

五和「ということは基本はバッチリですね。アニェーゼさんはどうですか?」

アニェーゼ「えッ!? わ、私ですか? えっと、私の得意料理は……目玉焼きです」

五和「えーと、それは……」

アニェーゼ「嘘嘘ッ!! 嘘ですよ!! 本当の得意料理は、スクランブルエッグ、
 も、勿論プロバンス風のやつです!!」

佐天「アニェーゼさん、せっかく教えてもらうんですから、正直に言ったほうがいいですよ」

アニェーゼ「う゛ッ!? ……じ、実は料理なんてほとんどしたことがねぇんです」



7411 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:07:42.53ORrat/IZ0 (18/24)


五和「そうですか。それならアニェーゼさんは料理の基本からですね」

アニェーゼ「はい……」

佐天「それで料理って一体何を作るんですか?」

五和「作ってもらう料理は決めてあります。それは―――」

五和はそう言うと、グッと右手をエプロンをした胸の前で握りしめた。

五和「茶碗蒸しです」

アニェーゼ「チャワンムシ? 日本では虫を食べる習慣があるんですか?」

五和「そっちの“虫”ではなく、“蒸す”の“蒸し”です。卵を使った日本料理ですよ」

佐天「でも何で茶碗蒸しなんですか?」

五和「卵料理はバリエーション豊かなので覚えておくと楽ですし、適度に手の込んだ感もあります。
 お菓子もありかなって考えてたんですけど、ステイルさんは甘いものはあんまりお好きじゃなさそうなので」

佐天「あぁ、そうかも知れませんね。『何だいこの甘ったるいのは。僕を砂糖漬けにでもするつもりかい』
 とか言いそうですもんね」



7421 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:09:26.79ORrat/IZ0 (19/24)


五和「……クスッ」

アニェーゼ「……プッ」

佐天「あ、あれ? あんまり似てませんでした?」

アニェーゼ「いや、その逆ですよ。むしろ恐ろしく似てやがったもんですから」

五和「佐天さんは、ステイルさんのことをよく見ているんですね」

佐天「は、はぁ!? そそ、そんなことないですよ!!
 クッ……そうだ、アニェーゼさんもオルソラさんの真似してくださいよ!!」

アニェーゼ「えっと……『そんなことを仰られても困るのでございますよ』……って何させやがるんですか!!
 さ、さっさと始めちまいましょう!」

五和「そうですね。それではアニェーゼさんは野菜を使って包丁の使い方の練習、
 佐天さんは私と一緒に茶碗蒸しの作り方を覚えていきましょう」

佐天「はーい」

アニェーゼ「了解です」



7431 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:17:35.42ORrat/IZ0 (20/24)


………………………………

………………

………



五和「……とりあえずこれで完成ですね。佐天さんの方はどうですか?」

佐天「うわぁ……何かモロモロになってる……」

五和「だいぶスが立っちゃいましたね。きっと火加減が強過ぎたせいだと思います」

佐天「よーし、今後はもう少し弱火にしなくちゃね」

佐天はスプーンで茶碗蒸しを掬い、口に運んだ。

佐天「うん、味はまあまあかな?」

五和「スが立ってしまった場合、餡を入れて誤魔化すという手もありますよ。
 あとは中に入れる具をアレンジしてみましょう。アニェーゼさんの方はどうですか?」

アニェーゼ「フフフッ……見てください!! ついに『イチョウ切り』をマスターしましたよ!!」

アニェーゼは嬉しそうに包丁を持ったまま両手を掲げた。
「アニェーゼ は いちょうぎり を おぼえた」というメッセージとともに
愉快な効果音が今にも鳴り出しそうだ。



7441 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:21:51.92ORrat/IZ0 (21/24)


五和「うん! 綺麗に切れてますね。これで基本的な包丁の使い方はバッチリですね」

佐天「でも……」

まな板の上には惨殺死体が、もといアニェーゼの練習台となった野菜が山盛りになっていた。

五和「えっと……今日は野菜炒めですね。それじゃあ片付けをする前に少し休憩しましょうか。
 私、お茶を淹れてきます」

そう言うと五和は、お茶の用意をするために料理場の奥に向かった。

アニェーゼ「ふぅ……これで第一関門突破ってとこでしょうか」

佐天「あのアニェーゼさん、ちょっと聞いてもいいですか?」

アニェーゼ「はい? 何です?」

佐天「どうしてそこまでオルソラさんに料理を作ってあげたいんですか?」

アニェーゼ「……もしかしてまだくだらねぇことを言いやがるつもりじゃねぇでしょうね」

佐天「ち、違いますよッ!! ただ、どうしてそこまでするのかなって思って」

アニェーゼは自分が作った細切れの野菜の山を眺めた。
御世辞にも上手とは言えないそれは、アニェーゼの奮闘を表していた。



745VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/01(火) 23:23:03.961dwKdaJ4o (1/1)

アニェーゼが可愛いwwww


7461 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:24:46.82ORrat/IZ0 (22/24)


アニェーゼ「私は、以前オルソラ=アクィナスに酷いことをしました。
 それは任務だったし仕方ないことと言やぁそれまでなんですけど、ただ……」

アニェーゼ「オルソラ=アクィナスは、あの人はそんなことを忘れちまったみたいに私に接するんですよ。
 有り得ねぇと思いませんか? 恐れも憎しみも、何にも持ってないみたいな、あんな顔……」

佐天「あたしには、それがオルソラさんらしさって感じがしますけど」

アニェーゼ「でも私は納得できねぇんです。自分の罪が、不当に許されちまったみたいな気がして。
 だから、何か少しでもお返しができればいいなって思ったんです」

佐天「……きっとアニェーゼさんの気持ちは伝わりますよ」

アニェーゼ「でも前途多難です。料理ってのはこんなにも面倒なことだったんですね」

佐天「確かに極めるのは大変ですよね。でも一緒に頑張りましょうよ!」

アニェーゼ「気軽に言わないでくださいよ。貴女はすでに結構できてるじゃねぇですか。
 私なんてまだ野菜切ることしかできねぇんですよ」

佐天「いやぁ、あたしなんてまだまだですよ。だって……」

五和「お二人とも、お茶が入りましたよ。
 あとこれはお二人が調理している最中に作ったさつまいものきんつばで、
 こっちが昨日作ったわらび餅です。良かったらご一緒にどうぞ」

佐天「……ね?」

アニェーゼ「はぁ……料理の道は険しそうです」

五和「?」



7471 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:31:33.77ORrat/IZ0 (23/24)


―――学園都市、第七学区、とある学生寮の一室




―――プルルルル……

「とうまー、電話が鳴ってるよー」

銀髪のシスターがそう告げると、風呂場の方から水を流す音と共に声が上がった。

上条「ちょっと風呂場の掃除で手が離せないから、代わりに出てくれよ」

「今『カナミン』がいいところなんだよ。そんな余裕は一秒もないかも」

上条「あぁ! しゃあねぇ、俺が出るよ」

上条はドタドタと風呂場から戻ってくると、鳴り続ける受話器を取った。

上条「もしもし? ああオルソラか。どうした?」

「カナミン後ろ、後ろなんだよー!」

上条「それって結構緊急事態なんじゃ……あッ、そうなのか。今週末? 別に問題ないけど……
 えッ!? ホントかッ!?」

「カナミンそこー! えぐり込むように打つべしなんだよー!」

上条「おう! じゃあ今週末に!」

勢い良く受話器を置いた上条は、満面の笑みでテレビに齧り付いたままのシスターの方を見た。

上条「おい、喜べインデックス!! 土日はロンドンで食い放題だ!!」

インデックス「ん?」



7481 ◆fftSPPkhRw2011/02/01(火) 23:43:52.42ORrat/IZ0 (24/24)

というわけで今回は以上!

五和……世話焼き、思い込みが激しい→初春  アニェーゼ……ツンデレ→美琴
変 態 が 足 り な いッ!!

このアニェーゼはちょっとルイズが入ってる気が自分でもします。
でもとりあえずこれで予定していた魔術サイドの人たちは一通り出せたかな。

次回の投下は二月五日(土)の予定。
それまで暫しお待ちください。


749VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 00:34:13.958t+oelTAO (1/1)

乙、今から読む


750VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 02:32:06.72n0e7218k0 (1/1)

変態…変態か…
オリアナ姐さんは歩く18禁だから違うというかそもそもイギリス清教の人間じゃなかったか?
とりあえずこの話では自室的に五和が変態でも良いような気がすr


751VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 08:09:32.14G4TbUlXIO (1/1)

アニェーゼの台詞がくぎゅボイスで再生されたw


752VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 08:58:40.98K74J1J7AO (1/1)

そこでロシア抜けたサーシャを追ってきたワシ様をだな


753VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 10:12:06.196LXzlA8M0 (1/1)

佐天さんて足速くて持久走できてパンチングマシンまでジャッジメントで訓練受けてる黒子より強い美琴より上なんだよな
これでちゃんとした戦闘手段とメンタル身につけたらチートになりそう


754VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/02(水) 17:22:20.53T5SoDD7AO (1/1)

すでに可愛さがチート


755VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/03(木) 18:07:02.94wYVGadBC0 (1/1)

>>754がいいこと言った


756VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 19:16:02.73kKuSnd+K0 (1/1)

明日か


757VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 20:08:35.83014eXKJgo (1/2)

talent310
才無き者に力の階を


758VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/04(金) 21:10:04.66ioy1IP7C0 (1/1)

ラテン語だからingeniumじゃない?


7597572011/02/04(金) 21:49:44.35014eXKJgo (2/2)

検索の仕方がまずかったみたいだ
>>758が合ってる


760VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/06(日) 23:42:26.59cMrSgcoe0 (1/1)

かもーん


761VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 00:19:52.25GuWT6U820 (1/1)

頑張ってくれ!待ってます



7621 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 18:44:12.63tqxxuKIh0 (1/8)

二日遅れてごめんなさい。今日の二三時から投下しますよー。


763VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 18:58:52.34/75wma4jo (1/1)

舞って待ってる


764VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 20:12:34.42A1Sg5aOBo (1/1)


               l^丶
               |  '゙''"'''゙ y-―, あ ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう
               ミ ´ ∀ `  ,:'
             (丶    (丶 ミ   いあ    いあ
          ((    ミ        ;':  ハ,_,ハ   ハ,_,ハ
              ;:        ミ   ';´∀` '; ';´∀` ';
              `:;       ,:'  c  c.ミ'  c  c.ミ
               U"゙'''~"^'丶)   u''゙"J   u''゙"J


            /^l
     ,―-y'"'~"゙´  |   それ  るるいえ うがふなぐる ふたぐん
     ヽ  ´ ∀ `  ゙':
     ミ  .,/)   、/)    いあ    いあ
     ゙,   "'   ´''ミ   ハ,_,ハ    ハ,_,ハ
  ((  ミ       ;:'  ,:' ´∀`';  ,:' ´∀`';
      ';      彡  :: っ ,っ  :: っ ,っ
      (/~"゙''´~"U    ι''"゙''u    ι''"゙''u



765VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 21:54:17.740WVjK8Cwo (1/1)

あと1時間か


766VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 23:09:30.03b4m/jlUC0 (1/2)

よっしゃこい 出待ちしてやる


767VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 23:15:24.13S0KlzY++o (1/1)

wwkwwktktk


7681 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:29:09.67tqxxuKIh0 (2/8)

あれ? よく考えたらもう禁書二期に五和出てこなくない?
クソッ!! 早く一六巻アニメ化してくれ!!

というわけで投下します。


7691 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:31:43.77tqxxuKIh0 (3/8)


―――日本人街、空き地




五和「よいしょっと……」

五和は大きな箱を乗せた台車を止めた。
箱の中からガシャッと金属がぶつかり合う音が聞こえた。

佐天「うわぁ、一杯ありますね」

五和「日本刀にハンドアックス、レイピアに方天戟……。色んな武器を用意してみました。
 あ、勿論どれも訓練用なので刃は落としてありますよ」

佐天「へぇー、よっと……」

そう言って佐天が手に持ったのは、棍棒の先に何枚かの金属板を付けた、メイスと呼ばれる武器だった。
佐天はそれを軽く振り下ろした。

佐天「これ、結構重いんですね」

五和「重さはどれも本物と変わりませんよ」

佐天「つまりこれを振り回せないとどうにもならないってことですよね」

五和「そういうことです」



7701 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:38:55.83tqxxuKIh0 (4/8)


佐天「あッ、これカッコイイ!! グッ……ど、どうです、か……」

五和「それはツヴァイハンダー、大型の両手剣ですね。
 でもさすがに佐天さんがそれを使うのは無理があると思いますよ。」

佐天「た、確かに……。地面、から、ウグッ……まったく、浮く気配もない……ッ!」

五和「もう少し佐天さんの体格にあったものにしましょう。
 えっと、これなんてどうです?」

五和は箱の中からやや刃の広い剣を取り出した。
鍔から持ち手を守る護拳が伸びており、映画などでよく見る“西洋の剣”と言った感じだ。

五和「これはブロードソードと言って、片手持ちの西洋剣です。場合によって盾とも併用されます」

佐天「これくらいの重さなら、うん、どうにか……」

佐天が五和に手渡された剣を振ると、ブンッと鈍く刀身が空を切った。
それほど重くはないが、片手用の剣なので軽々と振り回せるというほどではない。



771VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/07(月) 23:44:05.89b4m/jlUC0 (2/2)

よっしゃktkr



7721 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:45:19.98tqxxuKIh0 (5/8)


五和「元々は細身のレイピアなどの武器を破壊するために作られた剣ですが、
 斬撃、刺突、時には護拳による打撃も可能な優れた武器です」

佐天「でもそれだけ使うのが難しいってことですか?」

佐天はすこし不安気に自分が握ったその剣と見つめた。

五和「確かにそうですが、心配しなくて大丈夫ですよ。そのために練習するんですから」

そう言って五和は箱の中から組み立て式の長い棒を取り出した。
そしてそれを腰の辺りで構えた。

五和「では早速始めましょうか」

佐天「押忍ッ!! よろしくお願いしますッ!!」

五和「フフフッ……。気合充分ですね。それではお願いします」



7731 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:49:59.60tqxxuKIh0 (6/8)


………………………………

………………

………

アニェーゼ「うわッ!! お椀からブクブク泡が出ちまってるんですけど!!」

佐天「何でッ!? どうやったらそんなことになるの!?」

五和「アニェーゼさん!! これ塩じゃなくて重曹です!!」




佐天「やあッ!!」ビュン!

五和「踏み込みが甘いです。もっと腰を落としてください」カキン!

佐天「はいッ!」

五和「まだ腰が引けてますよ!」

佐天「は、はいッ!!」



7741 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:55:06.20tqxxuKIh0 (7/8)


佐天「あたしはポテロング、Bigカツ、どんぐり飴をお椀に入れてターンエンド!」

アニェーゼ「甘ぇですね。私はこのターン、レバ刺し、酢昆布、メロンパンを召喚します!」

佐天「なん……だとッ!?」

五和「お二人とも、食べ物で遊ぶのは止めましょうね」ニコリ…

佐天   「はい……」
アニェーゼ「はい……」

………………………………

………………

………


―――ジャキンッ!

鉄が激しく衝突する音が空き地に響いた。剣を振り下ろした佐天はパッと後ろに下がった。

佐天「ああッ、全然当たらない!! 香焼君すばしっこ過ぎ!!」

香焼「そんなに簡単に当てられたら自分の立場がないすよ!」

香焼は佐天の持つ剣の半分の大きさもないナイフを使って、
佐天の剣撃を右に左に鮮やかに逸らしていた。



7751 ◆fftSPPkhRw2011/02/07(月) 23:59:55.24tqxxuKIh0 (8/8)


五和「佐天さん、まだ腕だけで振ってますよ! 身体全体を使うのを意識してください!」

佐天「そんなこと、言われても……ッ!! 」

少し離れたところから二人の様子を見守る五和を振り返る余裕もなく、佐天は右手の剣を振り下ろした。

香焼「そんなことじゃ一生自分には当たらないすよー」

佐天「くぅ……ッ!! 香焼君、五秒間でいいから止まって!! かつ目を瞑って!!」

香焼「それがどう佐天さんの練習になるんすか」

佐天「練習っていうか、いい加減当たらなくてイライラしてきたから」

香焼「ただのストレス解消じゃないすか!」

五和「佐天さん、あと三分で今日は終りにしましょう!」

佐天「残り、三分……。絶対に一撃当ててやるッ!!」

香焼「頑張ってくださいっすー」

香焼は息と共にやる気も抜けているような声でそう言った。
佐天は疲労でプルプル震える腕を思いっきり振りかぶった。

佐天「ああッ、イラッとするッ!!」



7761 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:03:47.93fpYE0AUq0 (1/16)


「ほお。頑張ってるじゃないの、佐天嬢」

二人の様子を満足そうに見つめる五和の後ろから、声が聞こえた。

五和「建宮さん!? どうしてここに?」

五和の背後から現れた建宮は、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべた。

建宮「隠れて練習してたつもりか、五和?
 毎日飯食った後二人して出て行ったら、なんかやってるのはモロバレなのよな。
 しかも香焼まで巻き込んで」

五和「えっと、その……ッ!」

建宮はそう言ってふっと笑った。

建宮「別に咎めに来たわけじゃないのよ。ちょっと様子を見に、な。
 それで、佐天嬢はどんなもんなのよ?」

五和「とても熱心で、真面目に練習してますよ。運動神経もいいですし、筋も悪くないと思います」

そう言って、五和は一心不乱に香焼に向かっていく佐天を見た。
まだ数日前に始めたばかりだが、最初に比べて佐天の動きは良くなっていた。

建宮「しかし、それだけって感じか?」



7771 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:10:41.00fpYE0AUq0 (2/16)


五和「……はい。特別武芸の才があるわけではないかと。勿論まだ始めたばかりなので断言できませんけど」

建宮「そりゃそうなのよな。そんな都合良く才能があったりするわけないわな」

五和「建宮さん、私は……正しいことをしているんでしょうか?」

建宮「どういうことよな?」

五和「佐天さんに戦う術を教えていることです。佐天さんは優しい、普通の女の子です。
 本当なら戦いに身を投じる必要なんてないはずなんです」

建宮も五和と同じように必死に香焼の動きに付いていこうとする佐天の姿を見つめた。

建宮「でもそれは本人が望んだことなのよな? だからお前もそれに応えた。違うか?」

五和「確かに、そうですけど……」

建宮「佐天嬢も俺もお前も、大した才能もない人間ってのは自分の道は自分で決めなくちゃなんねぇ。
 天から授かった才能によって、運命を決められちまった人間とは違うのよな。
 五和、お前にだってそれは嫌ってほどよく分るだろ?」

五和「はい……」



7781 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:17:19.98fpYE0AUq0 (3/16)


建宮が『教皇代理』と呼ばれる理由。女教皇と呼ばれて皆に慕われた神裂が自分たちと距離をおいた理由。
そしてそれでもなお、神裂と共に歩み続けることを誓った理由。
五和はそのことに思いを馳せた。

建宮「それに例えこれが間違ったことだったとしても、
 あの子ならそいつを糧にして成長することができるのよ。
 それをお前が信じてやれなくてどうするのよ」

佐天の疲労はすでにピークらしく、動きも精細を欠いていた。
それでも佐天は、その細い腕には重そうな剣を振り続けていた。

五和「そう、ですね」

建宮「まあ心配する必要なんてないのよ。きっと成長するのよ、力も覚悟もな」

そう言うと建宮は、右手を振りながら佐天と香焼の方へ歩き出した。

建宮「香焼! ちょっと交代するのよな!」

香焼「教皇代理?」

佐天「ハァハァハァ……た、建宮さん……ッ! なんでここに。
 ていうかこれで今日は終わりなんじゃ……」

建宮「人間ってのはな、限界を超えたところで成長するのよ。
 だから佐天嬢! 今日はあと三セットほど頑張るのよ!」

建宮はそう言うと訓練用の武器が入った箱から、長大な剣を取り出した。

建宮「さあ!! どこからでも掛かってきなさい!!」

佐天「む、無理です―――ッ!!」



7791 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:23:08.92fpYE0AUq0 (4/16)


―――『イギリス清教』女子寮




アニェーゼ「……い、いよいよ、ですね」

佐天「うぅーッ! なんかちょっと緊張するなぁ」

アニェーゼ「き、ききき、緊張ッ! そそそ、そ、そんな緊張だなんて、
 ささ、さて、佐天さんは案外、いい、いく、意気地がねぇんですね」

そう言ったアニェーゼは、生まれたばかりの仔馬のように震えていた。
視線も泳ぎまくりで、その頼りなさそうな雰囲気に拍車をかけている。

佐天「……アニェーゼさん、すごい震えようですけど」

アニェーゼ「こ、これはちょっと風邪を引いちまっただけですッ!!
 熱が四十五度近くあって、震えが止まらねぇんです!!」

佐天「それが本当だったらアニェーゼさんもう死んでます」

五和「お二人とも、準備は大丈夫ですか?」

緊張している二人を励ますように、五和は声を掛けた。



7801 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:28:10.64fpYE0AUq0 (5/16)


佐天「ば、バッチリですよ! たぶんこれまで作った中で一番上手く出来てると思います。
 うん、きっと!」

アニェーゼ「う……、もしかしてまた塩と重曹を間違えてるんじゃ……ッ! 味見してみます!!」

佐天「そんなことしたら、オルソラさんに食べさせる分なくなっちゃいますよ!」

五和「大丈夫です。アニェーゼさんのも上手く出来てますよ」

アニェーゼ「そうでしょうか……。で、でも手が震えちまって、持って行く最中に落としちまいそうです」

アニェーゼはそう言って瞼をぎゅっと瞑った。
五和はアニェーゼの肩に手を置いた。

五和「それじゃあ私も一緒に持って行きます。佐天さん、すいませんが、佐天さんの方は一人で」

佐天「だ、大丈夫ですよ! 持って行くくらい、一人で出来ますって」

五和「上手くいくといいですね」

そう言って五和は佐天に柔らかく微笑んだ。
佐天も少し照れて笑った。

佐天「はい、そうですね」



7811 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:33:44.17fpYE0AUq0 (6/16)




オルソラ「どうしたのでございますか? 私に用があるということでしたが」

オルソラは自分の部屋を訪れた二人にのほほんとした笑みを向けた。

アニェーゼ「えっと……その……」

オルソラ「?」

五和「アニェーゼさん、頑張ってください!」

アニェーゼ「は、はいッ!! えっと……これをッ!!」

そう言ってアニェーゼは陶器の器が乗ったトレイをオルソラの机の上に置いた。

オルソラ「お椀、でございますか? 蓋を開けてみてもよいのでございますか?」

アニェーゼ「ど、どうぞ」

オルソラが器の蓋を開けると、ふっと温かい湯気が立ち上った。

オルソラ「これは……茶碗蒸しでございますね。
 もしかしてアニェーゼさんがお作りになったのでございますか?」

アニェーゼ「えっと……そ、そうです」

五和「オルソラさんに食べさせるために、みんなで練習したんですよ」

アニェーゼ「よ、余計なことを言わねぇでくださいッ!!」



7821 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:39:49.70fpYE0AUq0 (7/16)

アニェーゼ「よ、余計なことを言わねぇでくださいッ!!」

オルソラ「そうなのでございますか。それなら味わって頂かなくてはいけませんね。
 早速頂いてもよろしいのでございますか?」

アニェーゼ「ど、どうぞ……」

アニェーゼが不安気に見つめる中、オルソラはゆっくりとスプーンで茶碗蒸しを掬い、それを口に運んだ。

アニェーゼ「う、うぅ……」

オルソラ「うん。大変美味しゅうございますよ」

オルソラがそう言って微笑むと、アニェーゼは嬉しそうに笑い、安堵の溜息を吐いた。

オルソラ「しいたけに海老、かまぼこ。本当に色鮮やかでございますね。
 この緑の葉っぱはなんなのでございますか?」

アニェーゼ「こ、これは三つ葉と言って、日本のハーブみたいなものらしいです」

オルソラ「日本食は時々頂くのですございますが、それは知りませんでした。
 日本食は奥が深いのでございますね」

アニェーゼ「あの……シスター・オルソラッ!!」

オルソラ「はい。なんでございましょうか」



7831 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:43:17.92fpYE0AUq0 (8/16)


アニェーゼ「私は、貴女に謝らなくちゃいけません。
 勿論謝って全部無しにしちまおうだなんて考えてませんが、でも―――」

アニェーゼの言葉を遮るように、オルソラは静かに首を振った。

オルソラ「それ以上言わなくても良いのでございますよ。私はもう何とも思ってないのでございます」

アニェーゼ「そういう事じゃねぇんですよ! 貴女が私を許しても、
 私は自分自身を許せねぇんです!! だから、こんな……」

オルソラはアニェーゼを見つめたまま言った。

オルソラ「アニェーゼさんは以前から料理がお得意だったのでございますか?」

アニェーゼ「いえ、料理なんて全然……。だから五和さんに教えてもらったんです」

五和「そ、そうなんです! アニェーゼさん、包丁の使い方から一生懸命練習して、
 こんな上手にできるようになったんですよ」

オルソラ「……慣れない料理の練習を自分に課し、私を喜ばせることが貴方の贖罪なのでございますね?」

アニェーゼ「はい……」

アニェーゼは不安げな瞳をオルソラに向けている。
“自分のため”の贖罪と言ったものの、その表情はオルソラの審判を待っているようにも見えた。



7841 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:49:17.32fpYE0AUq0 (9/16)


オルソラは少し困ったように息を吐いた後、無邪気そうな笑みを向けた。

オルソラ「それならば先程の『美味しい』という言葉、撤回させていただきたいのでございます」

アニェーゼ「はい?」

オルソラ「幾つか気になる点があったのでございますよ。
 まずしいたけの石附が完全には取れておらず、しいたけの食感を悪くしていたのでございます。
 また蒸す時間が長すぎたせいか、海老が固くなっていました。
 勿論私は日本食にそれほど精通していないので、あくまで私見でございますが」

五和「き、厳しい……」

アニェーゼ「…………」

オルソラ「なのでこれからも時折私に料理を作っていただきたいのでございます。
 私が心の底から『美味しい』と言えるまで。その時にはきっと貴女の贖罪も終わっているのでございますよ」

アニェーゼ「シスター・オルソラ……」

アニェーゼ「えっと……こ、これからもよろし―――」

その時突如、ドンッ! という音と共にドアが開き、ちびっこい何かが部屋に飛び込んできた。



7851 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:51:23.18fpYE0AUq0 (10/16)


アンジェレネ「美味しい物の気配を感じましたよ!! どこですか、美味しい物?」

アニェーゼ「シスター・アンジェレネ!?」

アンジェレネ「む? 美味しい物はそれですね? 私に黙って皆さんで食べるなんてずるいですよ!
 ということで頂きます!」

アニェーゼ「あッ、ちょ―――」

アニェーゼが止める間もなく、アンジェレネはスプーンを掴むと、茶碗蒸しを口に運んだ。
そして、

アンジェレネ「ブッ!?」

盛大な音を立てて、アンジェレネは口に入れた茶碗蒸しを吹き出した。

オルソラ「だ、大丈夫でございますか?」



7861 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:53:35.74fpYE0AUq0 (11/16)


その場にいる全員が困惑する中、アンジェレネはゴホゴホと咳き込みながら机の上の器を指さした。

アンジェレネ「何ですかこれ!? 塩っぱいじゃないですか!!」

アニェーゼ「何って茶碗蒸しですよ。日本の卵料理です。て言うか勝手に食わねぇでください!!」

アンジェレネ「チャワンムシ? 私はてっきり甘いカスタードプディングかと思いましたよ。
 びっくりさせないでください」

アニェーゼ「人が作った物を勝手に食べておいてその言い草ですか……」

オルソラ「しかし私は茶碗蒸しを知っておりましたが、
 普通の人が見ればプディングだと思うのも無理もないことでございますね」

アンジェレネ「そうですよ。だからびっくりして吹き出しちゃったんです」

五和「確かにありますよね。私も麦茶とそうめんのつゆを間違えて飲んでしまったことがあります。
 自分の予想していた味と違ったので、驚いて吹き出してしまって―――」

その時五和は何かに気付いたように、

五和「あッ」



7871 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 00:58:02.83fpYE0AUq0 (12/16)


ステイル「何だい、突然呼び出したりなんかして」

佐天「えへへへ。ちょっとね」

用があると言って女子寮に呼び出されたステイルは、やけにニヤニヤしている佐天を不審そうに見つめた。

ステイル「何だその笑み。良からぬことを企んでもいるのか?」

佐天「企むなんて失敬な。今日はステイル君に食べて欲しい物があるんだ」

ステイル「食べて欲しい物?」

佐天「そう。えっと……これ、なんだけど」

佐天はステイルの前に陶器の器を置いた。

ステイル「何だこれは?」

ステイルは首を傾げて、その器の蓋を取った。

ステイル「これは……ッ!」

佐天「えっと、ステイル君に食べてもらうために作ったんだ。
 たぶん、上手に出来てると思うんだけど……」

ステイル「…………」

佐天「ステイル君?」



7881 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 01:01:46.67fpYE0AUq0 (13/16)


ステイルは目の前に器を見つめたまま、幼い時のことを思い出していた。



祖母『よく来たね坊や。ほら、坊やが好きなカスタードプディングを作ったからたくさんお食べ』

ステイル『わあぁ! ありがとうグランマ(おばあちゃん)!』

ステイル(僕が来るとグランマがいつも作ってくれたプディング。
 張り切りすぎて砂糖を目一杯入れるもんだから、甘ったるくてしょうがなかった。
 でもそれだけ僕が来るのが嬉しかったのかも知れないな……)



佐天「ステイル君、どうしちゃったの? 何かすごく遠い目をしてたけど」

ステイル「……いや、ちょっとこれを見ると懐かしくてね。昔のことを思い出していただけさ」

佐天(茶碗蒸しってイギリスでも食べるんだ)

ステイル「それではせっかくだから頂くとしよう」

佐天「うん、どうぞ」

ステイル(中に何か入っているようだな。フルーツの砂糖漬けか? 今はこういうのもあるのか)



7891 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 01:07:49.32fpYE0AUq0 (14/16)


その時、バンッ! とドアを開け、五和が飛び込んできた。

五和「ステイルさん、駄目―――ッ!!」

佐天「い、五和さん!?」

ステイル「ん?」

ステイルは声がした方を振り向いたまま、スプーンで掬った“それ”を口に入れた。

ステイル「ッ!?」

その時ステイルの口の中に衝撃が走った。
和風の出しと醤油が入った茶碗蒸しは、勿論それほどきつい味のものではない。
しかしそれはステイルが想像していた“甘ったるいプリン”とはまったく別のものであり、
そして、

ステイル「ブハッ!!」

佐天「ッ!?」

ステイルは先程口に入れた茶碗蒸しを、そのまま吹き出してしまった。

ステイル「な、何だこれは!? ちっとも甘くない!! 君は一体なんてものを……」



7901 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 01:18:42.02fpYE0AUq0 (15/16)


佐天「あ、あ、あぁ……」

ステイル「入ってるのは海老と、これはきのこか? もしかして、これはそういう料理―――」

佐天「うわぁ―――ッ!!」

佐天はそう叫び声を上げたまま、部屋を飛び出していった。

ステイル「あッ!? おい、ちょっと待て!!」

ステイルは慌てて追いかけようとしたが、目の前でドアは閉められてしまった。

ステイル「な、何なんだ……」

その時、ステイルの視界の端に、何かゆらりと動くものが映った。

―――ゾクッ

ステイル「ッ!?」

ステイルは背中に悪寒を感じた。

ステイルはこれまでに多くの死地を体験している。
そしてそれ故に様々な戦場の気配、例えば“殺気”を感じ取ることに長けていた。
そのステイルの勘が警告を告げる。自分の身は危険に晒されていると。
自分はどうやら、とてつもなく大きな地雷を踏んでしまったらしい。

ステイルはゆっくりと後ろを振り返った。
幽鬼のように佇む五和が、ステイルの目を真正面から捉えていた。

五和「……ステイルさん、ちょっとお話があります」

ステイル「はい……」



7911 ◆fftSPPkhRw2011/02/08(火) 01:31:16.81fpYE0AUq0 (16/16)

というわけで今回は以上!

「めんつゆと麦茶を間違える」っていうのは漫画みたいですが、>>1もやったことがあります。
あれはマジでびっくりするよね。みんなも夏場は気を付けて!

もう少しでこのスレも終わりですね。このペースだとあと4,5回でしょうか?
次のスレで確実に完結するとは思いますが。思えば遠くまで来たもんですね……

次回の投下予定は2月10日(木)。最近守れてない予定ですが、締切りがないと何もできない質でして。
感想、質問、>>1への励まし、「OblivionやってないでSS書けよ!」っていう叱咤もお待ちしていますよ。


792VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 01:34:27.59zY7MlScLo (1/2)

ステイル、お前は良い奴だったよ・・・・・・。
ということで乙。
マジでいつも楽しみながら読んでます。


793VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 01:35:20.52zY7MlScLo (2/2)

言い忘れた。
OblivionやってないでSS書けよ!


794VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 01:36:40.04EB/ucGIv0 (1/1)

ああ、不幸なすれ違いだ…乙です


795VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 01:41:16.21jiFNbZtwP (1/1)

ステイル青春してるなーと思ったら、ただのスレ違いだったでござる


796VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 01:48:26.90Lndxb5bAO (1/1)

ステイルェ……ちょっと俺と代われこの野郎


797VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 05:59:49.04FRx06KBd0 (1/1)

オブリビオン俺もやりたい


798VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 10:39:24.47ON0jMbT0P (1/1)

オブリ好きなのかwwwwww
じゃあスカイリム出るまでに完結させないとな!


799VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 21:45:52.359qRaHKAto (1/1)

OblivionやってないでSS書けよ!
ステイル…


800VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/08(火) 22:10:09.61Me6bOflK0 (1/1)



俺は麦茶とお湯間違えてお茶漬けにかけたことあるよ


801VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 01:18:17.18Kz4+NEuDO (1/1)

本来うまい物でも想像と実物の味のズレが大きいほどマズく感じてしまう……正に科学だ乙
そんなステイルにはこれをやろう
つカレー味のカステラ


802VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 02:36:12.58U8+MIj6UP (1/1)

カレー味のカステラなど生ぬるい……
カレー味のラムネを飲ませなければ


803VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 03:49:34.48Ff/z1ITDo (1/1)

泡のなくなったビールをお茶と間違えて一気に飲んだのを思い出した


804VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 09:18:51.75cjujHU7O0 (1/1)

これって原作だと何巻くらいの時系列なんでしょうか?


805VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 11:23:50.92Mtr/gG+SO (1/1)

このステイルには想像力が足りなかったな


806VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 12:41:54.56/5FzVHYAO (1/1)

カレー味のカステラだの想像力言われるとラインバレルを思い出すwwww


807VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/09(水) 13:24:17.35hnvbloZAO (1/1)

昔あんまんと肉まん間違えてびっくりしたな


808VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/10(木) 01:07:01.272JQtcIJ6o (1/1)

そばつゆと思って気の抜けたコーラに葱とワサビ入れて
そばをかっ込んで臨死体験したことが・・・。


809VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/10(木) 03:21:00.26cxcl2vSDO (1/1)

アンジェレネと佐天さんなら、どっちの方がスカートめくり
スキル高いんだろう?


810VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/10(木) 19:09:22.96J1Dh2AXao (1/1)

女だけの部隊の中と人がいっぱいいる街中じゃ、後者の方が成功させるのは難しいんじゃね?
周りがおんなだけだと油断しやすいだろうし


811VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 01:31:51.76m5gUaXEDO (1/1)

佐天さんもそろそろスカートめくり禁断症状が出てくる
頃か。


812VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 01:47:25.99YDi781pO0 (1/1)

佐天さんのスカートめくりは憂い春専用な感じがする


813VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 02:27:58.50yRR21OE/o (1/1)

禁断症状が出てステイルのマントをめくる→マント下は裸展開キボン


814VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 08:07:42.60TYOGjj1PP (1/1)

魔術的な理由でマンとの下は裸云々


815VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 10:38:11.76gfchMNlc0 (1/1)

ステイルがトレンチコート着た変態と
同じに思えてきた


816VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/11(金) 19:32:34.22jsTfuwzho (1/1)

トレンチコートがチンコに見えた


8171 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 02:12:35.40+wCi5Il60 (1/1)

毎度おくれてすいません。予想よりもちょっと長くなりましたが、明日(日付的にはもう今日ですが)には投下します。
ところで割とどうでも良い質問なんですけど、ステイルの好物の食べ物って何だと思いますか?
個人的にはファーストフードとかメッチャ好きそうな気がするんですけど、どうでしょう?


818VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 02:38:26.06/4pNs9qjo (1/1)

チリソースとかかかってるヤツ
野菜は嫌いそう


819VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 02:57:37.36Eul59Brbo (1/1)

なんとなく健康は気にしてないんだけどね、とか言いながらバランスの良い食事が好きそう


820VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 03:11:37.04PSybnERBP (1/1)

意外と温野菜とか食べてそうなイメージがある
好物は豚の血のソーセージ


821VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 05:04:48.94ENJsvYn3o (1/1)

ステイル「このハンバーガーとコーラは世界で一番売れている。だから世界で一番美味いものに決まっているだろ」


8221 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 18:51:39.69wppUkaOs0 (1/1)

今日の二三時頃から続きを投下します。


>>794、>>795
すれ違いっていうのはこのSSの一つのテーマかも知れないなぁと言われて気付きました。
佐天さんが今後戦う理由や相手もこれが関わってくるんじゃないかなと思ったり。

>>804
一四巻の後、テッラは倒したかもな~くらいにお考えください。
とりあえずまだ魔術サイドと科学サイドの戦争は終わっていません。

>>809
良い質問ですね(池上彰っぽく)
まず注目すべきは、およそアンジェレネの方が佐天さんより身長が低いということです。
一一巻を見る限り、この時のルチアのスカートは初春が着ている中学の制服スカートを丈が変わらないと思われるので、
身長が低いアンジェレネの方がスカートをめくりやすいと思われます。
よって佐天さんの方がアンジェレネよりスカートめくりスキルが高いという結論に至ります。

>>812
…………。
佐天「憂春ー、アイスー」ゴロゴロ
憂春「フフッ、もう佐天さんったら」
ていう想像をした。

>>812
そんな展開書きたくねぇwwww アニメのサイトのキャラクター画像を見ると、どうやらマントの下は普通のワイシャツぽかったです。

>>818-821
逆に健康に気を使ってるっていうのも面白いかもね。でもステイルは絶対自分では料理しない気がするだ。


というわけでもうしばらくお待ち下さい。


823VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 19:43:30.84CL46eCgAO (1/1)

ステイル剥けろ、いやもげろ、違う、爆ぜろ、‥‥‥果てろ!



824VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 19:54:16.37BnGTyW7AO (1/1)

>>822
把握したぜ。待ってます


825VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 23:00:47.74auuisky2o (1/1)

ステイル…弾けて混ざれ!


8261 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:11:20.89rSPYd/330 (1/14)

初の文字数一万字超えで投下しますよー


8271 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:14:43.11rSPYd/330 (2/14)


―――日本人街、とあるアパート




佐天「五和さん、玄関の掃除終わりましたよー」

佐天がそう言いながら台所に戻ってくると、五和はフライパンを持ったまま、
ソワソワと落ち着かない様子で台所の端から端を行ったり来たりしていた。

テーブルには優に十人分は超える料理がこれでもかと並べられている。
佐天もお手伝いをしたが、どの料理も五和の力作だった。

佐天「五和さん?」

五和「は、はいッ!! げ、玄関の掃除ですね!! さっき佐天さんにお願いしたから大丈夫です!!」

佐天「だから私がして終わったんですって。五和さん、ちょっと緊張しすぎじゃないですか?」

五和「そ、そんなこと言っても……」

佐天「でも仕方ないですよね。憧れの人を家に呼ぶんですもんね」

五和「あ、憧れの人ッ!? そ、それに家に呼ぶだなんて……ッ!
 今回はたまたま、そうなっただけですし」



8281 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:19:06.24rSPYd/330 (3/14)


佐天「でも何で急に、その、上条さんでしたっけ? ここに来ることになったんですか?」

五和「元々『必要悪の教会』の要請でこちらに呼び出されていて、
 オルソラさんがおもてなしをするはずだったんですが、予定が入ってしまったということで
 急遽私にお鉢が回ってきたわけです」

佐天「じゃあとってもラッキーな展開ってことですね。これはもうグイグイ行くしかないですよ!」

五和「ぐ、グイグイ、ですか?」

佐天「そうですよ。例えば……もういっそ告白しちゃうとか!」

五和「こここ、こく、告白ッ!? むむ、無理ですよそんなの……/// 今でもお話しするのが精一杯なのに……」

佐天「でも遠距離なんだから、直接会う機会なんて中々ないんじゃないですか?
 しかも二人っきりになれるチャンスなんですから」

五和「二人っきり? 佐天さんがいるじゃないですか?」

佐天「あたしは頃合いを見てどこかに行くつもりでしたけど」

五和「えぇ―――ッ!? そんな、二人っきりなんて無理ですよ!!」

佐天「他のみんなもそのために今日は外出してるんですよ。
 香焼君なんて特に予定もなかったから『自分は今日何して過ごせばいいんすか?』
 って嘆いてたぐらいですから」

とは言うものの、本当に全員に外出しているのかどうかは疑わしい。
とくに建宮なんかは、ひっそりどこからか様子を伺っているのではないかと佐天は睨んでいた。



8291 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:21:45.92rSPYd/330 (4/14)


五和「で、でも……」

佐天「奥手な五和さんに告白させるのはちょっと無理があるかな。なら逆に相手の方から……。
 よしッ! もっと露出度の高い服にチェンジしましょう!」

五和「何でそうなるんですか!?」

佐天「相手をその気にさせるために決まってるじゃないですか。
 五和さんのわがままボディで相手を陥落させるんですよ。
 でも相手には何の興味も抱いていないように振舞う。
 名付けて『上条さんのことなんかぜんぜん好きじゃないんだからねっ!!作戦』です!」

五和「ちょっと!? 脱がそうとしないでくださいッ!!」

佐天「大丈夫です。この前建宮さんと小一時間程『五和隠れ巨乳説』について
 熱い議論を交わしたあたしに死角はありません」

五和「本当に何してるんですか!?」

佐天「♪一線だって超えたいの~」

五和「不吉な歌を歌わないでください!!」

佐天「いいから脱げッ!! 脱ぐんだ五和ァッ!!」



8301 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:23:44.08rSPYd/330 (5/14)


五和「う……ッ! も、もう止めてくださいッ!!」

―――ブンッ!

佐天「危なッ!?」

佐天が咄嗟に頭を下げると、頭上スレスレを五和のフルスイングしたフライパンが通過した。
勢い余ったフライパンは、恐ろしいことに業務用冷蔵庫の金属製ボディにはっきりと凹みを作った。

佐天は割と真剣な表情で冷や汗を拭った。

佐天「こんなところで日頃の練習の成果が出るなんて……」

五和「ハァ、ハァ……、そ、そんな作戦は、私にはまだ、む、無理ですッ!」

佐天「アハハッ、ちょっとした冗談ですよ。
 でも少しくらい大胆に行かなくちゃいけないのは本当ですよ?
 露出度とか、そういうことじゃないですけど」

五和「大胆、大胆ですか……」

五和はそのまま『大胆』という言葉を呪文みたいに口の中でモゴモゴ呟いた。
いつもはとても頼りになる五和のあたふたする様子は、佐天には何だか可愛く思えた。



8311 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:26:03.74rSPYd/330 (6/14)


佐天「とりあえずあたしも何とか上手くフォローするようにしますから―――」

「すいませーん。えっと、五和いるのかー?」

その時、玄関の方から若い男の声がした。
五和がビクッ! と小動物みたいに飛び上がった。

五和「来たッ!? 来ちゃいましたよ佐天さん!!」

佐天「よし、行きましょう」

二人は急ぎ足で玄関の方に向かった。

五和「い、いらっしゃいませッ!!」

佐天「こんにちは、って?」

玄関に立っているのは散々見せられたあの高校生―――ではなくて、
純白の修道服を着た銀髪の小柄な少女だった。

インデックス「やっと着いたんだよ。もうお腹が空き過ぎて、目が回りそうかも。
 いつわ、一刻も早くご飯を食べさせて欲しいんだよ」

五和「はい、もう準備できますから、すぐに食べられますよ」

インデックス「やったーッ!」

佐天「五和さん、この子はどなたなんですか?」



8321 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:29:12.44rSPYd/330 (7/14)


五和「こちらは―――」

「おいおいインデックス、着いてそうそう食べ物を要求なんて、
 そんな盗賊みたいな真似するんじゃありません」

そう言って現れたのは、五和の部屋にざっと二十人くらいはいる写真の高校生、上条当麻だった。

インデックス「今日はいつもと違ってとっても豪華なご飯が食べられるって聞いてるんだよ。
 もう一秒だって待てる気はしないかも」

上条「悪うございましたね。いつも貧相な食事しか作ってやれませんで」

佐天「えッ!?」

上条「ん?」

佐天(お、女の子と一緒!? もしかしてこれって……)

さっきのこの男の人は「いつも食事を作っている」と言った。
つまり二人がそれだけ親密な関係だということだ。
それなのに五和がこれだけ入れ込んでいるということは―――

佐天の両手は、驚きと怒りでワナワナと震えた。

上条「天草式の人か? えっと、初めましてのになるのかな。
 知ってるかも知れないけど、俺は上条当麻って―――」

佐天「この女の敵ッ!!!」

上条「え―――ッ!? 何でいきなり!?」



8331 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:31:03.49rSPYd/330 (8/14)


五和「ちょっと佐天さん!! 何を言ってるんですか!?」

慌てる五和の肩を、佐天はガシッと掴んだ。

佐天「五和さん、騙されちゃ駄目です!! こんな二股をかけて、
 しかも堂々と相手を連れてくるような男に惑わされちゃいけませんよ!!」

五和「ふ、二股!?」

上条「初対面の女の子にいきなり罵倒されるなんて、不幸だ……」

インデックス「事情はよくわからないけど、とうまが女の敵っていうのは間違いじゃないかも」

上条「何でお前はそこで同意するんだよ!!」

佐天「そ、そこに直れ!! 五和さん直伝の技で正義の鉄槌を……!!」

五和「佐天さん落ち着いてください!!」




………………………………

………………

………




佐天「本当に、すいませんでした……」

もう何度目か分からないが、佐天は上条に頭を下げた。



8341 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:35:32.15rSPYd/330 (9/14)


上条「いや、いいって。無事に誤解も解けたんだしさ」

インデックス「どれもそれもあれもこれも! ここにあるもの全部美味しいかも!!」

五和「沢山あるので遠慮せずに召し上がってくださいね」

インデックス「勿論なんだよ! こと食卓においては『遠慮』という言葉は私の辞書にはないんだよ!」

上条「せめて『満腹』という言葉くらいは書き込んでおいてくれよ……」

順調に、とは行かなかったが、ともあれ四人はテーブルに付いた。
インデックスの前に置かれた料理だけ高速で真っ白な皿だけになる様子を、
佐天はやや呆然として眺めていたが、これが彼女のいつもの姿らしく他の二人は何も気に留めていなようだった。

上条「それにしても二股なんて、上条さんにはそんな甲斐性はありませんよ。
 そもそもインデックスは居候のくせに、家事はやらないし何の役にも……」

インデックス「ほうふぁ、はんはひっは?(とうま、何か言った?)」

口一杯にチキン南蛮を頬張りながら、インデックスは上条をギロリと睨んだ。

上条「……うん、でも日々の癒しにはなるかな。観葉植物的な。
 それに五和と付き合ってるなんてあり得ないし」

五和「ッ!!!」

胸に深々と短剣でも突き刺されたように、五和はテーブルに突っ伏した。



835VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/12(土) 23:41:50.312gSmld3Qo (1/1)

ちょっwwwww上条さんひでぇwwwwwwww


8361 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:42:08.48rSPYd/330 (10/14)


五和「そ、そうですよね……私なんかとそんな関係にあるってことになったら、迷惑ですよね……」

上条「い、いやそういうことじゃなくて、五和みたいな素敵な女の子と俺が釣り合うわけがないし、
 俺には勿体無いっていうか……ッ!」

五和「す、素敵……///」

佐天(スゴイ飴と鞭を見た……)

佐天がそんな感想を抱いていると、上条は佐天の方に向き直った。

上条「それで、佐天さん、だっけ? 佐天さんも五和と同じ天草式なんだよな?」

五和「いえ、佐天さんは元は学園都市の学生で、今はこっちで魔術を学んでいるんです」

上条「学園都市の!? 何でまた?」

佐天「アハハ……ッ、ちょっと事情がありまして」

上条は問い掛けを、佐天は笑って誤魔化した。

五和「佐天さんはステイルさんから魔術を教わってるんですよ」

上条「ステイルが? あいつが人にものを教えてるなんて、ちょっと想像できねぇな」



8371 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:49:50.10rSPYd/330 (11/14)


佐天「ステイル君を知ってるんですか?」

上条「あいつには魔術関係のごたごたに散々付き合わされてるからな」

佐天「へぇー、何か大変そうですね」

上条「持って生まれた不幸体質のせいだな。で、ステイルはどんな感じで教えてるんだ?
 やっぱ超スパルタで厳しかったり」

佐天「スパルタって程じゃないですけど、厳しいことは厳しいです。それに……」

上条「それに?」

佐天「い、いえ、何でもありません」

この前の件については、五和に“軽い”お説教を受けたらしいステイルに謝られたが、以前状況は変わらないままだ。
むしろあの件をお互いが気にして、少し気不味くなってさえいる。

佐天は暗くなった気分を吹き飛ばすように、目の前のたこのやわらか煮に齧り付いた。



五和「私、食後のお茶を淹れてきますね」

インデックスを除く三人の食事が粗方終わると、五和はそう言って立ち上がった。



8381 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:51:44.68rSPYd/330 (12/14)


上条「俺も何か手伝おうか?」

五和「えッ!? いえ、お手伝いなんて……」

上条「でもこんなにご馳走してもらったんだから、何かしないと悪いしさ」

佐天はそれを見て、態とらしく手を叩いた。

佐天「そうだ、上条さんには食器洗うのを手伝ってもらったらいいんじゃないですか?
 あッ、でも台所の勝手が分からないかも知れませんね。
 お茶の方はあたしがやるので、五和さんは上条さんと一緒に食器の方をお願いします」

五和「ちょ、ちょっと佐天さん! 少し強引すぎませんか?」ヒソヒソ

佐天「言ったじゃないですか。五和さんには大胆さが必要だって」ヒソヒソ

五和「でも……」

二人のヒソヒソ話を気にすることもなく、上条は椅子から立ち上がった。

上条「よし、それじゃあそうしますか。つーかインデックス、お前も何か手伝えよ」

インデックス「今はちょっと無理かも。私にはまだ沖縄が生んだ保存食、
 豚の塩漬けスーチカーに挑むという使命が残されてるんだよ」



8391 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:55:44.61rSPYd/330 (13/14)


上条「はいはい。そのまま豚にならないように注意しろよ」

インデックス「なるわけないんだよ。ぶーぶー」

上条は台所の流しに向かった。その後を五和がおっかなびっくり着いて行った。
佐天は手早くお茶の準備を済ますと、テーブルに戻った。

佐天「インデックスさんもお茶飲みます?」

インデックス「“さん”はいらないかも。インデックスでいいんだよ」

佐天は湯のみに二人分お茶を注ぐと、脂の乗った豚肉に齧り付いたままのインデックスに湯のみを差し出した。

佐天「はい、どうぞ」

インデックス「ありがとうなんだよ」

インデックスは豚肉と格闘する手を休めた。
ズズーと二人がお茶を啜る平和な音が響いた。

佐天「そう言えば、さっき『魔道図書館』がどうとか言ってたけど、あれってなんなの?」

インデックス「私は十万三千冊の魔道書をすべて頭の中に記憶しているんだよ。
 つまり『魔道図書館』とはこの私そのものなんだよ」

エッへン! とインデックスは得意げに胸を張った。



8401 ◆fftSPPkhRw2011/02/12(土) 23:58:20.23rSPYd/330 (14/14)


佐天「魔道書って確か魔術の教科書、みたいなものだっけ?」

インデックス「正確には異世界の法則である魔術の使用方法を記したもの、かも」

佐天「それじゃあ魔術にすっごく詳しいってこと?」

インデックス「私には魔力がないから魔術を使うことはできないけど、知識だけなら誰にも負けないんだよ。
 今回ロンドンに来たのだって、魔道書関連の事件で知識を提供するために呼ばれたんだから」

佐天「おおぉ! 何か専門家っぽくてカッコイイ!」

インデックス「……久しぶりに真正面から褒められた気がするんだよ。嬉しい半面ちょっと複雑かも」

佐天「そっか、そうなんだ……」

佐天は何か考えるように、下を向いた。

インデックス「ん? どうしたの?」

佐天「その、一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

インデックス「一つと言わず二つでも三つでもドンと来いなんだよ!」



8411 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:03:29.25yL6ZFKOV0 (1/18)


佐天「えっと、魔術って色んなものがあるよね? 遠くにいる人と会話したり、傷を治したり。
 色んな種類の魔術がある中で、人によって向き不向きってあるのかな?」

インデックス「具体的にはどういう魔術?」

佐天「攻撃系の魔術、とか……」

インデックスは「うーん……」と言ってしばらく悩んで、

インデックス「少し説明するのが難しい質問だね。変な答えになるけど、
 『向き不向きはあるけど、魔術師にはない』っていうのが正解かも」

佐天「何それ? どういうこと?」

インデックス「物凄く単純化した話をするね。
 攻撃系の魔術って言っても色々あって、例えば儀式場を使うものや霊装を使うものもあるよね。
 儀式場を作る場合、設置するアイテムの位置が少しでもズレると魔術的意味が失われて失敗してしまう。
 だからこの作業には物凄く集中力や根気強さが必要なんだよ」

佐天「つまり、短気ですぐに飽きちゃうような人には向かないってこと?」

魔術の発動の仕方の一つとして、儀式場についてはステイルからすでに教わっていた。
しかし方位や配置するアイテムの魔術的役割を厳密に設定しなくてならないという話は、
聞いているだけで頭が痛くなりそうだった。



8421 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:08:48.61yL6ZFKOV0 (2/18)


インデックス「そういうこと。次に霊装を使った魔術の場合、
 儀式場と違って一から魔術的記号を配置する必要はないんだよ。

 でも魔術を発動させるためには、できるだけ素早く術式を構成する必要があるんだよ。
 簡単な攻撃魔術を発動させるのに、何分も掛かってたら役に立たないからね」

佐天「ということはいつもおっとりしてるようなのんびり屋さんには向かないわけだ」

料理の練習中、アニェーゼが蓮の杖(ロータスワンド)の遠隔操作で一度に卵を割ろうとしたことがあり、
一パックまるごとぐちゃぐちゃにしてしまったので、アニェーゼは五和にこっぴどく怒られていた。

インデックスの話を聞く限り、短気なアニェーゼの性格にあの霊装は合っているのかも知れない。

インデックス「さっき言った向き不向きがこれなんだよ。でもこれはそこまで重要なことじゃないんだよ。
 儀式場を作るのが苦手だったら、同じ効果が得られる魔術を霊装を使って再現すればいいだけ。
 むしろこういう『自分にできないことをできるようにする』って姿勢は、本来の魔術師らしいものなんだよ」

佐天「だから『向き不向きはあるけど、魔術師にはない』んだ」

インデックス「そういうことなんだよ」

佐天「それじゃあ、どうしてなのかな……」



8431 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:15:32.72yL6ZFKOV0 (3/18)


才能の無さや弱点を克服する。それが『魔術師』。

なら何故ステイルは自分に攻撃魔術を教えてくれないのだろう。
ステイルは何を躊躇っているのだろう?

インデックス「まだ悩み事があるのかな?」

佐天「うん……。ステイル君がね、攻撃魔術を教えてくれないんだ。
 『君にはまだ早い』っていつも言われるんだけど、
 あたしにはステイル君が教えるのを嫌がってるみたいに思えてさ」

インデックス「……私には、ステイルの気持ち何となく分かるんだよ」

インデックスは揺らぐ湯のみの水面を眺めた後、静かにそう言った。

佐天「どういうこと?」

インデックス「るいこは『必要悪の教会』の一員なんだよね?」

佐天「まだ見習いって感じだけど、一応」

インデックス「『必要悪の教会』はね、対魔術師専門の実力組織で結構権力もあるところなんだけど、
 やってることは普通の組織が嫌うような“汚れ仕事”なんだよ」

佐天「汚れ仕事……」

佐天の目の前に立つステイルは、いつも泰然としている。
いつも自分に皮肉を言い、甘くはなく、でもいつも気遣ってくれているのを、佐天は知っている。
そんなステイルも、自分の知らないところで辛い任務に苦悩していたりするのだろうか。



8441 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:19:46.25yL6ZFKOV0 (4/18)


インデックス「だから危険なことも沢山あるんだよ。それに汚れ仕事を引き受ける以上、
 色んな人から恨みを買うこともあるかもね。それが『必要悪の教会』なんだよ」

佐天「でも……あたしだってそんなことくらい分かってるよ」

インデックス「ううん。どんなに言葉で理解してても、現実とは違うんだよ。
 るいこがこのまま『必要悪の教会』の、しかも攻撃魔術を使うような前線に立てば、
 きっと目を背けたくなるような辛いこともあると思うんだよ。

 ステイルは、るいこにそんな世界に関わってほしくないって思ってるんじゃないかな?」

佐天「あたしは……」

時折首をもたげる疑念―――自分は本当にここにいていいのだろうか?
それでも、と佐天は自分に言い聞かせる。

佐天「力がほしい。誰かを守れるような力が。そのために、ここまで来たんだから」

誰かを守るために、誰か―――学園都市の初春や御坂、白井から距離を置いたという矛盾。
それは分かっているが、行動しなければ自分は変わらないと思ったのも事実だ。

佐天「インデックス、あたしどうすればいいのかな?
 どうすればステイル君はあたしの気持ちを理解してくれると思う?」

インデックス「簡単なことなんだよ。るいこの想いを、ステイルにそのまま伝えればいいだよ。
 それでその想いを分かってもらえばいいんだよ」



8451 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:22:30.32yL6ZFKOV0 (5/18)


佐天「いや、だからそれが難しいわけで……」

インデックス「るいこ、想いを直接伝えることから逃げちゃだめなんだよ。
 そうしないとお互いの気持ちはすれ違ったままなんだよ。
 想いを伝えることは一番簡単だけど一番難しくて、でも一番正しいことなんだからね」

そう言って、インデックスは佐天に向かって微笑んだ。
素朴で、何の飾り気もないそれは、佐天にはとても美しく見えた。

佐天「……分かった。あたし、頑張ってみる。
 それでも通じなかった時のことを考えると、ちょっと怖いけど」

インデックスはそっと目を閉じ、呟くように言った。

インデックス「……『恐れるな。わたしはあなたとともにある。
 たじろぐな。わたしがあなたの神だから』」

佐天「『わたしはあなたを強め、救いの右の手であなたを助ける』……。
 確か『イザヤ書』の、えっと……」

インデックス「第四十一章十節。よく知ってたね。るいこは勉強熱心なんだよ」

佐天「素敵な言葉だなって思ってたから、たまたま覚えてただけだよ。
 うん、元気でてきた。ありがとう、インデックス」

インデックス「どういたしまして、なんだよ」



8461 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:24:14.85yL6ZFKOV0 (6/18)


佐天は改めて、この不思議な少女を見た。

佐天「でも何かインデックスってシスターさんみたいだね」

インデックス「『みたい』じゃなくてシスターなんだよ!! 今までるいこは私のことを何だと思ってたの!!」

佐天「いやー、よく食べる変なコスプレした子だなぁとしか」

インデックス「ムキーッ!! 敬虔な神の僕である私への侮辱なんだよ!!」

佐天「冗談冗談。本当にありがとうね、インデックス」

インデックス「うん! 頑張るんだよ、るいこ」

上条「事情はすべて聞かせてもらった!!」

佐天    「ッ!?」
インデックス「ッ!?」

突然、二人の背後で上条が高らかに声を上げた。

インデックス「いきなり大声出さないでほしいんだよ!! ビックリしたんだよ!!」



8471 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:25:35.87yL6ZFKOV0 (7/18)


上条「す、すまん。このSSは上条さんの出番少ないから目立たなきゃいけないと思って」

インデックス「メタな発言と乙女の会話を盗み聞きするのはとってもマナー違反かも!!」

上条「盗み聞き? 五和から佐天さんの事情を聞いただけなんだけど。例の茶碗蒸しの件とか」

佐天「えッ!? ちょっと五和さん!!」

五和「すいません。つい……」

そう言って五和は、申し訳なさそうに流し方から顔出した。

上条「要するにこの前の失敗はステイルのことを何も調べてなかったのが原因なんだろ?
 だったら事前に食べ物の好みとか聞いておけば何の問題もないはずだ」

佐天「いや、もうそういうのは……」

五和「でも一体どうやってそれを聞き出すんですか?」

上条「フッ。そこで俺の出番だろ」

佐天    「?」
五和    「?」
インデックス「?」



8481 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:28:35.86yL6ZFKOV0 (8/18)


―――『必要悪の教会』関連施設




ステイルは自分が今取り掛かっている任務の資料を机の上に並べ、
その一つに熱心に目を通していた。

それを少し遠くから観察する三つの影があった。

佐天「それで結局上条さんはどうするつもりなんでしょう?」

五和「上手く聞き出すって仰ってましたけど」

インデックス「『任せろ、演技力には自信があるんだ』とも言ってたんだよ」

佐天「上手いこと話を持って行って、好きな食べ物の話にするのかな?」

インデックス「でも相当上手くやらないと、いきなり現れて好きな食べ物を聞くなんて
 不自然極まりないんだよ」

五和「とりあえず今は上条さんのことを信じましょう。
 あッ、ステイルさんの方に向かって行くみたいですよ」

三人が見守る中、上条は堂々とした足取りで、ステイルのもとに向かって歩いて行った。



8491 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:31:48.24yL6ZFKOV0 (9/18)


遠くから二人の様子を見守る佐天は、少し不安そうに言った。

佐天「……何か、ちょっと変じゃない?」

インデックス「で、でもあれだけ自信たっぷりに言ってたんだから、きっと何か作戦があるんだよ」

五和(さすが上条さん、頼りになります……)

若干一名ポーッとして話を聞いていない中、向こうにいる二人は話を続ける。



ステイル「で、何か用でもあるのかい?」

上条「いや、たまたまだよ。ホントに奇遇だよな、正に奇遇、アハハッ」

ステイル「君はいつもおかしいけど、今日は輪を掛けておかしいな。
 何か変なものでも食べたのかい?」

上条「失礼な。上条さんはいつも通りですよ。いつも通り過ぎて、逆に不自然なくらいだぜ」

ステイル「いや、意味が分からない……。本当にどうかしたのか?」

上条「どうかしてな―――いや、どうかした!」

ステイル「ッ!?」ビクッ!



8501 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:34:47.85yL6ZFKOV0 (10/18)


上条「もう歩き過ぎて脚がパンパンだよ。マジで疲れちまったな。
 これはすぐにでも座らないと脚が二度と動かなくなるわ。それじゃあちょっと失礼して……」

そう言って上条は椅子に座った。ステイルのすぐ横の椅子に。

ステイル「はぁ……。ていうかなぜそんな近くに」



佐天「……大丈夫なんだよね、これ?」

インデックス「う、うん。大丈夫なんだよ。たぶん、きっと……」

五和(上条さん……///)ポーッ



ステイルは何故か接近戦を挑んできた上条を気にすることなく、資料の続きに目を落とした。

上条「ゴホンッ! ゴホッゴホッ! うん!」

ステイルがペラペラと資料を捲る音を、上条の態とらしい咳払いがかき消した。



8511 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:36:57.94yL6ZFKOV0 (11/18)


上条「えっと、ステイル?」

ステイル「は? 何だい?」

上条「あー……、ステイル?」

ステイル「いや、だから……」

上条「…………」

ステイル「…………」

ステイルは苛立たし気に手に持った資料を机に置き、上条に向かい合った。

上条「うーん………………………………………………ステイル?」

ステイル「だからさっきからなんなんだよ!! 君は壊れたおもちゃか!!」



佐天「……あれ、駄目じゃない?」

インデックス「……うん、駄目なんだよ。不自然を通り越して、挙動不審なんだよ」

五和「き、きっとこれも作戦の一部ですよ! 上条さんに何か考えがあって……」

佐天「五和さん、現実を直視しましょう」



8521 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:39:22.36yL6ZFKOV0 (12/18)


上条「いやあ、ちょっと面白い話があってさ」

ステイル「面白い話?」

上条「土御門の奴がさ、義妹の誕生日に好きなものご馳走してやるって言ったんだ。
 そしたら土御門の義妹は学園都市で評判のぶどうが食べたいって答えたんだとさ」

ステイル「まったく興味はないが社交辞令として聞いてやる。それで?」

上条「それを聞いて土御門はその評判のぶどうを調べたんだけど、どこにもそんなものはない。
 困った土御門はとりあえず学園都市の外から高級ぶどうを取り寄せたんだ。
 でも誕生日当日、ぶどうを見て義妹は大激怒したんだ」

ステイル「自分から言ったのに、不思議ではあるな」

上条「だろ? しかしこれがよく聞いてみると、自分が食べたかったのは『ぶどう』じゃなくて、
 『うどん』だって言うんだ。土御門の奴、『うどん』と『ぶどう』を聞き間違えたんだよ。
 おかしよな、まったく! アハハッ!」

ステイル「はぁ……」

佐天「…………」

インデックス「…………」

上条「……ところでお前の好きな食べ物って、何?」

佐天    (下手だぁぁ―――ッ!!!)
インデックス(下手だぁぁ―――ッ!!!)



853VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 00:39:41.95ixErYEXGo (1/3)

ちょっ上条さんだめすぐるwwwww
ダメ条さんかwwwwwwww


8541 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:45:22.27yL6ZFKOV0 (13/18)


佐天「何あれ!? もう下手ってレベルじゃないよ!! ていうかあの小咄みたいなの何?
 意味分かんないしッ!!」

インデックス「見てて恥ずかしかったんだよ。途中から止めに入りたかったんだよ……」

五和「で、でもお話は結構面白かったですし、それなりに上手い話題の方向転換だったんじゃないでしょうか?」

佐天「全然上手く方向転換できてないでしょ!? ガードレールにガリガリぶつかってましたよ!!」



少し離れた柱の向こう、騒がしい話し声が聞こえる方を見ながら、ステイルは溜息を吐いた。

ステイル「……フライドポテトだよ」

上条「フライドポテト? フライドポテトってあのハンバーガーと一緒に出てくる?
 お前、好物がフライドポテトって」

ステイル「何だよ。悪いのか?」

上条「いや、別に悪くはないけど。好物がファーストフードかよ」

ステイル「別にいいだろ。好きなんだから」



佐天「フライドポテト? うーん……何て言うか斜め上だなぁ。まあステイル君らしいけど」



8551 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:48:30.20yL6ZFKOV0 (14/18)


五和「フライドポテトならおうちでも簡単に作れますよ。
 ハーブや香辛料をフレイバーとして用意すれば、色んな味が楽しめますし」

佐天「へぇー、何だか面白そうですね」

インデックス「すっごく美味しそうなんだよ!! いつわ、帰ったら作って欲しいかも!!」

五和「いいですよ。試しに作ってみましょうか」

インデックス「やったーなんだよ!! とうまの不自然トークもちょっとは役に立ったんだよ」

「皆さん、こんなところで何をしているんですか?」

突然、三人の後ろから声が聞こえた。
ギクッとした三人が振り返ると、そこにはルチアが不審そうな表情で立っていた。

佐天「いやあ、そのアハ、アハハッ……」

五和「えっと、あー、うー……」

インデックス「あ、歩き過ぎて脚がパンパンなんだよ!! 一刻も早く家に帰りたいかも!!」

ルチア「はぁ?」

佐天「そ、それじゃあ!!」

言うが早いか、三人は困惑しているルチアをよそに、全速力でその場を後にした。



8561 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:50:34.26yL6ZFKOV0 (15/18)


ステイル「まったく困ったもんだ……」

上条「お前がいらない不安を与えてるからだろ。自業自得ってやつだよ」

走り去る三人の後ろ姿を眺めながらステイルが呟くと、上条は咎めるようにそう言った。

ステイル「君は全部知っててあんな三文芝居を打ったのか?」

上条「さあな。でも佐天さんだけじゃなくて、お前のことも心配ではあったな」

ステイル「余計なお世話だね」

ステイルは無意識に胸にしまった煙草の箱を探る。
しかしこの建物が禁煙だったことに気付き、疲れた表情でその手を額に当てた。

ステイル「一つ、聞きたいことがある」

上条「何だ?」

ステイル「喩え話だ。あるところにすごく危険な森があって、自分はそこで狩りをして生活している。
 ある時一人の何も知らない人間が、森に興味あるからどうしても入りたいと言う。
 君ならどうする?」

上条「お前、顔に似合わずそんなファンシーな話するんだな」

ステイル「いいから答えろ」



8571 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:53:06.66yL6ZFKOV0 (16/18)


上条「それで、その森はどういう風に危険なんだ?」

ステイル「森に住む者は常に入ってくる者を食い尽くそうとしている。
 それに森のルールは残酷だ。森に入れば、その子は嫌でも辛く、血生臭い現実を見ることになる」

ステイルは天井を仰いだまま、そう言った。

残酷なルールと血生臭い現実。それはステイルが身を以て体験したことだ。
しかしそれを知ってなお、ステイルは森に分け入るのを止めないでいる。
それはそこに、明確な理由と覚悟があるからだ。

少なくとも自分には―――ステイルは自分に言い聞かすように、改めて己の戦う理由を思い浮かべる。

上条「それなら、まあ止めるだろうな」

ステイル「それでも聞かなかったら?」

上条は、しばらく押し黙った後、ぐっと握った右手をステイルの胸の前に突き出した。
ステイルは身じろぐことなく、その手を見る。

普通の手だと、ステイルは思った。

上条「守る。その子が絶対に傷つかないように―――守る」

何の変哲もない、平和な国で暮らしている高校生の手だ、ステイルは改めてそう思う。
しかしその手は自分を、そして多くの強力な魔術師たちを打ち倒してきた右手だ。
その握った手は、確かにこの男の「守る」という言葉を実現してきたのだ。



8581 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 00:54:24.97yL6ZFKOV0 (17/18)


ステイル「……簡単に言ってくれるな」

そう言ってステイルは椅子から立ち上がった。
机の上に散らばった資料を手早くかき集めると、椅子に座ったままの上条を見下ろした。

ステイル「それじゃあ僕は失礼するよ。好きなだけ脚を休ませているんだね」

上条「ああ。そうさせてもらうぜ」

ステイルは上条を見たまま、しばし押し黙った。

ステイル「……参考になった」

上条「ああ、そうかよ」

上条は苦笑しながら、そう言った。
上条の返事を聞き流すように、ステイルはその場から歩き去っていった。



859VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 00:56:00.65ixErYEXGo (2/3)

佐天さんの事か


8601 ◆fftSPPkhRw2011/02/13(日) 01:04:24.47yL6ZFKOV0 (18/18)

というわけで今回は以上!

ステイルの好物を聞いた割にはいいのが思い付きませんでした。
あとうっかりステイルが「フライドポテト」と言っていますが、「フレンチフライ」かイギリスなので「チップス」が正解ですね。
ステイルが上条さんに和製英語で合わせてくれた、ということで。

今回の投下分はこのSSを書き始めた時から考えていた部分なので、書いていて少し感慨深かったです。

SS内でも上条さんがメタな発言をしていますが、上条さんやインデックスがあまり活躍すると、
このSSで起こる問題が解決してしまうので、二人の役割は限定的です。
その分佐天さんとステイルには頑張って欲しいですね。

次回の投下予定日は二月十六日(水)。次回でこの話のまとまりは終わりです。
その次からはおまけの番外編を挟んで、やっと戦いに突入します。ホント長かったわ……。


861VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 01:12:49.32avtJq7WFo (1/1)

乙ー
まぁ間寛平の気分で、無理せず時間かけつつ完走しようや


862VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 01:17:07.12ixErYEXGo (3/3)

乙でした~
おやすみ~


863VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 01:35:20.15Hl8R+gKuP (1/1)

Fish&Chipsですね。わかります。

乙でした。


864VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 04:30:55.20mYxH/NAto (1/1)




865VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 12:00:33.59lxoishlW0 (1/1)



いい投下ペースだな


866VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 14:18:42.10CE+Kuvg30 (1/1)

上条さんは
親・親戚・クラスメイト・担任・御坂・インデックス
に、記憶喪失がバレなかった演技派だから期待してたけど、そんな事なかったぜ!

と、思ったらステイルが3人が陰で見てる事を知ってる前提だったのか。
やるなぁ。


867VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 14:48:59.46Txobu87DO (1/1)

>>821
ようやく思い出した
元ネタは、Q.E.D.だよな?


868VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/13(日) 17:53:52.464aCtUdiy0 (1/1)

ガードレールにガリガリぶつかっているってレベルじゃねぇ…!
ガードレールの足が折れて軽く車が飛び出して止まってほかの車に牽引してもらっているレベルだ…!


8691 ◆fftSPPkhRw2011/02/16(水) 19:00:02.98dFYBIVrs0 (1/1)

フレンダァァァ!! フレンダなのかぁぁぁ!?

久しぶりに予告通り、今日の二三時から投下を開始します。
今回はちょっと短めになってしまいました。

自分から話を振っておいてなんですが、新刊の発売が近づいてきましたが、
発売直後はネタバレになるようなことは極力書き込まないようにしましょう。
まあこれは他のスレでも言えることだと思いますが。

というか>>1が発売直後に読めるとは限らないので、
ネタバレとかされたら怒りの余り『自動書記(ヨハネのペン)』モードに突入し、
このSSは中華一番!的な料理対決SSになるよ!
そっちのほうが面白そうとか言うな!!

というわけでもうしばらくお待ち下さい。






870VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 19:16:23.32Km6lb5zIO (1/1)

しばらく新約をNGワードに入れておこうかな


871VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 19:16:52.53iOhuBC270 (1/1)

半裸待機


872VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 20:00:31.58PhNyhiJDP (1/2)

ステイルが料理するなら、ちょっと見てみたいかも


873VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 20:01:37.20dwQ1BLhDO (1/1)

禁書世界で死亡したのは木原くンとかテッ/ラみたいな
極悪人ばっかりだったからフレンダ死亡は少し違和感
あったんだよね。駒場さん?惜しい人を亡くしたモンだ・・・


874VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 21:11:04.00ZxfzEvmH0 (1/1)

成程、五和が作ったフライドポテトをインデックスさんが食べた瞬間
顔が濃ゆくなって「ふ…ふまいんだよ…」とか涙を前に飛ばすんだなリアクションとして


875VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 21:31:44.21puDPaaudo (1/1)

>>874
バックが宇宙になったりか
超見てみたいって訳よ


876VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 21:33:07.624jEZnxnNo (1/1)

>>873
妹達って知ってるか?


877VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 21:58:38.76k1vk57QT0 (1/1)

>>869
黙っとくから次回作は「とある中華の味勝負」な


878VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/16(水) 22:05:57.61PhNyhiJDP (2/2)

イノケンティウスさんは何回死んだんだろう?


8791 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:21:45.13qt7Moy2A0 (1/21)

……意外と料理対決SSは面白いかも。誰か総合とかに書いてください。

というわけで投下するよー。


8801 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:23:51.23qt7Moy2A0 (2/21)


―――『必要悪の教会』関連施設




―――コンコン

ドアがノックされる音を聞き、ステイルは目を通していた資料から顔を上げた。

ステイル「はい」

ドアを僅かに開け、そこから顔を覗かせたのは佐天だった。

佐天「ステイル君、今時間ある?」

ステイル「ああ、ちょうど今休憩しようとしてたところだよ」

佐天「そっか。それなら良かった。じゃあ……」

そう言って佐天は部屋に入ると、小さめのランチボックスをステイルの目の前に置いた。

佐天「ん」

ステイル「…………」

佐天「そんな警戒されるとちょっと傷つくんだけど」



8811 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:27:32.28qt7Moy2A0 (3/21)


ステイル「前科があるんだ。それは警戒するよ」

佐天「前科って、あたしとステイル君、どっちが?」

ステイル「ノーコメントだ」

佐天「ふん。これを見てもそんなことが言えるかな?」

佐天はランチボックスの蓋を開けた。中にあったのはフライドポテトだった。
その隅には小分けされたソースや味付けパウダーが入っていた。

ステイルは先程よりもさらにじっとランチボックスに入っている“それ”を凝視する。

ステイル「……さつまいもに砂糖をまぶした甘い菓子だという可能性は?」

佐天「ゼロだよ!! ていうかそれは失礼じゃない!!」

ステイル「色んな意味で恐ろしいんだ。仕方ないだろ」

佐天「もう、そんなこと言ってないで食べてみてよ。ほらッ!」

佐天はそう言いながらフライドポテトを一つ掴み、ステイルの口元に持って行こうとした。
グイグイ口の中に入れようとするそれを、ステイルは必死に腕で抑えた。

ステイル「ちょ、そのくらい自分で食べられる!」



8821 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:30:01.88qt7Moy2A0 (4/21)


佐天「そう言いながら全然食べようとしてなかったじゃん」

ステイル「いいからその無理に食べさせようとするのを止めろ!」

佐天「何? もしかして、恥ずかしがってるの?」

佐天がニヤニヤしながら言うと、ステイルは不機嫌そうな顔で、佐天が持つフライドポテトを素早く掴んだ。

ステイル「恥ずかしがってない! 食べればいいんだろ、食べれば」

そして緑色のソースにフライドポテトを浸し、それを口に運んだ。
佐天はステイルが咀嚼する様子を、少し強張った表情で見つめていた。

佐天「どう……?」

ステイルは軽く口元を拭うと、

ステイル「六十点だな」

佐天「はぁ!? ちょ、ちょっと点数低くない! もしかして、あんまり美味しくなかった……?」

ステイル「僕はもっと不健康な感じで油っぽいのが好きなんだ」

佐天「何それ、趣味悪ぅ……」

ステイル「いいだろ、別に僕の好き嫌いなんて」



8831 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:31:36.78qt7Moy2A0 (5/21)


ステイルはそう言いながら、フライドポテトに手を伸ばし、それを口に入れた。

ステイル「でも……」

佐天「ん?」

ステイル「このバジルソースの味付けは嫌いじゃないし、色んな味が試せるっていうのは面白い。
 フライドポテトとは違うが、これはこういう食べ物としてみれば……」

佐天「みれば?」

ステイル「……まあ、食べられなくはないな」

佐天「それだけ?」

ステイル「不味くはない」

佐天「もう一声!」

ステイル「………………美味いよ」

佐天は飛び上がらんばかりに、いや実際にはもうその場で嬉しそうにジャンプして両手を掲げた。

佐天「やったーッ!! 『美味い』頂きました!!」



8841 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:34:59.15qt7Moy2A0 (6/21)


ステイル「そんなに喜ぶようなことか?」

佐天「喜ぶことだよ。ステイル君そんな風にはっきり褒めたりしないじゃん」

ステイル「そんなことはないと思うが」

佐天「そんなことはあります。ステイル君が言ったことはちゃんと覚えてるんだから」

ステイル「一々僕の言ったことを覚えてるなんて、君はえらく僕のことを見ているんだね」

佐天「なッ……/// そういうことじゃなくてッ!!」

ステイル「はぁ? じゅあどういうことなんだ?」

佐天「いや、その……ッ! ああ、もうこの話は終わりッ!!
 とりあえずステイル君に美味しいって言ってもらえて良かったよ」

ステイル「そうか。それは何より」

佐天「うん、良かった」

佐天はそう言って頷いた。

ステイル「……それで、僕に何か言いたいことがあるんじゃないか」

佐天「うん。ある」

すぅと深呼吸する。息を吐く時、その吐息が震えるのを、佐天は感じた。



8851 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:42:12.19qt7Moy2A0 (7/21)


佐天「何度も言ったことだけど、もう一回言うね。あたしに戦う力を、攻撃魔術を教えてほしいです」

ステイル「前にもこんな会話があったな。学園都市で、魔術を教えてほしいと言ったことが。
 でも今回はあの時とは違う。君だって分かってるんだろ?」

佐天「分かってるよ」

ステイル「戦う術を覚えるということは、戦いの場に身を置くということだ。
 危険が伴うのは勿論だが、戦場は時として君に非情と理不尽を強いる。
 君は間違いなく世の中の裏側にある、そんな過酷さに絶望するだろう」

佐天「それはステイル君の体験談?」

ステイル「……ああ、そうだ」

ステイルは暫し目を閉じて、そう答えた。

ステイルが如何に“天才”と評価されようが、どれだけ“最強”を名乗ろうが、
この世界の残酷さは、ステイルを逃そうとしなかった。

それは避けられぬこの世界の掟であることを、ステイルはすでに学んでいる。

ステイル「別に攻撃だけが魔術じゃない。それ以外にも人の役に立てる魔術は数多くある。
 『必要悪の教会』にいるからと言って、戦う術を絶対に覚えなくてはいけないということはないんだ。
 そういう選択だって、君はできる」

ステイル「それでもなお、君はそんな戦場に身を置きたいと言うのか?
 心を殺して、命じられるままに人を傷つけ、恨まれ、疎まれる覚悟があるのか?」

ステイルは目の前に立つ、どこにでもいそうな一人の少女を、射るような鋭い眼差しで見つめた。



8861 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:46:06.18qt7Moy2A0 (8/21)


佐天は思い出す。そもそもなぜ自分は魔術などというよく知りもしない力を得ようと思ったかを。

佐天もステイルと同じように、真っ直ぐその目を見返した。

佐天「……あたしが魔術を教えてほしいって考えた理由って、きっと劣等感だと思うんだ。
 何の力もない自分は嫌だ、役立たずとか言われたくない……。今でもそれは変わらないと思う」

佐天「でも、そんなあたしでも、守りたいと思う人がいる。
 学園都市にいる大切な人達、それにこっちに来てできた大切な人達も。

 守られるだけじゃなくて、あたしも人を守れるようになりたい。
 そのための覚悟なら、あたしにはあるよ」

ステイル「自分の大切なものを守るために、自分が傷付くのを厭わないと?」

佐天「そういう訳じゃないよ。周りの人は絶対傷付けさせないし、あたしもなるべく傷付かない。
 それで戦う相手も必要じゃないなら傷付けない。

 どんなに戦いの世界がステイル君の言うように残酷だったとしても、
 きっとあたしがものすっっっごく強くなれば、そんなこともできると思うんだ」

佐天はそう言って、大げさに胸を張った。
ステイルの心配を跳ね除けるように。自分自身を鼓舞するように。

ステイルは、はぁと、この少女と出会ってからもう何度目か分からない大きな溜息を吐いた。

ステイル「馬鹿だ……。余りに子供っぽすぎる甘い考えだよ」



8871 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:54:25.78qt7Moy2A0 (9/21)


佐天「馬鹿とは失礼な。これでも結構真剣に考えたんだよ」

ステイル「君は余りにこの世界の厳しさを知らなすぎる。だからそんな甘いことが言えるんだ。
 でも……」

“最強”の魔術師になってやろうと思った時、自分ならどこまでも強く、
そして目に映る人は誰でも救えるようになると、一心に信じていた。

昔の自分も、この目の前に立つ、何処にでもいそうな普通の、
世話焼きで欝陶しく、人の言うことを聞かない強情な少女と同じくらい愚かに見えたのだろうか。

そう思うととてつもなく過去の自分が恨めしく、
それと同時に彼女がどのくらい真剣にその言葉を口にしたか、痛いくらいによく分かった。

ステイル「その甘さでどこまで行けるか、僕が見届けてやる」

佐天「ってことは……ッ!」

ステイル「その代わり、僕の授業は今までの三倍はハードになると思ったほうがいい。
 攻撃系の魔術は僕の専門領域だ。今まで以上に容赦なくいくから、そのつもりで」

佐天「さ、三倍ッ!? ちょっとそれはいくらなんでも……ッ!」



8881 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:55:51.23qt7Moy2A0 (10/21)


ステイル「君の言う覚悟、じっくりと拝見させてもらうよ。僕は君の覚悟を信じると決めたんだから」

佐天「そ、そんなぁぁ……」

佐天が情けない嘆きの声を上げるのを横目で見ながら、
ステイルは残ったフライドポテトをまとめて一掴みし、口に放り込んだ。

モサモサと咀嚼を続けるが、口の中が渇いて一向に飲み込めない。
苦しくて少し涙目になりながら、ステイルはあれから今日まで反芻し続けている言葉を、もう一度思い出す。



―――「守る。その子が絶対に傷つかないように―――守る」



ステイル(これでいいんだろ、上条当麻……)



8891 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 00:57:11.90qt7Moy2A0 (11/21)


―――???




ローブの女「猜疑心よ」

白衣の女「は?」

白衣の女が聞き返すと、陰鬱な色合いのロープをその身に纏った女は笑うように答えた。

ローブの女「世界を動かす最大の力よ。貴女が聞いたのでしょう?」

白衣の女「確かにそうですが。しかしえらく微妙な答えですね」

ローブの女「不信、と言ってもいいかしら。つまりは疑うことね」

白衣の女「それがどう“世界を動かすこと”に繋がるのですか?」

ローブの女は手中で銀細工の筒を弄んでいる。薄暗い部屋の中で、その鈍く光る筒が嫌に目に付いた。

ローブの女「人の行いを疑うことで心に恐怖と不安が生まれ、それはどんな善なる人にも武器を取らせる。
 相互の猜疑心が生み出す人々の剣戟は、歴史の中で常に戦争という形でその姿を露にしてきた。
 今起こっている魔術サイドと科学サイドの戦争も、要はこの猜疑心のうねりの一部でしかないわ」



8901 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:01:52.13qt7Moy2A0 (12/21)


ローブの女「あちらの人間は我々を疎んじているのではないか、攻撃をする腹積もりではないか、
 殲滅の準備を虎視眈々と進めているのではないか……。
 お互いをよく知らず、疑いと不安だけが募り、戦火は今後も増々拡大していくでしょうね」

白衣の女「余りに戦争というものを単純化しすぎている気がします。
 戦争には経済的、外交的打算が常に付き纏います。
 そこにあるのは猜疑心ではなく、損得勘定でしかありません」

そう答えると、ローブの女はさも面白いことのように、笑った。
自然な感情の起伏から外れてしまったようなこの女の笑い声が、白衣の女は未だに苦手だった。

ローブの女「確かにそうだわ。でもその打算によって行われる戦争の“敵”はどうやって決めるの?
 敵意なき親しき隣人を何の理由もなく滅ぼすことはできないわ。

 意識的にせよ無意識的にせよ、その明確な敵意を作るのは猜疑心よ。
 少なくとも、私がいた戦場ではそうだったわ」

ローブの女にしては珍しく、その声色には悲哀のような感情が滲んでいる。
白衣の女はそんな彼女の想いなど気付いていないかのように、厳かに頭を下げた。

白衣の女「次の計画が、総裁の思惑通りに進行することを心から祈っています」

ローブの女「そう、ありがとう。貴女にはいつも感謝しているわ」



8911 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:04:53.90qt7Moy2A0 (13/21)


白衣の女「そのような言葉は不要です。
 『科学の子』の目的と私の目的は一致しておりますので」

ローブの女「しかし不思議だわ。貴女は私に猜疑を向けないのね」

白衣の女「私には『黒衣の兵』どもが何故それをしないかということのほうが疑問ですが」

ローブの女「彼らは別の猜疑を信仰しているからよ。しかし貴女は別ではなくて」

白衣の女「……私は常に打算によって動いておりますので」

そう言って、白衣の女は僅かにずり落ちそうな眼鏡を指で押し上げた。

ローブの女「フフフ……ッ。食えない人ね、貴女って」

黒衣の男「失礼致します!!」

部屋の扉が開かれ、マントのような黒い修道服を着た男が飛び込んできた。

ローブの女「あら、大きな声」

黒衣の男「も、申し訳ありません!」

ローブの女「それで、何か報告かしら?」



8921 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:06:48.30qt7Moy2A0 (14/21)


黒衣の男「はい、以前仰っておられた結社構成員の増員の件なのですが……」

ローブの女「順調ではないと?」

ローブの女の声に、黒衣の男は微かに肩を震わせた。
怯えているのだ、白衣の女はそう思った。

黒衣の男「は、はい。増員自体は着々と進んでいるのですが、
 総裁が仰られた期限までに予定人数に達するかどうか、やや不安なところがありまして……」

ローブの女「うーん……確かに構成員の増員に関しては貴方に一任したのだけれど、
 これは私の責任でもあるわね」

黒衣の男「い、いえッ、そんなことは! すべては私の力不足のためで……ッ!」

ローブの女「きっと貴方にも、そして魔術サイドの多くの人々にとっても、まだまだ猜疑心が足りないのね」

黒衣の男「は?」



8931 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:09:03.80qt7Moy2A0 (15/21)


ローブの女「手を出しなさい」

黒衣の男「は、はい」

黒衣の男が右手を差し出すと、ローブの女はそれまで手の中でくるくると回していた筒の蓋を開け、
ゆっくりと傾けた。

ぽたぽた、と透明な雫が男の手の甲に垂れた。

ローブの女「ウフフフ……」

黒衣の男「あ、あ、あ、ああああぁぁぁぁぁぁ…………ッ!!」

決して大きくはない、悲痛な叫び。
何度聞いても慣れないが、ローブの女はいつもこの瞬間最も優しい笑みを浮かべることを、
白衣の女は知っている。

ローブの女「貴方の疑いも不安も、決して杞憂では終わらない。それは現実にやって来る。
 だから私は思ってしまうの。

 疑いよ、もっと深まれ、とね」



8941 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:11:23.46qt7Moy2A0 (16/21)


―――学園都市、第七学区、とある公園




―――疑いよ、もっと深まれ

「…………さか、みさか……おい、御坂!!」

御坂「キャッ!? な、何!?」

上条「何って、お前もしかして俺の話、聞いてなかったのか?」

上条が不審そうな目で御坂を見つめた。

御坂は寝ぼけた頭を軽く振る。
さっき誰かの声が聞こえた気がしたが、気のせいだろうか。

御坂「ごめん、ちょっとボーっとしちゃってて」

上条「珍しく上条さんが不幸の愚痴じゃなくて、幸せの自慢をしていたというのに。
 ビリビリはそんなに俺のことには興味ないと。そうですか、すいませんでしたぁー」

御坂「きょ、興味ないなんて言ってないでしょッ!! むしろ、すごく興味あるって言うか……」

上条「ん? 何か言ったか?」

御坂「な、何でもないわよッ!! で、何だっけ、美味しいものお腹一杯食べたって話だっけ?」



8951 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:14:46.90qt7Moy2A0 (17/21)


上条「そう、そうなんですよ御坂さん!! 重要なポイントはこの『お腹一杯』ってところでして」

御坂「何か聞いててちょっと悲しくなるわ……」

上条「しかもご馳走になったから基本タダだったしな」

上条はそう言って何故か自慢気にふふんと笑った。
どうしてこの男はこんな些細なことに、これほど浮かれることができるのだろう。

御坂「へぇー。ああ、そう言えば今日私後輩の子からお昼に
 クラブサンドイッチをこれでもかってくらいもらっちゃってさ。
 うちの学校って基本的にカフェテリアで昼食をとるから、ちょっと困っちゃうんだけどね」

上条「それ今言うこと!? 俺の話がちょっと霞んじまうだろ!」

御坂「でもあんたなら、その……お、お弁当作ってもらうとか、あったりすんじゃない?」

上条「お前、普通の学生生活に夢見過ぎ。昼飯は学食のパンの争奪戦か寂しくコンビニ弁当だよ」

御坂「へ、へぇーそうなんだ……。それじゃあ私がお弁当を―――」

上条「だからさ、その食べきれないほどのクラブサンドイッチを鮮やかに横流ししていただけると、
 俺としてはとっても助かるわけですよ」

御坂「く……ッ! あ、あげるわけないでしょ、馬鹿ッ!!」



8961 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:18:00.12qt7Moy2A0 (18/21)


上条「実は結構切実なお願いだったんだけど……。
 はぁ……お嬢様学校に通うお前からしたら、俺のちょっとした幸せな話も大したことないよな。
 まあ今回はゆっくり観光とかもできたからいいとするか」

御坂「観光? あんたどこかに行ってきたの?」

上条「そこから聞いてないのかよ……。ビッグベンも見てきたし、二階建てバスにも乗ったし、
 アヴィロードで写真も撮ってきたんだぞ」

御坂「え? それって……」

上条「ロンドンだよロンドン、イギリスの首都の」

御坂「…………ッ!」

―――ドクンッ



「イギリスとの交換留学の件、調べてみたんですけど、確かに学園都市が決定した正式なものでした。
 でもどこにその交換留学が計画された形跡がないんです。

「この件、あの誘拐事件と関係してるんでしょうか?」

「誘拐犯たちが英語を話していたっていう情報があるんです」




8971 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:20:33.34qt7Moy2A0 (19/21)


初春の言葉が、御坂の頭の中でけたたましく鐘を鳴らすように響き渡る。

上条「学園都市も整備が整ってるから綺麗な街だって思うけど、やっぱロンドンは趣があるって気がするよな。
 歴史の重みって言うか、何となく落ち着いた雰囲気があるって言うか……」

御坂「うぐぅ……ッ!」

胸の辺りから、何かがせり上がってくる感覚が御坂を襲った。
御坂は突然の異質感にその場にしゃがみ込んだ。

上条「そう言えばあっちで会ったんだけど……っておい御坂!?
 どうした、具合でも悪いの―――」

御坂「触んないでッ!!」

御坂の突然の大声に、上条は慌てて伸ばそうとした手を引っ込めた。

御坂自身、自分がいきなりそんなことを言ってしまったことに、少ながらず驚いていた。



8981 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:21:36.21qt7Moy2A0 (20/21)


御坂「ご、ごめん。ちょっと気分が悪いだけだから……」

上条「そ、そうか」

御坂「私、そろそろ帰るわ」

上条「大丈夫か? 送って行くぞ」

御坂「心配しないで。一人で、帰れるから」

そう言うと、御坂は上条の顔を見ずに駈け出した。

上条「お、おい!! 御坂!!」

御坂はでたらめなペースで寮に向かって走った。
自分が何故こんな焦燥感に駆られているか分からない。

しかし心臓は悪夢を見て飛び起きた後のように、不吉なリズムを刻み続けている。

御坂(何、この感覚…。身体の底から、何かが上がってくる気がする。
 私の中に、何かが……)

―――ドクンッ、ドクンッ



8991 ◆fftSPPkhRw2011/02/17(木) 01:28:46.15qt7Moy2A0 (21/21)

というわけで今回は以上!

次回の投下予定は二月二十日(日)です。この間に番外編を出来れば投下します。
たぶん佐天さんとステイル君がデート(?)に行くお話です。

甘いの書くのはかなり苦手ですが、期待しないで待っててください。


900VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/17(木) 01:35:57.846cdB7LsAo (1/1)


順調な佐天さんと何やら怪しげな雰囲気の美琴
アニメ見てたときから思ってたけど、この二人は何となく対って感じがするんだよなぁ


901VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/17(木) 04:29:58.37gYCODJMDO (1/1)

乙乙
これはまさかの佐天さんvs御坂な予感!?


902VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/17(木) 16:58:17.70ChyBhdU/0 (1/1)


>>886でステイルが『はぁと』とか言ってた気がしたが気のせいだった


903VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 00:32:29.24UOtOoJXSO (1/1)

疑い…不安……ハッ!
まさか料理の件もこの伏線!?


904VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 00:34:25.20czZ6sLHkP (1/1)

料理人としての血が騒ぐのか


905VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 04:25:19.55yzsYYzkDO (1/1)

新約で佐天さんの見せ場増えないかにゃー


906VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 12:17:03.191qHqZ1zAO (1/1)

暗部の新入生になったゲス天さんが見たいと仰るか


907VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 18:03:55.14CxkyZQk30 (1/1)

>>906
ぜひお願いします

御坂「あれ、は…佐天……さん…?」
みたいな


908VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/18(金) 19:00:56.61bmayvfY7o (1/1)

超電磁砲をホームランする佐天さんか


909VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/19(土) 16:48:43.74Jw/FjbfAO (1/1)

何その新必殺仕置人


910VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/20(日) 16:44:14.900Spa4MoMo (1/1)

>>905
黒子たちとだべってるぐらいでいいよ


9111 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 17:58:54.59ohJ62F1j0 (1/1)

今回も遅れましたが、今日の23時から投下します!

前回番外編を……とか言ってましたが、もう少し本編を進めたいので、
また後で、ってことで。


912VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 18:04:32.23q6gp1CSAO (1/1)

今日から真・佐天一番の本編か。


913VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 18:21:51.93Hvkm0WuAO (1/1)

待ってました!!ありがとう!!


914VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 18:28:11.31WJpi3l+n0 (1/1)

―――待機方法を選んでください
①全裸待機
②半裸待機
③あえて股間の部分だけ切り取って待機


915VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 18:57:22.29PRZz0A/Xo (1/1)

>>914
④股間を切り取って待機


916VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 19:18:45.506+OE4tbo0 (1/1)

>>914

④上半身と下半身を離して待機

も入れておいてくれ


917VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 19:28:00.39VuT/K/zfP (1/1)

>>914
④マントの下は全裸

も入れてくれ


918VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 20:33:11.15eQpBYb15o (1/1)

⑤上半身だけ裸
も入れとくとなおいい


9191 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:05:48.75EjnE0PB10 (1/11)

>>914

五和「汚ねぇもん見せてんじゃねぇよ……」
佐天「五和さん、キャラ崩壊してます!!」

というわけで投下開始しますよー。



9201 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:10:15.27EjnE0PB10 (2/11)


―――『必要悪の教会』関連施設、とある図書館の一室




佐天「原初の炎、その意味は光、優しき温もりを守り厳しき裁きを与える剣をッ!!」

佐天がそう叫ぶと、右手に持ったルーンのカードが炎に包まれた。
炎は次第に形を変え、一本の剣となって佐天の手に収まった。

佐天「よしッ! 成功!」

ステイル「気を抜くな。形が崩れるぞ」

佐天「分かってるって。でも……」

佐天がその炎の剣を振る。
空を斬る鈍い音とともに、火の粉が宙に舞った。

佐天「重さがないと、やっぱり振るのも楽だなぁ。いくら振っても疲れないし」

ステイル「どうやら、君のは僕のとは少し違うようだ」

佐天「?」

ステイルは側に置いてあった本を手に取った。

ステイル「ほら、それでこの本を斬ってみろ」



921VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 23:10:31.69e8nFPaSxo (1/1)

どんとこい


922VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/22(火) 23:10:38.37Jpmv9EEAO (1/1)

超待ってた。


9231 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:19:10.35EjnE0PB10 (3/11)


ステイルがその本を佐天に向かって放り投げる。
緩い放物線を描いたそれに、佐天は炎剣を振り下ろした。

佐天「はッ!!」

ザシュッ! と佐天の剣は本を真っ二つに切り裂いた。
その本は二つに両断された瞬間、炎に包まれた。
地面に落ちた時には、それは只の炭となってバラバラに砕けた。

ステイル「やはり、魔術の性質が変わっているな」

佐天「どういうこと?」

ステイル「僕が作り出す『炎剣』」は相手に投げて爆発させる、言わば投擲武器だ。
 しかし君が今持っている『炎剣』は本来の剣の特徴である“斬る”という性質を持っている。
 たぶんその剣を投げつけても爆発はしないだろうね」

佐天「でもステイル君に教えてもらった通りにやったよ」

ステイル「術式が同じでも、術者によって現れ出る魔術の形は異なる。
 術者の思想、宗教観、経験なんかが魔術を決定付けるんだ。
 つまり君は僕よりも剣というものに対して強い思い入れがあるってことだね」

ギクッ! と佐天は顔を引きつらせた。
佐天はステイルから目を逸らして、

佐天「へ、へぇー、そうなんだ。ま、全く思い当たる節がないなぁ、アハハハ……」



9241 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:23:13.01EjnE0PB10 (4/11)


佐天「へ、へぇー、そうなんだ。ま、全く思い当たる節がないなぁ、アハハハ……」

ステイル「それで誤魔化しているつもりだって言うんだから呆れさせられるよ。
 僕が何も知らないとでも思ったのかい?
 君は棒切れを振り回す稽古にえらく熱心だそうだね」

佐天「ぼ、棒切れなんかじゃないよ!! あれはれっきとした訓練用の剣で―――」

ステイル「やっぱりやってたんだな」

佐天「う、うぐぅ……」

ステイル「はぁ……まあ別にいいけど。精々頑張るんだね」

佐天「……反対しないの?」

ステイル「しないよ。やると決めたのは君の意志だろ。それを邪魔する気はないよ」

佐天「そっか……」

佐天はしばらくステイルを眺めた後、大きく伸びをした。
そしてそのまま近くの椅子に腰掛けた。

佐天「それにしても今日は何だか疲れたなぁ」

ステイル「おい、まだ僕の授業は終っていないぞ」



9251 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:27:16.49EjnE0PB10 (5/11)


佐天「オルソラさんの方も、ルチアさんの方も思いっきり頑張ってきたし」

ステイル「いや、だから……」

佐天「ちょっとだけ、ちょっとだけ休憩! ね?」

ステイル「……五分だけだ」

ステイルは苦々しくそんな言葉を吐き出して、佐天に背を向けるように座った。
佐天がニヤリと笑う。

佐天「よいしょ……」

佐天はそう言うと、ステイルにその背中を預けた。
ステイルが迷惑そうに首を佐天の方に向ける。

ステイル「おい、何をやっているんだ。重い」

佐天「あッ、女の子に重いとか言っちゃいけないんだぁ。五和さんに言い付けるぞぉ」

ステイル「その殺し文句は止めろ」

佐天「いいじゃん、別に。その無駄に大きい身体をこんな時くらい生かしなよ」

ステイル「無駄じゃない」

佐天の傾けた椅子が、ギシリと軋む音を立てた。
そんな囁かな音しか聞こえない静かな時間が、少しの間流れた。



9261 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:33:02.48EjnE0PB10 (6/11)


佐天「あたしさ、最近英語もけっこう出来るようになったんだよ。
 もうちょっとしたらラテン語に進むって」

佐天がそうポツリと告げる。

ステイル「それはおめでとう。ラテン語のほうが英語より数倍難しいから覚悟するんだね」

佐天「何でそういうこと言うのさ!」

ステイル「僕は事実を言ったまでだよ」

佐天「いいよ別に。素直に褒めてくれるとか、期待してないし……」

ステイル「ふん……」

そしてまた、少しの沈默。

ステイル「まあ、速い方じゃないのか。その……英語の修得も」

佐天「……もうツンデレは聞き飽きたんですけど」

ステイル「はぁ?」

佐天「でも、ありがとう」

ステイル「そうかい」

ステイルは依然つまらなそうに、佐天は口元を少しほころばせて、そう言った。



9271 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:38:47.78EjnE0PB10 (7/11)


ステイル「それはそうと『炎剣』の方は順調そうだが、もう一つはどうなんだい?」

佐天「そっちもばっちりだよ。基本的にやってることは同じだしね」

ステイル「ならどちらも明日までに、君に合うように術式の微調整をしてしまわないとな」

佐天「明日? 明日に何が―――」

その時、部屋のドアが開いた。

ルチア「失礼しま……な、何をなさっているんですかお二人とも!?」

佐天は驚いて、素早く上体を起こした。

佐天「ヒャア!? ル、ルチアさん!? べ、別に、ななな、何も……ッ!」

ルチア「最近はとても真面目にしていると思ったら、魔術を学ぶのにかこつけて
 い、異性交遊など……ふしだらです!!」

佐天「い、異性交遊ッ!? そ、そんなのじゃありません!!
 え、えーと……ふ、腹筋です!! ステイル君に補助してもらって、腹筋を鍛えてたんです!!」

ルチア「魔術の勉強で、何故腹筋を!?」



9281 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:39:54.94EjnE0PB10 (8/11)


佐天「えっと、腹筋で相手の魔術を無効化する魔術があるんです!
 こう……ふんッ! せいやぁ! って感じで」

ルチア「それはもう魔術ではなく、純粋に筋肉の力ではないですか!?」

ステイル「それで、要件は何だい?」

ステイルがそう尋ねると、ルチアは我に帰ったように咳払いをした。

ルチア「そ、そうでした。お二人とも、一緒にいらしてください。“招集”です」

佐天「?」



9291 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:47:42.48EjnE0PB10 (9/11)


―――聖ジョージ大聖堂




“大聖堂”と呼ぶにはやや手狭な感があるこの『聖ジョージ大聖堂』ではあるが、
今はその名に相応しい厳粛な雰囲気に満ちていた。

佐天の目の前には、数十人もの修道服に身を包んだシスターが、
囁き合うように言葉を交わしながら長椅子に鎮座している。

佐天(何だろう、急にこんなところに集められて)

アニェーゼ「静かに」

説教壇の前に立ったアニェーゼが言葉を発する。
すると聖堂内のざわめきは水を打ったように静まった。

アニェーゼ「全員揃いましたね。それじゃあ早速作戦会議を始めちまいたいと思います」

佐天「ステイル君、作戦会議って?」

ステイル「黙って聞いてろ」

佐天が小声で尋ねると、ステイルはにべもなくそう言い捨てた。

佐天は不満そうに説教壇に立つアニェーゼに目をやった。



9301 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:50:24.60EjnE0PB10 (10/11)


アニェーゼ「ここに集まってもらったのは他でもありません。例の如く、“戦闘”を伴う任務です」

『戦闘』とういう言葉に、聖堂内にぴしりと緊張が走る。

アニェーゼ「まず作戦内容を単刀直入に言っちまいます。
 今から約三〇時間後、ここに集まった私、アニェーゼ=サンクティス率いる部隊三〇名で
 敵対する魔術結社の拠点を強襲をします。

 さらに今回の作戦にはここにいるステイル=マグヌス、佐天涙子にも同行してもらいます」

佐天「はぁ!? あ、あたしも!?」

ステイル「落ち着け」

佐天「で、でも……」

周囲がざわつく。自分に視線が集まるのを、佐天は感じた。
そしてそれが決して好意的なものではないことも。

佐天のことはここにいるシスターたちも知っているだろうが、
それは「学園都市から来た、魔術師志望の妙な学生」とういうものだろう。
実際、佐天は『イギリス清教』女子寮でも奇異の視線に晒されることがあった。

佐天「う……ッ」

ステイル「堂々としていろ。胸を張って毅然としていれば誰も文句は言わない」

佐天「う、うん……」



9311 ◆fftSPPkhRw2011/02/22(火) 23:59:40.88EjnE0PB10 (11/11)


アニェーゼ「…………」

アニェーゼはしばらくざわめきが収まるのを待ってから続けた。

アニェーゼ「それでは今回の作戦の経緯を説明します。
 今から一ヶ月前、『イギリス清教』の関係施設で盗難事件が発生しました。
 施設内部には魔術師がいましたが、交戦の末、犯人達には逃げられちまいました」

佐天(一ヶ月前? それってちょうどあたしがロンドンに来た同じ時だ)



オルソラ「昨日起きた件について、徹夜で調べ物をしていたのでございますよ」

オルソラ「ええ、『イギリス清教』の関係施設で盗難がありまして。
 資料閲覧中の魔術師がたまたま現場に居合わせて、交戦になったとのことです」



佐天(あれって、このことだったんだ)

アニェーゼ「そして調査の結果、その犯行を行ったのは
 『聖人の御手』と呼ばれる魔術結社であることが判明しました」

佐天「聖人の、御手……」



9321 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:03:08.18D45E0yvW0 (1/16)


アニェーゼ「この調査を行ったのがステイル=マグヌスと佐天涙子です。
 二人が今回の作戦に参加するのはそのためです」

佐天「ちょ、ちょっと!? あたし、調査なんか全く関係ないんだけど!!」

ステイル「君には圧倒的に実戦経験が足りない。だからあれは実戦に参加させるための方便だよ。
 それとも、君が前に言った戦う覚悟とやらは嘘だったのか?」

ステイルはそう言って、佐天を見据えた。

佐天「……違う。嘘じゃない」

ステイル「それじゃあ何の問題もないな」

アニェーゼ「『聖人の御手』についてはステイル=マグヌスに説明してもらいます」

ステイル「ああ」

ステイルは前に進み出て、説教壇の前に立った。

ステイル「まずは彼ら『聖人の御手』が掲げている思想についてだ。
 彼らは『聖人崇拝』という主義を唱えている。
 神の子の似姿たる聖人は、神の子と同等であり、彼らもまた主の代理人であるという考えだ」



9331 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:07:00.01D45E0yvW0 (2/16)


ステイル「また彼らのもう一つの特徴として、彼らのほとんどが元犯罪者であるということが挙げられる。
 いや、すでに盗難事件を起こしているのだから、元ではないか」

「犯罪者集団である彼らが何故聖人を崇拝しているんですか?」

シスターの一人がそう質問した。

ステイル「彼らの思想に沿って言えば、彼らは聖性を持った物、
 特に聖遺物に触れることで自分たちの罪が赦されると考えている」

「つまり、罪を消すために新たな罪を犯していると?」

ステイル「そういうことになるな」

ステイル「『聖人の御手』は古くから存在する歴史のある魔術結社だ。
 元は悔い改めた犯罪者達が自分たちはどうすれば赦されるのかを追求する集団だったらしい。
 彼らは罪の赦しを聖人が持つ聖性に見出し、聖人の奇跡を自分たちの道標と考えた」

ステイル「この犯罪者にしては敬虔な姿勢も、時代を経るごとに段々と変わっていった。
 現在では自分たちの罪を省みることなく、
 単純に聖遺物が持つ力に惹かれるだけの魔術結社と化してしまった」

佐天(聖遺物ってなんだろう?)

佐天が露骨に頭上に「?」を浮かべているような顔をすると、
ステイルは佐天の方を説教壇からジーと見つめた。

佐天はビクッ! と身体を浮かせた。



9341 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:15:23.32D45E0yvW0 (3/16)


ステイル「分からない者はいないと思うが一応説明しておく。
 聖遺物とは聖人が生前身に付けていた衣服や聖人の遺体のことだ。
 これらには聖人の死後も天使の力(テレズマ)が宿り易く、霊装と化すことが多い」

ステイル「つまり彼ら『聖人の御手』は霊装を数多く所有する、危険な集団であるということだ。
 くれぐれも気を抜かないでほしい」

アニェーゼ「ありがとうございやした、ステイル=マグヌス」

ステイルが説教壇を後にすると、再びアニェーゼがそこに立った。

アニェーゼ「私たちの目的は、魔術結社『聖人の御手』の壊滅と盗まれた物の奪還です。
 今回の作戦では拠点の一つを叩くことで、『聖人の御手』のさらなる情報の収集と
 あわよくば盗まれた物の奪還を目指します」

アンジェレネ「それで、盗まれた物っていうのは何なんですか?」

佐天の少し前に座っていたアンジェレネが、アニェーゼに尋ねた。

アニェーゼ「盗まれたのは魔道書です。……魔道書、『黄金伝説(レゲンダ・アウレア)』です」

先程よりも大きなざわめきが聖堂内に木霊する。
シスターたちは互いに顔を見合わせた。

「『黄金伝説』!?」

「『黄金伝説』が盗まれるなんて、『イギリス清教』は何をしているんでしょうか」

佐天「?」



9351 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:19:14.80D45E0yvW0 (4/16)


アニェーゼ「この盗まれた魔道書『黄金伝説』について、オルソラ=アクィナスから説明してもらいます」

そうアニェーゼに促されて説教壇の前に立ったオルソラは、いつも通りの笑みを浮かべていた。

アニェーゼ「では、お願いします」

オルソラ「はいなのでございますよ。先ほど頂いたスギキのグリルなのでございますが、
 もう少し長時間加熱して、皮をパリッとさせたほうが良いのでございますよ。
 でもジェノバペーストは中々良い味で―――」

アニェーゼ「ちょッ!? 今そんなこと言わねぇでください!!」

オルソラ「そうでございましたね。今はボンゴレロッソの―――」

アニェーゼ「違ぇですッ!! 魔導書の話です!! ま・ど・う・しょ!!」

佐天(アニェーゼさん、今もオルソラさんに料理作ってるんだ。何か安心……)

オルソラ「あら、そうなのでございますか。それでは」

オルソラは咳払いをして、さっきよりも真剣な顔を作った。

オルソラ「先程アニェーゼさんが仰った魔道書『黄金伝説』については
 皆さんも一度は耳にしたことがあるのでございましょう。まず簡単に概略からお話致します」



9361 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:25:00.36D45E0yvW0 (5/16)


オルソラ「そもそも『黄金伝説』とは一三世紀中頃に書かれた聖人伝集でございます。
 ジェノバの大司教ヤコブス・デ・ウォラギネによって書かれたこの本は広く読まれ、
 中世には聖書の次によく読まれたと言われています」

オルソラ「魔道書『黄金伝説』は、この本を元にして一四世紀頃、
 ヨーロッパ各国の魔術師がその本に書かれた聖人の奇跡や偉業を魔術によって再現するために作られた、
 今で言う国際プロジェクトのような魔道書なのでございます」

オルソラ「『黄金伝説』は一〇〇以上の聖人が章ごとに紹介されているのでございますが、
 魔道書『黄金伝説』は一章を一冊の魔導書とし、全体で一〇〇冊以上に上る
 他の魔道書に比べて長大なものでございました」

オルソラ「しかしその後戦乱などにより魔道書『黄金伝説』の多くは散逸してしまっているのでございます。
 現在確認されているのは各国が保有する数十冊のみでございます」

アニェーゼ「『聖人の御手』が盗んでいきやがったのは、イギリスが保有するうちの二冊です。
 つまりイギリスは歴史ある国家の証明とも言うべき『黄金伝説』を盗まれるっていう
 無様なヘマをやらかしちまったわけです」

アニェーゼがそう言うと、この中では唯一のイギリス人であるステイルが、
佐天の隣で不機嫌そうに鼻を鳴らした。



9371 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:27:49.80D45E0yvW0 (6/16)


アニェーゼ「今回の作戦は最初に言ったとおり、強襲、つまりは不意打ちです。
 こちらの存在を気取られないように、移動魔術で拠点まで一気に接敵しちまいます。
 そのためのこの少人数での作戦ですからね」

アニェーゼは何人かのシスターの名前を呼び、彼女たちに移動魔術の構築を命じた。

アニェーゼ「それ以外の詳しい役割については明日説明します。最後に注意事項を」

アニェーゼ「奴らが持っている聖人絡みの霊装に注意することは勿論ですが、
 盗まれた魔道書にも注意を怠らないようにしてください」

アニェーゼ「魔道書は異世界の法則が記されているため、読む者を害する“毒”を持っています。
 並の魔術師なら脳を破壊されて即廃人になっちまいます。
 不用意に開いたりすることは絶対にしねぇでください」

アニェーゼは聖堂に集まった人々をぐるりと見渡した。
佐天の心臓がどくりと鼓動し、緊張が足元から這い上がってくるのを感じた。

アニェーゼ「それでは明日、所定の時間に集合してください。解散!!」



9381 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:30:41.70D45E0yvW0 (7/16)


―――日本人街、とある空き地





佐天と五和はいつもの空き地で向かい合っていた。
佐天の手には訓練用の、刃を落とした剣が握られている。

五和「訓練を始めて約三週間、今までよく頑張ってきましたね、佐天さん」

佐天「これも全部五和さんのお陰ですよ。本当にありがとうございました」

五和「私は佐天さんにほんの少しお力を貸しただけです。全部佐天さんの強い意志があればこそです」

五和「明日は初の実戦ということですが……、緊張していますか?」

佐天「はい、って言うかホントにいきなり聞かされたんで、何が何だかって感じですけど」

五和「気が抜けているわけでも、緊張しすぎているわけでもない。丁度いいと思いますよ」

五和「しかし実際の戦場は訓練とは全く違います。
 佐天さんが他の魔術師よりも劣っているとしたら、まず間違いなく経験不足が挙げられるでしょう」

そう言って五和は、手に持ったいつかの鉄の棒を繋げ始めた。
次第にそれは一本の長い棒に姿を変えていった。



9391 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:40:06.25D45E0yvW0 (8/16)


五和「今日はこれまでの訓練の仕上げを行います。佐天さんの実戦経験の不足を少しでもここで補うために……」

最後に鋭利な穂先を連結する。
五和の愛用武器、海軍用船上槍(フリウリスピア)がその手にはあった。

五和「私と戦ってもらいます…………本気で」

五和は感触を確かめるように頭上で海軍用船上槍を回すと、
佐天に向かって槍を構えた。

佐天は初めて感じる五和の真剣な迫力に息を飲んだ。

五和「それでは、始めましょう……。私を敵だと思って掛かって来てください」

佐天「…………い、行きます」

佐天は右手に力を込め、その手に持った剣を五和に向けた。

五和「……私は『敵だと思って』と言ったはずです。そんな刃のない剣で私に勝つつもりですか?
 私をあまり見くびらないでください」

佐天は改めて自分の手にあるその剣を見た。
三週間ずっと佐天が振り続けてきたその剣は、所々泥や傷が着いていた。
佐天はその剣を地面にゆっくりと置いた。

そしてポケットの中からルーンの書かれたカードを取り出し、それを両手に持った。



9401 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:43:20.96D45E0yvW0 (9/16)


佐天「原初の炎、その意味は光。右の手には剣、左の手には盾……
 優しき温もりを守り、厳しき裁きを与える力をッ!!」

佐天がそう唱えると、両手のカードは瞬く間に炎と化し、暗闇を明るく照らした。
猛る炎は凝縮しながら、うねるようにその形状を変えた。

五和「炎の剣と盾……。それが佐天さんが身に付けた力なんですね」

右手には剣。左手には盾。
炎でできた二つの武器を、佐天は五和に向けた。

佐天「行きますッ!!」

五和「どうぞッ!!」

五和に向かって走りこむ佐天。
そして助走の勢いに乗せて炎剣を振り下ろした。

―――ドンッ!
炎の塊が、五和の槍とぶつかって轟音を響かせる。

振りかぶってもう一撃。
しかしそのどちらの斬撃も、海軍用船上槍によって捌かれた。

五和「この短期間でしっかりとした戦いの型が出来上がっています。
 本当に大したものです。でも……」

再び大きく振りかぶる佐天。

五和「圧倒的に遅い!」



9411 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:46:41.35D45E0yvW0 (10/16)


五和は身体を半回転させて、槍の柄で佐天を横薙ぎにした。
佐天はそれを咄嗟に炎盾で防ぐ。

―――ドンッ!

佐天の盾が僅かに形を変え、炎が迸った。

佐天「う゛ッ!」

横薙ぎの勢いのまま、佐天は横に転がった。
しかし急いで体勢を立て直して、五和に向かって剣を構えた。

五和(あの盾……。物理的な抵抗力があるみたいですね。
 魔術攻撃だけでなく、物理衝撃も防御する魔術。意外に器用な魔術を使うようですね)

佐天「痛ぁ……ッ」

佐天は盾を持った左手に目を向けた。
いくら盾で防いだとしても、その衝撃をすべて殺すことはできない。
佐天の手には鈍い痺れが走っているだろう。

五和「どうしたんですか? もう終わりですか?」

佐天「まだです……!」

五和「そうですか。なら、次はこちらから行きます」



9421 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:50:42.51D45E0yvW0 (11/16)


そう言うと五和は佐天に向かって槍を向けた。
そして、

―――シュッ! シュッ! シュッ!

五和の刺突の連撃。
訓練の成果でどうにか穂先の軌道を呼んで炎剣で撃ち落とすことができるが、
その苛烈な攻撃の前には息吐く暇もない。

佐天はその苛烈な突きの隙間を縫うように、果敢に一歩前に出た。
しかし攻めに転じようとした瞬間、槍の穂先で佐天の炎剣は抑えこまれてしまう。

鍔迫り合いのような拮抗に入る二人。

五和「今日私に一太刀も浴びせることができなかったなら、明日の作戦への参加は辞退してもらいます」

佐天「そんなこと、できませんッ!!」

五和「なら……参加できなくさせるだけです」

勢い良く左やや下に繰り出された突きを、佐天は盾を使って下に逸らした。
五和の身体の重心と槍が下を向く。
その一瞬の隙を狙って、佐天は炎剣を五和目掛けて振り下ろした。

五和はその体勢のまま、素早く後ろに下がった。
そして掬い上げるように、槍の柄を佐天の炎剣に向けて振り上げた。



9431 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:53:11.78D45E0yvW0 (12/16)


佐天「あッ!?」

佐天の手から炎剣が吹き飛び、宙を舞う。
そしてそのまま燃え屑のように消え失せた。

佐天「炎よッ!!」

佐天は飛び退いて距離取ると、再びカードを取り出し炎剣を再び出現させた。

佐天「く……ッ!」

五和「まだです」

佐天が体勢を整える間もなく、五和は佐天に向かっていった。

再び激しい突きの連続。
佐天は剣でそれを弾きながら、じりじりと後退を強いられた。

佐天「うッ!?」

五和の激しい攻撃に、佐天がバランスを崩す。
五和は素早く短い溜めを作ると、疾風のような勢いで槍を突き出した。

佐天は盾を構えた左手を前に出す。
炎が再び激しく揺らめき、佐天は無様に後ろに転がった。



9441 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 00:58:41.71D45E0yvW0 (13/16)


佐天「ハァ、ハァ、ハァ……」

佐天は炎剣を地面に突き刺し、何とか身体を支えて立ち上がった。
しかしその息は切れて、頬には幾筋もの汗が伝っている。

五和「そろそろ限界ですか?」

短い攻防ではあったが、明確な敵意を持った打ち合いは、
これまでの訓練とは全く別の疲労を佐天に与えていた。

佐天「そう、ですね……。こんな勢いで戦ってたら、もう長くはもたないと思います。
 だから……」

佐天は地面から炎剣を引き抜いた。

佐天「次の一撃で決めます」

構え直す佐天。
五和もまた、槍の切先を佐天に向ける。

佐天は大きく息を吸い、そして―――

ダッ! と佐天は五和に向けて駆け出した。
しかし佐天は炎剣を後ろに下げ、炎盾を前に突き出したまま突進してくる。

五和(防御? こちらの攻撃を受け流した後で、攻勢に転じるつもりでしょうか)

五和は一旦槍を横に振りかぶると、佐天を叩き伏せるような強烈な一撃を浴びせた。



9451 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 01:00:55.63D45E0yvW0 (14/16)


盾でその攻撃を受けることで、佐天の突進が止まる。
佐天は右手に持った剣を前に突き出そうとする。

五和は槍で佐天の盾を押し込める力を強めた。

五和(槍と剣。このリーチの差を崩すことは―――)

佐天「やあああああぁぁぁぁぁ!!!」

盾が槍に抑えこまれ、これ以上前に出れない拮抗状態の中、佐天は炎剣を前に突き出す。
しかし突き出された剣は、五和に届くには圧倒的に短い。

五和「無駄です!」

五和はさらに力を込めた時、佐天の持つ炎剣の切先が揺れた。
そしてその切先は佐天の刺突の勢いを受け継ぐように、五和に向かって伸びた。

五和「なッ!?」

五和が後ろに下がるよりも早く、伸びた炎剣の先は五和の腹部に当たった。

―――トン…



9461 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 01:01:55.60D45E0yvW0 (15/16)


軽い衝撃。
しかし“攻撃”とみなされた佐天の一撃は、五和の服に施された防護術式を発動させ、
五和の上着の袖にピリっと小さな裂け目を作った。

攻撃としては本当に僅かなものだが、それは紛れもない一太刀だった。

五和「剣の形状変化……。見事な一撃です、佐天さん」

どしゃっと音がして、佐天が地面に座り込む。
それと同時に魔術の剣と盾は消えた失せた。

佐天「ありがとう、ございます……。でも疲れたぁ……」

佐天はそう言って、地面に大の字に横たわった。
五和はいつもの柔らかい笑みを浮かべる。

五和「今は休んでください。明日の厳しい戦いに備えて」

佐天「はい……」

そう言って佐天は、真夜中の空き地に寝転がりながら、静かに目を閉じた。



9471 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 01:07:36.90D45E0yvW0 (16/16)

というわけで今回は以上!

思ったよりスレを消費しませんでしたね。
次回本編を投下すると、中途半端なところでこのスレが終わるかも。

ってことで次回は番外編を投下します。

この割とシリアスなムードをぶち壊しかねない番外編『佐天さんとステイル君と魔法名の掟』
を投下します。

投下予定は明日です(もう書きあがってるんで)。
しかしこれをこのタイミングでやっていいのだろうか。
まあ埋めネタってことで許してください。



948VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 01:14:57.943nZcO45AO (1/1)

乙!初めてSSのリアルタイム更新に遭遇したよ!
佐天さんもだが皆魅力が増してて読んでて本当に楽しい


949VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 01:20:54.29oIEXI60Yo (1/1)

明日も楽しみにしてるぜぃ


950VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 01:23:28.174KTnyMYG0 (1/1)

乙です

次回、931(くさい)の秘密が明らかに…?どきどき


951VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 05:39:18.511YpwdtrAO (1/1)

佐天「きょ、巨人に苦痛の贈り物ッ!」
とかかな次スレは


952VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 07:42:09.413LBOovhAO (1/1)

「ス、ステイルくんボンバー!」


953VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 14:24:42.01KpFc5GjB0 (1/1)

>>952
ステイルの形をしたイノケンティウス的なものを幻視した


954VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 14:53:34.72bKcnBrVPo (1/1)

死んだステイルが炎になって助けにくるっていう
烈火の炎的というかゾンビ屋礼子的な展開を幻視した


955VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 19:24:20.98eojF8UOko (1/1)

そういや上条さんはヒースロー空港で荷物パクられなかったのかな


9561 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 19:48:29.62VTsvOGfe0 (1/21)

今日の二三時から投下します。

番外編が一つだと少し足らないので、番外編二つを投下します。
本編とはほとんど関係ない内容なので、気軽な感じで読んでもらえると助かります。


>>948
ありがとうございます!
これが初SSなので未だに探り探りでやってますが、そう言ってもらえるとてつもなく嬉しいです。
あとこのSSは他のスレよりも圧倒的に更新に時間がかかってる気がします。
毎回投下時間に張り付いて下さっている方は大変申し訳ないっす。

>>951
普通に『佐天「きゅ、吸血殺しの紅十字ッ!」そのニ』とか『佐天「~」Ⅱ』とかにする予定です。
まだスレタイ回収できてないしね。

>>952
「か、上条さんミサイル!」

>>955
パクられることを見越してほぼ手ぶらで来た可能性はありますね。
しかし買ったお土産は置き忘れ、撮ったデジカメのデータは消えるのであった……。


今日中にこのスレを使いきって、新しいスレを立てる予定ですー。


957VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 19:55:24.03pcdvhoaQo (1/1)

期待してる


958VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 20:27:06.40kljTPhKs0 (1/1)

イノケン待機


959VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 21:27:33.38N9FQrxKDO (1/1)

???「佐天よ、盾は使い方次第で武器にもなるじゃんよ」


960VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 23:10:00.555aqyb7Ujo (1/1)

クルー?


9611 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:17:29.15VTsvOGfe0 (2/21)

いや、やっぱり一つでいいか。

というわけで番外編『佐天さんとステイル君と魔法名の掟』を投下します。
番外編で20スレくらい消費すると思うので、あとは埋めてしまいましょう。


962佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:20:14.83VTsvOGfe0 (3/21)


―――番外編「佐天さんとステイル君と魔法名の掟」




佐天「うーん、魔法名か。どんなのにすればいいんだろ?」

ステイル「どうしたんだい? 何か考え込んでいるようだけど」

佐天「ああ、ステイル君。魔法名のことでちょっと悩んでて」

ステイル「魔法名?」

佐天「うん、あたしも魔術師だから、いつかは魔法名を付けなくちゃいけないでしょ」

ステイル「まあ行く行くはね」



963VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 23:21:12.98SBMLLq5zo (1/1)

そうか、番外編で20スレも・・・・・・それは嬉しいことだな


964佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:25:06.82VTsvOGfe0 (4/21)


佐天「それで、魔法名をどんなのにすればいいか分からなくって」

ステイル「魔法名は魔術師の信念を示す重要なものだからね。悩むくらいがちょうどいいと思うよ」

佐天「その信念がどうこうっていうのもあるんだけど、
 魔法名っていう制度があんまりよく分かってないんだよね。
 ステイル君、魔術師にとって魔法名ってどういう場面で必要になってくるの?」

ステイル「そうだね。そもそも魔法名とは魔術師が戦闘時、魔術を行使するために名乗る名前なんだ。
 つまりはその魔法名に秘められた自身の位や信念を相手に教えることで、
 その戦闘における覚悟を示し、お互いに全力で戦うことを宣言する、という役割がある」

佐天「お互いが全力で戦うことを宣言、か。
 そう考えると何だか増々難しいような……」



965佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:26:06.41VTsvOGfe0 (5/21)


ステイル「そんなに難しく考える必要はないよ。端的に言えば自己紹介だからね。
 これは昔の日本で武将が行っていた『名乗り』に近いかも知れないな。
 『やあやあ我こそは何処そこの国の、某なり』って具合にね」

佐天「『名乗り』か……。
 ていうかステイル君、何でそんなに日本の文化に詳しいの?」

ステイル「SSだからに決まってるだろ」

佐天「えーッ、何その説明?」

ステイル「あと魔法名には真名、自分の真の名前を隠す役割もある。
 真名を知られるということは、場合によっては非常に不利になることもあるからね」



966佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:32:13.19VTsvOGfe0 (6/21)


佐天「ふーん、それ以外にはどんな時必要なの?」

ステイル「さっき挙げたのはあくまで“戦闘時”という非常事態での必要性だ。
 魔法名には日々の生活に即した必要性がある。
 むしろこちらの方が様々な場面で必要になってくるから、重要度が高いと言えるね」

佐天「日々の生活に即した必要性? それってどういうこと?」

ステイル「すでに教えたことだが、魔法名がラテン語と
 重複防止のための三桁の数字から出来てるっていうのは覚えているね?」

佐天「うん、覚えてるよ」

ステイル「この重複防止の数字なんだけど、これは魔法名を取得した順番を示しているんだ」



967VIPにかわりましてNIPPERがお送りします2011/02/23(水) 23:33:32.601VyZ7f+Go (1/1)

20スレwwwwwwwwwwwwwwwwwwこれはwwktkが止まらないwwwwwwwwwwwwwwwwww
>>1期待してるよ///
頑張ってくれ!!


968佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:33:40.88VTsvOGfe0 (7/21)


佐天「は? どういうこと?」

ステイル「僕の魔法名は『 Fortis931(我が名が最強である理由をここに証明する)』なんだけど
 これは『Fortis』という魔法名を名乗った九百三十一人目であることを示している」

佐天「えーッ!? みんなどんだけ最強を名乗りたいの!?」

ステイル「“最強”っていうのは、男にとってそれだけ魅力的な称号なんだよ。
 魔法名の最大の特徴は、何かとこの同じ魔法名の者同士で集まって行動する点にある」

佐天「それってホントに重要なの?」

ステイル「重要に決まってるじゃないか! まあその活動内容は魔法名ごとに違ったりするんだけど。
 うちの魔法名の場合は、そうだな……四半期ごとにバーベキューがあるな」

佐天「すっごいどうでもいいように聞こえるんだけど。そして何故バーベキュー……」



969佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:35:19.81VTsvOGfe0 (8/21)


ステイル「ちなみに僕はいつも肉を焼く係だ」

佐天「だと思ったよ」

ステイル「そして魔法名を決める時に重要になってくるのが、この魔法名を名乗っている人の多さだ。
 『Fortis』は特に多い魔法名だから活動も大規模だし、何より身近に同じ魔法名の魔術師がいることが多い。
 確かロンドンにも『Fortis』の魔術師は八人くらいいたかな」

佐天「最強多ォッ!! それもう最強じゃなくない?」

ステイル「何を言ってるんだ! 近所の肉屋の主人は魔術師で『Fortis』なんだが
 彼ほどローストビーフを薄くスライスできる人間はイギリスに二人といないよ?」ドヤ

佐天「何でドヤ顔? ていうかそれ魔術師としてスゴイんじゃなくて、肉屋としてスゴイんだよね?
 もう魔術関係ないし」



970佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:36:33.30VTsvOGfe0 (9/21)


ステイル「彼がいないとバーベキューで食べる肉がなくなるじゃないか!」

佐天「やっぱりその人が肉担当なんだ」

ステイル「それ以外にも『Fortisクラブ』では……」

佐天(『Fortisクラブ』ダサッ)

ステイル「集まりで相手を呼ぶ時、『Fortis』をつける決まりがある」



971佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:39:50.45VTsvOGfe0 (10/21)



………………………………………………………………………………………………

「はーい、じゃあ今週の定例会議始めまーす。マグヌスFortis」

ステイル「最強ッ!」

「次、アンダーソンFortis」

アンダーソン「最強ッ!」

………………………………………………………………………………………………




972佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:41:15.14VTsvOGfe0 (11/21)


佐天「何そのライオンズクラブみたいな決まり!?」

(※ライオンズクラブ……世界最大の社会奉仕団体。詳しくはググって)

ステイル「それ以外の活動は、うーん……そうだ、この前近くの公園に桜の植樹をしたな」

佐天「だからそれライオンズクラブでしょ!! 
 よく見るよ『〇〇地区ライオンズクラブ寄贈』って書いてあるの!!
 もしくはロータリークラブだよ」

ステイル「言いがかりはよしてくれ! 僕が所属してるのは『Fortisクラブ』だ!!
 いや、でも時々……」



973佐天さんとステイル君と魔法名の掟 ◆fftSPPkhRw2011/02/23(水) 23:42:23.55VTsvOGfe0 (12/21)



………………………………………………………………………………………………

「「はーい、じゃあ今週の定例会議始めまーす。マグヌスライオン」

ステイル「ウオォー!!」

「次、アンダーソンライオン」

アンダーソン「ウゥ……ウ゛オオォォ―――ッ!!」シャキン!

………………………………………………………………………………………………